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1984-06-28 第101回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十八日(木曜日)    午前九時三十二分開会     —————————————    委員の異動  六月二十六日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     小笠原貞子君  六月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤栄佐久君     内藤  健君      山本 富雄君     江島  淳君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒朝次郎君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        運輸政務次官   津島 雄二君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      坂田 浩一君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長       亀井 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄問題に関する件) ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件を議題といたします。  本日は、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君が参考人として出席しております。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 委員長には私も初対面でありますし、いろいろ風の便りには聞いておりますが、お目にかかったのは初めてでありますから、できるだけ個性を出さないように、現在の問題点について教えてもらいたいなと、こう思っております。  何と言っても、国鉄三十数万人の職員家族、OB、私も含めて戦前戦中、戦後、いろんな苦難の中に、SLを中心戦前の苦労をし、戦後の動力近代化などを含めてやってきた者の一人として、思いは、現在抱えている問題については、委員長にはちょっと至りませんが同じ思いを持っておるわけであります。  したがって、入り口問題として、この委員会が発足してから一年ちょっとたつわけでありますが、この監理委員会審査目的は、申すまでもなく経営形態問題長期債務問題、この二つに大別される。この経営形態の中にさらに効率的な経営形態の確立、それから適正運営の確保、こういう三つが示されておるわけでありますが、一年たっておるわけでありますから、この三つのおのおのの部門について、現在どの程度調査なり審議が進行していらっしゃるのか、現在の状況について、まず入り口にお教え願いたいなと、こう思っております。よろしくお願いします。
  4. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 亀井でございます。  ただいま目黒先生から御質問がございまして、昨年の六月に発足をいたしましてちょうど一年たったわけでございまして、一年間でただいま先生指摘のように、法律に定めました任務を勉強しておる最中でございますけれども、とにかく私も初めてこの国鉄問題というのに関与いたしまして、余りにも大きく、また問題の根が深いということに驚いておる次第でございますけれども、まあ国鉄百十何年の歴史というものをやはり今後も生かしていかなきゃいかぬということ。また、国鉄国民が愛し、また国鉄に本当に一生を奉じた人々、そういう方々の成果というものが次の世代に生きるような形にしなきゃいかぬという信念のもとに現在勉強しておるのでございますけれども、今、経営形態問題、これは臨調答申におきましては分割民営化という基本線が出ておるわけでございまして、これを内閣は尊重するということになっておりますので、これを踏まえまして、どういう形があり得るかといろいろなケースを現在勉強中ということで、まだ具体的な結論には、いっておりません。  しかし、それまで漫然とほっておくわけにいきませんので、やはり能率的な経営を今も進めていただかなきゃいかぬということで、昨年も緊急答申を出しましたし、また昨年の夏に予算に対する意見も出しましたし、それから、今回国鉄が出してきました経営改善計画の変更につきましても、それに対して、それだけでは不十分ではないかという意見を出しました。  それから、長期債務その他の問題につきましても、後ほどまた具体的に御質問があろうかと存じますけれども、非常に大きな問題でございまして、現在その債務実態というものをやっとつかまえ得たということでございまして、これをいかに持っていくかということは、これからの大きな研究課題である。  甚だぼんやりしたお答えしかできませんで恐縮でございますけれども、とにかく大きな問題にやっと一年間で基礎的な勉強だけができた、こういうこと。こういうことでひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 委員長から、今の現状、一年かかった現状について、分割民営という問題長期債務については実態の把握ができた程度段階だと、こういう話がありまして、それはそれなりにわかるわけでありますが、ただ、私はやっぱり関心を持っておるものですから、マスコミもまた関心を持っておるからいろんなことを書くと思うんでありますが、新聞記事などで、あるいは週刊誌などでいろいろ見ますと、まあ委員長が公式に発表したものなのか、あるいはマスコミさんが水面下の取材をしてそれなりに判断して潤滑なペンを走らせた結果論なのか知りませんが、我々の目に映るのには、分割民営はもう不可避だと、あるいは基本的に決まったと、そういうこと。あるいは、この八月に中曽根総理緊急提案をする際には、分割民営という前提を確認した上で第二次の緊急提案をする、そういうふうにマスコミは報じているわけです。  ところが、なかなか委員長に会えないもんですから、我々は我々なりにいろんなルートを通じて、六月の十二日十時半から社会党富塚議員中心に我々の仲間が行って林次長に会った際には、それはマスコミが先走っているんであってそこまでいっていない、そういう林次長の答弁があるわけなんですよ。したがって、この辺の現時点における真意は林次長が我々に答弁しているのが本当なのか、マスコミが言っていることが本当なのか、これは一番大事な点ですから、委員長が座長をやって進めていらっしゃるんですから、この辺の認識をまず明確に教えてもらいたい。  いい悪いは議論しますが、現時点における、やっぱり対社会的あるいは国鉄職員なり家族に対しても、現時点ではどういう考えでいらっしゃるのか、ぜひ聞かせてもらいたいなあ、こう思うのです。
  6. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの分割民営化に対する御質問でございますけれども、分割民営というのは臨調答申に出ておりまして、これを下敷きにして私どもは検討するということでございますが、委員会としては分割民営化についてまだ結論が出たわけでございません。  ただ、私個人見解といたしましては、これは常識的にわかることでございますけれども、一つ企業経営形態と考えた場合に、北は北海道から南の端鹿児島まで三十数万の人を抱えて一人の責任者が持ち得るというのは、これは明らかにスパン・オブ・コントロールといいますか、こういう管理限界を超えた問題ではなかろうかということがございますし、また企業というもので考えた場合には、これは公共企業体でございますから、企業という能率性を発揮しろということも法律にちゃんと書いてあるわけでございますが、そういう面からいうと、やはり競争原理というものが働かないと企業というものは能率発揮はなかなかしにくい、こういうふうに感ずるわけでございます。しかし、鉄道という非常に特性のあるものでございますから、旅客の流動形態というふうなものを考慮に入れないと、単に地域別に何県何県で分けたらいい、そういうふうな性格のものでございませんので、そういう鉄道特性に合ったような分け方をしたらどうかなというのが、これは個人的な見解でございまして、まだ委員会として結論を出しておるわけではございません。  したがいまして、マスコミとかで報道されるのには、個人の、亀井正夫個人としての見解委員会とがごちゃまぜといいますか、そういうような報道があると思いますが、しかしこれもほうっておくわけにいきませんで、いずれ近いうちには一つの方角をはっきり定めたい、こういうふうに委員長としては考えております。こういうことで御了承いただきます。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 なかなか公人亀井私人亀井というのは、靖国神社問題中曽根個人中曽根公人、これは目黒朝次郎も宮城県柴田郡の農家せがれ目黒朝次郎国会議員目黒朝次郎と、いろいろ発言の仕方についてもやっぱりそれなり影響力問題点がありますから、そういう印象が、これは午後から国鉄総裁にもかかわりあることですが、自分がそう思っているとつい出てしまうということなんで、委員長個人見解ということはわかります。今、管理能力限界があるとか、企業問題とか、競争原理、この三つの点は後ほどまたぜひ聞かせてもらいたいと、こう思っていますが、私は、経営形態問題も大事ですが、やっぱり二十兆に及ぶ、あるいは仁杉総裁の言をかりれば、六十五年には三十兆だと言われている長期債務ですね。  この長期債務一体どういうふうに認識をするんだろうか、あるいはどういうふうにこれを処理するんだろうか。その長期債務処理いかんによっては民営分割といっても、まあ今国鉄ですから、悪い言葉で言えば、国がやっているから余り私鉄の経営者は言いませんが、いざ分割民営になって、例えば小田急なら小田急東急なら東急が引き受けるとなった場合に、でっかい荷物をしょって、どうぞ東急さん、小田急さんと、こう言われたって、はいそうですかと問屋は私は卸さないと思うんですよ。  その点は、臨調答申の中でも、国会政府側がくどいくらい我々に説明をしておるわけですね。その点から見ると、やっぱり長期債務の背景ですね、出た性格、発生の原因現状問題点、そしてこれをどういうふうに料理するんだろうかという問題が、やっぱり私は本件問題の、経営形態も結構でありますが、むしろそれに先行するといっては語弊がありますが、やっぱり現状の最もがん原因といいますか、がん原因を確かめて、どういう医療をするか、どういう治療をしているか、どういうカンフル注射を打つかということが私は出てくるのじゃなかろうか。  したがって、委員長は、委員会としては現状認識がわかった程度だと、こうおっしゃいますが、現状認識がわかったという点で、この長期債務国鉄自身責任なのか、政府責任なのか、あるいは国会責任なのか、この点についてひとつ現状認識についてどういう、がんのもとは何なのかということを、国鉄労使か、政府か、あるいは国会か、その辺、私は大別して三つあると思うんです。政府鉄道建設審議会路線を決定して調査線から工事線をつくっていく、予算をつける、予算をつけて法案を出すのが政府、その政府法案審議するのが我々国会、特にこの運輸委員会、それを受けて実行に移すのか国鉄労使、こうなっていると思うのです、仕組みは。  いわゆる長期債務の始まりの元凶はどこなのか。このことについてどういう認識監理委員会が持っていらっしゃるかお教え願いたいなと、こう思います。
  8. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 累積債務は御承知のように現在もうこの三月末で二十兆円ということでございまして、私は民間経営者でございますが、その立場から考えますと、国鉄年間売上高が三兆円で借金が二十兆、またことしも二兆ふえるということになると、売上高の七倍以上の借金がある、これはもう民間企業経営でいえば完全な破産状態といいますか、銀行さんもどこも金を貸さない、こういう状態にあろうかと思います。  ただいま、そういう原因がどこにあるのかというお話でございましたが、これは一つだけの原因ではなくて、あらゆるいろいろのものの複合原因ではなかろうか。  例えば昭和三十九年から初めて赤字が出た。そのころの事態では恐らく、運賃は原価を償うものと法律にございますけれども、いろいろな諸政策から運賃値上げというものが、ある程度物価政策とかいろいろで抑えられたというようなことがございましたでしょうし、それからその後政治方面からのいろいろなことで、赤字路線とわかっておるものでも当然つけるというような工事が行われたこともあるでありましょうし、また労使関係でやはり生産性というものがだんだんだんだんと低くなっていった。いわゆる一人の働きぶりというものから出てくるものもありましょうし、いろいろのことがありまして、国鉄当局政府国民か、こう言われると、あらゆるものの複合といいますか、私はむしろこれを国鉄症候群と考えて、そういう原因の解明よりは、現在の国鉄に二十兆の債務というものが、まあ五兆は棚上げをしていただいておりますけれども、この十五兆に基づいて年間一兆を超す利息を払わなければいかぬ、これが非常な負担になっておるわけでございますね。  今、これをどういうふうに処理していくかということについて鋭意検討しておりまして、事実の認識はいろいろな原因複合である、だれだけが悪いんだという指摘はできない。いろんな人のいろいろな絡み合いで、長い歴史のうちでこういうものが出てきた、こういう現実認識をせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あらゆる問題複合体で、どこが悪いとは言わぬ、そういう八方ふさがりでみんなの責任だと。そうすると目黒朝次郎も一国鉄職員として戦前戦中、戦後乗ってきた者としてやっぱりおまえにも責任があるのだと、こういうふうに言われても仕方がないと思うのですがね。私はしかし、そうは言っても、やっぱり計画する者がおって、それを立案して金をつけてやった方がいるのですから、そうは言っても私はそうはいかぬと思う。  私は昭和四十九年国会に出させてもらいました。それから、私も組合委員長をやっていましたから、組合が負うべき責任あるいは国鉄のやっておる問題に対する問題の提起、受け入れてもらったものもありますが、受け入れてもらえなかったものもある。そういうことですから、随分私も議論をしてきたつもりであります。それで、特に私は、赤字になってから今日まで十六、七人の運輸大臣がかわっているんですが、私計算してみると十人につき合っています、国会へ来ましてから。徳永運輸大臣、今の木村参議院議長衆議院議長福永運輸大臣、成田空港当時、それから労働のベテランといった石田運輸大臣、あるいは自民党のある方面の大立て者の田村運輸大臣、あるいは三塚運輸政務次官、これも今一方の国鉄問題の旗頭ですわな。そういう方々、ずっと拾ってみると十人ほど私はつき合ってまいりました。  今委員長が言ったことだけでは我々は国会議論になりませんから、系統的にどこに主なる原因があったのか、赤字原因はどこなのかということを随分理論的にあるいは実証的にも積み上げまして、昭和五十一年の十月十九日、運賃緩和法委員会段階で、随分私は当時の石田運輸大臣四つ問題に分析をして論争いたしました。  一つは、三十九年赤字に転落したときの国鉄位置づけ交通総合体系における陸海空、あるいはトラック、陸路、その中において大量交通輸送国鉄はどういうふうに位置づけをして、どういう調和のとれた投資をやるべきなのか。そこで、ローカル線も含めて、むだであるならばそこでやっぱりコントロールすべきではなかったのか。しかし、トラックとかバスとか道路とか港湾とか海とか空の方にはどんどんどんどん投資をしていたけれども、ほとんど当時の国鉄は、まあ言葉で言えば悪いけれども、投げっ放し、おまえら勝手にせいというのが現状ではなかったのか。それで国鉄は焦ったために、何とか取り返ししようしようとしていわゆる再建計画をつくった。再建計画は二度三度失敗しちゃった。それは結局国鉄運輸省の焦りだけであって、前段で申し上げた三十九年の赤字に転落した総合交通調整の際に、追いつけないまま再建は二回も三回も失敗したと。  それから三つ目には、何といっても、地方ローカル線とかこういう公共的なものに対して、一体公共企業体ということで対応できるんだろうかと、この時点でもう一歩突っ込んでやるべきじゃなかったのか。それから四つ目には、何といっても、通学とかあるいは通勤とかいろんな意味で、農家問題も含めて、——私も貨物運転をしていましたが、夜寝ないで貨物を仙台から平まで運転すると、国鉄収入赤字なんですよ。米を運んで野菜を運んで鉄材を運んでセメントを運んで、一晩寝ないでデゴイチを使って走ってきても、国鉄収入赤字収入。それは国鉄だから我慢しなさい、公企体だから我慢しなさいと。こういう政策的な赤字が積み重なってきた。その政策的な積み上げ累積が今日の赤字の大部分を形成している。だから公企体、先ほど委員長が言われた、企業性を追求するならば、そういう点でやっぱりきちっと交通整理をすべきじゃなかったのか。  それで、総体としては、焦る余りマル生などを含めて労働政策の失敗、職員管理者がもういがみ合う、そういうとんでもない最悪の状態になってしまった。そういうものの積み上げがやっぱり問題ではなかったのか。だから一つ一つ点検をして一つ一つ手を打っていく以外にないではないかということを私は言ったつもりであります。  これについては当時、ここに議事録もありますが、当時の石田大臣は、もう非の打ちどころのないところ、目黒提案には賛成である、それ以外ないと。これは五十一年にもそういうことについて、はっきり言えば、社会党の私の提案社会党のバックがあるわけでありますから、政府大臣が答弁するわけですから、社会党自民党の間にはやっぱり意見の一致を見たと思うんですよ、問題点については。そういうことをずっと積み重ねてくれば、私はある程度問題が解消できたんじゃないか。このときいみじくもそういうことを石田運輸大臣は認めて、累積赤字の一部、当時は二兆五千億ですか、二兆五千億の累積赤字はやっぱり政治責任だ。その手始めとして、二兆五千億を棚上げしましょうと。国の財政も厳しいけれども、一兆円になるか二兆円になるか、毎年毎年、財政の動向によりますけれども、積み重ねていこうじゃないか。そして国鉄の荷を軽くして労使に頑張ってもらう、そういうことでいこうじゃないかということで五十一年我々運賃緩和法にも賛成したんですよ、賛成じゃなくて反対はしましたが、国会を通しているんですよ。  ここが私は出発点ではなかったかと、こう思うんですが、こういう国会議論という問題、あるいは問題点の掘り下げ、あるいは参議院にも国鉄問題委員会というのがありまして、与党野党を問わず大臣も含めて大体三位一体国鉄問題問題点を絞ってずっときているこの国会の論議の経過と経緯というものは、一体監理委員長のところにどの程度伝わっているんだろうか。  我々も委員長予算委員会に来てやったことについては知っておりますが、なかなか国会にお呼びしても来れない、忙しい忙しいと。しかし、別な意味では、五十八回も委員会をやっていらっしゃる。五十八回のうち五十回ぐらいに減らして、八回のうち一回か二回でもいいから、一カ月に一回ぐらいは参議院運輸委員会に来て、運輸委員会はそういう意味で我々もプロですから、やっぱりプロ同士が話し合って、質疑応答ではなくてお互いにオープンで話し合う、問題点浮き彫りにする。共通認識はこれが共通認識だと、ここがちょっと違うからもう少し勉強していこうやということなども含めて、国の政策を左右する天下の委員会ですから、そういうことについてやっぱり来てほしかったなということを思っているんですが、今回初めて成りましたので、この五十一年の十月十九日の運賃緩和法をめぐる石田大臣目黒国鉄問題問題点浮き彫り対応、二兆五千億の棚上げを第一回としてやったと。  この経緯については御存じであるかどうか、率直に、いや、わからなければわからなかったと、いや、それは政府委員からあったらあったで結構ですから、今日の見解をお知らせ願いたいなと、こう思うんです。
  10. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの五十一年のお話について具体的に私は拝見をしておりませんし存じませんですが、ただ、国会においてこの国鉄問題というものが再建監理以前のいろいろな法案審議の場合のいろいろ議論があった要点は、随分勉強しておるつもりでございます。  そういうことで、いろいろな経緯がございますけれども、長期債務という問題について考えた場合には、基本的には、鉄道事業というものが、世界的に見て、航空機とかモータリゼーションというものとの対抗上、一つ構造不況業種である。したがって、構造不況業種構造不況業種なりの新しい対応というものが必要である。その対応が、いろんな要因からできなかった。そういう点に大きな要因がある、こういうふうに考えております。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 要点はわかっていらっしゃるということになりますと、五十一年、田村運輸大臣は、当時運賃緩和法が一回野党の抵抗で廃案になって、二回目に出てきたときに、短期間で上げてほしいという国会の要請で上げたときに、もう一回田村大臣に、責任の分野はどうかと、累積赤字問題について。当時の田村大臣も、この五十一年の論争はやっぱりそのまま確認できると。それで、経営については国鉄総裁法案予算関係については監督大臣である運輸大臣、それで金を握っている大蔵大臣、これの責任だと。  したがって、国鉄問題については、五十五年になってから俗に言う経営分割民営という問題が起きた時点でも、当時の塩川運輸大臣は、民営分割議論はあるけれどもそれは一つ議論であって、政府としては、やっぱり多少目黒提案で言われたローカル線問題貨物問題、あるいは公共的なもの、文部省とか農林省とかそういう公共負担を政策部門が分担する問題とか、そういう意味では、一つ一つぜい肉といいますか、不況に対応する輸送規模の対応といいますか、そういう問題については前向きにひとつ取り組むとして、民営分割論はあるけれども、やっぱり国鉄本来の使命から、全国ネットワークでやる信念は変わりませんということを塩川運輸大臣は五十五年の十一月二十五日、この委員会で私の質問にはっきり答えているんですよ。  その後の委員会でも、おたくさんたちの委員会法案審議する委員会ね、財政再建監理委員会法案をつくるこの委員会で、長谷川運輸大臣がいみじくも本音を吐いているんです。これは私は当時余り追及しませんでしたが、しかしここまで来ると、私はやっぱり当時この長谷川運輸大臣言葉というのは確かに私は本音だと思うんですね。  これは連合審査、五十八年の五月九日月曜日午前十時、議事録の四ページの上段。いわゆる国鉄問題に対する問題点長期債務原因、背景、その処方せん。長期債務は七割、八割は政策的な国の責任だと。これは先ほど言った、何といいますか、一遍にはできないから、国の財政上小刻みにといいますか、あるいは分割してといいますか、そういう棚上げという形でやるしかないんだ、そういうもう方法論はわかっていると。わかっておるんだけれども、長谷川運輸大臣はこう答えているんですよ。病弊、病気の原因は皆わかっています、長期債務赤字、わかっています、その処方せんももうわかっています。財政問題棚上げで逐次こうやっていく、その処方せんもわかっています。ぜい肉も取りましょう、ローカル線も整理しましょう、貨物も整理しましょう、わかっていますと。なかなかそれが実現できないと。私は、目黒さんがおっしゃるように、黒い霧でこれをやっていくという感じは持ちません。とにかくこれだけの赤字を抱え、そして年々ふえる赤字ということで、国民はこれをしょっていくわけですから、そこで働いている諸君がいるわけでありますから、その職場を立派なものにするため、後進に希望を持たせるためにどうしてもこの病弊が、わかっている、それから処方せんもわかっている、しかしできない、そのできないところを監理委員会にやってもらうためにこの法律をつくるんです、こういうふうにいわゆる亀井委員長の任務を長谷川運輸大臣はいみじくも喝破しているんですよ。  だから、いろいろ運輸省とか大蔵省とかあるでしょうけれども、私も約十年に及ぶ、ここに議事録がいっぱいありますが、十年に及ぶ議論をしていますと、あなた方をつくる法案提案した長谷川運輸大臣が、もうみんなわかっています、処方せんもわかっています。我々公労協の労使関係でいけば、組合の言い分はわかった、当局の言い分はわかった、だから仲裁裁定をもうもらわなきゃしようがないから、仲裁裁定書を、けんか両成敗になるか七、三になるかわかりませんが、いわゆるこの長期債務は国の責任で処理しなさい、国鉄はぜい肉を取りなさい、そして国の基幹産業として頑張りなさい、こういう三項目ぐらいの仲裁裁定的な裁定を書いてもらうというのがあなた方の任務ですというふうに政府位置づけているわけですね。  ですから、私は、今申し上げた長期債務問題については、もろもろの責任だということは、表現上委員長の立場からそうだと思うんですが、国会議論としては、系統的に、理論的に、実証的にずっと攻めてきて、やっぱり長谷川運輸大臣は物わかりがいい。当時、このとき鈴木総理大臣はそういうお土産——と言っちゃ変でありますが、お土産のわけじゃありませんが、いわゆる五十一年に二兆五千億の棚上げをした分にさらに追加して、今回は少しまけて五兆円だけ棚上げしますよといって、この法案のお土産で五兆円棚上げしているわけですな。それ以後は再建委員会に任せますと。二回棚上げしているんですよ。  だからやっぱり私は、政府がみずから棚上げしたということは、裏を返せば、長期債務問題はやっぱり政策的なあれ、長期債務であって、国鉄総裁とか労使には全然責任ないとは言いませんが、田村大臣に言わせれば、十残っていますが、めぐちゃん、まあ八割から九割ぐらいは国、政府責任だろう、あと一割か一割五分は総裁以下国鉄労使責任だなあ、こういうことで田村裁定が下っていますがね。  そういうことから見ると、私は、長期債務問題については、やっぱり監理委員会思い切って決断を下してもらいたい。そうしないと、細田運輸大臣仁杉総裁も、一体どうなるもんだろうかと。もちろん国鉄職員もどうなるんだろうかと非常に心配をしているので、この問題についてひとつ今日答えられる……、むしろわかったと、こう言ってもらえば一番いいんですが、その希望を持たせるような委員長見解を聞かせてもらえればなあと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  12. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま目黒先生からございました長谷川運輸大臣とのいろいろの応答の中での、長谷川運輸大臣から私はこの委員長の委嘱を受けたんですが、そのときにもそういうお話がございました。  今目黒先生は仲裁裁定のようなものとおっしゃいましたけれども、私の見方から言いますと、やはりこれは国鉄の更生計画ですね、こういうものをつくることが私どもの任務ではないかというふうに考えております。普通の会社が破産状態に瀕したときに更生計画をやるわけでございますが、そのときには、今までの借金についてはやはりある棚上げをするというのは、融資をしておった人が金利を我慢するという格好になるわけですね。そのかわりに、新しい形態の会社はこうやって何年間で返済できるようにやりますと。これによって金を貸した人も納得をし一般も納得をする、こういうことでできるので、そういう性格のものではなかろうかというふうに思っております。  ただ、問題が二十兆という非常に気の遠くなるような大きな問題でございまして、五兆は既に棚上げになっておるといいますから、これもまた次の問題に具体的にはスケジュールでなるようでございますけれども、それをやった後さらにこの七、八年で十五兆から出てきたわけですね。これは基本的にやはり、そのときに五兆やったら後はよくなりますというはずのものが七、八年でまた十五兆出ちゃったというのは、現在のこの国鉄の体質というものにそういうふうな赤字を生み出す基本的な病因というものがあるのではなかろうか。これは、国鉄自体の問題というより、国鉄及び国鉄を取り巻く政治問題、社会の問題、いろいろなものがそういう体質になっておる。ですから、これをよくするということと、このいわゆる借金をどういう処理をするかということを総合して更生計画をつくるということが私どもの非常に大きな任務であると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 仲裁裁定からはちょっとね。私らもまあ中小企業の倒産で更生とかなんとかいろいろやっていますから、それは委員長の言われるとおりだと思います。その点はこだわりません。  ただ、やっぱりそういう短期間に多くの金が出たと。これにはそれなりに、我々も積極的に賛成したわけじゃなくて、例えばヤードをつくるにしても、私は東北ですから東北の経済から見ると、私の長町に大ヤードがあるんですよ。長町の大ヤードがあるのに、隣の郡山に郡山新操車場をつくってみたり、福島に東福島操車場をつくってみたり、それから北上操車場をつくってみたり、青森操車場をつくってみたり。そんな東北本線に四つも五つも要るもんかと。そんなに東北経済がうまくいけばいいけれども、我々土地っ子の実感ではそんなに荷物は動きませんよということで、それはむだな投資になるんじゃありませんかということがやっぱり当たってね、今度の五九・二の貨物合理化をやったら、そこに集まっている従業員はもう大変ですわな。貨車はごっそり、機関車はごっそりね、構内は森閑としてネズミが走っていると。そういうことは、もう少し組合の言うことを、我々の言うことを聞いておったならば、むだな投資をする必要はなかったんじゃないか。いわゆる投資に見通しがなかった、こういうことにもなりかねないんですね、一例を挙げれば。私はまあそれは言いません。  最後に委員長ね、いろいろな提言をされますね。提言は減量提言であります。提言をされる際に必ず、今は減量提言ですから、そこに人が余るわけですね。貨物にすれば貨物も余る、荷物にすれば荷物も余る、保線をやれば保線も余る、工場をやれば工場も人が余る。今回二万四千五百という、我々前から言っておったんです、二万人超すよと。いや一万人だ。我々は二万人と言っていた。職場を歩く我々のやっぱり実感が当たっていましたよ。そういう提言をする際に、雇用対策というか、労働問題というか、こういう問題がないということは、非常に私たち長い経験をしてきて、あるいは造船の合理化を味わったり、炭鉱の合理化を味わったり、それは我々としては、国鉄には総裁はいるけれども金もありませんから、全部大蔵省が握っていて、ないないの国鉄にこれもやれ、あれもやれと言われたら、やられた人間は一体どこへ行くのか、動物じゃあるまいし。  ですから、提言とそれに関連する雇用政策労働問題ということでやっぱりきちっと裏づけをして、国鉄総裁運輸大臣、あるいは大蔵大臣労働大臣にきちっと全体の雇用計画というものを義務づけないと、やはり我々が協力するにしても、労働者を基盤とする我々から見ると、一方通行ではないか、生首を切るんではないか、そういうふうになって不信感が出る。その不信感が重大事故を起こす、我々皆、乗務員ですから。そういうことにつながっていくんです。  ですから、提言と雇用政策、提言と労使関係ということをきちっとやってもらいたいな、また、やるべきだな、こう思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  14. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私自身のことを申し上げますと、私は民間で労働関係を二十数年やっておった人間でございまして、企業におきまして労働関係、特に労使関係の安定と雇用の安定確保ということが非常に重要であるということは十分認識をしておりますので、私ども、この再建計画を立てる場合の大きなものとしては、やはり経営形態問題長期債務問題とそれから労使関係の安定並びに労働の確保、とにかく働く人々に、どういう方法をとるかはいろいろ知恵を絞らなきゃいけませんけれども、先行きに不安を持たさないような方法で真剣に取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 委員長が民間の労使関係のベテランだということは我々も承知しています。  ですから、提言をする際に、やっぱり最後に、提言を実現するために、国鉄並びに政府は、現に働いている職員の雇用の安定とかそういうものについて、責任を持って措置しなさい。国鉄並びに国鉄関連産業、労働者がいっぱいいるわけですよ。食堂車のおねえちゃんとか、交通公社のおにいちゃんとか、ホームを掃除してくれる整備会社の皆さんとか、いっぱい関連会社におるんですから、そういう方々の雇用について、やっぱり責任ある措置をしなさいという御提言を一項、雇用と労働政策についてつけ加えてもらいたいな、こういう要望なんですが、いかがでしょうか。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまのお言葉、十分配慮するつもりでおります。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 よろしくお願いします。
  18. 小柳勇

    ○小柳勇君 御苦労さまでございます。社会党の小柳勇でございます。  初めてでございますから、自己紹介させていただきます。私は、昔運転計画をやりました鉄道局の技手でございます。その後、十河信二さんが総裁のころ国鉄労働組合委員長を務めました。それからこちらに二十数年間この仕事をいたしております。どうぞよろしく。  皆さんの、昨年の六月からことしの六月まで五十八回も会議をお開きになりまして、各方面にわたって検討されておることに対して、心から敬意を表しておるところであります。私ども、今目黒君が言いましたように、十年ぐらいこの委員会で論議しましたことを、皆さんは一年間でいろいろ勉強しておられます。それだけに私どもが申し上げることもすぐおわかりになると存じますから、きょうは重要な当面の問題に限りまして御質問いたします。第一は長期債務問題、第二は経営形態問題、第三は余剰人員の対策、第四はその他。時間がありましたら、青函トンネルの利用とか、新幹線はどうしたらいいかとかの問題を伺います。  まず冒頭にお伺いしたいのは、監理委員会ができました。それは今目黒君が申したとおりです。そのできましたときの、この法律をつくりましたときの一番の冒頭に、こういうふうに書いてございます。「国鉄長期債務の償還等に関する重要事項について、企画し、審議し、決定し、内閣総理大臣意見を述べるものとし、また、国鉄経営改善のために講ずべき緊急措置の基本的な実施方針について内閣総理大臣意見を述べる」と。したがいまして、皆さんの委員会は、一番基本的な課題であるこの長期債務問題をどうするかということを内閣総理大臣に教えてください、これが第一の任務でございます。その後、当面する緊急問題について基本的に総理大臣に教えてください。  ところが、昨年以来の、例えば第一次緊急提言にいたしましても、その後の皆さんの記者会見などを見ましても、緊急提言の方に重点がばっと置かれまして、近くまた第二次緊急提言がなされるようでありまするが、この法律ができました、監理委員会が設置されました基本的な課題である長期債務問題は、一言も聞いていません。この点については一体どうでございましょうか。
  19. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 小柳先生が御指摘のように、国鉄問題長期債務というもの、この解決が私どもの委員会でも大きな任務であるということは十分承知をしておるのでございますけれども、これは軽々に結論の非常に出しにくい問題である。  私個人のこれは解釈で間違っておりましたらお直しをいただきたいと存じますけれども、日本国有鉄道というものは国民の財産としてあるものである、今の新幹線なり設備なりいろいろのものはやはり国民の財産だ、これは労働組合の方も国民の貴重な財産だと、こうおっしゃる。それと同時に見た場合に、この借金というものは、そうするとやはり国民のマイナスの財産である。原因はいろいろあるにしろ、これを処置する、政府が処理しろ、国が処理しろということは、結局は直接間接、国民が負担をしなけりゃいかぬという問題になるわけであります。そうしますと、先ほど目黒先生にも申し上げましたように、私どもはこの更生計画をつくるという考え方であれば、新生の組織がこうやってよくなりますから過去のものはこうやって負担をしていただきたい、こういう御納得が要るということでございまして、もちろん長期債務について研究をしてないというわけではございません。十分いろいろ難しい問題がある。例えば二十兆の中で十一、二兆は財政投融資あるいは簡易保険から来ております。これを簡単に棚上げで金利はゼロだというと、それは郵便貯金とか年金とかが大変な問題になってくる。そういうものに動揺を与えずに、しかもどう処理していくかということを、更生計画と合わせながら検討していかなきゃいかぬということで、軽々なことはできない。したがいまして、これは最終段階まで練りに練って出していきたい、こういう考え方でおるということを御理解いただきたいと存じます。
  20. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう八月になりますと、来年度予算を編成しなきゃなりません。国鉄経営の一番基礎になりますのは、長期債務の扱い及び利子の支払い、その他借入金をどうするか、経営に要る金よりも、その方が莫大なんです。二十二兆円もあります。そういうものに監理委員会として一つの見識を持たないで——ここに、次の予算を編成するときには委員長意見を聞けと書いてあります。来年度予算編成につきましても大変な問題がありますが、この問題また後に触れます。  緊急提言についても一言言っておきたいんですが、第一次緊急提言、例えば定年退職者が三十五年、四十年勤めてやめまして本当の楽しみは、年に一回の家族パスです、本人のパスです。それをまず取り消せと。それから兼職禁止、市町村会議員が四百人ぐらいいました。会社でも、休職のまま地方議会へ出ております。その会社のためにどれだけ働いていますか、その人が。国鉄から出ている地方議員は、国鉄のお客誘致もやりますし、国鉄を地方の住民に世話するためにどれだけ地方議会で頑張っていますか。  それから、後で合理化の問題も言いますけれども、余剰員対策を何にも考えないまま、もう既に三十一万五千人体制になってしまいました。したがいまして、第一次緊急提言も、国鉄労使が非常な苦労をしながら、皆さんの予想以上に私は達成したと思う。ところが、まだそれに追っかけて第二次提言を出そうと。しかもこの間の国鉄から出ました経営改善計画の変更に対しまして、監理委員会は不満であると運輸大臣に手紙が来ています。これ見ています。そういういきさつについて、委員長見解を聞いておきたいんです。
  21. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 今の国鉄パスとか兼職禁止の問題というのは、監理委員会発足以前に処置された問題でございまして、その後の国鉄当局あるいは組合方々が非常に努力をされておるということは私どもも認めておるわけでございますが、ただ非常に大きな問題は、先ほども申し上げましたように、鉄道事業というものが斜陽といいますか、需要が逓減状態にある。この変化にどう対応していくかということでございますね。ここら辺の努力というものが、現在の官僚組織による経営あるいは労使の不安定な状況においては対応が難しいんではないか、私はそういう視点から意見を申し上げておるわけでございまして、決して現在がなっとらぬというふうな意見は持っておりません。そういうことを御了承いただきたいと存じます。
  22. 小柳勇

