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1984-03-10 第101回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十九年三月五日(月曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       上村千一郎君    倉成  正君       与謝野 馨君    大出  俊君       武藤 山治君    有島 重武君       大内 啓伍君    工藤  晃君 三月九日  上村千一郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十九年三月十日(土曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 上村千一郎君       倉成  正君    与謝野 馨君       小澤 克介君    大出  俊君       大原  亨君    小林  進君       新村 源雄君    竹内  猛君       松前  仰君    武藤 山治君       山口 鶴男君    山花 貞夫君       有島 重武君    坂井 弘一君       鈴切 康雄君    大内 啓伍君       梅田  勝君    経塚 幸夫君       工藤  晃君    山原健二郎君    兼務 井上 普方君 兼務 関  晴正君    兼務 竹村 泰子君 兼務 山本 政弘君    兼務 吉原 米治君 兼務 武田 一夫君    兼務平石磨作太郎君 兼務 津川 武一君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      中西 一郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      岩動 道行君  出席政府委員         内閣参事官   中村  徹君         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  禿河 徹映君         内閣法制局第一 前田 正道君         部長         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局 服部 健三君         管理局長         人事院事務総局 鹿兒島重治君         任用局長         人事院事務総局 叶野 七郎君         職員局長         内閣総理大臣官         房会計課長   渡辺  尚君         兼内閣参事官         内閣総理大臣官         房広報室長            兼内閣官房内閣         広報室長    金子 仁洋君         内閣総理大臣官          房管理室長   菊池 貞二君         内閣総理大臣官         房地域改善対策         室長      佐藤 良正君         北方対策本部審         議官         兼内閣総理大臣         官房総務審議官 橋本  豊君         総理府賞勲局長 柳川 成顕君         総理府恩給局長 和田 善一君         青少年対策本部         次長      瀧澤 博三君         警察庁長官官房         会計課長    立花 昌雄君         宮内庁次長   山本  悟君         行政管理庁長官         官房会計課長  前山  勇君         北海道開発庁予         算課長     平岡 哲也君         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁長官         官房審議官   堀内 昭雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  窪田  富君         科学技術庁計画         局長      赤羽 信久君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         科学技術庁振興         局長      村野啓一郎君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         大蔵政務次官         資源エネルギー 堀之内久男君         庁長官官房審議         官       松田  泰君  分科員外出席者         衆議院事務総長 弥富啓之助君         参議院事務総長 指宿 清秀君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   西村 健一君         裁判官訴追委員         会事務局長   青山  達君         国立国会図書館         長       荒尾 正浩君         人事院事務総局         管理局会計課長 木村 正次君         総理府賞勲局総         務課長     田中 宏樹君         総理府人事局参         事官      上吉原一天君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      地頭所五男君         防衛庁防衛局防         衛課長     藤井 一夫君         防衛庁経理局会         計課長     源氏田重義君         国土庁地方振興         局東北開発室長 石井  武君         法務省人権擁護         局調査課長   堤  守生君         法務省入国管理         局登録課長   亀井 靖嘉君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         外務省欧亜局ソ         ヴィエト連邦課         長       野村 一成君         大蔵省主計局主         計官      吉本 修二君         大蔵省主計局主         計官      米澤 潤一君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     熱海 則夫君         文部省社会教育         局社会教育課長 藤村 和男君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省社会局保         護課長     清水 康之君         厚生省社会局生         活課長     大木 知明君         厚生省援護局庶         務課長     加藤 栄一君         水産庁漁政部長         通商産業省機械 大坪 敏男君         情報産業局電子         政策課長    関   収君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   大塚 和彦君         運輸大臣官房地         域計画課長   後出  豊君         運輸省自動車  豊田  実君         気象庁観測部参 河村まこと君         労働大臣官房参         事官      増田  実君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     逆瀬川 潔君         労働省婦人少年         局婦人労働課長 佐藤ギン子君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  斎藤  蓊君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   福永  博君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   大出  俊君     小林  進君   武藤 山治君     松浦 利尚君   有島 重武君     日笠 勝之君   大内 啓伍君     塩田  晋君   工藤  晃君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   小林  進君     新村 源雄君   松浦 利尚君     山口 鶴男君   目笠 勝之君     坂井 弘一君   塩田  晋君     青山  丘君   柴田 睦夫君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   新村 源雄君     兒玉 末男君   山口 鶴男君     山花 貞夫君   坂井 弘一君     鈴切 康雄君   青山  丘君     西村 章三君   田中美智子君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     小林  進君   山花 貞夫君     大原  亨君   鈴切 康雄君     近江巳記夫君   西村 章三君     塩田  晋君   山原健二郎君     梅田  勝君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     松浦 利尚君   小林  進君     竹内  猛君   近江巳記夫君     竹内 勝彦君   塩田  晋君     大内 啓伍君   梅田  勝君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     大出  俊君   松浦 利尚君     大原  亨君   竹内 勝彦君     有島 重武君   藤木 洋子君     経塚 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     小澤 克介君   経塚 幸夫君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     松前  仰君   藤木 洋子君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   松前  仰君     武藤 山治君 同日  第二分科員関晴正君、竹村泰子君、第三分科員  平石磨作太郎君、第四分科員山本政弘君、第五  分科員吉原米治君、第六分科員津川武一君、第  七分科員井上普方君及び第八分科員武田一夫君  が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算  〔国会内閣及び総理府所管総理本府、科学  技術庁)〕      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会裁判所、会計検査院、内閣及び総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算及び昭和五十九年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。弥富衆議院事務総長
  3. 弥富啓之助

    弥富事務総長 昭和五十九年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。  昭和五十九年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は三百九十七億八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億一千六百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百八十七億百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十一億二千七百万円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員歳費月額改定並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、議員応召帰郷旅費につきましては、議員関係経費等に関する調査会の答申もありましたので、これを廃止することとし、また、議員秘書退職手当制度につきまして改善を図ることといたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十億円余を計上いたしております。このうち主なものは、本館等庁舎整備等でございます。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、一億円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円計上いたしております。  以上簡単でございますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げた次第でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 上村千一郎

  5. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 昭和五十九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は二百三十七億一千五百万円余でありまして、これを前年度予算額二百三十四億九千九百万円余に比較いたしますと、二億一千五百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百二十三億八千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二億六千六百万円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員歳費月額改定並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、今回、議員応召帰郷旅費につきましては、これを廃止することとし、また、議員秘書退職手当制度につきまして改善を図ることといたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして十三億三千万円余を計上いたしております。その内訳は、昭和六十年度末完成を目途とする麹町議員宿舎第二期改築工事費九億四千万円余及び本館その他庁舎等施設整備費三億八千百万円余であります。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 上村千一郎

  7. 荒尾正浩

    荒尾国立国会図書館長 昭和五十九年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百三十八億六千六百九十万円余でございまして、これを前年度予算額百十三億八千百十万円余と比較いたしますと、二十四億八千五百七十万円余の増額となっております。  次に、要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は七十七億七千五百六十万円余であり、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億千九百八十万円余の増額となっております。  増額の主なものは、職員給与に関する経費図書館資料を購入するための経費国際図書館連盟等拠出金等でございます。  また、海外移民関係資料の収集に必要な経費招聘外国人滞在費を新規に要求いたしております。第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、千四百万円余を増額いたし、要求額は五億千七百十万円余であります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、別館新営と本館支部上野図書館整備に必要な経費五十五億七千四百十万円余であります。  なお、別館新営に関しては、昭和五十九年度を初年度とする三カ年の国庫債務負担行為七十五億七千八百万円余を要求いたしております。  以上簡単でございますが、国立国会図書館歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 上村千一郎

  9. 西村健一

    西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は八千五百四万五千円でありまして、これを前年度予算額七千八百七十五万二千円に比較いたしますと、六百二十九万三千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費裁判員族費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものでございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 上村千一郎

  11. 青山達

    青山裁判官訴追委員会参事 昭和五十九年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十九年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は九千六十七万一千円でありまして、これを前年度予算額八千四百四十七万六千円に比較いたしますと、六百十九万五千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 上村千一郎

    上村主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
  14. 小林進

    小林(進)分科員 私は、まず衆議院議長にお伺いいたしたいと思うのでありますが、選挙法の改正の問題であります。  これは各党でそれぞれの案を練っておられるようでございますが、やはり立法府の公正妥当な最高の地位におられる衆議院議長として、一体この問題をどうお考えになっているかということをお聞きをしておくことも重要だと思います。  第一に、私がわからないのは、最高裁でいろいろ格差の問題、兵庫の五区と千葉県の第四区ですか、四・五四倍の格差がある。これは憲法違反である、法律違反であるということになる。そこで何か各党はその修正案をつくっているようでございますが、もちろん私は、社会党とは関係ありませんよ。二・五倍にするとか二倍にするとかと言っている。どうもこれが四・五倍の差があれば憲法違反だが、二・五倍の格差ならば法律上妥当であるかというふうな、そこはかとした主張がなされているようだ。そこに理論的な根拠を何も私は見取るわけにはいかない。こういうことをどうお考えになっているか、限られた時間でありますから、簡単にひとつ。
  15. 弥富啓之助

    弥富事務総長 ただいまの御質問選挙制度一般から今度の最高裁判決、それに至る今までの各党からのいろいろな試案が出ております、それについてどう考えるかということを私に対して御質問でございまして、私といたしましては……(小林(進)分科員所見を述べる」と呼ぶ)所見と申しましても、私が果たしてお答えするのが適当かどうか、ちょっとここで御意見を申し上げるのは甚だ恐縮いたしておりますので、御了承を願いたいと存じます。
  16. 小林進

    小林(進)分科員 あなた、議長を代行したつもりでひとつ答えなさいよ。さもないと、質問にならなくて一方的な、また私がしゃべるだけのことになってしまうので、これは質問にならない。ただ、大変残念ながら所見を述べなければならぬ。第一に、今のその格差の問題、これは理論的に示さなくちゃいけない。それから第二番目としては議員の数の問題。  私は、日本国会は多過ぎると思っているんだ。私の個人の所見ですから、日本では衆議院が五百十一名、参議院が二百五十二名の七百六十三名。そのほかに、余分なことでありますが、都道府県会議員が二千八百四十六名だ。それから市町村会議員が六万九千七百九十二名。若干差があるかもしれませんが、これなど、私も議会制度調査アメリカ、イギリスと自由諸国を回ってみたこともあるけれども、アメリカなんか非常に参考になったが、アメリカは下院が四百三十五名、上院が百名だ、合わせて五百三十五名だね。国土の広さからいえば、例えば日本なんかアメリカの一州にも満たないような小さな粒みたいな国だ。その国土の中で自治体を細分化しでこれほどの多くの議員を一体抱えていく必要があるのか。地方議員のことは別にして、国会議員においても、こんなに大勢の人員を擁することがいいのかどうか。  質問ですが、国会予算額、先ほどあなたは衆議院、約四百億円ばかりのことを言われたが、一体この中に占める、国会議員に要する予算がどれくらいになるか、これを大まかに一人当たりに概算してみると、一人一億円くらいになるんじゃないですか。この国会衆議院資料、今四百億円と言われたから、それを五百十一名で単純割り当てをしてみれば、一億までいかぬけれども、まあ八千万円か、それくらい使って、これが一体機能が発揮されているかどうか。  アメリカへ行きますと、御承知のように、スタッフと称する、秘書じゃない、議員一人に対して十五名ないしは特別委員長なんかになると四十名くらいスタッフがついて、あらゆる議員活動資料から調査から材料から、上は立法法律の立案まで全部議員がやっている。アメリカでは立法議員立法している。それで議員の名前を付して法律が出ている。僕は、立法府だから、法律作業議員がやるべきだと思う。それを日本では何もやらないじゃないですか。やっているのはみんな官僚だ。そして大臣様なんて座るところだけはいいところへ座っているけれども、答弁になると官僚の書いた答弁を丸読みしている。私は、こういうことを本質的に改めるべきではないかと思いますが、どうですか。
  17. 弥富啓之助

    弥富事務総長 まず、各党からの試案とか、それから現在の選挙制度がどうあるべきか、そういう御質問でございまして、先ほどに続いて、お答えがなかなか難しいのでございますけれども、ただいま先生承知のとおりに、衆議院におきましては、衆議院議長諮問機関といたしまして、各党の議運の理事がその委員になりまして議会制度協議会というのがつくられております。ここにおきましては、議会制度一般、それから国会運営の重要な事項について項目を選び出しまして、審議を従来からなされておるわけでございます。公平な第三者といいますか、そういう方たちにお集まり願ってやると言われる御意図かもしれませんが、国会議員は、言うなれば議会制度及び国会運営に対しての学識経験者でございます。そこの、そういう議会制度協議会におきまして十分に御論議をいただきまして、ただいま先生の言われます選挙制度あるいは議会制度、あるいは国会運営の各種の制度、それについて御論議をいただいているのが一番適当ではないか、私はさように考える次第でございます。  それからアメリカの例を引かれましてスタッフの問題、それから法案の提出の仕方の問題についてお話がございました。先生十分御承知と思いますけれども、やはりアメリカにおいては大統領制をとっておりまして、日本の場合と、議院内閣制の場合とちょっとあるいは制度的に違うのかもしれませんが、やはり我々の手元の資料で見ますと、アメリカスタッフといいますか、議会スタッフは非常に数が多いように承知をいたしております。これはやはりアメリカでは大統領制としまして、議院内閣制とちょっと違って、法案はすべて議員が出す、そういう建前からではないかと存じております。
  18. 小林進

    小林(進)分科員 あなたの第一番目の、それは国会の中に議会制度調査会があるから、そこでやる方が適当だという話ですが、しかし、これは率直に言って、建前と本音は違うのだから、これはやはり建前はそうだけれども、本音は各党のいろいろの各派交渉会みたいな形で出てきて、こういう選挙法の改正なんかになると、もうあなたも経験されているように、ゲリマンダーだとかハトマンダーだとかといって、徹底的に議員のエゴが出て、これは成立しなかったわけですけれども、そういう形があらわれてくる傾向はあるのだから、そういう意味においては、私はやはり議長の下に本当のやはり専門家、知識を有する公平妥当な人たちでもって構成するそういう調査会というか諮問会というか、議長の諮問に答える、そういう制度を設けて、そこで案をつくったらどうか、それを議長が改めて調査会なら調査会国会なら国会の各部署にそれを投げかけるという、そういう方法でこの選挙制度の改正をやったらどうかと私は思っているのですよ。この点はひとつ考えておいてくださいよ。  それからアメリカの今のスタッフの問題ですが、私は、日本において一番悪いのは官僚政治だと思うのです。議会制度だとか立法府だとか言うけれども、事実上は官僚が全部これを動かしている。国会答弁だってそのとおり。のこのこ出てきて、難しい質問になると大臣やなんか答弁できなくて官僚が成りかわって国政に対する答弁をしている。こんなみっともない議会制度なんというものは、私はそのままにしておくわけにはいかないと思います。どうしても立法府と銘を打つならば、アメリカ大統領制であろうと、それは英国の議会制度の民主主義が日本と同じような組織であろうといかんを問わず、法律議員がつくるのが当たり前です。私はそう思う。その方向へいま少し真剣に私は考えていただきたい。これは立法府の問題、法律立案の問題ですから。官僚法律をつくるということは、何といったって三権分立の建前に反するんですから。これはひとつ議長によく伝えてやってください。  それからいま一つ、しゃべっていると時間が来ますから言いますけれども、いま一つは、いわゆる立法府は言論の府という、議論をして物をつくり上げる府なんです。一体日本のこの国会に言論の府がありますか。我々だってそのとおりだ。みんな時間に縛られているじゃないか。おまえ三十分だ。どんなに内容があろうったって、予算委員会へ行ったって何委員会へ行ったってみんな時間に縛られて、時間が来たらオミットだ。形式じゃありませんか。ともかく一年に二百日以上は立法府会議を開いている。開いているが、その中で一体言論の府と言われるくらい十分に議論をしている時間がどれくらいありますか。まず二百日のうち委員会だって各委員会一週間に一回か二回。二回としたところで、その二回が、出ていけばそのとおりじゃないですか。おまえは三十分だ、時間をちゃんと切られて、大体委員会の審議時間というものは二時間か三時間か、せいぜい四時間で終わってしまう。でありまするから、これを通算してみたって、どこで一体言論の府と言われるような形が残っておりますか。言論の府じゃないですよ。不言論の府ですよ、ここは。こういうのをやはり本質的に改めなければならぬ。  しかも、答弁は全部役人だ。その役人が、政府委員と称するものが三百何十人、今四百人ぐらいいるか、これがみんなのこのこ来て、その政府委員にまた補充員が二人も三人もついて、ふろしき抱えてわんさわんさとあらわれてきて、そして行政というものを全部麻痺したり休めて、そうしてこの立法府の中で役人の諸君が一切成りかわって答弁をしたり作文をつくったりしている。これは恥ずかしいことですよ。  仮に英国などへ行ってみますと、これは夜遅くまで与野党対立の形になって、与野党はもう真剣に議論を尽くしている。夜の夜中までも討論をしている。そこにはもうマスコミなんか、テレビなんか入れない。なぜイギリスは原則として入れないかと言えば、いわば議員の質疑や応答がショー化するおそれがある。これは悪くすると実に日本にもその傾向がありますね。テレビの映りがどう出るかなんてその勘定をして、テレビ映りするネクタイまでして、そしてこんなところで質問をしているという、実に本末転倒をしているんだな、日本の議会のやり方は。だから私は、こういう委員会などというものも、官僚答弁で出るとか――イギリスなんかで原則としては議員質問応答の中には官僚は、役人は入れません。原則として役人を入れません。そして、真剣に議員が討論をして、その討論したものは直ちに速記録になって次の日ずうっと国民に流されて、それで国民の批判をすぐ受ける。これが言論の府の正しいあり方ではないかと私は思うのでありますが、こういう問題についてもひとつ衆議院議長の御答弁を願いたいと思います。
  19. 弥富啓之助

    弥富事務総長 前半の先生の御意見は議長に十分にお伝えを申し上げまして、例えば公平な第三者機関を議長諮問機関に置くという御意見については、十分に議長にお伝えを申し上げます。  それから後段のいろいろお話でございまして、これはやはり議会運営の中のいろいろな問題点、例えば委員会の定例日と申しますか、一週間の中に定例日を設ける、そういうこととかあるいは発言時間の制限のこととか、それから政府の答弁のための出席のこととか、そういういろいろなことは、先ほどちょっと申し上げました議会制度協議会というところで一つの検討項目にもなっているところもございます。十分に先生の御意見をあれいたしまして、今度の議会制度協議会その他適当な機会がありましたら十分に御報告を申し上げさせていただきたいと存じます。
  20. 小林進

    小林(進)分科員 私は、議会制度調査会というものを軽視するわけじゃないですけれども、非常に各党の各派交渉会の色彩があって、どうしても政党のエゴが出るから本当の高貴な――高貴と言っては悪いですけれども、高尚な基本的な意見というものはなかなか出しづらいと思うから、その点を事務総長なんというものはいま少しびしっと思想、信念を持ってやらなければだめだ。昔は書記官長といって、それは地位も高かったけれども、発言も強かったよ。最近の事務総長はへなへなしていて、どうもいま少し立法府の中心、かなめとして権威ある発言をやるようにしなければ困ると思う。  時間もだんだん迫ってきたから言いたいことも言えなくなってくるけれども、その意味においてどうしても日本の政治はまだ立法府の中に官僚が羽ばたきし過ぎる。そして立法府をだんだん制限、侵略してくる。私は率直に言いますが、どうも永年在職議員になってしまったから自分のことを言うようで少しちょっとなんですけれども、これは私、自分を離れて言っていることだと思って聞いてくださいよ。そのころには、やはり永年在職議員になるとちゃんとやはり活動もなんだろうからと言って車一台ずつみんなあてがって持たした。しかもまだ永年在職議員で、いよいよ何回かの選挙を激しい戦いの中で済んで、それで立法府に奉仕したというので、やめれば議員パスですか、終年かな、まあこれを与えた。これはやはり長い国会のしきたりだった。いつの間にやらそれはみんな剥奪されてしまって、永年在職議員になったところでもはや車は持たせない。そのかわりスズメの涙の車代などというものをちびちびとその言いわけみたいにつけておいて、それで車は取り上げてしまう。何か知らないけれども、最近見たらまたOBの永年在職議員のパスも取り上げられた、いい悪いは別です。恐らくそれは今おっしゃる議会制度調査会あたりの中でそのことが決められたのであると思うが……(発言する者あり)そうじゃないですか、どうも官僚が朝に一城、夜に一塁というのか、だんだん立法府の権限を剥奪してくるというおそれなきにしもあらず、非常に不愉快です。私は何も利害得失で言っているんじゃありませんけれども、こういうところもひとつきちっとしてもらわなければならない。  まだそんな例を挙げろと言えば幾つでも挙げますよ。しかし憲法の建前においては、この立法府は国権の最高機関だ、きちっと言っているけれども、事実においてはまさに行政に対して立法がだんだん押しまくられてきておる。こういうことは、衆議院議長はもちろんでありますが、衆参両議院の事務総長などというものはちゃんと腹を決めて、やはり憲法どおり国家国民の権利を守るようにしてもらわなければならぬ。立法府が押しまくられるということは、国民の権利がそれだけ狭められることになるのでありまするから、国民の権利擁立のためにひとつ踏ん張っていただきたい。  時間がだんだん迫ってきました。今アメリカの議会の長所あるいは英国の議会の長所等を申し上げて、それで日本国会がいかにまだ言論の席あるいは立法の府として不十分であるかということを申し上げたのでありまするから、その点を一つと、それから選挙法の改正も、今も言うように本当に理論に基づいて公正妥当、しかも長期安定だ、そんな思いつきだけで選挙法改正をやって、また四、五年たったらそれを改正しなくちゃならぬというようなことではなくて、国民が納得するようなきちっとした選挙法改正をどうやるべきか、議長を中心に事務総長も補助者となってこの問題をひとつ考えていただきたいということです。  それから次に一つまたお伺いいたしますけれども、今度は、総理府は来ていますかな。――総理府にちょっとお伺いしたいのだけれども、議員の在職年数の計算です。この計算がいわゆる立法府衆議院参議院も違う。在職年数のこの計算の仕方が衆議院参議院とで違っているが、総理府とでこれまた違っている。同じ議員として活躍しているのにどうして計算年数が違うのかわからないのであります。  そこでお伺いします。人のことは別として、小林進だ。昭和五十九年三月現在において私の在職年数が一体何年になるか。これはひとつ立法府からと総理府からと両方お聞かせを願いたい。
  21. 田中宏樹

    田中説明員 お答えいたします。  叙勲の先生の在職期間で申し上げます。二十八年二月半でございます。
  22. 弥富啓之助

    弥富事務総長 衆議院の方の計算でまいりますと、二十八年と八カ月でございます。
  23. 小林進

    小林(進)分科員 お聞きのとおりなんですね。同じ国会で、国民の負託を受けて働かしてもらっても、その年数計算になると半年違うんですね。これだけの差が出てくるのはどういうことかね。同じ憲法、同じ法律、同じ制度のもとにおいてそういうようなことは、これは参議院の事務総長に聞けばわかる。参議院の方の年数の計算は一体どうなっていますかな。
  24. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 お答えいたします。  参議院におきます議員の在職期間の計算、すなわち議員の在職期間を実質の、正味の在職期間に計算するかどうかという問題につきましては、議運の理事会等におきましてもかつて議論がございましたが、現在の取り扱いといたしましては、選挙のときに重なって、ダブって期間計算をするという方式でございまして、これは衆議院の方と同じような計算かと、このように承知をいたしております。
  25. 小林進

    小林(進)分科員 こんなことを議論すると時間が来ちゃうので困るから言わぬけれども、参議院の方はいわば六年に任期が来るが、六年の前に改選をして――きちっと六年たってから改選をするのじゃなく、あるいは六年前で改選しても、年数の計算はやっぱり六年、六年で、ちゃんと二回やれば十二年、三回やれば十八年、四回やれば二十四年として計算されているでしょう。
  26. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 お答えいたします。  参議院におきましては六年という任期満了の制度があるわけでございますが、この期間計算につきましては、月が重なる場合もございますし、そうでない場合もあり得るわけでございまして、任期前の選挙もあり得ますし、任期終了後の選挙もあるわけでございます。そのときどきの情勢によりまして、月がダブって計算される場合もございます、ということでございます。
  27. 小林進

    小林(進)分科員 それじゃ、ダブって計算する場合もあるの。あなたのところは、大体もう六年、その前後がダブろうと足りなかろうと六年は六年で全部計算していっているのじゃないの。そうでしょう。
  28. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 お答えいたします。  現在の参議院の期間計算は、六年、六年できちんとしておるというものではございませんで、ダブって計算をするときが状況によってある、こういうことでございます。
  29. 小林進

    小林(進)分科員 こういうことをやっているともう切りがありませんから私はこれでやめますが、ともかくひとつこれは統一してください。何々の計算はこれだ、何々の計算はこっちだ、物と時期と条件によって計算方法が行政府と立法府と違うようなことじゃいかぬから、そういうようなことはきちっと、やはりだれに問われても、どんな問題に適応しても答えは一つという、そういう形にしてもらって、この事案に対してはこういう計算だ、こういう事案に対してはこういう計算だ、こっちはこうだなどというそういうばかげたやり方をやらないようにしてもらいたい。これはお願いしておきます。  もう時間が来ましたが、宮内庁お見えになっておりますかな。――管内庁に一つお伺いいたします。  皇太子殿下御夫妻もイギリスへ行かれてロンドンで皇孫殿下にお会いになって、非常に和やかな日をお送りになったようでありまして、これは国民側から見てもいい風景で、大変よかったと思っておりますが、その問題に関連してお伺いしたいのは、皇孫殿下ももう二十四歳になられた。どうしても配偶者というものを必要とするのでありますけれども、これは宮内庁等における重大な行事であります。これは宮内庁だけでなくて、国事ですから、国民全般が大変関心を寄せている問題でございます。そういう皇孫殿下の配偶者の選び方について今どういうふうな作業と言ってはなんだけれども、仕事をお進めになっているのか、これはひとつお尋ねをしておきたい。(発言する者あり)
  30. 山本悟

    山本(悟)政府委員 お答え申し上げます。  確かに、皇孫の浩宮殿下は御年配になってきておられるわけでございまして、いろいろ世の中でもそういうようなうわさが出ている段階でございます。ただ、御案内のとおりに、この問題は極めて重大な問題であり、かつ、先生よく御案内のとおりに、皇族男子の婚姻につきましては皇室会議の議を経て決まる事項でございますし、またその前にも、やはり婚姻の問題でございますから、当然御本人たちの問題もあるわけでございまして、そういった諸般の情勢を考えますと、今どういうような段階であるというようなことを私の立場といたしまして軽々に申し上げるわけにはいかないような重大な問題であろうと思います。  ただ、いろいろそのことが週刊誌等でも風説として出ておりますけれども、そういうような状態は現在のところは一切ございません。このことだけは、週刊誌に伝えられておりますようなことのないことだけは申し上げておきます。まだ現在御修学中、英国にいらっしゃるようなことでもございますし、また英国におきましての記者会見でのお話等も新聞等でも報じられておりましたけれども、そういうようなお話は御両親との間でもなかったというようなことも殿下自身がおっしゃっておられるような状況でございます。
  31. 小林進

    小林(進)分科員 この問題に関しまして、傍聴席の方からは、御本人が見つけたらいいだろう、そういうふうな話も出ておりましたので、これに関連してお伺いするのでありまするけれども、御本人がお見つけになるというのは今の皇太子殿下方式、美智子様をお見つけになりましたが、そういう方式か、あるいは天皇皇后両陛下のような御婚姻成立の方式、方式が二つ若干違っていますが、宮内庁としては皇太子殿下方式か天皇陛下方式か、どういう方式がいわゆる配偶者を選ぶ方式にいいかということもあわせて――ただしかし、軽々に物は言えないと言って、あなた方は何もやらないのですか。じんぜん手をこまねいて何もやらないということですか。それでは、高給をはむ宮内庁の役人として任務を全うしたことにならぬでしょう。ちょっとお聞かせ願いたい。
  32. 山本悟

    山本(悟)政府委員 いろいろな御指摘がございましたが、やはり婚姻というものは、世の中の社会につれて人の気持ちも変わってくる。これは私の結婚したとき、あるいは私のおやじの結婚したとき、あるいは私の息子が結婚するとき、やはりいろいろ全体として違ってくるであろうと思います。  ただ、皇室の方々といえども、そういった日本の社会にいらっしゃるわけでありますから、その影響というものがあることは当然考えられることでございます。しかしながら、どちらがいいかというようなことはやはりそのときどきの、その場の問題でございますので、こちらでやるべきだとか、こちらじゃおかしいんだとかあるいはこちらで進めているんだとかいうようなことを申し上げるような事項ではないのではないか。今御批判、御指摘のございましたような、全般をにらみながら、私どもとしては私どもなりの必要なことはやってまいらなければならない。これは職務でございますので、それはそういうような気持ちではございますけれども、それがどういうぐあいにいっているのかいかないのかということは、やはりこういう場で申し上げるのはいささか無理であるというように存じます。
  33. 小林進

    小林(進)分科員 もう時間も参りましたから、これで終わりにいたしますが、ただこの問題は、私どものようないわゆる庶民の家庭の個人の問題じゃないのですよ。重大なる国事の問題なのです。国家継承の問題だ。ですから、軽率に物を言えぬというお気持ちはわかりますけれども、しかしこれもまた、私も軽率に質問しているわけじゃない。私が先ほどから言っている立法府の権威、国民に成りかわってまじめに質問しているのでありますから、あなたもこれをまじめに受けとめて、せめてこれくらいの候補者を私はそれなりに考えておりますぐらいの具体的な答弁があってしかるべしと思いますけれども、まあなければやむを得ません。  これで質問を終わります。
  34. 上村千一郎

    上村主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ただいま先輩の小林先生の、国権の最高機関たる国会の権威を高めるべきだという趣旨からの御議論を拝聴しておりました。大変含蓄ある立派な御議論だと思います。  そこで、総理府おりますか。――衆参の事務総長さんにお伺いしましょう。私ども社会党としては、人によりまして勲章をおもらいになる方もある、おもらいにならない方もありますので、これは御本人の自由だと思いますので、いずれでも差し支えないと思いますが、ただ国権の最高機関たる衆参両院議長をおやりになった方の叙勲と内閣総理大臣の叙勲とに大きな差があるというのは私は非常に問題だと思うのです。一番最高の勲章は大勲位菊花章頸飾ですか、これは佐藤さんがおもらいになった。総理大臣経験者、池田さんは大勲位をおもらいになった。このお二人よりも議員経験が長く、また総理大臣としての任期、衆参両院議長としての任期を比べてもむしろ池田さんの総理大臣の任期よりも長い議長経験をされた方の勲章が大勲位ではなくて勲一等旭日桐花大綬章、明らかに差があるわけです。私はこれは許すべきではないと思うのです。もらうもらわないは御本人の、あるいは御遺族の御意思、これは差し支えない、しかしそこに差があるということは憲法の規定からいっても問題ではないかと私は思いますが、御感想はどうです。
  36. 弥富啓之助

    弥富事務総長 お答えを申し上げます。  ただいまの山口先生の御意見、これは山口先生が議運の理事でおられたころ、しばしばお伺いをいたしまして、我々もやはり、憲法四十一条でございますか、国会は最高機関と、その法律的な意味は別といたしましても、とにかく憲法四十一条に国権の最高機関として規定をされております。両院の議長は最高機関を構成する両院の長でございます。これは法律上明確でございます。  さてそこで、その賞勲の関係でございます。これも憲法上はっきりいたしておりまして、内閣の助言と承認により天皇の栄誉人権と昔は申しておりましたけれども、栄典の授与の機能の中に入るわけでございます。したがいまして、国権の最高機関の長であります両院の議長であることは確かでございますけれども、そういう賞勲の関係になりますと、我々もちょっとここで御意見を申し上げる資格がございません。ただ、そこにいろいろ賞勲の基準というものがあるのであろうと思っておりますが、私としてつまびらかにいたしておりませんので、お答えを申し上げるわけにはいきません。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 答えにならないわけなんですよ。たまたま予算委員長さんもおられるので私はお願いしておきたいのですが、国権の最高機関の長の議長さんの勲章と、それから総理大臣の勲章とに大きな差がある。どういう基準があるのか私は知りませんけれども、そういう差別がある基準があるとすれば、その基準こそが間違いだと私は思うのです。したがって、この点は予算委員長さんもここにおられますから、重大な問題でありますので、予算理事会としても十分御検討あって、誤った基準は改めさせるということでお願いをいたしたいと思います。主査さんの方にお願いを申し上げておきます。  同じような意味でお尋ねしたいと思うのですが、何か新聞を拝見しますと、内閣がやがて百周年になるので盛大な行事を計画しておるということを聞いております。国会も間もなく開設百年を迎えるのじゃないかと思いますが、いつ百年になりますか。
  38. 弥富啓之助

    弥富事務総長 議会開設満百年は、六年後の昭和六十五年十一月二十九日でございます。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私は、国権の最高機関たる国会が百年という、まさに記念すべき一つの節目を迎える。これに対して私は、何もぜいたくなことをする必要はないと思いますが、この百周年を迎えるに当たって意義ある行事をすることは当然ではないかと思うのであります。かつて衆議院議長をされました保利先生が、議長在職中、この百年にはひとつ画期的なことを考えたらどうであろうか。それは何もぜいたくなことをする必要はないが、日本は京都に国際会議場というものがあるけれども、あれは現実に国際会議場になっていない。というのは、機密に属する問題に関して議論するような国際会議場としては、各国の大使館から離れた京都では実際の使い物にはならない。したがって、この東京に、これから議員外交も活発になるし、また国会が国際会議場を持てば、これは政府関係の国際会議にも存分に利用していただいたらどうであろうか。百周年の行事として国際会議場をぜひともつくりたい。こういう強い御意思があったことを私は承っておるわけでございます。  昭和六十五年といえばもう時日がございません。年々三百万とか四百万とかの調査費を計上しておられるようでありますが、これはひとつ百周年には完成する、こういう御決意が衆参両院の事務総長さんにおありかどうか、お伺いしておきます。
  40. 弥富啓之助

    弥富事務総長 議会開設百周年に臨みまして記念行事はいかがであるか、国際会議場についてはいかがであるかということでございます。これは、過去の満五十周年、それから七十、八十、九十と記念行事をやってまいりました。なお、七十年のときは膨大な七十年史編さんの記念事業をやりましたし、それから八十年のときにはたしか憲政記念館の起工式をいたしたように記憶いたしております。  百周年を迎えるに当たって今後どういうことをやるかということでございまして、今先生のおっしゃいましたとおりに、保利議長のときに国際会議場のお話を、私も確かに承っております。それ以後、五十四年から議院運営委員会におきましては、国際会議場建設小委員会、これは先生も小委員長におなりになったものでございますが、毎年それを設置をいたして研究を続けてきております。本年度は四百万円の調査費を計上いたしておりますが、これは今後両院、まだ参議院の方に私も事務的には御相談を申し上げておりませんので、確たる御返事を申し上げるのは、参議院の方にまだ申しておらない段階においていかがと思いますけれども、今後参議院あるいは財政当局とも十分に御相談を申し上げて、ただいま先生の言われましたように六十五年を目途に国際会議場の建設、そういうものを最大の努力をいたしてまいりたい、かように私の今の段階では考えております。
  41. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 お答えいたします。  議会開設の記念行事といたしましては、過去におきましても、記念の式典それから祝賀会、それから議会政治の展示会、その他種々の記念事業を行ってきておるわけでございますが、先生御指摘のように、議会開設も百周年ということになりますと、その意味するところはきわめて重大である、こういうふうに考えますし、百周年を迎えての節目という立場から、十分に私としても理解ができるところでございます。  片や、今御指摘の外国との議員交流という点につきましても、年々その重要さを加え、数も多くなってきておるわけでございますし、その必要性ということにつきましては特に異存があろうはずはないと存じますが、参議院におきましても、実は昭和五十三年当時、議院運営委員会の理事会等におきましていろいろ御論議がございました。ただ、私の承知しておりますところでは、建設につきましての結論というようなことはまだ出ておらぬように思いますが、ただいま衆議院の事務総長からも話がありましたように、六十五年に向けましての議会開設百周年の記念行事の一つとしてこれを議題として取り上げるかどうか、そういうようなことも含めまして、参議院におきましても今後議院運営委員会の理事会等の場を通じまして、あるいは衆議院とも十分協議をいたしまして検討をしていくべきもの、このように考えておる次第でございます。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 今や世界の中の日本でありまして、議員外交も重要でありましょうし、また、政府の機関として国際会議場にふさわしいような施設はないわけでありますから、国会がこれをつくり、また政府にも存分利用いただくということは、私は意義あることだと思いますので、ひとつ衆参両院で十分御相談をいただいて、その計画を推進いただくようにお願いをいたします。  さてそこで、堀之内さんにお尋ねします。  財政法十九条というのを御存じだと思います。他の行政機関に対して大蔵省がばっさばっさと査定をするというのは、これは行政府の中では結構でしょう、しかし、事国権の最高機関たる国会の場合はそうはいかないわけです。衆参両院が一致してこの国際会議場をつくるということになった場合は、当然大蔵省はその趣旨を生かして、それの実現に協力するのが財政法十九条の趣旨だと思いますが、いかがですか。
  43. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 先ほどから事務総長から御答弁申し上げておりましたように、衆議院では建設小委員会あるいはまた参議院で庶務小委員会等で国際会議場建設についていろいろ御審議、御協議が行われているということは承知をいたしておる次第でございます。  ただいま御指摘のように、財政法十九条によりまして、国会で議決、決定したものは、当然私どもも尊重しなければならないということはもう承知をいたしておるわけでございますが、しかしまた、必ずしもこれが国会が議決されたそのものをそのままというわけには、この財政の厳しい事情の中からは、お互いに協議を進めながらやらしていただいているのが今日の実情でございます。したがって、私どもも国際会議場ができるということは非常に結構なことでありますが、昨今の財政事情等については御案内のとおりでございまして、今後そうした結論が出た場合においては、さらに十分御協議をさしていただきながら、国会の御趣旨に沿うように最善の努力はしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 堀之内さん、まあそんな財政法十九条は知っている、趣旨もよくわかっています、しかしというようなことをいろいろ言っていますと、今国会、大蔵委員会には七本の法律がかかって四苦八苦しているんでしょう。一体どうなりますか。もう一度答えなさい。
  45. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 財政法十九条の諸問題についてはよく承知をいたしておるわけでございますが、しかし、やはり財政を無視していろいろなものをどうというわけではなくて、今回も七本のそうしたことで大変国会の方にお願いをいたしておる次第でございますので、厳しい財政事情の実態は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 十九条の趣旨はわかっておるということですから、いいでしょう。しかし以下のことは、今後の国会の状況でどうなるかということをよく御念頭に置いて、その方は忘れるようにお願いをいたしておきましょう。  さてそこで、これまた衆議院事務総長にお尋ねしたいと思うのですが、議員関係経費に関する調査会というのがございまして、座長は高辻さん、佐藤功さんとか知野元衆議院事務総長さんとかあるいは細川隆元さんとか学識経験者の方がお集まりになって、いろいろ議員経費について調査をされたことを私も承知をいたしております。  その結果、応召帰郷旅費というのは現状に合わない。たとえば沖縄から来る場合は二泊三日か何かでやってくるというようなことで計算をしておりまして、実情に合わないということで廃止をすべきではないのか。そのかわり文書通信交通費を引き上げたらどうかということが結論だったと思います。その後、応召帰郷旅費は既に廃止になりました。ところが文書通信交通費は、堀之内さんの今のお話じゃないが、国会として自主的に今遠慮を申し上げている。本当は上げてもよろしいという答申があるのに、じっとおしんの心境でおる、こういうことです。  そこで問題なのは、沖縄とか九州とか、堀之内さんも九州ですからよくわかっていると思うのですが、国会へ来るのに汽車に乗ってくるということはめったにないでしょう。大体飛行機を御利用になる。特に沖縄、奄美大島の方のごときは、これは汽車を利用しようといったって利用できないわけなんですから、これは飛行機で来る以外にないわけです。現在パスがございますけれども、こういう方々は結局パスは利用すべくもない。これが現状です。したがって、私は、沖縄、奄美大島あるいは九州、北海道あるいは四国等々、この辺はどこに線を引くかは問題だと思いますが、いずれにせよ現に飛行機で往復するのが当たり前になっております地域、これらの方々に対しては特別な配慮があってしかるべきだと思うのです。  外国の例をいろいろ調べてみました。フランス、カナダ、こういうような国々では、一定の枚数を議員に差し上げまして、そして利用していただいておる。イギリスでは、無制限に航空機を利用してよろしいことになっておる。またアメリカでは、実費弁償の形でそれを全部見ておる。これが実態です。日本は面積が、それは小さいかもしれませんよ。しかし、距離は長いわけなんですから、これはアメリカやカナダやあるいはオーストラリア、こういう国々と全く変わるところがないということを考えれば、私は、この権威ある議員関係経費調査会の結論も、そこを見て、文書通信交通費の引き上げをやはりお考えになったろうと思うのです。それを私どもが今おしんの心境で遠慮しているということになれば、せめてこの遠距離の、飛行機でなければこの国会に来ることのできない、こういう方々、現にまた飛行機の利用が当然になっている地域の方々、こういう方々に対しては、私は、当然フランスあるいはカナダ、オーストラリア、西ドイツ、スウェーデンあるいはイギリス、アメリカ議会並みの措置を考えてしかるべきだと思いますが、事務総長、いかがですか。
  47. 弥富啓之助

    弥富事務総長 お答えを申し上げます。  応召帰郷旅費の廃止につきましては、御案内のとおり、一昨年の議員関係経費調査会から、現行の仕組みというものが実態と乖離している、それでその存在意義は失われたものとしてこれを廃止すべきものと認めるとの答申をちょうだいいたしました。それで、それに基づきまして、五十九年度予算編成の過程におきまして自主的に廃止の決定を国会側でしておるところでございます。ただそのときに、今先生がおっしゃいましたように、文書通信交通費については相当の値上げは適当であるというふうな答申もあわせていただいておりますが、これも昨今の財政状況に応じまして国会が自主的に値上げを御遠慮されたところでございます。  さてそこで、それにかんがみますと、応召帰郷旅費というのは、その趣旨が、ただ廃止しっ放しでよろしいということではないのではないか。ですから、ただいま言われましたように、非常に離島、沖縄とかあるいは奄美とか、それから北海道、四国、九州、議員関係経費調査会においても、現にその航空運賃のお話も出たわけでございます。ただその場合に、ただいま言われましたようにどこで線を引くか、あるいはどの範囲、どの回数まであれすればよろしいかというようないろいろなお話もありまして、そこでまだ結論がすぐ出るものではないということではございましたけれども、結局今の状態になりますと、航空機利用の実情というのを考慮いたしますと、全議員一律の文書通信交通費のほかには実費弁償制度がなくなるということも事実でございます。  したがいまして、ただいま言われましたように、例えば沖縄から上京になる、沖縄ばかりではなくて遠隔地からの交通の実情等、そういう現在の実情等を十分勘案をいたしました上で庶務小委員会において今後前向きに御検討を願ったらいかがであろうか、私はそう考えております。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これは、参議院さんもやはり同じようなことをお考えになっておられるのではないかと思うのですが、どうですか。
  49. 指宿清秀

    指宿参議院事務総長 お答えいたします。  このたび応召帰郷旅費の廃止に伴いまして、議員は一律に文書通信交通費の支給ということになるわけでございますが、実際に遠隔地から飛行機等を利用されるというようなことで不合理じゃないかということは、一つの実のある意見かと思うわけでございますが、今後、両院の庶務小委員会等を通じまして、その是非といいますか、しかるべきかどうかということも含めまして検討が行われるべきことか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 たまたま幸いに予算委員長さんもここでお聞きいただいておるわけですが、現在の中曽根総理の最も信頼されるお一人である予算委員長さんですから、実情はよくお聞きをいただいているだろうと思うのです。沖縄や奄美大島から鉄道を使って東京へ来るということは、どう考えたって不可能だということは堀之内さんもおわかりいただけると思うのですね。とするならば、ただいまのような、衆参両院の庶務小委員会で議論をして、線をどこに引くかということがいろいろ議論のあるところだろうと思うのですが、しかし、このような制度をつくらなければ実費弁償の制度はほかに全然なくなっているわけですから、遠隔地と近い人とのいわば違いを見るものはほかにはないということになるわけですから、私は趣旨として、大蔵政務次官としても御賛成になるだろうと思うのですが、いかがですか。
  51. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 ただいまの山口委員の御指摘に対しましては、私どもも十分理解できるわけでありますが、幸い文書通信費におきましては電電公社が相当思い切った遠距離の通話料改正をしてくれましたので、私ごとを申し上げて大変失礼でございますが、今までは大体月三十五、六万電話料がかかっておったわけです。私は、この文書通信費という問題から考えても、近距離と遠距離との非常に不公平があるじゃないか、同じように支給するのもこれは問題だということも考えておりましたけれども、幸い電電公社のこうした特別な努力によってそういう苦痛が少なくなりましたので、通信費は今後小委員会等で御検討いただくといたしまして、ただいまお話しのように、我々国会議員は、選挙区との交流というか、日常政治活動をすることも、これはやはり大事な職務の一つであります。  御指摘のように、新幹線のある地域は非常に利便である、沖縄あるいは奄美大島、九州とかあるいは北海道というのはほとんど飛行機以外にこれを利用する機会はないということでございますが、私どももそういう改正がもし委員会等で御検討いただければ、またそういう結論が出れば大変ありがたいと思いますけれども、しかし何といっても昨今の非常に厳しい財政事情の中でございますので、今回また五十九年度応召帰郷旅費等が議会の自主的な判断によってこれを辞退する、こういう結論をいただきましたので、その趣旨に沿って今回の予算は編成をさしていただいておりますので、今後の委員会等の結論と申しますか、小委員会等の結論をいただいた上で十分検討をさしていただきたい、かように存じております。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 どうも堀之内さんは、初めはいいのだけれども、しかしになるとだめなんですな。  もう一度私は財政法を読んでみます。  第十八条 大蔵大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出、継続費、繰越明計費及び国庫債務負担行為の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。  内閣は、前項の決定をしようとするときは、国会裁判所及び会計検査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。  第十九条 内閣は、国会裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。こうなっているのですね。ですから、大蔵大臣が、運輸省だとか農林水産省とか通産省とか文部省とか、そういうところの予算についてばっさばっさと削るのと国会の場合とは違うということははっきりしているじゃないですか。ですから、しかしなんと言うことはやめて、衆参両院が良識をもって既に忍ぶべきことは忍んでいるわけでしょう、しかも権威ある議員関係経費に関する調査会が、当然そういった遠距離の方もあることだから文書通信交通費については値上げしたらどうですかというのも我慢している。そうして片や唯一の実費弁償の規定であった応召帰郷旅費というものはこの勧告に従って廃止をしたということになれば、これは当然何らかの実費弁償に係る問題は考慮したらどうか。当然飛行機でなければ来られぬ方々もおる。現に飛行機で往復しているのが当然になっている地域の方々もおるということになれば、少なくとも衆参両院の庶務小委員会で結論を出したらそれに従うぐらいのことを素直に言うのが当たり前じゃありませんか。もう一度はっきり答えてください。
  53. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 私は、小委員会なり議運等で決定されました問題については十分尊重しなければならぬということを申し上げたわけでありまして、ただ、財政の非常に厳しい実態も御理解賜りながらお願いしたい、こういうことを申し上げたわけで、当然のことながら、議会のそうした御決定は十分尊重を申し上げていきたいと思っております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これで終わりますけれども、上げてもいいという答申があるのをおしんの心境で我慢している部分もあるのですから、そういう中で、これは当然じゃないかと言ったら、はい、わかりました、やりますと答えるのが当たり前じゃないですか。はっきり答えてください。
  55. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 たびたび申し上げておりますとおり、委員会のそうした御決定については最大限尊重してまいりたいと思っております。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 終わります。
  57. 上村千一郎

