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1984-07-05 第101回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月五日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員の異動  七月四日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     安武 洋子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 眞事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 安武 洋子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        運輸省貨物流通        局長       栗林 貞一君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君        労働大臣官房審        議官       野見山眞之君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        運輸省貨物流通        局審議官     阿部 雅昭君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       矢田貝寛文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 私は、港湾運送事業法の一部改正案について、これからまず総論、それから第三条関係、それから十六条の関係について質問をしたいと思います。  そこで、まずお願いをしておきますが一時間が限定をされておりますので、衆議院における答弁については十分議事録を読ませていただいております。それを承知の上で質問をいたしますので、答弁については、それらの点は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  そこで、まず今回の法改正の理由を、私が衆議院における議事録並びに本参議院における本会議における大臣趣旨説明答弁等を承りますと、すなわち輸送革新が進み、港湾革新荷役が多くなった、現行法在来型荷役を主体としているので、革新荷役には対応ができない。その趣旨臨調答申、それから行管勧告等が出ているのであります。これに沿った今回は改正だというふうに、運輸大臣並びに関係局長から御説明されているところでありますが、そもそもこの臨調答申は、許認可事業については自立自助、それから行政の過度の介入排除、これを基本理念にしていると思いますし、事業法もこういう立場に立った答申が出されているのであります。また、これから国際複合一貫輸送体制が進むことになります。そうなりますと、港湾の機能が一貫運送人と単なる作業会社に分かれる、大きく変わろうとしております。  今回の法改正はこのことを考慮して行われようとしているというふうに私は思うわけであります。したがって、本法の改正の本質は、以上の判断からいたしますと、規制緩和の突破口になるのではないだろうか、自由化への布石になるのではないだろうかと、大変私は心配をするものであります。運輸大臣並びに運輸省は、事業法根幹に触れないようにしたいと、こう答えています。すなわち免許、それから料金等自由化は行わない、こういうことを答えておりますが、果たして本当に将来にわたっても変えないということが、以上私が言ったことでできるのであろうかどうか。  これはもう再三衆議院委員会において大臣から答弁をいただいているところでありますが、参議院に参りまして委員会のトップでありますので、まず、このことについてしかと大臣からお答えをいただきたいと思います。
  4. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 許認可全般につきましては、これを再検討し、最小限度にしろというのが臨時行政調査会の基本的な考え方、一貫した考え方だと思っております。しかしながら、私ども、個々の事業、その一つ港湾運送事業でございますが、これを見てまいりますと、基本的な問題、つまり新規参入の問題と運賃の問題というものについてこれを外すということは適当でない、これは将来にわたっても適当でないと考えております。その他の点についていろいろ面倒くさい問題がたくさんあるわけですが、そういうものについてはできるだけ外していくという考え方でございまして、これは衆議院で申し上げたことと変わりがございません。  自由化への一歩ではないかというふうな御質問でございますが、問題は、これは後であるいは御質問があるかもしれませんけれども、申し上げるまでもなく、港湾海陸接続地点でございますので、一体どこでそのいわゆる陸上運送事業港湾運送業とを切るかという問題は、これは相当議論が分かれる問題であろうと思います。各国の実情もいろいろのようでございます。でございまするので、これらの点については今後検討しなきゃなりませんが、少なくとも現状を大きくすぐさま変える、あるいはごく近い将来に変えるというようなことには私はならないんじゃないかと、かように考えておる次第でございます。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 自由化問題その他についてはおいおい詳しく聞いていきますが、今の大臣答弁で、少なくともこの事業許認可運賃等々についてはやはり自由化をする考えはない、規制緩和をする考えはないと、こういうことを言われたんでありますが、そこで私はお聞きしたいんですが、今、料金、いわゆる特殊料金というのがあるわけですが、大体これが全体の七〇%を占めているというふうに言われていますが、そういうふうに現状を受け取っていいでしょうか。
  6. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) お答えいたします。  一貫荷役といいますか、そのような近代的な荷役による取り扱いが非常にふえておりまして、おおむねその割合は七割ぐらいございます。そのようなものは大体特殊料金の適用を受けているような荷役形態であろうというふうに考えております。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 そこで大臣、このところは非常に重要なんですが、今もおっしゃったように、特殊料金が全体の七割ぐらいだということをお認めくださったんですが、特殊料金表面はいわゆる認可料金になっておりますが、実際には荷主船社との間のネゴ料金となっていると思います。ですから、これは私から言わせると、一応表面認可料金になっておりますが、実際は今言ったようなところでネゴシエーションによって決められているわけですから、今後私は輸送革新がふえればふえるほどこのことは強くなってくると思うわけであります。いわゆるその特殊料金がさらにウエートを高めることになってくると思うんでありますか、そういう状況の中で、大臣、いわゆる事業根幹に触れる一つの問題として、運賃について認可料金というものを守り得るのかどうか。  この点について、実態制度との間の矛盾についてどうお考えになりますか。
  8. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 認可料金、つまり料金を認可すると申しましても、これは単に、単一に一本で押さえるという意味では必ずしもないんでございまして、その中身についてはいろいろな方法があろうと思うのでございます。これは、事業実態に合わせた、仕事実態に合わせた料金制度というものを全体として認可するということであろうかと思うのでございまして、それらの点は実情がいろいろ変わってまいれば、料金認可そのものは残すんだけれどもその中身については実情に合うように考えていく、こういうことだろうと思うのでございます。  もう一つ別な問題があるわけでございまして、それは、そういうことにいたしてもなおかつ守れるかどうかという問題がございます。これは陸上でも同じことでございますが、何といいましょうか、力関係といいましょうか、荷主さんと業者との間の、そのときの景気やら需給の状況やらいろいろなことから、非常に料金が変動をするということがございます。私は港湾については比軽的安定しておると思いますが、陸上トランクなどについては、この認可運賃料金の実施ということはもう、ほとんどあってなきがごとき状態と言われるほど問題になっておるのでございまして、この料金全体としてはそういう問題がございます。  私どもは、これは困る。形態によっていろいろ認可運賃料金は決めても、決まった認可運賃料金はこれはどうしても厳守をしてもらわなけりゃならぬ。これは、一方で、業者そのものがお互いに足を引っ張り合うということを自粛してもらわなきゃいかぬ。それからもう一つは、荷主さんの方で圧力を不当に加えてもらっては困る、私どもそういう立場でございます。しかし、実情はなかなか難しくて、認可運賃料金か守れないという問題はございます。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私のお聞きしているのは、作業形態なりによって、その認可料金が何も単一ということを聞いているわけじゃないんです。もちろんいわゆる一貫作業の場合の特殊料金というのが現状あることは事実です。ところが問題は、それが守られていないということですね。なるほど大臣がおっしゃったように、陸上トランク運送業に比べてどうかということはあると思います。ところが、今後この法律改正に基づいていわゆる輸送革新がどんどんこれ進むわけですね。そうしますと、一貫作業ということにおける特殊料金がふえてくる。ところかその特殊料金が、認可された特殊料金自体が守られてないということを僕は言っているわけです。  それがますますひどくなりはしないか、その対策をどうするのかということを僕は言っているんです。
  10. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) この問題は、今度新しくできましたいわゆる貨物流通局の、海陸空を通じての最大の問題と言ってもいいような問題なんでございます。非常にこの行政、難しい行政でございますし、大事な行政だと思っております。  ということは、先ほどちょっと申し上げましたが、需要、供給の関係やまた業界相互間の競争関係でなかなかこれ守られなしとしう実情にございます。また、余りにこれを業界が申し合わせをすると、これは公正取引委員会の問題にもならないわけではない。こういうことでございますので、運輸省行政のスタンスとしましては、これはあくまでも守ってもらうように、あらゆる方法とあらゆる場面を通じて荷主に協力いただく、また業界自体が協力いただくということ以外にはないと思っております。おっしゃるように非常に心配といいましょうか、心配どころではなくて実際にそういうことが起こる可能性が非常に強い、また現に起こっておる問題である、かように思っておる次第でございます。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 大臣は私の指摘したことについてお認めになりましたから、その問題は後からさらに各論の中で具体的に詳しく問題を展開していこうと思いますが、総論的に言うと、今回の法改正一つの大きい問題点があるということを申し上げておきたいと思います。  続いて、これも総論的に大きい問題としてまず申し上げたいのは、今日の輸送革新によって港湾労働者人員削減という大きな犠牲を受けているわけでありますが、そこでまず、一九六七年コンテナ船が就航して以来、今日で約十七年になります。その間に輸送革新が非常に進んでいますが、港湾労働者は六大港において、常用、それから登録日雇い労働者、どれぐらい削減になっていますか。
  12. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 港湾労働者の数の推移について申し上げます。  先生、一九六七年、昭和四十二年、コンテナ船の始まったころを基準とされましたので、それ以降の推移を申し上げます。  常用労働者の数でございますが、全国ベースで見まして、昭和四十二年には十万四千三百七十七人。当時の日雇い労働者、これは六大港でございますが、一万九千百七十人でござしました。歴年の数字はございます……
  13. 安恒良一

    安恒良一君 結論だけでいい、結論だけで。
  14. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) その数字は、現在のところ、五十七年で申し上げますと、常用労働者七万九千三百人、日雇い労働者五十七年定数は千六百七十八人になっているという状況でございます。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 私、今数字を読み上げられただけですから、ちょっとパーセントをすぐぱっと出せないんですが、大体あれですか、六大港常用が約半分ぐらい、それから登録日雇い労働者の九〇%、約五万人ぐらいが減っているというふうに考えていいでしょうか。
  16. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) パーセントで申し上げますと、最高の年次が昭和四十四年の数字になっておりますので、それからの減、二万五千八百五十六人の減、率で申しますと二四・六%、約二五%常用労働者は減っております。日雇い労働者の場合は約九〇%減っておるという状況でございます。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 港湾労働者は、六大港だけではわずか常用は二十何%ですか、五〇%ぐらい減っておりはしませんか。間違いありませんか、数字は。
  18. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 六大港常用港湾労働者でございますか。ちょっと恐れ入ります、至急数字を、先ほど全国数字を申し上げましたか、その六大港数字につきましては至急当たらせていただきます。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 私がお聞きしているのは、質問は、すべて六大港だけでどうなっているのかということを聞いているんですよ、今のは。六大港。最初から全国のは聞いていません。私の質問は、六大港常用労働者がどのくらい減ってパーセントは幾らか、登録日雇い労働者は数が幾ら減って幾らかということで聞いていますから。いいです、それは後で。そこは質問を保留しておきましょう。後から出してください。  私ども調査では、大体今言ったような状況になっています。  そこで、今回の法改正によって、輸送革新がさらに現状よりも進んでいくことになりますが、この輸送革新によって犠牲になっている港湾労働者雇用保障をどうするかということが、これは衆議院でもかなり問題になっていますが、この点をどのようにお考えになっているのか。ILO港湾条約には、そのことによって港湾労働者雇用問題が生ずることを防止するためのことか定められています。  そのことは、ILO考えは、これは港湾労使だけの問題ではない。また、港湾労使だけでは問題は解決ができない。そこで、国の責任においても対応策が講じられるべきだ。こういうことがILO港湾条約の中には明記をされているわけでありますか、これらの問題点について、いわゆる雇用の基本問題について、ひとつ明確な考え方を出してもらいたい。  今回の法改正に基づくところのさらに大きな雇用不安が私は起こってくると思いますから、ILO港湾条約、これはまだ我が国批准はしておりませんが、当時政労使行ってこの条約には賛成票を投じていますね。賛成票を投じて、まだ我が国批准が終わってないたけなんですから、その精神からいって、これらの問題点について、雇用の基本問題についての明確な考え方を一遍ひとつ聞かせてもらいたい。
  20. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 港湾におきます荷役革新、これはコンテナ化中心にいたしまして四十年以降急速に進展してきておるわけでございますが、この荷受革新こよりまして、我が国においては取扱貨物が急速にふえてきたにもかかわらず、港湾がネックになるということもなく、円滑な流通確保が図られてまいりました。これは我が国産業国際競争力確保とか、国民生活の、安定などに多大な貢献をしてきたわけでございますが、こういったことは、確かにそこに働く労働者の方々についても、いろいろな環境の変化をもたらしたわけでございますが、ただ、全般的に言いまして、私ども港湾労働環境在来型荷役に比べまして改善されてきているというふうな認識はいたしておりますが、港湾労働者雇用確保観点からも事業発展、安定というものは何よりも重要であるという認識のもとに、設備の近代化整備につきまして、政府関係金融機関とか財団法人港湾近代化基金から低利融資を行うといったようなことをやってきておるわけでございますが、しかし、やっぱり時代のそういった流れの中で、業種によりましてはなかなか、そういったことで事業発展が図れない分野か確かにございまして、例えばはしけとかいかだというのかその分野でございますけれども、そういった点については、やはり不況対策法業種指定を行うとか、可能な限り政府として助成も行おうということで、それぞれに対応した施策をやってきておるところでございます。  先ほど先先から、ILOの百三十七号条約のお話もございましたが、これも先生おっしゃいますように、採択に当たっては我が国も賛成しておるわけでございますし、できるだけ早期に批准されることが望ましいと考えておるわけでございます。ただ、国内に適した方法ということで、関係者間で理解の一致を見るに至っていないという状況でございますので、現在のところまだ批准には至っておりませんが、そういった関係者間の理解を深めなから、批准のための機運が醸成されますように、運輸省としても、これは労働省とよく相談しながら進めていきたいというふうに考えております。
  21. 安恒良一

    安恒良一君 どうも答弁が抽象的で、納得はできません。さらにこれは各論の中で詳しく聞いていきますが、私は、大臣、このことが一番重要だろうと思うんです。  というのは、輸送革新か進む、例えば一貫輸送なら青貝輸送が進む、それで、それは何のためにやるのかというと、私はそのことによって港湾運送におけるところの生産性向上と、そして事業の安定ということだろうと思います。しかし、ILO条約にも明記をされているように、いわゆる機械化オートメ化、そういうものか進んだ場合、そこから上がってくるところの生産性付加価値の高まりというのは、そこに働いている労働者についても還元されなきゃならないということなんですね。  今日、私から言わせると、いわゆる機械化オートメ化、例えばこの輸送革新ということそのもの反対はできないと思う。しかし問題は、付加価値が上がる。その付加価値というのは、いわゆる国民経済にも還元をされる、そしてまたそこで働いている労働者にも還元をされる、また、もちろん事業の安定もしなきゃならない。こういうことがいわゆる付加価値が上がった場合だろうと私は思う。ところが今の答弁を聞いていますと、例えば後から各論で話をしますか、はしけとかそういうものの労働者についてはということで、単なる離職対策たけ。問題は、そうでなくして、我が国貿易立国でありますから、水際におけるところの港湾作業というのか非常に国民経済に大きな影響を与えていますから、むしろ単なる離職対策たけではなくして、そこで働いている労働者仕事の拡大について基本的に僕はやっぱり考えなきゃならぬ。でなけりゃ、今回のこの法律改正も、後から各論でずっと言っていきますか、どんどんどんどんさらに人減らしが進んでいくということにこれはなって、いわゆる労働者犠牲だけが残るということにこれはなりかねない。  ですから、いわゆる輸送革新によって上がるところの生産性付加価値が高まった場合のそれを、どのようにどう配分をしていくかということの中で、労働者に対する還元というのは何としても雇用の安定、労働条件向上というところにあると思いますか、そこらのことが今の局長答弁では、何となくわかったようなわからぬようなんですが、もう一遍今私が言ったことについて、いわゆるこの輸送革新によって生産性か上がるし、わかりやすく言うと付加価値が上がっていく、ある程度。その場合は、私から言わせると、国民経済にも還元されなきゃならない。事業の安定も必要でしょう。しかし一番必要なことは、このような港湾事業というのは労働集約産業ですから、その限りにおいてやっぱり、労働者雇用の安定と労働条件向上ということにそれが還元されなければ、私は輸送革新というのが単なる荷主とか船主、それだけのものになってはいけないと思う。  そういうことをILO港湾条約は明確に規定をしていると思うんですが、その点はどうなんですか。
  22. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 港湾作業近代化の利益を労働者にも還元しなければいかぬというこの基本的なお考え方については、全くそのとおりだと思っております。百三十七号条約精神もそこにあるわけでございまして、まだ批准こそいたしておりません、これはいろいろな点かまだ熟していない点があるために批准していないと思うのでございますか、精神はしかしそういうことにあることはもう間違いございません。  問題は、私はかように思うのでございますか、その精神をどう生かしていくかということについて、非常に急激に変わってまいっておりますのと、著しく変わるものでございますから、労働の内容が変わってくるわけでございまして、それをどのように転換していくかということが非常に大きな問題ではなかろうか。これについては港湾運送業界労使を通じて非常な苦心をしておると思うのでございます。苦心をして、ただ、仕事がなくなったからこれはやめろとか、どうこういうこともやっておらないと思います。いろいろなことか、例えば職種を転換するとか、いろんなその他の点についても労使の間で話し合いもされておるし、やられておると思いますが、役所といたしましては、それらのことか円滑にいくように、基本的な精神に合うようにできるだけ指導してまいるといいましょうか、誘導してまいるといいましょうか、そういうことをやる必要かある、かように考えておる次第でございます。
  23. 安恒良一

    安恒良一君 大臣精神論じゃないんですよ。既に大臣もお聞きのとおりに、コンテナか入ってから、いわゆるコンテナ輸送中心になってから、約五〇%の港湾労働者人員削減になっているわけでしょう。それに基づいて今回の法改正を行って、さらにそれか促進をされる、そういう心配。そこで、その労働者をどのようにするか。あなたがおっしゃったように、職種の転換で港湾労働者か職場をきちっと得る、労働条件もきちっと得るなら、それは機械化オートメ化について、そのもの反対をする労働者はいないんですよ。  機械化オートメ化——古い労働運動の歴史の中には機械ぶつ壊しという労働運動も昔ありました、一部。しかし今日、世界全体として、機械化オートメ化というのが進む場合に、労働者の職を奪ってはいけないということなんです。職を奪ってはいけない。その次は、労働者に対して、上がった付加価値というものが労働者労働条件還元をされる、こういう中において機械化オートメ化というのか、全体の産業構造もずっと変わっていくわけでしょう。その場合に、港湾の場合において、これから各論の中でなおそのことは詰めていきますか、私は今回の法改正というものがさらに労働者の職を奪う、そういうおそれかある。もしくは賃金、労働条件を下げるおそれがある。そういう観点からこれは心配をしていますから、精神論的にお答えいただいてもどうにもなりません。しかし、これだけで時間をとるわけにいきませんから、中身は後で詰めていきますか、ます大臣雇用の基本問題について非常に大きい問題があるということの御認識をひとつしておってもらいたいと思います。  そこで、その次に入ります。  輸送革新によって荷役形態が船内、沿岸の区分がなくなります。そこで二種、四種の一本化となっていますが、一方では船内、沿岸の単独免許も限定をして与えようとされています。私はどうも今回のこの法改正というのは、簡素化ではなくて逆に複雑化しているんではないだろうかと思うのでありますが、なぜこのようにされるのですか、どうも私はわかりません。そこのところについてもう一遍簡潔に、今回のようにこういうふうにどうしてもしなきゃならぬということについての、理由を説明してみてください。
  24. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の法改正趣旨は、先生御承知のとおり、コンテナ化荷役革新の進展によってもう事態が非常に進んでおるということに対応するものでございまして、その実態からいって、船内と沿岸を一本にして一つ事業区分を設けるということかポイントでございますが、ただ、その簡素化の点で、今の法律改正の内容からいっていかかなものかというお話がございました、その限定をつけた免許というものを依然としてやはり、これは経過措置としての考えでございますけれども、置いておくということにつきましては、これは現実の問題といたしまして、船内、沿岸いずれか一方の免許しか保有していない事業者も多数存在しているという事実がございます。それから、船内のみ、沿岸のみという港湾運送の需要というものも、ところによっては一定量はやはり依然として存続するということもございますか、特にその中には中小の、あるいは零細の事業者が多くて、新しい基準を充足するために必要な施設の保有とかいったことの手当てをすることか、非常に困難な事情ということもありますし、あるいは既得権の保護という観点もございます。混乱を生じさせないということもございまして、従前の範囲内で引き続き事業を営むことができるということにしたわけでございまして、統合法においても船内あるいは沿岸限定を残すというのは、こういった事情をいろいろ考慮した結果、調和点を求めて、混乱を起こさず、いわば全体としての行政簡素化というものをスムーズに実施していくということからとった措置であると、御理解いただきたいと思います。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 私は、輸送革新が現在の形態現状もやられているわけですから、このような複雑な経過措置をして、より一層さらに複雑にする必要はないと思うのでありますが、まあここは意見の違いであります。  そこで、そのことはさておきまして、中身について少し聞きたいんですか、二種と四種の一本化によって、港湾荷役事業者と船内、沿岸単独の限定免許業者との競争が、私は強まるのではないだろうかというふうに思うわけです。一方の方は、一貫料金でやれますね。今度新しく港湾荷役業者の認定を受ければ、一貫料金でやれる。それから労働者の数なども、後でこれは詳しく聞きますが、免許基準には差が出てくるようでありますね。そうしますと、一貫業者と、それから船内とかそれぞれのいわゆる限定免許業者との間の公正な競争が、本当に行われるだろうかどうかということであります。  こうした免許制度の複雑化から来る企業間競争によって、そのことかまた、前段に戻りますが、今度は労働者雇用労働条件に影響を与えることになりはしないか、こういうふうに私は思うのでありますが、そのような処置はどういうふうにするんですか。今申し上げたように、いわゆる非常に公正競争が私はできなくなると思う。公正競争が非常に困難になると思いますか、そういう場合に、こうした免許制度から来る企業間競争によって、労働者雇用労働条件にいろんな影響を与えることになると思いますが、そうならないような処置をどうしますか。いや、影響を与えないようにしようということをおっしゃると思いますが、具体的にどういう処置をされますか。
  26. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 先生御指摘の点は、限定免許を持つ人と一貫をやる人との間での差で、免許基準あるいは料金の問題で不当な競争が起きるんではないかという御指摘かと思います。  私ども、新しい港湾荷役事業の免許制度を導入するに当たりましては、当然免許基準をつくり、あるいは認可料金を設定しなければならないわけでございますが、私ども昨年、既存事業につきまして既に、船内あるいは沿岸についての免許基準の見直しを、これも臨時行政調査会行政管理庁の勧告を受けて、最近の荷役状況に応じた見直しをいたしたわけでございます。したがいまして、今回港湾荷役事業の免許か新たに設けられるに当たりましても 船内と沿岸を免許基準としては足し上げたものをベースに、若干の合理化効果的なものは考えられるのではないかということで、極めて微調整的なことは必要だとは考えておりますが、そこで大幅な免許基準の差を設けるつもりはございません。  また料金の点でございますが、現在の料金制度におきましても、船内、沿岸という形での料金が認可されておるほかに、船内、沿岸を一貫してやる場合には五%引きだという制度が現在設けられております。私ども、その制度を一応前提として今後も運用し、問題があればさらに改善する必要があるかと思いますが、現在のところはそういうものをベースに考えていきたいというふうに考えております。  したがいまして、免許基準の点にいたしましても、料金制度にいたしましても、現行を大幅に変更することは一切考えておりませんので、それぞれ単独で船内あるいは沿岸を今後引き続き営業される方は、それなりに、地域の港湾あるいは大港湾の運河筋ですとかあるいは特定の工場の沿岸取り扱いですとか、かなりきちっとした契約関係に基づいた事業をやっておられる方が多いと思いますので、急激な秩序を乱すような動きがこれによって起こるということは考えておりませんし、私ども、御指摘がありました点は十分体し、何かの際には地方の運輸局等を通じまして、個別の問題については個々に対処いたしてまいる所存でございますが、大きな混乱はなしに十分対応できるものというふうに考えております。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 これも三条、十六条の各論の中で詳しく説明を求めますが、あなたは大きな混乱はなしというふうでいけると、こう言っていますが、果たしてそうなるかどうか、後で各条ごとに少しお聞きをしたいと思います。私は大変心配。それはなぜかというと、衆議院で土屋参考人は、国際競争に勝つためにはコストダウンを迫られている、その意味からも今回の改正案は賛成だと、こう業界代表は言っておられるわけでありますね。ですから、荷役料金の一貫性によって料金を引き下げようとしているわけでありますから、すなわち今回の法改正によって、より一層港湾運送事業法競争原理が導入をされる。そうすると、競争原理が導入されますと、いわゆる弱肉強食、これが残念ながら資本主義社会においては行われるわけですね。現行においても行われています。ですから、このような中小零細企業等を中心とする、基盤の弱い港湾運送業の中に弱肉強食がとられたんでは、あなたか言っているように、急激な変化はないなどという見方は甘い。そういう見方は甘いですね。  ですから、このことは後から、各論の中で具体的に少しあれをしましょう。あなたはそう急激な変化は起こらないと言っているが、私は、今回の法改正かいわゆる競争原理をより一層導入し、そして弱肉強食になって大きな混乱が起こりはしないかということを、大変心配していることを申し上げておきます。  そこで、その次の問題は、一種元請の免許基準に今度は統括管理行為を新たに加えていますが、統括管理行為とは直接の作業行為ではない。これは今後の国際複合一貫輸送体制を頭に入れて、一種元請とは港湾荷役作業から切り離して、一貫運送としての方向をねらっているものであるというふうに思います。一種元請が、従来のはしけ基盤から統括管理行為に変更した場合、はしけ関係労働者は、下請あるいは解雇ということになると思います。ですから、この点も詳しことは各論で聞きますが、はしけ関係労働者雇用をどう守るのか、これは具体的措置をひとつ聞かせてください。単なる離職対策ではだめです。離職した場合にはこうこうこういうことでするという、そんなことはもう衆議院でも何回も聞いています。私は、単なる離職対策を聞こうと思っておりません。  いわゆるはしけ関係労働者雇用をどういうふうに守っていくか、具体的措置について、ひとつこの点についてますお聞かせを願っておきたいと思います。
  28. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) お答えいたします。  今回の改正によりまして、一種事業者の中には、従来のはしけ基盤から、新しい統括管理を基盤とする、施設的な基盤をベースに仕事をするという事業者が出てくることが予想されるわけですが、私ども現在のところでは、五大港はしけ基盤の無限定一般港湾運送事業者、このうちの四十五社かはしけを基盤としておるわけですが、このうちの半数程度が新しい統括管理基盤の方に移るんではなかろうか、また移れるだけの施設あるいは貨物の扱い量その他を持っているんではないかというふうに見ております。  こういう方々が、逐次二年間ぐらいでその転換を図るということをいたしますと、百八十人程度のはしけ乗組員の方の雇用関係について、事実上の影響が出てくるのではないかという想定をいたしております。このはしけに乗っておられる方々、はしけの乗組員の方々については、従来から三次にわたる買い上げ等をやりまして、いろいろ影響が出て結果的にははしけの乗組員の方が相当減少しているということは事実でございますが、このような新しい統括管理基盤への変更に伴いまして新しい過剰が出る、すぐ解雇につながるようなことがあってはならない。できるだけ私どもは、そういう方々に新しい職業訓練等を実施いたしまして、陸上の、あるいはターミナルの中における転換ができる仕事に、第一義的には会社の方で配置転換ができるような形での対応をとられるように、指導いたしたいと考えておりますし、また、ことし、日本港運協会と労働組合との合意の中でも、新しい職業訓練制度のための予算も計上して、そういうことの対策に強力に取り組むということを言っておりますので、労使間でそういう問題についても十分協議が行われ、第一義的には港湾運送の中の他業種に円滑に転業できるような形での対応が講じられるように、十分私ども心を配ってまいりたいというふうに考えております。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 この点も非常に抽象的で、納得できません。後で雇用対策雇用保障については総括的にお聞きしますから、その際に、希望的な観測ではなくして、百八十名なら百八十名がどの職業にどういうふうに配置転換ができるのか、職業訓練を受けてできるのか、このことをひとつ聞かせてもらいたいことを申し添えておきます。今は総論ですから。私は、あなたのおっしゃったような、職業訓練を受けて新しい配置転換ができるだろうとか、そういうふうに努力するということでは、これは労働者の生首の問題ですから納得できません。ですから、後でこの点は中身について詰めたいと思います。そのときに、答弁を用意しておってください。  そこで、三条関係についてひとつまず私は質問に入っていきたいと思いますが、現状をひとつ認識をしておきたいと思いますか、五十八年十月一日現在で全国の船内事業者、沿岸事業者、船内と沿岸の両方の免許を持っているのが三百七十六社、船内免許のみが二十七社、沿岸免許のみか六百十四社、合計千十七社、これはこれていいわけですね。
  30. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 船内及び沿岸の免許を持っている全国状況は、先生今御指摘のとおりでございます。
  31. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今度新しい法がここで、国会で成立すれば施行されるわけでありますが、新しい港湾荷役事業の免許基準は、法律成立後省令あるいは通達で定める、こういうふうになっていますが、このことは非常に重要です。ですから、ひとつぜひ、今考えられております省令の案、もしくは通達の案、これを説明してもらうと同時に、運輸省にいただきたいと思いますが、この点どうですか。
  32. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の改正に伴います省令通達ということを先生おっしゃいましたか、まだ具体的に通達のところまでいっておりませんか、省令については私どもなりにいろいろ検討はいたしております。  それで、今回の船内、沿岸の統合などに伴います省令事項といたしましては、まず引き続き事業を営むための届け出事項がござします これにつきましては、その事業者の氏名、名称、住所といったもの、あるいは現在事業を営んでおります港湾名、事業の種類、業務の範囲、業務の範囲が限定された事業にあってはその業務の範囲、それから現在営んでおります事業の概要及び事業の用に供しておる施設及び労働者数といったようなものを現在考えております。  それから、十六条関係の新しい基盤に関する省令事項といたしましては、統括管理の率でございますとか、あるいは統括管理の行われる施設、それから統括管理の行為内容などがございまして、そういったものを具体的に決めていきたいというふうに考えておりますが、この法律の施行がほぼ半年先を考えておりますので、なお詳細につきましては、これから詰めていくということだと思っております。
  33. 安恒良一

