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1984-03-29 第101回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十九日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員  委員長 倉成  正君   理事 小渕 恵三君  理事 原田昇左右君   理事 松永  光君  理事 三塚  博君   理事 山下 徳夫君  理事 岡田 利春君   理事 川俣健二郎君  理事 二見 伸明君   理事 大内 啓伍君      相沢 英之君     甘利  明君      伊藤宗一郎君     石原健太郎君      石原慎太郎君     稲垣 実男君      宇野 宗佑君     上村千一郎君      大村 襄治君     奥野 誠亮君      海部 俊樹君     金子 一平君      小杉  隆君     砂田 重民君      田中 龍夫君     高鳥  修君      玉置 和郎君     中西 啓介君      松田 九郎君     三原 朝雄君      武藤 嘉文君     村田敬次郎君      村山 達雄君     山岡 謙蔵君      山口 敏夫君     井上 一成君      上田  哲君     大出  俊君      島田 琢郎君     清水  勇君      城地 豊司君     関  晴正君      竹村 泰子君     矢山 有作君      遠藤 和良君     草川 昭三君      小谷 輝二君     駒谷  明君      斉藤  節君     木下敬之助君      小平  忠君     渡辺  朗君      小沢 和秋君     工藤  晃君      瀬崎 博義君     辻  第一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 住  栄作君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 森  喜朗君         厚 生 大 臣 渡部 恒三君         農林水産大臣  山村新治郎君         通商産業大臣 小此木彦三郎君         運 輸 大 臣 細田 吉藏君         郵 政 大 臣 奥田 敬和君         労 働 大 臣 坂本三十次君         建 設 大 臣 水野  清君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     田川 誠一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      中西 一郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      後藤田正晴君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官)稻村佐近四郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      岩動 道行君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         内閣法制局長官 茂串  俊君         総理府恩給局長 和田 善一君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         行政管理庁長官 古橋源六郎君         官房総務審議官         行政管理庁長官         官房審議官   佐々木晴夫君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁次長 小谷  久君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         防衛施設庁労務         部長      大内 雄二君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         法務省刑事局長 筧  榮一君         法務省訟務局長 藤井 俊彦君         外務省アジア局         長       橋本  恕君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省中近東ア         フリカ局長   波多野敬雄君         外務省経済局長 村田 良平君         外務省経済局次         長       恩田  宗君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      山田 中正君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵省主計局長 山口 光秀君         大蔵省証券局長 佐藤  徹君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         大蔵省国際金融         局長      酒井 健三君         国税庁次長   岸田 俊輔君         国税庁調査査察         部長      冨尾 一郎君         文化庁次長   加戸 守行君         厚生省公衆衛生         局長      大池 眞澄君         厚生省環境衛生         局長      竹中 浩治君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         林野庁長官   秋山 智英君         通商産業省通商         政策局長    柴田 益男君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         労働省労政局長 谷口 隆志君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省道路局長 沓掛 哲男君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   上村千一郎君     稲垣 実男君   海部 俊樹君     松田 九郎君   砂田 重民君     山岡 謙藏君   橋本龍太郎君     中西 啓介君   山口 敏夫君     石原健太郎君   稲葉 誠一君     竹村 泰子君   武藤 山治君     城地 豊司君   湯山  勇君     関  晴正君   大久保直彦君     駒谷  明君   矢野 絢也君     遠藤 和良君   正木 良明君     小谷 輝二君   不破 哲三君     小沢 和秋君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     甘利  明君   稲垣 実男君     上村千一郎君   中西 啓介君     橋本龍太郎君   原田  憲君     海部 俊樹君   山岡 謙藏君     砂田 重民君   城地 豊司君     武藤 山治君   関  晴正君     湯山  勇君   竹村 泰子君     稲葉 誠一君   遠藤 和良君     矢野 絢也君   小谷 輝二君     正木 良明神   駒谷  明君     大久保直彦君   小沢 和秋君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     小杉  隆行   松田 九郎君     原田  憲君   辻  第一君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     山口 敏夫君     ――――――――――――― 三月二十八日  昭和五十九年度一般会計暫定予算  昭和五十九年度特別会計暫定予算  昭和五十九年度政府関係機関暫定予算 同月十四日  昭和五十九年度予算組み替えに関する請願  (経塚幸夫紹介)(第一〇一八号)  同(工藤晃紹介)(第一〇一九号)  同(瀬崎博義紹介)(第一〇二〇号)  同(辻第一君紹介)(第一〇二一号)  同(東中光雄紹介)(第一〇二二号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇二三号)  同(正森成二君紹介)(第一〇二四号)  昭和五十九年度予算に関する請願柴田睦夫君  紹介)(第一〇二五号)  同(瀨長亀次郎紹介)(第一〇二六号)  同(松本善明紹介)(第一〇二七号)  昭和五十九年度の予算に関する請願不破哲三  君紹介)(第一〇二八号) 同月十五日  昭和五十九年度予算における国民生活改善に関  する請願小沢和秋紹介)(第一一六一号)  同(瀬崎博義紹介)(第一一六二号)  同(簑輪幸代紹介)(第一一六三号)  昭和五十九年度予算における国民生活擁護に関  する請願野間友一紹介)(第一一六四号)  昭和五十九年度予算組み替えに関する請願  (東中光雄紹介)(第一一六五号)  昭和五十九年度予算に関する請願梅田勝君紹  介)(第一一六六号)  同(辻第一君紹介)(第一一六七号)  同(中林佳子着紹介)(第一一六八号)  同(藤木洋子紹介)(第一一六九号)  昭和五十九年度の予算に関する請願中川利三  郎君紹介)(第一一七〇号)  同(林百郎君紹介)(第一一七一号) 同月二十六日  昭和五十九年度予算における国民生活改善に関  する請願池端清一紹介)(第一五六二号)  同(小沢和秋紹介)(第一五六三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一五六四号)  同(正森成二君紹介)(第一五六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度一般会計暫定予算  昭和五十九年度特別会計暫定予算  昭和五十九年度政府関係機関暫定予算      ――――◇―――――
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  昭和五十九年度一般会計暫定予算昭和五十九年度特別会計暫定予算及び昭和五十九年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。  まず、三案について政府より趣旨説明を求めます。竹下大蔵大臣。     ―――――――――――――  昭和五十九年度一般会計暫定予算  昭和五十九年度特別会計暫定予算  昭和五十九年度政府関係機関暫定予算     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 このたび、昭和五十九年四月一日から同月十一日までの期間について暫定予算を提出いたしましたが、その概要について説明いたします。  まず、一般会計につきまして申し述べます。  暫定予算が本予算成立までの応急的なものであることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、暫定予算期間中における人件費事務費等経常的経費のほか、既定の施策に係る経費について行政運営上必要最小限のものを計上することといたしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないことといたしておりますが、生活扶助基準引き上げ等教育及び社会政策上等配慮から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要経費を計上することといたしております。  また、公共事業関係費につきましては、直轄災害復旧事業費のほか、直轄維持修繕費等について、暫定予算期間中における所要額を計上することといたしております。  歳入につきましては、税収及び税外収入暫定予算期間中の収入見込み額を計上することといたしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳入総額は二百八十六億円、歳出総額は三兆三百九十七億円となっております。  なお、これは、三兆百十一億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることといたしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましては、いずれも以上申し述べました一般会計の例に準じ編成いたしております。  以上、昭和五十九年度暫定予算につきまして、その概要説明いたしました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  4. 倉成正

    倉成委員長 以上で大蔵大臣説明は終了いたしました。     ―――――――――――――
  5. 倉成正

    倉成委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  6. 川俣健二郎

    川俣委員 暫定予算に六日に支払う恩給が入っているわけですが、それ一点に絞ろうと思ったのですが、せっかくお並びでございますので、きょうあすじゅうに政府決定しなければならない乳価等畜産物価格についてちょっと一言伺いたいのです。  一昨日は食肉、きのうは酪農審議会と、こういう答申を受けて政府はこれらの価格決定ということに相なるだろうと思うのでございますが、当然答申を尊重して決めようということでしょうが、担当大臣、これに対していかがでしょうか。
  7. 山村新治郎

    山村国務大臣 加工原料乳、これの保証価格等につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、最近における牛乳乳製品需給動向に慎重に配慮しながら適正に決定するという昨日の畜産振興審議会答申、これを踏まえまして、各方面とも調整の上、適正に配慮してまいりたいというぐあいに考えます。
  8. 川俣健二郎

    川俣委員 その各方面でございますけれども、やはり生産計画というものは各方面団体にあるわけです。したがって、政府答申を尊重するのはわかるのだが、諮問の段階でもう既に保証価格乳価というのを据え置きにし、加工原料乳限度数量もわずか七万トンの積み増し程度で、農民農民団体がその負債の重圧に苦しんでおるのは大臣御存じだと思うのですが、こういうのは、せっかく生産計画というものをして管理生産をやっておる団体のことを考えますと、やはり二百四十万トンという大きな目標も持っておるわけですから、したがって、このあと十八万トンふやせば二百四十万トンになるわけですから、そのくらいの配慮をしないと、行政の衝に当たる何といったって農林水産省が窓口であり、頼りであるわけですから、その辺は少し考えるべき段階ではないだろうかなと私、個人的には思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  9. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生御存じのとおり、五十二年度以降供給過剰の状態となりまして、五十四年度から生産者団体が自主的に計画的生産を実施するということなど、苦い経験を今までいたしております。その後ようやく需給が改善し、昨年度においては、四年間据え置いたものを、限度数量二十二万トン増しという二百十五万トンにいたした次第でございます。最近は乳製品価格軟化ぎみでございまして、在庫も増加している状況にありまして、再び過剰に陥ることがあってはならないということから、限度数量決定に当たりまして慎重な配慮がなされた。このようなことを踏まえ、慎重に検討した結果、限度数量七万トン増しの二百二十二万トンということを試算しておるわけでございますが、最近におきましての牛乳乳製品需給動向に慎重に配慮しながら、適正に決定するというきのうの審議会答申趣旨を踏まえて、今月末までに適正な決定をやってまいりたいというぐあいに考えております。
  10. 川俣健二郎

    川俣委員 適正にやっていくということであればいいのですけれども、やはり期待するのですが、今大臣がおっしゃるように、その団体が極めて自主的に自分たち減産体制をとりながらやっているわけですね。その目標が二百四十万トンだということで意思決定しておるのですから、したがって、何としてでもこの二百四十万トンというものを私たちは要求したいわけです。  そこで、当然先立つものはということになろうかと思うのですが、財源的に見ますと、昨年は七億、ことしは三億、こういうことですから十億、この十億を予算政府は保留しているわけですよ。これをどうお考えなんですか。
  11. 石川弘

    石川(弘)政府委員 御承知のように、価格決定に当たりましては、安定指標価格、それから基準取引価格、それから保証価格といろいろな価格を定めまして、その中でどうしても不足部分不足払いという形で財源的に措置されているわけでございます。したがいまして、私ども今の需給状況のもとでは、安定指標価格というものは、これを動かすことによって消費が減っては困るということで、ことしはとめてございます。メーカーが合理化しました分で、いわゆる基準取引価格というものを若干引き上げております。  そういうことと、もう一つ限度数量につきましては、財源のあるなしということとは一応別個の観点から、きのうの答申にも実はあるわけでございますけれども需給事情を見誤りますと過剰生産に陥る、これは先生も御承知のように、ECあたり酪農製品過剰生産ということが論じられておりますが、我が国は幸い今はそういう状態ではございませんけれども、過去の歴史を見ますと若干生産が急テンポに上がりました際に、その後に過剰になるという苦い経験もございます。したがいまして、そういうことが最終的には生産者にまた迷惑をおかけするということになるものでございますから、大臣からお答えしましたように、昨年は三年掘え置きを思い切って二十二万トンと上げておりますので、その水準の上にさらに七万トン足すということでございます。私どもとすればかなりの水準ではなかろうか。  それから、先生御指摘の団体が自主的につくった計画というのは私ども承知いたしておりますが、それがすべて財政負担を伴います不足払いとなる限度数量なのかどうか。例えば典型的に申しますと、本来、従来の牛乳からつくられるようなアイスクリームとかヨーグルトの一部に財政負担が使われた、加工乳製品が逆転して使われるということは財政効率止も必ずしも好ましくない。その点についての配慮等を考えまして、昨日の夜半の御答申の中でも、最近の需給事情をよく考えて決めるようにという審議会答申でございますので、そういうものに従ってやっていきたいと考えております。
  12. 川俣健二郎

    川俣委員 そこまで考えておるし、よくお見通しだし、さすがだと思うのですが、だとすれば、もう少し農業団体というものとじっくり話をしながら、何百億、何千億と言っておるわけじゃないですから、やはり自主管理して自主生産をするという、こういうのをうまく行政指導していくという考え方が大事ではないかと思ってあえてしたのですが、もう一言、大臣どうです。団体ともう少し話し合って決めるかどうかです。
  13. 石川弘

    石川(弘)政府委員 私ども団体が自主的な努力をしていることは大いに評価をいたしております。  それから、今回の価格決定に当たりましては、先生既に御承知のように、今問題が限度数量に集中をいたしておりますけれども保証価格につきましては、従来の算定方法をとります場合に若干の値下がりになるというようなこともございましたけれども生産者の今までの計画生産の御努力というようなものも十分頭に置きまして、算定方法に若干の修正を加えて据え置きにしているという点につきましては、私ども団体のそういう努力というものをやはり考えて対処したつもりでございまして、今後とも団体との関係では、よく話をしながら事柄を進めるという基本的態度は変えたくないと思っております。
  14. 川俣健二郎

    川俣委員 そういう考え方をぜひ、私の要求も踏まえてやってもらいたいと思います。  そこで次の問題は、前回、私、この場で質問して、カネミ油症の問題ですが、せっかくああいうように高裁和解勧告を出した。長年月苦しんできた患者、それから行政のあり方に責任がなかったか、いろいろやってみたらやはり判決はああいうことになった。そうなると、やはりあの際に和解勧告に応じた方がよかったのではないか。これは決してただじゃないわけだから、国の税金を使うわけですから。それとも上告して勝てる、こういう考え方なのか。一たん払ってしまったのだろうが、払ったものが勝てば戻ってくるという考え方だろうけれども、さらに裁判ざたで争っていく、こういう考え方なんだな。どうです。
  15. 竹中浩治

    竹中政府委員 油症の問題につきまして、前回もお答え申し上げましたように、私どもといたしましては国の法的責任は見出しがたいと考えまして、和解勧告に応ずることができないという結論に至ったわけでございます。  その後、お話のとおり福岡高裁判決があったわけでございまして、ダーク油事件への対応を理由に国に賠償責任があるとされたわけでございます。  この判決につきましては、現在関係省庁におきまして慎重に検討をいたしておる段階でございます。
  16. 川俣健二郎

    川俣委員 大臣、どちらの大臣でもいいのだけれども、上告する腹づもりですか。もう決めなければならぬ段階でしょう。
  17. 山村新治郎

    山村国務大臣 このカネミ油症事件に関しまして福岡高裁判決につきましては、法務省厚生省、これら関係省庁ともいろいろ相談いたしまして、国の関係職員職務権限、また有害物質に対する知見の状況等から見まして国の法的責任を見出しがたいということで、本日午後上告するということにいたした次第でございます。  私どもといたしましても、このカネミ油症事件被害者の方々とお会いいたしました、まことにお気の毒ということしか言えないわけでございますが、その救済に当たりましては国としてできるだけのことはいたしますが、ただ、今和解を受け入れられなかったというような状況等を申し上げましたとおり、国としてはやはりこの際上告してというような方針で、どうしてもお気の毒ですが臨むほかはないというようなところでございますむ
  18. 川俣健二郎

    川俣委員 責任担当官農林水産大臣の管轄にあるわけですが、そうなると国としては当然――住さん、法務大臣の見解はどうですか。
  19. 住栄作

    住国務大臣 カネミ油症事件、三月十六日に福岡高裁判決をいただきました。御承知のように、判決は、国に責任ありということで、国に対する賠償を命じたものでございます。上告期限はあすでございますので、私ども農林水産省厚生省等とこの判決について十分検討をいたしました。  判決は、御承知のように、国の係官に義務違反があったから、国も責任があるのだ、こういう趣旨でございます。一審判決と二審判決考え方が違っておりますし、それから、まだ同様の第二陣訴訟の控訴審が福岡高裁に係属いたしております。それからまた、第三陣も地裁に係属中でございます。ここらあたりの高裁、地裁の判断もどういうことになるか、こういうことも配慮しなければならないというようなことから、私もこの油症患者の皆さんとお会いいたしました、患者の皆さんの立場は本当にお気の毒な状況でございまして、そういうことも十分考えたのでございますけれども、まあそれはそれとして、この法律問題については、これは全く新しいケースでございますので、慎重の上に慎重を期してさらに上級審の判断を仰いだ方がいいのじゃないか、協議の結果そういう結論を得ましたので、今も農林大臣がお答え申し上げましたように、本日の午後にでも上告の手続をとりたい、こういうように考えております。
  20. 川俣健二郎

    川俣委員 上告の意思決定ということを披瀝された以上は、ここで論議してもしようがないと思うのですが、何か十分に救済の気持ちがある、こういうことを農林水産大臣も法務大臣もおっしゃるのですが、それはそれとしてもというところに非常にすとんと落ちないものがあるのです。しかし、上告決定ということになれば私らは見守るわけですが、和解勧告というものをせっかく出したときに、私はずっと長年社労でもやってきたのですが、いい時期ではなかろうかなと思っただけにこの委員会で取り上げたのであって、そういうことであれば、総理以下皆さんお聞きでございますので、それを見守るしかないのだろうと思います。  そこで、昨日の新聞ですか、特に日本農業新聞ですか、ミナミアメリカミバエ、チチュウカイミバエとは違うのですが、南アメリカからの農産物が入ってきたのですが成田空港で大量に発見というのが、発見して非常によかったわけですが、こういうようにたまたま発見されたのか、どの程度の精度で発見機能があるものなのか、私、余りはっきりわからぬけれども、農産物の輸入に対する規制がこういう問題からもかなり慎重に構えていかなければならぬじゃないだろうかなと思っております。EDBの問題、いわゆる土壌汚染の問題ですが、こういう問題等もあるのです。  まず私の質問は、ミナミアメリカミバエを大量に発見したのに伴い、これはもちろん全量焼却ということになるんだろうが、今後こういうものを考えると、農畜産物の輸入という問題をめぐって、こういう面からも、島国である日本の国としてはかなり四方八方から入ってくる、先月は口蹄疫こういうのがデンマークとの関係であったのですが、これらについてちょっと御所見を伺いたいのです。
  21. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のように、二月十三日に成田空港にコロンビアから入りましたマンゴーにつきましてミナミアメリカミバエと思われる幼虫が多数発見されましたために、翌々十五日、全量焼却した次第でございます。こういう植物についての害虫あるいは先ほどお話もございました口跡疫等動物についての病気等は、一たん入りますと非常な繁殖力をもちまして日本の畜産あるいは農蚕園芸品に非常に大きな影響を与えるために、私ども植物防疫あるいは動物検疫所におきまして厳重な検査をし、また事前に危険なものにつきましては一定の輸入規制を行うということによりまして、植物あるいは動物についての病害虫の予防、未然に防止しているところでございます。
  22. 川俣健二郎

    川俣委員 今回、非常に的確に機能が働いて発見したからいいのですが、私らは、疑うわけではないけれども、どんどん逃がしている面があるのではないだろうかと思うだけに、輸入農畜産物にはこういう面からも本当に慎重に構えてほしい、こういう期待をして次の質問に入ります。  さて、いよいよ月末、期末に入って、さらにいろいろな問題の大詰めになった中で、何といっても今、日本の国は経済摩擦から来る農畜産物貿易交渉が、暗礁に乗り上げたとは言いたくないのですが、どうやらいろいろと、情報しか私らわかりませんですが、せんだっては経済局長の佐野さんも行って努力されてきたのですが、一体これからどういうように進むのでしょうか。この辺は総理大臣、どうなんでしょうか。
  23. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生言われましたように、先週、佐野局長を派遣いたしまして農産物交渉ということでこれに当たらせました。しかし、日本とアメリカ、積極的に今月末をもって何とかこの交渉の妥結を目指して全力を振り絞っていろいろ交渉したわけでございますが、依然として双方の隔たりにかなり大きなものがございまして、どうしても妥結という線へは進めないわけでございます。私としましても、今月末までに何とか行ってということでございましたが、今のところ、はっきり申しましてアメリカ側の出方、これを見守っておるというのが現実でございます。
  24. 川俣健二郎

    川俣委員 今のところというと、ずっと先があるようですけれども、そうすると、この三月末までには到底決められないだろうという見通しですか。
  25. 山村新治郎

    山村国務大臣 まだ日にちもございますが、きょうにでも向こうから何かいい話でもあればすぐ飛んでいってということにもなりますけれども、今のところまだございません。しかし全然見捨てたわけではございませんで、できる限りやりたいわけでございますが、しかし隔たりが大き過ぎるということで、行ってもちょっと難しいのじゃないかというようなところでございます。
  26. 川俣健二郎

    川俣委員 きょうにもいい語――いい話というのはどの程度を考えているのですか。こちらの方の佐野さんが行って、いわゆる世に言う指し値程度の、そういうことですか。
  27. 山村新治郎

    山村国務大臣 きょうにでもアメリカの方から譲歩という線が出れば、今月中にもできるということでございます。
  28. 川俣健二郎

    川俣委員 ところが総理、けさの新聞で初めて見たので申しわけないけれども、新聞を生で広げさせてもらいたいのですが、アメリカ代表が提案内客を暴露、農産物交渉守秘義務を一方的に破る、米側は一万トン上乗せ、それから日本側は五千六百トン、これがいわゆる指し値だ。事務レベルではこういうことで交渉してきたのだろうが、ただ非常に気になるのは、総理はせんだって私の質問に、アメリカ大統領の選挙もこれあり、おくれればかえって不利だろうという御見解を、今議事録持っておりますが、おっしゃるのだが、まず総理の発言の前に担当大臣から、守秘義務、これは遺憾なことだろうけれども、これはこういうことですか実際は。
  29. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の日米農産物交渉に当たりましては、その内容等は公表しないということを約束して交渉に当たっておるわけでございます。ところが、今度そういうようなことを公表した、それ真実であるかどうか。これはまた私の口から言いますと公表したかということにもなりますので、これは申し上げられません。今外交ルートを通じてそのようなことがあったのかどうかということを問い合わせておるところでございます。
  30. 川俣健二郎

    川俣委員 それは大臣責任省の発言としてはちょっと理解できないな。守秘義務を一方的に破った方が悪いのだから、それは私も思う。しかし、その内容はここでは肯定も否定もできない、こういう程度でとどめるべきであって、外交交渉に当たった者のあれを確かめるなんということを大臣、言ってはいけないよ。それだったら大臣、使いに出られないじゃないか。
  31. 山村新治郎

