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1984-05-10 第101回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十一号   昭和五十九年五月十日     午後二時開議  第一 日本原子力研究所法の一部を改正する法     律案内閣提出)  第二 関西国際空港株式会社法案内閣提出)  第三 地方自治法第百五十六条第六項の規定に     基づき、地方運輸局及び海運監理部の設     置に関し承認を求めるの件  第四 調和ある対外経済関係形成を図るため     の国際通貨基金及び国際復興開発銀行へ     の加盟に伴う措置に関する法律等の一部     を改正する法律案内閣提出)  第五 株券等保管及び振替に関する法律案     (内閣提出参議院送付)     昭和五十六年度一般会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁  第六 所管経費増額調書(その2)(承諾を求     昭和五十七年度一般会計予 めるの件)     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁     所管経費増額調書  第七 昭和五十六年度決算調整資金からの歳入     組入れに関する調書承諾を求めるの件     )  第八 昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行     為総調書(その2)  第九 電波法の一部を改正する法律案内閣提     出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 日本原子力研究所法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第二 関西国際空港株式会社法案内閣提   出)  日程第三 地方自治法第百五十六条第六項の規   定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設   置に関し承認を求めるの件  日程第四 調和ある対外経済関係形成を図る   ための国際通貨基金及び国際復興開発銀行へ   の加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第五 株券等保管及び振替に関する法律   案(内閣提出参議院送付)     昭和五十六年度一般会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁  日程 所管経費増額調書(その2)(承諾を求  第六 昭和五十七年度一般会計予 めるの件)     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁     所管経費増額調書  日程第七 昭和五十六年度決算調整資金からの   歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件   )  日程第八 昭和五十六年度一般会計国庫債務負   担行為総調書(その2)  日程第九 電波法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日本電信電話株式会社法案内閣提出)、電気   通信事業法案内閣提出)及び日本電信電話   株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う   関係法律整備等に関する法律案内閣提出   )の趣旨説明及び質疑     午後二時四分開議
  2. 福永健司

    議長福永健司君) これより会議を開きます。      ——————————  日程第一 日本原子力研究所法の一部を改正   する法律案内閣提出
  3. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第一、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。科学技術委員長大野潔君。     —————————————  日本原子力研究所法の一部を改正する法律案及   び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔大野潔登壇
  4. 大野潔

    大野潔君 ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、日本原子力船研究開発事業団日本原子力研究所と統合するために必要な措置を講ずるとともに、所要規定整備を図ろうとするものであります。  その主な内容は、  第一に、日本原子力研究所設立目的に「原子力船開発のために必要な研究」を加えるとともに、同研究所業務範囲に「原子力船開発のために必要な研究」及び「原子力船むつ」に関する業務」を加えることであります。  第二に、同研究所業務のうち、原子力船に係る業務に関しては、内閣総理大臣及び運輸大臣原子力委員会の決定を尊重して定める基本計画基づいて行うものとすることであります。  第三に、本法施行期日は、昭和六十年三月三十一日までの間において政令で定めるものとすることであります。  第四に、日本原子力船研究開発事業団法は廃止するとともに、事業団は解散し、その権利及び義務の一切を日本原子力研究所に承継させるものとすることであります。  本案は、去る三月二十八日に提出され、四月十七日当委員会に付託されました。  委員会におきましては、四月十九日政府から提案理由説明を聴取した後、直ちに質疑を行い、また、参考人より意見を聴取する等慎重な審議を行い、五月八日質疑を終了し、討論採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、原子力船開発のために必要な研究あり方等に関する附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 福永健司

    議長福永健司君) 討論の通告があります。これを許します。小澤克介君。     〔小澤克介登壇
  6. 小澤克介

    小澤克介君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題になりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案について、反対意見を述べるものです。  以下、反対とする理由要点を申し述べます。  理由の第一は、過去における原子力船むつ」の放射線漏れ事故責任についての何らのけじめがつけられておらず、これをあいまいにしたままこの法案日本原子力船研究開発事業団原研に統合しようとする点にあります。  周知のとおり、「むつ」は、一九七四年九月、洋上における原子炉出力上昇試験において定格出力のわずか一・四%に達したのみで放射線漏れ事故を引き起こし、陸上実験などの十分な基礎研究を欠いたまま安易に建造に取りかかった甘さとずさんさを露呈したのでありますが、さらに問題なのは、この原子炉を設計製作した三菱原子力工業株式会社原船事業団との契約における、原子炉等に瑕疵が発見された場合の補修工事保証期限が、事情変更に伴う期限延長等措置がなされないまま、約半年前に既に期限切れとなっており、このため、「むつ自体建造費約七十三億円を大幅に上回る約八十八億円もの遮蔽改修安全性点検補修工事費の全額を事業団負担することになり、結局は国民負担となったのであります。  しかも、驚くべきことに、この補修工事保証工事期間の徒過は当時の森山科学技術庁長官さえ聞かされておらず、そして同氏としてもこれを不可思議なこととしている事実が最近の出版物において同氏自身により明らかにされており、このことは、国民には無責任で、なぜかメーカーには卑屈な事業団及び官僚の体質を端的に示すと同時に、政府無責任ぶりを露呈するものと言わなければなりません。のみならず、本法案審議の過程で、事業団理事者は、放射線漏れ事故責任メーカーにあったと明言しながら、それではなぜ損害賠償請求等をしないのかと問うと、今度は一転して、責任事業団の側にあったと言い直すありさまで、その上、原子炉出力性能保証期間もとっくに徒過しているなど無責任ここにきわまれりと言わなければなりません。(拍手)  しかも、この間だれ一人として責任をとった者はなく、何らのけじめもつけられていないのです。もし事業団原研に統合されるようなことになれば、事業団の地位を包括的に承継することになる原研に対し、以後はその責任追及を継続せざるを得ない事態となるわけです。  理由の第二は、現在「むつ」についての政府方針が示されていないままとなっている点にあります。  「むつ」をどうするかについての方針を明示できないまま、どっちに転んでもよい法案提出するがごときは、国会軽視も甚だしく、またその無責任ぶりは、これまでの「むつ」に関する無責任ぶりにまさるとも劣らないものであり、決して容認できるものではありません。(拍手)  なお、「むつ」については、これを早急に廃船にすべきは言うまでもありません。商業用原子力船実現性の見通しもないのに、メンツにこだわって出力上昇試験等を実施するだけのために、今後六百億円もの大金を投じて関根浜に新港を建設するがごときは正気のさたとは言えず、放射性廃棄物処理廃炉技術の未確立なままに試験を強行することによる危険と費用の増大国民が容認するはずもありません。自民党科学技術部会の方々も、賢明にも廃船方針とお聞きしております。  理由の第三は、本法案は、原研への原船事業団の統合に伴い、原研業務内容研究所にそぐわない事業団的業務を押しつけ、しかも、その部分につき原子力安全委員会等議決を不要としている点にあります。  現行事業団法原子力船開発それ自体事業団目的とするのに対し、本法案は、原研目的に、原子力船開発のために必要な研究を行うことのみを付加しており、一見したところ、あたかも原研研究所たる性格が維持されているようでありますが、他方で、業務範囲については単に「建造された原子力船に関する業務一般が付加され、すなわち研究業務に限定されておらず、したがって、現行事業団法と同様に、特殊貨物船である「むつ」の運航一般が行われ得ることになっております。このように、法案の文言それ自体において目的業務内容が矛盾することは前代未聞であり、まさに欠陥法案と言わなければなりません。  さらに問題なのは、原子力船に関連する業務に関しては、前述のとおり原子力安全委員会等議決を不要とし、その規制の外に置いていることです。これらのことは、本来研究機関である原研事業団的性格を押しつけるものであり、原研の今後の運営に関し大きな問題を生ずるものと言わなければなりません。  以上が本法案反対する理由要点であります。  なお、我が党は、原子力船基礎的研究それ自体について反対するものではありません。ただし、私は、将来において石油資源が枯渇する際には原子力船実用化が必然的であるとする立論には大きな疑問を抱くものであります。  なぜならば、現在、海運において最も大きな比重を占めているのはほかならぬ原油の輸送であります。また、石油資源の乏しくなった時点で石油文明の申し子である自動車等の製品が大量に輸出されたり、その生産のための原材料を大量に輸入するといった経済構造が維持されるはずはないからです。すなわち、大量の物流を伴う現在の経済構造は、豊富ですぐれた低エントロピー資源である石油の諸特性の上に成立した人類史上極めて特殊なものにすぎず、この点の分析を欠いたまま、漠然と現在の産業構造を前提としてエネルギー源の転換のみを論ずることは愚かで無責任と言わなければなりません。石油枯渇後の経済、社会は更新性資源に立脚した省資源型で環境負荷の少ない、精神的には豊かながら物質的にはむしろつつましいものとなるはずです。そうでなければ、人類核廃棄物のごみに埋もれて滅亡するほかはありません。  私は、我が国科学技術政策がかかる未来についての深い洞察に基づいて行われることを切に希望するとともに、国権の最高機関を構成する本院の議員諸君がそれにふさわしい高い見識を持ってこの問題に当たられることを切に期待するものであることを付言して、私の討論を終わるものであります。(拍手
  7. 福永健司

    議長福永健司君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  8. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ——————————  日程第二 関西国際空港株式会社法案内閣   提出)  日程第三 地方自治法第百五十六条第六項の   規定基づき、地方運輸局及び海運監理部   の設置に関し承認を求めるの件
  10. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第二、関西国際空港株式会社法案日程第三、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、地方運輸局及び海運監理部設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員長福家俊一君。     —————————————  関西国際空港株式会社法案及び同報告書  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ   き、地方運輸局及び海運監理部設置に関し   承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔福家俊一登壇
  11. 福家俊一