    ○小柳勇君 せっかくの機会でありますから、私どもの意見監理委員会に申し上げる機会がなかなかないものですから、今意見を申してみました。  私が国労の委員長時代に、一九五七年には予算定員が四十四万七千七百二十五名でございました。現在三十一万五千名になりました。そのころの輸送人キロが一千十二億人キロでございました。今二千三百億人キロ、ちょうど倍以上になりました。予算定員四十四万七千人が今三十一万五千人で、ちょうど輸送人キロ、倍です。もちろんそれは新幹線ができたりあるいは機械化されましたが、それだけ働いているわけです。にもかかわらず、なぜそれだけ赤字が出てきたか。それは、一九六四年、昭和三十九年には黒字でございました。それから莫大な設備投資がなされた。例えば、採算性を無視した東京オリンピック向けの新幹線の建設、それから団体輸送力の整備を通じて民間企業の発展を意図した政府財界の国鉄に対する要求によって投資した。高度経済成長政策の七〇年代には、言うならば所得倍増をレールに乗せて、そして太平洋ベルト地帯にどんどん輸送力増強のために投資をしたのです。毎年一兆円ずつぐらい投資しております。それが現在の二十二兆円の長期債務であります。  その長期債務の二十二兆円が、去年、おととし、例えば職場の機関区の掃除する人が真っ黒の作業衣を着ているから、事務員もたくさんいます、ベルが五時半に鳴りますと一斉に帰りたいから十五分前にふろに入ります。そのことが二十二兆円の赤字原因であるかのごとく宣伝をされました。また、保線区の諸君が、便所から水が落ちます、作業中にかかります。だからこれは保線区へ帰ってふろに入っていいようになっていた。そんなものが赤字原因であるかのごとく言われた。亀井委員長賢明でありますから言う必要はありませんけれども、国鉄の列車は、A駅から定時に出てB駅に定時に着いて、安全にお客を輸送すれば、運転とか保線の諸君はもう百点でございます。にもかかわらず、わずかの入浴時間十五分、保線中にふろに入ったと。そのことが国鉄の現在の赤字原因であるかのごとく宣伝されて、国民の皆さんの腹に入ってしまった。私は本当に残念でございます。  したがいまして、もう一回お願いしたいが、この予算編成前に、長期債務問題については当分こうせいと、緊急に第二次緊急提言が出ますならば、それに加えてもらいたい。いかがですか。
  23. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 長期債務問題につきまして私どもが非常につらい点は、国家財政というものにゆとりがあればいろいろの処理のしようがある。ところが、残念ながらそちらも借金でやらなきゃいかぬ。そういう中に、さらに政府財政に負担をどういう形でやり得るかということについて苦慮をしておるわけでございまして、ただいま御指摘の、国鉄職員が非常に努力をされておるという点は私ども認めます。しかし、構造不況という中における認識なり努力ということはもう一段必要ではなかったか、こういうふうに思っておる次第でございます。
  24. 小柳勇

    ○小柳勇君 経営問題につきましてもいろいろ論議がなされておるようでありますが、目黒君も質問したようでありますから、これはくどく言いません。  皆さんのこの委員会が発足しましたときに、臨調の答申で、公社制度を抜本的に改革しこれを立て直せという趣旨で皆さんの監理委員会ができたものとは理解しています。ただ私は、国鉄の場合は日本の経済発展の動脈なり静脈として、私はいつも紙のやっこだこの竹の骨を例えに話すんですけれども、天に上がっているあのやっこだこは、紙しか見えませんけれども、その骨の竹が折れますとたこは上がらぬのです。  今、ローカル線廃止などがいろいろ、今度も第二次ローカル線廃止が承認になりました。動いている間はわからない。知事の意見書を見ましても、全部何とか置いといてくれないかと、レールのまま。全部がそうです、知事の意見書。にもかかわりませず、やっぱり監理委員会に対する何といいましょうか、そういうものもありましょう、あるいはそれはそれなりに日本の将来を考えて、要らないものはバスでいいと。ただ、公共交通というものを、私はこれは何としてでも持っておかなきゃならぬと思うんです。  これももう御存じのことでありますけれども、速記録に残りますから言っておきたいんですが、各国の公共交通に対する助成であります。これは運輸収入に対する補助ですが、イギリスが二千六百八十五億円、三三%。西ドイツが一兆五千三百五十億、五一%。フランスが八千六百七十二億、五四%。イタリアは一五四%。日本は六千百三十億、一二%。諸外国も公共交通、鉄道に対しましては一般会計から赤字補助をいたしております。しかも、イギリスやフランスやドイツは、毎年毎年補助して、全部これを決算してまいります。  したがいまして、日本の国有鉄道というものを、公共性を全然無視しながら、経済効率性で民営分割をお考えであるのかどうか。私は、今ちょうど運輸省が、幸い総合交通体系をつくる部局の変更がありました。いい機会でありますから、運輸省の運輸政策局などと御相談になりまして、全体の日本の総合交通体系の中で国鉄はこうあるべきだと。例えば六十億トンの貨物、これが動きませんと日本の一億二千万の人口は生きられないのです。その中で、今鉄道は七%に下がりました。ちょっと二、三年しますと、また四%に下がりましょう。私はもう絶対反対であります。けさもテレビ見ますと、事故で、朝の五時ですから恐らく居眠り運転でしょう。事故でもう高速道路はとまっています。こういう全体的な総合交通体系の中で鉄道がどうするか。それには営業収入はこれだけ、一般補助これだけよと。私は、監理委員会としては、ただ黒字になすために、赤字二十二兆円をどうかして毎年の経営が黒字になるような、そういうような監理委員会結論であっていただきたくはない。  私は長い間この運輸委員会におりまして、将来を考えましてね、十年先、二十年先どんなことが起こるかわかりません、日本で。そういうことを考えまして、やっこだこの竹の骨を亀井委員長が残してもらいたいと思います。いかがでございましょうか。
  25. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 今先生の御質問は二点ございましたが、諸外国の例でございますが、これは昨年、英独仏に加藤委員が参りまして、それぞれの国鉄の状況を聞いてまいりました。ただいま先生の御指摘のように、毎年の赤字について、まあいろいろ公共性あるいはそのほかに、日本とは違いまして軍事的な目的、そういうこともあるようでございますが、負担しておるようでございますが、それがそれぞれの国がもう既に財政が悪くなったので負担の限界に達したと。ドイツのごときは、この二年来、既に国鉄というものに赤字を積ましておる。日本と同じような状況になって、日本が先進国なので、日本にいい案ができたらぜひ教えてほしいと、こう言われたということでございまして、どうも、外国がこうしておるから日本はこうしなさいということが言いにくいというような気持ちを現在持っておるわけでございます。  それから、この全国ネットワークの問題なり、あるいは鉄道というものの公共性、公共性の性格、すべていろいろ私どもも検討しております。しかし、結局、国民のニーズにどういう形で一番効率的に適応、対応できるかということが、やはり私は基本ではなかろうかと。そうしますと、鉄道というものは、旅客なりあるいは貨物を輸送するということが基本的でございます。そうすると、輸送というのはいろいろほかに手段が出てきた。近いところは自動車に、モータリゼーションで乗る方が多い。それから、遠距離になりますと、例えば福岡から北海道へ汽車で行こうという人もなくなってくる。こういう状況でありまして、新しい交通手段とそれからもとの鉄道と。しかし、鉄道というものを私どもは、鉄道特性を発揮する分野はまだまだあるというふうに考えております。例えば、大都市圏における通勤通学の輸送、あるいは中距離の大都市間輸送、こういうものは鉄道特性というものがまだまだ発揮できる余地がある。  したがいまして、二十一世紀に向けまして、これから十年、二十年先の鉄道特性を発揮できるものの位置づけと、それが健全な形で残り、そしてそこに働く人々が働きがいを感ずる、こういうシステムをどうしたら構築できるかということを現在検討しておるというふうに御認識をいただきたいと存じます。
  26. 小柳勇

    ○小柳勇君 ドイツに参りまして、長距離トラック協会の会長、BAGの会長さんにお会いいたしました。イギリスやドイツ、フランス、いろいろ参りましたけれども、一番印象に残っておりますのは、そのBAGの会長さん、長距離だもんですからね、物流で一番考えなきゃならぬのは、運転員の労働条件ですよと。運賃などはやっぱりダンピングしてね、もうあれはわからぬと。ただ、鉄道の機関士もあるいはトラックの運転手も、この労働条件を平等にすることが物流の秩序を守ることですよとおっしゃった。  それで、今もう私が言うまでもありませんが、五十四万台の青ナンバーのトラックに、白ナンバーのトラックが八百三十万台野放しで動いているわけですよ。そうしますと、例えば九州から出た長距離トラックは、東京へ来て、新潟へ行って、大阪へ行って、一週間か十日もう体をすり減らして帰ってきます。そんな人が居眠り運転をしないという保証は私はないと思う。私は、だから、ドイツのBAGの会長がおっしゃいましたね、労働条件は守ってやらなければなりませんよと。  で、そういうものを考えますと、今六十億トンの貨物が、ほとんどもう九割以上がトラックなんですよ。五九・二の貨物合理化にも国鉄は、皆さんから言われたんでしょう、一生懸命もう先駆けてやりました。六〇・三、来年の三月またやろうとしている。そうしますと、もうどんどんどんどん。だから、もし亀井委員会国鉄というものを、日本の動脈として考えられるならば、もう少し総合交通体系の中でトラックの方も考えながら、鉄道の旅客輸送、貨物輸送、そういうものを将来を展望して、今の赤字国鉄再建と同時に、全体的な物流あるいは旅客輸送の体系をつくるんだと、そういうもっと高度の答申をしていただきたい。  非常にくどうございますけれども、もう一回お願いします。
  27. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 十分先生の御趣旨を体しまして、検討させていただきたいと思います。当面の問題ではなくて、やはり鉄道というものはこれから二十一世紀も生き残ってやっていかなきゃならぬ問題でございますから、中長期的視野において検討させていただきたいと存じます。
  28. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、貨物輸送が出ましたから、余剰人員のこともちょっと触れておきたいんですが、第一次緊急提言、あるいはまた第二次緊急提言にも出るかもしれぬと思って心配して質問するわけですけれども、現在二万五千人国鉄で余剰人員がありまして、仕事を今教育しております。いろいろ苦労しているようです。労使とも苦労しております。また家族も大変な不安です。いつ首切られるか、いつ出向させられるかわかりませんからね。  それで、五九・二というのは、去年から、あるいはもうその前からうわさされていました。にもかかわらず、五九・二に入らなければ余剰人員の対策ができないなどということは、私は普通の会社ではこれはあり得ないことだと思うんですよ。そんなことをしたらあとは暴動ですね、もう。国鉄関係組合に対していろいろ批判があると思いますけれどもね、そういう面から言ったら本当に私は紳士だと思う。これからまた六〇・三のまずあるかないかを、六〇・三に貨物をもっと減らすと提言されるかどうか、それを質問いたしますと同時に、そういう余剰人員が出た後余剰人員対策をやるようなことは断じてやるべきじゃない、企業であるならば。いかがでしょうか。
  29. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) その余剰人員の問題、現実に二万五千、また来年さらにそれに三千人か五千人出るということでございますが、基本的に私どもは、労働の不安に原因して労使関係が悪くなる、あるいは働く人々が不安を持たないような対策というものを、国鉄及びその周辺あるいは国民的視野において考えるという対策を、基本的に考えなければいかぬというふうに思っております。  ただ、基本に私が民間経営人として考えますと、ただいま小柳先生の御指摘のとおりでございまして、これは石田礼助さんという方がかつて国鉄の総裁をやられた。この方がおやめになったときに何か、「いいたいほうだい」という本を出されました。その中で私読んで感心しましたのは、国鉄に行って一番民間人として違う点が何かというと、恐るべきスローモーションであるということを石田さんが指摘されておりました。三井物産におられたときは、社長として一たん指示をしたら、大体末端まで二、三日で届いておる。ところが国鉄は、こうしたらどうかと言って、それに対する反応が二、三年かかる、実に遅いと、こういうことを言っておられました。  したがいまして、労働対策につきましても、そういうスローモーションでは時期を失してしまう。したがいまして、これは真剣に、迅速果敢に、しかも広い視野から本当の解決をするということが必要でなかろうかと、こういうふうに存じております。
  30. 小柳勇

    ○小柳勇君 したがいまして、今度の緊急提言がなされるとするならば、そのようなことも各方面への根回しがあって、将来展望の上に御提言をお願いしたいわけです。  次は地方交通線の問題でございますけれども、第二次地方交通線の廃止が承認されました。若干保留になったところもございますけれども、各県知事は今になって、きのうも陳情にたくさん見えました。よくわからぬのですね、地方の県知事も市町村も。これから反対運動をすればこれは全部残る、そういうことです。だが、法律上はもう、廃止が決定したと同じですね。そうでありまして、しかもこれから一体どうしたらいいかと。さっき申し上げたような点、例えばバスに転換いたしますにしましても、もちろんこれは私鉄のバスも嫌なところはあります。それならば国鉄バスを使ったらどうか。ところが、国鉄バスはこれは、運輸省が許可しませんと言って、全然逃げてしまっているんです。国鉄バスの従業員も一万近くいます。だから、その余剰人員があるなら、民間の会社に頭下げてでも運輸省に頼んで、うちの国鉄のバス職員を使ってくださいとなぜ言えないか。もうおっしゃるとおりです。亀井委員長がおっしゃるとおり、民間の企業なら歯がゆい。  これも少し将来のために、国鉄の幹部もいらっしゃるようだけれども、国鉄には運転局とか工作局とかいろいろありますね、その縦割りの線がすらっとあります。そうすると、その方が、みんなが資料を持っているわけですね。そういうものをこの際やっぱり私どもも注意して、午後はまた大臣なり総裁を呼びますから言いますけれども、監理委員会としてもそんなものを十分ひとつ来年の答申の中には考えていただきたいと思うわけでございます。  地方交通線につきましても、第三次の地方交通線廃止を今度の提言などにお入れになるのかどうか聞いておきたい。
  31. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まだ第二次が現在今やっとこれからスタートができるという状態でございまして、第三次以降、まだ今までのは支線、地方交通線だけの問題でございますから、幹線部門にも代替手段によっていろいろ考え得るところもあると思いますし、検討はしたいと思いますが、今度の次の提言に入れるかどうかというようなことにつきましては、まだまだ議論も煮え詰まっておりませんので何とも申し上げかねる次第でございますが、ただ、鉄道だけじゃなくて新しいいろいろな輸送手段が現在出つつある、例えば都市におきましても、鉄道のほかにいろいろなところで新交通システムというふうな無人システムによって、しかも経費が安く安全だというシステムもいろいろ進歩発達をしておりますので、今までの鉄道形態にとらわれずに、やはり国民のニーズ、足を確保していくということは十分配慮しなければいかぬ、こういうふうに思っております。
  32. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで次は、経営改善計画に対しまして。  経営改善計画は、目黒君も触れたかと存じますけれども、もう十年来の話でして、これは、閣議で決定しまして政府がちゃんと国鉄にやらせているんですから、責任をとらなきゃならぬのですね、本当は。もう二十二兆円という累積赤字が出たときに、運輸大臣でも、私はやめたと言わなければならないのに、だれも責任をとらない、国鉄の幹部も責任をとっていない。まことに残念なことであります。  ただ、一生懸命にやる気で経営改善計画の変更を大臣国鉄が出しましたら、亀井委員長の名前で運輸大臣に厳しい書面が行っております。その最後の方で、「経営の悪化を食い止めることは、六十二年度に予定されている上記の抜本的改革の円滑な実施」、これは民営分割と思うんですけれども、「抜本的改革の円滑な実施のためにも是非とも必要である。」、最後に「国鉄に対し、当面六十年度に向けて、さらには六十二年度を目指して事業運営につき一層の改善努力を行うよう指示されることを要望する。」と。あれだけの経営改善計画国鉄が出したけれども、なおけしからぬ、六十二年、この民営分割を考えて、おまえたちもっと改善に努力せいと言っておられます。どういうと ころが一番ポイントでしょうか。
  33. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 一応これでは、表面上、幹線部門は黒字ですということですね。何かこれで安易な安堵感というものを持たれたら、経営努力というものは怠りがちになるんではなかろうか、まだまだ根が深いわけなんです。これをやっても一兆数千億というものの赤字はまだ出ていくということでございますし、それから、旅客がだんだんと航空機その他で逓減現象などがありますし、とにかく変化に対応する気構えというものを持っていかなければいかぬということでございます。  私どもの考え方は、ざっくばらんに申し上げますと、先ほど来申し上げましたように、経営形態国鉄というものについて今までの内科療法的なものでは既にだめである、やはり大きな外科手術をやらなければいかぬのじゃないだろうか。そうすると、外科手術をやるためには、やはりその前に体力を、ある程度手術に耐え得る体力にしていただく、そういう努力は必要ではないかというのが、私どものこれを書きました基本的なトーンになっている、こういうふうに御理解をいただきたいと存じます。
  34. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二次の緊急提言は、いつごろお出しになる予定ですか。
  35. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 現在いろいろ議論を重ねておりますので、なるべく早くと考えておりますけれども、大体七月末か八月というころには何とか出したいというふうに考えております。
  36. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから、内閣総理大臣に対する本格的な答申は、来年のいつごろになる予定でございますか。
  37. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 非常に難しい問題でございますけれども、一応総理には、二年間で具体案をこしらえて、あとの二年間——任期が四年でございますから、あとの二年間でそのフォローアップをさせていただきますと、こう申し上げておりますので、大体来年の半ばごろというふうに目標を置いて努力をしたい、こういうふうに存じております。
  38. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間も参りましたが、一つは、青函トンネルをせっかくあれだけ金をかけてつくりました。これをまた今から水を入れてつぶすというわけにもまいりません。監理委員会でも話題に出ているようでありまするが、どういうことに使った方が一番効果的であるとお考えでございましょうか。
  39. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 青函トンネルにつきましては、昨年の秋、私ども現地視察をしまして、非常に壮大な工事で、よくこういうことができたものだと感心をしたのでございますけれども、経営面から見ますと、当初この計画をお立てになったときは、青函トンネルができると北海道と本州の間二千四、五百万人の年間輸送人員ができるというめどであったのが、現在は青函連絡船でも二百万ちょっとということでございまして、そのぐらいの需要しか見込めないということでございまして、これの資本費だけの負担で八百億、これはとても現在の国鉄の体力では負担できないであろう。したがいまして、これは何か新しい方法でその経費負担をするという便法も考えなければいけませんし、またこれをどういうふうに利用するかということにつきましては、政府におきましてまた特別の委員会をつくられましていろいろ検討を委嘱されておるようでございますが、そちらの方の検討状況と合わせまして負担の問題についても考えたい。  しかし私個人の考えは、せっかくあれだけしたものを遊ばせておくのはもったいない、何かの方法でやはり日本民族の大きな資産として活用するということは考えなければいかぬのじゃなかろうかと、こういうふうに存じております。
  40. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後の問題は、新幹線の整備五線の建設の問題でございますけれども、今、国会内でも一部、この際公共投資として整備五線は完成すべきである。特に盛岡まで行って青森までない。青森まで行きますとあとはもう新幹線が青函トンネルに入りますね、そして札幌まで。それから九州の方も博多から鹿児島まで。今鹿児島線、日豊線はまだ複線電化が十分でありません。したがって飛行機で博多から鹿児島まで、わずかなことをね。それよりも博多から鹿児島まで新幹線、長崎まで新幹線、そして将来また上海まで船で行くというような構想もあります。我が党は凍結でありますけれども、これは借金国鉄が新幹線などけしからぬと言っておりますが、監理委員長の御見解を聞いておきたいと思います。
  41. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 整備新幹線につきましては、これは民族、日本人は皆、やはり全国津々浦々それで行けたら便利であるということにはこれは違いないと思います。ただ、これと経済的負担とのバランスということが非常にこれから大きな問題ではなかろうか。伺いますと、二、三年前の単価で五線やるとすると、五兆五、六千億かかるということでございまして、しかも既にできた上越新幹線でもとにかく二千億近い年間赤字が出る、こういう状況でございますので、新幹線という形にとらわれずに、さらに技術はどんどん進歩しておりますから、いろいろな方法を講じて、例えばフランスあたりの新幹線というのは相当費用が日本よりもうんと安い合理的な方法でやっておると、いろいろなことも聞いておりますので、そういうことも技術的に検討していくべきではないかと思いますが、いずれにしても、国鉄再建計画という私どもの立場から言いますと、これはアウトサイドの問題として、現状のものをどう健全にするか、そして新しいものは健康体になってから負担する、こういう考え方でさばいていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 小柳勇

    ○小柳勇君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  43. 桑名義治

    ○桑名義治君 きょうは大変に御苦労さんでございます。  公明党の桑名でございますが、先ほどからいろいろと、国鉄現状に至るまでの分析をどういうふうに見ているか、あるいはまた長期債務問題等が出たわけでございますが、国鉄、それと同時に今後の経営形態をどのようにしていくか。国鉄問題を論ずる場合にはこの三つがやはり大きな柱になってくると思うわけでございますが、そこで、国鉄再建監理委員会といたしましては、昨年の六月に発足をしましてちょうど一年たつわけでございます。国鉄問題を考える場合には、まず現在の国鉄の状況を把握すること、それから現在の赤字状況というものが何によって起こったのかという病原をその次に知るということ、その次にはこれをどういうような経営形態でどういう運営をしていけばこれが解決するであろうかという検討になると思うんですが、現在の段階ではどこまでの検討を終了しているわけでございますか。
  44. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま御質問がございましたが、一年間勉強しました。とにかく国鉄が悪くなったというのは具体的には昭和三十九年から赤字が出だした。その前にもう病原はあったと私は思いますが、言い方は悪いですが、三十年かかってこういう状態になったということですね。これは国鉄だけの責任ではございません。いろいろな要因がございますので、そういうものをやるのに一年ではまだどうやるかというところまではできておりません。ただ事実の認識をやった。  どこが問題かという御指摘でございますけれども、もちろん先ほど来諸先生から御指摘のように、長期債務という問題が非常に大きな重荷になっておるということはこれは事実でございます。  それから第二には、やはり現在の公社という経営形態というものが、先ほども申しましたようにいろいろな面で制約を受けて、思い切った経営というものができ得ない状態にあるということも一つ問題であります。  それから労働問題、これは当面余剰人員という問題が出ておりますが、労働問題というものを深刻に取り上げて、これをどう大きな不安動揺なく安定的に処理するか、こういう問題三つが非常に大きなテーマである、こういうふうな認識は私ども委員の中で共通した現在認識になっておる、そういうことでございます。
  45. 桑名義治

    ○桑名義治君 私たちも委員会としていろいろと検討したわけでございますが、今監理委員長が言われました問題、これは大きな問題だと思います。私たちの認識も、先ほどから御答弁の中にもございましたが、いわゆる運賃値上げの場合の物価対策としての凍結問題、あるいは政治路線問題、あるいは労使問題、あるいはモータリゼーションの大変大きな変革の問題、あるいは体質の問題ですね。それと同時に、当事者能力の限界問題、いわゆる手足を縛られてさあ走れということではこれはもうどうしようもない。それと同時に、現在の鉄道の、私鉄を含めてでございますが、いろいろの経営状況を見てみますと、いわゆる鉄道のみでは採算ベースに乗らない時代に入っているということはこれは事実でございます。そういったことでいろいろ不動産業やあるいはまたマーケット、こういういろいろな施策をかみ合わせながら企業経営状況というものを向上させているというのが現状であるということは、よくわかるわけでございます。  こういういろいろな複雑な問題を抱えておる中で、今から先どういうふうにすることが最もベターであるかという議論に入るわけでございますが、その中で先ほどからもいろいろと議論になっております、いわゆる民営分割という問題がたくさん出ているわけでございますが、国鉄経営形態に対する考え方は、民営分割という考え方も一つあると思います。  それと同時に、今いろいろと論議されているのは、各地方には管理局がございます。この管理局をある程度統合して支社的な形態にしながらここにいろいろな責任を持たせ責任体制をとらせる、こういう一つのいわゆる分割案的なものも出ております。  それから、在来線はある程度分割をしてそういう形態にするけれども、新幹線は一本化していく、今のままである、こういう第三的な考え方がある。  大別しますと大体この三つの形態があると思う。しかし、一の問題は別として、二、三の問題でございますが、こうなってきますと、いわゆる現在の法律を大幅に改定をしていかなければならないことは当然だろうと思います。  そこでお尋ねしたいことは、監理委員会としては先ほど私が申し上げました三つの手法のうちのどれを最重点にお考えになっていらっしゃるのか、先ほどの答弁の中では臨調の考え方を下敷きにということを仰せになっておられたわけでございますが、しかしそれと同時に、こういうふうないわゆる私が申し上げましたような三つの手法を述べる方もおられるわけでございますが、この三つのどこを監理委員会としては検討なさるおつもりなのか、あるいはまたなさっておられるのか。あるいは、そういうものはもう全部除外だ、いわゆる民営化分割ということをもう完全に下敷きにして、それ以外のものは検討の課題に上がっていないんだ、こういうふうなような状態なのか、お尋ねしておきたいと思います。
  46. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先ほど来申し上げましたように、分割民営化というのが臨調答申でございまして、その線に沿って検討していただきたいというのが総理の委嘱でございました。したがいましてこれをメーンにいたしますけれども、ただいま先生おっしゃいましたように、目的は分割民営化が目的ではないわけでございますね。国鉄という、鉄道というものが二十一世紀に向かって国民の足として、国民が本当にこれを愛し、活用するという形がどうか、そして国民に大きな負担を財政的にかけない、こういう形がどうあるべきかということを検討しますので、広範にこれからやりたいと思います。  ただ、非常に問題がございますのは、鉄道というものが御承知のようにずっとレールでつながっておるということでございまして、簡単に切るのもどういうふうに切り方があるかはいろいろこれも大きな問題でございますし、それからまた性格が、地域に密着型の特性を発揮する部門と、中距離輸送的にやる部門と、貨物のように全国的な網で輸送する部門、いろいろございますので、機能的にあるいは地域別的にいろいろそういうことを加えて、どういう形がいいのかをこれからブロードな視野から検討していきたい、まだ一年時間がございますので、慎重な検討を続ける所存でございます。
  47. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、今の御答弁の中に、やはり臨調答申の中の分割民営というこれが最終的には下敷きに一応なっている。分割民営ということにするんだということではなくて、国鉄再建をどういうふうにするかということが一番の目的である。しかし下敷きとしては臨調の答申のいわゆる分割民営ということが一応の下敷きになっていると、こういうお話でございますが、そこを一つの基礎にしまして少しお尋ねをしておきたいわけでございます。  分割というその第一案でございますけれども、この中に、いわゆる本州、北海道、九州、四国の島に分割をしてはどうかというこういう検討事項がまずあるわけでございますが、この分割をした場合にも、分割後のいわゆる会社の経営が成り立っていくかどうかということがやっぱり一番大きな問題になるわけでございます。その分割後の会社の経営が成り立つめどをつけない限り北海道、九州、四国の鉄道を分離しても意味がないと私は思うわけです。  現状を見てみますと、例えば五十五年、北海道では経営状況が、これは国鉄からいただいた資料でございますけれども、赤字が二千百九十八億、それから四国の場合だったら四百十一億、九州の場合だったら一千九百八十九億、五十六年度が北海道が二千五百七十九億、四国が四百六十三億、それから九州が全体で二千百六十一億、それから五十七年度が北海道では二千七百四十六億、四国では四百八十七億、九州では二千三百四億と、こういう赤字が生まれているわけであります。これが経営状態でございます。こういう経営状態の中で、果たして分割することのみで採算ベースに乗るだろうか。採算ベースに乗らなければ、民営化しようとしましても、これは引受手がないことは当然なことでございます。  そこら辺をどういうふうに亀井委員長はお考えになっておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  48. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 臨調答申では一応七つ程度という数が出ておるわけでございますね。それに基づいて巷間、私どもは何も考えておるわけではございませんが、北海道、四国、九州三島と、それで本州を四つに割れば七つと、こういう数合わせのようなことが出ておるわけでございますけれども、私ども基本は、今先生指摘のように、例えば北海道が独立した場合に、現在では御指摘のように年間九百億の収入で三千七百億くらいのコストがかかっておる、これを仮に能率を三倍に上げたり運賃を上げてもそう軽々にならない、初めから赤字会社というようなものはこれは引受手がない、そういうところに非常に悩みがあるわけなんでございます。  しかし一方、先ほど来目黒先生のあれにも申し上げましたように、やはり鉄道事業というのは一つ企業として規定されたわけですね、国有鉄道。これがどうも、独占ということでありながら独占でない、輸送手段としては。非常な悩みがある。そうすると、やはりそこに競争性といいますか、これがないと企業というのはいけない、こういう考えで、やはりある程度競争ができて、経営基盤がある程度努力すれば黒になるというふうな分け方が、うまい案がないか、これが非常に私どもの現在大きな悩みの種でありますし、これに懸命の努力をしたいということでございまして、七つ程度というのは臨調の一つの考え方である。しかも三島分離論というものはこれは巷間伝えられるそういう解釈論であったということで、私どもはそういうものにとらわれずに、何かこれからの二十一世紀に向けての日本の旅客流動というものに対応でき、鉄道特性が発揮でき、しかも競争性というものによって国民にサービスができる体制というものがどうすればいいかと、これを現在苦労しながら暗中模索をしておるというふうにひとつ御理解いただきたいと思います。
  49. 桑名義治

    ○桑名義治君 今私が申し上げたのは、いわゆる分割後のそれぞれの採算性の問題を申し上げたわけでございますが、それと同時に見落としてならない問題は、これは鉄道特性という問題でございます。  採算ベースにこれは乗ることは非常に難しいというふうな意味の御答弁でございまして、そこらをどういうふうにするかということに非常に心を砕いておられるようでございますが、そこで、今度鉄道特性というものから少しお尋ねしておきたいと思うんですが、本州の幹線鉄道についてはいわゆる地域分割をすれば鉄道特性が損なわれるのではないかという、そういう慎重な議論も実際にあるわけでございます。この問題は、電力がああいうふうにそれぞれの九電力に分かれた場合にもそういった議論があったそうでございますが、電力と鉄道というものを比較した場合にはおのずとそこにいわゆる特性が違うと思うんです。  そういった立場から考えますと、地域に分割することによっての特性をどういうようにお考えになっておられるのかということと、それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、新幹線と在来鉄道との分離という、こういう意見もあるわけでございますが、この点に対する亀井委員長の御意見を伺っておきたいと思います。
  50. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まず、分割の事情について電力会社と違うという点、これは確かにそのとおりでございます。電力は、電源地帯は別でございますけれども、供給地帯はある一つの行政区画と大体合わせていける。ところが鉄道は、ずっと線路が、レールがつながっておりますから、そう行政区画というわけにはいかない。しかし、ある大まかな分け方をした場合は、ヨーロッパの国をとれば、国際列車というのが走っております場合は、これは相互乗れ入れとかいろいろな手法によってやる。あるいは東京都の首都圏におきまして、あるいは関西圏におきましても、私鉄と国鉄の間の相互乗り入れ、いろいろな手法がだんだん発達しておりますし、コンピューターも発達しておりますし、いろいろなことで、そういうことも勘案しながらどういう方法がよかろうかということを検討していきたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  51. 桑名義治

    ○桑名義治君 新幹線と在来線の問題
  52. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) それから、新幹線と在来線の問題でございますが、新幹線にとりましても、先生方々御承知と思いますが、東海道線は非常に利益を上げておる。ところが、その反対に上越、東北は非常に赤字がある。こういうアンバランスがございますし、それから東海道線と東海道新幹線を比べたら、東海道新幹線ができたために旧線が今度は赤になったとか、いろいろございまして、簡単に新幹線と旧幹線とを分離するというわけにもいかない。何かそこは、総合しながら旅客流動に合わせるような体系ということを検討しなきゃいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  53. 桑名義治