    上村主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に、山花貞夫君。
  58. 山花貞夫

    山花分科員 私は、当分科会におきまして、幾度か国会職員の皆さんの労働条件にかかわる問題をさまざまな観点から取り上げてまいりましたけれども、本日は週休二日の問題を中心としてお伺いをいたしたいと思います。  さて、週休二日問題を含めての労働時間や休日休暇の問題は、いわば全体としての労働組合の運動の中での主要なテーマであったことは言うまでもありません。しかし、ごく昨今の状況を見ておりますと、労働省のさまざまな施策の上にもその時代による変化があるように思いますし、また、最近では特に貿易摩擦問題も絡めまして、労働時間の問題は新しいテーマとなっております。MEの導入、技術革新と絡めて、労働時間の短縮が、どのように労使にその利益が分配されるかといった新しい問題も起こっているのではないか、こういうように思います。  まず最初に、労働省にお伺いしておきたいと思うのですけれども、労働時間短縮あるいは週休二日の意義を、昨今の情勢を踏まえてどのようにとらえておるのか、また同時に、週休二日をめぐるこれまでの施策の概要について、簡単で結構ですから、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  59. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 お答えいたします。  労働時間の問題につきましては、労働省は、御存じのように五十五年の十二月に、週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしまして推進してきているわけでございますが、労働時間の短縮が労働者の福祉の向上、あるいは長期的には雇用機会の確保に役立つ、さらには国際協調の上からも重要な意味を持っている、こういうことで労働時間対策の推進を図っているわけでございます。  最近、どういうようなことをやったかということでございますが、一番大きなことは、昨年の八月に金融機関につきまして第二土曜日を閉店あるいは閉庁にする、こういうことで週休二日の一層の促進について対策を講じたということでございまして、労働省といたしましては、こういう金融機関の閉店、閉庁による週休二日の推進に今後とも努力をしたいと考えております。  週休二日の状況でございますが、これは三十人以上の規模の企業について五十七年に調査した結果でございますけれども、労働者ベースで申しますと、何らかの形の週休二日制の適用を受ける労働者は七六%、完全週休二日の適用を受ける労働者は二五%となっております。
  60. 山花貞夫

    山花分科員 その施策の五十五年度以降今日までの推進状況についてもお伺いしておきたいと思いますけれども、全体といたしましては今労働者の生活、福祉あるいは雇用の問題、さらには国際的な環境とのかかわり等についても御指摘ありましたけれども、御指摘になりました五十五年の推進計画では、あるいは老齢者社会への対応等々、今日の労働時間短縮と週休二日問題をめぐる基本的な考え方というものが大変的確に指摘されていたのではなかろうかと思うのであります。しかし、全体の労働時間問題として見てみますと、依然として日本の労働時間の長さというものが国際的には大変非難の的となっている、貿易摩擦の一つの大きな要因となっているということが否めない事実ではなかろうかと思います。その点につきまして、全体の年間所定労働時間の最近までの状況と国際的な比較の問題について、これまた簡単で結構ですから御説明をいただきたいと思います。
  61. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 まず日本の所定内労働時間の五十五年の計画をつくりました以降の推移でございますが、調査産業計三十人以上規模の事業所の結果でございますけれども、五十五年は年間で千九百四十六時間でございまして、五十八年は千九百三十七時間ということでございます。  それから国際比較でございますが、先生承知のように、労働時間を国際比較いたしますのは大変難しいわけでございまして、統計調査方法、定義等が国によって異なるものでございますから、できる限りデータの基準をそろえて推計試算をするしかないわけでございますが、製造業の生産労働者で見ますと、一九八二年、昭和五十七年でございますが、年間の総実労働時間は次のようになるわけでございます。日本は二千百三十六時間、イギリスは千八百八十八時間、アメリカは千八百五十一時間、フランス千七百七時間、西ドイツ千六百八十二時間でございます。  このように差が出てまいりますのは幾つかの背景があるわけでございますが、一つは我が国と欧米諸国との間で週休二日制の普及状況に違いがある、また我が国では、欧米主要国のように夏季にまとめて長期の年次有給休暇をとる慣習がないということ。二点目は、我が国では生産調整を雇用よりは所定外労働時間で行うという傾向がございますので、所定外労働時間が多少長目になるということでございます。三点目は我が国の欠勤率が諸外国に比べて低いということによるのでありまして、大体こういうことで今申しましたような時間の差が出てくるというふうに理解をいたしております。
  62. 山花貞夫

    山花分科員 今労働時間の推移と国際的な比較について御説明いただきましたけれども、おっしゃったとおりさまざまな資料によりまして、また同時に調査の手法、手法によりまして、制度的な調査あるいはその他の要因からかなり違ってまいります。今の御説明によりましても、年間の労働時間、国際的な比較で諸外国、欧米と比較すれば約二百五十時間のハンディを持っている、こうしたことだったわけですが、実はこの点につきまして、一言で言いますと日本の場合には二千百時間を超えている。そして今御指摘になりました欧米におきましては千八百時間から九百時間、大変多くの差があることが労働省側からの説明からも明らかであります。この点につきまして、昭和五十六年の統計でありますけれども、OECDの「雇用展望」という資料によりますと、英国、スウェーデン千五百時間以下、フランス、西ドイツ、イタリア、米国は千七百五十時間以下、こういうように紹介されておりまして、我が国の二千百時間を超える労働時間とは、大体三百五十時間から六百時間の差がある、大変大きなハンディを持っていることが明らかにされています。程度はありますけれども、格差が大きいことについてはそれぞれの資料で明確な結論です。  このハンディというものを、例えば年度だけではなく、少し長期に計算してみますと、またその実態がさらに明らかになるのではなかろうかと思うわけですが、例えばOECDの調査による三百五十時間のハンディということで、粗削りな試算になりますけれども、二十で仕事を始め、六十歳まで二十歳台、三十歳台、四十歳台、五十歳台と四十年勤めた、仕事をした、こうしたくくり方をしてみますと、三百五十時間のハンディがあれば、四十年間に一万四千時間、これを年間所定労働時間が短い、例えば千五百時間の国と計算いたしますと、四十年間で日本の労働者は九・三三年余計に働いている、こういう計算が出てまいります。六百時間くらい差があるというところと比較をいたしますと、人生二十歳台から六十歳台まで仕事をするという単純な計算でありますけれども、その四十年間で欧米の労働者よりも日本の労働者は十六年間余計に働いている。  四十年間比較すると、それだけの大きな差が出てくるわけでありまして、こうした観点から、労働時間問題は、依然として単に労働者の生活、福祉、雇用をめぐる問題だけではなく、貿易摩擦その他のテーマともかかわる、あるいは老齢化社会との対応にかかわる大変大きな関心の的でなければならないと思います。国際的には不況下であると言いましても、欧米においては、週三十五時間労働を目標とした労働時間短縮が着々と進められているわけでありますけれども、先ほども御説明ありましたとおり、まだ二千百時間、私も労働省から若干詳細な労働時間の推移についての資料をいただいておりますけれども、特に最近では、五十五年から五十六年にかけましてはわずか七時間の短縮、五十六年から五十七年にかけましてはわずか五時間の短縮、そして五十七年から五十八年にかけましては、世界の潮流と逆行いたしましてプラス一時間と、逆に労働時間が増大している。こういう現状にあるわけであります。  そういたしますと、この問題につきましては、確かに昨今の経済情勢その他もありますけれども、労働省としてもせっかくつくった五十五年の施策につきまして、さらに銀行等新しい問題は最近の状況として御説明いただきましたけれども、力を入れて取り組んでいただく必要があるのではなかろうか、こういうように考えるところです。特に、労働省は、週休二日制に対する対策推進計画に基づいて御説明されましたけれども、実はこれが最近は後退しているのではなかろうか、こういう問題点に気づかないわけにはいきません。基本的な問題として、第四次雇用対策基本計画が策定された後、第五次雇用対策基本計画が今日作成されておりますけれども、労働時間短縮の問題や、週休二日をめぐる問題についてはむしろ後退をしているのではなかろうか、こういう気がいたしますけれども、そういう事実があるのかどうか、この点について最後に労働省に伺っておきたいと思います。
  63. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 労働時間の推移については、先生がただいまおっしゃったとおりでございます。ただ、新しい経済計画あるいは第五次の雇用対策基本計画で書かれております、あるいは考えられております労働時間短縮の方向でございますが、これは前回の経済計画あるいは前回の雇用対策基本計画と何ら変わるものではございません。多少この表現に違いはございますけれども、内容的には、あるいは考えていることは全く変わらないというふうに御理解いただきたいと思うのであります。  しかし、先生御指摘のように、最近労働時間の短縮がなかなか進まないという現状でございますので、労働省といたしましては、今後の労働時間対策をどのように進めるかということにつきまして、中央労働基準審議会、これは公労使三者の代表で構成される労働大臣諮問機関でございますけれども、ここの労働時間部会にお諮りいたしまして、今後どういうような対策をとっていけばいいのかということを御検討いただくことにしたところでございます。
  64. 山花貞夫

    山花分科員 第四次、第五次の雇用対策基本計画、中身は変わっていない、こういう御説明だったわけですが、実は第四次の計画におきましては、六十年度目標で全体の計画が立てられています。第五次の計画は六十五年度目標となりました。すなわち目標設定が五年間先送りされたわけでありまして、この点は中身だけではなく、その計画がどの期間に実現されるのかということが大変基本的な問題でありますから、その意味におきましては大変後退がここに見られたのではなかろうかと私は考えます。ただ、この問題につきましては、以下総理府にお伺いさせていただきたいと思いますが、「新経済社会七カ年計画」とのかかわりでも同じ問題がありますので、官公庁に勤める職員の皆さんの全般の問題という観点から総理府に以下伺います。  五十四年の閣議決定されました「新経済社会七カ年計画」とのかかわりでは、昨年の八月十二日閣議決定されました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」とのかかわりで、今指摘しました労働省の雇用対策基本計画と同じ問題点が浮き彫りされてまいります。内容的に後退したのではなかろうかと思います。「新経済社会七カ年計画」におきましては、昭和六十年を目標に週休二日制、休暇問題、労働時間を減らす趣旨で展開させていくという内容であったわけですけれども、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましては、目標設定を六十五年に置いたものとなりました。労働時間短縮、週休二日制等について、政府自身その努力を後退させ、労使の自主的努力に求めるというところだけにゆだねてしまった、残念な印象を受けるわけであります。  私が先ほど来申し上げました老齢化社会への対応あるいは貿易摩擦の観点あるいは技術導入にかかわる新しいテーマ、そうしたことから考えまして、一日も早くこの問題についての国際的な非難を浴びないと言われる程度までの解決を図っていくことが大変必要ではなかろうかと思うのですが、総理府に伺いますけれども、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましては、その目標設定の時期を、先ほどの雇用対策基本計画と同じように五年先にずらしてしまっているのではないだろうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  65. 上吉原一天

    ○上吉原説明員 私ども総理府が担当いたしておりますのは国家公務員の問題でございまして、全般的には経企庁の問題かと存じておりますが、国家公務員の週休二日制の問題に限ってお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  先生承知のとおり、国家公務員の週休二日制につきましては、昭和五十六年の三月から四週一回交代半休制というのを導入いたしまして、その実施を図ってきているところでございまして、その後、先ほど労働省のお話にもございましたように、金融機関が土曜日月一回閉店をするというようなことが行われておりますので、これに対します民間の影響、こういったことを中心にいたしました週休二日制の民間の普及の状況あるいは国民世論の動向等を踏まえまして、現在我が方といたしましては、行政サービス面あるいは予算、定員面等々の諸点から検討を加えているところでございまして、今後ともこういった諸点につきまして引き続き検討を加えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  66. 山花貞夫

    山花分科員 「新経済社会七カ年計画」、五十四年八月に作成されたものでありますけれども、週休二日に関する部分につきましては、要因といたしまして国民生活と雇用の拡大の問題を取り上げた中で「週休二日制については、欧米諸国並みの水準に近づくことを目途として、その一般化に努める。」そして官公庁につきましても、「民間の普及状況を勘案し、国民世論の動向を踏まえつつ、週休二日制の導入を図る。」とされています。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、五十八年の八月に作成されたものでありますけれども、要因として、時短については労働者生活の充実、国際協調の確保、雇用機会の拡大といった形で、貿易摩擦問題をテーマにした国際協調の観点が加えられた点が変わっているということのほか、先ほど指摘した部分につきましては「官公庁についても民間における普及状況を踏まえて週休二日制の一層の推進に努める。」となっています。  すなわち、今の文章からも明らかなとおり、七カ年計画におきましては「導入を図る。」とありますけれども、今度は、八〇年代経済展望におきましては「努める。」その意味におきましては趣旨において後退をし、かつ目標が先に延びている、こうした点が指摘されるわけでありまして、むしろ必要性としては大きくなりながら後退をしているのではなかろうか。特に公務員労働者についてのこの部分の記載については問題があると指摘しないわけにはいきません。公務員についてだけ後退するということがあってはならない、その問題だけを指摘さしていただきたいと思います。  以下、人事院について伺いたいと思いますけれども、人事院におきましてもさまざまな週休二日制についての民間の実態の調査をいたしながら、その上での施策をお立てになっております。人事院の五十八年の調査等によりましても、いわば週休二日の採用というものが民間において過去最高の水準に達していること、あるいは先ほど御指摘ありました金融機関における月一回第二土曜日閉店による週休二日制の実施の問題等々を指摘しておるところでありますけれども、昨年の人事院総裁答弁におきましては「この夏からは金融機関においても、不完全な形でございますけれども月一回休むということが決定されたようでございます。これを取り巻く事態の推移等も、大変関心を持ってわれわれとしても注目しながら、この問題についてさらに前向きに対処したいというのが現在の考え方でございます。」こうした答弁をいただいているところであります。人事院として、公務員の週休二日問題について、民間のこうした調査を検討した上で今日の段階ではどのようなお考えをお持ちであろうか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  67. 内海倫

    ○内海政府委員 まだ私、勉強中でございますので、詳細につきましては職員局長から答弁させますが、週休二日制の問題につきましては、今先生お読み上げのように、前総裁も極めて積極的に考えておりまするし、私もまたその方針を引き継いでいきたいと思っております。  ただ、公務員という職務が、あるいは国民と直結するいろいろな仕事、あるいは病院のように二十四時間体制をとらなければならないというふうな仕事もあり、一律的に考えることは容易でないとは思いますけれども、しかし、既に民間がある程度積極的に進んでおるところでございますし、銀行もそういうふうな方向をとったわけでございますから、できれば公務員におきましてもさらに前向きに積極的に進めていく必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておる。  なお、御質問の件その他につきましては職員局長からまた補足をさせます。
  68. 叶野七郎

    叶野政府委員 週休二日制については、五十六年から月一回で発足したわけでございます。現在我々の民間の週休二日制の普及状況調査では、月二日以上の企業がほぼ半数以上を占めているという現状にございます。  そこで、さしあたって我々としては、次の段階として月二回を目途にして現在検討中でございます。ただいま総裁から申し上げました諸事情を勘案しながら、今後とも積極的に検討してまいりたいと思います。
  69. 山花貞夫

    山花分科員 世界の時短、特に週休二日問題の採用された歴史を振り返りますと、全体としてはまず官公庁、公務員関係が先行し民間が後追いする、これが全体の流れではないか、こういうように受けとめているところであります。従来から我々は今日の労働時間問題の持っている大変大きな意義を考えてみた場合には、民間より官庁が先に実施するということもあり得るのではないだろうか。また、国会において開会中、閉会中といった特殊な事情もありますから、試行的であったとしても、そういう点を考え制度として検討することができるのではなかろうか。議員の理解と協力を得て、また世論のその意味での動向を見きわめながら、そうした方向で進めることができないだろうか。こうした観点で取り上げた経過もございます。  以下、事務総長にお伺いいたしたいわけですけれども、従来の総長の答弁は、現在の四週五休が定着しているので、一応この制度でやってみたい、制度として一般の政府職員と非常に変わったことはすることはできない、こういうお話でございましたけれども、同時に総長は、国会の勤務体制は開会中と閉会中で非常に差のある特殊な勤務体制であり、そこら辺を何とか考えて弾力的に対処していきたい、そこら辺に何かやるかぎはないかと考えている、こういうようにもお答えになられたわけであります。ぜひ私どもはそうした着実で前向きなお考えを進めていただきたい、こういうように強く希望を申し上げる次第であります。  そこでお伺いするわけですけれども、週休二日制の完全実施へ向けまして一歩でもたとえ半歩でも前進する、近づけるよう、以前国会におきましては先駆け的に閉会中の隔週二日制を試行した経緯がある、こういうように伺っておりますけれども、国会の立場からそういった点について検討を進める、こういう余地がないでしょうか、この点につきまして、事務総長のお考えを伺いたいと思います。
  70. 弥富啓之助

    弥富事務総長 お答えを申し上げます。  本院におきましては、先生御指摘のとおりに昭和五十年から約五年半の間でございますか、閉会中の隔週週休二日制というものを試行的に実施をいたしました。しかし、昭和五十六年の三月から一般職におきましていわゆる四週五休制がとられましたのに伴いまして、本院といたしましても、閉開会中を問わず、それに準ずる措置をとってまいっておるところでございます。それで、今人事院当局の方からお話しのとおりに、さらにこれが進められるということになりましたら、もちろん我が方もそれに準じてまいりたいと思っております。  ただ、現行の給与体系というものが、我が方でも一般職に準じて勤務時間等を基礎として定めていることから、独自の勤務時間をとるのは甚だ難しいところでございますが、私は常日ごろ組合の諸君ともお話をするときに、国会職員の独自性を出すべきか否か、出すとするならばどういうところで出したらいいのか、これは私なりに常に心に考えておるところでございます。ただしかし、基本的にはやはり国会職員といたしましても国家公務員の枠と申しますか、それにどうしても立ち戻らざるを得ない状況の中におきましても、その間において、私の考えといたしましては、国会職員として何か可能な限りに配慮をいたしてまいりたいといつも考えております。  それで、ただいま御指摘のとおりに、昨年でございましたか、閉会中と開会中では繁閑の差が非常にあるから、閉会中では何かできないかなということを率直に申し上げましたのですが、やはりこれも年休枠の中でとるという現在の制度を動かすわけにはいきませんけれども、ただ閉会中におきましては、年次休暇を十分とれるような環境づくりといいますか、それを配慮してまいりたい。現に去年のお答えの後、そういうふうに我々も配慮をいたしまして、閉会中には年休の消化率というものが上がっておるのではないか。現に去年以降三日ばかり年休の消化率が上がっているのではないかと考えております。
  71. 山花貞夫

    山花分科員 今のお話の中にさまざまな問題点が指摘されておったのではなかろうかと思いますけれども、一言で言って日本の場合には民間先行型でありますから、民間がまず行って、全体の公務員が行って、その後国会職員ということでは特に困るわけでありまして、今大変意欲的な問題の提起もございましたけれども、職員組合の皆さんの話も十分そんたくされまして、これからも前向きでぜひ御努力していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  72. 上村千一郎

    上村主査 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、山本政弘君。
  73. 山本政弘

    山本(政)分科員 労働省の方にお伺いいたしますが、せんだって雇用平等法の試案が発表されましたね。いらっしゃいますか。――今度の国会に上程されるのかどうか。まず第一に、その点お聞かせいただけませんか。
  74. 佐藤ギン子

    佐藤説明員 この問題につきましては、現在労使の代表が参加していらっしゃいます婦人少年問題審議会におきまして御検討いただいておるところでございます。  これまでのところ、この問題につきましては、雇用における男女の機会の均等と待遇の平等を確保するための立法措置を講ずるということと、その男女の機会の均等、待遇の平等を促進するという観点から、労働基準法の女子保護規定につきましては、もちろん母性保護は除いてでございますけれども、見直しを行うということにつきましては御意見が一致しているところでございますが、まだ具体的な法制整備の内容につきまして意見が分かれているところもあるわけでございます。  そこで現在御審議をいただいておるところでございますが、その御審議を促進していただきますために、先般たたき台が公益委員の方から一応のものとして出されております。これにつきまして、現在皆様御検討いただいているところでございまして、私どもとしては、できる限り早く御結論をまとめていただくようにお願いしているところでございますので、御結論をいただき次第、関係法案をまとめまして今国会に上程したいというふうに考えております。
  75. 山本政弘

    山本(政)分科員 私もちょっと拝見をさせていただいたのですが、募集から退職に至る雇用の全ステージが平等待遇の対象となっている、その点はいいんです。しかし、逆に今度は労基法の女子の保護規定の見直し、こういう点については非常に問題点があるのじゃないだろうか、こう思うわけです。  私がそんなことを申し上げるのはなんですけれども、雇用平等法の制定というのは、政府が婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を批准するための最大の条件、こう言っていいわけでありますが、社会のあらゆる場面での男女の固定的な役割分担を撤廃する、そして本当の意味の男女平等と母性保障の確立を目指すというこの条約の理念を雇用の場において実現する、こういうことが要請されておるということでありますから、雇用管理全体を対象とする、これを押さえることがなければならぬと思うのですが、ぜひともひとつ実効のある法律をつくっていただきたい、こう思うのです。  そこで、公務員の場合ですけれども、国家公務員法第二十七条、これは「平等取扱の原則」というのですか、この差別禁止規定の中に性別が入っておりますから、一応男女平等だということに建前はなっておる。しかしながら実態はそうじゃないだろうと私は思うのですね。したがって、雇用平等法というものは公務員にも適用させるべきである、こう思うのですが、この点について人事院はどういうふうにお考えになっているのか。  もう一つは、総長に、この法律が制定をされた場合には平等実現に向けての努力が当然なされなければならぬ、私はこういうふうに思うのですけれども、これは総論的と言ったらいいんでしょうか、そういう点について総裁と総長にひとつお答えをいただきたい。お考えを承りたい。
  76. 服部健三

    ○服部政府委員 ただいま先生の方からお話のございました公務員法二十七条において性別の差別をしないということを規定していることは、私どもも十分承知し、それらにつきましては従来ともその線に沿って施策を進めているところでございますが、ただいま先生からお尋ねのございました雇用平等法につきましては、今労働省さんの方からお話もございましたように、なお現在検討中とのことで法案の提示もいただいておりませんので、それをいただいた上で私どもとしては検討していきたいと考えております。
  77. 弥富啓之助

    弥富事務総長 ただいまのお話のように、法制化されました後の国会職員の適用につきましては、これはもちろん一般職の公務員と同様の措置をとりたいと存じております。今後ともその立法過程を見守りながら問題点の検討を進めてまいる所存でございます。
  78. 山本政弘

    山本(政)分科員 総裁もいいですね、今のお答えで。管理局長のお答えのとおりでいいんですね。――何点かお伺いしたいのですが、女性の方で男女の平等処遇を求めるときによく言われることがあるのですね。それは意欲と能力に応じて平等に処遇していきます、こういう答えが必ずはね返ってくるのです。これはもっともなような意見だというふうに聞こえるわけですが、女性の就労実態をよく見てみますと、これはちょっとおかしいのじゃないかなという感じがいたします。  それはなぜかというと、前提条件が抜きになっているんじゃないか。と申しますのは、意欲を持たせるとか能力を生かす条件というのが平等に与えられているのだったら、それはいいんです。しかし、どうもそうじゃないんじゃないだろうか。総理府で出しています「婦人の現状と施策」、この参考資料でありますが、これによりますと「国の行政への婦人の参加の拡大」というのがありまして、その項の中に「女子公務員の採用、登用及び職域の拡大並びに研修・訓練の機会の積極的活用による能力の開発を推進する。」つまり今までそういうことをやっておらなかったからやるんだ、こういうふうに私は反対解釈をするわけですね。「また引き続き国家公務員採用試験区分中女子の受験を制限している職種の見直しを行う。」こういうふうになっておるところを見ると、私は今申し上げたことが事実だろう、こう思うのです。  特に私が問題だと思いますのは、職場の配置と教育訓練についての条件が非常に平等を欠いておるのじゃないだろうか、そう思えてなりません。と申しますのは、一般的には男性はいろいろな職場を経験をする、その中から適性が見出されて、そして配置をされていく。女性の場合は当初配置された庶務的といいますか、あるいは補助的職務についたらそこでもう固定されてしまうというケースが多い。つまり職域が限られている、こう言っていいわけです。そしてそのことによって一般的には労働能力の開発とか向上のための研修に参加する機会が与えられていない、これが一つ。  もう一つは、そのために職務配置の違いによって生ずるハンディがだんだんと大きくなってくる、私はこれが女性の大方の実態ではないだろうかと思うのですね。そして衆議院もやはりその例に漏れないのではないだろうか、こう思います。つまり、入り口でもう将来の展望が閉ざされておる、こう言っていいのじゃないだろうか。そうすれば意欲も次第に喪失するだろうし、職能育成が図られなければ能力も生きてこない、こういうことになるのじゃないだろうか。ですから、意欲とか能力とかと言う前に、入り口論じゃありませんけれども、このハンディを取り除くことが先決じゃないだろうか、こう私は思うのです。  ところが実態はそうなってない。これは同じような趣旨のことを昨年もこの席で私は御質問申し上げました。総長から前向きの御答弁をいただきました。そして実際に、新採用の大卒の女子の職域は一部広げられたと承っております。その点は私は努力を歩といたしますけれども、今一番必要なことは、その職域拡大の一層の推進をやらなければならないと同時に、従来からおる女性の活用についてもひとつぜひ積極的な姿勢を示してもらえぬものだろうか、こう思うわけですね。  同じように私は、この席で総長から答弁をいただきましたのは、国会には女子には向かない部署もあるかと思うというようなことをおっしゃったと思います。しかし本当にそうなのかどうなのか、もう一度再検討してみる必要があると思うのですけれども、そのこともひとつぜひこの辺で思い切って発想の転換をしてみたらどうだろうか。これが適切かどうかわかりませんよ、そして一つの私の思いつきだと思ってお笑いになるかもわからぬけれども、例えば参観の人たちに対しては、衛視の女性がたまにおってもいいんじゃないだろうかという気持ちも僕はするんですね。これが適切かどうかは別です。しかし、いずれにしてもそういうふうに発想の転換があっていいのじゃないだろうか。女性のあらゆる職場に思い切った見直しというものをやっていいんじゃないだろうか、そういうことを考えます。  したがって研修を行う場合に女性も職場の一員として平等に参加をさせていく、そして職能育成を促進して責任のある仕事、地位への道を開いてやる。また、女性を配属してない部署があれば門戸を開放して活動の場所を与えていく、こういうことをひとつおやりになるお気持ちはないでしょうか、総長にそのことをひとつぜひ踏み切っていただきたいし、決断もしていただけないものだろうか、私はそう思うのですけれども、ひとつお考えをお伺いしたいと思います。
  79. 弥富啓之助

    弥富事務総長 女子職員に対する先生の今のお考え方は、原則として私は全面的に賛成でございます。  我が方では職域の研修というのは初任研修や、それから各部で行います事務研修や、あるいは人事院等で行う研修への参加の道がございますが、初任研修の場合以外の研修に女子職員が参加することは非常に少ないというのも、先生御指摘のとおり、残念ながら事実でございます。これは、例えば各課に一人ないし二人という女子職員が配置されておりますと、研修をする場合に全部参加いたしますと空になってしまうというようなことにもなりますので、どうしてもそういうことがありましたけれども、今度はそれなりに参加できなかった人を別の機会に同じ研修をやる、そういう道も考えて当然いいのではないかと思っております。ただ、女子職員の側からもその意欲を示してもらいたいものだな、そういうことも考えるときも間々ございます。  それから職域の問題でございますが、去年私は、女子職員に適さない職場もあるのではないかというお話を申し上げましたが、これは例えば深夜の国会警備の当直、そういうものをちょっと頭に浮かべて申し上げたのでございまして、今先生がおっしゃいましたように、例えば警務部に女子を採ったらどうか、これは我々も前に考えたこともございます。これは、例えば婦人警察官というのを採っておりますので、例えば婦人の参観、傍聴人の身体捜検というものはやはりそういう人がやったら適当ではないかなというふうにいろいろ考えたこともございます。これから将来は、ただいまは本会議とか委員会に女性の職員が出ることが非常に少ないのでございますけれども、今後は、発想の転換とまで大げさなことではないのでございまして、当然適性の女子職員がおりました場合には、積極的に適任者を求めまして研修の上、配置することを検討する必要があると考えております。
  80. 山本政弘

    山本(政)分科員 真昼の逆襲じゃないけれども、女性保護については、深夜の仕事なんというのは僕は反対でありますので、そういう要するに積極的なところではなくて、もっと前向きな積極的なところでひとつ考えてほしいと思うのです。  今お話がありましたから、では母性保護のことについてお伺いしたい、こう思うのでありますけれども、産前産後の休暇の各八週間の制度化について、これまで毎年のように私はここでお尋ねいたしました。ところが、これはもう一年延ばしにずっと延ばされてきている。経過はもう申し上げません。昨年も前総裁がこの席でこう言っているのです。 「できるだけ速やかに、私の考えておりますまた御指摘にもございました線に沿ってこれは必ず改正はしたい」――これには前段があるのです。昨年もそんな指摘をいただきました、一向前進しないで申しわけないと思っているんだけれども、今申し上げましたようにできるだけ速やかにやりたい、こういう決意を述べられたわけですね。しかし「ひとつもうしばらく御検討の期間をいただきたい、御猶予をいただきたい。」こうおっしゃったのです。  私は、しばらくというのはどれくらいの期間がというのはよくわからないのですが、人事院が女子の妊娠、出産に対する調査を行ってからもう七年たっておるのです。その間に外国、特にEC諸国の情勢がどんどん進んでまいりまして、産休については軒並みにILOの百三号条約の基準を上回るだけではなくて、同勧告の九十五号に近づいてまいりました。そして、ヨーロッパの各国の中には父親にもその権利取得というものが認められるようになってきておる。総裁はどういうふうにお考えになっておるか知りませんが、育児等、家庭における役割を果たす責任は男女ともに有するものであるから、そのための諸権利は男女の別なく与えられなければならぬ、そして母性は特に保障される必要があるという考え方に基づいているのだろうと僕は思うのですね。しかも、そういう施策というものが各国では平等法の確立と並行して進められておるということに注目しなければいかぬだろう、僕はこう思うのです川つまり、保護の充実と男女平等の実現というものは一つのものである、こういうふうに考えられておると言っていいだろうと思うわけなんですが、そういう情勢から見ますと、日本の現状は非常に立ちおくれておるのじゃないだろうか。私は、よく言われるように保護か平等かという問題提起というのは間違っていると思うのです。つまり、あるべき姿じゃないという気がする。  そういう意味で、この保護と平等という点について新総裁は一体どういうふうに御認識になっておられるのか、私は、これは非常に重要な点だと思うのですけれども、この点についてひとつ総裁、じかにお答えいただけませんでしょうか。
  81. 内海倫

    ○内海政府委員 ただいまお話しになりました事柄につきましては、私どもも全くお教えをいただいておるとおりでございます。今、私がそれ以上につけ加えていろいろ意見を申し上げる余地のないものでございます。とりわけ婦人の出産後における休暇といいますか、休養の必要性というものは、女子職員がより健全な仕事を男女平等の形において行う上にむしろぜひとも必要なものでございます。私どもは、そういう基本認識におきましては十分に理解をしておるところでございます。  ただ、先ほどお話のありました時期の問題につきまして、私も前総裁の速記録は繰り返し読みまして、また、先生の御要求も、御質問に総裁が当時答えましたことも、よく私理解できるものでございます。ただ、また同時にお答えしておりますように、時期の問題についてじんぜん日を延ばすということは決していいことではないと思いますが、諸般の状況も十分検討いたしまして、私もまたできるだけ早く、そしていい時期にそういうことが実現するように努めたい、こういうふうに思っております。
  82. 山本政弘

    山本(政)分科員 来年は同じような御答弁をなさらないように何とかぜひひとつ話を進めてもらいたい、こう思うわけでありますが、総長、今申し上げましたように、保護と平等というものは一体としてぜひひとつ、御答弁が気にかかりますので重ねてお願いいたしまして、次に入ります。  人事院では、昭和五十六年の三月以来、女子職員の健康安全管理基準研究会というのを設けておられるそうですね。母性保護等を定めた人事院規則一〇―七の見直し作業を行っておられる、こういうふうに聞いております。一年延ばしになっておるこの産休の延長の問題も恐らくこの研究会で検討されておるのだろう、こう思いますけれども、この研究会を設けられた趣旨、そして現在の検討状況、さらに結論はいつごろお出しになる予定か、さきの御答弁に関連をして、局長で結構でございますからひとつお答えをいただけませんでしょうか。
  83. 叶野七郎

    叶野政府委員 先生御指摘のように、研究会の方で現在研究中でございます。近日中にその結果がまとまる予定でございます。  内容を申し上げますと、職員全体につきましての健康管理規定が一つありまして、さらにその中で女子職員について別個にまた特殊ないろいろな条件を決めているわけでございます。例えて申しますれば、危険有害業務への就業制限であるとか、あるいは深夜、時間外勤務の制限であるとか、その他女子の職員について特に必要と思われる勤務条件を定めております。これらの内容につきまして、果たしてそれらが女子職員について必ず必要であるものかどうか、あるいはそれがあるがために、要するに職務の遂行上いろいろと女子職員を使用する上において制約がありはしまいかというような観点がございます。先ほどいろいろ御議論がありました雇用平等の問題あるいは職場内における雇用の均等化というような問題、それに加えまして母性保護という問題、これらが相絡み合いまして今検討材料になっているわけでございます。  現在の進捗状況を申し上げますと、危険有害業務の就業制限の中には、現在の女子にとって不必要と思われる面がかなりございます。ですから、まずその危険有害業務の部分について、本当に母性保護にとって必要なものかどうかということを中心にしてできる限り除外していこうという考えでございます。  それから、母性保護の関係の問題は、これは雇用平等とは実は関係のない問題ということで、母性保護の面につきましては、これは本当に必要がないというようなものがありますればもちろん考慮の対象にしますけれども、一般的には母性保護の規定は残そうというような感覚で作業を進めております。  いずれにいたしましても、近日中にその結果がまとまりましたならば、その結果に基づきまして、個々の規定をどのようにするかという検討をしてまいりたいと思います。
  84. 山本政弘

    山本(政)分科員 もう一遍確認したいのですけれども、近日中というのは、要するに近いうちというふうに理解していいですね、そんなに遠くないうちというふうに。
  85. 叶野七郎

    叶野政府委員 民間の方も今雇用平等法との関連で検討を進めているというふうに聞いております。少なくともその時期におくれないようにということでございます。
  86. 山本政弘

    山本(政)分科員 私が心配しておったのは、今までの印象としては、労働基準法の母性保護の規定の見直しをずっと横目でにらみながらやっておるのじゃないだろうか、そんな気が私はしておって、そういう心配から申し上げておるわけでありますから、深夜の制限とかなんとかということについて、母性保護というのはきちんと母性保護としてぜひ考えてほしい、こう私は思うのです。それから危険有害について不必要だ、こう思われることについても、ひとつぜひ十分な検討をしてほしい、こう思います。  今申し上げたように、保護というのはやはり全体の労働条件をよくしていく中で充実が図られなければならぬ、こう私は思います。しかしながら、労働省の試案というものがもし、もしという言葉を使いましょう、産休の延長が労働基準法の他の女子保護の廃止と引きかえになっているというようなことがあればこれは大変だ、こう思いますし、それでは、単に女性を今の男性並みに働かせるというだけのものでしかない、こう考えるほかはないので、そういう意味では真の保護と平等からほど遠いというふうに私は考えざるを得ない。人事院としてまさかそんなことはお考えになっておらぬだろう、こう思いますので、ぜひひとつ産休の延長ということをできるだけ早く結論を出してもらう、そして同時に、それが他の労働条件の引き下げとセットにならないようにお願いをしたい。重ねてそのことを要望して、もう一度ひとつ総裁のお考えを最後に聞かしていただけませんでしょうか。
  87. 内海倫

    ○内海政府委員 御趣旨のほどは私もよくわかっております。できるだけの努力は続けていきたい、こう思います。
  88. 山本政弘

    山本(政)分科員 終わります。
  89. 上村千一郎

    上村主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  90. 上村千一郎

    上村主査 次に、内閣及び総理府、ただし経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  まず、政府から説明を聴取いたします。中西総理府総務長官。
  91. 中西一郎

    ○中西国務大臣 昭和五十九年度におきます内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和五十九年度における歳出予算要求額は百五億三千八百五十六万五千円でありまして、これを前年度歳出予算額百二億九千八百二十二万五千円に比較いたしますと、二億四千三十四万円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和五十九年度における歳出予算要求額は六兆四千六百九十七億一千七十八万四千円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆二千八百三十八億八千二百八十三万二千円に比較いたしますと、一千八百五十八億二千七百九十五万二千円の増額となっております。  このうち経済企画庁、環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について御説明いたします。  なお、総務庁が昭和五十九年七月一日発足するため、総理本府の一部及び行政管理庁につきましては、それぞれ昭和五十九年四月から六月までの三カ月予算を計上しておりますが、前年度との増減比較のため、便宜上従来の組織に年間分が計上されたものとして御説明申し上げることといたします。  以下、順を追って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費一兆七千七百八十八億二千八万四千円、警察庁に必要な経費一千五百六十二億九千五百三十三万七千円、行政管理庁に必要な経費二百十八億六千七百九十七万二千円、北海道開発庁に必要な経費七千三十五億六百六万二千円、防衛本庁に必要な経費二兆六千二百三十八億七千三百三十四万九千円、防衛施設庁に必要な経費三千百六億四千七百二十六万七千円、科学技術庁に必要な経費三千二百九十三億四千六百三十八万一千円寸沖縄開発庁に必要な経費二千百六十三億七千三百六十七万九千円等であります。  また、総務庁に必要な経費につきましては、再掲でありますが、一兆三千四百五億六千九百三十一万二千円であります。  次に、これらの経費について、その概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本府一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して七十四億七千九百三十万四千円の減額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して三億二千六百五十四万二千円の減額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁一般行政及び国の行う統計調査事務に従事する地方公共団体職員の設置の委託等のための経費でありまして、前年度に比較して三億九千九百八十万七千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業基盤整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して五十七億三百五十一万一千円の減額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千六百八十四億四千二百十一万七千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備事業、提供施設の整備、補償経費、基地従業員対策、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較して百十九億六千八百四十三万三千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興調整費の拡充及びがん関連研究等ライフサイエンスの振興並びに流動研究システムによる創造科学技術、原子力研究開発利用、宇宙開発、海洋開発、重要総合研究及び国際協力の推進のほか、科学技術振興基盤の整備、国際科学技術博覧会の開催等のための経費でありまして、前年度に比較して二十一億三千三百万三千円の増額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、土地改良、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して四千三百六万一千円の減額となっております。  また、以上のほかに新規継続費として防衛本庁において一千四百八十七億八千六百二十六万五千円、国庫債務負担行為として、警察庁において二億九千二百六十一万五千円、総務庁において二十二万九千円、北海道開発庁において二百五十七億七千五百万円、防衛本庁において九千八百十六億九千三百四万六千円、防衛施設庁において五百九十七億二千八百五十四万六千円、科学技術庁において一千九十億五百六十五万円、沖縄開発庁において百十九億一千三百四十七万一千円を計上いたしております。  以上をもって、昭和五十九年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  92. 上村千一郎

    上村主査 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  93. 上村千一郎

    上村主査 総理府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  94. 大原亨

    大原分科員 先般の石橋委員長が本会議質問をいたしましたことに対しまして、中曽根総理大臣答弁した事項があるのですが、それは人種差別撤廃の条約の問題であります。百二十二カ国が批准をいたしまして加入をしているにもかかわらず、日本がいまだに署名をしてない。したがって、批准もしていない、これは一体どういう理由ですかと政府の方針をただした事項がございます。これに対しまして中曽根総理大臣は、「我が国といたしましても、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の趣旨については、十分理解もできるし、賛成の立場を基本的には持っておるものであります。ただ、本条約の締結、批准に当たりましては、事前に国内法の整備を行うことが必要であります。」こういうふうに答弁をしております。  問題は大きく分けまして二つあるわけでございますが、人種差別撤廃の条約を日本は締結、つまり署名をする、そういう意思があるのか、大体いつこの問題を解決をするのかという点につきまして、第一に質問いたします。
  95. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、この条約に対しまして百二十二カ国が既に締約国になっております。日本といたしましても、この条約につきましては、中曽根総理の御答弁のとおり、条約の趣旨は十分に理解できておりますし、かつ、尊重しております。しかしながら、一つ問題がございますのは、日本国憲法で保障されております表現の自由その他の条項とこの人種差別撤廃条約におきます、特に第四条の関係でございますけれども、その関係をどういうふうに調整していくかという点が非常に問題でございまして、今後とも慎重に検討をしていく必要があるわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、この趣旨の尊重、それから本条約の精神につきましては賛成でございますので、国内法と条約との調整を早急にいたしまして、できる限り早く締結するように努力してまいりたいと思っております。
  96. 大原亨

    大原分科員 第四条はどういうところが問題ですか、調整するというのは。
  97. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 この条約の第四条でございますけれども、これには「締約国は、一つの人種または皮膚の色もしくは出身民族を同じくする人の集団の優越性を説く思想または理論に基づくすべての宣伝及びすべての団体または人種的憎悪及びいかなる形態の差別をも正当化しまたは促進することを企てるすべての宣伝及びすべての団体を非難し、そのような差別のあらゆる扇動または行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。」ということがございます。あと三項ございまして、そういったような行動あるいは活動に対するいかなる援助の供与も法律によって処罰されるべき違反行為であることを宣言する云々というのがございます。先ほど申し上げましたような憲法の第十九条の良心と思想の自由、それから二十一条の表現の自由、それら基本的人権といわゆる四条の今申し上げましたような点とをどういうふうに調整していくのか、この点が一番大きな問題であるわけでございます。
  98. 大原亨

    大原分科員 この条約に関係しまして、昨年、人種差別と闘う第二回世界会議の席上、これはジュネーブでありますが、百二十六カ国の代表を前に、日本としての人種差別の問題についての見解を表明した、こういうことでありますが、どういう見解ですか。
  99. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 今すぐ資料を出しまして、お答え  申し上げます。
  100. 大原亨

    大原分科員 後でいいですから。  それで、総理大臣答弁しておりますが、賛成の立場を基本的には持っておる、ただし、本条約の締結、批准に当たっては「事前に国内法の整備を行う」、事前に国内法の整備というのは、これは総理府だと思うのですけれども、国内法はどういう法律のことを指しておりますか。
  101. 佐藤良正

    佐藤(良)政府委員 国内法の関係は、外務省を中心に作業を進めておると了解いたしておりますが、内容を見ますと、教育とか人権、差別問題等が入っておると了解いたしております。
  102. 大原亨

    大原分科員 そういたしますと、人種差別というのは、非常に範囲を広く解釈しまして人権問題もやっておる、したがって、例えば日本においては同和問題もこれに関係をするということであって、同和問題については地域改善対策特別措置法が現在実施をされておる。時限立法である。この法律も指しておるわけですね。
  103. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、今殊に法務省その他関係省庁と先ほど申し上げましたような第四条の関係につきましては鋭意検討しておるところでございまして、しばらく検討の時間をいただきたいと思います。
  104. 大原亨

    大原分科員 検討しておる国内法整備、中曽根総理が答弁した中には、人権問題で地域改善対策特別措置法、同和問題のような問題、歴史的にもそうですが、これも含まれておる、こういうふうに理解してよろしいか。
  105. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘のどういうふうな国内法との関係があるかという点でございますけれども、私、申しわけございませんけれども、これは追って調べましてお答え申し上げたいと思います。申しわけございません。
  106. 大原亨

    大原分科員 この条約を批准するに当たりまして関係する国内法の整備法律の項目というか、事案の項目について、速やかに出してもらいたい。  総理府としては、今まで議論されておるわけでありますが、人種差別の問題に関係しまして、広く人権の問題ですから、この問題は関係しておる、こういうふうに理解をしておるかどうか。
  107. 佐藤良正

    佐藤(良)政府委員 地域改善対策問題についても含まれておると承知いたしております。
  108. 大原亨

    大原分科員 地域改善対策特別措置法は、同和対策事業特別措置法の十年と三年延長の後を受けた法律であって、内容は同じでありますが、これは時限立法であります。今これが同和新法と俗に言われておりますが、その新法が実施をされましてから二年余りでございまして、三年目にかかっておるわけですね。ですから、今中間点にあるわけですね。この五年の時限が過ぎましたならばこの法律はなくなりますが、新しい立法が必要ですかどうですか。差別の実態がある以上は必要である、こういうふうに考えてよろしいか。
  109. 佐藤良正

    佐藤(良)政府委員 今御指摘のように、現在三年目を迎えておるということでございまして、また、地域改善対策特別措置法につきましては、国会の御審議を得まして期限を付されておるということでございますので、その後についてはまだの検討課題になろうかと思っております。
  110. 大原亨

    大原分科員 地域改善対策特別措置法が五カ年の時限を終わった際に差別の実態があるならば、当然にそれに対する条約に見合う国内法の整備の中に新しい立法の課題がある、こういうふうに私は考えますが、総務長官いかがですか。
  111. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話の御趣旨は理解できるのでございますが、あと三年ということもございます。今地域改善対策協議会でいろいろ御審議いただいております。物的な面についてはおおむね計画どおりいきそうだ、非物的な啓発とか啓蒙、そういった面については、いろいろ対策を講じておりますが、新しい展開をどうしたらいいのかということも含めて御検討いただいておりまして、そういった検討段階でございますので、今この段階で、条約絡みで必ず今の法律がそのまま延長されなければならないというところまでは申し上げかねるのが現状でございます。
  112. 大原亨

    大原分科員 総務長官、僕はこう思うのですよ。つまり、今の法律のままで延長するという、今までのずっと十年、三年の延長の問題については、ハードの問題、物的な問題で、住環境を中心にして積み上げてきたわけですね。これはかなりの成果を得ておるというわけです。しかし、俗に言うソフトの面でありますが、そういう生活全体の問題、経済の問題とのかかわり合いの問題等については課題があることは御承知のとおりであります。  順次私が質問いたしてまいりますが、例えば法務省、法務局に人権擁護部があるわけでありますが、全国における差別の実態についてはかなり掌握をしておるというふうに思います。総務長官の地域については私もよく承知をいたしておりませんが、私の地域もそうですが、特に部落差別の問題は結婚差別の問題、これはもう若い青年諸君の生命にも直接結びつくような重要な深刻な一生の問題ですね。あるいは地名総鑑、部落の地名総鑑の問題がずっとございまして、就職差別の問題もあるわけであります。これも人間として生きていく上におきましてこの差別というものは非常に非人間的であって、その一生の幸せを左右する問題でありますね。それらの問題以外にもたくさんの問題が今日まで議論をされてまいりまして、例えば近隣交際における差別、あるいは差別的な言辞、向かってやる、あるいは陰でやる、そういう言動、差別の落書き、それから差別の文書、その他いろいろな問題があるわけでありますね。法務省は、この差別の実態についてはどういうふうな理解を持っておられるか、答弁してもらいたい。
  113. 堤守生

    ○堤説明員 お答えいたします。  最近における同和問題にかかわる差別事象の傾向を見てまいりますと、先生ただいま御指摘のとおり、差別言辞、差別言動、そのほか結婚、就職にかかわる差別事象が依然として後を絶ってない。そのほかに逆差別意識やねたみ差別意識に基づくと思われる悪質な差別落書きや差別文書等、新しい差別意識に基づく差別事象が発生しております。全体的に見てまいりますと、同和問題にかかわる差別事象はほぼ横ばい状態で推移しているのではないか、かように考えておる次第でございます。
  114. 大原亨

    大原分科員 労働省、就職差別の問題に関係しまして、雇用上の差別問題ですが、例えば不安定雇用、雇用条件の問題等でどういうふうに実態を把握していますか。
  115. 増田実

    ○増田説明員 お答えします。  今先生おっしゃった不安定就業の問題につきましては、特に同和関係住民の方の就業実態調査に基づきますと、全国平均に比べて確かに格差がある。具体的に申しますと、臨時日雇い等の割合が非常に高い。また、一般常用雇用の割合が相対的に低い。また、お勤めになっておられる事業先の規模が比較的小規模の事業所に就職なさる割合が多い。あるいはまた、職種等におきましても、単純労働に従事されます方々の割合が多い。そういう相対的に不安定雇用、就業という実態が見られるというふうに承知しております。
  116. 大原亨

