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1984-05-17 第101回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十七日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員の異動  五月十六日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     山田  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 下条進一郎君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 小島 静馬君                 小林 国司君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 山田  勇君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督          局長       永光 洋一君        運輸省航空局長  山本  長君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       加治  隆君        国土庁大都市圏        整備局整備課長  立石  眞君        水産庁振興部開        発課長      河田 和光君        水産庁研究部漁        場保全課長    山添 健一君        運輸省航空局飛        行場部長     松村 義弘君        運輸省航空局飛        行場部関西国際          空港計画室長   小坂 英治君        運輸省航空局技        術部長      川井  力君        運輸省航空局管        制保安部長    平井磨磋夫君        建設省計画局地        域計画官     光岡  毅君        建設省道路局道        路経済調査室長  藤井 治芳君        自治省行政局振        興課長      小島 重喜君    参考人        関西経済連合会          会長       日向 方齋君        東京大学名誉教        授                航空審議会委員  五十嵐寿一君        大阪市立大学名        誉教授      川島 哲郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関西国際空港株式会社法案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  関西国際空港株式会社法案を議題といたします。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございます。本日は、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りまして、審査参考にいたしたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げますが、日向参考人五十嵐参考人川島参考人の順で、お一人十五分以内に取りまとめてお述べいただきまして、その後委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、各要員の質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。  それでは、日向参考人からお願いをいたします。
  3. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 日向でございます。  本日は、関西国際空港につきまして意見を述べる機会を設けていただきまして、厚く御礼を申し上げます。せっかくの機会でございますので、経済界立場から私の意見を申し上げさせていただきます。  関西国際空港建設は、内外の航空情勢から見て、緊急の国家的課題であると思います。国際空港といえば二十四時間利用できる国際空港世界の常識でありますが、我が国では、伊丹も夜間厳しい使用制限が行われておりますし、成田も同様であります。我が国を代表する国際空港としては、まことに不完全なものであります。また、我が国に乗り入れを希望しながら門戸を閉ざされておる国が三十一カ国もあると聞いております。  国内的に見ましても、伊丹空港は、羽田とともに国内航空網のかなめとなるべき空港でありますが、騒音問題などから一日の離着陸の回数が、伊丹でありますが、三百七十便、そのうちジェット機は二百便に抑えられております。このため、最近の地方空港の急速な整備に伴い、路線の新設あるいは増便の強い要請があるにもかかわらず、それにこたえられない状況にあります。  関西空港は、このような我が国が抱える空港問題を根本的に解決するものであります。すなわち、泉州沖五キロの海上に二十四時間運用可能な新空港建設することは、我が国空港能力を質、量ともに大きく向上させ、国際的には、現在の空の鎖国とも言うべき状態から脱却し、我が国世界に向けて開放するとともに、国内的には、関西中心とする空港網のネックを解消し、西日本の拠点になるものであります。  関西空港については、昭和四十九年、泉州沖を最適とする航空審議会第一次答申が出されたのでありますが、当初、地元の政界、自治体取り組み姿勢は必ずしも積極的ではありませんでした。そのため、地元経済界がやむを得ず先頭に立って建設促進活動をしてきたのであります。その中心的役割を果たしたのが関西国際空港建設促進協議会通称促進協であります。これは五十四年三月、近畿二府三県の経済団体で結成したものでありますが、その後、昭和五十七年七月に、経団連を初め全国五十一の主要経済団体参加を得て、ナショナルプロジェクトにふさわしい体制を整えてまいりました。  私は、促進協設立以来今日まで、代表理事の一人として先頭に立って懸命に促進運動を展開してまいりました。それは関西経済の浮揚といった一地方の利害のためではなく、関西空港建設することにより日本を空の鎖国から開放することが、自由貿易国際協調を国是とする我が国にとって緊急不可欠の課題であると考えたからであります。  関西国際空港事業主体につきましては、紆余典折を経て、国、地方団体及び民間出資する特殊法人としての株式会社という新しい形態が決まりました。  基本的に、第一種空港である国際空港整備国家責任を持って行うべきものであります。しかも、関西空港事業費八千二百億円のうちの四十五億円、約五五%が用地の、すなわち国土埋立造成費であります。民間ベースでの採算にのせることは難しいのであります。関西空港は、元来、民間出資になじまないプロジェクトであります。私は、企業経営者として信念を持って当初から民間出資に強く反対してまいりました。しかしながら、現在の厳しい財政事情もとでこのプロジェクトをスタートさせるためには、どうしても二百億円の民間出資が必要であるとの政府の意向があり、また、これによって緊急不可欠の関西空港早期着工実現できるとするのであれば、ここは百歩譲って本構想に協力しようと私も考えを変えました。本年一月、在阪経済団体首脳に諮り、二百億円の民間出資に協力することを決議したのであります。  民間出資につきましては、現在具体的方法検討中であります。経済団体並びに在阪経済団体首脳と相談して業種間、業種内バランスなどを考慮しつつ、関西中心に、関東を初め全国主要企業出資お願いしていきたいと思います。また、協力すると決めた以上は、資金面のみならず、人材、技術、経営ノーハウ等民間の活力を提供して効率的建設運営に協力していきたいと思います。  第一種空港である国際空港建設運営を行うものでありますから、何よりもまず公共性確保を最優先に考えるべきだと思います。その点、今回の株式会社法案では、国が二分の一以上の株式を保有することを明記するとともに、ほぼ公団並みの助成、特例措置を盛り込んでいることは評価できると思います。この上は、本法案を速やかに成立させ、予定どおり十月に新会社を発足させ、六十年度着工、六十七年度開港を実現していただきたいと思います。  さらに、新空港機能を十分発揮させるためには、道路鉄道等アクセス交通網整備が不可欠であります。道路については、新空港を軸とする近畿圏高速道路網整備鉄道については、新空港と新大阪直結等整備を、新空港建設と並行して着実に促進していただきたいと思います。  新空港実現のために、経済界としては今後も引き続き積極的に支援をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  これで私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  4. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) どうもありがとうございました。  次に、五十嵐参考人お願いいたします。
  5. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 五十嵐でございます。  本日、関西空港につきまして意見を述べるようにとのお話でございますが、実は私、航空審議会におきまして関西空港部会に所属いたしまして、第一次答申が出るまでいろいろ関係してまいりました。私は、主としてその中で環境問題に関与してまいったわけでございます。その後特別にこの問題に関係しておりませんので特別な意見を申し上げる立場にもございませんが、その第一次答申が出ますまでの環境問題に対する考え方の経過を若干申し上げまして御参考に供したいと思います。  昭和四十年ごろから伊丹空港でいろいろ騒音問題が深刻になりまして、私ちょうど大学航空研究所におりました関係航空機騒音に関与してまいったわけでございます。それで、伊丹周辺におきます騒音問題の調査をいたしまして、昭和四十五年に大がかりな調査をして、御承知のような騒音の等音線と申しますか、コンターと申しますか、そういうものの作成のお手伝いをいたしました。そういうことをいたしまして、やはり伊丹の問題は非常に深刻である、何とか新しい空港建設する必要があるのではないかということで、この関西空港建設計画が始まったと思います。  そこで、この新空港計画につきましては、幾つかの候補地につきまして調査をいたしまして、その中で実際に飛行機を飛ばせて、沖合、まあ大体その当時五キロにつくるということで進んでおりましたが、そこにつくりました場合の影響ということの調査をいたしまして、そういう試験飛行の実施にもいろいろ関係してまいりました。そういうことがもとになりまして、沖合五キロにつくるということでほぼ環境問題は解決するであろうということでございました。その当時から幾つかの候補地につきまして、どこにするかということで、これはいろいろの面から検討がなされたと思います。それで、現在御計画が進んでおられます泉州沖に決定したという経過があると思います。  ちょうどそういう調査の途中でこの環境基準を決めるという問題がございまして、私そちらの方にも関係してまいったわけでございます。今泉州沖に御計画空港ができたといたしますと、将来にわたって環境基準を超えるという地域は陸上にはほとんどない。もう完全にそれは海上の範囲になるということでございます。そういうことでございますので、この海上に新しい空港ができまして関西発展ということになりますれば、非常に結構ではなかろうかと思います。  ただ、飛行機の運航というのは、御承知のように非常に管制を完全にやらないといろんな問題が出ますけれども、そういう意味で、将来この法案にもございますような会社ができましたときに、監視を適当にやるということが一つお願いしたいことでございますし、またアクセスの問題あるいは建設の途中におきます環境問題というのが、第一次答申の当時は具体的な計画がございませんので、どういうふうにするという具体的なことまでの議論はなかったと思いますが、今後具体化する段階でそのアクセス及び建設に関する環境問題の御配慮をいただきたいと思います。  以上で私の意見を終わらせていただきます。
  6. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) どうもありがとうございました。  次に、川島参考人お願いいたします。
  7. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 御紹介をいただきました川島でございます。本日このような席で意見を陳述する機会を与えられまして、まことにありがとうございます。  私は経済地理学を専攻する者でございまして、現在この分野の全国研究者をもって構成されております経済地理学会会長を務めています。私は、専攻する学問の関係から、関西国際空港計画については特別な関心を持って、特に本空港建設地域経済に及ぼす影響に関して、これまで多くの調査参加してまいりました。特に、昭和五十二年度から五十四年度にわたって国土総合開発事業調査調整費による国土庁中心にいたしました関係省庁の行いました関西国際空港周辺地域調査では、地域構造部会長を務めました。また、昨昭和五十八年度から五十九年度にわたって関係省庁の実施しております泉州紀北地域総合整備計画調査では、通商産業省所管調査について委員長を務めております。そのほか、大阪府を初めとする地元自治体民間経済団体の行った多くの調査関係してまいりました。  そのようなわけで、本日は、これらの調査を通じて感じました問題点中心にして、私見を申し述べたいと思います。  まず、現在審議を進められている関西国際空港株式会社法案につきましては、御承知のように、昨年末までは地元では、空港設置、管理を行う事業主体に新東京国際空港と同様に、新設される 公団が充てられるものと期待しておりました。しかし、本年に入って、諸般の情勢から特殊株式会社方式が採用されることになり、地元の一部に失望と将来に対する懸念を引き起こしたことは事実でございます。  だが、法案を見ました限りでは、第一種空港としての位置づけは明確でありまして、また国際空港の持つ公共性確保や国の援助に関する配慮公団並みに規定されており、特に後者につきましては公団や既存の特殊会社を上回る措置も見られます。したがって、この点に関しましては、必ずしも公団株式会社という形式上の差異にこだわる必要はないと思われます。むしろ、株式会社として自主性発揮効率性確保が十分保証されるならば、これまでの公団形式にまさる実績を期待することが可能だとも思われます。  ただ現実には、建設運営の過程で必ずしも法案精神が十分に生かされず、公共性確保に必要な国の監督が十分に行われないとか、あるいは、国の責任があいまいにされ、一方で人事その他の諸点で国の過度の介入が行われまして、会社経営自主性効率性発揮が阻害されるといった事態が、起こらないとは断言できないように思われます。  そのようなことになっては、株式会社方式の持っておる弱点のみが露呈されまして、空港建設運営に重大な支障をもたらすことになりかねません。したがって、会社運営に当たっては、環境監視を初め、公共性確保のための体制整備するとともに、役員大事などに関しまして適切な配慮が行われることによって法案精神が十分に生かされるように配慮されたいと思います。  次に、地域整備について申し述べたいと存じます。  関西国際空港が、関西はもちろん、全国にとって持つ意義につきましては、改めて申し上げるまでもないと存じます。  大阪都市圏定住人口一千六百万人、世界でも屈指の巨大都市圏でありますが、現在の大阪国際空港騒音対策上厳しい運用制限を余儀なくされておりまして、この巨大都市圏需要には決して十分にこたえておりません。むしろ都市圏、ひいては関西の健全な発展阻害要因一つになっているのが実情であります。新しい空港設置が、この阻害要因の除去に貢献することは明らかでございます。  新空港はまた、二十四時間空港一つも持たない我が国にとりまして、全国的見地からも極めて重要な意義を持っています。特に国際化情報化時代に移行しつつある今日、関西空港の果たすべき役割、またそれのもたらす効果は改めて申す必要もございません。  このように、新空港全国的、広域的にもたらす便益は疑いを入れませんが、一方、本空港設置される直接の地元地域にもたらす費用便益計算の収支結果は、必ずしもそれほど明確ではありません。それは、受益者負担者との関係が複雑に錯綜しているだけでなく、また、対応いかんによって左右される不確定部分を多分に持っているからであります。空港設置に関する地元地域のコンセンサスに多大の時間を必要といたしました一因は、この点にあると思われます。  今回の空港設置地元であります泉州紀北地域は、高度成長期に、大阪都市圏あるいはその隣接地域のうちで、その成長の最も緩慢な地域でございました。そのために、空港設置機会都市圏内での地域格差を一挙に埋めようという期待は一方で大きいものがございますが、同時に他方で、その実現を危ぶむ懸念も少なくありません。  もともとこの地域は、明治以後の発展の中で、大阪都市圏内での先進地域でございました。この事実は、卓越した地場産業の集積にも反映されているところでございます。これら地場産業の多くは、現在では一般に停滞ないし斜陽産業と見られがちでございますが、その実力と地域にとっての重要性は決して軽視することができません。例えば、泉大津市を中心とします毛布の生産全国の九六%以上のシェアを持っておりますし、また、泉佐野市とその周辺地域のタオルは、四国の今治市と並ぶ全国の二大産地一つであります。さらに、貝塚市を中心とするワイヤロープ生産は、全国最大産地でございます。このほかにも数多くの地場産業がありまして、地域経済、特に雇用に関して極めて重要な役割を果たしています。また、地場産業と並んで、この地域の農業は、都市圏及びその周辺地域での食糧供給緑地環境保全に関しまして、重要な地位と役割を果たしております。  国際空港設置は、もちろん一方で、これら地場ないし地域産業に、生産性の向上とか製品の高度化などによる体質改善の刺激や機会を与えることも事実でございますが、他方で、労働力の競合などを通じて、打撃を与えるおそれを十分に持っています。もとより、環境変化に対応して企業体質改善を図ることは、何よりも企業あるいは個人の努力にまたなければならないところでございますが、地場ないし地域産業の大部分中小零細企業でありまして、状況次第では急激な変化の予想もあり得ることを考えますと、国や地方自治体においても適切な指導と対策を準備する必要があると思われます。  緩やかな賃金や地価の上昇は、さきにも申しました都市圏やその隣接地域内でのこの地域格差解消につながるものとして、地域全体としてはむしろ歓迎すべきものであると思われますが、いずれにしましても急激な変化による混乱は極力これを避ける必要があります。特に投機による地価の急騰は、地域整備の上でも著しい障害を引き起こしますので、公共施設用地の買収や土取り地の選定などに際しましては、慎重な配慮が加えられることが重要であります。  また、地場産業地域産業振興と関連して、この地域に進出する、例えば機内食供給業などのいわゆる空港支援産業については、地元資本及び労働力参加の道を開くという配慮が望ましいと考えます。従来の事例では、この種の産業が他地域からの資本流入労働力によって独占されるケースが珍しくありませんが、空港設置に伴いまして将来一部の地場産業地域産業あるいは労働力にとって転廃業あるいは転職が避けられない事態が起こることも考えますと、この点に関する配慮は、地域と共存共栄する空港というスローガンの実現のためにも、極めて重要であると思われます。  いま一つ地域整備に関しましては、地元地域社会資本の充実、特に都市環境整備の必要について申し述べたいと思います。  さきにも触れましたように、この地域は比較的最近まで成長が緩慢でございましたので、自然環境保全という点で相対的に恵まれました反面に、近代的な都市環境整備という点ではおくれをとりました。域内道路あるいは下水道、あるいは都市公園もとより、高等教育機関に至るまで、ほとんどのインフラストラクチャーが、都市圏及びその隣接地域内で最も低い水準にございます。言うまでもなく、国際空港の持っておる高度の機能を活用いたしまして、そのもたらす便益の一部を地元地域が享受するためには、それを可能にする諸施設整備とともに、都市環境そのもの国際的水準にまで高められていることが必要であります。そうでなければ、地元地域は単なる通過地域に終わることは明らかであります。この点については、地元地域の十分認識しているところでございますが、何分脆弱な財政力のために、現状ではほとんど多くを期待し得ないというのが実情でございます。地域整備といいますととかく空港アクセス関心が集中しがちでございます。そのことの重要性は申すまでもありませんが、少なくともこの地元地域にとりましては、都市環境整備ということがそれ以上に重要な意味を持っていると思われます。関係府県当局とともに、国におきましても、この点に関する行財政上の必要な措置について特別な配慮を煩わしたいと思います。  最後に、今回の法案成立の暁にさしあたって着工される第一期計画は、面積五百ヘクタール、滑 走路三千三百メートル一本と、当初構想されていたものに比べますと著しく縮小されました。もちろん全体構想は、面積千二百ヘクタール、滑走路四千メートル二本、補助滑走路三千四百メートル一本と、当初の構想とほとんど同じでございますが、万一この第一期計画だけで終わるといたしますと、新しい空港建設もまた、不完全な空港一つつけ加えることになりかねないと思います。もちろんその場合にも、航空騒音解消など、現空港とは比較にならないことは言うまでもありませんが、大阪都市圏の現に持っております航空需要に照らしても、その能力は著しく不十分でございます。まして、これから空港完成時までに増大する需要量や、二十四時間稼働というこの空港の性格を考慮に入れますと、引き続いて第二期以後の計画の早急な実行がぜひとも必要であると思われます。  そのためにも第一期計画の順調な進展を実現しなければならないところでありますが、第一期計画だけでこの計画が終わることのないように特に配慮をいただきたいことを申し添えたいと思います。  以上で私の意見陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。
  8. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。  参考人皆様には御着席のままで結構でございますので、御答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 御苦労さまでございます。  日本社会党小柳勇でございます。  まず日向参考人にお尋ねをいたします。  第一は、口述の中でも御発言がございましたが、第一種空港建設民間出資するということに自分は初め反対であった、そういう御発言がございました。にもかかわりませず、予算がつく最終段階ではこれに賛成し、かつ促進協の会長として大変な御尽力をされました。したがいまして、今御心境は述べられましたが、もう一度現在の御心境についてお伺いをいたします。  まず質問を、簡単でありますからずっと申し上げますから、よろしゅうございますか、五点ばかり簡単に申し上げます。  第二点は、運輸省が収支計算を推算いたしております。まず開港後五年で単年度黒字、それから。九年で八%配当が可能になり、さらに二十三年目には借金の全額を返済できる、こういうように試算をいたしております。財界の大御所でありますから、日向参考人の御試算によっては運輸省が今言っているようなことが可能であるかどうか、これが第二点でございます。よろしゅうございますか。  それから第三点……
  10. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 一点は何でございましたでしょうか。一つ一つ……
  11. 小柳勇

    小柳勇君 ああそうですか。それじゃ、質問を簡単にいたしますから、私が今二十分程度質問時間を与えられておりますからどうぞよろしく。  それでは、その二問についてまず御答弁を願います。
  12. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 第一は、第一種空港であるのにかかわらず民間出資に至った経過でありますが、実は民間出資は第一種空港に対して不適当であるといまだに思っております。しかしながら、金額も二百億円と下がってまいりましたし、二百億円ぐらいは民間出資させることも可能だと思いますので、またそれだけの金でこの緊急な国家計画がスタートできるとすれば、それは民間もひとつ大乗的見地からこれに協力するのがいいのじゃないかということが一点と、それからまた、民間出資によって一兆円方の企業があの地で行われると、それは大阪地区に結局資金が落ちまして、公共投資をしたと同じような事業になるというメリットも間接に考えまして、まあ二百億円ぐらいなら寄附したつもりで出そうじゃないかということで意見をまとめました。  それから、その採算につきましては、運輸省で厳格に計算しておられるので何とも言えませんが、しかしながら滑走路三本の飛行場のために、先ほど実は私言い違えて大変恐縮でありますが、土地造成に四千五百億円——これを四十五億円と言い違えまして、大変恐縮ですが訂正させていただきますが、その土地造成に四千五百億円も出して、三本の滑走路から収入を得て配当をしていくということはなかなか困難なことであると思います。そういうこともあって出資を求めることは事実上なかなか困難でありますが、これはひとつ大いに説得しまして、大乗的見地から民間も協力してもらいたいということでまとめていきたいと思いますし、まあ何とかまとまるだろうと考えておりますが、これは実行委員、実際に担当せられる方がやることでありますが、我々もそれまでにその地盤をならしておいて、実行できるように協力したいと思っております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、第三問は、関西財界で二百億金を出資してもらうということでありますが、見当はついておりましょうか。
  14. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 関西財界だけではありませんが、関西中心として東京その他の各地の財界からも協力を得まして、私だけの考えてありますが、何とかできるのではないかと思っております。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 それから、先日現地調査に参りましたら、兵庫県知事や、それから神戸の市長などは、積極的でなかったように私は印象を受けました。そういうことで、大阪府は一生懸命だけれども、兵庫県なりあるいは神戸市などは、神戸沖の飛行場をつくりたいという意向を、順を先に述べられました。この点についてはいかがですか。
  16. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 御承知のような経過でありますので神戸の市長や兵庫県知事は積極的な態度は示しておらぬと思いますが、しかし協力はしておりますし、泉南空港設置することに賛意を表しております。その資金につきましては、財界の問題でありますので、私は兵庫県の財界から応分の出資を求めることはできると思っております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 それから、今雑誌などで、役員人事のことでもう社長の候補など名前が出ておりますが、川島先生も今おっしゃいましたが、この役員人事は大きく出資する政府関係、まあ財界が金を出すんだから財界からだというような雑誌の記事がございますけれども、この役員人事は大変だと思うが、会社ですから、余計出資した方から発言権の強い役員が出るべきだと、そういうことを考えるのですけれども、いかがですか。
  18. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 私個人としては、先生と大体同じような考えは持っておりますが、これは適当な人は、人を得る手段、方法でありますから、官界からでも民間からでも適当な人があったら選ばれると思いますが、これは設立準備委員会の問題でありまして、私個人の問題でとかく言うのはこの際避けたいと思います。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 私は兵庫県のあの空気を非常に心配いたしておりますから、今後日向参考人などのさらに御尽力をお願いする次第であります。  それから五十嵐参考人に質問いたしますが、第一点は、夜間飛行による実験飛行調査がまだやられてないが、夜間飛行の場合の騒音の心配が全くないのかどうか、お聞かせください。
  20. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 原則的には、飛行機が昼飛びましても夜飛びましても、騒音の程度は変わらないと思います。ただ、気象の関係で若干昼と夜は違うと思いますが、現在御計画になっておりますような飛行コースが守られる限り、先生御心配のようなことはないと思います。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 二十四時間運用でございまして、実際この間この委員会でも問題になりましたけれども、まだ夜間の騒音調査をやっていない。住民の皆さんも心配だと思いますし、この国会でも心配いたしております。  それから次は、低周波空気振動が大部分地域住民の日常生活に支障があるのではないか、こういう心配をいたしておりますが、いかがでしょうか。
  22. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 現在も伊丹大阪空港で低周波の問題がございます。ただこれは、音と言いますよりもむしろ、飛行機が飛びますときにできます、乱流と申しますけれども、空気の乱れでございます。それから生じます非常に低い振動数の波が、例えばかわらを動かすというような問題が若干起こっていると思います。ただ、現在の海上空港は実際の民家からは非常に離れておりまして、そういう問題が起こる可能性はほとんどないと思います。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 それからもう一点は、風向きの変化によりまして、成田空港などでも相当騒音が違うと言われています。先生方が専門的にお考えになりまして、風向きによって振動、騒音その他相当の変化は、現在調査はやっておりますけれども、いかがでしょうか。
  24. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 先生のおっしゃるように、確かに風向きによって非箱に騒音の伝わり方は違うと思います。特に風上の方にはほとんど伝わらない。風下にやはり伝わりやすいという傾向はございます。ただ、現在、五キロ離れておりますと、風向きのいかんにかかわらず、公害を起こすという音の大きさにはならないと思います。ただ、聞こえるということは十分考えられます。  そういうことで、先ほど申し上げました試験飛行のほかに、羽田の沖で羽田の滑走路から三キロあるいは五キロ離れて船から観測を大分したことがございます。その場合も風下でございましたけれども、確かにあそこに飛行機が離陸を始めますと、音は聞こえますけれども、これは公害というような音ではございません。ですから、気象によりまして伝わり方は違いますけれども、公害を起こすということにはならないと思います
  25. 小柳勇

