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1984-07-12 第101回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十二日(木曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  七月十二日    辞任          補欠選任     小柳  勇君      山田  譲君     安垣 良一君      穐山  篤君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 眞事君                 穐山  篤君                目黒朝次郎君                 安恒 良一君                 山田  譲君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        運輸省貨物流通        局長       栗林 貞一君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君        労働大臣官房審        議官      野見山 眞之君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部団        体課長      波光  巌君        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        警察庁刑事局保        安部公害課長   竹内  隆君        大蔵省関税局電        算機通関管理室        長        鶴田  勤君        厚生省薬務局安        全課長      小宮 宏宣君        運輸省貨物流通        局審議官     阿部 雅昭君        運輸省貨物流通        局技術課長    金田幸二郎君        運輸省貨物流通        局港湾貨物課長  一色 昭造君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      加来 利一君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       矢田貝寛文君        消防庁危険物規        製課長      長谷川寿夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はきょう、主としてILO百三十七号条約港湾労働法の問題に実際的な面からお願いしようと思っていたんですが、きのう私も出ておりまして、何かきのうの理事懇連合審査の問題が、社会党の要求ができなくなったと、こういうことを聞きまして、事業法労働問題は表裏一体、車の両輪である、そういう理解をしておる目黒議員としては極めて残念でありました。したがって私は、連合審査においてILO問題あるいは港湾労働法主管大臣労働大臣ですから、そこでやろうと思っていたんですが、できなくなりましたので、今から政府委員皆さんと若干議論をしますが、議論進展いかんによっては労働大臣出席を要求することもあり得る、社会党の持ち時間の中で労働大臣を呼びたいということもあります、答弁いかんによっては、運輸委員会ですからそう形張ってやるつもりはありませんが、審議いかんによってはそういうことを要望することがあるかもしれないということを、あらかじめ委員長要請をしておきたいと、こう思いますので、よろしくお願いいたします。  我が党の安恒委員が二時間ほど議論をされておりましたし、参考人意見陳述もありました。  それで、私この事業法を見てみますと、港湾運送事業法というのは、戦時中は総動員法でやられて、戦後は、昭和二十六年届け出制、それから二十八年、四十一年と、それから今回が四度目の改正なんですね。ですから、コンテナとか輸送革新という段階における事業法労働関係との関連ということについては、法改定の歴史を逆算してみると、ほとんどの時点で、輸送革新労働問題との関連性ということを肉づけされて、事業法全体を見直したりあるいは港湾労働法全体を見直したりというところがなかったと、私はそう見ておるわけであります。  港湾労働法についても、昭和四十年に法第百二十号で施行されてから今日まで六回、五十四年の六月八日まで改定されておるわけでありますが、ILO百三十七号条約が採択された四十八年六月六日の総会時点を見てみますと、四十九年に法改正があった。四十九年に港湾労働法についてILO百三十七号との関連で点検されたか、こう思って古い文書を点検してみますと、ほとんどこの関連性は点検されていない。いわゆる法改定には全然あらわれていないというのが私の結論であります。  したがって、そういう点から、まず冒頭お聞きいたしますが、コンテナが入ってから、輸送革新が行われてからいろいろあるわけでありますが、まず一番最初に、この十年間、六大港で結構でありますから、六大港において港湾労働者登録日雇い労働者も含めてどういう形になっているのかということを、参考人意見陳述はありましたけれども、行政としてどうとらえているのか。これがやっぱり出発点でありますから、この十年間に常用労働者日雇い労働者がどういう経緯になっているか、これを冒頭お示し願いたいと、こう思います。
  4. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 六大港におきます、まず常用港湾労働者数推移でございますが、十年前の昭和四十七年には六万三千三百八十八人でございましたが、五十七年には四万五千九百七十五人になっておりまして、この間で一万七千四百十三人、二七・五%の減少でございます。これをそれぞれの業務の四分野別に見ますと、やはり減少率はそれぞれ異なっておりまして、船内労働者の場合は三四・八%と減少がちょっと大きゅうございますし、沿岸労働者の場合は一八・七%の減でございますが、はしけ労働者につきましてはその減少率が非常に大きくて五〇・九%の減ということになっておるわけでございます。  それから、やはり六大港登録日雇い労働者について見ますと、四十七年が五千百二十人、それから五十七年が千六百八十七人でございまして、七七・一%の減と、こういうことでございます。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この前の七月十日の参考人全国港湾が言っておる、常用五万六千八百人、それから一番新しいのは三万九千。それから登録労働者一万五千に対して千四百人。これ、同じ行政現場で働いている人の認識が、なぜこんなに違うんだろう。六万三千と五万六千、かれこれこれは七千近くだな。  それから日雇い労働者参考人が一万五千人と言っているのに、あなたの方は五千百二十人。一体、行政現場がなぜこんなに食い違っているんですか。
  6. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 御存じのように、六大港における港湾労働者につきまして、港湾調整審議会意見を伺いまして労働大臣港湾雇用調整計画を策定いたしておりますが、その計画数字を申し上げますと、先ほど先生が御指摘になったような数字になろうかと思いますが、昭和四十一年度の常用の数が五万四百七十、登録日雇い労働者の数が一万五千二十八。これが五十七年度におきましては、常用の方が四万二千八百、登録日雇いの方が千六百八十七という数字になっているわけでございます。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから私が言っているのは、行政と、現場で働いておる労働者認識と、あなたが今言った何とか審議会ですか、三者三様じゃないですか。  三者三様ということは、いかに行政現場なり、あるいはその港湾調整審議会、あるいは港湾労働法に従って労働大臣需給調整を策定していますね、都道府県によって。そういうものが、現実に六大港という港に一体ここ十年間にどれだけ労働者がおってそれがどういうふうに変化したのかということが、今日時点で三者三様だということは、裏を返せば労働行政がなっておらぬということだ、労働行政がなっておらぬ。国鉄の人間が三十五万いるのか、三十八万いるのか、二十五万いるのかなんと言ったら、あんた、運輸大臣とか国鉄総裁成り立ちますか。まあこんなことを言ってもしようがない。とにかく非常に激減しているけれども、労働行政がなっておらぬ。現場とのパイプが結びついていない。どれが本当かわからない。あえて言えば、労働大臣港湾労働法の第三条によってやるやつがこれが客観的に物になるのかなといっても、これだけやってもしようがありませんから。  結論としては、労働集約型産業であるにもかかわらず、この十年間の常用労働者日雇い労働者の把握が三者三様である、だらしがないということだけは、まず確認しておきます。これだけが仕事ではありませんから、時間がどんどんたつので、これだけは確認しておきます。これは大臣、いいですね。三者三様、でたらめだということ、これは認めますね、客観的に。今、三者三様だから。大臣、認めますね、三者三様。後で調整すれば別問題として、質問時点では、労働組合が言うことと、港湾労働法で言うことと、運輸省の言うことが、三者三様であるという点だけは、大臣確認してください。いいですか。
  8. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 数字が、調査の方法その他がどういう格好になっておるか検討しなければなりませんが、三者三様であることは認めます。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 次は、この十年間に港湾施設関連施設に国または地方自治体がどれだけの資本投下をしてきたか、国及び自治体別で結構ですから、これは前もってレクチャーしてありますから、財源を教えてください。
  10. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) お答え申し上げます。  港湾は、交通、産業国民生活等のいろんな活動を支える重要な社会資本であるわけでございます。特にまた、我が国は資源を海外に依存し、かつまた、貿易立国基本とするという我が国経済発展及び国民生活向上港湾が果たす役割が非常に大きく、かつ貢献してきたということでございます。  そこで、運輸省港湾局が所管しております港湾整備事業港湾関係起債事業及び港湾海岸事業というのがこの投資の対象であるわけでございますが、これらにつきましての最近十年間、すなわち昭和五十年から五十九年度までの投資の総額につきまして勘定いたしますと、約七兆円になっております。このうち国費は約二兆六千億円、残りの四兆四千億円が港湾管理者である地方公共団体及び受益者である民間企業負担ということになります。さらにこの七兆円全体の中で港湾活動に直接かかわりのある投資というものを取り出しますと、それは防波堤のような外郭施設水域施設係留施設というような港湾基本施設整備にかかわる港湾整備事業一つございます。これがこの十年間で約三兆九千億円という投資になっております。また、これに関連いたしまして、荷さばき施設などの港湾機能施設整備事業に関します分といたしましては、過去十年間で四千億円、合計いたしますと四兆三千億円というのが港湾活動を支える投資でございます。これの中で、国費につきましては二兆三千億円、残りの約二兆円というのが地方公共団体民間負担ということになっておるわけでございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この七兆円、国が二兆、自治体その他が四兆。基本施設が三兆九千億、荷さばきが四千億、まあ四兆三千億、これだけの莫大な資本投下をしておるわけですが、この資本投下というのはこれはどうなんですか。そこに働いている労働者皆さんとか、それから港運業者とか、それからユーザーですね、あるいは国の政策、こういうふうに大別しますと、これだけの七兆円の資本投下というのは、国際競争に負けまいという国の政策、あるいは他のタンカーその他ユーザー皆さん国際競争力をつける、そういう方々が主体的にこの港湾施設関連事業ということに積極的に機動的に動いたと、こう思うんです。  この七兆円の投下労働者、七兆円の投下港運業者、このかかわりあいをどのように理解すればいいのか。長い間貨物関係もやってきた、これは大臣ですな、大臣に、主体的に十年間七兆円の投下というやっと労働者港運業者関連をどういうふうに我々は把握すればいいのか、ひとつ聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  12. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 大臣の御答弁の前にちょっと一言申し述べさせていただきたいと思いますが、今先生のおっしゃいました七兆円の投資労働問題の関連という点につきましては、実は非常に難しいいろんな課題を持っていようかと思います。  と申しますのは、その裏側といたしまして、この七兆円に上る港湾に係る投資がどういう意味を持っているかという点について私どもの感じをまず申し上げたいわけでございますが、これはまず、港湾貨物の非常な増大というものに対処するという観点があろうかと思います。それに対応して港湾施設を拡充していかなければならないという大きな課題があるわけでございますが、その際に、あわせて船舶大型化ということがこの十年間におきましても非常に大きな課題でございました。これに対しまして、岸壁の大型化あるいは航路、泊地の水深の増大、それに伴う水域の拡大のための防波堤の建設というふうな課題がございました。その課題労働力との関係においてどう考えるべきかという点については、これは数字的にはちょっと説明のしようがない課題ではないかと思われます。  また、港湾は、そのような海陸輸送結節点であるとともに、工業生産の場として重要な役割を火だすわけでございます。その意味におきましての投資というものもかなりあるわけでございますが、これもまた労働との関係という点につきましてはなかなか関連づけた説明というのは難しいような感じがいたします。しかしながら、港湾における輸送運送近代化という点につきましても、この投資の中ではある程度の投資が行われておりまして、これまた非常に重要な意味を持っていようかと思います。その輸送近代化というふうなことにつきましては、これは労働力との関係というものが出てくるわけでございます。  したがいまして、そのような労働との関係の非常に強いもの、それから必ずしも直接的に説明できないもの両方ございますので、これを分解し整理するということは数字的には非常に難しいことではないかと思っているわけでございます。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あのね、国鉄の赤字はどこの責任だということで政府が逃げておるような答弁はやめてくださいよ。  この七兆円の投資をしたというのは、あなたが言っているとおり、船舶大型化したとか、あるいは貨物が急増したとか、さばき切れないとか、あるいは国際競争力に負けちゃ困るとか、そのために近代化が必要だという、貿易国日本の国の政策として集中的にやったんじゃありませんか。そういうことが私は言えると思うんですがね。  私は、昭和四十九年に国会に来て、大阪の上組事件、一年半かかってけんかしました。最終的に上組の社長が謝りましたけれども、その上組事件のときも私は大分この議論をやりましたよ。十年前の議事録を読んでくださいよ。  結局、この七兆円の投資というのは、私が言った、荷物が多くなった、船舶大型化した、ユーザーの需要でね。それから国際競争力に負けたくない、これは国の政策。そのためには近代化と、設備関連機械も、荷さばきの場も。そのために七兆円という投下をしたんでしょう。だから、貿易立国日本の国の政策として主体的にユーザー要請もあってこれを進めたというふうに位置づけて間違いないじゃないですか。私の言っていることが間違いですか、大臣
  14. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 港湾投資をこれだけ大きなものをしたということにつきましては、今港湾局長から御説明を申し上げたことに尽きると思うのでございます。問題は、日本貿易を振興しまた合理化近代化をやるということ、そういうことがあわせて港湾投資になっておると思うのでございます。この港湾投資がこれだけのものがなかったら日本経済発展がこれだけのものがもたらされていないだろう、こういうことが言えると思います。  港湾労働者との関係でございますけれども、これは港湾投資そのものだけで影響しておるとは思いません。港湾投資とそれから海運の形が、いろんな意味で変わってまいった。コンテナリゼーションなどはその一番極端な例でございますが、そういう変化が出た。こういう海運業自体、こういうものが絡まって港湾労働者減少が来されておる、こういうふうに見るべきでありまして、港湾投資そのものによって直ちに港湾労働者減少したというふうには考えない。むしろ全体としての海運情勢、湾港も含めて海運並びに港運情勢が変わったことが原因をなしておる。これはもうおっしゃる趣旨はさようなことだろうと思いますから、間違いがないことだと思います。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国の政策として大臣がやったことであって、我々とちょっと認識が違うのは、それがイコール港湾労働者減少にストレートにつながるものではないけれども、いろんな問題が関連して減少したと、こういうふうに受けとめておきましょう。  じゃ、その労働者労働生産性ね、特に労働生産性が問題にされるんですが、昭和四十四年から昭和五十七年度までの六大港港湾労働者一人当たり労働生産性はどうなっていますか。
  16. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 一人当たり労働生産性でございますが、これを労働者一人一日当たり荷役量推移で見た場合でございます。今、私の手元のこれで全国平均で申し上げますと、船内荷役の場合は一人一日当たり荷役量、四十四年が三十三トン、五十七年が九十九トンで三倍という計算でございます。また、沿岸荷役の場合でございますと四十四年が二十五トン、五十七年が六十六トンということで二・六倍ということになっております。  それから、先生ちょっとおわびでございますが、先ほど私、日雇い労働者の六大港における数の推移の中で、五十七年は十年前に比べまして七七・一%の減と申し上げたかと思いますが、六七・一%の誤りでございましたのでその点謹んで訂正させていただきます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、大臣ね、七兆円の投下をしたと。いろんなことがあったけれども、港湾労働者が減って、労働生産性船内は三倍、あるいは沿岸は二・六倍というふうに非常に生産性が上がってきている。  こういうことを考えますと、いわゆるILOが四十八年の六月六日の総会で、港湾近代化技術革新、こういうものに対して各国は責任を持ってしかるべき対策をとらないと大変なことになってしまうという条約を採択されたその条件に、日本港湾労働の絡む客観的、主体的要件が当てはまっているんではなかろうかと、私はそう思うんですが、余計な答弁は要りませんから、当てはまっておるかどうか、このことについて大臣と本当は労働大臣両方から聞きたいんだけれども、労働大臣は合いませんから、まず国務大臣を代表して、コンテナを含めての技術革新、これに絡まる港湾設備関連機械、それから来る労働者労働生産性、それはILO条約に適合していると思うんですが、いかがでしょうか。
  18. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ILO百三十七号条約には日本が賛成をしておることでございます。そのままの状態になっておるかどうかということ、細かい点はどうかわかりませんが、大筋においてはそのようなことであろうかと思っております。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、ILO百三十七号が指摘している条件日本港湾の環境が客観的にも主体的にもある、それをどう受けとめるかは別でね。客観的、主体的にはそういう条件にあるということを確認していいですな。
  20. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) いろいろ細かい点は私もどうもよくわかりませんので、大筋においてはさように考えてよろしいのではないかと、かように申しておるのでございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大筋において私が言ったことを背走しておるわけでありますから、そうすると、私が本会議質問をしたのに対して、運輸大臣は、批准に向けて労働大臣と協力してと、こう言っておったんですが、労働大臣はくちゃくちゃくちゃっと本会議で東北のずうずう弁と同じでしゃべったんですが、後で言葉のわかる人によく開いてみると、二つ三つ言っているようですな。まず一つは、港湾労働法その他の関連法規でやっておる、こういうのが一つの柱ですわな、柱は。それから二つ目の柱は——まあ一つ一つやりましょう。  港湾労働法の問題がそうだというならば、時間がありませんからILO条約は読みません、もう皆さんわかっていることですから読みませんが、国が行うべき幾つかの問題をこう提起しているわけですよね。前文では、雇用恒常化、収入の安定化港湾労働者労働条件及び生活状態に関する措置港湾労働安全衛生に関する措置港湾労働者の地位の永続的な向上、ここが大事、永続的な向上に対する対策、これらを国として、国の政策としてやるべきだということを述べているんですよ、前段で。憲法の前段日本国の敗戦の宣言と同じように、前段でこう六つ述べているんですよ。これは、これどっちかね、労働省かね。労働省運輸省両方、これは認めますね。このILO条約の今私が言った一、二、三、四、五、六、七つ七つを国の政策としてやるべきだと、こう前段については、運輸大臣労働大臣、いかがですか。——余計なこと要らないからね。
  22. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) ILO条約において今先生指摘のような対策をとるべきであるということを指摘していることは、御指摘のとおりでございます。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 はい。運輸省
  24. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう前提を確認します。  その前提を確認すると、港湾労働法の法の適用範囲を六大港にだけ限定して、六大港以外に適用しないということは、六大港以外にはこの条約の示す常用労働者あるいはそういう港湾労働者はいないんですか。私は仙台ですが、仙台は百万都市に向かって今仙台港をどんどん拡張して、国際港にしようという努力をしていますがね、仙台港にも港湾労働者はいっぱいいますよ。コンテナも入っていますし。何で仙台港は六大港以外だから港湾労働法適用にならないで、横浜とか京浜だけ適用になるんですか。条約精神からいって、まず出発点で食い違っているじゃありませんか。  したがって、条約精神からいけば、六大港はもちろん、六大港以外の日本のすべての港にやっぱり原則としては適用すべきだ、これが建前だと思うんですが、なぜこれができないんですか。
  26. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 条約におきまして諸対策港湾労働について行うべきであるという御趣旨でございますけれども、この条約におきましては、国内の法令または慣行によって定める方法等によりということでございまして、それぞれの国における国内的な経済的社会的な状況等法令慣行等によって定めていくというのがこの条約で示されているところでございまして、私ども、港湾労働法におきまして、六大港について適用しているという点につきましては、港湾労働における必要労働力の確保、あるいは労働力需給調整労働対策として必要であるという観点で、この六大港について適用しているというのが現実でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはあんた、この前の十日の高嶋社団法人日本港運協会会長、六大港も大事であるけれどもその他の港湾の取り扱いについても非常に困っていると。共同化をしたらどうかとか、共同化すれば今全港湾の方からプール雇用の問題とかですね。そういう点で、いわゆるこの六大港以外の港にも、技術革新とか輸送分野の革新に従って、影響はないんですか。なければ、これは別問題です。影響ないんなら、あなたの言うこともわかりますがね。現実に影響があるんでしょう。私は、仙台港にしても、あるいは小樽築港にしても、それから新潟港にしても、この前やられた秋田港、能代港にしてもだね、輸送近代化で影響がないんなら一歩下がりますが、現実にあるんでしょう。ないんですか。どうですか。  これは労働じゃない、港湾だ。近代化で影響があるんですか、ないんですか。ある、ないだけ言ってくださいよ。
  28. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 日本全国の港におきまして……
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 六大港以外のことだよ、聞いてんのは。六大港以外にあるのかないのか聞いてるんだよ。六大港はわかってる。
  30. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) はい。  六大港以外の全国の港湾におきまして近代化の影響はあろうかと思います。ただし、六大港におきましてコンテナ化が非常に進んだわけでございます。これに伴うところの技術革新というものは非常に大きな影響を労働問題に与えていようかと思いますけれども、六大港以外の港湾におきましての港湾近代化あるいは荷役の近代化に伴うところの労働問題、労働に与える影響というものは、六大港ほど大きいものではないのではないかと私ども考えております。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 六大港以外のところはこの条約を除外してもいい、六大港だけはやれと。それは国内法の基準であってね、それは逃げ口上じゃないですか。この十年間にこれだけ今やってるんでしょう、現実に。ですから私は、今日時点で、今から十年前にさかのぼってどうこう言ってもしようがないから、大臣、現実に六大港は認めます。それ以外でもやっぱり、この条約が示す輸送機関の近代化に従って港湾にいろんな変動が起きておるのであるから、やはり六大港だけに限定しないで、もちろん六大港も必要ですよ、六大港も必要でありますが、やっぱり港全体について、十年間なり、コンテナが導入された十七年間を振り返ってみて、港湾労働法の問題についてはやはりここは再検討する、現状に見合うように。こういうふうに踏み切ることが、何で行政がそんなに苦しむんですか。  労働者を見殺しにしておって、何でそんなに行政が足踏みするんですか。なるほどわかった、もう一回見直してみようというふうに、なぜ端的になれないんですか。  私は全国区ですから、北海道の端から沖縄の端まで全国回っていますよ、裏日本、表日本、四国。港なんて、行かないところはない、私は。むしろ港湾のあんたよりも全国を回っている、私は。港と山は。だから、そういう現状から見ると、六大港だけに限定しないで、現在の情勢に見合うように、各地方自治体港湾の国際化というものを言ってるんだから、これについては拡大の方向で再検討してみようというぐらいの私は行政の踏み込みがあってもいいじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  32. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 六大港以外についても輸送革新の影響が大なり小なり出ているということは、運輸省のお考えどおり私どももそう思っております。ただ、港湾労働法に基づく諸対策で進める方法もございますし、あるいは現在労働省におきましても、六大港以外につきまして、港湾労働者のための福祉その他種々の対策を講じているところも現実でございます。したがいまして、今後、六大港湾以外における港湾における労働対策がどうあるべきか。これにつきましては、さらに港湾調整審議会、その他労使の入った部会等もございますので、その辺は引き続き、今後の労働対策のあり方につきましては、検討を続けてまいりたいというふうに思います。
  33. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今労働省から答弁がありましたが、港湾労働法のことでございまして、労働省の所管でございます。しかし、御意見のあるところはよくわかりますので、私から労働大臣ともよく相談をさせていただきたいと思います。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは、縦割り、労働省港湾労働法を担当、運輸省事業法担当、私はわからないわけじゃないけれども、働いておる皆さんは、労働集約型の事業ですから、これは車の両輪ですよ、事業法労働法はね。だから、そう余りこだわらないで、やっぱり淡々として検討してほしい。そういうことを前向きに検討するということで受けとめておきます。いいですね、前向きに。いいですか。  大体、政治の前向きというのは、余りいい言葉じゃないんだけれどもね。労使関係なら、何このやろうで詰められっけども、政治の方はなかなか難しいんですが、今日段階では、前向きに検討するということで、労働大臣がいないから、国務大臣として答弁してくださいよ。
  35. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 運輸大臣としては、お考えにつきまして了承いたします。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 二番目の問題は、対象労働者。  これは私も社労委員長をやっているときに大分議論したんですが、これは日雇い労働者が主体でありまして、港湾労働法はね。常用労働者は届け出だけであって、労働者証をもらって、あとは港湾近代化に伴う問題については労使でやってくれと、建前はそうなっているわけですね、建前は。ですから、やはりILO精神からいうと、港運業者ではどうにもならぬ情勢がたびたびあると。これは七月十日の参考人意見を聞いても、理屈はわかるけれども労使だけではどうにもならぬという問題にちょいちょいぶつかると、参考人が述べておるわけですね。労使ではどうにもならぬと。  したがって、常用労働者もやっぱり港湾労働法の対象として、技術革新に絡まるいろんな問題などについては対応すべきだと、こう思うんですが、これはいかがでしょうか。
  37. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾労働法では、先生御承知のとおり、常用労働者については、届け出制による常用労働者証を交付して、行政的にその労働者の就労が把握できるようにするということが適当であるということで、制度を持っているわけでございます。ILO条約との関係につきまして、この登録制というものが日本の国内の仕組みとしては適当であるのではないかということで現在やっておるわけでございますが、今後どういう措置をとるのが適当であるかという点につきましては、情勢の変化等も踏まえながらさらに検討はいたしたいというふうに思っております。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは運輸大臣、七月十日の日本港運協会会長の高嶋さんの意見開陳では、常用労働者皆さんの問題については港湾労働安定協会などでいろいろやっておるけれどもなかなかうまくいかない。技能の再教育とか、新しい職場の拡大とか、多面的な企業の進出とか、いろいろうまくいってないと。あるいは、組合側の吉岡参考人意見でも、制度はあるけれども一人か二人ぐらい実を結びだけであってとても対応し切れない、現在においては。そういうことが言われているんです。  一例を挙げて申しわけありませんが、炭鉱離職者ね。炭鉱の近代化合理化の際に炭鉱離職者制度という特別の制度がありまして、運輸省で言えばハイタクの個人タクシーの免許などもどんどんくれてやったというのは、これは炭鉱離職者の運輸省における部面の開拓ですよ。だから、単に港湾労働安定協会にわずかばかりの金を投入して再教育なんとかということでなくて、もう少し国が、港湾輸送近代化の問題であるならば、そういう国の政策としてきちっとやるとか、あるいは後ほど言ってまいりますが、時間短縮の問題をやるとか、そういう、常用労働者にも、輸送近代化から来るいろんなしわ寄せについて、対応できる制度をきちっとすべきじゃなかろうか。単に今日の港湾労働法が、日雇い労働者の登録側だけで、常用は届け出というだけでは不十分だ。それはここ十年間の先ほど申し上げた数字が物語っている、こう思うのですが、この点は一応今労働省から聞きました。  今度は、労働大臣も兼ねた国務大臣として、やはり常用労働者についても、今までの十年、十七年の経過を踏まえて、現在では不十分であるから、ILO精神をもう一回読み返して、あなたたちは私の言ったいろんなことを目黒議員のそのとおりですと言ったんですから、そのとおり対応する法整備港湾労働法ですべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  39. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 常用労働者に対するいろんな近代化の影響が及ぶ点についても、細かい配慮をする必要のあることについては、全くそのとおりだと考えております。ただ、それは、絶対にそれが法律改正をやってどうするというのがただ唯一の方法とは考えておりませんので、こういうことについてはどうすべきかということを労働省を中心に私どもが政府として細かく考えていかなければならない、かように考えております。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、労使が、全国港湾日本港運協会が、五・三〇協定とかいろんな協定を結んでいることは私も承知しています。だけれども、その労使の協定は労使の協定として、その労使の協定がなかなかうまく回転しない。うまく回転しないから国の助成が欲しいな、あるいは港湾事業者たる地方自治体要請が欲しいな、こういうことを思うものですから、深追いはいたしませんが、今大臣が言ったことを単にこの場の話じゃなくて、常用労働者の問題についてもやはり抜本的にこれは大変な問題が発生しているんだなという認識を持って対応策を考えてほしい、こう思いますが、いかがですか。
  41. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私は、今先ほど申し上げたとおりでございまして、十分考えなくちゃいかぬという問題だと思っております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは次は、日雇い労働者の問題についてお願いします。  日雇い労働者の優先順位ということは、私から今さら申す必要はない。参考までに、前もってお願いをしておった昨年の一月一日から十二月末までの一年間の横浜港における船内関連沿岸、三業種において雇い入れた登録日雇い労働者、日雇いの方には十九条、紹介を含みます、及び直接募集労働者の数がどの程度になっているか、ひとつお知らせ願いたい、こう思います。
  43. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 五十八年一月から十二月までの一年間における港湾労働者の職業紹介状況等につきまして申し上げますと、三業種全体で職業紹介状況を申し上げますと、四万六千八百五十六、うち船内業種が二万一千五百三、沿岸が二万三千二百六十一、関連が二千九十二でございます。一方、直接募集の状況でございますが、三業種全体で四万二千九百三十四、船内業種で九千五百十九、沿岸が四千六百九十二、関連が二万八千七百二十三になっております。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の数字が、直接募集の方は合っているんですが、登録関係船内三万三千八百二十八、関連四百十九、沿岸二万五千三百九十五、計五万九千六百四十二。登録関係合っていませんか。——合っている。ちょっと、登録全体何ぼになっている、登録全体で。
  45. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 登録者の安定所紹介が、五十八年累計で四万六千八百五十六というふうに承知しております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私が横浜からもらったやっと若干、何ぼ違うのかな、一万三千。直接募集の方は合っていますが、登録の方はちょっと一万三千ばかり違いますから、両方で約十万弱ということにしておきましょう。  それで次に、若干時期が違いますが、横浜港職業安定所が五十七年十一月一日から十月までの一年間、横浜港の地区港運協会に加盟している関連業者二十六社が購入した雇用保険印紙が、約九万枚に達している。こういうことを聞いておるわけでありますが、今おたくから言った関連の直接の二万八千七百二十三、これもこの中に入っていると思うんです。  ここから問題なんですが、残る六万、この六万はどこへ行ったんだろうか。我々はやみ雇用省に張られていったんではないか、こういうふうに思うんですがね、この認識はどうですか。種明かしする前に、種明かししちゃおもしろくないから種明かしする前に、あなたの方ではどういう認識ですか。九万売られている。港湾関連業者二十六社が九万枚買っている。それで届けの方は二万八千七百二十三だと、関連ね。それで、どうでしょうか、九万のうち三万は大体わかっておる。あとの六万はどこに行ったんだろう。どういうふうに御認識になっていますか。
  47. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港運協会所属の業者におきましても港湾運送事業以外の事業を行っている業者もございますので、雇用保険印紙がどの部門の作業に就労している労働者に使用されたのか、その実態を必ずしも把握することは容易ではございませんが、御説のようにいわゆるやみ雇用等に流れでいっている事態は全然ないというようなことは、私どもは否定できないわけでございまして、こういうような事態につきまして港湾労働法の違反の事態等がございますれば、私どもとしても厳格に取り締まるという方針は続けてまいらなきゃいかぬというふうに思っております。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私はやみ雇用の問題は随分、冒頭申し上げた上組事件出発点にして、名古屋、大阪あるいは関門、あちこち歩いて常に感知しているんですが、おたくの方も、衆議院の答弁を見てみますと、港湾局長もやみ雇用は存在するということを認めておるようですね。これはあなたがそんな顔をしたって、議事録は正直に書いてあるんだからしようがないもんね。おれが書いたわけじゃない。あなたのしゃべったやつを速記さんがきれいに書いて、これを書いているんだから。やみ雇用は存在するとこれは答弁しているんだから、悪かったら速記の方に聞いてください。  だから、やみ雇用は存在すると。しかしどの程度存在するかは、今労働省の話ではなかなか実態把握が難しい、こういうことですが、やっぱり私は、港湾労働法を制定して港湾輸送秩序と労働秩序を守るというならば、やみ雇用の実態については徹底的に調査をして絶滅を期するというのが法の精神だと思うんですよ。施行以来十年余たっても、やみ雇用が存在するかもしれませんなんということを天下の港湾局長が国会の議事録で認めるなんというのは、やっぱりそういう問題については積極性がなかったと言われても、これは私の方が言い過ぎじゃないと思うんですよ。もう少しやみ雇用について対応すべきだ。  それで、私が調べたことを申し上げます。これは横浜に行って——大臣聞いてください、いいですか、横浜の寿町、ここは日雇い労働者がいっぱいいるところです、管轄の労働省横浜港公共職業安定所寿業務課、ここの話を記録をまとめました。白手帳労働者の中で、日雇い雇用保険の受給資格は、おおむね九百から千二百の間を上下している。ここは九百から千二百、上下している。このうち、港湾関連職種のみが三分の一、三分の一が港湾と陸上の双方、両手遣いだね、三分の一が陸上、大体こんなふうに分かれていると。寿の、実際毎日毎日職安の窓口でやっている皆さんの分析では、九百から千二百のうち大体三分の一、三分の一、三分の一、こういうのが大体の分布だと。  仮に三点から四百が港湾関連産業と、こういうふうに限定してみますと、保険証をもらう二カ月間二十八日、一カ月十四日ですね、この十四日で計算してみますと、中間の三百五十をとって十四日と計算して十二カ月、五万八千八百名という数字が出てくるのです、五万八千八百名。ですから、五万八千八百名のうち、先ほどおたくさんが言った関連産業二万八千七百二十三、これを差っ引くとぴったり概数で年間三万前後のやみ雇用が寿町を中心に横浜港湾で働いている、こういう計算になるんですが、これに反論があったら教えてもらいたい。私は、これは現場皆さんから聞いたネタですから、だから、それはそんなことを言うけれども、我々の調査ではこういうことだと。  私は、保険の印紙から逆算をしたんですからね、保険の印紙。何か高い印紙を買ってポケットする業者はいないでしょう、この世知辛い世の中で。買ったら必ず張るんでしょう。だから、我々は、この保険の印紙から逆算すると三万名近くのやみ雇用が現に横浜周辺で働いている。こういうことになるんですが、やみ雇用があるということを認定した港湾局、この法案の運用をやっている労働省、おのおの目黒の提案について、これは私は実地検査ですから、間違いがあれば間違いがある。あるならば、しかじかの理由で間違いだ、しかじかの理由でなるほどなと。どっちか、ノーかイエスか。ノーなら客観的な条件を示して反論してほしい、こう思うんです。
  49. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾運送事業新が購入した雇用保険収入印紙が一体どのように使われているのか、あるいはそれがどの程度の量になるのか、それにつきましてただいま先生からお伺いしたのが初めてでございまして、遺憾ながらまだ現地の方からその事情について聴取いたしておりませんので、できるだけ早い機会にこの実態把握につきまして努めてまいりたい、その上で港湾労働法違反のような事実が見出されるとすれば、これはもう関係事業主に対する重点的な立入検査等の対応を図ってまいりたいというふうに考えております。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  50. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 私ども運輸等の立場におきましても、今先生おっしゃられましたことにつきまして、できるだけ実態を把握すべく労働省ともよく相談して調査をし、私どもの立場で具体的にどういう指導なり監督ができるか、ひとつ検討してやってみたいと思います。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、こういうことじゃこれは、きょう何とか質問を終えて採決するとかなんとかと今言っているそうですが、やみ雇用がある、最も近い横浜、横浜でやみ雇用があるという、三万名近くやみ雇用が行われているという実態。議員の提案について、今から調査します、実態がわかりませんでは、あなたたちが再三再四言っているとおり、この事業は労働集約型事業だ、産業だ。このやみ雇用の実態がわからずして一体何が港湾運送法の改正ですか。コンテナだから、一貫輸送やってどうのこうのと言う。こんなことがわからなくてあなた、何が事業法を採決するとかいうことができますか。これは私は不満ですね。この問題、これじゃこの法案の審議がやれない、こう思うんです。やみ雇用の実態がわからなくて何が港湾事業法ですか。これは大臣、私はこれ以上審議できないね、このやみ雇用の実態がわからないようでは。審議できない、やみ雇用の実態がわからないようでは。
  52. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾労働法における法の運用につきましては、登録日雇い労働者の優先雇用、あるいは常用労働者届け出制度等、法の運用につきましてその適正な逆用について努力しているところでございますが、ただいま先生の御指摘のございました雇用保険の収入印紙の方からのいわゆるやみ雇用への実態把握、これにつきましては、先生の御指摘もございましたので、できるだけ早い機会に実態把握に努め、法の適正な運用について努めていくということで対処してまいりたいと思っております。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は後で触れる三月十二日、社会党港湾対策特別委員会が大阪の小林組の調査に行った、ここにいろいろなこと、ごまかし、やみ雇用のごまかしがあるんですがね。こういうときも私は行った。もう本当にあんたたちはやることが、業者サイドの調査とか、業者サイドのことはやるけれども、社会党が提案している、社会党が実態調査している問題についてはなかなか手を入れようとしない。この九万枚の問題だって、きのう、おとといですか、ちゃんと私レクチャーの段階で言っているでしょう。九万枚の問題を言いますから当たってちょうだいよ、場所は寿ですよと。こう言ったんで、寿に当たってみたんですか、私がレクチャーしてから。当たってみたけれどもわからなかったのか。当たらなかったからわからなかったのか、当たろうとしなかったのか。どっちかだ、もう。ちゃんと二日前言ってるだろう、印紙九万枚の問題を言いますよと。  こんなことであんた、きょう採決する、自民党さんが採決するから、なあに目黒質問は適当にやっておけと思ったら大間違いだ。こんな、やみ雇用の実態の把握ができなくて、何が港湾労働法だ、何が港湾運送事業法ですよ。これは私はこれ以上質問できませんね。ちょっと委員長、相談してください。
  54. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 昨日来関係の課等に照会を実はいたしておりますが、私どもで把握いたしました雇用保険印紙の売りさばき郵便局のうち、特に印紙の売りさばきが多い郵便局について調査をいたしましたけれども、通常の月に比べて特に大量に販売された事実は特に把握されていないという報告を受けているわけでございまして、そのほか、神奈川県の雇用保険課等を通じまして関係団体に電話照会等をいたしておりますけれども、まだ結果が現在までのところ報告されてないという状況でございまして、私どもとしても可及的速やかに実態把握に努めたいというふうに思っております。
  55. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) もう少し具体的に質問者の質問に答えていただきたいと思うのでありますが。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 議事進行について。  私は関連二十六社、横浜港地区港運協会加盟の関連専業二十六社と、ちゃんとこう言っているんですから、関連専業二十六社と言えばどこどこかとわかるわけですから、これだけ具体的に提示しているんですからね。それを今になって、郵便局の窓口なんて言われてもわかりません。したがって私は、この事業法港湾労働に大変影響があるんですから、ひとつ休憩して、理事会で相談してください。持ち時間がなくなりますから、休憩してください。持ち時間が痛ましいですから。
  57. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 御指摘のありました二十六業者についてただいま調査いたしておりますので、結果が出次第、資料を先生の方にお届けいたします。
  58. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。    〔午前十一時四分速記中止〕    〔午前十一時二十九分速記開始〕
  59. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 速記を起こしてください。  それでは、理事会で協議をいたしましたが、ただいまの件について、まず野見山労働審議官からお答え願いたいと思います。野見山審議官。
  60. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 先生の御指摘の業者に対する調査につきましては、きょうの午後、できるところを御報告できるようにいたします。
  61. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) それでは、目黒質問、今の件については保留をいたしまして、午後の時間に改めて報告をしていただくことにいたしまして、質問を継続いたします。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは、その問題に三十分ほど時間を割いていただきまして保留しておきます。  私としては、その問題がきちっとならない限りは単純に採決というようなわけにはまいらぬ、そういう意見を持っているということをまずつけ加えておきます。  次にお伺いしますが、横浜港の運転手つきの荷役機械はどの程度リースされているか。五十八年一月から十二月まで、一年間に延べ何台ぐらいの労働者が機械とともに港湾に就労しているか教えてもらいたい。
  63. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 私ども伺っておりましたのは、五十八年四月から十二月というふうに伺っておりましたので、この間の運転手つき荷役機械の延べ台数は六万四千六百四十五延べ台でございます。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一月からだと八万約三千、今四月から六万四千、大体傾向としては合っていると思います。  そうしますと、私たちは横浜港における五十八年一月から十二月まで常用労働者以外の皆さんの集計をしてみますと、さっきの九万枚の問題も絡むわけでありますが、職安の発表が約十万、それからリースつきが一年間で約八万三千、それから、推定されるやみ雇用の問題が三万。そうしますと、実数において一カ月千二百八十程度、このように我々は計算で出てくるわけでありますが、横浜港の五十九年度における登録日雇い数の定数は幾らですか。業種別に、船内沿岸関連別に定数と実数を教えてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  65. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 横浜港におきます日雇い港湾労働者の充足数でございますが、船内荷役が百七十五、沿岸荷役、倉庫荷役の業務が百十五、港湾運送関連業務が百二十九、合わせて四百十九でございます。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 四百十九、そのとおりですが、実数を見ますと船内百四十九、沿岸百五十二、関連三十、合計三百三十一、実数でも定数に満たない現状であります。そうしますと、先ほど言ったやみ雇用の問題については千二百ぐらい動いている。そのうち定数が四分の一の四百という点で、非常に定数と実態に落差があり過ぎる、こういうふうに我々としては見ておるわけでありますが、これは後ほどの九万枚の印紙との関連の際に最終的にため押しをしたい、こう思っておるわけであります。定数がいかに少ないかということについて究明をしたいと思っております。  それから、登録日雇い労働者以外の皆さんにはいろんな制度、例えば一時金や退職金制度、雇用調整金とか就労保障協定などなどについては日雇い登録労働者には適用されるけれども、それ以外の方には適用されていない、こういうふうに現状認識して間違いありませんか。
  67. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 雇用調整手当等の支給につきましては先生の御指摘のとおりでございます。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしたら、大臣、今言ったとおり、五十九年度横浜港における定数が四百十九、こういう方々については港湾労働法が示すいろんな条項が適用されているんですが、我々の実態では、先ほどの質問関連しますが、大体千二百横浜港にいらっしゃる、こういう認定なんですよ。そういう我々実態把握。そうすると、三分の一の四百十九名程度は適用されていますけれども、あとの八百程度の皆さんはやみ雇用という形態で、ほとんど港湾労働法が示す救済といいますか、そういう条項が適用されない無権利な状態に置かれている。このことはILO条約に抵触するんじゃありませんか。だから、日雇い労働者の登録あるいは優先順位、だから結構なんだといっても実態とかみ合っていない。横浜港がこのくらいでありますから、いわゆる大阪あるいは神戸あるいは関門、他の六大港についても同じことが私は言えると思う。  したがって、日雇い労働者の実態、定数のあり方などについても、やはり基本的に日雇い労働者が正規のルールで登録され、保障されるように改善をすべきだ。改善をしなければILO条約に抵触すると、こう思うんですが、先ほど大分労働大臣として答えると言ったけれども、今度は運輸大臣国務大臣として細田大臣にこの点について、ILO条約に抵触している、だから日雇い登録労働者の件についても改善をする必要がある、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  69. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 労働大臣の所管事項に関する面の方が多いと思いますが、私どもの立場から考えまして、日雇い労働者のこれらの関係につきましては、もっと明確なものが打ち出せる、はっきり説明がつくような形のものが必要である、かように考えます。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、登録労働者の優先順位の問題についてお伺いいたします。  登録労働者の横浜港で五十八年一月から十二月の間に各業種別に月間平均不労日数——仕事につかない日数ですね、これがどの程度ありますか。これも言ってありますからお教え願いたい、こう思います。
  71. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 後ほど御指摘があれば月別に申し上げますが、時間もございますので年間平均で申し上げますと、五十八年一月から十二月までの平均で、船内が平均不就労日数十・一日、沿岸が十二・六日、関連が六・五日となっております。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そのとおりです。  これは素人考えですが、不労日数というのは、登録日雇い労働者が職安に出ていっても仕事がなくて仕事ができなかったと、こういうことであると思いますが、理解に違いありませんか。
  73. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 月間二十五日を前提といたしました不就労日数から定義いたしますと、先生のおっしゃるとおりでございます。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 こういう不労日数がある。先ほど定数が四百十九、実態はそれよりも八百も多い数があるんじゃないか、こういうことになりますと、不就労日数というこの実態とやみ雇用との関係はやっぱりまだ依然として雲の中にある、こう言ってもやぶさかじゃないと思うんですが、不就労日数とやみ雇用関係についてはどういう改善対策を考えていらっしゃるのか、改善すべき点があろうと思うのでありますが、どういうふうにして改善しようとしているのか、この点についてお考えを具体的に聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  75. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 不就労日数の問題につきましては、基本的には港湾の荷役量の変化、特に最近における景気の動向等も関連した現象等の反映というのが基本的にあるかと存じますけれども、さらに、先ほど申し上げましたように、職種間における不就労日数のアンバランスもあるわけでございます。で、これはやはり港湾荷役の技術の変化等によりまして、要求される技術の内容と登録日雇い労働者の持っている技能とが、必ずしもかみ合っていないというような点も現実にあろうかと思います。したがって、職種間におけるアンバランスをできるだけなくす、あるいは必要な技能の取得というような面での対応を図りながら、できるだけ需給のミスマッチをなくすような方向での対応が必要かというふうに思われます。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 人づきリース制の問題のときに、運輸省労働省が若干の見解の違いがあって調整したことがありましたね。ちょっと今ここに資料を持ってこなかったんですが。その際に、あなたが今いみじくも言った、現在の港湾技術革新に必ずしも対応できない、新しい技術が必要だと。その新しい技術に対応する人がいない場合にはこう狂うことがあり得るということが言われましたが、逆に三年なり四年前に、そういう事態のないように、やっぱり人づきリースは好ましくないと。したがって、自分のところで使う機械は可能な限り自分のところでやるとか、あるいは共同部にやるのだ、そういう行政指導をしながら人づきリース制の問題については解消に努力すると、そういうふうに私は記憶しているんですが、その努力をした経過なりあるいは結果は、このやみ雇用の問題なりあるいは直接募集の減少ということに具体的に成果が上がっているんだろうか、努力したけれどもなかなか成果が上がらない、こういう現状なのか、その辺の努力した現状認識はどうなんでしょうか。  人づきリースと今の技術革新、それからそれを消化できる技術と機械を持つべきだという労働省運輸省の共同の指導方針から見てどうなったか聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  77. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) いわゆる人づきリース問題につきましては、五十六年、国会等における御審議を踏まえまして、労働省としては、この人づきリースの問題が最近ふえてきているという状況にかんがみまして、この状況が港湾労働法に言う港湾運送に必要な労働力の確保、そして港湾労働者雇用の安定との観点から見て、この人づきリースの増加は港湾における雇用調整機能にも支障を及ぼす、そしてまた結果的に港湾労働者の職域を狭めることともなるので、これを是正する必要があるという観点に立ちまして指導を始めていました。特に、人づきリースを利用している事業主に対して、できるだけ事業主の自己所有とするか、あるいは機械のみの借り受けとするというようなことを基本といたします指導を進めていくということと、その後の状況についての把握をしたわけでございます。  で、この運転手つきの荷役機械の借り受け状況について大ざっぱな傾向を見ますと、昭和五十七年におきましては月間平均七千五百台程度でございましたのが五十八年には六千九百台程度というふうになっているのが現状でございますが、さらにこの指導の趣旨が徹底できますように努力を重ねていきたいというふうに思っております。
  78. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいまの人づきリースの、荷役機械のリースの問題でございますが、これにつきましては、運輸省といたしましても、こういった事態が放置され今後その利用が拡大するというふうなことになりますと、適正な事業規模の確保とか法の規定する下請制限とか、そういった趣旨にも反してまいりますし、運送秩序の維持の面からも望ましくないという考え方で、例えば日常的に使用しない荷役機械で高額なものとか、または高度な操作技術を要するものなどに限って認めるのがよろしいということで事業者を指導してきておるわけでございますが、まだ実態はただいま労働省の方からお話があったような次第でございますので、なお今後とも労働省とも協力いたしまして、指導の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
  79. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱり私はこれもね、ILO条約から言うと抵触してくるんじゃなかろうかと、こう思うんです。定数が四百足らずのところでね、二千も三千もとこういうことでありますから、日雇い労働者雇用の優先権、優先権が確立されてから云々だと言ったところで、絶対的な数字がもうどうにもならぬというような実態ですから。これは運輸省労働省ちょっとニュアンスが違ってね、このおたくが両方答弁したことをやる際に私も直接かかわり合いを持って随分苦労したんですが、まあしかし若干ではあるけれども軌道に乗ってきたという点はそれなりに努力は認めますが、    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 やはりこれもILO百三十七号条約に抵触する可能性があるという点では私は間違いないと思うんで、大臣、この問題については運輸大臣として、あるいは国務大臣労働大臣としてだね、この問題についてはもう一段の努力をして、ILOと抵触しないように努力してもらうということでいかがでしょうか、大臣
  80. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 努力してまいる所存でございます。
  81. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃこの次はこのリースも半分ぐらいになるぐらいにね、期待していますよ。まあ年間通じて五、六百ではしようがないからね、ひとつ期待しています。  次に、ILOが、言っておる最低所得の保障の問題について、若干お伺いします。  この常用労働者の最低所得の保障、大体これは現在就労日数は何日になっていますか。
  82. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 常用労働者につきまして、昭和五十八年の屋外労働者の職種別賃金調査によりますと、港湾労働者の一カ月当たり労働日数は二十二日となっておりまして、製造業の男子労働者の二十一・三日に比べて〇・七日ほど高いというような状況でございます。
  83. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 二十五日保障協定というのはないんでしょうか。
  84. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾におきまして、労使の協定によって二十五日の就労協定が結ばれているということは承知しております。
  85. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 二十五日協定が労使で結ばれている。しかし実態としては、この協定を実行するためにいつも問題に出てくるのが職安法第四十四条。これの抵触あるいは違反ということをしながら、労働者の相互流通、この相互流通をしなければお互いに雇用が守れない、この二十五日就労保障そのものについても。だから、協定があっても実態は二十二日と、こう出てきましたね。実態は二十二日ということは、結局協定があってもなかなかその協定までいってない、こういうことを逆に言えば裏書きしている、こう思うんですよ。  この職安法四十四条の関係の相互流通の問題について、実態を調査されているのか。いるとすれば、これらの問題の解消について、雇用の確保という点からどんな努力をされているのか、御見解を聞かせてもらいたい、こう思うんです。これは労働省だね。相互流通は運輸省だな。
  86. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 御指摘港湾労働者の相互融通の中身でございますが、私どもの理解では、荷役調整のために港湾運送事業主間で荷役の融通を行うものというふうに理解しているわけでございまして、職安法で定められている個々の労働者の融通が行われるというような事態につきましては、これは労働関係におきましては労働者供給事業に該当する場合も出てくるかと思います。したがいまして、いわゆる荷役の相互融通ということではなくて、労働者の融通のみということを目的として行われるような実態につきましては、労働者供給事業の関係で問題となるケースがございますので、このような事態の起きないように立入検査その他必要な検査等を行いながら、このような事態のないように努めてまいりたいと思っております。
  87. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 労働者の相互融通という点につきましては、港湾運送事業法でも再下請の禁止の条項に違反するおそれがございますので、そのようなことがないよう私どもは荷役の調整ということで、一度受けた荷物で受け切れないものについては、港ごとに必要な委員会等を設けまして、荷物を一度もとへ戻した上で別な事業者で荷役できる体制をつくらせるという、いわゆる荷役調整という体制をとらせ違反がないように指導しているつもりでございます。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これには労働省運輸省、今おのおの担当者から話があったんですが、それはそれなりに縦割りで理解できるんですが、それがいろんな面で混合したり混在したりして、そして港湾労働秩序にいろんな混乱を生ずる、きょうは時間がありませんから具体的問題は省略しますが、そういうことについて、やはり雇用の確保という点から特に両省間で指導に誤りのないように対応してもらいたいということを、これは要望しておきます。  それから、時間がなくなってまいりましたから、次は国会答弁の第二点の、労働対策のしようについて関係者間の意見が不一致だということが衆議院の逆輪委員会でもあるいは参議院の本会議でも答弁されておるんですが、これはちょっと時間がありませんから結論だけ申し上げますと、参考人意見陳述では、社団法人の日本港運協会の高嶋さんは、今一トン一円になっていますが、一トン一円の問題については必ずしもこだわっていない、金額に。一トン一円の問題には必ずしもこだわってないと。それから吉岡参考人は、今一トン一円で六億円程度で、これはお見舞い金程度だと。したがって、港湾近代化に伴う雇用という点から考えると、一トン三十円で百八十億円程度欲しいということを吉岡参考人が言っているわけです。  ですから、業界の方はこだわっていない、組合の方はこのくらいくれとこう言っていることですから、これはもう少し話し合いをすれば詰まっていく可能性があるんじゃないか、詰める可能性があるんじゃないか。しかしこれは、ソ連から来る木材の際にも随分三者で協議して大分苦労しました。あの苦労の経験にかんがみてもう少し、一トン一円というやつを三円にするか十円にするか十五円にするかわかりませんが、やはり国の制度ということを確立する前提でこの金額を上げると同時に、同じ程度の金額を国が拠出する、労使と国、そういう制度にきちっとすべきじゃないか。こういう点で、労使の方は業界の指導、国の方もやっぱり一枚かんできちっとした制度にする、こういうことが近代化に絡む問題として必要ではないか、こう思うんですが、この辺はどうでしょうか。
  89. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいま先生がおっしゃられましたトン当たり一円を港運事業者が負担してこれを拠出しております。その問題につきまして、一円の分担金を引き上げるというお話でございますが、この点につきましては、ことしの春闘のときに労使間の合意によりまして、生活保障制度の内容の一層の充実が図られるということになっております。その際に、これに要する原資ということに関連いたしまして、この原資につきましては日本港運協会の責任において措置するということに一応なっております。それで現在同協会において検討を重ねているところであるというふうに聞いておりますので、運輸省といたしましてもこの検討の模様を見まして、いわゆる五・三〇協定が円滑に運営されるように指導してまいりたいと考えております。  また、これについて国が拠出するというお話でございますけれども、これにつきましては、国として港湾労働者に対する、いろんな構造的な業種を抱えているところとか、それぞれの対策をやっておるわけでございまして、にわかに、ここで直ちに、国としても何がしかの拠出をして一緒にやりましょうということを申し上げるわけにはまいらないと思います。そういう御意見があったことを承っておきたいと思います。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、私が冒頭申し上げたのは、国の政策として国際競争力に負けない、あるいは大型化か何かの関係で十年間に七兆円の金を出せる、そういう七兆円の金を投資しているなら、せめてそこに働いている労働者皆さんに、それは七兆円とまでは言いませんが、このILO条約はそういう近代化設備の問題と同時に国が、局長聞いていてください、国が恒久的な雇用の安定を図るための措置をしなければならない、国として。労使じゃありませんよ、国としてしなければならない、こう言っているんですから、国としてやるためには、今この雇用の問題で非常に労使が苦しんで、一円なり金を出し合っているんですから、その労使の出している金に、やっぱり国と、それからユーザーと、四者で出し合ってきちっとした制度をつくって、そしていろんな条件に対応していく。そういうことこそ、ILO条約雇用の恒久化、あるいは収入の安定化、それに見合う最もこれは大事な政策じゃないですか。  この政策を抜きにして、労働基準法第何条が適用されますとか、あるいは離職者法が適用されますとか言ったって、それは一般論であって、しかも荷役の近代化の国際条約を提案されてわざわざ、労、使、日本政府、これは全部賛成したんだよ。賛成したら賛成したらしく、やはり物と人間があって初めて世の中は成り立つんですから、物には七兆円も投資して人の方はゼロだということでは、これはやっぱり問題にならぬ。七兆円対七兆円とは言わぬけれども、そういう基金制度に国とユーザーが参加する、これがやっぱり正しい近代的な労使関係のあり方じゃないですか。  これは政治問題だから、どうだね運輸大臣運輸大臣あなたでなくちゃこの問題はちょっと、政府委員皆さんには無理ですね。そこで発言しちゃったら、何だあの局長ということになる。やっぱりあなたが、私が言ったとおり、労使の問題に国とユーザーが参加する、そういうことについて前向きにきちっとしてもらいたい、こう思うんですが、どうですか。
  91. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御趣旨は大変よくわかります。国がどういうふうな形で面倒を見るといいましょうか、国が参加するかということについてはいろんな方法があろうかと思うわけでございまして、これらの点については十分考えていかなければならぬと思います。これは他のいろんな業種との関係もございます。そこで、一律にただ国、ユーザー労働者皆一緒になって云々というそのままの形でちょうだいできるかどうかということについては検討をしなければならぬ、御趣旨についてはよくわかります。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の方で計算したこれによりますと、例えば日本の場合は登録日雇い労働者にいろんなことがされていますが、一トン当たり九円、これは計算の方法はいろいろありますから、これはなかなか細かい計算がかみ合わないかもしれません。ところが、船は世界を回って歩くんですから、アメリカの西海岸における港湾労働者の保障関係を試みに試算してみますと、トン当たり二百五十円。これは大臣、後でこれをやりますから、試算をね。アメリカの場合は二百五十円、トン当たり日本の場合は九円。これは反論があったら反論で結構ですが、やっぱり格段の差があるわけですね。アメリカの港に入るときには国際的な金を払って、日本の港に入ってくると港湾労働者に奴隷的な賃金を払っている。これじゃ余り格好がよくないやね。アメリカで払った賃金はやっぱり日本港湾労働者にも払うべきですよ。そうでしょう。日航の、飛行機代が、アメリカの飛行機代と日本の飛行機代と違うわけじゃないでしょう。  だから、港湾というのは国際的な仕事ですからね、やっぱりそういう国際条約を、政府も賛成した以上は、労使にだけ任せないで、政府として、ユーザーとして、きちっとやっぱり制度のために一歩前に踏み込むべきだ。そうしないと、いつまでたったって空念仏ですよ。そういう点でもう一度、これは歌の文句じゃないけれども、もう一度あなたに会いたいじゃなくて、あなたに考えを聞かせてもらいたい。国際的な制度をきちっとしてもらいたい、日本港湾にも。
  93. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) アメリカと日本と同じというわけには、いろんな伝統やらいろんなものもありますので、そうはまいらぬと思いまするけれども、港湾労働者の待遇につきましては、これはいわば港湾のいわゆるソフト面の非常に重大な問題でございますので、これらの点から十分いろんな国としての配慮はいたしてまいらなきゃならぬ、かように考えておる次第でございます。
  94. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時開会
  95. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 安恒良一