    安恒良一君 私の聞いていることに的確に答えてください。今十六条関係をまだ聞いておりません。  いわゆる三条関係について、今言っているのは、免許の基準ですね。免許の基準は、法案成立後省令あるいは通達で定める、これは衆議院におけるやりとりの文章を私は引用しているわけです。そこで、少なくとも免許の基準ですから、免許の基準は、とにかくこの法案を通してくれればいいじゃないか、後は後でおれたちでやると、そういうわけにはいかない。衆議院はそれで通過してきても、参議院はそれじゃ通過できない。なぜかというと、免許の基準というものは我々やっぱり知っておかないと、この法案についての意思表示かできない。そこで、私が聞いているのは、例えば免許の基準の中で、いわゆる人をどうするのか、京浜のいわゆる港で船内五十人、沿岸三十五人、計八十五人という労働者の基準があるわけですか、これが今度の新しい免許取得者の場合にはどうなるのかというようなことは、私たちは、それは後から決めるからいいじゃないかということじゃ困るわけなんです。後から決める、おれたちが後で大臣とよく相談して省令で書くからまあお任せくださいったって、お任せするわけにいかないんだ。  私が今言っていることは、もうこの法案を審議して参議院まで来ているわけですから、少なくとも省令、いわゆる免許基準の省令について文書でもらいたい、こう言っているわけだ、文書でもらいたい、それがいいですかどうですかと聞いているんです。
  34. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今、先生おっしゃいました免許基準の問題につきましては、まだ具体的な案ができておるわけではございませんが、検討中のものを整理いたしまして提出させていただきたいと思います。
  35. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、委員長、その点は文書をいただいて、さらにいただいた時点で質問を続行することにして、ここは保留をしておきます。ひとつ、できるだけ早く文書を整理してください。  次に質問しますが、新しい港湾荷役事業免許は、現在は単に船内免許、沿岸免許を持っているということだけではなくして、船内と沿岸作業を一貫して行っている体制もあるんでありますが、今回これらの新しい港湾荷役事業免許を出す際に、これをチェックするということを言っておられますね。免許申請があったときチェックする、こう言われておりますが、その点について、どういう点をチェックされるんでしょうか。船内と沿岸作業を一貫して行っている体制があるかどうかをいわゆるチェックする、こういうふうに言われていますね。今回新しい免許を出すについては一遍それをチェックしたい、こう言っておられますが、免許の際にチェックするというのは、どういうことをチェックされるんでしょうか。
  36. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、船内及び沿岸の両方の免許を持っておられる方が、この法律改正後新しい一本化された港湾荷役事業の免許を取ろうという申請をされた場合には、私ども、現在船内と沿岸というのをばらばらでやっているだけではいけないんで、それが一貫してやられている状況、すなわちどのような荷役機械を手配し、どのような労働体制をとっておるのかといったようなことが一貫荷役体制の基本になると思いますので、そのような荷役体制がとられているのか、また現実にとっている場合はどのような形でとっているのかということを、免許基準の審査の際に、その事実関係を審査するということが必要であるというふうに考えております。
  37. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、チェックする基準というのは、労働者の数、労働体制と、機材器具、これが一貫輸送ができるかどうかと、この二点ですか、そういうふうに承っていいですか。
  38. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 労働者及び施設、その二本が基本になるというふうに考えております。
  39. 安恒良一

    安恒良一君 いや、基本になるというのは、何かまだほかにあるんですか、基本になるというのは。それが中心になるというのは、ほかにあるんだったら、この際、チェックは何と何と何でチェックするかちょっと言ってみてください。
  40. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 具体的には、荷主の要請に応じて作業いたしますので、その荷主の要請に応じて、どの岸壁あるいはどの工場の敷地で、どのような施設を使い、どのような労働者の配置体制をとっておるか、その点を審査いたします。
  41. 安恒良一

    安恒良一君 もう少してきぱき答えてもらわぬと時間がもったいないからね。  そこも、後でちょっと文書で下さい。あなたは一々後ろに聞いて自信なげに答弁してもだめですから、整理をして、チェックするのは何と何と何でチェックするんだというのを、後で文書で下さい。いいですか。
  42. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 承知いたしました。
  43. 安恒良一

    安恒良一君 この免許を受けた事業者の健全な育成ということを原点に行政指導をするというんだが、少なくとも今回の法改正が起爆剤になって、いわゆる一貫輸送体制を行って、新しい免許を受けた人と、それから沿岸なら沿岸、船内なら船内だけの間の、仕事上の優劣を争う、こういうことが起こってきやしないか。すなわち、場合によると、船内、沿岸が統合されて一貫をされることが原因になって、一部の事業者が事業を廃業しなきゃならぬ、こんなことに私はなりはしないか。どうしても、一貫でやる人と 船内もしくは沿岸だけでやる人の間に、いろんな点で優劣が出てきはしないかという心配をしておるんですが、その点はどうですか。
  44. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 新しく免許を受けることになります港湾荷役事業の方々、それから従来の船内あるいは沿岸の方、これがやはり優劣を競ってあるしは廃業に追い込まれるのではないかというお話でございますけれども、その点につきましては、法律改正あるいは施行、運用については私どもとしても随分気を使っておるつもりでございまして、一つは、先ほど申し上げました経過措置といたしまして、従来の船内あるいは沿岸の事業をやっている方々も届け出によって限定を受けた格好で仕事ができる、かつ、実態面といたしまして急激に変わることがないだろう、先ほど先生の御意見もありましたけども、私どもはそういう考えで、かつ料金などについても大きな問題を起こさないような格好で決めたいと思っておりますし、またそのほか今後の運用について、私ども事業者の立場あるいはそこに働く労働者の方々の雇用の問題なども十分意見を聞きながら運用してまいりたいと思っておりますので、急激な変化あるいは先ほど先生が言われました廃業に追い込まれるということはそう問題が出てこないんじゃないかというふうに私ども考えております。
  45. 安恒良一

