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1984-07-27 第101回国会 衆議院 本会議 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十四号   昭和五十九年七月二十七日     午後一時開議  第 一 道路運送法等の一部を改正する法律案      (内閣提出)  第 二 雇用分野における男女の均等な機会      及び待遇確保を促進するための労働      省関係法律整備等に関する法律案      (内閣提出)  第 三 社会福祉・医療事業団法案内閣提出      )  第 四 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部      を改正する法律案内閣提出)  第 五 保健所法の一部を改正する法律案(内      閣提出)  第 六 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(国鉄労働組合関係)  第 七 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(国鉄動力車労働組合関係)  第 八 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全国鉄施設労働組合関係)  第 九 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(鉄道労働組合関係)  第 十 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全国鉄動力車労働組合連合会      関係)  第十一 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(国鉄千葉動力車労働組合関係      )  第十二 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全国電気通信労働組合関係)  第十三 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(日本電信電話労働組合関係)  第十四 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全専売労働組合関係)  第十五 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全逓信労働組合関係)  第十六 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全日本郵政労働組合関係)  第十七 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全林野労働組合関係定員内      職員び常勤作業員常勤作業員の処      遇を受ける常用作業員を含む。)」)  第十八 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(全林野労働組合関係基幹作      業職員常用作業員常勤作業員の処      遇を受ける者を除く。)及び定期作業      員」)  第十九 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(日本林業労働組合関係定員      内職員び常勤作業員常勤作業員の      処過を受ける常用作業員を含む。)」      )  第二十 公共企業体等労働関係法第十六条第二      項の規定に基づき、国会議決を求め      るの件(日本林業労働組合関係基幹      作業職員常用作業員常勤作業員の      処遇を受ける者を除く。)及び定期作      業員」)  第二十一 公共企業体等労働関係法第十六条第      二項の規定に基づき、国会議決を求      めるの件(全印刷局労働組合関係)  第二十二 公共企業体等労働関係法第十六条第      二項の規定に基づき、国会議決を求      めるの件(全造幣労働組合関係)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 道路運送法等の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第二 雇用分野における男女の均等な機   会及び待遇確保を促進するための労働省関   係法律整備等に関する法律案内閣提出)  日程第三 社会福祉・医療事業団法案内閣提   出)  日程第四 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一   部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 保健所法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第六 公共企業体等労働関係法第十六条第   二項の規定に基づき、国会議決を求めるの   件(国鉄労働組合関係)  日程第七 公共企業体等労働関係法第十六条第   二項の規定に基づき、国会議決を求めるの   件(国鉄動力車労働組合関係)  日程第八 公共企業体等労働関係法第十六条第   二項の規定に基づき、国会議決を求めるの   件(全国鉄施設労働組合関係)  日程第九 公共企業体等労働関係法第十六条第   二項の規定に基づき、国会議決を求めるの   件(鉄道労働組合関係)  日程第十 公共企業体等労働関係法第十六条第   二項の規定に基づき、国会議決を求めるの   件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)  日程第十一 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(国鉄千葉動力車労働組合関係)  日程第十二 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全国電気通信労働組合関係)  日程第十三 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(日本電信電話労働組合関係)  日程第十四 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全専売労働組合関係)  日程第十五 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全逓信労働組合関係)  日程第十六 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全日本郵政労働組合関係)  日程第十七 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全林野労働組合関係定員内職員及び   常動作業員常勤作業員処遇を受ける常用   作業員を含む。)」)  日程第十八 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(全林野労働組合関係基幹作業職員、   常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を   除く。)及び定期作業員」)  日程第十九 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(日本林業労働組合関係定員内職員及   び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常   用作業員を含む。)」)  日程第二十 公共企業体等労働関係法第十六条   第二項の規定に基づき、国会議決を求める   の件(日本林業労働組合関係基幹作業職員   、常用作業員常勤作業員処遇を受ける者   を除く。)及び定期作業員」)  日程第二十一 公共企業体等労働関係法第十六   条第二項の規定に基づき、国会議決を求め   るの件(全印刷局労働組合関係)  日程第二十二 公共企業体等労働関係法第十六   条第二項の規定に基づき、国会議決を求め   るの件(全造幣労働組合関係)     午後一時四分開議
  2. 福永健司

    議長福永健司君) これより会議を開きます。      ——————————  日程第一 道路運送法等の一部を改正する法   律案内閣提出
  3. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第一、道路運送法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員会理事浜野剛君。     —————————————  道路運送法等の一部を改正する法律案及び同報   告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔浜野剛登壇
  4. 浜野剛

