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1984-03-12 第101回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月十二日(月曜日)     午前九時三十分開議 出席分科員   主 査 上村千一郎君       倉成  正君    与謝野 馨君       上原 康助君    大出  俊君       鈴木  強君    日野 市朗君       武藤 山治君    有島 重武君       鈴切 康雄君    中村  巖君       大内 啓伍君    岡田 正勝君       菅原喜重郎君    工藤  晃君    兼務 岩垂寿喜男君 兼務 武部  文君    兼務 松浦 利尚君 兼務 池田 克也君    兼務 橋本 文彦君 兼務 宮地 正介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      後藤田正晴君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      前田 正道君         宮内庁次長   山本  悟君         皇室経済主管  勝山  亮君         行政管理庁長官         官房総務審議官 古橋源六郎君         行政管理庁長官         官房会計課長  佐々木晴夫君         行政管理庁長官         官房会計課長  前山  勇君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監察局長    竹村  晟君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁次長 小谷  久君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         防衛施設庁労務         部長      大内 雄二君  分科員外出席者         外務省主計局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         大蔵省主計局主         計官      吉本 修二君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         林野庁業務部業         務課長     小澤 普照君         運輸省船舶局検         査速度課長   戸田 邦司君         運輸省航空局首         席安全監査官  石井 俊一君         運輸省航空局飛         行場部長    松村 義弘君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         自治省行政局行         政課長     木村  仁君         自治省行政局公         務員部給与課長 米山 市郎君         会計検査院事務         総長      藤井健太郎君         最高裁判所事務         総長      勝見 嘉美君         最高裁判所事務         総局民事局長  上谷  清君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      池田  本君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   大出  俊君     細谷 昭雄君   武藤 山治君     田並 胤明君   有島 重武君     中村  巖君   大内 啓伍君     菅原喜重郎君   工藤  晃君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   田並 胤明君     上原 康助君   細谷 昭雄君     新村 勝雄君   中村  巖君     坂口  力君   菅原喜重郎君     岡田 正勝君   瀬長亀次郎君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     鈴木  強君   新村 勝雄君     大出  俊君   坂口  力君     伏屋 修治君   岡田 正勝君     小川  泰君   林  百郎君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     細谷 昭雄君   伏屋 修治君     鈴切 康雄君   小川  泰君     中野 寛成君   工藤  晃君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   細谷 昭雄君     日野 市朗君   鈴切 康雄君     有島 重武君   中野 寛成君     大内 啓伍君   浦井  洋君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     上原 康助君   正森 成二君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     武藤 山治君 同日  第三分科員池田克也君、橋本文彦君、第四分科  員岩垂寿喜男君、第五分科員松浦利尚君、第七  分科員武部文君及び宮地正介君が本分科兼務と  なった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算  〔皇室費裁判所会計検査院及び総理府所管  (行政管理庁防衛庁)〕      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。勝見最高裁判所事務局長
  3. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 昭和五十九年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和五十九年度裁判所所管予定経費要求額の総額は二千九十五億四千四百五十二万二千円でありまして、これを前年度予算額一千九百九十六億五千八十九万二千円に比較いたしますと、差し引き九十八億九千三百六十三万円の増加となっております。  これは、人件費において百四十五億三千四百九十一万一千円、裁判費において四億一千八百六万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において一億一千六百六十三万九千円が増加し、施設費において五十一億七千五百九十八万円が減少した結果であります。  次に、昭和五十九年度予定経費要求額のうち主な事項について説明申し上げます。  まず、人的機構充実、すなわち増員であります。  特殊損害賠償事件民事執行法に基づく執行事件少年一般保護事件等の適正迅速な処理を図るため、判事九人、裁判所書記官七人、家庭裁判所調査官三人、裁判所事務官二十九人、合計四十八人の増員となっております。  他方、定員削減計画に基づく昭和五十九年度削減分として裁判所事務官三十九人が減員されることになりますので、差し引き九人の定員増となるわけであります。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営効率化及び近代化のため、庁用図書図書館図書等裁判資料整備に要する経費として四億五千八百十五万二千円、複写機計算機等裁判事務能率化器具整備に要する経費として三億三千七百二十二万二千円、調停委員に支給する手当として四十七億一千七百四十九万二千円、裁判費充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十三億二千二十六万七千円、証人、司法委員参与員等旅費として五億九千二百六十二万五千円を計上しております。  また、裁判所施設整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として八十一億八千六百七十一万一千円を計上しております。  以上が、昭和五十九年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 上村千一郎

    上村主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村巖君。
  6. 中村巖

    中村(巖)分科員 私から一、二の点について裁判所お尋ねを申し上げたいと思うわけでございますけれども、まず最初に、民事調停委員及び家事調停委員の件に関しましてお尋ねを申し上げます。  今民事調停委員及び家事調停委員規則に基づきまして、多くの民事調停委員及び家事調停委員というものが最高裁判所から任命をされておるわけでございまして、各裁判所所属をするという形で全国に相当多数の方がおられるわけでございます。  まず最初に、これらの数の点についてお尋ねを申し上げたいというふうに思うわけでございまして、総体でどのくらいの数がおるかということ、民事調停委員及び家事調停委員についてそれぞれどのくらいの数であるかということ、それからさらに裁判所種別に応じて、例えば簡易裁判所地方裁判所、どういうふうに所属をしておるのかということをお尋ね申し上げたいと思います。
  7. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 昭和五十八年十月一日現在で申し上げますと、全国裁判所民事調停委員が九千百十七名、家事調停委員が九千七百七十一名、合計いたしますと、一万八千八百八十八名となっております。ただ、このうちの七千十六名は民事調停委員家事調停委員とに兼ねて任命されております。  それから、民事調停委員につきましては、地方裁判所簡易裁判所等所属がございますが、ちょっと今手元に詳しい所属の内訳は持ってまいっておりませんので、恐縮ですが全国の数でお許しいただきたいと存じます。
  8. 中村巖

    中村(巖)分科員 これらの調停委員任命をされるにつきましては、それぞれ規則によりまして一定の資格というか、そういうものが決められておりまして、弁護士である者とか等々あるわけでありますけれども、これらの調停委員につきまして、任命に至るプロセスというものは、具体的にどういう過程を経て任命になるのでありましょうか、お尋ねを申し上げます。
  9. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 調停委員の場合、民事調停委員家事調停委員がございますが、民事調停委員につきましてはそれぞれ各地方裁判所、それから家事調停委員におきましては家庭裁判所適任と思われる者を選考いたしまして、その上で高等裁判所がその各候補者につき意見があれば意見を付しまして、最高裁判所の方に任命の上申をしてくる、それに基づきまして最高裁判所の方で民事調停委員及び家事調停委員として任命する、そういうふうな手続になっております。
  10. 中村巖

    中村(巖)分科員 民事調停委員及び家事調停委員規則第一条によりますと、いずれにしても人格識見がすぐれた者であり、かつ年齢の制限があるわけであります。種類としては、弁護士である者ということと、民事家事紛争解決に有用な専門的知識経験を有する者、それから社会生活の上で豊富な知識経験を有する者、こういう三種類規定をされているわけでありますけれども、それぞれこの三種類について種別を分けて選考、任用をいたしておるのかどうか、それぞれの種別について分けているのだとすれば、それぞれ定数の枠というようなものを考えておられるのかどうか、この点はいかがでございましょう。
  11. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、民事調停委員及び家事調停委員規則の第一条によりまして任命資格が記載されております。御指摘のとおり「弁護士となる資格を有する者」、「民事若しくは家事紛争解決に有用な専門的知識経験を有する者」、それから「社会生活の上で豊富な知識経験を有する者」、こういうふうに確かに三通りの書き方がございますが、例えば弁護士さんの場合には、弁護士となる資格を有する者であると同時に、民事もしくは家事紛争解決に有用な専門的知識経験を有しておられるわけでございますし、同時にまた豊富な知識経験を有していられるわけでございますので、それぞれ三つの場合に別の枠を設けて任命するというふうなことではございません。ただ、「弁護士となる資格を有する者」、そういうのははっきりした資格としての規定でございますので、できるだけ多くの方が調停委員においでいただくためにある程度人数を確保するというような配慮は行っております。
  12. 中村巖

    中村(巖)分科員 そこで、今手続上の意味での選考の仕方というものを伺ったわけでございますけれども、具体的にいろいろな、いわばこういう調停委員に適格な有為の人材というか、そういう者がたくさん世の中にいるわけでありまして、そういう世の中にたくさんおる人間の中からこういう人間がいいだろうということで、その地方裁判所選考の上に上がってくる、こういう過程というものがどうなっているのだろうかということに私どもは凝問を持つわけでございまして、地方裁判所というものが選考をすると申しましても、地方裁判所職員の方が、あるいは裁判官の方が、世の中にこういういい人材がいるじゃないかというようなことを直接具体的にお知りになっているはずがないわけであります。その辺のことはどういうふうになっておるのでございましょうか、お伺いしたいと思います。
  13. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判所職員が直接適任者を発掘するというのはなかなか困難でもございますし、また必ずしも妥当ではないと存じております。したがいまして、私どもの方では「調停のあらまし」というふうなパンフレットなどを作成いたしまして、それを例えば地方公共団体等にも配付しておりますし、現実に調停委員候補者として適任であろうというふうな方を御推薦いただくために、例えば地方公共団体でございますとか、あるいは商工会議所でございますとか、あるいはまた大学でございますとか、公認余計士等協会あるいはまた不動産鑑定士協会、そういったところに調停委員として適任の方の御推薦をお願いする、各地方裁判所によりましてそれぞれつてを求めましてそういう適当な団体に御推薦を委任するというふうなことを努力しておるのが実情でございます。
  14. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうなりますと、実際的にそういう団体から裁判所推薦があるということになりましょうか。それからさらには自薦等、そういうこともあるということでございましょうか。
  15. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 多くはそういう推薦を御依頼しました団体等からの推薦でございますが、それ以外にも裁判所調停委員ということに理解を持っておられる方もいろいろございます。いろいろな機会にPRいたしておりますので、そういうふうなところで情報を得られでいわゆる自薦と申しますか、特に団体ということではなくて推薦されてくるという方もあるというふうに伺っております。
  16. 中村巖

    中村(巖)分科員 私も弁護士でありますから、いろいろなところでいろいろその問題について話を聞くわけでありますけれども、最近調停委員の経歴というか職業というか、そういうものに大変偏りがあるのではないか、こういう声があるわけでございまして、特に言われておりますことは、裁判所職員を退職せられた方というものを最近では最高裁判所は大量に調停委員任命をされておるのではないか、こういうことが言われているわけでございます。いろんな時期によっていろんな人がなってくるのでありましょうけれども、最近はそういう傾向が顕著に見られるということでありますけれども、そういうことは数字的にもございましょうか。数字で御説明をいただきたいと思います。
  17. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 委員承知のとおり、調停委員は任期が二年と定められておりまして、昭和四十九年に新しい調停制度が発足いたしました関係で、いわゆる奇数年は調停委員が大量に任命されて、偶数年任命が少ないということでありますので、余り年ごと数字を申し上げると不正確なところがあると思います。過去二回、つまり昭和五十五年と昭和五十七年に大量に任命がございまして、その後補充されているということでございますので、それぞれについて数字を申し上げることにいたします。  まず一番新しい数字でございますが、昭和五十七年から五十八年にかけて任命されました調停委員合計二千百四十名でございますが、そのうち百九十九名、割合にいたしまして九・二九%が元裁判所職員でございます。さらにさかのぼりまして昭和五十五年度、五十六年度に任命された民事調停委員について見てまいりますと、合計二千八名中の百七十四名、パーセントにいたしまして八・七%、このような数字が出ております。
  18. 中村巖

    中村(巖)分科員 それと同時に、最近よく聞くことは、警察関係の人が非常に調停委員に多くなっているのではないか、こういうことでありますけれども、それはともかくといたしまして、昭和四十九年の十月一日から今日の調停委員制度が大改革で施行をされておるわけでありますけれども裁判所としては、四十九年以前の旧民事調停委員規則の時代と制度改革になってからとは、調停委員任命理念というか考え方というものが違ってきているのかどうか、その点をお伺いいたします。
  19. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 調停制度理念そのものは、旧制度と現在の制度でそう大きく違うとは考えていないわけでございます。ただ、旧制度はいわゆる調停委員として任命というふうな行為がなくて、むしろ調停委員候補者というのがございまして、それが具体的な事件調停委員として指名される。それが新しい制度になりますと、非常勤国家公務員ということであらかじめ調停委員という資格任命されておって、それが具体的な事件に当たって裁判官から事件の担当を指定される、そういうふうな関係になっております。  したがいまして、新しい制度のもとにおきましては従前よりも調停委員の数をむしろ減らすといいますか、従前制度では必ずしも事件を担当しないというふうな方も若干おったわけでございますけれども、新しい制度になりまして、正式の非常勤国家公務員ということで、平素から調停委員の身分を持っておりますので、人数を厳選して、より適任の方をお願いするというふうな方向で運用いたしております。そういう意味で、選考に当たってより適当な人をという配慮を加えているということは言えるかと思います。
  20. 中村巖

    中村(巖)分科員 それからもう一点は、最近、殊に簡易裁判所調停に当たられる調停委員を中心にいたしまして女性調停委員が大変に減っているのではないか、こういうことが言われておるわけでございまして、国連の婦人差別撤廃条約というようなものが今非常に問題にされておって、婦人の地位の向上、男女の平等ということが言われている状況のもとで婦人調停委員が減るというようなことがあっては問題である。婦人調停委員が特に調停の力量にすぐれているというふうに思うわけでもないのですけれども、やはり数的に減るということは大変に問題ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございまして、その辺の男女比の問題はどうなっておりましょうか。
  21. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 まず、数字をお答え申し上げますと、昭和五十八年十月一日現在でございますが、全国民事調停委員九千百二十二名中、婦人調停委員は千二百十一名、パーセントにいたしまして一三・三%という割合を占めております。この数が多いか少ないか、どうごらんになるかということはいろいろ問題があろうかと思いますが、私どもといたしましては、御婦人の方であっても、民事調停委員にふさわしい識見を有しておられる方であれば、大いに調停委員になっていただきたいと考えておるわけでございます。  ただ、実情といたしましては、家事調停委員の場合に比較いたしますと、民事調停委員の場合パーセントが少ないわけでございます。たまたま家事調停委員の方の数字を見てみますと、男性が大体六〇%に対して女性が四〇%という数字が出ておりますので、これに対比いたしますと、確かに。民事調停委員の場合に婦人の占める割合が少のうございますが、これは別に最高裁判所の方で婦人を登用していないということでは決してございませんで、私どもといたしましては、婦人の方でもそういう調停委員として適格な方がいらっしゃるならば大いにおいでいただきたいと考えているわけでございますが、実際問題としましては、民事調停の場合、いわゆる取引関係紛争が多うございますので、必然的に調停委員に御希望になる方が少ないと申しますか、御婦人の方は多く家事調停委員を希望される、そういうふうな実情がございまして、家事調停委員に比較して民事調停委員の御婦人割合が少なくなっている、そういうふうな事情ではなかろうかと存じます。
  22. 中村巖

    中村(巖)分科員 私どもは、簡易裁判所、殊に調停を多く行われておりますのは家庭裁判所を除けば簡易裁判所でございまして、簡易裁判所というのは少額な事件について、本当に社会実情に即したような物事の解決をしなければならないということで、大変地域においては重要な役割を占める裁判所であるというふうに理解をしているわけでございまして、最近簡易裁判所が統廃合されるとか、あるいは今現に相当数簡易裁判所におきまして民事関係事務移転というものが行われておりまして、地方の中では簡易裁判所が実際にその地域機能をしていない、こういう実態もあることを大変遺憾に思っているわけであります。殊にこの調停制度というものが、うまくそういう意味地域の役に立つように機能をしていかなきゃならないというふうに思っているわけでございます。  その点で、今日簡易裁判所調停委員が、裁判所職員任命が多いとか、あるいは役人であった方の任命が多いというようなことで大変官僚化をしているのではないかというような声を聞きますし、また一方では婦人調停委員が少ない、そのことがやはり官僚化の一つの原因になっているというようなことを聞きますので、そういうことがあってはならない、もう少し地域有力者というか人材を登用をしなければならないのではなかろうか。そして地域に密着した調停をやっていただかなければならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。その点はそうといたしまして、調停委員の問題は終わりまして、続いて別のことをお聞きを申し上げたいと思います。  その第二点目は、民事執行法関係でございます。  民事執行法につきましては、これは民事執行法施行になって以来何年かたつわけでありますけれども、私ども承知をしている限りにおいて、今民事執行法に基づく不動産競売というものが大変に事件の進行としておくれておるのではないかというふうに思っているわけでありますけれども最高裁判所の御所見を伺いたいと思います。
  23. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 新しい民事執行法施行されまして以後、確かに委員指摘のとおり、いわゆる不動産に対する強制競売及び抵当権実行に基づく競売事件数が増加しております。それに伴いまして若干不動産競売事件処理がおくれているのではないかという傾向はございます。ただ、これは全国的に見てまいりますと、必ずしも全国的に事件処理がおくれているというわけではなくて、若干裁判所ごとにばらつきがあると思いますが、御指摘のとおり、従前の旧法当時に比べてやや事件処理が長引いているという傾向はあろうかと思います。  その原因等はいろいろございまして、一つは、新しい法律、制度に切りかわってからの過渡期ということで、運用上いろいろ試行錯誤を重ねているというせいもございましょうし、それからもう一つは不動産業界の景気の落ち込み、そういうふうなことも影響しているというふうに見られるのでございまして、必ずしも裁判所事件処理状況の渋滞というだけではないと思いますが、現実に若干売れ行きが悪くなるというふうなことで事件処理がおくれている傾向は、全国的に見ましてあろうかと思います。
  24. 中村巖

    中村(巖)分科員 不動産が売れないということで、終局になるまでに大変に時間がかかるということも一つあるわけでありますけれども、それと同時に、裁判所によっては競売開始決定になってから、現実の競売期日といいますか入札期日といいますか、そこに至るまでの間に相当の時間数を要する。私が現実に経験をしている限りでも約一カ年を要している、こういう事例もあるわけでございまして、それは個々の裁判所の特殊な事情というものもございましょうけれども、そういう点で大変にその辺の部分がおくれていることもあるのではないか。今裁判所で、今年度の予算の中で民事執行法関係を含めて職員裁判官増員ということでお考えのようでありますけれども、その辺の事務処理のおくれというものも現実にあるのではないかということと、それに対する対策をどういうふうにお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。
  25. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 新しい民事執行法のもとにおきます不動産競売手続において、従前制度におけるよりも売却期日の指定がおくれると申しますか、そういう原因としては二つほど考えられると思います。  一つは、従前と異なりまして、特に買い受け人のために不動産の状況を十分調査する現況調査の制度ができたことは委員十分御承知のとおりでございます。それにある程度時間がかかるというのが一つと、もう一つは、やはり不動産の評価につきまして、そういうふうな現況調査等を踏まえて適正な価額を評価するということを従前に増して心がけるようになっておりますので、そういう点が若干第一回売却期日の指定までに時間がかかるという要因がと思います。  私どもといたしましては、今年度の定員の関係職員の増強をお願いしておりますほかに、既に昨年、五十八年十月一日をもちまして、現況調査に当たります執行官の現況調査の手数料の改善等を中心といたしまして手数料の規則を改正いたしますとともに、全国の、特に不動産の現況調査の事件の多い各裁判所に執行官の増員方をお願いいたしまして、その後本年の四月までの間にかなりの人数の執行官の増強が実現できる見通してございます。これによりましてかなり現況調査のおくれは解消できると考えておりますし、同時に不動産の評価につきましても、日ごろ裁判官と現況調査を担当してくださっております評価人、現実には不動産鑑定士のことでございますが、との間の協議あるいは研究等を一層緊密に繰り返しておりますので、今申しました新法のもとにおける若干の慎重な手続が加えられたことによる第一回期日の指定のおくれというのは早晩改善し、正常な状態により早く指定できるような状態に持っていけるのではないかと期待いたしております。
  26. 中村巖

    中村(巖)分科員 その点と、それからさらに現実に入札なり売却のための競り売りなりが行われても物件そのものが売れないというのが現実であろうかと思うわけでありまして、それには確かに今不動産業界というか経済界全体の不況というものが大変に大きな要因になっていることは事実でありますけれども、それと同時に、なかなか売れないというのは価額が高いのではないかということでございます。民事執行法ができまして、第六十条というもので最低売却価額の決定のことが定められてありますけれども、これは旧来の民事訴訟法の強制執行あるいは競売法の規定と大分様相を異にし、考え方を異にしているわけで、法律的な議論というものは別といたしましても、こういう六十条の運用というものはかなり評価人がその不動産価額を高く評価をするという傾向を招いているのである、それがために売れないという状態ではなかろうかというふうに思うわけでありまして、この六十条の運用につきましてちょっとまずい点があるのではなかろうかと思うわけでありますけれども裁判所のお考えはいかがでございましょうか。
  27. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 民事執行法六十条に従いまして不動産の価額を評価する場合に、非常に難しい問題がございます。ただいま委員指摘のとおり、少し評価が高過ぎるのではないかというふうな意見も確かに私どもも聞いております。ただ、これをどのように運用していくか、非常に難しい問題がございまして、一つは、余り安い値段で評価いたしますと、不動産が適正な価額で売却できないというふうな点もございますし、さりとて余り高い評価をし過ぎますと、委員指摘のとおり、入札で落札人が出ないというようなことにもなりますので、その辺の兼ね合いをどうしていくかが一番難しいかと思います。  当面、私どもといたしましては、この不動産価額の評価は、法律の規定にもございますとおり、最低売却価額を定めるための評価でございまして、決して最高売却価額ではございませんので、その辺の法律の規定を十分配慮していただくということ、それから実際問題としましては、競売で売却いたします場合に、通常の市場取引と違いまして、例えばローンであるとか分割払いであるとか、そういうことができませんので、そのために買い受け人が買いにくいというふうな要素をある程度評価の中に盛り込むということを考えなければいけないと考えておりまして、そういう点につきましては、不動産鑑定士の方と執行裁判所の方で随時研究会等をいたしております。そういうふうな考え方に従って、適正な価額であり、かつ、売却ができる価額を評価していただくというふうにお願いし、そういう考え方が全国的にもかなり浸透してきておるかと思います。そういうふうな考えで私どもは臨んでいるわけでございます。
  28. 中村巖

    中村(巖)分科員 時間がなくなりましたので、今の点について一点だけ聞きまして終わりにしたいと思いますけれども、六十条には第二項に「最低売却価額を変更することができる。」こういう規定があるわけでございまして、この規定を弾力的に運用するならば、景気が悪いときにでも物件が売れるようなそういう対応策ができるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、現実にはなかなか弾力的に運用されておらないようなので、この点についてお考えをお聞きをいたして終わりといたしたいと思います。
  29. 上谷清

    上谷最高裁判所長官代理者 民事執行法六十条第二項に定めております売却価額の変更は、現行法のもとにおきましては、当初定めました最低売却価額がその後の事情の変更によって不適正となったという場合を原則として決めておると思います。そこで、むしろ当初の最低売却価額を決定する際にいろいろ配慮を加えなければならないのが本来かと思いますが、その後事情の変更、例えば不動産の市況等がかなり変わってきて売れにくくなっているというふうな状況がございますれば、もちろん裁判所といたしましても改めて売却価額の変更のために評価を命ずる、あるいはまた既にそういうものが評価の中に織り込まれておりますれば、それをしんしゃくいたしまして、改めて最低売却価額を変更する、そういうふうな運用をとるようにいたしております。  ただ、従前民事訴訟法のもとにおきます制度では、一回売れないとすぐに下げる、それが非常に弊害になっておった。それを是正するというところに新法の理念がございますので、どの程度までその六十条二項による変更を運用で賄っていくか、非常に難しい点がございます。そういういろいろな事情を配慮いたしまして、各裁判所の方で六十条二項の逆用のよろしきをお考えいただいている、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  30. 中村巖

    中村(巖)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  31. 上村千一郎

    上村主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして裁判所所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  32. 上村千一郎

    上村主査 次に、総理府所管について審査を進めます。  行政管理庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原喜重郎君。
  33. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 政府は、臨調答申を最大限に尊重するとの方針のもとに行財政の改革に取り組んできているところであり、また、各年度の予算編成を通ずる歳出の削減、国鉄を初めとする三公社改革の着手、年金、医療等の重要政策分野における制度改革など、それなりに努力されていることは理解できるのでありますが、まだまだ不徹底と言わざるを得ないと思います。政府は、今後とも行政改革を強力かつ着実に実施すべきであると思うのでありますので、まずこれに対する長官の決意をただしたいと思います。
  34. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 今日行政の守備範囲がどんどん広がってきておるわけでございます。それにつれて行政の組織、機構、人員、また同時に経費等もいわば膨れ上がり過ぎておるというのは、これはもう実態であろう、かように考えるわけでございます。  私どもとしては、やはり時代の変化に対応して国民の行政に対するニーズも変わってきておりまするので、ややともすれば行政の仕組み、やり方が硬直化してきておるということも事実でございますから、こういったことで、大きな時代の転換期でもございまするので、行政の改革ということを国政の重要な課題としてぜひ取り上げて、この改革を何とかなし遂げたい、そういうようなことでございますが、その考え方の基本は、私は、国民の側といいますか、納税者の立場というものを中心に行政の改革ということはやらなければならぬ、かように考えておるのですが、臨時行政調査会の御答申もやはりそういった線に沿って今日提案をせられておる、かように理解をいたしております。  そこで、政府としては、第二臨調の答申を最大限尊重して、この御答申の線に沿った行政の改革をやりたい、かように考えておるわけでございますが、御案内のように、第二臨調の答申というのが国政全般にわたっております。したがって、これにはやはりある程度の時間がかかるということもこれまた当然考えなくてはなりませんが、さればといって、こういった大改革というものはやはり国民の協力といいますか、支持がなければなかなかできない。しかも、国民の支持というのも、余り時間がかかり過ぎますと、何としても空気がだんだん冷えざるを得ないわけでございますから、そういった点も頭に置いて、時間がかかるのはやむを得ないが、しかし、何とか余り時間のかからないうちに、熱いうちにこの仕事はやり遂げなければならぬ、かような決意のもとに、鈴木内閣以来、中曽根内閣になりましてもこの行政の大改革に真剣に取り組んで、何とかひとつやり遂げていきたい、かように私は考えているわけでございます。
  35. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 長官の決意を聞きましたので、行政改革推進の方法についても、また私なりの所信を述べていきたいと思うわけでございます。  これまでの行革推進の方法は、比較的機構減らしや人減らしに重点が置かれてきた面があるのではないかと思っております。行政の減量化を図るためには仕事自体を少なくすることが肝要でありまして、この本庁の仕事の関連というのは全国地方自治体にもはね返りまして、大変な影響を持っているわけでございます。一時、年々中央から流れてくる仕事の量の激増には地方自治体も悩まされているところであったわけでもありますので、この観点から、各省庁が抱えている膨大な量の許認可権限を抜本的に整理することが緊要ではないか、こう私は考えております。  許認可は、約一万件はあると言われておりますが、臨調答申ではわずか二百件余の指摘がなされているにすぎないわけでございます。政府は、この臨調答申の指摘事項にとどまることなく、積極的に許認可事項の抜本的な整理に取り組むべきであると思いますので、この点についてのお考えをお伺いしたい、こう思っているわけでございます。局長でも結構でございます。
  36. 竹村晟

    ○竹村政府委員 行政の減量化のためには、一つは許認可等の整理が必要でございます。政府におきましては、社会経済情勢の変化に対応いたしまして従来も不断の見直しをしてまいりまして、累次にわたる行政改革計画等によりまして相当数の許認可の整理合理化を図ってきております。例えば第一次臨調以降廃止した件数だけでも、項目数として二千三百件程度ということになっております。それからまた、その中でも法律改正を要するものにつきましては、許可認可等の整理に関する一括の法律を成立させていただきまして、これだけでも既に十回の成立を見ております。  それで、現在でありますけれども、これは、今お尋ねにありましたような臨調の答申を受けまして個別に整理合理化を進める事項が二百五十三事項ございます。これにつきまして、本年度中に大体七割程度の措置をする見込みでございまして、残りにつきましてもできるだけ速やかに所要の改善措置がとれるようにということで現在も努力をしております。  それから、臨調で指摘しております個別事項以外の許認可につきましても、ことしの一月二十近日の昭和五十九年の行革大綱で基本的な方針を決めております。これによりますと、五十九年度以降におきましても引き続きその整理合理化を推進するということで、この閣議決定によりますと、臨調の基本答申の方針に沿いまして、臨調は個別事項だけでなくて基本的な方針を出しております、その方針に沿いまして各省みずからが見直す、行政管理庁といたしましては、それを推進するために適宜行政監察を実施する、そういうことで今後も推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  37. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 一層の今後の努力をも要望するわけでございますが、この許認可整理と並ぶ仕事減らしのポイントは十四兆円を超える補助金の整理にもあるのではないかと考えております。このことは、民間への過度の政治介入、また、民間の過度の政府への依存を改めさせるためにも必要なことではないかと思うわけでございます。  昭和五十九年度予算では、前年度に比べて四千三百億円余りの純減となりまして、二十数年ぶりに総額が圧縮されており、政府の努力もうかがえるわけでございますが、しかし、行財政改革をさらに徹底するため、社会保障関係経費を除いて、財政再建達成の目標年度である昭和六十五年度までは補助金総額を原則として凍結すべきであると私は考えております。そしてこれらにかわる広範な融資対応の道を別に努力していただきたいと思うのでございます。こうした主張を前提にして、政府の決意をただしたいと思いますが、大蔵省の方にこのことをお伺いいたします。
  38. 藤井健太郎

    藤井説明員 お答え申し上げます。  補助金等につきましては、先生御承知のように、社会保障のみならず、文教とかあるいは公共事業等の国の基本的な施策を遂行するための政策手段としての役割を果たしておるわけでございます。したがいまして、一律に五十九年度の水準に凍結するということはなかなか困難でございまして、必ずしも適当ではないという向きもございます。むしろ補助金の整理につきましては、個別の補助金等について制度、施策の根本に踏み込んで不断の見直しを続けることによって実現することが基本的なことではなかろうかと考えております。  ただ、先生も御指摘なさいましたように、補助金等という支出形態の持つ弊害もございます。ともすれば既得権化しやすいとか、あるいは惰性的運用に陥りやすいというような問題もございますので、今後とも臨調答申の趣旨に沿いまして補助金等の総額抑制に努めてまいりたい、かように考えております。
  39. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 凍結の点を強調されても、私の質問の趣旨とは反してくるわけでございますが、これにかわるいわゆる融資対応の道、そういう点を今後一層政府で努力していただきたいということが私のねらいでございますので、ひとつこの点の努力をお願いしたいわけでございます。  次に、行政改革の目的は、税金のむだ遺いをなくし、肥大化した行政機椎を簡素効率化することであり、また、そのための行政事務の合理化、効率化を進め、国家公務員総数の縮減をなすことが中心になってくるわけでございますが、政府は、国家公務員の縮減にどのような努力を払ってきたか、まずお伺いしておきたいと思います。
  40. 門田英郎

    ○門田政府委員 先生もう既に御承知と存じますけれども昭和四十三年、ただいまの総定員法下における定員管理、これを開始いたしましたときからもう既に十七年たつわけでございます。政府といたしましては、昭和四十三年以来、第一次から現在第六次定員削減計画期間中でございますが、累次にわたりまして定員削減計画を遂行してまいっております。この定員削減計画、これによりまして、政府全体各部門にわたりましていろいろと業務の能率化、あるいは比較的行政需要の衰退している部門等から削減を行いまして、他方、非常に重要な行政需要を持っているところに必要最小限の増員を行うということによって、厳しい定員管理を進めてきているわけでございます。  昭和四十三年以来現在までの十七年間、この間に、途中沖縄の復帰という問題がございました。これを除きまして、政府全体といたしまして一万六千人強のネットの縮減というものを図ってきているという状況にございます。この間、もちろん国立大学あるいは国立病院整備、こういった重要な新しい行政需要にこたえながら行ってきているわけでございまして、こういった国立大学あるいは国立病院、これを除きますと、一般省庁につきましてはかなり大きな五万三千人強という縮減を図ってきているという状況であるわけでございます。
  41. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 現在のように厳しい財政事情のもとでは、国の仕事がふえたからといって簡単に国家公務員の数をふやすことは難しいのでありますが、政府は、昭和五十五年度から、省庁間を通ずる国家公務員の配置転換を行っていると聞いています。配置転換される人にとっては大変なことであると思いますので、このような厳しい状況のもとでは、なおのこと関係者によく理解をしてもらう努力をして、これを積極的に推進することが重要であると考えておりますが、政府として、この配置転換にどのような努力を行い、また、どの程度の実績を上げてきたか、まずこのことをお伺いいたします。
  42. 門田英郎

    ○門田政府委員 先生御指摘のように、配置転換というのは非常に難しい問題でございます。政府といたしましても、従来から、例えば昭和三十年代あるいは四十年初め、いろいろと省庁間を通ずる配置転換というものを実施するという方針を打ち出しましたが、なかなかにこれが実効ある推進につながらなかったというふうな事情にございました。しかしながら、こういった厳しい時代でございます。一方、民間における血のにじむような努力というふうなこともいろいろとあるわけでございます。政府といたしましても本格的にこの問題に取り組まなければならないという見地から、ただいま先生がお示しのように昭和五十五年度から各省庁といろいろお話し合いを進めまして、省庁間を通ずる配置転換というものの実現に踏み切ったわけでございます。  ただ、おっしゃいましたように、配置転換をされます個々人、職員の方々にとりましては、同じ政府部内とはいいながら、転職に相当するような非常に重要な事柄でございます。一方、今後の身の振り方というふうなことにも関係してまいるわけでございまして、ただいまのところ各省庁といろいろと努力を重ねてきているわけでございますが、昭和五十五年度、当初の年度で八十九人、続きまして五十六年度で八十三人、五十七年度百三人、四年目ただいまは五十八年度実施しているわけでございますが、これが百三十八人ということで、年々微増ではございますけれども、着実にはふえてきているという状況にあるわけでございます。  ただ、この間に私どもとして特に考えなければならないと考えておりますのは、関係省庁、関係者の方々の理解と協力、これが必要なことは当然でございますけれども、それと同時に、職員の個個人の方々に対する研修の努力、これもやはり必要である。かつ、受け入れた職場におけるいろいろな御協力、これがやはり必要であろう。さらに言いますれば、送り出す省庁と受け入れ省庁との間の緊密な連絡、いわば求人側と求職側との緊密な連絡というものが必要であろうということで、今後とも私ども政府としてはその辺の努力を推進してまいりたい、こう考えているわけでございます。
  43. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 長官にお聞きします。  今お答えいただきましたように、各省庁間の配置転換ということは転職に相当するような内容も持っているというわけでございます。この行政改革につきまして、現在のような縦割り行政の中で各省がそれぞれ公務員を採用し、また、各省がそれぞれ退職後も何らかの影響があり得る体制では、総論賛成でも各論反対、そういう結果になってきているのじゃないか、こう私は思います。これは非常に難しいことでございますが、何らかの統率的な総合調整能力というものが発揮できる方法をもうそろそろ国も考えてよいのではないか。例えば国が一つのところで公務員を採用してそれぞれのところに配置もし、転換もさせ、また、最終的な面にまで面倒が見られるような、行政改革の中でもこういう統率的な総合調整能力が発揮できる機能なり機構ということに対して、長官はどのような御意見を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  44. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 現在の行政組織、機構の中で一番欠点が目立っておるのは、やはり総合調整機能の欠如、つまり縦割り行政が中央の省庁から末端の市町村まで及んでしまって、そこで大きなむだもあれば弊害もある、これは事実でございます。  そこで、昭和三十八年ごろの第一回の佐藤喜一郎さんが会長になった行政調査会からも御答申があったと記憶しておりますが、今回の臨調でもその点についてやはり総合調整機能の発揮が可能なような政府組織を検討したらどうだといったような御答申があるわけでございます。  一番肝心なことは、内閣機能といいますか、それの総合調整機能をもう少し強化するやり方を考えなければなるまい。実は昨年の暮れの改革の際に、これはいろいろ御批判がありましたが、私どものねらいは別段国務大臣の数を減らすことが難しいからというのではなかったのです。やはりそのときどきの一番調整機能を発揮していただかなければならない国政上の重要課題、それを無任所大臣制度によって補ってもらおうではないかということが実は総務庁設置と並んでの大きな目玉であったことも事実でございます。私は、それだけで十分とはもちろん考えておりません。やはり総合調整機能の強化は、行政改革を行う上においてさらに検討すべき課題であるなというふうには考えておるわけでございます。  御質問の、そういった中でも縦割りの弊害をなくするためには、やはり大事に問題がある、したがって、採用を一元化して、そして一元化したところで各省に人員を配置をする、同時に、各省間の人事交流も活発化するといったような施策、これをやるべきではないか、これもまた古くて新しい問題でございます。何といいましても、各省大臣が省内を統率をするというためには、各省大臣の人事権というものは最大限に尊重しなければなりませんから、それらとの関連で、これまでもやらなければならぬなと思いながらもなかなか難しい課題であった。したがって、御指摘の点はよくわかりますが、採用の一元化、そして各省の壁を取っ払った各省の人事交流というところまではなかなかいきにくいと思いますけれども、そういうことを頭に置きながら、現在各省間の、課長クラスまででしょうかね、あるいは事務官段階での各省間の交流人事を活発化しようということで、現在そういう人事はやっているつもりでございますが、これで私は必ずしも十分であるというふうに考えておりませんので、御指摘のような点は政府全体として将来検討すべき課題であろう、かように考えておるわけでございます。
  45. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 全くこれは現機構から見ますならば大変なことでございますが、しかし、やはりこの問題を避けては行政改革も効率的な改革もできてこないのじゃないかと思いますので、ひとつ長官には、このことを念頭に置いて、今後この問題に取り組んでいただくよう要望いたしておきます。  時間もなくなってまいりましたので、次に農水関係についてでございますが、昭和五十九年度に二千七百六十二人の定員を削減すると聞いております。この中で、国有林野事業について千七百人ぐらいの縮減ということも聞いているわけでございますが、国有林野関係の定員内職員の年齢構成を見ますと、大変な効率化を示しております。今、国有林野の方は独立採算制を持ち出されますと全くの赤字でございますので、結局は、私たちの考えている国土保全とか水資源の涵養とか山村地域の振興への寄与等、いろいろな国土そのものを保持するための重要な任務からして、現在のようなこういう数の削減をしたのでは、後継職員の問題とか、将来大きな問題を惹起するのではないかと思っていますので、この点について、ひとつ政府の見解をお聞きしたいと思います。
  46. 小澤普照

