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1984-07-25 第101回国会 衆議院 文教委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十五日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 愛野興一郎君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    稻葉  修君       臼井日出男君    榎本 和平君       北川 正恭君    河野 洋平君       二階 俊博君    葉梨 信行君       町村 信孝君    佐藤 徳雄君       田中 克彦君    池田 克也君       春田 重昭君    滝沢 幸助君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君  出席国務大臣         文 部 大 臣 森  喜朗君  出席政府委員         文部政務次官  中村  靖君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         文部省体育局長 古村 澄一君         文化庁次長   加戸 守行君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         厚生省薬務局審         査課長     代田久米雄君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 七月二十四日  辞任        補欠選任   江田 五月君    菅  直人君 同日  辞任        補欠選任   菅  直人君    江田 五月君 同月二十五日  辞任        補欠選任   伏屋 修治君    春田 重昭君 同日  辞任        補欠選任   春田 重昭君    伏屋 修治君     ――――――――――――― 七月二十三日  私学助成大幅増額に関する請願外三件(川崎  寛治紹介)(第八四四三号)  私学助成に関する請願外二十四件(伏屋修治君  紹介)(第八四四四号)  同(蓑輪幸代紹介)(第八四四五号)  養護教諭配置等に関する請願正木良明君紹  介)(第八四四六号)  教育職員免許法等の一部を改正する法律案反対  等に関する請願外八件(池田克也紹介)(第  八四四七号)  同(大原亨紹介)(第八四四八号)  同(奥野一雄紹介)(第八四四九号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第八四五〇号  )  同外四件(佐藤徳雄紹介)(第八四五一号)  同外三件(佐藤誼紹介)(第八四五二号)  同(鈴木強紹介)(第八四五三号)  同外九件(中西績介紹介)(第八四五四号)  同(元信堯君紹介)(第八四五五号)  同(八木昇紹介)(第八四五六号)  同(安井吉典紹介)(第八四五七号)  同(安田修三紹介)(第八四五八号)  同(横江金夫紹介)(第八四五九号)  教育職員免許法改正反対教育条件改善に関  する請願安井吉典紹介)(第八四六〇号)  教育職員免許法等の一部を改正する法律案等反  対に関する請願安井吉典紹介)(第八四六  一号)  大学院生研究生学術研究条件改善等に関す  る請願伏屋修治紹介)(第八四六二号) 同月二十四日  教育条件改善等に関する請願蓑輪幸代君紹  介)(第八六五七号)  養護教諭配置等に関する請願外一件(佐藤誼  君紹介)(第八六五八号)  教育職員免許法等の一部を改正する法律案反対  等に関する請願兒玉末男紹介)(第八六五  九号)  同外四件(佐藤徳雄紹介)(第八六六〇号)  同(中西績介紹介)(第八六六一号)  大学院生研究生学術研究条件改善等に関す  る請願佐藤徳雄紹介)(第八六六二号)  身体障害児者に対する学校教育改善に関する請  願(春田重昭紹介)(第八七一〇号)  私学助成増額実現等に関する請願川崎寛治  君紹介)(第八七四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 愛野興一郎

    愛野委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山原健二郎君。
  3. 山原健二郎

    山原委員 大変残念なことでありますけれども、昨日文化庁会計課長逮捕されるという事件が起こりまして、冒頭の質問者として、これを抜かして他の質問をするわけにはまいりませんので、この問題について何点かお伺いしたいと思います。  法務省の方においでいただいておりますが、昨日の田中逮捕に及ぶ経過並びに容疑事実、特に九州大学などということが書かれておりますが、その他の大学はどういう大学であるか、そういった点について御説明をいただきたいのです。
  4. 北島敬介

    北島説明員 お尋ね田中会計課長につきましては、昨日収賄容疑逮捕いたしました。その被疑事実の要旨は、文部省大臣官房会計課総括予算班主査であった当時の昭和五十七年十一月ごろ及び五十八年二月中旬ごろの二回にわたって、株式会社オリエンタルマシン代表取締役辻宏志から、同社の事務機九州大学等購入してもらうに当たり、予算配賦等に有利、便宜な取り計らいを得たことに対する謝礼並びに将来も同様の取り計らいを得たい趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金合計七十五万円の供与を受けて、わいろを収受したというものでございます。  なお、この九州大学等という等の内容はというお尋ねでございますが、なお捜査中、捜査内容にわたることでございますので、現段階では差し控えさせていただきたいと思います。
  5. 山原健二郎

    山原委員 この事件は既に三名の、しかも文部省における予算に関する極めて重要なポストにある人たちが次々と逮捕される事件でございまして、そういう意味では、これは一種の構造的なものではないかというふうに二十日の質問のときに私申し上げたわけですが、そういう感じがしてきますけれども、そのことについては法務省としてはどういう把握をされておりますか。
  6. 北島敬介

    北島説明員 構造的かどうかということは、これは評価にわたることでございますし、また現在捜査がなお続いておる段階、必ずしも全貌が明らかになっておるわけではございませんので、ちょっとお答えはいたしかねるところでございます。
  7. 山原健二郎

    山原委員 法務省もうちょっと御辛抱いただいて、文部省の方へお伺いをします。  まず、先日私が指摘をしました各大学への工作の事実ですが、例えば、昨年の秋から本年の一月へかけまして、文部省から各大学に対して連絡が行っております。電話連絡ですが、それは、もう一度申し上げますと、別途予算を組むからパソコンとワープロ購入を行うように、メーカーの指定は行わないがオリエンタルマシン契約をしないとだめだ、こういうふうに言っておるわけですが、この事実はあったのかどうか、その後の調査の結果を御報告いただきたいと思います。  しかも、新たな事実といたしまして、この電話が行きました一週間後に、何台買えることになったのかということが、大学事務局主計係に再び電話が行っております。普通、主査から電話大学に参ります場合には事務長に行くわけですが、この場合は事務局主計係に行っているのです。そうしますと、私の推測で大変恐縮でございますけれども鳥野見主査から直接行ったのではなくて、鳥野見主査の指示によってあるいは班の部下の方が動かされたのではないかという疑念が生じてまいりますが、このことについて調査の結果を今御報告をしていただきたい。  二つ目は、いわゆる値引き率の問題ですが、これは私が指摘しましたように、競争入札の場合には一・五割ないし二割、それが今回の場合は〇・五割、すなわち五%ということで契約がなされておりまして、そこに非常に異常なものを感じます。特に大阪大学の場合は四十三機購入しておりますから、これは一台が百六十五万円といたしますと、四十三台を一括購入する場合に、なぜこれがそういう随意契約で行われたのか、なぜ競争入札が行われなかったのか、依然として私は不思議に思っているわけですが、この点について御調査をされたかどうか。  三つ目は、六月十八日から一週間にわたって大学に対する実地調査が行われておりますが、そのときに、なぜこのワープロのところを調査員素通りをしたか、この事実をどなたが行かれて、どういう大学調査をされたか、これを明らかにしていただきたい。  まず、以上のことについてお伺いします。
  8. 西崎清久

    西崎政府委員 昨日の文化庁会計課長収賄容疑による逮捕という事実につきまして、文部省としても大変遺憾なことにつきましておわびを申し上げたいと思います。  それで、山原先生の数点のお尋ねお答えを申し上げるわけでございますが、第一点の、ワープロ購入について電話連絡によって購入を慫慂したかどうか、こういう点につきましては、鳥野見総括予算班主査なり田中会計課長の本人の問題にかかわることが主たるところでございまして、それからもう一点世相手方大学がどういうふうに受けたかという点、それから第二の御指摘の、係員との関係でもこれは考えられることではないかという点などで御指摘があるわけでございますが、私どもは、捜査当局から捜査のめどがつくまでは関係大学との連絡を差し控えるというふうな立場に現在置かれておるわけでございまして、この点については、先生指摘ではございますが、私ども実情調査をする所存ではございますが、現段階では詳細は判明しておらないということを申し上げざるを得ないわけでございます。  それから、第二点の、値引き率につきましては、先般の当委員会におきまして、大阪大学に関しては五%ないし八%の値引き率ではないかということを、私ども書類に基づく調査によっての数字で申し上げたわけではございませんが、電話連絡その他による数字として申し上げました。ただいま先生お尋ねの、一割五分以上の値引き率があったはずではないかというお尋ねにつきましても、契約における書類その他の調査市場価格との比較というふうなことで私どもは押さえる必要があると考えておりますので、この点につきましても、私どもが事実上の調査を開始できる時点において早急に取りまとめをしてみたいというふうに思っております。  それから、最後に、六月十八日以降一週間、ワープロに関しての調査について実態調査、監査が行われたのではないかという点につきまして、先般ちょっとお尋ねがございまして、私どもも現在各大学に関しての調査実態調べておるわけでございますが、私が今聞いております範囲では、先生指摘の点のところでは、やはりそのワープロ購入実態についても見逃すことを意識的に行ったというふうには報告を受けておらないわけでございまして、全体の調査の中でその関係も取り調べをしていったはずであるというふうに聞いておるところでございます。  以上でございます。
  9. 山原健二郎

    山原委員 第一点は詳細不明、第二点については五%ないし八%ということですね。調べてみますと五%です。  それから、六月十八日以降の問題ですが、六月十八日、その直後にいわゆるワープロ汚職が出ておりますから、十八日から一週間の間にいわば大問題になっているわけですね。そのことについて、ある大学では五名もの調査員が現地に派遣されて、そのことについてその瑕疵を認めることができなかったということはまことに不思議なんです。これはどの大学には何名、だれだれが行ったかということですね。これはもう一番肝心の国民的関心が高まっているところを、素通りと私は言いましたけれども素通りしたところもあるのです。しかし、そこに目をつけてやれば、私はわからないことはなかったと思うのですね。どうもその辺が、文部省自体の態度がやはりなぞに包まれておるという感じがしてなりません。  それからもう一つは、オリエンタルマシンを通じて各大学納入した量、納入量、そしてオリエンタルマシンのシェア、そういうものはお調べになっているでしょうか。
  10. 西崎清久

    西崎政府委員 大阪大学購入実績につきましては四十三台ということを御報告いたしまして、先般も申し上げましたが、オリエンタルマシン社から五十八年度に購入した大学の具体的な名前につきましては、書類突き合わせを現在行っていない現状で、しかと申し上げかねるということでございます。ワープロ購入した大学全体の数としては、追加予算に係るものは大阪大学以外に十八大学あるということでございまして、その十九大学大阪大学を含めました大学の中で、オリエンタルマシン社から購入した大学とそれからその台数等については、私どもが事実調査を具体的に開始できる時点書類に基づいて把握をいたしまして、御報告の機会を得たい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  11. 山原健二郎

    山原委員 官房長大臣もおられますけれども、私は小さな問題ではないと思っています。今教育改革の問題で臨教審審議が行われておりますけれども文部省自体がまず国民に信を問われているわけですね。その信を問われている文部省があらゆる努力をして真相を明らかにするということが先決です。むしろ、臨教審審議をストップしてでもこの問題は明らかにする必要があると私は思う。それは教育問題を将来にわたって論議をする場所をつくるかどうかということですから、その肝心の文部省が、この事態を明らかにせずして、一体何をやるのかということさえ国民の間には起こってくると思います。  そういう意味でお伺いしますが、会計検査院に対して御調査になりましたか。どうでしょうか。
  12. 西崎清久

    西崎政府委員 先生の御指摘意味をよく理解いたしかねますが、会計検査院立場としては、文部省予算執行に係る事務処理について、検査院のお立場文部省を御調査になるというふうなお立場かと思うわけでございまして、本件についても検査院としては御関心があろうかと思うわけでございますが、具体に現在検査院がどのような御調査をなさるかということは、私どもはまだ承っていないというふうな段階でございます。
  13. 山原健二郎

