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1984-03-12 第101回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月十二日(月曜日)     午前九時一分開議  出席分科員    主査 石原慎太郎君       海部 俊樹君    谷  洋一君       大原  亨君    山中 末治君       湯山  勇君    池田 克也君       遠藤 和良君    玉城 栄一君       吉浦 忠治君    兼務 井上 一成君 兼務 小林  進君    兼務 清水  勇君 兼務 新村 勝雄君    兼務 細谷 昭雄君 兼務 和田 貞夫君    兼務 渡辺 嘉藏君 兼務 草川 昭三君    兼務 米沢  隆君 兼務 小沢 和秋君    兼務 林  百郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 森  喜朗君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     田川 誠一君  出席政府委員         文部政務次官  中村  靖君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房会         計課長     國分 正明君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      大崎  仁君         文部省管理局長 阿部 充夫君         文化庁次長   加戸 守行君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田井 順之君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房会         計課長     大塚 金久君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君  分科員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  陶山  晧君         沖縄開発庁総務         局企画課長   藤田 康夫君         国土庁長官官房         防災業務課長  松本 和雄君         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         大蔵省主計局主         計官      米澤 潤一君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         厚生省保険局国         民健康保険課長 阿部 正俊君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      平松 孝雄君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     吉川  汎君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      武政 邦夫君         労働省職業訓練         局管理課長   石川 俊信君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         自治省財政局地         方債課長    柿本 善也君         日本国有鉄道建         設局停車場第一         課長      林  正雄君         日本国有鉄道電         気局計画課長  小柳  浩君     ————————————— 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   奥田 幹生君     谷  洋一君   湯山  勇君     広瀬 秀吉君   池田 克也君     遠藤 和良君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     奥田 幹生君   広瀬 秀吉君     大原  亨君   遠藤 和良君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     井上 普方君   小川新一郎君     池田 克也君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     奥野 一雄君   池田 克也君     森本 晃司君 同日  辞任         補欠選任   奥野 一雄君     山中 末治君   森本 晃司君     橋本 文彦君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     広瀬 秀吉君   橋本 文彦君     吉浦 忠治君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     井上 普方君   吉浦 忠治君     玉城 栄一君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     湯山  勇君   玉城 栄一君     橋本 文彦君 同日  辞任         補欠選任   橋本 文彦君     池田 克也君 同日  第一分科員新村勝雄君、細谷昭雄君、林百郎君  、第四分科員小林進君、渡辺嘉藏君、草川昭三  君、第五分科員米沢隆君、第六分科員井上一成  君、小沢和秋君、第八分科員清水勇君及び和田  貞夫君が本分科兼務となった。      ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算  (文部省及び自治省所管)      ————◇—————
  2. 石原慎太郎

    石原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算自治省所管について政府から説明を聴取いたします。田川自治大臣
  3. 田川誠一

    田川国務大臣 昭和五十九年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は二千二百万円、歳出は九兆一千五百五十七億一千七百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額七兆七千九百三億五千百万円と比較し、一兆三千六百五十三億六千六百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆一千三百七十一億四千五百万円、消防庁百八十五億七千二百万円となっております。  以下、主要な事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  4. 石原慎太郎

    石原主査 この際、お諮りいたします。  ただいま自治大臣から申し出がありましたとおり、自治省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石原慎太郎

    石原主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔田川国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、八兆八千八百六十四億円を計上いたしております。  これは、昭和五十九年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆七千百四億円と昭和五十九年度の特例措置額一千七百六十億円を合算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、一千八百二十九億円を計上いたしております。  これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費として、百二十三億九千九百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、十億七千六百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金交付するためのものであります。  次に、再建地方都市バス事業車両更新費補助に必要な経費でありますが、二億二千七百万円を計上いたしております。  これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業車両更新費補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、八十億八千七百万円を計上いたしております。  これは、公営地下高速鉄道事業債支払い利子に相当するものとして発行を認めた特例債利子の一部について、地方公共団体助成金交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、百五十億一千二百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫上水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等整備推進に必要な経費でありますが、十二億六千九百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設整備計画の策定に対する補助及び当該施設整備に対する助成交付金交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億六千四百万円を計上いたしております。  これは、選挙人政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について御説明申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十一億六百万円を計上いたしております。  これは、震災等規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設整備及び耐震性貯水槽コミュニティ防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るとともに、防災知識啓発及び消防防災対策調査推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百二十八億七千二百万円を計上いたしております。  これは、市町村消防力充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定歳入予定額は二十一兆七百八十億六千万円、歳出予定額は二十一兆五百七十億六千万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定歳入予定額は七百二十五億九千八百万円、歳出予定額は六百七十三億二千二百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和五十九年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  6. 石原慎太郎

    石原主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 石原慎太郎

    石原主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  8. 井上一成

    井上(一)分科員 まず、田川自治大臣に、新大臣についてはいろいろとさまざまな意見が寄せられていると私は思います。それは新しい取り組み初めてのことですから、いろいろな角度から御意見があって当然だと私は思います。私はむしろ、新大臣の今後の取り組みに大いに期待しているわけです。地方自治を確立していくという大変御苦労な主管の大臣でございますが、どうぞ十二分に過去のいろいろな問題点田川大臣がすっきりと解決をしていただけるように、国も地方自治体も相協力をして、新しい自治省取り組みを期待したいと思います。  さて、最初に私は、財政問題について質問をしておきたいと思います。  御承知のように、国は地方団体に対しては地方財政健全性を獲得するためとの理由で、起債許可方針の中で起債制限比率を設け、それを超える起債は許可しないとの指導を行っていらっしゃるわけであります。しかし、反面、国自身はどうなのか。国の国債依存率は表面上は二五%であるわけでありますが、地方団体固有財源であり、国の予算上いわば通り抜けの勘定となる地方交付税分を差し引いて計算すると、三〇%になってしまうわけなんです。同じように、地方団体公債比率に相当する国債比率計算をしますと二二%にも達してしまう。このような状況のもとで国と地方の調和のある財政運営ができるのであろうか、こういうことを私は疑問に思うわけでありますけれども、まず自治省の御見解を聞いておきたいと思います。
  9. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のように、最近の国の財政状態公債費負担が年々重圧となっております。結局、このことが予算編成各般を通じまして、あらゆる面に影響が出てきているわけでありますが、地方財政につきましてもその例外ではないと思います。歳出の抑制あるいは各種の制度の見直し、これを通じまして地方財政にもいろいろな意味影響を及ぼしており、憂慮しておるところでございます。結局、このような国の財政の体質の基本を直さない限りは、今後とも地方財政運営はいろいろな意味で厳しい局面に立たされるということは否定できないと思います。
  10. 井上一成

    井上(一)分科員 国と地方団体との関係を申し上げたわけですけれども、このことは地方団体、とりわけ都道府県市町村との関係においても私は問題を指摘しておきたいと思うのです。  国と地方団体は、本来、対等平等な関係にある、ただ、その果たしていく役割とか機能という面で相互に協力、補完をしていくべきだと私は考えるわけです。さすれば、地方団体である都道府県市町村においても、国と地方団体との私が今申し上げたような関係でなければいけないと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  11. 石原信雄

    石原政府委員 現在の地方自治法のもとで、また地方財政制度各般のもとで、都道府県市町村はある面では並立的な関係にあり、またある面では都道府県が広域的な団体として市町村に対していろいろな意味援助協力指導をしております。そういった意味では、国と地方都道府県市町村はともに助け合っていかなければいけないという意味で非常に共通した面があると思います。
  12. 井上一成

    井上(一)分科員 しかし、現実には、国、都道府県市町村の間では事実上の上下関係というのですか、私は上下関係という言葉それ自身も使わないのですけれども、実質的には上下関係のような意識の中で、そういう立場の中で、それを利用して国は、国の財政が苦しいからと都道府県負担を転嫁していく、あるいは逆に都道府県市町村にそのしわ寄せを、都道府県財政が苦しいからということでそのしわ寄せを行うというのですか、押しつけていくというのですか、結果的にそうなっていくという非常によろしくない慣行があるのではないだろうかと思うわけです。  いろいろな問題、そういう具体例がありますが、きょうは、例えば都道府県市町村との関係府県道整備を含めた区画整理事業一つの例に取り上げておきたいと私は思うのです。  区画整理事業を、国庫補助を差し引いた基本事業費を双方で折半負担の約束で市町村が施行していく。御承知のように、区画整理事業のように長期にわたる事業は、当然収支計算の見通しを長期にわたって立てて事業を着手するわけですね。その途中で大幅な補助率の減額が仮に一方的に行われたとしたら、事業継続自体が困難になってしまう。また、その結果どうなるか。市町村財政が非常に窮地に陥ることは、これはもう明らかだ、私はこう思うわけなんです。いわば、府県側が一方的に打ち切っていく、しわ寄せ市町村側にかかるというこういうケースを一体自治省はどうお考えなのか。どういうふうに今後適切な指導をなさろうとするのか。ひとつこの点についても聞いておきたい、こう思います。
  13. 石原信雄

    石原政府委員 都道府県市町村との間の負担関係では、かつては高等学校の設置に際して市町村負担を求めるということで、しばしばトラブルが起こりまして、これについては、私どもはこれを廃止するように指導してきております。  ただいま御指摘の点は、土地区画整理事業についての都道府県市町村負担関係の変更の問題かと存じますが、確かに土地区画整理事業というのは、恐らく今日の都市整備の上では一番基本になる事業でありますけれども、同時にまた、最も金がかかる、財政負担の大きい事業であります。したがって、これらの事業については、先生指摘のとおり、相当長期計画的にこれを行わなければならない典型的な例だと思います。その負担関係について、市町村とすれば当然将来を見通して、国の負担金がどれだけ来るのか、その援助がどれだけあるのかを見きわめた上で事業着手していると思いますから、その計画の途中で、単に財政上の理由だけで一方的に府の負担を変更するということは、これは大変な問題であると思います。具体ケースについては承知しておりませんけれども一般論といたしましては、当然その事業継続の問題と関連して、府の負担を変更するというのであれば、関係団体十分論議を経た上で結論を出すべきものではないか、このように考えます。
  14. 井上一成

    井上(一)分科員 大臣にお伺いをしておきたいのですが、関西空港建設が今大きなプロジェクトとして提起されています。大臣は、運輸大臣からこの空港問題について何か御相談なり御意見を求められたことがおありでございましょうか。
  15. 田川誠一

    田川国務大臣 特別に相談を受けたことはございません。
  16. 井上一成

    井上(一)分科員 相談を受けてないということの事実に立って御質問を申し上げるということですが、法人株式方式建設がなされる、こういうことになりつつあります。閣議決定もされています。私は、そのことの可否はここで議論しようとは思っていません。近隣の地方自治体がそのことにおいて特別な財政負担を余儀なくされる、地域整備なりあるいはいろいろな面で財政負担が考えられるわけなんですが、自治省、現時点ででございますが、もちろんそういう相談もないことでございますが、特別に起債の問題も含め、補助の問題も含め、いろいろな問題が自治省にも絡んでくる、こう私は思うのです。  相談がないのだから、今どうします、こうしますということをお答えを求めることは無理だと思います。しかし、これは自治省を抜きにしてそういう問題を論議することはでき得ない。むしろ、運輸省はいち早く自治大臣にいろいろな御相談をなさるべきではないだろうか、私はこう思っているわけです。大臣、これはやはり今後の問題というわけじゃなく、ここをきっちりしておかなければ、これは建設それ自身の問題に大変関係が漂うございますので、自治大臣意見を聞かないという運輸省のこういうやり方一あるいは自治大臣としては関連の自治体に特別な枠でも、特別な財源措置を考えていらっしゃるのかどうか、これは考えるつもりを持っていらっしゃるのか、そういうことも聞いておきたいと思います。
  17. 田川誠一

    田川国務大臣 直接運輸大臣からお話がございませんでしたけれども、御承知のように関係閣僚会議がございまして、関係閣僚会議で当然運輸大臣からこういうような話は、私ばかりでなく、関係閣僚が聞いております。そういう関係閣僚会議の中で、この問題は地方自治体にとりましても大変影響が大きい問題でありますから、今後この建設に当たっては自治省とも十分御連絡、御協議をしていただくという話は私からこの会議の席上申しておいておりますので、その点は御理解していただきたいと思います。
  18. 井上一成

    井上(一)分科員 今後ではなく、やはりそういうことは事前に十分な自治大臣意見を聞かしてもらって、その上に立って運輸省は取り組むべきだ、私はこういうことを申し上げているのです。今後じゃだめなんです。私は、やはりその前段がない限りこれは問題で、進めていくということには非常に大きな懸念を持っています。こういうことなんです。
  19. 石原信雄

    石原政府委員 今度の関西国際空港につきましては、法案協議の段階で運輸省当局からいろいろな説明を受け、協議も受けております。出資につきましては、種々論議の結果、御案内のような割合で国と経済界地元地方公共団体株式出資をするということになりまして、その財政措置に  ついても私ども考えておりますが、問題はその直接的な空港整備以上に関連する公共事業関連事業負担問題が出てくると思います。先生の御指摘のとおりだと思います。  これらにつきましては、私ども運輸省当局から、いろいろなプランを立てる前に御相談いただくようになっております。そして、過去大きなプロジェクトが実施される場合には、必ず地方公共団体に直接間接の影響がたくさん出ておりますから、その影響事前に把握して対策を立てる、こういう心構えで臨んでおります。
  20. 井上一成

    井上(一)分科員 そういうことになると、地方自治体財政負担能力の問題ですね。この問題が大きな一つ問題点になるわけです。そこらを十分配慮していくのか、あるいはそれが本当に地方自治体の、地方自治保護育成、確立につながっていくのかどうか、そこなんですよ。株式法人でやる結果、でき得ない問題もあるでしょうし、十分な相談がないのだから、これ以上私が質問しても答弁もしにくいだろうと思うし、運輸省自治大臣なり自治省にむしろ事前に十分な連絡をとるように自治大臣の方から申し入れをして、それくらいの馬力でひとつやってください。大臣、よろしいですか。
  21. 田川誠一

    田川国務大臣 今後の空港建設に当たりましては、地方自治体に過大な負担がかからないように、私の方からも積極的に空港建設に連絡をしながらやっていきたいと思っております。
  22. 井上一成

    井上(一)分科員 それから私は、どうしてもこれは指摘しておかなければいけない。今いろいろな問題がある児童扶養手当の問題でございますが、先ほどから国、地方団体との協力協調関係、あるいはそれぞれの機能分担の完全な消化をしていくというのでしょうか、役割を果たしていく、こういうことも指摘をしてきたわけなんです。これは私は、五十六年八月四日の委員会においても、国がみずからの負担の軽減を図るために地方団体へその負担を転嫁するのは、いわゆる国と地方との財政秩序に悪影響を及ぼす、そういうことをしてはだめですよ、地方自治の本旨にも反する措置でありますよというようなことを指摘しているわけなんですね。常々僕はそれを指摘してきた。きょうもそういうことを指摘して、一例として都道府県区画整理事業を今申し上げたわけですけれども、そのときにも自治省は、本当に私の指摘したとおりだ、簡単に負担割合を変えるようなことは考えておりません、こういうことを答えているわけです。  五十八年七月七日、このときに私は、具体的に、大蔵省が五十九年度予算で児童扶養手当の二割負担を、一つの気球を上げたわけですね。そのときに児童扶養手当については私は一番最初に国会で取り上げて、とりわけ地方自治の立場からこれを指摘したわけです。ここで私がとうとうと申し上げる必要はないわけですね、お答えもなさっているわけなんです。  少し思い出してもらうためにも、私は、国の利害に関係のある事務を行うための経費として地方自治体負担する義務を負わないことが地方財政法第十条の四で明確に規定されている。こういうこと。さらには自治省の見解を尋ねる私の質問の中で、基本的な理念としては変わりはないでしょうねと念を押しているわけなんです、念のために聞いておきたいと。国がみずからの負担を軽減するため、その負担分を地方へ転嫁するのは国と地方団体との財政秩序に悪影響を及ぼす、地方自治の本旨にも反する措置だ。そうしたら今度はあなたの方が答えていらっしゃるわけです。これは間違ったらいかぬので、そのとおり読みます。   現在の児童扶養手当、特別児童扶養手当、これは内容的には、福祉年金でありますところの母子福祉年金あるいは障害者年金との均衡を図るということでできた制度でありまして、給付の条件とか給付の内容とか、すべてこれらの年金と全く同一であります。したがいまして、そういう実態にかんがみまして地方負担はない、全額国庫負担として今日までこの制度は実行されてきたもの、このように理解しております。したがいまして、この制度の実態が全く変わらないままに、単に財政上の理由その他で地方負担を導入するということは、われわれとしてはどうしても納得できない、こういう考え方でおります。   なお、この問題とも関連いたしまして、児童福祉行政全体につきまして、云々と、諮問機関ですね、その中での児童問題懇談会というものが設けられて、議論を見守りながら対応していきたいと思います。   いずれにしても、基本的には、現行制度の実態が変わらないままに単に財政上の理由その他で地方負担を求めるということは、私どもとしては賛成いたしかねるという考えには変わりはございません。 明確にお答えになっていらっしゃるわけです。これは間違ったらいかぬので、議事録を読ませてもらいました。  私は、これは自治省の見解として今日も変わりはないだろうと思うのです。政府全般の問題として、これは自治省が負けたと言うのですか。まず、この答弁に変わりはない、これをひとつ簡単で結構です。変わったなら変わった、一年もせぬ間に変わったということなら変わった理由を聞いてから——私は変わっていないと思うのですが、その点を。
  23. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま先生の引用された答弁は、私の答弁でございまして、その考え方の基本というものは今も変わっておりません。
  24. 井上一成

    井上(一)分科員 大臣、私はここに問題があると思うのです。自治省としては変わっていない。ところが、国全体が財政負担——その財政を改革したい、再建ではない改革だと中曽根さんはおっしゃっているわけなんです。改革は制度をそれ自体まで実体まで変えてしまうのかどうか。あの方は再建でなく改革だとおっしゃった。それならこういう制度自体までも改めていこうとするのか。それに対して田川大臣は、やはりそうではないのだ、これは理念として基本的には残さなければいかぬ問題だ、だから一、二年辛抱だということでまあまあ渋々同調したのだということなら私はわかる。それも一つの方法だ。しかし、こんなことですべての制度が組みかえられていき、それこそ改革されていくと、地方自治の本旨というものは失われていく、自治省の役割というものはなくなってしまいますよ。このことなんです。大臣、いかがですか。
  25. 田川誠一

    田川国務大臣 こういう問題で制度が改革されたというふうには私は見ておりませんで、今度の児童扶養手当の問題は、児童扶養手当の性格が、従来の年金に準じた性格から福祉政策に変わってきたというような面が非常に出てきているというふうに私は見ているのでありまして、児童扶養手当の性格が福祉政策に準じたような政策になってきた、従来の年金的な政策とはかなり変わってきた。国全体から見れば児童扶養手当というものを見直していかなければならないという考え方がかなり出てきている。そういう面から国全体として、やはり国と地方との関係において地方協力をしていかなければならない。ただし、この地方負担部分についてはできるだけ地方に実際的に負担がかからないように努力をしていく必要があるというようなことで、今回は大蔵との話し合いをつけた、これが実態でございます。
  26. 井上一成

    井上(一)分科員 大臣、時間がありませんから、ここで深く論じようとは思いません。制度自身は実態として現行制度の実体と変わりはないのだということなんです。大臣は福祉云々と言われるけれども、十年前の福祉と今の福祉というものは、概念も変わってきたのです。ちょっと参考に、昔は福祉と言えば思いやりという、何かそういう発想につながったけれども、福祉福祉と言うけれども、今はもう当たり前のこと、当然なことです。それを間違って福祉だと言う人もおるわけです。これは福祉の乱用なんです。言葉の遊びなんです。だから、こんなことを大臣論議しませんが、ごく当たり前のことを私はやはり当たり前に取り組んでほしい。だから、優秀なスタッフもいらっしゃることだし、これは十分省内で議論をなさって、入り込んでしまったけれどもまだこれから手直しがきくのですから、どうぞひとつ大臣の御勇断で、地方自治本旨を踏まえた中で今後の地方自治行政に取り組んでほしい、こういうふうに思います。  それから、ちょっとこれは大臣、あしたにでもお尋ねをしようと思っていたのですが、せっかくでございますから警察関係の問題に入るわけであります。御承知のようにフィリピンでアキノ氏が、いわゆる暗殺というのですか、銃弾に倒れたわけです。それの真相究明のために、アグラバ委員長を中心に日本に来られたわけですが、声紋鑑定ですね。これは外務省の分野で私は聞きますが、そのときのいわゆるフィリピン政府から日本政府への口上書というものが、これはどこへ行ったのか今のところわからぬわけで、これは自治大臣は警察も全部所管をされておるので、どこへ行ったのか、あるいはこのことについて何か大臣は報告を受けられたのか、全くもって報告を受けていないのか、このことだけを聞いて、もう時間がありませんから質問を終えておきたいと思います。
  27. 田川誠一

    田川国務大臣 アキノ氏の暗殺調査問題については、石原議員からも再三、証人の問題でお話を受けまして、私からも警察当局にできるだけ便宜を計らうようにという指示はしておきました。声紋の鑑定は調査団がフィリピンに帰りましてもできるわけでございまして、外務省からの外交ルートを通じての口上書があればできるわけでありまして、警察としてはできるだけ声紋の鑑定に外交上の手続さえできれば応ずるように、そういうことになっているはずでございます。その後、帰りましてからの連絡は、まだ受けておりません。
  28. 井上一成

    井上(一)分科員 ちょっと私の質問、口上書が在日フィリピン大使を通して外務省の方に出たのか、あるいは警察はそういうことを報告を受けたのか、全くこのことについては何ら報告を受けていないのか、このことなんですが。
  29. 田川誠一

    田川国務大臣 まだ警察当局から私はそういうことを受けておりません。
  30. 井上一成

    井上(一)分科員 終わります、
  31. 石原慎太郎

    石原主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  32. 草川昭三

    草川分科員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  まず最初に、自治省にお伺いをするわけでございますが、これは必ずしも自治省だけの問題ではなくて、各省庁にまたがる問題でございますが、会計年度末の三月になりますと、全国の日本の土地というのが道路工事の列島と化すわけでございまして、この問題はもう二十何年前から言われておるわけでございまして、何とかならないのか。子供までが三月になると道路が掘り返されておると言う、こういう問題があるわけであります。ですから、これは私、市町村の市長なり町長ともよくお話をした立場からの発言でございますから、道路の話なら建設省に聞いてくれというような答弁になるかもわかりませんが、そうではなくて、やはり窓口としての意味自治大臣にお伺いをしたいわけでございます。  例えば、ことし一月の建設統計月報というのを見ますと、昨年の実績では、十月、道路工事の受注高は四百七十二億でございます。ところが、これが三月ということになりますと千四百二十八億、こういう数字になるわけでございます。これは昨年の実績でございます。三月の道路工事の受注というのは年間でもトップになるわけでございまして、パーセントでいきましても一八%、年間の最高の一八%が三月に集中をするわけでございます。  これは昭和三十七年の閣議の了解事項の中でも、舗装工事終了後、セメント道路を掘り返す場合には五年間だめだ。あるいはアスファルト道路は三年間、舗装工事終了後掘り返しは禁止をするという通達があるわけでございますが、それにもかかわらず現実には道路工事が集中をするという問題がございます。ひとつその点について自治省としての御見解はいかがなものか、お伺いをしたいと思います。
  33. 田井順之

    ○田井政府委員 都道府県につきましては、私ども公共事業等の発注状況を定例的に調査いたしておりますので、道路も含めて全体では、この数年間三月の契約発注金額は全体事業費の大体六%前後ぐらいになっております。したがいまして、都道府県公共事業費全体として見れば、必ずしも三月に集中しているという形にはなっておりません。  ただ、市町村につきましては私どもが直接調査いたしておりませんので、数字的にお答えできなくて申しわけございませんが、市町村の場合は、一般的にきめ細かい事業がどうしても年度後半の方にずれ込んでくる、その結果、金額的にも件数においてもかなりのものが年度後半に集中するという実情はあろうかと思っております。
  34. 草川昭三

    草川分科員 市民の立場からいいますと、道路に国なり県なり市町村という、一々印がついておるわけではないものですから、これはもうお巡りさんに聞いても、三月は大変だ、あるいは下請の方とお話をしても、もう少し年度間に工事というものが平準化されないのか、これは率直な声でございますね。今公共投資の立場から、自治省の答弁ではそういうお話でございますが、市町村を含めた私の建設統計月報からは、明らかに集中をしておるわけです。  市町村の立場になりますと、ひどい場合は二月議会で事業が議会にかかるわけです。三月エンドに完工しなければいかぬわけでありますね。三月末までに、特にことしのように雪の多いときになりますと、コンクリートの養生期間というのですか、型板を外すのを、三月末までに工事を完了しなければなりませんから、中途半端とは言いませんけれども、型板を外して次の工事を追っていくというような事情もあるわけであります。  これは、内示という一つの手順があり、認可申請あるいは同時に交付申請、そしてさらにそれが県あるいは市町村におりてまいりまして、それから単価が決まります。例えば道路工事の場合だと、用地買収にかかる。用地買収にかかるとなかなか売り主についてはトラブルがあるわけでありますし、納得をしても移転をしなければいけない。移転補償をする。あるいは山間僻地ということになりますと、移転補償の期間の砂防解除の問題だとか、さまざまな手続がある。結局三月末には工事が完了しないということになってまいりますと、その予算が不用額ということになるわけでありますから、不用額にしますと次の補助金がおりないというので、今度は県の段階でやりくりをするわけです。やりくりをする手っ取り早い方法としては、比較的工事のしやすい道路を掘り返して予算を使ってしまおうということで、繰り返し道路の工事が行われていくということになる。  だから、地域住民にしてみると、一番早く道路を拡幅していただきたいとかやっていただきたいという工事がなかなかうまく着工できずに、どうでもいいとは申し上げませんけれども、比較的やりやすいところの工事の掘り返しということに予算が使われていく。こういう現場の実情というものを、これは臨調も一部指摘をいたしておりますけれども、本質的な行政改革というのはこういうわかりやすいところから手をつけることが大切ではなかろうか。  ですから、大きく言うならば、予算制度の合理的な運営ということも必要だと思うのです。だから、町村の方々なんかとお話をしていますと、国の年度会計と町村の年度会計をずらしてくれ、極端なことを言うならば、国は一月から十二月にしてもらって、町村は四月から三月末に、ダブル予算制度でもとってもらわない限り遅々として進まない。あるいは先行投資というのですか、いろいろなやり方で先行投資をするとか、あるいは繰越会計ということが柔軟な形で適応できるような予算執行ということを考えていきませんと、相変わらず三月年度末の列島工事というのが集中をするのではないか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  35. 田井順之

    ○田井政府委員 確かにお尋ねのような実態が各地にあろうかと思っております。ただ、それが補助事業を所管する各省の内示でありますとかあるいは交付決定といったものが非常にずれ込んでいるために起こるということばかりではなくて、そういった面の手続は、私どもの方からも関係各省に対しては極力促進していただくようにお願いしておりますし、また基本的にはそういった姿勢で各省も取り組んでいただいておりますが、交付決定がございましても、お尋ねの中にありましたような用地問題というものは、実は現場では大変な問題でございまして、私ども地方で実情を幾つか承知しておりますが、関係市町村長の努力にもかかわらず用地問題がなかなか解決しないために、やむを得ず事業を振りかえていくとか、あるいは予想しておったよりはるかに着工の時期がずれ込んでいくとかいった実態があろうと思いますので、こういったものについての対策を十分考えていかなければならないかと思っております。
  36. 草川昭三

    草川分科員 これは大臣に要望ですけれども、昔、河野さんですか、道路をもっと急いでやれとか、非常に緊急命令のような形での強烈なリーダーシップがないと、行政のさまざまな問題というのは解決しない点が多いわけであります。それで、例えばわずかな変更の場合はもう地元の市に任せて、完了実績の報告書なんかはもう地元に任せますとか、一々口うるさく変更申請なんかしなくてもいいような柔軟な対応を立てるということを強烈なリーダーシップでやりませんと、国民というのは目の前で見ておるこういう非合理的なことでうんざりしておるわけであります。私どもも民間企業で働いてきた立場からいいますと、行政に対する不満というのは非常に強いものがあります。ひとつ思い切って何らかの強烈なリーダーシップを、この年度末工事の平準化ということで大臣としての手腕を発揮していただきたいと思うのですが、この点について大臣の御見解を賜りたいと思います。
  37. 田川誠一

    田川国務大臣 草川さんのおっしゃった年度末工事の問題は、私なども前から、本当にこんなことでいいのだろうかということをよく体験していることでありまして、よく実情を調べてなるべくこういうことを直していかなければならぬ。これを直していくには一体どういうふうにしてやったらいいかというのは、今事務当局からお話があったようにいろいろな問題があると思うのです。そういう問題を調べて、こういうことを少しでも改革していくのが行政改革の趣旨であると思っております。そういう意味で、できるだけ実情を調べつつ改革を進めてまいりたい、このように思っております。
  38. 草川昭三

    草川分科員 私は、大臣としては知事さんなんかとのお話の機会が多いと思うのですが、実は市町村が一番困っているのです。そういう現場の方々の声をつかむようにぜひ頑張っていただきたいとお願いをするわけであります。  そこで、今度は地元の話になりまして、国鉄関係の方あるいは労働省関係の方にお伺いをしたいと思うのでございます。  愛知県の交通網の問題で、名古屋の駅の地区に一点集中のパターンになっておりまして、駅地区の混雑を緩和しなければいけないということが出ております。実は、名古屋市の真ん中に金山駅というのがあるのでございますけれども、これを市内の交通の新しい拠点として、国鉄の東海道本線あるいは中央本線及び名鉄本線と名古屋市の地下鉄との相互の乗りかえの利便を高めることによって都市交通の改善を図りたいという要望が地元からあるわけでございまして、実はこれは昭和二十一年に、金山総合駅構想というのがございます。これは、鉄道復興計画委員会というのがありまして、交通の結節点の整備を提起をしておるわけでございます。その後、昭和五十二年になりまして、国土庁の大都市整備局が交通結節点の整備に関する調査をやっておりますし、地元の名古屋市の方もいろいろな積極的な計画が出ておるわけでございますが、これがなかなかうまくいっておりません。  そこで、きょうはとりあえず国鉄の方から、今の問題点は何か、事業化への問題点等について意見があればお示しを願いたい、こう思います。
  39. 林正雄

    ○林説明員 お答え申し上げます。  先生今おっしゃられましたとおり、地下鉄の金山駅と国鉄及び名古屋鉄道の駅を一体といたしまして総合駅化する計画につきましては、かねてより名古屋市が中心になられまして関係箇所において検討が重ねられております。何分にも数十億円という多額の工事費がかかりまして、また、各鉄道事業者の経営に与えます影響も大きいなど検討、調整を要する事項が数多くありまして、検討に日時を要しております。  この総合駅の計画は、交通結節点を設けて都市交通網を整備し、副都心を発展させるという観点から、非常に望ましい計画であると考えられ、また、地元の皆様方から強く要望されておりますことは十分承知しておりますので、現在の国鉄の財政事情に配慮しつつ、国鉄線の経営収支に与える影響を十分検討した上で、引き続き関係箇所と計画の調整を進めてまいりたいと考えております。
  40. 草川昭三

    草川分科員 今おっしゃるとおり、国鉄の今の財政事情等の問題がございますから、当然のことながら、この総合駅建設構想に伴う費用負担あるいは総合駅の管理方式というのが話題になってくるわけでございます。仮に、国鉄の負担当分を地方公共団体がどの程度負担するかわかりませんけれども、当然のことながら地方財政再建促進特別措置法というのがあるわけでございまして、これは国なり公団に対する寄附金の禁止ということになっておるわけでございます。  そうはいいましても、地元民の問題点を解決するには、ある程度の何らかの構想というものが出てこなければいかぬわけでございますが、自治省として、もし必要とする承認を求められた場合には、どういう態度をとられるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  41. 石原信雄

    石原政府委員 私ども、御指摘のように、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の規定によりまして、原則としては地方公共団体が国鉄に対して寄附をすることは禁じられております。ただし、一定の要件を満たす場合に、あらかじめ自治大臣の承認を得ることを条件として寄附が認められているわけであります。これまでもこういったケースで寄附の承認をしたケースがありますけれども、その一般的な考え方としましては、国鉄の都合でおやりになる分は国鉄で負担していただく、地元の都合で国鉄の一般的な基準を超えて施設をしていただくという場合には、その内容をよく検討しまして、かつ寄附をしようとする公共団体財政状況も全体総合的に検討して適正な範囲で寄附を承認する、こういう考え方に立っております。要は、国鉄本来の業務というか、本来の責任分担に属するのか、地方公共団体の都合で国鉄の基準を上回って施設を求めるのか、その辺の判定がポイントになろうかと思います。
  42. 草川昭三

    草川分科員 自由通路分だとかいろいろな点については、地域的な問題等も含めまして地元も非常に便利になるところがあるわけでございますから、いろいろな要望があると思うのでございますけれども、もう一回国鉄にお伺いをしますが、国鉄としては総合駅になる場合の用地については特に新しく求めるというような必要があるのかないのか、現在のままでも十分対応ができるのかどうか、お伺いしたいと思うのです。  それからもう一つ、私鉄でございますからきょうはお呼びするというわけにいきませんでしたが、当然国鉄としては名鉄とのいろいろなお話がされておると思うのですが、この点について名鉄側の考え方なり、国鉄としてつかむ点があれば御報告願いたい、こう思います。
  43. 林正雄

    ○林説明員 用地の問題でございますが、現在国鉄が所有しておる用地の範囲内で鉄道本来の施設はできるわけでございますが、御承知のとおり、駅前広場を中心といたしまして鉄道線路と駅前広場との間に市で御所有になっておられる土地がありまして、この場所でもって駅ビル等の計画があるというようにお伺いしております。それらの土地につきましては国鉄の所有ではございませんので、今後市と調整をさせていただきたいと考えております。  名古屋鉄道との関係につきましては、私ちょっと詳しく存じ上げておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  44. 草川昭三

    草川分科員 これは関係省庁なり国鉄も含めて、地元の非常に強い要望等があるわけでございますから、この総合駅構想についての促進方をぜひお願いをしたいというように思います。  時間がございませんのでもう一つ、武豊線というのがあるわけでございますが、これの電化工事の要望というのが出ております。これは知多半島を通るわけでございますけれども、名古屋市の通勤圏として武豊線の利用というのが非常に大きくなってまいりまして、輸送量として毎年一〇%程度の伸び率が記録されておるわけでございまして、特に名古屋の都市圏の鉄道整備構想としては緊急を要するものである、電化工事はそのための大きな柱である、しかも投資額が九ないし十億程度で沿線人口の推移に十分賄っていきたいというような計画もあるわけでございますけれども、武豊線の電化工事の計画について国鉄の御意向を賜りたい、こういうように思います。
  45. 小柳浩

    ○小柳説明員 武豊線の電化につきましてお答えをさせていただきます。  私ども先生おっしゃいましたように、武豊線につきましては、名古屋を中心といたしました中京圏のベッドタウンとして非常に線区の重要性を認識いたしております。電化につきましては、現在、現地の名古屋鉄道管理局と私ども本社の方とで使い方を勉強いたしておりますが、そのやり方につきまして、御存じかと思いますが、国鉄の非常に厳しい財政状況がございますので、いろいろな周囲の条件から新しい電化工事についての着工というのが非常に困難な情勢にあることは事実でございます。したがいまして、今後この線区をいかに生かしていくか、またそのためにはお客様の需要がどの程度見込めるか、その辺などを踏まえて計画の実施について勉強してまいりたいと考えております。以上でございます。
  46. 草川昭三

    草川分科員 ここが民間と国鉄の違いだと思うのですが、毎年一〇%ずつ利用客がふえていくのですけれども、今の程度の利用便数だとほかの交通機関に移っていくわけですよ。特に愛知県というのは自動車が多いのでございますけれども、そのために交通事故も多く、道路が非常に渋滞をするという悩みがあるわけです。もう少し知恵を出して、確かに国鉄は今「設備投資は、安全確保のための投資を除き原則として停止する。」とか、閣議決定でもかなり「緊急度の高いものを除き」という決定があるわけです。しかし、国鉄の中には職員が今過員というのですか、余っているわけでしょう。特に私、電気関係の職員の方は手持ちぶさたとは言いませんけれども、やる気十分ならば、いろいろな知恵を出せば、力なり十億程度の金はひねり出すことができると思うのですよ。  それで思い切ってやってみる、そのことによって輸送力が飛躍的に倍加すれば、地元の方々も随分楽になると思いますし、お客が逃げないわけです。今のまま、できませんできませんといって、片一つ方は余剰人員もありながら手持ちぶさたで腕をさすっておる、決断がないためにお客さんはどんどん減るとかよそへ逃げる、また赤字がふえる、こういう悪循環になります。そこら辺で私は、この武豊線は沿線の市町村も非常に強い協力の意思があるわけですから、新しいパターンを一遍打ち出していただきたいと思うのです。そういうのが武豊線の電化工事を中心に国鉄の飛躍的な前進になると思うのですが、これは素人の議論になりますか、どうでしょう。
  47. 小柳浩