    安恒良一君 前回の委員会でいろんな資料の提出を求めまして資料が出ておりますから、その中で二、三点念を押しておきたいこと、解明をしてもらいたい点があります。それをやります。それが終わったら、前回やれなかった十六条関係について質問をしたいと思います。  まず、お手元、私の方にいただいた資料の中で、「新基盤の創設による離職者対策について」というところがあります。そこをひとつ見てください。それについて少し質問をしたいのであります。  前段に、「該当事業者の基本方針は、自社内の他職種への配置転換(そのための職業訓練等は当然のこととして行う)、或は、自社と関連のある他社への出向等により退職者を出さない方策を最大限講ずる。」と、このように書いてありますが、問題はこの配置転換を行われたときに労働条件がどうなるのかということですね。私は、その労働条件が、配置転換はうまくいったけれども労働条件が低下したんではこれは大変なことになると思うんですが、その点はどういうふうになるのだろうか。  いわゆるこの労働条件を低下させないという保障の裏づけがあるのかどうか、この点についてまず聞かせてください。
  97. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 配置転換につきましては、私ども、労使協議の上で行われるものと考えておりますし、その際には労働条件も含めた協議で、そのようなことが労働者の不利にならないような配慮が十分なされるものというふうに考えております。
  98. 安恒良一

    安恒良一君 労使協議で行うのは当たり前なんです。当たり前のことを言わないでください、時間がもったいないから。そんなことは当たり前でしょう。  ただ、そこで問題は、私が言っていることは、行われると思いますじゃなくして、今回の新基盤創設によって離職者が出た場合には、政府としては労働条件の低下を来さないようにさせますと、こういうふうに言ってもらわなければ、そんなもの、行われると思いますじゃ困る。大臣、やっぱりそこのところを明確にしてください。思いますじゃ困るんだよ、思いますじゃ。私はその保障はあるのかと聞いているんだから。
  99. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 例えば、自社内で他職種に配置転換するとか、あるいは他社への出向とか、いろいろあり得るわけでございますけれども、その場合に労働条件の問題は当然労使で話をすることになりますが、その場合には私どもそれに具体的に介入して国でどうこうするという問題ではございませんけれども、必要があれば、職業訓練などもして適切なポストに、仕事に配置転換をし、それに見合った労働条件をやはり確保するということでよく話し合いをするように、それは指導していきたいと思います。
  100. 安恒良一

    安恒良一君 端的に答えてほしいのは、いいですか、失業者を出さないために他職業に配置転換する、それがために職業訓練をする、そこまではわかっているんだよ。僕はそのことを聞いているんじゃないんだよ。  その場合に、今度は他の職種に変わったときに、今までの職種と職種が違ったときに、労働条件の低下があっては困りますよと。そのことについての保障をきちっと政府としては、行政指導として、監督官庁としてそういうものをしてもらわないと、とにかく条件が物すごく下がって配置転換されたらどうなりますか。局長が、運輸省の機構改革によって他の局へ行って、賃金や労働条件が下がったら、あんた怒らぬですか。怒るでしょう、あんたたちは。そのことを僕は聞いているんだ。だから、そこだけをずばっと答えてくださいよ。
  101. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) これは、一律に労働条件がどうなるということは、なかなかこれは言いにくい、難しい問題だと思うのです。それは、具体的にどういう職種に転換するか、その際にいろいろ職業訓練から始まりまして対策をやっておりますので、それとの見合でどんな姿になるか、これは基本的にはやっぱり労使で話し合いをして決めていく問題じゃないかと思います。政府としては、私どもとしては、それは労働者に不利な、無理な結果にならないように、その点は十分注意して指導していきたいと思います。
  102. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ちょっと答弁をしていただきたいんです。役人と幾らやったって時間がもったいない。  というのは、いわゆる荷役作業が革新化する。そこで労働者が職種によっては余剰を来す。余剰を来した場合は、いわゆる職業訓練を受けて新しい職種に配置転換を自社ないし関連企業でやる、ここまではわかるんです。新荷役によることによって、私が何回も前回も言ったように、コストが合理化され、生産性が上がるということであるから、少なくとも新しい人が条件がよくなることを僕は言っているわけだ。当たり前ですよ。条件のいい職種についたと。問題は、いわゆる職種によって今までよりも賃金やその他労働条件が著しく下がったんじゃ、それはたまったものじゃないですよ。機械化、近代化というのは労働条件を下げない、むしろ付加価値が高まるのだから、それによって労働分配率は上がるというところにおいて、初めて機械化、近代化労働者は喜んで賛成するんじゃないですか。そのことを僕は言っている。だから、それは基本的には労使で決めることだとおっしゃるけれども、それに対する保障がなければ、今局長が言ったように、それは下がる場合もあり得るということじゃないか。  それなら、被害がこの前ないのかと言ったら、被害はないと言っている。新荷役によって労働者は被害を受けないのかと言ったら、受けない、こう言っている。そうして、今になってここで具体的に問い詰めてくると、被害は受けるやら受けぬやらわけがわからぬようなことを言われている。あなたの言葉をかりて言ったら、職種によったら賃金や労働条件が下がることもあり得るという答弁だよ、あんたの場合。あんたたちは一貫をして、ちょっと少し中身を突っ込んでいくとそういうことになるでしょう。それならそれのように初めから、僕の質問のときに、配置転換をしたときには、安恒さん、悪いけれども賃金や労働条件が下がることもあり得ますと何で言わないんだ、最初から、前回から。  あなたたちは、それは被害はない。ちゃんとその会社の中できちっと配置転換もできるし、他職へ行くし、職業訓練もやると言うから、ああそうかと。それじゃ労働条件は下がらぬのか、こう畳みかけると、下がるのか下がらぬのかわからぬ。そういう議論では私は困るんだ。どうですか。
  103. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おっしゃるように、転換によって労働条件が下がらないというのが建前だと思います。ただ、今ここでといいましょうか、政府が、全然例外なしに全部引き受けますというようなことを申し上げるという意味ではございません、これはもちろん基本的には話し合いですから。ですけれども、我々の考え方としては、現状ないし現状よりよくなるという建前でこの仕事はやられるものと考えておる次第でございます。
  104. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ大臣答弁をそこまでいただいておきまして、後から最終的なそれらの保障のことについての議論をしましょう。大臣答弁をもってそこの場合は了とします。  それから、その次ですね。ここもこう書いてあるんですね。「この努力によっても、処理し得なく、やむを得ず離職を求める場合には、自社として退職金の上乗せ等の経済的補償を講ずると共に港運中央労使協定に基づく、諸制度を通じて」云云と、こういうふうになっておるんですが、この「自社として退職金の上乗せ等の経済的補償を講ずる」ということのこれまた裏づけがはっきりしているんでしょうか。  それから、どうもあなたたちは、例えば新基盤創設によって港湾運送事業法を変えることによる離職者ができた場合も、それはもうみんな労使でやれやれ、労使がやることだ、おれたちは知らぬことだということで、どうもここの条項も政府としての対策が全然ないじゃないですか。  この二点について、いわゆるこの「上乗せ等の経済的補償を講ずる」ということの裏づけについてどうするのか。それから、政府としては、技術革新に基づいて労働者がどうしてもいろんな努力をしたけれどもやむを得ず離職しなければならぬような場合についての、政府としてのやはり対策とかそういうものについてもしてもらわぬと、とにかく技術革新はするわ、それはみんなおまえ労使で賄えやということなら、行政というのは要らなくなるわけです。そこのところはどうですか。
  105. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答えいたします。  新基盤に転換するについては、私ども、はしけ乗組員の方に影響があるということを十分認識いたしまして、安易な転換はさせない、その乗組員である労働者に対する対策というものを十分配慮して進めていただく必要があるということは、いろいろ協会の席上その他で説明しておるわけでございます。ここで資料としてまとめましたのは、具体的にそういうことを計画している、あるいは今後計画したいという会社についての、ヒアリングを実施した結果をまとめたものでございまして、それらの各社とも、決してはしけ基盤の転換をするに当たってはしけ乗組員に不利な取り扱いかないように自社としては十分配慮するということで、自社内転換を第一にしながら、どうしてもやはり希望が合わないといったようなことで離職される場合には、会社としての退職金の上乗せ規定その他を十分配慮してやりますということを言っておるわけでございますし、また労使間の協定に基づきます諸対策、及び国といたしましても、はしけは現在不況業種としての指定を労働省からいただいておりまして、そのための雇用調整交付金といったようなのが給付されるシステムにもなっております。  それらの、国及び労使間の協議に基づきます各種の経済的支援というようなことで、何とか円滑に、その転換が計画された場合には実施されるように、私どもでも十分指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  106. 安恒良一

    安恒良一君 新基盤創設によりまして出てくるのは、はしけの労働者がかなり問題があると思いますが、それだけじゃないでしょう。新基盤によってそれだけが離職することになりますか。はしけが一つ大きい問題であることは事実ですね。ですから、今はそれは個々の会社をヒアリングした上で新基盤の創設を認めるようになるというんだから、あなたたちはここに書いてあるようなことが万が一できなかったら、後からこれはあなたたちのところへねじ込みますよ、今度は私が。今ここで言っているんだから。おい、この会社は約束違反じゃないかと、今度は僕が言っていくよ。そのときはいいですな。あなたたちは今各社にヒアリングして聞いているから確信を持っているようなことですから、ここに書いているようなことについてはね。  だから、もしも実行しない港運業者がおったら、今度は個別として、そのときはあなたたちのところへ私の方から、おい、約束が違うじゃないかと言ったときは、ちゃんと責任を持って処理してくれますね。いいですね。
  107. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 新しい基盤の創設によりまして基盤の変更があり得る場合は、はしけがほとんどであろうと思います。沿岸あるいは船内をやっている事業者がそれを切り離すということはまずないと思いますので、はしけが大体中心となると思います。それにいたしまして、はしけ事業者の転換につきましては、個々の事業計画の認可という手続が必要になりますので、私ども、そのような段階で今のようなチェックをするつもりでございますので、先生の言われるような事態はないように十分配慮はできると思います。
  108. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。それじゃそこは、具体的に起こってきたときは、私が一つ一つあなたたちを呼んで、この会社はどないするんやと、こういうことになりますからね。そのとき、いや実は先生これはということを言わぬようにしてくださいよ。言うたら承知しないからね、公の席上で約束したことだから。  それから、このいただいた資料の中で、制度の中身が、五十五年四月一日協定ということになっていますが、ここには離職者について、「再就職斡旋期間中における職業訓練であって本人の申し出」云々「訓練費の全額を訓練機関に助成する。」と。こういうふうに明確に書いてあるんですが、どうも組合に聞きましたら、まだこれ細目が決まってないということなんですが、その点はどうなんだろうか。  それから、仮にこれによって、港の中の再雇用にこれがつながらないという場合が起こってきはしないか。その保障、受け皿がない。  また、適用は六大港だけだと、こう業者は主張していますが、労働者側は全国適用を主張している。これはなぜかというと、今回のこれが何も、目黒さんの質問にもありますように六大港だけじゃないわけですね、影響を受けるのは。それは六大港の方が、影響を受ける度合いはひどいということはわかるけれども。ところが、どうも聞くところによると、これは少なくとも全国適用をしてもらわぬと、六大港でなった人はこれによって救えるけれどもその他の人は救えないということでは困るんですが、そこのところはどうなんですか。この資料のことです。
  109. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答えいたします。  職業訓練に関する制度を設けるという基本的な合意は五十四年五月三十日の協定の中に織り込まれておったわけですが、過去におきましては、やはり労使間の話が必ずしも順調でなく、十分な対応が進んでいないという実態でございました。  しかし、ことしの春闘における解決時におきまして、職業訓練の制度をもう少し詳細に定めようということが労使間で合意をされ、一応の資金的な裏づけも持ってやるということが合意されましたので、現在労使間で、具体的な職業訓練のやり方なり方法なり取り上げ方についての議論が行われ、今後成案を見ていくというふうに考えております。その段階で、例えば六大港から実施するとか、コンテナの影響が非常に大きい労働者を一番最初に重点的に取り上げるとか、いろいろな考え方はあり得るのかと思いますが、私どもは、この労使間のお話し合いの状況を見まして、必要なアドバイスのできることがありましたらやらせていただくというふうな考え方でおります。
  110. 安恒良一

    安恒良一君 いや、あのね、私が聞いていることはそんなことじゃないんだ。令旧適用するようにしなければいけないでしょうと聞いているんです。  というのは、現在経営者協会と全港湾労働協約適用は全国的にどうなっているかと調べたら、最賃は全国適用、それから転職資金は全国になっていますね。ところが、労働条件は五大港のみが主として適用になっている。そういうことなんですから、今回の場合も、あなたたちがお書きになっていることは、業者側はこのことについては、いわゆる基金資源の不足から六大港でやりたいと、こう言っている。こちら側、労働組合側は、いやいけません、それは全国に適用してもらいたい、今回の新しいこの港湾運送事業法が変わってくるところの新基盤の問題とか、革新輸送であるとか、そんなことから来る離職者の場合は全国適用してもらいたいと、こう言っているんだから、私が言っていることはやはり、見守ってということじゃなくて、あなたたちはやはり、離職者を出さない、それからどうしても離職者が出た場合は新しい職業へと、こういうことを言うんですから、それはやはり全国的に適用できるようにあなたたちが行政指導しなければいかぬわけです。  じっと見守ってということじゃない。必要に応じてアドバイスということじゃ、これまた言っていることとやっていることが違うんじゃないですか。その点はどうです。そのことを僕は聞いている。もう端的に言ってください、端的に。
  111. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 労使間の合意及びその実施細目といったものは特に六大港に限定するという形にはなっておりませんが、やはり訓練施設なりあるいは予算上の制約なり、あるいは当面はしけの乗組員の影響が出るのは六大港が主になると思いますので、そういう点から実施していきたいということであるならば、それはそれなりに今後逐次拡大していくという方向ではさらに努力は重ねるべきでありますが、具体的なやり方についてはやはり労使のお話し合いをベースに考えていくのが妥当であろうというふうに考えております。
  112. 安恒良一

    安恒良一君 これも、役人の皆さんとこんにゃく問答をしておったってしようがない。  大臣、やはりこのことの適用というのは、被害を受ける六大港はもう当然のことなんです。しかし、六大港以外でもやはりこういうものがあった場合は、適用させるという努力を行政はするというぐらいのことを言わないと、こんなのはあなた、こんにゃく問答と言うんだ、こんにゃく問答。当然のことでしょう、あんた。何も六大港だけ適用になって、あとの人は知らぬということにはならぬでしょうが。それはあんた、そういうふうに行政としては業者を指導しますとか、そんなぐらいの答えはしたらどうですか。何でこんなことで時間をとるのかね。委員長、こんなことで時間をとったら、時間をうんと延ばしてもらわなきゃ進まぬわね、これ。たった八十分でやれというんだから。何を言っているかね。
  113. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今回の問題は、何といいましょうか、圧倒的な部分がもう六大港ということでこうなっておると思うので、ほかで起こったらどうするんだというのは、ほかはこれに準じて扱うように指導するというのが当たり前のことなんで、さように思っております。
  114. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。それじゃそういうことでひとつ。  それから、その次に行きます。  港湾荷役事業の免許基準について資料をいただきました。これについて少し解明をしてもらいたいのでありますが、まず通達事項の中で具体的労働者数というのが出ています。現行基準と今度新しい免許基準案について、例えば大阪は七十五と七十五、それから神戸は同じですが、横浜が七十五から七十二に下がっています。それから名古屋が七十から六十五に下がっておりますが、港によって下がる理由は、何ゆえに下がるんでしょうか。このことについてひとつ考え方を聞かせてください。これ、ちょっとわかりかねます。
  115. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 現在法律では免許基準を省令で定めるということになっておりまして、省令では年間の取り扱いトン数を港ごとに定めております。それに基づきまして、通達で具体的な労働者数を定めるというような立て方、建前になっております。  現在、港における取り扱いトン数は、例えば京浜港をとりますと、船内の免許につきましては、年間四十五万トン扱える能力を持っていること、沿岸につきましては二十万トン取扱能力を持っていることという形で、省令で決めてございます。これを今度船内沿岸が一本になったら何トンという形で決めるかというのが省令の決めるべき一つの事項でございます。その決め方につきまして、私ども現在の京浜港における一貫荷役の割合といった数字を統計的にとりまして、六七・六%が一貫荷役で行われるといった数字を基準にいたしまして、船内の取り扱い量四十五万トンに六七・六%を掛けて端数を整理しました三十万トンというものを、港湾荷役事業の免許基準に省令で決めたいというふうに考えておりまして、港別に申しますと京浜港の場合、港湾荷役事業の免許基準トン数は三十、大阪二十五、神戸三十……
  116. 安恒良一

