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1984-10-23 第101回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月二十三日(火曜日)    午前十一時一分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         矢原 秀男君     理 事                 梶原  清君                 内藤  健君                 瀬谷 英行君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                 小島 静馬君                 下条進一郎君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉村 真事君                 小柳  勇君                目黒今朝次郎君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君                 山田耕三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    安藤 忠夫君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        鏡味 徳房君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸省運輸政策        局長       山本  長君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省海上技術        安全局船員部長  武石  章君        運輸省港湾局長  小野寺駿一君        運輸省航空局長  西村 康雄君        海上保安庁次長  岡田 專治君        労働大臣官房審        議官       平賀 俊行君        労働省労働基準        局安全衛生部計        画課長      松本 邦宏君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      坂田 浩一君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長       亀井 正夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄問題に関する件)  (自賠責保険保険料引上げに関する件)  (余剰船員対策に関する件)  (ILO条約の批准に関する件)  (船舶の違法建造問題に関する件)  (新東京国際空港の国内線利用問題に関する件  )  (国鉄山陽本線脱線事故に関する件) ○派遣委員の報告に関する件     ―――――――――――――
  2. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 運輸事情等に関する調査のうち、国鉄問題に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 社会党の瀬谷でございます。  最初に、監理委員会国会関係について一言触れておきたいと思うのでありますが、監理委員会から緊急答申が出されたのは八月十日であります。その緊急答申の中には、国会で処理をしなければならないという問題がたくさんございます。例えば、「当面緊急に措置すべき事項」ということで、「国会に対しては、国鉄総裁その他の経営幹部ができるだけ事業経営に専念できるよう特段の配慮を要請する」、さらに「議員乗車証の廃止問題についてもその早急な解決を再度要望する」、こういうふうに書いてあります。これが「当面緊急に措置すべき事項」、こうなっています。  それならば、緊急に措置しなきゃならぬ問題で法律改正を必要とする問題ならば、そのことについて監理委員会考え方を我々が聞くというのは、これまた当然だと思うんです。  ところが、じゃ閉会中ではあるけれども委員会を開いて監理委員長にお出ましを願おうということになりまして、いろいろとこの委員会日程について相談をいたしました。九月下旬になってようやくメンバーもそろえられるということで委員会開会の段取りができたところ、委員長都合が悪い、こういう御返事でございました。そこで今度は、それなら仕方がないから委員長の方の御都合に合わせて、九月下旬でも十月上旬でもやらせていただこうということでいろいろとお話をしたところが、九月も十月ももう日程がいっぱいでだめである、こういうお話でございました。これが林次長からのお答えだったわけです。それならば委員長にかわるべき人にかわりに出てきてもらったらどうかと。そうしたら、その委員長代理委員長よりもっと忙しい。住田さんはと言ったら、この人は十一月までいっぱいだ、こういう話なんですよ。  これは、完全に国会を忌避しているというふうに我々は受け取らざるを得ないんです。こういうことを続けていかれるならば、我々としてもこの監理委員会提言というものをどこまで尊重していいのか、これはまことに困ったことだと思うんですね。少しこれは監理委員会自体に横着な思い上がりがあるんではないか、率直に言わせてもらうと。こういうことを私は指摘したいと思うのでありますが、委員長見解をお伺いしたいと思います。
  6. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 亀井でございます。  ただいま、この委員会にさっぱり出てこないではないかというおしかりをちょうだいいたしまして恐縮に存じておりますが、実は、忙しいことも忙しいわけでございますけれども、私どもといたしましては、この大問題につきましてあらゆる角度から勉強したいということで、現地に参りましたりいろいろ資料を調べたりということで、多忙のうちになっておりましてきょうまでおくれたわけでございますけれども、ただいまのお言葉にありますように、いろいろ国会先生方にお教えをいただき御指導もいただくことでございますから、これから努めて勉強して御意見をお伺いし、また私どもの所信も申し上げるという機会を得たいと存じておる次第でございます。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 監理委員会というのは特別の権限を与えられていて立法府も行政府もそんなものを超越して何でもできる、こういうふうに考えられたのでは大変に私は迷惑だと思うんです。法律改正を必要とする場合には、これはいや応なしに国会でもって取り上げなければならぬことなんです。結論だけ監理委員会で決めて出して、そして国会はこれをうのみにしてくれ、こういう態度をとられたのでは、我々としてはこれは承服いたしかねるわけです。そういう考え方であるのか。そうではない、やはり監理委員会としても十分に多くの人の意見を聞くという気持ちがあるのか、その辺をお伺いしたいと思うんです。
  8. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 最終的に国会でいろいろ法律聖御改正いただかなければこの国鉄改革の問題はできないということも重々承知しておりますが、残念ながら現在私ども本当のまだ確たる核心まで触れる時期でなくて、猛勉強をやっておるという段階でございまして、今思い上がったというお言葉でございますが、むしろ非常に謙虚で、とても今申し上げてもいろいろ御参考いただくような段階ではないという恐縮をして今日まで至った、こういうことにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、今後の問題として、これはもう少し広く国民意見を聞く。特にこの運輸委員会のような場所は、専門にやってきているわけですよ。監理委員会よりもっと昔から専門に検討してきている機関なんです。だから、こういう運輸委員会を軽視するあるいは無視するというような態度は私はとってもらいたくないと思う。現在までのところ、残念ながら国会委員会は無視をしようとしているというふうにしかとれません。そんなに忙しければ、忙しくない人にメンバーを交代してもらわなければいかぬと思うんです。その点、国会審議というものを十分に尊重する気持ちを持っていただけるのかどうか、その点も重ねてお伺いしたいと思います。
  10. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま瀬谷先生のお言葉のとおり、国会のお考えというものは十分尊重し、非常に重点を置いて考えていきたい、そういうふうに考えております。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まず、今の国鉄の問題を考えてみた場合に、船長のいない船のような状態になっているわけです。総裁はいるけれども、その総裁が一体どれだけの権限を持っているのか。将来の国鉄に対して、総裁一つ考え方を持って方針を決めることができるようになっているのかというと、そういうふうになっていないと思うんです。今まで我々がいろいろやってみても、総裁に聞いても、大臣に聞いても、経常形態の問題はこれは監理委員会でやっております、こういうふうに逃げられるわけです。監理委員会に聞とうと思うと出てこない。だから監理委員会自体が今どういうことをどういう資料に基づいて検討しているのか、さっぱりわからぬわけですよ。つまり、密室の中で作業が行われている、こういう状態なんです。  だから、出てきた結論に対していいの悪いのと雷ってみたところで、これは後の祭りになってしまう。これでは私はいけないと思うんですね。だから、まずその結論が出る前に多くの意見を聞く、そういう謙虚な気持ちを私は持つべきだと思うんですよ。そうでないと、形を変えたファシズムになります。そういうふうにしないで、例えば十分に、国会もちろん、国会以外にも、公聴会等を開いて多くの意見を聞く、こういう気持ちがあるのかどうか、そういう方法を考える余地があるのかどうか。その点心お伺いしたいと思うんです。
  12. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) いろいろ御意見を聞いて勉強したいと思いますから、国会のみならず地方にも出かけ、公聴会とかいろいろで勉強したいと思いますが、私の個人の考え方では、ある程度こちらで問題点がどことどこにどういう形であるかという一つのものができないと、行っても、どうも風に流れる風船みたいなことでは非常にぐあいが悪い、そういう心境で現在まで慎重を期してやってきたという点をひとつ御理解いただきたいと思います。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は委員長にこの際特に申し上げたいと思うことが一つあるんですが、「政財界」という雑誌の中に「国鉄の再生は可能か」という文章がありました。これは一般の雑誌じゃありません、「政財界」というんですから。その中に、第二臨調にしろ、何が原因で国鉄長期債務残嵩がこんなになったのかということを故意にか不用意にか少しも明示していない。  ただひたすら「国鉄解体せよ」と叫んでいる。国鉄に関する臨調答申についてはむしろこういうべきなのかもしれない。まず「国鉄解体願望」があって、それに解体理由付けの作文を乗せただけだ、と。臨調答申は、「経営の改善をはかれ、しかる後に分割民営化の道を辿れ」といっている。だが、これははなはだ矛盾に満ちたいい方だ。経営が改善されるようなら、分割し、かつ民営化する必要がないのではないか。 こういうふうに書いてあります。私が今まで読んだ中でこれが最も的を射た指摘だというふうに思いました。  そこで、お読みになったかどうかわかりませんが、このことを十分に頭に入れておいていただきたいと思います。下手まごつくと、現在の監理委員会にすべての権限が任された、ほかの意見は聞く必要はないということになると、ごく少数の人間でもって事が決められる。あるいはまた、下手まごつくと、これが利権の温床になったり汚職の種になったりするという可能性すらある。だからそういう点をなくすためには、なるべくオープンにして、そして多くの意見を聞くという必要があるだろうと私は思うんです。委員長はそういうことを考えていらっしゃらないかもしれないけれどもメンバーの中にどういう人が出てくるか、これはわからぬのですから。私はこれを機会に何とかうまい汁を吸いたいなんということを、表立って番う人はいない。しかし実際には、臨調答申自体にいろいろ矛盾があるんです。  例えば、私鉄並み経営をしろ、こういうことがいろいろと監理委員会の中でも指摘をされております。私鉄並み経営をしろということになれば、なぜ自動車を分離し、工場を分離し、病院を分離しなきゃならぬか、こういう問題が出てくるんです。  私鉄は自分の路線に接続をするようなバスを持っている、それから工場も持っている、あるいは病院のようなものも持っている。一応そのほかにいろんな経営をやるようになっているわけです。じゃ、国鉄私鉄並みのことをやれ、こう言うならば、今のように余剰人員を抱えている場合には、多くの事業をやらせて、その人間を吸収することを国鉄自体でもってまずやらせるということが先決ではないかという気がするのでありますけれども、そういうことについては、監理委員会制約があるからできないんじゃないかという気がするんですよ。監理委員会は、そういう国鉄に多くの仕事をやらせるということについて、これは生殺与奪の権限を今持っているでしょう。しかも、今のところは、拘束だけはしているけれども、そういう多角経営についての制約を解除するという方向は出していないと思うんでありますが、その点はどうですか。
  14. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまのお言葉で、私どもが独裁的な立場とか、いろいろそういうふうな気持ちは全然持っておりません。基本的には私どもは、効率的な経営形態確立ということを勉強いたしまして、それを総理の手元に提言を出す、そして総理がそれを御検討される、こういう仕組みのつもりで私ども一つ改革プランを出したい。その場合に基本になるのが、「効率的な経営形態確立」ということがこの私ども委員会設置法にも決まっておりますので、そういう観点から現在の国鉄というものについてどういう効率が上げられるか、それを一年間いろいろ検討した結果、やはりどうしても分割民営でないとだめではないかという、一年勉強した結果出したわけでございまして、今バスの問題とかあるいは工場の問題とかいろいろ挙げられましたけれども、そういうものについても当面効率的にやるのには分離した独立採算制という考え方をとった方がより効率的にはなるのではないかということで、御指摘のように私鉄もいろいろやっているじゃないかということとは矛盾があるかもしれませんが、根本的には現在の国鉄というものをどうやって現状より効率的なものに体制を立てるか、そういう趣旨から私ども答申を出した次第でございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 具体的な例を一つ挙げますと、草津へ行く国鉄バスがあります。この国鉄バス黒字なんですよ。それで、臨調方針あるいは監理委員会方針でいくならば、このバスも切り離さなきゃならない。ところが現在は、国鉄が運んでいった人をバスがそのまま草津まで運んでいるわけですよ。そして黒字になっているんですよ。これを切り離せということは、どこかの民間会社が、これは棚からぼたもちでもってうまい汁を吸うことに結果的にはなるわけです。そこで、バス運転手さんに、とこはどなたの選挙区ですかと聞いたら、中曽根総理大臣選挙区ですとこう言われるわけですね。棚からぼたもちのこの答申中曽根総理大臣選挙地盤、こういうことを考えると、この臨調方針も臭いなというふうに私ども考えざるを得ないんですよね、これは一例ですけれども。  そういうことを考えると、画一的にバスを切れとかあるいは工場を切れとかいうことは、私はおかしいというふうに思います。これは現実の一つの例でありますから、申し上げておきます。  それから、それじゃ分割民営だ、――三塚さんが「国鉄を再建する方法はこれしかない」という本を書いております。じゃ、どういうふうに分割民営ができるのかということなんですね。まず、やりやすいのは局別に分ける。北海道九州四国、これを分ける、こういう方法がある。しかし、北海道を分けてみた場合に、北海道全道でどう逆立ちしたってこれは黒字にはならない場所です。おまけに青函トンネルができ上がる。青函トンネルをつけ加えると、トンネル代だけでもって約九百億の使用料を払わなきゃならぬ。これじゃとてもやっていけない、我々考えたってそう思う。どういう民間企業北海道を引き受けられるのか。あるいは九州にしても四国にしても同じです。本四架橋というような問題があります。これは結果的には運賃を値上げするなり、あるいは補助金を多額にもらうなりしなきゃならぬだろうというふうに思うのでありますが、そういうふうになれば、これは地域別運賃割高運賃北海道なり九州四国の人は覚悟しなきゃならぬということになるのでありますが、そのように理解してもよろしいんですか。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まずバスの問題について御指摘がありまして、私も初めて勉強させていただきましたが、バスについてそういう趣旨から考えたのではございませんで、いろいろ実情を調べてみますと全国に八十カ所、バスの拠点が分離をしておる。そして、二千五百台のバスを運営しておられるのでございますが、調べてみますと、バスというものはレールでつながっておるわけでもございませんから、むしろ地区別地区に密着した運営をされるということの方が効果的であり、そこに働く人もそれで佳きがいを感ずるのではないか。何も本社で全国八十カ所の統計をとったり、指示を出したり、それだけでもコストがかかる。そういう意味では、それぞれ分立をさせてやる方が合理的ではないか、こういう趣旨で出したわけでございまして、そういう邪心があると全くきょう初めて伺いましたけれども、そういう趣旨であることを御理解いただきたいと存じます。  それから、分割についてどういう格好にするのかということについては、これは非常に難しい問題で、目下鋭意いろんな角度からいろんなデータを集めいろいろして検討しておるのでございますが、御指摘北海道というものをとった場合に、もちろん運賃を、原価に見合うという運賃法の原則もございます、そういうものから多少上げるということも必要でございましょうし、あるいは従業員生産性を上げるという面から人員を合理化するというようなことも必要になってきましょうが、そういうことからいっても、当分なかなか黒字にはなり得ないなと、北海道については。これは非常に難しい問題でございます。 そういうことで、まだ結論は出ておりませんが、決めつけて、運賃を上げるのか、何をするのかとおっしゃっても、そういうことを総合して、どこをどういうふうに分ければ本当に国民の足としての鉄道というものが二十一世紀に向けて輸送体系の中で確保できるか、そういう案を鋭意つくりたいということで目下勉強中であるということを御理解いただきたいと思います。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 三塚さんが書いた「国鉄を再建する方法はこれしかない」という本があるんです。お読みになったかと思うんです。あるいはこれは監理委員会と密接な連絡をとってお書きになったんじゃないかなと私は推察しながら読んだんですが、結論の方を見ますと、民営分割しかないけれども本州を一体どう分割するかという問題がある。本州分割しなければ意味がないと書いてあるけれども国鉄再建監理委員会で検討が加えられている最中であるが、私自身も現在のところでは明確な結論を縛るに至っていないと書いてあります。これしかないと言いながら、明確な結論を得るに至っていないと。一審大事な結びのところでそういうふうに書いてある。随分これも無責任だなと私思いました。本州の問題について三塚さんが結論を得るに至っていないというんだから監理委員会でも結論を得るに至っていないというふうに私は思うんですが、結論が出ていうんならば、あるいは方向が決まっていうんなら、お示しをいただきたいと思います。  それから、時間の関係もございますからもう一つ。  国鉄自身に対して、やはりもっと強く指導しなきゃならぬ問題があると思います。これは、現在、余剰人員の問題が出てきております。余剰人員をどうするか。弾力的運用ということが言われておりますけれども弾力的運用というのは一体どういうことなのか。二万五千名の余剰人員、私は、この余剰人員というものは、国鉄自身が、民間並みにやれっていうんだから、じゃ、国鉄用地を使って、ホテルでもあるいはデパートでも倉庫でも駐車場でも、どんどんそういうものをやって、そしてそれらの人を吸収する方法を考える方がいいと思うんです。そうでないと、横滑りをするというと、みんな関連企業がはみ出してしまいます。だからそういうことをまず考えるべきだと思うし、それから現在の国鉄労使関係が非常にまずいですね。団体交渉を打ち切る、そして組合ができない以前の姿にして、当局の一方的な姿勢でもって事を処理しようという体制が見えます。これは事実です。  それで、はしなくも、前回の六月二十八日の会議録を私は読んでみましたら、目黒委員がやはり亀井さんに対する質問の中で、この雇用政策について触れております。実際問題として、首を切られるんじゃないか、一方通行だ、そういう不信感が出るから、そういう不信感重大事故を起こすんじゃないか、このような状態ではということを言っています。この間の事件と私はひっかけるつもりはございませんけれども、たまたま目黒さんがそういうことを指摘しているんですよね。こういう一般的な不安というものは今後もあると思うんです。  したがって、やはり国鉄労使関係の円滑な状態からいって、十月十日に期限を切って妥結をしなければ一方的にやるぞといったような、そういう姿勢というものは非常に遺憾だと思うんです。労使の問題は人の和がなければ、こういう国鉄経営あるいは安全ということは私は確保できない。人の和を保つということが行われないようでは、これは労務政策が落第であるということになってしまうんじゃないかと思うのでありますが、その点についてお伺いをいたしまして、一応私の質問は終わります。  ただ、一言申し上げておきますけれども、非常に時間が短い。こういう重要な問題を二時間ぐらいでもってやるということは無理です。だから、二時間でやるということは、一言で言えばお茶を濁すということなんです。お茶を濁すんじゃなくて徹底的に論議の機会を持たなければならぬということについても、監理委員長見解を承りたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。
  18. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まず第一の、分割民営具体案があるのかということでございます。これが目下いろいろな角度から勉強中でございまして、まだ、三塚先生がおっしゃるように、難しい問題でございますので、慎重には慎重を期してさらに深度を深めて勉強していきたい、そういう勉強中というふうに御理解をいただきたいと存じます。  それから、余剰人員対策雇用の問題につきましての私ども見解は、やはり草むしりをさせるより何か働く生きがいのある仕事を求めていく、そういうふうにいくべきではないかというのは、瀬谷先生の御意見と全く同一でございます。  それから労使関係につきましては、甚だ残念ながら国鉄の現状の労使関係というものはよくない。これはどちらが悪いということは言えないと思いますけれども、企業の繁栄というのは、私も長年会社で労務をやってきておりますけれども、結局、労使が安定しなければその企業は繁栄しないということは私のかたい信念でございます。そういうものに基づきましていろいろと考えていきたい、そういうふうに思っております。  それから、こういう大事な問題が二時間では足らないではないかというのは、まことにごもっともでございまして、今後もできるだけ時間は先生方の御予定にも合わせましてつくっていきたい、こういうふうに感じております。  どうもありがとうございました。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ありがとうございました。
  20. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は安恒ですが、まず国鉄問題で大変御苦労をいただいています監理委員長に、大変御苦労さまということを申し上げます。  それと同時に、私たちも国政にあずかる者として国鉄再建問題には重要な関心を持っておりますし、私は私鉄の出身で私鉄なりの経験を持っていますから、もう少し監理委員長には、今既にお約束されましたが、時間をたくさんとっていただいて、いろいろ議論をさせていただきたいものだと思います。  きょうは、同僚議員が既に本委員会では六月二十八日、衆議院では七月二十五日に監理委員長とやりとりをされていますから、それらの問題を智略いたしまして、ただ私の感想をちょっと申し上げますと、監理委員会経営形態問題、長期債務問題、そしてこの中で効率的な経営形態確立ということが主要な任務で御審議をいただいているように聞いていますが、私はやっぱり国鉄再建問題をやるに当たって、長期債務をどうするかという問題が一つ、二つ目には国鉄職員の年金や退職金や余剰人員をどうするかというこの問題が一つ、それに加えて経営形態をどうするのか。今監理委員長も御指摘のように、本社が一手に持っている経営のあり方ということ、これはだれが考えても無理だろうということです。どうするかという問題を十分議論していかなければならぬと思います。  ただ私が心配していますのは、監理委員長の方から第二次緊急提言が出されまして、それらの問題についてどうお触れくださっているかということで十分中身を読まさせていただきましたが、率直に申し上げて、解決策というのは明示されてないんです。ところが、一番心配しているのは、そのことが明示されないまま何となく民営分割論だけが先走りしているんじゃないか、世論形成がされているんじゃないか、そういうことについて私は大変心配をしています。ですから、そのことだけ指摘を申し上げて、きょうは時間がありませんから、具体的な中身についてひとつお聞きをしたいと思います。  まず、この文章を見、また委員長の答弁を見ますと、あちらこちらに私鉄並みという言葉が出てくるわけです。私ももう私鉄に奉職しまして三十数年、昭和二十一年に入りましたんですから、そういう中で私鉄の経常状態というのは大手、中小、バス、すべてを見てきたつもりです。特に私は私鉄総連の本部の書記長を十一年もやっておりますから、そういう中で私は私鉄並み私鉄並みという言葉が大変気にかかるんですが、監理委員長がお考えになっている私鉄並みというのはどういうことなんだろうか。監理委員長は大阪でございますから大阪周辺の大手私鉄国鉄の比較をされているんじゃないだろうかと思いますが、私は国鉄私鉄では非常に違いますのは、私鉄は大手といっても常業キロ数がある程度限定をされています。しかも大体、大手私鉄というのは大都市周辺にこれはあるわけですね。それから田舎の方の中小私鉄もありますが、これももう営業キロ数というのは非常に短いわけですね。そして私鉄の中には、鉄道軌道専業もしくは鉄道軌道、バス等々いろいろな形態の違いがあります。そして中小私鉄バスは今非常に経営困難で大変苦労をしておりますが、そういう状況の中で私鉄並み私鉄並みということがやたらに出てくるわけです。  監理委員長がお考えになっておりますところの私鉄並みということは、どういうお考えで、どうされようとしているのか、そこをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  21. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私鉄並みとか民鉄並みとか、安恒先生は民鉄の状況を重々御承知でございますが、御指摘のように私も関西人で、素朴な感じで申し上げますと、私が阪神間に住んでおりましたときに、よく阪急電車に乗った場合と国鉄に乗った場合、神戸から大阪まで行くという場合に、運賃国鉄の方が倍ぐらい高い、そして快適度というのは非常に阪急の方が快適だと。それは長距離とか貨物とかいろいろな条件がありましょう。しかし、例えばあるところを限定しまして、大阪-神戸間というもので、国鉄がせめて運賃も一緒そして快適性も非常にいい、こういうふうになればいいなというのが非常に素朴な願望でございまして、これにどうするかということです。しかも、常識的に言いまして、やはり国鉄は率直に申し上げて人が多いというのはもう現在国民の常識になっておるのではないか。そういう面から現在、一人当たりの運転キロ数であるとか、あるいは駅員の乗客数との比率とかいろいろなものを、現在いろいろなデータを求めまして、まだ結論を出しておりませんが、いずれにしてもやはり私鉄よりは生産性が低い。  もう一つ具体的に例を出しますと、先週私は三陸鉄道へ参りまして、宮古-久慈間を三陸鉄道にも乗り、駅のいろいろ状況も伺ったのでございますけれども、宮古の駅で三陸鉄道の駅員は六人でございました。ところが今度は山田線の国鉄の宮古駅には六十七人の駅員がおる。もちろん貨物は三陸鉄道はやっておりません。それからCTCというような新しい施設は三陸にはあるけれども国鉄はない。というけれども、そういう条件を入れてもいかにも多過ぎるのじゃないか。十倍の人間がおって、そして伺うと乗客数は現在は三陸鉄道の方が多い。こういう状況というのは常識的に考えても多いのじゃないか。こういう点は、やはり第三セクターになるとそれぐらい合理化が進行する、そういう面の余地が十分あるのじゃないか。しかしそれをすぐ首を切れというわけじゃなくて、それの活用は、先ほど瀬谷先生がおっしゃったようにいろいろな活用の方法は知恵を絞れば出てくるのではないか、こういうふうに考えておりまして、人間の活用という点についても民鉄の知恵もかりられたらどうかというのが私どもの民鉄並みという考え方でございます。
  22. 安恒良一

