運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-03-05 第101回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月五日(月曜日)     午前九時三十分開議 出席委員  委員長 倉成  正君   理事 小渕 恵三君  理事 原田昇左右君   理事 松永  光君  理事 三塚  博君   理事 山下 徳夫君  理事 岡田 利春君   理事 川俣健二郎君  理事 二見 伸明君   理事 大内 啓伍君      相沢 英之君     伊藤宗一郎君      石原慎太郎君     宇野 宗佑君      上村千一郎君     大村 襄治君      奥野 誠亮君     海部 俊樹君      金子原二郎君     小杉  隆君      砂田 重民君     田中 龍夫君      高鳥  修君     玉置 和郎君      橋本龍太郎君     原田  憲君      三原 朝雄君     武藤 嘉文君      村田敬次郎君     村山 達雄君      井上 一成君     稲葉 誠一君      上田  哲君     小川 国彦君      大出  俊君     島田 琢郎君      清水  勇君     武藤 山治君      矢山 有作君     湯山  勇君      草川 昭三君     斉藤  節君      木下敬之助君     小平  忠君      田中 慶秋君     滝沢 幸助君      経塚 幸夫君     工藤  晃君      瀬崎 博義君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 森  喜朗君         厚 生 大 臣 渡部 恒三君         農林水産大臣  山村新治郎君         通商産業大臣 小此木彦三郎君         運 輸 大 臣 細田 吉藏君         郵 政 大 臣 奥田 敬和君         労 働 大 臣 坂本三十次君         建 設 大 臣 水野  清君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     田川 誠一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      中西 一郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      後藤田正晴君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         内閣参事官   中村  徹君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         管理局長    服部 健三君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         総理府人事局長 藤井 良二君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         行政管理庁行政         監察局長    竹村  晟君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         外務省経済局次         長       恩田  宗君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房総         務審議官    吉田 正輝君         大蔵省主計局長 山口 光秀君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省関税局長 垂水 公正君         大蔵省理財局次         長       吉居 時哉君         大蔵省理財局次         長       志賀 正典君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省社会教育         局長      宮野 禮一君         文部省体育局長 古村 澄一君         厚生省公衆衛生         局長      大池 眞澄君         厚生省環境衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省薬務局長 正木  馨君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         林野庁長官   秋山 智英君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         通商産業省貿易         局長      杉山  弘君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         中小企業庁長官 中澤 忠義君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         労働省労政局長 谷口 隆志君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君  委員外出席者         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         国民金融公庫総         裁       田中  敬君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     加瀬 正蔵君         参  考  人         (日本鉄道建設          公団理事)  萱場 英造君         参  考  人         (日本鉄道建設          公団理事)  松尾 昭吾君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  高橋 弘篤君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   内村 良英君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   金子 一平君     金子原二郎君   山口 敏夫君     小杉  隆君   稲葉 誠一君     小川 国彦君   小平  忠君     滝沢 幸助君   渡辺  朗君     田中 慶秋君   野間 友一君     経塚 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     金子 一平君   小杉  隆君     山口 敏夫君   小川 国彦君     稲葉 誠一君   田中 慶秋君     渡辺  朗君   滝沢 幸助君     小平  忠君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  昭和五十九年度一般会計予算  昭和五十九年度特別会計予算  昭和五十九年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬崎博義君。
  3. 瀬崎博義

    瀬崎委員 中小企業問題と公共事業のあり方について質問をいたします。  まず、今日その数六百万に及んでいる中小零細業者現状をどう認識しているか、国民金融公庫総裁に伺いたいと思うのです。  国金貸付金における六カ月以上の返済滞納額と総貸付残高に占める滞納額割合、つまり延滞率ですね、この推移を見ますと、四十八年度が五十三億、〇・四%、四十九年度九十一億、〇・五%、五十年百七十五億、〇・九%、五十一年二百八十二億、一・二%、五十二年度四百十二億、一・五%、五十三年度五百六億、一・七%、五十四年度五百九十二億、一・七%、五十五年度七百四十五億、一・八%、五十六年度九百八十億、二・二%、五十七年度千二百十二億、二・六%。この数字には各年度における回収不能貸付金償却分は含まれていませんから、それを加算すればさらに大きな数字になるわけですね。この特徴は、延滞額全体が急増していることもさることながら、貸付金総額に占める延滞額割合延滞率が急増している、ここに一つ特徴があると思うのですね。この原因並びにこうした特徴を通して国金総裁中小業者の置かれている現状をどのように見ていらっしゃるのか、伺いたいのです。
  4. 田中敬

    田中説明員 国民金融公庫におきます延滞状況は、ただいま議員がおっしゃられました数字のとおりでございまして、問題点はまさに延滞率と申しますか、御指摘のありました昭和四十八年度〇・四%であったものが、現在は二%を超える。当時と比べて五倍、六倍になっておるということが大きな問題でございます。  原因といたしましては、昭和四十八年の一次オイルショック中小企業経営環境が非常に急悪化したということ、さらには五十四年の第二次オイルショックがこれを加速して、一般的な景況には徐々に回復が見られるものの中小企業、特に国民金融公庫対象といたしております中小零細企業につきましては、回復足取りが重い。現実的には私ども融資対象といたしております零細企業をとってみますと、昭和四十八年ごろにおきましては、赤字企業割合というのは一〇%弱でございました。それが現在では赤字企業割合が四〇%を超える状況になっております。あるいはまた債務超過企業を見てまいりますと、昭和四十八年度ではこれまた六%程度のものが、現在では二〇%をわずか超えるというように非常に経営内容は悪化をいたしております。こういうことが私ども融資対象延滞債権がふえた一番大きな原因であろうというふうに考えております。  それから、御指摘の、私どもで見ております中小企業景況現況をどう見ておるかということでございますけれども、私どもでは、年に数回、定期的に私ども融資対象といたしております小企業零細企業についての動向調査というのをやっております。その中から特に目ぼしいものを挙げてみますと、売り上げ受注状況というものについて調査をいたしてみますと、製造業ではこれがやや改善したという回答が多うございますけれども、商業、サービス業、特に建設業、小さな土建の方でございますけれども、これらについては依然売り上げ回復しない、不振であるという回答が多うございます。あるいは経営上の問題点としてこれらの企業指摘しております一番の問題点は、売り上げ不振でございます。二番目が、利益が減少したというクレームが非常に多うございます。  それから、現下の景況判断をこれらの中小企業者零細業者がどう見ておるかという点につきましては、景況が非常に悪いというふうに答える企業割合というものは漸次改善されまして、かつてほど多くはございません。減少はしておりますけれども、積極的にいいとするという企業割合も少ない。よくもない、悪くもないという回答でございまして、総じて、中小零細企業にとりましては、現在景況回復しつつあると言われておりますけれども回復足取りは重くて、いまだその恩典に浴しておらない、先行き期待はしているけれども現況は非常に重い足取りであるというのが、私ども対象といたしております中小零細企業現況であろうかと存じます。
  5. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、一応中小企業対策の元締めである通産大臣に伺いたいのですが、今の国金総裁の答弁も参考にしながらですが、中小企業倒産状況は、御承知のように四十九年の一万一千六百三十件からほぼ一直線にふえて、五十八年は一万九千百十件と過去最高を記録していますね。もちろん昨年の十二月も一月もそれぞれその月としては過去最高倒産件数を出している。その原因が、今総裁が言われたと同じように、工事受注減を含めた売り上げ不振が圧倒的に多い。四十九年の四千六百件が五十八年には九千四百件と、原因別に見れば二倍以上にふえておる。こういう中小企業倒産の今日的特徴も、中小企業、特に小零細業者の置かれている立場が極めて深刻なことのあらわれではないかと思うのですが、いかがですか。
  6. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 中小企業倒産の数が史上最高であるということは数字の示すとおりでございまして、私どももこれを深刻に受けとめているわけでございます。しかし、輸出関連企業中心景気が緩やかながら回復基調にあるということもまた数字の示すとおりでございます。しかし、残念ながら小規模事業零細企業はそのテンポが非常に緩やかであるということは事実でございます。しかし、我が国全体の経済を見ますと、設備投資も持ち直しつつある、個人消費もやや増加の傾向にあるということでございまして、中小企業景気回復も着実にやってくると私どもは思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、そのような状況の中で今後中小企業対策、特に零細事業対策というものを私どもが着実に努力してやってまいる所存でございます。
  7. 瀬崎博義

    瀬崎委員 輸出関連中心景気回復基調にあるとはいうものの小零細企業はその恩典にいまだ浴していない、非常に重い足取りだ、ただ、先行き期待している、先ほどの国金総裁の分析はこういうことに要約されると思うのですね。  さらに、大企業に働く労働者中小企業で働く労働者賃金の格差も拡大する一方になっていることは御承知のとおりですね。従業員が五百人以上の大企業賃金を一〇〇とした場合の中小企業の相対的な賃金指数を見ますと、昭和五十年当時七〇前後だったものが、最近では六〇前後へと、一割から二割も低下しているわけであります。中小企業に働く労働者総数は三千七百万、中小企業総数は冒頭言いました六百万、こういうことを考え合わせるならば、政府は今まさにこの中小零細企業にこそ光を当てる政治をやらなければならないのではないか。  竹下大蔵大臣に伺うのですが、特に中小零細企業にこそ光を当てる予算を組まなければならないときではないか、こう思うのですが、どうですか。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 企業経営の問題、これは予算のみで尺度とすることには問題があろうかと思いますが、今回の予算につきましても、なるほど予算総額は減っております。しかしながら、中身においてそれぞれ通商産業省におかれて念査されたものが予算づけされておるというふうに私ども理解しております。
  9. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは続いて、ちょっと大蔵大臣に伺いますが、政府は昨年四月五日に「今後の経済対策について」を発表して、その中では五十八年度公共事業については、上半期における契約済み額割合の目標を七〇%以上にする、いわゆる前倒し方針を出しましたね。さらに十月の「総合経済対策」を発表して、ここで公共投資については一般公共事業についての国庫債務負担行為の活用による事業拡大、それから地方単独事業についても追加を見込むことによる事業拡大、こういう方針を打ち出したでしょう。これらの経済対策の主要な柱として公共事業公共投資、こういうことをうたっているのですが、そのねらいは何だったのですか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 昨年の「総合経済対策」というのは、国会においてもいろいろ景気論争が議論をされておりまして、したがって「総合経済対策」の中で政府当初見通し、今で言えば見込みということになるのでございましょうが、三・四%の実質成長率をより確実なものにするためのもろもろの施策であった。しかし今、委員指摘のとおり、それが公共事業等において地方単独あるいはまたゼロ国債、すなわち債務負担行為等々が中小企業対策、なかんずく建設事業でございましょうけれども、に波及することをもとより期待の中に入れておったというふうに理解しております。
  11. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう期待を込めて去年はそういう方針を出したんですね。ところが、五十九年度政府予算では、国費による公共事業費マイナス二%になった。これは四年間伸び率がゼロと続いた上での話です。一方、地方単独公共事業の方も五十五、五十六、五十七年度は八%前後の伸びだったのが、五十八年度当初では伸び率をゼロと予定し、この間二月二十一日閣議決定された地方財政計画ではマイナス三・三%になっているわけでしょう。これは史上最大マイナスでもあるわけですね。  私は何も公共事業をやみくもにふやせと言うのじゃないんですよ。そういう立場はとっていません。ただ、財政の制約で公共事業費伸び率がゼロとかマイナスになってきているこの同じ期間に、高速国道予算は五十五年度の三百二十億から五十九年度予算案では八百五十億へ二・六倍、本四架橋は五十五年度四十五億から五十九年度予算案では百八十億、四倍に急増しているわけですね。政府が本気で中小企業に光を当てようと思っているのならぱ、こういう高速道路本四架橋などの大型プロジェクトの突出をやめて、国民生活に密着した、中小企業対象にした公共事業にウエートを置く、それを優先させるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 全体として公共事業が初めてマイナスになった折、事業費自身を確保しようという考え方が一つ基本にはございます。いわゆる道路公団で施行されるものにしろ本四架橋公団で施行されるものにしろ、これはもとより中小企業に対する波及効果もございます。と同時に、やはりなかんずく本四架橋等はいわゆる計画年度からして最盛期に当たっておる時期ではなかろうかというふうに理解をいたしております。したがって、この大型プロジェクトというものが中小企業に対して影響のないものではない、大いに影響があり得るものであるというふうに私は理解をいたしております。
  13. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その波及効果は下請で入る場合と直接受注できる場合とでは全然違うことを後でいろいろな実例で証明いたしますが、大型プロジェクト最盛期と言われたけれども道路に関してはそういうことは成り立たないと思うのです。  例えば道路工事がどういう企業発注されているか規模別の分類で見ますと、公団発注高速道路有料道路の場合は大企業に向けて九一ないし二%、中小へは八ないし九%です。それから国発注国道等の場合で大企業に六〇%、中小へ四〇%、都道府県発注都道府県道等の場合で大体大企業に二五%、中小へ七五%、市町村道の場合も大体大に二五%、中小に七五%、こういう割合なんです。これははっきり数字に出ています。特に資本金五百万円未満とか個人業者ということになると、公団発注ではゼロに近く、国発注でわずかに一%、都道府県で五%、市町村で六%という数字なんです。  ですから、高速道路の場合は、もう圧倒的に発注が大企業に集中する。都道府県道市町村道のような住民にとって身近な道路になればなるほど中小企業、特に小規模業者発注がふえてくる。これは紛れもない傾向なんですね。  そこで、建設省に伺いたいんですが、市町村道の今日の改良率舗装率はどうなっていますか。
  14. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 今手元に正確な数値は持っておりませんが、市町村道改良率は約二〇%を切れる程度だと思います。それから舗装率については、簡易舗装を含めますと、かなりの量になりますが、本舗装だけであれば十数%だというふうに思っております。
  15. 瀬崎博義

    瀬崎委員 正確に言いますと、五十七年度当初で改良率が二九・六%、舗装率が一〇・八%なんです。  そこで、これは建設大臣に伺いたいのです。道路で言えば市町村道とか都道府県道など、住民生活に密着した道路予算に重点を置くことは、まさに住民のニーズにもこたえることになるし、中小企業予算をふやすことにもなるんじゃないですか。
  16. 水野清

    水野国務大臣 先ほど来瀬崎委員お話を承っておりまして、大型プロジェクト本四架橋であるとか道路公団発注が非常に大きな建設会社に偏重しているじゃないかという御指摘でございますが、これは一つはやはり技術的な問題があります。それからもう一つは、やはり資本の力がないとできないような大きな工事があるわけでございまして、それを中小零細業者発注させるというのは、できるものもございますが、できないものの方が多い。ですから、多少なりとも、例えば道路公団の場合なんかは、資材の搬入道路とかそういったようなものについては分離をしてなるべく地元の零細企業中小企業発注するような努力をしております。  それから、ただいま市町村道お話がございましたけれども、やはり道路というのは幹ができてそれから枝葉に通じるわけでありまして、幹の方にどうしても先に工事が行われてきて、枝葉の方に及んでいくというようなことが私はやはり基本ではなかろうかと思います。ただしおっしゃるとおり、市町村道舗装率が非常に悪い、あるいは河川についてもそういう傾向があるということについてはよく承知をしておりまして、これから対処をしていきたいと思っている最中でございます。
  17. 瀬崎博義

    瀬崎委員 幹の道路ができてからと言われるけれども、現在ある市町村道改良率なり舗装率が悪いということを申し上げているのですから。まさにそういうおくれを取り戻すことが、これは住民の要求にもこたえるし、また同時に中小企業の仕事をふやすことにもなる。これははっきり建設省の出している統計からも言えるのではないか、こういうことを申し上げているわけですね。  確かにこういう大型プロジェクト中心公団に何ぼ予算をつけても中小企業受注にならぬことは明白なんですよ、これは今言った資本力からいっても、技術力からいっても。ですから、例えば本四公団などの場合ですと、五十六年度は大企業へ九六%、中小はわずかに四%。五十七年度で大企業九二%、中小には八%。これは恐らく、どんなに工夫してもこれ以上中小にふやせっこないと思いますね、ああいう大型プロジェクトの場合。道路公団の場合で大体五十六年、五十七年ともに大企業に八五%、中小に一五%程度ですよ。これが住宅・都市整備公団になってくると、大企業へは六八%、中小へは三二%、三分の一は中小への直接発注になってくるのですね。ですから、まさに今日のようにとりわけ中小零細業者が危機的状況にあって、この恩恵に浴すること非常に弱いという時期には国の発注は特に考える必要がある、こういうことを私は申し上げたいわけなんですが、その中でも特に本四条橋について少し具体的に尋ねてみたいと思うのです。  本四架橋の神戸―鳴門ルート、大鳴門大橋は五十九年度完成を目指して、道路、鉄道併用橋として工事が進められているのですね。一方、一応凍結されている明石海峡大橋については建設省は、五十六年の六月六日に国土庁、運輸省、建設省の間で交わされました「明石海峡大橋に係る調査について」の覚書に基づいて、「明石海峡大橋については、国鉄の財政事情等を勘案すれば、将来、現計画を変更する必要が生ずることもあり得るとの運輸省及び国土庁の判断を踏まえ、建設省は、道路単独橋の可能性等についても所要の調査検討を行う」として、本四公団にその調査を指示したわけですね。  そこで建設大臣に具体的に伺いますが、国鉄の財政事情を勘案すれば、将来、現計画の変更もあり得るというのは、鉄道併用橋として架橋しても鉄道部分が利用されない、鉄道が通らない場合もあり得る、その場合には鉄道部分の投資がむだになるからそれを避けるという意味なのか、これが一点。  もう一点は、「国鉄の財故事情等」とうたっているのですが、では国鉄の財政事情以外に当初計画変更の理由としてどんなことが考えられているのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  18. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お答えいたします。  後の方のから答えさせていただきますと、財政事情等の「等」でございますが、四国における新幹線計画等の問題も含まれるというふうに思います。それから……(瀬崎委員「計画はどうなるというの。どうなる可能性があるというの」と呼ぶ)ということにつきましては、これは運輸省さんとも協議いたすことでございまして、建設省の直接の所管ではございませんので、私からはお答えを控えさせていただきたいと思います。  それから、明石海峡大橋が当初鉄道と道路の併用橋で検討したということでございますが、現在においても併用橋についての調査を進めておりますが、国鉄の財政事情、それから今申しましたような四国における新幹線の計画といったようなものを踏まえて、道路単独橋の可能性についても検討しておるところでございまして、鉄道、道路との併用橋をやめたとか、そういうような問題ではございません。いろいろな場合への対応ができるような調査を進めておるということでございまして、その調査結果が出た場合に、それを踏まえてその取り扱いの方針等については各関係省庁と協議して進めていくということでございます。
  19. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは運輸大臣、今、建設省の話によりますと、国鉄の財政事情以外には四国新幹線計画の関係もあるやの話ですね。これはどうなるというのですか。
  20. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 国鉄の財政事情が非常に変わったということはもう申し上げるまでもございません。それからそのほか、実は新幹線網は大阪から四国ということになっておりまして、新幹線だけの立場から考えますと、これは先の先の話になるのでしょうが、紀淡海峡と明石海峡と両方のルートが考えられるわけでございます。したがって、両方について相当長期の調査をこつこつやっておるわけでございます。そういう点が今、建設省道路局長から申し上げたことの一つだと思います。  そのほかに、その他の中には鉄道の旅客、貨物の動きが、要するに鉄道に係ってくる状況が非常に変わってまいっております。ということは、航空機とそれから道路交通によりまして鉄道の旅客、貨物、特に貨物が非常に大きな変貌を遂げておりますので、そういうこともあわせ考えてこの調査が進められておる、こういうことだと思います。
  21. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この覚書が交わされました当時と比べて、主力になっている国鉄の財政事情は、あるいは「等」の中に旅客、貨物の動きも入っているというお話なんですが、これはその後好転しているのかどうか、国鉄総裁に伺います。
  22. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 旅客についてはさほどではございませんが、貨物等につきましてはかなり減っているという現実でございます。(瀬崎委員財政の方は」と呼ぶ)財政の方は非常に悪化していることは先生御承知のとおりでございます。
  23. 瀬崎博義

    瀬崎委員 実はそういう中で、鉄建公団では五十八年度から明石、紀淡両海峡の海底トンネル調査を始めているわけですね。何かこれを本淡トンネル調査と称しているようですが、これは鉄建公団に聞きますが、第一に調査の目的、第二に調査期間、第三に予定されている調査費総額、第四に調査費の財源。
  24. 松尾昭吾

    ○松尾参考人 本州―淡路島間の鉄道海底トンネルの調査につきましては、明石海峡と紀淡海峡の二つのルートが考えられますので、この二つのルートにつきまして技術的な可能性を調査をするために、地質、地形等に関する事項について運輸大臣の指示に基づいて調査を実施しているところでございます。調査期間は、目途として六年間、調査費は十一億を予定いたしております。
  25. 瀬崎博義

    瀬崎委員 調査費の財源は。
  26. 松尾昭吾

    ○松尾参考人 財源につきましては別の担当理事から答えます。担当理事が別でございますので、別に答えます。
  27. 萱場英造

    ○萱場参考人 お答えいたします。  財源の調達につきましては、当公団に発行を認められております特別債、鉄道建設債券をもって充てておるということでございます。
  28. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、建設債を充てているとすれば、当然返済しなければなりませんね。返済の場合の財源はどうなるのですか。
  29. 萱場英造

    ○萱場参考人 返済につきましては、鉄道債券の条件に従いまして借りかえが必要な場合には新たに債券を発行いたします。(瀬崎委員「最終的に返す場合は」と呼ぶ)最終的に返す場合は、工事が完成した――調査費の支出の必要が終了いたしました時点におきまして要返済債務額を確定いたしまして、しかるべく調達の方法を考えるということでございます。それは債券発行によりまして行うということになると思います。
  30. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そんないいかげんな話はないでしょう。借りかえはある程度できるだろうけれども、最終的には返さなくちゃいけないわけでしょう。そのときの財源調達は一体何なんだと、こう聞いているわけですよ。今あなた、少し言いかけたじゃないですか。
  31. 萱場英造

    ○萱場参考人 お答えいたします。  お答えの趣旨をちょっとずらしたかもしれませんが、建設調査の結果が建設に結びつきまして、鉄道新幹線の建設費ということになりますれば、それに応じまして事業資産なり建設仮勘定というところに振りかえ計上いたしまして、将来の返済はそういった目的、鉄道線の建設費としての回収を考えるということでございます。
  32. 瀬崎博義

    瀬崎委員 鉄道費の収入からの回収といったって、鉄建公団が直接鉄道を運営するわけじゃないでしょう。ですから、そこをどうするかというふうに聞いているわけです。
  33. 萱場英造

    ○萱場参考人 お答えいたします。  当公団は、先生おっしゃいましたように、建設を完了いたしますれば……(瀬崎委員「そんなよけいな話はいいから、そこだけ」と呼ぶ)はい。譲渡ないし貸し付けをいたしました貸付代金をもって返済に充当いたします。
  34. 瀬崎博義

    瀬崎委員 調査費といってもお安くないのですよ。予定でも十一億円でしょう。その前に、豊予海峡トンネル調査に十六億円使っているわけでしょう。  国鉄側に聞きますけれども、もしトンネルができたらできたで、引き取ることにもうすでになっているのですか。また、トンネルができなかったときにも、その調査費というものは建設費の一部として、国鉄はちゃんとそれを何らかの形で、買い上げるというのはおかしいけれども。代償を払う、そういう予定になっているのですか。
  35. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 豊予、紀淡両海峡の調査につきましては、新幹線整備法等に基づきましてされているものでございまして、前提としては、将来建設されたときに調査費も含めて貸付料の中で回収していくというたてまえだと思っております。
  36. 瀬崎博義

    瀬崎委員 運輸大臣に伺いますが、たてまえはそうでしょう。しかし、先ほどの運輸大臣のお話からいっても、また大体、明石海峡大橋を併用橋でいこうと初めから計画しているのを、国鉄の財政事情等や旅客の事情から単独橋になる可能性が強くなる、そういう財政事情下にある国鉄が、では単独トンネルならやれる、そんな根拠が一体どこにあるというのですか、それを明らかにしてほしいですね。大臣、先ほど答弁したその延長です。
  37. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、新幹線網の整備は法律で決まっておるわけでございます。これは議員立法でございましたけれども、決まりました。これは、申し上げるまでもなく、高度経済成長時代、日本列島改造の一部というようなこともございました。そういう時代に引かれた線路網でございまして、現在のような状況とは時間的に非常にずれがあるというような感じも、実はもう率直なところいたしておるのでございます。  しかしながら、この法律はなくなったわけではございませんし、いついかなる状態になってこれをやらないということでもないわけでございますので、こうした技術的な調査については、相当な長期間を要します。技術は非常に大事な問題でございますから……(瀬崎委員「六年ということじゃないですか」と呼ぶ)そういうことでございますから、六年でできるかどうかもわかりません。長期を要するものでございますので、これを中止するということにはただいまのところいたしていないで継続をしておるということでございまして、これに対する価値判断はいろいろあるかと思うのでございますが、私どもは、今のたてまえはそういうたてまえであるということから、ぼちぼちですけれども調査を続けさしていただいておる、こういうことでございます。
  38. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本四公団は本四公団で鉄道の通らない場合に力点を置いて可能性を調査する、片一方で、鉄建公団は鉄道の通る可能性を見込んでトンネル調査をする、それぞれに数億、十数億の金をつぎ込むでしょう。こんな矛盾した話はないと思うのですね。また、こんなむだな語はないと私は思うのです。  そこで、これは木四公団の方の総裁に伺いますが、大鳴門橋は鉄道関連部分を最小限に抑えて建設を進めているということなんですが、道路単独橋の場合と現在進めている併用橋の場合とでは総事業費にどれだけの差額が生まれてくるのですか、現在並びに最終で。
  39. 高橋弘篤

    高橋(弘)参考人 御質問の大鳴門橋でございますけれども、現在の併用橋、これは単線載荷となっておりますが、この建設費は五十七年度価格で千六百四十五億円でございます。が、先生の御質問の道路単独橋としての設計は実はしておりませんので、それは比較できないことになるわけでございます。しかしながら、昭和五十二年度、これは先生御承知のように、道路併用橋として単線載荷で算出しました建設費は千三百二十五億円でございます。それで、道路単独橋の場合の建設費は千百七十五億円であったのでございます。
  40. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その差額は。
  41. 高橋弘篤

    高橋(弘)参考人 百五十億でございます。
  42. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当時の価格で一応百五十億の差額があるわけですよ。もちろんアロケーションも決められているのですが、先ほど来いろいろ言われている状況を見ていけば、ますます鉄道を通す可能性というものは少なくなる。あれは列島改造時代の計画だったというお話も出ている。  そこで、もし大鳴門橋を鉄道が通らなくなった場合の話なんですが、今おっしゃった、一応最小限の併用橋の設備を持っていることから、百五十億、とにかく五十二年価格で高くついている。これはだれが負担することになるのですか、本四公団
  43. 高橋弘篤

    高橋(弘)参考人 ただいまの建設費につきましては、道路については、御承知のように道路の建設、管理については道路利用者からの通行料金等の収入によって償還をいたします。鉄道については国鉄から利用料をいただいて償還するということになっているわけでございますが、利用料の基準というのはまだ現在決まっていないわけでございます。
  44. 瀬崎博義

    瀬崎委員 通らなかった場合はどうするのですか。
  45. 高橋弘篤

    高橋(弘)参考人 それで、今の状態におきまして鉄道にかかる建設資金につきましては、本四公団経営を圧迫しないように、現在も国から利子補給がされております。五十三年度末の債務の残高を凍結するということで利子補給が来ております。したがいまして、今後も公団経営が悪くならぬように、国が所要の措置をしてくださるというふうに考えておる次第でございます。
  46. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、建設大臣に伺いましょう。  国が所要の措置をしてくださると思っているという話なんですが、今の話をいろいろ総合していけば、もちろん、明石海峡大橋にしろトンネルにしろ、鉄道の通らない場合は十分あり得る。その場合には、当然この大鳴門橋そのものを鉄道が通らない場合だってあるし、その可能性が考えられているから併用橋部分は最小限に抑えているわけでしょう。そのときに、高くついている百五十億分を一体どこが負担することになるのか、国がしかるべくとおっしゃっているけれども、どうなんですか。
  47. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 大鳴門橋は道路と鉄道の併用橋として建設されておりまして、それぞれの部分、すなわち道路部分については道路利用者から料金としていただいたお金で償還いたしますし、鉄道については国鉄の使用料をいただいて別個に償還していくということを考えております。
  48. 瀬崎博義

    瀬崎委員 鉄道が通らない場合はどうですか。
  49. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 いや、この場合、鉄道は今すぐ通るということではないのでございまして、そのためにこういうふうな負担割合を変えたわけでございます。仮に鉄道を単独橋でかけるとすれば千数百億要るものが、併用橋ということで百五十億の負担で、将来鉄道が通れる可能性が残されておるわけでございまして、今すぐの問題ではないという前提の上での処理でございます。
  50. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あくまで前提の上での話なのですね。その前提が崩れたときにどうなるかということは考えられてないのですよ。ですから、これまでの経緯を常識的に見れば、この明石海峡大橋は建設されるにしても道路単独橋の可能性がますます強まっている。その場合、結局大鳴門橋の方は、もし鉄道が通るという前提がなくなれば百五十億、これはあくまで五十二年価格ですが、この建設費はある意味でこれはむだになる。どこが負担するにしてもむだになる。一方で、政府は今どういうことをやっているかといいますと、学校給食の牛乳一本五円の補助を四円に一円削って、三十億円の金を浮かそうとしているわけでしょう。こういうことと考え合わせるときに、果たして見通しのはっきりしない状況のもとでこういう巨額のむだな投資をすることがいいのかどうか。もし本当の行革の観点で考えれば、まさにこういうところこそ検討すべき課題ではないかと思うのですね、本来順序からいけば。こういう巨大開発というのは、方針を誤ればまた生まれてくるむだも巨大なのですよ。そういう点では、政府方針というか見通しの誤りというのは、本当にこれは重大なのです。したがって、今いろいろな調査をやっているのなら、こういう調査が先にあって、そして実際鉄道は通るのか通らないのか、こういうことも見きわめをつけた上で大鳴門橋にかかっても別段大きな支障はなかったはずだ。百五十億、さらに最終的には二百ぐらいになるかもしれません、こういうむだな投資を加えてまで急ぐべきだったかどうか、こういうところに問題があると思うのです。ですから、少なくとも今後の巨大プロジェクトに対してはこういう教訓を十分生かすべきだと思うのですが、いかがですか。
  51. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  大鳴門橋の併用ということは今進められているわけです。大変大きなプロジェクトなので、それは、鉄道やめればそれだけ安くなることは当然です。ただ、四国の住民の皆さんあるいは関係の知事さんあるいは市町村長さん、とにかく四国と本州とを鉄道で結びたい、こういう非常に強い希望がありましたし、今もあるわけでございますね。ですから、私は大鳴門橋の併用についてはそれは進められて、いや、そういうことはもうやめるべきだよというお説もあろうかと思いますが、ただいまのところ、やはりそういう四国の四県の皆さん方の御要望にこたえて、併用橋というのは単独でかけるよりも安いわけでございますから、私は併用橋を進めるということに、今、一応判断としてはそういう判断で進めておるということなのでございます。御批判はいろいろあろうかと思いますが、そういうことでございます。
  52. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは理屈にならないと思うのですよ。そういう地元の方の強い要望があることは我々も理解しますが、そういう点でいうなら、各地にそれぞれ地元の要求というのはいろいろな形で生まれているし、国民全体からもいろいろ強い要求がある。一方の方は行革だといって全部切っちゃって、一方の要望にだけ、しかも、それも本当にトンネルを掘って鉄道が通るという見通しがあるのならいいけれども、見通しがますますなくなっているときになお屋上屋を重ねて、十億、二十億の調査費をつぎ込んで、政治的に何とか一時を糊塗するというのは私は全くむだだと思いますね。そういうことははっきり断言しておきたいと思うのですよ。ただ、時間がないので私の批判だけ率直に申し上げて、次に進みます。  次に、限られた官公需が中小企業に向けて有効に発注されているかどうか、この問題も、少し具体的な問題で質問してみたいと思います。  国鉄の官公需は五十七年度締めて一兆三千百億円だそうでありますが、これは政府及び政府関係機関の中でも大手に位しておると思うのですね。この国鉄の官公需について、去年は経済対策閣僚会議のいろいろな決定も出ておりますし、また、もちろん官公需法に基づく閣議決定も出ておるのですが、中小企業にできるだけ優先的に発注するという上で、これは国鉄総裁として何か特別な手だてを講じていますか。
  53. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 国鉄といたしましてなるべくそういう方向に持っていくようにというようなつもりで発注を指導しているところでございます。
  54. 瀬崎博義

    瀬崎委員 国鉄が外注に出している電気保守工事というのは年間とのくらいの金額になっていますか。
  55. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 電気の保守工事といたしましては、大体この数年でございますが、四百五十億前後というふうに……。
  56. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この電気保守工事受注で大きな比重を占めているのが、今お配りしてあります資料の二のところに載っております日本電設工業、それから千歳電気工業、保安工業、東邦電気工業、新生電業の五社なんですね。この五社は月曜会という組織をつくっていろいろ会合を持っておるようですが、国鉄はこの月曜会の存在を知っておるのかどうか。国鉄と五社がつくっておる月曜会との関係はどうなっていますか。
  57. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  月曜会は、国鉄の電気関係の工事を行っている工事五社が、自主的な意思に基づきまして事故防止あるいは安全管理あるいは電気技術の向上といったことを検討するために設けたものでございまして、したがいまして、そういう意味で、国鉄としてはこの会には特には入っていないわけでありますけれども、かつて国鉄が電気設備の検査、修繕業務の外注、いわゆる効率化、合理化を進めるときに、電気業務の運営改善につきまして、国鉄の考え方につきまして説明したことはございます。しかしながら、この会そのものはあくまでも、先ほど申し上げましたように、そういった趣旨でできておりまして、今後も国鉄の事故防止等については、月曜会のみならず、その他の電気関係の法人である現業研究会とかあるいは電車線工業会等、広く指導しているところでございます。この会につきましては、現在でも存在しているというふうに伺っております。
  58. 瀬崎博義

    瀬崎委員 月曜会五社というのがあるのですね。資料一は、そのうちの一つ、東邦電気工業に発注された電気保守工事がどういうふうに下請に流れていき、施工されているかということを図示したものであります。  東邦電気工業はここに九件例を挙げているのですが、すべてを一次下請の下社、これは東神電気という会社ですね、これに下請させる。今度そのT、東神電気がさらにO、この社名は中央総業といいます、これに下請させているわけですね。つまり、元請が東邦電気工業、一次下請が東神電気、T、二次下請が中央総業、O、こういう重層下請が構成をされているわけですね。実際現場の仕事は、特に建設工事関係は全部中央総業がやっておるわけなんです。  資料のスペースの関係でここに九件を例示いたしましたが、私の手元にある資料では、五十四年三件、五十五年に九件、五十六年十四件、五十七年十二件、五十八年一件、計四十件の工事は、すべてここに示した元請、下請関係によって工事が行われております。  そこで、まず国鉄に聞きますが、これらの工事発注するに当たって、元請、東邦電気工業に対して一括して下請に出してよい旨の書面を発行していますか。
  59. 坂田浩一

    ○坂田説明員 建設業法に基づき、禁止条項になっておりまして、ございません。出しておりません。
  60. 瀬崎博義

    瀬崎委員 書面は出てないのですね。ですから、建設業法は、一括下請を書面で認めている場合は例外だが、それ以外の場合は一括下請は禁止、こうなっていますね。  この資料に挙げた工事で、国鉄は発注に当たりまして工事示方書というのを発行していますね。この九件の工事示方書がありますが、この示方書の中にちゃんと示されているのです。主要な機器類、例えば電力用の配電盤とか変流器とか制御盤とか変圧器とかガス遮断器、連絡遮断盤、倍率器、ビニール電力ケーブル、絶縁油、こういうものは全部国鉄の支給品になっているわけです。受注側の元請が負担する資材と言えば副資材のみですね。軟銅より線とかビニール電線、各種端子、電線を通すビニール管、それからコンクリート材料などわずかなものであります。しかも、そのコンクリート材料など土木工事にかかわる材料は全部下請持ち、こうなっているわけですね。元請の東邦電気工業は、電気に直接関係するわずかな副資材を担当することと、それから、これも常時じゃないのですが、形式的に監督を一名派遣すること、こういうことで、建設工事に関する部分は全部下請にやらしているわけです。この部分には一切タッチしていない。一次下請の下社は、これはもう全くのトンネル会社で、第一人もいないのですから、一切手をつけずにその工事をそっくり二次下請のO社に出しているわけです。これは、建設業法が禁止している一括下請の疑いの持たれるケースではないかと思うのですね。建設省に伺ってみたいと思います。
  61. 台健

