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1984-02-09 第101回国会 衆議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月九日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程第五号   昭和五十九年二月九日     午後二時開議   一 国務大臣演説に対する質疑                 (前会の続)     …………………………………  第一 皇室会議予備議員選挙  第二 皇室経済会議予備議員選挙  第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の     選挙  第四 裁判官訴追委員及び同予備員選挙  第五 検察官適格審査会委員及び同予備委員の     選挙  第六 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の     選挙  第七 北海道開発審議会委員選挙  第八 国土審議会委員選挙  第九 日本ユネスコ国内委員会委員選挙  第十 鉄道建設審議会委員選挙     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑  (前会の続)  議員請暇の件  日程第一 皇室会議予備議員選挙  日程第二 皇室経済会議予備議員選挙  日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備   員の選挙  日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員選挙  日程第五 検察官適格審査会委員及び同予備委   員の選挙  日程第六 国土開発幹線自動車道建設審議会委   員の選挙  日程第七 北海道開発審議会委員選挙  日程第八 国土審議会委員選挙  日程第九 日本ユネスコ国内委員会委員選挙  日程第十 鉄道建設審議会委員選挙  中央更生保護審査会委員任命につき事後承認を   求めるの件  電波監理審議会委員任命につき事後同意を求め   るの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め   るの件  社会保険審査会委員長及び同委員任命につき同   意を求めるの件  中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を   求めるの件  渡辺三郎君の故議員木村武雄君に対する追悼演   説     午後二時四分開議
  2. 福永健司

    議長福永健司君) これより会議を開きます。      ―――――・―――――  国務大臣演説に対する質疑  (前会の続)
  3. 福永健司

    議長福永健司君) これより国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。     〔竹入義勝君登壇〕
  4. 竹入義勝