    浜野剛君 ただいま議題となりました道路運送法等の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、臨時行政調査会最終答申に基づき、陸運行政に係る地方事務官制度を廃止しようとするものでありまして、陸運関係事務に係る運輸大臣等権限都道府県知事に委任する制度を廃止し、従来の陸運事務所を運輸省の地方支分部局とするとともに、陸運事務所等職員運輸事務官等とするものであります。  本案は、三月二十九日本院に提出され、六月二十二日本委員会付託となり、同月二十七日細田運輸大臣から提案理由説明を聴取し、七月二十四日質疑を行いました。  質疑の主要な点を申し上げますと、一、これまで種々の答申地方への権限移譲を述べているのに、なぜ権限移譲をしなかったのか、一、バスの停留所の位置変更等地方公共団体に任すべきではないのか、一、地方事務官地方公務員とせず運輸事務官とした理由は何か、一、今後の地方公共団体との密接な連携の方策はどうか等について熱心な質疑が行われたのでありますが、その詳細につきましては委員会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、二十四日討論に入りましたところ、自由民主党・新自由国民連合近岡理一郎君から賛成日本共産党革新共同の辻第一君から反対意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ——————————  日程第二 雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案内閣提出)  日程第三 社会福祉・医療事業団法案内閣提出)  日程第四 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 保健所法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)  日程第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)  日程第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)  日程第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)  日程第十 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)  日程第十一 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄千葉動力車労働組合関係)  日程第十二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)  日程第十三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本電信電話労働組合関係)  日程第十四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全専売労働組合関係)  日程第十五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全逓信労働組合関係)  日程第十六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全日本郵政労働組合関係)  日程第十七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)  日程第十八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)  日程第十九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)  日程第二十 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)  日程第二十一 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全印刷局労働組合関係)  日程第二十二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全造幣労働組合関係
  7. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第二、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案日程第三、社会福祉・医療事業団法案日程第四、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案日程第五、保健所法の一部を改正する法律案日程第六ないし第二十二、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)外十六件の公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件、右二十一件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。社会労働委員長有馬元治君。     —————————————  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇   の確保を促進するための労働省関係法律の整   備等に関する法律案及び同報告書  社会福祉・医療事業団法案及び同報告書  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す   る法律案及び同報告書  保健所法の一部を改正する法律案及び同報告書  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定   に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労   働組合関係)外十六件及び各件の報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔有馬元治登壇