    ○小澤説明員 お答え申し上げます。  国有林野事業がその使命を十分に果たしてまいりますためには、経営の健全性を確立することが不可欠でございまして、今後におきましても一層の経営改善努力を重ねていく必要があると考えているところでございます。特に、現今の業務収入をもって人件費を賄い得ないような財務事情のもとにおきましては、組織の簡素化、合理化、要員の縮減、これは避けて通れない課題でございまして、このことは、臨時行政調査会、また林政審議会からも強く求められているところでございます。しかしながら、財務事情悪化のゆえをもちまして先生御指摘のように国有林野の管理経営がゆるがせにされてはならないことはもちろんでございます。そこで、今後作業能率の向上でございますとか事務の改善合理化等によりまして事業運営に支障のないように努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  47. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 時間が切れましたので、まだ質問事項をたくさん持っておりますが、また次に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
  48. 上村千一郎

    上村主査 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  49. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 冒頭にお尋ねをいたしたいと思いましたのは、総務庁設置の関係で、七月一日からこれが発足するというので、国民の素朴な声からいったらそれじゃ一人大臣が浮きますねと、こういう声があるのでございますが、ただいま御答弁の中にもいろいろとお話が出ておりましたので、そのことについてはお尋ねをしないことにさしていただきます。  そこで、大臣にお尋ねをいたしたいと思いますのは、総務庁設置以後の中央省庁の統廃合計画というものが一体いつごろ出てくるのかなという素朴な声がありますので、率直にひとつお答えをいただけたらありがたいと思っておるのであります。
  50. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 七月一日から総務庁が発足いたします。それと同時に、それを含めて十一省庁の中央機構の統合合理化、これも七月一日からということで今、鋭意努力をしておりますが、さてその後、国土庁、それから北海道開発庁、それから沖縄開発庁、こういった問題についての検討の課題はあるわけでございます。これは臨調答申の中でも、いろいろなそれぞれの地域の特殊性がございますし、直ちにというわけではないが将来の検討課題、こういうような御指摘もございます。中央省庁の統廃合、これはなかなか重要な課題でもあるし、厄介な問題でございますが、これらはやはり時代の変化、推移を見きわめながら絶えざる勉強の課題であろう、私はかように考えているわけであります。
  51. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 よくわかりました。今のお答えでよくわかるわけでありますけれども、国土庁の問題にいたしましても、北海道あるいは沖縄それぞれの開発庁の問題にいたしましても、臨調答申で検討を求められております行政機構の再編合理化案、これは徴税機構あるいは科学技術行政の機構の問題などその具体化について臨調も大変心配しているわけですね。そこで、私ども思いますのは、今度も相当な七月一日の改革でありますから、その政府の御努力はよくわかるわけでありますけれども、しかし、やはりこれも行うのには人が要るわけですね。やはり相当な人材が要る。これは私、決しておへつを言うわけじゃありませんが、後藤田さんのような切れ者が出てきて、かみそりじゃなくて大なたを振るう蛮勇の士が出ないと、検討、検討が長引いてしまって、国民の期待からは甚だ遠いものになり、忘れられてしまう。ひょっとしたらやらぬのじゃないかというような危惧を国民が抱いてしまったら、私は、この行政改革というのはもう大変なつまずきをすると思うのですね。その点が非常に心配なので、せめて例えば次の通常国会には出せるであろうとかいうぐらいの見当のところはお答えができぬものでしょうか。
  52. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御質問の中にございましたように、第二臨調からも、総合安全保障に関する機構、科学技術行政機構、それから保健、福祉、社会保障及び雇用等の行政の機構、国土及び環境に関する行政機構、文化行政機構、徴税機構、政府金融に関する機構、こういったものがこれからの中長期の検討課題として御指摘を受けております。私もこの答申を読みまして、やはりこれから先の行政機構のあり方として、こういったものはまさに検討の課題であることだけは間違いがない、かように思っておるわけです。しかし、さすがの第二臨調も、これはやはり中長期の課題である、こういう御指摘でございます。  私どもも、行政機構の改革ということは、先ほど申し上げましたように、やはり熱いうちにやりませんと、空気が冷えてくるとなかなか困難な仕事であるだけに、実効が上がらなくなるということも十分承知をしております。しかし一方、これはなかなかそう一刀両断というわけにはまいらない仕事でもあるので、私はやはりそういった意味合いで、世の中の変化に対応できなくなってきておる組織、機構だけはその都度改革をしていくといったような手法でやらざるを得ないのではないかな、かように考えておるわけでございますが、臨調が指摘して今やれと言っておるお考えは、これはまさに今やりなさい、こういうことであろうと思いますから、私どもとしては、さしあたりは臨調答申の線に従って、いろいろなプレッシャー団体もありますし、厄介なことも出てくるかと思いますけれども、これだけは何としてでも政府としてはタイムスケジュールを決めてやっていきたい、かように考えているわけでございます。
  53. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣にいま一点お伺いしたいと思いますが、この総定員法の見直しですね、これはもう時期が既に来ておるというよりも遅いぐらいじゃないかというふうに思います。  五十九年度で相当数を減らすのだからということで、総理のお声がかりで思い切った人数を減らすとおっしゃるのですけれども、国民の感覚、それから我が党の感覚からいいますと、どうも一けた違うのでございます。そういう点で大変な心配をしておるわけでありますが、私どもの党も決して生首を切れというようなことを申し上げておるのではありません。いわゆる自然退職をなさいます方が年率約四%ぐらいあるのじゃないかということをお聞きしておりますが、しからば民間の会社で、もう財政困難でにっちもさっちもいかぬという場合は、労働組合と相談をしてでも向こう三カ年は新規採用はストップというようなことで、おやめになったその後は一〇〇%埋めないというやり方をして、血の出るような苦労をしているのですね。しかし、こういう何といっても国の中枢にある中央省庁の中で、いわゆる国家公務員の皆さんを一年間に一人も補充しないなんということをやったら、これはまた国家の将来に対して大変なことになりますので、せめて半分ぐらいは補充をしないという大方針ぐらいは出せぬものか。まずその方針を打ち出して、それから計画に具体的に取りかかるというぐらいの気持ちでおやりにならないと、総定員法の見直しということもなかなか動きがとれぬのじゃないかという心配をしておるのでございます。この総定員法の見直しについては、計画としてはどういうようになるか、お答えをいただきたいと思うのです。
  54. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 岡田さんの御指摘は私は一つの御意見だろうと思うのですね。仮に四%自然退職があるならば補充はその半分にしなさい、そうなれば、五年たてばこれぐらいの削減ができるではないか、これはごもっともだと思うのですね。政府も、この定員削減は従来からそういうやり方でやった時期があるのです。しかしながら、やってみるとなかなか実効が上がらない。それはなぜかといいますと、政府のそれぞれの機構の中にどうしても増員をしなければならない面があるのですね。例えばお医者さんであるとか看護婦さんであるとか、あるいは税務職員であるとか、あるいは学校の先生方であるとか、こういった職場はどんどんふやさなければならないわけですね。そこで、一律の削減、一律の不補充というのは実際問題として合わないのです。一方には削減をどんどんやっていいところの役所もあるといったようなことでございます。そこで、その後そういうやり方を改めまして、そうして今やっているように要削減部門は思い切って削減を出してもらう。しかしながら要増強部門ですね、それについては十分査定をしながら最小限のものは認めていくといったようなことで、政府全体としての削減をどの程度にしていくか、ネット減ですね、そういうやり方でやってきておるので、私は手法としてはその方が現実的ではないのかな、こう思います。ただそのやり方が、今回田さん御指摘のように国民サイドに立って見れば、四千名弱ネット減を出したところで、公務員の総数が八十万ですか九十万程度おる。しかも準公務員まで、地方も全部入れればこれは五百万を超すわけですから、そんなのは手ぬるいじゃないかとおっしゃるのも、これは私はもっともだと思いますね。  そういったようなお考えから、むしろこの際総定員法を思い切って削減したらどうだ、こういう御意見が出てくるのですね。ただ、その際には行政サービスというものをどのように見るのか、これを落としたのでは、これはまたかえって逆な結果になりますからね。そういうようなことで、あれは昭和四十二年でございましたかね、あの総定員法が制定になったのが。それ以来、先ほど局長が申しましたように、ネット減が一万六千、学校の先生その他の要増員部門をのけますと五万数千名の削減ということになっておるわけでございます。そこで、そこらを頭に置きながらむしろ総定員法自体をこの際縮減したらどうだ。殊に総定員法と現実の定員ですね、これは少しすき間があるのですよ。それなら、そのすき間だけは落としたらどうだという御意見もあります。しかし、それをやりますと、年度当初と年度の終わりと、やめる人が出てきますからそこで調整数というものが要りますから、そういったようなことで今どれぐらい開いておるかといいますと、すき間が一万二千三百九十六人おるのです。だから、平たく言えばこれだけ切ってしまえばという意見もあるのですけれども、ところが、年度当初のすき間は八千六百五十八人しかないのです。そういったようなことがございますので、現時点でこの総定員を削減するという考え方は実は持っておりません。といいますのは、今度地方事務官の改革がありますね。そうなると、たちまちこれはどうなるのか、今、地方事務官は総定員法の枠外でございますから。それ以外に新設の医科大学、こういったものもみんな枠外にありますから、こういったことを考えますと、今直ちに総定員法の削減をやるという考え方はございませんので、その点はぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
  55. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。よくわかりました。せっかくひとつ努力をしていただきたいと思います。  今度は全然違う方向に行かせていただきます。これは長官にぜひ参考に聞いておいていただきたいと思うのでありますが、運輸省の方、お見えいただいていますね。  これは私が実は匿名で質問をしてもらいたい、質問というよりはむしろ頼んでもらいたい、こういうことを受けまして今質問に立っておるわけでありますが、どういうことを頼まれたかといいますと、日本国籍を持った船がありますね。この日本籍船は、建造のときにももちろん検査があります。それから今度は出航いたしまして、海外へ荷を積みに出ますね。そういうときなんかに、例えば一年なら一年ですか、私詳しく知りませんが、安全検査なんというのはやはり国際ルールでやらなければならぬことになっておるそうですね。そういうものをいたしますときどこで検査を受けるのかといったら、海へ出ておるわけですから、海外に出ておるわけですから、日本へ戻ってきて検査を受けるなんということはもうとんでもない浪費になるわけです。そうすると、在外の大使館とかあるいは総領事館のある港のあるところまで船を持ってこい、そこへ持ってきたら検査をしてやる、こういう仕組みになっておるので、例えば大使館のある港のあるところがここだといたします、自分の行かなければならぬところはこっちの方向になっている。そうすると、こっちの港へ行かずにこっちへまた戻ってこなければいかぬ。戻ってきて検査を受けて、またこっちへ行かなければいかぬ。これがばかにならぬ。何十億という金がかかるそうであります。それで大変困っておるので、この点をひとつぜひ行政改革として是正をしていただきたい、こういう依頼を受けたのです。私、調査も何もしておりません。運輸省の方でその実態を率直によくわかるようにひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。
  56. 戸田邦司

    ○戸田説明員 御説明させていただきたいと思います。  日本船舶は、国際条約及び国内法の定めがありまして定期的な検査を義務づけられております。その船舶が海外にあります場合につきましても、日本政府が責任を持って検査をしなければならない、そういうような仕組みになっております。  ただいま先生御指摘の海外における船舶の検査につきましては、現在のところ、ニューヨーク、シンガポール、ハンブルクそれにラスパルマス、この四カ所の在外公館に検査官を常駐させまして検査を実施しておりますほかに、我が国から巡回出張いたしまして船舶の検査を実施しております。  参考までにそれらの検査の実数を申し上げますと、年平均三百隻を海外で検査しております。ただ、船舶の運航の計画というようなものが、これは商売でございますので、急に行き先が変更されるというようなことも考えられますので、そういった場合につきましては、検査の期日を一定期間延長をするというような制度もございまして、船舶の所有者が運航上差し支えのないようにというような便宜的な方法も講じているところであります。  それから、船舶の検査と一口に言いましても、その中には技術的に非常に複雑な面もありまして、検査の一部につきましては検査を代行しております日本海事協会というのがございますが、そういう代行機関の海外駐在員が行う検査の結果を見まして、それで一部は合格するというような措置も講じております。  今後の問題でございますが、船舶所有者の利便ということにつきましては、いろいろと御指摘のあるところでもございますので、なお一層円滑な検査が実施できますように努力していきたいと考えております。
  57. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  お答えを聞く限りにおいては、全世界に四カ所の常駐員も置いておる、また、臨時に巡回出張もさせておる、だからいささかの不便もないはずである、行き先変更などがあった場合は順次その検査の期間も延長して差し上げておる、一向に不自由はないはずであるが一体どういうことかな、こういうお答えでありまして、私もキツネにつままれたような気がするのでありますが、その人が私に話をしておられましたときに、こういうことを言うのです。私、専門家でないからよくわかりませんが、日本以外に海運が非常に発達をしておるイギリスだとかそういうふうな関係の国におきましては、もう役人がどんどん出てきて検査するというようなことではなくて、いまおしゃった民間の日本海事協会というようなものだろうと思うのですが、民間機関にその検査をゆだねてやっておるものですから、大変サービスがよろしい。だから自分がここの港へ貨物をつけにゃいかぬなというので、こう行っておるときにその期間が来た、まだ随分日にちがかかるというような場合にどうするかというので連絡をとると、ヘリコプターが飛んでいける程度まで陸に近づけられぬかというようなことをいろいろ調整をしまして、それで船が行っているときにヘリコプターでずっと飛んでいって、その検査員が下へおりて検査して、オーケー、さようなら、こう言って帰ってくる。船の運航にはいささかの支障も起こしてない。日本の方は非常にかたくおやりになるものだから、何日あるいはひどいときになると何週間という日にちがむだになることがあるということを言うのですね。今お答えになりましたのと大分違うのでございますよ。我が日本におきましてもそういうふうに、例えば洋上におるのだったらヘリコプターで飛んでいってでも検査をしてやるというような、そういうきめの細かいサービスというのはやっていらっしゃるのでしょうか。
  58. 戸田邦司

    ○戸田説明員 ただいま先生からお話のございました諸外国の例につきましては、私どもの方でもいろいろと調べております。例えば先生のおっしゃられました英国あるいは米国、それから海運国としては非常に大きな力を持っておりますノルウェー、そういった主要海運国の検査の仕方につきましては、私どもが調べたところでは、例えば先ほど申し上げました日本海事協会というような団体をそれぞれの国が持っておりまして、保険にかかわりのある部分、具体的に申し上げますと船体とか機関、そういった部分につきましては、そういう検査機関が商売として実施しております検査の内容を国の検査にかわるものとして受け入れております。  それからその他の検査でありますが、例えば設備で、一たん事故があった場合に脱出するための救命設備とか、そういう最終的な脱出手段につきましては、いずれの国につきましても国が直接検査をするという制度をとっております。  それから検査の実施上の便宜といいますか、先生おっしゃられましたヘリコプターで飛んでいくというようなことにつきましては、予算上の制約もございますが、できるだけ努力してまいりたいと思います。海外検査におきまして我が国の検査官が実際にヘリコプターで飛んでいったというような例もございます。いずれにしましても、実行上の問題として、すべてが問題なく実施できるということはまだなかなか難しいことでありますが、なお一層の努力をしてまいりたいと思います。
  59. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは次に、いま一つ違うことをお尋ねいたしますが、日本国籍船で海外に出ておって、この船はもう売却しよう、買い手がついたというような場合は、やはり検査とか許可というものが要るのじゃありませんか。それがなかなか面倒くさいので、日本に連れて帰ってくるとか、あるいは今言いました大使館のある検査員のおる港まで曳航しなければそういうことがなし得ないというような不便さがあると聞きましたが、譲渡、廃船というような場合、海外におっても船が使い物にならないから廃船にするということもあり得ますね、譲渡する場合と廃船する場合、海外に出ておる場合にはこれはどうなっていますか。
  60. 戸田邦司

    ○戸田説明員 船舶を海外に譲渡するということにつきましては私の担当でありませんので、あるいは正確さを欠くかもしれませんが、海上運送法という法律に基づきまして船舶の譲渡の手続が必要になります。  それから船舶の検査そのものにつきましては、海外に譲渡するあるいは我が国が海外から譲渡してもらう、そういうようなケースにつきましては、それまでの検査の実績というようなものを検査の実行上の扱いとして重視する、つまりそれまでその船舶が持っておりました検査証書あるいは実際に検査を受けていた実績、そういったものを勘案して検査を進めるというようなことで実行しております。
  61. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  今、私二つの質問をしたのであります。一つは、海外に出ておる場合の安全検査、これについては先進海運国といいますか、日本は海運国ではもう大変な国で先進国と肩を並べていささかの遜色もないわけでありますが、その先進諸国がやっておるようないわゆる検査の制度というものをいま一応見直していただきまして、それで国内の海運業者の諸君がいささかも困ることがないようにぜひしてやっていただきたい。何せ遠い遠いところへ出ていっておるときの話でございますから、不便がないようにぜひともひとつ再検討をお願いしたいと思うのであります。  それから、今の譲渡、売却の件については、ちょっと所管が違うからということの前置きがありましたので、深くは申し上げませんけれども、外国において自分の持っておる船を売却しようというようなことが起きた場合大変面倒な手続が要る。なかなか間尺に合わない。大変経済的な損失を受けるというのですね。そのおっしゃる方が言うのには、今の譲渡の問題もそうでありますが、安全検査の場合でも、とにかく係官の方が、これは民間であってもあるいは政府の役人の人でありましても、そのお見えになる経費というものは全部船会社が持っていいわけですから、そんなものを我々出し惜しみはせぬのですから、とにかくはるばる遠いところまで船を回していかなければいかぬというようなことだけは絶対ないようにしていただきたい、この要望が通ったら日本国じゅうの海運業者がもろ手を挙げて喜ぶだろう、こうおっしゃったのです。だから、今聞いているのとは少し違う感じがするのでございます。評論家が言うたのじゃないのです。実際に海運をやっておる人から聞いたのでありまして、ちょっと違うのでありますが、その点、ここで追及しようとは思っておりません、きょうはお願いの方の立場でございますから。長官、行政改革の面からも、こういう民間で不便がっているような制度があるとするならば、どうすれば民間の活力をより一層引き出すことに役立つかという観点からもひとつぜひ関心を持っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、次に地方自治体の関係でございますが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、つづめてお尋ねをしたいと思います。  今、私どもの民社党というのは、行政改革にはどこの党にも負けぬほど熱意を持って、憎まれ者になって実はやっておるわけであります。時には自分自身の選挙に物すごい影響があるなというようなことがございましても、勇気を出して発言をしてきておる党でございますが、現在の地方の実態というものは、もう御承知のとおり高給与、高退職金、それに連動する年金の高さ、民間の人たちから言わしたらあきれ返って物が言えないというのが実態でございます。  そこで、地方公務員の給与等を是正するためにこうしたらいいのじゃありませんかという措置法をお出しになるようなお気持ちを持っていないか。私どもの党で仮に名づけております地方公務員の給与等の是正のための臨時措置法というようなものをお出しになってでも地方の姿勢を正していく強い姿勢をとられるお気持ちはないかということを自治省の方にお尋ねをしたいのであります。
  62. 米山市郎

    ○米山説明員 地方公務員の給与の適正化に関する特別措置法を制定する考えはないかというようなお尋ねかと存じますが、自治省といたしましては、現在給与制度運用の不適正な団体に対しまして強力に指導をいたしている段階でございます。地方自治に対する不信の大きな原因が先生御指摘のような地方公務員の高給与あるいは高退職金の実態にあるということは常々申し上げておりまして、地方自治を守る上からも、給与是正、退職金を是正することが最大の課題であるということは、折に触れて地方団体に対し申し上げてきているところでございます。こうした指導に応じまして、地方団体でも精力的にこの是正に取り組もうというような機運がまた出てきていることも事実でございます。したがいまして、現段階におきましては、臨調答申にもございますように、地方自治体の自律機能に期待するという立場に立ちまして、現行法に基づく助言、指導等を十分活用して住民の納得の得られるような給与水準あるいは退職手当にするように精いっぱいの努力をしてまいりたい、かように考えております。そういう状況でございますので、その成果をいましばらくごらんをいただきたいと思っております。
  63. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間が参りましたので、残念ですが質問を打ち切らなければなりません。  そこで、行管長官に最後にお願いをしておきたいのであります。  国の総定員法の見直しにつきましては先ほどお願いしましたが、三百二十万の地方公務員の総定員、これも大変地方住民がまゆをしかめている実情なんです。これは、実態を地方へ出てごらんいただければ、恐らくどなたも否定しないと思います。そういうことが政治不信につながってまいりますので、いわゆる地方公務員の定員をどうしなければならないのかということもやはり政府として大きな指導力を、これは自治体に介入するということではなくて、国民という立場に立って、放れこまのように暴れ回っておると言ったら言い過ぎでありますが、自由勝手に飛び回っておる地方自治体に対して、それはまずいよという強力な助言があってしかるべきではないか。いわゆる給与の問題、退職金の問題、そして定員の問題、こういう問題等について大変国民が要望を強めておりますので、ぜひひとつ関心を持っていただきたいと思うのです。  それから、いま一つ国民が不思議に思っていますのは、国が人事院勧告を出しましたら、各都道府県、政令都市、それから仙台、こういうようなところがもうほとんど右へ倣えでどっと同じ数字が並ぶんですね。新聞の活字がもったいないような気がいたします。どれを見てもほとんど変わらない、コンマ一ぐらいの違いしかないというそれぞれの各都道府県あるいは政令都市の人事委員会の勧告でございますね。これも地方の実態に全く合っていませんので、もう本当に国民としたらいら立ちを持っておるのであります。  それで、小さい都市、小さい町村なんかに参りましたならば、どこへ行ってもその住民の中で一番たくさんの年収をもらっておるのはだれかといったら、文句なしに公務員、こういう答えが出るのです。お医者様が一番でありますが、二番目が公務員、こういうことでありますので、こういう実態をそのままほっておいては政治の将来が大変おもしろくないことになってくる。だから、中央の行革と歩をそろえて地方の行革についてもひとつ強力な御指導をいただきますよう御希望を申し上げまして、質問を終わらしていただきます。貴重な時間、ありがとうございました。
  64. 上村千一郎

    上村主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして行政管理庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  65. 上村千一郎

    上村主査 次に、皇室費及び会計検査院所管について順次説明を聴取いたします。山本宮内庁次長
  66. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 昭和五十九年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十九年度における歳出予算要求額は二十七億八千百十六万七千円でありまして、これを前年度予算額二十八億二千四百六十七万八千円に比較いたしますと、四千三百五十一万一千円の減少となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億三千九百万円、宮廷に必要な経費二十三億七千百八十八万七千円、皇族に必要な経費一億七千二十八万円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して一千八百万円の増加となっております。  これは、内廷費の定額二億二千百万円を昭和五十九年度においては二億三千九百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億五千七百十三万六千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十億一千四百七十五万一千円でありまして、前年度に比較して六千九百二十万三千円の減少となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して七百六十九万二千円の増加となっております。  これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額二千四十万円を昭和五十九年度においては二千二百万円に増額改定することを予定していること等によるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして、昭和五十九年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  67. 上村千一郎

  68. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 昭和五十九年度会計検査院所管の歳出予算案について説明いたします。  会計検査院昭和五十九年度予定経費要求額は百億六千百八十八万六千円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として九十億四千四百二十五万七千円を計上いたしましたが、これは総額の九〇%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億九千七百九万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億八千二百四十五万九千円、外国旅費が七百二十万七千円であります。  施設整備費として千三百八十九万八千円を計上いたしましたが、これは書庫整備等の工事費であります。  その他の経費として四億六百六十三万五千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、並びに検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千三百一万二千円、電子計算機等借料四千八百九十四万三千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十九年度予定経費要求額百億六千百八十八万六千円を前年度予算額八十七億四千八百五十四万二千円に比較いたしますと、十三億一千三百三十四万四千円の増加となっておりますが、これは人件費において十二億七千九百五十八万六千円、検査業務に必要な経費において六千百三十三万四千円増加し、施設整備費において、二千百三十五万一千円減少したことなどによるものであります。  以上、甚だ簡単でありますが、本院の昭和五十九年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  69. 上村千一郎

    上村主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、皇室費及び会計検査院所管については終了いたしました。  午後零階三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十九分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十分開議
  70. 上村千一郎

    上村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 きょうは時間がございませんから、池子弾薬庫の問題についてだけ質問をさせていただきたいと思います。  逗子市やあるいは神奈川県、そして県市議会が全会一致でこれまで何回となく池子弾薬庫の全面返還の問題について関係方面に要請をしてきたことは御理解のとおりでございましょうし、あわせて実は国営公園、国営大規模公園というのが正確な名前でございますが、誘致の運動にも取り組んでまいりました。東京周辺で残された唯一のあれだけのスケールメリットを持った、いわば自然、緑でございまして、これを何とかして残していきたいという気持ちを込めて、私自身も数年前の予算委員会で国営大規模公園の問題についての提案を建設大臣に行いました。それがきっかけになって、実は建設省が調査費を組みまして、五カ年かかって一つのプランをまとめました。逗葉地区大規模公園の基本構想、こういうものでございます。報告書の中で、最後になりましたけれども池子弾薬庫の問題に触れておりまして、「返還されることになった場合、この大規模公園の公園計画についても見直しを行う」ということが明記してございます。つまり弾薬庫の返還と大規模公園の問題の関連をこのように明らかにしているわけであります。今後とも大規模公園の誘致について力を尽くしてまいりたいと思いますが、防衛施設庁はこれについて全面的な御協力をいだだけるかどうか、国のお立場を代表して、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  72. 塩田章

    ○塩田政府委員 ただいまの大規模公園に関連します先生の御意向でございますけれども、過去の経過等は私どもよく存じております。今私ども、当庁としまして、今の時点で将来の見通しについて具体的に申し上げることは、これは困難でございますけれども、御要望の趣旨は米側にもよく伝えまして、地元のそういった御要望を踏まえながら話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは大臣にも念のために、政治家同士の話でございますから。東京周辺にあれだけの面積を持った自然や緑が残っているところはないのです。これは何も神奈川県とか逗子、地元の問題だけではなしに、東京一円の多くの人々にとっての重大な関心事だと思いますので、大規模公園の誘致をしている地元の要望にできるだけ協力していきたい、こういう御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今の防衛施設庁長官の御答弁を聞いておりましたけれども、そういう趣旨で対処してまいりたい、こう考えております。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 だとすると、これは蛇足かもしれませんけれども、もしアメリカが使わなくなった場合に、自衛隊が共同使用を含めて使用するということはないというふうに御公約いただけますでしょうか。これは施設庁長官。
  76. 塩田章

    ○塩田政府委員 自衛隊があの地区を使用する計画は、私ども承知しておりません。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 実は昭和四十七年十一月十五日付をもって、外務省アメリカ局長から横須賀市長あてに文書をもって意向照会が行われました。その意味は、ミッドウェーの母港化といいましょうか、横須賀寄港に関連をしてのやりとりなんでございますけれども、この文書によりますと、「通常型航空母艦一隻の乗組員家族横須賀居住について ①第七艦隊き下の通常型空母一隻(ミッドウェイの予定)の乗組員家族約一千世帯程度を明春以降逐次、横須賀市及びその周辺の民家を借上げて居住させたい。」②として、「本件は新たな施設区域の提供を要するものではない。」というふうに明記してございます。つまり、新しい施設や区域の提供を要しないので、ミッドウェーの寄港というものをひとつ了承してほしいという、いわば地方自治体に対する約束事でございます。この約束をしておきながら、今新しく住宅という施設を建てる、これでは約束違反じゃないですか。この点をどう理解していますか。
  78. 塩田章

    ○塩田政府委員 御引用になりました外務省の文書、私どもよく承知しております。にもかかわらず、こういうことをお願いしておりますのは、ミッドウェーが入ったから、こういうことでなしに、最近の横須賀地区におきます米海軍の住宅の不足の状況といったことにかんがみまして、どうしても今回のような約一千三百戸という不足数でございますが、それの解決をしてほしいということで今回のような話になったわけでございまして、個別の個々のどの船が入ったからどうということではございませんので、その点はひとつ御了承賜りたいと思います。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それはごまかしなんですよ。アメリカからのさまざまな資料を見ますと、ミッドウェーの母港化以来、約一千戸の住宅不足がある、それを埋めなければならぬというふうに関連づけているのです。以来なんです。ようやく今ということなんです。これはつながっているのです。だから、ミッドウェーの母港化と関係ございません、それとは別ですから、改めて建てさせてくださいという理屈じゃないのです。その点はどう考えておりますか。
  80. 塩田章

    ○塩田政府委員 米軍の住宅不足の問題は在日米軍全般に共通しまして、横須賀だけの問題ではないわけでございますけれども、その大きな理由としまして、先生御承知と思いますが、米軍がいわゆる徴兵制でなくなって志願制に切りかえまして、それ以後そういった海外に派遣しておる職員の住宅といった問題につきまして方針を変えたといいますか、住宅の需要は大きくなったといったような状況がございます。  それからまた一方、横須賀地区につきましても民間の住宅を借り上げておるケースあるいは借り上げた場合に規格が十分でないといったような、あるいは古くなっているといったような事情がそれぞれございまして、そういうものをあわせまして、最初に申しましたようにバックとしましては徴兵制から志願制に切りかえたといったようなことから住宅需要が非常に強くなってきておりまして、そういうことを考えまして、今度の横須賀の場合約一千三百というのが出てまいったわけでございまして、その点は個々の船ということでなしに、全般的なそういう米軍の事情変更があるということを御理解いただきたいと思います。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 志願兵になったから、在任期間が長くなったから家族持ちでというケースが多くなって住宅が不足したと、そうじゃないのですよ。一千戸ずっとつながっているのです。今あなたがおっしゃったように志願制になったからというのは向こうの御事情でございまして、外務省が当該自治体に対して、あるいは神奈川県民に対して新しい施設の提供を必要としないと約束したからミッドウェーが現実に入ったのでしょう。入ってしまったら後は、新しくできましたよ、したがって建てさせてください、これでは住民はたまったものではございません。そのことをまず私は要求をしておきたいと思うのです。  そこで伺うのですけれども、一月二十日に市長が「住宅建設後、住宅地以外の地区はどうするのか。」という質問をしたことに対して、防衛施設庁は三月二日に最終的に回答を示しています。その回答は、「現在、米軍は、弾薬を貯蔵せず補給品置場等として使用しており、今後とも引き続きそのような使用をするものであり、弾薬庫として使用する計画はないと承知している。」こう書いてございます。  この文書も、実は私ども承知しているじゃ困るのです。皆さん方がアメリカからきちんと約束をとって、使いませんということでないと、自分だけ承知していたけれども、実は事情が変わりました。いまの話だ。したがって、また入れるかもしれませんといったようなことになったって、それは後の祭りになってしまいます。  そこで念のために伺っておきますが、米軍は将来にわたって弾薬庫としては使わないという保証をしたのか、この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  82. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように三月二日にそういう回答を申し上げまして、市長さんの方から、それではよく趣旨が十分のみ込めない、再度説明してほしいということがございまして、私の方から「現在、米軍は、弾薬を貯蔵せず補給品置場等として使用しており、今後とも引き続きそのような使用をするものであり、弾薬庫として使用する計画はないと承知している。」というふうにお答えをしまして、その際に、「補給品」とは弾薬を含まないんだという趣旨のお答えを補足させていただいて、市長さんに御説明をしたわけでございます。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それでは一九八三年の八月の七日、池子の自然と子供を守る会の杉浦直子さんらに対して、横浜の防衛施設局長の発言がございます。それは、「我々は既に住宅建設計画を了承したので新たに弾薬庫跡地の返還を要求する理由は残されていない、アメリカは既に返還できる地域及び施設はすべて日本に返還してくれている、たとえ住宅計画がなかったとしても、又現在使用されていなくても池子丘陵地は返還されないというのは将来、例えばこれから五年から十年先に弾薬庫及び他の目的に用いられる可能性があるからである、」と断言しています。この言葉をはっきり施設庁長官、取り消しますね。
  84. 塩田章

    ○塩田政府委員 今の、当時の横浜の防衛施設局長の言葉がどういう言葉だったか、私、今承知しておりませんけれども、あの地区に関する我々の見解は先ほど申し上げたとおりであります。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 知らないけれどもと言うけれども、約束、ちゃんと議事録に残っているのですよ。取り消しますね、それもしそうであったとすればという前提がついても結構です。
  86. 塩田章

    ○塩田政府委員 もしそのような答弁を当時局長がいたしたとしましても、現在私が先ほどお答えしたのが私どもの見解でございます。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 五年ないし十年後に弾薬庫として使うことがあるかもしれないので返すわけにはいかないなどという言葉がどこから出てくるのですか。長い間住民が反対をし、運動をし、返還を求めてきた。この態度が、私は防衛施設庁の今度の態度の中に誠意のない態度として強調しなければならぬのです。  そこで、続いて質問をいたしますが、今申し上げた池子の自然と子供を守る会あるいはアメリカの自然保護団体が、アメリカの関係機関に米軍住宅建設について直接、間接に質問や要望を行ってきました。それぞれ返事が届けられています。それによれば、ワインバーガー国防長官は、昨年の五月の十九日付の文書で、「池子は米海軍の弾薬庫ですが、ずっと使われないできました。日本政府との条約上の取り決めにより、遊休化した施設は日本の管轄になります。海軍は逗子に弾薬庫を必要としているわけではありません。しかし」云云ということになっています。これは公文書ですよ、アメリカのワインバーガーさんのサインが入っています。その文書があるのになぜ――皆さん方も知らぬはずはないのです。アメリカの国防長官が公文書で弾薬庫は必要がないと言っているのですから、それならばこれらについて住民の期待にこたえてほしいというようなことをおっしゃる機会がなかったのでしょうか。
  88. 塩田章