    山原委員 この問題に関して、いわゆるこの問題が起こって調査をするというようなことは、会計検査院はやっていないかもしれません。私きょうあえて呼ばなかったのですが、会計検査院の方には各大学から、どれだけの物品を買って、それが何台で、そして機種は何か、あるいは経費はどれくらい要ったか、この報告が行っているわけですよね。文部省にある資料は確かに捜査のために検察の方に提供されておると思いますけれども、しかし、調べようとすれば会計検査には出てきているわけですからね。じゃ大阪大学には何台、どこそこの大学には何台、単価幾らというので、全貌がつかめるはずでしょう。国立大学はそういう報告をしているんじゃないですか。していないんですか。
  14. 西崎清久

    西崎政府委員 検査院の方での御調査は、先般も検査院担当官からのお話がございましたが、金額の規模というものがあるというふうに私も聞いたわけでございまして、このワープロ自体についての検査院の御調査がどの程度であったかということは必ずしもつまびらかではございませんが、ただいま係官に確かめたところによりますと、この大阪大学関係に係る事務機器における関係書類は、検査院のものも捜査当局に提供されておるというふうなことのようでございます。
  15. 山原健二郎

    山原委員 全くこれでは、捜査の方向がどういうふうになるかよくわかりませんけれども、起訴あるいは裁判にかかる段階でそれが解除されるのかということになりますと、それがいつのことかわからぬわけですよね、文部省は何にもありません、会計検査院の方も書類は押収されておるということになりますと、もう警察当局あるいは司法当局そのものが解決する以外に、文部省幾ら事務次官をキャップとする検討委員会をつくったといっても、国民の前に明らかになるのはいつのことかわけがわからないでしょう。捜査当局としてはいつごろこういう資料の解除が行われるのか、その見通しはどうでしょうか。     〔委員長退席白川委員長代理着席
  16. 北島敬介

    北島説明員 文部省当局自身の御調査ということにつきましては、私どもは直接どうこうと言うことはないわけでございますが、何分捜査中でございますので、ただいま山原委員指摘のようないろいろな事実関係、これは贈収賄の事実の立証の上で重要な関連を有する事実でございますので、検察当局捜査対象というものと文部省当局調査対象がダブるということがあり得るわけでございます。ですから、そういう場合に検察官といたしましては、やはり当面は、特に非常に捜査というのは限られた期間内に行わなければならないわけでございますから、捜査の方を優先させていただきたいという気持ちになるのであろうというふうに思っております。そういうことで、ただ、この捜査の結果がいつの段階でどういう状況で公表できるかというふうなことにつきましては、ちょっと現段階ではその見通しを申し上げる段階にはないということでございます。
  17. 山原健二郎

    山原委員 そういう事態ですと、文部省は結局捜査当局の結論まで待たなければならぬということになりますが、文部省検討委員会は今何をしているのですか。
  18. 西崎清久

    西崎政府委員 国立学校に係る予算事務処理体制等改善に関する検討委員会を、先般事件が発生した直後に置きまして、一昨日部会三つ設けたわけでございます。一昨日設けました部会の第一は、予算事務処理体制検討部会一つでございます。第二は、人事綱紀に関する検討部会でございますし、第三には、契約事務処理体制検討部会でございます。三つ部会を昨日それぞれ開きまして、予算事務処理検討部会におきましては、先生かねて御指摘予算配分あり方の問題というもの、事実関係究明調査の問題はそれはそれといたしまして、やはり予算配分意思決定手続の問題その他ということについて至急改善検討をしたい、こういうことで作業を始めておるわけでございます。人事綱紀検討部会におきましては、適正な職員配置その他服務の問題を含めて検討をしよう。それから契約事務につきましては、事実関係調査は、先ほど来申し上げておりますように、作業が進みにくいわけでございますが、しかし、その仕組みの問題としては契約事務の、例えば随意契約であるとか競争入札における手続の問題であるとか、そういうことについてのあり方ということについて改善検討を加えていく必要があるというふうなことで、検討部会三つ設けて、昨日から具体的に検討を早急に行うべく作業を始めておる、こういう段階でございます。
  19. 山原健二郎

    山原委員 やはりわかりにくいのですね。大阪大学の四十三台のワープロ購入、これなどにつきましても、幾ら考えても一括購入ですから相当の金額でしょう。百六十万以上については競争入札をするというのが会計法上の建前ですね。それが、一台が百六十五万円、そういう単価でございますが、それを四十三台も購入する場合になぜ随契でやったのかということですね。ほかの大学のことを調べていただいたらわかると思いますけれども資料がないとおっしゃるのですが、大学には残っていると思います。現物もあるわけですね。それを十九の大学に対して調べることだってそれほど難しいことではないと思いますけれども、あえて資料がないとおっしゃるから、もう時間の関係でこれ以上言いませんけれども大阪大学の場合どういうふうに解釈をしておりますか、もう一度伺っておきます。
  20. 西崎清久

    西崎政府委員 大阪大学につきましては、先生指摘のとおり四十三台のワープロ購入実績があり、私ども把握では総額約六千万余の金額になるかと思うわけでございます。その契約といたしましては、支出負担行為担当官事務局長でございます。そこで、事務局長決裁関係が十分にとり行われたのかどうか、経理部長関係で処理されていたのではないかというふうな疑問点は私どもは持っております。経理部長決裁できる範囲は六十万円までというのが学内規則での関係であるというふうに私ども調べではあるわけでありまして、その関係が、決裁の原議書事務局長経理部長との関係がどうなっていたかということなどが、私どもがまず第一に調査をしたいというふうなことでございます。  それから、第二点としては、先生おっしゃいますように、それぞれの単価を掛け合わせました総額が六千万以上ということでございますから、競争入札契約であってしかるべきところが随意契約であるという事実のようでございますので、その随意契約でとり行われた契約がどういう経緯でどういう意思決定のプロセスで行われたかということも、私ども重大な関心を持って調査を取り進めたいというふうに思っておるわけでございまして、この点は、先生の御関心のあるところと私ども調査をいたしたい気持ちとは同一でございまして、この点も早急にきわめたいというふうに思っておるわけでございます。
  21. 山原健二郎

    山原委員 オリエンタルマシンの辻の、逮捕されているわけですが、このいわゆるワープロルートの方から今日の文部省主査をやっておった人が逮捕されるという事件ですね。これはもう一つルートがあるわけです。これは大阪大学経理部長である中曽根に関するルートです。医療機器です。医療機器メーカーとのルートがどうなっているか。  これは法務省の方にお伺いしたいのですが、今までの新聞等の情報によりますと、フクダ電子、これは医療機器トップメーカーでありますが、その永田明部長、これは取締役総務部長ですが、これからわいろが二十万円ずつ三回、計六十万円渡った。それから、パシフィック科学貿易株式会社井上旻社長、この方は医療機器及び検査機器をめぐって百五十万円のわいろが渡った、こういうルートがあるわけですが、この医療機器ルート文部省に絡んでおることがないのかどうか。この点はいかがでしょうか。
  22. 北島敬介

    北島説明員 いずれも捜査内容にわたることでございますので、お答えを差し控えさしていただきます。
  23. 山原健二郎

    山原委員 中曽根という人物が文部省総括予算班の係長をやっていたころ、いわゆる医科大学が続々と新設された時期であります。そしてこのとき、いわゆる新設される医科大学をめぐって医療機器販売の激烈な競争が行われている時期でございます。こういう関係から見まして、医療機器をめぐるルート文部省としても徹底的に調査をすべきであると私は思います。この点についてはどのような検討がなされておるか、これは文部省の方に伺っておきます。
  24. 西崎清久

    西崎政府委員 中曽根大阪大学経理部長文部省会計課職員でありましたが、必ずしもストレートに病院関係の仕事をしていたようには私どもは理解をしていないわけでございます。  先生指摘医療機器納入の問題、医科大学新設に係る物品購入の問題につきましては、それぞれの大学におきまして会計手続に従って購入が行われておるのが現状でございまして、従来もそれはそれとして適正に行われてきたと思うわけでございますが、今回の事件が御指摘オリエンタルマシン以外の医療機器納入に係る贈賄側逮捕というようなこともあるわけでございまして、この点につきましては、大阪大学に関しましては少なくともこの点についての事態究明ということを私どもは心がけねばならないというふうに思いますし、その余の大学につきましては、物品購入一般の問題として、特に医療機器については十分留意あるべし、そして、その物品購入に係る納入のいろいろな手続については今後このようにあるべきであるというふうな指導助言等は、これから私どもは十分心がけなければならないと考えるわけでございます。
  25. 山原健二郎

    山原委員 資料の提出を要求したいのですが、一つは、毎年二回やっております文部省実地調査、これも私は素通りしたということを言ったのですが、これも明らかになりませんので、五十八年度の会計について実地監査をした一覧表、どの大学に対して何名、その氏名全部を挙げてほしいのです。それを明確にしてもらいたいのですが、これはできますか。
  26. 西崎清久

    西崎政府委員 御指摘資料につきましては、できるだけ御趣旨に沿うような調製をさせていただきたいというふうに思っております。
  27. 山原健二郎

    山原委員 もう一回確認しておきますが、文部省が発表されました大阪大学を含めて十九の大学、いわゆる留保予算についてその配分、どの大学ワープロ何台、価格幾ら、その全貌は、もう一回伺いますけれども、この委員会へ提出することができるでしょうか。
  28. 西崎清久

    西崎政府委員 この点につきましては参議院。内閣委員会においてもお答えしたところであり、前回当委員会でもお答えしたところでありますが、各大学からの申請書及び私どもの手元にありました予算配分の原議書、五十七年度、五十八年度の書類すべては捜査当局に現在提供しておる次第でございまして、書類に基づく明確な予算配分額その他については、しかとしたものを当委員会に御提出することは現時点では困難であるというふうに考えるわけでございます。
  29. 山原健二郎

    山原委員 こうなってきますと全貌がつかめないということですね。そして、昨日逮捕されました田中主査、現文化庁会計課長ですが、昭和五十三年度からのわいろの問題が出てきております。五年たっているのですね。これは長期にわたって、しかも中曽根田中、鳥野見という歴代の主査をやっている、しかもこれは文部省予算のまさに中枢を構成する重要な人物ですね。予算というのは、これは国家予算でも文部省予算でも、最も重要なものですからね。教育政策問題と絡んだ最も重要な部分において、五十三年度から長期にわたってこのようなことが行われ、しかもそれを内部において全く把握することができなかったということはただごとではないのです。私はそういう意味で、これは明らかに、ここまで言いたくないのですけれども、責任問題に絡んでくると思います。どこの官庁だって――私は県会議員も経験しておりますけれども、一部長が荷さばき所の建設に当たってわずかの金を業者からもらっておったという事件が起こりまして、県政自体が大混乱に陥ったことがあるのです。これはそれとは全く異質なんですね。今度の場合は、オリエンタルマシンという、決して大企業ではありません、いわば小さな企業だと思います。必死の思いでワープロの売り込み作戦をやる。小企業の売り込み作戦というのは大変なものだと思うのです。でも、それとワープロ大学購入させることをいわば地位を利用して強要する――その一つ電話です。電話ですから真偽の確かめようがありませんけれども、間違いありません。私は聞いていますからね。これを買いなさい、あえてメーカーは指定しないけれどもオリエンタルマシン以外はだめだということを言って購入させた。そして、その金額は今までにない高い金額で買わせているわけです。これは国費です。国費を使ったわいろ事件ですからね。単に業者がいろいろのことを頼んでその謝礼として出したということではなくて、国費がここで動いて、それがわいろになっている。しかも、その浮かした私の計算では二千万円に達する余分のもうけ分がどこに行ったかわからぬと私は思っています。だから、そういう点で、これはただの汚職事件ではないですよ。国民の税金がここで消費されている問題ですから、単なるお頼みをして、そしてわいろを何十万かもらったというようなものとして受け取ってはだめです。  だから、そういう点でこの問題は、文部省の大きな責任問題が出てきたと思うのです。これから事態がどういうふうに発展するかわかりませんけれども、少なくとも責任は明確にしなければなりません。そうでなければ、今教育改革を論ずる資格が文部省にあるか、こういう問題になってきます。文部省はあらゆる努力をして、何をおいてもこの問題について真相を国民の前に明らかにすべきである、また、議員の質問に対しても、あらゆる努力を払って真実を明らかにすべきである、そのことが今先決問題ではないのかというふうに思うわけでございまして、私は、文部大臣の責任の一つはそこにあると思うのです。今無理に二十一世紀に向かって教育改革をやるということで審議をされておりますけれども、肝心の部分を抜きにして本当の審議ができるのか、また、その審議をしましても、国民の信頼を文部省自体がかち取ることができるのかということを考えますと、本当に深刻な事態としてこれを受けとめまして、あらゆる努力を払って真実を明確にしていくことが大事だと思うのです。その意味で文部大臣の意見をぜひ伺いたい。  文部大臣は、今日まで何回かこの場所で陳謝もされております。気持ちはわかりますけれども、これは文部省、戦後初めての汚職事件、しかも小さな事件ではないということを考えますと、必ず責任問題が起こってくる。恐らくその問題についてもお考えになっておると思いますが、これについて大臣の御見解を伺っておきたいのです。
  30. 森喜朗