  8. 有馬元治

    有馬元治君 ただいま議題となりました四法案及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)外十六件について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案について申し上げます。  本案は、最近における女子雇用情勢の著しい変化にかんがみ、女子に対する差別撤廃に関する条約の批准に備えるため、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保が促進されるよう、勤労婦人福祉法改正により事業主責務等に関する措置を講ずるとともに、労働基準法女子保護規定見直し等を行おうとするもので、その主な内容は、  勤労婦人福祉法につきましては、  第一に、勤労婦人福祉法の名称を雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保等女子労働者福祉の増進に関する法律に改めるものとすること、  第二に、事業主は、募集採用配置及び昇進について、女子と男子を均等に取り扱うよう努めなければならないものとするとともに、労働省令で定める教育訓練福利厚生並びに定年、退職及び解雇について、女子であることを理由として差別的取り扱いをしてはならないものとすること、  第三に、男女の均等な取り扱いに関する紛争について、事業主は自主的な解決に努めるものとするとともに、都道府県婦人少年室長は、関係当事者から求められた場合には、必要な助言、指導または勧告を行うほか、都道府県婦人少年室に置かれる機会均等調停委員会紛争調停を行わせるものとすること、  第四に、再雇用特別措置及び育児休業普及促進等女子労働者就業に関する援助の措置等を定めるものとすること、  労働基準法につきましては、  第一に、満十八歳以上の女子について、時間外及び休日労働、深夜業、危険有害業務就業生理休暇並びに坑内労働に関する現行規制を緩和するものとすること、  第二に、産前休業多胎妊娠の場合十週間に延長し、産後休業を八週間に延長する等、母性保護措置の拡充を図るものとすること等であります。  本案は、去る六月二十六日の本会議において趣旨の説明が行われ、同日付託となり、坂本労働大臣から提案理由説明を聴取し、七月三日質疑に入り、同月十六日には福岡県及び北海道に委員を派遣し現地において意見を聴取し、同月十七日には参考人から意見を聴取するなど慎重かつ熱心な審査を行いましたが、同月二十四日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、昭和五十九年七月一日から施行するとされていた部分施行期日について自由民主党・新自由国民連合より修正案が、また、日本共産党革新共同より本法律案の全部を修正する修正案がそれぞれ提出され、討論を行い、採決の結果、日本共産党革新共同修正案は否決され、本案自由民主党・新自由国民連合提出修正案のとおり多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  次に、社会福祉・医療事業団法案について申し上げます。  本案は、特殊法人整理合理化を図るため、医療金融公庫社会福祉事業振興会と統合して社会福祉・医療事業団とし、事業団は、社会福祉事業施設病院診療所等の設置、整備等に必要な資金融通等に関する業務を行うほか、社会福祉事業施設または病院等に関する経営指導等業務を行おうとするものであります。  本案は、去る四月三日付託となり、七月十二日渡部厚生大臣から提案理由説明を聴取し、一昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、戦傷病者戦没者遺族等処遇の改善を図るため、障害年金遺族年金等の額を恩給法改正に準じて引き上げるとともに、戦傷病者等の妻に対し引き続き特別給付金を支給する等所要の改正を行おうとするものであります。  本案は、去る四月三日に付託となり、七月十二日渡部厚生大臣から提案理由説明を聴取し、一昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  次に、保健所法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、地域の実情に応じた自主的、弾力的な保健所の運営を図るため、保健所に関する経費の一部について、国の補助方式負担金方式から交付金方式に改めようとするものであります。  本案は、去る四月三日に付託となり、四月五日渡部厚生大臣から提案理由説明を聴取し、一昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党・新自由国民連合より施行期日についての修正案が提出され、採決の結果、本案修正案のとおり多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)外十六件について申し上げます。  本多件は、昭和五十九年五月十二日公共企業体等労働委員会関係労働組合の要求に係る昭和五十九年新賃金に関する紛争について行った裁定が、予算上不可能な資金の支出を内容とする裁定と認められるので、国会議決を求めようとするものであります。  本多件は、七月二十三日付託となり、昨日坂本労働大臣から提案理由説明を聴取した後、採決の結果、本多件はいずれも全会一致をもって公共企業体等労働委員会裁定のとおり実施することを承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 福永健司