    ○台政府委員 建設業法によりますと、御指摘のように一括下請に関しましては、注文者が書面で承諾する旨を契約した場合以外には許されておりません。具体の内容につきましては、承知しておりません。
  62. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや、私が今具体的な内容を示しました。どうですか。
  63. 台健

    ○台政府委員 契約内容等を子細に検討しませんとわかりませんので、国鉄の調査結果をちょうだいして検討いたしたいと思います。
  64. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一括下請の疑いが大変濃厚だということを念頭に置いて、この元請東邦電気工業の物すごいピンはねに注目をしていただきたいわけです。  この国鉄の発注価格というのは国鉄側ですべて確認をしております。それから、下請に対する発注価格はすべてここにあります注文書によって確認をしております。全部の説明は、見ていただけばわかるので、時間もありませんから省略しますが、例えば一番の横浜ほか一変電所高圧配電設備改良工事、これは国鉄が元請東邦電気工業に発注した金額が三百五十八万円です。元請東邦電気工業が一次下請東神電気、下社に下請させた金額が百四十三万円、そして、一次下請の下社が二次下請のO社に下請させた金額が百五万円であります。この金額は、国鉄の発注価格の何と二九・三%にすぎないわけですね。次に、一番最後の横浜電気制御所ほか一カ所配電盤撤去工事、これをごらんいただいても同じような結果で、この場合は実に一二・八%が末端下請発注価格になっているわけですね。  大体代表的な例をここにピックアップしたのですが、百万前後の小規模な工事で国鉄発注金額の二分の一、二百万以上の大きい工事で国鉄発注金額の三分の一あるいはそれ以下、こういうことになっているわけです。元請の東邦電気工業は、先ほど言いました若干の副資材を支給しているが、その額は、ここの一番右端に参考までに書いておきました。国鉄が出しておりますこの示方書で概算計算してみたのです。大体国鉄発注金額の五%から十数%にすぎないわけです。中には、いわゆる現在あるものを撤去するだけという工事がありますので、全然資材の不要な工事もあるわけです。その元請が工事費の三分の二をピンはねし、実際の工事業者は三分の一の工事費で工事をすべて実行しなければならない。  こうなりますと、これは建設省に伺うことなんですが、建設業法では、注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、不当に低い請負代金を押しつけてはならない、こう決めておりますが、こういう規定にも触れてくるんじゃないでしょうか。
  65. 台健

    ○台政府委員 御指摘のとおり、注文者の地位を利用いたしまして不当な低い金額で契約を結ぶことは建設業法の禁ずるところでございますが、具体の内容につきましては、先ほどと同様に国鉄の調査結果を待って検討いたしたいと思います。
  66. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも、建設業者に許可を与えた建設大臣は、この元請に対して必要な勧告をしなければならないことになっていますが、それは、ちゃんと事実が認められればやりますね。
  67. 台健

    ○台政府委員 事実関係の判明を待って判断いたしたいと思います。
  68. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今度は国鉄に伺いますが、もし二次下請のO社に対する下請工事価格が不当に低いものでない、これが妥当だということになってきますと、今度は国鉄が元請の東邦電気工業に対して随分おおようといいますか高い工事価格を弾んでやっている、こういうことになってくるのですよ。国鉄の経営にそんな大名商売のできるゆとりがあるのか、それとも元請の東邦電気工業に何か特別な行きがかりでもあるのか。それが先ほど月曜会との関係を聞いた私の意図でもあるのですが、そもそもどういう発注方法になっているのかも含めて伺います。
  69. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えします。  国鉄は工事の性格上旅客なり財産の直接の安全という面で担当いたしておりまして、したがいまして、おのずから国鉄内のいろいろな法規等で高度の技術力と経験等を備えた会社にやらせることにいたしております。  ただいま先生の御指摘の件につきましても、私どもといたしましては実態についてただいま伺ったところでございますので推論の段階ではございますが、恐らくこの東邦電気が主体的にやる工事もあって、あるいは複数の下請といったようなこともあってこのような数字になったのではなかろうかというふうには思っているところでございますし、総経費、元請会社といたしましては当然いろいろなあれに基づいて諸経費を定めておりまして、私どもの積算のやり方といたしましては、本社におきまして工事積算指数に基づき全国的な積算基準の統一を図ると同時に適正な価格を査定するように行っておりますし、材料費あるいは労務費あるいは機械の損料、料金、諸経費等についてもそういったことで適正な予定単価を策定しまして、指名で入札しているケースが非常に多うございます。
  70. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう言い逃れをするのなら、時間が惜しいのだけれども一つだけ、あなた方が出しているこの示方書に基づいて一番最後の横浜電気制御所ほか一カ所配電盤撤去工事、これはどういう内容か申し上げておきます。簡単な工事なんです、私は工事をやった人からも聞いているのですから。  一つが「配電盤撤去」「G型に使用している配電盤及び保安器を撤去すること。」「撤去にあたっては、周辺機器に損傷を与えない様に十分注意して施行すること。」二つ目が「配電盤撤去(G型B盤)」「配電盤及び保安器を撤去すること。」これも同じように「周辺機器に損傷を与えない様に」とあって、つけ加わっておるのは「接地線は、コンクリートをはつり、そのあとはコンクリートを打込んでおくこと。」三つ目が「充電装置改良」「蓄制盤を添付図面の指示する場所へ移転すること。」移転。だけなんですよ。唯一新しくつくるのは「分電盤新設」ですよ。「分電盤を添付図面の指示する場所に新設すること。」これは簡単なものです、図面がありますから。そして最後、五つ目が「配電盤改良」「器具盤、O型連しゃ電源部、遠方制御盤を移設すること。」これも移しかえだけなんです。やった人が、極めて簡単だと言っているわけです。資材もほとんど要らないと言っているわけなんですよ。下請は一人として入っていないのですよ。こういうことを明確に事実を通じて申し上げているのですから、国鉄としてもこれは真剣に調べなければだめですよ。どうですか。
  71. 坂田浩一

    ○坂田説明員 国鉄におきましても、元請の東邦電気を呼びまして詳細に調べたいと思っております。
  72. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この一見不可解な、元請企業の法外なピンはねが一体どうして起こるのか。そのからくりは、この資料二を見ていただくと大体もうおわかりいただけると思います。  東邦電気工業には役員十五人、準役員一人、合わせて十六人いらっしゃるのですが、そのうちの十三人が国鉄高級幹部の天下りなんですよ。役員の天下り前の国鉄での地位を見ますと、A会長が副技師長、B社長が東京電気工事局次長、以下ずらっとそれぞれ国鉄の高級幹部が並んでいるわけでしょう。役員、準役員以外の管理職ポストにも国鉄幹部の天下りが相当あるようですが、つかみ切れませんでした、この点はこの月曜会に属する他の四社、日本電設工業、千歳電気、保安工業、新生電業、全く同様であります。大体、五社における国鉄高級幹部のこういう天下りの実態について、まず国鉄総裁は御存じなのかどうか伺っておきたいと思います。
  73. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 私、就任して間もないことでございますが、外におりましたときから、こういう実態であるということは承知いたしておりました。
  74. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、これはちょっと官房長官に政府を代表して伺いたいのですが、これら各社の幹部の大半がもともと工事発注側の要衝に座っていた人物です。つまり、工事発注に関するあらゆる情報を握っている人たちですね。それから、この五社の幹部はお互いに元国鉄の幹部仲間ですから、会社は別々やけれども一つ受注グループみたいなものなんですね。やあやあというような間柄なんですよ。さらに、発注者国鉄の現役の幹部から見れば、元請会社の幹部というのはかっての上司であり先輩なんです。そして、やがて自分が天下りするであろう先でもある。こんな関係のもとで、公正な発注受注の関係が生まれると一般的にお考えでしょうか。こういう点は政府として考えなければならぬ問題があるというふうにお思いになりませんか。
  75. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 いろいろと先ほどから、具体的な例について先生から御指摘のあったところを伺っていた次第でございます。  公社公団の役員が民間に再就職をいたします場合に、国家公務員法の適用などもございませんし、そういう意味では、経営能力であるとかあるいは人柄であるとかというようなことが認められて、それぞれ就職をしていくという例は多いかと思うのでございます。そういうことが十分あり得ると思います。ただ、そのことによって国民の疑惑を招くようなことがもう明らかに生じておると思えます場合には、やはりこれは注意していかなければいかぬというふうに思うのでございまして、先ほど来いろいろな御指摘をいただいておりますけれども、今後十分主務大臣を通じまして公社公団にもいろいろな指導をしていくようにいたしたい、このように存じております。
  76. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、主務大臣の運輸大臣にこの問題で最後に伺っておきたいのですが、これらの五社が官公需中心であり、しかもその中心が国鉄の工事なんですよ。いかに高成長を遂げているかは、ここに資本金売り上げの推移を挙げておきましたからごらんいただけると思いますが、ちょっと経常利益はここに書かなかったので、それだけつけ加えておきます。  経常利益で見ますと、一番トップの日本電設工業は、五十年九億九千万円だったのが五十七年度は五十二億五千万円、五・三倍に膨れているのですよ。千歳電気工業に至っては、五十年一億三千万円だったものが五十七年は十三億五千万円へと実に十・四倍にふえているのですね。東邦電気については最近のデータしかつかめなかったのですが、五十六年が六億三千万円、これが一年後の五十七年には十億一千万円と一・六倍に伸びるのですね。深刻な不況の続く中で、多くの中小業者が販売不振や受注不振の苦境にあえいでいる時期に、これらの五社がそろってこういう急成長を遂げる、大もうけをふやしている、これは何を物語るか。結局、国鉄当局の分身と言ってもいいような国鉄高級幹部天下り会社が、現役の国鉄高級幹部と癒着して、一方で赤字の国鉄を食い物にする、一方で力の弱い零細な下請業者を収奪する、ここに私はその秘密があると思うのですよ。これでは、国鉄労働者がいかに努力しても、また下請業者がいかに協力しても国鉄の再建にはつながらないと思います。実ってこないと思います。本当に国鉄を再建しようという意思があるのなら、これだけの資料を私は明らかにしたのですから、国鉄工事発注の実情を運輸省自身もよくよく調査をして、発注方法の改善を検討されてしかるべきだと思うのです、大臣。
  77. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  国鉄の財政非常な窮迫な状態の中で、新規採用停止とかいろいろな合理化をやっておる中での今、先生のお話でございます。この数字等についてはもう厳重に調査しなきゃなりませんが、全般の問題としまして、工事費というものが適正であることは金額が大きいだけに非常に大切な問題だと思いますので、厳重に調査をいたしましてしかるべき措置をとりたいと考えております。(「氷山の一角だよ」と呼ぶ者あり)
  78. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今氷山の一角という声が出ていますが、大体国鉄の工事が三分の一ぐらいの値段でやらされているのが一般の風評なんです。なかなか我々は確定的な証拠がつかめなかったが、今回これが出せたわけですね。貴重な機会として徹底してメスを入れてほしいですね。  ちなみに聞いておきますが、国鉄が今度運賃値上げを申請している、地方線割り増し値上げ申請やっていますね。その総額は一体何ぼなんですか、概算。
  79. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 一〇%上乗せというだけで、急行料金その他を省きました金では五十億でございます。
  80. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから、例えばこの電気保守工事が大体年間四百五十億とおっしゃったでしょう。そうしますと、比較的規模の小さい二、三百万円までの工事、撤去工事のような簡単なのが多いのですよ。こういうものは、国鉄職員の直接の適切な監督指導のもとに、実際工事を施行する下請の業者に直接発注してもらったらどうか。そうして、その価格を現在の発注価格の例えば八割に落としたとしませんか。これが四百五十億のほぼ半分に当たるとしますとどうなるでしょう。四百五十億の半分について、二割国鉄は浮いてくることになりますね。ざっと今の地方線の割り増しで予定している五十億がここで出てくるのですよ。そういうことをやるのが私は本当の国鉄の再建だと思いますね。これはぜひ検討してほしいと思いますね。重ねて運輸大臣に。
  81. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、工事の費用というのは非常に金額が大きいものでございます。それに比べて運賃改定というのはなかなか効果が上がらないという、このような見地から、十分調査します。
  82. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同じくやはり、官公需の発注が有効に中小企業向けに、適切な業者に行われているかどうかの問題で最後伺います。  資料三をごらんいただきたいのですが、これは日本道路公団の新潟県内の高速国道における雪氷対策、除雪とか凍結防止、それと維持管理作業の発注状況を示したものであります。  新潟県内の高速国道の供用区間は、五十三年度の開始以来急速に延びておりまして、その上にときどきの豪雪等も加わって、雪氷対策作業費、維持作業費は、その合計額で表のように、五十三年六千万、五十四年一億五千万、五十五年三億二千万、五十六年度三億二千万、五十七年度五億六千万、五十八年度は当初契約額で八億、こういうふうに急増しているわけであります。この急増する雪氷対策及び維持作業は、五十六年度の長岡管理事務所関係を除きますと、すべてが新潟道路サービスに発注されているわけですね。道路公団は一体どんな発注方法をとっているのか、またなぜ毎年同じ一社に限定されるのか、答弁願います。
  83. 高橋国一郎

    高橋(国)参考人 お答え申し上げます。  雪氷作業、つまり凍っている道路の路面を解かすとか、あるいは雪で積もった路面の雪を取り除くとかという雪氷作業は、実は私どもは維持作業の一部というふうに思っております。維持作業と申しますのは、路面の汚い部分を清掃したり、あるいは石が落ちていたらそれを取り除いたり、あるいは中央分離帯の植樹を整備したり、それからのり面の除草をやったり、そういった作業も申しておるわけですが、つまり雪氷作業というのはその維持作業の一部というふうに一応考えております。  それで、維持作業につきましては、まず高速道路が開通するときに、私どもは、指名競争入札によりまして適切な会社に入札の結果契約することになっておりますが、一たんそういうのが決まりますというと、次の年以後は同じ業者にずっと継続して維持作業をやらしているというのが実情でございます。今ほど申しました雪氷作業もそのうちの一つと考えられますので、同じように、当初契約した維持作業の会社がそのままずっと契約しているというのが実情でございます。  では、なぜそんなことにしているかと申しますというと、高速道路上で行う作業は非常に危険を伴います。ちょっとしたミスでもって大事故に結ばれるということが非常に多いものでございますので、(瀬崎委員「簡単にやってください、あなたの答弁は長い」と呼ぶ)路面等の清掃やあるいは中央分離帯の手入れ等を行う場合には、また除雪の場合もそうでございますが、複雑な交通規制を実施しながら、一般交通の車両の安全確保をするように、細心の注意を払ってやっているわけでございます。したがいまして、かなりの経験がなければできないのだというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  84. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ことしは新潟県も五十六年豪雪を上回る豪雪だったために、実際の雪氷対策費は当初契約額六億一千九百九十万円の二ないし三倍、十数億円に達すると見込まれておるわけでしょう。それでなくても新潟の人たちは冬場地元に仕事が少なくて困っているわけで、ことしのような豪雪の年はなおさらなんですよ。公共の除雪の仕事は、地元の人たちや地元の中小業者にとってのどから手が出るほど欲しい仕事なんですね。こういう雪国の人たちといいますか、新潟の人たちの気持ちは建設大臣、御理解されておりますか。
  85. 水野清

    水野国務大臣 ことしの豪雪で非常に地元の除雪作業、その他が難航しております。また、除雪作業自身が一つの雇用の材料になっているということもよく存じております。  ただいま高橋道路公団総裁が答弁いたしておりましたが、特定の会社ということはございますけれども高速道路上で夜間に作業をしたり修理作業をするとか、ごらんになったことがあると思いますが、これは特定の企業でないとなかなかできないかけでありまして、また特定の資材、機材などをどうしても使用しないとできない、こういう特殊事情からああいう契約条項になっているというふうに私は理解をしております。
  86. 瀬崎博義

    瀬崎委員 新潟県内の建設省の公共工事発注にはいろいろ問題のあることを昨年の本予算委員会で私、指摘したのですが、事建設省直轄国道の除雪に関しましては、各工区に分けてその工区に縁の深い業者に発注されているようなんですよ。例を挙げますと、五十八年度分、つまり昨年の十一月から今年三月三十一日分ですが、小出工区除雪工事が星野工業、堀之内工区が小杉土建工業、湯沢工区が森下組、塩沢工区が笛田組、高田第一工区除排雪工事が西田建設、高田第二工区がハイウェー・リバーメンテナンス、第三工区が上越商会、第四工区が高浪組というふうに、工区を区切ってすべて別々の業者に発注されているわけなんですよ、国道の方は。しかも一般国道の場合は、人家が接近している、歩道がある、通勤道路的性格もあるし、通行量も多い、カーブもあるし、対向車線間には分離帯もない。こういう点では除排雪はなかなか――だから除雪だけでなしに排雪というのがくっつくぐらい、なかなか困難かつ熟練を要すると建設省の現場の職員の方はおっしゃっているわけですね。建設省が新潟県で発注しているこれらの除雪業者は、当然そうした能力を持っているからこそ建設省は選定しているんじゃないでしょうか。一言伺っておきます。
  87. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 雪氷対策については、直轄の場合も維持作業をしている業者にさせるのが一般的原則になっております。(瀬崎委員「能力は持っているのですか」と呼ぶ)ただ、高速道路の中と一般道路とにおきましては、作業条件は相当に変わっておるというふうに考えております。高速道路の場合は、高速で通る車両の中でそれを規制しながらやらなければならないわけでございまして、非常に閉鎖的な中でもあり、規制の仕方、さらに作業の状況等から、もし事故が起きた場合は大変な問題になるのではないかと思います。一般道路の場合は、それに比べて規制等もしやすうございますし、徐行等がしやすいなど、高速道路に比べればよい条件、一般の人が入りやすい条件にあると思います。
  88. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そんなにまで高速道路の特殊性を強調するのなら伺いたいのですが、道路公団総裁、この五十六年度の長岡管理事務所管内に限って、何の実績もない越後道路サービスなる会社に発注されているでしょう。これは一体どういう理由によるのですか。
  89. 高橋国一郎

    高橋(国)参考人 先ほど御説明のように、当初開通した区間につきましては指名競争入札が行われまして業者を決めるわけでございますが、たまたま越後道路サービスが指名されたわけでございますが、一年間やらした結果必ずしも適当じゃないというふうな判断をされましたので、一年間でもって契約を解除した、そういう例でございます。
  90. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ、その必ずしも適当でないという理由は何ですか。
  91. 高橋国一郎

    高橋(国)参考人 具体の資料はちょっと持ち合わしておりませんのであるいは誤りかも存じませんが、先生からもたしか御指摘もあったように記憶しておりますが、技術者の資質あるいは能力等につきまして適当じゃないというふうに判断したのではないかと思っております。
  92. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これはお聞きになっている各大臣、明らかに矛盾でしょう。一般国道よりもはるかに高度の技術が要ると、危険だと、こう言っている高速国道に、技術者の能力等問題がある越後道路サービスをわざわざ指名しているわけなんですよ。この越後道路サービスというのは、もちろんこれは皆さんは重々御存じだと思いますが、あえて言えば、田中角榮の義弟の風祭氏が代表取締役を務める田中直系企業なんですね。悪名をはせた会社ですよ。そして、建設業許可申請書類に技術者の名前を盗用して、他人の名前を盗用したりして違法処分を受けた会社です。だからこれは外しているわけでしょう。こんな会社に高速道路の危険な除雪作業を指名発注するくらいなら、建設省の国道の除排雪で、雪深い中で十分実績を積んでいる会社がたくさんあるのだから、そっちが優先されるのはだれが考えたって当然ですよ。公団も、越後道路サービスに発注した経緯が現にこういうふうにある以上、新潟県内は新潟道路サービス以外には発注できない、こんな理屈は私は成り立たないと思うのです。この点ではこの発注建設大臣、検討さすべきだと思いますが、どうです。
  93. 水野清

    水野国務大臣 先ほど申し上げましたように、越後道路サービスの問題については私は細かく知っておりませんが、新潟道路サービスというのは、新潟県下の高速道路の除雪とか維持作業では熟練をしておりますし、現に資材とかいろいろな点でちょっとほかの業者ではまねができないだけの水準に達している。これを今あえて、全く門戸を開放しないという方針ではございませんけれども、未熟な業者に入れかえるとかあるいはそういうものを導入するということはなかなかむずかしいのじゃないかと私は思っております。
  94. 瀬崎博義

    瀬崎委員 機械機械と言われますけれども、除雪機械は全部公団側が貸与するわけなんですよ。つまり、いわば作業員を提供するわけなんです。新潟道路サービスはそもそも雪の少ない新潟市にある会社なんですね。事務員を含めて五十人しかいない会社なんですから、結局実際の除雪作業はその土地土地の業者に下講させているわけですよ。  では、この新潟道路サービスとはいかなる会社がというのが問題なんです。これは昭和五十年の設立の会社で、別にそんな深い除排雪に実績を持っている会社じゃないのですよ。資本金が今日八千万円、当初は三千万円でした。その資本金は福田道路が全額出資をしております。すなわち、田中企業中心的存在である福田組の子会社福田道路のそのまた子会社、つまり福田組の孫会社に当たっているわけですね。そういう性格の会社なんですよ。  福田組がいわゆる田中企業の中でどんな地位を占めているかは、御承知の方がほとんどだと思うけれども、念のために言えば、福田組の東京支店のビルには福田道路も同居しているし、かつていろいろ問題になった田中ファミリー会社も同居している、こういう間柄でしょう。そして、新潟道路サービスの社長神保正義氏は、福岡組、福田道路の役員であると同時に、日本道路公団仙台建設局長からの天下りでもあるのですよ。この社長を含めて六人の取締役と仙台営業所長の七人の役員の中に、福田組の社長である福田正氏も入っておりますし、日本道路公団幹部の天下り二人、建設省幹部の天下り二人、新潟県幹部の天下り一人、しかもこの天下り組のうち二人は、先ほどの社長を含めてですが福田組の役員も兼ねているという典型的な政官財癒着企業なんですよ。だから、結局新潟県内の高速道路の除雪や維持作業が独占できるわけなんで、これは決して除排雪の実績によっているのじゃなくて、田中金脈の実績によって仕事が与えられる、私はそう見るのが至当だと思っているぐらいなんです。  豪雪で住民が難渋しているときに、雪が降れば降るほど田中金脈が太る、旧中金脈の焼け太りならぬ雪太り、こういうことを許しておいていいのかどうか、私は大いに疑問を感じます。これは一省庁の問題じゃないのです。政府全体として、こういう疑惑を放置することは許されない。官房長官、どうですか。
  95. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 それぞれ主務大臣からお答えをしたとおりでございます。
  96. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなたに聞いているのですよ。
  97. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 それぞれ所管省庁において責任を持って行政を進めておるところでございますので、それぞれ主務大臣の責任において処理する、こう申し上げておるのでございます。
  98. 瀬崎博義

    瀬崎委員 重ねて建設大臣、どうですか。主務大臣の責任が強調されていますね。かばいますね、皆。
  99. 水野清

    水野国務大臣 その新潟道路サービスが福田組という会社の――私は福田組という会社は知りませんが、どういう系列にあるかどうかわかりませんが、仕事をする意味において適格ならばやむを得ないと思いますし、能力がなければ、あるいはその他将来欠格事項が出てくればそれはやめていただく、そういう方針でやっていきたい、こういうふうに思っております。
  100. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、限られた時間ですから限られた問題しか提起できませんでしたが、今日の財政事情のもとで、公共事業そのものの拡大がこれ以上できなくたって、その中身において、国民生活密着型の公共事業に比重を置くとか、あるいはまた発注方法を改善する、こういうふうにするならば、もっともっと官公需を中小企業向けに発注する可能性は出てくると思うのですよ。特に政府は、昨年は、毎年やっている官公需法に基づく五十八年度中小企業者に関する国等の契約の方針、この閣議決定のほかにも、四月には今後の経済対策に関する方針、それから十月には総合経済対策、この中でそれぞれ官公需を中小企業向けに発注することを強調しているわけですね。  そういう点からいっても、ぜひ私が提起した問題、それは、五十八年度のこの閣議決定の中小企業向け契約目標を見ますと、五十七年度の三七%から五十八年度は三七・三%に、わずかに〇・三%上げるだけになっているのですよ。官公需総額が最近では頭打ちになっていますから、これは金額に直しますと、五十八年度は三兆七千六百七十億円、これは五十七年度に比べてわずかに八十億円しかふえていないのですよ。五十九年度はさらに官公需総額が減少することも見込まれますね。だから、こういうときにちょっとやそっと目標を上げたって実際には潤わない。ですから、具体的には改善の手だては今私が提起しました、資料も出しました。かつて、昭和五十一年一月二十七日の本会議で共産党の故紺野与次郎議員が、目標をもっと引き上げよという質問をしたのに対して、当時の三木首相は、「官公需の発注については、現在は三三・九%でありますが、できれば五〇%にこれを持っていきたい、」と一遍答えているのですよ。こういう点で、ことしの閣議決定に当たってはこれはぜひとも目標を飛躍的に上げる、五〇%に近づける、そういうことをやってもらいたい。  この点について、所管である通産大臣とそして予算全体を見ている竹下大蔵大臣の答弁を求めて、終わりたいと思います。
  101. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 昭和五十九年度中小企業向けの官公需目標につきましては、予算案が可決後に可及的速やかにこれを決定するところでございますが、毎年の例によりますと七月ごろになるかと思います。  五十八年度の目標は、先ほど御指摘のように三七・三%でございますけれども、厳しい予算状況の中で、関係省と協議を進めながら極力目標値の上昇に努めたいと思っておりますけれども、大型計画あるいは高度技術の計画等が多くを占めます予算の中で、一挙にこれを大幅に引き上げるということはなかなか困難な状況にあるということを申し上げておきたいと思います。
  102. 竹下登

    竹下国務大臣 今中小企業庁長官からお話がありましたように、本予算が通過した直後、普通の場合執行に関する閣僚会議を開く、その際に、いわゆる中小企業の官公需発注の率を高めよ、こういう主張でございますが、今、中小企業庁長官の方からお答えがありました主張がどうせあると思っておりますので、その時点で中小企業庁長官の御意見を拝聴しながら対応すべきであるという考え方であります。
  103. 倉成正

    倉成委員長 これにて瀬崎君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸助君。
  104. 滝沢幸助

    滝沢委員 初めに、文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今我が国が画面しております課題はたくさんありますが、中でも教育改革のことは他のすべてに優先してこれをしなければならぬ。なればこそ政府は、教育臨調ともいうべき新たな調査機関を設けてこれを立案しようとしていらっしゃるわけでありまして、原則的にはまことに結構なことであります。しかし、一面、言われておりますように、これが総裁選挙の布石であったり、あるいは右翼教育の足がかりであったりしてはいけないのでありまして、厳正にこれを見守ってまいりたいと思っておりますが、文部大臣、この辺のことについてはどのようなお話を総理となされておるか。  つけ加えまして、一つ大事な注文がございます。実は、憲法に教育の機会均等ということがうたわれまして、そして小学校以上の教育についてのいろいろの苦労をされておるわけでありますが、しかし幼児教育の段階において、幼稚園に通っておる者、保育所に通う者、どこにも行かない者という三つの差別教育を受けておるこの状態、これはゆゆしき課題でありまして、文部省と厚生省の縄張り争いの中に子供を板挟みにしてはならぬ、あるいはまた神社、教会、学校法人等の経営のために子供を犠牲にしてはならぬと思うのでありまして、このいわゆる教育改革のときに、就学年齢の引き下げをも含めて幼保一元化のことを、いわば議題というか課題にしてちょうだいしたい、こう思うのでありますが、いかがですか。
  105. 森宗作

    ○森国務大臣 滝沢先生から二つの御質問をいただいたと思いますが、最初の方は教育改革に関してでございます。  我が国の今日の繁栄というのは、教育が大変大きな役割を果たしてまいりました。しかし、これからさらに二十一世紀を展望いたしますと、今までの教育はとにかく諸外国に追いつけ追い越せ型であった、これは臨調も指摘しておるとおりでございます。これからやはり、むしろ世界のリーダー国たるという、そういう考え方をしていかなければならぬ、そういう意味で、二十一世紀を担ってくれる子供たちに対してもう少し人間味あふれる教育ができないものだろうか。いわゆる総理が申しております人間尊重と言いましょうか、少し視点をそちらに置いた教育ができないか。しかし、現実にはこの入試制度を一つ基本みたいなものとしまして、そういう方向でどうしても社会の病理現象みたいなものもなかなか直しにくい。そういうところから、今までの教育と違ってもう少し視点や角度を変えた教育全体を考えてみ、たい、こういうことで教育改革に踏み込むことにいたしたわけであります。  したがいまして、従来の中教審の考え方やそれぞれ各界のお考え方を踏まえて新たな長期的な視点でとらまえていこう、こういうことでございまして、私からお答え申し上げるのはどうかと思いますが、そういう政争の問題でありますとか総理個人の問題あるいは私個人の問題ではない、極めて日本の将来にとって大事な問題である、そういう考え方をいたしております。  幼保につきましては、土曜日にもこの委員会でいろいろ議論が出ましたところでございますが、この幼稚園、保育所の問題はどちらかというと、これは私の率直な感想から言いますと、機能、目的はそれぞれ違っておりますけれども、これを受ける親の立場から見るとそう変わってないわけですね。ですから、そこのところにもう少しやはり視点を置くべきだ、こう私は思っておるのです。  しかし、保育所には厚生省の長い経緯、歴史があります。それにつながる方々もおられる。幼稚園にもやはり文部省、そしてまたそれにつながる幼稚園、今先生がおっしゃったように、幼稚園の設立の主体もいろいろあるんですね。宗教団体もあります、民間団体もございます。したがって、なかなか両省の話し合いだけでは前に進まないということでございますが、私はこの機会に、幼保であれ、保幼であれ、要はやはり教育を受けさせる親、それから教育を受ける子供の立場というふうに考えると、この際、私はやはりこれはお互いの機能を生かして、やり方がどのようにでもできるのじゃないだろうか、そんなふうに思いますので、私はこの幼保の一元化というものはやはり進めていくべきだ、こう考えております。  ただ、この機会に、先生も御指摘になりましたとおり、就学年齢というのは一体幾つがいいのだろうかということをやはりもう一遍考えてみる必要があるのじゃないか、こういうことで、でき得れば新しい機関の中で日本の教育体系全体を眺めてこの問題を御検討いただく方が、かえっていい幼児教育、つまり就学前教育ができるのではないか、こんなふうに思って、積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  106. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣の答弁が抽象論でありますが、とにかく今申し上げたように、就学年齢の引き下げをも含めて幼保の一元化をこの際実現をちょうだいしたい、要望しておきます。  ところで、教科書につきましては、検定制度ないしはまた教科書無償の論というようなことでいろいろ議論されておるわけであります。ところが、今度の予算で四百五十五億円といういわゆる教科書購入費が提案されておりますけれども、しかし、これを子供の数で割りますと、小学校におきまして二千百七十五円、中学校におきまして三千三百五円という少ない金額になりますから、憲法の論議を除くならば、今の日本の家庭で子供のためにこの程度の教科書代が出費できないという家庭はほとんどないと私は思います。そこで実は有償論が出てきたり、あるいはまた教科書の貸与制度が論ぜられたりしておるわけでありますが、大臣、この辺はどう思いますか。端的に願います。
  107. 森宗作

    ○森国務大臣 教科書無償を続けていこうということにつきましては、これは文部省といたしましても、義務教育の憲法に定められたところからいきましてもぜひ維持をしていきたい、こう考えております。
  108. 滝沢幸助

    滝沢委員 しかし、現実には、大臣、この義務教育の教科書の負担を幾倍もするほどの副読本、教材教具、こういうものを父兄は買わされておるわけです。これは業者と学校ないしは教師の間で協議ができれば、いや応なしに負担を強いられるわけであります。憲法には教科書無償とは書いてない。「義務教育は、これを無償とする。」と書いてあるわけでありますから、教科書で金を払わなくても、副読本で金を取られれば同じじゃありませんか。そういうことなんですが、この副読本や教材教具の年々かさむ負担、これをこのまま放置しておいていいと思いますか。何か規制されるお考えがありますか。
  109. 森宗作

    ○森国務大臣 学校側の共通に備えておかなければならぬ設備、そして器材、これにつきましては、国がすべて負担をいたしております。個人が用います、今御指摘がありました副読本あるいは教材等は父母が負担するというのは、これは原則といたしておるわけであります。先生御指摘のように、大変微妙なところもございます。学校としてこの副読本を使えとか使うなとかというようなことは、これはまあ先生方の御判断にもよるところが多いわけでありますが、文部省としては、こうした問題は、父母に負担をかけるということはやはりできるだけ避けなければならぬ、こう考えておりまして、いろんな機会をとらえながら、教育委員会に対してはそのようなことのないように指導をいたしておるところであります。また、低所得者層につきましては、これは御承知のとおり、要保護・準要保護に倣いましていろいろ助成策を講じております。
  110. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣、次は大学のことについて申し上げたいと思いますが、私立大学が今度一様に、その七割という大学が授業料等の値上げをいたしました。それはいろいろございますが、平均しまして授業料が四十四万九千九百七円、入学金が二十二万六千三百二十二円、そして施設設備費というものがございまして十九万九千八百五十二円、締めて実に八十七万六千八十一円というのが、これがいわば私立大学に入ろうとする者の負担する金額です。もちろん高いものには一千五百五十万円、こういう学校もありますし、一千万以上というのは十六大学十七学部というのでありますが、このような教育にむやみに金がかかること、これが実は教育界に、例えば入学をめぐり、あるいは学位取得をめぐり、また教授等の採用等をめぐり忌まわしい事件等も起きる温床の一つではないかと思うのであります。  一方、しかし、今回政府提案の国立の入学料というものは据え置かれまして十二万円、授業料が上がりまして二十五万二千円、これを合わせますと三十七万二千円。そこで、私立と国立との差が五十万四千円ということになるわけであります。このいわば国立、私立の格差というものの実態について、大臣はどのようにお考えですか。
  111. 森宗作

    ○森国務大臣 国立と私立のいわゆる教育費負担の格差はかなり大きいものがございましたけれども、今も御指摘のございましたように、国立大学の授業料につきましては、いろいろな御意見はございますが、国民にやはり負担をしていただくべきはしていただきたいということで、若干増加をいたしておるわけであります。  私学につきましては、国の教育、特に高等教育の約八割近いものは私学が受け持っておるわけでありますので、国の教育を正しく私学を理解する、認めていくということから、御承知のように私学助成法を成立させて、その精神に基づいて私学助成を続けてまいりました。しかし、御承知のとおり、財政のいろんな事情もございます。また、臨調等の抑制の方町の示唆もございまして、確かにこの五十九年度ではかなり私学予算については抑制をされておることは事実でございますが、別の面でのいろんな助成費も考えながら、私学にできるだけ御苦労をかけないように工夫はいたしたところでございまして、ことし、今御指摘のございました入学等に関する経費につきましては、極力私学団体等にお願いをして御協力いただきまして、この値上げ率は従来から見ますと一番低い方になっておるわけでございまして、大体五十年代では、この五十八年から五十九年度にかけては、値上げ率は、たしか三・二%ぐらいと記憶いたしておりますが、極力値上げをしないように、そういうふうに努力をして指導いたしておるところでございます。
  112. 滝沢幸助

    滝沢委員 お答えをひとつ結論だけにしてちょうだいしたい、時間が……。  はしょってまいりますけれども、そこで今度、私学に対する助成を一二%削減されております。これはいわゆる臨調の精神だと思います背けれども、ところが、これは大蔵大臣、このように私立に子供を学ばせる父兄は大変な負担を強いられているわけでありますが、この国立と私立との格差については、少なくとも私はこれをいわば減税の対象といいますか、所得控除、この権利を与えられたちいかがか。これは全国の私立に学ばせる父兄の声だと私はとらえております。御意見どうぞ。
  113. 竹下登