    福家俊一君 ただいま議題となりました二案件につきまして、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、関西国際空港株式会社法案について申し上げます。  本案は、大阪国際空港現状等にかんがみ、同空港の環境問題と航空輸送需要増大に適切に対処するため、関西国際空港を早急に建設する必要があることから、民間活力の導入に留意しつつ、その事業主体として特殊法人たる関西国際空港株式会社を設立し、これに空港設置及び管理等を行わせようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、関西国際空港株式会社は、関西国際空港設置及び管理を効率的に行うこと等を目的とする株式会社とし、同空港を、国際航空路線に必要な公共用飛行場として、大阪府の地先水面設置するものとすること、  第二に、同会社は、同空港及び航空保安施設並びに空港ターミナル施設等建設及び管理等を行うこととすること、また同空港及び航空保安施設設置及び管理は、運輸大臣が定める基本計画に適合するものでなければならないこと、  第三に、政府は、同会社発行済み株式の総数の二分の一以上の株式を保有するとともに、地方公共団体は、自治大臣承認を受けて、同会社に対して出資することができること、  第四に、政府は、同会社に対する無利子貸し付け、債務保証税制特例等助成措置を講ずることとするほか、配当の特例国庫納付金、同会社に対する監督、会社設立手続等について所要規定を設けること等であります。  本案は、三月二日本院提出され、四月五日の本会議において趣旨説明を聴取し、同日本委員会に付託されました。  本委員会におきましては、翌六日細田運輸大臣から提案理由説明を聴取した後、十三日から質疑に入り、十七日参考人意見聴取、十八日委員派遣、さらに、二十七日に、地方行政委員会建設委員会環境委員会交通安全対策特別委員会の四委員会連合審査会を開くなど慎重に審査を行いました。  その間において行われた質疑の主なる事項を申し上げますと、同空港事業主体あり方地方公共団体等出資起債等に対する財源措置、収支採算見込み、環境監視及び空港運営に関する協議会等設置アクセス等地域整備、適材適所の人材起用、現大阪国際空港存廃問題等多岐にわたっておりますが、その詳細につきましては委員会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、五月八日質疑終了後、討論に入りましたところ、自由民主党・新自由国民連合中馬弘毅君、公明党・国民会議森田景一君及び民社党・国民連合中村正雄君から、本案賛成日本社会党護憲共同小林恒人君及び日本共産党革新共同の辻第一君から、本案に対し反対意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第でございます。  なお、本案に対し、政府本法施行に当たり、関西国際空港株式会社に対し適切な指導を行うべきである旨等附帯決議が付されました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、地方運輸局及び海運監理部設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、地方運輸行政総合化及び効率化を図るため、海運局陸運局を統合して、北海道北海道運輸局、宮城県に東北運輸局、新潟県に新潟運輸局、東京都に関東運輸局、愛知県に中部運輸局大阪府に近畿運輸局、広島県に中国運輸局、香川県に四国運輸局、福岡県に九州運輸局、また、神戸市に神戸海運監理部をそれぞれ設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、国会承認を求めようとするものであります。  本件は、二月二十二日本委員会に付託され、三月九日細田運輸大臣より提案理由説明を聴取し、五月八日質疑を行い、採決の結果、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 福永健司

    議長福永健司君) これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第三につき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ——————————  日程第四 調和ある対外経済関係形成を図   るための国際通貨基金及び国際復興開発銀   行くの加盟に伴う措置に関する法律等の一   部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 株券等保管及び振替に関する法   律案内閣提出参議院送付
  15. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第四、調和ある対外経済関係形成を図るための国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案日程第五、株券等保管及び振替に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員会理事中西啓介君。     —————————————  調和ある対外経済関係形成を図るための国際   通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴   う措置に関する法律等の一部を改正する法律   案及び同報告書  株券等保管及び振替に関する法律案及び同報   告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔中西啓介登壇
  16. 中西啓介

    中西啓介君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、調和ある対外経済関係形成を図るための国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、調和ある対外経済関係形成を図るため、関係法律の一部を改正しようとするもので、その主な内容を申し上げますと、  第一に、国際復興開発銀行国際開発協会及びアジア開発銀行の円滑な事業活動の継続を図るため、その増資を行うことに伴い、我が国国際復興開発銀行に対し総額六億六千二百四十万協定ドル国際開発協会に対し総額五千三百三十五億九千八百五十七万円及びアジア開発銀行に対し総額十二億三千三百七十五万協定ドル追加出資をそれぞれ行うため、規定整備を図ることといたしております。  第二に、外国会社に係る有価証券報告書提出期限につきまして、本国における法制度等を考慮して、弾力化することといたしております。  第三に、非居住者による対内不動産投資につきまして、その自由化を行うべく手続を改正するとともに、非居住者である個人等による株式取得に関する指定会社制度を廃止するほか、対内直接投資に関し規定整備を行うことといたしております。  第四に、日本輸出入銀行の輸入金融貸付相手方外国法人を加え、その機能の充実を図るとともに、余裕金運用方法として、新たに外国通貨をもって表示される預金等を加えることといたしております、  また、財政法第四条第一項ただし書き等規定により発行する外貨公債につきまして、発行地の法令または慣習によることができることとする等所要規定整備を行うことといたしております。  以上が本法律案の概要であります。  本案につきましては、四月二十七日竹下大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、五月八日質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしました結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。  次に、株券等保管及び振替に関する法律案について申し上げます。  本案は、我が国証券市場現状にかんがみ、株券等保管及び受け渡しを抜本的に合理化し、株券等の流通の円滑化を図るための措置を講じようとするものであります。  その主な内容を申し上げますと、  第一に、この制度の対象となる株券等保管及び振替を行う保管振替機関について所要規定を設けるとともに、これをその事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人の中から主務大臣が指定することといたしております。  第二に、従来の株券等受け渡しにかわって、投資家証券会社等株券等を預託し、証券会社等はこれらを保管振替機関に再預託することにより、その後の売買取引担保取引は、保管振替機関証券会社等に備えられる帳簿上の振替によって行うことができる旨の規定を設けることといたしております。  第三に、預託された株券は、形式上すべて保管振替機関の名義に書きかえられるため、これを預託した株主は、発行会社が作成する実質株主名簿基づいて、その株主権を直接行使する旨の規定を設けることといたしております。  なお、個々の投資家が本制度を利用するかどうかは任意となっております。  本案は、参議院先議に係るもので、去る四月二十日大蔵委員会に付託され、同月二十七日竹下大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、昨九日質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 福永健司

    議長福永健司君) これより採決に入ります。  まず、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第五につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。     昭和五十六年度一般会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書(その2)     昭和五十六年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁  日程 所管経費増額調書(その2) (承諾を  第六 昭和五十七年度一般会計予  求めるの     備費使用調書及び各省各  件)     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     備費使用調書及び各省各     庁所管使用調書     昭和五十七年度特別会計予     算総則第十一条に基づく経     費増額調書及び各省各庁     所管経費増額調書  日程第七 昭和五十六年度決算調整資金から   の歳入組入れに関する調書承諾を求める   の件)  日程第八 昭和五十六年度一般会計国庫債務   負担行為総調書(その2)
  20. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第六、昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外五件(承諾を求めるの件)、日程第七、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)、日程第八、昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)、右八件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。決算委員長横山利秋君。     —————————————     〔報告書本号末尾掲載〕     —————————————     〔横山利秋君登壇
  21. 横山利秋

    ○横山利秋君 ただいま議題となりました各件について、決算委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず第一に、予備費等について申し上げます。  これらは、財政法規定基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  そのうち、昭和五十六年度分の予備費は、昭和五十七年一月から三月末までの間に使用が決定されたもので、一般会計予備費は、災害対策費及び国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等二十一件で、その金額は九百八十四億七千六百万円余であります。  特別会計予備費は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費等七特別会計の十件で、その金額は合計七百三十七億四千四百万円余であります。  また、昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額は、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費の増額三百三十三億七千七百万円余であります。  次に、昭和五十七年度分の予備費は、同年度内に使用が決定されたもので、一般会計予備費は、災害対策費及び雇用保険の求職者給付に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等四十七件で、その金額は一千二百二十五億八百万円余であります。  特別会計予備費は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費等十特別会計の十四件で、その金額は合計一千三百八十六億二千九百万円余であります。  また、昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額は、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費の増額等五特別会計の七件で、その金額は合計七百五十七億四千六百万円余であります。  第二に、決算調整資金について申し上げます。  これは、決算調整資金に関する法律規定基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  すなわち、昭和五十六年度におきましては、予見しがたい租税収入の減少等により、一般会計の歳入歳出の決算上二兆四千九百四十八億九百万円余の不足を生ずることとなりましたので、決算調整資金に関する法律規定により、これを補てんするため、同資金からこれに相当する金額を一般会計の歳入に組み入れたものであります。  第三に、国庫債務負担行為について申し上げます。  本件は、昭和五十六年発生の河川等災害復旧事業費補助につきまして、百五十六億二千七百万円を限度として債務負担行為をすることといたしたものであります。  以上の各件は、昨五十八年十二月二十八日、それぞれ委員会に付託されました。  委員会におきましては、昨五月九日各件について大蔵大臣から説明を聴取した後、質疑を行いましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  同日質疑終了後、討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合は各件に賛成日本社会党護憲共同、公明党・国民会議及び社会民主連合は、国庫債務負担行為に賛成、これを除く各件に反対、民社党・国民連合は、決算調整資金反対、これを除く各件に賛成日本共産党革新共同は、昭和五十六年度一般会計予備費(その2)、昭和五十七年度一般会計予備費及び昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額並びに決算調整資金反対、他の各件に賛成意見をそれぞれ表明されました。  次いで、採決の結果、予備費等各件及び決算調整資金は、いずれも多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。  また、国庫債務負担行為については、全会一致をもって異議がないと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 福永健司

    議長福永健司君) これより採決に入ります。  まず、日程第六の六件中、昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書及び昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省各庁所管経費増額調書の三件を一括して採決いたします。  三件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。  次に、日程第六のうち、昭和五十六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)及び昭和五十七年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書の三件を一括して採決いたします。  三件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。  次に、日程第七につき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。  次に、日程第八につき採決いたします。  本件委員長報告異議がないと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり決しました。      ——————————  日程第九 電波法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  27. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第九、電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。逓信委員長志賀節君。     —————————————  電波法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔志賀節君登壇
  28. 志賀節

    ○志賀節君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約附属書の一部改正の発効に備えるため、義務船舶局の運用要件等を整備するとともに、我が国内外の国際化の進展にかんがみ、無線局の開設に関する外国性排除を緩和することにより、相互主義を前提として、外国人等にも陸上を移動する無線局等の開設を認めるほか、電波法関係手数料について、その上限額が法定されていることを改め、具体的金額は政令に委任すること等、その他所要の改正を行おうとするものであります。  本案は、去る三月二日当委員会に付託され、四月十九日奥田郵政大臣から提案理由説明を聴取し、昨五月九日質疑を終了いたしました。  本案に対し、日本共産党革新共同佐藤祐弘君から、電波法関係手数料の額を政令委任とする条項を削除することを内容とする修正案が提出され、その趣旨説明を聴取した後、討論の申し出もなく直ちに採決の結果、同修正案は否決され、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  29. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  30. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ——————————  日本電信電話株式会社法案内閣提出)、電気   通信事業法案内閣提出)及び日本電信電話   株式会社法及び電気通信事業法施行に伴   う関係法律整備等に関する法律案内閣   提出)の趣旨説明
  31. 福永健司