    議長福永健司君) 二十一件中、日程第二につき討論の通告があります。順次これを許します。渡辺嘉藏君。     〔渡辺嘉藏登壇
  10. 渡辺嘉藏

    渡辺嘉藏君 ただいま議題となりました雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案に対しまして、私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、反対討論をいたす次第であります。(拍手)  我が国は国際的に経済大国になったと言われておりますが、同時に日本人の勤勉さが注目され、なかんずく女性の勤勉と辛抱強さは広く称賛されています。しかしその裏面では、明治政府の過酷な富国強兵政策に始まり今日の経済大国に至るまでには、安房峠で涙を流した「女工哀史」のごとき日本女性の紅涙を絞る歴史を見逃すことはできないのであります。特に、技術革新と生活不安の今日、女性職場進出は目覚ましく、今や女子労働者なくして日本経済社会の発展は考えられなくなってきたのであります。  こうした社会的変化の中で、女性たちの間からも、伝統的な観念、つまり男は外に出て働き、女は基本的には家を守るという性別役割分業論に対して、厳しい批判の声が上がってきたのであります。これは国際的、歴史的な潮流であります。それがため、国連においては女性差別撤廃条約が採択され、あらゆる分野において女性差別することなく、母性保護社会的責任であることを前提として、男女の平等を完全に実現すべきことがうたわれたのであります。このため、雇用分野においても男女平等を確保するための法律が今問題となっているわけでありまするが、政府が提出されました法案は、実態を無視し、隷属的なそして低賃金で過酷な女子労働者の生の声に耳をふさぎ、財界の気息に迎合した、お粗末きわまりなく余りにも問題点の多いものであります。(拍手)  問題の第一は、その立法形式立法方法についてであります。  現在あります勤労婦人福祉法は、女性についてだけ家庭責任職業生活の調和を求めるというもので、それ自体も、男女とも家庭責任があり子供の養育は男女間及び社会全体の責任であるという新たな理念に立って改廃されるべきものでありまするのに、政府案は、この点を放置したまま、立法目的の違う雇用における男女平等を実現するための法的措置をこの中に強引に押し込み、換骨奪胎を図りお茶を濁そうとしているのであります。  問題の第二は、雇用平等に関する具体的な立法措置自体であります。  政府案は、雇用のすべての段階で女性差別を禁止するというものとなっておらず、募集採用配置昇進については企業努力責任にとどめ、教育訓練部分的禁止であって、これでは女子労働者は、肝心の雇用の入り口において差別され、狭き門をくぐってやっと雇用されましても、昇進機会に恵まれず、その上救済機関についても、都道府県婦人少年室長には是正命令権が与えられておらず、機会均等調停委員会にいたしましても、その調停には企業側の同意が必要とされ、調停案企業側がこれを拒否すれば単なる紙っ切れにすぎないのであります。差別された女性は、結局これまでと同様、大きな犠牲を払って民事裁判に訴えなければならぬのであります。これでは一体、この法案が成立したといたしましても、女子労働者はどれほど救われるというのでありましょうや、まさに政府案羊頭狗肉と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  問題の第三点は、労働基準法の改悪がセットされていることであります。  特に女子労働者の時間外労働について、いわゆる工業的職種については現行の一日二時間、週六時間という規制を外し、深夜業についても食料品製造加工などに従事する短時間労働者は規制から外すなど、女子労働者保護規定を大幅に改悪していることであります。これでは女子労働者常用労働者として働き続けることは一層困難となり、むしろ不安定なパートタイム労働者を大量に創出することは必至であります。  労働基準法を改めるというならば、中小零細下請企業への配慮措置を講じつつ、男女ともに人間的生活のできるよう、また両性によって家庭責任を果たせるように、男女とも労働時間を短縮し、時間外労働を規制し、有給休暇を欧米並みにふやし、深夜業についてもどうしても社会的に必要なもの以外は原則として認めるべきでない、これによって急増しているパートタイム労働者にも常用労働者となる道が開かれるのであります。とりわけ現在、日本の長時間労働が国際的に非難され、貿易摩擦の要因ともなっており、その観点からもその改善が求められているにもかかわらず、むしろこれに逆行する措置を講ずるとは何たることでありましょうや。これこそ財界の要請にこたえた、えせ的均等法と断ぜざるを得ないのであります。  これらの重大な問題点を抱えたまま立法化を強行するならば、我が国議会史上重大な汚点となり、悔いを千載に残すことになると言うも過言ではありません。真の平和は男女平等から生まれ、真の男女平等は平和の中から生まれると言います。日本社会党護憲共同は、他の野党三党と共同して対案を提出いたしましたが、これこそ広範な女性たちの切実な願いにこたえ、労働界、法曹界を初めとして広く国民の期待にこたえるものであると私は確信するのであります。せっかくのこの対案に対しましても、先議要求が入れられなかったことは甚だ遺憾であります。  私は、最後に、政府は速やかにこの法案を撤回し、改めて、女性差別撤廃条約や国際条約の精神と諸規定に沿い我々の対案も入れ、真に実効性のある新たな単独立法を早急に出し直すよう強く求め、この政府案には以上述べた理由から何としても賛成できないことを改めて表明し、私の反対討論を終わります。(拍手
  11. 福永健司