    ○安恒良一君 亀井委員長、ぜひそこのところ、少しやはり誤りをお持ちだと思います。  というのは、亀井さんはたまたま大阪と神戸の阪急と国鉄だけをお比べになるところに無理があるわけですね。私鉄の場合、今申し上げましたように、例えば阪急だったら大阪から京都というふうにかなり人口密度の高いところを中心に営業しているということをひとつお考えくださらないと、国鉄の場合は全国全部ですね。それから私鉄の場合は御承知のように二十四時間営業というのをやっていないわけです。ところが国鉄の場合はこれは全国ネットワークですから二十四時間営業をやっていますね。ですからそういうところについてやはりもう少し綿密にお考えくださらないと、単純に大阪と神戸の間で国鉄よりも私鉄の方が快適で非常に安い、まあお褒めをいただいてありがたいんですが、そういう物の見方で国鉄再建をするととんでもないことになりはしないかと、私も鉄道マンの一人として思うんです。  それからいま一つ非常に違いますのは、恥ずかしい話ですが私鉄の場合は、さすが葬式屋はやっておりませんが、しかしありとあらゆることをやっています。ひどいところになるとパチンコ屋まで経営しているんです、余りいいことじゃありませんけどね。それから、かつて私がある中小私鉄に行ったら、組合幹部が離れておってその幹部が職場へ帰ったらたい焼屋まで会社が経営しておる。こんなことをやりながら採算性をとっているわけですが、今の国鉄の場合は国有鉄道法によって足も手も縛られているわけですよね。  ですからやはりそこのところを私は、――ただ単純に私鉄国鉄鉄道人員だけを比較されて、これはなるほど一般的に国鉄私鉄生産性が違うと言われています。またある人が、安恒君、私鉄並み国鉄人員を考えたら、これはちょっと外に出せぬけど二十万人ぐらいでいいんじゃないかなんて言う人もあるんです。ありますが、しかし私はやっぱり正確に、今申し上げたように私鉄経営というのは、いいことか悪いことかは別にいたしまして、葬儀屋を除いてありとあらゆることを全体でやりながら私鉄経営というのをやっている。例えば私の所属している西鉄というのは鉄道よりもバスの部面が多いんですが、既にバス鉄道で働いている従業員が約一万五千人、傍系で働いている人員が一万五千人、半分半分。で傍系を七十五社もやっています。それでもうあらゆることをやってそしてやっているという実情ですから、どうか私は、私鉄並み私鉄並みと言われるときの監理委員会のお考えというものについて、そこのところは正確に精査をしていただきたい。  それからまたいま一つは、今度は中小私鉄状態もひとつ。中小私鉄はなかなか大手に比べてそういうこともできません。ある程度傍系をやっていますが、そんなに傍系というのはできないわけですね。大変な苦しみを中小私鉄、特にバスはしていますから、またそういう実態を十分調査された中で国鉄経営をどうするかということについてぜひともひとつ監理委員長はお考えを願いたいと思いますが、今申し上げたことについて御感想があればお聞かせいただきたいと思います。
  23. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 最初素朴な感じだけで申し上げて甚だ恐縮でございますけれども、何もそれで律するという考えではございませんで、ただいまの安恒先生の御指摘のいろいろな点は十分精査をいたしましてやりたいと思います。  しかしそれでもやはり余る人はある、それをどう活用するかというのがこれからのやはり国鉄再建の非常に大きな問題ではないか、こういうふうに思っております。
  24. 安恒良一

    ○安恒良一君 それからその次にちょっとお聞きしたいんですが、これも私大変気にかかっているんですが、採算性がとれないとか独立採算制にする、それがためにはいわゆる民営分割化しかないだろう、こういうことの方向にいっているわけですね。  私も国鉄経営形態について、今の公社がいいのかどうかという議論があるとか、もしくは公社のままでも今のような本社集中のやり方がいいのかどうか、これはいろいろ議論があるところだと思うんです。すべてが本社に伺いを立てなけりゃ決まらぬ、それがために上意下達に非常に年数がかかるなどといういろんなことが言われていますから、まあこんなものは、経営権を本社が握るものと、例えば九州なら九州で管理局なら管理局、今たくさんありますが、例えば一つにするならしてそこに経営権限を渡すことはまた別で、私はそれで十分目的は達すると思うんですね。ところがどうも、そういうことよりも、今さっき言ったように民営分割化がひとり歩きをしつつあるんですが、これは国鉄総裁も運輸大臣も、またあなたも認められていますように、例えば北海道の場合に、この前も同僚委員から指摘されたように営業係数が三五〇なんですね。四国九州で二五〇。そういうときに、民営分割化をしたからといって、あなたが言っておられるような独立採算制がとれるんだろうかということなんですね。独立採算制がとれるんだろうか。  私鉄の場合には、今言ったような苦労をしながら独立採算制をとっている。しかしバス部門については国家から約百億、それから地方自治体から百億、補助が約二百億出ている。それから独立採算制のとれない鉄道についても補助をもらってやっている、こういうことですね。しかもそれは、今言ったように営業キロ数がある程度限定されていますから、ところが九州をずたずたに切るというんならまた別ですが、九州全体を一本でやるとか、北海道全体を一本民営分割してやってみたところで、私はこの独立採算制ということだけでお考えくださって、しかも今言ったように二十二兆に及ぶところの長期債務をどうするかという問題、それから年金や退職金問題をどうするかという問題、さらに加えて監理委員長指摘の、余剰人員が相当出るぞ、それをどうするかという問題を解決しないまま私はうまくいくはずはない。  たまたま委員長は三陸鉄道のことを挙げられて営業係数はいいとおっしゃいますけれども、あれはそれなりの秘密があるわけです。それはなぜかというと、あそこで働いているのは大体国鉄のOB諸君で、ある程度年金ももらっている、賃金も安くやっている。それから、御承知のように独立して五年なら五年間温かい補助があるわけですよね、率直に言って。だから、今のところ黒字になっていますけれども、そういうものがなかったら、まともな賃金を払って補助がなかったら三陸鉄道が果たして今言っておるような黒字になるかというと、ならないんですよ。ですから私はどうしてもここで委員長にお聞きしたいことは、鉄道の場合にはどうしても労働集約産業でありますから、やっぱりこの営業の中に占める人件費の割合というのは非常に高いんです。各国お調べくださっても高い。そういう中において独立採算制と公共性という問題をやはりお考えいただかなきゃならぬと思うんですね。  これも前回小柳同僚委員から御指摘があっておりますが、いわゆる公共鉄道に対する助成、運輸収入に対する各国の比率が、イギリスが三三、フランスが五四、西ドイツが五一、イタリアが一五四、日本が現在一二%だと御指摘されていますが、そういうことを考えないで私は独立採算制独立採算制というのが前に出てきて、そしてその独立採算制のやり方は、民営分割をして、そして私鉄がやっているような多角経営をやれば何かみんな独立採算制でうまくいくなんというのは、とんでもないことなんです。私鉄がやれるというのは、地域がある程度独占的に限定されているからですね。しかし、北海道とか四国とか九州とか、こういう切り方をして、幾ら今言ったことを言っても、私は公共性ということを考えない限り、ただ単純にその独立採算制国鉄が再生するとは思えません。国鉄が再生するとは思えません。  ここのところのいわゆる公共性ということと独立採算制ということと民営分割化、どうもその方向を下敷きにしてということで――監理委員長もまだ一年これから検討するんだ、北海道全部一本とか四国一本とは言っていないとおっしゃっていますが、大体どうも今までの議論を見ますと、切り方としてそうまた四国を四つも五つも切るなどということにはならないと思いますから、そういう以上のところについてひとつお考えをお聞かせ願えればとこう思います。
  25. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 公共性と独立採算制分割、これをどう組み合わせるのか。これが非常に難問でございまして、まあ超高等数学といいますか、非常にこれについて頭を悩ませておりまして、いかにやっても本当に、率直に申し上げまして、北海道が現在三千億以上の赤が出ておる。九州は二千億以上の赤が出ておる。四国は四百億以上の赤が出ておる。これが一挙にそう独立採算で黒字が出るという状態にはなり得ないと思います。しかし、今の赤字でいいかというと、やはり国鉄についても、能率的な運営をやることによって公共の福祉を増進することを目的として法律ができている。しからば、能率的な運営が今よりできないのかといったら、私どもは先ほどの、言葉に語弊はございますけれども、民鉄並みといいますか、そういうやる気をみんなが起こせばこの赤字は減る。そういうシステムをどうしたらいいのか。赤が出た、これは結局国鉄の赤字というのは間接には私は、国有鉄道でありますから国民の負担であります。でありますから、そういう意味におきまして、やはり赤字が出るところはできるだけ少なく出る方法はどうしたらいいかということを、その能率的な運営という面から、これは国鉄法にもございますから、そういう点から私どもはどう検討するか。それについては、ある場合ある期間国家助成というものも要ると思います。これは地方鉄道で地方の足を確保するために地方のバスとか地方鉄道にも助成金が出ておるわけでございますから、そういうルールで助成するのかどうか、あるいはそれができなければ内部補助的なことを考えるか、いろんな場合、ケースを考えて現在検討中である。  御指摘のように非常にこれは難問でございます。それだけを申し上げます。
  26. 安恒良一

    ○安恒良一君 時間がありませんから、短時間で言うと誤解を与えるかもわかりませんが、私はこういうふうに考えているわけです。  まず五十九年度までに二十二兆円ぐらいの赤字がありまして、しかもこれは毎年これから二兆円ずつ出ていく、こう言われているんですね。このままでは国民が納得しないということですが、私はまず今一番国鉄に求められていることは、今までの赤字の問題、その赤字から来るその利子払い、それで赤字、ここのところを一遍これ切らなきゃいかぬ。切って、単年度で運輸収入といわゆる支出、できればこれがとんとんになるようにと。しかし、なかなかそうはいきません、やっぱり全国をあれだけのところを二十四時間でやっていますから。その部面について、公共性から埋められるもの、やはり公共的な国家からの補助金がある。それで大体単年度がとんとんになるということが一番今必要なことじゃないでしょうか。  そういう中で二十二兆円はもう、私から言わせるとそれを背負ってやれないんです、率直なことを言って。例えば民営分割してでも背負ってやれませんし、またそんなものを背負って引き受ける手もありません、そんな人。そんな者はありません、だれも。そうすると私はやっぱり、国鉄というものをそこの民営分割のところに置くよりも、単年度で国の助成金を入れて収支バランスをとらせる。そういう能率的な運営がどうしたら国鉄にとれるのか。  例えば積極的に国有鉄道法を改正して、それこそいろんな附帯事業もさせる。それから今のように中央集権的なやり方を、権限を地方にどんどん分譲する。そして例えば九州なら九州は一元的に管理するとか、こういう経営の分譲の中で考える。今私はやっぱり監理委員会でぜひ御検討を願いたいと思っているのはそのことであって、何か私鉄並みとか、もしくは民営分割化すれば、最終的にはうまくいくんじゃないかということについては、私はもう極めて困難だと思う。ですから、そうは言いながらも、監理委員長がおっしゃったように、これからまた毎年毎年二兆円ずつ赤字がふえたらたまったもんじゃありませんから、これは何とかしなきゃならぬとはこれはみんな考えている。それから能率についても、やはり今さっき瀬谷先生から言われたように、労使が十分話し合ってお互いに能率を上げていくということについて否定をしているというのは一人も私はいないと思うんですね。今までいろんな意見がありましたけれども、今日の置かれている厳しい状況の中で、労使が協力し合って国鉄を再建しようという気には私は燃えられていると思います。  ですからぜひ、もう私は五十二分までということですから時間がございませんから、監理委員長、今申し上げましたような角度からひとつ御検討をお願いしたい。そしてまた改めて時間をいただきましてそこでいろんな少し中身に入っていきたいと思いますが、きょうのところは五十二分までということでございますから、以上のことを申し上げて、ひとつ監理委員長のお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) いろいろお教えいただきまして本当にありがとうございました。安恒先生のおっしゃることを十分配慮いたしまして、これからも検討をしていきたいと思います。しかし何と申し上げましても、国鉄については、本当に御指摘のとおり労使が信頼関係で結び合って、自分たちの職場をどうするかということがやはり私は再建の出発点ではないかと、そういうふうに存じております。
  28. 桑名義治

    ○桑名義治君 監理委員長、きょうは大変御苦労さんでございます。  監理委員長への質問ばかり集中しておりますが、ちょっと目先を変えて先に質問させていただきたいんですが、それは実は先日西明石駅で国鉄の事故が起こりました。その件について、その当日あるいはそのあくる日、それから本日に至るまでも各新聞はこの問題を取り上げているようでございますが、その取り上げた中身を見てみますと、これは飲酒運転であったと。それと同時に、新聞記事を総括して申し上げますと、これは常習的ないわゆる飲酒運転が行われていたというような事柄が記事に載っているわけでございます。  で、実際にこのいわゆる管理状況というものが今までどういうふうになっていたのか、それから今後どういうふうな対策を立てようと考えておられるのか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  29. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) ただいま、山陽本線における事故につきましては、国鉄の飲酒によるスピードオーバーということで、多数のお客様にけがを与え、また十九、二十日とお客様に多大な御迷惑をかけまして、まことに申しわけなく思っております。  この事故につきましては、五十七年の三月にやはり飲酒による事故がございまして以来私どもとしましては、飲酒事故のみならず、職場の規律を含めまして総点検をやってまいりました。今回、ただいま先生が御指摘ございましたように、飲酒の常習者ということでは新聞に出ておりましたけれども、それはまだつかんでおりませんけれども、いずれにいたしましても飲酒しておったという事実はございまして、私どもとしても非常に反省をいたしているところでございます。したがいまして、今回の事故にかんがみまして、再度飲酒による事故の絶滅を期しまして本社、総局、管理局、管理者一体となって国民の皆様を裏切った信頼を回復したい、かように考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、動力車乗務員は管理下を離れまして一人で多数のお客様の生命を預かる職責を持っているわけでございまして、そういった意味で倫理、自覚といったものが今後ますます重要になってまいるわけであります。したがいまして、今回何をおいてもまず各動力車乗務員一人一人に管理者が接しまして、率の重大性あるいはモラールの向上といった面、まずそういった面をやってまいりたい、かように考える次第でございます。  また、今回の事故にかんがみまして、出先点呼ということで電話点呼で行われたということも事実でございまして、これらにつきましても、出先点呼につきましてもいろいろ一昨年ございまして見直しておったやさきではございましたが、今回の事故にかんがみまして、出先の電話点呼は一切廃止しまして対面点呼に切りかえるということを、昨日の緊急運転担当の部長を集めましてやってまいりました。そういう意味で、ぜひ今後もそういった面で職員管理、プロ意識の充実という面で、今後二度とこのような事故の起こらないように、私どももきめ細かく本社、管理局、現場一体となって取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。  また、この事故にかんがみまして、要注意の仕業を持っておる箇所につきまして全国十局三十カ所につきましても、夜間仕業の実態その他ということでぜひ査察を行うということで、きょうから十一月三日までの間やってまいりたい。と同時に、地方の管理局においても幹部みずから現地の皆さん方に、現地に参りまして職員と接し、またある意味では厳しい話等もございまして、再びこのような不始末を起こさないように国鉄挙げて頑張ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  30. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、七月に長野工場で幹部の不正昇給事件が起きておりますね。それから先週には、これは東京南管理局の元係長の五千七百万円の横領事件が起きています。  で、この国鉄問題が世論の俎上に上がりましてから規律、規律という事柄が随分喧伝をされてきたわけでございますし、この点についても国鉄当局も前向きの姿勢で今取り組んできたことは事実であります。一応の評価はいたしますけれども、そういういわゆる規律の乱れとそれから管理部門の腐敗というものはこれは別問題じゃないかと思うんです。そこら辺が非常に問題を引き起こす大きな一点になっているのではなかろうか、こういうふうにも思われるわけでございますが、この事故の問題は、ただ単に常務理事がここの委員会の場でいろいろるる説明するという筋合いのものでもなく、これはもう総裁自身がどういう体制で臨むか、あるいはこうやった問題に対してどう責任を感じているか、その事柄を率先して答弁するのが私は国鉄の本当の姿勢ではなかろうか。その今の答弁の姿を一つ取り上げてみましても、私はまだまだ本物じゃないなということをしみじみと感じたわけでございますが、どうでしょうか。
  31. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 山陽本線の西明石駅の事故、殊に飲酒運転が絡んでいるということでございまして、まことに申しわけないというふうに思っておりまして、今後、今坂田常務が申しましたように、事実関係を申したわけでございますが、対策といたしましては、いろいろ対策をとるということ、これはもう言うまでもないことでございます。  しかし、今桑名先生からお話がございましたように、これ以外でも管理部門におきましてのいろいろな事件が起こっておる、あるいは第一線でも今度のような事件が起こっておるということ、これらにつきましていろいろ私もそれなりに考えておるのでございますが、今桑名先生から御指摘がございましたように、全般的に職場管理の問題というようなことはかなりよくなってはきていると思いますけれども、本当に職員一人一人が心を込めたという格好にもまだなってはいないということは認識をいたしておりますし、点検のやり方そのものにつきましても今のままでいいということではございませんで、第六次には今先生が御指摘がございました管理部門に対するチェックということも含めて今やりまして集計をするということでございます。  いずれにいたしましても、私自身といたしましても、いろいろな不祥事件が次から次に起きてきているという事態に対してまことに申しわけないし、体を張ってもこれの防止に努力をするということで参りたいと思っておりまして、そういう決意を表明いたしまして御答弁といたす次第でございます。
  32. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、国鉄がこういうような状況になったということはいろいろな要因があると思いますが、その一つとしてよく規律の乱れとかあるいは管理部門の腐敗ということが指摘をされているわけでございますが、それに加えて、今後国鉄がどういう形で運営をされていくか、どういう形になるのかという、そういう職員全体の不安感というものもやはり緊張度を失っていく大きな要因になっているのではなかろうか、こういうふうにも思わけであります。こういう状況になっておればこそ逆に、打って一丸となって団結が固まるということも、これも見方によってはそれぞれの職員の心の置き方によったはいい面に開いていく、こういうふうにも思うわけです。だから、そこら辺を、管理者の立場とするならばやはりもう一歩踏み込んだ強力な体制をつくり上げていく、また管理者おのれ自身がそこに主点を置きながら運営していくということが最も重要なことではなかろうかと思います。  過日新聞を見ておりましたら、国鉄の広報ですか、新聞等を発行されているようでございますが、そのときに国鉄の職員の娘さんが「朝起きて見る新聞に国鉄の記事のなければ安らぐ日々よ」、こういう歌を歌って投稿されていたと、こういう記事が載っておりました。また、私の友人の娘さんも言っておりました。最近お父さんが国鉄に勤めているということを言うのが恥ずかしい、こういうことを私に述べておりました。  私は、今再建途上にあり、今までの重大ないわゆる輸送の任に当たってこられた国鉄の皆様方に、あるいは子弟にまでもそのような悲しい思いをさせる、そういうことは今ここでもう打ち切って、そして将来の明るい展望のもとに全力投球で一丸となって働いているその姿をやはり打ち出していく必要が今ここで痛切に私に感じられて仕方がないわけなんです。そういうことが起こらないように一段と引き締めて運営に当たっていただきたいと思います。この問題についてひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  33. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 今回の一連の事件につきましては、もうまことに遺憾千万なことでございます。私は、率直に言いまして、国有鉄道のいわば危機的な状況に対する職員の認識の度合いがやはり足りないということが一つあると思います。それと、ただいま御指摘がございました、国有鉄道がどういう方向に向かっていくかということに対する安心感といいましょうか、仕事のやりがいといいましょうか、そういうものがないというのも、私はかなり大きな影響を全体として持っておるのではなかろうかというふうに考えておりまして、単に国有鉄道総裁だけの責任とは考えておりません。政府も大いにこれは責任を感じなければならぬところである、かように思っておる次第でございます。
  34. 桑名義治

    ○桑名義治君 では、この問題は、時間がございませんのでこの程度にしまして、監理委員長にお尋ねをしたいわけですが、今回の第二次提言では、分割民営化の方向性というものがこれは表に非常に色濃く出てきたわけでございます。  そこで、民営化についてどういう形態なのか、先ほどから議論があったように。具体的に申し上げますと、日本航空等の特殊会社形態を想定されているのか、あるいはまた、分割の内容としては、島別分割のような地域分割、あるいは先ほどからお話がるるあっておりますように、新幹線、貨物、自動車等の機能別分割か、あるいは地方交通線の分離のような路線別分割、いずれの方向をベターというふうに考えておられるのか、あるいはさらに、地域別、機能別、路線別分割を組み合わした案を何かお持ちなのか、現在の時点で考えられるのは大体どういう方向なのかということを一応お考えがございましたらお示しを願いたいと思います。
  35. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 今回の二次答申で、分割民営化を念頭に置いて効率的な経営を考える、こういう私ども一つの路線といいますか、考え方は明確にいたしたのでございますが、それの具体化につきまして、現在作業中でございまして、この民営化という場合に、現在の国鉄は国有、国営でございます。しかし、この国有、国営という仕組みではどうも無理があるのではないか。これから脱却するという意味におきましては、国有であっても第三セクターが経営するとか民間が経営する場合もございますし、また第三セクター所有というふうな三陸鉄道のような例もございますし、純然たる私鉄のような株式会社という組織もあるし、それがどれが一番適合するか。臨調答申では、当初は政府一〇〇%所有の特殊会社にして順次純民間経営に移行する、こういう一つ考え方臨調答申では出ております。しかし、そういうものが個々にどういう形態が一番合うかということを、まだ作業中でございまして、どれがいいということにはまだ結論がいっておりません。  それから、分割という形につきまして、四つに分割するのか、幾つに分割するのか、あるいは機能的に分割するのかというようなことについて、いろんなケースを現在、長所短所ですね、そういうものをいろいろ比較考量しながら進めておるというところで、どこに重点を置いてというところにいまだ到達をしていない、目下勉強中という状態でございます。御了解をいただきたいと思います。
  36. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、この民営化をする場合に、いかなる形であろうとも、公共性という問題をどう取り扱うかということはこれは非常に重要な問題だと思います、先ほどの論議の中にも多少出ておりましたけれども国鉄の公共性について、私鉄あるいは航空会社、電気、ガス等の公益事業に求められている公共性を、国鉄にはそれ以上の特有な公共性として認められないと。これは非常に割り切った御意見を持たれているようでございます。このように単純に割り切っていいものかどうか多少の疑問を私たちは持つわけでございますが、改めてこの際、国鉄に課せられてきた公共的役割についての委員長の御所見を伺っておきたいと思います。
  37. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 非常にはっきり、ガスとか電気とかそういう公益事業とそう変わらぬではないかという結論を出しました。  これは、日本がかつて鉄道省で、国有鉄道の前の鉄道省で全国一本の国有になった場合には、軍事目的とかあるいは産業の交流とかそういういろいろな利用がございましたのと、同時にその当時においては、鉄道というものが輸送機関では唯一の機関であった。それがいろいろモータリゼーションの発達とか航空機の発達とか、輸送体系というものが新しい技術進歩によりまして随分変わってきたわけでございますね。また、都市交通においても、このごろはニュートラムシステムというんですか、新都市交通システムとかいろいろそういうものが出てきておりますので、国鉄だけが唯一の公共性の高いものであると言い切れない事態に、技術の進歩と社会の進歩あるいは国内のいろいろな社会情勢の変化というものによってそう変わってきたのではないか、こういう認識をあそこに出した次第でございます。
  38. 桑名義治