    山村国務大臣 はっきり申し上げまして、すべて真実ではございません。そういうような意味を含めて、そのようなことがあったのかどうかということを、これは一応新聞でございますので、正式な外交ルートを通じてそのように発表したのかどうかということを聞いておるところでございます。そうかといって、それが真実であるということではございません。
  32. 川俣健二郎

    川俣委員 ちょっと質問者が混乱して申しわけないのですが、私ちょっと理解できないんだけれども。  そこで総理、いよいよアメリカもかなりかっかしてきた結果がこういうことだろうと思う。一方的に破る、もう報復手段も覚悟せいとか、いろんな恐喝めいたことを言い出してきたんだが、「対日強硬路線に転換か」。ところがその中で、リーガン長官の方が、中曽根さんがアメリカに来たときの約束を守れ、こういうように記者会見で言っておるんだが、これはどういう意味なんだろう。総理、これも誤報だろうか。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 その新聞の記事については、私もけさ新聞を見て驚いたのでありますが、今農林大臣が申されたとおりであります。農林大臣がおっしゃったのは、公表したようなあるいは漏らしたような新聞記事があるが、果たしてそういうようなことをやったのかやらぬのか、それをただしておる、そういう意味であろうと思います。漏らさぬという約束になっているのを向こうが一方的に漏らすということは不信行為ですから、それがあったのかないのか、それをただしておる、そういう意味で農林大臣は申したのでしょう。  それから、私がアメリカに行って農産物問題について話したのは、できないこととできることがある、できないことはできないんだ、自由化はできません、そういうことをはっきり言ってきております。これは去年一月からやってきているので、川俣さんも議会で質問されてお聞きになったと思います。それで、この問題は冷静に専門家同士の話し合いにゆだねるのが好ましい、そういうことで専門家同士で話し合ってきて今までなってきたわけでございます。しかし、この段階になりますと、向こうの方も冷静さを失ってきつつある。これはやはり大統領選挙というものが影響しているでしょう。この際はやはり両方が冷静になって、何が両国のための利益になるか、大局的に判断をした方がよろしい、私はそう考えております。  日米関係というものは、農産物のみならず、ほかの面においても、政治的にもあるいは文化的にも経済的にも安全保障面においても、これはもう揺るぎないような非常に深い関係になっておるのであって、そういう大局的な大事な関係というものを維持していることが両国の利益になる、そういう大局的見地に立ちつつ、両国の国の利益、いわゆる国家的利益というものを調整するように双方が努力すべきときであると考えております。
  34. 川俣健二郎

    川俣委員 大局的精神訓話は私もわからぬわけじゃないんだが、そこで私がちょっと伺いたいのは、冷静さを取り乱す段階になって幾らかっかしてきたというても、普通の民間人が言うんじゃなくて、リーガン財務長官が銀行関係者を集めた会合で演説した内容の中に、中曽根さんがアメリカに来たときの約束を守るべきではないかということを記事にしているというのは、これはそうすると誤報と見るべきだろうかということなんです。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 それは何を対象にして守ると言ったのかわかりませんが、私は一般的に日本は自由化に向かってできるだけ努力をいたします、日本はややもすれば開放経済でない、そういうことを言われてきた、したがってその点は開放経済に向かうべくあらゆる面で我々は努力をする、そういうことは言ってきました。それは金融の面あるいは農産物の面あるいは通信そのほかの面において一般的に言ってきたことであります。  そういうわけで、今の通信の問題でも今一生懸命努力をしておるし、農産物の問題でも専門家同士で冷静に話し合いながら、やはり両国とも農民を守らなければならぬのでありまして、農民を守るという意味においては両国とも同じような政府の立場がある。その中でやはりお互いがよく話し合って、我々の方としてはできるだけいわゆる市場経済、開放経済の方へ向かっていくという努力をしつつあるのであります。物の輸出やそのほかの面においても同様であります。したがって、そういう意味の、一般的意味の自由経済、開放経済に向かって努力するという、そういうことは言いました。それは去年のあのいわゆる基準・認証制の開放以来かなり思い切って大胆にやっておるところでもあります。
  36. 川俣健二郎

    川俣委員 そうすると問題は、いつまでも事務レベルというか、総理の言う専門家同士でやっているというわけにいかないんだろう。総理が出番なのか農林水産大臣が出番なのか、ぼつぼつそういう大臣折衝、政治折衝をする段階だ、こういうように思っておるわけですが。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、できるだけ早く農林水産大臣にアメリカへ行ってもらって、そして政治レベルの話し合いをしてもらった方がいい時期に来ている、そう思っております。  しかし、それには向こうの情勢がどういう情勢であるかということもある程度探知し、情報もとらなければなりません。それからまた、アメリカへ行くにつきましては、国会をあけるわけですから、こちらの国会の皆さんの御了承をいただく、そういう面のいろいろな御了解をいただく必要もございましょう。そういう諸般の手続をできるだけ早くやって、そしていつ行くかということは、外務大臣農林水産大臣、官房長官等で相談をしてもらいますが、そういう手続をやっておいて、いつでも行ける状態にしておくということが、彼我の樽俎折衝、駆け引き、あるいはこれからの会談の進展、そういう面から見て日本にいいのではないか。こちらの方が余り渋滞していて、そして交渉について誠意がないという姿勢を見せることは適当でないと私、思っています。  シュルツ長官からも、農林大臣の来米を歓迎するという趣旨のことも来ていると私は聞いております。そういうような情勢から見ると、アメリカ政府も若干話し合う気持ちになっているのかなあという気もしないでもないです。そういう面から見ましても、私は早目に行った方がいいだろう、そう思っておるのです。  四月二日にアメリカの上院で農業問題の公聴会があるようですけれども、公聴会が過ぎるというと案外縛られてしまって、向こうも動きがとれなくなるおそれがあるのではないか、そういう気がしないでもない。そういうような面から見て、早目に行った方が、交渉という面から見れば日本側にプラスになるのではないか、公聴会後は、遅い方がマイナスに作用しないか、そういうような情勢も私個人は判断しつつありますが、外務当局や農林当局がどういうふうに判断をするか、それはあなただから私の今の考えを申し述べましたけれども政府全体として協議して進めていきたい、そう思っております。
  38. 川俣健二郎

    川俣委員 いろんな考え方があるだろうが、これはやはりもう事務レベル段階が終わったやに感ずるのでございます。したがって、やはり政治決断的な場面も出てくるだろうと思うのですが、極めて慎重に将来のことも考え、あわせて今二百億ドル余りの赤字を、これを強引にやってみたところでわずか二億ドルくらいだ、焼け石に水だ。それよりもアラスカの石油でも買ってくれればということがあったが、しかし、アラスカの法案も向こうでは否決になった。  こういうことをいろいろと考えてみると、しかも向こうの方の農民団体の代表がわざわざ日本に来て、日本の農業というものを困らせてまでも農畜産物を買え、開放せいということはそれほど要求しない。してみたところで大したことはない。一方、日本の方は、何といったって日本の国の政治なんだから、農林水産大臣が何回立っても決意表明するように、日本の岡の政治なんだから。向こうの方の農畜産物を日本にこれ以上送るということは、向こうの農民を保護するという起点に立っているわけだから、向こうの余っている農畜産物をこっちへ持ってくるということは。これは釈迦に説法だろうと思うのですが、同時にこちらの農業を守るという気構えがあって、しかも、日本の場合はうんと余っておる農畜産物ではない、むしろ七割ぐらいは海外に依存する、胃袋が支配されているということを考えると、最終段階ですが、慎重にやってもらいたいものだ、こういうように。思っておるわけです。  そこで、ちょっと参考までに、きょうのニュースに一斉に出ているわけですが、ロサンゼルスの市警察当局では、今朝、例の行方不明の日本人の女性と例の白骨死体が一致しておる、こういう決定をして一斉に報道しておるのですが、それに対して、これは非常に参考までなんですが、警察庁はこれを受けとめて、これからどういうようにしていこうという考え方なんでしょうか。あえて固有名詞は申し上げませんが、ちょっと。
  39. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 お答えいたします。  つい先ほど、九時ちょっと前でございますが、ICTO、国際刑事警察機構のワシントンから私どもの方に正式の連絡が参りまして、ロサンゼルス市警で現在まで遺体の身元確認をやっておりました、私どもの方から依頼をしておりました白石千鶴子さん、この白石千鶴子さんらしい遺体の身元確認につきましては、正式に白石千鶴子さんであるということを断定した、こういう連絡が参りました。  そこで、これからの警察の対応でございますが、日本の警察といたしましては、今回の身元確認ということがなされましても、これが直ちに、この白石千鶴子さんの遺体がまず犯罪に起因したものであるかどうかということがまだわかりませんし、それから、これがもし犯罪に起因するものであるとしましても、一体だれがその犯罪を犯したか、日本人が関係しておるかどうかということについても、これは現地ロサンゼルス市警のこれからの捜査にまつということになるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、これまでもやってまいりましたこの白石千鶴子さんの国内での足取りの調査、これを中心といたしまして、今後これを徹底して行うということと、あわせましてアメリカの捜査当局の方からのいろんな連絡がございますので、これとの連絡を十分に密接にいたしまして、今後この真相の究明、これに努めてまいりたい、こういうように考えております。
  40. 川俣健二郎

    川俣委員 時間がないので……。  それで、この暫定予算に数字が載っているわけですが、この暫定予算の中でいわゆる旧軍人恩給、これがどのくらい載っておるわけですか。
  41. 和田善一

    ○和田政府委員 暫定予算に計上いたしております恩給費は、総額四千百三十七億一千二百十六万六千円でございまして、この内訳を少し申し上げますと、旧軍人遺族等恩給費が三千八百二十六億二千九百六十六万九千円でございます。文官等恩給費が三百六億七千二百二十八万四千円でございまして、あと国会議員互助年金が四億一千二十一万三千円ということになっております。
  42. 川俣健二郎

    川俣委員 それで、これは年四回に分けて、今度四月六日、この六日支給というのはどういう根拠ですかね。
  43. 和田善一

    ○和田政府委員 六日に支給いたしますことが、支給庁である郵政省の規則で六日というふうに決まっておるわけでございます。
  44. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ郵政省の方へ聞いた方がいい。なぜ六日になったのか聞かしてください。わかりますか。
  45. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 詳しいことを承知いたしておりません。政府委員も今いないようでございますので、早速今呼び寄せます。済みません。
  46. 和田善一

    ○和田政府委員 六日に決めました理由というものを私も詳しく承知いたしておりませんが、従前からのいろんな取り扱いの経過から、四月のなるべく早い時期に支給するということで、そう決まっているのだろうと思います。
  47. 川俣健二郎

    川俣委員 これは後で参考までにじっくり聞かしてください。これが比較的数字的にも大きいし、これが暫定を組まざるを得ない、こういうことで、どなたが決めたのか、決めたというか、運営してきたのか。四月五日までに参議院で上がれば暫定予算を組まぬでもいい、こういうことがあっただけに、六日というのがどういう由来があったのだろうかな。これは利子その他もあるんだが、五日とか十日とかというのはかなりあるんだが、六日というのがあるんだよね。だけれども、これは今時間がありませんから。  そこで、今から十四、五年前なんですが、援護法の審議の際に、この旧軍人恩給というものを考える場合に、終戦時というか、いわゆるポツダム何とかという言葉がいまだに残っていると思うけれども、総理大臣は少佐さんだそうですが、余りにも階級によって違い過ぎるではないかな、こういう考え方でかなり手直しをして底上げをしてきたが、その底上げを最低保障ということでくくっているけれども、最低保障でくくるという考え方よりも、私らの感情では、終戦で一番の犠牲になった人はだれかということを論議したって始まらないのだろう。地主だろうな、世が世なれば、あるいは皇族ではなかろうかな、あるいは満州から裸一貫で帰ってきたのが一番犠牲者じゃないかな、いろいろと論議してきたのですが、それにしても、昔赤紙一枚、一銭五厘のはがきで召集された大黒柱、一家の働き盛りが召集されて、十三年で帰ってくると大体伍長、ところが職業軍人が十三年在職してポツダムで中佐、この同じ十三年在職しておった軍人さんに与える恩給が、最低保障は別として、同じ十三年で帰ってきて今七十歳になった人が、伍長と中佐とどのくらいの金額になっているのだろうかね。
  48. 和田善一

    ○和田政府委員 七十歳で伍長と中佐ということで比較いたしてみますと、五十九年度予算で決めております額でお答え申し上げますが、伍長が三十九万六千八百円、(川俣委員「年間だね」と呼ぶ)はい、年間。それから中佐が年間百二十三万八千三百円、これが普通恩給の額でございますが、先生今御指摘のように、伍長の額は最低保障でぐっと底上げがされております。
  49. 川俣健二郎

    川俣委員 最低保障というのは、何回も何回も先輩の議員さん方が党を超えて、与党、野党を問わずこれはひとつということで最低保障というくくり方で上げてきたのですが、それでも基礎額が三十九万六千八百円と百二十三万八千三百円、片や低い方は伍長、高い方は中佐、十三年同じように在職、七十歳、これは感覚的にどうですか総理大臣、聞いておるのでしたら感覚的にどう思いますか。  軍人恩給というのは単なる戦後処理ではない、戦時賠償ではない、補償ではないという考え方もあるかもしらぬが、やはりせっかく考えてくれておる軍人恩給というのは極めて補償的な色彩の強いものである。同じように弾丸をくぐってきた諸君である。片一方の伍長で帰るという人は大体富国強兵に供された農民の若勢方である。中佐で帰る人方は職業軍人である。同じように十三年とられて片や三十九万、片や百二十万、こういうような考え方でいいものだろうかなということを長年考えておるので、総理に一遍聞いてみたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、恩給制度と年金制度というのは性格が違うと心得ております。  やはり恩給制度というのは、昔の公務員が国のためにいろいろ働いた、また戦争にも赴いた人もおります。そういうことに対して国として報いると申しますか、そういうような性格で法律で約束してきたことであります。また、恩給制度の場合には、ちゃんと掛金もその月給の中から差し引かれて、それらの人々が出してきたものである。そういう意味で恩給法という法律があって、その法律によって国家が正式に約束したことであり、その性格は年金と違って、国がやはりそういうふうに苦労してくれたということに対してする一種の報い、そういう性格がある、そういうふうに私は考えております。やはり戦争前とはいえ、国が約束したということは守っていくのが適当である、そう思っております。  しかし、戦後の事情の変化等もありまして、今のように最低保障というものもつくられ、あるいは旧法にあったような区分けというものは大まかになったりいたしまして、若干のそういう社会的配慮は加えられてきております。これは戦後の状況から見て適切なことであったと思いますが、しかし、その制度の根本精神というものは、やはりそういうものであるというように私は考えております。
  51. 川俣健二郎

    川俣委員 これで終ろうと思ったのだけれども、日本の国は恩給と年金というのははっきりそう分かれられない経過を持っているのですよ。それでは総理府長官にちょっと聞いてみるけれども、今軍歴通算という動きがある。総理も御存じだろうが、こういうことです。  役場に勤めておって、兵隊に五年行ってきて、また帰ってきて役場に復帰した。これはずっと恩給から年金につながる、共済年金につながる。ところが、同じ役場に勤めて、五年兵隊に行って帰ってきて役場には戻れない、農家を継がなければならないという場合には切れちゃっている。こういうことを長い間論議してきたのだが、この問題に対して通告がしてなかったので、総理府長官でなくともいいですよ。担当者でいいですよ。どういう考え方によりますか。もう大体戦後処理、あとは全抑協、いわゆるシベリア抑留者等々あるのでしょうが。  それでは、少し考えている間にもう一つ質問したいのですが、七月一日から総理府と行政管理庁が一緒になって総務庁になる。そうすると、極めて幼稚な質問ですが、一ついすがあくのかな。そうすると、一つあくのだから行革になるのかな。今のこの恩給は当然総務庁でやるのでしょうが、七月一日の総務庁長官というのはまだ人選が決まってないのですか、どうでしょうか。もう一人は無任所の国務大臣ぐらいになるのですか。どうなんですか。総理のお考えを承りたい。
  52. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 いろいろ今から考えておりますが、まだ申し上げるほど熟しておりませんし、形が整っておるわけでもございません。
  53. 川俣健二郎

    川俣委員 大体アイデアはあるのでしょうけれども、もう一方は無任所の国務大臣になるわけですか。それも考えていませんか。
  54. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 そういうこと一切まだ白紙の状態でいると申し上げていい段階だと思います。」
  55. 川俣健二郎

    川俣委員 どうですか、さっきのあれ、どなたでもいいですよ、せっかく質問したのですから。それで終わります。
  56. 中西一郎

    中西国務大臣 先ほど来のお話で伍長の話も出ました。これは三十九万六千八百円という話でございまして、最低保障大体倍になっておりますから、格差はだいぶ詰まっておると思います。  それから、お話の役場から軍人そして役場、役場から軍人そして役場に帰らなかったというケースについては、シベリア抑留のお話も出ましたが、いろいろな戦後処理とあわせてこれは検討しなければならないかと思っておりますが、ともかく現在戦後処理懇としてはその問題を直に取り上げておるということではございませんことを御理解いただきたいと思います。
  57. 川俣健二郎

    川俣委員 時間が来ましたので、今のあれはかなり論議がありますが――はい、どうぞ。
  58. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほどの六日支給がどうだという法的な根拠は、年金恩給規則によって恩給の払い渡し開始日は四月六日と明定されておるわけでございます。この法的根拠は、年金恩給支給規則に基づきまして、これは第九条の大正十二年の勅令第三百六十九号に基づいて、郵政省令で支払いを六日とする、こういうぐあいになっております。
  59. 川俣健二郎

    川俣委員 わかりました。  どうもありがとうございました。終わります。
  60. 倉成正

    倉成委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。  次に、大田俊君。
  61. 大出俊

    ○大出委員 どうもこの恩給、軍人恩給というのは長いことやってきましたので、苦労してきたものですから、今の議論を聞いていると少し物を言いたくなるのですけれども、別なテーマがありますので、一つ二つ聞かせていただきたいのですが、総理に承りたいのです。  日本に核が飛んでくるとなりますと、中国に行ってこられて二十一世紀委員会、お互いに平和の誓い、こういうことでございますから、中国の核が日本に飛んでくることはないだろうと思うわけでありまして、どうもアメリカから飛んでくることもない。となりますと、これはソビエトの核ということに、これは仮定でありますけれども、ならざるを得ぬだろうと思うのでありますが、ソビエトの核が日本に飛んでくる、そういう仮定をすれば、SS20というものが今は顕在化されておりますが、総理、どんな核がございますか。
  62. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 これは外交関係、国際関係を話しましたときに、全面的軍縮、特に核軍縮の話が両方から出まして、そしてこれは世界的規模、グローバルベースで軍縮を進めよう、そういう点で話が一致したのであります。なお、外務大臣からもその会の席上でもいろいろ話がありまして、その際に、SS20あるいはソ連軍の極東における増強ぶりというものについては関心を払わざるを得ない、我々もウィリアムズバーグのサミットにおいて、アジアの犠牲においてこのSS20の問題が処理されてはならないという発言をした、そういうことを外務大臣紹介をしまして、この問題については関心を持っておる、それで、国連総会に出たときに先方の外相と、こういう問題についてはお互いに持っておる情報をお互いが話し合っていこう、そういう話が出たということであります。
  63. 大出俊

    ○大出委員 そういう話があったせいかどうかわかりませんが、新聞記事を見ますと、私、実は時間の関係で速記を起こしている時間がありませんでしたから、新聞に記載されている記事のままで恐縮なんですけれども、参議院での総理答弁、お帰りになってからの答弁でございましょうが、不幸にして核の攻撃を日本が受けたら、総理は、敵が核兵器を使えば、それを破壊するのは当たり前だという意味の答弁をされた。そして防衛庁の参事官の答弁が後にありますが、これは答弁書に対するお答えでしょうから、別にそれなりに理解ができないわけではない。そこで、防衛庁筋によるとこの総理答弁というのは、岸内閣当時に、座して死すしかない場合は、相手方の基地をたたくことは自衛権の範囲という答弁があって、「首相の正当防衛論は、この延長線上にある」、こういうふうに防衛庁が言っているという注釈がついております。私、実はこの新聞記事を幾つか見ましたが、核の攻撃を不幸にして日本が受けたら相手の策源、つまり基地をたたく、破壊をする、これは当たり前だ、これはいささか乱暴な答弁の気がする、この表現だけ見ると。断っておきましたが、議事録は起こしておりませんから。  そこで、今私、承りたいと思って口にいたしましたのは、日本に核が飛んでくるということが考えられるとすれば、仮定で結構でございますけれども、中国の核というのは恐らく対象になるまい、アメリカの核も対象になるまい、そうするとソビエトの核ということになる。となると、SS20初めどんな核がございますかと、こう聞いたのですが、いかがでございますか。
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 日本は、憲法及び今までここで申し上げましたような自国の国防の基本方針等に基づきまして、専守防衛、そして他に対して脅威を与える攻撃的兵器を持たない、そういう原則で今後もやっておって、そして、核の抑止力という問題についてはアメリカに依存していく、これが核に関する我々の基本方針で、そういう核の抑止力はアメリカに依存するということで処理していくという考えてあります。  ただ、参議院におけるその質問のニュアンスは、仮定の問題で、海上から、あるいは上陸されたというような場合に戦術核か何かで攻撃を受けだというような想定の話のように自分は受け取った。あくまで私は、我が国は仮想敵国というものを持ちません、そういうことをまず申し上げまして、そういう想定の、もしそういうようなあれが不幸にしてあったという場合においては、やはり自衛権を発動して、自衛権によりあるいは緊急避難によってそのもとを断つということは防衛上正当な行為であって、それは我々としては日本の独立と主権を守るために、また平和を守るためにやらなければならぬことである、そういうふうに申し上げたのでございます。
  65. 大出俊