    議長福永健司君) 愛知和男君。     〔愛知和男君登壇
  12. 愛知和男

    ○愛知和男君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となりました内閣提出雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案賛成の意を表するものであります。(拍手)  御承知のとおり、近年我が国における女子労働者の増加は目覚ましく、また、すべての産業、職業に進出し、我が国の経済社会において重要な役割を担っており、我が国がなし遂げた経済成長もこれらの女子労働者の貢献によるところが大きいと思われます。また、我が国の産業構造の情報化、サービス化の一層の進展に伴い、今後ともさらに女子労働者の活躍が期待されるところであります。加えて、今後予想される高齢化社会において、活力ある福祉社会経済社会を維持するためには、女子労働者の能力が有効に発揮されることが必要不可欠になると考えます。一方、女子自身についても職業に対する意識に高まりが見られ、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇の実現を求める声が高まってきております。  一方、国際的にも雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保は世界的な潮流となっており、経済先進国でもあり、かつ国際協調を基本とする我が国といたしましても、この問題に積極的に取り組むことが重要であります。特に、昭和五十四年に国連総会で採択され、我が国も昭和五十五年に署名した婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約につきましては、昭和六十年までに関係国内法を整備し、その批准に備えることが要請されております。  これらの内外の情勢を考慮に入れますと、我が国においても雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保するための立法措置を講ずることが必要であり、今がまさにその時期であると考えます。  今回の政府案では、募集採用配置及び昇進に関しては努力規定とし、業務の遂行に必要な基礎的な教育訓練福利厚生及び定年、退職、解雇に関しては禁止規定としておりますが、これは、この法的整備のため六年余りの長期にわたり審議を行ってきた公労使の三者構成による婦人少年問題審議会の建議において示された基本的考え方、すなわち法律の制定、改廃を行う場合には、その内容は将来を見通しつつも現状から遊離したものであってはならず、女子労働者就業実態、職業意識、我が国の雇用慣行、女子就業に関する社会的意識等の我が国の社会経済の現状を踏まえたものとすることが必要であるとの考え方に沿ったものであり、さらにまた、努力規定とされた事項につきましても、種々の実効を上げるための措置が講ぜられており、全体として極めて適切なものであると考えます。  次に、政府案では、再雇用特別措置の普及等を図るとともに、生児を有する女子就業の継続が可能となるような育児休業の一層の普及促進のための援助措置を新設することとしていますが、これは、育児等の家庭責任と職業とを両立させたいと希望する女子が多くいることを踏まえた措置であり、まことに時宜を得たものでございます。  労働基準法女子保護規定につきましては、今回の政府案は、妊娠及び出産にかかわる母性保護措置を拡充し、それ以外の女子保護規定については廃止または緩和いたしております。女子に対する特別の保護措置については、これが制定された時代に比べますと社会経済の状況は一変し、労働条件は著しい改善を見せており、今日の我が国のような開かれた自由民主主義社会が続く限り、このような保護が再び必要とされるような時代が到来するとは考えられません。しかもこのような保護は、女子の能力発揮や職業選択の幅を狭める結果をもたらす場合があり、男女の均等取り扱いとは相入れないものであり、婦人差別撤廃条約の趣旨に照らせば、母性保護措置は別として、究極的には解消すべきものであると考えますが、今回の政府案においては、婦人少年問題審議会の建議を十分踏まえて女子保護規定の改廃を行ったものであり、適切な措置がとられたと考えます。  以上、政府案の要点について賛成の意を表してきましたが、最後に、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための施策を今後とも講じられていくに当たって、ぜひとも配慮すべき点を要望いたしたいと存じます。  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保は、雇用分野のみならず、広範に社会、家庭のあり方、ひいては国のあり方にも深く関連する問題であるということは事実であります。この問題に関するスウェーデンを初めとする北欧諸国、アメリカ等における実験はまさに貴重なものであり、これを他山の石とすべきであります。  時あたかもアメリカでは大統領選挙の前唯戦が行われており、民主党、共和党の二大政党における歴史始まって以来の女性副大統領候補が民主党で立てられております。一方、これと同時に、民主党においても共和党においても家庭の回復が選挙スローガンとして掲げられていることも注目すべきであります。アメリカでは、平等の推進を男性に敵対した女性運動という形をとって進める時代は終わり、男女ともそれぞれのよさを再認識して新しい家庭を創造することとあわせて行うという第二期に突入していると言われております。  男女平等は、我が国の憲法第十四条でも明定され、また、国際人権規約、婦人差別撤廃条約等の国際条約にも明言されている基本的人権でありますが、同時に、それぞれの国において長い歴史的背景を持つ社会的、文化的問題とも密接不可分に絡み合っております。現実を無視していたずらに理想論を振りかざしてみても意味がありません。将来を見通しつつも地に足をつけた歩みをすることこそが求められるところであり、このような姿勢でまず第一歩を踏み出し、着実にこの問題を推進していくことが国家百年の計にとって何より肝要かと存じます。  これを契機として、広く国民の間に男女の均等な機会及び待遇の実現についての理解が定着していくことを期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手
  13. 福永健司