    小柳勇君 ありがとうございました。  最後に、川島参考人に質問いたしますが、地域経済の専門家であられますが、関西空港建設地域経済に与える浮揚効果について、数量的に御検討になったことがございましょうか。
  26. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 特に雇用効果に関しまして、大阪府の労働部の雇用政策推進会議、私もそれに参画しておりましたが、そこで計算した数字はございます。しかし、この計算は、空港の効果が全部近畿の中へ落ちるという前提で計算してございますので、現実にはかなりな部分はもちろん関西以外に流出いたしますので、この数字をそのまま取り入れるということは少し楽観に過ぎるのではないかと思いまして、現在また計算をし直しておる最中でございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 次は、本四連絡橋の建設や青函トンネルなどの大規模な建設工事につきましては、建設工事の仕事を受ける会社というものは大手企業が多い。地元の中小企業へはほとんど発注の機会がなくて、地元の経済振興については非常に心配である。地元産業界が期待するほどの利益の還元はないのではないかと心配いたしておりますが、そういう点で試算されたことはございますか。
  28. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) その点の試算は、私は余り数字としては見ておりません。しかし、御質問の御趣旨のように、私は先ほど多少それに関連したことを申しましたが、全部大企業に資金が流れてしまうというのは適切ではないと考えております。御承知のように建築業界というところは、しかし下請が非常に多様に行われる部門でもございますので、地元建設業界が参画する余地は十分に私はあると思っております。ぜひそうしていただきたいと考えております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 地元産業構造も変化をしなければならぬというさっきお話がございましたけれども、何か先生方を中心にしまして、地元産業界が産業構造の変化をこの際やらなきゃならぬという積極的な会合なり動きがございますか。
  30. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 各地元の商工会議所、特に泉州側の商工会議所はかなり活発でございまして、自主的にいろんな問題を解決しようとして動いているように思います。私も折に触れて助言を求められれば積極的に協力はいたしておりますが。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  32. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 社会党の瀬谷でございます。  最初に、日向参考人にお伺いをいたしますが、今御意見をお聞きいたしますと、第一種空港というのはもともと民間出資にはなじまないものである、今もってそういう考え方に変わりはない。しかし政府の方で、民間会社にして財界で出資をしてくれ、その金額は二百億である、こういう話が強くあって、この二百億の出資をして政府の原案に賛成をしないとなかなか関西空港というものが実現の運びに至りそうもない。そこで政府の考え方に同意をしたんだ、このようにお聞きをするわけです。  そうすると、総額から言うと、これは恐らく完成までには兆を超すような大事業だろうというふうに思われるわけです。出す方にしてみれば二百億です。この二百億の比率を考えると、まさに九牛の一毛、極端な話が。そういうことになるんじゃないかという気がいたします。  そこで、出す方にしてみれば大金だけれども、総額の予算の枠から見るとごく一部にすぎない。にもかかわらず株式会社という方式をとる、こういう行き方はやはり余り外国には例がないように聞きました。したがって、後々の例えば環境問題あるいは漁業補償の問題、これらの点についていろいろ問題が起きた場合に、会社としてこれらの点にすべて責任を負うということになると大変だろうという気がいたします。この場合、会社側が前面に立って、地方自治体がそのバックアップをするという格好になるのか、その辺の取り扱いというものはどのようになさるお考えなのか、あるいはどうすべきであるというふうにお考えになるのか。その点が一つ。  それから、アクセスの問題であります。アクセスの問題としては、泉州沖というのは適当であるかどうか。下手にまごつくと、今の成田空港と同じような、やや便利の悪い空港になるんじゃないのか。その場合には、関西空港というものを外国空路に専ら使って、伊丹の現在の空港を日常国内空港用に使うというふうな使い分けをするという考え方が想像されるわけでありますが、そんなような考え方でいった方がよろしいというふうにお考えになっているのかどうか、以上の点についてお伺いをしたいと思います。
  33. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 第一の、一兆円を超すかもしれないという金額に対してたった二百億くらい出して、それで何かいろんな問題解決をしようというのは、俗に言うおこがましいじゃないかというような御質問かと思いますが、二百億円の出資はしても、政府は八百億出すのであります。それから公共事業体が二百億でありますので、その新会社運営については二百億の民間出資がそんなに大きな発言力を持つとも思いません。全体として問題を処理することになるかと思います。私は素人考えとして、地元の問題等については従来から関係を持ってきた大阪府が、その出資を二百億もしておりますので、人も適当な人を出してその問題の処理に当たらせるのが適当ではないかと思いますが、これは、新会社をつくって人を適当に入れて、そして処理することになるだろうと思います。そのように考えます。  第二のアクセスの問題でございますが、これもまた簡単ではございません。しかし、既に建設省は湾岸道路というのを神戸からずっと泉佐野までは決定しております。泉佐野から現地までは十キロ余りでございますので、それを延長すれば、神戸から現地までの高速道路はでき上がります。また、神戸と現地との間は高速艇で約二十分、純粋の走行時間は二十分、離着陸を入れましても三十分あれば十分到達できます。それから大阪からは南海電鉄が現地の近くを通っておりますし、それから国鉄阪和線も割合に近い距離を走っておりますから、私の私案でありますが、国鉄から南海を 通って、空港島までを何か特別の交通システムなどをつくればうまくいくのではないかと思います。また国鉄の方も、新大阪駅から天王寺までを連絡する鉄道をつくれば、それから阪和線まで続いておりますから、天王寺までの距離を新大阪駅とつなげばこれまた利用できますし、いずれにしましても空港島ができるまでは七年も着工からかかりますから、その間にいろんな方法を考えれば可能であると思います。  先ほど申し上げましたのに間違いがありまして、泉大津までは既に湾岸道路が決定しまして、それから先を少し延ばせば空港島の対岸までの湾岸道路は簡単にでき上がると思っております。  以上でございます。
  34. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう一度お伺いいたしますが、要するに日向参考人のお考えとしては、第一種空港はあくまでも国家責任を持つべきものである、民間出資にはなじまない、その考え方には変わりはないと。しかし政府は、二百億出資をして株式会社方式にしろと。そういう政府の意向に同調しないとなかなかいつになったらこの関西空港が発足できるかわからない。そこで、政府の考え方にいろいろ注文をつけて同調したんだと、こういうような格好になるわけでありますが、そのように理解してよろしいんですか。
  35. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 注文をつけてというとちょっと人聞きが悪うございますが、政府の方も財政再建で苦しい中からスタートするという事情があって、わずかな金でも民間も協力すると。それで、この計画が大分時間もかかるものでありますから、ここでスタートできれば国家のためにもよいじゃないかと、こう考えまして賛成した次第でございます。
  36. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 わかりました。  それでは次に、五十嵐参考人にお伺いいたします。  先ほどの小柳議員の質問によりますと、夜間、深夜の騒音というものは、我々はまだ現在のところ深夜は飛行機の離発着というのはないわけですから、日本の国内空港では経験してないわけです。そこで、今度二十四時間操業ということになると初めての経験なんですが、五キロ沖であるということによって余り問題はないのではないかというお話でございます。私らも実験したわけじゃございませんが、要するに専門的な立場からいろいろと御研究になった結論としては、音はするけれどもいわゆる騒音公害というほどのものではない、俗な言葉で言うと眠りを妨げるほどのものではないと、このようにお聞きをするわけでありますが、そういうふうに理解をしてよろしいのかどうかということであります。  それからもう一つ。場所的に、これは航空審議会立場でもっていろいろ御検討になったと思うのでありますが、この泉州沖というのが、海底の地質やら何やら漁業問題等も勘案して、この周辺の中で、あるいは神戸沖という意見もありましたけれども——兵庫県は神戸沖ということを言っております、いろいろな地域をずっと比較して泉州沖というのが一番よろしいというふうな結論に、比較をしてなったのかどうか。あるいは五十嵐参考人とすれば、泉州沖よりもっといい場所があるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点もざっくばらんにお聞かせを願いたいと思うのであります。
  37. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 最初の、深夜の飛行機の問題でございますが、飛行機の音が特殊ではございますが、私どもの音響の立場から申しますと、例えば列車が通る深夜の音あるいは自動車が通る深夜の音という音と特別に違うものではございません。そういうことから申しますと、例えば五キロ離れて飛行機が飛ぶというのは、自動車が相当離れた道路で夜間通っているという場合に眠れるか眠れないかということと、ほとんど同じかと思います。そういうことから申しますと、今いろいろ御心配いただきますように、飛行機が夜飛ぶから非常に問題があるというふうには考えておりません。それと、外国では二十四時間の運航をしている空港がたくさんございます。そういうところで深夜特に問題が起こっているという、そういう報告を私も見ておりませんし、そういう問題が起こってないと考えております。  次に、泉州沖候補地として一番いいという決め方がどうであったかという御質問だと思いますが、これは御承知のように泉州沖、神戸沖それから明石沖と、審議会の段階ではその三つについていろいろな方面からの比較検討がなされたと思います。これは審議会にはそれぞれの専門の先生方がおられますので、その御専門ごとにいろいろ御意見がありまして、総合的に泉州沖と決まったと記憶しております。環境の面から申しますと、沖合五キロというのはいずれの場合にもそういう計画になっておりますので、飛行機が運航することによる騒音問題としては、私としてはどの場合も同じと考えております。以上でございます。
  38. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは今度、川島参考人にお伺いをしたいと思います。  地域の問題についていろいろお話がございましたが、成田の経験からすると、空港が周辺にできたことによって、例えば成田の場合は成田に金は落ちないわけですね。国際空港ですから、外国へ行ったり来たりするこういうお客さんがもっぱら成田を使う。外国から成田山参りに来る人は余りいないので、どうしてもあそこは素通りするだけになってしまう。したがって、成田山の名物の米屋のようかんだとか鉄砲漬けなんというのは、別にあそこに空港ができたことによって売れ行きがよくなったという話は聞いておらないわけです。そうすると、この泉州沖の問題でありますが、毛布だとかタオルだとか、そういう点非常にシェアが大きいというお話を聞きましたが、私ども考えますと、地域経済とこの泉州沖空港の成立ということは、直接かかわり合いはないような気がするわけです。それからアクセスの問題を考えますと、これはやっぱり泉州地域通過地域になってしまって、ここにこれまた特別に産業影響を及ぼすということは直接はないような気がいたします。  考えられることは、埋め立てをするという効果です。そうしますと、土砂を採掘してこれを埋立地に埋め立てる、こういうことになってくると思うのでありますが、地元とすれば、土砂の採掘とその跡地の利用ということの方がむしろ大きな問題になってくるのではないかという気がいたしますが、むしろ経済地理学立場から考えられると、そういう方面に大きなメリットがあるというふうに見てよろしいのかどうか。それ以外に、特に地域立場からすると特別な問題があるのかないのか。  それから、比較の問題でありますが、これまた神戸沖にも兵庫県側から強い要望がございます。一体この神戸沖と泉州沖の問題がこれからどうなるのかということは私には率直に言ってわかりませんが、それらの点を踏まえて、この泉州沖というのはやはり適当であるのか、あるいは実際の埋立工事実施に当たって問題が出てきた場合には、神戸沖の方にくらがえをした方がよろしいということになる可能性があるのかどうか、その辺もお聞かせ願いたいと思います。
  39. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 非常に難しい御質問だと思いますが、一般的に国際空港をつくりましたときにその波及効果というのは、例えば東京あるいは大阪といったような大都市を除きますと、限定されたものにならざるを得ない。特に既存の産業との結びつきというのは比較的希薄であるというのが、一般的には言えるだろうと思います。  ただ、成田と比較いたしますと、泉州の場合には開発の熟度が非常に高こうございまして、現在はやや斜陽化しておりますけれども、産業的には成田の場合とは非常に違うと思います。例えば先ほどの毛布にいたしましても、全国のほとんど一〇〇%近いシェアを持っておりまして、これから先の問題は、どのようにして海外の市場を開拓するかという問題でございます。そうしますと、毛布というのは海外へ売る場合には非常に難しゅうございまして、国の気候条件、慣習等をよほど研究しないと簡単に輸出はきかないのでございます が、しかしこの機会に輸出に転向するとか、そういった可能性はかなりあるわけでございまして、地場産業が全く国際空港と結びつかないものであるというふうには私は考えておりません。ただその点では、多かれ少なかれ限られた効果であることは御指摘のとおりだと思います。  もう一つ、しかしこの地域国際空港の立地が及ぼす影響は、国際空港が立地いたしますともちろん空港で働く人々が空港の周辺に定着いたします。従来の例で申しますと、大体空港従業者の五〇%は十キロ以内に住んでおりまして、七五%が二十キロ以内に住みますので、ほとんどこの地域に大部分の人が住むということになりまして、その人たちのもたらす波及効果が、地域の小売商業に至るまで波及的な効果を持つということはこれは非常に大きいと思います。御指摘のように土取り跡地にどのようなものをつくるかということも非常に地域にとっては重要でございますが、そういうものをも入れまして、地域経済にかなりなインパクトを与えるであろうということは私は否定できないだろうと思います。  ただ、そのためには、先ほどもちょっと申しましたが、それに適切な対策といいますか政策が伴うことが必要でございまして、現状のまま放置いたしますと、御指摘になったように、あるいは多くの人が懸念するように、単なる通過都市で終わるということも起こらないとは言えないと思います。  それともう一つは、既存の産業だけではなしに、新しい産業がこの周辺にもちろん張りついてくるということも考えられます。そうして、地域全体としての産業の構造が現在のままずっと永続していくということは考えられないのでありまして、非常に変わっていくだろうと思います。ただ私が強調いたしましたのは、そういう新しく外から入ってくる産業だけではなしに既存の産業にも浮揚の機会をできるだけ与えたいという希望でございまして、事実上地域経済振興には外部から入ってくる人口なり産業というものがかなり大きい刺激を与えるだろうというふうに考えます。  御質問の第二点の、比較の問題でございますが、私は、地域政策の観点からいたしますと、率直に申しまして兵庫県沖よりは泉州沖の方が適切であると考えております。と申しますのは、先ほどアクセスをめぐって問題が出ましたが、今度つくられます空港大阪の都心から直距離三十五キロぐらいでございまして、アクセスさえ整備されますと現在の成田に要する時間の六割ないし半分に近い時間帯で本来到達できる距離でございます。しかも泉州沖というのは、先ほど申しましたように泉州紀北地域というのは国道軸から離れておりまして、非常に従来開発の機会に恵まれなかったところでございまして、地域内の格差を埋めるという方向では、そういうむしろ後進地域に経済発展の刺激を与えるようなものを設けるという方が政策的には私は正しいのではないかと思っております。ただ、神戸港の場合にはもう一つ、非常に過密でございまして、私はその方はそれほど専門ではありませんが、その沖合にさらに過密化を促進するような施設を設けることが果たして適切であるかどうかという点にも疑問が、率直に言ってあるように思います。  以上でございます。
  40. 梶原清

    ○梶原清君 順序不同になりまして恐縮でございますが、まず五十嵐参考人に二点お尋ねをいたしたいと存じます。  御存じのように、長崎空港は大村湾の沖合一キロのところにございますが、公害の問題はほとんど起きていないように承知をいたしております。関西国際空港沖合五キロの海上計画されておるわけでございまして、いささか距離が大きいのではないだろうかと、このようにも思われるわけでございますけれども、それでもなお、離発着回数が多くなった場合に影響があるのではないかと、一部で危惧されておるわけでございます。予定される発着回数量高限度を発着させましても、WECPNL七十というのが沖合でおさまるわけでございますので、その点全く心配がないと思いますけれども、まず五十嵐参考人からその点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  41. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 今の御質問は全くそのとおりでございまして、実は長崎空港がこの計画が進んでおります途中でたしかできたと思います。私も行って現地を見たことがございます。空港の島と海岸は約一キロでございますけれども、現実に滑走路と住宅地は約二キロ離れていると思います。そういうことで現在はほとんど問題も起こってないと思いますが、現在若干運航回数も少ないということもありますので、今度の新空港につきましては、将来滑走路が三本になって相当運航回数もふえるということを考えますと、やはり長崎程度ではちょっと無理かなという感じはいたします。ただ、計画をしておりましたときに比べまして、御承知のように飛行機の青自身が相当低下してきております。例えば大阪伊丹空港でございますけれども、十年前に比べますと、今お話しのWで申しまして約五近く小さくなっております。そういうことで、前に計画したところでほとんど環境基準は満足しておりますので、そういう意味では十分だとは思いますが、今の時点で果たしてもう少し縮められるかどうかというあたりはちょっとすぐ即答は申し上げられないところでございますが、現在御計画のが将来ふえても十分だということは申し上げておきたいと思います。
  42. 梶原清

    ○梶原清君 第二点でございますが、関西国際空港はもちろん海上空港でございますわけですが、一部に、航空機騒音のために海中に生息する魚類への影響があるのではないかと、このように危惧する向きがございますが、この点はいかがでございましょうか。
  43. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 飛行機の音の海中の魚類に対しての影響というのは、昔からいろいろございまして、研究も大分されております。ただ、空中の音が水の中に入りますのは一%以下でございます。そういうことで、実際に魚類関係の方の調査によりましても、飛行機の音で特別に問題が起こるということにはなっていないと思います。それと、むしろ魚類につきましての音の問題は、海中を通ります船の推進音の方がずっと大きゅうございますので、そういう意味から申しましても、飛行機の空中の音が問題になることはないと思います。
  44. 梶原清

    ○梶原清君 ありがとうございました。  次に川島参考人にお尋ねをいたします。  先生が先ほどお述べになりましたように、地域整備に対する地元の期待というのが非常に大きいわけでございますけれども、地域整備はそのすべてを行政の責任で行うというべき性格のものではないのじゃないかと、このように私は思うわけであります。これからの時代は、特に公共と民間役割分担ということが大切ではないだろうか。この点につきましての先生のお考え方、また公共が行うべき地域整備としてはどのような点が重要なのか、この点についての御意見をまずお伺いをしたいと思います。
  45. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) ただいまの御質問につきましては、私も地域整備のすべてを公共で行わなければならないというふうには考えておりません。一部には、ありとあらゆるものを地域整備の中に含めまして、すべて国がだっこにおんぶ式に整備してくれるというふうに期待する向きもありますが、もちろん公共で整備できる地域整備というものはおのずから限界がありまして、特に産業振興に係る部分は、先ほど申しましたように、何よりも企業あるいは個人が努力して環境に対応していくべきものだと考えております。  公共で特に整備しなければならない問題は、まず第一はアクセス道路であろうと思いますが、それから次いで、地方自治体の仕事になりますが、下水道その他環境整備の問題、そうしてそれ以外はできるだけ民間主導で私は地域整備を進めるべきだと考えておりますが、しかし先ほども意見陳述で申しましたように、小零細企業あるいは農業といったようなところでは対応の体力に限りがございますし、また公共側にも地方自治体の中小都市の場合には限界がございますので、しかる べき援助ないし指導が必要だ、こういうふうに考えております。
  46. 梶原清

    ○梶原清君 第二点でございますが、先生御専攻の経済地理学のお立場から、新空港設置地域経済に及ぼす影響について種々御研究をいただいておるわけでございます。例えば先端技術産業の立地など、空港機能を生かした産業活動の展開につきまして、どのような御展望を先生は持っておられますか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  47. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 御指摘のように先端工業の一部が、あるいは先端産業の一部が新空港の周辺に進出するという可能性は、私は非常にあると思います。ただその場合に、例えば九州あるいは東北の地方空港と同じような形で先端産業がこの周辺に進出するという可能性は、比較的薄いのではないかと思います。と申しますのは、この地域は先ほど比較的地価が低いと申しましたが、これは都市圏内で相対的に低いという意味でこざいまして、例えば工業用地一つとりましても、九州とこの地域の工業用地の単価は大体十対一ぐらい違います。したがって、例えば先端工業の半導体の部品工場のようなものをこの周辺に期待するということは、非常に無理があろうかと思います。ただしかし、空港に隣接しておるために、そういう最先端の工業によって生産されました部品を利用いたしまして、あるいは原材料を利用して、高度の工業製品を組み立てるような産業であるとか、あるいはまた、そういう先端産業を新規に開発していくような研究開発部門ないしは試作工場といったようなものについては、十分立地の可能性があると思います。先般、大阪工業会が調査いたしましたデータを見ましても、この種の研究開発部門についてはこの地域にぜひ進出したいという回答がかなりございまして、恐らく外部から入ってくる企業の主力はこういうものになるのではないかと考えております。  以上でございます。
  48. 梶原清

    ○梶原清君 最後に、日向参考人に、お尋ねなり、御要望を申し上げたいと存じます。  このたび事業主体として株式会社の形態をとるに当たりまして、日向参考人特殊法人である株式会社ということについて大変な御尽力をされたように承っておるわけでございます。特殊法人である株式会社、そしてそれに相応する税制上の配慮も十分なといいましょうか、公団に近い配慮が今なされておるわけでございますが、いずれにしても株式会社の形態である。そして関係する人も非常に多いわけでございます。これを取りまとめてやっていくというのはなかなか大変だろうと思うのでございますが、公害のない二十四時間運用の空港を一日も早く建設しなければいけないという今日の段階まで来ておるわけでございますので、ぜひ財界のリーダーのお一人として渾身の御尽力をお願い申し上げたい。  この点につきましての御所見を承りまして、私の御質問を終わりたいと思います。
  49. 日向方齋

    参考人日向方齋君) ただいま先生からお話しのとおりでありまして、第一種空港でありましても株式会社方式によるということに決まった以上、しかし公団並みの特権を与えて国家が保護をしていただきたいということを陳情いたしまして、おおむねその要望を入れられまして、この建設運営に非常に役立つと思いましてありがたく思っております。この上は、民間出資などを早急に決定して予定どおりに十月に設立したいと思います。また、その役員等につきましては、三分二出資しておる政府及び多少なり出資した地方自治体民間も協調して適当な人物を選んで、せっかく株式会社でありますので能率的に実施していきたいと思います。  いずれにせよ、方針が決まった以上、財界としましても全力を挙げて出資その他の協力をしていきたいと思います。また、人的、技術的に協力できるものはいかようにでもいたしまして、予定どおり完成していきたいと思います。その意味では者さんももう、最近におきましてはその気になってまいりました。東京財界あたりも、何も関西だからといって関西に重点を置く出資をする必要はないじゃないか、東京も対等に出資をさせればというようなありがたい激励の言葉もいただきまして、一同元気を出してやっておりますので、まず予定どおりに完成できると思いますし、またそうしなければいかぬと思っております。よろしくお願いします。
  50. 梶原清

    ○梶原清君 よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  51. 桑名義治

    ○桑名義治君 大変御苦労さまでございます。  日向参考人に最初にお尋ねを、一つずつお願いしたいと思います。  最初の御質問でございますが、今回の関西国際空港建設されるに当たりまして、現在の大阪空港をどうするかという問題がこれまた大きな問題になっているわけでございます。これはただ単に関西国際空港と現在の大阪国際空港との関連のみならず、兵庫、神戸沖の空港建設の問題ともかかわり合いを持っておるわけでございまして、この存廃というものは非常に大きな比重を占めているわけでございます。そういった立場から、現在の大阪空港に対するお考え方をどういうふうにお持ちなのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  52. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 現在の大阪空港の存廃は、泉南沖の新空港完成時において決定するということになっておるそうでございます。したがって今どうこうではありませんが、私個人としての意見を申し上げさせていただいて参考に供したいと思います。  泉南沖の国際空港が完成した場合には、それに国際線を全部吸収させまして、なおかつ夜間の国内便などは、余力があれば、例えば国内航空貨物などのために使用すればなお有効になると思います。そうなりますれば、伊丹の方はジェット便の回数がそのまま全部国内に使えます。でありますから、地域との問題さえ解決すれば、国内便のジェット便その他の便の拠点として、西日本の拠点として使えば非常に有効になると思います。つまり、泉南が国際、伊丹が国内の拠点になっていけば非常に有利だと思います。  問題はその周辺都市の問題でありますが、周辺都市の機構整備も着々と進んでおりまして、既に数千億の金が使われておるそうでありますが、最近まで伊丹空港撤去運動をしておった周辺の十一の都市その他の撤去運動者が、転回いたしまして、最近では、泉南空港ができた場合にも存置してほしいというような運動に変わっておるやに聞いております。また、事実、伊丹空港がなくなればあの地域の繁栄は全く消えてしまうから、当然の動きだと思います。もしそのように地域環境が許すならば伊丹空港を国内拠点に残し、泉南の国際拠点と二つ置きますれば、非常に便利な航空体制になると思います。  また、神戸沖の問題も、神戸市は神戸沖に国内染港を持ちたいという意見がいまだにあるように聞いておりますが、しかし、海の港と国際空港と両立することがどうかとか、あるいは後ろに六甲山があるのでその空域は使えない、とすればその空域は勢い東西並びに南に向かうよりほかない、そうすると泉州沖国際空港と空域がぶつかるというようないろんな問題がありますので、運輸省で調査しても恐らく神戸沖空港は難しいのではないかと私は、素人考えでありますがそう考えております。  そうすると、結局伊丹を残して、神戸に行くのにも伊丹から約四十分で、四十分以内で神戸の町の中心に届きますから、そういう便利な空港ならば残して、国内空港並びに兵庫県、神戸市等もこれを利用していくのが一番現実的な結論ではないかと思いますが、これはいずれ新空港が完成時に存廃を決めることになっておりますのでそれにお任せする次第であります。
  53. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、今回の国際空港建設するに当たりまして、経済界からの出資二百億ということで種々御意見が述べられたわけでございますが、そのほかにいわゆる融資金として大体三百億程度のお金を投入しなければならないというよう なことになっているわけでございまして、出資金の二百億プラス三百億、計五百億程度になるわけでございますが、この点についても経済界としては既に御了解済みでございますか。
  54. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 二百億出資のほかに低利融資三百億という運輸省の提案でございますが、それは詳細に聞きますと、まず金利を六%ぐらいつければ千二百億程度の社債発行に該当するという話でありますので、日本全体で社債、六分付の社債、しかも政府保証の社債ならばまあ消化することができるのではないかと考えております。少なくともそんな方法で全経済界を挙げて協力してもらうつもりでおります。
  55. 桑名義治

    ○桑名義治君 それから次の問題でございますが、今回の国際空港建設するに当たりまして、いわゆる埋め立てのための土砂というものが大量に必要でございます。この土砂をとる場合にはこれはもちろん後背地の山岳地から持ってこざるを得ないわけでございますが、それについて、今回の新しい関西国際空港株式会社がこの工事をするか、あるいはまた第三セクターをつくってそしてこの工事をするか、はっきりまだ方針としてまとまってはいないようでございますけれども、第三セクターにするという方針が固まった場合、経済界としてはこれに協力する意思がおありなのかどうか。  まだ確定していない段階でこういう御意見を述べていただくのはどうかとも思いますけれども、御意見がございましたらお伺いさせていただきたいと思います。
  56. 日向方齋

    参考人日向方齋君) まだその問題は具体化しておりませんので経済界検討しておりません。しかし、現在府が所有している土地が大部分でございますので、それをとるのが一番合理的であるかと思います。とった土地は宅地に造成するというような方法を考えていけば、経済的にはその土地をとって島へ運ぶということが非常にうまくいくと思います。その作業をどういう形にするかにつきましては、府の方でも考えもありましょうし、それらの考えを煮詰めた上で経済界としても相談に乗っていきたいと思っております。まだ具体案ができておりませんので相談のしようがありませんです。
  57. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、川島参考人お願いをしたいんです。  先ほどの川島参考人の陳述の中で、泉州地域は経済的にも文化的にも少しおくれているというような御発言がございました。それと同時に、ここに、泉州沖国際空港ができたとするならば、しょせんそれに見合うだけの経済的なあるいは文化的な、いわゆる地域整備並びに経済の復興を関連として起こすべきであるという意味の御発言がございましたが、このいわゆる国際空港に見合う地域整備というのは、具体的にどういう整備が最も必要なのだろうか。それと同時に、最もこの地域に似合う地域経済政策というものは、いかがなものが最も似合うような経済政策であろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、御意見がございましたらひとつよろしくお願いしたいと思います。
  58. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 私先ほど申しました国際的レベルの都市環境整備ともいう具体的内容は、例えばその一つにこの地域に国際的な会議場をつくるとか外国人の泊まり得るような宿泊の施設を設けるといったような施設面での整備もございますが、町全体が非常に国際感覚にあふれている都市として整備されるということが、例えば外国人が多少足をとめるためにも絶対不可欠の前提になるのではないかと思います。  そういう観点からいたしますと、この地域はそういう面では非常におくれておりまして、どちらかというと地域の閉鎖性も現状ではかなり強くて、そういう現状からはかなり離れたものでございますので、そういう方向への整備を十分心がけていく必要がある。ハードな側面でいいましても、例えば下水道がほとんど、地元中の地元の泉南地域にはございませんですが、下水道の設備もないような国際都市というのはそれでは通らないだろう。そしてそういうことになれば、完全に通過都市になるということでございます。この地域をどのように再建すべきか、あるいはどのような方向へ導くべきかということに関しましては、従来この地域は経済的に非常にバイタリティーがあるといいますか、企業精神にはかなりあふれた地域でございます。ただ、そういう企業精神というものを、前近代的な形から、先ほど言いました町並みと同じように、近代的なセンスに磨いていくということが非常に大事ではないか。したがって、そういう意味では、従来のものから大きく一方で脱皮する決意が要るというふうに考えております。  多少抽象的でございますが、そういうことでございます。
  59. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう一点お聞きしたいのですが、今回の空港国際空港とは言いながらも、成田と私は性格を大分異にする空港ができると思います。と申しますのは、成田は大体いわゆる旅客が中心のような感じになっておるわけでございますが、しかし関西空港が二十四時間空港ということになれば、夜間便というのは恐らくこれは貨物が一番中心になるのだろうと思います。  そういう意味におきましては、今回関西地域が輸入輸出の世界の物資のいわゆる集散地になってくる、こういうような特殊性が表にぼうっと出てくる、関西全体に、近畿地区全体に出てくるであろう、こういうふうに思われるわけでございますが、そういった立場から近畿地域の経済というものがどういうふうな変貌を遂げていくだろうか、またどういう方向に持っていくべきであろうか、こういうことも一つ課題になるのではないかというふうに私は考えているわけでございますが、その点についての御意見をちょっと伺っておきたいと思います。
  60. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 私も、今度できる空港は、成田とはかなり違った性格のものになるだろうと思っています。  この点は私は二点ございまして、一つは、先ほど日向参考人のお述べになりました意見とは多少違うかもしれませんが、私は、今度の関西空港の場合には成田のように、成田が国際線、羽田が国内線という分かれ方では困るというふうに考えております。つまり非常に不便でございまして、今度の場合には関西国際空港に、国際線はもちろん国内の主要幹線も関西国際空港につなぐ。そして現伊丹空港は、この存続の問題にはいろいろ議論がありますが、都市圏内のセカンドの、あるいは補助空港として位置づける、こういう点で成田空港と非常に違うというふうに考えます。  それからもう一つは、御指摘の、貨物輸送量が非常に大きくなるのではないかという御指摘でございますが、この点も私は同感でございます。現在成田の方は、国際貨物と国内貨物を比べますと大体二対一で国際貨物が多いのでございますが、伊丹空港は逆に二対一で国内の貨物が中心でございます。これは一つには伊丹のキャパシティーのために外国貨物が扱えないということが原因しておりまして、そのことが関西の経済に非常に大きい影響を与えておると思います。したがって、もちろん空港ができれば直ちに産業構造が変わるというものではございませんが、貨物輸送、特に外国貨物輸送に関しての制限がなくなりますと、それが非常に重要な刺激になって関西産業構造が、特に先端産業中心にして、地元地域とは限りませんが、全域にかなり立地して体質の改善に寄与するだろうと考えております。  以上でございます。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 ありがとうございました。  五十嵐参考人にお聞きするところでございますが、前の委員からもう私の聞きたいことを全部お聞きしたようでございますので、大変失礼でございますが、これで失礼させていただきます。
  62. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 日向参考人にお伺いしたいと思います。  先ほどの、第一種国際空港であって国としての責任でやるべきだと、そういうお考えだったのが、二百億民間でお出しになるというふうに最後にお 変わりになりましたですね。先ほどのお言葉を伺っておりますと、これは日本経済にとっても、国としても大事な仕事だから、だからそれくらいのことは協力しなければならない、そう思って、そういうふうにお考えになったとおっしゃいまして、大変御立派な発言だと思うわけでございますけれども、やっぱり経済なんというものは非常に厳しいものでございましてね、こうあるべきであるなんということで経済は動かないものでございますので、まして日向さんとなりますと、特に私など婦人の立場でいろいろ今までの御発言についてもよく認識をしておりまして、大変やり手でいらっしゃる、もう経済の中では力を持っていらっしゃる。その方が、これは頼まれたし、これはもう当然やるべきであるなどという精神的なお気持ちでぱっと二百億出したとは、ちょっと私はそんな簡単な説明では納得できないわけですよね。  やっぱり二百億出す、多い少ないは別にいたしまして、二百億出すというのには、それなりの具体的なメリットがなければ資本なんというのは出せないですよね。私が資本家だって、そうですよ。そうですか、まあやりましょうなんて簡単に出しませんからね。  そういうことから考えますと、二百億お出しになったというそのメリットはどういうふうにおはかりになったのか。前段で大変な工事量になります、金額になります。この中でどういうメリットがあると予測されたのか。そして空港ができてからの発展の中で、どういうメリットがあると予測されたのか。きっといろいろとお考えになったと思いますが、率直にその辺の計算ですね、そろばんで、どうお思いになったのか伺わせてください。
  63. 日向方齋

