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矢野委員 少なくとも、今後の新しい
機関においては
検討の問題だろうけれ
ども、頭から排除するというお
考えではなさそうだ、こう受けとめました。
これは私の意見ですけれ
ども、
学校の
現場におきましては、
校長あるいは教頭といった
立場の方方は、下からは
教員さんから突き上げを受ける、そしてまた
教育委員会に行くと、おまえ何ぼやぼやしているんだとしかられる。板挟みになって大変苦労している
校長さんが多いわけですよ。
校長試験というのがあって、一定の資格を得て
校長さんになられる。しかし、どうも見ておりますと、任期が二年ぐらいで転々と
学校をかわられるというケースが多いわけです。これでは本当に腰を据えた
改革はできないと思いますよ。いろいろな事情もあるのでしょうけれ
ども、やはりそういう
校長さんが
教師と一体になって
学校現場を
改革するんだ、そのための時間的な配慮というものも必要だろう。あるいは
教育委員会も、そういったことについて十分の配慮をして、私は何も
教育委員会が
校長をバックアップせいとは言いませんけれ
ども、先生方と協調し合いながら
現場の
改善ができる、そういった配慮も今後必要ではなかろうか。あるいは若手からも
校長を抜てきしていくというような配慮も必要ではなかろうか。これは意見として申し上げておきたいと思っております。
そこで、今一番
父兄が頭を痛めておりますのは、
共通一次が終わり、そしてこれから二次試験があるということなんですけれ
ども、私は、この
共通一次というのはできるだけ学生が、五教科七科目、幅広い分野の学問を身につける、特殊な科目だけに集中して勉強することを避けるために幅広く学習をしてもらう、またその能力をテストするという意味では、この
共通一次というものを頭から否定することはできない、その本来の趣旨から
考えれば。しかし、
総理も言っておられた、私も実際やりましたけれ
ども、だめですな、あれ。
総理は東京大学、三塚さんは早稲田大学で、きのうは東大と早稲田の和やかなエール交換があったようでございますけれ
ども、確かに本来の目的から見れば悪いことではないけれ
ども、この
共通一次が全国
共通であるがゆえに出てくる弊害——難問奇問も多い、難しい問題も多いということもさることながら、これは別にしまして、全国
共通であるがゆえに出てくる弊害というのがあるんです。
私も、三、四年前、我が家庭において大学進学問題がありまして、私もいろいろな本を買ってきて読みました。つまり、
共通一次が終わりますと、明くる日生徒は
学校に行きます。先生は当然、自分のところの生徒がどの点数であったか、だから自己採点をしてもらう。自分で採点する。おれは何点だった。しかも、
学校がなさることについては問題ないのです。進学指導に当たって先生はそれを知る必要がある。ところがそのデータが、いわゆる受験産業の手を通じまして、極端に言えばすべて受験産業がそれをセットいたしまして、その結果が、第一志望はどこ、第二志望はどこ、それで、この人は何点というようなことまで全部コンピューターで集約されて、例えばこういう雑誌で発表されるわけなんですよ。そして自分はこれを見ますと、ああおれは七百何点だった、東大は無理だ、どこそこも無理だ。ほんまにこれは親切と言えば親切、便利と言えば便利。
しかし、これによって出てくる結果はどういうことかといいますと、その前に、この業者は各
学校と話し合いをしまして、校内テストを業者がやっておる。これは
文部大臣、伺いたいのですけれ
ども、再三、校内テストはやるな、受験競争を過熱させるからやめなさいと通達を出しておられる。通達を出しながら、一方では
共通一次制度があるから先生も学生も、自分の成績は自分の校内において何点か、何番目かということよりも、全国的におれは何番かということを知らなくちゃならぬ。でなければ自分の進路が決められない。そのためには校内テストも必要。
共通一次の明くる日には自己採点をして、それを業者がコンピューターで、これによれば三十数万人の受験者のうち二十万人が自己採点の結果を出しているわけです。それを全部コンピューターに入れて、おまえさんは何点だよ、この大学は無理だよ。念が入っているんだ、これまた、しかも、おまえさんが第一志望でこういうことを言っておるけれ
ども、これは無理だ、第二志望でこういうことを言っておる、これも無理だ、こちらの方へ行きなさい。これは進学指導を全部業者がやっておる。まあ業者だけがやっておると言えば言い過ぎです。
学校の先生は、
子供がかわいいからこういうデータも活用せざるを得ないわけです。一方でこういう業者による
学校教育への介入をやめなさいと言いながら、
共通一次の結果、全国
共通であるがゆえに業者のこういうコンピューター作業に依存をせざるを得なくなってきておる。その結果、
総理、生徒は、あいつは人柄がいい、友情に厚い、創意工夫がある、根性のあるやつだ、優しいやつだということは
関係ないのです。
共通一次で何点取ったか、これだけがその生徒の全人格を規定してしまうことになる。
総理も
共通一次の
改善が必要だと言っておられるわけでありますけれ
ども、本当にこれは必要です。私
どもの場合は、進学適性検査と申しまして、そういうのがあった。それは大学を受ける資格があるかどうかを決めてもらうだけの試験でありまして——あなた東大だけれ
ども、八百六十点ですか、これ親切に書いてあるわ。これによって大学のランクづけ、大学の学部のランクづけもなされておるのです。本来もっと特色のある
教育をなさるべきところが、一方では生徒のランクづけ、輪切り、一方では大学、学部のランクづけ、本来の
共通一次の基礎的な学問を身につけさせようという趣旨がもはやだめになってきておる。
嫌みを言うわけじゃありませんけれ
ども、この
共通一次が実施されてから、五十四年ですか、この受験産業の高度成長ぶりは恐るべきものがあるのですよ。まるで
共通一次は受験産業を育てるための制度だったのかと疑いたくなるぐらい。全体で二十二兆産業だというんだね、受験産業は。大変なGNPに対する比率だ。とともに、この受験産業で、いわゆる御三家とかあるいはビッグフォアとか、これは
学校法人だから申告所得というのは出てないのです、出てないのだが、出ているところを申し上げると、ある会社では、
共通一次が発足した五十四年、申告所得は八億六千万、五十八年には三十八億四千万、五年間で四・四六倍の成長ですよ。もう
一つの会社は、十二億だったのが五十五億、四・三六倍の成長。御三家とかビッグフォアになると百億円以上の申告所得に本来はなるはずだけれ
ども、これは
学校法人だということでそういう申告がされていません。これ税金取ったら、竹下さん、大分税金が本当は入るんだけれ
ども、これはまた別の問題だ。そういうことをおれは言いたいわけじゃない。
共通一次でもたらしたのは受験産業をもうけさせただけであるとまで私は言いたいが、これについての御所見を承りたい。
もう
一つ、嫌みのついでだ。この受験産業から
自民党さんは
政治献金を受けておられる。それはおかしな
関係だなんて私は決めつけるつもりはないけれ
ども、数千万円の献金がある。私
どもの狭い範囲の調査でも、
国民政治協会ですか、ここに来ておりますね。こういうことも自粛されるということも含めて御答弁願いたいと思うのです。
校内
管理体制の問題は、御答弁は必要ございません。