    ○小柳説明員 大変貴重な御提言をいただきまして、実は先生のおっしゃることまことにごもっともでございまして、私どももその一点を軸といたしまして、従来の展開から新しい展開を模索していきたいと思います。ただいまの御提言については私どもの方も真摯に勉強していきまして、前向きの姿勢で取り組んでいきたいと思っております。どうもありがとうございました。
  48. 草川昭三

    草川分科員 ぜひ前向きに取り組んでいただいたら、これは電化になれば、十億の投資で黒字になることは間違いがない路線ですから、ひとつ新しいパターンとして取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  最後になりますが、今度は労働省にお伺いをいたします。  実はこの五十九年度の予算で技能開発センターの調査費がついておるわけでございますけれども、これはかねがね愛知県が重点的に要望いたしておりました雇用促進事業団の愛知総合職業訓練校の移転というものを中心に、中央または関西にございますところの技能開発センターと同規模のものをつくりたいということがあるわけでございますし、これも従来の旋盤工だとか溶接工の技能開発という意味ではなくて、今日的な技術革新の進展に応ずる新しい職業訓練なり技能評価制度、こういうものができるようにと我々もかなり以前から要望しておるわけでございますが、どんなような形で今後進むのか、お伺いしたいと思います。
  49. 石川俊信

    ○石川説明員 お答えします。  雇用促進事業団の設置する総合高等職業訓練校につきましては、御案内のように、五十三年の職業訓練法の一部改正によりまして、高卒者を対象とした高度技能者の養成を目的とする職業訓練短期大学校と、在職労働者に対する向上訓練及び離転職者に対する能力再開発訓練を行います技能開発センターのいずれかに転換することに相なっておるわけでございます。  そこで、先生指摘の愛知総合高等職業訓練校につきましては、御案内のとおり京浜地区、近畿地区と並んで我が国の重要な経済圏であります中京地区の中心部に設置されておるわけでございます。同地区は、企業数、労働者数ともに極めて多いところでございまして、特に在職労働者の向上訓練のニーズの強い地区でございます。そういうことから、愛知総合高等職業訓練校につきましては技能開発センターへ転換させたい、このように考えておるところでございます。  なお、現有施設は非常に老朽化しておりますし、用地も狭隘な状況にありますので、移転、新築が必要かと考えておるところでございます。そこで、新しく技能開発センターを設置するに当たりましては、近県の技能開発センターでは実施の困難な訓練内容のコースを設定するなど広域的な機能を持たせるとともに、御指摘のございました技術革新に対応するために、在職労働者がME等の高度の知識、技能を習得することができるような多様なプログラムも準備していきたいと考えておるわけでございます。  なお、施設の規模についてでございますが、現在御審議いただいておる五十九年度の予算の中で調査費が計上されておるわけでございますが、その調査費で今後調査検討してまいることになるわけでございますが、現在の愛知総合高等職業訓練校が他の総合高等職業訓練に比較いたしまして比較的大きな規模の高等職業訓練校に相なっておりますので、他の総合高等職業訓練校から転換いたしております技能開発センターよりは、地域のニーズ等も考えますと比較的大きな規模に相なるのではなかろうか、このように考えておるところでございますが、今後の調査結果を見て決定していきたい、かように考えておるところでございます。
  50. 草川昭三

    草川分科員 時間がございませんのでこれで終わりますが、今かなり大きな規模だという御答弁がございましたが、わかりやすく言うと短大クラスの専門訓練、例えば期間二年だとかそんなのが設置をされるのかどうか、そこだけお伺いをして終わりたいと思います。
  51. 石川俊信

    ○石川説明員 規模につきましてはただいま申し上げたとおりでございますが、技能開発センターになりますと比較的短期間なものから長期間なもの、いろいろと労働者のニーズによっての訓練、多種多様な訓練をしてまいりますので、そういう観点から、中京地区は在職労働者が非常に多いということも考え合わせますと、他のセンターよりも比較的大きな規模に相なるのではなかろうかと考えておるところでございます。
  52. 草川昭三

    草川分科員 以上で終わります。
  53. 石原慎太郎

    石原主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  54. 大原亨

    大原分科員 限られた時間ですから、順次質問いたします。  国民健康保険税、国民健康保険料、それから国民年金保険料、これらは自治体が窓口で徴収をしておるわけであります。このうち、国民健康保険の場合ですと、国民健康保険税という税の形で取っておるのが約九割、国民健康保険料という形式で取っておるのが一〇%、この二つがあるということもちょっと問題でありますが、しかし、国民健康保険については市町村の事務でございますから、保険者は市町村ですから、国が統一的な基準を設けて、その費用を保険料があるいは保険税として負担する。収入を得る。それと一緒に総医療費に対しましては四〇%プラス五%の交付金を出す。今度は健康保険の大改革をいたしまして三八・五%になる。そういう面におきましては国庫負担とも関係があるわけです。厚生省とも関係がある。非常に入り組んでおるわけであります。  そしてもう一つは、国民年金について言うと、国民年金は市町村団体委任の事務で保険料の徴収をやり、そして年金の給付を行っておる、こういうふうになっておると思います。  そこで私の第一の問題提起は、行政改革に関係するのですが、国民健康保険の保険料、保険税を取る対象と国民年金の保険料を取る対象は大多数が一致しておるわけですから、例えばその徴収事務等を一元的にやることはできないか。これは、制度を維持する上において、保険料、保険税等の三つの場合を今挙げておりますが、落ちこぼれがあるわけです。国民年金も掛金を掛けていないと給付につながらぬわけです。年金権を失うわけです、免除の制度もありますけれども。そういうことについて、徴収の事務を一元的にやって、原簿も一元的にやる方がいいのではないか。そういう方針で自治省はやっていないのではないか、厚生省もやっていないのではないか、縦割りではないか、こういう問題を一つ持つわけですが、これについて自治省と厚生省からそれぞれ御答弁いただきます。
  55. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  先生御存じのとおり、国保と国年といいますのは確かに徴収事務としては市町村が担当するという管轄にはなっておるわけでございますけれども、医療保険と年金保険というのは基本的に性格が異なりますし、あとは、例えば保険者が片や市町村であるのに対して国年は国だということとか、それから対象範囲につきましても、ほとんどオーバーラップしているという先生の御指摘でございますけれども、年金について申し上げますれば年齢的なある幅がございますし、片や国保は年齢的な制限はないというふうなこと、それから、現在の国年は加入につきましてそれなりの任意性があるわけでございますけれども国保はそれがないとか。それから国保税料につきましては、御存じのとおり市町村によりまして医療費等に応じましてそれなりに率が違ったりあるいは構成内容が異なったりしているわけでございますけれども、年金の方は全国一本ということでございます。国保は、そういう形で市町村ごとに基本的に違ってくるということだとか、いろいろ問題がございます。形式的には市町村が取り扱っている徴収事務ではございますけれども、本来的にこれを一元的に処理をするというのは性格の相違等もございましてかなり難しいのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  56. 大原亨

    大原分科員 国民健康保険と国民年金を比較しますと、国民年金は原則として二十歳から六十歳までですから、上と下が国民健康保険とは差があるわけですね。それは差があるのです。そしてまた、今あなたが言ったように任意加入の問題が国民年金にはあって、妻は任意加入で約七〇%加入しておって、三割は加入してない。しかし、言うなれば夫の月給から妻の国民年金の保険料を拠出させるという制度はみんなあるわけですから、そうすると二十歳と六十歳との間については、国民健康保険との間は「自営業者等」という国民年金の第一号被保険者ですが、それとダブっているわけです。将来国民年金も、これは国会で議論するのですが、基礎年金の一階だけでなしに二階をつくれという意見が非常に多いわけですよ。所得割をつくれということになるわけです。  国民健康保険料、保険税は均等割とか資産割とか所得割とか世帯割とかいうふうに分けておるわけです。分けて、それぞれ一定の基準で自治体が取っているわけですが、しかしそういうふうに取っているということと一緒に、取っている対象者と、あなたは国民年金の対象ですから国民年金の保険料はこうですよと、こういう対象者は生きているわけですから名簿を一致させてつくって、そしてやれば国民年金の保険料の徴収率も上がってくるのじゃないか。将来はそういうふうに変えた方がいいのじゃないか。そうしないと、大都会を中心にいたしまして国民年金の落ちこぼれがどんどんふえておるわけですから。それで今度は基礎年金の構想を出したわけですから。言うなれば、一つは国民年金の財政が行き詰まったから出したわけです。  それで、妻は三百万を強制加入しました。これは別に取っちゃう。ですから国民健康保険の保険料を納める人は、基準は違うけれども、二十歳から六十歳については国民年金の保険料を払う人と一致するわけですから、その原簿をもとにして、両方、医療と年金の保険料を追跡すれば、そうすれば保険料を出す方も、自分の出す保険料の問題について事務的にも省けるし、問題意識も持つことができる、そういうこと。  年金制度については基本的に改めなければならぬと思うけれども、しかしそういうことから考えてみて、私はそういう行政の窓口は一本にした方がいいのじゃないか。国保は国の委任事務であり、国民健康保険は市町村が保険者であるということはありますが、しかし税法や国の法律で一元的にやっているわけですから、そういうことは私は問題として自治省においても検討すべきではないか、あるいは行政管理庁も検討すべきではないか。厚生省だけに任じておくということで、末端がばらばらになって、そして問題が大きくなるということはいけないのではないか、こういうことでありますが、いかがですか。
  57. 関根則之

    ○関根政府委員 国民年金と国保の料金徴収というのは、制度的に分かれているわけでございまして、先ほど厚生省から答弁のありましたように、名簿の整理等については、もとの住民が同じ者であるわけですから、当然そこでは両方の調整といいますか照合等の事務は行われているものというふうに考えているわけですけれども制度そのものが違うというようなこともございまして、それを全く一本の名簿なり何なりで整備していくということは、実際問題としてなかなか難しいのではないかという感じがするわけでございます。  私どもの方が所管しております国民健康保険税につきましては、料と二本立てになっているというちょっと見るとややこしい制度になっているわけでございますけれども、これは経緯がございまして、最初は多分、料で一本でやっていたものが、なかなか徴収率が上がらない、徴収に困難を来すというような理由がございまして、昭和二十六年に税としても取れるように税制として仕組んだ、こういう経緯を持っているわけでございます。そして、この税としての維持につきましては、関係地方団体からの要望といいますか、税として残してくれという意向も非常に強いわけでございますので、これはそう簡単にやめてしまうというわけにもいかぬというようなことでございます。  しかし、こういう問題につきましては、先生の御指摘いただきました問題点を含めながら、私どもとしては厚生省とも十分相談をしていきたいというふうに考えております。
  58. 大原亨

    大原分科員 国民健康保険は税として取っておるのが九割でしょう。それから保険料として取っているのは一割でしょう。どの方へ一本にするのですか。
  59. 関根則之

    ○関根政府委員 今の時点でどちらへ一本にするということを申し上げることは難しいだろうと思います。  そもそも制度として二本立てであるわけでございまして、必ずしもそれを一本にした方がいいんだという結論が出ているわけではないわけでございます。そういった問題全体として、一本化するのかしないのかということまで含めて今後検討事項であろうと思います。
  60. 大原亨

    大原分科員 行政管理庁、市町村が保険者ですが、国民健康保険の収支の対象になる医療費、それについては国庫負担が出ているのですが、そういう点について監査したことがありますか。保険料の徴収率と保険税の徴収率、違うわけですよ。
  61. 陶山晧

    ○陶山説明員 御説明いたします。  先生指摘のような問題につきましては、当面、調査の対象に予定している状況にはございません。
  62. 大原亨

    大原分科員 今までやったことがあるか。
  63. 陶山晧

    ○陶山説明員 御指摘の問題を直接対象にした調査は、従来ございません。
  64. 大原亨

    大原分科員 だから年金の保険料については調査しているけれども、これは調査していないんだ。というのは、一兆円以上国民健康保険の会計で出ているんですよ、国庫負担が。そうしたら、収入支出の関係全体を、トータルを、国民の立場で、どうあるべきか、どうすべきかということについてやるべきじゃないですか。やらないのは怠慢じゃないか。どうですか。
  65. 陶山晧

    ○陶山説明員 先生先刻御承知のところかと存じますが、私どもの行政監察のテーマの設定に当たりましては、年間計画あるいは年度計画というような形でいわば計画的なテーマの設定をいたし、調査をいたしております。  特に行政施策全般あるいは制度運営全般にわたりまして問題点が想定され、かつ行政監察の結果、改善勧告によって効果が上がるというような対象テーマを、申し上げたような計画的な姿で監察、調査をいたしておりますが、テーマの選定に当たりまして、先生指摘のような観点も含めて今後検討させていただきたいと思います。
  66. 大原亨

    大原分科員 まあ、それでいい。検討しなさい。  国の負担、税金の流れ方が市町村によって不公平になるんだ、これは。医療費に対して国庫負担をやるんだ。そうすると、かなり市町村でシビアに、よく言われる岩手県の沢内村などというふうな、予防や健康管理をやっていろいろ少ないところ、そういうところには国庫負担は少なくいくんだ。保険料との関係、保険料の徴収をサボっておる市町村は逆に国の税金がたくさんいくんだから、これは不公平ですよ。非常に大きな問題だから、これは指摘をしておきます。  それで問題は、時間も限られておるのですが、国民健康保険料にしろ保険税にしろ徴収率が非常にアンバランスがある。私は広島のをちょっと見ておって、資料を逆に拡大したんですが、広島市は昭和五十七年度が八九%の徴収率です。大都市が軒並み悪いのですけれども、名古屋は九五%取っておる。札幌は八三%で悪いです。広島よりもうんと悪い。言うなれば十何%徴収率が違う。こういうことは、国費がその裏づけとしまして流れていくわけですから、これは問題があるのではないか。  例えば、国民健康保険税の中で、全国平均は八八%であるが都市分は八五%、町村は九三%取っておる、こういう徴収率調べがある。こういうことになると、医療費に対して国の補助とかいくわけですから、税金がいくわけですから、それは非常に不公平な医療費の流れになる。自治体の取り組みいかんによる結果でありますけれども、非常に不公平になってくる。総医療費が大きければ大きいほど国の負担が余計いくようになる。それから税金の徴収率が悪くてもいくことになる。こういうことになれば非常に不公平じゃないか。私は裏側から見て、広島の例を見て縦横ずっと広げてみたわけですが、おかしいではないか。そういうのをどういうふうに改革すべきかという点について何か見解がありますか。
  67. 阿部正俊

    阿部説明員 大原先生御心配のとおりでございまして、近年、医療費が相対的に所得に対して非常に高くなっておるということも反映してだということで理解しておりますけれども、国保の保険料及び税も年々かなり高くなってまいっております。それも一因だろうと思いますが、そのために国保の徴収率がここ数年下がり続けてきておりまして、大変憂慮しておるところでございます。  その中身は、先生御心配のように、一つは不公平だということ、これは一つの大きな問題だと思うのです。先生御心配のように、医療費に比例した今の補助制度でございますので、徴収率が悪い方が余計国庫負担がいくという格好にはならないのでございますけれども、ただ、同じ国保なのに、運営状況、徴収率が悪いにもかかわらず、医療費比例の補助金が右から左に流れていくというふうなことは、適正な国庫負担の使用ということになりますと適在ではない、こういうふうに思っておりますので、現在でも調整交付金の配分の上では、一定率以上の徴収率でないと補助金は流さないという格好、一つの制裁措置のようなものでございますが、これをやっておるわけでございますけれども、それにもかかわりませず、なかなか徴収率の向上が容易ではないというのが現状でございます。  その原因はいろいろあると思うのでございますけれども、そういった不公平だということに加えまして、本来、保険といいますのは一〇〇%みんなが出し合うのが原則で成り立っている制度でございます。理由はどうあれ、何割かの人たちは常に出さないのだということでは、相互共済なり連帯を前提にした保険制度として成り立たないということになりますので、本来の保険の理念を掘り崩す原因にもなるという意味で憂慮しておりまして、私どもとしては、五十八年度を徴収率の下げどまりの年に何とかしたいということで、五十九年度からいわば年次計画を立てましてその向上対策を練って実施に移していきたい、こんなふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  68. 大原亨

    大原分科員 今度、健康保険法の改正で国民健康保険料の上限を、二十八万円を三十五万円にはっと上げるわけです。そうしますと、例えば会社組織、法人組織を持っているものは政府管掌に行きます。そういうことで、それを上げましても非常に不公平な面が残ってくるという実態があることを指摘をしておきますが、きょうは議論しません。  もう一つ、国民年金の問題は検認率、これは徴収率のことでありますが、国民年金は検認率と言うわけですが、政令都市は九〇・六%、二十万以上の都市が九二%、それからその他の市町村が九七%の国民年金の保険料の徴収率です。政令都市の九〇・六%と市町村の九七%の差、あるいは政令都市相互間の国民年金の保険料の、徴収率と言いましたが、その差、これは今は言いませんが、この九〇・六の政令都市市町村の九七%という徴収率の差だけを見ましても七%の差があるわけです。莫大な差がある。差があるということはどういうことかというと、国民年金から落ちこぼれるということです。国民年金の対象にならぬということです。なぜこういう差があるのかということについて、窓口は自治省ですけれども、厚生省がこれの主管ですから、厚生省はどういうふうに考えておりますか。
  69. 平松孝雄

    ○平松説明員 国民年金の検認率、つまり収納率に相当するわけでございますが、ただいま先生指摘のとおりの率になっております。  この原因につきましては、いろいろあると思いますが、一つは、大都市は住民の移動が非常に激しいということで実態の把握が非常に難しい、それに比較しまして町村部では住民の移動が比較的少なくて安定しているという状態があろうかと思います。それから、私ども、この検認率の向上につきましては最重点事項として毎年度やっております。そういう中で、その周知徹底と申しますか、これらにつきましても、いろいろな手段を通じまして十分推進をしているところでございます。そういうような意味で、理解度が多少違うという面もあろうかと思います。
  70. 大原亨

    大原分科員 国民年金の制度には免除制度がありまして、これは法定免除と申請免除、自分が申請する場合があるわけですが、その場合に、免除者が昭和五十三年には百九十六万人おりました。それが昭和五十七年には二百八十四万人になっておるわけです。前は九・七%でしたが、今度は一五%になっておるわけです。昭和五十三年から四、五年の間にずっと非常にふえているわけです。これはなぜふえたのですか。
  71. 平松孝雄

    ○平松説明員 先生承知のように、国民年金におきましては保険料を毎年上げております。これは、五年目ごとに再計算しまして、それを一挙に上げるのは国民の方々の負担が非常に重いので毎年度分割して上げているという状況でございます。そういうようなことで、負担面からの感覚的なもの、それから、最近経済情勢も非常に悪いわけでございまして、そういうような所得の面からの問題、こういうようなこと等も原因としてあろうかと思います。  なお、この免除につきましては、年金制度から申しますと必ずしも有利な取り扱いではないわけでございまして、私どもは免除の該当者がなるべく少なくなるように、保険料を少しでも多くの人々が納めていただくように行政指導を十分やっているつもりでございますが、御指摘のように毎年ふえていることは非常に残念だと思いますので、今後さらに一層この面につきまして努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
  72. 大原亨

    大原分科員 自治省は、免除者が多いとか滞納者が多い、検認率が低下しておるということについてはどういうふうに思っておるのですか。
  73. 関根則之

    ○関根政府委員 国民年金の直接の所管者ではございませんけれども、いろいろな意味で、例えば、国民健康保険料ないしは税等を含めまして徴収率が低くなるという問題が起こりますことは、税の場合には当然税負担の公平を阻害する一番の原因になってくるわけでございます。納める義務のある人たちの間の公平が保たれないという問題でございますので、重大な関心を持っていきたいと思っております。
  74. 大原亨

    大原分科員 住民の立場、国民の立場から行政がどうあるべきかということが行政改革なんですよ。それで、国民年金に入らないというのが七%も自治体によって差がある。入らない人は、これから高齢化社会で、二十年三十年というのは大変困るわけです。大都会を中心にたくさんあるわけですから、その人は高齢化対策が立たないわけですよ。では、転落した場合にはどうするのか。生活保護しかないわけです。それはミーンズテスト、財産制限があるのだから。これは大変なことなんです。  大臣、こういうことなんです。今、それぞれ向き向きにいいかげんな答弁をしていますが、こういうふうに国民年金の滞納者がふえている。それから、免除者というのは三分の一しか年金計算につながらぬわけですからね。基礎年金は、今度は四十年掛けて最高五万円ですよ。四十年掛けるのですよ。ですから、これはずっと免除でいきましたら、保険主義ですから三分の一になるわけです。そうすると、こうした免除者は二、三万円の年金になるわけです。これは国庫負担だけの計算ですから三分の一だけ。それで、それを除いて滞納者があるわけですから、滞納者が多いわけです。  これはなぜ多いのかというと、一つは、大きなところになりますと、あなたのところのように横浜でも川崎でもどこでもそうですが、区の単位でやるにいたしましてもこれは行政サービスが徹底しないわけです。市町村だったら徹底して、どこにだれがおるということがわかる。それが一つ。  それからもう一つは、制度に根本的な欠陥があるのを政府はほおかぶりをして今度の年金改革をやろうとしておるのですが、そこが問題ですよ。問題は、今国民年金の掛金は五千八百三十円です。ことしの四月から六千二百二十円になりますね。今度は、再計算する六十年の四月からは六千八百円になる。今度、新制度を実施するのは六十一年ですけれども、それにつながっていくわけです、六千八百円。つまり、百万円の所得のある人も、十万円の所得しかない日雇いの人とか五人未満の事業所とか失業者の人、それは夫も妻も強制加入ですよ。「自営業者等」という中へ、第一号被保険者の中へ入っているのですから。全部入っているのです。ですから、これは自営業者で、農業とか中小企業等生産手段を持っているとは限らないのです。「等」の中には日雇い労働者もあって、それから妻も、政府管掌はもちろんですが、厚生年金に入っておりませんから、国民年金に強制加入ですよ。六千八百円ずつ出さなければいかぬのです。一万三千六百円出さなければいかぬ。五人未満の事業所の就業者も、平均賃金は全体の六割以下ですから。法人もあれば個人もあるので、法人は何とかしようというのです、やかましく言うものですから。あるわけです。物すごい所得のばらつきがあるわけです。それを単一、定額の保険料でどんどん上げて、そして二十一世紀に入ると一万三千円ですけれども、一年間に三百円ぐらい上げるのですが、プラスアルファ物価上昇分上げるのですから、これは何倍にもふえるわけです。これは、それこそ二十一世紀になったら名目で言えば三万円になるかもしれない。そうすると六万円払うということになる。だから、この定額保険料というのが、最初昭和三十六年ごろは百円、二百円の時代があったのですが、しかしそれが現在は非常に上がって、単一保険料、定額保険料だから、低所得者が落ちこぼれるようなシステムにしておると、大都会にそういう人が多いということと、サービスが悪いということで皆年金にならぬわけです。社会保険主義と言って基礎年金に保険主義を入れるものですから、国民年金の枠の中に入っていない自営業者等の範疇の者はどんどん落ちてくる。これは今私が言ったとおりです。  だから私どもは、社会保障制度審議会が言っているのは、もう時間が来ましたからやめますが、基礎年金は保険料に近い形で、例えば所得型の付加価値税という分配以前のネックヘかける直接税ですが、それをもって基本年金をやって、そして二階の比例部分の方については所得を、今私が言った国民健康保険との所得割を調べるわけですから、それを把握して二階へ継ぎ足していったらどうか、こういう構想ですから。今の基礎年金、基礎年金と言って年金改革されるような宣伝を厚生省がいたしますが、厚生省の基礎年金の国民年金に関する部面については、こっちにもあるのですけれども、その部面においては非常に大きな欠陥がある。これでいいなどというふうな安易なものではない、こういう点を私は指摘をしておきまして、国務大臣としての自治大臣も、住民サービスということで住民の立場で、保険料を取るのですから、加入者決定をするのですから、そういう実態があるということを十分頭に置いていただいてこれに対応してもらいたいということを申し上げますが、大臣の所見を聞きます。
  75. 田川誠一

    田川国務大臣 大原さんの御指摘になりました点は大変重要な問題でございまして、御指摘の点を踏まえてこれからも十分検討してまいりたいと思っております。
  76. 大原亨

    大原分科員 一言だけ。政府の年金は根本的に変えなければいかぬですよ。厚生省がここに来ておるけれども、全部変えなければいかぬのだ。  以上です。
  77. 石原慎太郎

    石原主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  78. 遠藤和良

    遠藤分科員 ことしは年頭から豪雪がございまして、気候が大変に不順なようでございます。一昨日でございましたが、気象庁が発表しました長期予測によりましても、ことしの夏は、近畿から東海にかけて百六人の死者、不明者を出した七夕豪雨や、台風十六号で多摩川が決壊した四十年型の天候になりそうということでございます。災害が起きますと一番苦しむのが当事者である国民であり、次には地方自治体でございます。  そこで、自治大臣にお尋ねをいたしますが、現在の地方自治体は大変に厳しい財政事情の中でこの災害の対策に四苦八苦しておる、こういう実情がございます。したがいまして、災害を未然に防止する防災対策、この件につきましては、国としては強力に進めるなりあるいは地方自治体に対しまして格段のバックアップをする、こういったことを考えるべきであると思いますけれども大臣の御所感をまずお伺いしたいと思います。
  79. 田川誠一

    田川国務大臣 遠藤委員の災害に対する非常に関心の強いお話を聞きまして、非常に心強く思っておるわけでございます。  災害をとにかく未然に防ぐということから考えていかなければなりませんし、そういう意味では、まず災害に強い町づくりをやっていく、国土づくりを進めていくということが必要であると思います。  今度は、災害が起こった場合にどうしたらいいかというと、やっぱり実動部隊であります消防機関を充実強化していく、それから情報収集伝達体制を確立していかなければならないと思います。災害が起こりますといろいろデマも飛びますし、そうした面で情報の収集伝達ということが一番的確な対応策をとっていく上で必要であると思うのです。そういう意味で、自治省消防庁といたしましては、防災無線の整備促進を初めとしてこういうような問題をさらに充実していかなければならない、このように考えております。
  80. 遠藤和良

    遠藤分科員 ただいま消防防災無線の話が出ましたけれども、私もこの無線設備の充実ということは大変重要な問題ではないかと思います。実際に災害対策の現場に参りますと、電話もテレビも全部途絶しておる、連絡網としては無線だけしかない、無線によりまして人命の救助が行われていた、こういう事実もかい間見るわけでございます。  現在、消防庁の行っております消防無線行政、これについてお尋ねをいたしますが、市町村が防災無線行政を施行するに当たりまして、どのような法律に基づいて実施されますか、根拠の法律でございます。それから、あわせて国庫補助制度の目的並びに防災無線行政の概要について御説明をお願いします。
  81. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 災害対策に当たりまして、ただいま大臣が述べましたように防災無線というのは大変必要なものでございます。この防災無線につきましては昭和二十八年の消防施設強化促進法というのがございまして、その中で消防無線に対して補助金を出すことになっております。その限度額は三分の一以内ということになっておるわけでございます。防災無線に対する補助金については、いろいろなことがございましたが、市町村に対しましてそういう点で五十三年度から国庫補助制度というのを確立してまいったわけでございます。  特に、今大臣から申し上げましたように地域住民に対します防災情報の伝達収集という問題につきましては、やはり一斉に報道するということも必要ですし、そういう点で同報無線というものの施設強化、あるいは被害状況を調べて歩くという意味で移動無線、そういうものにつきまして配慮をしながら市町村に対する防災無線の補助制度を確立してやっておるわけでございます。
  82. 遠藤和良

    遠藤分科員 五十三年度から補助事業がスタートしたということでございますが、現在の全国的な進捗状況をちょっと教えてください。
  83. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 市町村の防災無線の整備状況につきましては、簡単な移動の通信のみを行えるものまで含めますと、昨年の十二月末で、三千以上あります市町村の中で千七百四十市町村ございまして、全市町村のおおむね五三%がこの防災無線の整備をいたしておる状況にございます。  もともとこの防災無線は、御案内のとおり地域住民に対しまして災害が起きましたときの避難勧告あるいは指示をするという場合に大変重要な役割を果たすわけでございまして、そういう点から申しますと、先ほど申し上げました同報無線がある意味では大変威力を発揮してくることは御案内のとおりだと存じます。その移動無線なり同報無線なりを備えておるところは六百五十くらいございますが、同報無線だけを設備しておるところでありますと、今のところ大体八百二十町村、全市町村の二五%であります。  昨年も随分あちこちで災害がございまして、そういう災害の状況から考えてみますと、今後はやはり災害の常襲地帯でありますとか災害の危険度の高いところ、そういうところからなるべく速やかに整備をしていく必要があるというふうに考えております。
  84. 遠藤和良

    遠藤分科員 今、全国的な数字の御連絡がございましたけれども、私の手元にも全国都道府県整備状況の一覧をいただいております。これを見ておりますと、全国的にただいま五三%という整備状況の数字が出ましたけれども、私、徳島県でございまして、砂子田先生も徳島にいらっしゃったですね、実情よくおわかりだと思いますけれども、五十市町村の中でただいま整備ができておるのが十八市町村ですか、私、地元に帰りまして調査をしてまいりました。そうすると、防災無線を設置しておりますのは私の調査では十七市町村でございました。このうち農水省関係補助金で行っているのが八つございまして、町単事業一つございますから、消防庁関係で行ったのは八つ、こういうことになっておるわけでございます。  この八市町村が、では一体どのような財源で行ったのかということをちょっと調べてまいりました。八つ全部じゃないのですけれども、五つ調べてきました。  池田町という町がございます。ここはこの事業を行う総事業費が一億三千五百万ですか、このうち消防庁の指定となった補助対象事業費が八千二百七十二万四千円ですね。これをどういうふうに都合したかといいますと、一般財源から二百十万円、補助金をいただいたのが限度額ぎりぎりの二千万円、あとの一億一千二百九十万円というのは地方債で賄っているわけでございますね。海部町の場合も地方債を三千百二十万円繰り入れておりまして、補助金をいただいたのは一千四十九万円。ほかの町村も大体同じような形でございます。三好町の場合は地方債を四千六百五十万円使っておりまして、補助金は一千七百四十九万六千円。木沢村は地方債が四千三百十万円、補助金は一千四百七十六万一千円。それから鳴門市が地方債を三千四百六十万円使っておりまして、補助金は一千三百三十五万二千円。こういうことでございまして、いずれも事業の大半を借金でやらなければならないという実情でございます。  地方財政も大変厳しゅうございますし、こういう防災無線行政というものは地域の住民の生命に直接かかわる大事な問題でございますので、もう少しゆとりのある財源で行えるようにならないものか、こういうふうに思うわけでございます。  今承知しておりますのは、人口が十万以上のところが三千万円、それ以下のところは二千万円が補助金の限度額である、こういうふうになっておりますけれども、今後これはどうなりますか。よろしくお願いします。
  85. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今お話がございましたように、消防防災無線に関します補助金というのは、見方によっては大変少ないということであろうかとも思います。ただ、そういうことがございまして、昨年来この消防防災無線に対する関心が市町村に大変急速に高まってまいりました。今私たちのところに、五十九年度に要求がありますものが従来よりも随分多く出てまいっております。そういう状況を考えますと、この際、災害の常襲地帯でありますとか危険度の高いところにはあとう限り早く施設整備してやるというのが国にとっても大変大事なことだと私は思っております。そのことは遠藤先生がおっしゃることと全く同感でございまして、昨年の日本海中部地震あるいは山陰地方の豪雨を見ましても、防災無線が人命救助に果たした役割というのは極めて大きいものがございました。  そういう点で、ことしも財政当局とお話をいたしまして、十万以下の都市でありましても、二千万円でありましたものを三千万円に引き上げる、そういうための予算をお願いをいたしておるわけでございます。この予算が通りましたら、従前のそういう小さい町村でも三千万円までの限度額になりますから、ある程度弾力的な運用ができるものだと思っておりますが、なおかつ努力をしなければいかぬと思っております。  ただ、御案内のとおり、消防の予算につきましては、市町村消防だという建前もございますが、そのために私の方の財政の方でもいろいろ苦労をいたしておりまして、交付税の中に相当大きな額の消防の財政需要を見ておる部分もございます。そういう点を兼ね合わせながら、地方債等をやって、ともかく早く整備をしていかなければならない。来年度は補助の改善として一応一千万円上乗せをしようということを今考えておるところでございます。
  86. 遠藤和良

    遠藤分科員 一千万円ずつ上乗せをしていただきまして、十万以上のところは四千万円、以下のところは三千万円を限度額とする、こういうことでございますね。大変にうれしいことでございます。  現地の実情はどうかというお話をちょっとしてみたいと思うのですが、徳島県に山城町というところがございまして、これは大歩危小歩危の奇勝で有名なところでございますが、大変に過疎のあらしが吹き荒れておりまして人口が急速に減少しております。  この町が昨年の九月二十八日に台風十号の集中豪雨を受けまして、被害総額四十八億円という被害を受けたわけでございます。私もこの一月二十六日に現地に行ってまいりました。お聞きしたのですけれども、町の財政規模が年間約三十億円なんですね。そこに四十八億円の被害でございますから、ほぼ一年半ぐらいの予算の被害を受けたということになるわけでございます。町長さんもいろいろ御心配しておったわけでございますが、この町も災害無線がありません。何でつけられぬのかと聞きますと、無線設備というのは大体一億円ぐらいかかるのだ。今大変被害を受けている最中でございますし、町政の立て直し、財政の立て直しをやらなければいけないときでございますから、とても借金をしてまでつくることはできぬ、こういう実情なわけでございますね。いろいろお話を伺いましたけれども財政基盤の弱い過疎地域でございますね、ここは概して災害常襲地域になっているところが多いのです。こういうところで防災無線行政を実施するということは、現状としまして大変に難しい実情にある。  それから、限度額を引き上げていただいたわけでございますけれども、もうちょっと、もう一工夫をお願いできないかと思うのです。といいますのは、人口十万以上が四千万円で、十万以下は三千万円ということでございますが、徳島県で申し上げますと、人口十万以上の都市というのは徳島市だけなんですね。徳島市というのは、そんなに災害が常襲するような地域ではないのです。むしろ山間地の過疎地域、ここら辺は大変災害の起きやすいところでございまして、災害の設備を行う費用というものは、都市も山間地も余り変わらないのが実情ではないかと思うのです。人口だけで限定するのはいかがなものか。過疎地域というのは、面積的には大変広いわけでございます。傾斜地も多いし、設備には大変お金もかかるわけです。この辺を、人口で切らないで、例えば全国一律に限度額を三千五百万円とか、あるいは逆転をするというようなそういう発想はしていただけないものかと思います。いかがでしょうか。
  87. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 徳島県の実情につきまして、私、少しは知っておるつもりでございますが、何しろ山城町というのも大変なところだということを私もよく存じております。東祖谷から西祖谷を通って山城に行くのは大変なことでございまして、地形的にも大変な細い道を通って行かなければ入れない、そういう山奥ですから、そこで無線を設置するというのは大変困難が伴うことだと私は思っております。そういう点で、市町村の面積でありますとか地域によりまして非常に事業費に差異が生じております。  今おっしゃいましたように、むしろそういう山、谷が多いところほどあるいは金がかかるかもしらぬ、あるいはアンテナを立てなければいかぬということも出てくるかもしらぬ、そういう点でいろいろな問題があることは私は承知しているつもりではおりますが、この限度額をどういうふうに決めるかというのを余り柔軟にあれしますといろいろな問題が起きまして、むしろ大変難しい問題が起きるものですから、ある一定の方法でやらざるを得ないだろうとは思っております。  今大蔵当局とも話をいたしておりますが、今回一千万上げたその額の範囲内でどういうふうにうまくこれを運用しようかということを考えておりまして、それが非常に弾力的な運用が可能であれば、山城町とかそういう山合いのところについて何らかの措置があるいはうまくいくのではないかという感じを持っておりますが、まだ最終的に予算も決まっていない段階でもございますし、決まった段階でもう少し詰めてみなければいかぬことだと思っております。いずれにいたしましても、おっしゃられておりますことは私たちも常に懸念をいたしておるところでございまして、それに対応する措置はやはりとらなければいかぬと思っております。  ただ、これからの同報無線でありますとか、あるいは山陰地方で起きました三隅町のような状況を見てみますと、これからはむしろ各戸無線、そういう受信機を倣えておくということの方があるいはより有効になるということも考えられまして、そういう点も考慮いたしますと、いろいろなことをやはりこの際考えてみなければならない。例えば三隅町のときには、先生御案内のとおり、各戸につけました受信機というのは農林省の無線を使ってやっておったりしまして、私の方の無線の本体とか移動局とか、あわせて農林省の予算も一緒につけて、それで非常にいい措置ができたと思っております。  そういうことを考えますと、これからのやり方というのは、消防庁予算だけではなくて、そういう各省にあります予算もまとめてよい方向に使っていくように我々も考えてみなければならぬ。また、そういうことの助言をしながら、一日も早くそういうところに住民の生命を守るような安全なシステムができるということをこれからもやっていきたいと思っております。
  88. 遠藤和良