    竹下国務大臣 ちょっと長くなりますが、要するに、現行の教育に関する政府の対応の仕方というのは、いわゆる教育助成方式ということであります。したがって、税制上からいって控除する制度を創設してはどうか、今そういう御意見でございますが、本委員会においてもたびたび行われた議論であります。教育熱心な国でありますから、ほかの国になくてもこれはやるべきだ、こういうような御意見でございましたが、これはいわゆる税制面における親に対する助成ということに結果としてなるわけですから、したがって、現行の一般歳出から助成していくという方策そのものの基本を変更することである、こういう問題から、非常に結論が出しにくいわけであります。  問題点どこにあるかと申しますと、一つは、税金を納めていない貧しい家庭の父兄にはこれは恩典が及ばないことになる。それから、義務教育のみで社会に出て働かざるを得ない若年勤労者の税負担とのバランスの問題、それから三番目には、これは税制自体の問題ですが、個別事情を税制においてしんしゃくすることにはおのずから限界がある。三つの答えがいつでも出てくるわけです。  したがって、今回の減税におきましても、この意見を税制調査会にきちんと伝えました。それに対してやはり「税制をいたずらに複雑にするし、そもそも様々な国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するにはおのずから限界がある」「特定の条件や特定の家計支出に着目して税制上しん酌する場合の客観的基準を見出すことは困難であること等を考慮すれば、新規の特別控除を創設することは適当でない」という一応の答申の御結論をいただいたわけであります。しかし、今の議論は、我が国ではずっと継続した議論でありますから、やはり正確にこれを税調へ絶えず伝えていかなければいかぬ課題だという認識は私も持っております。     〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
  114. 滝沢幸助

    滝沢委員 ぜひとも教育費減税が実現できますように、大臣どうぞひとつ今後とも御検討願いたい。  ところで、郵政大臣いらっしゃいますか。――ちょっとお伺いします。  第三種郵便物、これは郵便法二十三条によって、新聞、雑誌その他政治、経済、文化など公共的事項を報道、論評するものについて一定の、いわば月一回以上発行するものについて安い料金でサービスしよう、こういう精神で始まったものと理解しておりますが、最近の第三種郵便物が郵政事業の中で占める位置といいますか、状況はどんなことですか。
  115. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現在、郵政省で第三種郵便物として認可しております新聞、雑誌その他のものは、合計して一万三千百八十九件でございます。したがいまして、先生御質問のどういう位置を占めておるかという点でございますが、まず件数は、ただいま申しましたようなことでございます。  なお、収入は全体で四百四十億円程度でございまして、全体の四%程度でございます。物数は大体全体の七%程度、それが現況でございます。
  116. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、承れば、この第三種郵便物に多少の数的変動があっても、郵政省の屋台骨が動くということはない。  そこで申し上げますが、実は一昨々年ですかの会計検査院の指摘によることとは思いますが、あなたの方では実は第三種郵便物の取り扱いを極めて厳正になさるようになった。それは厳正はいいですよ。だけれども、それによりまして全国に数百種類であろうと言われているところの地方の文芸雑誌あるいは同人雑誌、サークル誌、こういうものが発行を断念せざるを得なくなった。あるいはまた、高い料金を払って一種で出しておる、あるいは手配りに変わるなんということがあったわけでありますが、実はこの第三種郵便物のなには、さっき申し上げましたとおり、国民の文化の向上のために、とこう規定しているわけでありますから。ところが、藤村だって啄木だって最初から一流じゃなかったわけです。地方の小さな同人雑誌の中で育ってくるわけでありますから、私は、これを厳正になさるのはいいけれども、一千部発行できない小規模の文芸雑誌等、私も幾つか参加しておりますが、一千部出せるというのはこれはめったにないわけであります。どうかひとつこれについて五百部まで下げて、これら地方の文化活動にないしは文芸活動に頑張っている諸君の力になってほしい、ないしは従来どおりに取り扱いの緩和を通じてこれら文学活動をしている者について力をかしてほしいと思いますが、できますか。
  117. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生御指摘がありましたように、実は会計検査院から昭和五十五年の十一月ごろ、第三種郵便物の検査がややルーズになっているのではないかという御指摘を受けまして、実は二千三百五十六件の刊行物について検査院自体が調査されました……(滝沢委員「会計検査院のことはどうでもいいんだ、これをやるかやらないかということを聞いているのだ」と呼ぶ)そういうことで、その後特に厳正に、厳しく運用をしているということは必ずしもございません。適正に運用しているつもりでございます。  なお、先生御質問の同人誌等について、発行の条件を現在千部となっておりますのを緩和する考えはないかということでございますが、実はその千部というのは、基準は昭和二十五年以降ずっとその基準でやっておりまして、そのこと自体必ずしも適当でないというふうには考えておりません。しかしながら、先生の御指摘もございますので、それらの点も含めてさらに検討してまいりたいというふうに思っております。
  118. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、解説や何か承ったんじゃ仕方がないのです。大臣の腹を聞いているわけでありますから、大臣から簡単に腹を。経過を聞いておるのじゃないのです。
  119. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先生の御趣旨には私も十分共鳴できます。地方文化の阻害要因に当たるじゃないか、同人誌の扱いをもつと柔軟にやれということだろうと思います。  ただ、同人誌の今の問題だけで千部の制限を五百にもっていくということにはいろいろ問題があるでしょうけれども、要は同人誌がいかに郵便を利用しやすくなるかという点に尽きると思うわけですから、三種規制、四種規制の制度改善の中身の中で十分検討して御期待にこたえようと努力をいたします。
  120. 滝沢幸助

    滝沢委員 農水大臣に一言。  食糧自給体制の確立ということでありますが、これは時間が詰まってまいりますから理屈を申しません。緒論を申し上げれば、米の生産調整、減反はまことに愚策であり、国を滅ぼす行為であったと私は信じて疑いません。いつやめますか、いつまで続けますか、はっきり。細かしい理屈は要りませんから。
  121. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先生おっしゃいますが、やはり現在の米の生産というのをそのまま続けますればかなりの量が過剰になります。そこで第三期対策を今やっておるわけですが、第三期対策につきましては、いわゆるこれからの実施状況、転作定着化の状況を見ながら米の需給を図って一億人に安定した供給をしなければなりませんので、その状況を見ながら勘案するものでございまして、いつやめるかということは、今のところ残念ながら申し上げられません。
  122. 滝沢幸助

    滝沢委員 その程度のことならだれだってわかる。どういう見通しを持っているかと申し上げているわけです。それはそれ。  そこで、あなたが所管しておられると思うのでありますが、日本の農政の過ちは米減らし政策が一つであり、一つは無反省な補助金、保護政策であると私は思います。そこで、蚕糸砂糖類価格安定事業団というものがございますね。ここの今日の経営の状態はどうですか。在庫はしこたまたまっておると言われておるわけです。どのくらい在庫があって、そしてその金はどの程度であり、しかもその金は、もと買い受けたときの値段と保管料、手数料、利子を加えた金額との差はどうですか。数字だけで結構です。
  123. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 今十七万五千俵在庫がございます。細かいことにつきましては、今事務局から申し上げます。
  124. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 在庫の数字はただいま大臣から申し上げたようなことでございます。  事業団は、価格が低落いたしましたときに国産糸の買い支え及び輸入糸の放出を取りやめてこれを在庫の形で持っているわけでございまして、御指摘のように、買い入れ価格に比べますればコストが年々かさんでいっているということは事実でございます。  これは五十八年度末の在庫価格の試算でございますけれども、国産糸につきましてはそういうコストを加えていきましたもので、在庫価格がキログラム当たり一万六千八百五十円というくらいの水準になっております。輸入糸につきまして申しますと、これは一万七千七百六十円というのが五十八年度末の推定コスト価格ということになっております。
  125. 滝沢幸助

    滝沢委員 数字の議論をする気はありませんが、とにかくその事業団は今十八万俵という在庫と一千八百億という金で苦労しておるわけです。これがどんどん利子がかさみ、保管料をいわば上積みしていくわけであります。そして、これば農林中金から借りているのでしょう。そしてこれはもはやパンク寸前ですわね。  そこで、一年間に百三十五億も利子がかさんでいくというのでありますから、そろそろ腹を決めなくちゃならぬ段階だと思うのです。そこで今、中国、韓国、ブラジル等から輸入しておられますね。こんなに国に生産がだぶついておるのにどうして輸入するのです。そして今、二国間協定が進められているのでしょう。結論は出たのですか、どうですか。これについても国際価格は七千円だというのに、どうしてそれ以上に高い価格で輸入しなくちゃならぬのですか。  時間がありませんから続けて質問の数をふやしていきますけれども、今農家に対しまして、生産コストをもっと下げる工夫ないしは生産を抑制する工夫、どんなことをされておりますか。これをあわせて、大臣、どうです。
  126. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 在庫の水準を下げるためには、何と申しましても需給を改善する必要があるわけでございまして、これまでも需要の拡大のための努力、それから輸入を減らすための努力、そのほか国内の需給改善のために考え得るありとあらゆる対策はやってきたつもりでございますが、何と申しましても需要の減退のスピードの方がはるかに速い、こういう事情の中で在庫がふえてきておるわけでございます。その意味で、これまでの政策努力も引き続き続けていく必要がございますけれども、ここまで需要が落ち込んでまいりますと、やはり国内の繭についても相当程度の減産の必要があるのではないかということで、ただいま生産者団体等と協議を進めております。おおむねの方向については合意が得られたというふうに考えておりますが、具体的に幾ら減産するかということにつきましてはなお調整すべき問題がありまして、ただいま生産者団体等と協議しているところでございます。  それから輸入の問題でございますが、これは、繭糸価格安定制度は国内の保護のためにあるものでございますから、輸入の圧縮というのは非常に大事な問題でございますが、御承知のように、これは日本の蚕糸業が国際競争力のありました時期に自由化しておる商品でございます。自由化しておる商品でございますが、国内がこういう状況でございますから、輸出国とも十分話し合いをいたしまして、これまで減らす努力をしてまいりまして、生糸で申しますと五十三年当時の七割程度を減らしております。それから絹糸で申しますと大体五〇%ぐらい減らしておるわけでございます。絹織物につきましても、これは面積ベースでございますが四割ぐらい減らしておるということで、これは通商産業省とも十分協力をし合いまして輸入削減の努力は十分いたしてきたつもりでございます。しかしながら、今申し上げましたように、すでに自由化してある商品であるということ、さらには相手国がほとんど発展途上国であるという事情もございまして、国内の需要減に見合ってこれを極端に圧縮することについてもいろいろ問題もある、こういう中で、やはり国内産についてもある程度減産の協力を願わなければならぬのではないか、かように思っておるところでございます。
  127. 滝沢幸助

    滝沢委員 はっきりしないような、一生懸命やっておるみたいな話ではあります。いろいろ意見はありますが、しかし私は、このようなことで赤字を出していって、結局は国民の血税で穴埋めをしなくてはならぬということになると思うのです。私自身も農家でございますから、農家の気持ちはよくわかっておりますが、実は、日本の農政はこういうことでは助からぬのですよ。もっと基本的な問題をなおざりにして、このいわば補助金とか、こういう蚕糸事業団のようなことを無理して継続していっても、これは結局政府も疲れる、農家も参るのです。  そこで、どうですか、大臣。最後に、いつ、どのような方法でこの事業団を収束しようとしていらっしゃいますか。いつかしらこれはやめなくてはなりませんよ。
  128. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 お答えいたします。  今事業団のあり方につきまして、研究会ということをお願いいたしまして、いろいろこれを検討していただいております。この研究会の結論を待ってどのようなぐあいにするか決めてまいりたいというぐあいに考えております。
  129. 滝沢幸助

    滝沢委員 私は、研究会のことを聞いているのではないのです。いやしくも農林大臣として、これだけの赤字を抱えていくこのことについて、農政の立場からの一つの腹があってよかろう、こう言っているわけであります。農林大臣には後で時間がありましたらもう一つ承りたいことがございますから、このことを保留させていただきまして、次に進ませていただきます。  話はすっかり変わりますが、自治大臣、御苦労さまです。実は、今国会におきまして一つの大きなる課題は、先ほどの最高裁の判決を受けましてのいわゆる議員の定数の格差是正ということであろうと思っております。国会のことにつきましては、今各党各会派でいろいろと作業を進めているところでありますからしばらくおくといたしまして、しかし精神においては国会のことも同様でございますが、市町村、いわゆる地方の各級議会をも含めて、定数というものは、これは私の所論でありますが、国家の構成の一つの要諦は、国土でしょう、人口でしょう、そしてそれに主権が存在して国家という、これは東西の常識でございますが、そのようなことを考えますと、議員の定数をただ単に算術計算的に人口で割っていくという考え方は、もはや古いのではないか、こう思うのです。いわゆる地域割、面積割というものが勘案されてしかるべきと思うのでありますが、新自由クラブを率いて連合に踏み切られました、いささか従来の自民党さんよりは新鮮な近代的感覚があろうことを期待してお伺いします。
  130. 田川誠一

    ○田川国務大臣 議員の定数の配分につきましては、国会の方は、前にもたびたび私から申しておりますし、またいま滝沢さんからもお話がありましたように、単に数字だけでなく、地域とかあるいは選挙区のまとまり、あるいは交通事情、こういうようなことを加味しながら定数の配分をしていくべきものである、こういうふうに私自身も考えておりますし、大体これまでもそのようなことを考慮されて議員の定数が配分されていたものと思っております。  今御指摘の地方議員の定数でございますが、滝沢さん御承知のように、地方議員の定数は、地方自治法で段階的に、人口区分に応じて一応弾力性を持って配分が決められております。そしてその上に減員ができるという条項もあるわけです。これが国会議員の定数とちょっと違うところでありまして、地方によりましてこれは適当に減員すべきだというようなことができるようになっておるのです。そういう意味で、基本は、もうこれは数字で、人口で決めないと決めようがないのですね。そして、いろいろ面積だとかその他の事情を考慮すると、あらゆることを考慮して決めなければなりません。そういう意味で、地方の場合は条例によって減員もできるというふうになっております。今、滝沢議員のおっしゃったこと、この趣旨は、私どももそれを考慮に入れてやらなければなりませんけれども、実際には御承知のように地方で条例でかなり自主性を持ってやることができるということでありますので、なるべくそういうことも考慮に入れながら私どもは指導をしてまいりたい、このように思っております。
  131. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣のおっしゃるのはちょっとごまかしでありまして、私はそのくらいのことはわかっておりますが、法律で面積のことをも何%割り当てるということができるかどうかと聞いているわけです。だけれども、時間がありませんから結構です。  農林大臣、最後に、国有林野法の一部を改正する法律案というものを御提出されております。ところが、私これを見ますと、昔、農家で貧乏しますれば、三年、五年の木を、立ち売りといって、二十年私は世話しますから買ってちょうだいというようなことがあったものですが、ちょうど同じで、林野庁は貧乏したものですからこのようなことになったと思うのですが、今とりあえず金を取ることには大変いい思いつきですよ。だけれども、この二十年から三十年の年齢の山を、都会の人だれでもいい、個人でもいい法人でもいい、金を出す者にはだれでもいい、半分の権利売りますよ、二十年後に切ったときは半分上げますということですね。これはしかし、村落の協同性というものを失わせる。そうでなくともいま農家が人口過疎で、出て行った人の入会権の主張とか相続の問題で苦労しておるわけです。そして、残った人たちは水路とか山道の管理のために苦労しておるわけです。そのときにあなたがあえてこういうことをなさるならば、まずその市町村、その市町村に住む農家の人々の団体等に参加をさしたらいかがですか。そうしませんと、これは変な投機の対象になったりなんかしまして大変難しいことになりますよ。私はそのことをお伺いしたいのであります。大臣、どうですか、結論だけ。
  132. 秋山智英

    ○秋山政府委員 お答えします。  最近森林資源の確保の問題につきましては国民的要請が高まっておりますので、私ども、やはり自主的に造林をしたいという方々には積極的に参加してもらいまして、国民運動としましてこの森林造成をしていくことが非常に重要だと思っております。  そこでもう一点、今、先生の御指摘もございますが、私どもやはり国有林の財政上からも、その二十年生前後の山を出しまして、一緒になって、これは国有林が責任を持ちまして管理経営をしていくことでございますし、さらに先生御指摘の地元につきましては、部分林もありますし農林業の施設に対する協力もございますので、これは十分一緒に進めてまいりたい、かように考えております。
  133. 滝沢幸助

    滝沢委員 この分収育林につきましては、私は今後とも発言の機会をとらえて勉強してまいりたいと思いますので、よろしくどうぞ大臣、勉強しておいてください。  ところが、大臣が必ずわかることを一つお伺いしたい。大臣は九段宿舎が宿舎でしょう。そこの電話番号は何番です。
  134. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私の九段宿舎の電話番号は二三四の六四三五です。
  135. 滝沢幸助

    滝沢委員 ありがとうございました。  実は大臣、私がこの分収育林のことを質問しようとしましたら、私たちを支持している日林労という労働組合の幹部の方が見えられまして、どうぞひとつこの質問をやめてくださいと言うわけです。私は、これは筋が通らぬことでありますから、君たちの生活のことは私たちは十分考えているけれども、これは発言をせざるを得ない、わかってくれ。わかって帰ったわけです。そうしましたら、何とか課長さんという方が、名前を出すとどうかと思いますので申し上げませんけれども、おっしゃいまして――内容についてこれは国のためにというならば、例えば防衛のこと、外交のこと、議論してもらっては困る問題もありますから、それは協力してくれというならば協力は惜しみませんよ。だけどその課長さんがおっしゃるのは内容じゃないのです。今、これは農水委員会に議長から預けられていて、大臣の趣旨説明もしていない段階だから、予算委員会で話すのはおかしいじゃありませんかということなんですよ。だから、私は議事運営の手続等について君たちの指図は受けぬ、今後のことはちゃんと大臣が、それは委員会でまだ説明もしておらぬからここでは答えられませんと言ったらいいじゃないですか、そういうふうに言って帰しました。そこで、しかしこれはけしからぬと思いまして、あなたに実は相談したいと思ったのですよ。そうしましたらもう夜になって農林省も留守番電話で、これは話にならぬ。あなたの公舎というのですかな、公邸というのですか、官邸ですかな、それはわかりません。そこで大臣、今サンケイで議員の宿舎のことが大変にキャンペーンされておりますけれども、その一覧表を見ましたら、あなたは九段宿舎にお住まいだ、こうなっているのですよ。そこで電話をかけようと思って、あるいはおいでかなと思って、しましたら空白なんですね。そこで、仕方ありませんから、宿舎の事務局にお尋ねをした。そうしましたら、何の何がしとかいうお名前も聞いたんですけれどもここで出してはどうかと思いますからなにですが、大臣から言ってはならぬと言われているからお教えできませんと言うのです。そこで私は、その電話は公設の電話じゃないのか、そうならば、大臣たる者は国民の声をあまねく聞くという姿勢がなくてはならぬ、あるいは夜、夜中にどういう事件が起きぬとも限らぬ、そのときに電話番号を隠しておくというのではこれはけしからぬ、こう言ってその係の人をしかりましたけれども、係の人だけがばかを見ましたね。あなたはどうして電話番号を隠すのです。
  136. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 これは公設ではないと思います。実は公設の電話がありましたときに、いろいろな嫌がらせの電話だとかそんなものが入りまして、女房の方がノイローゼになってしまいまして、それで、私設でひとつ入れてもらいたいということでこれをお願いしまして、今の電話番号を入れたわけでございます。私は少なくとも私設だと思いますが、これはよく調べてみますが、そういうことで、決して逃げ隠れするのでやったのでございませんで、家族の健康上もございますので、そういうようなことで出しませんでした。その点はひとつ先生御理解いただきたいと思います。そういうわけで私設であると思いますけれども、しかしそのようなことで宿舎に、実はこういうようなことと、警察の方へも相談いたしました。そうしたら、じゃということで、私の電話はとりあえず番号を出さないようにしてくれということにいたした次第でございます。
  137. 滝沢幸助

    滝沢委員 お答えは要りません。  奥さんがノイローゼになるのはこれは気の毒でありますが、しかし国民のために命を捨てようとして政治家になり、また大臣になったのでしょう。それなのに、国民からの声が届かないような状態に置かなければ務まらぬのであったならばおやめになったらいかがですか。答弁要りません。(発言する者あり)答弁要りません。
  138. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 お答えさしていただきたいと思います。そこまで言われて私が答弁しなかったら、政治家としてこれはもう今後やっていけなくなると思いますから。  もう全部私は、今後はそれでは幾ら嫌がらせの電話がありましても、そのまま電話番号を公表してやってまいります。
  139. 滝沢幸助

    滝沢委員 それはそうだ。よその大臣にもあるでしょう。
  140. 松永光

    ○松永委員長代理 この際、田中慶秋君より関連質疑の申し出があります。滝沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田中慶秋君。
  141. 田中慶秋

    田中(慶)委員 財政問題について大蔵大臣に質問させていただきます。  五十九年の一月十九日閣議決定された「五十九年度予算編成方針」「補助金等については、すべてこれを洗い直し、従来にもまして積極的に廃止、減額等の整理合理化を行い、総額を厳しく圧縮する。」となっておりますけれども、少なくとも補助金等の八割は地方公共団体に対するものでありまして、国の財政悪化から補助金等を圧縮するということは地方財政を圧縮することにつながってまいると思います。これらについて大臣はどのようにお考えになられるのか、そしてまた、これからの国、地方との関連についても含めて所信をお伺いしたいと思います。
  142. 竹下登

    竹下国務大臣 今御指摘のとおりのことを予算編成方針で申し上げたことは事実でございます。  そもそも補助金は国の重要な政策手段であります。がしかし、既得権化しましたりあるいは惰性的運用に陥って硬直化する、そういう、言ってみれば弊害も従来から御指摘いただいておるとおりであります。したがって、補助効果の見直しを初めとして整理合理化をしていこう、こういうことにいたしました。  今おっしゃいますとおり、確かに八割が地方団体を通じて出すもの、それから別の意味において社会保障と文教と公共事業、これがまた八割になります。それから法律でくくったもの、これがまたちょうど八割になります。どういう角度からか、こう八割、八割、八割。したがって、なかんずく地方団体に対してその補助金が地方団体も一緒に要らなくなるようなもの、これならよろしゅうございますよね。しかしそうでないものにつきましては、地方財政計画で十分裏打ちができるものというようなことで選別して、地方団体のしわ寄せということにはならないような配慮はしております。
  143. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大蔵大臣はそのように言われているわけですけれども、まさしく地方はこれらの問題について、地方財政を圧迫される、こういう危機感をお持ちになっているわけであります。そういう点については今後ともそのような形のないような形で、地方とのコンセンサスも必要ではないかと思いますが、これらについてどうお考えになっておりますか。
  144. 竹下登

    竹下国務大臣 一例を挙げれば児童扶養手当などが今度の場合まさにコンセンサスのもとに、ただし今までの分は別として今年度から指定される分についてコンセンサスが得られたわけであります。そういうコンセンサスを得る努力は、これは公経済の車の両輪でございますから、絶えず御指摘のとおり念頭に置くべきものであるというふうに私も事実認識をいたしております。
  145. 田中慶秋

    田中(慶)委員 財政問題でそれぞれ大蔵、自治、特に補助金問題でありますと関連がありますので自治大臣にお伺いしますけれども、地方公共団体が総じて、五十年度財政危機と言われた未曾有の財政危機を乗り越えるために国より先んじて行革を行ったという、こういうお話もありますし、また積極的に取り組んできたことも事実だと思います。これらについて今までの国会論議の中で、地方についても行革そのものについてもっと徹底的にというお話があるように承っておりますけれども、この辺についてあなたの認識はどうなっていますか。
  146. 田川誠一

    ○田川国務大臣 国と地方の行政は車の両輪のようなものでございまして、行政改革をやるにしても、国と同様に地方もやっていかなければならない。私は、全国三千三百の自治体それぞれやり方が随分違うと思いますけれども、自治体によりましては、随分思い切ったことをやっている自治体もございますし、特に民間経営をうまく利用して、そういうようなことで経費の節減なんかも図ってやっている自治体も随分あると思います。しかし、自治体の中にはまだ割合に過去の惰性でやっているようなところもあって、一概に地方自治体全部をこうだということは、なかなか言うのは難しゅうございます。  私は、今、行政改革を徹底してやっていくには、やはり自治省が各自治体の実情をよく把握しているということが一番大事ではないか、こういうふうに思っております。そういう意味で、これからも国と連携をとりつつ地方行政の簡素能率化、これが推進できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  147. 田中慶秋

    田中(慶)委員 自治大臣の答弁、すなわち全国的な問題であるから画一的なというお話もわかりますけれども、いずれにしても、地方行政の中で少なくとも行革が遅延をしているというような感覚で物をとらえてまいりますと、まじめに一生懸命やっているところがばかを見るようなことになってはいけないわけですから。そういう点で、少なくとも国よりも二倍も三倍も努力をされているところも事実私も承知しております。そういう点も含めて、今後の取り組みというか、そういうものについての扱い方を気をつけていただきたい、こんなふうに思います。  ところで、新年度予算、補助金等について整理合理化といいますか、こういう問題について積極的におやりになったようですけれども、それらについてどのようになっているのかお伺いしたいと思いますし、そしてまたこれらについては先ほど大蔵大臣は場合によっては地方とのコンセンサスを得られているということでありますから、この問題について、コンセンサスをどのような形で得られて整理統合されたかという問題について御説明をいただきたいと思うのです。
  148. 山口光秀

    山口(光)政府委員 五十九年度予算につきましては、補助金等のすべてについて洗い直しをいたしまして、補助金総額におきまして、前年度に比べまして四千三百五億円の減額をいたしました。このことは昭和三十四年以降初めてでございます。  補助金の中には、どうしても増額せざるを得ない補助金がございます。例えば義務教育国庫負担金は、例えば先生の月給が上がりますとふえざるを得ない。それから生活保護費などもそうでございましょう。そういうふうに一面においてふえざるを得ない分の増加部分が六千億余りございまして、片方で一兆円程度削減の努力をいたしまして、差し引き四千三百億の減でございます。
  149. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今それぞれ補助金の削減等について努力をされたお話はよくわかりますけれども大蔵大臣御案内のように、補助金等について臨調の第一次答申以来、予算編成に当たって原則として一割削減という基本的な態度で進まれてきたと思います。ところが五十七年度、五十八年度、そういう姿勢にもかかわらず結果的には補助金がプラスになったと思います。五十九年度について、現在考えてまいりますと減少の方向になっているわけでありますけれども、これらについてはどのように理解をしていいのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  150. 竹下登

    竹下国務大臣 今主計局長が申し上げましたように、生活保護、大体生活保護費が標準世帯で米百俵と一緒になりました。そういう問題。それから、学校の生徒さんがふえたり、それから先生の月給が上がれば当然これはふえるわけですね。やはり今度初めて減少したということは、制度、施策の根源にさかのぼったからではないかというふうに御理解をいただいた方がいいのではなかろうかと思います。
  151. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣は、制度、施策が徹底されたからというような感じでおられるようですけれども、少なくとも今度の問題を考えてまいりますと、国民や地方公共団体にその一部を転換されたり、補助金の率を引き下げたり、あるいは制度の改正によって補助金がこういうふうになった、こういうことにつながってくるのではないかと思います。例えば社会保障関係の補助金は多く削減をされてまいりました。今年度予算一つとっても、福祉の切り捨て予算ではないかという批判の声もあるわけですけれども、そのような認識と今のお言葉というものについて、単なる徹底されたという、こんな感覚ではないように承れるのですけれども、これらについて御答弁をいただきたいと思います。簡略で結構です。
  152. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり先ほどもちょっと申しました制度改正の主なものといたしましては、地方事務へ移して地方負担の導入を図りましたのが今の児童扶養手当でございます。それから補助率の引き下げを行ったもの、それから制度改正は医療保険制度の改正とそれから育英制度の有利子化の問題、さらには交付金制度の導入、それから農林関係にございました補助から融資へというようなものがやはり地方とのコンセンサスの中で行われたものだ。最終的には厚生大臣からの申し出で、自治大臣と私と三者の大臣折衝で決めた問題などが典型的な例でございましょう。
  153. 田中慶秋

    田中(慶)委員 削減の努力というものは、当然むだということの形の中ではやらなければいけない問題でありますけれども、その徹底する余り国民や地方公共団体の負担によりならないように私はすべきだと思うのです。そういう点で、これからもそれらについて、積極的な取り組みと並行して、その負担の増にならないような努力というものも当然配慮されてしかるべきじゃないかと思いますけれども、その辺についても、これからより心していただきたい、こんなふうに思います。  特に公共事業の問題等一つとってみますと、御案内のように公共事業が四年続きの横ばいであり、そして来年度マイナスでありますから、人件費のアップや経費のことを考えてまいりますと、これは大幅にダウンすることになってこようかと思います。片方においては景気浮揚を訴え、四・一%の経済成長率だと言って、貿易なりあるいはまた御案内のようにそれぞれ民間の活力を求めた努力をされているわけです。しかし官の努力というものがこの中に全然されていないのじゃないか、こんなふうに思うわけですけれども、これについて大臣の答弁をお願い申し上げ、特に政府が今やっているのは縮小均衡でありますから、我が党が主張しているように拡大均衡の方向にこれを大臣として考える用意はないかどうか。
  154. 竹下登

    竹下国務大臣 かねての貴党の主張でございます。まず公共事業費は、随分工夫をいたしまして、民間資金、時には外債等まで入れて、事業費は大体ことし以上のものを、今年度よりも若干でも上回るものを確保しよう、こういうことです。それともう一つは、幸い卸売物価マイナス、こういうような状態でございますので、そのデフレーターが効くのじゃないかというふうに私は思っております。  かねての主張であります縮小均衡、拡大均衡、この問題でございますと、政府が考えておりますのが大体八〇年代後半を六ないし七%の名目成長率、そうして四%程度実質成長率で三%程度の消費者物価上昇率で二%程度の失業率で一%程度の卸売物価、すなわち私がよく外国の人に言います七、六、五抜きの四、三、二、一、こう申しておるわけです。そこからいきますと、四%の成長というものは、やはりそうした公共事業等の工夫の背景があるからできるものであろう。したがって、拡大均衡を私は否定するものじゃございませんが、これを、いわば先生と私とでいわゆる潜在成長力の見方そのものが違うじゃないか。この土台議論ぐらいからやっていかないと、安易に、例えばそれを建設国債なり赤字国債なりで拡大均衡を求めたといたしましても、実際問題としてそれの実が結ぶのが数年後とした場合、単年度予算主義の場合に企業経営と違ったある種のリスクというものも念頭に置かなきゃならぬ。だから、考え方が大変離れているとは私思いませんが、潜在成長力の問題でやはり田中さんと竹下さんと、中と下の違いがあるのかな、こういう感じです。
  155. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれ主張は違うということでありますけれども、少なくとも日本の経済を支えている中で、民間の人たちはまさしく骨身を削り、そして今日の貿易摩擦に本当に努力をされているわけであります。ところが、官側と言うと大変失礼ですけれども、行政改革を初めとしてそれぞれの臨調答申に基づく努力は多としますけれども、まだまだなまぬるいわけであります。これらと並行して、今日のこの公共事業そのものがもっとふえてくれたならば、経済に対する活力がより積極的に見られるであろうということを言われておりますけれども、今大臣とのその辺のすれ違いがあるわけですけれども、私は、官も民も一体となって初めて日本の景気回復なり活力というものはあらわれる、こんなふうに認識しておるわけです。そういう点でぜひこれからも、今予算編成に対して修正も、その辺についてのこれからの取り組みもされるようでありますから、単なるコンクリートにしないで、あなたの頭は大変柔軟なようでありますから、そういう点で、いいことであればこういう問題について耳を傾けながら、積極的に取り組む必要があろうと思います。それが一点。  もう一つは、やはりどうしてもということであるならば、今日の景気回復をより促進をしていただくために、現在の公共事業を、前倒しということを例年やってまいりました。しかし、これからの、本年度前倒しを具体的にどのようにお考えになるのか。積極的に取り組む姿勢があるかどうか。これらについて大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  156. 竹下登

    竹下国務大臣 基本が全く一致しますのは、とにかく世界の中で一番消費者物価が上がらなくて、失業率が一番少なくて、経済成長率も安定して一番順調だという意味においては、これはもう何よりもあの第一次、第二次石油ショック時代の労使の世界に類を見ない卓越した減量努力の結果、これは私の認識を等しくいたします。私どもの方にむしろ足りないものがある、私自身に言い聞かせておるつもりでございます。  そこで、公共事業の前倒し問題ですが、これは当然、この予算が通過いたします直後に公共事業執行に関する閣僚会議というものを開いて、どのようにするか。ただ問題は、たとえば五十四年度予算執行の場合は後ろ倒しにしましたね、物価が上がり過ぎたものですから。したがって、後ろ倒しにする環境には私ないと思いますけれども、それには、今度議了していただきましたあの補正予算の中に、債務負担行為に係る、あれがどの程度予算現額として今度は残るのかというのを見極めてからでないといかぬ。それがいつかといいますと、例年大体三月末に予算現額は見定めることができる。その時点でただいまのような御主張を念頭に置きつつ検討をさせて決めさせていただくことだな、こういうふうに理解しております。
  157. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、積極的なその取り組みを期待したいものであります。  特に、大蔵大臣、今、国直轄事業の負担金等の問題において質問させていただきたいわけですけれども、どのような事業に対して年間との程度の金額となっているのか。もしおわかりでしたら、五十八年度べースでこれらについてお答えをいただきたいと思うのです。
  158. 山口光秀

    山口(光)政府委員 五十八年度の直轄負担金は五千二十九億でございます。その内訳は、治山治水千五百二十八億、道路整備二千四百四十億、港湾漁港空港整備五百九十三億、農業基盤三百五十八億等でございます。
  159. 田中慶秋

    田中(慶)委員 特にこの国直轄事業負担金については、今地方の大変大きな関心のあるところであります。特にこの負担金の確定、請求時期等の問題、国サイドで一方的にやるものですから、地方自治体の財政運用についても大変阻害をされている、こういう問題も指摘をされておりますし、全国知事会等については、もう既に国直轄事業というものについて廃止をしていただきたい、こういう要望もあるわけでありますけれども、これらについて、大蔵大臣、どのようにお考えになっておりますか。
  160. 竹下登

    竹下国務大臣 社会資本の整備に要します費用を国が負担するほかに地方公共団体が負担するという問題は、国の財政、地方財政のあり方と、それから地元の受益の程度等諸般の情勢を考慮して合理的に決定さるべきものでございます。したがって、その直轄事業の改良工事や維持費等について現段階において今申しましたような諸点を考慮して決めておるわけでございますので、これをいわゆる廃止するという考え方には私は同意することはできません。直轄事業に係ります地方分担金等につきましては、地方財政計画上一応措置が講じてあるわけでございますから、やはりこれはこの制度の方がベターじゃないかなというふうに理解しております。
  161. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣は言われておりますけれども、現実には、地財計画の中に盛られているにしても、例えば直轄事業の方が事務の負担金が多過ぎるとか、あるいはまた事務費が、国の事業、国庫事業における比率が高いとか、あるいは維持費等についても負担金の対象としているというようないろいろな問題があるわけです。片方においては行革、あるいはそういうことを含めて、先ほどいろいろなことを総ざらいをしてスクラップ・アンド・ビルド、こんな形でやられているということを言われているわけですけれども、これはこれとしての所期の目的があるからということであるならば何もできないと思うのです。そういう点で、全国知事会ですらこれらについての見直しを言われているわけですから、それらについて大臣の前向きな話があってしかるべきだと思うのですが、もう一度。
  162. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり田中さん、今日の段階では、今おっしゃったような議論も踏まえて勉強させていただきましょう、その程度で御勘弁いただきたいと思います。
  163. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間もありませんから、この問題にだけ絞るわけにはいきませんけれども、全国知事会がそういうことを要望するならば、地方自治の悩みというものはそういうところにあるんだという認識に立って大臣はやはり耳を傾け、前向きに検討していただきたい、こんなふうに思います。  自治大臣にお伺いしますけれども昭和五十九年度予算において当然地方の超過負担解消について努力をされたと思いますけれども、これらについて具体的に、どの件について補助金なり改善された金額、先ほども一部述べられておりますけれども、どの程度ですか。
  164. 田川誠一

    ○田川国務大臣 以前よりもかなり地方のいわゆる超過負担というものは減少してきたと私は思っておりますが、具体的には政府委員から答弁をさせます。
  165. 石原信雄

    石原政府委員 お答えいたします。  五十九年度予算編成に当たりまして、超過負担の解消措置としましては、補助単価の改善関係で事業費ベースで十億円、それから補助基準の改善関係で六億円、合計十六億円の改善を行っております。
  166. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれ努力をされたということの結果、十六億程度の問題でありますけれども、やはり部分的に毎年少しずつ実態調査を行っておるようですけれども、現実にはここ数年来、抜本的な調査というものをやられていない、そういうところに今のような数字が出てくると思います。片方においては行革、自治大臣みずからが行革は地方も国も待ったなしと言われているにもかかわらず、この結果を見たってわかるでしょう。ですから、こういう点を含めて、やはり超過負担というのは完全解消というものを目指して、その声が大なわけですから、自治大臣の決意を聞かしていただきたいと思います。
  167. 田川誠一