    参考人日向方齋君) なかなか難しい問題であります。現に、私どもの株主総会で質問が出た場合、何で日向会長はその出資に賛成したかと言われると、なかなかデリケートですね。……
  64. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、もうちょっと大きい声出してくださいませんか。
  65. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 株主総会に質問が出た場合に、その答えはなかなか難しいんですよ。  結局、ここへ空港をつくって南大阪が繁栄することは直接間接私どもの仕事にもプラスであろうという見地で、大局的見地で賛成したと言わざるを得ないんですね。ほかに理由はありません、本当に。これがまあ財界人などのちょっと痛しかゆしの点でございますね、政府にいろいろと政策などを言う点もありますしね。同時にまた、地元の繁栄のためにはやはり身を切ってでも、会社の金でありますが、出して協力するというようなことが必要でありましてね、その極端な例がこれでございます。同時に、ここに二十四時間空港ができるということは、国家のためでもありますし地域のため、また先ほど来いろいろお話がありましたように、地域の繁栄につながれば、また回り回って何らかの会社の経営にもいいことがあるだろうというふうに考えているものでございます。
  66. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあそれ以上のことをおっしゃらないだろうと思いますし、時間もございますので、それはそれでとめさせていただきますが、先ほどの中で、民間活力をこれで生かしたい、こうおっしゃいまして、当然それは必要だと思うんですけど、この関西国際空港の中に民間活力を生かすというときに、具体的に、何か一つでも結構なんですけれども、どういうことをお考えになっていらっしゃるか聞かせていただきたいんです。
  67. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 例えば関西電力という会社があります。これが、御坊という、和歌山県でありますが、そこで島をつくりまして、そこへ発電所をつくることに成功しました。その島づくりなどの経験を生かして、この空港島をつくるために技術的協力なぞをすることも一つの方法でありますね。また、会社にして運営するについては、そこの幹部のどこかのポストにそういう経験者を入れて、そういう運営方法を導入することも一つの方法でありますね。それから、株式会社なぞは、仕事をすると決めたら、どういう段取りでやっていくかというような、段取りを決めて、上から指示して督促するというような方法も導入したらば、予定よりもあるいは早くできるかもしらぬというような気持ちもいたしております。  直接間接に、技術的に事務的に協力する方法はたくさんあると思っております。
  68. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ五十嵐参考人にお伺いしたいと思います。  先生の御専門でございますし、先ほどの御発言にもありました騒音コンターの問題についてちょっと伺わせていただきたいんです。  第一次答申当時、試験飛行等から考えて、沖合五キロメートルに空港をつくれば将来においても陸上部で環境基準を超えることがない、そして先ほどもそういうふうにおっしゃいましたのを伺いました。で、これはまた私、後でも質問するんですけれども、飛行機の運航経路ということについて考えますと、気象条件、特に風などによりまして相当な影響が出てくるというようなことから、陸上部へのぶれですね、特に、東南から進入しまして急角度でこう入ってくる、そういうときにどうしても航空路が、約十五キロメートルの幅があるとすると、相当ぶれというものも考えられるのではないか。  そうすると、一体大丈夫だとおっしゃれるかなということで、私も専門の方やパイロットなどにも伺ったんですけれども、いや、これはなかなか難しい、絶対大丈夫だとは言い切れないよというようなことでございましたので、そういう点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかということ一点。  それから、一いろんなことが起こりますときにも、最初の段階では、ここは心配だなんて言って出発することはございませんで、もうみんな、調べた結果こうで大丈夫でございますと出発するんだけれども、その過程でいろいろ出てまいりますね、問題が。そうしたときに私はやっぱり、環境というものをきちっと守っていくということの、その歯どめといいますか、そういうものをきちっと考えなきゃならない。そうしますと、そういう監視体制といいますか、これを実効あるものにするためには、事業主体から独立した、先生方のような研究者のお立場と、それから、被害を受けるとか、そういうような立場に立つ住民の参加というものでもって、事業主体から独立した機関というものがなければならないのではないか、この環境というものを守っていくためには、というふうに私は考えておりますんですけれども、先生のお立場からどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  69. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 最初の御質問は、コンターが実際には、ずれるんではないかというお話かと思います。  騒音のコンターと申しますのは、これは御質問のように、風によって若干ずれるということは確かにございます。それによって被害が変わるかということだと思いますけれども、例えばコースの直下になっておりますのが、これがちょっとずれて、ずれたところが被害を受けるということは、例えば大阪の離陸時などには若干あるわけでございます。ただ、現在の新空港でございますと、コースの中心というのは海上でございまして、それが若干ずれてそのコンターの端がずれましても、それが特別の問題を起こすというふうには考えておりません。  それから、着陸が主として距離が近くなりますのでそういう問題が起こるかと思いますけれども、着陸はほとんどILSと申しまして電子航法装置で入りますので、そのぶれというのは非常に少ないと思います。現実に測定されたものでも、少なくなっております。  それから、これはこの計画のころからも議論されておりまして、将来はILSがもっと性能向上をいたしまして、もう少し曲線進入というものもこれはマイクロウェーブを使いましてできるようになると思います。そうなりますと、今の御心配のようなことはほとんどなくなるかと思います。  それから、監視ということで、先ほども初めちょっと申し上げましたけれども、コンターがほと んど海上となりますと、監視というのも、ほかの自動車の音なんかと一緒になりまして、非常に難しくなると思います。ただ、現在の大阪空港でもそうでございますけれども、やっぱり特別に変なコースを飛ぶのは外国の飛行機の場合割合に多いんですね。そういう特別なものを何か監視しているというような機能になるのかなという感じはしておりますので、先生御心配のように、それを特別の人が監視というものをやってというほど厳密なことは必ずしも要らないかと、個人的には思っております。  以上でございます。
  70. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ川島参考人に、最後になりました、お伺いしたいと思います。  やっぱり一番私が心配しますのは、地元の方たちが、今不況の大変な生活の中にいらっしゃいますから、これによって将来何か暮らしも経済もよくなるんじゃないかという、非常に大きな期待と不安とが交錯をした中にいらっしゃるわけですよね。そうしますと、例えば漁業にしても農業にしても、それから先ほどおっしゃいました織物関係にしても、韓国との関係が出てくるというふうなことで、主に地場の具体的な産業がこの空港ができることによってどういうふうにメリットを見る仁とができるかという、その点を伺わせていただきたいと思うんです。  それから、先ほどおっしゃいましたように、下水が不十分ところかまだできていないとか、それから道路だとか、そういうものについても非常に関心が多うございますよね。それについて、先ほどおっしゃったように当然この際整備されるべきだということなんだけれども、じゃ整備するために一体どこがお金を出してくれるのかというと、今の行政の立場でそこまではできませんよ、地方自治体責任でやる気があったらおやりなさいというふうに突っぱねられますと、これまた大変なことですね、先ほどおっしゃったように小さい自治体だとかの場合は。そうすると、これのメリットというものがどの程度まで期待できるのか。先生としてはこうあるべきだという御意見はおっしゃって、私もそのとおりだと思うけれども、    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 こうあるべきだとおっしゃることがどの程度現実のものとして可能になるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、その辺の御感想を伺いたいと思います。
  71. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) ただいま御質問の地場あるいは地域産業の場合には、業種ごとにそれぞれ具体的にはぶつかる問題が違いますので、詳しくはそれぞれについて申し上げなければなりませんが、例えば罷業の場合には、このあたりは蔬菜を中心にしてかなり農業の整備された地域でございます。したがって、例えば空港ができまして生鮮食料品を供給する、特に機内食工場その他へ供給するということは十分可能でございますが、そのためにはそういう流通経路というものを整備いたしませんと、従来の流通経路のまま一たん大阪の中央公設市場へ運ばれていくというような形になりますので、そういう流通経路を整備して、地場の農業生産物を非常に有利な価格で空港に結びつけるということは私は十分可能であると思います。ただし、そういう施策を講じる必要がある。また、地場産業につきましても、先ほどちょっと申しましたが新しい販路を開拓する、特に海外に開拓する可能性はかなりございます。そのためにはしかし、地場産業の体質をもっとよくするために、例えばこの地域に新しいそういう地場産業の工業団地のようなものをつくって、いわば模範的な工業のあり方というものを具体的に示すというのも一つの方法だと思います。  これについては、地元でもかなり真剣に考えておりますので、そういう方法を講じればできるであろうと思います。  それから、先ほども申しましたように、やはり人口がかなりふえてまいりますので、そういう増加人口に伴う小売業を中心とするいろんな第三次産業の市場というものは、確実にふえるだろうと思います。それをすべて地域外から流入してくる産業に奪われてしまうというのではこれは何にもなりませんので、それへのできるだけスムーズな参加の方法を考えなければならぬというふうに考えております。しかし、これも十分対応可能の問題だと思います。  ただ、一番最後に御指摘の、地域整備そのもの、都市環境整備は私も非常に難しい問題だと思います。しかし、それにはまずさしあたって大阪府ができるだけの力を注ぐということが大事だと思いますが、しかし大阪府自身も無限の財政力を持っておるわけじゃありませんので、これについては国の方から何分の財政上の援助とかそういうものをお願いいたしたいと考えておるわけです。  以上でございます。
  72. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ありがとうございました。
  73. 山田勇

    山田勇君 民社党・国民連合の山田でございます。  日向参考人にまずお尋ねをいたします。  去る五月二日の記者会見で、民間出資問題に触れられて、経団連と相談しながら出資分担の試案づくりに取りかかったことを明らかにされておりましたが、東京系企業出資の機運は強いと述べ、二百億円の民間出資分は何とかまとめられるという御自信のほどをお示しになられましたが、その中で、関西経済界が六割から七割、東京を中心とする関西以外からの出資金があとの三割か四割ぐらいということのように、日向会長はおっしゃったように思います。その中で、出資会社が約四百社ぐらいになるのではないかと私は思いますが、会長の御意見としまして、四百社というのはちょっと多過ぎるのではないか。また、地方衛星都市、この空港関連衛星都市も逆に出資金を出したがっております。何らかの将来性の方向づけとして出したがっております。そうしますと四百社以上超えるのではないか。これは、何といいましても将来は収支採算のとれる空港、利益を上げる空港でなければいけないということになりますと、その利益の配分等ということになりますと、四百社からまた衛星都市の出資金ということになってきますと、大変そういう将来の御配分についていろんな問題点が出てこないであろうかというふうに思いますのが第一点。  それと、大変会長の御意見の中で卓越した御意見として私は記者会見の記事等で仄聞したのですが、民間人と官公庁出身者の調和を図ろうとする考えだろうが、本当は社長一本の方がより仕事が進めやすいしより効果が上がるというふうなことの御発言があったように聞いております。社長構想としては運輸省の専門家が、副社長二人のうち一人は大阪府から地元代表者という形、一人は大蔵省関係といいますか、出資金の問題、いわゆる経理帳簿の問題等というふうにして分けて会社運営すればより効果が上がるであろうという御意見を述べられたように仄聞をいたしております。  それについての御意見などを聞かしていただければ幸いでございます。
  74. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 第一の、四百社云々でございます。  初めは心配しまして、二百億が集まるかどうかという心配をしておりましたが、そのうちにだんだん機運が熟してきまして、例えば東京系の銀行など、大阪の銀行が余計出資して東京の銀行が格が落ちたような出資は困るよ、いわゆる第一流の都市銀行は東西を問わずに出資させぬかというよう意見も出てきまして、非常に関心度が強まってまいりました。同時に、商社にしましても、東西同じようにしろ、殊に建設会社などは、地元建設だけに有利に余計出資させるなんということは、それは初めからこちらも考えていませんでしたが、そんなことはないだろうなというようなだめ押しもありまして、東京その他の地域もかなり関心を示してまいりましたのですが、しかし、さりとて、余りえたいの知れないと言うと語弊がありますが、その株式がよそへ流通するような企業体はこれは重要な国家施設なもんですから余り好ましくありませんので、一定の信用ある規模とそれから横の業種間の連携等を考えまして、安全性を見た募集の対象を今検討中でございます。経 団連も一緒になって研究さしております。そんなことが第一点。  第二点は、あれは放談的に申し上げたのが大々的に新聞に出まして、どうもいささか駄弁を弄したと思いますが、これは設立委員会が決まりまして、その委員が選考の上これがいいというふうに決めていく問題でして、私、私人としてとかく言うのは僭越なことでありますが、要するに官民それから公共団体が一緒になっていい人を選んだ方がいいと思います。例えば地元対策などは大阪府が従来からやっておるので、そういう専門家がいいとか、そういうふうなことは設立委員において適当にお考え願うと思います。  あれは単なる私個人の思いつきを言っただけで、別段深い意味はありませんのでどうぞお聞き流しください。
  75. 山田勇

    山田勇君 どうもありがとうございました。  五十嵐参考人にお尋ねいたします。  航空騒音は、空からは、魚類といいますか、魚に対する影響といいますか、そうないというお話を先ほど承りましたが、今回は一応工法としては埋立工法という形の中で空港がつくられるわけですが、相当の土砂をあそこへぶち込んで建ち上げていくわけですが、それに関する漁業への影響というのはございませんでしょうか。
  76. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 私、環境問題の中で騒音と振動の問題が主でございまして、先生の御質問に一々答えられないので申しわけありません。
  77. 山田勇

    山田勇君 これは失礼いたしました。  では最後に、川島参考人にお尋ねをいたします。  地場産業の育成というのがこの空港の位置づけの中で随分変化をしていくだろうし、また変化をしなければいけない、いい方向の変化を遂げていかなければならないというようなお話を伺っていたわけですが、その中で、どうして宅地元が非常に心配しているのは跡地の利用の問題でございます。その点が第一点。今言うように、先端技術とか公害を出さない産業を誘致してくるとかということですが、地場産業の育成というのも十分この新空港の位置づけの中で考えていかなければならない問題だと思います。  例えば農業でいいますと、タマネギの産地でございます。余剰農業的な要素も今持ってきておりますが、それを、タマネギのパウダーなんというのは調味料として非常に外国で重宝がられておるので、そういうふうなファクトリー、工場をつくってやって、いわゆるタマネギの農業に対するインパクトを与えてやるとか、そういうのを跡地利用の中に工場をつくってやって、そういうオニオンパウダーというのをつくって輸出をしていくとか、いわゆる毛布一つとっても、文化、芸術というのが昼夜を問わず運ばれてくるという空港でございます。そういう中で、毛布の柄等なんかもこれから非常に宣伝をする大きな機会になろうかと思います。世界に対するPRができる機会になる。  そういう意味では、地場産業の育成、発達に非常に貢献度が高い関西空港であると私は思います。  その他いろいろございますが、これからの問題としては貨物輸送というのを見逃してはならない。かなり大型な航空機による貨物輸送というものが出てまいります。  そういう問題について、地場産業の育成、空港との関連、それから貨物、それからその貨物をさばくターミナル等を跡地についてつくっていくとか、それから通関業務の問題等々、これは昼からの私、質疑になるかと思うんですが、先ほど言いました地元に与える経済インパクトというのは、空港関係者だけでも約四万から五万人と言われております。それが定着をする、そういう形の中で個人消費の伸び率も相当期待できるんではないかというふうに思います。その辺の川島参考人の御意見を聞かしていただければ幸いです。
  78. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 基本的には御指摘のように私も考えております。ただ、土取り跡地をどのように使うかということにつきましては、非常に各方面から土取り跡地の利用についての希望的な要求が既に出されておりますし、今後ますます出される。例えば農業の場合には、ここを新しい農場のために使わしてくれとか、それから工業の場合には、ここで団地をつくれとかいったような、さまざまなところからの要求が非常に多いと思いますが、それをどのように調整するかということが今後の一つ課題になると思います。  ただ、一般的に申しますと、私自身の考えでは、土取り地はなるたけ公共地を選ぶのが本筋であろうと考えております。そうして、公有地を選ぶ以上、土取りの跡地はできるだけ公共的な施設、例えば先ほどちょっと申しました国際的な会議場であるとかあるいは緑地であるとか、公共的な施設を優先させるべきでありまして、産業振興のためにはそういう土取り跡地以外の場所でそれを見つけていくのがいいのではないかと思っております。例えば、大阪府が考えております俗に言われておる前島の一部だとか、あるいは転業いたしていきます産業の跡地、例えば従来の非常に大きな繊維工場の跡を新しい産業に変えるとかといったような形で先ほどの産業構造の転換には対処していくのが筋ではないかと思います。  貨物空港としても重要な役割を果たすという点の御指摘は、私も先生と同じ意見でございますが、それに関連してACCTの設置についてももう既に地元では幾つか、何カ所か候補が上がっておりまして、あるいは要望が上がっておりまして、今後一番適切な場所を一カ所か二カ所選びましてこの地元につくるというのも、地域振興の重要な手段になるのではないかと思っております。  以上でございます。
  79. 山田勇

    山田勇君 あと一問だけ。  川島参考人に引き続いてお尋ねするわけですが、いわゆる国会で、法律の中で中小企業分野調整法という法律がございます。これは、大手企業に発注されたものをいわば縦割りでずっと零細企業まで、工事なら工事のその配分化をしていくというような趣旨の法律でございます。そういう形の中で、ぜひ私はこういうこれからの大きなプロジェクトの中で、地元産業ばかりではなく大阪全体、いや近畿全体の経済効果というものを上げてもらいたいという形の中で、できる限りこういうような法律を駆使して、零細中小企業にもそういう経済インパクト効果が上がるようなひとつこれからの御指導を賜りたいと思います。  これは御答弁は結構でございます。どうかよろしくお願いいたしておきます。
  80. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 大変お疲れのところ恐縮ですが、もうしばらくお願いいたします。  第一点は、日向参考人にお伺いをいたします。  空港の経営という経済行為は、技術革新だとか販売競争等の面で経営の妙味を生かす、極めて少ない業種だと思います。さらにまた、公共性の非常に高い事業でございます。経営のトップにおられます会長とされまして、一般論で結構でございますので、こういう事業は株式会社、いわゆる私企業としてなじむ性格のものかどうか、もう一つは、経済人にとって魅力のある業種なのかどうか、その辺をお教えいただければと思います。
  81. 日向方齋

    参考人日向方齋君) お答えいたします。  実は、関西空港の場合は株式会社によって運営することにはちょっとなじまないということを冒頭に私申し上げました。というのは、わずか滑走路を三本つくるための国土、その土地、島を形成するのに四千五百億円もの金を投じて、それで採算をとるということはなかなか難しいと思いますですね。だからといって、公共事業に民間資本参加させるという方式が、そして株式会社でやらせるという方式がいかぬかというと、そうでもないんですね。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 もし、基礎投資がそんなに多くなくて、そして公共性のある事業を株式会社方式でやるとすれば、これはまた民間の活力、運営とかあるいはその機動的な作戦とか、いろいろあるから、いい点も発揮できますが、例えば、ある土地が、遊休の土地があると。その上にアパート群をつくってそれを 一般に貸すというような仕事を、公社でやらせるか民間企業でやらせるかという段になりますと、明らかに民間企業でやった方が効率的でございましょうね。  聞くところによると、総理もどうもそういう経験を持っておるから、関西空港民間参加株式会社でやらそうということを言い出したというようなうわさも聞きますが、基本的に、土地造成、国土形成部門を含めた関西空港株式会社は、どうも株式会社民間資本経営にはちょっとなじまないと思いますね。しかし、もう政府の方針が決まった以上、我々は全力を尽くしてこれに協力し、少しでも株式会社方式のメリットを生かすように努力はしていきますが、基本条件は少しそぐわない点があります。
  82. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 恐れ入りますが、第二点目に、魅力がありますのかどうかについて、経済人のお立場でお答えをいただきたい。
  83. 日向方齋

    参考人日向方齋君) この計画ですか。
  84. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 はい。
  85. 日向方齋

    参考人日向方齋君) 失礼しました。  先ほど説明がちょっと不足しましたが、土地代が四千五百億円かかって、その一期の段階では滑走路が一本であります。これが第一期計画です。そういう計画には、まあ民間人としては余り魅力を感じませんですね。しかしまあ大きな立場で、南大阪振興だとか、ひいて言えば大阪地区あるいは関西地区の、経済の活性化のその基礎をつくるだろうという意味出資はしておりますが、企業としての魅力はありません。
  86. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ありがとうございました。  続きまして、五十嵐参考人にお伺いをいたします。  先ほどの御意見の中で、現在の大阪空港調査なさいました体験をもとにしての御意見だったと思いますが、会社ができたらやはり環境公害をきちっと監視をするものをしておく必要があるという御意見がございました。だとすれば、どういうものをどこにつくれば一番よろしいとお考えになられますかが第一点でございます。  第二点目は、航空審議会委員もしていただいておりますので、その立場からお尋ねをいたしますのですが、これは川島参考人も申されました。今航空審議会答申に基づいて第一期計画を運輸省は決定されました。その第一期計画で終わらないようにしてほしい。ということは、やっぱり今政府は財政的な立場から極めて縮小された計画を持っておいでになりますから、そのままで終わってしまわれると大変なことだということからだと思います。  それで、その第一期計画を簡単に申し上げてみますと、四千メーターの滑走路が三千三百になって、しかも一本しかありませんし、もちろん補助滑走路はございません。しかも、つくります空港面積全体とされましても五百ヘクタールであります。御答申の中には、やっぱり年間離発着回数量高十六万回を維持するためには、ターミナル面積は少なくとも四百二十ヘクタールが必要である。そうしますと、滑走路面積部分と合わせますと千二百ヘクタールなければなりませんのですけれども、まあこれは全体計画が五百の第一期計画でございますからいたし方がございませんが、私たちに配られております計画によりますと、そのターミナル面積答申に指摘をされております四百二十ヘクタールの約半分、二百ヘクタールくらいしかございませんのですけれども、それでも、最終年間離着陸回数十六万という計画を持っていてよろしいのでしょうか。  私は大変過大のように思いますので、何か財政を第一義に考えて、航空の安全がひょっとしたら犠牲にされるようなことになりはせないかという危惧を持ちます。御答申をされましたお立場からこのことにお答えをいただければと思いまして、お尋ねをいたします。
  87. 五十嵐寿一

    参考人五十嵐寿一君) 最初の監視の問題でございますけれども、この監視点をどこに置くかというのは、これは将来やはり空港ができましたときに、陸地に一番問題になる地点がどこであろうかというようなことから決まってくると思います。まあ今年、現の大阪空港にもこの監視装置を実際運輸省が設置いたしまして、これはほとんど今自動化しております。ですから、そういうものを将来づけて総合的に監視をするということは、これは十分現在の技術でもできると思いますので、やはりそのコースとの兼ね合いで何地点かの監視点ということが考えられると思います。  次の御質問の、空港敷地面積のことでございますけれども、これは私ちょっと専門と違いますので十分お答えできない、申しわけございません。
  88. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ありがとうございました。  それでは続きまして、川島参考人にお伺いをいたします。  今、関西地区では、これから始動をしようといたしております関西研究学園都市構想がございます。それとこの関西空港でございますけれども、やりようによってはこれらが相乗効果を発揮して、双方の施設にとって大変有利に働き、地域社会にもメリットを及ぼすのではないか、このように思っておりますけれども、その可能性がありやなしやということ、そしてどうしたらそういう可能性が生まれてくるか、その辺のところで御意見お願いをいたします。
  89. 川島哲郎

    参考人川島哲郎君) 一般的には、お尋ねのように、関西文化学術研究都市でございますが、京都と奈良と大阪のちょうど境目につくる予定になっておりますこの学園都市というものと新空港というのは、非常に密接な関係を持ち得るというふうに考えます。関西文化学術研究都市のメーン施設一つは、第一級の海外の学者を呼びましてそして日本の学者と相互に研究できるような、そういう研究機関を中核に据えたいという構想があるように伺っておりますが、そういうことになりますと、そういうものを中心にしまして国際空港とは非常に結びつく可能性がございます。  ただ、それを実現するためには、まず一つの条件はやはりアクセスの問題でございまして、現在の空港は、先ほど私は空間距離は都心から非常に近い旨を申しましたが、現実のアクセスは必ずしもその物理的な距離に適応した形で順調に進捗しておるとは申し切れません。ことに京都からのアクセスが現状のままではかなり時間を要するのではないかと考えられますと、この関西文化研究学園都市も、京都のまだ南の、現在ではかなりへんぴなところでございますので、アクセスの問題が、まず結びつけるために非常に大事であろうと思います。  もう一つは、これは関西文化学術研究都市の側に問題があるわけですが、これがどのようにして名実ともに一級の関西の研究学園の中心地になり得るかどうかということが非常に大事な問題でありまして、そうなれば空港との結びつきは非常に密接になるだろうと思います。これは学術研究都市の側でその整備を考えなければならぬ問題だと思います。  以上でございます。
  90. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  91. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しい中を本委員会審査のため貴重な時間をお割きいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本委員会審査に十分に活用をさせていただく所存でございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  92. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、関西国際空港株式会社法案を議題といたします。  この際、細田運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。細田運輸大臣。
  93. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 五月十五日の当委員会における目黒委員の御質問に関しまして答弁いたします。  関西国際空港事業主体検討の経緯につきましては、運輸省と大蔵省から資料を本日同委員に提出いたしましたところでございます。  次に、関西国際空港事業主体に関する関係地方公共団体との調整につきましては、今日時点で次のように答弁いたしますので御検討お願いいたします。  昭和五十九年二月十日、大阪府、兵庫県、和歌山県の三府県副知事、運輸省航空局長等をもって構成されている関西国際空港連絡会議を開催し、関西国際空港事業主体としての地方公共団体出資等を前提とする特殊会社たる関西国際空港株式会社の設立について運輸省より三府県に対して説明し、協力要請を行いました。これに対し、大阪府及び和歌山県からは、文書により、基本的に了承する旨の回答が既に得られております。兵庫県からは正式に文書による回答は行われておりませんが、同県は現在出資等について検討中であります。  なお、昭和五十九年一月十七日の兵庫県知事との会談において、私、運輸大臣は、関西国際空港について事業主体を早期に設立しその建設を急ぐ必要があると述べ、これに対し兵庫県知事の理解を得ております。  以上の状況等にかんがみ、地方公共団体からの二百億円の出資及び長期低利融資等は確保されるものと確信しております。
  94. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、まず最初に、この関西国際空港が必要があるということについては、現在の大阪空港騒音問題の解決、それから航空需要の増加、特に我が国には二十四時間使用できる空港が存在をしない、また、一九七〇年代以降世界第二の経済大国となった我が国に対する世界各国からの、並びに世界各国の国民との間における経済的交流や文化的交流、こういうことをやらなきゃなりませんし、そういうまた国際的責任もあると私は思います。  ですから、二十四時間営業のできる空港建設が絶対に必要であるということについては、私どもはそう考えているわけであります。    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕  ところが、まずその前提を明らかにした上で、しかしながら問題は、そのような二十四時間操業のできる空港をどうつくるかというところにその問題があるわけであります。これはもう既に、衆議院における同僚議員並びに参議院における各委員から、いろいろこのことについて大臣に質問がされていますが、どうも明らかになりません。それはどういうことかというと、空港整備法では、第一種空港は国が設置し、管理する、こういうことが明確になっておりますし、ただ、その後、新東京国際空港は御承知のように公団設置をされまして管理していますが、我が国においては、この二つの方式が今日まで第一種国際空港についてはあるわけであります。  それはなぜかというのは、もうこれは多くの委員からも議論がされておりますように、この種の空港における公共性と安全性、これが絶対条件である。でありますから、施設と管理についてやはりどうしてもこれは国がやっていくことが必要だろう、こういうふうに思うわけでありますが、まあ今回は、新しい試みという言葉の中で、もしくは、臨調答申を尊重するという言葉の中で、多くの法律の適用除外を設けてまでなぜ株式会社にしなければならないかということが、どうしてもこれは理解ができません。  そのことの証拠の一つとしては、これまたもう既に同僚委員からも御指摘がありましたように、運輸省自体も、五十八年七月八日、いわゆる公団と第三セクターの二本立て方式地元に具体的に提示されておりますし、なおかつ、五十九年度予算要求についてもその立場でやられているわけであります。  ところが、先ほど来のずっとここ委員会における答弁をお聞きしておりますと、大臣並びに事務当局の答弁を要約しますと、次のことが言われているんです。一つは、早期につくらなけりゃならぬ、二つ目には、資金を集める関係、三つ目には、民間の活力を活用するんだ、四つ目には、いわゆる、特にその民間の活力の場合においては、附帯事業等を行う場合に、その方が非常に効率が上がるんだ、こういう観点から大臣の答弁がずっと、今までの議事録、もしくは私自身が大臣の——と、さらに、いわゆる地元参加ですね、これに尽きているわけであります。これはもう、各党の御質問について一貫をしてその域から出ておりません。しかし、それでは、今お答えされていることだけで、国でやってはどうしたらそういうことができないんだろうか、公団でやった場合にどうしたらそういうことができないんだろうか、いわゆる株式会社であればそのようなことができるんだろうかということについて、私は非常に疑問でなりません。  そこで、このことをきょうは少し解明をしてみたいと思いますが、同じような答弁はもう不必要でございますから、まず、大臣が、いわゆる民間会社にすると附帯事業が非常にうまく行く、こういうことを言われました。これは民間にする理由の最大の一つの理由に挙げられたんですが、では具体的に、この関西国際空港における附帯事業というのは何と何と何をお考えなのか、そしてそれはどのような利益を上げて採算性にいわゆる貢献ができるんだろうかと、今度は少し具体的に、もう抽象論は幾らやり合ったってしようがありませんから、いわゆる、まず今申し上げた附帯事業の中身についてどうお考えになっているのか、そしてそれがどのような利益を上げ、どのようにこの飛行場の採算性に寄与するのか、そういうことについてどうお考えになっているのかということについて、具体的にひとつお聞かせを願いたい。
  96. 山本長