    ○桑名義治君 仁杉国鉄総裁が二十一日に日本記者クラブで講演をしまして、国鉄総裁として初めて分割民営化に基本的に賛成の意向のいわゆる意見を述べられているわけでございます。そのときに分割民営化一つの条件といたしまして、分割後の会社の採算性が確保されること、それから今後、合理化に伴って発生する余剰人員の処遇、それから長期債務の処理等を挙げておられます。いわゆる仁杉総裁のこの御発言に対して委員長としてどのように受けとめておられるのか、御意見を伺っておきたいと思います。
  54. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 仁杉総裁は私は非常に尊敬しておる方でございまして、総裁が就任されたときに、国鉄職員に、とにかく働く気を起こせ、そしてサービス精神に徹しろということを言われたのは、私は歴代総裁として出色の方であると思っております。そういうことで、現在国鉄経営を真剣にお考えになりまして、先般新聞記者の質問に答えられて、分割民営というのは理念、手法としては正しいと思う、しかし非常に大きな問題があるということを言われた。今先生指摘のような採算性の問題であるとか、余剰人員の問題長期債務問題指摘されておりますが、これは仁杉総裁も真剣に、この国鉄をどうすれば再生できるかということについて非常に努力をしておられて、問題意識を明確にされたというふうに私どもは受け取っておる次第でございます。
  55. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、ここで仁杉総裁の講演の中でやっぱり問題になっているのも、会社の採算性の確保という問題と、それから余剰人員をどういうふうに処遇するかという問題と、長期債務の処理をどうするかという問題。これはやはり今後基本的な問題だろうと思います。  先ほどから余剰人員の問題議論になっていたわけでございますが、私も前回、前々回の委員会のときに余剰人員の問題を取り上げたわけでございますが、しかしながら民営化ということになればなお一層のいわゆる合理化が進んでいくと思います。なお一層の合理化が進んでいけば、今よりもまたさらに早いペースで余剰人員が生まれてくるのではなかろうか、こういうふうに予測をせざるを得ないわけでございますが、先ほど監理委員長は、そういった余剰人員の生首を切るということは企業者としてはやってはならない、こういう意味合いの御答弁があったわけでございますが、この余剰人員の処遇についての考え方を再度伺っておきたいと思います。
  56. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 民営化に伴って余剰人員が出るのではないかということですが、これは私鉄と国鉄との生産性を比べた場合、いろんな数字が出ておりますが、まあ何分の一とかいうことははっきりしたことはございません。とにかく低いことは低い。そうしますと、私鉄並みということになると、これは明らかに計数的には余剰人員が出ると思います。しかしその場合に、民間企業におきましては、人が余ったから簡単に首を切るということはやってない。  例えば、昭和四十八年のあのオイルショックが来ました後、民間企業は大体三割ぐらい生産減になって、人員整理をしたところもございますけれども、主なる企業は大体みんな何かアウトサイドのワークというものによって人を吸収しようという努力をした。こういうことでございまして、私鉄の場合にはいろいろな附帯事業というものでやれる、国鉄も民営化になればいろいろな附帯事業ができてくる。こういうことで、やはり余剰人員の吸収努力というものに知恵を絞っていくということが非常に大事ではないか。そして、それにさらに余るというような人は、やはりこれは国家対策なりあるいは地域対策なり、民間企業も協力するとかいろんな方法によって、これは日本国民問題として受けとめて解決していくべきではないか、こういうふうに考えております。
  57. 桑名義治

    ○桑名義治君 私鉄の手法というものは、今委員長の言われたとおりに、さまざまないわゆる業務をつくりながら吸収をしていくということでございますが、現在の国鉄の状況を見てみますと、それぞれ、ステーションビルはステーションビルでもう会社がございます。あるいはまた、大手のいろいろな業者が、少なくとも大きく分けても大体七つぐらいの団体が入っているというお話でございました。日本食堂とかそういうものを一つとして、あと小さな商売人をまとめた一つのグループ、これを一つとして、大体七つぐらいの業種があるんじゃないかというふうに言われているわけでございますが、そういうように既に関連企業としてはめ込まれているわけですね。  そうすると、そこに果たして今から先もそういう余剰人員を吸収するだけの余力があるだろうかという、こういう私心配もするわけですし、それと同時に、そういうふうな業態のものを民営化された場合にはどういうふうな形で処遇していくのだろうか。存続ということになれば、これ民営化してもまた意味がなくなってしまうわけでございまして、そこら辺、一つの大きな矛盾みたいなものが包含されているというふうに思うわけでございますが、この点どういうふうにお考えになりますか。
  58. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 確かに現在、関連事業で私鉄がやっておられるようなことはやっておる部面もございます。しかし、大きな面では、地域デベロッパーというふうな考え方は国鉄は今まで全然とらなかった。非常に顕著な例が、下田伊豆急行でございますね。あれを仮にもともとの国鉄の考え方でおやりになっておれば、附帯事業というものを地域デベロップでやれなかった。あれをやはり東急がやったために、あの伊豆半島の南の方は非常に大きく開発をされた。民営になりますと、そういうことで非常に活動の余地というものが広がってくる。日本にもいろいろ新しく、これはディスカバージャパンじゃございませんけれども、鉄道という路線を大事にしてその地域を豊かにしていくというふうな考え方はまだまだ余地があるんではないだろうかというふうに思いますが、しかしいずれにしても非常に難しい問題でございまして、これは相当のやはり経営努力というものが必要であろう、そういうふうに思っております。
  59. 桑名義治

    ○桑名義治君 仁杉総裁は、今後国鉄自身として独自の経営構想を打ち出すことも明らかにされたわけでございます。そこで、監理委員会国鉄経営形態のあり方を審議する、国鉄当局としては独自の経営構想を今から先検討をしていく。こうなりますと、国鉄自身経営構想、それから監理委員会経営形態へのいわゆる構想、お互いに競合するわけでございますが、この点どういうふうに調整をしていかれるのか、あるいはまた国鉄が仮に経営形態がまとまったとして打ち出された場合に、どういうふうに尊重をされていく御意向なのか、ここら辺をお聞きしておきたいと思います。
  60. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 仁杉総裁国鉄独自の立場から再建を検討する、私は非常に結構なことだと思っております。というのは、本来、それがあれば再建委員会は要らなかったわけですね。しかし、現状こうなっておりますから、目的は、先ほども申し上げましたように、国鉄というものが将来に向かって健全になり働きがいのある体制ということが目標でございますから、両方が対立するものではなくて、協力をしながら、また意思疎通を盛んにしながらお互いにいい案を協力をしてつくり上げる、こういう気持ちで私はおる次第でございます。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうした場合に、国鉄自身が今後の新しい経営構想を確立する、監理委員会国鉄経営体系のあり方をこれをまた研究しておる。そうすると、今度は運輸省問題になってくるわけですな。もう三者三様のような感じがするわけですね。ここら辺の調整をどういうふうにするかということもこれまた非常に大きな難しい問題でございまして、どこのいわゆる構想が一番の柱になりながら取捨選択をしていくかという問題になってくると思うんですが、これは、監理委員会の構想が柱になりながら、運輸省の考え方なり、あるいはまた国鉄の考え方をここへ加味をしていく、取捨選択をしていく、骨はあくまでも監理委員会の構想なんだと、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  62. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 甚だデリケートな御質問でございますけれども、これは私の考え方は、再建をする実施部隊というのは国鉄でございますね。それから、これを指導する司令部は運輸省である。それから、私どもはそれの具体的な今度は案をつくる、総理にそれを答申するという、総理に対する補佐機関ということでプランをつくる、こういうことでございますから、この三者の間に整合性を持つということが非常に必要であって、昔のように参謀本部と関東軍とがすれ違うということではこれはむちゃくちゃになってしまう、余計に今より悪くなるということでございますから、その辺、運輸大臣、それから国鉄総裁、それから私、委員長とが三者一体になってやっていく。  しかし、幸いにいたしまして、三者とも、国鉄現状のままではどうにもならない、これを何か改革をしなきゃいかぬということは一致しておりますから、その改革の方角につきましては歩きながら慎重に御相談をして詰めていきたい。どこがリーダーシップをとるというのはやめてトリオでやる、こういうふうに御理解をひとついただきたいと思います。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 私の見方でございますけれども、これは私見になるわけでございますが、今回の関西空港法案のときにも、これをどういうふうな形にするかということでいろいろ議論になったわけですね。公団にするのか、一部公団、一部民営化という形にするのか、あるいはまた完全な民営化にするのか。ところが、やっぱり総理のツルの一声でぱっと決まってしまったわけですな。  そうすると、監理委員会というのは総理の諮問機関ですわね。そうなってくると、監理委員会のいわゆる発言というもの、答申というもの、諮問というものはこれは非常に大きな比重を占めてくることは事実であります。そうなってくると、やはり監理委員会の考え方というものが最終的には大きな動かざる柱になることはこれは事実だろう、私はそう思う。だからこそ、いわゆる運輸省の中にも、監理委員会との関連機関あるいはまた監理委員会との調整をとる総括審議官というのができたんだろうと、こういうふうに私は理解をしているわけでございますが、ここら辺、答申する前までのいわゆる意見交換、非常に三者の意見交換が密に行われなければ、それこそ今委員長が言われましたように、昔の軍隊のようなばらばらな状況になって、後、答申をしたけれども不満が残る、なかなか前に進んでいかないという状況が生まれるんではないかと、こういう一つの危惧をするわけでございます。  改めて、この点についての監理委員長の御意見を伺っておきたいと思います。
  64. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまもう先生の御指摘のとおりでございまして、私どもの答申は総理が尊重するということが法律にも書いてございますし、非常に重みのあるものであるという認識をしておりますが、それだけに非常に責任の重いものでございまして、いろいろ反対があって実施ができないようなものはつくれないということでございますから、運輸省並びに国鉄とは緊密に連絡をとり、意見交換をしながら、また、それだけにとらわれずに、労働組合あるいは各界、国民のいろいろな世論というものを十分吸収しながら慎重に案をつくりたい、そういうふうに存じております。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどから長期債務問題が提起をされているわけでございますが、どうしても私もこれを避けて通るわけにはまいりませんので、この問題についてまた少しお尋ねをしておきたいと思いますが、二十三兆円という莫大な長期債務、しかし、この長期債務の中には性格上財投のような性格のものもございまして、なかなか一括棚上げということが難しくて苦慮している、こういうお話でございました。  そこで、まず、その処理の方針を決定するに当たりまして、その発生要因を分析した場合に、いわゆる公的な要素によるものが主体なのか、あるいは経営上による理由が主体なのか、あるいは、この二つに区分してお考えになり、また処理の方針を立てられるのか、そこをお聞きしておきたいと思います。
  66. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) これは長期債務の処理に、仮定の問題でございますが、新形態に移る、幾つに分かれるかは別にしまして、そういう場合に、その新しい会社は資産を引き受けるわけでございますから、その資産に見合う借金というもの、これをどういうふうな計算をするかが一つ問題、これは新しい会社がそのぐらいのことは背負うべきではないだろうか、こういう考え方がございます。  それから、累積赤字といいますか、これは今のところどうにも埋めようがないわけですから、これはどういう方法で埋めるかということも考えなければいかぬのじゃないか。そうすると、これは資産の処分の問題とかいろいろな手法がございますと思いますが、それから国家財政でどう見るかというふうないろいろなことが必要ではないか。  それからなお、今表面に出ておりませんけれども、退職金、年金の問題でございますね、これも新しい会社でそれを背負うということはこれはとてもできっこない、これをどう処理するか。  そういうふうに、原因別ではなくて、形態別に分けてやはり長期的に何かなしていく、日本経済に大きなショックを与えない、あるいは財政に急なショックを与えないというふうな何か名案がないかということをこれから検討したいと、これは私個人の感覚でございますが、そういうことでございます。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁の中で、長期債務問題は資産との兼ね合いの問題で考えていく必要がある、それから赤字問題はどういうふうにするかということでございます。実際に赤字問題は、先ほどからもちょっと申し上げましたように、それぞれの島に分割をした場合を考えてみましても、今のままでは当然赤字累積をしていくばかりでございますし、それと同時に、三十九年から赤に転落をして雪だるま式に大きくなっていったという一つの最大の原因は、この長期債務を抱えているということであったように考えられるわけでございます。  そういうふうに考えますと、民営化、民営化と申し上げても、しょせんは赤字の部分をどうするかということをどうしても避けては通れないし、それと同時に、処理の方法は別にしましても、棚上げにすることに関しては、ある程度これは覚悟をしなければ民営化という問題も無理ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになるのか。  それから、年金の問題がございますけれども、この年金の問題は国全体として考えていかなきゃならない問題だと思います。国鉄だけでこの問題を解決しろなんて言われましてもこれはどうしようもない問題でございまして、将来的には年金の一本化ということを推進してこれを吸収していけば、民営になりましょうとも、あるいは公的な立場に残りましょうとも、これは何ら関係なしに解決されていく問題だろうと、こういうふうに思うわけでございます。  そういうふうに考えますと、一番のネックはどこになってくるかと言えば、やはり赤字の部分になってくる、こういうふうに私は思うわけでございますが、これはどうしてもやっぱりある程度何らかの形で、どういう形態にするかは別にして、この赤字は一応棚上げにして民営化するなら民営化するという方向にいかないと解決がつかぬのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございますが、その点、どうでしょうか。
  68. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) もう桑名先生の御指摘のとおりでございます。認識は全く同じでございます。  ただ、棚上げというのは、——この間もある銀行の幹部の方が、亀井君、もう国鉄のあの借金棚上げしたら国鉄よくなるよ、君、それをやれと。しかしあなた、そう言っても簡単にいきませんよと。例えば、民間が引き受けた鉄道債は九兆円でございますね。それで、あなたのところでも相当の鉄道債を、何千億か知りませんが引き受けておるはずだ、それが棚上げで金利が当分来ないということでいいんですかと言ったら、ああそういうことか、それは絶対困る、何とか君名案をやってくれと。こういうことで、全体の認識は、国鉄の赤といいあるいは債務というものが非常に大きな国民経済にかかわりがあり、あるいはまた、先ほど申し上げましたように、結局は国民の財産であると同時にマイナスの借金であるという認識も非常に薄い、こういう点の認識を本当にいただかないとこれの根本的解決はできない。これは、私ども経済界に属する人間で、経済界の中の人の認識不足を、恥を申し上げたようなことでございます。  そういう実態にあるということで、いかに難しいかということを御認識いただきたい、そういうふうに思います。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  70. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、分割民営化問題についてお伺いしたいと思うんです。  やっぱり新しい経営形態としなければならぬと。その中身としては、競争形態というものが持てる形態にしなきゃいけない、二番目には旅客の流動の実態を考える、そして三番目に一人の経営管理者が掌握できる範囲ということを、これは三月二十二日の予算委員会でおっしゃっておりました。  その後、新聞報道を拝見いたしましたとき、これは五十九年五月八日の東京新聞でございましたけれども、そこで委員長が、よほどの理由がない限り分割民営化の線は崩せない、こういう御発言がございました。その中身をどうするかということについては、先ほどの三つの形態を具体的に、やっぱり分割すれば競争意識が出てきて小回りもきく、だから、ということ。二番目は、北海道、四国、九州の分割は比較的簡単だ。本州も分割しないと意味がない。その場合、単純分割ではなく、旅客流動などを念頭に知恵を絞りたいと。先ほどもそういうことをおっしゃいました。三番目には、地域分割をする。これは一人の経営者が掌握できる規模にするのが当然だと。  こういうふうに、非常に詳細といいましょうか、具体的な問題で、民営分割ということは崩せないと、こういうふうにおっしゃっておりましたが、そのお考えについてはお変わりなくいらっしゃいますね。
  71. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) これは委員会意見ということではございませんで、先ほども使い分けであれだということでしたが、亀井個人の考え方として、あるいは民間経営の実務体験を持った人間といたしまして、国鉄というこの鉄道をどうするかというのにはそういう原則的考え方で、これを実際にアプライするなりどうかというのはこれからの問題でございます。ただ、委員会として分割民営を臨調の答申を下敷きにしてそれを尊重しながら検討するということは確認しておりますけれども、分割民営が絶対であるということを委員会としてはまだ結論は出したわけではないと、こういうふうにひとつ認識していただきたい。
  72. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどからそうおっしゃっていらしたわけです。なかなか微妙なところですね。委員長でない個人というのが第三者の立場でぽっと出てきたわけじゃないから、その辺のところは大変難しいところで、時間がないからそれはまた後の問題にしたいと思います。  それで、先ほど伺っていましたら、監理委員会の任務とは一体何なんだと。その任務というのは、国鉄は今破産状態になっている。だから民間会社で言えば更生計画をつくるんだ、そして新しい会社が更生計画を立ててそしてどうやるのかを明確にさせるのが監理委員会の任務であると、そういうふうにおっしゃいましたですね。そういうことは、国鉄は完全な清算会社になるということになるのでしょうか。それから今度、新しい形態というものには国鉄は全く考えられないよということになるのか。  その辺のつながりがちょっと微妙なところで大事なところなものですから、お伺いしたいと思います。
  73. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私がこの民間の会社更生計画というものを例に出したのは適当かどうかわかりませんけれども、形といたしまして更生計画のようになれば、現在の国鉄は旧国鉄とそして新国鉄と、これが一本でいくのか幾つに分かれるのかわかりませんが、そういう格好になるということでございますね。そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  74. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ということは、その旧国鉄というのは全く清算会社という形で考えるということでよろしいんですか。
  75. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そうでございます。
  76. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは次に、七、八月ごろお出しになるとおっしゃっていました第二次緊急提案についてでございますけれども、先ほども同僚議員がおっしゃっていましたけれども、地方交通線問題については第一次、第二次のおくれを非常に批判していらっしゃいましたね。それで、監理委員会としては、第二次提言でこの第一次、第二次というもののおくれを批判する、しっかりやれとおっしゃる。その上に、残された地方交通線という問題についても、これも早く廃止の方向に向けていけ、重荷をおろすようにしろというふうな御提言を考えていらっしゃるかどうか。
  77. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 第一次、第二次の交通線につきましては、前の意見書にもそういうことを書きましたけれども、基本的に、もうからないところは切ってしまえという精神では私どもはない。新しい交通手段があればそれに適応していって市民ニーズに合うのが一番いいんじゃないだろうか、こういう基本に立っております。いわゆる目的と手段との経済バランスという、これは小笠原先生御出身の北海道で、あの白糠線、転換やりましたね。あれに私現地へ行って乗ってみて、住民の方々、いろんな方々意見を聞いたら、大変喜んでおられるわけですね。そしていろいろ経済処置もとりましたから、地域に経済負担はない。そして、住民は非常に便利になったというふうに喜ばれておるということでございまして、やはり常に技術進歩あるいはニーズの変化というものに適応した見直しをやっていくべきではないかというのが私どもの基本的なスタンスである、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  78. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 要員についてでございますけれども、新聞で、経営改善、三十五万人体制は甘過ぎると、厳しくおっしゃっていましたね。これは甘過ぎるよと。私鉄の生産性から見たら三分の一だとしかっていらしたわけでございます。要員についても、こんな甘いことじゃだめだよ、しっかりせいという立場での提言、中身、お考えに当然なっていらっしゃると思うんですけれども、どうですか。
  79. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) あのとき、六十年三十五万は甘いと。国鉄の方もそれを変更されまして、今度は三十二万という数字を出されたわけでございます。それにしても私どもはやはり、民間企業経営のいろいろ働きぶりからいうと相当甘いんではないかという認識はございます。例えば、私は関西に住んでおりましたけれども、阪神、阪急、国鉄と並んでおって、駅の要員ですね、仕事ぶりを見ると、やはり相当人が余っておるなという実感は、これは私だけではなくて国民各位が認識しておるところではないだろうかと。  それで私は、余っておるからけしからぬというわけではなくて、そういう人をどう有効に活用するか。私はきょうまで労務をやっていまして、基本観念は、二人の仕事を三人でやらせるワークシェアリングは、当初楽に思うけれども後は今度は苦痛になってくる、ぶらぶらすることはですね。だからやっぱり、二人の仕事は二人でやる。そして、加える一人の人はまた一人分の仕事を何か考え出してやる、こういうことを基本に置くべきであると。まあこれは私の経営的な考え方でございますから、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  80. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 確かに、今おっしゃいましたように、本当に仕事がないということはもう大変な本人にとっても社会的にもマイナスでございまして、そういう今のお考え、おっしゃったことがそのとおり、働くことに喜びを感じて、そしていい仕事が見つかれば問題ないですわね。そこができるかどうかが問題でございますので、亀井委員長のお手並み拝見と、こういうことになるわけでございます。おっしゃることはもう大変いいことをおっしゃっていますから、そういう意味で今後注目させていただきたい、そう思います。  それから長期債務問題ですけれども、やっぱり国鉄再建するために本当に私はこの長期債務というのが第一と言っていいくらい大きな問題だと思うんです。先ほどいろいろおっしゃったけれども、私たちはそう思う。先ほど同僚議員もそうおっしゃった。だけど、今までの御提言なすった中には、この長期債務については、非常に根が深いからという御理由でございましたけれども、具体的に御意見、御提言というのはさっぱり出てこない。ほかのことはばっさりばっさりと大変言いたいことをおっしゃったり御提言なすっていらしたわけですけれども、その辺に何か思惑があるのではないかなというふうにちょっと考えさせられるわけですよね。  国鉄運輸省も最近、この長期債務についてどう処理するかというのを検討しなきゃならない、これを急がなきゃならないと、こう発言していらっしゃいます。ことしの四月二十四日の参議院内閣委員会でも運輸大臣が、国鉄の最大の問題と心得ていると。大臣も、これは最大の問題だと。「この問題を解決しなければ、経営形態をどう変えるということにしても、前提としてこの問題を解決しなきゃならぬ、こういう認識でございます。」とまでお述べになっていらっしゃる。そうすると、私なんかもそう思うわけですよね。委員長としても、大臣がおっしゃったように、これはもう大変な最大の問題だ、これについての具体的な問題を進めていかなければこれは後のいろいろな計画にも大きな影響が出てくるというふうな御認識かどうか、その辺についてまた具体的に詳しくお考えを伺わせていただきたいと思います。
  81. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 長期債務以外は言いたいことを言っておると言いますが、随分慎重な発言をすべてやっておるわけでございまして、それで長期債務は、先ほどから諸先生方の御質問にもお答えしたんですが、基本的に現在のままではどうにもならぬという、国鉄経営形態なり、経営の場で認識があるわけでありまして、会社更生計画で先ほど申し上げたように、そういう場合には旧会社、新会社にして、新会社は健全な体質にしますからこちらの旧債はしばらく我慢してくれとかいうこういう処理、まあ棚上げとか棒引きとかいろいろやるということ、前提ではなくて同時解決であるというふうに私ども認識をしておりますので、会社更生計画的に、例えば新国鉄がこういう形になってこれからは本当の意味の、国民が愛する、しかも健全体質になりますから、こちらはこういう方法で国民なりいろんなところで負担をしたらどうでしょうかと、こういうことを出さざるを得ないんで、その一方だけやるというのは、これはもう昭和五十一年に、小笠原先生も御承知のように、あのときも五兆円棚上げしたらもうよくなりますと言って、それから七、八年、また十五兆たまっておるわけですからね。これはオオカミが来たということで、国民各位なりまた国会の諸先生もこれはとてもイエスとはおっしゃらぬわけです。  そういうことで、慎重に苦労しながら検討をしておる、そういうことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  82. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今おっしゃったように、棚上げしても毎年毎年赤字を出す国鉄だ、こんな赤字を抱えた国鉄を引き受けましょうなんていう企業は常識的に、特に御専門の立場から考えられてあるはずはないですね、この赤字をしょったまま。だから、赤字をしょったままの丸ごとでなくて、分割したいんだと、こういうことになるのではないかと思うわけです。先ほど、単純分割ではなく旅客流動を念頭に云々ということをおっしゃいました。その意味は、例えば、これも先ほどおっしゃった、東海道新幹線などのように、俗な言葉で申し上げればうまみのある部分は分割する、そしてうまみの欲しい人がそれを経営する。  同時に、先ほど紹介いたしました新聞での御発言、北海道などの分割は簡単だと、こうおっしゃっているのは、——私北海道でございますからね、ちょっとこれは問題にせざるを得ない発言だな、そう思ったわけなんですね。これは私だけではなくて、一番問題を抱えている北海道住民にとっては    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 これはとんでもない発言だということをまず申し上げなきゃならない。私たちも、何でもかんでも赤字でもそんなことは構わないで北海道だけ助けろなんて、そんなことは考えてないんです。日本共産党もよく考えて物を申しておりますので、その辺偏見なくお聞きになっていただきたいと思うんです。  この前の委員会でこれも申し上げましたけれども、臨調答申を出されて、そして加藤さんが十年後にはこれでとんとんになるよというような計算をなさいました。それで私の方も、その臨調で出された計算に基づきましてね、特に北海道が大変だろうと思って検討してみました。そうすると、地方交通線のすべてを切り捨てます、貨物ヤードも全廃いたします、要員も民間私鉄並みの生産性で四万二千人のを一万人、十年間には下げる、そして自動車、病院部門の分割や、投資も大幅削減するというように、こうなってしまう。現在の姿は全くなくなってしまうわけですね、こういうふうにやっていきますと。  こういうふうに大合理化をやって、じゃ計算していって十年後にはとんとんにおっしゃるようになるのかといって計算をいたしましたら、十年後にはこれはとんとんどころか、北海道は四千億からの赤字が出るという、こういう計算はこの委員会でも提示をいたしましたですよね。私は、別に私のやり方じゃなくて臨調から出されたやり方で、十年後とんとんとおっしゃったそのやり方で北海道をやってみたら、十年後には、とんとんどころか大変な大赤字が出てくる。こうなりますと、分割しても北海道は簡単だということはお取り消しいただきたいと思いますけれども、簡単でなくてもやっていけるという自信がおありでしょうか。そして、私に言わせれば、住友電工さんが、引き受けてやってやるよと、こうなりますと簡単でございましょうけれども、そういうこともちょっと御無理でございましょう。  そうすると、具体的な根拠も示されない中で、北海道の分割は簡単だよと言うようなことはおかしいと思うんですね。もしもその中身について、こういうことからという御意見がございましたら、もう最後でございますので、お伺いさせていただきたいと思います。
  83. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) どうも、北海道が簡単だと申し上げたのは、結果的には私の失言かと思います。といいますのは、旅客流動というものを主体に置けば、北海道というのは主として旅客流動の形から言えば、北海道と本州との間は五%なんですね、九十何%はもう北海道の中でございますから。ただ、今度は経営的見地から見ると今先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、しかし、それだからそれじゃ切り捨てたらいいかというと、そういうものではない、国民の足として確保しなきゃいかぬ。そうしますと、私どもの苦労がありますのは、新会社というものはこうやったらよくなりますよと言う場合に、我々の会社でも、十ぐらいの製品があったら、これは非常にもうかっておる製品もありますし、赤字の製品もある。しかしそれを両方をして収支をやって、住友電工という会社がここまで電線の中でも、まあえらい商売の広告をして恐縮でございますけれども、いろいろな電線をやっております。太い線もあれば細い線もある。そうすると、やっぱりある部分は赤であってもそれは総合してやらないと、あんばいもできないとぐあいが悪い。  そういう性格のものでございますから、今度は旅客流動形態と合わせまして、仮に五年なり十年計算して、経営努力をやれば今度はああいう形であったら黒になり得ると。そうすると従業員も励みが出る。黒が出れば賞与もふえる。こういう形にはどういう組み合わせがいいかというのがこれからの苦労をするところでございまして、三島分離というのは旅客流動の形で言えば簡単であると、こう申し上げたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  84. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当にきょうは、第一回でお目にかかりましていろいろ御意見を承りました。大分お勉強なすっていらっしゃるようでございますし、お答えもなかなかいろいろとおっしゃいました。今度からぜひ、来ていただきたいというときには、お忙しいと思いますけれども、素直にちょっと時間もゆっくりおいでいただきまして、いろいろきょう出されました問題についてまた質疑を続けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  85. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 きょうはお忙しいところを本当にありがとうございました。  私は五点にわたりまして御意見をお伺いをしたい、こう思います。  第一点は、監理委員会として昨年の八月の二日、緊急提案をなされました。これは、国鉄経営の健全化というよりも、当面の経営をこれ以上悪化しないように食いとめていこうという意味の提言だと思っているわけですが、この提言を見てまいりますと、かなり具体的にかつ相当各面にわたりまして提言がなされているわけでございます。  例えば経営管理の適正化の問題にしても、組織全般にわたって簡素化を図れ、あるいは企業性の欠如した体質からの脱却を図れと。あるいは事業分野の整理の問題についても、地方交通線の問題あるいは貨物輸送体制の問題。そして営業体制の合理化、この中では病院の問題とか、自動車の問題とか、工場の問題もあるし、広範囲に触れておられるわけです。  そこで、亀井委員長が提言をいたしましたこれらの緊急提言を、この中では六十年度までにやれ、こういう意味ですけれども、もう一年たっているわけですが、国鉄当局はこれを一体どのように受けとめて、どのように努力をしてきたのか、一体どの部分が実現をできてどの部分が達成できないのだろうか、国鉄が真剣にやっているのかどうか、現在の時点において点数をつければ一体合格点が与えられるのかどうか、この点をまず御感想をお伺いしたいと思います。
  86. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの御質問でございますが、昨年緊急提言を出しましてからちょうど一年たちました。その間の国鉄がいろいろ実行されておることを見ますと、例えば要員の合理化であるとか、あるいは貨物を重点間の輸送形態に変えるとか、それから全国一律運賃制に地域別運賃制を導入するとか、そういうふうな、非常に経営努力は私どもの提言を受けてやっておられると思います。ただ、国鉄の組織というのは、御承知のように余りに膨大であり、組織もいろいろ縦割り的な弊害もあり、やはりスローモーションでなかなかいきにくい。だから、努力はありますけれども、成果は、やはり上がってくるのにはスローテンポである、スローモーションであるということでございますから、点数をつければ何点かと、これは非常に難しいんですけれども、六十点すれすれというようなところじゃないか、そういうふうに思っております。
  87. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 先ほども言われましたように、三十年間にわたりまして病気が進行したといいますか、そういうことですから、一朝一夕で解決できるような妙案はもちろんないと思います。しかし、遠慮がちにすれすれと言われたんですが、私は、点数をつけるとすればまだ落第点、こういうふうに思っているわけです。やはりそういう意味で私は監理委員会としても落第点は実はつけたと思うんですが、そこで、五月十七日の「経営改善計画の変更について」の意見書の提出ということになったと思うわけです。  その意見書の中を見てみますと、やはり国鉄としても相当の努力をやっているということは認めつつも、項目によっては非常に計画に具体性が乏しいとか、あるいは緊急提案が求めた内容が六十年までに実施されるためには今後格段の努力が必要だ、こういうことも指摘されているわけです。国鉄国民注視の中で再建をやっている、さまざまな提言がなされている、しかし、それがかなり具体的内容のある提言にもかかわらずなかなか実行に移していけない、一体それはどこに最大の原因があるのだろうか。今後格段の努力を必要とするという点が、一体監理委員会としてはどの点を考えておられるのか、この点についてお伺いをしたい。
  88. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 六十点すれすれと申し上げましたけれども、例えば例を挙げますと、特別の地方交通線対策でございますね、こういうものでもなかなか思うように、これは地域の抵抗もいろいろございまして進まないと思いますけれども、こういう場合にどこにあるかと言いますと、やはり私は大きな意味では、この組織の欠陥ということもございましょうし、それからやはり政治的な圧力というものも、言いにくいことではございますが、これもある、それからやはり労使間が一致しておればいいんですけれども、内部でがたがたしておるために進みにくいとか、いろんな要因があって、やはりスローモーションにならざるを得ないということでございまして、そういう面をむしろ私どもの委員会の立場から国民世論を喚起するということでこれを促進させていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  89. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次に、監理委員会としては来年夏に最終答申、そのことはわかっておるわけですが、それに至るまで一年間あるわけですが、今後監理委員会としてどういう問題中心にして審議をし、どのような行動をしていくのか、この最終答申に至るまでのスケジュールといいますか、そういうものが今の段階でおわかりならばお示しをいただきたい。
  90. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先ほどから御指摘のように、大きな問題は、経営形態問題長期債務問題、労務対策の問題、こういうふうなことがございまして、これいずれも簡単に、いついつどこへ到着してというわけにいきませんので、これから真剣にとにかく最終のゴールを来年の夏ごろと目標を置いてそこまでに精力的にやっていきたいということで、その都度恐らくいろんなことが、状況の変化もございましょうし、またいろんな抵抗とか反響とかもありましょうし、そういうものも酌みながら真剣に検討していきたいということで、はっきりしたスケジュールは残念ながらない。ただ、来年の夏はもう最終ゴールである、ここだけははっきりしておる、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。
  91. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この五月十七日の「経営改善計画の変更について」の意見書の中で、第二次提言をやるんだと。先ほどの質問の中で、大体七月の末から八月には第二次提言を出したい、こういうスケジュールのようでございますが、その提言の中に今度はどのような問題一体盛り込もうとされておるのか。  最大の問題である累積債務問題、これは二十兆円を超している。国鉄の資産は十兆円と言われているわけですから、十兆円全部売ったってまだ十兆円残るということですね。したがってこれは、むしろ、簡単にそう結論の出るものじゃないと私どもも考えておりますし、先ほど言われましたように、最終段階まで練りに練って一つの案を出すということは了解をするわけでありますが、この第二次提言と言われるべき七月末から八月にかけての提言、もう一カ月くらいしか余裕はないですが、どのような問題点をこの中に盛り込もうとされておるのか、今の段階でおわかりだったら教えてください。
  92. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 第二次提言を出すということは先般もこれ表明をいたしたわけでございますけれども、どういうものを盛り込むかということについては、いろんなアイテムがございまして、それをまだ私どものところで確定的な議論まで煮え詰まっておりませんので申し上げにくいわけでございますけれども、    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 ただ、基本的には、先ほど来申し上げましたように、国鉄をよくするにはやはり私どもの認識は抜本的な手術が要る、手術をするまでには体力をやっぱりしっかりしておいてもらわなきゃいかぬ。手術に耐え得るだけの体力ということですね。そういうような、手術に入る前の事前のいろいろ御注意書き、そういうものをはっきり書きたい、こういうふうに思っておる。甚だ抽象的で恐縮でございますが、その辺で御勘弁をひとつお願いいたします。
  93. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後に、これは委員長としての見解をはっきりとお伺いしておきたいんですが、実は、鉄道労働組合がございまして、私もその組合の顧問をやっておるわけですが、同盟に加盟しておりまして民主的労働運動を前進させるために努力をしておるわけです。この委員会でも国労出身もおれば動労出身もおるわけですが。この鉄道労働組合がきのうおとといと中央委員会を開きまして、そして国鉄再建問題につきまして新たな提言をまとめたわけでございます。  その内容は、五十六年から出発をいたしました経営改善計画を子細に検討をして、そしてこの三年間の経過を詳細に分析をすればするほど、現在のような手法で、あるいは経営姿勢で、その延長線上で再建をするなんていうことはとても不可能である、こういう結論を出しておる。その結論を前提といたしまして、従来とは異なった視点におきまして、地域本社制へ転換したらどうか。要するに、徹底した分権体制ですね。自由に濶達に行動ができるような、そういう地域本社制への転換という新しい提起をしているわけであります。そしてその中で、長期債務は国の責任で処理するが、処理できない場合でも地域本社が返済を分担できるような範囲においてやっていただきたい、こういうような具体的な内容も盛られているわけですが、それ全部を説明していることはできませんが、要するに、国鉄の中で現在働いている人たちの提言として新たな提起がなされたわけでございますので、この点につきまして監理委員会としても真剣に受けとめていただきたいということが一つと、そしてこれについて委員長として今現在持たれている感想はどうだろうか。  それからもう一つは、これで、こういう提言が出されたわけですから、今までも労働組合意見監理委員会は聞いたことがあるわけですが、せっかく提言も出されているこの時点において、監理委員会としても鉄労の意見を聞いてみようかと、こういうような姿勢になっていただきたいと思うわけでありますが、この点についてのお考えをお伺いして、終わります。
  94. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私も昨日この鉄労の提言というものを読ませていただきまして、非常に感銘を受けたわけです。特にこの中段において、したがって「われわれは、経営の規模・形態に問題があるならそこにメスを 公社という制度に欠陥があるならこれを改革し 経営者の資質に問題があるなら血の入替えを求め 国鉄職員の体質に問題があるならこれを改善する」という、こういうことをはっきり言い切っておられる。私は本当に感銘を受けたわけです。これはやはり鉄道に長年従事し、鉄道を愛しておる人でないと言えない言葉だと思うんですね。  こういうふうなまじめな御意見あるいは傾聴に値する御意見を十分私どもは考慮に入れますし、また、組合は鉄労のみにかかわらず、各組合方々問題の所在意識なり、またその方々がそれぞれ私どもよりは実質体験を持っておられるわけですから、そういう体験をつぶさにお伺いをして、将来に向けて国鉄をどう生かしていくかという新生国鉄の求めることを、組合方々とも、ともに一緒に私どもは検討させていただきたい。どうもありがとうございました。
  95. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ありがとうございました。
  96. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  亀井参考人におかれましては、お忙しい中を本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。(拍手)  午後一時に再会することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  97. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ、まず冒頭に国鉄総裁質問いたします。  この間の六月二十二日の新聞各紙に、「国鉄総裁 分割・民営化に賛成」、「具体案策定を表明」、そして「採算性などなお問題」、こういうのが一斉に出ています。この御発言の真意、その環境及び内容があればその内容について御説明を願います。
  99. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 六月二十一日に日本記者クラブにおいて、講演の依頼がございまして講演をし、後で質疑応答があったわけでございます。その中で、国鉄現状につきましていろいろ許される範囲内で御説明をしたわけでございますが、後に質問がございまして、民営分割論の質問がございました。  私としては個人的に、これは就任以来でございますが、分割民営というやり方、これは企業体を経営する方策としてという前提でございますが、そういうことにつきまして分割民営というやり方が非常にメリットがあるということは私自身が前から申していることでございますが、しかし一たび国鉄の今現状にそれを移してみました場合には、必ずしもそう簡単にいくものではないではないか。例えば四島分割論というのが時に世の中で言われておりますが、そういう場合を考えましても、現在では北海道を見ますと経営係数が三五〇、あるいは四国、九州等の係数を見ましても営業係数は大体二五〇というようなことで、これを分割して独立させたという形ではとても経営基盤が成り立たないということになる。やはり今国鉄が抱える一番大きい問題は、そういう経営形態論が次に来ると思いますが、現在私鉄の経営と比較をいたした場合でも、端的に申しまして、長期債務問題あるいは年金の問題というような大きい負債を、負債と申しますか、経費を毎年払っていかなければならないというような状況の中では、たとえ私鉄と同じようにしたといたしましてもこれは経営が成り立つものではない。したがいまして、国鉄再建の前提としてはそういう問題についてきちっとした御処理を願わなくてはならないということを申したわけでございまして、私が言葉の運びの中で、あるいは各紙がそういうふうに取り上げましたので、分割民営賛成というふうにとられたのは言葉が足りなかったという点については反省をいたしておりますが、私の真意、申した真意というものは大体そういうつもりで申したわけでございまして、決して、現状において国鉄分割民営にすればそれで再建ができるというようなことを申したわけではないのでございます。
  100. 小柳勇