    ○田川国務大臣 田中さんが地方の立場に立って、非常に地方自治体のことを心配しての御発言は、私どもにとりましても大変うれしく思っております。  まじめに一生懸命努力をしておられる自治体に報いるためには、できるだけ国の施策が地方に余計に転嫁されない、国の仕事によって地方に転嫁されることのないように、できるだけ私どもも努力をしてまいります。
  168. 田中慶秋

    田中(慶)委員 自治大臣から決意が述べられておりますので、この件についてはこの程度としますけれども大蔵大臣、実は零細補助金の廃止等について、御案内のようにそれぞれ具体的な取り組みをされたと思いますが、その方針となる基準が明確にされていないわけであります。今回、総合メニュー方式を図ったとかいろいろなことを言われておりますけれども、これもまた抽象でありますから、具体的な例があったらお示しをいただきたいと思います。
  169. 山口光秀

    山口(光)政府委員 かねて指摘がなされております零細補助金の整理でございますが、五十八年度予算でその基準を上げました。つまり、都道府県につきましては、一件当たりの交付額が従来五百万円でございましたのを一千万円、市町村につきましては五十万円から百万円に上げました。  それから、メニュー化でございますが、これも臨調の御指摘等踏まえまして、一番やりましたのは五十七年度でございますが、七百八十六件についてメニュー化をいたしました。その後、五十七年に徹底いたしたものでございますから、五十八年以降は件数はこれに及びませんが、なお引き続き努力いたしております。
  170. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大蔵大臣、今メニュー化の問題も積極的にやられておるようですけれども、限られた予算の中でより積極的に、またむだのないように使うためには、例えば道路整備交付金とか河川整備交付金とかこういうものを一括されて、私どもが俗に言う第二交付税的な発想、あるいは第二交付税と言わなくてもそれなりのことをやることが、単にメニュー方式をやるよりもよりベターではないかと思いますけれども、あなたの考え方をお聞かせいただきたい。
  171. 竹下登

    竹下国務大臣 これはかねての御主張でございますね。私も、もう古くなりましたけれども建設大臣をしておったこともございますが、いろいろ考えまして、やはり御案内のとおり、道路整備五カ年計画あるいは河川、海岸、空港、土地改良、そういう長期計画というものがありますと、その地域地域のバランス等を考えて、やはりこの問題は、現段階においては今のような姿にしておいた方がより効果的ではないか、こういうことでいつも議論をちょうだいしながらも、そのような方針で今日も貫かせていただいておる。しかし、地方自治体そのもののいろいろな二ーズに対しては、絶えず耳を傾けておる姿勢は持ちながら継続させていただいておる、こういう理解をいただきたいと思います。
  172. 田中慶秋

    田中(慶)委員 古いことはいいことということもあるかもわかりませんけれども、時によっては、やはり新しい発想、時代の流れと同時に発想の転換も要求されていると思いますので、大蔵大臣もその辺もぜひ検討していただきたいと思います。  次に、文部大臣及び教育関係等について関係大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  御案内のように、高度経済成長あるいはまた物質的な豊かさが求められている余り、今日では身近な自然の喪失や家庭機能の低下、人間関係の希薄化などが指摘をされているわけであります。特に、近年校内暴力、家庭内暴力、青少年の非行、犯罪の増加が低年齢化され、登校拒否などが大きな社会問題になっていることは事実だと思います。そういう点で、最初に警察庁にお伺いしますけれども、校内暴力が年々増加と凶悪化、粗暴化の傾向にあるというふうに聞いておりますけれども、五十八年度、校内暴力事件の現状とその対策、そしてまた積極的なそれぞれの関係省局との連携というものについて、御答弁をいただきたいと思います。関連して、公安委員長にも所見をお伺いしたいと思います。     〔松永委員長代理退席、委員長着席〕
  173. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 昨年一年間に発生いたしました校内暴力事件でございますけれども総数で二千百二十五件でございました。前年に比べまして八・四%の増加でございます。  特に問題となっております教師に対する暴力事件でございますが、昨年は九百二十九件発生いたしまして、前年に比べまして一〇・二%を増加いたしました。特に昨年は、上半期に多く発生いたしました。この教師に対する暴力事件は、全体の九八・四%までが中学校で発生している状況でございます。内容的にも大変凶悪粗暴な事件、あるいは暴走族等の校外の非行集団と結びついた事件も依然として多発しているところでございます。  対策でございますけれども、校内暴力事件に対しましては、やはり学校、家庭、地域社会が一体となった対策が必要でございますので、警察といたしましては平素から学校、教育委員会との緊密な連携をとっております。また、PTAや住民の方々と一体となりまして、事件の未然防止を図っておるところでございます。不幸にして事件が発生いたしました場合には、学校等との緊密な連携のもとに、事件の内容に応じました措置を迅速かつ的確に講じておるところでございます。
  174. 田川誠一

    ○田川国務大臣 田中さん御指摘の校内暴力は、一日も放置しておくことのできない重大な問題でございまして、いま警察庁保安部長が申しましたように、大変、ここのところふえております。教育委員会あるいは学校当局とできるだけ緊密な連絡をとって、ひとつこれを未然に防ぐことを考えていかなければならない、そういうことで、今後も一生懸命やってまいるつもりでございます。
  175. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間もあれですけれども、大変重要な問題です。いずれにしても親も教師も、あるいはまた生徒も迷っている問題だと思います。こういう点について、私は、二十一世紀を担う子供たちですから、もっともっと子供たちにゆとりのある教育を含めて、これらの対策が望まれている、これが実態でありますから、単なるそれぞれの立場だけを主張することなく、文部省の立場とか警察の立場とか学校の立場というそれだけの主張でなく、積極的な取り組みについて要請をするものであります。  特に今度の問題について、総理は教育改革の一環として、大変自然教育を初め触れ合い教育を述べられておりました。私も同感でありますけれども、この自然教育、触れ合い教育と同じような形の中で、やはり日本の文化と伝統というものが大切であろうと思います。例えばフランスでは、御案内のように、日本の文化、伝統というものをよく研究されて、そうして今日の日本の繁栄の中には、そういう歴史的な背景の中で武道精神があるということを高く評価されて、もう義務教育の段階から柔道を行っていることは事実であります。日本はむしろ中学校、高校においても、これらについては御案内のようにまだ選択でありますから、こういう点についてももっともっと見直すべきは見直し、重要な問題として取り上げていくべきじゃないかと思います。  特に自然教育の問題等について、教室外の問題等については、特に先般の、御案内のようにボランティアの裁判でも明らかなように、問題は、やはりその人たちが一生懸命その活動に従事できる保障の問題や、あるいはまた住民とのコンセンサス、親とのコンセンサス、こういうものがないから教師もそれぞれお互いに一生懸命やろうとしてもできない、こういう問題があるわけであります。文部大臣、その辺について簡明にお答えをいただきたいと思います。
  176. 森宗作

    ○森国務大臣 御指摘お話が非常に各般に広がっておりましたので、簡明にといいますと大変難しいのでありますが、やはり人間として一番何が大事なのかということを子供たちに教えていくことが教育の一番大事なところだ。ところがどうもややもすると、いい学校に行かせたい、そのことが学校の前面に出過ぎてしまう、そのために子供たちが学校にいてはついていけないということになる。海部元文部大臣おられて恐縮ですが、ゆとりある学校教育制度にしようじゃないかといって皆さんの願いでやると、親から、もっと勉強を教えてくれなきゃだめなんだ、ホームルームの時間などあったらもっと数学を教えなさい、英語を教えなさいという要求が先生方のところにも恐らく来ていると思うのですね。一週間にもっと英語の科目をふやしなさいという請願書がいっぱい来ているのです。ですから、やはり結果的には学歴社会の風潮、高等教育のあり方、このあたりにどうしても見直しが必要だというのが今回の教育改革でございます。しかし、自然に触れ合わせるということもとても大事なことでありますから、文部省といたしましても、五十九年度からそうした自然に触れ合う考え方もできるだけ進めていく、そうした制度も進めますし、あるいは学校におきましていわゆる勤労体験をふやしていく、ボランティアをやらしていく、そういうようなこともできるだけふやしてまいる。  ただ問題は、こうしたことを学校でできるだけ取り上げたいのでありますが、これは本当に各党に御協力いただかなければならぬことだと思いますが、そういう授業数をふやしたりいたしますと、あるいは外で体験旅行をさせようとしますと、やはり親の方から、そんなことをする必要はない、もっと勉強をさせるという声もあるのですね。このあたりのところが非常に難しいところだと思います。しかし、今日的なこういう教育の混迷、あるいは非行というものがふえている以上は、やはり人間を豊かにそして本当に素直な心とたくましい体をということを教育の一番大事な目的として、これからの文部省は力を入れていかなければならぬことだというふうに考えております。
  177. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間も余りないので……。いずれにしても、あなたのこれからの取り組みというのは大いに期待されていると思います。校内暴力の問題もそうであります。いろいろな形で要求あるいはまた期待というのは大きいわけでありますけれども、特に今問題になっているのは先端技術の問題。エレクトロニクスの時代になってまいりました。職場に行けばロボットも、こういう時代でありますから、私はこれは新たな提言みたいな形になろうかと思いますけれども、現在の教師の人たちみずからの体験の中で、そういう民間の企業やそういうところに今後出向させて研修をさせていくことがより教師の質の向上につながると思います。こういう点について文部大臣、ぜひ今後取り組んでいただきたい。  さらにはまた、帰国子女の問題で大変大きな悩みを持っているわけであります。日本の経済がこれだけ発展しております。しかし、現実にはその犠牲は子供たちであるわけであります。そういう点で子供たちの入試の問題、帰国子女の受入体制の問題、あるいは現地の子供たちがどんな環境で学ばれているかという問題、大変大きな問題があるわけであります。あなた、実際にこういう問題を含めてみずから体験をしていただきたい、これも要望しておきます。  次に、交通問題について質問させていただきたいと思います。都市化の問題で御案内のように、もうすでに九千五百人、年間死んでいるわけです。私は、少しこれらの問題について、マンネリ化されているのではないかと思うのです。もっともっとこういう問題については、ハード的な面においては警察庁が、危険場所とかいろいろなことを含めて調査をされております。建設省がこういう問題について具体的に予算化をされたり、執行面で大変おくれていることは事実でありますから、これらについて積極的な取り組みをしていただきたいと思います。  同時に、御案内のように幹線道路あるいは地方道というものは、絶えず少なくとも立体化、あるいはまた国鉄というような場合においての立体化が望まれているわけですけれども、これらについて現在おくれている問題やそういう問題も含めて、私は積極的な取り組みが望まれていると思います。  同時に、首都圏における交通対策、こういう問題についての積極的な取り組み、すなわち東京、神奈川、千葉等を考えてみた場合においては、いま東京湾湾岸道路、ベイブリッジあるいは横断道路というものがあるわけでありますけれども、私はこれは三点セットだと思っておるのです。あなたの積極的な考え方と取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います、建設大臣
  178. 水野清

    水野国務大臣 交通安全の、道路の安全をどういうふうに図るようにやっているかということでございますが、一つはバイパスづくり、要するに地域内交通と外から来るのを中へ入れないというもの、それから自転車とか歩行者とか自動車というものを分離していくというやり方、それから立体化の問題、こういうふうに分けてそれぞれやっております。  細かいことについては、申し上げますと、(田中(慶)委員 「いいです。後でまた詰めます、時間がないから」と呼ぶ)それから、東京湾を取り巻く首都圏の交通網の問題は、御承知のとおり湾岸道路を今建設中で、延長百六十キロのうち約九十キロがもう既に供用されております。それから横浜のベイブリッジも第九次道路整備五カ年計画の期間内で完成できるように、それを目途に建設に努めております。それから、東京都の大井埠頭から川崎市の浮島に至る区間は五十八年度より事業に着手しております。浮島から横浜のベイブリッジに至る区間についても調査を推進をしております。それから横断道路でございますが、これは第九次道路整備五カ年計画内に着手したいと思っておりますが、船舶の航行の問題あるいは環境問題あるいはその他神奈川県内における道路網の整備、そういうものとあわせて目下調査中でございます。
  179. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、交通問題にしてもまだまだ積極的な取り組みが要求されておりますし、危険箇所、隅切り、こういう問題を含めて建設省がおくれていることは事実なんですから、もっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。  特に河川法の問題一つとっても、昭和三十九年にできて、四十年に通達が出ているのです。駅前が非常に交通渋滞あるいは自転車が放置されている、河川の空間利用が今望まれているのですけれども、大臣、この辺についてどうお考えですか。
  180. 水野清

    水野国務大臣 河川の利用の問題でございます。河川空間をどう利用するかという問題でありますが、河川にふたをしてしまうというお考えもお持ちのようでございますが、それをやってしまいますと、よく洪水時なんかに非常にごみとかいろいろなものが来てたまってしまう、あるいはそこへたまった泥などを除去するのになかなか難しいということで、現在の河川の行政の中ではおっしゃるとおり駅前など大変空間がもったいないという気がいたしますが、やはりこれは現行どおりやっていきたい、こういうふうに思っております。
  181. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この問題について、いずれにしても何らかの機会を見てあなたともう少し議論をしたいと思います。  最後になりますが、御案内のように、公共輸送の問題について運輸政策審議会といいますかそういうものが検討されていると思います。もう既に既存のもの、さらに延長認可のおりているもの、今横浜が打ち出されている新交通システムあるいはまた羽田アクセスとか、こういう形の中で総体的に今検討されていると思いますけれども、これらについて、もう既に事業認可がおりている民間ベースのものといっても、これはなかなか期待できないわけです、今日の経済環境から。そうしますと、運輸大臣、こういう問題を含めて全体的な見直しと、二十一世紀に向けたあなたの交通対策というものについてどのようにお考えになっておりますか。
  182. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  今御質問にもございましたように、首都圏の交通の行政というものは非常に大きな変化でございます。運輸省としましては、都市交通審議会の答申をもらったぐらいのことで、随分古くなってしまいました。そこで、五十七年に、今これも御質問にございましたように、運政審に基本的な総合的な考え方をどうしたらいいかということを諮問いたしておりまして、実はこれはもう早く答申をいただきたいと思っておる次第でございます。そして、所管は建設省でございますが、道路とそれから鉄道網、モノレールあるいは新交通システム、こういうものがどうあるべきか。考え方によりますと、首都圏が、とにかくこの状態では全国で一番おくれておるといいましょうか、立ちおくれておるといいましょうか、そういう形になっておると思いまするので、そういう総合計画を立てますと同時に、その中の一環としての個々のものを促進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  183. 倉成正

    倉成委員長 これにて滝沢君、田中君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開講
  184. 倉成正

    倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武藤山治君。
  185. 武藤山治

    武藤(山)委員 私とクラスメート、同級生、一番前で机に並んで勉強した親友が大臣に就任されて、よもやこういう場面で同級生と論議をするとは夢想だにしなかったのでありますが、大臣就任を心からお祝いを申し上げたいと思います。そういう立場で奥田大臣との一問一答をやることは、私の人生にとっても大きなメモリーになると、大変うれしく思います。  まず最初に、電電公社の経営形態問題が昨今新聞にも連日のように報道されておりますが、電電公社は、より安く、より便利で、より豊富な電気通信サービスを国民に行う、そういう立場から独占体として長い間国民のための事業として行われてまいりました。ところが、今回この電電公社を株式会社にするという政府の発想は、一面大変な不安もあるわけであります。なぜ株式会社にせねばならないのか、その理由をまず冒頭に率直にお聞かせを願いたいと思います。
  186. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 どうも、本当に武藤議員とこういう形で相まみえさせていただきまして、私も大変光栄に存じます。  御質問にお答えいたします。  電電公社は、御存じのとおりに一元体制のもとで電気通信の分野で大変大きな貢献を果たしてくれていることは御承知のとおりでございますし、労使も大変協力の実を発揮いたしまして、特にこの一元体制のもとで、長い間の夢であった全国のダイヤル即時化、そしてまた加入電話の積滞解消という二大目標を達成することができました。そして今日の経済活動はもちろんのこと、国民生活にも大変多大な貢献をしてまいっていることは疑いの余地のないところでございます。  しかし、現実のINS時代とも言われる高度情報社会にまさに突入をいたしつつあります。多様な多彩なニューメディアが今日これからの国民生活、国民経済に与える影響ははかり知れないものがございます。こういった時代に対応して多種多様なニーズにこたえたサービスが、今日の一元体制のもとにある巨大な電電だけでこたえられるかどうかということが一つの時代的な背景になってまいりました。  他方、臨調答申もこれあり、競争原理を導入して民営化すべしという意見の高まりの中で、政府並びに与党の間で先般電電改革の指針が示されまして、それをこなした形でこの一月二十五日の閣議決定をもちまして当面の改革方針というものが示されました。御承知のとおりでございます。  こういったことから、公共性に配意しつつも柔軟な投資活動を持った会社に、しかも効率的経営によって労使経営の実を上げて当事者能力も発揮した形での会社に持っていきたい。しかも競争による中から大きな活力と意欲が生まれてくる体制の中で利益の向上もしていただきたいし、またひとつ新技術の開発によって時代要請にもこたえていただきたい、そういうところから会社法案という形に成案化を急いでおるというのが実情でございます。
  187. 武藤山治

    武藤(山)委員 ニューメディアの開発あるいは多種多様な国民のニーズにこたえるためということですね。  大臣、株式会社というのは目的は何なのでしょうか。株式会社の目的。
  188. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 専門的なお答えと違うかもしれませんけれども、やはり効率的な事業運営、そして潤達な創意工夫と申しますか、そういう形によっての事業活動の中を通して一つの労使の事業体としての推進を図っていくというのが目的ではなかろうかと思います。
  189. 武藤山治

    武藤(山)委員 株式会社というのは、法律を読む限り利潤の追求ですね。いかにもうけるかなんですね、株式会社は。そうすると、いかに利益を上げるかというためには創意工夫が必要であり、効率化が必要だということになるわけです。そうすると、電気通信事業というものを利益の対象と考えでいいのかどうか、そこのところが一つ大変な問題があるわけであります。ですから、社会党は出資証券方式にして、加入者共有の財産の形態にすべきだ、こういう考え方に立って、公共性あるいは統一性、そういうようなものを維持したいと我々は考えてきたのでありますが、ここまで来ると、政府は臨調の答申を金科玉条としているわけでありますから。今さら我々の基本的な考えを述べても、もはや時期適切でない段階に今なってしまっているわけでありますから、きょうは、そういう意味で、現在郵政省が発表した法案並びにその骨組み、そういうものを読んだ限りでの内部に入った見解を承る以外にないと思うので、そういう立場から少し質問をしてみたいと思います。  今大臣がおっしゃいましたように、効率化を図り、創意工夫をするというためには、電電公社は今までとはまるで変わった新しい発想に立たなければならぬと私は思うのであります。それには、競争導入と当事者能力というものをしっかり認める、そういう体制にしない限り、その目的は達成できないと思うのです。電電公社を真に自主性を持った事業体に改革するということが中心課題だと私は考えるのでありますが、その点、大臣はどのような見解でございますか。
  190. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 私もそのとおりに考えております。  ただ、利潤追求の普通の会社と多少違う点は、公共性に配意しつつ、しかも利益は国民にできるだけ還元してほしいという形が今度の新会社の一つの使命ではなかろうかと思います。あとは全く同一の意見でございます。
  191. 武藤山治

    武藤(山)委員 ところが、新聞などの報道を読む限り、どうも今回の郵政省案なるものは大変統制色が強過ぎる、あるいは官僚の縄張りから余りにも縛りが多過ぎる、そういう趣旨が新聞に大変報道されているわけであります。「政府の関与強まる」、郵政省の権限が多過ぎる。これは先ほど郵政省にちょっと聞いたら、新聞の誤報のようだと言うのでありますが、中曽根総理大臣が異例の発言をした。今回の電電改革法案は「統制色強過ぎる」でできるだけ統制を加えず、新会社の当事者能力を最大限発揮できるようにすべきだ、」こういう趣旨のことを総理自身が発言になられた、こう新聞が報道されているのでありますが、郵政省案について、大臣、このようなちまたの批判に対してはどうお感じでございますか。
  192. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今骨子の段階から法案の要綱作成の段階に入っております。今月下旬までには何とか成案化にこぎつけたいと、今まさに調整の段階でございます。  その間、いろいろなことが漏れてまいります。統制色が強過ぎるのではないかとかという批判もその一つでございます。毎日の新聞で見る限りにおいて、私も担当局に、一体これは本当なのかという形で問い合わすくらいの始末でございまして、現実には、まさにこれから煮詰めていこうという形が真相でございます。  そこで、改革の意図するところは先ほども述べましたから、くどく申しません。ただ、端的に結論から申しますと、できるだけ縛りをかけないで、当事者能力を含めて弾力的な経営形態に持っていこうと努力しておる真っ最中でございます。
  193. 武藤山治

    武藤(山)委員 今大臣から状況をお聞きして、これからまだ我々の希望、多くの意見、そういうものは調整できる時間があると、こう受けとめたので、大変結構だと思っているわけであります。  そこで、今回郵政省の出した骨子を読んでみますと、その骨子の中に、「自らの創意工夫を発揮し、弾力的かつ効率的な事業運営を行う」必要がある、こう書かれております。したがって、新会社は、政府から特段の保護や助成を受けないばかりか、電電公社は三回にわたる料金の引き下げを行い、また政府に対しても、本年度を含めますと、五十九年度を含めますと、六千八百億円の膨大な臨時国庫納付金を納めるなどして、国民に還元をしたり、政府財政に大きく寄与してきたのが電電公社だと思うのであります。」  したがって、こういう電電公社の実績というものを踏まえて考えたときに、既存の特殊会社、例えば日本航空とか電源開発あるいは国際電信電話株式会社、これらの従来の会社と横並びに物を考えではいけないのではないか。したがって、今まで特殊な株式会社には、こういう許可が必要だ、こういう認可が必要だというかなり厳しい枠がはめられておりますが、それと同列に今度の新電電会社を考えることは、実情から見て少々無理だな、私はこう思うのでありますが、大臣はどのように考えておりますか。
  194. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 委員指摘の御意見と、私も本当は全く同意見です。ですから、七つの特殊会社と比較して、これからできる新会社の、一体どこに強い縛りがかかっておるか、私は不思議でなりません。ある意味においては、これだけの、日本でも一番大きなマンモス企業、しかも、政府が全額出資体系の中で行われる特殊会社の経営体としては、私は、そういった意味では、最も弾力的、しかも活力のある経営形態になってほしいという期待が込められておるくらい、緩やかな縛りだと思っております。
  195. 武藤山治

    武藤(山)委員 きょう、その縛りの問題についてのすべてについて論争する時間がございません。そこで、かいつまんで、まず事業計画の認可の問題について、触れてみたいと思うのであります。  骨子によれば、政府の関与は、毎事業年度の事業計画を郵政大臣認可といたしております。問題は、その場合の事業計画というのは、一体どこからどこまでの範囲を想定しているのか。そのいかんによっては、事業計画の認可のときにいろいろもう縛られてしまうわけであります。創意工夫を生かすこともできなくなり、当事者能力すらこれによって縛られるという心配があるわけであります。この事業計画の範囲、中身、そういうものはどの程度までを今郵政省は考えているのでしょうか。
  196. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 委員が今から問われんとしていることは、恐らくもっと相当高度な質問になるのじゃないかと思いますが、その際はあらかじめ政府委員に答えさせますが、私として今御指摘の事業計画に関しまして、現在七つの特殊会社があります、しかし、事業計画を明定していない特殊会社はないということでございます。ただ、私が意図を聞いておる限りにおいては、資金計画あるいは収支予算等についても認可している特殊法人が数多くありますけれども、今度の場合には事業計画だけの認可ということになっておることは御承知のとおりでございます。給与総額体制をとらないとか、あるいはまだもろもろの明定しない事項に関しましては政府委員の方から答弁さしてみたいと思います。
  197. 小山森也

    ○小山政府委員 大体ただいま考えております事業計画の内容でございますが、その年に行いますサービス計画、それから設備計画、資金計画、収支計画というのがあります。  ただ、ここで申し上げておきたいのは資金計画、収支計画でございますけれども、ほかの特殊会社でとっておりますような非常に詳細なものではなしに、極めて粗いと申しますか、余り精級なものということでは思っておりません。ただしかしながら、どこのいわゆる計画の中にも資金計画と収支計画というのが一応入っておりますので、そういった意味での特殊会社の横並びというものを考えて計画の内容としたい、こういうふうに思っております。
  198. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、小山局長、事業計画のメーンはその年のサービスの計画、さらに設備計画、これがメーンである、あとの収支とか資金の問題はその計画を判定したり、見るための材料的な性格のものが収支計画であり、資金計画だと見てよろしいのかどうか。
  199. 小山森也

    ○小山政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  200. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうなりますと、資金計画なり収支計画で、ことしの新会社の事業はこういう規模でこういうことをやりたい、そうなると支出、収入とも明らかにするわけでありますから、例えば給与総額はことしはこの程度になります、そういうことまで全部ここで縛られるような心配が出てくるのじゃないか。というのは、大蔵大臣と協議をしなければならないという条項が十一条と十条でしたか、二つの条文の場合大蔵大臣と協議をしなければならぬという規定がありますね。そのときに、大蔵省の方はいろいろ金のことばかり頭にありますから、この資金計画あるいは収支計画を盾にして電電会社にある程度チェックをする、介入をするという心配は全くないかどうか、これをひとつ郵政省と、きょう大蔵省主計局長いるね、あなた、やがて次官になる人だから、ここでしかとひとつ答えておいてもらいたいのですが、この二人に、その辺の心配が全く無用だと答えられるかどうか、ちょっと答えてください。
  201. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまの段階でまだ大蔵当局の方とその内容まで詳細に詰めているわけではございませんので、なかなかこの席で申し上げにくいことでございます。したがいまして、明確には申し上げられないのですけれども、これからの大蔵省との内容の詰めの中におきましては、給与総額等については、いわゆる国会に提出いたします予算とは異なった形の収支という形で事業計画の中に入れていくように話をしたいと思っております。無論これからの話でございますので、今明確に申し上げるわけにまいりません。
  202. 山口光秀

    山口(光)政府委員 ただいま郵政省からお答えいたしましたような協議の段階でございますので、私ども基本的な考え方を申し上げたいと思いますが、新会社に対する政府の関与は、ほかの例も参考にしなければいけませんが、必要最小限にとどめたいというのが大臣のお考えでございまして、この線に沿って詰めてまいりたいと思います。
  203. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、今度の電話会社法十六条「郵政大臣は第十条第一項、第十一条の認可をしようとするときは大蔵大臣と協議しなければならない。」こうなっておりますね。事業計画、さらに利益の処分、こういうものについては大蔵省と協議する、こういうことになっているんです。そうすると、大蔵省はその際に収支計画あるいは資金計画に名をかりて支出を抑える、そういうようなことの発言を大蔵省側が言った場合にこの協議はどうなるのですか。協議が整わなかったときにはどちらの意見が尊重されることになりますか。
  204. 小山森也

    ○小山政府委員 ちょっとお答えになるかどうかわかりませんけれども、一応今のところは大蔵当局と事前によく相談をいたしますので、協議整わずということは今のところ想定した形での議論はしておりませんので、明確なお答えにならないと思いますけれども、そういうような事態にならないように持っていきたいと思っております。
  205. 武藤山治

    武藤(山)委員 小山さん、株主は大蔵大臣一人なんですよ、当分。当分の間、大蔵大臣が株主でしょう、大体大蔵省が。国ということになるんだけれども、実際は大蔵大臣が一人株主。そうすると、いろいろ話をしたときにどちらの発言力の方が強くなるかといえば、この協議の場合大蔵省の発言力がかなり強くなる。収支計画と資金計画の検討の場合に、それが大変心配なんですよ。そこが私は心配だから念を押しているのですが、協議が整わなかった場合必ず――整うという場合は、大蔵省の言い分が貫徹されるということの方が強いような気がするんですよ。その辺はどうでしょうか。
  206. 小山森也

    ○小山政府委員 実は同じような協議をやっておりますが、国際電信電話株式会社につきましても同じような協議をやるわけでございますけれども、この長い歴史の中で、まだ一度も協議整わずという事例はございません。  それから、大蔵省との協議ということでございますけれども、事前にいろいろな話をいたしまして、恐らく今後とも国際電電と同じように、協議整わずというような事態はないと思っております。
  207. 武藤山治

    武藤(山)委員 それではその次に、この事業計画なるものは事業計画オンリーでなくて、その中の一部として資金計画と収支計画が入るものなのか、資金計画と収支計画は別の附属書類的なものとして提出をすればいいものなのか、そこのところはどうなんですか。
  208. 小山森也

    ○小山政府委員 事業計画の一部でございます。
  209. 武藤山治

    武藤(山)委員 一部ということになりますと、これはますます重要ですね。そうなりますと、この収支計画と資金計画が事業計画そのものだということになりますね、一部に含まれているとなると。そうすると、そこで例えば一年間の人件費はこの程度になりそうだ、あるいは時間外手当はこの程度になりそうだ、そういうようなことを事前に提出をして、それより額がふえるというようなときにはけちをつけるんじゃないでしょうか、大蔵省と協議されている事項ですから。そこのところをきちっとしておかぬと心配でならぬのであります。  というのは、さっき小山さんは資金計画や収支計画はさほど重要視しないんだ、国民へのサービスの事項と投資の事項、これが事業計画の中心的な課題なんだ、今の答弁では、いや、収支計画も資金計画毛計画の中の一部だとなると、これは大変な違いなんでありまして、そこのところもう一回念を押しておかなければいかぬのであります。収支計画と資金計画はどの程度の重みがあるものなのかね。
  210. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほどから申し上げておりますように、いわゆる設備計画、サービス計画に伴いまして必然的に入ってくる収支計画であり、資金計画であります。その結果、いわゆる給与総額制度というのはとる必要もないと思っておりますし、先ほど大蔵省当局からも御答弁がありましたように、原則としてなるべく自由な形での監督体制、協議体制というものを基本的にとっているということを御理解いただきたいと存じます。
  211. 武藤山治

    武藤(山)委員 利益目標たる収支計画とか資金繰りの計画、そういう資金計画というようなものは、普通民間の株式会社では完全にこれは経営者にゆだねられているものであります。したがって、株主だからといって、そういう中身にまで事前にとやかく言う権限は株主にもないのであります。でありますから、経営の独自性、自律性、当事者能力を認めるための改革だというならば、私は、その辺をきちっと今から整理をしておかなければいけないのではないか、そう考えるのであります。結局、株式会社というのは、経営者の責任のもとで経営をさせて、その経営の成果は決算によってのみ評価するという経営形態、これが効率を高め、株式会社にした意味だと思うのでありますが、その辺の意義については、一体郵政省はどんな認識なんでしょうか。
  212. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今まで政府委員からお答えいたしましたけれども、事業計画の中には、御指摘のとおりに、収支計画、資金計画は必然的に入ってくるということでございますが、結論としては、私が当初申しましたように、強い縛りを意図しておるものではないということを明確にしておきます。そしてまた給与総額制はとらない、そういうことで、経費のほかに流用する等々のことで縛りをなるべくかけないような形で整理してまいりたいと思っております。  仰せ、意図しているところは、通信分野以外に、これだけの巨大資本でいろいろな、例えばホテル投資なり不動産投資なり等々いわばこのメディア以外の、通信事業分野から余り多く逸脱しないという形のやはり事業計画等々であってほしいということが願いでございますし、あくまでも、会社とはいえ公共的な事業であるということの範囲を逸脱しないようにという形の点からのこういった歯どめであるということに御配意賜りたいと思います。
  213. 武藤山治

    武藤(山)委員 電電公社総裁お見えになっていますね。総裁、今の郵政省と私、あるいは大臣と私とのやりとりを聞いていて、今風の経営形態を変革する、株式会社にするという精神からいって、現在砂ちまたに報道されている法案の内容あるいは骨子、そういうものを当事者としての最高責任者である総裁はどんなお感じで今受けとめているんでしょうか。これからの各省庁の話し合いの中で、こんなところはどうしても配意して少し直してもらわぬといかぬな、そうお感じになっている点が幾つかあるのか、それとも郵政省案で、これで当事者としては満足である、百点満点上げられるという感じなのか、その辺、ちょっと総裁のお感じ方を聞かせてください。
  214. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答え申し上げます。  ずっと今日まで、電電公社を株式形態にして目的はこうこうだということを承ってまいっておりますが、今の御質問に対しまして、当事者が責任を持って経営を行っていくという面から少しお答えしたいと思います。  私どもの考えでは、何を申しましても実態的に巨大な公益事業でございますので、次年度どういうサービスを世の中に提供することを目途として進んでいくかという、いわゆるサービス計画を主体にした世の中との関係をきちっとつくって、それを政府に提出して、それに対する御認可をいただくということは絶対にやるべきことだと心得ております。  それから、それに伴いまして、そういうサービスをやるについての裏打ちになります設備計画の概要というものを、サービス計画の御認可の資料として提出する必要はあるかと思います。  それから、内部統制についてでございますけれども、様式会社になりますので、商法、税法並びにその他の株式会社としてのルールがございますので、そのルールに基づくのと、電気通信事業法のこれから決まりますルールに基づきまして、前年度の収支の内容のいわゆる有価証券報告書というものを、電気通信事業法から見て明確にわかるように、税法から見て明確にわかるように、公認会計士法の方から見て明確にわかるように、世の中で初めてございますから、新しいフォームをこれからつくりまして、それを六月末までに絶対にこれは提出しなければなりませんので、六月末までに政府に提出申し上げることになりますので、それで詳細に私どもの前年度経営の内容を政府としてまた株主としてチェックしていただくということができると思いますので、現在公社制度の中で経営の活性を失い、そしてまたいろんなことが硬直化している根本原因である予算制度というものは絶対に御採用されるべきものじゃないというふうに考えております。これが従来どおりのやり方でございましたら、経営形態を変える意味は具体的の経営の面ではほとんど出てまいらないと思います。  それと、もし政府で御必要とあれば、来年度の、次年度の利益目標、幾ら収支差額、いれゆる黒字、税引き前の経常利益を幾ら出すことを目標とするという数字の提示を御要望なされば、それは出すべきだというふうに考えております。  要するに、経営の内容につきましては全部任せていただいて、有価証券報告書の内容によって責任を追及していただくというやり方を、普通の会社の株主総会の機能を十分発揮していただけるようにしていただくことを切にお願いする次第でございます。
  215. 武藤山治

    武藤(山)委員 大体、今の郵政省案に賛意を表しているのかしてないのか、よくわかりませんが、いずれにしても有価証券報告書がその会社の経営実態なりあるいは次への参考の数字になるので、有価証券報告書を中心にした経営のよしあしの総定をしてほしいと、そういう意味はよくわかったのでありますが、時間がありませんから先へ進みます。  小山局長、日本航空株式会社とか電源開発あるいは国際電電の法律を見ますと、収支計画とかあるいは資金計画というのは法律事項には全然出てきませんね。「事業計画」とだけ書いてありますね。したがって、今度の法律も事業計画という言葉だけで、資金計画とか収支計画というのはその事業計画の中に入っている大ざっぱな数字だと、こう理解していいですか。
  216. 小山森也

    ○小山政府委員 そのようにおとりいただいて結構だと存じます。
  217. 武藤山治

    武藤(山)委員 きょうは小川国彦君に時間を譲ることになっていまして五十分しかございません。そこで、もう時間が迫ってしまって、通告のまだ半分ぐらいしかいけない時間でございますが、労働大臣が時間お急ぎだと思いますので、労働大臣にちょっと、争議行為の規制の問題について、この新会社法との関係で労働省は今どんな検討をしておるかを少し聞きたいのであります。  新電電会社における労使関係については、当然公労法の適用を離れて労働三法が適用される、特に争議権については労働者の生存権保障でありますから、この基本理念を忘れないように、本来制限すべきものではないと私は考えるので、まず、その第一の、株式会社なんだから本来制限すべきものでない、その点については大臣はどうお考えておりますか。
  218. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 電電公社が民営に形態を変えようというのは、おっしゃるとおり活力と創意を引き出していかなきゃならぬということでありまして、そうなりますれば、民営形態に移行すれば当然労働三法の規制を受けることを原則とするということは間違いのないところだと私は思っております。民間の活力を引き出すということは、この基礎は、日本の今までの経済成長を支えてきた大きな原動力は日本の優秀な労使関係でありまするから、その労使関係を安定させるためにも、労働三法の中でこれを賄っていくということは大原則だと思っております。  ただ、御承知のとおり、国民生活にこれはもう重大な利益も及ぼしまするし、また関係も持つものでありまするから、これは国民生活に大変な影響があるものでありまするから、その辺のところにつきまして、今関係方面の御意見も聞いたりして検討をしょうということでございます。
  219. 武藤山治