    ○塩田政府委員 当時ワインバーガー長官あるいは米側のいろいろな方が日本側のいろいろな人に会われましてどういうことをおっしゃったというような報道は、私どもも報道としては承知しておりますけれども、この問題についてのいわゆる残った地域を弾薬庫に使うかどうかという問題についての私どもの見解としましては、先ほど来申し上げているような見解につきまして米側と折衝しました上でお答えをしておるわけでございます。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ワインバーガー国防長官がここまではっきり言っているのに、わざわざ三月の初めになって市長さんに、いや実はそう承知をいたしておりますというようなことを言いに来て、そしてクリアをしようなどという態度にも、市民の中では、何ということはない、最初から話は決まっているのに、それじゃそれを担保しておいて、クリアするために言い始めたんじゃないだろうかというふうに受け取っているのです。  面積の問題でも同じです。これはワインバーガー長官の、いわば基地内の住宅の面積、書簡によれば、用地の八%ないし一〇%が使用されるだけでしょう。それからアメリカ海軍省の回答は、百二十五エーカー、つまり一七・八%と文書回答をしています。国防総省は、一〇%以下の用地を使用することになるでしょうと書いてある。在日米海軍横須賀基地のマッコイ少将は、二〇%以内(住宅は一七%、共同施設三%)と言っています。これに対して防衛施設庁は、八十ヘクタールつまり二七・六%ということを主張しているんです。アメリカが二〇%以下だということを強調しているにもかかわらず、何で日本側が二七・六%ということを言わなければならないのですか。どっちの政府次代表しているんですか。はっきりしてくださいよ。
  90. 塩田章

    ○塩田政府委員 特にその面積の問題につきましてはいろいろ報道が当時ございまして、私どもも米側にその点につきましてただしたわけでございますけれども、私ども従来から申し上げておるように、米側との間の折衝を踏まえました上で約八十ヘクタールを使うということで参っておりますので、この点、米側のいろんな数字が、今御指摘のような数字が出たのが私どもには解せないということで実は照会もしたわけでございます。ただ、どうしてこういうことがいろいろ出たのかということでございますが、二百九十ヘクタールのうちの約八十ヘクタールでございますが、その四〇%はこれは緑地として残すということになっておりますので、それのとり方の問題等がございますと多少――八十ヘクタールというのはあくまでもこれは計画区域でございますから、その点で緑地として残す分がどれだけのパーセントになるかというようなことについて、あるいは多少見解の相違があったかもしれませんが、私どもの方としましては、今度の計画区域としては八十ヘクタール、その中でさらに四〇%は緑地として残す、こういう考え方で進めておるわけでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 見解が違うからというようなことでごまかされないのですよ。市民はやっぱりそこのところをきちんと見ているんですよ。私は立派だと思うのは、一々やっぱり公文書でアメリカが逐一返事をよこしているということですよ。それはやっぱり市民にしてみれば信用しますよ。あなた方が言っているのが水増ししているんじゃないかと思うのはそれは当たり前じゃないですか。  戸数でもそうですよ。在日米海軍司令官、横須賀基地の責任者マッコイ少将ですが、三百戸ずつ三年で九百戸ですと。それからアメリカ大使館も、はっきり九百戸だと言っているんです。にもかかわらず施設庁は、何となく最初は千三百戸不足しているからこれを建ててほしい。そのうちに千五十六戸で結構ですと言い始めた。これは何か談合しているみたいな感じがするのですよ、国民から見ると。最初から落とすところが決まっているのに、何となく高い値段で努力したからまけました、だから納得してください、こういうことをやってはいけないと私は思うのです、長い計画なんですから。だから、戸数は本当のところ何戸なんですか。
  92. 塩田章

    ○塩田政府委員 全体的に横須賀地区で千三百戸不足しておるということは毎々申し上げておりますが、その中で池子の地区に何戸ぐらい考えるかということにつきましては、我々は初めから米側と約一千戸という話でスタートしまして、ちょっと今先生のお言葉の中にございましたが、千五十六戸という基本計画を立てたわけでございます。それはもちろん米側とよく調整の上での話でございまして、決して談合とかといったような意味のものではございません。ただそれを、今度市長さんとの折衝の中で一千戸以内にしてもらえないかという御要望がございまして、その点も米側とよく調整しまして、一千戸以内に抑えるということで現在作業しているところでございます。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 じゃ何戸なんですか。
  94. 塩田章

    ○塩田政府委員 今の時点で一千戸以内ということを決めておりまして、具体的に何戸というところまでまだ決めておりません。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それじゃ具体的に市長とのやりとり、あなた方の回答についてお尋ねをしたいと思うのです。  これは念のために申し上げておきますが、私は実は今度の市長の態度変更というものを認めることはできません。そのことをはっきり申し上げた上で、しかしなおかつ何となくわけがわからぬのです、言っていることが。それが市民の疑問に答える意味で誠意を持って答えていただきたいと思うのですが、三項目のところの運動施設の問題がございます。  返還はできないということを前に置いて「この地域の全体計画を踏まえて運動施設を設置し、逗子市民も利用できるよう関係機関と調整することとしたい。」と書いてあります。これはアメリカの運動施設を逗子の市民が日を決めて使わせていただくというふうに調整するという意味ですか。それからその法的な根拠は何ですか。イエスかノーか、答えてください。
  96. 塩田章

    ○塩田政府委員 この点は、まさに今市長さんとの話し合いの中で、こういう方向で考えていこうということを話し合っているわけでございます。  具体的に今の使用形態、例えば市民がどのくらいの割合で、どういう形のもとで使うのかといったようなことを含めまして、具体的な話は今から検討していきたいと思っておりますが、方向としまして、この地区に運動施設をつくって共同して使えるようにしようということについて、米側と調整の上で、市長さんにそういう回答をしたわけでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 だからあいまいなんですよ。あいまいなものを市会で議論しておったって、あるいは市民の中でそのことについて検討しろったって無理なんですよ。  それから、続いて伺いますけれども、「調整池を設置するよう努力したい。」と書いてある。これは先ほどとは人がかわりましたけれども、横浜の防衛施設局長鮫島さんは、宅造を前提として調整池をつくるんだ、擁壁をつくったりなんかして、こう言っていますね、そのとおりですね。
  98. 塩田章

    ○塩田政府委員 そのとおりでございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それならば、県のアセスメントが出ない間はその工事は着工しないと約束できますか。
  100. 塩田章

    ○塩田政府委員 それは、そのように考えております。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ではこの五項目目の「全体計画を踏まえ、関係機関と調整の上御要望に沿うように努力したい。」と言っている例の医療機関と地域公民館の建設確保の――返還ですよ。これは十二ヘクタール全部返すということなのか、それとも医療機関、公民館の敷地だけを返すということなのか、どっちですか。
  102. 塩田章

    ○塩田政府委員 この五項の意味は、十二ヘクタール全部じゃございませんで、当該敷地の部分という意味でございます。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それはどのくらいの面積になるのですか。
  104. 塩田章

    ○塩田政府委員 これも、具体的に今どのくらいの面積というふうに、そこまで決まっておるわけではございません。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 みんなあいまいなんですよ。これはもう防衛庁長官に私はお尋ねはしませんが、昭和の初めから今日まで、市域の十何%という地域が弾薬庫に接収されている。海軍が強制的に押さえたんです。戦争が終わったから返ってくるんだろうと思った。そうしたらアメリカがそのままです。弾薬庫というのは、多くの市民が危険負担を覚悟しなければならぬ。したがって、逗子には四百メートルのトラックがないんです。私は、何回か国会でこの問題を取り上げてきた。ちっとも誠意を持って答えてくれなかった。市民からしてみれば、使ってないんだからいつ返ってくるか、これは期待を持つのは当たり前でしょう。それにもかかわらず、住宅をつくる。それには、もし皆さん方が誠意があるならば、逗子の市民にどういうメリットがあるのかということを示した上で、さていかがなものでしょうかというふうに持ち出すのが筋だ。ところが全然そんなこと関係なしに、建てるぞ、これは国の方針だからしょうがない、言うことを聞け、しかし、何か注文があるなら言ってこいよ、こんな態度で地域住民の協力を得られると思いますか。そんな態度でそこに住んでいるアメリカの人たちと地域の住民というものが溶け込むことができると思いますか。私は、ここのところが、何としても防衛施設庁の誠意のない態度として追及をせざるを得ないと思います。  それでは伺いますけれども、弾薬庫の用地の中に十五筆、建設用地内だけでも相当な、十筆かもしれませんが、市の所有地がある。知っていますか。
  106. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  そのように承知しております。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは地代を払っていますか。
  108. 千秋健

    ○千秋政府委員 この土地は実は未登記財産と我我は呼んでおりますが、旧当時代に買収したといいますか、それの手続が、登記を終わっていないというペンディング事項になっております。我々としましては一応国有財産として引き継いておりますので、借料等はお払いしてはおりません。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 市の所有地なんですよ。最新、昭和三十八年まで登記済みなんですよ。知らないんでしょう。
  110. 千秋健

    ○千秋政府委員 私ども承知しておりますのは、未登記財産ということでございます。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 米軍住宅建設の法的根拠を、ちょっと塩田さん、教えておいてほしいのです。あなたがおっしゃった言葉がありますけれども、ちょっと私、頭が悪いものですから、ようわからぬものですから、地位協定との関連ではっきりさせておいてください。
  112. 塩田章

    ○塩田政府委員 法的根拠ということになりますと、協定二十四条になろうかと思います。(岩垂分科員「何項ですか」と呼ぶ)一項、二項ともに関係をするわけでございます。つまり、一項で米軍の負担するもの以外は日本が負担するというのが二項でございますから、直接的には二項ということになると思います。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 あなたじゃないけれどもあなたの部下は、あるいはアメリカの方も、最初からボランティア、つまり思いやりと言っていたのです。途中から、あなた答弁が変わりました。いろんな団体との話し合いの中で変わりまして、思いやりではなくて義務だというふうに言い直しているのですね。これはどっちなんですか。
  114. 塩田章

    ○塩田政府委員 最初、俗に言う思いやりという言葉が出たことは承知しておりますけれども、実はその時点でも法的根拠ということになりますと、やはり地位協定二十四条に基づく提供であって、全くの思いやり、別な意味での、別な意味といいますか、全くの思いやりということではなくて、根拠としてはその時点から、やはり私は二十四条であったというふうに……(岩垂分科員「二十四条はわかっているんですよ」と呼ぶ)ですから、二十四条による提供であって、いわゆるボランティアではないということでございます。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 今逗子ではこういう問題を決めるに当たって、市民がその決定に参加できるような住民投票などをやるべきではないかということを含めた条例制定の動きがございまして、市民三人に一人です、一万三千人ですから、それだけの署名が集まっているのですよ。こういう重大な関心を持っているということについて、ぜひ防衛庁長官は注目をいただきたい、このことを私はお願いしたいものだと思いますが、きょうはあえて御答弁を求めません。しかし大臣が熱意があるならば、住民の皆さんとじっくり話をするというような機会を保障していただくように、私はお願いをしておきます。  もう時間がなくなってしまいましたから、ちょっと最後に、実は軍転法、旧軍港市転換法という法律がございまして、議員立法の法律なんですが、その制定をした三日後に逗子が独立しちゃったのです。それで、逗子には軍転法の適用が今日までされていません。だけれども、私は住民投票を通して立法行為に参加したということ、地域も一つだということ、一緒だったわけですから。それからもう一つは、何といいましょうか、基地の機能という点でも一体なんですね。それが横須賀だけは軍転法の適用を受けるけれども逗子はだめというのは、ちょっと私は均衡を失すると思うのですが、この辺の判断というものをどなたに求めたらいいのかな。内閣法制局、おられますか、一点聞いておきたいと思います。
  116. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 旧軍港市転換法は、旧軍港市を対象とする法律ではございますけれども、旧軍港市につきましては横須賀市等と定めるにとどまっておりまして、これらの市につきまして境界変更等がありました場合の取り扱いについては特に定めるところがないわけでございます。したがいまして、旧軍港市転換法第一条に規定します「横須賀市」と言いました場合には、地方自治法上の地方公共団体としての横須賀市というふうに解するほかはないと思いますので、現行の旧軍港市転換法のもとにおきましては、逗子市を同法の対象にあるというふうに解することはできないのではないかというふうに考えます。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 しかし、実際問題として行政運用にかかわる部分などについては配慮があってしかるべきだと思うけれども、その点いかがですか。法制局の答弁をいただきたいと思います、もう時間ですからこれでやめますが。
  118. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 運用の問題になりますと、私どもの所管というふうに申すわけにまいりませんので、関係省の方にお聞き取りをいただきたいと思います。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 自治省お見えになっていただいているのですけれども、時間が来てしまいましたので、大変恐縮ですが、失礼をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  120. 上村千一郎

    上村主査 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に中村巖君。
  121. 中村巖

    中村(巖)分科員 私は、防衛庁に都内の自衛隊の施設についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、東京都内にある自衛隊の施設のうちいわゆる駐屯地というものについて、二十三区内だけで結構でございますけれども、どのようなものがございましょうか。その所在地と面積をお答え願いたいと思います。
  122. 友藤一隆

    友藤政府委員 それでは、都内二十三区にございます駐屯地と所在部隊、土地の面積について申し上げたいと思います。  まず、練馬区の北町に練馬駐屯地がございます。第一師団司令部、第一普通科連隊等が所在いたしておりまして、土地は二十二万四千平方メートルでございます。それから新宿区の市ヶ谷には御案内のとおり市ヶ谷駐屯地がございます。ここには東部方面総監部、第三十二普通科連隊、通信団本部、あるいは幹部学校、その他航空自衛隊の補給本部でございますとか海上自衛隊の需給統制隊等が所在をいたしておりまして、土地は二十二万五千平方メートルでございます。それから港区の港南四丁目に芝浦分屯地、これは市ヶ谷の分屯地でございますが、保安中隊でございますとか東部方面の音楽隊が所在をいたしております。面積は一万九千平方メートルでございます。それから世田谷区の池尻でございますが、三宿駐屯地がございまして、陸上自衛隊の衛生学校、それから自衛隊中央病院、そのほか機関としましては技術研究本部あるいはそれの第二研究所が所在をいたしております。土地の面積は十一万二千平方メートルでございます。それから北区の十条台一丁目、それから同じく北区の赤羽西五丁目にまたがっておりますが、十条駐屯地がございまして、これは武器補給処の十条支処が所在をいたしております。面積は二カ所合わせて二十四万一千平方メートルでございます。それから世田谷区の上用賀でございますが、こちらには用賀駐屯地がございまして、陸上自衛隊の衛生補給処等が所在をいたしております。面積は二万五千平方メートルでございます。それから練馬区大泉学園町には朝霞駐屯地がございまして、陸上自衛隊の体育学校、輸送学校、中央音楽隊、それから第一施設団本部あるいは三十一普通科連隊等が所在をいたしております。土地は七十二万九千平方メートルでございます。そのほか陸上自衛隊の隊ではございませんけれども、目黒区には第一研究所あるいは防衛研修所の所在するエリアがございます。それから御案内のとおり港区赤坂九丁目、檜町でございますが、六本木の防衛庁の内局あるいは防衛施設庁が所在する場所がございます。
  123. 中村巖

    中村(巖)分科員 練馬とか市ヶ谷とかあるいは朝霞、これは大きな駐屯地であるわけでありまして、相当数の隊員も駐屯をしておって、かなり重要な機能を果たしているというふうに思うわけでありますけれども、練馬、市ヶ谷、朝霞、これにはどのくらいの隊員が駐屯をしておられるのでございましょうか。
  124. 友藤一隆

    友藤政府委員 概略の数字を申し上げますと、練馬駐屯地は約二千名駐屯いたしております。市ヶ谷には五千五百名でございます。それから朝霞でございますが、約三千五百名でございます。
  125. 中村巖

    中村(巖)分科員 北区の十条に自衛隊の駐屯地があるということは今お答えをいただいたわけでありますけれども、これは私ども承知をしているところによりますと、赤羽地区と十条地区という二つから成っておって両者は約二キロぐらい離れている。それぞれ旧軍の施設であって、面積が十条地区では約十三万平方メートル、赤羽地区で十一万平方メートルぐらいあるのではないか、こういうことでありますが、そのとおり間違いないでしょうか。
  126. 友藤一隆

    友藤政府委員 今先生おっしゃったとおりでございます。
  127. 中村巖

    中村(巖)分科員 ここの十条の二つの地域の利用関係でありますけれども、これは先ほどもちょっとお答えをしていただきましたが、霞ケ浦の武器補給処の十条支処であるというふうに聞いておりますし、そのほかに一部高射直接支援隊というものが駐屯をしているということも言われております。この点はいかがでございましょう。
  128. 木下博生

    ○木下政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  129. 中村巖

    中村(巖)分科員 高射直接支援隊というものは、東部方面隊のどこかの師団に属する一部隊である、こういうことでございましょうか。
  130. 木下博生

    ○木下政府委員 高射直接支援隊は、松戸にあります第二高射特科群のホークの整備支援を行っている部隊でございます。
  131. 中村巖

    中村(巖)分科員 補給処についてお伺いをいたすわけでありますけれども、陸上自衛隊のもとにあって方面隊とは別に学校とか病院とかと並んで補給処があるということで、補給処は今のところ九つあって、需品補給処だとか武器補給処といった品目別のものと、北海道、東北といった地区別のものとがあるということであって、この十条地区のは霞ケ浦にある武器補給処の支処として利用されている、こういうように聞いておるわけでありますけれども、それが事実かどうか。武器補給処の支処としてそれぞれの地域にどのくらいの人員が駐屯をしているかということについてお答えをいただきたいと思います。
  132. 木下博生

    ○木下政府委員 十条支処の機能でございますが、今おっしゃいましたように武器補給処の支処という役割と東部方面隊の補給整備を行う役割という両方の役割を担って仕事をしているわけでございまして、十条支処には人数が約七百二十名、それから高射支援隊の人数が九十名、その他が二十名ほどおりまして、それ以外に霞ケ浦の武器補給処の補給部等から約百四十名が派遣されて仕事をしております。
  133. 中村巖

    中村(巖)分科員 霞ケ浦に武器補給処の本処というものがあるということでありますけれども、武器補給処は恐らく火器だとか車両、戦車を含めてですけれども、そういうもの、さらにはホーク等の修理をやる、こういう役割を持っていると思いますけれども、この霞ヶ浦自体にある武器補給処の本処のエリア、ヤードはどのくらいあるものでしょうか。
  134. 木下博生

    ○木下政府委員 ちょっと手元に霞ケ浦の面積の資料を持ち合わせておりませんので、別途御説明申し上げます。
  135. 中村巖

    中村(巖)分科員 それを私どもが聞いておるのは、結局霞ケ浦に相当程度のエリアがあるのだとすれば、その支処としての十条は必ずしも必要ではないのではないか。どういうことで、このように東京都の二十三区内で武器の修理をあえてやらなければならないのか、こういうことをお伺いしたいわけでございまして、この点いかがでございましょう。
  136. 木下博生

    ○木下政府委員 十条支処では、先ほど申し上げたように武器補給処の仕事の一部をやっておるわけでございまして、その一番主なものはホークの整備でございまして、このホークにつきましては、全国一円の仕事を全部十条に持ってきて仕事をしておるわけでございます。  それから、ちょっとここでお答え申し上げますが、先ほど御質問ございました霞ケ浦の補給処の面積でございますが、四十七万平方メートルでございます。
  137. 中村巖

    中村(巖)分科員 ホークの修理を主にやっているということでありましたけれども、私たちの承知しておる限りでは、ホークというよりもむしろ車両の整備を中心にやっておるのではないかと思うわけでございまして、ホークにいたしましても車両にいたしましても、何でこの東京都の二十三区の中でそれをやらなければならないのか。こういうものは霞ケ浦に本処がある以上、その本処なりその至近のところでやればいいと思われるわけでございまして、あえて東京都内にその種の修理の場所を設けている理由をお尋ねいたしているわけでございます。
  138. 木下博生

    ○木下政府委員 先ほど申し上げましたように、東部方面隊には地区の補給処がございませんので、この十条支処がその役割を果たしているわけでございます。したがいまして、十条支処におきましては装軌車、装輪車及び部隊ではできないような非常に大きな火砲の整備あるいはオーバーホール等を行っておりまして、それ以外に、先ほど申し上げましたように、全国のホークの整備を行っておるわけでございます。したがいまして、その仕事は従来からこの地区でやっておりましたので、今後も東部方面隊の地区補給処としてそういう仕事を続けていく必要があるというふうに考えております。
  139. 中村巖

    中村(巖)分科員 十条の補給処の支処があるところは都内二十三区で、しかも大変に人口の過密な北区内であるわけでございまして、私どもが考えますに、ここはもともと旧軍の施設であったわけでありますから、それをそのまま承継をして今日なお使っておるというような状態で、あえてそこを使う必要は本来ないのだ。例えば、もっと用地が豊富にあるようなそういう関東近県であっても、東部方面の部隊の兵器の修理をするのに一向差し支えないのではないか、こういうふうに思いますが、この点についてさらに重ねてお尋ねをいたします。
  140. 友藤一隆

    友藤政府委員 今先生からお話ございましたように、ここは旧当時代は陸軍造兵廠として設置をされまして、それを米軍が接収いたしまして、同じような用途に使用いたしておったわけでございます。三十一年にこれが解除になりまして、三十四年から私どもが使用するということになっておるわけでございますが、当時から建物それから中の機材、エリア、そういったものは兵器の手入れをするのにぐあいよくつくってございまして、米軍もそれから私どもも、もともとある施設を活用して有効に利用することで、できるだけお金をかけないで効率的に利用していきたいということで今日まで来ておるわけでございます。新規にこういうものをつくるということになりますと、大変お金もかかりますし、場所も相当程度大きなものも必要とするということでございますので、私どもとしましては、この施設を今後さらに有効に活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
  141. 中村巖

    中村(巖)分科員 この十条の支処のうちの二つの地域の一方である赤羽のことについてお尋ねをいたしますけれども、私どもがこの施設を外部から見ておりますと、全く利用されていないというか、大変にわずかしか利用されていないということがあるわけでございまして、建物それ自体もわずかの建物が施設の一部に建っている。そしてそのほかの相当広大な部分、全体で十二万平方メートルからあるわけでありますから、その中の六〇%以上の部分が荒れ地のままに放置されているというか、そういう状態に見受けられるわけでありますけれども、この赤羽の部分を今現在どういうふうに利用しているのか、お尋ねをしたいと思います。
  142. 木下博生

    ○木下政府委員 十条支処のうち赤羽地区におきましては、車両、装軌車両と装輪車両、両方の車体の整備に関する仕事をやっております。それ以外に、従来テストコースがありましたところを整備を行った車両のテストに使うということのほか、東部方面隊で使っておりました米軍から無償供与された火砲類、車両類、そういうもので使えなくなった、不要になったものを米軍に返還しますまでその中に保管して、米軍がそれを受領しましたときにはそれを出していくというような形の保管場所に使っているわけでございます。
  143. 中村巖

    中村(巖)分科員 米軍から無償供与された武器を返還するまでの保管所に使っているといっても、現実に見てみますれば全く何年にもわたってスクラップ化して、赤さびだらけの車両であるとか、そういうようなものをただただ雨ざらしに放置をしているというような状態でありますし、テストロードという部分があるといいましても、その部分も草ぼうぼうで現実に使えるような状況でないし、また使うところをだれも見ておらないわけです。さらにまた、深い堀があって、その中にヘリコプターの着陸地のようなものがありますけれども、そこも一回も利用されていない。そういう意味で六〇%から七〇%の土地というものは未利用のままに放置されている、そういうのが実態であるというふうに私どもは思います。その多くの部分は未使用であって、車両の修理を仮にしているとしましても、それはその赤羽地区の中のほんの五分の一あるいは四分の一程度の土地を利用すればできることではないか、今現実の実態はそういうことではないかというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  144. 友藤一隆

    友藤政府委員 先生御指摘のように、赤羽地区につきましては、北側の部分、テストロードがございまして、そのあたりが車両の集積場になっておって余りテストロードも利用していないではないか、あるいはヘリコプターもめったにおりぬではないか、非常に遊休化しておるというようなお話でございますが、実はテストロードにつきましては、ここはもともと今お話がございましたように車両の修理等やっておったわけですが、修理をしたものをこのテストロードへ持ち出しまして試験走行して修理ができたかどうか確認をするということで、米当時代もずっと使っておったわけでございますけれども、あたりが相当市街化をしてまいりました時点で、大変周りも住宅が建ってまいりまして、これは戦車、装軌車等が走るわけですから相当の騒音、振動がする、あるいはヘリが出入りするたびにほこりが立つということで国会でもたびたび御指摘をいただきまして、四十三年にテストロードは中止をしたというようなことで、事実上使わないということで一見遊休化したような形に実はなっておるわけでございます。ただ、この場所の東側につきましては、ぜひグラウンド等に開放してほしいという地元の強い御要望がございまして、それを受けまして、四十五年から北区長さんのお申し出に従いましてグラウンドを造成しまして、地元に一部御利用いただいておるという状況でございます。  それからその後、実はこの近くに地下鉄の七号線、これは桐ケ丘から目黒という区間の路線だそうでございますけれども、これについて地元並びに営団の方からその場所を地下鉄の車庫に使用したいという御要請が出てまいりまして、私ども当時いろいろ検討いたしまして、山中長官のときでございますか、やはり地元のこういった御要望の趣旨にはある程度沿って検討すべきだろうということで内々準備はいたしておったわけでございますが、現在まだ路線認可等がございませんので、そのままになっておるわけでございます。最近私どもが営団の方へ聞き合わせましたところ、やはりぜひここは車庫に使用いたしたいというようなお話がございまして、こういった観点から、車庫用地として将来ここをお渡しするということに仮になりました場合には、そういった整備を今私どもやることが二重投資ということになりますと、やはり手控えざるを得ないということで、将来こういった地下鉄車庫等の整備の話が具体化しますれば、相当程度私どもとしても整備のめどが立ってくるのではないかと思いますが、現段階では、現在ある建物をできるだけ活用して車両等の整備等の仕事を続けて一層高度な利用に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  145. 中村巖

    中村(巖)分科員 今お話ありましたように、あの地域では昭和四十五年の四月から一部約一万四百平方メートルを少年野球場として国有地使用ということで北区で使わせていただいておるということと、昭和三十七年に地下鉄七号線の営業申請が運輸省に出されましたときに、あそこの地域、その少年野球場のさらに隣でありますけれども、それを車庫用地に使用するということで自衛隊の内諾を得ている、こういうようなことでございます。  そういうことからするならば、あえて自衛隊がその赤羽の地域のうちの相当部分を使わないでも済むということではないか、使わなくても十分に仕事ができるということで外部に対して使用させてもよろしいということになるのではないかというふうに思うわけでありまして、あの赤羽の場所の一部あるいは全体を今後公共用地として開放する、あるいは払い下げをする、そういう御意思が防衛庁におありになるのかどうか、お尋ねをいたします。
  146. 友藤一隆

    友藤政府委員 確かに先生御指摘のとおり、車庫に将来予定するならば要らないのではないか、こういう御疑問があろうかと思いますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、もともとここは、車両の整備をしてそれを走らせてみて、そのできぐあいをいろいろチェックしてみるということが必要な業務としてあるわけでございまして、地下鉄の車庫にある程度お譲りをするという場合には、そういった機能にかわるものを何かスペース等を工夫をいたしまして整備をしてまいりたいというふうに内々聞いておるわけでございます。
  147. 中村巖

    中村(巖)分科員 最後に、防衛庁長官お尋ねをいたしたいと思いますけれども、ただいまお脚き及びのとおり、東京都の二十三区の中の北区の中に本当に練馬や市ヶ谷に匹敵するような広大な地域がいわゆる補給処として、つまり車両を主体とするそういう兵器というのですか、そういうものの修理工場という形で使われているわけでございます。北区は大変に人口が過密でございまして、その中で公共施設というものもなかなかとりにくい。広場とか公園であるとか、あるいはそのほかの公共建物というものをつくる場所がないという状況でございます。その中でほとんど高度の利用がなされていないような用地を自衛隊があえて保有しているということは、大変に私どもとしてはおかしなことである、奇妙なことであるというふうに申し上げるほかはないわけでございまして、こういう今国が所有しておりますところの不要不急の財産は公共用地として他の用途に転換をして、あるいは民間に払い下げて、高度利用を図らなければならない、こういうことがこの緊縮財政の中で言われているわけでございます。そういう点で、この土地を何とか将来公共用地として北区民に開放をしていただく方向でお考えを願えないかどうか、その点長官にお尋ねを申し上げます。
  148. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今いろいろお話を承りました。正直言って、私自身がまだ現地をつぶさに見ておりません。承知をしておりませんから、ここで確たることは申し上げられませんが、いろいろ御指摘のような点が問題になっておるということは確かに承りました。  ただ同時に、私、まだ長官に就任してわずかでございますけれども、この東京都というところは非常に過密なところだ、いろいろこれから俗に言う大きな事件なりあるいは事態が起きた場合にどうするんだということも考えておかなければならぬ。その場合に、今ございまする自衛隊やあるいは防衛庁の持っておる敷地、こういうものの活用もあるのではないか。ですから、これは余り性急にここでどうこうということよりも、そういう立場からもいろいろ総合的に考えなければならぬのじゃないかなという気持ちもしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいまの御意見を十分に検討いたしまして対処をしてまいりたい、こう考えております。
  149. 中村巖

    中村(巖)分科員 時間が参りましたので終わります。
  150. 上村千一郎

    上村主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  151. 上原康助

    上原分科員 極めて限られた時間でありますので、端的に二、三点ばかりお伺いをしたいと思います。  まず、ACMI、いわゆる戦闘機戦技訓練評価装置の件ですが、御承知のように、この問題はたしか八〇年の半ばごろから持ち上がって、八一年、昭和五十六年の第五百六回日米合同委員会で正式に米側から問題提起がなされて、今日に至っていると思います。  実は、この件につきましては、米軍への新たな排他的な空域の提供であり、沖縄の民間航空路に重大な支障なり危険を与えるものだということで、我々はかねてから運輸省、防衛庁、外務省等に、新たな空域の提供というものはやるべきでないという立場で問題点を指摘をし、政府の御見解をお尋ねしてまいりました。かれこれ四、五年が経過しようといたしておるわけでございますが、運輸省あるいは防衛庁、防衛施設庁に資料提供を要求してもなかなか出していただけない。その点も遺憾と言わざるを得ません。  そこで、最初お尋ねしたいことは、このACMIの件については、これまでのマスコミ報道なりあるいは運輸省や防衛庁等の動きを見てみますと、総合的に判断をして、日米合同委員会のいわゆる民間航空分科委員会等で既に合意を見ているのではなかろうかという感がしてなりません。一体この合同委員会の決定がなされたのか、あるいはその前段の日米合同委員会民間航空分科委員会での合意を見ておるのか、そこいらの件についてぜひ明快にお答えをいただきたいと思います。
  152. 塩田章

    ○塩田政府委員 まだ日米間の合意がなされておるわけではございません。防衛施設庁としましては、なお関係機関あるいは関係漁協等との調整を行っておる段階でございます。
  153. 上原康助

    上原分科員 それでは運輸省にお尋ねします。  私が資料提供を求めたら、非常に簡単なメモ程度のものしか渡しておりませんが、運輸省はこう言っているわけですね。「五十八年十二月、一応の技術的な検討を終了した。検討結果については、昭和五十九年一月、防衛施設庁に対して連絡した。」こうなっていますね。さらに、先ほど指摘をしましたように、一説には、八三年十二月十六日、日米合同委員会民間航空分科委員会で日米間の合意を見たという報道もなされている。どうなんですか。これははっきりしてくださいよ。
  154. 石井俊一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、一応私ども、十二月に米軍との間に技術的な検討を終了いたしまして、お互いに了解に達しております。そしてその結果は防衛施設庁の方に連絡しているところでございます。最終的な合意というのはやはり日米合同委員会でなされるものというふうに私ども考えております。
  155. 上原康助

    上原分科員 その合意の中身はどうですか。お答えください。
  156. 石井俊一

    ○石井説明員 私どもは、あくまでも技術的な検討を終了しまして了解に達したわけでございますけれども、その了解いたしました主な点は、現在の沖縄の基本的な航空交通の流れは変えない。そして民間航空交通に支障は与えないということ。さらに、現在私ども、沖縄にVOR航空路の編成を検討してございますけれども、そのVOR航空路の編成に際して支障となるような空域は削減する。それからさらに、仮に現在のW173以上のところに面積が出っ張る場合には、その面積以上のものを訓練空域から返還してもらうというようなことを基本的に話し合っております。
  157. 上原康助

    上原分科員 今お答えになったことについては米側は合意したのですか。
  158. 石井俊一

    ○石井説明員 基本的に了解しております。
  159. 上原康助

    上原分科員 それではもう一度確認をしておきたいわけです。  今内容について若干お答えがあったのですが、要するに嘉手納基地からACMI空域に入るF15あるいはその他、機種はF15に限られるかどうか、それもお答えいただきたいのですが、F15戦闘機のルートを民間航空路とのふくそう関係について調整をしたのかどうか。二点目は、米側の戦闘訓練の時間帯、使用高度、民間のダイヤなどとの調整がどうなっているのか。この二点を中心とした安全性あるいは危険性はないのかどうか、安全確保というのは保障できるのか、こういうことが依然として不明にされているのじゃなかろうかと思うのですが、この点いかがですか。
  160. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御質問のありましたこの訓練空域の高度につきましては、大体三千フィートから六万フィートまでを使用するというぐあいに開いております。  それから時間帯につきましては、午前の六時から午後の八時ぐらいというぐあいに承っております。  なお、戦闘機等の機種その他の内容等につきましては私どもはまだ承知いたしておりません。  それから民間航空機とACMI空域へ訓練に参る米軍の航空機との安全問題につきましては、これは民間航空機の航空路をちょうど横切ることになるわけでございますが、これは米軍との間に、基本的にこの安全問題は十分考慮するというようなことを得ておりまして、特にこの経路だとか高度等を十分設定いたしまして、レーダーによって十分な監視を行うということによって、この間の安全間隔を設定したいというぐあいに考えております。また、詳細につきましては、今後具体的になったときさらに詰めを行いまして、民間航空機の安全に万全を期したい、このように考えております。
  161. 上原康助

    上原分科員 そうは言っても、時間がないので細かい議論までできませんが、民間航空路からわずか北側五マイルですよ、余裕のあるのは。西側はわずか十マイルでしょう。そういう袋小路の中で果たして安全性が確保できるかという問題は依然として残っているわけなんですよ。  それともう一点は、さっき局長がだれか答弁があったのですが、VOR航空路の改善についても同時に決着をつけるということをこれまでも国会でも運輸省は答弁してきましたね。この点はどうなっているのか。
  162. 石井俊一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  VOR航空路の編成につきましても、米軍はこれに対しまして一応基本的に理解を示し、了解しております。
  163. 上原康助

    上原分科員 後ほど、具体的にどういう面が改善されて編成するのか、資料等提出してください。  それで、このACMI空域、新たに四千平方キロの提供になるということが言われているわけですが、これはW173空域と重複する部分なのか、それともW173からはみ出る部分が四千平方キロなのか、この点明らかにしていただきたい。
  164. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  はみ出る部分でございます。
  165. 上原康助