    ○大出委員 だから新聞は、「核攻撃あれば敵基地破壊」、こういう見出しですね。これが旧来の政府答弁の延長線上にあるか。延長線上にないですよ。攻撃されたら敵の基地をたたくのは当然の行為だ、そう直截に物事を今まで政府統一見解も述べていない。したがって、ここのところをはっきりさせていただきたいのでありますが、これを本当に議論すると長くなりますから。  そこで、まず一番最初、事の起こりは鳩山さんなんでありまして、鳩山さんが総理のときに、相手から攻撃を受けた場合に、座して死を待つよりも相手の基地をたたく、憲法はそのことを禁止していないと思う、こう言った。これが時に大論争になった。これに対して、長い議論の末でありますけれども統一見解を出すことになった。その統一見解は船田防衛庁長官のときであります。ここで明確にしておりますのは、鳩山さんがまずこれを認めておりますけれども、「たとえば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、」ここに問題がある。「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」これが見解ですよ。船田さんのは統一見解です。「誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」これはその後もいろいろ議論があります。  岸内閣のときというのは伊能防衛庁長官です。この防衛庁筋が言ったというのは伊能さんの答弁です。ここにあります。伊能さんの答弁も、「他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能であると私どもは考えております。しかし、このような事態は今日においては現実の問題として起こりがたいのでありまして、」実際問題としては起こらない。だが、法理的には自衛の範囲に含まれていることになるだろう、こういう答弁でありまして、今のように、それは敵の基地をたたくのは当然だ、こういう理解じゃない。  これは、私もその後大変長い議論を増田甲子七さんともやっておりますし、栗栖さんのときも、攻勢防御という意味で、攻めなければ守れないという意味で栗栖さんが「ウイング」にお書きになったときも、金丸さんのときでありますけれども、大変長い議論を私いたしておりますが、金丸さんも今の趣旨にお返りになってきちっとそこを認めておいでになる。これを今のような答え方で言いっ放す、だから私は非常に乱暴な答弁だと申し上げたのだが、こういうことになってしまう。国民の受け取り方は一体どうなんですか。核攻撃されたからというのでその基地をぶったたいたとしたら、一つ間違えば核戦争でしょう。「ザ・デイ・アフター」じゃありませんけれども、これはえらいことになりかねない。私はこれは非常に不用意な答弁だと考えるのだが、総理、御返答願います。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今も申し上げましたように、参議院における質問というものは、日本が侵略された場合、海上からあるいは陸上に上陸されて、そして戦術核兵器というふうに私は理解しましたが、そういうもので砲撃やらあるいは攻撃を受けた、そういう場合にどうするかというような趣旨であると私は理解をして、そういう場合にはもちろん自衛権を発動して相手のそれを封殺するということは、日本の独立と主権を守る上から当然でしょうというふうに申し上げたのであります。  その船田さんが答弁したのと状況が違う。船田さんが答弁したような場合はもっと非常に遠距離における問題だろうと思うのです。ですから私は、今申し上げましたように、核抑止力というようなものはアメリカに依存しております、そういうことを申し上げておるのであります。一般的にアメリカの核抑止力のもとに我々はあるのです、そして攻撃的な手段、他に脅威を与えるような攻撃的兵器は持ちません、そういうことも今も申し上げたとおりなのであります。しかし、法解釈としてこの鳩山総理の答弁、それから船田長官のそれに伴う答弁というものは全く今お読みになったとおりの答弁をしていらっしゃる。座して死を待つのが能ではない、相手の基地をたたくということも認められる、そういう趣旨のことを答弁していらっしゃる。これは政府の歴代の答弁を今聞いてみましても、誘導弾等の基地をたたくことも全く法理上の問題としては自衛権の範囲内に含まれ、可能であるということを申したものであります、そういうふうに言っております。  また、四十四年三月二十五日の松本善明君の質問に対する政府の答弁書においても、「海外における武力行動で、自衛権発動の三要件(わが国に対する急迫不正な侵害があること、この場合に他に適当な手段がないこと及び必要最少限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと考える。」このようにお答え申し上げておるのであります。
  67. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、どっちが本当なんですか。攻撃されたらたたく、あるいは破壊する、単刀直入、直截的にそういう言い方をするとすれば、今の世の中どこの国でも、国際的に戦後今日まで戦術核を使われたことはないでしょう。戦術核を使う、すぐそれに反撃をする、核戦争になる、だから使わない。ベトナム戦争でも再三危険な時期があった、だが使わない。それは核戦争を誘発するからでしょう。そこは私は非常に慎重でなければならぬというふうに考えております。今までの議論は、誘導弾という言葉はあるが、核という言葉は使ってない。そこで今のお話もやはり憲法上はという、法理的にはという旧来の解釈なんですね。どっちなんですか。これははっきりしておいていただきたい。あなたが、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能であろうという旧来の解釈であると言うならてにをはは要らないが、この言い方からすると一歩前に出たことになる。したがって、この「法理的には」と言っている意味は、大変手前に引いて物を言っている。ところが、あなた流に言うと前に出ていくことになる。非常に大きな違いがあります。  時間がないから私は長い議論を避けて申し上げているのですが、この旧来の政府統一見解、船田さんから始まりまして、船田さんの答弁の後で鳩山さんも答えているのですよ。鳩山さんも前の言い方を直しているのですよ。直裁的にたたくと言ったから問題になったのだから、やはり「法理的には」というところに鳩山さん自身が戻っている。そうでしょう。それはお気をつけ願わなければならぬ答え方だと私は思いますから、旧来のこの統一見解のここに戻ってお考えになっているのだと言うんなら、答弁をそれて私は了解するが、いかがでしょう。でないと了解できない。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 鳩山さんの答弁の基礎の上に立って申し上げておるのであります。  参議院における質問は一種の想定問答みたいな質問で、今申し上げたように、仮にそういうような戦術核兵器的なもので艦砲射撃を受けるとかロケット射撃を受けるとか、あるいは上陸されて砲撃を受けるとかロケット攻撃を受けるとか、そういうようなていの質問であると私は解釈した、そういうていの質問であったと思うのです。ですから、例えばオネストジョンという言葉も私はたしか使ったつもりであります、そのようなものと。そういう意味で申し上げたので、私は、本土に上陸されてやられたり、本土がそういう艦砲射撃や何かでやられる場合には、これは自衛権の発動としてそれを撃攘し、そういうことを起こさせないようにするということは、当然国家の権利としても、また政府責任としてもやり得ることであると考えております。
  69. 大出俊

    ○大出委員 私が五十三年の二月十四日に栗栖さんの発言に絡んで長い質問をいたしましたが、このときも似たような議論がございました。鳩山さんが船田さんのこの統一見解の後で述べておられる、つまり法理的な解釈、そういう意味で自衛の範囲に含まれる、可能であろう、こういうことなんだということをお認めになっている。だからそこにお返りになったということであれば、それをお認めになって、その線上、その考え方なんだと、今、後からつけ加えられたんで困るので、そういうふうにもう一遍ひとつお答えいただければそれでいいんです。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 鳩山首相、船田長官の答弁と同じ趣旨であります。
  71. 大出俊

    ○大出委員 私は新聞を見まして、いろいろな新聞がこう書いておられるものですから。  「ザ・デイ・アフター」というのは、これはミズーリ州カンザスシティーでございますが、私、かつて行ったことがございますが、静かなきれいな町でありますけれども、三十キロ離れたところにソビエト向けの核ミサイルの基地がある。オークスさんというお医者さん、このお医者さんは町の有力者でございまして、欧州の戦局その他から見て危険であると町じゅうの騒ぎになる、そうしたらオークスさんが、人間はばかだけれども核戦争を起こすほどばかじゃないよ、こう言って説得をした。ここで言う人間はばかだけれどもというのは、クリスチャンでございましょうから、神に対してばかだと言っているのだと私は思います。  そう言って説得をしていたところが、ある日突然に轟音を発してミズーリ州カンザスシティーから三十キロばかり離れたソビエト向けの核ミサイル基地から核ミサイルがソビエトに飛んで行った。ソビエトの方からも三百発からの核ミサイルが飛んできた。ここから始まる「ザ・デイ・アフター」、つまりその翌日。廃墟になってしまった崩れ落ちた教会の中で鐘を拾ってきて牧師がぶら下げる。傷ついた人、歩けない人が山のように集まってミサ。瓦れきの中でオークスさんという医者が、人間はばかだけれども核戦争を起こすほどばかじゃないよと説得をしたんだがと、茫然としてたたずむという姿が出てくるわけでありますけれども、私も、人間は核戦争を起こすほどばかじゃないと思っている。信じたい。だが、それだけに私は核の問題は慎重でなければならぬという気がするので、ぜひそこのところは、言いっ放しにいたしますが、慎重な御答弁をひとついただきたいものだ、こういうふうに思っておるわけでございます。それだけ申し上げまして、次の問題に入らしていただきたいと存じます。  これはVANの問題でありますけれども、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法案にかかわる問題であります。時間もたくさんありませんから、細かい議論はなるべく避けていきたいと思いますが、念のために申し上げておきますが、私は郵政省の諸君とも一言もこれは話をしたこともありません。また、電電公社の方々の御意見を承ったことも全くありません。一つの争いの渦中においでになるようでありますが、通産の皆さんとも一つも話したこともありません。ただ、私も逓信官吏練習所の出身でもございますし、アメリカのATT、IBMなどというものを長き二カ月近くにわたって調べてきた時代もございまして、かつて公衆電気通信法というものはおくれ過ぎているじゃないかという質問をしたこともございます。逓信委員会で私は電話というのは何ですかと一言言って座ったら、米沢さんの時代でございましたが、どなたも答弁をなさらない。なぜかといいますと、公衆電気通信法には電話の定義がないからです。有線放送電話などというものを二十八条に入れたんだけれども、そんなものを入れられる筋合いじゃない、法体系からすれば。だからどなたもお答えにならぬ。騒ぎになったこともございましたが、これは実情に合わぬということを一例を挙げて申し上げたわけでございます。だから、改革が必要であることはもう認めています。  ところで、申し上げたいことが山のようにございますけれども、私が今取り上げたいのは、短時間でありますから、VANの問題を中心に承りたいと思うのです。  そこで、郵政省にまず承りたいのでありますけれども、何かというとアメリカは全面的に自由化したではないかという先例が出てまいります。ところが、私は、これはATTにしても子会社のベル会社にしても、長いこと調べて歩いた時代がある。A型、H型、クロスバー、電子交換、ここのところには脈絡もない、何のつながりもない交換システムでありますが、組合の幹部を十七年もやっていましたから知り過ぎている。出た学校も学校であります。だが、過去十年余り眺めてみますと、ATTというものは非常に無理をして、強引なまでに統一に持っていった。だが、実際に何をやっているかというと、これはみんな採算のとれるいいところしかやっていない。自由化するといったって、いいところしか考えていない。VAN業の方に大きく入っていく。アメリカ全国に百カ所も核コンピューターをこしらえていって、まさにこれは自由化ところじゃない、簡単に言えば。それも昨年のこと。つまり、それまでは独禁法というものできちっと鎖がついていたわけですね、ATTにしてもIBMにしても。ほかに入られればえらいことになるからですよ。レーガン政権になってその政策が変わった、こういう経過がありますが、その意味で私は先例にはならぬと思っているのですが、郵政省の皆さんにこの点をまず承りたいのです。いかがでございましょう。
  72. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 日本の通信回線の仕事は別としても、今御指摘になっているようなATT、IBMのは大資本、すぐれた技術力を持ったそういった形の水準からいうと、日本はまだ相当低いのじゃないかと思っております。未成熟な面もたくさん我が方は持っておるのじゃなかろうかと思っております。
  73. 大出俊

    ○大出委員 答弁になっておりませんが、これはほかならぬ奥田さんのことでございまして、衆議院においでになった時期に私、内閣の筆頭理事時代でございましたが、内閣委員会にお見えになって以来長いこと内閣委員会で、政調会長の藤尾さんや三原朝雄さん、みんなおいでになる時期でありましたが、時に中曽根さんが通産大臣で、資源エネルギー庁を初め物価局だ、ろくでもないものをつくる提案をなさった時代でありまして、苦心させられた仲間でございますから大臣にそれ以上承ろうとは思いませんが、私が承りたいと思いましたのは、先例という意味でアメリカが引き合いに出されるのだが、これは先例にならぬと申し上げているのです。そこのところをどう受け取っておられるか、事務当局で結構でございますから、電気通信政策局長は小山さんですか、お答えください。
  74. 小山森也

    ○小山政府委員 アメリカにおきますVAN等の高度サービスにつきましては、ようやく一年前に業務面での規制が外されたということでございます。ただし、通信の秘密や国家目的等の重要通信を確保することにつきましては、連邦通信委員会、いわゆるFCCによりまして適切な措置が行われるように担保してございます。この制度がとられるまでの十数年間は、アメリカにおきましてもVANについて厳しい料金規制が行われておりまして、この期間を経まして市場が成熟して、多数の事業者が競争的にサービスが行えるように適切な市場価格も形成されたということで、公正競争が行えるということをFCCが判断いたしまして料金規制を外された、このように聞いております。  なお、アメリカの場合につきましての政策と日本の場合の政策と同じにするということは、何も必要ないと思っております。アメリカにおきます政策は、いわゆる自由競争というものが非常に徹底いたしておりまして、例えは悪いかもしれませんけれども、航空会社が航空機が外国にいるうちに破産するというような現象も起きたり、銀行が身売りをするというような、いわゆる自由化が非常に激しい形で進んでいるという、こういったアメリカの政策全体の整合性の中における自由化と、いわゆる日本の徐々に進んでいくステップ・バイ・ステップの方式の自由化というものは、おのずからそれぞれの国情によって異なってくるのではないか、このように考えております。
  75. 大出俊

    ○大出委員 所管をされてこられた郵政省の立場からすれば、そういう御答弁が出てくるだろうと思います。  ここに真藤さんのおっしゃったことなどもたくさん載っているのですが、「真藤〝国賊〟論」まで出てくるのですけれども、「世界テレコム戦争激突!ATT・IBM・日の丸勢」、これは日本経済に連載されたものをまとめたのだと思うのですが、非常に興味あることがたくさん書いてあります。もう一つ、「電電公社は不滅か」というのがございますけれども、ここにもいろいろ記録がございます。  こちらから幾つか申し上げますと、「八三年までは、ATTとIBMという巨人を跳梁させないために、米国政府は独占禁止法という鎖で繋いでいたが、八四年、それを断ち切ってしまった。」断ち切ったばかりなのですね。「その結果、巨人同士が、柵を乗り越え、相手の領地に、ある獲物を手中におさめようと、闘志をむきだしにして睨み合っている。」といったって、ATTというのはIBMの最大のユーザーですね。だから、ここのところはというのでちゃんと両者で話がついていることは幾つもある。アメリカを歩いてみるとそれが実情です。  そこで、「実際、ATTのブラウン会長は、「いまや(司法省との新同意審決成立によって)」つまり独禁法の禁止、ここを乗り越えたわけですね。「技術力と販売力をいかんなく発揮できるようになった。」ブラウン会長の言うATTの立場で。「米国をして世界の通信情報産業のリーダーたらしめることがATTの使命である」と言い放った。」というのです。今度はもう一つの「IBMのケアリー前会長は、八二年の年次報告書の巻頭で、「九〇年に情報産業は一兆ドルの規模になる。IBMはその全領域にビジネスを展開、君臨して競争する」と高々と宣言した。」片っ方は通信技術、ソフトの面ですね。片っ方はハードの面ですね。特徴がございます。いずれも両方合わせたらえらいことになりますが、「情報通信産業の盟主の座をねらっての進軍命令である。」と、こう言う。  さて、ここで電電公社の真藤総裁に承りたいのですが、「レーガン政権の深慮遠謀?」というのがある。「ATTとIBMが龍虎相打つ格好になった背後には、「レーガン政権の政治的な意図がある」と、日本電信電話公社の幹部はみる。」ここで電電公社が出てくる。「つまり、「両雄を競争させることで、情報と通信という先端技術産業において、米国の覇権を確立することが真のねらい」、世界的な米国の覇権なんだ。世界ネットワークなんだ。「それは、日本の快進撃で昔日の勢いを失った自動車の二の舞をしないための方策であるとともに、米国経済の再活性化につながるもの」であるというふうに見ている。「情報通信技術は国家機密にも深くかかわるだけに、これは、レーガン政権の力の外交を産業で示すものともいえる。」こう書いてあるのです。  後から申し上げますけれども、総裁は両方の会長さんともごじっこん。何回も懇談をされる。それなりに日本の弱い部面でいろいろなものを、市場開放の問題もございますけれども、お買いになっておいでになる。そういう立場なんですが、今ここで「日本電信電話公社の幹部はみる。」というこの見方、私は間違っていないと思っているのですが、総裁、いかがでございましょうか。
  76. 真藤恒

    ○真藤説明員 今の御質問にお答えしますが、今度のATTの動きあるいはIBMの動きということに対して、日本側の受け取り方もいろいろございます。今おっしゃいましたような見方もあると思いますが、ヨーロッパ側の受け取り方はほとんど一致しているようでございまして、ATTとIBMとを相互乗り入れさして本当の競争をさして、それによってアメリカの先端技術、通信技術の長足な発展を期待するというふうに見ておるのが、ヨーロッパ側の大部分の見方のようでございます。
  77. 大出俊

    ○大出委員 もう少し真藤さんに承っておきたいのでありますが、八四年の一月に分割、再出発した新生ATTとでもいいますか、日本市場を、ここには「席捲する」と書いてありますが、「虎視眈眈とねらっている。」とも書いてありますけれども、電電公社の資材部門の門戸開放で八億円ほどの通信衛星用エコーキャンセラーの売り込みに成功するなど底力の片りんを見せた。さらに八三年の春先、ブラウン会長みずから首脳陣が来日をして、電電公社の真藤総裁と三度にわたる会談の場を持った。国内の通信情報産業の首脳がこれを指して、いよいよ対日攻勢がかかってきたな、あるいは真藤さんとの間に何か約束事でもあったんじゃないかと。これは新聞にも出たことがございますが、この後、これは百何十億でございますか、トラフィックの総合管理システム、これはATTのものでありますが、買うことをお決めになった、こういう経過がございます。  これは私は間違った見方をしているつもりはないんですけれども、日本の弱い部面もございますから、改めてここで「VANがらみのものも調達したい」、つまりソフトウエアの購入を指しているのだと思うのでありますが、そういう意味で、これは一体真藤さんの真意はどこにあったのか、念のために承っておきたいのです。
  78. 真藤恒

    ○真藤説明員 私のアメリカ関係の動きのすべては、政府間の電電公社に関する協定に基づいて対外調達を問題の起こらぬように合理的にスムーズに動かすということの行動以外、一歩も出ておらないということを前置きしておきます。そういう意味で、私は、ATTなりIBMなりその他のアメリカの通信に関与のある国会議員の方々あるいは商務省、大統領府その他の方々にそういう意味でコンタクトしておりますので、それ以外の行動は一切やっておりませんということだけはっきり申し上げておきます。そういう意味で、今後もそういう行動は続けていく義務があるというふうに考えております。
  79. 大出俊

    ○大出委員 ここにこういうことも書いてあるのですね。つまり、日立製作所と三菱電機がおとり捜査にかかったことがありますね。結局、第三者が見ればIBMに屈服をした産業スパイ事件、そしてVAN今の付加価値通信網でございますが、VANなどのニューメディアは通信回線の利用と情報処理の技術を結びつけたものだ、その両方をあわせ持つ日本の互換機メーカーは、情報通信産業の盟主を目指すIBMにとっては甚だ目ざわりな存在だ、できれば自分の陣営に取り込みたいけれど、万が一にも強敵のATTに手をかすようなまねをさせるとこれはえらいことになるという読み、つまり、IBMの方はATTにやらないためにこの日本の巨大産業、日立製作所、三菱電機を取り込んでおきたい。  これはその真偽のほどは私にはわかりません。わかりませんが、IBMは日立に年間数十億円のソフトウエア利用料を支払わせることでこの産業スパイ事件と言われたものの決着は現についている。富士通にもまたソフトウエアの著作権を認め、使用料を払わせることになった。これで決着がついている。だから、見方によれば、これは日立も三菱電機も両方とも毎年使用料を払うのですから、そうすると、IBMからすれば二つ取り込んだことになる。  だから、「その直後、八三年十月末、世界のIBMグループの合同役員会のため初来日したオペル会長は、宇野通産相との会談の席上、「ニッポンは小さな弟だと思っていたが、最近、力も強くなった。だが、自由競争は結構なことで、今後も協調と競争の関係を大切にしたい」と、互換機二社を傘下におさめた余裕をみせて言ってのけた。」と、これは日経ですがね。日経に連載されたんでしょう、日経ビジネス編とこうなっておりますが、ここにこういうことになっておる。こういう見方をしている。ですから、こういうことになると、やはりここのところにはいろいろな考えてみなければならぬ問題が、いい、悪いは別として、たくさんあると実は私は思っておるわけでございます。  これはまた、真藤さんはIBMの皆さんの方とも非常に、何といいますか――八三年七月、日本アイ・ビー・エムが伊豆の天城研修センターでトップセミナーをやりまして、電電公社の真藤総裁、郵政省の守任有信次官、国際電信電話の石井多加三さん、皆さん私よく知っている方でございますが、この方々を招待をした。「情報通信事業を本格展開するために、これはトップ外交をやるための地ならし」であったと、ここにはこう書いてある。  「九月には、キャプテンの実験サービスに参加、OA用語の解説などを流し始めた。コンピューター・メーカーとしては最初のもので、さらに〝産業スパイ事件〟が結着したのをみはからうように、通信機械工業会に加盟する意思表示をした。」その後ずっとございますが、「肝心のINSがらみでは、電電公社と異機種間コンピューターの情報通信を可能にするソフトウエアの共同開発で合意、日本の情報通信システムの中枢部へ入り込む橋頭堡を築き上げもした。」こうなるのですが、ここのくだりは真藤さん、どうお考えなんですか。ちょっと御真意を、本音を聞かしていただきたい。
  80. 真藤恒

    ○真藤説明員 電電がIBMと共同研究で異機種のコンピューターの直接な情報交換ができるようなソフトの開発をやっておることは事実でございます。その面で、今世界じゅうでIBMが一番そういう意味のソフトの研究が進んでおりますので、例の海外調達手続に従ってそれをやっておるということでございます。それ以外の目的はございません。
  81. 大出俊

    ○大出委員 はっきりしておいていただけばそれでいいんですが、ここに、「日本情報処理開発協会の中山隆夫常務理事が、「日本はハードウエアばかりに目を向けて、ソフトウエアのエンジニアを虐待してきました。」虐待したというのはどうかと思いますが、「いま、そのツケが回って来たんです。輸入しても簡単には使い切れないでしょうが、裸で歩くよりはましと割り切るしかありません。CATV(有線テレビ放送)にしても、ケーブルは敷けてもそこに流すプログラムがないのが実状ですよ」と指摘するような根深い問題がひそんでいる。」だから、今お話がございますように、私もその必要はわかる。だが、なぜ私がこの種のことをここで取り上げるかといいますと、先例アメリカというわけですが、先例とするアメリカというものの今の動き、これはやはり頭に入れておかぬことには、今の問題の決着はつけようがないのじゃないかという気が実は私はしているからなのであります。  そこで、この際もう一つ真藤さんに承っておきたいのですが、真藤さん、時の人でいろいろなことを書かれますからしようがないんだけれども、電電公社の海外戦略論というのがあるんですが、電電インターナショナルという構想がある。真藤さんのおっしゃっておることがここに細かく書いてありますが、国際的に出ていこうということだと思う。  そこで真藤さんをつかまえて――私は郵政、電電の出身ですから、OBの方々も方々にたくさん散っておられる、電電ファミリーと言われる大企業にもいっぱい行っておられる、たくさんの方からいろいろなことを私は承る。聞き役になってばかりいる時代であります。何かの会合があって一杯酒が入れば、みんな来て話をする。その中に、いわゆる国賊論まではいかぬにしても、そういう意見もある、私は聞き流しておりますが。  そこで、そういう反論に対して真藤さん、これは歯牙にかけておいでにならぬ。向こうが入ってくる、入れなきゃこっちが出ていくというわけにいかぬじゃないかという真藤さんの反論が出てくる。そこらの将来構想というものは、一体真藤さんの本音としてどうなっているのか、ここのところを、もうひとつ率直なところをお答えいただきたい。ここにたくさん書いてありますが、読んだってしようがないから承りたい。いかがでございますか。
  82. 真藤恒