    安恒良一君 読み上げないでいい。もう載っているから、資料に。  時間稼ぎするな。
  117. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) そのようなトン数を定めますと、これに要する人間の数をやはり一人当たりの原単位から算定いたします。その場合に、京浜港の場合は四十五万トンが三十万トンに船内部分は減りますが、沿岸部分は二十万トンが三十万トンにふえるということで、合わせて人間の数が七十二名ということになりまして、現在の両方船内沿岸足し上げた七十五名と比較いたしまして三名の減という形になろうかと、このように現在検討を進めておるわけでございます。  それで三名減る、あるいは大阪の場合は減らない、名古屋の場合が五名減るといったような御指摘がございましたが、これはそれぞれの港の一貫荷役の進んでいるところは余り減らない、進んでいない部分については今後合理化されて若干減る要素があるといったような形での人数の若干の出入りはございますが、基本的には現行で定めております人数に若干の減、あるいは現行基準の横並びというような形で決められることになろうというふうに考えております。
  118. 安恒良一

    安恒良一君 注意しておきますけれども、資料に基づいて進めていますから、この資料をあなたが読み上げる必要はありません。それから、答えもできるだけ簡単に、例えば取り扱い数量と労働者関係なら関係ですと言ってもらえばわかるわけだからね。  それでなくて、今、何か一般は進んでいるとか進んでいないというようなことであるならば、これはまた後から資料を下さい、どこがどういうふうに進んでいるからだと。そうじゃなくて、単純に取り扱い数量と労働者の数だけの数額算出なら、それはそれで結構。そうじゃなくて、あなたが今言ったように、一般荷役が進んでいるところについてと進んでいないところということは、それはそういう抽象的な言葉ではわかりませんから後から下さい、これは私が今質問をずっと続けていますから。  それからその次に、法十六条の第二項第二号の統括管理の省令で定める率がここに出ています。五〇%以上とか、いろいろ書いてあるんですが、これ何ゆえ五〇%なのか。それから現行法との関係はどうするのか。それから何に対するこれは五〇%か、これではわかりません。何に対する五〇%か。残りの五〇%はどうなるんでしょうか。こういうことについてちょっと聞かせてみてください。
  119. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 何に対する五〇%かという御指摘につきましては、法律の案で書いてございますが、一種業者として引き受けた貨物量の五〇%以上という考え方でございます。したがいまして、なぜ五〇%にしたかということでございますが、やはり基盤制度——俗称でございますが、基盤となる制度であります以上、そこのターミナルで扱う自分の統括管理で直接扱っている貨物の量が、やはり基盤にふさわしい量でなければならないであろう。たまたま現在はしけを基盤としている方は、はしけで扱っている量は一〇〇のうち三%、特に少ない事業者になりますと一%以下になるような事業者もございます。そのようなものはもう基盤としての意味がないんではないかというようなことから今回の改正も立案したわけでございますが、やはり基盤である以上は五割以上のものを一括統括管理しているという状況を求めるのが妥当ではなかろうかということでございまして、残りは、その他のその港における在来船の扱いですとかその他いろんな仕事があると思いますので、そういうような仕事があればそれはそれでやっていただくということでございます。  それから、もう一つ質問がございました、五〇%といいますのは引き受けた貨物量の五〇%でございますが、現在、自分がやらなければならない直営比率というものは七割、三割は波動でありますので三割分は直営しなくてもいいという規定がございます。したがいまして、これは引き受けた貨物の五〇%以上ということ、それから在来どおりの七割という数字は今回いじるつもりはございません。  以上二点でございます。
  120. 安恒良一

    安恒良一君 それから、「省令で定める施設」にここに、読み上げません、時間がありませんから、三つ書いてあるんですが、ちょっとわからないのは、「なお、一般外貿貨物定期船埠頭(ライナー埠頭)及び近代的な上屋については現在検討中である。」、こう書いてあるんですね。これ、きょう法案を採決するのに、省令について現在検討中では困るんだ。だから、私がこの前あなたたちに求めたことは、省令で定める施設の中身についてきちっと私のところに資料を持っていらっしゃいということだった。それでお持ちになって、それを精査すると、なおまた検討中であるということですが、この中身を聞かせてください。
  121. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 十六条で予定いたします新しい基盤、これにつきましては、一定の統括管理行為を直接行っており、それが港湾事業者として荷主なり船社の十分信頼にこたえられるような状況であるものを、私ども予定しておるわけでございます。そういう意味では、コンテナ埠頭あるいは自動車専用船埠頭、大型機械一貫荷役埠頭というような場所における作業につきましては、一般港湾運送事業者がきちっとした人間を使い、機械を使い、コンピューター等を駆使いたしまして統括管理している状態は、典型的なものだと考えておる次第でございます。  そのほかに、従来の外貿埠頭公団で整備いたしましたライナーバース、現在埠頭公社というところが運営しておりますが、そこにおけるような埠頭も港湾運送事業者が仕事をしている場でございますが、先ほど言いましたような典型的な統括管理行為が行われているという認定はできるのかどうか。一部行われているような部分もありますが、在来荷役的なままの部分もあるというような状況でございまして、一律に指定できるのかどうか、その辺につきましてはもう少し実態についての調査をした上で法令的に妥当かどうかという点を考えたいということでございます。  また、近代的な上屋につきましても、海貨事業者がコンピューターを導入したりしてかなりの近代化をやっておりまして、そこで相当統括管理に近い行為が行われているんではないかというふうに見ておるわけでございますが、その辺が今回定めます統括管理行為として十分評価できるかどうかという点につきましては、なお省内でも関係の部局と検討しているという状況でございまして、その点をなお書きで注させていただきました。
  122. 安恒良一

    安恒良一君 これも困りますね。きょう、あんた、この法案が採決することによって決まっていこうというときに、ではないか、とか、なお省内で検討中ということじゃ困るんです。こうしたいということを——私は省令の全文の文書が欲しいけれども、文書までくれなけりゃ考え方をきちっとしてもらいたいということで、この前宿題を預けているんですからね。  例えば、ライナー埠頭の場合はどうするんだとか、近代的上屋の場合には統括管理行為とするのかしないのかとか、そこのところはきちっとしてもらわぬと、あなた、きょうこの法案をここで上げようというときに、まだ省内でもいろんな意見があっていろいろあれやこれや検討していますと。そんなままどうして法案審議ができるんですか。そんなばかなことないじゃないですか。何で、今ごろまだ省内で意見がまとまらぬものを、そんなことを承知の上でこの案にまたこれから賛成か反対かを言わなきゃならぬのか。言われぬわね、それは。言われないでしょう、賛成も反対も言われないよ。ライナー埠頭が入るか入らぬかもまだわからぬ。近代的上屋についても、どうするかと言うと、いろいろ省内にも意見があってまだだと。あなたたち自身が勉強しておきながら、法案だけ何で出すんですか。調査なら調査が完了して、こういうふうにしたいからひとつ法を改正したいと持ってくるのが当たり前じゃないですか。そこのところはどうなんですか。
  123. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) この「省令で定める施設」の重要なところはこの三つ書いてありますコンテナ埠頭以下のことでございますが、確かにライナー埠頭、近代的な上屋については、具体的な扱いをどうしたらいいかなお検討しているのは事実でございます。  それで、現実の問題といたしましては、この法律を御承認いただきましたら施行が六カ月後になるわけでございますが、できるだけ早くその検討を進めまして確たる案をつくっていきたいというふうに考えております。
  124. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃこの法案は、大臣どうですか、次の国会へ出してくださいよ。まだあんたそんなところを検討中で、法案だけ通してくれたら後はおれたちがよく勉強してと、勝手に省令でやられたらかなわぬわね、政令で。そんなに勉強不足なら何も慌てることはないわね。この次の国会にお出しになったらどうですか、全部終わってから。何でそんなときに、急いで急いで、この国会でやってくれやってくれと言っておきながら、肝心なところを聞くと、いやそれはまあ法案さえ通れば後はよく研究しまして省令で書きますからいいじゃないですかって、私たちは国会議員ですからそんな無責任なことで通すわけにはいかないんです。いや、あれはおまえ、よくおれはわからぬのや、通ってしもうた後で運輸省が省令で書きよるからな、なんて、そんなことをわしたちがだれに答えるんですか。そんなあなた、無責任な国会議員じゃありません。  だから、まだおたくが勉強中で研究が不足なら、やっぱりその法案は、よく勉強して研究してきちっとした上でお出しになるのが当たり前じゃないですか。
  125. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 私ども、検討を進めた段階では、ライナー埠頭あるいは近代的な上屋というのも入れるべきではないかという形での案をつくって今までやってきたわけですが、やはり法制的に、その辺が十分統括管理行為が行われているというのが認定しにくいんじゃないかという法制的な意見が出まして、私ども、それについては第一段階では指定を控えようか、むしろやはり現在問題となっておりますのはコンテナ埠頭、自動車専用船埠頭、大型荷役機械の一貫荷役埠頭でございますので、それを第一段階で決める、ライナー埠頭等につきましては、今後それらが近代的な姿をさらにつけた段階で考えるという方向に、立案段階からは若干思想が変わってきているという状況でございますので、なお方向としてはこういうものを入れたいということで検討はしたわけですが、やはり若干無理かという指摘もございますので、第一段の指定といたしましては一、二、三の指定ということで現在のところ考えてまいりたいというふうに考えております。
  126. 安恒良一

    安恒良一君 最初からそこに行くまでに何分かかったと思うんだ。何分かかったと思うんだ、人の質問に対して。そんなあんた失礼なことないじゃないの。あなたたちはこういう検討をしたと、しかし法制的に無理だから今回はあきらめるならあきらめると、こう言やそれで済むことじゃないですか。  私はできません。そんなやりとりならやめます。まだこれからもいろいろ聞きますから、委員長、注意してください。あんな、何分も何分もかけて最後になって言うなんて失礼じゃないですか。あなたたちが正直に検討して法的に無理だったら、今回は無理だから見送るなら見送ると言やそれで済むことじゃないですか。私は質問をやめますよ、そんなやりとりでだんだんだんだん時間だけたっていったら、たくさん質問を用意しておるんですからね。
  127. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 当局は誠意を持って明確に答えてください。  じゃ、審議を続けてください。
  128. 安恒良一

    安恒良一君 次に、法第十六条二項の第二号の省令で定める方法という項について、これまた資料を出していただきました。  ここに書いてあることについて少し究明したいのでありますが、一般港湾運送事業者がその引き受けた港湾運送に関して一、二と、こういうふうにここに出ています。「積付計画又は荷役計画の企画立案」云々と、これも読み上げませんが、こういうふうに書いてあるんですが、この実態ですね、例えば自動車とか鉄鋼埠頭、サイロでは、いわゆる統括計画ないし荷役計画は荷主が行っていると思うんですね。ですからそう簡単に、——一種業者が統括管理するとしても荷主よりアンダーである、そうなると思いますが、ここに書いてあるとおりに、今言ったような自動車、鉄鋼埠頭、サイロの場合に統括管理行為を一種葉者が実質的にやれることになるんでしょうか、どうでしょうか。
  129. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答えいたします。  自動車、鉄鋼等いわゆる荷主が基地を設けるような輸送形態というのはございます。自動車の場合、例えば日産ですと、日産の大きい輸出基地が横浜にございますが、いわゆる基地全体を構えて輸出の総体を管理していくということは自動車会社の当然管理、計画しておるところでございますが、自動車専用船が入ってきて、そこに集まった自動車をどのような形で積み込むかというような行為につきましては、いわゆる港湾運送の実施につきましては、そこで一種の免許を持っておる事業者に征しているというのが実態だと思います。  鉄鋼につきましても、いわゆる運送行為の実施については、その計画の作成から実施まで一種港湾事業者が任されておるというのが実態だと思います。実作業につきましてはさらに下請を使う場合あるいは直接やる場合というものがあるかと思いますが、施設の管理あるいは施設計画といったものは生産者あるいはメーカーといったような形になりますが、港湾運送の実施については、一般港湾運送事業者が任されて計画をつくり、実施の監督、指示等に当たっているという実態で、統括管理行為に当たるんではないかというふうに考えております。
  130. 安恒良一

    安恒良一君 私が聞いていることは、一種業著が統括をするとしても、荷主のアンダーであるというふうになるんじゃないですかというんです、実態は。そのことを言っているわけです。そのことは、そうでありませんか。それは一切荷主とは関係ない、一種業者がここに書いてあるところの統括管理ということで全部やれる。いわゆる自動車とか鉄鋼埠頭、サイロ、そういうことですよ、私が言っているのは。
  131. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 船舶に対する積みおろしといったようなことに関連します港湾運送行為に関しては、一種の事業者が委託を受けて任されているというふうに考えております。
  132. 安恒良一

    安恒良一君 「積付計画又は荷役計画の企画立案」でしょう。それから、ここに書いてある「下請事業者に対する実作業の指示及び監督並びに荷役終了後の積付状況の点検」等々を行うことというここに書いてあることは、全部荷主とは関係ななく、あなたたちがおっしゃっているように、いわゆる一種業者が統括行為としてやれるということですか。私が聞いているのはここのこと、この文章全体がやれるかということを聞いているんですよ。
  133. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 例えば、車を船に何台積むかといったようなことについては、当然荷主の指示を受けたり荷主と相談してやることですが、具体的な積み込みに関連する港湾運送行為は、一般港湾運送事業者がみずからの責任においてやるということになっております。
  134. 安恒良一

    安恒良一君 要らぬことを言わないでいいんですよ。私は、ここに書いてあることが全部やれるのかやれぬのかと聞いているんだよ、君。何回も同じことを言うな。具体的な積み込みはこれがやるやると、何回同じことを言うんだよ。だから私、わざわざ文章を読み上げて聞いているんじゃないか。委員長の注意を君は何と思っとる、さっきから、審議官。不適当じゃ、君は、答弁者としては。何を言っとるか。不適当だ、君は。局長答えろ。審議官だめじゃ。
  135. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ここに書いてあります積みつけ計画、荷役計画の企画立案、そのほか下請事業者に対する実作業の指示、監督、その後の点検、これは統括管理の内容としてできるということでございます。
  136. 安恒良一

    安恒良一君 結局私が一番心配している、ことは、統括管理行為というのはこういうことであるが、実際は荷主の意向を受けてやることになりはしないか。実態があるなら、それならそれで、そういうことになるならなるでいいんだよ。いや、そういうふうにさせませんならさせませんでいいんだよ。そのことによって僕は質問を展開していくんだよ。それを、わけのわからぬことを言うから私が怒るわけよ。何回も言うように、例えばここに書いてあるような一、二の行為は、自動車埠頭、鉄鋼埠頭、サイロ埠頭の場合については、本当に業者が自分の判断ですべてがやれるんですかと。いや、そうじゃありません、荷主の意向をやはり受けざるを得なくなる、この行為は荷主の意向を受けてやることになりますということを正直に言えばいいんだよ。その点を聞いているんだよ。  もう一遍、局長、聞きますが、ここに書いてあることは、そういう場合において、荷主の意向とは関係なく一種業者が全部自分でやれますか。そのことを、やれるかやれないか答えてください。
  137. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 荷主からは、積み込みその他作業全般についての委託はあるわけでございます。そういう意味で、関係がないということはもちろんございません。荷主の意向を体してその目的に沿うようにやらなければいけないのは当然でございますけれども、実際の積みつけ荷役、ここに書いてありますことは、これは一種業者の責任においてこういうことをやる、こういうことになるかと思います。
  138. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今もあなたがくしくも言ったように、いろいろ実際の作業をやるのは当たり前なんだよ。荷主が作業なんかやるはずはないんだから。そうでしょう。荷主が作業をやるんだったら雇う必要なないんだよ。だけれども、計画とかいろんなことをやる場合については、どうしてもやっぱり荷主の意向というのが大きく左右するでしょうと言っているんです。  そこで、そういう場合に、労使で協定されている作業基準、それから人員、職域の主体性、こういうことが保障できるんですかと、そのことを私は重点に聞こうと思って言っているんだよ。前段でああでもない、こうでもないと言って時間をとってもらいたくない。そこのところ、どうですか。
  139. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生おっしゃいました作業基準の問題でございますとか、そういった現場に非常に関係の深いことは、もちろん、委託を受けました一種の港湾運送事業者、これが責任を持ってやる、こういうことでございます。
  140. 安恒良一

    安恒良一君 私は、その場合に、荷主の意向によってそういうことが左右されないように、労使できちっと決めた基準が守られるようにひとつぜひやってもらいたいということを、この際そこは明確に言っておきます。  それから、その次の資料にいきます。  現行の一般料金の算定基礎について資料の提出を求めました。ここに出てきております。その点について少し問いただしたいことがあるのであります。  まず、ここに基準内賃金以下ずっと要件が出ておりますが、この場合、休日、休暇、一日の労働時間、これオーバータイムを含んで、この計算はどう見込んでいるのかということであります。それから、いわゆる交代制を見込んでいるのかどうか、この点について答えてください。
  141. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答えいたします。  現行の港湾運送の認可料金といいますものは、港湾運送事業者の、何といいますか、総括原価主義といいますように実績主義でやっております。要するに港湾運送事業者の、一種業者の実態を私どもが調査をいたしまして、その原価を見て算定しております、いわゆる総括原価主義という方式でやっております。これに対しまして標準原価主義というやり方もございますが、港湾運送事業の場合は総括原価主義ということで港運業の実態を調査してやっております。そういうことからいきますと、港湾運送事業者の休日とかあるいは労働時間とか、あるいはボーナスでございますとか、そういうような各港湾運送事業者の賃金の実態がそのまま原価に反映されているという仕組みになってございます。  それで、現行の港湾運送事業の実態を申しますと、労働時間でございますと拘束八時間、実働七時間とか、あるいは年間の労働日数が、東京でございますと休暇が八十六日、労働日数が二百七十九日というような、労使協定でいろいろ休日その他が設けられております。そういうものを反映している原価計算になってございます。
  142. 安恒良一

    安恒良一君 まだ私の質問にあんたは答えてないんです。交代制を見込んでいるのかどうかということについて、どうですか。
  143. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) コンテナその他の夜間荷役その他が行われておりますところもございます。そういうところでは交代制が当然とられております。交代制がとられておりますと、そのとっております会社の経理的実績にそれが織り込まれております。
  144. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、そういう抽象的じゃ困りますから、五大港の、実際交代制がとられているか、とられてないか、五大港について言ってみてください。
  145. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 具体的にどの港でどうという数字は、今ちょっと申しわけありませんが持ち合わせておりませんが、コンテナの東京等では夜間荷役も行われておる港もございますので、そういうところは通し荷役といいますか、深夜まで荷役が行われておりますので、その場合には交代制がとられております。そういう状況でございます。
  146. 安恒良一

    安恒良一君 そんなことじゃ困るじゃないの。五大港だけよ。全国を答えると言っているんじゃないからね。交代制がとられておる港はこれだ、通し作業をやっておるところはどれだ。これは、あなたたちが知っておかなきゃ答弁にならぬじゃないの。いわゆるあなた、実情主義でこれははじき出しているというのだから、それがわからぬでどうするんですか。この資料は君たちが僕の要求に基づいてつくってきたんだろう。つくってきたとき、あなた中身がわからぬでつくってきているのかね、この資料。
  147. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 大変申しわけありませんが、今手元に正確なデータがございませんので、すぐ取り寄せるようにいたします。
  148. 安恒良一

    安恒良一君 これも不誠意きわまるね。私が前回言って、そしてこの資料をいただいているんですからね。私が資料を見れば、当然その資料の積算根拠について聞くのは当たり前でしょう。こういうあなた、五つの港で通し作業をどことどこの港が行っている、交代をどこが行っている、そういう実態の上で実態的な料金でありますと言うならわかるわけです。あなたたちの話を聞いていると、全然わからないじゃないか。審議できないね、それじゃ。何でもう少し、人が注文をしたことについて正確にあなたたちは算出をきちっとしてあれしないの。何か知らぬけれども、目黒さんも怒ったように、審議時間が決まって、その時間さえ終われば採決ができるから、いいかげんな答弁をしておくということじゃ、やめた。それじゃやめた。そんなやり方は私は大嫌いだ。  ちょっとうちの理事、理事会を開いてください。理事会を開いてやってください。こんなばかな、五大港の通し作業がどうなっているか、そんなこともわからぬようなことじゃ困ります。もう質問しません。自分たちがつくった資料の説明もできぬでどうするんだ。
  149. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記をとめて。    〔午後一時五十一分速記中止〕    〔午後二時四分速記開始〕
  150. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記を起こして。
  151. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答えいたします。  各地の港によりまして若干の差異はあるようでございますが、東京の場合ですと俗に言うワンシフトということで、ギャングが交代せずにそのまま通しでやるというような状況でございます。横浜はツーシフトが、要するに交代制でございます。それから名古屋、大阪、神戸、関門はいずれもワンシフトでございます。一人で通してやる場合でございますが、協定がございまして、一月間四十五時間の枠内での残業ということになっているのが実情でございます。
  152. 安恒良一

    安恒良一君 これだけ休憩しなけりゃわからぬようしゃ困るわけですよ。六つの港のことですね。横浜だけが交代でやってあとは全部通し作業でやっているんでしょう、現状は。しかもこれは私がつくった資料じゃなくて、あなたたちがおつくりになった資料をそのまま私は中身を聞いているわけですからね。  そうすると、そういういわゆるその実態に基づいて運賃は決められていもわけですか、現行料金は。今言ったように通し作業は通し作業、交代勤務のところは交代勤務、そういうものを見込んでこれは、ですから、この一般料金は算定されているんですか。そのことを聞かせてください。
  153. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 当然、原価の中に織り込まれております。
  154. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、大臣ちょっとこの表を見ていただきたいんですが、港湾現場作業はほとんど結局横断的賃金にこれはなっているわけですね、横断的賃金に。年齢構成は四十四歳ないし四十五歳ですね、大体平均年齢が。そうすると、ここに賃金の実態が出ています。これは一カ月ですから、一カ月賃金が出ているし、時間外、賞与等はこれは引き直せばわかるわけです。大体賞与は半期で船内で四十九万、沿岸で五十一万、これ引き直すと。しかし、実際ことしの夏もらったのは四十二万から四十三万だと、こう聞いております。それから賃金が五十八年の実態では二十三万一千円、これは二十四万七千円ですから大した違いはないようでありますが、こういうものから見て、社会的水準に比べて、平均年齢四十四から四十五の場合に、こういう状態大臣はどうお考えですか。どう見られますか。
  155. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私至って、この賃金、他のいろんな職種の賃金についてよく存じておりませんので、余り知ったふりをしていろいろ申し上げることはいかがかと思うんでございますが、そう著しく低くもなければ著しく高くもないというふうに考えております。
  156. 安恒良一

    安恒良一君 そんなわかったようなわからぬような答弁をしちゃいけませんよ。やっぱり大臣ね、素直に言って四十四歳から四十五歳の賃金としてはこれは低いんですよ。これは、わからなければ労働省にお聞きになればすぐわかることです、労働省は統計がありますから。率直に言って、港湾労働者の賃金というのが、大臣がおっしゃったように、高くもなければ低くもないなんということにはならないんです、これ。やはり、私はこのことは、大臣がおわかりにならなければ、そういう状況にあるということだけはまず申し上げておきましょう。  それから次に、設問八の中で労働時間について出ておりますが、一応ここに書いているのは、協定はこういう協定になっていますが、実態はこれがこのまま守られているでしょうかどうでしょうか。ここにお出しになったのは中央協定でありますから、例えば実態は祝日は休んでおりますかどうか、そういうところを、これは協定文書をそのまま私の方にくれているように思いますから、協定ができたと書いてあるだけですから、実態はどうでしょうか。
  157. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 設問八の資料について御説明いたします。  おもてには協定の状況が書いてございますが、その次のページに「実労働時間の実態」ということで、日港協が行いました五十七年の調査の結果が書いてございます。  これで、例えば東京港をごらんいただきますと、一船内部分は所定内の労働時間が千七百九十七、時間外労働が四百一、休日労働が十二時間、合わせて二千二百十時間。以下各港について誓いでございますが、平均の欄でごらんいただきますと、船内二千二十三時間、沿岸二千二十四時間、休日にも出て働いておられる状況は休日労側の時間であらわれておりますが、これが日本港運協会で調べた実態になっております。
  158. 安恒良一

    安恒良一君 これは所定内時間とか所定外とか、あれですね。私が今聞いているのは、いわゆる「休日は日曜と祝日とする」、祝日は十一日間、こうなっていますが、実態は、祝日はこの十一日間は休んでいるのでしょうかということをお聞きしているんですが、私の質問に的確に、お答えください。聞かないことを言わないで結構です。
  159. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 二ページ目の、休日労働の実態が書いてございますが、平均船内の場合は二十四時間、沿岸の場合は二十一時間というのがございますので、休日でもこの程度の時間は平均して出ておられるというのが実態だと思います。
  160. 安恒良一

    安恒良一君 実態は、祝日は休んでないんじゃないですか。休んでなけりゃないで答えたらどうですかね。あんた、何で持って回ったことを言うのかね。私が聞いていることは、協定はこうなっているという、承知したと。祝日が十一日あるとあるが、本当に祝日は休んでいるんですかと、実態は。休んでなけりゃ休んでないとか、何日出ているなら出ているとか、何日休んでいるなら何日休んでいると、こう言ったらどうですか。この休日労働というのは日曜と祝日全部これ入れているんでしょう、この休日労働というのは。だから、これじゃわからぬから聞いているんです。
  161. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 普通の姿といたしまして、コンテナ荷役なんかの場合には休日は休んでいるというのが実態のようでございますが、在来荷役の場合はやはり出て働いている場合もある、こういう実態のようでございます。
  162. 安恒良一

    安恒良一君 これも、これだけで時間をとったらいけませんからね。あなたたちは、こういう資料を私が要求したら、例えば日曜休みが五十二日ある、祝日が十一日ある、一月一日を除くということになれば、今度私が、じゃこのうち何日休んでいるかというのを聞くのは当たり前なんですよ、あなた。これが全部休まれておれば聞かないんだから。そこらが、あなたたちは自分のつくった資料についての精査をしてないからこういうことになるんだよ。そして今度は港湾業者に言って、日港協に言って実態を持ってこさせて、これとこれを出して、それで僕を満足させようというんですが、私はこういう方面は専門ですからね。社会労働委員会は私の専門なんですから、だから、こんなことを聞かれることわかるでしょう、あんた。どうして、そういうときになるとあれするんですか。そういういいからかげんな資料を出してはいけませんよと、さっきから私が何回も言っているわけだ。こういうものをあなたたちがお出しになれば、この中身について今度は聞くのは当たり前でしょう。  例えば、それじゃ日曜に行きましょう。五十二日ということになる。じゃ日曜を完全に休んでいる港はどことどこですか、六大港で。
  163. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 現在のところ日曜日を完全に休んでない港といたしましては、大阪、それから名古屋でございます。大阪につきましては、今春闘で日曜日を完休するように労使間で話をする、地区で話をするというような状態になってございます。
  164. 安恒良一

    安恒良一君 日曜日を完全に休んでいるのは、東京、横浜、神戸だけではありませんか。あとは、日曜日は完全にまだ休んでないんじゃありませんか。
  165. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) そのとおりでございます。
  166. 安恒良一

    安恒良一君 そのとおりでございますってね、だから、もう時間がないから私は自分の方から言うんだけれども、もうちょっと、人が要求した資料については何を聞かれてもきちっと答えるようにしてもらいたいものだと思いますね。あなたたち、誠意がないですよ。委員の要求した資料について、それに答えるためにこれだけのものを持ってきて、さらに突っ込まれると一回一回立ち往生しなきゃならぬとか、時間がもったいないから僕の方から言わなきゃならぬとか。これじゃ私は審査について余りにもあなたたちは、何回も私が注意をするように、委員質問というのは持ち時間がある、その時間が過ぎればそれで終わる、その間だけ頭を下げておきゃそれで法案が通ると思ったら大間違いだよということを言っているんだよ。私は、運輸委員会でこういう質問をしたのは初めてですけれども、ほかの委員会でこんな経験はありませんね。社労委員会とかいろんな委員会でやっていますけれども、自分たちが出した資料について、後から突っ込まれてそして答弁ができないような、そんな審査というのは、私は残念ながらこの運輸委員会の審査が、国会議員になって七年ですが、初めてですね。しかも私の出した資料じゃない、あなたたちが出した資料。ですから、今後のことがありますから、このことは厳に注意しておきます。それで次に行きます。  次は、十六条関係について少し質問をしてみたいと思います。  まず、第二条では港湾運送の定義が明らかにされています。十六条は御承知のように下請制限条項になっているわけですが、それから考えますと、本来十六条の精神は、事業法が単に事業の規制のみならず、免許基準を通じて労働力政策と一体の規制を行っているものである。それはなぜかというと、私がこの前も言いましたように、港湾作業というのは極めて労働集約型産業であるからであります。そこが他の運送業と基本的にかなり違っているところだと私は思います。  そういう前提を明らかにした上で、今回のいわゆる法改正では、実作業の丸投げを行って、その上統括管理行為をもって一種事業者の基盤に置いておりますが、そうなりますと、第二条の定義にこれは明確に据えるべき性質のものであるというふうに私は考えるのですが、それを十六条の下請作業として規制することは極めて作為的ではないかと私はこの十六条関係を読み取るわけですが、また、このような内容は事業法基本的内容を変化させるものではありませんか。このことについて答えてください。
  167. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 十六条二項の改正の問題でございますが、これは先生御承知のように、はしけ基盤といったような実際、法規制の問題が実態と非常に変わってきておるということから、統括管理というこれは実態に合わせた基盤制度を新しくつくりまして、新しい事態に対処しようとしたわけでございます。そういうことによって、無理にはしけを持って不合理な経営を強いられるということもなく、適切な企業の姿にしようということでございますが、その第二条との関係で申しましたら、これはやはり第二条は具体的に港湾運送行為の要素というものを類型的に書いておるわけでございます。これ自体が変わるわけではないということから第二条はいじっておりませんが、事業法精神というものが今度の改正によって特に変わるとか、そういったものではない、むしろ実態に合わせて合理的な姿にしたというところがポイントかというふうに考えております。
  168. 安恒良一

    安恒良一君 私も手元に港湾運送事業法の各条項を持っていますが、現行法では、第二条では定義、第三条は事業の種類、第四条では免許を定めています。そして第十六条は、この二条、三条、四条を受けたものとしての作業行為を規定しております。ですから、第二条の港湾運送の定義は、荷主または船社の委託を受けて港湾運送を行うことを定めておりますが、施設については定義をしておりません。ですから、この事業法基本部分で触れていない施設を、十六条に今度持ってきているわけですね、あなたたちは。そのことは立法上のあり方からして不適切ではないかということを私は聞いたつもりなんです、少し詳しく言うと、前段に私が聞いたことは。  そのことはどういうことですか。
  169. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答えさせていただきます。  十六条につきましては、これはいわゆる作業の仕方、港湾運送事業者の作業の仕方に関する規定であるというふうに私ども理解しております。これは一般の運輸事業のその他の事業法ではございませんが、港湾運送が過去から見まして、やはり波動性その他から、下請的な行為が行われやすい事業種であるということで、できるだけそういう下請下請というようなことの弊害が荷主あるいは船社に対して起こらないようにということで、四十一年までは、全部下請してはならないという単独、それだけの規定だったわけですが、それだけではやはり実態的にはほとんど下請に任せるようなことで、荷主、船主に対する責任が果たせないということで、一種事業者が引き受けた作業の一部は自分でやりなさいということを義務づけた規定でございます。  その結果、それでははしけだけを自分でやろうという形で取り入れた方が多かったわけですが、その実態が現在のように衰微してきたということで、一種事業者がどのような作業を自分で直接すれば荷主あるいは船社に対してきちっとした責任が持てるか、その実態を私ども調べまして、現在のこの統括管理行為といったものが、そこで人を抱え、自分でそこの作業をやれば、その行為が対荷主、対船主に対してきちっとした責任が果たせる根幹であろうということで、その部分を直営することを一つの選択肢として認めようということによる改正でございます。  したがいまして、これにつきましては十六条の作業の仕方の問題ということで理解すれば、特に二条の一種事業者の定義を変える必要はないというふうに考えた次第でございます。
  170. 安恒良一

    安恒良一君 これは水かけ論争になりますけれども、私は、やっぱり無理があると思うんです。大体、十六条の主要は下請の制限条項でしょう、これは。下請の制限条項が主として書かれているのであって、ですから、二条をそのままにしてここのところだけをいじればそれで今回の改正ができるというのは、私はかなり法的には無理があると思います。しかしこれは、あなたたちはないと言うし、私は無理があると、こう言っておったんでは時間がまたたちますし、あなたたちがスロースローで答えて、それでも二時三十四分までだというんだからね。あんなにスローにやられちゃってね、八十分だから。だから、もう少し的確にあれをしてもらわないとだめです。  そこで、次に聞きますが、五十九年六月の二十九日に運輸省港湾局は、国際化、情報化に対応した新たな港湾づくりの基本的方向をまとめて発表しました。これは七月二日の月曜日の新聞にでかでかと載ったんです。  その中で、ディストリビューションとして挙げている高度集配基地は、港運事業法適用範囲がどうか。それとも倉庫業法で規定するのか。また、港湾運送事業法の範囲とした場合、今回の法改正に言う一種事業者の施設関連するのかどうか。それから、そこで働く労働者は、港湾労働者であるのかどうか。同じく、ディストリビューションにある国際物流中継基地、それから国際物資流通加工某地についてはどうなんでしょうか。  あなたたちの発表と、今回の法の関係について少しお聞かせください。
  171. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) ただいま先生の御質問のありました国際化時代、情報化時代に対処した港湾のあり方に関する勉強という点につきましては、私ども、昨年の秋以降、最近の世界のいろいろな変革あるいは我が国の変化というものに対応しての港湾のあり方の勉強を始めておるわけでございますが、その一環としての勉強でございます。この勉強につきましてはかなりの時間がかかるというふうに考えておりますが、昨年からことしにかけましての段階では、勉強の課題というものをかなり列挙するというところに力点を置いてつくったつもりでございます。  その中で、今後の国際的な物流の課題、及びその物流の近代化にかかわる課題港湾との関係という点につきましての勉強もいたしておりますけれども、先生の今おっしゃいましたところまでは昨年の段階では立ち入っていなかったのではないかと実は承知しておる次第でございます。
  172. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、七月二日にかなり各新聞がいろいろ取り上げたんですが、今私が聞いたところについては、まだこれから勉強すると、こういうことですか。今私が聞いたように、これは港湾運送事業法適用の範囲内かどうかというようなことについては、全然これから勉強するわけですか。
  173. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 複合一貫輸送等にかかわる事柄と業法との関係につきましては、港湾局といたしましての勉強課題の外に実はございます。  私どもの勉強の課題といたしましては、やはり、国際化時代に伴って港湾に何が求められるか、情報化時代に基づいて何が求められるかと、それを、物理的な受けとめ方、あるいは地域振興との関係における受けとめ方というところに力点を置いてその方策を考えていこうと考えております。
  174. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃこっちの方に聞かなきゃいかぬ。  今私が言ったように、こういうことが発表されているが、高度集配基地は、港湾運送事業法適用範疇か、それとも倉庫業法で規定をするのか、このことはどうするんですか。こっちはおれの方の分野じゃないと、こう言うんだから。
  175. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 港湾の地域に設けられます物流センター、これは具体的な荷さばき施設的なもので上屋という規制になるのか、あるいはその機能によって倉庫業の対象になるのかといったことは、その実態によって違ってくると思いますが、いずれにいたしましても、港湾地域におけるそのような施設が設けられます場合には、港湾運送事業者の働く場になると思いますし、今後、そういうものが実現に向かう過程の中で私どもも、そういうものが港湾運送事業法の対象となり、港湾運送の繁栄の基盤になるようなものとしていくように、よく港湾局と相談してまいりたいというふうに考えております。
  176. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、やはり、そこで働くのは当然港湾労働者だと、こういうことになりますね、いいですか。
  177. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 倉庫業者の場合もあろうかと思いますが、主として配送その他の役目を持つ配送センターということになりますと、荷さばき施設というようなことで港湾運送事業法の、いわゆる現在の沿岸事業に対応するような事業の基盤になると思いますので、港湾労働者の職域の中の問題だというふうには思います。
  178. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ちょっとお聞きください。  参考人意見その他から聞いても、だんだん港湾労働者の働く場所がなくなっている、仕事がなくなっているということが、いろいろこの委員会の質問の中でもあったわけです。しかし、やっぱり流通革命として、高度集配基地等々がいろいろ、もしくは国際化、一貫輸送化等、例えばいわゆる船、鉄道もしくは自動車、場合によれば飛行機等々、こういうものが、一段輸送というのがこれから流通革命として起こってくるわけです。その場合に、まだ運輸省の中においても研究が十分でないようでありますが、私はぜひとも、こういう高度集配基地等々は、今も新しい流通局が答えたように、やはり港湾運送事業法適用範囲にする、そして、そこで働くのも港湾労働者であるというふうに、そうでなくとも、いわゆる流通革命の中で、革新輸送の中でだんだんだんだん職場がなくなっているのですから、これはまだ十分両局の詰めが私が承る限りにおいてはできてないようでありますから、ぜひとも大臣その角度で御指導のほどをお願いしたいと思います。
  179. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) その考え方で結構だと思います。全体として海陸空を通じまして、それからそれの接続点ですね、物流そのものをどう見直すかというのが、今度の機構改正一つである貨物流通局をつくったゆえんのものでございますから、そういう点がうまくいくように相互の立場を考えながら新しい事態に対応していくというのが新しい局の使命だろう、運輸省の使命である、かように考えております。
  180. 安恒良一