    議長福永健司君) この際、内閣提出日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。郵政大臣奥田敬和君。     〔国務大臣奥田敬和君登壇
  32. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、日本電信電話株式会社法案につきまして申し上げます。  この法律案は、今後における社会経済の進展及び電気通信分野における技術革新等に対処するため、日本電信電話公社を改組して日本電信電話株式会社を設立し、事業の公共性に留意しつつ、その経営の一層の効率化、活性化を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。     〔議長退席、副議長着席〕  第一に、日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業を経営することを目的とする株式会社であるとしております。  また、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他会社目的を達成するために必要な業務を営むことができることとしております。  第二に、会社の責務といたしまして、会社は、その事業を営むに当たって、常に経営が適正かつ効率的に行われるよう配意し、国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにその成果の普及を通じて我が国電気通信の創意ある向上発展に資するよう努めなければならないこととしております。  第三に、会社株式につきましては、政府は、常時、会社発行済み株式総数の三分の一以上の株式を保有していなければならないこととしております。  また、政府の保有する会社株式処分は、その年度の予算をもって国会議決を経た限度数の範囲内でなければならないこととしております。  なお、外国人及び外国法人等は、会社株式を保有することができないこととしております。  第四に、新株の発行、取締役及び監査役の選任等の決議、定款の変更等の決議、事業計画、それに重要な設備の譲渡につきましては、郵政大臣の認可を受けなければならないものとする等、会社の監督について所要規定を設けることとしております。  第五に、郵政大臣は、新株の発行、定款変更等の決議、事業計画、重要な設備譲渡についての認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならないこととしております。  第六に、附則において、政府は、会社の成立の日から五年以内に、この法律施行の状況及びこの法律施行後の諸事情の変化等を勘案して会社あり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを定めるとともに、会社の設立及び日本電信電話公社の解散に関し所要経過措置等を定めることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしておりますが、日本電信電話公社法等の廃止及びこれに伴う経過措置規定は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。  次に、電気通信事業法案につきまして申し上げます。  電気通信事業は、国民生活及び国民経済の維持発展に必要不可欠な電気通信役務を提供する事業であって、我が国が二十一世紀へ向け高度情報社会を形成していくための基盤的役割を担うものであります。  この法律案は、このような電気通信事業に競争原理を導入することにより、その効率化、活性化を推進するとともに、電気通信事業の有する公共性にかんがみ、事業運営を適正かつ合理的なものにすることにより、電気通信役務の円滑な提供を確保し、及びその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発展を図ろうとするものであります。  次に、法律案の概要を御説明申し上げます。  その内容の第一は、総則的事項といたしまして、電気通信事業者が取り扱う通信の秘密の保護、検閲の禁止を規定するとともに、利用の公平及び重要通信の確保について定めております。  第二に、電気通信事業を、みずから電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する第一種電気通信事業と、第一種電気通信事業者から電気通信回線設備の提供を受けて電気通信役務を提供する第二種電気通信事業とに区分しております。  このうち、第一種電気通信事業につきましては、電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと等、事業の安定性、確実性を確保するため、事業の開始を郵政大臣の許可に係らしめております。また、その料金については、国民生活、国民経済に重大な影響を及ぼすものでありますので、利用者にとって適切なものであるよう認可に係らしめております。  また、第二種電気通信事業につきましては、多種多様な通信需要に応じた電気通信役務の提供が予想される分野でありますので、原則として届け出で事業を開始できることとしております。ただし、特別第二種電気通信事業、すなわち、不特定多数を対象とする全国的、基幹的事業及び外国との間の事業につきましては、この社会的、経済的重要性にかんがみまして適切な業務運営が行われるよう、事業の開始を郵政大臣の登録に係らしめております。  第三に、第一種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業につきましては、事業を営む上で最も基本となる電気通信設備について、国が一定の技術基準を定め、良質かつ安定的な電気通信役務の提供を確保するとともに、端末設備について、円滑な電気通信が行われるよう一定の技術基準を定めた上で、利用者が自由に設置できることとしております。  第四に、第一種電気通信事業において事業遂行上必要となる土地の利用等について所要措置を講ずることといたしております。  第五に、郵政大臣が事業の許可、料金の認可等この法律基づく重要な処分をしようとする場合には、審議会に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならないこととしております。  第六に、附則において、政府は、この法律施行の日から三年以内に、この法律施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずるものといたしております。  この法律施行期日は、昭和六十年四月一日といたしております。  次に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴い、関係法律の廃止及び改正を行うとともに、所要経過措置等を定めようとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず、日本電信電話株式会社法施行に伴うものといたしましては、電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法を廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、  第一に、日本電信電話公社法の廃止に伴い、同法及び日本電信電話公社の名称を引用している関係法律について、引用部分の削除、名称の変更等所要の改正を行うこととしております。  第二に、日本電信電話公社が改組され日本電信電話株式会社になった後も、引き続き共済制度を適用することとし、これに伴い、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  第三に、会社の労働関係については、労働三法によることとし、公共企業体等労働関係法は適用しないこととするとともに、調停に関する暫定的な特例措置を定めるため、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  次に、電気通信事業法施行に伴うものといたしましては、電話設備費負担臨時措置法を廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、  第一に、公衆電気通信法の廃止に伴い、同法及び同法中に規定されている公衆電気通信役務等の用語を引用している関係法律につきまして、引用部分の削除、用語の変更等所要の改正を行うこととしております。  第二に、有線電気通信法及び電波法等の関係法律中、公衆電気通信業務の一元的運営を前提とする規定につきましては、所要の改正を行うこととしております。  また、以上の関係法律の廃止及び改正とあわせて、所要経過措置等を定めることといたしております。  なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することといたしております。  以上、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ——————————  日本電信電話株式会社法案内閣提出)、電気通信事業法案(内閣提出)及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  33. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鈴木強君。     〔鈴木強君登壇
  34. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました電気通信事業改革三法案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。  質問の第一は、なぜ現行公社制度を廃止してその経営を会社形態に移行させるのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。  この三法案は、我が国電気通信事業効率化し活性化するためにということで、現行公社制度株式会社に変えて、電気通信事業の全分野に競争原理を導入しようとするものであります。しかし、強度の公共性や通信の秘密の確保、社会的生活、生産基盤の充実、通信の公平なサービスの提供等、国民経済、利用者、国民の立場に立って考えてみるときに、積極的利益を見出すことはできません。しかも、政府は、国民共有の財産である電気通信事業を売却することによって多額の利益を得ようとしているのであり、同時に、株式の公開によって私的資本の電電株の買い占めを可能にし、将来性の十分ある電気通信事業を私的資本の支配のもとに置こうとしているのであります。  また、利益の上がる地域への新規参入を認めることになっておりますので、不採算地域へのサービス提供義務を持つ新電電会社においては、あまねく公平なサービスの提供や適正な料金制度の維持が困難となる可能性が強くなり、利用者国民は、近距離、市内通話料金の大幅値上げやサービスの格差、ダイヤルの複雑化など負担増大、不便の拡大を受けることは必至であります。このことは、今回の私たちの米国と英国の電気通信事業調査の結果からもはっきりと確認できるのであります。  そもそも我が国の電信事業は明治二年十二月に、電話事業は明治二十三年三月にそれぞれサービスが開始されたのでありますが、その都度事業の民営化が俎上に上り、論議が闘わされたことは事実であります。しかし、当時の先覚者榎本武揚先生や前島密先生の主張された、電気通信事業は公共性が極めて高いこと、都にひなにあまねく公平にサービスを提供すべきであること、通信の秘密は絶対に守られなければならないこと、電気通信事業我が国の政治、経済、文化の先駆的使命を担うものであること、したがって本事業は利潤追求を目的とする民間経営にすることはできないとする先見性ある英知と勇断によって、この事業政府がこれを専掌するということとなり、自来今日まで、実に星霜百十七年間、終始一貫国有国営ないし公共企業体として経営されてまいったのでございます。(拍手)  今日の我が国電気通信事業は、先人の御労苦と電電公社発足後の六次にわたる長期拡充計画が全職員の一致協力したとうとい努力によって見事に実り、電話の加入者数は四千三百万に達し、また、申し込めばすぐつく電話、全国どこへでもすぐ通ずる電話の二大目標を達成し、加えて世界最高の技術水準に達するという偉大な業績をつくり上げたのでございます。また最近では、長期にわたる研究の結果開発された光ファイバー回線や衛星通信を利用して、高度情報化社会に即応する新しいINSサービスの形成に向けて、そのモデルシステムは現在順調に建設が進められているのでございます。  確かに、現行公社制度には多くの不備欠陥があり、特に当事者能力が欠如していて、業務の軌道的運営と職員に対する待遇の改善が適切にできなかったことは、今日まで幾たびか指摘されてきたところでございます。  したがって我が党は、公社制度から離れるとするならば、その新事業体は臨調が言うような新規参入、分離、分割、民営移行ではなく、国民共有の財産にふさわしい特別立法に基づく民主的な特殊法人とすべきであると主張し、再三にわたり政府に強く要求し続けてきたのでございます。その結果、事業の分割を行わなかったことは評価いたしますが、効率化の最優先、公共性の軽視を初め、我々の主張する基本的経営主体のあり方については全くこれを無視し、拙速に結論を出したことは極めて不満であり、我が党は本改革三法案には反対でございます。  以上申し上げました諸点に対して、総理の明確なお答えをいただきたいのであります。(拍手)  第二は、電気通信事業法案によりますと、我が国電気通信事業は第一種と第二種の二つに分類され、第一種については新規参入を認め、いずれも許可制となり、第二種については届け出ないし登録制としていますが、特に登録制としての具体的事項を郵政省令にゆだねていることは納得できません。また、外資規制については、新電電と国際電電は外国法人等は保有できないことになっていますが、その他の第一種事業については外資比率を三分の一未満としていますが、特別第二種事業については、当初二分の一としてあったものを単に貿易摩擦の解消という立場で全面自由化したことは重大問題であり、今後我が国の通信主権の確立、さらにVAN事業の発展に重大な悪影響を及ぼすことは明らかだと言わなければなりません。当初の郵政省案を変更しなければならなかったのはなぜか、また、この点につきましては、郵政、通産両省の対立や、マンスフィールド米駐日大使の安倍外務大臣訪問等いろいろと報道されていますが、真相をこの際明らかにしていただきたいのでございます。  第三は、新電電会社は、当面株式政府が全額保有することとなっていますので、事実上政府の一人株主となり、商法上の株主総会を開くことができないと思います。そうなれば、経営は完全な密室状態に置かれることになります。公共性の強い事業体として民主的な公的コントロールをどのようにするのか、政府のお考えをはっきりとしていただきたいのでございます。  第四は、政府の統制であります。  許認可、政令、省令など、政府の規制と拘束はおびただしいものがあります。臨調答申では、政府の規制を必要最小限度にとどめて経営の自主性を認めることが事業の活性化のために必要だと指摘していますが、今次法案では、現行制度よりむしろ規制が強まっているとさえ言えます。このようなことで経営の当事者能力が保障されるとは到底思われません。また、許認可等のために要する事務も相当量になると考えられます。これでは臨調答申の趣旨にも逆行すると思いますが、行革推進を政治生命とされている総理としていかがお考えになりますか。  新電電会社は、事業計画について郵政大臣の認可を受けなければならないとされていますが、この事業計画の内容についてはできる限り簡素なものとし、いやしくも予算統制的なものにならないよう経営の自主性を高めるべきであると思いますが、この点を明らかにしていただきたいのであります。また、このことにつきましては、大蔵大臣との協議が必要になっていますので、竹下大蔵大臣からもお答えをお願いいたします。  