    ○森国務大臣 相次ぐ不祥事を文部省で生じさせまして、大変残念至極でございます。まさかと思っておりましたことが相次いでこうして行われますことに対しまして、今山原さんから御指摘をいただくまでもなく、文部行政の責にあります私といたしましても重大なる責任を感じております。特に、権威ある国会、しかも神聖なる文教委員会でこうしたことを御究明をいただくということ、御究明をいただくお立場も、そしてまた、こうしてお答えを申し上げる私にとりましても、まさに残念至極でございますし、断腸の思いでございます。  先ほどから官房長が申し上げておりますが、事態の解明につきましては捜査当局が行っていることでございます。国会で究明をし、解明をすることも、これもまた一つの方法かと思いますが、事態捜査当局において今行われていることでございますので、この捜査の結果、そしてまた、事実関係というものを明確にさせていただく、そこに一応お任せを申し上げるということが筋ではないか、こういうふうに判断をいたしております。  しかし、予算の配分あるいはまた物品購入等々につきましてのいろいろな御指摘先生からいただきましたことにつきましては、一つ一つどもとしても十分吟味をいたしておるわけでございます。この点につきましては、私も事務当局に対しまして、検討委員会作業を少し急ぐように、そして新しい体制をぜひつくり上げるように、また、国民からの疑惑を招かないように、そうしたことを一日も早く世に明らかにすることもまた文部省としての反省を国民の前に明らかにいたすことでもあろう、こういうふうにけさほど督促をいたしておるところでございます。何といいましても、極めて大事な教育改革を行おうという大事な時期でございますだけに、職員一丸となって、国民の不信を一日も早く回復ができるように、私どもとして全力を挙げてまいりたいと思います。  先生からのお尋ねに対しまして、先生のお気持ちに率直に沿い得るような答弁をできないということもまことに申しわけないと思いますが、先ほど申し上げましたように、事態は専門の捜査当局で解明をいたしておるということで、そちらの方にゆだねておきたいと思います。しかし、文部省としての解決策は十二分に急いでしなければならぬということも私は十二分に承知をいたしておりますので、文部省といたしましての、部会三つに分けさせていただきましたので、早急に解明、あるいはまた今後の新しい方策といいましょうか、物品購入等に対します方策等につきまして、新しいシステムを十分に見出して、国会の前で明らかにさせていただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、役職員一同一丸となりまして、この不名誉を回復し、国民の信頼をつなぎ得るように不退転の決意で努力をしてまいりたい、このように申し上げておきたいと思います。改めて国会を通しまして国民の皆さんに深くおわびを申し上げる次第でございます。     〔白川委員長代理退席、船田委員長代理     着席〕
  31. 山原健二郎

    山原委員 もちろん満足はできませんけれども、時間の関係もありますし、これ以上申し上げませんが、やはりこの問題も、田中問題、例のロッキード事件をめぐって来ている問題の決着がまだ国会ではついていないということと絡みまして、あれは八年前に起こった事件でございますけれども、やはり大きな影響を与えておると思うのです。そういう意味でも、しかもそれは教育の問題ですから、しかも特に政府の方では、知恵太りの徳やせだ、体徳知であるというふうな道徳教育の問題などを盛んに強調されているわけですね。今度の臨教審が仮にできたとすれば、恐らくその問題が一つのテーマになってくると予想されるわけです、今までの答弁から考えまして。そうしますと、本当にこの肝心の部分が検察当局警察当局の結論が出るまでは何にも手が打てない、あとは少し機構をどうしたらいいかとか、予算の組み方をどうしたらいいかとかいうことになってしまって、肝心のこの問題について文部省自体としてメスを加えることができないということでじんぜんとして日を過ごすならば、国民の信頼をかち取ることは絶対にできないと私は思います。  そういう点で、きょうはあえて時間をとって申し上げたわけでございまして、恐らくこの点は各党の皆さんも、これからの事態の変化によっては集中した審議をして、やはり国会としても放置できない問題としてお考えになっておると思います。その意味で、これはまた今後問題になると思いますので、きょうはこの程度でおきたいと思います。  最後に一点だけですが、いわゆる行革審の報告がきょうじゅうには出ると言われております。もう中身はおわかりだと思います。大学の学部・学科の新増設の抑制、あるいは授業料などの引き続く適正化。そして定数改善計画、高等学校を含めまして引き続き当分の間厳しい財政事情を考慮して抑制するということ。私学助成につきましても総額抑制、学校給食に関する抑制など、いわゆる臨調答申の指摘された事項をさらに推進するという報告になることは間違いないと私は確信しております。  そうしますと、教育改革を今まで大臣も提唱されてきたわけですが、いわゆる四十人学級も私学助成も、あるいは大規模校解消の問題とか学校給食の問題とか、しかも十八歳人口の膨張する時点における大学の学部・学科の新増設の抑制、こうなりますと、もうがんじがらめです。本当にこれは大変な事態教育改革もあったものじゃない。衆議院文教委員会、今までここで論議してきた、何遍も決議してきたこと自体がここで破壊されていく、そういうことになりかねません。私はそういう意味で文部大臣の決意をもう一回伺いたい。  そして、委員長にお願いしたいのですけれども、四十人学級の問題については、少なくももう一回この文教委員会で決議をする必要がある。そうしなければ、何もかも吹っ飛んでしまうようなことになりかねませんので、この点について委員長にあえて申し上げたいのです。今委員長はおかわりになっておりますけれども、船田先生の方からお考えをいただきたい。  大臣委員長の御見解を伺いまして、私の質問を終わります。
  32. 森喜朗

    ○森国務大臣 行革小委の報告を受けて、審議会でいわゆる六十年度概算要求の作業を前提といたしましての方向が示されるのは、恐らくきょうあたりではないかということは承知をいたしております。もちろん、その報告を受けて、財政当局から来年度の概算要求の基本的な考え方が示されると思います。その具体的な指示がございますまでは、今の段階で私が具体的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。しかし、熱心に各党の皆さんが、今山原さんから御指摘がありましたように、四十人学級あるいは私学助成、また大規模校の解消、高等教育機関に関するいわゆる抑制に対する不信、そうしたことごとにつきましては、私は大変大事な問題であるというふうに受けとめております。予算は極めて厳しい、しかも行政改革を進めていかなければならぬということは、内閣としてこれに当たっていくことは当然のことでございますが、その中で文部行政極めて大事な時期でございますので、教育予算に対しましては私も最大の配慮を払っていきたい。また、そういう意味では概算要求の作業につきましても、国会の論議を十分に踏まえまして、十二分の予算配分ができるように私は最大限の努力をいたしたい、このように申し上げておきたいと思います。
  33. 山原健二郎

    山原委員 委員長、ちょっと。船田委員長代理にもう一つ。  文部省の今回の残念な事件につきましても、きょうの理事会で私の方から出しまして、各議員とも反対はなかったわけですが、少なくともこの問題については集中した審議をする、あるいはそのための時間をとる、やはりこれはぜひお考えいただきたいと思いますので、その点についても御見解を伺いたいと思います。
  34. 船田元

    ○船田委員長代理 ただいまの山原議員の、四十人学級、それから今回のワープロ汚職の問題については、後日また理事会で協議いたしたいと思います。
  35. 山原健二郎

    山原委員 終わります。
  36. 船田元

    ○船田委員長代理 藤木洋子君。
  37. 藤木洋子

    ○藤木委員 私は、まず最初に、ただいまも私たちの党の山原議員から質問がございましたように、今回起こりました文部省の汚職、この問題を非常に憂うるものです。みずからの襟を正さずして子供たちの教育改革はない、私もまたこのように思います。臨教審についての審議が行われている最中でございますけれども、私は、この問題を徹底的に究明を行って、みずからを浄化するということをまずやることを強く求め、そのことを最初に指摘をさせていただき、質問に入りたいと思います。  さて、児童憲章はその前文で、「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育てられる。」と述べています。しかし実際には、子供たちにとって極めて憂慮すべき環境破壊が進行しています。  最初に、その中の一つの問題について質問をさせていただきます。  移住した市町村に住民登録を行わずに保護者から入学届が学校側に出されるという異例なケースが最近ふえています。例えば和歌山市では、昭和五十七年四月には小学校で八十二名、中学校で十六名であったものが、ことし五十九年の七月には小学校で九十三名、中学校で三十一名に上っています。西宮市では、昭和五十七年小学校三十六名、中学校十五名から、昭和五十八年には小学校五十四名、中学校十六名、五十九年小学校六十七名、中学校三十一名となっています。また尼崎市の場合も、昭和五十八年小学校六十一名、中学校十九名が、五十九年には小学校百一名、中学校三十二名と年々その数がふえているのです。これを仮入学とか特別就学と教育委員会では呼んでいるそうですが、文部省は全国的にこの実態を掌握しているでしょうか、またその理由は何だとお考えになっていらっしゃるでしょうか、お答えをいただきます。
  38. 高石邦男

    ○高石政府委員 文部省では毎年指定統計で長欠児童の実態調べることにしているわけでございます。その長欠の分類といたしましては、病気、経済的理由、学校嫌いその他……
  39. 藤木洋子

    ○藤木委員 長欠ではないのです。私が伺っているのは、住民登録を移さずに入学の手続を行って就学をしている実態について質問をしているのです。
  40. 高石邦男

    ○高石政府委員 それは調査しておりません。したがって、文部省としてはその実態はつかんでおりません。
  41. 藤木洋子

    ○藤木委員 私は、子供たちがサラ金禍に巻き込まれていることをこの数字は示しているのではないだろうかと気がかりでならないわけです。  西宮市では五十九年度の仮入学者の理由を調査し、その内訳で小学生六十七人中十六人までが、中学生三十一人中十四人までがサラ金によるというふうにしているわけです。サラ金が仮入学の理由になっていることが放置されてよいでしょうか。私はこのようなことを許しておいてはならないと思うのです。文部省はこの実態を直視して、学齢期の子供たちの家庭を守り、教育的環境を保障するため、この問題を社会的に明らかにするべきではないかと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  42. 高石邦男