    ○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、中曽根総理政治姿勢並びに当面の重要課題に対する取り組みに対し、重点的に問題を絞って質問をいたします。  総理、多くの国民は、今国会の推移を注目をいたしております。すなわち、政治倫理確立はどうなるのか、五十九年度で百二十二兆円に達する国債残高をどうするのか、中曽根内閣の掲げる行政改革経済政策で本当に財政再建ができるのか、この予算案景気回復は本物となるのか、増税と抱き合わせの減税公約違反ではないのか、高齢社会への急接近経済の低成長財政窮状の中で、年金医療教育の将来はどうなるのか、これらに対する政府国会対応に強い関心を寄せているのであります。しかし、今国会に提出された予算案施政方針のいずれにも課題克服への具体的施策が見当たらないのは、まことに残念でなりません。  総理教育改革を声高に訴えられるのは結構でありますが、うがった見方をする人によれば、増税財政再建失敗防衛費突出に対する批判をかわし、国民の目先を変えるための意図的なものではないかとさえ言われております。これらに対する総括的な答弁を求め、以下、重要項目別質問に移ります。  まず第一に、選挙戦最大の争点であった政治倫理問題に対して伺うものであります。  総理、田中問題のけじめが明確でなかったと述べた総裁声明は、自民党内向けのものであるとの批判もありますが、同時に、総理の総選挙結果の分析において、田中問題決着のあいまいさが国民不信感を招き、これが自民党の総選挙敗北原因であったことを明確に認めたものであると解釈しなければなりません。したがいまして、総理大臣として、今国会において田中問題のけじめをどうつけられるのか、改めて明らかにしていただきたいのであります。  ロッキード事件の教訓は、金権腐敗政治を一掃するための自浄能力を強化しなければならないということであります。私は、議長のもとに設置された政治倫理協議会で、国会議員が規範とする政治倫理綱領及び倫理規則が速やかに検討されることを期待するものであります。  また、閣僚の資産公開内容的にも不十分であり、総理公約からも国民の期待からも大幅に後退したと言わざるを得ません。政治家資産公開については、国会議員対象とした資産公開法を制定し、議員の職を得た後に一定額以上の個人資産が増加した場合は毎年これを届け出させ、公表するなどの措置を講ずるべきと考えます。  加えて、企業献金の禁止、政治家個人政治資金収支明確化等かねてから懸案である政治資金規正法改正強化をどう推進されるのか。私は、資産公開法の制定や国会法改正等のために、立法権限を持った政治倫理委員会を今国会において特別委員会として衆参両院設置すべきであると考えますが、自民党総裁でもある総理の御所見を伺うものであります。  さて、衆参両院議員定数の不均衡問題は今や放置できない状態にあり、最高裁判決から見ても、次の国政選挙定数均衡是正なくして執行することは不可能であります。したがって、公職選挙法定数法規確立を図り、定数を実際に配分する公正な第三者機関を速やかに設置するなどして、衆議院においては、現行五百十一議席並びに現行選挙制維持範囲内で不均衡是正すべきであると考えます。今国会においてどのように取り組まれるのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、総理施政方針演説で熱弁を振るわれた教育改革について質問をいたします。  荒廃する教育現状からして、今や教育制度根本的見直しが必要であるとの認識は私も同じであります。総理教育は国家百年の計を左右する基本であり、その改革に際しては、何をどう改めるべきかをまず国民の前に明らかにし、国民合意のもとに改革されなければなりません。しかし、総理演説では、改革の理念と視点、方法があいまいなまま教育改革の名のみが強く打ち出されたことに私は懸念をいたします。そこで、我々の考えを申し上げ、総理所見を伺うものであります。  私が改革視点として申し上げたい第一点は、子供の成長発達に見合った学校制度、例えば五歳児就学なども検討されるべきであります。  第二に、現在の学校制度の中で人間的な成長発達を阻害している要因を除くこと、すなわち知識偏重教育などがその対象になるはずであります。  第三には、社会の変化に対応できる人材をつくること、これは文化的、科学技術的な創造性の重視であります。  この三つの視点に対し御所見を承りたい。  総理、言い古されたことかもしれませんが、教育改革は、行政と教師そして両親と地域社会総合協力でなし遂げなければなりません。この点について総理の所信を明確にしていただきたいのであります。  また、教育改革の新しい機構構想について伺いたいのであります。  第一点は、その機構が何を目指し、いかなる構成で、いかなる問題を検討しようとするのか、その目的と内容を明らかにされたいのであります。  第二点は、既に文部省設置法によって中央教育審議会設置が義務づけられ、同様の問題を扱う任務を与えられておりますが、この中教審と新しい機構との関連を明確にしていただきたい。  第三に、仮に新しい機構設置されたにせよ、行政改革での第二臨調答申と同じように、党利党略によってつまみ食いしたのと同様の結果となることを危惧いたします。  以上について、総理はどのような考えでおられるのか、しかと伺いたいのであります。(拍手)  総理、特に教育改革失敗を許されず、慎重にしてしかも時期を逸してはなりません。したがって、できるところからさまざまな試行に着手し、実証性ある審議の上に国民合意を形成すべきであります。  その意味で、学校制度改革の着手として我が党が提言したパイロットスクール実施は不可欠であり、その試行を評価し援助する機構設置が肝要と私は考えます。総理の御所見をお聞かせいただきたい。(拍手)  次に、景気浮揚財政再建について重点的に質問をいたします。  景気浮揚財政再建という二つの課題は極めて重要であります。政府予算案は、景気対策財政再建、いずれも中途半端であり、この内容に終始する限り、政府の掲げる六十五年度赤字国債脱却は看板倒れに終わるものと言わざるを得ません。  政府が、増税を初め国民に大きな負担増を強いながら何ら税の自然増収につながる景気対策も講ぜず、徹底した行政改革に踏み込めないようでは、常識的な見方をすれば、六十年度は恐らく未曾有の大増税を行わざるを得ないと思います。既に総理は、施政方針において、「時にやむを得ない負担をお願いする場合も生じてきている」と、それを予告する内容を宣言されておりますが、この点について御所見を求めたいのであります。  総理景気浮揚財政再建課題を克服するためには、基本的な問題として、政府がとり続けている縮小再生産型の経済財政運営軌道修正しなければならないと考えます。ここ数年、政府財政再建の名のもとに減税を見送り、公共事業を抑制し、福祉教育予算削減を繰り返してきた結末が景気停滞を長期化させ、同時に財政再建も全く進まないという状況に陥れてしまったのであり、現在の財政赤字の四割が循環的要因と言われることに、その政策不在ぶりが象徴されるのであります。したがって、積極的な経済政策によって景気回復を実現し、日本経済安定成長軌道に乗せるべきであります。そのためにも、大幅な所得税減税公共事業拡大は不可欠であり、とりわけ公共事業有効活用及び国公有地等活用による民間活力導入は重要なかぎであります。その一方で、これまでの制度、仕組み、慣行を抜本的に見直す徹底した行政改革によって歳出削減を断行すべきであり、財政の帳じり合わせ的な行政改革では、問題解決には結びつかないと言わざるを得ません。  こうした視点から、以下具体的にお尋ねをいたします。  まず第一に、内需拡大によって景気回復安定成長軌道に乗せる具体策として、増税をやめ、所得税一兆円、住民税四千億円の大幅減税実施を私は改めて要求するものであります。  政府は、五十九年度減税規模を平年度所得税住民税を合わせて一兆円程度にとどめたばかりか、その減税財源物品税酒税所得税住民税最低税率引き上げなどの大衆増税法人税率引き上げなど、安易な増税あさりとしか言えない措置に依存をいたしております。このような減税規模の圧縮、大衆増税の抱き合わせでは、五十八年中に景気浮揚に役立つ相当規模所得減税を行うとの与野党合意を踏みにじり、所得税住民税減税に期待されていた生活防衛個人消費喚起による景気浮揚税負担公平化などの効果をすべて帳消しにすると言わざるを得ません。  総理が勇気ある決断を下し、政府減税案に少なくとも平年度ベース所得税で三千億円、住民税で一千億円の減税上乗せをすること、並びに六十年度においても一兆四千億円規模減税を強く要求いたしますが、総理の誠意ある答弁を承りたいと思います。(拍手)  また、総理選挙中に増税はしないと明言されました。酒税物品税法人税率引き上げは、みずからの公約を破棄するばかりか、「増税なき財政再建」の大公約をも棚上げするものではありませんか。私は、酒税物品税引き上げの撤回を求めるとともに、法人税率引き上げ中小企業活力をそぐことのないよう、軽減税率適用範囲拡大措置をとるよう要求し、答弁を求めます。  私は、法人税率引き上げ基本的には見送ることを主張するものでありますが、それにしても、二年間の時限措置とは理解に苦しみます。政府税制調査会答申によって再浮上してきた大型間接税導入が画策されていることを考え合わせるならば、二年後には当然法人税率引き下げ停止大型間接税導入が取引されるのではないかと疑うものでありますが、総理は、大型間接税導入はあり得ないことを明言できるのでありますか、それとも、二年間の時限措置を延長ないしは法人税法本則に繰り入れを予定しているのか、しかと伺っておきたいのであります。(拍手)  さて、大衆増税と並んで各種公共料金値上げ国民生活を窮地に追い込むことは必至であります。私は、医療費本人負担増大を初め、国鉄運賃国立大学授業料などの値上げは見送るべきだと考えておるものであります。総理にその意思がおありなのかどうか、所見をただしたいのであります。  第二に、公共事業拡大とその有効的配分及び民間活力積極的活用について伺うものであります。  来年度公共事業費は、五十五年度から据え置かれてきた予算額をさらに二%減額しようとするものでありますが、その削減は、いわば財政に残された景気回復策の道をふさぐことになり、政府が掲げる内需拡大方針に矛盾すると言わざるを得ません。公共投資経済効果をより高めるためには、我が党が主張するように、用地購入費が少なく投資効率の高い事業に重点配分することが先決であり、その見直しもせず財政事情のみをもって減額する政府考えに同調することはできません。  そこで、私は、公共事業拡大事業配分見直しについて、総理所見をただすものであります。  私は、公共事業における民間活力積極的活用を強く政府に要求いたします。中でも、民間活力活用による住宅、都市整備即効性が高く、関連産業への波及効果も大であり、当面の課題である景気回復相当役割を果たすとともに、日本経済活性化への重要なてこ入れとなると思うのであります。そこで、特に国、地方自治体や国鉄などの所有する遊休地低利用地有効活用について積極的に行うべきであると考え国有地公有地有効活用に対する総理の具体的な考えを承りたいと思います。(拍手)  また、これらの事業をより効果的に行うための諸制度簡素合理化について伺います。  都市開発関連する空中権に対する法体系整備低層制限地区指定制度等価交換方式の拡充、地域また地区開発宅地開発のための事前協議開発許可期間短縮合理化など、一連の法体系整備や諸制度簡素合理化を早急に図るべきと考えます。  さらに、私は、土地区画整理事業完了後の宅地利用促進を図るとともに、大都市地域において、市街化調整区域内で宅地開発の条件が整っている土地については開発許可等を柔軟に対処し、かつ地元の意向を尊重しつつ、計画的に宅地開発促進すべきではないかと考えますが、御所見をあわせて伺いたいのであります。(拍手)  「増税なき財政再建」を実現するためには、大幅な所得税減税公共事業拡大によって景気回復日本経済安定成長を実現し、税の自然増収を確保する一方で、思い切った行財政改革の断行が必要であることはさきに指摘したとおりであります。  そこで第三に、今日まで中曽根内閣が推し進めてきた行財政改革を冷静に顧みつつ、総理行財政改革の一層の徹底を求めるものであります。  申すまでもなく、行財政改革の原点は、端的に言うならば、それは機構、仕事、人員、金の削減であります。しかし、中曽根総理が進めてきた行財政改革によって、それがどれだけ進展したのでありましょうか。その実態は、総務庁設置構想でも明らかなように、看板のかけかえや官僚と圧力団体の抵抗に屈して臨調答申つまみ食い的実施に終始してきたのであります。また補助金についても、予算案では総額が五十八年度に比べて抑制されたとはいえ、どう見ても整理合理化が進んだとは言えません。しかも、その抑制が国民生活へ一方的にしわ寄せされるという結果すら招いているのであります。  私は、総理に率直に申し上げたい。総理が「増税なき財政再建」と表裏一体である行財政改革を訴えるのであれば、この際に行政施策のすべてをゼロから見直す意気込みと決意が必要であります。現在の制度、仕組みを温存し、幾らマイナスシーリングを設定し予算編成を行ったとしても、それは本来の行政改革とは大きくかけ離れたものであります。総理が「増税なき財政再建」を口にし、行財政改革徹底を図ると言う以上、行政施策のすべてを白紙に返してゼロから見直す予算を断行し、その必要の是非を一から検討すべきであったと思います。それをおやりにならなかった総理が「増税なき財政再建」を口にすることができるのでありましょうか。総理の御所見を承りたいのであります。  次に、私は、高齢社会への急接近経済の低成長財政窮状という厳しい情勢の中で、年金医療などにどう対処すべきかという課題婦人問題について、総理所見をお尋ねするものであります。  多くの国民が、今我が国社会保障政策の将来に大きな不安を抱き始めております。その原因は、国民の間に老後の生活設計に不安が出てきているにもかかわらず、政府社会保障政策の確たるビジョンを示さないまま、自助努力の名のもとに財政再建のしわ寄せを弱い者に押しつけていることにあります。高齢社会への移行は、必然的に負担と給付のバランスが重要となってくることは確かでありましょう。しかし、ならばこそ、その制度改革国民的合意を得る一方、財源の捻出に政府みずからが血のにじむような努力を行わなければならないのであります。  そこで、具体的に医療保険改革問題について伺います。  国民医療費は今や十四兆円を超えており、現状のままで保険財政が維持されるとは考えられません。何らかの改革急務であります。しかし、財政対策からのみの制度改革では、国民の健康の維持増進の保証にはならないのであります。したがって、国民所得の伸びを上回る医療費増大原因がどこにあり、乱診乱療、薬づけ、検査づけと言われる現状をどう是正されるのか、また、いまだに差額ベッド付添看護など保険外負担の問題が解消されていないのでありますが、この点についてもどう考えておられるのか、承りたいのであります。  次に、年金制度について伺います。  我が党は、既に十年来、公的年金統合一元化を主張し、国民基本年金制度を提唱してまいりました。この我々の主張は、今や国民的コンセンサスとなり、政府もその方向へと一歩踏み出し、今国会制度改革案が提出されることになっております。しかしながら、示された制度改革には重大な欠陥があることを指摘しなければなりません。すなわち、公務員の年金を含め、肝心な公的年金全体を統合するプロセスが明らかにされていないのであります。社会保険審議会答申には「基礎年金は、全国民対象にしてこそ、その真価を発揮できるものである。」とありますが、この答申をどのように受けとめておられるか、明確な答弁を求めたいのであります。  さらに、国民の多くは、今公的年金制度の将来に大きな不安を抱きつつあります。公的年金制度から脱落していく人が数多くいることは、保険料負担増大とあわせ、年金への不安があることを如実に示すものであります。総理は、この際、国民年金に対する不安にこたえるためにも公的年金制度の位置づけを明確にすべきであると思いますが、見解を承りたいのであります。(拍手)  さて、婦人問題について質問をいたします。  我が国は、昭和五十五年、国連婦人の十年世界会議婦人に対する差別撤廃条約批准を約束して署名をいたしております。既に五十四カ国もの国々が批准、加盟をいたしております。しかし、我が国はいまだ批准をいたしておりません。この批准最終期限は来年、昭和六十年であります。批准のためには、国内法整備はもとより、男女差別撤廃のための具体的かつ実質的な立法措置が必要であります。そこで、今国会提出予定とされている男女雇用平等法は必ず提出されるのかどうか。これらを踏まえて政府はいつの時点において国会批准を求めるのか、その時期を明確にされたいのであります。  さらに、寡婦雇用促進法並びにパートタイマーの生活の安定を目指すパート労働法法制化を私は強く要請するものでありますが、総理はどう対処されるのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。  次に、外交防衛政策における当面の問題について質問をいたします。  米ソ間の相互不信増大とこれに伴う東西間の冷却化、さらには核兵器を含めた世界的な規模での軍備拡大競争の激化など、国際政治現状はまことに憂慮すべきものがあります。私は、今日の国際情勢の厳しい状況を深刻に受けとめ、その危機的状況を転換させなければならないと思う一人であります。世界の潮流を軍拡から軍縮へ、対決から対話へと大きく変えることこそが世界的な急務課題であり、同時に、我が国政府外交目標でなければなりません。  しかし、総理の従来からの外交姿勢にはこうした認識が薄く、平和外交への意欲も具体的な施策も見当たらず、軍縮への取り組みを口先だけで述べた施政方針は空虚に響くだけでありました。軍縮のために軍拡を進めるというレーガン米大統領の力の政策を支持し続けている総理が、核兵器を含めた軍縮を進めようというのであれば、その具体的な内容政府行動指針をここに示していただきたいのであります。  国際緊張の高まっている現在こそ、軍事的対応ではなくして、平和外交の推進が何よりも重要であります。米ソ関係の改善に向けて我が国が何らかの役割を果たすことを考えておられるのか、また、冷却化が続いている日ソ関係の修復にどう取り組もうとされているのか、それぞれ展望を承りたいのであります。  さて、特に本日は、防衛問題のうち防衛予算に限って質問をいたします。  防衛予算では、福祉や文教、公共事業など総じて厳しく抑制された超緊縮予算の中で、防衛費のみが前年度に比べ六・五五%増という突出ぶりはまさに異常であり、それを裁断した総理として、なぜ防衛予算だけを特別扱いとしたのか、国民に納得のいく答弁を求めるものであります。  総理、この突出した防衛予算GNPの〇・九九一%に達し、一%まで残すところ二百五十四億円と迫っております。防衛庁の人件費は、本年のペースアップの度合いによってはGNP一%を超える事態になります。この一%枠は本当に守れるのか、守るのか、この点について、しかと承りたいのであります。(拍手)  また、仮に五十九年度は守れたとしても、六十年度に突破するのはもはや必至であります。総理は、防衛予算GNP一%枠を決定した三木内閣当時の閣議決定、さらに我が党も強く主張し、今や国民的合意となっているGNP一%の歯どめをどのように受けとめておられるのか、伺いたいのであります。  加えて、防衛予算突出と同様に見過ごしにできないのが、総額で二兆円を超えた後年度負担の問題であります。これは防衛予算肥大化聖域化を必然的に招くものであり、財政硬直化につながるものと言わざるを得ません。したがって、この際に、装備調達のための後年度負担においても、一定金額的限度を設けるべきであると考えますが、総理はどのような御所見を持っておられるのか、明らかにされたいのであります。(拍手)  最後に、農産物自由化問題、それに関連する農業政策に対して質問をいたします。  日米貿易摩擦関連して、オレンジ、牛肉等輸入制限が象徴的に問題として取り上げられておりますが、先進工業国のいずれの国も、農産物にはその民族の生存をかけて格別な配慮を講じております。しかも、既に我が国食糧輸入大国であり、仮に残りのすべてを自由化したところで数億ドルにすぎません。対米貿易収支の不均衡是正は何ら進展するものではありません。私は、総理に対し、農産物輸入自由化の要求に対しては毅然たる対応を求めるものであります。(拍手)  同時に、私は、日本農業の将来に強い懸念を感じております。食糧安全保障という見地からも、日本農業国際競争力に耐えられるものに改革し、自立させる必要があります。政府農業政策は抜本的見直しをすべき段階にあると考えます。  これら日本農業の抱える課題に対する総理の御所見を求めて、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