    ○桑名義治君 国鉄の公共性を私鉄やあるいは電気、ガスの公益事業の公共性と同じように考えた場合には、これは当然、経営の合理化をしても企業の採算の見込みの立たない分野からは撤退してもよいというような、短絡的にいきますとそういう結論にならざるを得ないわけです。企業採算の見込みの立つ分野だけで経営をすればよいという理論につながれば、これは北海道やあるいは九州四国、こういった経営の見通しのつかないところの鉄道を廃止せよというまた結論に、短絡的に考えますとなるわけでございます。  そこまで国の交通政策として割り切っていいものかどうか。ここら辺がどうも私たちは納得がいかない面があるわけでございますが、そこら辺はどういうふうにお考えでございますか。
  39. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 今の桑名先生の御指摘は私どもも非常に悩みにしておるところでございますけれども鉄道というのは大量、安全、高速輸送という形態でございまして、少数でしかも地域的に分かれた場合にはまた別の、バスとかいろいろ新しい方法もあるのではないだろうか。そういうことを考えて、国民の利便とか地域の足というものをどういう方向で新しくつくり上げていくかということに重点を置いて、そして鉄道鉄道の特性が発揮できる方に重点化していったらどうか、こういうふうな考え方を私どもは持っておる次第でございます。
  40. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、この問題は、今委員長の御答弁になられたような事柄だけでは解決しない問題だと思います。まだこれずっと詰めていかなければならない問題だと思います。  時間がございませんので、きょうは問題提起だけでどんどん進めていきたいと思いますが、五十七年の七月に出されました臨調の基本答申で、完成が近づいている青函トンネルそれから本州四国連絡鉄道の大型プロジェクトについては国鉄経営を圧迫しないように国に必要な措置を求めているわけでございます。そこで、国鉄再建監理委員会青函トンネル、本四架橋完成後の経営についての検討を行っておられるのかどうか、さらに来年の夏に予定されている答申の中で具体的な経営のあり方に触れられるのかどうか、この点はどうでしょうか。
  41. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 青函トンネルと本四架橋というのは日本民族の希望の星といいますか、そういうものでできたのだと思うのでございますけれども、実際上この資本費の負担というのが、もう先生方々御承知のとおり、青函トンネル国鉄が使う場合には年間八百億円以上の資本費の負担をしなきゃいかぬ。本四架橋の場合は大体五百億か六百億と、こういう数字でございます。地域の方々は非常に熱望があるのでございますけれども、果たしてこれが国鉄経営できるか。  非常に単純な計算を本四架橋の場合でいたしますと、本四架橋で、現在あの宇高連絡船で年間利用者が五百万人ということでございますね。現在の宇高連絡船は運賃が四百五十円でございます。ところが、今度は五百億の資本費を乗客に負担させるとすると、一人一万円の運賃をちょうだいしないと見合わない。これが実態でございます。青函トンネルについても同様であろうと思います。今青函の連絡船は千八百円の運賃で二百万人が動いておりますが、それが果たしてそういう運賃が取れるか。  そうすると、それをだれが負担するかといいますと、現在の国鉄の赤字の状態ではそれを負担しろということは極めて過酷であって、できない。しかし、みんなの希望があれば、国民全体がどういう負担でこれを活用するかということを考えるというのが一つの道ではないか。そういう意味で、私ども知恵を絞りまして、国民の、あるいは地域の方々の要望等、しかも、せっかく一兆円以上で両方通じてできたものが活用できる方法等、どう名案ができるか、もし名案ができれば具体案提言いたしたいと思います。そこまで至らなければ、考え方を示すというのにとどめざるを得ないかと。非常にこれも難問だというふうに存じておる次第でございます。
  42. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題については答申の中に触れられるわけですか、どうでしょうか、その点をお聞きしたわけですが。
  43. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 当然私どものあれに、ああいう大型プロジェクトについての処理についてもタスクの中に入っておりますので、当然触れざるを得ない、そういうことで目下検討中でございます。
  44. 桑名義治

    ○桑名義治君 次は、東北・上越新幹線の上野乗り入れが三月十四日と正式に決定されているわけでございますが、さらに上野-東京の新幹線工事、これは既に国鉄が約六百億円近い工費をもう費やしているわけでございます。いろいろ国鉄に聞いてみますと、土地の買収も九九%終わっている、こういうお話でございます。監理委員会方向としては、これは余りメリットがないので工事を中断せよ、こういうふうに求めていらっしゃるようでございますが、国鉄は、これはどうしてもやった方がメリットがあるのではないかというお考えのようでございます。確かに、短い区間でございますので、その短い区間のいわゆる収入というものはそう利益は変わらないと思いますけれども、しかし、東京駅とつながつたことによって関東周辺、これの全体を糾合して、大きな目で見た場合にはプラスになる、こういう国鉄としては考え方のようでございます。  それで、中止を求められておりますけれども、そうなった場合に、六百億円というこの金の行方、このロス、これを脅えますと、これはどうも一概に一〇〇%賛成するというわけにはいかないわけでございまして、だからといって、あと六百億ぐらいのお金がかかるわけでございますが、そこのところを、実際にどうしても中断せよというようなかたいお考えなのかどうか、そこらをお聞きしておきたいと思います。
  45. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) これもまた難問の一つでございまして、既に六百億投じておる、それから土地もほとんど確保されておるということでございますが、さらに一千億ぐらいの工事費は要るだろうということでございますし、それから車両とかいろいろ変電設備とかいうとこれは相当の負担になる。そして、これをやっても、東京都内発とか、仙台から東京都内行きでありますから運賃は一文もふえない、そうすると経営的な見地からいうとプラスでない。しかも、そう急ぐ仕事であるかどうかということになりますと、ヨーロッパとかはもう先生方々御承知のように、近代都市であれば、メトロポリスであればむしろ幾つかの出発駅があって、そしてそれを環状でつなぐというのが一番近代的な方法ではないだろうか。  でありますから、ゆとりが国鉄経営なり国家財政にあって、そういうことをすることによって技術日本を誇示できるということであればいいと思いますが、私ども、この国鉄経営的に再建させるという段階において、その投資が、もしその金がもっと交通事情とかいろいろシビアなところへ有効投資できるのなら、そっちにする方がまだよいではないか。こういう見解で、当面、やはり国鉄の本当の新しい路線ができるまではこれはひとつ凍結してもらいたいというのが、私ども考え方でございます。
  46. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、通学定期の割引、それから身障者の割引ですね。この公共割引について、昨年の八月の第一次提言の中で、「私鉄を超える負担部分について、政府において所要の措置を講ずべきである。」と、こういうふうに述べられているわけでございます。  それで、現在なお政府の内部では調整がつかずに終わっているということでございますけれども、この超える部分について監理委員会としても事前に政府に強力な申し入れをする、こういう姿勢があった方がこれはベターではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点どうでしょうか。
  47. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) そういう御趣旨につきましては各省でお取り上げいただいておるようでございますが、さらにやはり、国鉄にできるだけ負担を軽くするということでよくしていくということをやりたいと思いますので、そういう面で私ども意見なりあるいは陳情申し上げた方がよければそういう努力もしたいと、こういうふうに考えております。
  48. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、国鉄当局から監理委員会に、国鉄用地の現況及び調査についてという報告が、口頭でなされたということでございます。これは前の運輸委員会で私もこの問題をちょっと取り上げたわけでございますが、今回の見直しによりまして、新聞の資料によりますと、簿価の二十三倍に相当する二十兆二千七百億円にも上るというような事柄が報道をされていたわけでございます。  この点についての委員長の御所見と、それから、先ほどもちょっと長期債務の問題が出てまいりましたけれども、少しでも負担を軽くするためには、この遊休土地の処理については方針が大体決まっているようではございます、二種類とかあるいは三種類に分けるような方針が決まっているようではございますけれども、早く借金を軽くするということはこれはもう緊急の問題だろう、こういうふうに思うわけでございますが、この土地の処分の問題と長期債務の問題の関係性をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
  49. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 長期債務とそれから用地の問題でございますが、これも第二次答申考え方を明確に出しまして、やはりこの長期債務の返済には相当部分用地を売却することによって充当すべきであると。ただ、それにつきましては、国鉄が現存使っておる土地、あるいはその事業の延長で活用する土地、それから新しい形態になった場合に活用する土地とか、いろいろと、全く使わない遊休土地、あるいは整理すれば遊んでくる土地、そういうものの仕分けを早くしなさい、こういう要望を出したわけでございます。  それにつきまして先般国鉄から、まだこれは自信のある数字ではなくって、内々の調査で、中間報告ということを受けまして、これは内密にしておいていただきたいということでございますし、さらに国鉄で検討されるということでございますのでこれは一応参考資料という程度でございましたのですが、何か新聞に念に出てしまったということで、内々で国鉄も、とてもこれはまだ自信を持って発表できる数字ではございませんということでございましたのですが、何かの新聞に二十兆と出てしまいまして私も驚いた次第でございます。もう少し国鉄当局の調査に基づきまして私どもも判断をしたい。原則的にはやはり、長期債務のある部分の処理には国鉄の遊休土地というものをその返済に充てるということは絶対必要である、しかし新しい会社がデベロッパーとしての仕事をやるとか、そういう余地はやはり残さなければ新会社は活性化ができない、こういうことで慎重に検討をしていきたい、こういうふうに思っております。
  50. 桑名義治

    ○桑名義治君 中曽根総理は、去る二十八日の午後松井運輸次官とお会いしているようでございますが、そのときには、国鉄再建を進めるためには世論を大事にしなくてはならない、こういうふうに雷われたということが新聞で記事になっております。世論を大切にするということは、今監理委員会がどういう方向で検討しているかということを世論に大きく実態を訴えていくことがこれが非常にベターな方法ではなかろうか、こういうふうに思うんです。それと同時に、こういった委員会等に出られて論議を進めていくということがやはり世論を大切にすることにつながると思います。  先ほど瀬谷先生からお話がございましたように、今後ともこの委員会でいろいろと委員長との論議をなお一層濃密にしていくことが私は大事なことではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの桑名先生の仰せのとおりでございまして、経営形態の改革の問題、長期債務の処理の問題あるいは労務対策の問題、これはいずれも国民の御理解と支援がなければとても解決できない難問題でございますので、できるだけ世論に私どもは耳を傾け、また私どもからも問題を投げかけ、また国会にも再々参りまして先生方の御意見も十分拝聴して勉強させていただきたい、そういうふうに存じております。  どうもありがとうございました。
  52. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、監理委員長とそれから運輸大臣両方にお伺いしたいと思います。  監理委員会は、第二次緊急提言分割民営ということを明らかにされました。そしてまた、運輸省としても同様の考え方を示されました。ところで、国鉄は監査委員会から、できるだけ早く六十年代の新しい再建計画を樹立せよと、こう言われているわけです。さてそこで、国鉄が再建計画をつくらなければなりません。それをつくるに当たりまして、今の経営形態でいくのと、それとも監理委員会や運輸省の言う分割民営で計画をつくるということとは、全く性格が異なってくると言わざるを得ないと思うんです。  そこでお伺いするんですけれども監理委員会は来年を待たずに分割民営の線を明らかにしていらっしゃるわけですから、分割民営を前提として国鉄に再建計画をつくれとおっしゃるのか、それとも国鉄が独自に、はっきりわかりやすく言えば、好きなように計画を立ててもよろしいとこうおっしゃるのか、お二人にお答えをいただきたいと思います。
  53. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 御案内のように、政府の立場は、第二次臨時行政調査会の答申を尊重するという立場と、それから再建監理委員会の御意見を尊重する、こういう立場を、法律的にもさようになっておりますし、閣議でもさようにやっておるわけでございます。したがって、分割民営化という基本方針については第二臨調答申並びに監理委員会方針がございますので、それを受けて具体的にどうするかということについてはいろいろこれから監理委員会が検討されるのと並行して我々も検討していこう、こういうことなんでございます。国有鉄道が勝手にやれということにはなっておりません。しかしながら、国有鉄道が運営しておる鉄道でございますから一番よく知っておるはずなんでございまして、私は国鉄総裁には、十分にこれについての意見を述べるように、私どもの方にも監理委員会にも述べるようにと、かように申しておる次第でございます。
  54. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割民営化を私ども答申方針をはっきり出した次第でございますけれども、現在私どもは、監理委員会の任務は、昭和六十二年度に新しい経営形態確立され、そして長期債務とかいろいろ処理ができるというのが法律に基づいた任務でございまして、それまで時間がございます。したがいまして国鉄の方には、六十年度、六十一年、それを待たずにとにかく効率的なことは努力をしていただきたいという趣旨で、これについてせっかく国鉄の当局では御努力中でございますが、私ども分割民営という一つ考え方を出しましたのでキャッチャーとしての国鉄からもそれを検討していただきたいという要望は出しておりますが、現在国鉄当局において鋭意そういう点について検討中であるという返事をいただいております。
  55. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりました。  国鉄が鋭意検討ということになりましても、問題になっております長期債務ですね、この長期債務や年金についてどうするのかという非常に大きな問題を抱えているわけだから、これの方向が出ないと鋭意検討しようといってもやりにくいだろう。そうすると、長期債務、年金については今のところ具体的にどういうふうにお脅えになっていらっしゃるのか。
  56. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) いわゆるこの長期債務は非常に離間でございまして、ラフな数字を申し上げますと、ことしの暮れで大体二十二兆ぐらいになる、そのほかにこれからまた六十年、六十一年と二年重なるとさらに二兆ずつ今のままだとふえていく。そのほかに年金と退職金の負担、これが約八兆円ぐらいある、それから本四架橋並びに青函トンネル、この費用見積もりが一兆六、七千億になる、こういうことでございますから、六十一年度末になりますと三十数兆という数字になります。  しかしこれを新しい形態がこのまま背負ったら、とても重荷で、先生がおっしゃるようにとてもやれませんから、これをどう負担を軽減するかという問題で、前回の運輸委員会でも申し上げたと存じますが、新形態でその投下資本に見合う引き継ぎというのはこれはあってもいいじゃないだろうかということが一つございます。それから先ほど御指摘の、用地を売却することによってやるというものもある。しかし、残り、この累積赤字というふうなものは、これはなかなか持っていきようがない。こういうものをどうするか、これを国民経済に大きなショックを与えずにどうするか。結局これは国民の御理解がなければ政府といえどもこれは簡単に処理ができない難問題でございまして、現在勉強中でございます。ただ、新しい形態はそういう負担についてはできるだけ軽くするという形で検討したい、そういう検討をしております。
  57. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その新しい形態そのものが、先ほどからきょうの答弁を見ますと、これは難問である、検討中である、勉強中である、難しいと、こうなってくるんですね。だから経営形態が新しいのがどうなるかということもまだわからないわけですわね。それに負担を余りかけられないように軽くしたいということだけはわかった。そういう漠然とした、難問で大変難しいという中で、計画だけ国鉄に早くつくれとおっしゃる方が私は無理だというふうに思うわけなんですよね。非常にきょうの答弁を聞いていますと、何にも具体的でないにもかかわらず分割民営というものが先に出されて、そしてそれに乗ってということは、監理委員会考え方ができたところでみんなに押しつけられるという心配が非常に出ている。何ら具体的に何にもないという無責任なものでしかないということが言えると思うんです。  次にまた、一つ。要員について提言では、余剰人員は現在の二万四千五百人の数倍の人数になると、こういうふうに出されておりますが、となると、およそ十三万前後というふうに考えてよろしいんでしょうか。
  58. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私どもが無責任な見解を言っておるという御指摘は大変私どもは遺憾でございまして、一生懸命勉強をしておるのでございます。  それから要員の問題でございますが、現在どれぐらい余るかということは、現在残念ながら国鉄の乗客あるいは旅客というものがだんだんだんだんと減る現象にある、新しいいろいろ交通手段によって。そういう問題もかみ合わせて、しかも現在より効率を上げればどれぐらい今の鉄道特性を発揮して残るかということから逆算するという作業をやっておりますが、三塚先生は十万程度という数字も御指摘をされておりますけれども、これは非常に大きな問題でございますので慎重には慎重を期して検討していかなきゃならない。しかし、できるだけやはり国鉄の関連ある仕事で、例えば貨車がなくなった、それは貨車におる人の仕事がなくなったわけですから、それはやはり国鉄の関連のある仕事で活用するという面は、やはり私鉄経営の知恵をかりてでもそういうことで活用していくと考えなきゃいかぬということでありまして、現在余剰人員は何人か、とにかく今のままでいけば相当余りますよという感触をあそこで提出をしたということでございます。
  59. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私鉄並み生産性が不可欠ということで、約二十万人の体制でいいというふうなことも言われているわけです。その余剰人員対策として国鉄が一方的に強行しているのは、いわゆる三本柱が確実に実施されることが必要だと、こういうふうにおっしゃっているわけです。同時に、関連する法令の弾力的運用を図れと、こういうふうに指摘されているわけですけれども、この法令の弾力的運用意味と具体的にどの法令をどのように運用せよとされているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  60. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) どの法令のどれをどう弾力的にというまで細かく検討しておるわけではございませんで、感じで申し上げますと、例えばこの五十九年二月で貨物の方の合理化をやられて二万何千人余ったと、そういう方々が草むしりをさせられる、それよりはそういうような人は、いや職務専念義務があるという、しかし草むしりが職務専念かというとこれはとんでもない問題でありまして、やはりその辺のところは緩く解釈をして、セールスをやるとか、あるいは国鉄の余っておる土地を調査するとか、いろいろなことに使えるじゃないか、そういう面についてやはり弾力的に考えていったらどうかという一つの私ども考え方を示しているというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  61. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これも非常に漠然として抽象的で、御希望の感じからのお答えしかいただけなかったというふうに言わざるを得ないと思うんです。  それでは次に、いろいろ島別に分けるという経営形態というようなことがありましたが、例えば北海道は先ほども言われたし、私も北海道でございます。何回も言っていますが、どう見ても経営上やっていけない、引受手がいない、赤字は出さざるを得ないということは、前回私の質問に対してもお答えになって認めていらっしゃる。その中で、五年なり十年計算して黒になり得る、そういう形にするとお述べになりました。そのために国の補助とか、内部補助を検討しているということもお答えになったわけです。その点について国の補助、内部補助というものを具体的にどういうふうに検討していらっしゃるか、それをお伺いしたいと思います。  また、十月十一日の七十六回監理委員会で、分割の仕方について分割のパターンを考えていると、こうおっしゃいました。どのような分割パターンをお考えになっているのか、具体的にそれじゃ北海道の場合検討されているのか。検討されているとすれば、どういうふうに検討されているのか。そういうことから考えまして、北海道の場合、委員長として自信を持って経営をやっていける、これからのやり方一つでというふうに、自信を持ってそう思っていらっしゃるのかどうかということが一つです。  それからもう一つの問題は、鉄道特性のない分野を温存させ、経営形態の、事業経常の活性化を損なうと言い、その特性として新幹線、大都市圏旅客輸送、地方主要都市圏旅客輸送ということをおっしゃっているわけです。そうしますと、地方主要都市とはどのくらいの都市を頭に入れていらっしゃるのか。例えば、人口で計えば五十万程度を考えていらっしゃるのか、もっと少ないところを考えていらっしゃるのか、それを聞かせてください。  それから、鉄道特性のない八千人未満の地方交通線を切り離す。とすると、少なくとも、北海道は三本の幹線だけしか残り得ないのではないか。また、各地方主要都市ということになれば、札幌、旭川、函館というくらいしか残らない、考えられないのではないか。そうすると、分割会社の路線はほとんどなくなってしまうということになるのではないか。その問題について具体的に、今のところのお考えをお述べいただきたいと思います。
  62. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 小笠原先生の御出身地の北海道については、国鉄を考える上でも非常に難問でございます。御承知のように、非常な人口過疎地帯が多くて、札幌にどんどんどんどん人が集結をしておるといいますか、集まってきておるという特殊な事情があるところでございまして、これをどうするか。今先生御指摘のように、旭川、札幌、函館までの幹線を残してあとは切るとか、いろんなケースの検討をやっておりますけれども、やはりここに国鉄のといいますか、鉄道の公共性というものがございますし、それから代替手段というものがいろいろ発達をしてきております。そういうものを総合いたしましてどうするかということで、まだ結論は出ていないということで御了解をいただきたいと思います。  それから、主要都市の問題については、人口ということではなくて、やはり鉄道の輸送という鉄道の持つ輸送特性といいますか、そういう面からの鉄道の有効性ということを考えていきたい。したがいまして、一万人か二万人でもずうっと数珠つなぎに並んでおる地域であればそこは鉄道が活用できる。それからまた、ある十万とか二十万の都市であっても、外へは余り出ずにそこで大体完結型でやっておるところでは鉄道でなくてバスでも十分ではないかとか、いろんなことでありまして、鉄道の特性を発揮できる主要な都市という特性を検討していきたいということで、これも現在検討中。まことに何もかも検討中で、無責任なと言われたらおしまいでございますが、それぐらい難しい問題であるということを御理解いただきたいというふうに思います。
  63. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう一つあります。五年ないし十年で黒字になり得る。それで国の補助と内部補助ということをおっしゃいましたね。
  64. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) それから北海道につきまして、これは北海道開発庁とかあるいは北海道庁とか、北海道をどんどん一千万の人口を養えるだけに改革しますといういろいろプランをお持ちであります。しかし十年つたっても、これ来ていない。そうすると、十年先に果たしてそういうプランが実行できるのであれば、それに合わした輸送体系を考えていかなければならない。人間が減っていくのであれば減っていくのに対処して考えなければいかぬ。そういうこともありまして、人によりましては、とても一つ民間企業経営形態では持てないから、北海道開発鉄道にしたらどうかとか、北海道庁に持たしたらどうかとか、いろんな試案を私どもにもアドバイスされる方もございますけれども、いろんなケースを考えながら、また国会先生方の名案がございましたらぜひひとつお教えをいただきたい、そういうふうに思っております。
  65. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もうこれで終わります。  大変たくさんの問題がございまして、私たちとしてもいろいろと御意見申し上げたいと思うんですけれども、本当に十五分じゃ、幾ら聞きましょうなんておっしゃったって、聞いていただくだけの時間はございませんね。きょうも大変短い時間でございましたけれども、はっきりわかったことがございます。  それは、民営分割ということはおっしゃるけれども、それが一体できるものなのかどうなのか。メリットがどこにあって、どこがデメリットなのか。すべてその他の問題について、勉強中であり検討中であり、非常に難問であって、高等数学でも解けないような問題を抱えているということだけはっきりわかったことは、お礼申し上げたいと思います。
  66. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 委員長、大変御苦労さまでございます。私は、短時間でございますので、四点だけお伺いをしていきたいと思います。  一つは、最終符申が来年七月ということになりますと、あと十一月から数えてもう九カ月しかありませんですね。ところが監理委員会としては、その七月末に至るまでのスケジュールといいますか、長期債務の問題をどうするとか、経営形態をどうするとか、いろいろさまざまな問題、難問がありますけれども、それらのどういう段階でその結論を出していくかというスケジュールというか、監理委員会としての手のうちといいますか、その辺のところが私どもにはまだわかりません。監理委員会としてもその辺のところは手のうちを明かしていない、こういう段階ではないかと思うのですが、先ほど来の委員長の御答弁をお聞きいたしましても、すべての問題、難問中の難問を抱えてなかなか結論を出すのが容易ではないということはわかります。そして現段階でそれらの問題についていずれの問題も結論が出ていないということもよくわかります。これは理解いたしますけれども、一体その結論の出次第、随時問題を区切って一つずつ発表していくのか、あるいは一括、最終答申段階で明らかにするのか、その辺のスケジュールについて少し委員長見解をお聞きしておきたいわけです。  と申しますのは、やっぱり一括して来年の七月の末の段階で一挙に結論を明らかにするというのは、私は衝撃度が大き過ぎると思うんですね。だから、できるならば今年じゅう、年内くらいに、どの問題でも結構ですけれども結論の出たものを明らかにして、そして国民意見というんですか、そういう反応というものを見てみる、そういう段階というものが私は、この問題は極めて重要なものですから必要だと思っておりますので、その辺のところの大まかなスケジュールというものを一度聞いておきたいと思ったのですが、その点が第一点。
  67. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの伊藤先生の御指摘のとおりでございまして、考えがまとまれば、いろいろその都度世論を聞き、また修正すべきものは修正していくということが必要かと思っておりますので、段取りを組みたいと思っておるんです。  残念ながら現在は、総理には来年の七月にはお出ししますと言いました。納期ははっきりしておるわけです。ところがその間の工程手順というのは非常に難しいんで、今考えておりますのは、前にも申し上げましたように、やはり効率的経営形態といいますか、これを私どもは一年議論した結果五人の委員が、やはり分割民営しかないな、今の延長線上での解決は無理だ、こういう結論に達しましたので、今その作業に入っておるわけでございますけれども、長期債務の処理の問題、それから労務対策、これは非常に難しい問題、これもすべて新しい経営形態がどうなるかということをくっつけないと解がそちらに出てこないというふうに存じておりますので、どういう形に分割をするか、それから経営形態としてどういう形に今の国営という格好から脱却した経常にするか、この点に主要点を分けましてできるだけ、ちょっと年内なかなかいろいろ作業の関係で難しゅうございますけれども、年初できるだけ早い時期にそこをまず固めて、それから、そうすると、分けるとすれば長期債務はどういうふうに分担させるかという問題、あるいは人間はそれぞれの新しい会社がどれだけ引き受けるかということによって余剰人員の労務対策を考える、こういう段取りで来年の七月までにはっきりした結論を出したい。  その都度やはり世論に問い謙虚にいろんな方々の御意見を聞いて、本当の国家百年の大計と言ってもいいと思いますが、そういうものをつくりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  68. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この十八日に監理委員会が開かれましたですね。これもスケジュールの一つだと思うんですが、運輸省の当局の考え方、あるいは国鉄の当局の考え方も、監理委員会として聴取したように新聞では報道されておるわけです。  そして運輸省としては、分割民営化の方向でやるべきだ、しかも分割する場合には貨物とかバスとかもそれは別会社でやっていく方がいいのではないかという運輸当局としては見解を出した、ということを新聞で承知しているわけですが、問題は国鉄当局ですね。国鉄当局も、現在の段階では、みずからの再建案につきましてプロジェクトチームをつくって、それを相互にさらに整合性を持たせるために今鋭意案づくりを急いでいるようでありますけれども監理委員会として、国鉄当局の考え方を聴取するというんですか、君たちの考え方はどういう考え方か出してみろということを、監理委員会として言っておられるのかどうか。  これは監査委員会も、監査委員長見解で、これは新聞発表で、国鉄当局の考え方も早く出せ、少なくとも十月いっぱいぐらいに出せというような内々の見解であったようなんですが、監理委員会として国鉄当局の考え方を聞く用意があるのか、あるいは出せと言っておるのかどうか、その辺のことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  69. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先住御指摘のとおりに、十月十八日の日に運輸省当局と国鉄当局幹部両方から、八月に出しました私どもの緊急提言に対する対策ということについてのお考えを聞きまして、運輸省当局は私どもと全く考え方が一致していただいた。  国鉄当局からは、――私ども答申は御承知のように二つの部分に分かれておりまして、一つは、効率的経常形態を考えるのに分割民営しかない、したがってこれを具体的にこれから詰めるというのが総論部分。あと第二は、要員対策、用地問題、当面やりなさいという、地方交通線とか出したわけです。国鉄当局からは、その後半の、当面やれというものについては、こういう努力をしておりますというお答えがあったんでございますが、効率的経営形態についてはどう検討しておるのかと伺いましたら、目下検討中でもう少し考え方がまとまるまでお待ちを願いたいということでございましたので、私どもとしては、できるだけ早く国鉄当局のこれに対する考え方を聞かせていただきたい、結局現在の延長線上での改革ということはもう不可能に近いと我々は考えておるので、新しい経営形態、あるいはどう分割するか、あるいはどういうふうな組織にするかということについての見解を伺いたいということで、これからも催促をしていくというつもりでおります。
  70. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 第三点は、前回も監理委員長にこの委員会にお出ましをいただいて私も質問をしたわけですが、そのときに、監理委員会としても働く者の立場、要するに労働組合ですね、幾つかの組合がありますけれども、労働組合の意見も十分に聞いていきたいということをたしか御答弁されたと思うんですが、監理委員会の発足当初は、これは恐らく儀礼的だと思うんですが、儀礼的に各組合の代表にお会いになった。それはそれで私は結構だと思うんですが、やはりその後それぞれの組合がさまざまな見解を具体的に明らかにしつつありますし、したがってやはりこれからこの重要問題を詰めていくに当たりまして、働く者の立場、そういうものを十分勘案するという意味で、監理委員会としてもやはり私は労働組合の意見を聴取する場をぜひこれからも設けてほしいと思うわけであります。  その辺のスケジュールが今後考えられておりますかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  71. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先生御指示のとおりに、国鉄の改革というのはやはり組合員の理解と支持なくしてはこれは到底できないと思います。そういう意味におきましてこれからも、前回も何回かにわたってヒアリングをいたしましたが、今後私どもの考えがまとまればまず組合の立場からそれにいろいろな見解が出てこようかと思います。そういうものは十分聞く時間をつくって聞いていきたい、こういうふうに思っております。
  72. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後に。これは中身は省きますけれども、信州大学の高梨教授が中心となりまして国鉄研究会、これが先ごろ提雷を発表いたしました。この内容は、限りなく民営に近いという方向での提言であったように新聞で承知をしているわけでありますが、監理委員長としてこの高梨提言というものにつきましてどのように受けとめられておられるのか御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  73. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 高梨先生が、国鉄書記長の委嘱によって国鉄改革についての意見を出されました。私どもつぶさに勉強させていただきましたが、国鉄の現状及びこれを改革する方向というものについての認識は、全く我々と同一である。結局、結論的には今の公社という仕組みではだめなんだ、こういうことをはっきり骨っておられましてこの点は一致しておりますが、ただ最後、分権論ということを出しておるのでありますが、この分権論というのはどういう形態の分権ということか非常にあいまいでございまして、ちょっと歯切れが悪いなという感じを持ちまして、もう少し踏み込んでいただいたらと思っておりますが、これについてもまた国労が反論を出しておられます。その辺も勘案しながらこれも参考にさせていただきたい。そういうふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  74. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ありがとうございました。
  75. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 亀井参考人におかれましては、お忙しい中を本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後二時二分開会
  76. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  この際、仁杉日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、これを許します。仁杉総裁
  77. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 冒頭に当たりまして、去る十月十九日未明、西明石駅におきまして飲酒運転によります速度超過によりまして脱線をいたし、その結果といたしまして、乗客二十六名の方々が負傷をするという重大事故を引き起こしまして、まことに申しわけないと思っておりまして、おわびを申し上げる次第でございます。なお、このために当列車に乗っておりました乗客の方々に大変御迷惑をかけましたし、また大阪地区の国電区間におきまして一日半にわたり通勤その他の輸送に大変な御迷惑をかけましたことについて、おわびを申し上げるわけでございます。  問題点は、飲酒運転ということが直接のようでございますが、これらにつきましては、職員一人一人の意識の改善ということが必要でございますので、これらに注意をいたしますとともに、管理のあり方、私を含めました管理のあり方についても反省をいたしまして、今後きちっとした管理が行われるように努力を重ねてまいる所存でございます。具体的には、仕業の組み方、点呼のやり方等を中心に直してまいりますが、さらに特別査察を主要な現場について行いまして事故防止に努めてまいりたいと思います。  また、全般的な問題といたしまして、最近、管理部門におきます不祥事が二、三起きておりましてまことに申しわけなく思っておりますが、これらにつきましては、職場規律の問題とともに、管理部門におきます点検も実施いたしまして、かかる事態の起こらないように努力を続けてまいりたいと思う次第でございます。  国鉄を取り巻く情勢の極めて厳しい中、このような事故あるいは不祥事が起こりましたことについて深くおわびを申し上げますとともに、今後これの改善に全力を傾けるという決意を表明いたしまして、私のおわびといたす次第でございます。
  78. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 今、国鉄総裁から事故に対する発言がございました。問題がたくさんありますが、今国鉄再建を本当に真剣に国民も熱望し、国鉄労使も必死で取り組んでおるときでありますから、再びこういう悪質な事故が起こりませんように十分の注意をしてもらいたいと思います。  国鉄問題も後で質問いたしますが、けさの各紙で自賠責保険料の引き上げが一斉に報道されましたから、大蔵省の方から先に問題点だけを質問いたします。その後、運輸省の一般問題と国鉄の問題、国鉄の問題が緊急でありますから、重点を国鉄問題に置いて質問いたします。  まず大蔵省に。自賠責特会から一般会計へ昭和五十八年度に二千五百六十億円繰り入れられ、三年据え置き、後、繰り戻しを始める約束がついたはずだが、その据置期間が終了しないうちに保険料率を大幅に引き上げる、きょうの新聞では五〇%ということでありますが、これは信義にもとるのではないか。私も実は昨年の三月二十三日の運輸委員会でこの問題を質問いたしています。大蔵省のきょうの連絡員にはこれを十分読んでいただくように言っておきましたが、そのときも実は十分の答弁がなされていない、あいまいな答弁で終わっておりまして、きのう五〇%アップの諮問がなされたわけであります。  昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に対する本院の大蔵委員会の附帯決議には、こう書いてあります。  今回の繰入金相当額の一般会計から同特別会計への繰戻しについては、国の財政事情、同特別会計の収支状況を踏まえ、できる限り早期に、かつ適切に行うよう努めるとともに、安易な保険料の引上げは行わないよう努めること。  したがって今回、いろいろ事情はわかりますけれども、この関係団体からも反対の陳情が早速出てまいりました。その中に、自賠責特会から二千五百六十億円もの巨額の運用益を一般会計に繰り入れた状況での料率引き上げは納得できません、そういうことでありますが、慎重に審議されると同時に、現在もうほとんど国民の半数が自家用車を持っておるときでありますから、これで大蔵省の財源をつくるということでなくて、これを貸してこの運用益もありますから、運用益の取り崩しなどで所期の目的を達するように大蔵省としては考えてもらいたいと思いますが、この点についての現在の見解をお聞きしたいと思います。
  80. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) ただいま先生から御指摘がございましたように、昨日、自動車損害賠償責任保険審議会に対しまして、大蔵大臣から保険金額及び保険料率を改定すること、その他これに関連する当面の諸問題について意見を求めまして、これから自賠責審議会におきまして御検討いただくことになっているわけでございます。  それで、このような御検討をお願いするに至りました経緯は、まず、最近交通事故が非常にふえてまいりまして、当初見込んでいたよりも事故率が上昇してきている。それから賃金、物価の上昇を反映して保険金額、平均の支払い単価も上昇してきておりまして、そのために支払い保険金額が増大してきている。それで収入保険料に対します割合が、六十年度の見込みですが一三七%ということで、損害率が非常に上昇してきているという事情がございますとともに、それから五十三年以来保険金の支払い限度額が据え置かれてきておるわけでございますが、これを引き上げたらどうかという御意見もございまして、この問題をどう考えていくか。仮に支払い限度額を引き上げる場合には、保険金支払い額の増大をもたらしますものですから、その財源を保険料の引き上げで求めるかどうか、そういった問題がございますものですから、こういった問題につきまして全体としてどのように考えていくか、きのう審議会の方に御諮問いたしまして、これから御検討いただく予定になっているところでございます。  なお、今おっしゃいました累積運用益の問題につきましては、自賠責特会を所管する運輸省とも御相談しながら、できるだけ最大限これを活用して料率引き上げ幅の圧縮ができないかどうか、これも審議会において御検討いただきたいと、かように考えているところでございます。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 これに関連をして、任意保険も一〇%前後の引き上げを損保業界が申請するような模様でありますけれども、私が言うまでもなく国民に非常に関心の深い問題でありますから、十分にひとつ国民生活を勘案しながら結論を出してもらいたい。お願いしておきます。  どうぞ大蔵省、退席して結構です。  それから、航空問題と海員組合、海員の余剰人員対策の問題をきのう質問通告しておきました。  問題はもう、私が言うまでもなく大臣十分おわかりであります。四十五年の閣議了解、四十七年の運輸大臣通達で航空業界が今精いっぱい自社の利益追求のために頑張っておるところでありますが、この体制を見直そうという空気である、またその方向に向いている。航空業界の現状を考えますと、    〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕 あるいは国際的な日本の航空政策もいろいろ関連して考えまして、見直しも今必要ではないかと思いますけれども、各社の権益なり今日持っているいろいろな権限などが関連いたしますから、十分慎重に対処してもらわなきゃならぬと思うが、航空問題に対する基本的な閣議了解事項及び運輸大臣通達の変更についての運輸大臣見解を聞いておきたいと思います。
  82. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) ただいま御質問にもございましたように、現在の航空企業の運営体制につきましては、四十五年十一月の閣議決定並びに四十七年の運輸大臣通達、航空憲法などと称しておりますが、これによって運営されておることは御承知のとおりでございます。これにつきまして各航空会社からもいろいろな改革の要望が出ておることはもとよりでございますけれども、一般に航空に関心を持っておられる評論家とかあるいは学者とか、そういったような各方面でも、見直すべきではないかという御意見がだんだんと出てまいっておるのでございます。何しろ、四十五年から考えますともう十四年もたっておるわけでございますし、航空界の事情も非常に変わっておりまするので、私どもとしましてはこの際、おっしゃるように極めて慎重にやらなければなりませんが、これを見直す時期が参っておる、かように考えておる次第でございます。  ただ、ここで私が改めて申し上げるまでもなく、我が国の空港の事情が、成田空港、羽田空港それから大阪の現在の空港そして新空港を含めまして、非常に窮屈な状態といいますよりも、むしろもう増便がほとんどできないような状況になっております。で、やはりこの空港の整備というものとあわせて考えませんといろいろなことを考えることが難しくなるわけでございまして、これらも順次整備されてまいるわけでございますが、これらのものとのタイミングもあわせ考えながら慎重に対処してまいろう、こういうことで運輸省でせっかく実は研究をただいま始めたところでございます。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 海外の航空業界も日本の航空行政を大変注目しておりますし、言うまでもないことでありますけれども、各社も精いっぱいであります、日本の国内各社も。したがって、公正、厳正に見直すものは見直し、そして各社が精いっぱい実力を発揮できるような体制をつくってもらいたいと希望しておきます。また、内部にいろいろ問題がありますけれども、別途また質問いたします。  次は、海運問題。  海運政策で今、集約体制が進んでおります。特に、船が近代化されて船員が要らない。船はふえても船員は減るという現象であります。したがっていろいろ、途中は省略いたしますけれども、一番今緊急問題は、国鉄の余剰員対策と同じように船員、海運業に携わっている技術者の将来を十分我々も勘案しなきゃならぬ、心配をいたしておるものでありますが、この海運集約体制に伴って、例えば海技免状を持ったような諸君が陸上のそういう技術関係仕事ができるような互換制、海技免状の互換制とか、あるいはその他就職先の世話とか、もちろん海運会社の責任もあります。船員組合の責任、いろいろ考えて動いておりますが、政府としてこの海運集約体制に対してどういうような決断を持っておられるか、聞いておきたい。
  84. 武石章