    ○高石政府委員 仮入学による適正な就学ができないような状況、それからもう一つ、先ほど言いかけましたけれども、長期欠席児童、その理由、原因はいろいろあろうかと思うわけでございます。したがいまして、長欠児童に対しては毎年そういう観点で調査をしているわけです。  仮入学等の原因というのは、ただサラ金だけではなくしていろいろな要因が重なり合っていると思うので、そういう要因別に事細かに実態調査するということは、的確な調査を求めるということは非常に難しいと思いますし、サラ金問題だけを取り上げて調査するということは適当ではなかろうと思っております。
  43. 藤木洋子

    ○藤木委員 調査できないと断言してしまうのは、私は非常に残念に思います。児童生徒が住民登録なしに通学すること、これは異常なことです。この実態把握せずに就学を保障したからといって、その子供たちを教育的に救済したと言えるでしょうか。公的機関である全国児童相談所が養護相談の背景としてサラ金に目を向け、ことしの二月段階調べたところ、全国の児童相談所が受けた養護相談の三割までがサラ金に関係していたと発表しています。その与えたショックは大きく、厚生省も認識を新たにしたようですし、全国児童相談所長会会長も予想を超えるものとしてサラ金の影響の深刻さを述べています。サラ金はもはや私生活上の問題として放置できないところまできていることをこの調査は示していると思うのです。文部省もやる気になればできることではありませんか。文部省がこの全国的な実態をつかんで公表し、社会に問うことをなすべきだと思うのですけれども、この点について御検討をいただくわけにはいかないでしょうか。
  44. 高石邦男

    ○高石政府委員 文部省としては、基本的に学齢児童生徒の適正な就学が行われるよう、どのような理由、原因を問わず、全体的に対策を講じていくことが必要であろうと思っております。したがいまして、そういう角度からの市町村に対する行政指導をしているわけでございまして、一つ一つのケース・バイ・ケースの事例を取り上げてやるというのは非常に困難を伴いますので、サラ金の問題だけを取り上げて対応するのではなくして、不就学児童ないしはそういう異常な事態における児童生徒の実態を全面的に解消していく、そういう形での対応が必要であろうと思っております。
  45. 藤木洋子

    ○藤木委員 誤解がないように申し上げておきますが、私は全面的に調査をされることを否定しているのではありません。しかしその中で、サラ金による被害を子供みずからが直接負っている実態を示す必要があるのではないか、そのことについてもまたきめの細かい調査をする必要があるのではないかということを申し上げているわけです。  さて、サラ金禍から子供を守る上でもう一つ指摘をしておきたいことがございます。夏休みにもなりまして子供たちが在宅することが多くなっておりますけれども、この春以来、子供をおどしたり、子供を対象に取り立て行為をするサラ金業者が各地で生まれています。  和歌山の集合住宅に住んでいる債務者のところに宣伝カーでやってまいりまして、団地じゅうふれて回り、翌日は登校直前の小学校二年生の男の子に、おまえのお父さんとお母さんは泥棒やで、おっちゃんとこから盗んだ金で菓子買ってるんやで、金盗んでこいと教えとるんかと玄関先で叫ぶといったことまで起こっているのです。その後この子は、僕学校へ行くのいやや、こう言って登校拒否になっております。また、東京の例では、十八歳と十五歳のきょうだいのところへ業者がやってまいりまして、お母さんはいないか、お父さんはいないか、お兄ちゃんは持ってないか、その辺を探せば千円ぐらいあるだろうとしつこく返済を迫りました。長男は困り果てて、仕方なく持ち合わせていた五百円玉一枚と百円玉五枚を渡しました。サラ金業者は千円の領収証を置いてようやく帰っていきましたが、このようなことから子供らはすっかりおびえ切っているという父親の証言もあります。  このようなことが起こった場合、学校長や教育委員会が、子供を巻き込むことをやめなさいと業者に対して厳しく警告するなど毅然とした態度を貫いていただきたい。学校への問い合わせなどを含めた業者からのさまざまな子供への働きかけに対して、とるべき教育機関の対応を明らかにして各教育委員会を指導されるように要望いたしますが、お答えをいただきたいと思います。
  46. 高石邦男

    ○高石政府委員 御指摘のような状態が学校の現場であるということであれば、大変残念なことであるし、遺憾なことであると思います。そういう際に学校長が対応すべき対応はいろいろあろうかと思いますが、まず一つは、そういう子供たちを守っていくという観点で子供に対する配慮をしていくということが大切であろうと思います。それからもう一つは、校長は警察等の関係機関と連絡をとりながら、そして適切な対応をしていくということが必要であろうと思います。学校長自身がサラ金業者にどうこう文句を言うというようなことはなかなか難しい問題がございますので、それはしかるべき権限のある当局者と十分連携を密にして、対応を適切にしていくということが必要であろうと思っております。
  47. 藤木洋子

    ○藤木委員 さて、いま一つ、学校における健康診断、これは子供たちの生活にとりましても、学校教育の円滑な運営にとりましても、重要なかかわりを持っていることは言うまでもありません。私は、この健康診断のうち、きょうは聴力検査の問題について質問をさせていただきます。  聴力検査に関連して、幾つか基本的なことについて初めに伺いますが、聴力検査はどのような用具や方法で行われているでしょうか。
  48. 古村澄一

    ○古村政府委員 聴力検査につきましては、オージオメーターを使って検査をするということに相なっております。
  49. 藤木洋子

    ○藤木委員 今日、圧倒的部分は選別用オージオメーターを使用していると考えてよろしゅうございますか。
  50. 古村澄一

    ○古村政府委員 そういうふうに理解いたしております。
  51. 藤木洋子

    ○藤木委員 このオージオメーターはいつごろから使用されるようになりましたか。
  52. 古村澄一

    ○古村政府委員 昭和三十三年に学校保健法ができましたときに、オージオメーターを使って聴力の検査をするという指導方針をとったわけでございます。
  53. 藤木洋子

    ○藤木委員 聴力検査によりまして聴力異常などの発見はどのような効果を上げているか、掌握していらっしゃればお示しをいただきたいと思います。
  54. 古村澄一

    ○古村政府委員 聴力検査によります難聴の状況でございますが、小学校で百人当たり〇・七、中学校で〇・四七、高等学校で〇・四二ということで統計上の調査が出ておりますが、そういったオージオメーターを使うことによりまして正確な聴力の度合いがわかるということから、学校におきますいろんな指導に大変役に立つというふうに理解いたしております。
  55. 藤木洋子

    ○藤木委員 オージオメーターによる検査の前提は、メーターの正確な作動にあることは言うまでもありません。  厚生省においでをいただいておりますが、このオージオメーターは、薬事法に基づく医療用具として大臣認可を受けたものだけ使用が許されているわけですが、現在認可を受けているのはどういうメーカーの製品なのか、説明をしていただきたいと思います。
  56. 代田久米雄

    ○代田説明員 お答えいたします。  現在、医療用具として厚生大臣の許可を受けておりますオージオメーターのメーカーは十社ございます。名前をということでございますので名前を申し上げますが、東京都にエバラ産業というのがございまして、それからダナジャパン、それから永島医科器械、それからミミー電子、それから弥生製作所、リオン株式会社、それから神奈川県には相模電機というのがございます。それから京都に太陽精機というのが許可になっております。それから大阪にはミナト医科学株式会社というのがございます。それからもう一社、輸入業者でございますが、愛知県に三和化学研究所というのがいずれも許可を受けた業者でございます。
  57. 藤木洋子

    ○藤木委員 認可の際のチェック、検査はどのようにされているのか、この点も御説明をいただきたいのですが。
  58. 代田久米雄

    ○代田説明員 認可につきましては、当然オージオメーターはすべてJIS規格に合致しておるということが必要でございますので、それに基づきまして、オージオメーターの性能それから安全性等がJISに適合しているということを確認をしているという点が第一番でございます。それから、製造所の物的要件、例えば製造設備でありますとか、検査設備あるいは保管設備、それから人的な要件といたしまして、いわゆる経営に当たる代表者の資格、あるいは製造を実際に管理しております責任技術者、そういうものが適当なものであるかどうかということの審査を行っております。
  59. 藤木洋子

    ○藤木委員 厚生省の責任範囲は製造、販売までということでしょうか。
  60. 代田久米雄

    ○代田説明員 薬事法で決めております。具につきましての責任範囲でございますが、これは当然医薬品製造業者それから販売業者の範囲まででございます。
  61. 藤木洋子

    ○藤木委員 文部省に伺いますが、オージオメーターの購入はどのような方法で行われているのか御存じでしょうか。
  62. 古村澄一

    ○古村政府委員 購入そのものは学校の設置者がするわけでございますので、それぞれその学校の設置者の判断で購入されておるわけでございますが、私たちといたしましては、JIS規格に合格したものを使いなさいという指導をいたしております。
  63. 藤木洋子

    ○藤木委員 私も調べてみたのですけれども、東京都の足立区では区の教育委員会一括購入をしております。札幌市も市が一括購入をしております。西宮市、宝塚市では、五万円を超える場合は市の教育委員会購入するが、あとは学校ごとに購入する、こんなふうになっております。尼崎市の場合は全く学校ごとに学校単位での購入、こういうことになっているわけですね。いろいろな購入の仕方があるわけです。  学校備品の一つとして購入されるわけですけれども、この予算措置は国としてはどのようにされているのでしょうか。
  64. 古村澄一

    ○古村政府委員 学校におきます衛生設備の一種に入ると思いますが、そういったものを一括して地方交付税の中で財源措置をいたしておるわけでございます。ちなみに、地方交付税の中では、今年度の金額が衛生設備といたしまして小中学校で三十万八千円という積算をして、標準校に一応積算したということでございます。
  65. 藤木洋子

    ○藤木委員 新しいJIS規格に合格した最近のオージオメーターの耐用年数はどのくらいだと文部省はお考えですか。
  66. 古村澄一

    ○古村政府委員 その器械が正確に作動する期間がどれくらいだということを申し上げるまでの知識を持ち合わせておりませんけれども、例えば国立の学校におきますオージオメーターの耐用年数は、大体五年ということで回しているというふうに聞いております。
  67. 藤木洋子

    ○藤木委員 それでは、旧規格ではどのくらいとお考えですか。
  68. 古村澄一

    ○古村政府委員 旧規格の場合もそういう形で国立学校の場合は運用している。したがって、その耐用年数、何年たったら新しいものに更新するかということはそれぞれ設置者の判断で運用していくことでございまして、私が申し上げております五年というのは、国立学校の場合には五年で更新をするということにしてあるということでございます。
  69. 藤木洋子

    ○藤木委員 旧規格の場合もそうですか。
  70. 古村澄一

    ○古村政府委員 五十七年に新規格ができたわけでございますが、旧規格の場合もそういうことで国立の場合は運用したということでございます。
  71. 藤木洋子

    ○藤木委員 余りはっきりしないわけですが、オージオメーターにつきまして一通りの問題を今お伺いしたわけです。  このオージオメーターの機能に問題があることについては文部省は御承知でしょうか。
  72. 古村澄一

    ○古村政府委員 その機能が十分正確に作動しないというふうなことが学校で起きているということは耳にいたしております。
  73. 藤木洋子

    ○藤木委員 厚生省はいかがでございますか。
  74. 代田久米雄

    ○代田説明員 オージオメーターの性能につきまして、実際の現場におきましてそれが正確に作動しない場合があるというような報告等があることは伺っております。
  75. 藤木洋子

    ○藤木委員 文部省も厚生省も御存じだということなのですけれども、性能がよくない、正確に作動しないとなれば、影響は重大ではありませんか。この点、文部省いかがでしょう。
  76. 古村澄一