  5. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 竹入議員から、各方面にわたる極めて御示唆に富む御質問をいただきました。順次、御答弁を申し上げます。  まず、時代の課題克服への具体的施策を冒頭御質問をいただきました。現代は、国際環境におきましても、また国内関係、特に財政問題等におきましても、極めて厳しい状態のもとに日本はございます。この厳しい中にありまして、国民の皆様方の結束をお願いし、かつまた政治に対する信頼を確立いたしまして、与野党協調のもとに議会政治を円満に発展させまして、国民の御期待におこたえしなければならない立場にあると思っております。このような観点から、先般の選挙の結果示されました国民の御意思を尊重いたしまして、各党各派との協調のもとに、国会運営に新しい場面を開いてまいりたいと念願をいたしております。  そのような観点から、先般施政方針演説で申し上げました日本の国際国家への進展、行政改革財政改革あるいは新しく提起いたしておりまする教育改革等々万般の問題につきまして、この議場や国会を通じまして、いろいろ対話を深め、またお互いの足らざるところを発見し合い、また加うべきものを加え合い、実りある国会と成果を得るように努力いたしたいと思っております。  次に、国会におけるいわゆる田中問題のけじめについて御質問をいただきました。  政治倫理の問題につきましては、前の臨時国会から、この議場や国会におきまして最も論議されたところでございます。私たちは、これらの御論議をよく分析もし、かつまた過般の選挙にあらわれました国民の審判を厳粛に受けとめまして、政治倫理の問題につきましても誠意を持っておこたえをし、政策も実行いたしたいと思っております。そのような観点から、先般自民党総裁としての私の心境を御発表申し上げた次第でございます。そうして党内におきましては、総裁直属の政治倫理問題調査会を設置いたしまして、これらの問題に取り組む、そうして今回できました国会政治倫理協議会の場におきまして、各党と実りある対話を行い、成果を得るように努力してまいりたいと思っております。  いわゆる田中問題につきましては、いろいろ御論議もいただきましたが、先般総選挙という厳然たる事実が一つございました。やはり主権者であられる国民の審判が最終、最高の審判であると私は考えております。これらの審判を経まして、これらの問題、このいわゆる田中問題というものをいかに御処置なさいますか、これは各党各派がいろいろお考えなさっておるところであると思いますが、政治倫理協議会もできました折からでございますから、これらの協議会の場を通じまして各党各派の御意見も伺い、それらの様子を見て対応してまいりたいと考えておるところでございます。  閣僚並びに国会議員資産公開について御質問をいただきました。  行政の最高責任者でありまする閣僚の資産公開を行うことを先般約束もし、実行もいたしました。これらは、単に政治家政策をガラス張りにするだけでなくして、経済的側面もガラス張りにして国民監視のもとに置く、そういう政治を澄明にしようとする意図から出たものでございます。国会議員全般にこれを及ぼすかどうか等の問題は、これはせっかく政治倫理協議会等もできました折からでありまするから、各党各派におきまして十分御論議願いたいと思う次第でございます。  企業の政治献金の問題は、政治倫理にも関係する部分があると思います。しかしながら、企業も一つの社会的実在としてその政治活動を保障されておるのは労働組合と同様でございます。したがいまして、最初から企業献金を悪であると専断をすることは、これはどうかと思う次第でございます。(拍手)これらの問題につきましては、政治の浄化の問題と絡み、私は、先般わが党の関係部局に対しまして政党法の検討をお願いいたしましたが、それらの問題とも総括的にいろいろ御論議願うべき問題ではないかと思う次第であります。  次に、衆議院の定数問題でございますが、先般の最高裁判所の判決も我々は頭に置きまして、できるだけ早期にこの問題は解決すべきであると思います。  御指摘のように、定数をふやさない、そういう原則のもとにこの定数問題を解決しようというお考えは、私も一応妥当なお考えではないかと思っております。しかし、いずれにせよ、これらは国会の基礎構造に関する大事な問題でございますので、各党各派の御協議をお待ちしたいと思っております。第三者機関設置という御構想もございますけれども、しかし、これらは各党各派の存在に非常に重要な影響を持つ場面でございまして、国会のしかるべき委員会やあるいは各党各派の協商に基づいて決める方が、これは妥当ではないかと私は考えております。  教育改革視点について御質問をしていただきました。  特に五歳児入学の問題、知識偏重教育是正の問題、それから創造性や科学性の重視の問題、これらの御示唆に富む問題点はいずれも重要な問題であるだろうと思います。これらはいずれしかるべき機関におきまして慎重に審議せらるべき問題であると思いまして、このような専門的な問題につきまして私が予断を申し上げることはこの際避けたいと思って、専門家の御論議をお待ちしたいと思うわけでございます。  次に、教育改革のための協力でございますけれども、子供の教育は、学校とか家庭とか社会とか、あらゆる全体の力の総合力で行わなければならない問題であり、単に行政だけでできるものではございません。そのような広い視野のもとに、今回新しい組織をつくりまして、全国民の監視のもとに、またその御協力のもとに、各党各派の御意見も入れまして教育改革を進めようと、そのように考えておる次第でございます。  新しい機構の目的やあるいはその組織について御質問をいただきましたが、この機関の設置形態や組織や構成その他については、文部省におきましてこれから検討すべき課題であると思っております。なお、従来の中央教育審議会の審議の成果あるいは文化と教育に関する懇談会の提言等も十分に参考にいたしまして、これらの組織に関する問題も検討してまいりたいと思う次第でございます。もちろん、政治権力が教育に介入するようなことは絶対避けなければならないと思っておる次第であります。  また、中教審との関係でございますが、中央教育審議会は、文部大臣の諮問に応じ、文部省固有の事務である教育、学術、文化等に関する基本的な重要施策について調査審議する機関でございます。一方、新しく設置しようと検討する機関は、二十一世紀に向けて我が国社会における教育の諸機能全般にわたって検討をお願いいたしたいと考えております。かかる課題は、文部省のみならず行政各部の施策と密接な関連を持つものが多うございます。例えば幼稚園と保育園の問題が出てまいりましょう。保育園の問題は厚生省の問題です。あるいは学生の卒業後の就職や労働問題も出てまいりましょう。これらは労働省の問題でもございます。そういうような意味におきまして、内閣を挙げて総合的かつ効率的に調査審議する必要が出てくるのでございまして、したがって、おのずから審議視点や検討の角度等は中教審とは異なったものがあるということをこの際申し上げる次第でございます。  次に、教育改革答申をつまみ食いするなという御質問でございます。  もちろんそのとおりでございまして、この新しい機関ができまして、そこから出ました答申につきましては十分責任を持って検討させていただきたい、総合的にこれを実行していこうという考えは変わっておりません。  パイロットスクールについての御提言がございました。  このパイロットスクール等を含めた教育改革実施内容、手順等につきましては、新たに設置される機関で今後の審議が期待されるものでございます。既に中教審の答申の中にもパイロットスクール構想も一部含まれておったと思いまして、この御構想は極めて示唆に富むものであると思っております。  次に、赤字国債脱却の問題でございます。  五十九年度予算におきましては、やはり六十五年度に赤字公債脱却を実現しようという努力のもとに実は編成をいたしまして、歳出歳入面の思い切った削減、それから赤字国債の縮減という問題に懸命の努力をしたところでございます。もちろん、御指摘のように景気浮揚の問題にも十分配慮して投資減税等の実行もいたしました。また、昨年来公定歩合の引き下げ等も行ったところでございます。今後とも、金融政策の機動的な運用と相まちまして、この六十五年赤字公債依存脱却という線を実現すべく努力してまいるつもりでございます。  やむを得ぬ負担とは何であるかというお示してございますが、例えば医療関係とか公共料金であるとかあるいは運賃であるとかあるいは大学の授業料とか、こういう問題につきましてやむを得ぬ御負担を今回もお願いをした次第なのでございます。  所得税減税拡大せよ、一兆四千億円の所得税、地方税減税を実行せよというお示してございましたが、昭和五十九年度におきましては二五%の公債発行にまだ依存せざるを得ない、そういう状況下に思い切った歳出歳入構造の見直し制度基本にまでメスを入れるというような努力をやったのでございまして、今回の減税が精いっぱいのものであるというふうにお考え願いたいと思う次第でございます。(拍手)  税制改正と予算構想の問題でございますが、歳出の徹底した削減等を通じまして五十九年度予算を編成いたしましたが、それでも一般会計全体としてのボリュームは〇・五%増というところでありました。やはり「増税なき財政再建」という臨調答申の線を守りまして、今後ともその線に従いまして懸命の努力をしてまいるつもりでございます。法人税や酒税物品税の税率引き上げ等を行わなければならなかったことはまことに残念でございますが、これらは、臨調答申のお示しいただいた範囲内のでこぼこ調整であると考えておる次第であります。大型間接税につきましては、これは導入する考えはございません。  次に、医療費につきまして、高齢化社会の到来等も考え、また世代間の負担の公平、制度の安定持続性等も考えまして、医療費の一部負担導入をいたしましたことは、まことにやむを得ない措置であったと思う次第でございます。今後とも、これらの社会保障制度全般につきましては、世代間の負担の公平という面も十分考えて、制度の安定的維持という問題に力をいたしてまいりたいと思っております。  国鉄運賃の問題につきましては、五十九年度予算において、国鉄予算人件費、工事費等経費の節減に最大限の努力を行いましたが、なお若干の運賃改定をしなければならなかったことはまことに遺憾でございます。ただ今回は、都会や地方、利用度に応じまして格差運賃を設定をいたしました。  国立大学の授業料改定、これらにつきましても、やむを得ざる必要最小限の改定を行いました。五十九年度新入生から一六・七%の増加ということをお願いしたわけであります。  公共事業費増大のお示しがございましたが、財政改革を強力に進めるという今日におきまして、総額としては若干前年度を下回りましたけれども、しかし、民間資金の活用や財投やその他あらゆる要素を加えまして、五十八年度を上回る水準を確保することができたと思っております。今後もこのような事業量の確保と効率的な公共事業費の運営を図ってまいりたいと思います。  なお、民間活力活用につきましては、先般来内閣に推進本部をつくりまして、国公有地あるいは都市開発、住宅宅地供給等について、いま鋭意努力しておるところでございます。  国公有地活用につきましては、先般内閣の推進本部の会議を開きまして、これをさらに強力に進めるように申し合わせもしたところでございます。二月三日の大蔵省、運輸省等の報告によりますと、国有地が百六十三件、六十五ヘクタール、国鉄用地が十件、三十ヘクタール、これらが当面対象として我々が努力すべき目的であるというふうに報告されたところでありまして、これらにつきましては、鋭意努力してこれを前進させるつもりでおります。  都市開発、宅地供給の促進等につきましては、お示しのように我々も同感に考えております。都市計画や建築規制の見直し、その具体化等を進めており、特に民間の優良な再開発事業につきましては、税制やそのほかの助成措置の充実によりまして、一層促進を図ってまいるつもりでおります。  行財政改革徹底につきましては、このような厳しい予算を編成いたしまして国民にも御負担を願っておるところでございますから、さらに全省庁を戒めまして、行財政改革をさらに徹底して推進するようにいたしたいと思います。今回の予算編成におきましては、十省庁の内部部局の再編成と地方出先機関等の整理、国家公務員定員の大幅縮減三千九百五十三人、補助金等の大幅な圧縮四千三百五億円を初めとする諸施策を決定いたしましたが、さらに電電や専売両公社の改革法案あるいは国、地方を通ずる行政改革財政改革等を推進してまいるつもりであります。  「増税なき財政再建」、この理念はあくまでも堅持して努力してまいるつもりであります。我々は、臨調設置以来、臨調のお力をいただきまして、五十七年度予算はゼロシーリング、五十八年度予算はマイナス五%シーリング、五十九年度予算はマイナス一〇%シーリングというシーリングをみずから課して、そしてこのかんぬきの中で各省庁が経費を節減するように全力を振るってきたところであり、この努力をさらに継続してまいるつもりでございます。なお、税外収入につきましても、ことしは三兆三千五百億円の収入を図ったところでありまして、これも画期的な努力をしたつもりであります。  国民の健康の維持増進につきましては、お示しのように今後とも長期的観点に立ち、高齢化社会対応して努力をしてまいらなければならないと思っております。ただ、医療保険等におきまして、乱診乱療を排除して経費を効率的に行うあるいはさらに退職者の医療制度を創設する、こういうような新しい制度も今回創設いたしまして、医療保険の改革も図った次第でございます。今後とも国民の健康と医療を支える医療保険制度の基盤を強固にするために努力してまいるつもりであります。  次に、年金統合のプロセスの問題でございますが、昨年五月の政府決定に基づきまして、昭和五十九年から六十一年にかけて国民年金、厚生年金保険の制度改正を行うとともに、共済年金につきましても、その改革の趣旨に沿って所要の関係整理を行うとの方針閣議決定いたしております。この方針に基づいて、公的年金制度一元化に向けて制度全般の改革を計画的に推進してまいります。先般は公社及び国家公務員の共済年金の統合、また今議会におきましては厚生年金国民年金、船員保険等の統合、特に基礎年金、公明党が御主張の基礎年金導入ということを行い、昭和七十年にすべての統合を行おう、そういう計画で今進めておるところでございます。  このように、公的年金国民生活に非常に重要な影響を及ぼしているものであり、特に老後の問題等につきましては重要な機能を果たしておりまするので、今後その基礎をますます堅固にしてまいりたいと思っております。  男女雇用平等法につきましては、これは六十年、来年に差別撤廃条約に入る目的で、ことし精いっぱいの努力をして、早目にこれをまとめていきたいと考えております。いずれ関係審議会の結論をいただくと思いますが、それをいただきましたら、関係法律をできるだけ早期に国会に提出する予定でございます。  次に、パート労働法の問題でございます。  公明党がパートの皆さんに非常に御関心を持っていることは前から承知しているところでございますが、先般このパートの皆さんのために税制の改革を行いましたことは御存じのとおりであります。このパートを行っております寡婦等の雇用の問題あるいは環境の整備あるいは相談制度、これらの問題につきましては今後も努力もし、労働条件の確保等のためにも今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  軍縮につきましては、やはり抑止と均衡の基礎理論に立って我々は防衛問題を考えざるを得ないと思っております。しかしながら、前に申し上げましたが、貿易国家で生きていく日本にとりましては、平和の確保ということは死活的重要性を持っておる、国家存立の基礎条件であります。そのような認識のもとに、平和を維持していくということに全力を注いでまいっているつもりでございます。  しかしながら、これらの平和を維持していくというためには、総合的安全保障外交政策活用してやるところでございますけれども、軍縮の実際的な実施という面になりますと、お互いが信頼し得る、安心のできる取り組みを行う必要があるのであります。例えば有効な検証措置を伴って、お互いが安心できるというシステムが必要であります。そういうような現実的な措置を実現すべく、今後とも努力してまいりたいと思います。  防衛費突出という点で御質問、御指摘をいただきましたけれども、社会保障費と防衛費の今年度における額を見ますと、防衛費は二兆九千三百四十六億、社会保障費は九兆三千二百十億円である、つまり社会保障費は防衛費の三倍でもございます。しかし、防衛費につきましても、このような厳しい財政事情のもとでございますから、できるだけ圧縮して効率化に努めたところでございます。「防衛計画の大綱」の水準に近づくということが我が内閣の政策でございまして、一面にそのことも考えつつ、一%の枠内にとどめるという方針も堅持すべく、かつ、この厳しい財政事情や他の経費とのバランス等も考えまして、今回六・五五%増という線に決めた次第でございます。いずれにせよ、防衛費の一%以内に関する五十一年の閣議決定は、現在のところ変える必要はないと考えております。  さらに、後年度負担の問題につきましても、後年度負担増大財政硬直化させてまいります。そういう面におきまして、各年度年度ごとの後年度負担のあり方についても十分注意をしながら、予算編成をやっていくつもりでございます。五十九年度におきましても、将来の予算を過度に圧迫することがないように、十分注意したところでございます。  農産物の輸入自由化の問題について、最後に御指摘がございました。  農業はほかの産業と違っておりまして、私は前から、これは生命産業である、農は国のもとであるということを申し上げてまいりました。そのような観点に立ちまして、日本農業の将来の発展性、農家の経営維持、農村の維持、そういうような問題にも十分目をみはると同時に、国際協調、農業の生産性の向上という面も、また一面において考えるようにいたしてまいりたいと思っております。  牛肉、かんきつ等の問題について日米折衝が今進められておりますが、あくまで日本農業の実情、それから将来の展望、農民に対する希望を喪失させないような配慮、これらの問題をよくわきまえた上で国際関係を調整していく、このような立場で実行してまいりたいと思っております。  食糧問題は、国民生活にとって最も基礎的な安全保障のベースでございます。それと同時に、農村という問題の社会的機能も我々は忘れてはならないのであります。その上に立って、国際競争力の確保や対外調整という問題も考えつつ、農村の健全な発達、農業の育成につきまして、十分考えてまいる所存でございます。(拍手
  6. 福永健司