    武藤(山)委員 労働大臣、いろいろ風の便りによると、スト権の問題については電気事業法並みにしようというような話も耳にするのであります。電気事業法を読んでみますと、電気の正常な供給を停止する行為または直接に障害を生ぜしめる行為をしてはならない、こうなっておるね。ところが、これは随分古い、昭和二十年代の話なんですね。電産がストライキを頻繁にやった当時つくった規定なんであります。その後電電公社の労使というのは非常にスムーズで、参加と介入で、合理化にも非常に積極的に努力をして生産性を高めて、日本における労働運動の中でも私はすばらしい慣行を築いた労働組合だと思うのですね。それを古い、二十年代の電力規制と同じような発想でこの規制を考えてはならない、こう私は考えるのですが、その点についてはいかがな見解でございましょうか。
  220. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 それはおっしゃるとおり、二十年代のあの物情騒然たるときの電力の争議行為を規制するときにつくりましたああいうような法律を、今日の、おっしゃるような非常に模範的な労使関係にある、しかも今民営形態としてこれから船出しようというときに、そういう昔のものをもろにかぶせるなどというような考えはありません。
  221. 武藤山治

    武藤(山)委員 大変安心をいたしました。ぜひひとつ、これから各官庁同士の話の詰め、与党の労調との詰め、そういう際に、今大臣がここでお答えになった労調法で十分公共性を確保する労使関係というものが維持できる、今こういう意味のお話なんですよ、労働三法でできるということは。この精神をぜひ労働大臣貫徹をしていただきたいことを心から希望を申し上げておきます。労働大臣の真価はこの一点で評価をされると思いますので、お互い政治家の仲間として、綸言汗のごとし、ぜひ守っていただきたいと思います。  私の時間でありますから終わります。
  222. 倉成正

    倉成委員長 この際、小川国彦君より関連質疑の申し出があります。武藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川国彦君。
  223. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、今我が国の内外において非常に重要な問題となっておりますオレンジの自由化、枠拡大の問題について政府の閣僚の御見解を承りたい、こういうように思います。  最初に、おいでになっていらっしゃる閣僚の方に一言で、オレンジの自由化、枠拡大という問題についてどういう関心を持っておられるか、対外経済関係閣僚会議のメンバーの方あるいはそうでない閣僚もいらっしゃると思いますが、一言で、どういうふうにオレンジの自由化、枠拡大に対する関心を持っていらっしゃるか、この見解をまず承りたいと思います。
  224. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 農林水産大臣といたしましては、このたびオレンジ、牛肉ということで、オレンジの問題もあるわけでございますが、我が国農業を守るという立場で担当大臣として交渉に当たってまいります。
  225. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 農林大臣のお答えなすったとおりでございます。
  226. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林大臣が答弁した基本的な考え方を土台にしてやはり交渉しなきゃならぬ、こういうふうに思います。
  227. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 基本は農林大臣のお述べになったとおりでございまして、それを基本として目下交渉中でございます。
  228. 竹下登

    竹下国務大臣 基本は担当である農林水産大臣がお述べになったとおりであると思っております。それを踏まえて対応すべき問題であるというふうに理解をいたしております。
  229. 小川国彦

    小川(国)委員 対外経済関係を担当する五人の大臣から寸我が国農業を守るという農林水産大臣と同じ見解であるという表明をいただきまして、私ども三十万戸の日本の全国かんきつ農家の立場から見ては、大変心強いというふうに存ずるわけでございますが、その対処の仕方についてはこれからざまざまな問題が内外にあろうかと思います。その問題についてさらに具体的にお伺いをする中で、また関係閣僚の御意見を伺いたいと思います。  最初に、本日、日本中央競馬会の理事長においでいただいておりますが、日本中央競馬会が藤井治商事を相手として損害賠償請求事件を東京地裁に提訴しているということでございますが、これは事実でございますか。
  230. 内村良英

    ○内村参考人 お答え申し上げます。  本会の外国庫種牡馬の輸入につきましては、本会が調査いたしましたところ、昭和五十四年度のラインゴールド号については四万ポンド、昭和五十六年度のノノアルコ号及びサンディクリーク号については十八万二千五百ポンドが、それぞれ外国商社から藤井治商事に対しまして、本会が委託契約に基づき支払うべき手数料のほかの手数料といたしまして配分が行われていたことが判明いたしました。  本会は、昨年十月二十四日付で、本会との間で締結いたしました契約書の約定に反すると判断いたしまして、その返還請求を行いました。この返還請求に対しまして藤井治商事は返還に応じない旨回答してまいりましたので、昨年十二月七日、東京地方裁料所に対し損害賠償請求事件として提訴した次第でございます。なお、訴訟額は一億九十七万四千三百十四円でございます。
  231. 小川国彦

    小川(国)委員 同じく契約違反を犯し、国に損害を与えておりますところの野沢組に対しては、どのような態度をとっておりますか。
  232. 内村良英

    ○内村参考人 野沢組につきましても同様な返還請求を求めましたところ、同社は調停による解決を希望しておりましたので、現在調停の裁判が行われておるところでございます。
  233. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、オレンジの問題に入ってまいりまして、今オレンジの自由化、枠拡大がアメリカの熾烈な要求の前に大きな外交問題として控えておるわけであります。しかし、また一方、現行の国内の輸入割り当て制度というものを見ますと、その実態にはかなり利権的な諸問題が発生している。私ども、まず国内のオレンジ輸入割り当て制度というものを改革しなければならないということを感ずるわけでございますが、まずオレンジの輸入割り当て総トン数は現在何トンになっておりますか。
  234. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  オレンジの輸入枠につきましては、現在八万二千トンでございます。
  235. 小川国彦

    小川(国)委員 割り当てを受けている商社の数は何社に上りますか。
  236. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お答えをいたします。  ただいまオレンジの輸入割り当てを受けております商社の数は九十六社でございます。
  237. 小川国彦

    小川(国)委員 さらにこの内訳について、九十六社のうちにグループ結成をしているものがあるわけでございますから、グループ結成をしているものを加えると、総数は何社になりますか。
  238. 杉山弘

    ○杉山政府委員 グループとして九十六社の中に入っておりますものを入れますと、延べでは百二十一社になります。
  239. 小川国彦

    小川(国)委員 最高の割り当てを受けている商社はどこでございますか。
  240. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問につきましては、企業の営業活動とも密接な関連を持ってまいります問題でございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  241. 小川国彦

    小川(国)委員 今の局長の答弁については私ども納得できないわけですが、オレンジ割り当ての商社割り当て数量というのは、一般には当然公表さるべきものではないか。こういうふうにして、これは一般の業者間においても商社割り当ての数量表というものは流布されておりまして、いわば周知の事実になっているわけでございます。これは情報公開のあり方から見ても、当然この九十六社、中を分割した細かいところでいけば百二十一社に割り当てている割り当て数量表というものは、業界に既にこの資料が出回っている。そういう状況の中であえて通産省がこれを秘密にしておかなければならないその理由は納得できないわけです。  一体、秘密だというからには、通産省の何名の方がこの秘密を知っていらっしゃるのか、通産大臣は御存じなのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
  242. 杉山弘

    ○杉山政府委員 このような割り当て数量の問題につきましては、オレンジのみに限りませんで、ほかの割り当て品目につきましても、各社別の割り当て数量というものは公表をいたしておりません。理由につきましては、先ほど私が御説明申し上げたようなことでございます。  この問題については、直接割り当てをやっております担当の局部課におきまして極めて限られた人数の者しか知らないはずでございます。
  243. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣は、こういう内容について御存じでございますか。
  244. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今局長が説明いたしたような関係で、承知いたしておりません。
  245. 小川国彦

    小川(国)委員 これは重大な問題だと思うのですね。一九八二年度で輸入割り当て品目は七十九品目、百十八億ドルに上るわけですが、邦貨に換算して二兆七千百四十億円、それの最大を占めている通産大臣は、こういう輸入割り当て表については関知しないわけでございますか。
  246. 倉成正

    倉成委員長 貿易局長。(小川(国)委員委員長、大臣に聞いているのですよ。局長に聞いているのじゃないんだ」と呼ぶ)経過だけ説明を聞いてから大臣は答えさせます。
  247. 小川国彦

    小川(国)委員 あなた、下がってくださいよ。私が聞いているのは大臣に聞いているのだから。大臣に知っているか知ってないかということを聞いているので、細かいことを聞いているのじゃないのだから、数字を聞いているのじゃないのだから、大臣から答弁してください。
  248. 杉山弘

    ○杉山政府委員 一言、技術的な問題でございますので……
  249. 小川国彦

    小川(国)委員 委員長、質問した者に答弁をさせてくださいよ。そういう答弁を求めている者以外に答弁してもらう必要はないのですから。
  250. 倉成正

    倉成委員長 わかりました。それでは通商産業大臣
  251. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 事務的な話でございますから、局長より答弁させます。
  252. 杉山弘

    ○杉山政府委員 輸入割り当ての問題につきましては、前年度の実績をベースにして割り当てをするという方式をとっておりますので、極めて技術的な問題になりますので、これにつきましては一々大臣に御了承を得るということではなくて、内部的に処理をさせていただいております。
  253. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣にお尋ねしますけれども、七十九品目、二兆円に上るこの割り当ての大半は通産省なんでございますが、これについて大臣は、どういう商社にどういう割り当てをしているか、そういう実態についての報告を受けるとか、そういう割り当て表を見るとか、そういう機会はございませんですか。いや委員長、大臣に伺っているのだ。
  254. 倉成正

    倉成委員長 通産大臣、見ていますか、見ていませんか。
  255. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 そのような割り当ての問題につきましては内部的に任せておりますので、私は承知しておりません。
  256. 小川国彦

    小川(国)委員 これは非常に重大な問題でして、これだけ膨大な額に上る輸入割り当ての輸入実績表というものについては、大臣、就任してもう既に三カ月以上になるわけでありますが、こういうことについては担当局長から報告ないし説明を受けたことはございませんか。
  257. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 たびたびのお尋ねでございますが、私は部下に任せておりますから、承知しておりません。
  258. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは局長に伺いますが、貿易局長さんは、輸入課から農水産課から貿易全体を見ていらっしゃるわけですが、こういう所管事項については大臣には報告されないわけでございますか、この割り当ての内容については。
  259. 杉山弘

    ○杉山政府委員 基本的な方針については、大臣に御報告をいたしまして御了承を得ることにいたしておりますが、その実施の細目につきましては、今大臣からお話しいただきましたように、私ども内部的に委任をされておりますので、私ども限りで処理をさせていただいております。
  260. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは参考に伺いますが、このオレンジの輸入割り当ての商社名、それから商社の所在地、割り当て数量、この三点について、貿易局の中でこの数字を知っていらっしゃる方は何人おいでになるのですか。
  261. 杉山弘

    ○杉山政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、正確な人数につきましては、今確とした数字をお答えするわけにはまいりませんが、極めて限られた人数であるということを申し上げておきます。
  262. 小川国彦

    小川(国)委員 担当局長、課長、それから担当役職員の名前をちょっと申し上げてくださいますか。主要な役職員の名前を申し上げてくださいませんか。
  263. 杉山弘

    ○杉山政府委員 具体的な仕事は貿易局の農水産課でやっておりますが、職員の名前までは今すぐに正確には御返事できませんので、後で御報告を申し上げたいと思います。
  264. 小川国彦

    小川(国)委員 極めて限られた人数といいますと、そうすると貿易局長の下には農水産課長、農水産課にはオレンジの輸入にタッチされる職員は何名おいでになるのですか。
  265. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  農水産課長を含めまして、七名でございます。
  266. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、限られた人数というものは、貿易局長と課長と七名の課員、全部入れても十名以内、こういうことになりますね。
  267. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいまは、農水産課で何人やっているか、こういうお尋ねでございました。私がお答えいたしましたのは、直接割り当てを行っておりますのは農水産課でございますが、実際の仕事の運営上は、私どもの輸入課というのがございまして、そこにも協議ということで内容について連絡をするという仕組みになっております。
  268. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、最終的にこの割り当て表の数字を知っている役職員は全部で、およそで結構ですから、何名になりますか。
  269. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま御説明いたしました輸入課では、五名の担当者がその数字を知り得る地位にあるということでございますので、先ほどお答えをいたしました農水産課の担当者の数、それに私等を含めますと、十数名という人数になるわけでございます。
  270. 小川国彦

    小川(国)委員 わずか十数名の人間、百二十一社に上る商社の割り当ての数字を知っているのはわずか十数名、その人だけでこの秘密を管理しているということなんですが、私ここに持っておりますけれども、皆さん方が毎年百二十一社に割り当ててきた実績表というものは、どういう果物の卸会社に行っても輸入会社に行っても、皆さん持っていらっしゃるのですよ、割り当てのパーセンテージを。私が皆さんの方に資料請求をしたら、おたくの方からマル秘と判こを押して出してきたのは、割り当てをしている商社名とその住所と電話番号だけ、ようやく私のところに出した。それも、私が五十六年に資料請求をしたときには、皆さんの方は、オレンジの輸入業者の会社名と代表者名と住所と電話番号、これを出されたのですよ。今度は、またそれも出さないと言うのですよ。数量表を出さないだけじゃなくて、それは前回も出さなかったけれども、前回は社名、住所、代表者名、電話番号を出した。今度私が再度要求したら、ようやくそれを出したわけなんですがね。  こういうふうに皆さんが秘密主義で、しかも十数名の関係者だけがこの割り当て表を握っているのですが、それはもう公然の周知の事実で、一般の業界には流布されている。ですから、そういうことを私はむしろ公開をして、そういう割り当てる実態が周知の事実になっているのですから、その中でこれが適正に行われるように考えるべきじゃないかと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  271. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 たびたび申し上げますとおり、私は都下に任せておりますが、現状ではその方法の中で適正なやり方をやっていくということがよろしかろうと思います。
  272. 小川国彦

    小川(国)委員 その結果が、じゃどうなっているかを私、申し上げたいと思うのですが、その前に、この百二十一社の中で藤井治商事という商社に割り当てがなされておりますか。
  273. 杉山弘

    ○杉山政府委員 先生のところに資料としてお出しをしたものの中に、その名前が含まれていると存じます。
  274. 小川国彦

    小川(国)委員 その割り当てのパーセンテージないし数量については、公表できませんか。
  275. 杉山弘

    ○杉山政府委員 先ほど申し上げました理由によりまして、その点につきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  276. 小川国彦

    小川(国)委員 これは今後さらに追及の中で明らかにしていきたいと思いますが、皆さんの方では、昭和五十五年四月の輸入割り当て限度数量を新たにふやした。七グループふやした。このときに、輸入割当限度数量確認書の発行に当たって、藤井治商事の社長が会長をしております日本柑橘輸入協会への加入を行政指導で義務づけたというふうに言われておりますが、この点はいかがですか。
  277. 杉山弘

    ○杉山政府委員 今先生から御指摘のございました点につきましては、私、承知いたしておりません。
  278. 小川国彦

    小川(国)委員 私、ここに文書を持っているのですが、オレンジ、タンジェリンの輸入割当限度数量確認書というので、昭和五十五年四月四日に通産大臣代理の貿易局農水産課長古澤松之丞さんという人に通産省あての限度数量の確認書を出すときに、同じく通産省貿易局長の花岡宗助殿あて藤井治商事の推薦書というのが添付されているのです。これは五十五年の四月四日で、同日になっているのですが、こういう事実はなかったのですか。
  279. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま突然のお尋ねでございますので、その点につきましては、今事実の有無につきまして御返事を申し上げられません。申しわけありません。
  280. 小川国彦

    小川(国)委員 事実の有無がわからないものを、なぜないというふうにおっしゃったのですか。
  281. 杉山弘

    ○杉山政府委員 協会への加入について行政指導をしたか、こういうお尋ねでございましたので、その点につきましてはそういうことを存じませんということを申し上げたわけでございます。
  282. 小川国彦

    小川(国)委員 これはまだ五十五年のことでございますから、そこに担当課の方もいらっしゃって、そういうものをつけさしたという事実はあるんじゃございませんか。ま、いいですわ、それは。後ほど確認を求めていくにしましても、時間がございませんので。  今大臣も、これは技術的な問題だから部下に任せているというふうにおっしゃった。実態については報告されてないということなんですが、どういう実態があるか。  私、実はこの百二十一社の中の数社を選んで調べてみたんですね。私自身いろいろ車で回ってみたのですが、割り当てを受けている商社というのが実に複雑怪奇でございまして、皆さんの方から名簿をいただいた、その名簿に従って関係会社を歩いてみたのです。ところが、まず東京第一通商というのが千代田区神田平河町一番地、代表取締役藤井修一、電話番号が二五五―五六〇一、これは皆さんの方からもらったマル秘の名簿に載っていた住所と電話番号と代表者名なんです。まず、皆さんにもらった名簿、通産省の所管の名簿でこの電話番号をかけると、この電話は使われておりません。それからその次に、代表取締役の藤井修一さんを訪ねたら、昨年死亡して、おりませんという。  それから、今度その平河町一番地を調査したのですが、会社が見当たらないのですよ。秘書が探しに行って見当たらなくて、私がまた探しに行って、そしてようやっと現在第一通商の電話は、八六六―五一八八という電話になっているということが確認された。今度は八六六―五一八八の電話をかけましたら、第一通商ですと名のった女子社員が会社の内容を全然知らない。よく聞いたら、この人は、神田平河町一番地のアズマビル三〇八号室のワールドワイドエアサービスという航空貨物会社の社員なんです。電話が一本置かれているだけなんですね。ですから、第一通商のオレンジの輸入割り当て業務のことは全然わかりません。電話が一つあるだけなんです。  ですから、社長は死んじゃって、いない、電話番号が違っている、しかも電話が一本関係のない会社に置かれている。これも皆さんが割り当てなすっている会社なんですよね。これはお認めになりますか。
  283. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいまの点について御説明を申し上げます。  東京第一通商につきまして、確かに私どもから先生の方に差し上げました資料の中には、今先生がおっしゃったようなところが書かれておりますが、実はこれは私どものチェックのミスでございまして、藤井修一さんとおっしゃいます前社長は昨年の十一月にお亡くなりになっておりまして、その後は近野さんという方が社長に選任されておるようでございます。住所につきましても、その後は神田練塀町三番地ということで新しい住所に移っているようでございますが、先生の方にお出ししましたものにつきましてはその点の確認が不十分でございました。事実は以上のようなことでございます。
  284. 小川国彦

    小川(国)委員 まだでたらめなんですよ、局長。私は、その練塀町三番地にも訪ねていったのですよ。今あなたの、移っているのは練塀町三番地、この中にはどこを探しても第一通商の看板はないのですよ。それで、結局それは今はユニオンという会社ですね。これはまた別途の割り当てを受けて、神戸に本社のあるユニオンの東京支店長であり常務取締である渡辺さんという人がこの実務をやっているというのですよ。ユニオンというのは別な輸入会社、その常務が、死んでしまった社長の幽霊会社で電話がないところの実務をやっている、こういうのですよ。練塀町三番地にはないですよ、局長さん。その会社、今実在しないですよ。
  285. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま御質問のございましたユニオンと申します商社は、先ほど私御答弁申し上げましたグループ化を含めて百二十一社、その中の一社でございまして、東京第一通商とは同じグループに属しております。
  286. 小川国彦

    小川(国)委員 私が聞いているのはユニオンを聞いているのではなくて、第一通商のことを伺っているのですよ。それでは今第一通商の代表者はだれになって、社員は何名いて、どこで営業されているかという実態を伺っているのです。
  287. 杉山弘

    ○杉山政府委員 私ども承知いたしておりますところでは、東京第一通商の代表者は近野辰雄氏でございまして、役職員は四名、住所は先ほど御答弁いたしました神田練塀町三番地、大東ビル内ということでございます。
  288. 小川国彦

    小川(国)委員 それじゃ、その大東ビルの中に看板は出ておりましょうか。
  289. 杉山弘

    ○杉山政府委員 この点につきましては、早々の御質問でございましたので、まだ現地を確認をいたしてはおりません。
  290. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、大東ビルは、ここも行ってみたのですが、どこにも看板はないのですよ。置かれてないのです。これ、まず今現状は幽霊会社の存在、こういうことだと思いますね。  それからその次に、三成商事というのが、これもやはり練塀町三番地なんですね。ここを訪ねましたところが、ここは中幸という卸業者の事務所の一角に今宮明さんという人が社員一名を置いてやっている。これも、看板はあったのですが戸は閉まっていまして、わきに中幸という卸売業者の看板があって、幾ら戸をたたいても三成商事が出てこないので、隣の中幸さんの戸をたたいて、隣はいるのですかと聞いたら、中は一緒だったのですよ。卸売業者が自分の一隅にこういう会社をつくって届けている。横山鉎二という人が皆さんの方の届け出人になっておりますね。
  291. 杉山弘

    ○杉山政府委員 御指摘のように、横山さんが代表として届けられておるわけでございます。
  292. 小川国彦

    小川(国)委員 この方は今どうされておりますか。
  293. 杉山弘

    ○杉山政府委員 突然のお尋ねでございますので、その点につきましては、現時点ではお答えいたしかねます。
  294. 小川国彦

    小川(国)委員 通産省からの割り当てをしている商社の代表取締役は横山鉎二となっているのですが、その練塀町三番地の中に中幸、中村幸一という人がおったのですが、その人のことは知らない、こう言うのですよ。それで、今宮さんという人が今代表になっているのじゃないかと言うのですが、通産省の文書にはそうなっているのですね。  それからもう一つ、今度はウラセという会社がございますね。ここも割り当ていたしておりますね。
  295. 杉山弘

    ○杉山政府委員 割り当てはいたしております。ただし、グループでございますので、それだけというわけではございません。
  296. 小川国彦

    小川(国)委員 グループでございますが、皆さんの方は増枠をするときに、一社一社株式会社なんです。会社が多くなると困るから、四社くらいをまとめて七グループにした。前回の増枠のときは七グループふやしたけれども、中には四社ずつ入って二十八社ぐらいになっているわけですね。その中の一社ですから、当然これは独立してなければならないのですよ。本当は一社一社が割り当てをもらうのだけれども、通産省は枠がふえては困るからというのでグループにまとめた、指導したわけですね。  このウラセも、これは二度調査に行ったのですよ。一回目、目黒区目黒本町四の二の八の代表取締役浦瀬寛一さん、皆さんがおっしゃるように割り当てしている。同社の電話番号をかけますと、ヨネハナという魚屋さんが出てくるのですよ。それで、四時ごろかけましたら、今魚屋忙しいからオレンジの話なんかわからない、こう言うのです。それで調査に行きましたら、和風の三階建での建物で、一階の店舗部分はもう魚屋さんになってしまっている。社員もいなければ――その魚屋さんに聞いても、社員はいないというのですね。社長一人なんですが、何度電話してもどこへ行っているかわからないのですね。こういう人が株式会社ウラセというのでやはり割り当てを受けているのですよ。  それから、まあ一つ一つこれ、私とても忙しくて調べ切れないのですが、大手商社のスマル貿易というのがございまして、そのスマル貿易というのは、藤井治に次いで二番目の大手業者なんですよ。ここは、割り当ての総数量のかなりなパーセンテージをもらっているのですね。この業界第二位のスマル貿易、日本のオレンジ輸入の割り当ての七%をもらっている業者なんですが、これも千代田区外神田三の二の十六、八三六―一〇四一というのですね。この外神田のところへこれも二度調査に行ったのですが、会社の社名がここに出てないのですよ。それで電話をかけても要領を得ない。ただそこには、六階に加藤公認会計事務所というのがありまして、スマル貿易に書留が来たら加藤公認会計事務所に届けてくれ、こういうことになっているのですよ。  だから、このスマル貿易もなお調べていきましたら、文京区湯島三丁目七番七号というところに三商貿易というのがあって、ここにスマル貿易の営業所があって、そしてスマル貿易の専務がこの三商貿易の社長をやっているのですね。何のことはない、一つの会社なんですよ。それが名前を二つに変えて、そしてスマル貿易は千代田区外神田の方に本社があるような形にしてあって、探していったら専務がやっている子会社の三商貿易の住所にこっちがある。だれが業務をやっているのか、この中身もわからないのです。これが業界第二位の会社なんですよ、割り当て分のですね。  私の時間、限られているのですが、これはやっていくと切りがないのですね、一つ一つ問題がたくさんありまして。ですから、私はまず大蔵大臣に、国税庁として――私、そのスマル貿易に調査に行ったところが、神田にはだれもいなくて、それで加藤公認会計事務所に今度は私は電話をかけたのです。そして、おたくにはスマル貿易の人はいませんね。いない、留守番を頼まれているだけだ、こういう話なんですよ。そして、三商貿易の方へ行ったら、三商貿易の方にスマル貿易の社長がいまして、子会社の方にいたわけです。その子会社の方におって、本社を外神田に置いているのは税務対策上だ、こういうふうに言っているというのですよ。こういうような輸入割り当てを受けている商社が看板だけの本社を置いて、ここにだれもいないのです。そして営業は文京区湯島でやっている。本社は外神田。  こういうような場合、大蔵省として国税上やはり全部実態調査をしていただいた方がいいんじゃないか。この幽霊会社で割り当てを受けて、商売はしているのです。利益も上がっている。ですけれども、みんなその会社の所在地に会社がないのですね、幽霊会社の存在。ですから、私は、この百二十一社の国税庁としての調査報告をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  297. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 小川委員指摘のような事実があるか否か、厳正に調査をいたします。
  298. 竹下登

    竹下国務大臣 ここで初めて承ったわけでありますが、今輸入割り当てそのものの問題に関連しての御質疑でございます。通産省とよく協議してみたいと思います。
  299. 小川国彦

    小川(国)委員 ただいまの指摘の事実があるかどうかということ及び国税庁の実態調査、この二点については資料として当委員会に御回答いただきたいと思います。
  300. 倉成正

    倉成委員長 ただいまの問題につきましては、後刻、理事会において協議いたします。質問を続けてください。小川国彦君、理事会で協議いたしますから、質問を続けてください。
  301. 小川国彦

    小川(国)委員 今私が質問しておることについては、通産省の答えは体をなしていない。通産省から出された会社の住所の所在表があるわけです。マル秘と書いて通産省がよこした会社名と社長と住所と電話、これが全く全部でたらめなんですよ。今申し上げたようにその所在地に会社がない、電話番号も違っている、応答者がいない、行ったら魚屋さんだ、こういう実態に会社があるという事実では、審議を進められないと思うのです。ですから、これについては私は質問を留保しまして、通産省の方からもう一度、社名と代表者と住所、電話ですね、それからその実態、納税状況、そういうことについてきちっとした報告を受けてから再度質問をしたい、こういうふうに思います。
  302. 倉成正

    倉成委員長 理事会で協議いたします。続けてください。小川国彦君。(「留保分があるよ、委員長」と呼ぶ者あり)小川君の質問の留保分を残して質問を続けてください、どうぞ。  ちょっと待ってください。――これにて武藤小川君の、保留分を残して、質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  303. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 きょうのニュースによりますと、中国残留孤児が現在我が国を訪れておりまして肉親捜しをやっておるわけであります。これに関しまして厚生大臣並びに厚生省、そのほかいろいろの関係各位の方々が大変献身的な努力をしておられることにつきまして、私は、これに対して大変敬意を表するものであります。実際、きょうから関西調査に望みを託して孤児などは関西に参ったわけでありますけれども、なお一層の御努力を願いたいと思うわけであります。厚生大臣、一言。
  304. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 中国残留孤児の問題、大変お心にかけていただいてありがとうございました。きょう、お話のように五十名のうち二十三名身元が判明いたしまして大阪に行ったわけですが、私も、今度五十人の皆さんがおいでなったのを機会に、現場に二度ほど行ってまいりましたが、援護局の職員が非常に一生懸命やり、また、報道関係の皆さん方が大変な努力をしておりますけれども、しかし、三十九年の歳月というものの長さをしみじみため息をつくような思いで考えるほど、肉親捜しは困難をきわめております。これはやはり、国民的な幅広い皆さん方の御協力がなければ実現できません。来年は百八十人やろうと思っておりますので、先生のなお一層の御協力をお願いしたいと思います。
  305. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 現在のこの中国残留孤児の一件を見てもわかりますように、私は戦争ほど悲惨なものはない、また残酷なものはないと思っております。全く大きな罪悪であろうと私は思うわけでございます。そういう意味で、いかに平和を守っていかなければならないかということにつきましては、私ども政治家の大きな責任であろう、かように思うわけでございます。  そこで、質問に入らせていただきますけれども、まず農林水産大臣にお伺いいたします。  実は私のところに、大体私の選挙区からでございますけれども、農業協同組合そのほかから、牛肉、オレンジの割り当て拡大、この問題について何とか我が国の農業を守っていくようにということで大反対であるというような電報だとかあるいはこういうはがきが非常にたくさん参っております。こういうことから見ますと、私ども公明党といたしましても、もともとこの牛肉、オレンジの枠拡大につきましては反対でありまして、すでに申し入れ書も農林水産大臣の方にお出ししているわけでございます。そのような観点から、先ほどもこれに関しまして御質問があったようでありますけれども、再度このことについて農林水産大臣がどのような御所見を持っておられるか、その決意のほどなどもあわせてお聞かせ願いたいと思ううわけであります。
  306. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私といたしましては、農産物の輸入というものは、我が国農産物の需給関係、これを見た上で、我が国の農業が着実に発展をするというのと見合った上での輸入というものが必要だろうと思います。今回の農産物交渉、一応この三月いっぱいということで何とか話し合いをしたいと思っておりますが、この交渉に当たりましては、我が国農業を守るという立場で、今先生おっしゃいました本年一月の農林水産委員会からの申し入れ、それから一昨年四月の決議、これを踏まえまして、農業者が犠牲にならないように、それを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
  307. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 農林水産大臣、どうもありがとうございました。私、これで結構でございますので、どうぞお帰りになって結構でございます。  では、続いて別な質問に入らせていただきますが、公共用財産の管理について御質問を申し上げたいと思います。私は、全国的には大変広くて調査できなかったのでありますが、法定外公共用財産につきまして、私の住んでおります三多摩を中心に最近調査したわけでございます。それによりますと、各市町村から大変な悩み事がありまして、私自身も行って実際に調査いたしましたところ、大変大きな問題になっているということで、私はこれは何とかしなければならないなというようなことを考えてきたわけであります。  里道、水路、こういったものは道路法、河川法等が適用あるいは準用されない、こういう国有財産の管理が建設省の所管となっているわけでありますが、実態の把握、管理はどのようになっているのか。実際に地番もなく土地登録にも登載されていない、そのような国有地が、先ほども大変広いと申しましたけれども、日本全体で山梨県の面積に相当するぐらい非常に広いわけでありまして、こういったものが前々からいろいろ言われてきているわけです。  そこで、その適正な管理のために具体的にどのような方策を講じてきたか、お伺いしたいわけであります。行政管理庁及び会計検査院からもこの件につきまして再三勧告がなされてきておりますけれども、これにつきまして建設大臣に御答弁願いたいと思うわけでございます。
  308. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  先生御指摘のように、水路、里道等のいわゆる法定外公共用財産につきましては、地番等もはっきりいたしません。また、小規模なものが多い、全国的に散在しておる等々の実態から、正確にこれらの状況を把握するのが困難な状況にございます。  しかしながら、そういう中におきまして、私ども、従来から都道府県及び所在市町村の協力をいただきまして、適正な管理を図るため、まず一つには、用途廃止及び引き継ぎの促進、二つ目には、市町村道あるいは都市下水路あるいは準用河川等の指定によりまして既存の公物法体系への移行、三番目には、開発行為等の実施の機会をとらえまして代替施設の設置等による整備の促進、また、国有財産に関します事務の市町村長への再委任、そういったようなことを通じまして現在できるだけの体制を整える努力をいたしておりまして、年間約七万件の境界画定、一万二千件の用途廃止をする等適正化に努めております。御指摘のように、会計検査院あるいはまた行政管理庁等からもいろいろ御指摘をいただいておりますので、さらにその適正化を図るために努力したいと考えております。
  309. 竹村晟

    ○竹村政府委員 行政管理庁におきましては、国有財産の管理及び処分に関しまして過去数回の監察をしております。それで指摘をしておりますことは、何回かやっておりますけれども、最近におきましては、こういった財産の管理を適正にするために市町村長への再委任制度の活用ということ、それから財産の所在する市町村長等に対して譲与の機会を拡大すること、それから、用途廃止の促進など事務の促進を図ること、こういう指摘をしております。  この指摘に対しまして関係省庁におきましては、たとえば建設省からは、市町村長への再委任の活用につきましてさらに推進に努めるという回答をいただいております。それから、地方団体へのこの種の財産の譲与の拡大につきましては、大蔵省におきまして、最近においては例えば譲与の取り扱いについての費用の範囲の明確化あるいは算定方法の簡便化、こういったことで改善を進めております。  大体以上のような指摘と改善の状況でございます。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
  310. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 いま行管庁の方から報告がありましたけれども、それが実際によくなされているかということが問題だと私は思うわけでございます。今回、私が先ほど申し上げましたように、多摩地区二十六市五町一村について調べましたところによりますと、大変実態が憩うございます。例えば小平市などは清流が流れなくなった。これは、用水路については雨水のほか一般の家庭用の雑排水などが入り込んでおりまして、そのために悪臭だとかボウフラなどがわいて害虫の発生源になっている、そして市民のひんしゅくを買っているといったような報告もございますし、それから日野市の場合であれば農業用水路、雑排水、同じような現象でございます。すべていずれも法定外のもとの農業用水といったものが非常に市民の生活の上で環境を害してきている、そういったような問題などが非常に多くなってきているわけです。そういう意味で何とかこれを改善してもらいたいというのが実態でございます。  実際に各市町村としては、管理だけ任せられて実際の所有権は建設省にあるといったようなことで、何か自分の別な用途に使いたくても使えない状況にある、そういうことで何とかこの際払い下げてほしいんだというような意見もございまして、私はその辺を何とかやっていただかなきゃならない、そういうことで御質問を申し上げているわけなのでございます。建設省並びに大蔵省もこれに関係していますので、御答弁願いたいと思います。
  311. 水野清

    水野国務大臣 法定外公共物の問題につきましては、今官房長からお答えいたしましたように、なるべく市町村あるいは県、地方自治体に譲与するような方法をとっております。ただ、これは国有財産でございますから基本的には大蔵省の問題でございますが、全国的には全く供用も何もされていないものが多い。ですから、市町村が使うものについては建設省が押さえておってそれを渡さないというような例は非常に少ないのではないかと思っておりますが、なお積極的に地方自治体に譲与しますようにひとつ検討させたいと思っております。
  312. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの質問はあらかじめ予告を受けておりますが、なお正確を期するために、理財局の担当からお答え申し上げます。
  313. 志賀正典

    志賀(正)政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの法定外公共物でございますが、これは公共用財産としまして、公共の用に供されている限りにおきまして建設省で御所管になられるわけでございまして、この財産が公共の用に供する必要がなくなった、こういうものにつきましては、建設省におかれまして用途廃止の手続をおとりになり、その上私ども大蔵省に引き継がれまして、私どもで管理、処分を行う、こういうことに相なるわけでございます。  今後とも公共の用に供する必要がなくなったという里道、水路等がありますれば、それにつきましては積極的に用途廃止を行いますように建設省の方にお話し申し上げますとともに、その引き継ぎ事務の迅速化、簡素化、こういうことにつきましても、これまでも努力をしてまいったつもりでございますが、さらに建設省とも連絡を密にいたしまして協議を進めまして、処理の促進に努めてまいりたいと思います。  このようにして普通財産として引き継ぎを受けましたものにつきましては、これは国有財産でございますので、適正な対価で処分をするということになるわけでございますが、この場合、法定外公共物にありましては、地方公共団体が用途廃止までの間、その用途廃止となります財産の維持なり保存なりのために費用を御負担いただいておる、あるいはまた地方公共団体がその公共物の用途にかわります代替の施設をするために費用を御負担になる、その結果用途を廃止することになる、こういう場合がございますので、そういう場合には国有財産法第二十八条の規定によりまして、当該財産の維持なり保存なりに要しました費用の額に応じまして譲与、無償譲渡を行っておる、こういうことでございます。  この点につきましては、先ほど行政管理庁の方からお話がございましたように、五十七年九月に御勧告をちょうだいいたしまして、昨年の三月からこれにつきまして改善措置をとったところでございます。今後ともこの改善措置の趣旨が生かされますように適切に運用してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  314. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 いまのお答えでは、国有財産法二十八条で、このように法定のものはうまく管理がえできるわけであります。一般財産になるわけでありますけれども、しかし、法定外の場合は実際、実態が非常に不明になっているわけですね。そういったような理由もあって、なかなかうまく管理がえできないという問題があるわけです。実際問題、ゴルフ場だとかなんとか、そういった不法占拠もされておりまして、こういったことにつきましても行政管理庁かる再三にわたって勧告を受けているわけでありますけれども、いまだにそれがはっきりしていないわけです。しかも、そのほかはっきりしているものでも、市町村で管理を任せられているということで、大変な莫大な管理費が費やされているようなことで非常に困っているわけでありますけれども、私としては、中曽根内閣は行革内閣というふうに銘打ってきているわけでありますから、そういうふうな観点からも、この際、そんな面倒なものは一切無償で市町村に払い下げてしまってはどうかというのが私の言いたいことなんですけれども、その辺はどうなっているか。  今一生懸命そういうふうに管理がえなどをして一般財産にして払い下げるというようなことを言っていますけれども建設省と大蔵省との間でどうもうまくいっていないような感じもしますので、その辺、この際思い切って無償でそのまま、今の形のまま、境界線も何もないような状況もありますけれども、そういったものを一切全部市町村に、管理だけでなくて全部譲渡してしまう、そういうことは可能かどうか、お伺いしたいと思うのです。
  315. 志賀正典