    安恒良一君 もう私の持ち時間がなくなってまいりましたから、二つだけこの際大臣に御答弁を願いたいと思うんです。  今回の法律改正の結果、残念ながら雇用合理化が起こってくることは今までの審議を通じて避けられないと思うんですね。私も、合理化がない、もしくは離職がないことを強く望むものでありますが、いろいろ議論をしてみますと、やはり合理化問題が出てくるし、場合によれば離職という問題が起こりはしないかという懸念がどうしてもぬぐい切れません。  そこで、その場合に、行政当局が雇用対策に何ら介入しない、これは当事者だけでやるものだ。——これは労働省もよく聞いておってもらわなきゃいかぬですよ、労働省。これは労使の問題だということでは私は本末転倒だと思うんです、午前中の目黒さんの質問を考えても。そこで私は、法改正に伴う雇用問題等が生じた場合には、政府労働者、使用者、この三者協議で事態の解決が行われるようにすべきだと思います。その点について、私は、いわゆる法改正に伴う雇用問題等については、やはり行政当局も一枚かんで、そして雇用対策をやるという、このことについてぜひひとつ大臣前向きに取り組んでもらいたい、これが第一点であります。  第二点目は、いわゆる港湾労働者としては、高齢化の中で、港湾の中で全部吸収できればいいんですが、これまたなかなか全部吸収できない。そうかといって、他産業へ転換を図ることはなお難しいんです。例えば、はしけの労働者が急速にコンピューターを使うといったって、なかなかそうはいかないんですよ、これ、率直なことを言って。職業訓練をすればいいといっても、平均年齢がもう四十歳から四十五歳、こういう平均年齢ですからね。でありますから、何としても港の中での雇用と就労がやっぱり保障されなきゃならぬと思うんです。他産業へ転換ということは簡単にできません。それがためには、一つは、目黒さんがさっきから言われているところのILO条約の批准を急いでもらうと同時に、現在はまだ批准されてないんですから、このILO条約に盛られている精神に応じて、考え方に応じて雇用対策がとられるべきだと私は強く主張したいものでありますが、この二点についてひとつ大臣の御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  181. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 第一点について申し上げますが、ちょっとお気にさわるかもしれませんけれども、法律改正によって離職者が出てくるという、私は法律改正そのものによって出てくるのではなくて、その法律改正の原因になった事態が変わることによって離職者が出るというふうに、そういう意味でおっしゃっておるものと解してお答えをいたしたいと思います。  この雇用対策について、政労使三者一体になってやるべきではないかというような御意見のように承りますが、私どもはやはり、労使がやると。しかし労使に任せておくわけにいかない。強力な行政指導をこれは用いなきゃいかぬ。日本のお役所は行政指導という、ほかの国にないような強力な手段を用いて、功罪いろいろ言われておりまするけれども、こういう問題についてこそこれは強力な行政指導を行うべきである、さように考えておる次第でございまして、これを、どうぞおまえさんたちで勝手にやれというような態度は絶対に許せない、かように思っておる次第でございます。  それから第二点でございますが、ILO条約批准に向かって、私はかつて衆議院でも答弁をいたしましたが、努力を運輸大臣としてはいたしたい。そういう条件整備について努力をしてまいりたい。労働省とも、十分労働大臣とも協議したいというふうに申し上げましたが、この点については変わりはございません。しかし、批准前といえども、これについては我が国は賛成をいたしておるわけでございまするので、この精神をできるだけ生かしていく、そして今、国内法の点その他いろいろな点で批准をするのに支障になっておるような点については、これをできるだけ一つ一つ除去していくという方向で考えてまいらなければならぬ、かように考えております。
  182. 安恒良一

    安恒良一君 強力な行政指導をされることは結構なんですが、私は、法改正に伴うということですから、それからよって来るいろんなことですね、だから何も法律だけを言っているわけじゃない。その点はいいです。しかし、強力な行政指導ということの前にやっぱり、政労使の三者がいろんな協議をする。そしてその中で、これは労使でやりなさいということで行政指導を強力にされる場合もあるでしょうし、この部面はやはり国も助けなきゃならぬだろうという点も僕は出てくると思うんですよ。ですから、そういう意味で、ぜひとも政労使三者の協議が行われるように前向きに取り組んでもらいたい、こういうことを僕は言っているんですが、その点の御努力をひとつぜひお願いしたいと思いますが、どうですか、大臣
  183. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 政労使が同じ場所へ寄って定期的に協議するとかなんとかという意味ではなくて、今おっしゃっておるようなことでございますと、私の答弁とそう食い違っておるというふうには思っておりません。したがって、政府は労使に任せないで努力をするということについて私が申し上げたとおりでございまして、そう食い違いはないものと考えておる次第でございます。
  184. 安恒良一

    安恒良一君 終わります。
  185. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) それでは、午前中の目黒朝次郎君の質疑に対する労働省答弁を求めます。
  186. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) ただいままでのところ判明いたしました大手六社につきましての五十八年度、先生の御指摘時点よりちょっとずれますけれども、最近時点からとりましたので、五十八年四月から五十九年三月までの一年度間における購入枚数は、三万七千六百三十三枚という状況でございます。
  187. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 我々が九万と言っておるし、まあ緊急のあれですから、三万七千、約四万、半分弱ですね。しかし、これは我々も、横浜職安の発表並びに地区港運協会それから横浜港の職安、寿町それから組合側による聞き込み調査、そういうものを総合して九万、こういう数字を出しているわけですよ。ですから、時間がありませんから、我々が九万、おたくの方は今日時点では四万弱ということで半分前後になっておりますから、これはこれなりに、きょうは間に合いませんから、今後時間をかけてさらに整備したものにしてもらいたい、こういうふうに要請を、ここできょうストップさせてもしようがありませんから、要請をしておくしかない。  仮に中をとって、我々が九万ということで計算してみますと、先ほど言ったとおり三分の一、三分の一、三分の一と。すると五万中の三分の一というと一万五千、二万近くかな、そういう方々。こういうことを計算していきますとね、私は結論的に、おたくたちが毎年定数の計算をやりますね。定数の計算をやるときに使用者側と労働者側が激しくやりとりして、公益委員が中に入ってまとめてくる。その際に、やみの雇用が一体どういうふうになっているのかということの把握なくして、財源面から逆算をして、おとといの高嶋参考人の話じゃありませんが、財源から逆算して定数を決めていく。我々は、やみ雇用全体を含めて、横浜なら横浜の港に常用労働者以外は、どのぐらいいるんだろうかという実態をつかんだ上で対応する。そこに食い違いがあるわけですね、食い違い。  だから、私がこの問題をあえて言ったのは、港湾局長が、衆議院のこの議事録を見ましても、やみ雇用が存在していることは遺憾であるけれども現に存在している、こういうことをもう公的に認めているんですから、横浜港にやみ雇用者がどのくらいいるかということを、労働省運輸省が、それから現地の横浜港湾事業監督の神奈川県、あるいは横浜市も含めて、この地方自治体労働省港湾局が、四者が一体になってやみ雇用の実態調査を徹底的にやってもらいたい。これをやらなければ、どんなきれいごと、港湾労働法がどうの、あるいはILOは前向きに努力しますということを言ったって、根本的解決にならない、こう思うんですよ。根本的解決にならない。だから、九万とか五万の関係は棚上げしますから、結論として、横浜港について我々が持っている資料を出します、あなた方も持っている資料を出してもらう。  それから、この前の大阪の小林組じゃありませんが、小林組の問題について、なかなか調査しにくい、身の危険を感ずるなんということがありましたがね。国会議員の私が行って、○○方面から、目黒、おまえ身の危険があるから余り度を起さないようになんという、横浜、大阪に行って帰ってきた次の日、もう私の身辺に、余り調子に乗るなよと言わんばっかしに私におどかしをかけてくる某方面もあるんですから。これは私はもう国政調査権に対する本当に威嚇的な攻撃だ、こう思っています。まあ、少々やられましたからね、兵隊でも四年半やられたから、余り恐ろしくありませんがね。でも、そういうことをやるというのは、これはやっぱり職業安定所の皆さんにすれば、身の危険を感ずるわけですね、調査に入っていくこと。暴力団あるいは暴力団的でもいいでしょう、余りいい言葉ではありませんが、どこと言いません、暴力団または暴力団的あるいはその類似行為、これは港湾にそういうことがあったからいろんな立法ができたんですから。  そういうことを考えますと、警察庁は来ていますか。——これは警察庁も、ある意味では正しい港湾労働法を確立するために、やみ雇用者の実態を把握するためにも、場合によっては私は警察庁の援護、協力なども受けて、徹底的にやみ雇用の実態を洗う、そこに一体何がどうなっているのかをね。毎日毎日、テレビの「特捜最前線」じゃありませんが、ゆうべ私も帰ってから、あしたは港湾説明をするかと思って「特捜最前線」のテレビを見ておったら、やっぱりあるわね、「特捜最前線」にも、港のあっちこっち、浜々で。そういうことであるから、問題はやみ雇用なんですよ。やっぱりやみ雇用をなくさなければ、ILO精神はきちっとしてこない。  したがって、結論としては、やみ雇用の実態を把握し今後の対策を立てるために、当面、横浜港あるいは大阪港あるいは名古屋港、おのおの六大港で、やっぱり政府労働省港湾、それから現地の港湾管理者、それから場合によっては警察庁の協力を得て、徹底的にやみ雇用の実態を把握して改善の努力をする、そしてそれにかかわる港湾労働法その他の関係法令改正に取り組むということについて、おのおの行政担当者から、運輸省労働省、警察庁関係から——きょうは自治省を呼びたかったんですが、自治省はまた港湾の方からやってもらうとして、関係方面のやみ雇用の撲滅、実態把握、今後の対応ということについて考え方を聞かせてもらいたい、こう思います。
  188. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾労働法におきまして、港湾労働者雇用の安定、福祉の向上を図るとともに、港湾における雇用調整機能を円滑に機能させるためには、先生から御指摘のございましたようなやみ雇用をなくしていくということが基本的に重要な問題であり、またその前提であることは、御指摘のとおりでございます。現在まで港労法の適正な実施のために、労働基準監督署、海運局等の連携を経ながら、必要な立入検査、指導、是正等に努めてきたところでございますけれども、先ほど先生から御指摘のございましたような、雇用保険の購入の面から見ていわゆるやみ雇用状況等を把握していくということも、これは一つ方法として、私ども十分きょう聞かせていただきましたので、そのような方法も含めまして、基本的には関係当局との連携による立入検査等を継続的に実施していくということによって、港労法の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  189. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生今おっしゃいましたやみ雇用の問題は、港湾労働者雇用の安定のために非常に重要な問題でございます。私どもも労働省初め関係省庁とよく連絡をいたしまして、相談をいたしまして、その実態を調査し、もしそういう事態があれば改善にぜひ努めていきたいというふうに思っております。
  190. 古山剛

    説明員(古山剛君) 港湾労働者雇用関係の秩序が維持されることは、当事者にとってはもちろんのことでございますが、経済発展の上からも重要なことでございます。しかし、たとえ法に違反する行為がございましても、まず主管官庁の適切な行政指導によって解決されるべき問題だと考えております。ただ、先生がただいまお話のございました、職業安定所の職員が身の危険を感じておるというようなことでございますけれども、職業安定所の職員が、その職務を執行するに当たりまして、刑法に触れる脅迫等を受けた事実がございましたら、警察といたしましては、当然、刑法の公務執行妨害罪等の罪によって捜査をいたしたいと思います。
  191. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これを機会にぜひ、とりあえず六大港、当面六大港でも結構ですから、今言った三者のことをきちっとやってもらいたい。  それから、要望ですが、この前小林組の調査の際に、育ったんですがね、関連する大阪水産運輸KKとか大阪荷役KKとか藤原運輸KKとか、これはこれなりに調査したことについては私は認めます。認めますけれども、肝心かなめの労働者を供給しておった小林組は全然見てないわけですな、小林組そのものは。小林組そのものを点検しなくて、こんな関連会社のところだけ調べたってこれは問題にならないですよ。ところが、小林組のやつはどうだって聞くと、先ほど言った、ううんちょっと身の危険を感ずる、こういうことになってくるわけですからね。そういうときにはやっぱり三者がよくプロジェクトを組んで、場合によっては警察庁の方にも連絡して、まあそう言っているんですから、やっぱり供給しているそのものも点検するということも含めて、調査のあり方についてひとつこれ注文をつけておきます。答えは要りません。そういうことを含めて、全体のプロジェクトをつくってやってもらいたい。そうしないと、やみ雇用の最も痛いところには手がさわらない、そういうことでありますから、関係文書だけでなくて実態などについても随時立入検査をする、あるいは場合によったら警察庁の御協力を得るということを含めて、やってもらいたいということを要望しておきます。  それから、この問題の最後に、労働省港湾局、メモしてください、後で私は数字が違ったらまたやりますから。いわゆる横浜の定数が四百十九と言いましたね。それで実数が三百三十一。我我、常用労働者以外のことを言いますと、若干数字が違っておりましたが、先ほど言った職安の数が十万二千五百七十六、それから人づきリースの労働者八万二千八百二十七、それから今言った九万から逆算されるやみ雇用が三万、合計二十一万五千四百三名の延べ人員がいる。これを十四日就労で一年で、十二カ月で割りますと千二百八十二名、我々の調査ではこのくらいの方々がいらっしゃる。千二百八十二。  このうち、おたくさんが言った実数が三百三十一でありますから、千二百八十から三百三十一引きますと九百四十九。今の数字は私がつかんだ数字。先ほどおたくから言った一万前後の差のある数字、それを勘案すると大体八百前後、このくらいのやみ雇用がいるんじゃないか、こういう数字になるんです。これは実態にどこまで合っているか、差があるかどうかということについては、双方でありますから、数字を合わせたり調査をすることにやぶさかでありません。だけれども、三百三十一の実数、四百十九の定数、これから見ると定数は四分の一だと、我々の把握から見ると。実態は千二百八十だと。ところが実数は三百三十一、定数は四百十九。そうすると、千二百から見ると四分の一。  非常に定数が厳しいということと、裏を返せば、やみ雇用がいっぱいいるということ、これが我々がつかんだ実態なんですよ。これの解消も含めて、先ほど言ったやみ雇用の調査を徹底的にやればこれがどこまで縮まるか、あるいは実数がね、ここはもう問いません。それはそういうことも我々の頭の中にあるということだけ一つ言っておきます。これは答えは要りません。今後の調査ですり合わせましょう。  そうすると、最後に、運輸大臣港湾労働法からいって、日雇い登録労働者、実数三百三十一、あるいは常用労働者も、先ほど午前中で言った、いわゆる職安法四十四条の違反であることをわかりながらも、人の面で相互流通をしながらやっているという雇用上の不安、それから今言った仮に組合の数字で九百四十九、あるいはおたくの方で逆算すると八百前後、これは数字は不明確でありますが、やみ雇用がこの程度おると。  そうすると、常用も不安、登録日雇い労働者も不安、やみ雇用はなお不安と、とう三段階になっているんだな、雇用構造が。こういう三段階になっているということは、ILO条約はそういうことをやってはいかぬ、こう言っているんですよ。そういうことをやってはいかぬぞと。港湾労働者は差別をつけないで、そこに働くすべての港湾労働者はこの条約できちんとやりなさいよ、こう言っているんですよ。  ですから、この三つのグループに分かれておる常用労働者登録労働者、やみ雇用労働者ね、すべてがやっぱり現在不安定におるということを私は問題を提起しますから、十分今後の問題として検討をしてもらいたい。こういうことを私はこのやみ雇用の問題の締めくくりとしてあなたにお願いし、同時に、それに関連する港湾労働法あるいはILOの抵触部分などについてはきちっとしてほしいということを、このことは労働大臣とあなたに聞きたかったけれども、労働大臣がいないから労働省の方は後で聞くとして、運輸大臣として、港湾の実態、雇用秩序、輸送秩序を国際並みにしてもらいたいということを、この法案の前提としてお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  192. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 港湾労働は、日本の各種の労働の世界の中でもいろいろ、伝統的な問題やらいろんな問題から、非常に複雑にして困難な問題をたくさん含んでおるというふうに、私は認識をいたしております。今おっしゃったような点が、端的に現在あらわれておる状態でございます。そこへもってきてさらに、この法律が出される基礎になっておる港湾の荷役状況そのものに変化が参っておるのでございますから、当然そこで問題がさらに大きくなってまいる、かように思うわけでございまして、そういった意味で、百三十七号の精神というようなものを十分体して、この問題に真剣に政府として取り組まなければならないと、かように存じておる次第でございます。
  193. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょう労働大臣出席を要求しておったのですが、労働大臣がどうしても公務のため来れないということで了解してほしいということを言われました。しかし、労働大臣に、私はこういうことを言いたいのだと申しました。そして、今運輸大臣が言われましたけれども、港湾における輸送革新の進展等に対応して、今問題になっておる港湾労働法の改善を含めて、港湾労働対策全般のあり方について、若干時間をかけても抜本的な検討を行う。同時にILO百三十七号あるいはこの勧告、これの批准に向けて最大の努力をする、こういうふうに、この前の本会議答弁を少し具体的に労働大臣として見解を持っているということを書面で伝えるから、労働大臣はきょうは出席を勘弁してくれということなんですがね。  この、本会議答弁にさらに加えた、私が今読んだこのことについて、労働大臣の代理として出席している労働省の代表は、このことを確認していいですか。
  194. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 輸送革新の変化に対応した今後の労働対策のあり方につきまして、さらに検討を進めまして、その結果等に基づきまして、ILO百三十七号条約の批准に向けての努力を積み重ねてまいりたいと思います。
  195. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 当然、港湾労働対策全般の中には、今まで議論された、港湾労働の幾つかの問題を提起していますね、これも含めて検討するということでいいですか。
  196. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 港湾労働法の現状の問題点も含めまして検討を進めたいと思います。
  197. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、労働大臣が私に書面で言われたことについては、今の審議官の答弁をもって労働大臣答弁というように位置づけて、両方とも確認いたします。  それから、最後に、港湾に通関の電算機を入れるとか、あるいは関西地方本部の皆さんと近畿海運局長の現地における交渉などを見てみますと、シップネットの導入について、事前に組合側の事前了解、事前協議をして納得してもらってからやると、こういうことに現地の方の交渉はなっているのですが、このシップネットの問題については運輸省、それから通関の電算機導入については大蔵省、事前協議によってきちっと前もって組合側と話をつける、このことについては確認していいですか。
  198. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) シップネットの導入につきましては、五十七年の一月に、社団法人日本港運協会会長と全国港湾労働組合協議会議長との間で、事前協議をする旨の確認書を交わしておりまして、先生のおっしゃるように、よく協議をしてやっていくということでございます。
  199. 鶴田勤

    説明員(鶴田勤君) 海上運送貨物の通関手続の電算化につきましては、現在関係各分野からの要望も強く、また外国の例を見ましても、主要国の中には、電算化によりまして通関手続の迅速適正化を推進している国もありますので、我が国といたしましても現在検討を進める段階に来ていると考えております。まだ現時点では、電算化の検討に必要な基礎的な勉強に着手したばかりでございまして、具体的な内容についてお答え申し上げるような状況には至ってないというのが現状でございます。
  200. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 検討段階なら検討段階でいいのですが、具体的な実地段階については、今運輸省がシップネットは事前協議するということを言っているのですから、それに対応して、準拠して、十分に事前の段階で説明なり交渉するようにやってもらいたいということを、あらかじめくぎを刺しておきますが、いいですか。
  201. 鶴田勤

    説明員(鶴田勤君) 民間関連する業務部分につきましては、当該民間の事業主体の意向も事前に十分打診することもあるのではないかというふうに考えております。
  202. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたは専門家でないから、ちょと言葉遣い。事前協議の中に、打診とかなんとかというのはないの。説明して両方が合意をする、合意をしてから工事を始めるというのが事前協議ですから、運輸省の方針に従ってやってもらいたい、わかりましたと言ってもらえばいいんですよ。
  203. 鶴田勤

    説明員(鶴田勤君) 電算化につきましては、シップネットとちょっと違いまして、私どもの方は、税閉業務を円滑、適正に執行する見地から判断いたしましてやっております。そういう点をひとつ御了承をお願いしたいと思います。
  204. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 御了承といったって、それが労働条件に影響するから、前もって説明して合意をしなさい、こう言っているんですからね。電算化のために、そこに働いている関係者をちりごみのように追っ払うことはないでしょう。やっぱり人間ですから、きちっと説明して了解を求めるという努力をするということを言ってくださいよ、そんな中途半端じゃなくて。
  205. 鶴田勤

    説明員(鶴田勤君) 十分、各皆さん方の意見は聞いてやっていきたいと思っております。
  206. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱり官僚だね。しかし、事前了解を得ないでやる場合には、一切機能そのものには協力しないということも出てくるから、こんなことを私から間がなくてもいいでしょうから、よく竹下さんに言って説明しなさい。  それから最後に。私は資料要求したんですが、一つILO条約の批准をしている国々の問題。  日本の船は日本の港だけ歩いているわけではありませんから、国際航路を歩くんですから、日本の船が寄港する国々でILO条約が批准されておるところは、それなりにいろんな制度があるわけですね。料金の面においても、特殊料金の面でも皆取られておるはずですよ。それが国際的にどういう現状なんですかということをきのうレクチャーしたら、運輸省労働省もなかなかネタがないと。きょうは外務省を呼んでいるわけですが、外務省に聞いたら外務省も、ううんということなんですよううんというところは官庁の名誉があるから言いません、外務省もううんということですからそれ以上言いませんが、このILOの批准に絡んでその国がどういう法律を持っておって、どういう労使の協約があって、どういう岡の助成があるのか、それを早い機会に資料をぜひ、私英語は読めませんから日本語に直して提示を願いたい。  同時に、そのことが国会の質問で必ず出てくるんですが、もう一つは、この審議会がありますね、港湾調整審議会でやっています、こういう答弁なんですね、本会議の、あるいは委員会の。でも、いろいろ聞いてみますと、必ずしもこのILO条約と国内法との関係を系統的にしかも構造的に分析して、問題点を摘出して、これに実態をあれしてどういうふうに改善していくか、そういう議論は余りなされていないという報告を受けているんですよ。  ですから、私は時間がありませんからそれは言いませんが、その審議会に私が言った外国の資料を集めて、同時に、現在のILO条約が何を求めているかという問題点、それから現在の国内法、いわゆる港湾労働法とかいろんな雇用安定何とか法とかありますね、幾つかある。そういう国内の法律のどこにどういう問題があるのか、これをどういうふうに直せばILO条約は批准できるのか。その際に、労働組合に協力を求める点、使用者側に協力を求める点、あるいはユーザーが努力してもらう点、あるいは政府が努力してもらう点、それを立体的に体系的に整理をして、ぜひ我我にも出してもらいたいし、あるいはその審議会に出してもらって、そうして並行して審議のできるように、それで具体的に今労働大臣なりあるいは運輸大臣答弁したことが早い機会に実を結ぶように、最大の努力をしてもらいたい。  そのために、我々もILOをある程度掌握していますから、我々も我々なりに協力するにはやぶさかでないし、ここにおる安恒委員だってお互い社労族でいろいろ苦労したんだから、社労の我々としては協力するにはやぶさかでないという意思を表明して、今後の努力をお願いして、最終的に細田国務大臣の見解、私の今言ったことに対する国務大臣の見解を聞いて、私の質問を終わりたいなあ、こう思うんですが、いかがですか。
  207. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) まことにごもとっもな提言であると考えます。労働大臣ともよく相談をいたしまして、御趣旨に沿うように全力を挙げたいと思います。
  208. 桑名義治

    ○桑名義治君 港湾運送の問題につきましては、これはやはり、今後港湾整備がどういう方向に進んでいくのか、あるいはまた物流の革新化がどういうふうに進んでいくのか、あるいは景気の動向がどういうふうになるのか、そういった一連の流れの中で、この港湾運送の姿と将来の展望というものが生まれてくるわけでございますが、そういった意味で、まず基本的な問題として、港湾整備の問題について少し最初にお尋ねをしてみたいと思います。  四面海に囲まれております我が国にとりましては、港湾は本来国民経済あるいはまた国民生活にとって欠くことのできないものであり、国際間及び地域間の物資の流通の拠点としての機能を持つばかりではなく、都市の施設としても今後重要な役割を果たしていくものでありますけれども、その港湾に対する時代的ニーズも非常に多様化している。あるいはまた、原油を初め、輸入が急増している石炭、それからLNG、LPGについては、荷揚げバースの設置あるいは泊地のしゅんせつなどで港湾投資は多額に今上っているわけでございますが、さらにコンテナ貨物の著しい普及によりまして、埠頭の整備等、それぞれのニーズに対応したきめ細かいいわゆる港湾整備が急務となっているわけでございますが、この港湾整備についての運輸省としての基本的な方針を、まず伺っておきたいと思います。
  209. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 港湾整備につきましての基本的な考え方についてでございますが、現在、港湾整備につきましては、第六次港湾整備五カ年計画に基づきまして実施いたしておるわけでございますが、この五カ年計画が来年度、昭和六十年度に終了することになっております。したがいまして、私どもといたしましては、六十一年度から第七次港湾整備五カ年計画を発足させることが必要ではないかというふうに現在考えておりまして、その場合、考え方の基本となる長期的な港湾整備政策をどう立てるべきかということにつきまして、現在検討いたしておる最中でございます。  すなわち、最近の我が国の経済社会の情勢がいろいろと変わってまいっておりますので、その変化に対応いたしまして、港湾整備につきましても、きめ細かい対応が必要ではないかと考えられるわけでございます。  その際、二、三の点につきまして申し述べさせていただきますと、まず第一は、エネルギーの安定供給の要請に対処するという点でございます。石油危機が起きまして以来、我が国では、エネルギー源の多様化が進んでまいっております。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕原油の輸入がかなり落ち込んでまいったわけでございますが、その一方で石炭の輸入が急にふえてきておる。あるいはLNGあるいはLPGの輸入も着実にふえてきておるということでございますし、また、石油の安定供給のために石油備蓄の促進ということも必要性が高まっておるわけでございます。  これらのエネルギーの確保にかかわる諸要請、いろんな要請に対応いたしまして港湾整備をする必要があると考えておりまして、それを次の五カ年計画にきめ細かく盛り込んでまいる必要があるというふうに考えるわけでございます。  それから次に、海上輸送全体の分野でございますが、船舶大型化あるいは専用船化あるいは貨物輸送コンテナ化などの輸送革新が、引き続き進んでおるというふうに考えております。  一方、既存の港湾施設の中には、岸壁の水深が不足していたり、あるいは埠頭の幅が不足しているということなど、港湾機能がこれらの新しい情勢に対応できず、十分発揮できないという場面があらわれてきておるわけでございます。また、大都市の港湾を中心といたしまして、利用度が低下した港湾機能を、まあ昔式の港湾であるためにその機能が低下しておるという場面がございまして、そのような港湾空間を、市民のための新しい緑地であるとか、あるいは国際会議場が必要であるという場面での土地とかに、利用を転換していくという必要性も高まっておるわけでございます。このような港湾の再開発の必要性に対応いたしましては、都市機能と港湾機能を十分調和させるという点に配慮いたして、港の再生を図る必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。  また、次の場面といたしましては、大都市などにおきまして、港湾の直背後の市街地において交通渋滞が慢性化しておって、港湾と内陸の貨物発生地との間を行き来する港湾関連車両の市街地通過時に、非常に多くの時間を要するという問題が出てきております。一方で年々そういうふぐあいの量が増加してきておるわけでございますが、大型化していく港湾関連車両が都市交通の混雑に拍車をかけるというふうな場面も出てきておりますので、このような問題を解決するために、市街地を迂回して港湾と背後の幹線道路を直結した規格の高い臨港道路を整備する必要があるというふうに考えております。  また、次のような場面もあろうかと思います。すなわち、昨年の日本海中部地震を契機といたしまして要請が高まってきておるところの、大規模地震対策という点でございます。あるいはまた、港湾背後の各種の活動に伴って発生する廃棄物を処理するための、廃棄物埋め立て護岸の整備という点につきましても、非常に要請が高いわけでございます。また、今後予想されます港湾整備や海洋の開発を円滑に実施していくために、港湾の技術の開発を一層進めなければならないというふうな課題があろうかと考えておるわけでございます。  それで、特にコンテナ埠頭の整備の点についてもう少し申し上げさせていただきますと、最近、商品の軽薄短小化が進んできておるわけでございまして、これに伴いまして、貨物、国際貨物輸送という面につきましては、国際航空貨物が非常にふえてきておるわけでございますが、同時に外航海上コンテナ貨物の伸びも大変著しいわけでございます。過去十年間の伸び率は、年間の平均伸び率で見ますと、約一四%ということになっておりまして、昭和五十八年には既に約六千万トンというふうな量に達しておるわけでございます。一方、航空貨物は、この間、十二年間の伸び率は一二%でございまして、五十八年度には、総量といたしましては七十万トンというふうな量になっておるわけでございます。  こういう点からしましても、海上外航コンテナ貨物の伸びが大きいし、また重要性も非常に高いということが御理解いただけようかと思います。  さらにまた、このコンテナ船につきましては、大型化の傾向もいまだに続いておるわけでございまして、既に喫水十三メーターのコンテナ船が国際的には就航いたしておるわけでございます。コンテナ船のこのような大型化に対処いたしまして、欧米誌国はもとより近隣の韓国あるいは台湾などにおきましても、既に水深十四メーターのコンテナバースができ上がって供用されておるわけでございます。一方、我が国コンテナバースの水深は、現状ではすべて十二メートル以下でございまして、この面からしまして、世界の大勢にやや立ちおくれておるというふうなことが出てきておるわけでございます。現在、我が国の各港に設置されております埠頭公社あるいはコンテナ埠頭株式会社が管理しあるいは供用しておりますコンテナ埠頭の数は、全部で三十五バースであるわけでございますが、さらにこの供用中のものに加えまして、東京、横浜、神戸などにおきまして、合わせて五バースのコンテナ埠頭を埠頭公社によって整備いたしておるところでございます。  さらに外航コンテナ貨物量は先端産業発展と相まって今後とも大きな増加が見込まれますので、今後は、我が国を代表いたします東京、横浜、名古屋、大阪、神戸などの基幹的なコンテナポートでは大水深のコンテナ埠頭を整備する必要がありますし、また清水でありますとか北九州などの港湾におきましても、コンテナを取り扱うことのできる埠頭をそれぞれ整備していく必要があるというふうに考えております。  これらの、港湾にかかわる諸事情に関しまして、内外における情勢をきめ細かくにらみながら、対処していく必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
  210. 桑名義治

    ○桑名義治君 第七次の五カ年計画に対する大体基本的なお話があったわけでございますが、先ほどから、六大港の問題につきましては、いわゆる港の問題やあるいは労働者の問題等、いろいろときめ細かく午前中から論議があったわけでございます。ところが、先ほどの論議の中にもございましたように、この六大港以外のところ、    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 例えば東北ならば仙台、あるいは九州ならば福岡、こういったところの港が今から先この五カ年計画の中でどういうふうに展望していくかということも、これは地元の労働者にとりましては非常に大きな関心事になっていくのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、そこら辺のいわゆる整備につきましては、どういうふうな計画でございますか。
  211. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 六大港以外の港湾整備についての考え方といたしましては、従来から、我が国の国土の均衡ある発展という観点を非常に重視いたしまして、各地方の港湾整備を図り、そのことによって各地方の物資流通の円滑化を図るとともに、あわせて各地域における工業の立地発展の基盤をつくり上げるという観点に立って、整備を進めてまいったところでございます。今後につきましても、我が国の人口増加の程度というものはそのテンポをかなり落としておりますけれども、やはり国土の均衡ある発展ということに関連するところの国としての課題は非常に大きいわけでございますから、今後とも、地方の諸情勢をにらみながら、その発展を図るというふうな考え方を持っておるわけでございます。
  212. 桑名義治

    ○桑名義治君 あなたの言われることはまあわからないことはないわけでございますけれどもね、もう少し具体的に話ができませんか、お答えができませんか。  その人口の動向等をにらみ合わせながらとか、その地域の発展を見ながらとかいうことではなくて、いわゆる九州ならば、現在はまあ六大港の中には北九州港が入っておるわけでございますが、しかし荷の量からいきますとこれは、北九州よりもむしろ福岡に移りつつあるというような見方もできるわけでございますし、あるいは、先ほどもお話がありましたように、仙台港も非常に貨物量が多くなってきた、こういうふうな論議もなされておったわけでございますが、例えばそういう地域というものがこの五カ年計画の中にはどういういわゆる位置を占めるのかということも、お聞きしておきたいと思うんですが。
  213. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 現在、港湾法の所管する港といたしましては、千八十ほどあるわけでございます。その中で百幾つかの重要港湾があって、その百幾つかの重要港湾での貨物の扱い量というものがかなり大きなウエートを占めておりますし、またその重要性が高いと思います。それらの港の動向という点につきましては、先生今おっしゃいましたように、ある港ではやや衰退の方向に向かわざるを得ない。これにつきましては、地域振興の観点からして、港湾の面でも何らかの手を尽くす、あるいはその方策を模索するあるいはその手を尽くすということを考えておるわけでありますけれども、なおかつなかなか課題としては大きいという場面もございますが、その辺に対してはそれなりの対処をしていきたいと考えております。  一方また、高度成長、高度発展以降の時期におきましてもなお工業の立地が進み、それが順次発展しつつあって、港勢を進めつつある港もございます。これらの港につきましては、先ほど申し上げましたような、それこそ国土の均衡ある発展と申しましょうか、地域における人口、産業の吸収と申しましょうか、そういう観点から、その整備に非常に力を尽くすというふうな場面があろうかと思います。  それから、さらにまた、過去における高度成長の時期に、どちらかといいますと公害問題に関しまして課題を残した港が全国各地に何カ所かございまして、それらに関する対策というものを続行いたしておりますが、なお次の五カ年計画におきましてもそれを進めることが必要であるという場面もございます。  それらいろいろな課題がいろいろの全国各地にございますので、次の五カ年計画につきましては、六十一年度発足までの間に、きめ細かく実態を把握し、重点事項を定め対処してまいりたいというふうに考えるところでございます。
  214. 桑名義治

    ○桑名義治君 国土のいわゆる平均的な発展を考えるならばやはり、六大港はこれはもう重要港でございますので当然ではございますが、それと同時に、地方のそういった重要港についても今後特別の配慮をしていかなければいけないのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、今度は少し観点を変えまして、港湾運送の将来課題というものについて、少しお尋ねをしておきたいと思うんです。  一昨年の夏に公正取引委員会が、いわゆる「政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直しについて」、こういうことで、この中で「自由経済体制・自由貿易主義をとっている我が国においては、競争政策が経済運営の基本とされるべきであると考えており、このような観点からは、政府規制制度は例外的なものとして必要最小限に、止められるべきである」、こういうふうに、競争政策の観点から政府の規制制度を見直す必要がある、こういうふうに公正取引委員会では提起をしているわけでございます。  また、価格の問題につきましても、「港湾運送事業は専ら対企業との間の取引であること及び認可料金は実質的に機能してないといわれていることを考えると、自由化の方向で検討する必要がある」、こう言って、認可料金制度の見直しも提起をしているわけであります。  また、第二次臨時行政調査会第三部会第一分科会の報告の中にも、行政監察によって調査した結果の勧告「港湾の物流革新の進展により、現行港湾運送事業法は実態に合わなくなっている面がある」という問題提起を踏まえて、問題点の見直し改善が報告をされているわけであります。  こういうように、公正取引委員会あるいはまた第二臨調等で、現在のいわゆる港湾運送のあり方についての提言がなされておるわけです。現在の日本の政治の動向というものを決める一本の柱として、第二臨調がどう考えているかということは非常に大きな比重を占めているわけであります。そういった意味から、この公正取引委員会のいわゆる提言、あるいはまた第二臨調の報告、こういったものに対して運輸省としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、最も基本的な問題でございますのでまずただしておきたい、こういうふうに思います。
  215. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいま先生おっしゃいました中で、まず公正取引委員会関係について申し上げますと、これは五十七年の八月に公正取引委員会から、運輸業を初め幾つかの業種につきまして、規制緩和の方向で各種政府規制を見直すべきであるという見解が表明されたわけでございます。  これは、規制によりまして経済活動の活性化が損なわれている面があるという認識に基づくものだと思われますが、事業規制のあり方につきましては、単に競争原理の導入ということだけではなくて、事業の特殊性でございますとか、労働雇用面への配慮など、いろいろなことを考慮いたしまして、総合的な観点から検討を行うべきものであるというふうに私ども考えておりまして、港湾運送事業に関しましても、これは非常に海陸の緒節点で重要な仕事をやっております上に、中小零細な企業が非常に多い、あるいは事業の性格上波動性がどうしてもある、あるいは労働集約的な特質を持っているといったような、非常にいろいろな特殊性が、従来ともそう変わっていないという面も多いわけでございますので、にわかにそういった規制緩和、自由化の線でやろうというようなことにはとてもならないのだろうと、こういう考えを持っております。  もちろん、社会経済情勢に合わせた、例えば不要となったもの、過重な負担をかけるようなそういった規制は、それは見直していくのは理屈として当然でございますけれども、今先生おっしゃいましたような、例えば根幹となるような免許とかあるいは料金の認可とか、そういったことについてにわかに手をつける、こういうことは適当じゃないというふうに考えておるわけでございます。  一方、もう一つの、行政管理庁あるいは臨時行政調査会からこれも勧告あるいは答申がございましたが、これは私どもの受けとめ方は、自由化の方向を目指すということではなくて、実態と規制がやはり合わなくなっている、規制のあり方をやはり考えてみなければいけないのじゃないかということで、実態に合わせた規制をするという意味で、そういうものをむしろ踏まえて今回の港湾運送事業法改正をお願いしたというようなことで、その辺は行管あるいは臨調の意見と私どもとは同じような考え方に立っておるというふうに理解しております。
  216. 桑名義治