    ○小柳勇君 とするならば、なお責任は重大である。新聞社が各社おりますところで、新聞がこれだけとるようなことを御発言になった、総裁たる人が余りにも不用意であると言わなければなりません。今、私が言うまでもなく、日本国有鉄道法、公共企業体としてレールの上を走っている。特に国鉄再建臨時措置法という法律公共企業体である国鉄再建するという、そういう立場、また経営改善計画は閣議にこれを了承されて、そのレールで走っている。そういう重要な責任者がこれだけ書かれるような発言をされること、まことに重大であるし、それから民間のことを今言われること自体、誤解を招く大きなもとではないかと思います。  もう一つは、総裁になられまして、立派な総裁だと僕らも尊敬していますが、もう数カ月たちましたが、監理委員会民営分割の方向を示唆しながら十分な論議をしておるときに、総裁としては国鉄の幹部に、幹部を集めて理事会などで、民営分割が論議されているが我々は一体どう対応するかということを正式に論議されたことがございますか。
  101. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) ただいままで私就任しまして半年余りになりますが、一番、さっきも申しましたが、将来国鉄がどういう格好で成り立っていくかということにつきましていろいろと討論をいたしました。  その結果として、先ほど申しましたように、なかなか現状のまま過去債務、年金その他いろいろの問題を抱えたままでは、分割するとか民営化するとかいうことを別にしまして、既に非常に難しいという、経営としてやっていくのが難しいということにつきまして、役員会で十分に討論をいたしました。まだそれが結果としてまとまったということではございませんが、大体の方向としてそういうふうに考えております。  それで、しかし一方において監理委員会が今、将来の経営論という、経営形態というものを、もちろん過去債務等も含めながら御議論になっているときでございますが、そういうときに国鉄として、ただ監理委員会審議を見守っているだけでいいだろうかという御議論は内からも外からもいろいろございます。そういう意味におきまして、最近こういう経営形態論ということにつきましても、社内にもいろいろな意見がございますので、それらを十分踏まえて議論をしようと思っておりますが、まだ今のところそういう議論をしたことはございません。
  102. 小柳勇

    ○小柳勇君 いろいろ言いたいことがありますが、時間が少ないものですから、結論的にずっと質問していきます。  一つは、この内容は真意でなかった、発言の言葉が足らない点で新聞記者の方がこういうふうに誤ってとって書かれたであろう、したがって、そういう発言をしたことについては悪かったと釈明できますか。
  103. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 私は、先ほど申しましたように、新聞記者にそういうふうに書かれるような言葉遣いをしたという点について反省をいたしております。
  104. 小柳勇

    ○小柳勇君 職員もたくさん、あるいは家族もたくさんいますし、先輩もたくさんいますが、これで相当関連者が心配いたしておりましたから、その気持ちでおっていただきたい。  それから、今二番目にお答えになりました、監理委員会は、さっき監理委員長も言いましたが、来年の夏ごろは答申を出す、またことしの七月末か八月上旬には第二次緊急提言を出すと言明されました。急ピッチで回っている。そのときに、もう総裁、おなりになって半年、おい、監理委員会の体制に対して我々はどうするかということを理事会に、あるいはプロジェクトチームで諮られないというのは、これはやっぱり失政じゃないですかね。総裁がもっと踏み込んで、総裁だけの考えで対処しないで、幹部全体の合議の上、あるいは全部がなんならばプロジェクトでもいいですが、やっぱり総裁はちゃんと対処する布陣を、幕僚を持っておりませんと、あれよあれよという間に私は事実がつくられると思いますが、その点いかがですか。
  105. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 小柳先生指摘のとおりだと思います。  それで、実は近々にこの問題につきまして役員会等で議論をし、さらに必要ならば少数の役員で詰めてみるというような形をとり、そうしまして監理委員会にも国鉄としての意見を十分申し上げるように努めてまいりたいと思っております。
  106. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。そういうことで、早急に対策を立てながら、運輸省と連絡しながら、監理委員会対策については処理してもらいたいと思います。  それから、もう八月の予算編成を目の前にしているわけです。さっきちょっと言葉にありました長期債務問題などについて、これが一番問題だということは認識されているが、どうしてもらいたいという発言が全然ない。午前中にも監理委員会委員長に強く迫りました。監理委員会ができましたその法の一番基礎にありますのは、もう一回読みますけれども、「国鉄長期債務の償還等に関する重要事項について、企画し、審議し、決定し、内閣総理大臣意見を述べるものとし、」と、これがもう主たる任務です、監理委員会は。そしてその次に、「また、国鉄経営改善のために講ずべき緊急措置の基本的な実施方針について内閣総理大臣意見を述べること」、緊急提言は第二です。その緊急提言が先般出されて、そのことで四苦八苦、国鉄幹部は。それだけに、もう血みどろです。そして、経営改善計画を実施できないから変更を出された。  したがって、私が言いたいのは、監理委員長にも厳しく言いましたけれども、この長期債務をどうするかということを方向をつけなければ、国鉄再建の方策は立ちません、どんなに知恵を出しても。来年の予算の編成だって見当がつかないでしょう。そして大蔵省は、国鉄の補助金を削減削減してまいります。もう赤字、目の前。何のために国鉄経営する、経営者は、職員は、皆さんは、何のために車回していくか。借金払い、利子払いのために働く。したがって、それを総裁は理事会に諮って、あるいはもう本当に労使一体となって、この長期債務を何とかしてくださいと訴えるべきです。  もう一回私はこの過去のことを言っておきたい。それは、皆さんの仕事は、一九五七年、私が国労委員長時代には定員四十四万七千、そして輸送人キロは一千十二億人キロ、現在はその実員が三十一万五千、輸送人キロは二千三百億、倍になっています。皆働いている。そして、その長期債務はどうやってきたか。一九六四年、昭和三十九年には黒字であった。それが、採算性を無視したオリンピックのための投資、あるいはその後、高度経済成長政策の七〇年代の所得倍増をレールに乗せてということで、太平洋ベルト地帯へ次々に輸送力を増強して、毎年一兆円ぐらい設備投資した。それが二十兆円です、基礎は。国民に知らせなければならぬ、そういうことを皆さんは。二十二兆円全部が国鉄管理者職員がだらしないから赤字になったと皆さんは思っているんですよ、実は。  午前中の監理委員長言葉の中にもそういうものがあった。今はもう重体で切開手術をしなければならぬから、その体力づくりですと。何が重体でしょうか。かつて四十五万人おった職員が今三十一万五千になった。そして、その時代の倍も人を送っている。ただ、貸物については皆さんが努力が足らない。貨物列車は動くけれども、それを集めるものがない。日通はありますけれども、本当にもう寡占体制。努力しないで今日やってきている、知恵を出さないで。したがいまして、もうそれは二十二兆円の長期債務、この元利払いを何とかしてくださいということを監理委員長にも私も言いました。運輸大臣からまた意見を聞きますけれども、予算編成の前に強く要請してもらいたいと思うが、いかがですか。
  107. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 私はいろいろ先ほど申しましたように経営状態を分析してみますと、先ほどから申しておりますが、二十兆というような債務を引きずったままで再建ができるということは絶対考えられない。したがいまして、できますれば六十年度の予算編成においても何らかの措置をとってほしいということは監理委員会にも運輸省にも申し上げてはございます。まだしかし、予算の編成作業はこれからでございますから、今のところどうこうということではございませんが、経営分析の結果を踏まえて十分お伝えしてあるつもりでございます。また、今後も努力をしてまいりたいと思っております。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 今の点について、運輸大臣見解を聞いておきます。
  109. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 累積長期債務が国有鉄道にとって最大の問題であるということは私がかねがね申しておるところでございまして、運輸省といたしましても、これをどうしたらいいか、簡単に片づく問題なら片づいておるんです。また、昭和五十五年には五兆円の棚上げというものもやりました。しかし、その後また悪化して債務累積してまいっておる、こういうことなんでございまして、実は私どもの方で何とかこれを、監理委員会にただお任せするということだけでなしに、私たちの考え方を監理委員会にぶつけるということで今作業を進めさせております。  まだ結論には到達しておりませんけれども、何らかの結論を得なければ、いつまでたっても雪だるま式にこれが大きくなるだけでございますし、国有鉄道経営していく側も経営の意欲というものも、また働く人たちも働く意欲がなくなる、こういうことだと思っておりまするので、そのように考えております。  できるならば、昭和六十年度の概算要求の時期も迫っておりますし、六十年度予算からこの抜本的な方策が講じられれば一番いいと思っておりまするけれども、ただいまの進行状況では、けさほども恐らく監理委員長もおっしゃったんじゃないかと思いますけれども、これについての大体の考え方を出そうというのが、来年の春から夏にかけて大体出したいと、それまでに何とかまとめたいということでございますので、私の考え方を率直に申し上げますると、六十年度予算では暫定的な方法を講じ、そしてその次の年度から本格的な対策を講ずるというようなことにせざるを得ないのではなかろうか、このように実は考えておる次第でございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 国鉄がこうやって苦労して経営改善計画の変更をあなたに出して、それに対して亀井委員長から苦情が出ているわけだ、まだそれじゃ努力が足らぬと言ってね。その中に書いてあるのは、抜本的な改革の円滑な実施のために、六十年だけでなくて、六十二年度に向けてもっとこれ改革せい、中を合理化していけというようなことを書いてある。だから、ただ国鉄の合理化だけをどんどん進めて、長期債務などの利払いなどということはおまえたちが考えろというようなことでは、企業経営じゃないです、それは。したがって、もう大臣わかっていることですから、私がこれから次の機会があればまたやらなきゃなりません、したがってもう答弁を求めません。  答弁を求めたいのは地方交通線。大臣は第二次地方交通線の廃止を承認されました。六線除外してあります。いろいろ内容も聞きとうございますが、時間がありませんが、もう廃止が決まったのに、きのう知事や市長から再三まだ陳情が来る。何かと言うと、あの線は残してくださいと。一般大衆、一般国民の皆さんとはそういうものです。法律でずっとこう動いておりますけれども、大臣が承認されたから、これから二年して廃止になるんだなと。実際はもう、協議会に入るのは廃止前提の承認、そこで、細々言いませんけれども、これから知事なり市長さんなりあるいは住民から、この線は何とか残したいが、こうしたいがというような注文があるでしょう。したがって、もう二年したら切り捨てじゃなくて、十分に地域の意見を聞きながら、しかも国鉄は知恵をかしてもらう、県や市、住民に。こうしなさい、この線は。売り上げは足らぬけれどもこれならいいかもしれぬぞとか、専門的な知恵をかりながら日本のこの経済の基本的な背骨を守る。  もう一回言いますけれども、私はいつも、やっこだこを演説のたとえに言います。紙のやっこだこが空に上がると、見えぬけどあそこに竹の骨が入っていますと。この竹の骨が折れましたら、たこは上がりません。私は、今の地方交通線、そういうものはこのやっこだこの竹の骨ではないか。あれがあるからそれでいいけれども、なくなったら、さあバスでどうしようか、あるいはマイカーでどうしようかと大変じゃないかと思いますから、第一次もまだ半分残っていますが、第二次についてももっと地域発展のために、しかも中心的な都市だけではなくて田舎の方も皆さんが守ってやるという、そういう気持ちでローカル線対策についてこれから協議会などに対処してもらいたいと思いますが、いかがですか。これは国鉄とそれから運輸省から聞いておきます。
  111. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 今お話がありましたように、既に一次線については協議会を始めておるわけでありますが、協議会では転換後の代替輸送の確保を中心議論をするわけですが、かなりそれを軸に幅の広い議論も行われておりますので、その中で当該地域の公共交通の確保という点について国鉄がなし得ることがあれば、何でもこれはやらせていただく、知恵ももちろんかさせていただく、そういう気持ちで今後とも協議に当たってまいりたいと思います。
  112. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一問だけいたしますが、五九・二の余剰人員及び第二次緊急提言でまた六〇・三の貨物合理化など出るのではないかと予想いたしますが、この二万五千の余剰人員対策に亀井委員長も、民間ならこういうことをしないとおっしゃった。計画なく仕事を、職場を外すなんということは民間ならしないでしょう。  そこで、この二万五千も今発生しておるわけですが、昭和二十四年に達が出た、百九十四号ですかね、これは私も記憶がありますけれども、ちょうど終戦後で、もう人が足りませんでね、どんどん職員を登用した。例えば、今は考えられませんが、二十五、六でもう助役になるような、そういうふうな時代でした。そのときには、命令でどんどん人を動かした。その達を今使って、もう団体交渉事項じゃない、達しがあるから上長、現場長が自由に今の余剰人員は配転するんだという思想で今対処しておられるそうだけれども、私はそういう古い達があっても、それは終戦時の、今はもうそれは全然逆の環境にありますから、もう少し、労働協約あるなしとかいうよりも、もっと何というんですか、労使の温かい同志的な血の通いの中で余剰人員対策をやってもらいたいと思います。  もう一つ具体的に。例えばこの間、若松工場が廃止されるといって陳情に来られた、三百数十名、もう小倉工場に転換いたします。そのときにちょっと言ったのは、今貨物コンテナを外から買うております、もしこの貨物コンテナを国鉄でつくるなら我々はこれをつくれます。なぜそれができぬでしょうかと、そう言われた。  もう一つは自動車。国鉄自動車がまたずっと縮小される。そのときに、地方ローカル線が廃止されるならば、国鉄バスでなぜ輸送できないかと聞いたら、それは運輸省が許可されません、そういう話だった。そんなことがあろうか。国鉄バスが縮小される、そこに今度は廃止路線がある。それがバスでいいと言っているならば、民間でもそんな赤字になるようなバスは受け持とうとしない。そのときには、国が五年間補助するならば国鉄のバスがなぜ使えぬか、運輸省国鉄がもっと手を握りながら。それも余剰人員対策ではないかというわけだ。表面上の規定とか規則とかそういうものでなくて、もっと血の通った余剰人員対策をやってもらいたい。その三点について説明を求めます。
  113. 太田知行

    説明員(太田知行君) 第一点でございますが、先生百九十四号を用いて配置転換をとおっしゃっているのでございますが、御認識の内容がよくわかりませんので推定で申し上げますけれども、私どもの方は労使、配置転換に関する協定を締結いたしておりまして、いわゆる広域的というか勤務箇所が違うという配置転換につきましては、配転協定に基づいてこれを実施しているところでございます。そうして、配置転換の協定の予想していない、つまり、例えばでございますが、当該箇所の中で発生した余剰人員についての運用というものについては百九十四号を用いて実施しているということで、これは明確に適用する分野を分けておりますので、その点は決して協定無視とか協定を破棄しているとかというケースではございません。  それから、百九十四はおっしゃるように、制定されましたのは二十四年でございますが、ずっとその用いている規模は、余剰人員という問題が出ておりません状況下におきましては大変少なかったかと存じますが、以後三十何年にわたりまして国鉄における要員運用の基本的な基準としましてずっと適用してきたところでございます。  それから、今度は具体的な活用策についてでございますけれども、ただいまは、二万五千という余剰人員に直面いたしまして、私どもはこれの対策といたしまして、大別いたしますと、一つは組織の中、国鉄の内部においてこの能力を活用するという意味での活用策と、それから、到底それでは対処し切れないという認識に立ちまして、いわゆる調整策ということの二点で考えざるを得ないということで、方向づけをしております。活用策につきましては、今御指摘のようなこともいろいろなことを含めまして、創意工夫を凝らして進めつつあるところでございます。これは今後とも進めてまいりたいと思います。それから、調整策につきましては、七月上旬までに具体的な案をつくりまして組合等に提示をし、団体交渉を進めたいということでただいま準備しているところでございます。
  114. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄バスの件でございますが、これらの代替輸送機関の選択というのは、御承知のように協議会の会議において決められることになっておりまして、バスに転換する場合には、やはりそう多くない輸送量を負荷するわけでございまして、そういう効率化の観点から、既存の民間バス路線を充当するということが適当であるというように、今までのところ協議会がそのように判断され、代替輸送機関として既存のバス路線を選択されておる、このように私は理解しております。
  115. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) コンテナの件につきましては、現在も、国鉄の工場の技術の活用という面では、既に廃車解体あるいは昨年はコンテナの改造など、あるいは天井クレーンの製作などを活用してやってまいっておりまして、ただいま御指摘がございましたコンテナの製作につきましても、今後引き続き鋭意検討してまいりたい。ただ、貨物輸送の、現段階におきまして、安いコンテナと軽いコンテナという面がございまして、そういった面での技術的な問題あるいはコストの問題等について十分対処しながら考えてまいりたいと、かように考えております。
  116. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、小柳先輩の残りの時間と目黒先輩の時間を十分いただいて、国鉄の当局の姿勢の問題について少しお聞きをしたいと思うんです。  というのは、仁杉総裁が総裁になられて、働く気を起こせ、サービスに徹せよ、こういうことを民間の経営の中から言われていることは非常に結構なことだし、それから、私は私鉄の出身ですが、前高木総裁が盛んに私に言われたことは、どうしても労使の相互信頼を私鉄並みに取り戻したいものだ、こんなことを何回となくお聞きをしたんです。私は、国鉄再建というのは、労使が本当に、今小柳先輩が言われたように相互信頼を持って、本当に再建に努力する気にならなきゃならぬと思うんです。  その場合に、私もずっと国鉄の最近の態度を見ていますと、国鉄の今の、まあ総裁は最近来られて別ですが、常務理事以下の方々に本当にそういう姿勢があるのだろうかどうだろうかというのを疑いたくなる。それはどういうことを言おうとしているかというと、まあ率直に言って、衆議院も参議院自民党さん安定多数だ。そこで、自民党の中の俗に言われている運輸族の強力な先生と十分連絡をとっておけば、それで大体事足れりと。国労も動労もかつてほど戦力はない、闘争力もなくなっていると。そこで、いろんなことを言うが、自分たちが打ち出した計画を一方的にそれで徐々にやってしまおうと。こんなふうなところがあるんではないだろうかと実は考えている。  それは、たまたま私が経験をしたことで、そのことで聞きたいのでありますが、まず、常務理事さんの勤務時間は何時から何時になっていますか、ちょっと聞かせてください、常務理事の勤務時間。
  117. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 役員の勤務時間につきましては、無定量でございます。
  118. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、一生懸命、時間が遅くなっても早くなってもやると、こういうことですな。  総裁、これからちょっとお聞き願いたいんですが、実は、私は東海道新幹線における雪害対策をこの委員会で二回にわたって議論をして、当時総裁に、いつ原案ができ上がりますかと言ったら、五月いっぱいをかけてでき上がると。そしたらでき上がり次第届けたい、こういうお約束をいただいていました。五月が過ぎまして六月になってもどうもお持ちになりませんから、二十六日の日に関西空港法案について二時間質問に立つ前の日に、国鉄に、あれはどうなっているんでしょうかと言ったら、いやあしたお届けしますということで、二十五日付の新聞に発表されると同時に、二十六日、私ここで質問をしているときにいただきました。  委員会は、大臣も御承知のように、四時半ごろまで採決その他かかりましたから、それから部屋に帰って、見まして、少し数点これは質問しなきゃならぬな、どうも僕の考えておった真意と大分違うなと思いましたから、これは担当常務に来ていただこうと思って連絡をいたしました。そしたら、五時少し過ぎてもいいでしょうかと言うから、結構です、お待ちをしておりますと言ったら、私の部屋に立松という副技師長がお見えになりました。そこで、いや、きょうは技術的なことよりも、この中身について私は政治的に少し納得のいかぬところがあるから、聞きたいから、担当常務はどうされましたかと聞いたら、出かけておりますと言う。それは出かけられることもあると思う。じゃどこに出かけておられますかと言ったら、わかりませんと言う。わかりませんと言うんです。ああそうですか、それじゃあなたはお帰りくださいと。自分のところの常務さんがどこへ行っているかわからぬような人とお話しするわけにいかぬということで、お引き取りを願いました。  そういういきさつがありましたから私は五時半過ぎに引き揚げたんですが、その晩何も連絡はありませんでした。それから、きのうの朝も全然連絡がないのであります。そこで、ああこれはいかぬな、これは国会質問でもしないと出てこぬ気だなと思いましたから、両先輩に話をして、悪いけど私の質問時間に少し時間いただけないかということと同時に、政府側に、あしたはそういう問題を含めてきちっと質問したい、こういう通告をしたんです。通告をしますと、途端に動きが慌ただしくなりまして、私、夕方、本会議が終わりいろんな委員会をやって五時ごろ帰りましたら、実はお見えになりまして、実は担当常務が朝から先生にお目にかかりたいということで待機しておりますと言うから、そんなこと今聞いたってしようがないじゃないかと。それから、私の秘書には、私が部屋に帰ってきたら連絡をほしいということは聞いていましたが、担当常務がお目にかかりたいという話は聞きませんでした。  そういうことがありまして、そして、きのうの晩になりますと、担当常務からまず宿舎に電話がかかってきました。私は、もう今ごろあなたに弁明を受ける余地はありませんと言ったら、今度は私の宿舎までわざわざおいでになりました。しかし私は、何もきのうの晩に私の宿舎に来てもらう必要はないんです。私がおととい担当常務に来てほしいと言ったときに、例えば、後になったら、監理委員会に呼ばれておったなんてきのう言っていますから、それならそれで私には、実は監理委員会に呼ばれている、だから今晩遅くてもいいでしょうかとか、あしたの朝どうですかと、こういう話があれば何のことはないんですね。そのときは全然、監理委員会に呼ばれているのかどこへ行っているかわからぬと言うんだから。だから、私から言うと、取ってつけたんじゃないか、監理委員会へ行っておったというのは取ってつけたんじゃないか。  そういう姿勢で、そして、これは国会質問されそうになると思うと、慌てて人の宿舎まで弁解に来る。こんなことを常務がやっておるようで、私の労使の信頼なんというのができるんだろうか。少なくとも担当常務というのは民間会社で言うと重役ですよね。その人がまず先頭に立って働く気を起こさせるとか、サービスに徹するということがないと、相手側だけに、労働組合だけに求めたってだめなんですよ。ましてや、私は、現在は運輸委員でもあります、決算委員長でもあります。そして、このことについて二回にわたって質問をしているんだ。その人間が出てきてほしい、説明を聞きたいというときに、私が荒立てなければそこそこの人間をやってそれで済まそうとする。この態度では、私はどうにもならぬと思うんです。あえて私はそのことをね、そのことが一事が万事じゃないかと思うんです。そういう当局の姿勢で、今日の国鉄問題が乗り切れるんでしょうか。すなわち、国鉄問題について、大変な赤字が出る。そして行管庁の意見があったり、監理委員会からの意見がある。そういう中で、自分たちにちょっと情勢が有利だと、この際ですなと言う。  というのは、私に対してそんな扱いですから、私はまあ国会の中でも厳しく質問をするということについては大体御承知おきだと思いますが、そういう人間に対してもそんな扱いをしておって後から弁解がましいことばかりやる。ましてや、一般の人に対してということを私は心配しておる。そういうことについて総裁、あなたを責める気はないけれども、あなたの部下がそういうことをやっている。せっかく私は、国民のためにも、どうしても雪害対策をことしの冬からやりたいと思うからこそ、時間が遅くても来てくれぬかと、こう言っているわけですからね。そうすると、今聞いたら、勤務時間は朝から晩までですと。本当に誠意があったら、例えばきのうの朝でも、私が朝国対に出る前に、もしくは本会議に出る前に、廊下にでも来て、実はこうこうこうでしたという弁明があってしかるべきじゃないですか。部下を遣わして、安恒さん体があいたら一遍会いたいなんてね、それも私には正確に伝わらない。そういう姿勢で担当常務が勤まりますか。  私は、そういうあなたたちの姿勢について考えなければ、これからの国鉄再建というのは大変だと思うんです。お互いに誠心誠意労使が信頼し合い、国民の信頼が得られなきゃなりません。また、立法府の私たちとの間の信頼関係もできなきゃなりません。しかし私は信頼をそぎました。ですから、これから私は、国鉄問題に関する限りは、事前質問通告はやめることにします。全部本番でやります。これは事前通告というのはお互いに相互信頼の約束であって、総理のときには文書でもってやることになっていますが、大臣や総裁に質問するときお互いに事前通告しなきゃならぬという国会の規定はないんです。ただお互いに相互信頼の中でやっていることですからね。片一方側がそういう人の信義を裏切るようなことをやる限り、今後私は国鉄問題質問は全部ノー通告でやりたいと思います。このことをはっきりしておきます。  それと同時に、僕はそういうやり方というのは間違いじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。考え方を聞かせてください。
  119. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今先生からいろいろ御指摘をいただき、私もそのいきさつを聞いたのでございますが、まことに連絡が不十分でございまして、まことに申しわけないと思っております。よく担当の常務にも注意をいたしまして、やはり立法府の先生方、殊に先生が雪害対策について二回御質問になったことは私もよく承知しております。担当常務もよく知っておるわけでございます。それらにつきましての連絡が不十分であったという点につきましておわびを申し上げますとともに、今後そういうことのないように十分注意させるつもりでございますのでよろしく御理解を願いたいと思うわけでございます。
  120. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 私、担当常務理事の岡田でございますが、二十五日以来の経緯につきましては、今先生からお話のございましたとおりでございます。まことに申しわけないと思って深く反省をいたしております。ただ、いささかも、例えば労働組合を軽視する、そういう気持ちは持っておりませんので、ひとつよろしく御了解をいただきたいと存じます。
  121. 安恒良一