    ○古村政府委員 おっしゃるとおり、正確に作動しないものによって聴力を検査しても、その持っている意味は失われるということでございますので、私たちといたしましては、オージオメーターについては定期的な校正をしなさいということを指導申し上げ、現実問題、毎年の健康診断の始まる前には、ほとんどの学校がそのオージオメーターについて業者との間で能力の検査をするということを行っているというふうに承知いたしております。
  77. 藤木洋子

    ○藤木委員 この問題につきまして私、調査してみました。新聞で報道された広島市内の小中学校調査については、昭和五十九年一月号の「広島医学」に論文が掲載されております。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕  これによりますと、昭和五十五年、五十六年、一年飛びまして五十八年、この年度ごとに選別用オージオメーターを調査したところ、小学校で、五十五年、点検学校五十六校、点検台数八十三台で、音圧異常を認めたもの二十五台となっております。五十六年は五十七校九十二台中十一台、五十八年は五十一校八十七台中二十二台に及んでおります。また中学校では、五十五年二十校三十八台中十二台、五十六年二十校四十一台中五台、五十八年十九校四十一台中八台となっています。また、メーカー別点検結果の合計について見てみますと、小学校、五十五年で正常なものが五一・八%、誤差を生じたが修理をすれば使用できるもの三九・八%、規格に不適合であり修理不能で処分を要するものは八・四%です。五十六年には正常なものが七八・五%、要修理が二〇・四%、修理不能が一・一%、五十八年には正常なもの五〇・六%、要修理四二・五%、修理不能六・九%となっているわけです。「然も製造年月が三十年代が殆んどであるのは驚異的であり、特に旧式のオージオメーターが現在も多数使用中であった事は、学校検診上大きな問題である。」としています。  こうした問題はほかにもあります。神戸市の耳鼻咽喉科医による調査でも、使用されているN社製オージオメーター十五台全部が不良品であると報告しております。メーカー別の点検結果の総計につきまして申し上げますけれども、五十四年二月の点検結果ですが、正常に働くもの百三十六台中九十七台、七一・三%、修理をしなければならないもの一六・二%、規格上不適合、修理不能のもの十七台、一二・五%というふうになっています。  また尼崎でも、耳鼻咽喉科医の会報第十六号によりますと、「現在使用している機種でなにか不安があるか」というふうに学校に設問をしているわけですが、小学校二十五校中、六校が「古い」と答えていますね。一校が「不安定」、四校で「長く較正をしていない」と答えているわけです。さらに「音が正しくでていない」というのが二校もあるわけですね。中学校十四校中、四校が「古い」と答え、「長く較正をしていない」というのも四校ございます。「音が正しくでていない」というのがやはり一校あるというふうに報告をされております。そこで、医師の皆さんが市の教育委員会に何回も改善を申し入れておられるわけです。  こうして見てまいりますと、この問題は一部の地域、学校に特定されているものではなくて、全国的傾向であることは明らかだと思うのです。事実、日本耳鼻咽喉学会でも問題にしていますね。この実態について文部省はどのように受けとめておいででしょうか。
  78. 古村澄一

    ○古村政府委員 具体的に今考えますときに、新しい製品であれば、一応JIS規格も通り厚生省の許可も通った製品であれば、それは正確に作動するというように考えるのが常識である。それが現実問題、正確に作動しないということになりますと、その間に古くなったのか、あるいは何らかの形で器械が狂ってきたのかということですから、そこのところは、その学校の校長さんなりあるいは養護教諭の方なりあるいは学校医の方もおられるわけですから、十分御相談されて、その器械を買いかえるのか、買いかえないのか、直すのかということは、具体的に御判断をしていただかなければならぬことだと思っております。
  79. 藤木洋子

    ○藤木委員 こうした事実が明らかになった以上、これは放置できない、早急な解決を講じなければならないことは明らかであるわけです。そこで、なぜオージオメーターに狂いが生じるのか、その原因をはっきりさせることが重要だと思います。  文部省に伺いますけれども、このオージオメーターの取り扱いについて通達を出していらっしゃいますね。この中で「定期的に校正を受けること。」と指摘しております。ただいまの御答弁を伺っていますと、一年に一遍というようなことをおっしゃったり、あるいは使用する前にはというふうにおっしゃっていますが、この「定期的」というのは具体的にはどういうことですか。きちんと一年というふうに定めておられますか。
  80. 古村澄一

    ○古村政府委員 文部省として、例えば一つの備品について一年あるいは二年というふうな年限を区切って校正をしろということを申し上げるのは、市町村に対する感じでは言い過ぎではないか。文部省として言いますのは、設置者として心がけるべき点として、その器械が正確に動くかどうかということをきちっと確かめておけということを申し上げておるわけでありますから、通常であれば一年間に一回健康診断がございますから、定期の健康診断の前に器械の整備をするのが学校の側として考えるべき基本的な事柄であろうというふうに思うわけでございます。
  81. 藤木洋子

    ○藤木委員 非常にあいまいです。  では、校正はどのようにしてなさいますか。
  82. 古村澄一

    ○古村政府委員 通常、校正はオージオメーターを扱っております器械の業者の方にお願いをするというふうにいたしておると思います。
  83. 藤木洋子

    ○藤木委員 オージオメーターの管理、保守、点検は、どこがあるいはだれが第一義的に責任を持ちますか。
  84. 古村澄一

    ○古村政府委員 オージオメーターを学校の設置者が買ったわけでございますから、学校側として第一義的にその保管なり管理なりの責任を持っているのは当然と思います。
  85. 藤木洋子

    ○藤木委員 学校とおっしゃいますと、学校長ですか。いかがでしょう。
  86. 古村澄一

    ○古村政府委員 組織的に言えば、学校長が学校の責任者でございますから、学校長の責任であるというふうになりますが、具体的には、保健室に置かれておりますから、保健室で日常執務していらっしゃいます養護教諭の方が絶えずその問題について保管管理をいたしておるということだと思います。
  87. 藤木洋子

    ○藤木委員 文部省は定期的な校正、このことについて具体的にはどのような指導をされているのでしょうか。全く任せっきりなのですか。先ほどの御答弁ですと、それは設置者がやるものだ、文部省が言わなくても当然だというような御答弁だったのですが、そのような御指導ですか。
  88. 古村澄一

    ○古村政府委員 学校に置かれております。そういった検査機器というものが正確に作動して初めて検査機器としての意味があるわけでございまして、私どもといたしましては、それが正確に作動し、定期の健康診断について支障がないようにしなさいということを基本的に指導いたしておるわけでございますから、定期の健康診断に支障のない形で、その定期の意味というのはその学校の管理者、設置者側で十分御判断いただきたいと思っております。
  89. 藤木洋子

    ○藤木委員 御指導というのは、それを現場でそのように受けとめて進められて初めて有効なものだと私は思うのです。指導したから後はその現場がどうなっていようと知ったことではないというのは、指導する立場の方のおっしゃることではないと思うのですね。余り現場のことをつかんでいらっしゃらないのじゃないですか。  私はこの点につきまして調べてみたのです。校正の仕方ですけれども、足立区、ここでは区の教育委員会の責任で毎年二月ないしは三月に校正をしております。これまでは一台につきまして三千九百円の経費を要しましたけれども、今後リオンなどのメーターを入れるとしますと一台につきほぼ一万円近くかかるだろう、こんなふうに予想しておられます。札幌市も毎年校正をしておりまして、一台につき九千円についております。修理費は二百五十万二千円かかっております。古い型は更新をしております。教育委員会でも数台保管をしておりまして、必要な場合には貸し出しを行っております。しかし、西宮市では三年くらい前に校正したことがあるとか、宝塚市でも校正は二、三年前から実施している。つい最近のことなのですが、何年ですかと言ったら、二年か三年前から実施をしている、こういうことですね。年一回の校正は全校一括して行うのじゃないのです。三十二校ございますが、ことしは十校、来年は十校、再来年は十二校というふうにやっておられるわけですから、学校ごとに見ますと、一校は三年に一遍しか校正を受けない、こういうことになるわけですね。また、尼崎市ですが、これは管理の一切は学校にゆだねられているので、教育委員会では校正がどのように行われているのか常時把握している状態にはございません。各市町村、学校ごとにかなりばらばらだということがわかります。もちろん実情に応じてということもあるでしょう。しかし、事は子供の健康、生活にとって重大な問題ですから、きちんと対処することが不可欠だと思います。  そこで、具体的に提起をいたしますけれども一つは、市町村のオージオメーターの性能について一斉に検査を行うことが必要じゃないでしょうか。実態を明らかにするということが第一に大切なことだと思います。そして、取りかえなど必要な措置を講じていただきたいと思うわけです。二つ目に、新規購入、交換の際には必ずチェックをすること。三つ目に、定期的校正は最低でも年一回実施をすること。四つ目に、メーターの管理上の諸注意につきましては、専門医の協力も得ながら学校関係者に周知徹底するということが大切ではなかろうかと思います。これらのことを慣習化することがぜひとも求められているというふうに思うのです。  この点につきましてどのように対応されますでしょうか、お答えをいただきます。
  90. 古村澄一

    ○古村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、オージオメーターがきちんと検査機能を果たしてくれるということが前提で健康診断をやっておるわけでございますから、私たちも今までも、いろいろな学校保健関係の研修会がございますが、そのときには、オージオメーターについてはきちっと作動するように定期的な校正をしろというふうな指導を申し上げておりますし、通達も出しておりますしということですので、今後ともなおそういった点に遺憾のないようなことを御指導申し上げたいと思っております。
  91. 藤木洋子

    ○藤木委員 今まで御指導されているのに現場でそのように受けとめられないというふうにうかがえるのですけれども、それでは、御指導されてもそれが現場で受けとめられないのはなぜだとお考えですか。
  92. 古村澄一

    ○古村政府委員 なぜ現場でそれが受けとめられてないか、そういった定期の校正がやられてない学校があるということについては、大変遺憾なことである、健康診断そのものの持っている意味を没却するものだというふうに思います。その理由につきましては、いろいろと個々具体的な理由があろうかと思いますが、そういうふうに思います。
  93. 藤木洋子

    ○藤木委員 私は、対策を実効あるものにするためには、一定の予算の裏づけを必要とするのではないかということを申し上げたいと思います。学校現場では、予算が厳しく抑制をされておりまして、節約を余儀なくされているのですね。これが実態です。この点での改善をすべきだと思うのですけれども、どのようにお考えですか。
  94. 古村澄一

    ○古村政府委員 そういった設備の保守、点検に要する経費というのは、学校の設置者が当然予算を組んでやっていくことだというふうに思います。したがって、そういったものをいろいろな形で積算したのが地方交付税でございますから、地方交付税の積算そのものも昨年からことしにかけて若干上げておりますし――昨年からことしにかけて、先ほど申しました三十万八千円というのが五十九年度の交付税の衛生設備に対する積算でございますが、昨年は三十万円であったわけでございます。そういった点で、交付税上の努力は今後も積み重ねたいというふうに思っております。
  95. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうしますと、学校長などが必要と認めて積算をした要求額どおりに交付税がおりていない、こういうことになりますか。
  96. 古村澄一

    ○古村政府委員 地方交付税というのは、申すまでもなく、一般財源を各公共団体に割り当てていく話でございまして、その積算が幾らということでございます。したがって、その積算のめどを持ちつつ各市町村はそれぞれの分野に対して予算を配分するということに相なるわけでございますので、そういった積算をいたしておりますから、市町村なり学校の設置者側でそれが適正に使われるようなことが当然なされなければならぬというふうに思っております。
  97. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうしますと、要求どおりの交付税がおりない場合にはどこかで始末をしなければならない、こういうことになるわけですね。  先ほど、校正や修理にかかる費用についても、事例を私の方で挙げましたけれども、それでは、文部省はどのくらいに見積もっていらっしゃるのですか。
  98. 古村澄一