    ○真藤説明員 今の御質問はVANの海外のあれに対する問題と思いますが、これは私の個人的な考えでございまして、総裁としてはまた立場が……(大出委員「いや、個人で結構です、大きな問題ですから」と呼ぶ)  これは貿易立国をやらなきゃ成り立たない日本の国柄であるということを前提にいたしますと、世界じゅうがこれから高度情報通信網を使って貿易に関する資料をより正しくより正確に整理して、一番早く入手するということが一番大事な貿易行動の第一歩になるはずでございます。現在までは、まだ世界的にそこまでの情報網が発達しておりませんので、いろいろな方法をやりながらやっておりますけれども、私も長く強烈な競争下の貿易をやってまいりましたが、情報のつかみ方のいかんということが商売が成るか成らないかの先決問題でございます。ということは、日本の情報網が、情報収集能力が自由に海外に出ていって初めてそれができるはずでございます。ですから、向こうの情報網がこちらに入ることを何らかの制限をしておる以上、必ずこちらも制限されるはずでございまして、そういうことで日本のこれから先の健全な貿易立国ということは到底期待できないと私は個人的に思っております。  そういう意味で、情報産業に関する外国資本なり外国企業の日本市場への参入ということは、こちらが出ていくためのワンステップであって、守るという考え方でこれを考えたのでは、将来の国益に非常に大きな障害を起こすのじゃなかろうかというふうに考えております。かって貿易の自由化のときに一番反対したのは自動車業界であり、金融業界であったはずでございます。御記憶にあると思います。その業界が今一番、ほかの産業よりも海外進出を盛んにやっておるはずでございます。同じようなことを繰り返すということだと私は個人的に思っているのです。
  83. 大出俊

    ○大出委員 将来展望という意味で――私はめったにこういう質問をしたことはないのでありますが、する気になった理由はそこにあるのですが、総裁の腹の中は率直な御意見としてよくわかるわけでありますけれども、さてそこで問題は、時間がなくなりましたが、ちょっとひっかかりがありますからここで承っておきたいのですが、私は物事は順序があると思っているのですね。いきなり野放しにした、逆に、果たしてそれで日本の国益が守れるか。やはりそれなりの定着をする、日本の新しい高度情報社会の中における、あるいは通信社会における基盤づくりがまず要るだろうという気がする。  で、この予算委員会の席上で真藤総裁は、IBMやATTもある、広範囲なVANという部門に入ってくる、その場合に席巻されやせぬかという質問に対して、もちろん電電公社団体もVANに入れないわけじゃない、新電電ということになりましょうか、ここで、第一種電気通信事業者でございましょうが、第二種に入れないわけじゃない、別会社をつくって入っていくということになるとすると、その場合に、入っていかせていただくんだとすれば席巻されない自信はございますということをお答えになっておいでになる。もう一つ、つまり特別第二種、言うならば線を借りるのですからそういう意味ではお得意筋である、なるべく自由な方がいい、こう答えておいでになる。  そこで、ただ単に簡単に、席巻されない、「席巻されてしまうということにはならないようにする自信はございます。」こう言うのですが、何をもってならないようにする自信がございますか。抽象的に言われてもわからぬので、どういうふうにお考えなんで席巻されないという自信がおありなのか、承りたいのです。
  84. 真藤恒

    ○真藤説明員 VAN業というのは、技術的に申し上げますと、今私どもがINS計画という言葉を使いまして高度情報通信綱の整備を急いでおるわけでございますが、この技術の根元とVANに使います技術の根元は全く同じものでございます。私どもがそういうことで高度情報通信網の構築に多人数を使って、多人数が動いて一生懸命やっておりますので、その技術をVAN業に横跳びさせるだけでございまして、技術的には全くもって大きな問題はございません。ただ、私どもが持っていなかったのが、異機種のコンピューターの間をつなぐソフトがなかったから、それはIBMと共同研究をいたしておる、もう準備を始めておるということでございます。  そういうことでございますので、私どもの技術、経営に対する日本のマーケットの信頼とIBMあるいはATTの信頼性ということの競争でやっていけると思いますので、私は、彼らが入ってきましても少なくとも互角の勝負以上のことは私どもできるというふうに考えております。これは現実的に考えております。
  85. 大出俊

    ○大出委員 そこで、将来恐らくそういう時代が来るかもしれない、私もそう思いたいじ、将来そうでなければならぬと私は思う。だが、ここに問題がある。これは郵政省に伺った方がいいのだろうと思うのでありますが、これは経団連が郵政省案支持を決めた三月十三日なんて書いてありますが、VAN問題に関して、これは郵政省に承りたいのですが、インテックの金岡幸二社長というのは――インテックというのはどういう仕事をしておりますか。
  86. 小山森也

    ○小山政府委員 インテックと申しますのは情報処理業者でありますと同時に、いわゆる五十七年十月から始まりました中小企業VANの経営をしている方でございます。
  87. 大出俊

    ○大出委員 重ねて承りますが、この方がこう言っているのですね。この方の言うことによりますと、「VANは汎用コンピューターによる情報処理とは独立した別の通信手段であり、通信体系の一つである。」と明言した上で、さらに、「わかりやすく説明すると、VANというのはパケット交換網という通信綱で、大量のデータを安全、高速で安く運ぶサービスのことです。情報処理は何もしていません。」こう言ってますね。「情報処理は何もしていません。」あくまでもこれは通信の分野だと言っているのですね。  もう一つ、この後ろの方で、「加えて外資規制の問題には日本のVAN業界の未熟さも絡む。」、インテックの金岡さんが言っているのですが、「はっきり言うと、私は外国勢が怖い、だから国に守ってくれることを望むのだ、なぜなら、規制を続け日本のVANの発達を阻害したのはほかならぬ政府だからだ。」こう言うのですね。私はこれは理屈があると思うのですよ。さっき私はアメリカのは先例にならぬと申し上げましたが、そういう意味でひとつ郵政省にはっきり物を承りたいのであります。  物事、実は私も順序があると思っている。いきなりこれを野放しにというわけにはいかぬという気が私はする。やはりしかるべき規制はすべきであるという気がする。そして大変に心配している関係者もたくさんいる。それは新電電というものは膨大な組織だから、横に滑っていけば同じようなことをやっているのだからということになるのだが、そうはいかない面がたくさんある。そういう意味でひとつ郵政省のこの規制あるいは外資、いろいろな問題、許可制であるとかあるいは外資、これは大変どうも柔軟な――これは決まった法律じゃありませんからこの法案は余り触れてないのでありますけれども、裏返して規定をしていますが、そこらを含めて、そういう許可制というふうなものが、今一般第二種というのは届け出制でございますが、特別第二種には必要なんだという、先ほど金岡氏のことを申し上げましたが、そこらも踏まえて郵政省の担当者の考え方をこの際聞いておきたい、こう思うのであります。
  88. 小山森也

    ○小山政府委員 今回の電気通信事業法案は、電信電話を含む通信サービス全分野に競争原理を導入しようというものでございます。第二種電気通信事業の一形態でございますVANにつきましても、内外を問わず自由な事業参入を図りつつ、一方で最終ユーザーである消費者側の利益を保護するということをしなければならない。その点から、最終ユーザーの保護のために、通信の秘密、安全性、信頼性、こういったものから最小必要限度の措置が行政面からとられるようにしたい、こう思っております。  ただ、特別第二種電気通信事業者におきます許可制というものをとりたいと思っておりますが、これは、国内のあらゆる企業を対象とする超大規模の全国的サービスや海外の事業者とか利用者等まで結ぶ国際的なサービス、これが事故によるシステムダウンや通信の秘密侵害を起こした場合、その及ぼす社会的、経済的、また国際的な影響が余りにも大きいということから、事業を開始する者に対しまして経理面とか技術面等事業経営者としての一定の適格性を求めるために許可制にすればいかがか、こう思っておりますが、無論料金規制というものは行わないつもりでございます。  また、こういうことでございますので、一定の規制をしながら、かつ、規制というのはいわゆる利用者側の保護というものと、それから事業者側が自由に参入できるという両者の均衡がとれた形としての許可制というものを考えている次第でございます。
  89. 大出俊

    ○大出委員 遠慮なく言いたいことは言っておいていただいていいと思っているのでありますが、似たようなことを言うてもしようがありませんからここで承っておきたいのでありますが、私は外交、防衛分野いろいろなことをやっておりますけれども、どうも事ごとにアメリカ側から、私に言わせれば明確な内政干渉、極めて不愉快千万だという考え方を持っておりますが、どうも事ごとに介入してくる。今回のこの問題で、三人の大臣、それと藤波官房長官に、これはアメリカ側の公式見解なんていうものをぶつけてくる。無礼千万だという気が私はする。本来この法律はまだ決まっていない。決まったらどうするかというと、国会が審議する。国会の審議権にあたかも文句をつけるようなこういうふざけたことを容認できませんよ。  「VANの全面自由化を 電気通信法案など米政府見解」。かと思うと、これは何ですか、一体。藤波さん、あなたにも承っておきたいのだけれども、マンスフィールドさんですか、「VAN難航は対米配慮か」、これは純粋に日本という国土の、日本という国内の、今日まで大変な御苦労を重ねて電気通信事業というものを国民のために守り続けてきていた電電公社、確かに新しい時代が来た。改革が必要である。だが、真剣に考えながら、この問題でこんなことを言われて、こんなものがのこのこと新聞記事になって出てくる。もってのほかだと私は思っている。農産物とワンパッケージとは何事だ。ふざけちゃいけませんよ。  これは藤波さんに一つ聞きたいのだが、マンスフィールド大使というのは本当にこんなことを言ってきたのですか。それから、四大臣にこんな細かく書簡が来たというのだ、我々が質問しなければならぬようなことを。こういうふざけた話がありますか。これをアメリカに対して黙っているのですか。けしからぬ話だとあなた方、なぜ言わないのですか。この辺はひとつ総理と官房長官に篤と伺いたい。いかがでございますか。こんなことを放置できますか。内政干渉だ。国会の審議権を何と心得る。
  90. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 先般マンスフィールド大使が訪ねてこられまして、外務大臣が訪中の最中でございましたので、臨時代理としての私のところに来られたものと心得ております。VAN事業についてアメリカの考え方をお話しになりました。  そこで、今日本の政府としては、このVAN事業をどう持っていくかということについて鋭憲政府部内あるいは関係者の間で検討中である。これまでもアメリカの意思というものがどんなものであるかということについてはよく日本に伝わっておる。それは十分皆頭に入っておると思うけれども、日本の意思で今これを決定するための検討を急いでおるところなのでそれを見守ってもらいたい、いずれ決定をしたら外務省からお伝えをすることにしよう、これはあくまでもアメリカのことを頭に置いて検討を進めるけれども、日本の意思として決定されるので、決定されたら、どうかその線をひとつ尊重して御理解をいただくようにお願いをしたい、こういうふうに申し上げたところでございます。  なお、パッケージ問題は、VANの問題で大使が来られましたので、私の方から農産物問題を持ち出しまして、佐野経済局長が出かけて日本としての一つの考え方を示した、佐野局長は国内の意見を踏まえて出かけたのである、しかし、アメリカから意思表示されたけれども、それは非常に隔たりのあるものだった。こういうものは、両方が歩み寄らなければ交渉というものは決着をしない。高飛車に随分いろいろな御意見が出ておるようだけれども、ぜひ協調して交渉に臨むようにということを本国にお伝えをいただきたい、このように農産物の問題に関してお願いをしたところでございます。  今河本経済企画庁長官を中心にいたしまして、対外経済対策一連のいろいろな問題について四月中をめどに検討を急いでおりますので、VANの問題、農産物の問題、あるいはそのほか関税の問題などを全部パッケージとして考えて対策を考えていきたいと思っているところなので、農産物の問題だけと考えないで、日米間に横たわっておるいろいろな問題を総合的に考えなければいかぬ。アメリカも一つ一つを大事に考えてひとつ対処してもらいたい、こういうお願いをしたのが真意でございます。
  91. 大出俊

    ○大出委員 どうも新聞はそう取り上げていませんがね。これはちょっと後に引けぬことになりそうだが、きょうは暫定だから、質問の方も暫定にしておきますが、細かく調べてみたのですよ。こんなばかな話はない。去年の五月だって農産物の問題で問題になったのですよ、ブロック通商代表の書簡で、これが和製英語だといって。それは私は総理ほど英語はうまくないけれども、総理はお上手だから、見たらわかるでしょう、和製英語がどうかぐらいのことは。通産仕掛け人説が出た。大騒ぎになっている。おまけに最近は霞が関周辺で、通産省、縄張り争いで至るところに茶々を入れる。それで国民に迷惑のかかることも幾つもある。これは、コーディネーター、インストラクターなんていう、これはインテリア設計に関する、これは建設の方は建設省だと分けたわけですけれども、一万三千円も試験料、受験料取って、同じ人間が二つ試験に通らなければいかぬ、建設省と両方で。  実は、通産の諸君つかまえて、一遍真正面からぎゅっと言うまでやらなければいけないと思っているんだけれども、時間がないから郵政サイドだけにしているんだけれども、これはどうなんですか。通産仕掛け説まである世の中、ひとつ総理、これはやたら、通産省さんも確かに英国、アメリカ式に二流の官庁だ、二流の官庁ってあるのかどうか知りませんけれども、そうなっちゃっちゃ困るのだというので戦闘精神旺盛で、どこにでも食いついて縄張り広げて、そのたびにがしゃがしゃがしゃがしゃやっていたのじゃ、これはおさまりつかぬ。余り衛生上よくないんですよ、これは。そこらはっきりしてくださいよ。アメリカの外圧でこんなことひん曲げるなんていうのはただではおかない、こうなったら。通信主権という考え方だってあるんだから、この国には。総理、いかがでございますか。はっきりアメリカに言うべきですよ。
  92. 倉成正

    倉成委員長 総理大臣、簡潔に答えてください。
  93. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 内政干渉は断ります。しかし、日本は日本独自の見解で、自分の産業政策あるいは二十一世紀へ向けてのいろいろな政策面、配慮しつつ自分でやるべきことはやった方がいいし、国際協調という面も大事な外交政策でありますから、その点も十分配慮して、そして日本の各省内の調整を実行したいと思っております。
  94. 倉成正

    倉成委員長 時間が参りました。
  95. 大出俊

    ○大出委員 国会に議席を国民の信託でいただいている我々からすれば、極めてこれは納得いたしかねる、まさにけしからぬことだと思うのです。こんなことをアメリカ側が日本に、主権がある国に、とんでもないことを言うべきじゃないですよ。当たり前だ。あなたはきちんとしなければいけませんですよ。通産省にこれは一言承っておかなければいかぬのだけれども、通産仕掛け人説があるんだが、これは一体真偽のほどはどうなんですか、通産省、大臣
  96. 倉成正

    倉成委員長 簡単にお願いします。時間が来ております。
  97. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 仕掛けだというような覚えはありませんけれども、アメリカの話出ましたけれども、まことにけしからぬ話であります。けしからぬけれども、アメリカの考え方というのは通産省とよく似ているので、けしからぬ中にも多分の好意は持てるわけでございます。
  98. 大出俊

    ○大出委員 仕掛けしたことはないと言うのだから、終わります。
  99. 倉成正

    倉成委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。  次に、二見伸明君
  100. 二見伸明

    ○二見委員 最初に、暫定予算ということについてお尋ねしたいと思うのですけれども、会計年度は、四月一日から翌年の三月三十一日までが会計年度であります。大変不思議なことに、政府予算については四月五日に成立をすれば暫定を組まずに済むという、妙な慣行がここ数年続いております。私は、そういうことになれば、四月五日に成立すれば暫定組まなくて済むということになれば、暫定予算審議というのは、あえて三月三十一日までの間に成立させる必要はないんじゃないか、きょうやっているけれども、これは来月の、四月の二日あるいは三日にここで暫定予算審議したって一向に差し支えないんじゃないかと思うんだけれども、この点、どうですか。
  101. 竹下登

    竹下国務大臣 これは本来は、今、二見さんおっしゃいましたように、予算の空白期を置いてはならぬというのが本筋でありまして、したがって、暫定予算とはその空白期を置かない形で成立さしていただきたい、こう考えております。したがって、言ってみれば物理的にたまたま今日まで、五十七年は五日まで、そのほか四日まであるいは二日までというときもございましたが、その姿の方が実はもとより正当な姿ではないというふうに私は理解しております。
  102. 二見伸明

    ○二見委員 例えば、衆参の予算審議でいろいろ摩擦的なことがあって、三月三十一日までに成立すべきところが四月一日になった、二日になった。四月一日に支払わなければならないお金があるから、建前からいけば一日分の暫定予算を組む、二日分の暫定予算を組まなければならない、そういう場合には、実質的に今やっているのは、資金運用部からお金を借りてきて四月一日の支払いをやっているわけですから、それで暫定を避けているわけだけれども、そういう摩擦的なことの場合には、予算審議するのが予算委員会なんだから、わずか一日か二日のことでございます、本来ならば暫定予算を出すべきところだけれども、些少のことでございますので暫定をなしでお許しをいただきたいと、衆参の予算委員会あるいは予算理事会にきちんと了解を得てやるのが当たり前じゃありませんか。勝手にやっているじゃないですか。どうなんですか。
  103. 竹下登

    竹下国務大臣 それは論理として私は否定いたしません。が、問題は、要するに旧憲法時代には、七十一条でございましたか、予算が通過せざりし場合は前年度予算を執行すべし。しかし、それが新憲法になりましてから、そのことは現実問題としておかしい。そこで空白期を置かないために暫定予算制度というものができておる。したがって、暫定とは、暫定が通らない場合はあるかという学説に対しては、通らないはずのないものである、こういう大体の学問になっておるわけです。確かにそうだと。したがって、考えようによると、むしろ衆議院を通過したある時期に暫定予算というものをお願いして、そして空白のない安全を確保しておいた方がいいという議論が一方にございます。そうすると、それは参議院に対する非礼という問題があるわけです。だから、参議院に対しては我々は最後まで期待権というものを持ち得る。ということになると、いつの時点で判断するかということになりますと、結局暫定というものは、国会の推移を見ながらお互い常識的にこの辺だというところで判断をせざるを得ない。提案権は政府にございますから、したがって、昨日暫定をお願いするということに閣議決定をいたした次第です。  ただ、もう一つ、私もいろいろこれ二十年ばかり勉強しておりますと、予算の空白期というものがどうしても生ずる場合があるかというと、可能性としてはあり得ます。三月三十一日に国会が解散になったとして、そして参議院の緊急集会を召集してお願いするという場合には、可能性としてはやはり空白期というものもあり得るというふうに思っております。したがって、今おっしゃるのは正論でありまして、私もそういうあるべき姿に本当は、お互いもうこの問題二十何年議論しておるわけですから、本当は議論をきちんと詰めて、暫定とはいつ出すものかとかいうある種のルールというものも確立しなきゃいかぬのじゃないか。期待権を行使すると言ったら、三月三十一日の十一時五十九分までは期待できるという論理もまた成り立ちますので、まあ二見さん、また相談しましょう。
  104. 二見伸明

    ○二見委員 暫定質問で暫定的にやったんじゃまずいのだけれども、ただ、なぜ暫定予算が生じたかというと、今回みたいに総選挙があって提出がおくれたという物理的な問題は別として、暫定予算が組まれなければならない理由というのは三つあると私は思うのです。一つは、野党の正当なる要求に対して政府がそれを拒み、その結果予算委員会審議が停滞をして暫定予算を組まざるを得なくなったということがある。もう一つは、野党が無理難題を吹っかけたために、その結果として暫定予算を組まざるを得なくなるということも理論としてはあり得る。もう一つは、政府・与党も野党もお互いにだらしがなくて組むという場合もある。むしろ私は、暫定に追い込んだから一本とったとかとられたとかいうのは永田町の論理であって、国民にはそんなことは関係ない。  国民にとってみれば、この暫定を組まざるを得なくなった結果は、政府・自民党の方に欠陥があるのか、野党の方に欠陥があるのか、国民が判断して、判断の結果は選挙でやればいいんだ。四月五日まで何とかしよう、今度の場合は四月五日は無理だから、四月七日か八日なら暫定を組まないで済むのじゃないかとか、こんなアングラ報道も流れてきた。私は、それでは節度というものがなくなってしまうのじゃないかと思うわけです。私は、三月三十一日までに成立しないから、何が何でも一日でも二日でも暫定予算を組めなんということは言いません。その場合には、予算委員会なら予算委員会にきちんと了解を求めて、暫定なしでいきます、こういうわけでございますと了解を得てやる、そうした節度が必要じゃないかと私は思います。改めて総理大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  105. 竹下登

    竹下国務大臣 いい話でございますから、私から最初にお答えいたします。  節度は必要だと思います。したがって、やはり三十一日に議了しないということが明らかになった場合には、とりあえず空白期ができます、空白のできる期間は、このような方法で国民生活に悪影響をもたらさないように、我々は予算の執行権はございませんけれども、別の法律等によって義務づけられたものに対する執行はこのような措置でやりますということを、その都度実は報告をしてきております、今までずっと振り返ってみますと。  最初は、一日だけのときには、受刑者の方なんかの飯代がなくなるという議論で、みそ、しょうゆは買いだめをしますとか、そういうようなことまできちんとして……。五日というものが重要だったのは、国会職員の給与がございます。ところが、これは議長さんの指定する日ということになるから、国会で一日おくれたなら勘弁してもらえるんじゃないか、これもちょっとイージーな考え方だと思います。六日は、きょう議論があったように、恩給、年金の支払い日というところへきて、七日、八日なんということは行ったこともございませんが。節度としては、ある時期に、ことしはこのようにしたら二日なら二日の、実際問題として空白期があります、しかし、これはこういうふうにして埋めますということをきちんと筋としては言うべきであるし、私は、そういう場合には一応御通知申し上げて、今日まで来ておるということになります。  おっしゃるように、一本とったとかとられたとか、これは全く永田町だけに通用する議論でありまして、私どもの方から言えば、期待権を持てば、衆議院で皆さん方の協力で、例年よりも数日審議期間が短く議了していただいているのですから、そうすると、それの比率でちゃんと計算して参議院もそれだけのものを短くしていただけるとしたならば、これは四日までには通るなという期待権は私どももやむを得ず持たざるを得ない。その期待権と現実との調和をどこに求めるかということであって、したがって、やはりこの問題は国民生活全体を扱うこの予算が通らなければ預かれないわけですから、だから、ある意味においては大変いいお話をしていただいてありがたいと思っております。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 大蔵大臣が申し上げたとおりであります。また、あなたの御議論は正しいと思います。
  107. 二見伸明