    上原分科員 はみ出る部分だけで四千平方キロ、本当にこれは大変な空域。そのはみ出る部分は運輸省は削除するように米側に取りつける、それはやるのですか。
  166. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまの点は、そういう線で民間航空分科委員会で運愉省と米軍の方で基本的に技術的な検討をされて了解されておると聞いておりますが、私どもはその結果をいただいておりますので、今後提供に当たってそういう点を米側と詰めてまいりたいと思います。
  167. 上原康助

    上原分科員 まさに雲の中の論議みたいじゃないですか。そうしますと、四千平方キロでしょう、はみ出る部分は。全部では幾らなんですか。ACMIに使用する空域、海、空域を含めて面積を言ってください。
  168. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまいろいろ議論されておるとおりでございまして、ホテル・ホテル空域にかかって設定するように考えておるわけでございますが、そういうことで既存の空域の中にかかっておりますので、その部分の計算はしておりません。
  169. 上原康助

    上原分科員 防衛庁長官、沖縄の空の、ただでさえ那覇空港は民間専用にするというのは復帰の当時の約束だったのですが、まさにひさしを貸して母屋をとられるの例えです。自衛隊専用飛行場になっているような感を受ける。その中にこういう新たな排他的なACMI訓練空域を設置をする、提供する、まさに踏んだりけったりですよ。一体重大な事故でも起きたらどうなるのですか。そのことは、細かいことは後ほどいろいろ疑問がありますので、どこかでお尋ねします。  今、空の部門についてあったのですが、これは当初日米間で話してこられたことと、新たな施設提供が出てきていますね。いわゆる米軍施設、区域である慶佐次の通信所からマスターズテーションまで海底ケーブルを敷設する、これに伴い領海内の一部、幅二百メートルの水域について操業制限を受ける、これは新たな区域の提供。一体慶佐次からマスターズテーションまでの距離は幾らなのか。幅二百メートルの制限水域の距離、面積はどのくらいか。漁業制限の時間、内容はどういうふうになっているのか、お答えいただきたい。
  170. 千秋健

    ○千秋政府委員 沖縄の慶佐次の通信所からマスターズテーションのブイまでの距離は約百六十キロでございますが、これはすべて制限の対象になるわけではございません。先生今御指摘ありましたように、領海内の一部、慶佐次の通信所の地先を海底ケーブルが上がってまいりますので、その辺のところが今後対象に、なるわけでございまして、それについては現在調査検討をしておりまして、沖合い何メートルにわたりましてそういう操業制限をするかどうか、これは今後まだ詰める問題になっております。
  171. 上原康助

    上原分科員 いつまでに結論を出すのですか。
  172. 千秋健

    ○千秋政府委員 現在いろいろな問題、空域の問題、水域の問題、また漁業制限の問題等総合的に詰めておりますので、なるべく早くその辺も詰めてまいりたいと思っております。
  173. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、このACMIと慶佐次は海底ケーブルで結ぶ、これも問題ですよね、今まだ詰めているということですが。漁業組合は明らかに反対していますね。そういう意向を全く無視して強行するのですか。そうすると、慶佐次と嘉手納のオペレーションセンターは何で結ぶのですか。これは新たな区域の提供があるのかどうか、どういうふうにするのですか。
  174. 千秋健

    ○千秋政府委員 沖縄の漁業組合の組合長会がこれに対して反対という意思表示をされたことは承知しております。その後、私ども那覇防衛施設局の方で漁業組合の方に正式にといいますか、この面の御協力を得るべく申し入れまして、現在お話し合いをさしていただいているというところでございます。  また慶佐次から嘉手納までどういうふうにするかということでございますが、現在のところの計画では、慶佐次からマイクロウエーブで電波を飛ばすということで、新たな施設の提供は伴わないで済むというふうに承知しております。
  175. 上原康助

    上原分科員 そこで防衛庁長官、今ちょっとやりとりしてきましたように、これはたしか八〇年の六月段階の当時の防衛庁長官がアメリカへ行ったときにいろいろ話が出て今日に至っているわけですが、当初の計画から若干変更はなされてきているのですが、新たな空域の提供あるいは海域の提供というふうに、いまだ現地には非常に問題を残しているわけですね。まだ安全性の確保ということについては解明されていない。しかも、これまでの歴代の防衛庁長官、二名ぐらいですか、将来、自衛隊も共同使用をやっていきたいという意向を持っている。  私がいろいろ調べてみると、このACMI空域では最大二十機の戦闘機が同時に訓練できるようになっている。少なくとも八機は特定をしてドッグ・アンド・キャットのいろいろな位置とか方向とかやり方をつぶさに点検できるようにするという、非常に実戦さながらの訓練をやるわけですね、その空域でそうしますと、今でも過密の航空路になっておって、しかも、自衛隊との共同使用ということで事故も頻繁に起きている。これは人命尊重という立場からしても極めて問題が大きいわけですよね。いかに皆さんが安保を優先するとか安保を認めている、あるいは日米の防衛協力体制と言ってみたって、これは人命にはかえられません。  そういう面からして、今指摘をした問題等についてぜひ――我々はあくまでそれは提供すべきでないという立場をとりますが、これまでも皆さんはいろいろ事故が起きるたびに事故再発防止をやると言うのだが、次から次へと新たな問題が起きている。しかも、大量輸送機関という民間航空機に何らかの影響を与えたという場合には取り返しのつかない最悪事態と言わざるを得ない。このことについて防衛庁長官として、まだ日米合同委員会では最終的な結論は出していないと言うのだが、私は十中八、九日米間の合意は達しているものと見ざるを得ない。今後の自衛隊の共同使用の問題を含めて、この点についての長官の御見解を聞いておきたいと思うのです。
  176. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 このACMI、エアー・コンバット・マニューハリング・インスタレーションというやつですね。私は私なりにいろいろ辞書など引いて理解したのですが、俗に言う航空機戦技訓練評価装置というふうに訳す向きもあるようですね。これは安保条約の目的を達成する、米軍の練度というものが高まるということは、我が国の安全にも非常に重要だという意味合いから、私はこういうような装置というものはそれなりに評価していいのじゃないか、こう考えております。  もちろん今お話のありましたとおり、このために沖縄の過密がさらに増加される、非常に人命を傷つける確率が多くなるじゃないか、その点とうだ、この点についてはまさに十分に人命の配慮と住民側の不安を除くような措置というものが講ぜられなきゃならないと思います。その点については同感でございますが、やはり日米安保というのは大きな意味で日本の国を守っていくという立場のものでございますから、そこら辺とよく調整をして、現地の住民の方々に対しましても不安を与えないような最大の努力をしていく、そういうことでアメリカ側と折衝していくべきだ、こう考えております。
  177. 上原康助

    上原分科員 そういうお答えでは身もふたもないあれになって、それを優先してしまえば必要性の面だけが防衛費みたいに突出することになるわけで、それでは納得できませんよ。漁業面にしてもいろいろな面で大きな制約を、被害を与えているわけだからね。それはあなたがおっしゃるようにそう生易しい問題じゃないと思う。特に運輸省の方もこれまでいろいろ努力をしている向きはわからぬわけじゃないのだが、すべてアメリカ側の意向が入れられた形で押し切られているというふうにしか見えない。我々は新たな提供についてはどうしても納得しかねる。同意できません。  そこで、いつごろまでに最終的に日米間で結論を出すのですか。これをはっきりさせてください。
  178. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど千秋部長からもお答えしましたが、なるべく早くということで今努力しております。今この時点でいつごろということをまだ申し上げる段階ではございませんが、なるべく早くという考え方で努力してみます。
  179. 上原康助

    上原分科員 運輸省としては、この件についてはすべて技術的な面あるいは安全性の面については結論を出した、こういう理解をしていいわけですか。まだペンディングになっている面がありますか。
  180. 石井俊一

    ○石井説明員 米軍から提案のございました空域については、ただいまのところ私どもといたしましては技術的な検討は終了しておるというふうに考えております。
  181. 上原康助

    上原分科員 近々結論が出るということですので、その段階に至るまでもう少し別の委員会でも取り上げてみたいと思うのですが、ぜひ特に安全の面、あるいは被害をこうむるであろう漁業関係者のことについては、十分反対している立場というものを踏まえて問題解決に当たっていただくことを強く要求しておきたいと思います。  そこであと一点ですが、このACMIのこととも関連するのですが、実は最近全国的に日米の共同演習なり共同訓練、いろいろ活発というか強化されてきているし、また基地そのものも非常に火を噴いている。まさに有時即応体制というものが着々と進められつつあると見ていいと思うのです。その点遺憾のきわみなんですが、いわゆる航空自衛隊は救難訓練という名目で落下傘降下訓練を那覇空港周辺において、隣接する訓練場でやる。これは先ほどの防衛庁長官の答弁からすると、練度を高めるに必要だから当たり前だと言うかもしれませんが、今でも過密であり、同時に軍民共用になっておって、まさに母屋そのものを運輸省も取られておる。どんどん自衛隊施設だけが膨れて、あとは民間航空機はどこかへ引っ込んでしまう、追いやられて、いないという状況。  一体運輸省の空港管理権というのは何たるかと言いたい。そういう状況でこの計画があるということが現地でなされているわけですが、幸いなるかなというか、防衛庁西廣参事官ですか、降下訓練を沖縄でやるといった具体的な計画は今のところないと本庁は言っている。しかし現地はやると言っておる。本庁ではそういう計画がないのに、いわゆる制服がどんどん先走りをしていく。いわゆるシビリアンコントロールの面からこれは問題だね。この件はどうなっておるのか。まさに那覇空港地域でこういう新たな降下訓練、たとえバートルヘリであろうが問題だ。こういうことについてはもう少し那覇市なりあるいは地域住民の意向も聞いて慎重にやるべきであるし、この計画があれば撤回すべきだと私は思うのです。この点どうなのか。  さらにあと一点は、これもまた降ってわいたような問題ですが、読谷補助飛行場での落下傘訓練に加えて、今度は黙認耕作地、一応提供施設ではあっても、そこに新たな米軍の保養施設をつくろうという動きが出てきているわけでしょう、ビーチの使用施設。しかもこういうものについても村当局や関係者とは全く調整もせずに米軍が独自に強行しようとしている。これも非常に問題である。  この二点についてぜひ再検討を、撤回をすべきだと思うのですが、そういう立場で、那覇空港の問題については一応本庁の見解は明らかにされているようではありますが、改めて御見解を聞いておきたいと思います。
  182. 西廣整輝

    西廣政府委員 前段の問題についてお答えいたしますが、先生御案内のように那覇基地の救難隊、捜索機三機、救難ヘリコプター三機を運用して各種の救難活動をいたしておるわけですが、救難隊の任務といたしまして、ヘリコプターが着陸できないときのために落下傘訓練、降下訓練をするというのが救難隊の隊員の仕事というか義務になっておるわけであります。したがいまして、救難隊としてはそういった訓練をどうしても年間何回かやらざるを得ない。  現在、御案内のように沖縄におります救難隊は、新田原なりあるいは芦屋で実施しておるわけでございますが、そういった関係で当然のことながら訓練効率が下がるとか、あるいは救難隊機のローテーションが非常に難しくなるということがあるわけでございます。そういうことで、現地部隊として何とか近くでできないだろうかという希望があることは私ども重々存じておりますし、理解もしておるわけでありまして、そういう点で、現地部隊が何とか地元でできないだろうかということでいろいろな案というものについて、その可能性を打診をされておるということは私どもも知っております。そういうことでございますので、そういった検討がなされ、可能であれば私どもの方も現地でやることの方が効率的であるということはわかっておるわけでございますが、現在までのところ、そういった成案を得られたわけではないので、具体的な計画はないというように申し上げておるわけであります。
  183. 千秋健

    ○千秋政府委員 米軍の方でトリイ通信所の海岸地区に保養施設を建設しようという話でございますが、米軍にとりましても、軍人軍属の士気の高揚とか健康保持という面でレクリエーション施設をつくるという必要性もあるかと思いますが、この場所が施設、区域内ではございますが、従来から立ち入り等はできた場所でございますし、地元周辺等にいろいろ影響があるということでございましたので、二月の初めに米軍の方から地元読谷村楚辺の部落の方に説明に上がったわけでございまして、今後とも地元の御意見等を伺って、この問題については調整してまいりたいと思っております。
  184. 上原康助

    上原分科員 時間ですからこれでやめざるを得ませんが、長官、さっきの問題とも関連するのですが、特に那覇空港地域周辺でのそれはやっぱり再検討いただきたいと思うのです。余りにも今過密過ぎる。ACMI問題も、軍事演習、山火事とかあるいはいろいろなその他の事故とか、そういう中でますます、これでもかこれでもかというようなことはよしてもらいたい。その点は再検討いただきたいと思いますし、楚辺の通信施設の黙認耕地、提供施設、区域であるにしても、やはり不要不急の基地というものは返すのが前提ですよね。なるべく軍事色を薄めていくというのが我々の要求であり、願いであり、第一次、第二次振興開発計画でもそういう方針を国も立てているわけです。そういう面でこの二点については皆さんのお立場もわからぬわけじゃないですが、県民感情というものも十分御理解をいただいて再検討いただきたいと思うのです。その点についてお答えいただいて終わりたいと思います。
  185. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私も沖縄、那覇の方には一遍参りまして、実情をこの目で見たいと思います。ただ、政府側からいろいろ答弁しておりますとおり、政府側もぎりぎりの最大の努力をしてやっておる、この点だけはどうぞ御理解をいただきたいと思います。
  186. 上村千一郎

    上村主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、池田克也君。
  187. 池田克也

    池田(克)分科員 公明党の池田克也でございます。  私が本日防衛庁長官並びにそれぞれの政府委員お尋ねをしたいと思います問題は、東京二十三区内における防衛施設の問題でございます。私は防衛問題の専門家ではございませんので、いわゆる庶民と申しましょうか、都民の感情として非常に素朴な地域の人々の感情を率直に申し上げたいということでございます。  まず第一番に、東京二十三区内には防衛庁のいわゆる駐屯地、基地、附属施設というのがどの程度あるのか。資料もちょうだいいたしましたが、若干わからない点もございますので、それについてお尋ねをしたいと思います。資料をちょうだいいたしましたが、大体十五カ所ぐらいのところに三十二もしくは三十三のそれぞれの施設がある、これですべてでございましょうか、お尋ねをいたします。
  188. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  先生のお手元にお届けいたしております資料、「二十三区内に所在する防衛庁の駐屯地、基地等について」というものと、それから「二十三区内に所在する防衛庁の機関名、それぞれの任務」こういった資料での数でございますか。――先生御指摘のとおり、部隊によって重複した名称をつけてございますので、単純に重複をとりまして合計しますと二十三区内九カ所でございます。
  189. 池田克也

    池田(克)分科員 この中に、任務とされている中に「陸上防衛」というふうに書かれているのが三カ所ですか、東京都練馬区の第三一普通科連隊、それから同じく練馬区の第一普通科連隊、同じく東京都新宿区の第三二普通科連隊、この「陸上防衛」というのは、もうちょっと砕いて御説明いただくとありがたいんですが。
  190. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 簡単な表現としてそういうことにしておりますが、自衛隊の任務といたしましては、本来侵略に対処するということもございますし、また必要に応じまして公共の秩序の維持に当たるという使命も与えられているわけでございまして、そういったようなものを主として担当いたしますのがいわゆる普通科連隊でございますので、それを表現する意味で簡単な表現として書かしていただいているところでございます。
  191. 池田克也

    池田(克)分科員 ありがとうございます。  この「陸上防衛」というのが防衛庁のいわゆる本命の任務で、あとのいろいろ書かれておりますのは、これを運営するために、あるいはそれに対する資材を保管したり補給したり、その附属的なものであろうと私は思うわけでございます。この資料をずっと拝見しますと、防衛庁の予算は今さまざまな議論を呼んでおりますが、装備であるとかあるいはアメリカからのさまざまな要望であるとか、こうしたものから他の予算とはまた違った角度からその増強が要請されているわけでありますが、財政がこれほど厳しい状態の中で統合したりあるいは別の目的に転用をしたり、さまざまな工夫があってしかるべきではないかな。これだけのさまざまな多目的の防衛庁の要するに施設というものを、地価の高い、大変需要の多い地域に点在をさせて持っている、あるいは運営するというようなことがどうしても必要なのかな。厳しい財政事情の中から、あるものは手放す、あるものは他のいわゆる民間活力の移入なんという問題が出ておりまして、今国会でもそうした問題が出ておりました。  幾つもの大学の農場の問題だとか、あるいは中央官庁が持っている当面要らない土地であるとか、こうしたものを民間活力を使うことによって財政的に助けていく。私はそういう意味で特に二十三区内に限って資料をちょうだいしたわけでありますが、ある面ではもう一遍この時期に見直して整理をしてみるのも重要な考え方ではないのかな。問題意識としては、防衛のあり方は日進月歩でかなり変わってきている。装備、あるいは情報、電子、さまざまな進歩が見られておりますが、いわゆる人海戦術でやってきた地上戦の時代から随分と様子が変わってきているんじゃないか。それに伴って予算もどうしてもこれだけは必要なんだということが議論されているわけですが、私は、置かれている環境から見て、これだけの土地や建物というものをもっと他の官庁あるいは地域に開いた形で見直すということがあってもいいのではないかな。素朴な一人の庶民の感じとして、専門の上からどうしてもこれは必要なんだという御意見もあれば承りたいのでありますが、大臣、私の話を聞いておられて、その辺いかがお考えでしょうか。
  192. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ごもっともな発想だと思いますよ。私もいろいろ事務当局から話を聞いておりまして、いろいろの経過はあっても、人様から御注意を受けたときにはもう一回立ちどまって考え直してみる、そういう姿勢が絶えず必要だということを申し述べてあるわけでございます。そういう一環として今日に至っておりますけれども、先ほどのどなたかの御質問の中で、東京二十三区の中にこれだけ大きな、空き地とは言わぬけれども使っていないところがあるんだから、それは何とかしたらいいじゃないかというお話がございました。私まだそれをつぶさに知っていないけれども、それはそれとして私の頭の中によく置きましょう。  しかし同時に、その土地を東京都内に置く必要はないんじゃないか、よそでもいいんじゃないかという場合に、そのよその方で、さあ今度は求める場合にそう簡単にそれは求められるかどうかという問題もございますね。それからもう一つの場合は、東京都内というのは非常に過密でございますが、それだけに大きな事態、非常事態が起きたような場合に一体どうするんだというような問題もあるわけですよ。ですから、そこら辺をも総合的に判断をして、この土地はこの段階でこうだからこうしろああしろというようにするのには少し性急ではないか。そこら辺も十分に考慮して処理していかなければならぬ、こういうことを申し上げたわけであります。
  193. 池田克也

    池田(克)分科員 大変柔軟な長官の御答弁でありますが、私が申し上げているのは、新しく地方に土地を求めて移りなさいというばかりではないのです。同じ地域の中で両方かみ合わせると、その中に入っちゃうというようなものもあるんですね。  これは非常に小さな問題で恐縮なんですけれども、例えば音楽隊というのがあるのです。音楽隊は音楽隊で一つの施設をなしているわけですね。これは海上自衛隊の施設で士気を鼓舞する、あるいはいろいろな行事を運営する上で大事だと思います。思いますから、この音楽隊に別に恨みつらみはございません。しかし、すぐ近接したところに衛生補給処がやはりある。こっちは陸上ですから、海上、陸上、所轄がそれぞれ違うのだろうと思うのですが、私は、いろいろな動きの中でもっとこれを合理的といいましょうか、組み合わせることができはしないか。今おっしゃるように広い地域が遊んでいる、これは有事の際に使うとなればそう簡単に遊んでいるなんというふうに決めつけることはいかがかと思います。  私これだけの資料で申し上げるのじゃなくて、日常地域の活動をしております中で、時代がいろいろ変化する中で、こうしたものを見直すということもあってしかるべきではないかなというのが問題の趣旨でございまして、確かに新しいところを得るとなれば容易なことではなかろうし、また特にそうした防衛に絡むものということであれば住民の反応というものもさまざまであろうと思うわけでありますが、この二十三区内に限ってもう一遍重要性についてABCなり何なりそれなりに見直してみて、そして必要であるものとないものと当面分けて、それでいよいよのときにまた使えるようにしながら地域に開放する、あるいは何らかの多目的なものをそこにつくっていくということも、自衛隊というものが国民に親しまれる――これはもういろいろな意味でかつての時代から見れば要請もあり、また理解度も変わってきていると思います。そういう意味で、長官の柔軟な姿勢に、さらにそれをきちっと何らかの形で指示をなさっていただいて、見直してもう一遍有効に使う、こういうふうな御答弁があれば一歩前進するんじゃないか、こう思っているわけなんですが、いかがでしょうか。
  194. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、心構えとして絶えず皆さんから御注意を受けたらそれは謙虚に承れ、こういう指示はしているわけでございます。したがいまして、具体的にここをこうしたらどうだというような御提起をいただければそれなりに検討する余地が出てくるのではないか、こう考えております。
  195. 池田克也

    池田(克)分科員 具体的に言いなさいということでございますので、実は私がこういう問題を持ち出したのは一つのわけがございます。  それは、地域のことを申し上げて恐縮でありますが、東京都目黒区中目黒二丁目に防衛庁の技術研究所あるいは防衛研修所が所在をしております。これはこれでそれぞれの任務があって歴史的経過もあって結構だと私は思います。後ほどこの歴史的経過を若干聞かせていただきたいと思っておりますが、実は東京の山手線沿線に、東京が非常に過密化してまいりましたので、再開発をめぐっていろいろな研究がなされたわけでございます。この再開発の細かいことは時間もございませんので省略するといたしまして、山手線沿線の再開発懇談会というのが設置されまして、一九八二年の九月にその結果が発表になったわけであります。  この結果によりますと、サッポロビール恵比寿工場の敷地約十ヘクタールが、山手線沿線に残された他に類例を見ない貴重な空間であるということになりまして、同じ年の十月二十五日に目黒の区長からこのサッポロビールに照会をいたしましたところ、十一月九日付で、「移転が新都心域の形成と地元の繁栄に役立つ方途となるならば、大局的見地に立って提唱の趣旨に協力するのはやぶさかではない」、こういう移転することも考えましょうというような趣旨の答えが返ってきたわけであります。にわかにこの東京の中で、恵比寿を含む地域の再開発というのが脚光を浴びてきたわけでございます。周辺地域も含めまして約百十ヘクタールの地域に、新宿、渋谷に次ぐ新しい職住、文化的な施設も含めました非常に新しい観点に立った再開発の構想というのが進んできているわけであります。  国鉄にもそれが波及をいたしまして、今問題となっております通勤別線、これは通勤難を緩和するために大宮からずっと引いてまいります。池袋あるいは新宿、この終点がいろいろと言われておりますが、そうした新しい線の敷設もこれに伴って大きな話題としてクローズアップされてきたわけでございます。参考までに、国鉄においでいただいておりますので、この恵比寿駅の問題についてどの程度まで検討がなされているのか、あるいは渋谷がぎりぎりなのか、その辺について御答弁をいただければと思います。
  196. 池田本

    池田説明員 国鉄の停車場第二課長池田でございます。  ただいまお申し越しの恵比寿への通勤別線の関係の御質問でございますが、恵比寿駅関係につきましては、今もお話がございましたサッポロビールの跡地の問題等で、東京都を中心に関係機関で現在構想が検討されておるようでございます。  国鉄に関しましても、この件につきまして、恵比寿駅の整備の問題であるとか、あるいは通勤別線の乗り入れというようなこともあわせて要望をいただいております。ただ、現在まだ検討段階かと思われますので、国鉄といたしましても恵比寿周辺の貨物跡地の開発という問題もございますので、今後東京都初め関係機関といろいろ御協議をしながら検討を進めてまいりたいというふうに恵比寿周辺の問題については思っております。  それからもう一点の通勤別線の関係でございますが、現在、埼玉の宮原、大宮から赤羽まで新幹線とともに工事をいたしております。赤羽線と直通をいたしまして池袋まで参ることが決まっておるわけでございますが、その先は大変山手線が混雑をいたしておりますので、新宿方面へ延ばすということで、新宿まで乗り入れることを現在検討しておる段階でございます。さらにその南側につきましては、渋谷方面になるわけでありますけれども、お客さんの動きあるいは途中に踏切等もございますので、これらの処置も含めてさらに検討してまいりたいというふうに現在考えておる次第でございます。
  197. 池田克也

    池田(克)分科員 そういつまでも国鉄問題にこだわりませんが、御説明いただいたついでですのでもう一歩突っ込んで、恵比寿の可能性は消えたのか、消えないのか、可能性十分あるということなのか。僕は物理的にできると思うのですね。貨物線もあり、いろいろ駅のつけ方は問題はあろうと思いますけれども、この問題がはっきりしないと、この辺の再開発は進まないのですね。どうしても、これだけの百十ヘクタールの大きな再開発をやっていくためには、国鉄の駅がつくのかつかないのかというのは一番最初の大前提になってくるわけです。これが初めからだめだということになると、この計画は根本から見直さなければならないということになってくる。  実は、二月に地域住民に対してかなり大規模なアンケート調査を東京都は始めました。五十八年度の調査費だけでも二千百万、国庫補助が七百万という状態でして、これはかなり規模として本格的に取り組んでやっているところでして、今地域ではこの問題は話題の焦点なわけで、東京都議会でもこれは大きな話題と申しましょうか、議題となりつつあるわけでございます。新宿に東京都庁を移すというような構想もあり、さらにそれと絡みまして恵比寿地域の新しい発展というのは非常に重要な意味を持っているわけでして、できるならば、かなり早い時期に国鉄のそうした方向性というものはお示しになるべきじゃないか。そういう意味で、今この時期を得て、防衛庁にも近接地に施設があるのでお考えをただし、また国鉄にも現状を伺いたいと質問に立ったようなわけでございます。
  198. 池田本

    池田説明員 通勤別線の池袋から南へ延ばす問題につきましては、現在あります山手貨物線の線路を使いながらこれに旅客電車を通すということが基本かと思います。そういう意味で、従来ある貨物設備の用地を活用しながら、線路もそうでありますけれども、駅をつくるとすれば、そのようなことの活用になろうかと思います。  国鉄の計画を早くはっきりせいという御指摘ではございますが、今現在まだいろいろと検討いたしておる段階でございますので、はっきりしたことを申し上げかねますので恐縮でございますが、ただ恵比寿駅周辺は、現在の恵比寿駅のところには貨物跡地はございます。したがいまして、そこへ空間的な問題だけをとらえて駅が不可能であるということにはならないかと思います。  ただ、サッポロビールの跡地、まだ跡地にはなってないわけでございますけれども、跡地の関連からいたしますと、ちょっと距離がございますので、その辺、地域の開発の方もいろんな形があろうかと思いますので、その辺と駅の問題というのは今後いろいろ関連してまいるかと思いますので、なお十分検討させていただければというふうに思っておる次第でございます。
  199. 池田克也

    池田(克)分科員 今のお話の中で、距離があるという部分だけちょっとお聞かせいただきたいのですが、既存の恵比寿駅と短過ぎるということですか。
  200. 池田本

    池田説明員 短過ぎるという意味ではございませんで、それもありますけれども、サッポロビールのあるところまで、今の恵比寿駅からちょっと離れている、こういうことを申し上げたわけでございます。
  201. 池田克也

    池田(克)分科員 サッポロビールの置かれている距離は、恵比寿駅から距離があるといっても、そんな距離ではないのですよ。歩いて五分もかからない距離なんですけれども、むしろこの地域全域を、百十ヘクタールにわたってかなり大きく開発していこうというのです。したがって、駅の位置が若干動くかもしれませんね。しかし、現在地下鉄が敷かれておりますので、ちょうどその位置との絡み合いは出てくると思いますけれども、この再開発というものを推進していくために国鉄が協力するかしないかというのは非常に大きなポイントなんです。ここで、しますのしませんのという話になるかどうかあれなんですけれども、かなり事態は煮詰まってきているのですね、状況として。そこでお伺いしているので、ぜひ、この距離という、ちょっと今私も具体的な問題で一番隘路が距離かなというふうに感じたので、再度お伺いをしたわけなんですけれども、もう一度その辺の、可能性が全くないなら別ですが、可能性はある、こう理解していいのかどうか、そのことだけをお聞かせいただきたいのです。
  202. 池田本

    池田説明員 新しい駅を目黒、恵比寿以外に設けるということにはならないと思います。
  203. 池田克也

    池田(克)分科員 そうすると、どっちかの駅を移動するということになりますか、これに絡ませるとすれば。
  204. 池田本

    池田説明員 現在の目黒駅にしろ恵比寿駅にしろ、駅の周辺にはそれぞれ商業地域も形成されておりますので、駅を移転するということはあり得ないだろうと私は思っております。したがいまして、このサッポロビールの跡地になったとすれば、そこと今ある駅とをどううまく結合させるかということで対処すべき問題だというふうに考えております。
  205. 池田克也

    池田(克)分科員 ありがとうございました。その問題は一つわかりました。  ちょっと委員長に御了解を得て、大臣に資料をお見せしたいと思うのです。  時間がありませんので、非常に短くお尋ねをしたいと思うのですが、この地図をごらんいただけばわかると思いますが、問題のサッポロビールの工場、この非常に至近距離に防衛庁の技術研究所がございます。地元は、技術研究所がもしどこか適地があって動かれるのならば一番いいけれどもというのが状況なんですが、必ずしも今おっしゃるように移転ということがスムーズにいくとは考えていません。しかし、この恵比寿再開発をめぐりまして、どうしても道路の拡幅が必要になってくるのです。ここに引かれております線が一応の試案なんです。今のところ、その土地の真ん中を通る、これはなかなか難しかろうと思いますけれども、いずれにしても防衛庁のこの技術研究所のあり方、これも含めて再開発の中に考えられるとすれば、いろいろな意味で非常に有用な活動というものができてくる。  まあ大臣初めてこの話がお耳に達するかもしれませんが、東京の新聞では随分と取り上げていた問題なんです。先ほど来大変柔軟な、防衛庁の二十三区内に持っていらっしゃる施設の活用について御見解でございました。技術研究所で今日何をやっていらっしゃるかということも含めまして、これの活用、そう二年、三年後にどうこうということではございませんが、かなり幅のある開発が進んでいくだろうと思います。この問題について御所見を承りたいと存じます。
  206. 友藤一隆

    友藤政府委員 今先生からお話のございました抜本の第一研究所及び防衛研修所の所在いたします中目黒地区でございますが、これは御案内のとおり旧海軍の技術研究所というのがございまして、大変立派な施設でございまして、装備等も充実して、立派な研究を艦艇等でやっておったわけでございますが、戦後接収を受けまして、イギリス軍、豪州軍がここへ駐留をして、御案内のとおり恵比寿キャンプとして使われておりまして、大変その当時荒廃をいたしておったわけでございますが、ここにございます大水槽、これは大変立派な水槽でございまして、三百五十メートル近くの長さ、幅が六メートル、深さが三・五メートルの高速水槽、あるいは大水槽が二百五十メートル近く、深さが七メートル、幅が十二メートル程度、当時他に類例を見ないような立派な設備がございましたので、これを一部三十一年一月から返還を受けまして補修をして、技本の前身である目黒試験場が三十二年からここへ入りまして以降、技術研究本部の第一研究所といたしまして、船舶でございますとか各種通信器材、電波格材、電気器材等のここの施設を利用しての研究開発の業務を実施してきておるわけでございます。それから、防衛研修所も昭和三十三年当時霞が関にございましたが、大変手狭になってまいりましたので、こちらの施設を改修しまして、三十三年四月に移転をいたしまして同居をいたしておる、こういう状況で今日まで来ておるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、大変立派な施設ではあったわけですけれども、古いということもございまして、それ以降大変お金をかけまして私どもとしては改修をし、より近代的な調査研究ができ得るように現在まで整備を続けておりまして、建物等につきましても全面改修を逐次実施をしてきておりまして、時代に即応した高度の研究試験が可能なように現在やっておるわけでございます。  防衛研修所の方も、やはり幹部職員の教育訓練という意味では大変静かなところで、図書館等も完備をいたしておりますし、戦史部には各種戦前の資料等もございまして非常によい環境で教育ができるということで、こちらも実は建物も老朽をいたしました関係上、四十八年から五十五年にかけまして相当大規模な改修をいたしまして、私どもとしましては、この場所はこういうことで非常に重要な任務を遂行いたしておるということで、今後も有効な活用を図ってまいりたいというふうに考えておる場所でございます。  ただ、先生先ほど提示をいただきました地元の開発計画でございますが、今拝見をいたしましたばかりで、これをもちまして私どもにわかに結論を申し上げるというわけにまいりませんが、一般論としましては、防衛施設周辺の地元の開発等につきましては、その場所にあります施設等所掌事務に支障を来さないというような範囲で、できるだけ私どもとしては代替措置等をとっていただいて御協力をするという方針でございますが、この点につきましては、ここに大水槽等動かしがたい大きな施設がございますのでそれとの関連とか、せっかく建てました新しい建物とか、そういったものもございますので、具体的な計画をお伺いをした上でこの辺はまた御相談をさせていただければというふうに考えておるわけでございます。
  207. 池田克也

    池田(克)分科員 終わります。
  208. 上村千一郎

    上村主査 これにて池田克也君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  209. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は、北富士演習場の使用協定の現況、それから日米合同演習の実施計回、それと自衛隊員の欠員の状況、この三つに絞ってお尋ねをいたします。  その前に、若干大臣にお伺いをしておきたいのでございますが、米ソ両国の軍事力というものはどちらが優位と大臣は認識をされておられますか。  それからもう一つは、我が国周辺における米ソ両国の兵力の配備状況というのがわかりましたら、これを教えていただきたい。そして、特に在日米軍はどの程度配備されておりますか。これを最初に伺います。
  210. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 米ソ両陣営の軍事力の比較でございますが、私はその方の専門家ではございませんから、有権的なことは申し上げられませんが、少なくともこの十年間非常にソ連側が軍備を増強してきた、このままでいきますと大変なことになるということで、アメリカ側がそれに対応する措置をとってきた、こういうふうに考えております。ただ、私自体の認識を申し上げますと、ソビエトが極東に軍備を増強しているということは、これはやはり大変強い関心を持たなければならぬ。これはやはりすぐそばでございますから、そういう認識を持っておるということだけ申し上げます。  残余の問題につきましては、それぞれ政府委員からお答えをいたします。
  211. 古川清

    ○古川政府委員 全体の傾向としましては今大臣が御説明申し上げたとおりでございますけれども、在日米軍の現有勢力は、現在、陸海空それから海兵隊全部加えまして四万八千七百程度というふうに私ども見積もっておるわけでございます。
  212. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 海兵隊は何名ぐらいおられますか。
  213. 古川清

    ○古川政府委員 実はアメリカ側の制度上、海軍と海兵隊が一体になっておりまして――一体といいますか、分かれておるのでございますけれども、我が方の統計上は海というふうにくくってございまして、海軍と海兵隊を一緒にいたしまして大体三万一千八百程度というふうに私ども今把握しておる状況でございます。
  214. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大臣のお答えの中で残余の問題については関係者から、こういうお話でしたが、極東におけるソ連軍の問題についてはかなり増強しているというお話でございました。防衛庁として把握しております極東におけるソ連と米軍の配置状況はどうか、これをあなたは説明する必要があるのですよ。時間がないからね。
  215. 古川清