    安恒良一君 これもまた衆議院と同じような答弁をあなたはされたんですが、既存の事業者に影響がないと、こういうふうに言われていますが、五月十八日の衆議院における高嶋参考人の意見陳述で、法改正によって一つの企業でも殺してもらっては困るが、物流の流れについていけない企業は別だと述べておられますし、土屋参考人も、国際競争力に勝つためにはコストダウンを迫られている、その意味からも今回の改正案は賛成だと述べられています。ですから、こういう参考人の御意見、また私自身がこの問題点を究明する中で、果たして影響はないというふうに言えるのかどうか、あなたたちは自信を持って言えるのかどうかということであります。  それはなぜかというと、今回の法改正の内容は、港湾の物流合理化、技術革新による大型作業機械等の導入により、従前からは港湾労働力の不必要とする作業あるいは作業パターンか、近代的な技術労働に変更されるということになるわけであります。ですから、そういう貨物の種類、作業を対象に置いての法改正の内容でありますから、その意味では私は、港湾の構造変化が進む中で、革新作業部分のみに行政指導、それのみに行政指導の目が向けられていく、中心になっていく、そしていわゆる在来の作業部分については落ち込む、こういうことになっていく。ですから、その落ち込む方の業種作業、箇所については十分な行政指導もされない、こういうことになりますので、いわゆるされないところか、そういう仕事については経済競争の原理の中に放置する、こういうことになるのではないでしょうか。  でありますから、今日の港湾全体の物流合理化の進行か非常に激しいその日常の中で、業種区分の統合は、その免許基準、料金水準の変更を伴うものであり、その結果は、従前の作業形態の変更と、一貫作業体制の一層の促進、省力化、料金上の不平等等による荷動きの変化をもたらし、既存事業者の業績の変化や労働条件の低下に私はつながると思うものでありますが、これらの点についてあなたたちは今、大した影響はないんだ、急激な変化はないんだと、こう言われていますが、私が指摘をした角度から見て、本当に問題はないんでしょうか。私は正直に、議論するときには問題があるならある、しかしこれはこうするというふうに言ってもらわぬと、いや問題はないんですよ、急激な変化は起こらないし、既存の業者もみんな守れるんですよと、そういう通り一遍の答弁では困るわけです。  少なくとも、だれか考えても産業構造、経済構造が大きく変化をしていく場合において、やはり既存業者に対する影響というものか出てこないはずはないんです。特に、今回の場合は、一貫作業をやる業者と、船内と沿岸だけやる、これが、私が前段で申し上げたように、公正競争はできないんです、どうしても。そうすると、だんだん荷物を扱うのは一貫業者中心になっていくということになっていくと、船内や沿岸だけやっているところに大きなやっぱりしわ寄せが来るということは事実じゃないでしょうか。そういうものについて、認めるものは認めた上で対策をどうするかというのが私は国政の場における審議だと思いますが、何となく、いや大丈夫だ、大丈夫だ、こういうことではこれは困るわけですか、そこらはどうですか。少し正直に話をしてみてください。
  46. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 現在、ただいま先生おっしゃいました点に関しまして、私どもは実は、今度の改正そのものによりまして直接混乱を生ずるとか、あるいは非常に何か過当な競争が促進されて激化してくるというようなことはやはり考えておりません。  ただ、私ども心配しておりますのは、これは四十一年ごろからどんどん革新的な港湾荷役が進んでまいりまして、私どももこういう法律改正お願いすることになったわけでございますけれども、しかし、港湾運送事業というものはやはり経営基盤の脆弱な中小企業者か多いとか、それから事業の性格からいって波動性、あるいは不安定性を内包しているとか、そういったいろいろな事業者、業界内部における問題というものはやはり変わってない点が多い。したがって、全体的な経済の構造、産業構造の変化の中でどうやってそれに対応しつつ雇用不安を起こさないように持っていくかという、全体の流れの中でこれに対処していくやり方、これは私どもやはり、大きな流れの中での問題として、十分対応すべく努力していかなければならないと思っておりますが、この法律改正実態を踏まえたものでありますだけに、直ちにこれによって混乱か生ずるということはないだろうと、そういう考え方でございます。
  47. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私が今議論しているのは、今度の法律改正によってどういう影響を与えるかということを議論しているんですからね。私はあなたの見解とは全くそこは違う。私は、今度の法律改正によって起こってくるであろう混乱や労働条件の低下、その他の問題を議論しています。  そこで、じゃそうおっしゃるならば少し中身に議論を突っ込んでみましょう。  事業の統合による既存の事業者、従業員への影響は、本当にあるのかないのか。あなたは、ないとおっしゃる。現行の事業法は、第二条で港湾運送の行為を定め、第三条でその事業の種類、第四条で免許区分を定めています。この法令に基づいてそれぞれ施設、労働者の保有基準、扱い量等の免許基準が定められています。そして、この法令に基づいて専用埠頭や一貫輸送体制が進んで、今日もそれぞれ船内、沿岸の作業は、法令の秩序の上で作業の遂行が行われているのが現状であります。それか今度、事業免許が統合されることになると、従前の船内、沿岸の作業区分を取っ払うことになります。そうすると、省力化、それからコストダウンを至上とする最近の物流合理化の動きの中で、一貫輸送一貫作業体制にかかわっていた複数事業者の契約の変更、それから労働者数の減少をもたらすことになると思います。  ですから、それでも行政は、今回の法改正が影響がないというふうにおっしゃるんですか、私はやはり影響かあると思うんですが、今回の法改正によってその点はどうでしょうか。
  48. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 新しい免許基準をつくるという必要性はございますが、私ども、先ほどお答えいたしましたように、現在の船内、沿岸を合計したものを基準として、それに近い数字での免許基準を設定するというふうに考えておりますので、また、免許基準というものはいわゆる事業の免許のための最低基準でございまして、現実の事業者というものは、取り扱い規模その他によりまして、免許基準をはるかに超える施設あるいは労働者等を使用して作業をやっているというのか実情でございまして、免許基準が数字が若干変わったからといって、すぐそれが大きい影響を起こすといったような性質のものではないというふうに考えております。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、それも抽象的じゃなくて、資料でFさい。  あなたがおっしゃったように、免許基準をはるかに超える労働者の数によって実際の作業が進んでいるということですから、じゃ具体的に六大港における事業者、AならA、BならB、こういうのがある。それは免許基準はこうなっているが、現実はそれをはるかに超えて作業をしているとおっしゃいましたから、間違いありませんでしょうから、それは出してみてください。私の方は、必ずしもそれが守られていない、後でこれは各論の中で議論するんですか、守られていないという心配をしているんですから、まるっきりここは見解が違う。あなたは、免許基準をはるかに超える数で実態はやっておるとおっしゃるんですから、これは後で数字としていただいてひとつ議論をしたいと、そこは思います。  この統合された免許基準については、あなたたちは、今もおっしゃいましたように、従前の船内、それから沿岸の両部門の異なった作業が、一貫作業で行われることにより共通部分が出てくると思いますね、共通部分が出てくると思う。ですから、まああなたは、それに近いと今おっしゃったんですが、これを一貫作業でやるという以上は、省力化ということをやっぱり考えられているから一つ一貫作業というのも出てきていると思うんですよ。あなたは、それに近い数字でやるから心配ないとおっしゃいますか、ですが、私から言うと、当然機械化の導入が進みます。それからこの作業区分の範囲がなくなります。今までの船内とか沿岸とか、それがなくなるわけです、一貫してやりますから。いわゆる船内、沿岸の一貫作業を遂行する上で、私は一層どうしても、あなたは先ほどないとおっしゃいましたけども人減らしか進むんじゃないかなという実は心配をするわけです。  ただ単に、業務を一貫してやるということじゃなくて、業務を一貫してやることには、当然機械化の導入という問題が来るし、それから共通部分が出てくるわけですから、そうするとそこには、共通部分か出てくると、省力化という問題がこれはやっぱり出てくるわけなんです。ですから、近い基準、近い基準と、こうおつしゃつていますか、こんなことはすぐわかることなんですよね。あなたがそんなことを言っとっても、後から見てみたら、何のことはない、大型機械かどんどん導入されたりして、それからいわゆる共通部分が出てきて作業区分がなくなりますから、そうすると業者としては、それだけの人は要らぬ、こういうことにこれはなるんですよ。ですから、そういうところについては、全くあなたの考えと僕の考えは、非常に答弁か食い違っているんですか、大丈夫ですか。  まだあなたも若いようですから、これから何年か運輸省のお役人をおやりになると思うが、後で、あのときはしまったということになりはしませんか。私はやっぱりこういう問題は、少し正直に言うところは言っておかないといかぬと思うんですよ。それをきれいごとで過ごして送っていますと、これは議事録に載っていますから、何年も残りますから、後でいやあということになったときには大変なことになると思います。  私は、今回のこの統合された免許基準というのは、どうしてもそういうものをもたらすものだというふうに思っているんですが、どうでしょうか。もう一遍、念のために聞いておきます。
  50. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 新しい免許基準の問題については、先ほど来審議官が申し上げておりますとおりでございまして、私どもは現在そういうふうに考えておりますし、また著しい人減らしといいますか、先生おっしゃいましたそういうこと、あるいは雇用不安というふうなものは起こさないというふうに信しております。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 起こさないと信じていると言ったって、あなたかやるわけじゃないんですよね。雇うのはこれは業者でしょう。あなたがやるわけじゃないんですからね。起こさないようにしたいというお気持ちでしょう。起こさないと言われても、あなたが雇用されるわけじゃないんでしょう。  業者というのは、今申し上げたように、機械を入れたり、それから作業区分を変更して、今まで別々にやっておったのを一貫してやるようになると、どうしてもダブリが出てくる。ダブつたところはこれは省力化しよう、こうなる、これはやっぱり業者というのは当然考えるわけですよ。ですから、そういう意味から言うと、私は、あなたが幾らお思いになったってどうにもならぬわけですよね、これ、あなたか思うだけでは。やはりそういうことかないような裏打ち、法的なきちっとした裏打ちかないと、あなたは思うと言っても、私はそこのところは了解できない。  それじゃ、そういうことについての法的な裏打ちはどうするんですか、あなたがおっしゃったような。私は、大型機械か入ったり一貫作業になると、残念なことであるが、ダブリその他があって、作業区分が変わると一層人減らしが進みやしないかということを大変心配している。あなたはないと言うが、ないと言うだけじゃだめなんですよ。監督官庁としての裏打ち、保証はどうしますか。
  52. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) なかなか、抽象的に問題は起きないであろうと申し上げましても、先生がおっしゃるように、それでは本当のところはわからぬじゃな、かといりお話でございますので、現在私ども具体的にその免許基準の案なども検討いたしております。また固まったものではございませんけれども、そういうものもまとめまして一回ごらんに入れたいと思います。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、この点も保留して、資料をいただいた上でまた改めて論争しましょう。  それじゃ次に参りますが、従前に船内、沿岸の複数事業者かかかわっていた場合、この免許の統合によりまして契約の変更、あるいは事業者ではその事業から、その作業からの撤退を余儀なくされることも考えられますが、こういう事態は起こらないのかどうか。行政はどう判断するか。もう一遍申し上げますと、船内、沿岸の複数の事業者が一つ仕事にかかわっていた。ところが今後は、免許の統合によりまして、そのことによっていろいろな契約の変更も出てくるでありましょうし、そうすると私から言わせると、やはり事業者がダブるんじゃないか。一貫をやることによって能率が上がってきますし、いろいろ。そうすると、複数のうちのどこかの業者が、その仕事から、作業から撤退を余儀なくされるようなことが起こりやしないかという心配をするんですか、その点は、今回の法改正に伴って、行政はどういうふうに判断をされておりますか。
  54. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 繰り返しになるかもわかりませんか、現在既に一貫運送を二つの免許でやっておられる方、船内を持ち沿岸を持っている方が、船内と沿岸を続けて一貫して荷役をやっているという形態のものにつきましては、今後それか一本の免許によって行われるということで、実態の変更は基本的には起こらないのではないか。したかいまして、契約等につきましても、具体的な作業を一貫でやっている者が、二つの免許が要ったものが今後一つにまとまるということで、取引関係がそれによって全く新たに変わるということではないのではないかというふうに考えておるのでございます。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 いや、今度の新免許になってということで、業者の数が変わると言っているんじゃないんですよ、私が言っているのは。  免許統合によって、契約の変更あるいはその作業から、——いわゆる複数でAという仕事をしておったと、何社か入って。それか今回の免許統合によって一貫作業が行われるようになる。今までは船内、沿岸、こういうことでやっておったわけですね。それが今度は船内、沿岸を一貫をした業者になる。そうすると、複数の業者でやっておったような仕事から、いやもうそんなに荷主の方としては、今度は一貫作業ができるようになったんだからそんなに数社要らぬよと。こんなことになりはしないかということを言っているんですよ、私は。そのことは、こうした事態が起こらない、全く起こらないとあなたたちはお考えになっているんですか。私は起こるという心配をしているから聞いているんですが、そのことを聞いている。
  56. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、作業をやっているのが既に一貫荷役的な作業が多いということを前提にして、私ども、それを一つの流れとして一本にとらえたらどうかという考え方をしておりますので、免許基準が一本になったからといって、その場で例えば荷役能率が急に上がるということではないと思いますし、現実に一貫でやっている方々は、そのままの事業形態というものを継続されるというようなことか通常であろうというふうに考えますので、免許基準が一本になればその中で事業者がはじき出されるとかいうようなことは、通常は起こり得ない事態ではないかというふうに考えます。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 どうもおかしなことをおっしゃいますね。  現在やっておるままなんだから、ただ今度は免許基準が変わるだけだと言うけれども、それじゃ何のためにやるのかというと、やっぱり国際的な一貫輸送体制をし、しかもやはり能率も上げる、こういう意味で今回のやつ、やられるんでしょう。それをあなたたち、聞いていると、いや、そんな急に能率が上がるわけじゃないと。能率も上がるわけじゃない、何にもなかったら、何もこんな法改正をする必要ないじゃないですか、何にも。そうでしょう。現在もやっておるんだから。 一貫でやっておるんなら、一貫ということでいいじゃないですか。それをわざわざ法律改正するわけでしょう、法律を。法律改正する中の一つは、やはり国際的な一貫輸送体制、それはさらに省力化、いわゆる能率を上げるということにも、参考人の意見を聞いてもあるわけですから、そうなると、私から言わせると、やはりはじき出される、一つ作業なら一つ作業ではじき出されるのがやっぱり出てきやしなしかと思うんですけれども、どうもあなたたちの言うこと、全く矛盾をしておってわからぬわけです。ですから、ここはさらにあれをしてみたいと思います。  もう一遍、そこのところを冷静に考えてみてください。いいですか、一つ作業に今までは数社かかかっておった 今度はいわゆる一貫作業をやれるようになったときに、そのまま数社かその仕事をやれるのかどうか。それはやれる場合もあるでしょう。しかしやれない場合も、はじき出される場合もありはしないかということを言っているわけですから、素直にあなた答えてもらわぬと、いやいや今までどおりだから何にも変わりませんよというなら、何もあなた、こんなこと、国会に法律改正出してくることないわね、私たちに。長時間議論することもないんですよ。どうですか、そこは。
  58. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) この統合問題につきましては、既にコンテナ荷役が導入された四十二年、それ以後だんだんこういう形態か主流になってくるということで、例えば四十八年ごろから、こういうような事業は、もうはしけを介在するような個別事業ではなしに、一本でとらえたらどうかという指摘がなされて、私どもももう十年かかりで、こういうような法律改正問題がいすれは出てくるということで、検討はしておったわけでございます。  その間、実質的には、実際の経済の動きとしては、一貫運送といったものがどんどん進行し、現実には、二つの免許区分を持ちながら実際その中で労働者が共同して作業するといったような形態が現実に進んできているということで、言ってみれば、我々、この法律改正は、そのような事態が進んでいることにおくれているんではないか、法制がおくれているという御指摘を行政管理庁及び臨時行政調査会からも受けたということでございまして、むしろ、確かに時代に相当おくれて、現状に合わせることを主力とした改正になっているという点は否定できないと思います。したがいまして、時代的に非常におくれてきたものをかなり現状に合わせようという面か強いという点は事実でございまして、そういう面からいいますと、この法律改正が新しく大幅な変更をもたらすのではなしに、事後的に、従来規制と現実とが対峙してきたものを平仄が合うように持っていきたいというのが今回のこの部分の改正の主な理由でございます。  したがって、そのようなことから考えますと、統合されたからといって大幅な変更かないということを、結果的にはそうなるということを申し上げておるわけでございます。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 これも答えになっていません。そういう今回の法律趣旨は、もう何回も聞かないでもいいんだよ。耳にたこができるほど聞いているんだし、議事録を読んでいるんだからね。そんなことを今あなたから聞く必要はない。私が聞いていることは、現実の問題を聞いているんだか、どうもかみ合いませんね。これ、また改めてやりましょう、ここは。  そこで、具体的な事例を一つ聞きたいんですが、ある一つの企業におきまして、作業によっては船内と沿岸の両方の作業を請け負っている、別の作業によっては単独の作業を請け負っている部分がある、そういう企業についての新免をどのように判断をするんですか。
  60. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 個別の船内だけ、あるいは沿岸だけの免許を持っておられる方は、一挙に、港湾荷役事業の免許基準を引き上げますので、適合する状況が早急には困難でございますので、経過措置としまして、そういう方は従前どおりの事業が継続できるという附則を設けております。  今後、新規にそれではそのような沿岸だけ、あるいは船内だけの限定免許をするのかという御指摘だと思いますか、私ども、このような時代の趨勢を見ますと、今後は一貫作業をやるような港湾荷役形態というものが将来的には望ましい姿である、そういう考え方に立ちましてこの法律改正お願いしているわけでございまして、今後新たな免許を出すに当たって、船内だけ、あるいは沿岸  だけという限定免許を出すというようなことは、そのような趣旨にも合わない。したかいまして、経過措置として従来の既存事業者につきましてはそのような措置を設けますが、将来の方針といたしましては船内、沿岸、一貫してできる港湾荷役事業という形での免許、したがってそれぞれの免許基準に合うような事業実態であり、計画を持つ、そういう事業者について免許をしていくという考え方をとりたいというふうに考えております。また、そのようにしなければならないというふうに考えております。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私が今聞いたことには必ずしも的確な答えになっていないんですが、ある一つの企業において、作業によっては船内と沿岸の両方の作業を請け負ってやっている企業がある。別の今度は作業の場合には、いわゆる単独の作業を請け負っている部分がある、そういう企業の場合は今回の新免ではどうなるんですかと聞いているんですよ。そのことだけ、こうなる、ああなると言ってもらえばいい。
  62. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 事業の区分といたしましては、船内及び沿岸の行為を行うものを港湾荷役事業というふうにとらえますので、その両方あわせてやるもの、あるいは契約によりましてはその一部だけやるもの、これがいずれも港湾荷役事業の免許の事業の内容として行える行為であるというふうに考えております。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 いや、その内容はわかってるんだよ。そういう企業かあったときの新免はどういうふうにするんですかと聞いている。一つの企業の場合だよ、事例を挙げているんだ。Aという企業かこういうことをやっている、その場合にこの会社の新免はどうなるんですかと聞いているんですよ、僕は。
  64. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) その事業か現在免許を持ってやっておるということでございますか、それとも、そういう計画で今後新規の免許を申請したいと、こういう場合でございましょうか。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 いや、そういう一つの企業において、現在請け負ってやっていると言っているんですよ、請け負ってやっているということを僕は限定してちゃんと言っているんです 新規にやりたいと聞いているわけじゃないんですよ。
  66. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 経過措置におきまして、現在やっている事業の範囲についての事業は、届け出をすれば継続してできるということでございますので、いすれの事業も継続してできるという取り扱いに、経過措置で措置しておるわけでございます。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、こういう場合はあれですか、一貫作業体制か行えない企業はいすれにしても限定つきの免許になる、こういうことになるわけですか。あなたたちは、現在、船内、沿岸の限定免許の形で事業家等は継続できるというふうに今もおっしゃったんですが、問題は、能率の上がる作業、貨物は一貫作業、一貫料金で行われることになり、それとの対比で限定免許、限定作業にかかわる分はどうしても競争上不公平をもたらすことになり、そのことが荷動きの変化、需給関係のバランスを失うことになりはしないかと、このように私は思いますがどうでしょうか。  つまり、運輸省は、いわゆる法改正によって事業の廃業、大手と中小零細事業者の優劣を引き起こすことはないというふうにさっきからもいろいろ言っておられますが、私は、今回の法改正は合理化が進む、貨物の種類、作業、それにかかわる特定事業者の一層の効率化、省力化を進めることを促進させ、それから取り残される事業者、従業員の不安定な構造部分については、どうもあなたたちは自由競争の渦中に投げ捨ててしまう、こういうことになりはしないかというふうに思うんであります。法改正の影響は、個別の事業では、需給関係の変化によって会社の業績の低下、悪化となってそれがだんだん次第に表面化してくる。ですから、今回の法改正は、そのような企業間の競争に拍車をかける、こういうものではないかと私は思うんです。    〔委員長退席 理事桑名義治君着席〕 結果的に企業間の競争に拍車をかける、こういうことに私はなると思うんでありますが、このような施策は本当に正しいのかどうか。  あなたたちは港湾事業全体の指導に当たっているし、いわゆる行政監督の立場にあるんですが、どうも三条関係、いろいろ聞いておりましても、どうしても企業間の優劣や激烈な競争ということにだんだんこれが発展をしていくような気かしてなりませんか、そこのところはどうでしょうか。
  68. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、今回の改正は、革新荷役か非常に進んできておるという実態を踏まえまして、これにいわば法規制も合わせたような格好でお願いしようとしているわけでございますが、具体的なやり方といたしましては、新しい事業料金水準などについても、従来の船内あるいは沿岸でやっております。そういった料金水準を十分配慮した基準にしようということなどによりまして、競争上非常に不公平な状況になるというふうなことはないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、新しいそういった革新荷役といいますか、そういった荷役形態がやはり経済の構造にも合った時代の流れとして進んでいくという傾向にあることは事実でございまして、そういう意味におきまして今度の法律改正はむしろ追いかけてという感じが相当あるわけでございますけれども、だからそうなるということではなく、全体的な流れの中での配慮ということを私どもはしていかなければいけない、そんなふうに考えております。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 どうも議論がかみ合わないのは、さっきから、現在の流通革命の中で法律改正は追っかけだと言われているんですね。そこまではわかる。問題は、今ここで議論していることは、その法律改正がもたらす結果の、いろいろ影響について議論をしているわけですよね。いわゆるコンテナ船が入ってきて、コンテナ、そして国際一貫輸送、そして流通革命、こういうことで、そのこと自体は世界の流れとして、また日本の流れとしてあるわけです。だから、それに応じてあなたたちは、法律を後追いで改正しているとおっしゃっている。そこまではそうだ。  それで問題は、今回法律改正をすることによっていわゆる港湾業者の間にどういうことが起こるのか、またそこで働いている労働者にどういう影響を与えるのかという、そこが一番議論の焦点なんですから、前段のことを幾ら聞いてもしようかないんですよ。問題は、今回の法律改正、それによってどういう影響をもたらすのかというところにやっぱり焦点を当てた議論をしてもらわぬと、私は何もあなたが言われた前段の、世の中全体の産業構造が、流れがこう変わっているんだからそれについて後追いをしなきゃならぬということについての議論をしているわけじゃないんですから。  どうも議論か全然かみ合いません。ですから、この問題について、私は何回も言っているように、今回の法律改正かいわゆる弱肉強食ということによって業界競争かより一層激化する。そうでなくても、港湾運送事業者というのは中小企業者が多いわけですよ。中小企業者が多いわけですから、その中において、一方は一貫輸送の体制のできる業者、一方は限定免許づきの業者というのが残るわけですね、これ。それで、その中で荷物を扱う競争をするわけですからどうしても競争激化につながり、その結果、まあこれは資本主義社会の原則だと言われるかもわかりませんけれども、弱肉強食ということになったのでは、今回の法改正の意図しているところとは違うことになるわけですから、そこのところをやはりきちっとしてもらわないと  あなたたちは、そこを聞くと、いやいやそんなことはない、そんなことはないと抽象的に言われて、そういう心配はありません、こうおっしゃいますけれども、私はやはり経済の法則、特に資本主義社会における経済の法則というものを冷静に見詰めると非常に心配なんですよ、冷静に見詰めると。  しかし、その場合でも、このような中小零細企業の多い業界についての保護というものは、行政として、政治としてしていかなきゃならぬ。ましてや、そこで働いている労働者労働条件、賃金等も一緒に守っていかなきゃならぬというのが私は政治だろうと思うし、行政だろうと思いますから、そこのところがどうも、さっきから何回も言いますか、話がかみ合いません。  ですから、大臣、どうですかね、どうも局長と幾らやりとりしておっても、何か靴の上からかゆいところをかいたような気で、一つも話が進まぬのですが、どうせきょうは二時間ですから改めてまたゆっくりやらさせてもらってもいいんですが、  どうなんですか、そこのところ。
  70. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) どうも話がちょっとかみ合っておらぬようでございます。私も聞いておりまして、我が方の言わんとするところと、質問者の御意見とか少し食い違っているような感じかするのでございますか、私はこのように考えます。  現実に港湾において熾烈な競争が行われておるわけでございますね。今、弱肉強食というお話かございましたか、この法律のいかんにかかわらず、現にもう行われていろいろな問題か起こっておる。それについて日本港運協会なども非常な努力をしておられるようでございますし、各港、港でいろいろなことが起こっておると思うのでございます。そこでこちらで、答弁側で言っておりますのは、この改正によってそういうことが起こったり促進したりするものではありませんということをお答えしておるんです。しかし、そういうことはないのかと。それは私は、あるのが当然で、これはあると。ただ、あなたの御質問は、こういうものを一本にしたらそれをさらに促進するのではないか、こういうことをおっしゃっておると思うんですが、それは促進しないようにするんだ、こう言って回答しておる、こう思うんでございます。  私は、こういう一般港湾運送事業ができますと、なるべくならば限定免許でない、一般のものの免許をもらうという努力が業界の中ではされるのが一般だと思いますね、これは。この法律か通れば、両方やれるようにするという方が当然であります。それができないというのはこれは私は港、港のいろんな特殊な、あるいは荷主さんとの関係とか、あるいは特殊な場所における特殊な作業関係とか、いろんなものがありますので、この限定のものが残るんだというふうに思っておるんでございます。  で、一般的な港湾状況について言えば、一般の、例えばコンテナ埠頭なんかについてこういうものが残るということは考えられませんね。ですから、どうしても、こういう両方取る、限定免許でないようにする努力が起こってくるんじゃなかろうかと思います。それでもなおかつ残るというものは、ある意味ではそれだけのレーゾンデートルのある、いろんな長年の関係とか、特殊な荷役関係を持っているとか、そういうところのものかむしろ限定として残っていく可能性があるんじゃなかろうか、かように思っておるんでございます。  したがって、あなたのおっしゃっておるのは、私はわからぬではありません。これは、この法律をつくっておるのは後追いの法律で、港湾荷役における主流が一本になっておる。コンテナリゼーションというのが非常に進んだということのために、これは後追いでやるんだということを言っておるわけでございますけれども、それと別にもう一つ問題が、それから今度は逆に起こってくるんじゃないかという御心配かあることは事実だと思います。ですから、それに対応する対策というものは十分考えていかなきゃならぬ、これはもうそのとおりだと思います。実は、今既に起こっておる問題、それに輪をかけてそういう問題が起こってくることは避けるべきではないか、どうするんだ、こういう御質問だというふうに受けとめておるわけでございます。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 私はやはり、大臣、非常に心配をするのは、それがために数を確認したんですが、船内と沿岸の免許所有者は三百七十六社なんですよね。ところが沿岸のみで六百十四社あるし、船内のみで二十七社あるわけですね。そうすると、今のお考えは、ほぼ三百七十六社は今度の新しい免許がもらえるということになるわけですね。  そこで、どういうことが起こるかというのを、ちょっと料金で言ってその点を、今の点を少し中身をあれしてみたいと思いますが 現行の運賃でも、一貫作業の場合は五%引きになっていますね。ところが、今度いわゆる新しい免許をもらった三百数社は、免許か統合になって、より一層一貫作業がいわゆる合理的にされることになるわけです。今もうそれはやっているからいいじゃないかと言うけれども、そうなりますと、いわゆる少数の一貫の荷役業者が、結果的には私は競争上優位に立つと思うんです。そうしますと、今五%引きでやっていますが、これから料金改定というのが出てくるわけですね。  やはりその料金というのは、いつまでも据え置きというわけにはいきませんから、物価や人件費やその他いろんなことの料金改定の要素を含めてこれを上げていかれるわけですから、そうなりますと、やはり多数の限定免許業者が非常に競争上不利に立ちはしないか、こういうふうに、そしてそのことか、法改正趣旨に反しまして、運送秩序の混乱や競争の激化、また料金の値引きとか、ダンピングとか、いろんなことが起こりやしないかという心配をするわけです。あなたたちから言うと、いや現在でももう一貫してやってるんだから、ただ今度は名前が変わるだけなんだから、そんなことはないだろう、こういうふうに簡単に言われていますけれども、今五%引きですが、私は、さらにやはり一貫業者の方はより作業機械化、省力化、大型化を進めて、その中における合理性で、料金についても、コスト上の競争についても、限定業者よりも優位に立つんじゃないか、こう思うんです。  そういうことにより心配ない、心配ないとおっしゃいますが、料金一つをとっても、私は本当に、五%引きということで現状競争されていますが、そのことが守られていくんだろうかどうだろうかという心配が、料金問題であるんですか、どうですか。料金問題でちょっと答えてみてください。
  72. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今、競争に関連してその料金の問題でございますか、料金については、もちろん認可料金でございまして、その際に、原価計算もして厳格な審査の上で認可をしてきておるわけでございますが、それが本当に守られるのかどうか。それが守られなくて、その辺が引き金になり、過当競争に陥るんじゃないか、それは私どもも非常に心配いたしております。  したがいまして、料金のいわば完全収受といいますか、そういうことはやかましく業界に対しても言っておりますし、これはまた、港運業界だけではなかなかできない問題でもございますので、荷主さんにも働きかけて、適正な認可運賃の収受というものは、これは場合によりまして私ども業者を監査するとか、しかし監査だけではなかなかうまくいかない点もございますので、あらゆる手段を通じて料金の完全収受、なかなかむずかしい問題でございますけれども、できるだけ努力していくということで、それによっていろいろ不当な競争とか、悪い影響は出てこないように努力していきたいと思っております。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 できるだけ努力をするということ以上には出ないわけですが、私は十二時十三分までということですから、これだけやっておくわけにいきませんし、次の機会の論争のために必要な資料等も必要でありますから、この問題はこれぐらいにここはとどめておきます。  それで、十六条関係について、次の機会にいろいろ議論をするための必要なことについて、少しお聞きをしておきたいと思います。  まず、現行法の基本は港湾運送行為を行うことをもって成立をしておりますが、今回の改正案の十六条では、近代的施設をもって行うようにしていくか、そうなると、港湾運送事業法の基本的なあり方を変えることになるのではないかと思います。そうすると、私は第二条の「定義」において明確にすべきものであると思います。単に十六条の「下請の制限」の範囲のものではないのではないだろうかと、今回の十六条の改正について思いますが、そこのところはどうでしょうか。
  74. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今第二条の話がございましたか、二条につきましては、これは従来からの港湾運送行為の最小単位としての要素的な類型を規定しておるわけでございまして、港湾運送行為の具体的な内容を示すとともに、その範囲を画するという機能を果たしておるわけでございますので、そういった行為類型の意味というものは依然として失われていないというふうな理解から、二条の問題ではなくて、三条あるいは十六条について改正の措置をとりたいということになったわけでございます。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私はこのところの見方には一つの意見を異にしていますが、これはこの次やりましょう。それじゃそこにしときます。  それで、今回はいろいろ十六条に基づいて、いわゆる近代的施設問題が出てくるわけでありますが、この近代的施設のほとんどは船社、船会社もしくは荷主所有が多いと思うんです、それからの借り受けが多いのではないだろうかと思うんですが、これらの施設では大型機械化、自動化、電算機による情報管理が進みます。そして、技術水準の発展向上のテンポからいいますと、さらに実作業においても、場合によると無人化すら可能な状況になってきつつあると思うんでありますが、そういう施設で一般事業者は今度いわゆる統括管理行為を行う。統括管理行為というのがつけ加えられるわけですから。そして、実際の作業面に対する責任を持つというのですが、これが運輸省改正案でありますね、今回の。  果たして、こういうような状況の中において、船社荷主のアンダーと、それと港湾運送事業者との統括管理との関係、指示支配の関係をどのように説明するんですか。こういう現状の中において、今私が言ったような現状の中において、いわゆる指示支配の関係をどのようにあなたたちはお考えになって、どのように説明されるんですか。
  76. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) コンテナ埠頭の例でちょっと説明させていただきますと、コンテナ埠頭、先般ごらんいただきましたが、あのような施設の基本的な整備は、従来公団、現在公団は解散いたしまして、それぞれ埠頭公社というところか国の補助等も受けまして整備することになっております。その基本的な施設は公社が整備する。コンテナ埠頭の場合で申し上げますと、基本的な埠頭、それからガントリークレーン、そこにある建物、これらは公社がつくって、船社に貸し渡す。船社が借り受けたもののあそこにおける管理、港湾運送に関します管理運営は、さらに一種業者に任せるという形かとられておりまして、一種業者か、あそこにおきます貨物のチェック、あるいは積みつけ計画の作成、あるいは実作業の指揮監督を行っているわけでございます。その指揮監督のもとに、実際に沿岸あるいは船内の免許を受けました個別の作業会社が、それぞれの必要なフォークリフトですとか、その他の機械を整備いたしまして、その指示のもとに運営いたすというような形になっております。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕  したがいまして、公社あるいは船社というものかああいう施設を借り受け、あるいは委託するわけですが、港湾運送に関する実際の管理行為的なものは一種業者が行うということで、港湾運送に関する部分についての責任はあくまで一種事業者が持つという運営体制がとられておりますので、それらの指示あるいは統括管理というものは、すべて船社あるいは荷主等と切り離されているものというふうに理解しております。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 あなたの答弁は、恐らくその部分は、港湾運送行為は事業法に基づいて事業者が行うと言われるだろうと思ったんですが、まさにそう言われた。  そこで、そういう場合に、港湾運送行為に基づく作業、それから職域、それから労使協定に基づく人員の数 それから料金等について 明確に事業法で担保できるのだろうかどうかということなんです。  船社荷主はどうしてもやはりコストの削減、人員の省力化等々、それから場合によると職域の排除の動きがあると思いますが、あくまでも事業法が優先であり、それに基づく労使間協定か履行されることを、運輸省としては今回のこの行為によって担保できますか、どうですか。
  78. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) コンテナターミナルの管理等につきましては、もう専属的にきちっとした運営ができなければならないということで、特定の会社に管理を委託し、それかまた特定の作業会社にその作業を任せるというような形で、かなり契約関係か特定しております。  そしてまた、コンテナターミナル運営料金というような形での認可を受けまして、そのターミナルの運営か効率的に行われるようなことを船社としても希望しているわけでございますので、認可料金というものは特殊料金という形できちっと守られ、それかまた作業会社作業も健全に行われる。作業が滞るようなことになりますと、コンテナターミナルの運営、船舶の運営自身にも響くわけでございますので、そのようなことがないことを第一に考え料金ども設定されておりますので、先生御心配のような実態はないんではないかというふうに考えております。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 私ども調査では、既存の近代的施設における料金はほとんどか、今あなたも認可料金特殊料金と言われましたが、特殊料金となりまして、能率が上がることを理由に低い水準にネゴシエーションによってなっていると思います。  そこで、あなたはそういう心配かないと、こうおつしゃったのでありますか、特殊料金といえども港湾運送料金の立て方は基準が決まっているはすですね、特殊料金であっても。料金の立て方の根拠、その場合の労務費の算出基準はどのようになっているか、ひとつその水準を具体的に示してください。一日の労働時間、一カ月の労働時間、年間の労働時間、年間の休日休暇、年間の賞与、退職金等々、これは労務費の算出の根拠でありますか、どういうふうに特殊料金の場合になっておるのか、それをひとつ具体的な、長くなるならば後からでも資料でも結構ですから、きちっとした資料で示してみてください。
  80. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 特殊料金の認可基準につきましては、通達を出しております。それで、先生言われたようなことにつきましては、十分そういう基準を示して、その基準にのっとった申請がなされているかということをチェックいたしますので、この資料及び具体的に、例えば人件費等の御指摘がございましたが、それはその港における現実の労働者の賃金、またそれが適正なものであるかどうかというのは、一般のベースから見ておおむね妥当なものであるかどうかというような形でのチェックをいたしますが、具体的な賃金を幾らで決めなければならないというようなことまで通達では書いてあるわけではございませんが、適正な原価というのは大体こういう基準に基づいて審査するという通達を出しておりますので、改めてこの通達を後ほど提出させていただきたいというふうに思います。
  81. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、その資料をいただいた上で次回に論争すると思いますが、ただ、ちょっと現状認識についてお聞きをしておきたいんですが、大体あれですか、今、一日、一カ月の労働時間はどのくらいになっていますか。それから年間の労働時間は具体的にどのくらいになっていますか。それから年間の休日休暇はどういう状況になっているか。それから年間の賞与は何カ月ぐらいでありますか。退職金は大体三十年勤続でどのくらいになっているか。これは他産業との比較をして論争しなければなりませんから、今大変なら後で資料をもらってもいいんですが、現状はどういうふうに他産業との比較の中において、労働時間なり休日休暇なり、賞与なり退職金については、あなたたちは把握をされていますか、全産業との比較。
  82. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 労働省の方でとらえております調査で御説明をまずさせていただきたいと思いますけれども港湾労働者労働時間、一カ月当たりの労働日数で参りますと二十二日、また一日当たりの労働時間数は八・六時間となっております。これは屋外労働者職種別賃金調査でございます。毎月勤労統計調査の産業計で見ますと、それぞれ一カ月の労働時間は二十丁九日、一日の労働時間は八・二時間という状況になっております。  それから、賃金のお尋ねがあったと思いますが、賃金について見てまいりますと、同じ屋外労働者職種別賃金調査によりますと、日額で見てまいりますと、港湾労働者の場合一万三千五百四十円、毎月勤労統計の産業計における男子賃金日額は一万一千九百三十四円ということで、産業計に比べて一〇%強高くなっているという現状でございます。
  83. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 私ども、日本港運協会を通じて把握しておる状況を、補足して説明させていただきます。  まず、賃金につきまして、港湾労働者実態につきましては、昭和五十九年度の主要港の加重平均で月額二十四万五千九百十二円。これを昭和五十九年五月の日経連労政部調査資料というものの全産業加重平均と比べますと、全産業加重平均二十万九千百七十七円ということになっておりますので、その比率は港湾運送事業者の賃金が一一七・六というふうになっているということでございます。  なお、五十九年度の春闘賃金のアップ率は、港湾労働者の場合は三・七五%。これに対しまして、日経連調査の一般産業平均は四・四二%であったというふうに承知いたしております。  労働時間についてでございますが、五十七年度の屋外労働者職種別賃金調査報告、今労働省議官からお話がございましたその同じ調査で、建設業、陸上運送事業等との関係を若干比較したものを見てみますと、一カ月の実労働時間は、港運業百八十七時間、建設業百八十三時間、陸上運送業二百十四時間というふうになっているというふうに把握いたしております。  退職金につきまして、これは主要港の平均三十年勤続の方でございますが、七百万二千円という数字を日本港運協会の方で把握いたしております。  それから、年齢等につきましても、参考に調べたもので申し上げますと、全職種加重平均で四十三歳というのが港湾労働者状況でございます。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 もう時間がありませんからあれですが、次回までにもう少し詳細に一というのは、私が把握をしているのにおいては、年間の総労働時間が二千六百時間から二千七百時間にも及んでいるというふうに聞いていますし、それから、今、一日の労働時間を言われましたが、一カ月の労働時間なんかは二十二日稼働だと言われていますが、実際は二十五日働きたいんですよね。働きたいんですが、仕事がない場合に二十二日稼働になりますから、そこらのことも、稼働日数についても今御説明されたことには疑問があります。  それから年間の賞与、私が調査をした限りにおいて、大体年間わずか三カ月足らずだと、こういうふうに聞いていますが、それがどうなっているのかとか、それから年間のいわゆる休日、休暇、全産業平均に比べて私は港湾はかなり少ないと思っているんですが、そういうことについては、もう時間がありませんので次回にひとつ資料を出してもらいたいと思います。  そこで最後に、いわゆるILO港湾労働条約では、私が何回も言いましたように、荷役革新のメリットは労働者還元すること、社会的水準の収入の安定化と所得保障をうたっています。また、労働時間については、昭和六十年を目安に、二千労働時間の実現と週休二日制の促進を、労働省行政指導の重点としてやられていますが、こういうものが料金算出の根拠にどのように行政指導が図られているのか、具体的にひとつ回答をしてもらいたいと思します 今言ったことが 料金算出の根拠にどのように行政指導が図られているのか、そこのところを具体的に。政府はそうしたいと、こう言っているんですから。
  85. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 料金算定に当たりましても、適正な労働時間というものを基本といたしまして算定するという考え方でやっておりますが、参考に、協定の労働時間は二千五百時間ということになっておりますが、実績ベースで調べますと、船内実労働時間千九百九十九時間、沿岸千九百六十六時間というような数字がございますので、これらを一つの実績ベースの参考資料として特殊料金等の算定に当たっているというのが、現状でございます。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、それも後で資料を下さい。  以上をもってきょうは終わります。
  87. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  88. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 私は、港湾というものが日本の経済の中核であり、港湾発展が日本の経済を支えるものである、そしてまた、その港湾は、それを動かしておる港湾運送事業によってスムーズに運営をされなければ、その使命を果たすことはできないということを、強く信じておるものでございます。  その立場から運輸省に二、三の御質問を申し上げたいと思うわけでありますが、まず最初に、現在非常に景気が低迷をしております。最近におきましてだんだんそれに曙光が見えてきたというふうに言われておるわけでございます。確かに産業のうちある種の部門ではすでに好況とも言えるような状況になっておるものもございますけれども、残念ながら運輸関係の諸産業は、一般的に言って、景気の波動に一段おくれるという傾向があるようでございます。港湾運送事業もその例外ではないと思うわけでありまして、まだ港湾運送事業の場合それほど好況になったとは思いませんけれども、現在港湾運送事業の景況の状況、あるいはまたそれに対して、政府としてどのような対策をおとりになっておられるか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  90. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 昨今の港湾運送は、取扱貨物量か五十六、五十七年度と二年連続して減少しております。対前年度比二・三%、二・八%、五十六、五十七と減少しておりますが、コンテナ中心とする荷役革新、これは急速に進展しておりまして、そういった環境下の中で在来荷役中心にここ一、二年極めて厳しい状況になっておるわけでございます。中でもはしけ、いかだにつきましては、構造不況業種的な色彩を強めている状況でございます。  このような状況に対処するために、政府といたしましては、雇用保険法に基づく雇用安定事業として、はしけ運送業、いかだ運送業及び港湾運送、同関連業を業種指定をいたしました。そのほか、各種不況対策法を積極的に活用するなど、事業の構造改善、失業の予防及び雇用の安定等を図ってきているところでございます。他方、業界におきましても、五十七年十二月に港運構造改善促進財団が設立されまして、第三次のはしけの買い上げの資金融資を初めとする、港運事業の構造改善のための諸措置を実施しているところでございます。  なお、運輸省が最近実施いたしました運輸業の景況調査等によりますと、米国を中心とする世界経済の回復基調と、米国向けを中心とする輸出の拡大によりまして、港運取扱貨物量も対前年比六・五%増と、回復傾向にございます。また、料金の完全収受運動もやってきておりますが、その成果等とも相まって、ばらつきはあるものの、五十八年度の決算状況はおおむね増収に転ずるなど、明るさが見え始めているような状況でございます。
  91. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ただいまの御答弁にもありましたように、革新荷役は非常に伸びてきて、一方、在来荷役の方が非常にいわば構造的に落ち込む傾向にあるというお話でございます。こういったことは、やはり大変力を入れなければいけない問題ではないかと思うわけでございまして、今後とも、いわゆる構造不況業種としての対策というものは、力を入れていただきたいと思う次第でございます。  それから、次に、港湾運送事業の構造がだんだん変わってくる、それと軌を一にするといいますか、ある意味ではそれの原因ともなったと言われておりますけれども港湾の整備がだんだんに進んでまいった、革新荷役を可能にするような港湾か各地でできてきたということが、港湾の運送における革新を非常に促進したと言われておるわけでありますが、現在の第六次の港湾整備五カ年計画、これで整備を進めておられるわけですけれども、ただいま申し上げましたような意味合いでの港湾の整備が、どういうふうに進んでおるのか、そしてまた今後どういう方向に重点が置かれていくのか、そういうことをお伺いをしておきたい。  特に、今後の重点の方向がどういうところにあるのかというのと関連しまして、主要な外貿港が現在どういうふうに進んでおり、また将来どういう方向に整備をしていかれるおつもりなのか、その辺につきましてお答えをいただきたいと思います。
  92. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 前回、港湾運送事業法の一部が改正されましたのが、昭和四十一年でございます。それ以降の港湾整備につきまして運輸省が実施してまいりましたことにつきまして、若干、簡単に御説明申し上げたいと思います。  四十一年以降は第三次から第五次までの港湾整備五カ年計画を終えまして、今先生お話ございましたように、現在では、昭和六十年度を目標とする第六次港湾整備五カ年計画に基づいて、港湾の整備を進めておるわけでございます。この間に、大型の公共岸壁、これは水深七・五メートル以上のものでございますか、従来、それ以前は約五百バース程度でございましたのが、現在では千三百三十バースというふうにふえてきております。また、この間に、防波堤につきましては、総延長四百五十キロメートルというものでございましたか、今では七百十キロメートルというふうにふえてきております。  こういう港湾の整備によりまして、港湾取扱貨物量のこの間における急激な増加でございますとか、あるいは船の船型の大型化でございますとか、あるいはコンテナリゼーションの進展、あるいは基幹産業の臨海ブリッジといったような、それぞれの時代の要請に、湾湾か対処してきたというふうに言えようかと思います。  現在の港湾整備五カ年計画は昭和六十年度で完了するわけでございますので、運輸省といたしましては、さらに昭和六十一年度から第七次港湾整備五カ年計画を発足させる必要があるのではないかというふうに考えておりまして、そのために、その基本となる長期的な港湾整備政策というふうなものを策定すべく、現在検討いたしておるわけでございます。  そういう中で、今後の港湾のあるべき方向という点につきましては、これからの我が国経済社会のあり方、変化の方向というものを十分見きわめまして、それに対応して必要な要請、新しい要請というものに重点的に対応できるような港湾の整備のやり方ということが、必要であろうかというふうに考えているわけでございます。  その中身につきましては、いろいろな点がございましょうけれども、簡単に二、三申し上げますと、例えばます第一点といたしましては、海上輸送分野では、やはり貨物輸送のコストを安くするという役割を果たすことができるわけでございますが、その際に、特に今後とも、船舶の大型化あるいは船舶の専用化あるいは貨物のコンテナ化などの輸送革新が 引き続き進展してしくものというふうに考えております。特に外貿コンテナ輸送につきましては、貨物輸送量が最近でもかなり大幅の伸びを示しておりますし、さらにコンテナ船の大型化の傾向もかなりはっきり出てきております。これらの状況対応した港湾の整備を進めていかなければならないという点か、一つの重点事項であろうかと思います。  また、そのほかにも、エネルギー対策という点が、港湾に重要な課題として課せられております。例えば、脱石油化を目指した石炭あるいはLNGなどの輸入が大幅にふえてまいっておりますし、また原油の安定供給のために、石油の備蓄の促進という点も課題になっておりまして、それらに対応いたしました、いわゆるエネルギー資源受け入れのためのエネルギー港湾の整備という点か、大きな課題として、次の五カ年計画においても対応していかなければならない課題であろうというふうに考えております。  また、そのほかに、大都市港湾などにおきましては、市街地に近接いたした場所あるいは港の奥の方に位置する埠頭などにつきましては、物理的あるいは機能的にも陳腐化したものが非常に多くなってきておるということもございますので、都市機能の調和を十分念頭に置きなから、港湾機能の再生を図るというような形での、いわゆる港湾再開発というような要請にも、的確にこたえていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  次に、今、主要港湾、主要外国貿易港湾におけるコンテナ埠頭の整備をどう考えるかという点についても、あわせて御質問があったわけでございますので、その点について申し上げたいと思います。  昭和四十二年の九月に我が国と米国西岸との間に二隻の改造フルコンテナ船が就航したのが、我が国の外国貿易コンテナ化の始まりでございますか、それ以来、我が国をめぐる国際海上輸送コンテナ化が急速に進行いたしたわけでございます。昭和四十三年にはわずか二十万トンでございましたコンテナ貨物は、昭和五十年には二千四百三十万トンというふうに非常に大きくなったわけでございますか、さらに昭和五十八年には、これは暫定的な数字でございますが、五千九百十万トンというふうなところまでふえてまいりまして、いわゆる増加の一途をたどっておるわけでございます。運輸省といたしましては、これに対応したコンテナ埠頭の整備を進めてまいったわけでございます。  現在、各港に設置されております、埠頭公社あるいはコンテナ埠頭株式会社が管理いたしております供用中のコンテナ埠頭の数は、東京港で八バース、横浜港で六バース、名古屋港三バース、四日市港一バース、大阪五バース、神戸港十二バースということでございまして、合計三十五バースございます。これらの供用中のものに加えまして、さらに東京、横浜、神戸のそれぞれの港におきまして、埠頭公社の手によりまして新たに五バースのコンテナ埠頭が現在建設中でございます。なお、このほかにも、埠頭公社ではございませんけれども、清水港、名古屋港などにおきまして、最近の情勢に対応すべく、やはりコンテナを取り扱うことのできる埠頭の整備を進めておるというのが現状でございます。今後も、このコンテナ輸送の増加の傾向につきまして、詳細に状況をにらみなから、それに対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ただいま、港湾整備の状況を伺いまして、今後の状況対応しながら整備を進めるという御答弁でございますが、昨年行政管理庁から港湾整備に関して勧告が出されまして、その中で、港湾整備は一生懸命やっておられるけれども、十分その目的どおり活用されてないところがあるんじゃないかというような趣旨の勧告があったやに伺っておりますけれども、この点についてはどういうふうに受けとめておられるか。また、この勧告の中身は、今申されました革新荷役に関連するような施設にも関係があるのかどうか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  94. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 港湾の整備を進めるに当たりましては、私ども従来から、港湾整備事業の効果が十分に発揮されるように配慮してまいってきておるところでございます。しかしながら、昨年八月の行政監察におきまして、ただいま先生からお話がございましたように、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 従来整備された港湾施設で、必ずしも十分に機能を発揮していない、十分に使われていないものがあるという指摘を受けたものかございます。  これらにつきましては、その内容は、例えばオイルショックが起きた後、木材の輸入量が非常に減少したために利用の状態が十分でないものでありますとか、あるいは二百海里問題が出ました関係上、遠洋漁業が不振になりまして利用の状態が十分でないといったような、建設段階、整備段階におきましては予期することかできなかった、内外の経済社会の上でのいろんな情勢の急激な変化に起因するもの、あるいは当該埠頭と関連するほかの部門の事業の進捗がおくれたために、港湾整備事業でつくられたものの利用が十分でないというふうな事柄、あるいは単独事業にかかわる港湾管理者の財政上の理由などからいって十分な成果が発揮できなかったものなどかございました。  これらの指摘されました中身といたしまして、革新荷役にかかわるようなものはございませんでした。  しかしながら、私どもといたしましては、今後の港湾整備事業を推進するに当たりましては、やはり整備の要請に応じた事業の重点的かつ計画的な実施を図るという観点に立ちまして、今後、一層内外の経済情勢の変化につきましても広範かつ慎重に検討を行いまして、事業の効果が最大限に発揮されるよう努めてまいるつもりでございます。
  95. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 御答弁にありましたように、今後とも経済情勢の変化には十分に対応をしていただいて、効率的に港湾の整備が進むように今後やっていただきたいと思います。  先ほど来伺っておりますように、昭和四十一年の三次の計画以来、港湾近代化というのを非常に進めてこられたわけでありますが、その港湾近代化というのが、港湾におきます港湾運送業荷役形態の変化を非常に促進したというふうに言われておるわけでございます。その荷役形態が変化してきておる実態を、若干具体的に御説明いただければ幸いでございます。
  96. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 昭和四十年代から本格化いたしました港湾の整備、あるいはコンテナ化等の荷役革新の飛躍的な進展に伴いまして、従来の港湾荷役作業形態は、今先生がおっしゃいますように、一変したというのが現実でございます。  コンテナ荷役とかサイロ荷役、自動車専用船荷役のように、はしけ運送を介せず船内作業、沿岸作業を一貫して行う、いわゆる革新荷役が増加してきておりまして、港湾運送量、これは船舶の積みおろし量でございますが、これに占める革新荷役の比率は、四十年では全国ベースでわずか一・七%でございましたか、五十七年には七一・二%と、大半を占めるに至っておるのでございます。その反面、港湾運送量に占めるはしけ運送量の比率は、三十五年には全国ベースで三二・七%、五大港でとりましても五五・五%でございましたか、これが五十七年には全国ベースでわずかに四・三%、五大港で見ましても八・二%と、非常に大きく減少してきておるというのか現実の姿でございます。
  97. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 この港湾運送業荷役形態が非常に激減をした。そしてまた、その激減の方向はまだとまるところに至ってないようにも思われるわけで、今後ともその方向に進んでいくだろうというふうに考えられると思います。  この港湾荷役が変化をしていくのに伴いまして、港湾労働というものの形態もまた、非常に大きな変革を遂げたわけであろうと思います。先ほど安恒委員からの御質問にもその間の御質問がございまして、労働者数の推移等も御質問があったところであります。これは、荷役革新して物流をスムーズに処理をしてしくとしり上で、今までの変化、港湾の整備あるいは港湾荷役形態の変化ということは、日本が経済的に自立していくためにはどうしても必要であった道筋であろうと思うわけでありますけれども、また、その過程において港湾労働者雇用不安というようなことが起こってはいけないとこれも先ほど来安恒委員からも御指摘があったところでございます。  私もまたこの点については全くそのように思うわけでございますが、そのときの御答弁にもございましたように、今回の法改正というものによってそういう港湾労働者雇用不安等が増大するというようなことはないという御答弁、私もそうではないかと思いますが、そうではあるにしても、運用の問題としてどういうふうに対処するかということが、非常に今後大きな意味を持ってくると思うわけでございます。  そこで、既にお答えのあった部分と重複するかもしれませんけれども港湾労働者雇用不安に対して、どのように今後対処していかれる御所存か、それを伺っておきたいと思います。
  98. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 確かに港湾労働者数は革新荷役の進展に伴いまして減少してきておりますし、港湾運送事業の中のある一部の事業、例えばはしけとかいかだというものについては、なかなか難しい構造的な不況業種としての性格を帯びてきておりまして、これから法律改正をやって、それが直接的にそういう雇用不安を招くということはないだろうと私ども思っておりますし、また、それなりの経過措置も行っているわけでございますけれども、しかし、そういった構造的な問題も同時に進行するということが予想されますので、それにつきましては、私どもとしても、港湾区域における職域の確保の問題、これは労使におきましてもいろいろとお話し合いをして進めておられるようでございますし、また、どうしても不況対策的なことをやらなければいけないところについては、各種の不況対策事業として対策を進める、必要に応じて職業訓練を行って職業の転換を図っていく、各種の方策をとりながら、現実に雇用不安も起きないように、我々としてもできるだけ注意して指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  99. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 さて、今回の港湾運送事業法改正の問題に入りたいと思います。  この改正の御趣旨はせんだって大臣から伺いましたところでございますが、先ほど来お話の中に出てまいっておりますように、この十数年あるいは二十年近い間に非常に大きな港湾運送事業の変革があった。そして、その変革に対応して法律制度が変わっておらないために、いろんな面で実態と食い違うところが出てきた。それを、今回の法改正実態に合わせるという意図でおやりになったというふうに理解をしておるわけでございます。私も、法律実態と食い違っていろいろと問題があるということは望ましいことではないし、早い機会に実態に合ったような改正をなされるということは、大変必要なことだと思うわけでございます。  しかし、法律改正するということを機会に、それがある種の影響を及ぼすことについては、先ほど大臣からも御答弁がございました。こういうことを考えますと、法律改正をされた場合の運用というのは、非常にその点に意を用いていかれる必要かあるだろうと思うわけでございます。衆議院の附帯決議にもその点を触れておられるようでございますか、先ほど安恒委員の御質問の中にも、革新荷役だけにその行政指導の重点が置かれて、在来荷役に対してはなおざりになるんじゃないか、手を抜いてしまうんじゃないかというような御心配も若干あったように拝聴したわけでありますが、そういった運用上の問題がありますと、そのもの自体は中立的な作用を持つ法律であっても、ある方向に影響を与えるということにもなりかねない。  そういうこともございますので、今回の港湾運送事業法改正趣旨に照らして、今後の運用の御方針についてお答えをいただきたいと思います。
  100. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生おっしゃいましたように、港湾運送事業法は最近の昭和四十年代以降の実態に必ずしも合ってない、こういうことで、今度規制と実態をできるだけ一致させるという意味で改正考えたわけでございますが、このことはさきの臨調答申などにも指摘されておりまして、そういった点で今審議をお願いしておるわけでございますか、今おっしゃいました法改正の規定の問題と、それから運用の問題に関連いたしまして、一つは、在来荷役関係でございますけれども、これにつきましては、経過措置においても、従来の船内、沿岸の事業をやっている方について配慮した措置を講じておりますし、また、これか今後、改正後いろいろと競争などにおいてつらい立場になるんではないかということにつきましては、私どもそういうことか急激な変化はないというふうに考えておりますのと、一方、在来のそういう荷役がやはり必要とされる分野といいますか、あるいは地域などか現実に存召していることでもございますので、それはそれて必要に応じた姿で仕事をしていっていただかなければならないものというふうに考えております。その辺も十分配慮して注意していかなければいけないと思います。  また、実際の法の運用に当たりまして、これはこれから具体的に規則を決めるなり通達を決めるなり、あるいは料金などの認可の問題として、これから具体的な運用を考えていかなければならないわけでございますが、これも、現実の実態を踏まえて改正を行っているということも考えまして、急激な変化ということではなく実態に合わせたような、そして革新荷役の伸びというものは当然ございますけれども、在来の荷役をやっている方についても十分配慮したような姿を考えて運用を行っていきたい、こう考えております。
  101. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。  それから、今回のこの法律改正は行革関連法案ということになっておりますが、臨調答申との関係、具体的にどういうところでどうつながるのかという点をひとつお示しをいただきたいと思います。
  102. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 昨年三月の臨時行政調査会答申でございますが、ここでは経済社会情勢の変化に対応して事業規制を見直すということを一つ提言しておられますが、私ども、その趣旨は、規制と実態の乖離からくる事業者の負担を軽減し、効率的な事業活動を確保しようとするものというふうに受けとめておるようなわけでございます。また、今回の事業法改正は、港湾における荷役革新の進展に対応して行うものでございますか、船内荷役事業と沿岸荷役事業の統合につきましても、臨時行政調査会答申で指摘されておるところでございまして、これらの臨時行政調査会答申を受けた格好で  私ども前からこういう問題を意識し、また検討しておったわけでございますが、臨時行政調査会からも指摘してきたことでもございますし、この際法律改正して実態に合わせるようにしたいということでお願いしたわけでございます。
  103. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ただいまの行革との関連をお聞きしたわけですけれども、そうしますと、けさほど来いろいろと御議論がありましたような、今回の改正が、将来自由化に持っていく、規制を撤廃するための第一歩ではないかというような点については、けさ方も、その点についてはそういうことではないという御答弁でございましたが、これはそのように確認をしてよろしゅうございますか。
  104. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の港湾運送事業法改正は、昭和四十一年以降の港湾における荷役革新の進展による、その規制と実態に乖離が生じているということを踏まえまして、その点を是正しようとして行ったものでございまして、その範囲にとどまるものでありまして、自由化を意図したというものではございません。  港湾運送は、そういった格好で革新荷役というものがどんどん進んできてはおりますけれども、やはり海陸交通の結節点、そういった機能を果たしております港湾におきまして 代替性のない、極めて重要な流通機能を果たしている。それから一方、港湾運送事業者は、経営基盤の弱い中小企業者が多いということ。それから、その事業に不安定性などを内包しているというふうないろんな事情が、これは以前と比べて余り変わっていないという状況もございます。したがいまして、将来にわたって秩序ある安定的な港湾運送サービスを確保するためには、やはり事業法根幹である事業の免許制とか、それから運賃料金の認可制というものは堅持する必要があるというふうなことを考えておりまして、自由化といったようなことについて考えておるわけではございません。
  105. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 よくわかりました。  今の御答弁で、行革との関連あるいは臨調答申との関連におきましては、現在の状況にマッチした法改正をするということであって、それ以外の意図はないということでございますが、これに関連しましてもう一つ、これも昨年たったかと思いますけれども公正取引委員会から見解が出されておったかと思うわけであります。公正取引委員会は、その立場としては、経済の自由競争を促進する、競争が是であって競争以外の方向はすべて望ましくない、極端に言えばそういうふうな立場をおとりになるのは、これは当然だと思うわけでございます。  恐らくそういう立場からの御意見だと思いますけれども港湾運送事業を初め、何種かの業界に対する政府規制を緩和すべきであるというような御見解があったやに聞いておりますけれども、私は、ただいま運輸省の御見解の中にありましたように、運輸事業、その中の一つとして港湾運送事業もやはり合理的な改正あるいは改善はもちろん常に考えなければいけないわけですけれども根幹といたしましての規制、つまり良質の荷役サービスというものを提供できるような資格のある業界にそれをやってもらう。そして体質上陥りやすい過当競争、そういったことに陥るおそれを防ぐというような意味から、運賃を、料金を認可するというような方向は、私は最小限必要なものはどうしても必要だと思うわけでございますが、この点につきまして、きょう、朝、大臣からは、行革との関連でそれは堅持するというお答えがございましたが、私今ここで申し上げましたのは、競争原理を強調する公取の意見に対して、恐らく運輸省は私かただいま申し上げたような立場をおとりだと思いますけれども、この点、大臣に御見解を伺っておきたいのでございます。
  106. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) あなたのおっしゃっておるとおりな見解で私ども結構でございまして、公正取引委員会の御意見については、私どもその方向で、やっぱりその方向を守っていく必要があると、かように思っておる次第でございます。
  107. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 それでは具体的に法律の内容について若干お伺いしたいと思いますが、業種区分で船内と沿岸を統合していこうという御趣旨でございますが、既存業者の取り扱い、これを少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  108. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) お答えいたします。  今回の法改正によりまして船内、沿岸を統合して新しく港湾荷役事業とすることといたしておりますが、既存の船内、沿岸事業者につきましては、既得権の保護あるいは急激な変換による混乱の防止という観点はやはり考えなければならないということで、私ども法律改正の準備に当たりましては、その辺についてもいろいろの対応考えました結果、結論的には、今回のように、そのような方々は一定の期間に届けを出をしていただいて、これは六カ月以内に運輸省令で定める事項を届け出るということで、従前の事業の範囲内で引き続き事業を営むという措置を講じておるわけでございます。  それらの方は、一定の届け出を出していただけば、従前の事業の範囲内に限定された港湾荷役事業の免許を受けたものとみなされるということで、このような措置によりまして、従来の船内また沿岸の事業者はそれぞれ、港湾荷役事業の船内あるいは沿岸の限定の免許を受けたということで、引き続き従前の事業が実施できるということでございまして、この辺につきましても、案の段階では、日本港運協会等事業者団体についての意見もいろいろ聴取いたしました。その際に、港湾荷役事業になることは大勢としては結構だけれども、現在の姿に重大な影響があっては困る。したがってこのような経過措置を設けてもらえば、それなりの事業者がそれぞれの立場で経営努力を今後も続けていこうということでございまして、このような経過措置を設けることが、現状改正する際に一番妥当な措置であるというふうに考えた次第でございます。
  109. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 前にいただきました参考資料に、経過措置の図が出ております。この一番下の、船内プラス沿岸が、船内ぽつぽつと沿岸ぽつぽつになっている。この図の意味はどういう意味でございましょう。
  110. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 今回の法律改正に伴いまして、経過措置で、現在、船内あるいは沿岸、あるいは船内と沿岸いずれもやっておられる方、その三種類の事業者かおられるわけですが、それぞれ法律改正の日から六カ月以内に届け出をしていただくということで現行の事業体制をそのまま引き続いてやれるような体制にとりあえずするということで、船内、沿岸両方持っておられる方も、すぐ免許申請の手続をとられるというよりは、一段階は届け出の手続をとっていただいて、現在の事業が継続できる体制をやった上で、免許申請をされるときはしていただくと。  そのようなことを考えましたのは、やはり現場でも、いろいろたくさんの申請が出ますと混乱することも予想されますので、当面私ども、船内、沿岸単独の方も両方持っておられる方も届け出をしていただくというようなことで、段階的な措置を講ずるのが一番行政処理の面も含めて円滑にいくんじゃないかという措置を講じたわけでございまして、船内、沿岸両方持っておられる方は船内限定と沿岸限定を当面あわせて持ったような形にはなりますけれども、これらの方々は実態的には一貫輸送できる体制をほとんど持っておられる方だと思いますので、六カ月以降免許申請の手続を逐次とっていただけば、私どもその体制を十分審査しながら港湾荷役事業の形に転換していっていただくというような経過的な措置として、このような制度を設けたわけでございます。
  111. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そうしますと、経過的に届け出で両方持っている形の限定二つという格好で認められて、改めて免許申請を出してもらって、それを審査をして資格があるかどうか、一貫してやれる能力があるかどうかをチェックしてから免許をされる、こういうことでございますね。そうしますと、実態として、届け出でダブルの限定といいますか、非常に妙な格好ですけれども、そういう格好のままで残るような業者というのは、現実問題としてあるんでしょうか。
  112. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 形式的には、そのようなことを希望されればそのようなことで永久に残れるわけですけれども、やはり現在の事業者の実態といいますか、それらの方々の御希望というのは、新しい時代に即応した免許制度ができれば、できるたけ早くそれを取って自分も新しい時代に対応した港湾運送事業かできるようになりたい、こういう希望を持っておられますので、実際にはそのようなことがないと思いますし、また、細かい話にはなるかと思いますが、現在一貫でやっておられる方々が、船内あるいは沿岸の両方の事業について例えば毎年事業に関する報告をしなければならないといった場合に、その事業の内容は一貫として行われているわけですが、労働者がこちらの分は何名、こちらの分は何名というようなことに、無理やり分けて報告しなければいけないといったような義務も、一本化されることによって軽減されるということにもなりますし、多くの事業者は、港湾荷役事業の新しい免許を取る方向にできるだけ早く進まれるという実態であろうというふうに思います。
  113. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そうしますと、さっきの、チェックをされるということですけれども、チェックでひっかかるとしうような場合としうのは、現実にはそれほど多数を想定しておられるわけではないわけですね。
  114. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、両方の免許を持っておられる方は、多くの場合は一貫して事業をやっておられるという形だと思います。たまには、港の中である場所で船内だけ、ある場所で沿岸だけというような形で、例外的な対応をしておられる方があるかもわかりませんが、ほとんどが、両方免許を取っておられるということは、一貫した事業をやっておられるということだと思いますので、ほとんどが一貫事業の免許を受ける体制にすぐ進むことを希望しておられるし、また、それだけの体制を整備されて申請をされるということになろうかと思います。また、その場合は、大体免許かもらえるような実態ではなかろうかというふうに考えております。
  115. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 それから、これは先ほどちょっとお答えの中に入っておりましたが、限定免許というのは、そうしますとこの現在の経過措置の中であらわれてくるだけのものであって、将来とも限定免許というものは余り考えていないというようなことが、先ほどのお答えの中にあったと思いますが、港の状況あるいは現場の形の上で、そういう限定免許というのは、将来ともあらわれることは考えられないんですか。
  116. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 限定の問題につきまして、ちょっと説明か不十分だった点があったと思いますので、補足して説明させていただきたいと思います。  私ども、船内あるいは沿岸という現在の免許区分に関連するような限定というものは、将来設けることは適当でないというふうに考えておりますが、現在法律にあります限定制度のもとで、例えば港湾のこのような場所で、あるいはこの荷主さんからあるいはこの工場からの港湾荷役の委託に応じてという形で、荷主限定あるいは場所限定というような形での限定制度は運用され、また、そのようなことによって、需給関係のバランスが港湾において崩れないように、ある程度荷主限定をやるとかあるいは作業の場所を限定するというようなことによりまして、港湾における一定の秩序が保たれるように、いろんな形での調整の手段として限定制度か運用されております。したがいまして、今後も、港湾荷役事業になった場合におきましても、どの港湾の場所における、あるいは工場その他の委託者に関する限定という制度は残ると思いますけれども、いわゆる船内だけ、沿岸たけというような形の限定は望ましくないし、またそのようなものは今後新たに設けるつもりはない、そのように考えておるところでございます。
  117. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 次に、下請の規定を改正されるわけですけれども、一般港湾運送事業者の下請、今までかなり厳しい規制をやっておったわけですけれども、これを見直していかれるという趣旨を、少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  118. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今回の下請の関係改正でございますか、これは十六条の改正でございますか、いわゆる基盤制度に関する問題でございます。  これは、従来はしけを介在した港湾運送事業が一般的でありました時代に、いずれか一つの種別の直営ということを通じまして作業全体を間接的にコントロールする、こういう考え方荷主の信頼性も確保し、作業の連続性も確保する、こういうことで制度ができておりました。ところが、その後の港湾における技術革新コンテナ荷役あるいは自動車専用船荷受等の、いわゆる革新荷役が非常にふえてまいりまして、大半を占めるようになりましたが、このような荷役におきましては、いずれかの種別の作業をみずから行うということでなくても、実際の作業を企画し指示する等によりまして作業全体をむしろ直接的にコントロールする、こういうことで、先ほど申しました荷主に対する信頼性あるいは作業の連続性というものを確保できる、こういう状況になってまいりました。  そのため、そういったことに合わせまして、実態に合わせて港湾運送の統括管理行為というものを今日的な基盤として今回追加をし、また従来、はしけ基盤の直営というのが多かったんでございますけれども、そちらの方で現実に不合理な面がありましたのも改善できるような素地をつくろうということで、改正考えておるわけでございます。
  119. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そうしますと、業界の、何といいますか、コントロールの能力が増してきたというところにその趣旨の根底があるのか。あるいは、こういう方向で今後指導を強めていくといいますか、こういう方向を今後の方向としていきたいというところにその力点があるのか、その辺はいかがでございましょうか。
  120. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) やはりこういった革新荷役の問題につきましては、ここ十数年来非常に実態として進んできておるということか一つございます。それはしかし、技術革新の中で非常に効率的な荷役として評価されたわけで進展してきているものでございますので、それは実態がそうであると同時に、やはり今後の方向を指し示しているということも言えるわけでございまして、その点は私どもも十分認識して、全体的な秩序の中ではありますけれども、今後の一つの方向といいますか、そういうものを考えて今度の改正認識してやっておるわけでございます。
  121. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 大体私、疑問とする点はこれで終わりましたけども、先ほども申し上げましたように、この法律改正が、非常に今まで実態に合わなくなってきていたという点は、私自身も否めないところかと思う次第でございます。そういうことでございますから、この改正が現在御討議をいただいておりますのは本当に時宜を得たものであると考える次第でございまして、一刻も早くこの法案、改正案を可決していただきたいと私も希望をしておる次第でございます。  そして、先ほど申し上げましたように、港湾発展というのは、どうしても港が港湾運送事業によってスムーズに運営されるということがもう基本でございます。したがいまして、その港湾の運営の基本であります港湾労働者の意欲を確保するということも、これ非常に大きな問題だろうと私は思うわけでございまして、先ほどお答えをいただきましたように、雇用不安に対してはその雇用不安が生じないように未然に手を打つし、またもろもろの施策も精力的にやりたいというお答えであります。  そしてまた、現在構造的な不況業種考えられます在来荷役型の荷役業を営んでおられる方々に対しましては、今後とも十分な不況対策といいますか、構造対策を講じられるという御答弁をいただきましたけども局長からの御答弁でございましたか、大臣、この点につきましてひとつ御決意を伺いたいと存じます。
  122. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私は、日本の港湾運送事業というものは、高度経済成長を支えておる、非常に大きな役割を果たしてまいったと思うのでございます。往々にして先進国の中には、港湾のストライキというものがしばしば行われまして、港湾が渋滞をするということかございますか、日本の場合はもう極めてこれか少ないということ。それから、いわゆるコンテナリゼーションを初め、近代化が進んで荷役形態か変わってくる、これはどうしても、けさほどの御質問にもございましたが、人手が要らなくなってくる、少なくなってくる、いわゆる集約産業でございますが、これがだんだん人手が少なくなってくると、そこにどうしても摩擦が起こって、いろんな問題がこれまでも起こってきておるんでありますけれども、これに対して、業界中心にかなりな御努力を願って、今日までのところはスムーズにやってきていただいておるのではないか、これは全般論でございます。もちろんいろんなところに問題点かあることは事実でございますが、全般論としては私は、そういう大きな功績は国民の間に認められるべきであると思っております。  今御質問は、今後の問題でございますが、私は、今後といえども、この努力を続けていかなければならないわけでございまして、けさほども申しましたか、そうしり近代化が そして省力化が労働者だけにしわ寄せにならぬように、これも十分にひとつ配慮をすることが、今日までここまで持ってきていただいたことに対する政府としての責任でもある、また一般社会としても責任があるというふうに考えておるところでございます。いろんな点で問題が今後ともあると思しますけれども、それに対応して適時適切な政策をやってまいるように、労働省の方の御尽力もいただかなければいけませんか、我々としてもやってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  123. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 どうもありがとうございました。  終わります。
  124. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、最初に大枠についてお尋ねをし、その後中身に入っていきたいと思います。  今回の改正について午前中からるる説明かあっているわけでございますが、その一つの経過を見てみますと、臨調の答申かあった、受けた、あるいはまた行管の勧告を受けた、こういった二つの事例か大きな、改正に踏み切った端緒になっているとも思われるわけでございますが、今回の改正の案の中身を見てみますと、いわゆる業種区分の統合にしましても、あるいはまた下請の制限の弾力化にしましても、あるいはまた港運業の実情を追認をするというような形になっているわけでございます。また御答弁の中にも、そういった業態の変更に伴ういわゆる今回の法改正であると、こういうふうに説明がなされているわけであります。  本来的には運輸省は、当然、将来あるべき港湾の姿あるいは運営の姿というものを示すべきが本来の姿ではなかっただろうか、こういうふうに思うわけでございますが、そういった意味からいいますと、今回の改正というものは、追認という言葉の中におきましても、これは後追いという、後追い行政ということが言われるのではないかと思うのですか、その点についての理由は那辺にあったのかということをまず御説明願いたいと思います。
  125. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 我が国の経済発展、それから技術革新、そういった急激な進展の中で、やはり港湾荷役か非常に技術的に、革新荷役ということで進んできたわけでございますけれども、それについて、確かに先生おっしゃいますように、この法的な規制というのもそれに合ったような格好で進んでこなければいけなかったという問題はあったろうと思います。  したかいまして、我々の中でもその問題については検討はしておったわけでございますけれども、契機といたしましては、先生おっしゃいますように、臨調答申、それからその前の行管の勧告というようなことを契機として進めることになって、確かに後追い的な姿に結果的になったわけでございますが、ただ、改正の内容なり実態をごらんいただきますとよくおわかりいただけるんではないかと思いますか、こういった港湾荷役事業というものをひとつつくろう、船内と沿岸とを一緒にいたしまして一つ事業をつくり、そしてそれが非常に高度化された、コンピューターなども駆使した高度化された荷役形態ということは、それはやはり我々としてこの改正によって一つの方向を示しているというふうな、そういう要素も含んでおるわけでございまして、確かに後追い的な面もあるわけではございますが、法律改正ということでお願いいたしまして、一つ考え方を示しているということも言えるのではないかと思いますので、御理解いただきたいと思うのでございます。
  126. 桑名義治

