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太田委員 このたびの
国籍法及び
戸籍法の
改正というのは
婦人に対する
差別の
撤廃条約の
批准に備えて行われるものであるわけでございますが、前の類似の問題でありますけれ
ども、
入管法ですか、もまた
難民条約の
締結に伴って
改正をしたということが三年か四年前にありました。それから、これは
法務省の問題ではありませんけれ
ども、
我が国の
社会福祉政策というものを
難民条約の
締結に伴って
在日外国人にも利用できるようにするというふうに、いわゆる
条約の
批准ということから、
入国管理政策あるいは
帰化政策というものがあるとすれば、それがその一部分ずつ影響されてくるということがこれまであったわけであります。
それでともすれば
法律や
制度に対する
考え方というものが部分的には木に竹を接いだようなものになりがちだなという感じを実は私持っておるわけでございまして、例えば今申し上げました
我が国の
社会保障制度というものが
在日外国人にまでその
恩恵が及ぶことになったということは、これはどういうことを
意味するのかといいますと、
国籍法の第四条に
帰化のための
条件というのがありまして、その第四項の
生計条件というものがこれによって大きく
形骸化をしたわけであります。そういう結果をもたらしているわけであります。
なぜなら、
国籍法で言うところの
生計条件は独立の
生計を維持することができるということが
帰化のための
条件だと言っていることは、立法の
考え方というのは、
生活能力のない
外国人が
帰化をすると
日本国にとって経済的に大きな負担になるから、これは
生計条件というものを設けていたわけであります。ところが、
帰化する以前のただ
日本にいるというだけの
外国人に対しても
社会保障給付を認めるというのであれば、
帰化条件をそこで課して
社会保障の
恩恵を与えることを惜しんで
帰化をさせないということにしていることは
意味を失うわけであります。こういうことが間々あるわけでありまして、これは、ですから今度の
法改正によってもややそういうことがまた出てくるのではないかということを今想像をするわけであります。
そこで、従来のこれは
法律そのもの、
国籍法とか
戸籍法とか、
戸籍法は
余り関係ありません、
国籍法というものの
背後にある物の
考え方というもの、あるいは
国籍法、
外国人登録法あるいは
入管法といった現行の
法律の
考え方の基礎になっているもの、その既存のわが国の
法律体系の
底流にある
考え方と、それから
難民条約とか
婦人差別撤廃条約とか、あるいはもっと広く言えば
世界人権宣言などという
考え方というのは全く違った思想がそこにあるのではないかというふうに思うわけであります。これは私がよく
法務省の
方々とお話をしておりますと、随分と認識に差があるなというふうに思えますのは、我々は戦後の教育を受けて育ってきておりますので、多少、毒されているということになるのかもしれませんけれ
ども、どうしても
人権宣言とか
難民条約とか
婦人差別撤廃条約の
背後に、
底流に流れている
考え方の方にともすれば引っ張られがちでありまして、どうも今の
外国人登録法とか
国籍法とかの
背後にある
考え方というものはなじみにくいところがあるわけであります。ですから、同じ与党の先生と話していてもちょっと違うなと思うことがあるわけであります。
ですから、そういうことを前もってお断りをするわけでありますけれ
ども、
帰化というものに対する
考え方は、私
どもは、
日本に生まれて育った
人たちというのは原則として
日本人として
帰化をしていただく方がいいんだ、むしろ進んで
帰化をしてもらうようにお願いをしたいというぐらいの
気持ちで実はいるわけでございます。ですから、たまたま
お父さんが
外国人だから
日本人にはさせないとかいうことももちろんあれでありますし、あるいは
在日韓国人や
在日朝鮮人の
人たちのように、幾世代にもわたって
日本で生まれ育って、そしてまた
子供が生まれて、その
子供が生まれて育ってということを今までも繰り返し、これからも確実に繰り返していく
人たちについては進んで
帰化をしてほしいというふうに思うわけであります。
それはひいては
難民条約やあるいは
世界人権宣言というものの
考え方に通じるのかもしれませんけれ
ども、進んで移民を求めて
外国からたくさんの
人たちが流れ込んできてどんどん
日本人になっていくというようなことは私
どもはいいことだとは思いませんけれ
ども、現に今いる
人たちが
日本人になって、そして
日本人の
社会に同化をしてもらう、そして我々とアイデンティティーと申しますか、
一体のものとして同じように
社会のルールを積極的に守っていこうという
気持ちになる、あるいは進んで
日本という
社会に対し貢献するようになる方が、その
人たちの持っている
能力というものを十分にこの
社会が活用ができるという
意味においても本来望ましいことではないかというふうに思っているわけであります。そして、
婦人差別撤廃条約の中にも、
婦人の持っている潜在的な
能力を十分に引き出す、発揮をさせるということが
一つの目的なんだということも書いてあるわけでありますから、これは
婦人だけではなくて
日本にいる
外国人の
方々に対しても同じことが言えるのではないかと思うわけであります。
ちょっと能書きが、
前段が長くなりましたけれ
ども、そういう
考え方で、むしろ
国籍法の
改正というのを、あるいは
法律の条文だけではなくてその運用の中身につきましてももっともっとオープンにしていただきたい、もっと
帰化を
外国人に対して積極的に進めるものになってほしいというふうに願うものであります。
そこで
質問でありますけれ
ども、まず、この間から
参考人をお呼びをしてお聞きしたときにも問題になったことでありますけれ
ども、
経過措置についてであります。この
法改正の
施行の日に二十歳
未満の者であって母親が
日本人であった者は、三年以内に
届け出によって
国籍取得ができるというくだりでありますけれ
ども、これによって二十歳以下の人については救われる。しかし二十歳以上の人は
兄弟であっても
帰化ができないということが生ずるんだ。お
兄さんについては通常の
帰化手続になる、弟は
届け出によって
国籍取得ができるということになるわけでありますから、
兄弟でお互いに
外国人に新たになってしまうというふうなことが起きる。これはどうしたものか。一部で、この部分は修正して延長した方がいいじゃないか、今生きている人については全部
経過措置を適用したらいいとか、あるいは新しい
憲法以後については全部認めるべきだ、いろいろな議論がありますけれ
ども、
兄弟でそういうことが起こるということは
経過措置としてもいかにもまずいことではないか、この辺についてどうされるか、ちょっとそこをお聞きしたいと思うのです。