    議長福永健司君) 佐々木良作君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔佐々木良作君登壇〕
  7. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、中曽根総理施政方針に対しまして若干の質問を行います。  質問に先立ちまして、先般、八十三名もの犠牲者を出した三池有明鉱の事故の遺族の方々に対し、心より哀悼の意を表しますとともに、残された方々の補償及び生活再建対策に対し、当該企業はもちろんのこと、政府も責任を持って万全の措置を講ずるよう強く要望するものであります。(拍手)また、当面の措置といたしまして、政府は、災害の原因究明と事故の再発防止対策を急ぐとともに、労使による安全確認の上に立って早期生産再開に対応すべきであると考えます。政府方針を例えれば幸いでございます。  さて、具体的質問に入りますが、まず私は、財政再建問題につき質問をいたしたいと思います。  先ほど、竹入委員長も特に重点的な質問として取り上げられましたこの問題こそは、私は、大平内閣以来自民党にとりまして常に政変に結びつき得るほどの重要な政治課題であり、したがって、この秋の政局を動かす原動力ともなりかねない問題でありまするし、同時に、この問題は単なるスローガンではありませんから、その具体的可能性について詰めた論議が必要となってくる段階だ、こう思いまして、私の質問におきましても真っ先に重点的に扱うことといたしました。そして、果たして「増税なき財政再建」というやり方で六十五年度目標の赤字国債脱却方針、それが可能であるかどうかを具体的な数点にわたって詰めてみたいと思います。  まず第一に、政府は、五十九年度予算案の編成に当たりまして、経済成長率を実質四・一%に想定し、税の増収分を二兆二千億円と見込み、一方、国債費と地方交付金の増加分合わせて二兆五千億円を計上いたしました。したがいまして、国債費と交付金の増加分だけで税の増収分の全部を食い尽くしてしまいまして、なお不足する状態であります。このために、六十五年度赤字国債脱却の計画は、その初年度から年額一兆円程度国債減額という目標を大きく割り込んだわけであります。しかし、六十五年度赤字国債脱却のためには、六十年度以降も年一兆円以上の国債減額を続けなければなりませんが、政府はこの基本方針を堅持することに変わりがないのか、念のため総理の御所見をまず承っておきたいと思います。  次に第二点に、この五十九年度予算案は、歳入面では減税分をより大幅な増税で補うという矛盾をあえて犯し、歳出面では二年連続のマイナスシーリング方針による超緊縮予算となっております。その結果、医療保険の本人負担増を初め、軒並みの公共料金の値上げ、消費者米価の値上げ及び新たな物品税引き上げ等により、国民相当に重い負担増を押しつけました。  このように五十九年度予算案は、歳入歳出の両面にわたりまして無理と矛盾と重い国民負担を強要した、そのことによりましてようやく数字合わせを行い得たという、言うならばいわくつきのものでございます。このような財政硬直状態は、特別の施策による歳入増を図らない限り、来々六十年度以降も変わりようがありません。むしろ国債費は着実にふえ続けるのでありますから、一層硬直の度合いを強めることに相なります。大方のマスコミなどの論評は、今回の厳しい歳出削減の編成態度を評価しながら、同時に、さらに切り込みの足りないもの、改革すべき部門等を例示いたしまして、次期予算編成にそれらの実行を迫っております。  竹下大蔵大臣は、直ちに着手されなければならない来々六十年度予算編成に当たりまして、このようなマスコミ論評が要望しておるような一層の歳出削減努力を力いっぱいやるといたしましても、その削減財源だけで一兆円余の国債減額を可能にするような、そんな予算が本当に編成できるとお考えになっておるでしょうか。もしそれが困難であるとするならば、何らかの新たな歳入増を図らねばなりませんけれども、その特別の歳入増を図る施策としてはどんなものが考えられるのでありましょうか。竹下さん、私、わかりませんから、どうかひとつ教えていただきたいと思うのであります。  繰り返すようでありますけれども、あなたは、この秋すぐこの問題に直面されるわけでありますから、そのときになって豹変されては国民も当惑いたします。大蔵大臣の偽らざる御心境をお聞かせいただきたいと存じます。  第三点として、さらに大蔵大臣にお伺いいたします。  先ほども話がありましたように、今回の減税は、御承知のように、昨年来の国会審議を通じまして与野党間で半ば公約的に合意した結果に基づくものであります。そしてそれは、五十三年度以降、物価上昇に見合う所得税の課税最低限の引き上げ措置が行われなかったために、事実上増税となっていたことの穴埋め的意味を持つものであり、特に景気対策に役立つような規模が必要だという認識も与野党共通でございました。それを政府は翌年回しとし、金額も矮小化した上、その財源を別の増税に求めたのであります。これは、公党として約束違反であるというだけではなく、減税の意義を完全に抹殺してしまったものであります。(拍手)  このことは、政府に、減税というものが大して景気対策にはなり得ないという政策認識があったのであろうか。同時にまた、減税財源になり得るほどの歳出削減はもう不可能だという判断があったのでありましょうか。いずれ両方であったのでありましょう。その両方のような認識が根底となっておりまする限り、財政硬直の現状から見て、大蔵省的感覚からは「増税なき財政再建」というものは当初から不可能だったと考えられておらなければならなかったと思われますが、当事者としての大蔵大臣の率直な御意見を承ります。  次に第四点として、財政再建との関連におきまして、行政改革問題につきお伺いをいたします。  この予算案とともに打ち出されました行政改革内容については、後藤田長官を初め党側関係者の方々も相当に胸を張っておられるようでございます。確かに歳出構造に初めてメスも入れられましたし、国家公務員削減につきましても数字を挙げられたり、中央省庁内部局や出先機関の整理合理化についてもいろいろと具体的なものを出されておる、その御努力は十分私も拝見いたしております。  しかし、問題は財政再建との関連であります。この立場から見ますと、行革は財政再建計画のリード役を務めなければならないものであります。今日端的に求められているのはそのような行政改革であり、六十五年度赤字国債脱却という政府方針を可能にする、そのような行革が要求されているのではありますまいか。(拍手)それは、財政再建計画に見合って金減らし、人減らし、仕事減らしに直結する内容とタイムスケジュールを持った行革でなければなりません。  後藤田長官、行革の原則的な手法は、申されるとおりスクラップ・アンド・ビルド方式でありましょうが、差し迫った財政再建計画が求めている行革は、大量のスクラップ化と少量のビルド化によって相当多量の余剰が生じるようなやり方でなければなりません。  その意味から、私はこの際、今回の予算編成過程で示された行革の延長線上に、次の六十年度、これは秋ですからすぐですよ、次の六十年度財政再建予算に見合うような六十年度行革の輪郭をここにお示しいただきたいと思うのであります。国家公務員の削減計画も、とても今御自慢されているようなことでは間に合わないはずでありますから。さらにまた地方行革の内容につきましても、補助金の整理につきましても、一段と厳しく踏み込まなければなりますまい。  行革臨調与党を自認する民社党は、既にこれらに対応する厳しい行革案の一部を提示もしておりまして、政府に提案を提示しながらその実現を迫っていることは御存じのはずであります。後藤田長官の御答弁をお願いいたします。  第五点として、来年度経済動向について伺います。  政府は、五十九年度民間活力による内需中心の景気回復が展望され、日本経済にとって新しいタイプの成長が期待できる年と、来年度経済動向に大きな期待をかけられております。しかしながら、せんだって伺いました河本長官の経済演説では、そのためには我が国経済の潜在的活力を引き出すための適切な施策が必要だ、こういうふうに言われているのであります。しかるにもかかわらず、来年度予算案には景気に対するそのような措置はどこにも見当たりません。  政府予算案は、景気に対してはまさに中立的、景気の行方は漠然と唯一アメリカ景気に期待するというあなた任せの態度に終始しております。いや、むしろ政府が最も期待をかけている民間設備投資に対しましては、法人税率引き上げや投資減税の圧縮などによりましてこれに水を差し、個人消費に対しても、せっかくの減税効果増税で相殺してしまい、それだけでなく、公共料金の軒並み値上げ福祉の後退によって国民生活の圧迫を強め、むしろ消費意欲を減退させる方策ばかりとっているようにさえ見えるのであります。これでは、我が国経済がある程度回復基調に向かうといたしましても、それはまたまた貿易依存型となってしまい、一層貿易摩擦を激化させることになるでありましょう。  日米経済摩擦が目下日米間の最大の政治課題と相なっているときでもあります。その上、アメリカの膨大な財政赤字とアメリカ経済の抱える矛盾が、世界経済の前途に一つの暗影を投げかけているときでもあります。したがって、このような日本のあなた任せの予算案の態度は、国際的にも問題ではありますまいか。  国内的には、もちろんこのような政策態度では、今回の景気回復基調を、言われるがごとき内需中心の持続的安定成長路線に結びつけることは困難となりましょう。そのことは税収の安定的な伸びを抑え、今後財政硬直化を一層強め、その結果、財政再建計画を破綻に導くことは明らかと言わざるを得ません。河本企画庁長官の御演説は、大変その辺が矛盾に満ちておるように思いますけれども、改めて御見解を承りたいと思います。  さて、この辺で財政再建問題につきまして、総理の御所見を篤と伺いたいと存じます。  以上のように具体的に検討を重ねてまいりますと、この私の質問に対しまして、竹下大蔵大臣から明確な一般歳出削減の見通しをお答えいただき、後藤田長官から同様に、私が心から拍手を送れるような行革案の内容が示され、さらに河本長官が自信を持って景気と税収の伸びを保証されるような御答弁をいただけない限り、「増税なき財政再建方針によって六十五年度赤字国債脱却目標を達成することは、明確に不可能になります。その時期も、六十五年度を待つことなく、六十年度、ことしの秋予算案編成作業中に必ずそれが明らかになってまいります。この時点で総理は、「増税なき財政再建方針増税による財政再建方針に豹変させるか、または六十五年度赤字国債脱却目標を事実上放棄するかの二者択一的選択を迫られるでありましょう。この時期は、繰り返すまでもなく、重要な自民党の政治シーズンとも重なります。さて、この問題に対する総理の対処方針はいかがなものでございましょうか。総理の率直な御答弁をいただきたいとお願いをいたします。(拍手)  先日の総理施政方針演説以来、この問題についての総理の歯切れの悪さは、このときの選択になお余裕を持って当たりたいという姿勢のあらわれでありましょうか。そのような弱気こそは、まず必ずもって私は、大蔵官僚の増税路線へつけ込む突破口となるであろうことを恐れるのであります。この問題について、大平内閣以来一貫してとられました縮小均衡的路線は膨大なる歳入欠陥を生ぜしめ、明らかに失敗を繰り返しました。その責任的反省も十分に行われないまま、この路線にのみ拘泥することはいかがなものでございましょうか。  私はここで、今回の景気回復基調をてことして、縮小から拡大均衡経済運営に転ずるべきだと考えるのではありますが、そのような積極的な措置が今直ちにとりがたいとしても、今求められているのは、主計官的数字合わせの財政再建ではなく、行政改革と一体をなす財政のあり方そのものの改革であります。それはまた経済活性化に結びつくものでなければなりません。したがって、これを安易な増税路線の採用によってこの財政改革の芽をつぶすがごときことは断じてなすべきではありません。  私は、中曽根総理に対しまして、断固として「増税なき財政再建」の初心を貫かれることを切望するものであります。(拍手国民を裏切らない総理の明確なる御答弁を要求するものであります。  他の質問に移ります。  まず健康保険制度の改正問題について、現在の健保制度昭和二年から発足し、一家の主柱たるべき人の生活を守る制度として日本の家族主義社会に定着してまいったものであります。日本人の勤勉さの秘密は日本の家族主義社会にあります。日本産業の高度成長をもたらした日本企業の秘密は、このような家族主義労働者と経営者とによって創造された家族主義的労使協調体制にあります。現行の健保制度は、この体制の重要な支えでありました。これを財政の単なるつじつま合わせのため、政府制度の根幹を揺るがせかねない改正案を提示してまいりました。しかも、このような制度の改正には、当然に新たなる将来ビジョンが示されておらなければなりませんが、そのような配慮もいたしてはおりません。まことに遺憾と言わざるを得ません。  私は、政府が直ちに今回の健保改正案を撤回し、改めて関係者との十分な協議を行い再検討するよう求めるものであります。総理の御所見を伺います。(拍手)  次に、教育改革について伺います。  いまや学校の荒廃ぶりはまことに憂慮すべき事態であります。校内暴力、青少年の非行、犯罪の現状は、まさに我々を慄然とさせるものであります。教育こそは国家と文明の発展の基礎であることを考えるとき、こうした憂うべき現状の打開はまさに民族的課題であります。しかし、それはもはや一文部行政のあり方や文部省と日教組との関係改善というような視点をはるかに超えた、広くかつ深い問題として認識さるべきでありましょう。(拍手)  今回、教育改革課題として提起されている六・三・三・四制の見直しや青少年の健全な精神文化の創造、さらには責任感を持った教師の育成、入試制度根本的見直しなど、いずれも文部行政の範疇をはるかに超えた広範な政策の総合化が求められているものであります。私は、これまでの中教審の努力と成果に深い敬意を表しつつも、今後の教育改革については、文部大臣の諮問機関の域を超えた国民的基盤と視野を持った機関による処方せんの作成こそが必要であると考えるのであります。(拍手)  我が民社党は、このような見地から、既に昨年来教育改革についての特別立法による総理大臣の諮問機関の設置を提案してまいりましたが、総理は、かねてからの構想政府及び党内検討を踏まえられたのか、このたび施政方針演説を通じて、我々と同様趣旨の構想の方向を明らかにされました。私はこの決断を評価いたします。我が党は、既にこの構想について具体的な提案も行っておりますけれども、これに固執するものでもありません。ただ、問題の性質上、超党派的取り扱いが最も必要と考えますので、この問題の立法化に当たっては、我々野党とも適当な協議の場をつくり、推進されることを要望いたすものであります。総理の御見解を承りたいと存じます。(拍手、発言する者あり)  なお、さらに私は、この際、昨日の藤尾質問とも関連しながら、今後の与野党の話し合いないしは協力について一つの提案をいたします。  今我々の眼前に提起されている諸課題は、いずれも困難なものばかりであります。しかもそれは、とかく建設的な内容の話し合いよりも、鮮明な対決手段として政争の具に供されやすい種類のものであります。(発言する者あり)今一番いいところを言うんじゃないか。(拍手)  例えば、財政再建の中心的課題である増税を避けるための当面の歳出削減をどこに求めるのか。今年度実行すべき行革並びに中期的行革プランをどう定めるのか。さらには、国民が最近とみに不安を感じている日本の軍事大国化を防止するための防衛力や防衛費の歯どめをどうするか。これらの諸問題は、今こそ国民的合意を求める立場に立って、政府並びに与野党の建設的な話し合いを行うべき段階に来ていると思うものであります。(拍手)それが国民に対する政府、政党の政治責任だとも考えます。  このような考え方に立って、私は、今度の教育改革の問題だけにとどまらず、前述のような当面の諸課題についても、この際、与野党間に政策協議の場をつくり、互いのコンセンサスを確立する努力を傾けてみてはどうかと、そういう意味の提案であります。この協議の場は、当然に双方を拘束する種類のものではありますまいし、議題も具体的に限定されねばなりますまいが、それら協議のやり方自身から協議を始めればよいと思うのであります。従来の与野党のあり方から考えますと、このような提案を野党から行うことは極めて唐突な、ある意味では危険とさえ思われるかもしれませんが、私は、問題の国家的重要性にかんがみ、かつは、国民の政治に対する信頼回復の願望を込めて、あえて提案するものであります。(拍手)  今次総選挙の結果を踏まえ、総理もこの問題についてはいろいろと発言をされているようでございまするが、私のこの提案に対しましてどのようにお考えいただくか、総理の率直な御見解をいただきたいと存じます。  外交防衛問題に移ります。  第一、世界平和にとりまして一段と重要な年となってまいりましたことし一九八四年の平和外交課題は、軍拡から軍縮への転換をどう切り開くかというこの一点に尽きるかと考えます。したがって、我が国も同様な立場から、日本的平和戦略を模索し発展させるべきでありましょう。  この場合、重点目標として私は次の三つを考えるのであります。第一、日ソ対話の再開と米ソの核軍縮交渉の促進。第二、南北朝鮮の対話促進による朝鮮半島の平和確保。第三は、途上国援助に対する特徴ある日本的発想の構築であります。(「三つしかないのか」と呼ぶ者あり)重点的じゃないか。その選択さえわからないのか。(発言する者あり)  現在、南の貧困、飢餓、社会的不安定から生ずる地域的諸問題は、東西問題としての緊張関係と複合し増幅して世界平和への脅威を一段と深めつつあります。直接的利害関係を超えて日本の途上国援助がこれらの脅威解決に大きな役割を果たすようになれば、我が国の平和戦略は独特の展開が期待され得ると思われるのであります。そのような特徴ある南北問題への取り組みを模索すべきであります。(発言する者あり)議長の注意は君たちにすべきものだ。
  8. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 静粛に願います。
  9. 佐々木良作