    ○桑名義治君 私が後追い的というふうに申し上げたのは、一つには私もそう思いますけれども、午前中からの御答弁の中に、後追いということは皆さんの方からおっしゃっているんです。私もそう思いますけれども、あなたの方から、後追いの法改正であるということをたびたび繰り返された。したがって私は、その御答弁をいただいて今ちょっとお尋ねしてみたわけでございまして、こういうふうに今世の中というものは急速にこういう近代化というのは進んでおりますし、流通関係におきましてもその言をまたないわけでございます。  そういった意味から申しますと、今から先のあるべき姿というものは、後追いではなくて、全体を見詰めながらある一定の方針を示すということの方が、ベターな行政の姿ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  次の問題でございますが、これも先ほどからいろいろと御議論かあっているわけでございますか、輸送革新、言いかえればこれは近代化でございますか、が進む中で、この十年間の間に港湾労務者が三万人の減を来しているというふうに言われているわけでございまして、この一つの実績というものは、そこに働く人々にとりまして大変な雇用不安を生み出していることは否めない事実であります。そこで、この問題については先ほどから午前中もいろいろと御議論があったわけでございますか、輸送革新か進む中での雇用不安が起こったということか一つありましょう。それと同時に、現在の経済情勢の中から生み出された雇用減というものもございましょう。それから、先ほどからちょっと大臣の御答弁の中にもございましたけども、今回の法改正によって起こる減もあるのではないかという不安。  こういった中で、今から先、この雇用問題をどういうふうに運輸省としては把握をされているのか、ここら辺をお尋ねをすると同時に、それに対する対策もいろいろとるる述べておられましたけども、こういうふうに三つに断ち分けて考える、どこからどこまでが何人で、どこからどこまでが何人だという区切りは非常に厳しいと思います。しかし、総トータルの中で大体大きく不況産業の一つとして雇用人口が減少しつつあることは既成の事実でございますから、したがってそういった立場からお答え願えれば結構だ、こういうふうに思うわけでございますか、その労働対策についても再度お尋ねをしておきたいと思います。
  127. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 労働者が減ってまいりました推移、午前中も数字を申し上げましたが、ピーク時から比べますと確かに二万六千人弱の数字の減、二五%ぐらいの減があったということは事実だと思います。その中で、特に船内、はしけ、沿岸、いかだという形でさらに分けてみますと、これはちょっと五十年以降の数字ということで分析したものでございますが、船内の減が約五千百四十一、はしけの減が二千五百九十二、沿岸の減か五千三百十六、いかだの減か千二百九十四という数字になっておりますが、比率としまして、やはり大きく減少したのは、はしけ、いかだの分野でございます。  この分野におきましては、やはりはしけ一貫荷役によって不要となるというような形での構造的な面が非常に強うございますし、いかだにつきましては、かなり、最近におきます住宅需要の減に伴います木材輸入減といったようなことか大きく響いてきておる。また将来的に、このような原木輸入から製材輸入というような形への転換も予想されますので、いかだにつきましては、やはり今後とも大きい増加というようなことは期待できませんし、かなり構造的な要因ということで今後も対応していかなければならないというような形で、私ども対策考えております。  このような構造的な問題につきましては、国としては不況業種指定というような形での雇用対策を講じておるとともに、業界におきましても構造改善財団というのを一昨年設置いたしまして、そこで使用者あるいは荷主共同負担による構造改善対策費を出すようなことで構造改善対策をやり、またその影響を受ける労働者への対策も講ずるというような手だてが講ぜられました。こういうはしけ、いかだは特殊な例でございますが、さらに船内、沿岸についての減少というものも、やはりコンテナによる減少といったようなものが響いておることでございまして、コンテナの扱いについてもそれなりの対策を講ずるための資金を分担してもらうという制度で、コンテナー個取扱料七十円のコンテナ納付金を取るといったような制度で、それなりの対応を講ずることとしておるわけでございます。  その他、労使協定に基づして生活と雇用安定に関する協定、五・三〇協定と言われておりますが、このための財源につきましても、広くメリットを受ける人たちからの還元に基づいた対策を請しなければならないということで、現在、扱いトン当たり六円の納付金を取り、そのうちの五円分は各種の福祉厚生対策に、一円につきましては労働者個々に対する支払いに充てる。これは年金ですとか離職対策の場合の前提となります生活助成金あるいは転職助成金といったような形のものを共同で講ずるというような制度業界ベースで講じられております。  このような政府ベースでの不況対策及び業界ベースでの自主的な努力による業界の負担、その負担はすなわち船社なり荷主の負担ということにお願いしておるわけでございますか、そのような対策を総合的に講じていくというようなことで、私ども雇用に対する幾らかでも、一歩でも進めた対策か講ぜられ、さらに今後これか自主的に強化されていくような方向での指導を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  128. 桑名義治