    ○桑名義治君 この公正取引委員会あるいは第二臨調の提言、これは一面の理はあるとは思うんです。しかしながら、港湾運送というものの現在の実態、あるいはまた先日からのいろいろな論議の中で、これを全面的に受け入れる、いわゆる自由経済体制を導入するということになりますと、港湾運送の運賃あるいは料金の問題にしましても、確かに港湾運送間の競争は促進され、その結果経営のいわゆる合理化は進むことになるかもしれません。だけれども、今回のこの法改正の中でも一番問題になったのは何か。それは、いわゆる合理化によって労働者の立場というものがどういうふうになるかということが、一つの大きな論点になったわけであります。それと同時に、今回のこの法改正によって、いわゆる中小の会社が淘汰されてしまうのではないか、あるいは大きく二分されてしまうのではないか、こういうふうな論議があったわけでございます。  こういうふうに、この提言のように完全な自由化ということがどんどん促進をされてしまえば、いわゆる自由料金制度のもとでは、需要者は、安い料金の方へ安い料金の方へ入っていくわけですね。そうなってしまうと、港運業者というものは、極力低料金で勝負をしようとしてくる。そうなると、やはり弱肉強食の論理で、大きな業者の方に固まって、最終的には寡占化を起こしてしまうのではないか。こういうようなおそれがあるわけでございますが、実際に運輸省としては、基本的にどういうふうに今後の港湾運送を考え、いわゆる港湾運送の将来の課題としてどういう形態が好ましいというふうに最終的には考えておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  217. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 確かに先生おっしゃいますように、競争によって発展していく面もございますけれども、それはすべての場合に一律にそう言えるものでもない。もちろん競争の要素というものは事業をやっていく上で入ってくるのは当然あるかとは思いますけれども、むしろ、そういうことと同時に、やはり秩序を保ちながら安定的な機能を発揮する、そういったことに重点を置いて考えるべき分野もあるというふうに考えておるわけでございます。  港湾運送事業の場合には、先ほど申し上げましたように、港湾において非常に重要な機能を営んでおって、海に囲まれた日本としては非常に重要な機能を営んでおる、と同時にやはりいろいろな問題を抱えておる、労働関係の問題を含めましていろんな問題を抱えているような分野におきましては、やはり単に競争ということではなくて、秩序を保ちながら安定的な機能の発揮を図っていくということがまず重要ではないかというふうに考えております。それから、やはりこの港湾運送事業界の一つの特質といたしまして、中小零細な事業者が非常に多いということもございまして、今度の革新荷役がどんどん進む中で、例えば法改正をやりますとそういう人たちはどうなるのであろうか、淘汰されて、今先生おっしゃいましたそういうようなことになるんではないかという話はよく聞くわけでございますけれども、その点につきましても、法律の改正当たりましても経過措置を置いて、すぐに事情が変化して競争が激化して、それで淘汰されるようなことにはならないような、直接的にそういうふうな姿にならないような手だてを講ずるとか、そのほか、従来から、コンテナ荷役を初め革新荷役が進んでくる中でのいろんな労働面での手当ても含めまして、政府としてもやらせていただいておりますし、また港運労使においてもいろんな相談をしてやってきていただいておるということで、私どももそれを指導し応援してきているということでございます。  また今後につきましては、これは港を中心といたしまして、いろいろ話題になっております国際複合一貫輸送の問題、非常に大きな問題でございますが、そういったことを含めて、港運事業者あるいは船会社側、船社、それから陸上の運送事業者、これらも含めて、今後のそういった分野への進出、あるいは進出を既に事実上しつつある、あるいは計画をしているというものもございますので、その辺は一つのポイントとして、港運事業者がどんな格好でそこに進出していけるか、これはまだ法制的な面などで私どもも研究すべき課題はいろいろあるわけでございますけれども、事業者サイドにおきましてもその辺をよく考えて将来の進むべき一つの方向として進んでいったらいかがかと、私どもも十分検討をしていかなければならない課題だというふうに考えております。
  218. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題は非常に重要な問題でございますので、この公取の考え方、提案あるいはまた第二臨調の提案についての大臣の御所見もあわせて伺っておきたいと思います。
  219. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 港湾運送事業の自由化ということについては、私どもは考えるべきではないというふうに結論的に考えております。これは、いろんな事情につきましては今貨物流通局長から申し上げました。端的に私申し上げたいと思います。ただし、競争的な要素を何らかの形で入れるという公取の考え方そのものは、工夫を凝らす必要はあろうかと思っておるのでございます。  なお、第二臨調の考え方は、これはもう当然受け入れられるべきものでございまして、今回の法律改正もこれによって行うことになったのでございます。私は、本来この港湾運送事業というのは、本当のところは適正な規模のものが、——独占あるいは寡占状態ではもちろんいけない、といって小さいものがばらばらで非常に多いということも好ましいものではない、適当な大きさのものが競争をするという形が望ましいものだと思っておるのでございまして、現在の形というのは昔から見ますとかなり適正規模というようなものに近づくような方向にいっておる、かように思っておる次第でございまして、いい方向であると思っておりますが、しかし、雇用の問題その他時代の輸送革新の問題等もございますので、先ほど来お話が出ておりますが、今後政府としてそういった問題を含めて指導していかなければいかぬと、かように思っておる次第でございます。
  220. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、この問題は、今から先の港湾運送というものがどういう方向に位置づけられていき、あるいはどういう形態で流れていくかという重要な問題でございますので、運輸省としてもこれは積極的に検討を続けていっていただきたい、こういうように思います。  次に、新基盤の整備の問題でございますが、一般港逆業者が新たにコンテナ埠頭等におけるターミナル基盤の事業に参入していくためには、いわゆる公共及び専用のコンテナ埠頭等の、新基盤のための港湾施設整備が必要となるわけでございます。そこで、新基盤として革新荷役を扱い得る港湾整備はどのようになっているのか。それから、次期五カ年計画中に実施予定分を含めて御報告を願いたいと思います。
  221. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 新しいコンテナ埠頭の整備につきましては、現在我が国で埠頭公社あるいはコンテナ埠頭株式会社が管理しております埠頭につきましては、東京港八バース、横浜港六バース、名古屋港三バース、四日市港一バース、大阪港五バース、神戸港十二バース、合計三十五バースあるわけでございます。これに加えて、現在整備中のものといたしましては、東京港、横浜港、神戸港などにおきまして新たに五バースのコンテナ埠頭を整備いたしておる最中でございます。今後の方向といたしましては、次の五カ年計画でどれだけ取り上げるべきかという点につきましてはこれから細かく検討していく必要があろうかと思いますが、やはり我が国を代表する東京港、横浜、名古屋、大阪、神戸各港のコンテナ埠頭につきましては整備が必要になるのではないかと考えられますし、また清水港、北九州港などにおきましても、コンテナを取り扱うことのできる埠頭を整備する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  222. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、コンテナ化によるいわゆる国際複合一貫輸送体制が進む中で、今後ターミナル基盤の革新荷役に参入を希望する一般港運業者が増加するのではないかとも思われるわけですが、大規模なターミナルの運営を引き受け得るように、今後一般港運業者の経営基盤を強化する必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、運輸省としては具体的にどのような方策を講じていこうとされるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  223. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答え申し上げます。  コンテナターミナルの整備が始まった時点におきまして、それをどのような形で貸し付け、どのような運営にするかということにつきましては、過去にいろいろ議論がございました。やはり効率性、近代化を追求する建前からは、できるだけ専用で借り受け、単独の事業者でやらせるということを基本にしたいというのが発足の当初の考え方で、公団ができました際には、コンテナターミナルにつきましては、船社が借り受け、その運営については船社が港運会社一社を選定してやらせるといったような感じで今まで進んでまいりましたが、やはりコンテナがここまで進んでまいりますと、そのような専用的な使用だけでは問題がある、船社もまた、高いコンテナバースを自分の会社だけで使うのはもったいない、もう少し他の船社も導入する、あるいは外国船社にも使わせるといったような形での、運営の多角化が進んでおります。  これに対応いたしまして、港湾運送業界におきましても、また私どもそれを監督する立場からも、単独の港運業者だけではなしにほかの港運業者も提携して参加できるような体制づくりが必要ではないかというようなことを基本的な方針といたしまして、例えば昨年も船社と港運業者との間でもいろいろ調整をさせましたし、今後も、できますコンテナバース等につきましては、そのような共国運営といった体制をとらせる。したがって、従来コンテナ荷役におくれていた方々がコンテナ化してじり貧になるのをそのまま見過ごすのではなしに、新しいコンテナバースにも共同で参加できるような体制を開く、そういう方針で私ども港運会社を指導しておるところでございます。
  224. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどの御答弁の中にも国際複合一貫輸送体制というお話が出ました。それと同時に、過日の参考人の発言の中でも、高嶋会長さんは、複合一貫輸送体制を積極的に進める意向が述べられたわけでございますが、この問題については運輸省としての取り組みはどのようになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  225. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 国際貨物輸送におけるコンテナ化の進展によりまして、輸送形態あるいは契約の形態が大きく変化しておるわけでございます。利用者のニーズも、一貫した責任と運賃で複数の輸送機関、一番合理的な輸送手段を使いましてそれでドア・ツー・ドアの一貫輸送をやる、そういう総合的な貨物流通サービスを志向するというふうになってきて、これがいわゆる国際複合一貫輸送というものだというふうに考えておりますが、このような国際複合一貫輸送につきましては、実は現在のところ統一的な法規制というものはございません。個別の事業法によって対応しているのが現状でございますが、実際には港湾運送事業者あるいは船社、陸運、倉庫会社等が既に進出するとか、また計画しているというふうに開いております。  運輸省といたしましても、今後ますます高まってくると思われますこの国際複合一貫輸送に適切に対応をして陸海空にまたがる総合的な貨物流通サービスが提供できる体制を整備することが必要だと考えておりまして、幸いちょうど、貨物流通局というものと、それから国際的なことを扱います国際運輸・観光局というのがまたできておりますので、相談しながら、これら二局が中心になって、総合的な物流事業者育成のためのまだ必要なものは調査もしていかなければいけないと思いますし、育成方法の検討とか所要の対策を講じていきたいというふうに考えております。
  226. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、複合一貫輸送体制というものがこういうふうに論議になっているわけでございますが、実際に具体的に諸外国との間にこの問題についての話し合いなり、あるいはまた世界的に見た場合に今どの程度進んでいるのか、具体的に。この進みぐあいがわかれば御説明願いたいと思いますが。
  227. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) まだ複合一貫輸送につきましては発展途上でございまして、現状を申しますと、一番複合一貫輸送として先駆と申しますか、発達しておりますのは、一つは、シベリア・ランドブリッジと通常言われておりますものでございます。これは、日本から大体船でナホトカ経由でシベリア鉄道を使いまして欧州あるいはイラン、イラクという中近東の方へ抜けていくというものが、やはり複数の交通機関を利用している形態でございます。  あと一つは、やはりアメリカでございまして、内陸の懐が非常に深いものですから、ニューヨーク航路の方まで船で直行するという形をとらずに、アメリカの太平洋岸で船からおろしまして、後、鉄道なりトラックでアメリカの東部まで運ぶというのが一番典型的と申しますか、なかんずく発達している形態であろうと思います。
  228. 桑名義治

    ○桑名義治君 日本といたしましては、こういう複合一貫輸送体制というのができ上がった場合のメリットあるいはデメリットというものを考えられたことがございますか。
  229. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 複合一貫輸送のメリットと申しますと、一つ責任でドア・ツー・ドアで一員輸送ができるということでございますから、やはり日本ユーザーなり消費者にそれなりに還元がされるんではないかというのが一点でございます。  あと一点は、その複合一貫輸送の過程で、日本の船を使っていただくということをしなきゃ日本としては困ると。要するに積み取り比率を向上させるという面もございますので、やはり海運立国たる日本としては複合一貫輸送において積み取り比率を高めていく。そのためには、どうしてもその集貨力を日本港運業者あるいは関係の集貨業者さんにもつけていただくということが必要かと思います。
  230. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、いわゆる業界同士の話し合い、世界各国の業界同士の話し合い、これも当然必要になってくると思うんですが、それと同時に、やっぱり船舶の数というものは、これは国と国の話し合いの中にも入っていくわけでございまして、そうなった場合、国と国の話し合いというものがもう幾らかなされているのか、あるいは業界だけの話し合いとして現在進んでいる、あるいは現在行われている、こういう形になっているのか、そこら辺はどうでしょうか。
  231. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 二つございまして、一つは、先ほど申しましたように、責任の問題あるいは通しBLをどうするかというような、いわば法的関係をどうするかというような点につきましては、国際関係でも、未成熟ながら若干論議は始まっている段階でございます。  それからもう一つは、やはり事業者間といいますか、どうしても複合一貫輸送を利用します場合には船が今のところメーンでございますので、船につきましては先生御存じのとおり、同盟関係という非常に昔から歴史のあるそういう団体がございます。そういうところで、複合一貫輸送にどう対応していくかということが、内部で話し合われているという状況でございます。
  232. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、同盟の中では、一応の話し合いがどんどん進められているということでございますね。
  233. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 同盟自体が、現在自由化の方向といいますか、非常に分解化しかかっております。そういうことで、同盟としても、国際複合一貫輸送をどうするかということが重要な課題になっております。
  234. 桑名義治

    ○桑名義治君 今から先こういう輸送体系というものがどんどん進んでいくのではなかろうかと思われるんですが、こういったある一定限度のこういう体制ができ上がるというのは大体いつごろだというふうに予測をしておられますか、非常に難しい問題とは思うんですが。
  235. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) これから拡大していくであろうということを我々も予測して勉強もしている最中でございますけれども、やはり一つの引き金は、アメリカの海事法と申しますか、新海事法でボリュームレートと申しますか、たくさん貨物を積んだ方には運賃を割り引くというようなアメリカの新海事法の動きが、ことしから出ております、ことしの夏から出てきております。そういう形で、これから一気に複合一度輸送の論議、あるいはそれに対する集貨あるいは業界の対応が出てくるんではないかというふうに考えております。  現に、私どもの港湾運送事業者の中にも、海貨事業者さんといいますか、通常乙仲と言っておりますが、主として港湾運送の集貨を担当している、どちらかというと非常に零細な方たちでございますが、こういう方たちもことし、先月でございますか、数社、東京と関西の事業者さんが集まりましてコーレックスというような、そういう複合一貫輸送に対応した会社を共同で設立してございます。一方、港湾運送事業者の中にも、特に大手の方たちは国際複合輸送協議会という、大手十社会と通常育っておりますが、そういう人たちもこれから、他の陸連あるいは海逆業者に負けずに国際一貫輸送に乗り出そうということで、協議の場を設けております。  そういうことで、これから本格的な幕が開いていくんではないかというふうに見てございます。
  236. 桑名義治

    ○桑名義治君 なぜそういうふうな予測をお尋ねしたかといいますと、いわゆるコンテナ輸送というものが急激な、物すごいスピードで走ってきたわけですね。そういった立場から考えますと、将来どういうふうな輸送体系に走っていくか、これのやっぱり予測をある程度踏まえながらあらゆる面の対策を立てていかなければ、後手にいくんではないか、こういう心配をして私はお尋ねをしたわけでございます。  いずれにしましても、今から先の将来の問題でございまして、なかなか予測は難しいわけでございますが、国内の中小の企業の中にもそういった連合体みたいなものができ上がっているということは、これは相当なスピードで今から先進んでいくんではなかろうか。そうなった場合にいわゆるメリット、デメリット、これはもちろん輸送全体に対する問題でございますので、いわゆる収益の問題もございましょうし、あるいはまたそれに伴う労働力の問題もございますし、そういったものを踏まえながら後手を踏まないような対策をとっていかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  今度は全く方向を変えてちょっとお尋ねをしたいわけですが、港湾運送近代化資金、この問題でございますが、港運業者の経営基盤強化のために、港湾運送近代化基金を通じて、荷さばき施設やあるいは荷役機械に対する各種の助成措置が講じられているわけですが、その制度の概要及びこれまでの実績について御説明を願いたいと思います。
  237. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 港湾運送近代化基金、これは財団法人でございますが、この基金は、港湾における荷役革新が著しく進展する中で、港湾運送事業の近代化のための施設整備、資金の調達、調査研究等に関するる助成を行いまして、もって港湾運送事業の近代化の促進に寄与する、こういったことを目的にいたしまして、昭和四十四年の八月に設立された法人でございます。  この法人は、事業者の拠出金を原資といたしまして、発足以来、荷さばき施設及び荷役機械の整備に対しまして、中小企業金融公庫あるいは日本開発銀行等との協調融資を行ってきております。こうして我が国港湾運送事業の近代化の推進に大きな役割を果たしているものと考えております。  それで、この融資事業は、業界の自主的な融資事業という性格から、金利が五ないし五・五%と低利でございまして、他の金融機閥とも比較して極めて有利なものでございます。しかし、最近の模様を見ますと、不況の影響等もございまして、荷さばき施設整備につきましては五十七年度以降、不振が続いておりますが、一方、荷役機械の整備については代替購入等を含め融資希望もかなり多く、五十八年度におきましては百九十五台、約十四億九千万円の整備を行っておるような状況でございます。
  238. 桑名義治

    ○桑名義治君 その次に、構造改善の促進財団についてお尋ねをしたいんですが、港湾運送事業の集約それから転換、廃止等についても、港運構造改善促進財団を通して、転換資金の貸し付け等各種の助成措置が講じられているわけですが、制度の概要とこれまでの実績について説明を願いたいと思います。
  239. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 港運構造改善促進財団、これも財団法人でございます。この財団は、港運業の構造改善対策を実施するために昭和五十七年の十二月に発足したものでございます。現在、構造改善対策を実施するため、その財源確保につきましては、いかだ構造改善分担金、いかだ運送事業者による拠出金及びコンテナターミナル作業者による拠出金等によって行われておりますが、五十八年度の事業実績について申し上げますと、まず過剰はしけの買い上げ事業、これは既に二回やっておりましたが、第三次分として五十七年の十二月から実施いたしまして、二十四万二千積みトン、資金総額は二十七億一千七百万円、その返済金として五億三千二百万円。  それから第二番目に、木材取り扱い業者が雇用する港湾労働者の不就労保障助成、一人一日当たり千円、これで約三千五百万円でございます。それから三番目に、いかだ取り扱い業者が雇用する港湾労働者の不就労保障助成、一人一日当たり千円、約二千五百万円。さらに四番目に、船内沿岸荷役作業者が雇用いたします港湾労働者の不就労保障助成、一人一日これも千円、合わせて約二億一千八百万円。それからさらに、いわゆる五・三〇協定に基づく港湾労働者の年金及び転職資金の原資といたしまして、これを実施しております日本港湾福利厚生協会に対しまして、五十八年度で約四千五百万円の財政援助を行ったところでありまして、さらに五十九年度においては二億の大幅な財政援助をすべく予算的な措置を講じているところでございまして、港湾労働者対策についても積極的な援助活動を行っているというのが活動状況でございます。
  240. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の港運構造改善促進財団の活動内容の中から見ての、いわゆる港湾運送事業というものが今どういうふうな方向に走っているかということも、一応うなずけるんではないかと思うんですが、その評価についてはどういうふうに評価されておられますか。
  241. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 確かに先生おっしゃいますように、この事業の内容を見ますと、過剰のはしけの買い上げの問題がある一方で、そういった資金についてはコンテナターミナル作業者による拠出金というものがあるというような、非常に現在のいわば港湾荷役の時代的な移り変わりを象徴しているような感じがいたします。やはりこの財団の名称のとおり、今まさに構造の問題が非常に重要なことでございまして、港運全体として構造を改善していくということが事業の安定発展につながり、またそれは企業だけではなくて、そこに働く労働者の方々にもプラスになっていくという、非常にオーソドックスな意味での港運発展につながるような仕事をやっているというふうな理解をしております。
  242. 桑名義治

    ○桑名義治君 この原資については、どういうふうになっておりますか。
  243. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答えいたします。  この事業に要します徴用につきましては、いずれも関係事業者からの自主的な拠出と申しますか、拠出によって賄われております。それで現在、その拠出金の種類につきましては三つございまして、一つはいかだ構造改善対策分担金というものでございます。これは私どもが、運輸省の方が木材関係の料金にトン当たり十円をオンしまして、ユーザーさんといいますか、利用者さんの御協力を得ながら、船内事業者を通しましてこの財団に拠出しているという種類のものでございます。それからあと、いかだ運送事業者の拠出金というものがございます。これは要するに、いかだ事業者が非常に不況になったということで、先ほど申しましたようにユーザーにまで協力をお願いしている段階であるから、その前にまずみずからが自主的努力をしようではないかということで始まったものでございまして、これがトン三十円出でございます。これはただし、大きな港だけでございます。先ほどのいかだ構造改善対策分担金といいますのは、木材を扱っている関係上、全国から出でございます。それから、あとは、コンテナターミナルの作業事業者拠出金ということで、先ほど来いろいろ論議がございますが、コンテナ化という、どちらかといいますと非常に恵まれた方たち、要するに利益を受ける方たちでございます。それに対しまして一方では、はしけあるいは在来荷役に対してしわ寄せがいくではないかということで、恵まれた方と申しますか、そのコンテナの方からトン七十円を事業者が自主的に拠出しているという三種類がございまして、合計いたしますと大体五億五千万ぐらいの金額が年間出でございます。  それからもう一つ、先ほど局長が申しましたように、この財団のメーンの事業でございますはしけの解撤事業を現在済ませまして、その返済資金の過程にございます。その解撤資金に要しました費用は、港運事業者が自主的に五年間にわたって返済していく。先に物をスクラップして後で返済資金を手当てしていくという対応をいたしましたものですから、現在トン当たり三十円、はしけの運送量に対しましてトン当たり三十円を、地区の港運協会を通しまして返済資金としてこの財団に拠出している。その金額が大体年間五億三千万ぐらいございます。  合わせますと、拠出金といたしました収入は大体年間十億前後入ってきております。  以上でございます。
  244. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、港湾構造改善促進財団のこの中身を見てみましても、現在の業界そのもののいわゆる体質なりあるいは動向なりというものをこれが一つ物語っているんではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、今回の法改正で、届け出業種となっているいわゆる港湾運送関連事業者への影響は、どういうふうになるというふうに見込んでおられますか。
  245. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の改正は、船内沿岸荷役が一貫して行われる荷役形態が大半を占めるようになったことにかんがみまして、業種区分について業者を統合しようというものでございまして、船積み貨物の固定、区画、荷直し等を行う関連事業、これは先生おっしゃいましたように届け出になっておるわけでございますが、こういった事業者にかかわる規制については何ら変更を加えるものではないわけでございます。したがいまして、私ども、今回の改正を機に関連事業者への影響が出てくるということはないというふうに考えております。
  246. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、昭和五十四年の五月三十日労使間で結ばれた協定によりまして、職業訓練制度を今年度から実施するというふうにしているわけでございますが、その対象、またどのような職業訓練とするのか、あるいは訓練が無理な人々に対する対策をどういうふうにお考えになっておられるのか、御説明願いたいと思います。
  247. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答えいたします。  職業訓練制度と申しますのは、先生指摘のように生活保障制度の一環として、例えば港湾労働者の年金制度でございますとか、最賃制度でございますとか、あるいは転職資金制度というようなその制度の一つとして、実は労使間でこういう制度を創設してございます。  しかし、残念なことに今までその制度が、制度としては認知されておりましたけれども、実行されてなかったという経緯がございます。今春闘におきまして、やはり職業訓練制度が必要だ、これからはぜひそれに力を入れていかなきゃならぬということで、こういう制度を今年度じゅうに実施しようという大枠が実は決まったところでございます。今後その細目を労使間で詰めていただきまして、この職業訓練制度を発足させるという実は段階でございます。ただ、職業訓練をするといいますと、どうしても訓練の施設あるいは訓練の場所というものを手当てしなきゃなりません。そういうことで、けさほども御指摘がありましたように、全国的にやるのか、あるいは五大港から中心にやるのかというようなことを含めまして、今後労使間で早急にこの対応策を詰めていくという、これからの詰めの段階でございます。
  248. 桑名義治

    ○桑名義治君 今までこのいわゆる職業訓練制度というものがありながら実際に何も行われていなかったという問題でございますが、だからといって、この近年における労務者の激減といいますか、そういう姿とあわせ考えますと、我々としてはちょっと納得がいかない一面があるわけでございますが、これはどういうところに、この職業訓練制度というものが全く生かされなかったのか、その原因をどういうふうにお考えになっておられますか。
  249. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 私、先ほど申しましたように、その職業訓練が実施されなかったといいますのは、一つには、私が実施していないと申しますのは、日本港運協会が助成をして協会の費用でやると申しますか、協会がその訓練に要します費用を助成した職業訓練が実施されなかったという意味でございまして、もちろん港湾労働者の方々の職業訓練というのは各社それぞれ、各社別に縦割りと申しますか、職業訓練が実施されております。  現在のところ、例えばの例でございますけれども、港湾カレッジというようなものが横浜等にはございます。そういうところで、例えば玉掛けの技能講習でございますとか、フォークリフトの実務講習というようなことで、年間数百人の方が受講しているという実情にございます。ただ、それはあくまでも各社の縦割りで職業訓練をやっているわけでございまして、やはりけさほどから論議がございましたように、技術革新という全体の動きの中でそういう訓練が必要になるのならば、やはり協会として助成をすると。個々の縦割りではいろいろ職業訓練について苦しい経営者もおいでるであろうということで、協会としてそれをバックアップするというような制度として発足していなかった。そういう制度を今年度から発足していこうということでございます。
  250. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題につきましては、運輸省としてはどういうかかわり合いをする予定でございますか。
  251. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 私ども運輸省といたしましても、やはりこれからは技能訓練と申しますか、新しい荷役革新に対応できるような技能を身につけていただくということが、港湾労働者の方にはどうしても必要ではないかというふうに考えております。  それで、できれば日本港運協会のようなところが立派な訓練施設というものをつくっていただく。現在の技能訓練施設と申しますと、どうしても在来荷役の形式の技能訓練が中心でございます。例えばの非常に卑近な例でございますけれども、ガントリークレーンというような、ああいう先日ごらんいただきました大型荷役機械というようなものの技能訓練も、これからは必要になってくるんではないかというふうに考えてございます。そうした場合に、ああいうガントリークレーンとか、あるいはストラドルキャリアといったような、一基一億もするような訓練施設をやはり個個の企業で持つ、あるいは個々の企業でそれの訓練に要する費用を負担するということについては、相当苦しい面もあるだろうから、それについてはやはり協会として対応した方がいいんではないかというふうに考えてございます。
  252. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう一つの転職資金制度の中で、生活助成金の概要と港湾労働の職域以外へのいわゆる転職資金、これが幾らで、現在まで対象者数は何人であったのか、御報告願いたいのです。
  253. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 転職資金制度の内訳としましては、生活助成金というのが一つございます。これは、昭和五十五年十月から、企業倒産による六十歳未満の解雇労働者に対して、再就職するまで十二カ月を限度として月額十五万円を支給するという制度でございます。これは今回改正されまして、従来は四カ月を限度として十万円ということであったものが、今年度からは十二カ月を限度として十五万円という形で拡充されております。  それから転職資金につきましては、一年間の期間を経過してなおかつ他の職場に転出しなければならない場合に、勤続年数に応じて二十万円から最高額二百五十万円、これも改定前は二百万円まででしたが二百五十万円までの額を支給するという制度でございます。  新規制度はまだ実績としては上がってきておりませんが、従来の実績を申し上げますと、例えば五十七年、生活助成を受けられた方は四百八十六人、金額で申しまして一億八千約四百万、転職資金の方は六百二十一人、金額で申しまして四億八千三百万、合わせまして六億六千約七百万といったような資金が支払われております。
  254. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、港湾労働者年金のいわゆる受給要件と、これら保障制度と、運営するいわゆる財源の内容、この問題について御報告を願いたいのです。
  255. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答え申し上げます。  港湾労働者年金制度と申しますのも、先ほど来申しております生活保障協定、五・三〇協定の一つでございます。現在までのところ、この受給資格と申しますものは、満五十五歳から六十歳までの間に港湾労働者として勤続十八年以上勤めるというか、資格があるというようなことを労働安定協会というところが登録と申しますか、査定をいたしてそれで受給資格者を決めております。  現在までのところ、その受給人員と申しますか、登録者は約五万一千六百人という方が要するに年金の対象者として登録されているというふうに私どもは見ております。で、現在その方たちがそれじゃ幾ら受けているかと申しますと、五十九年三月末でございますと、そのうちの三千六百十七人の方が現実に年金を受けているということでございます。年金につきましては、原則として六十歳から十五年間の有期年金でございます。年金額につきましては、ことしの四月までは年額十五万でございましたけれども、ことしの春闘におきましてそれが十七万四千円にアップしております。この港湾労働者年金につきましては、受給者の自己負担がないというのが年金の一つの特徴ではないかというふうに、我々は見ておるわけでございます。
  256. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回の改正で一番影響を受けるのははしけ運送であると、こういうふうに言われておるわけでございますが、現在でも過剰なはしけ運送の実情をどう改善していくように運輸省としては考えておられますか。
  257. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 私ども、はしけに対しまして基本的に何が問題かということにつきましては、やはり需要と供給のバランスが崩れているというところがはしけ問題の元凶であろうというふうに見ております。なぜ需給が崩れるかと申しますと、はしけ需要といいますか、仕事量が年々一五%近く減ってきているということにその原因があろうかと思います。私どもとしては、そこに原因があるならばやはり需要と供給をフィットさせるといいますか、一致させる行政をとるべきだということで、過去三回にわたりましてはしけの買い上げを、自主解撤をやっております。そういうことではしけの船腹のスクラップを進めておりますけれども、スクラップをし終えた時点になりますとさらに需要が落ち込むということで、なかなか成果が上がってこないというような状況でございます。現在まで、やはり需要を見ますと、どうしてもかた目に見まして大体三〇%、非常に多く見ますと約半数ぐらいがまだ余剰ではないかというふうに見てございます。  今後どうするのかという問題だろうと思いますが、私どもとしてはやはり需給の均衡を何とかして保っていくということが必要だとは思っておりますが、そうかといいまして、今までと同じようにはしけの船腹をつぶしていくという従来のやり方でまいりますと、既に三次の解撤をやっておりますのでもう船腹最も大分減ってきております。これをさらに続けますとどうしても小粒の事業者を残すといいますか、小さなドングリのような事業者さんたちが残るという形にもなってまいりますので、それはまた事業基盤の強化という面からは望ましくないというふうな問題、あるいはさらに解撤に要します自己資金といいますか、返済資金が、自己負担といいますか、残存業者の負担になっております。それが非常に重荷になっているということも我々は承知してございます。  ですから、そういう点を踏まえまして将来のはしけ対策を考えなきゃならぬわけでございますけれども、やはり一つには、これからは港ごと、あるいは業者の多い港では数グループというようなグループ化といいますか、はしけの共国運航をやはりやるべきではなかろうか、それが結局は過当競争で足を引っ張り合うというような形を防止する一つではなかろうかというふうに考えております。それにつきましては、現在でも、横浜あるいは神戸というような港では、若干そういう動きが出ております。そういうことで、私どもとしても、今後そういう方向で業界を指導していきたいというふうに考えてございます。
  258. 桑名義治

    ○桑名義治君 五大港で現在はしけを基盤としている事業者が四十五社あるというふうに言われているわけですが、そのうち半数がいわゆるターミナル施設基盤へ転換が可能であるんではないかと、こう思われるわけです。約百八十名のはしけ労働者が影響を受けるというふうにこの前から言われているわけでございますが、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 はしけ労働者の平均年齢、または新たな技能が習得できる人たちがどのくらいおられるのか、この人たちの雇用不安に対する具体案が何かございますならば、御答弁願いたいと思うんですが。
  259. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 先生指摘のとおり、はしけの乗組員といいますか労働者は非常に高齢でございまして、大体が四十八歳前後のように非常に高齢でございます。こういう方たちが果たして、基盤がはじけ基盤からターミナル基盤になるから、ターミナル基盤のところの仕事でございますコンピューター操作とかあるいはコンテナヤードでの仕事につけるかと申しますと、なかなか難しい問題があろうかと思います。  私どもとしては、やはり一種業者といいますのは、港の中でも比較的大手企業と申しますか、非常に資力、信用あるいは仕事の範囲をたくさん抱えている、あるいはトラックとか倉庫とか関連部門もお持ちの事業者のように見ております。そういたしますと、コンテナヤードでの仕事は無理にいたしましても、一種でございますから、いろいろ港の連絡要員あるいは倉庫関係の仕事という、従来と余り作業環境の変わらないような形での仕事が、やはり探せばあるんではないかということで、まずそちらへの配置転換なり再就職の場を持つということを事業者として指導していくべきではないか。  それからもう一つは、やはりはしけの乗組員の方はどうしても、船の上での生活をしたいといいますか、似着がおありといいますか、郷愁がおありの方もたくさんございます。そういう方に対しまして、私ども、一種でのはしけ乗り組みが不可能ならば、できれば系列の三種業者でのはしけというようなところも就職の一つの道としてやはりあっせんすべきではないかというふうに考えてございます。
  260. 桑名義治

    ○桑名義治君 今、転職に対する運輸省としての意見が開陳をされたわけでございますが、しかし、これは運輸省〔身ができるわけでもございませんし、じゃどういうふうな形でそういう転職のあっせんをしようというふうにお考えになっておられますか。
  261. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) その基盤の変更につきましては、私どもの港湾運送事業法の事業計画変更と申しまして、地方の運輸局長の認可にかかわる事項で、行政措置として一つのチェックができるようになってございます。そうしますと、チェックの段階で私どもとしては個々の一種業者に、そういう従前のはしけの乗組員の方たちの再就職あるいは身の振り方はどうなんだ、労働組合との関係はついているのかということを、具体的にその段階でチェックできるというふうに考えてございます。
  262. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間が大変少なくなったわけですが、職域確保の問題で、これは午前中からもこの問題が出ていたわけでございますが、港湾貨物の荷役は従来すべていわゆる港頭地区で港運業者の手で行われていたわけでございますけれども、輸送革新はこれらの作業を省略化し、どんどん内陸部へと移動をしていったわけでございます。これからの職域確保に、運輸省としてはどういうふうな方策を考えておられるのか、考えておられる内容があれば御報告願いたいと思います。
  263. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 現在、職域確保の問題について、日本港運協会と組合が調査委員会をつくって対応を考えようという動きもございます。また、港運協会は本年度、コンテナの内陸部の動きというのは現実にはどうなって、どういう場所で積み込まれたものが多いのか、それが港湾地域に流通センター的なものを整備することによってそこへ持ってこれる可能性がどれだけあるのか、といったようなことについて詳細な調査をやりたいというふうに考えておりますし、私ども現在、その調査の企画を相談しているところでございます。今後そういう調査をやりまして、できるだけ港湾地域における各種の行為が行われるような方策を探ってみたいというふうに考えております。  なお、これは参考でございますが、内陸部に進められておりますコンテナのトラック輸送、この問題についても、現実にどういう形で行われているのか、一部は港湾一種の事業者が直営しているもの、あるいは関連事業者にやらせているというものも相当ございます。また、内陸のトラック事業の全般的な発展ぶりというものは、港湾運送の分野と非常に対照的で、極めて大きい発展を示してきております。例えば昭和四十五年と五十六年を比較した場合に、トラック事業の従業員の数は四十一万一千人から七十九万八千七百人という形で、パーセントといたしますと約二倍、増加人員の規模として三十八万七千人の増加がございます。私ども今度貨物流通局といたしましては、トラック事業及び港湾運送専業、まさに隣の課として掌握してまいることにしておりますし、先般参考人の方からも関連事業分野への経営の多角化という御指摘もいろいろございましたが、私どもも今後港運事業者がそういう形での経営多角化の中で雇用不安等についてもできるだけ解消するような方向での見方、指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  264. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁の中で、経営の多角化というお話が出ていた。確かに、過日の参考人の公述の中でもこの話が出てきたわけでございますが、現在の段階で経営の多角化ということになってくれば、どういうことが予想されるわけですか。単に言葉の上で経常の多角化、そしてこういう革新輸送の場から生み出されてくる、いろいろな労働者の人々の職域が奪われるという、そういうものを吸収していくと簡単に言葉では言いますけれども、実際に現在のこういった港湾運送業に携わっておられる会社の経常の多角化ということになれば、大体どういうものがあるだろうか、こういうふうに私、ちょっと一面危惧するわけでございますが、どういうものがございますか。
  265. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 一種の港湾運送事業省のこれも大手の例などを申しますと、港湾運送事業をある程度中核といたしまして、陸上運送業及び倉庫業、その他関連事業というようなことで、不動産といったようなことをやっているパターンが極めて多いという状況でございます。
  266. 桑名義治

