○伊藤(昌)
委員 それでは、
憲法論というものは日本の政府の方々の間ではさっぱりなされていないということですね。日本国
憲法、日本国
憲法と言うけれ
ども、日本国
憲法についての論議が全くなされていない。現実
一つ一つの公務員法
違反ということ、例えばストライキをやれば、あるいは
選挙違反をやれば、その
一つの現象、現象で何とかしていくというようなことではいかぬでしょう、大もとだもの、役人になるときには
憲法を守りますと言っておるんだから。
さて、そこで国家公務員法第九十六条も、国民全体の奉仕者であって、公共の利益のために勤務しなければならない、国家公務員法第百二条第三項は、公務員が政党員となることを一応原則的に認めているけれ
ども、その加入政党が排他的で
特定階級にだけ奉仕する政策、綱領を持っている政党であるならば、公務員たる地位とその政党員たる資格とは到底両立し得ない、これはそのとおりだと思うのです。
排他的とはどういうことかというと、自分の奉仕、支持する政党に対立する階級を敵として、これと平和共存する余地を認めない、いわゆる階級闘争というものを政策、綱領にする政党に役人が入った場合には、これは誤りであるということもこの
憲法から明らかであります。
もう
一つ憲法問題について言いますが、公務員は服務の宣誓をする。
裁判所職員の宣誓文を見ると、「国民全体の奉仕者として公務を民主的に運営する責務を深く自覚すること」、それから「
憲法に服従し、これを擁護し、
法律を尊重して、職務を公正に執行すること」、この二点。ここまできちっとして強行規定でうたっておるのに、
憲法の話になるとはぐらかしてしまって、わかりませんというようなことでは、本当に私、情けなくなる。だれに遠慮して、本当のことを答えることができないのでしょうか。
そこで、その心構えがないのに、偽って宣誓したことがわかった場合には、その任命行為というものは無効などの
法律問題が当然生ずるだろうと思うのです。うそをついて、そして役人になって、役人になってから反
憲法行動を堂々とやって、そして外見からそれがあらわれるということだとか、それから、歴然とした反
憲法行為が
運動方針などにあらわれておる場合には、そういうものが出ておっても管理者がそれを知らぬ顔しておるということは間違いである。これは、国民が聞けばだれでもそう思うと思うのです。任命当時は宣誓どおりの心構えであったけれ
ども、任命後心が変わって、
特定階級だけのための排他的奉仕の心を持つようになった場合には、そのときから公務員としての適格性を欠くものと認めなければならない。
〔森(清)
委員長代理退席、
委員長着席〕
この
運動方針はそうでしょう。明らかにこれは
憲法を守っていない
運動方針ですよ。こういう事実があったら、やはり管理者というものは
憲法の内容というものをよくわからせて、そして理解をさせていくというくらいのことは管理者としての責務であると私は考えて、こういう
質問をしたわけであります。
そして、国民全体の奉仕者としての心構え、すなわち
政治的申立性の確保、すなわちこれについての宣誓、このことは自由な民主主義
政治確保のためには当たり前のことであって、したがって、任命時にその公務員がそのごとき心構えを持っているかどうかということを
調査しもしないで、そしてただ宣誓しますかといって、判こだけ押して、採用して、採用してしまったら、あと反
憲法運動、何をやってもよろしいというような、こんな不誠実な、無責任なことはないと思う。
会社だってそうでしょう。会社が採用するときには、その男の性格とか思想とかというものをちゃんと調べて、会社本位の人間でなければ採用しませんよ。これは、当たり前のことだもの。何で思想について
調査することがいけないのですか。私は、共産主義の思想はいけないと言っているんじゃない。やっても結構ですよ。しかし、会社はその共産主義者を採りたくないということなら、これは
調査するのは当たり前なんです。
それから、公務員になるときだって、日本の
憲法というものは資本主義の
憲法です。共産主義の
憲法ではないんだから、資本主義思想というものをちゃんとわきまえておる者、それから全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない、すなわち役人になってから
自民党、社会党、それから公明党、民社党の批判をしておるようなそういう思想の者は
政治的中立性を欠く者なんだから、したがって、あらかじめその人の考え方というものを
調査をするということは当然のことだと思うのですよ。もし共産主義の行動をとりたければ役人にならなければいい。役人にならないで民間人として
憲法改正をやってもいい、それから資本主義よりも共産主義の方がいいという
運動をしたっていいですよ。役人になってやってはいかんですよということがちゃんと
憲法に書かれておる。それを日本の政府は少しも守ろうとしておらないということで私はこういう
質問を申し上げたわけであります。
そこで、事実から推していかなければいかぬのですから、もう少しこの
運動方針についてわかっていただこうと思う。
先ほど述べました全民労協で、「この労働四団体共闘が、労働
運動の右傾化とも結びついて
政治戦線のうえでも、臨調行革断行を主張する民社・公明党を含む反共野党共闘を国会内で積極的に推進したこと。」この文章を見ただけで、四党を攻撃しているのですから、これはやはり日共の労働組合だということは明らかでございましょう。「労働者階級の階級的潮流である統一労働組懇は、
運動を強化、」
——統一労組懇というものはどういう労働組合ですか。これをひとつ簡明に
お答えをいただきたい。
裁判所、いかがでしょうか。
