○大出
委員 私は新聞を見まして、いろいろな新聞がこう書いておられるものですから。
「ザ・デイ・アフター」というのは、これはミズーリ州カンザスシティーでございますが、私、かつて行ったことがございますが、静かなきれいな町でありますけれ
ども、三十キロ離れたところにソビエト向けの核ミサイルの基地がある。オークスさんというお医者さん、このお医者さんは町の有力者でございまして、欧州の戦局その他から見て危険であると町じゅうの騒ぎになる、そうしたらオークスさんが、人間はばかだけれ
ども核戦争を起こすほどばかじゃないよ、こう言って説得をした。ここで言う人間はばかだけれ
どもというのは、クリスチャンでございましょうから、神に対してばかだと言っているのだと私は思います。
そう言って説得をしていたところが、ある日突然に轟音を発してミズーリ州カンザスシティーから三十キロばかり離れたソビエト向けの核ミサイル基地から核ミサイルがソビエトに飛んで行った。ソビエトの方からも三百発からの核ミサイルが飛んできた。ここから始まる「ザ・デイ・アフター」、つまりその翌日。廃墟になってしまった崩れ落ちた教会の中で鐘を拾ってきて牧師がぶら下げる。傷ついた人、歩けない人が山のように集まってミサ。瓦れきの中でオークスさんという医者が、人間はばかだけれ
ども核戦争を起こすほどばかじゃないよと説得をしたんだがと、茫然としてたたずむという姿が出てくるわけでありますけれ
ども、私も、人間は核戦争を起こすほどばかじゃないと思っている。信じたい。だが、それだけに私は核の問題は慎重でなければならぬという気がするので、ぜひそこのところは、言いっ放しにいたしますが、慎重な御答弁をひとついただきたいものだ、こういうふうに思っておるわけでございます。それだけ申し上げまして、次の問題に入らしていただきたいと存じます。
これはVANの問題でありますけれ
ども、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法案にかかわる問題であります。時間もたくさんありませんから、細かい議論はなるべく避けていきたいと思いますが、念のために申し上げておきますが、私は郵政省の諸君とも一言もこれは話をしたこともありません。また、電電公社の方々の御意見を承ったことも全くありません。一つの争いの渦中においでになるようでありますが、通産の皆さんとも一つも話したこともありません。ただ、私も逓信官吏練習所の出身でもございますし、アメリカのATT、IBMなどというものを長き二カ月近くにわたって調べてきた時代もございまして、かつて公衆電気通信法というものはおくれ過ぎているじゃないかという質問をしたこともございます。逓信
委員会で私は電話というのは何ですかと一言言って座ったら、米沢さんの時代でございましたが、どなたも答弁をなさらない。なぜかといいますと、公衆電気通信法には電話の定義がないからです。有線放送電話などというものを二十八条に入れたんだけれ
ども、そんなものを入れられる筋合いじゃない、法体系からすれば。だからどなたもお答えにならぬ。騒ぎになったこともございましたが、これは実情に合わぬということを一例を挙げて申し上げたわけでございます。だから、改革が必要であることはもう認めています。
ところで、申し上げたいことが山のようにございますけれ
ども、私が今取り上げたいのは、短時間でありますから、VANの問題を中心に承りたいと思うのです。
そこで、郵政省にまず承りたいのでありますけれ
ども、何かというとアメリカは全面的に自由化したではないかという先例が出てまいります。ところが、私は、これはATTにしても子会社のベル会社にしても、長いこと調べて歩いた時代がある。A型、H型、クロスバー、電子交換、ここのところには脈絡もない、何のつながりもない交換システムでありますが、組合の幹部を十七年もやっていましたから知り過ぎている。出た学校も学校であります。だが、過去十年余り眺めてみますと、ATTというものは非常に無理をして、強引なまでに統一に持っていった。だが、実際に何をやっているかというと、これはみんな採算のとれるいいところしかやっていない。自由化するといったって、いいところしか考えていない。VAN業の方に大きく入っていく。アメリカ全国に百カ所も核コンピューターをこしらえていって、まさにこれは自由化ところじゃない、簡単に言えば。それも昨年のこと。つまり、それまでは独禁法というものできちっと鎖がついていたわけですね、ATTにしてもIBMにしても。ほかに入られればえらいことになるからですよ。レーガン政権になってその政策が変わった、こういう経過がありますが、その意味で私は先例にはならぬと思っているのですが、郵政省の皆さんにこの点をまず承りたいのです。いかがでございましょう。