    ○古川政府委員 お答え申し上げます。  それでは、まずソ連軍の極東配備の方から申し上げてみたいと思いますけれども、まず関心を集めておりますSS20という中距離核兵力、これがアジア全体で現在百三十五のランチャーが配備されておるというふうに我々考えておる次第でございます。  それから、陸軍のソ連の兵力につきましては、五十二個師団、四十七万名というものがシベリアから大体こちらの万全体に配備されておるというふうに考えておりますし、それから海軍の兵力につきましては、大体百六十二万トン程度のトン数が配備されておるというふうに見ておるわけでございます。  それに対しましてアメリカの方は……(鈴木(強)分科員「空軍は」と呼ぶ)空軍はソ連の勢力が全体で二千百機程度と私ども見ておる次第でございます。  それに対しますアメリカの方、これはどの程度までとるかという問題がございますけれども、第七艦隊全体として見ますると六十五隻、六十七万トン程度と私ども評価をしております。兵力としましては四万一千名。それから作戦用の航空機としまして第七艦隊に属するものが約二百四十機程度ということでございます。  それから在日米軍の方、先ほど申し上げました点をより詳しく申し上げますと、これは実は昨年の九月現在でございますけれども、全体で四万八千七百程度になっておりまして、内訳は陸が二千五百、海が七千三百、海兵隊のマリーンが二万四千五百、それに空の方が一万四千四百というぐあいになっております。  なお、ソ連とアメリカということを考えます際には、どうしても在韓米軍も入れなければ実は軍事バランス上明確なことができないわけでございますけれども、在韓米軍は、同じく昨年の九月現在では、トータルで三万八千七百でございまして、このうち陸が二万七千三百、海が六百、マリーンが、これも非常に数が少なくて百、それから空軍が一万七百というふうになっておる次第でございます。  それからさらにフィリピンまで申し上げますと、フィリピンにも一万四千九百ほどの、これは詳細は省かせていただきますけれども、在フィリピンの米軍勢力があるということでございます。
  216. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大体概況はつかめました。  それで、その上に立って自衛隊が今日果たすべきいろいろな問題がございますが、分科会でございますし、時間がございませんので、配備の状況だけを伺いました。  それでは、御承知のように、北富士演習場につきましては、昨年の四月八日に北富士演習場の使用協定が締結をされまして、北富士演習場は昭和五十八年四月十一日から向こう満五年間引き続いて自衛隊と米軍が使用することができることになっております。そこで、最初お尋ねをしておきたいのは、この協定を締結するに当たりまして、かなり詳細な覚書、使用協定に関する措置、了解事項等、従前よりも非常に詳細にお決めをいただきました。私も何回かこの問題はこの席で意見を述べてまいりましたが、これを見ると大体はっきりわかる程度にかなり整理をされまして感謝をしております。  そこで、閣議に了解され、そしてまた、これからいろいろと地元周辺整備事業等について御配慮をいただかなければならない問題がございますが、その中で、第一には、この覚書にございます「公民有地約百ヘクタールを関係者と協議が整った時点で演習場から除外するものとする。」こういう一項目がございますが、この点について現在どうなっておるでございましょうか。  それから二つ目には、地元民生安定のために周辺の地方公共団体が周辺整備事業五カ年計画というのをつくっておるわけでありまして、その総額は大体百九十億と聞いております。防衛庁は「この計画に基づき策定される具体的計画及び今後の事情変更に伴う追加変更計画をも尊重し、予算の範囲内において積極的に実施するものとする。」こういうふうに書いてあります。  それからもう一つは、特別調整交付金の配分でございますが、十分な配慮をいたします、こう三つ書かれておりますが、それぞれ現状どうなっておられますか。これを御説明いただきたいと思います。
  217. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず第一点の百ヘクタールの問題でございますが、御指摘のとおり百ヘクタールの返還要望について協定書の中にございます。今後この点、関係者と協議が調った時点で演習場から除外するということになっております。  なお、この点、実は第二次のときにやはり百ヘクタールの問題がございまして、現在のところ協議が調ったものとして約七十二ヘクタールがありまして、これの返還を手続中でございます。(鈴木(強)分科員「それは二百十ヘクタールのうちでしょう。百のうちですか」と呼ぶ)第二次の百のうちでございます。
  218. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 今度の協定のね。七十五ヘクタールは済んだのですか。
  219. 塩田章

    ○塩田政府委員 七十二ヘクタールです。  それから第二の周辺整備の事業につきましてでございますが、これも御指摘のように五年間で約百九十億円という協定になっておりまして、現在その第一年度であります五十八年度では約二十八億円を計画をしております。したがいまして、昭和五十八年度で全体の約一五%ということになっております。  それから第三番目の御指摘は、調整交付金の増額の問題でございます。この点につきまして、適正な所要額の確保に努めるということで、これは直接の所管省であります自治省の方に対しまして我々の方からも協力要請を行っている、こういう状況でございます。
  220. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 三つ一緒に聞きましたものですから、ちょっと御答弁がしにくかったと思いますが、そうしますと、第一の公民有地約百ヘクタールについては、確認しますが、七十二ヘクタールは既に除外をされておる、こう考えてよろしいですね。
  221. 塩田章

    ○塩田政府委員 七十二ヘクタールは既に除外されておるのではございませんで、それが今協議中でございまして、間もなくということを申し上げたわけで、現在手続が終わっておるわけじゃございません。
  222. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 その点はわかりました。できるだけ急いでしていただきたいと思うのです。  北富士演習場は八十一万の県民ができるだけ早くなくしてもらいたい、そしてあそこを有効に平和的に使いたいという願いは何回も私申し上げておりますが、全県民の願いでございます。ただ、現実的に自衛隊がどこへ演習場を移すか、そういう問題もあるでしょう。ですから、我々もかなり段階的な解消の方向にカーブを切っておるわけでございますが、そういう根強い返還の希望があることをはっきり施設庁の方も心にとめていただいていると思います。重ねてこの点を強調し、その一環として、前回二百十ヘクタールですか、そして今度百ヘクタールということで、少しではありますが地元に返していただいているということに対する誠意だけはこれは認められるわけでありますから、できるだけ早く関係の筋と協議をして、残された二十八ヘクタールについても、第一段階を終えまして続いてやれるように、ひとつ特段の御配慮をお願いしておきます。  それから第二の周辺整備の問題につきましては、五十八年度二十八億ということでございます。五十九年度はこの予算が今審議中でございますが、予定としてはどの程度を考えておられるか。  それから第三の特別交付金の方も、もちろんこれは自治省との関連がありますが、五十八年度は特別調整交付金としてどの程度出されたか、それから、五十九年度はどうか、その辺はわかっておりますか。あったら教えてください。
  223. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもの周辺整備に関する予算につきましては、先生も御承知かと思いますが、大体総枠で予算要求を行いまして、成立後、実施計画で箇所づけするという形でやっておりますので、現在のところはまだ北富士関係でどのぐらいになるか、その辺は詰めておりません。
  224. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 五十八年度は。
  225. 千秋健

    ○千秋政府委員 先ほど長官から申しました二十八億というのが五十八年度の計画でございます。
  226. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これはそういう意味ですか、この二十八億は。
  227. 千秋健

    ○千秋政府委員 それでは改めて御説明申し上げます。  昨年四月一日の協定に際しまして、地元の方で計画します五カ年計画に基づきまして、おおむね総額百九十億円の範囲内で事業を実施するということをお約束したわけでございます。  それから、この事業につきましては五十八年度から始まるわけでございまして、五十八年度につきましては、先ほど長官が申し上げましたように約二十八億円の事業を計画しております。この中には、周辺整備法第三条によります障害防止工事とか、第八条によります民生安定の助成、それから第九条の調整交付金、こういうものをすべて含んで二十八億でございまして、それが約百九十億のうちの一四・九%になる、こういうことでございます。
  228. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。  五カ年計画ですが、既に四十八年の場合あるいは五十三年の場合、使用協定締結に際していろいろ地元から出てまいりました。そして計画を立てましてやっておるのですけれども、必ずしもこれが地元の要望どおりいってないでしょう。  時間がありませんから、きょうここで私はそのことについて述べることができませんから、過去二回にわたって閣議決定をし、地元に約束した計画というものがどういうふうになっているか、地元の都合でできなかったもの、少なくとも国の金がなくてできなかったということはないと思いますけれども、そういう点を含めまして、資料として後ほど御提出をいただきたいと思いますから、主査の方でひとつ取り計らっていただきたいと思いますが、その点よろしいですか。
  229. 千秋健

    ○千秋政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、確かに第一次、第二次、総枠で計画しましたものに対しまして、一〇〇%の実施率というふうには至っておりません。しかし、たしか第二次では約七五%ぐらいの実施率というふうになっております。  この要因といたしましては、いろいろ地元の方におきます自己負担とか計画上の問題とかございまして一〇〇%にいかなかったのでございますが、我々としては、お約束したことでございますので、今後できる限りそういう方向で努力してまいりたいと思います。
  230. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、ひとつ特段の御配慮をお願いして、次に移ります。  日米の合同演習のことでございますが、まず、五十九年度中に日米間ないしは日米にほかの国を加えました数カ国間の合同演習を計画されておられますか。
  231. 西廣整輝

    西廣政府委員 五十九年度の共同演習でございますが、まだ細部まで詰まったわけではございませんけれども、一応の予定を申し上げます。  まず陸上自衛隊でございますが、陸上自衛隊は、例年と同じように指揮所演習を二回、これは一回はアメリカ、一回は日本でやるわけでございますが、二回と実動演習を一回、例年のとおり行いたい。さらに、できますれば海兵隊との演習といいますか、機能別の基礎的な訓練でございますが、これは四十六年に始めたものでありますけれども、今年度もチャンスがあれば行いたいというように考えております。  次に、海上自衛隊でございますけれども、海上自衛隊は海上自衛隊として年に一回海上自衛隊演習というのをやりますが、その際に、米側の参加も従来どおりさせて共同演習をしたいということのほか、毎年一回派米訓練というのを行っております。五十九年はこの派米訓練と兼ねましてリムパックが行われますので、リムパックに参加をさせたいというように考えております。そのほか、数回の対潜特別訓練あるいは小規模訓練、それから年に一回ぐらい、一、二回でございますが、掃海訓練といったようなものを考えております。  次に、航空自衛隊でございますけれども、航空自衛隊は、これも例年どおり、ほぼ月に一回ぐらいのテンポでございますが、戦闘機戦闘訓練を行うということのほかに、昨年から始めました指揮所演習、指揮所訓練をことしもやりたいと考えております。  なお、海上自衛隊と同様に、航空自衛隊演習というのがございますが、その際に、でき得れば従来のような戦術的な個々の飛行機の訓練でない、部隊としての指揮所演習といいますか、そういったものの訓練もできればということで一応考えておりますが、まだ具体的な計画になっておりません。  最後に、米国以外との訓練でございますが、これは例年我が方の練習艦隊が遠洋航海に行く、あるいは各国の練習艦隊等が日本に立ち寄るといったような際に米国以外の国と親善訓練を行うわけでありますが、今年度とういうものが行われるかということについては、まだ全く具体的なものはございません。
  232. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 五十九年度でこれに必要な予算はどのくらい計上しておりますか。
  233. 西廣整輝

    西廣政府委員 私ども、特に共同訓練ということでそれ特有の予算を別建てにしておりませんで、それぞれの、陸上自衛隊なら陸上自衛隊の平素の演習訓練費の中から使っていく、あるいは航空自衛隊等でも、燃料等は通常の燃料費の中でやっていくということでございまして、特別に共同訓練関係経費が幾らかということを全部抽出することはなかなか難しゅうございまして、特に探しますと、例えば派米訓練をするというような場合には特別の外国旅費とか向こうで調達するもののお金がございますので、そういったものについては拾い出すことは可能であろうかと思います。
  234. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、もちろん確定的なことは言えないと思いますが、およそ概況がわかったわけですけれども、自衛隊が能動的にアメリカと陸海空の合同演習をやる場合と、それから今度は受け身の立場で、アメリカから日本に対してやってくる場合もあるでしょうね。そういうものは、今あなたがおっしゃった中にはないわけですね。それも入るようなことになるわけですか。そういうことも含めてのことでしょうか。その辺をちょっと明確にしておいていただきたい。
  235. 西廣整輝

    西廣政府委員 共同訓練は、御案内のように我が方の戦術技量の向上ということを中心に考えておりまして、できるだけそういうチャンスを私どもも見つけて、米側と技を磨くというようなことをしておるわけでございますので、どちらかといいますと、すべてが私どもの方が希望しているというものの方が多いと思いますが、先ほど申し上げたもろもろの計画というものは、先生の御質問から言えば、両方入っておるというように御理解いただきたいと思います。
  236. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は全般についてお伺いできませんが、時間がなくて残念でございますが、西廣さん、陸軍の場合、統計的に見ましても、実態的に見ましても、確かに日米合同演習というのは今まで余りなかったですね。指揮所訓練、図上訓練等昨年あたりから始まっておるわけでありまして、我々基地を持っております地元としては、マリーンを含めた海兵隊、こういったものが北富士演習場を使って演習をするのではないか、こういう心配があるわけです。その演習の際に、どの程度の規模のものになるのかということです。  東富士演習場、長官の地元の方でございますが、あそこは早くからきちっとしてありますからよかったのでございますけれども、北富士の方は御承知の経緯がございますので今日まで紆余曲折をしておることは御承知のとおりです。ですから、地域住民、周辺住民からしてみると、できるだけあそこでやってほしくない、こういう気持ちを持っていることは、これは事実でございます。  したがって、おくれております陸上の日米合同演習というものを昨年は北海道でもおやりになったように承知しておりますが、ぼつぼつこの北富士演習場等で演習を始めるというような御計画を今のところ持っておられるかどうか、特に東富士、北富士を連檐してやるようなそういう大規模なものをやる御意思があるのかどうなのか、その辺をひとつ伺いたい。
  237. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、まだ具体的にどこでどのような訓練をやるということが決まっているわけではございませんが、陸上自衛隊の共同訓練の基本的なパターンと申しますか、考え方を申し上げますと、私どもとしてはできるだけ各方面でやりたいということが一つございます。それともう一つは、陸上自衛隊の主力が集まっておる北海道はやはりその中でも重点になるということがございますので、北海道を重点にしつつ各方面で逐次やっていきたいという考え方を一つとっております。  それから規模につきましては、やはりそこに所在しております我が方の部隊の規模、あるいは演習場の大きさとかそういったものを十分勘案いたしまして、その土地、土地で規模が決まっていくのではないかというように考えております。
  238. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは私の強い要望として申し上げておきますが、北富士演習場、これは世界にも誇る霊峰富士山のふもとでございまして、登山シーズン等には特に御配慮いただいた協定がちゃんと今度はこういうふうに載っております。相当の配慮をしつつあることはよくわかりますけれども、なおかつ、霊峰富士のふもとでございますから、そこででかいどかんどかんをやられてはこれは困るわけでございますから、十分に配慮をしてぜひひとつ実施計画を立てていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。  なお、自衛隊、特に陸上部隊の中に約三万人近い欠員がずっとございます。これは私も長い間取り上げてきた問題でございますが、依然として解決いたしません。十八万が今十五万六千ぐらいですか、なぜ自衛隊員が集まらないのか、せっかく集めてもまたやめていくのか、それが令体の自衛隊の士気にどう影響してくるのか。定員を認めておきながらそれが長きにわたって不補充であるということは、重大な責任問題であると思うのですね。十八万の陸上自衛隊の能力は果たせないでしょう。それだったら、十五万に定員を減らしたらどうですか。そのくらいのことも考えて――御苦労していることはわかりますけれども、私はそんな気がするのでございます。ほかの方はある程度欠員があってもまあまあでございますけれども、陸上については全く大変な状態でございますから、これを長官、どうしていくのか、これは大変なことだと思うのですよ。それが何が原因なのか、どうして補充できないのかということを明確にしていただきたかったのですけれども、時間がありませんので、これで私は失礼いたしますが、その点を配慮して今後やっていただきたい。ありがとうございました。
  239. 上村千一郎

    上村主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、武部文君。
  240. 武部文

    武部分科員 私は、航空自衛隊美保基地の問題について数点お伺いをいたします。  航空自衛隊の美保基地は、現在航空輸送団が設置をされておる基地でありますが、C46からC1輸送機にかわりまして、現在C1輸送機がそこに駐屯をしておるわけであります。この基地は、昭和十八年に第一期工事が完了して、戦後自衛隊の基地になり今日に至っておりますが、昭和三十一年、三十六年当時、防衛庁から滑走路の延長問題が提起をされまして、大変な問題に発展をし、いずれも撤回をされて今日に至っておるわけであります。防衛庁としては、この航空自衛隊美保基地の滑走路の延長は現在する意思はない、このように理解をしてよろしいかどうか、最初にお伺いします。
  241. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答え申し上げます。  私どもとしては、現在の千五行メートルの滑走路で需要を満たしております。
  242. 武部文

    武部分科員 昭和五十八年度予算に、運輸省は、この基地の突端を五百メートル延長をする計画を立てまして、調査費を計上したわけであります。本年度も約四億の予算を要求しておるようでありますが、現実には地元の同意を得られない。そのために五十八年度予算は執行不可能、こういう状況になっておることは先ほど運輸省の答弁でわかりました。  全国の基地の中で、自衛隊の所有をしておる滑走路の先端に所管の異なる他官庁の運輸省の滑走路が延長される、言うならば全く所管の違う異質のものが滑走路の突端にひっつく、こういうような基地が全国のほかにございましょうか。
  243. 友藤一隆

    友藤政府委員 現在実は私どもの海上自衛隊が使用いたしております徳島の飛行場がございますが、これも公共用の御指定をいただいておりまして、風間航空の需要を満たすために運輸省の方で滑走路を延長したいということで、現在所要の工事等が行われておるというふうに聞いております。
  244. 武部文

    武部分科員 今のは、海のことでしたね。海上でございますね。
  245. 友藤一隆

    友藤政府委員 海上自衛隊の基地でございます。陸上飛行場でございます。
  246. 武部文

    武部分科員 わかりました。  そこで、今度の滑走路を五百メートル延長したいというこの理由は、航空自衛隊の滑走路を民航が併用して使っておるわけであります。航空法に基づいて民航がこれを使用さしてもらっておる、こういうことになっておるわけであります。したがって、今この基地にはボーイング737が離着陸しておりまして、グルービングをやっておる、したがって、千五百ではちょっと危険なので二千にしたら安全だ、こういう理由で自衛隊の方に延長をするからという話し合いをしておるのだ、こういう話でございましたので、それはわかりました。わかりましたが、ここで二、三疑問の点がありますから、この機会に明確にしていただきたいことと、今までいろいろとやりとりをして、自衛隊との間に地元ないし私ども議員団との間に約束事がございますので、このことをここで確認をしておきたいのであります。  その前に一つ、この滑走路は、今まだ同意がありませんが、六十年代前半に完成をさせたい、こういうような意向のようですから、まだ相当年数はかかるだろう。これは地元の同意も得なければなりませんし、なかなか難しいようでございますが、仮にこの滑走路ができた場合、こっち側は今千五百あるわけですから、これと突端にでき上がる五百メートルとは、一体所有権はどうなるか、管理権はどうなるか、航空管制権は一体どうなるか、修理する場合には一体どうなるか、そのためには一体運輸省と防衛庁とはどういう約束事をしようとしているのか、この点をひとつ説明していただきたい。
  247. 友藤一隆

    友藤政府委員 先生、先ほどお述べになりましたように、現在まだ計画が始まったばかりということで、いつでき上がるかという問題がございますので、しかとしたことを申し上げるということではございませんけれども、仮に五百メートルの延長工事によりまして、滑走路、着陸帯、誘導路等がその分できるわけでございます。そういったものにつきましては一応私どもの方で管理をすべきものは管理をさせていただく。その場合、手続でございますが、一応国有財産法上の無償所管がえということで私どもが所管受けをしまして、一体的に管理をしていくということでございます。  それから管制権は、これは運輸大臣から私どもの方へ委任を受けておりまして、その点は変わりなく管制をやっていきたいというふうに考えております。  それから維持修理等でございますが、これは滑走路として一体的に供用する段階では、当然私どもの行政財産ということで管理をいたしますので、一義的には私どもの方で行うということになろうかと思います。破損等があります場合、これはどこでも同じでございますけれども、破損原因がはっきりしている場合には、これは原因者負担ということは当然でございますけれども、一般的な維持管理、これは私どもで実施をする、こういうことでございます。
  248. 武部文

    武部分科員 昭和四十六年に、この自衛隊の滑走路の角度が、たしか二十六度だと思いますが、つけかえになりました。これは騒音その他の関係から角度が変わったわけであります。それで現在の滑走路になったわけでありますが、この滑走路つけかえの際に、地元の市長が知事を経由して防衛庁との間に条件を五つ付したのであります。地元の防音対策あるいは移転の問題とか補償の問題、あるいは民航の今後の扱い方、そういう問題で五つの条件が付されて、防衛庁がこれを認めたのであります。その第五項にこの基地はジェット戦闘基地にしないという項目がございますが、今日我々は、この地元知事あるいは市長と防衛庁との間に交わされた五つの条件は今もそのようになっておる、このように理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  249. 友藤一隆

    友藤政府委員 先生仰せのとおりでございます。
  250. 武部文

    武部分科員 さらに、C46からC1ジェット輸送機にかわります際に、自衛隊の基地の機種が変更になる場合は地元の自治体の同意を得るという約束事を当時の我々五名の議員団と防衛庁との間に取り交わしたのであります。今日の新機種、今はC1でありますが、当時C46からC1になるときにそうでありますが、地元の同意を得る、その地元とは島根、鳥取両県並びに境港市、米子市、安来市、東出雲町、松江市、八東町、美保関町、この二県七市町、こういうふうに当時理解をしたわけです。今日、これはそのとおり生きているかどうか。
  251. 友藤一隆

    友藤政府委員 先生、今御質問ございましたように、四十六年の六月に地元の国会議員団の方々が私ども防衛庁に来庁されまして、美保滑走路の工事に関しまして申し入れをされたことは、私ども十分承知をいたしております。その際、申し入れに対します回答をいたしました中で「美保基地にC1型機が配備される場合は、県当局と十分協議をし、その理解を得るよう努力する。また、防衛施設の安定した維持、運営のためには、地元住民の理解と協力が必要であるので、今後とも地元の理解と協力を得るよう努力する。」と、こういった趣旨の回答を行っておることは事実でございます。私どもとしましては、従来から、重要な配備の変更に当たりましては地元の関係市町村あるいは県当局の御了解を得て実施をいたしてきておるところでございますので、今後もこの方針は変わっておりません。  なお、先ほど列挙されました七市町、二県、これはC1型配備に際しまして私ども理解をいただくべく接触をいたしましたことは御指摘のとおりでございます。
  252. 武部文

    武部分科員 当時のことをお認めになりましたが、これからの新機種の問題、これは全く未定であります。これについても同様に、今のようなお答えどおりの態度をお続けになる、そのように理解してよろしゅうございますか。
  253. 友藤一隆

    友藤政府委員 同様の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  254. 武部文

    武部分科員 現在C1ジェット輸送機が四機配備されておりますが、五六中業の中でC1輸送機がどのようになるか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  255. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 御指摘のC1輸送機は、調達の計画がございません。
  256. 武部文

    武部分科員 五六中業ではC1はなくなってしまう、現在あるC1は、これから先の製作も中止されておるようでありますから、これは五六中業では最終的に姿を消していく、このように理解してよろしいですか。
  257. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 五六中業で見積っておりますのは、五六中業期間中の五年間に新しく購入する正面装備品を中心に見積もっておりまして、したがって、ただいま申し上げましたのは、この五年間の計画として新しく購入をする計画は持っていないということでございますから、現在持っておる飛行機は耐用命数のある限り保有をし続けるということでございます。
  258. 武部文

    武部分科員 もう一つこの機会にお尋ねをいたしますが、ロッキードC130ハーキュリーズ、この米軍の輸送機がこの基地に飛来をしたというのは事実でしょうか。事実ならば年月日、理由を述べていただきたい。
  259. 友藤一隆

    友藤政府委員 昭和五十七年四月三十日に、米軍機のOV10という航空機二機が実は墜落をした事故がございまして、翌五月の一日に米軍のC130型機が捜索救難、それから事故調査のため飛来をいたしております。  飛来をいたしました日時でございますが、五月一日から五月八日までの間の六日間、延べ九機でございます。  なお、地元への通知といたしましては、米軍から通報がありました都度、美保の基地司令から米子、それから境港の両市に対しまして御連絡をいたしたというふうに承知をいたしております。
  260. 武部文

    武部分科員 これは韓国から横田基地へ向かっておった飛行機が接触事故を起こして墜落をした、その事故の後処理のためにということも後で我々は承知をいたしました。このC130が初めてこの千五百メートルの滑走路に着陸をした。しかも九機にわたって着陸をしておる。これは先ほど申し上げるように、私どもと基地の長いいろいろな歴史の中で取り交わした、新しい機種、いろいろな飛行機が飛んでくる場合には事前に地元に通知をするのだ、こういう約束事があったにもかかわらず、このC130ハーキュリーズの問題については――今は地元の二つの市のことをおっしゃいましたけれども、先ほど私が述べたように、両県並びに七市町というのは、あの基地の長い間の歴史の中で、騒音なりその他の問題でいろいろと問題があった市町村であります。したがって、延長や機種の変更やその他の問題についてはすべて地元の同意を得て円満に問題を解決したいという防衛庁の意向から、我々もその点については話し合いの上で了解をした、こういうことになっておるわけでありますが、今もお話がありましたように、他の県、町村には何らの連絡もなかった、こういう点はお認めになりますか。それは間違いであって、少なくとも千五百のあの滑走路に、今最も大きい四つのエンジンを持ったロッキードC130ハーキュリーズが、我々は着陸できると思っていなかったが、そういうことが現実に起きた。知事も全くそれを知らないで、後でそれを聞かされて実は大変立腹をしておったということが報道された経緯があるわけであります。この点についてどういうふうに思われますか。
  261. 友藤一隆

    友藤政府委員 説明の都合上、まずC130がそれまで美保基地にはおりられないというふうに申し上げておったのになぜおりたのだ、この点はいろいろ地元でも問題にしておるではないか、こういう点についてお答えを申し上げたいと思います。  御案内のとおり、C130という輸送機は、平常では大体長さ約二千メートルの滑走路の長さ、それから重量がございますので厚みが約三十センチの滑走路が必要であると言われております。それで、昭和五十五年当時の美保の飛行場の滑走路は長さ千五百、厚みが二十センチということで、この状態では、長さ、厚みともC130型機の離着陸には適さないというふうに私ども考えておったわけでございます。  その後、実は先ほど来のお話がありました民航のジェット化の暫定措置といたしまして、グルービング並びに滑走路の増厚措置をとりましたことから、昭和五十六年の十二月ごろにこれができたわけでございますが、厚みが三十六センチに実はなっておりまして、グルービングも行われた結果、非常にとまりやすい形になっておったということで、長さはともかくとしまして、厚みについてはC130の離着陸には支障がない状況に実はなったわけでございます。  それで、長さの方でございますけれども、この輸送機は大変多くの物を積めるということになっておりますが、これを減らしますれば離陸距離あるいは着陸距離はコントロールすることができるわけでございまして、恐らく当時米軍のC130輸送機はその積載量を軽減をして着陸をしたのではないかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。  したがいまして、前の一番初めの御質問でございますけれども、C130型機の美保への着陸につきましては、さきに申し上げましたように米軍機の捜索救難活動あるいは事故調査という極めて臨時的な、一時的な使用であったこと、それからいわば人道的な必要上の使用であった。それから中国山脈の一都に落ちたわけでございますけれども、鳥取県内でございましたか、事故現場に比較的近い空港施設であるということから、基地司令としては許可をしたということでございます。  通報につきましては、基地の使用形態として新機種を入れるとか大きく態様を変えるというような場合は、当然これは先ほど来お答えを申し上げておりますように、事前にいろいろ御了解、御理解をいただくということにしておるわけでございますが、通常のこういった場合、使用形態、例えば不時着てありますとか遭難等の場合、関係の飛行機が救難にやってくるとか駆けつけるというような事態は、飛行場の使用形態としてはやや特殊な例ではございますが、一般には予想されるところでございますので、極めて臨時的なものであることから、先ほど来申し上げております、地元に御通知いたしております基地の使用の態様を大きく変えるようなものではないという判断から、私どもとしては県あるいは周辺の町村にはお知らせをしなかったところがあったわけでございます。ただ、境港市と米子市につきましては、基地の所在市ということでございますし、飛行場との直接的なかかわり合いが極めて深いということで、念のため基地司令から事前に御連絡を申し上げた、こういうふうに理解をいたしておりますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
  262. 武部文

    武部分科員 確かに救難の関係であったことあるいは人道上の問題であったこと、これは結果論でありますが、我々も認めます。ただ、おっしゃったように、基地があるところは両市だとおっしゃっても、滑走路の両方の進入路は両市ではないわけです、御承知のように。片一方はこれは全く安来の突端です。片一方は美保関町です。あるのはなるほど米子と境港市ですが、両方は全く違う町村です。そういうことを考えたときには、やはり新機種の問題、確かに緊急なことであったかもしれませんが、これは六日間に九機ですよ。六日間も飛んできておるわけですから、我々との約束どおり地元の二県あるいは七市町に対してこういうことになるということぐらいおっしゃったって別に何ともないことであるし、今までの経過から見てそれが至極当たり前のことだ、こう私は思うのでありまして、そういうことをやらないということになってくると、それがなし崩し的に新機種等につながるじゃないかという懸念さえうかがえるのであります。  そういう点から考えると、やはりこれは間違いであった。だから県知事も知らなかったといって後で文句を言っておったようですが、やはり新機種ですから、たった一日ならばいざ知らず、六日間も飛来をしておるわけですし、その後、あの基地の上空で演習が行われて、全く知らなかった市民がびっくり仰天をして問い合わせがあったという事実があるのです。これはもちろん米軍のとは言いませんが、これも新しい機種でもってあの付近、着陸はいたしませんでしたが、演習があって大変な騒音だというので騒ぎになった、こういう事実がその後ありますね。あったのです。ですから、今私が申し上げたように、そういう問題については、やはりはっきりと地元の自治体に対して防衛庁の方から基地司令を通じて連絡をするように今後取り計らわれるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  263. 友藤一隆

    友藤政府委員 繰り返すようでございますけれども、先生御懸念の、これをなし崩しにして新機種をずるずる入れてしまうとか、使用態様を大きく変える、こういったことは、私どもとしては毛頭考えておりませんで、そういった使用態様の大きな変更でございますとか、配備機種を変更する場合には、当然、今までのお約束どおり地元にお知らせをし、御理解をいただいてまいるという方針には全く変わりはないわけでございます。  ただ、今回のものにつきましては、そういった御理解をいただいておる範囲内での日常の飛行場の設置に伴います一般的な業務というものの一部でございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございますし、周辺の市町村も、飛行場の使用態様として、やはり臨時に人道上の必要から救難に駆けつけてくるというようなものについて、航空機を運航させておる一般的な飛行場としての業務というものの中で何とかひとつ御理解をいただければというふうに考えております。飛行場としての運用をいたしておりますればやはりいろいろな事態もございまして、臨機応変に対応していくということは公共的な施設を運営いたしております者としての責務でございますので、航空安全、航空救難等の立場から、地元の御理解をいただきながらこういった業務は進めていくということはもちろん私どもとしても十分心してやっておるわけでございますので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  264. 武部文

    武部分科員 えらいしつこいようですが、私は難しいことを言っておるわけじゃないんですよ。約束事ですから、やはりそういう点については信頼が失われるととかくエスカレートするものですから、たった一日、一遍おりて、あのときはたしか遺体を収容したと思うのですが、すぐ飛んで帰った。これに対してとやかく言う者はいないと思うんですよ。ですからあなたの方で、六日もやってきたのですから――やはり見た者がいるのですからね。こんな大きな飛行機がこんなところへよく着陸したものだ、これはどうしたことかと、尾に尾がついてふれるんですよ。そんなことがないためにも、やはり六日間も来たのですから、電話一本でもいいでしょう。地元の町村にこういうことでこうなったからと、なぜそれができぬでしょうか。  私は、やはりそういうことをあなた方がおやりにならないととんでもないところでのとんでもないことになるので、そういう点については、今済んだことですからこれ以上のことは言いませんが、これからはやはりそういう点については配慮をしていただかなければならね、こういう点を特に強く要望しておきたい。あなたはさっき私どもとの約束があった、新機種については事前に地元の了解を得なければやらぬということをおっしゃったし、それから最初の、角度を振る場合のジェット戦闘基地にしない、これをお認めになった。ですから、これ以上追及いたしませんし、これで結構ですが、いま言った点はお互いの地元との信頼関係を保つためにもぜひしっかりとした処置をとってもらいたい、このことを要望して、時間が来ましたから終わります。
  265. 上村千一郎

    上村主査 これにて武郎文君の質疑は終了いたしました。  次に、橋本文彦君。
  266. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 神奈川県の厚木飛行場につきまして質問をいたします。  県の中央部、しかも人口が密集している地域、ここに厚木飛行場があるわけでございますけれども、大変な航空機の墜落事故あるいは整備中の爆発事故等あります。それに加えて米海軍の航空母艦ミッドウェーが横須賀に入港するたびに艦載機が到来して、いわゆるタッチ・アンド・ゴー、離発着訓練をするわけですけれども、この音たるやもう人道上許されない、こういう状況であります。相模原市のアンケートによりましても、幼児が引きつけを起こす、あるいはノイローゼになっている、こういう状況下にあります。聞くところによりますと、米軍の方でも現在、厚木基地ではタッチ・アンド・ゴーの練習にふさわしくない、こういうふうに伺っておりますが、米軍の意向はどのようなものなのか、まずお聞きしたいと思います。
  267. 塩田章

    ○塩田政府委員 今お話にもございましたように、米軍も厚木地区での訓練は適当な場所ではないということにつきましては認識をしておりまして、我が方に対しまして関東及びその周辺地区で代替施設はないか、提供してほしいという要請が参っておるわけでございます。
  268. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 これは関東周辺でなければいけないわけですか。
  269. 塩田章

    ○塩田政府委員 米軍としましては、現在厚木のほかに三沢あるいは一部岩国等も使っておるわけでございますが、大変距離が遠いということで、実は厚木に今回のような問題が起こっているわけでございます。米軍の要望としましては、厚木から距離的に百ノーチカルマイル程度、百八十キロぐらいのところで代替施設はないか、こういう要望を出しておるわけでございます。
  270. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そういう米軍の要望に対しまして、我が国ではどういう考えでございましょうか。
  271. 塩田章

    ○塩田政府委員 私ども自身、地元からのいろいろな御要望がございますし、また一方米側からもそういう要請もございますので、これにこたえたいというのが基本的な考え方で、実は五十八年度から調査を実施いたしております。  その場合に、考え方としまして三つの考え方を立てておりまして、一つは今申しました米軍が要望しておる、おおむね関東及びその周辺地域の中で既存の飛行場で代替性のある飛行場というのがないかということ。あるいはやはりその付近の区域の中で新設飛行場ということが考えられないかというのが第二点。第三点としまして、これは資料の収集等にとどまっておりますけれども、海上に何らかの浮体構造物というようなことが考えられないかというような観点からの調査をいたしておるわけでございます。
  272. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 今新設飛行場という話が出ましたけれども、これは具体的にはどの辺の位置をあれしているのでしょうか。
  273. 塩田章

    ○塩田政府委員 どの辺と言われましても、これもやはり先ほど言いました米軍の要望としまして厚木から百八十キロ以内のところというところでございまして、その範囲で考えておるということでございます。ただ、現時点でどこの地区に絞って検討しておるという段階には至っておりません。
  274. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 この飛行場の影響市は大和市を中心としまして相模原市、座間市、綾瀬市、海老名市、藤沢市の六市に影響するわけですが、とりわけ大和市の方からは今お話しのありました海上浮体訓練代替施設の陳情等がありますけれども、この海上浮体設備に関しましてはどの程度の研究というか、調査活動を行っておるのか。それからまた、この海上浮体が現実だ使用できるようになるのか、その辺の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  275. 塩田章