    ○佐々木良作君(続) 議長、注意は向こうに……
  10. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 静粛に願います。
  11. 佐々木良作

    ○佐々木良作君(続) 私は、以上三つの重点項目を掲げまして、これに対する総理の御見解を承りたいと思いますが、あわせて、総理自身が展開されようとする今年度の平和戦略の具体的方針を明らかにされるよう望みます。  第二、防衛費の問題について伺います。  我が民社党と鈴木前内閣との防衛費に関する合意事項の中に、「防衛予算については財政事情を十分勘案すること」という一項目があります。この観点に立つとき、厳しい財政再建途上の来年度予算案の中で今回の防衛費の伸びは、他の予算とのバランスを失し、国民の目には明らかに異常と映ります。そして国民に歯どめなき防衛力増強の不安を与え、防衛に対する国民世論の亀裂を深めつつあると思われ、まことに遺憾であります。特に防衛費の対GNP一%枠が崩れる可能性について、国民は一層不安を深めております。私は、我が国現状に照らし、このような国民不安を増幅してはならないと考えますが、総理の御所見を承ります。  同時に、当然のことながら、今後は防衛政策に優先順位をつけるとか、装備の内容に踏み込んだ防衛費徹底的洗い直しを行うとか、装備の調達についてのチェック機能を再検討するとか等々、防衛費徹底的効率化について一段と努力することが肝要だと考えますが、これらの諸点についての総理の御所見を承りたいと存じます。  第三に、日米貿易交渉は目下の焦点が農産物交渉のようでありますが、その現段階の様子は我々には皆目不明であります。日米貿易のアンバランス是正を背景として根本的な話し合いが行われているようにも見え、農産物の具体的輸入枠拡大が煮詰まりつつある詰めの段階のようでもあります。この交渉が我が国農業の基幹産業としての位置づけを崩すことなく、また、この交渉が日米間の大きな政治問題に発展しないよう配慮しながら行われねばなりませんし、そのための苦心の交渉が秘密裏に行われているのではありましょうが、それが国内において陰湿な談合の印象を与えることは避けるべきであります。農産物交渉について現段階の大要の報告を求めます。  さらに、日米貿易のアンバランス激化とともに、我が国の貿易黒字の累増は国際的な問題として拡幅しつつありますが、政府はこの問題にどう対処しようとされるのか。また、現在我が国の保有外貨はどれくらいなのか。それはどのように管理されているものなのか。最近の外貨事情に対し河本長官の御説明を求めます。  次に、中曽根総理政治姿勢について伺います。  今回の総選挙において、国民は明らかに絶対多数下の自民党政権を批判いたしました。総理はこれをどう受けとめて、今後それにどう対処されるお考えか、選挙後の総理の本音を伺いたいと思ったのでありますけれども、どうやら総理の御答弁は繰り返されるメモの範囲を出ないようでありますので、時間もございませんから、この際重複を避け、政治倫理に関し、次の一点だけに絞って総理の御所見をただすことといたします。  私は、政治倫理の問題の中で田中問題は確かに重要な課題ではありますけれども、これだけに矮小化されてはならない、むしろその背景となった自民党の金権体質の解明と解消こそが最も重要であると考えるのであります。(拍手)各種補助金公共事業費の配分及び政府の膨大な許認可権限の行使は、それぞれ特別の法律またはこれに準ずる公的根拠に基づく基準、方法にのっとって公正に遂行さるべきものであります。いやしくもこれに特定権力者の個人的思惑や政権党の党利党略などが介入するようなことは、断じて許されないはずのものであります。  しかるに、自民党の長期政権下のもとで、これら公金の配分や公権の行使が利権化の色彩を深め、これらの行政行為の代償としてひそかに政治献金が要請されたり、選挙に際しての集票活動が強要されたりすることが、今や当然視されるような状況となっているように見えます。これが政治の腐敗堕落の原因であり、政権党自民党の金権体質と言われるゆえんのものであります。そして、この政治風潮が、最近の目に余る陳情政治を誘発し、選挙をますます利益誘導型に変質させてしまいました。しかも、この風潮は自民党だけにとどまらず、政界全体をむしばみながら、恐るべき金権一辺倒の世相づくりに大きな役割を演じつつあります。教育の荒廃もまた、もとはここに起因するとさえ思われるのであります。  私は、この金権腐敗構造の打破こそ政治倫理確立の根本だと考えるのでありますが、このことについて総理はどのように考えておられるか、御所見を承ります。  最後に、議員定数是正問題について。  私の選挙区は今や最も有名な兵庫県第五区でありまして、目下この問題のために地域住民とともに戦々恐々といたしております。ただし、本日は党の代表でありまして地域代表ではありませんから、その立場に立っての公平な発言でなければなりません。が、今回の改正が比例代表制導入などを含む抜本的なものにはならず、現行の中選挙区制の枠内改正にとどまらざるを得ない場合におきましては、総定員数の増加は行わないという原則に立つといたしましても、一選挙区三ないし五定員という中選挙区制の原則だけは厳守すべきではないかと考えます。このことをあえて申し上げます。二人区ないし六人区という安易な特別区を設けることはいけません。特に二人区の地域住民にとって、それは耐えがたいほどの深刻な差別感を持ち続けねばならぬこととなります。私は、長い間兵庫県の五区におりますから、そのような住民の感覚をよく承知しておるのであります。  このような関係を十分に配慮せらるべきであることをあえて申し添え、総理並びに田川自治大臣の善処を要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
  12. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 佐々木議員にお答えを申し上げます。  まず、三池炭鉱の災害につきましては、政府といたしましても御遺族の皆様方に心から哀悼の意を表する次第でございます。政府といたしましては、早速通産大臣を派遣いたしまして、状況の把握及びこれに対する善後措置の指示をいたしたところでございますが、現在も、労災保険給付の早期支払いやあるいは御遺族の皆様方の就職その他の措置等につきましても万全を期すべく、さらにまた災害の原因につきましては、学識経験者により構成する事故調査委員会がすでに調査に着手しておりまして、速急に調査を進めて徹底的な究明と改善を図る考えでございます。  次に、経済政策の運営につきまして御質問をいだきました。  六十五年赤字国債脱却は果たして可能であるかという御質問でございました。確かに非常に厳しい情勢にございます。現在の情勢では、来年の三月に国債が約百二十二兆に及ぶ予定でございます。それで、国債関係費だけでも恐らく今のままでいけば十兆に及ぶのではないかという予想がございます。そのような情勢考えてみますと、極めて厳しい情勢ではございますが、しかしこれは、世界景気がどういうふうに変動していくか、我々が今後内需の振興についていかなる政策を展開していくか、あるいはさらに、為替の関係がどういうふうに推移していくか等々の、まだわからないいろいろなファクターがございます。それらのファクターを全部総合いたしまして、この所期の六十五年に特例公債依存脱出が可能なように最善の政策を実行してまいりたいと思っておる次第でございます。  次に、「増税なき財政再建」の問題でございます。  ただいま申し上げましたように、非常に厳しい財政下にございまして我々がこれからやらなければならぬのは、歳出歳入構造の徹底見直しをさらに強めていかなければならないであろう、あるいはさらに、その中で補助金の問題やらあるいは公務員の定員の問題とか、そういう問題もいずれはまたさらに検討していかなければならぬ問題になるのではないかという感じがいたしております。これらの問題につきましては、佐々木委員長お示しのように、でき得べくんば与野党協調で、そして国民全体の意を代表した改革に進んでいかなければならぬのではないかと思っております。  大体、六十五年までまだ七年ばかりあるわけでございますが、この間におきまする経済政策の運営につきましては、いずれ予算委員会の前に、この間におきまする財政の試算表をお出しする予定でございます。その試算表をもとにいたしまして、この間の財政政策の運用を国際経済とのにらみにおいて日本はどういうふうに運用していくべきかというような問題について、与野党ともに検討していただきたいと思いますし、政府としても鋭意努力して逐次発表してまいりたいと考えておる次第でございます。  健康保険改革の問題でございますが、これは行政改革の一環といたしまして、また臨調答申にも示されました線に沿いまして、歳出歳入構造の見直しの一環として制度にも切り込めという御指示に従いまして、今回初めて実行したところでもございます。高齢化社会の到来に備え、そして長期的安定を目指しまして、特に現在掛金を掛けている若年層の将来の不安を解消して世代間の公平を堅持していく、そしてこの制度を揺るぎなきものに安定して維持していくというために、このような措置をやらざるを得なかったのでございまして、我々の善意を御理解いただきたいと思う次第でございます。  教育改革につきましても貴重な御示唆をしていただきました。  私は、佐々木議員がお示しのように、今や教育の問題は一文部省の領域を離れて国民全体あるいは内閣全体で取り組むべき段階に来ている、そのように考え国民の御期待にもおこたえし、内閣の責任も考えまして先般の施政方針演説にお示しした考えを申し述べたわけでございます。もとより、今まで行われました中教審の答申というものの内容はよく点検され、また十分尊重されなければならぬと思います。また、現在総理大臣の諮問機関として活躍しておられまする教育と文化に関する研究会の答申が三月に出る予定でございますが、これらの答申も十分踏まえて、いかにこれを打開していくかという点を基礎固めをしてまいりたいと思っております。  現在、学校暴力とか青少年非行とかあるいはさらに試験制度、第一次足切りの問題であるとか偏差値の問題であるとか、さまざまな臨床的な問題が我々の目の前に出て解決を迫られております。もちろん、そのような臨床的な問題に我々は相対応しなければならぬと思いますが、それとともに、やはり二十一世紀を目指して、日本教育基本がどうあるべきか、日本人がいかに成長して、いかに世界に発展していく日本人をつくっていくべきかという根本的な問題についてこれから答申をしていただこう、そういうような大きな意味の委員会でもあるわけでございます。そういう点を期待いたしまして、内閣総理大臣の諮問機関をつくろうという計画で進めておる次第でございます。  この問題につきまして佐々木議員から、教育問題について協議機関を設けて相談したらどうかという御提案がございました。私は、非常に貴重な御提案であると思いまして、党の幹部とも相談をいたしまして、誠意あるお答えをいたしたいと考えております。  次に、教育問題のみならず、現在の国政の重要問題について同じような与野党の協議機関を設けたらどうであるかという貴重な御提言がありました。私は、今までの与野党の関係からすれば、野党の皆様がこういうような御提案をなさることは大変勇気のある、大胆な、誠意のある御提言であるだろうと敬意を表する次第でございます。  確かに、現在日本が直面している行政改革あるいは財政改革あるいは教育改革あるいは平和外交あるいは総合的安全保障の問題、これらの問題は全国民的レベルで解決すべき問題であると思っております。そういう意味におきまして、この貴重な御提言は、行革とか財政改革とか教育改革とか平和外交とか安全保障等これらの諸般の問題について合議をして、対象を決め、そして両党のしかるべき機関があるいは各党のしかるべき機関がお互いに相談をし合い、また成果を生み合う、そういうような基盤ができ、そういう場ができれば非常に国民はお喜びになるのではないかと思っております。したがいまして、この画期的な御提案に対しましては、党機関とも相談の上に誠意を持ってお答えいたしたい、このように申し上げる次第でございます。  具体的な平和戦略の御質問がございました。  この問題は非常に重要な問題でございます。今までここでいろいろ御答弁申し上げましたが、時間の限りがありましたので、やや断片的な御答弁に過ぎた嫌いがございますけれども、やはり一番大事なことは、この世界の平和、特に当面の問題は核軍縮軍縮、それに焦点を絞るということであると思います。平和を維持していくということは、貿易国家日本にとっては死活的、重要的な課題であると前から申し上げているとおりでございます。平和が世界の一角において崩れれば、日本経済はもうそれだけで甚大な影響を受けるわけであります。恐らく円は暴落するでございましょう。そういう一つの点だけを考えてみましても、平和を維持することは何事にもかえがたい大変な大事な仕事であると考えておるわけでございます。  しかし、それをやるにつきましては、これは今遺憾ながら東西両陣営に分かれておる。南北問題もある。また、東は東、西は西の内部でおのおのの問題も抱えておる。その中にイラン、イラクやあるいは中近東のような火山帯がまだあそこにもあります。あるいはさらに、南米その他におきましては債務累積国の問題がございます。これらはみんな相牽連し合いながら、しかも世界平和上無視できない重要な問題であるわけでございます。  これらを解決するためには、日本一国だけの力では解決できません。国際機関の力がまた大きな影響を持ちます。国連にいたしましても、あるいは軍縮会議にいたしましてもINFにいたしましても同様でございます。しかしそれと同時に、現実の世界情勢の仕組みから見れば、自由世界は自由世界である程度の結束を持ち、ワルシャワ条約体系軍はワルシャワ条約体系軍の一つの結束を持っていることも事実でございます。そういう中にSTARTとかINFの問題が今中断されておるわけでございます。そういうような生きた国際情勢のもとに、生きた平和戦略を現実的に具体的につくっていかなければ意味がないと思うのでございます。  平和を追求するという点におきましては、我々も皆様方あるいは世界国民の皆様方とちっとも変わってはおらない。しかし、その平和を追求する具体的仕組みについて考え方が違っておるわけであります。我々は、自由世界の国々と協調しつつ安心のいける、そしてしかも世界国民の皆さんが納得できるような方法で世界平和を追求し、安全保障を維持していきたいと考えておる次第でございまして、そのような一般的な考えをここで申し上げ、具体的な問題につきましては、予算委員会におきまして御質問をいただきましてお答え申し上げたいと考える次第でございます。  さらに、日ソの対話の再開あるいは米ソ軍縮交渉の促進について御質問をいただきましたが、これらにつきましても、日ソの関係につきましては、領土問題を解決するというために不屈不撓の決意と努力を持続しながら、さらに日ソ間の幅広い話し合いの糸口を見つけて安定的な関係を打開すべく努力していきたい、そのように考えております。軍縮交渉の推進につきましても、今後とも依然今まで以上の努力を傾注してまいるつもりであります。  朝鮮半島の問題につきましても、ここで申し上げましたように、我々は朝鮮半島の平和維持につきましては重大な関心を持って、また影響を受ける国でございます。そして朝鮮半島の問題につきましては、第一義に、これは北朝鮮と南の韓国とが話し合うべき問題であるという立場を堅持しております。そして今回北朝鮮が三国会談を提唱してきたということについては、ラングーン事件の前後の話でありまして、いかなる意図に基づいてこれが提起されてきたか、十分分析する必要もございます。そして、これに対してアメリカ側が四カ国会談を提唱したと聞いております。つまり、中国を入れなさいという考えです。これに対する北朝鮮の反応は否定的な反応であると情報を聞いております。  そういうような情勢のもとに、日本はどういうふうに対応するか。私は、第一義的には朝鮮半島の北と南が話し合うべきであるという、これが第一義的であると同時に、第二義的には休戦交渉に関係した国々が次にタッチするのが適当であろう。つまり、北朝鮮と韓国それから中国とアメリカであります。この休戦交渉にタッチした関係国が話し合うのが妥当であろう。我が国は独特の平和憲法を持ち、個別的自衛権の範囲内の防衛力を行っている、そういう国でありまして、ほかの国と違う基本条件を持っておる国でございます。しかし、朝鮮半島の平和維持については、また重大な影響を受ける国でございます。そういう点をよくわきまえながら、我が国我が国の分限を守りつつ、我々の友好国と相談をしていくという立場が正しいと思う。いわゆる六カ国会談という構想はございますが、これは一つの構想であると思っています。そうして、数がふえればふえるだけ複雑になって問題が解決しにくいという面もあります。しかし、話ができればそれだけ安定性を持つというまた逆の面もございます。そういう利害、いろんな面も考える必要がありますが、そういう面につきましては、我々が頼まれもしないのにしゃしゃり出るという立場ではない。我々は、やはり現在の憲法や国是の限界をよく考えながら慎重に対処するというのが日本の立場ではないかと考えておる次第であります。(拍手)  次に、経済協力につきましては、今のような観点に立ちまして、鋭意、世界の平和、発展途上国の繁栄のために努力してまいります。  防衛費GNP一%範囲内というこの目標は、我々は依然としてこれを堅持すべく努力してまいるつもりでおります。  次に、防衛予算の効率的運用につきましては、かねて民社党の皆さんから御指摘を受けておる点でございまして、我々は、この内部のチェックにつきましては、御指摘に沿いまして、さらに厳しく効率的にやってまいりたいと思っております。ややもすれば、予算が増加するというと惰性に流れる危険性がございます。そういう意味におきまして、一銭一厘といえども国民の税金からいただいているお金でございますから、効率的に使われるように厳重にチェックしてまいりたいと思っております。  日米農産物交渉につきましては、御指摘のように、これを政治問題化しないという配慮が重要であると思っております。アメリカは大統領選挙の年でありますから、ややもすればこれが政争の材料になる危険性がございます。そういう危険性が発生しないうちにこれを解決するということも外交上考慮する一つの点であると思っております。要するに、六百億ドルに及ぶこの日米間の膨大な物資の交流の中、また、この両国が提携していることは世界の平和とアジアの安定に偉大な貢献をなしているというこの現実、この現実を踏まえまして、この大きな機能を発揮している両国関係というものを、金額的に見てささいな問題から影響を与えたり、これが破壊され、傷つくようなことをやることは政治家のとるべき態度ではない、これは両国の政治家が心して考えなければならぬ問題である、そう思っています。しかし、両国の国内事情につきましては相互に思いやりを持つこともまた当然であります。  しかし、農業問題というのは、これは各国におきましても社会基盤を構成する重大な問題でありまして、私は前から、農業は生命産業である、あるいは農は国のもとであると申し上げているのは、そういう社会性を重要視しておるからであります。(拍手)そういう観点に立ちまして、日本農業の安定的発展、それと国際的調整というものの妥当な線を見出すべく今後努力してまいるつもりであります。  政治姿勢につきまして、補助金等を中心にする公金の配分と公権力の使用に関する御注意をいただきました。これらにつきましては前から指摘された点もございます。しかし、公金の配分や公権力の使用というものは、我々は憲法及び法律に従って厳正にこれを行っておる考えでございまして、今後ともそのように公正な配分と権力行使を実行していかなければならない、そのように考えております。今回も補助金を約四千三百億円でございましたが、これを削減いたしました。ともかく補助金削減につきましても例年異常な努力を続けておるわけでございます。予算の効率的運営ともども、いわゆる御指摘されました金権的構造の打破という問題につきましても、我々はそういう事実はないと思いますが、今後とも戒心していかなければならないと考えております。  議員定数是正の問題につきましては、これは各党の重要な基礎構造をなすものでございますので、十分論議をしていただきたいと思います。五百十一人の枠内で改正しようというお考えは、大体各党共通になっているのではないかと思います。いま御指摘の三人ないし五人という枠の御指定は初めて承りましたが、重要な御示唆をいただいたと思いまして、党で研究さしていただくことにいたします。  どうもありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇〕
  13. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えをいたします。  まず、昭和六十年度予算編成、君はまずもって取りかからなければならない宿命を持っておるではないかという前提を置いてのお尋ねでありました。  確かに昭和五十五年度予算、それまでがおおむね一八%弱連年伸びておりましたものが、このとき初めてプラス一〇%シーリング、それから五十六年がプラス七・五%シーリング、そして五十七年でゼロ%、五十八年でマイナス五%、五十九年でマイナス一〇%、こういうシーリングというものが一つの出発点となって、私は、五十八年度に引き続き対前年度マイナスとすることが一般歳出においてできたというふうに考えます。したがって、非常に厳しいものがあるわけでございますので、いろいろ御議論を聞きながらも、いずれ概算要求の際のシーリングをどうするかという問題の選択に迫られるわけでございますので、やはり私は、今数%というものを申し上げる段階ではないにいたしましても、六十年度予算もその概算要求の際から厳しいシーリングの中におさめられる努力をしなければならないものではなかろうか、こういうふうに考えております。総理からもお答えがございましたように、今度予算審議に入りますと、いわば中期展望に基づく試算等をお出しするわけでございます。その中で、国会の議論、そして特に国民の意思がどこにあるかということをそんたくしながら、それらの基本的な方向は見定めなければならない問題であるというように考えておるところであります。  そして歳入面につきましても、これは歳入についても幅広く検討を要求されよう、こういう御指摘もいただいております。したがって、これらも議論を通じながら負担と受益の関係においてどのような判断をするかということを慎重に対応していかなければならない課題だというふうに考えております。  それから「増税なき財政再建」、この問題については、総理からお答えが基本的にございました。あくまでもこれをてことして、安易な考えになりますと直ちにもって歳出削減の気構えが崩れてまいりますので、これをてことして臨まなければならないというふうに考えております。  その際御議論になりましたいわゆる各党合意に基づいた景気浮揚に役立つという問題の御意見がございましたが、確かに佐々木委員長も、おおむねの合意、こうおっしゃっておりますが、私どもも議論の過程におきまして、あるいは三・四%という実質成長率をより確実にすることがすなわち景気だという議論もやりましたし、それ以上に潜在的な成長力をより伸ばすようなものが合意内容だ、いささかこの議論は、私は完全に熟した議論にはなっていなかったというような私なりの気持ちを持っております。したがいまして、この問題につきましては、五十七年の三月にこれも各党合意でできましたいわゆる減税小委員会におかれましても、赤字国債をこの財源に充ててはならぬということが合意されておりますので、ぎりぎり詰めてまいりますと、このたびのようないろいろな増収措置等をやらざるを得なかったということに対して御理解がいただけるものではなかろうかというふうに考えておるものでございます。  いずれにいたしましても「増税なき財政再建」、これはあくまでも歳出削減基本として取り組むためのてこでございますので、そのてこにすがりながらこれからも最大限の努力をしていかなければならぬ。そして、国会を初め国民各界各層の議論を通じてそこにコンセンサスを見出していかなければならない重大な課題であるということは私も十分認識しておるつもりであります。(拍手)     〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕
  14. 後藤田正晴

