○松永
委員 私は、自由民主党・新自由
国民連合を代表して、ただいま議題となっております
昭和五十八年度補正
予算二件について、
賛成の討論を行います。
我が国経済は、再度にわたる石油ショックの影響を受け、数年にわたる不況下で苦しんでまいりました。このため経済活動は停滞し、税収の大幅落ち込み等
財政の上にも重大な悪影響を与えてきております。しかしながら、一億二千万の
国民生活を安定させるためには、
政府の施策としてもろもろの歳出が必要であることは言をまちません。その結果、多くの公債残高を見るに至り、
財政の対応力を回復するためには赤字公債からの脱却が緊要の課題となっております。
かかる観点に立って、
昭和五十八年度の当初
予算は、特例公債依存体質からの早期脱却を前提に、前年にも増して一段と厳しいマイナス五%シーリングを設定し、
経費の徹底した節減合理化により、その規模を
抑制することを
基本方針として編成されました。
しかしながら、
予算成立後にさまざまな
事情変更が生じた結果、特に緊要となった事項につきまして所要の
措置を講ぜざるを得なくなりました。
すなわち、与野党の合意に基づく所得税減税、原油価格の引き下げによる石油税の減収、予想外の災害に基づく災害復旧費の追加、
給与改善費及び義務的
経費の追加等が要因であり、
既定経費の節減、予備費の減額、雑収入の増収及び公債の増加を行うなどの補正を行うことで、その規模は、差し引き歳入歳出とも四千五百九十八億円の追加となっております。
私が補正
予算に
賛成する第一点は、まず、災害復旧費等公共事業の追加であります。
本年の災害は、台風、火山爆発、フェーン現象による山火事、
日本海中部地震とその種類が多岐にわたるのが特徴でありました。
政府は、昨年決定した総合経済対策における公共投資推進の一環として、特に災害の復旧につき四千四百五十億円を計上いたしました。これは建設公債を財源といたしておりますが、被害地の方々の生活の安定のため、まことに時宜を得た
措置であると思います。特に、五十八年度の復旧につきましては、災害を受けられた方々の生活基盤の早期回復の観点から、災害の復旧進度を、史上最大の規模と言われた去年の七〇%よりもさらに高め、初年度に七五%の復旧費を支出して早急なる災害の復旧を行うことといたしております。これにより必ずや被災地の復旧が早まり、地方経済にも相当の活力が与えられるものと期待しているところであります。
第二点は、所得税、住民税減税の実行であります。
国の
財政が極めて厳しいにもかかわらず、
政府は、与野党の合意に基づき所得税減税を
実施いたしました。規模は所得税、住民税合わせて一兆数千億円にも上り、初年度の五十八年度は所得税一千五百億円、住民税六百億円となっておりますが、これは公党間における公約を着実に実行しようという我が党及び
政府の信義を重んずる姿勢のあらわれとして賛意を表する次第であります。
政府としては、税収の少ないことと歳入の苦しさを
理由に
国民へのサービス、
国民生活への寄与を怠るわけにはまいりません。一方、歳入
措置について見ますると、まず災害復旧は、その性質上、建設公債を発行することといたしておりますが、それ以外に必要となったものにつきましては一切公債の追加発行は行わず、
既定経費の節減、予備費の減額、税外収入の増加等の
措置で賄おうとしておるところであり、
財政の現状からしてもまことに時宜に適した
措置と考えております。
殊に、今回
既定経費約二千億円の節減を行ったことにつきましては、厳しい
財政事情のもとで
財政再建に取り組む
政府の姿勢を示すものとして、高く
評価されるところであります。
幸いにして、我が国経済は、世界景気の回復、原油価格の引き下げ、在庫調整の終了、物価の安定等を背景として輸出や生産が増加するなど、景気は緩やかながら着実に回復してきましたので、明年度以降の税収も明るさが出てくるものと期待しております。
このように景気回復が本格化したのは、民間経済の賢明な対応姿勢に負うところ大でありますが、同時に、
政府・自民党が景気の動向に対し細心の注意を払い、適切な諸施策を打ち出し、対応してきたからにほかなりません。
この際、一言今回の豪雪について
政府に要望しておきたいと存じます。
ことしの異常豪雪は、断続的な降雪により、人的被害を初め
交通網の寸断等地域住民の生活に深刻な影響を与えております。
豪雪地帯の地方自治体は、その深刻な
財政事情にかんがみ、一、豪雪地帯に対する特別交付税、二、道路除排雪費、市町村道の除排雪などについて、五十二、五十六年度豪雪並みの対策を
政府にとってもらいたいということでありますので、
政府の早急な対応を望む次第であります。
以上申し上げました
理由により、本補正
予算に
賛成の意を表し、討論を終わります。(拍手)