    政府委員(山本長君) 大臣がお答え申し上げております法律によるところの附帯事業というのは、ターミナルビルの建設運営を含め空港の基本的施設運営以外の部分について、附帯設備の運営というふうにおっしゃっているのでございます。そういう意味での附帯事業という観点からいたしますと、空港のターミナルビル事業を行うこと、あるいは貨物の取扱施設の事業を行うこと、それから給油のための事業を行うこと、そのほか、人間及び貨物がここに集中いたしますから、いろいろな営業がここで行われておるわけでございます。  こういった事業から得られる収益というものについては、テナントに貸すというふうな方法によりまして利益を吸収するという方法もとられておるわけでございますけれども、こういった部分運営というものは極めて民間経営的な分野でございます。こういった分野においては、民間資本が入った会社において民間的な経営を行うことによって、そこから収益を上げ、かつそれが、この基本施設運営、安全、あるいは公共性確保といった観点からの資金に回っていくということが期待できるわけでございます。極めて民営的な分野が空港の場所において行われておりますので、これが会社という形でもって行われることによって非常に基本的な施設運営に寄与する、こういうふうに考えるのでございます。
  97. 安恒良一

    ○安恒良一君 もう少し具体的に答えてください、私も民間人ですからね。  ターミナルビルとか貨物とか給油とか、こういうこと、いろいろなということは、あとのいろいろというのは何かわからない、いろいろの中身を言ってないから。  私が聞いていることは、それが民間方式だからうまくいく、公団や国でやるのがうまくいかない と。現在でもテナントが入っているのは、民間がテナントで入ってやっているじゃないですか。だから私は、収益に寄与するというならば、例えばあなたが挙げた貨物なら貨物の取扱数量は、民間でやった場合にはこういう収益が上がる、公団でやるとこういう状態になる、さらに国でやった場合こうなる、だからこちらの方がいいということを言わなければ、抽象的なことを言ったって答えにならぬじゃないですか。貨物を扱う、だから貨物の場合にはこういうふうにやるから利益が出るんです、給油についても民間でやればこういうふうにいくんですと。  あなたたちの言うところを聞いておると、この前のあれと同じで、何か役人はばかのように聞こえるよ。あなたたちは役人だけど、ばかですか。民間にやってもらったら給油はうまくいく、ターミナルビルの経営もうまくいく、そんなばかなことはないじゃないですか。そうじゃなくて、我が国の官僚はフランスの官僚と同じでエリート官僚で、日ごろいつも威張って一番仕事ができると育っているのが、こんなときになったら、抽象的に、貨物も給油もそれからいわゆるターミナルビルの経営も、民間でやった方がうまくいくと。いくなら、具体的な数字で、例えば羽田ではこうこうこういうテナントを入れてこうやっておった、こういう状況になっておるとか、成田なら成田では給油はこうやっているんだ、しかし今回これを大阪空港民間に給油を扱わせれば、このような運営ができてこのように利潤が上がる、だから貢献できるということじゃなければ説得性はないじゃないですか。  そんな抽象的な語をして、子供だましじゃないんです。私も民間出身ですから、民間でやった場合こういうやり万をするから、このようにうまくいくからそれが寄与できるというんなら、説得性を持ちますよ。いま航空局長の言うような答弁を何ぼやってもろうたって話は一つも進まぬわね。  だから私は、きょうは少し具体的に突っ込みましょう、抽象的なことは困りますという意味で、附帯事業は民間でやった方がうまくいくというのは精神的なことじゃないんです。具体的に数字で、こういうふうにやればこのように利益が上がる、だから寄与できるということになって初めて委員みんながわかることじゃないですか。そんな精神論を私はここで聞こうと思わないんだよ、そんな精神論を。精神論だけでいったら、役人はばかかということになる、役人はばかかと。民間がやったらうまくいく、役人がやったらうまくいかぬと、そんなことじゃないでしょう。少なくとも、経営に寄与するというならば、経営というのは具体的に数字です。どういう寄与をするんですか。それをひとつ今あなたが挙げた項目、いわゆる貨物の場合、給油の場合、それからいろいろな営業、いろいろな営業の仕事はちょっとわかりませんからその中身を言ってください。  それを少し、こういうふうに民間でやれば、今まで公団でやったりもしくはテナントを入れてやっておったときよりもうまく収益が上がって寄与できる、こういうふうに御説明ください。
  98. 山本長

    政府委員(山本長君) 第一種空港、例えば羽田におきましても大阪におきましても、今申し上げましたような貨物あるいは給油あるいは旅客の取扱施設民間事業で、株式会社で国から土地を借りて営業をしております。これらの事業につきまして会社の収益等を見てまいりますと、非常に収益力が高い状態になっております。もちろんそのロケーションが非常にすぐれておりますので、そういったことが背景になっておるわけでございますけれども、そういった場所を利用することによって、民間的な手法によって経営を行うことによって、非常にいい収益を上げておるのが事実でございます。  それは国がやってもいいではないかというふうなことが言い得るかもしれません。しかし、そういった分野というのは、役人の経験者というふうな者がやるよりは、むしろ民間的な発想に基づいて行われている事業でございますし、また民間的な発想、手法というものを取り入れたところの形において行われるのが非常に役立っているものと思います。この会社におきまして、民間出資を得、かつ、民間の活力というのは人間的な活力も含めまして、その活力が活用されることによりまして、そういった今までは空港の外へ逃げている収益というものを空港の中に取り入れることができるということが言えると思います。
  99. 安恒良一

    ○安恒良一君 そんな抽象的なきれいごとを聞いているんじゃないんだよ。  数字でしょう。数字の話なら数字の話で、成田ではこういうふうにやっています、羽田ではこういうふうにやっています、その場合と今回はいわゆる民間でやった場合にはこういうふうに収益が上がりますと、こう言うてくれなきゃ。あなたね、経営に寄与するからだということを最大の理由にしとって、そんな精神論を聞いているんじゃないんだ、精神論を。僕がここで聞いていることは、大臣が香われたところの附帯事業、利益が非常に上がる、これを民間でやれば利益が上がるというから、ああそうですかと。それじゃ今まで成田ではどういうやり方をしてどういうふうに収益が上がっているんでしょうか、羽田ではどういうやり万をして、民間でやっているのかそれとも附帯事業でやっているのか、その場合はこういうふうになった、しかし今回はこの方式でやると成田方式よりも、それから羽田よりもさらに収益が上がるというなら、上がるように具体的に数字で説明しなければ、上がるだろう上がるだろうと精神論を幾らあなたが言ったってだめよ、そんなものは。今経営の話をしているんだよ。経営の話というのは具体的な数字です。それを何も言わぬで、いや成田でも土地を貸してやっておったら高い収益を上げていますと。  そんな子供だましの話を私は聞きに来ているんではないんだよ、具体的な数字で答えてください。  成田では貨物についてはこうこうこうなって、羽田はこうこうこうなって、それについて収益はこう上がった。しかし今回、ここでこういうふうにやれば、貨物はこういうふうになって、それに対する数字はこういうふうに上がってこれだけ経営に寄与します、だから安恒さん、民間の方がいいじゃないですかと言えば、初めてわかるんです。そんなきれいごとの精神論では時間がもったいない。何言うとるかね、あんた。そんな時間のもったいない議論は嫌だよ、おれは。この重要法案のときに。
  100. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) まず最初に、株式会社でやるか国でやるかという問題ですが、国でやるということは初めから実は比較にならないと思います。ということは、役人の数をふやしてこれだけの大事業をやったり附帯事業をやったりするということはふさわしくないと思います。したがって、公団でやるか株式会社でやるかということだと思います。公団株式会社との比較をしなければならないんじゃないかと思います。私はかように思います。  それで、公団でやった場合、それから国でやった場合、成田の問題と羽田の問題とを比べてどうであるか、具体的に数字で示せと。これは数字は私ども調査すれば出ると思います。しかしながら、直接やった方がプラスになることだけはほぼ明瞭ではなかろうかというふうに思っておるのでございます。ということは、それぞれの請負をしておる会社が相当な収益を上げておる。それは幾ら上げているんだ、それを示せというお話であればこれは調べてお答えしなければなりませんが、これはかなり明白に収益が上がっておるということなんでございますので、そこまでを御答弁申し上げておるわけでございます。  どこの会社が幾ら収益を上げているんだ、それを示せというお話であればこれは別途調べなきゃならぬ、こう思っております。
  101. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣ね、私はきょうはその数字の話を突っ込んでやりたいということでやっているんですから、やっぱり数字で言ってもらわぬと、それは民間の方がうんと上げるに決まっているというのはあなたのひとりよがりですよ。ひとりよ がりであって、公団の方よりもそっちの方がいいと。それなら、決まっているというんなら、それは数字でおっしゃらなければね。数字でおっしゃらないで抽象論で幾ら言われたってわかりゃしないじゃないですか、あなた数字で言わないで。数字で言わないであなた、抽象論で言っている。  だから私は、大臣がこの前目黒さんの質問のときに、一つの大きい理由として、附帯事業で非常に利益が上がる、そしてそれが飛行場の採算に貢献するとおっしゃるから、きょうはなるほどと僕らに納得できるような数字をちゃんと出して、これは安恒さん、そう言っても公団でやるとこういうロスがあって、こっちでやるとこういうふうになってこれだけもうけるじゃないか、こんな話なら話でしてください、こう言っているだけの話で、精神論を何回も入れかわり立ちかわりあなたたちから聞くことないんですよ、そんなこと。
  102. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 五十七年度の新東京国際空港公団の損益計算書で御説明したいと思います。  五十七年度におきまして、この公団が年間五百三億円の総収入を上げました。そのうち空港使用料、これは着陸料、停留料でございますけれども、それが二百十五億でございます。給油施設の使用料、これは給油施設を使って燃料を航空機に供給するわけでございますけれども、その使用料五十四億でございます。……
  103. 安恒良一

    ○安恒良一君 答弁中だがちょっと待ってください。  それと比較して今度はこちらの国際空港の数字もあるんですね。あるならこっちへ下さいよ、そんな一々読み上げないで。それは、今あなたが読み上げておるやつの、今度はこっちではこうなりますという数字をお持ちですね。というのは、成田だけの数字じゃわからないんですよ。その成田の数字がこうだったらそれはこっちに示してもらって、それが新国際空港ではこういうふうに上がりますと、一つ一つの項目について数字があるなら下さい。それを見てから質問します。でないと、読み上げられたらかなわぬわな、一々細かいことを。時間が浪費されるだけじゃ。あるなら下さい、こっちに。
  104. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 先生のおっしゃいますこと、成田の現状と比較して今回株式会社をとった場合にどのように収益が変わるかという御指摘だと思います。残念ながら手元にその比較をしたものはございません。
  105. 安恒良一

    ○安恒良一君 ないならないって、つくって出しますと言えばいいじゃないの。何で時間稼ぎするんだ、そんなところで。  私がさっきから言っているのは、両方の数字を並べてくれということを何回も言っているじゃないの、話だちに。ないのに片っ方だけで何で読み上げるんだ。人の持ち時間使うてもらいたくないね、そんなことで。人の質問をよく聞いて答えなさい。それから、数字なんかで資料があったらぱっと持ってきなさいよ、こっちに。それを見ればわかるんだから、こっちは。なけりゃないで、ないからこの吹出しますなら、出しますと答えてくださいよ。ないんでしょう。
  106. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 手元にございませんので、早速試算しまして先生に御提出するようにいたします。
  107. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃそれは保留しておきますから、ぜひ、今比較したやつを今申した項目別に、株式会社になればこれだけ成田の公団よりも利益が上がって、そしてここの飛行場のいわゆる経営に寄与するという証明を次回出してください。  それでは、それで次へ行きましょう。保留しておきます。  そこで、次にちょっと今度はお聞きをしたいんですが、これを決定、ゴーのサインを出すまでの間に、やはり大蔵省と運輸大臣との間にかなりのやりとりがあっています。このことは目黒さんの質問の中でもちょっとあったんですが、五十八年度の予算に向けて大蔵大臣と運輸大臣との間で交わされた覚書、これは五十七年十二月二十九日だと思います。それから五十九年度予算で両大臣の間で交わされた覚書、五十九年一月、それぞれひとつ、どういう覚書を交換されたか、その全文を提出してもらいたい。  これは新聞報道では、私が見る限りにおいては五十九年一月二十五日の新聞、二月四日の新聞、一月二十四日の新聞、それでそれぞれ報道しておりますが、これは新聞報道でありますから、きのう私は質問通告で大臣間でいわゆる交わした覚書、メモ、それからいわゆる後から聞きますが、いろんな各省との間のことについても全部用意をしておってもらいたいということを質問通告してありますから、ひとつ今申し上げた大蔵大臣と運輸大臣との間で交わされたことについての全文を提出をしてもらうと同時に、御説明を願いたい。
  108. 山本長

    政府委員(山本長君) 大臣同士の折衝におきましては、その場において大臣が折衝されまして、そしてこういうことでいこうという合意に基づいて予算編成がされるわけでございますが、先生おっしゃるように合意文書だとか覚書だとか、そういったものではございません。五十九年度におきまして予算の最終段階におきまして大臣同士が折衝されまして、そのときに両大臣が合意に達せられましたのは、この関西国際空港について予算をつけるということでございますが、その場合に運輸大臣から、地方自治体及び経済界からの出資について協力の確保の見通しがあるということ、それから日本自動車ターミナル株式会社の廃止と民営移行を行うということ、それから大阪国際空港周辺整備機構と他との統合を図るということ、それから将来この事業、関西国際空港の工事費の削減について努めるなど会社の採算性の確保を図るように運輸省として会社を指導していきましょうという点につきまして、両大臣が協議調整されたのでございます。  先生がおっしゃるような文書だとかというふうなものではございません。両大臣の折衝の結果はそういうふうな話し合いによりまして予算がセットされた、こういうことでございます。
  109. 安恒良一

    ○安恒良一君 覚書ないしメモ等が、そうするとあれですか、これ五十七年十二月二十九日のこともこの一月のことも新聞は皆うそを言っているんですか。私が言っているのは、覚書とかメモとかそういうものがあれば出してほしい、こういうことを言っているんですよ。ただあなたがそこでべらべら読み上げられたって、あなたほど私は頭がよくないからわからないんだよ。だから、そういうものがあるならば文書でもらいたい、こう言っている。あなた、メモでもいいからあったらもらいたい。しかしあなたたちは、そんなものはない、それは新聞が皆うそを書いているんだ、こういうことですか、私ここに各社の新聞をうんと持ってきていますけれどね。  私がなぜこういうことを言うかというと、あるならあるでそんなもの隠すことないじゃないですか。出して私たちの審議を促進したらいいじゃないですか。何で、何か秘密があるんですか。秘密があるように、疑いたくなるんだ。そうでなけりゃ、竹下さんと細田さんの間にこうこうこういうものをしたということを文書にしたものがあるんなら、それをくれりゃいいじゃないですか。メモがあるんなら、メモは安恒さん、こういうメモがありますよと、それからその前の五十七年の十二月のもあるならあるで、そんなこと隠すことないじゃないですか。また隠しおおせるものじゃないでしょう、国会の審議というものは。  そういうものを全部さらけ出してそしてこの法案審議を進めていくというやり方が一番オーソドックスだし、正しいことじゃないですか。私たちはまた国会議員として、国民に対してそういうことをきちっとしながら法案審議していくという責任を、国会議員として持っておりますけれども、まさかそんなところに守秘義務はつかぬでしょう。国会議員に対して守秘義務ですか、そんなところに。そんなところに守秘義務がつくはずなんかないんです。そうすれば、そういうものが二つあるならばそれを出してくださいよ、あなた。何でそういうことを嫌がるんですか。
  110. 山本長

    政府委員(山本長君) 両大臣の間の折衝の事項でございますので、その内容につきまして資料として御提出することにつきましては、大蔵省とも相談をいたしまして、御提出するという方向で相談をしてみたいというふうに考えます。
  111. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、私は、審議を促進されるなら、そういうことは何にも秘密じゃないと思うんですよ。そして、もう既に新聞にも報道されているわけですからね。そういうものについては委員から要求があったらやはり出して、そして審議を促進すると。こういう態度をとってもらいたいんです。  きょうは大蔵が来てないというんなら、大蔵と相談して次回出してもらうことは結構ですけれども、私は少なくとも、国政においてこの重要法案審議するときに、そういうものがある、そしてそれが一部新聞にも堂々と報道されているときに、議員の方から提出を求められたときに出し渋ったり、大蔵とあれだからというんでは、そういうことでは私は法案審議は進まないと思いますよ。法案を本当に早く審議して成立をさせたいとおっしゃるならば、そういうようなことはどんどんお出しになって、また私たち国会議員はそういうことを知る権利、調査する権限を持っていますから、出さぬと言ったって出してもらうことになりますよ、それは。税の守秘義務とは違うんだから。大臣どうですか、そこのところ。
  112. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 今メモというお話がございましたが、要するに予算折衝の最終の段階において、運輸、大蔵両大臣の折衝の過程におきまして私が読み上げたと、まあ口頭で言ったというものが新聞に出ておるわけでございます。で、大蔵大臣は、そういう前提においてこの予算を了承するということでございます。そういう性格のものでございます。  それから、出すことについては、もうおっしゃることはよくわかるんです。もう出せばいいじゃないかと今ここでも言っているわけなんですが、問題は、役所同士のそういうものについては役所はなるべく出さないというのが、各省いろいろな事情もあるものですから、役所同士の話をしてから出すということにいたしておる、こういうことなんでございますから、今なるべく早く話をしようと、こういうことを言っておるわけでございます。
  113. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣ね、私のこれは後からの質問にも関係をするんですが、私たち国会議員に、こういう重要な法案審議されるときに、それにかかわる各省間の協議とか大臣間の協議があったら、それを出さないんだと、それはおまえさんたちに知らせぬでいいんだと、おれたちだけ知っておけばいいなんというのは思い上がりも甚だしいんだよ、役人がそんな態度をとるんだったら。思い上がりも甚だしい。我々の国会議員の審議権の妨害じゃ、そんなもの。思い上がりも甚だしい。  そういうものを全部含めて議論して、この法案について賛成するのか反対するのか、もしくは一部修正してもらいたいとか、附帯事項をつけるわけですからね、自分たちだけ知っておけばいいということじゃないんですよ。そうでしょう。少なくともこの空港建設にかかわるいろんな問題について、ここで今審議している最中だから、そんなことを知らしめぬで、それであなたここは通過するぐらいに思っている。そんな甘っちょろい議員とは違うよ、わしは、言っておくけど。——いやいや、大臣に言っているんじゃないんだ。役人が言うから、役人に言って聞かせるんだ。あんた出すと言うんだから、役人に言って聞かせておるんだよ。そんな思い上がりも甚だしいというんだよ。そんなことじゃ法案審議できないよ。  そんな思い上がりしてもらったら困るよ、あんた。国会議員を君たちは何と心得ておるんだ。法案審議権を何と心得ておるんじゃ。それがためにきのうわざわざ、君のところの質問をとりに来た人には全部言ってあるんだよ。覚書があるなら覚書、メモがあるならメモがある、各省間の協議、すべてあしたは聞くぞ、用意しておいてくれと、こう言ってある、きちんと。それを今になったら、大蔵省とお話し合いしなけりゃ出ませんとはどういうことなんだい。——大臣、あなたに言っているんじゃないんだよ。そういうのは怠慢なんだよ。そんなことでどうして審議が進むの。
  114. 山本長

    政府委員(山本長君) 中身については先ほど申し上げたとおりでございますが、安恒先生の御要望に従いまして、やはりこれは役所同士の問題もございますので、出すという方向で折衝いたしまして、そして提出するということで私たちは努力をさせていただきたいというふうに考えます。
  115. 安恒良一

    ○安恒良一君 うちの理事もちょっと聞いておってもらわにゃいかぬな。  こんなことでみんな一つ一つこれ、私が質問したいことみんなこれ後へ後へと、こうなっているんですが、これはどうなるんですか、これ。一つ一つ、また改めて協議しましてとか、改めてつくりましてとか、こんなことじゃ理事さん、とってもこれは審議が進みませんが、どうしますかね、これ。こんなことで一つ一つあれしておったら、まだこれからいろんなこと聞かなきゃならぬことがたくさんあるんですからね。
  116. 桑名義治

    ○理事(桑名義治君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  117. 桑名義治

    ○理事(桑名義治君) 速記を起こして。
  118. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、これも保留しておきますから、ひとつ出してください。二つのことを言っていますから、どうぞそのメモなり文書なり具体的にひとつ出してもらいたい。  そこで、じゃ次に参ります。  まず、財界の今度は支出について少しお聞きをしたいのであります。地方自治体の支出については同僚の目黒議員がやられていますし、まだ問題が残っておりますから、私も疑問点をいろいろ持っていますが、それは改めてということにいたしまして、新しい課題として、まず関経連を中心とする財界の支出額については、きのうの大臣の答弁で二百億、こういうことが、おとといですか、明らかにされていますが、少なくとも果たして本当にその支出二百億が確認をされているんだろうかどうなのかということについて、私は非常に心配をするわけであります。  ですから、大体二百億ということでありましたならば、財界として確認をされているということでありますならば、その中身について、どこの会社でどのような出資をするのかというようなこと等の御相談が進んでいるんだろうか。少なくとも民間会社が金を出すとき、一千万とか百万という小金じゃありませんからね、二百億の金を関西財界が中心になって出すという以上は、少なくとも支出のめどについてもいろいろな議論が進められてなければ私は確約されたことにならぬと思いますが、民間の二百億の支出の中身について少しお聞かせを願いたいと思います。どういう状況になっていますか。
  119. 山本長

    政府委員(山本長君) 民間出資につきましては、この出資については二百億ということを前提といたしまして、在阪の経済五団体がございますが、大阪商工会議所、関西経済同友会、大阪工業会、関西経営者協会、関西経済連合会、五法人ございますけれども、この五団体から、この株式会社構想に盛られました出資、それから低利長期の社債の引き受けも入っておりますけれども、については協力をするという決議が行われ、私たちの方にもその内容の文書をお出しいただいております。  それから、先生がおっしゃるその後の問題でございますけれども、関西経済界及び中央経済界でございます経団連などでもって構成いたしております関西国際空港出資促進委員会なるものが設立されておりまして、現在このような法案がこういうまだ国会審議中でございますから公式的な活動は開始されておりませんけれども、民間の側における株式引き受けにつきまして、調整の作業が進められておるところでございます。在阪の経済界というものを中心とし、それに対して中央経済界が協力をするという形で、出資の調整が現在非公式な形において行われておる。これが、法案が通 りました後におきましては正式なその活動が開始され、円滑に出資の引き受けが行われるような準備作業が今行われていると、こういう状態でございます。
  120. 安恒良一

    ○安恒良一君 あれですか、確約をされているんですか。——それじゃ、確約をされているんなら、確約をされているその今あなたがおっしゃったことを提出してください、こういうふうに確約をされているという。というのは、私は二百億と聞いておったら、今度は、今ちょっとあなたの話を聞くと、二百億をめどと、こう来たから心配になってきたんで、めどと二百億じゃ大分違うからね、これ。だから正式に、二百億は必ずこれは法案が成立をした場合には出します、こういうお約束が運輸省にそういうことで出されているんなら、それをひとつ提出をしてください。まずそのことをきちっとしておかないと、後で話が違ったということになったら困りますからね、これは。ですから、その点。  それから、二百億以外のことについてもあなた言われましたね、融資の問題についても。そういうことについて責任を持つということがきちっとした文書になっていろんならば、それを示してください。
  121. 山本長

    政府委員(山本長君) 御要望のとおり提出することとさせていただきたいと思います。
  122. 安恒良一

    ○安恒良一君 それから、あれはないんですか。それは、二百億をつくるということは団体としての確認は文書でできるそうですが、その中身について、いわゆる大体どういうところにどういう支出をしてもらうという、そういう話し合いは一切ないわけですか。それはもう全部向こうに任して未知数ですか。どういうところからどのように出してもらう。少なくとも二百億という金ですからね、財界としては、こういうふうに二百億を五団体なら五団体はそれぞれ責任を持つとか、大体これくらいの会社にはこれぐらい持ってもらおうとか、そんな話し合いということは全然されていないんですか、まだ。
  123. 山本長

    政府委員(山本長君) 先ほど申し上げましたように、そういった割り当てのための準備作業が経済界の中で行われておる段階でございます。これが、法案が通りましてから設立委員によりまして設立行為がなされるわけでございますが、その段階におきまして具体的な割り振りを決める、こういうことになろうと思います。先生おっしゃるように、今どの会社に幾らというふうなところまで、運輸省と経済界との間での話し合いまでまだ至っておりません。しかし、経済界の中で、法案が通りましてから設立作業に移りますときにスムーズにその割り当てが行われるような準備の作業が行われている、こういうことでございます。
  124. 安恒良一

    ○安恒良一君 財界のことですから二百億ぐらいはそんな話し合いしないでも簡単なように言われますが、私は関西の財界の皆さんと大分つき合いもありますけれども、これ非常にやっぱりがめついですからね、関西の方というのは。そう簡単に二百億を、ほいこれ、右から左というわけにはなかなかいかぬだろうと思いますよ、これ、率直なことを申し上げまして。ですから、今あなたのお話を聞くと、今は財界の中でそういう話が進んでいる、運輸省とはまた話をしていないというんですが、そうすると今度は運輸省として、それならば近い将来、じゃ今度はその中身で、どの会社にどれぐらい支出してもらいたいという話はするんですか、しないんですか。あなたの話を聞くと、これから、今はしないけれども復するような答弁でしたが、そこのところはどうですか。
  125. 山本長

    政府委員(山本長君) この法案の中に盛られておるわけでございますけれども、設立行為が設立委員、運輸大臣が任命いたします設立委員によって行われるわけでございますので、法律的な形といたしましては、これは形式論でございますけれども、その設立委員会において割り振りをし、かつその募集をする、こういう形になるわけでございます。  実際問題といたしまして、個々の会社に対しまして、どこが幾らどこが幾らというふうな割り当てにつきましては、運輸省といたしましては、民間経済界の合意というものを尊重いたしてまいりたいと思っておりますが、あくまでも形式的にはその設立委員の形の中で行われる。運輸省はそれについて、まあ産婆役と申しますか、の立場において努力をしていく、こういう形になろうと思うのでございます。
  126. 安恒良一

    ○安恒良一君 いや私は、形式的なことは、法案をもらっていますから、設立委員会が何をやるかなんていうような、そんなことを聞いているんじゃないですよ。今、運輸省と財界とのことを聞いているんですからね。  私は、例えばその二百億なら二百億というのを、いわゆる数社で持つ場合とか、多くの会社で持つ場合とか、いろいろのことがあり得ると思うんですよ、これは。そういうことについてあなたの話を聞くと、非公式としてやるらしいんですが、非公式でやるならやると、その場合にはどういう考えを持っているかというのを私は聞きたいわけです、二百億の出資についていろんなことが報道されていますから。たくさんの支出を、金を出したやつが発言権も持つのかとか、利益の方も握れるのかとか、いろんなことが報道されたり書かれたりしていますからね。いわゆる民間の二百億の支出についてこれから決められるときに、運輸省としてはどういう接触をしていくのかということを聞いている。設立委員会で割り当てるというのは、それは形式的なことじゃないですか。それをどうあなたたちはするんですかということを聞いているんです。
  127. 山本長

    政府委員(山本長君) 経済界の中におけるその出資の割り振りにつきましては、先ほど申し上げましたような準備作業が行われているものでございますので、その経済界における準備作業の結論というものを運輸省といたしましては尊重してまいりたいというふうに考えております。
  128. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、経済界が自主的に決めれば、支出の額、出資会社、そういうものは全部尊重していく、運輸省としてはタッチをしない、こういうことですな、あなたが言われたことは。それでよろしゅうございますか。
  129. 山本長

    政府委員(山本長君) そういった考え方でございます。
  130. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい、それは確認しておきましょう。  そこで、これは大臣にもお聞きをしたいんですが、これも報道を見ますと、いわゆるきょうも参考人で午前中お見えになっておられました会長さん等のいろいろな報道が出ていますが、例えばこういうふうに見られる部分、少ない出資で事業全体、人事まで握ろうとしている、こういう報道がいろいろされているわけですが、ここで念のために聞いておきたいと思いますが、関経連と運輸省との間にこういう問題について何らかの条件を交わしたことがあるのかないのか、このことについて聞きたい。
  131. 山本長

    政府委員(山本長君) 先生が御指摘になるような約束事のようなものは一切ございません。
  132. 安恒良一

    ○安恒良一君 もう一週念のため聞きますが、関西財界と政府との間に交わした覚書、すなわち出資の見返りに対する財界からいろんな条件が出されているように聞きますが、覚書が出されているように聞きますが、そういうものは一切ありませんか。後で出てきたら承知しませんよ。いいですか。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕
  133. 山本長