さらにまた、第一種事業の料金は郵政大臣の認可を要することになっていますが、基本的なサービスについては、その公共性から見て料金決定原則を法定し、料金水準についても認可を受けることとして、その他の料金については公正競争を確保する立場からも新事業体に任せるべきだと考えますが、政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。  第五は、新会社株式における政府保有株式の処分については、「その年度の予算をもって国会議決を経た限度数の範囲でなければならない。」となっていますが、各年度ごとに株式をどの程度放出する予定なのか、同時に、「政府は、常時、会社の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。」としていますが、この三分の一以上の株式保有の上限は幾らを考えているのか、また、このことが新電電に対する政府の介入を強めることにならないかどうか、明らかにしていただきたいのでございます。  また、現在、電電公社の資産総額は幾らになっておりますか。会社設立時の資本金の規模は幾らを予定していますか。また、株式配当はどの程度を見込んでいますか。政府は保有株式への配当益をどのように処分するつもりでございますか、お答えを願います。  第六は、電報事業は、経過措置として当分の間、新電電と国際電電のみがこれを行うことができるとなっていますが、重要な電気通信事業の一翼である電報事業を第一種とみなしてとか、当分の間とか、極めて軽く扱っていることは絶対承服できません。郵政大臣の御所見を承りたいのであります。  第七は、新会社の取締役と監査役の選任及び解任は郵政大臣の認可を受けなければならないとなっていますが、取締役の数は何人を考えているのか、明らかにしていただきたいのであります。  第八は、新電電会社法については成立の日から五年以内に、また、電気事業法については施行の日から三年以内にそれぞれ検討を加え、必要な措置を講ずるとしていますが、「必要な措置」とは一体何か、明確にしていただきたいのであります。  第九は、事業法案では、複数の事業者を対象とし、競争状態が存在する以上、独禁法の適用を除外する必要はないとしていますが、無原則な競争が電気通信事業全体を混乱状態に置くことは、米国の例を見ても間違いないことだと思います。新電電会社においては、基本的なサービスやネットワークなど一元的運営分野に対する独禁法の適用除外と、会社移行後も事業の分離、分割はしないことを明確にすべきであると思いますが、総理の御所見を承りたいのでございます。  第十は、労働基本権、すなわちストライキ権についてであります。  この問題は、国際的な趨勢からしても、法律で何らかの規制を加えようとする政府の姿勢は前時代的であり、極めて問題があると考えます。いろいろ御配慮をいただきましたが、この点につきまして坂本労働大臣の明確な御答弁をいただきたいのでございます。  最後に、この三つの電電改革法案は、今後における我が国電気通信事業の運命を決める極めて重要な法案であります。このような重要法案を、今国会への法案提出締め切り期日を過ぎて提出したことは明らかに政府の約束違反であります。加うるに、VAN論争の決着と政策運営の不手際が各方面から大きな批判を受けたことを総理はどう反省されておられますか。現在、私の手元に一千万人に上る本法案反対する請願署名が届けられています。この三法案は、これら国民意見を踏まえ、十分時間をかけて慎重に審議を進め、悔いを後世に残すことのないようにすべきだと確信します。  以上、私は、政府が国家百年の計を誤ることのないよう心から憂い、中曽根総理以下の誠意ある答弁を重ねて要求し、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  35. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 鈴木議員にお答えをいたします。  まず、現行公社制度を廃止して、株式会社形態に改正する理由いかんという御質問でございます。  今まで一元的運営電気通信事業についてとってきたのでございますが、近年は新しい通信メディアが次々と実用化され、また、国民の需要も高度化され極めて多様化されつつある状態でありまして、必ずしも単一の事業体だけで行うことが適当でないという状況になってきております。特に、高度情報社会への先導的役割を果たしていくためには、ある意味において競争体制への政策転換を図って、そしていろいろな事業体が参画し、かつ競争し得るようにすることが国民に対するサービスをさらに向上せしめる、さらにまた事業自体効率化せしめる、そういう点が十分考えられることになったのであります。このような考えに立ちまして経営形態の変更を考え、これは臨調答申の線に沿った形で行っておるものであります。  次に、現行制度に比べて許認可あるいは政令、省令などの規制が著しくなっているではないかという御質問でございますが、事実は逆でありまして、現行制度では、電電公社以外の者が電気通信事業を営むことは一切禁止されております。また、電電公社の事業運営につきましても、予算、給与あるいは役務提供等あらゆる面で厳しい規制が行われておるのであります。今回の制度改正は、これらの規制を廃止して、新しい電電会社やあるいは新規参入事業者の自由な事業活動を保障し、経営の自主性を十分に発揮するようにしたものでございまして、今までのものとは質的にも異なったものにする、これまた臨調答申の線に沿って行っておるものなのであります。  次に、独禁法との関係及び事業の分離、分割に関する御質問がございました。  電気通信事業の分野におきましては競争原理を導入するという必要性から本法案提出しておるものでございまして、当然独禁法の適用を受けるべきものであります。なお、しかし、新電電会社の分離、分割の問題につきましては、例えば分離のような問題でしたら、データ通信等において必要において考えられることもあり得ると思います。分割の問題につきましては、これは大きな事業体でもあり影響するところもありまするから、事業の推移をよく見まして慎重に対処していきたいと考えております。  次に、労働基本権に関する御質問がございました。  新会社の労働関係につきましては、労働三法を適用して争議権を認めようとするものでございますが、事業の重要性にかんがみまして、迅速な労使紛争の処理を図るため、暫定的に調停手続特例を設けようとするものでございます。  次に、法案提出の時期が非常におくれたではないかという御質問でございます。  日本電信電話株式会社法案及び電気通信事業法案につきましては四月十日、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきましては四月十六日、それぞれ国会提出いたしましたが、当初予定よりおくれましたことは甚だ遺憾であります。しかし、これは今回の法体系の改革が明治二年以来実に百十五年目に及ぶ有史以来の大改革でもあります。この改革が非常に多方面にもわたりますために調整に手間が取られまして、それだけおくれましたことは甚だ遺憾でございます。  次に、この法案に対する取り扱いについて御質問をいただきました。  この三法案は、電気通信が国民利用者の多様化のニーズにこたえ、かつ二十一世紀に向けて高度情報社会への先導的役割を果たしていくという新しい体系づくりの基礎となるものであります。この意味におきまして、この三法案は、高度情報社会を迎える今日におきましては、考えられる最も適切な法案であると確信いたしまして、速やかに御審議の上成立あらんことを希望するものであります。  残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣奥田敬和君登壇
  36. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 鈴木議員の御質問にお答えいたします。  まず、特別第二種事業を登録制にしたことに対する考え方でございます。  不特定多数のユーザーを有しまして全国ネットを形成する特別第二種事業は、余り規制が強過ぎると自由な競争に対する抑止力となるおそれもございますし、他方、社会経済的に非常に大きな影響を有する特別第二種電気通信事業を全く自由にしてしまうということも、通信の公共性確保の観点から問題があると判断した次第でございます。したがって、参入の条件を明確にする趣旨から、登録制とすることによって、一定の適格性を有する者であれば自由に参入できるように努力したところでございます。また、登録の要件は法律上明確に定められておりまして、御指摘のように具体的事項まで郵政省令にゆだねているようなことはございません。  次に、特別第二種事業者に外資規制を外したのはなぜかという御指摘でございます。  我が国の企業の最近の技術開発力、適応力から見て、外資参入をもし認めたといたしましても、我が国電気通信市場というものが外国産業に席巻されるようなことはなくて、むしろ内外無差別の競争のもとで外国企業も含めてやることが、我が国電気通信事業の健全な発達に資するものではなかろうか、最終需要者、ユーザーにとっては安くてかつ良質なサービスを受けられるものであるという考え方のもとに立って、外資制限を設けないことを決断した次第でございます。  なお、新会社株式政府全額保有のために株主総会が開かれないことになるんじゃないか、設立委員は何人になるかという御質問でございます。  この新会社は、設立時確かに株主政府一人でございます。しかし、これは一時的な現象でございます。また、株主総会開催は形式的には可能でございます。したがって、商法の特則を設けて株主総会にかわるものは今のところ考えておりません。また、設立委員は会社法制定後任命するものでございます。委員の数については、従来の特殊会社設立の例等を参考に決定いたしたいと考えておりますけれども、現段階では、具体的に人数を御指摘でございましたけれども、固めるまでに至っていないということでございます。  次に、事業計画の認可に当たってできるだけ自主性を高めさせなければいかぬじゃないかという御指摘でございました。  公社形態から新会社への移行によりまして、当然予算統制は廃止されます。また、事業計画の内容についても予算統制的なものにならないように十分配慮してまいりたいと思っております。  次に、第一種事業の料金についてでございますけれども、この料金は国民の日常生活には非常に関係がございます。産業経済活動に及ぼす影響も大きゅうございます。そういった主要サービス料金については、決定原則を法定するとともに、料金水準を郵政大臣認可に係らしめておりますけれども、その他の付加、付随的なサービス料金については新会社に任せて認可の対象にしないことにいたしております。  次に、新会社株式処分は各年度ごとにどの程度放出するのかという御指摘でございました。  処分に当たりましては、その限度数は国会議決を経るという手続をとって対処することにいたしておりますが、具体的な処分計画は今後の検討課題として処理すべきものだと認識をいたしております。  政府保有株式が三分の一以上、上限は幾らか、あるいは株式保有は政府の介入を強めることにならないかという御指摘でございます。  政府株式保有は三分の一以上で明定しておりまして、法律上の上限はありません。  次に、政府株式保有に伴う政府介入についてでございますが、政府が常時三分の一以上の株式を保有する義務を負わされていることにしております根拠は、新会社の公共的役割の重要性でございます。そしてまた、この巨大な新会社が、特定の者に経営が支配されたり株主権が乱用されたりすることのないように、会社に対する政府の実効的支配を確保することにしておるものでございます。新会社事業運営に対して介入を強めるという趣旨ではございません。御理解を願います。  現在の公社の資産総額は幾らか、新会社の資本金規模は幾らかという御質問でございました。  電電公社の現在の純資産は、昭和五十七年度末で約四兆六千億円でございます。また、新会社の資本金は、新会社発足時に電電公社から継承する純資産の範囲内で資産の性格内容を十分吟味した上で、配当負担等も勘案をいたしまして、適正な規模で決定される必要があると考えられます。しかし、これらの件は、いずれにしても制度上設立委員会を設けまして決めるべきものでございますので、現時点において私から申し上げることを遠慮させていただきます。  次に、株式の配当見込み及び株式売却益の処分方法はいかんという御指摘でございました。  配当は、新会社の経営内容やあるいはその見通しが明確になる中で、新会社の意思によって具体化していくことは当然でございますけれども、目下の時点においては私からお話しする段階ではございません。ただ、政府保有株式の配当益をどう処分するかということについては、株式売却益の使途の問題とあわせて、関係の向きと検討してまいりたいと思っております。  法案では電報事業の取り扱いが軽過ぎると思うがどうかというような御指摘でございました。  しかし、電報事業は、鈴木議員の御指摘のように、今日においても国民生活にとって欠かすことができない役割を果たしております。ところで、他方、電報事業は、人力依存度が高いという特質から、電信電話事業の中にあっては大変大きな赤字を出していることも事実でございます。そしてまた、利用通数と申しますか、総じて減少傾向にあることも、利用構造を含めて大きく変化していることも御理解いただけると思います。したがって、今後の電報事業あり方については見直す必要があります。しかし、その結論が得られるまでは、従来どおり、電電公社が新会社に受け継がれても電電新会社並びに国際電電に行わせることが適当であるとの判断のもとに、電気通信事業法の附則でも所要措置を講じておるものでございます。電報事業の重要性につきましては、十分認識しておるところであることを強調いたしておきたいと思います。  なお、新会社の取締役の数は何人が適当かという御指摘でございますが、取締役の数は、新会社事業規模等を勘案いたしまして、ほかの特殊会社もございます、民間会社制度の例も参考にいたしまして決定されるものと考えておりますけれども、これらは、先ほどから申しましたように、設立委員において決めるべきものでございまして、現段階において私から申し上げることは遠慮させていただきたいと思います。  次に、新電電法案における見直し規定中の「必要な措置」とは何かということでございます。  今後の会社経営の効率的な経営のあり方等々総合的に検討を加えた上で所要措置を講じていこうということでございますけれども、具体的な「必要な措置」の内容につきましては、会社法を施行いたしまして新会社になりましてから、果たして競争原理が働いて健全な市場構造ができるかどうか、そういった変化等を慎重に検討の上で、もちろん、最終の需要者である国民、ユーザーである国民に対して、安くて良質でかつ確実なサービスがいかに確保されるかを基本として考えていこうと思っております。現時点において予断することは困難でございますので、この程度の説明にさしていただきます。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  37. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、大蔵大臣との協議事項のことについてでございます。  郵政大臣からもお答えがございましたが、まず事業計画の認可等政府の関与は、他の類似の特殊会社に対する関与のあり方等も配慮しながら、必要最小限にとどめることとしておるところであります。御提案しております電電株式会社法では、新会社事業計画についての郵政大臣認可に当たって大蔵大臣協議が必要となっておりますが、事業計画及びそれに添えて提出されますところの書類がどのようなものになりましょうとも、これによって新会社の弾力的な運営が阻害されることはないようにすべきである、このように考えております。(拍手)             。     〔国務大臣坂本三十次君登壇
  38. 坂本三十次