    遠藤分科員 大臣にも一言お願いをしたいわけでございますけれども、今の補助金の問題でも、人口割といいますか、人口に従って限度額をお決めになる、こういう考え方をもう少し柔軟にして対応すべきではないかと思うわけでございます。補助金総体の見直し等も言われているときでございますが、やはり地域の実情、財政度あるいは面積の広さ、そういうものも勘案の対象にして、もう一回地方自治全体がうまく運営されますようにお考えになってはいかがかと思いますが、ちょっとその辺の所感だけお聞かせください。
  89. 田川誠一

    田川国務大臣 補助金を交付する基準は、これは厳正にやらなければなりませんから、基準はしっかりとつくっておかないと、ここをあいまいにしておきますといろいろ問題が起こります。ですから、基準は明確にしていく必要があるんではないかと私は思います。  ただ、今御指摘のように、いろいろ地域の事情なんかも考慮すべき場合が随分出てくると思います。そういうときには、補助金で見られない場合には何かほかで面倒を見るということも考えられることでございまして、できるだけ地域の事情を柔軟に考慮するということを忘れないようにしていかなければならないと思っております。
  90. 遠藤和良

    遠藤分科員 何でもかんでも人口で見るという見方ではなくて、その政策目的に合致した基準、こういうものをお考えになる必要があるんじゃないか、こう思うわけでございますが、どうでしょうか。
  91. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今大臣からお答えをいたしましたように、補助自身一つの基準で交付しないと後でいろいろな問題が起きるものですから、私たちといたしましては、やはり守るべきところは守っていきたい。  しかし、先ほども申し上げましたように、ある程度の部分についてはそういう地域の実情というのを勘案しなければいかぬだろう。それで弾力的な運用をしていきたいというふうに先ほど申し上げましたが、いずれにいたしましても、こういう消防無線のようなものは、ある意味では住民の生命にかかわる大変重要なことでもありますから、今後ともむしろこの額を増額していく方が本当は素直なんだろうと思っております。そういう点で、来年度予算が一応終わりました後、また再来年度予算が始まりますときにでも、いろいろ御理解を願うべく、また財政当局とお話をしていく一つの課題だと思っております。  それからもう一つは、人口の多いところというのは、先ほど申し上げましたように各戸無線のようなものをつけますとどうしましてもそれなりに経費がかかりますので、人口というものもその基準の中に一つ入れておく要素だというふうには思っております。  そういうことがいろいろございまして、私たちの方もこういう防災無線の必要性というのは十分に理解をしているつもりでございますので、いろいろな点の工夫をしながら、公共団体のいろいろな御要望に沿うように今後とも研究をしていきたいと思っております。
  92. 遠藤和良

    遠藤分科員 最後にちょっとお聞きしておきます。  防災無線行政、これは他省庁もやっておりますけれども、防衛庁、通産省とありますね。とりあえず農水省関係との対比をしてみたいと思うのですが、農水省は国の補助率が二分の一である、消防庁がおやりになっているのは三分の一でございますね。これを三分の一とした根拠。私は、防災行政は、その主たる業務は消防庁にあるのではないかと思うわけでございます。そうでございますから、農水省が二分の一なのに消防庁関係は三分の一というのはちょっと納得できかねる点もあるわけでございますが、この根拠と、今後主管の消防庁といたしまして、もう一歩努力をして補助金の率を上げるとか、そういうことをお考えになっていますか、お伺いします。
  93. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 一般的に補助金を三分の一にするか二分の一にするかというのは、一つの物を仕上げていくときの政策目的をどういうふうに遂行するかということにかかっているわけでありますが、自治省が三分の一にしているという一つ理由には、御案内のとおり、自分のところの独自の財源で三分の一補いましょう、三分の一は地方債で補いましょう、三分の一は国の補助金でやりましょう、そういう一つの考え方があるわけでございます。トータルで一になるわけですが、そういうやり方で実は今までも市町村の中の仕事についての国の推進をやってきたわけであります。その根底にあるものは、こういう市町村の消防全体から見まして、特に自治体消防だということが基本にございまして、国がそれをどういう形で推進をしてやるかというところに大きい意味合いを持っているわけであります。  そういう点で、国と、本当は県が三分の一出してくれれば一番ありがたいと私は思いますが、現在の状況の中ではなかなか県が三分の一出してくれない。ですから、国が三分の一、県が三分の一、自分が三分の一持てば本当は一番望ましい援助方法になるのだと思っております。しかし、なかなか県が出せないものですから、県の分だけを地方債で賄うかという感じもございまして、特に無線につきましては補助残の九割を実は地方債をつけているわけであります。そういうことをしながら整備をしていくということでございまして、それなりの努力はしているつもりであります。  先ほど申し上げましたように、補助金の額は高い方がいいに違いませんが、国もこういう財政状況にありますからなかなか難しいこともあり、我々も努力をすべき課題だと思っておりまして、今後ともこういう防災無線の一日も早い整備ができますように私たちもやっていきたいと思っております。
  94. 遠藤和良

    遠藤分科員 本来は県で三分の一ということでございますけれども、それは希望的観測なのですか、ある程度県に対して三分の一ということを行政指導的に通知をしているのでしょうか、どうなのでしょう。
  95. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げましたのは、普通はそういうやり方をするのが望ましいのだということを申し上げたので、私の方は別に県に防災無線を三分の一持てということを申し上げるつもりはありません。というのは、県自身も自分で県の無線を使っておりまして、県自身もこういう財政状況ですからなかなか吐き出すのが難しいだろうと思います。ただ、そういう山城だとか東祖谷だとか、私は知っているから申し上げるわけではありませんが、ああいう面積が大きくて山、谷の多いところに無線をつけるのに、しかも財政力が弱いのだから県も少し見てくれたらありがたいかなという気持ちで申し上げているわけでして、これを三分の一県に持てということを我々が今申し上げるつもりはございません。
  96. 遠藤和良

    遠藤分科員 長官は徳島県のことをよく御存じでございますけれども大臣も、神奈川県でございますが、日本の都道府県は本当に山のところが多いわけでございますね。大変なところがございます。ぜひひとつ地方にもお出かけになりまして、そういう皆さんの実情をよくお聞きになりましてきめの細かい行政をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  97. 田川誠一

    田川国務大臣 国会が終わりましたら、ひとつ地方へも出かけて実情をよく見たいと思っております。
  98. 遠藤和良

    遠藤分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  99. 石原慎太郎

    石原主査 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷昭雄君。
  100. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、選挙関係一本に絞りまして、田川大臣並びに中央選管関係の皆さん方にお伺いしたいと思います。  最初に、第三十七回選挙の投票率が大変低かったと言われておるわけであります。全国平均が六七・九四%、五十五年選挙が、あれはねらいもねらいだったのでしょうが七四・五七%、これは高かったと思いますけれども、それに比べるまでもなく大変低かったのじゃないかというふうに言われておるわけですが、自治省当局はこの投票率の低かったことをどのように分析しておられるでしょうか。
  101. 岩田脩

    ○岩田政府委員 お答を申し上げます。  御指摘がございましたように、この前の選挙の投票率、残念ながら大変低うございまして、その意味では大変申しわけのないことに存じております。  ただ、投票率が何によって決まるかというのは、これはまたいろいろな要素があることだと思います。一般的に言いますと、例えば特に都市部に住んでいらっしゃる方、それらの方たちの都市部の中での住所移転、つまり地域との結びつきというものがだんだん失われてくる傾向にあること、それからその選挙の置かれた状態、それから天候といったこともございましょう、それから立候補者の状態というようなこともございましょう、そういったものがかみ合ってああいったような投票率になったのではないかと思っております。こういった投票率の動向についてはこれからもいろいろな機会を通じて勉強もしてまいりたいと思いますけれども、どうやら今までの勉強では一概には決めつけられないものがあるのではないかと考えております。
  102. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 不在者投票制度というものがございます。選挙法の第四十九条にありますけれども、我が国の場合は投票所投票方式ということをうたってあるわけでございますね。この不在者投票制度が、三十七回選挙の棄権票との関連でこれがうまく機能しておったと考えられるかどうか、この点についてはいかがですか。
  103. 岩田脩

    ○岩田政府委員 実は、各都道府県からの報告を分析するのはこれからなんでございますが、ただ一般的に考えまして、不在者投票の場合に投票所においでをいただくという制度は何も前回の選挙だけに始まったわけではございませんで、今までもずっとやってきたことでございますので、今回の選挙の投票率に現在の不在者投票のあり方が直接にかかわっているとはちょっと考えにくいのではないかと思っておりますが……。
  104. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私の選挙区は秋田二区でございます。この秋田二区の実情を若干述べまして、自治省の考え方、大臣の考え方をお聞きしたいのですが、三十七回選挙では、秋田県二区、御案内のとおり大変出稼ぎの多いところでございます。田川大臣の神奈川県にも我が方から毎年たくさん御厄介になっておるわけであります。この出稼ぎ者を中心とした不在者というのはかなりたくさんおるわけでございますが、具体的な町村の、私の方で正確に調べたところだけを御報告したいと思うのです。  例えば大曲市、私の地元なわけですが、この大曲市が投票率が一七・四九%です。おわかりでしょうか、出稼ぎ者のですよ。それから、仙南村というところが大変多く出稼ぎ者が出ておりますが、ここが二四・二三%。千畑村というところが、これも大変多いところですが一二・九七%。中仙町が二三・一六%。角館町が二五・九六%。西仙北町が三八・七六%、これが私たちの調べたところでは一番高いところです。湯沢市というところがございます。酒のうまいところで、しかも出稼ぎの割合に多いところですが、ここがたった五%なんですよ。山形県境の雄勝町というのがございます。ここは恐らく最低だと思いますが、四%台なんです。こうして考えますと、秋田県の実情からしましても、出稼ぎ者の皆さん方の投票率は大変に低かったのではないか、これが非常に特徴だと思います。五十五年選挙というのは、出稼ぎでこちらの方へ来ておらないときの選挙でございました。十一月から四月までの間の選挙というのは出稼ぎ者がこちらの方におる場合でありまして、すべて不在者投票の制度によって行うということになっておるわけでございますが、それにしても今回の第三十七回選挙は特に低かったわけでございます。  自治省は今国会で海外同胞に国政選挙権を保障したいという考え方があるように伝えられておりますが、この海外同胞に対する選挙権の拡大という点では、私は大いに賛成をするものでございます。しかし、その前に、せっかく保障しておりますこれらの出稼ぎ労働者、家郷を離れまして半年、それぞれの他府県に出向いております出稼ぎ農民の皆さん方、これは農林関係を中心にして数はいろいろ言われておりますが、大体四十万人とみなされます。この四十万人の皆さん方の選挙権を完全に保障するということが前提にならなければならないと思うのでございます。現行不在者投票制度を何としても見直す必要があるのではないか、私はそう考えますが、自治省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  105. 岩田脩

    ○岩田政府委員 今度の選挙が十二月でありましたので、出稼ぎ関係者に対してどういう影響が出たかというのはこれからまた見せていただかなければなるまいとは思います。ただ、例えば五十一年の選挙のときも、あれはたしか十二月でございましたけれども、特にそういったようなお話はございませんでした。かつまた、現在でも御承知のとおり出稼ぎといいますか、自分の所属している市町村にいらっしゃらない有権者のためには、当該、いらっしゃる町での選挙管理委員会に出向いていただく投票の制度とか、そういったようなものを設けているわけでございますけれども、そこいら付近の活用の実態というか、具体にその制度を利用していただく上で支障になる点があれば、そういったようなお話も聞いてみたいとは思っております。  ただ、今お話に出ておりました投票所に御本人が行っていただく、投票所に行かないまでも選挙管理委員会に出向いていただくというのは、現在の日本の不在者投票のいわば骨格をなしておる制度でございまして、今お話に出ましたが、海外における投票につきましても、実は海外の大公使館、領事館でございますが、そこにおいでをいただくというスタイルは変えておらぬわけでございます。したがいまして、そういった体制は保たなければならぬのではないかと思いますけれども、そういった制度の運用については今後とも研究をさせていただきたいと思っております。
  106. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、出稼ぎ者の場合に限って、具体的に手続の実態を申し上げたいと思うわけです。  一つは、秋田県選管の場合は手続が非常に複雑というよりも、本人と選管の間を一往復しなければならないという制度になっております。まず申告をする、これが一往復です。そして告示になると同時に、選管はそれに基づいて本人に投票用紙を送ってやる。そしてそれが投票所主義ですから、働いておる市町村の役所へ行って投票をする。東京の場合、特別区も許されるわけですけれども。このように手続が二重になっておるということが一つ。  第二番目は、告示から投票までの期間が短くなった。衆議院の国政選挙では五日間短くなりました。そして三月一日以降は、これまた町村会議選挙その他はたった五日しかございません。五日の間にそんなことができるのかという問題がございます。  第三は、出稼ぎの実態からしますと平日投票というのが極めて困難になっております。それはなぜかというと、一つは現場と投票所が非常に遠いということでございます。それぞれの地域、例えば神奈川県でありましても厚木なら厚木、大変広うございます。しかも、現場はそれぞれダムの工事その他の工事がございます。そういうところと厚木の市役所との距離が大変速うございます。ないしは、宿舎が例えば東京の田無にありましても横浜に仕事現場は持っておるということが非常に多うございます。そういう点で、平日の投票というのは決められた時間内には非常に困難になる。それが第三点。  第四点は、企業の理解が極めて乏しいということでございます。現在このとおり買い手市場にございます。投票に行くから暇をくれとかそんなことは、企業としてはそんなのは要らない、賃金はカットされる、旅費なんか全然支給されない、こういう状況の中で、一人の労働者がおれは投票するんだと言ってみても、それはなかなか難しいという状況が次第に強くなっておるわけでございます。  先ほど部長は五十一年選挙ではそうでもなかったと言っておるのですが、もう今や、五十八年、五十九年という現在の出稼ぎの状況というのは極めて厳しいものがございます。私は、そういう認識というのは甘いというふうに思って今申し上げているわけでございます。したがって、私は投票所主義の不在者投票制度というのは抜本的に見直しが求められておると思います。  先進国の例を申し上げますと、一つは不在者投票制度を設けておらない国々がございます。これは完全な投票所投票制度でございます。しかもベルギーなんかは義務づけておりまして、理由のないいわば棄権に対しては罰金さえも科しておるということでございまして、九〇%以上の投票率を常に誇っておる。そのほかにイタリアやオーストリアがあります。  二番目は郵便制度の問題がございまして、これは西ドイツ、スイス、オーストラリア、アメリカ、こういうところがありまして、これは有権者が郵便で投函できるという制度でございます、  第三番目は代理投票の制度でございまして、これは委任状投票とも言われておるようです。フランス、イギリス、オランダ、ベルギー。大体この三つに大別されるようでございます。  現行の制度、これをこのまま踏襲するにしましても、少なくとも手続はもっと簡便にする必要がある。そして選挙証というのが諸外国にあるようでございます。この選挙証の交付をしながら郵便投票の導入ということも真剣に考えるべきじゃないか。先ほど海外同胞の選挙権の拡大という問題もございました、領事館に行けというふうに。そんなことでは私は保障にならないと思うのです。したがって今回、このような出稼ぎ農民の皆さん方の保障ということも前提にしながら、この投票所投票主義ということにこだわらない、しかも不正をある程度防げる、そういう選挙法の抜本的な改正ということをぜひひとつお願いしたい、こういうふうに思うのでございます。これについてのお考えといいますか、簡単にひとつ、前向きで検討できるかどうか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 岩田脩

    ○岩田政府委員 ただいまの御指摘の幾つかの点というのは投票所投票主義をとればおのずから出てくる問題でございまして、今お話しのようにそれを直すということになれば、根本的な検討をしなければならぬという問題はございます。ただ、先ほど申し上げましたように、これは現在の不在者投票制度の根幹に触れる問題であります。早い話が、終戦直後、一時郵便投票による不在者投票が一般的にできた時期がございますけれども選挙訴訟が多発いたしまして、そういう問題があってすぐ取りやめてしまった。その後長い時間を経て、現在、重度の身体障害を有する方に限って復活しているといったような経緯もございます。  実は我々もこういった問題につきまして、例えば自民党の選挙制度調査会などで議論をしないわけではないのですけれども、やはり郵便投票や、ましてや代理人による投票といいますか、今おっしゃった委任状により投票に踏み切るということについては、まだまだ慎重な御意見の方が圧倒的だと思っております。何しろ仕組みの基本にかかわることでありまして、相当広いコンセンサスが得られませんとなかなか踏み切れない問題であります。今後とも研究課題にさせていただきたいと思っております。
  108. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 この点についてひとつ大臣から、今、次の問題に移りますのであわせてで結構ですから。少なくとも出稼ぎ農民その他の皆さん方のせっかくの選挙権を、今言ったような、秋田県でよくても三〇%なんということでなくて、在郷しておりますと少なくとも七〇%、八〇%の方々でございます。したがって、少なくとも半分以上は完全に保障できる、そういう施策をどう考えられておるかということ。  次に、衆議院の定数是正について自治大臣基本的な考え方、これをお伺いしたいと思うわけでございます。  この二つについて、大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  109. 田川誠一

    田川国務大臣 出稼ぎの方にもできるだけ大勢投票していただくようなことも考えていかなければならないと思います。おっしゃるとおりだと思います。  ただ、今も選挙部長から話がありましたように、不在者投票制度をずっとやっておりますのを見ますとなかなか難しい面がありまして、できるだけ皆さんに便宜を図ってやらなきゃいかぬと思いつつ、簡略化するとやはり不正が随分起こってくるという面がこれまでもしばしばあるわけです。私などもそういうことを自分の選挙区で見ているわけでございまして、その辺がなかなか難しい問題なんです。ですから、今後御指摘のような点をひとつ十分踏まえて、これからもできるだけ皆さんに御便宜を図っていけるようなことを考えていかなければならないと思っております。  それから、衆議院の議員定数に対する基本的な考え方でございますけれども、御承知のように衆議院の議院定数の是正の問題は、最高裁から不均衡の問題が違憲状態として指摘されておりますから、これは何としてもやらなければならぬ問題でございまして、これは一自治省、主管省の問題ではない。国会全体の問題でもあるし、政府全体の問題でもある。ですから、これは是が非でもなるべく早くやらなきゃならぬ。できることならこの国会でも国会に定数是正の案も出すくらいの気持ちでやっていかなければならない。どんなに遅くなりましても次の選挙は是正をして選挙をやらなければならぬ、こういう考えでいるわけでございます。  また、この定数是正につきましては、各党間でこれはどうしても合意を得なければなりませんが、各党各会派も大変熱心に今いろいろな案を検討してくださっております。各政党、各国会議員、選挙に出ようという人たちの政治生命にかかわる大きな問題でございますから、何といっても各党各会派の合意を見なければこれはなかなか実現できない。ですから、そういう前提に立ってこの定数の不均衡を直していかなければならないというのが私どもの考え方でございます。決して各政党に任せているということじゃなくて、私どもも、各党各会派の意向がある程度だんだん絞られてくれば、それに応じた資料の提出とか、そういうこともすぐできるような態勢になっております。そういうようなことでございます。
  110. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 昨年十一月七日の最高裁の判決、これ自体は、今大臣お話しのとおり我々も厳粛に受けとめなければならないというふうに思うのは同様でございますが、問題は、最高裁判決でも言われておりますが、選挙区定数の最も重要な要素として人口比を挙げておることでございます。しかしその他の要素もこれあり、このことの含みを残しておるわけでございますが、そこまでは立ち入って大臣から今お話はございませんでした。  私は、この人口比は確かに最も重要な要素ではあるが、地方の問題、それからいろいろな政治的な問題、こういったのもあろうかと存じます。例えば秋田二区。これは、私たちの方は重い方から五番目だそうでございます。したがって、自民党案によりますと削られるということだそうですが、私は党内では、反対ですよ、少数意見としてであってもあくまでも反対しますよ、こういうように言っておるんですが、秋田県のこんなことをひとつお考えになっていただきたい。  まず第一に面積の問題なんですよ。人口比と比べて面積はどれくらいになっているのかといいますと、これは大変な問題だと思います。例えば秋田二区と、その他の、今の多いと言われておる地域がございますが、これの対比を見ますと、千葉四区、それから神奈川三区、埼玉二区、東京十一区、埼玉四区、こういったところが秋田二区などと比べると一票の重みが大変軽い、こういうように指摘されておるのです。反面、面積から比較しますと、もう問題にならないほど秋田県の二区の方が広うございます。  例えば、私調べてみてびっくりするんですが、田沢湖という私の方の町があります。この田沢湖の町一つだけで優に、面積だけからしますと千葉四区全体をはるかに超えておるわけでございます。したがって、秋田二区と千葉四区を比べてみますと、面積比だけから言うと十何対一になるわけでございます。こういう面積比というのも重要な要素として考えていただきたい。  もう一つは、皆さん方にこのことも考えていただきたい。例えば秋田二区の場合、第二十三回選挙というと昭和二十二年でございます。昭和二十二年の有権者は二十九万一千二百四名でございました。第三十七回選挙は五十八年でございます。これの有権者が三十八万五千六百六人。こういうふうに考えますと、現に九万四千四百二人、ほかの過密都市と比べますと問題になりませんけれども、絶対有権者の数はふえておるわけであります。近いところの五十五年の三十六回と五十八年の三十七回をとりましても、五千三百四十五名ふえておるわけであります。有権者は年々ふえておるわけです。にもかかわらず、全体の枠、五百十一名という総枠の中でほかの方がふえたから減らすということが、一体理屈の上で、いわば間接代表、民主主義という点からしますと、代表を出されないというこの地域の人間の挫折感、疎外感、こういったものが現実にあるわけでございます。有権者が減っておるのだったらあきらめますよ。有権者は現にふえておるわけであります。にもかかわらず、そこは減らす。それは全体の枠が抑えられておるからであります。このことも考えていただきたい二番目です。  そうして第三番目は、例えば千葉四区とか神奈川三区、埼玉二区を初め一票の重みが極めて軽いと言われておる地域は、すべてここ二十年間の過疎過密の中の過密の結果生まれたところでございます。そうして兵庫五区を初め山形二区まで自民党案の六つの選挙区は、すべて全く相反する過疎によって生まれた地域でございます。過密過疎というのはすぐれて政治的に、経済的につくられた現象でございます。私は、地方の時代とか地方を重視するというかけ声が、こういう意味でもますます損なわれていくのではないかということを危惧するものでございます。  大変に重要な、しかも選挙民にとって、とりわけ我々のように代表として国政に参画する者にとって重要な意味を持っておりますこの定数是正の問題は、かかる観点から、少なくとも地方の皆さん方にそういう挫折感や疎外感を与えないという点で慎重に進めていただきたいものだと思うわけでございます。自治大臣のこういう点での御所見をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  111. 田川誠一

    田川国務大臣 御趣旨はよくわかりました。なかなか人口の少ない地域から選出されている議員さんのお気持ちは、私もよく承知しているつもりでございます。  それからもう一つ、人口だけで定数の配置を決めると、これは東京選出の議員が一割占めてしまうのですから、人口だけが議員定数の配分の要素ではなく、やはり地域地域の特殊性、地勢あるいは選挙区のよってきたるいろいろな歴史的な問題、あるいは面積、過疎度、こういうようなことも考慮しつつ定数を配分することが原則だと思います。単に人口の比率だけではない。ただ、今定数の問題が起こっておりますのは、余りにも開きが大きいということでこういうような問題が起きているわけでございます。  それからもう一つ細谷さんに御理解していただきたいのは、代議士というのは、国会議員というのは、地域を代表しているのではなく国民全体を代表し、代表しているということよりも、国民全体に責任を負って出てきているということを忘れてはならないと思います。ただ地域の代表だけでやったのではこれはもう地域の代弁者になってしまいますから、そういう意味から考えますと、ある程度の人口比率というものも重視して代表を出しませんと、国民の声を十分反映することはなかなか難しいのではないかと私は思うのです。  これは私の個人的な考え方でございますが、先ほど来申し上げましたように、何といいましても各党各会派の重要な問題ですから、こういう問題は国会でひとつある程度の意思統一をしていただくことが先決でございます。私どもも、今細谷さんがおっしゃったことを十分頭に入れて準備をしてまいりたいと思っております。
  112. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 ありがとうございました。
  113. 石原慎太郎

    石原主査 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  114. 谷洋一

    ○谷主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  自治省所管について質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  115. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大臣にお伺いをいたしますが、まず最初に、今問題になっております衆議院の定数是正、衆議院だけではございません、参議院もございますし、また地方議会においても大変な格差がございますが、その中で特に衆議院の定数不均衡については既に最高裁から違憲状態であるという判断が下されまして、これはまさに民主主義の根幹にかかわる重大問題であると思いますけれども、まず大臣の御見解をいただきたいと思います。
  116. 田川誠一

    田川国務大臣 おっしゃるように重大な問題でございまして、単に主管の自治省ばかりでなく、国会全体の問題でもあり、政府全体の問題でもあると思います。そういう意味から定数の不均衡の是正は一刻も早く解決していかなければならない喫緊の課題だ、このように考えております。  ただ、この問題は各政党各会派の命運にもかかわる大きな問題でございますから、私どもといたしましては各党各会派のこれに対する合意をできるだけ早くつけていただきたい、このように考えております。
  117. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 この問題については、先般の組閣、連立、そのときに自民党と新自由クラブとの政策協定の重要な一項であったと伝えられておりますけれども、いかがですか。
  118. 田川誠一

    田川国務大臣 そのとおりでありまして、政策合意の中の一項目に定数是正の解決を図らなければならないという項目がございます。そういう項目も踏まえて中曽根総理大臣選挙後、定数の不均衡の是正をできるだけ早く解決しなければならぬということを、しばしば国会の内外でも言っておるものと思っております。
  119. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 今大臣おっしゃいましたように、この問題は各党の消長にかかわるし、また議員の政治生命にもかかわることでありまして、これは我々議員としても軽々に発言はできないという側面があるわけでありまして、定数の減るところは大変な重要問題であります。また、定数のふえるところの議員が軽々に発言することは、これまたエゴではないかということも言われるわけでありますけれども、これはそういうことを超えて、民主主義の根幹に触れる重要問題でありますので、ぜひひとつ、方法等についてはいろいろあるでありましょうけれども、御努力をいただきたいし、また、もちろんこれは基本的には各党の合意ということでありますが、所管大臣である田川大臣にはひとつ十分主導権をおとりいただいて早く解決するように強力な御指導をいただきたいと思うわけであります。  次に、財政の問題でありますが、地方自治体財政の問題については、かねてから多くの議論がございます。特に現在の日本の状況が、中央集権、これはちょっと強過ぎるかもしれませんけれども、中央集権的な機構のもとに進められているということでありまして、確かにそういう側面が強い。財政権においても、特に地方自治の根幹をなす財政権はその重要な部分を国が握っておるということでありまして、税制においでもそうでありますし、また起債等においても一々上級庁の許可を得なければできないということでありまして、先般も東京都の問題があったようでありますけれども、ああいう問題は地方自治の本旨からすれば決して好ましいことではないと思うけれども大臣地方自治を発展させるという立場にいらっしゃるわけでありまして、中央集権、これを一挙に変えるわけにはいかぬと思いますけれども、できる限り地方自治の本旨に基づいた地方財政ができるように御指導いただきたいわけであります。  それに関連をして、地方団体が自主的に財政運営ができるように、少しでもそういう方向に改革していくべきではないかと思います。伝えられるところによりますと、大臣が就任のころ、地方自治体の自主性を回復する一つの方法として補助金の整理、これは前から言われておるところでありますけれども補助金を整理して第二交付税をつくるべきである、あるいはまた起債についてももっと自由な立場で地方団体が独自の判断でやれるようにすべきだ、こういう御発言をなさったように伝えられております。  その一つの、補助金を整理すべき問題ということでありますが、現在の補助金、これは国の親心と言えばそれまででありますけれども、別の側面からすれば補助金という手段によって地方の政策を国が拘束するという側面も確かにあるわけであります。補助金欲しさの余り、優先順位からすれば二番、三番であるけれども補助金があるからこの仕事をやろうという傾向もなきにしもあらず。これは行革とも関連するわけでありまして、何が一番緊急であるかということは地方団体の判断によってやるべきが当然でありますけれども、なかなかそうでもないという面があるわけです。そういう中央支配の財政機構、仕組みを改めていくべきだと考えるわけでありますが、大臣、いかがでしょう。
  120. 田川誠一

    田川国務大臣 中央集権的という言葉、これはいろいろ見方がありますけれども、私は必ずしも今地方財政が中央集権的になっているとは見ていないのです。これは尺度をどうやって見るかということの判断にもよりますけれども、私は地方自治というのをこの三十年間素人なりに見ていて、地方自治が憲法に記されているような方向に向かっているか向かっていないかということを見る尺度としては、行政水準が上がっているかどうかということが一点、それからもう一つは住民の地方自治に対する意識が下がっているのか上がっているのかという二つの側面から判断すべきではないか。  そういう二つの側面から判断すると、戦後の改革の中で生まれた新しい地方自治制度というものは、十分ではありませんけれども、徐々にではあるけれども進んでいると私自身は見ているわけです。しかし、今新村さんがおっしゃるようにまだ財政基盤も非常に弱くて、また国の関与もある程度まだあるし、国の仕事のために地方がある程度の負担をしなければならぬという面も幾つかあるわけです。そういう面を考えればまだまだ努力をしていかなければならない、このように思っております。  それからもう一つ、第二交付税ということを私が申し上げたことはいまだかつてありません。そういう御質問を受けたことはございますけれども、ありません。委員会やその他で、恐らくもっと地方財政の基盤を強化していく必要があるのではないかというような意味のことは今まで申し上げました。  補助金のことでございますけれども国庫補助金はできるだけ整理縮減をしていかなければならぬ。この前提になるのは、事務事業の廃止縮減ということを前提にして国庫補助金をなるべく整理統合してやっていかなければならぬ。もう一つ地方団体の事務事業として既に同化定着しているという仕事ですね、そういうものに対する国庫補助金というものもあるはずでございますが、こういう補助金はできるだけ地方の一般財源に振りかえてやっていくということを考えていかなければならぬし、それから補助金の総合化というのですかメニュー化と申しますか、そういうようなことを考えていくべきではないか。こういうことを申し上げたのが第二交付税というような話になったのではないかと思います。  そうした考えておりますが、足りない点がありましたら財政局長から補足させていただきます。
  121. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 今大臣がおっしゃったのはそういう意味だということかもしれませんけれども、八四年の一月九日の毎日に、田川自治大臣の談として「国庫補助金は、中央のタテ割り行政をそのまま地方行政に持ち込んでいる。自治体の自主性や創意工夫を奪っていないか。それにはいろんな決定権を地方に移譲するのが一番だ。」こう語ったというように伝えられております。そうしますと、このお考えをできるだけ実際に移していただきたいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  122. 田川誠一

    田川国務大臣 今お読みになったことは申し上げた覚えもございますし、またそういう方針で進んでいかなければいけないというふうに考えております。
  123. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 従来の国の自治政策は、中央集権ではないとおっしゃいますけれども、やはり何といってもそういう傾向が強いわけでありまして、新憲法施行以前に比較すれば格段の発展を地方自治はいたしておりますけれども、やはりあるべき姿にはまだなっていないというふうに考えるわけでありまして、今前向きの御答弁をいただきましたけれども、ぜひそういうことでお願いをしたいわけであります。  戦後の地方自治、特に財政をずっと見てみますと、一時よりは若干後退している感があるわけでありまして、交付税につきましても、特交というのは最初なかったと思います。ところが特交ができたということは、国の一定の施策をそこに反映をさせる、単に機械的に交付税を自治体に分けるだけではなくて、国の政策がそこに入ってくるわけであります。もちろんこれは、災害であるとか交付理由があって交付するわけでありますけれども、国の施策がそこに入ってくる、国の方針が入ってくるということで、本来、交付税というのは国の主観的なものが絶対入ってはならないわけでありまして、地方団体のこれは一般財源でありますからあくまで一定の基準に従って交付すべきでありますけれども、それがそういう方向に動いてきたという事実もあるわけであります。この際、ぜひひとつ大臣地方自治を育成するというお考えを実際の施策に反映をさせていただきたいわけであります。  それからもう一つ起債の問題がありますが、起債については法律でも「当分の間」という言葉を使っておるわけですね。ところが、「当分の間」がもう何十年になっているということで、一向に地方財政権の自主性が回復をされないという面がございますが、この点については大臣、いかがでしょうか。
  124. 石原信雄

    石原政府委員 大臣の御答弁の前に。  ただいま地方債の許可制度関連いたしまして「当分の間」についての御指摘がございました。現行地方自治法二百五十条の規定によりまして、地方債を発行する場合には、当分の間、都道府県の場合には自治大臣市町村の場合には都道府県知事の許可が必要である、「当分の間」が大分長く続いているのではないかという御指摘でございますが、現在の許可制度地方自治法制定と同時に規定され、その後昭和三十八年の地方自治法の大改正の際に見直しが行われて今日に至っているわけであります。  現在の地方財政の状況のもとでは国全体として資金を計画的に地方団体に公平に配分する必要性が依然として高いということ、それから、地方財政の現状のもとにおいて地方財政健全性を担保する意味からもこの制度がなお必要であるということで、この制度が実施されているわけでございます。したがいまして、「当分の間」ということでありますが、これは特に期間を定めてないという意味で「当分の間」という規定がなされているわけであります。法律解釈として特に短くなければならないということではないんでありまして、あくまで期間を切らずに現在そのような制度が必要である、こういう形で、そういう考え方でこの地方自治法二百五十条の規定がされているもの、このように理解しております。
  125. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 この点についてもやはり大臣の談話があるんですが、「地方債の許可も国が一件ごとに厳重に審査するのではなくて自治体ごとの枠の配分を決定するぐらいのところでとどめるべきだという意見地方には根強い。」ということで、大臣がそうやるとおっしゃっているわけではないですけれども、それを認めておるような御発言がございますが、いかがでしょうか。
  126. 田川誠一

    田川国務大臣 恐らくそれは、私どもの属しております新自由クラブが、地方自治に対する一つの考え方として地方起債の許可をできるだけ緩和していくべきだ、将来はなるべく自主性を持たせていくべきであるという考え方を政策の面であらわしておりますし、選挙でもそういうようなパンフレットを書いておりましたので、そうした考えを持っているというふうに言われていると思うのでございます。  理想としては私どもはそういうふうにすべきだと思っておりますけれども、現実として三千三百幾つの地方団体、それぞれいろいろな財政事情もあるし、何といいましても自治体から見れば国全体の財政も十分把握はできないというようなことで、その自治体が中心になってどうしても行財政に対応するようになりますので、今現状を見ますれば国がある程度の調整作用をしないと、野方図と言ってはあれですけれども起債に対する十分な抑制措置というものはなかなか自治体だけでできるものとは思いませんので、そういう意味で私は、現状はなかなかそう簡単ではない、こういうふうに認識をしているわけでございます。また、今は起債地方の自主性に任せてどんどんやるというのは適当なことではない、このように考えております。
  127. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 新自由クラブさんは地方自治に大変御理解があったわけですね。しかし、大臣の御答弁はちょっと後退しているように伺うわけです。野方図に地方団体に自由を許すということではなくて、起債にしても、ここにも大臣が語ったというふうに伝えられておりますけれども、枠の設定程度にとどめておく。一件ごとの審査というのは、いかにも地方団体の後見役だと言わんばかりのやり方だと思いますよ。一件ごとにこれは許可する、これは許可しないということではなくて、各事業の緊急性は各自治体が一番よく知っているわけでありますから、各自治体の緊急度と違った起債の査定が行われる例が実際には間々あるわけなんで、そういうことで、野方図にということではなくて、一定の枠内における選択の自由を許す程度のことはどうであろうかというふうに考えるわけでありますけれども財政局長はその点どうなんですか。
  128. 石原信雄

    石原政府委員 地方債を財源とすることについて、基本的には各地方団体が発意するわけでありますが、その許可の事務手続として私どももなるべく地方団体の自主性を尊重していく、それから、何よりも事務手続の簡素化をするという意味合いから、これまでいわゆる枠配分というものを逐次広げてきておりまして、今日では市町村分については相当部分がいわゆる枠配分になっております。一定の基準で都道府県に枠を配分して、その枠の中で各市町村の実態に即するように県の段階で許可しているというのが実情でございます。  いわゆる一件審査というのは特定のごく限られた起債について今日では行っているということでありまして、基本的には先生指摘のように枠配分方式を拡充してきておりますし、今後もこの考え方は堅持していきたいと思っております。
  129. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 先ほど局長が言われた、「当分の間」というのは定めがないんだ、だからいつまでやってもいいのだという考えは、ちょっとおかしいのですよ。それは、戦後の地方自治体財政的にも非常に脆弱であった時代に、当分は国が、まあそうは言わないけれども、お気持ちは、監督しましょう、指導しましょうということでしょう。それで期間は「当分の間」ということになったわけであって、「当分の間」というのは期間を決めないのだからいつまでやってもいいという読み方は、ちょっとおかしいのですよ。おかしいと思いますよ。  その点と、それから枠配は、現在、割合とするとどのくらいですか。
  130. 石原信雄