    ○古村政府委員 具体的に幾らというふうに私の方は承知いたしておりません。
  99. 藤木洋子

    ○藤木委員 それは無責任じゃないでしょうか。知らなくてもいいことだというふうにお思いですか。
  100. 古村澄一

    ○古村政府委員 校正の仕方もありますし、あるいは修理も大修理、小修理、いろいろなことがあるわけでございますから、個々具体的なオージオメーターの破損度なりそういったことから生ずる問題で、幾らというふうに一律的に押さえる問題ではないと思います。
  101. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、今問題がここまで明らかになっているのですから、一度お調べになって、標準的にはどのぐらいだというようなことを検討されてもいいのじゃありませんか。お出しになる必要は全くないというふうにお答えでしょうか。
  102. 古村澄一

    ○古村政府委員 そういった全体的な、個々の設備の保守、点検あるいは整備に要する経費というのは、まさに公共団体自身で処理すべき問題であって、それについて交付税としてどれだけの裏打ちをしていくかということだと思います。したがって、先ほどから申し上げておりますように、衛生設備について、昨年からことしにかけて一応積算金額を上げた、今後もいろいろな要因があれば積算を上げるように関係の省庁と十分御相談を申し上げたいというふうに思っております。
  103. 藤木洋子

    ○藤木委員 全くお答えになっていらっしゃいません。現場から要望されました要求額が本当に適正なものかどうかという検討をして交付税を割り当てるのではなくて、とにかく頭ごなしに切るだけ切る、そういう立場だというふうに私には聞こえてなりません。この際、交付税の単価を引き上げて財政的に援助をしていただきたいというふうに思います。こうしたことを抜きにして指導を強められても、実際には今後も改善されない、私はそのように指摘をしたいと思います。  次に、厚生省にお尋ねをいたします。  オージオメーターの製造、流通過程の問題ですけれども、製品自体の欠陥もあると思われます。先ほど指摘しましたように、修理不能など、使用できないメーターが無視できない数に上っているわけですけれども、このことについてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  104. 代田久米雄

    ○代田説明員 お答えいたします。  広島等におきます調査におきまして、特に問題が指摘されましたメーカーの製品につきましては、所管の都道府県が立ち入りをして調査をいたしております。その結果、その製品につきましてのJIS規格の適用については、一応全品確認されたという報告が来ております。  ただ、先生の御指摘のように、購入時においてそれが不良であるというようなことは通常は考えられないわけですけれども、万一、不良品があるということになりますと、販売業者と相談の上で返品をするとか交換をするということが当然であるというふうに考えております。  それから、不良品とメーカーにわかるようなものが流通しているというふうになりますと、これは薬事法違反のおそれもありますので、そういう場合には、都道府県の業務課に通報されるというふうにしていただければ、適切な処理をいたすということになると思います。
  105. 藤木洋子

    ○藤木委員 技術革新が日進月歩の勢いで発展していても、一〇〇%万全ということはあり得ないわけです。しかし、だからといって欠陥品、不良品の存在はやむを得ないというのも、これは誤りでして、購入する際は、厚生大臣の認可があるから信用して買うことになっているのですね。この前提を崩さない努力が必要だというふうに思うわけです。この問題で、検査体制を強化していただきたい、立入検査も行うなど、万全を期するように御指導いただきたいと思います。その結果につきましても、明らかになった時点報告をしていただけるとありがたいというふうに思うわけです。積極的なお答えをお願いいたします。
  106. 代田久米雄

    ○代田説明員 今回調査いたしました会社以外のものにつきましても、当然、製造、販売されているものにつきましては、オージオメーター全般にわたりまして、その製造、品質管理等につきまして実態を監視をいたしまして、その問題点の把握に努めるようにしたいと思っております。また、必要があれば、先生のところへ御報告をさせていただきたいと思います。
  107. 藤木洋子

    ○藤木委員 最後に、大臣にお聞きをいたします。  今までお聞きのとおりの経過なんですけれども、子供たちの非常に大切な健康診断に支障を来しているこの事態に対して、どのように対応されるのか、御決意を伺いたいと思います。
  108. 森喜朗

    ○森国務大臣 いろいろと御指摘をいただきましたこと、私も大変勉強にもなりました。局長からもお答えを申し上げましたように、学校衛生設備につきましては、年々交付税でできるだけ増額ができ得るように、文部省としてもそういう要求もいたしておりますし、また五十九年度も、若干でございますが、こういう情勢の中で増額措置もいたしました。ただ、問題は、どれをどのように使うのか、あるいは点検をしたり改善をしたりということについては、局長からも申し上げましたように、やはり学校の設置責任者が考えていかなければならぬということでございます。そうした器械については、確かにかつて学校には納めておりましても、その後については、先生から御指摘がありましたようなケースもあろうかと思いますが、ややもするとやはり忘れてしまうということもあるのじゃないかなという感じもいたします。そういう点では、御質問をいただいて、そうした点、十分啓蒙するようにという意味もあろうかと思いますので、事務当局といたしましても、地方公共団体等につきまして、こうしたことにつきましては十分徹底した指導をするように、改めて事務当局からも指導させていきたい、このように考えております。
  109. 藤木洋子

    ○藤木委員 質問を終わります。
  110. 愛野興一郎

    愛野委員長 江田五月君。
  111. 江田五月

    江田委員 ついせんだってこの委員会で、阪大から始まって文部省に飛び火をしておりました汚職について集中審議をしたばかりで、また起こるべからざることが起きたわけでありますが、事実関係についてここでいろいろ詳しく伺っても、まだそれほどのことが把握をされておるかどうかわからないかもしれません。しかし、これまでの質疑の中で、もう少し文部省としても真剣に対応してもらわなければ困るじゃないかという感じも私たち持っているわけですが、きのうのきょうです。田中逮捕ということになりまして、文部大臣も、非常に重要なときにこういうことが次々起こってくるということでさぞ心を痛められていることと思います。文部大臣自身を責めるということではありませんが、粉々も含めて、文部行政、日本の教育に関する最高の責任者として、今文部大臣は、一体どういうふうに国民に対して思っていらっしゃるか、このことを最初に伺っておきたいと思います。
  112. 森喜朗

    ○森国務大臣 先ほど山原さんの御質問の際にも申し上げましたように、予想もできないような事態でございまして、しかも、なおまた、国民の奉仕者である公務員ということだけではなくて、教育公務員という立場、教育に関する公務員ということでございまして、子供たちの教育への影響ということも考え、十分私どもは意をしっかり持って事に当たっていかなければならない。こういう文部省職員がこのような事態になりましたことは、私にとりましても本当に残念でしょうがない、こう申し上げるしかないわけです。  この際、事態の解明は捜査当局にお願いをいたしておるところでございますので、解明や究明の仕方はいろいろあろうと思いますが、事態の解明は捜査当局でございますので、このところの判断にまちたい、こういうふうに考えております。それは文部省自身がそのことの究明に弱腰であるとか消極的であるというようなことではないわけでありまして、やはり法の裁きということを一つの前提として捜査当局で行うことがむしろ正しいというふうに判断をいたしております。  しかし、文部省としては、当然こうしたことが二度と起きないような、その根絶を目的といたしまして対応していかなければなりませんので、文部省の仕組みとして――原因は今検討委員会、先ほど申し上げましたように三つ部会に分けましてそれぞれ今急いで作業をさせております。そして、新しい体制を整えまして、こうした不名誉を少しでも回復をして、国民の信頼をつなぎとめ得るような措置をいたしたい、このように考えておるわけでございます。  私を含めまして、文部省職員全員がこのことにつきましては極めて遺憾に存じておりますし、そしてまた、このことで教育行政の信頼が失われていくようなことにならないように、これは私も含めて、文部省がそのことに一番意を用いてこれからの行政に当たっていかなければならぬというふうに考えております。いずれにいたしましても、先生にもこのことについて大変御心配をいただきまして、こうして国会でお取り上げをいただくというような事態になりましたことに対しましても、私は心からおわびを申し上げておきたいと思う次第であります。
  113. 江田五月

    江田委員 きょうはこの委員会に外国から小さなお子さん方がたくさん傍聴に来ておられるようですが、日本の社会というのは一体どうなっておるんだということを余り妙なぐあいで見ていただいても甚だつらいことですが、しかし、例えばアメリカなんかですと、大統領に対してまで鋭いメスが迫っていくという中でうみをしっかりと出して、しかも汚職の中から政府倫理法というようなものをつくり、新しい経験を生かして次のステップに進んでいくということをやっているわけです。人間社会ですから、それはいろいろな問題は出てくるわけで、それはどれだけ努力しても不心得者が出てくる。しかし、そういう者が出てきたときに、これを隠ぺいするのではなくて、鋭くどこまでメスを入れてうみをしっかり出すかという、その勇気と努力がどれだけなされるかということが、その国の文明なり文化なりがどこまで進んでいるかということのバロメーターだと思うのです。ですから、この際、決して事を隠ぺいするのではなくて、やはりもう深く切り裂いて見るということが本当に大切なことだと思うのです。  今、文部大臣は予想できないことが起こったとおっしゃるのですが、予想できないということとは違う、新聞の報道などにも構造汚職という様相を呈してきたというような言葉が出てまいりましたけれども一つの構造になっている。今もおっしゃいました、例えば予算の留保の仕組みのことであるとか、契約の仕方であるとか、人事行政の動かし方であるとか、そういうようなことに汚職の構造が根づいていたんじゃないか。さらに、もっと進んでいえば、そういう文部省会計畑ということだけではなくて、何か日本じゅう全体に汚職すれすれのところまで行って頑張るのが営業努力であって、経営者あるいはビジネスマンの生きがいであって、かい性であって、そこでぎりぎりまで行って、ちょっと踏み外したら運が悪かった。日立のアメリカでの問題などでもそういうことが言われるようなことで、これはどうも日本社会というものが持っている一つの病根ではないか。  文部行政の責任者として文部大臣に今伺ったわけですが、今度は日本の文化とか教育とかについての責任者の文部大臣として、今の日本人の心の中にある倫理的水準とか、これは道徳という言い方もできるかもわかりませんが、そういうものがちょっとおかしくなっているんじゃないか。その頂点にどうも政治の問題があるんじゃないか。この間もちょっと伺いましたが、あのときは時間が非常に短かったので、文部大臣のこのお考えをもう少し披瀝していただければと思います。
  114. 森喜朗

    ○森国務大臣 一般的なお話といたしましてお答えを申し上げた方が適当かと思いますが、このたびの文部省の問題について、私は、先ほど申し上げましたように、極めて遺憾であり、そしてまた率直におわびを申し上げておるわけでございます。だからといって、日本人の文化性というようなことについて、私は先生お尋ねとは必ずしも考え方を同じくしたいとは思っておりません。もちろん、先生一つの問題意識、テーマという形でお問いかけになっておられるのだろうと思いますが、むしろ、国際社会の中におきます日本人のまじめさ、勤勉さ、誠実さというのは、いかなる国の民族よりも我が日本の国はそのことについては最もとうといものであるというふうな考え方を私は持っておる。私は、これが日本人の先人たちが長い間築き上げてきた規範であろうというふうに考えているわけでございます。しかし、確かに、文部省とかこうした問題と離れまして、一般的には、人間社会というのは技術革新がどんどん進んでいく、そういう中で、やはり物中心、金中心になりがちであるということについて、心の問題がややもすると忘れ去られ、またあるいは葬り去られていくというケースが最近強く出てきておるということは、教育の立場にある私どもといたしましても、大変考えなければならぬことだと思います。  政治につきましての御指摘は、まさに先生の御指摘どおりでございまして、政治は、もって国民の範になっていかなければならぬということは言うまでもないことでございまして、政治に対します批判等が教育にいろいろと影響を及ぼすということはあり得ることでございまして、この点については、政治に携わる者は十二分に注意していかなければならぬと考えております。
  115. 江田五月