    ○国務大臣(坂本三十次君) 民営化後の新会社に関して、ストライキ権を法律で何らか規制をするということは問題ではないかという御質問でありました。  新会社の労働関係については、基本的には労使の自主的な信頼と努力にゆだねることといたしておりまして、労働三法を適用して争議権を認めるものといたしております。しかしながら、新会社が行う電気通信事業が公益上極めて重要でありまして、公労法の適用から労働三法の適用へと、その労使関係の法的基盤が大きく動くときであります。そういう関係上、特に迅速な労使紛争の処理を図るために暫定的に調停手続特例を設けようというわけでございまして、他意はございません。(拍手)     —————————————
  39. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 小谷輝二君。     〔小谷輝二君登壇
  40. 小谷輝二

    ○小谷輝二君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案並びに同二法の施行に伴う関係法律整備に関する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に対し若干の質問を行うものでございます。  言うまでもなく、提案されました電気通信制度の改革は、明治以来百十四年一貫して続いてまいりました我が国電気通信政策を根本から改変しようとするものでございます。したがって私は、まず、我が国電気通信政策の改革に当たって、総理がどのような認識を持っておられるのか、お尋ねをしたいのでございます。  私は、今後の電気通信政策を論ずる場合、端的に言って、次の視点を欠いてはならないと考えるものでございます。  それは第一に、これまで電気通信政策の柱であり、今国民生活や福祉の担い手となっている電話サービスを、これまでどおり公平、正確、低廉に提供しなければならないという点でございます。第二は、高度情報社会の到来に対応して、我が国電気通信政策はいかにあるべきかということでございます。第三は、臨調答申にあるごとく、現在の電電公社の経営意識の欠如、設備の過剰等、非能率また非効率をどのように克服するかということであります。  こうした視点を踏まえて、総合的に二十一世紀に及ぶ電気通信政策が論じられなければならないと考えるものでございます。行政改革の名のもとに民営化を先行させ、結果として拙速主義にもし陥ることがあるとするならば、将来に重大な禍根を残すことになると言わざるを得ないのであります。総理は、こうした基本的な認識をお持ちなのかどうか、お尋ねをするものでございます。  私は、こうした視点を前提に、以下、基本的な問題について何点かお伺いをするものでございます。  第一は、電電公社の民営化及び電気通信事業自由化によって、国民生活、福祉の向上、災害対策にとって欠かすことのできない電話サービスが、今までどおり確保できるのかどうかということであります。  電話料金について言えば、東京−大阪間のような一部の市外区間が競争によって値下げされたとしても、市内通話や過疎地域の料金値上げを招くのではないかという懸念があります。電電公社では、既に市内通話料金の値上げを検討していると言われております。主に新規企業の参入が予想されている産業用需要の大きい一都市外区間の料金を競争によって値下げされれば、新電電はその収入の減少を生活圏の市内通話料金の値上げによって補わざるを得なくなるのではないか。もしそうならば、国民の反発を受けることは必至であります。何のための改革か、だれのための改革なのか、疑問であると言わざるを得ません。  総理は、今回の制度改革によって、市内通話や過疎地域の料金値上げは絶対にあり得ないと確約できるのかどうか、明確なお答えを求めるものであります。(拍手)  電話事業に競争が持ち込まれるならば、採算のとれない部門への設備投資研究開発費が抑制され、福祉や災害対策等の電話サービスの低下を招くことが懸念されております。この点、絶対にそうではないと断言できるのか、あわせて御答弁をお願いするものであります。  次に、第一種電気通信事業に対し、実質上競争の原理が働くような新規参入があるのかどうかについては議論の分かれるところでありますが、電電公社を民営化する一方、万が一、第一種電気通信事業へ効果ある新規参入がなかった場合、巨大な民間企業をつくるだけで、公社改革の意味が半減される結果になることは明らかであります。そうなれば、将来、日本と米国とでは法制度が異なるといえども、ATT、アメリカ電話電信会社に見られるように、企業の分割という事態を余儀なくされ、経営の非能率を招き、結局利用者に不便をかける上料金の値上げにつながることが、新電電についても懸念されるわけであります。  総理は、第一種電気通信事業に対し、事実上競争の原理が働くような新規参入があると考えておられるのかどうか、もしもそのような効果的な新規参入がなかった場合、どのような対応をされるのか、お伺いするものであります。  質問の第二は、高度情報社会への移行という時代の変化にいかに対応すべきかという点であります。  電気通信政策を大改革するのであれば、まず政府は、高度情報社会の展望を国民の前に示すべきであります。ところが政府は、電気通信審議会から電気通信システムの高度化に関する長期指針を策定すべきであるとの答申を受けながら、いまだにその長期指針を示していないのであります。総理は、この長期指針はいつ示されるのか、御答弁をいただきたいのであります。  次に、VAN事業については、全面的に自由化が急がれております。それは、通信回線利用の自由化と端末機器の自由化であり、さらに言えば、それと関連して電電公社のデータ通信本部の分離であります。それであるならば、現在の段階において電電公社の民営化を急ぐ必然性がいかなる理由であるのか、その点疑問を持たざるを得ないのであります。納得のいく御答弁を求めるものであります。  総理も御承知のとおり、国鉄の場合、国鉄再建監理委員会設置され、現在その改革の方向が検討されております。私は、電電公社の改革についても、電気通信行政が国家の神経ともなる重要なものと考えるならば、国鉄の改革と同じような、むしろそれ以上の慎重な過程を踏むべきであると考えるものでありますが、なぜそのような手順を踏もうとされないのか、御答弁を求めるものであります。私は、電電公社の民営化を真っ向から否定するものではありません。確たる将来の展望を持たないまま、経済合理主義を追求し、民営化という名のもとに、国民の意思を代表する国会の手の届かないようにしてしまうことは、その公共性、公益性から見て、拙速のそしりを免れることはできないと言わざるを得ないのであります。  質問の第三は、電電公社の経営形態の変更と行政改革との関係性についてであります。  経営形態を変え、民営化すれば公社の改革となるかのような政府の姿勢は余りにも安易であり、無責任であると言わざるを得ません。公社は、現在、従業員三十三万人、純資産四兆六千億円という巨大組織であり、これがそっくり新会社へ移行すれば、史上最大の超マンモス企業となることは言うまでもありません。たとえ新事業法によって競争原理を導入したとしても、依然として独占状態が続くのではないかと思われるのであります。巨大独占の状態が今後も続けば、それに安住し、経営の効率化を損なうおそれがあり、改革の趣旨に反することになります。したがって、具体的な合理化、効率化のビジョンをまず明示していただきたいのであります。  我が党は、かねてから、公社の改革においてはデータ通信設備サービス部門をさしあたり分離すべきことを主張してきたのでありますが、この点についてどう考えられているのか、あわせて明確な答弁を求めるものであります。  さらに、法案では、新会社事業範囲を国内電気通信事業と附帯事業その他目的を達成する事業とされているだけで、今後どのような事業を行うのか不明確であります。巨大な資本力と技術を背景に、新電電会社が通信関連機器の製造及び販売事業等に参入すれば、既存の民間業者を圧迫するおそれが大であると考えられますが、新会社もしくは子会社による新たな事業進出及び投資活動をどう考えておられるのか、お伺いいたします。  また、第二種電気通信事業の外資規制が外されたことによって、ATT、IBMなど米国の巨大資本が我が国の民間企業を圧迫するのではないかとの懸念が持たれているのであります。この点について政府のお考えをお尋ねするものであります。  第四に、電電公社の株式会社移行に伴う株式公開に関連してお伺いいたします。  まず、四兆六千億円の純資産を持つ新電電の株式公開は、証券、金融市場への多大な影響を与えると思うのであります。株式売却による影響についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。また、新電電の株式売却による利益はどのように扱うのか、あわせてお伺いいたしたいのであります。  今回の公社民営化には、株式の取り扱い、金融投資、資材調達等において巨大な利権が生まれ、将来疑惑の温床となることも想像されるところであります。公社の資産は長年にわたり蓄積された国民の貴重な財産でもあり、これをいやしくも一部の者によって利権化させることは、断じてあってはなりません。このような懸念に対する総理の明確な御所見を伺っておきたいのであります。高度情報社会における電気通信事業の果たす役割は、単に情報の伝達だけではなく、社会の先導的役割を果たすものと考えられます。その意味で、今後の電気通信政策のあり方が日本の将来の発展を左右するものと言っても過言ではございません。  私は、最後に、再度電気通信政策の大改革は慎重の上にも慎重を期さなければならないことをここに訴えて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  41. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小谷議員にお答えをいたします。  まず、新しい電電ができた場合に、市内や過疎地における電話料金の値上げをせざるを得ないような事態が起きないか、社会公共性をないがしろにはしないか、そういう御質問でございます。  