    議長福永健司君) 遠藤和良君。     〔遠藤和良君登壇
  14. 遠藤和良

    ○遠藤和良君 私は、公明党・国民会議を代表して、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)  「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」「男尊女卑は野蛮の陋習なり。文明の男女は平等同位、互いに相敬愛して独立自尊を全からしむべし」これは、この十一月一日から一万円札で登場する福沢諭吉の言葉であります。  およそ人間の尊厳と基本的人権、男女平等は人類普遍の原理であり、これらを求める運動は、近代社会の一大潮流を形成してきた感があります。そして、その精神を基盤にした雇用における男女平等の法制化は、欧米先進国においては既に一九七〇年代に完了しているのであります。ところが我が国では、今国会にしてようやく国連で採択された婦人差別撤廃条約を批准するため本法案が提出されたのであります。その余りにも遅きに失した政府の怠慢を、まずもって厳しく指摘しておきたいのであります。  しかも、その内容は、主に勤労婦人福祉法改正と労基法の一部改正といった安直な方法によって批准への形式を整えたにすぎず、極めて実効性に乏しいものであります。もちろん我々も、既に署名のなされた婦人差別撤廃条約を早期に批准することを望むものでありますが、その国内法の整備に名をかりて、男女雇用の平等に関していやしくも勤労婦人福祉法の焼き直しといった安易な方法をとり、しかもその内容においても実効性が乏しい本法案は、婦人差別撤廃条約の本来の趣旨に反するものであり、断じて容認することはできません。  特に基本的な問題点は、法案審議の中でも明らかにされましたとおり、政府はこの際、女性の勤労権は基本的人権であるとの立場から、男女雇用平等法を新たに制定すべきであります。何ゆえに単独立法の形をとらず旧法の一部手直しでお茶を濁そうとするのか、まことに理解に苦しむものであります。特に、女性労働権を勤労婦人福祉法改正で行おうとする時代錯誤の感覚は、まさに旧態依然とした政府の体質を図らずも露呈して余りあるものがあります。すなわち、女性労働権は、基本的人権として本来固有の権利として備わっているものであり、福祉としてお上から与えられるものではないのであります。勤労婦人福祉法改正雇用の均等を図ろうと意図すること自体女性に対する差別であり、本法案男女差別を一層助長するものであると言っても過言ではないのであります。  私は、次に具体的な問題について指摘いたします。  まず、女子労働者雇用に関して、募集採用の入り口から、定年、退職、解雇の出口に至るまでの全ステージにおける男女差別は、基本的人権を侵害するものとして禁止すべきであります。どころが本法案では、募集採用という雇用の入り口から、配置昇進という雇用の全面にわたって、差別がないように努めなければならないという努力義務規定にとどめております。果たして、これで平等の理念が生かされるでありましょうか。さらにまた、出口の定年、退職、解雇、教育訓練福祉厚生に関しては禁止規定を設けたものの、その細部については省政令にすべてをゆだねて不明であり、しかも罰則はなく極めて実効性のないものとなっているのであります。  日本国憲法は、第十四条で法のもとの平等、第十三条では個人の尊重を示し、民主主義と男女平等を明確に規定しているのであります。そして男女平等はその国の民主主義の水準を反映するものであり、民主主義の成熟度は雇用における実態に顕著にあらわれるものであります。しかるに残念ながら、我が国においては依然として男性中心社会、男子管理社会といった弊害が続き、いまだに女性の地位を圧迫したり軽視する傾向が強いのであります。確かに一昔前までは、男性は仕事、女性は家庭といった観念が我が国にとどまらず諸外国にもありました。しかし、近年世界的に男女平等、婦人差別撤廃の力強い歩みが始まり、二十一世紀に向かって大きな革命的変化が生じているのであります。  こうした社会情勢を考えますとき、現在国会に提出された政府案のまま法律となり、この法律がそのまま国際舞台に上がるとすれば、私は冷や汗の出る思いがいたします。それは、まさに日本の民主主義のおくれを全世界に示すに等しいものと言わざるを得ないからであります。繰り返して申し上げますが、単なる努力規定ではなく、少なくとも禁止規定とすることが、婦人差別撤廃条約に示されているすべての適当な措置の趣旨に沿う最低条件なのであります。  もう一点申し上げたいことは、監督機関として、違反した状態を是正するために雇用平等監督官を置くとか、紛争を行政的に解決していく有効な機関を設けるとかの措置が当然必要であり、これなくしては平等実現の実が上がらないのであります。  ところが本法案では、例えば苦情、紛争は当事者における自主的解決にゆだね、場合によっては行政指導による助言、指導、勧告等を行うとしていますが、最も大切な是正命令が欠如しております。また、機会均等調停委員会調停を求め得るものとしていますが、勧告に違反しても何らの措置も行えず、調停も当事者双方の同意が条件であって、もし使用者が同意しなければ労働者は泣き寝入りしかないといった、まことに実効性に乏しいものなのであります。  次に、労働基準法改正についても問題があります。  我が国の労働基準法は、ILO等の国際レベルに比べると極めて劣悪であり、この労働基準法によって男性労働者の健康破壊が続出しているのが実態であります。現に勤務時間の短縮や週休二日制への改善の必要性が叫ばれていますが、一向にこの改善が行われないまま、女子保護規定を緩和し廃止するという暴挙は、まさに女子労働者を劣悪な労働条件で働かせ、女性の健康と母性破壊を促進するおそれがあることを危倶するものであります。本来労基法は、最低の労働条件を定めることにより、労働者全体の人たるに値する生活を保障するものであり、女性労働条件を切り下げ労働強化につながる今回の労基法の改正は断じて認めることができません。  以上申し述べたとおり、今回の政府案は、憲法及び差別撤廃条約の精神にも反するものであり、我が国の特殊な雇用形態の中でかえって差別を温存し増長させる効果しかなく、断じて賛成できるものではありません。したがって、政府案に強い反対を表明し、私の討論を終わります。(拍手
  15. 福永健司