    国務大臣(後藤田正晴君) 佐々木委員長の御質問にお答えを申し上げます。  まず、行政改革財政再建の関係についての考え方でございます。  今日、国、地方を通じて行政の組織が肥大化をしておる、同時に、社会の変化に即応しがたくなっておる、つまり硬直化をしておるという傾向は否定できません。そこで、行政改革というのは、国、地方を通ずる組織、仕組みのスリム化を図る、簡素化を図る、そして仕事のやり方を効率化していく。一口で言えば、国民の皆さんからちょうだいする税金の値打ちを一〇〇%効果あるものとして使うことができる国の仕組み、地方の仕組み、仕事のやり方に改めるということではなかろうか、こう考えておるのですが、一方で近代国家に対する国民の需要、これはだんだん拡大をしてくるわけでございます。  そこで、経費の全体を節減するという場合にはなかなか容易でないということも事実でございます。一たん拡大しておる需要に近代国家として応じなければならぬということで、制度化した以上、なかなかそういった制度見直しに困難が伴うということは御理解をしていただきたいと思いますが、今日のこの厳しい財政状況のもとにあって、何としてでも財政の再建をやらなければならぬ、こういう至上課題がある以上は、私どもとしては、行政改革を通じて財政の再建に積極的に寄与していくという基本的な考え方でございます。  そこで、政府としては、ことしの五十九年度予算の編成に際しましても、国家公務員の大幅な縮減であるとかあるいは補助金総額の圧縮であるとかあるいはスクラップ・アンド・ビルド、この原則をかたく守って中央省庁の内部組織の機能的な改編あるいは地方出先機関の機構簡素合理化、そして同時にまた、特殊法人の整理合理化、こういった一連の行政改革施策を決めて、これを実行したいということで今国会にも多くの法律案の御審議を願うことにしておるのでございます。  そこで、六十年度予算の編成に際して、一体いまから行政改革、どういう準備をしておるのだ、こういう御質疑でございましたが、御案内のように第二臨調の答申というのは、行政の組織、定員、現業、特殊法人等の整理合理化、こういった各般の事柄について、ほとんどすべてのことについて年次の終期が決められております。そこで、私どもは、その年次の最後の締めくくりを考えまして各年度の具体化の方針を立てて、そして行政改革の着実な実行を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。もちろん、そういったときに予算の編成と並んでやるわけでございますから、財政の再建にできる限り寄与していくというやり方でやっていきたい。  なお、この際、私はつけ加えてお答えいたしておきたいのは、今日の行財政改革の中で政府として本当に力を入れなければならないのは、中央ももちろんですけれども地方行政にある。しかし、この地方行政は御案内のように自治権の尊重という問題がございますので、政府としては地方団体に強く要請をして、そして国、地方相ともに手を携えて国民の期待にこたえていくような行政改革をやりたい、かように考えておるところであります。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
  15. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 御質問の第一点は当面の経済経済政策についてでございますが、政府は今の経済をどう見ておるかということでございます。  第二次石油危機が起こりましてからことしで五年目になりますが、過去四年間は厳しい不況の時代が続いておりまして、ようやく四年を経過いたしまして調整が終わって、今経済は上昇の方向に向かい出した、このように判断をいたしております。世界経済もやはり第二次石油危機の厳しい影響を受けておりましたが、ようやくアメリカ経済回復を軸といたしまして今回復の方向に進みつつある、このように考えております。そういう時期でございますから、経済政策よろしきを得ますならば相当な成果を上げ得る絶好の機会でなかろうか、このように思います。  しかし、ことしの五十九年度政府予算は、ただいま御指摘がございましたように中立型、具体的に言いますと、経済成長に及ぼす影響はゼロである、こういう内容でございますので、この非常な大事なときでありますので、やはりこれからの経済政策につきましては金融政策財政政策を固定的に考えませんで、これからは実情に合ったように機動的に運用していく、これが非常に大事な点でなかろうかと思います。この点につきましては、政府部内でもこの基本方針合意ができておりますので、機動的な運営によりまして目標が達成できますような努力を続けてまいりたい、このように考えております。  御質問の第二点は、最近の我が国の外貨準備の状況いかん、また、それはどのように管理、保有されているかということでございますが、外貨準備資産は大蔵省と日本銀行によりまして管理されておりますが、かわって私から御答弁を申し上げます。  昭和五十九年一月末の外貨準備高は、合計で二百四十六億六千九百万ドルになっております。ただ、内訳が出ておりますのは十二月末の分が出ておりまして、一月末の分はまだ出ておりません。そこで、その昨年末の時期においての内訳を申し上げますと、昨年末では約二百四十五億ドルになっております。そして金が約九億ドル、それから外貨が約二百二億ドル、それからIMF関連の資産、これが約三十四億ドルになっております。  なお、御参考までに申し上げますと、過去数年の間で外貨準備高が一番多かったときは五十三年末でありまして、この時点は三百三十億ドルございました。  以上で終わります。(拍手)     ―――――――――――――
  16. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 瀬長亀次郎君。     〔瀬長亀次郎君登壇〕
  17. 瀬長亀次郎

    ○瀨長亀次郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、総理並びに関係大臣に質問いたします。  総理、今、日本国民を広く覆っているものを一言で言うならば、底知れぬ不安と混迷であります。果てしない軍備拡張競争のもとでの原水爆戦争の恐怖、社会保障がどんどん切り詰められていく暮らしと老後の見通しのなさ、そして金権腐敗政治が横行する政治への不信の増大、だからこそ国民は、さきの総選挙において自民党中曽根政治に対して厳しい審判を下したのであります。  ところが、総理は、自民党の大敗北の原因として自認されている政治倫理への取り組みは、施政方針演説でも田中問題に一言も触れないなど根本問題を回避し、反省はなきに等しいものであります。(拍手)同時に、軍事費よりも福祉を、が圧倒的多数を占める世論調査結果に示されているように、国民が、平和を破壊し、暮らしを押しつぶし、民主主義に挑戦する中曽根政治の全体に対し、不信任の意思を明らかにしたことは言うまでもありません。(拍手)  総理、それにもかかわらず、国民から基本政策は支持されたと強弁される根拠は一体何か。選挙であれほど明確に示された国民の声を無視することが許されるならば、議会制民主主義そのものも成り立ち得ないではありませんか。まず最初に、この点について、昨日のように答弁を避けずに、はっきりとお答え願いたい。(拍手)  不安と混迷の時代であればこそ、日本の進路をしっかりと見定めることが何よりも重要であります。そこで私は、第一に国際的進路について伺います。  総理は、国際国家を強調されましたが、世界GNPの一割近くを占めるいわゆる経済大国である日本が、激動する国際社会の中でどのような態度をとるかは重大な問題であります。すなわち、二つの軍事ブロックの一方にくみし、人類を破滅に導く核軍拡競争のお先棒を担ぐ国際的孤立の道を歩むのか、それとも、原水爆戦争の不安のない真の平和、真の軍縮への積極的なイニシアチブを発揮するのか、それは世界史の流れにも大きく影響するほどの重要な意味を持っております。今米ソ間に全面核戦争が起これば、全地球的規模で恐るべき破滅的結果が招来されることは目に見えております。アメリカを中心とした西側軍事ブロックとソ連を中心とした軍事ブロックとの果てしない核軍拡競争の悪循環、これこそが原水爆戦争の恐怖の根源であることは言うまでもありません。軍拡の論理を断ち切るべきときであります。(拍手)  総理、力による平和だとか力の均衡などという議論がいかに危険きわまりないものであるかは、あなた自身が、米ソの戦争抑止は危険がなきにしもあらずで我々は憂えていると認めているではありませんか。本当に憂えているのであれば、率先して力の均衡論を捨て去るべきであり、軍事ブロックの解消をこそ訴えるべきであります。(拍手)狭い視野に閉じこもるのではなく、広く世界を眺めるならば、今や全世界の三分の二を超える国々が軍事ブロックにくみしない非同盟、中立を宣していることに気づかれるでありましょう。また、その隊列に我が国が加わるならば、国際政治における発言力は飛躍的に強まり、米ソ両国の政策を大きく揺り動かすでありましょう。(拍手日本国憲法は、恒久平和への願いの基礎を平和を愛する諸国民の公正と信義に置いておりますが、非同盟、中立へのとうとうたる世界史の流れを総理はどのように評価されますか。あわせて見解を問うものであります。(拍手)  さて、総理、我が党の宮本議長は、去る一月、レーガン米大統領、アンドロポフ・ソ連共産党書記長に書簡を送り、両首脳が核兵器の廃絶、原水爆の全面禁止という平和の原点に立ち戻って積極的な行動をとるよう求めました。総理も一応は核兵器ゼロを口にしておられます。それならば、なぜ単刀直入に米ソ両国に対し、また全世界に向かって、本当に胸を張って核兵器の廃絶を訴えられないのでありましょうか。(拍手)  一九四六年、創設直後の国連は、当時の全加盟国の賛成による文字どおりの総会決議第一号で、原子力兵器など一切の大量破壊兵器の廃棄を決めております。この国連の決議を無条件に支持されるのか、明確にお答えください。  原水爆戦争の危険をめぐって、今、日本国民にとって最も緊急、重大な問題は、水爆を搭載した巡航ミサイル、トマホークの米第七艦隊への配備であります。一発で広島型原爆の二十倍の威力を持ち、相手方レーダーをかいくぐって目標に致命的打撃を与えるこのトマホークを、米国防長官は、我が国のどの戦力にもまさる最高の兵器であると豪語しております。まさに悪魔の兵器であります。それが我が国の横須賀、佐世保、沖縄を主要な基地とする米第七艦隊の一部の旧型艦を除くすべての水上艦、潜水艦に配備される。開始の時期は本年六月、目前であります。  総理は、昨年五月のサミットで、パーシングⅡや水爆巡航ミサイルのヨーロッパ配備に賛成した理由を、アジアを核のごみ捨て場にさせてはならないからだと述べました。もちろん、ソ連のSS20ミサイルのアジア配備に反対するのは当然であります。今回のトマホーク配備は、まさにアジアが核のごみ捨て場となり、私たちの日本が水爆の網の目によって取り囲まれることを意味しております。それはまた、非核三原則が完全に空文化し、日本が水爆戦争の根拠地になることを意味しております。  総理日本国民の総意を代表し、いまこそアメリカに対し、トマホーク配備反対、日本寄港反対を断固として表明すべきときであります。(拍手)あなたの決意を伺います。  折しもアメリカの国防報告は、西太平洋を三大戦略拠点の一つに位置づけ、総理がレーガン大統領に約束したシーレーン防衛の一九八〇年代中の達成を公式に要求しております。シーレーン防衛なるものが、日本自身の安全とは何のかかわりもないアメリカの戦略の一端を担わされるものであり、それも危険きわまりない三海峡封鎖とともに、トマホークによって水爆ミサイルの重装備を持った米第七艦隊を護衛するためのものであることがますます鮮明となっているではありませんか。(拍手)しかも、これを受け入れることによって、国民は一層軍事費の急増に苦しめられなければならないのであります。  総理、アメリカ政府に内政干渉そのものであるこの要求まで出させたあなたの責任はまことに重大であります。日本の安全と平和を守る決意があるならば、断固として拒否し、シーレーン防衛誓約そのものを撤回すべきであります。(拍手)  外交基本は、他国の独立、民族の自決権をあくまで尊重するとともに、我が国への内政干渉を許さず、日本国民の利益を守り抜くことでなければなりません。この点で、農産物交渉においても、アメリカに譲歩を重ねるのではなく、国民食糧を守り、民族の独立の基礎である日本農業を絶対に外国に売り渡さない、これが日本政府の根本方針であると、どうして堂々と言えないのですか。(拍手)外務大臣は、訪米後、後に引けぬところまで渡った、しゃにむにやる以外にないと述べていますが、どんな約束をしてきたのか、国民の前に明らかにすべきであります。総理並びに外務大臣の答弁を求めます。(拍手)  この際、私は、安保条約、日米軍事同盟が、国民の安全を保障するのではなく、逆に危険と破壊をもたらすものである、その実態について触れます。  沖縄の米海兵隊は、県民の強い抗議の中、復帰以来連日のように、りゅう弾砲による実弾射撃演習を行い、着弾地点である美しい恩納岳や金武岳は破壊され、たび重なる山火事で完全に緑は消え、どす黒い姿に変形しています。総理のたびたび言われている緑は失われているのであります。ミッドウェー艦載機の厚木基地における離着陸訓練は年に三万回に及び、その爆音は百二十ホンに達し、文字どおり死の爆音であります。だからこそ、沖縄でも神奈川県の大和市でも、自民党議員を含めて、このような演習をやめよの決議をしているのであります。  美しい祖国、自然を破壊し、人間らしい暮らしを奪う、それが、総理、あなたの賛美してやまない安保条約下の現実であります。総理は、この実態についてどうお考えであるか、この点を国際的進路の最後に伺っておきます。  次に、暮らしと経済財政を中心にした国内的進路について伺います。  総理は、夕げの明かりに家庭の団らんのひとときを過ごし、あすへの希望を語り合える世の中をつくることが、いつの世にも変わらぬ政治の責任と述べました。八十三名の労働者の命が奪われた三井有明鉱に家庭の団らんがあるでしょうか。安全無視、もうけ第一主義の大企業の冷酷さが引き起こしたこの大惨事に、あなたは、なぜ施政方針演説で一言も言及されなかったのか。同じ三井グループの北炭夕張の大事故がわずか二年前。当時政府も企業も、安全対策に万全を期し再び惨事を繰り返さないと誓ったではありませんか。なぜ惨事が繰り返されるのか、その責任をどうとられるおつもりか、総理の明確な答弁を要求するものであります。(拍手)  求められているのは、利潤至上の大資本の要求に従うことではなく、人間性の尊重であり、真の連帯の回復であります。その点で、いま最も力を注がなければならないのは、社会保障全面切り捨てをやめ、その充実と発展の方向へ根本的に転換させることであります。  社会保障とは一体何でしょうか。病気で働けなくなっても、失業で働き場所がなくなっても、あるいは年をとって仕事を続けることができなくなっても安心して暮らすことができるように、この願いを実現するために労働者、国民が手を携え、戦前の暗黒の時代から国と大資本を相手に闘い、営々として築いてきた獲得物、それが社会保障であります。(拍手)それはお恵みでも何でもない、国民基本的な権利であり、社会的連帯のあかしそのものであります。だからこそ、日本国憲法は国民基本的人権の一つとして生存権を明記し、政府に対し、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めることを義務づけておるのであります。  総理、あなたの言う心の触れ合う連帯なるものの中に社会保障はどのように位置づけられておるのでありますか、お答え願います。(拍手)  自民党政府国民の運動に押されて重い腰を上げ、一九七三年、福祉元年を宣してから十一年。昨年の老人医療有料化に引き続き、健康保険制度発足以来の大原則である本人十割給付制が突き崩されようとしております。お年寄りの年金、恩給は、物価が四・四%上がっているのに、その半分以下の二%アップにとどめ、その上、今後の給付水準を二割五分も切り下げ、逆に保険料は二倍に引き上げるといった大改悪が準備されております。さらに、政府は、真に救済を要する者への福祉は維持すると言いながら、最も救済を要する失業者への給付を二割も引き下げ、母子家庭への児童扶養手当を義務教育終了で打ち切ることまで計画しているのであります。これで、どうしてあすへの希望を語り合えるでしょうか。  総理、いま準備されている諸計画が実行に移されるならば、一九八四年、昭和五十九年は福祉総破壊元年として歴史に残されるでありましょう。(拍手)それは、国民のみずから手にした宝を奪うことであり、憲法に対する挑戦と言わなければなりません。あなたが憲法を守ると言うのであれば、これらの制度改悪計画を潔く撤回すべきであります。また、財政の困難を福祉破壊の口実に使うことは許されません。  昨年六月のアメリカ国防総省報告は、日本とヨーロッパ諸国に大軍拡を要求しつつ、どこからかそこに回す金を持ってこなければならない、そして社会保障分野こそまさにその源であると、あけすけに語っております。福祉を二%に抑える一方で、軍事費を総理の一声で六・五五%と異常に突出させた来年度予算を見れば、中曽根内閣がそのとおりに実行したことは明らかではありませんか。(拍手)戦車、ミサイルに福祉を踏みつぶさせてはならない。軍事費を大幅に削減すべきであります。このことを強く要求し、総理所見を伺いたい。(拍手)  総理施政方針演説は、景気対策について内需中心の拡大を強調しました。しかし、この言葉は、過去五年来毎年聞かされてきたのでありますが、実現されたためしがありません。一体なぜでしょうか。  政府国民生活白書を見れば、原因は明らかであります。昭和五十年から五十七年までの七年間に、平均家計の実収入は実質ベースで約四万一千円ふえましたが、そのうち二万五千円強を税金と社会保険料に取られ、さらに一万五千円を契約支出やローンに取られ、結局手元に残った自由に使える金、実質任意可処分所得は八百円しかふえなかった、これが白書の分析であります。総理、七年かかってたった八百円であります。これでは消費が伸びず、商店や中小企業の売り上げが落ち込み、昨年一年で一万九千百五十五件という史上最高の倒産、統計開始以来最高の失業率が記録されるのも当たり前ではありませんか。内需拡大を口にするのであれば、何よりも家計に余裕を取り戻す政策をとるべきであります。総理及び経済企画庁長官の見解を求めます。  家計に余裕を取り戻すために政府としてとり得る最も有効、確実な対策は、言うまでもなく大幅な所得減税であります。過去七年間の減税見送り分をカバーしようとすれば、所得税住民税を合わせて二兆円の減税が最低限必要でありますが、政府減税案なるものは必要額の半分、一兆円にすぎません。しかも、その財源はすべて増税によって賄おうというのであります。  総理酒税物品税、石油税、自動車税、中小企業の法人税で国民負担を強制される増税額は八千二百億円であります。さらに、消費者米価、国鉄運賃など国の公共料金値上げが四千億円であります。計一兆二千二百億円。その上に、地下鉄、バス、上下水道など地方公共料金の値上げラッシュが続くのであります。右のポケットに返してやると言いながら、左のポケットからそれ以上に取り上げる、このような負担増は、国民の求めている減税とは言えないのではありませんか。(拍手)  あなたは、総選挙増税をしないと明言しました。私は、増税計画の白紙撤回、減税規模拡大を強く要求し、総理の誠意ある答弁と、大規模減税を主張している経済企画庁長官の見解を求めます。  さて、総理は、行政改革財政改革にさも成果を上げているかのごとく得々と語られました。財政危機だから、軍備拡張に金がかかるから、福祉をばっさり削って弱い者を泣かせる、これを行政改革とは言えません。国民の願いである真の行政改革、真の財政改革は、国民の立場に立って、行政サービスの水準を落とさず、むだと浪費に徹底的にメスを入れる、ガラス張りの効率的な行政機構行政運営を実現する、これでなければなりません。例えば、コンピューター開発、民間航空機開発など財界、大企業に対する手厚い助成は、国民政府批判にもかかわらず、来年度予算で縮小されなかったばかりか、逆に拡大されているではありませんか。  税制でも同じであります。国民には大増税を押しつけながら、昨年三月期に日本世界をまたにかけて稼きまくり六百八十四億円の利益を上げた三菱商事、同じく四百九十四億円の三井物産、以下伊藤忠、丸紅、これらの巨大商社は、外国税額控除なる優遇制度を利用して、いずれも一円の法人税も払っていないではありませんか。それでもなお改めなければならないとは思いませんか。  以上の諸点について、総理の率直な答弁を求めます。  軍事費を聖域とし、財界奉仕をもう一つの聖域とする中曽根内閣行政改革方針を根本的に改めない限り、六十五年度赤字国債ゼロどころか、破局は必至であります。  大蔵大臣や自民党首脳は、大型間接税導入の検討の機は熟したとまたもや発言されているようでありますが、総理、あなたは大型間接税を拒否すると断言できるでしょうか、伺っておきたいと思います。  最後に、私は、総理政治姿勢についてただしておきたい。それは田中問題の決着であります。この問題にきっぱりとした決着をつけることを抜きにして、政治倫理確立はありません。  総理は、総選挙後の総裁声明で、田中問題のけじめが明確でなかったことが自民党最大の敗因であり、田中氏の政治的影響を一切排除すると明言されました。ところが、第二次中曽根内閣の組閣に当たって、田中軍団はまたもや最大の比重を占め、施政方針演説でこれに一切言及されなかったのであります。総理、あれほどはっきり言明されたことを、なぜ施政方針演説では黙して語らなかったのか、その理由を伺いたいと思います。(拍手)  前国会で、自民党が田中辞職勧告決議案の本会議上程阻止に全力を尽くしたことは国民周知であります。けじめをつけ、政治的影響を一切排除することがあなたの本心であるならば、今後はこれまでのような理不尽な態度はとり得ないはずであります。当然改められると思いますが、いかがでしょうか。自民党の倫理とともにあなた自身の倫理が問われております。総理答弁と、自民党が万一決議案阻止の態度をとった場合どうするか、田川自治大臣の見解も伺いたいと思います。  第二は、国民の声を正しく政治に反映させる民主主義の保障についてであります。  田中型金権政治の最大の害悪は、金の力で政治と行政を動かして特定少数者の利益を図り、圧倒的多数の庶民の声を封じてしまうことにあります。自民党はさきの党大会で、公然たるわいろとも言うべき企業、団体献金の制限緩和方針を決定しましたが、全くの逆行であります。企業献金の緩和ではなく、その全面禁止をこそ目指すべきではありませんか。(拍手)  次に、最高裁で違憲状態と認定された衆議院の著しい定数均衡是正も緊急に行われなければなりません。一対三の著しい格差を認める自民党試案のようなこそくな手直してはなく、せめて最大格差一対二の範囲で思い切って配分し直すべきではありませんか。その際、事実上の小選挙区制となる二人区はつくらず、必要な選挙区合併を行うべきであります。  以上、総理答弁を求めます。  婦人差別、性による差別が残されている社会に真の民主主義はありません。  国連婦人の十年の九年目を迎え、関連国内法整備婦人差別撤廃条約批准することは、政府の重大な責任であります。今財界は平等を口実に母性保護の骨抜きをねらっておりますが、保護と平等は両立し得るし、またさせなければなりません。(拍手)そういう立場で条約批准男女雇用平等法法制化に取り組まれるのかどうか、総理の決意を伺っておきたいと思います。  第三に、次の時代を担う子供たちをどう育てるかという問題であります。  総理教育について語られることは自由でありますが、そのためには、まず今日の教育の荒廃をもたらした自民党政府自身の責任を明確にすべきであります。(拍手)私学助成を大幅に削って貧しい人々から高等教育の機会を奪うことが、教育の機会均等という憲法上の原則に照らして許されるでしょうか。また、四十人学級を凍結し、マンモス校を放置してきめ細かな教育や非行根絶を期待できるでしょうか。  教育基本法は、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間を育てることが教育の根本目的であり、だからこそ、いかなる勢力の不当な支配にも屈服してはならないとうたっております。この立場を堅持し、教科書の国家統制や特定の歴史観の押しつけ、教師の自主性を奪う管理強化など、自民党政府による文字どおりの不当な支配を中止することが先決ではありませんか。(拍手)  総理自身、国家百年の計で、拙速を戒めなければならないと述べられたように、教育改革国民的合意を最も必要とする分野であります。教育臨調なる少数のメンバーの組織をつくり、夏までに答申を求めるという総理の提案は最悪の拙速であり、ましてそれが臨調のごとく財界主導の密室審議で行われるようなことになれば、百年の悔いを残すことは明らかと言わなければなりません。名称はどうであれ、いわゆる教育臨調構想を撤回し、真に国民的な教育論議の場をこそ設けるべきであります。  以上、総理答弁を求めます。  最後に、私はもう一度強調したい。総理、あなたの不沈空母構想日本民族死滅の道であります。死滅の道を拒否する、断固として生存の自由を守ろうではないか、これは全国民の真実の声であります。日米軍事同盟から脱却し、非核、非同盟、中立の日本を実現してこそ、安全保障の確かな道も、豊かな人間らしい暮らしも、自由と民主主義も開けるのであります。国民は必ずこの道を切り開くために立ち上がり、底力を発揮するでありましょう。  日本共産党・革新共同はその先頭に立つ決意を述べ、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
  18. 中曽根康弘