    志賀(正)政府委員 法定外公共物が公共物として存置する必要がなくなりました場合の措置につきましては先ほど申し上げたとおりでございますし、また、昨年の三月にその譲与が現行の規定におきまして効果的に行われるように改善をしたところでございますので、その趣旨に即しまして適正に運用に努めてまいる所存でございます。  先生の御所見は、すべての法定外公共物を譲与の対象としてはどうか、こういうことかと存じますが、しかしながら、法定外公共物の管理の状況といいますのはいろいろ区々でございまして、維持、保存の費用の多寡にかかわらずすべてを譲与ということになりますと、何分にも法定外公共物は国有財産でございますので、私どもは慎重に考えねばならないこと、こういうふうに考えている次第でございます。
  316. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、鋭意その方を進行させていただきたいと思います。  これ以上追及しますと時間もありませんので、やめることにいたしまして、次の質問をさせていただきたいと思います。では関係大臣の方、また政府委員の方、結構でございます。お帰りになってください。  次は、乾電池問題についてお伺いしたいと思うのでありますけれども、これは主として通産省の方に御質問したいと思います。  乾電池は、申すまでもなく最近非常に問題になっております。特に水銀乾電池ですね、ディスク型といいますかボタン型のそういう乾電池が非常に出回っておりますし、また筒型の乾電池も大変出回っているわけでございます。昔の筒型の乾電池は長もちしなかったわけでありますけれども、これは水銀を使っていなかった。水銀を使えば長もちするのはなぜか、これは申すまでもなく亜鉛をアマルガム化しますと非常に腐食が遅くなりますので、そういう点で今まで二、三カ月でだめになった乾電池も五年も六年ももつまで長もちするようになって、製品としては大変結構な問題でありますけれども、しかし、それによって使い捨てになる使用済みの乾電池が非常に問題になるということであるわけでございます。  この乾電池の中でも、今申し上げましたような水銀電池に関しましては、ボタン型の電池でありますけれども、これが今年二月から厚生省と通産省の両省の御努力によりまして、乾電池メーカーでつくっている日本電池・器具工業会、ここで使用済みのボタン型の電池を全国十一万一千余りの取扱店で自主回収するということを決めておりまして、現在先月から実施されていると思うわけであります。これは環境保護の立場から私は大変結構なことであると思うわけであります。このように行政側も支援する形で行われている今回の新方式というのは、同じように環境汚染が心配されております家庭電化製品、プラスチック製品、こういったような廃棄物処理のモデルケースとして注目されると私は評価しているわけでございます。  ところで、今回の回収につきましては、筒型電池が回収対象から外されているということ、これは経費の面、いろいろの面は私はわかります。わかりますけれども、依然としてこういった筒型のものが野放し状態になっているということは非常に重要な問題であろうと私は考えておるわけでございます。  また、このボタン型の乾電池、特に水銀電池でありますけれども、これの回収箱を各府に備えつけたといっても果たして全面回収が可能かどうかということ、これは大変私は疑問に思うわけであります。また、地方自治体の中でも京都、大阪、神戸、このような三市は前から回収をやっていたのでありますけれども、分別回収です。ごみの中の乾電池だけを分別回収してきたのでありますけれども、これはメーカーの責任でやるべきであるとして、それからまた回収した後もこれをどのように処理していいかわからない、めどが立たないというような、そういう理由で中止してきたわけですね。やめてきたわけです。中止した。このようなことから、この辺でいよいよ国がこの問題に乗り出していかなければならない事態になってきたのではないか、そんなふうに私は考えているわけであります。  そこで御質問申し上げたいのでありますが、メーカー側がやっているこのボタン型の電池の回収だけではなくて、筒型の乾電池についても回収をやるように行政指導すべきじゃないかと思うのでありますけれども、いかがですか。  また次に、筒型電池の水銀量を三年後には減らす研究をするということを言っているわけでありますけれども、私自身も化学者でありまして、そのようなことの研究というのは非常に難しい問題だと思うのです。そういう観点から、一部の専門家も言っておりますけれども、私もそう思うのですが、非常に難しい問題ではないかと思うのです。しかし、これは鋭意しっかりやっていただきたい、工業試験所などで研究してもらいたい、そんなふうに考えているわけであります。そういうことで、通産省としてこういった研究開発に対してどのような支援、指導を行うつもりか。  まず、この二点について通産大臣にお答え願いたいと思うわけでございます。
  317. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 通産省といたしましては、乾電池の水銀による公害の発生の事例はまだ承知しておりません。しかし、将来における環境汚染の対応策として事前にこれをするということを検討いたしまして、厚生省とともに業界に要請したところでございます。これを受けまして、業界がボタン電池の回収ということを自主的に行うことを決定いたしたわけでございますが、筒型の乾電池の回収については、まだ決めておりません。そのことにつきましては事務方から説明をさせますし、また、二番目の問題につきましては、技術的な問題もございますので政府委員に答弁させます。
  318. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、乾電池の消費量が大変ふえてきておる、こういうことから、確かに今まで乾電池に使用されております水銀によります公害の発生の事例というのは出てないわけでございますけれども、私どもとして承知してないわけでございますけれども、需要がふえてきておるということから、先般、環境汚染の未然防止という観点から、対応策の検討を本年の一月、厚生省とともに業界に対していたしたわけでございます。  これに対しまして業界としては、三年を目途にアルカリ電池の水銀使用量を三分の一に減らすというための研究を行うという決定をいたしました。同時に、なかなか構造上減量というのが難しい水銀電池につきましては、その減量ということではなくて自主回収を強化するということで対応するという決定をしたわけでございます。  私ども、以上のような回答を業界から受けたわけでございますけれども、この業界の対応につきまして関係省庁、すなわち主として厚生省でございますが、協議をいたして検討したわけでございますけれども、私どもといたしまして、水銀によります公害の未然防止という観点から申しますと、水銀電池の回収と、それから筒型アルカリ乾電池の水銀使用量の減量対策ということで十分ではないかというふうな判断をいたしているわけでございます。  この三年間で三分の一に水銀使用量を減量するということにつきまして、業界としては協力して研究を進めていくという決定をしておりまして、その場合の費用負担というのは、これは各社でもって負担していく、業界としては大変熱意を持ってこの問題に対処していく、こういう状況でございます。
  319. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今御答弁の中に、余り公害のあれが報告されていないというようなことでありますけれども、今それは公害は、確かに乾電池による公害というはっきりしたものはないと私は思います。しかし、現在一般ごみとして処理する場合、申すまでもなく一方では埋める、土壌中に埋め込みをやる、あるいは焼却する、大体この二つの方法で処理しているわけでありますけれども、この埋め込んだ場合、溶出しないという保証はないわけですね。一カ月や二カ月はそれは溶出しませんけれども、これから何十年、何百年ということになりますと、これは水銀が出てこないというあれはないと思うのです。  実際にいろいろ言われておりますけれども、アマルガム化しているから安全だという言い方をされておりますが、ではアマルガム化すれば安全かと言えば、ちっとも安全じゃないと私は申し上げたいと思うのです。私自身、二十年間このアマルガム、水銀をいじってきたわけでありますから、そういった意味でアマルガムの性質はよく知っております。亜鉛が溶け込んでいる間は亜鉛がイオン化傾向大きいですから、そういうことでどんどん亜鉛が溶出していきます。しかし、溶出してしまった後はエレメシタルな水銀でありますから、金属状の水銀でありますから、当然のことながら今度それが周りのものと反応します。バクテリアの作用もありますでしょう。そういったようなことで、これは当然のことながら有機水銀に変化しないという保証はないわけですね。よくメーカーの方々は無機水銀だから安全だなんて言いますけれども、そんなことはないんです。実際問題、有機水銀に変化するという実際の実験結果もあるわけであります。そういうようなことから、やはりこの際一般ごみとして処理することは大変危険だろう、私はこういうように思うわけであります。そういうことで、ぜひとも回収をやってもらいたいと思うわけでございます。  そこで御質問いたしますけれども、今回の回収箱を置くだけで、回収できるという保証はないだろうということを私、申し上げましたけれども、実際問題どうかということですね。今空き缶の問題についても皆さん方御承知のように、ただ空き缶を持ってきなさいと言っても来ないんですね。いわゆるデポジット方式、そこにお金を何ぼか持ってきた人に払うというようなことをやれば持ってくるということで、子供たちもお小道いになるからということで喜んで持っていく、そういうことはあり得るわけです。だから、この回収はやはりデポジット方式をやるべきじゃないかと私は思うわけでございますけれども、その辺いかがでございましょうか。
  320. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  水銀電池につきまして回収を行うということで、全国に約十一万の箱を置いて回収する、こういう決定をいたしたわけでございますけれども、確かにこういった自主的な回収が効果を上げていくという点につきましては、これはいろいろな方面の協力が必要でございます。そういう意味合いから、まず一つはPRというのが大事でございまして、この業界の対応策の中におきましても、都道府県あるいは市町村あるいはマスコミ、そういったところに対しまして積極的にPR活動をやっていく、こういうことを通じまして使用者の方たち、消費者の方たちの協力というものもいただいていくように努めていく。同時にまた、関係業界、例えば家電製品業界であるとか、いろいろな水銀電池を使っております関係業界がございます。こういったところにも働きかけていく、あるいは市町村に対しても働きかけていく、こういったようなPR活動あるいは協力要請ということを通じまして、この成果を上げてまいりたいというふうに思っております。
  321. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 先ほども申し上げましたように、処理の仕方は一般ごみとして焼却処理されておるというお話を申し上げましたけれども、焼却しますと、申すまでもなく水銀は沸点が三百五十六・六何ぼ、大体三百五十六度ぐらいですね。そういうようなことから、当然これは気化いたします。気化しますと、必ず排煙となって一緒に出てくるわけでございまして、そうなりますと、大気汚染の心配が非常に私はあると思うわけであります。現在、大気汚染の汚染物質の基準というものはオキシダント、一酸化炭素、それからSOxあるいはNOxといったような二酸化窒素を含めた窒素酸化物、大体そういったようなものが対象になっているわけでございますけれども、この際、重金属の濃度については、大気汚染については規定がないわけでありますけども、これから水銀電池なども間違って燃やされる場合もありますし、現に筒形の電池は焼却しているわけでありますから、その辺、環境庁長官にお尋ねしたいのであります。  大気中の重金属の濃度を規制すること、こういう基準をつくってはどうかということをお尋ねしたいのでありますけれども、いかがでございましょうか、御答弁願います。
  322. 上田稔

    上田国務大臣 斉藤先生の御質問にお答えを申し上げます。  水銀電池とかあるいはまたアルカリ電池、これが最近はだんだん使用されてきておりますので、漸次ふえてきておるということでございまして、先生の御指摘の点につきましても、私どももいろいろと心配をいたしておりましてその測定をやっておるのでございますけれども、大気中の水銀の濃度につきましては今のところ非常に小そうございまして、WHOの基準が十五マイクログラムでございますが、それに比べまして〇・〇一マイクログラムぐらいの程度でございます。通産省の方におきましても、今御説明がありましたように、水銀電池につきましてはこれを別途に回収をするというような手もお打ちをいただいておりますので、今のところはまあ心配はないのではないかというふうに思っております。  五十七年度におきまして大気のいろいろな水銀の濃度、そういうものにつきましても測定をいたしたのでございますが、今のところ全部まとまっておりませんけれども、今申した程度のものでございまして、その中には余り大きいものは見当たりません。ただ、ついでに申し上げますと、その調査表は三月いっぱいか四月ごろまでには取りまとめができますので、また発表をさせていただきたいと念願をいたしております。したがいまして、まだちょっと基準というところまでは考えておらない状態でございます。
  323. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 現在お考えになっておられないようでありますけれども、しかし、これから水銀濃度、またそのほかの有機物も浮遊粉じんとして出てくるわけでございますので、この辺、有害な物質でありますので、心がけておいていただいて、何かの機会にそういう基準をつくっていただきたいと私は思うわけでございます。  そこで、地方自治体に対する行政指導ということでお尋ねをしたいのでありますが、分別回収、これをしている自治体はどこどこがやっておられるか、簡単に御答弁願いたいと思うわけでございます。通産省ですか、どこになりますかね。
  324. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 一部の市町村、広島市とか奈良市とか、そういったところでやっておられると聞いておりますが、個別に、ほかに幾つの市町村というのは今まだ把握をいたしておりません。
  325. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 私の聞くところ非常に少ないわけでございます。町田、日野だとか、そのほか先ほど申し上げたところは、大阪、京都、神戸などはもうやめちゃったというようなことで、非常に少ないわけです。ですから、あとの自治体は一般ごみとして回収して、埋め立て、焼却していることになるわけでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、放置しておきますと大変重大な問題になると思うわけでございまして、国として、地方自治体に対して、乾電池は分別回収して適正処理をするようにという行政指導をすべきでないかと私は思うわけでありますけれども、どのようなものでありましょうか、ちょっと御答弁願いたいと思うのです。
  326. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 先生御承知のように、電池のうち、ボタン形電池が大体水銀の半分程度を占めておるわけでございます。それにつきましては、先ほどからのお話のように自主回収ということでやっておるわけでございます。筒形の電池でございますが、現時点におきましては一般の廃棄物として処理をしておることで問題はないというふうに私ども考えております。  ただ、長期的な観点から今後考えていかなければならぬということで、実は来年度から特別に調査検討してみたいと思っておるわけでございます。
  327. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 それは大いにやっていただきたいと思いますけれども、私はちょっと提案したいと思うのでございます。  乾電池、この材料を見られればおわかりのように重金属、しかも我が国の産出量の非常に少ない重金属も相当にあるわけでございまして、そういうようなことから、資源回収という目的の上からも、また環境汚染防止という点からも、この際、乾電池処理のために国、地方自治体、メーカー、それからユーザー、実際にカメラとか時計とか随分いろいろ使われていますから、そういうユーザーが協力して、この四者が一体となって、もちろん国が指導していってほしいと思うのでありますが、そういういわゆる第三セクター方式による共同処理センターといったものを設置すべきだと私は思うわけでございます。資源の回収ということから非常に強く私は要望したいのでありますけれども、これについてはどういうふうにお考えになるか、御答弁願いたいと思います。
  328. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今政府委員から答弁ありましたように、厚生省としてはさらに長期的な問題として処理体制を整備する必要もあると考えております。昭和五十九年度から、廃乾電池等の広域的な回収処理体制に関する調査を行うとともに、今先生から御提言のありました第三セクターによる取り扱い等をも含めて検討をしてまいりたいと思いますので、斉藤先生、この道の権威者でございますから、私どもにいろいろ知恵を授けていただきたいと思っております。
  329. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ぜひとも今厚生大臣が言われましたその方面に力を入れていただきたいことを心から念願申し上げまして、この乾電池問題につきましては終わりたいと思います。どうもありがとうございました。  そこで、次の問題でございますが、先にたばこの問題からちょっとやらしていただきたいと思います。  たばこにつきましては、私どもの同僚議員であります草川議員から大蔵委員会など、そのほかのところにおきましても、もう大変詳しい御質問をされておりまして、私は別に取り上げることがないほどまで審議が進まれているわけでございますが、私はここで青少年の教育の問題、それから非行の問題、こういったような観的から、たばこというものについて関係大臣の方々から御答弁願いたいと思っているわけでございます。  もう申すまでもなく、次世代を担う青少年が、最近非常に喫煙者がふえてきている、そういうことが実際に多いわけでありますけれども、先日、三月一日だったと思いますけれども、私の住んでおりますところ――住んでいるところと言ったらちょっと語弊がありますけれども、そうではなくて、私の選挙区と言った方がいいですかね、そこである航空会社の機長をやっていらっしゃる方の娘さん、その辺は非常に上流社会でございまして、住宅も非常に高級住宅が並んでいるところでございまして、その辺の子弟はみんないいところの娘さんばかりなんです。  これは幼稚園時代から仲よしで育ってきまして、中学に去年入ったわけです。それで、途端にその仲よしグループの四人のうちの三人がたばこを吸うようになった。たばこを吸うと不良に見られる。だからおまえを――そういう言葉遣いらしいんですけれども、おまえを我々のグループから離したくない。と同時に、おまえもたまに吸えというようなことで便所へ、しかも学校の便所ですね、連れ込まれまして、そこで火のついたままのたばこを口の中へ入れられた、そういう被害がありまして、その父兄は大変心配しまして、このようなことがあってはもう学校へはやれないというようなことを言い出したわけです。  そこで、何とかならないものでしょうかというのが私のところへの相談だったわけですけれども、このように、非行になったためにたばこを吸うのか、たばこを吸ったから非行になるのか、その辺のことはどっちが先か私はよくわかりませんけれども、いずれにしましても、非行グループと言われるようなグループは、ほとんどがたばこを吸っているということです。    〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕  先日のうちの草川議員に対する森文部大臣の御答弁で、こういう御答弁があったわけですね。これは速記です。ちょっと速記を写させていただきましたけれども、「お答えいたします。文部省におきましては、中高校の教科書あるいは保健体育、特別活動の機会に、いろいろと細やかな指導をいたしております。中学校指導要領にも、嗜好品としてのたばこの常用、それから吸い過ぎによる健康障害についてもきちんと指導するようにいたしておりますし、中学校の教科書などは、かなり詳しくたばこに対する害を述べております。」それをいろいろとこう述べられまして、「指導要領には約二十ページにわたりまして、たばこをやめるようにということについても十分指導いたしております。」  私、この教科書を、どういった教科書があるかということで、保健体育の中学、高校の教科書とそれから指導要領を調べてみたわけでございますけれども、私の尊敬する森先生がお答えになったようないわゆる中学校指導要領二十ページというのは、一体そんなにあるのだろうか。確かにこの教科書にいろいろ詳しくは述べてありますけれども、確かに教科書として、教科書自身をどうこうしろと私は申しません。と申しますのは、教科書はあくまで教科書でございまして、児童生徒はこれをただ丸暗記して試験のときの点数をとりたい、いい点とるというようなことでやりますので、こういう教科書に余り詳しく書いてもしようがないかなと私は思っているわけでありますけれども、森文部大臣、この指導要領にそんなにあったかどうか、ちょっとお尋ねしたいのであります。
  330. 古村澄一

    ○古村政府委員 御説明いたしますと、学習指導要領自身においては疾病の原因、それからそれに対する対策ということを教えなさいということを書いてあるわけですが、その学習指導要領を受けまして指導書というのをつくっております。その指導書の中でたばこの害について教えなさいということを書いておるわけでございます。それによりまして、大体の教科書というのはたばこの害についてかなり触れているのが通常であるというふうに思います。  なお、二十ページの話でございますが、これは文部省が生徒の非行防止のために生徒指導資料というものを出して、全国の中学校、高等学校に配付いたしておりますが、五十四年に出した生徒指導資料に、喫煙というものが非行の第一の兆候であるということから始まって、二十ページにわたって一応そのことについて触れてあるということでございます。
  331. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 中学校指導書保健体育編というのを見ましても、そんなに二十ページもなくてほんの二、三行しか書いてないものですから、どこからそういうことなのかと思って御質問申し上げたわけでございます。  いずれにしましても、学校教育におきまして、単なる教科書だけじゃなくて、私は課外活動などを見ても、森文部大臣言っておられますけれども、今の学校は大体――大体というよりほとんどだと思いますけれども、視聴覚教育を非常にちゃんと設備が整っているわけでございまして、そういったようなものを使って実際にたばこというのはどういう害があるか、これは多くの研究、実験があるわけでありますから、そういった実験を目で見せる、視聴覚教育をやって、たばこというのは本当にいけないんだということをおやりになってはどうかと私は思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  332. 森宗作

    ○森国務大臣 お答えをいたします。  中高生の喫煙というのは、今先生から御指摘ございましたように、健康上有害であるということもございますが、もう一つは、やはり非行化の第一兆候はここから入ってくるわけでございまして、防止に極力努めておるところであります。  今御指摘ありましたように、例えばネズミ等の動物実験、あるいは肺がん死亡者の遺体解剖等を映画に盛り込んだものなども教材として用いておるようでございまして、今ちょっと御指摘をいただきましたように、教科書は大体どの教科書にも確実にたばこはいけないということはきちっと書いてございますし、嗜好品としての害ということも、単に吸い過ぎだとかそういうことだけじゃなくて、基本的にたばこは有害であるということも、私も少し本を調べてみましたらかなり書いてございました。  ただ先生、私はたばこを吸わないから言うわけじゃありませんが、やはりたばこはいけないんだよ、こう教えておっても、先生がおいしそうにぷかりと吸われますと、これは教室じゃいけないことになっておりますが、教員室はいいんですね。やはり生徒はそこからのぞいていて、中学や高校や発達程度によってはある程度理解できますけれども、小学校の子供なんか見ておって、先生がおいしそうに、ああうめえななんてやっておれば、それは子供はちょっと吸ってみたくなるという気持ちもあるでしょう。  それから、中学生の方や高校生クラスになると、何となく好きでやるというのはいないので、かっこよさというものがあります。ですから、私はたばこを吸わないから言うわけじゃありませんが、いけないということはわかっているわけでありますから、本来子供たちの前で吸わないようにするということがやはりとっても大事なことだと思います。今松永理事吸っておられますが、私は欲しいとも思わないのですけれども、やはり子供が見ますとおいしいものなのかな、そういう感じは持つのじゃないかと思います。とっても難しい問題だと思います。
  333. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今文部大臣にお答えいただきましたように、確かにそういう親の姿勢とかなんかが問題になると思います。  そこで、私はお伺いしたいのでございますけれども、宣伝でございますね。きょうは専売公社の方にもおいでいただいておりますし、それからそれに関係した国鉄の方にもおいでいただいておりますけれども、例えば三浦友和、彼がかっこよく吸っているような、ああいうところを見せますと、かっこいいな、自分もやってみたいというのは確かに森文部大臣が言われるとおり、そのようにやりたくなると思います。また、実際にうまそうに吸っていると、本当にうまいものだろうかというようなことを――私自身、今から十何年前にたばこをやめたんです。ちょうどアメリカから紙巻きたばこは肺がんのもとであるというようなことが最初に新聞報道されたときに、私はそれまではヘビースモーカーでございまして、一日四十本以上吸っておったのですが、ロングピースを吸っていました。それを聞いた途端に、七本残っていた箱をそのまま、きょうこれでやめたと言ってぴっとやめて、それ以来十数年、私いまだに吸っておりません。実際に今吸っておられる方がおられましても、別に吸いたいなんて思わないわけであります。  そこで、この宣伝の問題でありますけれども、専売公社さん、私、過去十年間調査いたしましたのによりますと、広告宣伝費が、昭和四十八年から五十七年までのデータ、ここにございますけれども昭和四十八年は二億九千三百万円であるわけです。それに対して五十四年は九億九千百万円、昭和五十七年度は驚くなかれ十九億四千万円、このように四十八年から五十七年のこの十年間で飛躍的に宣伝費が費やされている。それに対して喫煙と健康に関する研究費でございますけれども、四十八年度は七千万円ですね。それから五十二年度でもいいですけれども一億一千万円、それから五十七年には二億円、こういったように、喫煙と健康に関する研究費との割合を見ましてもわかりますように、非常に広告宣伝費が大量に使われている。巨額に使われているわけでございます。  その辺、私は、やはり広告などが非常に出されておりますけれども、もう少し宣伝広告費というものを減らして、健康のため、喫煙と健康に関する研究費の方に回してはどうかと思うのでありますけれども、その辺、専売公社さん御答弁願いたいと思うんです。
  334. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  私どもにおきまして、広告宣伝費につきましては、ただいま先生御指摘のような数字で増加をいたしております。私ども、最近の喫煙と健康問題等に関連しまして、いろいろ新しい製品を出しておるわけでございますが、こういった点での新製品の周知というようなことも同時に行う必要があるわけでございまして、こういったものもこの広告宣伝費の中に入ってございます。それから媒体物が値上がりをするというようなこともございます。また、五十六年度以降は、外国たばこにつきましても、日本国内におきまして専売公社と同様な広告宣伝を行うというようなことになっておりまして、こういったものに対応するための経費もございましてこのような形になっております。  私ども、今後のたばこの販売状況等の推移も見ながら、いろいろ広告宣伝経費につきましては適切な内容のものを考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  335. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういう宣伝費をできるだけ減らして新製品に限っているというようなことでございますけれども、そういったものも、やはり青少年の目につくような、しかもまだ奇抜な宣伝などは私はやめていただきたい、そのように考えるわけでございます。  郵政大臣、おいでいただいていると思うのですが、今電波を使いまして、テレビあるいはラジオで実際に宣伝しておられるわけであります。主にテレビだと思いますが、この辺はどのように考えておられるか、青少年教育の立場からお答え願いたいと思うのでございます。
  336. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 免許を与えた放送各社に自主的にやっていただければ結構でございますけれども、今たばこの宣伝だけをとらえてやるなというような規制というのはとてもできないのじゃないかと思っております。先生のちょっと今……(斉藤(節)委員「たばこばかりでなくて結構です。そういった風紀的な問題もありますからね」と呼ぶ)しかし、この報道、表現の自由というのが常に先行しまして、なかなか営業係数の細かい面にまで触れる規制というのは法的に整備されていないというところがございます。大変残念なことだと思います。
  337. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 確かに電波を使って、今はたばこによらず非常に風紀問題、私も教育者でもございますので、非常に嘆いているわけでございます。深夜放送なんか聞くにたえないような、そういったものを耳にヘッドホンをかけながら勉強しているという風景がございまして、これは本当に聞くにたえない、そういったことを子供に聞かしているという点で私は嘆いているものでございます。だからといって表現の自由を抑えていくということになりますとまた問題があるかと思いますけれども、その辺もやはり教育という観点、次世代を健全育成するという立場からこれはやはり考えていかなければならないのじゃないか、特に我々政治家がそういったことを考えなければならぬのじゃないかなと思っているわけでございます。  と同時に、今度は電波じゃなくて掲示でございますね、中づりというのでしょうか、電車の中あるいは駅近辺のホームのところにとか、いろいろなところに看板あるいは新聞、雑誌などにも、これもまたいろいろ言論の自由、表現の自由ということで問題があるかもしれませんけれども、この辺、国鉄関係の方、来ておられると思いますけれども、運輸省の方、来られていると思いますけれども、御答弁願いたいと思うのです。この辺、自粛する意思があるのかないのか、将来どういうことを考えておられるか、御答弁願いたいと思うのであります。
  338. 永光洋一

    ○永光政府委員 先生、今御質問にありましたように、国鉄あるいは私鉄あるいは地下鉄等におきましても、車内等にたばこの宣伝広告を掲出している例がございます。一般に車内中づり等で広告を出します場合には、各事業者がやはり例えば公序良俗に反するとかなんとかといういろいろな内部的な基準のようなものを一応考えておりまして、そして著しくそぐわないものはやはり出さない、こういうような格好になっておりますが、現在たばこの広告につきまして、そういうような判断のところまでは各事業者ともまだいっていないと思うわけでございます。  今後この問題につきまして、やはり喫煙に対する社会的な合意の形成というような問題を考えながら我々も適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  339. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 いずれにしましても、たばこは、先ほど文部大臣のお答えにもありましたように非行化の原因、非行化した者はそういうたばこを喫煙するわけでありまして、これはやはり我々大人が模範を示していくと同時に、そういったような宣伝広告なども自粛していくような方向にやっていかなければならないのじゃないかということを、私は特にこういったことをやっていただきたいということでお願いも申し上げまして、このたばこ問題については終わりたいと思うわけであります。どうもありがとうございました。  今のたばこ問題、終わりますけれども、外国でこういった教育にこういう塗り絵なども使って、これは幼稚園児だと思いますけれども、森文部大臣は、前に小学校ではまだそういったことの教育が十分行われていないということを御答弁がありましたけれども、外国で、これはカナダの一部でありましょうけれども、こういう塗り絵などを使って、「ノンスモーキングチルドレン」ということで、中にいろいろ「アイ キャン クライム ハィヤー イフ アイ ドント スモーク」、たばこを吸わなければなお一層よく高いところへ登れるというようなことでもってこうやって塗り絵をさせるといったように、たばこを吸わないことということで子供の教育用にカラリングブックがあります。  そういう点、我が国の場合は余り教育には、こういう子供にはまだ関係ないというようなことでお取り上げになっていないようですけれども、やはり小学校時代からあるいは幼稚園時代からおやりになった方が効果があるだろう、そんなふうに思いますので、老婆心ながらつけ加えさせていただきます。  実は、たばこ問題ではございませんけれども、先日、私どもの池田克也議員がこの委員会におきまして幼稚園、保育所の問題を議論されたわけであります。これをちょっと確認さしていただきたいと思いまして、御質問申し上げたいと思います。これは文部大臣並びに厚生大臣にお願いしたいと思うのであります。  公明党は、子供の立場、親の立場から見ても、幼保の一元化を言ってきておるわけでございます。現実の問題としては、幼稚園は文部省、保育所は厚生省というように先日来お答えもされておりますように、二元のままでもお互いに連携をとり合うことができるということで来ているわけでありますけれども、まずここから始めるべきだと考えているわけであります。  この問題につきまして、五十六年六月に、幼保懇談会というのがありますね、これが報告書を既に出しているわけです。これは御存じでございましょうか。厚生大臣も御存じでございますね。これを受けて厚生省それから文部省はどのような行動をこれまでとってこられたか、御答弁をお願いしたいのでございます。
  340. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 前にもここで申し上げたのでありますけれども、保育所と幼稚園はおのおの目的、機能が異なっておりまして、しかも保育所の場合は家庭保育のお手伝いということで、これは幼稚園が二百二十日しか年に開所していないのに保育所は三百日開所しているとか、幼稚園は一日四時間、これを保育所は八時間開所して、お勤めに出るお母さんが働いている間子供さんを全部お預かりする、また、対象も、幼稚園が三歳児から五歳児なのに対して、保育所ではゼロ歳児から五歳児までお預かりするというふうで、最近保育所が進んできて、保育所の中で幼稚園的な性格を持っているものですから、何か同じようなことをしているんじゃないかという印象を与えておりますけれども、保育所の持つ機能を現在の幼稚園は果たしておりません。  そういうことから、私どもは、女性の職場進出、若いお母さんの職場進出が目立っておりますから、むしろこれから保育所の社会的な要請というものは大きくなっていくので、この際、誤解をいただかないよう申し上げますが、私どもが今文部省との間でやっておる懇談会というものは、国全体の中でお互いにむだがないように、あるいは重複を避けるように、あるいは適正配置とかそういうもので密接な連絡をとっていこうということで文部省と懇談をしておるのであって、世上言われる幼保一元化のための懇談会をやっているということではないということを申し上げたいと思います。
  341. 森宗作

    ○森国務大臣 幼保の一元化ということを一つのねらいとして、両省が推薦をするいわゆる学識経験者で議論を詰めてこられたのだと思います。その結果、やはり機能、目的が違うんだということで一緒にすることが難しいだろうという判断を示したわけです。しかし、その後は、今厚生大臣からお話がありましたように、むだのないようにお互いに足らざるところを補っていけるような方向で、事務的なレベルで話し合いを続けるようにということであったと承知をいたしております。  しかし、私は、ここで何度も申し上げておりますが、これはやはり大人の言い逃れだなという感じを持つのです。教育は教育を受ける立場に立って考えてあげなければならない。確かに、保育に欠けるということでスタートした保育所だろうと思いますが、現実の問題としては、やはり幼稚園のないところでは教育をやっているわけでありますし、幼稚園も教育をしてはいけない、つまり読み書きなどはしてはいけないということになっているわけですね。情操だけを教育するようになっていますが、やはり現実に字は教えているのですね。それはまた親御さんがそれを求めていきますから、それに対して先生が、それにサービスという言葉がいいかどうかわかりませんが、やはり子供たちに字、読み書きを教えなければやれるものではないということになってしまいます。  そうなりますと、やはり受ける側から見れば、幼稚園へ行った子は早く帰ってくるし、保育所の方は夕方まで預かってくれるし、なおかつ、父兄の負担から見ると幼稚園の方が高くついています。保育所の方は安いじゃありませんか、こんなおかしなことはない、したがって、幼稚園ももっと長く預けなさい、あるいは幼稚園に対する負担の軽減を図りなさい、こういう要求になってくるのは当たり前だろうと思います。  それをいつまでたっても両省がいわゆる役所の縄張りみたいな気持ちで――当初は確かにそういう保育に欠けるという立場であったことは間違いないと思いますけれども、今の時代はもうかなり大きく変革をしておると思います。私の知っておる保育園などで夜遅くまで預かるのがあります。確かに保育に欠けるから預ける面もありますが、逆に言えば、預かってもらっているから帰りに御主人と一緒に映画を見てくるなどという例も、よくそういう先生から聞くのです。  ですから、そういう意味で、お互いに大人のそういう縄張り意識を一歩前へ進めて、この際、幼保というと何か保育所が幼稚園に一元化する、あるいは保育所に幼稚園が一元化する。そういうことではなくて、同じような機能をしているのなら、もうちょっと知恵を働かせて、一緒にやって、時間が長かったら、夜まで行かなければならぬ子には途中から幼稚園の中身を保育所の中身に変えたっていいわけでしょうし、保育所の先生に少し研修をしてもらって幼児教育の資格を与えてもいいだろうし、幼稚園の先生にはやはり保育の資格を持ってもらうように、お互いにそこのところをうまくやり合っていけば、上手にノーハウをきかしていけば、全く解決できない問題ではないと私は思っておるのです。  ただ、また、私はいつも言っていることでありますが、それはやはり就学年齢との兼ね合いもあるのではないか。そこを義務化してしまうことがいいのかどうか。そこのところがとても大事なことですから、それなら、この際思い切って新しい機関で、一体人間はいつからそういう学校なりそういう機関に入って勉強するのがいいのかということも、両省の関係者ですとお互いに両省のいい方に解釈しますから、全くそうではない別個の新しい機関で別の角度や視点から検討する時期が来ておるのではないか、私はこのように思っております。
  342. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この問題につきまして、この懇談会からの勧告、答申といいますか報告でこの両省が十分話し合いを行ってこられたのかどうかということが心配なのですけれども、これは行ってきておられるのでしょうね。御質問します。
  343. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 最初に行われた幼保一元化の懇談会は、そこでいろいろ話し合って、やはりおのおの幼稚園と保育所ではその持っておる機能なり目的が違うということで一つの方向ができて、しかし、今のような話があるので、厚生省、文部省、あるいは役所の縄張りを離れて、子供たちに密接な設置とか配置状態とか、そういうものでよく連絡をとってやれということでこれはやっておりますし、これから森文部大臣と極めて密接な連絡をとって、笑われるようなことのないようにしてまいりたいと思います。
  344. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 これは都道府県にもこの報告書の内容を伝えておられるわけですね。その辺、ちょっと御答弁願って、この問題はこれで終わりたいと思います、時間がありませんので。どうぞ両省大臣お願いします。厚生大臣にお願いします、もう一個質問いたしますけれども
  345. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 都道府県に通知されております。
  346. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もう一回質問いたします。  都道府県にもこの懇談会の報告書を十分伝えているかどうかという点、いますか。
  347. 森宗作