    議長福永健司君) 伊藤英成君。     〔伊藤英成君登壇
  16. 伊藤英成

    ○伊藤英成君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案に、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)  民社党は、立党以来の理念として、一切の抑圧と搾取とから社会の全員を解放して、個人の尊厳が重んぜられ、人格の自由な発展ができるような社会を建設することを綱領に掲げ、その実現を目指してきたところであります。我が国の憲法第十四条は、国民は性別において差別されないと男女平等の原則も規定しており、雇用分野における男女の平等は、憲法上保障される基本的人権の一つとして確立されなければならないものであります。  にもかかわらず、我が国の女子を取り巻く状況は極めて厳しいものとなっております。募集採用においては広範な男女差別的取り扱いが行われており、採用の資格、能力の評価についても同様であります。採用に当たっては女子を特有の職種、職場、職務に配置し、給与には格差をつけ、教育訓練配置転換についても男女取り扱いの差が多く存在しているのであります。今我が国において必要なことは、こうした現状を改め、真の男女平等を確立するとともに、国連において採択された婦人差別撤廃条約の批准のための要件を一刻も早く整えることであります。  しかるに今回の政府案は、男女平等の確立を目指すには極めて不十分なものと言わざるを得ません。禁止される差別には罰則がなく、募集採用配置昇進については、禁止規定ではなく事業主の努力義務規定となっております。労使による紛争の自主的解決を言いながら、これを保障する制度的裏づけが十分ではありません。救済機関についても、実効性を確保できるものとなるのかどうか疑問を持たざるを得ません。また、労働基準法女子保護規定についても、政府案のような見直しを行うための国民合意が得られているとは考えられず、見直しを行うにしても、労働時間の短縮を含む労働基準法の抜本改正の一環としてとらえるべきであります。  さらに、いまだ法制定の経験がなく、法律の実効性を確保し得るかどうかわからない状況においては、改正後適当な期間内に見直す旨の規定本案に明記することが責任ある提案者の態度であるべきであったにもかかわらず、政府案にはこの規定が設けられておりません。  民社党は、以上のような観点から、募集採用について男女差別を禁止し、女子に男子と平等の機会を保障するとともに、労働条件、教育訓練、退職時の取り扱い等について男女差別を禁止し、法に違反する男女差別を敏速に是正するために、他の三党と共同して男女雇用平等法を今国会に提案したのでありますが、衆議院社会労働委員会において否決されたことはまことに残念であります。  私は、六年以上の長きにわたる審議会の答申が異例の三論併記になったことから見ても、この問題が容易な問題でないということも承知しておりますし、法案提出にこぎつけた労働省の努力は評価いたしますが、ただいま申し上げたように、政府案にはさまざまな問題があり、四野党提案の趣旨に沿って修正されるということも何らなく委員会を通過したことはまことに遺憾であり、これに反対の態度を表明するものであります。  さらに、次の点もつけ加えたいと思います。  女子雇用上の差別は、我が国の広範にわたっている社会的な差別、教育上の差別、家庭内の伝統的な役割分担の問題など歴史的に培われた男女差別が背景にあり、法律を制定して事足れりというものではありません。社会的偏見や行動様式の変革に向けての国民の努力、公共あるいは企業内保育施設の整備、育児休業制度の普及等、女子労働者への基盤整備など、全般的な性差別禁止に向けての条件づくりが、現状に照らしつつ並行的に行われなければなりません。  民社党は、今後も基本的人権の確立という観点からの男女平等社会の実現に努力していくことを申し上げて、反対討論といたします。(拍手
  17. 福永健司