    説明員(武石章君) 船員の雇用情勢が極めて深刻となっておる今日、先生のおっしゃいますような各種の深刻な問題が出てきておるわけでございますが、船員が陸上の職業に転換する必要性というのも当然に高まっておるところでございます。このような状況下で、船員の持っている能力が陸上の職業に就業する際に活用されるということが有益でありますとともに、当然望まれるところでございます。  そこで、陸上資格のうち海技資格と共通の技能を前提とするもの、いわゆる互換性があると考えられるものについて検討いたしておりましたが、労働安全衛生法による技能資格十一種類というものは客観的にもそのような基盤があるのではないかというふうに考えられましたので、私どもとしまして労働省に対して協議を行っているところでございます。互換性の有無につきましては、陸上資格と関係する海技資格を具体的に突き合わせまして検討する必要があるということで、目下労働省と鋭意その作業を詰めておるところでございます。  それから、雇用船員の対策、あるいは失業船員に対する失業対策といった一般的な雇用対策全般につきましても、従来から鋭意取り組んでまいっておるところでございますが、特に雇用促進センターを活用するなどいたしまして、今後さらに対策を推進してまいりたいというふうに考えております。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 私が言うまでもないことでありますけれども、海運業、例えばリベワアの船籍の船がありますけれども、現地へ行きましてもほとんどもう会社もないようなペーパーカンパニー、それが動いて、そこに安い労賃の船員が乗っている。そして、これは功罪いろいろありますけれども運賃、輸送費、船費などいわゆる金の取引はアメリカの銀行を使って決済をやるような、どうも我々から考えて見て海運業自体の中に非常な矛盾がある。しかも集約体制によって、特に負けないように技術革新をやりまして、合理化を進めてなるべく船員を減らすというような情勢、日本の高級船員なりあるいは技術の高い船員を減らすという情勢にある。これは将来の海運政策についても大きな問題であろうと思います。  この問題も重要でありますけれども、当面は余剰船員の対策など、緊急にひとつ労働省とも十分話し合いの上、対策をとってもらいたいと要望いたしておきます。  次に、国鉄問題であります。  先般の読売新聞に、国鉄当局が六十五年度に経営を正常化させるという経営改善計画なるものが載りました。きのう聞きましたら、いや、これは実は国鉄はまだそんなものはありません、あれは読売新聞が書かれたんですよということでありますけれども国鉄で何にも出されぬのに新聞記者に流れるというのもおかしいですが、けさの国鉄総裁の記者会見の模様では、いやまだそんなものはありません、これからですということでありました。一応世間の人はあの新聞を見ていますから、もう一回この委員会の場で総裁から、何であんな新聞が出たか、今どういうことを検討しておられるのか。午前中の監理委員会委員長お話では、もういろいろ国鉄とも相談し運輸省とも相談しながら、経営形態についてのいろいろの構想を練っておられるようです。あのような記事が出ますと、ああ国鉄はこうかと。またその反面、運輸省はもう民営分割方向監理委員会に答えを出しているようなことも記事で出ています。したがいまして、まず国鉄から聞いておきたいんです。
  86. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 監理委員会でいろいろ検討を深めておられますと並行いたしまして、国鉄といたしましても役員会を中心に、将来にわたって効率的なかつ健全な鉄道事業を維持するというためには一体どういう基本的条件が必要であるのか、またそれに基づいてどんな経営形態が望ましいのかというような点については、勉強をいたしておるところでございます。これはできるだけ早く取りまとめたいということで考えておりますけれども、その検討の過程の中でいろいろな数値が出てまいりますし、またいろいろな考え方が出てまいります。しかしながら、国鉄としてこれが総合的な考え方であるという点にはまだ至っておりませんで、なおかつまだ検討すべき問題も多く、また個々の問題を総合的に調整をしなければならないという問題もございまして、現在のところで国鉄の案ができて、それがああいう形で出たというものではございません。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 けさ安恒委員が意見の中でも言いましたように、であるならばなぜ、例えば工場とか自動車とか病院とか、もう切り離す方向国鉄は考えるか。きょうも運輸大臣九州の若松工場の、町の人たちが存続の陳情に見えた。民営分割ではなくて、むしろ余剰人員があるならばその余剰人員工場に派遣し、あるいは自動車、バスをもっと運輸省に、大臣と話し合ってバスの路線をとって、余剰人員をもっと今までの職場に配して、そして民間の仕事でも持ってきて鉄道工場でやるような体制をなぜとらないのか。私はけさ安恒委員の質問を聞きながら、私鉄では葬儀の仕事以外は何でもやりますよ、それが民営的手法ですよと言っている。それと全然国鉄が逆行して、まだ民営分割の話が出ない前にみずから切り離してしまっている。それはなぜですか、聞いておきたい。
  88. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) ちょっと御質問趣旨が十分よくわかりかねますが、国鉄といたしましては、今工場を分離したり自動車を分離するという……
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと今のところがはっきりわかりませんが、今何と言いましたか。
  90. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 御質問趣旨がちょっとわかりにくかったんですが、ただ私どもといたしましては、今工場を分離したりあるいは自動車を分離したりということを国鉄考え方として持っているということではございませんで、なおかつまだいろいろそれらの問題についても検討すべき余地が非常に多いというふうに思っておるわけであります。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、今私も内部のことをよくわかりながら質問しているんですけれども、世間の人は、やっぱりもう若松工場はなくなる、何々工場はなくなる、ああもう国鉄から分離だなと、そうとっているわけですよ。だから、わざわざ民間の人が町ぐるみで、この工場を残す運動を今一生懸命やっていますね。もう少し積極的に言うならば、例えば、車両の数は少なくなりましたが、それじゃこの工場に二百人職員がいるから民間の修繕をひとつ何とかとる工作をやろうではないか、そういう知恵が出ないまま車両のない工場は分離していくんですかと、少し具体的な話に入ったわけです。
  92. 太田知行

    説明員(太田知行君) 全体の経常計画という観点ではなくて具体的という今お話でございましたので、合理化を担当しているという意味で私からお答え申し上げたいと思います。  合理化と余剰人員関係、いつも問題になるわけでございますけれども、私どもは、合理化は、国鉄仕事を遂行、運営する体制としてあるべき姿を求めるこれはやり方だというふうに考えて進めている次第でございます。ですから、今御指摘になりました工場の問題につきましても、現在の仕事の量、そして現在の動力車のあり方、それからまたその作業の効率、それからまた工場のいろんな効率的な配置という問題がございます。その辺を工作局が中心になりましてあるべき姿というものを求めた結果、今御指摘になりました若松工場は廃止とか盛岡工場は廃止とかいう具体的な案が出てまいったわけでございます。  一方、そういう廃止とか縮小とか統合とかという措置を講じますれば、それなりに余剰人員が発生するのはこれまた不可避なことでございますから、余剰人員の活用あるいは調整の仕方につきましては、それはまたその問題に対して、工場問題に取り組んで活用ないし調整を図っていくというふうにこれを推し進めてまいるのが至当かと存じておる次第でございます。  余剰人員の活用の一環としまして、例えば工場で、自動車の車検でございますが、資格を持ち認可をいただいてやっている例もございますし、昨今では機関区におきましても、そういう技能を持った職員がおりますのに着目しまして、部内用の、何か一般の自動車というわけではなくて、業務用のいろんな自動車がございますので、それの車検をやるというようなやり方を大分あっちこっちでやっておりまして、これはいわば活国策の一環でございます。業務量、仕事の運営のあり方をどうあるべきかというのを求める合理化とは一応次元は別のものとしてこれはやはり考えていくのが至当かと存ずる次第でございます。
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃその問題、工場の問題はちょっとおきまして、余剰人員対策二万五千人、これから余剰人員を出向させあるいは派遣する、また申し出によっては休職させていきますが、休職者についてはこれは本人の申し出だから大体五十六歳、五十七歳、五十八歳の人があるいは申し出る、大体今一万人近くの人が見当がついているようだけれども、あと一万五千人の方の派遣先、出向先については見当がついておりますか。
  94. 太田知行

    説明員(太田知行君) 前段の方の、申し出による退職前提の依願休職の実績でございますが、おっしゃるように該当人員は一万人ちょっと、まあ一万人と申し上げております。先般、九月中旬以降これに関する制度を発足せしめたわけでございます。現時点で、希望した者が約四千五百名でございます。もちろんこれから増加する傾向にありますので、私どもとしては該当者のかなりな部分が応募することを望んでいる次第でございます。まあこの数の確定は別といたしまして、それ以外の――それ以外のというのは、この希望退職以外の手法を講じましてその他の余剰人員の対策を調整を進めなきゃいかぬ、こういうのは御指摘のとおりでございます。  そこで私どもは、この残った余剰人員につきましては、一部では部内の活用を図るということと、さらに復帰前提の休職というものを進めてまいりたい。それからまた出向、いわゆる派遣でございますが、いわゆる出向を進めることにいたしたい。それからまた何がしかの、例えばINSに代表されるように雇用創出効果をねらった新規事業の開拓にも力を注いでまいりたい。ただ、残念ながらその雇用創出の方は即決型ではございませんので、かなり時間をかけて進めなきゃならぬというようなことはございます。言うなれば、いろんな方法を講じながら調整を進めてまいりたいということでございます。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっきのことをまた聞きますけれども、今私が聞いているのは、大体派遣、出向で約一万五千ぐらいは派遣し出向させなきゃなりませんが、その出向先は見当がついておりますかということです。例えば私鉄総連の中央委員会でも、もう私鉄総連にはこれは受け入れられぬよと決めたと。それから国鉄関連産業の方も、今は定員が余っているから今から国鉄職員が来てもらっては困ると言っている。だからこの一万五千人の出向先、派遣先が大体見当がついておるのですかと聞いておるわけです。
  96. 太田知行

    説明員(太田知行君) 派遣、いわゆる出向でございますけれども、現時点で受け皿が固まっております規模は約二千五百名でございます。これは六月五日の日に組合側に、基本的な考え方として、それまでとってまいりました活国策だけでは不十分である、よって調整策を講じたいという考え方を明らかにしまして以後、団体交渉と並行しまして、関連のところにこの派遣いわゆる出向の受け入れを要請してまいりました。それぞれの企業、組織において、もちろん問題を抱えているわけでございますが、努力をしてくれまして、二千五百名が現時点で受け皿として固まっております。各系統全般に及んでいるわけでございます。もちろんこれは中間時点でございます、さらにこの二千五百名をふやすべく努力をして協力を求めている次第でございます。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 一万五千ぐらいは出向、派遣させなきゃならぬのに今二千四、五百しか見当もついてないと。したがって、そういう不安もありますし、派遣制度の問題あるいは職員の休職制度、出向などについてもいろいろ内容的に問題点がある。そのまま一体帰れるであろうか。国鉄は六十二年の三月ぐらいにはどうなるかわからぬというときに一体帰る職場があるであろうかといろいろ不安があるわけですね。だから労働組合は、その内容についていろいろ団体交渉で煮詰めながら、職員が安心して出向なり派遣に応じあるいは一時休職の申し出をするような体制をつくっていかなきゃならぬ。  それで、国鉄の中にある各組合の今までの交渉経過も調べてきました。もう一応協定といいましょうか、内容が煮詰まった組合もある。まだ交渉をしなければならぬと言っているところもある。その交渉をしなければならぬと言っておるのにもかかわらず、もう十月九日の二十四時の段階団体交渉は終わったんだと、団体交渉打ち切りを総裁名で通告されておる。だから、一体これはどうしたらいいか。まず本人の意向がある。あるいは、本人が了承しなきゃならぬことが大きな前提である。だから今太田理事に聞いておきたいのは、妥結した組合の組合員、これが本人の意向で申し出た場合はこれは円満にいきますね、その規定に従って。ところがまだ組合で妥結しておらないところでは、恐らく組合が妥結しておらなければその職員も本人の意向は申し出ないであろう。あるいは派遣、出向と言われてもオーケーと言わないだろう、そういう問題が予想される、内部に。しかも交渉がまだ妥結してない組合が二十万の大きな職員を擁している。  そういうのを、団体交渉はもうこれで終わったんだということは、私は余りにも一方的に法律的あるいは規定的に過ぎはしないかという気がするんです。その点だけ聞いておきましょう。
  98. 太田知行