    ○桑名義治君 倉庫業は今、大変に苦渋に満ちた経営をしているということは、皆さんも御存じのはずなんですよ。そこに経営の多角化ということで新規参入するということは、これはちょっと無理な話だと思うんですね。だから、過去のパターンがこうだったから——過去のパターンが今崩れつつある時代なんですよ。だとするならば、新しい道を模索しなければならないというところに大変な苦しみがあるわけですね。だから、そういう安易な考え方はやっぱりまずいんじゃないかと思いますよ。いわゆる多角経営ということになれば、もう少し斬新的な皆さん方の考え方を開陳してもらわなければ、何のために論議するのかわからないですよ。今ごろ倉庫業に手を出してごらんなさい、もうぺたんですよ。大変なことになってしまいますよ。どうですか、その点は。
  267. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 経営の多角化の中には例えば、港運業者さんという中には倉庫業と兼営の方が半数以上ございます。で、倉庫業の方と申しますのは、どちらかといいますと、従前海側でありましたところが今は町中になっているというような、不動産を主体に持っているところがございます。そういうところは、貸ビルを建てるとか、あるいは昔でございますとボウリング場を建てるとか、最近でございますとコンピューターの専用の貸しビルを建てるというような、持っている不動産を最大限に有効に発揮するという部門がそれなりにあるのではないかというふうに我々は見てございます。
  268. 桑名義治

    ○桑名義治君 持っている不動産を有効に活用するということは一応わかる。その後段の方の、ボウリング場とか、またぺったんこにつぶれて、倒産していくような企業体ばかりを羅列されたんじゃ、これはどうしても納得できませんわね。そうやってだんだん話を詰めてくると、それは企業サイドで考える問題でございましてと、恐らくそういうふうに皆さん方は言われると思うんですが、口ではそういうふうに、経営の多角化によって過剰人員については吸収をしていくというふうに言いますけれども、大変にこれは難しい問題であるということを銘記しておかなきゃいけないと思うんですね。  それから、改正後の新しい認可料金の設定はどういうふうになるのか。  あるいは、船内沿岸両方の免許を持った港湾荷役事業免許者の方が一貫して荷役を扱う場合、あるいは扱う都合上、限定免許者の船内沿岸それぞれを使うよりも当然格安になるのではないか、競争の激化とともに不公平を引き起こすことになるのではなかろうかというふうに考えられるわけでございますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  269. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 統合された港湾荷役事業者と、限定のまま事業を継続する方との間の料金問題でございますが、この料金の制度につきましては、現在でも沿岸船内を一貫でやる場合には五%の一貫割引運賃があるというのが現行制度になっておりまして、私ども、基本的にはそういう制度を維持するという前提で考えたいというふうには思っております。ただ、先般の料金監査の状況その他を見まして、今、料金の簡素化、合理化、さらに守りやすい料金制度というものについてのあり方を、私ども、あるいは協会の中でも特別に研究委員会を設けて検討してもらっております。その中では、やはり五%でも差があれば、それなりにいろいろ守りにくい情勢が醸し出されているといったような意見もあるようでございます。したがいまして、私どもそういう意見も十分くみ上げまして、単に一貫になったからといって大幅な割引制度を導入するということじゃなしに、むしろ現行制度をベースに、それを維持するのか、あるいはむしろそれよりも格差を縮めるといったような方向で検討したいと思いますし、免許基準の点につきましても、先ほど安恒先生の御質問にお答えいたしましたが、基本的には、現行制度の免許基準と事実上ほとんど差のない免許基準というものを設定することになる予定にしておりますので、その面でも過当な競争が起こることはないように考えてまいりたいというふうに思っております。
  270. 桑名義治

    ○桑名義治君 運輸省として、諸外国の港湾労働問題についてもこれはある程度研究をなさっておられるのではないかと思います。欧米の諸国のコンテナリゼーションの進展というものは目覚ましいものがあるわけでございますが、そこに働く港湾労働者労働問題の現況をお聞かせ願いたいし、我が国と比較した場合にはどういうふうに位置づけされるのか、参考になるものがあればお示し願いたいと思います。
  271. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答えいたします。  まず、外国の港湾労働事情という前に、外国では日本のような港湾運送事業法のような法規制があるのかということを、運輸省としては調べでございます。  私ども日本では、きょう御審議いただいておりますような、港湾運送事業法という、参入規制と料金規制を二本の柱としております法律がございますが、私どもが調べました限りにおきましては、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、オランダの諸外国につきましては、日本のような法律はございません。法律がなければどういうことになっているのかということでございますけれども、結果的には、参入規制につきましては、やはり港湾逆送でございますと港湾管理者から施設を借りなきゃいかぬという、そういうポートオーソリティーの方から施設を借ります場合に、いろいろ事実上の参入規制が働くのではないかというふうに見てございます。  それからもう一つ、料金の方はどうかということでございますが、いずれの国につきましても、やはり料金につきましては自由料金という形で、日本のような認可料金をとっている国はございません。それが、外国におきます港湾運送事業の規制の現状でございます。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  あと、労働問題につきましては、私どもも今鋭意調べておりますが、まだ完全にわかったという段階までには至っておりませんけれども、現在段階でつかんでおりますところでは、例えばアメリカの西岸でございますと、ILWUというレーバーユニオンがございまして、ここで俗に言うハイヤリングホールと申しますか、労働者雇用して、そこから必要の都度労働者を借りてくるというようなシステムになってございます。あるいは、東岸につきましてはILAというような、それぞれ二つの労働組合がございまして、この労働組合と船社団体との間でいろいろ、労働条件あるいは賃金、さらにはメカニカルファンドと申しますか、革新荷役によるしわ寄せをどう救済していくかというような問題が、それぞれ話し合われているというような実情にございます。ただ、そうかといいまして、すべての国がそういうシステムをとっているかと申しますと、決してそうではございませんで、例えばイギリスあたりでございますと、そういうような拠出金は一切ないというような状況になってございます。  そういうことでまだ必ずしも調べが十分ではございませんので、そういう法規制、あるいはそれに伴います。そういうような革新荷役との絡みというようなものを、今後調べていきたいというふうに考えております。
  272. 桑名義治

    ○桑名義治君 先日からの委員会、あるいはまた参考人の御意見、あるいはまたけさからのいろいろな議論が行われたわけでございますが、いずれにしましても、現在の港湾運送事業の革新化、あるいは世界経済というものが大変な不振に落ちていた今までの時代、あるいはまた今回のこの法改正によって恐らく労働者側に大きなしわ寄せがくるのではないかというような、複合的な原因ではございますけれども、そういった状態が起こるのではないかという疑念がいろいろと論議をされたわけでございますが、この問題について最後に大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  273. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 午前中から引き続いて一番大きな問題になっておりまするのは、雇用の問題、労働者の問題でございます。  この点につきましては、確かにこの法案そのものによって出るものではございませんが、現在の港湾運送業がしょっておる宿命のようなものがございまして、どうしても雇用の場、労働の場が少なくなる傾向にあるということは、否めない事実だと思うのでございます。これに対応していくためには、よほどこれは腰を据えてかからなければならない。単にこれを労使間に任せておくわけにはまいらないと思います。政府として十分これらの労使間の状況を見守り、また港湾返送の実情を十分把握してこれに強力に対処していく必要があると、かように考えておる次第でございます。
  274. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  275. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 運輸省と言いますと許認可行政というようなことが頭にぴんと浮かぶと言われるほど、運輸省は許認可事務が非常に多い。港湾関係においても同じだということができると思います。当然、免許基準とか、資格取得についても厳しい基準があるし、無免許業者、潜り業者には、とりわけ厳しい行政指導を行っているというふうに私たちは思っております。ところが、この運輸省の今言ったような指導に全く反するような事態が現実に起こっているということが明らかになったので、私きょうはその問題について具体的にお伺いしたいと思います。  いろいろこれから申し上げますので、済みません、この資料、大臣とそれから担当の局長の方に差し上げてください。(資料配付)  今差し上げますのは我々が入手した資料で、これから問題にいたしますのでごらんください。  この資料によりますと、港湾運送事業の免許を持たない無免許業者の一部が、特定の一種業者と組んで、港湾運送事業を独占的に行う「業務提携覚書」というものを結んでいるという内容でございます。運輸省としてはもう御存じだと思いますが、いかがですか。
  276. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 先生からただいまいただきました資料につきましては、我々も十分承知しております。
  277. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 十分承知していらっしゃるその中身、ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  278. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この問題につきましては、いわゆる親和会問題ということで私ども理解しているものでございまして、実はこの問題につきましては、親和会といいます方々は、横浜におきまして通関業の免許を持っておいでではありますけれども、港湾運送事業の一般港湾運送事業、あるいは乙仲と申しますか、海貨限定の免許をお持ちでない方という方たちでございます。そういう方たちが三十二社集まりまして、横浜通関業親和会というものを結成しているのが実情でございます。  横浜におきましては、数年前から、要するに港湾秩序の維持という観点から、無免許営業の排除という運動が盛り上がっております。その過程で、数年間にわたりまして、例えばスタンプ作戦でございますとか、いろいろな形で、港から無免許業者を追放しようというような、業界の自主的努力が重ねられてきております。そういう過程の中で、できればこの通関業の方たちは、自分だちはあくまでも違反業者と申しますか、無免許業者というような立場よりも、法を犯すことはやめて正常な形で仕事をしたいという御希望があったようでございます。その過程の一つとして、スタンプ作戦の後、事業協同組合をつくってその過程で正常化したらどうかというような動きを模索いたしましたけれども、これにつきましても、関係者間のいろんな反発、あるいは内部での不調整というような過程を経まして、それもうまくいかなかったというふうに開いております。  そういうような過程で、この親和会の方たちが、できれば何とか港湾運送事業者さんとの関係で正常化したいということで、先ほど先生指摘のような協定を結ぶというような動きに出たように私どもは承っております。その過程で、港運業者の方も、従前のいろんないきさつがございますものですから、港湾運送にかかわる部門については要するに親和会の方たちは一切手を引くと申しますか、港湾運送違反を起こさないというような形で業務提携を何とかしたいというふうな動きが出た、一連の動きだと理解してございます。
  279. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 親和会がどういうつもりだ、こっちはどういうつもりだというのは、あなたに代弁してもらおうとは思わないんで、運輸省としてのあなたの考え方ということで私はお伺いしたいと思うんです。  こういう覚書は、事実だとすれば大変重大な問題なんです。この覚書の問題が、運輸省としては、これはいいことだ、輸送体制の整備強化、無免許業者の対策から、この覚書というものは大変いいのだとお思いになるかどうか、簡潔にお答えください。
  280. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この覚書に至ります過程につきましては、運輸省としてもそれなりに、お互いが正常化したい、業法違反を犯さないという一連の過程から出たものというふうに見ておりまして、それはそれなりに運輸省としては評価してございます。  ただ、この中身につきましては、現在までのところ、親和会内部におきましても、あるいは地元横浜の港運業者の間におきましても、必ずしも合意が得られてないというか、むしろいろいろ不満があるように聞いております。で、きょう現在、この文書は調印もされておりません。というような形で、私どもとしてはやはり、ここに至ります動きについては評価いたしますが、この中身についてはそれぞれ問題があるというふうに理解してございます。
  281. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 五月の二十八日、関東海運局の港運課長が横浜の港湾労働組合委員長との交渉の場で、はっきりこう言っていらっしゃる。無免許業者には手をやいている。もしもこのようなこと、覚書の内容ですが、ができるようなことは結構なことだ。これで混乱なく適切な行政指導ができる、こうおっしゃっていたと。  こういうことは、政府の正直な考えとして、おたくの方では、それは善意で発足したかもしれないけれども、こういうことは大変いいことだというふうにはお思いになってないと思うんですけれども、そこのところをもう一度簡単にはっきりしてください。
  282. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 発端につきましては私どもも評価しておりますけれども、中身につきましてはやはりいろいろ関係各方面で問題があるというふうに理解してございます。
  283. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、先ほど差し上げました具体的な「業務提携覚書」というものがございます。それで伺っていきたいと思います。  この覚書の第一条では港湾運送事業について書かれているわけで、その三項と四項というところに参りますと、「無限定一種業者」、これを「「甲」という。」ということになっているわけで、そして親和会の方が乙という形になるわけなんですけれども、「乙は港湾運送事業法に基づく認可料金をもって甲に支払うものとする。」と、こういうふうに出ております。それから七番目に「乙は、甲との業務提携を公けにするため、乙の営業案内書及び名刺等営業活動に必要な資料に業務提携会社として甲の会社名を記載するものとする。」と、こういうふうになっているわけです。今度は、第二条では、「複合一貫輸送」についてというのがございまして、「海上運送、海外運送の各事業、その他これに付随する事業につき相互乗り入れによる業務提携を行う。」と、こうなっております。  それから第四条にいきまして、「調停」というところを見ますと、「甲及び乙は、業務提携に関し、相互間で解決がつかない事態が発生した場合は、甲乙の双方又は甲、乙いずれかが社団法人日本港運協会に調停を依頼することに合意する。」と、こういうふうに、調停についても、港運協会にお願いするんだというふうに書かれております。  そして最後に、「この覚書の取交しの証として社団法人日本港運協会会長高嶋四郎雄」——この間参考人としておいでいただきましたあの「高嶋四郎雄を立会人として本覚書二通を作成して甲乙記名捺印の上、各一通を保有する。」と、こういうふうに非常に具体的に出ていて、私もこれはちょっと大変な覚書が出ているなとそう思ったわけです。  覚書の内容は、まさに今回の港運事業法改正の先取りだと言うことができる、先取り。しかも立会人として、日本港運協会会長の高嶋四郎雄氏まで登場をしているわけです。つまり日本港運協会が中心になって、まだ法律改正議論中の、本日も議論しておりますこの法案内容を既に先取りして、推進しようとしているということですね。これについては非常に不見識な問題だと言わざるを得ないわけなんです。  ですから、私は、この覚書を白紙撤回せよ、運輸省の御指導で白紙撤回ということをきちっとやっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  284. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この問題につきましては、先ほど来申し述べておりますように、発端はむしろ、混乱を招くということではございませんで、数年来横浜で行われております港の秩序づくりと申しますか、正常化の過程として生まれたものだというふうに我々は理解しております。ただ、中身につきましては現在、親和会の中にも、あるいは港湾運送事業者の方々にも、この業務提携覚書案につきましてはそれぞれ異論があるようでございます。私どもとしては、この中身についてはいろいろ問題がある、あるいは業界の対応、あるいは親和会の対応についても必ずしも問題なしとしないということで、現地の海運局を通じまして指導をしているというような状況でございます。
  285. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、この覚書というのはもう無効になった、だから私が言うように取り消しなんということを指導しなくてもいいと、そう思っていらっしゃるんですか。
  286. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この業務覚書につきましては、現在のところ署名、捺印されておりません。そういう状況でございます。
  287. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 善意で始まったからということを盛んにおっしゃったんですけれども、善意で始まって結果がどうなのかということを今度具体的に見ていきたいと思うんです。  資料の三ページ、四ページを見ていただきたいんですけれども、横浜港の場合でございますね、無限定一種業者五社、ここに出ております山九とかそれから丸全とか三菱とかいろいろあります。この五社ですね。この五社がその系列下に定着沿岸を、おまえのところはこれこれこれというふうに定着沿岸を指定して、他の業者はすべてオミットする。しかもこの定着沿岸五社は、山九海陸と藤木企業を除いては沿岸荷役の実績はほとんどない会社だ、こういうことが実態なんですね。そしてこの五社ごとに、港運業の資格のない通関業者としての先ほどおっしゃった親和会というのと組んでいるんですね。そして、横浜港における港湾運送事業を独占するという結果になるわけです。しかも、複合一貫輸送も取り仕切るという、覚書の内容というようなことが出てきているわけです。しかも地元の港運業界には何の相談もない、そして勝手に業者が振り当てられるというような結果になってくる、そういうようなことがあって、親和会の中でも異常に全部が賛成ということでなくてまとまらなかったというのは、そういうことだと思うんですね。  つまり、いかに善意であろうと、五つが、全部無免許のそういう業者を割り当てて、そしてほかをオミットして独占していこうということでは、ただでさえ小さい業者や労働者が大変苦労していらっしゃるのに、そこにこういう事態が発生していくならば、これは黙っていては大変なことになると思うんです。  局長、こういう問題をどうお考えになりますか。それから大臣も、善意であろうとそういう結果になるということについては、どうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
  288. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいまのいわゆる親和会というものの問題でございますが、これが、通関業者の団体ではありますけれども、その活動について、どうも一般港湾運送事業の無免許類似行為ではないかということで、いろいろの動きが出てきたということでございますが、私どもも、現に先生が今お配りいただいたような話し合いが現地で行われておるけれども、どうもそうまとまってはいない、いろいろやはり問題があってまとまってはいないというふうな状況にあるということは承知しております。ただ、私どももこの覚書の案を見たり、さらに附属しているような資料を見てみますと、やはりいろいろに問題があって、現地でそれぞれの業者もその問題を提起しているというのは、まさに当然のことでもあるわけでございます。  私どもといたしましては、正常化するといいますか、やはり違反行為はやめて秩序正しい正常な姿にしなければいけないということが基本でございますけれども、具外的にどういうふうにやっていくか、それにつきましては、私どもは慎重にこの内容を再点検しまして、その上で必要があれば指導していくということでやっていきたいと思います。
  289. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私詳しい事情をよく存じませんが、この資料を拝見したり伺っておる範囲だけで考えてみますと、非常に奇妙なものだと思っております。  港湾運送業法の精神というものから考えて、これはやはりおかしいと思っております。しかし、これはいろんな複雑な事情があってこういうものになっておるんだろう、特に港運協会がこれにタッチしているというようなことを考えますと、もう少し事情を私は聞いてみませんと最終的な結論は何とも言えませんけれども、ただこれを拝見し、御説明を聞いたり、また役人の方の答弁を聞いている限りにおいては、やはりこれはおかしい、かように存じておる次第でございます。
  290. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、ちょっともっとわかりやすくこれからまた話ししていきたいと思うんです。  なぜこの横浜で今言った五社が事業の独占というようなことを考えるし、それをしようと思えばできるのかという、ここのところが、非常に、複雑な問題が絡んでいるとおっしゃったそのことにも私は当てはまると思うんです。  そこで運輸省にお伺いしたいんですけれども、この五社、山九、丸全、三菱、住友、京浜の個々の会社は、港運協会のどういう役職をやっていらっしゃるか、お答えください。
  291. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) お答え申し上げます。  まず初めの山九株式会社でございますが、これは日本港運協会の常任理事でございます。それから丸全昭和運輸につきましては、これは現在役職についておりません。それから三菱倉庫株式会社につきましては、常任理事でございます。それから四番目の住友倉庫につきましては、日本港運協会の副会長会社でございます。それから京浜倉庫につきましては、常任理事でございます。以上でございます。
  292. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 丸全さんも、今はやっていないけれども、理事をやって、そして労務部長もやっていらしたという形。つまり、今の五社の港逆協会における役職はどうなんだと聞いたら、常任理事とか副会長とかというそういう方たちなわけなんです。だから、こういう方たちのこういう地位があるから、だからこういうことが考えられるし、そしてまた、立会人として港運協会会長の高嶋氏も御登場になる。これは偶然に、ちょっとやろうや、五人集まってやろうやなんて、そんな簡単なものじゃなくて、相当熟慮された、いろいろとお考えになってのことではないかと、そういうふうに素直に考えてみれば、ちょっとこれは地元業者の中で不満が出たり怒りが出てくるのは当たり前ではないか、こういうふうに私は思ったわけなんです。これはわかっていただければいいと思うんです、そういう方たちなんだと。  そして次は、具体的にお答えいただきたいんだけど、先ほど一色課長、覚書については、親和会の内部でも組み合わせに異論もあり、そして実際には効力がなくなっているんだと、こういうふうにおっしゃったわけなんです。そういうことで、効力がなくなって、こういうひどいことがおさまっていれば私はこれでまた一つの教訓にもなろうかと、そう思ったんですけれども、その後また具体的に、ちょっとこれは大変だなと思った問題が出てきたわけです。  それは、伊勢湾海運株式会社取締役副社長高嶋一雄、この方はこの間参考人に来ていただきました高嶋四郎雄氏の御子息様でいらっしゃいます。その高嶋一雄伊勢湾海運の副社長から、横浜の今問題になっております親和会会長の鎌田さんという人に、文書が行っているわけです。  「謹啓」「益々」というごあいさつがございまして、親和会においては「近々組織改革され新発足し、広く海外複合一貫輸送業務を推進される由に伺っており業界発展のため誠に御同慶に存じ上げます。」と。それで、云々はありますけれども、「貴会」つまり親和会と私の方とが「相携えて国際物流革新に寄与いたしたく存じておりますので、下記により当社の機構ならびに営業概要を御説明申し上げ充分なる御理解を頂きまして」一緒にやっていこうよという中身なんです。それはいつかといいますと、「伊勢湾グループ概要説明会開催御案内」というのに具体的に出ております。日時は昭和五十九年六月二十五日午後二時から、場所は平和プラザということになっているわけです。こういう、高嶋伊勢湾海運の副社長から六月の五日付でもって、親和会の会長にお手紙が行ったわけです。  その親和会の会長は、これを受けまして、六月五日に出したものを今度は六月の十二日に受けまして、そして親和会としてはその配下の各企業、会社に、「会員店社代表各位」という名前で、六月の十二日に出しているんです。つまり、こういうことを、この要請に従って今後の進路についていろいろお話し合いをしたい、時間をかけてゆっくりお話ししたい、そのためにどうぞ御参加くださいということで、高嶋副社長より申し込まれました六月二十五日、二時から四時まで懇談いたしましょう、場所はプラザホテルでございます、こういうものを今度出している。こういうわけですね。  つまり、消えたんじゃなくって、具体的に、高嶋さんから親和会に来て、親和会は、さっき言った親和会のメンバーに全部渡して、そして六月のこの二十五日に具体的にこういうお集まりがあったということなんですね。だから、おたくが、いやそんなはずはない、もうこれは実行されていないんだから無効だよと言うのとは、ちょっと事実が違うんですね。  ここまで御存じなかったのか。もし御存じなかったら、今私が言ったのは事実だから、これに対してどうしようとお考えになるか伺いたいと思うんですが、大臣でも局長でも——課長はさっきから一生懸命やっているからね、局長でも、どうぞ。
  293. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 本件の経緯等につきましては課長が御説明したとおりでございまして、従来から数年来、横浜での無免許業者の問題が非常にクローズアップされてきております。それを正常化する一本の方策を立てるべきだと……
  294. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いやいや、もうそういうのはさっき聞いたから、だから、こういう事実があるんんだけれども、これを知ったとしたらどうするかと。
  295. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 二十五日に会合が行われたかどうかについては、この書面は全くここで初めて拝見いたしましたので、わかりません。今電話で、この会合があったのかどうかを調べさせております。私どもは、このような、内容がまだ十分詰まらない、不平不満が非常にあるような協定的なものが結ばれるのは好ましいことではないということを、港政課長から関係者に六月の初めの段階までには十分伝えたということだと思いますので、このような会合が行われたとは考えておりませんが、念のために今電話で確かめさせていただいております。
  296. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 共産党が言うことは信用できないと。また臨調の折から電話賃大変、ちょっと倹約してもらいたい。私の方はちゃんと事実をつかんでいるから言っているんですよ。いいかげんなことで共産党は質問していません。電話賃これから倹約してください。  ということで、こういう事実があったら、やっぱりこれはまずいんじゃないかということですよね。それに対してきちっとやっぱり、こういうことで独占的にみんなやって、ただでさえ大変な秩序を乱して苦労させるというようなことは考えてもらわなきゃならないということで、私は問題提起をしております。大臣いかがですか、こういう事実について。後、しっかり御指導いただくと。
  297. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) どうも私どもも詳しいことを今、先生からおっしゃられた事実について承知しておりません。具体的にすぐ調べてみたいと思います。その上で、やはりいろいろ問題を含んでいるように思いますので、善処するように考えてみたいと思います。
  298. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公正取引委員会、どうも御苦労さまでございます。  聞いていただいたと思います。資料が行かなかったですね、おたくの方。——行っていますか、済みません、どうも。それを見ていただいておわかりだと思いますけれども、こういうようにきちっとした文書で覚書が行われて、そして着々と準備が進められていると。同業者に対して、特定の事業者と組んで仕事をやるようなことを前提とするやり方、こういうやり方は、一般的に言っても、明らかに独禁法違反という形でこれは一つ問題だというふうに私は考えたわけですけれども、公取委としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか伺わせていただきたいと思います。
  299. 波光巌

    説明員波光巌君) 公正取引委員会では、独占禁止法に基づきまして、公正自由な取引、競争を推進するという立場でございますので、ただいま御指摘のように、親和会、通関業者の団体でございます親和会と、港湾運送事業者の団体とが取り決めによりまして、親和会の会員は特定の港湾運送事業者を利用すること、こういった趣旨の取り決めをしておるという話でございます。まず、一般的な考え方から申し上げますと、事業者団体が、その椎式事業者の顧客を固定いたしまして、その選択の自由を奪うというような行為であるとか、あるいは販売地域を制限するというような行為は、事業者の取引先選択の自由を制限するものとして独禁法上問題となるおそれがございます。したがいまして、本件につきまして今御指摘のような件が事実とするならば、つまり、取り決めどおりに業者の団体の事業者間で覚書が締結され、それが実施されるということでございましたら、独禁法上問題となるおそれがございます。
  300. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私も本当に、こういう事実を聞きまして、運輸省が一生懸命に秩序を保ちながら、そしてみんながもう、この間もおっしゃったように、これの後、犠牲が出ないように最善を尽くしたいとおっしゃっているときに、こういうことが行われていて、そして、そちらも御存じないなんていうことで何か進行していきますと、これは大変なことになる。運輸省としての、行政に対する権威が失墜してしまうということなので、私はきょうあえて具体的な問題として取り上げてまいりましたので、大臣の、これに対して積極的に御調査なさり、取り組みをいただきたいということについての、一言御答弁をお願いしたいと思います。
  301. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 先ほど貨物流通局長からも申し上げましたが、私といたしましても厳重に調査をいたしまして善処をいたしたいと存じます。
  302. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 地元で不満が起きないように、民主的に本当に話し合って、最善の解決策に向かってぜひ御努力をいただきたいと思います。  それから、ちょっと一つ問題が飛ぶんですけれども、衆議院で我が党の辻議員が三菱倉庫のダンピング問題について質問をいたしました。もう調査は終わっていると思いますので、その分析結果、どういうふうになっておりますか、簡単にお示しいただきたいと思います。
  303. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 御指摘の三菱倉庫のはしけ運送かかわります問題につきましては、先生指摘のとおり、私ども関東海運局におきまして、五月三十日から六月七日の間にかけまして立入調査を実施しております。現在、関東運輸局におきまして関係書類を精査している最中でございます。その過程におきまして七月十日、一昨日でございますが、関係者を同局に呼びまして、事実関係の確認あるいは関係者の意見の陳述の機会を与えております。そういう手続は一応七月十日で済んでおりますので、近々のうちに処分が出せるというふうに考えているわけでございます。
  304. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 また具体的に結果が出たらお示しいただきたいと思いますけれども、その中で注意していただきたいんですけれども、やっぱり三菱倉庫と共同、共同の方が主だよと、こういうふうな見方というのではなくて、やっぱり私はこういう問題というのはいつでも弱い者が犠牲になってまいりますから、大きいところの方のやり方を厳重に見ていただきたい。そして、やむにやまれずやったというような小さいところをたたくとかなんとかというようなそういう方法でなくて、客観的に公正な立場で、大きなところをきちっと押さえていくというような立場でお調べをいただきたいと思います。  その次、時間がなくなってまいります、続いて危険物の輸送についてお伺いしたいと思います。  海上コンテナドライバーによる危険物輸送の実態というものが、どうなっているんだろうか。危険物の輸送が年々増加し続けておりますし、ここのところ、コンテナリゼーションの発展でますます増大するのではないか。そこで、労働省としての危険物の月間取り扱い件数というものがどれくらいあるのか、また輸送されている主な危険物の種類と、その特徴などについてお調べになっていらっしゃるか、お調べがあったらそれについてお示しをいただきたいと思います。
  305. 加来利一

    説明員(加来利一君) お答えいたします。  労働省では、危険有害物の港湾荷役の件数等については、実は調査をいたしておりません。ただ、横浜港において、事業主団体によりまして、危険有害物の荷役にかかわる届け出制度というのを実施されておりまして、その制度で、聞くところによりますと、年間約二万四千件、これは届け出の件数が二万四千でございますが、その件数である、このように聞いております。それから、その中でどういうものがあるかといいますと、さらし粉でありますとか、それからハイドロサルファイト、これは染料の還元剤でございますが、こういったものがございます。
  306. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 警察庁に伺いたいと思います。警察庁いらしていますか。——どうも御苦労さまです。  危険物の輸送を行う場合は、運送業者は事前に警察に届け出をしたり、そして警察はそれについて、こうこうこういうふうに行きなさいというような、何か御指導もあるというようなことも伺ったんでございますが、警察庁として、どういう条文で、届け出義務のある種類はどういうのがあるか、届け出件数というようなものについても、おつかみになっていらっしゃるところを教えていただきたいと思います。
  307. 竹内隆

    説明員(竹内隆君) 警察で届け出を受理しております危険物は、火薬類取締法第十九条に基づきまして火薬類がございます。それから、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第五十九条の二に基づきまして核燃料物質等がございます。それから、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律第十八条の二に基づきまして放射性同位元素等がございます。この三つでございます。この三つにつきまして、昭和五十八年中におきます運搬届け出の受理件数を申し上げますと、火薬類にありましては九万一千七百三十五件、核燃料物質等にありましては四百二件、放射性同位元素等にありましては二百四十二件というふうになっております。
  308. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今みたいな趣旨で、消防庁としてはどういう条文で、どれくらいあるか、教えてください。
  309. 長谷川寿夫

    説明員長谷川寿夫君) 消防法上の危険物といたしましては、石油などを初めといたしまして各種危険物品があるのでありますけれども、港湾での危険物の消防におきます把握状況といたしましては、これは法律上法定量、一定量以上の危険物を貯蔵したり取り扱う場合には、消防署長または消防長と言われます消防機関の承認を受けなければならないとされております。これは全国のは、申しわけないのですが手元に資料がございませんで、五十八年中の東京におきます。その承認件数は五百七十三件。それから、数が多かろうと思いまして神戸を調べてまいったのでありますが、四千七百六十九件という数字が挙がっております。以上でございます。
  310. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、厚生省。お願いします。
  311. 小宮宏宣

    説明員(小宮宏宣君) お答えいたします。  厚生省の方で毒物劇物取締法という法律を所管しておりまして、これは人体に対して急性溝性の強い物質を毒物または劇物ということでこの法律で指定しているわけでございます。この溝物劇物を業務上輸送する業者につきましては、この法律におきまして毒物劇物取扱業者という形で規制しておりまして、これを運搬する場合には、その毒物劇物が飛散したり流出したりすることのないように必要な措置を講ずるというようなことで、法律の規制をしております。  こういうような毒物劇物の中で、特に塩酸とか硫酸とか輸送上注意を要する二十三種類の毒物劇物につきましては、これを大型自動車等で一定量以上輸送する業者につきまして、事業者ごとに所管の都道府県知事に届け出を出させまして、全国の毒物劇物監視員において必要な監視指導を行っていくという状況になっております。  届け出の件数につきましては、五十八年十二月現在の件数でございますけれども、六百十七件という状況になっております。
  312. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、次に、運輸省の道路運送法等による届け出義務のある危険物はどういうようなものがあるでしょうか。そして、昨年度の届け出件数をお願いいたします。
  313. 金田幸二郎

    説明員金田幸二郎君) 運輸省におきましては、放射性物質関係の届け出というか、規制をやっているわけでございますけれども、先ほども警察庁さんの方からお話しもありましたが、放射性物質の陸上輸送については、原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法の規定に基づきまして、運搬方法についての安全基準を運輸省で担当しておりまして、特に一定量を超える放射性物質をおさめた輸送物等につきましては、運搬方法の安全基準の適合性につきまして、申請を受けて確認を行っているという状況でございます。  それで、五十八年度中に確認を行ったものにつきましては三百二件ございました。以上でございます。
  314. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今、各関係方面から伺ったんですけれども、今度のこの法律の問題で、いろいろ海上からの輸送、また輸出のためにというようなことで、危険物の実態を少し調べてみたわけです。いろいろ説明がございましたけれども、あれだけではどんなに危険かということがおわかりいただけないと思うんです。  例えば、これは、輸送する業者のところに荷主から、「危険品・有害物事前連絡表」というのをつくりまして、そして、これをお願いしますよということで出している書類なんです。  例えばこれを見てみますと、ここに、どういう中身の物を積んでいるかというところ、化学名というのがございまして、クロルアセチルクロライトという薬品だそうでございます。そしてここに、危険物の種類はどういう種類か、腐食性物質だと、こう書いてあります。そして、この貨物の性状、危険性または毒性の侵入経路及び症状ということが書いてある。この薬品はどういうふうなものなんだと。これは皮膚や粘膜に付着すると重い薬品火傷を与える。目に入ると重い傷害を与え、失明または著しい視力の減退を起こす。で、貨物取り扱い上の注意という項目を見ますと、横積み厳禁、水から遠ざける、水から遠ざけなきゃ危険だ、だから雨の日の荷役は厳禁と、こう書いてあります。それから貨物取り扱い上の保護具というところの項目には、防毒マスター酸性ガス用とか、保護眼鏡——密着型、ゴム手袋、耐酸衣、こういうふうになっているわけですね。これは非常に危険な物だと、だから具体的にこういう項目をつけて、これを運搬する業者に渡しているわけです。  それからまた、塩化メチル、これはどういう物かといいますと、危険物の種類は、引火性、毒性があります。それから貨物の性状、危険性または毒性の侵入経路なんというところを見ますと、エーテルまたは亜硫酸ガスの類似臭で無色の液化ガス、油との混合物が空気中に霧状または油滴状で存在すると爆発性が著しい。この蒸気を吸入すると吐き気、腹痛、視力障害、神経障害等の症状を呈し、症状が進行すると死亡に至る場合もある。取り扱い上の注意、火気厳禁、容器の取り扱いは慎重に。持ってなき峠ならない保護具は、防毒マスク、保護眼鏡、こういうことが出ておりますね。  それからまた、次の品物を調べてみますと、トルエンジイソシアネート、大変難しい名前でございます。これはどういうのかというと、消防法第四類第三石油類、安定性が高く、火災に対しても化学反応がない。水に反応して炭酸ガスを発生する。しかし、目及び上部呼吸器管、ぜんそく性の症状が出る。取り扱い上の注意、火気注意、高圧ガス、アミノ酸は混載してはならない、こう書いてありますね。そして保護具としては、防毒マスク、送風マスク、コムの手袋、ゴムの上下服と。こういうのを読んでいきますと、もう大変な種類があるわけなんですね。  それで、これを私見て、こんな大変な物、本来義務づけなければならないような恐ろしい品物、だからこれは、こういうのがあるわけですね。危険物マーク、御存じかと思いますけれども、「腐しょく性物質」というこれを張らなきゃならないわけです。これ、こう外しますとべたんとみんなつくわけですね。「引火性液体類」、それから「有毒」だよ、これは大変な「毒物」だよ、骸骨がついているわけなんです。こういう物を運ぶところには、これをぺたっと張らなければならないというわけなんですね。  ところがこれが張ってない、張ってないで一般市街地を自由に通過しているということを聞いて、私はびっくりしたわけなんです。それで運輸省に伺いますけれども、船内コンテナヤードではこの危険物マークはどういうふうに使われているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  315. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) 船内に危険物を積む場合につきましては、危険物船舶運送及び貯蔵規則という規則が船舶安全法に基づいておりまして、細かい規制はなされておると思います。私ども、ちょっと所管の局と違いますので、現実にどうなっているのかちょっとお答えしにくいわけでございますが、お許しください。
  316. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうもそれは失礼いたしました。  私の方でも調べてみましたら、船の中や、それからコンテナヤード、それから荷主の倉庫では、これがちゃんと張ってある。労働者も、だから、これは危険なんだということも知っている。ところが、我々の国民生活の場である住宅、市街地を通る場合には、これをぴたっと張らないで外されているというのはおかしいなと、危険だなと本当にびっくりしたわけなんですね。  こういうことについて、やっぱり海上輸送でこういう危険物を輸送する場合には、中で張っているんだったら、これをきちっと、運搬するときにもそのまま張って行けるように、私は運輸省としても、中心になって他省庁とも協議して、御指導をいただきたいと思うんでございますが、いかがでございますか。
  317. 金田幸二郎