    石原政府委員 私は「当分の間」の法文の解釈として申し上げたわけです。ずっといつまでもという意味ではなくて、要するに期限を切らない場合に「当分の間」という用語を使っておるという意味で申し上げたわけであります。  で、今日の地方財政の実態では地方債の許可制度を撤廃することはできないということで申し上げたわけですが、確かに今の許可制度ができた当時の背景として、シャウプ勧告によって本来地方債は地方団体の自由であるべきだ、しかし、地方財政の現状においては自由発行は無理だというので地方自治法に規定が置かれたわけです。ですから、地方自治の理想からいたしますと、地方が十分な自己財源を持って、みずからの判断で地方債もできる、そうしてそれで心配がないような財政状態になる、これが理想だと思います。そういう意味で、地方自治の理想からするならば、許可制度というものがずっと続いた方がいいということではなくて、むしろこれはなくて、各団体が自己の責任で財政運営できるような姿になることが望ましい、そのように思います。  それから枠配分の比率でございますが、五十七年度の実績で申しますと、普通会計について申しますと都道府県が八七・四%、市町村が九八・七%が枠配分で実行されております用地方債全体として普通会計では九二・四%が枠配になっております。  なお、公営企業債の方は経営収支との関連がありまして個別審査がやや多くなっておりますので、公営企業まで含めますと全体の枠配分比率は七四%になっております。
  131. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 「当分の間」という解釈はやはり消極に解すべきだと思いますから、その点ひとつ御考慮をいただきたいわけです。  それから今、枠配を伺いましたら大分高い比率になっておりますので、これをぜひ一〇〇%になるように大臣に御努力をいただきたいと思います。  それから次は、やはり地方自治の本旨にかかわる問題でありますけれども、今、文部省が中野区の教育委員の準公選問題についてやめろという勧告をいたしておりますね。これは御承知のように、法律に真っ向から対決する、反対するということではなくて、任命の前に区民の意向を聞こうという趣旨から始まったわけでありまして、むしろ地方自治を尊重し、発展させるということがその背景、前提にあるわけですね。ところが文部省の方からやめろということで、中野区としては大変困惑をしておるということのようでありますけれども大臣のこの問題についての御見解はいかがですか。
  132. 田川誠一

    田川国務大臣 中野区の教育委員の準公選の問題に対する文部省の勧告でございますけれども、この問題は非常にいろいろ議論のあるところでありますが、私どもとしては、主管である文部省の判断にまつ以外にはちょっと、我々がこの勧告が悪いのかいいのかということはなかなか判断できかねる問題でございます。  御承知のように、結局この問題を突き詰めて言えば地教行法第四条の問題になるわけですから、この第四条の問題がいいのか悪いのか、中野区の問題がこれに触れるのか触れないのかという問題になりますので、我々にお尋ねを受けますとやはりそういうふうに受けざるを得ない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  133. 大林勝臣

    ○大林政府委員 法律と条例との関係というと非常に難しい問題が介在するわけでありますけれども、先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、この種の問題につきましては、非常に厳格に解釈をすれば教育委員の選任は長が権限として持っておるという考え方になりましょうし、それから、法律と条例の関係で、法律は委員の選任について長が決断をするまでの手続については何も書いてないじゃないか、そこら辺は空白ではないかという立場から申しますと、また別の考え方が出てくる。こういう意味で、大臣がいろいろな考え方があるとお答え申し上げたとおりでありますが、結局どちらの考え方をとるかというのは、具体の法律の趣旨、目的との関係から考えざるを得ないということになりますと、この法律を所管しておる文部省の立場を尊重するのが適当であろう、こういう趣旨でございます。
  134. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 この勧告が出る前に、文部省から大臣には協議がございましたか。
  135. 大林勝臣

    ○大林政府委員 正式な協議ということではございませんけれども文部省としてはこういうことを考えておるという連絡はございました。
  136. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 協議ではないのですね。協議ではないけれども連絡があったということですね。  大臣は、これは大臣の所管ではないとおっしゃいましたけれども、これは大臣の所管だと思いますよ。重要な所管だと思いますよ。これは自治の原点に関する問題ですから、そういう側面からすれば重大な問題だし、半分はやはり自治省の責任だと思いますね。そこで今の御答弁で、政府の答弁としてはそう言わざるを得ないと思うのですけれども地方の条例というのは法律に明らかに背反しない限りは制定していいはずですから、許されるわけですね。ですから、そういう意味で中野区の条例は決して法律に背反するものではないというふうに我々は解釈をいたしますし、そういう解釈がまた世間では広く支持されております。時間が参りましたので、途中になりましたけれども、これは改めてまたお伺いいたしますが、この問題はやはり、大臣、自治の根幹に触れる問題ですから、文部省とよく御相談いただきたいのですよ。それで文部省さんにも十分検討をいただいて、強権的な、権力的な文部行政ではなくて、自治の根幹に立った、自治の原点に立った指導をやはりするように文部省にもぜひ反省を、反省というとあれですけれども、お考えをいただきたいということを特にお願いをいたします。  時間でありますから以上で終わりますが、大臣にはひとつ、地方自治を育成するという立場で大いに御健闘いただくことを特にお願をしたいと思います。ありがとうございました。
  137. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  138. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 公営競馬あるいはまた公営競輪等の競走事業に関する件につきまして自治大臣並びに政府関係者に質問いたしたいと思います。  これらの公営の競走事業の目的は、自転車、機械の改良振興だとか馬匹改良、畜産振興だとか健全娯楽並びにスポーツ振興、そして雇用の確保に加えて地方財政に寄与する等々、その意義の大きいものであることは今さら私が言うまでもないのですが、これらの競走事業に関しましてはとかく社会的な風潮として異端視する傾向もあるのですが、もちろんこれには一部の行き過ぎ等から来る偏見もなしとはしないのであります。イギリス等においては女王殿下も競馬に行かれるということを私も聞いておるのですが、そういうような意味で、競輪等についてもスポーツとしての範囲で今取り扱われておるわけです。こういう点につきまして、地方財政を含めて大きな寄与をしておりまするが、こういう競輪、競馬等について、寄与を受けておられる自治大臣として、これに出かけていって、そしてみずからの金で買って協力するというようなことをされたことがあるかどうか。まずこれを伺いたいと思います。
  139. 田川誠一

    田川国務大臣 残念ながら、私は競馬も競輪も行ったことはございません。ただ、私の選挙区は、川崎もそうでありますし、随分盛んでございまして、その周囲はよく行っておりますし、また競輪場なんかでいろいろ問題があるときにそういう問題の相談にもあずかったことはある程度でございまして、自分で券を買ってやったことはございません。
  140. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私は、競輪、競馬等の競走事業、公営の競走事業は今申し上げたような地方財政への寄与その他いろいろな目的を持っておるわけですが、とともに健全娯楽であり、スポーツという立場からも考えますると、これは明るく朗らかで、そして節度のある、また家族団らんのできるような、そういう公営競技場が望ましいのではないか。だから、ときには宮様等の何々杯というものも出るわけなんですから、私は各所のそれぞれ当路の方々に申し上げるわけですが、みんなが大手を振って買ってもだれも批判しないような、そういう環境づくりが必要じゃないか。そうでないと、案外バッジをつけていると行きにくいというような、そういう風潮は、一部に偏った、そういうばくち性を持った公営競技場に押しやるような危険があるのじゃないか、こんなふうに思うのですが、大臣、どう思われますか。
  141. 田川誠一

    田川国務大臣 競走事業地方財政に貢献をしているというお言葉は全くそのとおりでございまして、そういう意味から、今渡辺さんがおっしゃったようなそういう姿に競走事業がなっていくことは本当に期待すべきことであると思います。しかし、実際はなかなかそういうわけにはいかない。一体どこに原因があるか。これは非常に多種多様、いろいろなところに原因があると思います。そういうことをひとつ直していって、家族でも競輪に行って券を買って楽しんでいけるということができれば非常にいいと思うのです。しかし、現実はなかなかそうではないということは非常に残念なことであると思っております。
  142. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 御趣旨ごもっともでございますが、近時これの売り上げが非常に減少いたしまして、そして競走事業継続することそのものについての論議まで出てきたわけですね。そういうようなためには、まず何といってもこれが市民権を得る、という意味は、やはりそういう環境づくりをして、そして、サラリーマンが仕事を終わってからでも、あるいはまた奥さんが気楽に、あるいはまた場外等、そういうことによって、そして、自治大臣みずからが馬券を買ってもおかしくないような、そういう環境づくりをしていくことによって売り上げを増加させる、こういうことが求められるのではなかろうかと思っております。この点につきましてはひとつお考えいただきたいこととともに、そういう売り上げの減少に伴って、自治省の方から、これの合理化の一つとして労働者の賃金をカットすることによってこの売り上げ減によるところの収益の圧迫をこれをやるべきだ、こういうような指示をされたことがありますか。
  143. 石原信雄

    石原政府委員 公営競技の最近の経営状況は、先生も御指摘のように、売り上げが全体として非常に落ち込んでおります。一方、経費の方はどうしても硬直的な面が多いものですから、収支のバランスが非常に悪くなって、既に一部の公営競技におきましては相当な赤字になっております。  そこで、公営競技そのものの趣旨、目的等については先生も御指摘されたとおりでありますが、その非常に大きな目的、大きなねらいが地方財政への寄与にあることは法律も書いておるとおりでございまして、そういう趣旨で各市町村財政状態などを見ながら開催権の指定がなされているわけです。そういうこととも関連いたしまして、経営状態が非常に悪くなってきたこともあって、公営競技のあり方、開催そのものについて根本から見直すべきじゃないかという意見も非常に強くなってきております。  そこで、私ども公営競技の経営の指導に当たる立場から、やはりこの競技が今後とも健全に育っていくために、健全に運営されていくためには、収入の確保、増強のためにどうしたらいいのか、あるいは経費の節減のためにはどうしたらいいのか、両面から検討する必要がある、そして少しでも経営内容をよくすることによってこの事業が今後とも円滑に運営されていく必要がある、こういう見地に立って、かねてから一般的な指導はしておったわけですが、最近特に経営状態が厳しくなってまいりましたので、各団体の経営の実態もお伺いし、そしてその危機を乗り切るためにはどうしたらいいのかについて、いろいろな角度から相談にあずかっているというのが実情でございます。
  144. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今おっしゃったわけですが、地方財政に大きな寄与をしておるとともに、中央競馬等は国家財政にも大きな寄与をしておるわけですね。ここで考えられることは、中央競馬におきましてはそれほど国庫収入は減っておらないのですね。私の調べでは千七百億ほど入っておる。ところが地方競馬、地方競輪等は下がっておる。それでもやはり一千億以上入っているわけですね。私は、この中に国の行う中央競馬の日取りのとり方と地方競馬の行う競馬の日取りのとり方に非常に不公平がある、こういうことを常々考えておるわけです。中央競馬がいい日をとっちゃうものですから、その日に重なった地方競馬はオジャンです。こういうようなことがありますので、これの編成等についても、当然地方競馬、地方競輪は地方財政の収入になる、中央競馬は国庫収入そのものですから、そこらにバランスをとらせるということも非常に重要なことなんですよ。それを国が中央競馬を一方的にとってくるのですが、こういう点についてはどう思われますか。
  145. 石原信雄

    石原政府委員 開催日数の調整等の問題になりますと、個々具体の問題についてまで、私どもはタッチしておりません。ただ一般的に、ただいまの例の中央競馬と地方競馬の調整の問題その他、それ以外の公営競技の開催日の調整の問題等については各施行団体間で意見交換をしていただく、調整を図るようにしていただく、その場を私どももつくる、こういう努力をいたしております。そしてまた、内容によって制度的な問題が絡む場合においては、それぞれ所管の省庁に対して私ども地方の立場から必要な協力要請等を行うということで今日までに至っております。  ただ繰り返し申しますように、個々具体の開催日をどう調整するかというところまでは、率直に申しまして自治省としてはタッチしておらないのが実情でございます。
  146. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 ぜひひとつその調整については、自治省地方財政の立場から強力に調整に乗り出していただきたい、こう思っておるのですが、それとともに、五十七年の十二月に文書でもってその競走事業場の運営改善について指示をされたわけですね。今いろいろな角度からそれの実態を調べて指導しておることをおっしゃったわけですが、その後、五十八年の十二月には、関東、東海、関西等の三カ所に関係者を集められまして具体的な指示をされたわけですが、その内容についてひとつ御説明をいただきたい。
  147. 石原信雄

    石原政府委員 昨年十二月ですか、公営競技の施行者に集まっていただきまして、それぞれ現状がどうなっているのか、また非常に経営収支が悪くなっている団体につきましては今後どういう計画で取り組まれるのか、その点私どもも実態を承知したいということで、日を決めてお集まりいただき、話を承り、また私どもも全国的な趨勢などについてのお話を申し上げたところでございます。  なお、その際に私どもとしては、一般的な歳入歳出の合理化、適正化についての考え方を申し上げておりますが、個々具体の内容になりますと基本的には各施行者が判断すべき問題であるということで、個々具体の内容についてまでは立ち入った指示というようなことはいたしておりません。あくまでこの問題については、私ども関係施行者の経営の現状について正確な情報を知っておきたいということと、それからまた全国的な趨勢、今後の見通し等についてお互いに意見交換をする、こういうような趣旨でお集まりをいただいたところでございます。
  148. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私の調査によりますと、五十八年の十二月に行われたこの会議には本庁からも関係者が御出席になって三点指示をしていらっしゃるわけです。まず一つは、現況による五十八年から六十二年までの決算見込み、二つ目には、改善計画をつくる、三つ目には、改善計画による五十八年から六十二年までの決算見込み、この三点を出しなさい。その三点を作成する中で、改善計画の中には、賃金は基本給で五%カットしなさい、一時金は、これは夏日の一時金ですが、一〇%カットしなさい、繁忙手当、その他手当は全廃しなさい、退職金等は六十二年までに全廃しなさい、これらを必ず含めて、そして賃金は将来民間のパート並みにまで切り下げなさい、これを実施しないと開催権を取り消すこともあり得るというような強圧的なものであったと聞いておるわけでございます。  この点について、これら公営競技場の関係者にそういう指示を出されたかどうか、それから、その指示に基づいて報告を求めておられるのですが、報告をしてきた都道府県並びに市町村、また、してこないところはどこか、これをひとつ明らかにしてください。
  149. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま先生の御指摘会議ですが、実は私どもの方では、財務担当調査官が都道府県地方課に対して先ほど申しましたように現状の説明を求めるとともに、一般的な見通し、考え方等申し上げたのですが、ただいま引用された点は、各施行者がそれぞれ集まられて、その際に一つ協議というか、お互いにこういう方向で行こうじゃないかという申し合わせの際にかなり具体的なことを話し合われたのじゃないか、このように承知をしております。私どもの方で個々の歳入歳出の合理化計画具体的な内容についてまで申し上げたことはございません。  それから、今の報告の件につきましては、担当課長から御答弁申し上げます。
  150. 柿本善也

    ○柿本説明員 報告の件ですが、ちょっと手元に数字がございませんが、それぞれその団体で、施行者の側で相談に来られた件数は数十団体あるかと思います。特にそういう集計をしておりませんので河団体という形にはなっておりませんが、そういう状況でございます。
  151. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今お答えを聞いておりますと、一般的な話し合いはした、具体的な指示はしたことがない、それから、施行者同士間で話し合いがあったのだ、だからそれの申し合わせ等はあったらしい、こういうふうに確認してよろしいですか。
  152. 石原信雄

    石原政府委員 私どもはそのように承知しております。
  153. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 この点について付言してちょっと御質問いたしますが、この公営の競走事業の健全化は、当然これは賃金だけでないことは言をまたないわけですね。だから、それぞれが真剣に努力し、あらゆる方策を講じていらっしゃることを私は知っておるわけです。私もその関係に携わっておりますから、よく知っておるわけです。ところが、自治省の方から、賃金が高い、賃金が高い、だからそれを下げろというような話が強く示唆されておる、指示を受けておる、それに対する回答をしなければならぬ、こういうふうに受けとっておる関係団体がありますので、もしも今おっしゃったようなことなら、具体的にそういうことは指示した覚えがない、それから、そういうことで、もし誤って各種団体でそういうことをされたとするならば、それは各種団体が勝手にやったことですから、自治省関係ない、だから開催権についてとやかくということはあり得ないということを、これは一遍明らかに文書にしていただけませんか。
  154. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、一般的に、各施行者団体の公営競技の経営について、これが健全に行われるような指導をする責務があると思っております。そういった意味で、収入の確保の方策あるいは経費の節減の方策についていろいろ計画を承る、あるいは場合によってはアドバイスもするということも必要であろうと思います。そうした場合に、先ほど申し上げておりますように、個々具体にこれをこうしろというようなところまで立ち入った指導はいたしておりません。一般的に、収入の確保や経費の節減についての御指導を申し上げているわけです。  また、その場合、経費という場合にはいろいろな経費がございますが、その中で賃金関係が非常に大きなウエートを占めていることは、これはもう否定できませんので、経費の節減、合理化の問題になれば、その点についても当然各施行者の判断で御努力いただくべき事柄、このように考えております。いずれにいたしましても、個々具体の内容につきましては、最終的には施行者の御判断で決めていただく事柄ではないかと思っております。  したがいまして、私ども、今後、この問題の指導をしていく上では、各団体歳入歳出全般にわたる経営改善計画というようなものを、どういう形でこれから詰めていくかなんですが、いずれにしてもそう。いったものを承知する必要がある、このように考えています。  それからなお、指定の問題については、初めにも申しましたように、この公営競技を何のために認めているのか、結局これは、いろいろな目的がありますけれども市町村に対して自治大臣がこれを指定しているという最大の理由は、私は財政面での寄与ということがその一つの目的であると思います。したがって、ずっと赤字が続いて、一般の市民の税金で公営競技の赤字の補てんをしなければならないような事態になるということになれば、指定そのものの根本が崩れてくるわけですから、再検討せざるを得ないと思います。したがって、公営競技の経営の内容という問題は、やはり最終的には指定の問題と無関係ではないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  155. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今もお話があって、具体的にそういうことは指示した覚えはない、こういうことですが、各地ではこれが指示を受けた、こういうことで、この競走事業場の労働者の賃金は高過ぎるから下げよ、こういうような動きが今あるわけです。  これにつきまして私は一言申し上げておきますが、この競走事業場の労働者の賃金は、個々の労働者、全産業労働者等と具体的に比較いたしましても決して高くないのです。まず第一番は、こういうギャンブル場であるという特殊な、異常な環境のもとで職務に携わり、迅速、正確、そして温かい応対が必要である。それから、券の発売をする場合でも、レースの開催十分前、あるいはまた締め切り五分前にざあっと殺到する。そのときに正確に注文を受け、正しくその券を渡し、そして正しく金を受け取る。これを即座にやる。そして今度は、どれだけ売れたかによってレースが終われば配当金を計算し、それの正確な払い戻しをしていくという、非常に迅速と正確と緊張が要求される。それから、開催日が一回については六日。この六日間には必ず日曜、土曜日、祭日、盆暮れ、正月が入るんですね。こういうふうに編成をされるわけです。そういうことで、十二月三十日、三十一日、元旦、二日、三日、これが必ず入るのが大部分なんですが、そういうときには家庭を犠牲にしてもこの主婦の方々はこの勤務に携わるわけなんですね。これは大変なことなんです。とともに、先ほど申し上げたように、一時的なパートでこれが処理できるようなそんな生易しい仕事ではございません。きょうは正月だから御無礼します、きょうは日曜日だから出ていきません、そんなことでは成り立たないのです。競馬場そのもので不祥事でも起きたら大変ですから、場当たり的に来るようなパートでこの大事な仕事を進めることはできないわけです。もし間違ったら大変なトラブルが起きますのでね。これはおわかりいただけると思うのです。  そういうような意味から、現在の賃金その他を比較いたしますと、岐阜県の笠松競馬なんかで行っておりますが、全部合わせました、手当も一時金も何かも入れましても、一日当たり一万三千円ぐらいなんですよ。高いじゃないか、こうお考えかもしれませんが、そのほかの自治体労働者その他を比較いたしますと、一日当たり一万六千円、一万七千円という平均で出ておるのです。ところが、この競走場の従事員の方々には、一般的には認められておりまする有給休暇、そういうものはありません。社会保険並びに雇用保険、そういうものの適用にもなりません。だから事業負担もないのです。そして今申し上げたような、非常に緊張した仕事で、日曜、祭日、盆暮れ、正月、こういうときに出てこなければならぬ。規定した日にちに来てくれなかったら開催できないのです。だから、きょうは来てくれなんだで仕事の上がりが少なかった、そんなようなパート的な仕事ではないということ、これをお考えいただくと決して高くない。むしろ私どもの実感から見ると、安い。この三年間は特に賃上げはゼロで、むしろ一時金は一時の七〇%から六五%ぐらいまでに下がっておる。これでも合理化のためにみんな努力しておられるのですね。  それに対して、今申し上げたようなそういう五%の賃金をカットせよ、一〇%一時金をカットせよ、その他手当その他を全廃せよ、そういうことは具体的に指示した覚えがないということなら、その点、明確にやはり各種団体に対して——おたくの方では、勝手に集めたからよく知らない、こうおっしゃいますが、どこの団体とどこの団体とどこの団体は出ていらっしゃいという通知が行って、その人々は出ていったのです。それで、名前は言いませんが、本庁のそれぞれの方が行ってこれを指示された、こういうふうに現場では受け取っておりますが、そういうことがないなら、今後もそれはない、賃金、労働条件その他については、あくまで憲法で保障された、労使間で決めるのだ、しかし全体の合理化については十分配慮してほしい、これなら意味がよくわかるのですから、この点ひとつ明快に御答弁をいただきたい。
  156. 石原信雄

    石原政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもは公営競技の経営の現状を非常に憂えておりまして、何とか収入支出の両面から改善合理化に努力していただかないと、公営競技そのものの存立にかかわるような事態になりつつあるという認識でございます。そのために収入確保の方策あるいは経費の節減の方策について幅広く検討していただくようにこれからも指導してまいりたいと思いますが、ただ、個々具体にどういうような方法で収入を確保するのか、あるいはどのような内容で経費の節減を行っていくのか、最終的には各施行者の判断の問題であろうと思います。私どもは、全国的な傾向あるいは類似団体の比較、いろいろな意味で情報も提供し、またアドバイスもいたしますけれども経費の節減の内容などについてこうでなければならないというように自治省の方から直接指示することは考えておりません。経営の合理化の指導は今後ともしなければいけないと思っておりますが、指示というようなことは考えておりません。
  157. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 最後にもう一つですが、これが地方債課の所轄になっておるものですから、今言うたようなこと、公営競走事業場のことに関連して地方債に影響するようなことはあり得ないと思うのですが、あり得ないですね。
  158. 石原信雄

    石原政府委員 公営競技の経営の問題は、直接的には地方債の許可とは関係ございません。したがって、そっちがどうもよくないから地方債の許可の方でというようなことは全くありません。
  159. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 いろいろ承りましたので、どうかひとつ大臣も気楽に行けるような、そういう公営競技場をおつくりいただくように改善努力をお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。
  160. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、林吾郎君。
  161. 林百郎

    ○林(百)分科員 これは大臣最初にお聞きしますが、細かいことは局長の方にお伺いいたします。  ことしの一月三十一日に財政課長小林君から各都道府県総務部長それから指定都市財政局長あての通達が行っているのですが、その中で、これは十ページですが、「なお、本年度の地方税制改正をめぐる論議の中で、歳出の徹底した見直しに加え使用料・手数料、分担金等地方税以外の歳入についてできる限り増収確保を図ること、」こういうことが書いてあるのですが、これはどういう意味ですか。文字どおりのことですか。
  162. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま引用されたくだりでございますが、財政課長内節で、各地方団体予算編成の参考に供していただこうという事柄を書いておるわけです。その中で、今のところは、五十九年度の税制改正の際に、住民税の減税の補てん措置とも関連いたしまして、国も地方もまず歳出の見直しあるいは各種の収入の確保に最大限の努力を講じて、そうしてなおかつ足りない分については税制改正によって減収を補てんすべきだ、こういうような御議論があり、そうした中で、この収入の、手数料等の確保についても国もいろいろ努力している、地方も努力してほしい、こういうような議論があったものですから、そういったことをここで引用したわけでございます。
  163. 林百郎

    ○林(百)分科員 今年度の地財計画を見ますと、使用料、手数料について前年度に比べて六百十四億円の増収になっておりますね。増収して総計八千八百六十億円、こう見込んでおりますが、この六百十四億円増収するというのはどういう根拠に基づいてこういう数字が出てきたのですか。
  164. 石原信雄

    石原政府委員 使用料、手数料、雑収入等の地方財政計画上の増収見込みでありますが、一番大きなものは、高等学校の授業料でございます。高等学校の授業料については、現在引き上げが行われたものの年度進行中でございます。いわゆる学年進行に伴って増収が見込まれるわけでありますが、それを見込んでおります。そのほかの幼稚園の授業料などについても同様の考え方で収入を見込んでおります。それから、あと大きなものとしては、いわゆる発電水利使用料、こういったものについても単価の引き上げが予定されております。それ以外の使用料につきましては、数が非常に大きいものですから、これまでの決算分析の結果、過去のトレンド等を参考にしながら収入の増を見込んでいるところでございます。
  165. 林百郎

    ○林(百)分科員 そういう簡単なものでなくて、例えば私の住んでいる市で、人口六万ぐらいで一般予算が百十二億くらいですか、そこで上がったものは、社会福祉センター使用料が倍くらい、子供が五十円が百円。それから保育所の長時間保育料が三歳未満が三千百二十円が三千二百円、三歳以上が千八百七十円が千九百十円。市外分の火葬場の使用料が十歳以上が一万五千円が二万三千円、それから十歳未満が一万一千五百円が一万七千円。博物館の入館料が百円だったのが二百円、子供は五十円が百円。市民会館の使用料が三五%値上げ。市民スポーツ広場使用料が百五十円が二百五十円、体育使用料が一般は五十円が百円、小中学生は二十円が五十円。水泳プール使用料が五十円が百円、小中学生が二十円が五十円。学校体育施設使用料が二百五十円が三百円。それから野球場の使用料が三百円が五百円。庭球場の使用料が五十円が百円。こういうように使用料は、保育所の保育料から火葬場まで全部上げているんですよ。それから今度は手数料の方は、各種証明、閲覧がみんな倍。各種証明、閲覧、住民基本台帳、印鑑登録証明の交付料、身分証明、罹災証明、公害検査手数料等。それから今度は一般の水道料金が二五・三%。みんなで二十五、六も上げているのです。あなたの言うように、発電の料金なんてどころじゃないですよ。火葬場から保育所からスポーツの広場から水道料から全部上がっているのですよ。あなた、こういうことを意図してこの通知を出したのですか。みんな地方自治体ではこう受けとめていますよ。
  166. 石原信雄

    石原政府委員 使用料、手数料につきましては、発電水利使用料のようにその具体の基準を政令で定めているものもありますし、また高等学校の授業料のように、各都道府県市町村の条例で定めるわけでありますが、この一つのガイドラインとして地方交付税の単位費用の積算上一定の単価を決めているものもあります。  それからそれ以外の非常にたくさんの使用料、手数料については、各地方団体におきまして各施設のコストの状況に見合って見直しを行うという建前になっております。したがって、団体によっては二年ないし三年ごとに経費の上昇に見合って見直しを行うという扱いがなされております。私ども地方財政計画上の使用料、手数料等の見込みに当たりましては、そういった各団体の実態を踏まえて経験的に一定のトレンドをもって収入推計を行っているということでございます。それは地方財政計画歳入の見込み方の問題でありますが。一方、財政運営指導といたしましては、使用料とか手数料については、本来一定の施設の利用等についてその経費の一部を住民に直接負担していただくことが住民相互間の公平の見地から妥当である、正しい、こういう考え方に基づいて認められているものでありまして、こういったたぐいのものについては、サービスのコストの上昇に見合って適時適切に見直しを行うことが必要であるという考え方で指導を申し上げております。
  167. 林百郎

    ○林(百)分科員 いろいろ理由があるにしても、二十五もの手数料それから使用料を一挙に倍にも上げていくなんということは、あなたの通達に従わなければ自治省から何を言われるかわからぬ、地方自治体ではそういう受けとめ方をしているのではないかと思うのですよ。大臣、臨調では住民に対する負担の公平ということを言っておるわけですけれども、住民に対する負担の公平というのは、こういうように受益者負担を軒並みに引き上げるということが本意ですか、それとも大臣の意には反して地方自治体ではこういうことをやっているのですかね。
  168. 田川誠一

    田川国務大臣 今財政局長が言ったように、それぞれ住民が使う施設であるとかいうような受益者負担というものは経済情勢の変化に応じて見直していかなければならないということでこういうような通達を自治省から出したものと私は見ているわけでございます。これが今、林さんおっしゃったように、特別に値上げを奨励するということではなくて、やはり経済情勢に応じて自治体もやっていかなければならぬ。自治体の中にはそれを一つの大きな盾にして一遍にうんと上げるというようなところもあるかもしれませんけれども、私どもとしては当然こういうことを指導していかなければならないということで、こういうような通達を出したものと見ております。
  169. 林百郎

    ○林(百)分科員 いずれにしましても、結局住民に対する負担の公平というのが、弱い住民、例えば保育所に子供を出している方だとかスポーツをやりたい者に対するスポーツ広場の使用料だとか火葬場の使用料だとか水道だとか、そういうところにしわ寄せしてきているわけなんですよ。結局これは弱い者いじめになって、負担の公平になっておらないのですね。自治省は、通達がそういう受けとめ方をされることをよく聞いて、実情を把握する必要があると思うのです。  それからもう一つ法人税収について、五十八年度当初比で五十九年度は市町村税については均等割が二四六%、法人住民税が一一二・四%と見込んでおるのですけれども、例えば長野県の伊那市というところがあるのですが、これは実は法人税の減収が三千二百九十万円減という数字が出ているわけですね。そしてまた、諏訪地方のようなカメラの盛んなところは、大沢商会が倒産しまして、関連企業が長野県では約四十社、そのうち諏訪地方だけで十九社になっているわけですけれども一つの市だけでも五十九年度は既に三千二百九十万円減収だと言っているのに、この法人の均等割の二四六%、法人住民税の一一二・四%、こういうものがこのとおりに取れるのかどうか、万一見込みが外れた場合にはどういう措置をなさるつもりですか。
  170. 関根則之

    ○関根政府委員 来年度の地方団体法人関係税収の見込みにつきましては、国税における法人税の見込み等との関係も考慮しながら、基本的には政府で見積もりました来年度の経済成長の見通し等を背景といたしまして積算をいたしたものでございます。特に法人均等割の伸びが大きくなっておりますのは、御承知のように、現在地方税法の一部改正の御審議をお願いいたしておりますけれども法人均等割につきましての税率の改正を織り込んで積算をいたしましたので、そういう高い伸び率になっているものというふうに理解をいたしております。  五十九年度におきます経済情勢がほぼ政府の見通しどおりに推移をいたします場合には、これだけの税収というものは地方税全体としては十分確保できるものというふうに考えております。個々の地方団体にそれがどういう形で反映されるかということは、その地域地域における経済情勢なり法人の所在なりというものを考えて判断をしなければならないものというふうに考えます。
  171. 林百郎

    ○林(百)分科員 取れない場合はどうなるか。
  172. 石原信雄

    石原政府委員 税務局長からは地方財政計画全般についての御説明を申し上げたわけですが、確かに個々の団体ごとには企業の好況のところもありますし非常な不況のところもございます。そこで、交付税計算上は、法人住民税の法人税割あるいは法人事業税といったものについては、各事業年度ごとの課税標準の実態をつかまえて計算しております。五十九年度の場合でありますと、この三月期の決算までについては実態そのものを使います。ですから、もし不況でここで落ちてくれば、それが交付税の算定に反映しますから、落ちた分だけ交付税で肩がわりされるという形になります。それから下期の分であれば明年度の交付税計算の際に精算されます。したがって、個々の企業の変動というものは交付税制度によって法人関係税についてはほぼ完全に調整される仕組みになっております。
  173. 林百郎

    ○林(百)分科員 そういう方法をぜひとってもらいたいと思うのです。大沢商会の戦後三番目の大企業の倒産なんというのは想像がつかないことですから。しかも、その関係会社は、長野県に生産の本社があるのですけれども、四十社、それで諏訪だけで十九社ということになりますから、必ずしもこのとおりにはいかないと思いますが。  その次は、これは自治省ではいつも十分論議されておると思いますが、超過負担の問題です。  ことしはどうも去年の四分の一しか、国費で手当てが十二億ですか、されていないわけですね。去年は五十二億。一時は、四十九年には千八百九十八億とか五十年には千百八億というようなときがありましたが、五十六年までは三けた台ですね、超過負担の手当てが。ところが、五十七年五十六億、五十八年五十二億、ことしに至っては十二億ということですね。それじゃ超過負担は減ったかというと、決して減ってはいないのです。私の岡谷市や伊那市等で調べてみましたら、保育園の建設に当たって一平米当たり十七万必要だけれども、国の基準は十一万しか来ない。岡谷市の場合は五十七年度の決算では、全体として百十八億ぐらいの一般予算ですけれども、そのうち超過負担が七・四%、八億九千二百四十八万円という数字が出ておるのです。去年五十二億なのに、ことしはどうして十二億しか国費の手当てが出ないのか。また、五十六年は三けた、四十九年、五十年には千八百億、千百億というような数字なのに、ことしはどうしてこんなに少ないのですか。これも臨調の結果ですか。
  174. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、超過負担の解消につきましては自治省だけが幾ら力んでみてもこれは実現しませんので、補助金の所管省と大蔵省と自治省と三者で共同実態調査を行っております。そうして、その結果に基づいて予算編成に当たって超過負担解消措置を講ずる、こういうやり方をずっと続けてきております。  確かに昭和四十九年度、五十年度のころは非常に大きな超過負担がありまして、したがって解消措置も大きかったわけですが、この当時は御案内のように、狂乱物価のもとでいわゆる単価差、国の補助単価では実際の工事ができないという事態が頻発して、それを各省庁共同で調査し、改めたということがこの数字の上に出ているわけでございます。その後、最近に至りましてからは物価も非常に安定しておりまして、これまでの超過負担の一番大きな原因でありましたいわゆる単価差については、最近はほとんど問題にならない程度まで改善がなされてきている、このように承知しております。  今回の解消につきましては、単に施設関係だけではなくて、職員の設置費関係についても、格付等も含めて関係省庁と共同実態調査をして解消措置を講じたわけですが、基本的には、物価が非常に落ちついているということを反映して、実態面でも補助単価が適正になってきているということのあらわれ、このように理解しております。もちろん各市町村、各都道府県の段階でいろいろ超過負担があるという主張をされる声は聞きます。しかしよく聞いてみますと、補助基準等の見方でかなり見解が違うケースが多いようでございます。したがいまして、私どもはこういった問題については、補助の所管省庁がどういう基準で、どういう考え方で補助をしているか、その基準に基づいて事業をした場合にそれが完全に実行できるのかできないのかというような見地に立って超過負担、この問題について取り組んでいきたい、このように考えております。  いずれにしても最近の金額が、解消額が減ってきておりますのは、別に臨調答申に基づいて予算を抑えてきているからということではなくて、物価の安定等によって超過負担の実態がそのような形になってきているものと、このように理解しております。
  175. 林百郎

    ○林(百)分科員 いずれにしても百十八億ぐらいの市の一般財政のところで約九億近く、約一割の超過負担が決算で出ているという数字がちゃんと出ておりますし、あなたの言うようなことにしても、去年どことしで、去年五十二億であったものがことし十二億でいいというそういう根拠は、あなたの論理でも、幾ら物価が安定したって急に四分の一でいいわということにはならないと思うのです。  そこで大臣局長も言われているように、これは住民の要望にある程度こたえなければなりませんから、自治省から言ってくる基準だけでは学校にしても保育園にしてもその他にしてもできないと思うのですよ。もしこういうような超過負担がそのまま許されれば、自治体の事業はそれに抑えられてかえって逼迫して、重圧になってきて国の補助の仕事はもう手が出ない、萎縮するようなことになると思うので、先ほど局長も言われましたように各省と協議をされて、そして実態を調べさせて、そして、住民の要望もあるし無理もない超過負担だ、そういうような場合には財源措置をとるようなことを大臣お考えですか。
  176. 田川誠一

    田川国務大臣 自治省からいろいろ通達が行ったり指導をするということは、非常に包括的に、三千幾つもある自治体の全体を見て判断をしてやることでございますから、今、林さんが御指摘になりましたような市で超過負担が特別大きくなってきているということがもし事実とすれば、数字の上で出ているけれども実態はそうじゃないというならこれはまた考えなければならぬけれども、実際に国の政策によってこういうような負担地方自治体がこうむっているということであればこれは何らかの処置を考えなければならぬと思っております。  それと、やはり今自治省が一番考えていかなければならぬのは、実態を把握するということが一番大事だと思うのです。自治体の実際の財政運営がどうなっているかという実態を調査しなければならぬ。しかし、中小都市になりますと自治省が直に把握するということもなかなか難しいので、今、林さんがおっしゃったようなことはどうぞ長野県の方にでも言っていただくことが必要であると思います。できるだけ弾力的な対応をとってまいるように指導してまいります。
  177. 林百郎