    ○桑名義治君 それで、先ほどからの質問の中でもう一問は、結局こういう情勢の中で、今後の雇用というものがどういう形になっていくのか。減少かこれで歯どめかかかるのか、さらに進んでいくのか、そこら辺をどういうふうに運輸省としては踏んでおられるのか、これをお尋ねをしたいんですが。
  129. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 雇用の将来見通しということにつきましては、非常に難しいと言わざるを得ないと思うのです。傾向としては、ここで下げどまりという楽観的な見通しは難しいのではないか。はしけ、いかだの方面での構造不況の様子、あるいは、コンテナ化が従来は、メーン航路がコンテナ化し在来型の定期船といったものもかなり大きい機能を有するのではないか、特に東南アジアですとかそういう航路についてはコンテナ化というのは非常に莫大な投資が要るので、なおそれほど急速には進まないんじゃないかというような想定もいたしておりましたが、最近はむしろ、そういう発展途上国といいますか、中進国におきましても積極的なコンテナ投資が行われるようになっておりまして、そのような航路もコンテナ化がどんどん進むという情勢にございますので、そういう影響を受ける労働者の数といいますか、これはやはり相当厳しい情勢が続かざるを得ないというふうに基本的には考えております。
  130. 桑名義治

    ○桑名義治君 今御答弁がございましたように、今から先の港湾労働者立場というのは非常に厳しくなっていく、こういうふうに見なければならないわけでございまして、一面から言いますと輸送革新はますます進んでいくと思います。中身も進みましょうし、機械化も進みましょうし、あるいはまた港湾の施設の箇所も進んでいく、こういうふうに見なければならないと思うわけでございますか、そういうふうな流通革命の中で、いわゆる流通革命とそれから労務者との兼ね合い、これが今から先非常に大きな問題として取り組んでいかなければならない課題であろう、こういうふうに私は思うわけでございます。  この問題はまた次に回しまして、次の柱として、近い将来、国際複合一貫輸送体制の中で、港運業の位置づけを運輸省はどういうふうに認識をされているのか、お尋ねをしたいと思うのでございます。  港運関係者の中には、これからの港運機能は、いわゆる主宰者、すなわち輸送業者的な業者と、単なる作業会社と、二つに分かれてしまうんではないか、こういう意見があるわけでございますが、この点については運輸省はどのような御見解をお持ちでございますか。
  131. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 国際的な貨物輸送につきましては、これはいわば国際複合一貫輸送と申しますか、異なる輸送機関を使いまして一貫して輸送する、そういう要請も非常に強うございます。また、それに対応しようとする事業者の動きもいろいろございます。そういった観点の中で、港湾運送事業者もその中で重要な役割を担う、あるいはそういう国際複合一貫輸送の担い手として活躍する、そういう場面も当然考えられると思うんです。  ただ、これは、それに関係している輸送手段を持っているいろんな機関といいますか、会社などがどういう格好で出てくるか、これからの問題だと思います。既にそういう動きはいろいろございますが、これからの問題だと思いますし、これは統一的な責任の問題でございますとか、運送責任の問題でございますとか、それから運賃の問題でございますとか、実態的にはいろいろと動きはあるわけでございますけれども、それに対応して法的にどういうふうに考えていくか、そういった調査どもども行いながら、できるだけ現実のニーズにこたえるように私ども考えていきたいと思っています。特に、運輸省では今月から組織改正も行われまして、私どもの方の貨物流通局と、それから国際運輸・観光局というのかできました。協力してその辺の調査を行い、将来の方向を明確にしていきたい、こういうふうに考えております。
  132. 桑名義治