    ○二見委員 お褒めにあずかりましてありがとうございます。  先ほど大出委員が、VANの話でもってアメリカ側からの問題を取り上げておられましたけれども、VANではなくて金融開放について、大臣、私もやはり同じようにアメリカ側の態度に非常に頭にきているわけです。例えばリーガン財務長官は、二十四日の記者会見で「三年半前から金融自由化を求めているのに、今回も何らの進展もなかった。言葉だけで、行動がとられておらず、大いに失望した。日本の行動欠如に欲求不満である。六月のロンドン・サミットまでに、何らかの行動のスピードアップを求める」、こう記者会見で述べた。  前の日の新聞報道では、金利の自由化については日本側がCDの発行単位の引き下げなどによって、まず大口預金から金利の自由化を図っていこうという方針をアメリカ側に伝えた。アメリカ側もそれを大体了承した。信託業務の参入については、これは日本側から金融制度の見直しの一環として考えたいという方針を述べて、アメリカ側もそれを了承したということが前の日の新聞報道であった。  ところが、明くる日、リーガン財務長官は、このように日本に対して、全く不信感というかかなり荒い言葉でもって攻撃している。日本に指導者がいないからだとテーブルをたたいてやったという話なんです、新聞では。しかも、同じ日の某紙のインタビューでは、四月に計画の全体像を示し、五月に実行に移してほしい、もし満足できる回答がなければ何らかの対抗措置をとらなければならない、これは脅迫じゃないか。私は、金融の自由化、金融市場の開放、賛成です。しかし、アメリカからこんな脅迫を受けてまでやる必要はないと思う。  大体、日本外交については、ペリーの来航以来、日本というのはおどかせば何とかなるというのがヨーロッパの日本に対する態度だと言われている。こんなおどかしに対して大蔵大臣はどう考えているのか。そうした感情論はともかくとして、リーガンがそう言っていることに対しては、また大蔵大臣はどう考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  108. 竹下登

    竹下国務大臣 今回の作業部会におきましては、今もお話がありましたように、財務次官とそれからこちらの財務官の話し合いでは、日本側が多大なる努力をしておることは明らかであるというような発表を行っておりました。それで、私も委員会、リーガン長官は中国から帰ってきた、お互い報告を余り聞かない前に二人で会いました。そこで私が感じたのは、いわゆる金融の自由化というのは、今評価されましたが、リーガン長官の場合は、彼が三年半前から、渡辺大臣時代からずっと言っていることをフォローしてみますと、要するに国際化、自由化することによって、もう世界二番目の、しかもアメリカの半分ぐらいな力はあるんだから、この通貨が世界どこへでも通用するようになれば為替相場の変動もなくなってしまうのじゃないか。これは原則的にはそれは間違っていないと思います。そのためにはもっとこれを自由化したらどうだ、これを自由化したらどうだ。我々の方では、それはおまえさんの方にもユニタリータックスみたいなものもあるじゃないか。いろいろ議論をし合う。  が、総じて言えますことは、私どもはこれで計画的に二月もやり、三月もやり、今度四月やって、そして五月その報告書を私とリーガン財務長官がもらって、それでサミット前に私は中曽根総理に、リーガンさんはレーガンさんの方へ報告するというふうな積み上げを――大体日本の役所の機構も日本の政治家もそういう積み上げ方式を考えます。あの人の考え方というのは、どちらかと言えばそのスピードの問題でかなり開きがあった。私が申しましたのは、中曽根総理は陸上競技の選手だった。だから歩幅が広い。おれはどうもステップ・バイ・ステップだというようなことも言って、これは冗談で言っておりますと、私は歩幅が広くて、百メートルより五十メートルが得意だというようなことも彼は発言をしておられました。  したがって、その後、新聞記者会見をおやりになった夜またお会いしまして、相互の理解は、だんだんだんだんその距離は近づいてきた。最初は、日本の役所の機構がそうであるということよりも、私がきょうの答弁でも行なっておりますように、私自身の発言が回りくどいから向こうに理解できないのかなとも思いましたが、どうもそうでもないようでございまして、したがって、四月十六、七日の会合というのはもっと実りあるものにしなければならぬということで、鋭意部内でいろいろな問題を詰めておるわけであります。  そしてこの問題は、御案内のようにいわゆる日米、中曽根総理とレーガン大統領の間で、私とリーガン財務長官の共同新聞発表に盛られた事項が合意されたという事項でございますので、国全体のある種の使命を持ちながら、これからも相互の意見が、大筋に意見が間違っているわけじゃないのですから、その手法についての距離を埋めていく努力をしなければならぬというふうに、みずからにも言い聞かしておるところであります。
  109. 二見伸明

    ○二見委員 この問題でちょっと冷静にお尋ねしたいのですけれども、例えばリーガン長官は、四月に計画の全体像を示し、五月に実行に移してほしい、こういう要望を某紙のインタビューでしゃべっているわけですけれども、日本としてはそうしたスピードには到底追いつけないということになりますか。
  110. 竹下登

    竹下国務大臣 これは物によりけりでございまして、これらはまず中期的にこの辺で考えようとか、これらは相当長期の問題だとかいうようなことになれば、長期の問題を五月から実行するというわけにはいきませんが、そういう方向のいわゆる合意というものはしなければならぬ課題だというふうに私は思っております。だから、トタで日本の今日までの秩序が崩壊するようなことをしてはならぬわけですから、それは相互理解のできる課題だと思っております。
  111. 二見伸明

    ○二見委員 それから、リーガン長官は、ドルに対して円が弱いのは円が保護されているからで、日本は円の国際化を図るべきだ。私も円の国際化は図るべきだと思います。これは相手の国のあることですから、日本だけで勝手にというわけにいかぬわけですね。そのために、日本の経済に対する信用というか円に対する信認というのを高める措置は、これから当然とらなければならないと思います。しかし、どうもリーガンさんというのは、ドルに対して円が弱いのは円の方に責任があって、何かアメリカの高金利は全く無責任みたいな認識のようですね。これはちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  112. 竹下登

    竹下国務大臣 米国の高金利が、円のみならずヨーロッパ通貨をも含めて、いわゆるドルの独歩高要因であるというのは我々が絶えず指摘しておるところでありますが、その議論のもう一つ奥の哲学というのは、高金利になるのも、自由化、国際化の状態でその国々によってそうならざるを得ない場合がある、別に指示するわけではないから。要するに、日本とアメリカとこれだけ力のあるものが完全に自由化、国際化したならば、途中では日本の場合とんどん流出していけば円安になる効果もあるだろう。しかし、結果としては、国際化、自由化が進めば進むほど、両方の為替レートというのは安定してくるという哲学論争と申しますか、それはそれなりに正しいと私も思っております。したがって、アメリカの高金利という問題について、それが現象的に今日そういう状態をもたらしているということを相手方も完全否定はなさらないという状態であります。
  113. 二見伸明

    ○二見委員 理論としては私もその点は納得するのです。円の国際化が進んでいけばこんなに円が安くならないだろうというのは、理論としても哲学としても納得するんだけれども、どうもリーガンさんは日本が一方的に悪いという決めつけをしているとしか考えられない。アメリカの高金利は円安とは余り関係がないんだ、そういう発言を日本に来てされているわけです。この点はアメリカに対して厳重に言わなければならないし、私たちとしては、アメリカの高金利というものを、内政干渉になるから余りどうしろこうしろと言えないけれども、アメリカに対してはもう少し高金利を直せ。しかも、アメリカも景気は少しよくなってきたので、また金利が高くなる傾向もあるのでしょう。それはどうなんですか。
  114. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、アメリカの景気がよくなってまた金利が高くなるんじゃないかという傾向を言う人は確かにおります。この間二百二十二円ぐらいまで来ましたが、またちょっと戻したという感じもその一つのあらわれじゃないかなというふうに私は思っております。したがって、私どもは、当面の問題としてはその高金利問題をいつでも指摘するわけですね。だが、その指摘は内政干渉だとは私は思いません。これは金利問題ですから、場合によっては、マネタリストとしての議論とすれば、それは内政干渉にはならぬと思うのです。  ただ、ぎりぎり詰めていけば、おまえのところの財政赤字が余り大きいからだめじゃないか、ここまで行くと内政干渉との際どいところまで行くな、その辺は我々も節度を守りながら、この会談というのも多人数のテーブルに着いた会談だけでもございませんし、いろいろな角度で節度を守りながら主張しておりますが、財政赤字については、それが高金利の原因だというのは向こうさんも痛いほど理解しておられる。しかし、向こうは日本の国会のように歳出削減に協力してもらえないそうです。
  115. 二見伸明

    ○二見委員 河本長官、これは新聞報道ですから、もしニュアンスの違いがあったらお許しいただきたいのですけれども、対ドル円レートについて河本・リーガン会談で、日本のファンダメンタルズから見てもう少し高い水準になってもよい等の点で一致したと報道がありますけれども、たしか二百二十四円ぐらいですね、これがもうちょっと高くなってもよろしいというお考えですか、大体どこら辺をお考えになってこのときの会談はあったのでしょうか。
  116. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は、日本の経済の現状、実力から見まして、円は実力以下に評価されておると思っております。したがって、いろいろな経過はあると思いますけれども、円はもう少し高くなるということが日米間の摩擦を解消する一つの道だと考えております。その点では、リーガンさんとは意見は一致したのですが、ただ方法、さっき御指摘のような、向こうは金利問題は違うんだ、こういうことを言っておりましたが、そこでは意見が合いませんから、別の問題に移ったわけであります。  私は、必ずしも金利問題は別だとは思ってないんじゃないかと思うのですけれども、ただ、交渉ですから、いろいろなことを言うのだろうと思います。
  117. 二見伸明

    ○二見委員 金融問題についてもう一点だけお尋ねして、次に移りたいと思います。  いわゆる信託業務、これは日本は「業務分野の調整にかかわる問題なので、わが国金融制度の見直しの一環として考えたい」と述べられたというふうに報道を聞いております。これは、日本の金融行政が将来に向かって一つの課題をしょわされたということになるのか。今はこれで当面、モルガン・野村ですか、これは参入は防ぐことはできても、やはり金融制度の見直しの一環として考えたいということになれば、何年か後にはやはりこれが、日米間に限らず、日本の金融制度上の大きな問題となってくるのではないかと思いますけれども、そこらについてはどういうような見通しを立てておられますか。
  118. 竹下登

    竹下国務大臣 これは今お読みになりましたとおりの問題でございますが、さすが、そのリーガンさんと私と話しして、いわゆる野村・モルガンというお言葉が出ておりましたが、個別問題はやはりお出しになりません。だから総体的な自由化、国際化の中で、資本市場でもってこの辺が入りにくい問題もあるとか、そういう中の一つに信託というものが入ると言えば入るわけです。だから、そうした問題は日本の長い金融の歴史なんかを話ししまして、実際問題、明治三十四年には千八百行ありましたのが、今、相互銀行以上で百五十七、アメリカは一万四千五百まだ銀行があるのですから、そういう生い立ちの違いとかを話ししながら、お互い国際化、自由化を進めるに当たって、我々の方もその国際化、自由化への展望みたいな形を金融制度調査会等で議論していただいておりますから、そういうものの中で自然な形で解決すべき問題だ、だから個別問題として議論することはございません。
  119. 二見伸明

    ○二見委員 この問題に関する締めくくりという意味ですけれども、先ほど農産物とVANの一括解決かというのが、官房長官の言葉を引かれて大出委員からありましたけれども、日米間は金融問題だけじゃなくてVANもあり、農産物もあり、いろいろ日米経済摩擦というか、日米間の経済関係の懸案事項は幾つかあるわけですね。これは議論するわけじゃありませんから、ごく基本的な考え方だけお示しいただきたいのだけれども、例えば農産物は農産物で解決をし、VANはVANで解決をし、あるいは金融問題は金融問題で解決をしという、個別に一つ一つ解決していくのか。これを全部ワンパッケージでもって例えば四月なら四月、五月なら五月、ある時点ですぱっとワンパッケージで解決するのか、そこら辺はどうなんでしょうか。
  120. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど来いろいろお話が続いておりますが、農産物とVAN、ソフトの問題は三月末をめどにしてできるだけ解決をしていく、そういう方針でございますが、他の案件も大体四月いっぱいに見通しを立てたい、そしてその段階で、まとめて、その一連の対策を一つのパッケージとして発表したい、こういうスケジュールを立てまして、今関係各省の間で作業を進めておるところでございます。
  121. 二見伸明

    ○二見委員 そうすると、農産物は農産物で日米間で解決をし、VANはVANで日米間で解決をしということじゃなくて、もちろんある程度の話はあるんだろうけれども、最終的には全部をワンパッケージでもって、これで日米間の懸案事項は終わり、こういう打ち上げをやろうというわけですね。
  122. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 日米の間にはいろいろな問題がありまして、今お示しのような個別的な問題もございますけれども、一番大きな問題は貿易全体の不均衡という問題だと思うのです。この問題が解決いたしませんと、部分的な問題は解決いたしましても依然として根は残ると思います。  そこで、先ほどお話がございました日米間の貿易インバランスの問題を解決するためには、一つは為替レートという問題がございます。一つは、我が国の国内の購買力という問題がございますが、これは景気対策、内需の拡大、この問題であります。この二つの問題がある程度目鼻がつきませんと、不均衡の問題はなかなか見通しが立たないと思うのです。ですから、そういうことを一方で進めながら、同時に、あわせて個々の問題についてもできるだけ早く見通しを立てる。そして、中にはエネルギー問題のように相手の出方がまだ決まりませんから解決できない問題もありましょう、後に残る問題もありますけれども、しかし、こういう問題もある程度は前進させなければならぬ、こういうことを含めまして、四月にはある程度の成果を得たい、こういうスケジュールでございます。
  123. 二見伸明

    ○二見委員 時間がありませんので、かいつまんで外交問題についてお尋ねします。  最初に外務大臣、いわゆるイラン・イラク戦争、に関連してですけれども、「イラン・イラク戦争でイラク軍が化学兵器を使用したかどうかを現地調査してきた国連の化学兵器被害調査団は二十六日、デクエヤル国連事務総長あての二十八ページからなる報告書を提出し、その中で、「マスタードガスと、タブンと呼ばれる神経ガスが使われた」と断定した。」こう報道されておりますけれども、このイラクが毒ガスを使用したという問題について政府はどのような認識を持っているのか、この事実関係と、今後の対応について政府としてどうお考えになっているのかをお示しいただきたいと思います。  さらに、今入院中のイランの兵士がおりますね。日本に来て、二人か三人入院していますね。毒ガスでやられたのじゃないかという話がありますけれども、あれは民間の病院に入院しているのだけれども、病院側から事情聴取をされたのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。それが一つです。  時間がありませんのでまとめてお尋ねしますけれども、もう一つは、イラン・イラク戦争の動向によってはホルムズ海峡の封鎖ということも全く心配がないわけじゃないですね。この点について、いわゆるホルムズ海峡の封鎖の可能性について外務省としてはどういう見通しを持っているか。そうならないことが一番望ましいのだけれども、その見通しはどういうふうなことを考えておられるか。それが二つ目です。  ホルムズ海峡が封鎖されるということになると、日本に対する、特に石油の輸入という面で日本に対する影響が非常に大きくなってくるんだけれども、この海峡の封鎖というのは、日本が昔、日露戦争で旅順港を封鎖したのと同じように、ぶっ壊れた船を持っていって埋めちゃうわけでしょう、例えば考えられることは。それを通すためには、米軍か何か出ていってこれを引き揚げなければならないのですね、掃海というのですか。具体的には米軍が関与しなければならないのだと思うのだけれども、そんなことまで想定してアメリカと何らかの情報の交換などをしているのかどうか。その点、三つまとめてお尋ねをしたいと思います。
  124. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 まず第一問の、いわゆる毒ガスが使われたのじゃないか、こういうことでございますが、我が国は化学兵器が使用されることがあってはならないという基本的な立場に立っておりまして、従来より、非核・軍縮分野における優先課題として、国連及びジュネーブ軍縮会議において、化学兵器禁止問題に積極的に取り組んでおるところであります。こうした観点から、化学兵器使用に関する事実調査を国連に行わせる趣旨の国連決議を支持しておるところでありますが、今回の調査団の報告は、空中投下爆弾の形態による化学兵器がイラン内の地域で使用された、使用された化学剤はマスタードガス、これはイペリット及びタブン、神経剤であるとしております。ただ、国連の発表では、報告はイラクが使用したということは言っておりませんが、今のような報告でございます。  そこで、今般、国連による現地調査結果として、イラン領内において化学兵器が使用されたことが確認されたが、こうした兵器の使用は一九二五年のジュネーブ議定書違反であり、極めて遺憾なことと言わざるを得ないわけでありまして、我が国として、いかなる国といえども一九二五年のジュネーブ議定書の違反である化学兵器の使用という手段に訴えることのないよう求めるものであります。  さらに、我が国はこの機会に、イラン、イラク両国に対し、化学兵器の使用という危険を内包した両国間の戦闘行為を即時に停止し、問題の平和的解決に向けて最大限の努力を行うよう強く希望をするものであります。  政府としましては、以上の考え方、特に第三項でございますが、第三項を近く内外に明らかにするべく、今検討をいたしております。  次に、ホルムズ海峡が封鎖されるかどうかという問題でございますが、新聞等によれば、今相当イラクがスーパーエタンダールを使ってエグゾセ等の発射をいたしておる。それで損害が起こっておる。まだイランはそれについて確認をいたしておりませんが、カーグ島を中心にして相当けんのんな状況になってまいりまして、我々は心配しておるわけでございます。イランは、イランの船舶がペルシャ湾で自由航行ができないということになれば、ホルムズ海峡を封鎖するということを条件づきで言明をしておるわけでございますが、そういう事態にもしなれば、これは大変なことになってしまう。そして、その際は、アメリカははっきり言っておりますが、ホルムズ海峡をイランが封鎖するという事態になれば、アメリカがこれに対してホルムズ海峡の自由航行を確保するための強硬手段を発動をするということは、日本に対してもはっきり言っておりますし、世界に対しても声明をいたしておるわけでありますから、恐らくアメリカは介入することは間違いない、こういうことになると思います。  そうなれば、戦争そのものも第三国が入って大変危険な状況になってくるわけでありますし、一方また、あそこから六割近くの輸入が、ホルムズ海峡を通って日本は輸入しておりますから、今備蓄はあるとはいえ、また需給上世界の油は多少緩和しているとはいえ、こういうふうなことになれば、やはり一挙に石油の市況等に問題が起こってきて、我が国の経済にも甚大な影響が及んでくるのではないか、こういうふうに心配をいたしております。  なお、傷病兵のことにつきましては、事務当局から説明させます。
  125. 波多野敬雄

    ○波多野政府委員 イランの傷病兵の問題につきましては、病院側の説明によりますと、傷を受けてから日本に運ばれるまでに既に十日以上の日がたっておりまして、それからやけど自身、割合に軽いやけどで、二度のやけどと申しておりますけれども、軽いやけどでございましたので、その原因がどういうものであるかはよくわからない、単なる熱傷であるかどうかよくわからないということでございました。  なお、これに関連いたしまして、その原因を探求するためにさらに精密な調査をやるかやらないかという問題については、病院の方は、治療が目的で入院を認めているので、病院としては治療に専念して、治療に関係がない話は深くは探求しなかったというふうに申しております。
  126. 二見伸明

    ○二見委員 時間もあと三、四分しかありませんので、まとめてお尋ねします。  実は、中曽根総理が訪中されたときの朝鮮問題についての御発言を通して若干お尋ねしたかったのですけれども、一点だけお尋ねしたいと思います。それから、防衛庁長官にも一点だけお尋ねします。  いわゆる日朝交流について中国側から提案というか話があったわけですね。それに対して、「中国側の発言は、広い意味で日本と北朝鮮とが互いの実情をより良く理解することが朝鮮半島の緊張緩和の観点からも望ましいということであるとの観点から、両者間の意思疎通のため中国としても努力したいというものであると考えられ、これをもって必ずしも具体的、個別的問題について中国側より仲介の申し出があったものとは日本側は受けとめていない。いずれにせよ、当面、政治・経済の分野で日朝間の仲介を日本が中国に依頼する問題はないが、人道上の問題はあり得よう。」というのが外務省側の正式な見解ですね。  それで、これはこれとして、日本は日朝の話し合いについて、朝鮮半島の緊張緩和という面から考えてどう考えるのか。というのは、日本と中国では、朝鮮半島の緊張緩和と平和は極めて重要な問題だという認識で一致しているわけでしょう。その場合に、日本が北朝鮮と話し合いをするということは、この緊張緩和という問題、この点から考えてどう考えるのか。その点を端的にお答えいただきたい。それが外務大臣に対するお願いです。それから、防衛庁長官には全然別な話で、五六中業の次は五九中業ですか、これから四月に指示される予定ですね、四月になるか五月になるかわからぬけれども予算が終わった後。この場合は、いわゆるGNP一%というものを頭の中に入れて作業を進めるのかどうか、それを無関係にやるのかどうか。それが一つ。  これは議論するわけじゃありませんからお答えいただきたいのだけれども、いわゆる五六中業では正面ぴかぴかで、品物は買ったけれども後方がぼろぼろだと言われておるんでしょう。そういう批判がありますね。その点は五九中業ではどういうふうになるのか。むしろ正面ぴかぴかの方はもう抑えて、後方ぼろぼろの方を直す方に五九中業の考え方を持っていくのかどうか。その点をお尋ねして、この質問を終わりたいと思います。
  127. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 我が国と北朝鮮との関係についての今の御質問は、胡耀邦総書記と中曽根総理大臣との間の会談の中で、胡耀邦さんから、もし日本から北朝鮮に何か頼みたい、言いたいことがあるんなら自分が言ってあげましょう、こういうふうなお話があったというふうに聞いておるわけでございます。これは親切な申し出でございます。そしてまた、中国と北朝鮮は非常に深い関係にあることがもちろんその前提にあるわけであります。  日本としては、今御質問のありましたように、外交関係はもちろんありませんから、政治経済その他の問題について中国を介して今北朝鮮に何だかんだという問題を提起する筋合いはないわけで、ちょうどラングーン事件もあって、日朝間はお互いに措置をとっておるという状況であるわけでございます。  ただ、こうした申し出に対して日本として考えるとすれば、これはやはり人道問題、これはいろいろな問題を超えた人道的なことでありますから、その人道問題については場合によっては中国を通じてひとつお願いをしたいということで、今実はその人道問題、どういう問題を中国を通じて北朝鮮に要請するかということについて外務省で検討いたしております。今までも国際赤十字だとかあるいは第三国を通じて人道問題については北朝鮮と話しておる、こういう前例もあるわけですから、そういうものを踏まえて今検討をいたしておるわけでございます。  われわれとしても、朝鮮半島の緊張が緩和をしていく、これはもう日中両国が基本的な認識が一致したわけでございますが、しかし、どうしたら緩和できるかということについてはそれぞれの方法論があるわけでございますが、私たちは、日本と北朝鮮との間のいわゆるラングーン事件によるところの措置はありますけれども、今までの基本的な枠組みは変えないで、そして民間によるところの経済交流、文化交流、そういうものは進めていくという考えを持っておるわけであります。
  128. 倉成正