    ○森国務大臣 文部省の方も都道府県教育委員会に十分通達はしてございます。
  348. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この問題につきましては池田克也議員の補足をさせていただいたわけでございまして、文部大臣にはどうもありがとうございました。  次は、食品添加物の問題について御質問申し上げたいと思っております。  時間もなくなってきましてちょっと残念なのでありますけれども、厚生大臣にお伺いいたしますけれども、食品添加物、これは必要だと私は思うわけです。どういう点で必要かと申しますと、私たちの生活の知恵として、食べ物が腐るのはもう当然でありますが、そういうことから、昔から食べ物を腐らないようにするために塩蔵するとか、あるいは煙を使って薫製するとか、そういったようなことで、私たち、食品を、食べ物を保存したいという気持ちがあったわけです。そういう点で、食品保存という点におきましてはこれは絶対必要だと私は思うわけです。  しかし、最近、化学の発達によりましていろいろの化学薬品が使われるようになったわけでありますけれども、この中には危険なものもあると思うわけでございます。そういう点で、食品添加物を大きく分けまして、いわゆる食べ物を保存するために使う、それから見てくれをよくするために使う、それから味をよくするために使う、大体大きな目的としてはこの三つですね。あと、量をふやすとかなんとかいうこともありますけれども、主としてこの三つが食品添加物の主な目的だと私は思うわけでございますけれども、この中で、まず見てくれをよくするという、色素を使ってお化粧させてしまうということ、あるいは発色剤を使って生きが悪いのにあたかも生きがいいがごとく見せるようなもの、例えば亜硝酸のようなもの、そのほか、あるいは味をよくするグルタミン酸ソーダのようなもの、こういうようなものはもう極力、特に色素に至っては使うのをやめてはどうかと思うのですが、いかがでございましょうか、その辺、御答弁願いたいのでございます。
  349. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 食品添加物につきましては、お話しのようにいろいろの用途があるわけでございます。恐らくその中でお話しのような保存料といったようなものは非常に有用性が高いということはおっしゃるとおりでございますが、着色剤あるいは発色剤につきましても、私ども十分な安全性を踏まえた上で指定するものは指定するということで、悪いもの、危険性のあるものはもちろん指定をいたしませんけれども、十分な安全性を前提にする限りにおいては、着色剤、発色剤についても指定をすることがまた適当ではないかというふうに考えております。
  350. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 安全性ということで、十分安全なものならいいじゃないかという御答弁でございますけれども、しかし、その安全性も本当に国民の皆様方が安心できるという保証を厚生省は与えるべきじゃないかと私、思うわけです。例えば赤色四号なんというのは昭和四十一年に禁止になりましたけれども、あれあたりは許可しておきまして、後で発がん性がわかってやめる、あるいはAF2、こういう防腐剤にいたしましても、後で、これは使って悪かったとか、あるいはサッカリン、こういったようなものは一たん許可してまた禁止してまた許可するといったような、こういう行政のあり方では非常に国民が心配してしまう。安心して食べ物を食べられない。そういう点で、そういったものを許可する場合には相当慎重に行わなければならないと思うわけでございます。その辺、いかがでございましょうか。
  351. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 食品添加物の安全性につきましては、私ども、その時点その時点での最高の科学の進歩を踏まえて安全性を考えていくということでやってまいっております。先生も御存じのように、慢性毒性もさることながら、特に発がん性の問題につきましては、最近発がん試験というものが国際的に非常に高いレベルにまで来たということで、ずっと昔に許可をされておつた食品添加物が新しい発がん試験でどうかというようなことがございますので、その点につきましては、私ども過去に指定したものを含めまして再評価を続けておるわけでございます。
  352. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういう点で、こういった食べ物はそのときどきの最高の技術、科学水準でもってチェックしていかなければならぬ、これは当然だと思うのでございます。それをまたさらに続けてやっていただきたいと思うわけでございます。  実は、昨年十一品目許可になったわけでございます。この中に、最新の科学的水準でもってチェックされたというふうに言われておりますけれども、非常に疑わしいようなものがあるように私は思うわけです。特にアスパルテームという、これは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという二つのアミノ酸が結合して、資料をお配りしてございますけれども、その二つのアミノ酸が縮合しましてできている化合物でございますけれども、厚生省の発表によりますと、アスパルテームはこういう二つのアミノ酸が縮合してできたものであるから非常に安全なんだという言い方をしておられるわけでございます。  しかし、私は化学構造をいろいろ調べますと、これはわかっていることでありますけれども、実はメチルアルコールがエステル化してこのフェニルアラニンの方にくっついているわけですね。これは厚生省の方で出しておられる論文集でございますけれども、「食品衛生研究」というものですね。これのボリューム三十三のナンバー九に、三十三巻の九号に、この十一品目についていろいろ詳しく論文が述べられているわけでありますけれども、この中には、このアスパルテームはいわゆるフェニルアラニンとアスパラギン酸の縮合でできたものであるから、これは私たちの食べ物の中にたくさん既に含まれている、薄力粉だとか精白米とか大豆とかいろいろ書いてありまして、この中にいろいろたんぱく質が、たとえば薄力粉でしたら八・三グラムのたんぱく質があって、この中にフェニルアラニンが〇・四二グラム、アスパラギン酸が〇・三九グラムあるのだ、実際にこのアスパルテームは、使用量としては、一日の使用量は三百七十ミリグラムに規定しているから安全だという言い方をしているのであります。  しかし、これは先ほど申し上げましたように、フェニルアラニンの方にメチルアルコールをエステル化しているわけです。エステル化されたフェニルアラニンというのは、これは我々の体内に入りますと加水分解しまして、そしてフェニルアラニンとメチルアルコールに分かれるわけですね。メチルアルコールというのは、申すまでもなくこれは毒でございまして、こういったものが私たちの体に入るということですね。そして、いろいろのアメリカの研究者や何かの報告によりますと、脳神経細胞を侵すというような報告も、これはアメリカの大学の教授がしているわけでございます。  そういったようなことから、これはやはりアスパルテームを許可したということは早計に過ぎたのじゃないか。もう少しチェックして――論文を見ますと、ほかの許可した十一品目の中でも非常に論文が少ないのですね。しかも、未発表の論文が非常に多いということです。私たち科学論文を書く場合、未発表の論文というのは信用しないと言ったら語弊がありますけれども、余り重要視しないのですね。むしろ発表されて公的にオーソライズされた、そういうものを私たち重要視するわけですけれども、このアスパルテームに関しましては、安全性の研究のほとんどが未発表論文で、しかも、これは味の素でもって、その製品を出している会社でやった論文であるということ、そういう点でこのアスパルテームは私は危険ではないかと思うわけでございますけれども、その辺、厚生大臣の御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。
  353. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 アスパルテームでございますが、先生おっしゃいましたように、フェニルアラニンとアスパラギン酸という普通のアミノ酸に体内で分解をするものでございます。その際、お話しのようにごく微量でございますが、メチルアルコールが生成をする。(斉藤(節)委員「微量じゃないですよ、何%になる」と呼ぶ)これも先生御承知と思いますけれども、メチルアルコールというのは、微量の段階では、果物にも発酵食品にも、非常に普通の食品の中にかなり広く自然に存在をするものでございます。例えば、計算をいたしてみますと、現在私ども日本人が消費しております砂糖を全部アスパルテームに置きかえたといたしましても、その際のメチルアルコールの量と申しますのは、コップ一杯のトマトジュースに含まれるメチルアルコールと同じ程度であるということでございますので、メチルアルコールは入ってはおりますが、全く問題はないというふうに私どもは考えております。  それから、論文でございますが、御指摘のように一部未発表の論文が含まれておったわけでございますが、これらの論文は大部分FAO、WHOの食品添加物専門家会議に提出をされまして、その専門家会議でこれは十分評価にたえる論文であるというふうにされたものについて、私どもは食品衛生調査会に提出をしておる。したがって、FAO、WHOの会議に出される以前は未発表でありますけれども、その場所で十分評価されたものだということで、私どもはそういうものを使っておるわけでございます。
  354. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 後で発表されたということでありますけれども、いずれにしましても審査された段階では未発表ということでございまして、これであればやはり国民も安心できないわけですね。本当にアスパルテームは安全かどうかということをもう少し厚生省でははっきり申し伝えなければならぬと思うわけです。特に、メチルアルコールができる量というのは非常に少量だと言いますけれども、アスパルテームの一〇・九%、約一・一割、約二%、一割一分だけメチルアルコールが体内に入ることになるわけです。  実際にこれと同じ例としましてクエン酸イソプロピルがありますね。これもクエン酸とイソプロピルアルコールのエステル化でもって化合させているわけでありますけれども、これなどについては非常に厳密に述べているわけです。例えば「しかしながら、今までに知られているイソプロパノールの毒性を考慮すると、一日最大摂取許容量を設定する必要がある。」として、長期試験を行っているわけですね。  このように、クエン酸イソプロピルについてはこういう毒性試験をよくやっておきながら、イソプロピルアルコールとメチルアルコールの毒性がどうかということになれば、これは私はそんなに変わらないと思うわけでございまして、この辺もやはりもう少しアスパルテームについては検討しておくべきじゃないかと思うわけであります。  あと、時間がなくなりましたので、残り時間を使いまして申し上げますが、エチレンジアミンテトラ酢酸というものがございますね。EDTA。これは使用の仕方に、ニナトリウム塩の形で使うことは好ましくない、したがって、最終製品にはカルシウム塩になるようにして使いなさいというようなことをエチレンジアミンテトラ酢酸については言っているわけです。しかし、実際に食品工場とか何かで十分そういうことが可能かどうか。私は、化学者の立場からこれを申し上げますと、非常に不十分であろうというふうに思うわけです。  それから、実際にニナトリウム塩だけを使った場合には、亜鉛が体内から除去されてしまって、そのために亜鉛欠乏症を起こしているという問題もこの論文に報告されているわけですね。  実際に、御承知のように、エチレンジアミンテトラ酢酸というのは、これはキレート試薬といいまして、これは重金属をある条件のもとではつかんだり離したりする、そういう性質があるわけです。そういうことで、特にこれは酸性分におきましては重金属をつかまえるのですね。そして、アルカリ性のところに行きますと離すわけです。そういう性質がありますので、御承知のように胃の中はpHという〇・〇一規定の塩酸酸性の状態になっている胃酸があるわけですね。こういう酸性状態ではEDTAは重金属をつかむわけです。そして腸の方に行ってアルカリ性になって離すというようなことになって、大変私はエチレンジアミンテトラ酢酸を使うということは危険であろうと思うわけでありますけれども、この辺、いかがでございますか。
  355. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 EDTAでございますが、EDTAは、お話しのように金属をつかんだり離したりすることが添加物の作用として有用性があるとされておるわけでございます。EDTAが実際に人体内に入りましたときに一番何とくっつくかというのは、カルシウムと一番くっつくと言われておるわけでございまして、現在私どもEDTA使用基準を定めておりますが、これが生体内でカルシウムをつかまえる、結合したといたしまして、大体牛乳一・五㏄に相当するカルシウム、つまりごく微量のカルシウムをつかまえるということでございますので、その点については心配はないと考えております。
  356. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 害はないと考えるのではなくて、害がないということをはっきり証明させて、そして国民の方々に安心できる、そういう行政をやっていただきたいということを私は切にお願いしたいと思うわけであります。このEDTAは缶詰その他に使っておりますけれども、今御答弁ありましたように、カルシウムとよくくっつきます。しかし、胃の中は酸性であるということも十分考慮された上で、胃の中の重要な重金属、例えば亜鉛のようなものが体外に排出されるようになるとこれは大変困る問題でありますので、その辺、十分考慮されて、そして国民に安心を与えるような行政を切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。  以上であります。どうもありがとうございました。
  357. 倉成正

    倉成委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、大田俊君。
  358. 大出俊

    ○大出委員 主として公務員賃金に関しての御質問を申し上げたいのでありますが、その前に、身近に非常にお気の毒な方がおいでになりますから、大蔵大臣に最初にちょっと承っておきたいのでありますが、所得税法に基づきまして寡婦という定義がございます。私も家内を亡くしましたから夫の方の寡夫でございますけれども、夫の方の寡夫じゃなくて女性の方の寡婦、これは所得税法第二条三十一号に定義がございますけれども、平たく申し上げますというと、死別、生別ということになります。分かれておりますね。  読み上げておきましょうか。  イ 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、扶養親族その他その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有するもの  ロ イに掲げる者のほか、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、合計所得金額が三百万円以下であるもの  つまり、夫婦別れをした、どうも御主人が酒ばかり飲んでいてどうにもならぬというようなことで、その場合は生別でありますけれども、扶養親族がおりまして、娘さんなら娘さんを育てておりますと寡婦控除がございますですね。ところが、これがお嫁さんに行ってしまうというようなことになりますと、途端に寡婦控除がなくなってしまう。ところが、死別の場合でございますと、寡婦控除がくっついている、こういうことになる。これはまあ生い立ちその他あるようではありますけれども調査室に聞いてみましても、余り議論が行われていないとおっしゃる。  同じ職場に死別された方がおり、生別の方がおり、十万足らずの給料でございまして、片方は寡婦控除が旧法で言えば二十二万あるわけであります。この矛盾、これは大蔵大臣、何とか直す気がございませんか。
  359. 竹下登

    竹下国務大臣 専門的にわたりますので、主税局長からお答えさすことをお許しいただきたいと思います。
  360. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま委員が御指摘になりました寡婦控除でございますが、これは昭和二十六年でございますか、二十七年ですか、創設された制度でございます。  創設当初は、扶養親族あるいは子供さんを抱えて生計の柱であった御主人が亡くなったり、あるいは離婚されたというふうな状況になったときの担税力の減殺要因という観点から、この控除が設けられたわけでございます。その後いろいろな議論の経過をたどりまして、昭和四十年代以降、子供さんが大きくなった場合でも、やはり寡婦に何らかの控除を認めるべきではないかという議論がございまして、いろいろな議論の経過の結果、今の制度は四十七年の改正でできたわけでございます。このときには、委員がおっしゃいますように、現行の制度でございますけれども、死別の場合に実は限定されておるわけでございますね。つまり、だんなさんが亡くなった場合の寡婦に限ってこの控除を認める、しかも当時は百五十万円でございましたが、所得制限の要件もついてございます。  この考え方は、冒頭に申し上げましたように、寡婦控除というのは、寡婦という状態になった結果、租税の負担力に対する減殺要因が、何らかの格好で、ある。扶養親族とかお子さんがある場合は、もちろんそれなりの出費があるわけでございますが、四十七年の段階で、特に死別の御主人の場合だけに寡婦控除を認めましたその立法の理由といたしましては、御主人と死別された場合でも、それから子供さんが既に大きくなってその方の掛かりがなくなった場合でも、御主人の実家の方とのいろいろなおつき合いで掛かりがかかるだろう、そういう付加的な出費の要因を考慮して、今の控除を認めるということになっているわけでございます。  いろいろ御議論があると思いますけれども、離婚の場合についても寡婦控除を認めるということになりますと、所得税の議論といたしましては、子供さんも一人前になった、もとの御主人の実家とのいろいろなおつき合いもない、特別の出費の要因というものがないということになれば、通常のいわゆる独身女性と租税の負担力という単位では全く同じ問題になるわけでございますから、そういうバランスの観点から見ても、離別の場合の寡婦控除というのはなかなか税の議論としては入りにくい、こういうことではなかろうかと思います。
  361. 大出俊

    ○大出委員 これは歴史をたどってみますと、いわゆる戦争未亡人というようなケースの方々、二十四年でございますから、そういうことで、つまり死別の場合に、なかなかその後結婚するというわけにいかぬというようなことなどがあって出発をした。ところが、離婚という問題になりますというと、御主人がどうもさっき申し上げたようなことで、これはどうにもならぬ、だからというので奥さんが出ていく、子供さんを育てる、この場合はまさに裸一貫ですね。ところが、死別ということになりますと、御主人に年金がありましたり、いろいろなそれに伴う保険その他ございましたり、いろいろなことがございます。だから、経済的にはむしろ離婚の場合の方が大変だという。現実そうなんですね、聞いてみると。  したがいまして、これは一遍新しい角度で、戦後じゃないのですから、いずれにしても、別れた、死なれた、ここに違いはありますけれども、その意味では寡婦でございますから、そういう意味で検討をする必要がある、こう私は実は思って申し上げているわけでありますが、一遍これは御検討いただく気持ちはございませんか。今回は二十三万が二十五万になるんですかね。今回間に合わぬかもしらぬと思いますけれども大蔵大臣、いかがでございますか。
  362. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる独身女性との問題はあると思いますが、ここで議論されたことは、いずれにしても税制調査会へ正確に伝えますので、御趣旨の、勉強してみたらどうだということには沿えるというふうに私は考えます。
  363. 大出俊

    ○大出委員 通産大臣にちょっと承っておきたいのでありますが、大型小売店の売り上げ、通産省が一月二十六日でございますが、五十八年の一月から十二月の間の大型小売販売店の販売額十四兆一千四百五十七億円、これは前年に比べてわずかに三・〇%の伸びという発表をなさっている。だから、これは年間の伸び率で見ますというと、四十六年の調査開始以来――四十六年から通産省が始めていますね。これは開始以来最低の伸び率ですね。  時間がありませんから、中身を詳しくは申し上げませんけれども、通産省の商業統計課の方に、恐らく取材した記者の方が聞いたんだろうと思うのでありますが、昨年十月以降久しぶりの寒気で比較的好調と言えるんだけれども、この回復するかどうかは春闘の賃上げ次第と、こう言う。非常に売れ行きが悪い、調査開始以来最低の伸び率景気の底離れなんて言いますが、いろいろな指標を見ますと、どうもどっちを向いてもそんなものは何もないですね。この辺、一体通産省の立場で、その後を含めてどういう推移をすると見ておられますか。
  364. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま先生御指摘の大型店の売り上げ、私ども商業統計課でやっておるものでございます。もちろん大型店の統計が一番早く出るものでございますから、一つの指標になっております。それから、国内の需要全体から見ますと、個人消費支出というものが大体五〇%から五五%、かなり大きくなっております。したがいまして、来年度経済見通しにおきましても、個人消費というものが全体と同じように実質四・一%伸びる、これが経済全体を支えているという項目がございます。  その個人消費支出はどうやって決めるかということでございますが、先生御指摘一つのめどは春闘ということでございますけれども、これが全体のどのくらいのパーセントを占めるか、どういうプロセスをもってそれが実際の個人消費支出になっていくか、それはいろいろな要因がございますので、なお、そのほかの要因も比較をしなければいけないと思います。また、民間企業における賃金の決定につきましては、そのときのいろいろな経済情勢というのがございますので、労使の自主的話し合いというもので行われるものでございます。  いろいろの要因を踏まえまして、通産省といたしましても、いろいろ景気問題に関しましては、現在の緩やかではあるけれども着実な景気回復というものを持続し、私どもの見通しである四・一%という実質経済成長率を達成してまいりたいと思っております。
  365. 大出俊

    ○大出委員 小此木さんにわざわざおいでいただきましたが、私はどうも政府全体としてこれは考えていただきたいと思っているからおいでいただいたのですが、経済見通しを見ましても、これは多く申し上げている暇がありませんけれども、きょう時間がありませんが、私は今度の経済見通しで内需が三・六%もふえるなんということは考えようがない。公務員賃金を凍結する、二%に切った。どこの団体交渉を見ていても、お役人さんの方が凍結だ、二%だというのに出せますか、こういう話ですよ、至るところ。大臣がよく御存じの根岸の日石なんかだってそうですよ。いきなり頭から団体交渉やるとそれが出てくる。だから昨年四・四%などということになるわけでございまして、だから、いみじくも所管の通産省の皆さんの口から出てくるのは、春闘の賃上げ次第、ほかにお幾つも出てまいりますが、したがって、ぜひこれは総体的に内需の回復を図ろうというなら、まあ管理者の方々の賃金を一部一年間ストップをし、調整手当もそうでございましたが、以来三回やったわけでございますからね。ことしあたりはひとつぜひ閣内で皆さんの御協力をいただいて、人事院勧告完全実施に向けて、まさに総理の私に御答弁いただきましたように、最大限の努力をしていただきたい。実情はこうなんだからという例を一つ挙げたということでございます。大臣、ありがとうございました。  さて次に、経済企画庁長官に承りたいのでありますが、これまたどうもいい話じゃないわけですけれども、二十九日に発表した五十八年の総理府の家計調査がございます。これもどうも余り感心した数字じゃないのですね。景気回復なんというのは一体どこの国の話だということになりそうな中身であります。この五十八年の全世帯、これは平均世帯で世帯人員が三・七六人になっているのですが、世帯主の平均年齢が四十六・二歳なんですね。一カ月平均の消費支出額二十五万九千五百二十一円、これは前年に比べて名目で二・五%の増、消費者物価の上昇分一・九%を引きますと、実質わずかに〇・六%の増なんですね。だから、これは五十七年に次いで二年連続の増加には違いない、〇・六%でもこれは実質増には違いない。しかし、五十七年の実質の伸び率二・七%あるんですね。実質で二・七%、その四分の一以下ですね。四分の一以下です、〇・六%という数字は。これは私は容易ならぬことだという気がするのであります。ここでもまた経済企画庁、昨年の消費支出が伸び悩んだのは、昨春闘が四・四%増の低率ベアにとどまったのを初め、ボーナスも二%台しか伸びず、収入の伸び率鈍化が家計支出にブレーキをかけたため、経済企画庁はこう分析していをとこう言う。  これは河本さん、どうですかね。河本さんの拡大均衡論式な、「エコノミスト」に二回にわたって長々とお書きになっておりますけれども、これは、後の経済見通しとも絡みますけれども、ちょっと腕を組んでいるわけにいかない感じがする状況ですが、河本さん、これはいかがでございますか。どういうふうにごらんになりますか。
  366. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 数字は今お示しのとおりでございます。  そこで、やはり所得の伸び悩みというのは、一人当たりの雇用者所得、昨年は政府見通し五・一%ぐらい伸びると思っておりましたが、残念ながら三・五%という非常に低い水準に落ちついたということがその背景にあろうかと思います。  ことしは四年ぶりで幾らか経済回復基調にございますので、去年のような、五十八年のようなことはない、このように考えております。
  367. 大出俊

    ○大出委員 どうも余り頼りのある御答弁じゃないのでございますが、この総理府家計調査の中身を見ますと、これは食料費なんというのは片っ端マイナスなんですね。いかにこれは家計のやりくりに主婦が苦労しているかというのは、全く数字は正直でございますから一目瞭然でございますけれども、これは全く実質マイナス、魚介類がマイナス一・二、肉類でマイナス三・四、野菜・海草でマイナスニ・三、油脂・調味料でマイナス一・〇、調理食品でマイナス〇・六、酒類なんということになりますと、これはマイナス三・八%なんですね。そこへまたどういう風の吹き回しか知りませんが、ビールなんというのはべらぼうな値上げをする、こういうわけですね。  これは全く解せないですけれども、ここでひとつ、企画庁長官には後のGNPの問題がございますからもうちょっとおいでいただきたいのでありますが、大蔵大臣に承りたいのですが、ついでと言っては申しわけないのだが、この実質マイナス三・八%などという酒類の現状の中で、何でこのビールはべらぼうに上げることにしたんですか。  そこで、ビールの生産者価格、大瓶一本幾らでございますか。
  368. 竹下登

    竹下国務大臣 ビールは確かに二十五円上がるわけですね。二百八十五円が三百十円、こういうことになるわけでありますが、ビールの持ついわゆる致酔飲料としての問題が一つと、それからいま一つは止渇飲料と言うんだそうです、私も専門家でないからわかりませんが、渇きをとめるということ、そういうことから各種のバランスをとりながら決定したわけでありますが、製造原価の問題等、私、詳細に承知しておりませんので、事務当局からお答えをさせます。
  369. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお答え申し上げましたように、現在のビールの小売価格、いわゆる世上大瓶一本二百八十五円でございますが、現在御提案申し上げております酒税法の改正では、これは本年の五月一日からでございますが、価格にいたしまして上げ幅一九・五%の……(大出委員「製造原価を聞いている。生産者原価。生産者価格。上げ幅を聞いているんじゃない」と呼ぶ)税抜き価格でございますか。ちょっとお待ちください。
  370. 大出俊

    ○大出委員 全く頼りないね。これくらい覚えておきなさい、自分のところでうんと上げるんだから。  竹下さんだって、あなた、酒をおつくりになる御家業でございましょうけれども、今度閣内に酒の方をおつくりになっておる御出身の大臣、何人おいでになりますかね。前は四、五人おられたんだけれどもね。だから、ビールばかり上げて酒の方を抑えている、そうじゃないんですか。これは衛生上よくないですよ。ピールの原価、生産者価格は三〇・三%なんですよ。そうすると、二百八十五円の大瓶一本三〇・三%生産費がございますから、八十六円三十五銭。これは原価は八十六円三十五銭なんですよ。これを何で二百八十五円で売らなければいかぬのですか。そうでしょう。流通マージンが七十二円十銭。これは端数に多少の狂いがありますよ、パーセンテージですから。税金が百二十六円六十六銭もある。生産者原価は八十六円ばかり、流通マージンが七十二円、税金は飛び抜けて百二十六円。これはどこから考えても、本当にまあそこにビールを置いておいて、半分飲んであと置きっ放しにすれば、税金だけ飲んでピールを捨てることになる。そうでしょう。それをまた二十五円も上げるなどという、これは話のほか……(「泡食っちゃう」と呼ぶ者あり)泡食っちゃうという話がありますが、本当に国民が泡を食いますよ。そんなばかげた話はないでしょう。  さてそこで、物品税などの分野と比べてみましても、ここに数字がありますけれども、調べてみると、ダイヤの指輪なんというのが一三%ですよね、そうでしょう。ところが、ビールの方は四四・四%税金、現行でですよ。小型乗用車だって一一・三%、テレビが八%、ステレオが八・五%、ビデ才テープレコーダーなんというのは三・一%。どこから考えても、四四・四%も税金を取る、これは随分私はひど過ぎるという気がするのでありますけれども、どうですか、大蔵大臣、ぞうお考えになりませんか。
  371. 竹下登

    竹下国務大臣 これは大変な議論の行われたところでありまして、確かにいわゆる嗜好品としての致酔性というもののほかに、止渇性ということ、まあ私も聞きながらなるほどなと思っておりました。決して私が清酒メーカーでございますから、したがってビールをかたきにするなどというようなことは考えてもおりませんが、私自身、従来、要するに昭和三十年代ぐらいになりますと、事実いわゆる担税力を酒税に四分の一程度を全体の税制の中で期待しておった時代もございますことから言うならば、何が最も合理性があるかと言われれば、従来の積み上げたものに対する現在のニーズとか担税力とかいうこと以外に、申し上げる理論的根拠というものはございません。
  372. 大出俊

    ○大出委員 全く答弁にならぬじゃないですか。どっち向いて答えているの。  さて、これは国際的にどういうことなんですか、答えてください。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、まあイギリスが少し高いけれどもね。
  373. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 お答え申し上げます。  ビールにつきましては、小売価格に占めます負担率から見ますると、少なくとも先進国の中では我が国が一番高いということは否定できないと思います。我が国に次いで高いのが、これはいずれも各国は酒税のほかに付加価値税を持っておるわけでございますが、それを合わせたところで、我が国の次に高いのはイギリスになっております。
  374. 大出俊

    ○大出委員 日本が現在四四・四%が税金、今度上げて四八%超えちゃうわけですけれどもね。アメリカが一〇%、西ドイツが一七・一%、フランスが一七・一%、イギリスがおっしゃるとおり全一部入れて三二・五%。だから、これを円換算をいたしますと、西ドイツなんというのは百七十四円八銭、フランスでも百二十一円五十銭、小売価格で。これはどこから考えても世界一高い税金のピールを日本国民というのは飲まされている。それをまた上げる、こういうわけですな。家庭に対する影響があるから聞いている。そこで、これを今度上げると、税の負担率は一体どのくらいになりますか。
  375. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今回酒税法の引き上げをお認め願いますと、引き上げ後でその増税額がそのまま小売価格に転嫁されると仮定いたしまして、四八・九に相なります。  それから、ちょっと説明する機会をお許し願いたいわけでございますが、先ほど仰せのとおり、我が国のビールの負担率が国際的に非常に高いということは、御指摘のとおりでございます。ただ、この酒類の負担率をどういうふうに展開するかというのは、これはやはりそれぞれの国の酒類の飲まれ方、それから財政事情、いろいろなものを総合して考えなければならないわけでございます。  これはいつも御議論があるわけでございますけれども、各国で大体蒸留酒で見ますと、ほとんど先進国負担率がそろっているわけでございます。一方、ワインなんかでは、我が国の場合にはむしろ非常に低い。
  376. 倉成正

    倉成委員長 簡潔に願います。
  377. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 そういうバランスもございますので、ピールの酒税だけを突出した議論としてされますと、やはり税体系の議論としては少し偏った御議論になるのではないかというふうに御理解願います。
  378. 大出俊

    ○大出委員 聞いてないことを答えなさんな。聞いてもいないことを長々としゃべりなさんな。時間がないんだから。  四四・四%が四八・九%になるというのでしょう。増加率を見ますと、今度の値上げで税の負担率の増加分、二十五円上げて三百十円にする、何とビールの負担率の増加分四・四%増なんです。清酒、これはもう竹下大蔵大臣の専門の方。清酒、これは特級で四・一%、一級酒で二・五%、二級酒で一・六%、酒の方はすっかり増加分が少ない。これはまことに不合理ですね。しかも、時間がないから多くを申しませんが、「五十九年度の税制改正に関する答申 税制調査会」、ここを見ると、「税負担格差の縮小を図る必要がある」と書いてある。ちっとも税負担格差の縮小が図られていないでしょう。これは局長の「酒税問題懇談会における検討の概要」というのを見ると、ここでも、価格展開の広い酒類について負担の公平が必要だということを指摘があった。これ、ちっとも縮小もされていなければ、公平を期してもいないでしょう。アルコールの度数云々で計算する方法もありますが、時間がありませんから申し上げませんが、これは大蔵大臣、今の不合理な点、あなたは一目瞭然でわかるでしょう。しかも、ビールというのは酒類の消費全量のうちで三分の二をちょっと超えるのです。大変なものだ。そうなるとこれは、ウイスキーの特級というのは少し高いけれども、まあずば抜けて高いと言っていいですね。これは考え直す気はありませんか、大蔵大臣
  379. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 大臣の答弁の前に、今回の引き上げの基本的な考え方について、問題点として御指摘になりました点だけ御説明申し上げたいと思うわけでございますが……
  380. 大出俊

    ○大出委員 委員長、時間がないんだ。
  381. 倉成正

    倉成委員長 要点を答えてください。
  382. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 下級酒ほど税負担の引き上げ幅を大きくして酒類間の負担格差を縮めるという方向で、先ほどお引きになりました酒税懇もそういう提言をしておりますし、政府の税調答申もそういう格好になっておりまして、基本的にはそういう枠組みで今回の税の引き上げをお願いしておるわけでございますが、御指摘のとおり、清酒につきましては、税率の引き上げ幅がビールなんかよりも若干低目にセットしてあるわけでございます。これは基本的な考え方と矛盾するのではないかという御指摘かと思いますが、酒類の税負担の引き上げを考えます場合に、やはりその酒類の飲まれ方の問題、それから供給する側の生産条件の問題を考えなければなりません。  清酒の場合は、昨今消費が非常に低迷しております。もう一つは、食管制度のもとで、原料米、非常に高い国産米で手当てしなければならない。こういう二つの事情がございまして、基本的な原則はただいま委員が御指摘になったとおりでございますが、清酒につきましては若干そういう調整が行われておるということでございます。
  383. 大出俊

    ○大出委員 基本的な原則が私が言ったとおりだというなら、何で原則を守らない。  しかも、これ計算をしてみると、年収五百万円の方、月給にすると二十九万四千百十七円になる方、この方で、一日一本ビールを飲みますというと、年間で九千百二十五円の税負担をしなければならぬ。これだけふえるわけです。今度の増税分で、二十五円上がることでこれだけふえる。だから、年間四万六千八百円、ふえてしまう。そうすると、今度の所得税減税と称するものの二割がビールで消えちゃう。したがって、ビールの税金だけで千八百六十億取ろうというのですよ、あなた方二十五円上げて。千八百六十億。大臣、答えてください。間違いないですか。千八百六十億円、二十五円ビールを値上げすることで。所得税減税の財源というのは八千七百億でしょう。八千七百億のうち三千二百億円が酒の税金、酒税の増税でしょう。この三千二百億のうちの千八百六十億円というのはビールです。これはしかしむちゃくちゃじゃないですか。間違いないですか、大蔵大臣、答えてください。
  384. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 計数的にはただいまの御指摘のとおりでございます。
  385. 大出俊

    ○大出委員 御指摘のとおりなら、我々の方は今修正案を出しているのだけれども、国対委員長いるのだけれども、ゼロ回答ならこんな審議やめたいのだけれどもね、僕は。どうですかね、ピールの税金ぐらいはもう少し下げなさいよ。  ところで、皆さんの方は六・九%ふえるという見通しを立てておいでになる、売り上げが六・九%ふえる。ところが、統計を見ると、ここのところ三%の伸びがやっとですよ。二%台がずっと並んでいる。六・九%というのはどこから出てくるのですか、一言でいいから答えてください。かつて酒税の見込み違いで補正を組んだことまであるのだから。
  386. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 六・九%と申しますのは、五十八年度の当初予算で酒税の見積額を私どもが立てましたときのビールの本年度中の課税数量に対する伸びが、現在御審議いただいております五十九年度予算の課税数量よりも六・九%伸びておるということは御指摘のとおりでございますが、御案内のとおり五十八年、昨年の猛暑の結果、ビールの消費量が私どもの五十八年度当初予算の見積もりよりも相当ふえました。したがいまして、五十八年の実績の課税数量べースから見ますと、私どもが今提出申し上げておりますビールの五十九年度におきます見込み数量は、約二%の増になるということになります。
  387. 大出俊

    ○大出委員 これは大蔵大臣が飲んだって、私のせがれみたいな安月給をもらっているのがピールを飲んだって、税負担は一緒なんです。ある意味ではこれは逆累進だ。こういうひどいことをすべきじゃないですね。千八百六十億もピールだけから税金を取ろうという。まことにもってけしからぬ。これは大衆課税、全く末端の消費者が払うのですから、そういう意味で、皆さんの方や業界の方でぼんと決めるというようなことは本来許されるべきじゃないと私は思うのです。消費者の声をどこへ行って聞いたって、こんなべらほうな税金納得しやしませんよ。それをまた二十五円上げる。これは、我が方の予算修正などの要求も出しておりますから、大蔵委員会でなかなか簡単には法律は通らぬと私は思うけれども、ビールぐらいつぶさないことにはちょっと所得税法は通せぬだろうと思いますけれども、この際ひとつ御再考願いたいと私は強く申し上げておきますが、大蔵大臣、一言ぐらいお答えなさいよ、さっきから黙っていないで。
  388. 竹下登

    竹下国務大臣 所得税減税財源に充てるためのやむを得ざる措置としてお願いをしておりますので、精いっぱいこれから御協力をいただくべく、誠心誠意、真心の限りを尽くして説明をいたしまして理解をいただくよう努力をいたしてまいります。
  389. 大出俊

    ○大出委員 さっき私は総理府の家計調査を申し上げましたように、やはり主婦の立場からすれば、酒類の消費が三・何%も減っているという、だからこんなに上げれば結果的にまた消費量が落ちるということにつながりかねない。これは非常に大きな問題でございますから、その点を指摘いたしておきたいと存じます。あくまでも私どもはこれは引き下げろ、こう申し上げておきます。きょうは総理がおりませんが、また同僚委員から総理等に物を申し上げたいと思っております。  企画庁長官にひとつ承っておきたいのですが、四・一%のGNPの伸び、そのうち三・六%は内需の伸びによるものである、こういう見通しを立てておられる。住宅投資、在庫投資、設備投資、何か皆さんの経済見通しからすると、もう一遍言いますが、住宅投資、在庫投資、設備投資が一斉に歩調をそろえて上昇していく。そうでもなければこれは三・六%になりっこない。  ところが、住宅投資なんか見ましても、面積数で計算すれば床面積はどんどん減っている、細かいことは申し上げませんが。輸出に伴う設備投資という面が考えられはするけれども、これも本当の内需拡大という意味の設備投資の増加ではない。在庫投資といったって、今の物価その他からいって、投機的にやたら急激に在庫を積み増すというようなことを考えられる状況ではない。  そうなると、どこから眺めてもこの三・六%の内需拡大という理屈は出てこない。ここのところをちょっと簡単に説明してください、企画庁長官。よほど賃金でも、春闘でも思い切って上がるんでなければ、とてもじゃないが、こんな数字にはいきませんよ。
  390. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 五十九年度の成長四・一%のうち、内需によりまして三・六%成長を期待しておるわけでありますから、ほとんど全部内需による成長の期待、こういうことでございまして、その一番大きな柱は、これも今お示しのように在庫投資、それから住宅投資、設備投資、このいずれもがふえる、こういう構想でございます。  ただしかし、数字的に一番大きなものは設備投資でございます。数年ぶりに景気がよくなる気配が出てまいりましたので、中小企業設備投資の動兆が出ております。それで、五十八年度に比べましてざっと五%強ふえるのではないかと思っておりますが、これが一番大きな柱でございます。  それから第二は、個人消費が相当ふえると踏んでおりますが、その前提といたしまして、雇用者所得が全体として六・八%程度はふえるであろう、このように想定をしております。
  391. 大出俊