    ○林(百)分科員 ことしは交付税総額もマイナスになっておりますし、起債もマイナスになっておりますし、単独事業債もマイナスになっていますし、いろいろな形で地方財政計画が非常に窮屈になっております。それが結局地方自治体に連動し、地方自治体はそれを住民に転嫁させていく、そういう傾向が強くなると思うのですね。ですから局長も、これは局長の通達じゃなく課長の通達ですが、通達を出すにしても、思い切って取れよというようなこういう通達はやはり表現を変えられた方が、適正な措置とかなんとか——この課長さんのあれを見ますと、こうまで書かなくてもいいのじゃないか。「使用料・手数料、分担金等地方税以外の歳入についてできる限り増収確保を図ること、」増収確保を図れといえば、それは地方住民に負担がかかりますので、そういう点は十分配慮していかないと、これは地方自治体は萎縮しちゃって、もう三割自治どころか二割自治になり、住民の要望を聞けなくなるんじゃないかと思うのです。  時間がありませんので、あと一、二問ですが、ことしは御承知のとおり雪が降って、地方自治体財政支出が非常に大きな問題になっておりますが、新潟県で我が党の県会議員が質問した場合、君知事がことしの除排雪費用の負担区分の見直しについて公業事業採択率が六〇%だというかつてない低い見込みを立てているわけですね。念のためにこの除排雪事業公共事業採択率を見ますと、五十三年が七九だとか五十六年が七九。六〇%しか採択しないということはないのですが、これは自治省でこういうような方針を出しておるのでしょうか。それから、自治体のこういう予想外の豪雪に対する除排雪について五十六年のときやったような特例措置をとるかどうか、あるいは交付税、特別交付税について配慮をされるかどうか、そういう点をちょっと説明してもらいたいと思います。
  178. 石原信雄

    石原政府委員 公共事業の採択の問題はそれぞれ所管省の問題でありまして、自治省の方でどうこうということは一切ありません。これは各省庁の御判断であります。私どもの所管といたしましては、地方公共団体の単独施策、特に市町村道の除排雪、これについては主として私どもの守備範囲の問題だと考えております。  今回の豪雪による除排雪の実態を調査して、最終結論を明日に出すつもりでございますが、それによりますと、全体としていわゆる五六豪雪よりも規模が大きい、出費の程度も大きいように承知しております。そこで、私ども基本的な考え方としては、五六豪雪の際の経験を体して、普通交付税による除排雪経費充実強化を図ってきております。しかしそれでも今回の豪雪は足りませんので、今年度の特別交付税の配分に当たりましては最大限にこの点をカウントしてまいりまして、結論としては五六豪雪の際の除排雪に対するそのときの普通交付税、特別交付税を通ずる国の財政措置よりも下らない範囲で今回も対応していきたい、こういうことで作業をしておるところでございます。
  179. 林百郎

    ○林(百)分科員 大臣、結構な答弁だと思いますが、自治省の守備範囲としては交付税でやるしかありませんが、五六のときを下回らない措置をとるということで、大臣承知だと思いますが、予備費でもって特例措置を建設省でとったことがあるのですね、国・県道の除排雪の費用で。この特例措置をとるような措置をあなたも閣僚として建設省とも相談してやられる腹があるかどうか、ちょっと大臣答えてくれませんか。
  180. 田川誠一

    田川国務大臣 すでにこの問題は大蔵大臣とも話しておりまして、自治省と大蔵省とも話しております。できるだけ前向きに、実現するように今鋭意努力をしているところでございます。
  181. 林百郎

    ○林(百)分科員 それじゃ局長、さっきの答弁ごもっともだと思いますので、どうか五十六年度でとった措置を下回らないような交付税やそれから特別交付税を、いろいろ財政的に窮屈な点はありますけれども、自治体としてはそれを非常に期待しておりますので、それをぜひ、明日閣議で決めて、いつごろそれが各自治体へおりるのか、それもちょっと聞いて、私の質問を終わります。
  182. 石原信雄

    石原政府委員 明日の閣議に大臣から御報告いただいたら、十四日に現金交付するつもりでございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)分科員 結構です。終わります。
  184. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて林吾郎君の質疑は終了いたしました。  次に、山中末治君。
  185. 山中末治

    山中(末)分科員 山中でございます。本日は、貴重な時間をいただきまして、この分科会質問をさせていただくことをお許しをいただきたい、このように存じます。  私は、今までしばらくの間、ふるさとで町長、市長等をやっておりまして、今お見えの各局長さんには非常に昔からいろいろと御面倒を見ていただいてまいりましたので、久しぶりにお顔を拝見して質問をするということについて、先輩の前でやるような気持ちもございまして、いささかたじろいでおるようなわけでありますけれども、ひとつどうぞ質問の中の意のあるところをお酌み取りいただきまして、明確な御答弁をお願い申し上げたい、このように存ずる次第でございます。  まず第一点は同和対策関係でございますが、御承知のように、新法制定以降今日まで、今日の部落の実態、それから同対審の答申の精神、国際的な差別撤廃と人権擁護の流れを踏まえた場合、今後の課題として、残る新法の期間で部落解放に向けた諸施策を最大限の努力を払って実施をすることが何よりもまず必要なことだ、このような認識に立ちますと同時に、残りの期間の間に、部落解放、同和対策のための必要な三つの条件、これはまず、厳しい立地条件と劣悪な住環境、これの改善をするための環境改善、これが一つ挙げられると思います。二つ目には、生命、健康、それから生活の向上、就職の機会均等等のいわゆる保障の問題になると考えています。三番目には、国民全体の中で差別意識というものの撤廃に対する啓蒙、教育等が必要ではないか。この三つの分野の解決ということが非常に大事なことだと私自身考えておるわけでございます。  同対審の答申の精神を受けますとともに、今、御存じのように国際人権規約や人種差別撤廃条約などに代表される国際的な人権擁護の流れと密接に関係が出てまいりますので、そういうものの中で、それと連帯をしながら、同和問題の解決、未解放部落の完全解放を展望した部落解放のための基本法、また一切の差別撤廃を展望した人権基本法、こういうものがこれからまさに真剣に研究され準備される時期に入ってきているのではなかろうか、このように実は存じておるわけであります。  こういう私の基本的な考え方からこれからの施策等について考えてまいりますと、残りわずかでございますけれども、この残った新法の期間最大限の努力をしてまいらなければなりませんけれども、その一つは、新法の制定以降の部落の実態、これを未指定地区の実態も含めて全国的に早急に調査をして、その対応をしていくべきではなかろうか。今日までも実態調査をなさった経過は私も存じ上げていますけれども、先ほど申し上げました三つの分野の解決をあわせて進めていかなくてはならないということになりますと、二番の、生命、健康、生活の向上、就職の機会の均等、こういう面での分野が前回のときにはやや実態調査の中に入ってきていなかったのじゃないかというふうにも思いますので、これは実態調査を早くすべきではなかろうかと存じますが、この点についてのお考え方をお聞かせいただきたいのがまず第一点でございます。  それからもう一つは、これらの事業の実施に当たって自治体の負担増というものが往々にして伴ってまいっておるわけであります。これは本年の、五十九年度の予算の概算要求等の時点で自治省財政局長さんの通達で出されております中に克明に記述をされておりまして、この財政局長通達の趣旨に沿ってひとつ地方自治体財政負担の増加を極力狭めていかなくてはならない、このように考えますが、具体的にこの地方自治体財政負担を軽くしていく、私は全面的に解消してほしい、こう思うのですが、その点についてのお考え方をまず第二点目にお聞かせいただきたい、このように存ずるわけであります。  それから、具体的になってまいりますと、御承知のように大規模な部落がございます。それからまた、非常に少ない戸数、人口よりない地域もあります。これは今日まで、私も市町村の首長をやらしてもらったときに盛んに要望を続けてまいったわけでありますが、大規模部落等の場合はどうしても事業が大きくなります。そして農林、建設、いろいろな縦割り行政がそのまま下へおりてきまして、その地域の総合計画的な事業を進めていくということについてはなかなかうまく足並みがそろわないという点がありまして、ちぐはぐな行政を毎年度続けていかなくてはならぬ、こういうことが実は具体的にあったわけであります。こういうところから見ますと、大規模な部落や多くの部落人口を抱えている地方自治体について、事業を行う上あるいはまた財政的な問題等も含めて、今日までの考え方を踏襲していくというより、もう一歩前進して、何か総合的に施策を講じることができるような方策はないものだろうか、この点を三番目に御質問を申し上げる次第であります。  それと反対に今度は非常に小さいところがありまして、国の補助採択基準を見てみますと、四十四の事業について戸数の制限等がございまして、それ以上の戸数でなければその事業の採択はされないというものがあります。実態を調べてみますと、非常に小さい規模の同和地区、例えば九世帯以下の地区は私の聞き及ぶところでは全国で八百二十五地区ほどある。それから十世帯から五十九世帯の地区の数は全国で二千三百七十四地区ある。こういうことで、地区の数の七三%が少数点在の同和地区であるということが言えまして、これらの小さい地区ではなかなか同和対策事業が行われにくい、採択されにくいという点があります。  私どもの経験からいきますと、採択がされなくともやらなければならない問題はやっていこうじゃないかということになりますと、勢い単独事業になってくるということがございます。こういう点について、何とか国の抜本的な考え方のもとに一歩、二歩前進させていただくような方法がないものだろうか、お考え方をお聞きいたしたいというのが一点でございます。  それから、先ほど私の考え方を申し上げましたが、同対審答申の精神を受けるとともに、国際人権規約や人種差別撤廃条約等に代表されるように、国際的にも人権擁護の流れというものはずっと今出てきているわけでありますが、これと軌を一にして部落解放の基本法なり人権基本法なりの制定に向けてこれから調査研究等に着手をされるべきではなかろうか、この点についても、自治省で御所管されている範囲で結構でございますけれども、ひとつお考え方をお聞かせいただきたい、このように存ずるわけでございます。  何分初めての質問でございますので不得要領かもわかりませんが、ひとつ真意のあるところをお酌み取りいただきまして御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  186. 田川誠一

    田川国務大臣 山中さんが実際に御経験なすった体験に基づいた貴重な御意見をおっしゃっていただきまして、私も、知識は不十分ですけれども、大切なことだと思います。今おっしゃられた問題で、足りない点は今後とも私ども鋭意努力をしていかなければならないことだと思います。  自治省といたしましては、地域改善対策事業は原則として国庫補助事業として実施することが基本であるという考えでございますので、こうした立場から、毎年度財政局長の名をもちまして国庫補助基準が実情に適応したものとなるように関係省庁に働きかけておるわけでございます。  財政状況の非常に厳しい市町村につきましてはできるだけ実情の把握に努めておるつもりでございまして、必要な地方債の枠の確保と適正な配分、特交の傾斜的な配分等に意を用いているつもりでございます。  今後ともできるだけ実情を把握して適切な処置をとっていきたい、このように考えております。
  187. 石原信雄

    石原政府委員 全体的な考え方としては、ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  私どもは、毎年度予算編成に当たりまして各省庁が概算要求を作成する直前の段階で、同和関係事業の実態を踏まえた国庫補助事業の内容改善等について協力をお願いしたい事項については、私の名前で毎年度要請を行っているところでございます。予算の枠全体が大変厳しい中ではありますけれども、私どもとしては、この事業の重要性にかんがみまして、地方の実態を踏まえた内容の適正化を進めていただくように今後とも努力を続けていきたいと考えております。  それから、地域の実態調査の問題につきましては、既に衆議院本会議でも総理からも御答弁申し上げておりますが、政府としては残された期間内に事業を完全に消化すべく最大限の努力を傾けていくということでありまして、今の時点で調査の問題については政府としては特に考えてはおらないところでございます。  それから、具体の問題といたしまして、大規模な地区の抱えるいろいろな財政問題についてもっと適切な配慮がなされるべきではないかという御指摘でございます。私どもも各自治体の実情を承っておりますと、地区人口の多い団体におきましては仕事の量がどうしても多くなりますからそれだけ財政負担も大きくなっております。そういった実態を踏まえまして、特別交付税の配分に当たりましては、いわゆる地区割の単価を傾斜的に増額するというようなことでこの問題への対応を行っております。  それから一方、いわゆる点在地域についての御指摘がございました。今の補助採択基準では採択できない、そのために地方団体としていろいろ困っておられるというような実情は私どももしばしば承っているところであります。これらにつきましては、初めにも申しました地方公共団体における地域改善事業の実施に関連する問題として、補助採択基準の見直し等を含めてできるだけ実情に沿うように関係省庁の協力方を要請してまいりたい、このように考えております。
  188. 山中末治

    山中(末)分科員 どうもありがとうございました。  ただいま大臣の方からも御説明、御答弁がございました特交配分の問題ですが、これは傾斜配分でやっていただくのは非常にいいのですけれども、御承知のように特交というのは財源が限られているわけです。大臣のお心持ち、それから財政局長のお話の内容は筋としてはよくわかるのですが、ただ、特交の財源というか総枠というか、金額が御存じのような金額でございますので、どうしても、理論は先に行くけれども実態というものはなかなかよかったなというところまでは金額的な配分がなされないといううらみは随分昔からございまして、私自身も今の財政局長さんのところへ何回も参りましていろいろとお話を申し上げたことがございます。  したがいまして、特別交付税で傾斜配分するということになりますと、先ほどの御質問の方の御答弁の中にもありましたけれども、特別な要素が、長崎の水害とか雪害とか地震とかそういうのが出てくると、やはり何百億か——今の財政局長のお話ですと、五六雪害を上回るようなというお話をしておりまして、私ども地方自治をやってきた者は、五六を上回るところまで考えてはるのか、災害地にはいいけれども、一般の府県、市町村にはまた特別交付税ががたっと落ちよるなと、実はどきっとするわけです。いいことなんですけれども、枠が決められた中での、言葉は悪いですが、分捕り合いのような格好になってくる。  これは何かの形で考え直していただくというか、もっと前進した状況をお考えいただかなくては、一升の升に一升しか入りませんので、その配分を、パイをぱあっとまけば薄くなりますし、何にもなければ相対的に、今大臣がおっしゃったような傾斜配分の効果はそれなりに出てまいります。総じて、災害がほとんどないという年は残念ですがないようでございまして、何か特交の要素となるようなものが出てくるということになりますと——特交の傾斜配分は理論的には全く反駁する余地も何もない、そのとおりでございますが、実態に沿うような形の同和向けの配分を考えていただきたい。  これは私も類似市町村の表をつくりまして大分やってみたのですけれども、結果的に非常に大きな同和地区を持っているところ、あるいはまた、その市町村の人口また戸数等の中で同和地区が非常に高い比率を占めるところ、ここに、ではその傾斜配分の効果が目に見えて出てきているかということになりますと、出てきているところがないとは言いません。ないとは申しませんけれども、結果的に大部分は何かでこぼこなしで、すっと金額的にはなっているような経過を私は認めないわけにはいかない、このように存じます。でき得ますならば、これ以上のことは私わかりませんけれども、随分長い間財政いちずで来られた財政局長さん、この際、発想を同和向けの方に、理論のとおりの配分あるいはそれに近いようなものが結果的に出していただけるような方法を何とかひとつお考えできないものだろうか。これは、ここですぐに御答弁くださいというわけにいきませんので、強く要望を申し上げておかなくてはならない、このように思うわけでございます。  それから、もう一つ、実態調査の問題でございますが、実は、おっしゃっていることも聞いたのです。総理が説明、答弁された内容も読ませていただいたのですが、これは前の、昭和五十年でしたか、その実態調査に従いまして、済んだ事業と残事業とを仕分けをされて、そして残事業については今度の新法の残存期間中にやる、これは決意のほどはそれでよくわかるのですが、その内容が現在の時勢に沿っていないんじゃないか、あるいはそのときの調査よりもっと変わった状況が出てきて、そして対策をしなければならないものがあるんじゃないか、それを置き忘れてはいませんかということ。  もう一つは、できる範囲の仕事はやります。しかし、今用地の買収とかいろいろな問題で現実に都道府県市町村がやろうとしてもなかなか手がつけられないけれども、これはこの特別措置法を生かしてもらって何とか進めなければならないという問題があるはずなんです。これが果たして組み込まれているのかどうかということを考えますと、総理のおっしゃることですから、そういう細かいことまで考えた上しゃないと思うのです、決意のほどを申されたのだと思いますが、具体的にはそういう問題が積み残されているのではないか。  一例でございますが、卑近な例で申しわけありませんけれども、私も京都府の出身でございますので、昭和五十六年度に京都府の実施をされた調査、その内容をお聞きいたしますと、世間では高校の進学率が非常に上がってきまして、高校はもうほとんど全入のような、あるいはそれに近い状況になってきたと言われていますが、京都での実態調査の結果では、高校の進学率が十年前の水準に下がってきた、こういう結果が出ております。それから、これも余りいいものじゃないのです、そういうことがあっては本当に困るのですけれども、生活保護世帯が非常に増加してきている、激増してきている。それからもう一つは失業率、失業者の数、これも非常に多くなってきている。高校の進学率の低下、十年前の水準に下がっているということと同じく、この二つも十年前の水準に下がってきている。  私は、こういう調査の結果をお聞きしまして今申し上げているわけですが、中曽根総理大臣の熱意のほどはわかりましたけれども、実際の仕事をそれて進めていこうとしたら——まあこれは京都府の一例にすぎませんが、都道府県でも努力をされていると思いますし、その他の市町村でもこれに似たいろいろな調査を個々に持っておられる、調査をしておられると私は思います。それが国の方へまだまとまって上がってこない。そういう状況の中で、財政局長がおっしゃいましたが、その調査をする考えとしては今ない、こういうことでございますので、その点実態調査をやってください、やらなきゃあきませんということを強く要望しておきたいと思います。  時間がなくなりまして、あとの問題等もありますが、同和関係の方としてはその程度にさせていただきまして、もう一つ質問を申し上げたいことがあるのです。  実は私、ちょうど町長をしておりますときに過疎状況というのが出てまいりまして、地域の過疎バス対策で非常に国の方、府県の方にお願いに上がって、どうにか過疎バスの国の対策、府県の対策市町村協力等も経験をしてきた経過があるわけであります。  最近、地方バスの中で民営の地方バスが非常に採算が合わないような状況が出てきている。これは過疎の進行、モータリゼーションの進行等の結果だとは思いますけれども、住民の足として今までずっと長い間来たわけですから、この住民の足のバスを何とか守っていかなくちゃならぬと私は考えているわけですが、この問題。地方の民間のバス、公営バスもございますが、そういうバスの補助制度とか対策についてひとつお聞きいたしたい。  これもやはり自治省関係では特別交付税の分野になってくるわけですね。そうしますと、さっき申し上げたようなことをまた申し上げなくちゃならぬ。特別交付税で措置せにゃならぬ要素が非常にふえてきて自治省も本当に大変だと思いますけれども、そういう面で何とか、恒久的な補助対象といいますか、あるいはまた交付税の算定基準——これも結果的に同じことになるのですが、特別交付税の中で配分するよりは普通交付税の中での方が活動分野が大きい。八兆七千億ですか、ことしの場合あるということですから、やりやすい。せめて普通交付税の算定基礎の中にこれを入れてもらえないだろうかというふうに私は考えているわけですが、この点について御質問申し上げて、御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  189. 石原信雄

    石原政府委員 過疎バスの運行経費について地方公共団体が助成した場合の財政措置の問題でございますが、従来、一定の要件を満たす場合には運輸省の方からも補助金が出ておりまして、その地方負担について特別交付税措置をする、このような扱いがなされております。この点についても、特別交付税一般に共通する問題として、特交ではだめだ、普通交付税でなくてはだめだという御指摘でございます。  現在、こういった系統のものでも、例えばスクールバスなどについては普通交付税による措置をしているわけでございますが、通常の民営の過疎バス対策については特別交付税で措置をしている。どういった基準で普通交付税で措置し、どういった場合に特別交付税で措置するかという問題ですけれども、一般的には、全国に共通する相当の普遍性のある場合には普通交付税に移行する、非常に地域的な問題の場合には特別交付税で処理するというような扱いにしておりまして、私どもは過疎バスなどは特別交付税になじむ要因ではないかと思っております。  ただ、特別交付税が、算定要因が非常に多くて総額が減っているから十分な対策ができないのではないかという御心配をいただいていると思います。確かに五十八年度は特別交付税総額が昭和三十三年度以来初めて減りまして、こうした中で豪雪対策とかあるいは地域改善対策などの重点項目に対応していくという実情にございますので、率直に申しましてやりくりがなかなか大変でございます。しかし私どもは、重点的な算定内容については総額は苦しくても確保していく、今年度の場合もそういう方針で作業をいたしておりますし、今後ともその方針は変わりません。  結局、減った分をどこで調整するのかということですけれども、各団体の規模などを考えて、例えば市町村よりも都道府県の方で調整を強化する、そして算定項目としてはできるだけ義務性の度合いの低いといいましょうか、財政運営に及ぼす影響度の少ないもので調整するというようなことで総額の減に対処していきたいと思っております。  いずれにいたしましても、過疎バス対策については今後とも各地域の実情を踏まえて必要な措置は講じていきたい、このように考えております。
  190. 谷洋一

    ○谷主査代理 同和問題に対する答弁はいいのですか、非常に期待された財政局長の答弁は。
  191. 山中末治

    山中(末)分科員 時間が三十分で短過ぎまして、私の申し上げたいことの三割くらいしかまだ申し上げておりません。これも初めてのことでございますので、これからうまく時間配分しなければいけませんが、先ほど申し上げましたように、御質問申し上げたことにつきましては、田川大臣を初め皆さん方の力量でひとつ国民の期待に沿うような施策をおとりいただくように強く要望いたしまして、時間も来たようでございますので、これで質問を終わらせていただきます。
  192. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて山中末治君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇君。
  193. 清水勇

    清水分科員 ことしの豪雪について、先月二十日でしたか、予算の総括質問の際に特に自治大臣にも特段の措置を講じられるように要望しておきましたが、せっかくの機会ですから、きょうは少し細かい問題にも触れて、前向きの対応をお示しいただくようにまず最初に要望したいと思います。  改めて私から申し上げるまでもないのですけれども、ことしの豪雪は、例えば五六豪雪と比較をしても異常というほかないくらい大変なすさまじさでございました。長野県の北部の場合などを見ても、五六豪雪に比較をして降雪量が一・五倍ないし所によっては二倍もある。飯山市などは町の中心部ですら二メーター五十を超すような積雪がずっと続く、こういう状況でございました。  したがって、これまでにも大変な雪害が出ているわけですけれども、私が心配するのは、融雪期を迎えて、例えば雪崩であるとか河川の異常増水であるとかがけ崩れ、地すべりといったような災害が多発をするのではないか。したがって、県なり市町村なりがこれに対応することは言うまでもありませんけれども、国として予想されるそういう事態にどういうような措置をあらかじめ考えておられるか、まず最初に承りたいと思います。
  194. 松本和雄

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  災害から生命や財産を守ることは災害対策基本でございます。このような観点から、豪雪の年には特に御指摘のありましたような雪崩ですとか融雪出水等の対策が重要な課題になってくることはよく認識しております。  政府といたしましては、このような観点から、去る二月十二日、政府昭和五十九年豪雪災害対策本部の会議におきまして、本部長でございます国土庁長官から関係省庁に対し、これらの防災体制の強化を図るように特に要請しておるところでございます。また去る二月の十四日には本部長から関係の道府県知事に対しまして文書を発しまして、雪崩ですとか河川の決壊危険箇所等の巡視点検あるいは警戒、避難体制の強化について通達を発したところでございます。このほか、建設省ですとか農林水産省におきましても、それぞれ所要の対策につきまして関係方面に通知を出しているところでございます。私どもといたしましては、今後とも関係省庁とよく連絡をとり合いまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
  195. 清水勇

    清水分科員 大臣、これからそういう事態が急速に多発をしていくと思いますから、所管はなるほど国土庁かもしれませんけれども、県なり市町村なりが大変シビアな環境に置かれるわけでございますので、閣議なんかの場合でも機会があったら田川大臣の方から積極的にそういうことを提起していただく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  196. 田川誠一

    田川国務大臣 閣議で特別私は発言はしておりませんけれども、閣議の前とか役とかに大蔵大臣その他の関係大臣と、今度の豪雪対策についてはそれぞれ所管を乗り越えて考えていかなければならぬということを申しているわけでございます。  それから、もう既にお聞き及びと思いますけれども、九日の閣議で稻村国土庁長官が今回の異常豪雪による除雪費の増高に対する臨時特例措置について発言をされておりますが、これはお聞きになりましたか。
  197. 清水勇

    清水分科員 聞いています。
  198. 田川誠一

    田川国務大臣 そういうことで、できるだけ国を挙げて考えていかなければならない、こういうつもりでおります。  今度東京や関東地方にも雪がたくさん降ったということは、暖かい地域における人が、雪がいかに大変かということを非常に思い知らされた、いい——いいと言ってはおかしいけれども一つの機会であったと思うのです。そういう意味で、ひとつ一生懸命努力をしてまいるつもりでございます。
  199. 清水勇

    清水分科員 そこで、総括質問の際にも、例えば豪雪地域の自治体の場合には、除排雪費用などは当初予算を大体一月の中旬、遅いところでも一月中にはもうほとんど使い切ってしまう、恐らく最終的には当初予算の二倍に近い支出を余儀なくされることになりはしないか、こういうことが懸念されているわけですね。ですから、特別に自治大臣に要望して特交という面で何とかカバーしてやってもらわなければ困る、わかりました、こうおっしゃっておられるわけですが……。  そこで、きょうは財政局長もおいでですけれども、残念ながら特交の枠が五%圧縮されている。ところが、去年は去年で、私の方だけとってみても、十号台風というものによる大変な影響、全国的には、一々挙げませんけれども、重要災害が多発をしている。にもかかわらず、特交で何とか心配しましょうと言われても、平均的に交付される枠が小さい以上、その内容が微々たるものになってしまうのでは困ると思うのですけれども、例えば採択をして配分を考える場合、足りなくなった場合には大蔵省等と相談をしてその枠の拡大を図るといったようなお気持ちをお持ちでしょうか。
  200. 石原信雄

    石原政府委員 国の予算一般につきましては、当初の見積もりで対応できない場合に予備費の使用等が制度的にあるわけですけれども交付税につきましては、特別交付税の配分作業の過程で足りないからこれを追加するという仕組みになっておりまぜん。交付税は、御案内のように国税三税の三二%という基本の率が決まっておりまして、それについてその年度の初めに必要な地方財政対策を講じます際には、ある程度の追加財政需要、追加要因というものは考慮して総枠を決めております。したがいまして、少々のところはこの枠の中で対応していくということでございます。  それで、先ほど来、今年度の特別交付税の総額が三百億ほど減りまして、そこに大災害やら豪雪やらということで大変だろうということであろうと思うのですが、そのとおりなんですが、ただ、やはり制度的にはこの枠の中で対応しなければいけないものですから、私ども大変つらい立場でありましたけれども、実は今年度の場合、特に災害のなかった都道府県については相当程度の特別交付税の減額に協力していただきまして、そして豪雪対策とか災害対策については従前に劣らない措置を講じたつもりでございます。
  201. 清水勇

    清水分科員 そうすると、災害多発の地方公共団体等に対しては、いわゆる災害のなかった公共団体等の協力を得て傾斜配分、重点配分というような形でカバーをしている、そういうことですか。
  202. 石原信雄

    石原政府委員 そのとおりでございます。  なお、建設投資の関係につきましては、災害関係であれば、枠がなければ枠を追加してでも地方債は手当てをいたしております。  問題は経常費でございますが、経常費については今申しましたようなやり方で今年度も対応いたしております。
  203. 清水勇

    清水分科員 いずれにしても、豪雪地域というものは、御承知のように過疎をたくさん抱え、自主財源が乏しいという団体が多いわけですね。ですから、この辺は百も御承知ですから繰り返しませんけれども、ぜひとも十分な配慮を払っていただいて、傾斜配分というような形で、できるだけ希望にこたえられるように一層の努力を要望しておきたいと思います。  さてそこで、今も大臣からお話があったように、九日の閣議で五六豪雪並みの特別な措置を講ずる、こういうことが言われているわけでありますし、ぜひこれはやってもらわければなりませんが、この際、市町村道の除雪費の特別補助といったことについて当然面倒を見てもらうわけですが、振り返ってみると五十三年、五十六年、そして今度は五十九年と、大体三年周期で異常豪雪を来しているわけですね。そういうことにかんがみ、何とか国庫補助のルールを決めて、そして一定程度の降雪ないし積雪のある場合には市町村道の除雪費の補助を発動する、こういったような制度をこの際検討してみるときに来ていはしないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  204. 和田惇

    和田説明員 豪雪時におきます市町村道の補助の問題でございますけれども市町村の冬期間の交通確保を図るために、国といたしましては昭和三十九年から除雪機械の購入に対する補助を行っております。それから、昭和四十八年からは防雪、凍雪害といったような事業がございますが、そういうものの補助を行ってきておるわけでございます。  市町村道の除雪につきましては、降雪の状況でありますとか、それから幹線道路の交通確保状況、そういったようなものに臨機応変に対応するということが必要だということでございまして、あらかじめ路線を選定いたしましてそれに対して補助をするといったような制度をとりますよりは、市町村の自主的な判断にゆだねまして、そして弾力的に機動的に除雪を行うことが適当ではないだろうかと考えておるわけでございます。  こういったことでございまして、除雪機械の稼働等を含めた除雪費につきましては、通常は普通交付税、それからそれを超えるものにつきましては特別交付税といったような措置がなされておるわけでございます。  先ほど御指摘がございました豪雪の大変厳しかった昭和五十一年、それから昭和五十五年の豪雪の際には、御存じのように幹線市町村道に対しましての除雪費の補助が臨時の特例の措置として行われたわけでございます。今年度も、先ほどお話がございましたように、同様の措置が行われるというように伺っております。  そういうことでございまして、私どもといたしましては、豪雪時における市町村道の除雪につきましては、今後とも積雪状況に応じて適切な対応をとるという方法でまいりたいと考えております。
  205. 清水勇

    清水分科員 今建設省の方からそういうお話がありました。例えば豪雪地帯の市町村等からは、何とかルール化をするあるいは制度化をするということができないものだろうか、こういう切なる要望も出ているわけでありますから、今すぐとは言いませんが、今後十分検討していただくように要望しておきたいと思います。  次に、大蔵省の国税庁、これをちょっと見てください。これは私の地元の新聞のコピーなんですけれども、実は異常豪雪が多発をするという傾向から、メーカーの方も一般家庭等々を対象に小型除雪機械というものを開発をしてこれの普及を図る、私は長野県の北信地方というところなんだが、豪雪地帯では最近は大体三軒に一軒の割合ぐらいでこの小型ロータリーと称する手動式の除雪機械を購入しているわけですね。安くても二十万ぐらい、平均は四十万ないし五十万ぐらい、高いものは百万円台のものもある。  平均的な四、五十万円程度のものを購入して使っているという家庭が多いのですけれども、実はそこで問題なのは、ここにもあるように、例えば除雪費というものについては、年収の十分の一以上ないし五万円以上ということで所得税法の雑損控除の対象として措置をされている。ところが、これは全然控除の対象になっていない。あるいは農家なんかの場合でも、青色申告でやっている場合には必要経費としてこの購入費が税の控除対象にされているが、白色の場合には対象にならないといったような取り扱い上の矛盾なりアンバランスなりがあるわけですね。  そこで、雪さえ降らなければこんな機械なんか全く不要なわけですね。しかも、豪雪地帯でなければ雪があったってここまでは要らないのだけれども、豪雪地帯ゆえにこれを購入せざるを得ない。ところが、税控除の対象にはならない。ということは、これはいかにも不合理だと思うのですね。ただ、私がいま申し上げたように、ここ二、三年来急速に普及をしてきていることですから、今までのことはともかく、もはやここまで来れば控除の対象にすべきではないのか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  206. 岡本吉司

    ○岡本説明員 お答え申し上げます。  今先生からちょうだいいたしましたような手動式のロータリーでございますが、御質問の御趣旨は、これを今所得税法で認められております雑損控除の対象にしろ、こういうお話じゃないかというふうに考えるわけでございます。  御案内のとおり、雑損控除と申しますのは、事業用資産は除かれますけれども、いわゆる生活用資産につきまして災害等によりまして損害を受けた、そういったときに納税者の担税力の減殺されることを考慮いたしましてできている制度でございます。したがいまして、本件のように、相当な金額になるわけではございますが、こういった機械を購入したということだけでは、いわば現金が機械にかわっただけということでございまして、全体のバランスシート上は損失が発生したということになりませんので、この機械が豪雪でぽしゃっちゃった、要するに壊れちゃったということになりますとこれは雑損控除の対象にはなってくることもありましょうけれども、これを購入したということだけでは通常の雑損控除の対象にはならない、こういうことでございます。  ただ、今先生からもお話がございましたように、事業用に使われている場合がございますね。これが例えば農業用であるとかその他商店等の事業用に使われている場合、これは仕組みがややこしくなりますが、一応事業用の資産というところに計上することになりまして、それの減価償却費が経費として落ちる場合があるということでございます。青色であるとか収支計算等をしてもらっております方につきましては、それの生活用に使われた割合と事業用に使われたのがあるわけでございますけれども、その事業用に使われた割合を見まして、その限りにおいて必要経費として見ていくということでございます。  ただ、先生今御質問ございましたように、一般の家庭におきましてこういった減価償却みたいに認めろ、こういった御質問の趣旨がと思いますが、これは現在の所得税法上の基幹にわたる話でございまして、我々は通常の生活用資産につきましては、所得の処分から成り立っているというふうに考えております。今のような商売でもって支出する場合には、その収入を得るための費用、こういう概念でございますので、そういった収入を得るための費用であるかあるいは所得の処分であるか、この違いによりまして認められたり認められなかったりする、こういう状況でございます。
  207. 清水勇

    清水分科員 私は前に、五十三年だったかな、やはり分科会で除排雪費用を控除の対象にしろということで取り上げてさんざんやったことがある。ところが、当時は雪は災害じゃないという発想だった。ばかなことを言うな、一メーターとかそれ以上の重い雪を屋根に載せておいたままで放置をすれば、やがてそれが重圧となって家をつぶしてしまう、つぶしてから雑損控除の対象にいたしましょうでは話が逆さである、だから豪雪、つまり雪は災害として認識をし、そして除雪費用も控除の対象にしてはどうかということから、そうしましょうという話になった。ところが、初めのうちは今あなたが言っているように、雪なんというものは春になって解ければもとに戻って何にも損害がないのだから、したがって損害のないところへ雑損控除を認めるわけにはまいらない、こういう発想だったのですね。ところが、一歩、二歩解釈を進めて雑損控除の対象にしたのですよ。  それと同じように、これは私は田川大臣に申し上げたいのだけれども、政治というものは、そんなにしゃくし定規に考えて、ここからここまでは認めるが、ここからここまではだめだなんというようなものではなしに、やはり心の通った措置をする。そうでしょう、小型機械なんか使わなくて住めるような地域ならこんなありがたいことはない。四十万も五十万も、それ以上もの銭を出してわざわざ使う者なんていないのですよ、そんなにゆとりがないのだから。しかし、背に腹はかえられず、例えば除雪をする人がだんだんなくなる、やむを得ず便利な機械だからといって購入をする。この新聞にもあるように、「豪雪地ゆえ−痛い出費」なんですね。これを放置しておけば災害につながるわけなんです。ですから、私は今ここで、はい、わかりました、控除の対象にいたします、そんなことをあなたに言えとは言わない。言わないが、少なくとも前向きに検討する、こういうことでないとならないと思うのですが、大臣としては、これは血も涙もある大臣のはずなんだが、どんな所感をお持ちでしょう。ちょっと大臣の気持ちを聞きたい。
  208. 田川誠一

    田川国務大臣 気持ちから言えば税金は安いにこしたことはありませんから、こういうものも控除した方がいいとは思いますけれども、これは冷静に考えてみますと、幾ら豪雪地帯であっても、大変担税力に余裕のある人とそうでない人のこともありますし、なかなか一概にどうこうとも言えないと思います。清水さんのおっしゃる気持ちはよくわかりますけれども、私の所管ではないから、今私がここで、おっしゃることは大いに検討しましょうとかなんとかということはちょっと申し上げにくいけれども、心境を聞かれれば、なかなかこれは大変なことで、こういうことが話題に出るのももっともではないかというふうに思います。
  209. 岡本吉司

    ○岡本説明員 一つだけ補足させていただきます。  今御質問のございました災害関連費、雪おろし費用でございますね。端的に今お話がございましたが、これが一応雑損控除の対象になるというふうになりましたのは五十六年度の税制改正によってでございまして、政令で規定されております。(清水分科員「そんなことないよ、五十三年度ですよ」と呼ぶ一五十六年度の税制改正によりまして政令を……清水分科員「そんなことないよ」と呼ぶ)一応形式上は政令で規定することになっております。したがって、我々としてはまず制度論が一つあるということを十分御認識いただきたい、こう思っております。
  210. 清水勇