    ○安恒良一君 こんなことが二度とないようにやっていただきたい。  そこで、雪害対策についてちょっと、もう時間がありませんから時間の範囲内でお聞きしますが、どうも総裁、あなたがちょっと私に言われたように、雪害に金をかけるよりも払い戻しの方が安い、そんな気持ちがまだこれは残っておりはしないかという心配をするわけです。というのは、私の手元にいただいた資料は、試みの案としてことし二十五億、温水散水消雪、それからシェルター、それから遠赤外線ということでわずか二十五億をお使いになる、こういうことなんですね。新聞で見ますと、私たちには資料をいただいていませんが、新聞では何か五年間で四百億とか五百億、こう書いてあるでんですがね。私たちにお届けくださった資料ではそんなことは全然書いてありません。二十五億、しかもこういうことが書いてあるんです。まあトンネルをつくって別線をつくるにはこれは膨大な金がかかるから、こんなことはだれも考えていないんです。ところが、いわゆる数百億の工事費を要するその効果、経済性を検討する必要があるので今年度はこうこうこういうことで試行するという文書になっている。  私はここのところが気になるわけですね。効果があるかどうかということのテストはわかりますけれども、経済性を検討すると言われると、そしてわずか二十五億の投資では、来年の冬ことしと同じような、またこれに近いおくれが出たときはどうするんですか。私はもう少し、例えばここに書いてあるような、シェルターをつくるとかいろんなことは思い切っておやりにならぬと、わずか二十五億ぐらいの金をかけて、ここ数年間のおくれの資料をいただいていますが、それでしのげるのでしょうか。どうもこの文書を見ると、依然として試行だ、いわゆる試みにやってみるとか書いてあるんですからね。そんなことでは、あなたがおっしゃったサービスに徹するということにならないんです。  サービスに徹するということは、国鉄の今までの一番の誇りは、あれだけの全国のダイヤを時間おくれなくやっているということなんです。それから、よく私鉄と国鉄と同じように言うけどね、違うんです。国鉄は二十四時間体制で時間おくれなくやっているんです。私の方の私鉄は、夜中の十二時ごろから夜明け方の四時か五時はほとんど休むんです。国鉄は年がら年じゅう、今までの一番の誇りはダイヤに狂いなくやっている、そこに大きな国鉄と私鉄の違いがある。そのことは大切にしなきゃならぬことなんです。いわゆるサービスということ。  それから言うと、どうも今回のこのわずか二十五億、それは今の国鉄にとっては赤字だから二十五億も大変だという御意見があるかもわかりませんけれども、あれだけあんた新幹線で迷惑をかけているのに、二十五億ぐらいで試みに今年やっておって、いわゆる今年の十二月から来年の三月まで乗り切って、それいかんによって、よくわかりませんが新聞で見る限り五年計画で四、五百億の投資だと、こうなっているんですね。本当にサービスに徹して、東海道新幹線を冬季も使ってもらおうと思うなら、もう少し思い切った投資をされるべきじゃないですか。ところが、どうしてもこの言葉を見ますと、その効果、経済性を検討する必要があるということです。その経済性、ここにいう経済性というのはどういうことなんだろう、私はそんなこと等もお聞きをしたかったから呼んだわけです。  そこのところだけ聞かせていただき、あと細かいことは次回のときにこの中身一つ一つについてお聞きしたいと思いますから、そこのところを聞かせてください。
  122. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今先生からお話のございましたとおり、とりあえず今年度の計画といたしましては約二十五億ということで計画をいたしておりますが、このうち温水散水消雪、これは現在上越線でやっているわけでございますが、ただそれをそのまま東海道に適用するにはいろいろ問題がございますし、かつかなり工期も長期化をする。路盤が土路盤であるためにシートを敷かなければいけないということで、工期が長期化をするということで、一つの方法といたしまして、これも前回のときに少しお話しを申し上げたと思いますけれども遠赤外線方式、この場合でございますと割に工期が短くて済みますので、ひとつこれを大々的に採用することを考えたいというふうに考えたわけでございます。  しかしながら、遠赤外線消雪方式につきましては、一時塩沢におきます実験場で試験をしたことがございますけれども、まだ本格的に営業線に実施をした経験がございませんので、とりあえず本年度におきましては一キロの区間について遠赤外線消雪を施して、ここで十分にその効果を確認いたしたい。それを得次第、六十年度から全面的に着工をいたしたい。その全体の規模といたしましては約四百五十億ぐらいを予定しているということで、なるべく早く仕事を進めていきたいというふうに考えておりますし、ここで効果、経済性と申しておりますのは温水散水消雪、それから遠赤外線消雪、シェルター、この三つの案の組み合わせのどれをどういう区間に適用するのが最も効率的であるかということを含めて検討いたしたい、そういった趣旨で書いたわけでございまして、全体の金をなるべく安くやりたいということで申し上げている趣旨ではないわけでございます。
  123. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ最後に要望しておきますが、総裁、二十五億ぐらいでわずか一キロとか、千九百三十五メートルとか、シェルターは私は効果があると思います、金はかかるんですが、六十三メートルぐらいやって、それでことしのあれだけの大被害があったのが来年うまくいくはずなんかないですよ、あんた。だから、今予算編成期でもありますから、ここ数年間のおくれの資料をいただいて見ますと、大変なことじゃないですか。もう少し抜本的に検討してみてくださいよ。こんなことをやって、ことし以上におくれたり、来年おくれたときは、それこそ責任を追及しますよ、何やったかと。あれだけ言ったにもかかわらず一つも直ってないじゃないかということになります。そのときになったら遅いですよ。だから、これだけやっぱり問題になっているときは、もう少し、たった一キロやニキロそんなものをつけて、しかもそれは試みで、ことしやってよかったら来年から大々的にやるなどというところが、サービスに徹していないんですよ。親方日の丸商売なんです。だからだめになるんです。親方日の丸商売じゃだめになる。  このことを申し上げておいて、きょうは終わります。
  124. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 午前中の問題で二、三かかわり合いのあるやつをひとつお願いします。  一つは、小柳先輩からもありました、運輸大臣が答弁し、私もこの前の運輸で質問した、運輸省にも政務次官をキャップにする長期債務プロジェクトをつくってやる、こういうことのこの前お話がありました。きょう午前中亀井監理委員長お話ししたら、わかってはいるけれどもどうするかについてはこれからだ、こういう話がありましたので、私は、せっかく運輸省長期債務プロジェクトをつくってやる、こういうお話がありますし、仁杉総裁も四月二十四日あるいは四月十六日の定例記者会見で、やはりこの長期債務は大変な問題だ、国鉄独自でこの問題についても検討してみたい、こういう新聞発表をされている。  そうしますと、やっぱり監理委員会運輸省国鉄、それから大蔵省——来ていますか、大蔵省、関係省庁間で長期債務の中身、性格問題点、これを今後どうするか、こういうところの何というか、言い方は悪いと思いますが、共同的な、やっぱり共通認識を持つプロジェクトをつくって、別々で違いますから、プロジェクト的なものをつくってこの問題に集中的に取り組むということ、非常に今日亀井委員会の作業の実態から見てむしろ行政側はおくれている、そういう認識からすると対応の仕方を強化する必要があるんではないか、このように考えます。  これは各省に聞くよりも、運輸大臣中心になりまして、運輸省のあれが中心になりまして、大蔵省の運輸関係の主計官、あるいは国鉄自体の問題、そういうものを網羅して行政側のこの長期債務に対する分析と対応問題点ということをやる必要があるんではないかということを、午前中の質問を聞いて強く感じましたので、これは代表して運輸大臣のひとつ私の提案に対する考え方を聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  125. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。  釈迦に説法でございますけれども、国鉄再建監理委員会ができたというのは、私の見解によりますと、最大の問題は、長期債務をどうするかということが運輸省とか大蔵省とか既存の監督官庁、政府だけではなかなかうまくいかない、だから政府を挙げてこれに対する対策を立てるんだというために監理委員会というものができた一番大きな目的があると、かように理解をしておるんでございます。これは釈迦に説法ですから申し上げるまでもございません。  そこで、政府の中で関係各省が寄ってこれをやるということも一つの方法でございますが、実は監理委員会というのはそういうことの提言を政府に対してするというために総理府に置いてあるということなんでございますので、御趣旨はもうそのとおりよくわかりますが、私どもがまず要求する側、これはもう第一次的には国鉄、そして第二次的には運輸省、これがこうしてもらいたいと。案が一つじゃないかもしらぬ、二つあるかもしらぬ、三つあるかもしらぬが、このいずれかとにかくやってもらわなければこの問題は片づきませんよというものを持ち出しまして、そしてこれを、主として大蔵省だと思うんですが、関係の各省で検討していただき、結局それが監理委員会の答申か御意見か何かそういう形になって出る。こういうことにしなければならぬのじゃなかろうかと、かように思っておるのでございます。  実は、私どもの方で大蔵省さんと御一緒になってこの問題をやるということも考えないわけではございませんけれども、これは監理委員会というのはそのために実はあると言ってもよろしいんで、むしろ私どもの方は、私の希望としては、案を出しまして、そして監理委員会の方で、大蔵省はどうだ、あるいは党なり国会なりはどうかというような形にこれはしていただくということが、方向ではなかろうか。どっちにしても、私どもの方の結論は、単一の結論でなくて選択で、この方法か、この方法か、この方法かということですから、そう長くかけないで私どもどうしても出させたい、こういうことで今馬力をかけさせておるところでございます。
  126. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、私は理屈はわからないわけじゃないの、あなたのとおり。だけれども、午前中質問で聞いてみますと、そうは言っても彼は——彼って語弊がありますが、亀井委員長はこう言うんですよ。会社更正法の裁判なんだと。だから長期債務問題はこれはやらないわけじゃない。だけれども、新しい入れ物、受け皿、新しい国鉄株式会社かあるいは民営分割化の会社か知りませんが、新しい受け皿をつくって、これは再び国民に迷惑をかけませんという約束をとってから長期債務の整理をするんです、こういうのが終始一貫亀井委員長の考え方なんですよ。  だから、私が例えば二十兆の累積赤字問題について、これはどこの責任ですかと言ったら、国民全体の責任だと、こう逃げました、国民全体の責任国会にこんなに議事録がありますね、私も十年間、あなたを含めて十人の大臣と本当にばかの一つ覚えで追及してきた累積赤字についても、いや目黒先生、全体の責任だと言って逃げられてしまうと、雲をつかむような話だ、雲をつかむような。  だから、運輸大臣運輸政務次官をキャップにして長期債務のやつは運輸省独自でつくろうと。あるいは国鉄は、自主独立じゃありませんが、自主的に長期債務の検討をしてみようと。とりあえず六十年の予算編成で突っ込んでみよう、できれば、これは少し政府の方で面倒見てくれということを総裁は記者会見で発表すると。そういうふうにおのおののでこぼこが出てくるんですよ。我々社会党国鉄問題対策委員会財政委員会が、この二十二兆の長期債務のうちどれがもうどうにもならぬ公共的な債務か、どの部分が経営責任における債務かと、この分析を聞いても、大蔵省が言うことと、運輸省が言うことと、国鉄が言うことと違うんですよ、これは、事実認識が。  だから、そういうこともあるから、まあいい言葉じゃありませんが、監理委員会にハッパをかけるわけじゃありませんが、やっぱり監理委員会の作業をカバーする意味においても、長期債務に対する現状と、問題点と、どうするかというぐらいは、監理委員会から言われれば、こうしてほしいと。むしろ監理委員会に言われる前に、我々はこうしてほしいということを亀井委員長に物申すことの強力なバックにするためにも、私はそういう対応に少し熱を入れてもらいたい。  そうしないと、あなたが何ぼ予算委員会で、いや長期債務の解消が前提だ前提だとどんなに力んでみても、力みが監理委員会と歯車がかみ合わない。このかみ合わせるためにひとつ工夫をしてもらえないかということなんです。
  127. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) まことにありがとうございます。その同じ気持ちでおります。  要するに、問題は早く出さなければいけないんですよ。ですから、それを早くやりましょうと、今馬力かけておる、こう申し上げておるわけでございます。  それから、国有鉄道もやってもらっておりますが、本当のところを申し上げますと、私から仁杉総裁国鉄も独自の案を考えろよということを申し上げて、そして仕事を始めていただいておるというのが実際の実情なんです。ですから国鉄からも早急に出してもらって、考え方はそうたくさんあるものじゃないんですよ、知恵がそんなにたくさんはないと思うんです、私は。三つ四つしか案はない。その案をなるべく早くぶつけると。  それから監理委員会も、きょうどういうふうに委員長がおっしゃったかわかりませんが、長期債務問題についても随分と事情の聴取にはなっておるんです。私のところへ来ておる、参考のために取り寄せました資料でも、こんな厚い資料が、長期債務問題でも監理委員会で事情聴取された資料があるんです。ただ、恐らく私は、監理委員長のおっしゃったことは、先ほど小柳先生が申されましたが、これも釈迦に説法で恐縮ですけれども、第五条の所掌事務のところ、監理委員会の所掌事務の中に第一番目に、先ほど第二番目を小柳先生はお読みになりましたが、第一番目のところに、「日本国有鉄道経営する事業に関する効率的な経営形態の確立及び当該経営形態の下における適正な運営の確保のために必要な重要事項」、これがいわゆる臨調答申に言う分割民営化と称するものであって、これが第一に書いてあるものですから、そして第二に長期債務のことが書いてある。そこでこれはやはり相互に絡んでおる、だから同時に出さなきゃならぬのだと、こういう意味でおっしゃっておるものと私は理解しております。そうでなけりゃおかしい。  ですから私どもは、長期債務問題だけでも、今の国有鉄道の姿のままの中でも私は長期債務問題を切り離して解決は可能だと思います。しかしながら監理委員会は、一方で臨調答申のいわゆる分割民営化の答申の線に沿って経営形態をどうするということとともにやれという、そういう法律になっておるということだろうと私は思います。で、まあ理屈を申し上げても、これはもう同じ気持ちですから別にあれはありませんが、逆らったりそういう意味ではございませんので、あなたのおっしゃるお気持ちのとおりなんで、とにかく早くやるということなんです。早くはやらせます。
  128. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、私は国会に勤めて十年この問題をやらせてもらって、非常に監理委員長の話を聞いて残念だったのは、長期債務の処理の問題については運賃緩和法法案の際にやっぱり大いに議論して、とりあえず二兆五千億棚上げしていこうと。国家財政も厳しいから一遍にいくかどうかわからぬけれども、少しずつでも毎年気長に、毎年一兆円とか五千億、場合によったら三千億でも構わない、気長に毎年毎年この長期債務問題については棚上げをして消化していこう、そういうことを約束したはずですよ。当時の田村大臣ですね。それから後の段階でも、鈴木総理の際にも、五兆円を棚上げして、おくれて申しわけなかった、今度毎年またやっていきましょうと。やっていきましょうと言っていながら、一年で足らなくしていくから、さっぱり効果があらわれないんですよ。  だから棚上げの方法は、いみじくも大臣が言ったけれども、現行の監理委員会にお世話にならなくとも、長期債の処理の方法については、国会の論議を通じて野党与党で合意したり、政府国会側も合意して、二回やっておるんですよ。二回やったけれどもそれがトンボ切れになっているからこのようになっているんであって、そういうことでありますから、そういうトンボ切れにならないように私は要請しておきます。これは答えは要りません。  それからもう一つ、余剰人員問題で私はこういうふうに要求しました、委員長に。いわゆる昨年の八月の緊急提案、今回のまた七月か八月に第二次緊急提案、いろんな緊急提案も結構であるけれども、結局減量提案ですからね、貨物を切れ、ここを切れ、ローカルを切れ、この仕事を切れと。まあ若干の言い回しはあるけれども減量提案ですよ。  そうすると、減量提案をする際に必ずそこに余剰人員が出てくる。現実に国鉄職員家族、それから関連する労働者、関連産業ですね、弘済会から食堂から。新幹線が走れば食堂車がなくなって日食の皆さんぴいぴいしていますよ、これは仙台も新潟も。ですから全部関連してくるんです。書く方はテーブルで紙一枚書けばいいけれども、受ける方はこれは大変ですよ。  しかも我々国鉄は、民間と違って失業保険もない、雇用保険も掛けてない。何らもう、何もないです、金など。そういうものに勧告する際に、雇用対策とか労使問題のあり方について国の責任をきちっと書かない緊急提案などありがた迷惑だということをきょうは言いました、そんな答申があるものかと。あなたたちは紙に書くだけだからいいけれども、今国鉄は二万五千人の余剰人員でどうするか四苦八苦だと。ところがこれは、これだけじゃない、運転で言えば鉄道整備にはね返っているとか、あるいは大きく言えば、総裁が前におった鉄建公団だって、この前熱海で開かれた鉄建公団の全国大会へ行ってきましたが、目黒さん目黒さん、二万四千五百人の大津波、日本海以上の大津波が鉄建公団にどう来るんでしょうやと、向こうの方はもう二万五千人の津波が来るのでてんてこ舞いですよ。みんな因果関係を持ってくるんです。  これを国鉄のなけなしの金で措置せいと言ったって、これは昔の炭鉱離職以上ですよ、この規模は、我々も知っていますが。それを国鉄がやれと言ったってやれるものじゃありません。運輸省がやれと言ったってやれるものじゃありませんよ。労働省の雇用調整資金でやれなんて、二万人もの、やれませんよこんなこと。そういうことを無責任に紙に書いて、減量さえすればいいというこの監理委員会のあり方は無責任だ、したがって必ずこの問題は第二次答申の際は書きなさいといって私は委員長に確約させましたから、このことを頭に置いて、総裁もあるいは運輸大臣も、労働省その他と協力しながら、これは大蔵省にもお願いして、大蔵省も金のかかることですから、今は貧乏国鉄に金出せと言っているけれども、やっぱり財布を握っているのは大蔵省だから。そういうものを立体的に考えて余剰人員対策をやらないと大変な事態になってしまうということを非常に、今はいい、しかし来年、来年の暮れを考えると私はもう身の細るような、びりびりっとしてしまう。これはどうするのかなと、一体。これであなた大闘争でも起きたら、目黒も悪者だけれども目黒以上の悪者がこの地球上に存在するということを考えると、これは大変なことですよ。  だから、そういうことを言っていますから、大臣も総裁もその点にも十分留意した対応を私はしてほしいということを、これは太田職員局長もおられますが、大臣と総裁にこの対応の仕方について、私の言ったことについての心組み、決意のほどをぜひ聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  129. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 国鉄の余剰人員につきましては、これはもう大変な問題であることは御指摘のとおりでございます。でありまするから、国有鉄道の中で、むちゃくちゃな無理しちゃいけませんよ、しかしどういう方法があるかという方法は、やはりできるだけのことは考えてもらう。しかしながら限界があります、これは。ですから、どうしてもこれはやはり、炭鉱離職者とまではいかないと思いまするけれども、やはり政府として、政府全体として考えていかなきゃならぬ問題につながる、かような理解のもとにこの問題に対処したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  130. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 私どもとしましては、今先生から御指摘のような余剰人員対策に対しましても、自助努力という意味におきましてできるだけの努力はいたしてまいります。ただし、今後の見通しについてもいろいろ問題もございますので、またその点につきましては、運輸省の御指導、あるいは監理委員会にも十分申し上げるというようなことで対処してまいりたい。まあできることは我々やりますが、それを超えたところについてはお願いをしたいというふうに考えます。
  131. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 総裁、私は社会党国鉄関連産業全体の窓口になっているんですよ。だから今大臣とか総裁が言うその自助努力、それはそれなりにわかりますが、私はもう一定の限界を、私自身は自分の経験からもう見きわめているんです、これはどうするものかなと。ですから私は、やっぱりこの二万五千人、それから六〇・三のダイヤ改正、さらにことしの八月の緊急提案、こうなりますと、これは運輸省国鉄が、総裁が私鉄の経営者に頼んだり、あるいは関連産業の社長を呼んで、交通公社やら日食やら呼んで、何ぼか採ってくれやと言ったところで、これは私の感覚ではとてもとても大変だ。  まあこれは七月の上旬あたりに具体案を提案すると言っていますから、それは提案を聞きますが、私は今基本的に、監理委員長に言ったのは、これはやっぱり我々も戦後の長い経験があるんですよ。全駐労、全軍労、いわゆる駐留軍離職者の問題、この際にも特別立法をつくった。それから炭鉱離職者、これも三池の闘争などその他いろいろあったけれども、やっぱり炭鉱については国が特別資金を調達して、そして新しい事業を提携するとか、そういうことでの炭鉱離職者臨時措置法という特別立法をつくった。それに私はまさるとも劣らない今回の要員問題だと、このように私は認識しているんです、毎日接触しておって。  おたくの前の職場の、青函トンネルが終わったときに、鉄建公団の諸君は一体どこへ行くんだろうかと。まあ関西新空港に何とか結びつけようと思ったけれども、これもさらりと、運輸省の案が通らなくて中曽根さんのツルの一声でぱぱっと金の鳥が飛んじゃった、関西に。これにも鉄建公団が入る余地がなくなったとみんなもう悔しがっていました。そういうことを考えると、私は、離職者特別措置法ということについても十分に検討していくということをやっぱり大臣としてはきちっとすべきだ。  それで亀井委員会ですね。亀井委員会についても、やっぱりその必要性については余りきれいごとを言わないで、泥臭いときは泥臭いらしく、やっぱり全体の特別立法を今から考えて遅くはない、こういうことをこの雇用対策全般で私は痛切に感ずるんです。例えば組合が言っている、動労、国労が言っている雇用協定は、雇用協定を守ります、生首は切りませんと言ったって、これは私の勘で、語弊がありますが、そうは言っても、もう自民党さんの力が少し強くなってくると、協定が切れたら再協定するな、再協定したら国鉄総裁おまえの首飛ぶぞ、労務担当常務理事の首飛ぶぞなんてやられたらね、雇用協定の満期が来れば締結しませんよ、これは、労働組合員に対する資本の論理として。そうなったら無協約ですよ。無協約になれば、この余剰人員が団体交渉の対象外とか対象内とかという論議を飛び越えちゃって、無協定ですから、いわゆる生首を切ることも、あるいは肩たたきも含めてこれがひとり歩きをしていく。  そういうことを十分に、我々長い運動の経験でこれは考えない方がばかだというわけだ、労働運動の経験。どんなに今労働組合はおとなしいといったって、その運動の鉄則は私は変わっていないと思うんです。ですから、そういう点を考えますと、そういう労使間に不測の事態をもたらすことは好ましくないと言っているんですから、そういうふうに好ましくないから、やっぱりこの問題については、雇用に対する特別立法について運輸大臣中心になって、国鉄も真剣に考えて、労働省と、それで財布を握っている大蔵省にきちっと話をつけて、そういう対応について慎重の上にも慎重にやって間違いない、こういうことがやっぱり私は雇用問題の一番のポイントだ。そのことが組合員や家族やOBや、あるいは多くの皆さんに安心感を与える、こういうことになるんじゃなかろうか。  それからもう一つ、時間がありませんからもう一つは、これはやっぱり日鉄法の改正ですよ、跡地利用を含めて。この前おたくの事業担当の常務から聞きました。聞いておって、私鉄に比べて本当に大国鉄が情けないものだなということをしみじみと感じました。せめて、私鉄並みと言うならば、日鉄法を改正して、やはり跡地利用を含めて事業に進出できるように、あるいは第二電電公社にも国鉄が進出すると張り切っているんですから、これはいけるように、それでやっぱり仕事は直営で、要員を一定程度確保できるということを頭に置いた日鉄法の改正と跡地利用、これは財界が言っておるように、ちょっと汐留のあそこを売ってくれなんて、簡単に売ってしまうと、売った瞬間は一年や二年、単年度はいいけれども、三年五年たつと、ああ売らない方がよかったなと、こういうことを感ずるんですから、やっぱり骨身を削って五九・二のダイヤ改正に協力したんですから、その結論としてヤードが生まれているんですから、このヤードはやっぱり国鉄職員の雇用の安定と将来の希望に結びつくような事業を経営する、それを可能にするような日鉄法の改正をこれまた関係方面に協力を得てもらってやる。  この二つが私は当面の雇用対策なり、先輩がやったことを含めて大事なポイントじゃなかろうかと、こう思いますので、この二つの、一方の特別立法と、日鉄法の改正、跡地利用、この問題についてはぜひそういう視点から積極的に取り組んでもらいたいなと思いますが、これは大臣と総裁にお伺いします。
  132. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 前段の問題につきましては、政府としてのスタンスを私が先ほど申し上げたとおりでございますから、所要の法律が必要であれば所要の法律をつくらなきゃならぬ、そういう非常に重大な問題として受けとめておるということを先ほど申し上げたとおりでございます。  それと、これは実際問題として退職金の問題、年金の問題、こういうものが絡んでまいりますので非常に難しい大きな問題になる可能性を含んでおるというふうに理解しております。  後の問題につきまして、御説はもう非常によくわかります。国有鉄道法を改正をして、国有鉄道にもっといろんな仕事をやらせるということにつきましては、私ども、私個人としてもそうでございますし、運輸省としましても考えなきゃならぬことだと考えております。  ただ、ここで非常に問題になりますことは、ざっくばらんなところを申し上げますと、中途半端で困っておることがあるんです。それは何かと申しますると、実は長期債務問題をどうするかということは、国有鉄道の持っておる土地をどう利用するかということとある程度どうしても絡んでくる可能性を持っておるわけでございます。国有鉄道の持っている財産というのは土地が一番大きいものでございます。もちろん土地で二十二兆円がすぐどうこうするとかいうのではなくて、土地をどういうふうに活用するかということは、これは長期債務とかかわってくる、こういうこと。  それから国鉄法を改正して自由にいろんなことをやれるようにするということも、今監理委員長が恐らくおっしゃったと思うんですが、民営化ということを仮にやるとすればもう国鉄法の改正は要らぬわけで、民営化をすればすなわちもっと自由にできるということになりまするので、その辺のところのかみ合わせをどうするか。ですから、率直に申しますと、来年の夏ごろまで本当は待っておらなきゃならぬということは、私は、国有鉄道そう言っているうちに赤字借金もふえるわけですから情けないと思っておるんですけれども、今例えば具体的な問題として、私は国有鉄道法改正、先生のおっしゃっているような範囲における改正は賛成です。賛成ですが、さあやる、そこへ民営化ができちまうということになりますると、実際問題として法案を来年の国会へ出す、その途中で民営化のものが出るというようなことになる可能性もあるわけでございますね。ですから、おっしゃっておる精神は私ども十分いただきまして、もっと生かす方法が今のままでもないかどうか十分考えさせていただくということにお願いしたいと思っております。  いずれにいたしましても、私も監理委員長にも申し上げたんですが、なるべく早く結論をお出しいただくと。もう素案でも何でもいいからお出しいただきたいということをお願いしておるわけでございます。そういった事情、ざっくばらんなところを申し上げましたが、おっしゃっておる気持ちは私どもも同様に持っておるということをはっきり申し上げます。
  133. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今、先生から二点の御指摘がございまして、第一点は雇用問題でございます。これらにつきましては、私どももいろいろと勉強をいたしてはおります。しかし、これ立法の問題になりますから、政府問題になりますので、いろいろ運輸省等ともこれから御相談をしてまいりたいと思っております。  それから二番目の点については、今大臣からお話があったとおりでございまして、実は私どもとしてもぜひ手足を縛っているところをほどいてほしいということは申し上げておりますが、今大臣から申し上げたようないろんな事情がございまして必ずしも順調には進んでおりません。そこで、大臣も申し上げましたように、できる範囲のことをここでやってとにかくつないでいきたいというふうに考えておりまして、基本的には来年の夏以降の問題になるかと思っておりますが、できるだけ努力は重ねてまいりたいと思っております。
  134. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣が後段に言ったデリケートなところは、私もわからぬわけじゃありません。しかし余りデリケートなことを心配していると後手後手になるから、少し先走ってみておまえやり過ぎだと言われるぐらいでちょうどいいんじゃないですか、この問題は。この雇用の問題と特に日鉄法の改正は。だから、その点でひとつ要望しておきます。  それからもう一つは、竹内常務も来ているんですが、私は二万四千五百人のうち系統別にどうなんだと聞いてみたら、運転関係が一万、営業関係が一万、その他の系統が五千名。だから、分母になる運転系統の国鉄に占める人員が七万足らず、それから営業関係が十何万、分母対分子から見ると、運転関係の余剰人員の対策が一番私は深刻だと。それはそうでしょう。ヤードをやって貨物列車をぶった切ったから乗務員は余るわ、機関車が寝ちゃったから検修関係は余るわ、貨車を切っちゃったから検修関係は余るわ、その上に内達一号、私は改悪と言いたいんだけれどもまあ労使で決まったことだからそれは文句は言えませんが、内達一号の改正をやりましたからね、これは乗務員の運用は余ってくる、これは運転関係が余るのは当たり前ですよ。この上に検修新々々体制をやるとか、何とかかんとかと、この前検修関係に行ったらありました。人間を減らすのも結構だけれども、やはりそういう総体との絡み合いをどうするかということになると、私は運転関係の余剰処理の問題が一番目玉商品になってくる、こう思うんです。だから、ここでどうしろとは言いませんけれども、そういうことを考えて外注全体の問題とかについて見直してもらいたい。同時に、外注全体の見直しが関連産業の首を切るとなりますとこれも大変ですから、その辺は十分に配慮してほしいなと。  それから、これもちょっと太田常務に個人的に言ったことがあるんですが、貨車、機関車、これは一体どうするのか。スクラップしてしまうのかあるいはどこかにくれてやるのか。まあこのごろ、客車売りますなんという話が出ましたが、どうなるのか。仮にこれを解体するならば、やっぱり現在の運転関係の客貨車の皆さん、あるいは検修の皆さん、あるいは工作の皆さんが、労働力があるわけでありますから、ジャッキその他の機械もあるわけでありますから、まだ閉鎖しているわけじゃありませんから、こういう現在持っている機械力と人員を使って、やっぱり草むしりさせるよりも解体作業をやらせればいいじゃないですか、解体作業を。これだけでも一年や一年半の私は仕事量がある、目黒式計算によりますと。そういうことをやっぱり、仕事をしながら希望を与える、少しでも国鉄の経費節約になるように考えていく。これを整備会社に民間委託するなんて考えないで、現におる職場の皆さんに、長町なら長町に持ってきてやらせる、ヤードへ持っていってやらせる、それでやればいいじゃありませんか。そういうことについてぜひ考えてもらいたい。  それからもう一つは、この前申し上げた大畑線の問題についても、やっぱり私は具体的にもう言いません。いわゆる大畑線対策協議会で具体的に俎上にのせてみて、その際にもう意地張ってこだわらないで、具体的にやってみて、そしていいならいい、悪いなら悪いと、こういうことを含めてやっぱり職員の努力は努力なりにやっていく。何だか、動労に聞きますと、二十一日に全国的なやつ、こんな厚いやつを総裁あてに提案したそうですから、それも全体的に見てもらって、いいやつはいいやつ、どうもならぬやつはならぬやっと交通整理をしながら最後の努力をしてみる、こういうことをしてもらいたいなと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  135. 太田知行

    説明員(太田知行君) 何点かお話がございましたんですが、最初に余剰人員の活用策の問題でございますけれども、ただいま各地方局におきまして、それぞれの地方の実情を踏まえながら、創意工夫を凝らして活用するように努力をいたしております。まだまだその知恵が出尽くしたわけじゃございませんけれども、いろんな新しい方法も編み出しながらやっているわけでございますし、先般御指摘のありました解体作業の問題などにつきましても、それなりに努力をしているところでございます。また逆に、例えば自動車の車検ですか、検査修理を外注に出していた中の業務用の自動車なんかも、工場の職員が技術を習得してその修理をやっているというようなケースも、わずかでありますが出だしている。もちろん、その活用策では十分でございませんがゆえに調整策を打ち出したわけでございますが、ただいま関係省庁その他関係方面と連絡調整をとりながら、七月上旬までに具体案を策定して組合提案すべく準備をしているところでございます。  それから、二十一日に動力車労働組合の方から大変分厚い冊子に盛りだくさんな要望、要求事項をまとめて示されております。私ども、受けとめているところでございます。おっしゃるように、なかなか情勢は厳しいかと存じますが、内部で誠意を持って検討し、またその結果については十分に組合側にも連絡をし、お知らせをしたいというふうに思っております。  それからまた別途、関連いたしまして、動力車労働組合との間には、これ全く新しい試みといたしまして、再建フォーラムという協議の場、労使話し合いの場を設けまして、あす第一回の議論をすることにしております。これは、労働条件あるいは管理運営事項というきつい分類や仕分けなどをしないで自主的にいろんな話し合いをしたいと言っておりますので、その中でいろんな問題が出されるかと存じますので、十分に取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
  136. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 余剰客車につきましては、先ほど先生指摘がございましたが、現在、昨年来、貨車につきましては、スクラップして売却するよりはそのまま、車体のまま売却した方が非常にこれは国鉄経営にプラスになるという前提で、かなり大々的にやってまいりました。今までのところ、貨車につきましては一万三千両ぐらい申し入れがございまして、既に約六千両強売却いたして十億ぐらいの収入が入っているというのが実態でございます。  今年度に入りましても、客車あるいは気動車、そういった旅客車も余ってまいりまして、これらにつきましてもやはりそういった趣旨で現在、先般新聞にも出ておりましたが、発表いたしましたところ、旅客車、特に客車につきましてはかなり、六百両ぐらいの引き合いが既に入っておりまして、それが全部そのまま成るかどうかは別としまして、そういったこともございます。したがいまして、売れるものは売るということになりますが、解体するものにつきましては全部直営でやってまいりたい、かように考えております。
  137. 小島静馬