    倉成委員長 防衛庁長官。時間がありませんので、簡潔に答えてください。
  129. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 五九中業につきましては、長官指示をいつ出すかということをまだ決めておりません。したがいまして、ここで仮定の問題に対してお答えすることはどうかと思いますが、しかし、五九中業をもし出す場合に、三木内閣のときの閣議決定の防衛費に関する方針、これが念頭にないということはあり得ません。これはもう総理の答弁しているとおり、そのことは頭の中にございます。  それからもう一つ、正面と後方との問題で、正面を削って後方に回すとか、あるいは後方を削って正面に回すという意味でなしに、正面と後方のバランスをとるということは考えていかなければならぬじゃないか、重要な参考資料として考えていかなければならぬじゃないか、こう考えております。
  130. 倉成正

    倉成委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 草川でございます。簡潔にお伺いをいたします。  先ほどからも出ておりますけれども、日米の経済摩擦の問題で、さまざまな問題があるわけでございますが、ことしの三月末までに一応解決をすべき問題で、まだ出ていないのでソフトウエアの保護の問題があるわけであります。  この新規立法の考えに含まれているいろいろな内容、特に通産省案でございますけれども、裁定制度の問題と権利保護の期間につきまして、米国なりあるいはまた欧州共同体、ECの方からもいろいろな意見があるようでございます。どちらかと言えば、著作権法を足場にしてソフトを保護しようという考え方のようでございますけれども、文部省にお伺いをいたしますが、これは文化庁になるのか、ソフトウェアの保護についで著作権法の改正で十分ではないかと主張されておるようでございますが、これは米国なりEC等も同様なスタンスになるのか、お伺いをしたいと思います。
  132. 森喜朗

    ○森国務大臣 草川さん十分御承知だと思いますが、コンピューターに特定の機能を果たさせることができる一連の命令がプログラムでございますので、このプログラムは、学術的思想の創作的表現である、こういうふうに位置づけておりまして、学術論文あるいは設計図、建築物と同様に著作権である、このように考えております。したがって、最近行われました地裁の三つの判決も、このように判例が出ておりますし、今御指摘がございましたように、国際的なソフト保護というものは極めて重要でございまして、アメリカ初め主要先進諸国は全部プログラムを著作権法で保護している、こういうことでございます。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 通産省にお伺いをいたしますが、通産省は、今回いろいろと法案提出の準備をなされておるやに聞いておるわけでございますが、法案提出期限の二十七日を過ぎたわけでございまして、文化庁の方との調整が不可能だと言われておるわけでございますが、今国会への提出は断念をされたのかどうかをお伺いをしたいと思います。
  134. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、コンピュータープログラムというものは技術先端的な工業製品だというふうな基本的な認識を持っておりまして、そういう立場に立ってプログラム権法というような考え方を出したわけでございます。これにつきまして先ほど先生からお話がございましたように、主としてアメリカ側から、期間の問題、それから裁定制度の問題を中心にして意見が出てまいっております。アメリカ側とはハイテク・ワークグループ等の場を通じましていろいろ意見調整を続けているところでございまして、なおこれから私どもとしてアメリカ側との意見交換というものを続けてまいりたいというふうに思っております。  また、文化庁の方におかれましては、著作権法の一部改正によって対応をしていくべきではないか、こういうお考えのもとにいろいろ作業を進められておるわけでありますけれども、私どもといたしまして、いずれにいたしましても文化庁と通産省との間においてコンピュータープログラムというものについてよりよい保護を与えていこう、こういう基本認識においては一致しているというふうに思っているわけでございまして、現在なお文化庁の方と意見交換を続けているところでございまして、なおこの努力は続けてまいりたいというふうに思っております。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 問題は、最初に申し上げましたように、三月末までには一つの結論を出そうではないかということになっておるわけでございますが、今の御答弁程度ではこれがまた後へ送られていくということになると思うのです。  そこで、総理にこれはひとつお伺いをしたいわけでございますが、実はハイテクというのですか、高度な技術革新の時代になってまいりますと、従来の縦割り行政間だけでは対応できないさまざまな問題というのがこれから出てくると思うのです。しかも、これは我が国の国内だけの問題ではなくて、諸外国との友好という立場からも随分いろいろな点が出てくるわけであります。私どもはそういう意味では、従来の考え方あるいは一つの機構の中だけの対応でこれから対処できないということが、VANの問題もあるわけでありますし、それから今のソフトウエアの保護の問題等にもあるわけであります。そういう調整というものについてはこれから強烈にやはり総理がリーダーシップをとっていただかないと、いたずらに産業界を混乱させることにもなり、あるいはまた諸外国にもいたずらな不信感を与えることになるのではないかと思うのです。そういう意味で私は、このソフトウエアの保護について一体総理はどのような御指導をなされるのか、対応をなされるのか、お聞きをしたい、こう思います。
  136. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 最終的には私が判断さしてもらいますが、その前に両省で十分に協議をしてもらい、それから党におきましていろいろ御検討を願いまして、そして最終的に私に判断さしてもらう、そういう考えております。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 それは一般論としてわかっておりますけれども、私の問題提起というのは、従来の政治の場で判断あるいは政治の場で対応できないほど技術革新という問題は進んでおるのではないだろうか、だから、よほど我々も先取りをした勉強ということをして、そしてその後追いではなくて、少しでも先に問題を指摘をすることが本来の政治の立場ではないだろうか、こういうことを主張したいわけであります。その点についてはどうでしょう。
  138. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政策推進という意味においては、大いに先導性を持って今後もやっていきたいと思っております。ただ、この問題は日本の役所の癖で、縄張り争いの要素もなきにしもあらずなのです。余りよくないことなのです。そういうような官庁の縄張り争いによって政策の推進あるいは政策推進の純粋性というものが失われてはならぬ、そういう点はよく注意してやっていきたいと思います。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 実は通産省にもお伺いをしなければいけないわけですが、通産省は本来VAN等の問題等については自由化促進というのですか、非常にフリーな立場で、競争原理を入れようという立場だと思うのです。ところが、ソフトの面につきましては、例えば強制許諾制度、裁定制度というものが出ておるわけでございまして、これがどちらかといえばノーハウを開発をしたアメリカ側にとって非常に先行き心配だというような問題もあるわけであります。だから私は、ここはよほど、日本というのは私どももそうですけれども、日本がこれだけ国際的に強い高い評価を受けると思っていないわけです。非常に古い頭でしか日米間の問題等を見ようとしていません。それがアメリカの国内においても、特にエレクトロニクスの業界で反日キャンペーンが非常に広がっておるというのが目につくわけであります。特にそういう意味では、これを反日感情にしないためにも、個々の企業間なり国民の間での信頼を損なうことがないようにしなければいけない、私は先ほど来からそういう立場で問題提起をしておるつもりでございます。  きょうは時間がございませんので、一つだけ、例えば今エレクトロニクス関係の問題で具体的な案件が私どもの方にも上がってきておりますので、これはぜひ総理にも聞いていただきたいし、通産大臣にも聞いていただきたいし、関係の方々にも聞いていただきたいわけであります。  それはどういうことかといいますと、非常に古い会社でございますが、日本に、昭和十二年に設立されて、資本金百億、年間千二百億の売り上げをする同和鉱業という会社がございます。これは非常に鉱山で有名な会社でございますが、これが昨年の秋に、キーボードなしでコンピューターの操作、画像から引き出すわけでございますけれども、光センサーを応用いたしましてタッチパネルを開発したとして年末の十一月の二十九日に新聞発表をいたしました。商品名をドゥ・タッチというわけでございますけれども、これは今後非常にたくさん伸びていく分野でございまして、このタッチパネルというのはパーソナルコンピューターやオフィスコンピューターのディスプレー、いわゆる画像表示装置、テレビに出る、あれを手で押すだけで操作ができるという非常にすばらしいものではあるわけです。  ところが、これを自主開発をしたと日本側の企業は言うわけでございますが、アメリカ側の方は、これは基本特許はアメリカのイリノイ大学が一九七三年に取得をしておるわけでございまして、これは日本にもそれなりの権利を持っておるわけでございますが、イリノイ大学とのライセンス契約が当然のことながら必要であるのでございますけれども、この会社は、ただいままだ協議中ということで、まだまとまっていない、にもかかわらず昨年の十一月に大々的に発表した、こういうことがあるわけでございますが、この事実関係についてまず通産省にお伺いしたいと思います。
  140. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  私ども、この同和鉱業から事情を聞いているわけでございますけれども、同和鉱業とキャロルとの間において昨年の三月ごろにジョイントベンチャーの提案があったということ、この辺が同和鉱業とキャロルとの接触の始めではなかったかというふうに思います。そのジョイントベンチャーの話につきましては、話がつかないで立ち消えになったというふうに聞いておりまして、その後特段の問題はないというふうに聞いております。  お尋ねのイリノイ大学との関係でございますけれども、イリノイ大学は基本的な特許は七三年に取得しているというふうに聞いております。イリノイ大学は、私ども承知しているところではアメリカの国内のみの特許権を持っている、日本では特許権は取得していないというふうに聞いているところでございます。なお、イリノイ大学と同和鉱業との間でライセンス契約について協議はしておるというふうに聞いております。まだまとまっていないというふうに聞いております。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 そのまとまっていない、ライセンス契約がまだできていないにもかかわらず、日本の国内で大会社が品物を大々的に発表するということ自身が、今の日米間のいら立ちというものがあるわけです。特に向こうは、先ほどもお話が出ましたように、自動車で敗れ、電気製品で敗れ、そしてさらに向こうが持つところのソフトのさまざまなものについて、日本側について非常に関心があるわけでございますが、今言ったように、まだ協議中でもあるにもかかわらず販売計画が発表されるということはいかがなものか、こう思うのですが、そのことだけについて通産省はどのようにお考えになられますか。いいことですか、悪いことですか、当たり前のことですか。この三つの答弁をひとつしていただきたいと思います。
  142. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 ちょっと御質問のあれが何でございましたけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしまして、日米間の先端産業分野における紛争というのは回避していくことが必要ということで、ハイテク・ワークグループにおきまして政府間で意見調整を続けているところでございます。  ただ同時に、個々の民間企業におきましても、両国間で技術交流が進んでいく際にお互いの権利というものは当然尊重しながらやっていくことが必要でございます。そういう権利をお互いに尊重しながらやっていかなければいけないというふうに思っております。
  143. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、昨日も通産省の方々にいろいろと事前にレクチャーをやっていただいたわけでございますが、会社の方から通産省に経過報告というようなものを出していただいたわけです。今局長の方からの御答弁にもございましたように、この製品というのは、基本特許というのはイリノイ大学が持っておるのでございますけれども、製造権というのはアメリカのキャロル社というのが持っている。このキャロル社というのがつい最近、ガリバーというのですか、非常にでかいアメリカのアンプ社という会社と、ジョイントベンチャーというのですか、企業合併まではいかないと思うのですが、そういうように資本参加の系列下になりました。  そこで、いろいろな経過があったと思うのですが、同和鉱業というのはこのキャロル社といろいろな技術提携の話をしてきたわけでございますが、ライセンス契約だとかロイヤリティーの問題で破談になったと思うのです。これは私ども承知をしております。破談になったら破談になったでいいのでございますけれども、実は当初いろいろと相談をしたときに、五十七年の十一月でございますけれども、キャロル社のタッチシステムの、デモ機というのですか、見本というのですか、それを一台日本へ借用をしてきておるわけです。しかもここで、アメリカ側の代理店との関係でキャロル社との間には秘密保持契約というのがございまして、それにこの同和の庄子という部長もサインをしているわけでございます。私どもはそれが今後非常に問題になってくるのだと思うのですが、そのサインの写しも私の手元にございます。  きのうの通産省と私どもとのレクチャーの中では、今も局長からお話がございましたように、何らキャロル社との間で特許問題について問題は生じていない、ですから、我々は独自のオリジナルで開発をしたんですよといって新聞発表をしてみえるわけであります。ここに社内報もございますけれども、社内報にもそのようなことが明確に書かれております。例えば、この社内報を見ますと、「光応用タッチパネル小史」、五十七年十月にアメリカのキャロル社よりタッチパネルの共同開発の話が持ち上がる、五十八年七月一日にプロジェクトチームを結成、五十八年十一月二十九日に独自に新聞発表。こういうような流れを見ておりましても、私は、この同和の技術開発というのはそんなに、独自のオリジナルというのですか、開発能力があるとは思われません。やはりアメリカで借りてきたデモ機の一台をばらして、そしてそれを参考にしながら、独自開発だといって発表をしておるのではないか、こう思うのですが、その点は通産省はどのように理解をしておみえになりますか。
  144. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  私ども承知しているところでは、これは同和鉱業から事情を聞いたところでございますけれども、アメリカ側からこの特許権問題について特段の異議は来ていないというふうに聞いているわけでございます。ただ、先ほど先生がお話しございましたような事情があったかどうか、私どもといたしましては承知をしてないわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、特許権侵害かどうかという問題は、非常にデリケートないろいろな見方ができる問題であろうかと思います。したがいまして、私どもの立場として軽々に右左というようなことはなかなか言えない。やはり本当に当事者同士がよく話し合いをするということがまず必要でございますし、それてどうしても解決がつかないという場合には、やはりそれなりの制度がそれぞれあるわけでございますから、そういうところで解決をしていくということしかないのではないかというふうに存じます。
  145. 草川昭三

    ○草川委員 それはそれで結構だと私は思うのです。ところが、少なくとも事実経過だけは、通産省が企業に問い合わせをしたら、その企業は事実の正しいことを通産省に報告をしなければいけない義務があると思うのです。今も局長は、調べたところトラブルはないと言うのですが、ことしの二月の二十三日に、アメリカのキャロル社の方から同和鉱業の小森という会長あてに抗議文が正式に来ておるわけであります。  これはキャロル社の副社長とそれから新しく合弁会社になりましたアンプ社の副社長で正式な署名入りの抗議文というものが、弁護士の名前と一緒でございますけれども、来ております。事実、ことしの二月の二十三日に、相手側の企業から、一体どういうことなんですか、この会社は百年の伝統を持つ会社だから間違いはないというので、私どもはデモ機も貸しましたよ。そうしたら、いろいろな話し合いの中でジョイントベンチャー等の話がうまくいかないということで別れたのは仕方がないとしても、突如として新聞発表で来月からいよいよ売るという。我々のシステムの構成要素なり詳細なスペックというのを供給しておるという事実を知ってもらいたいというので、特にこの会社は、いずれ問題になると思うのですけれども、軍事的なノーハウをたくさん持っておる企業であります。このタッチシステムの中にはアメリカの軍事産業に随分利用されている面もあるわけでございますので、とのキャロル社の抗議文については――ちょっとごめんなさい。私、副社長と言いましたが、これは社長の名前で来ております。アンプ社の方が副社長で来ておるわけでございますが、こういうようなことになっております。  その後、通産省の方の問い合わせでは、向こうの企業の会長なり副社長が日本に来ていろいろと話し合いをしたというのですが、向こうの方に問い合わせをしたら、我々はホテルのロビーで十分間会っただけだ、会いたくないのだけれども、会いたいというので会って、我々は非常に難詰をした、抗議をした。しかも、その席上に社長が同席をしたという報告が企業から通産省に行っておるのですけれども、通産省はそのことを私に持ってきたわけですが、私が調べたところ、社長は当日は不在である、参加をしていない。参加をしていないものを参加をしたというように報告をする。これは具体的な事例でございますから、通産省を今責めてもしようがありませんので、私は再度通産大臣にお聞きしたいと思うのです。  こういうようなことの積み重ねが実は日米間のいら立ちになるわけです。私は、別にアメリカの肩を持とうとか持たないとか、そんなことを考えてないけれども、一人のいわゆる現場で仕事をしてきた、技術を多少知っておる立場の人間からいうと、このような積み重ねが随分日米間の誤解になるわけです。これは日米間の問題だけじゃありません。アラブとの関係でも同じです。あるいは中国でも東南アジアでもソ連でも私は同じだと思うのですが、私どもが今何をやったかということをグローバルな意味で、客観的に我々の立場というのを見ていかないと、日本の将来に禍根だと思うのです。私は別に今、同和鉱業だけを非難するつもりはございませんが、一つの例としてこういう例があるわけです。  時間がどうも来たようでございますので、通産大臣と総理大臣に、このような案件についてどう思われるか御答弁を願いたい、こう思います。
  146. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 御指摘の具体的な例については非常に技術的な点が含まれておりますので、私には率直に言ってよくわかりません。しかしながら、それについてのいろいろな御心配あるいは御不審、このことについては現状とあるいはこの将来、それとをよく見きわめて対策を講じていかなければならないと思います。  と同時に、もっと大きな意味で、かようなことが一つ一つ重なって日米経済摩擦の原因となってくるとするならば、我々は誠意を持ってこのような一つ一つを慎重に解決していかなければならないと考えております。
  147. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 いやしくも外国から不公正であると思われるような行為を実際やってはならぬと思っております。そういう面において、日本の産業力が強くなればなるだけ、いわゆる産業倫理、そういう問題をしっかり確立し、かつ守ってもらうように、産業界に対して私たちとしては要請したいと思っております。
  148. 倉成正

    倉成委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開講
  149. 倉成正

    倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木下敬之助君。
  150. 木下敬之助

    木下委員 総理、先日の中国訪問は大変御苦労さまでございました。日中友好の前進に大変意義があったと、私たちも高く評価いたしております。  早速質問に入りますが、福島交通問題でお伺いいたします。  これまでにも参議院等で取り上げられておりますが、この問題は政治倫理に関する重大な問題ですので、私も率直に質問させていただきますから、できるだけ明確にお答えをお願いいたします。  総理は、二十七日の参議院予算委員会で、小針社長との関係を、運輸大臣当時に経営指導しただけだ、このように言われていますが、そういうことでございましょうか。金銭関係はないのでしょうか。例えば、献金を受けたとか貸借関係があるとか、こういったことは全くないわけですか。また、第三者にあっせんをされたようなこともないのか。このことについては、例えば昭和五十年の東京都知事選の後始末資金に関連して総理の名前もうわさに上っていますが、こういったことはないのか、お伺いいたしたいと思います。
  151. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 小針社長との関係は、河野先生御在世中、河野先生と若干親しかった点もありました、私は河野先生のそばにいた一人でございますから、そういう関係で知り合った次第です。  それで、私が本当の、本当のといいますか、何か問題が、問題というより普通のつき合いてない接触があったということは、運輸大臣になりまして、そして福島交通が非常に乱脈であって、当時織田大蔵さんという社長さんが、労働組合との関係が非常に悪くなって、ストライキをやったりあるいは交通がとまったり、特にバスがとまってあの地方の人が非常に困って、社長をかえる社長をかえろというふうに県民の世論が出てきておりました。それから、組合の方も非常に非協力な状態で、非常に困った状態でした。私の前任者の運輸大臣がやはり一人か二人ぐらい同じように努力したけれども、織田さんという人は頑として、頑固な人で動かなかった。それで私のところへ来たわけで、それでこれはほっておいてはいかぬというので、織田大蔵さんに出てきてもらって、警告を発して、そして会社の内部をまとめて交通を開くように、県民に安心させるようにしなさい、そう言いました。織田さんは、若い大臣がそんな生意気なことを言うとけっつまずくぞ、そんなようなことを捨てぜりふを残して帰ったこともありました。  しかし、運輸省としてもほっておけない問題でありましたが、株主の方が動いて、そしてこれはもう会社がつぶれてしまうという心配を持って――私らは内部的にどういうことがあったか知りません、会社のことですから、株主が集まってやることですから。それで、あのときの大きな株主の一人に、あれは三菱自販ですか、参議院で自工と言ったのは間違いであったかもしれません。自動車販売会社の久保さんという人がたしか社長だったでしたか、その人があっせんして、音頭をとって、小針氏を社長にする、そう言ってきたので、それならそれで結構だ、早く会社を安定させてくれ、そう言ってそれはそれでおさまった。そういうことがありまして、その後、そういう仕事上の問題というのはございませんでした。  その後、私が防衛庁長官をやったころでしたか、私の方の政治団体に対して若干の会費みたいなものを納めてくれたことがあったのではないか。それは別に調べておりませんが、あるいはあったかもしれません。それも大体、二十年前の話であります。その後はありません。  その後は、個人的に多少接触があるとか、つき合っている程度のことはありました。それは今でもあります。ありますけれども、仕事の問題というものは全然ございません。また、金を借りたとか東京都知事選云々という話は、私、まるっきり知りません。石原君を都知事にするとき、私は幹事長で采配を振るった一人でございますが、小針さんから金を借りた、後始末したという覚えは、私のところには今ございません。  以上でございます。
  152. 木下敬之助

    木下委員 次に、恐れ入りますが、安倍外務大臣にお伺いいたしたいと思います。  大臣に関しては、新聞に、安倍外務大臣に約一億円貸し付けられていることが国税当局の調べや関係者の証言で明らかになった、このような報道がなされたわけですが、これは事実ですか。金銭貸借関係があったのか、また今もあるのか、お伺いいたします。
  153. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、小針さんとは十七、八年ぐらいから友人を通してのつき合いでございまして、割合親しくしている方であります。  その問題、今御指摘の問題は、十年近く前に私の家を売りまして新しい家を買ったりしたときに、福島交通不動産に間に入っていろいろとあっせんをしてもらった、そういう経緯がありまして、そのとき、足らない分が借金になって残っておったわけであります。それは一部払っておったわけでございますが残っておりまして、それは期限が来ましたので完済をいたしました。現在は、全く貸借関係はありません。  それから、パーティーその他そういうときにはパーティー券を買ってもらったり、そういうことはこれまでもあったと思っておりますが、どれだけかということについては、詳細まだ把握をしておりません。
  154. 木下敬之助