    説明員(太田知行君) 事実の経過を最初に申し上げたいと存じますが、二月にいわゆる五九・ニダイや改正を実施いたしまして、余剰人員の問題が顕在化してまいりまして、いろいろ御論議があったわけでございます。活国策を講じてまいりましたが、やがて特退人員や合理化の実数を確定するに及びまして、その規模が二万五千人に及ぶということが判明いたしまして、活国策だけでは不十分である、よって調整策を講ずる必要があるという結論に達しまして、六月五日の日でございますが、今申し上げましたようなことをもう少し詳しく、数字も入れまして、かつまた、それは一過性の現象ではなくて、国鉄の今後を考えた場合に極めて継続的な問題としてとらえなければいけないという認識も添えました上で、この基本的な考え方を組合に提示し、意見その他も徴した次第でございます。さらに具体的な検討を積み重ねました上で、七月十日の日に正式に各組合に余剰人員の調整策、まあ我々はいわゆる三本柱と称しているのでありますが、退職制度の見直し、休職制度そして派遣制度の両制度の創設ということを骨子にいたしまして具体的な提案をした、その際に、非常に緊急かつ重大な問題でありますから一刻の遷延も許されない状況にある、よって十月十日をもってこの制度を実施いたしたい。ちょうど三月でございます。約百日の期間をもって労使十分に論議を詰め、了解点に達して実施に移したいということもあわせて申し添えまして交渉をスタートしたわけであります。  交渉事でございますから、いろいろ紆余曲折もございました。回数も重ね、正規の交渉だけではなくて、下打ち合わせみたいな、折衝みたいな実質的な話し合いも随分重ねてまいりました。当局といたしましては、論議は十分に尽くし得たというふうに確信をしているわけでございます。  それと、今申しましたように、この問題の緊急かつ重大性にかんがみて、当初予定の十月十日からの実施はこれはもう遷延させるわけにいかないという判断のもとに、十月九日二十四時をもちまして、その時点で未妥結の組合に対しましては交渉の打ち切りを通知した次第でございます。  次に、今度はその事柄の実施の問題でございますけれども、十月十日の日付をもちまして通達を発しました。その通達の内容は、団体交渉を経まして三つの組合と妥結に至っております、十月九日深夜に至りまして妥結した内容をそのまま通達に移しかえて、総裁から職員にという形でこれを既に発しております。そこで、事柄、仕事の方はその総裁からの通達に基づいて取り運ぶ、こういっただいま手はずになっている次第でございます。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 大事な問題を、全く時間がないのでもう打ち切る。  そこで、もう通達を出しましたか。
  100. 太田知行

    説明員(太田知行君) 出しました。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 それはいつですか。
  102. 太田知行

    説明員(太田知行君) 十月十日にさかのぼりまして先週に出しております。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 もちろんそれは本人の同意とか本人の申し出というのがあるからそれからまた一つの大きな枠がかかるでしょうけれども、大きな組合がまだ団体交渉をしたい、制度の中身について十分論議したい、そして安心してそれに応ずる職員の体制をつくろうとしておるのに、それを一方的に無視しながら、妥結した他の組合の内容で一方的に通達を出すということについては、しかもそれが、何というのかな、平等というのか、ならばいいけれども、余りにも一方的過ぎはしませんかね。  総裁から聞いておきましょう。もう時間が来ました。したがって総裁から、国鉄としてそのようなことが、二十万の組合がまだ妥結してないと言っている。話、内容がいろいろある。職員の身分で出向してあるいは派遣されて、また職員で帰れるかどうか。あるいは、もしも向こうの会社がつぶれこっちに帰ってきても失業保険ももらえんではないか、そんな具体的な問題もあるわけですよ。それを煮詰めないまま一方的に通達を出して実施していくということは余りにも労使関係が不正常ではないかと思うが、大変問題がいろいろあります、具体的に聞けば。その基本的な労使関係の不正常なものをそのまま総裁はお認めになりますか。総裁から聞いておきましょう、もう時間が過ぎちゃったから。
  104. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今、小柳先生からいろいろ御指摘がございました。私どもといたしましても、決して、事を構えるということが基本の考え方ということではございません。今太田常務からお話しいたしましたように、三カ月にわたり――実はその前に六月の五日にすでに大体の意向のようなものを各組合に出しまして、正式に提案したのが七月十日ということでございまして、私どもとしてはできるだけのことを尽くしたというつもりでございます。  いろいろな関係もございまして私どもといたしましてはそういう決断をいたしました次第でございまして、今後ともに未妥結の組合に対しましても、内容をそのままという格好でなるべく早く妥結をいたしたいという努力は重ねてまいりたいと思います。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が経過しましたのでこれでやめますけれども、余りにも一方的過ぎますし、国鉄再建の重要な時期にそのような処置については納得できません。したがって、また委員長にも、早急に委員会を開いて、この問題だけでも十分に論議する機会をつくってもらえるように要望いたしまして、質問を終わります。
  106. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 私は、大臣、十月五日の大臣に対する質問のとき、まだ仮定の問題だから答えられない、こういう話がありましたけれども、ちょっと立場を異にするわけでありますが、    〔理事桑名義治君退席、理事梶原清君着席〕 勤労として今日の余剰人員問題について十月六日、臨時中央委員会を開いて今までの経過について討議の結果、それを認め、本部に取り扱いを一任する、そういう部内の手続をいたしまして、十月九日二十三時五十分、三本柱のうち二本柱について協定妥結をいたしました。  その問題についてまず総裁にお伺いしますが、この問題の詰めに当たって、勤労と全施労の三役が総裁とトップ交渉でいろいろお話しされた。細部については別として、基本的にその問題については国鉄職員の雇用を守る、こういうものについてはすべてに優先して体を張ってあらゆる努力をする、総裁がそういう意思表示をされた。今小柳先生が言われた疑問点も含めて、やはり職員の雇用というものについては総裁は体を張って守り抜く、こういう決意を両組合の委員長にされたということを承っておるわけでありますが、このことについて間違いがなかったかどうか、あるいは十月五日の質問でも総裁はそれなりに答えておるわけでありますが、現実に協定がされた時点において改めて態度を表明してもらいたい、こう思います。
  107. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今目黒先生からお話がございましたとおりでございまして、十月十日の未明に、妥結後両組合と会いました。そのときに、雇用問題についてぜひ全力を傾けてほしいという強い御要望がございまして、今先生のお話しのようなお話を私から申し上げたわけであります。
  108. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 それから、私はここに職員の申出による休職の取扱いに関する協定、この協定関係が約九枚、それから職員の派遣の取扱いに関する協定、これも同じく十六枚、合計二十五枚のプリントをもらって、全部いろいろ心配される点あるいは今後考えられる問題点などについて、職員の雇用を保障するためにどういう歯どめが必要か、    〔理事梶原清君退席、理事桑名義治君着席〕 あるいは国鉄はどういう責任を負うべきなのか、我々もどういうふうに国鉄の再建に対応すべきなのかと、まあ微に入り細にわたると言っては語弊がありますが、随分きめ細かくこの協定あるいは了解事項あるいは議事録の確認などなどについて、締めくくりで書かれておりますから、私は時間がありませんから一々申しません。したがって、これは全部今総裁が言った雇用にかかわる私は諸文書だ、こう思いますから、この文書についても今総裁が発言になったことをやはり基本に今後とも労使関係で行われるというふうに確認していいかどうか、もう一度総裁見解を聞かせてもらいたい、こう思います。
  109. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今先生のお話がございましたとおりで、我々雇用についてできるだけ頑張ってまいりたいというふうに思います。
  110. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 それから、この関係で、雇用安定に関する協定、これは組合のカラーがありますからね。いろいろカラーがあるんです、これはもう。私が委員長当時は、勤労が協定を結ぶ際には期限なしでなくて、必ず期限を切って結ぶ。その期限の失効前に必ず改定交渉を行う、あるいは情勢の変化でコントロールしていくということで我々はずっと雇用安定協定を結んできたわけでありますが、現在もそのスタイルは変わっておりません、勤労の場合。したがって、この雇用安定協定からいくと、今申し上げたこの協定が向こう三カ年となっています、この協定の有効期間は。そうするとやっぱり勤労の協定が切れるのはこれは来年の十一月三十日に協定が切れますから、この協約の有効期間に雇用安定協定が更新の時期を迎えるわけです。したがって基本的には、この協定を結んだということは雇用安定協定はそのまま改定期が持続される、そういうふうに受けとめて間違いありませんか。
  111. 太田知行

    説明員(太田知行君) 事実関係は御指摘のとおりでございます。このたび締結しました協約は三年間の有効期限を付しております。そして勤労との間に既に締結しておりますところの雇用安定協約は有効期限づきでございまして、来年の十一月三十日をもって満了、こういう関係に相なっている次第でございます。  それで、こっちの新たに結んだ方は三年でございますから、そう急に更新の問題にはなりませんが、後者の方につきましては、御指摘のように、来年有効期限を迎えるに当たりまして、この取り扱いをどうすべきか、労使でこれは協議すべき事項でございますが、まだ一年先のことでもございますし、それからまた、その雇用の問題につきましては、この二本柱のほかに継続協議になりました一本柱、その最初の問題、退職制度の見直しの問題もこれあり、今後労使で協議し、知恵を出し合わなければいけない要素がまだまだたくさん残っておりますので、それとの関連でこの問題――この問題というのは後者の取り扱いの問題は論議すべきかと存じますので、これは今後の課題として受けとめてまいりたいと存ずる次第でございます。
  112. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 しかし、素人が交渉するわけじゃありませんから、この協約を結ぶに当たって、二本柱を結ぶに当たって、その最も関連する雇用安定協定が基本的に継続さるべきだ、そういう基本認識が私はなければ、いわゆる二本柱の協定は出てこない、こう思うんです。いろんな事情の変更も出てくると思いますが、今日時点で、協定の時点で、やはり雇用安定協定は継続される、そういう事実認識がプロの交渉屋としては私は当然だと思うんです。その辺は私は私の考えにそう違いはない、こう思うんですが、改めて、いろんな条件はありますよ、いろんな条件はありますが、この三本柱のうち二本柱を結んだその時点における問題認識は、やっぱり私の認識はむしろ正当であろうと思うんですが、いかがですか。  そうである、ないだけで結構です。
  113. 太田知行

    説明員(太田知行君) 雇用安定協約も、これは御指摘のように労使にとって極めて重要な協定でございます。しかし、今日の国鉄の置かれた状況からしまして、それを維持し継続せんがためには、もちろんそのスタンスにおいては労使双方変わりはないのでありますが、その実効を上げるがためにはやはりそれ相応の自助努力が必要であるということは申し上げるまでもございません。  このたび二本柱を締結するに至りましたことについては、我々もその協力、その理解を高く評価するのでございますが、そういう意味ではまさに自助努力の一歩前進という意味を持っておるものでございますが、まだまだたくさん課題がございます。むしろ私どもは、そういう課題を労使協力し知恵を出し合って乗り切ることによって、雇用安定協約を維持、継続せしめる基盤を固める方向で努力してまいりたい、そう思う次第でございます。
  114. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 プロの人がそう言われても、時間がないので、それはそれで。しかし、基本認識においては、私は変わりがない、こういうことを改めて言っておきます。  それで、今国鉄側が言う、これを円滑にするためにということでこの前の十月五日、大臣と論争しました。逃げ道があるとか、ないとか。でもこれは、あのときは仮定の話でしたから。きょうは、実際に十月九日の二十三時五十分に協定がされて、この問題について、午前中の話じゃありませんが、いろんな民営分割論争もあるということの関連で、この国鉄労使が結んだ問題と国鉄民営分割に絡むいわゆる政府の後保障といいますか――後保障というわけじゃありませんが、この前大臣は、これ議事録を読みますよ、あなたが言ったやつ。「そういう点について政府が全体として考えるんだ」、もう一つ、「基本的な問題について労働者の立場というものを政府が考える」、こういうことだった。しかし政府が判を押せということは、ちょっと運輸大臣では荷が重過ぎるということで、精神訓話上ではきちっと大臣は答弁しているんですがね、この前。これと同じ答弁は要りません。  現時点でも、この答弁より前に出ないなら出ない、出るなら出るということで、時間が忙しいから、この前の答弁で、内部で労働省も含めて検討するとこう言ったんですから、検討したかどうか。判こを押すまでにはいかないけれども行政指導としては責任を持つ、こういうことなのか。簡単でいいですから言ってください。
  115. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) この前の答弁を変える必要は毛頭私ども考えておりません。  それから、問題は、各省との話し合いというのは具体的な話し合いはいたしておりません。しかしこの問題は、どうしてもある段階に来ましたら必ず話し合わなきゃならぬ。こういうことだと考えていただけばいいと思います。
  116. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 まだ話はしていないけれども、行政の段階では、行政として運輸大臣としてきちっと責任を持って問題の処理に当たる、そういう考えであるということを確認していいですね。
  117. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 結構でございます。
  118. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 では、そのとおり確認いたします。  それからもう一つ。協約の内容でちょっと私も心配になったんですが、この中身を見ますと、個人個人、復職の場合もあるいは派遣の場合にも、本人の同意書と同時に所属長いわゆる管理局長が、あなたは何年何月国鉄のどこどこに復帰いたしますという証文を、公印を押して本人に渡すわけですね。この公印を押して本人に渡すということは、これは一種の証文ですよ。だからこれについては、法的に国鉄側は、民事訴訟その他で争われても、職員の身分保障ということについては国鉄側は法的な責めを負うという立場で、民事上の問題も含めて押しているんだというふうに確認していいですか。
  119. 太田知行

    説明員(太田知行君) 事実関係は御指摘のとおりでございます。一言補足いたしますと、確かに所属長、管理局長が印鑑を押すのでございますが、そのもとになる協定は総裁と組合の委員長との間に締結されたものでございます。人数が多くなるであろうということを想定しまして、管理局長総裁にかわって行為をするということでございますから、行為は総裁と本人との間というふうに思っていただいてこれは結構でございます。これは、そういうことで国鉄自体と本人との間のまさに債権債務がそこで成立しているわけでございます。これはいわゆる債権債務にかかわる法的な保護のすべては該当するというふうに申し上げて差し支えないと存じます。
  120. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 では、そのように確認します。  同時に、国鉄で今後民営分割といういろいろな問題が、午前中の議論、想定される際に、例えば目黒なら目黒が東北鉄道株式会社に移行するというふうになった場合、そういう組織の改変があった場合、当然国鉄総裁から東北鉄道株式会社なら東北鉄道株式会社社長に申し送りされるわけですね。そのときは、現に国鉄の職場で働いておる者も、あるいは東北の鉄道整備会社なら整備会社というところに派遣されて働いておる職員も、職員という身分、職員という債権債務、それは全部同等の立場で一切差別なく、国鉄総裁から東北鉄道株式会社に一切の債権債務が同等の立場で引き継がれる、そういうふうに理解し、その危いろいろな問題についても同等の取り扱いを受ける。ただ国鉄の内部事情で、新幹線を運転しているか、整備会社に行って車両の整備をしているか、その働いておる場所の違いだけであって、債権債務から来る国鉄職員としての取り扱いは同等であるし引き継がれる、そういうふうに法的にも行政的にも解釈されますが、その考えに間違いありませんか。
  121. 太田知行

    説明員(太田知行君) 国鉄の将来におけるあり方についてはいろいろ論議をされておりまして、現時点では、方向は示されておりますが内容的には確定しておりません。この時点で私どもの方から確定的なことを申し上げるのはやはり控えるべきかと存じますが、しかし、一般的な物の考え方といたしまして、国鉄と本人との間の正式なこれは契約でございますし、それからまた、将来においていろいろな変動要素があった場合には、まず何はさておいても真っ先に担保、確保すべきこれは債権債務であることは間違いないと存じます。具体的な扱いがどう展開していくかは私から今定かには申し上げられません。物の考え方としてはそうあるべきだと存じます。
  122. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 労働省、来ておりますか。  労働省、会社の統廃合その他の際にいろいろな判例があるわけですね。今の問題について、もう労働省でありますから国鉄の問題をどうこうと言いませんから、一般論として会社の併合、合併の際に債権、労働債権その他ありますね、一般論として労働行政の見解を聞かせてもらいたい。一般論で結構です。
  123. 平賀俊行

    説明員(平賀俊行君) 会社の統合とか合併とか、そういう問題がありましたときの債権債務の関係というのは、なかなか一般論としてどうということは言えないんですが、そのケースによってやっぱり解釈せざるを得ないと、こう思っております。  ただ、公社の経営形態の変更の場合は、今まで幾つかされた場合等公共企業体の場合がありまして、それは実はその都度法律でその件についてはっきりさせている、こういうふうに理解をしております。
  124. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 あなたの方に国鉄の問題で聞くのはやぼですから、それ以上は……。  それで、この問題だけやっておられません。最後に私は、この問題で小柳先輩から言われたとおり極めて不幸な事態になっておるわけでありますが、しかし、勤労は勤労として、全施労は全施労として、現実の国鉄の置かれている条件、ストライキ権を否定するわけではありませんが、そういうことをやった場合に出てくる問題点、展望、見通し、そういうことを長い間議論をして、あるいはこの際ストライキをやって攻めても出てくる答えが大体わかっていると。そんなところで、やはり詰めるだけ詰めていって何とか今日の国鉄を脱皮していこう、骨身を削って脱皮していこうという勤労提案の一線上にこの問題もあるわけなんで、決して国鉄のやっていること全部がオーケーだからやりましょうというところまでは、すとんといっていない。裏を返せば、この問題の取り扱いを誤れば現在の時代よりももっと不幸な時代が来る。そういう点で私は総裁に、この協約、協定の運用、解釈あるいは他組合とのトラブルが起きないように、そういう問題を含めてむしろ管理局以下の管理者教育、管理者にこの趣旨を十分に徹底させて、この問題が発端になって新しいトラブルの起きないように、しかも国労なりの他組合とどういうふうにすれば歯車が合うんだろうか、そういうことを探求しながらやるという、現場管理者には非常に難しい課題がかかっていると言っても私は言い過ぎではないと、こう思うのであります。  したがって、勤労と全施労が締結したこの問題の解釈、運用については、十分にその辺のことの管理局長以下の管理者教育を、本当に二重にも三重にも私はやってもらいたい。そして親身になって、妥結した組合も妥結しない組合も管理者も一体となって、この危機をどう乗り切っていくのかということに足並みのそろえられるような現場体制あるいは管理局体制というものをぜひつくらせることが、私は国鉄総裁以下本社役員の最大の任務だと、こう思っています。  したがって、決してこの協約を百点満点とは受け取っておりません。そういう管理者の根性、姿勢というのがこの協約運用と、小柳先輩の言うことを含めて問われている、こう思いますので、この管理者への徹底ということについて最大の努力をしてもらいたい。いやしくもこの問題でトラブルの起きないようにということを、特に私は自分の長い間の経験から心配するわけでありますが、この点について総裁見解を締めくくりとして聞かせてもらいたい、こう思います。
  125. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今目黒先生からの御指摘、まさにそのとおりでございまして、今回の妥結経過等からいろいろな問題があるということは十分承知しております。国鉄部内におきましても、職員局を中心にいたしまして、太田常務が先頭に立ちまして、現場の浸透を今図っているところでございます。御注意を十分頭に置きまして今後処理してまいりたいと思います。
  126. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 ぜひ、我々も注意深く中央から末端まで、北海道から九州までよく見ていますから、お願いします。  それから運輸省ね、さっき小柳先輩が言われた新聞発表でありますが、運輸省が基本的に民営分割賛成だと。それで私は、これは新聞屋が書いたのかあなたが発表したのか知りませんが、旅客鉄道株式会社、貨物鉄道株式会社、固有名詞まで我らが業界紙交通新聞に出ているんですが、業界紙交通新聞は大きくないかもしれませんがうそを書くどは思わないんですが、ここまで深入りして運輸省はそういう案をつくっていらっしゃるのかなと思ってびっくりするやら、キツネにだまされたような、あるいは民営分割の本当の裏舞台はこれは運輸省じゃないのかなと疑って不信感を持ってみたりですね。  私は運輸大臣に一言だけ要請しておきます。少なくともこの問題は私は運輸省の省議で決まった問題ではないと思うんです。あなたが再三再四、いろんな案をつくっている、検討していると。検討しているけれども、検討の段階で必要によっては運輸委員会の我々に提示をして、与党、野党含めて十分に議論をしてもらうということを、常にあなたは政治家らしい率直な気持ちで言っておられるんですよ。非常に我々は好感と信頼感を持っておった。ところが、この新聞と一斉に商業新聞に出された段階で、なにこのやろうという気になっちゃった、なにこのやろうと。だから、答弁は要りません。さっき小柳先輩のあれからしますと、まだ事務的にプロジェクトをつくってやっている段階だとこう言いますから言いませんが、第三者に向かって運輸省という立場で物を申す際には、少なくともその前に、最も身近なこの運輸委員会にやっぱり、経営形態という大事な問題でありますから、我々に示して、一定の議論をして、その上で運輸省の素案なら素案をまとめる。我々に全然相談なく、ストレートにやるなんというのはもってのほかだということだけ意見として表明しておきますから、もう答弁は要りません。時間がもったいないから答弁は要りません。そういう目黒委員の運輸省に対する考えだということだけ表明しておきます。  時間が来ますから、次はハイタク関係でひとつお願いいたします。  ハイタクの問題については、この前の運輸委員会でも私の方から考え方を述べ、あるいは服部局長からありましたから、この問題についてはもう触れません。ただ私は、ことしの七月から十月半ばまで約三カ月間、組織内のいろんな会合がありまして北海道から沖縄まで回りました。この前、回りまして、全自交の大会もありまして、いろいろさらに検証してみました。そうしたらやっぱり、代行運転、それから軽貨物自動車、アルバイト問題、二七通達、この四つだけはあなたがこの前、十月五日答弁した運輸省の基本的な考え方とどうも抵触する。私は今日まで長崎、熊本、大分、福岡、鹿児島、長野、秋田、福島、岩手、宮城、富山、群馬、京都、四国四県、沖縄、北海道、これだけ歩いてきました、この三カ月間に。大小の違いはあっても、ほとんどタクシー類似行為、こういうような現状であります。  したがって、きょうは個々の問題は言いません。ひとつあなた方が中心になって警察庁あるいは通産省の方々とも連携して、各運輸局別に代行、軽貨物、バイト、二七通達、この四項目についてぜひ実態を把握してもらいたい。そして、その実態の把握の上に立って、社会党にもハイタク特別委員会がありまして私も委員長をやっておりますから、多くの先輩がおります。そういう方々とやっぱり話して、全国的な問題と一回突き合わせてみて、いい点は伸ばしていく。代行運転でも必要なニーズにこたえるという点ではいい点もあります。それは否定しません。いい点は伸ばしていく。ハイヤー、タクシーの類似行為は是正していく。それから、やっぱり道交法違反のやつは警察庁の力をかりてこれを直していく、そういう方向でハイタク運送の輸送の秩序を保つということが当面必要でなかろうか、こんなことを非常に私はこの三カ月間歩いて痛感しました。きょうは個々の問題は言いません。  この取り組みについてひとつ運輸省として考え方をお聞かせ願いたい、こう思います。
  127. 服部経治

    説明員(服部経治君) タクシー営業類似行為がはびこっておりますことにつきましては、私ども、先生の御指摘をまつまでもなくまことに遺憾だというふうに思っておりまして、ただいまの先生の御指摘方向に沿いまして鋭意、実態の把握と問題点の究明と今後に対する対処方針の確定ということを、取り急ぎ進めてまいりたいというふうに思っております。
  128. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 この二七通達、アルバイトを考えますと労働省も関係するんですがね、これは社労委員会で安恒先生の方で大分やって問題を提示しておったんですが、労働省も今運輸省と共同してこの問題についてやっぱり正すべきは正すというふうにしてもらいたいと思うんですが、労働省、いかがでしょうか。
  129. 松本邦宏