    ○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 瀬長議員にお答えをいたします。  まず第一は、政策は支持されているかという御質問でございますが、私は、行政改革の問題、教育改革の問題、外交政策あるいはがん対策、こういう政策は確実に国民から支持されていると確信しております。(拍手)  次に、均衡と抑止の理論をやめないかという考えでございますけれども、現在のINFやSTARTが休止されて世界の重大関心を呼んでいるのはどこであるかといえば、それはやはり均衡と抑止というものによって米ソの関係の調和が保たれている、それがあいまいになり不安になってきているという点で、かたずをのんで見ているのではないかと思います。したがって、世界の現在の安全保障というものが均衡と抑止によって保たれているということはこれでも実証されておるのでありまして、我々はそういう立場をやはり維持しておるということを申し上げるのであります。  非同盟運動につきましては、非同盟諸国の路線につきましては私たちも敬意を表しておる次第でございます。さらにこれらの発展途上国の繁栄のためには今後とも協力していく考えでございます。  核兵器の廃絶につきましては、もとより同感でございまして、かねて訴えているところでございます。しかし、こういうようなことをやるについてはやはり段取りや根回しが必要なのでありまして、単に演説だけやって核兵器が廃絶されるものではない、このことを申し上げるものでございます。(拍手)  国連決議の第一号において、国家の軍備からの核兵器その他すべての主要大量破壊兵器の除去ということを言っております。それはそのとおりでありまして、これは一九四六年一月二十四日、日本が国連に入る前のものであったと思います。我々もこの趣旨には賛成であります。レーガン大統領も、核戦争においては勝利者はいない、核兵器廃絶を目指すと、私のこの席で演説しておるのを御記憶であったと思います。  次に、トマホークの問題でございますが、これは、核兵器につきましては非核三原則を持っておりまして、これを厳守していくということは累次申し上げたとおりです。  シーレーンの防衛は、貿易国家で生きていく日本が自分の必要のためにやるのでありまして、米国のためにやっておるのではありません。  次に、農産物交渉の問題について、日本農業を外国に売り渡さないと言えとおっしゃっておりましたが、日本農業を外国に売り渡す考えは毛頭ありません。(拍手)  米軍基地につきまして、沖縄で山火事が起きた由でございますが、もしそのような事実があったとしたら甚だ遺憾でございまして、自然保護等についても十分注意してやってもらうようにいたしたいと思っております。  三井有明の災害はまことに遺憾な事態でございまして、遭難なされました御遺族の皆様方には深甚の弔意を表するものでございます。これらの問題の再発を防ぐために通産省を中心に種々の対策を立てておることは、先般来御報告申し上げたとおりでございます。  次に、社会保障の問題で、特に医療制度の問題について御言及がございましたけれども、これは、先ほど来申し上げましたように、今掛金をしている若い人たちが年をとった場合に医療保険が受けられなくなるのではないかという不安が非常にあるのでございます。この世代間の公平を確立して若い人たちの不安を解消するというために、医療保険の基礎を確実に長期的に安定していくための措置である、このように御理解願いたいと思うのであります。(拍手)  防衛費について御質問がございましたが、これは、我が国防衛するために必要最小限度の防衛措置を講じた、こういうことでございます。  減税につきましては、今回は特に、扶養家族のある中堅所得者、給与所得者の負担の軽減に配慮して行ったのでございまして、現在の厳しい財政事情のもとにおきましてはぎりぎりの努力をしておるということを御理解願いたいと思うのであります。  次に、大型間接税につきましては、このようなことを考えてはおりません。先ほど申し上げたとおりでございます。  政治姿勢について、私の声明をなぜ施政方針で言わなかったかということでありますが、党内問題につきましては進んで言う必要はないと思っております。  企業の政治献金の禁止の問題でございますが、企業も労働組合と同じように社会的実在として政治活動の自由は保障されているのでありまして、企業からの政治献金を悪であると決めつけておることは間違いであると私は思っております。(拍手)  次に、衆議院の定数是正の問題でありまして、二人区を避けよという御指摘でございました。これらのことは民主議会政治の基礎にかかわる問題でございまして、各党間で十分御議論を願ってまとめていただきたいと思っております。  婦人差別撤廃条約につきましては、六十年に批准をすることを目標に鋭意努力していきたいと思っております。そのための男女雇用平等法につきましても、審議会の議を経まして、早期に法案提出を目指して努力しておるところでございます。  教育荒廃の責任はどこにあるかという御質問でございましたが、やはり戦後の日本がいわゆる高密激動社会に転化いたしまして、このスピードに対して親や子供や先生がついていけないという要素もあったし、学制において無理の点もあるのではないかと思っておるのであります。これらの点につきましても我々は改善しなければならぬと思っております。教育改革に関する考え方を撤回する意思は毛頭ございません。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
  19. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) 瀬長議員にお答えをいたします。  私の先般の訪米の際、農産物問題でアメリカに何か約束をしたのではないか、何か譲ってきたのではないかとの御質問でございますが、そのようなことは全くありません。何らの約束もしてないことをはっきりと申し上げておきます。  確かに私は、外務大臣の立場から、またその責任上、アメリカの関係閣僚と日米懸案問題について話をいたしました。あるいは日米農産物問題についても話し合いをいたしました。私は、アメリカ側に対して、農産物について我が国の厳しい国内事情を説明するとともに、日米関係の重要性にかんがみ、牛肉、かんきつ問題の円満な解決のためには米国側も柔軟な姿勢を持って協議に臨むことが不可欠である旨を強調したのであります。その結果、アメリカ側も今後の農産物交渉に弾力性を持って対応するとの心証を得ることができたわけで、それなりの成果を得ることができたと確信をいたしております。(拍手)     〔国務大臣田川誠一君登壇〕
  20. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 瀬長議員にお答えをいたします。  田中辞任勧告決議案に対する対応でございますが、政治倫理に対する問題は、基本的には政治家個人にかかわる問題でございまして、したがいまして、お尋ねの田中辞任勧告決議案につきましては、党議などによって拘束すべき問題ではないと考えております。そういうことでない方が望ましいと思っております。しかしながら、我々新自由クラブといたしましては、昨日申し上げましたように、もし国会にこの決議案が提出をされて採決されるようになるとすれば、全員これに賛成することになっております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
  21. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 第一の御質問は、昭和五十年から五十七年までの間に実質任意可処分所得が八百円しかふえていない、これではお話にならぬ、こういうお話でございますが、事実そのとおりでありまして、昭和五十年に二十六万三千九百円であったものが二十六万四千七百円になっておりますから、御指摘のとおり八百円の増加であります。  しかしながら、ここで御注意をしていただきたいのは、実質任意可処分所得というのは、実収入から、社会保険、税、こういうものを差し引いた上、さらに住宅ローンその他の借入金の返済、それから生命保険の掛金、それから月賦、掛け買い払い、こういうすべての支払いを引いた上で、さらに物価の割引を実質化したものが実質任意可処分所得でございます。そういうことでありますので、これが伸びなかったということであろうと思います。  ただ、ここで申し上げたいのは、やはりその背景には昭和五十年以降二回にわたる石油危機というものがございまして、ずっと不景気の時代が長く続いたということもその背景にあろうかと思います。ただしかし、実質任意可処分所得がふえるということは、これは国の立場からいいましても非常に大事なことであろうと思います。  第二の御質問は税制の問題でありますが、税制は景気と密接な関係がございます。この観点に立ちまして、今後の税制のあり方につきまして、私から大蔵大臣、自由民主党の政策責任者に若干の提案をいたしまして、現在御検討をいただいておるところでございます。  以上であります。(拍手
  22. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。     〔副議長退席、議長着席〕      ―――――・―――――  議員請暇の件
  23. 福永健司

    議長福永健司君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  太田誠一君、齋藤邦吉君及び平泉渉君から、二月十四日より二十二日まで九日間、佐藤隆君から、二月十六日より二十三日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ―――――・―――――  日程第一 皇室会議予備議員選挙  日程第二 皇室経済会議予備議員選挙  日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予   備員の選挙  日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員の選   挙  日程第五 検察官適格審査会委員及び同予備   委員の選挙  日程第六 国土開発幹線自動車道建設審議会   委員の選挙  日程第七 北海道開発審議会委員選挙  日程第八 国土審議会委員選挙  日程第九 日本ユネスコ国内委員会委員の選   挙  日程第十 鉄道建設審議会委員選挙
  25. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第一ないし第十に掲げました各種委員等の選挙を行います。
  26. 古賀誠

    ○古賀誠君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名せられ、皇室会議予備議員皇室経済会議予備議員裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。
  27. 福永健司