    政府委員(山本長君) 民間経済界が先ほど申し上げました出資ということについて協力をするという決定をいたしますときに、出資することを決定するに当たりまして要望事項というものが提出されております。  先生おっしゃる、人事権だとか、民間がこの会社に参画することによって何か利益を得るというふうな意味での見返りの条件といったようなものではないと思いますが。
  134. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃその要望事項をいただきたいと思います。要望事項をこちらに下さい。  そして、もう一遍念を押しておきますが、すな わち要望事項はある、しかしそれ以外に出資の見返りに対する財界からの諸条件、覚書が出ていることは一切ない。このことだけは確認しておきますよ。後であったら大変ですからな。
  135. 山本長

    政府委員(山本長君) 先ほど申し上げましたように、出資を決めましたときに要望事項がございますけれども、それは提出させていただきます。
  136. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ次にお聞きをしたいんですが、またこれも新聞報道にもございますが、建設の費用に対する利息、建設の利息の要求が財界から出ているはずですが、どういう要求が出ていますか。
  137. 山本長

    政府委員(山本長君) 先ほど申し上げました出資に当たっての要望事項の中に、建設利息の配当という、商法上の建設利息、出資金に対する建設利息の配当という商法上の制度がございますけれども、これを実施するようにしてもらいたい、こういう要望がこの中の一つとしてございます。
  138. 安恒良一

    ○安恒良一君 その要望事項は後で文書をいただきますから。  それでは、建設の利息は認めるのか認めないのですか。どうするんですか。認めるんですか、あなたたちは。それとも認めないんですか。イエスかノーか、それだけひとつ答弁してください。
  139. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 現在我々が想定しております資金計画には、建設利息のことを考えておりません。
  140. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、利息は一切認めないということですね。認めないということですね。建設利息は一切認めないというふうに受け取っていいですか。
  141. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 建設利息をつけるためには原始定款、会社が設立するときの定款に盛り込んでおく必要がございます。したがいまして、設立委員が任命された後、設立委員の間でそういった問題は十分御討議なさると思います。しかし、我々が現在想定しております資金計画のには建設利息を織り込むことを考えておりません。
  142. 安恒良一

    ○安恒良一君 それではお聞きしますが、建設費というのは、例えば東北新幹線の建設、それから青函トンネルの建設等々、当初建設費が諸物価、人件費の高騰その他いろんなことで、相当これは大きくなっていっていますね。今ここで具体的数字を挙げるには時間がかかりますから挙げませんが、それはもう皆さん御承知のとおり。ここの場合もとりあえず第一期工事をやると。その場合、残念ながらやはり年々建設費用がかさむのがこの種の工事についてはやや常識的になっている、なかなか計画どおりうまくいかないということ。そうなりますと建設の利息自体が大きくなりますが、その場合も今あなたがおっしゃったことは変わりございませんね。
  143. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 私ども、このプロジェクトの収支採算につきましていろいろ計算をいたしました。その結果、無利子の資金三〇%が確保できるならばいろんな事態に対応してもなおかつこのプロジェクトは採算がとれると考えております。
  144. 安恒良一

    ○安恒良一君 いやいや、私は採算がとれるとかとれないとか聞いていない。人の質問にあなた正確に答えてくださいよ。  残念ながらこの種の大型な公共プロジェクト建設には、建設の予定年数が延びたり、もしくはいわゆる物価、人件費の高騰等があって当初計画より非常に建設費用が、今までやってきたのは全部がさんでいるんですよ、上越新幹線一つをとっても、東北新幹線一つをとっても、青函トンネル一つをとっても。例えば私は福岡ですが、福岡におけるところの、市がやっているところの地下鉄建設一つをとっても、全部、当初計画どおりなかなかこういうものはうまくいかないんですよね。そういう場合でも、建設費用はかさみますが、その場合でも建設の利息というのはもう一切これは認めていかないんだと、こういうお考えですかと聞いているんですから、採算がとれるとかとれぬとか、そんなことを聞いているんじゃない。認めるのか認めないのかはっきり言ってもらえばいい。それだけの話ですから。
  145. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) このプロジェクト建設を進めていく場合に、二つの要因でコストが上がることが考えられます。一つは物価上昇、それからもう一つは、現在調査を行っていますけれども、不測の事態が生じて工事費が上がるということ、二つのケースがあり得ると思います。  私ども十分な調査をしておりますので第二の、不測の事態に直面して工事費が大幅にアップするということはほとんどないものと考えております。しかしながら、物価上昇ということは避け得ないものだと考えております。その場合、建設費は当然増加しますけれども、建設が終わりまして供用開始した時点においては、今度は建設終了時点における物価水準を加味しまして使用料金が定められますので、そういったことから収支採算はとり得ると考えております。  また、お尋ねの建設利息をつけることを考えているかどうかという点でございますけれども、現在の商法の規定によりまして、会社が発足当時つくります原始定款に建設利息をつけるということを書いておきませんと、会社の設立以後においては建設利息はつけられません。したがいまして、設立委員が任命された時点におきまして、設立委員の間で会社のいろんな事業計画、それから将来の構想をいろいろ御議論なすって、設立委員の方が建設利息をつける必要があるかどうか最終的に判断なさると思います。
  146. 安恒良一

    ○安恒良一君 また話がおかしくなったんじゃないの。あんた、私が聞いたことを、つけるかつけぬかということを言やいいんです。そんな回りくどいことを言わぬで。時間稼ぎやめてもらいたいね。  僕が聞いているのは、最初に聞いたのは、建設利息については財界から要求が出ているのかどうかと。建設利息は認めるのか認めないのかと聞いたら、認めないと言ったじゃないか、はっきり。ああそうですか、わかりましたと、そこまで。それじゃこの種の工事というのは非常に当初予測したよりも長期になったり物価の上昇があったり、いろいろなことがあって費用がかさむ場合がありますが、その場合でもあなたの方は建設の利息は認めないんですねと、こう聞いたんです。そうしたら今度は、今になったら、いやそれは設立総会でまた何か決めるような話になってくると、語が行ったり来たりじゃないですか。認めないなら認めない、いや認めるなら認めるとか、設立総会で決めるなら決めるとか、はっきり言ってくださいよ、あんた。そんな自信のない答弁じゃ困りますよ、あんた。おろおろおろおろしてさ。もう少しきちっと、僕は単純明快に聞いているんだから、単純明快に答えてください。  今聞いていることは、年々建設費用がかさむ場合が常識で考えられますと。その場合でも建設利息自体は認めるんですか、認めないんですかと、こういうことを聞いているんですから、認めるなら認める、認めぬなら認めぬと。
  147. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 先生の御質問の建設利息と申しますのは、建設期間中に発行されました株式に対して、建設期間中ですと当然利益はないわけでございますけれども、利益がなくても資金調達を容易にするために建設期間中に一定の配当をするという制度が現在の商法にございます。そのことについてお尋ねかと思いました。  そのことについてお答えいたしますと、現在の我々の資金計画の中には建設期間中における建設利息をつけるということは考えておりません。  そういうことでございます。
  148. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、私が言っていることを持って回らないでも、いわゆるまず財界その他から要望が出ている建設費用に対する利息、建設利息は一切認めないと。それから、今後建設費用がかさんだ場合においても建設の費用については認めないと、こういうふうに承っておきますよ。いいですね、それで。もうこれで時間をとるのは嫌だから。いいですね、それで。
  149. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 建設期間中におきます株式に対する配当をすることを建設利息と我々は理解しておりますけれども、そういうことであれば 先生の御理解と同じだと思います。
  150. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃそれは、そこまでお聞きしておきましょう。またこの次に、必要に応じてやることにします。  次は、やはりこれ民間経営と言われますが、私はやっぱり利権の問題を非常に心配しています。そこで、土取りですね。これはいわゆるたくさんの土が要るということで、一部淡路島からとるとか、あとはこちら側からとるとか、こういうことになっておりますが、大体土取りについて主として公有地を使うと、こういうことを言われていますが、しかし大臣の御答弁を議事録で拝見しますと、公有地だけで間に合わない場合には私有地もということを言われておりますが、大体必要な土が幾ら、それを公有地で幾ら、私有地で幾らとるか、まずそのことを聞かしてください。
  151. 山本長

    政府委員(山本長君) 関西国際空港の現在の計画における土量、必要土量というのは約一億五千万立米でございます。  その土砂の採取地につきましては、採取地選定のための調査を行っておる段階でございますので、土砂の採取地を決めておりません。決めますときに、大臣も以前にも御答弁いたしたことでございますけれども、公有地が望ましいことはもちろん言うまでもございません。ただしかし、公有地ばっかりとるというわけにもなかなかまいらないということだと思います。これは、その土砂の採取の容易さとか、あるいは公害への配慮から見たところの問題点、それからやはり地域の開発との関連等々を考えまして、地方公共団体等とよく相談いたしまして決めるわけでございますので、その場所が公有地ばっかりというわけにはまいらぬ場合もあると考えられるからでございます。  したがいまして、先生おっしゃるような、公有地から幾ら、私有地から幾らというふうに今申せるような段階ではございません、候補地自身をまだ決めておらない段階でございますから。
  152. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも、奇異なことを聞くね。あなたたちは質問者によってその都度その都度答弁を変えるの。  ずうっと衆議院で今日まで各党に答弁してきた議事録をよく読んでごらんなさい。あなたの意見を聞くと、望ましいということだけであって、公有地がどのくらいか私有地がどのくらいかわからぬと言うけれども、そうじゃないじゃないですか。ほとんどの部分をいわゆる公有地からとるのだ、しかしどうしても公有地で足らぬときは私有地も使わざるを得ないという趣旨の答弁をしているじゃないですか、あなたたちは。それじゃ僕が今度、それならば公有地から何%——ほとんどの部分と言うから、八割とるのか九割とるのかと、あとの一〇%なら一〇%は私有地なのかと聞いたら、いやいやまだそれは一切わからぬのです、それは望ましい話をしたんですって、そんな言い方ないじゃないの。そんならそのように最初からあんた、そういうふうに答弁してもらわにゃいかぬわね。  もう一遍自分たちで、衆議院の運輸委員会、連合審査、予算委員会等々でずうっと答弁した議事録を精査して答えてくださいよ。その都度その都度あんた、いいかげんな答弁をして切り抜けられたらかないませんで。私たちは、聞く以上、議事録これ全部読んでくるんだからね、全部。あなたたちが何答えた、大臣が何答えたと読んで、その上で聞いているんだからね。  だから私が聞いていることは、少なくとも公有地で何十%とるのだ、八〇%、ほとんど公有地でとりたい。しかしどうしても公有地でとれぬ場合は私有地もやむを得ないと。こういうことを言われておるからね。そのやむを得ないというのが何%ぐらい、一億五千万立米の中で何%ぐらいあるかということを聞かれたら、いやそれは望ましいことを言ったんで、まだ皆目見当がつかぬと言う。  どうしてそんな答弁になるんですか。前の答弁は間違いで、この際はお謝りになるんですか。あれはうそを言いましたとか、まことに申しわけなかったと謝るんなら謝ってくださいよ、時間がかかりますからね、これもまた、
  153. 山本長

    政府委員(山本長君) 同じ答弁を私申し上げておるつもりでございますが、土取りの地の選定というのは非常に重要な問題でございまして、与える影響が非常に大きいところから、地域の開発の計画というものも考えなければいけませんし、もろもろのことを考えて、そして地方公共団体とも相談ずくで手順を踏んで決めるべき問題でございます。したがいまして現在、土取り地候補地につきましてどこにするかということにつきまして諸般の調査を行い、なおこの事業主体ができました後におきましてもその調査が若干継続するわけでございます。よく相談の上慎重に候補地を決めなければならない問題でございます。それを決めるときにいろんな問題を起こさないためにも、公有地がいい、望ましい、そういう方向で決めるべきだと、こういうふうに申し上げております。ただ、その場合に公有地ばっかりというわけにもまいらない場合もあるでしょうということを申し上げているのでございます。
  154. 安恒良一

    ○安恒良一君 ごまかしちゃいけませんね。私は今、どの土地を何ぼとるということを聞かせると言っているんじゃないんですよ。そんなことを言っているんじゃないんですよ。私はどこの、何町の何をとるかという、そんなことを聞かせると言っているんじゃないですよ。そんなことを先にしゃべったら利権が絡むというけれどもね、後から言いますが、もう大概買い占められておるんですよ、みんな。しかし、あえてそのことをあなたに聞いているんじゃないんだよ。  私が聞いていることは、いわゆる公有地でほとんどとりたいというから、大体一億五千万立米なら立米の、どのくらいの数量は公有地でとるのか、どのくらいの数量は私有地でとるのかということを聞いているだけです。それをあなたは、いや望ましいということと、大多数は公有地でとりますと。今まで言明したことは違いますよ。だから私は、箇所なんか今ここで言えと言っているんじゃないですよ。何も利権屋の先を担ぐ必要はないんだから、我々も。ただ、少なくとも公有地を中心にとるというなら、一億五千必要ならそのうちのどのくらいは公有地でとろうというお考えをお持ちなのかということを聞いている。それも我々に言えないんですか。  そんなら、そんな答弁をしない方がいいじゃないですか。どうしても足らぬときは私有地を使いますというそんな答弁、どうして出てくるのですか。どうしてそういう、その都度その都度の答弁になるんですか。
  155. 山本長

    政府委員(山本長君) 土取り地の選定に当たって、公有地が望ましいし、あるいは公有地比率というのが高い方が望ましいということでございまして、先生おっしゃる、そういった候補地というものについて具体的な選定が行われる前に、公有地から幾らとる、私有地から幾らとるというふうな数字というものは出てこないわけでございます。しかし、選定の方針といたしまして、公有地がなるべく多いところから選定をするのが望ましい、そういう方向で選定作業を進めてまいる方針であると、こういうふうに御説明申し上げているのでございます。
  156. 安恒良一

    ○安恒良一君 三点セットというのもありますし、具体的なのがなくて、——箇所を言えと言っているんじゃないんです、少なくとも数量ぐらいの見当がつかないで、今になって、公有地が望ましいとか、公有地からたくさんとってできるだけ私有地は少なくしたいとどうして言えるんですか。そんな子供だましのことを言いなさんなよ、子供だましの。自分たちが今まで言ったことが間違っていたら、間違っていたと謝って訂正して、こういうふうにしたいと。自分たちが今まで言っておったことと私が聞いたことを全部つじつまを合わせようとしたって無理だよ、君の答弁は、幾ら聞いたって。子供だましじゃないの。公有地からできるだけとって、どうしても足らぬときは私有地からとるということになれば、少なくとも一億五千万立米のうちのこれぐらいは公有地でとれる、これぐらいはとれないと。ただし私は、箇所 を言えと言っているんじゃないんだ、箇所を言えと言っているんじゃないんだ。そんなことのあれもないで、どうして国会で聞かれたときに、公有地からほとんどとりたいと思います、それから、しかしどうしても足らぬときは私有地も一部使わざるを得ませんと、そんな答弁にどうしてなるんですか。  何にも見当をつけないでいいからかげんの答弁をしてきたんですか、今まで、あんたたちは。そんなばかなことはないでしょう。もう少しまじめに答えてくださいよ、まじめに。まじめに。それから、自分たちが今まで答弁したことに間違いがあったならば潔く訂正をして、実はこういうことでしたということで訂正して、わびるところはわびて、そして言い直さなきゃならない。今まで言ったこともそのまま残して、そして僕の聞いたことについても言わぬ。  またこれ堂々めぐり。こんなやりとり、私、嫌なんです。私が聞いていることは、箇所を言えと言っているんじゃないんだ。一億五千万立米要るという。ああわかった、そのうちのどれだけは大体公有地でとる予定なんですか、私有地はどれぐらいのことですかと。ところが、そんな見当もつけてないで、公有地ってどうして言えるんですか。あるかないかわからぬのに、あんたたちはそんなことを言ったんですか。公有地ではたった三千しかとれぬ、残り一億二千ですか、それは全部私有地でとる、そんなことになるんですか、あんたたちのは。  あんたたちのは、ずっと衆議院から一貫して聞いておったら、できるだけ公有地でとるということをずっと一貫して言ってきているから、どのくらいの見当があるんですかと聞いておるんです。その見当も言えなかったら困るじゃないですか。
  157. 山本長

    政府委員(山本長君) 土取り地の決定をいたします前に、先生おっしゃる公有地から幾ら、私有地から幾らというふうな計画を決めること自身、決めることは困難だと思います。  それは、どこからとるかということにつきましては、公有地比率の問題というものは重要な選定のファクターの一つでございます。しかし、それだけではなくて、公害の発生がないようなやっぱり場所からとるとか、あるいはその地域の開発との関係というものも考えて、そのほかの要素というものも加味して決定されるということでございます。したがいまして、その決定の大きな要素でございますが、要素の一つとしての土地の所有形態につきましては、公有地というものが望ましいし、よしんば私有地が若干入りましても公有地比率がなるべく大きいところが望ましい、そういう方向で決定してまいりたいと、こう言っておるわけでございまして、ちょっと先生のおっしゃる、非常にあれでございますけれども、先に公有地から幾らとるか私有地から幾らとるかということを、場所を決める前に計画を立てるということは困難なことだと私は考えるのでございます。
  158. 安恒良一

    ○安恒良一君 困難なことならなぜ今まで——きょうになって初めてあんた、望ましいと言い出したんだよ。今まで何でそんな答弁をずっと議事録で繰り返しているの。困難なことだ、あんたが言うような理屈でなら、公有地を中心にとか、どうしても足らぬときは私有地からという答弁なんか出てくるはずないじゃないの、あんた。ないじゃないの。人から問い詰められたら、今になって、望ましいと。実はこうこうこういう条件があるからわけはわかりませんと。そんなんだったら、あんたのあれだったら、公有地からとるのか私有地からとるのかわかりません、できるだけ私たちは公有地からとりたいと思いますが、その一億五千万の中身は一切まだわかりませんと、こうあんた最初から答弁しとかにゃいかぬじゃないか。最初からそういう答弁をしとかにゃいかぬじゃないですか。それなら私はそれで、その上に立って聞いていきますよ。ところが、最初はそう言ってないでしょう。  大臣の答弁にもあるんですよ、大臣の答弁にも。それを、今ごろになって、望ましいとか、わけはわからぬと。いや、実はそれは先生、こういう条件もあるから、こういう条件もあるからと。公有地なのか私有地なのか、あんたの話を闘いとったら皆目見当がつかぬ。望ましいという言葉だけ一つ残る。それだったら、今までの衆議院におけるところの答弁というのと、かなりの食い違いが出てきていますよ。
  159. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 衆議院の答弁、私もいたしておりますので、ちょっと私の申し上げたことを……。  いろいろ買い占めやなんか、いろんなことが起こっているじゃないか、なるべく公有地から買うべきじゃないかと、こういう御質問なんでございます。ですから、それはもうそのとおりでございます、できるだけ公有地の方が望ましゅうございます——望ましいという言葉を使ったか、なるべく公有地にいたしたいと思いますと。しかし、それだけで全部賄えるかどうかということになると、なかなかそうはいかないという場合もあります、というふうに申し上げておると思いますので、それが何%だという話までいきますと、どうも今お答えしたこと以上には今ちょっとすぐ、場所の選定そのものができていないからお答えできないということなんですが、私の気持ちとしてはもうできる限り公有地からとるべしという気持ちでお答えを申し上げたのです。
  160. 安恒良一

    ○安恒良一君 あのね、大臣、衆議院のときにもその望ましいという言葉にはなってないんですよね。望ましいということにはなってないんです、衆議院の議事録を見ても。だから、まあこれだけで時間をとるわけにはいきませんから、私も自分の持ち時間が減るばっかりだからね。  それじゃ、その四千五百億の経費をこれに見込まれていますね。そうするとあなたたちはあれですか、四千五百億、土取りのいろんな諸経費については、どこの土をとるか一切皆目見当がつかない、公有地であろうと私有地であろうとわからないのに、その単価はどうして出したんですか。今のお話を聞いておると、全く皆目見当がつかない。望ましいことだけはわかっているけど、どこの土地をとるやらさっぱりわからない。さっぱりわからぬのだけどこれだけの金が要る。そしてあなたたちは民間の活力をと言っている。民間会社ではそんな算出はしませんよ。どこの土地をとってきてどこを埋めるとき、あそこの土は大体どのくらいがかる、輸送距離がこれだけかかる、だからこれだけぐらいの土取りに金が要るというのを積算するんですよ、積算は。その四千五百億の積算は何にもあれですか、そんなことは皆目見当がつかないのに、どんな土をとるかもわけがわからぬで、とにかく四千五百億の金をどうして算出したんですか。私はわかりませんよ。
  161. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先生のおっしゃる土取りの費用でございますけれども、今考えておりますこの泉州地域、それから和歌山の北部にかけての丘陵地帯を前提といたしまして、数カ所今まで勉強しております。  三点セットでも書いておりますけれども、いろいろな条件をつけまして、いろいろなぐあいの悪いところを外していきまして、その中で相当絞っていきましてそれぞれ私ども試算してまいりました。その数字を用いて今単価を出しているわけでございますが、さらにこれを詰めていく段階で今調査をしていますものをさらに詰めていく必要がございますが、その中で、三点セットにも書いておりますように実際にはなるべく、この三点セットの文章をそのまま読みますと、「公有地が占める面積の割合がなるべく大きい地域を土砂採取地の候補地として選定する。」と言っておりますように、そういう社会的な条件も含めて実際の場所が決まってくるわけでございますが、現在のところはまだ場所が決まっておりませんので、数カ所の場所について試算したものを用いて計算しております。実際にはこれをさらに検討しまして詰めていくということになります。
  162. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、そんな子供だましの答弁じゃ困りますから、今数字を一々読み上げられても時間をとりますから、積算基礎を下さい。四千五百億の積算基礎を、あなたたちはいろいろや ったと言うんだから、その資料を下さい。それを私は検討して次の質問をします。これはこれまでにきょうはとめておきます。  あなたの今の質問のを聞いておって、それで私が納得する、そんなしとにはならぬですよ。私はそんなばかじゃないんですから。もう少し中身を精査しますから。  それじゃ、四千五百億のいわゆる積算基礎を出してください。そして、それを精査した上で次回質問でまた質問します。よろしゅうございますね。
  163. 山本長

    政府委員(山本長君) 提出させていただきます。
  164. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい。  次へいきます。  そこで、今土取りの選定調査がされているということが言われておるんでありますが、ひとつその選定調査がされている町名というか、場所ですか、我々が新聞で見ますと五カ所ぐらいあるんでありますが、この点はちょっと場所を、町名なり言ってみてくれませんか。
  165. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 今選定のための基礎的な資料を集めておりますが、そこで検討しております地区は、和歌山県の加太地区、それから大阪府の岬町、それから大阪府の阪南町、さらに大阪府の泉南市、さらに和歌山県の岩出町、この五カ所の地域でございます。
  166. 安恒良一

    ○安恒良一君 五カ所ですね。  それじゃ、以上の地区について調査を五つの大手建設会社が請け負っているそうですが、その大手建設会社が請け負っておる会社名はどことどこでしょうか。
  167. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先生箇所とおっしゃいましたけれども、五地区と言っていただいた方が……。
  168. 安恒良一

    ○安恒良一君 五地区ね、はい結構です。
  169. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 相当広い範囲をまだ含んでおりますので、それで御了解いただきたいと思います。  加太地区につきましては鹿島建設が受注しております。岬町につきましては熊谷組、阪南町は大林組、泉南市につきましては青木建設、岩出町につきましては大成建設がそれぞれ受注をしております。
  170. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい、わかりました。  さらに、この地区での調査の地番、範囲、所有の形態について、図面をもってひとつ、今選定の調査をされておりますから、これを提出してもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  171. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 土地の利用状況——利用状況といいますか、所有者関係につきましてはまだ調査ができておりません。場所がある程度詰まってくる段階で、各府県と調整する中で調べたいと思っております。
  172. 安恒良一

    ○安恒良一君 それは不思議な話ですね。今調査をされているわけでしょう。ボーリングもされていると聞いているんですよ。所有形態がわからぬのに、あんたたちは勝手に他人の土地に無断でボーリングをやっているんですか。  私が聞いていることは、今あなたたちが選定調査をこういう場所でやっている、会社はこういうことだと言うから、それじゃどこに調査をしているか、その地番と範囲と所有者、所有形態ですね、公有地もあるでしょう、私有地もあるでしょう。それはいろいろあるから、そういうものについて出してくれと言ったら、それはないと言うから、それじゃ黙って人の持っている土地にボーリングをやっているんですか。そんなばかなことはないじゃないですか。
  173. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 現在土取りの候補地選定のための基礎的な調査をやっておりますけれども、その範囲は図面上の問題でございます。ただし、今先生おっしゃいましたように、ボーリングをやっております。そのボーリングをやっておりますところの土地の所有、私有があるいは公有かというようなところはわかっております。
  174. 安恒良一

    ○安恒良一君 わかりました。  それではボーリングをやっている箇所の地番、範囲、所有者について資料をひとつ出してください。よろしゅうございますね。
  175. 山本長

    政府委員(山本長君) 提出させていただきたいと存じます。
  176. 安恒良一

    ○安恒良一君 はい。  持ち時間がだんだんなくなってきましたから、今度は次のことに入りたいと思いますが、これもさっきと同じですからもう簡単に片づけておきたいんですが、衆議院におきまして同僚議員から、いわゆる運輸大臣が基本計画を定める際に各省が事前協議をしてくれということで、七つの省との間に事前協議をしたということが松村説明員から明らかにされました。そこで私はきのう質問取りのときに要求しておきましたが、七つの省庁との間に結ばれました覚書の内容についてひとつ提出をしてもらいたいということであります。よろしゅうございますね。今なければ後でも結構ですから、出してくれますね。今さっきのやりとりでこれはもうはっきりしているんだから。
  177. 山本長

    政府委員(山本長君) これも先生からおしかりを受けるかもしれませんが、相手方の省庁のあれもございますので、私ども、その現物というよりは、どういう内容であるかということについて私たちの責任でお出しするということにさせていただきたいと思います。
  178. 安恒良一

    ○安恒良一君 相手があるって、アメリカ政府とやったわけじゃないんだよ、韓国とやったわけじゃないんだよ。内閣のもとにおける各省とやったわけでしょう、あんたたちは。外国の省とやったわけじゃないんでしょう。それを、国会の審議に必要だというのにどうして出さないんですか。これは大臣答えてください。審議に必要だから言っているんですからね、こんなものは次回出すなら出しますということでスムーズにやってくださいよ、あんた。
  179. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 私もかつて役人をやっておったことがあるわけですが、各省の申し合わせというのは、ちょっとした法律には、ほとんどまたがる法律については各省の文書の交換というようなものが大体行われるというのが通例でございます。  これははっきり申しますと、それぞれの権限を役人が、日本の役人が大事にいたしますので、その権限の立場から非常にいろいろ主張すべきところを主張するわけです。これは一概に悪いとは言えないわけでございます。そういうことで、要するに権限と権限がぶつかり合うというようなところのことについてセットをしなければ次官会議、閣議決定と通っていかないわけで、これは設定されると、こういうことになるわけでございます。したがってその内容につきましては、各省との折衝の状況、その折衝の担当者あるいは折衝の状況によって繁簡いろいろな差が出てまいっておるということがこれは通常の状態でございます。したがって、そのものを出すということにつきましては、これは各省が、これはどこの省でも同じことでございますが、非常に出したがらないといいましょうか、出しにくい。何だ、あそこにはこれだけのことを言って、うちはこれだけのことで頑張っておったのかというような話にもなる。ざっくばらんなところで言いますとそういった問題もありますので、役所ではなかなかそういうことは出さないということが私は慣例的にやや行われておると思います。  しかしながら、この問題につきましては、今いろいろ必要だということでございますから、内容については申し上げる、こう言っておるわけですが、したがってその文書の形そのものでなくて、書いている内容については、どこの省とはどういうこととどういうこととどういうこと、というものをお出しすれば、それで御審議を願えるんじゃないかと、かように思いますので、さよう御了承いただきたいと思います。由
  180. 安恒良一

    ○安恒良一君 了承できません。  この法案審議するに当たって、運輸大臣の基本計画を定める際にはぜひ事前協議をしてもらいたいという要請に基づかれて、この前衆議院においては、七つの省庁との間に覚書を結んでいます と答えたんです、松村さんが。結んでいる覚書そのものを、国会議員がこの重要な法案審議するに当たって必要だから出してもらいたいというのに、いやそれは出せません、そして中身の内容をここでしゃべります、それでは困ります。私はこの法案審議するに当たって、重要だから資料要求をしているわけでありますから、それは出していただがないと困ります。  そんなことを韓国の政府と結んだとかアメリカと結んだというなら、また事前協議とかなんとかいろいろあるだろうけれども、日本政府の中で農水省とあんたのところと何を話した、建設省としてこんなことをと。法案審議に必要だと議員が言っているのに、そんなものは出せませんなんて言って、それじゃ審議できません。出してくださいよ。
  181. 山本長

    政府委員(山本長君) 関係省庁と相談をいたしまして、先生に中身がおわかり願えるように努力いたしたいと思います。私たちが努力をいたして、先生の御期待に沿えるように努力をいたしたいというふうに考えます。
  182. 安恒良一

    ○安恒良一君 これはうちの理事、聞いておってください。後で理事会で相談して。私は覚書そのものが欲しい、こういうことを言っているわけです。この法案審議するに当たってぜひ、どういうことが一つ一つの省で、これは後から質問しますアクセスの問題からいろんなことに関係するんです、三点セットを含めて。ですから、そういうことを国会議員が知る必要があるんです。それを、私たちには言えない、役人の間だけではできるということでは、法案審議委員長進みません。  ですから、これに時間をとるわけにまいりませんので、後で理事会で十分御協議くださって提出していくように、委員長も御努力を願いたい。
  183. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) はい、わかりました。
  184. 安恒良一