    説明員金田幸二郎君) 今お話しのありましたそういう積み荷が、それぞれ危険物なのか、あるいは毒物劇物なのか、その積み荷の状態によりまして、それぞれの所管官庁の法令で規制されておるわけでございまして、当然その規制法令に従って自動車運送事業者としては運搬すべきでございますので、もし違法状態で走っているとするならば、これは非常に残念なことでございます。したがいまして、私どもといたしましても、関係法令、これは必ず遵守して運行するよう、自動車運送事業者を指導してまいりたいというように考えております。
  318. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どの法令に入って、そしてこれが指定されている毒物であるということならすぐできるわけですよね。だけれども、それに指定されてないという場合もあるかもしれないわけ。だから私がここで言えることは、例えばコンテナヤードだとか船内では、危険だよとこれを張っておいて、そして走るときにはこれを外して走るというのはおかしいじゃないかということなんです。だから、危険だとこれを張ったものは、私たちの町を走るときにはこれをつけて、そして安全にやっていただきたい。そういうのはもうひっくり返る心配はありませんよなんてよくおっしゃるんだけれども、そういう事故はなかったのって調べてみたら、去年横浜でコンテナが横転してひっくり返ったというのが二件ありましたのよね。だから、事故というのは、起きるまで安全なんですよ、起きるまで安全。起きたときから大変だということになりますから、これについてぜひ御検討をいただきたいということです。  それから、輸送する際になぜこれをわざわざ張らないで外しちゃうんだ。不思議ですよね、外すというのは。それで当事者、労働者の人に聞いてみたの。そうすると、こういうものをつけていたら高速道路じゃこんなの危険だから、あのトンネルの事故なんというのがありましたよね、だからこんなのが高速道路を走られたら大変だというので、なかなか高速道路を走るときにはつけられないんだという証言があったわけなんです。これずうっと回っていくといったら、とてもじゃないけれども能率が上がらないからというので、張ってないんですね。それじゃ高速道路になぜ入って走るんだと言ったら、そうしたら、もしも人家の町の中を走ったら混雑しているし事故が起きたら大変だ、だから高速道路を走らなきゃならないんだと。矛盾したことなんだけどね。そこで高速道路を走らなきゃならないと。  そして、聞いてみて大変だと思ったのは、先ほど言ったように、危険だから手袋を持ちなさい、マスクを持ちなさい、ゴムの上着やなんかを用意しなければならぬというようなことが書いてある劇物なのに、これを運んでいる本人の運転手さんはほとんど知らない。知らないから、もしか事故があったりした場合はこれはどうしようもないわけですね、知らないから。防護用具も持ってないということになるわけですわ。こういうことになると大変な問題が起こってくるなということで、私は事故が起きる前にこそ、こういう問題についてきちっと指導をしていただきたいということでございます。  もう時間がなくなりますから続けて質問をさせていただきたいと思うんですけれども、そういうわけで、野放しになって危険物が歩いていくというのは心配だ。それから、さっき言ったように、運転しているドライバーも知らされない、だけれども高速道路を走らなきゃならない。これは生活のためですわ、一つはね。  運輸省は、コンテナ陸上輸送に関して、危険物については割り増し料金を認めていらっしゃるということを伺ったわけなんですね。そうすると、その割り増し料金というのは、どういうものについてどういう賃金を割り増しして払うようになっているのかという問題です。というのは、そういうのが一切払われていないということがわかったわけなんですね。だから、その点について、どういうものがどういう割り増しになるかということも伺いたいと思います。
  319. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 危険物の輸送は、一般の貨物以上に念には念を入れて、安全を確かめて運ばなければいけない。それで、先ほど先生は、そういった危険物を輸送する場合に、例えば陸上輸送の場合に、運転者がその危険物がどういうものであるかも知らないで運んでいる、こういうようなお話がございましたが、これは、運転者に積み荷の品目等を知らせて運行をさせるのが通例だとは思います。もし、積み荷を知らないで運転しているということがあった場合には、それはいろいろと注意すべき点がございますし、また、万一事故があった場合は大変でございますので、その点は、私どもといたしましても、当然運転者が品目等を承知して運行するように、貨物自動車運送事業者ということになりますが、ここを指導していきたいと思います。これはあくまでも、常識的に考えてもそうだと思いますが、もしあったら大変だということでありますので、その点は十分気をつけてやりたいと思います。  それから、危険品のトラック輸送についての運賃の問題でございますが、これにつきましては、品目によって異なりますが、二割から十割以上の割り増し運賃を収受することになっております。これも認可運賃でございますので当然ほかのものとも同じでございますが、完全収受というのが問題になっているわけですが、特に安全確実な輸送を心がけなければならないものでございますので、これにつきましても、違反にならない、完全収受をするように、運輸省として、もしそういうことがあるとすれば、是正方をできるだけ努力してみたいと思います。
  320. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 委員長、あと三十秒、済みません。  今おっしゃったように、そういうのがあるんだから、それをきちっと労働者にも中身を知らせて、そして、そういう安全運送責任を持つためにもきちっとした料金を払っていただきたいということ。そのために——私は本当にうそみたいだと思うんですよ、こういうことは。大臣も首を振っていらっしゃるから、どうもおかしいと思っていらっしゃるんだろうけれども、これは事実として私が調べたんです。だから、その事実を調べて手を打っていただきたい。化学品というのは、どんどん日進月歩で進んでいきますから、だから今までのこの種類だけというんじゃなくて、例えばIMCOでも、五十四年の改正で、八百種だったのが三倍の二千四百種になりましたね、それが危険だと。そういうふうな時代ですから、やはり時代に適応して危険物というものについての配慮もしなければならない、安全も考えていただかなければならないということで、大臣に総まとめで御決意のほどを伺いたいと思います。
  321. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私は長い間、鉄道の貨物輸送をやっておりました。鉄道では、危険品というのは大変な問題でございます。もう非常に厳重にやっております。それから、今新しくいろんなものが出てくる、そういうものについても始終研究しております。機関士ももちろん知っております。運賃も割り増し運賃を取っております。ひどいものについては、緩衝のためにわざわざ空車を間へつけなければいかぬというようなことまでやっております。どうも自動車については鉄道ほど厳重にやっていないということだろうと思いますが、とにかく、この点非常に危険でございますし、新しいものがどんどん出てきますから、お説のように、一遍厳重にこれは調査をいたしまして、関係の各省とも相談をいたし、安全を期さなければ、自動車は汽車よりも事故が多うございますから、何とか善処するようにしてみたいと思っております。
  322. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  323. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 第一点ですが、港湾労働安定協会の基盤強化の問題につきましてまずお伺いをしてみたいと思います。  この協会は、御存じのように、昭和五十四年労使の協定によって設立されたわけでございまして、そして年金、転職資金あるいは職業訓練、こういう面などの事業を行っているわけでございます。しかし、港湾労使の双方の真剣な努力にもかかわらず、私は、その制度内容はまだ非常に不十分なものである、こういうように考えているわけでございます。  そこで、港湾労働法第一条、第四条そして第二十八条ですね、特に第二十八条には、「国及び地方公共団体は、事業主及びその団体並びに港湾労働者及び港湾労働者になろうとする者に対し、港湾労働者雇用を安定させるための措置に関して必要な援助を行なうこと等によりこと、こういうように明らかになっているわけです。  どのような条文に照らしてみましても、また、貿易立国である我が国を支える重要な役割を果たしている港湾労働者の立場を考えてみましても、国がこの安定協会の事業を充実強化させていく義務が私はある、このように思うわけですが、そういう認識に立ちまして、それでは一体どうするか。  今、この制度の実施財源として運輸省が認可している一トン一円の別建て料金、これでは年間約六億円程度にしかなりません。極めて少ない、こういうように思うわけです。  アメリカなどでは、コンテナ一個につきまして一ドルの料金を別に徴収しているわけですから、そういうことで、この財源の基盤の強化のために、既に労働組合側からは一円を三十円に引き上げてほしいという要望も出ているわけでございまして、これらの点につきまして国として積極的な助成措置をとるべきではないかというように思うわけでありますが、この一円を三十円という、三十倍にしてほしいという要望があるわけですから、その点についての考慮をいただきたい、こういうように思うわけですが、その点についてまず一点お伺いをいたします。
  324. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生ただいまおっしゃられました港湾労働者の年金、転職資金制度、いわゆる五・三〇協定に関連したそのための話といたしまして、元請取扱トン数一トン当たり一円ということで、現在港運事業者が拠出しておるわけでございますが、    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕このトン当たり一円の分担金を引き上げるという問題につきましては、ことしの春闘のときに、労使間の合意によって、生活保障制度の内容の一層の充実ということが図られることになったわけでございます。その際、これに要する原資につきましては、日本港運協会の責任において措置するということになっておるわけでございます。  そこで現在、同協会におきまして検討を重ねているところであるというふうに聞いております。先生おっしゃいました、一トン一円というのを、要望は確かに三十円というお話が出ているようでございますが、その辺のところを協会内部でも鋭意検討いたしておるようでございますので、その経過を待って、私どもとしては、せっかくの五・三〇協定でございますので、それが円滑に運営できますように我々としても指導していきたいというふうに考えております。
  325. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 労使の検討の推移を待ってということなんですね。それでは、労使がこれを十円にしようかということになれば、これまた認可しなければならぬわけでしょう。だから、そういうことは、運輸省として、労使の検討の結果ある一定の結論が出たら、それをそのまま認めていくんだ、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  326. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生おっしゃいますように、ここでこの話がだんだん進んでまいりますと、料金の認可の問題に関係してまいります。  そこで、具体的な話といたしましては、まず、協会といいますか、事業者としてこれは認可の申請をするわけでございますので、その辺の話し合いはある程度詰めて、それで私どもの方に話が来る。私どもとしては、五・三〇協定の問題もございますので、全体的な姿を見た上でそれについて適切な格好で認可をしていきたい。それについては、形式的には私どもその認可ということについては受け身の立場にありますけれども、別の五・三〇の話もございますので、積極的にそれが円滑に実施できるように指導していきたいというふうに考えております。
  327. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、これに関連いたしまして大臣にお聞きをしておいた方がいいんですが、今この安定協会は任意団体になっているわけですね。これをやはり法人化して、そして法人格の裏づけのもとに港湾労働者の年金制度、職業訓練制度などの雇用対策事業が円滑かつ安定的に実施される、そのことによって港湾における雇用秩序を維持し、港湾機能の高揚に寄与していくべきだ、このように考えているわけでありますが、法人格を認可する意思はないのかどうか。私どもとしてはぜひそのようにしてほしい、こういうように要望を持っておるわけですが、大臣の御見解をお伺いしておきます。
  328. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) この協会と、社団法人でございます日本港湾福利厚生協会、これとタイアップしながら仕事をしておる。この現在ある社団法人の日本港湾福利厚生協会との関係をどうするかということが、一つの問題点。それからもう一つの問題は、御承知のように第二臨調、公益法人、認可法人を新しいものは大体認めるな、むしろ今あるものを減らせ、こういう動きが一つあるわけでございます。しかしながら、必要なものはやっぱりつくってもらわにゃいかぬ、こう思いますので、検討をさせていただきたいと存じます。
  329. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ぜひそれは前向きに検討していただきたい、このように要望をしておきたいんです。  それからもう一つ、これは運輸省の指導、認可によりまして、昭和五十七年に港運構造改善促進財団、これが設立をされているわけですが、この財団の所要原資はどのように今確保されておるのか、あるいはまた現在における財団の基本財源及び所要財源はどの程度か、明確に御説明をいただきたいと思います。
  330. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この財団は、先ほどお答え申し上げましたように港運の構造改善が急務であるということから実はつくったわけでございますが、その財源につきましては、やはりそれぞれの事業者がまず自助努力をしていただくということから、それぞれはしけでございますとか、あるいはいかだでございますとか、あるいはそれに関連するコンテナでございますとか、いろんなそういう事業分野から現在拠出金の形でお金が拠出されているというような状況でございまして、五十八年度でございますと、はしけの返済金を含めまして総額約十億八千万ほどの原資が、毎年拠出されているというような状況でございます、
  331. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これ今、財団としては二百億円くらいあるんじゃないでしょうか。
  332. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) この財団は現在五十七年度に発足した、生まれてまだ時間がないというか、まだ近々に生まれた財団でございますので、原資は先生のような金額ほどはございません。
  333. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この財団の寄附行為として、例えば寄附行為を定めた規約のようなものがあるんですが、この第四条の二項に、港運事業構造改善対策関連する雇用対策にかかわる業務を行う団体に対する財政援助もこの促進財団としてはやっていくんだと、こういうことが明らかに書いてあるわけですね。財団というものは、事業の縮小あるいは集約、合併、あるいは事業の廃止、こういうものに対する助成をやっていくんだと、こういうのを主にしているわけでありますが、この財団の寄附行為の規定などを援用いたしまして、できれば私としては、安定協会の方にこの促進財団の方から援助資金といいますか、そういうものをやるべきではないか、こういうように考えておるわけでありますが、その点の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  334. 一色昭造

    説明員(一色昭造君) 先ほど来申し上げておりますように、この港運構造改善促進財団といいますものは、どうしても構造改善を要するといいますか、取り残された事業分野でございますので、事業の縮小とかあるいは転廃業、あるいははしけの解撤と、どちらかといいますと後ろ向きの仕事が主でございます。そうなりますと、どうしてもそこで働く労働者の方々にも何がしかの影響が出てくるというふうに我々は見ております。そういうことからいたしまして、定款の方に、そういう構造改善に伴いまして労働者の方にいろいろ影響が出てくる分野については、やはりこの構造改善財団から援助を差し上げるのがしかるべきではないかというふうに考えまして、先ほどのような寄附行為になっているわけでございます。  具体的にそれじゃどこへ寄附しているのかといいますか、財政援助をしているのかと申しますと、日本港湾福利厚生協会というところへ最終的にはお金が届いているというふうな状況でございます。この構造改善財団からもっとそこへ、あるいは少なくとも半額ぐらい日本港湾福利厚生協会の方へ財政的援助をしたらどうかという話につきましては、やはりいろいろその構造改善財団の原資が、先ほど申しましたように、非常に苦しい人たちが苦しい中から出しているというような状況もございます。あるいはさらに、本業であります構造改善をまずすべきではないかというようなこともございまして、これはもう少し時間をかけて検討させていただきたいというふうに考えてございます。ただ、今年度は四千万ほどでございましたものを、今度は二億円強に増額していくというふうに、充実強化には力を入れていくというふうに努力はしてまいりたいとは思っております。
  335. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それでは別の問題に移りたいと思うんですが、労働省にお伺いをいたします。  十一年前に、先ほど来から議論が出ておりますが、ILO港湾労働条約ですね、これができたわけですが、フランスなど二十一カ国が既に批准を終えている、こういう状況なんですが、この条約の目的精神に照らしまして、港湾労働法の立場から労働省は、このことについてどのように判断をしておるのか、まずお伺いをしたいと思うわけでございます。
  336. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 御説明申し上げます。けさほど来、このILO労働条約の問題につきましていろいろと御審議いただいて、既に政府委員等からも御説明申し上げておりますが、現在私ども港湾労働法を持っておりまして、諸般の対策を講じておりますが、その中身の水準と申しましょうか、そういった点について十分でないというようないろんな御指摘等もございます。そういった問題も踏まえながら、この問題について、先ほど来も御答弁申し上げておりますように、国内に適用できるような格好に持っていきたいということで、現在考えているということでございます。
  337. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 このILO百三十七号条約の問題につきましては、既に昭和五十四年の八十七国会、参議院の社会労働委員会におきまして、我が党の議員がこの問題について、早急に批准すべきではないか、こういう基本的な立場に立ちまして質問をしているわけでありますけれども、結局我が国がこの条約を批准できない原因というのは一体どこにあるか。その当時の速記録を見てみますと、結局、この条約の解釈についてかなりシャープな意見の相違がある、結局のところは、当事者間におけるこの条約の解釈についての意見の不一致というものがあるわけだから、そういうものをできるだけ解消をして、かつ港湾労働者全体についての今後の基本的な対策が明らかになった段階で、これを批准することが最も妥当ではないかと考えている。  こういうように答えているわけでありますが、この辺の実情はどうなっておりますか、お伺いをします。
  338. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 今お話しございましたように、五十四年段階でそのような答弁をいたしております。  それで、具体的に意見の不一致という問題につきましても、既に再三申し上げておりますが、例えばこの条約の中におきまして、港湾労働者あるいは港湾労働の定義、範囲といったような問題につきましては、国内の法令あるいは慣行によって定義されるというように定められておりますが、こういった点につきまして、港湾労働法適用対象を現在の六大港からさらに周辺港に拡大するべきではなかろうか、こういったような御意見もございますし、それからいわゆる雇用期間なり収入保障の点に関しましても、条約の中で、各国なり各港の経済的社会的情勢等に即した方法でというようなことで書いてございますが、そういった点につきまして、現在私ども雇用調整手当制度というのを運用しているわけでございますが、これにつきましても例えば、例えばといいましょうか、現在の雇用調整手当制度では、就労日数が落ちてまいると、その賃金と就労日数の両方で手当を算定するという仕組みになってございますので支給額が下がるというような点で、ILO条約にそごしているんではなかろうかというような御意見等等の問題がございます。  それで、周辺港への適用等の問題につきましても、先ほどお話しございました国会の御審議等も踏まえまして五十四年に総理府に設置されております港湾調整審議会、これは港湾関係労使の方を初め関係者の方々が参加されてございますが、そこでいろいろと御討議いただきまして、五十四年時点での情勢では、周辺港等につきましては、例えば専用埠頭が多い、例えば自動車専用の埠頭というようなこと等とか、そういったような情勢の中で、現時点では周辺港への拡大ということの必要性は薄いというような御答申はちょうだいしてございますが、けさほど来の御審議等も踏まえましてさらにその辺についてのコンセンサスの形成といいましょうか、問題点の解明、実現できる方途について検討してまいりたいと思っております。
  339. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 私には余りよく理解できなかったんですが、一体、五十四年の段階からもう既に五年を経過しているわけですが、この間にその意見の不一致という問題についてどのような処置というんですかね、対策労働省としてやってきたのか、この点をお伺いしておきたいんですよ。  というのは、やっぱり港湾労働全体の基本対策というのは労働省がやらなきゃならぬ、こういう立場だと思うんです。そういう意味からこのILO百三十七号条約の批准問題というのは極めて重要な位置を持っているわけですから、したがって、積極的に意見の不一致というものを解消していく努力というのは当然なされてしかるべきだと思うんですが、どのようなことをやってこられたのか御説明をいただきたいと思います。
  340. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 五十四年の一月に、先ほど申しました港湾調整審議会の中で、こういったILO条約の問題も含めて港湾労働対策基本的なあり方について見直し作業を行うということで、五十四年一月段階で中期答申をいただきまして国会等にお諮りしまして、例の雇用保険を港湾にも適用するというような措置をいたしたわけでございますが、さらにいろんな港湾を取り巻く環境が変化しているという中での抜本的な見直しについて、さらに港湾調整審議会の中に専門小委員会を設けまして検討を進めるということになってございまして、五十四年以降、この港湾調整審議会の中に置かれております専門小委員会におきまして、労使の方々の御意見を聞くとか、あるいはその関係ユーザーの方の御意見を聞くとか、実態調査をするというようなことで今日まで検討を願っているところでございまして、そういった中でこういった問題についてもいろいろと御討議をいただくということにしております。
  341. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 またよく具体的に、どういうことを意見の相違を解消するために努力をしてきたのかということがわからないんですが、専門小委員会を設けてやってきたんだと、こう言うんですけれども、一体どういうように具体的に意見の相違を解消するためにやってきたのか、こういうことを簡明率直にお伺いをしたいんですよ。
  342. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 率直に申しまして、この港湾労働条約につきまして、労働者の方々、あるいは使用者の方々と、この問題だけにつきましていろいろと議論を深めていくというような状態は、まだ持てておりませんで、そういった、先ほど言いましたような中で御議論をしていただいているということでございますが、けさほど米お話ししておりますように、そういった審議会の場等で具体的な相違点等についていろいろと話し合っていくということを今後進めなければいかぬということで考えております。
  343. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今後精力的に進めていきたいということはわかりました。しかし、五年を経過してまだ具体的な内容が明らかにならぬということは、一体いつごろそれでは結論を出すのか。これはいつまで待っても結論が出ないのではないかという、そういう気もするんですが、もっと明確に、いつごろ一体この問題について明確な態度を明らかに、するか、その辺の見通しといいますか、段取りといいますか、そういうものがありましたら御見解をお伺いしたいと思います。
  344. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 現時点で、いつまでということについて明確な御答弁を申し上げるのはできませんで申しわけございませんが、いずれにしましても、基本的にはやはり港湾関係労使の方方のコンセンサスを得るということが急務でございますので、そこら辺を早急に努力するということで御了解いただきたいと思います。いつ、来年の秋とかことしとかいう具体的な時点について、私の立場で申し上げるというわけにまいりませんので、そういったコンセンサスの状況等を踏まえた上で考えていくということでございます。
  345. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 先ほども言いましたように、港湾労働全体の基本対策は、労働省が主体的にやらなきゃならぬ。こういうことでございますから、明確に、もう五年もたっているわけですから、しっかりとした道筋を立ててやっていただきたい、こういうように思います。  これに関連をいたしまして運輸省にお伺いをしておくわけですが、貿易立国である我が国港湾産業雇用の秩序を維持し確立して、安定した労働力を提供することによって港湾機能をさらに高揚し、国民経済の拡大発展に資するために、産業行政遂行の一環として、また先進海運国の立場からしても、早急にこのILO百三十七号条約を批准すべきであると私どもは強く主張をしているわけでありますが、このことにつきまして運輸省のお考えをお聞かせしていただきたいと思います。
  346. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ILO百三十七号条約の批准の問題につきましては、これにつきまして、会議でも採択に当たりまして我が国も賛成したというところから話は始まっておるわけでございますが、どうも条約要請しております条件整備がまだ必ずしも十分でないということのようでございます。  私どもとしては、やはり早期批准を目指して努力していきたいと考えておりますが、いまだ関係者間に見解の一致が必ずしも見られてないというふうな問題もあったりいたしまして、まだ批准には至っておりませんけれども、私どもといたしましては、そういった条件整備されて批准ができるような状態になる、そういう状態をできるだけ早くつくるように努力をしていきたいというふうに、この点は主管の労働省とよく相談をして進めていくようにしたいと思っております。
  347. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、これも労働省にお伺いをしたいんですが、港湾労働法ですね。この労働法は、港湾産業の重要性と特殊性に基づきまして産業政策と密接に関連した港湾労働者雇用全般についての総合法であると、私どもは理解をしているわけですけれども、そういう理解でよろしゅうございますか。
  348. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 港湾労働対策につきましての基本的な法律でございます。もちろん労働基準法、安全法等の適用もございますので、これだけですべてを律しているというわけではございませんが、基本的な法律というように理解しております。
  349. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それでは具体的にお伺いをいたしますが、昭和四十一年の港湾労働法の施行以来今日まで、六大港における雇用調整計画推移を見てみますと、港湾労働から相当の数の転換者というんですかね、職をかわっていく省、そういう者を出しているわけでありますが、その数の推移を明らかにお示しをいただきたいと思います。
  350. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 六大港港湾調整計画に定めております数の推移について申し上げます。  昭和四十一年度に常用につきましては五万四百七十人という実態でございましたが、五十九年におきましては三万九千三十一人ということでございます。  それから登録日雇いにつきましては、同じく四十一年に三万七百十人ということでございましたが、五十九年では千四百六十二人ということになってございます。
  351. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そういうように、物流の革新によりまして港湾労働者というものがかなり転換者を出しているわけでありますが、その間、港労法を預かる立場から労働省として、この港湾労働者雇用対策について具体的にどのような救済措置といいますか、対策を講じてきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  352. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 港湾から転出される方につきましてはいろんなケースがございまして、定年退職される方というような方もございますが、他の産業に転職されるという方等もございます。私どもとしましては、そういった方々につきましては、職業相談等の実施を通じながら、転職訓練とか職業紹介等のごあっせんを申し上げるというようなこと等とあわせまして、港湾から他の産業に就職するといった場合につきましては、就職支度金の支給をするとかいったようなことを実施しております。こういった例につきましては、労使の間におきましても、五・三〇協定等に基づきましていろいろな対策等も実施していただいておるところでございまして、そういった成果ということにもさらに期待しているというところでございます。  あわせまして、港湾労働法の体系ではございませんけれども、例えばはしけ等の大量の買い上げがあったというような離転職の問題につきましては、特定産業、特定不況地域の離職者に関する特別措置法を持っておりますが、そういったものを機動的に適用して就職あっせん等に努めるとか、あるいは経済変動に伴いましていわゆる休業しなければいけないとか、しばらく訓練をしなければいかぬというようなことで、解雇しないで港湾の事業の中に抱えていくというような場合につきましても、雇用保険法に基づきます雇用調整助成金制度というようなものの機動的な弾力的な適用を図るといったようなことで、努力してまいっている現状でございます。
  353. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 さらにもう一つ具体的にお伺いをしていきたいんですが、港湾労働法ができたとき、昭和四十一年、この労働法の適用港の拡大につきまして附帯決議が行われているわけでございますが、この適用港の拡大についてどのように対処をしてきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  354. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 適用港の拡大の問題につきましては、先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども、    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 そういった法施行以降のいろんな港湾を取り巻く環境条件の変化という中で、この問題についてどうすべきかというようなことで、先ほど申し上げましたとおりに、港湾調整審議会の中で御討議いただきまして、五十四年段階におきましては、港湾労働法適用港を現在適用されている港湾の隣接港までに拡大する問題については、隣接港の中には、専用埠頭の占める割合が極めて高いものがあるとか、あるいは、その港湾労働者の給源、募集方法にも適用港湾との間に大きな差異があるというようなことから、労働力の需給を調整するために特別の制度として、そういった隣接港に実施する必要性という実態は認められなかったということで、当時におきます現段階におきましては隣接港への適用港を拡大する必要性は薄いという港調審の御判断をちょうだいしている段階でございまして、なお、今後の問題につきましてはさらに勉強していきたいと思っております。
  355. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 適用港は現在まで一港もまだ拡大されていないわけですよね。しかし、拡域化されました現状の港湾の実態を踏まえてみますと、最小限六大港の隣接港湾ぐらいは適用の範囲にして、そして雇用対策法としての機能を拡大強化してやるべきではないか、こういうように私どもは見解を持っているわけでありますが、これについての御見解をもう一度お伺いをいたします。
  356. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 五十四年に答申をちょうだいしましてから既に五年も経過してございますし、そういった情勢の中で、さらにその適用等の問題についてどうするか、けさほど来御議論がございます対策の見直しの中で、そのような点につきましても検討をしてまいりたいと思っております。
  357. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題についての一番最初に、私は、港湾労働者雇用全般についての総合法だというように理解してよろしいかと、そのとおりでございますと、こういう答弁が来たわけですが、とするならば、適用港を現状のままの六大港のみに限定して放置したままに置いて、港湾産業における雇用総合法と一体言えるのかどうか、こういうことなんですが、この点について念を押しておきますけれども、もう一度明確に御答弁をいただきたい。
  358. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 先ほどもちょっと条約関連でも申し上げましたけれども、港湾労働なり、どういった範囲で考えていくかということにつきましては、そこにおきます需給関係とか、あるいはそういった制度を特別に設けて維持するための経済問題とか、いろんな問題を加味しながら考慮していかなきゃいけない問題でございまして、その点につきましてはILO条約におきましても、国内の情勢に即した格好でという基本的な考え方に立っているわけでございます。そういった意味で現在は六大港ということでございまして、周辺港なり、かなり広範に実施するという制度はとっておりませんが、五十四年以降のいろんな環境条件の変化もございますので、全般的な見直しの中でそういった問題も含めて勉強してまいりたいと思っております。
  359. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 含めて勉強をしていきたい、こういう御答弁なんですが、これは勉強をして本当に実行してもらわなきゃいかぬわけですよね、もう法律ができてかなりの年数がたっているわけですから。しかも国会における附帯決議まであるわけですから。その点についての真剣な考慮をお願い申し上げておきたいと思います。  それから、日雇い港湾労働音を中心にした雇用調整計画というものですね。これが実質的に無意味なものになっている、そういう実態下にある、こういうように労働省としては考えているのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
  360. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 港湾労働法が制定されました当時から比べまして、先ほども数字を申し上げてあれいたしましたように、いわゆる荷役の波動に対応するための日雇いのウエートというような問題につきましては確かに低下はしてございますが、現に六大港だけで見ましても、月平均で二万四千人ぐらいな日雇い関係の求人があるというような実態がございます。そういった中で、この雇用調整計画につきまして、常用労働者の訓練とかいろんな問題についてさらに中身を濃くしていくというようなことは、その情勢変化に応じました計山のあり方は十分に御審議等を願いたいと思っておりますが、必要性がないとかそういう観点に現時点では立っておりません。
  361. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 港湾労働法は、もう再三言っておりますけれども、港湾労働昔の雇用全般についての総合法、こういう立場から、港湾労働法の本来の使命そのものも、港湾労働者常用化の促進とさらにその定着、そして雇用の安定を図るんだと、こういうことに目的があるはずだというように考えているわけでありますが、この点についていかがでしょう。
  362. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 基本的にはそのとおりでございます。
  363. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで、常用港湾労働者雇用不安が現実にますます増大をしてきている、そして日雇い港湾労働者の需要というものが減少をし、これは大変数が少なくなってきているわけですが、こういうような情勢にかんがみまして、過剰となっている常用港湾労働者を主体にした雇用調整計画というものを実施する考えは労働省にはないのかどうか、この点についての見解をお伺いをいたします。
  364. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 今の御指摘の点につきましては、それぞれの港湾におきましての労働力需要をどの程度に見ていくか、私ども毎年港湾調整審議会の場で定数等を審議いたします場合に絶えず問題になる点でございまして、御指摘のような、常用の方からいわゆるどうしても常用では維持できないというような方々を、それじゃ登録してそういったものを含めた調整計画を立てていくかというような問題につきましても、現在、全体的には大体いろんな保障等を含めまして月十一日とか十二日といったような就労の実態でございまして、もちろんけさほど来御指摘ございましたような違法雇用の問題とかいろんな問題の解消に努めていくということは当然でございますが、そういった中でいわゆる労働力需要がどの程度見込まれるかというような問題との関連において、この問題については考えていかなきゃならないんじゃなかろうか、基本的にはそのような感じをいたしております。
  365. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 これも、五十四年の五月に開かれました参議院の社会労働委員会におきまして、我が党議員が質問をしているわけでございますが、登録された日雇い労働者にかかわる一部改正のみではなしに、港湾物流の近代化合理化の進展によって常用港湾労働者雇用不安がますます増大しているという現状を踏まえて、港湾産業における総合的な雇用対策法として実効が期せられるような法案の全面的な見直し、こういうものを行うべきではないか、こういう問題提起を行っているわけです。その当時の労働大臣並びに政府委員から、この問題は確かにそのとおりであって、取り急ぎ今回の、そのときの一部改正の処置を行ったのみならず、今後も常用港湾労働者を含めて港湾労働法全体についての見直しを行おうという考えであると、こういうような答弁がなされているわけであります。  それからまたこれ、もう五年たっているわけですね、五年たっている。一体今日まで、この港湾労働法の抜本的な見直しについてどんな検討をしてきたのか、その検討の経過を具体的に説明していただきたい。そして、どういうような検討を行ってきたか、その内容もおわかりだったら御説明をいただきたいと思います。
  366. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) この点につきましても、先ほどお答えしたとおりでございますが、いわゆる見直し作業の中身の一つとしまして、港湾の先ほど来話がございますような対象労働者減少といったような中で、私どもが持っております雇用調整手当制度がうまくリンクしなくなったというような問題もございまして、これにつきまして、さらに港湾関係だけではなくて一般の産業を含めた日雇保険などとリンクしていこうというようなことで、五十四年に法改正等を行ったわけでございますが、その後この港湾労働対策の抜本的な見直しの問題について、先ほど来御説明いたしておりますように、港湾調整審議会の中の専門小委の中で私どもも事務局として参加いたしましていろんな御討議をいただいていると。  あわせまして、当面それじゃそういった抜本的な見直しなり制度の結論が出るまでほっておくのかというような問題もございまして、これもこの審議会での御意見なり、私どもが持っております中央職業安定審議会港湾労使の関係の方々の参加をいただいておりますが、そういった場で、いわゆる現行の登録制度というものの運営改善、そこらを中心としました運営改善というようなことで各般の対策について御議論をいただき、それらの実行に移してきているという現状でございます。  そういった抜本的な見限しの検討につきましては、関係委員さんの中におきましてもいろんな考え方もございますし、それからそういった対策を講じていく場合に、単にこれまでの状況だけではなくて、港湾を取り巻く環境というものは非常に大きく変化して、技術革新等の問題もございますし、我が国全体がそうでありますように、港湾関係労働につきましても高齢化の問題とかいろんな問題が生じてくるであろう、さらには国際的な海運とか業の動向、そういったことも踏まえながら、中長期的に立った対策というものがどういったものがあるだろうか、正直に申しまして現在いろんな模索をしているという段階でございます。  そういった対策を模索し、そういったものにつきましてそれじゃ労使——労の方あるいは使の方がどの程度の範囲でどういったものであればいわゆるコンセンサスが得られるのか、そういった点について大変にいろんな複雑な問題がございますが、鋭意努力してまいりたいと思っております。
  367. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 どうも話をお伺いしておりますと、労働省としては実質的には何ら具体的な検討をしていないというように聞こえるわけですよ。要するに、港湾調整審議会というものの専門小委員会に任して種々検討を続けている、その中ではもろもろの意見があってなかなか思うようにいかないというようなニュアンスに聞こえるわけですけれども、そういう状態であるのかどうか、もう一度御答弁いただきます。
  368. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) もちろんこの小委員会での検討だけをただ待っているというんじゃございませんで、先ほど申しましたように、いわゆる港湾労働体系の中での対策というだけではなくて、先ほど申しましたような特定不況産業法を立法化するというような中でも努力してございますが、と同時に、私どもの労働省内部におきましてもいろんな勉強をしておりますが、一つの方向として打ち出すまでには立ち至っていないというのが現状でございます。
  369. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この問題は、昭和五十四年の一月十二日付をもちまして、港湾調整審議会から当時の粟原労働大臣に対しまして、昭和五十一年九月以来二年余にわたって今後における港湾労働基本的なあり方についての見直し作業を鋭意進めてきた結果として、当面措置すべき対策につき、同審議会意見として答申されているわけですね。  その答申、意見の中の重要な柱といたしまして、「港湾労働の現状をみた場合、港湾労働法の施行後における輸送革新の進展や経済情勢の変化は、日雇港湾労働者」のみにかかわらず、「常用港湾労働者雇用面にも大きな影響を及ぼす等、現行港湾労働対策全般について抜本的な改善措置を講ずる必要性を生むに至っていることが認められる。」として、したがって、「常用港湾労働者雇用の安定、能力の開発及び向上並びに福祉の増進という観点からの施策を織り込む必要もありこそのことを含んだ「港湾労働者全体についての総合的な施策」を講ずるべきであるとの答申が行われているわけですね。  これから五年間たっているわけですよ、先ほどからくどく申し上げているわけですが。一体、どのような総合的な施策を考え、それから、これからどういうようにこの答申に基づいてやっていこうとしているのか、もっと明確に具体的に御答弁をいただきたいわけでありますが、先ほど来のお話ではなかなか、何かこう奥歯に物が挟まったような感じで、私もぴんとこないんですが、今日のこの法改正に伴って、これをチャンスにしてさらに積極的に、労働省としてもこれらの問題も含めて検討、そして対策の前進というものを図っていただきたい。  こういうように考えるわけでありますが、もう一度御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  370. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 御指導の方向に沿いまして、鋭意努力いたします。
  371. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 港湾運送企業者の皆さん方は、その大小を問わず、この厳しい競争社会の中にあって、常に近代化合理化に努力しておいでになりますと思います。ところが、そのことは常に働く側の抵抗もありますし、その対応は難しいものがございます。そういう中で今回は、因が、法改正という手法をもって、近代化の促進の基盤強化に乗り出してこられました。そのことは、私は極めて重要なことだと思っております。それだけに、この法案が仮に通過したといたしましても、そのことによって起こってくるすべての問題は、国が大きな責任を負ってもらわなければならない、こういう基本的な考え方を持っております立場から、以下のことについてお尋ねをいたします。  ただいまの質問にもありましたように、我が国のように貿易立国を国是といたします国にとっては、海運港運というものは経済の発展のためには欠くことのできないものでありますし、今日まで関係者の御努力によりまして、国民生活向上に重要な役割を果たしてまいりました。近年に至りましては、この海運港運業界は、先進国から始まりましたコンテナ船等の採用が最近では発展途上国にまで広がり、世界的な規模で物流合理化の進展は目覚ましいものがあります。我が国海運港運もこういう厳しい競争に対応してこられました結果、今や我が国の港はその様相を一新するようになっております。  このような環境のもとで、今後も続く荷役の革新化の競争に対応するために、さらにはまた現実の乖離を是正するために今回の法改正を行うのだ、このように説明答弁をいただいてまいりました。さらに、しかしこの法改正によってはだれにも犠牲を強いるものではない、また混乱を起こすものではない旨もあわせて答弁をしておられますし、先ほどの運輸大臣答弁にも法改正によって一名の離職者も出しませんと申されましたですし、さらにまた先日の参考人陳述では、業界を代表されました参考人は一社の脱落もないということを前提として我々はこの法改正に賛意を表しておりますのです、こういうことでございました。  けれども私は、果たしてそのことを信じてよいだろうか、大きな疑問を持っておるのであります。  皆さんが理解をしていただけるために、審議の過程で出てきた問題からとらえてみましても、同じ参考人陳述で学識者として出られました谷川教授は、やっぱり今回のこの法改正によりまして新しく基盤が変わりますので、そのことは一般港湾運送事業者にとってはメリットですということを言われました。それを私なりに解釈いたしますと、現行法律のもとでは余り要らなくなったはしけを基盤としておいでになる方もあります。船内を基盤とする方もおいでになりますが、結果的には、新基盤ができましたので、そういう基盤の制約から離れていくことができます。いわば稼働率の極めて低いはしけを離れていくことのできることは企業者にとっては有利なことであるという意味のことを申しておられると思いますけれども、しかし、このことは逆に、はしけで働きなさる労働者の側から見れば、雇用不安を伴いますことには間違いはございません。  さらにまた、こういったことも申しておられました。業界を代表なさいます方は、私たちは労働対策のために相当額のお金を出しておりますという御意見でございました。私たちは、労働者としての願いは、やっぱりなれたところで平和に、しかもできるだけ長く働いていけるのが願望だと思います。けれども、この業界代表者の参考人意見は、お金さえ出せばということが、私としては心にさわります。さらにまた、お金を出すという本音を表明されましたことは、やっぱり犠牲を伴うということを言外に言っておられるように思うのでございます。  私はそういう二つの点から見まして、当然のこととして、これは犠牲を伴いますものだ、こう思っておりますのでございますけれども、運輸省とされましてはそれは絶対にありませんとあえて申されますか、改めてお尋ねをいたします。
  372. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の港湾運送事業法改正は、昭和四十一年以降の改正でございます。この間に、先生おっしゃいましたように、コンテナ化などの荷役革新によりまして、港の様相も一変いたしました。  そこで、規制と実態に乖離が生じてきております。そういう状態に注目いたしまして、またその点について、さきの臨時行政調査会からもこの点を指摘を受けました。また、その前に行政管理庁からも勧告を受けておったところでございまして、そういったこともいろいろ考え合わせまして、効率的な港運体制の整備を図るという、ずっと図ってきております。その実態に合わせて現行の規制を、不合理、不適当な点について見直しを行おうということでございまして、決して港湾労働者にその問題、この改正によりまして直接しわ寄せする、問題をしわ寄せするということではないというふうに考えております。  ただ、四十年代以降この荷役の革新が進んできておりますことは、非常にその進みぐあいが激しゅうございまして、したがいまして特にはしけの労働者などは激減しておるわけでございます。これは構造的な問題であって、今度の法律改正で直接的にどうなるというよりは、そういうふうにここ十数年来進んできているという事態でございます。この問題は極めて重要な問題でございますので、雇用問題あるいは構造的なそういった不況対策といいますか、そういうものについては、極めて重要な問題だと受けとめて、私ども各種の施策は努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  373. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私は、この法案を審議するようになりましてから、何回か港に足を運びました。そして私の港に対するイメージは大きく変わりました。今や、港にロマンを期待するような気持ちは全くなくなってしまいました。もしこれ、開かれた労働運動がなかったら、先ほどの議員の御質問の中にありましたように覚書問題等、むしろ陰湿さを加えていくようなことになりはせないか、このような心配を持たないでもございません。  運輸省は、法改正によりまして、今もお答えがありましたように、労働者や企業に犠牲を強いるものではないとあえてお答えになられましたが、私はその点について、まず第一点は、一貫作業の必要から免許統合に伴う労働者雇用不安についてお尋ねをいたします。  一般的に御意見を聞きますと、統合はメリットが出てくる、こう言われております。現状では、同一企業に雇用されております労働者でありましても、船内沿岸とではこれはもう厳然と区分けがされております。そして、それは採用の条件が違うということが一つ、それから今日の港湾労働者は、船内であれ沿岸であれ、それぞれプライドを持っておいでになります。また仕事の内容も、坊主と神主ほど違うという言葉で表現されておりますように、子細に検討をしてみますと、作業内容についてはやっぱり坊さんと神主さんとの違いより以上のものがあるように素人の私らにも思えます。けれども、法改正によって新規免許を出されます場合には、船内沿岸もその区別がなくなってまいりますから、やはりその企業とされましては最も効率的に港湾労働者を使っていかれることになります。  先ほどの御答弁にもありましたように、免許基準をお考えになる場合においても、一貫した場合においては現状よりは少なくなっていくということが一つと、さらにもう一つは、日常の作業実態の中におきましても、船内に人が要れば沿岸からも容易に回されることに、なってくると思います。こういうことに対する労働災害等のデメリットの問題は別とするなれば、当然そういうことになっていきます。そうなれば、今日でさえが雇用実働日数の極めて少ない登録日雇い港湾労働者の稼働の場が、より縮められていくということになりますが、こういったことだけ考えてみましても、やはり労働者にしわ寄せされるということは事実であります。  だから、これに対して、どうそのことを緩和する、そのことを是正する措置をおとりになるのか。よく言われますように、関連職場の開発だとかいうこともありますけれども、この間の参考人陳述で私自身もお尋ねをいたしましたが、長い歴史過程の中でその実績は一つも上がっておらないだけに、答弁をいただいても説得力に乏しい。すべてがこういうことなのではないか。だから、このままの見切り発車では労働者へのしわ寄せを避けることができない、私はこう思いますんですけれども、このことについての御所見をお願いいたします。
  374. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 免許の統合に伴う問題でございますが、今回の法改正趣旨は、先ほど申し上げましたように、コンテナ化等の荷役革新の進展によりまして荷役形態自身が一変したということが基本にございます。船内荷役沿岸荷役、これを一貫した荷役形態が既にもう七割を占めているという状況でございます。そういった点を踏まえまして船内沿岸の業種区分を統合して港湾荷役事業とするものでございまして、そういった既に現実の方が先に進んでいるものでございますけれども、今後はそういった一貫荷役事業者の育成を図って荷役革新に対応した体制の整備を図ろうというものでございます。  その場合の免許基準の問題が一つあるわけでございますが、これは、近年における著しい荷役効率の向上を勘案いたしまして、昨年の九月に実態に即するように既に改正をいたしております。そして、今度考えておりますさらに新しい免許基準につきましても、船内、治岸の労働者数を足し上げた数に近い線で設定する予定でございますので、これによって直ちに労働者雇用不安が生ずるということはないと思います。ただ、実際の職場が若干変わる、あるいは先生指摘がございましたように、なかなかほかの職場といってもそう簡単にいかないじゃないかというようなこともございます。これは企業としての努力も必要でございますし、また実際のそこに携わる方々については、これは例の五・三〇協定の中でも、ことしの春闘で実施が予定されております職業訓練なども効率的にやりまして、できるだけ混乱の起こらないように、それから労働災害というようなことが万一にも起きないように、私どもとしてもできるだけきめ細かな配慮をするよう努めていきたいと思っております。
  375. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 反問する時間がありませんので、今の御答弁では理解ができませんが、また私の質問中にできるところがありましたらそのときに譲らせていただきます。  ただ、職業訓練をよく申されますけれども、先日も神戸の実態を調べてみますと、登録日雇い港湾労働者平均年齢四十九歳、もうこれでは既にその時期は失しておりますと思います。  ついでながら申し上げておきますけれども、稼働日数、実働日数を何とかして二けたに上げたいという職業安定所長の切なる願いでありました。さらにまた、そのときの話でありますけれども、徐々に徐々に実働日数が上がっております、こういうことでありまして、内心喜んでおりましたけれども、よく調べてみますと、定員が減っておりますから、結果的には同じことだ、こういうのがやっぱり仕事の現場の実態だと私は思います。  それで、次の問題に移らせていただきますけれども、この免許の統合は、企業間格差を拡大して、企業の自然淘汰やさらにはそれに伴う雇用不安を誘発する心配が大きい、この立場からお尋ねをいたします。  一般的に港湾運送業者の競争力の強さは、船社に系列化されておるところが強い、さらにまた下請企業を抱えておるところが強い。これはだんだんとしわ寄せを末端に譲っていくことができるからであります。そういうことからしますと、末端の業者が一番弱い、特に第四種の、これから新法になれば限定の免許を受けるであろう人が一番つらいのではないか、こういうお話もございました。そういうところはどういったところに多いかといいますと、やっぱり港に川筋の多いところがそういう業者の方々の多いところだということでありました。それは経営者がそのことを言っておられました。そういうところからもう現にその影響は出ておりますということでした。  そして、その経営の実態を聞いてみますと、皆様方が認可料金を決めておいでになりますけれども、これがもう守られないということは今日までも何回かごの議論の中で出てきておりますが、簡単に申し上げまして、今のところは大体認可料金の八〇%ぐらいで仕事をしておるのではないでしょうかという意見も出ておりました。  それで、皆様方も御承知のように、この港湾運送というのは労働集約型の産業でありますから、その大部分は労働賃金であります。したがって、取得いたします。その料金のうちから八〇%を超える分は労働賃金として支出をしていかなければなりませんから、一般的管理費や設備投資等にはなかなか使用することができないのが実態でありますということと、もうこのごろはトン当たり十円、十五円の違いというものが命の綱になります、こういうお話でございました。だから、何らの施策が講ぜられないまま、このままで新法が施行されたといたしますと、まず競争力の弱い港湾運送業者のところに影響があらわれてくるでしょう、そしてそのことは即倒産だとか即解散だとかにはならないとは思いますけれども、一番最初にあらわれできますのは人員整理ではないか、続いて賃金引き下げ等、労働条件の低下につながっていく措置をとらなければ生きていけないのではないか、こういうようなお話でありましたけれども、これはそんなに長い結果を待たなくても影響はあらわれてくるという話でありました。  だから、私らの短い命であってもそれはすぐ答えが出てくる問題だと思いますので、お尋ねをいたしますけれども、そういった零細業者に、人員整理ですとかあるいは労働条件の切り下げだとか、そういうことは絶対にありませんと申されるのかどうか、その辺のことを承りたいと思います。
  376. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 船内事業と沿岸事業の免許の統合などに関連しての御質問でございますが、この法律の改正当たりましては、先生おっしゃいましたようないろいろな雇用不安とかいうものを誘発することのないようにできるだけ法律的にも手当てをしておきたいということで、御承知の経過措置の問題などもその一つでございます。  また、実態的にも、この法律の話とはまた別に、従来から港湾労働者の福利厚生、労働条件の問題などについても私どもなりに指導し、努力してきておったわけでございますが、船内事業と沿岸事業の免許を統合いたしました場合には、基本的には免許基準及び料金というものもやはり一本化されたものを設定していくことになると思います。その際、先生おっしゃいました懸念される事業者間の格差拡大の問題ということにつきましては、まず免許基準に関しましては、近年における著しい荷役効率の向上を勘案して、これは先ほどちょっと申し上げましたが、昨年九月に免許基準を実態に合わせて既に改定しておりまして、新しい免許基準についても、船内沿岸労働者数を足し上げた数に近い線で設定する予定であるということ、これは先ほど申し上げました。  それから、料金の問題につきましても、従来から船内沿岸荷役の作業を一貫して行う場合には一貫割引料金制度がありまして、船内沿岸の統合を契機として事業者間に著しい業績格差が生ずるというようなことにはならないだろうというふうに私どもは考えております。また、経過措置によりまして限定三事業、分野を限定された事業者となります人たちにつきましては、従来から、これも先生おっしゃいました川筋などの業者が多いと思いますが、内航船あるいは工場沿岸等でございまして、これは従来と同じような格好で事業を続けることに当面はなると思います。その点で直ちにそういった大きな影響があらわれるものではないというふうに考えておりますので、港湾労働者雇用不安がこういったことを契機にして大きくあらわれるということはないだろうと私ども考えておりますが、ただ、不断にこの十数年来続いてきております革新荷役の流れの中で、私どもがいろいろ努力をしていかなければならないことは、先ほど来申し上げておりますことと同じことでございます。
  377. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 先へ進みます。  次の問題は、協会といたしましては、法律改正に賛成をしておいでになります。しかし、本質的には協会が大手業者の御意向でリードされておるからではないでしょうかという、企業のトップの御意見もございました。  さらにまた、ある経営の首脳者は、最近の運輸省の施策は弱者切り捨ての施策が目立つようになったと思います。それは、その原因を尋ねてみますと、やっぱり業界の大手の御意見を聞き、それが取り入れられ過ぎておる結果ではないでしょうかというお話でもありました。港湾労働者皆さんが劣悪な条件のもとで働いているその姿を見たら、確かに荷役革新化の中で競争力をつけていかなければなりませんのは時の流れだとは思います、けれども、それだけが優先をされて、働く人のことがなおざりにされるということでは、やっぱり我々経営者としてやってきてそんなものではありません、子供じみたとおっしゃるかもしれませんけれども、やっぱり我々の業界の中にも、皆さん方の政治の中にも、こういう時代であればこそヒューマニズムが欲しいではありませんかと、口をきわめておっしゃっておいでになりましたのでございます。  私も、その御意見を聞いて、先日来の参考人陳述、さらにはこの業界の動き方等を見ておりますと、どうしても今日の港湾運送事業というものは、競争に勝っていくという大義名分からすれば大企業本位にならざるを得ないのかもしれないけれども、そのことが余りにもきつ過ぎるのではないか。そして、弱者は何か踏みつぶされていくような気がしてなりませんが、この辺のことについてのお考え方、適当な調和の策がないのか、それをお答えいただきたいと思います。
  378. 阿部雅昭