    説明員(松本邦宏君) 労働省といたしましても、御指摘のような行為があることは十分承知をいたしておりまして、監督機関としても従来から気を配っているところでございまして、このいろいろな態様についてはいろいろあるようでございますけれども、特に労働省でございますので、労働者を使用しております者につきましては従来からも基準法あるいは労働時間の改善基準等に沿いまして監督対象にしてまいっております。  今後ともそういったものについては引き続き監督の対象にしてまいりたいと、かように考えております。
  130. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 この二七通達とかバイトの関係は、私はもう何回か労働基準局とか現場のところに皆言うんですが、監査する前に情報が漏れたんでは何にもならないんですよ。乗務員運行表、運行管理者、勤務時間。二重帳簿、帳簿じゃない、二重勤務、三重勤務の、目黒のやろうが来たらこれを出せ、陸運局が来たらこれを出せ、少し物わかりのいい人ならこれを出せ、そんな格好で監査対象用の乗務員運行表を全部つくっている。こういうものが漏れるような監査は何にもならないんですよ。私が常に言っているのは、やっぱり常に抜き打ち監査をやれと。あそこがおかしいおかしいとわかるんだから、おかしかったら労働基準監督官が抜き打ちに行ってやっぱり現場を押さえる。バイトの人はあくびしておるんです。まあ乗務員の赤字の問題は別に言いますが、ハイタク運転手も、あくびしながら運転するのはバイトなんですよ。私、札幌へ行ってもすぐわかりました、ああこれバイトの運転手だなと。  そういうものをなくす。だからやっぱり常に、抜き打ち監査を原則として労働基準局は追跡調査をする。それは労働省が労働者の条件を守るためには絶対必要なことだと私はもう経験からも、あるいは現場の検証からも思うんです。バイトあるいは二七通達の問題についてはそういう厳しい姿勢で、労働者の味方は何だかんだ言ったってあんたのところなんだから、やっぱり経営者の顔ばかり見ないで労働者の顔を見て監査をしてもらいたいということをきちっと約束できますか。
  131. 松本邦宏

    説明員(松本邦宏君) 監督の手法につきましては、先生御指摘のような抜き打ち監督というものを原則にいたしております。ただ、抜き打ちで参りまして相手の責任者がおらないと困るというようなケースも間々ございますので、直前には連絡して行くようなケースもあるかと思いますが、御指摘のように、抜き打ちを原則にいたしておりますので、今後その点の徹底を図りたいと思います。
  132. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 私がちょいちょいぶつかってもそうですから。まあそういう答えですから、その原則をきちっと守ってもらいたいということを重ねて要望しておきます。  じゃ警察関係ね。警察もこの問題については、ここに梶原理事がおりますが、梶原理事の沖縄の問題も、私のこの前の、前々回の運輸委員会の問題の際にも警察庁の皆さんにはお願いしたんですが、何といってもこの軽自動車、代行運転については警察庁の皆さんと陸運事務所の密接な連係プレーがないとできないわけでありますから、たまにはこれ暴力団が絡んでいる、こういうことで身辺にも危険が及ぶわけでありますから、警察の方にもぜひ今運輸省の地域局長が言ったことについて連係プレー、協力願いたいなと、こうお願いしますが、警察庁いかがですか。
  133. 安藤忠夫

    説明員(安藤忠夫君) ただいまの問題につきましては、運輸省等とよく連携をとりまして鋭意対策を進めてまいりたいと思います。
  134. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 じゃおのおの責任者からありましたから、ひとつ三者でプロジェクトを組んで早急に実態を調査して御提示願いたい。我々の方でも一定のものを持っていますから提示します。  あと二、三分しかありません。次はILO関係の条約について。  実は十月八日から十三日まで第三回アジア交通運輸労働組合のセミナーが東京で開かれました。約百名近くのくるまへんの代表が集まったのですが、やっぱり常に言われるのは、この運輸労働者関係ILO条約が全然日本では批准されていない。もう時間がありませんから言いません。ILO百五十三号、百五十二号、百四十八号、百三十七号、百十一号、これは今長々答弁を聞いていてもしようがありませんから、これも主骨は労働省でありますが、中身の整理は運輸省です、これは。何だかんだ中身の整理は運輸省。したがって、労働省と運輸省で相協力して、来年の一月ですね、ILOの内陸運輸委員会がジュネーブで開かれる、こういうふうになっていますから、このILO内陸委員会に間に合うように一定の日本政府の見解をやはり労働省と運輸省でまとめてもらいたい。批准するんならする。しないんならしない。しなければ、どこどこの問題が悪いから批准できない。したがってこれこれの問題はこういうふうに直していくというふうに、三本立てのやっぱり私は日本政府の見解をきちっとまとめてもらいたいと思うんですが、労働省と運輸省、これは答えが要りません、要請しておきますが、労働省、努力できますか。中身は要りません、努力するで結構ですが。
  135. 松本邦宏

    説明員(松本邦宏君) 今先生御指摘の来年一月の委員会には当然政府としての代表が出ると思いますので、意思の疎通は図られるものと考えております。
  136. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 じゃ、努力を要請します。  最後にこれだけ。海上保安庁、私、この前いつだったか船舶の違法建造が海難事故につながるんじゃないかと申しましたところ、つながりませんと、こういうことを言っておったのですが、昭和五十四年の九月二十九日、釜石の明神丸事件、これには判決できちっと、五十六年十二月十八日の判決で違法改造が原因だと明記しているのですが、この事実には間違いありませんか。時間がありませんから間違いある、間違いない、単語で結構です。
  137. 岡田專治

    説明員(岡田專治君) 間違いございません。
  138. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 そうすると、この前の決算委員会の農林水産関係であなたの課長が答弁したことは偽装答弁でありますから、取り消しを要求します。
  139. 岡田專治

    説明員(岡田專治君) 出席をいたしました課長から答弁部分について聞いておりますけれども、多少舌足らずで先生に誤解を与えた向きもあろうかと思いますが、当該、先生の今御指摘になりました具体的な事案につきましては、これは関係があるということを海難審判の裁決においてもはっきりしておりますので、それを否定したつもりは毛頭なかったものと、かように考えております。
  140. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 私にだめ押しされて、間違いありませんとだめ押ししたのだから、そんな答弁のごまかしはきかない。そんなごまかし、あれならば議事録をもとにもう一回やりますから、海難事件があったという事実関係だけ確認します。――いいです、終わり。
  141. 梶原清

    ○梶原清君 先ほど小柳委員から自賠責と任意保険の保険料のことにつきまして御質問がありましたが、私はそれに関連することで一つのテーマだけについて御質問をしたいと存じております。  最近、主に関西地区で各損害保険会社が、二十一歳未満のドライバーの自動車の任意保険契約を拒否することが一般化いたしております。これは若年ドライバーの事故が急増いたしまして、保険収支がパンク寸前であるということに対する、いわば自衛手段としてとられている措置のように思うわけでございます。若年ドライバーの事故発生率が非常に高い、逆に若年ドライバーの賠償能力が一般的に低い。こういうことから考えてみますと、自賠責保険に上乗ぜをして任意保険に入る必要性というのはより一層高いのではないか、このように思うわけでございますが、現実的には任意保険契約を拒否されておるという実態にあるわけでございます。  これは、交通事故による被害者救済という立場から考えてみますと、到底看過することのできない非常にまずい事柄ではないだろうか、このように私は思うわけであります。  そこで、まず警察庁にお尋ねをするわけでございますけれども、遺憾ながら最近は交通事故、特に死亡事故がふえておるようであります。とりわけ今指摘をいたしておりますように、若年ドライバーの事故が特にふえておるのではないだろうか。それがどのような状況にあるか、その実態と今後の対策につきまして警察当局の御見解をお伺いしたい、このように思います。
  142. 安藤忠夫

    説明員(安藤忠夫君) 最近の交通事故の状況でございますが、御承知のように昭和五十四年が底でして、その後再び増勢傾向を示しております。五十四年が死者が八千四百六十六人、五十八年中が九千五百二十人で一二・四%増加しておりますが、負傷者につきましても同様な傾向を示しております。その中で、いわゆる若者の事故が問題になっておりますが、昨年の五十八年中の自動車あるいは原付で第一当事者となった事故につきまして、十六歳から二十四歳の若者がどの程度シェアを占めているかと申しますと、全体の三一・七%ぐらいです。これは事故率の高さから見ますと、運転免許保有者一万人当たりの事故率で見ますと、今申し上げました十六歳から二十四歳が一八七という数字が出ております。二十五歳以上の人が八四ぐらいでありますから、おおむね二倍以上の事故率という高い傾向を示している状況でございます。
  143. 梶原清

    ○梶原清君 今お尋ねをいたしましたように、若年ドライバーの交通事故が多い。これに対してどのような対策を力を入れてやっておられるかということをお伺いしたいわけでございまして、この点につきましての御答弁をお願いいたします。
  144. 安藤忠夫

    説明員(安藤忠夫君) ただいま申し上げましたように、若年者の事故率は他の年代と比べて大変高いので、警察としてもその層を重点に指導、教育していかなければということで取っ組んでいるわけでありますが、具体的には、二輪と四輪があるわけでございますが、免許の更新時の際に若年者学級とかあるいは二輪車の学級とかいうのを特別に設けまして、若者グループだけを集めての重点的な指導、教養等を行っておりますし、いろんな形での二輪車の訓練とかあるいは若者教育というのをいろんな各界、各分野で実施している、いわば最も重点を志向している分野だということになっております。
  145. 梶原清

    ○梶原清君 今取り上げようといたしております保険契約云々の問題に先立ちまして、若年層の事故、特に大都市部における若者の事故を減らすということが極めて大切ではないか、先決問題ではないか、このように思いますので、一層の警察御当局の御尽力をお願いいたしたい、このように思います。  続きまして、先ほども触れましたように、保険会社が若年ドライバーの任意保険の新規引き受けを拒否する、あるいは事故を起こした車の契約継続をストップしたりするということが特に関西地区では一般化をしておるわけでございますけれど、これは被害者救済という立場から見ますと望ましいことでは絶対にない。  そこで、大蔵当局にお尋ねをしたいわけでございますけれども、まず第一番に、関西地区における実情はどうなっておるのか。そしてまた、大蔵当局ではこの問題についての対策を検討されておるように伺っておりますけれども、その検討がどのように進んでおるのか、今後のめどはどうなっておるのか。いずれにしても、任意保険契約を拒否するという事態は望ましくありませんので、これを円満に解決する方法というものにつきまして真剣に御検討いただきたいわけでございます。その御検討の成果あるいは今後のめど、これにつきましてお尋ねをするわけであります。
  146. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 今先生から御指摘のございましたように、任意の自動車保険というものは被害者救済の観点から大変重要な役割を果たしております。それで、最近任意の自動車保険の損害率が大変悪化してきておりまして、これを背景に、先生御指摘のように、特に損害率の高い一部の地域におきまして、個々の会社の経営判断に基づきまして慎重な引受姿勢をとっている。その結果一部の会社で契約をお断りするというような事態も生じてきているという話は私どもも聞いております。しかしながら、このような事態がどこの会社でも起きているという、全社的にこのようなことが起きているというような事態まではまだ立ち至っていないというふうにも聞いているわけでございます。  こういう問題についてどのように考えるかというのは大変難しい問題でございますけれども、損害保険会社が一方では保険の引き受けに当たって危険の選択を行っていくということは保険契約者全体の利益のためにも必要な面もあるわけでございますけれども、他方、保険事業の公共的な使命もございまして、そのような見地からは可能な限り一般の保険需要に応ずるよう努力していく必要のあることもまた当然だろうと考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、このような観点から、御指摘のような問題につきましては、どこの会社でも契約をお断りするというような事態に至らないように、損害保険会社の方に注意を喚起しているところでございます。したがいまして、今の事態の進行、注意を喚起しているところでございますので、今後の事態の進行を注意深く見守ってまいりたいと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、先ほど警察の方からもお話がありましたように、このような若年層に対する保険料率と最近における事故の実態とが、保険料が適切に事故の実態を反映したものになっているのかどうか。それから、もし事故の実態を反映したものになっていない場合には、これを直す場合に全体の料率体系の中でどのように位置づけていくかというような問題も今後避けて通れない検討課題ではなかろうかと考えておりまして、事態の推移を見守りながら、このような問題について勉強し、先生おっしゃいますような事態が生じないような方向で努力してまいりたいと考えております。
  147. 梶原清

    ○梶原清君 私の承知しておりますところによりますと、保険契約を拒否するという事態が相当一般化をいたしております。このことは被害者の救済対策の面から見ましても問題でございますし、関係者が非常に困っておるわけでございます。今もお話がございまして、それを血ちに否定しようとは思いませんけれども、関西地区だけでなくて九州とか四国とかへも蔓延する傾向にある状況にあります。したがいまして、今御指摘のような方向でぜひひとつこの問題を前向きに早急に解決をしてくださるようにお願いをいたしたいと存じます。  御要望だけ申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。    〔理事桑名義治君退席、理事梶原清君着席〕
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 過日、細田運輸大臣は、最近の航空問題で注目すべき発言をなさっているわけでございますが、その一つは、国内線専用空港の羽田空港に将来国際線使用を検討していく旨の発言であり、その二つは、国際線専用の成田に国内線の運航を認めてはどうかという発言でございます。  これは、従来運輸省が主張しておりました羽田は国内線専用、それから成田は国際線専用というこの原則を外すものであるかのように我々には受け取られるわけでございますが、その御真意を伺っておきたいと思います。
  149. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 十月九日、朝日新聞で大臣の発言が報道されたわけですが、それは、現在の羽田につきまして、この現状では将来羽田の国際線使用というものを考慮する必要があるというように新聞では報道されたわけでございます。  この大臣が申し上げました真意は、現在の成田空港の現状は非常にもうほとんど容量いっぱいという状況、特に旅客ターミナル及び貨物の取り扱いにつきましてはピーク時におきましては非常な難渋をきわめております。その処理から申しますと、もう成田空港の充実ということは一刻も猶予を許せないということで、速やかに拡充整備する必要性が出てまいっております。そういう状況におきまして、成田空港の新しい拡張というものがこのまま進めない状態がもし続きますと、そのときには、今羽田空港が沖合展開をしております、その段階では羽田の方が若干相対的に余裕が出るかもしれない。そういう場合には、非常に現在各国からも乗り入れ希望も多うございますしそれから増便の要望も非常に出ております。そういう国際線の状況を考えますと、羽田の活用ということもその時点で考えざるを得なくなるかもしれぬと。これは裏返して申しますと、成田の工事を急ぐ必要があるという趣旨を申し上げた、そういう意味合いで羽田の問題に言及されたわけで、羽田が将来とも主として国内線のために用いる空港であるという基本的な現在の性格を変えるつもりは毛頭ございませんし、また、御承知のように国内の各地方から東京への輸送需要というのは非常に増大しております。そのために大変各地方には御不便をかけているわけですが、そういう問題のためにも羽田は一刻も猶予を許されず整備をしなければならない。そういう状況下でございますので、羽田の今後の状況は先ほど申し上げましたような方向で使用してまいりたいということでございます。
  150. 桑名義治

    ○桑名義治君 今の御答弁をそのまま受けますと、羽田空港が今沖合展開をやっておるわけでございますけれども、今のお話では、羽田の沖合展開は大体順調に進んでいると。そうしますと、やがて滑走路が一本新設されることになるわけでございますが、これは国際線を受け入れるということよりも、むしろ国内線のいわゆる増便の要望に対して受け入れのために使用する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  151. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) そのとおりでございます。  それから、先ほどの成田の今度国内線の問題でございますが、これにつきましては成田の市議会からかねて、日本航空がフィル・アップ・ライトの問題で要望をしてきている、成田と各地域との連絡という点からいうとフィル・アップ・ライトによってさらに連絡をするようなことを考えてほしいという趣旨の要望があったわけでございますが、結局、言ってみますと、成田空港というものが地元のために活用できるということをもっとはっきりさせなきゃいかぬと。これまでも成田の飛行場は主な空港とは国際線の連絡便ということで出ているわけですが、それをもう少し拡充して各地域の空港と結ぶということによって千葉の固有の需要にマッチさせるというふうに活用することが可能ではないかということを申し上げて、これは別に従来の考え方を変えたわけではないんで、特に成田の場合にいっぱいということは申し上げておりますが、午前中の時間帯は各外国のエアラインがなかなか使えないという時間帯になりますので、このあきを利用して国際線に支障ない範囲で国内の各地域と結べれば成田の住民のためになる、成田といわず千葉全体あるいは茨城等にも影響を与えるようになるわけでございますので、そういうような活用を考えたらどうだということを申したわけでございます。
  152. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、大臣の管弁はいわゆる報道機関の取り違えである、まあはっきり言えば。そういうふうに今聞こえたわけでございます、説明が。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 そのために成田の場合は午前中に非常に時間帯があく、したがっていわゆる国際線と国内の連絡線を増便する、そういう方向ならば今後考えていきたい、こういうふうに理解していいんですか。
  153. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 成田の場合は、現在の午前中の比較的あいている時間帯を利用して、現在行っております国内各港との連絡便のほかに、まだ連絡してない地域等も含めまして国内各港との連絡に用いたらどうだろうか、こういう趣旨でございます。
  154. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、短絡的に言うとやっぱり成田も国内線に使用するということになるんじゃないでしょうかね、短絡的に言うと。そういうふうに我々はどうしても耳には聞こえるんですがね。大臣が答弁を求めているようでございますので……。
  155. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 成田の問題はこういうことなんです。  あの地域の方が大勢見えまして、フィル・アップの問題からだんだん話が、成田の国内線の活用の問題の陳情があったわけです。考えてみますと、千葉県五百万の人口がいるわけです。あるいは利用できる茨城の地域を入れても、実際は相当大きな人口が羽田を利用しているということなんでございますね。ですから、ほかの県であれば五百万も人口があれば飛行場は当然できているわけなんです。そういうことを考えますと、陳情に来られた方に、国内線に千葉県のものをもっと使わせてもらいたいというお気持ちはよくわかる、しかし成田は今国際線でいっぱいだ、しかし何かの方法はないかということについて検討をしましょうや、ですから今おっしゃるような心配があって実際はなかなか難しいんじゃないかと。それから、仮に午前中に出ても午後帰ってくるときは大変だといったような問題になってくる可能性もございますので、どれだけ実現ができるか、それについては検討を今後しなきゃいかぬと。しかしながら、お気持ちとしては、五百万人目を持っておる千葉県が、千葉県の飛行場を持っておって国内の輸送需要は相当あるんだが、全部羽田まで将来にわたって行かせるのかいという話から始まった話なんでございまして、実現性の問題については私どもの方も必ずしもこれは自信がないわけですけれども、何かしかし考えてあげないといかぬという感じは、フィル・アップの問題も含めまして考えてあげないと、なるほど大きな人口があるんだなということなんでございます。  したがって、実際にいけるかどうかという問題は、国際線を優先に考えていかなくちゃいけませんから、おっしゃるような心配があれば事実問題としてはフィル・アップ以上にはなかなかできにくい、あるいは今一部やっておる国内線ですね、成田の国際空港の利用としての国内運航、これしかあるいはできないのかもしれませんが、気持ちとしてはそういう気持ちなんでございます。
  156. 桑名義治

    ○桑名義治君 この報道されている真意は大体理解できるわけでございますが、そうなりますと、成田空港の第二期工事がどんどん進捗して仮にでき上がったとするならば、これは当然最終的にはできるわけですが、そうなると国内線もこれは考えざるを得ない状況に追い込まれる、こういうことですか、こう理解していいですか。
  157. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 今申し上げたのは、二期の問題とは別として現在の成田をもっと活用する方法はないかということで、特に地元のいろいろな要望にもこたえることを今工夫してみたらどうか、そういう意味で各航空会社にも実際の需要がこれからあるかどうか御調査願って、今まではどちらかというと成田はこれはもう一切国内線には現在限られているものにしか使えない、そういうふうに頭から思い込んでいたものですから、それを活用するようにという、研究してみたいという趣旨でございまして、二期の問題とは直接関連ない問題でございます。
  158. 桑名義治

    ○桑名義治君 もちろんこの発言は二期の問題と関連ないことは私もわかっているわけですよ。だけれども、現在でさえもそういう機運があるならば、二期工事が完成した場合にはしょせんなお一層この問題が表に噴き上がってくることは事実だと思うんですよ。今大臣がおっしゃったように、千葉県だけで五百万人、茨城県を含めればこれはもう相当な数になる。そういう立場から地元としては、国際線ばっかりで国内線がないじゃないか、何でつくってくれないんだ、これを使用させればいいじゃないかという機運がなお一層高まってくる。したがって、第二期工事が完成した場合にはなお一層この問題が噴き上がって、最終的には国内線の使用に踏み切らざるを得なくなるような状況にあるんではありませんかということを僕は言っているわけです。
  159. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 今お話しのように、二期ができました暁にはもちろん国際線の余裕の時間帯というのは出てまいります。そういう意味では、そのあきを利用して国内線のために大いに活用するという方策は当然あってしかるべきですし、将来の実際の運用上の課題になってまいると思います。
  160. 桑名義治

    ○桑名義治君 この二期工事が完成する場合には関西国際空港も恐らくでき上がるころじゃないか、こういうふうに思いますが、そうするとやっぱり国際線というものが非常に多くなるわけですな。そういうことになれば、確かに地元のおっしゃることはこれは当然の理屈だと私は思います。だから、そういうことを含めて今からの航空行政の中で考えていただきたい、こういうふうに思います。  それから、最近地方自治体の間で小型航空機による地域航空輸送システムという研究が非常に盛んになっているわけでございますが、そうなってくると各地に小型の専用空港の整備がこれ必要になってくるわけでございますが、運輸大臣はこの地域航空輸送の将来についてどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  161. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) だんだんとコミューター空港といいましょうか、地方空港に対する要請が強いわけでございます。全国の七十ばかりの飛行場を中心に一時間なり一時間半なりで円をかきまして地図をこう見てみますと、大きく空白地帯が残るわけでございます。その空白地帯からはもうほとんどといってもいいぐらい、空港をつくってくれという陳情が出ております。そこで、全部ジェットの飛ぶ立派な飛行場をつくるというわけにもまいらないということになると、まあ今離島などで用いておりますような手法で支線航空的なものをつくるということについて検討したらどうだろうかということで、最近これについて検討を始めた、そしてできるならば航空ネットワークで日本列島が覆えるようにすることがいいじゃないか、まあこれはまだ研究の段階なんでございますが、それぞれの地方からの御要望は特に強いわけでございます。  それから、先ほどの成田の問題とも関係しますが、一番空白の大きいのは関東でございまして、実は関東は各県に、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木、皆空港がございません。それで非常に大きく穴があいておるわけです。これは東京に近いからいいんじゃないかということでしょうが、このごろの空港はそれだけじゃなくて、貨物の問題とかそれからあるいは関東対北海道、関東対大阪、関東対九州はどうだろうかというような、時代が変わってまいりましたので、そういったようないろんな点から考えまして、いわゆる本物の空港といましょうか、そういうものと支線空港みたいなコミューター空港と称するものとをどうかみ合わせるかということを検討してまいろう、こういうことでございます。まだ具体的にどこをどうしようという案があるわけではございません。
  162. 桑名義治

    ○桑名義治君 航空局では地域航空輸送に関する研究会を設けて検討しているということでございますが、六十一年から始まる第五次空港整備計画との関連がどういうふうになるのか、ここをちょっと伺っておきたいと思います。
  163. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) コミューター航空の問題は、今大臣が申し上げましたように、一つは、長期的な将来の航空の可能性を開発するという趣旨で多角的な検討をする。それは、今申し上げた大きなローカル線のフィーダーとして細かい枝葉とするということもありますし、また、地方相互間の一つの地域的な本当の意味でのローカルな、小さな輸送単位に応ずるようなことで考えるということで、早速第五次空整の場合にも具体的にどういうふうな取り組みができるのか、長期的な検討と一緒にまず当面の五次空整にどんなことができるか、その勉強を至急したい、実は六十年度の予算要求でもそういう意味での海外のコミューターの実態の調査をしたいというふうに考えております。  六十一年度以降の五次空整では、そういう意味での具体的な小型飛行場というようなものを実際のところ前半は調査に充てていく、可能ならば実際の建設というものを考えて取り組んでいくかということを五次空整の課題として今考えている次第で、どんなふうに取り上げられるのか、また、そのようなコミューターの飛行場でございますと、今までの空港整備の手法でやるのが適当なのかどうか、実際に飛行場の設置管理主体も今のような地方公共団体だけに限るのか、地方公共団体以外の第三セクターなりあるいは私人なりもそういったものにどんどん乗り出していくということを考える余地があるかどうか、そんなことも研究課題でございますが、いずれにせよ五次空整には何らかの形で反映させていきたい、そんなふうに考えて今勉強している次第でございます。
  164. 桑名義治