    ○塩田政府委員 この海上浮体構造物といいますものは、米側の要請からしますとやはり陸上と同じく約二千メートル、希望どおりいけば二千四百メートルでございますが、約二千メートルのものが要るということでございます。しかし現在世界にそういうものはございません。したがいまして、私どもいきなりこれに取り組むといいましてもなかなか大変でございまして、現段階としましては資料の収集といったようなことをやっておるという段階でございまして、これを具体的な検討対象にするというところまでは至っておりません。
  276. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そうすると、現段階では資料の収集にとどまっておる、現段階ではまだ研究する余地もない、こういうことですね。  せんだってこのタッチ・アンド・ゴーの練習場として三宅島という案が出ましたが、これについて施設庁どう考えておりますか。
  277. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは案が出ましたというよりも、実は昨年の暮れに島の方から島の議会の議決をもちまして官民共用の飛行場をつくってほしいという意見書が出されまして、その場合の官民共用の官というのは米軍の訓練を含めた、訓練用飛行場ということを含めた意味である、こういう趣旨の意見書が出されたわけであります。ただ、その後ちょうど一カ月ばかりたってからでございますが、その間島でいろいろの状況の変化がございまして、現在のところ一月二十日だったと思いますが、同じく村議会におきまして全く反対の議決が出されまして、二十六日に私どもの方にやはり意見書として出ておる、こういう段階でございまして、現在の時点では三宅村議会としては反対といいますか、前の意見を取り消したという形になっております。
  278. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 三宅島に対して積極的に訓練場をつくるという考えはございますか。
  279. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在、今申し上げましたような一たんは意見書が出まして後でまたそれを反対議決するという形になっておりますが、一方その経過を離れて島の置かれた位置というもの、私の方の立場からいいますと、厚木からの距離でありますとか、あるいは海の上で訓練ができますといったようなことから考えまして適地であるということは一応考えられるわけでございます。ただ、こういう問題は地元の御理解、御協力がなければできない問題でございまして、今私どもここで三宅島を積極的に推進するといったようなことを申し上げられる状況ではございませんけれども、一つの候補地として今後とも地元の御理解を得られるような努力はしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  280. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 具体的に候補地として三宅鳥が上がってきたわけですけれども、そのほかに先ほどの関東周辺の既存の航空基地といいますか、それは具体的にはどの辺を指しているのか、お聞かせ願いたいのです。
  281. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは新設飛行場としまして飛行場に必要な面積、その面積も飛行場の滑走路の面積だけではございませんで、周りの人口の希薄なところあるいは風向でありますとかあるいは地形でありますとか、いろいろなことから考えましてなかなか適地がございません。私どもの方にこういうところはどうかといったようなお話は何件か既にございますけれども、いずれもここでいいではないかというようなところまでは至っていないというのが現状でございます。
  282. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そういたしますと、この厚木飛行場がどうしても存続していく、ここでタッチ・アンド・ゴーをやらざるを得ないという状況なわけでございますね。  そういうわけで、この基地の周辺は相当な騒音公害。これに関しましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律がございますけれども、この法律に従いまして防音工事の区域がどんどん拡大していきまして、八十WECPNLから七十五WECPNLへ拡大する、こういうふうになっておりますが、この告示の時期が依然としてはっきりしないわけです。いつの時点で告示が明確になってくるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  283. 塩田章

    ○塩田政府委員 今のお答えの前にちょっと恐縮ですが、先ほど私のお答えが先生のお尋ねとちょっと違っておったのかもしれませんが、先ほどの私のお答えは、私どもの項目の第二項目の新設飛行場を探す場合のことをお答えしたつもりでございます。その点、御了承いただきたいと思います。  それから今の厚木の七十五以上への指定でございますが、現在私どもの方の作業は一応終わりまして、関係地方公共団体と協議をいたしております。したがいまして、そんなに長くはかからないとは思いますけれども、そういった協議の終わり次第作示したいというふうに考えております。
  284. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 これは自体的にはいつごろということは無理なんですか。また、具体的に告示がなされた場合に、その対象になる地域の工事はいつごろからできるのか、質問いたします。
  285. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは今申し上げたように、関係地方団体にあれしているものですから、御返事あり次第というより、ちょっと今私の方からいつごろだというふうに申し上げることは困難でございますので、その点は御理解いただきたいと思います。  それから拡大された場合の戸数でございますけれども、今も申し上げましたように、そういう協議を得てない段階では必ずしも正確にこの範囲ということを申し上げられませんけれども、拡大された場合にはおおむね七万三千世帯ぐらいではないかというふうに考えております。
  286. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 この七万三千世帯に対しての工事はいつごろから開始されますか、防音工事そのものは。
  287. 塩田章

    ○塩田政府委員 工事そのものは既にもう前からやっておるわけでございます。ただ、今の先生のお尋ねが拡大された部分についてというお尋ねでありますと、今度五十九年度はまた約八千戸近く厚木周辺では考えておりますけれども、具体的なはめ方の問題になりますと、新設区域のところが入るかあるいは従来の八十以上のところが優先的にいくべきか、そういうようなことは具体的に決めていきたいと思いますが、対象としては当然告示され次第入ってくる。具体的に工事がいつ始まるかは、その具体的なはめ方の問題になりますから、ちょっと今申し上げかねると思います。
  288. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ところで、この防音工事の設備がなされましてから早いところでは十年が経過するわけですが、この十年の経過と同時に、設備そのものが非常に老朽化してきている、こういう問題が起こり始めております。また、せっかくいただきました設備そのものにも、例えば冷暖房機に維持費が非常にかかるということで、低所得者階層あるいは母子家庭などのいわゆる生活弱者には大変な負担になっておると聞いております。この設備の老朽化あるいはもう一度新しいものに取りかえるとか、あるいは今言ったように生活弱者への配慮、これはどのようにお考えになっておりますか。
  289. 塩田章

    ○塩田政府委員 老朽化に伴います更新ということは、これは事柄として私どももわかることでございますので、今後検討してまいりたいというふうに考えます。  ただ、維持費の方でございますけれども、維持費の方につきましてもかねてから各方面から御要望があるわけでございますが、この点につきましては私どもも御要望のなさることがわからぬわけではないのですけれども、やはり今の膨大な二十五万三千世帯の対象世帯を考えまして、まだ現在十万九千しかできていないという実態を考えます場合に、やはりまだできていない方に先にしてあげることが先決じゃないかというようなこともございまして、必ずしも御要望に沿えていないというのが実態でございます。まだしばらく当面は御要望に沿えそうにもないわけですが、ただ、その中で御指摘のあった、例えば生活保護世帯といったようなものについて特別に考えられないかという点につきましては、これも私どもとしましては御要望の趣旨はわからぬわけではございませんので、予算要求は従来もいたしましたし、今後も財政状況ございますけれども、できるならば配慮していきたいというふうに考えております。ただ、一般的に維持費の点を考慮するまでは、ちょっと今の財政状況からはやはり先決事項が別に、全部の方に先にしてあげたいという方が先ではないかというふうに考えております。
  290. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 今回八十Wから七十五Wまでに拡大されるわけですが、そうしますと、現在大和市に対してはテレビの受信料が減免されておる。これが七十五Wまで拡大された場合に大和市外にも及んでくるわけですけれども、この場合に、テレビの受信料等についての考え方はいかがなものでしょうか。
  291. 千秋健

    ○千秋政府委員 テレビの受信料の減免に対します助成措置でございますが、これは従来NHKの方でやっておりましたテレビ減免を引き継いでやっておるわけでございますが、その後騒音度調査によりましてコンターが逐次できつつあります。それに合わせて見直せというお話もいろいろ来ておりますが、今のところ、まだすべてについてコンターができたわけではございませんし、またこれを見直すことになりますと、いろいろ問題等ありますので、慎重に検討しておるというところでございます。
  292. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 検討段階で、やらないというわけじゃないのですね。
  293. 千秋健

    ○千秋政府委員 いろいろ調整しなきゃならない問題はたくさんございますが、今後関係機関等と十分協議してまいりたいと思っております。
  294. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 テレビではそういう減免対象になっておるわけでございますけれども、日常生活にとりまして電話というものが非常な騒音によって侵害されておる。電話料金について、いわゆる防音の工事対象区域について減免するという考えございませんか。例えば電話料金そのものの基本料金を減免するとかあるいは電話が聞こえるような方途を講ずるとか、何かお考えございませんでしょうか。
  295. 千秋健

    ○千秋政府委員 航空機騒音の場合におきます電話の通話上の障害につきましては、従来から電話を改良するといいますか、騒音用電話を取りつけるという形で対策を講じてきておるわけでございまして、この場合、障害度につきましては、いろいろ個別、個人によります差等がございますので、これを一律的に基本料金、電話料等の減免というよりも、やはり機械によります。そういう面の改善を図っているということで対処してまいりたいと思っております。
  296. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 この電話機の改造という点で、現在相当利用者がおるわけでございますか。あれば、その数等、もしわかれば……。
  297. 千秋健

    ○千秋政府委員 この電話機は、改造につきましては電電公社の方で研究をしていただいておりまして、電電公社の方に私どもの方からお願いするという形をとっておるところでございます。
  298. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 具体的な数字等は現在提示はできないわけですね。――結構です。  この告示の際にいわゆる防音工事の対象になった家屋、この家屋がいわゆる増改築をするあるいは新築をする。あるいはこの辺は相当古い農家がたくさんございまして、分家というような問題も起きてくる。そういう場合には一切防音工事の対象にならないと聞いておりますけれども、ちょっと不合理だなという感じがするのです。これを告示後に移転してきた人間あるいは増改築にも拡大する余地はないか。
  299. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは、現在法律の規定で告示時点にある家屋ということに限定されておることは御承知のとおりだと思いますが、いろいろなケースにつきまして、こういうケースもあるじゃないかという御指摘いろいろございます。今の分家の問題だとかいろいろございますけれども、一つはそういった法律の問題もございますが、私どもの考え方としまして、これも先ほどのお尋ねと関連しますけれども、今二十五万三千世帯の中で半分もできていない、四七%しかできていないという状況の中で、後から来られた方といいますか、御承知の方は、この隣どうしても優先順位という点からいきましても、私どもとしてはこれを取り上げて対象にするというような考え方はとっておりませんで、やはり現行法の建前の中でやっていきたいというふうに考えております。
  300. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 問題を変えまして、相模原市には現在大きな基地が三つございます。相模総合補給廠、相模原住宅地区、キャンプ座間、この三つがございまして、相模原市の全体の五%を占めておる。御存じのように相模原市は人口急増地帯でございまして、しかもこの相模原総合補給廠にとりますと、まさに相模原駅のすぐそばにあるという、しかもその中心地にある。     〔主査退席、与謝野主査代理着席〕 しかも人口が密集化しているところである。しかも従来あった道路が寸断されておる。上溝立川線といいますが、そういう問題がございます。ところがベトナム戦争終結後、この相模総合補給廠の機能が随分縮小しているように聞いております。現実的に、この補給廠のいわゆる野積み場というのが約五十ヘクタールありますが遊休化しておる。したがいまして、このいわゆる野積み場、これを返還するような考えはないか。また、旧県道の上溝立川線が通っておりますけれども、この道路を開通するような計画は成り立たないものか。あるいは野積み場というものの性格から現在何も置かれていない、原っぱ同然だということで、何とか現時点でこれが利用できないだろうか。そういう点をまとめてお尋ねいたします。
  301. 千秋健

    ○千秋政府委員 まず最初の相模総合補給廠の野積み場の問題でございますが、これは総合補給廠という機能の面からやはり維持しておかなければならない施設でございます。そういう意味で、米側の方でこれを現在返すような計画はないというふうに承知しております。  また、ここを一時的に市民に利用させるかという問題もございますが、現在のところ米側の方では、必要な際に、使用する市民の方にどいてもらわなければいかぬ、また利用を妨げるいろいろな問題が出てくるので、現状の形で維持していきたい、こういうふうに申しておるわけでございます。  それから旧県道の問題でございますが、これは先生も御承知かと思いますが、相模総合補給廠の真ん中を分断する形で通るわけでございまして、この部分を開放することは相模総合補給廠としての機能を損なうということで、これまた非常に難しい問題でございます。そういうことがありまして、道路に関しましては、周辺迂回道路等につきましても総合補給廠の一部を返還しまして拡幅を図るとか、また私どもの方で周辺整備等によりまして道路整備を図るとか、そういう面で交通に支障がないように努力させていただいておるということでございます。
  302. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 この件につきましては相模原市の方でも今後積極的な申し入れがあろうかと思いますが、今言った、いわゆるいつでも返還できるという態勢のもとに総合グラウンド、例えば子供たちのドッジボールとかバレーボール、そういうような本当に何の施設も建てないような、土地そのものを使うというような共同利用、しかもいつでも米軍の方で必要があれば返還するという条件つきで何らかの形で使用できないか。それを積極的に推進するお考えはございませんか。
  303. 千秋健

    ○千秋政府委員 先ほども説明させていただきましたように、現時点では米側は非常に難しいということを申しております。その辺も十分踏まえまして、また今後検討してまいりたいと思っております。
  304. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 この相模総合補給廠のいわゆる周辺問題につきましてどのような助成措置が考えられるのか、具体的にお示し願いたいと思います。道路整備の方はわかりました。
  305. 千秋健

    ○千秋政府委員 今ここで具体的にどういうものというのはちょっと資料の持ち合わせがございませんが、一般的に総合補給廠、広大な面積が駅前に所在しておるわけでございますので、そういうことによります機能的な面の障害とか民生安定という観点から、地元の相模原市の方から御要望が出てきましたいろいろな周辺対策事案について検討して取り上げてまいるということになろうかと思います。
  306. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 周辺の住民の要望があれば検討願えるということでございますね。いずれにいたしましても、厚木飛行場あるいは相模総合補給廠あるいはキャンプ座間にいたしましても、神奈川県の中央部に属しているということ、しかも人口が急増化、しかも周囲は密集化しているというこの現状をどうしても認識していただきまして、米軍当局と積極的な、返還という形で今後ともぜひとも交渉願いたい、このように思っております。ひとつよろしくお願いいたします。  終わります。
  307. 与謝野馨

    ○与謝野主査代理 これにて橋本文彦君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  308. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 日本共産党・革新共同の工藤晃です。  きょうは基地周辺の個人住宅の防音工事の実態や問題点につきまして、施設庁長官と防衛庁長官に伺いたいと思いますが、最初に、これまでの全国の基地において、特にまた横田基地周辺においてその達成状況はどうか。何戸ぐらいもうやったのか。あと何戸ぐらい残っておるのか。それから特に横田基地周辺につきましては、ことしの四月、七十五WECPNLについてもやるということになりますが、大体対象戸数はどのぐらいになるのか、その点まず伺います。
  309. 千秋健

    ○千秋政府委員 全国につきましては約二十五万世帯が対象となっておりまして、そのうち五十八年度までに実施しましたのが約十万世帯でございます。  横田につきましては約二万八千二百世帯、このうち五十八年度はまだ終わっておりませんが、五十八年度計画分まで終わったとしますと約一万三千世帯でございます。(工藤(晃)分科員「それから七十五W、四月以降、横田ですね」と呼ぶ)ただいまのは七十五Wまで含めた数字でございます。
  310. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 はい、わかりました。  さて、資料をいただきまして見ますと、例えば五十七年度で防衛庁と防衛施設庁が中小企業への発注率は一六・三%で、これは国の平均、この国という場合は政府関係機関を含んでいない国でありますが、四四・〇%と比べると大変低いわけです。そしてまた、この基地周辺で行われている民家の防音工事でありますから、せめてこういう工事ならば地元中小企業へ積極的に仕事を回すべきだと考えますけれども、施設庁長官、これまでどういう方針をとってこられましたか。
  311. 塩田章

    ○塩田政府委員 特に防音工事等につきまして地元の中小企業に仕事を回すべきではないかというお尋ねでございますが、私ども全く同感でございます。
  312. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 大変同感だと言われまして、それが実際に行われておるかどうか、そうお答えになった以上、ぜひ実態を見ていただきたいと思います。特に空調工事について言いますと、これは民家の防音の工事、いろいろありますけれども、大工さんのやる工事だとか電気工事だとかありますが、空調工事というのが一つありますが、これは地元の家電商の皆さんが仕事をやりたいと思っていたんですが、一貫して排除されてきたわけです。少なくとも横田周辺でそうでありますし、また全国的にもそういうことを聞くわけであります。極めて端的な場合は、家電商の方でいつもそういう空調の工事をやっておる方が、自宅でその騒音のひどいところでこの対象になって、せめて自分の家の空調ぐらい自分がやりたいと思ってもそれができなかったわけであります。こういう事実があることを知っておりますか。  それで、ついでにもう少し申し上げたいんですが、例えば今も、昭島市の家電商組合として再三地元の家電商が仕事をやれるようにしてほしいというのが、いまだにやれない状態なんです。もう自分の家がやれないんですから、全くこれはひどいものなんです。  そこで、ぜひ二つの点を防衛施設庁長官防衛庁長官も考えていただきたいんですが、一つは昨年三月二日衆議院予算委員会で共産党の小林政子議員が取り上げた問題でありますが、今東京でも全国的にも中小の家電商が危機に陥っているということです。それで一昨年、業界は非常事態宣言を下した。それはもう皆さん大体概況を御存じだと思いますが、大手のメーカーが最近は流通経路を変えて量販店にどんどん流すようになって、今までのナショナルの系列であっても、東芝の系列であっても、卸売価格にうんと差をつけて安く卸すわけですね。東京の小売商の商業統計を見ても、秋葉原のある千代田区が全部の三五%も占めるし、しかも秋葉原に持っている量販店がどんどんこの三多摩でも出てきて仕事を奪っていくわけですから、本当に、今立川の近く、昭島あるいは全部的に従業員を持っているような店でも、どんどん従業員がいなくなる、店がつぶれていく、こういう苦境に陥っているというので、昨年の予算委員会では、通産大臣もこれは調査しなければいけない、そこまで言った問題がある。  それに加えて、二つ目。いいですか、五十一年からこの横田周辺で防音工事を進めていますけれども、例えば昨年、空調だけで昭島市で八百台もこのため売られたというわけですが、そしてまた、実際この防音工事をやっている地域というのは、面積的に言えば昭島市の三分の一も占めるところで、年に八百台も出る。それがこの八年来、地元の業者に全然回ってこないため、前の売れ行きも一夏五十台くらい出たのが今は五台も出るか出ないかということで、年商売り上げが一千万、二千万という単位でこれがとれないという状態。先ほど伺いましたところが、まだこれからも一万数千戸も横田周辺にはある。これが今後何年間にわたって地元の業者にとれないということになったら、まさに今さっき言いました家電商全体の危機の問題。きょうは関係の通産大臣を別に呼んでおりませんから伺うわけではありませんが、少なくとも防衛施設庁の方がこういう点を気配りして、地元の業者、家電業者に仕事が行くように、しないと、本当に追い詰められてしまってお手上げの状態になっている。しかもこれは防衛施設庁の責任としてそれがやられているということを言われてもしょうがないと思うのですが、どうでしょうか。防衛施設庁長官防衛庁長官もこういう事情をお考えになって、やはり空調工事が地元の家電商の人たちにも行くような努力をこれからしていただきたいと思いますが、はっきり答弁していただきたいと思います。
  313. 千秋健

    ○千秋政府委員 工藤先生御指摘の電気工事店のお話、先般承りまして、その事実については確かにそういうことがあるということは確認しておりますが、私ども、やはり先ほど長官申しましたように、周辺対策として住宅防音をやる以上、地元の業者の方ももちろん御協力いただける形が一番望ましいわけでございます。ただ、この住宅防音につきましては非常に数が多うございまして、一年間に年度予算処理ということで大量に処理されていくという、マスとしての処理の中におきまして、冷暖房機器、これの販売をどう扱っていくかということで、むしろ製造メーカー、また大手販売店、この辺のところが地元に対します流通経路をどう設定するかという問題が絡んでおりまして、私どもとしては、先ほど申しましたそういう気持ちでおりますが、現在の冷暖房機器メー力ー、販売店を指導するとか、その面を規制する、そういう有効な手が打ちかねるという状態になっております。
  314. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 いや、防衛施設庁長官に、家電業者がこういう実態で、しかも地元の家電業者に仕事が来ないと、今後にわたって大変なことになるから、努力するかどうか、そのことだけでまず答えてください。
  315. 塩田章

    ○塩田政府委員 今部長からもお答えしましたように、実態は聞いております。聞いておりますが、私どもの立場から言いますと、資格のある業者が、我々の方で規格を示しておりますが、その規格に合ったものを良好な状態で設置してくださるということであれば、それで結構なわけでございまして、地元の方で結構なわけでございます。私どもは地元の業者を排斥する気持ちは全くありません。  ただ、今部長も言いましたように、また先生の御指摘の中にありましたように、これは中小企業といいますか家電の方の製品の流れの問題でございまして、そこまで私の方で今直ちにどうということはちょっと申し上げにくい問題でございますので、先ほど部長からもお答えしましたように、我々の方からは手の打ちにくい問題でありますということを申し上げたわけであります。
  316. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 しかし、流通経路がということを言いましたけれども、私の調査によりまして、なぜ地元の家電業者に仕事が来ないのかこの際はっきりしましたので、その資料をぜひ配っていただきたいと思います。
  317. 与謝野馨

    ○与謝野主査代理 どうぞ。
  318. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 これは周辺整備協会の東京支所の資料であります。昭島市が窓口になっておりますので昭島市から正式にいただいた資料でありますが、二つの資料がある。  一つの資料1とありますが、これは仕事の流れがずっと出てきておりますが、最初に工事希望者が申し込んで、そして最後にどのように補助金の支払いが行われるかというのが出てきますけれども、この中では設計事務所それから工事請負業者に対する入札などは出てきてますが、空調関係は一切出てこない。この点をまず確かめてください。  それから続きまして資料2を見ていただきたいのです。これは協会として、「東京防衛施設局住宅防音空調機器納入ルート一覧表」となっておりまして、納入業者が横田――恐らく入間、下総、百里でそれぞれ決まっていると思いますが、ここでは関係の横田があります。そうしますと、松下の場合ですと多摩ナショナル設備機器、それから三菱電機の場合は東京三菱電機商品販売、それぞれ一つが完全なチャンネルになっていて、ここの直系以外仕事できないのですよ。だからこういうものが確固としてあって、しかも七メーカーに直結したこれらの業者の中で、例えば日立、幹事となっていますね。幹事役になっているじゃないですか。こういうルートを、ここのところをまず直していかないと地元の業者に渡るわけないわけであります。先ほど資格とかいろいろありました。それだけれども、長年やっておられる家電業者の中には、もう立派な資格を持っている方が大多数でありまして、いまさら資格も何もないわけであります。こういうことをやっていていいのですか、こういう一つの横田基地で。それで、全国的に言えば五百億も補助金が流れていって、しかも一〇〇%の補助、そして特定の業者にしか空調の取りつけができない、こういう体制があっていいのですか。どう思いますか。これはどうしてもやめさせるべきだと思いますが、長官、答えてください。防衛庁長官も答えていただきたい。
  319. 千秋健

    ○千秋政府委員 お答え申し上げます。  まず、この資料の点でございますが、この資料とただいまの空調設備関係、これは一枚目の大きい資料で申し上げますと、一番下の欄の方の真ん中よりちょっと右寄りでございますか、工事請負契約というのがございます。この工事請負契約で補助事業者と工事施工業者との間に契約が結ばれますと、その工事施工業者がこういうものを調達し、取りつけるという建前になっております。そういうことで、この資料の上ではここに含まれておるということでございます。  それから二枚目の資料は、現在施設庁の方でこれらメーカーが製造しました冷暖房機器が規格に合格しているということを認定しております会社のリストでございまして、これらの会社が、ここにございますような横田地区、横田をテリトリーとします販売会社を指定しておるようでございまして、ここが一つ、流通ルートといいますか、メーカーと販売店の流通経路の問題になるわけでございまして、この販売店しか物が売れないといいますか、この販売店からしか買わないというんじゃなくて、メー力ーの方がこの販売店を通してしか売らない、こういう形になっておるということでございます。
  320. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 そんなおかしな話ありますか。メーカーがこれを通じてしか売らないとか、一般の家電商の場合はもちろん日立から買い、東芝から買い、もちろんその販売店からやりますよ。今言っているのは、この空調工事に関して地元の家電商が仕事をやりたいというときに、ここの業者しか空調工事がやれないようになっているんです。ただここを通じて買えるか買えないかというんじゃないんですよ。この工事がとれないようになっているんですよ。なぜ防衛施設庁はこういう大事な工事で、こういう特定な業者にしか仕事をやらせないんですか。これは癒着と言われたってしょうがないですよ。国がそういう姿勢なんです。防衛施設庁、そういう姿勢なんですか。防衛庁長官もぜひ答えてください、この問題。これは重大な問題ですよ。こういうルートというものを、これはただ協会が勝手につくっていたわけじゃなしに、防衛施設庁が公認をしている。こういうものを公認しながら、一方長官は、なるべく地元の業者にやりましょう。うそじゃないですか。やりましょうと言うたら、こういうものを認めないのがやらないということになるじゃないですか。どうしてこういうのをいつまでも認めるんですか。
  321. 千秋健

    ○千秋政府委員 今、先生御指摘の点は、一つは冷暖房機器製品の販売の問題と、それを取りつける電気工事の問題があるかと思いますが、電気工事をだれがやるかという問題は、これは……(工藤(晃)分科員「取りつけも一緒にやっているんですよ、ここは。もしそうでないというなら、調べてください。知っているんでしょう、そこまで。いわゆる電気工事じゃないんだから」と呼ぶ)
  322. 与謝野馨

    ○与謝野主査代理 答弁中の不規則発言は控えてください。
  323. 千秋健

    ○千秋政府委員 製品の販売と取りつけ工事という二種類の問題があるということは事実だと思いますが、それぞれについて施工業者がどういう下請を使って、またどういう販売店からその物を買ってきて取りつけるかということは施工業者に任されておりまして、私どもの方でそれを規制しているとかそういうことじゃございません。
  324. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 もしそういう答弁ならば、あすからでも、例えばその家電商の方がそういう工事をやっている方とやって、ぜひうちに工事をやらせてくれと言ったら回す。仕事を回すのに防衛施設庁妨害しないですか。さっき言った七つの会社が確固として仕事を譲らないようにしているその事態を是正しますか。  だって、三月二日に実はこの問題は昭島市としても大変重大に見て、昭島市の家電商の代表とこの七社の代表、これが出てきて、そして、じゃある人がどうしてもこの業者に空調の工事をやってもらいたいと言ったときは、あなた方やらせるようにしますかというと、これは確答できないですよ。妨害があるじゃないですか。防衛施設庁、それ取り除いてください。長官、取り除いてください。
  325. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、施工業者にその辺は任しておりますので、よく施工業者とその地元の電気工事店なり工事者と話し合っていただきたいと思います。
  326. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 それから、今これはいわゆる請負工事者どこの空調の取りつけという実態じゃないんですよ。空調の取りつけというのは完全に別ルートで、ここしかやらないようになっているんですよ。だから、今のお話だと、例えば施工業者がまたどこかのこういう家電関係のお店と契約を結んでというのではなしに、もう確固として、サッシもそうなんですが、空調とあれはもう業者が決まって、それしかやらないような実態になっているんですよ。だから、あなたの答弁不正確な点があるので、改めて事実を調べて、もし本当に施工する人、仕事を出した人あるいはまた施工業者が地元の家電業者に空調の仕事をやらせたいということを言ったときに、必ずやれるような体制に今なってない、その事実をはっきりさせて、それを是正してほしい。それを是正するかしないか、それ答えてください、長官。
  327. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど来、私または部長がお答えしておりますように、これは家電品の流通の問題と我が方の施工業者の関係の問題でございまして、どこまで我々がタッチできるのかという問題もございまして、なかなか私どもの方でどうすべきであるということは言えない立場でございます。  ただ、御指摘のように、事実を調べて、施設庁として何かできることがあればそれは調べてみるのにやぶさかではございませんけれども、事柄が流通の問題でございまして、そこのところはわれわれの関知できないところがあるということも御了解いただきたいと思います。
  328. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 今、関知できないと言っているけれども、防衛施設庁が、私が出したこの資料で、確かにこういう業者を特定しています。この特定しているがゆえに、ここにしか工事が行ってないんですから、防衛施設庁に責任があるんですよ。だから、この流通の問題だとかあるいはその請け負った業者がこの家電商とやりたければ幾らでも自由にできるようになっているのに、たまたまこの八年間そういう件が一回もなかったというんじゃないんですよ。防衛施設庁もこれを公認されましたね。こういう特定業者としか結びつかないという関係をつくったがゆえに地元の業者は仕事が回ってこないんだから、それは防衛施設庁の責任としてこの関係を取り除いてほしいと言っているんですから、それはそんな難しい問題じゃないんですよ。  それはもちろんナショナルのものを売るのに、流通経路あるでしょう。流通外れたところから入ってくるわけじゃないんですから、そんなことはわかり切ったことなんです。だから、今までこういうことをあなた方認めた以上、こういう七社の特別の会社しか仕事ができないという状態を防衛施設庁として取り除いてほしい。取り除くべきだ。そして地元の家電業者が仕事をやりたいといって、しかもその大工さんが、よし組んでやりましょうというんだったら、必ず無条件で仕事が行くような、そういうことがやれるようにすべきだ。もちろん資格とかなんとか言うでしょう。それはみんな資格を持っているし、もし必要ならば、それは研修とかなんとかやれば片づく問題です。国全体として中小企業に仕事を回せということを言っておりながら、防衛施設庁だけそれをやらないというわけにいかないと思います。長官、答えてください。
  329. 塩田章

    ○塩田政府委員 最初に私からもお答えしましたように、現在施工業者が資格のある電気業者から我が方の規格に合ったものを購入して取りつけるということは、自由にできるわけです。何も私どもはそれを妨害するわけでも何でもないわけです。(工藤(晃)分科員「妨害しないですか」と呼ぶ)いや、現在そういうことになってないわけです。してないわけです。  問題は、あとは流通の方で、施工業者が希望する品物の流れが特定されておるじゃないかという御指摘があるわけでございます。それはちょっと私どもの方で関与できないということを先ほど来申し上げているので、私どもは自由にできるようになっているわけですからということを申し上げているわけでございます。
  330. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 特定のメーカーの機器の流通があるチャンネルを通るというのは、これはわかり切ったことで、そんなことを言っているのじゃなしに、空調工事をその直系しかやらせないというから、これは流通を超えているんです。いいですか。だから、流通を超えた問題でこちらは言っているわけですから、空調の取りつけ工事、もちろんそれは仕入れる場合、業者の皆さん、流通経路を適って仕入れるでしょう。そして工事をする。これはふだん家電商どこでもやっているんですから、それがもっとやれるように、これは防衛庁長官ぜひ答えてください。はっきりさせてください。
  331. 千秋健

    ○千秋政府委員 先生が御提出いただきました資料の2でございますが、これはあくまで冷暖房という製品の納入ルートを示したものでございまして、先ほどからここで議論されております工事、設備工事、取りつけ工事、これをだれがやるかということに関しましては、私どもとしましてはあくまで施工業者に任せておりますので、そういう工事店が希望者がございましたら、施工業者とよく話し合っていただきたい。ただ、その場合、従来から先生御指摘のような問題がありますのは、これは私ども推察になるかと思いますが、あくまで大量に業務を処理していく、工事を処理していくという面から、施工業者が大きな施工業者に偏るとか、その施工業者がそういう面から地元の非常に小さい工事店を使いたくないとかそういう面があるかと思いますが、その辺については、十分きょうの議論を踏まえまして私ども指導してまいりたいと思います。
  332. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 では、この業者というのは、あくまで流通の経路であって、空調工事までこの業者に特定してないというのが防衛施設庁の立場であるということを確認して、きょう私が出した実態、皆さんまだよくおわかりになっていない点があるかもしれませんから、よく調査の上、この趣旨が徹底するようにしてもらうということを確認していいですね。――その上でついでにもう一つ質問したいと思います。  私は、財団法人の施設周辺整備協会、その収支決算をぜひ国会に出していただきたいということを申しました。この財団法人施設周辺整備協会、これは言うまでもなく防衛施設庁の所管の公益法人であって、そして二千万円、つくられるに当たってはお金が出されておりますし、何よりも、この役員の方々の名簿を見ますと、会長の高松氏は元防衛施設庁長官、理事長の銅崎氏は元防衛施設庁次長、専務理事の高嶋氏は元東京防衛施設局長。常務理事の三人の方も大体そういうような方でありまして、もう一〇〇%防衛施設庁の天下りの外郭団体になっている。世間ではこういうのを外郭団体と言ってみたりしているわけでありますが、よその官庁は、こういう官庁が所管して監督をしている公益法人の収支決算を出せと言うと直ちに持ってくるのに、防衛施設庁だけはなかなか持ってこなくて、きょうの昼ごろになってこの一枚をいただきました。  これはぜひ長官に見せていただきたいのですが、出された方、これが整備協会の収支決算なんですか。こちらが要求したのは、新しい時点の予算とそれから収支決算ということを要求しましたが、出してきたのはこういうものなんですよ。経過を言うと本当に腹が立つことばかりですね。一時は出さない理由に、総理府所管の公益法人だからうちからは出しませんなんて、こんなふざけたことを言ったりしてずるずる逃げる。これは特別会計と書いてあるでしょう。なぜ特別会計を持ってくるのですか。協会の一般会計があるわけでしょう。一般会計でなしに、なぜ特別会計を持ってくるのですか。  これは協会の寄附行為の中に、第十条に、この法人の収支決算は云々とあって、その十二条の中に「この法人が行う公益事業に要する経費の一部に充てるため附随的に行う事業は、特別会計を設けて経理する。」というから、これが付随的な行為なんですか。なぜその本体の一般会計の収支決算を持ってこないのか。こういうことをすると、この協会というのが本当に疑惑に満ちた協会だということになりますよ。それと、さっきの大企業との癒着ということを言われてもしょうがないと思うのですが、皆さんそういう疑惑を解くためにも、進んでこういう収支決算というものを国会に出すべきじゃありませんか。国政の調査権であります。日本船舶振興会だって、ちゃんと事業報告や何か、決算報告を持ってきますよ。なぜ出さないのですか。こんなものじゃ私たち受け入れられません。国会に出してください。これは防衛庁長官
  333. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先生から五十七年度、五十八年度の防衛施設周辺整備協会の予算書、決算書――予算書とも承っておりましたが、これを提出するようにという御要望があったことは承知いたしております。  御指摘のように、この防衛施設周辺整備協会は、昭和五十二年六月一日に総理大臣の許可を受けまして、現在、防衛施設庁が監督をしておる公益法人であることは事実でございます。しかしながら、私どもの持っております監督権は、御承知のように民法六十七条、一般的な監督権のほかに、主務官庁として監督上必要な命令を出したりあるいは検査をすることができることになっておりますが、予算書、決算書は、公益法人が事業を行うに当たりましてその収支決算を明らかにするために作成をいたしまして、それを当該監督官庁である防衛庁に提出をしておるものでございまして、私どもは、防衛庁の機関ではございません周辺協会に対しまして監督権は有しておりますけれども、人格の異なる法人でございますので、その決算書あるいは予算書を監督を行うという目的以外に使用することについては一般的に差し控えるべきであるというのが私どもの解釈でございます。  御指摘のように国政調査権の件がございますので、具体的なこういう問題について承知をいたしたいという御要望がございました場合には、担当の原局の方から御説明をし、あるいは資料を提出することはやぶさかでございません。予算書、決算書そのものの提出は、そういうことで、私どもの監督権の民法六十七条のあれを越えるものということで私どもは差し控えさせていただきたいと考えております。
  334. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 もう時間が参りましたので終わらなければなりませんけれども、最後にもう一度言っておきますけれども、よその官庁は公益法人のを出すわけです。防衛施設庁だけ出さない。しかもやっている仕事というのは丸々国の補助事業で、国の事業に準ずるようなことをやっていながらそれを出さないということをすれば、ますます皆さん方と防衛施設庁あるいは防衛庁、そしてこの協会には何かあるのではないかと私たち疑ってかかります。疑ってかかってこれから追及しますけれども、国政調査権といったって、その主務官庁がどれだけどういう監督をしているか、そこまで入るのですから、これを出さないという理由は全くありません。全くこの答弁は認められないということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  335. 与謝野馨

    ○与謝野主査代理 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。  次に、日野市朗君。
  336. 日野市朗