新規参入は、これまで供給側が独占をしておりましたために必ずしも十分対応していない新しい需要にきめ細かく対応する形で生じてくるものと考えられますから、新規参入が生じてきても、そのことによって既存事業者のシェアを奪うという方向よりも、むしろ新規の需要を積極的に掘り起こす、そういう形によって、大都市、地方を問わず利用がふえ、電気通信全体が高度情報社会の基盤として発展していくものと考えられます。したがって、新規参入を認めることが、市内や過疎地における電話料金に直ちに影響するものとは考えられません。また、電電公社が行っている福祉、災害対策等の電話サービスについては、新電電会社がそのまま承継することとしておりますので、御指摘のような懸念はないものと考えております。  次に、競争会社が出現しない場合が考えられるか、そのような場合にはどういう影響があるか等の御質問がございました。また、独占による弊害を回避するために分割等の対策も考えなくてはならないと思うがいかん、こういう趣旨の御質問でございます。  ただいままでに申し上げましたように、新規参入というものは、これまで独占体制にあった関係から必ずしも需要に対してきめ細かい、そして多様性を持った要望にこたえられないという、そういうおそれがあったのであります。新会社は、競争会社の出現によりまして合理化への強い刺激を受けることになりますし、企業性を十分発揮していかざるを得ないという形になりまして、効率化していくものと考えます。そういう意味におきましても、当面独占による弊害がそれによって生じるとは考えておりません。したがいまして、分割問題は当面慎重に行うべきものであると考えておるわけであります。  次に、高度情報社会に対応して、民営化よりも回線の利用等の自由化を先に図るべきではないかという御質問でございます。  一元的運営体制をとってまいりました点の欠陥について申し上げましたが、通信メディアが次々と実用化されるとともに電気通信に対する国民の需要も高度化され、かつその需要は非常な速度を持って、また非常な多様化を持って迫ってくるものであると考えられます。したがって、単一の事業体ではこれに適切に対応することが困難ではないかと考えられます。回線の利用の自由化を図るといたしましても、単一の事業体による独占的運営のもとでは、その事業体の経営の枠内においてのみの自由化にとどまりまして、来るべき高度情報社会に向けて、国民利用者に対して低廉できめ細かい電気通信サービスの周到な提供は困難になるのではないかと考えられます。今回の改革により、新電電会社は一層創意工夫を生かした効率的経営が可能となり、そのメリットが利用者に還元されるものと期待されているわけであります。  臨調の答申に流れておる三つの理念、すなわち赤字の解消、効率化、時代のニーズヘの対応が基本であると思う、電電公社の民営化は、これらの基本理念からは直接当てはまらないではないか、そして、電話の公共性を重視して国民生活向上に重点を置くべきではないかという御質問でございました。  電電公社を今回改革する趣旨は、先ほど申し上げましたように、国民利用者に良質な電気通信サービスを低廉で安定的に供給しようというもので、かつ赤字あるいは効率化あるいは需要、ニーズに対応する、まさにこういう点に対する考慮から今回の改革も行われておるものであり、そのこと自体が公共的、公益的使命を果たすゆえんであると考えておるものでございます。  次に、新電電の株式処分に関する御質問がございました。  この点は、実際新しい会社ができて運営を行う場合には非常に重要な問題であると思っております。これらの問題につきましては、国の重要な資産として、国民全体のためになる処分であるべきであると思っております。したがってこれは、いやしくも利権の対象になるようなことがなく、厳正、公平、かつ慎重に対応していかなければならない問題であると考えております。  次に、電気通信に関する長期指針及び高度情報社会の基本認識について御質問がありました。  高度情報社会の形成に向けて、電気通信は情報化の基盤をなすインフラストラクチュアとして、社会経済等あらゆる分野において社会先導的役割を果たすと考えております。したがって、電気通信政策の今後の展開が、豊かでゆとりある将来社会を構成する上で重要なかぎを握ることになると考えております。この認識のもとに、電気通信政策を先導的かつ適正に実施していかなければならないと思いますし、そのような考えに立って政策指針をつくるべきであると考えております。  残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣奥田敬和君登壇
  42. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 小谷議員の御質問に答える前に、先ほどの鈴木議員の御質問に対する答弁に補足させていただきたいと思います。  特別第二種事業、いわゆるVANに対する外資規制削除の件についての御質問でございました。  この件について郵政、通産に対立があったじゃないかという御指摘でございましたけれども、外資規制排除に関しては郵政、通産両省には基本的に格別な対立はなかったものでございます。また、この件につきましても米国から、マンスフィールド大使のお名前を出されて特別な圧力というようにお聞き取りしたわけでありますけれども、そういうことはございません。ただ、内外無差別とすることについて、できればそういう方向でやってもらえないかという要望はあった、それだけの話でございます。あくまでも内外無差別によって、新しい競争原理の導入によりまして切磋琢磨することが、最終的なユーザーである国民にとって最も適切な方法であると自主的に判断したということでございます。  なお、小谷議員の御質問にお答えをいたします。  まず、電通審答申のように早く電気通信システムの高度化に関する長期指針を示すべきではないかという御指摘でございました。  確かに御指摘のとおりでございます。国がこの長期指針をできるだけ早く制定をいたしまして、電気通信システムの高度化を円滑に達成するように努力する必要があると考えております。  なお、新電電の独占の状態の継続は、経営の効率化を損なって改革の趣旨に反するという御指摘でございますけれども、私たちは、今回の改革は、電気通信の新しい進展に対処いたしまして、今日まで独占的に運営されてきた電気通信分野に新しい競争原理を導入させて、公社を改組して民営化を図ろうとする一大改革でございます。これによって新会社が一層創意工夫を生かし、弾力的かつ効率的運営を可能といたしまして、有効な競争原理を通じて、国民にその利益とサービスを還元してもらいたいという願いを込めての改革であることを御理解賜りたいわけでございます。  なお、データ通信に関して、サービス部門を分離すべきではないかという御指摘でございました。  私は、基本的にはそういった規模の適正化、公正な競争原理の整備という面から考えますと、それに持っていくことが一つの有効な方策であると考えております。しかしながら、直ちに分離ということにつきましては、現在の利用者に対する影響、事業体に与える影響、これに従事している一万人に近い職員の動向等々のことを考えながら、現実的な処理をしながら考えてまいるという必要があると考えております。したがって、当面現在の体制で新会社で行く、データ部分を分離しない、しかし、自後そういう体制に持っていくのが適切であろうという方向だけは、私もそのとおりだと思っております。  次に、新会社の製造部門への参入は民間圧迫、新会社の新たな形の問題になるのじゃないかという御質問でございました。  私は、新電電会社事業範囲は、御指摘の通信機器の製造事業等への進出は、この新会社の設立の趣旨、民間市場の成熟度から考えた場合に、慎重に対処すべきものであろうと考えます。私は、通信機器の購入者が製造部門にみずから進出することについては、経営の効率的運営という観点からは問題があると考えております。その程度で御理解賜りたいと思います。  株式の公開、売却の影響はどうか、株式の売却益をどう扱うかということでございます。  新電電の株式の売却益の使途についてでございますけれども、現時点におきましては、その使途についてはまだもちろん決まっておりません。また、国の一般会計の赤字補てんのために民営化を行うものじゃないということを明確にする必要があるじゃないか、これは意見の一つでございます。電電公社の資産形成の経緯にかんがみまして、株式売却益等の収入は、これからの電気通信技術の研究開発の推進に生かすべきでないか、あるいは電電債券の償還のために使用されるべき筋のものじゃないか等々、いろいろな御意見があることは承知いたしております。郵政省といたしましては、本問題について、このような御意見を踏まえながら引き続き関係の向きと御相談してまいるところでございます。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  43. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、今の最後の郵政大臣の御答弁と重複することになろうかと思いますが、まず、御案内のように、予算をもって国会議決を経た限度数の範囲内で行うこととされておりますが、いずれにいたしましても、売却そのものが行われますのは六十年度以降の問題でございますので、具体的な方法についてはまさに今後の検討課題、このように考えておるわけであります。それから、新会社株式政府が保有することとされておることからも明らかでございますが、財政当局としてのいわば筋論として申し上げるとしますならば、その売却収入も一般会計に全額帰属をして、そして財政需要全般におのずから充当されていくべきものであろう、そのように認識をいたしておるところでございます。  それから次の問題は、それが行われた場合のいわゆる市場等への影響の問題でございます。時期や規模、こういうものが決まっていない状況において、市場への影響について確たることを申し上げる段階にはなかろうと思います。しかし、仮に市場へ売却する場合にも、市場に混乱が生じないような配慮をしなければならぬ、これは当然のことであろうと理解させていただいております。(拍手)     —————————————
  44. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 西村章三君。     〔西村章三君登壇
  45. 西村章三