    議長福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、皇室会議予備議員に       福田  一君 及び 園田  直君を指名いたします。  なお、その職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、皇室経済会議予備議員に       長谷川四郎君 及び 岡田 春夫君を指名いたします。  なお、その職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、裁判官弾劾裁判所裁判員に       長谷川四郎君    上村千一郎君       澁谷 直藏君    青木 正久君       稲葉 誠一君    前川  旦君    及び 石田幸四郎君を指名いたします。  また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に       高村 正彦君    熊川 次男君       日野 市朗君 及び 渡部 一郎君を指名いたします。  なお、予備員の職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、裁判官訴追委員に       大西 正男君    鯨岡 兵輔君      小宮山重四郎君    高鳥  修君       保岡 興治君    広瀬 秀吉君       山花 貞夫君    浅井 美幸君       小沢 貞孝君 及び 野間 友一君を指名いたします。  また、裁判官訴追委員予備員に       白川 勝彦君    加藤 紘一君       加藤 万吉君    森   清君    及び 岡本 富夫君を指名いたします。  なお、予備員の職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、検察官適格審査会委員に       唐沢俊二郎君    綿貫 民輔君       小林  進君 及び 市川 雄一君を指名いたします。  また、  熊川次男君を唐沢俊二郎君の予備委員に、  太田誠一君を綿貫民輔君の予備委員に、  清水勇君を小林進君の予備委員に、  草川昭三君を市川雄一君の予備委員に指名いたします。  次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に       田中 六助君    金丸  信君       藤尾 正行君    砂田 重民君       堀  昌雄君    井上 普方君       伏木 和雄君 及び 吉田 之久君を指名いたします。  次に、北海道開発審議会委員に       箕輪  登君    村上 茂利君       高橋 辰夫君    新村 源雄君    及び 斎藤  実君を指名いたします。  次に、国土審議会委員に       原 健三郎君    長谷川四郎君       三池  信君    佐々木義武君       大西 正男君    田邊  誠君       中村  茂君    薮仲 義彦君    及び 宮田 早苗君を指名いたします。  次に、日本ユネスコ国内委員会委員に       大塚 雄司君    工藤  巖君       湯山  勇君 及び 有島 重武君を指名いたします。  次に、鉄道建設審議会委員に       田中 六助君    金丸  信君       藤尾 正行君    山口 鶴男君       近江巳記夫君 及び 河村  勝君を指名いたします。      ―――――・―――――  中央更生保護審査会委員任命につき事後承認を求めるの件  電波監理審議会委員任命につき事後同意を求めるの件
  29. 福永健司

    議長福永健司君) お諮りいたします。  内閣から、  中央更生保護審査会委員に貞閑晴君を、  電波監理審議会委員に前田陽一君を任命したので、それぞれ事後の承認または同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり事後の承認または同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも承認または同意を与えるに決しました。      ―――――・―――――  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求   めるの件  社会保険審査会委員長及び同委員任命につき   同意を求めるの件  中央社会保険医療協議会委員任命につき同意   を求めるの件
  31. 福永健司

    議長福永健司君) お諮りいたします。  内閣から、  日本銀行政策委員会委員に村上素男君を、  社会保険審査会委員長に加藤信太郎君を、  同委員に新津博典君を、  中央社会保険医療協議会委員に伊藤善市君及び伊東光晴君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、日本銀行政策委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  32. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。  次に、社会保険審査会委員長及び同委員及び中央社会保険医療協議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ―――――・―――――
  34. 福永健司

    議長福永健司君) 御報告いたすことがあります。  議員木村武雄君は、昨年十一月二十六日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において昨年十二月二十七日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議  をもってその功労を表彰され さきに内閣委員  長建設委員長の要職につき また再度国務大臣  の重任にあたられた議員正三位勲一等木村武  雄君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげ  ます     ―――――――――――――  故議員木村武雄君に対する追悼演
  35. 福永健司

    議長福永健司君) この際、弔意を表するため、渡辺三郎君から発言を求められております。これを許します。渡辺三郎君。     〔渡辺三郎君登壇〕
  36. 渡辺三郎

    渡辺三郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員木村武雄先生は、昨年十一月二十六日逝去されました。  戦前戦後を通じ憲政の正道を追い求め、半世紀にわたってきっすいの政党政治家として御活躍された先生が、御家族皆様の手厚い御看護の中で静かにこの世を去られたのであります。いかに天命とは申せ、まことに痛恨哀惜の念にたえません。  私は、ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。  木村先生は、明治三十五年八月、山形県米沢市にお生まれになり、長じて米沢興譲館中学から明治大学に進まれました。市会議員、県会議員として立憲民政党山形県支部を率いられた厳父忠三氏の血を受け継がれた先生は、将来政治家たらんことを志し、ひたすら研さんを積む傍ら、弁論部に籍を置き、学内正常化運動から公娼廃止運動に至るまで、八面六臂の活躍をもって、駿河台に「学生志士木村あり」とうたわれたのであります。  卒業後、先生は、亡くなられた父君の御遺志を継ぎ、弱冠二十六歳で米沢市会議員、さらには県会議員になり、以後五十年余に及ぶ政治活動のスタートを切られたのであります。  昭和初期における東北地方は、天候不順による未曾有の凶作と農業恐慌にあえいでおりました。みずから米をつくる農民に食べる米がなく、娘の身売りが相次ぎ、学童の大半がアザミの葉などを食べて露命をつなぐという状態でありました。この窮状に慟哭された先生は、同志と相はかって山形県置賜平野に置賜農民同盟を結成し、文字どおり農民と起臥をともにして、大衆の生活を守るため心血を注がれたのであります。  この運動は、農民だけでなく広い階層からの支持を受け、飯米払い下げ、郷倉運動、共同作業所設置など、一つ一つ着実な成果を上げ、さらにそれは大きなうねりとなって日本農民連盟の結成へと発展していったのであります。  かくして先生は、日本農民運動史上に大きな足跡をしるし、政治家としての理念と力量を遺憾なく発揮されたのであります。  昭和十一年一月、衆議院が解散されたのを機会に、先生は第十九回総選挙に立候補され、その厚ぎ信望によって全国最年少三十三歳で見事初陣を堂々の勝利で飾られたのであります。(拍手)  時はまさに激動の時代でありました。先生が当選されて六日後に二・二六事件が勃発し、時代の様相はファシズムヘの道程を急ピッチで歩み始めておりました。やがてそれが日中戦争、太平洋戦争への悪夢の行進であったことは、諸君御承知のとおりであります。  先生は、当初中野正剛氏の主唱する東方会に所属をしておられましたが、日中戦争をめぐる見解と方策の違いからそれとたもとを分から、新たに東亜連盟協会を設立され、その運動を展開されたのであります。当時の資料によりますと、この協会の綱領、スローガンには、万邦協和による世界絶対平和の確立が究極の目標とあり、アジア各国の自主独立と国防の共同、経済の一体化などがうたわれております。当初、この協会には、木村先生が生涯の師と仰いだ石原莞爾将軍の思想に共鳴する人々が、多くの著名な学者を含めて結集しておりました。折から泥沼の様相を深めていた日中戦争の中で、中国の各地にも支部や分会が数多くつくられていきました。  この東亜連盟の運動については、さまざまの評価があることはもとより当然でありましょう。日中戦争の拡大阻止を唱えながら、満州侵略についてはこれを肯定するという矛盾を犯しているとの否定的見解は当時からもありました。しかし、軍の侵略戦争拡大政策と真っ向から対立し、日中戦争の早期終結を当面の最重点課題としたこの運動が、権力主義と権益思想に侵された当時の権力者から見逃されるはずがなく、幾たびとなく弾圧のあらしに見舞われました。このため、先生は昭和十七年の三期目のいわゆる翼賛選挙を敢然と非推薦で戦い、当選を果たされたのであります。  また、戦時下の軍閥政権のもとにあっての政府批判は代議士にとって死さえ意味しておりましたが、先生は、代議士会で堂々と戦時刑事特例法改正案阻止の演説を行ったのであります。それは切々として聞く者の胸を打ち、代議士会の大勢を法案阻止の態度に一変させたと言われております。先生のこの姿こそ正義に向かって雄だけぶ熱血の政治家をほうふつとさせるエピソードであり、翼賛政治下にあって議会の権威を示した数少ない特例として、憲政史上永久に残ることでありましょう。(拍手)  このように、先生の戦前、戦中の活動は、軍閥ファシズムのたび重なる威嚇に遭いながらも、みずからの政治信念を貫くため、政治家の良心を糧とし、正義を友とした壮烈な闘いでもありました。先生の卓越した献策は、時の権力者によってあるときはむなしく水に流されはしましたが、果敢にして真摯な闘争は、すでに日本の議会政治はことごとく死滅したと称されたこの時代においてよく一縷の栄光を維持せしめ、多くのすぐれた政治家が身をもって築き上げた議会政治の伝統に明かりをともし続けたのであります。  昭和二十年、終戦により我が国の新しい時代の幕明けとなるや、いち早く先生は同志とともに故鳩山一郎先生のもとに相集い、日本自由党の結成に参画し、政党政治の本格的再建へのスタートを切られました。しかし、昭和二十一年、先生にとっては青天のへきれきともいうべきマッカーサーによる東亜連盟協会解散と公職追放の指令を受け、六年余にわたる雌伏を余儀なくされるに至りました。  昭和二十七年、先生は追放を解除され、政界復帰の夢を果たされたのであります。当時は保守勢力が互いに対立し、権力の座を争っておりました。政権安定こそ日本再建の基本であると常々主張しておられた先生は、昭和二十九年ようやく政界再編成の機運が盛んとなるや、保守合同工作に東奔西走し、その間由ない中傷、さらには悲運ともいうべき初めての落選に遭いながらも、その実現に情熱と努力を注がれ、念願の保守合同を円満に達成されたのであります。  昭和四十二年、第二次佐藤内閣にとって内政の最重要課題となっていた行政改革に当たるため、先生は請われて行政管理庁長官に就任されました。行政改革の実行は困難をきわめましたが、先生は心魂を傾けてこれに取り組み、各省庁の一局削減というかつてない大改革を断行されたのであります。また、当時北海道開発庁長官を兼任されておられた先生は、札幌オリンピック冬季大会成功への基盤を確固たるものにするなど、行政各方面にらつ腕を振るわれました。  さらに、昭和四十七年、第一次田中内閣に建設大臣及び国家公安委員長として入閣されました。この年は近来にない集中豪雨と台風が日本全土を襲い、全国各地で未曾有の大災害が発生したときでもありました。先生は、持ち前の実行力と決断力をもって大臣就任直後から全国各地に赴き、被災地の状況をつぶさに踏査し、災害復旧事業の陣頭指揮に当たるとともに、これまで建設行政の長年のシステムでありました原状復旧工事を将来に備えた改良復旧工事に改めるなど、抜本的な防災対策の立案に精力的に取り組まれたのであります。  先生は、常に郷土の発展にも心を砕かれ、県民の所得向上、中核工業団地第一号の誘致、国県道の改良や河川の改修、大型ダムの建設事業などには特に力を尽くされました。今一々それを申し述べるにはその業績は余りにも多く、尽くし得ないのが残念であります。  また先生は、本院の内閣委員長、建設委員長の要職につかれ、中には幾つかの与野党対決のいわゆる重要法案の審査に取り組まれたのでありますが、その際はよく与野党委員の意見調整を図り、十分委員長の重責を果たされました。  自由民主党にあっては、行政調査会長、国民運動本部長などを歴任され、党の重要施策の立案、決定に大きな役割を果たし、その発言は常に重きをなしておりました。特に、石橋内閣、田中内閣の実現のために並み並みならぬ政治手腕を発揮されたのであります。  かくして、昭和十一年の総選挙以来、本院に当選すること十二回、在職三十四年五カ月の長きに及び、去る昭和四十八年十二月には、永年在職議員として院議をもって栄誉ある表彰を受けられました。この間、幾多の試練を克服し、よく国民大衆の要望にこたえられました。  今ここに政界の大先達である木村武雄先生の政治活動を顧みますると、先生は、戦前、戦中、戦後の帝国主義から民主主義へと大きく変貌した政治状況の中にあって、外に対しては終始一貫民族協和を主張されました。日中友好に果たされた役割も大きく、また、インドネシア政府から贈られた最高功績章などはその端的な一例と言えましょう。  また、先生は、生まれ故郷米沢の風土と伝統によってはぐくまれた反骨精神、いわゆる米沢かたぎの人でもありました。  先生は、権力に迎合することなく、名利を捨てて、大胆かつ独特の悲憤慷慨口調で俗説に対する鋭い批判を行われたのでありますが、特に、官僚機構に頼り切った政治では、真に国家百年の大計を樹立することは不可能であるとの信念を強く持っておられました。そのため、政党政治研究会を設立して行政に先駆けする政治を唱えられ、政党政治の確立に並み並みならぬ情熱を傾注されたのであります。  先生は、その政治活動を通じて鋭い感覚と闘志あふれる行動で一貫されましたが、その反面、情に厚く、先生が小学生のとき、同じその小学校の教師をしておりました私の母が年老いてからは、健康を気遣われてしばしば激励のため我が家をお訪ねくださいました。私が社会党から県会議員になり、また、先生と同じ選挙区から本院の末席を汚すことになって、時に先生との間に激しく論戦する立場になってからも、その先生の御厚情はいささかも変わることがありませんでした。  歯にきぬ着せぬ言動と政界の指南番を自認し、進んで政界の影武者となり、保守政界の舞台回しに砕身された先生を、同僚、後輩諸君は元帥と愛称し、そのお人柄に親しく接してまいりましたが、国家、国民の繁栄、郷土の振興のためその一身を燃やし尽くして、先生はついに生涯の幕を閉じて逆かれました。  亡くなられた十一月二十六日は、折から、解散を直後に控えて政局は緊張し、また、地元米沢では保革一騎打ちとなった激烈な市長選挙の投票前日でもありました。昭和政治史の一断面をみずからの歩みをもって体現し、半世紀に及ぶ激動の時期をただ政治一筋に生き抜かれた先生をお送りするにあるいはふさわしい日であったのかもしれません。この日、豪雪の地米沢はこの冬初めての大雪となり、ちまたは白一色に包まれていきました。  先生の御令息莞爾君は、先生を追悼して次のように歌われております。   いつも、勇気と茫然とした姿勢をもてといっ    た。   いつも、民衆のはかり知れない力を信じると    いった。   いつも、この土地日本民族のことを考えろ    といった。   いつも、あいまいな妥協は決してするなと    いった。   いつかお前は俺とけんかをしながら俗を越え    てゆけといった。 と。この言葉の中に私は先生の真骨頂を見るのであります。(拍手)まことに感無量なるものがございます。  長年にわたって残された先生の御偉業は、憲政史上不減の光芒を放ち続けることを信じて疑いません。その御逝去は、本院にとっても国家にとっても多大の不幸と申さなければなりません。  ここに謹んで木村先生の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から安らかな御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)      ―――――・―――――
  37. 福永健司

    議長福永健司君) 御報告いたすことがあります。  永年在職議員として表彰された元議員木村俊夫君は、昨年十二月一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、昨年十二月二十四日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議  をもってその功労を表彰され さきに運輸委員  長外務委員長の要職につき またしばしば国務  大臣の重任にあたられた正三位勲一等木村俊夫  君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげま  す     ―――――――――――――
  38. 福永健司

    議長福永健司君) 元本院副議長久保田鶴松君は、去る一月十二日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る一月十四日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議  をもってその功労を表彰され かつて公職選挙  法改正に関する調査特別委員長の任につき ま  たさきに本院副議長の重職にあたられた従三位  勲一等久保田鶴松君の長逝を哀悼し つつしん  で弔詞をささげます      ―――――・―――――
  39. 福永健司

    議長福永健司君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会      ―――――・―――――