    ○桑名義治君 それで、国際複合一貫輸送体制のもとで港運業の統括主宰者としての位置づけを今回の法律はしたものである、こういうふうにして業界からは賛成の意見か、歓迎の意見がなされているわけでございますが、港湾労働界では、港湾労働者雇用安定、それから就労確保に対して責任を持つ法律になっていない、こういった意味合いの反対立場がとられているわけでございますが、関係労働界との十分な話し合いのもとに進めていく必要があるのではないかと思うわけでございますが、この点はどういうふうに認識をしておられ、またどう対応してこられたのか、伺っておきたいと思います。
  133. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 昨年の秋に、このような法律改正を作成する準備に当たりまして、港運業界ともいろいろ意見を交換したということを申し上げましたが、労働組合の方々とも私ども何度も会合を持ちまして、このような現実に規制か合わなくなっている、また不合理な規制が行われているということについては、臨調答申もあることだし、何らかの措置をとりたいということで案を説明し、組合の方々の御意見も何度か承る機会もございました。組合の方々の御意見というものは、私ども理解で申しますと、確かにそういう不合理な点はあるであろう、またそれを直さざるを得ないといったような実態的な面についてはある程度理解できると。しかし、基本的な問題といいますか、組合の方々は三点、私どもにもいろんな要求といいますか、要望を出されました。  一つがやはり雇用に関連するような問題もう一つか職域の確保というようなことで、それを拡大するような方策を何らか考えてもらわなきゃ困る、もう一つ料金確保といったような問題がやはりもっと行われなければ、それがすなわち労働条件その他の改善にもつながらないといったような、大きく言いまして三点のいろいろ対策を求められたというような経緯かございます。  私ども雇用の問題につきましては、いろいろ政府ベース、あるいは業界、あるいは労使間のベースでいろいろなお話し合いが行われている、私どももそのお話し合いを側面的にはいろいろな形で支援したいというようなことをお話しし、また今後こういう改正が行われるについては、業界の方についても十分そういう点の配慮を求めるというようなことを今春闘の際にもお願いしたような形で、かなり大幅な改善が示されたということだと思います。  職域の問題につきましては、労働組合の方々は、例えばコンテナが内陸でバン詰めされたりバン出しされたりするような行為がだんだん多くなってきているけれども、これを港湾運送事業法の対象とすべきではないかというような御指摘をいただきました。私どもの見解といたしましては、港湾運送事業法はあくまで港湾におけるいろいろ作業なり事業が適正に行われることについての法律でございまして、内陸の問題についてまで港湾運送事業法で規制するという形はできないんではないか。むしろ現在の実態を見ますと 内陸につきましては、道路を例えばトランクで運ぶ場合には、道路運送法の免許を受けた事業者が運ばなければならないという形になっている。そのようなものを港湾運送事業の免許も要るようにしなければならないというようなことについては、かえって規制が重複し、むしろ混乱を来すだけではないか。ここら辺については、港湾運送事業法法律対応するのではなしに、事実行為として現実には港湾運送事業者も内陸にいろいろな形で進出しておられる、またしようとしておられる実態でございますので、労働者の方々も労使一体となってそういう今後の内陸部への展開、まだそういうものか将来的には複合一貫輸送のような形で拡大していくならば、労使一体となってそういう分野への積極的な、自主的な進出を図られるべきではないか。港湾運送事業法改正でそのようなものを港湾運送事業法に取り入れるといったけでは解決できない問題ではないかというような点を、お話ししたわけでございます。  料金遵守の問題につきましては、これは私ども業界を指導し、個別事業者については抜き打ち監査をするといったような対応をし、我々としては認可料金を何とか守るということについて最善を尽くす、業界としても最善を尽くしていただくという基本姿勢で臨むというような点をお話しいたしました。  組合の方々とも必要に応じそのような意見の交換等をやっておるわけでございますか、この法案を出すに至りますについても、できるだけ御理解を得る努力はいたしたつもりでございます。
  134. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういう話し合いと努力はしたと、こういうお話でございますが、この点についても後ほどまた少し詰めたいと思います。  その次は、十六条関係の新基盤の創設について。  今回新たに基盤として設定しようとするコンテナ埠頭におけるオペレーション行為、これを行うには大変大規模な施設とそれから高度の技術を必要とするわけでございますが、そうなりますと、相当ないわゆる資本を要する、こういうふうに思うわけでございますが、今回の基盤に移行できる事業者は大体どのくらいございますか。
  135. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、はしけを基盤としております五大港の一種一般港湾運送事業者、四十五社でございますが、これらの方々が現実にどのようなターミナル等で統括管理的な行為をやっているかというようなことについての調査の結果は、約半数、二十二社の方か一応私ども考えております統括管理基盤についての基準をクリアするのではなかろうか、クリアできるのではなかろうか、そういう方々かそれなりの転換を今後計画していかれるのじゃないかというふうに考えております。
  136. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題でございますが、今後国際化がますます進む中で、ユーザーのニーズもドア・ツー・トアのそういう国際複合一貫輸送を志向するというふうに、これは常識的に考えられるわけでございます。  そこで、港運業者の国際複合一貫輸送への取り組み状況は、現在どういうふうになっているのか。また、ことしの秋にも国際会議か日本で開かれる運びになっている、こう聞いておりますけれども、複合一貫輸送体制の確立までの見通し、また運輸省の見解はどういうふうにお考えになっておられますか。
  137. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 初めに、港湾運送事業関係の方が国際複合一貫輸送についてどういう取り組みをしているかという点についてお答えいたしますが、このような時代の趨勢に対応して、港湾運送事業者も、単に港湾を場とする活動だけでは将来は非常にじり貧になるだけではないか、むしろ自分たちも積極的に一貫輸送の担い手になるような方向で努力したいというようなことで、まず昨年、国際複合輸送協議会といったような会を有力港運業者の方々は組織されまして、そういう問題に乗り出すための体制の協議に入られておりますか、むしろこのような時代の中では、港運協会の中にそういうような取り組み体制をつくりたいということで、この春からは国際複合部会といったものも港運協会の中にはつくられて、そういうことに乗り出していくためのいろいろな制度的な、あるいは協力体制の問題についての検討体制をつくっているのが現状でございます。  今後、国際複合輸送の主体としてはどういう方々が出ていくかということについては、今いろいろ確かに競争状況といいますか、一つは海運の方々かチャンピオン的に今後出ていこうということを計画しておられると思いますし、港湾のほかに例えば倉庫事業の方、これは港運事業者として兼業しておられる方も多いわけですか、トランク事業者の方、そういう方々がまた一つの核となってそういうことを検討していかれるんではないかというふうに考えておりますが、私ども、新しい局でそのような実態というものを今後十分調査し、何がそのために必要なのか、どういう助成策的なものを考えていくべきかというようなこともあわせて、今後重要な検討課題として取り組んでまいる考え方でございます。
  138. 桑名義治

    ○桑名義治君 今、大臣か向こうに行かれているときに、もう大体御答弁でおわかりになったと思いますが、国際複合一貫輸送体制、これに対してのいわゆる見解を今審議官から述べてもらったわけですが、大臣自身のお考えはどういうふうなお考えでございますか。
  139. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) あるいは当たらぬところかあったらもう一遍御質問賜りたいと思いますか、今答弁の最後のところで申し上げておりました、今度の運輸省の機構改正の中で貨物流通局というのをつくったのは非常に大きな意味があると思うんでございまして、今の御質問にも関係を持ってくると思うんでございます。物流というものを海と陸と空と分ける、そしてそれぞれのジャンクションにおいて、言うならば港において、駅において、飛行場においてそれぞれの荷物をどういうふうに扱うかという問題、こういうものが今までは、ばらばらなところで扱われるという格好をしておったわけでございます。今度の貨物流通局、いわゆる物流局では、これらのものを一貫して扱うというところに非常に大きな意味を持っておると私は考えておりまして、これに大きな期待をかけております。今後これをどういうふうに扱うべきかということを国際、国内を通じて考えていただかなきゃならぬこれは最大の課題だろうと思っております。  当面私は、港湾運送業については、港湾運送業がどこかへ消し飛んじまう、なくなつちまう、あるいは陸から、あるいは海運の方から、あるいは倉庫業の方から出ていって、港湾運送事業というものがどこかへ消し飛んじまうというような状態にはならないであろうし、また、すべきではない。たた、その陸との相互関係、海との相互関係、倉庫との相互関係、それからその分界点をどうするかといったような点が今後相当研究を要する問題だろう、かように考えておる次第でございます。恐らく今後、この法律改正されると、今答弁の中にも一部あったようですが、いろいろな形か出てくると思います。出てくると思いますか、その出てくるのをどう扱うかという点について、十分ひとつ慎重に取り扱いたい、かように思っておる次第でございます。  少し長くなりまして恐縮ですけれども、私は港湾運送労働というものは、世界じゅうそうですけれども労働のうちでは最も過酷な労働一つであったと思っております。あるいは鉱山や石炭山の採掘をするような労働とか、それと同じように港湾における労働というものは大変な過酷な労働、過激な労働であったと思うんでございまして、そういうものが近代化によってずっと形が変わってくる。変わってきたら、今度は出やすくなったからほかから出ていくという形には、これはしてはいけないのではないかと、このように考えておる次第でございます。  極めて一般論でございますので、お尋ねがあればさらにお答えしたいと思います。
  140. 桑名義治

    ○桑名義治君 港湾運送業というものは、考えてみますと、こういう港湾近代化、それから景気の問題、それから産業界の動き 言りならば現在産業界の中には素材産業の大革命か起こりつつあるわけです。そういうふうになってまいりますと、港湾の荷というものがこれはある程度限定されていくおそれがあるのではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。  例えば、今までの鉄がセラミックに変わる大きな傾向かあるとか、あるいはIC関係はもう荷物がこんな小さな荷物になって飛行機でぽんと飛ばす方が安くしがる、またそれが非常に有効であるというふうな方向に輸送形態そのものが大きな変革を来していく、こういうふうに思うわけでございます。そういった産業界の大きな産業革命の中で、あるいは流通革命かまたそれにあわせて起こってくるというふうになりますと、海と空と陸と、陸の中でもいわゆる大量輸送をやっているような鉄道輸送とそれからトラック輸送、こういうふうに全体として考えた場合には、大きな流通革命か起こってくることはこれは事実だろうと思うんです。  その中でのいわゆる港湾輸送というものをどういうふうに位置づけて考えておられるのか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  141. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生おっしゃいましたように、輸送の対象となります貨物につきましては、産業構造の変化とともに交通機関別に見た場合には非常に変化してきております。よく軽薄短小というふうなことを言われますか、航空貨物はすっと伸びておりますし、そういった付加価値の高い、軽い小さい物を中心にどんどん伸びております。一方、素材産業とかそういった面ではなかなか厳しい面がございまして、確かに交通機関別、輸送手段別に見ました場合にはその辺の伸びも違ってまいりますし、それぞれの輸送手段に適した姿で輸送の全体の姿が形成されていくという流れの中に今あると思っております。  しかし、量的な面で言いましたら、やはり例えば海運というのは非常に大きなウエートを占めているわけでございますし、港湾というのは、先ほど来、港湾あるいは港湾運送の代替性のない重要性ということ、それは私どもも説明させていただいておるわけでございますが、非常に重要な位置を占めている。そしてそこが、非常に機械化か進み、革新荷役か進展して、新しい姿にどんどん変わりつつある。そういう意味で、全体の輸送の中でも非常に重要なウエートを占めているその海陸の結節点での革新的な進展ということで、これは全体の輸送の中でも大変重要な位置を占めている、そういう認識で私ども対応していきたいというふうに考えております。
  142. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに、先ほど申し上げましたように、また御答弁にもございましたように、輸送体系というものかもう大きく変革をしていく、その中でいわゆる港湾の占める分野というものは、これは多少なりとも減少傾向にいくのではなかろうか。それと同時に、こういうふうに港湾近代化か進んでいきますと、ますます労働者立場というものは非常に狭い範囲内に押し込められてしまうおそれかある、こういうふうに思うわけでございまして、そういう流通革命の中でのいわゆる港湾労働者立場というものもこれはあわせながらやっぱり考えていかなければですね、大きな立場に立っての政策の立案というものが非常に重要になってくる、こういうふうに思うわけでございます。  先ほどから、いわゆる港湾労働界の今回の改正に際しましての要望事項、これは三項目の法的措置を要請しているという御答弁がございました。確かに大きく分けますと、一つは職域の確保、二番目には雇用保障の確立、三番には適正料金の収受、こういう三つの大きな柱、要求事項が立っているわけでございますが、大まかには先ほどお聞きしましたか、この問題に対しての現在まで検討された結果ですね、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、再度明らかにしていただきたいと思います。
  143. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 先ほどのお答えと若干重複するかもわかりませんけれども、組合の方で要求されました職域確保雇用保障及び料金の適正収受の問題についての私どもの取り組みについて御説明を申し上げます。  内陸におけるバン詰めあるいはバン出しといったような作業港湾労働者の職域に法律的に確保すべきだという点につきましては、港湾運送事業法は社会通念上の港湾地域における港湾事業についての規定でございまして、内陸におけるコンテナのバンニング、デバンニング作業といったものを同法の適用対象とすることについては、やはり他の道路運送法等との関係で問題かあるんではないかということが法律的な問題でございます。  あわせて、しかし、今後私どもこのようなバンニング、デバンニングの内陸における取り扱いの実態といったものをもう少し掘り下げて調査いたしまして  これは例えばこういう実情がございます。神戸で扱っているコンテナ、これは神戸の埠頭でバンニングをされるようなものは三〇%台、四〇%弱だと思いますか、残りはみんな内陸かと申しますと、現在は名古屋の港頭地区で詰められたものが輸送されて神戸に来て積まれていく、そのようなコンテナにつきましても内陸を非常に動き回るわけですか、いわゆる奥地からということじゃなしに、他の港の港頭地区から輸送されて運び出されていった形態もございまして、先般の神戸港における調査によりますと、それらを合わせますと七〇%のものが港頭地区になるといったような調査も出されております。  私どもこのような実情をもっと掘り下げて、それらが港頭地域でなされているのか、内陸でなされているのか、内陸でなされる理由は何なのか、それを港頭地域に持ってくる方策がないのかといったようなことを今後もっと詰めたらどうだと。これは労使間でも委員会をつくって検討しようということをなされましたし、ことし日港協の重要な調査項目になることになっておりますので、私どももその調査については十分協力してまいりたい。その結果、例えば港頭地域に流通センター的なものを設けることかそのようなことの促進になるならば、港の整備についてはそういう点をもっと配慮していただきたい、また配慮すべきであるというようなことを港湾局とも相談しておるような状況でございます。このようなことを事実上詰めまして、できるたけ職域を確保するための方策については今後の検討課題として進めてまいりたいというふうに、第一点は考えておるわけでございます。  次に雇用保障の問題でございますか、これにつきましては、不況業種というような対応をせざるを得ないものにつきましては、国の不況対策といったような法制をかぶせて、できるだけの国としての対応考える。また、労使間における雇用生活保障に関する協定に基づく年金対策あるいは生活助成金、離職対策といったものについても、改善をことしの春いたしましたし、今後もそれらについては充実強化の方向か望ましいことであろうし、関係者のいろいろ御了解をとり、理解をいただき、そういう基金的なものについても万全の配慮をしていくことか今後の課題であろうというふうに考えておる次第でございます。  港運料金の問題につきましては、運輸省としては、認可料金の遵守ということを役所としても監査その他で徹底させたいと思って、抜き打ち監査等をやり、警告書を発したものについては追跡調査を今年度さらに継続してやるというようなことを現在実施中でございますが、業界におきましても法令遵守運動ということを盛り上げる、現在そういうような成果がかなり上がってきているというふうに考えております。
  144. 桑名義治

    ○桑名義治君 次にお聞きしたいことは、昭和五十四年の五月の三十日、これは港湾関係労使で、雇用の安定等に関する協定書が交付されているわけでございます。いわゆるこれは五・三〇協定ですが、運輸省としては、この協定が今日なお有効に機能しているものと認識をされているのか、今日までの経過を踏まえて見解を伺いたいと思いますし、また、今後もこの協定を基礎に労使雇用の安定を図っていく決意のほどを伺っておきたいと思います
  145. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 今先生おっしゃいました五・三〇協定というものは、港運業界労使間において締結されておるものでございまして、港湾労働者雇用と生活保障制度によります港湾労働者年金の助成、それから転職資金とか生活助成金の支給などをやってきてお−ますが、さらに今回の春闘におきましても、労使間の合意によって内容の充実が図られるということになってきておりまして、機能を十分果たしてきておるものと思っております。  なお、五十八年度の実施状況を見てみますと、港湾労働者年金で受給人員か三千六百十七人、支給額は一億八千二百万円に上っておりますし、また、一時見舞金で見ましても受給人員か七十二人、支給額九百五十万円、それから転職資金で申しますと受給人員が二百四十四人、支給額一億四千九百万円、それから生活助成金では受給人員百八十四人、支給額六千万円などとなっております。  この事業は、労使間の話し合いのもとに、これまでも健全かつ円滑に実施されてきたものでございまして、運輸省におきましても、今後労使間の話し合いの状況を見守りつつ、円滑に実施されるように指導していきたい、こういうふうに考えております。
  146. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題でございますか、今回の改正案は、先ほどからるるお聞きしておりますように、昭和五十七年の十二月の行管庁の勧告とそれから臨調の答申に基づいて提出をされたわけでございますが、行管庁の監査で指摘されたいわゆる免許基準の見直しについては、運輸省は昨年の九月に新基準へ改定をされ、十一月一日から実施されました。その後、今回のこの新基準の法改正が行われるようになったわけでございますか、この新基準の基本的な考え方を、もう一度お聞きをしておきたいと思います。
  147. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 昨年の九月に改定いたしました免許基準の見直しの基本的な考え方でございますが、昨年改定する前の基準というものは、四十一年の法改正、その当時法改正に引き続き設定された基準、それが続いてきたものでございます。その間コンテナ荷役が進展する、あるいはその他の革新荷役が進展するというようなことで、荷役形態の変化、荷役効率の向上といったものが著しくなっておりまして、四十一年当時の実績を踏まえた免許の基準というものが不適切になっているというのが行管等から指摘されたわけでございます。  したかいまして、運輸省としましては、近年における荷役効率の向上といったものを港別に調査いたしまして、港別には扱い品目その他革新荷役の浸透状況等か異なりますので、港ごとにいわゆる荷役効率の向上の度合いといったものを実態調査をいたしまして、これに基づきます免許基準の改定、すなわち免許基準となっております労働者数及びその扱いのための荷役機械等の数量、これらについて通達で改定をいたした次第でございます。
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 次にお尋ねをしておきたいのは、いわゆる認可料金の収受について伺っておきたいと思うんですが、運輸省は、港運秩序の正常化とそれから新たな体制強化を目指しまして、五十八年の一月以降、港湾運送事業関係法令の遵守に関し、二次にわたる監査も含め、関係法令の遵守へ指導を徹底してきたわけでございます。同じく日本港運協会も、連携をしまして、法令遵守運動を展開してきたわけでございますが、運輸省の行った料金収受こ関する監査の結果を御報告願いたいと思います。
  149. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 五十八年度に抜き打ち監査をいたしました結果の概略について御報告申し上げます。  違反事実かやはり相当見られまして、これらについては警告書を発したわけでございますが、本省で監査した数を申し上げますと、事業者の数が二十四、品目が二百七十七品目、地方の海運局で監査いたしました分が九十四事業者、七百二十六品目ということでございます。  その概略につきまして申し上げますと、バースターム契約、いわゆる船社との契約に基づきます荷役作業料金請求、これはおおむね妥当であったということでございますか、不況業種の多い特定荷主のFIOというような契約方式に基づくものにつきましては、たとえば鉄鋼の特に電炉の鋼材ですとか、輸入木材、アルミインゴット、肥料あるいは飼料といったような、いわゆる不況業種的に扱われております品目の扱いにつきましては、若干問題が見られたというのか実情でございます。これらにつきましては、その後荷主の交渉等を強力にやりまして、鋭意改善の方向に向かっておるのが現状でございます。  なお、完全収受したものの割合というものを参考に申し上げますと、船内荷役料金の場合は八三%が完全に収受していたという状況で、船内荷役の場合にはかなり成績かよかったということでございますが、はしけ運送料金につきましては、やはりはしけの過剰その他が影響いたしまして、完全収受した割合は三七%、沿岸荷役料金につきましては五二%、いかだ運送料金につきましては六三%というのがその概要でございまして、これらのさらに一〇〇%収受できなかったものの内訳等については個別でございますが、それらについては、現在鋭意改善についての努力を指導し、また事業者サイドで努力しているという状況でございます。
  150. 桑名義治

    ○桑名義治君 そういうことで、監査の結果判明した事業法の違反の事例については、いわゆる行政処分を行ったのかどうか、どういう処分を行ったのか、その点について伺っておきたいと思います。
  151. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 私どもの第一次監査に基づきます不適切な事例につきましては、警告書を発し、引き続き追跡監査をするということで、現在第二次の監査をしておるわけでございますが、警告書を発したものにつきましてはさらに監査し、改善されてない場合には、第二次の警告を出した上で、本当に事業料金の改善についての成果が上がらない、あるいはそれらの意欲か見られないものについては、その後で行政処分を考えるという考え方で、私ども第一次、第二次では指導を重点に現在行っているところでございます。
  152. 桑名義治

    ○桑名義治君 第一次、第二次というふうに監査をやって、現在の段階ではまだ指導の段階である、それで二次の監査でさらに改善をされてない場合には行政処分を考える、こういうふうに受け取ったわけでございますが、いわゆる認可料金の完全収受については、日港協においても重点項目として取り組んでいるわけでございます、これは新聞の中にもずっと載っているわけでございますが。  現在の状況は、第一次の行政指導によってどういうふうに改善されたか、その追跡調査はなされておられますか。
  153. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、海運局の方で報告をまとめておるところでございます。
  154. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、まだどのように改善をされたかという実態は把握してないわけですね。
  155. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在のところ、まだ中央に全部整理された形ではまとまっておりません。
  156. 桑名義治