    議長福永健司君) 中林佳子君。     〔中林佳子君登壇
  18. 中林佳子

    ○中林佳子君 私は、日本共産党革新共同を代表して、政府提出のいわゆる男女雇用機会均等法案に対して、反対討論を行います。(拍手)  本法案反対する第一の理由は、雇用機会均等措置と抱き合わせに労働基準法の改悪が行われようとしていることです。  雇用における男女の平等とは、母性の保護を当然の前提とするものです。ところが本法案は、現行労働基準法女子の時間外・休日労働の制限、深夜業の原則的禁止、危険有害業務の就労制限、坑内労働の禁止、生理休暇などの母性を保護する諸規定を大幅に緩和し、後退させるものとなっています。このような改悪を許すならば、婦人労働者に今まで以上に長時間労働が押しつけられることになります。それは、とりもなおさず、婦人の働き続ける権利を大きく脅かすとともに、パートでしか働けない状態を拡大するばかりか、母性と健康を損ない、家庭生活破壊の危険を増大させることとなります。広範な婦人の願いである婦人差別撤廃条約の批准の条件づくりなどと称して、条約の精神にも反するこのような労働基準法の改悪を強行しようとするのは、婦人の願いを二重に踏みにじるものであり、断じて容認できません。(拍手)  今回の婦人労働者にかけられた労働基準法の改悪は、財界が婦人労働者を低賃金労働者として長時間働かせ、新たな搾取強化を図るために一貫してねらっていたものであります。このことは法案提出の全経過からも明らかであり、政府案はこの財界の労働力政策に追従したものと言わなければなりません。また、婦人労働者への攻撃は、男子を含めた労働者全体の賃金労働条件を一層劣悪化させるものでもあり、到底認めるわけにはいきません。さらに、今回の労基法の改悪は、今労働省が進めている全労働者に向けられた労基法の昭和六十一年金面改悪への突破口となる危険なものとして、私は警鐘乱打せざるを得ません。  反対理由の第二は、本法案男女雇用平等の確保という点で極めて実効性がないということです。  雇用の入り口である募集採用や職場配置昇進に至るまで、事業主の単なる努力義務とするにとどまり、差別を法的に禁止しないばかりか、罰則も設けないものであり、職場の男女差別を是正する法制度として余りにも実効性のないものです。また、教育訓練福利厚生、定年、退職及び解雇については、差別を禁止しながら、実際に差別事案が発生した場合、事業主差別扱いをなくするのではなく、双方の互譲で解決するという調停制度にゆだねられています。これは、差別をなくするのに事業主の同意を得ることを前提にしたものであり、男女差別撤廃すべき国の責務を事実上放棄したものとなっています。  さらに、委員会質疑を通じて明らかになったことは、女性であること以外の合理的な理由があれば差別はやむを得ないということで現在職場に横行しているさまざまな口実をつけた男女差別に対して、この法案がほとんど効力を持たないことであります。このように政府案内容が明らかになるにつれて、全国で労働基準法改悪反対、実効ある雇用平等法の制定をという婦人の声がますます大きく広がっているのは当然のことです。  この婦人、国民の声と要求にこたえ、真の男女雇用平等法を実現するためには、第一に、募集採用から訓練、賃金配置昇進福利厚生、定年、退職、解雇に至るまでの使用者による男女差別を禁止すること。第二に、婦人局及び婦人少年室に雇用平等監督官を配置し、強力な行政権限を与えることにより、男女差別の救済を図ること。また、婦人労働者の申告権の保障と申告した労働者が報復を受けないように不利益扱いの禁止規定を設けること。第三に、労働者が行政の行った判断や処分などについて不服審査を求めることができるよう、国の機関として中央地方男女平等委員会を設けること。第四に、男女差別禁止規定に違反しまたは行政命令に従わない場合に罰則を設けて実効性を担保することが必要であります。また、労働基準法改正については、政府案のうち産後休業の延長など妊娠、出産に係る改善部分を除き、改悪規定はすべて削除すべきであります。  日本共産党革新共同は、以上の内容を盛り込んだ抜本的修正案委員会に提出し、その実現を求めましたが、これが否決されたことはまことに遺憾であります。  社会を現実に支えている婦人労働者は、我が国では、長い間不当な差別と劣悪な労働条件のもとに抑圧されてきました。婦人に働く権利と機会を平等に保障するとともに良好な労働条件を確保することは、我が国の民主主義的発展に貴重な貢献をするでしょうし、それがまた我が国の婦人の長い間の願望でもありました。本法案の審議を見守ってきた多くの婦人労働者から、こんな悪法がこのまま通るなら、日本の歴史に、女性の歴史に汚点を残すものだという声が期せずして起こったのも当然です。政府はこの声に謙虚を耳を傾けるべきであります。  日本共産党革新共同は、労基法改悪反対、実効ある雇用平等法の制定をという広範な国民、婦人の要求実現のために引き続き全力を挙げて奮闘する決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手
  19. 福永健司

    議長福永健司君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  20. 福永健司

    議長福永健司君) これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第三につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第五につき採決いたします。  本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第六ないし第二十二の十七件を一括して採決いたします。  委員長報告は、十七件とも公共企業体等労働委員会裁定のとおり実施することを承認すべきものと決したものであります。十七件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、十七件とも委員長報告のとおり決しました。      ——————————
  26. 福永健司

    議長福永健司君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時八分散会      ——————————