    江田委員 私は、汚職的体質というのがどうも何かかなりしみついてしまっているような気がして仕方がないです。例えば、私ども、もちろんお互い選挙の洗礼を受けなければならぬわけですが、選挙での支持を訴えて、いろいろ政策のことあるいは私がどういう社会をつくりたいかということを友達などにいろいろ述べてみても、だけどおまえそんなこと言うけれども、自分たちは例えば土木の仕事をしておる、百万円献金したら一千万円の仕事を持ってきてくれる、そういうのが世の中だぞというようなことで、平気で開き直られるような現実があったり、そういうことに出会うたびに、ああ、こういうことだから僕ら頑張らなければならぬなということをつくづく感ずるわけですが、本当にみんなで頑張っていきたいものです。  さて、話をかえまして、実は私、この間、四月十一日のこの委員会で家庭科のことについていろいろ伺わせていただきましたが、この家庭科を調べていくうちに、文部省が実におもしろい、非常にすばらしいプログラムで活動をなさっていることに突き当たりました。「明日の親のための学級」というのがあるのですが、文部省はこれまでも社会教育でいろいろな立場からいろいろな活動をなさってきたと思いますが、その最近のものとして昭和五十六年四月に「明日の親のための学級」というものを始められておる。今の高石局長が社会教育局長のときのお仕事だそうでありまして、非常にすばらしいと思うのですが、ちょっとどういう考え方で、どういう位置づけで、どの程度の予算でなさっておるのかということを御説明願います。
  116. 高石邦男

    ○高石政府委員 実は、社会教育局長時代に社会教育の場でいろいろなことをやっていたわけでございますが、その中で、子供たち、乳幼児、そういう者に対する教育を乳幼児学級、家庭教育学級、そういう形で展開してきたわけです。ところが、実際上、学級を展開してまいりますと、出てくる親たちはまだいい。出てこれない親たちがたくさんいる。その親たちに実は問題が多いということを発見したわけでございます。したがいまして、こうなれば、もう子供を産んでからでは遅過ぎる、子供を産む前にちゃんとした子供に対するしつけ、子育てについての立派な考え方、そういうものをしっかり身につけてもらう必要があろうということで、「明日の親のための学級」という学級講座を開設したわけでございます。  そこで、まず、若い新婚の親たちを対象にしよう、また、婚約した男女を対象にしてこういう教育を展開していこうということで、現在五十九年度の予算では約三億五百万、三千学級ということで、それぞれの市町村の委員会で社会教育の学級講座として実施をしていただくということでございます。その後、この内容については市町村の段階でもかなり注目されまして、年々歳々学級の中身それから学級の講座の回数もふえているのではないかと思っております。
  117. 江田五月

    江田委員 この「明日の親のための学級 開設・運営資料」を見ますと、「趣旨」に「新婚・妊娠期のこれから親になる男女を対象としてここう書いてあるのですが、新婚の男女というのはわかりますが、妊娠期の男女というとちょっとひっかかるような気もするし、よくよく考えると、妊娠期の男、これはなかなか意味深長だなという感じもします。男女が家庭をつくる。その家庭が妊娠期にある。もちろんおなかが膨れて子供を出産してというのは女性がやるわけですが、そういう妊娠期にある男という概念があり得るのかという気もして、あるのだとすればこれは新たな発見で、ちょっと驚きを持ってこの言葉を見たのですが、どういう問題意識なんですか。
  118. 高石邦男

    ○高石政府委員 これはまず、婦人学級とか家庭教育学級になりますと、どうしても女親を中心にというように考えがちでございましたので、この「明日の親のための学級」は男も女も対象にしていきたい、そして子供を持つ前にそうした教育の機会を与えたい、こういう発想でございます。したがいまして、結婚してまだ子供を持つ前の親、そして子供を既に妊娠した両方の男女が、一緒にいろいろなプログラムの授業を受ける。映画なんかもつくりまして分娩の状況というものも一緒に見せるということも含めて、こういう表現にしてあると思います。
  119. 江田五月

    江田委員 今の局長の言葉の中にも、妊娠した男女、こういう言い方がありました。私はこれは重要なポイントだろうと思っておるのです。実は、きのう文部省の方に来ていただいて聞きますと、ドゥーラ効果とかいうのがあるそうです。ドゥーラというのはギリシャ語で助けるという意味だそうですが、出産のときにだれかがへりで助けている。そうすると妊娠、出産の状況がずっと軽くなる。出血もずっと軽くて済む。その助けるのはいろいろな場合がある。助産婦なんというのはそれを仕事にするわけでしょうけれども、今のような核家族の時代になってくると夫が一番的確だということだそうでして、そうすると、夫がそういうドゥーラ効果を果たすことを期待されているとすれば、これはまさに妊娠期の夫ということになるのだろうと思いますが、この学級は今までどの程度の実績があるのですか。つまり、今予算のことはちょっと伺いましたが、どのぐらいな学級が、三千学級ですか、開かれて、何人ぐらいこれに参加をしてという点はおわかりですか。
  120. 高石邦男

    ○高石政府委員 これは社会教育局でやっていますので、正確に申し上げられるかどうかちょっとわかりませんが、まず五十六年度から実施しておりまして、例えば五十七年度のデータによりますと、学級数が千七百、参加者が七万六千、五十六年度が千四百の五万七千という「明日の親のための学級」講座が開設されているわけでございます。
  121. 江田五月

    江田委員 やはりもっともっと拡充をしなければならぬ。つまり、今までのお話ですと、今の若い男女、これから親になろうとする男女に、この親になろうとするという点でいささか欠けるところがある。今の若い者に、家庭を維持していく、経営していく、親として子供を育てていく、そういう点でいささか心配な欠けるところがあるというのが現実だ、こういう認識で取り組まれているという判断でいいんですか。それならば、この程度でいいのか、もっと拡充する必要があると思われるのか、どちらでしょうか。
  122. 高石邦男

    ○高石政府委員 当初この予算を要求いたしましたときには、現代の親たちに子育てそして健全な家庭づくり、そういう点について男女とも欠けるところがあるという動機でございました。それから、この学級講座については、年々ふやしていきたいということで取り組んできているわけでございます。そして、実態はふえていると思います。
  123. 江田五月

    江田委員 さて、そこで、確かにこういういささか欠けるところが出てきているというのは、いろいろな点から突っ込んでいく必要があるのだと思いますが、OECD・CERI家庭教育日本セミナーが去年ですか日本で開かれて、いろいろな国のレポートが出されておりますけれども、「カントリーレポート(日本)」を見ますと、なかなかおもしろいですね。  「経済社会の変動と家庭及び家族の変化」、大きく変化をしてきて、その中で、父親の役割を十分果たせるような父親がいなくなって、母親一人に家庭教育の責任が集中してきている。「少ない子供」、子供の数が少なくなって、そこに過度の期待がわっと押し寄せて、受験競争に駆られて、子供たちが年齢や立場の違ういろいろな家族とのコミュニケーションの機会を持たなくなってきたとか、あるいは高齢者の問題、離婚の問題。「情報化社会がもたらす生活の諸側面の変化」「子どもの生活」もいろいろ変わってきている。「学校及び地域と家庭」にもいろいろな問題が出てきている。家庭教育上の問題で、日本の母親が就業している場合のいろいろな問題点――問題点だけではない、就業していることによって生ずるいい点ももちろんありますが、そういうことをセミナーで研究をされて、そしてさらに、そういう就業婦人を母に持つ家庭の問題だけでなくて、今の家庭教育で、例えば「親の家庭教育の方針の欠如」「育児を見習う機会の欠如」「子どもをとりまく人間関係の中での家族の役割の希薄化」「子どもに対する勤労教育の機会の減少」「「自由とは何か」が理解できない子どもの増加」「「生」を考える教育の機会の減少」「親の教育的機能の弱体」、こういろいろあって、こういうすばらしい家庭を親から子、子から孫とずっと伝承していこう、教えつないでいこうという、人間の営みの現実がいろいろな関係から大きく困難になってきている、変化してきている、こういうことがあるというカントリーレポートを出されておりますが、これは局長、もちろん御存じでしょうね。ちょっと急ですが、このカントリーレポートについてどういうお考えですか。
  124. 高石邦男

    ○高石政府委員 そういう健全な子供を育てるための問題について、OECDとかユネスコがいろいろな国際的な会議を設けまして、そして、それぞれの国における問題解決のための資料を提供するということで、いろいろなセミナーをやっているわけでございます。詳しいことはちょっと今よく承知しておりませんけれども、その一つだと思います。
  125. 江田五月

    江田委員 それにしても、家庭教育というのが今これほど難しい状況になってきている、あるいは本当に健全な家庭、すばらしい社会の基礎的単位としての家庭をつくっていくことがだんだん難しくなってきている。そして、一方で「明日の親のための学級」などという活動をなさっている。だけど、ドゥーラ効果なんて言っても急に期待できるかどうか。私も昔ちょっといきがって女房に言ったりしておりましたけれども、釣った魚にえさをやるばかはいない、結婚したらもう指輪なんか買ってやるもんかとか、どうも妊娠中女房が役に立たないから台湾へ行ってとかどこどこへ行ってとか、そういうのが男のかい性だというようなことがやはりまだ随分あるので、こうなってくると、いろいろ文部省のなさっていること、あるいは今の家庭教育に携わっている皆さんの悩みなどを勉強しできますと、これは大きな転換が必要な時期に今来ている。妊娠期になって初めて妊娠とか出産とか家庭のあり方とかをいろいろ教えてみても、それだけではとても身につかない。もっと小さなときから、家庭とは一体何だ、家庭の責任を男女とも果たしていく、そういう家庭責任感覚とか生活感覚とかというものを教えていって、新しいタイプの社会人を育てていく、これが今非常に必要なことだと思うのです。  文部省の政策全体として、社会教育もだんだん対象年齢が低下をしてきているそうですね。いよいよこれから親になる男女というところまで来ている。さらにもっと進めて、学校教育の中で、今のような家庭生活というもの、あるいは家庭責任というもの、家庭とはどういうものかということをもっとしっかりと教える必要があるのではないかという気がするのですが、学校教育も社会教育の変化に伴ってひとつ考え直さなければならぬところに来ているのではないかと思いますが、いかがですか。
  126. 高石邦男

    ○高石政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、つい最近子供たちの生活の実態調査をやったのがあります。それは、子供たちが基本的に身につけていなければならない生活の習慣、態度、技能というものの実態がどうなっているかという調査をしたわけでございます。まず、基礎として、成人としていい家庭を持つ以前に、人間としてそういう基本的に身につけていなければならない生活習慣、態度、技能というものが教育の面でお留守になっているのではないかということで調査をいたしまして、そしてこれをもとにして今後いろいろな対応、施策を展開していきたいと思っております。  その際に、従来は、学校だけで教えるということで家庭の協力を得ての実践活動まで高めることがなかなかできなかったというところがございますので、私は、学校、家庭のブリッジ論ということで、学校、家庭が二人三脚になってそうした生活の基礎、基本になるものを身につけさせるようにしていかなければならない、そのためには、教師みずからがそういうものについての理解、認識、そして家庭に対する呼びかけを積極的にやっていく必要があろうということで、道徳教育の研究指定ではそういう発想で五十九年度予算化したわけでございます。来年度もそういう意味予算をお願いしたいということで、今内部でいろいろ検討を加えております。  それから、もう一つは、正しい家庭についての教育というもの、教科で言いますと社会科や保健体育や家庭科という授業でやっておりますので、そういう面での教育内容を充実していくことも必要であろうと思っております。
  127. 江田五月