    大原分科員 厚生省に特徴的な問題についてお尋ねします。  例えば生活保護法における適用状況等の問題ですが、生活保護というのは、よく中曽根総理その他は非常に認識不足で誤ったことをどんどん答弁しておることがあるのです。臨調等もそうであります。生活保護というのは、年金とか健康保険とかあるいは雇用保障とかというものが十分なされていないという結果として、言うなればミーンズテストをやるわけです。財産制限をやるわけですから、財産についても一定の程度吐き出して、そしてその最後に生活保護の救済措置をとるというわけです。社会的に貧乏に突き落とされた人に対する救貧政策ですから、これは本当の社会保障ではない。本当の人間尊重の社会保障というのは、今では憲法二十五条が言う健康で文化的な生活という目標を持ったものでなくてはいけない。これはここで議論しません。  それで、生活保護の適用状況の中における被差別部落のそういう特殊性というか差別性というか、それに対する厚生省の認識、いかがですか。
  117. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  御指摘のとおり、生活保護は国民の最低生活を守る最後のよりどころであるわけでございますけれども、過去における総理府が行いました全国同和地区調査等によりますと、同和地区におきましてはその他の地域と比べまして、生活保護の受給世帯あるいは人員といったものが相対的に多いということは事実でございます。
  118. 大原亨

    大原分科員 あるいは雇用上の差別、不安定雇用。年金の適用でも、しっかりした職場の方が厚生年金でも何でも、共済にいたしましても、適用状況が多いわけです。ですから、しっかりした職場へ就職する機会がないような被差別部落の場合は、やはり生活保護の受給者が、これしかないということで非常に多い、こういう傾向であります。例えば、きょうは、文部省、来ておりませんが、大学の進学率等も一般に比較をいたしまして半分くらいであるというふうに私も理解しております。  ですから総務長官、つまり住環境の問題につきましてはかなり進んできた。しかし、法務省が言っているように、人権差別の問題はなお後を絶たない。これは数百年の間の、長い間の歴史を踏まえての問題でございまして、一朝一夕にできないと私は思うのです。しかし、十数年にわたりまして非常に政府も国民も自治体も努力をいたしました結果といたしまして、一定の前進があると私は思う。  今までと違っている点は、差別をされた人々も、周囲の人々を含めて、このことは人権の尊重とか民主主義の基本から考えて不当なことである、こういう確信をみんな持っておるわけです。自覚を持っておるわけです。そういたしますと、今までのようにやみからやみに差別が葬られたり、泣き寝入りをするというふうな事象が少ないわけですよ。そういうことの結果といたしまして、差別事象が表面に出ていることもあるわけです。そういう側面もあるわけです。自覚をいたしますと、あるいは周辺が自覚をいたしますと、このまま差別を放置できないということで表面に出ることがある。しかし、そうでない場合もあるし、泣き寝入りしておる場合もあるし、差別事件というものは実に多い。落書きの問題等、その他を含めて深刻な問題である。このことは、日本が民主主義の国として発展をしていく場合、あるいは私どもが平和国家、平和憲法という場合には絶対に避けて通ってはいけない問題である。したがって、差別の問題は、あと二年数カ月の残りました期間中に解決できる問題ではない。  そういう面におきましては、私どもは粘り強くやらなければならない。日本の平和憲法には、前文で、不断の努力、こういうものがある。人権の問題については不断の努力というものがある。こういう点について努力を緩めてしまう、やめてしまうと、今まで築いたことがまたもとに返って逆転をすることになる。だから粘り強く目標を貫徹するまでやらなければいけない、そういうことであると思うのです。そのときにつくるべき法律が地域改善対策特別措置法の延長であるかどうかということについては、私は問題であると思うけれども、少なくとも行政全体がこういう目標に向かって努力をすべきであるというふうな宣言的な、大筋の基本法的な、そういう法律はきちっと整備をしておく必要があるのではないか。これがこの人種差別の撤廃条約の国内法整備の問題ではないかと私は思うのです。この点について総務長官の見解をお聞きをいたします。
  119. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話しのように、一朝一夕に解決する問題ではない、長い時間が必要であるということはお話のとおりだと思います、心の問題であるということでございますから。  あわせて申し上げますと、憲法で基本的人権、差別してはいけない。また、世界人権宣言、条約の批准の問題が日程に上っております。その場合に、宣言的な基本法というお話がございました。それも一つの考え方かと思いますが、憲法でもはっきりしておることである、また人権宣言でも明確にされておることであるということを考えますと、基本法のようなものが立法技術的に可能なのかどうか、これは法制的に詰めなければいけないと思います。今まで基本法というのはたくさんございますが、そういったものと少し趣を異にするように思います。そういったような意味で、基本法というものがいいのかどうか、また、今ある地域改善対策特別措置法、これはそのままの延長はいかがかなという気もいたさないではございませんが、そういったようなことも含めまして地域改善対策協議会で御審議をいただいておるところでございますので、さらに検討いたしたい、かように思います。
  120. 大原亨

    大原分科員 人種差別撤廃条約の中にもございますけれども、言論等で不当に人権を傷つける、こういうふうなものについてはやはり禁止的な法規をつくれというふうな意味のことが載っておったというふうに私は記憶をしております。これは、罰則をつける、刑罰で罰するということになりますと、かなりまた問題があることも承知をいたしておりますが、しかし、宣言的には、そういうことは言葉の上のあやということではなしに、人権上の問題としてやはり厳しくとらえていくべきであるということについては、私は否定できないというふうに思うわけです。例えば、そういうことをも挿入いたしましたような、盛りましたような基本法的な方向づけをやる、そして政府は総合的に何カ年計画かを立てまして、国連でも行動計画を立てるわけですが、何カ年計画かを立てまして、こういう目標のためにみんな努力しよう、行政が努力しよう。憲法とか条約があっただけでは、それを守る国内法が必要だということは、政府の見解でもあるし、当然の法律の体制でもあるわけですから、そういう意味において、新しい時限立法が終わる段階を一つの目途にしながら、これからどういう心構えでやったらいいかということについては、総務長官が御答弁になったような二つの方法があるというふうに思いますが、それらのことを含めまして、検討事項として十分検討していただきたいと思います。
  121. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 先生の冒頭の御質問につきまして一言お答え申し上げます。  先生質問の、昨年の秋ジュネーブで開かれました人種差別撤廃第二回世界会議におきまして、これは日本のジュネーブ代表部の千葉大使が出席しておりまして、その席上、婦人差別撤廃条約とそれから今御質問の人種差別撤廃条約、その両方につきまして、できるだけ早い時期に加入をするべく検討したいという発言をしております。なお、その第二回世界会議におきまして採択されました人種差別撤廃のための宣言及び行動計画、これは日本もその採決の際に賛成しております。なお、この宣言及び行動計画を今後どうやって実施していくかという実行につきましては、今後関係各省庁と検討いたしまして、その実行を図るべく検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  122. 大原亨

    大原分科員 時間もないですから、それでは長官、今までどこでも議論になって、本会議でも議論になって、総理大臣は、住環境とか従来続けてまいったハードな面については完結を目標にして努力しているのだ、したがって、実態調査についてはむしろ消極的な答弁があったわけであります。しかし、今長官も答えられたし、私も指摘をし、各省も答えましたように、差別の問題というのは認識の問題でありますが、これは事実と一緒に非常に深刻で歴史的なものであります。各方面に差別の実態があることは事実であります。今の答弁で、雇用上も、生活保護一つとってみましても、全部そうなんです。ですから、その問題については、ソフトな面というふうに言われますが、そういう経済社会の総合的な面について政府は理解をしながら、残された期間中あるいはそれ以後のポスト地域改善措置法の措置を考えるべきである。したがって、実態調査の面について、従来のやりとりにこだわらないで、今まで指摘をいたしました点等を含めまして差別の実態というものを、例えば大阪市等は非常に先進的にやっておるわけですが、それぞれの自治体等でそれを総合的にやるということが非常に意味のあることでございますから、各省庁もそれを理解しなければなりませんが、総合的にやるということが地域政策としては非常に重要な問題であります、法律の名前のとおりですから。ですから、そういうことを助長するということを含めまして、私は、実態調査というものについて新しい観点で政府は取り組んでもらいたい。いかがですか。
  123. 佐藤良正

    佐藤(良)政府委員 先ほど先生から御指摘がございました実態的差別と心理的差別の後者の問題につきまして、かなり大きな要因として雇用とか結婚とかいうような問題について起こる原因であろうかと思います。これにつきましては、先ほど長官もお話がありましたように、地対協の中でずっと検討を続けておりまして、現在その心理的差別をなくすための啓蒙啓発、そういうものを中心として具体的な施策をまとめていただくというふうなものの最終的段階に参っておりまして、小委員会等で今検討しておるというふうな状況もございます。したがいまして、これらの意見具申と申しますか、そういうものを待って十分考えてまいりたい、こんな感じでございます。
  124. 大原亨

    大原分科員 その地対協の審議が円滑かつ建設的に進むためにも、そういう現状に基づく差別の実態というものについては、広い視野から、ソフトの面を含めて政府として把握をして材料提供すべきではないかということでございますので、これは総務長官の方から積極的な御答弁をいただきたいと思います。
  125. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話しの実態調査でございますが、何といいますか、随時やっておるということは言えるのでございます。また、まとめては過去二回ほど大きな調査をやったこともございました。これから特に問題になるいわゆるソフト面での調査ということでございますが、そういった面につきましては今室長の方から答えましたが、地対協でも十分念頭に置いて議論していただいております。新しくというお話がございました。そういったことも含めて勉強させていただきたいと思います。
  126. 大原亨

    大原分科員 時間が来ましたので、最後に人事院と総務長官、簡単に答えてください。  この行政をやる人自体が、差別問題について、人権問題について正しく理解しておかなければならない。長い間の因襲ですから、心の中ではそう思っておってもこれはやむを得ないというつもりで公務員がやりますと、行政がやりますと、行政は空回りするわけですよ。そういう例が人事院の中自体にあったわけです。重要な問題があったわけです。ですから、人事院は公務員の研修におきましても、部落解放問題、同和問題について正しい認識ができるような、言うなれば系統的な研修を進めてもらいたい。総務長官も公務員のその他の身分という問題でそのことを進めていただきたい。公務員の研修について最後にお答えをいただきます。
  127. 服部健三

    ○服部政府委員 同和問題の重要性につきましては、先生御指摘のように私ども重大に受けとめておりまして、現在各省庁を対象といたしました行政研修あるいは地方出先機関の職員を対象といたしました研修等におきましてそれらの問題を随時入れまして、そして研修の充実を図っていくと同時に、私どもが主催いたしております研修担当官会議であるとかあるいはその他そういった研修の場を常に利用いたしまして、各省庁においてもそういった問題について十分職員が認識をして、先生の御指摘になったような問題について前向きに常に業務が執行できるよう、研修について充実するよう人事院では指導いたしております。
  128. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話しの研修でございますが、中央省庁の局長とか課長等の幹部を対象にするもの、また、一般職員を対象にするもの、いろいろ工夫をしまして、講演会とか映画なども媒体にして今までやってまいりました。これからも大いにやろうと思います。年度を追って参加人員もふえてまいりました。この勢いで継続してやりたい、かように思っております。
  129. 大原亨

    大原分科員 終わります。
  130. 上村千一郎

    上村主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十分開議
  131. 与謝野馨

    与謝野主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  132. 坂井弘一

    坂井分科員 今、世界的な人権擁護の流れというものが国際連帯のもとで非常に大きく前進しつつあります。地球上から一切の差別をなくそう、まことに歓迎すべき一つの潮流かと思いますが、このことはとりもなおさず人権の確立ということ、そのことがまた世界の平和建設に向かう非常に大きな道である、これはもう言うをまたないところでございます。特に、我が国はこうした人権、民主、平和、極めてすぐれた三原理の憲法を持つという国でありますから、なおのことこうした人権の確立、世界平和に資するという立場から、名誉ある地位を確立をしていく積極的な努力を必要とする国である、私はこう思います。  そういう観点から、今あらゆる形態の人種差別撤廃に関する条約、いわゆる人種差別撤廃条約に対する我が国の対応というものが極めて手ぬるい。というよりは、私をして言わしめれば残念ながら後ろ向きではないかご言葉が過ぎるかもわかりませんが、そう言わざるを得ないような実情にあるのではないかと思うわけでございまして、試みにこのことについて、実は今日までの審議の経過をたどりながら議事録を丹念に私、見てみました。  経過はさておくといたしまして、さかのぼってみますと、一番最初、昭和四十五年十二月十五日に参議院予算委員会におきまして、当時市川房枝先生が次のように質問をされておりました。「国連総会で採択された人権に関する条約は十八あるのに、日本が批准しているのは婦人に関するもの、婦人参政権と売春禁止の二つだけというのは一体どうしたことでしょうか。来年は国際人種差別撤廃年でありますが、日本はこれについての条約をいつ批准をなさる御予定でありましょうか。」こういう質問でございます。これに対しまして、当時愛知外務大臣は、「人種差別撤廃のための国際闘争の年ということになっておりますから、人種差別撤廃条約、これに焦点をしぼりまして対処いたしたい、まずこれから始めたい、」こういう答弁をされたのが端緒と思います。  自来、ずっとありまして、この間の本会議では、中曽根内閣総理大臣は、基本的には賛成である、しかしながら云々と、こうあるのですが、この際、中西総務長官にお伺いいたしたいと思います。  私が今申しましたような国際的な大きな一つの人権擁護の流れ、そうした中にありまして、我が国ではこの条約の批准が今日なおなされない。極めて残念な事態と存じますが、そのめどとしてこの条約の批准が果たしてできるのかできないのか、基本的に賛成としながらもずっとできなくて今日まで十三年間経過したということでございますから、本当にできるのかどうなのか、御決意のほどと、ひとつ大臣の御見解をちょうだいいたしたいと思います。
  133. 中西一郎

    ○中西国務大臣 差別撤廃条約についてのお話でございます。総理大臣がお答えいたしましたのは二月八日でございましたか、本会議でお答えがありました。基本的には賛成の立場で取り組んでまいりたいというお話でございました。事前に国内法の整備も必要だというようなことでもあります。目下政府部内において検討を急いでおるところでございます。できるだけ早い機会ということを目途にして作業が行われておる次第でございます。
  134. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣、せっかくの御答弁ですが、できるだけ早い時期、機会にとおっしゃいますが、十三年たっておる、これはもう御案内のとおりと思います。既に締約国が百二十二カ国、国連加盟の四分の三もの国が締約しておる。アメリカの例を盛んにおっしゃるので申し上げるのですが、米国は署名はしているのです。しかし、批准はしていない。我が方は署名も批准もしていない、こういうことなんです。できるだけ早くとおっしゃるのですが、いろいろな事情がある。それはそれぞれの国のいきさつがある、国内法との関係がある、あるいは政治的、歴史的な経緯がある、いろいろあるのでしょう。あるのでしょうが、基本的に賛成であると総理がおっしゃり、かつまた、中西総理府総務長官も早い機会にとおっしゃるのですが、せめてことしじゅうにはこれが批准できるというぐらいの自信を持っておやりになる御決意でひとつ臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。早い機会とおっしゃっても、十三年たっている。
  135. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 条約につきましては外務省が責任を持っておるものでございますから、私どもの方からお答えさせていただきます。  実はこの条約、先生御指摘のように日本としましても賛成、趣旨は尊重していきたい、こういうことでございまして、なるべく早い時期に批准あるいは批准して加入ということで検討しているわけでございますが、一つ非常に大きな悩みがございますのは、実はこの条約の一番大きな点として申し上げますと、この条約の第四条に、人種差別を扇動あるいは教唆するようなことには罰則をもって臨むというような規定がございます。これは第四条でございますが、他方それと対応します日本国憲法の第十九条それから第二十一条、いわゆる基本的人権でございますけれども、実はこれとの調整をどうしようかというのが非常に悩みの種でございまして、その調整をどういうふうにするかということに今苦慮をしておるわけでございます。  他方、先生御指摘のとおり百二十二カ国締約国になっておるわけでございまして、それらの国、殊に西欧先進国を例にとりますと一体どういうふうにしておるのだろうかということにつきまして、実は西欧先進国自身もかなり悩みがあるようでございますけれども、その事例等を今詳細に調査しておりまして、そういったことも一つの参考にいたしまして、先ほど中西長官の方から答弁申し上げましたように、できるだけ早く締結するべく検討しておるわけでございますし、そのように努力してまいりたいと思っております。
  136. 坂井弘一

    坂井分科員 この間、本会議では社会党の石橋委員長がお取り上げになり、かつ、本予算委員会においては、三月三日湯山委員がまたそれに対しましてさらに具体的に、一体いつやるんだということでこの質問をされておりまして、今の御答弁どおりだと思うのです。つまり条約第四条の問題、片や我が方におきます憲法上あるいは日本法律体系等からいたしまして法律整備の必要がある。つまり今言われるような集会の自由、表現の自由あるいは思想の自由、また罪刑法定主義の立場、そういう兼ね合いにおいていかなる法整備をすべきかという点の検討をしておるのだ。これは一体いつから始められまして、何年かかるのか、何十年かかるのかと言いたいのですね。外務省、条約の関係ですから、十分御検討、御研究されることはもう当然のことですが、法務省とはどの程度まで進んでいますか。
  137. 亀井靖嘉

    ○亀井説明員 この条約を所管するのは外務省じゃないかということで、私、登録の方の立場で、この人権規約と登録とは非常に関係がございますけれども、この問題で今のところ条約という関係で外務省と直接に折衝したということはちょっとございません。
  138. 坂井弘一

    坂井分科員 わかりました。遠藤審議官にお尋ねしているのです。  外務省として法務省とは相当なところまで、いわゆる国内法の整備の問題もあるわけですから、そういう点につきまして御協議が進んでいるのかということが一点。  それから、あわせて、総理も基本的に賛成、大臣も、できるだけ早く、こうおっしゃるが、つまり我が方が締約国になるその前提として、政府部内の調整作業が必要になりますね。単に法務省との間で外務省が詰めてこれで決まるわけじゃありませんでして、当然のことながら関係省庁との調整作業が必要である。関係省庁はどういう省庁になりますか。それらがまとまれば、いよいよ我が方は批准をいたします、締約国になりますということに至りますか。今の法務省とのその作業の進行状況及び締約に至る際の前提としての調整すべき関係省庁、これはどうなりますか。
  139. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  関係省庁といたしましては、一番大きなのが法務省でございますが、あと労働省、厚生省等の省庁もございます。  法務省との間では、刑事局の関係の方々と、これは先生御指摘のように三十一条の罪刑法定主義の問題があるものでございますから、主として刑事局の方とは従来からも御相談をさしていただいておるわけでございます。関係省庁との協議の結果、どういうふうにしたら国内法制とこの条約との整合性がつくかということを検討の上、検討が終わりますれば、私どもといたしましては国会に御承認というか御審議をお願いしたい、こういうふうに思っております。
  140. 坂井弘一

    坂井分科員 これはまた外務大臣にでもお尋ねすべきことかもわかりませんね。あるいは当然これは総理にもう少し詰めなければならぬ問題、日本政府ということでしょうからね。  だから、総理の姿勢として基本的に賛成だとおっしゃったことはもう当然のことでして、つまり締約が一体本当に日本はできるのかできないのかという議論ではありません。締約国になるんだ、こういうことを前提として国内法の整備の作業をしませんと、国内法の関係においてこういうような隘路があるから、したがってこれはなかなか難しいぞというようなことをお考えでありますれば、既に十三年間無為の日々を、そこまで言うと言い過ぎかしらぬが、しかし結果的には、これは一体十三年間何をしてきたんだ、同じようなことを繰り返すのかということになる。ですから、私は、そういう意味においてはまさに一つの政治的な決断を片や一方に持ちながら、なお国内法の関連整備の問題がございますけれども、締約国になるのだということをまず前提に持ちながら慎重に作業しませんと、これはなかなかできがたいことではないかな、実はこんな気がしてなりませんものですから、重ねて中西長官に、ひとつ総理にそういう点も、あるいは外務大臣、法務大臣、関係大臣にも今申されました進言をしていただくことはいかがでしょうか。これは、このままではまたまた日が延びるということになるのではないかということを私は実は危惧するわけですが、いかがでしょう。
  141. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話しの点につきましては、総理もあれだけはっきり言っておられることでございますし、関係閣僚みんな聞いておったことでもございます。そういったことで、私が改めて進言しなくてもいいことではないかと思いますが、せっかくのお話でございますし、できるだけ早い機会にまたその話を再度閣内でしてみたい、かように思います。
  142. 坂井弘一

    坂井分科員 それから、これは条約の関係ですからちょっと伺っておきますけれども、この条約の第二十条で留保を認めていますね。これを締約する場合に一番大きな問題としてありますのは、この条約第四条で悪質な差別扇動なりこれを目的とした組織を結成することは法律で禁止しなければならない、ここのところが一番大きな問題ですね。それから、あるいは二十二条等の問題もございますかね。したがって、先ほど申しましたように、締約国は百二十二カ国ございますが、こういう第四条等――留保した国が非常に多うございますね。  ただ、この条約を見ますと、一条から七条までは実体的規定でございますから留保はできないですね。つまりこの条約の魂に当たる部分ですね。この一条から七条までの留保はできませんが、それ以外の部分につきましては留保もできるという法律の仕組みでございますから、我が方は留保も含めて検討しておるというようなことでしょうか、それともそういうことは全く念頭にはないということでしょうか。
  143. 遠藤哲也

    ○遠藤説明員 先ほど先生に御答弁申し上げましたように、一番大きな問題は第四条でございまして、これにつきましてはそういうことはできないということで、実は先ほどもお答え申し上げましたように、主要先進国には悩みが多いわけでございまして、その実態を目下詳細に調べておるわけでございますが、ある程度まとまりました段階で先生の方に一度御説明させていただきたいと思っております。今調査中でございます。
  144. 坂井弘一

    坂井分科員 この問題と関連いたしましてお尋ねをしたいのですが、その前に、昨年の八月の四日には、日本政府を代表いたしまして千葉大使も、我が国としては女性差別撤廃条約と今申します人種差別撤廃条約、これについては近く批准するということで検討している、こういう態度表明もされておるわけでございますけれども、この条約、人種差別撤廃条約が批准されますと、いわゆる部落差別の撤廃はもとよりのこと、特に在日韓国人からは、極めて強くあの指紋押捺制度の改正をしてもらいたい、つまり廃止をしてもらいたいという要請があるわけです。これも実は差別の撤廃ということから端を発しておる。したがって、この人種差別撤廃条約を我が国も批准もする、締約国になるということになりますと、今申しましたような在日韓国人の要請等も大きく前進するのではないか、こう見られるわけでございますが、在日韓国人は外国人登録法第十四条、これに規定されております、今申しました指紋の押捺制度、この押捺制度を廃止をしてもらいたいと言っている。いきなり廃止ということができないとすれば、これは私の考えですが、例えば段階的にこれを解消するという方向で何らかの具体的な措置がとれないものだろうか。  つまり、このことにつきましても今まで法務委員会等における議論がたくさんございましたことをよく承知をしておるつもりでございまして、確かにこの指紋押捺制度というものが同一人性の確認のための資料、証拠として極めて貴重なものであるということ、これもよくわかります。しかし、このことは言うなれば行政を執行する側、行政の立場における信頼性の確保という問題、それから片やこの指紋を押されるという人々の立場から言いますと、人々の人格、人権の問題、この兼ね合いといいますか、バランスというのでしょうか、接点というのでしょうか、また、そういう問題だというとらまえ方をしなければならぬ、実は私はこんな気がしてならぬわけでございます。したがって、今申しましたような指紋制度というものをいきなり廃止ができないとすれば、何らか解消していくという方向での具体的な措置がとれないものか。また、そういう検討、研究がなされておるかおらないかというような点もあわせてひとつお尋ねをしておきたい。
  145. 亀井靖嘉

    ○亀井説明員 外国人登録法上の指紋と今、先生がおっしゃいました差別の関係でございますが、外国人登録は、もともと日本に戸籍とか住民登録とかいうもののない人たちにつきまして、その人たちの居住関係あるいは身分関係をどのように把握していくかというところから出たものでございます。外国から人が入国してきた場合にどういうふうにその人たちに登録してもらうかということは、各国ともいろいろ研究されまして、いろいろな制度が設けられております。その外国人の人たちが外国人登録、日本の人たちが戸籍あるいは住民登録、こういう区別が生じますことそれ自体差別というものではないというふうに私たちは理解しているものでございます。  それから、さりながら、今指紋問題については在日外国人諸団体の中からいろんな要望もある、廃止あるいは段階的な緩和策というものはとれないかということでございますけれども、昭和五十七年十月から施行されました新法、これは五十七年に御審議を得て国会で成立したわけでございます。その改正の中で、一つ十四歳から十六歳という年齢引き上げがございますけれども、これは子供の人たちが指紋を押捺するという点におきましては二歳引き上げたということでございます。それから、毎回指紋を押捺するということに関しましては、今まで三年ごとにそういう切りかえ時が来ておったわけでございますけれども、それを五年ごとにするという措置をとりました。先生のおっしゃいます段階的な措置というものも五十七年のときには我々一応考えまして、ここまでの措置は講じ得るという線を出したというふうに私たちは考えているものでございます。  なお、現在この問題につきましてはいろいろ声があることは私たちも十分承知しておりますけれども、法務省としては、五十七年に一度法改正をしたということで、そのときにもう国会でも十分な御審議を得た、また法務省の見解も述べたということで、この制度そのものにつきましてはなお維持していくという考えに立っております。
  146. 坂井弘一

    坂井分科員 お断りしておきますが、私はこの指紋の押捺制度そのものが直ちに人権侵犯であるとか、これが差別である、こう決めつけて言っているわけじゃ決してありません。ただ、確かに、押しなさい、これはかなり屈辱的な気持ち、あるいは外国人から見れば人権差別されているのじゃないかなという感じは、人間ですから否めないだろうと思うのですね。できればもう少し気持ちのいい方法はないものだろうかということなんですよ。今世界でこういう指紋制度をとっているのは二十四カ国ですね。九カ国が部分採用ということですから、世界の一つの大きな流れがあるだろうと私は思いますから、今後大いに検討はしていく、研究はしていく、勉強をしていく。こういう制度は我が国古来伝統の制度であって、これは未来永劫に変えられませんというようなかたくななことはお考えでは決してなかろうと思います。思いますけれども、今のようなことで今後またひとつ御検討をいただきたい、このことはひとつ要望として申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、若干はしょってお尋ねをしておきたいと思います。  最近、各地で非常に悪質な差別事件というものが起こっておりますね。落書きなんかで、部落民殺せ、毒ガス室に入れて皆殺しにせよ、甲子園で射殺せよ。ひどい。その他枚挙にいとまがないほど随分ひどい差別が起こっている。こういう差別あるいは差別扇動に対しては厳しく対処してもらいたい、法的規制、これをやってもらいたい、これまた、法的規制までと言う側からすれば、まことに悲痛な、血の叫びにも似たほどのこういう差別に対する怒りであり、苦しさであり、悲しさだろうと私は思います。こういう痛みを受けて、こういう差別に対しては、政府がその解消のために国民的課題として総力を挙げて取り組むのだということで今日まで来たのですが、いかんせん、残念ながら今申しましたように差別が非常に悪質化しておる、先鋭化しておる。こういう事態をもっと率直に見て、差別の完全解消ということのために勇気を持って、行政も、国も、住民も、国民全体が挙げて立ち向かっていかなければならぬ、私は実はそう思うわけでございます。  したがって、そういう意味ではこういう実態の調査をもう一回やったらどうだろうかという要請があるのですが、政府はなかなかかたくななようでございます。この前やったのは一九七五年、それ以来調査も何もやっていない。もう一度こういう差別に対する全面的な実態調査、これは環境面だけではなくて、生活、産業、雇用、労働、福祉、健康あるいは教育、もうすべての面にわたって総合的に、計画的に、こういう差別の実態調査をやはりやるべきだ。やらなければならぬ。そういう中で、こういう差別意識の実態まで含めた調査をやるその必要性がある、一遍やったらどうですかということが一つ。  それから、そういうことをやって、その上で例えば我が党は同和対策基本法、こう言っているのですが、今冒頭申しましたような国際的な人権擁護の一つの大きな流れがある。人種間の差別はもとより、同族間、お互いの民族の中にありましてもいわれなきそういう差別のために泣き、苦しみ、そのことのために今までもという悲惨な状態にある者がある。まことに残酷な状況にある。そういうものを払拭する。差別の完全解消をする。そのことのために、我が党は同和対策基本法と言っておりますが、つまり今申しましたような、学に環境改善に役立つだけのものではなく、教育、産業、労働、雇用、福祉、文化、すべてのものを網羅した将来にわたる基本法の制定ということが必要なときが来た、私はそう思いますので、実態調査と基本法の制定につきまして政府のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  147. 中西一郎

    ○中西国務大臣 実態調査につきましては、お話のように特定の様式といいますか、全国的な調査をやった事例は御指摘のとおり出でございます。それで今問題は、特にソフトの面ということで御指摘のとおりでございますから、その調査方法というのは大変個別的、具体的でなければならないわけでございまして、その点については法務省あるいは警察庁、いろいろな角度で把握していただいておりまして、我々の方も法については了知しております。  なお、それをもう一歩進めて新たな調査というお話がございます。しかし、それを一体どういうふうにやるのだということになりますと、よほど詰めてかかりませんとできないのでございまして、地域改善対策協議会でも検討していただいておりますので、その検討を我々としては促進して、善処してまいりたい、かように思います。  また、基本法というお話がございましたが、これも絡みがあるのですが、たくさん基本法がございますけれども、ちょっと性格が違うのじゃないかという気もいたします。憲法で、差別をなくするという基本的人権の問題はうたっておりますし、世界人権宣言もございますし、いわゆる基本法、日本の国内法体系よりももっと重いものがある、それを受けて基本法ということになると、法律技術的にどういうことになるのだろうかということも少し詰めさせていただきたいと思うのでございます。
  148. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  149. 井上普方

    井上(普)分科員 けさほども山口鶴男議員質問いたしたと思うのでございますが、このごろ私ども先輩のお葬式に出てみますと、正何位、勲何やらというわけですな。私は余り興味ないのだけれども、あれ、あの人は長いことやっておったのに勲三等と思えば、短くて大したことなかった人が勲一等になっている、おかしな話だなと思いながら、実はお葬式で焼香を上げながら、お坊さんのお経を聞きながらそういうふうなことを考えている。えらい行政府優位の位階勲等の贈与が行われているんじゃないかなという感がしてならないのであります。  例えて言いますれば、国政の最高機関と言えば国会である。国会の最高代表は議長である。その議長さんの経歴が、四年もやった議長さんが三年くらいやった総理大臣よりも位階勲等のもとで下である。おかしげな話だなと思いながら、実は疑問を持ちながらおるわけなんです。どんな基準をつくっておるのか、お示し願いたいのですが、どうです。
  150. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 お答えします。  昭和三十九年四月二十一日に閣議決定しました叙勲基準がございまして、「内閣総理大臣衆議院議長参議院議長及び最高裁判所長官の職にあって成績があった者に対する初叙はこれは初めの叙勲ということでございますが、「ひとしく勲一等瑞宝章とする。」かようになっております。
  151. 井上普方

    井上(普)分科員 瑞宝章とするというのだけれども、ここに一つ言いたくはないけれども、言わなければしょうがない。前に亡くなられた池田元総理は何等であったのか。あるいはまた船田中衆議院議員は、あの人は四年衆議院議長をやられた。そして議員歴といたしましても、片方は何年ですかな、これまた十五、六年である。船田さんはたしか四十年ぐらいやられておる。しかも見ていると船田さんの方が池田さんよりも下である。どうも私には合点がいきかねるので、一例を挙げて話さなんだら――衆議院議長あるいは総理大臣、最高裁判所の長官は勲一等瑞宝章だ、こう言っておるけれども、どうもそこらに差があるのでお伺いします。
  152. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 叙勲の基準につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、実際の叙勲をどうするかということになりますと、叙勲の候補者、対象になるお方の生涯の功績を精査いたしまして叙勲しておる次第でございまして、お尋ねの叙勲についてもそういうふうにやっております。
  153. 井上普方

    井上(普)分科員 そこで、そうするとあなた方は生前の功績というのはつかみでやっているということなのか。衆議院議長を四年やって、そうして議員歴も四十年も長いことやられておる。当然いいところの勲章をもらうのだろうと私思ったら、総理大臣をやった人より悪い。どうも生前の功績というのはどんな功績があったのか私らにはわからない。つかみでやっているのではないか。行政府優位の叙勲が行われているんではないかと疑問を私は持つ。  具体例を挙げようと先ほど挙げたのだ。池田さんと船田さんとどうしてそれだけ違うのだ。両方とも立派なんでいい勲章を、私は興味ないけれども、上げていいだろうと私は思うのだけれども、差をつけている。仏さんは天国へ行って、おいおまえの方がわしより上だったというようなことになって、これは勲章の比べ合いをすることもあるだろうと思う。おまえ、そうするとおまえは生きておった間に役人どもにおべんちゃら使ったからいいのくれたのかいなと閻魔さんの前で言うことになるかもわからぬ。ともかく基準というのがどうなっているのだ。それが至るところでそうなっているのだ。このごろ先輩諸君のお葬式に行ってつくづく感ずるから私は言う。勲等だけでなく位階もそうだ。位階勲等というのは興味ないけれども、世の中の人がそうもとらぬだろうと思う。一体どうなっているのだ。基準というのがあるなら、基準というのを我々に出してもらいたいのです。
  154. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 基準は先ほど当初に御説明したとおりでございまして、それで生涯の功績について前例に徴してやる、非常に慎重に公正に叙勲の等級を決めておるわけでございます。
  155. 井上普方

    井上(普)分科員 それだけ言われて、あなたの意見をはいそうですかと言って信用できるかというのだ。昔、売勲事件というのがあったのだよ、勲章を金で売ったこともあるのだよ、日本では。だから私は言っているのだ。一体どういうように公正にやられておるのか。公正じゃないなと私は疑問を持つから言っている。昭和初年には売勲事件というのがあったのだよ。しかもそれだけじゃない。ともかく行政府優位の叙勲が行われているんじゃないだろうか、こう思うので、私はあえて聞いている。どうなんです。あなたの言うように、公正にいたしております、当たり前の話だ。行政というのはすべて公正をもって旨としなければならぬ。具体的に私は聞いているんだ。具体的に名前まで出したくなかったけれども、出して聞いているんだ。どうなんです。
  156. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 前例に徴しまして、慎重に公正に叙勲の執行をいたしておるわけでございまして……。     〔与謝野主査代理退席、大出主査代理者席〕
  157. 井上普方

    井上(普)分科員 前例に徴して公正に――公正に行政というのはやらなければならないのが当たり前の話なんだ。それに疑問を持つから言っているのだ。それで、嫌だけれども例を挙げて、私は今出したでしょう。違うでしょう。どうして違うのだと言って聞いているんだ。
  158. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 個別の問題について一々どこがどうだというお話は非常に困難でございますので、遠慮させていただきたいと思います。
  159. 井上普方

    井上(普)分科員 だから、私は言いたくないけれども、あなた方、公正にやっていると言うけれども、公正と見えぬから一例を挙げて言っている。行政府優位に立ったような叙勲が行われているのではないか、こう言っているのですよ。だから、基準をひとつお出しなさいよ。位階も同じだ。位階の方はどうなっているのです。
  160. 中村徹

    中村(徹)政府委員 位階につきます基準につきましては、従三位以上の方につきましては特別詮議というので個別的にやっておりますが、正四位、従四位、正五位、従五位等につきましては、例えば正四位につきましては当選八回以上の方、在職十四年以上の方、従四位につきましては当選五回以上、在職八年以上の方というような基準をそれぞれ設けまして擬叙をさせていただいております。
  161. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 繰り返しになりますが、内閣総理大臣衆議院議長参議院議長または最高裁判所長官の職にあって成績のあった者に初めて授与される勲章はひとしく勲一等瑞宝章、また国務大臣衆議院議長参議院議長または最高裁判所裁判官の職にあって成績のあった者に初めて授与される勲章はひとしく勲二等瑞宝章とする。それから国会議員のもございますので……。
  162. 井上普方

    井上(普)分科員 わかった。それは後で書類にして出してもらいましょう。いいですな、長官。  そこで、船田中さんは何だったのです。
  163. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 勲一等桐花大級章でございます。
  164. 井上普方

    井上(普)分科員 池田さんは。
  165. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 大勲位菊花大綬章であります。
  166. 井上普方

    井上(普)分科員 さあそこで、片方は三年、片方は四年。四年の方がこれは低い。議員歴はと言えば、片方は十六年、片方は四十何年。なぜ出たんだろう。片方は同じように衆議院議長だよ、四年もやっている。違ってきている。どうしてだろうかという疑問を私は持たざるを得ないのです。それで聞いているのだ。公正にやってもらいたい。やるのは当たり前なんだよ。個別の事案だから言えないと、こう言う。個別の事案だけれども、言えないけれども、大勲位でしょう。これは大勲位の大綬章でしょう。  そうすると、瑞宝章から一ランク、二ランク、三ランク上なんだよ、池田さんは。そうすると、片方の勲一等は、船田さんは、議長さんで一つ飛び上がっただけだ。一体どうしてこうなっているのだと言って、実は私は疑問に思うから聞いているのだ。この点、ひとつお伺いしたいのです。
  167. 柳川成顕

    ○柳川政府委員 船田先生それから池田総理、それぞれ生涯の功績について叙勲されたわけでございまして、個別の問題についてそれぞれどうこうと言うことをこの席で御遠慮させていただきます。
  168. 井上普方

    井上(普)分科員 だから行政府の長官の方を優位に思っているんじゃないか。憲法の規定では、国の最高機関は国会である。国会議長さんの方が上でなければならぬと私らは思っている。それがひっくり返っておるので、一体どうなっているのだと。個別の問題だから言えぬとおっしゃるけれども、個別の問題で、それでともかく二階級違う。ここに問題があると思う。まあ私は余り興味はないけれども、ここらあたり公正にしてもらうために、ひとつ基準を出していただきたい。長官、よろしいな。
  169. 中西一郎

    ○中西国務大臣 叙勲基準につきましては、先ほど局長からも答弁しておりましたが、昭和三十九年四月二十一日の閣議決定がございます。ここに印刷物がありますので、これをお渡しします。  なお、国会が国権の最高機関であるということ、お話しのとおりでございます。そういった点について配慮せよというお気持ちは十分尊重してまいりたい、かように思います。
  170. 井上普方

    井上(普)分科員 ともかくその気持ちを尊重していきたいというなら、その叙勲規定それ自体もひとつ考えてもらいたい。よろしゅうございますな。  長官、お約束になっていただいたと理解して、次の質問に移ってよろしゅうございますな。
  171. 中西一郎

    ○中西国務大臣 ちょっと約束はしかねるのですけれども、検討させていただきます。
  172. 井上普方

    井上(普)分科員 ともかくそういうことで、国の最高機関であるということをお考え願いたい。  続いては、まだたくさん言わなければならぬことがあるのでお伺いするのですが、この間私は代表質問で、石橋委員長が婦人差別撤廃条約は来年がめどだからそれまでには国内法を整備して来年は批准、こういうようなお話があったのに触れましたが、まことに結構な話だと思うのです。国内法の整備は今どんなに作業が進んでおるのですか。
  173. 禿河徹映

    禿河政府委員 婦人差別撤廃条約の批准の問題につきましては、御承知だと存じますが、昭和五十六年五月に婦人に関する施策の推進のための国内行動計画というものの後期重点目標を政府と申しますか、婦人問題の企画推進本部が決定をしたわけでございますが、その中におきまして大きな目標は、その批准のために国内法制等諸条件の整備に努める、これを重点課題として取り組んでまいったわけでございます。  それで、全般的なあれといたしましては、来年中にはこれを批准に持っていこうということで、関係各省鋭意努力をしていただいておるわけでございますが、内容といたしましては、現在国籍法の改正の検討が進んでおりまして、法制審議会から去る二月に、子供の国籍の取得に関しまして、現行の父系血統主義を父母両系主義にこれを改めるというふうな内容の報告が提出されておりまして、近くこの改正法案を提出するという運びになろうと存じております。  それから、大きな問題でございます雇用におきますところの男女平等を確保するための方策というものもいろいろ検討が加えられておりまして、現在労働省の婦人少年問題審議会におきまして、その法制整備について検討が重ねられております。その審議の結果を待ちまして、労働省から関係の法案を提出する、こういうことで鋭意作業をしておるところでございます。  それから、例えばまた文部省におきましては、家庭科教育についての検討がなされておりまして、高等学校の家庭一般の履修方法をどうするかという問題につきまして、他教科との関連などもございますので、教育課程全体の中での検討が必要というところで文部省が今検討をしておるところでございまして、私ども総理府といたしましては、先ほど申しましたとおり、六十年中にこれが批准ができますように、関係各省とも連絡を密にしてその方向の推進を図ってまいっておる、こういう状態でございます。
  174. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、問題になっております国内法の整備等が六十年度にはきちっとできるという本会議での総理大臣答弁であった。今挙げられておるのは、国籍法さらにはまた男女雇用平等法か、これはILOで百六十五号の勧告が今から四年か五年か前にあったはずなんだ。それについても実はできてないんだが、これは完全に来年中には出しますな、法律として。
  175. 禿河徹映

    禿河政府委員 先ほど御答弁いたしましたとおり、現在労働省におきまして審議会の審議をお願いをしておりまして、それを踏まえまして、労働省といたしましても六十年批准に向けてやれるようにその体制整備を図りたいと今努力をいたしておるところでございます。
  176. 井上普方

    井上(普)分科員 総理大臣は、来年に向けて国内法の整備を行いますときちっと言っているんだよ。だから、この法律を来年出すのかどうか。そのことを、国内法ができてないからということで、整備ができてないからというので批准を延ばしておるはずだ。だから私は聞いているんだ。来年までに必ずやりますな、こう聞いておる。
  177. 禿河徹映

    禿河政府委員 総理も答弁で、できるだけ六十年に批准ができるように政府としてやりたい、こういう御趣旨の御答弁をなさっておるのを存じております。  それで、例えば雇用の平等法につきましては、今申しましたとおり鋭意検討いたしておりまして、できれば今国会会期中にも法案の提出をいたしたいということで、労働省が今いろいろ努力をいたしておるところでございます。
  178. 井上普方

    井上(普)分科員 今国会中に提出されることを私は期待いたしまして、この男女雇用平等法のことについては了解いたしましょう。  続いての問題といたしましては、学習指導要領の改定だ。これはおかしな話で、中学校においては男は二単位、女は三単位になって、必修になっているらしい。私のおいがこの間来て、何かやっている。何をやっているんだ、お前何だそれ、ぞうきんみたいじゃないかと言ったら、ええ、ぞうきんです。ぞうきんをともかく縫うことも家庭科なんだって。小学校の五年か六年か、一生懸命やっている。こんなのが家庭科か。大臣、どうだい、常識で考えて。これが家庭科だそうだ。その二単位の一つなんだって。おかしな話だな、常識から外れとるぞと思った。男の子が運針をやっているんだ。それが家庭科の必修ですよ。どう思いますか。あなたもこれは古い、生まれは明治か大正の初期だろうと思うのですが、私らもちょっと理解しがたいような、そんなことがやられている。今学習指導要領の改定とおしゃったから私はあえて聞くけれども、中学校においてもやるのですよ。どうです、大臣、そういうことを知っていますか。
  179. 中西一郎

    ○中西国務大臣 余りよく知らないのですけれども、ぞうきんを縫っているというお話でございますが、私なんかも子供の時分から下宿、寮に入ったりして、ボタンつけとかちょっとした縫い物ぐらいはできるように実はなっておりまして、軍隊でもやらされましたし、だから基礎的な、ちょっとしたぐらいのことは学校でも教えてもいいんじゃないかという気もいたします。といって、そんなことばかりやっておったのではまた困りますから、多くの中の一つとしてそういうことがあっても悪くはない、むしろ僕自身の経験から言うと、あった方がいいんじゃないかなという感じがしないでもございません。
  180. 井上普方

    井上(普)分科員 それが家庭科なんだ。だから子供はもう嫌になっちゃうんだな。おれが何だいぞうきんかいと言ったら、うん、ぞうきんだ。何だと言ったら、学校の宿題だと言って、男の子が一生懸命やっている。これが必修なんだそうだ。それは直さなければならぬ事柄があると思いますので、ここらあたりも、それが男女平等だとは私は思わぬから、ひとつ十分ななにをやっていただきたい。  それから、これは中間報告という婦人局からもらった資料があるのです。出したらいかぬらしい極秘の文書らしい。こんなのが出てきているのです。ほおというので、私もこれはコピーにしておこう、出したらいかぬやつが出てきておるのだから。それをもらっているんだけれども、どうもまだまだ直さなければならない、国内法の整備を十分にやらなければならないのがたくさんあるらしい。一例を挙げれば民法の改正。民法の改正もあれば、あるいは住民登録における世帯主の認定基準を定めた法務省通達、自治省通達の改正、こんなのもできてないらしい。たくさんあるけれども、いずれにいたしましても男女平等というのはわれわれ決めているのだから、それを中心に物事を変えなければならないが、特に男女雇用平等法のみならず、労働基準法も変えなければいかぬでしょう。こういうような点があるが、これらの問題、これはおたくの方でたくさん出しているんだよ。婦人局で出しているんだが、それらの問題をともかく全部そろえて、来年に備えていただきたいと思うが、お約束できますか。禿河さん、どうです。
  181. 禿河徹映

    禿河政府委員 私どもといたしましては、関係各省を督励いたしまして、来年の条約批准に向けまして、国内の諸法制の整備等鋭意図ってまいりたいと考えております。
  182. 井上普方

    井上(普)分科員 とかく条約については国内法が整備できてないからと、こう言って批准をやらないことがたくさんある。批准はしたけれども、国内法はやがて整備いたしますと言ってサボっておるケースもある。ないというなら言おうか。生物化学兵器禁止に関する条約について、国内法なんというのは全然できてないんだよ。総理大臣が国連へ行くのに格好が悪いというので批准だけは済ませてしまって国内法をサボっているというケースがある。これだけじゃない。あなた方はこういう点を、特に国内法が整備してないからといって批准が行われないようなことがあってはならぬと思う。この点はそういうことはありませんとお約束できますか。長官、どうです。
  183. 中西一郎

    ○中西国務大臣 先ほど来御答弁いたしていますが、六十年という年は最終年でございます。どうしても間に合わせる必要がある。先般も五十名ばかり男女差別をなくする雇用平等法の問題でお集まりをいただきまして、そこへ総理も出られまして何とかするという言明をしておられましたが、私からもここで、間に合わせるように国内法制の整備をしてまいりたいということをあわせて申し上げておきます。
  184. 井上普方