    ○桑名義治君 その研究会の研究課題の中の一つとしてこれはどうかと思うんですが、実は現在は国鉄の再建計画というものがなされているわけですね。ところが、こういう計画がどんどんどんどん進んでまいりますと、実地段階に入ってきますと、輸送の問題で国鉄との競合関係に入るわけですね、幹線との。そこら辺、競合関係に入るこういったいわゆる地域航空輸送シーステムとの関連、これをいわゆる総合交通政策の見地からどういうふうに把握していくべきであるか、これはやはり一つの大きな問題になると思うんです。そこら辺はどういうふうにお考えですか。
  165. 山本長

    説明員(山本長君) 全国的に各地域地域がやはり全国の各都市、というよりは各地域と便利な交通手段を持ちたい、一日行動圏の中に地域を繰り込んでいきたいというのが、これはもう全国的な要望だと思うのでございます。  そういった全国的な交通手段を全国的に整備していくに当たりましては、需要の動向もさることながら、やはり交通機関の特性がございますからその特性を生かしながら、また、できるだけこの各交通機関が補完的に組み合わされまして効率的な交通体系ができ上がるというのが一番いい、こういうふうに考えておる次第でございます。  そういった観点から、国鉄と申しますか鉄道というものは、比較的大量の、また中近距離と都市間輸送あるいは都市の通勤通学輸送といったものに適性があるというふうに把握されておるわけでございますし、航空というものも、これは従来から言われておることでございますけれども、主として海越えでございますとか山越えでございますとか、あるいは海越え、山越えでなくても他の交通機関を利用するならばやはり相当に時間がかかる、こういった地域間の輸送を担当するというのが適当だというふうに特性があるわけでございます。  先生おっしゃるように、確かに一つの交通機関が整備されますと他の交通機関に影響が出てくるというのはこれは避けがたいことだと思いますけれども、いわゆるコミューター航空というものを整備していく、あるいはその検討をしていく、またそれの実現に当たっては空港をどうしていくかということを考えますときに、やはり地域の要望というものを十分に尊重しながらも、この各交通機関の特性というものを考えながら整備していかなきゃならない。したがいまして、国鉄の影響というものをやはり考えなきゃいけないと思いますけれども、基本的には、先ほど申し上げましたやはり海越え、山越えという言葉で代表されますように、時間距離といいましょうか、他の交通機関を利用することによっては時間距離がやっぱり相当に大きいというふうな地域というものを念頭に置いてこの構想というものも検討をしていくべきだというふうに考えておる次第でございます。検討の段階ですから現在のところはその程度の考え方でございますけれども、具体化に当たりましてはそういったことを頭に置いて検討を進めなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  166. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、検討の段階ですからこれは結論めいた答弁はできないと思いますが、そういうことも一応念頭に置きながら総合交通体系というもの、そこら辺からやはりこの問題も位置づけていかなければいけないんじゃなかろうか、こう思います。  実際にこの地域航空システムがある程度進んでまいりますと、それこそ国鉄が今のような状況になったのは、道路がどんどんどんどんできたということに大きな起因があるわけでございますし、それと同時に飛行機網が割に発達してきた、陸と空と海とから挟み打ちに遭ったわけですね。それがなお一層促進されてくると、国鉄の存在価値というものをどういうふうに今度位置づけていくかというところまでさかのぼらなければならないような状況に入っていくんじゃないか。実際にこの地域航空システムができ上がってまいりますと、いいところは全部、あんこに例えればいわゆるあんこは全部持っていかれて側だけ残るというような、国鉄の立場からいいますとそういう立場になるんではなかろうか、こういうふうに思うわけです。そういったこともよく念頭に置きながら、全体を見きわめながらこの問題も推進をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  今、私の地元で北九州空港が第五次計画の中に入っておるわけでございますが、九州全体として考えてみた場合、あるいは北九州全体として考えてみた場合にも、現在、国際空港というものをつくってくれという話が非常に盛んになってきているわけでございます。ところが板付空港を見てみますと、周辺が大変な密集地になっておりまして、福岡県庁も飛行場側に移ってきた、したがってその方面の空き地も全部都市化がどんどん進んできたということで、これ以上やはり国際空港化するということも困難になってきておりますし、あるいは地方ローカル線の乗り入れもこれはもう限界に来ている。そうなってくれば当然、北九州に、ある一定限度の国際空港的なものを海上空港としてつくる必要がある。一応五カ年計画の中に乗っかっておりますので将来的にはできるだろうとは思いますけれども、空域の問題がいろいろと問題になっているようでございます。  しかし、MLSですか、これがアメリカでは相当進んで、話によれば二百五十とか三百五十もう既に業者に発注した、こういうような話もあるわけでございます。したがって、こういうふうに立て分けて考えてみますと、関西空港が仮に飛行場の問題で夜中に来た飛行機がおりられない場合補完空港をどうするかという問題があるわけでございますが、そういった場合に使うにしても、今考えられている北九州空港というのは海上空港でございますので、そういった面もある程度解消できるのではないか。そういうことで非常に有力であるというふうに私たちは考えるわけでございますが、この北九州空港の建設についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  167. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 新しい北九州空港の整備につきましては、今お話しのように、第四次空整の中でその建設整備の可能性について調査をしてまいっております。私ども基本的には、北九州市というこの大都市が、実際に北九州空港というものが千五百メートルの滑走路で定期便が十分確保できないような状況のまま推移している、どうしてもこの地域が航空のネットワークから取り残されているということは非常に不自然な状況でございます。そういう意味では新しく北九州空港をつくるという必要性については十分承知しているわけでございますが、ただ実際にこの空港を建設するということにつきましては、今お話がありましたように技術的な諸問題が非常にございます。瀬戸内海の周辺の各空港、自衛隊の飛行場等々の関係で、空域の合理的利用という点におきまして非常に可能性が狭い、難しい空港だということになるわけでございます。  今お話しのようにMLSというものを現在開発中で、国際民間航空機関でも、そういうものを研究してこれをこれから国際的に普及させようという動きも出ているわけでございます。ただ、実際にMLSを我が国に導入してそれを現実のものにするというのには、まだ若干の時間がかかるという状況でございます。確かに、MLSという新しい進入方式を使いますれば、これまでのILSというような直線的に長い距離を真っすぐに入ってくるというものとは違いましてかなり自由な角度で進入してこられるということになりますので、そういうふうになりますと、新しい北九州空港というものが現実に使用できる条件が整うということになるわけです。その点につきましては、MLSをこれから具体化するにはなお若干の時間がかかるということで、研究の期間をひとつ置かしていただきたいということでございます。私ども、MLSの開発導入につきましては今後とも、他の空港にも、また日本の空港全体にも非常な大きな影響を与えるものでございますので、精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  168. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間が余りなくなりましたので、今から国鉄問題を少々お尋ねしておきたいと思います。  午前中から余剰人員対策の問題が非常に論議をされたわけでございますが、これは国鉄の中に副総裁を中心にした対策委員会的なものができ上がっておるわけでございますが、これは今から先、午前中の論議の中にもありましたように、やがては十万人を超えるいわゆる余剰人員が出るんじゃないかということまで予想されているわけでございますので、これは政府としてこの余剰人員対策というものを検討する必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、これは大臣どうでございますか。
  169. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) 私がお答えするよりも国鉄総裁から答えてもらった方がいいと思いますが、私は、当然国有鉄道としても考えていただくべき問題である、これはむしろ今後の最大の問題になるのではなかろうかとさえ考えておる次第でございます。
  170. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから大臣は、この問題は総裁が答えるべき問題かもしれませんがという前提がございましたけれども国鉄としては一応は副総裁を中心にしてこの対策委員会ができ上がっておるわけですね。それではどうもやはり力不足である、余りにも数が多過ぎる。したがって政府としてこれをどうするかということを検討するために、各省にまたがるいわゆる対策委員会的なものをこれはっくる必要があるのではないか、こういう立場から申しますと、総裁の答弁じゃなくて大臣の答弁になるわけですよ。それを申し上げている。
  171. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 国鉄余剰人員問題につきましては、先生御指摘のように監理委員会からも、まず国鉄において努力し、さらに「政府においても、国鉄の最大限の努力を前提として、これらの対策の円滑な推進を図るため、政府部内一体となった強力な支援体制を整える必要がある。」、こう御指摘をいただいております。これにつきましては、閣議におきましてこの提言を尊重するということを決めておるわけでございます。  したがいまして、政府といたしましては、いずれかにおきましてはそのような措置を検討していかなきゃならないと思いますが、当面は、まず国鉄が現在やっております余剰員対策、さらにその次に、さらに強力な余剰員対策というものを検討すべきでございまして、それらを待ちながら政府として所要の対応を考えていきたい、このように思っております。
  172. 桑名義治

    ○桑名義治君 それから国鉄監査委員会の報告書で、「地域的に経営主体としての機能を発揮し、責任ある経営管理の可能な組織に再構築すべきである。」、こういうふうな報告書が提出をされているわけでございますが、これは国鉄総裁としてはどういうふうに受けとめ、どういうふうにこれを実現させようというふうにお考えになっておられますか。
  173. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 中央の組織と地方の組織があるわけでございますが、実はこの問題全体につきまして監理委員会が来年の七月に、午前中に亀井委員長さんからもお話がございましたが、来年の七月に回答を出されるということでございます。それで、地方については、もう御承知のとおり、比較的小さい局につきましては、総務と経理をあわせるとか、工務と電気をあわせるというようなこと、あるいは四国等につきましては、自動車事務所を一緒にする、資材を一緒にするというようなことをやっておるわけでございます。ただ、本社につきましてもいろいろ今検討はいたしておりますが、今から始めるとしましても、なかなかやるとなれば年を越したことになってしまうということで、来年以降どういう答申が出るか、それとの見きわめ等も考えなくてはならないと思っておりますが、いずれにいたしましても現在は、地方については今申し上げたようなことをやっておりますし、本社においては再編の計画を練っているのでございますが、実施についてはもう少し先に考えてみたいというふうに考えております。  一番指摘されておりますのが、各系統別の横の、縦割り組織ではないか、横の連絡がないではないかという御指摘が非常にございますが、これらにつきましては、実は役員会等を頻繁に開きまして横との連絡を十分とるということを今心がけておりまして、そういうことで当面カバーしてまいろうかというふうに考えております。
  174. 桑名義治

    ○桑名義治君 それから、午前中にこれちょっと出た問題じゃなかったのかと思うんですが、十六日に国鉄当局としても部門別計画の一次案がまとまったということで報道されて、その中で、六十五年度の全体収支の均衡を図ることを目指し、営業キロ四割カット、それから、要員規模も三分の二前後に減らす、このことを検討しているという記事が載っているわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  175. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 現在、役員会を中心にいたしまして、それぞれ各常務が一つの担当を持ちまして、部門部門の勉強をいたしてございます。これにつきましては、現在まだ検討の過程でございまして、過程の段階でそのいろいろな考え方、いろいろな数値もこれは出てまいっておりますけれども、まだ最終的にこれを組み立てて一つの総合的な形にするという段階までに至っておりません。なおかなりさらに突っ込んで勉強しなければならない分野もございますし、また全体としての整合性という観点からもなおかなり検討を必要とする事柄もございまして、まだ国鉄としての考え方というようなものについてまとまったという段階ではございませんので、新聞に報道されましたものについては、かなり推測の入ったものだというふうに思っております。
  176. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、確定した数字ではないとおっしゃいましたけれども、大体そういう方向で考えているという事柄は我々としても推測できるわけですが、大体こういう厳しい状況を想定をしながら国鉄自身の計画を立てている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  177. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 将来の見通しとしては、かなり航空機あるいは高速道路がさらに延びていくというようなことで、鉄道としての見通しというのが非常に厳しい状況の中にあるのではなかろうかというふうに基本的には思っております。その上に立って、一体国鉄がどうなっていくのであろうかということを見きわめながら将来を考える必要があるのではないか。その際に、単にどういうことになるかということと同時に、これらの鉄道網を維持していくためには一体どういう前提条件が必要であるのかというような点についても十分配慮をしなければならないというふうに思っておりますので、かなり検討する分野というのは広うございまして、非常に多様な問題点を含んでおりますので、それらを総合的に整理をしたいということでございまして、まだ過程の段階でございます。
  178. 桑名義治

    ○桑名義治君 もうこれで終わりにいたしたいと思いますが、いずれにしましても、来年の七月には大体再建監理委員会結論が出てまいります。そうしますと、国鉄の再建案ができましたよと言っても、これはほとんど無視されるに等しいわけですから、その以前にやはり国鉄国鉄としての考え方をまとめて、そしてすり合わせをやるということが非常に重要な問題だと思います。  そういうことで、非常に重要な問題で、拙速につくることはこれは危険を伴いますけれども、しかし一審詳しいのは国鉄自身でございますので、そういった立場から早急に原案的なものをつくって、そして運輸省あるいはまた再建監理委員会とのすり合わせをやっていただきたい、こういうことを要望して私の質問を終わります。
  179. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず、余剰人員対策の三本柱の中の派遣について伺っていきたいと思います。  国鉄労働者は、国鉄法によって職務専念義務というのが課せられております。まさにこれは公務ということになると思います。  そこで伺いますけれども、日鉄法で私企業に出向できる規定というものになっているのかどうか、その点いかがでしょうか。
  180. 太田知行

    説明員(太田知行君) このたび派遣という制度をつくるに当たりまして私どもも一生懸命検討したのでございますが、提案にも、また今度つくりました制度にもありますように、無制限ではなくて国鉄の業務に関連するという枠を設けております。法律上可能だというふうに我々は考えております。
  181. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 身分は国鉄で、しかし労働者は派遣先の就業規則に従う、そしてそこの労務の指揮権は企業にある。また、その派遣先の企業は公務とは全く関係のない利潤追求の私企業の業務ということになると、どうしてこれが総裁の命ずる業務になり得るのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  182. 太田知行

    説明員(太田知行君) 全く国鉄仕事を離れたところへ行くわけじゃございませんで、内容的に国鉄の業務と関連したものということにしておるわけでございます。そこに、枠組みの中で運用する限りにおきまして御指摘のような問題は起こらないと考えておる次第でございます。
  183. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄に関連した業務というふうにおっしゃいましたけれども、解釈によっていろいろ言えるわけですよね。国鉄に関連しない業務というのは、広く解釈すれば何にもないわけです。材料にしろ製品にしろ輸送にしろ、また事務をやっている会社にしたって、事務用品というのは国鉄から運んでもらう。国鉄関係ないなんというのは今の日本でどういうのがあるんですか。全部国鉄関係しますよ。しかし、私企業であるということは公共性なんというものはなくって、まず利潤を追求していくというのが私企業なわけでしょう。だから、あなたのおっしゃる答えというのは納得できない。非常に広範囲に解釈をしていらっしゃるということだけ指摘します、次に具体的にいきますから。  派遣された労働者は、一体労働関係法上どうなるのか、自分たちの労働者としての身分が守られるのかどうかというのが非常に具体的な不満、不安、疑問となっているわけです。  具体的に伺いますけれども、派遣されたその企業の組合に加入して活動ができるのかという点、それから派遣先企業での不当労働行為についての救済は一体どうなるのか、それからストライキに参加した場合それはどういうことになるのかといったような具体的な問題がたくさんあります。このように派遣された労働者は公労法の適用を受けるのか、国鉄法によって。それとも労組法の適用を受けるのかという点です。また、労働基準法や労働安全衛生法等の遵守義務の責任はだれになるのか、具体的なお答えをいただきたいと思います60説明員(太田知行君) 協定の中に、派遣の目的、範囲を定めているのでございますが、内容は省略いたしますけれども、要すれば、さっき申し上げましたように、総裁の命を受けてその企業において国鉄の業務に関連のある仕事をやるということでございまして、あくまでも国鉄職員の身分を保有するわけでございますので、今いろいろおっしゃいましたような点もやっぱりそこを基本にして物を考えていくということに相なるわけでございます。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、肝心なところをきちんと言わなきゃ。要らないところを長々とよくお答えになるけれども。  具体的に私言いましたでしょう、派遣先の企業の組合に加入して活動する問題と、それから不当労働行為についての救済というような場合にはどうなるのか、ストライキに参加した場合、公務員としてと民間企業としての労働者は違うでしょう、それがどういうふうになるんですか。
  185. 太田知行

    説明員(太田知行君) 今具体的におっしゃいましたのは三点でございますね。  組合加入の問題につきましては、これはやはり本人の判断というのが先行すると思いますし、当局としてこれを縛るいわれはないわけでございます。  それから不当労働行為とおっしゃいましたが、これは非常に態様が広うございまして、どういうケースを想定するのかによりましてやはり変わってくるのではないかと思いますので、ちょっと画一的にはお答えは無理かと存じます。  それからストライキの問題につきましては、やはりさっき申しましたように国鉄職員としての身分を保有して国鉄に関連ある業務をするわけでございますから、原則としてストライキ権はないものというふうに考えるのが至当かと存じます。
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしたら、加入の場合本人の判断と今おっしゃいましたね、第一番目の問題。派遣先企業の組合に加入して活動できるのか。本人の判断というのはどういうこと。
  187. 太田知行

    説明員(太田知行君) 何度も申し上げますが、国鉄職員が派遣され、いわゆる出向していくわけでございますから、その国鉄職員として組合に加入している場合もあれば加入していない場合もありましょう。それからまた、複数の組合でございますからいろいろな組合がございます。そのどの組合に所属しているかの違いもございます。派遣された先の組合もまたいろいろな態様があろうかと存じます。そこのところは、本人の思想、信条、物の考え方、それからもとの国鉄職員として所属していた組合との関連性、その他これはもう非常に組み合わせ、問題点が多うございましょうから、そこはやはり本人が判断すべき問題だと、こういうふうに我々は考える次第でございます。
  188. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何だかわかったようなわからないようなことなのね、私に理解できないんですわ。  そうしましたら、例えばストライキの問題にしても、身分は国鉄ですわね、だから公労法によってストライキ権はないということになるんですか。そうしたら、民間企業に入って民間企業の組合に入りますね。そしてそこのところではストライキ権が、民間企業の組合員となればストライキ権はあるわけですね。それはもう無視しちゃうわけですか。あくまでも私企業に入っても公務員としての法律上で守られると、こういうことなんですか。
  189. 太田知行

    説明員(太田知行君) 前段の組合所属の問題は、わかったようなわからないようなとおっしゃいましたのですが、本当にこの組み合わせばたくさんございますので当局としてわからないわけでございます。だからお答えはどうしても、わからないということにならざるを得ないのでございます。これは真実のところでございます。  それからストライキの問題につきましては、スト権はないものと考えております。これも、行った先がおっしゃるように私企業でございますからいろいろなことがあろうかと存じます。しかしながらその私企業の原理原則に一〇〇%従うというわけではなくて、あくまでもその派遣された、出向された人がやる仕事国鉄に関連する仕事だというふうにこれは考えなければいけませんので、やはりそのストライキ権はないという前提で物を考えなければいかぬ、こういうことでございます。  さらに進みますと、じゃそれをあえて押し切ってストライキに参加した場合にはどうなるか、恐らく御質問の御趣旨はそこかなと今伺いながら想定したわけでございますが、その場合にいかなる処分が行われるのか、公労法の処分、あるいは懲戒の基準に関する通達を持っておりますので、そこのところがどのような態様で適用されていくのかというあるいは御疑問かなと存じますが、それは、ストライキに参加すべきではない、参加してはいけないということと、実際に押し切って参加した場合の、その原則と実態の態様をどう組み合わせていくかというのは、やっぱり今ここであらかじめ想定するお答えは無理かと存ずる次第でございます。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ストライキに参加する、しないというような問題じゃなくて、ここで問題にしているのは、身分は国鉄ですわね、そして出先は私企業ですよね、そして私企業の就業規則に従って働くわけですよね。そうすると、その適用は公労法の適用で労働者は守られるのか、それとも労組法の適用で守られるのかというところがはっきりしないんです。  今までのお答えでは、ストライキ権はありません、それで国鉄からの出向を命じたんだからというと、公労法の適用で労働者の身分は守られるというふうになるんですか。
  191. 太田知行

    説明員(太田知行君) 公労法は労働関係でございますので、身分という御質問であれば就業規則というふうに、あるいは国有鉄道法という観点からお答えしたらいいのかと思いますが、端的に申し上げれば、就業規則は二重でございます。あくまでも国鉄職員でございますから、国鉄の就業規則といいますか関係諸通達ですね、これは適用されます。例えば退職金の問題にしたって共済年金の問題にしたって、その他万般でございます、賃金の問題にしたって。そこは原則でございます。しかし、確かに身柄はそちらに行くわけでございますから、行った先にも就業規則はある、いろいろな通達はある、それも適用を受ける、こういうやっぱり二重性は否めないと存じます。ただ基本的な、先ほどのストライキのような問題については、国鉄職員という身分に随伴するものだと存じますから規制は受ける、こういうふうに整理して申し上げたいと思います。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 整理されているんだかされていないんだか、されていないみたいなんだけれども、じゃ次にまた具体的に伺いますけれども、三本柱の規定によりますと、業務災害や通勤災害は労災法の適用で行い差額は国鉄が補償するという意味になっていますね。そうすると、労災の適用を受けるということは、その派遣された労働者は保険に加入することになりますよね。身分は国鉄で、公企体労働者は労災法の適用の除外になっているわけでしょう、現在でいけば。そうすると、身分は国鉄、そして公務で派遣されているというのに、なぜ労災法の適用になるのか。これもまた、いい悪いは別にしてここにもまた矛盾が出てくるわけですね。それをどう考えたらいいんでしょうか。
  193. 太田知行

    説明員(太田知行君) これは協約の中に――これは全部の組合と結んだわけではありませんが、三組合と結んでいる協約、そして通達はそれを受けて実施しておりますが、業務災害、通勤災害等の場合につきましては労働者災害補償保険法による、こういうのをやっておきまして、ただ、中でもいろいろ協約を持っておりますので、その労災法による補償が中の協約に至らない場合、つまり逆に言えば中の協約の方がそれを上回っている補償を決めている場合にはその補償をする、こういうふうに、何といいますか、より有利な方を適用するというふうにしているわけでございますし、労災保険の加入や負担の問題については企業との間でまた詳しくそれはその派遣の都度具体的に決めていく、こういうことになろうかと思います。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その費用の負担増というのはそれも一つの問題だけれども、私が聞きたいのは、公務員ですよね、さっき言われたように。その公務員である労働者が、今度企業の労災法の適用ということになりますね、ここも二重で、というところに矛盾はないのですか。受けられるんですか、労災法という……。
  195. 太田知行

    説明員(太田知行君) 受けられると考えております。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 法的根拠は何ですか、受けられるという。
  197. 太田知行

    説明員(太田知行君) 細かい条文は持ち合わせしておりませんけれども国鉄側と派遣された職員の属する会社との間で具体的な詰めをやりまして、そして労災法の適用を受け得るというふうに私どもは解釈している次第でございます。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ何でもできるわけよね、あなたと向こうと話し合ったら、結果的には。じゃ後で具体的にね。私は、話し合ったらできますという、あなたがやりたいことのために全部やれるなんというんだったら、これは大変なことだからね。だから、それがやれるんならやれるで、法的根拠はどこにあってこういうことができますというのを、後でちゃんとお答えを持ってきてください。  次に移ります。  今言ったような身分の問題についてもこれだけ重大な問題なんです。それが全く不明確だと言わざるを得ないですね。だから、労働者が不安や疑問を持っているのは当たり前だと思うんです。  今度休職について伺いますけれども、二年ないし四年になっていますよね。それから、派遣は三年ないし六年まで行きますね。ところが、あと三年後には国鉄分割民営化されちゃう、全く別の企業になっている。今の国鉄は存在してないんですわ、そのときには。六年もたっちゃったら、国鉄なんというのはどこにあったんだということになるでしょう。そのなくなった国鉄の所属長が幾ら、保障しますなんというのを出したって、これはおかしいことですよね。あるかないかわからないんだから、国鉄そのものが。同時に、新しい分割会社は、その人たち、復職してくるのを雇用する。それについて、私の会社ではそんなことは知らぬということになったら、一体どういうことになるんですか。これも不安の問題ですわね。それだけではない。これから十万ないし十三万の余剰人員が六十一年まで出るだろうと。で、人が余るから休職や派遣ということで国鉄から外におっぽり出しちゃって、そして余っている人が国鉄分割会社に戻ってくる余地は全くないと。復職とか一時の派遣では終わらないということですよね。総裁、責任を確固としてこれは持てるのかどうか。努力する程度では、労働者は納得しないんですわ。これはもう総裁がお出しになっているんだからね、この通達として。だから、総裁ちゃんと答えてください。  まして、けしからぬと私が言いたいことは、委託、外注して、そして余剰人員をたくさんつくった。そして、その余ったと言われる労働者を、何と、その委託、外注会社にまた派遣させる。この間も言ったけれども、全くばかな話ですよね。こんな状況の中で、法的にも多くの疑問が提起されているにもかかわらず、まだ具体的にはっきりと詰めが行われていないのに一方的に労使の話し合いをやめちゃった、強行するというやり方は全くひどいことだと思うんですね。解明する点は残っている。労働者の過半数は納得していないわけですわ。だから、三本柱の規定について組合と団交の継続を図るべきだ、粘り強く合意するまでやるべきだというふうに私は考えるんですわ。総裁が責任者としてこれお出しになっているんだから、総裁から責任ある答弁を求めます。
  199. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 冒頭に御質問がありました派遣または休職という場合に、組織が変わったら帰ってくるところがないということでございますが、これは前回の運輸委員会でもお話がありましたと思いますが、私どもといたしましては、出す場合には職員と私どもの間で雇用契約をするわけでございます。その契約というものは、組織が変わった場合ということを仮定いたしましていろんなものを引き継がなければならないと思いますが、きょうお話しの認識といたしましたように、我々はこの協約は何にも優先して実施すべきものであるというふうに思いますので、もちろんこの点については十二分に引き継ぎをいたしまして、派遣された、あるいは休職になっている一時休職というような方の身分については、絶対に私どもで責任を持つと。もちろん我々の組織がなくなった場合にはそれをきっちり次の組織に引き継ぎをしまして、決して路頭に迷うというようなことのないようにはいたすということでございます。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから、一方的に打ち切るんじゃないと。
  201. 太田知行