    日野分科員 私は、きょうはちょっと小さい問題について伺います。  まず、飛行機の騒音です。もちろん自衛隊関係機になりますが、その騒音について伺います。  最近、航空機の性能が非常によくなってまいりまして、それに伴う騒音というのはかなりのものになってまいりました。これはプロペラ機や何かであればそんな問題は起きなかったのでありましょうが、特に自衛隊の戦闘機のスピードの性能が上がるに従って大分騒がしい音が出るようになりまして、非常な問題を醸しているわけであります。  私も実は家が航空自衛隊の松島基地というのですか、矢本にある航空自衛隊の近くでありまして、私の家の上なんかを飛行機がよく飛びます。そうすると、これは非常に神経にくる音でして、この間も国際電話をちょっと受けていたら、ちょうどそのときに飛行機が通りまして、一、二分電話が聞こえなかった。国際電話ですと、これはやはりかなりの料金になりますので、かなり頭にきたのであります。こういう飛行機がかなりうるさいぞという認識は、だれでもそれはうるさいということは観念的におわかりになりますが、どうでしょう防衛庁長官、基地の近くでそれを聞いてどんな感想をお持ちになったか、一言お教えいただきたい。
  337. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私も実は浜松の基地、静岡県でございます。これは、ここに住んでいる方はなかなか大変だろうな、そういう実感は持っております。
  338. 日野市朗

    日野分科員 そういう実感は、これはだれしも共通のものでありましょう。  そこでまず伺うのですが、やはり飛行機の音というのは、一般国民にとってみればなくて済むものなんです、本当は。なくてもいいわけですね。ないのが普通。しかし不幸にして基地周辺に住む。基地が先に行ったか人が後に行ったかという問題もありましょうが、まず、基地の周辺ですといやでも耳に飛び込んでまいります。  私この問題をどう解決するかということを考える場合に、まず基本的にこれは国民が受忍すべきものなのか、それともそうでなくて国の方が加害行為をしているという認識に立ちますか、一般の市民生活の中に押しかけていっているんだから補償についてはきちんとやるべきだと考えているのか、その基本的な発想をちょっと伺いたいのです。
  339. 塩田章

    ○塩田政府委員 原因者である以上原因者としての負担ということは当然考えなければならないものでございまして、加害者というような言葉もございましたが、私どもとしましては原因者であることは間違いございませんので、適切な補償をしてまいらなければならないというふうに考えております。
  340. 日野市朗

    日野分科員 実際に損害が発生したという場合は一〇〇%補償すべきものだと考えておりますし、一〇〇%補償でございますね。これは間違いございませんね。
  341. 千秋健

    ○千秋政府委員 航空機騒音によります障害につきましては、現行法上特にこれをもって違法行為とか損害賠償対象行為というような規定にはなってないわけでございまして、私どもとしましては基地周辺生活環境整備法によりまして、米軍機または自衛隊機等による航空機の騒音障害に対しましてそれを除去するよういろいろな施策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  342. 日野市朗

    日野分科員 今あなたがおっしゃった防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の第三条第二項がそれに当たるわけでございますが、そこには一応病院とか学校とか、そういったところで騒音を避けるための必要な工事を行うときは「政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部又は一部を補助する」、こうなっております。法文の文言上は「補助」という言葉を使っておりますけれども、これを本当に補助だ、国の方からサービスしてあげるのよというふうに考えるのか、いや、これはちゃんと原因を除去するために、防衛施設庁の方でしかるべき手段、方法はきちんとやらなければならないと考えているのか、ここのところなんですな。
  343. 千秋健

    ○千秋政府委員 法文上「補助」ということになっておりますが、これは国の行います政策として補助金を交付するということでございます。この精神はもともとそういう障害を除去する、軽減、防止するというところにございますので、我々としてはこの政策の充実、実現に努めるべきものと考えております。
  344. 日野市朗

    日野分科員 あなた今当然のことをおっしゃったにすぎないので、もう一歩踏み込んだところを聞きたいのですよ。これは「補助」となっていますが、我々はこれを完全に除去するために努力をしているというお答えを聞きたいのですが、そういう努力、私もなすっていると思うのですよ、現実に防衛施設庁がやっておられることを見聞きすれば。いかがですか。
  345. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもとしましては、やはり飛行場周辺の住民または地方公共団体、それら御迷惑をかけているもの、そういうものに対します障害の除去に誠心誠意努めるということでやっておるところでございます。
  346. 日野市朗

    日野分科員 そういった障害が出ないように努力もしなければいかぬと思うのですね。飛行機が飛ぶ場合、あれはちょっとした高度の差でやはり下で受ける騒音の度合いというものはかなり違うものです。私いろいろ聞いてみますと、今この矢本基地周辺の学校などでは高度によってえらく違っているということは経験的にわかっていますね。今おっしゃったような精神にのっとれば、できる限り高いところを飛んで現実の騒音の支障というものをなくするような努力をなすべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  347. 西廣整輝

    西廣政府委員 航空機の逆用の問題でございますので、私の方からお答えします。  先生のおっしゃるとおり、確かに高度が上がればそれだけ騒音は変わってくるわけでございまして、運用側といたしましてはもちろん限度があるわけでございますが、物理的に安全さがあるかどうかとかいろいろございますが、できる限り高い高度で飛ぶ、あるいは集落を離れたところを飛ぶといったようないろいろな配慮をするわけでございます。  例えば松島の基地について申し上げますと、通常の場合に比べまして五百フィートないし千フィート高いところで飛ぶようにということで、例えば編隊を組んだり解いたりする場所がございます。そういったところの高度をできるだけ高いところまで持っていってから編隊を組んだり解いたりするといったような措置、あるいはジェット機について言えば、御案内のように松島基地は海岸にございますが、海側の方に旋回をして進入あるいは離陸をするといったようないろいろの措置を講じておりますが、パイロットの技量それから安全性その他がありまして、それぞれ限界があるということは御理解いただきたいと思います。
  348. 日野市朗

    日野分科員 騒音を防止するということになりますと、やはり防音装置をやってもらわぬといかぬです。学校なんかになりますと、これはかなり支障があるだろうということは、私のみならずだれでも想像のできるところで、学校の先生なんかに聞きますと、ちょうど授業が乗ってきたときにがあっと来られるとそれで終わりになってしまう、こう言うのですよ。一時間の授業の中で、またみんなの雰囲気を盛り上げてぐっと一気に授業を進めるということはもうできないというふうに言っておりますね。病院も似たようなことが言えるのでしょうが、学校なんかの場合、特にそういう騒音による支障というのは非常に大きなものがあると思われます。もちろん防音装置はかなり行われているわけですが、防音装置というのは、私がさっき言った防衛施設周辺環境整備法の三条二項の趣旨に基づけば、これはできるだけ完璧なものにしていかなければならないのだろうというふうに私は考えておりますが、どうでしょうか。
  349. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいまの点は先生御指摘のとおりでございまして、私どもも当初学校から防音工事を始めまして、病院へと逐次公共施設を拡大してきたわけでございます。それで学校等については大部分防音工事等ができておると思いますが、今後ともその実現に努めてまいりたいと思います。
  350. 日野市朗

    日野分科員 防音装置ができることは必要なことなんですが、それと同時に、防音装置を現実には何のためにやったかわからぬと思われるようなものが出てくるわけですね。例えば夏なんです。防音装置というのは窓を閉め切って二重窓にしたり、それから窓ガラスを厚くしたりするわけでございましょう。そうすると、閉め切っていないと防音の効果は上がらぬということになりますね。ところが一方、夏は暑いわけですね。ですから、防音装置をやっても暑くてたまらぬということで窓をあけてしまいますと、これはもう防音装置はあってなきに等しいことになります。  私、ずっと幾つかの学校を調べてみました。そうすると、松島基地周辺、矢本周辺の町村の学校は、防音装置をやっていても六月に入ると大体あけるようです。そして十月の中旬ごろまでは窓をあげなければ暑くて授業ができないというような状態になっているようですね。私、こういったものを見ますと、防音装置にプラスして冷房装置をしなければこれは完璧なものとは言えないのではないか。これは完全という言葉はやめましょう。極めて不十分なものではないかというような感じがしてならないのですが、いかがですか。
  351. 千秋健

    ○千秋政府委員 学校等に対します防音工事としましては、本体の遮音、吸音工事をやりますと当然気密性になりますので、それに対します換気装置をやるわけでございます。そういう形でやるわけでございますが、暑いところではやはり温度が上がるので冷房をつけるとか、寒いところでは暖房をつけるとか、こういうことをやっておるわけでございます。たまたま先生御指摘の松島基地につきましては、この冷房といいますか、私どもとしましては除湿装置と言っておりますが、それを取りつける限界、北限をちょっと越えておりますので、そこまで至っていないということでございます。  これにつきましては、私ども、松島周辺のそういう補助事業者、学校等からいろいろ御意見等を承っておりますが、これを私どもが決めました線は、いろいろ空調学会とかそういうところで人体実験、人間工学的に検討しまして、実効温度と申しますか、湿度と温度の高さ、こういうものから判断して、線で大体区切らしていただいたということでございまして、特に強くぐあいが悪いという話も現在のところまだ出てないというように承知しております。
  352. 日野市朗

    日野分科員 防衛施設庁の「教育施設等騒音防止対策補助金の処理方針について」という通達に基づいて線引きがなされているわけでございますね。その通達によりますと、「その他の一般事項」という中で除湿工事についての記載がある。「除湿工事の対象範囲は、東京以南の地域とする」、こう書いてあるのです。これがどうも私には気に入らないんです。それは人体工学だとかなんとか今いろいろおっしゃったけれども、現実に学校は暑くて窓をあけているという現実があるわけです。そこに飛行機がやってくる、授業がストップする、ああうるさいといって窓を閉めるけれども、またすぐ窓をあけ放たなければ暑くて今度はそっちの方から勉強が進まないという現実なんですが、このごろは、あの辺の学校は非常に優秀な連中がいるんだけれども、どうも大学の進学や何かも思わしくないのはこのせいだなどと言われたりなんかしたのでは、施設庁としても非常に不本意だろうと思うのです。この東京以南というのはもう少し、何でこんな線引きにしたのかちょっと聞いておきたいのです。本当は暑いんですよ。非常に暑いんです。
  353. 千秋健

    ○千秋政府委員 ただいま御指摘処理要綱におきましてそういう線を決めておるわけでございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、学校の場合には夏は夏季休暇等がございますので、本当に真夏のころは別としまして、その前後におきまして我々統計的な気温、湿度、こういうものを調べまして、それに先ほど申し上げました空調学会等におけるいろいろな経験値等から、大体、実効温度と我々は言っておりますが、二十四度Cという線で切ったところがちょうど東北と関東との境になった、こういうことでございます。
  354. 日野市朗

    日野分科員 学校のことは余り御承知ないのかな。東北や北海道のような地域は夏季休暇が短いんですよ。そして冬が長いんです結局、暑い期間というのは同じようなものじゃなかろうかと思うのですが、どうですか。
  355. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもとしましては、そういう点も勘案して一応線引きさせていただいたというふうに考えております。
  356. 日野市朗

    日野分科員 私は空調が通ったって、空調がちゃんとできて除湿工事ができたって、これは迷惑この上ない話だと思うのですよ。緑のそよ風が入ってくるとこないとではえらい違いですぞ。大体自然の非常に快い風があの辺は入ってくるところなんです。私も石巻市に住んでおりますが、扇風機すら要らないんです。自然の快い風が海から吹いてくるわけですね。下手したら、もう夜なんかは風邪引かないようにしなよというくらいの快さなんですね。本来ならその快い風を全身に受けながら、快い環境で勉強できるんです、飛行機さえ飛んでもらわなければ。そうでしょう。それが閉め切られて、しかも除湿工事と称する冷房工事もない、これじゃ気の毒だと思いますが、どうでしょうか。
  357. 千秋健

    ○千秋政府委員 私どもとしましては、基本的には換気装置はつけておるわけでございまして、これは外気を取り入れ、中の汚れた空気を出すという装置でございます。それで外気温と内気温の差というものはある程度解消できると思いますが、そういうことで現在のところ全く気密性を保っておるということではございません。
  358. 日野市朗

    日野分科員 どうもダクトの管の中から若干換気される空気が来て、それが緑のそよ風と置きかわり得るものなのかどうか、これはもうだれしも考えてみれば、考えてみなくたって明らかなところなんですが、私この線引きには非常に強い不満を覚えるものなんです。大体おたくの方で、もし東北でやるとしたら、防音装置をして除湿装置もしなければならないような地域、どのくらいありますか。大体東北にそういう騒音源となるような基地というのはどのくらいありますか。
  359. 千秋健

    ○千秋政府委員 どのくらいという量的な面はちょっと把握しておりませんが、現在東北地方で対象になる飛行場としましては、三沢飛行場、八戸飛行場、松島飛行場となっております。
  360. 日野市朗

    日野分科員 東京以南といいますか関東以南といいますか、それを見てみますと、かなりの数の基地が存在をいたします。東北地方というのは、密度から言えば非常に薄いですね、基地の存在の密度というのは。私も見ていて、松島基地と三沢ぐらいのところだろうと思われるんですね。これはそんなに高い金をかけずとも、東北まで線引きを広げるということはそう不可能ではないだろう、そう困難ではないだろうと思うのです。財政当局非常に厳しいといいましても、この程度のものであるならば、しっかり防衛庁長官を先頭にしてやってもらえば、財政当局だってそうむげに断り切れないところがあるのではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  361. 千秋健

    ○千秋政府委員 現在のこういう財政状態のもとでございますから、財政事情そのものもやはり相当問題だと思いますが、先ほど私ちょっと申し上げましたように、やはり実験値、経験値等に基づきまして現在の線をやっておりますので、まずこの辺のところを十分検討し直すといいますか、研究しませんと、まだそこまで参りませんので、その辺も含めまして十分検討したいと思います。
  362. 日野市朗

    日野分科員 私は、現実には夏の期間、学校が窓をあけ放たないと暑くて授業ができないような状態だということは申し上げました。それから、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律三条二項では、もうほとんど一〇〇%に近い障害の除去、これをするんだという精神がうたわれておるということを申し上げました。  そこで現実にそういう学校の授業の状態ということをごらんになって、これはやはり線引きはもっと広げるべきだというふうにお考えにならないかどうか。これは問題は小さい、決して大きくはないが、かなり政治的な問題も含むと思いますので、これはひとつ長官に伺いたいのです。
  363. 塩田章

    ○塩田政府委員 今御指摘の問題のみならず、防音対策には全般的に常に伴う問題ですけれども、必ず何らかの意味での線引きが要るわけでございます。住宅防音にしましてもそうですし、いろいろな施策すべてどこかで線を引かなくちゃならない、そういうことが必ず伴いまして、今御指摘の学校防音につきましても、部長が答えましたように二十四度という一つの線を入れた。そうしますと、必ずそのボーダーラインのところでいろいろな議論が出てくることはやむを得ないところでございまして、先ほど先生の御指摘のように、必ずしも財政問題だけではないわけでございます。そういう意味で、どこかに線を引いて現在やっておるという意味で、今二十四度という線でやっておるということでございます。  したがいまして、こういう問題は一たん決めたらそれが永久に正しいのだと言う必要もまたないわけでございまして、そういう意味では、常に実態に応じた検討を加えていくということは当然必要なことでございます。ただ、現時点で今御指摘の問題について見直しをするという計画があるわけではございませんけれども、先生の御趣旨はよく承りまして、今後そういう意味での検討の資料にさせていただきたいというふうに思います。
  364. 日野市朗

    日野分科員 私、もう一度申し上げますけれども、さっき言った防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、これの趣旨から言えば、そういった障害というのはほとんど一〇〇%まで除去するための努力をすべきだ、これがこの法律の趣旨です。これは言うなれば、どうも答弁が気に入らないから言葉を少し強めて言いましょう、国は加害者の立場に立っているんですよ。そこから損害が出たら一〇〇%てん補しなくちゃいかぬのですね。そして、これはもうそういう支障が出ないように一〇〇%の努力を国に課している法律だと思います。  一方には、現実に学校はもう窓をあけ放たなければならない、そこにがあっと飛行機が飛んでくる、そういうことなのです。ですから、これは、線引きはどこかで必要だなんということを言っておられるのかどうか。必要ないところで学校が防音装置をしてくれなんて言いません。ない方がいいんです。緑のそよ風に入ってきてもらった方がいいんです。それにもかかわらずこういう線を引いて、そしてこの線引きをいつまでも大事にするということは理屈が通らない。法の趣旨にも反するのではなかろうか、こういうふうに私は思いますので、改めて聞きましょう。当然飛行機に飛んでもらわない方がいいのです。飛ぶからにはちゃんとしたことをやってもらいたい。これはどうですか。
  365. 塩田章

    ○塩田政府委員 先生のお気持ちはよくわかりますし、また、三条の趣旨も私どもよく理解をしておるつもりでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、国が飛行機の音を出しておるわけでございますから、その除去のための最善の努力をするということについては全く同感でございまして、ただ、具体の施策として今二十四度という線でもって線引きいたしておりますけれども、そのこと自体はどこかに線を引くという意味でやむを得ないのじゃないかと私は思いますが、御趣旨はよくわかります。したがいまして、先ほど私が申し上げましたのはそういう意味で、こういうものは一たん決めたら永久にこれを変えるものじゃないという意味で申し上げているわけではございません。実際の施策として、実態に即してどこまで改善をしていくかというふうなことは当然必要なことでございまして、そういう気持ちがないわけではございませんということを申し上げたわけでございます。ただ、現時点で今二十四度という線を引かしていただいてやっておりますということでございますが、お気持ちはよくわかっておりますので、今後、そういうことも含めました意味で検討をさせていただきたいと思います。
  366. 日野市朗

    日野分科員 空調工事が一応なされるわけでございますが、この空調工事そのものは、除湿工事をやろうというときには冷房の冷気をも送り込めるようなものになっておりますね。
  367. 千秋健

    ○千秋政府委員 私ども除湿装置と言っていますが、湿度を取ることによりまして空気の温度を下げるというやり方でやっておるわけでございます。
  368. 日野市朗

    日野分科員 そろそろ時間のようでありますから、私が今提起した問題について――防衛庁長官のところはちゃんと冷房が入るのです、うちの方は入ってないのですがね。日本という国は北の方でもやはり夏は暑いのですから、かわいそうだとお思いになりませんかな。努力してみようという気持ちになっていただけると助かるのですが、これはいかがでしょうか。
  369. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 先ほどからの御議論を聞いておりました。法律的な問題は離れまして、本当にそういう地帯の生徒、先生、住民の人たちは大変だろうと私は思います。したがいまして、その気持ちを体して、我々としてできることは最善を尽くしていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  370. 日野市朗

    日野分科員 ベストを尽くしてください。  終わります。
  371. 与謝野馨

    ○与謝野主査代理 これにて日野市朗君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。
  372. 宮地正介

    宮地分科員 きょうは限られた時間でございますので、何点かにつきまして御質問してまいりたい、こう思っております。  初めに、埼玉県の入間市にございます入間航空自衛隊の基地の問題につきまして御質問させていただきたいと思っております。  去る一月二十六日に、この入間航空基地のいわゆる分屯地として硫黄島に編隊が再編成されたわけでございますが、現在までの入間航空基地の機能、あるいは具体的に航空機の機数あるいは航空訓練、こういうものが変化をするのかあるいは従来どおりであるのか、この点について確認をしておきたいと思います。
  373. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 御指摘の航空自衛隊の硫黄島の基地隊でございますが、これは本土におきます訓練環境の制約がいろいろございますので、こういった事態に対処するために戦闘機部隊が実施をする移動訓練、これは硫黄島の方へ出かけていって移動訓練をやろうということでございますが、それを支援することを目的といたしまして、先生御指摘のように、去る一月二十六日に硫黄島に新編をされたということでございまして、この硫黄島基地隊は硫黄島に配備されることになります。したがいまして、これによって入間の基地の機能そのものに変化が生ずるものではございませんで、入間基地の装備、配備、そういうものは特に変化はございません。
  374. 宮地正介

    宮地分科員 航空訓練についても従来どおり、このように理解してよろしいですか。
  375. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいま防衛局長が御答弁申し上げたように、硫黄島の関係は戦闘機の関係の訓練をするということで、入間の方は戦闘機部隊が所在いたしておりませんので、入間関係の訓練状況について変化はないと考えております。
  376. 宮地正介

    宮地分科員 それでは、いわゆる入間基地と硫黄島の分屯地はせいぜいC1の輸送機の通信の往来、この程度である、このように理解してよろしいでしょうか。
  377. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 部隊そのものが入間の基地の分屯基地という形になることが一つございます。したがって、連絡用務等が多少あるかとは思いますが、基本的な機能は変化はございません。
  378. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、この入間基地に伴う防音問題などについて若干確認をしていきたいと思いますが、防衛施設周辺の生活環境の整備に関する法律の第四条、これが今民間住宅に対する住民の大きな反発といいますか、非常に不満が出てきていることは防衛施設庁としても十分理解していると思います。  これは防衛庁長官に伺いたいのですが、いわゆる告示をされますと、その後に建てた新築の家は対象外である。昨年の十二月には七十五WECPNL、この告示がされました。しかし、今までに八十WECPNLとかあるいは八十五WECPNLとかこういう告示がされております。そうした告示のときに存在してなかった。しかしこの地域は、御存じのように都心から三十キロ、四十キロ圏の非常に市街化の造成の進んでいる大変な人口急増の地域で、そこに入間航空自衛隊が存在しているわけでございます。当然東京都から多くの都民の皆さんがマイホームを建てられて、特に十年来大変な人口急増で宅地化は進んでおる。七十五WECPNLで告示されて、一つの網がかぶせられる。これから御努力いただいて大変な予算の中を民間住宅に対して防音対策をしていく。ところがもっとひどい地域の方が、現実には告示のときにはそこに家が建てられてなかった。しかし、七十五WECPNLに網のかかる方と、あるいは早くに家を建てられてなお騒音で厳しい。しかし、この第四条にひっかかって現実的には除外をされている。この点について大臣の政治的、また道義的、また今後の日本の防衛というものに対する国民の理解を求めるためにも、私は一部改正の時期に来ているのではないか、このように考えておりますが、長官の見解を伺いたいと思います。
  379. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘の問題は、しばしば入間のみならず各地で指摘をされる点でございますけれども、法律は御承知のように告示の時点で住宅の既に建っている人ということになっております。しかし、いろいろなケースを拾ってみますと、それでは気の毒ではないかといったケースが確かにあるわけでございます。それをどうするかという問題は、私ども認識がないわけではございません。ケースによるとも思いますけれども、ケースによっては気の毒だと思われるケースもないことはないということはわかりますが、私ども今考えておりますことは、全国的に見まして二十五万三千世帯が防衛施設庁担当分としまして対象になっておりまして、そのうち現在十万九千ばかりとりあえず一日ずつでもやっておるわけでございます。そういう状況でございまして、やはり今の法律の規定によりまして、現に区域指定になったときにおる人に対して、せめて一日ずつでもなるべく早く多くの人に行き渡るようにしてあげたいということが、基本的な私どもの立場でございます。  したがいまして、その中にあっていろいろなこういう気の毒なケースがあるじゃないかというようなことが全然わからぬわけではないのですけれども、今の私どもの努力の方向としまして、とりあえずとにかく多くの方に一刻も早くして差し上げたいという努力をしておるということでございまして、今法律を改正して、後から来られた方に広げるというようなことはまだ考えていないわけでございます。
  380. 宮地正介

    宮地分科員 防音対策の基本的な理念、原点、これを確認すれば、今施設庁長官のおっしゃっておるようないわゆる事務レベルの判断では国民の納得は得られない、むしろ皆さんが一生懸命御努力されているにもかかわらず国民感情は逆の方向に行くんではないか、私はこういう感じがするのです。そこで私は大臣の所見を伺いたいのです。
  381. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私もこの問題はいろいろ聞きまして、非常に御議論のあるところだと思いますよ。しかし現実には、どう処理していくかということになりますと、告示した中に入っている人たちの住宅防音、これについてまだ十分できてない、まずそれを先にやらなければならぬという現実的な問題があるわけですね。  それから、これは決してしゃくし定規のことを言うわけじゃございませんが、法律で告示をした時点には、その後から来る方はそのことを承知しておいでいただいているんじゃないかというようなこともございますので、非常にこれは論議のあるところでございますが、今のところはとにかく告示をした中のものをできるだけ早くやっていこう、そういうことで行かざるを得ないなというのが私の今の心境でございます。御指摘につきましては大変心痛む問題でございます。
  382. 宮地正介

    宮地分科員 さらに、例えば個人住宅の防音につきましても、大臣に聞いていただきたいのですが、今二戸当たり一室約百三十万程度の補助が出ているようであります。しかし、この実態の積算の根拠となりますと、非常にまだまだ現実的には現場の施工業者などの間にも大きな不満があるんですね。  例えば空調換気用などにつきましては大体大手で一括購入、地元の中小企業の建設業者の方がワンパッケージでこれを施工することができない、あるいは一室の中のふすまなんかも、大臣なんかはもっといいのを使うのでしょうが、一般の世間ではふすまなどは大体一枚張りかえますと、埼玉県の入間基地周辺の場合は二千二百円くらいするんです。ところが防衛庁の方からのコストを見ますと千二百円なんですね。千円も隔たりがある。さらに外壁なんかにつきましても、平米当たり世間相場は大体八百五十円ぐらいなんです。ところが六百五十円ぐらい。そういう圧縮した形ででき上がった防音対策によってつくられた部屋が、現実に防衛庁の、また政府の意図する少しでも国民の皆さんに御理解をいただき、航空機の騒音から何とか快適な生活ができるように少しでもお役に立とうというその基本からずれて、でき上がった部屋が余り防音の効果がない。  ですから現場に参りますと、この財政再建の大変な行政改革の中、同じ予算を使うならもっと本当に血の通った温かみのある、防音効果のあるそうした対応も必要じゃないか、国は何をやっているのだ。せっかく善意の政府のそうした行為がちょっとしたそうしたギアの外れのために、国民は逆に悪感情を持たざるを得ない。こういう例も実際にこの防音対策における個人住宅の問題にあるのです、防衛庁長官。それをつくられた個人の住宅の皆さんから、つくる施工業者の皆さん、両面から私はこの問題に対して厳しい御批判を受けています。この点についての長官の政治家としての、大臣としてのお気持ちを私は伺いたいと思います。
  383. 塩田章

    ○塩田政府委員 今いろいろ単価を、具体的な例を挙げて御指摘がございました。  私、今入間地方の個々の単価を承知しているわけではございませんが、もしそれが御指摘のように防音工事したけれども効果がないということであれば、これは実態の問題でございますから、私ども早速調べてみたいと思います。  私どもとしては、現在大多数が一室または二室しかやっておりません。そういう点での御不満は、これはよく聞きますけれども、工事そのものが今の一室あるいは二室といえどもやっても効果がないということであれば、これは早速実態を調べてみる必要があろうかと思います。その辺は調べさせていただきます。
  384. 宮地正介

    宮地分科員 私が言いたいのは、一〇〇%防音効果がないという意味じゃないのです。いわゆる本来の防音対策の補助金をせっかく大変な税金の中から出していながら、皆さんの思うような、意図するようなところに現実の現場は対応されていませんよ。先ほどの例えば第四条の問題もしかり、現実の防音対策のそうした個人住宅に対する補助もしかりです。私は、かたくなにいわゆる法律を盾にして、最初に告示したところだけを一生懸命やっていけば――もちろんこれは先決です。しかし現実にもっと騒音で苦しんでいる地域の方方に対してもやはり配慮は必要である。大臣は、いみじくも痛みを感じているということを伺いまして、私は近い将来再検討される時期が来るのではないか、こう考えておりますが、ぜひ皆さんのそうした現場における、行政当局における御配慮というものを、もっともっと現場を見、確認し、せっかくの貴重な財源というものを、日本のこれからの防衛のために活用しているわけですから、生かしていただきたい。このことを強く要求しておきたいと思います。  そこで、限られた時間でございますので次に参りますが、いわゆる米軍の所沢通信施設の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  防衛庁長官、この所沢の通信基地は昭和四十六年の六月三十日、また五十三年の六月二十日の二次にわたりまして、三百万平米の中で約二百万平米強、約三分の二が返還になりました。今、あと残されているのが約九十九万平米、三分の一が残されております。ところが、この三百万平米の所沢米軍基地の返還をされたのは、ちょうど真ん中に九十九万平米が残って、両サイドが返還されたのです。この通信基地は非常に重要な施設がある。かってはOTHレーダーなどがあるということで大問題になりまして、撤去させることに、政府の御努力でできました。しかし、今この所沢の通信基地において、地元の市民の皆さんの最大の悲願の一つは、東西に分かれた、分断されて返還された基地、ここには今非常にすばらしい、昨日長官も行かれた防衛医科大学あるいはリハビリテーション、今回は中国の孤児の施設、いろいろ立派な施設ができました。ところが、真ん中が未返還のために、大変東西の地域の南北の往来に不便を感じているのが現実でございます。  また、所沢市が都市計画をしたときには、十六メーター道路で、わきに、西側に道路をつくりました。しかし都市計画決定のときは、三十二メートルにしよう、拡幅しよう、こういうことで決定されました。また、所沢というところは、御存じのように都心三十キロ圏、人口急増がどんどん進んでまいりました。いよいよ早稲田大学などの誘致などで三十万人口にこの数年後にはなるだろう。そういうことでいろいろな福祉、体育、レクリエーション施設などつくりたい、こういうことで、地元の所沢市は何とこの問題について五十一年の十一月からこの八年間、数度にわたりまして防衛施設庁長官初め東京防衛施設局長を通じまして、アメリカ側にその一部返還あるいは共同使用、こういう問題について御苦労をしてまいりました。残念ながら前代の市長は、昨年病気で亡くなりました。新しい市長も受け継ぎましてこの問題に今対応しております。そうした市民の御苦労に対しまして、防衛施設庁としても当然対応してきたと思いますが、この点についての施設庁の今までの経過、また今後の見通しなどについて御説明ないただきたいと思います。
  385. 塩田章

    ○塩田政府委員 経過等につきましても今の御質問の中であったわけでございますが、最近の例で申し上げますと、五十六年の十一月十日に所沢市長から通信施設の一部の返還または共同使用について要請がありまして、この点、米側に打診いたしましたが、米側は応じられないという意向が出されたわけであります。さらに五十八年一月二十六日にも米側に、通信施設の一部土地の返還または共同使用の可能性を打診いたしましたところ、米側から、返還または共同使用については、技術的見地から検討した結果、今後の計画もあり、種種施設の運用に支障を来すおそれがあることから、改めて協議があっても協議に応ずることはできないという意味の明快な回答が出ております。  現在のところ、そういう経過を経ておりますので、私どもとしましては、この点に関してさらに米側と――もちろん地元の実情等は伝えてまいりますけれども、見通しとしましては大変困難であるというふうに見ております。
  386. 宮地正介

    宮地分科員 米側のいわゆる通信施設の機能の重要性、そこでなかなか一部返還、共同使用は難しい。となりますと、既に御存じだと思いますが、昨年の六月にこの米軍の、米空軍所沢施設の機能改善計画、この問題について、地元の今は亡き平塚所沢市長が防衛庁あるいは外務省にその照会をしているんですね。  その照会の事項というのは、一つはスコープ・シグナルⅢ計画の内容はどういうものなんだろうか。二つ目には、ジャイアント・トーク・ステーションとは何なのだろうか、また、三つ目には、所沢通信施設の改善計画の今回の目的、効果、実施時期はいつなんだ、こういうことを住民の皆さんの心配に基づいて照会をいたしました。それに対して、昨年の九月三十日に防衛庁当局からの回答があった。その回答の内容を見ると、「旧式の設備を電子光学技術時代に対応するものに取替える……」「旧い機能を新しい機能に更新することで現在の通信機能の使命(目的)を変更するものでない」「旧い機能のアンテナは更新したアンテナの機能が正常に作動していることが確認できた段階で撤去する」こういうような回答になっているわけであります。こうなりますと、五十一年以来、地元の所沢市長が当時約七年間にわたって共同使用や一部返還を求めてきたこの問題に、今度は、日米共同スポーツの広場として再三要請してきた部分、あるいは道路用地として何とか一部返還、共同使用させてもらいたいという部分にこの新たな改善されるべきアンテナ施設を今度はつくると言う。これは一体全体どういうことになるのか。まことに国民感情を逆なですることになるのではないか。この点についてはどう防衛庁は考えているのか、伺いたいと思います。
  387. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど、最初に先生からもお話がございましたが、この通信施設全体につきましては、約三分の二は返還をされてきた経緯がございます。米側の言い分を言いますれば、可能な限り返還に努力をしてきた、残された地区は米側としてどうしても必要な地区であって、通信機能を維持するためにこれ以上返還に応じられないという立場であることは、先ほどお答えをいたしたとおりであります。  アンテナの工事についてのお尋ねでございましたが、これにつきましては、先ほども先生から御指摘のような答弁をいたしておりますけれども、最近の電子機器の発達に伴いまして必要な改善工事を行うということでございまして、この点につきまして、私どもはそれ以上この所沢の施設の送信機能そのものについて内容を承知しているわけではございませんけれども、米側としては、今申し上げたような経緯を踏まえて、これ以上の返還あるいは共同使用は困るというのが現在の米側の立場であると承知しております。     〔与謝野主査代理退席、主査着席〕
  388. 宮地正介

    宮地分科員 外務省に伺いたいのですが、一九八二年の十一月二十八日に、地元では、所沢市では、せっぱ詰まりまして、当時の横田の司令官でございましたハワードさんに日米共同使用のスポーツ広場としての解放を求めた。そのときには非常に快くハワードさんも対応してくれた。ところが、後ほど、それはリップサービスであった。こんなばかげたことが現実に公的立場にある者の会談であってはならない。外務省として、この問題について、今防衛庁当局のお話を伺いましたが、どれだけ国民の立場に立って努力をし、エネルギーを使ってきたのか、伺いたいと思います。
  389. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  外務省といたしましても、所沢の状況というようなものについてお話を受けて、それなりに私どもも今先生から御指摘になったような点について検討はしてまいっておるわけでございます。もとより私たちは、施設、区域を安保条約に基づいて日本の安全を守る義務を条約上負うている米軍に提供する、しかしながら、不要不急のものであればこれはやはり返させるようにしなければいけない、こういう基本原則にのっとって対処しているわけでございます。今、先生から御指摘になられました事実関係についての詳細は実は存じませんでしたけれども、事この所沢の基地に関します限りは、やはり米軍として非常に高い重要度を置いている施設ということでございますので、なかなかその返還ということは現実には容易でないであろうという認識を持っているわけでございます。
  390. 宮地正介

    宮地分科員 大臣、今いろいろ限られた短い時間でございますが、御質問させていただきましたが、私は、日本のこれからの防衛というものは非常に大事な時期に差しかかっておる、国民のコンセンサスなくしてはひとり歩きはできないと思う。しかし、これからの国民の皆さんは非常にニーズが多様化しています。厳しくシビアになっています。しかしそうした細かいところまで御苦労いただいて、一つ一つ信頼の回復をしながら、日本の二十一世紀に向けての独立国家としての道を歩んでいかなければならない。こうした小さな問題でありますけれども、私は大きな問題であろう、こう思っております。最後に大臣の御抱負なり御決意を伺って、終わりたいと思います。
  391. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 国民の理解と協力を得るということが基本でございます。したがいまして、国民の中でいろいろと関係される方々の立場というものをよく考えて、できるだけの対処をしなければならぬ。それと同時に全体としての国の防衛力整備ということについて、国民の皆さんの格別の御理解と御協力をいただく、このことも私どもとしてやっていかなければならぬ、こう考えております。
  392. 上村千一郎