    井上(普)分科員 以上で終わります。
  185. 大出俊

    大出主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 公明党の鈴切康雄でございます。  分科会でございますので、時間の制約がございますから簡明に御答弁を願えればいいと思います。  きょうは、動物の保護及び管理に関する法律に関係して、このところ社会問題化してきておりますところのペット、なかんずく犬、猫等の問題について御質問を申し上げたいと思います。  実は昭和四十八年に動物の保護及び管理に関する法律が制定されました。そのときの法律案は実は議員立法ということで、起草に当たりましてはここにおります主査初め各党の同僚議員と一緒に話し合いまして、私も提案者の一人として努力した経緯がございます。法律ができてからちょうど十年になりますけれども、近年野良犬や野良猫が非常にふえてきておりまして、犬、猫の苦情処理についても各地方自治体がその対応に苦慮しておるということでございます。猫公害などという言葉も生まれてきているわけであります。  そこで、まず総理府としてはこれら犬、猫の苦情の実態はどのように掌握されておるか。また総理府としては、何らがこれに関連して世論調査が行われておるとするならばその内容をお知らせ願いたいと思います。     〔大出主査代理退席、与謝野主査代理者席〕
  187. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 ただいま鈴切先生の方から最近の犬、猫の苦情の実態等のお尋ねがございましたが、犬、猫の苦情の実態の把握というのは非常に難しい問題でございますが、犬につきましては二十五の都道府県がデータを収集しておりまして、それによりますと、五十八年で約十三万件と聞いております。  その中身でございますが、苦情の主なものを申し上げますと、野犬等の捕獲要請、飼い犬の引き取り要請、それから犬の放し飼い等があるというようなものがその主な中身でございます。  猫については、都道府県でそういう情報をとっておらないのでございますが、先ほど先生からお話ございましたように、私ども総理府で動物保護に関する世論調査を五十七年六月に行いました。その結果によりますと、猫に関してはごみ箱などを荒らされたという方々が四〇%ぐらいあるとか、それから鳴き声がうるさかったとが食べ物を盗まれたとかふんをされるなど家や庭を汚されたとか、こういった苦情等がございます。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 犬につきましては狂犬病予防法が徹底されておりまして、犬の登録、予防注射、抑留等の処置がとられていたため、狂犬病は昭和三十一年以降発生はしなくなってきておりますけれども、それでも捨て犬をするとかいうことは後を絶ちません。総理府がまとめられた犬、猫の引き取り状況の全国の合計数の昭和五十一年度から五十八年度の統計を見てみますと、実は犬は毎年五十万匹以上引き取られておりまして、猫は五十一年度が八万五千匹であったのが五十七年度には二十一万匹と急激にふえているという状況であります。  引き取られた犬、猫は欲しい人たちにあっせんをしたり研究機関に引き渡しをしたり、残りは処分をされているわけでありますけれども、引き取られた約九〇%は処分に重点が置かれてしまっているという実態であります。飼い主の適正な保護管理がないからふえるわけでありまして、もらい手がないから捨てるあるいは捨て犬、捨て猫をする人がいるから野良犬や野良猫がふえるという堂々めぐりをしながら、その犬、猫は大半が確実に実は殺処分されているという状況であります。これでは動物愛護の精神に反するばかりか法律制定の目的にも反することになるのではないかと私は思いますけれども、総理府としてはこの問題にどう対処されているでしょうか。
  189. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 犬、猫の引き取り状況につきましては、先生ただいまお話しのとおりまことに残念な状態でございます。この動物の保護と管理に関する法律によりますれば、先生御存じのとおりに、もし飼いますと、終生飼養するあるいはみだりにふえないように不妊等の手術を行う等のことが決められておるわけでございますが、御指摘のとおりに一部に不適正な飼養を行う飼い主の方々が往々にして見られまして、それが野良犬あるいは野良猫の発生という原因にもなっておるわけでございまして、私ども非常に残念に思っているわけでございます。  先生御指摘のように、こういうものの発生がないようにするためにはやはりもとから断たなければいけないということだろうと思いまして、私どもとしましては、関係の省庁あるいは地方公共団体あるいは民間の動物愛護団体、こういうところと一体となりまして、機会を見ながら、例えば動物愛護週間等ございますが、終生飼養するとかあるいは不妊手術の奨励、こういった面の動物愛護の精神の浸透を図っていくということで従来も対応してまいったのでございますが、このような事態もございますので、なお一層今後とも努力をして、動物愛護精神の浸透に努めたいと思っております。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いわゆる法律が守られているならばそういう事態は起こらないわけでありまして、確かに不注意の人たちが多いということはそのとおりだと思うのですけれども、よく見かける例といたしまして、幼児たちの情操教育にかわいい子犬や子猫の絵本などがよく使われております。その子供たちが捨て犬とか捨て猫を拾ってきて、実は小さいうちはかわいがるわけでありますけれども、一年もたつと急に大きくなってほうりっ放しになる。発情期になりますと雄とか雌はともに落ちつきを失って御存じのとおりすさまじい鳴き声を上げて騒ぐ。ついには飼い主の手に負えなくなってしまう。そして飼育が面倒だ、たくさんの子を産んでは困るからといってもらい手がなければ捨てられてしまう。これでは動物愛護の精神に反するばかりでなく、生命軽視の風潮を生み、情操教育にも反することになるのではないか、私はこう思います。学校教育の場においても、またはPTAにおいても大や猫を含めた動物の責任ある飼い方を指導すべきではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  191. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  小中学校においても動物愛護の教育についてはそれぞれの発達段階に応じてやっておるわけであります。特に理科、道徳、こういったところが中心になるわけですが、理科では例えば生物の食べ物だとか成長だとか形態だとか、こんな学習が主なものでございますので、その際に動物の飼育の仕方あるいは動物愛護の態度、こういったものを養うように心がけておるわけであります。なお、道徳などでも、小学校の場合であれば、例えば優しい心をもって動物や植物を愛護するというのがわざわざ指導項目に入っておりますので、実際に道徳の副読本などには動物を題材にした物語などを扱いながら、こういった動物愛護の精神をやっておるわけであります。  それから、最近やはり学校などでも随分動物を飼育するケースが多くなりまして、五十二年に調査したところによりますと、これは動物の飼育だけではありませんが、植物の栽培も含めて、全国で六七%の学校がそういった活動を子供にやらせておる、こういう結果も出ておるわけであります。  なお、こういった問題については、その徹底が図られるように今後とも指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 特に猫の飼育については、例えて言うならば、東京都の条例では第八条に「ねこの飼養」という段がございます。それはたった一行だけしかとらえられていない。その中に、「飼い主は、他人に迷惑をかけないように飼養するよう努めなければならない。」というふうにあるわけでありまして、これでは条例があるといっても実際にはないに等しい状況であります。  結局、犬や独自体の問題でなく、飼い主のモラル、責任の問題であると私は言えるのではないだろうか。現に、犬や猫を捨てたら罰金約三万円ですね、罰金が三万円以下という罰則規定があることすら実は知らない人が多いわけです。また、先ほどお話がありましたように、去勢手術とかあるいは不妊手術をしているところは、総理府のアンケート調査を見ますと、犬が大体一〇%、それから猫が一六%しかありません。なぜ手術をしないかという理由については、大変に面倒だ、それから非常にかわいそうだ、手術の費用が非常に高い等を実は挙げております。やはりもっと飼い主に対する責任の明確化や不妊手術の義務化を促進して、せっかく罰則規定というのもある以上、それを実効あらしめるようにして、捨て猫、捨て犬がないような、言うならば動物愛護をやはり日本の国としてももっと真剣にやるべきじゃないだろうか。  そういうことから、実はこれが昭和四十八年に議員立法で制定をされたときに、かなりの省庁にまたがる問題がありまして、国としてはなかなか法律をつくるについては難しい問題であった。しかし、せっかくこの法律ができた以上は、やはり監督官庁である総理府が中心になって地方公共団体への行政指導を強化をしていかなくちゃならぬだろう、こういうふうに私は思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  193. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 確かに、例えば不妊等の手術についてはいろいろ規定等ございますが、先生のお話のように、世論調査の結果等では一〇%あるいは十何%という低い形であるわけです。これは低いかどうかというのはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、やはり飼い主の責任というものは動物の保護及び管理に関する法律の四条にも規定がございますし、去勢、不妊手術につきましても同法の九条に規定もございます。そういった意味では、こういった不心得なことが起こらないように国民の間にこの考えを浸透させなければならないということは全くそのとおり、先生のおっしゃるとおりだと私も思っております。  直接のデータではないんですけれども、例えば同じ世論調査の結果によりますと、動物の引き取り等につきましては七〇%の国民が大体知ってくるようになってきまして、若干その周知度というものがこのところ上がりつつある傾向にございます。そういった意味におきましても、いわゆる愛護の精神の重点的な周知を、先生のおっしゃいましたように、遺棄をしないとか、それからみだりに動物の繁殖がないように不妊手術をするとかいった面に広報の重点を移していって、都道府県あるいは愛護団体とも協力しながらそういうことをやっていく必要があろうかと思っております。また今後とも努力してまいりたいと思っております。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いわゆる引き取られた動物については、実際にはもう九〇%処分されてしまうということになってしまっておりますが、私は無用の殺生をしないためにも犬、猫と人との共存を保つためにも、やむを得ない場合においては不妊手術しかないだろうというふうな感じがしております。  そこで、犬、猫の不妊手術の料金なんですけれども、これは規定料金とかそういうものはないんでしょうけれども、通例どれくらい、雄と雌とで大分料金が違うように聞いておりますけれども、どういうふうに把握されておりますか。
  195. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 犬、猫の去勢、不妊手術の料金でございますが、先生今御指摘のように犬と猫によってもまた違いまして、雄と雌によってもまた非常に違う。それからいろいろ手術をするにしましても、やはりある意味での健康チェックとかそういう事前の検査等も何か要るようでございまして、何か料金がさまざまのようでございます。例えば犬につきましては、私どもが知っている範囲では雄が八千円から二万円くらいというふうに聞いておりますし、雌は一万円から三万円くらい。雌の方が高いようでございます。それから猫につきましては、雄が七千円から一万五千円くらい、それから雌はやはり高くて一万五千円から二万五千円くらいというふうに聞いております。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 ですから、標準料金は実はないわけですけれども、どちらかというと、不妊手術については非常にお金がかかるということになっております。  不妊手術をすると、発情期のすさまじい鳴き声や攻撃的な性質も落ちついて非常に穏やかになるので私は有効な手段だろう、またやたらにどんどんとふえていって人間に害を及ぼすということもない上においては、私はそれはそれなりに有効であろうと思いますが、今申し上げましたように手術料が高いために飼い主が獣医のところに連れていかないという問題も実はあります。  さらには、手術料なども今お話しありましたように、数千円から数万円と実は一定をしておりません。不妊手術を希望する飼い主に対してはもっと安い料金で手軽に手術を受けさせるという方途を考えるべきではないかというふうに実は私は思うのです。一部の市においては、実は先着順で何名までは補助をするというような限られた予算の中においても配慮されているという市もあるわけでございますから、そういう意味において手軽に手術を受けさせる方途というものを何らか考えていかなければいけないのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうお考えでしょうか。
  197. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 犬、猫の不妊手術といったものは、一義的には飼い主の責任だということではございますが、先生おっしゃいましたように、そうは言ってもやはりいろいろと料金の問題等があってなかなか難しいことになっているのじゃないかということでございますが、確かに犬、猫を持って行って手術をしてもらうという立場から言いますと、もっと安い料金であってほしいと私ども思うわけでございますが、獣医師の方のお話をお聞きしますと、ただ単に、人間と違って犬、猫だから安いというわけではなくて、これは持ってきた犬、猫の体をよく見て、そしてそれに応じた手術等をしなければならないので、それはそれなりのお金がやはり必要なのだというお話もございます。ただ、やはり先生がただいまおっしゃいました地方での例も私ども知っておりますが、そういった形で何らかの方法が考えられまして、大勢の方が飼っている犬や猫が不妊手術が手軽にできるように、私どもいろいろ検討させていただきたいと思っております。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 動物を愛護するという精神を大事にしなくちゃいけないだろう、住民と一番密接な関係にあるのはやはり今条例にゆだねられている区とか市とか町村ですから、私は町会に、例えばこういうふうなことに対する回覧板を出すとかあるいはバス、電車等にポスターを張り出したり、あるいは不妊手術とか去勢手術のPRを自治体がもっと積極的に行うように、この点監督官庁である総理府としても何らか指導すべきじゃないかと思うのですが、その点は……。
  199. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 この動物の保護及び管理に関する法律で一番基本的なのは、やはり動物の愛護精神の国民に対する普及といいますか、浸透が一番大切だと思っております。その意味では、先生おっしゃいましたように、一番住民と身近におられる地方公共団体、こういったところでの広報が非常に重要な問題であると私ども承知しておりまして、都道府県等に対しましては、例の九月の二十日から二十六日の動物愛護週間の行事のとき、あるいは狂犬病予防注射においでになったようなときとか、そういった機会をつかまえて、動物愛護につきまして国民の認識を深めていただくとか、あるいはもっと具体的な話になりますと、先ほどの不妊の手術であるとか、遺棄をしないようにするとか、そういった広報をお願いしております。また、それにつきましても都道府県等に十分申し入れをいたしまして、御協力を願いたいと思っております。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 厚生省にお聞きいたします。  一月二十二日の朝日新聞で、埼玉県の動物指導センターの職員が猫の寄生虫について調査をした結果が報道されております。それによりますと、二百六十八匹の猫のうち、約八割に当たる二百十二匹が寄生虫に実は汚染されているということが発見されまして、しかもその寄生虫の十二種類のうち十種類は人畜共通の寄生虫であるとのことが報道されています。公園の砂場などで動物がふんをした後の土を子供がいじって、何らかのはずみで子供の口へ寄生虫の卵が入り、感染することが多いとまで言われております。野良犬、野良猫等が各地で問題となってきている現在、厚生省はこの寄生虫の問題をどうお考えになっているのか、また対処方針をどう考えているのか、人体に及ぼす影響への調査はどうなっているのか、その点について厚生省にお聞きします。
  201. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  先生御指摘の、埼玉県の動物指導センターが実施した猫の寄生虫の保有実態調査結果の内容については、私どもも承知しているわけでございますが、この種の報告例につきましては比較的少なく、全国的な傾向というようなものはまだ十分明らかになっていないような状況にございます。御承知のように、寄生虫と申しましても、種類によりましてさまざまな発育ステージを持っておりまして、卵から幼虫、成虫と発育する過程で、いろいろな生物が関与しているわけでございます。その中で、人や犬、猫に寄生する寄生虫も多いわけでございますけれども、私ども人の健康ということを考えた場合に、犬や猫の寄生虫の感染が人への感染源となるということが非常に重要であると考えているわけでございます。  そのような考え方に基づきまして、実は本年度から全国九地区におきまして、日本獣医師会であるとか大学等の協力をいただきまして犬、猫の回虫症と特に動物から人に感染するおそれのある疾病につきましての感染実態に関する調査を行っているところでございます。これらの疾病の人への感染防止をする上では、やはりどうしても動物の健康管理と適正な飼養というような感染防止対策が何より重要だというふうに認識をいたしておりますし、私どもといたしましても、これらの調査結果を踏まえまして関係省庁とも十分御相談の上、動物対策のあり方について検討してまいりたいと考えているわけでございます。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 厚生省はそういうことで前向きに取り上げていただかないと、寄生虫から人体に及ぼす影響というものについてははかり知れない問題が出てきます。また、言うならばどういう病気が出てくるかわからないわけでございますから、これはぜひやっていただきたいと思います。  こういうふうにして、苦情問題が犬、猫の問題については大変に大きな社会問題に実はなっておりますし、法律的には動物の保護及び管理に関する法律があり、都道府県においてはいわゆるペット条例というものが置かれております。しかし、現実はその条例だけでは対処ができないから、このような公害問題にまで発展をしてしまっておるわけであります。そこで、監督官庁である総理府としては何らかの規制強化あるいは行政指導をしなければならない状態だと私は思いますけれども、動物保護の審議会というのがございましょう。この動物保護の審議会については、今まで審議会を設けるということになっているわけですが、こういうふうな問題が審議されているのかどうか、あるいはまた、今後審議会にこういうものを総理府としては諮問をされて審議してもらうというふうになるのか、その点についてはどういうふうにお考えでしょう。
  203. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 動物の保護及び管理に関する法律の第四条第二項に「動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。」というのがございまして、動物保護審議会では昭和五十年四月二十五日に犬及びねこの飼養及び保管に関する基準、これを定めることについて内閣総理大臣あてに答申が出ておりまして、これを受けまして昭和五十年、総理府の告示で犬及びねこの飼養及び保管に関する基準が告示されております。この基準は、犬、猫の健康及び安全の保持あるいは人への危害防止、それから生活環境の保全、それから繁殖制限及び譲渡または引き取りについて規定がございます。それによりますと、犬または猫の所有者は、犬または猫の本能、習性及び生理を理解し、家族同様の愛情をもって保護するとともに、責任を持って飼養及び保管に努め、終生飼養するように努めることという内容になっておりますが、こういう告示も出ましたので、折に触れまして都道府県等には指導しておるのが現状でございます。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 やはりこういう非常に重要な問題については審議会に諮り、そしてまた総理大臣に意見を述べることができるということでございますから、こういうふうなことが公害の状況になっているという状況ですから、審議会も総理府の諮問を受けて何らか対処をしないといけないのではないかという感じがいたします。  一月十二日の新聞には、都内で唯一狩猟が許可されている西多摩郡内で、昨年十一月十五日に狩猟が解禁になって以来、置き去りにされた猟犬が三十匹も捕獲され、また、昨年中は五十匹にも達しているという報道が実はなされております。狩猟に合わせて猟犬を購入するが、訓練もしないので役に立たない。結局置き去りにして、また新しい犬を買う方が飼育費がかさまなくてよいという理由らしいけれども、ここにも飼い主の身勝手さや動物に対する愛情不足があらわれております。  また、一月十三日の新聞でありますけれども、宇都宮市の動物園で飼育していたライオンがふえ過ぎて、もてあました動物園側は動物商を介して雌ライオン二頭を都内の獣医畜産大学に引き取らせ、殺処分にしたことが報道されておりました。これも同じく動物に対する愛情不足のあらわれであると思います。  捨て犬、猫に限らず、これらの報道に象徴されるように、飼い主の身勝手さや無責任、動物に対する愛情不足が如実にあらわれた状況ではないかと私は思います。現代の風潮の中で、動物の保護及び管理に関する法律昭和四十八年に制定されたけれども、具体的な管理方法などについては都道府県のいわゆるペット条例などにゆだねられております。しかし、条例といっても、結局は飼い主の倫理の問題であり、動物の取り扱いについてはその取り組ませ方が少し弱いんじゃないかというように私は思います。動物愛護の精神にのっとって、その監督官庁である総理府としては、もっとこの問題について具体的に対処をしなくてはいけないだろう、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、時間の都合がございますので、この御答弁を願った上において、今まで質疑されておりました動物愛護並びに捨て犬、捨て猫の公害問題について今非常に社会問題になっているということについて、監督官庁である総理府としては、総務長官としてはどのように取り組まれるか、最後にお伺いをしたいと思います。
  205. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話を伺っておりまして、私不案内な点も大分ありましたが、大変勉強になりました。ありがとうございます。  動物の愛護ということは、自然界全般、人間に対する愛ということにも通ずる問題でもございましょうから、これをあだやおろそかに扱ってはいけない。文部省からも御答弁ございましたが、教育の面におきましても、また自治体の条例の運用の面におきましても、先生おっしゃったようなことをよく踏まえて我々監督官庁として勉強してまいりたいと思います。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 以上をもって終わります。
  207. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  208. 山原健二郎

    ○山原分科員 シベリア抑留者に対する国家補償問題についてお尋ねをいたします。既にこの問題は何回も国会で取り上げられておりますが、要求の切実さ、また正当性という点を踏まえまして、新しく大臣になられました中西総務長官の御意見を伺いたいのです。  今までこの問題につきましては、基本的認識におきまして政府の答弁がございます。それは、シベリア「抑留者の方々は国際法上の捕虜ないし俘虜という取り扱いを受けるということになろうかと存じます。」いわゆる俘虜または捕虜という認識でございますし、またこれは当時内閣官房長官の宮澤喜一氏の答弁でも、「国際上認められております法規慣例に違反をしておったということは、私はもうきわめて明白な事実であろうと存じます。」というふうに、これはソ連側の抑留あるいは苦役等を指して言っているわけでございますが、私もまさにそのとおりであって、ハーグの陸戦協定あるいはジュネーブ条約を見ましても、捕虜の取り扱いについて明らかにソ連側の誤りだということですね。これは我々の一致した考え方だと思いますが、この点について新長官もそういうふうにお考えでしょうか、まず伺っておきます。
  209. 中西一郎

    ○中西国務大臣 国際法上の観点からいいますと、各種条約についての違反の事実はあった、私もさように思います。
  210. 山原健二郎

    ○山原分科員 したがって、抑留者の方々は、不当な抑留あるいは苦役に対して補償請求権をソ連に対して持っておったわけでございます。これは当然のことなんです。ところが、昭和三十一年十月の日ソ共同宣言で国交回復をした際に、当時の日本政府は請求権を放棄したわけです。これは請求権相互放棄という、たしか第六項であったと思いますが、ここに書かれておりまして、要するに国際法上認められた抑留者の方々の権利を日本政府が放棄をしてしまった。その結果、その放棄した責任を日本国政府がとるのは当然ではないかと思うのでございますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  211. 禿河徹映

    禿河政府委員 御指摘のとおり、戦後ソ連に強制抑留された方々、大変お気の毒で、多くの苦労を重ねてこられたことは申すまでもないところでございます。  ただ、今先生からお話がございましたとおり、日ソの共同宣言におきまして、政府間の請求権というものは、これは放棄いたしております。法律上の問題といたしましては、国にその補償の責任があるかという点につきましては、私どもの見解といたしましては、法律上の問題としては消極的に解きざるを得ないところでございますが、この点につきましては、現在訴訟も起こされておりまして、今後法廷でその辺についての結論が出るものと考えております。  ただ、戦後ソ連に強制抑留された方々は大変お気の毒でございまして、これに対しましては、これまで抑留者で死亡された方あるいは負傷された方々につきましては、恩給法あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法等におきますところの援護、こういう措置も行ってまいりましたし、また、恩給法におきましては、その抑留期間というものを二倍に換算して勤務期間に算入するとか、こういうふうないろいろの措置を講じてきたところでございます。
  212. 山原健二郎

    ○山原分科員 いろいろの措置はなされておりますけれども、依然としてこの問題は未解決のままなのです。昭和四十二年の閣議の了解事項で、いわゆる一切の戦後処理問題は終了したということになっております。閣議了解事項、これは自民党三役と大蔵大臣、そして総務長官の五者による判が押されておりまして、それを閣議が了承したという形になっておりますが、その後強い要望もございまして、総理府総務長官の私的諮問機関として戦後処理問題懇談会をつくり、そして現在検討中だということでございます。  これについて質問をいたしたいのですが、戦後処理問題は一切終了したという閣議了解と、戦後処理問題検討のための予算措置をした懇談会、すなわちこれは閣議で決められておるわけでございますが、この関係について聞きたいのです。  これまでの答弁でも繰り返されているのですが、昭和四十二年六月二十七日の閣議で、引揚者等に対する特別交付金の支給措置をもって戦後処理に関する措置はすべて終了したという旨のことが了解されたわけですが、この了解事項がシベリア抑留問題解決に向けて足を踏み出す上で大きな障壁となっております。壁になっています。しかし、これは閣議決定ではありません。いわゆる閣議了解事項でございまして、これに五人の方がサインをしておるわけですが、同日の閣議で「在外財産問題処理のための引揚者等に対する特別交付金の支給に関する措置要綱について」という閣議決定がなされておりまして、その中で、「在外財産問題は、第三次在外財産問題審議会の答申の趣旨にのっとり、下記により引揚者等に対して特別交付金の支給措置を講ずることをもって最終的に解決するものとする。」とされ、確かに在外財産問題に限っては「最終的に解決するものとする。」ということが閣議の決定になっております。しかし、戦後処理問題一般が終了したものとするということは閣議決定ではないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  213. 禿河徹映

    禿河政府委員 今御指摘がございましたとおり、昭和四十二年、引揚者に対します特別交付金の支給という措置を講じますときに、政府・与党間におきまして、この措置をもってあらゆる戦後処理に関する問題はおしまいという合意がなされたわけでございます。  他方、その特別交付金の支給に関する法律の閣議決定を行いましたときの措置要綱ということで、昭和四十二年の六月二十七日閣議で、「引揚者等に対して特別交付金の支給措置を講ずることをもって最終的に解決するものとする。」こういうふうなことをなされまして、閣議決定でいたしておりますのは在外財産の問題でございますが、その前に政府・与党におきましては、一切の戦後処理の問題はこれをもって完了したものとする、こういう合意がなされておるわけでございます。
  214. 山原健二郎

    ○山原分科員 閣議決定あるいは閣議了解事項、法的には同じだと言われておりますが、それぞれランクがあると思います。ところが、そういう決定を強調されるわけですけれども、五十七年度予算から三年間にわたりまして、この今審議されております五十九年度予算の中にも、戦後処理問題懇談会経費として五百万円が計上されておるわけでございます。その懇談会では、一、在外財産の問題、二、シベリア抑留者問題、三、恩給欠格者問題がテーマとなっております。  言うまでもなく、予算案は閣議の決定です。閣議決定で、戦後処理問題を検討するという予算がつけられている。一切終了した、解決したという立場ならば検討する必要はないわけですから、この閣議決定による予算措置は、閣議了解による戦後処理問題は一切解決したという政府の従来の立場、政策を変更した。従来の紋切り型の立場でなく、これを検討していくという立場に変更したということだと私は思いますが、この点について確認をいたしたい。
  215. 禿河徹映

    禿河政府委員 先ほども申し上げましたとおり、政府といたしましては、昭和四十二年の引揚者に対します特別措置をもって戦後処理に関する措置はすべて終了したものとするということで今日まで推移してきたわけでございますが、これまた先生御存じのとおり、戦後処理問題につきましては、ここ数年、特にシベリアの強制抑留者の問題、それから恩給欠格者の問題、それに在外財産の問題、これを中心になお一部に非常に強い御要望があったことも事実でございます。  そういう事態を踏まえまして、政府といたしましては、昭和五十七年度から民間有識者によるところの公正な検討の場として戦後処理問題懇談会、総務長官の私的諮問機関でございますが、そういう懇談会を開催いたしまして、戦後処理問題というものについてどう考えるべきかということの御検討をいただこうということでございまして、現在その御審議をお願いしておるというところでございます。  したがいまして、今先ほどの閣議了解ないし決定との関係というお話がございますが、政府の姿勢とすれば、一応とにかく四十二年でおしまいとしている姿勢に変わりはございませんけれども、今後この懇談会、現在検討をお願いしておりますが、今後の措置につきましては、この懇談会の検討結果を待ちましてその対応策を検討していくということになるかと思います。
  216. 山原健二郎

    ○山原分科員 今御説明のように、一切終了したということは閣議了解となっておりますけれども、しかし、強い要望があることは事実で、そのことに対して懇談会を設置されたということは、私は評価しております。私自身関東軍の一員として国境地帯におりまして、私の友人たちもたくさんシベリアに行き、そして亡くなっておりますし、帰ってまいりましても、もう他の方たちは復員をしておる。後に帰ってまいりまして、就職もできないという大変な苦労をしておる実態の上に立ちましてこの質問をしているわけです。  そして、戦後処理は一切終了したとする政府の立場が強調されておりますけれども、たとえば日赤あるいは陸海軍従事看護婦の問題で、私もこの場所で当時の稻村総務長官に決断を迫って、この国会で解決をしますという回答を得て、その年の八月に全会派の代表者の一致のもとに慰労給付金を差し上げるという措置がとられたわけです。あのときでも、御承知のように非常に難しかった。法律的にはできないんだ、政府は、戦後処理は一切決着がついたんだということで不可能だと言われることを、この国会各党派も一緒になりまして、そして話し合いの結果、ああいう措置がとられたわけなんですね。これは私はこの場所で当時の稻村さんに対して、もうこれだけ二年間にわたって交渉が行われて、いよいよあなたが政治的決断をすべきときだということを申し上げて、ついに稻村さんは決断をしましてああいう状態がつくり出されたわけでございますから、この点を考えましたときに、私は中西長官に対しましても、決断をすべき時期を迎えておるというふうに思うわけです。  この点で、一つだけ、旧従軍看護婦、それから日赤の従軍看護婦の方からも今要請が出ておりますが、あの慰労金措置がとられましてから六年経過をしております。このときは、御承知のように恩給制度を準用し措置するということになっておりまして、恩給、年金の場合は一定のスライド、満足なものではありませんが行われておりますが、この六年間、従軍看護婦に対する措置は全くとられておらない、据え置きのままでございますが、これは改善をするお考えがあるかどうか、伺いたいのです。
  217. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 旧日赤救護看護婦、それから旧陸海軍従軍看護婦に対して慰労給付金を、旧日赤看護婦につきましては五十四年から、旧陸海軍に対しては五十六年から差し上げているわけでございます。  この慰労給付金につきましては、先生も御承知のとおりに、女性の身でありながら、軍の命令によって戦地、事変地に派遣され、戦時衛生勤務に従事をした、そういう特殊事情を考えまして支給をすることになったものでございます。そういう意味では、この慰労給付金は所得の保障を図るという年金的な性格でもございませんので、ただいまお話しのような形の増額は難しいのではないかと考えております。しかし、こういう性格も十分考えつつ、今後の取り扱いについては慎重に検討してまいりたいと考えております。
  218. 山原健二郎

    ○山原分科員 その答弁はちょっとおかしいんですね。これは昭和五十五年四月二十四日の参議院内閣委員会で、我が党の市川正一議員質問に対して、当時の小渕恵三総務長官が次のように答えています。これはこの制度ができまして翌年ですから、一年しかたっていない段階でございますけれども、経済、物価変動が著しいとき、また他に比べて金額が不公平となった場合、考慮すべきものでございますということをはっきり申しておりまして、これは固定した慰労金ではないということを、当時の小渕総務長官ははっきりこの国会答弁しているのです。そのことを否定されるわけですか。
  219. 菊池貞二

    ○菊池(貞)政府委員 ちょっと御説明が舌足らずで申しわけございませんでした。確かに社会的変動が非常に大きくあったようなときには考慮するという前の大臣の御答弁もございました。私ども、そういうことを踏まえつつ慎重に検討してまいりたいという考えております。
  220. 山原健二郎

    ○山原分科員 総務長官、よろしいですか。前の総務長官の答弁は、全く固定した考え方ではなくて、他との比較あるいは経済変動等を見ました場合に、これは考慮すべきものというふうにはっきりおっしゃっておりまして、今もそれを考慮してやるというお話がありました。この点は、総務長官の御見解を伺いたいのですが、そういう考え方であることを確認してよろしいでしょうか。
  221. 中西一郎

    ○中西国務大臣 ちょうど戦後処理懇を私担当しまして二カ月の余でございますが、実は十二回目から関与しまして、もう今は十八回目になっています。大変短い間に精力的にやっていただいております。そういった問題も含めて御議論いただいておりますが、小渕さんのおっしゃったことについてはそのとおりに理解をいたしております。
  222. 山原健二郎

    ○山原分科員 現在そういう要求が非常に強く出ておりまして、たしかこの国会にも請願が出されておると思いますので、そういう立場で検討していただきたいと思います。  先ほども言いましたように、日赤従軍看護婦また陸海軍の従軍看護婦の問題は、女性の身でありながら大変苦労されたという特殊事情を勘案してこういう制度ができたということを、政府側もずっと今まで答弁をしてきておるわけでございます。  ところで、このシベリア抑留者の場合もやはり特殊事情があると私は思います。そういう意味でこの特殊性について申し上げてみますと、例えばシベリアの場合、これは御承知のように大変寒いところ、また酷熱のところでもありますが、そういうところで不当に取り扱われ、そしてさまざまな苦労をし労務を提供しておる、しかも日本政府が請求権を放棄した、こういう状態でございます。しかも抑留者の場合も、家族あるいは夫人を含めまして大変な苦労をしておるわけでございます。本人もさることながら、家族全体が苦労しております。そして本人もまた、先ほど言いましたように、帰還しましても、就職その他大変な事態を迎えておる、その意味では私は変わらぬ特殊性を持っておると思いますが、この特殊性についてはぜひ長官も直視をしていただきたいと思いますが、その点のお考えを伺います。
  223. 中西一郎

    ○中西国務大臣 私の友人にも、多年シベリアに抑留された方々がおります。お話もよく伺っておりますし、国会議員さんの中でそれに該当される方も数多くおられ、今いろいろな要望をなさっておるというのは先生承知のとおりでございます。そういったことを忘れてはいけませんし、といって、ほかにもいろいろ要求が出ております。全般をどういうふうに見て対処していくか、これは戦後処理懇がまさに取り組んでくださっておりますので、また何人かの委員さん方も十分にその辺は理解なさっておる、私はかように思います。しばらく時期を与えていただきたいと思います。
  224. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、戦後処理問題懇談会、今十八回にわたって論議をされておるということ、そしてこれも恐らく近い将来、いつかわかりませんが、結論が出るだろうと思います。けれども、私は、そういう諮問機関をつくったこと自体が、やはり戦後処理はすべて終わったということの閣議了解というのがすでに形骸化しておるという意味で、この懇談会がつくられたことについては一定の評価をします。けれども、今の政府の態度でございましたら、この処理問題懇談会に全部任せるということについては非常に危惧の念を持っております。  例えば、第九十四国会に提出されておりました戦後ソ連強制抑留者の実態調査に関する請願、これについて、請願は全会一致で採択をされたわけでありますが、これに対する政府の処理の要点が出されております。これは、今まで国会が全会一致で採択をした請願に対する処理要領としては、もう大変珍しいものなんです。こういうふうに書いております。「昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の制定をもって、あらゆる戦後処理措置は終了したものと考えている。したがって、改めて実態調査のための経費予算に計上することは考えていない。」国会で全会一致で戦後抑留者の実態調査に関する請願を採択をしたのです。ところが政府は、その処理に対する措置は考えていない、こういう政府のコメント、私は初めてですね。恐らく余りないと思います、探してみましたが。こういう態度でございますから、結局、総務長官の私的諮問機関である懇談会の結論も何となく心配なんです。そういうことではなくて、やはり今日の抑留者たちの正当かつ切実な要求に対してこたえるという立場をぜひとも持っていただきたいというふうに考えますが、その点について再度お伺いをいたしたいのであります。
  225. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お気持ちはわかりますし、十分検討さしていただきます。私自身の考えを申し上げるよりも、七名でございましたかの戦後処理懇の先生方に十分に検討を進めてきていただいております。そういった先生方の御意見を踏まえたいと思うのであります。その上で政府として責任ある態度をとる必要があると考えます。  戦後処理懇ができたから前の閣議決定なり閣議了解がなくなったというふうにはいきなりは言えないので、もちろん閣議決定、閣議了解としては残っておりまして、戦後処理懇で結論が出て、また新たに閣議で何か取り組みができたというときに、前の閣議決定なり了解がなくなるとかといったような筋合いのものだろうというふうにも私なりには理解しておりますが、そういった事務的なことは別といたしまして、戦後処理懇の結論を待ちたいと思います。
  226. 山原健二郎

    ○山原分科員 私も、閣議了解がすべてなくなってしまったとは短絡的に考えておりません。ただ、戦後処理懇談会をつくったということ、そのことの中に一つの意味がありますし、それからまた陸海軍の従軍看護婦、日赤従軍看護婦の問題を処理したということも、これは政治でございますから、それは一定の勇断であったと思うのですね。そういうものは、たとえ閣議の了解事項があったとしてもそういう措置がとられたという現実があるわけですから、そういう意味で申し上げておるわけです。  最後に、時間がなくなりましたが、遺骨送還の問題です。こういう問題、あるいは墓参の問題につきましていろいろ努力がなされておるわけです。このシベリア抑留者の会も、一つだけではなくて幾つかあるそうでございますから、個別の要求になってまいりますと、それぞれ違った要求が出てくるかもしれませんが、しかし、遺骨の送還あるいは墓参の問題については、もっとスムーズにいけるような方向を見出してもらいたいということで、例えば墓参にしましても、地域が限られておるとかいうようなこともございまして、これは外務省あるいは厚生省の問題になると思いますが、せっかくお見えいただいておりますので、外務省の見解、そして厚生省のお考えを伺っておきたいのです。
  227. 野村一成

    ○野村説明員 御指摘の遺骨の送還の問題それから墓参の問題につきましては、先生承知のとおり、国交回復以降あらゆる機会をとらえて申し入れしてきておる次第でございます。特に遺骨の収集の問題につきましては、遺憾ながら申し出の都度、風俗習慣の違いとかあるいは技術的困難とかいうことを申しまして、まだ実現していないということでございます。  それで、今後ともそういう方向であらゆる機会をとらえて申し入れを行うことでございますが、来週十二、十三日と日ソ事務レベル協議という場がございます。これは私どもの中島外務審議官とソ連のカピッツァ外務次官との間の協議でございますが、その場におきましても、今御指摘の墓参の問題、それから遺骨収集の問題につきましてぜひ実現するように強く要請していきたい、さように考えております。
  228. 加藤栄一

    ○加藤説明員 厚生省といたしましても、シベリアの墓参地域、現在ソビエト側から知らされております二十六カ所の地域につきましては、現在二十一カ所墓参をしたわけでございまして、まず第一義的には残りの地区の墓参をいたしたいと思っておりますし、さらにそのほかにも多数あるというふうに私ども引き揚げてこられた方から伺っておりますので、そのことについての調査を申し入れをいたしたいと思っております。  また遺骨の送還実現方についても、外交ルートを通じましてソ連政府に申し入れをお願いしておるわけでございます。今後とも粘り強く、種々の機会をとらえて実現方を申し入れをいたしてまいりたい、かように考えております。
  229. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が来ますのでこれで終わりますが、最後に、先ほど日赤従軍看護婦等の例を申し上げましたが、あのときも大変な苦労をして、しかも最後は総務長官が決断をした、こういう経験がございますから、私もこの問題を取り上げた以上、かなりしつこい男でございますので、これからも意見を承りたいと思っておりますが、総務長官ぜひその気持ちで頑張ってくれますように要請をしまして、私の質問を終わります。
  230. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、新村源雄君。
  231. 新村源雄

    新村(源)分科員 私は、今質問をされた山原分科員とかなり重複する点がございますが、その中で戦後処理問題として旧軍人軍属の恩給欠格者の問題をとらえて質問したいと思います。  これは既に国会の場で多くの論議が尽くされてきたところでございます。しかし、今日なおこの欠格者の取り扱いをめぐりまして多くの世論が喚起されております。特に、私は昭和十五年の入隊でございましたから、ちょうど私の年代を中心とした仲間の多くが、ほんのわずかな違いで恩給の恩典に、宗全ではありませんけれども浴している者と、それからほんのわずかなところで浴してない、こういう多くの仲間がいるわけです。したがって、この問題について、ぜひひとつ現在のこの矛盾を解決するという立場で新しい政策の展開を求めたい、こういう立場で質問をしたいと思います。  まず第一点は、昭和二十一年に連合軍の指令によりまして、重症者を除く恩給法が廃案になっております。それが昭和二十八年に復活をして今日に至っておるわけですが、政府側から一応資料をいただいておりますけれども、この節目節目の変わり目についてその経過を説明をいただきたい。
  232. 和田善一

    ○和田政府委員 昭和二十八年に先生御指摘のように軍人恩給が復活したわけでございます。当初は、財政上の制約その他がございまして、戦前の軍人恩給の中身よりもずっと制限した形でまず復活したわけでございます。例えばこの恩給の基礎となる在職年につきまして、戦前は実際に勤務した年数は全部見ていたわけでございますけれども、復活した当初は七年以上の継続した年数しか見なかったというようなことで始まったわけでございます。  それから激戦地に行きました場合の加算年、戦前は激戦地へ行きました場合は一月について三月あるいは二月というような加算年があったわけでございます。それも当初は認めないというようなことで出発いたしましたが、例えば実在職年の取り扱いにつきましては、昭和三十三年に至りまして戦前と同じように全部見るというようなこと、あるいは加算年につきましても、昭和三十六年から激戦地におりました期間は資格期間として見ていくというようなことで、次第次第に加算年も恩給の基礎在職年の中に取り込んでいった、このような経過でございます。
  233. 新村源雄

    新村(源)分科員 ただいまおおよその経過をお伺いしたわけですが、この普通恩給は昭和八年当時は十一年であったのですね。それを十二年にしたというのは何か根拠があるのですか。
  234. 和田善一

    ○和田政府委員 軍人の普通恩給の年金を支給する資格として最低必要な年数は、明治時代から兵につきましては十一年ということでずっとまいってきたわけでございます。それが昭和八年になりまして、当時の非常な不況に基づきます財政緊縮の時代になりまして、恩給支給の制限を若干強化するという観点から、それまで十一年でございましたが、兵につきましては十二年、士官、将校につきましては十三年というように、そこで年数を若干引き上げまして、それ以来ずっとその十二年ということが公知の支給に必要な年数として取り扱われてきたわけでございます。
  235. 新村源雄

    新村(源)分科員 少なくとも旧軍人軍属の恩給にかかわる年限については、戦時加算あるいは地域によっていろいろな加算がされておりますけれども、しかし十二年未満であっても、非常に激戦の中で、まさに死線を越えて生き残ってきたというのは私どもの仲間にたくさんおるわけですよ。しかしそういう者でも一定の、三カ月なら三カ月ということで線が引かれる。それから、比較的内地勤務なりあるいはそういう激戦地でない、例えば関東軍も後には激戦地になりましたけれども、関東軍に所属をして戦闘の経験がない、しかし恩給に浴している、こういう勤務年数の内容から見ますと、この十二年の年数を引いだということが非常に多くの問題を残していると思うのです。勤務の内容がそういう非常に格差のある、しかも人類の生存にかかわる大きな問題を抱えての勤務でありながら、そしてその後恩給受給者と欠格者との間の格差というのは非常に広がってきている、そういう点では、この十二年というものは、私は少なくとも旧軍人軍属にかかわるものについては多くの矛盾があるんだ、こういうように考えているのですが、この点についてはどうですか。
  236. 和田善一

    ○和田政府委員 確かに先生がおっしゃいますように、激戦地で戦務に従事したというような場合は、これは心身の消耗というようなものは甚だしいわけでございます。したがいまして、恩給制度におきましても、激戦地で戦闘に従事されたという場合には一月に三月加えまして四月として評価する、したがいまして、激戦地に三年おられればそれで恩給がつくというような取り扱いをいたしておりますが、そのもとは、やはり最短恩給年限十二年というところは、これは恩給制度、昔からの一つの制度の基本的な約束といたしまして、これを動かすということは制度を根本から変えますのでできませんが、そういう戦地その他での非常に心身の消耗の激しい職務に従事されました方には加算年ということでできるだけの措置をしてきたということでございますので、どうかこの点、御賢察いただきたいと思います。
  237. 新村源雄

    新村(源)分科員 この年限のことは、私はそういう見解を持っておるわけですが、一応それはさておくとしまして、その後昭和五十三年に、いわゆる在職三年以上の旧軍人に対して一律一万五千円の一時金を支給しているわけですが、この内容についてちょっと知らせてください。
  238. 和田善一

    ○和田政府委員 昭和五十三年に、実在職年数を合算いたしまして三年以上あります方には、一律一万五千円の一時金を支給しましたことは先生御指摘のとおりでございます。これはこの一時金より前に一時恩給という制度がございまして、一時恩給につきましては引き続いて三年以上の勤続年数を持っていて、しかも十二年の最短恩給年限に達しないという方々に対しまして、年数等に応じまして計算しました一時恩給を差し上げたわけでございますが、これは引き続いて三年以上の在職年数がなければならない、しかし何回か応召を受けまして、引き続いてはいないけれども三年以上の在職年数がある、こういう方たちも同じ戦務に服したのだから何とか国の志をあらわすことが必要であるということから、一時恩給の一番低い額、これは三年の兵の一時恩給の額一万五千百五十円でございますが、これとほとんど同じ一万五千円というものを、切れ切れであっても三年以上在職年数のある方に差し上げるということで、ここでこういう措置をとった次第でございます。
  239. 新村源雄

    新村(源)分科員 そうしますと、ちょっと私資料を見ましてもそれが出てこないのですが、今のお話を聞きますと、一時恩給で一万五千円、これは引き続いて三年のものということでございますね。そしてそれを支給をして、その後に五十三年にさらに一万五千円というものを重ねて支給をしたわけですか。それとも切れ切れのものも前と同じように処遇をした、こういうことですか。
  240. 和田善一

    ○和田政府委員 一時恩給におきましては、引き続きまして三年以上の在職年数がある方に差し上げましたから、切れ切れで三年あるものは対象となりません。そういう対象にならなかった方々に対しまして、昭和五十三年に、新たにそういう方々を対象といたしましてこの措置を講じたという次第でございます。
  241. 新村源雄

    新村(源)分科員 そうしますと、重ねて支給をしたのではなくて、一時恩給をもらった者はもうそれで終わり、そして昭和五十三年に切れ切れのものを処遇した、こういうことですね。
  242. 和田善一

    ○和田政府委員 そういうことでございます。
  243. 新村源雄

    新村(源)分科員 経過はそういうことでございましょうが、この昭和五十三年の在職者、三年以上の旧軍人に一律一万五千円を支払ったときの基礎が、昭和二十八年のいわゆる仮定俸給といいますか、そういうものに在職年数を掛けて払った、こういうことで一万五千円ということが出ておるわけですね。
  244. 和田善一

    ○和田政府委員 一時恩給でございますから、昭和二十八年軍人恩給が復活しましたときの仮定俸給に基づきまして一時恩給というものが払われておりまして、それとの均衡上、その一時恩給の一番低いところとほぼ同額の一万五千円を一律に昭和五十三年に支給した、こういうことでございます。
  245. 新村源雄

    新村(源)分科員 そこに大きな矛盾があるのですがね。この昭和二十八年以降、恩給金額の格差是正というものが、普通恩給だけでも三回にわたって行われているわけですね。ですから、五十二年に支給されたときというのは、普通恩給をもらっている者から考えると膨大な格差が出ておるわけですね。しかし、それを前に一時恩給を支払ったということで、そういうことに合わしていった。これはまことに軍人恩給欠格者等に対するいささかの温かみもなくて事務的にやられた、こういうところに今日の大きな不満が出ていると思うのです。今、ちなみに私はわずかなところでひっかかっております。ですから、わずかですけれども三十九万五千円くらいもらえるのです。しかもこれは私がずっと生きているうちもらえる。そしてさらにその後また女房がもらっていく、こういうことになるわけですね。  ところが私の友人で、調査いたしましたところ旭川から根室に行って千島に移駐する。移駐した日が昭和十九年の三月の三十一日、部隊がそこまで行ったけれども三十一日に渡った。ずっと長い間私の戦友であった男が四月の一日に渡った。こういうことで一日足りないわけですよ。一日足りないものがさっき申し上げたような大きな格差をつくっている。こういうものを十二年ということできちっと切って、そして処置をした。そこに問題点が一つあり、もう一つの問題点は、やはり一時恩給の支給が全くそういうような立場を一顧だにしないで、まさに計算的におやりになったということが今日こういう大きな格差を呼び、そして今こういう旧軍人軍属の方々、この点について非常に大きな不満と、そして世論が沸き起こってきておるわけですが、こういう点についてどういうようにお考えになりますか、その実態について。
  246. 和田善一

    ○和田政府委員 確かに十二年という最短恩給年限の線がございまして、そこにわずかに足りないという方々につきましては、そのお気持ち、お気の毒な気持ちというものはよくわかるわけでございますけれども、恩給制度、年金制度で年金を差し上げるという場合には何らかの在職年数の線は引かなければならない。あるところに線を引けば、必ずその線によってそこでどうしても分けざるを得ないということがございます。そしてこの十二年という線は、先ほど申し上げましたように、明治時代からずっと、恩給の基本的な制度として昭和八年に十二年という年数が決まりまして、基本的な約束として十二年の年数があれば恩給を差し上げる。また逆に言えば、十二年なければ恩給の、年金の年数には達しないということで、それは公知の事実としてまいったわけでございまして、今ここで十二年を変更するということは、恩給の基本的な仕組みを変えることになりますから、私どもとしてはそれはとても考えられない。しかし、先ほどから申し上げましたように、加算年その他でできるだけの配慮はしてきたわけでございます。  それから一時金の問題でございますが、一時金につきましては年金のように年々ベースアップするというようなものではございません。一時金を差し上げて、それで処理を終わる。一時恩給も、三年以上十二年未満の年数に応じまして額を変えて差し上げておりますし、また断続した、連続してない年数が三年以上あるという方につきましては、五十三年に一万五千円という一時金の制度をつくりました。この制度は戦前になかった制度でございます。しかし、そういう年数でも、戦闘に従事されたということで何らか国の気持ちはあらわさなければならぬということで措置した、戦前にはなかった制度でございます。この新たな制度を創設したということも御理解をいただきまして、御賢察いただきたいと思います。
  247. 新村源雄

    新村(源)分科員 これは私の経験ですが、私は昭和十五年の三月に入隊しまして、そして昭和十五年の四月二十九日に定例叙勲があったわけです。わずか一カ月ちょっとでしたけれども、従軍をしたという立場で、あの当時で三十円だったと思いますが、三十円の国債をもらったんですよ。そういうように期間が短くてもちゃんと処遇をしておったわけです。ところがいわゆる敗戦、そういうことから、二十一年から二十八年まで格差があった。そのことで、いわゆる職業軍人というような言い方をしては大変失礼だと思いますけれども、そういう方々が多くを占める恩給法だけはどんどん、十分ではないですけれども、その時代の経済のテンポに合わして処遇されていっているわけですね。ところが、さっき申し上げましたように、十一年十一カ月というものまでもわずか一万五千円という紙切れみたいな処遇で一体みんなが満足しているかどうか。これはもう今日多くの世論が巻き起こっているのはそこにある、こう思うのです。  そこで長官にお伺いをいたしたいのですが、先どの御質問にも答えられておりました。政府は今まで一貫して戦後は終わった、こういうようにおっしゃっているんですが、しかし、戦後処理問題懇談会という新しい組織をおつくりになってこの問題を改めて検討している、こういうことでございますので、私は、こういう実情をぜひ戦後処理問題懇談会の中で適切な答申がなされることを希望いたしますけれども、しかし今臨調、行革の中で、そういう我々の期待するような答申が出なかった場合でも、やはりこれは貴重な、まさに命をかけて戦った、そうしてもう既に私どもの年代ですから、あと六十五歳までほんの二、三歳だと思うのですよ。こういう年代の人たちの多年の念願がかなえられるように、先ほど私が申し上げましたように、もし十二年でどうしてもこの年限を動かすことができないということであれば、一時恩給というものに対する見直しをするとか、あるいはもう一つは、要求されておるようにこの十二年というものを十二分をして、そしてそれらに対応できるような措置をぜひ講じてもらいたいと思っているんですが、長官の御意見……。
  248. 中西一郎