    ○小島静馬君 国鉄再建問題につきましては、既に国会におきましても、本会議においてあるいは予算委員会においてあるいは当該委員会である運輸委員会におきまして、しばしば論議が交わされました。また、幾たびか再建計画が練られてはつぶれ、というふうな経過もあったこと等承知をいたしておるわけであります。  御承知のように、本日は午前中におきまして、国鉄再建監理委員長亀井さんにお出ましを願っての委員会での質疑が行われました。あるいは午後のこの委員会におきましても、まさに国鉄問題の集中審議のような感がするわけでございまして、真剣な御議論が交わされておりまして、非常に感銘にたえない幾つかのお言葉も拝聴したようなわけでございます。  考えてみますと、明治五年、新橋と横浜に初めて操業を開始いたしまして以来百二十年、懐かしい小学唱歌の中での「汽笛一声新橋をはや我汽車は離れたり」、ぼうぼう百二十年の歳月に思いをいたしながら、その間におけるところの時代の変遷の中で果たし続けてまいりました国鉄の大きな公共的役割につきましては、私ども十分認識をいたしておるつもりでございます。また、その間におきましていろいろな問題もあったわけでありますが、つい昨今の輸送構造の変化とでもいうべきそういうふうな状況の中で、きょう午前中の監理委員長の御発言の中にございましたけれども、今や鉄道輸送は構造不況業種であるというふうにはっきりと言い切られたわけでございます。また同時に、国鉄現状については、これはもう内科手術をもってしてはいかんともなしがたいので外科手術をやるしかない、こういう極めて極端な表現も聞いたわけでございます。  既にしばしば御指摘がございますように、今日の国鉄財政の現況というものは、これはまさにそのとおりであろうと思いますし、民間の企業であったならばこれはもうとうに破産をいたしております。しかし、破産をさせられないという公共的な性格もございますし、どうしたならば建設的な方向でもって前向きに再建の方途をたぐっていくことができるかというのが今日の現状であろうと、私は理解をいたすわけであります。そのことの中で、私自身も年代的ないわゆる中年でございましょうけれども、国鉄の持つイメージには限りない郷愁を持っております。あるいはデゴイチが青少年の人気を呼んで歴史的な一つの保存物となっている感さえあるわけでありますが、この歴史の重みと伝統の中からさらに新しい時代を求めていくということ、それは郷愁にひたっていてはできないことであるわけでありまして、そのことの中でこういった議論が交わされておるわけであります。  国鉄をこよなく愛するその立場において、私は現在の問題点について数点お伺いをしてみたいと思うわけでございます。  まず、国鉄財政の現況でありますが、既にこれはもう周知のとおりではございますが、五十九年度予算において単年度の赤字が一兆七千百三十八億円、こういうふうな数字が見られます。また、累積赤字におきましては十二兆三千六百七十四億円、借金の残高については二十二兆七百四十七億円、まことに想像を絶するような大きな数字になっているわけでありまして、このまま推移するとするならば、さらに毎年二兆円ずつふえていくというふうなことでございますので、日ならずして三十兆円の大台を超えるのは目前に迫っている、これはもうひとしく認識をしているところであるわけでありますが、こういうふうな財政現状について仁杉総裁はいかなる御認識を持たれておるのか、あるいは将来展望まで含めましてどういうふうなことをなさったらいいのか、その御認識と抱負をひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うわけであります。
  138. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) ただいま小島先生から御指摘のとおりでございまして、実は私、五十九年度予算を見ましたときにも、それ単年度だけ見ましても大変なことだなという感じを受けました。それは借金を二兆七千億するというような形になっておりまして、赤字の穴埋めに一兆何千億という金をつぎ込むというようなことでございます。そういうことで、このままでどうなるかということが非常に心配であったわけでございますが、今、先生から御指摘がございましたように、やはり国鉄そのものが将来どうなっていくだろうかということもまた検討をしてみませんと、現断面だけ見て議論をしていくというわけにもまいらないということで、事務当局に至急に作業をさせたわけでございますが、その結果を見ておりますと、やはり輸送力が伸びていくということが実は経営の立場から申せば非常にいいことであることは言うまでもないわけでございますが、ただいま羽田沖の空港の展開の問題であるとか、あるいは関西空港ができて、地方空港と申しますか、そういうものとの連絡がよくなるというような問題を考え、あるいは高速道路が実は最近非常に幹線から枝の方にふえてきているということで、この辺になりますと、輸送量の絶対量が少ないわけでございますから、高速道路ができると非常に鉄道輸送も食われるというような実態もございます。  まさに、亀井委員長の言われるような、構造不況業種というような格好の想定になります。これは細かい数字につきましてはまだ議論が済んでおりませんけれども、大都市付近の交通とかあるいは新幹線については横ばいないしは微増であろうと思いますが、地方の幹線については余りどうもいい数字が出ないような感じがいたしております。したがいまして、国鉄が商売をするという立場に立ちまして、つくり出しますサービスが売れなくなってくるということは大変困ることでございます。  一方において、今先生指摘のように、累積債務も、このままの状態で今までと同じような予算の編成をずっと続けていくといたしますと、累積債務が六十五年になるとごく簡単に計算いたしましても三十兆を超えるというようなことになりまして、この利子負担も恐らく二兆円近いものになってくるというようなことで、そのときの収入も、五兆もあればいいのでございますが、そんなにはとてもいかないで三兆五千ぐらいかどうかというような程度しか見込めないような試算が出ております。これらにつきましてはもう少し詰めなきゃなりませんが、そういうことを考えてまいりますと、実は、累積債務が二十二兆に五十九年度末でなると思いますが、さらにそれがふえるというような問題も起こりまして、さらに、先ほど目黒先生からも御指摘がございましたが、年金という問題が、これがまたそう簡単に解決する問題でないということでございまして、だんだんそういうことを考えてまいりますと、どうも六十年代の半ばの収支計算を見ますと惨たんたる姿になってくるように思っております。  で、これに対しまして私どもの国鉄としてすべきことといたしましては、いずれ国民の皆様方から御援助を得ないと立ち直れないわけでございますが、その前にやはりみずからなすべきことはするということで、実は、自分でできることにつきましてはかなり積極的に努力をいたしているつもりでございます。いろいろ御批判はあると思いますが、いたしておるつもりでございますが、さらに、先ほどからお願いを申し上げましたように、長期債務問題、年金問題等につきましてなるべく早く抜本的な対策を講じていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  139. 小島静馬

    ○小島静馬君 御苦心のあるところはよくわかりました。  国鉄という公共的な性格を考えながら、これをどうするかという再建の方途というものは、各委員お話にもございましたけれども、やっぱり国の責任を負っていかなければならない公共的な部分、あるいは受益者負担という形の中での運賃等に還元される部分もございましょう。それから、何よりもまた国鉄経営自体の問題点を剔抉してその改善を行っていく、こういうふうな点に尽きるのではなかろうかと思うわけでありまして、こういう点についてのカルテが今監理委員会でつくられているというふうに想像するわけで、その発表待ちと言ってしまえばそれまででございますが、その間における作業といたしましては、昭和五十六年の五月にスタートいたしました経営改善計画というものがあったわけでございます。  その経営改善計画というものは、一応六十年度をめどとしての計画であったわけでありますが、本年の五月九日に変更の申請が提出されて十九日に運輸大臣の承認がおりている、こういうふうな経過であるわけでございますが、その改善計画を変更しなければならなかった背景あるいは中身の問題、こういう点について所信といいますか御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  140. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 先生御承知のとおり、国鉄再建計画昭和五十六年の五月にでき上がったものでございます。それで、一応、幹線系の収支で黒字を出すという、さらに、地方交通線等の廃止によりまして赤字を減らすというような、大体そういう目標に向けて策定をされたものでございます。  しかし、その後、五十七年度ないしは五十八年までの推移を見ておりますと、その当時推定いたしました輸送量が、旅客の場合には微減、貨物の場合に激減というような表現をいたしておりますが、どうも目標値に合ってこない、したがって収入が予定どおり入ってこないということでございます。一方におきまして、いろいろな経緯がございましたが、職場の効率化ということはここ二、三年の間にかなり実行することができたということで、要員につきましては、当初の計画では三十五万、六十年度首でございますが三十五万と言っておりましたのが、五十九年度首におきまして三十四万五千という数字に縮小することができたということが一つございまして、さらに五十九年度の努力によりまして三十二万程度にまで持っていきたいということで、そういう数字の変化がその後あったということが一つ大きな問題点でございます。  もう一つは、御承知のとおり、この計画の遂行の途中におきまして国鉄再建委員会というものが設立されまして、昨年の六月でございますが、夏に第一次の緊急提言がなされております。この中に盛られている事柄につきましては、私どもも今まで努力しているものもたくさんあるわけでございますが、さらに提言に沿いまして追加すべきものあるいは深度化すべきものというものもございまして、その後、提言を受けてまいりましてから私ども国鉄といたしましてはできるだけの努力をしたというつもりでおるわけでございます。それらを含めまして、これは政府法律に基づいて計画を立てたものでございますので、これの遂行につきましては、やはり変わってきた場合には変更すべきであるということで、運輸省とも御相談いたしながら変更を申請し、御認可をいただいたという経過でございます。
  141. 小島静馬

    ○小島静馬君 なかなか難しい点でございますけれども、例えばこの経営改善計画の中身を見てみまして、収支の試算表というものを見てみますと、幹線につきましては二百億円の赤字だ、それから一般営業損益については黒字でございますね、一般営業損益については二百億円の黒字というふうなことで、御苦心の跡がよくわかるわけであります。また、人員計画におきましても予定よりは早まっている、こういうこともよく理解をするわけでございますが、こういうふうな計画というものの全体を見てみますと、またそれだけで問題が解決をしていくものではないということの御認識はぜひお持ちをいただきたいと思うわけであります。  年金の問題につきましてはまた触れてみたいと思いますが、次に、大規模プロジェクトの問題について触れてみたいと思います。  特に今問題になるのは、青函トンネルであり、本四連絡橋の問題であろうと思うわけでございます。  そして、この青函トンネルの問題でございますけれども、これも見通しの誤りであったということに尽きるかもしれませんけれども、鉄建公団が六千八百九十億円という巨額の投資をいたしまして、五十九年度末には完成をしようかという状況である、八〇%既に進捗をしている状況である。完成予定年度が六十一年度ということでありますから、その後におけるどういう利用の方向をとっていくかということは、あらゆる角度から議論をされていることは承知をいたしております。ただ、年間約八百億円の借り賃を払って、これをどういうふうにしていくか、あるいはこれは防衛予算の中で考えていこうなんという本会議における総理大臣の答弁もあったやに承知をいたしているわけでありますが、これにつきましては、青函トンネル問題懇談会というのが大臣の私的諮問機関としてあり、最近答申が出されたと。カートレーン云々というふうなことを聞いておりますが、この諮問の内容について、簡単で結構でございますからひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  142. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 青函トンネルの利用の問題につきまして、斎藤さんを座長にいたします活用の懇談会を設けまして、いろいろ御議論を願っております。大体今、先ほど申されましたように六千数百億の巨額のトンネルを仮に開通しても、年間八百億を超えるような借料で、国鉄に対する経営の非常な圧迫になるということから、むしろトンネル自体の建設をやめたらどうか、あるいはその他いろいろな御議論があったわけでありますが、これに対しては、やはりここまでの地域開発あるいは北海道との一体というような観点から見ても、建設は完遂すべきであるということがまず第一点。  それから、こういう高度な技術で国家的なプロジェクトとしてできました施設については、何らか有効な活用方法はないかということで、いろんな英知を集めていただいたわけでありますが、やはり基本的には鉄道として、輸送の施設として活用すべきであるという御結論で、今申されましたように貨物輸送、カートレーンという方途はいかがであろうかと。そのカートレーンの方途として狭軌あるいは広軌といういろんな選択の議論が出されておりまして、報告としまして新幹線方式でやる場合と、あるいは現在の狭軌でやる場合といろいろ御提案をなさっておられるわけであります。  我々といたしましては、この御提案に基づきまして、鉄建公団等と輸送需要の問題等もう少し詰めるものを詰めまして、やはり全政府的に取り組むべきではないかと思いますので、現在、北海道開発庁あるいは国土庁等ともお話しをしながら、この活用方法について御意見を承っておるところでありますが、いずれにしましても、臨調の答申でも、本四あるいは青函トンネルプロジェクトにつきましては、国鉄経営を圧迫しないように、負担とならないような措置を講じなければならないということは臨調の答申でも明記されておりまして、我々としましても、将来の開通の暁に国鉄経営に圧迫にならないような形で、確かに年間の元本及び利子の償還等が八百億から九百億かかると思われますので、これに対する財政的な措置等をいろいろ研究いたしておりますが、臨調の答申を受けた監理委員会におきましても、長期債務等を含めてこのプロジェクト問題についてはいろいろ御検討を加えておられますので、我々としましても監理委員会等と御相談をしながら適切な処置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  143. 小島静馬

    ○小島静馬君 今の御答弁でよくわかりました。  午前の亀井委員長の答弁の中でも、    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 あの壮大な計画を見て、これをそのままほっておくのはもったいない話だというようなこともございますし、英知を結集いたしまして、しかも国鉄財政負担にならぬ方向の中でやっぱりこれを生かしていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに思っておりますが、これは今後の検討の課題でもございましょう。  同じような問題で、本四公団のつくりました本四連絡橋があるわけであります。総工事費約一兆円、国鉄の分担分は四千五百三十億円、これも膨大な金額になるわけでありまして、これは六十二年度に完成が予定されている。現在六〇%近く進捗しているようでございますが、借料を見ますと年間約五百億円、これも膨大な金額になっておりますが、これについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  144. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 先ほど申しましたように、青函トンネルとあわせて大きなプロジェクトでありまして、しかも今申されましたように五百億程度の借料ということが推定されますので、やはり国鉄経営問題にならないような格好で六十二年度以降措置をしなければならないということは我々も考えておりますが、この場合は青函と若干異なりまして、他に有効活用と申しましても、今現在いわゆる併用橋で建設いたしておりますので、道路との配分等の関係もございますし、基本的には青函トンネルと同様な形で何らかの財源措置なり財政上の措置を講じて、国鉄への影響をなくす形で活用をいたしたい、こういうふうに考えております。
  145. 小島静馬

    ○小島静馬君 次に、先ほども総裁の御答弁の中に出てまいりましたが、国鉄共済年金の現状についてでありますが、これまた大変な問題であるというふうに理解をするわけであります。  国鉄の事業者負担分、公経済負担分というのが一千九十五億円、国鉄の追加費用分、これが五千八十三億円、これは承りましたら、昭和三十一年以前の旧制度分として国鉄が持っていかなきゃならぬというものだそうでございますが、これらを合算いたしますと大変な金額になりますし、それから成熟度というのを見ますと、これが一一四%。端的に言ってしまえば、百人の国鉄の現業職員が百十四人の皆さんをしょい込んでいる、これが成熟度というものだそうでありますが、これは容易ならぬ数字であろうと思うわけであります。  最近、去年でございましたか本年に入りましてですか、国会におきましても年金統合ということで他の制度との一本化が第一弾として図られまして、そういう意味では楽になったという面もあるでしょうけれども、しかし依然として今申し上げましたようなもとの数字というものは残っていくということで、これに対してはどういうふうに対処なさっていかれるのか。これはどなたでございましょうか、お伺いします。
  146. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 年金の問題につきましては二つ問題がございまして、一つは今先生指摘の、共済組合の年金支払いの方の財政問題があるわけでございます。  これは、この四月一日から施行されました年金統合法に基づきまして、国鉄本体のあるいは国鉄共済の自助努力というものとあわせまして、六十年度以降他共済から財政調整をいただくという形で、六十四年度までは当面の年金支払いは一応確保できるという見通しが立ってまいったわけでございます。現在、具体的な計画を長期給付財政調整事業運営委員会で検討が始まってございます。  こういう状況になってまいりましたが、一方国鉄の本体の財政支出に占めます年金負担金が大変な額になってまいっておりまして、五十七年度が四千六百八十七億、五十八年度予算で五千四百六十二億、五十九年度は六千二百四十六億円という非常に大きな金額の支出を年金のために必要といたしておるわけでございます。これは今後ともなお、現在の見通しからいたしますと、若干ではありますけれどもふえ続けるというような状況になってまいるわけでありまして、この問題は、先ほど来いろいろ議論されております国鉄長期債務問題とあわせまして、二つの大きな課題であるというふうに思っております。しかも長期債務以上に、大臣も申されましたように、これをどう処理していくのかというのは大変大きな難しい問題だというふうに考えております。  しかし、これも実は解決することなしには今後の経営形態議論も全く進展しないということになってまいるわけでございまして、私どもとしては、特にこの中にございます公的負担分だとかあるいは追加費用という問題、これらの問題につきましてはぜひとも解決をしていただくようにお願いをしたいということで、各方面に働きかけておるところでございます。
  147. 小島静馬

    ○小島静馬君 大変ないろいろ難しい財政的な問題を抱えておられるということがよくわかったわけであります。また、それに対する総裁の御答弁もいただいたわけでありますが、これらの問題の抜本的な解決を図っていくためにはどうしたらいいのかという問題に入ってみたいと思うわけであります。  このままでは健全な経営体質が回復はできないのではないだろうか、こういうふうに素人ながら思うわけでございます。今の仕組みというものが、経営者経営責任を全うできる体制になっているかどうか。このことは、実は非常に大切な問題だろうと思うわけであります。  現行の仕組みというものを考えてみますと、まず国鉄予算政府がつくっている、そうしてこれを国会で議決をしているわけでございます。また、賃金というものを考えてみますと、これは賃金を幾らに定めてどういうふうにやっていこう、これはもう労使の協調の根幹にある重要な問題でありましょうし、それだけでなく、経営者といたしましてもこれは、採算とか企業という角度から考えていきますと、非常に重要な事項であるわけであります。これがどうなっているかということを考えてみますと、これはもう公労委の仲裁裁定によって最終的には国会に付議して決めるということが、本年もそうであるわけでありますが、これがもう常態となっているということがあるわけでございます。  あるいはまた、全体的なバックグラウンドの問題として考えてみますと、しばしば御指摘をいただいているような鉄道需要といいますか、こういうふうな輸送構造の変革の中でもって、鉄道需要というものは今後減るだろうということは想像できるけれども、ふえていくというふうな要因はちょっと数えることができないわけであります。その中でしかも公共的な責任を全うしていかなきゃいけない。非常にその解決という問題につきましては、どこでどう考えましても、打ち出の小づちを持たない以上これは大変なことであろう。そこに今いろいろな努力が集中をしている感を受けるわけでございます。  私鉄経営と比べまして、今指摘いたしましたような点につきまして、私鉄は経営者として経営責任をしょっていけるようなそういう仕組みの中にいるわけであります。しかし国鉄はそうではないという点について、総裁はどういうふうにお考えになっておられるだろうか。  それからもう一点といたしましては、私鉄経営との比較の中で、やはり国鉄が非常にある業務の中に閉じ込められておる。そのことの中で営利事業に手が出しにくい。こういう問題が当然あるわけでありますから、将来の方向としては、これはけさのお話にもございましたけれども、附帯事業というものにやっぱり手を染めていかざるを得ないじゃないか、こういう再建監理委員長お話もあったわけでございまして、私もそのとおりだろうと思います。もちろんその出ていき方というものは、民業とのかかわり合いも大切にしながらでありまして、国鉄がやって税金も取られない、安い金利の金も使える、あるときはただの補助も得られる、そういう企業が民間の額に汗をして働く企業と同じ土俵で競争をやっちゃいかぬという、こういう問題も当然出てくるわけでありまして、秩序のあるそういう附帯事業への進出というものをやっていかなければならない。その点をわきまえていただかなければならないことは言うまでもないわけでありますが、そういうふうな背景の中でどういうふうな、例えば私鉄会社との関連の中で、じゃ国鉄でもこういうことをやってみたいというふうな構想があるのかないのか、これらの点についてひとつ総裁の御意見を承りたいと思います。  経営責任が持てるか持てないか、そういう仕組みになっているかいないか、指摘したような問題についての御感想をいただきたいと思います。
  148. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 当委員会でも、一体国鉄総裁という立場で経営責任が持てるのかというお話が時々あるわけでございますが、今先生指摘になりましたように、予算と申しますか、金の出入りに関しましては政府国会等の制約があるという問題がございますし、それから賃金につきましては御承知のとおり公労委の制約があるというようなことでございまして、例えば私が私鉄におりました場合には、予算というものはつくることはもちろんつくりますが、大体、企業でございますから最終的には決算のところでどういうふうにうまく経営をしていくかということを考えるわけでございまして、その間に常に経営実態を見ながら出し入れをしていくということをいたしております。また事実私自身も、金を握っていると言うと語弊がありますが、予算というか金の枠を持っておりまして、例えばどこかの駅舎がまずいというような問題があれば、直ちに私の決断におきまして処理をするとか、あるいはどこかの線路が悪いというようなことがございますればそこに集中的に、金の枠さえあれば集中的に入れるというような、まことに機動的な経営がやっていけるわけでございますが、国鉄の場合にはその辺のところが非常に難しいというか、やりにくい。やりにくいというよりできないと言った方がいいかもしれませんが、そういう点がございまして、なかなかいわゆる企業経営としての経営者という立場では責任を十分とり切れるというような形にはなっていないということは、今先生指摘のとおりであろうかと思います。  また、今、もう一つ問題といたしまして、いろいろ関連事業の問題について御指摘がございました。  実は、私も私鉄経営に携わっておりまして、私鉄の鉄道だけの単独の収支を見ておりますと、先生方も御承知だと思いますが、大体運賃を二年、三年のサイクルで上げていただいて何とかつじつまを合わせているわけでございますが、その場合の運賃査定のやり方、運輸省の査定のやり方は、これは当然公共事業的な面でございますから、大体三年なら三年にならしまして、どうやらとんとん、ないしは多少利益が出るというような運賃査定をしていただいているということが普通でございます。これは大私鉄あるいは中私鉄、小私鉄、みんな大体同じようなことでございまして、ですから鉄道業を私企業として経営する場合には、運賃といいますか、鉄道事業としてはまあまあ、そこそこバランスするという程度の事業でございまして、そこから大変利益を出すとかいうようなことは非常に難しいわけでございます。どの私鉄をごらんになってもおわかりになりますように、不動産事業であるとか百貨店であるとかホテルであるとか、いろいろなことを兼業いたしまして、その中で事業を発展させていくという、あるいはレジャー施設というようなもので事業を発展させていくということが原則になっているわけでございます。  ところが、国鉄の場合には、今御指摘がございましたように、兼業部門につきましてはかつて非常に国鉄が独占のような時代には民業圧迫というような点がございまして、なかなかいろいろな制約を加えられたということもございます。その形がいまだにそのまま残っております。今先生も御指摘のように、それだからといって、自由になったからといって、近隣の方々の影響を全然無視して何でもやっていいというものであるとは私は思っておりません。これは私鉄が何かやる場合も同じでございますので、それは秩序あるやり方をしてまいらなければならないと思いますけれども、しかし私鉄の場合にはそういう格好で、しかもそう難しく考えないで、自分自身が企業体としてもうかるかもうからないかという判断の中で決め、そして地元との協力を得さえすれば新しい事業がどんどんやれるということでございますが、国鉄の場合にはそういう形になっていないということで、この辺はまことに手足を縛られた経営であるということになりますので、こういうことを総合いたしますと、亀井委員長がかつて、国鉄の社長は総理であり、亀井さんが専務で、国鉄総裁は常務であるというような表現をされたことがございますが、まあ大体そんなことかなというような感じがいたすわけでございます。  もちろん、それだからといって無責任にやるということではございません。私どもといたしましては、自分のできる範囲内においてのことはきっちりいたしますし、また主張すべきことはきちっと主張する、それが通る通らないの問題は別の問題といたしまして、総裁としての主張というものはやはりきちっとしていかなければならない。それがまた責任を果たす最大の原因であると思いますが、現実の問題として、それではそれで何でもうまくいくかというと、今先生の御指摘のとおり、なかなかいろいろな点で制約があって思うに任せないというのが現状であろうかと思っております。
  149. 小島静馬

    ○小島静馬君 よくわかりました。  この附帯事業という問題は、一つは、やっぱり民業との競合関係というものが非常に難しいわけでして、進出する場合においてはこれはそれなりのルールというものをわきまえていかなきゃいけないと思うんです。  それからもう一つは、御指摘がございましたように、余剰人員と言われる人員の逓減計画の中でそういう人たちを路頭に迷わせないという重要な側面を持ってきていると思うわけでございますから、ぜひ慎重の上にも、またすばらしい頭脳集団である国鉄の英知を結集されるように御要望しておきたいと思います。  附帯事業と言っていいかどうかわかりませんけれども、今日の時代的な風潮の中で、まさに情報化社会というものの進行は目をみはるものがあります。先端技術産業がどんどん導入されまして、あしたの情報化社会というのはどうなっているだろうか、全く想像を絶するぐらいの思いがするわけでありますが、その中に、国鉄が取り組む問題としては非常に有利な条件を整えているものが幾つかあるわけであります。いわゆるニューメディアとの関連であるわけでありますが、既に国鉄におきましてはそのプロジェクトチームをつくってこの問題の研究に取り組んでおるというふうに承っておるわけでございますが、それらがどういうふうな状況で今国鉄では進行しているかということを、どうぞ担当常務の方で結構でございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  150. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) ただいま先生指摘のとおりでございまして、私どもとしましては、国鉄として極めて通信事業につきましては有利な条件を備えておるわけであります。  一つは、都市間を結ぶには今後の通信事業といたしましては光ファイバーが有力な手段と考えられておりますが、そういった面で都市間を最短距離で結ぶ線路敷を持っている、あるいは電電を除きますと国内では自営通信網、最大の自営通信網、あるいは技術ノーハウを持っているということでございまして、そういう意味で、昨年の秋から私どもの中で本社内にプロジェクトチームを発足いたしまして、主として今後参入した場合の事業の採算性なり、あるいは技術的な諸問題なり、あるいは法律、法令の問題等々につきまして勉強してまいっておりまして、大体今までの勉強の過程におきましては、かなり私どもが参入した場合でも成り立つんではないかということを考えているわけであります。  また一方では、先ほど先生お話がございましたように、そういったことに進出することによって、私どものいろいろ新しい分野という中で士気が高揚できるとか、あるいは余剰人員等につきましても活用できるといった分野もございますので、ぜひそういった面で参入すべくさらに詰めてまいりたいということで、この六月に、そういった意味で部内だけで検討いたしておりましてもなかなかいろいろございますので、ひとつ広く学識経験者あるいは電電のOBの方等々に入っていただきまして、これを具体的にすべく精力的に懇談会というものをつくりまして進めている段階でございまして、最初の段階で急ピッチに進めてまいりまして、できるだけ早い時期にそういった面で具体的に明らかにしてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  151. 小島静馬

    ○小島静馬君 これは国会でも通信三法が通るでしょうし、文字どおり通信自由化時代を迎えるということの中で、非常にすばらしい条件を持っていると思うんです。  不況産業だとか、特定不況業種の一つだなんというふうな言われ方をしておりまして、そこに働く国鉄職員の皆さんもとかく士気阻喪しがちであるわけでありまして、やっぱり次代の産業を担っていくんだぐらいの新しい夢のある計画を練り上げまして、国鉄財政体質の弱い面もこれでカバーできるというような面も相当出てくるはずです。これらも今からしっかりした取り組みをやっていってもらいたい、こういうふうに御要望申し上げます。  今、国鉄のその他のいろいろな産業への進出、附帯事業との関連の中で一つ気になりますことは、投資というものが明確に政令で定められておるわけでありますね。この問題も含めまして、こういうふうな問題については果たして今のままでよろしいのか、あるいは改正をしていかなきゃいけないのか、こういう点はどうでしょうか。
  152. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) ただいま御指摘のとおりでございまして、現在この件につきまして国鉄法の関連と政令との関係がございまして、鋭意運輸省と相談いたしておりまして、現在の法令の中で可能かどうか等についていろいろ相談して、できるだけ早く結論を出していただくようにお願いしているところでございます。
  153. 小島静馬

    ○小島静馬君 また総裁、もとに戻りまして、総裁として経営責任が持ちにくいという率直な御意見の御開陳をいただいたわけでございます。私も全くそのとおりだと思うわけでありまして、また従前各委員からも既に何回も御指摘があったということでありますが、皆さんひとしくその点はお感じになっておられると思うわけであります。  まあ、責任経営ができないというところにやっぱり今日の事態を招く一つ原因があったということは認めざるを得ないんじゃないだろうかな、そういうふうに思うわけでして、どうしてもそういうふうなところから甘さというものが出てくるんじゃないだろうか。幹部を初め職員全体についても、今日の置かれている国鉄の状況に対する危機感というものがやや欠如していると思うけれども、あるいはまた職場規律等もまだ、大分努力がなされておりますけれども、不十分なところがあるのではないだろうか。そんなことも実は感じでおるわけであります。もちろんこれだけの企業体になりますと、やっぱり何といっても基幹にある労使協調路線といいましょうか。そういう労使関係というものが非常に重要になってくるわけでございまして、それらの問題を含めながら、どうしたならば責任経営というものができるだろうか、どういうふうな改革を図っていったらいいだろうか、そういう点につきまして、御感想がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。  また、その規模が肥大化し過ぎているのではないだろうか。ある程度の規模というものは規模の利益というものを得るわけでありますが、今日の国鉄現状というものは、規模の利益を既に超えてしまって、もう動きがとれない。率直に言ってしまって、動きがとれにくいという面があるのではないだろうか。きょうの午前いろいろ話が出たわけでありますけれども、亀井委員長は、元国鉄総裁の石田礼助さんが退職後「いいたいほうだい」に書いておると言って感銘を受けたと言っておられましたが、三井物産時代には二日か三日で一番末端まで自分の指令というものは到達をしたけれども、今の国鉄は二、三年かかる、こういうことを石田元総裁がおっしゃったということを引用しておられたわけでありますが、そういう意味で、総裁がお考えになったことが、あるいはトップとしてお考えになったことが末端にいくまでに、そういうふうな状況で非常にスローテンポである。そういうスローモーションというものも、体質が肥大化をしてしまっているということに起因しているのではないだろうか、そんな面が考えられるわけでございます。  そういう意味では、ある意味では総裁の管理能力限界を越えた組織になってしまっている。あるいはまた、より緻密な、きめ細かな地域に密着した、そういうふうな経営の仕方というものにおいてもやっぱり遺憾な点が散見をされるわけでございますが、こういう点についてのお考えをひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
  154. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 第一点の御質問でございます役職員一同が少し甘さがあるのではないかという御指摘でございますが、実はやはり国鉄というところは、ある意味におきまして親方日の丸というような意識がございます。  例えば、現在、先ほどから御議論がございますように、経営実態、財務状況というものを見ますと、もう破産会社であるということでございます。しかし、これはいろいろな事情がございますが、他公社と多少の差はついておりますが、給料はきちっと行くというような点がございます。これを民間の私企業だけで考えますと、いや、これはもう、そういう状態になれば当然いろんな問題が起こってくるということだと思います。そういう点が一つございます。  もう一つ問題といたしまして、やはり経営陣から管理者に至るまででございましょうが、何というか、官僚的人事運用をしているという面がもう一つございます。  例えば、先ほどのこれは第二番目の、規模が大き過ぎるではないかという問題とも絡んでくるわけでございますが、私が総裁をしておりまして、確かに石田総裁のおっしゃったように、ある発想をいたしまして、それを本当に浸透させようとすると、かなりの時間がかかるか、あるいは相当乱暴な方法をとらない限り速達はしないというような問題点があることも事実でございますし、また現場の第一線の実情を総裁という立場でしっかり把握をするということも非常に難しい。実際時間的な制限もございまして、私も今、回った管理局の数を考えてみますと、まだ五つか六つぐらいしか回っていないというようなことでございまして、行きましても西武のような場合でございますと、かなり第一線の職員までいろいろ声をかけて話をするということも可能でございますが、参りました場合でも一晩泊まりぐらいでございますから、なかなか、幹部の管理者に会う程度になってしまうというような点も確かにあるわけでございます。  それで、そういうようなことを総合してまいりますと、私もプレスで、記者クラブで言ってしかられた、しかられたというか、いろいろ御批判がございますが、やはり民間経営の中の企業経営原理というもの、競争であるとかあるいは能率であるとかいうようなものを追究していくという私企業の民営的な手法であるとか、あるいはスパン・オブ・コントロールを超えないような格好に物を考えていくというような考え方、こういうものは原則的に私は適用していくべきものであるというふうには思います。  ただ、国鉄全体として考えたときに、実は百十年余りの歴史の中で八十年足らずでございましょうか、日本全国一本として国鉄が運営されてきたという長い歴史的事実があることも事実でございまして、やはり職員の中、あるいは役員の中でもそうかもしれませんが、職員の中には、やはり一本でいきたいというような何となくノスタルジア的な気持ちのあることも事実でございます。  あれこれ考えまして、今の公社の組織で運営していくということは非常に問題があるかと思いますが、その辺のところで民間的手法を取り入れられるような経営体というものを追究することができないだろうかということ、先ほど小柳先生からも、もう少し勉強しないといかぬじゃないかという御指摘がございましたが、これらにつきましてもう少し役員会等で突っ込んだ議論をいたしまして、もう少し能率的な——もう少しというか、基本的に能率的運営ができるような体制というものはどういうふうにすべきものであるか、あるいは人事運用というものをどういうふうにしていくかというような点につきまして、さらに勉強を深め、皆様方の御期待にこたえるような案をつくりたいというふうに考えております。それをまた監理委員会にも率直に申し上げまして、いろいろ参考にしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  155. 小島静馬