    ○西村章三君 宇宙に浮かぶ通信衛星、放送衛星、家庭生活の必需品に変身するコンピューター、日本列島をくまなく覆う光ファイバー、さまざまな新しい構想や技術、サービスなど、電気通信、情報通信は今大きな変革の時代を迎えております。ニューメディアの出現で生活やビジネスや社会構造はどう変わるのか、産業活動と生活形態を一変させる可能性も出てまいりました。それだけに、電気通信政策の重要性とその適切な運用が強く求められております。  私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました電電改革三法案に関して質問を行うものであります。  申すまでもなく、今回のいわゆる電電改革三法案は第二臨調の答申に基づくものでありまして、行政改革の一環として位置づけられるものであります。すなわち、日本電信電話公社を民営化してその経営の効率化を図ることと、過去、電電公社により独占的に営まれてきた我が国電気通信事業に競争原理を導入して、その活性化を図ろうというものであります。  我が党は、かねてより行政改革には積極的に取り組んでいるところでありますが、電電公社を民営化して当事者能力を付与することにより、より効率的な経営を行うようにすること、及び電気通信事業に民間企業の参入を認めて国民の多様なサービスを選択できるようにすることには、基本的に賛成の立場を明らかにいたしております。(拍手)  しかしながら、電気通信事業は産業社会を初めとする現代社会のいわば神経系統を担うものであり、国民、企業、国家の利益と安全に密接にかかわるものであります。また、逓信省から電気通信省そして電電公社と、一貫して公的な経営形態により築き上げられてきた日本の電気通信のネットワークを民営に移管することや、電気通信事業に民間企業の参入を認めることは、我が国電気通信政策の歴史的な大転換と言うべきものであります。したがって、今回のこの改革案が国民に混乱をもたらすことなくしかも我が国電気通信事業の将来の発展に役立つものとなるのかどうか、極めて慎重に検討する必要があると存じます。  私は、以上のような基本的視点に立って、総理並びに関係各大臣に対し具体的に質問を行ってまいります。  まず第一の問題点は、電電公社の民営化と政府による規制との関係であります。  電電公社を民営化する最大の理由は、現行の公社形態を変更することによって当事者能力を付与すると同時に、政府の統制からできるだけ自由になって効率的な経営を行うためであります。私は、現在の公社制度では、例えば給与総額制によって企業業績を職員の賃金に自由に反映させることができないなど、予算統制を初めとする政府の規制が強過ぎて公社に当事者能力が与えられておらず、効率的な経営が妨げられていると思います。したがって私は、公社の民営化は当事者能力付与のためにもぜひとも必要だと考えますが、今回の電電株式会社法案では、すべての役員の選任及び解任を認可の対象としたり、事業計画の認可が収支予算や資金計画にまで及んでいたり、あるいは包括的監督権の定めが乱用されることにより政府の過剰な統制が会社に対して行われるおそれが強いのではないか。さらに、事業法における第一種事業者に関する設備や料金の規制のため、電電会社は身動きがとれないのではないか。これらの点について郵政大臣の考えをお尋ねいたします。  第二の問題点は、電電公社の民営化及び民間企業との競争と公共性の確保との関係であります。  公社の民営化は、独立して自由な経営を行わせるためでありますが、他方では、民営化されるとはいえ、日本の電気通信網の大部分を所有する電電会社には大きな公共的使命が課せられるわけであります。不採算の地域を含む全国への電話役務の提供義務や、直接収益にはつながらない基礎的研究への研究開発投資義務も会社法案には規定をされ、さらに、事業法における第一種事業者に関する設備や料金の規制も新会社にはかかってくるのであります。  しかも、この新会社は、事業法案のもとでは、民間電気通信事業者との競争状態に置かれるわけでありまして、このような国家的見地からの制約のない民間企業との競争により、電電会社がその公共的な機能を果たせなくなるおそれはないのか、あるいはどのようにしてそれを予防するのか。また、例えば東京−大阪間といった収益性の高い区間だけで商売をして、あとは電電会社のネットワークに接続するいわゆるクリームスキミングをする民間業者の出現が当然予想されるのでありますが。競争政策をとる以上これらの措置はやむを得ないものと考えるのか、あるいは何らかの措置を取るのかどうか。加えて、市内通話料金が赤字のままでは電電会社のクリームスキミングに対する抵抗力はますます弱まると思うのでありますが、政府はこれらに対してどのように対処をしようとするのか。  さらに、公社が一九九〇年を目標にINSを建設しつつありますが、他の民間業者との競争に力を割かれてINS計画が遅延するおそれはないのかどうか。また、国民経済的見地から政府は今後INS計画に何らかの支援を与えるのか、一民営会社の内部計画としてこれを放置するのか。  以上の各点について、総理並びに郵政大臣の明確な答弁を求めるものであります。  第三の問題点は、電電会社株式の処分についてであります。  言うまでもなく電電公社の資産は加入者である国民の納めた設備料と公社の事業収益から成り立っております。また、加入者債券の強制によりスムーズな資金調達ができたことも、公社の資産形成に大きく寄与していると言えます。このように、国民の寄与によって形成された資産が株式の形で投資家に向けて処分されるわけでありますが、処分の方法については、国会議決を受けた限度数の範囲内で処分することができると規定をされているだけであります。私は、国民の出捐と寄与によって形成された資産の処分に当たっては、少なくとも明瞭な原則に従うべきであって、例えば当座の税収不足を補うために使われたり、その他の恣意的な安易な処分がなされることは絶対してはならないと考えます。  そこでお尋ねをいたしますが、当初電電会社の資本金を幾らとする考えなのか、電電会社株式の処分についての原則はどのように定めようとするのか、また、株式売却代金の一定部分を電気通信事業のインフラストラクチュアの整備基礎的研究開発投資に回す考えはないのか。これらの点について、総理並びに郵政大臣、大蔵大臣に質問をいたします。  第四の問題点は、事業法案による民間通信事業者の新規参入と競争のあり方が、利用者の利益につながるものになるのかどうかであります。  今回の法案で民間業者の新規参入を認めたのは、電気通信事業に競争原理を導入し事業の活性化を図って、利用者に低廉で多様なサービスが提供されるようにするためであります。したがって、特に新規参入が多く見込まれる第二種事業者に係る登録制や届け出制及び第一種事業者に係る設備の需給調整が競争制限的に運用されることのないように、及び情報処理業者に規制がかかるものでないようにすることが極めて肝要であります。これらの規定の運用方針について、郵政大臣に質問をいたします。  ところで、利用者利益の観点からは、できるだけ自由な競争が必要ではありますが、電気通信事業が広範なネットワークを形成し、個人や企業や官庁の秘密にかかわる情報を伝達する事業である以上は、最低限の安全性というべきものは確実に確保されなければなりません。また、地震や事変のような国家や社会の緊急事態における通信の確保も、絶対にこれは必要であります。従来は、電電公社が政府の一員として安全性の確保に努め、非常時のための迂回通信路の建設も行ってきました。しかし、今回の事業法案の中では、守秘義務はうたわれていても、民間事業者に対する実効性は不明であり、また緊急通信の優先義務は、第一種事業者について、その契約約款の認可のための必要事項として定められ、担保されているにすぎません。これで果たして通信の安全性や緊急通信の確保が可能なのかどうか、郵政大臣の見解を伺います。  第五の問題点は、電電会社の労働関係の規制がどのような形で行われるかであります。  私は、電電公社が商法上の株式会社になった以上は、当然労働三法の適用だけにすべきであり、特別にスト規制をする立法は全く必要がないと考えます。確かに、電気通信事業の公共性を重視する立場からの規制必要論も一理はありますが、危機的事態については労働関係調整法で十分その対応ができ得る仕組みになっております。労働関係はむしろ労使の自主的な信頼と努力にゆだねた方が健全な発展が見られると思うからであります。この点について、総理並びに郵政大臣、労働大臣の見解を伺います。  第六の問題点は、電気通信事業への外資規制をどうするかという問題であります。  事業法案では、第二種事業者に係る外資規制は一切取り払われました。これは貿易摩擦を抱える我が国にとって国際的な要請であり、やむを得ざる面があるとも言えます。しかし、日本の通信主権を確保するという観点からはなお問題は残るでありましょうし、貿易摩擦の代償としては他にもっと開放すべき分野があると考えますが、この点についてはいかがなものなのか。  また、このことに関連をして、アメリカから通信衛星を購入するという構想が具体化しているようでありますが、将来の日本の高度情報化社会を支える技術力の涵養という立場から考えて、安易な方法は今後に問題を残すと思うのでありますが、いかがなものなのか。以上の点について、総理並びに郵政大臣の見解を伺います。  最後の問題点は、制度の見直し規定についてであります。  電電会社法案には、会社成立の日から五年以内に、事業法案には、施行の日から三年以内に、それぞれ見直しをするものと規定がされております。表裏一体であるべき両法案の見直し規定期間が異なることはおかしいと思うが、なぜなのか。また、どのような点について見直しを考えているのか。電電会社法について、仮に競争企業が出現をせずに独占状態が続けば、独禁法上の問題が出てきて、それが見直し規定によって分割につながるのか。その際、分割による競争の強化の必要性だけではなく、ネットワークの一元的運営の効率性及び公共性という側面も判断材料になるのかどうか。事業法の見直しは具体的にどの部分を念頭に置いているのか。これらの点について、総理及び郵政大臣の見解を伺いたいと存じます。  以上、重要項目七点に絞ってお伺いをいたしましたが、いずれの問題点も将来の電気通信事業の発展を左右するものであり、この法案内容と運用いかんがその成否を決すると申し上げても過言ではありません。それだけに総理並びに関係大臣の明確にして責任ある指針と答弁を強く求めて、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  46. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 西村議員にお答えをいたします。  電電会社は不採算地域への電話提供義務等の公共的役割が大きいが、しかし、国家的見地から制約のない民間企業との競争において電電会社は公共的な機能を果たせなくなるおそれはないかという点が、第一の御質問でございます。  電電新会社は、非採算地域と採算地域の双方、すなわち日本全国一円をその営業地域とする巨大事業体でありまして、経営規模によるスケールメリットを有しております。また、今回の改革は、新会社が一層創意工夫を生かした弾力的かつ効率的経営を可能とするとともに、事業者間の有効な競争を通じて事業の効率的運営に対する強い刺激と効果を与えるものであると考えています。これらのことによりまして、新電電会社は、競争状況の中にあって、その公共的機能をまた十分に果たし得るものと考えておる次第であります。  次に、電電公社の資産処理の問題でございます。  政府保有株式の処分に当たりましては、一方において国民経済に対する影響を十分考える必要があると同時に、国の重要な資産として国民全体のためになる処分をするように厳正公平かつ慎重に、これは検討して行うべきものであると考えております。  次に、電電会社の労働関係の規制の問題であります。  新会社の労働関係につきましては、基本的には労使の自主的な信頼と努力にゆだねるべき問題であり、労働三法を適用することといたしておりますが、新会社が行う電気通信事業の持っておる重要性にかんがみまして、特に迅速な労使紛争の処理を図るために暫定的に調停手続特例を設けるようにしたものであります。  次に、第二種事業における外資規制の問題は、日本の通信主権を確保するという点から問題を残さないかという御質問でございますが、第二種電気通信事業は利用者の多様化する通信需要にきめ細かく対応する事業であり、民間の創意工夫が最大限に生かされる分野であります。我が国企業の有する技術開発力、適応力から見まして、参入してくる外国の企業に席巻されるようなことはなく、むしろ内外無差別の原則のもとで外国企業と競争する方が我が国の第二種電気通信事業の健全な発達に資するものであろう、最終需要者にとってはまた最も低廉かつ良質なサービスを受けられるものになるであろう、このような考えに立ちまして外資規制を設けないことにしたのであります。  次に、米国からの通信衛星購入問題でございます。  これは、四月二十七日の対外経済対策におきまして、民間企業による外国の通信衛星の購入の道を開くとともに、新電電による通信衛星の購入については、宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、新電電の独自の判断による内外からの購入の道を開くことといたしました。これは、衛星の自主技術開発を進めるとの我が国方針を一方において堅持しつつ、対外経済政策面での配慮もいたしたものなのであります。  次に、電電会社法は五年以内、事業法が三年以内、このように期間に差があるというのは食い違いがあるのではないかという御質問でございますが、電電会社は、三十万人体制の巨大な組織が急速な技術革新の進展と競争原理の導入といった新たな環境に対応していくのでありまして、一応の状況展開が行われるためにはある程度の時間的要素が必要である、このように考えて五年以内といたしました。他方、電気通信事業法につきましては、多種多様な事業形態が想定される電気通信事業全般を対象としたものであります。とりわけ、第二種電気通信事業におきましては、特にきめ細かい対応が行われる事業体でありまして、参入が容易であるとともに、実態の変化も激しい分野になるものと予想されて、非常にスピードが加速される可能性もございます。このような実態の変化に即応して見直すことが望ましいとの考えのもとに三年以内としたものでございます。  残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣奥田敬和君登壇
  47. 奥田敬和