    ○中西国務大臣 御要望を伺いまして、そういったお考えでのお話は各方面からございます。そこで、現段階で私自身の立場からということになりますが、先ほども申し上げましたように十八回も会議をしていただいておりまして、各要求についてもヒアリングはもう十分になさった上での会議の進行状況でございます。そういうことでございますので、答えを待ちたい、いましばらくお時間をいただきたいと思います。  問題が問題だけに、広げていきますと、戦争でいろいろな犠牲を受けた人というのは、数え切れないほど種類がまた出てくるわけでございます。その辺も大変難しい問題ではないかと私、個人的には思いますけれども、ともかく委員の方々の御検討を待って善処してまいりたい、かように思います。
  249. 新村源雄

    新村(源)分科員 今までの経過から見まして非常に難しいということはわかりますけれども、しかし、この問題が終わらない限りやはり戦後が終わったということは言えないと思うのです。そういうことで、勇断をもってこの問題の処置に臨んでいただきたいことを重ねて要望いたしまして、終わります。
  250. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて新村源雄君の質疑は終了いたしました。  次に、武田一夫君。
  251. 武田一夫

    武田分科員 私は、戦後処理の問題についてお尋ねをいたします。  まず長官にお尋ねいたしますが、きょうはどういう日であるか御存じでしょうか。
  252. 中西一郎

    ○中西国務大臣 三月十日の空襲があった日だと思います。  なお、昔の海軍記念日は五月二十七日ですか、陸軍記念日でしょうか。
  253. 武田一夫

    武田分科員 昭和二十年の三月十日、十二時半くらいでしょうか、東京が約二時間近く大空襲に遭ったという、日本の戦争の一つの象徴のようなものが国土の中で発生した日であるということでございまして、その様子は、最近出版された「太平洋戦争日記」という亡くなった伊藤整さんの日記の中に事細かに書かれているわけであります。私も小学校の三、四年のころ仙台で空襲に遭った。戦争には行きませんでしたけれども、戦争というものの悲惨さ、その大変なことは経験している一人でございます。さらにそれが後々まで後遺症として残っている戦後処理の問題というものが四十年近くなった今でもあるということ、先ほど来質問された方々の中でも出てまいりましたけれども、この問題をしかと決着をつけない限り、国の政治的な責任というものは私は本当に消えたとは言えないと思うわけでございます。  そこで、長官に最初にお尋ねしたいことは、この戦後処理の問題についてどういう方向での解決が最善であるかということにつきまして、長官の個人的な見解で結構でございますからひとつお聞かせをいただきたい、その後に本題に入らせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  254. 中西一郎

    ○中西国務大臣 個人的な見解は、実は今のところは白紙でございまして、何も申し上げることはございません。といいますのも、前総理府総務長官丹羽さんのときからこの戦後処理懇はできておりまして、私も総務長官になりましてから何回か出させていただいて意見を伺っておる最中でございます。その審議経過を踏まえてこれから結論をお出しになる段階に入っておりますので、当然それを待たなければならないのが私の職責でございますし、また他面、遺憾ながら個人的な見解というのはございません。
  255. 武田一夫

    武田分科員 見解がないというわけでありますから、私は深入りはしませんが、そういう姿勢であったならば今後いろいろ問題が出てくるということだけはひとつ言っておきます。  いずれ一つの答えが出てきたときにまたいろいろお尋ねをしたいと思いますが、やはり戦争の残酷さ、悲惨さ、そしてそれが今日まで続いている。しかも戦地に行って大変な御苦労をなさった方々は六十代の方々が非常に多い。私は宮城県でございますが、最近あちこち歩きますと、こういう苦労なさっている方々が自分の周りから一人去り二人去り、しかしながら、いまだに何ら解決の方途も示されないことに対しまして大変な憤りと恨みつらみを聞くにつけましても、やはりこうした御苦労をなさった方々に、老後のせめて十年や二十年安心して生活をして、くつろぎのある、人間として最後の落ちついた生活をしたい、そういう思いをかなえてやるという気持ちが政治の原点としてなければならぬ、そうでなければ、いかに立派なことを言おうとも、私は政治の道から外れるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  そこで私は、そういう方々に現在どうなっているのだといろいろ尋ねられ、また今後どういうふうにいくのだということを尋ねられるにつけましても、政府の一つの考え方、現況はどうなっているのか、そういう問題を一つ一つ確認をしておきたい、こういうふうに思うわけであります。  戦後処理の問題につきましては、シベリア抑留者の問題、あるいはまた在外財産の問題、先ほど質疑の中にありました軍恩欠格者の問題、こういうものがあるわけでありますが、こういうような問題を抱えて今日いろいろな運動を展開している方々がたくさんいるようでございます。そうした方々の人数はどのくらいいるものか、また、そういう運動をしている団体というものはどれくらいあるものか、まずひとつその数字から、わかっているところを教えていただきたい、こういうふうに思います。
  256. 禿河徹映

    禿河政府委員 今御指摘がございました団体ないしそれに所属する方の数というのは、事務的に申しますとちょっと総理府所管外のことではございますけれども、私ども存じておりますのでは、戦後ソ連に強制的に抑留されました方は約五十七万五千名、そのうち抑留中に死亡された方が約五万五千人ございますので、五十万余りの方がいわば該当者ということに相なろうかと思います。それから戦後外地から引き揚げてこられました一般の邦人は約三百十八万人と承知いたしております。なお、いわゆる軍恩の欠格者の数につきましては、ちょっと正確な資料がございませんけれども、いろいろ厚生省の方で先年推計をいたしたところによりますと、年金たるところの恩給等の受給対象外となっております方々が三百万人弱という数字でございます。  それから、こういう問題に関連いたしますところの関係団体、これが多数あるということは承知いたしておりますけれども、私ども必ずしもその全部を把握し、承知いたしておるという立場でもございませんし、いろいろ御要望等を承る際にその団体の名前とか、いわゆる公称、構成、員数とかいうものを伺っておりますけれども、そういうふうに私どもが伺っております特定の団体を前提といたしまして全体の団体数というものを推計するというふうなことはかえってまずいのではないかな、こういう感じがいたしております。
  257. 武田一夫

    武田分科員 次に、五十七年六月ですか、総務長官の私的諮問機関としての戦後未処理問題の懇話会、これが設置されて動いているというわけでありますが、これにつきまして、まずその委員になっている方々はどういう方々でございますか、また、会の動き、現況はどうなっているのか、それをひとつお答えをいただきたい。
  258. 禿河徹映

    禿河政府委員 戦後処理問題懇談会のメンバーとして御検討をお願いいたしております方が七名ございます。簡単に申し上げますと、鹿島平和研究所常任顧問でありますところの上田常光さん、成蹊大学名誉教授の金沢良雄さん、太陽神戸銀行相談役の河野一之さん、読売新聞の代表取締役社長の小林與三次さん、三菱総研の取締役副社長の牧野昇さん、それから社団法人日本貿易会会長の水上達三さん、地域振興整備公団総裁の吉國一郎さん、以上の七名の方でございます。  それで、今お話がございましたとおり、一昨年の六月末に当戦後処理問題懇談会が初めて開催されまして以来今までに十八回の会合を重ねてきたわけでございます。そして、大体昨年までは主として恩給欠格者の問題、シベリア抑留者問題、在外財産問題の三つの問題を中心に、政府がこれまで講じてきましたいろいろな施策等につきまして関係省庁からのヒアリングを行いまして、さらに関係の民間団体の方々からも御要望の内容等のヒアリングを行ってきたところでございます。大体このヒアリングが一段落した、こういうことから、ことしに入りましてからはそのようなヒアリングを踏まえまして、今申しましたような、これまでとられてまいりました各種の施策がどのような背景のもとで、あるいはどのような必要性のもとで行われてきたのか、あるいはこういう問題につきましてこれまでとられてまいりました施策というものをどう評価するのかとか、さらに戦後処理問題一般につきまして基本的にどのように考え、どのように対応をしていくべきであるか、あるいはその場合の問題点はどういうふうなことであるかというふうな点につきまして、いろいろ活発な御議論を今ちょうだいしておる、こういうことでございます。  懇談会の運営の最終的なものは各構成員の御意向で決まってまいりますけれども、大体当初から二年ぐらいの検討期間は必要であろう、こういうふうなことで出発いたしておりますので、この夏ぐらいまでには懇談会としての御意見がちょうだいできるのではないか、かように考えております。
  259. 武田一夫

    武田分科員 今、民間団体からも意見聴取をしたようなことを言いましたが、どういうところからなさったのか、その選択の基準というか、それはどこにあったのか、ちょっと聞かしてもらえませんか。
  260. 禿河徹映

    禿河政府委員 二回にわたりまして民間団体からのヒアリングを行ったところでございますが、昨年の十月二十一日には旧軍人軍属恩給欠格者全国連盟、それから全国軍人軍属恩給欠格者連盟、非常に似ておりますけれども違う団体でございまして、この二団体からいわゆる欠格者の問題についてのヒアリングを行ったわけでございます。それから同日、全国戦後強制抑留補償要求推進協議会中央連合会、戦後シベリアに抑留された方々で構成されておりますところの団体でございます。それから昨年の十一月二十五日に在外財産の問題に関連いたしまして社団法人引揚者団体全国連合会からヒアリングを行ったわけでございまして、以上四団体からいろいろ御要望の内容等のヒアリングが行われたわけでございます。  これらの団体は、御承知かと思いますけれども、全国的な規模をもちまして関係の方面に従来から各種御要望等をなさっておられる団体ということで、こういう団体から御意見をちょうだいすれば関係者の御要望は十分お伺いできるであろう、こういうことで行ったものでございます。
  261. 武田一夫

    武田分科員 答申がことしの夏に出る、そうすると答申に対して政府がまたいろいろと対応していくわけでしょうけれども、見通しとしましてはその答申がこういう各種団体の方々の期待と沿うようなものが出るかあるいはまたその反対のものが出るか。出方によって天地雲泥の差でございまして、またそれは、答申が皆さん方の期待に沿えば非常にいいわけですが、それがそうでなかった場合国としてどうするのか、答申をそのまま尊重していくのかといったらそうはおさまらぬのじゃないか。数を見ますと四百万近くいるというわけでありまして、随分選挙には駆り出され、金は取られ、相当御熱心な方々が多いですわ。私の地域などでも、会合というとすぐもう自民党さんの方に頑張れとこうなりましてね。ただ最近、その中でも、どうも公明党さんにも応援した方がいいのじゃないかという人が出てありがたいのでございますが、しかしながら、金は毎年幾らか取られて、もう長い人は十数年。これが答えが出ることによって、また今まで以上に大変な状態になるのじゃないかという心配を私はしています。年をとっているだけに、もうこれは大変な執念を持っている方々が多い。熱心だ。  最近はこういう話までしています。我々はもう六十代だ、あと五年、十年、十年もすればどんどん亡くなっていく、政府がこの懇話会に期待するものは、要するに問題が鎮静化する方向への期待ではないか、要するにそういう補償などというのは出てきてもらいたくないのだ、そういうことが言われておって、それじゃ我々何のために今日まで、長い人は十年、十五年、二十年と運動してきたのかと言って、大変な運動に対する憤りから抜けちゃうと言う人がいる。抜けますと、今度は、もし補償が成ったときは会費出さないんだからあなたにはいかないですよと、こんなことまで言う始末でございまして、これは各地で問題になっているところだと思うのです。ですから、私は最初総務長官に、個人的な見解ではあるけれども、どういうふうにしたら最善の道かということをお聞きしたのですが、これはノーコメント。これじゃ私は、問題は今後、夏の後またさらに複雑に、大変な問題として全国的に騒ぎが大きくなるということを思うから、一応の個人的考えであっても、それは間違いなく期待にこたえていくようにするとか、そういうものが出てくるかと思って質問したのですが、大物の長官でございまして、それは答えが出なかった。しかしながら、今後を大変心配をしているわけでございます。  そういう意味で、今後、六月ということでございますから、その時点を踏まえて、またいろいろな問題が出たときに改めてこの問題に触れていきたいと私は思いますが、一つは、多くの方が老後を迎えている方々であるということ、特に農村漁村にその数が非常に多いということ、生活も大変な中で御苦労している方々もかなりいるというようなこと。年金も余り十分ではない。恩給も余りもらえない。特に軍の欠格者などは、先ほど話があったように、わずか一日あるいは一カ月、十日でその資格がないんだというようなことなどございますから、個々の問題についてやはりもっときめ細かに、国としての考えも、腹案としてそれに即座にこたえられるものを、その懇話会の二年間の中に任せるだけでなくて国自体としてもそういうものを持ち合わせて、それが来たときに突き合わせをしながら対応するだけの準備をしてなかったら、懇話会から答申が出た、その後考えましょう、これではまた時間がかかります。そういうことでは、国が本気になってこの問題のために、この我々の期待にこたえるようなことではないんだと、不平不満、大変な憤りを持つ方々が出てくる。その気持ち、私はわかるわけです。  ですから、そういうことではいけないわけでありまして、国としての対応というもの、一応これとこれだけは今考えているというようなものをやはりこういう公の場でしかと示さなくちゃいけない。そしてこの懇話会からいまだ中間報告等も何にもないということを聞いておりますが、一つの会がありましたら、やはり中間報告、会の進みぐあいはどうなんだ、今中間的にはどういうことが問題になっているんだというようなことを聴取しまして、もし発表できるものがあれば、現在こういう状況なのだということで新聞等、あるいはもう総理府というのはいわゆる広報、大変結構なものを出しているわけでしょう。そういう中でこういう関係者にその状況がわかるように親切にしてあげるのが、そういう方々に対して今できる責任の一端の、政府の温かい心のせめてものあらわれじゃないかと私は思うのですが、長官、この点どうでしょうか。
  262. 禿河徹映

    禿河政府委員 確かにさきの大戦に際しましていろいろ犠牲を払われた方、各方面にわたり、またお気の毒なことはよくわかるわけでございます。  戦後処理問題懇談会におきまして、現在、先ほど申しました三つの問題を中心に検討なされておるわけでございまして、その状況をよくわかるように示すべきではないかという御指摘をちょうだいしたわけでございますが、私ども、先ほど申しましたとおり、いろいろ各省庁からあるいは民間団体からのヒアリング等を行っております。その開催状況等につきましては、その都度、マスコミの方にも、何月何日にこういうことのヒアリングを行ったとかいうふうなことを申しておりますし、また、お問い合わせがあれば、これまでこういうヒアリングを行ったのだというふうなことを申し上げてきたわけでございます。  ただ、自由な立場で中立公正な検討をお願いをする、それで議事を進めていこうということから、懇談会の議事の内容、意見等にわたるものにつきましては非公開ということで出発しておりますし、現在もそういうことでやっておりますので、あるいは関係の方々にはどういうことが論議されておるのかということがなかなかわからないという御不満もあろうかと思いますけれども、ことしに入りましてからいろいろ意見の交換に入っておるわけでございますし、この夏までには結論をお出しいただけることになろうかと思いますので、その結論が出ますまでいましばらくお時間をちょうだいいたしたい、かように考えております。
  263. 武田一夫

    武田分科員 長官、「人間革命」という小説があるのです。その冒頭に「戦争ほど残酷なものはない。戦争ほど悲惨なものはない。だが、その戦争はまだつづいていた。人々は、八年におよぶ戦火に、親を失い、子を失ってその苦しみにたえてきた。」こういう一文があります。しかし、その苦しみは、先ほど私が申し上げましたように、戦後四十年たった現在もそうした関係者の皆さん方の心の中にやり切れない不満を増高しながら続いているわけです。ですから、今禿河議室長さんですか、お話しいただいた六月のいろいろな結論を見て云々ということ、それは承っておきます。しかしながら、こういう戦後処理の中で苦労されている方々へしかとそれなりの対応をしてあげないということ、これがもし起こったならば、政治における非人道的で人間性の全く無視というそしりを免れないと私は思うわけでありまして、国の責任においてしかと善処してほしい、対応してもらいたいということを私は申し上げまして、長官から最後に決意の一端をお聞きしまして、五分前ですが、これで終わらせていただきます。
  264. 中西一郎

    ○中西国務大臣 ともかく国民世論ということもございますし、財政事情ということもある、また、大変四囲の情勢困難な中での非常に重大な問題提起でございます。そういったことでございますので、先ほど来申し上げておりますように、七名の委員さんの方々にお願いをして勉強していただいておる最中でございますから、今ここで私が予断を持ってどうだというようなことを申し上げることは差し控えるべきではないか、かような意味で、当初来白紙であると申し上げておるわけでございます。その難しい立場を御理解いただきたいと思います。
  265. 武田一夫

    武田分科員 それでは、時間前ですが、以上で終わります。どうもありがとうございました。
  266. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、梅田勝君。
  267. 梅田勝

    梅田分科員 日本共産党・革新共同の梅田勝でございます。  きょうは、国家公務員の採用試験並びに公正民主の同和行政につきまして、時間がございませんが、質問を申し上げたいと思いますので、簡潔、要領よく御答弁いただきますようにお願いを申し上げます。  まず、国家公務員の採用試験についてであります。  まず最初にお伺いいたしたいことは、公務員採用における平等取り扱いの原則についてであります。  言うまでもなく公務員は国民全体の奉仕者でありますが、その選定に当たりましても、すべての国民が平等になり得る固有の権利として保障されなければならないと思います。憲法や国家公務員法にはその原則が示されております。戦前のような特権官僚をつくり出すような身分制を採用するようなことがありますと、そういうレールが敷かれますと重大でございます。そういう点で、国家公務員法の第二十七条「平等取扱の原則」に基づいて採用試験はすべての国民に対して平等の条件で公開されなければならないと思いますが、まず、この原則につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  268. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、「平等取扱の原則」にのっとって試験は実施されなければならないもの、かように考えております。
  269. 梅田勝

    梅田分科員 そこで、現行の国家公務員採用試験は、学校教育体系に合わせました大学卒業程度、これには上級甲と乙種の二種、それから短大卒程度の中級それから高校卒程度の初級の三種四区分を基本とされております。しかし、人事院は六十年度実施を目指して人事管理制度の全面的見直しを図っていると伺っております。それによりますと、現行の上級甲種を上級職採用試験に、現行の上級乙種と中級を併合して基幹職採用試験、初級は初級職採用試験に再編成して、大卒程度の国税専門官試験あるいは労働基準監督官試験などは基幹職採用試験と同等とするということを考えておられるようであります。国家公務員の採用は、女性だとか身体障害者の方々を含めましてすべての国民に対して平等公開制の競争試験による採用が原則とされておりますが、ともすれば現状は知識偏重の傾向があると批判されておりますだけに、今回のような改正に当たりましては、より慎重でなければならぬというふうに思うのでありますが、人事院の素案というのはできているのですか。
  270. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 国家公務員の採用試験につきましては、他の人事管理に関する諸制度とともに昭和五十五年以来見直しを行ってきたところでございます。  試験関係について申し上げますならば、試験関係につきましては既に昨年の人事院勧告におきまして一応の考え方ということをお示ししているわけでございます。若干時間をいただきまして、その考え方……(梅田分科員「もうわかっています」と呼ぶ)試験関係につきましては、今お話がございましたとおり、今後のあり方といたしまして、大卒を対象といたします上級試験、同じく大卒を対象といたします基幹職採用試験、高卒を対象とする初級職試験、このような形で再編成をいたしたいということで検討を続けている段階でございます。
  271. 梅田勝

    梅田分科員 そこで問題は、上級乙種と中級採用試験を合併して新たに基幹職というようなことになるわけでありますが、これをやりますと、従来の短大卒程度という方々を締め出すことになるのじゃないかと思うわけであります。そこで、いろいろお聞きいたしますと、現状は受ける人が少ない、建前と実態が乖離しているということをおっしゃっておるわけでありますが、それでもいろいろ資料を検討いたしますと、例えば中級試験、行政事務関東甲信越地域の昨年の申し込みと合格状況を見ますと、大学の方々が申し込みにおきまして八七・一%ですね。短大の方は千三十三名で六・三%、高卒も入れまして一割余りが受けておられるわけであります。合格は三人しかなかった、〇・四%しかなかったということでありまして、合格は非常に少ないけれども、一割の方々は少なくとも受験されているわけですね。  それから短大の方々の就職状況でございますけれども、文部省からいただきました資料によりますと、昭和五十八年三月の調べで全国でそれぞれ、中学校、高等学校、高等専門学校、短期大学、大学あるいは大学院を卒業して、それがどれだけ就職をしているかという率で見ますと、就職率、大卒は七六・四%が就職しております。短大は七八・一%、高等専門学校は八九・六%、高卒は四一・五%、中卒は三・九%、ほとんど高校全入ですから就職する人は非常に少ないということでありますが、これで見ましても、短大卒は相当働きに出ているのが事実でございます。そういう事実を見ますと、やはり短大卒業の方々にも、国家公務員としての試験を受けてそして有意義な働きをする、そういう窓口は十分に保障すべきじゃないかと思うわけでありますが、いかがですか。
  272. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 ただいま関東事務局の分についてお話がございましたが、私ども全国の状況を見ましても傾向は今お話があったとおりでございます。  そこで、短大卒につきまして国家公務員の採用としてどのような形がよろしいかということになるわけでございますけれども、今お話がございましたとおり、私どもの承知しておりますところによりましても、短大卒の方々が年間約十二万人ほど就職をなさっているということでございます。ただ、その内容につきましては、人文でありますとかあるいは家政学でありますとかあるいは保母さんでありますとか、国家公務員としては比較的採用職種にない職種が非常に多いという状況でございまして、そのほか、もちろん国家公務員が対象としている職種もございますけれども、そういうものにつきましては、私どもが今後試験制度を再編成する場合におきましても十分配慮はしてまいりたい、このように。考えております。
  273. 梅田勝

    梅田分科員 今、任用局長が言われた言葉の中にも私はひっかかるものがあります。  ここへ資料を持ってきたのですが、去る二月二十一日に国公労連と任用局長が交渉をなさいましたときに重大発言をしているというように見ているのです。問題は、今も言われましたけれども、「名目上、短大卒程度試験がなくなるが、現在も受験者数もほとんどないこと、さらに、短大の学科は、家政科、被服科、栄養科など花嫁修業的なものであり、行政には、なじまないものとなっている。国は、行政官を求めているのだ。」こういう発言をしたということでありますが、これは重大発言だと私は思うのですよ。法のもとですべての国民は平等だ。憲法第十四条に違反する重大な女性べっ視、差別発言だというように思うわけであります。  御承知のように、今日、雇用における男女の機会均等及び待遇の平等を確保するための法的整備ということで随分と議論されて、雇用における男女平等法ということが国民的な大きな話題になっているときに、短大卒というのは花嫁修業的なものだということで公務員にはなじまないという発言は重大ですから、取り消しを願いたい。
  274. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お話しのように国公労連の方々とお話をいたしましたが、私自身の記憶をたどってみますと、花嫁修業というような言葉を用いた記憶は全くございません。先ほど申し上げましたとおり、客観的な学校の編成といたしましてそういう学科が多いということは申し上げた記憶がございます。したがいまして、私どもは、試験をやっております際には、最初に申し上げましたとおりあくまでも公開平等が原則でございますから、そういう趣旨で、いかなる学科を出た方でありましても、受験資格を持っている方につきましては全く平等に取り扱うつもりでございます。
  275. 梅田勝

    梅田分科員 言った、言わないということになりますと、そこにおったわけではありませんからこれ以上やりませんけれども、しかし、そうと受け取られてもやむを得ないような発言ですよ、あなたの発言は。これは重大ですよ。  国家公務員について女性の取り扱いというものが一体現状どうなっているかということは、私は、人事院としても考えてもらわなければならぬと思う点が多々あります。例えば給与法、公務員における女性の割合は二〇%だとかと伺っております。それから行政職(一)では一四%。その行政職(一)、いわゆる行(一)では年々割合が低くなっているということで、六等級におきましては女性は現在八千六百三十一人、六三%の割合になっているというように伺っております。これは、女性が結局昇給で頭打ちになっている現状ではないかと思うのでありますけれども、いかがですか。
  276. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 現在の女性の在職状況につきましてはお話しのような数字でございまして、給与法の適用職員の場合には、五十八年三月三十一日現在で一九・九%でございます。それから企業職員の場合は一三・九%ということになっております。等級別の在職状況につきまして、行政職(一)表でお答え申し上げますと、行政職(一)表の場合には、ただいまお話がございました六等級の場合は、これも五十八年三月三十一日現在でありますが、四万八千四百二名の在職者がおります。そのうち女性は一万二千六百三十四名でございまして、二六・一%の在職状況ということになっております。
  277. 梅田勝

    梅田分科員 女性の中で六等級になっている人は何ぼかというと、あなた、全体としては、男の場合は二六・七%が六等級におるけれども、女の人は六割以上そこにとどまっておるということを言っているわけですよ。
  278. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 失礼いたしました。パーセンテージははじいてございませんけれども、行政職(一)表の場合、女性の在職者の総数が三万四千七百四十三名でございます。そのうち六等級在職者が一万二千六百三十四名、これは先ほど申し上げた数字でございますが、ほぼ三分の一強ということになります。
  279. 梅田勝

    梅田分科員 そこで、女性が男性に対して比率としては悪いということを私は申し上げたいのであります。  そこで、今度の採用試験で、基幹職採用試験を短大卒の人が受けられて仮に合格した場合、どういう給与待遇をするのですか。
  280. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 基幹職の採用試験につきましては、私どもが現在検討しておりますのは六十一年度からの採用ということになりますので、まだその間、給与制度その他につきましてもいろいろ検討すべき点があろうかと思います。  現行制度をもとにして一応の考え方を申し上げますと、基幹職採用試験の採用者につきましては、一応これを現行の制度で申しますと七等級に格付をする、かように考えております。
  281. 梅田勝

    梅田分科員 大卒の人が受けられて合格した場合と、短大卒で基幹職に合格した人と同等の取り扱いをするのですか。号俸の格差もないのですか。平等にやるのですか。
  282. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 等級は七等級でございますが、採用に当たりましての学歴差、号俸上の差は当然に出てくるものというぐあいに考えております。
  283. 梅田勝

    梅田分科員 結局、試験は同じものでやって、学歴が違うからということで差をつける、これだったら現行やっている中級、短大卒程度と大卒、何も変わらぬじゃないですか。しかし、実際は同じ試験に合格しても待遇は別になる、これはちょっと差別じゃないですか。不合理じゃないか。これは議論しても平行線をたどるようですけれども、それでは大卒を何で二つに分けるのですか。
  284. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 今度基幹職を設けます背景を若干申し上げなければいかぬかと思いますが、御承知のように現在進学率が非常に向上いたしまして、四十三年と五十七年と比較しますと、ざっと大学の学部進学者が倍にふえております。これに対応いたしまして、現在の中級職試験の大卒者の合格の割合というものもちょうど同じ期間に倍にふえているというのが現状でございます。御承知のように、現在大卒の合格者は、中級職におきまして五十一年以来九〇%を超えるという状況で今日まで推移をいたしております。やはり基本には進学率の向上、学歴の向上ということがございまして、そういうことを背景にいたしまして、これは公務員だけではございません、民間企業も同様でございますが、そういう労働市場の中で大卒者をいかに中堅の職員として養成をしていくかということが大きな課題になっているわけでございまして、私どももそういう時代の流れに沿って大卒者をやはり中堅の職員として今後採用していきたい、このように考えて、こういう試験職種を設けるということを考えておる次第でございます。
  285. 梅田勝

    梅田分科員 私は、こういうエリートだけを重視するというような、入り口だけ採用試験で入れば後はもうすうっと将来は局長次長が約束されるような、そういう採用のあり方、任用のあり方というものは検討しなければならぬと思うのであります。戦前の身分制、官吏制度の復活だという声がございますけれども、改善策としては、大学卒業程度はもう一本にしてやるべきではないかというように思うわけであります。その点いかがですか。
  286. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お話しのような御意見は、実は私どもも従来から職員団体の方からも再三伺っております。ただ、私どもが実施しております採用試験というものは、基本的にはあくまでも無色透明でございまして、それを採用した先の官庁がどのように扱うか、採用先の需要がどうなっておるか、やはり私どもとしましてはそれを踏まえた上で採用試験を実施をしなければいけない。  そこで、これにはいろいろ御意見もございますけれども、現在は上級甲と申しますか、上級職の採用者というものを幹部職員として養成をするという形で各省庁が人事管理を行っております。したがって、そういう管理の実態がございます以上は、私どもはやはり現在の上級甲、これは今後の再編成の場合も上級職としてそのまま残したいというぐあいに考えております。そういう採用試験を実施せざるを得ないだろうと、かように考えております。
  287. 梅田勝

    梅田分科員 そういうのを旧態依然と言うのですよ。明治以来百年ずっとやってきた。しかし、そういう特権官僚をつくって天下りして、非常に格差がある。初級なら九年かからぬことには到達しない水準に上級職の人はずっと行くわけでしょう。九年かかった経験を――どんな偉い人でも、いきなりその水準には到達しないと思うのですよ。そして、試験はパスしたけれども実際やってみたら大して能力がないという場合も出てくるわけです。だから、やはり昇格に当たってはよく実績を見た上で、労働組合との合意の上に立ってそういうものは考えていくべきであって、あなたの方自身も、新しい試験制度に当たりましては、上級職、基幹職ともに大卒程度の能力試験とはっきり言っているのだから、私は、各省がそういうふうにやっているからということに安易に流れて現状追認のようなことをしてはならないと思うわけであります。  そこで、最後にこの問題でお伺いしておきたいわけでありますが、以上のように今回の素案は多くの問題点を抱えているという点で、特権官僚をつくるような採用試験、これを国が率先してやるということでは、結局学歴差別社会、これを国がつくり出して受験地獄をますますひどくするという点におきまして私は重大だと思うわけであります。まだ国公労連など関係者の納得を得られていないようでありますが、関係者の納得の得られないままに一方的に告知を強行することがないようにしてほしいと思うのでありますが、この点いかがですか。
  288. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 今回の試験の再編成につきましては、昨年の人事院勧告前から職員団体と意見の交換をして今日に至っているわけでございます。今後も、私どもといたしましては、職員団体とは十分に意見を交換してまいりたい、かように考えております。
  289. 梅田勝

    梅田分科員 それはもう一方的に告知をことしやっちゃうということじゃないですね。来年の採用に当たってどうですか。
  290. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 新しい試験制度、検討中のもでございますけれども、これにつきましては六十年度の試験から実施をしたいということで検討を続けております。したがいまして、五十九年度の試験は従来どおりということで実施いたしますが、ただ、受験者の便宜ということがございますので、一応再編成を検討している、再編成をやる予定であるということは、やはり一年くらい前に予告をしなければいけないということで、そういう考え方で現在準備を進めております。
  291. 梅田勝

    梅田分科員 これは非常に重大でありますから、関係者の合意を得られるように慎重にやっていただぎたいということをなお強く要求をしておきたいと思います。  次に、公正民主の同和行政につきましてお伺いをいたします。  昨日、運輸委員会で質問をしたわけでございますが、大分市の同和タクシーに対する増車問題につきまして、きょうは公正民主の同和行政をただす、そういう点におきまして関係者に来ていただいたわけでありまして、総務長官も総括責任者としてよく聞いておいていただきたいと思うわけであります。  ことしの一月十九日に、大分県同和タクシー企業組合が経営いたしますトキハタクシーというのが三十二台の増車申請をして、二月十日、現地陸運事務所はこれを認可したわけであります。ところが、十二日たった二月二十二日に、今度はそれを全部減らすという減車申請をし、一方大分市内のほかの十九社のタクシー会社から合計三十二台の増車申請が出されました。今日までの一連の経過を見てみますと、このトキハタクシーが別府にございます東タクシーに支払う一億一千万円の負債返済の金づくりのための談合だ、こういう疑惑をこれらの事実は裏づけた格好になっているわけであります。陸運事務所には、認可する際に大分県の同和対策室から経営再建に協力してほしいという旨の文書要請があったというように私ども聞いておりますが、事実ですか。
  292. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えします。  本年の二月一日付で、大分県同和対策室長から大分県の陸運事務所長に対しまして、企業組合の経営権をめぐっての紛争が解決し、再建に取り組むことになったので、県としても同和企業としての同組合の再建を願うところであるが、陸運行政の面から今後とも指導方お願いするという趣旨の文書が出ております。
  293. 梅田勝

    梅田分科員 一九八四年二月三日付で自交総連大分地連から福岡陸運局、大分県陸運事務所に緊急申入書というものを出しておりますが、これによりますと、十九社三十二台の配分は既に決まっておる、行政も内諾している、認可を受けた会社がその台数に比例して三百五十万円から千五十万円をトキハタクシーに支払う約束と言われている、重大な疑惑が存在しているというように述べているわけであります。  陸運事務所は、トキハタクシーを再建することが地域社会にとって必要であるとの認識を持って、二月十日付で三十二台全部の増車申請を認可した。しかし、これ自身は、陸運事務所がみずから決めた増車基準、つまり百台以下の場合は一〇%以内の申請しかできない、こういう基準を踏みにじっているのですね。実に七五%の増車を認めているわけです。しかも、三週間という短期間に認可をしている。問題は、同和行政のためだと言えば許認可がすっといく、ゆがめられてしまう、これは私は重大な問題だと思うわけであります。  これがいいかげんであったということの証明として、十二日たったらそっくり減らしますという事業計画の変更を出して、別の会社から同じ台数の増車の申請を認めてくれというのが出てくる、これは当然取引されたのではないかと思われる。どこに増車を認めなければならぬ緊急性があるのかということになるわけであります。結局利権のたらい回してあります。  したがいまして、とるべき緊急の措置として、一つはトキハの減車申請と十九社の増車申請を取り下げさせるか却下する、第二に実車率が五割を割るような現地の輸送需要などを検討いたしましても、トキハの増車申請認可そのものを再検討すべきだと私は思うわけでありますが、当面少なくとも彼らがふやしたいと言ったものが実際動いていないわけですから、その稼働していない状況に対してタイムリミットを設けまして、それまでに、いつ幾日までにきちっとやりなさいということを言って、そこまでにやらなければ取り消しをやるということをはっきりせぬと、私は、重大な疑惑をさらに招くと思うわけであります。現地では、同和対策室より当分保留にしてくれという申し入れがあったようでありますけれども、一体何日ぐらいでこれはやるつもりですか。  それから最後に、総務長官に対しまして、この問題について、同和行政だから曲げてよいということにはならないと思うのですね。これが実際やられておったとしたら重大だと思う。しかし、事実はそういう状況で今事が進行している。これは公務に対する国民の信頼を大きく傷つけるものであります。こんなことが横行いたしますと、部落差別をなくす、国民融和を図る、こういう運動に対しましても逆差別としてマイナスの影響を与えかねない、そのように思うわけでありまして、公正民主の同和行政を確立するためにも、このようなことが起こらないように御指導をお願いしたい。  以上です。
  294. 豊田実

    ○豊田説明員 申請のありました件につきましては、現在陸運事務所で調査検討中でございまして、まだ何日までに処理するという結論は出しておらないという報告を受けております。
  295. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話伺って、即答はしかねるのですけれども、しかし、一般行政につきましてもお話のような裏取引のような背景があるというような行政措置は望ましくないと思います。ということは同和行政についても同じであると思います。
  296. 梅田勝

    梅田分科員 これは重大な問題でございますから、公正民主の行政のためにも強力な御指導をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  297. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて梅田勝君の質疑は終了いたしました。  次に、竹村泰子君。
  298. 竹村泰子

    竹村分科員 靖国神社公式参拝問題について質問いたします。  九月から検討を進めてこられました自民党の靖国神社問題に関する小委員会(奥野誠亮委員長)は、去る十一月二十四日内閣総理大臣による靖国神社への公式参拝は合憲であるとの見解をまとめ、自民党政調審議会の了解を得られました。小委員会は小と申しましても自民党衆参両議員四十六人で構成されており、その勉強会の講師も十二名の超一流の講師陣です。既に報道されていることですから実名で申し上げますが、江藤淳東京工業大学教授は、諸外国の例を引きながら、日本古来の習俗に基づく儀礼であるから公式参拝は推進する。田上穣治一橋大名誉教授は、信教の自由と政教分離は別で、現在の靖国論争は戦争放棄の原理が影響している、それさえ避け得れば津地鎮祭の判例でよいのではないか。この両講師の論点がその後の小委員会の基調となっていったということです。  その他の講師の方々の御意見を一言で御紹介しますと、渋川謙一神社本庁事務局長、宗教的行為と宗教的活動を分離する立場、慰霊顕彰という表敬行為は宗教的活動ではない、神道では参拝という概念は極めて広範囲だから公式参拝は合憲。井本台吉英霊にこたえる会会長、参拝は儀礼行為であり、憲法上の問題はない。安部美哉放送教育開発センター教授、儀礼の問題と個人の信仰の問題とに宗教の中身をはっきり分けることによって何らかの問題解決ができるのではないか。林修三駒沢大学教授、公式参拝は違憲。井門富二夫筑波大教授、靖国神社が明らかに宗教法人である以上公式ということは問題がある。力久隆積新宗連信教の自由に関する特別委員会副委員長、慰霊というようなすぐれて宗教的な営みは宗教心を持つ国民がみずからの意思で行うもの、信教の自由の根本、宗教こそが人間の生き死にの根源的問題に救いを与え得ると自負し、その立場で慰霊は決して習俗ではなく、より純粋な宗教行為である、靖国神社の宗教性をたっとぶがゆえに公式参拝に反対している。その他となっております。そしてその後、小委員会の見解をまとめて発表されました。  これらの公式参拝に対する争点をまとめてみますと三つあります。まず憲法が禁止する宗教的活動には当たらない。二番目が玉ぐし料などの公費。負担は憲法八十九条に違反しない。三番目に総理が靖国神社を訪れるのは当然であり、内閣総理大臣と記帳しての参拝は私的な参拝ではない、これは閣議の決定を待たなくともよい。既に自民党は八一年七月に公式参拝の実現を党是として正式決定していらっしゃいます。しかし、政府は憲法二十条との関連で違憲ではないかということも否定できないとしていましたね。この小委員会の見解を得て、今は公式参拝に対してどのように考えておられますか。率直にお聞かせいただきたいと思います。
  299. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 靖国神社の公式参拝をめぐりまして各方面にいろいろな御意見があるわけでございます。そんな中で中曽根総理の、この問題についてよく勉強してみよう、こういう発言がございまして、それを受けた、その直後であったと思いますけれども、後藤田官房長官からもよく勉強をしてみよう、こういう表現でこの問題はずっと今日に至っております。  その中で、自由民主党の中にこの問題に関する小委員会が出発をいたしまして、奥野誠亮代議士を中心にいたしましていろいろ御論議があり、そしてその小委員会としての意見の取りまとめがあったということは私どもも聞いておるところでございます。ただ、自由民主党の方でもなお政調会長の預かりという形でこの問題はずっと来ておりまして、小委員会としてはまとまってそれを各方面に発表したといいますか、意見の取りまとめを行いました、こういうことになっておりますけれども、なお政調会長預かりという形になっておりますので、自由民主党として公式に決定をしたというふうにはまだ承っていないところでございます。冒頭に申し上げましたように、この問題についてよく勉強してみよう、政府としては法制局を中心とした見解がございまして、それを受けて今日に至っておる次第でございますので、私どもとしてもよく勉強をしておる、今日こういう段階におるわけでございます。  今具体的に自民党が小委員会でお取りまとめになりました問題について意見を述べよということでございましたけれども、私どもも勉強させていただいておるところでございますので、正式にこの小委員会の意見に対してコメントすることは今の時点ではお許しをいただきたい、こんなふうに思うのでございます。
  300. 竹村泰子

    竹村分科員 多分そういうお答えが返ってくると思っておりました。  靖国神社は、御存じのとおりかつて天皇制軍国主義のシンボルとして創建された国立の神社で、国家神道の三本の柱であったと同時に、軍の管理下に置かれる宗教的軍事施設の最高峰でありました。天皇のために忠節を尽くして倒れたと認定された戦没者だけが護国の神、英霊として祭られ、天皇みずからが拝礼をする最高の栄誉を与えられました。戦没した幾百万の戦争犠牲者の血だけではなく、アジアの数千万人の犠牲者の血に塗られた恐るべきモニュメントである靖国神社への公式参拝が今急速にピッチを上げて走り始めています。決して自民党がひそかに小委員会で勉強したわけではないのではないでしょうか。  振り返ってみますと、初めて靖国法案が国会に出されたのが一九六九年六月三十日、第六十一回国会でした。一九七二年三月七日、中曽根総理は総務会長のとき、英霊の国家護持の構想を発言しておられます。一九七五年八月十五日、三木首相は現職として初めて靖国に参拝しておられます。七六年六月二十二日に英霊にこたえる会が発足、これは今、日本を守る国民会議に発展して、日本縦断運動を繰り広げております。八〇年十月三十日、衆議院法務委員会で奥野元法相は憲法二十条の解釈を疑問視する有名な奥野発言をなさいました。八三年七月八日、自民党の国会議員による英霊にこたえる議員協議会が発足、現参議院議員の板垣正さんが事務局長に就任されています。そして村上勇遺族会会長とお二人で中曽根首相に要望され、中曽根首相は公式参拝合憲根拠づけの指示を発言しておられますね。首班のこうした発言が弾みとなって今回の靖国神社問題小委員会は実に素早く熱意を持って学び、見解をまとめられました。そしてこの委員会の委員長に奥野元法務大臣を置かれました。歴代の首相の中で異例の指示発言であったわけで、ここでがっちりと中曽根・奥野ラインができたわけです。  ここで一つ思い出していただきたいのは、一九七九年六月に出された衆議院大井法制局長、故人ですが、その法制局の見解です。靖国神社は宗教にあらずという説が今打ち出されていますが、この大井氏の見解では、靖国神社は英霊を祭神として神道の儀式によってこれを合祀しているのであるから、特異性はあるとしてもそれが宗教団体であることは当然の前提であるとしています。公人としての参拝は憲法二十条の三項に規定上の問題があるとしています。この衆議院法制局の見解はたびたび国会の中で論議され、今も取り消されておりませんが、このことについて特に御意見はありませんでしょうね。
  301. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 いろいろとこの問題については勉強をさせていただいておりますが、従来法制局で出しております見解は変わっておりません。法制局の見解に基づいて現在はその考え方をとっておるのでございます。なおいろいろな角度から勉強をしておる最中でございます。
  302. 竹村泰子

    竹村分科員 中曽根首相は、戦後の見直しを公然と始めておられます。中曽根さんの思想や行動をつぶさに拝見していますと、戦後の見直し作業には四つの柱があります。改憲、靖国、教育、軍拡です。この歴代の首相がなし得なかった見直し作業を精力的に進めていく実に偉大な方だと思います。  この小委員会の見解から幾つかのことを申し上げます。まず、神社は宗教にあらずという点で津地鎮祭の判例を引いておられますけれども、これは全くの拡大解釈で、高柳真一郎氏は、地鎮祭の行為の性質から適用できないとしています。つまり全く違う行為を一緒に考えているわけで、公権解釈と言えましょう。  教育基本法の九条の解釈もまた大変ユニークです。宗教教育を禁止した規定も特定の宗教のためのものであるとしています。すべて都合よく理解されるわけです。教育基本法の前文には「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、」と書かれております。  また、敗戦後、公務員が公務の資格において神社に参拝することが禁止された神道指令についても、もうこの指令は効力を失っている、総理は公人としての参拝がふさわしいとし、多くの人は総理の公的な参拝を望んでいる、だから閣議の決定を見なくても差し支えないという乱暴な論理です。御存じのとおり、神道指令というのは、一九四五年十二月十五日に連合国最高司令官総司令部から出された覚書でありますけれども、それを改めて繰り返すまでもなく、あくまでも信教の自由と政教分離の確立を無条件に保障するためであり、その精神がそのまま日本国憲法に継承されたことは全く間違いのないことであります。  我が国初の政教分離原則に関する憲法判断を求めた津地鎮祭違憲訴訟での名古屋高等裁判所判決でも、「国家神道の解体は、国民みずからの手によってなされたものではなく、敗戦後占領軍の覚書という形で、その監督のもとに外部的要因によってなされたものであるが、さきに述べた戦前の国家神道のもとにおける特殊な宗教事情に対する反省が、日本国憲法二十条の政教分離主義の制定を自発的かつ積極的に支持する原因になっていると考えるべきであり、我が国における政教分離原則の特質は、まさに戦前、戦中の国家神道による思想的支配を憲法によって完全に払拭することにより、信教の自由を確立、保障した点にあると言ってよい」とあります。  お尋ねしますけれども、神道指令と日本国憲法二十条、八十九条との関連をどのように認識しておられるかについてお聞かせください。
  303. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 神道指令につきましては、我が国の独立によりまして効力を失ったものと考えております。それから憲法二十条は、申し上げるまでもなく信教の自由を定めておりますが、その中の一つの重要な要素といたしまして政教分離の原則を定めております。それから憲法第八十九条は、その信教の自由を財政面から保障する規定であると考えております。
  304. 竹村泰子

    竹村分科員 神道指令が効力を失っているという御発言なんですね。しかし私のお聞きしたのは、神道指令そのものが効力を持っているかとお聞きしたのではなくて、その神道指令が我が国の憲法二十条、八十九条にどのように影響を与えたか、その関連をお聞かせくださいとお尋ねいたしました。
  305. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 憲法の制定に当たりまして、神道の指令が発せられていたというような事情は十分考慮されたであろうというふうに考えます。
  306. 竹村泰子

    竹村分科員 それでは、私たちの今の日本国憲法の二十条、八十九条に神道指令が非常に大きな影響を持ち、また密接なつながりを持っているということをお認めになるわけですね。
  307. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 日本国憲法は、申し上げるまでもなく、国会審議を経て制定されたものでございますから、日本国民がこれを制定したということでございますので、その神道指令を直接の基礎とするという意味ではございませんけれども、当時の事情からしまして、双方の関係が考慮されたであろうということで申し上げた次第でございます。
  308. 竹村泰子

    竹村分科員 はい、ありがとうございました。  そして、多くの人は総理の公的な参拝を望んでいるというのですけれども、多くの人というのは何人を指すのでしょうか。調査をして決められたのでしょうか。  私の知っている一人の老婦人は、御主人がフィリピンで現地召集され、戦死されたのですが、敗戦、そしてあの平和憲法の制定のときの感激を忘れることができないと話しておられます。そして今あの憲法は私の夫が、また多くの愛する人々が血であかない取った命がけの憲法です、私は夫を犬死にだと思いたくありません、愛する夫をこの胸のうちに抱き続けたい、靖国神社から夫を出してほしい、霊璽簿抹消要求を訴え続けておられます。しかしそれは聞いていただけないのです。その理由は、一兵卒は十把一からげで、十人一把として葬られているそうで、偉い方は一人で一柱となっているそうです。一人だけ出すことはできないと、大変な死んでからの差別があるわけです。  こういう方々が、黙っていても全国にどんなに大勢いられることでしょうか。一方の意見を重んじ、一方の意見を全く踏みにじるというこの論理、この方々は天皇や首相の公式参拝を望まれないわけです。この論理はまさに太平洋戦争を進めていったと同じ体質です。どうお考えになりますでしょうか。御感想をお聞かせください。藤波官房長官、これは人権の問題です。
  309. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 戦争が非常に痛ましいいろいろな犠牲者を生み出したということについては、もうみんなひとしく胸を痛めて戦後ずっと生きてきたところでございます。戦死をなさった方あるいは国内においていろいろな戦争の犠牲に遭われた方一人一人、特にお亡くなりになった方々のことを思いますと、人命が戦争によって非常に犠牲になったということを本当に残念に思い、したがいまして政治の大きな目的は、特に日本の政治の大きな目的は、二度と戦争するようなことがあってはならぬ、戦争の中に巻き込まれるようなことがあってはならない、平和な国際社会の中で平和な国の営みを進めていくように努力をしていかなければいかぬ、これが政治の大きな目的になっているところでございます。そういったことを常に念頭に置きまして戦後の政治が進められてきたと思いますし、中曽根内閣におきましても、そのことを何よりも大事に考えて取り組んできておるところでございます。  今大勢の国民が望んでおること等についてどういうふうに考えているかという御指摘でございましたけれども、いわゆる奥野小委員会、靖国神社問題に関する小委員会でいろいろ意見が述べられて、お取りまとめになってきておる、そういう文書でございまして、政府といたしましては、今申し上げましたような気持ちの上に立ちまして、特にこの法律上、法制局の意見を中心にいたしまして対処してきておるところでございます。そのことを御理解をいただきたいと思うのでございます。
  310. 竹村泰子