    ○安恒良一君 では、次に進みます。  次は空港機能について少しお聞きをしたいのでありますが、まず、今度は二十四時間操業できる空港ということでありますが、このつくる必要性の一つに、三十数カ国から日本に寄港の要望が出ているがなかなか今の日本空港施設では需要に応じられないんだ、だから今度つくるんだということをいろいろ強調されていますが、この三十数カ国の中で、関西に入りたい、こう言っている国とエアラインを明らかにしてください。どこの国のどういうエアラインが関西に入りたいということを言っているのか、そのことを聞かせてください。
  185. 山本長

    政府委員(山本長君) 今ここにすぐ手持ちの資料がございません。三十数カ国が日本に乗り入れたいというふうに言っていることは事実でございますが、関西についてということで特定して言っているのが幾らあるかということについては、今資料を持っておりません。ただ、外国については、要するに日本に乗り入れたい、こういうふうな要望もございます。それからまた、関西のうち特に伊丹は、もう既にここにはなかなか入れないということが常識的になっておりますから、特に関西だけということを明らかに希望していないという例もございます。  現在の外国からの要望の状況につきましては、現在手持ちで持っておりませんので、後ほど提出させていただければありがたいと考えます。
  186. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも、空港機能についていろいろ聞くということを、きのう通告しておきましたからね。  空港機能について、あなたたちがこれをつくらなければならぬ理由の一つとして大きく挙げられているのは、日本に乗り入れ希望がこれだけの国があるんだと。そしたら、今東京や成田のことを言っているわけじゃないんですよ、大阪に二十四時間操業のできる空港をつくろうということになると、じゃ大阪について乗り入れがどこの国であって、どこのエアラインであるかぐらいのとがわからぬで、それでただ三十四カ国あると。あたかも大阪に三十四あるがごとき印象の答弁をあなたたちは今まで繰り返しておるじゃないですか。だから私は、中身を精査する意味で、三十四全部なのか、二十なのか、十なのか、どこのエアラインがこの際は大阪の新空港に乗り入れたいと言っているのか、このことを聞かしてくれということですから、きょうはなければしようがありません、これも保留しておきますから、次回までちゃんと調査して出してください。  次に参ります。  次は、二十四時間空港ということになりますと、いわゆる万が一当時の気象条件その他によって、関西空港まで来たが関西空港に着陸ができない、今度できるやつにですね。その場合は、二十四時間営業できる代替空港はあるんでしょうか、ないんでしょうか、どうされるんですか。韓国かアメリカかどこかに引き返してもらうんですか。
  187. 山本長

    政府委員(山本長君) 関西国際空港におりられないという場合が、レアケースではございますがあり得ると思います。したがいまして、その場合に、おりられる空港が必要であることは言うまでもございません。したがいまして、いわゆる代替空港といたしまして、二十四時間ということで真夜中でもおりられるという空港が少なくとも関西のほかに一つは必要でございます。  この点につきましては、今後の問題でございますけれども、空港の立地から見まして二十四時間空港になっても問題のないところ、また二十四時間空港の運用を希望しておる地方空港もございますので、そういう空港につきましては、着陸の我々の管制等の体制さえ整備できれば二十四時間空港になり得るわけでございますので、そういう点について今後措置していかなければならぬというふうに考えます。この空港の運用開始までに措置しなければならないというふうに考えます。
  188. 安恒良一

    ○安恒良一君 これもいいかげんな話ですね。  あなたも専門家として、二十四時間操業をやる以上は、代替空港、補完空港が一なければ、レアケースといっても、実際は二十四時間にならぬわけですからね。あなたたちの一番やられているのは、日本には二十四時間がないから二十四時間をつくろうというんだ。それなら、つくる以上は、レアケースであろうと何であろうと、着陸できなかった場合にそれにかわる二十四時間空港をどこにどうするかということの考えがなければ、機能を果たさないじゃないですか。  それについて、いやとりあえずまず二十四時間をつくるんだ、そのつくる過程で考えればいい、そんなあんた空港行政がありますか。少なくとも二十四時間空港をつくったら、レアケースであろうとも、必ず代替空港なり補完空港というものはここにあると。そのことによって初めて二十四時間空港として諸外国にも誇り得ることになるんじゃないですか。誇るんじゃないです、当たり前です。どこでも、二十四時間空港をつくったら、そこに着陸できないときは、ちゃんと代替空港、補完空港というのは持っているんですよ。持っているから二十四時間ということが言えるんであって、何か、聞くと、どこか希望しておるところもあるとか、できるとか。どこですか。希望しておって、どこにやる考えですか。考えを聞かしてください、それなら。どこの空港が希望しておって、どこを二十四時間空港にこれのほかに、そこに着陸できないときはする考えなんですか、それ聞かしてください。そんな素人のような、いや安恒さん、これから考えればいいんだよ、そんなのはおれたちに任しておけと。  とんでもないよ、あなた。私は交通屋ですから、そんなことをあなたたちに任せられません。
  189. 山本長

    政府委員(山本長君) 今、どの空港にするという計画でございますという段階までには至っておりませんけれども、日本地方空港の中には、例えば長崎空港、大分空港といった海上空港がございます。これについては二十四時間運用空港に適した空港であると考えておりますし、また、この空港につきまして、二十四時間運用体制というものも地元地方公共団体においては要望しているという事実もございます。したがいまして、先生のおっしゃる代替の空港というものは必要であることは事実でございます。今どこにするというところ まで煮詰まっておりませんけれども、こういった条件のよい空港について代替の空港として指定をするということが必要であり、また可能であるというふうに我々は考えておる次第でございます。
  190. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうですか。わかりました。  そうすると、今のところでは、これから決めるんだが長崎、大分空港等を今後代替空港、補完空港としてちゃんとしていきたい、こういうことですな、大体。それでよろしゅうございますね。
  191. 山本長

    政府委員(山本長君) 候補空港としてそういうものがある、代替空港の候補としてそういう空港があるというふうに御理解願いたいと思います。
  192. 安恒良一

    ○安恒良一君 候補のことじゃなくて、現実に二十四時間空港を片方で操業するということになると、やはりきちっとしなきゃできないでしょう。できないでしょう。そうすると、今どっちをとるか僕は知りませんよ。知りませんが、長崎も洋上空港になっているから、長崎なら長崎とか、そういう条件を満たしてやるんでしょう。やらなきゃできないでしょう。候補地があるぐらいのことをあなたに聞かしてもらうことはないです。私たちも、来るとき、エレベーターの中で各党の九州の議員から、安恒さん、長崎、あれも二十四時間にならぬのかななんという話も出ていますよ、議員同士でも、率直なことを言って。ですから、あなたたちは必ずやはり代替空港、補完空港をつくらなきゃいけないでしょう。でないと二十四時間空港にならないでしょう、レアケースであっても。そうですね。  そうすると、今のその有力な候補としてはそれがあるということでいいわけですな。
  193. 山本長

    政府委員(山本長君) そのように御理解いただいて結構でございます。
  194. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、最後になります、時間が十三分までということですから。  今度のこれで空港機能が果たしてうまくいくのかというのは、当初、御承知のように滑走路を四千メートルが二本とそれからいわゆる補助と、こういうことが言われておったんですが、第一期工事はこれで最終的に三千五百になったんですか、二百になったんですか。——三千三百ですか。
  195. 山本長

    政府委員(山本長君) 三千三百メートルとして計画しております。
  196. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、これはワシントンやニューヨークから直行便が乗り入れ希望されたときに、この三千三百でワシントン、ニューヨークから大型機が入ってくるときに空港機能を果たし得ますか、これで、三千三百で。
  197. 山本長

    政府委員(山本長君) 現在使用されております最大の航空機であるいわゆるジャンボがいわゆるノンストップで行きます場合に、先生おっしゃるアメリカの東海岸は、ノンストップでしかもフルロードで行く場合には三千三百では不足でございます。
  198. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうですね。せっかくそれだけ二十四時間の、国際的にもアメリカその他からもいろいろあるときに、今やこのスピード時代で、ノンストップで行くというのをかなり航空会社なんかは売り物にしているんですが、私は大臣、余り中途半端なものをつくったらいかぬと思うんだよ。  やっぱりつくる以上は、少なくとも大阪からニューヨークやらワシントン、お互いに日本から行く場合も向こうから来る場合も、それはあなた、ノンストップの飛行機が入れぬような、そんな中途半端な飛行場をどうしておつくりになるんですか。おやりになるんなら、少なくとも日本とアメリカのこれだけ経済交流が激しいときに、ノンストップでないで途中で乗り継ぎ、おりなきゃならぬようなそれでは困ると思うんですが、どうですか大臣、何でそんな中途半端なものをつくるの。
  199. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 実は全体の建設費の関係で、言うならば第一期的な意味で三千三百にして西海岸までは到達できるということにしたようでございますが、埋め立ての工事、外側の工事なんかは四千メーターに延ばし得るように工事をしておこう、そして恐らくおっしゃるとおりでございましょうから、引き続きその四千メーターに延伸する工事を続けてやらなければならないだろう、さしあたりのところ三千三百で始めると、こういう意味でございます。埋め立てそのものは、ですからその延伸を考えてあらかじめやっておかなければならない、そういうふうにやるつもりでございます。
  200. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、きょうはもう終わります。まだあります。今の点いろいろ疑問がありますが、時間が参りましたからこれで終わります。
  201. 桑名義治

    ○桑名義治君 前回の委員会に引き続いて質問を続けていきたいと思いますが、まず前回と今回の質問は基礎的な問題についてお聞きをしておきたいと思います。  今回の法案によりますと、関西国際空港整備準備金というものが設けられているわけでございますが、この準備金を設けた理由並びにその効果について御説明をまず願いたいと思います。
  202. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) この会社の総事業費は一兆円でございます。そのうち四千億円というものが非償却資産になっております。と申しますのは、この空港をつくるために空港島を埋め立てでつくるわけでございますが、空港島をつくるに当たりまして空港島の周囲につくる護岸は償却いたします。しかしながら、その護岸に囲まれた中に土砂を導入しますけれども、この土砂は償却いたしません。その償却しない非償却資産が四千億円でございます。通常の会社ですとこの非償却資産の四千億円を全額自分の資本金でつくればいいんですけれども、この会社は借入金でつくります。そうすると、借入金は返さなくちゃいけない。四千億の借入金を返すためには、償却資産であれば償却費と、それから会社の利益、二つの財源で返還できるわけでございます。非償却資産ですから、償却費を充てることはできない。そうしますと、四千億円の利益を出してそしてそれを借金の返済に充てなくてはいかぬ、こういうことになってしまうわけです。そうしますと、四千億円の利益を出すためには、一兆円の利益を出さないと手元に四千億円の利益は残りません。一兆円の利益を出すというのはこれは大変なことでございます。そうしますと、借入金の返済期日が非常に延びますので資金調達にそごを来します。こういった事態を避けるために、まず四千億円につきまして、利益が出ましたらばそれは課税対象から一時除いておく、課税をしないで後ほど課税をするという措置をとるということでいたしたわけでございます。  具体的に申しますと、会社が利益が出ました場合には、そのうちの一部を準備金として積み立てていただく。その準備金が四千億に達するまではそれは課税をしないという制度でございます。そしてとりあえず四千億利益を積み立てまして、それで借入金を返してしまう。返し終わりましたらば、この四千億円を毎年一定の割合で取り崩します。そして課税対象にしていくという制度をつくったわけでございます。  こういったことから、この空港島、これは埋め立てでもってつくるといった特質から、この会社を円滑に業務運営をやるためにぜひとも必要な制度で、これをつくったわけでございます。
  203. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、先ほどからいわゆる埋め立て用の土砂の採取問題がいろいろと問題になっていたわけでございますが、この埋め立て用の土砂の採取も、今回法律に基づくこの会社がその業務を行うということになるのか。あるいは土砂採取は、大阪府が計画しております対岸の埋め立てとあわせて第三セクターにこれを任せることが検討されているというふうに言われているわけでございますが、具体的にはどういうふうになるわけでございますか。
  204. 山本長

    政府委員(山本長君) 私どもの現在の計画では、この会社が土砂を採取する、運搬もする、こういう計画でございます。  ただ、先生の御指摘の議論があることも事実でございます。これは土砂の採取ということは、空港島をつくる立場から見れば土砂の採取でございますけれども、今度は土砂をとる地域から見れば、これは地域開発としての、一つ用地を造成 するという性格も持ち得るわけでございます。したがいまして、土砂の採取地の選定につきまして、跡地の利用はいかがか。これは跡地の利用そのものは地方公共団体等が考えるべきことでございますけれども、土砂をとるときにおいてもある程度やはり、この跡地というものをどう利用できるのかということも考えて、利用できるような場所であるとか、利用できるようなとり方をするということの配慮をしなければならないわけでございます。そういった意味から、用地造成事業という性格も強いわけでございます。そしてまた、そこにおいていろんな事業がまた成り立ち得るわけでございまして、それが一つございます。  もう一つは、これも御存じのように、まだ煮詰まった計画というところまでいっておりませんけれども、大阪湾においてこの土砂の必要な要因と申しますのは、この空港島をつくるという非常に大きな問題がございますけれども、そのほかにも、大阪府がいわゆる前島構想実現したい、そこに土砂が必要になってくるわけでございます。その土砂も、やはり同じ土砂の搬出場所から、あるいは同じ機械を使い、経路を使い、あるいは船舶を使ってやるということが極めて合理的でございます。  この、跡地の利用の問題と、それから土砂採取というものを単に空港島だけじゃなくてほかの面とも併用して行うというふうなことが非常に合理的ではないかという考え方がございまして、そのためにはこれはやはり、地方公共団体というものとそれからこの土砂の必要な会社というものが共同で出資をした、例えば第三セクターというものをしてやらせれば非常に合理的ではないか、こういう構想でございまして、これは私ども、現在はこの会社がとるという計画でございますけれども、非常に合理的でありました興味のある構想でございますので、これについては検討いたすだけの値打ちのあるものだというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、非常に重要なことでございまして、地域の問題にも非常に関連をいたす問題でございますので、そういった第三セクター方式というものにするということを我々踏み切ったわけではございませんけれども、よくその辺のところは十分関係者と意見を詰めまして、この土砂採取の事業主体というものを決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。今、現段階ではこの会社がやる、こういう計画でございます。
  205. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、土砂の採取はいわゆる新会社が行うということが建前、原則というふうに今お答えをいただいたわけですが、それと同時に、大阪府の埋め立ての計画とあわせながらその跡地の問題やそういうその関連を考えた場合には、第三セクターというのも、この方式というのも非常に効率的な考え方である、貴重な考え方である、こういう御意見もこのお答えの中にはついているわけですが、これは新しい会社が、そういった大阪府等との間で話し合いをした上で最終決定をするのか。それとも、もう会社が設立をする以前に運輸省と大阪府との間でいろいろと考え方を詰めるのか、詰める時期は大体いつごろを想定しておるわけですか。
  206. 山本長

    政府委員(山本長君) この構想は比較的新しい構想でございますので、この会社の設立時期は十月を目途、もちろん法律を御承認願ってから速やかに準備して十月ということを目途にいたしておりますが、この構想自身をそれまでに、会社ができるまでに詰め切るというのは難しいのじゃないかと思います。  したがいまして会社の設立後になろうというふうに考えますが、しかし、そういう意味での会社というものと地方公共団体との話し合い、協議というもの、当事者としてはそうなるわけでございますので話し合いをして決定されるということになるわけでございますが、それは形式論でございまして、この会社に対してはやはり国は非常に大きな役割を果たしておりますし、また単に経済合理性だけの観点から決めるべき問題ではないというふうに考えますので、この構想に踏み切るのかどうかということについては、運輸省もやはりその方針決定の際には重大な役割を果たす必要があるというふうに考えております。また、この問題は運輸省だけではなく他の省庁にも関係するところがございますが、そういう省庁とも相談をして決めていくという必要があるというふうに考えております。
  207. 桑名義治

    ○桑名義治君 それと、採取に際しましては先ほどから、位置をどこにするのかという問題がいろいろと議論されておるわけでございますが、先ほどからのいろいろな御答弁をお聞きしておりますと、現段階ではある一定限度の範囲を決めながらボーリング等のいろいろな調査をしている。いわゆる調査というのは、跡地の利用の問題ももちろん含まれると思いますし、それから公害問題も含まれると思いますし、それから自然破壊の問題等もこれも含まれてくるものだと思いますし、そういうものを含めて大体いつごろをめどにこの調査が終わるのか、いわゆる結論が出るのか、その時期についてはどうでしょうか。
  208. 山本長

    政府委員(山本長君) この問題が解決いたしませんと着手できないわけでございます、当然でございますが。私たち、現在の状態から見て、できるだけ早く着手したいと思っております。  したがいまして、非常に重大な問題であり、いろいろな問題を考えなきゃならぬ問題でございますけれども、私たちの目途といたしましては、六十年度の後半には着手に持っていきたいというふうに考えております。そうしますと、その前に埋め立ての免許申請を会社が出さなければならない。その辺の期間を考えますと、やはり六十年度の前半には決めなければならないというふうに考えております。その時期を目途に努力していく必要があるというふうに考えております。
  209. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、その採取をする場所の位置が決定をするその時期には、とりもなおさず、その跡地がどういう利用のされ方をするのかということも、同時に決定をしているというふうに認識してもよろしゅうございますか。
  210. 山本長

    政府委員(山本長君) 土砂採取のその跡地の利用を考えて土砂採取地をやはり決めなきゃならぬということは何遍も申し上げておるとおりでございますが、本当に具体的に跡地をどう利用するかということは、この会社というよりは地方公共団体というものがやはり地域に精通し地域発展を考えておられるわけですから、その地方公共団体がやはり主体的に考えられる問題だと思います。  したがいまして、土砂採取地を決めるときに、跡地利用について地方公共団体が、やはり利用し得る、また利用の構想があるというところまでは必要だと思いますけれども、先生おっしゃるように、具体的に、ではそこにどういうものをどうしてというところまで詰め切らなければ採取地が選定できないかというと、そこまで考える必要もないではないか。ある程度、と申し上げては非常に漠然として申しわけございませんけれども、やはり跡地利用ができる可能性が十分ある、また地方公共団体としてその場所ならば跡地利用の意思があるというところまでは詰め切って決める、こういうことになるのではないかというふうに考えております。
  211. 桑名義治

    ○桑名義治君 行革行革というふうに叫ばれておるわけでございますし、それから同時に、安い経費でということも叫ばれておるわけであります。  そういうことを考えますと、場所を決定したときにはこれはもう同時に、大体どういう用途のためにこの跡地を使いたいというアウトラインは少なくとも私は決定をしておく方がベターだと思うんですね。そして、でき上がるまでには六年な力七年なりかかるわけでございますので、その完成の間際までには、具体的にどういうふうな形でこの跡地を利用するかということは、これは土砂をとるときに非常に有効だと思うんですね。土砂をとった後にあと、手が余り要らないという、その造成の費用がかからないという、そういう利点も大いにあるわけでございまして、しかも莫大な土砂をとるわけでございますので、莫大な造成の 土地ができ上がると思うんですね、造成地ができ上がると思うんです。  そういうこともあわせ考えながらやっていくことが私は最も好ましい事柄ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  212. 山本長

    政府委員(山本長君) 御指摘の点は、全く私たち同感でございます。  先ほど、若干慎重な答弁をいたしましたけれども、果たして私たちが目途といたしております土砂採取地の決定のときまでに先生のおっしゃるところまで詰め切れるかどうかという不安がございましたから慎重な答弁をいたしましたが、先生のおっしゃるように、そういった跡地利用について相当詰め切って、そして後でそごがないようにと申しますか、というふうにしていくことが望ましい、またそれが必要だということは全く同感でございます。また、そういう方向でやっぱり我生も努力をしていかなければならぬというふうに考えております。
  213. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、会社一つの性格といいますか事業範囲といいますか、その事業範囲をどこまで広げるのかということがやはり今後一つの問題になると思う、一応法律の上ではうたわれてはおりますけれども。  しかし問題は、新会社空港をつくるまでの間のいろいろな附帯事業、それからでき上がってしまってからの附帯事業、この大きく分けて二つに関連が分かれると思うんです。それをそういうふうに分断して考えた場合に、関西空港株式会社が具体的にどういう事業をどの範囲でやれるのかという、これはやっぱり明確にしていただきたいと、こういうふうに思うんですが。
  214. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 本法案におきまして、この株式会社が行い得ます事業範囲を六条で規定しております。  申すまでもございませんけれども、空港設置、管理を行うこと、それからそれに関連します航空保安施設設置及び管理を行うこと、旅客ターミナルビルなどの機能施設設置、管理を行うこと、また事務所、店舗等の利便施設設置、管理を行うこと、この辺までは当然やらなくてはいかぬと思っております。失礼いたしました。それ以外にも、島でございますので、陸岸と連絡橋をつくる必要があります。これも会社計画をすべきだと考えております。  それから先になりますと、附帯事業といたしまして考えられますのが駐車場、職員用宿舎、それから管理しておりますビルの壁面を利用した広告業、こういったものが考えられます。目的達成事業といたしましては、市内にターミナルをつくって、そこで航空旅客のサービスをいたすといったことも考えられると思います。また、空港とそのターミナルとを結ぶリムジンサービスなどもこの目的達成事業に入るかと思います。しかしながら、この目的達成事業というのは、成功すればそれなりに利益が出ますけれども、もし失敗しますと会社本体の経営を圧迫します。したがいまして、これは、やることにつきましては大臣が認可をするというふうに考えております。それ以外に、委託によりまして、飛行場の建設、それから飛行場の建設に関する調査ができるというふうになっております。
  215. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題に移りたいと思います。  新しい空港ができますと、これは人工島でございます。新聞紙上によりますと、この人工島について莫大な固定資産税が入る、どこの市町村に所属するのかという、これは地元にとっては重大な問題でございます。この問題は、いわゆる自治法によりますと、公有水面の埋め立てが行われる場合は、自治大臣または都道府県知事は、埋め立てが認可されるまでの間に所属市町村を定める、こういうふうに規定をされているわけでございますが、これは自治省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。——自治省来ていますか。
  216. 小島重喜

    説明員小島重喜君) お答え申し上げます。  今先生のお話がございましたように、今回予定をされております空港は法律上、第二条でございますか、「大阪府の地先水面で政令で定める」という規定のされ方をしております。今御指摘がございましたように、あそこの公有水面上につきましては現在のところ明確な境界線が引かれておりません。したがいまして、今御指摘がございましたように、あの場合ですと、都道府県の区域にわたりませんので、大阪府の知事が自治法の九条の二あるいは九条の三に基づきまして決定ないしは調停、裁定、こういうことを行うわけでございます。  現在、大阪府の議会におきましても実はこれが問題になっているようでございますが、先ほども御論議がありましたが、空港の位置がまだはっきりしない、どういう形の埋め立てになるかということもはっきりいたしませんので、その辺のところを見ながら、何と申しましても関係市町村の合意を得てやっぱりやっていただきたい。——ただ、その空港の一体的な何と申しますか経営とか、そういうことを考えました場合には、できたらそれは一つの行政体に属することが望ましいと思いますけれども、現実の問題といたしましては、先ほど御指摘がございましたようないろんな財政上の問題等がございまして、その辺の調整は今後なかなか困難ではないかと思いますが、私どもは地方自治法の九条の四の趣旨に即して、大阪府知事が埋立免許があるまでの間にできるだけ調整をしていただきたいというように考えております。
  217. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題は、例えば東京湾の大井埠頭埋め立てですね、このときにも区域割りをめぐって品川区と大田区が争ったケースがありますね。そういうふうに自治体の境界紛争というのが非常に今から先も随分続くんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですが、自治省の今の御答弁の中に、できれば島そのものが一つ自治体になればこれが一番好ましいんだがという御意見が出たように思うんですが、自治省としては、第一義的に、そういうふうに一つ自治体として島全体がまとまれば一番いい、二義的に、それぞれの話し合いをして、話し合いがつかなければ大阪府が裁定をする、こういうふうな二段構えにしておられるのかどうか、その点どうですか。
  218. 小島重喜

    説明員小島重喜君) 御指摘のように、東京湾の埋め立てに関しまして問題がありました。あの場合には自治紛争調停にかけられて、そして一応解決を見たわけでございます。  私どもといたしまして、あそこに別の自治体をつくるという意味ではなくて、どこか関係の市町が三ないしあるいは幾つあるということを新聞紙上で書いてあるわけです。その中のいずれか一つの市町村の区域に入れば、消防だとか、あるいは警察だとか、道路だとか、いろいろあると思いますけれども、そうなることが望ましいわけでありますが、現実問題として、私ども地元から若干お話をお伺いしますと、なかなかそれが困難だということになりますと、やはりそういう場合にある程度現実的な対応をせざるを得ないのじゃないかというように思います。
  219. 桑名義治

    ○桑名義治君 大体あそこが一つの町村に入った場合、固定資産税はどのくらい入りますか。積算したことがございますか。
  220. 小島重喜

    説明員小島重喜君) どのような施設がどうなるかということで、いろいろ難しいんですが、仮に、計算はしたことはございませんが、成田空港なんかの話を聞きますと、あそこで固定資産税が地元に二十五億ほど入ってくるような話がございます。ですから、成田空港関西空港との大きさの比較とかあるいは施設設備の状況等でおのずからある程度のことはわかるのじゃないかと思います。
  221. 桑名義治

    ○桑名義治君 これは運輸省としては所属問題には全然ノータッチということですか。それともある程度の考え方はお持ちでございますか。
  222. 山本長

    政府委員(山本長君) この問題は私たちの行政としては非常に不得手の行政でございます。気持ちといたしましては一つになればというふうなのがいいのではないかというふうなこともございま すけれども、何しろ専門外でございますので、これは専門家のところで決めていただく以外にはないというふうに考えております。
  223. 桑名義治

    ○桑名義治君 じゃ、いずれにしても、自治省としてもまだ完全に態度を決めかねていると。  大体いつごろをめどにしてこういうものは決定していくものなんですか。完全にでき上がって何年ぐらいの間という、いろいろなことがあると思うんですが、大体常識的にはどの程度が常識なんですか。
  224. 小島重喜

    説明員小島重喜君) 従来、土地ができてしまいますともう目の前にちらつくものですから、それで、それではぐあいが悪いということで法律の改正が行われまして、そして公有水面のみに係る境界の変更だとかあるいは決定だとかそういうものについては、先ほど申し上げましたように、埋立免許がおりるまでの間にやってくださいということが実は原則でございます。  ただ、現実問題として、関係市町村の間でそれがそのような格好でコンセンサスが得られるかということになりますとなかなか難しゅうございまして、実はもう十数年もまだ決まらないというようなところもございます。そういう問題なのは主にもう土地ができちゃった後でございますので、今回の場合はやはり大阪府が中心になってできるだけそういう混乱の起こらないように私どもはやっていただくように府の方にも申し上げたい、かように考えております。
  225. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題についてもう一回だけお尋ねしておきますが、冒頭に私が申し上げましたように、地方自治法によりますと、公有水面の埋め立てが行われる場合は、自治大臣または都道府県知事は、埋め立てが認可されるまでの間に所属市町村を決めなければならない、こう規定されているわけですね。この規定によりますと、逆に考えた場合、この所属が決まらないと埋め立てができない、こういうこともあり得るわけですか。
  226. 小島重喜

    説明員小島重喜君) 埋め立てはあくまでも公有水面埋立法の規定に基づいて行われるわけでございます。自治法の九条の四の規定は、それらとの整合性といいますか、そういうことも考えて一種の訓示規定ということで運用をされております。
  227. 桑名義治

    ○桑名義治君 結構です。ありがとうございました。  環境庁にお尋ねをしたいんですが、見えていますか。  関西空港に対しての環境評価案というものが出ているわけでございますね。その中には、航空機騒音、大気汚染それから海洋汚染、こういうすべてのものが国のいわゆる環境基準を維持することができると、こういうふうに一応結論が出ているわけでございますが、環境庁としてはこれまでの間に、このいわゆる結論が出るまでの間にどういうかかわり合いをしたのか、そしてそれと同時に、この評価案に対して環境庁としてはどういうふうな評価を持っているのか、これをまず伺っておきたいと思います。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  228. 加治隆

    説明員(加治隆君) お答え申し上げます。  環境庁といたしましては、昭和五十六年五月から運輸省との間で意見交換を行ってまいりましたいわゆる三点セットの中で、環境アセスメントにつきまして十分に審査を行ってまいりました。その結果、空港設置に伴います環境影響につきましては環境基準の達成に支障を及ぼすことはないというふうに判断したところでございます。
  229. 桑名義治

    ○桑名義治君 先日向こうの方、関西の方にこの調査に、委員会で視察に行ったときでございますが、和歌山の方は、加太地区ですね、あの狭いところですが、あそこは、騒音影響を過小評価しているんじゃないか、こういうことが言われていたわけでございますし、それから海水汚染についても多少過小評価じゃないかなというふうな、そういうニュアンスの話があったわけでございますが、そういうことはございませんか。
  230. 加治隆