    ○小島静馬君 私に与えられました時間は三時二十八分までだそうでございまして、私、まだ三つほど御質問申し上げようと思ったことがありますが、一括をして申し上げますので、御協力をいただきたと思います。  これは、大臣にも最終的に御意見、御感想をお聞かせいただきたいと思っているわけでありますが、今度の国鉄再建監理委員会というものは、考えてみますと、非常に重要なものだと思うんです。亀井委員長は、国鉄が執行母体である、運輸省が指導機関である、この再建監理委員会というのが原案をつくるところであって、この原案を総理大臣に報告する、こういう三つの相関関係があるんだというふうな説明の仕方をなさったわけでありますし、私もそのとおりだと思います。  臨調の国鉄経営に関する指摘の部分を見まして、三公社そのものが、もちろん国鉄も含めまして民間会社、株式会社方式への移行というものが言われている時代の中で、やっぱり基本にあるものは分割民営論であるというふうにこれは端的に理解ができるわけであります。その分割民営論にのっとっての国鉄再建監理委員会の検討であるわけでございまして、そこに出てくるであろう最終的な結論というものは、あるいは違ったものが出るかもしれませんけれども、大方予想できるものとしては、この分割民営論というものであろうかと思うわけでございまして、これは大変な歴史的な変革につながっていくような答申が出てくるだろうということが想像されます。  これが出てきたときにはどういう動きが出てくるだろうか。これを想像いたしますと、これまた大変な社会問題に発展する可能性を持った問題であり、軽々に今ここで単なる予測ということは言えないわけでありますが、しかし私は、大切なことは、そういう関係であればあるほど、当事者である国鉄総裁として、あるいは国鉄全体として、あるいはそれを指導する運輸大臣として、国鉄監理委員会の現在に対してどういうふうなアプローチをしていくかということが非常に大切だろうと思います。  そういう状況の中でもって、意見を求めれば答えていきましょうという程度のことはやっているかもしれませんが、私はそれだけでは足らないと思います。より積極的に国鉄自身の持っている鉄道経営に対するノーハウであるとか、あるいは技術集団としての、あるいは頭脳集団としてのその持てる最大限を発揮して、国鉄自体がこの苦境を打開して、次の新しい光を求めて、こういう方向を求めていくんだということを同時並行的に内部で討議し、そしてそれを外部に発表し、あるいは監理委員会に直言する。こういう方向を求めていきましょう、そういうふうな率直な姿勢は私は当然許されるし、むしろ望ましいことではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、この点についてまだまだ努力が足らないような気がいたしますが、その点について総裁はどういうふうにお考えになっておられるのか。  今の現状では、私はまだだめだというふうに思うわけであります。  さらに、先般の総裁の日本記者クラブにおける御講演、その後の質疑応答の中から出てこられました問答につきまして、この委員会でも問題になりました。その質疑に対して私はもう冒頭に、総裁の答弁を聞いておりまして、いろいろ配慮しなきゃならぬかもしれないけれども、非常に弱い。率直に申し上げまして、そんなことではない、もっと強く自信を持って、私の主義だとぐらいに言い切ってもよかったんではないだろうかとすら思います。遠慮することは私はないと思うのでして、そこで大いに理論闘争をやったらいいと思うわけでございまして、経営責任が持てないような状況下ではやはり本当の意味での再建計画というものは生まれてこないわけでありまして、再建監理委員会結論が出るまではじっとしているということじゃなく、その間におきましても総裁御自身としても、この問題に対しての積極的な世論喚起や、あるいは監理委員会への直言とか、そういうものをやっていかれることが必要ではないだろうか。これはいたずらに不安を持たせるということには決してつながっていかないと思うんです。  私の入手しましたものを見ましても、これは労働組合問題としては、国鉄動力車労働組合国鉄労働組合、全国鉄動力車組合、全国鉄施設労働組合、こういうふうなところでもって早速に反対の抗議声明というものが出ていることも承知をいたしております。  また、きょうの午前の御質疑の中で、鉄労は全く思い切った、今のままでは先に光明はないんだということで、地域に責任を持たせたそういう体制に分割をすべきであるというふうなことを言われたということを、同僚委員の御質問で実は承ったわけでありますが、労使の基本にある労働組合の態度というものにも総裁の投げた一石に対する早速の反応があったわけでして、別に、誤解もあるだろうと思うわけでして、そういうことの論議の中で本当の理解というものが生まれてくれば、私は、幹部だけじゃなく国鉄職員全体に対して、あるいはその家族を含めますと百万人を超える人たちがその動向を注目しているわけでありますが、その中に光明を見出せるような方向というものは必ず生まれてくるというふうに思うわけでありまして、もっと自信を持って、あるいは信念を持ってひとつ対処をされた方がいいのではないかと思うんですが、その点いかがでございましょう。  お伺いをいたしたいと思います。
  156. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) まず第一点でございますが、今、もう少し国鉄も強く監理委員会等に意見を申し述べるべきではないかという御指摘でございます。  私も全く同感でございます。私、外におりましたときに、いろいろ国鉄問題関心を持っておりましたが、やはり中に入りませんと細かいデータあるいはいろいろな経営集団というようなものを動員することができませんので、なかなかうまい案ができないということでございますが、現在は事務当局が非常に一生懸命で作業をいたしておりまして、先ほど私申し上げましたように、将来の見通しといたしまして、経営形態をどうするとかいうことは別にいたしまして、このままで参るとえらいことになる、もうとてもじゃないが再生できないという結果を、大体の結論を得たというのが現段階であるわけでございます。  先ほども御答弁いたしましたが、それで、その経営計画に対して監理委員会のいたします討議に対しまして、我々が事務当局として、実務を預かる者として、当然我々としての意見をきっちり申し上げるということは、これはどうしてもしなければならない。先ほど運輸大臣からもお話がございましたが、私にも、国鉄もしっかりしたものをつくってよく相談しろという御命令もございます。今その作業にかかるところでございまして、これらにつきましては、またよく運輸省監理委員会等にも申し上げますとともに、時期を見まして皆様方にも御披露できればしたいというふうに考える次第でございます。  次に、私の発言についてでございますが、実は私は先ほども御答弁いたしましたが、経営方策として分割民営ということが非常にすぐれた利点があるということは率直に認めているところでございます。ただ、今の経営状態、さっき先生からも御指摘がございましたが、そういうものを引きずったままの形で分割民営というようなことはとても考えられない、これが非常に難しい解決の問題点であるということでございまして、むしろ私といたしましては、その前に解決して自立できる格好にする、それと同時に並行してまた経営体制も考えていくというふうにしていなかければならないというふうに考えているわけでございます。
  157. 小島静馬

    ○小島静馬君 ちょっと大臣の御所見を承りたいと思います。
  158. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。  政府の立場は、実は経営問題については今極めてはっきりしておる。それはどういうことかと申しますると、いわゆる第二臨調の答申の線に沿って国有鉄道を改革するということになっております。ですから、ほかのことももちろんございますが、今御質問の中にあった分割民営化という線はこれ臨調答申の線でございます。  具体的にどうするかという問題はいろいろ検討をやっておるわけでありまするけれども、大筋としては分割民営化ということなんでございます。このうちの民営化というのは何だと言ったら、これは公社でなくするということなんだと私は理解しております。直接、事業会社のような純粋の営利事業を営む株式会社になるかどうかは別問題として、とにかく公社でなくするということ、これを民営化と称しておると思っております。  分割につきましては、どういう分割をするということは言われておらないのですが、おおむね七つ程度云々ということが臨調の答申にうたわれておるわけでございます。それをもとにして今監理委員会でいろいろ御検討願っておる。また、先ほど来申し上げますように、国鉄でも検討するし、私どもの方も積極的に意見を申し述べる、私の頭の中には考え得る幾つかの考え方というものは大体できておるつもりでございますが、そういうものについて細かく検討をプロジェクトチームでお願いをしまして、そして監理委員会に申し上げるということにいたしたいと思っておるのでございます。  この際でございますので、特に小島委員に申し上げたいのでございますが、日本国有鉄道というのはどうも悪いことばっかりが言われておるわけでございます。大変悪名高いわけでございますけれども、別な面から考えますると、一日二千万人近くの人間を、人だけで申しましても運んでおるのでございまして、事故で死傷者を出すというようなことはほとんどない。道路運送などと比べますとこれは雪泥の相違でございますし、航空輸送と比べましても安全度において非常に高い。国有鉄道というものはやっておる仕事そのものは、経営問題が今問題になっておるわけでございますけれども、国家的に見た、ないしは国民的に見た仕事というものは、大変なものだと私は思っておるのでございます。でありまするので、単にこれは累積債務その他経営上の問題から、国有鉄道を運営しておられる総裁初め管理者方々、また働いておる労働者の方々がですね、これは勇気づけてあげなければならぬと、私はさように思っておるのでございまして、このことを忘れまして、国有鉄道があたかも国賊かのごとき、何かあれの悪いところだけが挙げられることは、これは私は非常に考えなきゃいかぬ。  別に私は国鉄を擁護するというつもりはございませんが、そういう大きな国の中で占めておる事実というものは十分認識した上で改革をやっていかなければならない、このように存じております。角を矯めて牛を殺すという言葉がありますが、そういうことにならぬように最善の方法を考えてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  159. 小島静馬

    ○小島静馬君 終わります。
  160. 桑名義治

    ○桑名義治君 午前中、午後にかけまして、仁杉総裁の二十一日の日本記者クラブの講演、その後の質疑についていろいろと論議がされたわけでございますが、私もこれをそのままにしながら素通りするわけにまいりませんので、ここから質疑に入りたいと思います。  まず、冒頭に総裁にお聞きしたいことは、先ほどから総裁の御答弁を聞いておりますと、西武鉄道におられたころの話、そして国鉄の総裁になられてからのお話、こういったところから一つの見方が生まれているようでございますが、もともとが仁杉総裁は常務理事という立場におられて西武に行かれてもう一度国鉄に帰られた、こういうことでございますので、別に目新しい発見をすることはないとは思うんですけれども、しかし、やはり国鉄に長い間奉職をされている間はなかなか身の内はわからないものでございまして、西武に行かれて初めて、今度国鉄に帰ってこられた中で、ああなるほど、こういう点とこういう点がいわゆる随分と民営とそれから公社とは違うんだなと、こういう再発見をされた部分があると私は思うんです。  その点について、まず感じられた点を率直にひとつ御開陳願いたい、こういうふうに思います。
  161. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) やはり一つは、大私鉄と申しましても、西武の場合、これは大私鉄の中の中位ぐらいだと思いますけれども、営業距離が百八十ぐらいでございまして、職員が三千五百ぐらいでございます。こういう点から申しますと、やはり営業キロから申しましても人員から申しましても約百倍ということでございます。したがいまして、いつも申すのでございますが、西武の経験をそのまま今の国鉄にぱっと持ってくるということは非常に危険であるということをしみじみと感ずるのでございますが、その反面、やはり大きいなあという、大きくて、さっき小島先生からお話がございましたけれども、石田総裁の話ではございませんが、やはり何かしようと思うのに、巨象のごときものが方向を変えるのはなかなか大変たなということをしみじみと感ずることが一つございます。  もう一つは、やはり民間におりますと、さっきも話しましたが、最終的には決算の段階で、その決算がうまくいくかいかないかと年じゅう、運営をしておる段階でも情報をとりながら、いつも最後の決算に向けて利潤を出すという努力をいたすわけでございまして、このためには競争の原理も働きますし、いろんな民営としてのメリットが働いてくるということがございます。ところが、やはり国鉄の場合には、先ほどお話がございましたように、予算制度の中で、予算が決まるということが事業を執行するために何よりも大事なことになるわけでございまして、決算は結果であるというような形になってしまうわけでございます。こうなりますと、やはりどうしても親方日の丸というような雰囲気が生まれてくるということも一つ感ずるわけでございます。  それからもう一つは、やはりさっきも申しましたが、人事運営と申しますか、例えば地方の管理局長が今までですと二年ローテーションぐらいでかわってくるということでございます。これはやはり職員の立場から見ると、一番地方においての現場の最高責任者が二年置きにはかわってしまうというようなこと、信頼感の問題経営者に対するあるいは管理者に対する信頼感の問題もございましょうし、もう一つ、地域の方々から見ると、なるほど管理局長はいる、しかし、だんだん地方と溶け込んだころになるとかわってしまうというような問題点があるというようなことがあると思います。  その辺のところがやはり私は帰ってまいりまして、と言うより、私鉄を経験したときに、帰る帰らないは別といたしまして、外から見ておりましても、やはりそういう難点があるなということを感じておったわけでございます。これは急の御質問でございますので私の考えたことを全部申し上げ、まだほかにもあるかもしれませんが、一応私の強く印象に残っている点だけを申し上げる次第でございます。
  162. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、二十一日の記者クラブの講演並びにその後の質疑応答の中で、新聞の報道によりますと、民営分割化の方向を示唆している、そういうふうに考えられる記事が載っているわけでございます。この記事の中にこういうふうに載っておるわけです。「分割も民営も基本的には賛成だ。ただ、分割・民営化しても個々の経営体が赤字では仕方がない。これをどうするか、いま模索中だ」、さらに、「分割・民営化については監理委以外ではタブーになっているきらいがあるが、国鉄としても実務家として監理委に案を持っていきたい」と、こういうふうに述べたというふうに記事にはなっておるわけですが、この記事に間違いはございませんか。
  163. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 細部の言葉の端は別といたしまして、考え方としては大体そういうことを申し述べたと思っております。
  164. 桑名義治

    ○桑名義治君 さらに、「民営化については、」「競争原理や効率化、利潤追求などの面で望ましく、可能なら民営にした方がいい」と。これが一つと、「ただ、実際には、仮に株式会社にしても利潤が出ないと仕方がないが、全般に輸送量が減る中で職員の処遇や資金繰りなど現実には難しい面もある」と、こういう面も述べておられるようですが、これも間違いございませんか。
  165. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) ほぼ間違いない表現であると思っております。
  166. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、国鉄総裁がこの二十一日に記者クラブで述べられた事柄は、これはもう完全に民営化を志向しているというふうにこれはとるのが妥当だと思いますが、そういう認識を我々が持ってもよろしゅうございますか。
  167. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 私は、先ほどから何回も同じ御答弁を繰り返しておりますが、ずうたいの大き過ぎることについては分割であるとか、あるいは能率的な点については民営の方がよりベターであると思っております。しかし、先ほども繰り返して申しておりますように、そこでも申しましたように、分割民営といってそういうものをこしらえた、こしらえたがそれが運営できないということではどうにもならないんではないかと。むしろ私は、先ほどから簡単に二十兆の債務棚上げとか、あるいは年金の問題というのが大臣もおっしゃるように非常に難しい問題であるというふうに考えられるわけでございまして、これが一時にぱっと解決するということは恐らく難しいというふうに私も認識をしておりまして、その間にはいろんな方策、皆様方のお知恵の中からいろんな方策が、我々も考えますが、そういうものが出てくるだろうと。そういうときに、それでは分割民営ということをすぐできるかというと、それは非常に難しいのではないかというふうに私は考えているということを表明したわけでございます。
  168. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、でき得るならば客観情勢を整えた上でいわゆる民営分割という方向が最も望ましい方向である、こういうふうにお考えになっていらっしゃるわけですね。
  169. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 分割民営をして非常にうまくいくという保証があるとすれば、一つの大きな方向であるというふうに考えております。運輸大臣も何回もおっしゃるように、監理委員会といいますか、臨調あるいは監理委員会の方向がそういう方向であるということも理解できるということを言っているわけでございます。  ただ、先ほどから時々私申しておりますが、国鉄の百年余りにわたる歴史の中で、職員あるいはOB、あるいは職員も含めたいわゆる国鉄人というような表現を使うといたしますと、その国鉄人の中にはやはり、百十年余りの歴史の中で八十年近く一本でやってきたという歴史的事実がございますので、そこで急激な変化を起こすということに対してはかなりの抵抗があるということも事実でございまして、これも一つ頭に置いておかなければならない問題点であるというふうに私は考えております。
  170. 桑名義治

    ○桑名義治君 総裁の基本的な考え方については、あるいはまた望んでいる方向性というものについては大体わかったような気がするわけでございます。  そこでお尋ねしたいことは、先ほどから、あるいは今の答弁にもございました、いわゆる国鉄の体質を大きく改善をした上でというふうな事柄が、一つの客観情勢を取りそろえていくという柱になっているわけですが、しかし、現在の公社のままでこういう経営状況というものを向上させていくためには、今までのような自助努力だけではそれはしょせんは無理な気がするわけですね。先ほどからの論議でもたびたび論議されておりますように、大変な長期債務を抱えているという、この問題もありますが、これを除いたいわゆる一面を考えてみましても、まだ改革していかなければならない問題がたくさんあるわけです。  例えば、今の質疑の中でもいろいろとございましたけれども、国鉄はいわゆる運送というこの仕事以外に、付随的な企業、これをやはり、利潤を追求するようなそういう企業も付随的に発展をさせていかなければならない。総合トータルの中で、いわゆる採算を考えていかなければならない、こういう論議がなされているわけです。私もそのとおりだと思っております。そのためには、先ほどからこれも論議に入っておりますが、いわゆる日本国鉄法という法律を改正しなきゃなりません。ところが、この法律の改正というものは、大臣の先ほどの御答弁にもございましたけれども、今後どういう形態になっていくかということが明確にならなければこの法律の改正には手がつけられない。手がつけられないとするならば、どういういわゆる自助努力でもって今の国鉄経営基盤というものを向上させていくかということになれば、これ非常に難しい回答を迫られることになるわけですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  171. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 桑名先生から御指摘がございましたが、実は私も暇のあるたびに将来の国鉄の姿というものについての財政的な、財務諸表みたいなものを見たり、あるいは国鉄、日本全国に広がる鉄道網の中でどういう変化が起こるだろうかというようなことを考えておりますと、実は暗たんたる気持ちになるときがあるわけでございます。それは、今先生の御指摘になりましたように、ほかの収入がないとして、しかも予想輸送量が減ってくるというような中で経営を考えていくということで売れない商品を抱えながら製造業をやっているというようなものでございますから、暗たんたる姿を思うわけでございます。  しかし一方、考え直しますと、やはり国民の足としての大きな使命をしょっている国鉄でございます。その中で、いわゆる公共性の議論というものが随分あると思います。また、諸外国の鉄道、国有鉄道的なものを見ましても、皆補助を受けているというような状況があるわけでございまして、その辺の中でいわゆる公共的な負担をしていただくという姿の中では、ある程度やっていけるのではないか。本当に民間企業としてだけ考えていくとすれば、今先生の御指摘のような附帯事業で相当上げてこなければいけない。しかし、現在の姿の中で関連事業をこれから一生懸命でやりましても、すぐに成果が出るというものではございません。もっと、十年なり十五年たちませんと本当に利益が上がってこないというような問題点もございまして、そういうことを考えますと、やはり当分の間は鉄道だけで何とかしていかなければなるまいかなと思います。もちろんそれには、将来のために附帯事業もやっていかなければなりませんけれども、当面の経営改善ということは、国鉄自体、鉄道自体で考えていかなければならない。民間会社では今ないわけでございますから、必ずしも利潤をそう上げて配当しなければならぬということではないと思いますけれども、何とかその辺でいく道がないかということでございます。  そういうことを考えてまいりますと、やはり過去債務、年金等の問題を引きずっていては、どういうやり方をしても鉄道としては非常に難しいのではないか。そういうことを引きずっていくとすれば、いろいろ補助をちょうだいしないといけないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  172. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうなってきますと、いわゆる経営基盤を改善してから民営化云々という言葉はもうそらごとのように聞こえてくるわけですな、実際問題。  それで、この問題を今どうこう論議しても仕方がない問題でございますけれども、そこで、先ほどの質疑の中にもございました、国鉄として主体的ないわゆる具体案、改善の具体案を出したいと、こういうふうに言われているわけでございますが、別に国鉄の中にプロジェクトができているわけでも何でもございませんというまた反面答弁が出てきているわけですが、この具体案というのはどういうふうな形でいつごろまでに大体国鉄としてはまとめるつもりでございますか。
  173. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 大体の私の考えているところでは、大体資料としては先ほどからいろいろお話ししているベースになっている資料がございまして、島別の経営計数というようなものもしっかりできております。ですから、むしろそういった中で経営形態をどうするかということを幹部の間で十分討議をすればいいということでございますから、そんなに時間をかけなくて、あるいはプロジェクトチームをつくるというようなことをしなくてもいい、プロジェクトチームとしての作業は経営計画室が中心になりまして各局と相談しながら、データはほとんど整っているというふうにお考え願っていいかと思うわけでございます。  それで、それではどういうふうに監理委員会あるいは運輸省とアプローチしていくかという問題になると思いますが、これも、さっきから細田大臣もお答えでございますが、幾つかの案が考えられるというふうに私も考えます。ですから、一つの案を、これでなければいけないというような案を持っていくというより、やはり運輸省なりあるいは監理委員会との対話と申しますか、いろんな説明あるいは応答という中で一つのものに固まっていくのではないだろうかというふうに考えております。もちろん我々としては幾つかの案を考えてみるということになるかと思っております。
  174. 桑名義治

    ○桑名義治君 午前中に参考人においで願った亀井再建監理委員長お話の場合も、この問題が出てきたわけです。もちろん私も出したんですが。そのときの委員長の答弁は、国鉄自身が主体的ないわゆる経営形態に対する案を策定することについては大賛成である、大いに持ち込んでいただきたいと、こういう答弁が来たわけでございます。  そういうふうになってまいりますと、国鉄としては、先ほどの質疑にもございましたように、早急につくり早急にやはり監理委員会の方にもぶっつけていく必要があるんではないか。最も国鉄のことが詳しいのはやっぱり国鉄だと思うんです、私は。その正しい認識の上に立って正しい評価をしなければこれは決していい案は生まれてこないと思うんです。そういう意味で、私は、国鉄がもう一歩突き進んだ姿勢で積極的にこの問題に取り組んでいく姿勢を示すべきではないか、こういうふうにも思うわけですが、その点どうでしょうか。
  175. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今桑名先生の御指摘のとおりでございまして、ちょっと我々としては作業がおくれているではないかという御批判を受けるかもしれませんけれども、第二次提言等もあることでございますので、なるべく早く、まあこれは完全無欠な案をつくるということでなしに、いろいろな案をまとめまして御相談してまいりたいと思っております。
  176. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで運輸大臣にお尋ねをしたいわけですが、今国鉄総裁も、国鉄独自のいわゆる再建案をつくって、そして再建委員会の方にぶっつけていく、こういうふうな御答弁があったわけでございます。それと同時に、先ほどの運輸大臣の御答弁の中に、私の頭の中には大体構想はまとまっている、こういう御答弁があったわけでございますが、細かいことは別にして、大体方向性として大臣はどういうふうな形が大臣の頭の中にまとまっているのかお示し願いたいと思うんですが、どうでしょうか。
  177. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) その御質問にお答えする前に、先ほどの総裁と先生とのやりとりの中での問題についてちょっと私感じておりますことを申し上げたいと思います。  国有鉄道としては、けさほどの亀井委員長の御答弁もあったということですが、私は早急につくるべきだ、これが一案でなくてもいいから幾つかの案でもとにかくつくるべきだ、かように思っております。ただ、今まで、国鉄を弁護するわけじゃありませんけれども、もう御承知のように、新しい経営形態へ移行するまでの間にとりあえずやらなきゃならぬというものを十一項目、それは一つ一つでもかなりでかいものなんですが、貨物なんという物すごいやつをしょい込んでおるわけでございますが、十一項目ありまして、国有鉄道としてはむしろそれに全力を挙げておったと私は見ておるんです。  ただ、時期的には今もうそっちの方はどんどんいろいろ進めており、それぞれのつかさつかさで進めておりますから、ですから先ほど総裁がお答えしたように、もう基本的な問題について考え方を出していく、ぶっつけていくという時期だと思っております。  なお、私の考え方がどうかという話になりますと、相当長時間を要しまするし、またここで実は具体的な案を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一つだけ申し上げておきますと、まあ大枠の話でございますが、長期債務というものは何らかの形で国が見なければならない、かように思っております。ただ、予算が非常に窮屈な中でございますから、ずばり一般会計がこれを直ちに全額棚上げするとか全額責任を持つということについては今の予算状態ではなかなか難しいんじゃなかろうか、何らかそこに便法を講ずると申しましょうか、何らか別な方法を工夫して考えていかなければならないのではなかろうか、かように考えております。  それから、民営化につきましては、国有鉄道法というものを外して、これは関西空港株式会社じゃありませんが、特殊会社である株式会社にするということ以外に方法はないんじゃなかろうか、純粋の民営の株式会社にはなかなかなじまないのではなかろうかと私は考えております。これは個人的な意見でございまして、まだみんなで相談したり詰めたりしたものではございません。さようなふうに思っております。  したがって、例えて言えば、北海道なら北海道を分割するというような場合には、これは北海道についてはやはり国がよほど面倒を見るという形の、北海道開発の鉄道というような考えも入れたもので考えていかなければならないだろう、まあ一つの例を申し上げれば。そういうことを一つ一つ皆申し上げますと、これは全部かかってしまいますし、申し上げる場ではまだないように思いますが、例えて申しまするとそういう考え方。それから分割につきましても、私は、関東だ、東北だ、近畿だ、中部だといったようなブロック別の、特に本州についてブロック別の分割というものは鉄道にはなじまないのではないか、鉄道にはやはりブロックも考えるが、同時にあわせて鉄道という一つの機能が動かなければならない、メカニズムが動かなければならないということを申しております。例えば阪神と阪急の両電車、これが一つの会社だったとして分割するときに、真ん中で切るあほうはおりません。これはやっぱり線路と線路を切って二つの会社にするに違いありません。阪和線と南海線にしても同様でございまして、これが一本のものである場合に、これを二つに分けるとすれば、やはりこれは横に切るんじゃなくて、縦に切らなければこれ鉄道としての機能は果たせないというようなことを、具体的に一体それではそれはどういうことになるんだというようなことを実は考えておるという、その程度のところまでにしていただきたいと思うんです。
  178. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで午前中の質疑、それからきょうの午後の質疑、これを通して言えることは、臨調も大体民営分割、それから国鉄の総裁も民営分割の方がベターではないかという方向を示唆されている。それから運輸大臣民営分割ということを大体今の御答弁の中では示唆されていると私は思うんです。  この時点でこの問題はほぼ意見がもう固まった、こういうふうに私は理解をするわけです。無理でしょうか。
  179. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 固まったということじゃなくて、そういう方向に向かっていろんな問題が複雑に絡み合っておりますから、ですから、そういうものと一緒に解決していかなけれならぬので、そういう方向で全体として国有鉄道をどう考えるか。そのときにやはり国有鉄道の公共性も考えなくちゃいけません。先ほど私が、えて国有鉄道のやっておることについての評価すべき点を申し上げたのもそこなんですが、そういう点も考え合わせてそういう方向で今いろいろお考えをいただいておると私ども考えておる、こういうふうに御理解いただいて、決まったというとちょっと語弊があるんですが、臨調の答申はそういう方向で考えろ、こう言っておるわけでございますし、政府は臨調の方針を尊重するということにいたしておるわけでございます。
  180. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、今から先のいわゆる作業というものは、民営をどういう形の民営化をするか、これが一つ。  それからもう一つは、分割をする場合にはどういうふうないわゆる分割をしていくのか、これが一つ。大きく分けてこの二つの方向性が今から先大きな議論になりそうだ、こう思います。  それと同時に、大臣から今長期債務の話が出ました。これも午前中の質疑の中に出た問題でございます。そのときにも私、監理委員長の考え方を詰めたわけでございますが、監理委員長個人的な考え方ということの前提はございましたけれども、いわゆる長期債務というものの中をもう一遍区別していかなきゃいけない。要するに民営化された場合にも、いわゆる債務の部分については、これは資産との兼ね合いもある、当然これ抱えてもらわなければならない一面も出るだろう。しかし、赤字の部分ですね、この赤字の部分をどうするかという問題もあります。それから民間が抱えている債権のようなものもございます。こういうふうなものをどういうふうな形で処理をしていくかという、この債権を棚上げすることについても非常な複雑な問題がある、こういう議論になったわけでございます。  大臣のいわゆるこの債権の棚上げ問題というものは、要するに純然たる赤字の部分をどうするかという問題に限定をされるのか。それとも長期債務全体を棚上げにするというふうに考えられているのか、この点について伺っておきたいと思います。
  181. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 長期のこれは累積債務全体についてどうするかを考えるわけでございます。  しかし、何が累積されて二十兆円以上のものになっておるかということについては大体の分析はできておるわけです。資本投下による、できるならば国に本当は投下してもらいたかった、あるいは諸外国では国が投下したかもしれない、たまたま国有鉄道という公共企業体であるから企業体の借金でやったんだけれども、本来は国でやって公共事業費と同じようにやってもらうべきだったという意味長期債務もあります。ですから、もちろん考えるのは全体として考えなけりゃなりません。しかし、取り扱い方については、私は、そういう債務の種類によりまして、経営の失敗というか、純経営上の赤字というものもございますね、そういうようなものをどうするかということなんで、委員長がどういうふうにおっしゃったかわかりませんけれども、中身がどういう債務であるということを分析し、それについてそれぞれの解決の方法をどうするかという姿になろうかと、かように思っておるわけでございます。
  182. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、この長期債務の中身をもう少し分析した上で、そしてそれぞれのいわゆる種類別にどう対応していくかということを早急に考えていく必要がある、こういうふうに思います。  それから、先ほどのまた答弁の中に、年金問題が出てきたわけです。この年金問題は、私は国鉄問題と切り離してむしろ考えるべきではなかろうかというふうに思うんです。  と申しますのは、これは国鉄再建問題一体的に考えた場合、この年金問題は絶対片づきません。そのために、どうしようもないがために、一部一本化という問題で五年間の猶予を置いて、今、年金問題が処理されているわけなんです。そうすると、やはり最終的にこの年金問題は、もう完全な一本化という、そういう方向になってこそ初めてこの国鉄の年金問題は片づく。こういうことになりますと、ただ運輸省あるいは監理委員会国鉄問題ではなくて、国全体の年金を今後どうするかという問題にかかわるこれは重大な問題だろう。ただ、たまさか国鉄がここで赤字でパンク寸前になってきてしまったというだけの話であって、私はそういう一体観に立って考えていかなければならないとするならば、年金の一本化の問題についてはもう厚生省等の問題としてよりも、これは運輸省運輸大臣としてそういう年金の一本化の方向に最大の努力を払っていく、これは国鉄問題を別にして——別にできないかもしれませんが。  こういう一つの事例があるわけですから、だからそういう方向で今から先も取り組んでいく必要があるんじゃないか。運輸大臣の積極的ないわゆる働きかけが必要になるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点どうでしょうか。
  183. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 御案内のように、国家公務員と三公社の一体化は、国会を通過して実現を見たわけでございます。本来は、国鉄の共済組合だけで見ると、昭和六十年度にはパンクして年金が払えなくなるというような状況は、一応危機を脱したということなんでございます。しかし、これから政府としては、年金の将来の官民格差、そういうものも含めて一元化の方向に向かって計画を進めておるわけでございます。  国有鉄道問題で、年金の問題というもののむずかしさはどこにあるかということを考えてみますと、私は大きく言って二つあると思うんです。  一つは、終戦直後に非常に膨大な人を抱えたということです。いわく満鉄、いわく華北、いわく華中、台湾、朝鮮の鉄道、こういうもの、あるいは復員をしてこられた方々、こういう方々を全部引き受けた。いやしくも国有鉄道に就職を希望する人は、失業させちゃいけないというんで全部引き受けた。そこで六十数万人という人間になったわけですね。その後、御案内のように下山さんがああいったことが起こったような大整理が行われたわけでございますが、とにかくそのときに非常に大きな人間を抱えた、必要以上の。国有鉄道として必ずしも絶対必要でない人数を抱えた。そのことがよかったか悪かったかは別としまして、戦後の処理としてそういうことが行われた。これはほかの公社や国家公務員にもあるかもしれませんが、国有鉄道の場合は非常に程度がひどいというか、きつい程度になっておるわけでございます。そういうことが年金問題についてやはり今日までずっと尾を引いておるということが一つ。  それからもう一つは、電電や専売と異なりまして、先ほど来いろいろお話しになっておりまするように、また現在過員問題で端的にあらわれておりまするように、やや長期的に眺めますと、国有鉄道の人間の数は——数はと言うよりも仕事自体が、やはりいわゆるモータリゼーションやあるいは航空機の発達のために圧縮されておりますから、したがって五十五歳が来ればどんどんどんどんやめていく。そして全体の国有鉄道の人数が、現職が少なくなって、退職者の割合が多くなる。  この二つの原因が重なっておるから、残っておるわずかな者で、今でも掛金はもうとにかく最大の掛金を掛けておるわけです、三公社のうちで。あるいは国家公務員も含めて。それでなおかつこういう状況のわけですが、そこでこの年金の問題の中でやっぱり国有鉄道が負担をしなきゃならぬ。これが赤字になって大きくあらわれておるわけです。一般の従業員の年金の問題、退職者の年金の問題もございます。これは私は年金の一元化という方向で解決していただけばいいと思うんですが、国有鉄道の負担する負担金の問題はこれは依然として残るわけなんで、これをどう片づけてやるかということは、やや、長期債務の資金を国鉄借金によって資本投下をしたのに似たような、種類は違います、違いますけれども、似たような考え方によれば、国が何か面倒を見てやらなければならぬ性格のものがそこにあるんじゃないだろうか。この問題長期債務問題とあわせて、金額はこれよりは小さいかもしれませんけれども、解決してやらなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  184. 桑名義治