    竹村分科員 中曽根総理も一人の人間として、戦争のことに大変心を痛めておられるとおっしゃいますけれども、わきから拝見しておりますと、さっきから私が申しました改憲、靖国、教育、軍拡というこの一連の行動を拝見しておりますと、どうしてもそういうふうには思えない。非常に精力的に戦後の見直し作業を、その顕著な例が今度の教育改革だと思いますけれども、そういうことにどんどん手をつけていっていらっしゃる、そう思えてならないのですが、もし今藤波官房長官がお答えくださいましたことが本当であるならば、せめてそういう遺族の方々――遺族の方々と総称してしまいますと、全員が元首や首相の公式参拝を求めているというふうにお思いになるかもしれませんけれども、遺族の方の中にもそういう私の先ほどお話ししましたような方たちがたくさんいらしゃることをどうか覚えていただきたいと思います。そのことをぜひお伝えいただきたいと思います。  それから中曽根首相の公式参拝合憲根拠づけを指示する発言は、私がここに憲法を持ってまいりましたけれども、憲法七十三条、内閣の職権というところに「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」とあります。その政府機能の見解を逸脱した発言と私は思えるわけです。一方の人たちの意見を全く踏みにじって公式参拝を推進するように合憲根拠づけを指示する発言ということは、これは一国の総理としてはゆゆしきことではないかと思うわけですが、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  311. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 靖国神社に対する公式参拝の問題につきましては、従来から法制局の見解といたしまして、憲法上疑義がある、あるいは慎重に考えていくべき問題だというような発言あるいは考え方が示されておりまして、総理といたしましては、疑義があるというような表現でこの問題を処理すべきではなくて、実際に法律上どういう関係に立つのかというようなことについていろいろ各界の御意見を聞いて勉強しよう、こういうことに実はなっておるのでございます。恐らくその勉強しようの一環として、自民党の方でも奥野小委員会が生まれて勉強が進められてきたのではないかと思うのでございますけれども、各界のいろいろな御意見を聞いてみよう、特に法律上、歴史的にもいろいろ勉強しながらこの問題についての考え方をひとつまとめてみることにしようと言ってきておる過程でございまして、自民党の小委員会で御意見がまとまったことは伺っておりますけれども、それがすなわちすぐに政府の態度になるかどうかという問題でありますとか、あるいはそのことを中曽根総理がリードしてきておるのではないかというような今の御発言でございますけれども、少し中曽根康弘という政治家について先入観を持ってお考えくださっておるのではないかと思うわけでありまして、広く各界の皆様方の御意見を聞いて勉強しようということで来ておることを、プロセスとしてぜひ御理解をいただいておきたいと思うのでございます。
  312. 竹村泰子

    竹村分科員 そのことはよくわかります。大変勉強されたそうで大変結構なことだと思いますけれども、私がお聞きしましたのは、八三年に中曽根総理が公式参拝合憲根拠づけの指示をしておられるのです。このことを総理としてどうお考えになりますか。そしてできれば撤回を求めたいのですが……。
  313. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 靖国神社に公式参拝するという問題について勉強しようということを発言をいたしておりますが、これを憲法と照らして合憲化しようということを指示したという事実はないと思いますが、そういう文書か何かありますでしょうか。お伺いして大変失礼でございますけれども、お教えいただきたいと思います。
  314. 竹村泰子

    竹村分科員 今持ってきておりませんけれども、現参議院議員の板垣正さんが英霊にこたえる議員協議会の事務局長に就任されました。そして村上勇遺族会会長とお二人で中曽根首相に要望がありました。中曽根首相はこの要望を受けて、公式参拝を何とか合憲根拠づけをして早く実現しようではないかという、その指示を発言しておられます。これはただ一つの新聞だけではなく、幾つかの新聞に報道されております、宗教関係の新聞も含めまして。
  315. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 よくわかりました。新聞に確かにそういうような報道がなされましたけれども、それは公式参拝を憲法に抵触しない、合憲であるというふうに理屈づけようといって指示をしたというものではなくて、この問題についてみんなでよく勉強しようというふうに申したのが真意であるというふうに御理解をいただきたいと思います。私どももそういう受けとめ方になっております。
  316. 竹村泰子

    竹村分科員 もう時間がありませんので、深く今追及することはできないと思いますけれども、そういうニュアンスではなかったのです。もし御希望であれば後日お持ちいたします。私はそこにいたわけではありませんけれども、そういう報道が幾つかの新聞にされております。  先ほども申し上げましたように、中曽根首相が一市民であり、普通の方であるならば別に問題ではありませんけれども、今重責を担っておられる一国の総理でいらっしゃる、そういう中で、憲法の示す中での内閣法律を執行し、国務を総理するとあるその職務がおありになる、そういう政府機能の見解を逸脱した行為ではないかと私は思うわけで、いつの日か撤回していただければ大変うれしく思います。  以上です。
  317. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 中曽根内閣は、法律を執行し、国務を総攬することを何よりも大事に考えていく内閣でございまして、改めてそのことだけは申し上げておきたいと思うのでございます。  なお、先ほどのことにつきまして総理が指示したということでございますけれども、そういうふうに新聞に報ぜられておりますけれども、くどいようでございますけれども、靖国神社の公式参拝を合憲とするための理屈づけを立てろ、こう言って指示したという先生の御意見でございましたが、そういったような指示ではありませんでして、よく勉強してみよう、あやふやなことでなしによく勉強しよう、こういうふうに総理は発言をされたのが実は真相でございまして、先生はそこにいなかったからというお話でございますけれども、私はその周辺に官房副長官としておりましたので、大体そういうふうに総理は言われたというふうに実は身をもって理解をいたしておる次第でございます。
  318. 竹村泰子

    竹村分科員 わかりました。これは証拠不十分で、もう少し調査して、この次お尋ねいたします。  靖国問題の質問を終わります。ありがとうございました。
  319. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて竹村泰子君の質疑は終了いたしました。  次に、平石磨作太郎君。
  320. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 総理府の方へお伺いをいたしたいわけでございますが、終戦からこの方三十九年、日本の経済の発展といい、あるいは社会の発展といい、本当に目をみはる発展がなされておるわけでございます。したがって、そういう発展の中でまだまだ戦争の傷跡というものがあからさまに残っていることがございます。  過日も中国から残留孤児が肉親を求めて日本に参りました。この状況を眺めたときに、本当にお互いに日本人として胸が痛むわけでありますが、そういう目に見えた戦後のまだまだ解決をしていかねばならない問題があるわけです。したがって、この中国残留孤児につきましては、政府の方も大変な努力を重ねられて、その頻度も高まってきた。そして日中両国におけるところの関心も高まってきて、高齢化、老齢化を迎える中での解決が急がれておるわけです。私どもはそういった戦後の処理ということにつきましては、中曽根総理が政府の大きな基本として就任のときに言われた、いわゆる決着をつける。意味は違いますかもわかりませんけれども、この戦後の処理の問題はいつまでも放置のできない問題だ、このように理解をしておるわけです。  そこで、お尋ねをいたしたいわけでございますが、今政府の中で、戦後処理問題について総理府の中に懇談会が設置されて、調査検討がなされておるわけです。五十七年に五百万円という戦後処理の予算が計上されて、調査費が使われておるわけですが、この戦後処理問題懇談会はどのように審議がなされ、そしてどういうことが審議されておるのか、その経過と内容についてお聞かせをいただきたいわけです。
  321. 禿河徹映

    禿河政府委員 総務長官の私的諮問機関といたしまして、戦後処理問題懇談会が五十七年の六月末から開催をされてきたわけでございますが、現在まで十八回にわたりましてこの懇談会が開催されております。  昨年までは、いわゆる恩給欠格者問題、シベリア抑留者問題、それに在外財産問題の三つの問題を中心に、政府が戦後これまで講じてまいりました施策等につきまして、関係各省からのヒアリングを行いますとともに、関係の民間団体からも御要望等のヒアリングを行ってきたわけでございます。ことしに入りまして、この懇談会におきましては、以上申しましたようなヒアリングを踏まえまして、これまで講じられてまいりました各種の施策がどのような背景のもとに、あるいはどういう必要性に基づいてとられたのかというふうなこと、あるいはその施策に対しましてこれをどう評価するのか、他との関連においてどういう問題が出てくるのかとか、さらに戦後処理問題というものにつきまして基本的にそもそもどう考えるべきかとか、こういうふうな御議論を重ねてきておるところでございます。今後そういう御議論が積み重ねられまして、現在の予測では、二年経過をいたしますところのことしの夏までぐらいには御結論を出していただけるのではないか、かように考えております。
  322. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 今内容、経過をお聞かせいただきました。その内容の中で、恩欠の問題あるいはシベリア抑留の問題、在外財産の問題、三点がお話の中に出てまいりました。これはやはり戦後処理の問題としてこれから対処していかなければならない、こういう項目だと理解をしてよろしゅうございますか、いかがでしょうか。
  323. 禿河徹映

    禿河政府委員 もう既に御存じかと存じますけれども、政府といたしましては、昭和四十二年の引揚者に対します特別交付金の支給措置をもちまして戦後処理の問題すべて完了した、こういう立場に立って対応してまいったわけでございます。しかし、ここ数年の動きを見ますと、今御指摘のございました戦後強制抑留者の問題、それから軍恩の欠格者の問題、さらに在外財産の問題、その三つの問題につきまして、なお非常に強い御要望が一部出てまいったわけでございます。  これに政府としてどう対応すべきかということをいろいろ検討いたしました結果、政府の姿勢といたしましては、すべて戦後処理問題は完了した、こういう姿勢には立ちますけれども、やはり御要望の多いこの三つの問題につきまして改めて民間の有識者の御意見を伺うということが適切な方策であろうということから、五十七年度からこの懇談会を開催して、その御意見をちょうだいしたいというふうに対応してきているところでございます。
  324. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いまお答えの中にございました引揚者給付金の支給でもって一応戦後の問題は終わった、こういうことのお話がありました。そういう認識の上で新たな要請として、新たな問題として云々と、こういう御答弁をいただいたわけでございます。この引き揚げをして帰ってこられた当時の在外邦人、これは本当に社会的な生活基盤を喪失して帰ってきたわけです。今こういう高度成長の経済大国になりましたが、やはり過去在外邦人として当時は少なくともお国のためということを頭の中に置いて海外で活動された方々です。そういう方々が人生途中において戦争に負けたとはいえ、一切のものを失って日本に引き揚げてこられた。この痛手というもの、この傷跡というものはやはり忘れることはできないのではないか、こういう気がしてなりません。  そういう中で、戦後処理は終わったんだというあの引揚者給付金、平均では大体十万円程度であったと思いますが、これはいわば在外財産、精神的な傷跡のいやしにはなりませんけれども、そういう形、当時の価額としてはその程度であったと思うわけですが、私は、そういった精神的な痛手と財産的な痛手、これをすべて政府に向かって要求をし、政府でもってこれをいやせ、こういうことは申し上げませんけれども、やはりこれだけの大国になれば、もうあれで終わったんだ、こういう認識はいかがなものかという気がするわけです。     〔与謝野主査代理退席、倉成主査代理者席〕 そして、これは報道によったわけでございますが、政府・与党間において、戦後の処理は終わったという覚書等も取り交わされておるというようなこともお聞きをしておるわけですが、こういった覚書あるいは今の答弁にありました、戦後処理は終わったというようなことをある程度クリアして、今の懇談会を進めておられるのかどうなのか、お聞かせをいただきたい。
  325. 禿河徹映

    禿河政府委員 一昨年の六月の第一回のこの懇談会の開催に当たりまして、先ほど申しました従来の政府の考え方、方針というものを御説明はいたしたわけでございますが、先ほども申しましたとおり、一切終結したものとするという政府の姿勢で来たけれども、なお今申し上げました三つの問題について各方面からの強い御要望がございますので、そもそも戦後処理問題というものを一体どう考えていくのかという基本論、それを踏まえながら、この三つの問題につきまして、中立公正のお立場から自由な御論議をちょうだいして御意見をいただきたい、こういうことでこの懇談会の開催を行ってきたわけでございます。
  326. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 そういうことで、懇談会が二年間にわたって各民間団体その他のヒアリングを重ねながら続けてこられた、こういうことでございます。  そこで、今三つのことについてお話がございました。恩欠とシベリアとそして在外財産、この中で私はすべてを論ずるわけにもまいりませんけれども、まず恩欠ということについて、これはこの懇談会の中で懇談、論議がなされたものかどうなのか、お伺いをしたい。
  327. 禿河徹映

    禿河政府委員 恩欠の問題も含めまして、先ほど申しました三つの問題につきまして、これまでいろいろヒアリングも行われ、現在これをどう考えていくべきかということについて議論を重ねていただいておる、こういう状態でございます。
  328. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 ちょっと舌足らずでえらいどうも申しわけなかったのですが、その恩欠については内容はどういうことであったのかを聞きたかったのですが、それが抜かりまして……。
  329. 禿河徹映

    禿河政府委員 この懇談会は自由な立場から中立的に御議論をいただこうということで、いろいろメンバーの方から出てまいります御意見、これは非公開ということで、結論が出ますまで、私どもどういう御意見があったとかいうことはちょっと申し上げられる立場ではございませんが、この恩給の欠格者の問題につきましては、そもそも戦後の恩給の停止、それから二十八年のそれの復活に至る事情、その後の改善の状況、さらには、戦前、明治以来の恩給制度というものが一体どういうふうな変遷をたどってきており、現在関係の方々がどういう点について御要望しておられるのかとかいうふうな事実はできるだけ事務的にも御報告をし、御検討の参考にさせていただいておる、こういう状態でございます。
  330. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 懇談会がまだ継続中でございますから、今の御答弁以上のことは出てこないかもわかりません。  大体見通しとしては、先ほどの答弁の中にありましたが、この六月ごろ、二年をめどにとして五十七年の六月から発足をしたようですから、近く結論は出るんだろうと思うわけですが、この恩欠については、私もあっちこっちでいろいろと関係者から陳情等もいただくわけです。それで、十二年以上の者は恩給にかかる。十二年に満たない方は、十一年十一カ月の方でも一時恩給という形で、そこに大きな格差がある。これは、恩給の制度体系からいったときにまあやむを得ないことだろう、こう思うわけです。  そこで私はこの問題を、恩給の適用から外れた――適用から外れたと言うたら語弊がありますが、処遇において大変な格差のある、一時金あるいは年金、こういう格差があるわけですが、これはやはり、命をなげうって戦場に行った方々の軍歴については、ああそうでございましたか、ありがとうございましたというだけのいわば一時恩給、一時金といったような形だけで、これだけの経済大国になってまいりますと、そのままではどうも心の痛手、体の痛手といったような形をいやすものにはならない。何とかもっと格差のないものにというのが私は人情だろうと思うのです。したがって、私は制度の上から考えたときは、これがそのまま十一年に落とし、十年に落とし、九年に落としという形で、いわば適用の範囲、すそ野を広げていくということも一つの手法のあり方だとは思う。それはなかなか体系上難しいんだということになりますと、今国家公務員、地方公務員の共済に軍歴通算がなされておるように、民間で働いていらっしゃる、会社におりあるいは国民年金に加入しておられる方々にせめてその軍歴を通算するというような一つの方法、こういう方法等についていろいろと要望をいただくわけですが、これは恐らく懇談会の席上にもそのことは上がっておると思います。  だからそういった内容を含めての調査検討だろうと推察をするわけなんですが、ここが関係者の皆さん方の大変関心のあるところであり、またその見通しについていわば非常に期待をしておるところだというように理解をするわけなんですが、今ここでどうのこうのと私は追及はいたしませんけれども、そういう方々の心情は十分理解をして結論をいただきたい、こう思うわけです。ひとつ担当省として総理府の見解と言っても難しいんですが、そこらあたりひとつお答えをいただければ大変ありがたいと思うわけです。
  331. 禿河徹映

    禿河政府委員 戦後処理問題懇談会で軍恩の欠格者問題につきましてどういう結論を出されますか、私ども現段階で何とも申し上げられる立場でもございませんのですが、今お話がございましたいわゆる軍歴の通算の問題につきましては、恩給の欠格者の問題の一環としてそういう御要望があることは十分懇談会にも申し上げでございます。  また同時に、これも既に御承知だと存じますが、この軍歴通算問題につきまして、総理府におきましてかつて別途研究会をつくっていただきまして、六人の有識者から成ります研究会を昭和五十五年の秋から五十七年の四月まで開催いたしまして、その結論をちょうだいしたことがございます。これは、公的年金制度におきますところの制度のあり方という観点を中心にいたしましていろいろ御検討いただきまして、その結論は、これを通算するということはできないと申しますか、適当でないという御結論を実はちょうだいしておるわけでございます。当然のことながら、この軍歴通算の問題につきまして関係者の御要望も十分懇談会に伝えますと同時に、こういう研究会からの報告と申しますか、意見が出たということも各委員先生方にも申し上げておるところでございます。
  332. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 大体わかりましたが、そこで私は、今の答弁の中にありましたように、それぞれの制度を追って話が進むとこれはなかなか難しいと思うんですね。実らない。だから、そういう新たな要望といいますか、そういう一つの機運といいますか、もっと格差のないものに何とかならぬか、こういう素朴な国民の願いというものを取り入れて、戦後問題として処理してほしい。だから私は、この懇談会がこの恩欠とシベリアと在外財産について検討しておるということは、戦後問題なんだ、戦後問題としての処理の是か非かということで懇談会が進んできた、こう理解をするわけです。したがって、ここで制度の話し合いをいたしましても、それはなかなか大変な問題ですから、はい、そうですというわけには局長もまいらぬと私は思うのです。だからこれは戦後問題の処理問題なんだ。そして恩欠については、少なくとも恩給類似の新たな制度をつくってこれを処理するのか。通算については、今私が一つの方法としての軍歴通算についての話、これは五十七年の四月に適当でないという意見をいただいておりますということでございましたが、それ等をも含めて、戦後処理問題の一つとしてひとつ何とか処理の道を見出してほしいということを申し上げたいわけなんです。  それからシベリアの問題にしましても、これも大変な痛手を受けて、長い抑留生活の中から日本へ引き揚げてこられておるわけです。したがって、それはそれなりの一つの根拠とそれなりの理由でもってこういったことを国に要請をしてくるということもまた理解できるわけであります。この問題は一方で裁判も行われておる。国家意思がどうなるのかといったようなことについては、これは先に結論を見送らなければなりませんけれども、少なくともこの三つについては戦後処理問題だということでお取り上げいただいて、懇談会の席上で検討されておるということは事実でございますので、戦後処理としての対処をしていただけるだろうかどうだろうか、ひとつお答えをいただきたい。
  333. 禿河徹映

    禿河政府委員 私どもといたしましては、今御指摘の三つの問題が一番大きな問題として浮かび上がってきておるという事実を踏まえまして、この戦後処理問題懇談会に御検討をお願いしておるわけでございますので、その辺のところは御理解をいただけるかと思います。  これに対して、政府として今後どう対応するかということに相なりますと、恐らく間もなくこの懇談会の御意見が出ると思いますので、その御意見を待ちまして、政府としてこれにどう対応するかということを検討させていただくことに相なろうと存じます。
  334. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 これは私こういう席上で申していいかどうかはちょっとわかりませんけれども、この軍恩欠格についてはいろいろな社会の動きがあります。したがって、そういう動き等があたかもすぐかなえられるような形においていろいろと動きがあることを耳にするわけです。これがいつまでもそういうようなことがあると、私に直接そういった方々が聞きにくるわけです。あなたはこういう軍恩、年金その他について国会の中でやっておられるが、こういうことを言っておられるといってきたが、これに参加していいのかどうなのか。そしてこの方へのお手伝いをすれば私たちの恩給欠格がかなえられるんだというようなことで非常に迷っておりますが、どうでしょうかというような生々しい相談にあずかることが間々あるわけです。こんなことで、社会の混乱といいますか、そういうようなことになりますと私どもも非常に嫌ですし、政府としてもこの戦後処理については相当な決意を持ってこの恩欠等の問題には対処してほしい。だから、既存の制度、既存の行政の立場だけで終わりというようなことではどうも済まされないような気がするわけです。この点を心配しておりますので、ひとつ戦後処理としての問題解決に一段の努力をいただきたい。そして私はこの懇談会の皆さんに対しても、この委員の方々に対しても、もちろんそういったようなことをお聞きになっておるかどうかはわかりませんが、やはり戦後処理の問題として片をつける、そして何らかの方法においてこの処遇を行ってやろう、類似の行為でもいいから行ってやろうというようなことで、ひとつ懇談会を終えてほしい、答申をいただきたいというように、これは私のお願いです。大臣、ひとつそういった面で、今数々の御答弁もいただき、ここで論議がなされましたが、ひとつ大臣の所感と御決意のほどを伺って、終わりたいと思います。
  335. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話に対しまして前向きのいい答弁をしたいという気持ちはございまするけれども、何分七名の方々の懇談会で長期にわたって検討していただいております。またそういった問題がだんだん煮詰まってまいりますと、世論の問題、いろいろな角度での考え方も出てくるのじゃないでしょうか。そういうことを全部踏まえて委員の各位も御判断なさると思いますので、私自身の気持ちというのは現段階では控えさせていただきたいと思います。
  336. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いまちょっと要望をして、終わらせてもらいます。  今各党の話し合いという俎上にのるように政府が原案を出していただいたら、私らも各党のその上に参加していきますので、ひとつ案を出していただければ幸いです。これはひとつ要望して、終わらせてもらいます。ありがとうございました。
  337. 倉成正

    倉成主査代理 これにて平石磨作太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、経塚幸夫君。
  338. 経塚幸夫

    経塚分科員 私は、同和対策問題につきまして幾つかの点でお尋ねをいたしたいと思います。  ちょうど五十九年度は地域改善対策特別措置法が実施されまして三年目、いわゆる折り返し地点に当たります。この間、地対法の重要な課題でありました公正にしてかつ民主的な同和行政への転換の課題は、全国的には定着をし始めております、しかし、まだ事業がおくれたまま放置された地域だとか、あるいは依然として不公正が正されないままで来ておる地域とか、幾つかの問題を抱えております。期限内に目的が達成されて、未解放部落の地区住民が同和行政から自立できる条件がつくれるかどうか、これは極めて重要な課題になってきております。そういう観点から、以下幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、地対法二条二項で定められております公正な運営についてお尋ねをしたいと思います。  厚生省の方にお尋ねしたいのですが、隣保館の運営要項三項、運営方針には「隣保館はつねに中立公正を旨とし、広く地域住民が利用できるよう運営しなければならない」、かように定められておりますが、この要項、今日もなお間違っておらないのかどうなのか、その点お尋ねいたします。
  339. 大木知明

    ○大木説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりでございまして、そのとおりでございます。
  340. 経塚幸夫

    経塚分科員 そのとおりということでありますが、それでは私がこれから申し上げます事実についてどのようにお考えなのか御答弁をいただきたいと思うわけでありますが、これは大阪市の浪速解放会館の使用に関してであります。  五十七年の十月十九日に、同地区の坂東勝という人が地域改善対策特別措置法の学習会を開きたい、こういうことで申し込みを行ったわけであります。これはその申込用紙の控えでございますけれども、ところが今に至るも使用の許可がおりない、こういう状況が続いております。同じく大阪府下の吹田市では、協議員と協議が整わない、こういう理由で申込書が却下されました。富田林もそうであります。  大阪府下で隣保館と称するものが四十数館ございますけれども、この中で、目的さえ合致しておればだれでも自由に利用できるという館はわずか二館しかございません。これは明らかに地対法二条二項で定められた公正な運営、あるいは次官通達で出されました広く住民の利用に供されなければならない、この趣旨から顧みましても違反しているんじゃないか、かように考えるわけですが、その点はいかがですか。
  341. 大木知明

    ○大木説明員 大阪府下の隣保館の一部におきまして、一部住民の利用というものが排除されている実態ということがあるかどうかということについては承知しておりまして、確かに先生御指摘の点につきましては、隣保館の運営要項というものにおきましては、行政の公平性あるいは周辺地域と一体性を確保する、そういう見地から隣保館というものは運営しなければいけない、こういうふうに規定されておりまして、それから見て望ましくない事態であるというふうに思っております。
  342. 経塚幸夫

    経塚分科員 地対法、次官通達、要項等の観点から見ましても、好ましくない事態というよりも、私はむしろこれは違反をしておる行為だと言わなければならないと思います。こういうよくない状況というものは隣保館だけではないわけなんですね。  例えばこれは東大阪市の例でありますが、蛇草という同和地区がございます。ここに青少年の運動広場が完成を見ました。地区の総人口は三千五百名でありますが、つくられました運動広場は何と一万八百二平方メートル、冷暖房つきの本部席、スコアボードを初めといたしまして、総額二十九億五千百万円。関西の方はよく御存じのはずでありますが、長官もよく御存じだろうと思いますが、大阪の難波球場並みの施設であります。青少年の数にいたしますと、地区総人口三千五百名でありますから数百名にしかすぎないわけであります。この市が建設をいたしました青少年運動広場は設置条例もつくられないまま特定団体の使用に供されて、しかも教育委員会がその事実を容認しておる、こういう事態が起きております。  私が持っておりますのはその写真でございますけれども、教育委員会の名前が入っております。明らかに使用を容認した写真でございます。設置条例もつくらずにこうして特定団体の使用に供されておる。これは地方自治法から見ましても、もちろん地対法あるいは次官通達から見ましてもこれまた違反をしておる行為だと思いますが、関係者の御答弁をお願いしたいと思います。――文部省が来ておらないということでありますので次に続けていきたいと思います。  今私は隣保館と青少年運動広場の使用の問題について触れましたが、こういう施設の不公正な利用問題とともに、地対法が制定をされました当時問題になりました施設の肥大化、これが依然として続いております。  この点若干御説明を申し上げておきたいと思うのですが、例えば大阪市の場合を例にとってみますと、同和対策の事業費が昭和四十四年から五十八年の間に三千三百七十六億円、一世帯当たりにいたしますと実に千五百万円同和対策事業として投資をしております。この中でも際立っておりますのは大阪市の浪速地区の例であります。ここは一世帯当たり二千数百万円の投資が行われました。保育所だとか住宅だとか各種施設が相次いで建設を見たわけでありますが、例えば住宅の例を挙げてみますと、千九百戸建設をされました中で、今日に至るもなお入居者が定まらず空き家で続いておる状況が百五十七戸ございます。一割近く空き家のまま放置されておるわけですね。保育所は、収容率は定数に対しましてわずか六割という状況であります。一般の待機児がかなりおりますけれども、同和地区の保育所はこういう状況であります。  東大阪市の場合を例にとってみますと、保育所は定数に対しまして七割、地区外では全市で約二千人の児童が保育所に入所できず、毎年待機をした状況が続いております。揺りかごから墓場までと言いますが、青少年センターを例にとりますと、これは荒本という同和地区でありますけれども、対象青少年人口が六百七十人。同じ市で青少年センターがございますが、ここは対象人口が三十万人であります。ところが六百七十人しかおらない対象人口に対してこの青少年センター、同和地区の場合は職員が五十二人であります。地区外の場合は、三十万人の対象人口に対して職員がわずかに四人という状況であります。  老人センターを例にとりましても、これまた蛇革地区でございますが、地区外は対象の老人が三万四千五百人、これに対して老人センターを建てました建設費が三千八百万、職員が五人であります。ところが同和地区の老人センターは対象老人人口わずか二百八十三人です。ところが、老人センターの建設事業費は一億四千万で、職員が、三万四千五百人を対象としたセンターの職員五人に対して、ここは何と十三人なんですね。極めて不公正といいますか、地区外からいろいろな批判が出てきております。これはもう地対法制定の際にいろいろ論議をされた経過でございますが、問題なのは、地対法制定以降のそれぞれの市がとっておる態度でございます。  といいますのは、大阪市は地対法制定以降、五十七年以降の残事業と称して、五百二十四億円まだ事業が残っておる、こういう見積もりを立てております。そして五十七年、五十八年、さらに五十九年度の新年度の予算に対しましても、保育所、老人施設、住宅など巨額の同和地区の施設建設予算を計上いたしております。東大阪市の場合は極端でして、建設事業費の実に二八・六%が同和建設事業予算として執行されつつあります。同和地区人口は一・五%であります。ところが、建設事業予算は二八・六%なんです。これは今までやらなかったからかというとそうじゃないんです。先ほど例を挙げましたように、もうあり余る施設がどんどんつくられてきておってなおこの状況であります。五十八年度同和地区人口一人当たり建設事業費は百五万七千円、地区外の住民一人当たりわずか二万三千円、だから、実に同和地区の建設事業予算、五十八年度だけを例にとりましても四十六倍という状況であります。これじゃ逆差別じゃないか、こういう非難、批判が地区外からも出てきております。私はこれは当然だと思います。  そこで、私は問題にしたいと思っておりますのは、先ほど施設の利用問題を例に挙げましたけれども、地対法実施後もう三年目を迎えようとしておるのにああいう不公正が正されておらない。そして肥大化された施設の建設につきましても、大阪市、東大阪市などの例を取り上げましたけれども、整理されるどころか、いよいよ肥大化に拍車をかけようとしておる、これは一体どういうことなのか。  五十七年三月十八日の衆議院内閣委員会議録によりますと、当時の水田政府委員がこう答えておるのです。国及び地方公共団体は、地域改善事業実施に当たって第二条第二項の規定を遵守すべき義務を生ずるものであり、地方公共団体を指導してまいりたい、こう答弁をされております。義務を生ずるものであり、国としても指導してまいりたい。二年たったわけですが、これは正されておらないわけなんですね。私は、折り返し点に立ちまして国の責任は極めて大きいと思います。  本当はいわれなき差別から同和地区住民が解放されるために役立つ同和行政とは、こういう住民のコンセンサスを得られないような、逆に批判を受けるような行政では、これは差別からの解消に役立たないところか、逆に新しい差別をつくり出す結果になりかねません。同和地区住民はもとよりでありますが、広く地区外住民も心から支持できる国民的融合の同和行政が進められてこそ本当に投資のしがいがありますし、地対法の精神だ、かように私は考えております。  そこで、長官にお尋ねしたいわけでありますが、施設の利用に当たっては、思想、信条あるいは所属の団体のいかんなどによって差別はしない、地対法あるいは次官通達で言われておりますように、広く住民の用に供する、こういう立場に立って強力な指導を行うべきではないか。さらに施設の建設に当たりましては、地対法発足の当時に指摘をされておりますように、格差のない施設の整備、ここに重点を置いて、やはり残る期間に着手する事業計画については見直しをさせる必要があるのじゃないか、かように考えております。国として思い切った指導をなされるお考えなのかどうなのか、ぜひひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  343. 中西一郎

    ○中西国務大臣 施設が偏った利用のされ方をする、また場合によっては極端に他地域と比べて肥大化する、したがって、全体としての地域改善対策という見地から見ると、物的にも、また精神的な、心理的な面でも逆に矛盾に陥ってしまうというふうな御指摘でございます。  そういったことはあってはならないことでございますので、事務当局を督励いたしまして精力的に対処してまいりたいと思います。
  344. 経塚幸夫

    経塚分科員 長官、私具体的に申し上げましたのは、思想だとか信条だとか所属する団体などによって、この法あるいは通達や要綱の趣旨が曲げられてはならないと思うのですよ、これ自体が差別なんですから。同和行政の目的は差別からの解消というところにあるわけでありますから、したがいまして、そういう観点から御指導していただけるかどうか。  これは私があえてここで強調いたしますのは、この地対法制定の際に、私ども日本共産党議員団といたしましては修正案を提出いたしました。このときに提案されておりました地対法の内容としては、その点項目的に具体に明記されておらぬじゃないか、一般的に公正な運用というような範囲にとどまっておっては、これは後々幾つかの問題が起きる可能性が十分残されておる、したがって、思想、信条あるいは所属団体のいかんによって公正な利用が妨げられるということのないように、その条項をもう少し具体的に明文化すべきじゃないか、実はこういう修正案を提起した経過もございます。したがって、私は今具体的にそういうような立場に立って御指導されるかどうかという御質問を申し上げたわけでございますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  345. 中西一郎

    ○中西国務大臣 日本全体の中では、都道府県によってはきちっとやっておる例もたくさんあるようでございますが、御指摘のようなうまくいってない実例もある。押しなべて理想的な形が望ましいことは言うまでもございません。しっかりと指導をしてまいりたいと思います。
  346. 経塚幸夫

    経塚分科員 先ほど文部省関係につきまして、青少年運動広場の御質問を申し上げましたが、これは再度趣旨を申し上げて御答弁をお願いしたいと思うのですが、東大阪市蛇草に青少年運動広場というのがございます。広さが一万八百二平方メートル、二十九億五千百万円をかけております。ところが、この青少年運動広場が設置条例もつくられておらず、一部特定団体の利用に供されておる。これは明らかに地方自治法あるいは地対法、次官通達に違反をしておると思います。したがいまして、広く住民が利用できるように指導していただけるかどうか、この点ひとつお答えをいただきたいと思います。
  347. 藤村和男

    ○藤村説明員 お尋ねの点でございますが、私どもの方ではこの事実関係について現在の段階では承知しておりません。したがいまして、大阪府を通じましてこの実態について調べた上でいろいろ問題点がありとすれば、それなりの指導というものを私どもの方でしてまいりたいと思いますが、この施設自体が文部省が所管する補助金を得てやったものであるかどうか、あるいは市が単独でやったものであるか、その辺を実はつかんでおりませんので、調べた上で、もし指導が必要であれば適切な指導をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  348. 経塚幸夫

    経塚分科員 これはもう数年来問題になっておることですから、今に至って文部省がそういう事実を把握しておられないということは大変遺憾であります。それから国庫の補助事業に係る事業であるか、あるいは市が単独でやられた事業であるか、市が単独でやった事業であればあたかも文部省が関知しないかのように受け取れる御答弁でございますが、これは私はやはり問題があると思います。これも地対法制定のときに共産党が修正案として出しましたが、国の責任を明確にすべきだ、いわゆる国民的課題だと言う以上は、国の責任、これを明確にして指導すべきだ、こういう点は申し上げたわけでありますが、いずれにいたしましても、早急に調査をされて、住民の意思に沿った公正な利用ができるようにしかと指導していただきたい、かように考えております。  それから、次にお尋ねをしたいと思いますけれども、大阪に見られるこういう事業の肥大化だとか、あるいは公正を欠くような実態が生まれてきております背景は何かといいますと、行政が行うべき同和行政をいわば財団法人、民間の団体に丸投げをしておる。ここに大きな問題があるというふうに考えております。五十七年四月一日の事務次官通達ではこう言われておるんですね。 「行政の主体制を確保しつつ、その運営の公平の確保を図るよう」、こういう指導がなされております。ところが、大阪府の場合は同促協方式と申しまして、この財団法人、民間団体に二億数千万円の補助金を出す。この組織を経由して、子供会から青少年あるいは老人医療施設連絡会等々に補助金が渡されている。これを通じて運動団体の運動が行われる。あるいはこの同促協が地区協議員指名する、この協議員の了解がなければ施設の利用が認められない、こういうことになっておるわけですね。いわば行政の丸投げであります。  私は、これは間違いだと思うんですね。あくまでも次官通達で指摘されておりますように、行政が主体性を持って、行政の責任において行政を執行する、こうあるべきだと思いますけれども、この点はどうでしょう。
  349. 佐藤良正

    佐藤(良)政府委員 同促協方式ということについて、詳細については承知しておりませんけれども、具体的に同和行政を行うに当たってはいろいろバラエティーがあるのじゃないか、それはローカルの事情においてそれぞれやり得ることもあり得る。したがって、全部が直轄事業で行うという点については、必ずしもそうではなくて、能率とかあるいは具体的な状況に応じて委託をするというようなことは、各府県の場合に応じてやっているということであろうかと思います。  同促協の問題については、確かに大阪がいわば財団法人で運営をしているというふうなことは伺っておりますけれども、問題は、最近新聞でちょっと拝見いたしたのですけれども、府の審議会でございますか、審議会で何か答申があって、それの改善方を図って、開かれた行政をするというふうなことをちょっと拝見したようなことがございますが、何か改革に進んでおられるというような事情ではあるのではないかというふうなことを承知いたしております。
  350. 経塚幸夫

    経塚分科員 改革がなされておるやに聞いておるということでありますが、どう改革をしようとも、それは民間団体なんですから、問題は、行政が行政の責任において同和行政を執行するかどうかにかかっておるわけですから、多少の改善、手が加えられても、そこへ丸投げをするというようなやり方では改善をされません。この点はよく実態を調査されまして、次官通達の趣旨に反しておるのかおらないのか、十分ひとつ精査をしていただきたい。これは明らかに反しておると私どもは判断をしておりますので、調査、精査をされた上で、次官通達の線での指導をお願いしておきたいと思います。  最後に、おくれた地域の施設建設の問題でございますが、これは例えば住宅建設など見てみますと、五十年の実態調査では、住宅戸数四十七万数千戸のうち、不良住宅といわれておるのが十二万三千ございます。そして建設省の資料によりますと、五十一年から五十七年の間に建設されました戸数が四万戸であります。したがいまして、残戸数が八万三千余戸に上ります。もちろんこの間にいわゆる公営、改良ではなくて、個人で建設をされました住宅もあろうことでありますから、いわゆる残戸数はかなり減ってきておるというように考えられます。しかし、当時でも、福岡では不良住宅が二万一千戸あった、こう言われておりますが、実績は、五十一年以降は八千二百四十八戸でございます。したがいまして、残戸数が一万二千数百戸ございます。神戸市は五十八年三月で進捗率六四・三%、なお残戸数が千四百八十三戸ございます。  ところで、予算を見てみますと、住宅建設の予算は、五十八年六百九十三億円から、五十九年六百七十八億円と減っております。同和対策予算は年々減っておるわけですね。住宅予算も減っておるわけであります。一体これで期限内に完了できるのかどうなのか。総理は本会議答弁で、期限内に残事業は完了するよう努力をしておる、かように答弁をされましたけれども、現状で見る限り、とても期限内に完了できるかどうか、これは完了できるという保証がございません。  そこで、長官にお尋ねをしたいわけでございますけれども、肥大化したところは正していく。同時に、おくれた地域については予算の重点配分、力の重点配分、同時に、同和予算についても増額を図っていく。こうして残された期限内に必ず残事業はやり遂げて、そして同和地区住民が基本的に同和対策行政から自立できる、こういう条件をつくるために国として負うべき責任を果たさなければならぬ、かように考えておりますが、長官の御答弁をお願いいたします。
  351. 中西一郎

    ○中西国務大臣 住宅につきまして地域別のばらつきがあるという御指摘でございました。残事業を法律の期限内に仕上げるという目標を持っておりますので、お話しのように残事業の多いところには重点的に予算を配分してまいらなければ計画が実行できません。そういった趣旨で、御趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思います。
  352. 経塚幸夫

    経塚分科員 終わります。
  353. 倉成正

    倉成主査代理 これにて経塚幸夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府本府についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  354. 倉成正

    倉成主査代理 次に、科学技術庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
  355. 小澤克介

    小澤(克)分科員 旭化成工業による化学法ウラン濃縮実験に対して予算が計上されておりますので、これまでの実験成果あるいは今後の見通しに関しまして若干お尋ねしたいと思います。  まず初めに、この旭化成工業による化学法ウラン濃縮実験に対しましてこれまでに支出された補助金の金額、各その用途、これを明らかにしていただきたいと思います。  なお、この予算科学技術庁分と通産省分とに分かれているようです。きょうは通産の方にも来ていただいているはずでございますので、それぞれについてお答えを願いたいと思います。
  356. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  化学法によりますウラン濃縮の研究開発につきましては、今先生からお話がございましたように、科学技術庁と通商産業省とで共同して進めておりますが、私ども科学技術庁が担当しております部分は試験研究ということでございまして、通商産業省はその先のシステム開発調査という分担をいたしております。  私ども科学技術庁が担当しております部分は、一つは吸着剤の改良研究でございまして、これは高性能の濃縮のプロセスを開発するという研究が一つございます。それから小型の連続濃縮装置をつくりまして、それを運転いたしまして実際にどのような成果が出るかという試験を行います。さらにその小型より一回り大きい中型の連続濃縮装置について、同じように、小型の研究成果がそういう若干大きくした形でどのような成績がおさめられるかということを運転試験で確認をすることをいたしてございます。それからもう一つ当庁の分担としましては、その先のモデルプラントに続けます大型化の試験ということで、これは今の小型、中型のような一連のシステムとして連続して運転するというようなものでございませんが、個別のものといたしまして、機器についての改良をするというものでございます。  これまで補助金が幾ら出たかという御質問でございますが、昭和五十五年度から五十七年度まで当庁から出ました分が二十一億四千万円でございます。五十八年度につきましてはまだ額が確定しておりませんが、一応契約額で述べさせていただきますと、四億七千万円でございます。
  357. 松田泰

    ○松田政府委員 通産省が出しております補助金分についてお答えいたします。  通産省が対象としておりますのは、先ほど原子力局長から説明がありましたモデルプラントといいますか、システム開発におきますモデルプラントの設計、製作を通じまして、経済性等の実証をするという目的のものでございますが、モデルプラントの設計及び建屋の設計、それから関連します機器の製作、それらの現地における組み立て、据えつけといったようなものにつきまして、順次補助金が出されておるわけでございます。五十五年度から五十七年度まで実際に補助金として出されました金額は、約十七億一千万円でございます。先ほど御説明がありましたように五十八年度の契約分について申し上げますと、十億七千四百万円というふうに予定されております。
  358. 小澤克介

    小澤(克)分科員 五十五年度以前にも、旭化成工業は川崎工場において実験を行っていたというふうに承知しているのですが、このころについては補助金は出ていないわけでしょうか。科学技術庁、お願いします。
  359. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  私どもが旭化成に補助金を出しておりますのは五十五年度以降でございまして、それまでは自己資金でやられていたものと思われます。
  360. 小澤克介

    小澤(克)分科員 次に、これまでにどのような実験を行ってきたのでしょうか。その内容について具体的にお尋ねいたしたいと思います。
  361. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先ほども若干触れさせていただきましたが、一つは、高性能濃縮プロセスの開発ということで、吸着剤の改良の研究を進めてまいりました。耐久性のある吸着剤の開発を進めてきております。  それから直径二センチメートルのものによります小型の連続濃縮装置、これを運転試験をいたしております。さらに、直径が十センチの中型の連続濃縮装置についても運転試験をいたしております。  これらの成果といいますか、これまでどのような成績が出ているかと申しますと、五十七年度に小型の連続濃縮試験装置によりまして、三%の濃縮を達成いたしております。それから中型の濃縮装置につきましては、現在まで二・二%程度の濃縮を達成いたしておりまして、今後この中型のものにつきましてさらに三%の濃縮ができることを目指しまして現在実験を行っておるところでございます。
  362. 小澤克介

    小澤(克)分科員 直径三十センチ、また直径七十センチの濃縮塔の計画もあるやに聞いておりますが、これについてはいかがでしょう。
  363. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今の先生の御指摘は濃縮塔の大型化試験のことかと思われますが、直径三十センチの大型試験装置をもう川崎工場で、五十五年ごろでございますがつくりまして、現在、日向工場の方に移設して直径七十センチの大型試験装置で実験をいたしております。
  364. 小澤克介

    小澤(克)分科員 そうしますと、三十センチ及び七十センチについてはいわゆる連続濃縮試験をするには至っていない、こういうことになりましょうか。
  365. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今の大型化の試験につきましては、システムを構成しまして連続試験をして濃縮の性能を確認するということはいたしておりませんで、単体でうまく液相ができるかどうか、そういったようなことを調べておるわけでございます。
  366. 小澤克介

    小澤(克)分科員 そうしますと、この三十センチ及び七十センチについては、実際にウランを使っての濃縮実験ということは行っていないということになりますか。
  367. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ウランは使っております。ただ、この化学濃縮法と申しますのは、いわば還元剤とか酸化剤等を順次加えながら、全体の流れを幾つかの濃縮塔で調整をしていくという方法のものでございまして、一つの塔だけではそういった濃縮のシステムを構成できないわけでございます。
  368. 小澤克介

    小澤(克)分科員 それでは、小型ないし中型の連続実験装置に戻りまして、小型の直径二センチのものについては三%をすでに五十七年度に達成したということでしたが、これは達成するのにどの程度の運転時間がかかっているのでしょうか。
  369. 中村守孝

    中村(守)政府委員 二センチの小型のものにつきましては、これまで実験した結果では、四カ月の実験で三%を達成したということでございます。
  370. 小澤克介

    小澤(克)分科員 四カ月かかって達成した三%というのは、どの程度の量なんでしょうか。  それから中型についても、それぞれ到達した期間と、濃縮できて取り出した量についても教えてください。
  371. 中村守孝

    中村(守)政府委員 量的には極めてわずかなものでございます。具体的には数十ミリグラムとか、そういうサンプリングをとってはかっておりまして、全体を取り出したということではありませんので、量的に幾らということはちょっとはっきり申し上げられませんが、全体としてはごくわずかなものでございます。  中型のものにつきましては、時期的には若干長うございますが、連続運転自身は三カ月でございまして、三カ月の長期連続試験の結果、二・二%の濃縮を達成しているということでございます。
  372. 小澤克介

    小澤(克)分科員 この小型並びに中型につきましては、いわゆる濃縮役務能力という表現ではどの程度になるか、数量的に表現できるでしょうか。
  373. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問に、ちょっと正確な数字としてお答えできるかどうか疑問でございますが、およその目安みたいな感じてお受け取りいただきたいと思いますが、小型のものにつきましては〇・四ないし〇・八キログラムSWUパー年という程度のものかと思いますし、中型ベンチのものについては十ないし二十キログラムSWUパー年くらいのものでございます。これはもちろん稼働率とかいろんなものが作用してまいりますので、一応の試算としてお受け取りいただきたいと思います。
  374. 小澤克介

    小澤(克)分科員 大型試験装置については、そのような試算が可能な程度の実験に至っているのでしょうか。
  375. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  大型の試験につきましては、先ほども申し上げましたようにシステムとして構成して行うものではございませんで、いわば濃縮塔の構造とかあるいは吸着剤の充てん方式とかそういったものを研究しておりますので、今申し上げましたような能力的なものはちょっとはかりかねます。
  376. 小澤克介

    小澤(克)分科員 これまでの実験によって生じた放射性廃棄物、これはどういった種類のものがどの程度発生しているでしょうか。
  377. 中村守孝

    中村(守)政府委員 日向市にございます旭化成のウラン濃縮研究所において発生している低レベル固体廃棄物についてお答えさせていただきますが、廃棄物といたしましては、いわゆる紙とか布とかといった可燃性の固体廃棄物、それから吸着剤のような難燃性の固体廃棄物、それから燃えない物がございます。水等を蒸発乾固いたしましたスラッジ等の不燃性の固体廃棄物、あるいはフィルター等のものがございます。  それで、この固体廃棄物につきましては、昭和五十九年の二月末現在ということで申し上げさせていただきますと、二百リットルのドラム缶に換算いたしまして六十三本、それから先ほど申しましたフィルターはドラム缶の中に入れるというわけにまいりませんので収納棚におさめてございまして、これが二架分というのが現状でございます。
  378. 小澤克介

    小澤(克)分科員 ちょっと済みませんが、その二架分というのはどういう意味でしょう。
  379. 中村守孝

    中村(守)政府委員 いわゆる棚でございます。
  380. 小澤克介

    小澤(克)分科員 二架分というのはちょっとわかりにくいのですが、立方メートルで表現するとどの程度になりますでしょうか。
  381. 中村守孝

    中村(守)政府委員 フィルターというのは一つの構造物でございまして、それを圧縮してつぶしちゃって処理するとかということをしておりませんで、棚にそのまま置いてあるわけでございますが、その棚と申しますのは幅が一・九メートル、奥行き一メートル、高さ二・四メートル、こういう棚が二つ分ということでございます。
  382. 小澤克介

    小澤(克)分科員 今低レベルについてお話がありましたが、これに尽きるわけでしょうか。高レベルもしくは中レベルというものは発生していないのでしょうか。
  383. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  そもそも取り扱っているものが、こういう天然ウランを若干濃くした、出たといっても非常に少量のものでございまして、全体的に低レベルのものしかございません。
  384. 小澤克介