    ○大出委員 これは、公務員賃金四・五八%を凍結したときに私、計算した記憶で言うと、国家公務員の賃金総額はあのときに当初予算で三千二百二十億、地方公務員で六千七百六十七億、合わせて一兆円ちょっと超えるのですね。これは凍結したんだから実施しなかったのです。これが各種恩給、年金にすべてはね返る。これはみんな実施しなかった。それが今度は民間の春闘にほとんど至るところへ影響を与えている。だから四・四%ということになった。まさに史上最低の賃上げ率になった。  そうすると、この状況を続けることになるとすると、これは今お話がありましたが、いろいろな方が分析しておりますが、三・六%なんというのは考えようがないという意味で、企画庁長官、閣内にあって人事院勧告をことしまたなどという考え方をよもやお持ちにならぬだろうと思うのですが、経済的な側面からどうお考えになりますか、賃金の引き上げという問題を。
  392. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 人事院勧告制度というのは、制度の由来から考えまして、当然政府はこれを完全実施するというのが建前だと思います。ただしかし、最近は財政の力も弱っておりますので、人事院勧告が出たその段階で、国政全般との兼ね合いで最終判断が出るものだと思いますけれども、原則的には、これはもう完全実施ということに対して政府はあくまで最大限の努力をしなければならぬ、こういう立場だと思います。
  393. 大出俊

    ○大出委員 どうも企画庁長官、ありがとうございました。  官房長官に承りたいのですが、昨年私が総理にILO問題で質問をいたしましたが、このときに「最大限努力をいたしてみたいと思います。」という答弁を総理がなさいました。この最大限の努力というのが二%、こう受け取っていいのですか。
  394. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 勧告が出て、そして国政全般の立場政府はこれをどう判断するかといろいろ協議を重ねまして、最大限尊重いたしましてそういう結果を出した、こういうことであろうかと思います。
  395. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、産労懇という席がございます。産業労働懇話会ですか、二十二日、ここに中曽根総理がおいでになったようでありますが、ここで、五十九年度については、人事院勧告について、財政不如意のもとで御迷惑をかけておるが、誠意を持って最大限努力していきたい。昨年私に答えた議事録によりますと、「誠意を持って」が入っていない。「最大限努力をいたしてみたいと思います。」という答弁でした。総理、何とか言いようがあろうと言ったらそう言ったのです。今度はその答弁の上に「誠意を持って最大限努力」と、こうなっている。  これはまた総理がいるときに機会があれば私、聞きますが、これは総理におっしゃっておいていただきたいのです。あなたもあるいはおいでになったのじゃないかと思うのですけれども、去年の私への「最大限努力」に「誠意を持って」というのが一つついたのですが、これはどう理解すればいいのですか。ことしは完全実施しようという意欲を持っているということですか。
  396. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 今河本長官から御答弁がございましたように、これはまさに経済的な側面からという御質問でありましたけれども、人勧をどう扱うかというまさに政府のその考え方を河本長官からお答えになった、そう思って今お聞きをしていたところでございます。  やはり完全実施するということはあくまでも大切でございますし、そのことを目標にして最大限努力する。しかし、最近の財政状況等から見て、最大限これを尊重して努力をするその結果がどういうことになるかということについて、ここ一、二年、隗より始めよとは申しながら、公務員の方々に随分厳しい関係で来ておるということを大変申しわけなく思っておるわけでありまして、産労懇におきましても、総理からここ二、三年来の動きについてその気持ちを御披露申し上げ、そして誠意を持って最大限努力する。  これは昨年先生にお答えを申し上げたときとことしと、上に誠意がついているからということで前向きであるかどうかということは、これは数学の問題というより国語の問題でございまして、形容詞が一つついたからそれで前進したというふうに新聞には報じられておりますけれども、それじゃ去年どことしとどう違うのかということを私が今ここで具体的に申し上げることは控えたいと思います。  昨年も誠意を持って最大限努力をしてまいりました。しかし、結果といたしましては、関係者の方々の思うような解決にならないで来ておるということは大変申しわけないと思っております。ことしもやはり人勧が出ました段階で誠意を持ってひとつこれに取り組む、そして最大限尊重して進むんだ、こういう姿勢を表明したものというふうにお受けとめをいただきたいと思うのでございます。
  397. 大出俊

    ○大出委員 これは総理に聞く機会がございましたら改めて質問いたしますが、総理にひとつ、ことしは完全実施をしなきゃならぬ年である、私がそう申しておったというふうに伝えておいていただきたいと存じます。  そこで、ILOに関する問題でございますが、三月に理事会がございますけれども、提訴するといったって手続的に間に合わぬわけでございまして、五月の総会になると思うのですね。また深谷特使が行ったときのようなことになって、あれはみっともない話でございます、ブランシャールさんとのやりとりを私はここでさんざっぱら引き合いに出しましたが。やがて五月には政府の考え方として労働側が持ち出すことになると思うのでありますが、そういう意味でお答えをいただきたいのであります。  時間もありませんから勧告の中心だけ申し上げますが、私自身の問題で提訴したこともございますから、私もILOとは長いつき合いがございますけれども、途中の報告というのは余り意味がございません。  ここで、「みずからの利益を守るための基本的な手段を奪われている労働者の利益を完全に保護するための迅速かつ公正な調停、仲裁制度が設けられ、当事者があらゆる段階で参加でき、また、一たん決定された裁定は完全かつ迅速に実施されなければならないという適切な保障が確保されなければならないという原則を想起する。」こういうふうに書いてあるわけであります。  今回のILOの千百六十五号事件、こう称するわけでありますが、この二百二十二次報告の勧告部分、ここに今私が申し上げたように書いてあるわけでございます。これは全く異例なことでございまして、人事院勧告という制度に対して調停、仲裁を持ち出して、そういうものを設けなければいけないんだ、そうして、「一たん決定された裁定は完全かつ迅速に実施されなければならないという適切な保障が確保されなければならない」、これが原則だ、こういうふうに言ったということは異例なことでございますが、これを政府側はどうお受けとめになるわけでございますか。答弁はどちらになりますか、労働大臣ですかどこですか。――人事院ですか。ILOの勧告に対して政府はどう受けとめられるかと聞いているので、これは労働省所管じゃないですか。
  398. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 お答え申し上げます。  ILOの条約、勧告等につきましては、労働省でまとめるという立場で所管でございますが、いま御指摘のありました千百六十五号事件に関します二百二十二次報告につきまして指摘のございました点は、ILOが従来からとっております不可欠な業務とか公務における労働組合に関する権利の制約の代償としてとるべき措置についての原則を述べたものでございまして、我が国といたしましては、この点は国内ではむしろ総理府の所管がと思いますが、公務員の給与の問題につきましてはかねてから人事院勧告制度がございまして、それに基づいて対応するということが最高裁等においても認められておるところでございますので、そういうような取り扱いで来ておるところでございます。
  399. 大出俊

    ○大出委員 これは答弁にならぬですね。ILOが人事院勧告という問題をめぐっての提訴に対して裁定という制度を持ち出した。これは、ここのところ何年もやらないからですよ。そこまで大変きつい勧告だというふうに受けとめなければならぬ。  内海さん、さっき手を挙げましたが、何か言いたいことございますか。――今のは答弁になりませんが、答弁にならぬならならぬでいいので、その程度しか日本政府は、労働省は考えていないということになるのですからそれでいいのです。はっきりしてください。  それから、この後にありますけれども、「本委員会は、人事院の勧告を尊重するという基本方針を堅持し、また、今後、勧告を尊重するために最善の努力を払う意向であるという政府の保証をノートする。」テークノートじゃないのですね。「ノートする。」旧来のテークノートという言葉は留意するということでございますけれども、今回は、政府がそう言った、「今後、勧告を尊重するために最善の努力を払う意向であるという政府の保証」、これを聞いておきます、やってくださいよ、こう言っているわけですが、あなた方はここのところをどう受け取っているのか、もう一言答えてください。この言葉もいまだかつてない。
  400. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 ただいま御指摘のございました事項は、結社の自由委員会が述べております勧告の(B)に該当する事項でございますが、その前に指摘されました原則をもとに、結社の自由委員会としては、日本国政府が人勧を尊重するという基本方針を堅持し、将来において尊重するよう最善を尽くす意向であるということを表明してきておりますので、その点について今後とも留意しながら政府の対応を見るというような感じではなかろうかと存じます。
  401. 大出俊

    ○大出委員 政府の方はどうするのだ。全く話にも何にもならぬね。  もう一つ言っておきましょう。「本委員会は、一九八二年の人事院勧告が実施されないことを遺憾とし、」この「遺憾とし、」という表現も、ILO史上ポーランドに一遍ありましたが、この表現を使ったことはない。ここまできつい勧告になっている。これをどういうふうに受けとめるんだと聞いているので、もう一言答えてください。ちゃらんぽらんならちゃらんぽらんでもいいから答えておいてください。
  402. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 先ほど来御答弁しておりますのは、ILOの結社の自由委員会が取り上げている報告の内容について申し上げておりますけれども、これについてどう対応するかという日本国政府方針につきましては、先ほど来官房長官等からもお答えがございましたように、やはり人勧制度を維持、尊重するという立場に立って、国政全般との関連で最大限の努力をするというのが政府の態度であろうと存じます。
  403. 大出俊

    ○大出委員 そこで、総務長官に承りたいのですが、昨年最終的に参議院で、内閣委員会でございますけれども、当時の丹羽総務長官が、  五十九年度の人事院勧告の取り扱いについてこれまでいろいろ御議論がございましたが、ここに改めて申し上げます。  五十九年度の人事院勧告の取り扱い。については、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。  なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。俸給表の切り下げ、異例の措置である。  異例の措置だということになりますと、これはまさに異例でございますからね。これを異例な措置だと御認識になりますか、今の総務長官は。再びまた切り下げなどということがあってはならぬという考え方だと私は聞いておりますが、いかがでございます。
  404. 中西一郎

    ○中西国務大臣 昨年の十一月二十七日、参議院内閣委員会の丹羽総務長官の御発言の要旨、私もこのとおりに理解しております。異例であるということはそのとおりだと思います。いろいろな情勢でこうなったのだと思うのですけれども、ことしについてはそういう客観情勢が起こらないことを期待し、希望しておるのが現状でございます。
  405. 大出俊

    ○大出委員 あなたは総務長官でございまして担当大臣ですから、期待し、希望しているのじゃ困るのだ。あなた自身はどういうふうにしようと考えているのですか。丹羽さんも随分一生懸命やっていましたよ。あなたが人ごとみたいなことを言ったのでは困るじゃないですか。あなたが担当の大臣なのだから、異例な措置にならないように希望しなんというのでは困るじゃないですか。あなた自身はどうなんですか。こんなことは二度とあるべきじゃないのだから、完全実施に向けて全力を挙げてやりますか。
  406. 中西一郎

    ○中西国務大臣 完全実施を念頭に置いてできるだけの努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  407. 大出俊

    ○大出委員 念頭に置いてでは困るのですよ。あなたは本当に完全実施に向けて懸命に御努力を願いたいと私は思うのですが、いかがでございますか。
  408. 中西一郎

    ○中西国務大臣 あらゆる努力をいたしたいと思います。
  409. 大出俊

    ○大出委員 ところで、内海新人事院総裁と申し上げたらいいのですかね、初めてですから。まずあなたに聞いておかなければいけませんのは、人事院総裁におなりになったとなるとどうも私は気になるのは、あなたは臨調の第二部会第一分科会の主査をおやりになっておられたですね。それで、これは五十八年一月十四日の第二部会報告でございますが、「なお仮に今後、人事院勧告制度が継続的に機能し得ないこととなれば、公務員給与の在り方についての抜本的な検討にまで及ばざるを得ない。その際には、権威ある審議機関を設置し、一定期間内に答申を求める等の措置を考えなければならない。」とお取りまとめになったですね。  これはとり方、見方がいろいろあるということをおっしゃる方もいるけれども、素直に考えますと、前の事務総長の尾崎さんあたりが「季刊 人事行政」などにも対談をしておられますけれども一つ間違うとこれは人事院制度の根本的な崩壊につながりかねない。だからこれは大変な論議を呼んだわけです。  ここのところをあなたは、こんなことにしては困る、人事院制度というものはあくまでも堅持をして進む、そして人勧というものは代償機関たる性格を明確に持っているのだから、あくまでも前藤井総裁と同様に完全実施をしてもらわなければ困る、人事院の制度というものをかたく守る、堅持をする、そして人勧というものはあくまでも完全実施を求めていく、そういう決意がおありにならぬと、総裁におなりになったはいいけれども、逆の方へ行っちゃう。改めてひとつ、これは最初でございますから、内海新人事院総裁の御決意のほどを承っておきたい。
  410. 内海倫

    ○内海政府委員 内海でございます。  ただいま大出先生から御質問いただきました臨調の問題につきましては、確かに論議の過程におきましてそういう見解が表明されたことは事実でございます。しかし、その議論をさらに経て、やはり人勧尊重ということこそがいわゆる公務員の給与制度における最も大事な基本的なものでなければならないということで、臨調答申としてはそういう問題は削除されておるはずでございます。あるいは全然取り上げられていないわけでございます。  そこで、私の抱負でございますが、本当にここ一カ月、公務員の問題、公務員の給与の問題、公務員の処遇の問題、私、真剣に考えました。そして、その中において人事院というものがいかようなる機能を果たし、どういうふうな使命を尽くすべきか、これについても血の出るような思いで勉強いたしました。結論は、それはいろいろ差しさわりがあるかもしれません、財政とかいろいろなことがあるかもしれませんが、いわゆる公務員として労働基本権の制約を受けておるこの公務員の給与を考えた場合、あるいは処遇を考えた場合、私どもは厳密なる資料に基づいて計算しあるいは算定された勧告というものを政府に提示し、あらゆる努力をして政府にこれを尊重していただく。あるいは政府もいろいろ財政問題等おありかもしれませんが、自分たちがいわば使用している公務員の問題でございますから、政府としてもこれは真剣に考えていただかなければならない、これが私の人事院総裁になりました見解でございます。
  411. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、藤井総裁が何回も完全実施を求めてここで答弁なさいましたが、前総裁藤井さんと同じように、あくまでも皆さんが真剣におつくりになった勧告の完全実施を求めるという姿勢を貫く、こう理解してよろしゅうございますか。恐縮でございますが、もう一言ひとつお答えいただきたい。
  412. 内海倫

    ○内海政府委員 ただいま私が申し上げましたとおりで、確認いただきましたとおりを私も努力いたしたい、こう思っております。
  413. 大出俊

    ○大出委員 これは本来、臨調という場所で人事院制度の制度改正を含めた審議会をなどという議論があることが、私に言わせればおかしいのです。憲法に保障されている労働基本権そのものでございますから、その代償機関なんですから、したがって、この制度を検討しよう、再考しようというならば、労働基本権それ自体をどうするかという問題なんですから、こういうところで、こういう場所で議論して、つまり主査報告でまとめること自体がおかしい。私に言わせれば、あり得ないこと。だから、この点を事と次第によってはと思って承ったのですけれども、前総裁藤井さんと同じように完全実施を求めて一生懸命おやりになるという御意欲のようでございますから、ぜひひとつそれはその姿勢をお貫きをいただきたいということを申し上げておきたいと存じます。  あわせて、この六・四七%なら四七%というふうに出た人事院勧告を金額を切り下げたなんということは三回しかないのです。昭和二十五年八月九日の八千五十八円ベース、まだベースと言った時代、総平均賃金と言っていた時代です。翌年の昭和二十六年八月二十日、一万一千二百六十三円のべース、その翌年の昭和二十七年八月一日の一万三千五百十五円のベース、この三回だけなんですね。これは今年次を申し上げた二十五年、二十六年、二十七年でございますから、私は実は昭和二十四年の十一月末から当時官公労事務局長を始めたのですから、これは私の時代ですからよくわかっておりますが、これは試行錯誤の時代で、総司令部に私が日参した時代。だからこれは異例なんですね。例にならない。それ以降今日まで、昭和二十八年以降今日まで、金額を切り下げたなんというのは一度もない、この長い年月。  そして、四十五年からは、前回私ここで申し上げましたように、佐藤内閣のときでありますけれども、山中さんが総務長官時代でございますが、福田赳夫さんが大蔵大臣でございましたが、ルールを確立した。財政事情がどうあっても代償機関たる性格の人事院なんだから完全実施をするんだ、実施する月も四月実施なんだということで明確にされて今日に至っている、そういうものですね。  したがって、私は金額を切り下げだというのが何としても納得できない。そして俸給表を総理府がつくったなんというふざけたことはあり得べきものじゃない。俸給表を作成する権限というのは、法律的にも人事院固有のものだと私は思っている。したがって、承りたいのですが、二%という数字は、総務長官、これは一体何ですか。
  414. 中西一郎

    ○中西国務大臣 御承知のとおり二・〇三%ということに相なっています。何ですかと言われると、一言ではなかなか申し上げにくいのですけれども経済情勢全般、財政の事情を勘案してそこに落ちつかざるを得なかったという経過でございます。計算上最終的にはそうなった。なお細かいことの御質問があるかもしれませんが、大筋、以上のとおりでございます。
  415. 大出俊

    ○大出委員 これは答弁にならぬのですね。  人事院に承りますが、六・四七%の五十八年度勧告が出た、前年四・五八%が凍結をされている、こういう状況ですけれども、さて、人事院の調査の方式は、四月一日の風速調査をやるわけですね。賃金差をとって官民比較していくわけですね。私も長い間携わっていますから、三十八年もやっていますからわかり過ぎていますが、一体人事院の側で見て、いいですか、五十七年は四・五八である、五十八年は六・四七である、そうすると、五十七年、五十八年に分けてみて、五十七年分は四・五八なんだがことしは六・四七だから、その差をとれば一・八九だなんという分け方ができますか。いかがですか、人事院、そんなものはできないでしょう。
  416. 斧誠之助

    ○斧政府委員 お答えいたします。  五十七年に四・五八の較差がありましたのは、四月時点でそういう較差があったということでございます。その後一年を経過いたしますと、公務員側も人員構成の変化もありますし、手当関係の支給対象が変わってくるということもございます。それから民間側は、我々の調査で把握し切れなかったベースアップ企業がその後において発生するということもありますし、人員構成も変わってまいります。それと五十七年の春闘結果、そういうものが複合して官民の給与があらわれてくるわけでして、とても二つを分離してどうということは不可能でございます。
  417. 大出俊

    ○大出委員 私は、昨年の秋の国会で、竹下大蔵大臣、あなたがある記者の方に出した数字をここで読み上げてあなたとやりとりをした。大出さんのおっしゃっている数字はまさに正しいもののようでございますとあなたはお答えになった。そのときは一・八九という数字があった。四・五八と六・四七の差一・八九をとった。二%というのは、それに〇・一一ちょっと乗っけた。今人事院の給与局長がお答えになっているように、人事院の勧告からすれば、二%などという数字、まして一・八九プラス〇・一一なんという数字はどこからも出てこない。人事院の側からすればまさに無縁なもの。だから、二%という数字はどこから出したのだと聞いている。何だと聞いている。いかがですか、総務長官。
  418. 中西一郎

    ○中西国務大臣 今お話が出ました一・八九%、これも経過として聞いております。また、国会の委員会の答弁の中でもその数字が出たということも承知いたしております。しかし、その一・八九%より若干上だからそれで決めだというのは、これは理屈には少しならないのではないかと私は思います。率直に申し上げたのですけれども経済情勢あるいは財政事情でどうにもならない中で二・〇三%という決断が行われたんだというふうに御答弁申し上げたわけですが、もうそれ以外の答弁の仕方はないと実は思っております。
  419. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、この二%という数字はさっぱりわけのわからぬ数字だ、根拠も何もないということになるじゃないですか。そうでしょう。一・八九%、これは六・四七と四・五八の差ですが、これに〇・一一乗っけて二にしたんだ、丸い数字にしたんだとでも言うのなら、これはまた一つの理屈かもしらぬが、まるっきり今の御答弁では理用も何もない。二%は何ですかと私が聞くのは、それは当たり前じゃないですか。  人事院とは全く無縁の数字である、理由がないんだもの。人事院の斧さんが分けようがないと言っている。そうでしょう。あなた方は、俸給表をつくるのに、その差に二%を掛けていったんでしょう。掛けていって、最終的に手当その他いろんなものを入れていったら二・〇三になっちゃったということでしょう。こういう不見識な、しかも制度を度外視した、人事院しかできないはずの俸給表を適当に削る、切る、これは私は法律違反だと考えている。公務員法と給与法に違反をしている、こう考えている。  そこで承りたい。全く無縁な数字、人事院の方もそう言っている。あなたの方も理由はない。ということになると、政府が勝手に金額を決めて俸給表をつくる、いまの法律制度の上でできますか。
  420. 中西一郎

    ○中西国務大臣 給与表を総理府の方で独自につくったとおっしゃっておるのですが、そのとおりでございます。  その権限があるかないかという問題でございますが、最終的には国会に御審議いただいて、そして通過成立したということでございますので、それ自体は合法的ではないか、合法的である、かように思います。  といって、二・〇三%になったことについて十分な説明ができないということについては甚だ遺憾でございますが、しかし、客観情勢を考えるに当たりまして、公務員のことを考えますと、良好な労使関係というのはどうしても維持しなければならないという柱があると思います。また、士気にかかわる問題でもある。そういうようなことを配慮して、そしてやむを得ざる措置として二・〇三%という俸給表をつくって国会に提出をして通していただいたというふうに理解をいたしておるところでございます。
  421. 大出俊

    ○大出委員 本来ならば、賃金というのは、労使の団体交渉、背後には協約締結権を予測しているわけでありますが、そこで決められる。ところが、公務員の場合にはこの団交権を排除している。だから労使関係で協約を結べない。そこに、労働三権というものの一つでございますが、代償機関という人事院の存在が法律上明確になっている。給与法という法律の提出権は確かに総理府にある。あるけれども、公務員法の諸条項に照らして、人事院は、人事院の勧告というもの、これしかルートがないんだから、この勧告は何で出すかといえば、給与法なら給与法がこの勧告に従ってつくられて、国会に出されて決められるということを予測して勧告している。そうでしょう。にもかかわらず、労働基本権の代償機関である人事院勧告が出ているのに、無縁な数字を持ってきて、使用者たる政府が一方的に金額を決める。それなら代償機関の存在はゼロ、ないじゃないですか。あり得ないじゃないですか。これを法律違反と言わないで、法律違反なんというものは世の中に存在しない。明確にこれは違反。いかがですか。
  422. 中西一郎

    ○中西国務大臣 先ほど申し上げましたが、合法的に給与法を国会で審議していただいて、そして成立させていただいたという点におきまして、これは法律違反ではない。ただ、最高裁の判決もございます。ILOの勧告もございます。そういった意味合いにおきまして、人事院の勧告を最大限実現するための努力は政府としては当然なすべきであるというふうに考えますが、昨年は、先ほど来のお話にもございました異例の措置としてそういうことが行われたと理解をいたしておるわけでございます。
  423. 大出俊

    ○大出委員 人事院に承りたいのですけれども、情勢適応の原則がありますね、二十八条に。これは、人事院に勧告義務がございますね。そう理解しなければいけませんね、この法律は。そうすると、情勢適応の原則に従って人事院は勧告を怠ってはならない、こうなっているわけですね。そこで、勧告をお出しになる。ということになると、人事院の立場から、この勧告とは無縁な数字がどこかから出てきて給与法に乗っかって出てくる、これはどういうふうにごらんになりますか。あり得べき筋合いのものじゃないでしょう。いかがでございますか。
  424. 斧誠之助

    ○斧政府委員 お答えいたします。  公務員法の二十八条では、国会が情勢に適応するように随時変更することができるとなっておりまして、これに関して人事院は勧告を怠ってはならない、こういうことでございます。第二項に参りますと、人事院は毎年給与に関してそれが適当であるかどうか国会及び内閣に報告しなければならない、こういうことになっております。したがいまして、情勢適応を図る場合に、やはりこれは人事院勧告にかからしめるということが最も公務員の勤務条件を守っていく上で適当であるというふうに公務員法は規定しておるのであろうという趣旨に解すべきであろうと思っております。したがいまして、人事院勧告を通じて、給与の適正化、勤務条件の適正化、これを図っていただくというのが労働基本権制約の代償措置としての機能であろう、こういうふうに考えておりますので、人事院としては、従来から、勧告はひとつ完全実施していただくようにということで、国会その他あらゆる場所を通じてお願いしているところでございます。
  425. 大出俊

    ○大出委員 今の給与局長答弁からすると、先ほど来の総務長官の答弁、二%というのはどこから出てきたかわからない。人事院の六・四七とは全く無縁のものである。そうなると、今回の政府の二%というこの決定、これは今御説明いただいた情勢適応の原則から見て法の趣旨に大きく逸脱をしていると言わなければならぬと考えますが、いかがでございますか。
  426. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 現行法制上、人事院は社会一般の情勢を考慮して公務員の給与の改定を国会及び内閣に勧告することとされております。勧告を受けた国会及び内閣は、人事院勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置として憲法上の評価が与えられているものでございますから、この制度が実効を上げるよう最大限の努力をしなければいけないことは言うまでもございませんけれども、最大限の努力を尽くされた場合でも仮に勧告の実施が抑制されたといたしましても、憲法上の問題は生じないと考えております。このように最大限の努力をした上で抑制せざるを得ない場合におきましては、政府におきまして、その権限に基づき、責任を持ってその取り扱いを決定し、国会に法案を提出することができるものと考えております。  なお、その場合においても、政府がどのような俸給表を作成するかにつきましては、人事院勧告の趣旨を踏まえまして合理的な配慮を行う必要があるものと考えております。
  427. 大出俊

    ○大出委員 藤井人事院総裁の時代に、ここに議事録がありますけれども、これは藤井さんの答弁、「仮に労働基本権を制約するとすれば、やはり有効な代償措置というものが講ぜられなければ片手落ちであり、それ自体直ちに憲法上の問題が出てくるものと私は考えております。」こういうふうに述べておられますが、内海さん、いかがでございますか。
  428. 内海倫

    ○内海政府委員 目下勉強中でございますので、今直ちに私の意見ということはもう少し勉強したいと思いますが、藤井前総裁のお考え、藤井総裁のお述べになっていることは、また同時に私が当然に引き継いで考えていかなければならない問題と思いますので、藤井総裁の御見解は今後も私の見解として持っていかなければならなかろう、こういうふうに考えております。なお今後よく勉強をいたしたいと思っております。
  429. 大出俊

    ○大出委員 したがって、そこが明確に総理府と人事院との見解の相違ということになります。藤井総裁の述べておいでになることをそのまま踏襲していきたい、こういうお話でございますから。  そこで、公務員法の六十四条、また、六十三条、六十七条、さらに給与法の一条、四条、五条等を総合勘案をいたしまして、俸給表というものは、これは私、昔、佐藤達夫総裁の時代に長い議論をしたところでございますけれども、俸給表というものをつくる権限、これは人事院は一体どういう理解をなさっておりますか。私は、六十四条なり六十七条なり、六十二条を入れてもよろしゅうございますけれども、あわせて、給与法一条で、給与準則の制定というもの、職階法ができましたがなじまぬというのでその間は給与法にゆだねられておりますから、そういう意味で、給与法の一条から四条、五条、あわせて考えまして、明確に今回のこの総理府がとった措置は法律違反である、私はこう考えている。全く無縁な数字を持ってきて勝手に俸給表ができるものじゃない。この点を人事院は、今私、法律の条文の条項を挙げましたが、中身読んでおりませんが、どうお考えになりますか。総裁でまずければほかの方でも結構でございます。
  430. 斧誠之助

    ○斧政府委員 人事院が俸給表を作成する権限を持っておるということは確かでございます。しかしながら、人事院以外が俸給表を作成するとした場合に、それは全く違法であるあるいは無効であるかということになりますと、これはなかなか難しい議論でございまして、にわかに違法と片づけるというわけにもいくまいと思いますが、先ほど申し上げましたように、人事院勧告というものの性質、趣旨、そういうものからいいまして、やはり人事院が、情勢に適応するように、いろいろな官民の精密な調査、比較、これを行いまして、しかも生計費でありますとかあるいは民間の年齢別あるいは職務段階別、それから職員団体の意見等も参考にしまして、最も適切として作成した俸給表、これはひとつ尊重していただきたいというのが人事院の真意でございます。
  431. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから、私の方で物だけ申し上げておきましょう。また後で機会があると思いますから指摘だけいたしておきますが、給与法の一条三項、ここで、俸給表の種類等による職務の分類は、給与に関しては、給与準則が制定されるまで効力を持つものとなっていますね。給与局長、これはおわかりでしょう。さて、給与準則は、国家公務員法の六十三条ですね、人事院が立案することに明確になっている。そして国家公務員法の十二条六項十一号、ここで何が決まっているかというと、「人事院の議決を経なければならない。」人事官会議を指すんだと私は思いますが、ここで議決しなければいけない。明確になっている。つまり、それだけ重みのある規定なんですね。俸給表をつくるというのは人事院の固有の権限、こう考えなければならぬ。  そして、国家公務員法の六十四条、つまり、こういう重みのある規定がございまして、「給与準則には、俸給表が規定されなければならない。」そして俸給表の作成は人事院の権限、明確なんですね、この法律の条文からすれば。そして俸給は、給与法の五条の規定で、勤務に対する報酬だということになっているのです。報酬の大部分が俸給なんです。だから給与のうちではこれは基本的な部分を占めている。それは、給与法の四条で、職務の複雑、困難、責任の度に基づき、かつ、勤労の強度、勤務時間等の条件を考慮したものでなければならない、こうなっている。総務長官、あなたは、二%を、何かわけのわからぬ数字だ、根拠はないと言うのだが、明確に、俸給表をつくるなら、今私が読み上げたように、勤労の強度であるとか責任の度合いであるとか勤務時間であるとかたくさんの条件がある、これを考慮しなければできない。そして人事院は、民間賃金調査し、職務内容、学歴、年齢、経験年数等民間賃金の決定要素を考慮して俸給表を定めて勧告をする、こうなっている。そうでしょう。  総理府に承りたいのですが、これらの手続を総理府はおやりになりましたか。
  432. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 先生御承知のように、昭和二十八年でしたか、人事院は政府並びに国会に対して給与準則の勧告をいたしました。しかしながら、残念ながらこれは受け入れるところとなっておりません。したがいまして、国公法の規定というのは、一部分は働かないような面が出てきておるわけでございます。基本的には人事院が民間における賃金等の事情を考慮して俸給表を作成することを規定しているわけでございますけれども、人事院勧告を受けた政府及び国会が、勧告の実施に最善の努力を払った上で、広く国政全般の立場から方やむを得ず勧告内容を変更することを認めない趣旨であるとは考えられません。ただ、その場合におきましても、できる限り人事院勧告の趣旨を尊重して対処していくことが必要と思われますし、今回の政府でつくりました俸給表におきまても、人事院の配分の原則をそのまま守って対処したところでございます。
  433. 大出俊

    ○大出委員 あなたほどの人がどうも書いたものを一々読み上げるとなると、大分これは苦しい答弁ですね。私が佐藤達夫さんと長い議論をしましたが、禁止規定がないというところがやっとこさっとこ皆さんの逃げ道なんですよ。そうでしょう。うなづいておられるけれども、禁止規定がない。確かに、給与準則、これは非常に細かいですからね。この間、職階法なんというものも、だからなじまないということになって、給与法が今代行しているわけですよ。かといって法律がないわけじゃない。国家公務員法という法律が厳として存在をする。そうでしょう。その限りは論理的には私が言ったとおりになる。だから、さすがに法制局長官をやっておられた佐藤さんだから、前々総裁だから、今の禁止規定がないというところをえんきょくに逃げておいでになった。それしか逃げ道がないから。だから、こういう俸給表をつくるなんということは皆さんはやるべきじゃない。法律違反ですよ、明確に。これはどこかで裁判所の決定を見なければ違反であるかどうかはわからぬからここでは決まらぬけれども、論理的には、法律の理論からいけば明確に違反です、俸給表を勝手に総理府がつくるなんということは。  時間の関係がございますからここで一つ聞いておきたいのですけれども、だからいろんなことが起こってしまう。旧法で言うと、今度の場合、六等級の十三号というのは十八万六千四百円、六等級の十四号は十九万七百円、これはもちろん行(一)、行政職(一)表です。これが直近上位あるいはその一つ上に行く。昇格をする。五の十に行く。ところが、今度は二%にした。そのために、新法によれば、ずれちゃって、六の十三、十四じゃない。六の十二、十三。これが五等級の九に行く。そうすると、六の十二は十八万五千三百円、六の十三は十九万二百円。この間に六百円差ができてしまう。よく双子なんという言葉が使われるわけでありますけれども、これは何とかどこかで救済しなければ一生ついて回ってしまう、六百円の損は。これは一体総理府はどうお考えになりますか。言っていることはわかるでしょう。
  434. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 現行の俸給表はできる限り人事院勧告を実施する方向で検討したわけでございますけれども、非常に厳しい財政事情等からやむを得ず二%の給与改定をすることとなりました。勧告で示された配分を尊重するために、勧告による引き上げ率を二%の改善に合わせて比例的に圧縮して俸給表を作成しております。御指摘の点につきましては、昨年の勧告表によって昇格の飛びつき号俸が変化するいわゆる双子関係のずれということと、それから二%の給与改定と、この二つが重なって出てきた問題でございます。しかし、昇格の飛びつき号俸の変化というのは既に勧告において生じたものでございまして、これを変えることは、勧告の配分をできるだけ忠実に実施するという政府の考え方に合わなくなりかねず、また、前後の号俸を初め他へも非常に大きな影響がございます。したがいまして、政府としては御指摘の点については制度上やむを得なかったものと申し上げざるを得ないと思います。  なお、双子関係のずれにつきましては、過去においても例のあるところであり、この場合におきましては、過去との連続性を考えて必要な範囲で措置しているところであり、今回もそのように措置をしていると聞いております。
  435. 大出俊

    ○大出委員 あなた方が六・四七%の勧告を二%にぶった切ったりするからこういうことになる。合わなくなっちゃう。前後その他合わない。合わないからしようがない。それじゃ、一体期待権を持っているこの方々が損するのはどういうふうにするのですか。救済しなければならぬじゃないですか。ところが、あなた方は規則制定権も何もないでしょう、総理府は。人事院規則をつくって救済しようとすれば、人事院でなきゃできないでしょう。次の勧告で救済しようとすれば、次の勧告のときにその配慮をしなければできないでしょう。勧告権がないでしょう、総理府には。六・四七%を二%に切るからこんなことになる。  人事院にすれば、一つ間違えば、総理府がやったのだから勝手にしろと言いたくなるだろうと思うけれども、それじゃこういう谷間に落っこちた人を救済できない。属人的に一生ついて回るのをほっておけない。だとすれば、何とかこれは人事院にもやってもらわなければしようがない。総理府が勝手にやったんだからしようがないと言ってはいられない。人事院、いかがですか。何とかしませんか、これは。こんなことをするからこういう結果ができ上がる。いかがですか、人事院。
  436. 倉成正

    倉成委員長 給与局長。簡潔に答えてください。
  437. 斧誠之助

    ○斧政府委員 ただいま人事局長から申し上げましたように、私どもが俸給表を作成いたします際には、先ほども申し上げましたが、いろいろな要素を考慮しまして俸給表を作成いたします。その場合に双子の位置がずれるというのは過去にも何回かあったわけでございますが、その場合も勧告時においてはそこら辺は考慮してちゃんと金額は出しておるのでございますけれども、今回の場合はそれが二%ということで俸給表が作成されたという二つ重なりまして、この影響が出ておるわけでございます。  で、私たちは、給与法が成立いたしますとその給与法のもとで給与を管理する、こういう立場になるわけでございまして、現在既に法律は成立しておりますので、今後の問題として考えていきたいと思っております。
  438. 大出俊

    ○大出委員 これは人事院の責任ではないけれども、今後の問題として考えていくというお話なんで、規則制定ができなければ次の勧告で考えるとか、何らかの救済措置をお考えください。  以上で終わります。
  439. 倉成正

    倉成委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  440. 倉成正

    倉成委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  昭和五十九年度予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く)並びに他の分科会の所管以外の事項  第二分科会は、法務省、外務省、大蔵省所管  第三分科会は、文部省、自治省所管  第四分科会は、厚生省、労働省所管  第五分科会は、総理府(環境庁)、農林水産省所管  第六分科会は、総理府(経済企画庁)、通商産業省所管  第七分科会は、運輸省、郵政省所管  第八分科会は、総理府(国土庁)、建設省所管 以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  441. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  442. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  443. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明六日午前九時三十分より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十四分散会