    清水分科員 その点はよくわかっています。ですから、ここでああするこうするというようなことを言ってほしいということまでは私申し上げておりません。したがって、実態に即して制度そのものをどう見直すか。例えば標準外経費としてある面では認めているわけでしょう、ところがある面では認められない、こういう適用上のバランスを欠く状況は果たして均等な政策であるかどうか、こういうことなども加味していただいて、これはぜひ一回検討していただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
  211. 岡本吉司

    ○岡本説明員 御発言の御趣旨は十分わかるところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、単に現金が資産にかわったという外形的な話もございますので、今すぐここで検討するということまでは御勘弁させていただきたいと思います。
  212. 清水勇

    清水分科員 私は五十三年に、除排雪費用を雑損控除に含めたらどうか。そのときも似たようなことを言っておられた。しかし最後は、わかりましたと、いずれにしても合理的な方向を求めて検討することはやぶさかではないということで、当時の所得税課長も言っていただいて、翌年からそういう形で対処をされた。制度そのものが変わったのは五十六年かもしれませんね。そういう歴史的経過もあるわけです。  ですから、あなたの方からも、そんなにかたいことばかり言ってないで、それは検討するということは別にあって差し支えない話なのだから、どうですか、その程度のことは。
  213. 岡本吉司

    ○岡本説明員 お答えいたします。  ただ、検討いたしましてもなかなか難しい問題であるということは御了解いただきたいと思っております。
  214. 清水勇

    清水分科員 私の言うとおりに検討して答えを出せと言っているわけじゃないのだから、難しいこともあるだろうけれども検討しろと言うのだから。それはいいですね。  それでは、時間もありませんから最後に二言農林省筋に聞いておきたいと思いますが、先ほども言うように、これから融雪期にかけて農地の損壊が懸念される、あるいはこれまでにもリンゴとかブドウとかの枝折れ、つまり樹体損壊が多発しておりますね。聞いておられるでしょう。ビニールハウスがつぶれたとか桑の胴枯れ病が心配だとか、農地及び農業施設関係をちょっと取り上げてみても今申し上げたように幾つかの心配材料があるわけですね。そこで、例えば農作物とか施設の損壊に対しては長期低利資金で何とか配慮をするとか、今後融雪水等による農地の損壊等については災害復旧費等をもってカバーしていく、こういうことが極めて重要な差し迫った問題になるのだろうと思いますが、どんな対応をお考えでしょうか。
  215. 吉川汎

    ○吉川説明員 農地、農業用施設の災害復旧の件についてお答え申し上げます。  御指摘のとおり大変な豪雪でございますので、本年度の融雪災害は大変多発するのじゃないかと懸念いたしております。きょう現在のところまだ被害報告は入っておりませんが、これから気温が緩むに従いまして報告が入ってくるのではないかと考えております。  融雪災害の防止につきましては、二月の終わりに構造改善局長名をもって関係機関に協力依頼要請をしたところでございますが、不幸にして災害が起きた場合には、農地、農業用施設災害復旧の暫定措置に関する法律の規定に基づきまして、速やかに災害復旧に取り組んでまいりたいと思っております。  なお、災害につきましては五十九年災になりますので、これは査定前着工とか応急工事といったような制度もございますので、各県と十分打ち合わせをしまして営農に支障のないよう十分対処してまいる所存でございます。
  216. 武政邦夫

    ○武政説明員 お答えいたします。  先ほどの先生の御質問の中でも御指摘がございましたように、長野県北信地方はリンゴを中心とする果樹の生産地帯でございます。御指摘のようにことしは記録的な豪雪でございまして、飯山地方では二メートル五十一という歴史上二位の記録を立てておる状況でございます。目下積雪が二メートル五十存続しておりまして、被害がどの程度かというのは率直に申し上げまして確認できない状況にございます。  ただ、私どもがいろいろ聞いております段階では、雪の上に出ている枝とか樹体に対して被害が散見されつつあるという報告も聞いております。さらに、融雪に伴いまして沈降してまいりますので、その際かなりの被害、特に最近はリンゴ等には矮性樹が多くなっておりますので被害が大きくなっていく可能性があるということで、私ども大変心配しておりまして、去る二月に通達を発しまして、まず被害を未然に防止することが一番大事でございますので、県とも打ち合わせまして今被害防除のための対策に専念いたしております。  さらに、全体的な被害状況がわかりましてからその後の対策についてもできるだけ早目に適切に対処してまいりたい、こう考えております。
  217. 清水勇

    清水分科員 終わります。ありがとうございました。
  218. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。
  219. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 きょうは行政書士の権益について質問したいと思うわけなのですが、まず、行政書士というのは非常に古い歴史でございまして、新しい法律ができる、新しい業務ができるということになりますと、行政書士の業務の範囲、職域の範囲が徐々に狭められてきておるわけであります。  自治省としては、指導監督官庁でございますので、行政書士というのはどういう業務をやることがこの法律で定められておるのかということを、まずここで明確にお答え願いたいと思うのです。
  220. 大林勝臣

    ○大林政府委員 法律の第一条に書いてありますように「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業」としておりまして、言うなれば国民の方で官公署に提出する書類について行政書士が便宜を図るという秩序について、それを目的としておると承知しております。
  221. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 今答えられましたように、主権者である国民の皆さんは率直に申し上げて法律に余り詳しくない。役人の方がよく知っているわけですね。手続の問題等については皆目わからぬというのが今日の実態です。したがいまして官庁と住民の皆さんとの便利的な橋渡しをサービスする、こういうように言いかえてもいいのではないかと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたように、例えばさきの社会保険労務士制度ができたときに、新しく社会保険労務士法という法律ができて、社会保険労務士の窓口の所管庁についても手続代行事務を含めまして従来行政書士がやっておったが、その職域がなくなったということも一つの例であります。  そういうようにだんだん少なくなってきておるわけでありますが、今度は、昨年の十一月から実施されました、いわゆるサラ金で住民の皆さんがいろいろ被害を受けるという中で貸金業法という法律ができたことは御案内のとおりでありますが、この貸金業法が施行されるに当たって、これまたその業務を通じて行政書士の権益が侵されるような事態が起こっているわけであります。  すなわち、今御答弁されましたように、例えば貸金業を営もうという方が登録制度に基づきまして県の知事なりあるいは大蔵省の地方の財務支分部局に対しまして登録手続をやる。これは当然、希望をされる方が県なり財務局の方に個人で独自に手続をされるとか、あるいはその手続が非常に不案内であるという場合は行政書士を通して手続をするというのが当然の姿でなかろうか、こういうように思うのですが、その点についてはどうですか。
  222. 大林勝臣

    ○大林政府委員 貸金業法によりまして、貸金業の登録の申請書の提出でありますとか変更でありますとか廃業の届け出というものが義務づけられておるわけでありまして、本来、その作成につきましては、行政書士法によりまして行政書士の専属管轄と申しますか、専属的な権限ということになっておるわけであります。ただ、提出の代行でありますとかいろいろな相談事でありますとか、こういうものはまた貸金業法の中に貸金業協会というものが予定をされておりまして、こういった貸金業協会に大蔵大臣あるいは都道府県知事は協力をさせることができるという協力規定というものもございます。こういったことから、作成は行政書士が行うということに法律上なりますけれども、作成された書類の提出の代行というものは貸金業協会で行う方が貸金業協会の育成のためにもいいのではないだろうかという考え方のもとに大蔵省が通達を出されたものと承知いたしております。
  223. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 今御答弁がございました中に触れられました大蔵省通達、すなわち蔵銀第二六〇二号、昭和五十八年九月三十日付大蔵省銀行局長宮本保孝名で出された通達、自治省はその内容について相談を受けて大蔵省が通達を出したものですか、どうですか。
  224. 大林勝臣

    ○大林政府委員 この通達そのものにつきましては、自治省として協議を受けたことはございません。
  225. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは、今の御答弁に少し触れると思うわけですが、例えば登録の申請に当たって、今も御答弁がございましたように、「登録申請書及びその添付書類は、原則として」——「原則として」という言葉まで入れた通達になっておる。「原則としてこれらを提出しようとする者の主たる営業所等の所在地をその区域とする貸金業協会を通して提出するよう指導する。」こういうようになっておるわけでありますから、県あるいは地方の財務局としてはおのずからこの通達に基づいて、すべて登録を希望される方は貸金業協会の方に書類の提出手続を含めて入会を強要されて、そして現実的に登録制度が行われた。この現実は御存じですか。
  226. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そのように運営されているというふうに伺っております。
  227. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、まず貸金業協会に入会をして幾らかの入会金を取られるわけです。たしか県によっては異なるかと思いますが、入会金が二十万円ないし三十万円ほど取られているわけですね。まず入会を強要される。そして同協会が申請書を書いて、書いたその申請書を財務局なり県の方に協会が代行して手続をしておる。いわば申請書を代書する仕事を含めてやっておるわけですが、それは行政書士法には触れないのですか。
  228. 大林勝臣

    ○大林政府委員 行政書士法との法律上の関係ということになるわけでありますけれども、行政書士の業務といたしましては、他人の依頼を受けて報酬を得てそういった書類を作成することを業とする、こういう条文が一つございます。と同時に第十九条の条文で、行政書士でない者は業として第一条に規定する、つまり書類の作成を報酬を得て作成することを業務とすることができない、こういうふうに書類の作成業務を行政書士の専属権限といたしておるわけであります。したがいまして、この法律の条文上から参りますと、貸金業協会が書類の作成について報酬を得て作成しない限りは行政書士法の第一条の違反ということにはならないのではないか、こう理解をしておるところであります。
  229. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 確かに申請書を作成してもらう手続のための報酬は得ておらないが、貸金業協会に加入するために入会金を支払う。その入会金というのは申請書を作成することを含めてやられているのですから、だから貸金業協会に入会をしない者は、協会の窓口に参りましてもそれなりの手続をしてくれないわけです。そうすると、その申請書の作成自体の報酬は貸金業協会は受け取ってはおりませんが、入会をして入会金を支払うそのことの中に何分かの作成の報酬というものが含まれているというように私は解釈するのですが、それはどうですか。
  230. 大林勝臣

    ○大林政府委員 貸金業協会の入会金というものの内容なり性格については私どももしかと承知をしないわけでありますけれども、貸金業協会の入会金というのは、恐らくは貸金業協会に入会した者に対するいろいろなサービスを貸金業協会が行うということを前提として、会を維持するための費用として徴収しておるものだろうと思います。したがいまして、いわゆる法律で言う報酬を得て書類を作成するということが、同時にそういった入会金まですべて含めて報酬を得てというふうに読み得るかどうかということにつきましては極めて疑問でありまして、入会金については、行政書士法第一条に言う報酬を得て書類を作成するということまで法律上含んでおるかということになりますと、消極に考えておるところであります。
  231. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、単に今貸金業協会の例を挙げておりますが、今の行政局長の御答弁をそのまま是認をいたしますと、今後の問題として、建設業を営むために知事や政府の許可をとる手続、あるいは政府や県、市町村に対して指名を受ける入札の手続、それを受ける場合は建設業協会が同じようにやるということになれば、これまた今の解釈と同じような解釈になり、これがずっと普遍的に広がっていけばすべての業界がそのことがあり得るということにも裏づけられるのですよ。それでいいのですか。
  232. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そのあたりになりますと、一つは、行政書士法が第一条で書類の作成ということを規定しておる。それから、わざわざ第一条の二で、作成された書類の提出なりあるいはもろもろの作成上の相談に応ずることを業とすることができるというふうに書き分けておるところであります。こういった問題と、それから先ほど来御質問になっております各業界の入会金をどう考えていくか、それによって、従来の既成の業界団体と、今後新設されるであろう、あるいは既設の団体でもこういった入会金を取ってサービスをするといった事象が出てきました場合の業界間の意見の衝突という問題は、当然出てくるであろうと思います。  そういった問題が出てまいります場合には、結局は、現在の行政書士法と今後のそういった新しいシステムづくりの法律の条文との調整をする段階でその問題については解決をされるべきものと存じておりますし、現在のでき上がっております法律相互の関係におきましては、先ほどの報酬を得てという問題と、それから入会金といった全般的なサービスを前提とする金というものの相違は、法律上は区別して考えざるを得ないのではないだろうか、こういう考え方でございます。
  233. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 今の答弁おかしいですよ。既に建設業界にしても財団法人もありますし、任意の建設業の地域のローカル的なセンターもありますが、それに類似した団体ができて、そのような手続をしておるところが随所にあるわけです。これは現実的に行政書士法違反だということで、地方によっては告発をしておるという事象が多岐にわたってあるわけですね。単に建設業だけじゃございません。ほかのすべての許可認可、そういうことを必要とする業界についても同様に言えるわけですが、これはすべて行政書士法違反だということで告発事件が多発的に起きておるわけなんです。この貸金業の場合は、この大蔵省の銀行局通達があるがために、これだけがこの通達によってなされておるというところに問題があるわけです。  行政局長の方が、自治省がそこまで言い切るのであれば私は言いたくなるわけですが、先週の法務委員会で我が党の稲葉委員によると、この貸金業法の実施に伴って、とかく耳に入るとどうも恥ずかしいような事件が裏にひそめられておる。今捜査の手が非常に広がっておるということ自体、法務省が答弁しておるわけですね。これは、この問題に極めてかかわる問題なんです。他の業界にはそういうことがない。これに限って「貸金業協会を通して」、しかもそれを「原則として」と、原則という言葉まで入れて通達を流されているところに問題がある。  これは、時間がありませんからまた大蔵委員会なりで私は議論したいと思いますが、そういうようなことが起きつつあるというようなこと。この銀行局通達が流される。その流されるまでにはかなりの大きな政治的な動きがあった。これが裏づけられるわけなんです。  しかも、この銀行局通達は今言われたように自治省とは全く相談もなかったということを肯定されているわけでしょう。そうなってくればあなたの方は、監督官庁として、指導官庁として、これにこだわらないで行政書士法という法律に照らしてこれは何とか、銀行局通達のような紛らわしい問題、これは初めて起こったわけですから、これに加担をするんじゃなく、やはり明確な態度をとってもらわぬと困る。どうですか。
  234. 大林勝臣

    ○大林政府委員 結局は、先ほど来の入会金というものと、報酬を得てというものとの相関関係ということに法律上はなるわけであります。したがいまして、現在の段階で「報酬を得て」という要件を、入会金を得てもろもろのサービスをするのもすべて報酬を得て書類を作成することになるんだというふうに法律上断定するところまでは私どもは考えないわけでありまして、今後そういった現実の処理の問題については大蔵省ともいろいろ相談はいたしますけれども、法律問題として御質問をされるということになりますと先ほど来のお答えということになるわけであります。
  235. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 先ほど申し上げましたように、貸金業協会に入会した者については、入会金を取っておるのだから報酬を得ないでサービスするかもわからぬ。だからサービスということであれば、貸金業協会が入会しなくても登録をしたいという方があればサービスするということならば、あなたの今の答弁というのは全くそのとおりだということでうなづけますけれども、協会に入らなければサービスはやらないのですよ。協会に入った者に限ってサービスをするのですよ。そうすると、協会に入るときには入会金を出すんだから、その入会金の中にはそのサービスをする報酬というものが伴っておるというふうに解釈するのが当然じゃないですか。
  236. 大林勝臣

    ○大林政府委員 貸金業協会に入会をした者に限ってそういったサービスをするというようなお話でありますけれども、それがいいことか悪いことか、適当であるか適当でないかということは、これは指導官庁としての大蔵省の御判断であろうと存じます。現在の貸金業の規制等に関する法律に基づく運用とそれから行政書士法との関係につきましては、私どもの立場では、先ほど来お答え申しているところが限度であろうと存ずる次第であります。
  237. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これはもう大臣、今お聞きになっておられることであるので、おわかりのことだと思います。貸金業を営むためにその申請をする。その書類の作成をサービスで、入会しようがしまいが貸金業協会としてはサービスをする、そして任意の姿で入会をされるということであれば、これは私は何も言わない。ところが、入会をしなければ申請手続をしてくれないのだから。直接県の方に行けないのだから、直接財務局の方に行けないのだから。  「原則として」というような通達を流しておる。そうすると貸金業協会に入る、入会をする。その入会金がない者は営業できなくなるのですよ。登録はしておらない者が現実におるじゃないですか。これは、法のもとに平等だというそういう原則の上に立って好ましいことであるかどうかということは、大臣、どうお考えですか。
  238. 田川誠一

    田川国務大臣 今行政局長が言いましたように、行政書士と大蔵省との問題でありますから、それについて私がいいとか悪いとかということはなかなか申しにくいわけです。  ただ、大変不勉強でありますけれども、私はこういうお話を初めて聞いたときに、やはり貸金業というのはほかの仕事と違って大分いろいろ大きな影響もあるし、問題のある一つの仕事でありますから、何か一つの協会へできるだけまとめて、ひっくるめて指導していこうというような気持ちがやはり大蔵省の頭の中にあるのではないかという意味でこういうようなことをやったのではないかなという、部外、専門外として、所管外として私はそういう感じを受けました。  この行政書士のことについては、ほかに私も個人的に、自動車のディーラーとそれから車庫証明の問題なんかもちょっと聞いておりますので、一度こういう問題をひっくるめてちょっと調べてみたいな、個人的にはそのように考えているわけで、大蔵省がとった措置がいいとか悪いとかということだけはちょっと御勘弁をいただきたいと思います。
  239. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 確かに所管大臣じゃないからやむを得ないと思いますが、しかし、繰り返しませんが、協会があくまでもサービスでやる、協会に入会する者も入会をする意思のない者も法のもとに平等だということで取り扱うということであれば、これは私はとやかく言わない。今大臣指摘されたように、大蔵省としては確かに、問題の多い貸金業者を各県ごとに一つの協会にまとめて、そうすれば行政指導をするために極めて便利な方法だということでやられたという一つの側面もあろうかと思います。しかし、ほかの業界にはこのようなことがないのです。しかもその通達には「原則として」と書いてある。これほどまで強い通達というのは他に例がないのですよ。そこに、先ほどもちょっと触れたように、この法律の施行に当たって、この銀行局長通達が流れるまでにとかくよからぬうわさが出ておるように、かなりの金が動いている、その動いた結果この通達が出るようになったということになれば、業界側としてのもう一つの側面というのは、非常に政治的な、金を動かしてもこれで取り返せるということに、率直に言えばなるでしょう。だから、この通達は大臣の言われたような側面もあるけれども、もう一つの悪い側面があるわけなんです。そういう点は今大臣もわかってもらえると思うのです。  したがいまして、時間もありませんので、この辺で終わりたいと思いますけれども、これは今法務委員会で取り上げられておる問題、私は大きな事件にならないことを願いますが、やはりこの点はきちっとしてもらわなければ私も知っておる範囲でもっと大きくしようというような気持ちにもなってきますから、同じ政治家の立場として余り好ましいことじゃないわけですから、今私が指摘しましたように、いい側面と悪い側面がこの通達によってあらわれておる、しかもその通達を流すに当たって、行政書士法という法律がある、あるにもかかわらず、これにかかわる自治省相談なしに通達が出されたという点を私は取り上げているわけでございますから、ひとつ大臣の方も、ぜひとも大蔵大臣の方あるいは大蔵省の方と話をしてもらって、そういう悪い現象面があるということで、何とか行政書士法に沿うような、そして法のもとに平等に登録申請をする人が取り扱われるような措置を早急に講じてもらいたいということを最後に意見として申し上げておきたいと思います。大臣からそのことだけひとつお答え願いたいと思います。
  240. 田川誠一

    田川国務大臣 サラ金の法案にかかわる問題も含めて関心も非常に持っておりますので、大蔵省にもよく問いただして、誤りのないように進めてまいりたいと思います。
  241. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 終わります。
  242. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、小林進君。
  243. 小林進

    小林(進)分科員 大臣一つは、聞きたいことは行革と地方税の問題なんです。時間がないから急ぎますけれども地方税の徴収、これは国税は五万三千人、地方税は八万七千人、若干のあれがあるかもしれませんが、徴税の能力ということで大体百円に対して国税の方は一円二十五銭か何かなんです。地方税の方は三円七十銭か何かで、三倍近く徴税費がかかっているわけです。私は、民主政治は地方自治を中心にいかなければならぬということでいくけれども、その問題と徴税の問題は違うと思うのです。  我々の子供のときは賦課税といって皆中央も地方税もこれ一緒だった。払う者にしては、二回も三回も催促されるよりは一回で済む方が納税者から見れば非常に便利なんだ。何で一体こんな非合理なことをしておく必要があるのか。あなたは行政改革の一番推進の親方のようだから、こういうことをきちっとひとつやってもらえないかどうか。これは質問にかえての要望です。
  244. 田川誠一

    田川国務大臣 そういう話は小林さん、聞いたこともあるのですよ。あるので調べてみますと、やはり一元化をしてかえって人数が余計かかるような事態になっちゃう、後でちょっと専門家から説明させるけれども。  それからもう一つは、戦前は確かにそうだったかもしらぬけれども、戦前は地方分権なんてないわけですね。やはり自治体は地方税を自分で取ることによって、やはり一つの何というか自主財源ということが証明されるわけですよね。ですからそういう制度からいっても、一緒にするということは、小林さん、ちょっと簡単にいいように思ううけれども、実際にはなかなかできない。  それから、一番今行政改革の面から見てもかえってむだになっちゃう、そのむだになるという説明を、今税務局長からちょっと簡単に。
  245. 小林進

    小林(進)分科員 いや、説明は要らない。官僚なんというのは自分の城を守ることで頭がいっぱいで、大体彼らは大局から物を見ないからだめです。また改めて聞きます。二十分でやれというのに、こんな官僚の説明なんか聞いたんでは時間がなくなっちゃう。これは了承しませんよ。むしろ徴収人員がふえるなんという理屈はいただきかねる。これはだめです。  それから、次のことを言いますが、これは選挙法の改正の問題です。選挙法の改正問題で今、日本の国会は各党でやっている。どこか四倍以上の格差があるから最高裁で憲法違反だ、法律違反だと言ったら、今度、今各党でやっているのは、二・五倍の格差にしようとか三倍以内の格差にしようとかということで作業が進んでいるが、あれくらい矛盾した理屈はないですよ。五倍の格差があれば憲法違反だが三倍の格差ならば憲法違反でないの法律違反でないの、そんな理論的根拠は一体どこにあるのですか。ああいうことは立法府、理論の府でやるべき議論じゃないと私は思っているんです。  この問題に含めて、これは私の多年の主張ですが、時間がないから率直に言いますけれども、私は、日本の立法府は議員が多過ぎると思っているんです。私は、衆議院は三百名でいいと思っているんです。参議院は百名。そうしてそのかわりアメリカのように、立法化の作業を全部やるスタッフを一人の議員に十五名も二十名もつけて慎重にやる、一立法府なんだから。ここは法律をつくる、議員は法律をつくるのが任務なんだ。今日本の国会は、議員は何にも法律をつくらないで全部官僚任せにする。その官僚がつくった法律を読み上げたりするようなばかげたことはやめるべきであると私は思う。私は、その意味においても内容を根本的に変えるべきだと思う。しかし、これはいいですよ。  あなたに聞きたいのはその次なんです。今地方議員は、都道府県で二千八百四十六名、若干差があるかもしれませんが、大体三千名弱です。それから市町村会議員が大体七万人です。六万九千七百九十三名、七万人です。こういうのは一体このままでいいのかどうか。時間があればこれに要するいわゆる議会費などというものの総額を私は聞きたかったのだけれども、幸いなるか、時間が迫っているからこの種の数字を聞くまでに至りませんけれども、私は、もし合理化をやるとすればこういうところでやるべきじゃないかと思う。何も私はアメリカに例を、唯一これがいいと思うものじゃありませんけれども、日本のようにアメリカの一州にも満たないような小さな国が、国会議員の数においてもアメリカより二倍も余計の議員を持っているなんということは——そうでしょう。向こうは、上院は百名でしょう。日本は二百五十二名。下院だって四百六十名くらいです。こっちは五百十一名。地方議員もそうです。うんと少ない。あなたは自治大臣として、まず都道府県会議員あるいは市町村会議員、これらを合理的に削減して、しかも内容を密にして、きちっとやはり一つの国民の負託にこたえるような、そういう改革をおやりになるという腹かどうか。
  246. 田川誠一

    田川国務大臣 地方議員をもっと減らせという御意見ですけれども最初小林さんがおっしゃったように、やはり国会がみずからやらなければだめです、模範を示さなければ。国会が全然総定数を減らさないで地方議員を減らせと言ったって、地方議員は笑いますよ。私は今ここで具体的なことは言いませんけれども、今小林さんがおっしゃったように、国会が何らかやる気を見せないで何で行政改革ができるのですか。すべては国会だと思うのです。そういう意味で今度の国会議員の議員定数は、各党が党派を超越して、少なくとも現行定数を減らすことはあってもふやさないで、アンバランスを調整してやらなければならぬ。各党が減らすことに、あなたの社会党が率先して国会議員の定数を減らすくらいの提案をして野党をまとめていただければこういう問題はまとまるわけですよ。それをやらなければ私はだめだと思う。  それから地方議員は、小林さんよく御存じのように、地方自治法で段階的に定数を決めているわけですよ。人口幾らから幾らまでの都市については何名から何名と大体決めて、しかも条例によって減らすことはできるわけですよ。減らすことができるから、自治省が声をかけて減らせって言わなくたって、法律を改正して基準を低めるということをおっしゃっているのだろうと思うのですけれども、条例で減らすことができるし、現に減らしている特に町村なんかたくさんあるわけです。ですから、おっしゃるお気持ちはよくわかりますし、そういう指導はやっていきますけれども、まず国会がやることがすべての先決だということで御理解をひとつしていただきたいと思います。
  247. 小林進

    小林(進)分科員 あなた、前段言われたことは自治大臣の答弁じゃない。新自由クラブの総理・総裁か何かの答弁であって、今私は、総理・総裁の答弁を求めているのじゃなくて、自治大臣として、地方の議会議員の数について聞いている。大体は聞きましたよ。東京都の区議会なんかでも、きょうも出てました、二名減らすとか三名減らすとかをやっておりますからね。そうやって条例でできるということなんだから、干渉せよということじゃない。自治大臣としてどういう所見をお持ちになっているか、私はそれを聞いているのです。
  248. 田川誠一

    田川国務大臣 国会が一名でも減らせば、地方自治法の議員の定数を法律で改正するように私は率先してやっていくようにやりますが、国会が総定数を減らせないで、地方議会の議員を自治大臣が減らせなんて言えますか。それはなかなか言えないですよ。
  249. 小林進

    小林(進)分科員 あなたは国会に責任をおっかぶせるようなことを言うが、(田川国務大臣「いや、かぶせているんじゃないの」と呼ぶ)これは別ですが、ただ、議員の定数ということになりますと、とにかくゲリマンダーだとかハトマンダーだとかいってこれは非常に困難だし、国会がやるといったって、やはり政党のエゴが出たり個人の議員のエゴが出たりして確かになかなか困難なものですから、私は土曜日にやはり分科会で言った。これは議長、ひとつ責任を持ってあなたおやりなさい、最も信頼に値する学者、専門家を集めて、第三者機関でもって原案をつくらせて、それを国会にはね返して、議運委員会なり各派協議会でそれを審議するようにしたらどうかという具体案を示したんですけれども、これは私の説ですから、あなたにお聞きする問題ではありません。  あとは、選挙違反の解釈はあなたの管轄かな。  例えばこういう問題だ。これは僕の選挙のときに起こった生々しいことなんだ。十二月三日から用意ドンで選挙が開始になりましたね。その三日過ぎの十二月六日だと思うのだが、いわゆる某テレビ局だな。それが一つの農村に来て、そして特定候補者を呼んで、農村の人たち約四十名をテレビ局が招集をしたというか、こういうことで特定の候補と座談会を開きたいと思いますからあなたもぜひひとつ出席してくださいませんか、そのかわりこちらの方でお迎えに上がりますと言って、テレビ局が草なり乗り物を用意して、そしてお願いしたその四十名の人を招集して村の集会所に集めた。それで特定候補者を呼んできて、そこで二時間以上受け答えの座談会をやらした。それで、それが終わると四千円、これも田舎ですから仕出しはみんなわかっていますから、四千円の折り箱に一本つけて、集めた四十名の人にそれをやって、そしてまた帰りも車で個人のうちまでお送りした。  こういう事態は一体、選挙中の行為ですな、これ、選挙法では違反行為か正当な行為が、この解釈の問題です。
  250. 岩田脩

    ○岩田政府委員 何しろ突然のお話ですし、具体的なケースですから一々はっきりは申し上げられませんが、どうも今伺った限りでは、選挙運動期間中に報道機関が取材活動をやった、ある自分の番組をつくるために。そのときに、取材の相手方に来てもらったり帰ってもらったりしたことのお話のようです。  ということになると、どうもそのこと自体が選挙運動ではない。つまり、おいでいただいた方に投票を頼んだわけでもなければ、そういうことではありませんから、それはその報道機関が普通やっている取材活動の枠内と認められるようなもの、異常なものでない、社会常識、その番組作成の常識から考えてですね、とすれば、特に町題はないのではないかと思いますが、具体の話ですので、保留をさせていただきたいと思います。一般論としてはそういうことでございます。
  251. 小林進

    小林(進)分科員 もう時間も来ましたから言うけれども、あなたの一般解釈は私もそう思うのだ。そう思うものですから、地元の選管その他も大分この解釈で苦しんでいるようだが、ならば逆に、一般的な取材活動として許されるといって、これがしばしば流行と言っちゃ何だけれども、こういう類似行為が選挙中にずっと蔓延していくというと、これは思わざる被害が起きてくるのじゃないかという一つの懸念がある。これ自体は全く集票活動じゃないんだ。投票してくださいということでも何でもない。つくられたる、取材のためにつくった一つの舞台づくりにしかすぎないのですけれども、時間がありませんのでどうぞ。
  252. 岩田脩

    ○岩田政府委員 一言だけ。やはり一般論でございますけれども、もちろん、そういう取材活動に名をかりた集票行為であれば、それは選挙運動の問題を生ずると思います。
  253. 小林進

    小林(進)分科員 残念ながらこれで質問を終わりますが、私は半分しかできませんでした。
  254. 谷洋一

    ○谷主査代理 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑を終了いたしました。     —————————————     〔谷主査代理退席、湯山主査代理着席〕
  255. 湯山勇

    湯山主査代理 これより文部省所管について質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉浦忠治君。
  256. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、教育改革の問題についてお尋ねをいたします。  今、国民の間で教育改革の熱が大変上がっているときでありまして、ちょうどきょう読売新聞の冒頭に世論調査の結果が出ておりまして、大臣も御存じだろうと思いますけれども、現在の学校教育に対して五七%の方々が不満を持っているというものが示されておりますし、また、教育改革には六六%の方々が最大の関心を持っているという結果が出ているわけでございます。現在の学校教育への満足度ですけれども、「満足している」という人が四・八%、「どちらかといえば満足している」が二二・九%で、合わせて三割弱でございます。「どちらかといえば不満だ」四一・一%、「不満だ」と答えている人が一六・六%で、不満と感じている人が六割近いという結果が出ているわけでございます。具体的にどのような問題に関心が強いかというと、まず第一が「校内暴力問題」五五・四%、第二番目に「小中学校での道徳教育問題」三三・四%、三番目に「教師の質の向上」三二・三%、こういうふうになっております。このほか学校教育の具体的な改革課題として何が注目されているかということで、「高校の義務教育化」というのが三三・八%でありますし、「大学入試制度の見直し」が二九・二%、「中学・高校の一貫教育」というのが二六・七%、こういうふうになっておるわけであります。  そこで、私は、この調査結果のことについて触れませんけれども大臣の所信を求めませんけれども、校内暴力の問題、要するに学校における非行の生徒の問題で二、三お尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  これは私の選挙区に起こった問題でございますけれども、中学生でいながら、非行生徒という生徒を、義務教育の学校でありながら、働きに出している学校があるわけでございます。その働きに出していて問題を起こしている生徒、公立中学校の三年男子の生徒でございますが、校長が公認の上で昨年の十一月から毎日働きに出していることがわかりました。これは非行がもとでこの実態が一般に明らかになりました。これは本人と親も働きに出すことを希望しておりますし、また本人の将来のためなどでいろいろ意見も分かれるでありましょうけれども、この学校が問題児を切り捨てて働きに出しているということですね。また、個々の生徒の実態によっては、社会に出す方がいいというふうな意見もあるかもしれません。  そこで、私はこういう問題を提案しながら質問申し上げたいわけです。  後でちょっと時間があれば触れさせてもらいますけれども大臣も教育改革に大変御熱心でございます。総理のお考えと一体のようでございますが、私はこういう問題をぜひ今度の改革の中に入れてもらいたいという願望があって質問しているわけです。全部批判的に物を申しているわけじゃありませんで、まず第一に、全国的に非行生徒を義務教育でありながら働きに出すという処置を今とっているような事例をどのように文部省でつかんでいらっしゃるか、この点をまずお答えいただきたい。
  257. 高石邦男

    ○高石政府委員 実は昨年、義務教育段階における中学生、小学生における非行問題で、どうも他の子供たちに対して教育上いろいろな悪影響を与えるというものに対する出席停止の通達を出したわけでございます。その際に、その出席停止の期間にどのような取り扱いをするかを今後具体的に調査していこうと予定しておりまして、今までのところ、出席停止に類する自宅謹慎とかそういう事例は掌握しておりますけれども、その間働かしているかどうかというところまで詳細に調査しておりませんので、今後は調査していきたいと思っておりますので、ちょっと数字を申し上げることはできません。
  258. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そこで、義務教育中に違法は当然でありますけれども、今その事例は答弁がありませんけれども、働きに出せば労働基準法の問題にも触れます。また深夜作業等をやればなおこの問題がある。学校教育法にも触れるし、労働基準法にも触れるし、当然の問題ではありますけれども、こういう働きに出している実態は文部省はつかんでいらっしゃらないわけですか。——つかんでない。これは大変私は怠慢だと思う。  これは新聞に出た問題でなくて、この問題で私が内密に地元の学校を調査してみましたらば、明確に答えるとぐあいが悪いですから、その親も承知の上で、私も校長として学校に来られては困る、三学期で何とか事業主の了解さえ得られるならばということで働きに出している、本人も大変喜んでいるという事例があるわけなんです。これはだから、新聞に出ない学校ですらもこういう問題があるわけですから、文部省としても私はしっかりつかんでもらわなければならないと思うのです。いかがでございますか。
  259. 高石邦男

    ○高石政府委員 出席停止の措置を講ずる前に自宅学習とか自宅謹慎というような形で一体年間どれくらい処理されているかという調査をしたことがあるわけでございます。その数字は、五十七年度で申し上げますと五百四十七件でございます。したがいまして、その子供たちが全部働いているというわけにいかないと思いますし、家でぶらぶらしている子供もいるかと思うのです。ですから、この五百四十七のうちに今御指摘のような具体的な状況に置かれているのが何人いるかということは、今後の調査で明らかにしていきたいというふうに思っております。
  260. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私が問題を取り上げているこの事例でございますけれども、大変学校が困りまして、担任の先生も校長も家庭訪問をしたわけですね。ところが、夫婦離婚しておりますもので、母親が勤めに行かなければならない。離婚する前にいた地域のところへ子供が行って、そこでどうしても就職、その事業主のところへ行きたいということで行ったのでしょう。ところが、やはり働くよりも遊んだ方がいいという年齢ですから、今度はそのグループで交番を襲撃して、それがはっきりして、これは義務教育の生徒であったということで初めて発覚したような問題でございます。  私は、これは提案ですけれども、今度文部省で教育改革をなさるときに、やはり働きながら学ぶというものを十分重視していくべきときが来ているのではないかな、こう思うのです。詰め込みだけの教育ではならぬということの反省もありますし、私、問題児だけに例えて言っているわけではないのです。そうなると、今度は教員の枠が問題なんですね。やはり実習というふうな名目になれば、そこには指導先生方もつけなければいけないということになる。そういうことで、この教育改革の中に、体なりすべてを動かしてそれに従事していくものをある程度加味していくような制度を考えなければならぬときが今来ているのではないかというふうに思いますけれども大臣、この見解、いかがでございますか。
  261. 森喜朗