    ○桑名義治君 認可料金か守られてない一因として、現在の料金体系が余りにも複雑である、わかりにくい、こういう指摘もあるわけでございます。それと同時に、港湾運送体系のあり方を研究して、料金制度の簡素化を進める必要があるんではないか、こういう御意見もあるわけでございます。運輸省対策としては、今後どのように進めようとなさっておられるのか、その点についての今後の方針を伺っておきたいと思います。
  157. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 現行の料金体系は、基本料金とかそれから割り増し料金その他諸料金に区分されておりまして、今先生おっしゃいますように、ちょっと複雑な面が確かにございます。その点は、利用者の方からもその複雑さが指摘されている点もございまして、特に、基本料金に付加される割り増し料金につきましては、簡素化が求められているということでございます。業界サイドにおきましても 定量的に発生するようなそういう特別な料金につきましては、できる限り基本料金に組み込んだ形で簡素化するように、自主的に料金体系のあり方を研究しているということも聞いております。  それから、私ども運輸省といたしましても、確かにそういう点は、できるだけわかりやすい簡素化された料金であるということは料金完全収受につながるということでもございますので、次回の料金改定の際には、そのような点も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  158. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題でございますか、今回の法改正は第三条と第十六条、この二点でございますけれども、将来にわたって効率的な港湾運送事業の実施が図られるためには、この二点の改正だけでは十分対応できない、こういう御意見もあるわけでございますが、改正案が実施された場合混乱や不安は生じないかどうか、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  159. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先ほど来申し上げておりますように、近年におきますコンテナ化等の荷役革新の進展によりまして港の様相か一変してまいり、それで実態と規制との間に乖離が生じてきた、こういう状態を踏まえてこれを是正しようという今回の改正でございますが、この荷役革新への対応という点におきましては、業種の統合あるいは下請制限の弾力化という二つの改正で大体いいのではないだろうかというふうに考えてはおります。  しかしながら、今後物流に対するニーズが多様化、高度化してくることが予想されますが、港運業の将来の方向についても、先ほど御指摘もございました複合一貫輸送でございますとか、あるいは情報化等のいろいろな課題がございますので、そういった点についてはまだ運輸省としても今後鋭意検討を進めていきたい。それは、今度の港湾運送事業法改正の問題ではなくて、別の見地から、これはまた港湾運送たけの問題でもございません、もっと広い視野から検討を進めていかなければならない問題はあるという認識をいたしております。
  160. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、経過措置で、現在船内、沿岸の免許を有している者は、いわゆる改正法施行後六カ月以内に届け出をすれば、新たな港湾荷役事業の船内、沿岸荷役のいわゆる限定免許を与えることになっているわけでございますが、これなぜ限定なしとしなかったのか。なぜ限定としたのか。限定なしというふうにはできなかったのかどうか、その点の経過を伺っておきたいと思います。
  161. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 今回の法改正につきましても、どのような経過措置を設けるのか適当かということでいろいろ議論をいたしました。また、業界その他の御意見を聞いたわけでございますが、やはり基本的に、現状の体制か大きく混乱するようなことだけは避けてほしいというのかございました。  例えば、一番割り切った考え方をいたしますと、現在船内、沿岸、あるいは両方持っておられる方、いずれを問わずもう無条件で、港湾荷役事業の免許を持ったことにみなしたらどうだという極論もあったわけでございますが、やはりそのようにいたしますと、混乱が非常に大きくなる、または雇用不安といったことも含めた事業者間での不安を増すことになるのではないか。やはり現在やっている事業は一応その体制を維持させるということを基本に考えることが一番望ましい、一番経過措置としては適切であるというような御意見が強かったものですから、私どもも、そのようなことがおおむね妥当な線ではなかろうかということで、このような経過措置を設けたわけでございます。  それで、沿岸あるいは船内だけを持っている方が一挙に港湾荷役事業の免許を持てるということにいたしますと、やはり港湾荷役事業をやるためには、一貫荷役ができるだけの施設なり労働者なり、それをやはり持っていただかなければいけないんではないか。それを、法律改正によって経過措置で、一定期間内に持ちなさいといったような義務づけをすることは、それらの方々の非常に大きい負担となりかねないし、あるいは場合によっては合併なり集約を強いられる。法律によってそういうことをされたんでは困る。今後自主的な努力をそれぞれ重ねて、港湾荷役事業の免許を取れるように各事業者さんが努力していただくということが一番いいのであって、届け出によって現在の範囲の事業を継続的に営めるといった経過措置で、その後はそれぞれの事業者の努力によって新しい港湾荷役事業に進めるような道を開いておく、これが一番いい現状への対応ではないかという意見か大勢でございまして、このような経過措置になった次第でございます。
  162. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう一つお尋ねしておきたいのは、下請のいわゆる制限緩和については、十六条の二項の二号で「運輸省令で定める率を乗じて得た貨物量以上」とされているわけでございますが、具体的には何%以上を予定しているのか、お尋ねしておきたいと思います。
  163. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) いわゆる十六条の場合は、基盤制度という言い方をされておりますように、やはり事業のその部分は基盤となるといったものが実態であるのが望ましい。したがって、現在はしけが基盤と言われながら、一〇〇%受けたものの三%程度しかはしけで運ばれてない、これが基盤となっているのは非常におかしいので、今後は、新しい基盤を設ける以上は、このような統括管理基盤といいますか、それらは少なくとも、一〇〇受けたもののうち五〇を超えるものはそういう基盤のもとでやっていただく必要があろうということで、私ども五〇%を超える率、この率といたしましては五〇%ということを決めるのが合理的ではなかろうかというふうに現在の案としては考えております。
  164. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間がもうわずかになりましたので、もう一点だけお聞きしておきたいんですが、「コンテナ埠頭その他の運輸省令で定める施設」、こういうふうになっているわけでございますが、これは具体的にはどのようなものを予定しているわけですか。
  165. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 統括管理行為が行われているような港湾施設ということにつきまして代表的な例はコンテナ埠頭でございますので、コンテナ埠頭は私ども中核の施設として認めるのか適当であろうし、これを第一番に書く予定でございますが、その他、統括管理行為が行われているような埠頭としましては、自動車荷役が行われております自動車専用船の埠頭、あるいは特別に大型の機械を設置した一貫荷役をやっておりますような大型機械一貫荷役埠頭、あるいは大型のサイロか設けられている埠頭といったものは、このような統括管理行為のもとに作業が行われている典型的な施設だろうということで、それらについて現在指定することを予定しておりますが、その他の埠頭で同様なものかあるかないか、またその基準で拾った方がいいのかどうかといったものにつきましては、現在実態調査を進めておりまして、何とか早急に結論を出したいというふうに考えております。
  166. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間が参りましたので、最後に要望だけ申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、先ほどから、午前中、午後にかけましていろいろと、今回の法案を施行するに当たっての労働者立場という、こういう問題がどなたからも大変重要な事項として提起をされたわけでございますので、この問題についてはまた労働者側ともよくお話し合いを詰めながら、労働者立場が危機に陥らないようなそういう方向で鋭意努力されんことを望みまして、私の質問を終わります。
  167. 安武洋子

    安武洋子君 私は、神戸で生まれまして、神戸で育っております。神戸の港をこよなく愛して親しんできた一人でございます。  神戸市が神戸市民に対しまして、神戸で誇りに思うものは何かというアンケートをとったことがございますが、そのときに、港という回答が一番多うございました。この神戸の港も、実態は急激な変化を遂げております。コンテナ基地としては世界の近代港湾のトップレベルの港になっておりますし、大型機械化が進められてきております。そうして一方では、労働者雇用、職域問題か深刻化もいたしております。その中で、国際複合輸送体制づくりに向けまして、物流整備がどんどん進められております。  私はます伺いたいわけですけれども、一体近代化、情報化、国際化の中で港湾の果たす役割、機能とはどのようなものというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。  私は、時代は変わりましても、港湾というのは本質的には、船積み貨物の積みおろし、あるいはその前後の荷さばき、貨物のこん包あるいは加工、保管、管理、薫蒸、検疫、通関、監視、そして安全点検、統計、情報、こういう機能は本質的には変わらないというふうに心得ているわけてす。私は、政府港湾について、港湾の果たす機能というのをどのように認識なさっていらっしゃるかということをお伺いいたしとうございます。
  168. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 先生お話しございましたように、神戸港は我が国の代表的な港湾でございますとともに、現段階におきましては世界の中でも有数の港湾であるというふうに考えられておるわけでございまして、その港湾において果たすべき役割というのはどうかということでございますが、今これまたお話しございましたように、大きく分けまして、まず第一点にはやはり海陸輸送の結節点であるという点かあろうかと思います。  四面を海に囲まれ、またかつ資源に乏しい我が国にとりましては、外国から大量の資源を輸入しなければならない。そして輸入した物を加工いたしまして、輸出しなければならない。あるいは、国内における輸送につきましても、海上輸送が非常に重要な役割を果たしておる。こういうふうな面で、海陸輸送の結節点としての港湾の役割というのが第一にあるわけでございます。  それから、それに関連いたしまして、第二の大な役割かあろうかと思います。すなわち、物資を輸入し輸出するという場所か港湾でございますので、その港湾は、同時に重要な生産の場、いわゆる加工の場、製造の場としての役割を果たすという役割かあろうかと思います。これがいわゆる消費地立地型の工業の基盤として港湾が役割を果たしますし、あるいは、何と申しますか、石油精製でありますとか鉄鋼とかいうような、大量貨物を、原料を利用する、あるいは活用するような産業も、港湾に立地しなければならないというふうな課題かあろうかと思います。  それから第三の課題、そのようないろいろな役割を背景といたしまして、港湾中心として都市の発展というものかあろうかと思います。御承知のように、我が国の大きな都市というものは港湾沿いに発展しておる、こういうことになっておるわけでございます。  大きく分けまして今の三つのような課題、課題といいますか、役割があろうかと思いますが、それぞれの役割を果たすにつきまして、その中身といたしまして、いろいろな作業等々があろうかと思います。非常に大ざっぱに分けまして、以上のようなことでございまして、これらはいずれも、我が国発展のために非常に重要な基本的な役割であろうかと思っております。
  169. 安武洋子

    安武洋子君 港湾運送事業法の柱の一つでございます免許制についてお伺いしたいんです。  第十六条に基づきます新しい免許基準、これは統括管理の基準が抽象的で、私は非常にわかりにくいというふうに思うわけです。  そこでお伺いいたしますけれども運輸省は、法成立後省令で行うというふうに言われております。で、運輸省は既に、五大港で独自の調査を行っておられます。五大港で、一般港湾運送事業の無限定の営業を行っている会社は百六社であり、そのうち一定量以上の貨物を管理し、一定の統括管理的な業務を行っているところをチェックしたら、四十五社程度だ、こういう御答弁をなさっていらっしゃいます。先ほどもこの御答弁がございました。この一定の貨物量とは五〇%以上という御答弁でございましたが、このチェックをなさったとき、調査をなさったときも五〇%で行われたんでしょうか。五〇%というこのかっちりした数字、以上というのは、一体どれぐらいなんでしょうか。調査をなさったときの数字をお伺いいたします。
  170. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 新しく十六条の統括管理行為を埠頭で行う事業者、行える事業者がどの程度あるかという調査をいたしました際に、現在五大港では無限定一種事業者が百六ございますが、その中で特に今回、はしけを基盤とする事業者、これが四十五社ありまして、その中で新しい統括管理基盤へ転換する方が出てくるんではないかということで、それらの方々についての実情調査をしたわけでございます。  それで、統括管理基盤の前提となります統括行為の対象になります貨物量は、百受けた場合の五十以上はそこで扱うということで、五〇%を、最低基準を超えている扱いをその埠頭でしているかということと、それからコンテナ埠頭、自動車専用船埠頭、サイロ埠頭、大型荷役一貫埠頭といったようなものを予定しておりますので、そのような形での荷役を行っているのかどうか。それから、そこでやっている作業の内容が統括管理行為、これは荷役計画の作成、それから下請事業者、実際に作業をやる人たちへの監督、指示といったような行為をやっているかどうかといったようなこと、これは将来省令で定める予定にしておりますが、それらの基準でチェックして、何社ぐらいそういう基準に該当するかということを調べた結果が、二十二社程度であろう、約半分であろうというような調査結果になっておるわけでございます。
  171. 安武洋子

    安武洋子君 だからね、私が今お伺いいたしましたのは、調査したときは、五〇%以上の数字のところを取り上げたということかということと、そして、それを今度は省令に盛り込むときの目安になさるのかと、こういうことをお伺いいたします。
  172. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 五〇%以上を取り上げまして、五〇%ということを省令で書こうと、こういう予定にいたしております。
  173. 安武洋子

    安武洋子君 五〇%というはっきりした数字でございますね。それを一つ確認したいということと、それから、先ほどの、一定の統括管理的な業務という中身でございますね。これ先ほどおっしゃいましたけども、先ほどおっしゃったようなことぴったりで、そのほかにつけ加えることはございませんか。
  174. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 率としては五〇%と書く予定にしております。  それから、統括管理につきましては、できるだけわかりやすくということを前提としながら、荷役計画の作成及び実作業の指揮、監督ということを中心として、それらについて法令的な書き方を今整備しておりますので、簡明でわかりやすく省令で決めたいということを前提として現在検討中でございます。
  175. 安武洋子

    安武洋子君 その検討の中身を、もう少し具体的に詳しく言ってみてください。
  176. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) コンテナターミナルにおける統括管理行為といったものを先般現場も御視察いただきましたが、港湾運送の企画業務というようなことで、例えば積みつけ計画あるいはヤード内のコンテナの配列計画をつくる、あるいは荷役計画を、どういう手順でコンテナを積むかというような、そういう企画立案をやっておるわけでございますし、また実作業の指示、監督につきましては、コンピューターを使って出てきたデータを、現実にそのとおり作業を行うような指示、監督をやっているということでございますので、これらの行為全般をとらえて、その中で港湾運送の企画及び実作業の指示、監督といった形で表現するのが、省令としてはわかりやすいのではないかというふうに、現在のところは考えております。
  177. 安武洋子

    安武洋子君 もう一つ何となくわかりにくいわけですが、統括管理、これを免許の対象にした理由というのは、コンテナ、サイロ、それから自動車ラック方式、プラント管理、こういうことで高度な統括が求められてしるというふうなことで、近代化に伴う新しい免許対象が要求されているからだというふうに私は思います。で、このような免許が新設されることによりまして、将来、懸念される問題が出てくるわけです。ます、国際複合一貫輸送体制の法体系の整備との関係で、複合輸送業者、こういう人たちの免許基準を今から考慮に入れて十六条の改正というものを考えておられるのではないかということでございます。この点いかがですか。
  178. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 国際複合一貫輸送につきましては、既に関係事業者がそれに進出しようということで、いろいろもう動きがございます。しかし、現在、この今度の港湾運送事業法改正で、国際複合一貫輸送に関連したような意味で法律改正考えている、あるいはそういうものを意図してそこで考えているということはございません。国際複合一貫輸送につきましては、もちろん港運事業者の仕事関係がございますけれども、これは全体的な法体制の問題でございますとか、いろいろ問題もございますので、それはこれから十分調査もし、私どもとして考えていかなければいけない課題だというふうに認識はしております。
  179. 安武洋子

    安武洋子君 では、将来も、この複合一貫業者の免許にかかわって法改正ということは行わないというふうに承ってよろしいですか。
  180. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいま申し上げましたように、国際複合一貫輸送につきましては、実態としては確かに進みつつある点がございますけれども、それはそれぞれの事業法をベースにしたようなことが行われているわけでございまして、今度私ども検討をしなければならないものは、一貫的なその責任の問題でございますとか、運賃のあり方とか、そういうものを含めてどういう法規制が適切なのかというふうな部分について、これから調査をしていくということでございまして、それにひっかけたような格好ですぐこの法律改正するとか、そういうことは全く考えておりません。
  181. 安武洋子

    安武洋子君 次に、はしけ基盤を初め、現業基盤との切りかえに伴う労働者雇用対策という点が大きな問題になります。これにつきましては、けさほどから論議もされておりますし、衆議院でも再三御答弁をされております。私は、重複いたしますので触れませんか、行政指導を適切に行っていただきたいということを強く申し入れておきます。  次に、事業法の柱の二番目でございます確定料金制についてお伺いいたしたいわけです。  行管庁の料金実態調査では、船内、沿岸における料金の一〇〇%収受というのは調査対象の二六・一%というのか出ております。こういう実態に対しまして、運輸省業界労働組合、それぞれ努力をなさってはおられます。ても、港湾実態から見てみまして、業者間の競争とかあるいは荷主と港運業者との力関係、まあ幾らかかったのかということか結果を見てみないとわからないというふうな作業状況というふうなことも相まちまして、将来的にも私は、大きな変化はないんではないかというふうに思うわけです。で、今までの延長線上の努力ということではだめで、やはり料金の見直しと、完全収受のための施策というのを強力に展開すべきではないかというふうに思うわけなんです。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  そこで、現行の運賃体系の基礎になっております昭和四十三年当寺の原面構成、これを見てみますと、労務費か七六%、それから作業機械費四%、作業管理費四%、一般管理費一二・五%、利子利益三・五%と、こういうふうになっております。労務費の占める割合か多いのは当然でございます。だから、料金決定に当たりましては、正確に就労状況を把握しておかなければならない。これもまた理の当然でございます。そのために、私は、現場作業単位の就労条件の基準、これを明確にすべきであろうというふうに考えます。  料金改定に当たりましては、その料金の中に賃金引き上げ、それから時間短縮、週休二日制、退職金増加分、こういうことが加味をされていなければならないはすでございます。  ところが、現状では、六大港の船内労働者の賃金体系といいますのは、日給制、時間給制、そして退職金も極めて低い、こういう傾向が出ております。さらに、仕事か大変忙しいとき、これは一作業単位の作業員が極端に削られまして、いわゆるショートキャングのもとで作業をさせられているというのが常態になっております。世界に誇る神戸港と申しますけれども労働者状況というのは、決して世界に誇れるような状況ではございません。そして、労働災害か多発いたしております。十数年間で、二万数千人の労働者が港を去っておりますけれども、この労働者は、荷役機械化されて余剰人員になったというだけで、港を去っているのではございません。先ほど申しましたようなショートギャングに見られるような労働条件の悪化と、そのしわ寄せを受けてやはり港を去っている、こういうことか重要な原因になりまして、労働災害か多発しているというところもしっかりと見ていただきたいと思います。  で、料金のうちの七六%を労働者の労賃として認めているわけでございますから、料金の収受が一〇〇%履行されていないということは、必然的に労賃にしわ寄せが参ります。これは業界自身の責任とともに、このような業界を許してきたという行政の系統的な追及の甘さたと私は言わざるを得ないと思うわけです。  こういう状態について、私は、一体大臣はどのようにお考えかということをお伺いいたします。
  182. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おっしゃっておる御指摘は、もうまことにごもっともだと思います。私どもは、しかし、この問題は非常に難しい問題をはらんでおることをけさからもしばしば申し上げておるところでございまして、さらに努力をいたさなければならないと考えております。なお、料金の基準の見直しということも、大分時期がたっておりますから、私は考えていかなければならぬ問題だと、かように考えております。
  183. 安武洋子

    安武洋子君 そこで、大臣料金の見直し検討をしていたたくときに私はお願いいたしたいわけでございますが、やはり再生産を確保して事業が健全に発展するということともに、労働者の生活も守るというふうなことで、認可料金を適切なものにするということ、そしてそれを厳守させるということで、ます、認可料金に違反した場合でございますが、現行では港運業者のみか罰則の対象になっております。これは、全く私は片手落ちと思います。利用者か圧倒的に、力関係では有利であるわけです。だから、ダンピングを強いる。強いなくてもやはり、港運業者仕事をとるために競争せざるを得ないというふうな状態があるわけですから、利用者の違反行為についても罰則の対象にすべきだ、これか一点でございます。  それから、現場の作業基準、これを明確にして、就労の基準をきっちりと設けなければならないんではないか、これか二点でございます。  それから、第三点といたしましては、料金の原価計算の洗い直し、これをやっていただきたい。料金の構成、先ほど私が申し上げましたように、今は明らかにされておりませんけれども、内容を明らかにすべきです。労務費は幾らとかというふうに明らかにしてまいりまして、利用者もそれから港湾業者労働者も納得できるようにやはりやるべきだというふうに思います。  それから、第四点でございます。同業者間の共同作業、それから共同請求、共回収受、これを指導することか必要ではなかろうかと思います。  そして第五点は、港湾における無免許営業、これを排除する、こういうことを基本にして私は推進していただいて、料金の見直しをしていただきたい。  大臣いかがでございましょうか。
  184. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おおむねおっしゃるとおりだと思いますか、ただ、利用者に対しまして罰則を適用するということは、これはできれば非常に有効であることは明瞭でございまするけれども、現在の状況下ではなかなかここまでは簡単にはできないんじゃなかろうか。ここまでしないで、罰則というようなことでなくて、何らかの方法を講じていくということしかないのではなかろうか。料金を絶対守るという面から見ると、確かにおっしゃるとおりでございますけれども、これを守らない者を罰するというやり方というのは、今の日本の社会情勢なり社会常識なりからとらまえますと、なかなかそこまではまいれないんしゃなかろうかと、かように私は思っております。しかし、十分研究はいたさなきゃならぬと思いますか、これにかわるような方法を何らか考えなきゃならぬというのか常識的ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  他の点につきましては、無免許業者の排除の問題やらその他の点につきましては、おっしゃるような点十分検討させていただき、そういう方向で考えてまいらなきゃならぬと思っております。
  185. 安武洋子

    安武洋子君 大臣、有効であるということをお認めでしたら、私はやはり一番有効な方法をおとりいただくのか適切ではなかろうかと。罰則を片方だけに適用している、港運業者たけに適用しているということでございますから、大変片手落ちでございます。片方の、利用者だけをかばわれているというふうに受け取られるんじゃございませんですか。私はこの点も今即答をいただこうとは思いませんけれども、十分検討していただいて、そのようにやっていただきたい。よろしゅうございますでしょうか。
  186. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) これは事業法でございまして、どんな事業法にもみんなあるわけでございますか、利用者や使う方の人を処罰するというのは、日本の法体系の中では、これは今の状況では無理ではなかろうかというふうに思います。ですから、それかできないところに、非常な苦労をいたしておるわけでございまして、もしそういう法律を出すとすれば、猛烈な、猛然たる反対が恐らく出てまいるでございましょうし、それによく耐えることができないのではなかろうかと、かように考えております。かわるべきやっぱり方法、間接的な方法、利用者か守っていただかなければならぬような方法を講ずるということか限界ではなかろうかと、かように存じておりますか、なお研究させていただきます。
  187. 安武洋子

    安武洋子君 弱い者ほどしわ寄せを受けている、労働者とか中小零細業者がしわ寄せを受けているということで、悪い者ほどよく眠るということでは困るわけですから、その点、何が猛然たる反対があるのかも知りませんけれども、そこは大臣、やっぱり正義を貫いていただくという立場に立っていただきたいということを、ちゃんと申し添えておきます。  次に、職域問題でお聞きをいたします。  五十四年の七月の、大蔵省の関税局調査の、輸出貨物のコンテナ詰め施設別比率、これと、五十八年の日本コンテナ協会が実施をいたしました同様の調査、この二つの調査は、調査の場所とか内容など、一定の違いもございます。しかし、同じような傾向か出ております。これは、埠頭内のバン詰めば、どちらの調査でも十二・八%ということで、メーカーの倉庫でのバン詰めば、大蔵省の調査では二二・二%、日本コンテナ協会か二三・三%、ほとんど同じような数字か出ております。とりわけ大蔵省の調査では、三分の一以上のバン詰めが、港湾地域以外のところで行われているという結果か出ております。先ほど神戸港の場合のことが話されておりましたけども調査をし、そして話し合いをしていくということを御答弁なさっておられました。  それはまあ大変結構なことであるとは思いますけれども、しかしこれは、すぐれて荷主に責任のある問題でございます。ですから、港湾における職域の拡大の方策を講じなければならない。衆議院でも附帯決議が出ております。こういう傾向がもうちゃんと出ている。だから私は、ちゅうちょすることなく荷主協会なり日本貿易協会に対して、荷主、メーカーに指導をする、こういうことを申し入れるべきではなかろうか、こう思いますけれども大臣いかがでございますか。
  188. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 先生お話しございましたコンテナの例えばバンニングあるいはデバンニング作業、これは半数以上か内陸部で、港頭地区以外で行われているというお話でございますか、確かにそういうことか実態のようでございます。それでこの問題につきましては、港湾運送事業法の適用対象として取り込んだらどうかというような意見もあるわけですけれども、これはなかなか、常識的な港湾地区における運送事業を規制する法律の範囲内に取り込むというわけにもいかない。  そういった意味で、法令的になかなか、そういった面から解決するというのは難しいわけでございまして、ただしかし、港湾運送事業者の経営の維持の問題、港湾労働者雇用確保の問題、そういったものと非常に関係してくることでございますので、日本港運協会においても、そういった観点から、従前から各種荷主団体等の港湾利用者に対して、協力をお願いしているところでありますけれども、さらに引ぎ続いて積極的に働きかけを行っていく、あるいはみずからも必要な対策のための調査を行うということにしておりまして、私どもといたしましても、これは単に港湾運送事業だけの問題ではなくて、もっと幅の広い問題としてとらえまして、内陸部からのトランク輸送の問題、それから港湾運送事業の問題、そしてまた、先ほどもお話にございましたけども、そういうある一つの港の港頭地区におけるバン詰め、バン出してはないものでも、内陸部といったけではございません、いろんな実態も調べた上で、できるだけ合理的、効率的であり、かつ港湾運送事業者とそこに働く労働者にとっても、いい結果になるような方法はないか、私どもとしても十分研究、検討はしてまいりたい、こう思っております。
  189. 安武洋子