    小澤(克)分科員 気体の廃棄物についてはいかがでしょうか。
  385. 中村守孝

    中村(守)政府委員 気体の廃棄物あるいは液体の廃棄物につきましては、法令に定めました放射能のレベルが許容量以下であるということを確認して、気体につきましては大気中に、水につきましては排水する、そういうことをいたしておりますので、今量的にたまっているということはございません。
  386. 小澤克介

    小澤(克)分科員 気体については、これまでに環境に排出したものがどの程度、何立方メートルくらいになりますでしょうか。水溶液についても同様お答え願います。
  387. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  気体の排出量というのは、部屋の換気した空気なりそういうものを出すわけでございまして、一概に言うのもいかがかとは思いますが、一応チェックして外に出しておるというものは、五十七年の十月から五十八年の三月までの間に一億六千万立米ということでございまして、実際のウランの濃度等につきましては、検出限界値以下でございますので、その量については測定ができません。  液体についてお答えしますと、排水量は八百立米でございます。これも期間は同じ時期でございます。
  388. 小澤克介

    小澤(克)分科員 先ほどの固体廃棄物については、現在どこにどう保管されているのでしょう。
  389. 中村守孝

    中村(守)政府委員 研究所の中に倉庫がございますが、その倉庫の中に保管されております。
  390. 小澤克介

    小澤(克)分科員 次に、いわゆるモデルプラント、直径一メートルのものを指すと承知しておりますが、これについては現在どういう状況になっているのでしょうか。
  391. 松田泰

    ○松田政府委員 モデルプラントにつきましては、現在、その建屋が完成し、またその濃縮塔、貯槽等の主要機器の製作がほぼ完了している状況でございます。現在の予定ですと、五十九年度中にこのような機器の据えつけ、配管工事等を実施いたしまして、モデルプラントを完成させ、一部の試験運転までこぎつける予定であるというふうに伺っております。
  392. 小澤克介

    小澤(克)分科員 このモデルプラントについては、当初予定はいつごろ実験開始ということだったのでしょうか。
  393. 松田泰

    ○松田政府委員 当初の予定は五十八年度に完成いたしまして、五十九年度から運転を開始するという予定でございました。
  394. 小澤克介

    小澤(克)分科員 そうすると、約一年おくれているわけですが、これはどういった理由でしょう。
  395. 松田泰

    ○松田政府委員 当初予定していたのに比べまして、各種機器、建屋等の建設費がやや計画を上回り、一方において予算上の制約等もありまして期間をおくらせたというふうに聞いております。
  396. 小澤克介

    小澤(克)分科員 特に技術的な問題点があっておくれたということではないのでしょうか。
  397. 松田泰

    ○松田政府委員 そのような技術的な問題のためではないというふうに聞いております。
  398. 小澤克介

    小澤(克)分科員 それで、一応の期限として六十年までというふうに伺っているのですが、この六十年までに所期の研究目的を達成する見込みがあるのでしょうか。その点いかがでしょう。
  399. 松田泰

    ○松田政府委員 六十年とおっしゃいましたけれども、モデルプラントの試験は、運転を開始いたしましてから所期の目的を達成するのに少なくとも二年間はかかるというふうに考えております。したがいまして、現在は、六十年度から開始いたしますので六十一年度まではかかる。それで、少なくとも六十一年度まではかかる、あるいはそれ以降になるかもしれないというのは、そのときになって判断したいというふうに考えておる次第でございます。
  400. 小澤克介

    小澤(克)分科員 原子炉等規制法による核燃料物質の使用許可は、たしか六十年までというふうに許可を受けていたのではないかと記憶しますが、六十年以降はどのようにすることになりますか。
  401. 辻栄一

    ○辻政府委員 昭和六十年の三月三十一日までとなっております。
  402. 小澤克介

    小澤(克)分科員 そうしますと、これについては新たに延長を申請する、こういうことになりましょうか。
  403. 辻栄一

    ○辻政府委員 そのとおりでございます。
  404. 小澤克介

    小澤(克)分科員 少なくとも六十一年度まではかかりそうだという話でしたが、どの辺まで達成すれば一応の研究目的達成というふうに判断されるのでしょう。
  405. 松田泰

    ○松田政府委員 モデルプラントの目的から考えまして、システムとしてつくり上げたものの技術的な実証を行います。同時に、経済性がどの程度あるかというのを検討いたすわけでございまして、実際の実プラントをつくるに当たりまして、経済性、技術的な点についての見通しが得られれば、それで目的は達成されたものと考えたいと思っております。
  406. 小澤克介

    小澤(克)分科員 数量的に、例えば何%にどの程度の期間でできれば、まあSWUパーイヤーでどの程度というようなめどがありましょうか。
  407. 松田泰

    ○松田政府委員 数量的な目標につきまして現在手元に余りはっきりしたものを持っておりませんので、申しわけございませんが、大体SWUで申し上げますと二トン・パー年というようなレベルが考えられておると思います。
  408. 小澤克介

    小澤(克)分科員 当初総額でどの程度の補助をする予定だったのでしょうか。
  409. 松田泰

    ○松田政府委員 モデルプラントにつきましての御質問考えまして御答弁いたしますが、当初は事業費総額七十億程度かかるのではないかというふうに考えていたものでございます。
  410. 小澤克介

    小澤(克)分科員 延びているということですが、最終的には今後どの程度補助することになるのでしょうか。
  411. 松田泰

    ○松田政府委員 今後どの程度延びるかといいますのは、もう少し様子を見ないと明確には申し上げられない点が多々ございますが、現在の試算ですと、通産省が補助しております分につきまして、まあ二、三割アップするのではないかというふうに考えます。
  412. 小澤克介

    小澤(克)分科員 二、三割アップした理由というのはどういうところでしょうか。
  413. 松田泰

    ○松田政府委員 先ほど申し上げました主として建設費の増高でございます。
  414. 小澤克介

    小澤(克)分科員 時間が来ましたので、最後に。  先ほどおっしゃったような一応の目標値二トンSWUパーイヤー、この程度に達したといたしますと、その後はどういう御予定を持っているのでしょうか。
  415. 松田泰

    ○松田政府委員 このプラントの補助という意味におきますと、目的を達成すればそこで打ち切りになるわけでございますが、会社の方でこれを後どう使うかについては聞いておりません。
  416. 小澤克介

    小澤(克)分科員 通産としてはどういうお考えですか。
  417. 倉成正

    倉成主査代理 簡潔に願います。
  418. 松田泰

    ○松田政府委員 通産省としては、別に考えておりません。
  419. 小澤克介

    小澤(克)分科員 終わります。
  420. 倉成正

    倉成主査代理 これにて小澤克介君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  421. 関晴正

    ○関分科員 わずか三十分でありますので、簡潔に、また要領よくお答えいただければと、こう思います。  原子力船の「むつ」の問題について、いろいろとこれまで討論を交わしてまいりました。きょうは最も現実的な問題をお尋ねしておきたいと思います。  と申しますのは、この船はむだ遣いの最たるものだ、こう言ってもきましたし、また言われてもおるわけです。佐世保における風評による魚価の低落を防止する、そういうことのための基金への助成金あるいは交付金、どういう形であるのかわかりませんけれども、二十億の金が出されておったのですが、これは回収になったのでございましょうか。
  422. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  長崎県の魚価安定基金につきましては、「むつ」にかかわる風評による魚価低落のおそれがなくなったと認定される場合には、国庫補助金相当額は国庫に返還すべきものであるというぐあいに承知しております。ただ、返還に当たりましての上記の認定につきましては、農林水産大臣がこの補助金を執行したわけでございますが、その農林水産省でこれを行うこととなるわけでございます。その際、長崎県及び科学技術庁とも相談するということになっておりますが、現在まだその段階に至っておりませんで、今後いつ返還するかについては、当庁といたしましても農林水産省及び長崎県とも相談の上、対処してまいりたい、こういうことにいたしておる次第でございます。
  423. 関晴正

    ○関分科員 船は引き揚げた、金は引き揚げない、これはどういうことでしょう。また、この問題については会計検査院からも御指摘を受けていますね。この後、どう当たるつもりですか。人任せですか。ただいまのお話ですと農水省云々とこう言っておりますが、自分で出した金、後始末は人任せ、これが方針でございましょうか。
  424. 中村守孝

    中村(守)政府委員 この補助金につきましては、当初、予算科学技術庁に計上いたしまして、実行に当たりましては水産庁に移しかえをして、漁業関係でございますので水産庁が執行したということでございます。  それから、ただいま先生が御指摘になりました会計検査院から指摘を受けているではないかということにつきましては、私どもはこの基金につきまして会計検査院から御指摘を受けたことはございません。
  425. 関晴正

    ○関分科員 まあ、そのほかのことの指摘は受けておったかもしれぬがこれはない、こうおっしゃるのですが、指摘しない方がおかしいのですよ、あなた。用がなくなった金でしょう。船は引き揚げた。その船の与える影響によって魚価の低落を来すようなことがあるならばいけないというのでお出しになった金でしょう。取ろうとしているのか、くれようとしているのか、どっちです。
  426. 中村守孝

    中村(守)政府委員 基本的には御返還いただくものでございますが、船がいなくなったからといって直ちに先ほど申し上げました認定がなされるということではございませんで、そこの点につきましては、水産庁、県とも十分に話し合いをしていきたいということでございます。
  427. 関晴正

    ○関分科員 こんな、目的もなくなってしまってなお金を置くというのは、これは何です。これは大臣に聞きたいと思いますよ。何の影響もなくなってもなおそこへ置くというのは、利子稼ぎさせるつもりですか。それとも、これは御迷惑料としてお上げするというお考えですか。これは大臣お答えください。
  428. 岩動道行

    岩動国務大臣 この二十億のお金というのは、農林省を通して長崎県に行ったお金でございまして、基本的にはやはり農林水産省においてそのような基本的な条件がなくなったかどうかの認定を経た上で返還をされる、こういう性質のものでございまして、私どもはこれについては重大な関心を持っているところでございます。
  429. 関晴正

    ○関分科員 何です大臣、今の話。原子力船が来れば、言うなれば核分裂、それに伴う放射能、そうしたことがあった、あるいはある、そういう風評が出ることによって魚価が下がるであろう、その場合に面倒を見てあげますよというのが趣旨でしょう。二十億の金ですよ。青森県の場合は五億いただきましたよ。佐世保の場合は二十億です。今度大湊に船が来るというときに、差別待遇じゃないかというところから青森の方にもその程度の金をまた面倒を見てくれているでしょう。問題は、用がなくなったらその金を引き揚げるのは当たり前じゃないの。これは農水省が判定するのですか。船の影響がなくなってしまって、そしてその判断を農水省に任せるというのですか、大臣。用のない金なら、引き揚げたらどうです。それとも、島は言うもののしがらみがあって取れない事情があるというなら別ですよ。そのしがらみの事情があるというのなら、事情を言ってください。利子稼ぎじゃありませんか。今まで何年置いていますか、何の影響もないのに。利子だけ置いてくるけれども元金は持ってくる、これならこれでいいですよ。何もかにも農水省人任せって、こんなばかなことがありますか、大臣。むだ遣いだとか行革だとかといって、こんなのをやれないで何ができますか。大臣だって、新しくなった大臣ですもの、使わないものや目的に違反するようなものはもう用がないのだからさっさと引き揚げる。やるべきじゃないですか。これは大臣の仕事ではありませんか。大臣、どう思いますか。――大臣だから、聞いているのは。
  430. 中村守孝

    中村(守)政府委員 ちょっと事務的に御説明させていただきます。  原子力船「むつ」が佐世保からすでに回航されているということは先生の御指摘のとおりでございますが、そのことをもって直ちに、先ほど申しました認定がなくなるということは一概に言えないわけでございまして、ここら辺は、設定の経緯等もございますし、十分地元とも御相談し認定をするということが必要なわけでございまして、基本的には返すべきものでございますので、農林省、県とも相談してまいるということでございます。 (関分科員大臣答弁だ、大臣だよ。だれもやれないのは大臣がやるんだ」と呼ぶ)
  431. 岩動道行

    岩動国務大臣 今原子力局長が御答弁申し上げたように、私どもとしましては、そのような影響がなくなったということを農林水産省で認定を速やかにしていただきたい、かように考えて、今後とも前向きに検討してまいりたいと思っております。
  432. 関晴正

    ○関分科員 まあ、情けない話ですね。船の持ち主は科技庁ですよ。科技庁のおかげで影響受けるから、受ける影響についてよく審査をし調査をして農水省しかるべくやりなさい。影響物体がなくなるのですよ。与える影響が何もないのに、その後の影響がどうあるか農水省で調べてやっておる、これほど非科学的な話がどこにあります。これが科技庁長官の答弁だなんて、世界の笑い物になるのじゃないでしょうかね。それとも、もう一遍佐世保にお戻しになって片づけてもらうという底意でもあるのでございましょうか、お答えください。
  433. 中村守孝

    中村(守)政府委員 この問題につきましては、必ずしも今先生が御指摘になりましたようなことを前提としているわけじゃございませんが、地元も十分御納得の上、そういうときでなくなったという認定をする必要がございますので、十分地元とも御相談をしてまいりたいということでございます。
  434. 関晴正

    ○関分科員 場合によっては佐世保で解体作業でもするんだ、こういうこともあるのかなとは思います。思いますが、そのときが生じたらそのときでやったらいいでしょう。  高岡原子力局長は、何のために辞表を出したのです。大臣、答えてください。
  435. 安田佳三

    ○安田政府委員 お答えいたします。  高岡原子力局長は、年末年始仕事が非常に多忙でございましたので、非常な過労に陥りまして、肝臓その他を傷めまして、また感冒等から肺炎に近い状況にもなりまして、大変健康を害しましたので、休養したということでございます。
  436. 関晴正

    ○関分科員 私の聞くところによれば、大臣局長に意見の相違があったからやめざるを得なくなったと聞いておりますが、大臣どうです、こういうことはありませんか。
  437. 岩動道行

    岩動国務大臣 そういうことは全くございません。
  438. 関晴正

    ○関分科員 それじゃ聞きます。  佐世保の二十億のことについて大臣の意見と局長の意見はイコールでありましたか。――大臣に聞いているのだ、大臣に。
  439. 岩動道行

    岩動国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、今の中村原子力局長が御答弁申しましたような筋で私どもは考えてきているところでございまして、序としての考え方には一向変化はないわけでございます。
  440. 関晴正

    ○関分科員 私は、私と意見は異にするけれども、さきの局長にはなかなか骨があったと思っています。さきの局長は、やはりむだ遣いはやめさせなければならない、したがって、佐世保におけるこの魚価低落防止に対する基金の金も引き揚げなければならない、こういう立場であったと思う。それから、大臣の方はいろんなことがあって、自民党の側からの要請、そうした権力側の談合とでも申しましょうか、それに類似するようなこともあって言えなくなった。ここに意見の相違があった。これだと、局長も体が悪くなりますよ。人間が病気になるときというのはどういうことかというと、思った正しいことがよこしまなやつに遮られて事が運ばなくなったときには、どんな健康体でも悪くなるのですよ。どんな丈夫な人だって、正義が通らないで不正がまかり通ってのうのうとしているなんという下におりたくない。だから高岡局長も、もうおれの仕事はこれまでだと思っておやめになったのだろうと思う。私はこれは聞いたわけでもありませんよ。私は、あの方とは、どれほど論じてどれほど対立しておったかわかりません。でも彼は彼なりに筋を通した話をして頑張っておった方です。突然おやめになった。気の毒だなと思いますし、また、権力というものもひどいものだなとも思います。いずれにしても、この二十億の金は速急に返還をしてもらうべきものだと思うし、何のちゅうちょすることなくこの金はお戻しさせるのが筋じゃないだろうか。握っている方だっておかしいじゃありませんか。影響もないのに金を握って、これ気持ち悪くないでしょうか。握らせておく方もおかしいし、握っている方もおかしい。こういうのはすっきりさせることが大事だと思う。あすにでも返還してもらうように当たったらいかがです。
  441. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先ほど先生から高岡局長の話が出たわけでございますが、私どももこの補助金については基本的には返していただくものであるという考えでございまして、その点において前局長と変わるわけではございません。ただ、その返すべき時期の認定につきましては、地元も十分納得の上進めるべきであるということでございまして、この点についても前局長との間に差異があるとは考えておりません。
  442. 関晴正

    ○関分科員 いつまでに片づけますか。
  443. 中村守孝

    中村(守)政府委員 水産庁並びに長崎県と十分に相談をさせていただきます。
  444. 関晴正

    ○関分科員 水産庁の方、出ておりますか。
  445. 倉成正

    倉成主査代理 来ております。
  446. 関晴正

    ○関分科員 この問題について水産庁どう考えますか。
  447. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、私どもといたしましては要領の規定に則しまして対処すべきものと考えておるわけでございますが、ただ現在の段階で考えますと、原子力船「むつ」は現存いたしておりますし、さらにまたこの魚価安定基金の造成に対します補助金の交付の趣旨なり目的、さらにその経緯等を考えれば、当然のことながら科学技術庁あるいは長崎県とも十分相談した上で対処いたしたい、かように考えております。
  448. 関晴正

    ○関分科員 長崎では返したくないと言っているのですか、お答えください。
  449. 中村守孝

    中村(守)政府委員 正式にそのようなお話を承ってはおりません。
  450. 関晴正

    ○関分科員 すべき任務を怠って、そうして人に罪をかぶせるようなことも適当ではない。返したいと思っているかもしれませんが、置いておくものだから握っておるのかもしれませんよ。こんな不正常な形というのはまず片づけることです、こんな非科学的な行政というのはないのだから。まず科学技術庁長官、自分の任務に照らし合わせても、ひとつきちんとやってください。こればかりでももう十七分もたっちゃった。  そこで申し上げます。青森県では、原子力船「むつ」においての補償金十八億円、今この金をどう分けるかというのでてんやわんやですよ。七割は均等割にしようじゃないか、残りの三割は漁獲高に応じて配分しようじゃないか、こう言っている。こんなやり方ありますか。あなた方が十八億の漁業補償を算定するときに、どういう計算に基づいて算定しましたか。算定の基礎を出してください。
  451. 井上啓次郎

    井上参考人 お答え申し上げます。  この漁業補償の金額につきましては、先生も御存じのように北村知事のごあっせんによるものでございます。このごあっせんのときに、私の方にも算定基礎というものは聞いております。これを踏まえて承諾したものでございまして、当然そういうものはございます。ただし、県当局が現在配分中であるから無用の摩擦を起こしたくないという趣旨から、県自身も発表しない。私たち事業団も、そういう線に沿って発表いたしておりません。ただし、この配分が済みましたら、もちろん青森県が発表するということでございます。
  452. 関晴正

    ○関分科員 漁業補償はだれがしたのですか。
  453. 井上啓次郎

    井上参考人 当事業団でやりまして、契約をしたものでございます。
  454. 関晴正

    ○関分科員 事業団でやったのに何で青森県の知事が関係あるのです。青森県の知事が言わないからといって事業団が言わないという話ありますか。無用の摩擦が生ずるなんて、無用じゃない。今、有用の摩擦がありますよ、あなた方が示さないばかりに。あなた、七割を均頭割だというのですよ、三割は漁獲高割だというのですよ。そうしますと、十八億を組合員の均頭割、しかもその組合員は、ここでも申し上げたでしょう、一日か二日しか漁業に従事しなくてもみんな組合員にしちゃって、水増し組合員。三分の二の多数をとるためにしゃにむにそういういいかげんなことをして、今一人頭三百十三万だというのですよ。十八億の七割、十二億余を一人に三百十三万ずつくれるという。残りを漁獲に従って分けるというのですよ。  こんなやり方をあなた方是認できますか。正しい補償をしたらいいでしょう。そういう点からいくと、十八億というものはこういう算定の根拠があってやったのです、これをここで言わないで、どこで言うつもりです、あなた。北村知事に責任をかけるつもりですか。彼には責任ありませんよ。あなた、理事長でしょう。余計金をやったかもしれぬけれども、それぞれ算定の基礎を持ったでしょう、事実に照らすべきものを、あるいは権利として与えるべきものを。漁獲高というのはどのくらいと算定したでしょう。何でそれを示せないのですか。あなた方ここをどこだと思っているのですか。かつて私が県議会議員の時代に言えばこれは事業団の方であります、ここへ来て事業団に聞けば知事の方であります、こんなふざけた態度ありますか。これすべて税金ですよ、県税じゃありません、国税ですよ。そんな理事長がどこにあるのですか。事はすべてガラス張りで進めなければならないでしょう。積算の基礎も言えないような理事長はやめてしまったらいい。きっと言えないことをやっているのでしょう。言えることをやっているのなら、ちゃんと言いなさい。
  455. 中村守孝

    中村(守)政府委員 関根浜の港に関します漁業補償につきましては、これは事業団が補償金を支払ったわけでございますが、その補償額を算定する段階におきましては、事業団は水産等について特に詳しいということでもございませんし、県の水産部等の関係者、地元の専門家の方々の御査定と、その地域におきます各面の補償のあり方、そういったものを総合しまして補償額が県のごあっせんによってまとめられたわけでございまして、もちろんその算定の基礎は県の専門家の方々の手でまとめられておるわけでございます。  ただ現在、この補償金を配分するというのは、あくまでも補償金は組合に出されたものでございまして、組合の中で民主的に配分方法が検討されておるところであり、はたから物を申し上げるということではない状況にございます。しかも青森県の中でいろいろな、この種のものにつきましては組合の中で自主的に配分をする、その自主的な配分を検討している段階において、査定その他につきまして公表しないという従来からの慣行があるようでございまして、私どもも地域との共存共栄でやっていくという立場にございますし、その点で対処しておるわけでございますので、ただいまそのものをここで公にできないということでございますことを御了承いただきたいと思います。
  456. 関晴正

    ○関分科員 今の答弁は何という話ですか。積算の根拠があるならば、こういうことで積算いたしましたと言えばいいだけでしょう。根拠があるならばだよ。言えない根拠があって言えないというならば、そのとおり聞きますよ、ああ不正な補償であったのかとこう思いますから。言えないということありますか。少なくともこういう計算をいたしましたと言ってください。自分の金ならばいい。これ税金ですよ。
  457. 井上啓次郎

    井上参考人 漁業補償の算定ということにつきましては、一般的な基準的なものはございます。しかし、このときの算定根拠というのは、漁場の消滅した分あるいは工事中五年間制限する区域、それの補償が一つ、それから漁場自身の価値の低下というものを算定して、この減少額に通ずる影響も見ました。(関分科員「その影響をそれぞれ幾らずつ見たのですか」と呼ぶ)私の方では、今も言うように、先生の御指摘もございますけれども、県の御指導ということからスタートしておるものでございますから、……(関分科員「逃げるのか」と呼ぶ)逃げるわけではございませんけれども、そういうお約束で今まで進んできて、ただいま先生が言われるように配分委員会において自主的にやるということでございますので、我々の算定根拠を参考にしてということではございません、県当局の御意向もございますし、青森県の慣行ということもあると聞いておりますので、その線に沿って処理しております。
  458. 関晴正

    ○関分科員 大臣、漁業補償において、消滅区域に対する補償はこう計算いたしました、影響区域に対する補償はこう計算いたしました、価値にかかわる問題についてはこう計算いたしました、ちゃんと計算の仕方ができているでしょう。それは県当局と相談して計算しても結構ですよ。何も悪いとは言いません。その計算の積算の基礎もここで言えないのですか。大臣、言ってくれと言うのです、答えてください。
  459. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先ほど申し上げましたように、漁業補償の額は組合に出されたものでございまして、その組合の中で現在自主的に配分が行われているわけでございますので、そのようなときにそのようなものを公表することはできないということでございます。
  460. 関晴正

    ○関分科員 この方々ひどいですよ。しかも配分委員会なんと言うけれども、でたらめでしょう。二日か三日した者までも正組合員にする、それでも三分の二に足りないものだから、また連れてきて組合員をふやして、水増し、水増しだ。今、水増し功労賞によって配分しようというのでしょう。そんなでたらめなことがされることをあなた方は見逃すのでしょう。今しゃべると困る、だからしゃにむに、このごろ配分のやり方、乱気だかれですよ。どうです、今頭割り七割、現実の漁獲高割三割、こういうやり方が当たり前ですか。これについてどう思いますか。
  461. 倉成正

    倉成主査代理 井上理事長、大きな声でやってください。
  462. 井上啓次郎

    井上参考人 先ほども申し上げましたように、先生の御指摘のような形で進むということを前提にしまして、我々は自主的な判断で漁業組合の配分委員会というものが……(関分科員「配分の話を聞いているんじゃない。補償の基礎を聞いているんだ」と呼ぶ)それは先ほども申し上げましたように、青森県とのお話し合いもございましたので、それに従って私はやっておるつもりでございます。
  463. 関晴正

    ○関分科員 時間が参りましたけれども、次の竹内君が五分ぐらいこちらに場合によっては譲ってもいいと言っておりましたから、五分ちょうだいしてやりますので御了承ください。
  464. 倉成正

    倉成主査代理 関君に譲ってもらうことに決まっておりますか。
  465. 関晴正

    ○関分科員 はい、もらっております。
  466. 倉成正

    倉成主査代理 はい、それでわかりました。
  467. 関晴正

    ○関分科員 彼がここまで歩いてくるのに五分かかると言っていますから。それじゃ五分ちょうだいしましたからね。  水産庁、漁業補償というようなものをやるときの一般的な原則をひとつ教えてくれませんか。
  468. 大坪敏男

    ○大坪説明員 当該事案がなければ、漁業法に基づきまして設定されました漁業権に基づきまして平穏無事に漁業が操業できるわけでございますが、それができなくなる代償としての補償ということになるわけでございますので、当然のことながら、漁業権に基づきまして漁業権者が漁業を営み、得る収益というものを基準として考えられるべきものと考えますが、具体的には、あくまでも当該漁業権者とその漁業権を消滅させる事案に係る事業者との間におきまして解決さるべきものであると考えております。
  469. 関晴正

    ○関分科員 一般的な漁業補償の分け方は原則としてどうなっていますかと聞いているんですよ。どこに重点が置かれますか。考えておいてくださいよ。  大臣、漁業補償というのは漁獲高に従って補償を出すのでしょう。何の漁獲もない者に七割も分けちゃうというんですよ。そうして三割だけは漁獲高に従ってやろうじゃないか。そこでこの十八億というものの算定の基礎はどうなったんだ。共同漁業権というものを放棄するに当たって、その県に幾らか出しましょう、県に対して何割出しましょう、あるいは県について何億出しましょう、実際にそこから追われて、そうして何億も漁獲高のある漁民がその漁獲を失うことについての補償はこのくらい出しましょう、こういう計算があるはずですよ、あなた。そうでないというと、あなた方は多数決だの民主主義だのと言ったけれども、悪人の多数決を民主主義だと思ったら大間違いですよ、これで裁判が起きているでしょう。水増し議決、インチキ議決、そんなばかなことがあるかと言って、今裁判やっているでしょう。あなた方、泥棒に味方しているようなものじゃないの。横取り部隊に手伝いしているようなものじゃないの。無資格者に応援しているようなものじゃないですか。情けなくありませんか。これが日本の政治ですか。日本というのはそれほどだらしない国なんですか。物も言えない国なんですか。自民党権力の前にはもう唯々諾々、抵抗もできない。青森県の知事なんというのは、当たり前でないものだから、けつまくって、あなた方にかかってきているでしょう。
  470. 倉成正

    倉成主査代理 関君、時間が経過しました。五分間過ぎました。
  471. 関晴正

    ○関分科員 はい。私、答弁要らないから。これで終わります。
  472. 倉成正

    倉成主査代理 これにて関君の質疑は終了いたしました。  竹内猛君。     〔倉成主査代理退席、与謝野主査代理者席〕
  473. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、六十年に筑波研究学園都市で開かれる科学技術博覧会の問題をめぐって若干の御質問をしたいと思いますが、まず最初に岩動長官が先ごろ現地を御訪問をされました。その感想についてちょっとお伺いしたいと思います。
  474. 岩動道行

    岩動国務大臣 私は、昨年の暮れに科学技術庁長官、そしてまた万博担当大臣に任命を受けました。そしてできるだけ早い機会にこの重要な科学万博の成功のためにも現地を見たいということで、去る一月の十一日に会場の現地に行ってまいりました。その時点におきましては、いろいろな基本的な、基礎的な設備等の工事が既に行われておりましたし、あるいは政府館についてもその工事が着工されているという状況でございまして、このようなことが着々と進められておるということに意を強くいたしたわけでございます。日本の二十一世紀に生きる道は科学技術である、そしてまた国際的にも極めて重要な科学技術の発展のために大きな役割を果たすつくば万博の成功を心から願って、さらにこの施設が着々と進むように努力をしていかなければならない、こういうことで大変その責任の重さを感じてまいったわけでございます。
  475. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 大変忙しい中を現地に行かれた長官に敬意を表したいと思います。  そこで、問題は、それなら現実に各それぞれの仕事、会場の設営から輸送がら宿泊、そういうものがどれくらい進んでいるのか、何%くらい進んでいるのか、それから財政事情は一体どうなっているのか、この辺のことについて事務当局から報告願います。
  476. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 来年三月開催ということで、あと一年に迫ってまいりました。地元茨城県初め関係各機関の御協力を得ながら鋭意準備が進んでおるところでございまして、これまでにスケジュール的には予定に沿いまして全く順調に進捗しております。  かいつまんで個別の概況を御説明申し上げたいと思います。  まず、会場全般の建設でございます。敷地の整備、ユーティリティー、それから外国館、こういったものは協会が施行しておるわけでございますが、五十七年の十月八日に起工して以来、敷地の造成がほとんど完成いたしまして、現在電気、ガス、水道の整備の工事を行っておるところでございます。  政府出展部門でございますが、主催国でございますし、それにふさわしい出展を行うために、テーマ館、歴史館、サイエンスパーク、情報ステーション、さらにつくばエキスポセンター、この五施設を用意しておりまして、昨年の五月政府館の建築に着工いたしました。現在建物の方はかなり進んでおりまして、並行的に展示物の製作が進んでいる段階でございます。これも予定どおり進んでおります。  外国出展でございますが、五十六年の秋に、百六十一カ国、五十四国際機関に対しまして正式な招請をしたわけでございます。既にアメリカ、ソ連、中国あるいは英、仏、独等を初めとしまして二十六カ国が参加を表明し、国際機関が八つ表明しております。さらに現在ふえつつあるところでございますが、大型出展国は出そろった状態にございます。昨年の十月には、六十九カ国が出席していただいた第一回の参加国政府代表会議というのを盛会に開催いたしました。  国内出展でございますが、二十八の企業あるいはグループ、団体の参加がもう既にこれは決定しておりまして、構想も順次出されまして、非常に発想豊かな構想がほとんど全部出そろいました。昨年の十一月から着工を始めまして、現在そのうちの十九が工事を進めておるところでございます。近く全部着工するということでございます。  輸送対策、二千万人と想定されます入場者輸送につきまして、鉄道と道路を整備いたしまして、一千万人ずつ輸送する。現在、道路網の整備、高速道路の整備、それから鉄道の臨時駅の建設等、順調に進んでおるところでございまして、また、バスの製作も進んでおります。  入場料金は昨年七月に閣僚会議で決定いただきました大人二千七百円、中人一千四百円、小人七百円、これは、従来は大人に対する小人が三分の一に対しまして四分の一と、科学博らしく子供の値段を安くするという特殊な形をとったわけでございます。現在、入場券の事前の販売をやっておりますが、第一期の販売は二月の半ばで締め切りました。目標の二百万枚を突破する勢いでございます。今月の十七日から第二期の売り上げを開始する予定にしております。  なお、ほかの記念事業としまして、既に二月十日に記念切手が出され、さらに来年の三月にも記念切手の発行を予定しておりますし、また、来年三月には、五百円硬貨の図案を公募した上での硬貨の発行が計画されておるところでございます。
  477. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 着々と進んでいることは結構なことだと思いますから、それは進めていただきたい。  心配していることは、上野の駅からの状況についてはこの間説明を受けてよくわかったわけですが、現地の駅の問題で、臨時駅の取り扱いについて、この臨時駅というのは博覧会のときだけ使って、終わったらもうやめてしまうのか、その後は一体どうされるのか。あれだけ立派な駅をつくって、周辺が都市化した中でその駅の将来はどうなるのか。この点はどのように取り扱われますか。
  478. 斎藤蓊

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  科学博の観客輸送対策として牛久―荒川沖間に設置することになっております臨時駅につきましては、博覧会運営主体の費用負担によりまして現在工事を進めておるわけでございますが、あくまでも科学博開催期間中についてのみ設置する、終了後撤去するという条件で協定を取り交わして、そういう内容で進めているわけでございます。したがいまして、科学博終了後の問題につきましては、現時点におきまして周辺地域の開発計画等具体的な見通しというものが明確となっておりませんものですから、終了後撤去という前提で考えておるところでございます。
  479. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 あれだけ金をかけた立派な駅を終了したら取ってしまうという、極めてむだなことをしているものだと思いますね。それならばもう少し考えようがあったと思う。しかし、もう今は遅いからこれ以上言いませんが、これは後で問題にします。  続いて第二常磐線をつくるということがしばしば言われている。これは、学園の中の人口がなかなか二十万に定着しない。今十四万しかない。これによってさらにふえるかどうか、別なことになるかもしれませんが、いずれにしても、第二常磐線の構想については今どういうふうになっているか、ちょっと報告願いたい。
  480. 後出豊

    後出説明員 運輸省では、一昨年の九月でございますが、今後の首都圏の鉄道網の整備のあり方につきまして、運輸政策審議会に諮問を行ったところでございます。  運輸政策審議会では、東京圏都市交通部会というものを設けまして、通勤通学輸送の混雑の解消でございますとか、あるいは新たな都市の開発などの問題に対応するための鉄道網の整備につきまして審議を行っているところでございます。  いわゆる第二常磐線の構想につきまして、その審議会に対しまして地元地方公共団体などから要望がなされたところでございます。その必要性の根拠といたしましては、今先生のお話の筑波研究学園都市と都心との直結、あるいは現在の常磐線の混雑解消、あるいは常磐方面での新たな宅地開発、都市開発などに対応するものということで要望がなされたわけでございます。  運輸政策審議会では、そのような地方の要望などを踏まえまして、また、今後の需要の動向とかあるいは非常に厳しい財政事情のもとにおいてどのように建設を進めていくのかというようなことにつきましても総合的な観点から検討を進めまして審議を進めていくということにしておりまして、第二常磐線構想につきましても、そのような総合的な観点からの審議がなされていくもの、こういう考えでございます。
  481. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これはぜひ進めてもらいたいということを要望します。  続いて、取手まで千代田線が複々線で来ていますが、取手から先の方がなかなか複々線にならない。そこで科学博覧会の段階ではプラットホームを延ばして車両の増結をする、こういう形にならざるを得ない。けれども、第二常磐線をつくるにしても、あるいはさらにあの地方の開発をするにしても、どうしても必要なことは、八郷町の柿岡にある地磁気観測所の存在です。この観測所の機能をもっと強化をして別なところに移してもらいたい、こういう要求をしばしばしてまいりまして、県の段階では、昨年来検討委員会をつくって、地磁気観測所についてはこれを移転することを前提にしてという報告が出ております。  そこで、最近地震が非常にありますけれども、地電流の観測をする場合に、地磁気観測所は地震を観測するのが主じゃありませんが、聞いてみると、マグニチュード七以上でなければ観測できないという、これではどうにもこうにもならないことであります。だから、移る場合においては機能をもっと強化をして移るようにしてもらいたい。財産と生命を守るというのが政治の中心なので、そのためには、地震を未然に予防するということは大事だと思うのですね。そのことについてお答えを願いたいと思います。
  482. 河村まこと

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  残念ながら、ただいまの地震予知の技術でございますと、海溝で起こりますマグニチュード八クラスの大きな地震だけがメカニズムがわかっておりまして、予知が可能な段階であると考えてございます。
  483. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 移転の問題はどうしましたか。
  484. 河村まこと

    ○河村説明員 ただいま御案内のとおり地磁気観測所は国際的な基本観測所でございまして、この観測所におきましての観測値というものは、無線通信の異常の予知でありますとか、あるいは気候変動につながります太陽活動の長期的な監視など、地球環境の監視に極めて重要な役割を果たしておりまして、国内及び国外の多くの機関によりまして、非常に有効に利用されてまいっております。  この常時監視を行いますためには、柿岡がこれまでも、これからも最適の立地条件にございます。ではございますが、地域社会の発展と調和のとれました観測所のあり方につきましては、非常に大切な問題と私どもも踏まえておりまして、将来の問題でありますが、仮に第二常磐線等の計画が決定され、その整備によりまして地磁気観測に影響を及ぼすおそれが出てまいりました場合には、その対策につきましては、関係機関ともよく協議をしながら検討を進めてまいることになると存じます。
  485. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そういうことになろうかと思うのですが、ぜひ地磁気の観測も十分にできるように、それからまた、県の筑波研究学園を中心としたところの状況もよくなるようにするためにこれは努力をしていかなくちゃならないことだ、こういうふうに思っておりますので、ぜひ努力をしてほしい。  それから次の問題は、連節バスの問題です。連節バス一台四千万円、それを百台買った。それを半年間使って使い古してしまったらそれはまたどこかへ売ってしまうのか、どうするのか。これはどういうことにするのです、その後のことは。
  486. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 お答え申し上げます。  連節バス、ヨーロッパでは既に普通に使われておる車でございますが、我が国では、まだ法制上一般道路を走る制度になっておりませんので、当面の計画といたしましては、もし外国に需要がありましたら動かせるその国に、それから構内輸送の場合あるいは公園の中等でしたら使えるわけでございますけれども、そういったところの需要がありましたらそういうところに売却というのを優先的に考えておりまして、できるだけ投資の回収を有効に行いたいと検討を進めている段階でございます。
  487. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 輸送問題では、金がないのにあれ以外に選択の道はなかったのかなという形で、一般から見ると随分おかしなことをするものだ、こういう印象が非常に強いことです。  そこで、財政の問題に関連をして、最近はこういうことを言う人がいます。財政の捻出のために会場地を視察をする人たちから入場料を取ったり、県市長会でも、三億円の負担について、ある市長からつくば万博は多額の負担を出しても余りメリットがないからというような批判が出たり、売店を出そうとしても入札制であり、大手の商社がみんなとってしまってこれには太刀打ちができないという地元の声があるけれども、実態はどうなっていますか。
  488. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 視察者から入場料という話はちょっとよくわりませんのですが、私どももそういうことは一切聞いてもおりませんし、またあるはずがないと思っております。  売店その他営業面での参加に際しましては、一定の料金を取って参加してもらうという形でございます。ただ、それにつきまして入札制度をとっておりますし、現在予定しております営業参加の形は、食堂のカテゴリーがございます。それからいわゆる軽い飲食物の販売それから物の販売、全部で百三十八店舗を考えておるわけでございます。  入札に際しましては、最高三つの店舗を一つの単位にして入札をしてもらう。したがいまして、かなり多くの企業に参加していただくということでございまして、また、営業の内容からいたしましても、大企業が独占的に扱えるようなものではなくて、むしろ特色のある中小企業がそれぞれ得意な形の参加をしていただくということを検討しておる状況でございますから、決して大企業独占ということにはならないし、またそうならないように努めてまいるつもりでございます。  それからなお、連節バスでございますけれども、確かにバスそのものは非常に高いのでございますが、これを導入しました検討の経過としては、やはりバスの数がピストン輸送のため非常に多くなります。これが少ない方が整然と運べるということもございますし、それから臨時の乗務員の確保の問題がございます。そういったことの制約に条件がよく合うという意味で連節バスを導入したわけでございますし、また、一つの見込みの計算をいたしますと、維持費、運行費がかなり安くなるものですから、車両費の高い分確かに割高にはなりますけれども、著しい不経済ということではなくて、総合的な効率のよさ、整然とした輸送ということを加味しますと特別不経済ではないという計算をしておるところでございます。
  489. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そのように地元の人たちの言っていることが危惧であるならば幸いだけれども、本当であったとしたら、これは後でまた問題になりますからね。これは結構なことだと思うのです。  時間もありませんから、これは最後の質問になるかと思いますが、宿泊の問題がやはり問題になる。宿泊についてどうするか。二千万とか二千二百万という人々が六カ月間に出入りをする。これは日曜日もあるし、祭日もあるし、連休もあるし、そうでないときもある。毎日毎日同じ人が同じように来るという保証はない。同じ時間に来るということもできない。泊まるかどうかという問題についても定かではない。一説によると、交通公社が客を集めてそれを操作をしているというような話も一部には聞いている、そういう事実があるかどうかはわかりませんが。それで民泊、民宿ということを私はかなり提唱してきたのだけれども、現地では余りこれに乗り気になっていない。御承知のとおりに、五百ぐらい予定をしたところが、現在五十ぐらいしか名のりを上げていないということでもわかるように、非常に関心が薄い。この問題があります。それからあとは、国鉄から寝台車を五十両ぐらい買って、四十両は宿泊施設にして、あとの十両は食堂にしよう、こういうようなことが新聞にも出ていたが、こういうことがあるのかないのかというような問題がありますけれども、この宿泊問題というのは、人を扱う面においては非常に大事な問題であるから、これはどうなっているかということをお聞きしたい。
  490. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 宿泊の問題につきまして、観客の面と従業員の面と、両方から考えなければならないと思います。特に従業員は通勤であり、あるいは二交代ということもございますので、近所に宿泊施設を確保しなければならないということがございます。その結果と申してはなんですけれども、観客につきましては確かに先生の御指摘のとおり、いわゆる民泊がそう多くはできそうもない。旅館も周辺で約一万人ということでございますので、やはり東京あるいは茨城県の周辺の都市の宿泊施設を御利用いただく、その分交通の方をできるだけ整備させていただくということにならざるを得ないのではないか。なお、茨城県等もさらに青少年の研修施設とかいろいろな形の御努力を現在願っておりまして、さらにできるだけの拡張を図りたいというところでございます。  それに対しまして、従業員の方は約一万二千人出るであろう、そしてそのうちの五千人余りが通勤可能で、六千八百人ぐらいが何らかの宿泊施設が必要であろうという算定に立っております。これは外国の出展要員も含めてでございます。これにつきましては、住宅・都市整備公団の公的住宅、さらに民間住宅の借り上げ、必要に応じて仮設住宅の建設、そういったことを総合的に対策を講じつつございまして、ほぼ安定して従事できるように進められるものと考えております。一般観客に対しましては、御指摘のとおり、現地でお泊まり願える方というのは非常に限られた数になりそうだというのが現状でございます。
  491. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 先に関委員に時間を譲ったために、まだあと残った問題があるけれども質問ができなくなって、せっかく皆さんおいでいただいて恐縮ですけれども、これで私は終わりますが、跡地利用の問題とか筑波研究学園の人口が二十万に達するためには、やはり公務員の定年制の問題や夜間大学、職能訓練所、こういうようなことについてもいろいろお話をしたかったわけですけれども、そういう時間がありません。大変恐縮ですが、これで終わります。ありがとうございました。
  492. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、津川武一君。
  493. 津川武一

    津川分科員 まず、原子力船「むつ」についてお尋ねいたします。  アメリカや西ドイツではすでに原子力船が廃船となっております。現在、原子力商船を走らせている国はございません。ソ連が原子力砕氷船五隻を持っているにすぎない状態でございます。原子力エネルギーを船舶に利用しているのは軍事面だけでないかと思いますが、そのとおりでございますか。
  494. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力委員会に昨年原子力船懇談会を設けて、専門家の方々にいろいろ御検討をいただいたわけでございますが、その結果まとめられた報告書の中で、原子力船につきまして、「中長期的には石油需給が逼迫化する傾向にあることから、舶用炉プラントコスト低減化のための一層の努力と相まって、二十一世紀初頭には原子力船の実用化のための経済環境が整うものと考えられる。また、舶用炉技術の向上によって、化石燃料による在来船では困難と見込まれる商船の高速化、長期運航等の実現の可能性もある。」という見解が述べられております。さらに、五十七年に原子力産業会議の中で関係の方々が御検討の結果おまとめになった報告書の中でも「一定の前提条件の下では、砕氷タンカー、砕氷船については原子力船の方が経済的に有利であり、LNG船については、気化したガスを再液化し積荷に還元すれば原子力船の方が経済性を有し、コンテナ船やタンカー等についても、原子炉システムコストの一層の低減をはじめ運航方法の改善等いくつかの条件を満たし得れば、原子力船が在来船に近い経済性を発揮し得る可能性もある。今後のエネルギー情勢等を考えれば、二十一世紀にはさらに多くの船種、船型及び航路において原子力船が導入されるものと考えられる。」という見解も示されておりまして、こういったように、将来原子力船が商船として実用化される可能性につきましてお述べになっている見解も多々あるところでございます。
  495. 津川武一

    津川分科員 この経済変動が激しいときに、二十一世紀の話を聞いているんじゃないのです。現在の時点で軍事面以外に使っているところがあるかということ、さあ具体的に答えてください。
  496. 中村守孝

    中村(守)政府委員 軍事目的以外に現在実際に運航しておるものといたしましては、ソ連におきまして砕氷船三隻が運航中でございます。
  497. 津川武一

    津川分科員 それは話したでしょう。もう一回、軍事面以外に使っているところがあるかないか。ソ連の砕氷船のことはさっき話した。よく聞いて返事してよ。もう一回。
  498. 中村守孝

    中村(守)政府委員 砕氷船以外で現在運航中のものはございません、コンテナ船一隻を建造中とは聞いておりますが。
  499. 津川武一

    津川分科員 こうした情勢から見ても、経済性から見ても、古い技術しか使っていない「むつ」について、私は、将来はないと思います。ところが科学技術庁の見積もりによると、この原子力船の試験研究をやる、計画全体の経費は最終的に千五百億円前後になると聞いておる。すでに六三年から八三年に五百六十九億円、今後の投資額を見ると新定係港六百億、試験研究費二百二十億円、実験完了後の廃船処理費が六十億円、人件費毎年十億、どこでも使ってない、未来のない「むつ」にこれほどのむだ金を投入しておる。そこでこの委員会でも不破共産党委員長が追及したのですが、ここで具体的に尋ねます。  関根浜新港のための本年度予算四十八億三千万のうち、現在どのくらい使ってどのくらい繰り越しになるか、わかっていたら、これは通告してなかったので、あるいは数字を持ってないかもわかりませんが、持っていたらお知らせ願いたい。  それから、この間あれだけ言われたのに、まだ使うか使わないか、進めるか進めないかもわからないのに、国会でその論議が最中なところの二月二十二日に、二千五百万使って港をつくる捨て石作業を始めたわけです。そうしたら世間が笑っているのです、本気なのかと。国民にいいかげんなことをするのもやめてくれと。この際きっぱりそんなことをやめた方がいいんじゃないかと。幸いなるかな五十八年度の予算で次に繰り越すものがたくさん多いから、早く結論を出した方が早くむだ金を使わないことになると言っておりますが、この点はどうでございます。
  500. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  五十八年度予算の執行でございますが、約三十億円程度が繰り越しになろうかと思います。  関根浜の港の着工についての先生のお話でございましたが、政府といたしましては、「むつ」が現在大湊港に暫定的に停泊しておりまして、政府及び地元関係者との間にできました五者協定によりまして、「むつ」は、関根浜に新しい港をつくり、そこに移すという前提で今大湊に仮泊をしておるわけでございまして、「むつ」の取り扱いにつきましては、政府・自民党において今後検討するということになっておりますが、その取り扱いいかんによらず必要となる港でございまして、廃船する場合にも関根浜の港で廃船する、大湊の港ではできないということで関根浜の港で廃船するということで、いずれにいたしましても、関根浜の港は建設をするということにいたしておりまして、その関根浜の港の規模等につきましては、今後の「むつ」の取り扱いいかんで変わり得ることもある。したがって、その結論のいかんにかかわらず必要な部分の工事に着手しようということでございまして、先日「むつ」の停泊する埠頭の護岸に当たる部分、これはいずれにしましても「むつ」を港に停泊させなければいけませんので、その埠頭は必要なわけでございますので、その護岸工事について着手したわけでございます。これは地元の埋立工事につきまして前々から許可をいただいておりまして準備を進めておったものでございまして、許可の期限との関係もございまして、先月着手させていただいたわけでございまして、今後本格的な工事に向けて準備を進めておるところでございます。
  501. 津川武一