    ○森国務大臣 学校でいろいろ問題行動を起こして、そして他の生徒の教育を受ける権利を損なうというようなことになれば、しばらく学校を休んでいただく、これはできるわけですが、その間に働くということについて、やはりこれは今局長が申し上げたように、家庭でその問題行動に対しての解決を図っていく、善導していくということがまずより優先されなければならぬことだと思うのです。義務教育でございますから、勤労のとうとさや働くことの体験というのは、これは学習の、教育上の中で教えていくことであって、これは率直に申し上げて、今までの義務教育の中ではそうウエートはかかっていなかったと私は思います。やはり今日的な教育の今までの経過の中で、勉強第一という考え方はどうしても義務教育の中にも強まっておっただろうと思いますが、やはりこれからは、働くことに大きな意欲といいますか、その意義というものを教える、そのためには、教える、指導だけではなくて、そういう体験をしていくということもこれから十分考えていかなければならぬことだと私は思います。ただ、学校に行くのが嫌だ、問題を起こしたからといって、罰則でかわりに働かすのだということであっては断じて相ならぬことでございます。  義務教育を受けるべき権利を有する児童生徒を勤労させることがいいのか悪いのかということはとても重要な問題だと思いますので、私は今ここで率直に私自身の考えを申し上げる段階ではないと思っておりますが、今後とも十分にいろいろなケースを考えながら検討してみなければならぬと思います。やはり義務教育では、学校では、社会に生きていくための、参加していくための最低限の教育を身につけさせてあげること、それと同時に、教育というのは幅広いいろいろな意味がありますけれども、やはり社会に生きていくための人格、教養を身につけさせてあげることが義務教育の一番大事な仕事だ、私は今はこんなふうに判断をいたしております。
  262. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、大臣に提案を申し上げながら、時間が足りないですからなかなか細かく触れられませんけれども、やはり就職や何かを希望している子供にとっては、もう三学期あたりはそういう実習のような課程で、働かせることを学ばせながら、そしてその実益と両方上げていくような方法も講じてもいいのではないか。ただ問題児だけを焦点に絞っているわけじゃないのです。そういう問題もこれから考えていただいた方がいいのではないかということを御提案申し上げます。  次に、非行や何か起こっている問題で、私ちょっと調べてまいりましたけれども、私立の学校よりも公立の学校に問題が多いのですね、非行の問題もそうですし。それは表には出てこないのかもしれませんよ、私立の場合には発表しないのかもしれませんが、取り組み方というものが公立とは全然違うというようなものを少し感じているのですよ。ということは、やはり先生方のこれからの問題で、今先生方に横の連絡が余りなくなっている時代じゃないのかな。我々がやはり一人一人孤立するように、先生方も公立の場合は孤立が激しくて、私立の場合は何かの点で一つにまとまっているということが言えるのではないか。ですから、そういう取り組みの問題で、やはり非行の問題とも関連をいたしますけれども、そういう面における公立の先生方の、これは後で時間があれば先生の資質の問題で触れたいと思っておりますが、そういうこともひとつ大臣、考えていただきたい、こう思っております。  第二番目に、中教審から出ております中学校における習熟度別指導ということについて、ちょっとお尋ねをいたしたい。  テレビで「良い子悪い子普通の子」なんという番組がございまして、私もちょっと見ましたけれども、これが習熟度別学級編成じゃございませんけれども、こうなると困るという感じで見ておりました。一人一人のお子さんの特性を生かして基礎的な学力を身につけさせるという点で、私は今の教育についての必要性を感じておりますけれども、今の中学校教育に習熟度別指導というものを急速に持ち込むことはどうかなという心配をいたす点から質問をいたしたい。  現在の中学校では、生徒の能力によって差別や選別をするというふうなことはどうかな、子供の資質をどう引き伸ばすかということが教育の命題ではないかというふうに感じる。そこで、習熟度別指導を導入する際には、教師の増員や施設整備というものが必要ではないかという点を感じているわけですが、今の状態で取り入れられますと、誤ったエリート意識やあるいは落ちこぼれの固定化などという点で差別拡大を生じやしないか、かえって学校教育の荒廃につながるのではないかという心配をいたしているものです。中教審から答申されたものは全部だめだなんと言うと、これはまた、今森文部大臣がねらっていらっしゃるような教育改革の、別の意味の教育改革ばかりを推進するようなことにとられてしまいますけれども、中教審の経過報告の中でも、「習熟度別指導に際しては、教科の種類や実施時期、方法等について多様な工夫が望まれる。」というふうな表現が使われておりました。こういう点についてどういうふうに取り組まれるかということをお尋ねしたいわけです。  それで、私はこういう問題を解決していくためのやはり要素があると思うのですね。私も教育の現場に長いことおりましたから、そういう点からして、習熟度別学習指導が必要であるということを子供たちがよく理解しなければいかぬ、それから二番目には、父兄がこれに対して協力をしなければだめだ、三番目には、学校の中で校長を中心として教師間に共通の理解がなくては大失敗をする、こう思うのです。そういう点で、どのように取り組もうとなさっておるのか、まずこの点をお尋ねいたしたい。
  263. 高石邦男

    ○高石政府委員 中教審の経過報告の中では、御指摘のような事項が書いてあるわけでございます。そこで、現在は高等学校では習熟度別学級ということで教育をやりまして、当初いろいろな問題を抱えながらも年々歳々増加してきているわけでございます。中学校以下の義務教育については、御指摘のような問題を抱えております。したがいまして、この問題の導入につきましては国民的な合意、理解、それがまず得られなければいけない、それから生徒、父兄を含めてそういう問題についての共通理解がないと失敗をするというふうに考えているわけでございます。したがいまして、今の段階では個別指導であるとかグループ指導、そういう面に力を入れまして手間暇かけて子供たちの学習を伸ばしていくというところに当面全精力を傾けてやってみよう、習熟度別の導入につきましては、今後十分に慎重に検討した上で、国民的な合意と理解が得られた上でこの問題についての取り組み方を考えていこう、こういうような慎重な構えでございます。
  264. 吉浦忠治

    吉浦分科員 その慎重な構えだけで、中教審の答申をやらないと、今度新しい別枠の教育改革というものをつくらなければならぬみたいな結果になるので、文部省はもう少し大胆に取り組まなければいかぬ、こう思っているのです。  それで、これも提案になりますけれども、筑波大学の附属とかあるいは各都道府県の今の教育学部の附属小学校、中学校というのがございますね。私も師範学校を出ておりますけれども、その師範を卒業するときに優秀な先生方が大体附属の訓導、教師になった。その過去の経験がございますけれども、その附属中学校、附属小学校というのは今回の役割を果たしているのかな、こう疑問を持っているのです。私も、今党でパイロットスクール、先導的試行というのをかなり文部省に提案いたしておりますが、こういう問題をこういう附属の小学校、附属の中学校でひとつやってもらいたい。今の附属は何の役割を果たしているのか。どういうふうにお考えですか。
  265. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 国立大学の附属学校の役割についてのお尋ねでございますが、附属する大学学部の研究について協力するという点がもちろんあるわけでございます。それとともに学生の教育実習の場を提供するということを基本的に任務としておるわけでございます。したがって、それぞれ大学学部の研究との関連で附属学校における実験、研究のテーマが選定されることになるわけでございますが、御提案のような、いわゆる公明党で言っておられますパイロットスクールの中で中高一貫教育というようなことが言われておるわけでございますが、そういう点も一つの課題であろうかと思います。  例えば、現在中高一貫教育に関しましては、国立大学で附属の中学校と高等学校が併設しておるところが十三カ所あるわけでございますが、そのうち六カ所において中高一貫教育の研究課題を設定して実際に教育活動は行っているわけでございます。  例えば、具体的なテーマで申し上げますと……(吉浦分科員「余り細かく言わなくてもいいです」と呼ぶ)  以上が附属学校の実情とねらいでございます。
  266. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そこで私は、こういう附属で一つの実験、テスト等を——教育には生体実験みたいなことができないのがむずかしいところでございますから、一たん決めた課程をぱっとやらなければならぬという難しさがあるわけですから、そういう点では附属をお使いになってある程度問題を処理していただければ、こういうふうに御提案申し上げるわけです。  この習熟度別の中で私お願いしたいのは、特に教師の枠を、普通の一般についていけない子供、落ちこぼれの子供、これを習熟度別でどういうふうにお分けになるか、それは学校において違うでしょうけれども、その場合の落ちこぼれの子供を救う教育方法として、教員の枠外でそれを担当するような教師をおつけになったらどうかということを考えているのです。例えば、よい子悪い子普通の子じゃないけれども三段階に分けたり、あるいはAクラスとBクラスに分けたり、大規模の中学校ではそれは可能かもしれませんが、小規模の中学校でそういうことを試行される場合に、教育的な効果よりも教育の悪影響の方が大変大きいのじゃないかという心配をいたすわけですが、定員外の枠の先生方をこの習熟度別を実施される場合にはお考えにならないとできないのじゃないか、こういうふうに私は考えておりますが、いかがでございますか。
  267. 高石邦男

    ○高石政府委員 高等学校のことを少し申し上げますと、高等学校では現に実行しておりまして、習熟度別学級をとっている学校については、特別の教員の加配をしているわけでございます。  そこで、中学校につきましてはパイロットスクールという言葉がよく使われますが、実験的に教育内容の多様化、弾力化の研究開発をやっているわけでございます。そういうところでは、国立、私立、公立を含めて、習熟度に応ずるような学習をどういうような形で展開したらいいかという研究をやっているわけです。そういうところは、現に先生方を加配して、実験をやっているという状況でございます。したがいまして、いろいろな研究調査は一方において積み重ねておりますが、体制として導入するについては先ほど申し上げたような態度であるということでございます。
  268. 吉浦忠治

    吉浦分科員 この世論調査の中でもちょっとお尋ねをいたしたいと思っておりますが、教師の質の向上ということで、今度教育改革の問題の中で、大臣、いろいろな制度やらいろいろな問題は、国民的要求はわかりますけれども、核心についてはなかなかこの委員会なりで問題になされない。私は一番大事な点は教師の質の問題じゃないか、大胆にひとつやっていただかなければならぬと思っているのです。  そこで、ちょっと一、二問お尋ねをいたしたいのですが、この教師の問題について、免許状によるいろいろな研修あるいは免許制度でございますか、そういうことをお考えのようでございますけれども、私は一番大事な点は、小中学校において教師として、やはりその情熱の問題だろうと思っている。第一は情熱だろう、こう思うのです。  いろいろ教育技術の問題にも触れたいのですけれども、時間的な余裕がございませんから、その情熱の問題で、最初に私も教員になりたてのころに大変遠大な希望を持って毎日毎日教育と取り組みましたが、だんだん時間がたつにつれて、三年ぐらいはみっちりやったつもりでしたけれども、それから後はどうしても惰性にならざるを得ない。二十一年間教員をいたしましたけれども、これは教頭になれるのか校長になれるのか、先が見えてこないと人間というのは意欲がわかないものです。あるいは今、何か人権法等で主任制が設けられて、私はそのときの現場におりませんけれども、何かそういう問題をつくって引っ張っていこうということは、なかなか難しい点があるわけです。そこで、情熱ということがいつまでも続くわけではない。希望が、あるいは校長、教頭が先に見えてくればまたそういう拍車もかかるかもしれませんが、一番大事な点は教員の人事交流の面が最も大事じゃないか。  一点だけお尋ねをしたいのですが、これから他の一般社会の企業を見ますと大変な人事競争があるわけです。そういう中から優秀な人材を教育界にも迎え入れよう、あるいは投入させようというふうなお考えはないのか、この一点だけお尋ねをしたいと思います。
  269. 高石邦男

    ○高石政府委員 そういう御意見がいろいろございまして、できるだけそういう人たちを教育界に迎え入れるという基本的な構えは持っているわけでございます。ただ、各県によって年齢制限とかいろいろな形があるものですから、そういういろいろな障害点があるということと、それからどういう形で迎え入れるかという迎え方もいろいろ工夫していかなければならないという点がございますので、そういう点は今後十分研究していかなければならないと思っております。
  270. 吉浦忠治

    吉浦分科員 これで最後にしたいのですけれども、情熱とともに優秀な先生方を採用する方法としてもう一点は、今各都道府県で教育委員会がきちっと一つの枠になっているみたいで、横の——昔は、私などは田舎の方で教員をしていて、東京へ参りますときに、出向という形で簡単なテストぐらいで連続して教職につくことができた。今はぴたっと閉ざされておりまして、どんな教員養成の大学、いわゆる学芸大学とかあるいは大学の教育学部とか、人材にそれだけ資本投資なさっていながら、県が変わればぴたっと遮断されて、今局長の答弁のように年齢制限とか先の方を見て——これは恐らく退職時の年金問題や何かがひっかかってくると思うのですよ。三十五歳の採用をとめてしまうとか、東京都は四十歳ですか、各都道府県で違う。  こういうふうに、優秀な人材を全部交流できないように教育界そのものでもそういうふうになっている。ましてや、企業から採用することはなお難しくなってきている。ですから、まず第一に、日本国の中において各都道府県の人材交流をできるような体制をぜひつくってもらいたい、私はこういうように思う。そうしなければ、優秀な先生方が埋没して、それで終わってしまう。まあ教員でもなるかなんて、でもとか、しかとか、昔使いましたけれども、今そういう時代じゃなくなりましたが、そういうように、教員の質の問題については一つも手を打たれないような気がしてならない。もう少し制度的に自由に人事交流ができて、しかも優秀な先生は、情熱を持っている先生は、どんどん給料を上げるんじゃなくて、働きやすいような体制づくりをしなければいけない、こういうように考えているのです。  最後に、大臣の答弁をお聞きして、終わりたいと思います。
  271. 森喜朗

    ○森国務大臣 調和のとれた人間形成を図るというのは、先生指摘のとおり、教員が最も重要だと考えております。これはもう吉浦先生指摘どおりであろうと思います。  文部省といたしましても、教員の資質、能力を一層向上させていくためにいろいろな施策は講じてまいりました。養成、免許制度の改善につきましても、この国会で教育職員免許法の改正を今準備をいたしておるところも御承知のとおりだと思います。  さらに、研修あるいはまた再研修、いろいろな形で勉強し続けて、そして意欲を持っていただくというのはとても大事なことでございますが、逆にまた、先生はやはりいい意味でゆとりを持って子供の教育に当たってもらわなければなりません。自分の置かれている立場が常に激しく動き回るような形では、やはり生徒と本当に心の通い合った教育の任に当たることもできないという、そういう見方もまたしておかなければならぬ、私はこう思います。  いずれにいたしましても、これから日本の教育にとって一番大事なのは、やはり教員の資質向上、そして採用、でき得れば、今お話しになりましたように、できるだけ閉鎖的にならないようにして、できるだけ交流ができるように、あるいはまた今御指摘もございましたように、年齢制限などもかなりその都道府県教育委員会によっていろいろ工夫を凝らしておられるわけでございます。率直に言って、吉浦先生もそうですし、ここにいらっしゃる湯山先生もそうです。お年を別にいたしまして、今先生になっていただいたら一番円熟されていて、子供たちにとてもいい教育をしてくださる先生方じゃないかなというような感じを私自身は持ちます。だから、そういうことを考えますと、今定年でおやめになる先生が一番何かもったいないような気がするのですね。私自身も、私的にはそんな感じがいたします。  ですから、これからの教員の資格とか任用、いろいろな面でさらにこれから工夫していかなければなりませんので、文部省としても十分に検討してまいりますが、同時に、やはり何といいましても、任命権者がいろいろ工夫して自主的におやりくださることが一番いいのじゃないかと思いまして、文部省としてもそういう意味での適切な側面からの御指導も続けていきたい、こう思っております。  先生からきょうちょうだいしましたいろいろなお話は、先生の御経験上から来ることでございまして、極めて示唆に富む話もたくさんございまして、局長以下そのことも十分拝聴いたしましたので、今後の教職員資質向上のためにいろいろな意味で参考にもさせていただきたい、こう思います。ありがとうございました。
  272. 吉浦忠治

    吉浦分科員 どうもありがとうございました。
  273. 湯山勇

    湯山主査代理 これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  274. 米沢隆

    米沢分科員 私は、宮崎大学の移転、統合の問題と、宮崎大学の学部、学科増設の問題について質疑をいたします。  目下、宮崎大学の移転、統合が関係者の御努力によりまして計画的に実施されつつありまして、その完成が待たれるところでありますが、現段階において、当初計画どおりに順調に推移する見通しはございますでしょうか。今までの経過と今後の見通しについて簡単に御説明をいただきたい。
  275. 阿部充夫

    阿部政府委員 宮崎大学の移転の問題でございますけれども、年次計画に基づきまして昭和五十七年度から農学部の校舎の建設に着手をいたしまして、五十九年度までかかって完成ということにしておりまして、五十九年、本年の夏には、この農学部の移転が完了するということになっております。その他、教育学部でございますとか工学部でございますとか、他の学部があるわけでございますが、これらにつきましては、昭和五十九年度以降の年次計画によって整備をするということで、現在のところは計画どおり進行中であるというふうに御報告をさしていただきます。
  276. 米沢隆

    米沢分科員 先般、難航いたしておりました農学部の跡地処分も何とかめどがつきまして、今おっしゃいましたように農学部がことしの夏ぐらいには完成、移転をする。引き続いて工学部が六十一年度に、教育学部が六十二年の夏ごろまでには移転をするというような計画だと聞いておりますが、当初の計画は、農学部が五十九年、工学部が六十年、教育学部が六十一年ということではなかったかと思うのですが、一年ずれておるのはどういうことですか。
  277. 阿部充夫

    阿部政府委員 当初計画は五十六年から着手をする予定で、本当の最初のときでございますけれども、あったわけでございますが、その後、文化財調査の問題でございますとか、あるいは用地買収等の問題が若干おくれたというようなことがございまして、着手の時点が五十七年からということにずれたわけでございますが、それ以後の問題につきましては、おおむねその予定どおりに進んでおるということであります。
  278. 米沢隆

    米沢分科員 これが順調にそのような計画がなされておるわけでありますが、仰せ、国の台所は火の車でございまして、現在の敷地を売却して、後年度に移転敷地の処分収入として補てんをしながらこの計画を進める、こういうことになっておるのだそうでございますが、問題は、跡地処分の難しさという問題がございます。今回の農学部跡地につきましても、国と県との価格交渉が難航したことは御案内のとおりでございまして、跡地そのものは、どう考えても都市計画上でも貴重な土地資源みたいなところでございまして、県としても、土地は買いたし金はなし。今回は何とか一件落着というようでございますが、やはり、欲しいけれども金がないという意味で、価格交渉が難航せざるを得ない。その上、跡地処分がおくれるとどうも次の計画に支障を来すのではないかという、後ろが詰まっておる。関係者は、そういう意味ではさらに頭が痛くなるというぐあいなわけです。  そこで大臣、国の台所が極めて厳しい情勢にあることは私もつとに熟知いたしておりますけれども、国立大学が国の責任で移転、統合するのに、地元に跡地処分で足かせをかけるというのは問題じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  279. 國分正明

    ○國分政府委員 移転、統合に係ります財源の問題でございますが、これは宮崎大学の移転、統合の計画を立てましたときに、国、まあ文部省それから宮崎大学、それと地元県、市と御相談申し上げまして、本件移転、統合につきましては、跡地処分収入の財源を考慮して行うということで今日まで来たわけでございます。  なお、本件が動き出すに当たりましては、地元県からも跡地について十分責任を持って対応するという御返事をいただきました。具体的には、ただいまお話にございましたように、農学部の跡地処分が一応前に進んでおる、こういう段階でございます。
  280. 米沢隆

    米沢分科員 答えられればそういう答えしか出てこないと思いますが、私が文部大臣に聞いておりますのは、国立大学等が移転をするときに、跡地を絡めて移転せざるを得ない、厳しい財政事情はわかりますよ、しかし姿勢としてはおかしいではないかと姿勢論を聞いておるのでございます。
  281. 國分正明

    ○國分政府委員 国立大学の移転、統合につきましては、例外なく巨大な経費がかかるわけでございます。現在進行中のものでございましても、ただいま御指摘の宮崎大学のほか、例えば広島大学あるいは金沢大学あるいは北海道教育大学等々いろいろあるわけでございまして、これをいわゆる一般財源から補てんをするということは、もちろん補てんする分もあるわけでございますけれども、すべてを行うということには限界があるわけでございます。このことから、従来から移転されます場合にその跡地を財源として進めるということで今日まで来ているわけでございます。
  282. 米沢隆

    米沢分科員 おっしゃるのはよくわかるのですよ。しかしながら、跡地処分が後ろからついてきて、それでないと進まないというこの方式は余りにもタイトにすぎると言っておるのです。結果的には跡地を売るのですから、将来的には、何年かかるかわかりませんが、後から入っていけばいいのです。ところが、それがいつも後ろについて、早くやれ早くやれ、こうなるとやはり窮屈になる。このあたりは財政が厳しいところで、しょうがない部分はありますけれども、やり方としてはちょっと一考を要するのではないか、こう申し上げておるわけであります。  これから、宮崎の跡地処分計画によりますと、六十一年度に工学部、六十二年度に教育学部の跡地処分が予定されておりますが、既に国は工学部跡地の利用計画を早急に立てるように県に要請されていると聞いております。先ほどお話し申し上げましたような事情で農学部以上に跡地処分は難航するのではないか。教育学部はまだちょっと先のことでございますが、これまたなおのこと難航するのではないか、こう思われるわけでありまして、かかる事態に国としては一体どういうふうに対応されるのか、このことをお聞かせいただきたい。
  283. 國分正明

    ○國分政府委員 工学部の跡地につきましては、ただいま御指摘のとおり、一応私どもとしては六十一年度に処分をすることを予定しているわけでございますので、先のことではございますが、今から県、市におきまして利用計画を立ててほしいという御要請をしているところでございます。  現在のところ、まだ県といたしましては農学部跡地利用の総合文化公園に全力を注いでおる段階でございまして、工学部跡地にまでまだ行かないということで具体的な利用計画は示されていない段階でございますが、今後順次利用計画を策定していきたいという御意向というふうに承っております。
  284. 米沢隆

    米沢分科員 その利用計画というのは一体どういうものですか。
  285. 國分正明

    ○國分政府委員 例えば跡地を公園に使うとかあるいは学校を建てるとか、具体的に言えばそういうことでございます。
  286. 米沢隆

    米沢分科員 そういうことであれば、少なくとも県がつくる跡地利用計画には公的なものが関与せざるを得ない形になりますね。こういう土地等については公共団体や準公共団体に優先して売却するというような建前があるのだそうでございますが、これをもしそこで手当てできないということになったら一体どうなるのでしょうか。
  287. 國分正明

    ○國分政府委員 国有財産につきましては、国有財産の性格から見まして、当該地元の県、市等公共団体が利用していただくというのが一番望ましいわけでございますし、現実の取り扱いといたしましても、その跡地について利用計画がある場合には優先して利用していただくという取り運びをしているわけでございます。  したがいまして、本件につきましても、宮崎県、市といたしましては、現在のところ具体的にはなっておりませんけれども、利用したいという御意向を持っておりますので、現在のところ、それを尊重して対応するということにいたしております。
  288. 米沢隆

    米沢分科員 跡地処分で、定かに金額はわかりませんが、百億以上ですね。そして県としては置県百年事業として総合文化公園的なものをつくっていく、これにも相当の金が要ります。そして一年もせぬうちにまた何百億という金が要る。どう考えてもそんなに公共団体がついていけるはずがない。したがって、工学部の跡地だって教育学部の跡地だって年がら年じゅう本当に毎年やるのですから、この公共団体に優先して売るという歯どめがある限り、買いたいけれども金がない。いい土地ですから、そんなところに一般の業者が入ってきて、乱開発と言ったら怒られますが、いろいろなものができたら困るわけでございまして、できれば確保しておきたいのはよくわかるけれども、こんなに毎年毎年何百億という単位で出せるはずがない。したがって、出せるはずがないことを利用計画を出せなんというのは、これはどだい無理なんじゃないですか。
  289. 國分正明

    ○國分政府委員 現在のところ、地元におきまして利用したいという御意向を持っておりますので、私どもとしては、その御意向がある以上、まず地元の公共団体で利用していただくのが一番適当であるというふうに考えております。  ただ、さらに具体的になりまして、県、市といたしまして例えば財政問題その他、あるいはきちっとした利用計画が持ち得ないという状況になりますと、これにつきましては通常の取り扱いの例によりまして一般競争によって処分をするということもあり得るかと思っております。
  290. 米沢隆

    米沢分科員 今おっしゃったように、利用計画を出すということは地方自治団体が買う。そういうものが非常に難しいということになれば一般競売に付きざるを得ない。その一般競売にされる場合にも何か利用計画みたいなもの、これは必要ないですかね。一般競売のときにはどういう注文がつくのですか。
  291. 國分正明

    ○國分政府委員 特にこれこれに使いなさいという用途指定は一般競争の場合には付さないでよいことになっているわけでございますが、ただ、入札の条件といたしまして、例えば風俗営業でございますとか個室つき浴場業あるいはモーテル営業等々につきましては入札の条件とし、また契約上の条件とするというのが一般的な取り扱いになっております。
  292. 米沢隆

    米沢分科員 県としても、工学部跡地についても利用計画を早急に立てたいという気持ちがあるということは、確保しておきたいということでございます。しかしながら財政不如意でそう簡単にもいかない。口では一生懸命誠意を示してやっておられるけれども、実際は相当の御苦労といいましょうか、ちょっと不可能に近いものに努力をされておる、こんな感じでございまして、文部省としても何らかの資金的な手当てみたいなものを考えていただくようなわけにはいかぬだろうか、私はそんな感じがするのですが、どうでしょうか。
  293. 國分正明

    ○國分政府委員 現在のところ県、市におきまして、具体的にはなっておりませんが、利用いたしたいという希望を持っておりますので、私どもとすればできれば地元公共団体が使うのが一番望ましいわけでございますので、それを期待しているということでございます。
  294. 米沢隆

    米沢分科員 次は、宮崎大学に人文社会系学部の創設と工学部に電子工学科をつくっていただきたいという件に関し御配慮を賜りたいという質問でございます。  高等教育というものは近年金国的にその整備が進められまして、これら施策の成果も着実に上がりつつあることは御高承のとおりでございます。また、地方における国立大学が都道府県のあらゆる企画等に参加をして地域発展や地方文化向上のために中心的な役割を担うようになっていることも御案内のとおりであります。折に触れて地方の時代とよく言われますけれども地方の時代の到来を何とか模索する中で、この地方大学の重要性といいましょうか需要というものは、ますますふえこすれ減ることはないと私たちは考えておるのでございます。  そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、地方大学の拡充策について一体どのような基本方針で臨まれようとしておるのか、聞かせてほしいと思います。
  295. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 初めに私からお答えをさせていただきたいと思います。  地方の国立大学の充実についてどういう対応で臨んでいるのかというお尋ねでございますが、国立大学については、我が国の高等教育の地域間の不均衡の是正でございますとか、あるいは地方の子弟の教育機会の確保等の観点から整備を要する課題はなお多いと考えております。そのため、これまでの国立大学の整備に当たりましても、地方大学に重点を置いて従来整備を進めてきたわけでございます。  ただ、御案内のとおり、今日の我が国の高等教育の到達水準と申しますか、進学率、これは全国平均でございますが、三五%を超えるところまで来ているわけでございまして、高等教育の整備方針といたしましても、基本的には、量的な拡充よりは質的な充実に重点を置いて今後とも対処していく必要があろうか、かように考えております。  かつまた、地方の国立大学の整備等につきまして従来からも対応してきたわけでございますが、既に私どもの方の大学設置審議会の計画分科会においても、六十一年度以降の高等教育の計画整備についてどうするかということについて御議論をいただいておりまして、昨年の十月でございますが、中間報告をいただいております。ただいまのところは、その中間報告に対して各方面の御意見を承っているのが現状でございます。それぞれの各方面の御意見をいただいて取りまとめを進めていくわけでございますが、従来、地方の国立大学の整備について、例えば学部構成等の問題から、国立大学が理工系が比較的多いということが言われておりまして、人文系の学部等についても学部構成のバランスということから考える必要があるのではないかということも議論をされてきたわけでございますけれども、我が国の国全体の財政状況から見ましても、現在の時点は大変厳しい状況に置かれているわけでございます。そういうような点を受けまして、かつ、臨調でも、国立大学の設置形態のあり方等についてもいろいろ御議論があるところでございます。先ほど御紹介申し上げました「高等教育の計画整備について」という中でも、例えば地方における高等教育機関の整備については、国立という形態だけにはこだわらないで、地方のいわゆる第三セクター方式といいますか、そういうようなことも今後の整備に当たっては検討すべき課題ではないかということも言われているわけでございます。私どもとしては、そういうようなものも踏まえまして、今後高等教育機関の整備に当たってどのような対応をするかということは大変大きな課題でございますが、全国的観点からいろいろと検討してまいりたい、かように考えております。
  296. 米沢隆

    米沢分科員 私は、現在の高等教育のあり方につきましても、今おっしゃいましたように、その規模とか専攻学部の構成とか地域配置等についてもろもろの問題点やひずみが生じてきていることも事実だろうと思うのです。  そこで、例えば早い話、本県の場合だって、例の宮崎SUNテクノポリス開発構想の中で大学と連携した先端技術産業の誘致をしよう、こういうときに、地元の国立大学には電子工学科もない。情けない話ですね。また、宮崎大の跡地に、先ほど話が出ておりましたような総合文化公園的なものをつくっていこう、そこを拠点にして文化活動をやろう、こういうときになっても、おひざ元の国立大学には人文社会系学部はない、これまた寂しい限りでございます。したがって、こういう問題は、単に今おっしゃいましたように、質的な問題にこれから力を入れるという御答弁でございますが、こういうものも本当は質の中に入るのじゃないか、そう私は思うのでございますが、いかがなものでしょうか。
  297. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 新たな学部をつくる、特に御指摘のような人文系の学部をつくることについての御要望が地元にあるということは伺っておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、それを直ちに国立大学の学部としてつくっていくべきかどうかについては慎重な検討が必要ではなかろうか、かように考えております。臨調で言われております点で申し上げれば、やはり新たなものをつくっていくとすれば、それに伴う改組、転換でございますとか他の措置もあわせ検討するということも言われているわけでございまして、そういうような事柄も含めて私どもとしては検討しなければならぬ課題ではないか、かように考えております。
  298. 米沢隆

    米沢分科員 ということは、この宮崎大学の人文系学部の創設については具体的にはどういうお考えなんですか。
  299. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほど来、移転、統合の問題でいろいろ御議論があったわけでございますが、私どもとしては宮崎大学について当面の最大の課題は、この移転、統合をまず計画に沿って完成をしていくことがいわば一番大きな課題でございまして、このことに関しましてもただいま御指摘のようないろいろな御議論があるわけでございます。私どもとしては、その移転、統合をまず成功させていくことにただいまのところは最重点を置いて対応すべきではないかというぐあいに考えておりますので、人文学部の新設という問題等については極めて慎重に対処する必要があるのではないか、かように考えております。
  300. 米沢隆

    米沢分科員 ということは、移転が終わった時点において前向きに検討するということですか。
  301. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほども申し上げましたように、国立大学の特に人文系の学部について、これは宮崎だけではございませんので、いろいろ全国各地から人文系学部について設置要望はいただいておるわけでございます。しかしながら、国立大学のあり方としてどういう点で整備をすべきかということについては議論もあるわけでございまして、例えば一つの議論といたしましては、人文系学部については国立大学というよりはむしろ私立大学の方に大きな役割を今後とも考えていった方がいいのではないかというような御意見もあるわけでございます。片や国立大学では、学問のバランスというようなことで、やはり理工系だけではなくて人文系もバランス上あった方がいいのではないかという御議論もございます。いろいろな御議論があるわけでございまして、私どもといたしましては、特に人文系の学部については教官の確保の問題も非常に大きな一つ問題点であろうかと思います。既に例えば調査費等が計上されて検討いたしておりますところもございますけれども、そういうところでも、実際問題としては人文系学部についてどういう教官がどう確保できるかというところが整備に当たっての一番大きな課題ではないか、かように考えます。  したがって、お尋ねの点は、では移転が完成した後においては前向きに考えるかということでございますが、その時点での財政状況その他、いずれも考えるべき要素が大変たくさんあるわけでございまして、それらの要素を全国的な国立大学の整備の中でどう考えていくかということは今後の課題として検討させていただきたい、かように思います。
  302. 米沢隆

    米沢分科員 この問題は瀬戸山先生が文部大臣をやっておられるときにもそういう状況であったわけですから、そのために先生、落選したようなものでございまして、文部省の責任も大きいと思うのでございます。  当面、先ほどお話しになりましたテクノポリス開発構想との関連で工学部に電子工学科をつくってもらいたいという話も、今お話にあったような延長線で非常に難しいような状況だと聞いておりますが、御案内のとおり、全国の国立大学の工学部の中でこの学科がないのは宮崎大学だった一校だけでございまして、何とかしてこの電子工学科ぐらいは手当てができないものだろうかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  303. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 工学部の電子工学科の新設問題についても、大学においてそういう構想があることはかねて承知しているわけでございます。全般的な状況は先ほど来御説明をしたとおりでございますけれども、工学部の学科構成で申し上げれば、宮崎大学の場合には御案内のとおり五学科の構成ということになっておりまして、工学部の構成といたしましては比較的小規模なものに属するということは言えるわけでございます。  そういうような点から勘案いたしまして、まず先ほど来の移転、統合問題を円滑に推進することが第一の課題ではございますが、工学部の電子工学科の問題については私どもとしては将来の課題として、整備ということはやはり考えていかなければならない課題の一つだというぐあいに理解いたしております。
  304. 米沢隆

    米沢分科員 当面、工学部の共通の講座でございます情報処理の振りかえで電子工学を一日でも早くやってもらいたいというのが宮崎大学の話のようでございますが、工学部が移転した時点でそのようなものが解決できると判断してよろしいのでしょうか。
  305. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 いずれも将来の課題でございますので、私どもとしてはこの席で直ちにそういう御答弁は申し上げにくいわけでございまして、工学部の整備ということはやはり事柄としては考えていかなければならない課題というぐあいには理解をするわけでございますが、それがどの時点になるかということについては、ちょっとただいまのところ私どもとしては具体的には申し上げかねるというのが現状でございます。
  306. 米沢隆

    米沢分科員 ありがとうございました。
  307. 湯山勇

    湯山主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。
  308. 玉城栄一

    玉城分科員 私も文部省の国立大学跡地の管理のあり方について伺いたいわけでありますが、具体的に琉球大学の跡地が現在どういう状況になっているのか、そこからお伺いをいたします。
  309. 國分正明

    ○國分政府委員 琉球大学の跡地の状況でございますが、御案内のとおり五十二年度から琉球大学移転を開始しまして、五十七年度に女子寮が移転し、あと男子寮だけが残っておるという状況にあるわけでございます。  その状況でございますが、首里地区全体について見ますと、国有地の面積が六万六千五百三十二平米、それから県有地が二万六千八百五十一平米でございます。なお、これをさらに史跡部分に限定いたしますと、国有地が三万九千百八十平米、それから県有地が四千二百八十平米という状況でございます。
  310. 玉城栄一

    玉城分科員 面積だとかはそうかもしれませんけれども、私が伺いたいのは、跡地の周辺地域住民に大変な迷惑をかけていらっしゃいますね、皆さん方。どういう状況か、実態をどのように把握していらっしゃるのか、お伺いします。
  311. 國分正明

    ○國分政府委員 本体の方が移転先に移りまして、跡地管理につきまして琉球大学としては最善の努力をいたしているところかと思います。私どもつぶさには承知いたしておりませんが、周辺にいろいろ御迷惑をかけているといたしますれば、私どもといたしまして琉大に対して十分な指導をいたしたいと考えております。
  312. 玉城栄一

    玉城分科員 いや、これは正確に実態を掌握していただかないと非常に困るのです。琉大の方にどうのこうのとおっしゃいますけれども、あくまでも管理の責任者は文部省自体でいらっしゃるわけでしょう。それが地域住民に大変な迷惑をかけ、多くの県民の方々からもひんしゅくの声が上がっているわけですね。一体あれでいいのかということですね。どの辺まで知っていらっしゃるのですか。
  313. 國分正明

    ○國分政府委員 具体的には私ども承知いたしておりませんので、実態を調査いたしまして、琉大当局においてそういうことのないようにいたしたいというふうに考えております。
  314. 玉城栄一

    玉城分科員 そういうずさんといいますか、というのは、建物のガラスは割れるわ、浮浪者のたまり場であるわ、あるいはシンナー常習者のたまり場であるわ、暴走族と、大変な状況であるわけです。御存じのとおり、そこは首里城の守礼門のすぐそばで、沖縄では観光地として多くの観光団の方々が常時記念撮影なんかもやっていらっしゃるわけですね。すぐそのそばの琉大跡地がそういう状況では非常に問題だと思うのですよ。いかがですか。あれでいいのですか。
  315. 國分正明

    ○國分政府委員 御指摘のような実態があるとすると大変遺憾なことでございまして、その対応につきましては琉大当局と十分相談いたしたいと考えております。
  316. 玉城栄一

    玉城分科員 そういうことではなくて、そういう責任を文部省としてはどういうふうに感じていらっしゃるかということをお伺いしたいわけです。これは責任の所在をはっきりしておかないと困るのです。いかがでしょうか。
  317. 國分正明

    ○國分政府委員 現在の国有財産管理上の観点から申しますと、第一次的には琉球大学において国有財産を管理するということでございますが、もちろん文部省として指導の責任があろうかと思います。文部省と琉大当局と一体となって対応を考えたいというふうに考えております。
  318. 玉城栄一