    ○桑名義治君 今大臣が言われたような問題も過去この委員会で随分論議された問題一つでございますし、それと同時に、今から先経営改善ということで合理化合理化ということで進んでまいりますと、だんだんだんだん国鉄職員というものは縮小されてまいります。そうすると、やっぱりそこに退職者、いわゆるOBとそれから従業員との格差がなお一層大きく顕著に今から先もあらわれてくる。そうすると、過員の問題と年金の問題というものは、これまた非常に重大な問題に発展しそうな気がするわけでございます。  こういうふうに考えてみますと、非常に国鉄問題というのは奥の深い、根の深い、そしてまた非常に困難な問題でございます。ひとつ国鉄当局も大変ではございましょうけれども、しかし現実にそういう局面に差しかかっているわけですから、最大の今から先も努力と研究を重ねながら、総力を挙げてこの解決のために努力をしていただくことを要望して、私の質問を終わります。
  185. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今も話題になっておりました長期債務というのが非常に国鉄再建の大きな重荷になっているということでございますが、やっぱり再建するために、これをもう本当に早く重点的に解決をする道を開いてもらいたい。  また、運輸大臣としても、四月二十四日の参議院内閣委員会で、国鉄の最大の問題と考えていると、この長期債務問題について。「この問題を解決しなければ、経営形態をどう変えるということにしても、前提としてこの問題を解決しなきゃならぬ、こういう認識でございます。」と、こうおっしゃいましたし、先ほどからもそういうふうに私は受けとめたわけでございますが、そのとおりと確認させていただいてよろしいでしょうか。
  186. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) そのとおりに考えております。
  187. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 やっぱり私はそういう考え方でこれに取り組んでもらいたいと思って、午前中亀井委員長に、この点についてどうなんだと質問をいたしました。そうすると、結論から言いますと、これは否定されました。そして、これを重点的にまずやってという、土台ということで考えていかなきゃならないというのではないという、そういうお考えが出されたわけなんですね。それは経営形態と密接につながっているという形でお出しになったというふうに承ったわけですけれども、やっぱりそこのところでちょっとニュアンスが違ってくるわけなんですね。そうしますと、やっぱり削減だとか地方線廃止だとかというのは具体的にどんどん出される。そして、この長期債務については、非常にそれは複雑でございまして、大変でございましてということで後回しにされていくと、なかなかこの問題の解決の道は遠いのではないかと、そう思ったから、ひとつそれを大臣としての御所見を承りたいと思ったわけでございます。
  188. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 亀井先生がどうお答えになったかわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、再建監理委員会法は第一項目に経営形態分割民営化をうたっておる。第二項目に長期債務をうたっております。  しかし、私が今先生にお読みをいただいたようなことを言っておりまするのは、分割民営化よりも長期債務の方が難しいんですよ。考えれば、これはまあ切り離すことはできないんですが、一緒にやらなきゃならぬ問題なんですけれども、どちらかというと後の方のやつが難物なんですよと。今の国家財政現状その他から考えると難物なんで、これにいい知恵が出せないと前の分割民営化ができないんじゃないかということを申し上げておるんで、できれば同時ということなんで、これは亀井委員長見解が違っているわけじゃないと思います。監理委員会としては、分割民営化というものが第一項目にうたってありますからさようにおっしゃったとしか理解できません。だれが考えましても、長期債務の方が日本の財政現状、国の財政現状から見たら難しいんですよ。分割民営化の方は、現に電電公社も専売公社も、もう民営化は既に法案として出ておるわけですから。本来ならば、国鉄の方が先にやらなきゃならぬと言っておったのが、専売や電電が先に出ておるぐらいでございますから。  これは私の意見でございまして、亀井さんの意見とは関係ないわけですが、さように思っております。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、また経営改善計画の変更の承認を五月十七日ですか、お出しになっているわけです。これは再建法に基づく行為であり、再建法は文字どおり国鉄再建の最大な方策と考えております。しかし、この変更の承認を大臣がお出しになって間もなく、また監理委員会から変更計画に対する意見書というものが出されましたね。それで、その意見書、その意見というものを見ますと、いろいろ書いてございますけれども、「幹線収支については、幹線の営業体質そのものを分析する際には収入支出項目の内容について再検討を要すると考えられるところであり、」と、またその後には、「一般営業損益あるいは幹線収支といったような経営の一側面をとらえて将来の国鉄事業の経営状態を判断することは妥当でない」と、こういうふうに書かれておりました。非常に厳しい指摘が出されているわけですね。  大臣が承認を与えた考え方は再検討しなきゃならない、これは妥当でない、こう言われているわけなんで、その辺について一体どういうふうにお考えになっているか、大臣が承認なすったことを。
  190. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 鉄監局長から先に答えさせます。
  191. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 経営改善計画を、国鉄の変更の申請がありましてこれを承認したわけでありますが、やはり五十六年に改善計画ができましてから、非常に国鉄をめぐる情勢がさらに厳しくなりましたし、臨調、監理委員会等の緊急提言等も盛り込んで、新しい施策を盛り込んで極力経営の収支悪化を防止したいということから、今回出たわけであります。したがいまして、我々としましては、五十六年出した経営改善計画の内容がさらに深度化し合理化されているということで、承認をしました。  この手続としまして、監理委員会に一応御意見を伺うということに監理委員会法上なっております。  それで、今先生がお読みになりましたように、実際上この改定について、この御意見そのものは、中身にいろいろ意見はあるけれども、それはそれなりに評価をして承認をして差し支えないという意味だと我々は解しております。ただ、この中にありますように、計画の改定の中身そのものの中で、若干まだ不十分なところがあるとか、さらに、もう少ししっかりやったらどうかというような点がありますが、これにつきましては、この内容そのものを国鉄にも申しまして、改善計画の中でさらに十分合理化をするようには言ってあるわけであります。  そのほかに、収支問題につきましては、確かに幹線につきましての収支均衡を図るということが五十六年の計画の中の目標としてうたわれておりまして、それで、特に収入の落ち込みを合理化で補うという意味からこの改定を行って、何とか五十六年の約束は果たせますということをこの改定の計画で申しておるわけでありますが、    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 これに対する監理委員会の評価が、確かに国鉄が幹線部分について何とか約束を果たせるということ自体は、それはそれなりに評価できるけれども、この年々悪化する国鉄の全体の収支ということを見た場合に、これをもってして十分に国鉄経営状態を将来に向かって判断するということは妥当でないという考え方をここで述べておりまして、さらに厳しい対応監理委員会としてはなお持っておるということをここにメンションをしたというふうに考えておるわけであります。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 「経営の一側面をとらえて将来の」「経営状態を判断することは妥当でない」と具体的に出ていますね。そうすると、例えば資本費関係負担は除外されているというような事実もありますね。これについて今、大臣にも重ねてあわせて御答弁いただきたいんだけれども、そうしますと、そういう指摘ですね、監理委員会が六十年までにこれについてもっときちっと妥当な計算をやりなさいと指摘されたとおりにしようとすると、一体どういうことになるかという問題ですね、私が次に伺いたいのは。
  193. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 経営改善計画というのは、御承知のように再建措置法によって、例の地方交通線の問題なんかと同じ法律昭和五十五年にできた法律によって経営改善計画というものを出しておるわけでございます。これは、その法律にも書いてございますけれども、様子が変わったら、状況が変わったら別な改訂版を出せということになっておるんで国鉄が出したと、こういうことなんでございます。  出したものに対して、その限りにおいて承知したということであって、これで全部が何から何まで済んだ、これだけやっていりゃいいんだという意味で承知したというふうにお考えをいただくというわけにはまいらないと思います。国有鉄道としては、この前出した改善計画をこういうふうに改定して、これでやってまいりますと、こういうことを言っておるんでございまして、それは、法律運輸大臣がこれを認めるということになっておりますから認めるということなんです。  で、監理委員会がこれに対して緊急提言をなさっておるということは、いや実は国有鉄道の考え方はこれじゃまだ甘いぞ、もっときつくすべきだということで、ですから簡単に言えば、運輸省も、いやこんなものじゃだめだ、もっと持ち出してこい、もっと別のものを持ってこいという言い方をあるいはすべきであったかどうかという問題は残されまするけれども、私ども実を言いますると、経営改善計画というのは、けさほども話が出たと思いますが、来年になると根本的な問題が出るわけなんです。それまでの過渡的な話なもんでございますから、だから国有鉄道でこういう点について努力してまいりましょうということで一応認めておく、ですから大変問題はあろうと思います。  今ちょうどタイムラグがあるわけでございますね。基本的に解決するという問題が後に控えておって、それまでの間、前の法律、五十五年の法律が生きておって、監理委員会の方は五十八年の法律でできた。そこのところが、監理委員会の方が出すのが来年出してくる、それまでの間を前の法律経営改善計画。それじゃ今度出さないでおいてそのままでもよかったかどうかという問題があるんですが、これは国有鉄道としてはどうしても、状況も非常に変わり過ぎるぐらい変わったものだから、特に貨物なんか変わったものだから、出さざるを得ないということで出してきた、その範囲において出してきた。これで能事終われりというものでは決してない。  それは私どもさように考えておるわけでございます。もしおわかりにくければもっと詳しく申し上げます。ちょっとややこしいものではあるんです。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私がもうちょっと聞きたいところとずれているところもあるんですけれども、また次の機会に持っていきたいと思います。ちょっときょうは具体的な問題で伺いたいことがありますので、今のところはお伺いしたということにしておきます。  次の問題は非常に具体的なんです。これは、サイクリングの自転車も国鉄の中に持ち込みたいという非常に具体的な問題なんです。  大臣も御承知だと思いますけれども、今自転車旅行というのが非常に普及してまいりまして、とりわけ中学校、高校、それから家族ぐるみで健全なスポーツとして普及が始まっているわけですね。これはスポーツ振興法にもうたわれています、これをもっと発展させていこうと。私も自転車が大好きなもので、よく乗るわけです。ところが、東京だとか都会の中ではサイクリングに適当なところがございませんね。そこで、自転車を持って地方に出かけて楽しむ。そのときに、国鉄を利用するということになるわけなんです。  その国鉄を利用するときに問題になりますのは、自由に持ち込めないという問題なんですね。こう言いますと、あんな大きな自転車を持ち込むなんてそりゃ無理だよというふうな御認識かもしれませんけれども、そうじゃなくて、あれをきちっと分解するわけです。分解いたしますから、ちょっとはかってみましたら長さが一メートル、高さが六十センチ、幅十五センチ。これをきちっとしたズックの袋に入れますから、大型かばんと考えていただいて結構だと思うんです。私これを考えていたら、オーケストラのコントラバスなんかは電車に入っております。あれは厚さも厚うございますし高うございますから、ああこれと比べたら全然もう楽だなとそう思ったんです。重さは十二キロなんですね。だから肩にかけて入る。  そういうのを、軽い小型に分解してきちっと袋に詰めたものを国鉄で運んでいこうというときに、それを利用できるのは今、日本サイクリング協会の会員に限るという国鉄の営業規則というのがあるわけなんですね。だから自由に利用できないんです。だから、そのためサイクリング利用者も大変不平等を感じているというので、みんなこれ、何とか載っけられるようにしてくれというのが希望で、私もそのとおりだと思うんです。  日本サイクリング協会に入ればいいじゃないかと、こういうことになるわけなんですけれども、このサイクリング協会というのが、中央にもございますが各都道府県の所在地にあるわけなんですね。そうすると、また北海道を申しますと、札幌にその協会がある。そうすると、網走やなんかでサイクリングのクラブをつくる、それの許可をもらいに行こうとすると札幌の所在地まで、まあ国鉄は乗るからいいかもしれませんけれども、また出てこなきゃならないというような問題があるわけなんですね。そして、北海道とかあと五つの県は個人として会員になることもできないんですよ、サークル、クラブでないと。個人で会員になることもできない、こういうことになっているんです。それで、個人じゃだめだからというので、各都道府県にサイクリングクラブみたいなものをつくります。そして、その地方でつくったクラブから会員という者に会員証を出すわけなんですね。それが全国でばらばらなんですよ。だから、その会費が千円とか、それから高いのをずっと調べてみましたら、六千円かかるということなんですね。そうしますと、本当に健全な青少年ということを考えて普及したいと思うと、やっぱりちょっと負担になりますね。そして、千円から六千円までの差があるということは、とてもじゃないけれどこれは不合理であるということなんです。  先ほど言いましたように、決してそれは迷惑をかけない。混雑のときには、もちろんそんなものを持って乗ったら怒られるから、本人は持ち込みませんよね。だから、どこかに行くときには、すいた列車とか夜行で行くなんというのもよく聞きました。それで、大きさとしても先ほど言ったような小型である。そうすると、見てみますと、スキー用具とか登山用具、それからこのごろはサーフボード、それからゴルフの用具というのは結構な荷物でございます。こんなのはみんな自由なんですね。そうすると、今のサイクリング愛好者は十万人いるというようなわけなんですよ。だから、みんなが希望していることは、手回り品の有料というのがございますね、二百円出して切符買ってと。そういうようなものを買って、そしてサイクリング協会というものからの許可証がなければそういうものが使えないというような不便をなくしてほしいというような、私は当然だと思うんです。できないというのは何だと言ったら、先ほど言いました国鉄の営業規則というものがそこにあるわけなんですね。だから、やっぱり時代は変わっていますから、もうスキーだのサーフボードのような何でも入るような時代に、自転車は昔の大型を考えてだめなんというんじゃ、ちょっと頭が古過ぎるのではないか。  じゃ、これをオープンにしちゃうとサイクリング協会がだめかと、サイクリング協会から文句が出るかということもあろうかと思って、サイクリング協会に電話して伺ったわけなんですね。そうしましたら事務局長が、自分たちとしてもそういう規制を外してもらいたいと、サイクリング協会そのものが言っているんです。そして、開放してほしいということを文部省に申し出ているということなんですね。だから、サイクリング協会、中央のこれに入らなきゃならないというのも、本人が、入らなくてもいいよというふうに言っている、そして荷物もちゃんと安全に軽くできているといったら、何がネックになっているかといったら、先ほど言った国鉄の営業規則だけがネックになっている。  そうしたら、これは非常に簡単におたくの方の考え方一つで、今の青年や家族ぐるみの健全なスポーツ普及という立場でできるんだから、ほかにそんな心配したことは、長期債務と大分違うんですから、これは非常に簡単に解決できみんなに喜ばれることだから何とかしてほしいと、これは切実な私のみんなの意向を代弁してのお願いなんですが、お考えいただきたいと思います。
  195. 須田寛

    説明員(須田寛君) ただいま先生指摘ございましたように、確かに今そういった規制をさせていただいていることは事実でございます。  沿革を申し上げますと、例のスキーでございますとか、そういったものが何とか網棚に載る。自転車も網棚に載らないことはないけれども、非常に据わりが悪いのでどうしても通路なりデッキに置かれる。したがって混雑する列車でお客様に御迷惑をかけるということでございましたが、サーフボードも何とか網棚に載るだろうということで試行をしておるわけでございますが、若干これにつきましては賛否両論があることは事実でございます。ただ、今先生おっしゃいましたように、相当そういったスポーツが普及をいたしておりますので、私どもやはり営業的な見地から何とかそういったサイクリングに行かれるお客様に鉄道を利用していただきたいわけでございますから、その意味でもう少しこれは検討させていただきたい。  でき得れば、そういった特に混雑する列車を避けて乗っていただく方法がないものかどうか。同時にまた、一部の地方でやっておりますけれども、むしろ解体をしないで自転車そのままお客様と一緒に乗っていただくサイクリング電車のようなものを一部の地域でもやっておりますので、そういうふうなことも含めまして、なるべくお客様に国鉄を御利用いただけるような方向で検討したいと思いますので、もう少しお時間をちょうだいしたい、こんなふうに思っております。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当に検討していただかなくちゃいけないと思うんですよね。やっぱり本人たちが非常に自覚しているわけですわ。だから、大体持って入ったら怒られますよ、込んでいるときなんか。そんな非常識なことをして怒られるような人はいませんからね。だから、やっぱりあいた電車とか、そうしてどこへ置くんだといったらあいているデッキのところに置くとか。何百人が持ち込むなんということでないんですからね。だから、その辺も心配ないということなので積極的に解決できるようにしていただきたい。  もうちょっとというのは、どのくらいのちょっとでしょうか。
  197. 須田寛

    説明員(須田寛君) 別に引き延ばしをしてどうこうということはございませんが、ただやはり一応地方の実情等も若干ございますし、サイクリング協会や文部省等とも御相談をしたいということでございますから、若干のお時間をちょうだいしたい、こういうふうに申し上げます。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もうちょっとが若干と表現が変わりましたが、とにかく早く、特にこれからまた季節でございますから、もうみんなにこういうことをして国鉄はよくやってくれたと言われなきゃお客さんは乗りませんからね。小さいようだけれども、大事にして御努力をいただきたいと思います。  そして、次に青函トンネルの問題をちょっと伺いたいんです。  青函トンネルの問題についても、先ほどおっしゃいました懇談会の報告というのが出されましたですね。この報告によりますと、カートレーンや一般貨物もトンネルを通すことというふうに考えられているわけです。資本費の扱いについては問題があり論議しなければならないですけれども、きょうのところは一点、どういうものを通すかということと関連して伺います。  五十五年の十月十六日の運輸委員会で、私もこのトンネルのことが関心もあり気になりましたので、一体どういうことだということで伺いました、どういうものを通すのか。その当時は塩川大臣でございましたけれども、「貨物につきましてはこれはいろいろ問題がありますと。貨物がトンネルの急勾配を降りる問題もあるし、それから危険物の貨物もあるし。だから貨物につきましてはやはり定期船を開設しておかなければならぬのではないかと。」。それは旅客と貨物と一緒にした定期連絡船みたいな形というふうに言われたわけなんですけれども、この懇談会の報告を見ますと、これ貨物も入れてカートレーンも入れて、そして船の方はなくしちゃうというような形になってくるわけですね。  だから、その辺のことは塩川大臣がお答えになったときと明らかに矛盾しているという点で、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということをまず聞かせていただきたいと思います。
  199. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 当時は私もまだ部長をしていたと思いますが、連絡船を残すかどうかというところで、旅客はトンネルに移したい。それで、貨物については安全性という問題もあるし、そういう面からやはり船でなければならないというようなものもあるかもしれないんで、その点で若干の連絡船の存置といいますか、その点について保留をしておられたのではないかと思いますし、我々もその点は完全にトンネルに貨客ともどもということにつきまして当時自信がなかったということではないかと思います。  このたび懇談会で、他の貨物はほとんどコンテナ化されておりますので、余り貨物について現時点において問題はないんではないかと思いますが、この懇談会のカートレーンにつきましては、これは先生おっしゃいますように、自動車なので、油といいますか、ガソリンを積んだ車を載せるということが安全上問題ではないか、こういうことではないかと思います。この点につきましては、懇談会でも安全の問題については議論があったようでありますけれども、この懇談会の結論をもらって、我々としても公団等ともさらに、輸送需要だとか、あるいは他の事業者に対する影響とかということとあわせて、もう一遍安全問題につきましてはもう少し検討してみたいと思いますので、この懇談会でトンネルの活用方としてはこういう方向をいただきましたけれども、安全性については御存じのように定点を二カ所設けておりまして、消火設備等々も一応万全を期しておるということで、その安全性についても少し詰めた議論はしておりますけれども、このカートレーンにつきましては、改めてもう少し詰めてみたいと思います。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今おっしゃった安全の問題、一番心配なんですよね。本当に真剣に考えていただきたい。もう安全であると自信を持って考えた結果を出していただきたいということと、だけども万一ということがありますからね、もし万一そこで事故が起こるというような場合を考えて、一体そのときの事故、災害に対する責任、補償ですね、補償なんというのはどこが持つのかということ、それを最後に伺わせていただいて、終わりたいと思います。
  201. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) これ懇談会のレポートにもありますように、カートレーンをやる場合にその運営主体をどうするかと。一応一つの考え方として第三セクターといいますか、国鉄以外の運営主体で運営させたらどうかというようなことが指示されておりますので、そういう意味からいきますれば、国鉄がやればもちろん国鉄でありましょうが、第三セクターがそういうことをやる場合には当然第三セクターの責任という問題が生じると思いますので、そのあたりも、いわゆる事故が起こる前提というのはなにでありますが、補償の問題とかそういうものも、今の私が申しました安全性の検討とあわせてやはりやっておかなければならぬ問題だと思っております。
  202. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  203. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 速記を起こして。
  204. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 本日は主として仁杉総裁に対して御意見をお聞かせいただきたい、こういうように思っております。これまで、こういうような場で、総裁の国鉄経営に当たる基本的な考え方につきましては御意見をお聞かせいただく機会がなかったんですが、本日は随分総裁の考え方をお聞かせいただきました。そこで私も、基本的な問題につきまして本日は御意見をお聞かせいただきたい、こういうように思っておりますのでよろしくお願いを申し上げます。  まず、総裁の感想をお聞きをしたいんですが、このような危機的な国鉄経営を引き受けられまして半年近くたたれたわけでありますが、それ以来大変御苦労をされ、かつ総裁自身も国鉄の中でかなり積極的に自分の考え方を表明され、改善の問題についてかなり多方面にわたって指摘をされてきている、こういうことを聞いておるわけであります。今のところどうなんでしょうか、国鉄における居心地はどんなものだろうか、それをまずお聞かせ願いたい。  それから、あわせて、これまでやってこられまして、国鉄自身の自主努力で果たしてこの国鉄再建が可能なものであろうかどうか。先ほど来からいろいろ御意見をお聞かせいただいているわけですけれども、果たして将来展望が総裁の頭の中ででき上がってきただろうか。その辺のところの御感想をまずお伺いしたいと思います。
  205. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今先生からの御質問でございますが、一つ問題として、昨年の十二月に国鉄総裁という大命をお引き受けして努力をしておるわけでございます。実はそれまでにも、私は御承知のとおり国鉄のOBでもございましたし、日本鉄道建設公団の総裁という立場にもございましたので、非常に国鉄問題につきましては関心を持ちまして、いろいろ皆様方の論文であるとかあるいは国鉄の発表するデータというようなものも拝見をいたしながら、いろいろと再建についての関心を持っていたということは事実でございます。  しかし、総裁に就任いたしましてしばらくというか、一カ月ぐらいの経過の中で、どうも国鉄の将来展望というものはなかなかつかめないということで、私なりに経計室その他関係部局にいろいろと指示をいたしまして作業を進めてみたわけでございます。そうした中で、これは役員会等でもいろいろ議論いたしておりますが、まだ最終にこうであるというデータまではまとまっておりませんが、大略の見込みを見ておりますとかなり見通しが暗いということでございます。  その最大の原因は、やはり構造不況業種であるというような表現をされておりますが、これから先一体輸送力がどうなるかという問題で、貨物については、どうもこれは私どもの努力も足りないと言えばそれまでかもしれませんが、どうもやはり暗い、非常に暗いということでございますが、頼りになる収入の大宗を占めます旅客につきまして検討いたしましても、新幹線とかあるいは大都市交通というようなものは横ばいかあるいは微増するという見込みでございますが、その他の幹線、地方交通線というような点につきましては、どうも他の交通機関、空港の発展整備であるとか、あるいは高速道路の整備というようなものを頭に入れながら作業をいたしてみると、少し落ち込むような感じがいたしております。  それで、そういう状況を踏まえまして、それでは一体今のままの姿、やり方でずっと先を見通してまいりますと、やはりそういう輸送量が伸びない、したがって収入運賃値上げによる増はあるにいたしましてもさほど大きく伸びないという前提の中で、今のままで参りますと長期債務累積してくるという問題、あるいは先ほどから問題になっておりますが、年金の負担が決して軽くなるということでもないということを考えますと、収入に対する人件費の割合もそう減るということでもないということでございまして、何か袋小路に入ったような感じがいたしているわけでございます。そういう意味におきましては、時に、将来の財政の見通し等を見た表を見るとか、あるいはそれに伴う全国の鉄道網のあり方を見るというようなことをいたしますと、実は一体出口がどこにあるかなというような感じがいたしたことさえあるわけでございます。  しかし、もう一回よく振り返って考えてみますと、私鉄自体が、大きい私鉄、これは大体都市付近であると思いますが、あるいは地方にあります中私鉄、小私鉄、こういうものは決して大変いい成績、ことに中小私鉄なんかは大変いい成績であるとは申しがたいのでございますが、しかしどうやらバランスをしているということも事実でございまして、赤字が出ましても多少の赤字でそれをいろいろ兼業で補うということもありましょうし、また一方から申しますと国家から補助を受ける場合もあるのでございますが、とにかくバランスをした格好でいっているということでございます。そういうことを考えますと、国鉄の場合でも線路を区分けいたしますと、大私鉄の部分に当たる部分、中私鉄の部分に当たる部分、小私鉄の部分に当たる部分というようなものはあるわけでございますから、それをそれなりに私鉄と同じような形で運営をすることができれば、バランスをするという見込みはあるわけでございます。  しかし、先ほど申しましたように、大私鉄の場合でも、経費に占めます資本費の割合というものは大体一〇%ぐらい、その前後、会社によって違いますが、その程度である。それから年金につきましては、大体厚生年金に退職者は行ってしまうということを考えますと、先ほど申しましたように、私鉄並みの経営国鉄がしたといたしましても、過去債務問題と年金負担の問題というものを解決しないと、今の運営の中ではなかなか難しいということでございます。もちろんその中では、私鉄並みということになりますと、まだまだいろいろ国鉄としてしなければならない努力は重ねてまいらなければなりませんけれども、それにしても、長期のしかも大局的に見た鉄道経営のあり方というものは、私はそういうものだと思っております。  そういう点におきまして、先ほどから同じことを申しておりますけれども、いろいろ経営形態等を論ずるという中でも、前に過去債務とかあるいは年金とかいうような問題についてめどをつけていただきませんと、どうも経営形態の方に入れないというような感じを持っているということでございます。
  206. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで具体的にちょっとお伺いをしたいのですが、国鉄は四十四年に第一回の再建計画を立てまして、それ以来四回その計画を塗りかえてきたといいますか、要するに計画を立て失敗をし計画を立て失敗をしという繰り返しをやってきたわけでございます。したがって経営悪化というものがますます進行いたしまして、結局泥沼に入ったような状況を迎えている。そして五十六年には改善計画というものを立てたのですが、三年を経た今日またその改善計画も変更しなければならない、こういう事態になっているわけですが、そこで一体、何ゆえに計画どおり進まないのか。総裁の言われるように暗い路地の中に入り込んだまんま出口がわからぬという状況になるまでに、そういうこととは別に、計画がなぜ進まないのか、計画どおりなぜいかないのか。  そこで先ほど来問題点は幾つか出されてはおりますが、一体具体的に言えば、経営の規模に問題があるのか、あるいは公社という制度、先ほども出ておりましたけれども、結局経営責任が持てない、経営責任の範囲が少ないという、公社という制度に問題があるのか、あるいはそれとも経営の資質に問題があるのか、あるいは国鉄職員の体質に問題があるのか、あるいはそれらのすべてなのか、こういうことなんですけれども、総裁は今の時点においてどのような御見解をお持ちでございますか、この点についてお伺いをいたします。
  207. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今先生の御指摘になりましたいろいろな状況というか、要因があると思います。きょう午前中亀井委員長国民全体の責任だというふうに言われたと思いますが、私も端的に言えば、だれがどうだとか、どういうことだとかいう、一つ一つ言えばいろいろあると思いますけれども、総合的に考えればやはり今のいろいろなことが絡み合ってこういう結果になったと思うわけでございます。  しかし私は、その中でも一番今までの計画がうまく進まなかったという一つの大きなものは、やはり輸送量の想定というものがいつも少し甘かったという、少しというかかなり甘かったということで、一年たち二年たつとそれだけの収入が上がってこない。そうすると、経費の方はそれに見合った姿で計上してありますから、赤字になってしまってまただめになるというようなことが繰り返されたように見ております。そうなってみますと、やはり過去のだれがいいとか悪いとかいうことは別にして、国鉄そのものがもう少しぴっちりした見方をすべきであったろうかなというような感じもいたしております。  私の現在の立場といたしましては、先ほど申しました輸送想定はまだ最後にコンクリートになったものではございませんけれども、そういうかなり冷たく見ると申しますか、冷徹な目で見るということをしてまいるし、また過去の失敗の一つ、もう一つ原因としましては、いろいろ国鉄を取り巻く構造的な問題が悪くなってきた、それに対して対応しなければならないわけでございますが、その対応がやはり必ずしも適時適切に行われなかったということもあると思いますので、これに対する反省といたしまして、やはりこれからの経営につきましては、そういう冷たく見た輸送量の上に立った経費の支出というものを考えながら運営していかなければいけないなというふうに考えて、今後努力もしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  208. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 五十六年に出されました経営改善計画、要約すれば六点くらいになると思うんです。  一つは六十年度までに三十五万人体制にいく。第二番目は組織の簡素化、あるいは職場規律の確立、労使関係の改善によって経営管理を適正化する。第三はサービスの充実、あるいは関連事業の見直し。四番目は設備投資の規模の抑制。五番目は幹線系の黒字転換。六番目は輸送量については旅客、貨物双方とも若干増加するよう努力する。これが大体改善計画の主な柱だと思うのです。  ところで、この改善計画、三年間、五十六年にできました改善計画に沿って努力をした結果を冷徹に分析してみますと、第一番目の要員縮減計画だけが実現をして、あとは大体未達成かあるいは不十分、こういう結果になっていると私は思うわけです。全部を指摘することはできませんけれども、例えば旅客は、若干増——現在少し減っているわけでしょう、計画から見ますと。貨物は、ちょっとふえるだろうというのが激減しているわけです。あるいはサービスの点についても、国民の間から、国鉄のサービスが非常によくなったという声はいまだに残念ながら聞こえてこない。あるいは関連事業は、営業収入の三%でとどまっておって、私鉄の三三%と比べれば格段の差がある。あるいは職場規律は、第五次の総点検をやったのを子細に分析して見てみますと、やはり悪いところの方が逆に目立っているというような結果があるわけです。  したがって、いわゆる改善計画を三年間やってきたけれども、目標にしたものの達成度を考えるとまことに微々たるものであるということを反省し、そこで、もうこれは時間がありませんので最後の質問になっちゃうんですが、鉄道労働組合、私はその顧問をやっておるわけですが、昨日と一昨日中央委員会を開きまして新たな提言を行っているわけです。これは地域本社制にして、そして地方分権ですね、経営のやり方を任せる、任していただく。そして自由に営業活動を展開できるというような、こういう形にしよう、こういう提言をかなり具体的にしているわけですが、この提言について総裁として、午前中私も聞いたんですが、亀井再建監理委員長は非常にこの提言については感激をしたという表現をしておられるわけでありますが、総裁としてこれについてのもし御感想がありましたらお聞かせをいただきたいということと、あわせてこの点についての運輸大臣の感想もお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  209. 仁杉巖

    説明員仁杉巖君) 今御指摘のように、経営改善計画におきましてもいろいろそごを来している点がございますし、また職場規律、サービス等でもまだ十分でないということについては私も十分認識をいたしておりまして、これらの点につきましてはさらに努力を重ねて目的を達成するように努力してまいりたいと思います。  実は鉄労からの提言は、けさ鉄労との間に経営会議があったのでございますが、鉄労からはその説明はこの次にしてほしいということで、詳細にまだ聞いておりません。しかし、新聞等で拝見いたしますと、非常に画期的な提案をされているようでございます。これらにつきましては、私どもも今後、先ほどから申しておりますように、経営形態等につきましてもいろいろ検討する段階の中で十分参考として見せていただきたいというふうに思っております。
  210. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 鉄労の新しい提案につきましては、私はまだ詳細には承知しておりませんが、大筋のことは聞いておるのでございます。ここまで来たかという感じ、もう全く大変な、在来の考え方からしますと飛躍的な提案であるというふうに思っております。  先ごろ、内達一号というハンドル時間の労働条件もこれは労働組合との間に交わされたようでありますが、こういう点、いろいろな点から考えまして、国鉄の改革といいましょうか、何とかしなければ自滅するほかないという感覚が非常に浸透してきておる。特に鉄労はその先頭に立って、危機であることを非常に強く感じておられるという点を私、強く感じておる次第でございます。
  211. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の調査はこの程度といたします。     —————————————
  212. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。細田運輸大臣
  213. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  四面を海に囲まれた我が国にとりまして、港湾運送は、海陸交通の結節点たる港湾における流通機能のかなめとして産業の発展、貿易の振興等我が国産業経済上極めて重要な役割を果たしております。  しかしながら、近年、コンテナ埠頭等の近代的な港湾施設の整備などによる港湾における物流合理化の進展には目覚ましいものがあり、港湾運送についても、このような状況の変化に適切に対応すべく港湾運送事業に関する規制を見直す必要性が高まっております。  また、この点につきましては、昨年三月の臨時行政調査会の最終答申におきましても、同趣旨の指摘を受けているところであります。  このような情勢にかんがみ、将来にわたって効率的な港湾運送事業の実施が図られるよう、今回、港湾運送事業法を改正することとした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、船内荷役と沿岸荷役が一貫して行われる荷役形態が大部分を占めるようになった現状にかんがみ、事業の種類について、船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合して港湾荷役事業とすることとしております。  第二に、一般港湾運送事業者についての下請に関する規制の弾力化を図ることとしております。  現在、一般港湾運送事業者は、引き受けた港湾運送について、その一部を直営することを条件にそれ以外の港湾運送については、当該事業者と一定の密接な関係を有する関連事業者に下請をさせることに認めておりますが、今回新たに、コンテナ埠頭等の施設においてみずからの統括管理のもとに一定量以上の港湾運送を行う場合にも関連事業者に下請をさせることを認めることとしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  214. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  215. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————