    説明員(阿部雅昭君) お答え申し上げます。  この法律案の作成に当たって、十分多くの事業者の声が聞けてあるのかという第一点の御指摘でございますが、私ども昨年秋以来、いろいろ法律を検討する段階で協会側に案を、概案でございますが、そのようなものを示し、十分地方にも、地方の協会ベースでも検討していただくようにお願いし、各関係の部会等もございますが、いろんな立場の方の意見を集約していただくようにお願いしたという、何度かの経過がございます。したがいまして、私ども、例えば経過措置の設け方につきまして、当初は一定期間の免許制というようなことも考えたわけでございますが、そういうものでは今までの事業は継続できないという小さい事業者からの批判もあったというような意見も取り入れまして、経過措置については従前の届け出だけで従来の事業を継続できるというような措置に変えるといったような、そういう事業者の声も吸収した形で経過措置を設けたつもりでございます。  また、大手業省中心の施策が優先し過ぎるんではないかというような御指摘がございましたが、コンテナ基地の運営等につきましては、確かに当初船社とつながりがある港運業者、これも主として大手でございますが、そういう事業者が単独で入って、大幅な貨物の扱い量をふやす、一方では、そういう革新荷役に入れない事業者が在来船の扱いでだんだん減っていくというような事態、言ってみますと、事業間格差がふえてきているというような点も私ども注目いたしまして、港逆協会に対しましては、その間の格差の是正のための施策をいろいろ考えるべきである。したがいまして、コンテナバースの運営等につきましても、港運業者がもうこの時代では単独ではなしに複数で入れるような施策も考えていくというようなことを、いろいろ船社の意見等もございましたが、そういう方向で港運協会、船社の間の話も現実に進みつつあります。  確かに、全事業者に対して十分そういう対策が講じられているかという点につきましては、なお問題があるかとは思いますが、できるだけ企業格差を縮小する、特に零細あるいは近代化の荷役におくれている事業者について新しい場を提供するというような方向での施策を、今後も強めていきたいというふうに考えております。
  379. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 今回、統括管理行為を基盤に繰り入れようとしておられます、その基盤の変更は、やっぱり直ちに雇用不安を生み出すのではないか、こういう立場からお尋ねをさせていただきます。  これもこの間の参考人陳述にありましたように、現行法律の中では、はしけを基盤としておられます人は、やっぱりはしけは全部直営でしなければなりません。船内を基盤としておいでになります方は、年間の荷扱い量四十五万トンの七割は直営でできる能力を保持しておらなければなりません。ところが、今回の法改正によりまして、こういう制約は一切取り払われていくことになります。ただでさえ、今、はしけは稼働率が悪いと言われております。船内荷役等ももっと合理化をしなければならない。そういったときに、多数の港湾労働者を抱えておらなければならないことは、近代化を金科玉条として目指される方には多少の不効率性が残りますかと思います。しかし、この不効率性があればこそ、やっぱり労働者は救われる面もございます。  今、弱肉強食の最も典型的な社会はアフリカのサバンナだと言われます。確かにそのとおりでありますけれども、ここにもやっぱり一つのルールがあります。なぜなれば、強いものは腹が膨れたら必要以上に弱いものを殺しません。しかし、資本主義の社会におきましては、利潤の追求には限界がございません。だから、そのままに野放しにすることは弊害も伴うであろうからということで、政治は法律を設けてそれを一つのルールとしてきたのではありませんでしょうか。だから今日、現状においてははしけが救われております面があります。船内が救われておる面もあります。だけど、今これを外してしまったら、どうして抑止力が働くのでありますでしょうか。  こういうことから生じできますデメリットについては、皆さん方はどうお考えになりますか、お答えを願います。
  380. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今度統括管理の行為が新しい基盤として設けられることになるわけでございますが、この統括管理行為といいますものは、やはり一定の要件があってそれが認められることになるわけでございますので、新たにどの事業者でも容易に基盤変更できるというようなものではないということが一つございます。  それから、はしけ運送自体を直ちに廃止するということに、必ずしもつながるものでもない。  さらに、新たに基盤変更する場合には事業計画の変更ということになりますので、この点につきましては私どもは、労使問題についても十分配慮してその認可をしていくということで、メリットの面とデメリットの面というのはいろいろ考え方があると思いますけれども、私どもとしては、今度の改正によりましてデメリットが直ちに出てくるとか、大きなデメリットが出てくるということはないというふうに考えて、その改正に当たって経過措置なども含めて十分検討したつもりでございますが、なお逆用に当たりましては十分そういった点も注意して進めていきたいというふうに考えております。
  381. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 お答えをいただきましたけれども、私はそれでは理解ができませんが、時間がありません。  最後に、運輸大臣にお尋ねをいたします。  私の考えといたしましては、以上申し述べてきましたとおりでございます。で、いかようにお答えをいただきましょうとも、やっぱり荷役革新の陰には常に犠牲がありますということでございます。そして、この法律改正はそのことを促進することになるということは、この審議の過程で運輸大臣も痛ましい表情をしながらおっしゃっていたように私は記憶をいたしますのでございますけれども、これらに対しまして、例えば今局長さんは、はしけをすぐ廃止するものではありませんとおっしゃる。それはお答えとしてそう答えていただかなければならないだろうけれども、方向としてはその方向にあるのはまたこれ事実なのでありますが、そういったことを実態としてお認めをいただいて、多くの方々の御意見は、これから犠牲者を救っていく道は国が制度化をしてもらうよりほかに方法はない。どういう制度化をすればよろしいのか。そのことに対する私の意見を申し述べる時間がありませんので、例えばそうでもして対応していこうというお考えがないのかどうかひとつお尋ねをいたしたいのが一つ。  もう一つは、先ほどもお答えになりましたけれども、コンテナ埠頭では法律が改正をされる前にあの立派な現実が生まれております。けれども、中小の企業者の皆さん方からは、こんなに我々に影響の大きい法律改正ができるんだったらもっと私たちに事前になぜ話をしていただけなかっただろうか。小なりといえども、そのことを知りさえすればそれなりのまた対応も勉強してきたと言って、極めてやるせない表情で答えておられましたのが印象的でありますが、運輸省としてはそのことはしておるとおっしゃるのでしょうし、さらにまた業界としては順序を踏んでしておるとおっしゃるのかもしれませんけれども、なかなか全体の意見がくみ上げられるような実態になっておらないかもしれません。  以上のことを申し述べさせていただいて、答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  382. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 山田先生の御主張につきましては、よくわかりました。  私の考え方をちょっと申し上げたいと思いますが、港湾運送業はもう申し上げるまでもなく、またしばしば御質問の中にもございましたように、労働集約産業でございます。合理化をするとかあるいは近代化をするということになると、どうしても労働力というものをどうしたら節約できるかということが中心になるということは、仕事の性質上そういうことであると思います。したがって、この法律の問題以前に港湾運送業についての近代化合理化がどんどん進んでまいっておる、非常な勢いで進んでまいっておる。その証拠には、現実に従事していらっしゃる方の人数が激減をしておる。特に、はしけ関係について激減を見ておる、五〇%というような数字になっておる。こういうところへあらわれておると思います。この法律を施行することというよりも、むしろ構造的な問題としてそういう問題がある。しかし、あなたのお説のように、この法律を施行すればそれがさらに促進されるのではないかというような御心配もあろうかと思います。あるいはそういう御心配も全然これは間違いだというわけにはいかないかもしれません。しかしながら、実情に合わせよということで、行管の勧告やあるいは第二臨調の答申もございまして、これは進めるわけでございます。  そこで、じゃ問題はどこにあるかというと、一体これを、後の雇用の問題をどうするかということで問題を解決していくということしか、実は方法がないんじゃないか。この法律をやめてしまったところでどんどん事実が進んでまいります、そういうことにもなるわけでございますし、我々としてはこの法律をつくるまでに各方面の意見は一応全部聞いております。聞いておりますが、入れられなかった意見もあるでしょう。だから、その点も、あなたが質問の中でおっしゃっているようなことをおっしゃっている方もいらっしゃるんだろうと思います。しかし、我々としましては、多数の皆さん方の、そして系統的にいろいろな御意見を聞きながら、この法案をつくり上げたということなんでございます。  問題はしたがって、重ねて申し上げるようでございますが、雇用の不安をどうしたらなくせるか。この問題は、この法律改正一つの機会としてこれだけの質疑が交わされておるわけでございますから、これにどういう方法を講ずるかということに尽きると私は思っておるのでございます。  この雇用労働の問題に関してはそういうことなんでございまして、そういう点につきましていろんな御質疑なり応答の中にいろいろございますが、我々としては十分にこの点について配慮をしなきゃならぬ。問題は、そういう点につきまして、方法と同時にやっぱりタイミングの問題も非常にあると思うんです。どのような急速な状態において変わっていくかということ、ゆっくりいろいろな対策を講じながら変わっていくのとうんと違ってまいります。そういったようないろんな見地からこの問題と取り組んでいかなきゃならぬ、かように思っておるのでございまして、けさほども私答弁を申し上げましたが、政府といたしましてこういう問題について、全力を挙げてこれはやらなくちゃいかぬ。ただ労使に任せるだけではいけない、かように存じております。  港湾労働者皆さん方は、長年の非常なお働きによって日本の経済を支え、このような貿易大国になっておる、こういう言うならば縁の下の力持ちをなすっていただいておる方々でございますから、私どもはそういう気持ちを忘れることなくこれに対応していく、タイミングの問題もあわせて考えながら考えていくということだろうと、かように考えておる次第でございます。
  383. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  384. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  385. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、反対する立場で討論を行うものであります。  港湾逆送事業は、本来労働集約型産業であり、このことは輸送手段が技術革新し、機械化、近代化が進展してもその本質においては変わりありません。一九六七年以降、貨物取り扱いの激増と海運船舶大型化と、これに伴う国際競争力の激化に対応するため、コンテナ船の就航を皮切りに、今日まで七兆円の資金を投下して六大港の機械化、近代化設備整備、改善に政府主導で取り組み、貿易立岡にふさわしい港湾事業の物的基盤は確立されました。  反面、人的要素である港湾労働者は一九七四年、十万三千人いましたが、一九八三年には七万四千にまで落ち込み、この十年余に三万人が職場を去り、解雇、劣悪な転職などにより今日極めて苦しい生活環境に遭い込まれています。また、今日港湾で働いている労働者も、港湾労働法が有効に機能しないざる法であるため、常用労働者、日雇い登録労働者及び直接雇用労働者は深刻な雇用不安と低賃金、年金、退職金、医療など、社会保障の欠落で苦しんでいます。  加えて、審議の過程で、やみ雇用労働者が大幅に存在して港湾労働秩序を乱し、さらに行政の調査に対し、一部暴力団的妨害が横行しているなど、極めて前近代的労働環境にあり、このことは、労働集約型産業である港湾運送事業が極めて危機的状況にあると断ぜざるを得ません。  我が党は、ILO総会が一九七三年に採択した港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約百三十七号及び勧告百四十五号を批准し、港湾労働法を初め関係法を抜本的に改正整備することが緊急な政治課題だと提案してきましたが、十年余を放置され、このことが今日の危機を招来し、政治の根本的欠陥であると断ぜざるを得ません。行政責任もまた重大であります。今回の法改正は、この歴史的な経過と現状を無視して、表面的には、第一に、技術革新に対応する船内沿岸の免許を一本化し、新たに港湾荷役事業の免許を新設し、第二には、一般運送事業者を基盤とし、新たにコンテナ近代化施設における統括管理行為を追加しようとするものであります。  改正で事業者はコストダウンとメリットが供給されましたが、港湾労働者に与える影響と対応は法的にも行政的にも明示されず、逆に物流の国際一貫輸送体制強化に拍車をかけ、今日以上に雇用不安等を増大させ、港運自体、ひいては貿易立国日本経済と国民生活に重大な悪影響を与えるものとして、反対するものであります。  政府は、運輸、労働、通産及び大蔵が一体となってILO百三十七号条約、百四十五号勧告を速やかに批准し、関係法律の抜本的改正を行い、今日までの不平等の是正を含む港湾労働者雇用の安定と生活水準の向上を図り、経済大国にふさわしい魅力ある港湾環境づくりに最大の努力をすることを要求して、討論を終わります。(拍手)
  386. 梶原清

    ○梶原清君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  御高承のとおり、港湾運送は、海陸交通の接点である港湾における物流機能の担い手として、我が国経済発展国民生活向上に多大の貢献をしているところであります。しかしながら、近年、近代的な港湾施設整備や、コンテナ荷役等の荷役方法革新により、港湾の様相は一変し、事業法についてもこのような情勢の変化に適切に対応すべく、その見直しを行う必要に迫られております。  すなわち、今日の港湾運送コンテナ荷役、サイロ荷役、自動車専用船荷役等のいわゆる革新荷役がその大半を占めるに至っておりますが、このような荷役においては、はしけ運送を介せず、船内作業、沿岸作業が同一の事業者により一貫して行われているため、もはや両者を別々の事業として区分することの必要が薄れてきております。  他方、コンテナ埠頭等の近代的な施設においては、元論である一般港湾運送事業者は、港湾運送の企画、実作業の指示等を行うことにより一連の作業を統括管理しておりますが、このようないわゆるターミナルオペレーションは今日的な荷役においては枢要な要素となっており、新たな基盤として評価すべきものであります。  以上のことから、今回、業種区分について船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合して港湾荷役事業とすること、及びコンテナ埠頭等の施設においてみずからの統括管理のもとに一定量以上の港湾運送を行う場合にも関連事業者への下請を認めることとする本法案は、いずれも規制と実態の乖離を是正しようとするものであり、また、効率的な港湾運送事業の実施を図る上で時宜を得た適切な措置と、賛意を表するものであります。  なお、今回の改正を規制の緩和、自由化への第一歩を踏み出すものとして懸念を表明する向きもありますが、事業の免許制、運賃料金の認可制という事業法の根幹には何ら変更を加えるものではないのであります。  また、既存の事業者に対する経過措置についても、本法施行の日から六カ月以内に届け出れば、従来の業務の範囲に限定された港湾荷役事業の免許を受けたものとみなすこととされており、従来どおり事業が営めるよう十分な配慮がされていることも、極めて適切な措置と、賛意を表するものであります。  以上、本改正案に対する賛成の理由を申し述べましたが、港湾における物流合理化は今後とも引き続き進展することが予想され、また、国際化への対応、情報化への対応等、新たな要請も高まっているところであります。政府においては、今後の港湾運送をめぐる経済社会情勢の動向を十分見きわめ、将来にわたって円滑かつ効率的な港湾運送事業の実施が図られるよう引き続き努力すべきこと、また、港湾労使においては十分な協議のもとに港湾労働者雇用の安定に努められることを要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  387. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、公明党・国民会議を代表して、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  港湾運送事業は、港湾における物資の荷役を通じて我が国経済発展に大きく寄与してきたのでありますが、港湾施設整備と物流合理化の進展に伴い、その荷役形態もはしけ運送等の在来荷役から大型荷役へと大きく変貌しており、今回の改正はこのような港湾運送の実態に合わせて事業規制の見直しを行うものでありますが、港湾運送事業の八〇%以上を中小零細事業昔が占めている現状と、革新荷役の増加に伴いここ数年港湾労働者が大幅に減少していること等を考え合わすと、事業の実態に合わせた改正だからと簡単に賛成するわけにはいかないのであります。  反対の第一点は、船内荷役沿岸荷役の業種区別の統合により一貫輸送体制が促進され、一貫荷役を担当する業者とその他の専業業者との間の企業格差が増大し、下請系列化が進み、中小零細業者が廃業に追い込まれ、また、そのもとで働く港湾労働者を離職に導くことは必至であります。  反対の第二点は、ターミナル基盤による一般港湾運送事業者の下請制限の緩和は、大手元請業者による中小零細港運業者に対する支配を強めることとなり、下請系列化によるしわ寄せを中小零細の専業業者やそのもとで働く港湾労働者に押しつけることになるからであります。  反対の第三点は、コンテナ化や専用埠頭における一貫荷役の増加で港湾労働者の職域が年々縮小していく中で、港湾労働者の職域確保のための法的措置を講じることなく、また有効な雇用安定策が講じられないまま、免許業種の統合や一般港湾運送事業者に対する下請規制の緩和を行うことは、港湾労働者雇用不安のみを増大させるものであります。コンテナ化等による雇用問題について解決のめどをつけてから、法改正を行うべきでなかったかと思うのであります。  以上三点について反対の理由を述べましたが、世界的に国際複合一貫輸送体制が進む中で、港湾運送事業者の位置づけ、その職域の明確化、経営基盤の強化等について必要な施策が講じられるとともに、港湾労働者雇用の安定、労働条件の確保、福祉の向上等について有効な措置が講じられることを強く要請し、さらに港湾における新しい荷役方法に関するILOの百三十七号条約政府が一日も早く批准することを要望いたしまして、私の反対討論といたします。(拍手)
  388. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表して、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行います。  本改正案は、現行の免許基準が急速な輸送合理化近代化に伴って実態に適応しなくなったために、この乖離を埋める意味を持つ応急的なものであり、むしろ遅きに失した法改正と言えるものであります。  問題は、この応急的措置にとどまらず、港湾運送事業の将来展望とそれに伴う対策をいかに推進するかであります。すなわち、船舶、航空機、鉄道、トラックなど異なる輸送手段を組み合わせて戸口から戸口へ貨物輸送を行うといういわゆる国際複合一貫輸送が本格的に進展し、荷役の革新がさらに一段と進行していくというこの著しい構造的な変化によって、港湾運送事業とそこに働く労働者雇用と生活に今後さらにどのような影響がもたらされるであろうかということであります。  政府は、その将来予測をはっきりと見きわめつつ、変化に的確に対応し得る港湾運送事業の安定化のための誘導策を強く推進していかなければなりません。本日までの審議を通じて、この将来展望と対策が今なお十分に明らかにされなかったことを遺憾とするものであります。この際、政府は、事業の実態と将来について本格的な検討を加え、抜本的な構造改善対策雇用安定化に取り組まれるよう望むものであります。  以上の基本課題への対応と同時に、当面の問題として、政府は、第一に、今回の改正によって最も影響を受けるはしけ事業とその従業員の雇用安定対策について、共同雇用、共国運航体制の推進などを含めた構造改善対策を早急に樹立すること。第二には、港湾労使間の協定によって設立されている港湾労働安定協会の組織、財政基盤を強化し、港湾労働者雇用不安の解消と生活保障を一層拡充すべきこと。第三には、日雇い労働対策に偏った港湾労働法の運用を改め、実態に即して常用労働者雇用の安定に重点を指向すべきこと。第四に、ILO第百三十七号条約を早期に批推するための条件整備を速やかに行うこと。  以上の諸点を要求して、討論を終わります。
  389. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  本法案は、現行の免許基準が輸送近代化に伴う作業実態に適応しなくなったため、船内荷役沿岸荷役の一元化が必要であり、他方、港湾施設整備及び物流の合理化の進展によって、各種荷役機械、コンテナ船が普及し、荷役作業は近代化されたので実態に合わなくなったから改正が必要だというものです。確かに、時代が進むにつれて港湾運送の荷役形態は変化するもので、港湾運送事業もこのような変化に対応するものであることを否定するものではありません。  しかし、その場合に最も留意しなければならないのは、いつの時代でもそうであるが、時代の変化の影響を最も受ける中小港湾運送事業者や労働者へのしわ寄せを許さないという点であります。現実には、現行法で定められた認可料金や下請制限が守られず、中小港運事業者や労働者は多大な犠牲を強いられているのであります。また、革新荷役に対応した新しい港湾運送事業秩序を確立するためには、港運業の職域を明確にし、中小港運業者の経営の安定と港湾労働者雇用不安の解消こそ何よりも必要なことであります。  以上のような立場から、具体的に反対の理由について申し述べます。  反対する理由の第一は、本改正案が港湾運送事業者や港湾労働者のこのような経営と雇用の不安を何ら解消するものとなっておらず、逆に一層その不安を増大させるものとなっていることであります。二種と四種の免許区分の統合は、政府が幾ら弁解されようと、船内沿岸荷役の統合による大合理化計画であることは明白です。  反対理由の第二は、規制緩和による物流の合理化は、結論的には弱肉強食の肯定であり、大手企業の港湾支配を許し、港の公共性を著しく後退させることになることであります。私が指摘した親和会の覚書の事実が何よりも明らかにしているように、大手荷主、大企業が、将来の国際複合一貫輸送体制実現の名のもとに、地元の港湾運送業者の頭越しに、しかも事もあろうに港運の無免許業者と談合して港を支配しようとしていることは、私どもの指摘の正しさの何よりの証明であります。このような不明朗かつ不公正なやり方を断じて許すわけにはいきません。  反対理由の第三は、免許区分の統合や新たな免許基準の設定は、徹底した人減らし、合理化となり、必然的に労働強化と労働環境の悪化をもたらすことにつながる点であります。これらは審議の中でも明らかになっております。  第四は、コンテナリゼーションの進展によりますます増大するコンテナによる危険物輸送の問題点についてであります。これは現実には法律の適用外であり、これが放置されるならば国民の生命財産にとっても非常に重大な問題であることから、政府の早急な対策を求めるものであります。  以上を述べて、私の反対討論を終わります。
  390. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  391. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  392. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、瀬谷英行君から発言を求められておりますので、これを許します。瀬谷英行君。
  393. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、ただいま可決されました港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、法案に対する賛否の態度表明とは別に、輸送革新の急激な進展に伴う深刻な雇用不安、港湾労働対策と、労使関係者の緊密な協議、協力や、ILO条約批准の必要性等の認識に共通の一致点があることを感じ、そのような論議をもとに、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。  一、中小企業の多い港湾運送事業の事業基盤の充実強化を図るとともに、過当競争の防止と雇用の安定確保に、努めること。  一、革新荷役の進展状況についての実態調査を行い、港湾における職域の拡大についての方策を検討すること。  一、認可料金の遵守等港湾運送に関する秩序の確立になお一層努めること。  一、今後における輸送革新の進展等に対応して、港湾労働対策のあり方について関係審議会における審議等も踏まえ十分検討を行うとともに、ILO条約第一三七号の批准に向けて条件整備に努力すること。   右決議する。  以上でございます。  皆様の御賛同をお願いいたします。
  394. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいま瀬谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  395. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 全会一致と認めます。よって、瀬谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、細田運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細田運輸大臣
  396. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいまは、港湾運送事業法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、御可決いただきましたことまことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、政府といたしましてその趣旨を十分に尊重し努力してまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  397. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  398. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十分散会