    木下委員 恐れ入ります。借金はかつてあったけれども完済したと。いつごろ完済されたのか、ちょっとお聞きいたしたいと思うのですが、その点と、それからパーティーについて、詳細金額はと言われて今調査されておるような感じてお聞きいたしたのですが、はっきりされたらまたお教えいただけるのでしょうか。
  155. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、借金の方は私、会社の方と正式な、何といいますか証書を出しまして、そして私の個人との間の正式な契約でやっておるわけでありまして、それはその後一部払っておりましたが、今度の資産公開の問題もありましたし、それから、ちょうどことしの一月三十日が期限になっておりましたので、それまでに完済をいたしました。  パーティーの方は、これはもちろんわかればお知らせいたしますが、そう何回も開いておりませんで、一回かそこらだと思っております、それほど大きな金額ではもちろんありません。
  156. 木下敬之助

    木下委員 渡部厚生大臣、お伺いいたします。  大臣は、二十四日の参議院予算委員会での、小針氏自身が渡部厚生大臣について丸抱えで面倒を見た、このように述べておられることに対する質問に答えて、第一回の選挙の応援弁士派遣等で支援を受けたが、二回目からは一切受けてない、丸抱えかどうかは応援する人の主観の問題だ、このように言われますが、それだけの関係でしょうか。金銭的関係はないのですか。明確に御答弁をお願いいたしたい。
  157. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今のお尋ねのことですが、小針さん、これは私の選挙区の福島県の西白河郡矢吹町の出身でございまして、昭和四十四年の十二月ですから今から十五年近く前のことになりますが、私が初めて衆議院の選挙に立候補するとき、非常に顔の広い、また親切な方でありまして、私を一生懸命応援してくださいました。具体的には、今お話しのありましたように、私はそのとき無所属でございましたから現職の政治家の方の応援を表向き受けられないという立場でありましたので、当時有名な芦田伸介さんとかそれから有馬稲子さんとか、そういう方を応援に派遣してくださいまして非常にありがたかったな、こう記憶をいたしておりますけれども、第二回以後の選挙、私はこの前第六回の選挙を終わったわけでありますが、二回目から六回目までの選挙ではそのような応援はちょうだいいたしておりません。したがって、金銭関係は全くございません。
  158. 木下敬之助

    木下委員 竹下大蔵大臣にもお伺いいたします。  面識がおありのようにお聞きしておりますが、金銭的関係はございませんのでしょうか、お伺いいたします。
  159. 竹下登

    竹下国務大臣 参議院でもお答えいたしましたように、ちょうど国会に出ましたのが、私、二十六年前ですが、当時宿舎がまだ今のようにございませんでした。したがって、溜池の住宅公団のげた履きアパートに我々数人が住んでおりました。二DKでございます。それの三階に小針事務所がありました。子供たちは遊ぶところがありませんから事務所に毎度遊びに行っておったという事実は、私もよく記憶しております。したがって、通告がございましたので、ちょっと何年か前までさかのぼっていわゆる会費、献金を調べましたが、それはございません。慶弔、例えば先日私の父が亡くなりましたというようなときの御香典とか、そういうのはずっと長い間ございます。
  160. 木下敬之助

    木下委員 それでは、調査をされております国税庁にお伺いいたしたいと思います。  福島交通の関連会社の取締役に大物政治家が就任していたことがある、また、小針氏が主宰する財団には超大物政治家も名を連ねている、こういった報道もございますが、これは事実でしょうか。事実なら、実名を挙げておっしゃっていただきたいと思います。
  161. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 お尋ねの件でございますけれども、私どもの方では調査がそこまでいっておりません。
  162. 木下敬之助

    木下委員 そんな難しい調査でもないと思うのですが、取締役の名簿とかその財団の名前とか理事名簿とかは簡単に手に入るでしょう。それをお知らせいただけませんか。
  163. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 現在、手持ちの資料がございませんので、後ほど御報告いたします。
  164. 木下敬之助

    木下委員 簡単に手に入ると思うのですが、早速にも手配して、間に合うならすぐ出してください。(「後ほどというのはいつだ」「きょうで終わりじゃないか」と呼ぶ者あり)すぐわかるんでしょう。すぐ出してください。できるだけすぐお願いします。  続けて質問をいたしますが、使途不明金総額八十億円の行く先について、福島交通不動産会社側は税務調査で、多くを政治家へ配ったが名前や金額を詳しくは言えない、このように述べたと言われていますが、これは事実ですか。政界工作にこれらが使われたと判断されておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  165. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 使途不明金の問題でございますけれども、私ども、その解明のために最大限の努力をしているわけでございますが、残念ながら、これは資本金一億円以上の調査課所管の法人でございますけれども、全体で四百二十八億の使途不明金を把握して、その中で解明いたしましたのが八十七億で、約二〇%ぐらいでございます。年々その解明率は上がってきておりますけれども、残念ながら、そういうものは後には解明できない額が残っているというのが現状でございます。私ども、一般論といたしまして、できるだけ調査をいたしますけれども、解明し残しというものがどうしても残ってくるわけでございまして、それについては、行き先は結局使途不明ということでとどまっております。
  166. 木下敬之助

    木下委員 ちょっと、そういうことを聞いたんじゃないのです。そういう調査の中で、もう名前とかわかっていることがございますでしょう。いろいろな政治家の名前が挙がってきたわけでしょう。だから、関連して出てきた政治家の名前を全部おっしゃっていただきたい、こういう趣旨で私はお聞きしておるのです。
  167. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 個別の問題でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。(「どういう意味だ。おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  168. 木下敬之助

    木下委員 これはどういう意味ですか、本当に。政界浄化を期待して、政治倫理には特に厳しい目を向けておられる国民に、この期待にこたえるためにも、これは出すべきじゃないですか。総理、この点、どうお考えになりますか。
  169. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今まで大蔵省で、守秘義務とかあるいはプライバシーとかあるいは今後の税務調査の運営上協力を求めるという、そういういろいろな点で、一定の限度以上は出さない、そういう原則があるようであります。それに該当するのではないかと私は想像いたしますが、大蔵省からもう一回説明を願います。
  170. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 私どもが調査をいたします段階は、いわゆる質問検査権ということで調査をいたしておりますのですが、実際上は納税者の協力を得ながら解明をしていくというのが実情でございまして、ほとんどが任意調査でございます。その場合には、やはり納税者の秘密と申しますか内容につきまして、私どもが守るということによりまして協力が得られているのが現状でございますので、個別の内容についてはお許しをいただきたいと思います。
  171. 木下敬之助

    木下委員 それで国民が納得するとは全く思われません。総理自身も、政界浄化、政治倫理の問題は、これは大変な決意を持って臨むということでこの国会は始まっておりまして、さきの選挙の反省というのもその点にあるという姿勢も、総理、明確におっしゃっておりますから、これをいいかげんにすることは私は許されないと思います。どうか総理、総理の決断でぜひともこの名前をはっきりと公開されることを望みますが、どうでしょう。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 大蔵省あるいは国税当局が今までとっておる原則を一般的に破るということはどうかと思います。それは一時の問題ではなくして、あるいは今後税制を取り扱っていく上につきまして、あるいはそういうようないろいろな面から見て、長い目でもまた見なければならぬところもあると思います。その辺は大蔵大臣が主管しておりますから、大蔵大臣に適切に判断してもらいたいと思っております。
  173. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、やはり税務という問題は、これは木下さん御存じのとおり、個別案件はまさに守秘義務がかかるわけでございます。したがって、大法人に対する一般論としての国税庁の次長が答弁するのも、私はそれが答弁の限界だろうというふうに考えております。いわゆる新聞や雑誌等でいろいろ報道されておる事柄などは、その調査の際に念頭に置いて適切に調査することでございましょうし、その新聞に出ておったという問題が直ちにこの個別案件の中の名前まで発表しろということには、お答えできないというのが、私は、これは守秘義務の立場から当然だと思います。
  174. 木下敬之助

    木下委員 この問題を総理にお聞きしているのは、そういう税務の問題だけにこだわらなくて、これはだんだんたくさんの問題に発展していくと思うのですよ。それについてはこれからも質問もいたします。その中で総理は、やはり国民に対して明らかにするという姿勢を持ってやっていただきたいと思います。これから私、いろいろと質問しますから、どうぞそういう意味でお答えをお願いいたしたいと思います。  まず、運輸大臣に御質問いたします。  福島交通不動産の親会社に当たる福島交通には国庫補助がなされてきているわけですが、この問題に関して細田運輸大臣は参議院の予算委員会で、補助金が適正に使われているかどうか厳重な調査をする、このように答弁をされておられますが、いつまでに結論を出すのか、今国会中に結論を国会に報告するのか、お伺いいたしたいと思います。
  175. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 福島交通は鉄道で年間約五百万、バスが四千六百万ぐらいな人を運んでおる、福島県における主幹交通機関でございます。そこで、法令の定めるところによって、赤字欠損をいたしておりますので補助金を出しておるのでございます。  先般、参議院で調査云々と申しましたのは、三月はちょうど補助金を出す時期に当たっておるわけなんでございまして、五十八年度の補助金をどうするかということについて、実はこのやり方は、県が一応補助金を出しましてその半額を国が補助する、県に対して国が出す、こういう仕組みにしてあるわけでございます。そこで、県に厳重に調査をするように、どうするのかということで申し上げたわけでありますが、県は八億三千三百万、これは本年度のバスの関係でございます。鉄道の方は非常に小そうございまして三百万円ぐらいの補助金でございますが、この主たるものはバスでございますけれども、これについていろいろ調査した結果、交通関係としては間違いなくこれは出すべきであるという結論に達しましたということでございましたので、私どもの方もそのように処置することにいたしました。
  176. 木下敬之助

    木下委員 調査の結果が正当であった、今のはこういう調査報告であるわけですね。
  177. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 交通に関する限りは、私どもの方は交通関係だけでございますので、間違いがない、こういうことでございましたので、その半額を今月三十日に福島県に交付するということにいたしておる次第でございます。
  178. 木下敬之助

    木下委員 補助金を交付されている企業は政治献金をしてはならないことに、現行法でなっておりますね。今回の場合は、福島交通不動産がトンネル会社となって事実上の脱法行為が行われているのではないか、このように思われますが、こういった疑惑が晴れない限り補助金交付をストップすべきではないか、正当に出されるべきものであるとは考えられないのですが、この点、どうお考えになりますか、お伺いいたします。
  179. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  私鉄の会社というのは、鉄道やバスだけではやっていけないところがほとんどなのでございます。これは国鉄のことは申し上げるまでもございませんが……。そこでいろいろな子会社をつくったり関連会社をつくったりいたしておるわけでございまして、私どもの方としましては、厳重に鉄道の関係の収支を調べて補助金を出すということでございまして、それにデパートがどうしたとか、不動産業がどうしたとか、どこがどうしたということまで一々私どもが調べるということはいかがかと思っております。それは別なところで、お調べになるならなるところがあるのではなかろうか、こう思っております。
  180. 木下敬之助

    木下委員 質問通告はしておりませんが、自治大臣、大変御関心もおありと思いますので、こういった補助金をそういうトンネル会社に出しているのが、今言われたような調子でいきますと、ざる法のままで全然調査の対象でないように言われます。こういったことを自治大臣としてはどう考えられますか。
  181. 田川誠一

    ○田川国務大臣 政治資金規正法によりますと、自治省にはそれを取り締まる権限が、調査する権限がございません。報告を受けたものを事務的に誤りがありますればそれを正すことはできますけれども、行って調査をするということは不可能でございます。ただし、警察の方から見て犯罪の事実があれば、これは政治資金規正法で取り締まることができるわけでございます。
  182. 木下敬之助

    木下委員 そういうことで、法務省に質問をいたしたいと思います。  この事件について特別背任の可能性があると見ておられるか、検察は関心を持っているか、独自に捜査する考えがあるのか、検察の考えをお伺いいたしたいと思います。
  183. 筧榮一

    ○筧政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の会社につきましていろいろの新聞報道がなされているということは承知いたしておりますが、またそれにつきましての具体的な事実関係が明らかになっておりませんので、特別背任その他含めましてどういう犯罪が成立するかという点については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  一般論で申し上げますと、例えば使途不明金につきましては、使途不明金があるからといってそれが直ちに特別背任罪その他につながるとは必ずしも限らない。しかし、それが特定の犯罪につながる嫌疑があります場合には、検察としては必要に応じて適宜厳正な措置をとってまいりたい、このように考えております。
  184. 木下敬之助

    木下委員 今回のこの問題に関してどういう関心を持っているか、その関心の度合いを少しおっしゃっていただけませんか。
  185. 筧榮一

    ○筧政府委員 今申し上げましたように、新聞等でいろいろ報道されております。それは当然検察当局も承知しておるところでございまして、今後の事態の推移に応じまして、必要に応じて適宜適切な措置をとるというふうに考えております。
  186. 木下敬之助

    木下委員 では、大蔵省の方にお伺いいたします。  この事件に関して有価証券報告書虚偽記載罪の可能性があると見ておられますか。その見地から調査されておられるのか、お伺いをいたします。
  187. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えいたします。  虚偽記載という言葉が証券取引法上何カ所かで使われております。今先生のお尋ねは虚偽記載罪に当たるのか、こういうお尋ねでございますが、私どもは、有価証券報告書に間違った記載がされている場合の扱いというのは二つの側面がございます。  申し上げるまでもなく、有価証券取引法の目的は投資家の保護ということでございます。そういう意味で、虚偽の記載、虚偽といいますか間違った記載がされた場合には速やかに正しい姿に直させるということがまず第一段階として必要でございます。その観点で最終的には訂正命令を出すという手続が定められております。  今最も急がれるのはその関係の処理だものですから、もう新聞等で御承知のとおり、とりあえずは監査意見を付した公認会計士から事情の聴取をいたしました。さらに、その事情聴取の内容は最終的には会社から事情聴取を必要とすると思われますので、近日中に会社の当事者から事情聴取をする段取りでおります。  もう一点の今の虚偽記載罪の方でございますが、これは罰則がかかる虚偽記載の事実なんですが、この場合は要件がもうちょっと絞られておりまして、これは解釈の問題でございますが、そういう虚偽記載を故意に行った場合に罪を構成するわけでございまして、そこのところは会社の当事者から事情聴取をした上で、これが故意であったかどうかという判断を最終的にはしなければならないということで、現在の時点では、まだ虚偽記載罪と言える行為なのかどうかということを申し上げられる段階まで調査はいっておりませんので、そこまでのお答えしかできない状況でございます。
  188. 木下敬之助

    木下委員 この有価証券報告書虚偽記載罪について法務省はどのように考えますか。今言ったように、故意であるかないかという判定を大蔵省だけの考えに任せるのか、法務省としてもそこが故意であるかどうかを調査して、犯罪としてこれを足がかりにこの問題を調査して、全貌を国民の前に明らかにする、こういった考えはないのか、お聞きいたしたいと思います。
  189. 筧榮一

    ○筧政府委員 お尋ねの点につきましても、やはり具体体的な事実関係というのは明らかになっておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、今大蔵省からもお答えがありましたように、いろいろ要件がございまして、故意であることは犯罪でありますから当然の要件でございますが、証券取引法二十四条一項に定める有価証券報告書であること、それから重要な事項について虚偽の記載があること、それを大蔵大臣に提出するということで、その要件を満たしました場合には、証券取引法の百九十七条一号の二によりまして、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」というふうに定められております。したがいまして、そういう犯罪の嫌疑が認められます場合には、当然それにしかるべき措置がとられるものと考えております。
  190. 木下敬之助

    木下委員 大事なところを教えてくださいよ。故意であるかどうかというのは大蔵省だけの判断に任せるのですか、法務省も調査してその判断をするのですか。
  191. 筧榮一

    ○筧政府委員 犯罪の嫌疑ありということで検察庁で捜査をいたします場合には、検察官が故意があるかないかを最終的に判断するわけでございます。
  192. 木下敬之助

    木下委員 もう一点、法務省にお伺いいたします。  これは読売新聞の三月二十七日の報道なんですが、東北新幹線郡山駅付近の地下道建設工事の予算化をめぐって、昭和五十四年当時の渡海建設大臣と小針氏との疑惑が浮かび上がっております。この問題について検察庁は調査を進めておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  193. 筧榮一

    ○筧政府委員 お尋ねの事実は、その新聞を拝読した段階でございますので、それ以上のことはいたしておりません。
  194. 木下敬之助

    木下委員 新聞のとおりだと、これはもう大変な事件でございますので、どうぞよく調査をお願いいたしたいと思います。  国税庁にもう一度お尋ねいたします。「福島交通不動産は、八十億円余の使途不明金のほかにも、毎年十五億円前後の貸付金を計上しており、このうち一部が五十年ごろ、自民党の二人の有力政治家に貸し付けられたままになっている」、このことを確認している、こういった報道がなされておりますが、これは事実でしょうか。
  195. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 私どもの調査に当たりましては、資金関係、関連会社との資金の流れその他につきまして十分調査をいたしておりますけれども、これもまた個別の問題でございますので、内容については差し控えさせていただきたいと思います。
  196. 木下敬之助

    木下委員 内容について言わないでは本当にどうしようもないですよ。はっきり言ってください。だれとだれなのか。  二人という報道しか私、見ていませんけれども、もっといるのか、どうなっているのか。わかって言えるだけのことを言ってください。これは大変大事な問題なんですから、どうぞ。
  197. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもの調査につきまして、内容につきましてお答えを差し控えさせていただくということによりまして税務行政の運営を確保しておるわけでございますので、その点、御理解をいただきたいと思います。
  198. 木下敬之助

    木下委員 税務だけの問題じゃないと思うのですよ、政治家の倫理の問題ですから。税務の側からいえば、そういった守秘義務もあったりいろいろあるでしょうけれども、今度は逆に、政治家の倫理は一般人よりもっと厳しくていいという政治家側からの話なんですから。それは、そちらの立場だけではなくて、総理の側からどうぞひとつ、総理の率いていられる皆さんのいろいろな話題が出てきているわけですから、明確な答弁をいただきたいと思います。  総理、それでは確認いたしたいと思いますが、現閣僚の皆様は、今回資産公開をみんな行われましたね。その内容は、借用金というのも項目の一つにありました。そのことから考えて、総理は各閣僚の借用金の中身に、ついても御承知と思います。福島交通不動産から借用している方は、現在の閣僚にはいないと総理は断定なさいますか。先ほどの国税庁の確認していると言われている有力政治家とは、現在の閣僚ではないと断定できますか、おっしゃってください。
  199. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 資産公開につきましては、内閣官房で基準をつくりまして、その基準に基づいて一人一人それぞれ資産を公開するということで、それぞれの記者団に発表したという形をとっておりまして、それぞれ基準に基づいて発表になったもの、このように考えておる次第でございます。
  200. 木下敬之助

    木下委員 借入金のところを見ましたら、随分たくさん借り入れされている方もおりますけれども、少ない方もおられ、ない方もおられます。ない方がこの福島交通から借りているはずはないので、基準の中から考えれば、そういった方は当然さっき出てきましたような借り入れを福島交通不動産からしているということはない、このように確認できるのではないかと私は思います。  そして、今言われましたけれども、資産公開の基準ですね、この問題についても非常に国民は、何だという感じを持っていますので、本当に総理が国民の前に政治倫理の問題で明らかにしていこうとするなら、こういった点をどうぞひとつ積極的にやっていただきたい、リーダーシップをとってやっていただきたいと思います。  この問題は、これで終わります。  次に、もう時間もありませんから、日米農産物貿易の問題について質問いたしたいと思います。  午前中の川俣委員の質問で相当いろいろな話も出ましたし、その中で月内決着の必要性を相当に強調されておりますが、この月内決着の可能性があると見ておるのか、見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  201. 山村新治郎

    山村国務大臣 日米両国間の大きな隔たりがございまして、なかなか難しい状態になってきたというのが、偽らざる今の状況でございます。
  202. 木下敬之助

    木下委員 総理は、四月二日に公聴会が予定されていて、その後になると縛られて動きがとれなくなるおそれもあるのでと、こういうふうに早期決着を早くやらなければならないということを言われているわけですね。非常に難しいという見通しだけでは済まされない、もう切迫した問題だと思いますが、大臣自身の決意をお聞かせください。
  203. 山村新治郎

    山村国務大臣 三月いっぱいというのを目途に、まだ決してあきらめたわけではございません、いろいろとやっておりますが、何にしても日米経済摩擦、貿易摩擦の象徴というような状況でもございますので、一日も早く何とか解決したいということで動いてまいります。
  204. 木下敬之助

    木下委員 月内にやりたいと言われますけれども、きょう、あした、あさって、もう三日しかありませんが、具体的に交渉の場というのはもうセットされておるのですか。どうなさるおつもりですか。
  205. 山村新治郎

    山村国務大臣 正式な交渉の場はございませんが、水面下の動きと申しますか、いろいろやっております。
  206. 木下敬之助

    木下委員 交渉決着が可能であるなら、具体的にどのくらいの輸入量での決着が可能だと考えておられるのか、お伺いいたします。具体的に答えてください。
  207. 山村新治郎

    山村国務大臣 今交渉中でございますので、手のうちを見せるようなことにもなりますので、ひとつその点は御理解いただきたいと思います。
  208. 木下敬之助

    木下委員 それではお伺いしますけれども、ブロック米通商代表部代表は、米側一万トン上乗せ、日本側は五千六百トンを主張、こういう状態であるように発表されておりますね。そして、この間の日米農産物事務レベル協議は物別れに終わったのですが、この物別れは、双方の主張がどういう状況で物別れになったのか、聞かせてください。時間がもうありませんから、簡潔にお願いします。
  209. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  いろいろやりましたが、相変わらず相当隔たったままで別れました。
  210. 木下敬之助

    木下委員 その数字を、もう米側はああいうふうに発表もされておるのですよ。日本側としても、どういう数字で差があるままになっているということを、ここで明らかにされたらどうですか。
  211. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 私どもといたしましては、相変わらず従来どおり、交渉の立ち入った内容を公表することは控えるという態度を維持していきたいと思っております。
  212. 木下敬之助

    木下委員 向こう側は、それがどういう政治的意味を持つのかわかりませんけれども、もう言われているのですから、そういうことでは通らないのではないかと思います。  それでは、最後にもう一つ聞きますが、今まだ言えないというのなら、この日米農産物交渉が月内に決着しなかった場合、このときは、どういう状態であったけれどもこういう開きがあったから決着できなかったということを、国民の前に説明しますか。
  213. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 私どもといたしましては、決着をつけるべく最善の努力をしたいというふうに考えておりますので、今の段階で決着がつかなかったときのことは想定いたしておりません。
  214. 木下敬之助

    木下委員 そんな難しいことを聞いているのじゃないのですよ。決着がつかなかったら、正直に経過を全部報告するかと聞いているので、これはあなた、別に難しいことじゃないじゃないですか。
  215. 山村新治郎