そんなことがわからないわけがないでしょう。これは役所の資料ですよ。「国公労連は、総評の反主流派勢力(共産系)を形成しており、社会党支持の
運動方針に反対をし、政党支持の自由を内容とする修正案を毎年のように提案をしてきたほか、最近では、統一戦線促進労働組合懇談会(統一労組懇)に世話人組合として加盟するとともに、同労連
委員長が代表
委員に就任するなど、その中心勢力として活動しておる」、こういうことがきちっと資料にあるのですから、何でこういうことを答弁なさらないかということであります。
大西局長、また大臣、ここにあなた方の役所の職員の組合の
運動方針があるのです。国公労連、これを見ますと、規約にこういうことが書かれておる。「弾圧対策及び救援」という条項があるのですね。これはどういうことかと言いますると、大会で決められた
運動方針に沿って、そしてそれが公務員法
違反だとかいわゆる犯罪者として警察から逮捕されたりした場合には、こういう事件のときには何万円救援をする、そういう救援規定まであるわけですよね。要するに公務員が
法律違反をやって被疑者とか犯罪者になった場合に、残った公務員がその
法律違反をした旧役人に救援をするなんということは、これはどういうことです。世界にそんな例がありますかな。これでは悪の勧め的行為じゃありませんか。
例えば同盟
関係の鉄道労働組合、それから全郵政、ここの規約を調べてみました。ところがこういうものはありません。それから民間
関係で、日産自動車、トヨタ自動車の労働組合の規約を調べてみた。しかし、こんな救援規定なんというものはないです。民間においては、何かあったときに、その組合員に迷惑をかけたときには臨時代議員会などを開いてその場で救援をするということはある。全郵政などの救援規定はこんなひどい左翼の救援規定ではなくて、何か迷惑をかけたときに救援をしましょうということはあるけれ
ども、十二年間その救援規定を使ったことは一度もなかったという。
ここに日教組の救援規定の資料があるけれ
ども、この五年間にわたって各年百七、八十億円ですよ。日教組の
先生から集めた金を
法律違反をやったその旧職員に救援をしている金が一年間に百数十億円。この国公労連については私は資料を求めておりませんけれ
ども、これはひとつ全司法なりあるいは大臣の役所の労働組合の救援資金というものは一体どのくらい使われておるかということな
ども調査をしてみなければいかぬと思う。恐らく
調査をしてあるだろうと思うのですよ。ところが、この場では
お答えになれないから沈黙されておるのかもわかりませんけれ
ども。ひとつこういうことについて管理者とそれから労働組合がよく話し合いをして、日本国
憲法の思想に沿った
運動をするようにしなくちゃいけないと思うのです。
このごろはどんどん左翼の潮流の中に日本の国はある。過日、私は、
衆議院の予算
委員会で学習
指導要領、そして教科書問題について言及をしておいた。学習
指導要領の旧と新を比較をしますと、新の学習
指導要領は全く左翼型の学習
指導要領に変わってしまっている。ところが、自由民主党の文教部会の方々はそれを御存じなかった。学習
指導要領は大臣がお決めになるのだけれ
ども、肝心な
自民党の文教部会の方は悪く変わったということを御存じなかった。そんなことでは困る。日教組は、学習
指導要領を変えるときには、
事前にちゃんとわかっておる。だから、日教組と文部省は話し合いをして、そして学習
指導要領を改悪をした。そういう左翼偏向の学習
指導要領ができてしまっているものですから、そこからつくられた教科書というものは全くどこの国の国民をつくるのかわからない。これこそ、先ほど申し上げましたように、反米親ソ、それから反政府、そして権利ばかり主張する教科書になってしまっている。文教
関係がこうでしょう、それから役所の
関係がこうでございましょう。これはやはり資本主義国家としてゆゆしい問題だと思う。
最後に、私は、私の
憲法についての見解を述べるならば、日本の国の
憲法というもの、すなわちこれが体制でしょう。日本の国の
憲法が体制ですよ。日本の体制だ。体制は何かというと、
憲法第一条、天皇象徴、これは歴然として一条にうたわれておる。それから
憲法十四条、社会的身分によって差別されない、それからもう
一つは、
憲法何条かにあるところの財産権、これがいわゆる資本主義の
憲法ですよ。修正資本主義の
憲法だ。それからもう
一つは、労使協調路線上の議会制民主主義、これが
政治制度思想じゃありませんか。この三つが体制ですよ。この三つの
一つでも除かれてしまったならば、これは革命につながるのじゃありませんか。資本主義というものの条規を除いてしまったら革命につながりませんか。議会制民主主義というものの条項を除いてしまったら革命につながりませんか。何でマッカーサーが天皇を残したのです。外国人がいわゆる国体というものを考えて残したのでしょう。
日本の
憲法の体制ぐらいはちゃんとわきまえておって、職員に対して
憲法教育というものをしっかりしていただかなければ
——右とか左とか言っておるが、私は
憲法の中身について申し上げておるのであって、反
憲法の物の考え方で申し上げておるのじゃない。日本の
憲法はこうですよということを申し上げておる。日本の
憲法というものは体制だもの。その体制はこうですよという私の見解を申し上げておるのです。本当は御答弁をいただきたいが、どうでしょう、最後に
一つ良心に照らして日本国
憲法というものはなるほどこういうものだということをおっしゃっていただけませんでしょうか。黙っておられたのでは私は何のためにここで質疑に立ったかわかりません。ここは国権の最高
機関ですよ。国権の最高
機関で
憲法論議ができなくて、そんなはぐらかすような答弁ばかりでは実に情けないと思いますが、いかがでしょうか。大臣、ひとつ……。