    説明員(加治隆君) ただいま申し上げました三点セットの中で審査をしてまいりましたわけでございますが、一つ航空機騒音についてでございますが、航空機騒音に係る環境基準におきまして、専ら住居の用に供される地域の基準となっておりますWECPNL七十、このコンターラインが海域にとどまっておる、したがいまして大阪湾周辺の陸域では環境基準を十分満足するものと判断したわけでございます。  それから周辺海域の水質への影響でございますが、これも当該地域の水質環境基準達成に支障を及ぼさないというふうに判断をしてまいったところでございます。
  231. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしても、大きく前段に申し上げたような環境評価案というものに全面的にいい評価をしたならば、個別的な地域についてもあなたの答弁はそういうふうに出てくるだろうとは思っておったわけですが、いずれにしましても今から先、それこそ前にいろいろと議論の中にもありますように、調査をしたときと現実の問題とは多少食い違いが出てくる場合が往々にしてあり得るわけでございまして、そういうことをやはり想定をしておかなきゃいけない、こういうふうに思うわけでございます。  次の問題として、先ほどから、あなたもいらっしゃったと思いますが、いわゆる土砂の採取地ですね、これの今運輸省としても環境のいろいろな調査をやっているわけでございますが、この地域についてのいわゆる環境庁としてのかかわり合いというものはどういうふうなかかわり合いをしているのかお教え願いたいと思います。
  232. 加治隆

    説明員(加治隆君) 土砂採取につきましては、いわゆる三点セットの中で環境影響評価案におきまして、土砂の採取・運搬に係る環境アセスメント実施要領が明らかにされております。この計画の実施に際しましては、公有水面埋立法に基づきまして環境アセスメントが実施されることになりますので、この中において環境保全、とりわけ自然環境保全上問題が生ずることのないよう、環境庁といたしましても十分に審査をしてまいりたいというふうに考えております。
  233. 桑名義治

    ○桑名義治君 調査の段階で関与するのか、それとも結論が出て、おたくの方でもう一遍その結論を精査するのか、どっちなんですか。
  234. 加治隆

    説明員(加治隆君) 今後、公有水面埋立法に基づきまして申請がなされます。その過程におきまして、主務大臣から環境庁長官に意見を求められます。その中において十分審査をしてまいるという考えでございます。
  235. 桑名義治

    ○桑名義治君 採取地においてもですね。同じことですか。
  236. 加治隆

    説明員(加治隆君) 同様でございます。
  237. 桑名義治

    ○桑名義治君 では結構です。  次に、農林水産省、見えていますか。  先般、我々が現地調査に伺ったわけでございますが、和歌山県の副知事からいろいろな要望が出たその一つの要望の中に、泉州地方から和歌山の加太地区にかけて漁業に対する影響が非常に心配をされているわけでございます。漁業資源保護のために国立の種苗施設建設検討してほしい、こういう要望が出たわけでございますが、この点については農林水産省としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  238. 河田和光

    説明員(河田和光君) 国の種苗供給施設、栽培漁業センターの設置の希望につきましては、現在国は、栽培漁業センターを、技術開発の目的を持って全国大きな海区ごとに、海区の特性に合った新しい魚種の種苗生産なり放流の技術開発のための目的を持って、設置をしているわけでございます。現在全国で十二カ所大きな海区ごとに設置をしているわけで、残っているところは沖縄の亜熱帯海区でありますとか、あるいは将来は太平洋の中の海区でありますとか、そういうことで、瀬戸内海については既に技術開発の事業所というものは設置されておりますので、新たに大阪湾周辺に国の栽培漁業センターを設置するという考えは持ってございません。
  239. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、やっぱりこの空港建設について漁民からのそういう要望事項があるわけですね。漁業補償の問題とも絡め合わせますと、こう いった一つ一つの条件をある程度達成させていくということが今から先の全体がスムーズに流れていくという一つの大きな要因になるわけでございますが、水産庁としては地元のそういった意向については検討する余地はないような今御答弁でございますが、大臣、その点についてはどうでしょうか。
  240. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) この空港につきましてはいろんな難しい問題が前にはだかっておると思うんですね。  漁業補償問題というのは、やっぱりそのうちの最大の問題の一つじゃございませんでしょうか。したがいまして、水産庁とされましても、地方公共団体の方とされても、この問題についてはよほど万全を尽くしていただかないと工事が始められない。これだけが隘路になるんだというようなことが心配されるというふうに私ども非常に憂慮しておる状態でございまして、全力を挙げたいと思っておりますし、農林水産省の御協力を賜らなきゃならぬと思っております。
  241. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、水産庁としては、あそこに人工島ができるということによって漁業にどういう影響を与えていくかということを調査なさいましたか。
  242. 山添健一

    説明員(山添健一君) 水産庁が直接の調査はやっておりません。
  243. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、水産庁としてはどの程度の把握をしているんですか。
  244. 山添健一

    説明員(山添健一君) 私どもはここについての影響についてはまだ具体的なことは承知していないわけでございまして、運輸省さんの方で漁業、水産の専門家に委託しまして影響調査等も事前にされた、そういう点を若干専門家の方から聞いているという程度でございます。
  245. 桑名義治

    ○桑名義治君 少し怠慢じゃないかなというような気がするんですよ。なぜかというと、いわゆる関西国際空港建設に伴う地域整備計画について、先ほどからもちょっと話が出ておりますように、六省庁共同して泉州紀北地域総合調査云々というのがある。調査の目的、いろいろな調査をやるということが出ているわけだ。にもかかわらず、私の方はほとんどかかわり合いはありませんというような答弁ですよ、今。  それじゃ何のために六省庁が共同してこういういわゆる地域総合調査をやるという申し合わせをしたんですか。全くかかわり合いしてない。うちの方では調査もしておりません。じゃ種苗センターをつくるかというと、それも全然考えておりません。じゃ直接調査しましたか、それはしておりません。それじゃあなた、この申し合わせの中じゃあなたたち何にもしていないということになってしまう。もう今後もやる気がないんですか。
  246. 山添健一

    説明員(山添健一君) 漁業に対する影響でございますが、これにつきましては、具体的な空港設置の場所、それから規模、また形状、それから工法等、こういうものが具体化しまして、この具体的な計画に基づきまして十分な影響評価をやらなければ判定できないというように考えておりますので、今後この具体的な計画に基づきます影響評価、こういうものができました段階ではこちらも対応いたしましてやっていきたいというように考えている次第でございます。
  247. 桑名義治

    ○桑名義治君 あんた、変なこと言いなさんなよ。位置はいつから決定しているんだ、大体。みんな言ってるよ、与党を含めて。何をとぼけたこと言っているんですか、あなた。そんなことじゃこれ、空港できやしませんよ。今大臣の答弁の中にあったでしょうが。漁業補償の問題が最大のネックだと、今度の場合は。その最大のネックの関係している省庁が、何にもやらない、位置も知らないなんて、そんなとんでもないことありますか。  きょうは時間がありませんから、もうこれ以上言いません。しかし、次の委員会のときにはぜひ局長を出してください。いいですか。とんでもないですよ。——いいよ、もう。あんたからそんな最初の答弁をした後にどんな答弁をされたって、私は何も了解しません。何にもやっていません、何にもやっていません、知りません、だもの。これじゃ問題にならない。今度は局長に来てもらいます。今度は必ず局長に来てもらいます、次の委員会は。これじゃ大変ですよ。完全にこの空港は行き詰まってしまう。漁民に対する説得は何にもできやしませんよ、こんなことじゃ。
  248. 山添健一

    説明員(山添健一君) 漁業への影響を判定しますに必要な具体的な位置、形状についてはまだ私ども承知しておりません。
  249. 桑名義治

    ○桑名義治君 同じことだよ。同じことだ。結構です。  水産庁結構です。
  250. 瀬谷英行

    ○理事(瀬谷英行君) 次回は農林水産省の出席を求めます。
  251. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間が余りなくなっちゃったわけですが、大臣、いろいろとお話し合いをしている中で、今のいわゆる漁業補償に絡む種々の問題については、これは全然前進していませんな、今の話では、課長が御存じないのかもしれませんけれども、こんなことでは、ほかのところがどんなに前進をしても最後の詰めでがくっといきますよ、これは。もう完全なこれは穴ですな。  この点について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  252. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 今の農林水産省の方の御意見は私もちょっと驚いておるわけなんでございますが、いずれにいたしましても、これだけの大きな計画でございますし、農林水産省との間にはいろいろ話をいたしておるのでございますから、十分前後の事情その他をよく調査して次回までにお答えをしたいと思います。非常に大事なことだと思っております。
  253. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題に移りたいと思いますが、今浮き彫りになった問題の中で一つは、先ほどもちょっと申し上げたわけですが、いわゆる六省庁が共同して泉州紀北地域総合調査を実施するという話し合いが決まっているわけでございますが、ところが今の水産庁のお話ではこの申し合わせが完全に死んでいるわけですね。  そこで、この問題については、どういうことを対象にしどういう目的を大体持ってこの話し合いが持たれたのか、そしてどういう進捗状況になっているのか、途中経過でも結構ですから御説明願いたいと思います。
  254. 立石眞

    説明員(立石眞君) お答えいたします。  泉州紀北地域総合整備計画調査につきましては、この地域におきまして関西国際空港設置されました場合に有利な立地条件になるわけでございますが、これを生かしましてこの地域を国際交流の門戸としてふさわしい活力のある地域社会に形成していくために、国土庁を初め関係省庁で五十八年度から二カ年の予定で、交通体系の整備、都市基盤施設整備、あるいは産業振興など、この地域の総合的な整備のあり方について検討し、この地域の均衡ある発展に寄与しようとすることを目的として進めているものでございます。  現在の進捗状況についてでございますが、昭和五十八年度におきましては、泉州紀北地域について地域の現況を把握いたしましてこの地域整備の基本方針をまとめたところでございまして、五十九年度には、これらを受けまして、総合的な地域整備の方策について取りまとめることを予定しておるわけでございます。  先生御指摘の、当初の話し合いについてでございますが、この調査は、先ほど申しましたような目的に沿いまして、地域整備に大きくかかわりのある関係省庁が集まって検討しようとしたものでございます。
  255. 桑名義治

    ○桑名義治君 それで、作文はもうお聞きしましたので結構でございます。  次に、建設省にお伺いしたいんですが、関西国際空港関連公共施設整備等連絡会議、これが発足をしているわけでございますが、いわゆる空港関連の地域整備に対する基本的な考え方を述べていただきたいと思います。
  256. 光岡毅

    説明員(光岡毅君) 関西空港建設建設行政 にとっても非常に重要な問題であると考えておりまして、特に、空港を支えるアクセス道路整備、そういうものに関連する、空港に関連する公共施設整備について非常に重要な問題であると考えておるわけでございます。このために、事務次官を長とする関西国際空港関連公共事業等の連絡会議を省内に設けまして、局相互間の調整を十分これから図ってまいりまして、あわせて関係地方公共団体と十分検討して進めてまいりたいというふうな考え方でございます。
  257. 桑名義治

    ○桑名義治君 どこまで進んでいますか。
  258. 光岡毅

    説明員(光岡毅君) これの下に、近畿地建に連絡会議もやはり持っておりまして、これが地元におきまして四月二十七日に第一回目の連絡会議を開いております。これは、近畿地方建設局、関係自治体関係公団をメンバーとする組織でございます。そして、これらである程度検討が煮詰まったものを本省の会議で検討するというようなことになっております。したがって、本省ではまだ会議が開かれておりません。
  259. 桑名義治

    ○桑名義治君 これもまた余り進んでないようでございますが、じゃ具体的に、近畿自動車道の和歌山線、それから第二阪和国道、それから大阪湾岸道路等、こういうところが大きな道路のいわゆる交通アクセスになると思うんですが、これをどういうふうにお考えになっておられますか。
  260. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 近畿自動車道は、現在、東大阪ジャンクションから松原ジャンクションを経まして阪南インターチェンジに至る間が通れません。この約五十八キロの区間全線にわたって現在事業を進めておりますけれども、この沿線は非常に多数の埋蔵文化財が分布しているために、現在その発掘調査を一生懸命やっております。したがって、今後は、こういう空港問題が出てまいりましたから、この発掘調査の促進を一生懸命図りまして、重点的にその建設に取り組んでまいりたいというふうに考えて一生懸命やっております。  それから、第二阪和国道につきましては、大阪府の堺市から阪南町に至る約三十三キロが全線供用したところでございますが、問題は、この阪南町から和歌山方面へ延伸する計画につきまして、現在、路線と構造に関する調査を実施しております。で、空港に関連する交通を含む交通需要とか地域状況等がございますので、さらに詳細な調査を進めまして、地元関係地方公共団体と調整を図りながら路線計画をつくりまして、都市計画決定以後なるべく早く決定していきたい、こういうふうに考えております。  それから、大阪湾岸道路につきましては、現在、大阪市の港晴から三宝間の約八キロが供用してはございますけれども、三宝から臨海町に至る十一キロについて現在事業中でございます。問題の、この臨海町から泉佐野に至る区間につきまして、五十四年度より調査に着手したところでございますが、阪南港の港湾計画との調整、それから二色ケ浜という公園の環境整備事業がございまして、こういうのとの調整、それから、その他木材のコンビナート等々、いろいろな問題がございまして、これらとの調整を今図りながら路線計画を策定するための調査を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後この空港計画の進捗とあわせまして、関係地方公共団体とともに検討を進めて対処していきたい、こういうふうに考えております。
  261. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間が来ましたのでこれでやめたいと思いますが、建設省御苦労さまでした。  大臣に最後に二言だけ御答弁を願いたいわけですが、いずれにしましても、今回の関西空港建設するまでには幾多の困難な問題が多々ありますし、あるいは、先ほどからも、各省にまたがるいろいろな問題がございます。これが、先ほどの農林水産省の答弁のような、ああいう不消化なままであってはならないと思うわけでございます。まあ、農林水産省だけの問題であるならば幸いでございますけれども、しかし、何せ各省にわたる問題でございますので、さらになお一層の、いわゆる連絡を緊密にとり合いながら、同時着陸がお互いにできるように全力投球でやっていただきたい、こういうふうに望むわけでございますが、この点についての大臣の御所見を伺って、終わりにしたいと思います。
  262. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) もう既に御案内のように、関西空港関係閣僚会議を持っております。この衆参両院における審議の中で、各省の関連の問題がたくさんに出てまいっておりますし、今後も出るのではないかと思います。それを踏まえまして、この法案通過後なるべく早い時期に関係閣僚会議を開いて、基本的な問題について私から篤とお願いをしたい、そしてふそろいのないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  263. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  264. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一昨日、私質問をいたします冒頭申し上げましたけれども、いろいろと調べさせていただいたりしましたときに、非常にいろいろと言葉は連ねられているけれども、肝心な大事なところで何にも具体的に答えが出てこないというような点で、大変私は不安を持ってきておりましたけれども、また、一昨日からきょうにかけての質疑を聞いてみますと、本当にこんなことで、簡単に新会社がつくられて、いろいろな特別な優遇措置もとられて、一体だれがこれを待っていたのか、だれがこれによってにっこり笑うのか、いろいろこう私も、人はいいんだけれども、憶測せざるを得ないような、そういう感情に今なっているわけでございます。  非常に大事なところがかみ合っていませんね、きょうの質疑を聞いておりましても。それは、やっぱり何らかがそこに隠されているんではないかと、非常に私も不満に思って聞いておりました。  さて、そういう中でまた、安全の問題というのはどうしても私は最後まで固執するわけなので、きょうはまたその安全の問題、引き続いてお伺いしたいと思います。  で、この場所の、大阪湾の場合は、非常に西風が強く吹くというところでございますし、また、一日じゅう一方ではなくて、非常に風向きが変わるというようなことも言われているわけです。そういうことから、専門家の御意見を伺いましても、これは風の影響による飛行コースというののぶれというのがどうしても出てくるということで、大変危惧されているわけですし、私も素人ながらそういうこともあるのではないかと思うのでございますけれども、運輸省としてはその点についてどういう認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  265. 川井力

    説明員(川井力君) 航空機はVOR,ILS等の航空保安施設の援助を受けまして、あらかじめ設定されました飛行経路上を、管制官の適切な指示を受けながら航行するものでございます。今御指摘の、風の影響等によりましてコースの一時的なぶれを生ずることはございますが、パイロットは、みずから計器を見ながらそのずれを知る、あるいは、空港監視しておりますレーダーからの情報を得まして、コースを常に修正しながら飛行するものでございます。したがいまして、両側に多少のぶれはございますけれども、設定された飛行経路を大きく外れるということはないものと考えております。
  266. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あったら大変でございますから、だから私も素人なりにいろいろ心配をしたわけなんです。  これは衆議院の四月十三日の議事録を見ましたら、これ山本局長お答えになっていらっしゃるんでしょうか、ぶれは心配はありませんということをお答えになっていらっしゃいますんですね。「航空機が進入をいたしますときには、通過地点の航空保安施設それから着陸の空港の航空保安施設というものを結んで航行いたしておりますので、着陸におきましてのぶれというものはほとんどないと言っていい」と、こうおっしゃって、私もなるほどなと、そう思ったわけなんですね。  そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、これはILSに乗って入っていったというときはそういう心配はないというふうにおっしゃってい るんだと、そう思うんですね。私が心配しますのは、ILSに乗る前の、こっちから来て急旋回しますね、その急旋回するときのぶれが私は一番、あそこ急角度になっていますからね、素人ながらあそこが一番怖いなと、そう思うわけなんですよね。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 それで、私なんかそれこそ本当に素人だから、真っすぐ行くんだといえばその線の上を真っすぐずうっと行くように、そう思うわけなんだけれども、決してその線を行くんではなくて、航空飛行コースと言われるその幅というのがやっぱり相当の幅があるわけでございますね。どれくらいの幅になっておりますんでしょうか。
  267. 川井力

    説明員(川井力君) 新関西空港の場合ですと新しい航空保安施設のVORというものを主として使いますので、VORについてお答えいたしますが、VORの航空路につきましては片側四マイル、約七キロでございます。両側にいたしまして八マイルの幅を持っております。なお、航空路ではなくILSに近づいた部分、これを着陸経路と呼んでおりますが、この場合は、ILSの一番端っこにありますアウターマーカーと呼んでおる保安施設が別途ございます。この位置で幅が片側二マイル、両側四マイルになりますが、そこから十度の角度で広がりまして、片側四マイルになるまで広がる地域を幅と呼んでおります。
  268. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、八マイルといいますとキロで言うと十五キロ近くという幅になってくるわけなんですね。相当広いから、もうぶれるというのも、一メートル二メートルじゃなくて相当ぶれていくこともあるというふうに考えるわけなんですよね。  それから、クリティカルイレブンというふうにふく言われる。それは具体的にどういうことがどういうふうに危険で、どういうふうに緊張するのかということをちょっと教えてください。
  269. 川井力

    説明員(川井力君) 今のお話のクリティカルイレブンでございますけれども、世界の統計でいきますと、離陸の三分間、進入着陸の八分間、合わせて十一分間でございますが、この時間内で事故が集中して起こっておるのでクリティカルイレブンミニッツと通常呼ばれておりまして、世界的に知られておるものでございます。  それではなぜその時間内に事故が集中するかということの問題でございますが、まず離陸につきましては、このときに飛行機の性能の精いっぱいの性能を使います。エンジンで申し上げますならば全出力をそこで発揮いたします。こういうような面から、いわゆるマージンと申しますか、安全の限界に近い状態で運航されるというものが一つございます。それから着陸時につきましては、これは操縦技術上一番難しい技術でございまして、そのときにスピード、高度、それから外の障害物、それから接地点、そういったものをいろいろ気にしながら、なおかつスムーズにということも考慮いたしまして着陸いたします。こういうような要件がいろいろございますので、時には人間の弱点といいますか、ミスをつかれたような現象によって事故が起きるのではないかと、こういうふうに思われております。
  270. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ航空機事故がありまして、いろいろ私も勉強させていただいて、本当にその瞬間たるやすごい緊張だというお話を伺いましたし、それも平時のときでも緊張なのに、風が強いとかいろいろな悪条件がありますと、これはもう相当予測されないような緊張のもとで、またしかもぶれだとかいうようなことも起こり得るということは否定できないと思うんですよね。  そういうことから考えまして、コースは、さっきコンターの話が出たわけですけれども、コンターは必ず海上であるからというふうにおっしゃっていたけれども、その海上だけでずっと入れるものかどうか、やっぱりどうしても陸上にかかっていくということも絶対——絶対なんてことないですね、この世の中に。ない、絶対ありませんということは言えないというようなことを私は心配するんです。特に外国機の離着陸というような場合なんかはまた、日本のしょっちゅう飛んでいるのと違って、これも心配になってくるんですけれども、そういう意味から騒音の問題は、海上ですから大丈夫ですと言い切られるけれども、そこのところを私は信じたいんだけれども、本当に信じていいんだろうか、やっぱりそこのところに騒音の問題というのが起こってくるのではないかということがどうしても頭から消えないんですけれども、どういうふうにお考えになるでしょうか。
  271. 川井力

    説明員(川井力君) 新空港の開港に当たりましては、事前に十分な時間的の余裕を持ちまして、これは少なくとも三カ月以上前でございますが、飛行経路その他の航空情報をノータムという形で文書で発行いたします。世界に向かって発行いたします。あわせまして、このノータムは相当の分量になるものと予想されますので、日本に乗り入れております航空会社に対しまして内容を説明いたします。また、外国の乗り入れ航空会社の方には、日本航空あるいは全日空等の日本の国内の航空会社が慣熟飛行等の機会を利用いたしまして離着陸コースにつきまして写真を撮ります。コースだけじゃなしにその他の障害物、陸上のもの、気をつけなきゃならないものを一応画面の中に入れるようなビデオテープというものをつくりまして、それを外国航空会社に頒布いたします。外国航空会社のパイロットは、これを勉強いたしまして日本に乗り入れてくるわけでございます。その他、さらに必要と認めた航空会社では、外国社は、特に日本飛行機が慣熟飛行などをいたします場合に同乗を申し入れてまいりますので、そういった方法で飛行経路等を十分熟知した上で日本に入ってくるものと思われます。その後は日本のパイロットと差はないと私は考えております。
  272. 山本長

    政府委員(山本長君) 騒音答弁が抜けておったように思いますが、技術部長が申し上げましたように、飛行コースを外れないようにいろんな計器を使うとか、あるいは管制官がぶれておったならばそれに対して指示をしてぶれを修正するとか、そういうことでぶれを起こさないようなシステムになっておるわけでございますけれども、先生おっしゃるように、これは絶対というものはないと思います。  特に確かに北といいますか、北東から入ってくる場合には大きく旋回する、しかもそれが西風でございまして、地域が東側にある、こういうことでございます。それにつきましては、先ほどのような手段によってコースがぶれないような手段を講ずるわけでございますけれども、このコースにつきましては、今の陸地の、特にあの辺はその近くにコンビナートもございます、そういったところから、通常の飛行コース、ある幅を持った飛行コースがコンビナートにかからないというだけではなく、さらにバッファーゾーンというのもあの部分については考えて余裕を持たせております。  そういったところから見まして、多少のぶれというものはそれはあり得る話でございますが、騒音という面から見ました先ほどの七十WECPNLの騒音コンターのラインがそのずれによって陸域にかかるかどうかということでございますけれども、私たちのこれは見当といいますか、長年の見当でございますけれども、その七十のコンターが陸域にかかるということはないというふうに我々は考えておる次第でございます。
  273. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それなりにいろいろ御検討いただいていると思います。  私そこのところで要望したいんですけれども、一番詳しくて一番当事者である管制官とか、パイロットとか、この人たちが不安を持っていたらこれは大変なことでございますので、やっぱり実際問題を皆さんもいろいろわかっていらっしゃるんだけれども、実際やってみる人たちの意見というのが一番具体的で参考になると思いますので、そういう方たちの意見も十分くみ上げられるような体制でやっていただきたいと思うし、そしてそのことをもしも皆さんがこれは大丈夫だということであるならば、そういう大丈夫だと理解できるようなコンセンサスがないと、私たちも中に入って、あらどっちが本当なのかしら、やっぱりやっ ている方の人が本当らしいですね、皆さん一生懸命頭で考えてらっしゃるよりもと、こうなりますから、十分に意見を尊重していただきたい、そういう立場をとっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  何かありますか、言いたいこと。いいですか。はい。それじゃ、それだけお願いいたします。  次の問題なんでございますけれども、初めはこの関西国際空港株式会社ができれば今の現大阪伊丹空港は廃止するというふうな形でおっしゃっていたんだけれども、だんだん一昨日からの答弁でも、はっきりとこれも置いておかなきゃならない、併用しなければならぬというようなことはお考えになっていらっしゃると思うんですよね。そうすると、その伊丹の方の住民たちにとってみたら、ここのところからもう引き揚げていくんだと。そうすると、今まで私たちが苦労していろいろ我慢してきたけれども、一体この先、生活環境だとか、そういう周辺整備機構というものがだんだん無視されちゃって、ほっておかれてしまうのではないかという不安が出てくるのも私は当然だと思うわけなんですね。そうすると、今の計画で第一次だけだったらなかなかもうこれから処理できない、どうしてもこれ残しておかなきゃならないということになると思うんですが、その伊丹大阪空港に対しての周辺対策というものについてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  274. 山本長

    政府委員(山本長君) 先生も御存じのように、伊丹の存廃問題というのは、今後早く結論づけるという方向でいろいろ作業といいますか、検討を行っていく体制でおるわけでございます。いずれにいたしましても、決まってないということです。  しかしながら、航空機の騒音対策というものは、将来その空港がなくなるものであるならばやらなくてもいいというものではないと思うんです。今使っておる限り、そこに被害といいましょうか公害がある場合には、それに対して万全の措置をとる、財政的な制約もございますけれども、できる限りにおいて万全の措置をとるという体制で進んでいくべきであるというふうに私たち考えておるのでございます。あの伊丹空港につきましては、相当な会もつぎ込み、いろいろなことをやってまいりました。がしかしながら、万全でないという御批判は私たちはまだ甘んじて受けなきゃならぬ面がございます。特に民家防音工事というふうな面は相当進んでまいりましたけれども、やはり周辺の緑地化というふうなものを中心とした、むしろ何と申しますか、町づくりというものと一体となった緑地づくりというふうなそういった面での要望が強くなっておりますし、またそういった面について私たちは努力していかなきゃならぬと思っております。  御存じのように騒音対策というのは、航空機から発生される騒音を少なくしていくという音源対策と周辺対策が車の両輪でございます。先生御指摘のいろいろな御懸念もあるというふうに聞いておりますけれども、私たちといたしましては、やはり使っている限りは、私たちのといいますか、行政側においてでき得る範囲のものについては万全を目指して努力をしていくという体制で進んでいくべきものであるという考え方で臨んでおります。機構の問題もちょっとございます。機構の問題という確かに問題もございますけれども、しかしそれだからといって、それは組織問題でございまして、施策自身というものを後退させるというふうな考えが前提になって議論をしておるわけではございません。
  275. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこで、周辺整備機構をスクラップの対象にするという覚書が運輸大臣と大蔵大臣の間で交わされたというようなことが言われているんですけれども、そんなことがあるんですか。
  276. 山本長

    政府委員(山本長君) これは覚書ということではございませんで、一月二十五日の閣議決定におきまして行政改革に関する方針を閣議決定として決めたわけでございますけれども、大阪空港周辺整備機構と他との統合等を図るというふうな方針が決定されております。  しかしながら、この決定は環境対策自身を後退させようというふうな趣旨のものではございません。具体的な他との統合等というものの内容につきましては、今後やはり、この周辺機構につきましては周辺のたくさんの地方公共団体関係しておられます、また大阪府とか兵庫県は出資もしておられる、国も出資をしている、こういった関係地方公共団体意見を十分聴取しながら内容を固めていかなきゃならぬと思っておりますが、繰り返しのようでございますけれども、環境対策というものの後退といいますか、というふうなものを意図したものではございません。このことだけは御理解願いたいと思います。
  277. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ最後に、周辺整備アクセスの問題についてちょっと伺っておきたいと思うんです。  地元で最も関心の深い問題の一つは、自分たちの生活に密着したこの自分たちの地域整備が一体どうなるんだろうか、それに関しての地元負担、自分たちの負担がどうなるんだろうというのが非常に切実であり、具体的な問題として出されているわけでございました。で、道路とか鉄道、連絡橋といったようなハード面での研究はそれなりに進展しているわけなんですけれども、その住民の毎日の暮らしと密着する生活道路整備とか、先ほども参考人がおっしゃっていましたけれども、下水道、水道の敷設とか、人口増に伴う学校、保育所等の新築、それから公園の整備といったいろいろなソフト面での問題がたくさんあります。  問題がたくさんありますというのは、それに対する期待と、これが一体どうなるんだということでの問題になるわけなんですけれども、それについても国が責任を持って施策の進展、拡充を図るべきだというふうに、当然みんなが自分たちでやれということはそうなんだけれども、先ほども参考人がおっしゃいましたように、そこでやるだけの力がないということになれば、国のプロジェクトの中で起こってくる問題だから当然国の責任としても真剣に考えていただかなきゃならないということでございますね。  それは具体的に言えば、地元の負担について一体どういうふうになるのか。地方財政も大変今厳しい中である。そうすると、これも先ほど参考人の先生がおっしゃっていたけれども、財政的な特別な援助というようなことも考えてやってほしいという意見も当然出てきてしかるべきだと思うんですね。そういうような問題について、運輸省としてもどういうふうにしていったらいいか、どういうふうに働きかけていくか、どういうふうに努力をしようと考えているか、そういった点についてお考えを伺いたいと思います。  大臣いかがでございましょうか。
  278. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 周辺整備につきましては、おっしゃるとおりもう非常に大切だと思います。アクセスの問題は非常に直接的な問題でございますが、そのほかのいろいろな公共的な施設、人口増による教育施設とかあるいは下水道の問題とかいろいろありまして、やはり先ほどの漁業補償と同じようにこれは大問題だろうと思います。成田で私どもいろいろ苦い経験を実はいたしておるわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、これにつきましては全力を挙げていかなければならないと思いますが、遺憾ながら特別ながさ上げの法律というものを今行革の方針によってつくらないという政府の方針でございまして、これが残念ながらできませんので、あらゆるその他の方法を使ってこれをどうして充実していくかということを考えていかなきゃならぬ、かように思っておりますが、具体的に御質問があればさらに政府委員からお答えさせます。非常に大切な問題だと考えております。
  279. 山田勇