    山村国務大臣 ちょうど三月いっぱい全力を尽くしてやりますが、しかし、三月いっぱいでもし話がつかないといたしましても、引き続いてできるだけ早い機会にこれに当たるつもりでございますので、そのときにどういうようなことで決着がつかなかったということは、決着をつけるつもりでございますので、ひとつその点はお許しいただきたいと思います。
  216. 木下敬之助

    木下委員 そこまで言われるなら、最後に、仮定の問題で申しわけありませんが、決着がつかなかったときには、いつをめどに、どういう決着を考えられますか。
  217. 山村新治郎

    山村国務大臣 お答えいたします。  いつをめどにと申しますが、三月がだめであってもできるだけ早い機会にということで、直ちに、ずっと継続して行ってまいります。
  218. 木下敬之助

    木下委員 それでは、時間が来ましたので、最後にもう一問、総理にお伺いいたしたいと思います。  総理の公約であります臨調答申の実行のために、電電公社の民営化問題に早急な決着をつけることが必要でありますが、現在、VAN事業者への規制と外資規制をどうするかについて、郵政、通産両省の争いが大変激しいようで、そのために、電電公社の民営化に不可欠な電電会社法案と電気通信事業法案の提出がおくれておるようでございます。政府提出法案の提出期限は、今国会は三月二十七日までに閣議決定するということを申し合わせている、こうお聞きいたしておりますが、その日限も過ぎた今、まさに総理の決断が求められていると思います。総理は、この点とのような方針で決着をつけられるおつもりか、お伺いいたしたいと思います。  その一つがVAN事業者に対する規制ですね。許可制、届け出制あるいは業務方法の改善命令、どういったふうにするのか、自由にするのか、こういったことが一つと、外資規制については対外経済摩擦にも関係してくるので、この点をどう決断なさるか。この二点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  219. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 その前に、農産物の問題につきましては、農林大臣も申しますように、やはりできるだけ早期に決着をする必要がある、両国が建設的に、頭を冷やして、そして大局的見地に立って、両方の国益を守りながら妥協点を探り合うべき問題です。日米関係というのは、政治、経済、文化あるいは安全保障に至るまで、お互いに一番大事な関係であるべきものなのでありまして、そういう大きな太い流れというものを見詰めながら、局部的なものによってこれが阻害されるべきものでないと私、確信しておる。したがいまして、この農産物問題についても、日本側は積極的に解決の熱意を持っておるし、また、いかなる場合においてもできるだけ早期にこれを解決するように全力を尽くして努力する、そういう姿勢であるということをここで申し述べておきたいと思います。  それから、電電公社やVANの問題につきましては、今、党を中心にいたしまして、党内の意見の調整をやっています。郵政省あるいは通産省からの考えばもう出尽くしておる。党の政調会あるいは四役等を中心にして最終的な判断を示す段階に来まして、私はその意見を待って考えてみたい、そう考えております。
  220. 倉成正

    倉成委員長 これにて木下君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  221. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、福島交通不動産をめぐる疑惑について伺います。  安倍外務大臣は、先ほどの答弁で一億円を借りていたことは認められた。しかし、それをことしの一月三十一日に、大変にわかな感じがするんだけれども、返した、こうおしゃったわけですね。そのときに利息は払われたのですか、払われていないのですか。
  222. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは正式な契約でちゃんとやってきたわけでありますし、完全に完済をいたしました。
  223. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いているのは完済したかどうかではなくて、利息をお払いになったかどうかということを聞いているのです。
  224. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ですから、すべて完済をいたしました。
  225. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そのすべての中には、元金のほかに利息というものを含んでいるのですか、元金だけなんですか。
  226. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 それは契約書の中に金利の計算もありますから、それに基づいてちゃんとやっておるわけです。
  227. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その一億円は随分長い間放置されていたというふうに我々は聞くのですが、安倍さんにとっては大した額ではないかもしれないけれども、世間一般から見れば大変大きな額なんですね。ですから、普通一般の常識からいえば、いつどんな条件でお借りになったのかは当然覚えていらっしゃると思うのです。中間でも返してあるともおっしゃいました。当初借りられた時期、条件、そういうものをお答えいただきたいと思います。
  228. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは全く個人的なことですし、十年ぐらい前の話で、先ほど木下委員にお話ししたとおりで、家の売買のときに当たって当時の福島交通不動産にいろいろとあっせんしてもらった、こういう関係で借りて以来のことですから、もう十年前のことですから詳しくは覚えておりませんけれども、しかし、きちっとした貸借ということになっておるわけですから、私にとりましてはそれ以上のことを何も申し上げる筋合いはない。そしてこれはきちっと始末のついた問題であります。
  229. 瀬崎博義

    瀬崎委員 金利もちゃんと払っているんだとおっしゃいましたが、その金利というのはどの程度の金利だったのですか。
  230. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 それはここで申し上げる必要もないことじゃないでしょうか、ちゃんと全部すべて始末したのですから。そして、これは何も政治関係とかそういうことじゃありませんし、いわゆる個人と会社との間の関係で、謄本も入っているし、きちっとした正式なあれに基づいておることですから、この場で申し上げる筋合いのものではない、こういうふうに思います。
  231. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほどの質問に対する政府の答弁で、例の小針育英財団の役員の名前を政府側は守秘義務だとかなんとか言って公表しなかったわけですね。しかし、我々が調べたところでは、五十六年三月四日設立申請を福島県に出したときに記載されている理事名というのは、小鉢社長を含めて十人、その後、これは五十八年の六月十六日に二名追加されて十二人になっているわけであります。その中に、いわゆる大物政治家として名前の挙がっているのが福田赳夫氏、金丸信氏、それから安倍晋太郎大臣なんですね。現職の閣僚では安倍大臣だけなんです。一体どういういきさつで、また何を目的にこういう理事を引き受けられたのか、説明をいただきたいと思います。
  232. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはたしか、小針さんが私財をなげうって、福島県のいわゆる育英事業に尽くしたい、こういう趣旨でありまして、この趣旨、目的は大変立派なことである、こういうふうに思いまして、もちろん営利事業ではありませんし、育英事業、青少年を育成するという事業ですから、あえてこれは引き受けたものであります。
  233. 瀬崎博義

    瀬崎委員 政治家ですから、当然広い視野でお考えになっていると思うのですが、育英事業は大変いいことですね。しかし、小鉢社長が経営する福島交通にしても、経営難で退職金も払っていないという事情のあることは御存じだと思いますし、また、不動産の方も、さらに輪をかけた経営状態の悪い企業であることも御承知だと思うのですね。そういう小針氏が、一方の会社の従業員にはそういうふうな状態にしておいて、一方育英財団をつくられる、そういう点に疑問をお感じになることはなかったでしょうか。そういう中で、特に安倍さんがいわば一つの地方の財団の役員を引き受けられたというのは、何かやはり特別ないわれがあるのではないかと思うのですがね。
  234. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、会社の内容については何も詳しく知りません。ただ、その事業の目的が育英事業といういい仕事でありますし、小針さんからぜひなってくれということで頼まれたからあえて引き受けたわけでありまして、それ以外の何らの理由もありません。
  235. 瀬崎博義

    瀬崎委員 小針社長はある新聞のインタビューに答えて、安倍ちゃんとも親しいんだ、ちょいちょい料亭へも飲みに行っている、安倍ちゃんは余り物をしゃべらぬけれどもと、こういうようなことまで語っているのですが、それほど親しいおつき合いだったのですか。
  236. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 割合親しい方であります。
  237. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、「晋太郎会」というふうな一種の後援会、そういうものも組織され、もちろん小針社長が音頭をとって、そういうところにも出席されていろいろと激励も受けていらっしゃるようですが、そういうことはすべて事実ですか。
  238. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 小針さんという人は大変つき合いの広い人でして、政治家でも私だけではありません、広いつき合いをされておりますし、政治が好きなものですから、そういう意味ではいろいろと話をしたり、親しくしておるわけでありまして、また、そういう会に出てきたようなこともある、こういうふうに思います。
  239. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうものに関連して、パーティー券などは相当買ってもらったようなお話ですが、簡単には金額はわからないというお話ですが、しかし、巷間言われているところでは、決して小さな額ではないのですね。相当大きな額であり、相当回数も多いように見受けるのですが、常時そういう資金的な面でもこの小針さんのいろいろな援助を受けていらっしゃったわけですか。
  240. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 そういう政治的な面でのつき合い、資金援助といいますか、パーティー券、それは一般的なことであって、それ以上のものではありません。
  241. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど福島交通の有価証券報告書の虚偽記載問題が出ましたが、五十八年九月期有価証券報告書に、日債銀から出ている福島交通への巨額の融資を福島交通不動産に振りかえる、直接融資した形にする、この振りかえについて銀行の同意が得られていないのに得られた、こう書いたことがいわゆる虚偽記載に問われているわけですね。これは二十六日の大蔵委員会で我が党の正森委員が指摘して、大蔵省も既に公認会計士の事情聴取に入っていることを答えており、きょうもう事情聴取を終わった、こう言っていますね。  そこで、日債銀は不同意文書まで出しているわけですね。では、日債銀が不同意であるのに同意があったかのように虚偽記載したというこの事実は、公認会計士は認めたのですか。
  242. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えいたします。  御指摘の有価証券報告書に公認会計士が意見差し控えという意見を記載していることは御承知だと思いますが、監査の時点で文書によって確証が得られなかった、したがって、差し控えという意見を記載をしだということが実態でございます。
  243. 瀬崎博義

    瀬崎委員 非常にあいまいですね。あなたのお話を聞いていると、文書による確認はしていないが、口頭による確認はあったかのように聞こえるのですが、そう理解していいですか。
  244. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 監査を行いました時点で、会社と銀行の間に債権の振りかえについての話し合いが行われていたことは事実だったようでございます。そこで、適正だという意見を付するためには文書でその確認を得なければならないと公認会計士が判断をした、その文書は近日中に入手できるという説明を会社側から受けた、したがって、適正だという意見を付することはできない、しかし、逆に不適正だとまで断定するような状況ではないという判断をして、意見差し控えという意見を記載をした、こういう説明でございます。
  245. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この虚偽記載が故意がどうかも重大な問題なんですが、そもそもこういう日債銀からの融資の振りかえを必要とした事情というのは、福島交通が日債銀から借りた金を、言うならば又貸しの形で不動産の方に回している。そうすると、福島交通の方にはどうしてもそれに見合った貸倒引当金を積んでおかなければいけない。約十八億積んであるのでしょう。これを何とか取り崩したい、そういうところから、さも同意があったかのような、あるいは現に日債銀も、口頭では応ずるかのようなことを言ったかもしれません。今の話からそう推察されますが、こういうことが起こっているのではないかと我々は考えるのですが、いかがですか。
  246. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 公認会計士の監査は、あくまでも当該会社の監査でございます。日債銀との話し合いの内容なり経過については、当該会社の担当者から話を聞く、あるいは文書で確認を求めるということが限界でございます。  そこで、今御指摘の点については、公認会計士からの意見の聴取をおおむね終わりました。おおむね終わりましたが、最終的には会社の担当者から、当時日債銀とどういう話し合いが行われていたのか、会社側の受け取り方としてどの程度の確度を持って見通しを持っていたのかということを確認いたしませんと、証券取引法上でいう重大な事実に、ついての虚偽の記載という事柄に当たるかどうかの最終的な判断はいたしかねますので、今その調査を至急やるべく進めている最中でございますので、もうしばらく最終的な判断はお待ちをいただきたいと思います。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私がもう一つ聞いている、単に記載が間違っていた、虚偽だったというだけではなくて、それは貸倒引当金の取り崩しという実体を伴っている、ここに重大性があるということを指摘しているんです。その点はどうですか。
  248. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 貸倒引当金あるいはその借入金の残高、これが会社の経理内容にとってかなり重要な部分であることはお説のとおりであります。ただ、この会社の場合は、上場している会社ではないわけであります。したがって、毎日のように大衆投資家が株の売買をしているという会社ではない。したがって、そういう要素もがみ合わせて、訂正命令を今の段階で出すような重大な虚偽記載かどうかという点は、やはり会社の当時の認識をお聞きをした上で判断すべきものではなかろうかと思っております。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 貸倒引当金の取り崩しと関係があるんじゃないかということを聞いているわけです。
  250. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 もちろん、現在問題になっているのは、貸倒引当金の取り崩しが経理の方法として正当であったかどうかということであることはよく承知しております。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それから、福島交通不動産の五十億円の使途不明金に関してですが、これも商法上の特別背任の可能性があることは大蔵委員会で正森議員が指摘して、そしてその場で法務省が、使途不明金が犯罪につながる可能性がある場合は厳正に対処していくと答えている問題なんですね。  そこで具体的に聞きますが、五十億の使途不明金の中には政治家に対する相当の政治献金が含まれているとも見られるわけですね。これらが政治資金として届け出がなされていない可能性も考えられるのじゃないですか、法務省
  252. 筧榮一

    ○筧政府委員 お答えいたします。  具体的な事実関係が明らかになっておりませんので、ちょっとお答えはいたしかねるところでございます。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同じく五十億から支出された金を受け取った相手方において、今度はそれが所得になる場合、所得の申告がなされていない可能性、つまり脱税の可能性も当然考えられるのじゃないですか。何せ五十億の金ですからね。まずこれは国税庁の方に聞いてみたい。
  254. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 使途不明金でございますので、相手先が把握できなかったということでございます。例えばの話でございますが、それを受け取った方がおられて、それを私的な経費に使われれば当然所得になると思いますが、それを政治活動に使われたという場合には、一たん所得は雑所得になりますが、政治活動に使いました経費経費として認められるという形になっております。
  255. 瀬崎博義

    瀬崎委員 だから、今のでもわかるように、政治活動に使われた可能性を国税庁は指摘しているわけですね。これはお聞きになりましたね。しかし、もし所得に使われておれば当然税の対象になる、こういうことになるのじゃないですか。その両方があるという可能性をあなたはおっしゃっているのじゃないですか。
  256. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 先ほど申し上げました個別案件の内容につきましては申し上げられないのですが、一般的に使途不明金と言う場合には、私どもがどうしても解明できなかったものでございますので、それが何らかに使用されたということを私どもが認めたわけではないのでございます。
  257. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは資本金がわずか四千万円の会社の五十億円という使途不明金なんですよ。これが一般の使途不明金の扱いで済むものかどうか。ですから、改めて伺いますけれども、そもそも使途不明金については商法上の特別背任の疑いもある。また、福島交通の方の有価証券偽造記載に基づく十八億円の貸倒引当金の取り崩しは、これもまた場合によっては会社に損害を与える特別背任の疑いを持たれる。そして、使途不明金の調査いかんによっては、あるいは政治資金規正法違反とかあるいは脱税とか、こういう疑いも出てくる。こういう問題ですから事は本当に重大だと思うのですよ。ですからこれは強制捜査を含む強力な捜査が必要だと思うのです。この点で法務大臣並びに国家公安委員長の答弁を求めます。
  258. 筧榮一

    ○筧政府委員 まず、事務当局からお答えさせていただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、使途不明金が直ちに何らかの犯罪に結びつくというわけではございません。ただ、場合によってはそれが御指摘の特別背任とかあるいは脱税とかというのにつながる場合もないわけではないと思います。したがいまして、使途不明金に関連しまして何らかの犯罪の嫌疑があります場合には、検察当局としてもそれに応じて適切な措置をとられるというふうに考えております。
  259. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ある場合にはというふうにあなた方が仮定を置くから、我々は、そうじゃなくて強制捜査を含む強力な捜査が必要ではないか、こう聞いているのですよ。法務大臣と公安委員長、答弁願います。委員長、指名してください。
  260. 筧榮一

    ○筧政府委員 結局、先ほど申し上げましたように、可能性がないわけではない。ただ、現在まだ事実関係が不明でございます。その段階で、犯罪の嫌疑があるということで直ちに強制捜査というわけにはまだまいらないかと思います。
  261. 田川誠一

    ○田川国務大臣 具体的な事実がわかりませんうちには、まだ申し上げるわけにもいきませんけれども、一般論として、犯罪容疑がありますれば厳正に対処をしてまいります。
  262. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ロッキード事件について伺います。  これは総理に伺うのですが、五十一年十一月二日、政府は灰色高官に関する政府報告を出しましたね。いわゆるロッキード資金三十ユニットを受け取ったと指摘された二階堂、加藤、田中の各議員は、その後、十一月四日のロッキード問題調査特別委員会においてこれを全面的に否定し、例えば二階堂議員は、天地神明に誓ってロッキード社の航空機売り込みに関し金銭を受け取った事実は全くない、こういうふうに言った。田中議員も、弁明書を提出して、一千万円収受した事実は全くない。さらに二階堂議員は、五十六年八月四日の議運にも、天地神明に誓って金銭を受け取った事実はないという上申書も出した。  一方、ことしの二月二十三日に全文が公表されたロッキード(丸紅ルート)事件の判決では、ロッキード資金三十ユニットの授受に関しては、証拠を挙げて次の事実を明らかに認定することができると裁判所はいたしまして、二階堂氏五百万円、加藤氏二百万、田中氏一千万円の金銭授受のあったことを認定しているわけですね。まさに政治家側の言い分と判決とが真っ向から対立しているわけですね。  しかし、真実は一つなはずなんですよ。かつて、衆参両院決議及び衆参両院の議長裁定においては、ロッキード問題に関する真相解明と政治的道義的責任の究明は国会の責務とされているわけです、これはもう重々御承知のごとく。そういうことからも、金銭授受を明確に認定する判決文が公表されているにもかかわらず、金銭授受を否定する関係議員の弁明を放置するということは、まず国会としては責任放棄ではないか、同時に、このまま放置しておくということは国民の国政に対する不信を助長することではないかと考えるのです。自民党総裁でもあり、また国会議員でもある中曽根総理の見解を伺いたいと思います。
  263. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この問題は当該委員会理事会あるいは委員会において決めていただくべき問題でありまして、そのように処理していただくべきであると思って、そういうことを言ってまいりました。なおまた、そのころ裁判が係属している、そういう状態のもとにおいて片方で証人喚問というようなことを行うことは果たして適正であるかどうか、裁判に影響を与える、相互に影響し合う、そういうおそれなきや、そういうような問題も検討しなければならぬと思う、そういうことを私、前に言ったことがありますが、ともかくこれは理事会で決めていただくべき問題で、政党間の話し合いを待つということでございます。
  264. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いたのは、判決が認定をしている事実と関係の政治家が述べている事実と全く相反する、片方はシロ、片方はクロと言っているわけです。こういう状態のままほっておくことは国民の政治に対する不信を助長することとお考えにならないか、こう聞いているのです。どうですか。
  265. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 そこで、証人喚問するというようなことは、つまりそれは理事会において判断をしていただくということを前から再三申し上げ、政党間でそれは決めていただきたいと申し上げているのであります。
  266. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは伺いますが、五十年九月八日に、自民党はいわゆる灰色高官の公表基準に関する方針を国会に提出されていますね。その中で、  ロッキード事件は外国の資本によってわが国の政治、行政を左右しようとする性質をもつものである点から、国民はこの事件に対して強い不信感のもとにその真相解明に重大なる関心をもっており、国会はこの事件の徹底的究明を決議し、さらに、この事件の政治的、道義的責任を解明し、政治の自己浄化作用によって政治道義を正し、政治に対する国民の信頼に応えることは、今の政治に課せられた基本的責務である。これは自民党の灰色高官公表基準の方針の文書の中で述べている言葉なのですよ。これは、中曽根総理が当時自民党の幹事長として、この方針の作成、提出にかかわられたのじゃないですか。
  267. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 そういうようないきさつもあり、そして国会がこの事件の真相を調査をする、そういう趣旨の、決議でございましたか、やった記憶がございます。
  268. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなたは、こういうクロシロの決着をつけるためには証人喚問が必要だし、そのことは理事会で協議願いたい、こうおっしゃいました。  そこで、自民党総裁である中曽根氏に伺うのですが、私たち日本共産党・革新共同は、去る二月十三日の予算委員会理事会に、実はこの三十ユニットに関連して、先ほど挙げた三人の政治家を含む七人の証人喚問の動議をぜひこの委員会に提出したいと強く要求したわけです。ところが、自民党の反対で事実上これは封じられているわけです。ですから、まさに総裁である中曽根総理が、しかも幹事長時代に自民党の方針として出された先ほどの言明に基づいて、この証人喚問が本委員会に実現するように強力な指導力を発揮してもらいたい。総理の明確な答えを伺いたいと思います。
  269. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 委員会の運営等に関することは、理事会でぜひとも御相談願いたい、そう思っております。
  270. 瀬崎博義

    瀬崎委員 重ねて伺いますが……(「時間だ」と呼ぶ者あり)まだ時間になっていない。  総理は、もし理事会が前向きに取り組むことについては、それは賛成の立場ですね。
  271. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ともかく、そういう委員会の運営に関することは、委員長を中心にして理事で相談し合ってくるというのが今までの慣例ですから、それでやってくださいと申し上げておるのです。
  272. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今の点については、総理の言葉もありますから、私どもが要求した期限まではなお時間がありますから、倉成委員長において、理事会の協議を強く求めたいのです。これは後でお答えください。  最後に総理に伺いますが、今挙げました自民党の灰色高官公表の文書には、具体的に公表すべき基準も書かれているわけです。三つの基準を挙げているのです。これは一々ここで読み上げなくても、もともと幹事長時代にできた文書ですから、総理は十分御存じだと思います。この二月に出ましたロッキード裁判の判決で認定された事実関係からいえば、二階堂議員というのはこの自民党自身が示された灰色基準にまさに適合するわけなんですね。そういう人物を今副総裁に起用されている。これは、田中問題にけじめをつけなければならないとか、その影響を排除するとか、こういうことを声明してきた総理、政治倫理を口にする総理、全くそれに反する行為ではないかと思うのですね。首相の見解を伺いたいと思うのです。
  273. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 裁判に係属して進行中の問題等については、お互いが節制を守ることがやはり三権分立の趣旨に合うゆえんではないか、自分は個人的に、そう思っております。
  274. 倉成正

    倉成委員長 瀬崎君、時間が参りました。
  275. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それならなおのこと、現在決着がついてない、まさに灰色の状態で進行中なんですから、そういうことのけじめもつかないのに副総裁に登用するということは、まさに国民の不信を買うことになりはしませんか。重ねて答弁願います。
  276. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げておるように、三権分立を尊重する、前から私は一貫して申し上げておるところなのであります。
  277. 倉成正

    倉成委員長 これにて瀬崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十九年度暫定予算三案に対する質疑はすべて終了いたしました。     ―――――――――――――
  278. 倉成正

    倉成委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  昭和五十九年度一般会計暫定予算昭和五十九年度特別会計暫定予算及び昭和五十九年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  279. 倉成正

    倉成委員長 起立多数。よって、昭和五十九年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました昭和五十九年度暫定予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  281. 倉成正

    倉成委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十八分散会      ――――◇―――――