    玉城分科員 では、私が申し上げているそういう荒れほうだいの旧校舎が浮浪者のたまり場であるということについては認められるのですか。
  319. 國分正明

    ○國分政府委員 実態を十分調査いたしたいというふうに考えております。
  320. 玉城栄一

    玉城分科員 だめですよ、今ごろから調査するとかなんとか。国の財産は常に良好な状態で管理しなくてはならないとちゃんと書いてある。あれは決して良好な状態の管理ではないですね。今後どうするつもりですか。あのまま放置されるのですか。
  321. 國分正明

    ○國分政府委員 十分調査いたしまして実情に応じた対応をとりたいと思いますが、御指摘のようなことであれば大変申しわけないというふうに考えております。  なお、多少弁明になって恐縮でございますが、琉球大学当局におきまして御案内のとおり移転業務等に追われ、また、いわゆる跡地になっていることから、管理について十分な行き届きができなかったのではないか。これは推測でございますが、私どもも一緒になってその対応を考えたいというふうに考えております。
  322. 玉城栄一

    玉城分科員 申しわけないということのようですけれども、これはやはり早急に管理上の対策を講じていただかないと、あのままでは大変な問題になると思いますね。  大臣、お聞きのとおりです。大臣も行かれたと思いますけれども、琉球大学跡地といいますのは沖縄では観光の非常に大事なところでもありますが、そこが本当に荒れほうだいで、文部省のああいうものの管理の状態は一体どういうことになっているのか、本当に非難の声が強いのです。しかも、文部省というのは我が国の教育行政の総元締めであるわけです。そういう中でああいうずさんな管理の状態が大変ひんしゅくを買っているわけですから、大臣とされてもこの問題はあのままではいかないと思うのです。御所見はいかがでしょうか。
  323. 森喜朗

    ○森国務大臣 今、先生と会計課長のやりとりを伺っておりましたが、よくそういう話を聞きます。私、自分の選挙区のことを言ってはいかぬのかもしれませんが、湯山先生も御一緒だったかもしれませんが、昔、文教委員会で金沢大学を視察したことがありました。金沢大学の石川門というのはやはり国宝なのです。視察の傍ら、お城の中に倉庫みたいなものがあるのですね。そこに上がってみたところ、いいものか悪いものか価値がわかりませんでしたけれども、昔のものが、がらくたがもう山のようにしてありました。私はその中に結構いい文化財があるのじゃないかなと思って、きちっと片づけて、完全に管理すべきものはすべきではないかということを、当時与野党の先生方皆さんそうおっしゃったことを今思い出しました。大学は確かに教育を直接行っておるわけでありますから、管理をいろいろとしていくのはなかなか大変なんだろうと思いますが、たまたまそういう話はよくいろいろなところから聞きます。文部省は直接大学のことは余りああだ、こうだということを言わないように、できるだけ大学の自治、大学の自主的なことにお任せをしておるということでございますが、逆に言えば、そのことが怠慢になって、そうした大学の施設やそういうものを何となく放置しておるというようなことも結構各地にあるのじゃないかなという感じを今、先生のお話を伺いながら、自分の国の金沢大学の石川門の中のことを思い出したのです。この間もどこかの大学で文化財がほっぽらかしてありますよという注意を受けたことがございます。したがって、確かに琉球大学は、今会計課長からありましたように、弁解するわけじゃありませんが、移転をして新しいことの方に少し仕事が追われておった、そういうことで管理がずさんになったのかもしれません。  お認めになるかならないかというようなことを御詰問をいただきましたけれども先生からお話を承ったことを事実として、早速文部省の方も琉球大学と連絡をとってよく調べてみます。そして跡地の管理は、おっしゃるとおり国のものであるということと同時に教育の場であったということも大事なことでありますから、その跡は少なくともそういう御指摘があって非難を受けないようにきちっとしておかなければならぬと考えております。私も勉強不足でございまして、跡地をどのようなことにするのかということをまだ詳細を承知しておりませんので、その中に恐らく県も入ったことだと思いますので、これからも跡地をどのように利用していくかということについてもできるだけ早く文部省、大学と県とよく検討させるようにいたしたいと思います。いずれにいたしましても、そうした荒廃のような形になっておったということであるならば、早速善処させるように指導していきたい、こう思います。
  324. 玉城栄一

    玉城分科員 跡地、いわゆる使い方の問題につきましては後ほど伺いますけれども、警備の方が二人で二十四時間警備していらっしゃるわけであります、広範な地域ですからね。農学部とか工学部とか理学部だったですか、それから女子寮、男子寮、体育館の裏側とか、大変な荒れほうだいなんですね。ですから、OBの方々も大変情けない思いをしていらっしゃるわけです。ですから、後の使い方の問題は問題としても、現在の管理上の問題としてこれは早急に対策をとっていただかないと、あのままではとてもじゃないが非常に情けない思いをするわけでありますので、ひとつよろしくお願いします。  それから次に、私は昨年この分科会でもお伺いをしたわけでありますが、これはこれまで沖特委員会等でも取り上げてきているわけでありますが、文化庁の沖縄の文化に対する考え方を承ってまいりました。沖縄の文化というのは非常に特色のある、独自に発展してきた、そういう極めて貴重な文化である。したがって、沖縄の文化がさらに発展をするということは我が国の文化の中でも非常に大事なことである、そういうような意味のことを文化庁の方もおっしゃっておられたわけですが、やはりそんな感じでよろしいですか。改めて沖縄の文化に対する文化庁の考え方を伺っておきたいのです。
  325. 加戸守行

    ○加戸政府委員 先生今おっしゃいましたように、沖縄におきます文化は日本と中国の双方の影響を受けた独特の文化でございまして、いろいろな形でそれが残っているわけでございますし、有形的なものもございます、あるいは無形的なものもございます。いずれにいたしましても、そういった沖縄独特の文化というのは日本文化の中に占める独特の地位でございまして、私ども貴重なものと考えておりますし、また、そういった伝統文化が大切に継承されていくということにつきまして、私ども最大の関心を払っているところでございます。
  326. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、具体的な問題としまして、お城ですね。沖縄の方で「ぐすく」と言っていますが、沖縄の城というのは二百五十余あると言われているわけです。本土の方と比べますと非常に趣が——文化庁の方は、沖縄の城の特色といいますか、それについてどういう評価をしていらっしゃるのか、お伺いします。
  327. 加戸守行

    ○加戸政府委員 昭和五十五年十二月でございますが、沖縄県教育委員会に依頼いたしまして、沖縄県下で今お城跡として残っているものを調査させたわけでございますが、約百三十一件が報告が参っております。その中で十件を文化財保護法の規定によりまして史跡に指定いたしております。  この城につきましては、石垣をベースとしたものがかなり多いわけでございますが、日本の城郭建築とは違いました独特の態様でございまして、沖縄独特のものという考え方で私ども思っておるわけでございます。
  328. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、これは首里城の復元のことについて伺いたいわけですが、文化庁としても、この問題については長い間、昭和四十五年か四十六年、沖縄県が本土復帰する以前からかかわってきていらっしゃいますので、首里城という城の経緯を概略伺っておきたいわけです。
  329. 加戸守行

    ○加戸政府委員 首里城は琉球王朝尚氏の居城でございまして、十五世紀末に建てられましたものが十八世紀初頭に改築されました。そういった琉球の首里城につきまして、大正十四年に、当時の古社寺保存法によります特別保護建造物として首里城の正殿を指定いたしたわけでございます。それが、昭和四年に国宝保存法が制定されますに伴いまして、当時の特別保護建造物が自動的に国宝に切りかわったわけでございますが、実質的には大正十四年に首里城正殿を国宝に指定させていただいたとお考えいただいてよろしいわけでございます。その後昭和八年に、首里城に当時残っておりました守礼門、歓会門、瑞泉門、白銀門、この四つの門を国宝に指定いたしまして、戦前では、この首里城関係といたしましては五件が国宝に指定されていたという状況でございます。
  330. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、これは大臣御存じのとおりですが、昭和二十年四月一日に米軍が沖縄本島に上陸しました。それまでは艦砲射撃でそういう国宝級のものについては破壊しなかったわけですが、上陸してきたために、日本軍の司令部が逃げ込みまして、首里城の地下の方に司令部を構えたわけです。そこで米軍が集中砲火を浴びせて、四月四日に焼失してしまったわけです。それでなくなったわけですね。  そこで、今文化庁のお話もありますとおり、沖縄文化のいわゆる大変シンボル的な首里城というものは歴史的にも文化的にも非常に貴重なものだと、これは文化庁もおっしゃっていらしているとおりでありますが、これをどうしても復元したいというのが沖縄あるいは政府の考えでもあるわけです。そこで、首里城の復元の歴史的な、あるいは文化的な、あるいは教育的な意義というものについて、もう一回文化庁の方から伺いたいのです。
  331. 加戸守行

    ○加戸政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、首里城関係につきましては国も深いかかわりがあるわけでございます。国宝に指定した後でございますが、首里城正殿につきましては、昭和二年から昭和七年にかけまして解体修理を国において行っております。それから守礼門につきましても昭和十年、十一年に解体修理を行った、そういう経緯がございます。  御指摘のように、昭和二十年の戦災によりまして、当時首里城に陸軍司令部があったという関係もございまして、ほとんど破壊焼失されたという状況にあったわけでございます。その後この復元の問題につきましては、昭和三十三年でございますか、沖縄の地元の御熱意によりまして守礼門が復元されたわけでございます。その後この復元問題は沖縄開発庁が主として担当されまして、昭和五十年だと思いますが、歓会門、それから昭和五十八年に、これは戦前国宝には指定されておりません、つまり当時存在しなかったわけでございますが、久慶門というものが復元されておりまして、今三つの門が復元されているというぐあいに承知いたしております。
  332. 玉城栄一

    玉城分科員 それで、沖縄開発庁が窓口になって、補助金を出して今お話しのあった久慶門とか歓会門をつくっていらっしゃるわけですが、その経過、現状、開発庁とされて今後どうするのかをお伺いします。
  333. 藤田康夫

    ○藤田説明員 さきの大戦におきまして焼失をいたしました首里城の復元整備の経過でございますが、復帰いたしました四十七年、四十八年の両年度で、先ほど文化庁の次長からお話がございましたが、歓会門ができ上がりまして、引き続きまして四十九年と五十年の両年度で歓会門・久慶門接続石垣、それから五十一年から本年度まで久慶門を復元するための事業を実施してまいっておりまして、来年度につきましては現在工事が可能な歓会門と久慶門の内側の内郭を四カ年で整備、復元をしたいということで事業を進めたいと考えておるところでございます。  その後の計画につきましては、現在、県内部におきまして琉球大学跡地利用対策協議会でいろいろ鋭意検討中であると聞いております。今後協議会の結論を待って検討を進めてまいりたいと当庁は考えております。
  334. 玉城栄一

    玉城分科員 それは、本体の首里城の正殿まで開発庁がずっとやっていかれるわけですか。その正殿は、昭和六十二年の沖縄国体までにぜひ完成をしたいという声が非常に強いですね、ですから開発庁がずっと窓口になってやってきていらっしゃいますね。その本体の正殿まで開発庁が今のようにずっとやっていく考え方ですか。
  335. 藤田康夫

    ○藤田説明員 先生御案内のとおり、現在の琉球大学跡地には、先ほどからお話に出ていますように、校舎その他が建っておりまして、現在工事が可能なところは先ほど申し上げました歓会門と久慶門の内側の内郭でございますので、さしあたってこれにつきまして四カ年の計画で復元を図りたいというのが現在の開発庁の考え方でございます。  その後どうするかという問題でございますが、これは事業主体その他技術者あるいは資材の問題、いろいろ問題がございまして、現在、県の内部で先ほど申し上げました協議会をっくりまして検討中と聞いております。その結果を待って開発庁としては検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  336. 玉城栄一

    玉城分科員 わかりやすく言えば、先々のことはまだはっきりしないということになるわけですね。  それで、ちょっと確認しておきたいことは、開発庁が補助金を県に出して門をつくってやりますが、この門の所有権者はだれですか。政府ですか。
  337. 藤田康夫

    ○藤田説明員 この事業は県に対する補助金として執行いたしておりますので、県の所有ということになろうと思います。
  338. 玉城栄一

    玉城分科員 そうすると、所有権者は県である、しかしその土地は国有地ということですね。これはそのとおりですね。
  339. 藤田康夫

    ○藤田説明員 はい。
  340. 玉城栄一

    玉城分科員 わかりました。  それで、今度は大臣にぜひお伺いしたいわけです。  この琉大跡地はいろいろな経緯がございまして、これはもともと首里城の敷地なんですね。ところが、そういうふうに戦争によって首里城が焼失してしまった。そこに琉球大学をつくるということで、当時所有権者である首里市がそのまま寄附をしたのです。それで琉球大学ができて、沖縄が返還されたそのときに、国が国有地としてその土地も引き継いでおった。琉球大学はこの間移転したわけですね。それで、さっき申し上げたように今跡地は荒れほうだいだ。本来この土地というのは首里城の跡地であるわけで、ですからこの土地の問題がはっきりしないことには首里城そのものは建てられないわけですね。建てようがないわけです。今国有地、文部省が管轄していらっしゃる、こういうことなんですね。この土地の経過からしまして、あのような荒れほうだいで放置されているというのは極めて好ましくないと思いますね。ですから、首里城が復元されるときの土地として活用される方が、土地の経過からし、また沖縄の今の非常に強い要望の中からすればそういう考え方が私は当然出てくるべきだと思うのですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  341. 森喜朗

    ○森国務大臣 琉球大学の移転に対しましての計画、私も党でずっと文教部会長をいたしておりましたときから地元の先生方や知事さんからもいろいろと御指導もいただきましたし、御要望もちょうだいをいたしておりますから、ある程度経緯も承知をいたしておるところであります。県の方でも何か県立芸術大学ですか、そうしたこともおありで、何とか無償で譲渡しろ、そういう要請もあるというふうにも承知をいたしております。いずれにしましても、沖縄県の要望をいろいろ考えながら、今後地元とある程度調整をしていかなければならぬ、相談をしていかなければならぬだろう、こう思っております。  ただ、いろいろの経緯はあるにしましても、国立大学にちょうだいをした土地、そして国立大学が所管をした国有地でございますから、この処分に当たっての原則は、やはり特別会計制度上国立学校の整備を図るためにも収入の確保に努める必要もありますので、時価売り払いの原則というものを持っておるわけでございます。しかし、いろいろな経緯も今お話しの中でも伺って新しく知るところもございます。いずれにしましても、県の要望をいろいろ勘案しつつ、しんしゃくしながら今後とも相談をしていきたい、こんなふうに思っています。
  342. 玉城栄一

    玉城分科員 今大臣も大変理解のあるお話でございますけれども、申し上げましたとおりそういう経過がございますので、あの土地の所有権を県に移転するという場合にも、いろいろな原則がおありでしょうけれども、経緯を考えますときには特別な配慮が当然あってしかるべきだと私は思うのです。これから二十一世紀に向かって、首里城の復元という問題が文化的にも歴史的にも、あるいは教育の立場からも、あるいはまた、沖縄県というのは観光というのがこれから非常に大事ですから、そういう意味で、御存じのとおり今観光団がわあっとバスで五台、六台と来て、守礼門がありますね、守礼門で記念撮影して、本体は何もない、ちょっとあるのですが、やはり正殿というものができ上がって初めて首里城というのはこういうものだったのか、そこで見る人もいろいろな想像、あるいは県民の教育の立場からも、やはり平和のシンボルとして、文化のシンボルとして非常に価値のあるものをそこに復元したいというわけですから、当然その土地は、また繰り返しますけれども、首里城の跡地であったわけですから、県にその所有権を移転する場合には当然いろいろな特別な配慮があってしかるべきだと私は思うのです。重ねてその点をお伺いします。
  343. 森喜朗

    ○森国務大臣 いろいろ事情はあるようでございますが、原則もございますので、私の今日ただいまの考えを述べろということであれば、地元のそういう要望を十分に踏まえつつ今後とも協議をさせていきたい、こういうふうに考えます。
  344. 玉城栄一

    玉城分科員 最後に、もう二分ぐらい時間ありますが、これも要求してありましたので、我が国の留学生政策ですが、これは非常に立ちおくれているということで、ヨーロッパ諸国と比べますと数字的にも非常に少ないわけです。「二十一世紀への留学生政策に関する提言」というようなものも出ているわけですが、その中で一点お伺いしておきたいことは、沖縄県が積極的に東南アジア等への留学生の送り出し並びに受け入れ、そして琉球大学も当然国立大学として関係してくるわけですが、そういうことで積極的に県レベルにおいてもやっているわけです。これは当然そういう地方段階で自治体が積極的にやることは大きく評価をしてしかるべきだと思うのですね。文部省とされても、留学生という、そういう政策をやっていらっしゃる立場から、何らかの直接間接の指導助言あるいは補助、そういうものも考えてしかるべきではないかと思いますが、最後にいかがでしょうか。
  345. 大崎仁

    ○大崎政府委員 先生指摘のように、留学生受け入れの拡充というのは非常に重要な課題だということで取り組んでおるわけでございます。お話しの二十一世紀への留学生政策の御提言の中でも、留学生受け入れの拡充については国民的な課題として取り組む必要がある、地方公共団体、各民間団体等の御協力を得ながら進める必要があるという御指摘もいただいておるところでございまして、私どもといたしましても、沖縄県初め各地方公共団体がこの件について積極的にお取り組みをいただいているのは、大変ありがたいことだと思っております。私どもといたしましては、当面各大学の受け入れ態勢を整備する、そして整備するに当たって各大学がよく地元との協力、連携関係を強化していってもらうように各大学に十分働きかけをいたしたいと思っておるところでございます。
  346. 玉城栄一

    玉城分科員 以上です。
  347. 湯山勇

    湯山主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君。
  348. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、国立大学等における技術教育の充実、特にきょうはコンピューター関係の教育の振興の問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。  近年、コンピューターを中心に情報革命と言われるような技術革新が物すごい勢いで進んでいるわけであります。これを反映して各大学には、大企業はもちろん中小企業からもコンピューター関係の人材に対する求人が殺到して、その専門の学科を修めた人はもちろん、少しでも関係がある部門の卒業生は奪い合いになっているという話を聞くわけでありますが、まず、その実情がどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
  349. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 大学における情報処理教育でございますが、専門的な情報処理教育としましては、工学部を中心に情報工学科、計算機科学科等がございますし、また経済学部等に管理科学科等が設けられておるわけでございます。そして、電子計算機のハードウエア、基本的なソフトウエアシステムの開発等の教育が行われているわけでございます。さらに、情報関係学科以外の学部学科におきましても、それぞれの目的に即して今日の情報化社会と言われておりますことに対応するために必要な教育が行われておるわけでございます。  ちなみに、国立大学の情報関係学科は、五十八年度までに整備されている状況を申し上げますと、三十五大学に四十学科が設けられているというのが現状でございます。
  350. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私の質問をよく聞いてもらわぬといかぬと思うのですよ。それは後で聞こうと思っておったことです。  私が聞いているのは、今この部門の求人が非常に多くて、各大学はとてもその要求にこたえ切っていないのじゃないかということなのです。的確に、簡明に答えてください。
  351. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 現実問題として企業からそういう要請が非常に強いということも事実でございますし、そういう要請を受けまして、五十九年度予算におきましても、二大学二学科を設置することを予算としては提案いたしておるわけでございますが、具体的に、情報関係に限ってどういう求人状況になっているかということについてはただいま数字を持っておりません。
  352. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私も一、二例を聞いただけですけれども、東大などでは、直接コンピューター部門の学生というのは求人に対して三%ぐらいの数にしかならない。あとの大部分は、その周辺の学生やら、あるいはどうかしたら全然関係のないような学生でも希望する者を企業の中で再教育するというようなことで入れているというような実情だと伺っております。  私は、今のコンピューターを中心とした技術進歩というのはいわばまだ始まったばかりという状況だと思いますし、そういうような状況が今後もずっと続くのではないかと考えます。そうだとすると、国としても相当な勢いで今取り組んでいるという話はありましたけれども、全体として見れば、こういうような今の要求から見れば大幅におくれておるという状態じゃないかと思いますが、いかがですか。
  353. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 国立大学の整備については、そういう方面に社会の需要が非常に大きいということも踏まえまして、大変厳しい財政状況下でございますけれども整備に当たっておりまして、先ほどもお答え申し上げましたように、五十九年度予算におきましても二大学で二学科そういうものをつくるということを提案いたしておるわけでございますが、もちろんこれらの点が必ずしも要請に対して十分でないということは承知いたしております。
  354. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今、私は狭い意味での情報工学の専門家の養成ということをまずお尋ねしたわけですけれども、現在のように国民生活の末端までコンピューターの利用が定着してきておるという状況のもとでは、だれでもコンピューターについての基礎的な知識なりその操作の仕方などについてある程度の知識が求められるというような状況になってきていると思うのです。そういう点での、いわば一般教養としての教育がどのように行われているかもこの機会にお尋ねしたいと思いますし、さらに多くの部門で、例えば社会科学系の研究者になろうとする人でも、その研究をやっていこうとした場合には自分でプログラムなどを組んでコンピューターを駆使するというようなことが求められるというような状況になってきていると思うのですが、そういう広い意味でのソフトなどについて教育を、どうやって、そういう意味での専門家を育てようとしておられるか、この辺も関係してお尋ねをしておきたいと思います。
  355. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘のように、専門の分野での教育に限らず、それ以外の分野でもコンピューターを必要とすることはもちろんでございまして、現在国立大学の対応で申し上げますと、例えば情報処理教育センターというようなものをそれぞれ大学に設置いたしております。情報処理教育センターの場合には十大学でございますが、これは例えば教養部とか情報専門学科以外の学部学生を対象といたしまして情報処理教育を行うための施設でございまして、学生に情報処理についての基礎的な知識を与え、実践的な機器の利用法になれさせるというようなことで対応しております。  なお、情報処理センターといたしましては、ほかに二十大学でございますが、大学における教員その他の者が教育または研究のために共用する施設として設けておりますが、この場合にも、あわせて、先ほど申しましたような専門の学部以外の学生の教育のためにもそれらの情報処理センターが活用されているというのが現状でございますが、大学全体の数から見ればそれらの点はまだ必ずしも十分でないと思いますけれども、国立大学全体ではそのような対応をただいまいたしておるところでございます。
  356. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私がいただいた資料では、国立大学の情報関係学科の設置は、五十九年度が二大学二学科というように言われましたが、これを加えましても四十九年度から二十ぐらいの学科の増設ということになるのじゃないですか。しかもそれが五十六年、五十七年には一学科もなく、五十八年、五十九年にまた二学科ぐらいずつ増設されていっているという状況ですね。それから情報処理教育センターの設置状況というのを見せていただくと、五十六年度まではつくられていっているけれども、それから先がない。臨調やら財政が苦しいということの関係もあるかもしれないと思いますけれども、これだけこういう関係の人材が求められてきているという中で、その設置のテンポはむしろ落ちているのではないかというような状況をこうやって見せられると、ちょっとこれでは立ちおくれが甚だしいのではないか、ぐあいが悪いのではないかというように考えますが、その点いかがでしょうか。
  357. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 学科の設置状況については、御指摘のように五十六年、五十七年はございませんでした。五十八年度一学科、さらに五十九年度は先ほど申し上げましたように二大学二学科を予算でお願いいたしておるわけでございます。  情報処理教育センターについても、五十六年度まで情報処理教育センターで設置されておりますが、さらに五十七年、八年については、情報処理センターといたしまして、つまり多少機能が異なるわけでございますけれども、これは情報処理教育そのものに対応するわけでございますが、あわせて学生の教育のためにも機能するものとして設置しているわけでございまして、五十七年度三大学、五十八年度二大学でいずれも設置いたしておるわけでございます。  国家財政が大変厳しいという状況に置かれておるということを受けまして、私どもとしても、国立大学全体の整備の中で重点を置いて整備を進めるということが必要なわけでございまして、こういう分野については積極的な対応をいたしておるわけでございますけれども、それが全体の要求を満たすところまでいっていないという点は、必ずしも十分でないということは承知いたしておるわけでございます。今後ともそれらの点はさらに重点的に整備を進めてまいりたい、かように考えております。
  358. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今後重点的に整備を進めていく問題として確認をされたというのは結構だと思うのですが、充実を図っていく上で、私は、九州工業大学で打ち出されております情報工学系の学部の新設を促進するということは非常に重要ではないかと考えます。今まで学科としては情報工学系のものがつくられたということはありましたが、学部というような規模でこういうものがつくられたことはなかったのじゃないか、その点でも私は大変ユニークなものではないかと思うのですが、どんな構想のものかちょっと御説明願いたいと思います。
  359. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘のように、学科の整備は順次行われてきておりますが、情報工学系の学部としての新設というものは従来行われていなかったわけでございます。  九州工業大学の情報工学系学部の創設については、その必要性から見て私どもとしても従来から調査費等を計上いたしまして準備を進めてきておるわけでございます。  そこで、構成でございますが、大学で御検討いただいております基本構想で申し上げますと、情報基礎系あるいは情報工学系、情報応用系、社会工学系というような分野につきまして、それぞれ数理工学科あるいは情報システム工学科というような学科で、従来各大学においてそれぞれ学科として置かれておりますものをある程度全体の学部レベルで整備を進めていくというような考え方で検討が行われているというぐあいに承知しております。
  360. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、この構想が発表された当初から国家百年の大計として非常に重要だと考えまして、今まで委員会などでも質問したこともありますし、また昨年の十一月には質問主意書でその促進の立場から要請をしたところであります。  よく知られているとおり、近年九州各地にICの工場などが次々に進出をして、九州はシリコンアイランドなどとも言われるようになっておりますし、ことしあたりからはさらに超LSIへの投資などもこれらの工場で一斉に行われて、九州のコンピューター生産における全国的なウエートというものはますます上がってくるというような状況になっております。こういう状況の中で、その技術的なセンターとしても九州工大にこのような大きな学部が置かれるということは私は非常に重要な意味があると思います。また、その立地を予定されている福岡県飯塚市は、かつての産炭地でありまして、その復興に取り組む文化的なシンボルとしても非常に早く設置をしてもらいたいという期待が地元にあることも御存じのとおりであります。  国としてもその設置のために努力してこられたと思いますけれども、現在までの進行状況はどう進んでおり、どの程度のところまで到達しているかということをこの機会に御説明願いたいと思います。
  361. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 この九州工業大学の情報工学系学部の設置についての今日までの準備状況でございますが、昭和五十三年度に九州工業大学に充実改革構想調査特別委員会というものが設けられまして、それ以来の経過があるわけでございますが、五十四年、五年は大学改革等調査経費を計上して準備を進め、五十六年、七年には具体的に情報工学系学部の創設準備調査ということで、定員も一名予算計上をいたして準備を進めてきておるわけでございます。さらに五十八年度では創設準備として予算計上をいたしておりますし、ただいま御提案申し上げております五十九年度予算ではさらに定員も一名要員を増加をいたすことで御提案を申し上げておるわけでございまして、全体の準備としては大変取り組みが早いわけでございますので、今日まで私どもとしては着実に一歩ずつ前進をさせる予算措置その他も講じてきたつもりでございます。  ただ、学部の創設そのものについては、国立大学全体としても大変厳しい取り組みになっているというのが現状でございます。そういう中で、先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、この情報工学系学部についてはすでに具体的に創設準備を進めるということで取り組んできているというのが今日までの経過でございます。
  362. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 さっき申し上げたような、非常に重要な学部の創設であり、またそれをつくるということ自体の方向づけがはっきりしているというお話でありますけれども、率直に言って、調査費とかそれから創設準備調査費とかいろいろな名目の期間がずっと長く置かれておって、さっぱり着工というところまでいかないわけですね。だから、創設準備費というのは創設準備調査費とどう違うのか、去年に比べるとことしはどういうふうに具体的にその話が進むのか、その辺、地元ではじりじりして見ているわけなんですが、どうなんでしょうか。
  363. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 私も何度か地元の関係者にもお会いいたしまして、全体の財政状況その他から本件が必ずしも地元の御要望しているとおりに進んでいないという点については御説明もいたしておるわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げましたように、五十八年度予算では要員一人と必要な準備経費を計上したわけでございます。五十九年度予算ではさらに定員についても一名——定員についても御案内のとおり全体定員削減という非常に厳しい状況があるわけでございますが、その中でも、この九州工業大学の情報工学系学部の創設準備についてはさらに必要な要員を一名増加いたしまして、二名を計上するというようなことで具体的に対応をいたしておるわけでございます。  私どもといたしましては、今後ともそれらの全体の準備状況の進行のぐあいに応じましてそれぞれ対応をいたしたいと考えております。例えば、創設準備委員会等では、それぞれ年度を追って調査の内容としては充実をしてきておるというぐあいに私ども理解をしておるわけでございますが、さらに大学側の御要求を受けまして、今後の対応は十分全体の中で可能な限りの努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  364. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 これから先は大臣にお尋ねしたいのです。  率直に言って、臨調の三次答申で国立大学等の学部、学科などの新増設についてはこれを抑制するという意見が示されております。私は、さっきもお尋ねしたようなじりじりするようなまだるっこしさというのは、この辺と関係があるのじゃないかと思うのです。  しかし、コンピューターの人材を養成するというような今の非常に緊急の課題については、こういうような一般的な方針、私はこの一般的な方針も余り賛成しないのですけれども、こういうものが仮にあったとしても、これについては最優先で取り組んでいかなければならぬのじゃなかろうかと考えるのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  365. 森喜朗

    ○森国務大臣 お尋ねの九州工大の話とは別にしまして、確かに大学で学部、学科、講座をつくる上において、外から見ると、素人と言っていいかどうかわかりません、我々も学者さんから見れば素人ですが、何でこんなややこしいことをやっているのかという気持ちは確かにするのです。事実私も教育問題についてある程度党の仕事をやっておってもそう感じます。しかし、学問を、講座を設定をして教授を集め、研究体制をつくるということはそう簡単なものではないはずでございますし、それにはかなりの、どういう学問を——一遍つくったらつぶせないのですから、つくった以上はその大学に残って、将来日本のために役立たせていかなければならぬ、世界のためにも役立たせていかなければならぬ。そうなれば、学問を、講座をつくることには相当専門的な準備があってもしかるべきだろうと私は考えます、これは一般論でありますが。  同時に、現下の情勢から考えれば、何といいましても、学部をつくりあるいは学科をつくる、あるいは講座をつくるといっても、これはまた定員がふえるということでございますから、今日の状況の中で、全般的に定員の削減、経費をできるだけ切り詰めていくという、財政あっての国の行政でございますから、そういう中でやはりかなり慎重に構えていく、この両方の面から慎重にやっていかざるを得ないというのが現状だろうと思います。  ただ、この予算分科会を通じまして、各委員の方々から地方の大学に対する新しい学部、学科の増設のお話は随分ございました。それぞれその地域の実情から見で、そしてまた地方の大学を充実していこうという文部省の姿勢から見てもそのことはとても大事なことでありますけれども、これは一般論ですが、どの大学もみんな同じような学問、学部をそろえることがいいのかどうか、あるいは臨調の指摘の中にもありましたけれども、こういうことは可能なのかどうかわかりませんが、学問によっては、もう現実に間に合わなくなったと言うと語弊があるかもしれません、具体的に何だと言われてもちょっと私わかりませんが、全部網羅して皆同じような構えをしていかなきゃならぬものなのか。逆に言えば福岡なら福岡、宮崎なら宮崎、九州工大なら九州工大、金沢なら金沢、それぞれ特徴ある学問というもの、二十一世紀を展望するに当たって、この学問は北海道のこの大学に行かなきゃならぬ、茨城に行かなきゃならぬというようなこともやはり今後の検討として考えていくべきではないだろうか。  同時に、もう実情に合わなくなった学問もあるし、日本の今日の経済やすべての社会情勢から見まして、さあこれだけの学部、学科が必要なのかなあというようなことが、首をかしげるような問題だってあるだろうと思う。しかし、学問を研究しておられる方々の立場は十分に配慮していかなきゃならぬし、古くなった学問だからあなた方研究しなくていいよ、そんなこと言えるものではありませんが、非常に微妙——まして学問というのは、研究し、そしていろいろな意味で独立を図って、その中で自由に勉強していただくということが大事なことでございますから、いろいろな角度で検討してまいりますとかなり慎重にやってしかるべきだろうというふうに、この予算分科会を通じていろいろな先生方からの御要望をいただきながら、私はそんな感想を持つものでございます。
  366. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今一般論としてだがというお話で、慎重さが必要だというふうに言われましたけれども、その準備に携わっている大学の先生などにも私はお会いしましたけれども、その先生たちがまだるっこしいと言っているのですよ。その先生たちが、文部省がしりをたたくけれども我々はもっと時間が必要だ、こう言っているんなら今のようなお話は大変よく当たっていると思うのですが。そういう意味で急いでいただきたいと私はお願いしたいと思うのです。  それから、どこも同じような学科をそろえる必要があるかということなんですが、私さっき言いましたように、九州では、今やシリコンアイランドと言われるようにコンピューター部門が非常にどんどん発展をしてきている。その技術的なセンターとして、まさに地域的な特色を持ち、しかも学科じゃなくて学部というような、その中には社会工学系の技術者を養成しようという専門のコースもあるというような非常な特殊性を持っているのですよ。そういう特殊性からいっても、これはひとつ大いに大臣としてその辺認識して対処していただきたい。  それでもう一つお尋ねしておきたいのですが、私の質問主意書に対する答弁書をいただいておるのですが、この中で創設の時期についてお尋ねをしたところが、「現在、検討中であるが、昭和六十年度以降の課題と考えている。」こういう答弁になっております。私は、日本語の意味としては、この「六十年度以降」というのは当然六十年度を含むということでなければおかしいと思うのですね。だから、六十年度も含めて、六十年度からは着工の課題に直面しているという認識で今取り組んでいらっしゃるんだなというふうにこの答弁書を読みましたが、それでよろしいかどうか、端的にお尋ねしたいと思います。
  367. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘のとおり、答弁書で「九州工業大学情報工学系学部の新設については、現在、検討中であるが、昭和六十年度以降の課題と考えている。」というぐあいに御答弁いたしておるわけでございます。「六十年度以降」の中には六十年度が含まれているということは、文理解釈上そのように御理解を賜って結構かと思います。
  368. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 ではひとつ大いに努力をお願いしたいと思います。  もう時間がほとんどありませんけれども、文化庁にせっかく来てくださいと言っておりますから、端的にお尋ねしますからお答えいただきたいのですが、演劇や音楽などを、ブラウン管などを通じてでなく生の形で鑑賞するということが健全な人間を育てていく上で非常に重要なことだと私は思うのですが、その障害が幾つかあると思うのですよ。  一つは入場税じゃないかと私、思うのです。この入場税については昭和五十年に免税点を三千円に引き上げて、これでかなり救済されたんですが、その後物価がずっと上がってきたためにまたひっかかるようになった。今度こそ入場税を撤廃してもらいたいということで、改めて近ごろ運動が始まっておるのですが、文化庁としてもこれについては大蔵省に積極的に申し入れなどをされているというふうに伺ってますが、この点どうか。これが一つ。  もう一つは、やはりそういう演劇や音楽を鑑賞する障害になる問題として会場の問題があるということをよく聞くのです。大都市などになりますと都心部にびっくりするような豪華なホールなどが一つはあるんだけれども、周辺に行くというと途端に全然そういう施設がない。中小都市に行くというとないようなところが多くて、私が調べてみたら百七十九市には文化ホールというようなものは一つもないらしいのですね。こういうのをもっとつくっていかなければ、本当にそういう生の音楽や演劇を鑑賞する機会というのを国民に保障していくことはできないのじゃないかと思うのですね。ところが、予算では地方文化施設整備補助金というのがあるのですが、昭和五十四年から単価が八千五百万円の定額で据え置き。そうすると、これは一つのホールをつくるののほんの数%なんですね。これではちょっと少な過ぎて、国としては恥ずかしいような状態じゃないかと思うのです。ぜひもっとこれをふやすような努力をお願いしたいというのが地方の声だと思うのです。  この二点、端的にお答えください。
  369. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文化庁といたしましても、今の第一点の入場税減免の問題でございますけれども、やはり芸術、文化の普及向上という観点からいたしますれば、芸術、文化の公演に関します入場税を事情の許す限り減免していただくということは望ましいことと考えているわけでございます。ただ、現下の財政状況の中にありまして、この問題は税制全体の中で総合的に考えなければならないというような状況にあることもまたあわせて承知しているわけでもございます。  それから第二点の文化ホールについてのお尋ねございましたが、私どももそういった点には鋭意力を入れているわけでございまして、現在五百席以上の文化ホールというものが、私ども承知しておりますところでは約六百全国にございますし、またその充実にも努めていきたいと思っておるわけでございまして、先生指摘のように、単価の八千五百万円というのは、確かにその点におきまして不十分だという御指摘を受けるのもやむを得ませんけれども、私どもの立場といたしますれば、なるべく数多く文化ホールがふえていっていただきたい。そういう意味で単価の問題と数量の問題、相関関係にあるわけでございまして、御指摘を踏まえて、なお努力をさしていただきたいと思っております。
  370. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 終わります。ありがとうございました。
  371. 湯山勇

    湯山主査代理 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、文部省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言、ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時三分散会