○滝沢幸助君 ただいま
議題に供せられましたる
日本電信電話株式会社法案、そして
電気通信事業法案、さらには両法の
施行に伴う
関係法律の整備に関する
法律案につきまして、
民社党・
国民連合を代表し、
賛成の
意見を申し述べさせていただきます。(
拍手)
本論に入りまする前に、
電話と言えば、これは
電気を
利用したものでありますが、
電気の存在というものは古代ギリシャの
時代において既に明らかにされております。アメリカのベンジャミン・フランクリンが一七五二年にこれを実験いたしたわけでございます。皆さん御存じのとおりでありますが、しかるに、これを
電話に活用いたしました者が、これも皆さん篤と御存じのアメリカのアレキサンダー・ベルでございます。一八七六年のことであります。
ところが私は、この
電気というもの、つまりはエレクトリシティーというものを「
電気」と翻訳した者はどこのいずれの学識であるか、寡聞にして知りません。ところが
日本に中国に「電」という文字、これは雷から糸を引いた姿になっている。まさに、東西の学識、相一致してこれを指摘しているところに、私は、東洋の学問、漢字文明の高き深さものを知って、敬意を表して自信を持ったところであります。
ところで、閑話休題といたしまして、この
電話が
我が国に初めて入ってまいりましたのは明治の十一年六月、皇室において、宮内省と当時ございました工部省において開通をいたしたのでございました。しかるに実用化しましたのは二十三年、このとき皆さん、東京においては百五十五件、横浜においては四十二件、これが
我が国に
電話が開通した初めでございます。これがたちまちにして、一時は上流階級
社会のものであったでしょう、しかし庶民大衆のものになってきたのであります。つまりは、石川啄木があの貧困と病苦の中において「遠くにて
電話のベルの鳴るごとし今日も耳鳴るかなしき日かな」と嘆いていることを見ても、あの貧しき者も
電話を使うほどに発達をいたしたわけであります。そして、今日実に四千百五十万百台というこの
利用の状態、これは人口の三五%、そして世帯別にしますると七五%が既にこの
電話を
利用しているわけであります。このように急速なる発達でありましたからこそ、
電電公社の労使双方の諸君が真剣なる取り組みにもかかわらず、この急速なる発達に対応できなかった事情のあったこともやむを得ないでありましょう。
そこで、今回のこの三法の
提案となったわけでございますが、この
法律のよってくるところをつらつら考えますに、これは土光会長を労しまして大いなる方針を打ち出しましたあの第二臨調の精神、皆さん、これは、
我が国がこの財政の行き詰まり、しかも新しい世代に対応する行政をいかにして
国民に
提供するかということになりますれば、行革は、もはやこれは天の声、地の声、これを我々が政治の部面で
実現することは当然の我々の
責務でございましょう。
そこで、このたびの
提案でありますが、実はこの
法律の中で我々が
賛成すべき二点を見出すことができました。一つは、
電電公社をしてこれを民営化し、そして民間の資本を
導入して活力を得し一め、そしてややともすれば官僚化し硬直化しようとしているこの
事業に対しまして、これを民主化し近代化し、そして合理化し
効率化するというこのことでございます。さらには一つ。皆さん、電電、この
電気通信事業におきまするところの民間の企業としての
競争の原理を
導入しようとされていることであります。(
拍手)
この二つの点におきまして原則的に
賛成すべきものと理解をしながらも、四月十日の
提案以来実に百日の間にわたりまして慎重
審議をいたしましたところ、我々が必ずしも満足のいかない幾つかの点もあったことは事実であります。
すなわち、新
会社これそのものが
当事者能力ありやなしや、さらに、従業員の
労働者としての
労働基本権は果たして約束されているかどうか、このことであります。さらに三つ目といたしまして、企業としての公正
競争の
条件が不十分だということであります。
これらに対しましていささかの不安と不満を持ちまするがゆえに、長き
審議と折衝の結果、我々はこれを
法案の
修正、
附帯決議をもって補おうとしたわけでございます。そして、おおよそ、おおむね、大体我々の主張は盛られたと信じておりまするが、しかし、なおかつ足らざる点を三年後のこの見直しに期待いたすわけでありまして、大胆に我々はここに
賛成をいたそうという決意をいたしたことでございます。しかし大臣、
事業は人なり、組織も人なり、ここにおいて、どうぞ真に有能にして有為なる人材をこの新
会社に結集されまして、よってもって
国民の大きなる期待にこたえていただきまするよう、
総理並びに大臣において適切なる指導と手配とをなされんことを要請するものでございます。
さらに、この席に私は一言申し上げなければならぬことがございます。それは、先ほど
事業は人なりと申しました。しかし、これは今日の
事業においてはただ一人の社長の指導力ではないのでありまして、実に社長を中心としましたる全従業員の人格と努力の結晶でありましょう。かかる意味におきまして、我々の友人でありまする全電通労働組合の皆さんが、この
電電事業の現実どこの苦悩の状態に対してつぶさに懸命なる御
検討をいたされまして、苦悩されまして、しかもその選択におきまして恐らくは全民労協路線を志向されるであろうことを私は信じて疑いません。しかしてこの懸命なる選択に対して私は心からの敬意を表し、今後の大きなる飛躍を期待してやまないわけでございます。
同時に私は、今、
国会がこの歴史的決定をいたそうとするこのときに、全
国民の皆さんが、どうぞこの国家的選択に対して大きなる御協力と温かき御支援をいただきまして、
我が国のこの大きなる公共の仕事に対し、すなわち
電電事業に対しまして将来に温かき飛躍を、そして我がこの
日本の過ちなき歴史を開くための一助とされんことをこいねがってやみません。
どうぞ皆さん、今からでも遅くはありません。全会一致の御
賛成を要請いたしまして、私の
意見の表明を終わらせていただきます。(
拍手)