    江田委員 社会科、保健体育、家庭科、そういうところにいろいろ入っておるということですが、今のような観点から見ると、これはこれからの教育の一つの大きな柱に据えなければいけない。そうなると、いろいろな教科でいろいろ教えているからということでいいのだろうか。やはり家庭科という科目をひとつ大きく見直す。文部省の機構で言えば、今家庭科が職業教育課に入っている。それで一体いいのだろうか。もうちょっと考え直す必要が出てくるのではないかという気もするわけです。  ところで、この家庭科について、これは婦人差別撤廃条約批准との関係検討会議をおつくりになったということですが、まだこの委員会でこの検討会議についての御報告をいただいていないと思うので、どういうような発足になったか、これまでの審議状況はどうか、これからどういう方向で検討を進めていかれるのかを報告してください。
  128. 高石邦男

    ○高石政府委員 本年の六月十八日に第一回の会合を持ちまして、二回目をつい二、三日前に開いたわけでございます。そして、現在、特に婦人差別撤廃条約との関係での家庭科一般についての取り扱いの論議をしてもらっておりますので、いろいろな各専門家の意見をお伺いするというところから始めている段階でございます。したがいまして、この会合の検討を積み重ねてまいりまして、本年中にはその基本的な考え方にめどをつけたいと思っている次第でございます。
  129. 江田五月

    江田委員 私が四月十一日に質問したときに、この委員の半分くらいは女性にしたらどうですかということを提案させていただきましたが、十六人の委員のうち半分に一人足りないと人が女性ということで、ありがとうございました。  ところで、この審議の中身ですが、公開でやるということはいろいろ抵抗も強いようですけれども、なるべくオープンにされるというお考えはありませんか。六月十八日はこういうようなお話がありました、七月二十三日はこういうことでこういうような意見を伺いました、その意見の中身もこういう意見が開陳されましたということをオープンにされていくおつもりはありませんか。
  130. 高石邦男

    ○高石政府委員 現在の段階は勉強会というような形でございますので、この内容について、委員の中からも何かそういう意見があるという話もございますし、それから、座長自身がどういう形で運営したらいいかということについての考え方もあろうと思いますので、今お話のありましたことについて十分座長、委員会にもお伝えして、その対応について検討してもらいたいと思います。
  131. 江田五月

    江田委員 勉強している最中、どういう勉強をされたかということも非常に重要です。ですから、会議録をできればその都度公開していく、仮にそうでなくても、事後的にでも、こういう意見をいろいろな人から聞き、こういう勉強をした結果こういうふうにしたんだということで、会議録の少なくとも事後的公開ぐらいはしなければならないと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思うのです。  さて、この審議の方向性といいますか、婦人差別撤廃条約の批准との関係がありますから、今の高等学校の家庭一般の履修の形ではいけない、これでは条約批准に支障がある、これが一般的な理解です。これは男女別になって、女子は必修、男子は選択、しかも、実際は選択と言ったって男子が勉強できる体制になっていないというところに問題がある。そこで、その男女の区別というものを、家庭一般を学んでいく上でなくしていこうという方向性ははっきりしていると理解しておいていいわけですか。
  132. 高石邦男

    ○高石政府委員 まず基本的に、今後の学校教育で、どういう形で家庭一般で取り扱っているような内容を含めまして子供たちに教育を与えていったらいいかという、基本的な考え方を煮詰めていかなければならないと思うのです。それから、その条約との関係の整合性を求めるためにはどういう対応をしていったらいいかということを考えていかなければならないと思っております。  話はちょっと違いますけれども、実は、小学校の低学年で教科構成の問題でいろいろ議論もあるので、こっちの方の検討会議も今話を進めてもらっているわけです。その際には、本当に子供たちが基本的に身につけておくべき技能、技術、態度、知識、そういうものの観点から、各教科構成はどうあったらいいかということを議論していく必要があろう、その延長線にこの家庭科問題も連なって対応を考えていかなければならないであろうと思っているわけでございます。したがいまして、方向としてはより内容を充実していくという方向になろうかと思いますけれども、一体どういう形にしたらいいかというのは、今後の検討会議の御意見を承って、その対応を考えてまいりたいと思っております。
  133. 江田五月

    江田委員 これはやはり条約との関係もありますし、それから、先ほどからも言っておりますように、今の日本社会の抱えているいろいろな課題ということもありますから、家庭科というものの内容をさらに充実させ、しかも、それを男子にも教えていくという方向をぜひとるべきであって、検討会議に任じているんだから知ったことじゃないというのじゃなくて、やはりちゃんと方向性は与えていく、こういう方向で議論してほしいということにならないといけないと思うのですね。  家庭科の問題をいろいろ議論していますと、女子の家庭科も選択にすることになっては大変だというので、女子の家庭科は絶対に必修で守ってくれという声が強いわけですが、これは私は当然だと思うのですね。女子必修、男子もやはり必修。  男女とも選択にしてしまうということになる可能性はあるのですか、ないのですか。
  134. 高石邦男

    ○高石政府委員 今のところその点については全く白紙でございますが、基本的にはそういう内容について強化していかなければならないという態度でございます。
  135. 江田五月

    江田委員 白紙のところはどうぞ強調なさらないように、強化をしていかなければならぬという点を強調していただきたいと思います。そうでないと、男女とも選択というのは、形式的には条約の方向に合致すると言えるかもしれませんが、あの婦人差別撤廃条約というのは男女ともに家庭責任を果たしていこうという条約ですから、選択ということになると、しかも日本の教育の現状で言うと、受験競争時代で、家庭科の中身はとても男に興味がわくようなものになっていない。それでは男はもちろん女の方も、これからキャリアウーマンとして頑張っていこうなんという女性は家庭科に見向きもしなくなるというようなことになってしまうわけですから、それは日本の現状をますます悪くする方向ですから、そうしてはならないとつくづく思うのです。  ところで、今までは高等学校の話ですが、一体中学校はどうなるのか。四月十一日に質問したときに、文部省の方から、条約の要請は高等学校だけではない、中学の場合も何ら変わるところはない、こういうはっきりしたお答えをいただいているわけですが、私は、どうも中学の技術・家庭の方が高校よりさらに問題が深いのじゃないかという気がしてなりません。それは、中学の技術・家庭の教科書を読んでみても、あるいは指導要領を読んでみても、余りにも物をつくるということに偏り過ぎて、その物をつくることが生活とどう関係していくのか、人間とどう関係していくのかというような視点が非常に薄いような気がするのです。この中学の技術・家庭も見直さないと、高等学校だけで家庭科を男女共修にしても、中学で男と女と家庭科についての進度、到達度が全く違うということでは、高校で一緒に勉強していくことが非常に困難なんです。それと同時に、今荒れる中学校というようなことが話題になっているときに、中学生もまた、先ほどからるる申し上げているような、家庭というものの基本的素養なり感覚なりを身につけておく必要がある。中学でなければ身につかない感覚というものもあるだろうと思うので、中学校の家庭科もぜひつくり直してほしい。  それから、今の中学校の指導要領は随分細かく各科目のとり方を決めておりますが、あんなに細かく決めておると、家庭科にしても技術にしても、一部分共修共学で男女一緒に勉強させることが、観念的には可能であるとしても、カリキュラムを組んでみたらとても無理だということになってしまうのですね。被服Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとあって、Ⅰは何年、Ⅱは何年、Ⅲは何年、しかも飛び越えてはいけない、Ⅱを学ぶときにはⅠを先に学んでなければならぬ、そうなっていますと、到底共修はできないようなことになるわけですが、この検討会議では中学校の問題はどうしますか。
  136. 高石邦男

    ○高石政府委員 高等学校の家庭一般をメーンのテーマにしておりますが、付随的に中学校の技術・家庭科についても当然論議が及んでくるであろうと思います。
  137. 江田五月

    江田委員 付随的というのは、この検討のテーマにはちゃんと入るということでよろしいのですか。
  138. 高石邦男

    ○高石政府委員 条約上の関係でその問題についての指摘も若干なされておりますので、検討はしていかなければならないと思っております。
  139. 江田五月

    江田委員 ひとつ間違いない方向を打ち出していただきたいと思います。  さて、もう時間が余りありませんが、教育委員の準公選、中野区に続いて今度は大阪の高槻で今取り組まれております。これは住民の教育運動なので、すばらしい一つの実験だと私は思いますが、文部省は反対だと。  この高槻のケースについて、どういう経過で、文部省がどういうことをなさったかを報告してください。
  140. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 高槻市のいわゆる準公選問題でございますけれども、本年の六月十八日に「〝私たちの手で教育委員をえらぼう〟市民の会」という団体から、教育委員候補者選定に関する市民投票条例の制定を求める直接請求が出されました。これに関しまして、市長は七月三日、この条例案については市長としては違法と考えるという意見を付して議会に付議をしたということでございまして、高槻市議会におきましては、来年七月ごろまでを一応の目途にして検討するというようなことになっていると聞いておるわけでございます。  この高槻市の問題になっております条例案でございますけれども、その内容は、中野区のいわゆる準公選制度とほぼ同じような趣旨のものでございます。そういった観点から、かねて文部省として申し上げておりますように、これは現行法令に違反しているということで、去る二月十七日に文部省から大阪府の教育委員会に対しまして、高槻市に対して適切な指導を行われるよう指導通知をいたしたわけでございます。今後とも、市議会における審議が法治主義の原則にのっとって行われ、法律の規定に従った適切な事務執行が行われるように、文部省としては指導してまいりたいと考えているところでございます。
  141. 江田五月

    江田委員 これは、ここで法律の解釈の議論をあれこれやってみても水かけ論になるだけですが、二月十七日に指導通知を出された、その後ですが、来年の七月をめどに市議会で検討されるというので、かなり時間をかけてじっくりと腰を据えて議論をしようということなんですね。  とにかく、そういうことでいろいろな議論が起こってくること自体は歓迎しなければならぬ。合法であろうが違法であろうが、いずれにしても。教育について国民関心を持つことは大切なことなんです。しかも、地方自治というのは民主主義の学校だと――学校に例えると地方自治に従事をしていらっしゃる皆さんをちょっとばかにするということになるのかもしれませんが、そういう意味ではなくて、やはり民主主義というのは、いろいろなところで活発に自治活動が行われていくことによって民主主義全体の成熟度が高まっていく、そういう意味だろうと思いますので、今の高槻の運動もまた、それはそれとして見守っていくという態度が必要なんじゃないか。指導なさるということで、それはそうなんでしょうが、指導通知をもう出されておるのですから、これ以上何か特段の措置をとるとかいうようなことはない方がよろしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  142. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 住民の間で、教育問題に対するいろいろな意識が高まり、教育問題あるいは教育委員会制度の問題等について御議論が行われるということ自体は、結構なことだと思うわけでございます。しかしながら、それが具体に現行法令に反するような制度をつく各という形で進むということは望ましくないと私どもは考えているわけでございます。  そういう点で、先ほどのお答えを繰り返すことになりますけれども文部省としては現行法令に従った適切な事務、業務の運営が行われるようにという指導の姿勢は今後とも続けていきたい、こう考えているつもりでございます。
  143. 江田五月

    江田委員 指導指導とおっしゃいますけれども、今これほど教育が大変な問題、困難に突き当たっている。謙虚にひとつ文部省としても反省をしなければならぬ、各地方でいろいろな努力をしていることに学んでいこう、そういう姿勢は要るんだと思うのですね。  それから、そういう各地方の工夫に学んでいくと同時に、違法だと言っても、違法かどうかということについて議論もいろいろあるわけですからね。ですから、そういう一つのことに決めつけた姿勢ではなくて、御努力をされるように、知恵を絞られるようにひとつお願いをして、ちょうど時間になりましたので、質問を終わります。
  144. 愛野興一郎

    愛野委員長 次回は、来る二十七日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会