    説明員(太田知行君) それじゃ後段の方の、交渉の経緯、あり方について私からお答え申し上げますが、一方的にというお話ですが、決してそんなことはございませんで、長い時間をかけ、相当な回数もかけまして論議は尽くしてまいりました。また最終場面におきまして、三本柱ということで提案をしたのでありますけれども、ある意味では最もウエートが高いと思われる第一の柱でありますところの退職制度の見直しにつきましても、今回の決着を見送りまして、引き続き協議に持ち込むと。また第二、第三の休職、派遣の関係につきましても、内容的には省略いたしますけれども、かなりな部分について譲歩をいたしまして最終提案をした次第でございまして、ある意味ではもうこれ以上譲歩をすればこの制度の根幹が揺らぐというところまで、事柄の円満な妥結を図るために我々は思い切った判断をした次第でございまして、それも急に当方がそういう判断をしたんではなくて、まさに時間をかけ回数を重ねて論議を交わした結果としてそういう判断をしたのでございまして、私どもはその譲歩することによって関係組合のすべての同意を得られるものと期待したのでございますが、結果は残念なことに相なっているのでございます。  そういうふうに、労使の協議でございますから一々その中を御説明をするわけにまいりませんが、私どもとして、十分に論議を尽くし、十分に相手側の組合の意向、意見も酌んだ上での交渉をやつたつもりでございます。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間がないからちょっと最後にまとめて質問しますけれども、あなたは十分に話ししたとかと言うけれども、それはあなたの考え方でしょう。相手は、もっと話をしなきゃならない、詰めなきゃならない、まだ受け入れられないよと言っている。客観的に私は言っているんですわ。  それから総裁ね、私はもう最優先して身分保障しますと言うけれども、相手がどこがどんなのが出てくるかわからない、そんな漠然とした、相手がわからないのにその相手と一生懸命やりますなんと言っても、これは全くもう説得力もないし、労働者の不安はそこから来ているんだと言わざるを得ないですね。幾らあなたが頑張ったって、それはもう一片の紙切れにしかすぎないですよ。何が出てくるか、相手がわからないじゃないですか。  それから、最後ですから雇用安定協約について伺いますけれども雇用安定協約の最大のポイントは、本人の意に反する免職及び降職は行わないということですよね。それをなぜここで廃棄しなければならないのかという点ですね。いろいろおっしゃると思います。雇用の不安になる、これをきちっと破棄してそして整理しないと。だから雇用安定協約を破棄するというふうにおっしゃるんだけれども雇用の不安を感じているのは、私はここで言いたいんだけれども、皆さんではないんですね。皆さんはそんな心配はないんですよ。一番雇用の不安を感じているのは一体だれなのか。労働者でしょう、そして労働者の家族でしょう。本当にその人たちはもう、寝るにも寝られないという不安に駆られている。その立場の気持ちというものがわかっていらっしゃらない。そして本人、家族、そして国鉄関係の労働者の半分以上の人が、余剰対策に、ちょっと待ってと。疑問がある、不満があると言っているわけですよね。それに太田さんの方は、いや私の方としては十分に話も詰めている、時間もかけましたというふうにおっしゃるけれども、それについて向こうは、これはちょっと待て、もっときちっと団体交渉しましょうやと言っているのに、十日付で破棄ということをされたわけですよね。  これはまさに、この前も私言ったけれども、おどかしですよね、全く脅迫です。これは破棄されれば、本人の申し出も同意もこんなものは関係なく、もうそれこそ指名解雇、自由に解雇できるということですよね。これは大変なやり方ですね。おたくの目的のためには、もうこんな身分保障も何にもないということになってしまうのではないですか。そういうことから関して、これは本人の意思に反して休職されないとか、本人の意思に反して派遣ということはしないというふうにしなければ、明らかに日鉄法に違反してくると思うんですけれども、どうお思いになりますか、その点についてもね。  ちょっと待ってよ。あのね、いつから太田さん総裁になったのよ。私は総裁としての仁杉さんに聞きたい、運輸大臣としての細田さんに聞きたいんです。だから、太田さんのはもうよろしい。  そして大臣に最後に伺いますけれども、八月二日の私の質問でね、議事録にも残っています、三本柱の「問題を話し合いをするということは、直ちにこれができなければ雇用安定協約が破棄されるという性格のものじゃないと思うんです。」と、そうおっしゃいましたよね。実施予定が合意できない、すなわち破棄通告される。こんな問題を抱えてこれが破棄通告される、まさに本当に、どなたかおっしゃったけれども、形を変えたファッショ的なやり方ですよね。こういう点を私は何としても許しがたいと思うんです。  これについて、大臣とそれから総裁の背任ある答弁をいただきたいと思います。
  203. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今小笠原先生から、脅迫ではないかというようなお話もございました。しかし、私どもとしては、今太田常務が御答弁いたしましたように、時間もかけ、お話し合いも随分したというふうに考えております。
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 おたくの方が考えていること、相手は考えてない。
  205. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) そうです。それはおのおののお立場がありましょうからいろいろなお考えはあると思いますけれども、私どもとしてはそういうふうに考えます。  それで、雇用の問題につきましては、先生御指摘のとおり大変な問題でございますから、私どももできるだけの努力はいたしてまいりたいと思いますが、今度提案した案件はそう難しい案件だとは私、これも考え方でいろいろあると思いますが、世間的に見ますとそう難しい案件であるということではないし、またそれを妥結した場合には雇用安定協約も守っていきますということも表明してあるわけでございまして、そういう点では私どもできるだけのことはいたしたと思うわけでございますが、それに対して同意を得られなかったということはまことに残念でございます。しかし、今後もできればそのままの形で妥結できるように私どもも考えて努力をしてまいりますが、どうかひとつ我々の意のあるところも酌んでいただいて、ひとつ御協力も願いたいというふうに考えているわけでございます。
  206. 細田吉藏

    ○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。  私は、今度の三本柱の交渉が全労働組合と妥結ができなかったことについて、政府としてまことに遺憾でございます。国鉄に火がついておるんです、もう。現実にもう二万五千人という人が余っている。こういう中で話し合っておるわけでございますから、何としてもこれは妥結してもらわなきゃ困る、このように実は考えておるのでございます。しかも現に三組合においてこれが了承をしておられるということで、一部の組合、特に大きな国鉄労働組合の方が残されたわけでございますけれども、私は話し合いはっかないはずがないと思うのでございます。そういう点で私は、当局側も組合側もどういうふうにお考えになっておるのか。これはそれこそ徹夜してでも何でも、徹夜もなさっておるかもしれませんけれども、もっと徹底的に話し合っていただいて話し合いはっくはずだったんじゃないかというふうに実は思っておるわけなんでございまして、国鉄の側としては、三カ月たって、もうこれ以上交渉を続けても見込みがないというような判断に立ったようでございますけれども、私はこういう点についても、あくまでも国鉄の中の話、労使の話でございますから、粘り強く話し合いはやっぱりされないと現実にはなかなか困った問題が起こるのじゃなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  207. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もうやめますが、最後に言いたいことね。  もうおたくの方で話し合いするといってもね、やっぱり具体的に提起しなかったら話し合いにならないじゃないですか。さっき言った身分の問題にしたってあいまいでしょう、まだ。具体的にどうなるという先のわからない霧みたいなものの中で話し合いというのは、なかなか具体的に進まない。だから、もっと具体的な先行きというものがきちっと出されてそして話し合いしなければだめだと言いたいんです。  終わります。
  208. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最初に、ブルトレの今回の事故に関連をいたしまして一、二点お伺いをしておきたいことがあります。  今度の事故は、死者が出なかったこと自体が奇跡的だったと言われるほど私は大変な事故だったと思うんです。ところで、このブルトレの事故は五十七年にもございまして、あれから二年たっているわけですが、あの名古屋の五十七年の事故の際にも当時の高木総裁が、再びこのような事故を起こすことのないように努力するということの声明まで出された。しかし、依然としてそれ以後十五件、これは表にわかっただけで十五件ですからね、そのほかのわからない発見されなかったものも含めれば、私はかなりな数に上ると思うんです、この飲酒運転というのは。今回も、この事故を契機にして先ほど総裁から、今後そういうことのないように最大限の努力をする、そして特別査察も今回は実施するということで、それはその対応として私は結構だと思うんですけれども、問題は、事故が起きた、再発防止のために努力をする、さまざまな努力をしたけれども結果としては何の前進もなかったということが証明された、ここが問題だと思うんですね。  要するに、基本的な問題が依然として解決されていないし守られていない、こういう結果が出たのではないか、こういうように私は思うんですね。特に重要な点は、通達とか規程、規則、こういうものが国鉄の職場の中では極めて軽視されているのではないか。通達が来る。現場ではその通達をただ読み上げるだけ、――どうなっているかわかりませんが、そして軽く受け流してそのままで終わり。こういう軽く扱われているのが、極めて今度の問題でもそれが遠因になっているのではないかと私は思っているわけです。国鉄当局としては過去五回にわたって総点検を行いました。そしてかなりの部分が改善をされたという報告もされていますけれども、この基本的な改善ができなかった、ここが非常に重要な問題だと思います。  私も、この委員会などを通じまして、職場規律の問題に関連してリボン、ワッペンの問題をしばしば取り上げてきたんですが、リボン、ワッペンという問題は、これは単なる軽いものじゃないんですね。本当はルールを守らなきゃいけないのにルールを外しているというのがこれです、これが象徴ですからね。これが国民の目の前に毎日触れているわけですから、この辺のところが重要な問題だ。こういうことが依然として守られていないということは、職場規律の改善というものがもうほとんど行われてこなかった、こういうのと同じじゃないか、こういうように思うんですね。  だから、もうこの事件を契機にして、待っているわけにいかぬじゃないか、規律の問題についてまさに重大な決意を行って、具体的に私は言いたいんですが、国鉄当局がある時期を決めて、そこまでに完全にこれを改善するというような目標を持った対策を立ててもらいたいと思うんですが、この点についての総裁のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  209. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今伊藤先生からお話がございましたように、今回の事故を見ておりますと、教年前からの職場規律の改善ということ、これはある程度の改善はされたとは思いますが、それではすべてのことにきっちりしているかというと、まだまだであるという認識は前から私も持っておりました。今先生の御指摘がございました通達というようなものについても、必ずしも徹底されていないという面があることは御指摘のとおりであるというふうに思います。しかし、この改善に向けて総裁という立場でいろいろ改善の方策をとるということはもちろんでございますし、点検のやり方ももう少し徹底するということも必要であろうというふうに思っておりまして、特別査察というようなことはそれの第一歩であるというふうに御理解を願いたいと思うのでございます。  このリボン、ワッペンの問題は、私も今先生のお話のように一つのシンボル的な問題点であるというふうに考えておりまして、今までも各現場におきまして管理者が極端に言えば声をからしてまで努力をしているわけでございます。  それで、これらの問題点につきましていろいろな対策というか考え方があるわけでございますが、私ども現在考えておりますのは、もう少し管理者が一人一人の職員の意識の革命ができるよう、革命と申しますか意識の改善と申しますか、そういうものができるように説得の努力を重ねてまいりたいということ。まあ、直接管理者が本人に注意するということを繰り返してまいりますが、その結果として、最近といいますか、数年前から職員管理台帳の整備ということをいたしております。これもまだ、点検した結果では、全職場で完全にできているとは言いがたいと思いますが、今極力そういう方向で管理者を指導いたしておりまして、この職員管理台帳にきっちり記載をしていく、そして人事考課に反映させていくというような形で現在取り組んでおります。  先生の御指摘のように、ある期限を切ってというのも一つ方法だと思いますが、もう少し今の段階では粘り強い説得を重ね、今言ったように人事考課に反映するというような方向で処理をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  210. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 結局、職場でリボン、ワッペンをつけているということは、私は基本的には点呼というものがしつかりやられていない。本当はやられていないと同じことじゃないか。今度の場合でも、電話点呼なんていうほかの職場では考えられないようなことをやっておる、まあこれは改善されることになりましたけれども、そういうことだと思うんですが、この点はひとつ総裁の今の御答弁を十分に私も理解をして、これはこれで終わります。  もう一点お伺いをいたしますが、先ほども十月九日の団体交渉のことが言われましたけれども雇用安定協約を三組合について国鉄側からは破棄したということになるんですが、この問題は具体的には一体どうなるのか。来年の十月の十日には本当の期限が来るわけですが、例えば六十一年の退職の際に、協約を締結している組合と締結していない組合との間に何か差が出てくるのかどうか。例えば、協定のない組合の組合員から先に退職の際に肩たたきが行われるとか、あるいは合理化による配転などについては優先的に行われるとか、そういう差が出てくるのかどうか。マスコミなどの報道によれば、指名解雇もこれによって不可能ではなくなったというようなことも言われておりますし、その点についてはいろいろ法律的にさまざまな解釈もあるようでありますけれども、一体この辺のところがどういうようになるのか。法的な面も含めまして、おわかりでしたら簡単で結構ですがお答えをいただきたい。
  211. 太田知行

    説明員(太田知行君) 雇用安定協約の破棄のための手続を開始いたしました。内部の協約によりまして、この手続につきましては、まず三カ月話し合いをする、それで了解点に達しない場合には、自動的に六カ月さらに期間を延長して話し合いをする。で三カ月、六カ月を経過した時点でなおかつ話し合いがつかない場合には、労組法十五条によりまして九十日の予告期間を設けて解約することができる、こういうふうに私ども考えている次第でございまして、御指摘がありましたように、今直ちにこれが破棄になったわけではございません。現に、私どもは今最初の三カ月の期間に入ったばかりでございまして、来年の一月にその期限が参りますが、その期限は明示した上で、このもとになりました二本柱でございますが、につきまして、さしあたり既に妥結した組合のものと同じ内容で妥結するように説得し、働きかけているところでございます。  したがいまして、このまま事態が推移すればいかなることになるかという点につきましては、今ここで一年後について推定をするのはいかがかと存じます。当面は、この同じ内容で妥結をしてもらうということに力点を置いて努力してまいります。  ただ、後段でおっしゃいました法律的な性格につきましては、この雇用安定協約ができましたのは昭和三十七年でございますけれども、当時の古い記録によりますと、これは当局の解説書なんですが、「これは、」というのは雇用安定協約ですが、「これは、日鉄法第二十九条第四号に対し、労使間の約束でその運用を制限するということになるが、」という解説がしてございまして、それを裏から言えば、この雇用安定協約がなくなれば日鉄法二十九条四号がストレートに適用されるということに相なるということは、この当時の由来からしてはっきりしているのではないかと存じます。おっしゃるように、じゃ日鉄法二十九条四号のいわば運用の手続あるいはその効果ということについては、これは直ちにきょうここで申し上げるところまでは検討が進んでおりません。  以上でございます。
  212. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 次の問題で、通船の問題でお伺いをしておきたいんです。  通船の問題は、はしけと同様に荷役革新の影響を受けまして大変厳しい状況にある、これは御承知のところです。そこで、この事業の安定と雇用の安定のために海員組合や通船事業者が運輸省にしばしば要求をして、運輸省ではその要求に従って、五十六年には実態調査も行った。実態調査ではますますその厳しいということが浮き彫りになったんですが、その厳しい状況が浮き彫りになった実態調査に基づいて、この問題をどうするかということで通運業者並びに海員組合で政官労の協議をやろうじゃないかということを申し入れした。  ところがナシのつぶて。それはもう自然に野たれ死にしてもいいんだというような態度で運輸省は対応した。  これはしたがって、今度は地方でも、この問題について港湾管理者も含めて三者協議をやろうじゃないかとこれも提案をしている。地方では、中央が何かできなければおれの方は何も対応できない、こういう言い方です。中央は、地方で何かやればおれらも対応できる、こういうような形で、全く無責任な行政です、そういう見本みたいな。経過を聞いてみますと、そんなような状況で推移をしてきているわけですね。私はこの点は大変けしからぬと思うんです。  問題は、確かに人員の問題からいけば少ないかもしれないですね、やめていく人やなんか、総体的な人員からいけば。だからといって、それは事の重大性からいけば同じだと思うんですよ。同じだと思うけれども、運輸省の当局の態度、しかもその交渉の相手がいつのまにか転勤していなくなればまた新たに要求をする、要求をしてももうそれは知らないみたいな態度で対応してきている。こういうことが一体行われていいのかどうかですね。いよいよ政策官庁への脱皮ということで大変いい傾向になったと思っているんですが、この際この問題についても、海員組合その他の申し入れのとおり、協議会を設置してこの問題について真剣に対応していくんだ、こういう姿勢を私は示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  213. 小野寺駿一

    説明員小野寺駿一君) 通船の問題につきましては、基本的には、港湾法に基づきまして通船が円滑に運営されることが必要である、望ましいという立場を、港湾管理者の立場として持つということになっておるわけでございます。そして、通船につきましては、先生今御指摘のとおり、沖荷役が非常に減っておるという観点から、通船の仕事が減っておる。そういうわけで、厳しい状況にあるというのはもうおっしゃるとおりでございます。そこで、現段階におきましては、港湾管理者におきまして、港湾管理者の行うべき業務を通船の業者の方に業務委託するというふうな形で、言うなれば兼業のようなものをしていただくというふうな形で順次しのいでいただいておるというのが実態でございます。  それで、かつて五十六年度に、先生おっしゃるとおり調査をいたしまして、五十七年の五月にその調査の成果も御説明申し上げておるところでございます。そこで兼業も含めての経営状態というものを把握いたしておりまして、まずまずやっていけるというふうな状況にあるというのが実態ではないか、平均的に申しましてそういう状況であるのではないかというふうに把握しております。しかしながら、現実には、それぞれの港におきましてのそれぞれの通船につきましてはまだ課題をそれぞれ抱えておるわけでございますが、その課題につきましては、それぞれの港におきましてその状況が皆違う。したがいまして、具体的にその対策を講ずるという点につきましても、それぞれの港においてまた事情、状況の違いに応じて具体的な対策を立てていかなければならないというのが現状であるというふうに、私ども理解いたしておるわけでございます。  したがいまして、そういう観点から、各港湾におきまして、各港湾管理者におきましてそれぞれの具体的な対策が関係の方々とよく話し合いの上で確立されていくということが望ましいという立場をとっておりまして、関係の港湾管理者に対しまして私どもの方からその旨申し述べるというふうなことをいたしておる次第でございます。今後とも私どもの立場としましては、各港湾管理者においてそれらの具体的な対策が順次話し合いの上で確立されることが望ましいと考えておりますが、さらにその上で問題が整理され、必要とあれば中央におきましての問題整理のためのお話し合いというふうなものも必要になってくるのではないかというふうに考えておるのが現状でございます。
  214. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そういう対応が今までだったんですよ。それは各港でそれぞれ違うことはわかっているわけですよね。ただし、全体の問題として、そういう中央で協議会を持って相談をしようじゃないか、地方は地方ごとにやろうじゃないか、これはずっと今まで続いてきたんですよ。今のようなお話だと、また同じことを繰り返すんじゃないですか。  だからこの際、そういう今までの経過を十分に踏まえて、新しい観点から中央協議会なり地方協議会なりを積極的に開いていただく意思はないだろうか、こういうことを私は問うているんですよ。簡単で結構ですから、ちょっと。
  215. 小野寺駿一

    説明員小野寺駿一君) 今申し上げましたように、問題が大変港によって異なりますので、中央でどういう形で対応していったらよろしいのかという点についてはいろいろと検討しなければならない点もあろうかと思いますので、関係の向きと私どももよく御相談をいたしまして中央における対策のあり方というものを検討してまいりたいというふうに思う次第でございます。
  216. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 わかりました。それで、ぜひ早く実施をしていただきたいと思います。  最後にお伺いをしたいんですが、地方交通審議会ですね、これは、現在の交通のいろいろな変化の中で地域交通の問題が重要なんですけれども、そこで、積極的にその問題に対応するために審議会を十分に活用をすべきだと思うんですが、どうも聞くところによると、その審議会そのものが開店休業のような状況にあるところが多いと聞いているわけです。この現状はまずいと思うんですよね。特に政策官庁への脱皮をしたばかりのところでございますから、その点については十分に配慮をして地方交通審議会の積極的な活用を図っていただきたいというのが私どもの考えなんです。  それと同時に、その審議会の中に労働者の代表を積極的に入れていただきたい。聞くところによると、その協議会の中には労働組合の代表が、正代表というんですか、正代表として入っているのはごく少ないんですよ。ほとんどないですね。特別委員として任命されているところが多いんですよ。これはあるんですが、その特別委員としても任命されていないところもあるんですよね。そういうように現状がなっておりますので、ぜひとも働く者の立場の意見を反映するための積極的な対応をお願いしたいと思うんですが、その点についての局長のお考えをお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  217. 山本長

    説明員(山本長君) これから運輸省の地域における行政を展開していく上におきまして、地方交通審議会を十分に活用すべきだという先生の御指摘、そのとおりだと存じます。  組織改正によりまして地方交通審議会という名前になったわけでございますが、ついこの間までは地方陸上交通審議会という名前で活動がされておりました。これまでのこの審議会の活動は、主として府県ごとの地域交通計画を策定するということで、おおむね府県単位、道は支庁単位というふうな単位で地域交通計画を策定するという作業が中心でございました。現在まで二十三地域におきまして策定が終了いたしまして、現在七地域につきまして計画を策定する作業を進めていただいております。残り二十地域残っているわけでございますけれども、これにつきましても引き続き審議をお願いいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、さらに地域の意向を反映したきめ細かい地域行政を推進する必要があるという観点から、これは来年の予算に関連いたしますものでございますから、私たち、現在そうしたいということで検討いたしており、また予算を財政当局にもお願いをしておるわけでございますけれども、本委員会ということだけではなくて、県単位の部会というものをつくり、常設の部会をつくって、そして御意見を吸収させていただきたいというふうな考えで検討を進めております。また、地域によりまして非常に観光関係に御熱心なところもございまして、ブロック単位の広域的な観光行政を推進するために審議会に観光部会を設けるということも検討をいたしておるのでございます。予算の関係がございますので、来年度でございますけれどもそういったことを予算の決着を待って実施していきたいというふうに考えておる次第でございます。現在のところそういった考え方で積極的に活用するといいますか、地域の意向を反映した行政を推進するということで進めてまいりたいというふうに考えております。  それから二番目の先生の御指摘の、委員の構成でございますけれども、御指摘がございましたように、本委員につきまして大体九名で構成されております。そのほかに専門委員というふうなお願いをしておる場合もございますが、本委員の構成は大体学識者それから報道関係あるいは経済界それから一般の利用者の代表の方それから労働界といった構成になっておりまして、若干これは先生にも御説明をする必要があるというふうに考えておりますが、大体九名のうち一名は労働界の方に入っていただいておる現状でございます。そのほかに先生御指摘の特別委員という形で参加をしていただいておる地域が、これは全部でございませんが、あるという現状でございます。委員の構成というのは非常に重要でございますので、現在の運用をさらに先ほど申し上げましたような拡大をして運営をさせていただきたいというふうに考えておりますので、そういった際にもまた委員というものについて私たちお願いをしていかなきゃならぬものでございますので、先姐御指摘のように広く地域の意見というものが反映されるような構成ということを念頭に置いて進めてまいりたいというふうに考えております。
  218. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  219. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました運輸事情等に関する実情調査のための委員派遣につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 矢原秀男

    委員長矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会      ―――――・―――――