    津川分科員 六百億円もかかる関根浜の港に二千五百万、申しわけ的に話をして世間を愚弄するという形のものが、県民の中から出ているのです。  それはそれとして進めます。  そこで、皆さんが要求しておるとおり、幸い原子力船の試験研究を続けるとなれば、関根浜はその母港になる。廃船になると廃船処理港になりますが、これに対して皆さんは新港という名前をくっつけて他用途港だというふうに言っておりますが、皆さんの立場からいって不幸にして廃船になって、廃船処理を終わったときに六百億円の港ができている。その港をどんなふうに使うつもりでございますか。
  502. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘になりました港の建設費六百億という数字につきましては、これはまだ今後「むつ」の取り扱い方等の検討の結果でその規模が変わってまいりますので、全体の建設費等は今の段階で幾らということを申し上げる段階にございませんで、六百億というのは前に事業団で試算したものにすぎないわけでございます。  今後の関根浜の港の使い方につきましては、基本的にはあくまでも大湊港から「むつ」を回航して「むつ」を停泊させる港ということでございまして、さらに長期的に言えば、それをほかの用途に使う可能性もあり得るということで、そこら辺の検討も行うということにしておるわけでございまして、特に関根浜新港の他用途利用につきまして、青森県当局が下北地域開発基本構想というものを五十八年の九月につくっておりますが、その中で長期的には関根浜定係港について、流通港湾として一般的な利用の検討を行うということも示されております。当庁としても、こうした県の検討との調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  503. 津川武一

    津川分科員 科学技術庁は私に対して、何か六百億と言ったら、まだ予定だ、見積もりだと言っているが、関根浜に直接使うお金が三百四十億円だということは、この間この席でも明らかになっておりますが、そういうことでもいいです、六百億でもいいですが、二千五百万という、そういう子供だましのことではなく。  そこで他用途ですが、あそこは漁港がたくさんあるところなのです。今その漁港の整備について計画が進められているところなのです。あそこには青森もある、それから八戸もある、大湊の港もある。そこでほかに荷物を揚げようが、荷物を持っていこうが、使いようのないところなんです、そういう点では。それを他用途などということになっているのですが、他用途港という、新港という議論が出たら、地域では大変な話が出ているのです。目的が決まっていないのに港の工事を着工する。全く納得がいかない。軍事目的に利用されるのではないかという心配がある。もっと具体的に言うと、津軽海峡を封鎖するときなんか、いろいろな点で駆潜艇の寄港地になるのじゃないか。もっと恐ろしいのは、太平洋、日本海、津軽海峡、オホーツク海で今暗躍しているアメリカ潜水艦の寄港地、補給地、修繕港、乗組員の休養、こんな軍事目的、これが今関根浜の港をつくる意味じゃないかなということが下北半島でやや常識になりつつあるわけです。私もこれは大変なことだと思いますが、この港を軍事目的に使うことは一切ないと、この公開の予算委員会の席で言明できますが。防衛庁、いかがでございます。
  504. 藤井一夫

    ○藤井説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘いただきました新港を、防衛庁といたしましては、現在、海上自衛隊の基地として使用する考えはございません。
  505. 津川武一

    津川分科員 現在はないでしょう。私の言っているのは、そうじゃなくて、ここを、一番心配なのは、軍用、軍事目的に使うことは一切ないかどうか、この言明なんです。現在などということでごまかさないで、少し質問者の言うことをゆっくり聞いてください。
  506. 藤井一夫

    ○藤井説明員 私が今、現在と申し上げましたのは、ただいま現在という意味ではございませんで、私どももある程度中長期の計画なり見積もりなりをつくって行政を進めておりますが、そういう観点から申しましても、私ども見積もっております将来にわたりまして、この港を海上自衛隊の基地として使用する考えはございません。
  507. 津川武一

    津川分科員 防衛庁は将来に向かって使わないと言っていましたが、そこで科学技術庁長官、国務大臣としてどうでございますか、この点。
  508. 岩動道行

    岩動国務大臣 ただいま防衛庁の方から御答弁があったように、私ども、そのようなことは全く聞いておりません。
  509. 津川武一

    津川分科員 聞いているのじゃなくして、長官、国務大臣として、この関根浜の新港を軍事目的に使わせることはないでしょうね。国務大臣としてのお気持ち、決意でも結構です、聞かしてください。
  510. 岩動道行

    岩動国務大臣 そのようなことは、ただいまのところ考えておりません。
  511. 津川武一

    津川分科員 それでは、今度は核燃料サイクルについて質問していきたいと思います。  むつ小川原地域を含む下北地域に核燃料サイクル基地を建設するという話がこの一月早々日本経済新聞、地元の東奥日報で報道され、私もびっくりしたし県民も大きなセンセーションに巻き込まれております。  そこで長官にお尋ねしますが、原子力政策の中で日本の核燃料サイクルをどのように位置づけ、どのようになさるのかを聞かしてください。
  512. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず原子力の平和利用ということに徹して、私どもは日本のエネルギー政策の重要な一環として原子力の平和利用を幅広く続けてまいりたいと思っております。  そういう中におきまして、原子力発電の推進がその中心でございますが、このようなエネルギーの供給の安定化を図るためには、何といたしましても核燃料サイクルの確立が必要でございます。このために、国といたしましても、昭和五十七年六月には、原子力委員会が策定をいたしました原子力開発の利用の長期計画というものがございまして、それに沿いまして、核燃料サイクルの確立のためにいろいろな施策を推進してきているところでございます。  現在、商業用のウラン濃縮工場、第二再処理工場及び低レベル放射性廃棄物敷地外貯蔵施設の核燃料サイクル施設について、これは事業主体であります電気事業者等がただいま立地調査を進めているところでございます。しかしながら、私どもはまだ具体的に立地点が決定されるというような段階に立ち至ったとは聞いていないところでございます。
  513. 津川武一

    津川分科員 そこで、私たち、エネルギー源として核、これが国民の自主的な立場から民主的にやられて、公開されて、平和利用で安全であれば、私たちもそれを進める点でやぶさかでないのでございますが、今いきなり、正月早々、日本経済新聞や地元東奥日報で、そこを基地にする、なるという意味の報道をして、びっくりしているわけなんです。  そこで、国土庁、下北開発の一点として、この核燃料サイクルの基地というものを考えているのか、このことで電力会社、地方自治体、むつ小川原開発株式会社に話しかけたこと、持ちかけたこと、ありますかどうか。地元ではどうやら国土庁がこんな話に火をつけたんじゃないかと言っているのですが、明確にさせてください。
  514. 石井武

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  むつ小川原地区を含む周辺地域が核燃料サイクル基地の候補地の一つとして、電力業界、むつ会社と関係者の間で検討されているということを聞いているにすぎません。まだ具体的な立地選定に至っているということは聞いておりません。まだその段階ではないというふうに承知をいたしております。
  515. 津川武一

    津川分科員 そうすると、国土庁としてはどこにも話しかけてない、こう言っていいですか、もう一度。
  516. 石井武

    ○石井説明員 この問題につきましては、現在電力業界等の主体側において検討されている検討の推移を注意深く見守っている段階でございますので、どこにも具体的に、国土庁の意思的なものを伝えていることは一切ございません。
  517. 津川武一

    津川分科員 そこで、科学技術庁とエネルギー庁にお伺いしますが、下北地域は核燃料サイクル基地として適地と考えているかどうか、また、このことで科学技術庁、エネルギー庁が、先ほどの話の地方自治体、電力会社、むつ小川原開発株式会社に話をした、相談したという事実がございましょうか、この二点。技術庁、エネルギー庁にお尋ねいたします。
  518. 中村守孝

    中村(守)政府委員 核燃料サイクル基地構想につきましては、私ども正式に聞いている話ではございませんで、電気事業者を中心にいたしまして、全国にいろいろな地点ございますから、その点について、どこが適地であるかを検討しておると承知をいたしておりまして、特はその下北地区がどうのこうのということを、今私どもが申し上げる段階にございません。
  519. 大塚和彦

    ○大塚説明員 お答えを申し上げます。  先ほどの先生の御発言に戻るようでございますが、一月一日の日本経済新聞に、むつ小川原の基地に立地する構想がかなり絞られて確実になりそうだというのが出ておりまして、実は私どもも非常に驚いたわけでございます。  通産省としての考え方を申し述べますと、ただいま中村局長が御答弁になったのと非常に似てまいりますが、このような商業的な核燃料サイクル施設の建設に関しましては、やはり関係事業者の責任あるいはイニシアチブにおきまして立地が選定されるもの、これがまず第一に私たちが守るべき原則だと思っております。したがって、先生がおっしゃいましたように、地方自治体でございますとかあるいはむつの会社あるいは電力業界と、このことについて検討をしたとか相談をしたとか、そういうことはただいままで一切ございません。
  520. 津川武一

    津川分科員 そこで、核燃料サイクル、その基地、中心問題は使用済み燃料の再処理、もう一つには放射能の廃棄物、この処理ですが、長官は先ほど、低レベルのものは言っていたけれども、ハイレベルのもの、これに対して何らかの処置があるのか。もし長官で返事できたら答弁願いたいと思いますが、この中で特に使用済み燃料の再処理がかなり問題なんです。わが国では最初の再処理工場である動燃事業団の東海再処理工場は五十六年一月に本格的運転に入ったのですが、その後たびたび故障を起こしている。百回近く起こしているとも聞いていますが、この工場の運転状況、現在の状況、故障回数、これはどうなっておるか。故障に対してどう対処しておるか。起きている故障一つ一つに対して具体的な技術的な対応が確立されているか、この点をお伺いします。
  521. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  東海再処理工場につきましては、最近溶解槽に故障が生じまして、遠隔補修技術の開発を進めるなどによりまして、昨年秋補修を終了したところでございます。その後、補修の有効性を確認するために、昨年の十二月には試験的操業を行っております。これまでの累積といたしまして、使用済み燃料の合計約百七十四トンの再処理を既に行っておりますが、現在、これまでの溶解槽におきますトラブルの経験を踏まえまして、新しい、溶接箇所の少ない溶解槽というものを動燃事業団が開発いたしまして、その設置を進めておるわけでございます。それが設置が終わりますと、ことしの十二月ごろになろうかと思いますが、再処理工場を操業再開をするということを予定いたしております。  それから先生御指摘の、東海再処理工場ではこれまで数多くのトラブルがあったではないかということでございますが、トラブルの数につきましては何をその勘定に入れるかということで、いろいろあろうかと思いますが、主なものといたしましては、酸回収蒸発缶の故障とか、あるいは酸回収精留塔の故障あるいは溶解槽の故障といったようなものが主要なものかと思います。  これらのトラブルと申しますのは、主として溶接部におきまして、高温かつ高濃度の硝酸の雰囲気の中で使うものでございますので、そういった条件は共通している部分でございますが、こういった部分につきましては硝酸による腐食の化学的反応が顕著であり、また溶接などの熱加工によりまして材料が鋭敏化しているというようなことが原因であると考えられておりまして、現在までに、そういったことからそれぞれの機器の特性に応じまして溶接材とか溶接の施工方法などを改良いたしましたし、それからその本体になります母材の材質を改良するとか、使用条件を見直すというようなことで措置を講じておりまして、先ほど申しましたような新しい溶解槽というものも開発をしたところでございます。
  522. 津川武一

    津川分科員 お聞きのとおりでございますが、非常に大事な仕事なので、こういう故障、その原因、経過、補修の過程、一つ一つ全部学会に発表されて、正式の報告書として、技術側、学会側からの反対意見等に耐えなければならないと私は思いますが、この御意図ございましょうかしら。通告しないで済みませんが、急にあなたの答弁によって出てきたので……。
  523. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  再処理工場と申しますのは、先生承知のように、いわゆる核拡散という点から極めてセンシティブな技術でございますので、先生おっしゃるように学術的に公にしたらどうかという点につきましては、すべてを公にするということは保障措置その他の点から難しい点がございますが、そういうことのないもの等につきましては、必要に応じいろいろな報告に出しておると考えております。
  524. 津川武一

    津川分科員 大事なことだから、学術的に発表して他人の追試を求めるということをぜひやはり要求して進めていきます。  最後、時間が来ましたので長官に尋ねますが、こういう燃料サイクルというのは、私は、さっき長官が低レベルと言ったから、高レベルはどうするのか、この燃料サイクルに入れるのかと聞きたかったけれども、時間が来ましたのでその点は抜きますけれども、皆さんわからないですね。非公開に、秘密裏に、民主的にやらないで進めているところ、実に残念に思ったわけです。今聞いたら、おたくでも、国土庁でも、エネルギー庁でもやってなかったということを聞いたんで、いいのですが、今後はこういうものを進める上においては、事前にその地域の人に公表して協議して進めるべきだと思うのですが、長官のお気持ちを聞いて質問を終わります。
  525. 岩動道行

    岩動国務大臣 もちろんのこと事業主体であります電気事業者等が十分に調査をして、これならばというような案ができてまいりまするならば、具体的に地元との御協議がなければこれは成立しないものだろうと認識をいたしておりますので、そのような具体的に話が出てきた場合には十分に地元との話し合いが進められるものと考えておりますし、私どももそのように指導してまいりたいと思っております。
  526. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。
  527. 松前仰

    松前分科員 今まで原子力関係の非常に厳しい質問が出てまいりましたけれども、私はこの科学技術行政についての前向きな形の質問をさせてもらいたいと思っております。  御承知のように、この科学技術庁の目的というものについては、言うまでもなく世界的なエネルギーとか食糧、資源、そういうものの枯渇、それから人口問題、そういうものもある中で、この我が国がいかにして日本の立場を貫き通し、そして平和に貢献し、国民生活の向上を図るかということに徹するための科学技術というものの振興を図ることが目的であるということでございますが、しかしながら、最近生活関連危機という、これはまあ私が言葉をつくったわけでございますが、そういう状態がかなり生まれてきておるということでございます。災害、環境の問題、情報格差とか雇用とか、そういう問題がかなりこの科学技術の中で大きな問題になりつつあるというところが大きな特徴ではないだろうかと思います。  それで、私は現在の科学技術庁のこの姿勢につきまして若干御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず、根本的なことでございますが、科学技術庁の現在の方針が、科学技術庁といいますか、日本科学技術政策の現在の方針が科学技術会議の答申に従っておるということは承知しているところでございますが、昨年ですか、諮問第十一号で、中曽根首棚の諮問によりまして、長期展望に立つ科学技術の振興という意味においてその答申を求めるということが行われておるわけでございます。今現在の日本科学技術政策はいずれの方に立って進められておるか、お答えをいただきたいと思います。
  528. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず日本科学技術ということは、日本の地政学的な立場あるいは国内においてのいろいろな食糧の問題、そしてまた災害あるいは環境等、御指摘のような多くの重要な人間の生活にかかわる分野に非常に大きな影響を持つものでございます。したがいまして、私どもはこのような問題を解決するためには、何と申しましても、科学技術の振興が非常に大きな役割を果たすという認識を持っております。と同時に、科学技術の進展が特に最近の先端技術等におきましては、人間の尊厳にかかわるような分野も多分に出てまいってきております。したがいまして、このようなことを踏まえまして、現在科学技術会議におきましては、長期的なそして総合的な科学技術振興のあり方についてただいま諮問をいたしており、本年中にはそのような諮問に対する答申もいただけるものと期待をいたしております。そのようなことを十分に踏まえまして、一層基本的な科学技術の振興に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  529. 松前仰

    松前分科員 今、科学技術振興の長官の御意見を伺ったわけでございますが、この科学技術会議というものが昭和五十二年の五月に答申された。それを今現在でも踏襲してこの日本科学技術政策が行なわれておる。今諮問されたものは五十八年三月である。この間の余りにも長い時期、これが、やはり今の日本科学技術の振興についての大きな問題があると思うわけでございます。  現在こういうような長いブランクの中において、民間の方は、どうしてもこれは大変なことになるということで、一生懸命あちらこちらで考えておって、その民間の案に従ってかなりの成果なり、それからいろいろな問題点が出てきておるという状況にある。ですから、何としてもこの第十一号に対する答申というものを積極的にもっともっと進めていただいて、そして我々国民に明らかにして、そこで討議して、その結果を次の政策に反映させるということが最も急務であろうと私は考えるわけでございます。  そこで、さらに私はその先にちょっと進めさせていただきたいと思いますが、現在の科学技術行政、将来もそうかもしれませんが、現在の科学技術行政というものについて、科学技術庁とほかの省庁との関連、これについて私は多少の疑問を感じるものでございます。というのは、現在科学技術庁が他の農林水産省とか郵政省、それから通産省、そういうような科学技術関連の省庁においてもかなりの科学技術行政が行われておりますが、これについて、科学技術庁としてはどのような把握をなされておりますでしょうか。
  530. 岩動道行

    岩動国務大臣 仰せのとおり、日本の行政は縦割り行政の面が大変強いわけでございます。しかし、これもまた各省庁がそれぞれの行政目的に従って最善の努力をしていくという意味におきましては、それなりの効果が十分に上がっていると思うわけでございます。しかし、今日のように科学技術というものがいろいろな関連を縦、横持ってまいってきております、そういう意味におきましては、やはり総合的な、効率的な科学技術の研究開発が進まなければならない。かような意味におきまして、私どもは科学技術会議というものが大変大きなその役割を果たしていくものとしてこれを大事にしてまいりたいと考えております。
  531. 松前仰

    松前分科員 抽象的なお答えでございましたけれども、具体的に申しますれば、現在の科学技術行政の中で各省庁に割り当てられて行われておる科学技術というものは、その省庁でひとり歩きを始めておるというところが私は非常に問題があるのではないだろかということでございます。科学技術行政についてはやはり科学技術庁が中心になって取りまとめていく。取りまとめといっても権力を発揮するという意味ではございません。その全体の状況を常に把握しておきながら、その中で不足している部分の政策というものをつくり出して、それについて次の科学技術政策にはね返らせていくということがどうしても必要ではないだろうか。その辺について、やはり科学技術庁のこれからの積極的な進め方を私は要望するものでございます。  それで、さらに先に進ませていただきますと、そういうことをやるために一体どういう検討が必要かということになるわけでございますが、現在は、先ほどもお話ありましたように縦割り行政である。研究にしても縦割りの研究が非常に多い。研究から開発、応用、評価、改良、こういうようなサイクルについても縦割りの行政になっている。しかし今求められているのは何かというと、横の問題なんであります。社会の問題。そうすると、その横の問題、すなわち社会の中で偏り、ひずみ、そういうものが生じているところは一体何か、そこに科学技術は応用できないだろうかということについて真剣に考えていかなければならぬのがこれからやるべき仕事ではないだろうかと私は思うわけでございますが、科学技術庁としてもその辺について十分これから考えて、複雑になりましたこの有機的なつながりの中で科学技術が本当に国民の生活のためになるようにやっていただきたいと思うわけでございますが、科学技術庁長官のお考えをお願い申し上げます。
  532. 岩動道行

    岩動国務大臣 私も昨年の暮れ科学技術庁の長官を拝命いたしまして最初に感じて、また役所の者にも申しましたことは、やはり何といっても今日科学技術の役割が非常に大きくなっている、しかも複雑多岐にわたっている、とても一省庁だけでやれるようなものではなくて、全能力を挙げてそれぞれの分野で活躍をしてもらわなければならない、と同時に、これの総合性を図らなければいけない、こういうことで、科学技術庁におきましても関係の行政機関の科学技術に関する事務の総合調整をやる、そしてその基本はやはり科学技術会議という基本政策をもとにする。と同時に、科学技術振興調整費というものが科学技術庁にございますので、この振興調整費によって日本にとって大事な分野については、どこの役所ではどうしてもらう、あるいは民間にはどうしてもらう、こういうようなことで、産学官一体となっての科学技術の振興を進めてまいらなければならない、このようなことで振興調整費というものを十分に活用しながらいかなければならない、かようにも考えておるわけでございまして、何といいましても科学技術庁は総合的に大所高所から科学技術の振興を進める、またみずからの機関においてもこれを進めてまいる、そのような意味におきまして、私は、おこがましい発言になるかもしれませんが、科学技術庁は日本科学技術の振興のための参謀本部的な役割を果たしていかなければならない極めて重要な任務を負っている者として今後とも先生の仰せられるような考え方で進めてまいりたいと思っているところでございます。
  533. 松前仰

    松前分科員 お話の内容は非常にいい内容があったわけでございますけれども、今の当面の問題をちょっと取り上げてまいりたいと思いますが、科学技術庁におきましては、今の情報化社会、情報革命と言われているこの現在の時代において、情報化技術に対しての取り組み、情報化社会への取り組みというものはどういう内容でございますでしょうか。
  534. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 先ほどから先生御指摘のように、科学技術庁は基礎的な技術開発をみずから行う、あるいは各省庁の研究開発を調整しプッシュするという役割を果たしてきたわけでございますが、各省庁にまたがるあるいは国として総合的に見るべき政策というものを政策と科学技術の両面から調和させるような考え方をしていかなければならない、まさに御指摘のように我々も考えているわけでございます。  特に十一号の答申を策定するに当たりましては、そのような情勢変化、例えばいわゆる今までの答申ですと、先進国へのキャッチアップということに重点があったわけでございますが、もうそうではなくて、みずから独創的にむしろ国際社会に貢献するように、そして新しい、検討の段階ではソフト化と呼んでおりますが、世の中がそういうソフトが重要になってくる場面、それからファイン化といいますか技術が高度化してくる場面、そういったものを総合的に政策なり社会のニーズに合ったような科学技術政策をつくらなければならないという観点に今度重点を置いた答申作業をしておるところでございます。  情報問題につきましても、先般科学技術白書において情報化社会の問題を取り上げてみたわけでございます。まだまだ非常に深い問題でございますので、十分な取り組みとは申せないかと思いますが、こういったことを政府あるいは国民に対して科学技術の立場から見ました見解を提起いたしまして、さらに政策を深めるように取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
  535. 松前仰

    松前分科員 今のお答えでは科学技術庁は情報関係については余りタッチしていないというような内容にしかとれないわけでございますが、この重要な情報化社会の中において科学技術庁が何も考えていないということは大変大きな問題だろうと思います。今現在電電公社の改革問題においてVANだとかなんだとか通産省と郵政省とのやり合いが続いておる。これも科学技術の情報社会に対する政策の一つの不足であると私は感じるところでありますので、ぜひともこれからその辺についてはしっかりとやっていただきたいと思うわけでございます。  この情報化の問題につきましては、通産省の方がたくさんやられておるということを私は知っておりますが、その通産省の現在の情報化の取り組みというものについてお聞きをしたいんです。それについては非常に長くなりますが、この情報化社会というのは何が一番問題かというと、弱い者に対する情報化という問題が非常にあるわけであります。幾ら情報化といっても、結局は最後には強い者と弱い者との報情格差になっていくということがあるわけでありまして、その辺の例えば中小企業への対応、一般大衆への対応というところについて通産省の御意見をお聞きしたいと思うわけでございます。
  536. 関収

    ○関説明員 お答え申し上げます。  私ども、昭和四十年代から情報化関係の施策をいろいろやらせていただいておりますが、そういった施策の必要性ということの中には、今先生御指摘いただきましたような情報格差といったものが生じてはいけない、それに対する前広な手を打つ必要があるということの局面に基づきます施策もいろいろやらせていただいておるわけでございます。例えば、これまでの情報化は主として大企業中心であったわけでございます。これからは中小企業でありますとか、あるいは医療、教育といったようなところまで及んでまいるわけでございます。そういった観点につきまして、例えば中小企業の方が使いやすいような機器やソフトウエアの開発、あるいは導入に際しましての各種のアドバイスといった施策を展開させていただいております。それからまた、そういう社会的な問題の解決という観点からは、例えば医療行為に関しまして、情報化技術を活用して、より効率的で適切な医療行為が行われるような技術開発といった局面で施策を講じさせていただいておるわけでございます。
  537. 松前仰

    松前分科員 この問題については、今のお答えは非常に抽象的で、私の質問も抽象的だったからそうなったのかもしれないけれども、しかしながら今情報化社会に対するフィーバーというのが非常にひとり歩きいたしまして、このままいったら大変なことになるという懸念が非常にあるわけであります。  通産省としては、恐らく技術士という制度をつくって中小企業の指導に当たっておられると思うのですけれども、これについてもたしか二万人くらいしかいないようですね。中小企業といいますか、従業員の数が一人から四人の事業所というものを調べてみると四百五十万くらいあるわけです。それを割ってみますと、大体一人が二百日くらいかかるわけですね。そういう小さい中小企業を二百日指導して歩くというのはこれはとても不可能に近い。だから、こういう技術士などを使ってそういう指導に当たっていると言っても、これは具体的にはなかなか活性化の道へつながるものではないのであります。私は、現場の力というものが本当に生まれてくる、資金を投資してもそれが長続きするような基礎教育、そういう問題について、もっとしっかりとした施策を講じていただかなければならないと思うのです。とにかくこの問題につきましては民間の声、国民の声、生活者の声というものを十分反映して、上から押しつけたものでは情報化社会、ニューメディアというものについての本当にしっかりとした普及にはつながらないと思うのですが、その辺はちょっとお考えをお聞かせ願いたい。
  538. 関収

    ○関説明員 先生御指摘のとおりでございまして、私どももニューメディアあるいは高度情報化社会というものはやはり国民的な広いコンセンサスの上に築き上げられていかなければならない、その中で政府におきましてはそれの基盤整備的な仕事、そういう形を中心に実施をしていくべきものと考えているわけでございます。  先ほど先生御指摘ございましたように、今高度情報化社会に入りまして、技術者の不足といったものも大変大きな問題になっておりますが、私どもも私どもなりの立場で、技術者の不足を補うための各種の施策をやってまいりたいと思っておりますし、また一般的な教育課程の中でのコンピューターについての知識といったものも、これは私どもの所管と申しますよりは文部省さんにお願いするようなお話でございますけれども、関係省庁とも十分連絡をとりながら適切に対応していきたいと考えているわけでございます。
  539. 松前仰

    松前分科員 この問題につきましては、今関係省庁、そういう上の方のレベルのお話があったわけでありますが、これについては一般大衆の意見、声、それから実情というものをしっかり調べていただいて、そして今のフィーバーと言われるそういう熱に浮かされないようなしっかりした対策を講じてもらうことが必要でありますので、ぜひその辺についてお考えいただきたいと思います。  次に、時間が大分経過いたしましたので、宇宙開発についてお伺いをしたいと思います。  宇宙開発について、MOS1という衛星が上がる、その後には地球資源探査衛星が上がるということになっております。この二つの衛星については非常に利用価値の高い衛星である。利用価値が高いといいますか、ただ、もうけ仕事ということじゃなくて、地球の全体的な資源の開発、日本の国策というものについて非常に有用なものであるし、そういう衛星であると私は信ずるわけであります。しかしながら、この衛星については国民がはっきりそういう衛星があるということを認識することが難しい衛星でもあるわけです。というのは、放送とか通信とか気象とか、そういうものについては常日ごろいろいろな形で国民に接することができる。しかし、こういう衛星についてはなかなか国民の場にあらわれてこないというところがあるわけでありまして、有効な利用を図るという意味においてもこの利用体制を確立することがまず必要でございますし、その先に、利用した結果について国民の場に明らかにすることが非常に大事なことではないだろうかと思うわけであります。まずはそのMOS1、LOS1――ILOS1といいますか資源探査衛星その資源探査衛星についてはお答えいただかなくても結構ですけれども、MOS1について現在の研究利用体制はどうなっているか、お答えいただきたいと思います。
  540. 福島公夫

    ○福島政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、我々も一九七〇年代の当初より、ランドサットが上がりましたときから我々このリモート先進技術というのが非常に大事であり、ここから得られるデータを解析して利用するということは非常に大事であるということで、科学技術庁が中心になりまして関係省庁とこの利用技術の開発と、それの利用普及に努めてまいりました。  御指摘のように、今度MOS1が六十一年度に打ち上げられるわけでございますけれども、これも我々としましてはランドサットのデータを利用したのと同じような体制をそのまま引き継いていきたいと思っておりますが、これは我が国で初めて打ち上げます地球観測衛星でもございますので、さらに利用の価値を高めたいということで、まず第一には、関係省庁、ユーザーの立場からの技術、それからそのユーザーに与えるデータをいかに使いやすくするかというような共通的な、基盤的な研究開発というものが大事でございますので、これをまずやっていこう。それから一般大衆も使えるような形で、非常に易しく加工したデータ、データを加工した形でも提供できるようにしたい、こういうようなことも考えております。さらに、先生御指摘のように、こんなに役立っているんだよという広報も大事だろうと思いますので、努めていきたいと考えております。
  541. 松前仰

    松前分科員 この衛星の利用については多くの民間も非常に関心を持っておりまして、何とかして利用して有効な結果を出していきたいと思っておりますので、ぜひとも一般にも利用できるような体制をしっかりとつくっていただきたいと思う次第でございます。  この人工衛星、これはちょっとお聞きいたしたいのですけれども、前に自由民主党あたりがちょっと口走ったことがあるようですが、こういう観測衛星というものは軍事目的に利用されやすいということがあるわけでございます。このMOS1につきまして軍事目的には利用しない、平和目的に利用するということをここではっきりと科学技術庁長官のお言葉をいただきたいと思うわけでございます。よろしく……。
  542. 岩動道行

    岩動国務大臣 日本の宇宙開発につきましては、すべて法律で決められておりますように、平和目的に限ってこれを行うということでございますので、その線で進めてまいりたいと思っております。
  543. 松前仰

    松前分科員 平和目的に利用するということをはっきり言っていただきましたので、私も非常に安心をするところでございますが、しかし、宇宙開発事業団法、それかも宇宙条約、そういうものを、平和目的に利用するということを非常に曲解して、曲げて解釈して、軍拡というものについても平和目的だ、そういうようなことに絶対になってはならないと私は思うわけであります。先ほどのMOS1の利用、これを国際的な協調に使えば、これこそソフトの意味での安全保障と私は思うわけであります。そういう方向の安全保障をどんどん進めることが必要であると思っております。そういう点について、どうかこの衛星の健全な利用というものを図られるようにお願いをしたいと思います。  時間が来ましたので、最後にちょっと私から申し上げますけれども、特に科学技術の現在の政策においては、技術のセクショナリズムというものが非常に壁が厚いのでありまして、それが非常に大きな弊害、一つには偏りをもたらしているという面がございます。ですから、先ほど一番最初に長官のおっしゃられたように、科学技術を幅広く総合的に見ていく、そしてその中で欠陥というものを発見して、そこに科学技術庁としての、国としての政策をつぎ込んでいくというようなことがどうしても必要であろうと私は思いますので、この辺をぜひやっていただきたい、しっかりとそういうことを念頭に置いてこれからの政策をやっていただきたいと思うわけであります。  最後に、科学技術庁長官の決意をお願い申し上げたいと思います。
  544. 岩動道行

    岩動国務大臣 仰せのとおり、日本科学技術は、そのように万般にわたる非常に分野の広いものでございますので、これはそれぞれおのがじしの分野において深く研究もしなければなりませんが、財政的に見ましても極めて厳しい状況でもございまするし、また、そのような観点から総合的にこれを見ていくという観点が極めて大事でございます。  ただいまの御提言は貴重な御意見として、今後とも私どもはそのような考え方で進んでまいる覚悟でございます。
  545. 松前仰

    松前分科員 ありがとうございました。
  546. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。  次に、吉原米治君。
  547. 吉原米治

    吉原分科員 遅くまで御苦労さまでいございます。私がどうも最後の質問者のようでございので、ひとつもうしばらく頑張っていただきたいと思います。  私は、科学技術庁にお尋ねをいたします。  全国初のケースとして注目を集めました島根原発二号炉に関する第二次公開ヒアリング、これは昨年の五月、現地松江市で開催をされたわけでございますが、この公開ヒアリングには原発に強く反対する団体が参加するというケースであっただけに、その運営についても極めて民主的に行われるものと期待をしておりました。ところが、残念ながらその運営ぶりも極めて非民主的であり、また官僚的であり、一方通行的な運営のやり方で、心から憤りすら感じませるものでございました。そしてまた数多くの原発に対する不安や問題点が指摘されたわけでございますが、何一つ地元住民の納得がいくような説明がなされないままに、まさにやじと怒号の中で終わってしまった。まことに残念な結果になっております。  そこで、長官に最初にお尋ねしたいのは、あなたが現役でいらっしゃったかどうか、私ちょっと今不案内でございますが、一体こんなやり方で公開ヒアリングの目的が達成されたと科学技術庁の長官としてお考えでございますかどうか、その辺、ひとつ最初にお尋ねしておきたいと思います。
  548. 岩動道行

    岩動国務大臣 この公開ヒアリング制度は、民主的に、そしてお互いに話し合いをして理解を深め、また原発の推進に大きな寄与をする、こういう意味におきまして大変大事な制度であると認識をいたしております。そして過去九回、私どもの承知している限りではこのような運営が行われてまいりましたが、島根におきましては、初めて原発の設置に反対をされる立場の最大のグループの方が参加をされたということは非常に大きな意義があったと思います。もちろん、いろいろな御意見がその中で出されたということに私は非常に大きな意義を認めるのでございます。  今後ともこのような公開ヒアリングが、所期の目的を達成するために適切な運営が行われることを心から期待をし、また、そのように関係者の皆様方ともよく御相談をし、進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  549. 吉原米治

    吉原分科員 せっかくの長官のお答えでございますが、私の質問に的確にお答えになっていらっしゃらない。  大変意義ある公開ヒアリングであった、しかも反対派も含めたのだからというお説でございましたが、それはそれなりに私も理解をするのです。非常に意義のある反対派を入れたヒアリングであるだけに、私どもも期待をしておったのですが、この第二次ヒアリングの目的は達成されたとお考えですかどうですか。達成されたとお考えならそのとおりやられて結構だし、もし不十分であったということになればどういう点が不十分であったのか、これに長官、的確にお答えになっていらっしゃらない。どうですか。
  550. 辻栄一

    ○辻政府委員 原子力安全委員会の行います公開ヒアリングは、通産省等の行いました安全審査のダブルチェックを行うに当たりまして、当該原子力施設の固有の安全性について地元の住民の意見等を聴取し、これを参酌することを目的として行っておるわけでございます。  今回の島根の公開ヒアリングにおきましては、先ほど長官が申し上げましたとおり、反対の立場をとられる方々も多く参加をしていただいたという点で、従来のやり方とはまた異なった面での意見が多く出てまいったわけでございます。陳述されました質問なり意見なりにつきましてはこれは参酌をする。そのために原子炉安全専門審査会等の調査審議におきましてこれらのポイントにつき特に入念に審査をしているわけでございまして、実質的に原子力安全委員会の調査審議に反映をさせてきたところでございまして、会場内における会議運営につきましては若干混乱を生じたという面もございましたけれども、それなりに多くの意見が開陳され、それが実質的に審査に反映されたという面において有意義なものであったというふうに評価している次第でございます。
  551. 吉原米治

    吉原分科員 長官の方のお答えじゃなくて安全局長の方からのお答えでございましたが、若干問題があったということをお認めになった。ただ、有意義であったという評価ですね。あなたおっしゃったように、参酌というのが目的だ。参酌というのは私が今さら申し上げるまでもございませんけれども、賛否両論を聞きながら、そのよい方をとって行政に反映をさせるというのが正確な参酌の意味だろうと思う。ところが、あなたは御承知かと思うのですが、ああいう雰囲気の中で一体公開ヒアリングの目的が達成されたのか、私は達成されてないという見方をしておるのですけれども、若干の問題点はお認めになっておるようでございますが、本来この公開ヒアリングのあり方というのはあんなものであってはならない。反対派になればなるほど、反対派の皆さんの意見を、そこが間違っておるなら間違っておるんだと指摘をして当たり前だと私は思うのですね。どうもそのやり方を見ておりますと、一切住民側の意見を参酌されてない。すべて通産省側の言った意見が参酌されて、その上に通産省が何も言わなかったことまでも参酌されているような形になっている。そういう意味において、私は、当初の目的が達成されてない、極めて不十分な結果に終わっておると言わざるを得ないわけでございますが、なぜそのような一方通行型の、問答無用型の運営をされたのか、もし原因があればお聞かせ願いたい。
  552. 辻栄一

    ○辻政府委員 先ほどの御説明と若干重複する面もあろうかと思います。  この参酌のやり方でございますけれども、公開ヒアリングにおきまして意見陳述がございました際には、その問題について対話方式ということで、通産省からその面についての通産省側の意見を述べさせておるわけでございまして、その場におきまして原子力安全委員会は両者の意見を聞くわけでございます。  そういたしまして、それらの点につきましては、先ほど申し上げましたように安全審査会の方に、これは原子力安全委員会の下部機構でございまして、具体的な原子炉の安全審査を担当しておる審査会でございますが、そこに意見の出されたポイント等を明確に下げ渡しまして、特にそのポイントについて両者の意見を勘案しながら検討していただく、そしてその結果につきましては、ここにございますように「参酌状況について」というパンフレットをつくりまして、これを地元の方にも御説明するというような意味におきまして、これで本当に一〇〇%目的が達成されたということは無理かもしれませんけれども、まさに先生御指摘のような両方の意見を検討してしかるべき回答を出す、こういうような作業を行い、かつこれについては地元にも資料を公開する、かような制度をとっておるわけでございます。
  553. 吉原米治

    吉原分科員 これをそうではないんだというのでもう一回復習するのには時間がございませんので、それは後日の機会に譲るといたしまして、この公開ヒアリングに当たって、反原発の団体と当該島根県と、そしてまた同様の趣旨を当該県と協定書が交わされておりますね。この協定書の中に、(7)の項でございますか、「公開ヒアリングにおける意見等の参酌状況については、安全委員会の答申後一カ月以内に甲が開催する説明会の場において、安全委員会側より説明を行う。」ということになっている。ところが、安全委員会の答申は昨年九月十二日、そしてまた同じく九月二十六日には二号炉の設置変更許可が出されておりますね。さらに本年に入りましてからは、二月二十四日には工事計画の認可が出されておるわけでございます。  そういう形でどんどん手続だけが進められておって、説明会はいまだに、答申後半年を経過した今日も開かれておらない、関係住民はますます不信感を募らせておるというのが現状でございますが、なぜ説明会を開かせて、積極的に安全委員会は出かけていって関係の皆さん方に説明をしないのか、私はまことに不可解なことだ、こう思っておりますが、どういう事情か、ひとつ御説明を賜りたい。
  554. 辻栄一

    ○辻政府委員 先生御指摘のように、島根県との間には、公開ヒアリングの開催に先立ちまして了解事項がございました。お話のとおり、委員会の答申後一カ月以内に県が開催する説明会の場において安全委員会側より説明を行うということになっておるわけでございますが、この説明会は島根県が開催するものでございまして、原子力安全委員会の答申以来、県はこの説明会の開催につきまして地元の関係者の方々と鋭意協議を進めてこられておるわけでございますけれども、現在のところ、開催方法等についてまだ合意が得られるに至っていないということで、県からは説明会がまだ開催できないという連絡が来ておるわけでございます。もちろん私どもの方は、こういうことで説明会の段取りができますれば、担当官等を派遣いたしまして御説明をする準備は整っておるところでございます。
  555. 吉原米治

    吉原分科員 おっしゃるとおり、その説明会を開くのは当該県だ。これはおっしゃるとおりです。ところが、県が認可する工事ではないはずですね。あくまでも通産省が認可をされるべき、しかも公開ヒアリングまで持って関係の住民の皆さんの不安を一掃する、そういう役割が通産省側にはあるはずなんです。あるいはまた、安全委員会もその責任があると私は思いますよ。県が説明会の開催を言ってこないから安全委員会は傍観をしておればいい、そういうように私は今の説明、御答弁を聞いて感ずるわけでございますが、これは至って無責任な考え方だと私は思いますよ。わざわざ公開ヒアリングを開いて関係者の皆さんの意見を出してもらって、そして双方の意見を聞きながら、安全委員会としてはこういう結論になりました、出されておる。パンフレットを私もまだ十二分に拝見しておりませんけれども、なぜこういう結論が正しいのかというなぜかというどころが欠落をしておりますね。だからそれを見ても、結論だけは書いてあって納得のいくようなものになっていない、こう思いますがゆえに、できるだけ早く、むしろ県を督促して、安全委員会から、過般の公開ヒアリングの参酌条項をひとつ説明に行きたいから早く説明会を開いてほしい、こういう指導なり要請が一遍でもされたことがあるのかどうなのか。私は残念ながらそれを聞いておりません。県が言ってこないからそれをいいことに、工事の認可だけはさっさと、住民の側から言いますと、自分たちを置いてきぼりにしてどんどん工事が進められておる、まことにけしからぬ話だ、そういう怒りの声しか実は返ってこない。そういう考え方ですから、第二次公開ヒアリング、反対派を引き入れた民主的な運営もできなかったんじゃないかと私は今にして思うことてございますけれども、県の方へ、どういう理由で説明会を開催しないのかという打診はしたことがございますか。
  556. 辻栄一

    ○辻政府委員 この説明会の件につきましては、既に県より連絡を受けまして相談もいただいたこともございます。私どもの意見、希望なりも申し入れておることでございますが、最終的にはあくまで県が決めるということであるというふうに理解をしておるわけでございまして、県の方といたしましても、時期、実施方法その他について関係者の合意を得るような努力を進めているという報告を今のところいただいておるわけでございまして、そのお話し合いの結果を待機しておるというのが現状でございます。
  557. 吉原米治

    吉原分科員 それでは、もう端的に申し上げますが、県側の方はどういう理由かわかりませんが、今安全局長がいみじくもおっしゃったように、関係の住民に早く納得をしていただくためにもとおっしゃっていますが、それがためにも一人当たりの時間、まあ野放しでやらせるというのもどうかと思いますから、それは一定の時間制限も必要だと思いますが、県が主張しておるのは一人当たり大体三分か四分でやってくれ、こういうのに対して、反原発側は、いや、最小限度一人十五分くらいは認めてほしい、十五分やりますと、日数的には何か二日かかるようですね。県が言っておる三、四分でやるというのは一日で終わる、しかも日中の常識的な一日ですな。県がなぜ一日にこだわらなければならぬのか。  私はうがって考えますと、余りがちゃがちゃ言われたくないから短時間で形式的に終わってしまえ、こういう指導などが通産省側から、あるいは安全委員会側の方からあっておるんじゃないか。でなければ何で一日にこだわらなければならぬのか。彼らの、特に反対者の意見を十二分に聞いてやろうということになれば、一日が二日になったって、それ以上のことを言っておるわけじゃないんで、一人当たり十五分はひとつ最小限度とってほしい。三分や四分では、こんにちは、さようならで済んでしまうでしょう。  ですから、原発に反対しておる皆さん方の主張があながち私は無理な要求だとは思ってない。むしろ、二日じゃ足らなければ、現地の状況なら三日かけてもいいじゃないか、このくらいの熱意があってしかるべきだと私は思う。いや、そんなことは我々としては言ってない、こうおっしゃるのなら、島根県の主張はそういう主張なんですから、そんな三分だ五分だということにこだわらずに、反対側が言っておる十五分を認めてやってもいいじゃないか、二日がかりでも三日がかりでも通産省側は出かけていくから説明会の場を持ちなさい、こういうことがなぜ言えぬだろうかと思って私は不思議でならない。県へそういう意味で督促と、二日かかってもいいということを言われますか、どうですか。
  558. 辻栄一

    ○辻政府委員 発言時間あるいは開催期日等の説明会の具体的な運営方法につきましては、やはり私どもとしては島根県の判断によって決めるべきものだと考えております。  県の側において、組合側との間にそのような問題点があることは聞いておりますけれども、県側の御事情もあろうかと思いますし、基本的にこの問題は、先ほど申し上げましたように県の開催する説明会ということでございますから、県において御判断されるべきものであるというふうに考えております。
  559. 吉原米治

    吉原分科員 県が判断することだ、それはそうでしょう。しかし、通産省側、安全委員会側はどうですか。私が今言っておるように二日かけてもいい、こう思っていらっしゃいますか、どうですか。
  560. 辻栄一

    ○辻政府委員 これは公開ヒアリングにおける意見等の参酌状況についての説明会だという目的に沿いまして、やはり基本的に県が決めるべき問題と考えておりまして、その具体的内容につきましては、県との関係もございますので、申しわけありませんが答弁は控えさせていただきたい、お願いいたしたいと思います。
  561. 吉原米治

    吉原分科員 まさに今の社会は率直に言って中央集権型になっておりまして、出先の地方自治体というのは、そういう意味ではなかなか発言権はございません。そういう体制、いい悪いは別としてそういうことになっておるのですが、事この問題になりますと、通産省側の考え方が県に何か遠慮して、県はどういう決め方をするかわからぬが、通産側なり安全委員会側は、それは二日がかったって三日かかったって構いませんよ、とことんひとつ皆さん方に納得のいくように説明に伺いますから、そういうことは通産省側、安全委員会側として自主的に判断されていいものですが、今別に地元の県がおるわけじゃございませんけれども、自主的にそういうことが判断できないのですか、県の方に何か意向を聞かなければ答弁ができないというのは。開催するか、何日かけてやるか、中身の問題はもう全部県にお任せだから県が判断して決定することだ、そのことはいいのですよ。だから安全委員会の局長として、二日かかっても三日かかっても徹底的にわかってもらえるまでひとつ説明に行きます、これがなぜ言えぬのかなと思って不可解なんですが、どうですか。
  562. 辻栄一

    ○辻政府委員 安全委員会の事務局といたしましては、この公開ヒアリングの結果の参酌の状況につきましては、先ほど私が触れました公開ヒアリングの参酌状況についてのパンフレットの以外にも、別途またそれを解説するようなパンフレットを作成いたしまして、地元の方々への説明、御参考に資するというような活動もやっているわけでございまして、国としては、一般論といたしまして、二次公開ヒアリングに関すも結果の御説明については、この程度の線が適当であろうかと考えております。  島根の公開ヒアリングの問題につきましては、先ほど申し上げましたような地元との了解事項ということに基づままして行う特別の説明会でございまして、特にこれは県側の要求ということで設けられたものでございます。これについては、私どもは積極的な協力をするつもりでございますけれども、その具体的なやり方につきましては、何といっても地元における関係者の協力その他によって、具体的に開催できるというような状況が醸成されませんとできないものと考えておりますので、その点については、やはりあくまで県の判断ということでまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  563. 吉原米治

    吉原分科員 残念ながら時間が来たわけでございますが、安全委員会の方を幾らつついてもどうもそれ以上の答弁がいただけないようでございまして、大変残念でございますが、長官、今お聞きになっていらっしゃったように、私の言っておることは無理はないと思うのですよ。少なくとも反対派を入れて公開ヒアリングをやって、その参酌状況について説明会を開きますと事前にそういう協定を結んでおきながら、県は一人当たり三分か四分程度で終わらそうという計画を反対側の皆さんに押しつけておるわけだ。だから、質問者の持ち時間の問題で、今話がつかないわけだ。それはそれとして、通産側でもひとつぜひ熱意を持って、そういう人たちになればなるほど念入りに説明したいから、県がそういうことであれなら二日とってもいいんだ、あるいは場合によっては三日とってもいいんだぐらいの熱意があって初めて物事がスムーズにいくと私は思うのですよ。  そういう意味で、地元県は地元県で、また私は帰って県の方へ要請しますけれども、通産側の方はひとつ、あるいは科学技術庁長官という立場でひとつできるだけ念を入れた説明をやる。それも無限大にということではなくて、二日なら二日かけてもいいんだ、そのぐらいのお答えがあってしかるべきだと思いますがね。二日じゃ地元島根県が困る、安全委員会がそうおっしゃっても――地元開催の方が二日じゃ困るというなら、これはまた島根県の方で話を詰めればいいことでございますが、皆さん方の側から、県がそういうことならそれが適当だなんという、それは余りにも主体性がなさ過ぎる。どっちが一体認可する立場なのか、そういう観点からひとつ長官、お答え願いたい。
  564. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず冒頭に私も申し上げましたように、島根の原発の第二次公開ヒアリングが反対の方々も参加をしたということについては、大変意義のあるものであったという認識を持っております。さらにその結果、後一層地元の方々との理解を深めるという意味での説明会を想定しておられることは、まことに結構だと思っております。  しかしながら、この点につきましては、先ほど来政府委員の方から御答弁を申し上げましたように、第一義的には何と申しましても島根県の考え方が大事でございます。しかし、ただいま御指摘のありましたようなこともございますので、私どもの方といたしましても、島根県が現在どのように考えているのか、その意向も伺ってみたいと思っております。そしていよいよ説明会が持たれるという段階になりましたならば、私どもも積極的に御協力を申し上げてまいりたい、かように考えております。
  565. 与謝野馨

    与謝野主査代理 これにて吉原米治君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして科学技術庁についての質疑は終了いたしました。  次回は、明後十二日午前九時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十六分散会