    ○国務大臣(奥田敬和君) 西村議員の質問にお答えを申し上げます。  まず、新会社に対する政府の関与は少しきつ過ぎるのではないか、料金等の統制で動きがとれなくなるのではないかという御指摘でございました。少し詳しくなりますけれども、お答えをさしていただきます。  政府の関与は、ほかの類似の特殊会社に対する関与のあり方等を配意いたしましても必要最小限にとどめました。そして、会社の弾力的、効率的運営が図れるように配意したところでございます。  例えば、事業計画について申せば、現在、我が国には七つの特殊会社がございます。しかし、いずれも法律事業計画は主務大臣の認可事項とすることを明定いたしております。したがって、新会社は、事業計画の認可は必要になっておりますけれども、しかし、資金計画及び収支予算については、認可事項として法定いたしておりません。事業計画認可のみでございます。  役員任免についても、ほかの特殊会社には取締役及び監査役任免に加えて、さらに代表取締役の任免についても、二重の認可事項としてチェックいたしておるところもございますけれども、新会社はこのような二重のチェックは行わないことといたしております。  今ほど総理もお答えになりましたように、新会社は、その資産規模、そして三十二万人という従業員数、ほかの特殊会社と比較してけたが違うというところを勘案すれば、政府の関与がこれに比べますと極めて緩やかであるということを御理解賜りたいわけでございます。  また、新会社は、第一種電気通信事業として公益性を確保するという観点から、新規参入事業者とは同一な法律規制を受けることになりますけれども、今の電電公社は設備投資につきましても予算統制を受けております。主要な料金についてはもちろん法定されているところに比べますと、今後は、より自由な事業運営が行われるようになるということを御理解いただきたいわけでございます。  次に、御指摘のように新規参入のクリームスキミングヘの対応、これはいかんということでございます。  確かに、いわゆる新規参入に伴ってクリームスキミングと申しますか、おいしいところだけを食べられるという新規参入が行われることになると思います。しかし、これはデメリットの分だけじゃなくて、新規参入によって新しい通信需要が積極的に掘り起こされるということもあります。また、このことによりまして新電電会社の市内回線網の効率的な利用が図られるということも考えられます。したがいまして、新規参入によって直ちにおいしいところだけを食い逃げするような問題は生ずることにはならないのじゃなかろうかと思います。  また、競争原理の導入に伴いまして、新しい会社も一層競争意欲をかき立てまして経営効率の努力をするということも考えられます。したがって、利用者にとっては、競争によって安くてそして良質なサービスというものを自由に選択できるようになるということは、ユーザーにとって国民にとっての大きな利益還元だと期待されます。  さらに、電電公社のINS構想について今後どんどんディジタル化、統合化を進めるという手はずをとっております。そういう中でINS機構の計画に関しましては、これは当然継続されて行われるべきものでございますし、新規参入を認められることによってもこれは決して大きな影響は受けない、極端に言えば何ら影響は受けないと考えております。  また、ディジタル化あるいは統合化は、国際的動向及び電電新会社の技術の進展等から考えまして、今後ともその方向によってINS構想の流れには影響は受けないと判断をいたしております。  また、電電会社の資本金は幾らか、株式の処分はどうするかという御質問でございます。  これにつきましては、先ほど来もたびたびお答えを申し上げましたが、民営化に伴いまして、資本金、これはやはり新しく電電公社から受け継ぐ純資産の範囲内あるいはその資産の内容性格等を十分吟味した上で、将来における配当負担等も勘案をいたしまして適正な規模で決定される必要があると考えられますが、いずれにしてもこれは先ほども申し上げましたように、制度上、設立委員において決めるべきものでございまして、現時点においては私からお答えすることは遠慮させていただきます。  なお、株式売却代金の一部、これを電気通信事業研究開発に回すべきじゃないかという御指摘でございます。  私は、電電会社株式代金の使途についていろいろな論議があります。売却益使途についてはまだ決まっておりません。一般会計の赤字補てんのためにこれは使うべきものじゃないじゃないか、それを明定せよという御意見もございます。また、電電公社の資産形成の経緯等にかんがみまして、売却利益を今先生の御指摘になったような我が国の通信技術に関する研究開発あるいは電気通信利用者の利便向上に還元使用すべきであるという御意見もあることはよく承知いたしております。先ほどの答弁とダブりますけれども、郵政省といたしましては、本問題につきましては、そういったただいまの議員の御意見の趣旨をも踏まえ、引き続き関係の向きと相談して検討していくとしているところでございます。  次に、第二種業者の登録制度及び第一種業者の需給調整が競争を制限しないように配慮すべきだという御指摘でございます。  電気通信事業法は、今ほども申しましたけれども、民間活力の積極的な活用を図っていくという姿勢で競争原理導入を基本としております。したがって、こういった通信の秘密の保護、安全、信頼性の確保、電気通信事業の公共性に基づく規制は必要最小限度の範囲内にとどめていく所存でございます。しかもその運用に当たっても、制度の趣旨を踏まえまして、競争制限にならないように十分配意してまいりたいと思っております。  ただ、議員の御指摘なさいましたように、通信の安全性確保、緊急通信の確保等については不十分じゃないかという御指摘でございます。  これにつきましては、それらの重要性にかんがみまして、今般の電気通信事業法案におきましても、すべての電気通信事業者に守秘義務を課するとともに、天災、事変等の非常事態における重要通信の優先的取り扱いの義務を課しております。そして、これらの措置が実効的に担保されるように約款の認可その他行政上の措置を講じ得ることと総則的に担保いたしておりますので、十分確保できると考えております。  また、電電会社の労働関係につきまして、スト規制立法は不必要と考えるがどうかということでございます。  労働大臣からもお答えがあると思いますが、私にも御質問でございますので、この労働関係についてお答えを申し上げますけれども、先ほど来、総理、労働大臣から御答弁がされましたように、新会社の労働関係につきましては、基本的に労使の自主的な信頼と努力にゆだねるべく、労働三法を適用するということにいたしております。しかしながら、新会社が行う電気通信事業が、引き続き国民生活、国民経済にとって極めて重要な役割を果たしていることにもかんがみまして、特に迅速な労使紛争処理を図るために、労働関係調整法において調停に関する暫定的特例措置を設けようとしておることを御理解賜りたいと思うのでございます。所管大臣ですから、少し長くなっても我慢してください。  次に、第二種電気通信事業に係る外資規制についてであります。  我が国企業の有する技術開発力や適応力から見て、外資の参入を認めたとしても我が国電気通信市場が外国企業に席巻されることはなくて、むしろ内外無差別の原則下で外国企業と競争することが我が国の第二種電気通信事業の健全な発達に資するものであって、このことは最終需要者たるユーザーにとって低廉で良質なサービスの還元を受けられるものであるという考えのもとに、外資制限を設けないこととしたものであります。御理解を賜りたいと思います。  なお、会社法と事業法の見直し期間の相違はなぜかという重大な御指摘がございました。  これは、先ほど総理の御答弁にもございましたけれども、会社法案の見直しは、会社の効率的な経営のあり方、適正な経営規模等について行うものでございます。したがって、三十万人体制の巨大組織でございます、これらが、技術革新と競争原理導入といった新しい環境に対応していくためには、相応の期間が必要だという考えのもとに五年以内の見直しといたしました。他方、通信事業法案に関しましては、いろいろな多種多様な事業形態が想定されます。したがって、これらの事業分野に関しましてはきめ細かく対応することが必要であろうと思います。それで、実態の変化をも含めて非常に変化の激しい競争される分野になっていくと思われますので、この変化に即応して見直すことが望ましいという考えのもとに三年以内といたしたということでございます。また、分割問題につきましてもその検討の対象になり得るということも含めましてそういった期間が相違したということを御理解いただきたいと思います。  なお、この問題については、有効な競争原理導入につきましては、料金の適正化、サービスの地域格差の防止等いろいろな観点から検討を行いまして、有効な見直しの資料にいたしたいと思っております。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  48. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、資本金の問題と株式の問題でございます。  資本金の問題につきましては、先ほど郵政大臣から詳しく御説明がございました。何分、今後定款を定める段階で決定されることになりますので、現段階で確たることを申し上げられない、これに尽きると思います。  それから、次の株式売却の問題でございますが、御説のとおり、予算をもって国会議決を経た限度数の範囲内で行うとされておるところでございますが、何分にも六十年度以降の問題でございますので、具体的な方法については今後の検討課題であるという考え方を申し述べるにとどまります。  それから、株式売却収入の問題でございます。  これは財政当局側から申しますならば、新会社株式政府が保有することになりますならば、売却収入もまた一般会計、そうなるとそれは財政需要全般に充当さるべきものであるということになろうかと思うのであります。いろいろな御意見がございました。インフラに使ったらどうかとか、あるいは研究開発の問題等がございましたが、いずれにいたしましても、特定財源ということではございませんだけに、予算編成の過程において財政需要全般との同一の土俵の中で議論さるべきものである、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣坂本三十次君登壇
  49. 坂本三十次

    ○国務大臣(坂本三十次君) 既に総理及び郵政大臣のお答えしたとおりでありまするが、しかし、念には念を入れて、私からも一言御答弁を申し上げます。  西村議員の、民営化後の新会社についてはスト規制は必要なく労使の自主的な信頼と努力にゆだねるべきではないか、基本的には全く同感であります。それがゆえに労働三法を適用して、争議権も新会社には認めてあるわけであります。まさに信頼と努力が労使関係の基本であることは申すまでもございません。  ただし、この電気通信事業が非常に国民経済上重要な影響を持つということもこれまた否定できませんし、また、スト禁止の公労法からストを認める労働三法の適用へ労使関係が大きく変化をするというときでもございますので、特に迅速な労使紛争の処理を図るための調停手続に暫定的特例を設けたということでございまして、御了承を願いたいと思います。(拍手
  50. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  51. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会      ——————————