    安武洋子君 もう時間かないので、今のも、もっと私は反論があるわけですけれども、次に移らせていただきます。  労働省にお伺いいたしますけれどもILOの百三十七号条約につきまして、労働省は、批准に向けて残されている調整事項、それから検討事項、これはどのようなものかということを端的にお答えいただきとうございます。
  190. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 御説明申し上げます。  ILO百三十七号条約、いわゆる港湾労働条約につきましては、一九七三年にILOにおきまして採択されたものでございまして、現在加盟百五十カ国のうちで二十一カ国が批准している状況でございます。日本とかアメリカとかドイツとか、そういうところは批准してないという実態でございますが、基本的には、ILO条約につきましては、国内法制との整合性を確保した上で可能なものから批准に努めるというのが、私どもの基本的な考え方でございます。  ILO百三十七号条約につきましては、港湾労働法など現在の国内法によりまして、おおむねその内容は満たされているというように考えておりますけれども関係労使等の間におきまして、この条約の内容につきまして理解の一致を見るに至ってない点か多々ございます。  例えば、この条約におきましては、港湾労働者とか港湾労働という定義は、国内の法令あるいは慣行によって定義されるというようになってございますが、現行の港湾労働法は、国内の事情等を考慮いたしまして、現行の六大港ということになってございますが、この点等につきましても、さらに周辺港等に拡大すべきじゃないかというような御意見があるとか、あるいは、この条約におきましては、港湾労働者は当該国及び当該港湾の経済的及び社会的な事情に即した方法及び範囲内で最低の雇用期間または収入を保障されるというようなことが定めてございますか、現在の体系でございます港湾労働法の中での雇用調整手当制度では、就労日数が下がれば支給額か下がるではないか、不十分だというような御意見とか、さらに、この条約におきましては、国内の法令または慣行によって定める方式で港湾労働者のすべての職種について設けよと、登録でございますか。この点につきましても、現在私どもの港労法では、常用労働者につきましては ILOの場での御審議を踏まえまして届け出制ということで法体系を整備してございますか、ここら辺につきましても、全登録に改めるべきじゃないかというようなことが主張されてございます。  したがいまして、こういった関係者の間で相違がございます現状の中で、直ちに批准するということには問題がございますので、関係審議会の場等を通じまして、いろいろな相互理解が形成されるというようなことで努めてまいりたいと、そのように考えております。
  191. 安武洋子

    安武洋子君 それでは、最後になってしまいましたか、今の港湾労働者雇用の不安、これはもう大変深刻でございます。こういう深刻さを考えてみましたときに、このILOの勧告と同時に政府が速やかに批准をしておれば、そして必要な施策を講じておれば、私は、今のような深刻な事態を招かないでも済んだというふうに思うわけです。ですから、早急にやはり批准に向けまして日程を詰めていただきたいということを、強く要請をいたします。  そこで大臣、利用者のニーズの変化から、国内外ともに、運輸港湾産業に流通機構の再編成が起こっているわけです。その中で、各種の規制の緩和が競争を一段とあおるというふうな中で、中小零細企業と労働者にそのしわ寄せか一段と強く寄せられているわけです。私は、利用者のニーズにのみこたえるというふうなことであってはいけないと思います。ですから、犠牲になっている中小零細企業と労働者、こういう部分にどう対応するかということが、今政治に求められているというふうに思うわけです。  そのためにも、利用者も含めました、政府、そして労働組合、業者、利用者、こういう四者による協議機関を私は設けるべきではないか。これはILO精神にも沿うわけでございます。この点を大臣にお伺いをさせていただきます。
  192. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) けさほどもお答えの中に申し上げましたが、今回の運輸省の機構改正の中で貨物流通局というのをつくりましたのは、こういった問題を、海陸空を通じ、その結節点を通じていろいろ考えていくためにつくった制度でございます。  そこで、今おっしゃったような点、確かに働く人たちにしわ寄せがされない、不当なしわ寄せが来ないようにすることは、これは私ども政府として考えていかなきゃならぬことであるということは、当然なことだと思いますので、いろいろ各方面の意見、もちろん労働組合も含めまして、各方面の御意見をいただきながら、考えていかなきゃならぬ問題たと思っております。具体的に協議会をつくるのがいいのかどうすることがいいのかというような点については、いましばらく検討をさせていただきたいと存じます。
  193. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 貿易立国であります我が国港湾産業は、国民経済を維持し発展させる上にとりまして極めて重要な産業であることは、今さら申し上げる必要もないと思うんです。しかし、現状港湾は、一九六七年から本格的に開始されましたコンテナ輸送によって大きな変革を来して、特に最近におきましては国際的な複合一貫輸送が事実上進展している、こういう状況下にありまして、さらに物流ニーズの多様化の傾向と相まちまして、港湾運送の需要そのものが構造的に著しく変化しつつある現状にあると考えます。  そこで、第一点、お伺いをいたしますが、運輸省は、現状港湾をどのように分析し認識しておるのか、この点からまずお伺いをしたいと思います。
  194. 小野寺駿一

    政府委員小野寺駿一君) 先生お話しございましたように、港湾は、四面海に囲まれ、資源に乏しい我が国にとって、非常に重要な役割を果たしてまいったわけでございまして、我が国の経済社会の発展の上で非常に大きな役割を果たしてきたというふうに考えておるわけでございます。中でも、昭和四十二年、三年ごろからのコンテナリゼーションの発展が、港湾に非常に大きな変革をもたらしまして、港湾における荷役形態に関しましても、非常に大きな変化を来したというふうに考えておるわけでございます。その間に港湾施設そのもの発展といいますか、整備というものがあって、そのような近代的な革新荷役というものを支えることができたというふうに考えるわけでございますが、この間における港湾施設の整備という点につきましては、数次にわたる港湾整備五カ年計画に基づく整備という形で進められてまいったというふうに考える次第でございます。  現在の段階におきまして、我が国港湾整備の水準、あるいは貨物の扱いの状況、あるいは近代化の程度というような点につきましては、世界有数の水準まで来ておるというふうに考えるわけでございます。  今後の港湾のあり方という点に関しましては、先ほど来港湾輸送量が、港湾における貨物の扱い量かどう変わるかというような点につきましての御議論もございました。これは、従来ほどの著しい貨物の輸送量の増大というふうなことにはならないわけでございましょうけれども、先端産業の製品等を中心とする各種さまざまの貨物が、やはり従来ほどではないけれどもある程度の安定的な増大を示すことになるというふうに考えられますし、また、それらの貨物に関しまして、大変きめの細かい輸送サービスを提供するということが要請されるというふうに考えるわけでございますから、そのような情勢の変化に対応しまして、あるいは港湾に寄せられる要請の変化に対応いたしまして、適切な対応ができるような体制を、施設の面あるいは業務の面等におきまして整える必要があるのではないかというのが、これからの港湾の課題であろうかと思います。
  195. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 現状港湾と、それからこれからの展望につきまして、局長から今お話を聞きました。  そこで、過去二十年を振り返ってみますと、かつては八万人を数えました港湾労働者、現在ではその半分になっている、こういうことなんです。港湾労働者雇用面に非常に大きな影響をもたらしてきたわけです、この物流の革新によりまして。この間に、この港湾労働雇用面に対しまして、一体今までどのような行政的な処置、指導を講じてきたのか、この点についての経過をお伺いをいたします。
  196. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 港湾労働者は、先生おっしゃいますように、ここ二十年大分減ってきております。それは事実でございます。港湾労働者雇用確保の問題は非常に重要な問題でございまして、しかしそのためにはやはり事業の安定ということが何よりも重要であるというふうにます考えておりまして、そういった認識のもとに、コンテナターミナルヘの進出など、港湾における荷役革新事業者が乗りおくれてはいけないというふうなことも考えまして、指導をしておるところでございまして、その際必要となる荷役機械あるいは上屋の整備などにつきまして、政府関係金融機関あるいは財団法人港湾近代化基金などから低利融資も行うということで、その整備に努めておるところてございます。  また、そういった格好で、革新荷役とかそういった、時代の進展に合わせて事業が安定して進展していく場合はいいわけでございますけれども、必ずしも港湾運送のある部分については、そうはいかないという、構造的な不況という色彩を強めている部分かあるわけでございますので、そういったところにつきましては、不況による雇用不安を防止するために、各種の不況対策法業種指定を行いまして、その面からも政府としては可能な限り助成を行っていくということで、やってきております。例えば、雇用保険法に基づく雇用調整助成金の支給対象業種に、港湾運送業あるいは港湾運送関連業を指定するということで、効果を上げているところでございます。  また、業界におきましても、この問題は大きな問題として受けとめておるのは当然でございまして、労働組合と、港湾労働者雇用と生活保障制度に関する協定、いわゆる五・三〇協定というものを締結して、港湾福利分担金のうちトン一円、といいますと年間約六億円でございますけれども、を原資として港湾労働者の年金生活助成金、転職資金制度の推進を図っておりまして、さらに今春、これについての拡充について合意がなされているということでございまして、それぞれの分野に応じた各種の対策を講じてきておるというのか実情でございます。
  197. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今お話のござしました港湾労働者の年金制度の問題につきましては、次回の委員会で、私もいろいろ問題点がありますので、見解を聞きたいと思うんです。  そこで、今までの対策につきましてはお話を聞いたわけでありますが、一体今後需要構造がどのように変化していくだろうか、このような激しい変化の中で推測はなかなかでき得ないわけですか、それだけに港湾労働者雇用不安は常につきまとう、こういうように思うんですか、したがって、これから、これらの港湾労働者雇用不安に対しまして、一体どのような処置といいますか、産業官庁といたしましてどのような対策を講じていかれるのか、この点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
  198. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 確かに、これから貨物についての需要構造がどのように変わっていくか、非常に難しい問題たと思います。  全体的に言いますと、やはりいわゆる素材産業というものかなかなか厳しい状況でございます。それから、先端技術産業とかそういった製品といえば、いわゆる軽薄短小と言われるようなものがどんどん伸びております。経済全体も、ソフト化あるいはサービス化と言われるような質的な変化を遂げつつあります。そういった時期で、輸送の需要というものがやはり経済の伸びに比べまして少な目になってきておる、こういう状況、要素も出てきておりますし、またその輸送需要の中でも、各輸送手段別に適合するものによって伸びが違ってくるという状況でございますので、なかなか例えば、港湾運送に関連いたしまして需要がどの程度になっていくかという予測は難しいわけでございますけれども、そう楽観をするわけにはいかないだろうと思います。経済全体の伸びが、非常に高度成長のときのように大きくというわけにはまいりませんし、また全体の輸送需要もそんなには伸びていかない。その中で非常に厳しいような事態か考えられるたろうと思います。  それに関連いたしまして、雇用問題というものについては、やはり先ほど申し上げましたような、時代に即応した事業発展、そして本当に構造的に不況である業種については、それをどうやって職業訓練をやって転換していくか、これはなかなかまた、転換していくその相手の仕事の内容によりまして難しい問題があることも承知しておりますけれども、そういった点も考えながら、そして最後の場合に、どうしても離職ということになった場合にどうするかと、いろんな段階的な施策を具体的に考えて、これは従来からやっているものの延長というものも多いと思いますけれども、その辺も踏まえて、需要の構造をよく見ながら注意深くひとつやっていきたいと思っております。
  199. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 その点は極めて重要な問題であり、今後必す対応しなければならない問題たと思いますので、真剣に対応していただきたいと、このように要望をしておきたいと思います。  次に、今回提案されているこの改正案、これは今までもしばしば指摘されてきましたけども運輸省の自主的な意思というものではなくて、行管あるいは公正取引委員会あるいは第二臨調、これらの勧告、答申を受けて提起されてきたものたと、このようこ私ども理解をしているわけです。  そこで、これは基本的な問題ですから本当は大臣にお答えをいただきたいんですか、この行管庁などが指摘している勧告、答申、これは今回の改正点のほかに、認可料金か実質的に機能していない、いわゆる守られていない、あるいは現行事業規制のあり方について、これも実態にそぐわない、したがってこういうものを検討すべきだ。すなわち料金自由化ですね、あるいは参入規制の緩和、こういうものが行管庁の中で指摘されているわけですが、この事業法根幹とも言うべきこれらの問題点について、どのように対応していこうと運輸省はしておるのか、御見解をお伺いしたい、このように思います。これは極めて、当面するこの改正点を含めて大きな問題だと思うんですが、よろしくお願いいたします。
  200. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) この点に関しまして、行管と公取と意見が食い違っております。行政管理庁が言っておりますことは、大体私ども受け入れて今回の法律にいたした、こう申し上げていいと思います。ただ行管は、現行の免許基準について、最近の状況に即応して見直しをしろということをほかに言っておりますのと、それから、運賃料金の問題について、料金の問題についてはもっとはっきり取るものは取らなくちゃいかぬ、励行するようにしなきゃいかぬじゃないかということを言っておりますので、行管の線と私どもの線は合っておるんでございます。  ただ、公取の方は、少し詳しく私の方から申し上げられませんか、やや、やはり自由化の線を出しておられるのでございまして、公取のお立場からは、いろんな点でもっと自由化したらどうだ、自由競争で徹底的にやらせたらどうだという線なんでございまして、私どもは、今は、今の港湾運送業実態から考えて、またその重要性から考えて、またその零細性あるいは中小企業、そういったような点、いろんなことから考えて、そういう免許を、いわゆる新規参入自由化するとか、料金自由化するとかいうことには賛成いたしかねるという立場を実はとっておる、こういうことでございます。
  201. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それでは、今のような体制の中で考えていく、こういうことだと思います。  そこで、これは具体的にお伺いをしておきたいんですが、先ほどもいろいろさまざま議論かございました料金のダンピングの問題ですけれども料金のうちの約七〇%から八〇%は労務費と。したがって、このダンピングというものが、即労働者の賃金に影響し、生活と雇用に影響してくるわけですから、極めて重要な問題だと思うわけです。そこで、このダンピングの防止につきましては、協会の自主的努力あるいは労働組合の強い抗議、それから運輸省の強力な指導、こういうのにもかかわらずなおダンピングが行われてしる。極めて重要な問題だと思うわけですか、先ほどお話がありましたように、第一次ともいうべき警告書を発したと、こういうんですか、一体どの程度の業者に対してその警告書というものを発行したのか、具体的な数字かおわかりになればお示しをいただきたい。  それから、それでもなおこの料金を守らないという業者に対しては第二次の警告を発するんだと、こう先ほど言われました。では、その第二次の警告の内容というものは、例えば、違反業者の氏名を公表する、あるいは営業停止を含む行政処分をやる。第二次はそのところまで一体いくのかどうか、この点についてもあわせてお伺いをしておきたい。  と同時に、運輸省といたしましては、行管庁などの指摘を踏まえまして、特別監査あるいは抜き打ち監査、こういうものも従来やってきて第一次警告というところになったわけですか、その監査結果というものを、先ほど内容をお聞きをいたしました。違反かこのくらいで、こういう中身でこういう形になっているということを聞きましたが、その監査結果を資料としてお示しをいただきたいと思うんです。やはりこれは労働者の賃金、雇用その他に極めて重大な影響がありますので、どういう一体実情になっているか、運輸省の監査の結果はどういうことになっているのかという、その内容を資料として御提示をいただきたい。  これは要求でございますが、その点についての御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  202. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 一次監査の結果は、総括的な数字その他は先ほど申し上げましたが、これらにつきましては、引き続き二次監査をやっているという点もございますので、個別の、例えば固有名詞が入ったようなものを出すのはちょっと控えさせていただきますか、概括的な状況につきまして、完全収受してしるものの割合あるいは、収受か劣ったもののまたパーセントかどの程度であったのかといったようなものについての、概括的な資料につきましては、まとめまして、それでは出させていただくようにさせていただきます。
  203. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 いやまだ答弁、一点、二点……。警告を発したのはどのくらいで、第二次のはどういう対処策を考えておるのか。
  204. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 本省で監査いたしました分か二十四事業者、それから地方海運局で監査したものが九十四事業者と申し上げましたか、大なり小なり問題かありましたので、それぞれの事業者について個別の警告、改善指導をいたしております。現在、これらについては、第二次の監査をするということで逐次取り組んでおりますか、この状況、結果を見まして、公表、あるいはさらに悪質なものかある場合には、処分、事業停止命令といったようなことも考えるということを、既に通達を出しておるわけでございますので、私どももその通達を今後適用することもある心構えで取り組んでおります。
  205. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この点については、まあ、だれとは言いませんけれども運輸省当局の指導というのかまたなまぬるいんてはないか、こういう批判めいた意見もございますので、ぜひとも強力な体制でやっていただきたい。そのことかこの秩序を守るということになりますので、その点をひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今度は具体的にお伺いをしていきたいと思うんですが、船内と沿岸を統合する場合に、今はそれぞれ異なる免許基準、公示料金、こういうものかあるわけですね。これが、合体をした場合に一体どのようなものになるのか。違ったものを、低いもの高いものを足して二で割るような体系に持っていくのか。私は、そうなると、高いものは引き下げられるということになるから、不満が出てくる。むしろやはり、高いところに基準を合わせていくという処置にならざるを得ないと思うんですか、その辺のところについての考え方をお聞きしたい。  それからもう一つは、常時雇用する労働者の免許基準もございますですね。船内は例えば四十五だとか、沿岸は三十だとかという、常時雇用する労働者の免許基準。これも結局は私はちょっと心配するんですが、低い方に下げられてくる、基準が。こういうように心配をしないでもないわけですが、その点について、今度の改正に当たりまして、どのように考えておるのか。我々としてはどういうように理解をしていったらいいのか。この点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
  206. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 新たに設けられます港湾荷役事業についての免許基準でございますが、特に労働者の数、これにつきましては、現行の船内荷役事業と沿岸荷役事業の免許基準が基礎となるものというふうに考えておりまして、この基準につきましては、勧告等も受けまして、昨年九月に荷役効率の向上による見直しをいたしましたか、今回、港湾荷役事業の免許基準といたしましては、これらを、船内と沿岸の数を足し合わせたものの合計、それに、若干の合理化効果というものは期待できるということで、それに近い線ということで設定したいというふうに考えております。したかいまして、私ども、このような基準を設定することによって混乱ができるだけ起こらないようにということを基本として考え対応したいというふうに、現在のところ予定いたしております。
  207. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 それは重ねて御質問を申し上げたいと思うんですが、現在のこの免許基準というものが、近い線ということは、多少引き下げられるみたような感じを受けるんですが、そうじゃなくて、現在の免許基準というものは下げないという範囲でやるんだと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  208. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 港湾荷役事業と申しますのが船内と沿岸行為をそれぞれ連続してやる行為でございますので、それぞれの行為をやれる人数あるいは施設は持ってもらわなければいけないということになりますので、原則は足した形になるわけですが、若干の合理化効果によって、その足したものよりも少しは低い線という形で免許基準を設定するのが適当であろうと、こういうふうに考えております。
  209. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 その辺のところが極めて私どもにとりましては問題点でございまして、結局、法改正によってうまく統一するのはいいですけれども、それこそ現状に合わせていく、現状と法との乖離を埋めるということはわかるんですが、この法案の成立に伴ってそういう基準が変えられてくる、それが雇用労働者にも直接影響する、こういうことについての問題点が極めて大きい、この点についてはさらに引き続きの委員会で私は問題を提起していきたいと、こういうように思います。  きょうは、時間かございませんので、もう少し具体的に、あと二点ばかりお伺いをしていきたいと思うんですが、その一つは、一種業種、元請のですね、の新しい基盤を制度化することによりまして、一体どの程度の業者が旧基盤から新基盤に進出、移行する見通しであるか、その見通しをお伺いをしたいと思います。そして、この新基盤に進出、移行することによって旧基盤のはしけの隻数にどの程度の影響が及び、またそこに働く者の転換者というんですか、そこに働く者は当然ほかに職種をかえていかなきゃならぬわけですが、そういう者の数というものかどの程度になるのか、見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  210. 阿部雅昭

    説明員阿部雅昭君) 現在、五大港の無限定一般港湾運送事業者、百六社ございますか、このうちはしけを基盤としている事業者が四十五社ございます。これらの事業者が、はしけ実態等に応じまして新しい基盤の方へ転換しようということを計画されるものと想定いたしておりますが、その転換可能な状況等を、いろいろ調査結果によりますと約半分、二十二社程度ではなかろうかというふうに考えておりますか、それらの事業者が現在有しておるはしけの数は百三十隻、労働者の数は、乗り組んでいるはしけ労働者の数でございますが、百八十人程度ではなかろうかというような一応の調査結果になっております。
  211. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで、このはしけ業種の救済措置ですね。そして、そこに働く者に対する雇用対策につきましてどのような考え方をお持ちなのか、この点についてもはっきりした考え方をお示しいただきたい、このように思います。
  212. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) ただいまのはしけ運送の需給バランスがそういった格好で乱れてまいりますと、これを回復して経営基盤の強化を図る、こういったことで、実はもう十年も前から、こういったことを順次対策を講じてきておるわけでございますか、例えば四十八年度、五十二年度に余剰はしけの買い上げ廃棄措置というものをやったわけですか、さらに五十七年度に東京、横浜、大阪、神戸の各港におきまして、これは地区の港運協会でございますが、か、港運構造改善促進財団から無利子融資を受けまして、自主的に第三次のはしけ約二十四万積みトン、これは全体の約二三%に当たりますが、これを買い上げ廃棄を実施いたしたわけです。ただ、五十七年度におけるはしけ取扱貨物量が、対前年度比一八・四%マイナスと、さらに減少してきております。需給ギャップも約三〇%から五〇%程度と見られておりますので、依然こういった問題は解決されておりません。  今後のはしけ対策は、こういう、残存することになる事業者が金を出し合ってはしけを買い上げて廃棄するということだけではなかなか進みにくいようなところまでも来ておりますし、今後のはしけ対策としては、需給の均衡を図る、こういった観点ではございますが、従来のそういう対策ではなくて、むしろ運航体制の適正化、グループ化といいますか、もっと今までと違う方法で各港ごとに検討していくのが適切ではないかということで今考えております。  また、雇用対策として、政府は、雇用保険法に基づく雇用安定事業として五十八年七月、はしけ運送業を事業として指定するとともに、業界においても、雇用確保のため、労働組合と、港湾労働者雇用と生活保障毎度に関する協定 しわゆる五・三〇協定に基づき、港湾労働者の年金、それから助成金、転職資金制度の推進などを図っているところでございまして、こういった問題についても十分真剣に取り組んでいかなければいけないと、こう考えております。
  213. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後に 今の運航体制のグループ化の問題ですが、私はぜひやるべきだと、こういうように思うんですが、法改正後、そういうことについての強力な指導を求めていきたい、こう思います。  最後にもう一つ、新基盤に移行する際には当然のこととして事業計画の変更届が出されるわけでありますが、その際に、従業員を代表する者の意見書を提出させる、このような行政的な処置を講ずるべきではないかと私は考えるわけですか、その点についての見解をお聞きしたいと同時に、私どもといたしましては、今回の改正に当たりまして、そのことを強く意見として申し述べておきたい。  以上でございます。
  214. 栗林貞一

    政府委員栗林貞一君) 基盤業種事業計画の中に記載するということになるわけでございますが、新しい基盤に移行するためには、この事業計画の変更の手続が、先生おっしゃるように必要になってくるわけでございます。そこで、この事業計画変更認可の際には、コンテナ埠頭等で相当量の貨物の港湾運送を統括管理しているかどうか、こういうところをチェックするわけでございますが、従来の基盤を廃止することについての労使間の話し合いの状況、これにつきましても、申請者を通じて十分把握していくことは考えております。その際、従業員代表者の意見書の提出を、例えば法的に義務づけるというようなことまでは、この事業法の性格からいっていかがなものかというふうには考えておりますか、いずれにいたしましても、労使間の話し合いの状況についても十分把握した上で処置をしていきたい、こういうふうに考えております。
  215. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会      —————・—————