    上村主査 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  393. 松浦利尚

    松浦分科員 時間が限られておりますから、簡潔に御答弁をいただきたいと思うのですが、防衛庁長官は、例の自衛隊関係の二つの事件でそれぞれ道徳の意を表明され、先般、関係者を処分なさいました。それはそれでいいとしても、どうも自衛隊員の募集に非常に問題があるような気がいたします。  昨年、御承知のように、防衛二法の一部改正が行われまして、二等海空士の募集目標が大幅に増加されたわけでありますが、その増加した分について、各地連に募集目標を割り当てるわけですね。これは東京地連本部の問題でありますが、それを受けて東京地連の四地区隊に、これは東京の問題でありますが、募集緊急出動支援というものを発令をして、緊急出動期間中に募集目標を達成した。それにつながる優秀な成果を上げた募集事務所、広報官については特別表彰をする。言葉は悪いですが、たくさん労務者を連れてくれば表彰をするというような、そういった一時代が戦後ありました。そのことと一緒にしようとは思いませんが、少なくとも隊員を募集するのに、片一方で表彰あるいは賞金というえさを出してやらす、ですから、各地連は目標を達成するために員数合わせをする。私たちが戦争に行ったときに、員数合わせということをよく教育されたものでありますが、その員数合わせをする。結果的に募集がずさんになって、兼信のような人間がいつの間にか入り込んできておる。たまたま民間人でなかったから幸いだったけれども、しかし、それにしても自衛隊員一名のとうとい命が失われているわけですね。しかも、その募集に使われるお金、賞金に出されるお金というのは、国民のとうとい税金であります。こうしたばかげた賞金、そういったもので全体を募集に走らせる、緊急支援まで発動して募集に走らせる、こういうやり方は改めるべきじゃないでしょうか。もうそういう時代は過ぎ去ったのじゃないでしょうか。これは一つの提起でありますが、やはり自衛隊の募集についてもう少し慎重に考えるべき時期に来ておる。これは一つの例でありますが、これは直ちに東京地連にはやめさせてもらいたい。そういうものについて大臣のお考え方をまずお聞きしたいと思います。
  394. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 東京地連といういささか具体的な名前が出ましたので、事実関係につきまして担当の政府委員からまずお答えをさせます。
  395. 上野隆史

    ○上野政府委員 お答えを申し上げます。  東京地連に関します先生御指摘の具体的な事実につきましては、把握いたしておりません。ただ、一般論で申しまして、こういう募集は自衛隊の大変重要な仕事でございますので、それにつきましては、いわばそういう衝に当たる者としては一生懸命やっておるところでございまして、地連によりましてそれぞれの実情に応じていろいろな工夫を凝らしてやっていると思います。ただ、今先生の御指摘にありました賞金を出してどうこうするという賞金につきましては、そういう経費も認められておらないところでございますし、そういうことは行われていないと存じます。  また、表彰につきましては、これは優秀な地連あるいは優秀な広報員につきましては毎年表彰を行っておるところでございます。
  396. 松浦利尚

    松浦分科員 今言われたとおりです。担当婦長が御存じない。これは私が自衛隊関係の新聞で拝見をしたのです。二月二十七日の日報に載っております。今いみじくも各地連ではそれぞれの趣向を凝らしてと言われた。趣向を凝らして各地連ごとが今度は競争をする。地連ごとが競争するから地連の内部で競争させる。今いみじくも答弁されたことが私は内容をあらわしておると思うのです。長官の御見解を承りたいと思います。
  397. 上野隆史

    ○上野政府委員 趣向と申しましたのは、賞金とかそういうことを申し上げたつもりはございません。その点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  398. 松浦利尚

    松浦分科員 私は、あなたの答弁を誤解はしておらないのです。しかし、それぞれ趣向を凝らしていろいろなことをやっておられるでしょう。その内容については把握しておられない。私は、少なくとも今指摘をした東京地連のことを具体的に申し上げておる。それでは、これからの募集のあり方については検討を加える意思はないと理解していいですか、今までどおりでやるというふうに理解をしていいですか。それならそれで結構です。
  399. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私どもの今までの募集の方法が最善であったというふうに現時点では思っておりません。そういう募集の際に問題がなかったか、そういうことの反省の上に立って今後の方策を立てておりますので、今後改善すべきものは改善をしていく、そういうつもりでございます。  なお、趣向を凝らして云々というお言葉がございましたが、趣向を凝らすというか、自衛隊の隊員募集ということは防衛庁並びに自衛隊にとりましては大変重大な仕事なんです。これは非常に重要なものです。だから、心を砕いていろいろやる、それは私は非常にいいことだと思っております。ただ、そのやり方が社会的に非常な誤解を招くということがあってはならぬと思うのです。しかし、工夫を凝らしていい隊員を募集しよう、そういう努力は今後も続けなければならぬ、こう考えております。
  400. 松浦利尚

    松浦分科員 私は、募集をやめるとは一言も言っておらないのです。募集のあり方について検討を加えたらどうか。こんなことを言うつもりはありませんでした。この前、新聞を見たら、募集された自衛官が傷害罪でやられたでしょう。あれも趣向を凝らしてやったのですか。募集に対して言いたいことはいっぱいあるんですよ。しかし、それは、私は自重して物を言っておるつもりです。何も募集をやめなさいと言っておらない。兼信という人間が出てきたことは現実の事実なんです。たまたま民間人に発砲しなかっただけ。民間人に発砲しておったらこれはどうなっておりますか。募集のあり方について検討を加えるというのは正しいことじゃないですか。言う方が間違っていますか。
  401. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ですから、私は、募集のやり方について検討を加えるということは申し上げております。また、それに基づいてこの間いろいろと記者発表をしたところでございます。
  402. 松浦利尚

    松浦分科員 この問題ばかり議論しておるわけにいきませんから、また改めて。  事実の問題として、緊急出動期間を設けて、目標達成について優秀な成果を上げた募集事務所及び広報官については特別表彰制度を設ける、そういうことを現実に今本当にやっておられるんだ。競争させておる。募集することは正しい、しかし、募集のために競争をするというふうなことはばかげておることだ、私はそのことを指摘をしておきたいと思うのです。  それから次の問題でありますが、先般日向灘沖におきまして日米共同訓練が二月六日から二月九日まで行われました。御承知のように、今二月一日から四月の末日までチームスピリット84、米韓で訓練が行われておるわけであります。それには新田原のF15も参加をいたしておりますが、築城のF4Eも参加をいたしております。と同時に、嘉手納にあります米第五空軍第一八戦闘航空団のF15が参加をいたしております。それにE3A、早期航空管制機が参加をいたしております。チームスピリット84についても、同じく嘉手納の第一八戦闘航空団が参加をし、E3Aがやはり参加をいたしております。嘉手納に三機E3Aが常駐しておるのでありますが、このE3Aにデータがインプットされておると思うのであります。どういうものがインプットされておるかということについては、これはアメリカの高度な機密情報でありますから、自衛隊の方は知る由もありませんでしょう。その点どうですか。
  403. 古川清

    ○古川政府委員 お答え申し上げます。  その点については我々全く承知しておりません。
  404. 松浦利尚

    松浦分科員 新田原を中心とした日向灘沖における日米共同訓練にもE3Aが参加をしておる。チームスピリット84にもE3Aが参加をしておる。嘉手納にはE3Aというのは三機配属されておるわけでありますから、これにインプットされておる。コンピューターにインプットされたものは、常識的にいってみんな同一であると見るべきですね。そうすると、同じ飛行機でなくても、日米共同訓練に参加したAというE3Aとチームスピリット84に参加をしたBというE3Aは内容的にはイコールで結ばれるのです。そうすると、二月六日から九日まで日向灘沖で日米共同訓練、一方では二月一日から四月末日までチームスピリット84が行われておる。その間ダブっておるのですね、その演習期間というのは。確かに日米共同訓練であるし、片一方の方は米韓であるけれども、E3Aでイコールで結ばれておることは事実だ。それが今御報告あったようにわからない、何をしておるのかさっぱりわからない。アメリカがどういうデータをとっておるかもわからない。確かに自衛隊が要求したとおりの訓練をしてくれたかもしれないが、内容的には、米軍自身もこのE3Aという早期警戒機というのですか管制機を使ってチェックをしておることは間違いない。そういう点についてはお伺いすることができませんでしょう。私が言っておることはイエスともノーとも言えないでしょう。そういうことは恐らくないでしょうとは言えても、絶対ないということが言えるでしょうか。どうですか。
  405. 古川清

    ○古川政府委員 お答え申し上げます。  このチームスピリットは、先生御承知のとおり米韓両軍の演習でございまして、既に九年目を迎えておる。いつも大体存先にやるということでございますけれども、それと先生がメンションされました日向灘沖の演習というのは全く別の演習でございまして、相互に関連があるとは私どもは全く考えておりません。
  406. 松浦利尚

    松浦分科員 関連はないのですよ。日米と米韓でありますから、全く関連はない。関連はないけれども、参加をしているE3Aという飛行機については我々知る由もない。その中に、コンピューターにインプットされておる内容がどういうものかも知ることができない。となれば、イコールで結ばれているかもしれないのです。チェックできないでしょう。ただそういうことはないでしょうとあなたは言っておるのです。別です。確かに別だ。日米と米韓は別、別だけれども、それが別であるということは我々の立場、防衛庁の立場で、別だ、こう言っておるだけなんだ。米軍はイコールで結んでおるかもしれない。それはわからないでしょう。ここで明快にそれは違いますとは言えないでしょう、どうです。
  407. 西廣整輝

    西廣政府委員 教育訓練の立場から若干申し上げますと、私どもが、日向灘と申しますか四国沖のL空域でやりました日米共同訓練というのは、大体年間月に一回ぐらいのペースでやっております戦闘機戦回訓練ということで、五十八年度の中の十回のうちのたしか九回目くらいのものだと思います。したがいまして、これは戦闘機同士の戦術訓練であるということで、チームスピリットのように韓国を守るという一つの筋書きを持った米韓間の演習とは非常に質が違うものであると私ども考えております。また、仮に我々の戦術戦閥における能力といいますかそういったものがE3A等の参加によってある程度評価できたにしても、我が方が韓国防衛に参加するわけではありませんので、それをインプットしてみても無意味であるということで考えておりますので、私どもは、E3Aは我々の戦闘機戦闘訓練に際しましては、レーダーを用いて全体の訓練の順調な、円滑な進行に資する、そういった役割を果たしておるというふうに考えております。
  408. 松浦利尚

    松浦分科員 私は、それは我々の考え方であって、実際に米軍の方がどういう使い方をしておるのかわからない、自衛隊の要求は満たしておる、満たしておるけれども、それ以上のものを関連させてチェックしておるかもわからない、インプットしておるかもしれない、そのことを指摘しておるのであります。このことだけで議論をしておると非常に時間もたちますから、余りこのことだけではとりませんけれども、そういう点では米軍のとっておる態度は非常にあいまいなんです。  グアムに配備されておりますB52、核搭載可能であります。五十七年の八月から自衛隊はこのB52をターゲットにして電子戦訓練をやっておられるというふうに言っておられる。防衛白書の中にもそのことがうたわれておる。私たちが知り得た情報では、B52、これが一定の航路を飛行する。グアム、沖縄、日本、韓国、フィリピンというふうに飛行しておる。いつ飛行するかわからない、これは戦略爆撃機でありますから。このB52との電子戦、正式的には電子戦能力ですか、電子戦闘訓練というのですね、今日まで何回されましたか。
  409. 西廣整輝

    西廣政府委員 アメリカのB52を利用するといいますか、これは共同訓練ではございませんで、相手方の訓練にはなりませんので、こちらがB52をターゲットとして利用するという訓練でございますが、ごく最近行いましたものを含めて三十一回ぐらいやったと思います。
  410. 松浦利尚

    松浦分科員 やっておられる場所はどこですか。まさか領空じゃないでしょうね。
  411. 西廣整輝

    西廣政府委員 九州西方のP空域をいつも使っております。
  412. 松浦利尚

    松浦分科員 相手側は戦略爆撃機ですから、いつ飛んでくるかというのはわからぬでしょうけれども、これの訓練の方法はどういう形で、自衛隊の方から申し入れておくのでありますか。そうすると、向こうの方から、いついつ来るからというふうに返答があって訓練をするのでございますか。その点はどうですか。
  413. 西廣整輝

    西廣政府委員 ちょっと基礎的なことを申し上げて恐縮でございますが、御案内のように、各種の装備品が進んでまいりますと、航空戦闘において電子戦ということが非常に重要になってまいります。ところが、このB52は非常にすぐれた電子戦能力を持っておる、いわゆる電子妨害その他をする能力を持っておるということで、航空自衛隊としてもこの電子戦に関します戦術技量を麻くためにぜひこれを利用させてもらいたいということで、そのためにB52が来てくれるということはございませんので、B52がたまたま日本近海を通るというときに、そのわずか通過する間だけを利用させてもらおうということで、米側の了解を得まして、その通過する直前に時刻等を知らせてもらって我が方がそこに参って訓練をするということが現在のやり方でございます。
  414. 松浦利尚

    松浦分科員 それには新田原航空団は参加していますか。
  415. 西廣整輝

    西廣政府委員 このB52を対象といたします電子戦訓練、大体一回通過する間に我が方は二機ないし四機ぐらいが参加いたしますので、機種的にはF4、F15、F104ということで、各種のできるだけ多くの飛行機がそういう経験を持つということから、第五航空団の戦闘機も参加することがあると思います。
  416. 松浦利尚

    松浦分科員 これはもう少し時間があれば内閣委員会等でさらに議論をさせていただこうと思うのですが、バックファイアに対応してある意味では訓練の度合いの性質が変わってくる、そういった危険すらあるやに私たちは理解をしておるわけであります。  しかし、この問題で余り議論しておっては時間がありませんから、また後刻質問させていただくようにして、次の問題に移りたいと思うのですが、制服の空幕長が今度十九日からアメリカを訪問なさいました。この制服の空幕長がアメリカを訪問をする訪問内容、具体的に何をしに行くのか、そういったことについては、事前に防衛庁長官理解をして許可をされるのでございますね。
  417. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 そのとおりでございます。
  418. 松浦利尚

    松浦分科員 ところが、非常に奇異に感じますのは、この日程表の中に宇宙空軍司令部を訪問なさるという日程があるのです。日本の自衛隊にとって宇宙空軍司令部を訪問するというのは、これはいかに許可をされた内容とはいえ行き過ぎのような気がいたしますね。宇宙空軍司令部を御訪問なさった理由というのは、どういう目的を持ち、どういう内容だったのでしょうか。
  419. 上野隆史

    ○上野政府委員 今、先生御指摘の宇宙空軍司令部というのは、たしか名前が変わりまして、以前は防空軍司令部と言っておったと思います。そこには歴代空幕長で何人かの方が訪問をした例がございます。今回の旅行は、一般的な意味での視察、意見交換ということで、従前の例に倣って行ったものでございまして、今回この宇宙空軍司令部を訪れたのもその前例に倣ったものでございまして、特段大変特殊な例であるというふうには言えないと存じます。
  420. 松浦利尚

    松浦分科員 漠然と慣行として行くという御答弁では、私、ちょっと理解ができないのです。少なくとも公務員の出張というのは目的がなくてはならぬ、税金のむだ遭いになりますから。ですから、もっとはっきりした目的があって宇宙空軍司令部には行かれて――今までも行かれておったとすれば、目的があるはずです。空幕は、航空自衛隊は、一体何を考えておるのですか、宇宙まで。将来そういう宇宙兵器等も手に入れたいというような発想を持って行かれるのでございますか、宇宙戦争を想定して行かれるのでございますか、そういう点についてはっきりさせてください。
  421. 上野隆史

    ○上野政府委員 今回の森空幕長の訪米は、ガブリエル米空軍参謀総長の招待によるものでございまして、その目的は親善及び軍事情勢の視察ということでございます。米国滞在中に、同幕僚長は、米空軍の主要基地等を表敬訪問し、また、親善を深めるとともに、基地の実情を視察するものでございます。その一環として、ただいま先生御指摘の宇宙空軍司令部、これは従前はNORAD、北米防空総司令部と申しまして、たまたま機構が変わりましたのでそういう名前になっておりますけれども、米空軍のそういう戦略的な最高の司令部を訪問するということは、日本の航空自衛隊として、日本の防衛に当たる空幕長として、そういうところを訪問してそしていろいろ見識を広める、また意見を交換するということは有益なことであると存じております。
  422. 松浦利尚

    松浦分科員 いや、私たちはこの日程表を見まして、防衛庁が非常に大きな方向に、現状よりもさらに飛躍した方向に何か動き出しているような感じがするのです、空幕長が行くわけですから。  長官にお尋ねをしますが、シビリアンコントロールとよく言いますね。防衛庁の皆さん方とも、若い方々ともいろいろお話をしました。いろいろ共同訓練をやる。ところが共同訓練をやるのは制服組であります。シビリアンはだれも見ておらない。どういう訓練をするかということのチェック機能ですね、計画書はこうだけれども、実際に行ってみなければ何をやっているかわからない。やはり制服組がやる訓練についても、本当にシビリアンを働かすなら、どういう訓練をしておるのか、みずから行ってチェックすべきじゃないですか。そういうことは必要ないとお考えになりますか。必要がなければ、これはもう問題でありませんけれども、私は必要だと思いますね。どうですか。
  423. 西廣整輝

    西廣政府委員 制服が行います各種の共同訓練につきまして、もちろん計画段階から私ども十分それに参画いたしておりますし、それから訓練そのものにつきましても、例えば実動演習がある、あるいは指揮所演習があるというときには、現地に赴いて、実際にどういうことをやっておるかということまでチェックをいたしております。ただ、戦闘機戦闘訓練のように極めて戦術的なものにつきましては、私どもは特に参加するということはございませんけれども、広い意味の演習といいますか、大きな訓練には、内局からも人員を参加させております。  なお、先ほどのNORAD、宇宙航空軍の関係でございますけれども、アメリカの方では、戦闘機によります防空の任務も宇宙航空軍が持っておりまして、したがって、その部分について我が方の航空自衛隊と同じ任務を持っておるということで私どもは考えております。
  424. 松浦利尚

    松浦分科員 もう時間が来ましたから、これで終わりますが、内局もやはり私は行くべきだと思うのです。若い人と話をしましたら、船に乗って吐いたそうですけれども、実際そういうのは難しいとは思います。ジェット機に乗ることも難しい、そのこともわかっております。しかし、少しでも、内局の皆さんも、制服は何をしておるかということを現地に行ってチェックをする、具体的に行くということが私は必要じゃないかと思います。  そこの人、あなた、何がおかしいの。何がおかしいのだ。おかしければここで笑え。何がおかしいのだ。人がまじめに質問しているのに何がおかしい、失礼な。前へ出て謝れ。何だ、その態度は。
  425. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今大変御不快のようでございましたが、その点はお許しをいただきたいと思います。  なお、シビリアンコントロールの具体的な問題については、十分御意見を承って今後やってまいりたい、こう考えております。
  426. 松浦利尚

    松浦分科員 大変声を荒立てましたけれども、今ほかのことで笑われたのかもしれないけれども、あなた方のそういう態度が自衛隊からみんなを離反させていくのです。私自身はまじめに委員会に参加をしておるつもりです、幼稚かもしれないけれども。受ける側ももっと真剣になってもらわなければならないと私は思います。  大変失礼なことを申し上げましたが、私の質問を終わります。
  427. 上村千一郎

    上村主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  428. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 公明党の鈴切康雄でございます。第一分科会も私が最後でございまして、そういう意味からいいますと、大変に長時間防衛庁長官並びに関係の皆さん方には御苦労さまでございますが、いましばらくひとつ御容赦願いたいと思います。  まず初めに、アメリカのワインバーガー国防長官が米韓の定期安保協議会に出席をされた後、たしか四月の下旬から五月にかけて来日をするというふうに言われておりますけれども、その公算はあるようにお考えになっておりましょうか。その点はどうでしょうか。
  429. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ワインバーガー長官の方から、私にできるだけ早く会いたいという意思表示はたびたびあるわけでございます。私の方も、できるだけ早くお会いをいたしたい、こう思っておりますが、実際のところいつになるのか、そういった点につきましてはまだ詰まっていない。できるだけ両者の都合のいいときに早くお会いしたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
  430. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 ワインバーガー国防長官の方から再三にわたって、早くお会いしたいという伝達等があったそうでございますけれども、ハワイの日米事務レベル協議が毎年夏に行われております。その後を受けて大体日米防衛首脳協議が開かれている、こういうことでございますが、今回ワインバーガー米国防長官との日米防衛協力問題の話し合いがもし持たれたとするならば、現在、アメリカにおいては御存じのとおり大統領選挙という政治日程が入っているわけでございますから、大変に忙しいということであり、そうなった場合には、いわゆる夏以後に開かれるところの日米防衛首脳協議にかわり得るものになるのか。あるいはまた、毎年夏行われている日米事務レベル協議の後に再び防衛首脳が会うという予定になっているのか、こういうことについては、防衛庁長官はどうお考えでしょうか。
  431. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は、いろいろのルートからお話を承るときに、これもまた非公式に言っていることなんですが、余り何か問題を構えて会うということでなしに、そのときに考えていることをざっくばらんに話をする、そういうのでいいのじゃないか、何か確定した意思をつくっておいて、さあそれでやりますよというようなことよりも、ざっくばらんに気楽に話をするということの方がいいがなという私の希望だけは非公式には伝えてあります。
  432. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そういうことでおいでになれば非常に打ち解けてお話し合いになるということでございますけれども、私が考えるところでは、ワインバーガー国防長官の方からは、やはり米韓の定期協議でいろいろ話し合われた国際情勢等を含めて恐らく防衛庁長官にもお話しになるでしょうし、それから、例の第七艦隊の艦載機の夜間離発着訓練問題について、厚木の基地の代替施設はどうなるのかというような問題も提起されるでしょうし、あるいは武器技術の輸出問題の協議機関はできましたけれども、事実上まだまだ定期協議も持たれないし、一度もまだ話し合われていないからぜひひとつというような話も持たれるのじゃないだろうかというふうに思います、これは私の想像でございますけれども。  となりますと、防衛庁長官の方は、現在の予算、今年度の予算を含めていよいよ五十九年度から作業に入る五九中業、この策定方針についての日本の考え方等、ざっくばらんに言うならばワインバーガー国防長官との話し合いをされるということが大体予測される、想定されるのですけれども、そのほか何か特別にお話をするということがございましょうか。
  433. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今お話のあったようなことを議題にするかどうかわかりませんが、要するに私、大体鈴切さん御案内だと思いますが、こういう男でございますから、ざっくばらんに、そのとき出たもので大体私の方で考えがこういう考え方だと言えることについてははっきり言いたいと思うのです。それから、いや、そうはおっしゃるけれども、まだそれはここまでいっていませんというようなことで、比較的イエス、ノーをはっきりさせて、何といいますかお互いに意思の疎通を図る、そういう格好でいきたいと考えております。
  434. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 防衛庁長官は、私の言ったことについてそれを否定するわけではございませんから、まあそれ以外の問題というのもそのときの雰囲気で出されるにしても、大体の話というものはそういう形で進んでいくのじゃないかと感じます。  実は五六中業の見直しをしなくちゃなりませんし、五九中業がいよいよ了承されるまでの今後のスケジュールというものはどういうふうになっていくのかということ、これは非常に関心があります。私が御質問申し上げると、恐らくまだ決まっていないとおっしゃるでしょうけれども、五六中業のときのスケジュールを踏襲するような形になるのか、最終的には、五六中業と同じように五九中業も国防会議に報告して了承ということになるのか、その点についてはどうお考えでしょうか。
  435. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 五九中業の作成につきましては、まだどういう手順でやるかということは決まっておりません。したがいまして、ここで具体的にどうだということを明確に申し上げることはできないと思います。ただ、五六中業の場合は、先生御指摘のように最終的に国防会議に報告、了承という手続を経たことは事実でございます。そういったようなことも一つの参考にはなろうかと思いますが、実際に五九中業がどういう手順で進められるかというのは、まさにこれからの課題でございますので、今ここでは明確には申し上げられないと思います。
  436. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そこで、厚木基地の代替施設について、実は話題になった三宅島のことについてお伺いをいたします。  御承知のとおり、三宅島の噴火災害の復興問題が冷めやらない昨年の十二月二十一日、三宅島の定例村議会で突如として提案された米空母ミッドウェー艦載機の夜間離発着訓練地を受け入れ含みとした官民共用の飛行場建設の決議が実は強行されまして、その結果、総理初め防衛庁、防衛施設庁等の関係各方面に意見書が提出されました。しかし、事の重大さを知った村民の猛烈な反対に遭いまして、各地区ごとに開かれた自治会は反対決議を行い、それが署名運動となって、短期間のうちに島民有権者の約八〇%の反対署名が集まりました。これを受けて、官民共用の飛行場建設の意見書を撤回する請願書が出され、一月二十日に採択されるとともに、さきの意見書に反対する意見書が臨時村議会で採択されたことから、飛行場問題は事実上白紙に戻ったわけでありますけれども、これらの経緯を見て防衛施設庁長官はどうお感じになっておられましょうか、その点についてお伺いします。
  437. 塩田章

    ○塩田政府委員 経緯は先生の方からお話がございましたから省略いたしますが、私の感じを率直に申し上げますと、十二月の意見書をいただいたときに非常に期待を持っておりました。したがいまして、その後の経過から一月のああいう意見書が出ましたときに、率直に申し上げて大変残念に思いました。ただ、残念に思ったということは、それはやはり村議会の意見というものは村民の意向でございますから、そういう意味で、私たちの最初の期待に反対する結果になったことで大変残念に思いましたが、私どもとしましては、これを村民の意向として受けとめると同時に、また、私どもの立場からしますと、三宅鳥が、距離の点でも、あるいは滑走路がとれるかどうかという点でも、あるいは海の上を飛ぶことによって音の影響が局限できるではないかといった点でも、可能性の高い候補地の一つであるというふうに考えておりますので、この点、今後ともできれば島民の方の理解が得られるような努力はしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  438. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 二月の三日から二月十日に行われました三宅島の村議会選挙は、実は米軍の訓練基地化の是非をめぐって島民の意思を決定する重大な選挙であったわけです。当初出された意見書を採択されたときは、実は賛成が十三で反対二ということでございました。ところが、選挙の結果は、賛成派一名、これも本当にようやっと最下位で当選をする、しかも最後まで賛成派であったという七名のうち六名は立候補を見合わさなければならない状態であった。そしてあと反対派は各自治会から推薦を受けて十二名、言うならばほとんどこれに対してノーという選挙の結果になって、逆転をいたしました。そういうことから考えるならば、やはり村民の意思というのはさきの請願に示されたとおりの結果になったわけでありまして、防衛庁は、かねてから島民の意思を十分に尊重した上でと、私がいわゆる反対の陳情書を持っていったときにも島民の意思を尊重するというふうに防衛施設庁長官はおっしゃっておられて、大変に慎重に取り扱われたことについては私はそれなりに見識があると思っておりますけれども、しかし、事実上厚木基地の代替施設としての三宅島での飛行場建設はもう白紙撤回された、それと同時に、いろいろな経過があったとしても、島民の意思が明確になった以上は、もうあきらめざるを得ないという状況になってしまったと私は思うわけであります。それに対して施設庁長官が今言われました立場も私もまるっきりわからないわけじゃない。ただ、島民の全体の意思というものはこの問題についての決着がなされたというふうに私ども受け取っております。  そういうことを踏まえて、実は米空母ミッドウェーが入港をして、艦載機のタッチ・アンド・ゴーの訓練が繰り返されることによって生ずるいわゆる騒音公害の被害というものは、想像を絶するものがございます。厚木基地の騒音公害の実態の中から、ミッドウェーの艦載機離発着訓練の騒音を測定した資料を実は持っているわけでありますけれども、滑走路の北端から北へ一キロの地点で、出港中と入港中の期間における騒音状況は、七十ホン以上の総持続時間が、出港中は一時間三十二分三十五秒、それから入港中は八時間三十九分五十二秒になっている。一日平均九十ホン以上の測定回数は、出港中が四回に対して、入港中は四十四・四回と十倍になっております。年間ないしは月間の平均値のみでは考えられない激甚な集中的ジェット機騒音が生じているわけでございます。この点について、防衛庁も住民の被害を認識されておると思いますけれども、どういうふうに認識されていましょうか。
  439. 塩田章

    ○塩田政府委員 厚木でいわゆるNLPのタッチ・アンド・ゴーの訓練が始まりましたのは五十七年からでございますが、五十七年と五十八年の二カ年におきます七十デシベル以上の騒音発生回数を調べてみますと、五十七年が約三万六千八百回、五十八年が約四万八百回でありました。これは今申し上げたタッチ・アンド・ゴーが厚木で実施される以前の年の昭和五十六年に比べてみますと、発生回数におきまして五十六年が二万七千九百回でございましたから、それぞれ三二%及び四六%増加しておるという状況でございます。その音等につきましては、私も実際にミッドウェーに乗ったりしましてよく承知しておりますが、大変大きな音で、地元に御迷惑をかけております。  ただ、これが、先ほどちょっと申し上げましたが、島のような場合でございますと、飛行場の位置等のとり方によりまして、ほとんど全部海の上で飛ぶわけでございますから、その点は厚木の場合と大変違った形になるのではないか、いわゆる昔が局限できるのではないかという期待は我々として持っておるわけでございます。ただ、厚木における騒音につきましては、今先生のおっしゃったとおり、また、私が今お答えを申し上げたとおりであります。
  440. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私は、三宅島のことについてそれ以上のことは言わないつもりでおったのですけれども、島になれば全部音が吸収されて全く状況が変わるなんて、そういうものではない。やはり相当の騒音があるということは、もうこれは常識で考えてもわかることですから、そういうことで時間を費やすのは非常に残念に思います。  実は神奈川県がまとめた厚木基地に関する調査結果では、テレビとかラジオ、レコードの音が聞き取れない、電話や会話の邪魔になる、ゆっくりくつろげない、いらいらする等、日常のコミュニケーションが妨げられ、余暇活動に支障を来し、家庭でのくつろぎが失われるという…胆ばかりでなく、飛行機墜落の不安、燃料タンク爆発の不安、妊産婦や乳児、病人に与える影響等の問題が実は基地周辺住民に共通するものとなっております。特に、昭和五十七年にミッドウェーが入港したとき十八時から二十二時までの夜間離発着訓練が繰り返されたために、七十ホン以上の騒音測定回数が五十三年には二百二十八・六回、五十五年には二百四十七・一回であったのに対して、五十七年には実に七百九・八回に達している。これは、ここにあります「厚木基地周辺実態調査の概要」で、神奈川県渉外部が調査したものですから、私はこれに基づいて申し上げております。そのことから考えれば、厚木基地全体の問題として第一に挙げられるのは騒音公害である、米軍艦載機離発着訓練が政治問題化されているのはそれが原因ではないかと私は実は思います。私どもは、やはり飛行場の建設によって生活環境が破壊される、その基地の建設については賛成できる立場にないわけです。  そこで、一歩譲りまして、かねてから防衛庁は、代替施設を建設する方針として、一つは自衛隊基地の供用、二つ目には浮体工法による海上滑走路の建設、それから三つ目は今申し上げました周辺の離島に施設を建設する、この三つの方針を立ててずっとやってこられたわけでありますが、三宅島の官民共用基地が事実上不可能になったとするならば、浮体工法による海上滑走路の建設は技術的に問題があるのか、あるいはそれともアメリカとの間において海上滑走路が不適当であるということなのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  441. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず、アメリカとの間で、海上滑走路ではだめであるとか、いや、海上でもいいのだというようなことについて最終的に議論をしたわけではございませんけれども、今世界じゅうでそういう二千メートルもあるような浮体構造物はございませんので、現在のマニュアルは当然のことながら陸上で訓練するようになっております。しかし、本当に二千メートル以上のものができるのならば海の上でもできないわけではないだろう。ただ、その場合の波に対する振動でありますとか、あるいは台風が来たときの動揺でありますとか、いろんな問題がありますから、解明されているわけではありませんけれども、長さとして二千メートルもあれば訓練ができないわけではないというのがアメリカ側の考え方であろうと思います。ただ、技術的にそれでできるのかできないのかということでございますが、これは実はまだ解明されておりません。今申しましたように世界じゅうどこにも例のないものでございまして、例えば造船工業会などは、技術的には可能ではないかというような意見も出されております。私どもとしましては、現時点では、その問題につきましてはいろいろそういった方々の意見なり資料なりを集めております。そういう意味での勉強はしておりますけれども、この問題に取り組んで調査をしようという段階には至っておりません。
  442. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 自衛隊基地の供用の問題でございますけれども、タッチ・アンド・ゴーの訓練が七十日間以上一基地に集中するために、実は大変に周辺住民の騒音に対する反発が大きいわけです。そう考えてまいりますと、防衛庁は、都市周辺の基地は無理だとしても自衛隊基地の分散化というものがやはり頭の中にあるのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  443. 塩田章

    ○塩田政府委員 二つの考え方がありまして、一つは厚木をやめてどこか一カ所でやりたいという考え方もありますし、一つは一年間に七十日あるいは八十日というものを幾つかの飛行場で分けて実施するというような考え方も考え方としてあり得るわけであります。今も御指摘がありましたように、どこか一カ所に集中するということは実際問題としまして大変難しい問題でございますし、また、今の分散にしましても、各自衛隊の既存の飛行場につきまして私どもがいろいろ折衝いたしておるわけですけれども、現状ではとても地元の方の御了解を得られるといったような段階に至っておりません。そういう意味で、現在の時点で見通しは必ずしもついていないという状況でございます。
  444. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 今いろいろと論議をしてきましたが、結局厚木基地が使用できないという状況の中にあって、防衛庁としては現在三つの方法でいろいろとそれなりに代替施設を探しておられるわけですけれども、この問題はなかなか難しい問題だと思います。ですから、ミッドウェーがまた入ってきますとそういう問題が政治問題化するわけなんですけれども防衛庁長官としてはどういうふうにこれをおさばきになるのでしょうか。
  445. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 どうさばくといっても実はなかなか頭の痛いことでございます。それで、いろいろと施設庁長官からも話がございましたように、それぞれのところを検討しているわけでございますが、少しでも何か解決ができるものはないか、そういうことで今鋭意努力している最中でございます。これ以上のことは申し上げませんが、本当に何とかして曙光を求めたいというのが今の私どもの考え方でございます。
  446. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 米軍に使用させるための官民共用の飛行場が仮にできるとすると、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づいて特定防衛施設周辺整備調整交付金、いわゆる補助金が交付されることになりますけれども、一つは、基地に関連するものとして公共事業あるいは騒音防止のための工事、騒音によってある一定のホンになった場合におけるところの言うならば防音工事、二つには、自治体におりる交付金については公共施設、公共事業に振り向けられるものであると思うけれども、迷惑料といって個人に対して支払われるということはあの法律から見てあり得ないと思いますが、その点についてはどうなんでしょうか。
  447. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように、特定防衛施設の交付金が出ます。それからまた、いろいろ公共施設等につきまして補助金が出るというようなことは当然ありますが、最後に御指摘のように個人に迷惑料という名前の何かが出るのではないか、これは当然そういう予算もございませんし、個人に渡る金は出すわけにはまいりません。
  448. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 最後ですけれども、運輸省が来ておると思います。YS11の使用中止に伴うジェット化の問題というものが、実はYSが飛んでいるところの多くの飛行場の言うならば共通した悩みでございます。政府といたしましてはYSの後継機をどう考えておられるのか、またそれに対応して飛行場についてはどういうふうにされようとされておるのか、その点について運輸省の方にお聞きをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  449. 松村義弘

    ○松村説明員 YS11の後継機の問題でございますけれども、航空機自体の寿命といたしましては、まだ部品の交換その他十分な手入れをすることによりまして十年以上のものはあろうと思っております。ただ、部品の交換の費用がだんだんかさむようになります。また、旅客の皆様方は、利用した後、やはりジェット機の方が速くて乗り心地がいいといったような御批判もございまして、機体の寿命十年以上と申しましても、それ以前に代替機の問題を考えざるを得ない事態が起こり得ると考えております。  その場合に二つの方法があろうかと思います。一つは、滑走路の延長をしまして、より大型のジェット機を導入できるようにいたすという方法、それからもう一つの方法は、現在の千二百メートルクラスで運用できる他の航空機を用いるということ。他の航空機の場合、外国の例を申しますと、千二百メートルでもって十分運用可能なジェット機も二、三ございます。したがいまして、二つの方法がありますけれども、今後どういうふうにするか、まだ十分検討は進んでいない状態でございます。
  450. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 以上をもって質問を終わります。御苦労さまでした。
  451. 上村千一郎

    上村主査 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時四十分散会