    山田勇君 先ほど来の質疑応答を聞いておりまして、きょうも午前中の参考人の御意見などを拝聴させていただきまして、専門分野であります音響工学の五十嵐教授もお見えになっていろいろお 話を伺いました。その中で、先ほど桑名先生が水産庁に質疑をいたしておりまして、その質疑応答の中で余りにも水産庁関係がこういうことに対して、この関西空港をつくるということについての熱意のほどがうかがえなかったことを大変私は、空港促進賛成派としてでも、非常に残念な思いをして聞いておりました。  その中で五十嵐教授が午前中言っておりましたのは、高空からずっとおりてくるのに対する漁業への影響はほとんどない、魚に影響はない。その騒音が水面下に入るのはわずか一メートルぐらいしか入らない、だから魚に対する影響はほとんどないということを言っておられました。そういう中でもなお埋め立てをするという新しい工法の中でのその補償問題ということを十分考えていかなければならない立場にある専門分野としての水産庁、関係六省の中の一省がそういうことでは、大変前へ進んでいこうとする——これは反対、賛成の立場は別としましても、完成をするその関西空港に対してやはり処すべきものは十分処して私は対応していっていただきたいと思います。  細田運輸大臣は成田の御経験は十分お持ちなので、苦い経験とみずからおっしゃっておりますとおり、どうかひとつそういう漁業の補償の問題、そして各これにまたがります和歌山県、まあ兵庫県もそうでございますが、和歌山県の要望等については十分大臣の方から関係六省との中でもう一遍煮詰めていただいて、何とか要望にこたえられるような形の中でひとつこの関西空港をぜひ完成していっていただきたいと思います。  まず、大臣の御所見と御決意をいただきたいと思います。
  280. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 御注意をいただきました点はもうまことにごもっともな点でございます。  先ほど来御答弁を他の委員の方々に申し上げておりますが、漁業補償の問題とそれからいわゆる周辺対策の問題、これがアクセスの問題を含めまして他の関係各省に特に関係の深い問題でございます。したがいまして、こういう点については内閣が、それこそ関係者が一体になりましてちぐはぐのないようにやらなければ、実際空港はできないと思います。そういうことに深く思いをいたして善処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  281. 山田勇

    山田勇君 関西国際空港は、我が国で唯一の二十四時間空港として、世界に開かれた日本の窓口となることになると思います。またそういう期待をいたしております。  二十四時間操業空港を持つことの必要性と、その最大のメリットは何でしょうか。また、どの程度の需要が見込まれるのでしょうか。
  282. 山本長

    政府委員(山本長君) 関西国際空港は、二十四時間空港という前に、まず空港ができることによっていろいろな制約のもとにある伊丹というものの問題がこの空港によって解決していくという、これは最大の大きなメリットがある。先生はその問題よりはむしろ二十四時間の方に重点が置かれた御質問でございますが、御存じのように世界の航空機というものは時差に関係なく実は飛んでおるわけでございます。日本空港は二十四時間空港はございませんから、その時間帯に入るように外国の空港で時間待ちをするとかというふうなことをやりながら日本空港から発着しておるわけでございます。  そういう意味においてこれは、外国から見れば非常に勝手な方法を日本はとっているというふうに見られておるわけでございます。外国との交渉をやりましても、必ずその問題が出るわけでございまして、そのうちで特に大阪は困る、こういうことを常々言われておる、そういう問題が解決できることになります。これはむしろ国としての一つ立場というものから見ましても、これはやっていかなきゃならぬプロジェクトだという面が一つございます。  それから、もう少し実体的な問題といたしまして、やはり先ほど申し上げましたように、実はある空港を出る時間帯が真夜中でございましても、それは相手方の空港に着く時間帯によっては非常にいい、経済的な、また便利のいい航空機の運航になるわけでございます。それからまた、どうしても深夜、早朝になりましても、相手国の空港から出るときにいい時間帯であれば、これは航空路線として非常に意義があるわけでございます。そういった航空輸送というものが確保されていくということになると思います。  それから特に、航空輸送の需要の低迷期でございますけれども、国際貨物輸送というのは大変に伸びております。最近ここを見ましても対前年二割、月によりましては三割、輸出入トータルでございますけれども、そんな伸びを示しておるもので、これは日本産業構造というものがやはり航空機の輸送に適した物の輸出入になってきているというものでございます。航空貨物の輸送というものは、生産、出荷等の観点から、やはり日本から出るときには夜中に出るのが非常に要望が強いわけでございます。そういった、今後日本の経済が航空輸送に適した経済構造になっていき、航空貨物というものは他の輸送の伸びに比べればなおやはり当分の間は大きく伸びていく、したがって航空機の貨物輸送のウエートというものが高まっていくというふうなことが予想できます。  こういった貿易で生きていく日本でございますから、そういった面でこの空港というものが非常に役立つ、これは日本にも役立つし地域にも役立つことになるというふうに考える次第でございます。
  283. 山田勇

    山田勇君 今局長がお答えになったとおり、午前中の質疑川島さんという地域経済御専門の教授がお見えになりました。その中で私も、航空貨物のこれからの拡大をどうかと。いわゆる地域との共栄共存といいますか、そういう形の中で関西空港をつくっていくわけですが、これはアクセス、交通アクセスとなるんですが、鉄道道路、関連の施設、下水道などの地域整備が大変重要であると思います。また、そういうことによって地元のいわゆる共栄共存にもつながっていくと思いますが、大体この空港ができますとどのぐらいの雇用が見込まれておるんでしょうか。成田のときに労働稼働力という形の中でお尋ねしたんですが、恐らくそのとき七万人ぐらいの労働稼働力というふうに受けたんですが、今はこれは全く新しい違う工法でやられますしその点は結構です。ただし、空港が完成した場合どのくらいの雇用を見込まれておられますか。  その点の御答弁をいただきたいと思います。
  284. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 現在我々計画しておりますのは、十六万回の離着陸能力を持ちます第一期計画でございます。その第一期計画におきまして空港の島の中で働かれる方々、三万人強と予想しております。また、全体計画が完成いたしますと二十六万回の離着陸でございますけれども、五万六千人と想定しております。
  285. 山田勇

    山田勇君 これはアクセスの方は、私建設が常任委員会なものですから建設の方でお尋ねをしますのでちょっと割愛させていただきますが、大阪には多くの中小企業がございます。景気浮揚のためにも関西空港にかける期待も大きいのではないか。こうした中小企業者にも今回の建設運営に参画できる道はお持ちでしょうか。午前中の参考人の中で申し上げましたとおり、仮に建築を発注するに当たっても中小企業分野調整法というような法律等がございます。十分に地元ということを一つの優先的な形の中でこの空港建設していっていただきたいという強い気持ちを持っているわけですが、その点はいかがでしょうか。
  286. 山本長

    政府委員(山本長君) 空港建設でございますとかあるいは運用段階におきまして、関西国際空港のかかわり合いの中で中小企業がやはりこれに参画していきたいという希望を持っておられることはもっともだと思います。  この空港建設運営についての企業参加といいますか、あるいは受注といいましょうか、そういった問題に際しましては、これは会社が行うことになるわけでございますけれども、やはり公正、公平というふうな観点から行わなければなり ませんし、また地域社会とやっぱり調和をとっていくということが空港の円滑な運営にぜひとも欠くべからざるものでございますから、そういった観点から考えて会社がやっていくようにということで運輸省は指導していく必要があると思います。  その際に、先生おっしゃいますように、官公需につきましては中小企業の受注の確保に関する法律というものがございますし、それに関しまして政府の方針もあるわけでございます。この会社は官公需というものに合理的に該当するかどうかはともかくといたしまして、やる事業の中身自身がやはり従来公共事業としてやってきていた事業をやるわけでございますので、こういった思想というものをやはり配慮いたしましてやっていく必要があると思います。そういった観点から私たちも会社を指導していくという必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  287. 山田勇

    山田勇君 国際空港としては四千メートルの滑走協を持つことがこれは常識とされているんですが、第一期工事では三千三百メートルの滑走路一本しかないんですが、これはいずれ西風滑走路とか第二工事へ入らなければ空港としての機能を果たさないことになるわけですが、予算委員会の一般質疑で細田運輸大臣にも局長にもお尋ねしました。この三千三百メートルに今なぜ決まってしまったのか。これは予算上の措置なのか。いわゆる三千三百メートルという一つの基礎的なものをつくって、即対応できるような四千メートルの滑走路を持つことができるのかどうか、その辺をぜひちょっとお聞かせいただきたいと思います。  建設の分野で聞きますと、三千三百メートルの滑走路工事も四千メートルもそんなに予算上違いがないというふうに専門家の方は言うんですが、その点いかがですか。
  288. 山本長

    政府委員(山本長君) 第一期工事というものが、滑走路の長さにいたしましても面積にいたしましても、相当縮小されておることは事実でございますが、しかし私たちはこれはあくまで第一期工事だと、こう考えておるわけでございます。航空審議会答申されました、滑走路を三本持ち、かつその二本は四千メートルの滑走路という全体構想というものを忘れておるわけではございませんで、その構想の中の一部をできるだけ早く完成させて供用を開始する、こういう思想の上に成り立っておるわけでございます。そういう意味からいいまして、先ほど若干大臣も申し上げましたけれども、四千メートルに延長が容易にし得るように、四千メートル工事を行うときに支障になるようなそういう工事はこの三千三百の工事が終わりますときには終わっている、細かくはちょっと省略いたしますが、実はそういう計画の中身になっておるわけでございます。  そんなにお金は変わらないじゃないかと。これは見方の相違でございますけれども、やはりこういった財政事情の中におきまして、また資金の調達という面から見まして、できるだけ早くこの事態においてスタートし早く完成するということがやはりポイントになっておるわけでございまして、しからばどこまでが限界かということについていろいろ考えたわけでございます。四千メートルが望ましいことはもちろん言うまでもございません。三千三百メートルの滑走路があれば、アメリカの東海岸にジャンボが直行する、フルロードで直行するということは無理なんでございますけれども、西海岸までは直行で参れますし、それからそのほかヨーロッパあるいはアジア地域等への輸送というものを考えますと支障がない長さでございますので、第一期工事としてスタートする規模としてはこれでやっていこうと、そういう計画でございます。決して後の計画とそごが来るような計画になっていない、その一部を早期に完成させる、こういう思想でございまして、段階的に整備、拡張していく、こういう思想のもとに成り立っているわけでございます。
  289. 山田勇

    山田勇君 最後の質問になりますが、空港島といいますか、出島といいますか、大阪府が資金を出して相当沖合へそういう島をつくります。当然空港からの一つの大きなアクセスとして橋梁がかけられると思います。これはもちろん各主要道路とのジョイントをすることになろうかと思います。もちろん湾岸道路もそうでございます。そういう形の中で工事規模を見ますと、片道二車線二車線ですから四車線ということですが、きのうも少し関係者の方とお話をしたんですが、これはせめて三車線にはならないのかというふうなこともお願いをしたりお話を伺ったりいたしておったんですが、その点とうでございましょう。  今二車線で来ますと、普通の一般道路と違いますから、空港から出てくるだけのアクセスとしてあれですが、ジョイント部分で相当混雑が予想され、もし大きな事故があるとちょっと二車線ではしんどいんではないか。それも橋梁関係者に聞きますと、二車線も三車線もそう予算上変わらないということなんです。Gコラムという新しい工法等々を取り入れますと最初から三車線を切っていってもいいんじゃないかというふうなことも聞くんですが、これは最後の質疑になりますが、いかがなものでしょう。三車線にして、橋梁、交通、アクセスということをお考えにはなれないでしょうか。  それで最後に、何度もお願いをいたしますとおり、和歌山県からの要望であります、湾岸道路を泉佐野でとめないでひとつ和歌山までぜひ延長をしていただきたい、これは強い要望としておきます。  これで私の質疑を終わります。
  290. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先生今、この連絡道路を三車線でつくるべきである、つくる方がいいんじゃないかということをおっしゃられました。全くそのとおりであろうと思います。特に事故等を考えました場合に、そういう安全度を持つということは大変に望ましいことでございますけれども、コストということから考えますと、相当詰めてこの空港着工させたいという考え方をずっとしてきておりまして、この交通量に対して二車線でもつかどうかというのは相当検討いたしました。  その結果、ひとまず十六万回時点でということになりますと、私ども時間交通量が二千台弱だというふうに考えております。この二車線での能力は、道路構造令等に準拠しますと三千五百台ぐらいあるわけです。しかし将来的には、十六万回でなくて二十六万回でももたなくてはいけないということでございます。二十六万回についても検討しておりますが、二千五百台弱ぐらいになります、時間交通量は。ということで、二車線で十分いけるだろうということで我慢しておるところでございます。
  291. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私は、関西国際空港の経営に関する将来予測についてお尋ねをいたします。  航空審議会答申にもありましたように、将来の航空需要予測というものは極めて困難であると申しておられます。しかし、それが困難であれば経営の将来予測もまた困難である、こういうことになるのでございますが、運輸省におかれましては、一応これらの計画をお持ちになっておいでになるところでございますが、これらについて若干お尋ねをいたします。  関西国際空港の経営につきまして、採算の面から見た場合の一番の問題点は、空港能力に対しまして投資が過大なことである点にあります。わけても、土地代でありますところの埋立費が非常に高くなっておる。多少センセーショナルな表現ではありますけれども、会社事業費を約一億円といたしますと、その半分の五千万円が土地造成に使われておりますということであります。この土地は御承知のとおりもちろん非償却資産であります。しかし、非償却資産をつくります費用に対する利子は経費として処理することができましても、元本の返済は経費に立てることができません。したがいまして、運輸省とされましては、この元本の処理が特殊会社であります株式会社の経営上の重圧にならないためにはその処理をどうしたらよいのか、どのような方策があるのか、こういったことで大変苦慮をしてこられましたように思っておりますし、先ほどの答弁にもございまし た。  しかし、それはそれといたしまして、この空港の実態は今申し上げましたように、空港能力の割に投資額が大きいという欠点を持っております。このことは午前中の参考人意見陳述においても、日向関経連会長は、このことがあるためにいわゆる経済人にとっては、一般論としてではありますけれども、余りこの経営体に対しては魅力を感じない意味発言もありました。  しかしまた、反面考えてみますと、今日の飛行場において空港整備におきます歳出の特徴的な現象は、やっぱり環境整備に対する投資がだんだんと大きなウエートを占めてきておることは否めません。だから、この将来の空港経営におきます環境整備の面に対する投資は、将来の空港経営におきますやっぱり非常に考えなければならない大きなファクターなのでありますけれども、この空港が幸い海上空港であります面から考えますと、この面からの投資はかなり有利になるのではないか、このように私は考えております。  新東京国際空港すなわち成田空港の場合も、やっぱり今日の経営はなかなか計画どおりにはいっておりません。したがいまして、関西国際空港の場合にも、運輸省とされましては一応の試算はしておいでになりますし、先ほどもその大まかな点については御表明がございました。しかし私は、そう計算をしておられてもなかなか計画どおりに参りますものではありませんということも考えておかなければならないと思います。さらに、そういう支出を賄っていきます場合にやっぱりかなり大きな財源になりますのは、空港の使用料であります。けれども、今の日本空港の現状では、空港使用料を中心として公租公課のすべてはもう限界に来ておると言われておりますので、増収を図るためにこの面での例えば値上げでありますとかいうことで対応するのも非常に困難な制約がありますように思います。  したがって、もしこの空港の将来経営におきまして、今運輸省が立てておられます経営計画と現実の経営とがかなり大きなそごを来してまいりました場合には、政府はどのようになさるおつもりなのか、そういったときにはもう会社が発足をいたしておりますので、これらの対応に対する責任はどこにありますのか、以上の点についての御所見をお願いいたします。
  292. 山本長

    政府委員(山本長君) 建設費あるいは収支採算について相当精査をしたつもりではございますけれども、先生が御指摘のように予想が狂うというふうなことはあり得ない話ではございません。したがいまして、そういった場合にどうするのかという御懸念でございますが、やはりそういった問題が出てまいりますと、会社の経営面にいろいろ悪い面が出てまいるわけでございます。こういった面の解消というものは会社が経営努力を通じて適切な対応を図っていくというのが第一義的には必要だろうというふうに考えます。  しかしながら、事業そのものが第一種空港建設運営という事業でございますし、それから、この空港の資金の計画などにおいてもあらわれているところでございますけれども、あるいは、いろいろな財政上の、あるいは税制上の援助においてもあらわれているところでございますけれども、政府自身が非常に大きな役割を果たしております。これはやはり国が責任を持ってこの空港建設運営地方公共団体民間の協力を得てやる、こういう思想でございます。政府がやはり基本的には責任を持ってこの会社支援していくという姿勢でございますし、そういう姿勢がやはり空港計画の中にも私たちは反映しておると考えておる次第でございます。  したがいまして、先生のおっしゃる御懸念が生じましたときには、もちろん政府自身に協力をしてくれている地方公共団体民間と十分協議、調整をしてまいる必要がございますけれども、政府自身が大きな役割を果たしているその立場の上に立って、政府自身が責任を果たしてまいらなければならない、協力を得つつ責任も果たしていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  293. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 その次には、航空審議会答申と第一期計画についてお尋ねをいたしたいと思います。  その根本的なものは、やっぱり第一期計画をお立てになります場合には財政ということが第一義的に考えられて、その制約のもと一つの結論を得て第一期計画としておいでになりますので、先ほどから聞いておりましても航空局長さんはそのときの飛行場の空港能力を年間十二万回とおっしゃいました。けれども、我々がもらっております資料にはやはり十六万回とこのようにされておりますのでございますが、こういった点が多少私は気になります。  だから、例えば、航空審議会の第一次答申によりますと、現在の大阪国際空港は、「周辺住民の要請により運航便数等に厳しい制限を」受け、もうこのとおりです、「わが国が対外的に負う義務さえも履行できず、国際信義上の問題が生じている。」——「国際信義上の問題が生じている。」、こういう指摘があります。「したがって、新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港機能を代わって受け持つ能力のあるもの」でなければいけません。さらに新しい空港の位置は、海上とすれば、公害のない空港関西地区に建設することは十分に可能であるとのことから、一応泉州沖海上五キロメートルに定め、その機能については、二回の答申を経ておられますのですけれども、結局運輸省のおとりになったのは、今も御論議が交わされておりましたように、主滑走路三千三百メートル一本、補助滑走路なし、埋立面積は五百ヘクタール、そしてそのときの最終能力として年間離着陸回数が十六万回、こういうようにしておいでになりますのです。  確かに埋立面積五百ヘクタールといたしましても、今日の大阪国際空港よりは広うございます。だから、やりようによってはできるのかと、素人目にも思います。そして空港能力というものは、滑走路の受け入れ能力とターミナルの受け入れ能力とが関係をして、そのいずれか小さい方に制約をされることになっております。  したがって、航空需要変化に伴っていずれにも大きな過不足が起こらないようにその都度対応していかれることもわかりますのでございますけれども、しかし、大は小を兼ねることはできますが小は大を兼ねることができませんので、果たして年間離着陸回数十六万回というのは、やっぱり一期計画としてこれを掲げておかなければならないので掲げておいでになるのか、そのことは可能なのか。先ほどの局長答弁にもありましたように、三千三百メートルを延ばす段階になったら、延ばすために支障になることは取り除かれてありますので、そこで工事がとまるのでなしにずっと継続をして行うことができるようにはおっしゃっておられましたけれども、その辺のことは専門家でないとよくわかりませんが、どうも私はそんな、今お尋ねをいたしましたような立場からの疑問を持ちます。  それはやはり、財政事情が航空安全をすら犠牲にしかねないような増勢になっておるのではないか。  で、先ほどの他の方の御質問にもありましたように、中途半端になってはいけませんということもありましたし、さらにけさからの参考人意見陳述においては、第一期計画で絶対終わらないようにと。それらはみんな、航空安全の立場からの危惧の念を含んでおいでになりますと思います。  以上の点について、大丈夫という明快な御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  294. 山本長

    政府委員(山本長君) 離着陸能力十六万回というのが大きくはないかという御指摘が一つございました。これにつきましては専門の管制保安部長から後ほどお答え申し上げたいと思います。  安全性を犠牲にしていないかというふうな観点からの御質問につきましては、空港計画答申計画に比べまして相当に縮小してはおりますけれども、安全面については、これは詳細をここでお話しするわけにはまいりませんけれども、十分に 考えて、犠牲にするというふうなことは絶対にない計画にしておるつもりでございます。  それから、大は小を兼ねる、少し小さ過ぎはしないかという点でございますけれども、確かに大きくあればあるほどいいということはもちろんそのとおりでございますが、これはやはり財政の面あるいは収支採算の面等から考えまして、特に先生が先ほど御指摘になりましたように、非常に建設費が高こうございます、面積などに比べまして。しかもそれが用地造成にかかっているということがございまして、そういった収支採算の面から見ましても、やはり幾らでも金がつぎ込めるという時代ならばともかく、この時点においてはとにかく必要最小限度のエフォートにおいて、現在の伊丹空港の現状から見てできるだけ早く完成させるという観点から縮小しておるわけでございますけれども、機能的に見ましても不満足の点が若干ございますけれども、まあ旅客あるいは貨物の輸送の機能に与える影響等から見ましても、オープンするその時期のものとしてはこの程度でやむを得ないものじゃないかと、こういう判断をいたした次第でございます。  機能面、安全面から見ましての御懸念につきましては先生の御指摘もごもっともでございますけれども、機能面につきましてはほぼ大丈夫であるし、安全面については絶対大丈夫でございますというふうにお答え申し上げたいと思います。  それから、十六万回の問題につきましては管制保安部長からお答えいたします。
  295. 平井磨磋夫

    説明員平井磨磋夫君) 年間の離着陸回数十六万回でございますが、今回の計画は若干滑走路等が短くなったということはございますけれども、滑走路一本の能力といたしまして十六万回をこなすということにつきましては、伊丹大阪国際空港が存続した場合でも十分安全に運航ができる、このような計画にいたしておるわけでございます。
  296. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 時間の関係で、最後に一つお尋ねをいたします。  それは空港立地に伴います地域整備地方財政についてでございます。  この泉州地域といいますのは、関西国際空港立地に伴いましてやはり当然の現象として、人口の増加等から社会経済状況に大きな変化を来してまいりますことが予測をされます。この地域は、午前中の参考人の陳述にもありましたように、明治以来近年まで卓越をした地場産業の地帯でありましたが、高度成長期になりまして成長に極めて緩慢な地帯になってしまいました。そういうことからして社会資本の充実はおくれておりますし、都市基盤の整備も整っておりません。例えば公共下水道の普及率が特に低いということ、さらには第三次医療救急施設などは皆無の状態にあって、特に医療施設の欠如はこれは大問題であります。こういうように意見を述べておられました。  政府の方針としましては大型な地域整備や広域にかかわりますものは明確に示しておいでになりますけれども、局部的、地域的な都市基盤の整備等につきましては現行の制度を活用をし、それぞれの創意を生かして対応をしてもらいたい、こういうような方針のように承っております。  一面、地方の側としても、そのことの努力は忘れてはなりません。けれども、空港の供用開始をある一定のところに置いておいでになります。だとすれば、地方はその時点までに一定水準に達していかなければならない責めもまた負わなければなりません。簡単に申し上げましても、例えば今日高架の乗り入れがありました場合には、現行制度では地元の負担は七%、あるいはこの地域にうわさされておりますように前島の造成によって漁港の移転をせなければならない、こういう事業に対しては現行制度では一〇%の地元負担が課せられることになっておりますけれども、これらが計画的、年次的に行われていきます場合にはそこの財政力に見合った対応もできますけれども、それらを需要のために縮めていかなければならぬことも当然起こり得るのではないか、このように思っておりますが、先ほど申し上げましたように、確かにこの泉州地域の都市の財政力指数を見ましてもそう高いものではありません。  それは、今日の経済社会の中で、やっぱり緩慢な成長がその実態を生み出しておると思いますけれども、こういう地域に対します場合には何らかの特別な配慮を講じていかなければならないのではないか、今は、現行制度だけで創意を生かせということで果たしてできるのかどうか。やっぱりその手法においてかさ上げをしてみたり、あるいは時期的なものから見て対応できる方策を考えていただき、やはり国の力でもって積極的に取り組んでいただく必要があるように思いますのですけれども、その辺のことについてお考えを承りたいとともに、もう一つは、これは運輸省だけではできない問題であります。  関西空港の問題の発足と軌を一にして関西のこの地域では、関西研究学園都市建設構想も発足をいたします。これらの二つのプロジェクトを有機的に連携をし、双方が相乗効果を発揮できるように、そのことが地域社会の浮揚につながるようにこれはやっぱり政治が考えていかなければならない将来に対しての事項なのではないか、このように思います。最初に断りましたように、これは本当を言えば運輸省の問題ではございません。願望でも結構でございます、こういう点に対してのお考えがありましたらあわせて答えていただきたいと思います。  以上です。
  297. 山本長

    政府委員(山本長君) 空港が立地することに伴いましてこの地域において、今も都市化が進んでおりますがそれがさらに促進されていくということに伴って、いろいろな都市施設というものの整備が必要になってまいるとか、あるいはさらにそれ以前の問題として、そもそもおくれているところのものをこの機会に促進したいという希望もあるということを十分承知しておりますし、それはごもっともなことだというふうに考えております。  こういったいわゆる大きなアクセスの問題とは別個の、いわば町づくりとでも申しましょうか、の構想の推進というものにつきましては、やはり地域の創意とか工夫というものが生かされた形で進められていくのが一番望ましいと言べきだろうと思います。そういった地域の都市づくりプランというものに対しまして、国がそれに対してできる限りの協力をしていくという体制で進んでいくべきだろうと思います。そういったプランというものはやはりその緊要度なりそれからまたプラン自身の熟度というものも関係してくると思いますので、そういったことも勘案しながら国が協力をしていくということが必要だろうと思います。  この地域におきましては、そういったプランにつきまして、大阪府自身が空港というものを計画の中に置きましてそういう計画づくりを進めていこうと合しておられます。これに対して、これは運輸省の所管でない部分が多うございますけれども、運輸省にもこれについて協力をしてもらいたいという要望も受けておりますので、運輸省といたしましては、空港建設推進にも非常に関係することでございますので、これについてできるだけの協力をしてまいりたい、バックアップもしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  もう一つ、その中で先生から、特別の配慮として財政の特別な措置ということについて御質問がございました。  この点につきましては、大臣からも先ほど答弁させていただいたところでございますけれども、現在のこの財政状況、財政再建下においてなかなか新しいもの、新しいかさ上げ法とでも言うべきものをつくるということは困難でございまして、それはやらないという政府の方針になっております。したがいまして既存の制度で、公共施設整備につきましては補助制度、それから補助裏については起債の制度というものがございますので、そういったものをやはり活用しながら、また、それの採択についてやはり十分配慮をしていってもらうというふうなことでもって、地域の町づくり に協力をしていくという方法が適切であろうというふうに考えておる次第でございます。  それから大きい第二の問題で、研究学園都市と関西国際空港との関係といいましょうか、両方を生かすような考え方で進めていくべきだというふうなお考えの大意でありました。  場所といたしまして、一方が泉州であり、一方は京阪奈といいましょうか、の丘陵地域ということで、場所は離れておりますけれども、やはり関西国際空港も京都地方と申しますか、の地方からの需要も受け入れなきゃならぬという面もございますし、それから研究学園都市もやはり、位置的に見まして、人口が非常に大きい大阪地域からそちらの方への輸送というものも円滑にしていかなければならぬという面があると思います。一つの交通施設というものが両方のプロジェクトというものに役立つというものもあろうかというふうな感じもいたします。関西国際空港の面から見まして、同時に整備が望ましく、それらとともにまた研究学園都市の方にも役立つというふうな施設もあろうかと思います。そういったものにつきまして、私たち運輸省でできるものについては運輸省、他省庁においてお願いしなきゃならぬものについては他省庁の御協力を得るように我々も働きかけていくというふうな態度で進んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  298. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  299. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会