○森国務
大臣 結果的にはこうした
事態になりまして、大変
対象となる
学生の皆さんに不安あるいはまたいら立ちを生ずることになり、これはまことに遺憾であったというふうに思います。
しかし、これはお互いに政治家ですから、新しい
年度に
予算編成をする、その
予算は当然関連
法案というものが
成立をして、そのことによって
予算を使うということを一つの
前提として
予算案を
国会に
お願いをしておるわけであります。そして、新しい
制度も組み入れた
法案というものを
国会で
成立をちょうだいいたしまして運用をしていくということでございまして、いろんな
法律の拡大的な判断とか解釈というのは、それはそれなりにやってやれないことはないんだろうと思いますが、
法律を
国会の
審議を経ないで勝手に
政府が物を動かしたりすれば、これはまた逆のことになる場合もあり得るわけでございまして、やはり私
どもとしては
国会の御
意思というものを一番大事に
考えていくということは、これは
事務当局も当然のことだろうと思うのです。
しかし、今いろいろと御
質問いただきましたように、いろいろな事情がございましたし、各党の皆さんがこのことについて非常に真剣にお
考えをいただいて、確かに今お話がございましたように、
田中さん初め皆さんが私
どものところにもお見えになりまして、そして
予約生につきましてぜひ
採用ができるように私が
事務当局に命じたわけでございます。皆さんがそうしたことを
国会で御心配になり、なおまた在校生、在
学生に対します
措置もできないのかということでございますから、私もあえてこの場で
事務当局にその
採用を命ずるようにいたしたわけでございます。
今
田中さんのお話を例えば、それができるならなぜもっと前にやらなかったのかということになりますが、そこはやはり、
先ほど申し上げましたように、
国会に
法律を
提出させていただいておる、その
国会の御決定もちょうだいしない前に、いいことだからやれということは、
政府の
行政の任にある者としては
原則としてはやってはいけないことだというふうに私
どもは判断をいたしておるわけでございます。
基本的には、この
育英会法とは別にいたしましても、
国会の運営、
法律の
提出日、そしてそれに伴う
審議の
経過というものを
考えますと、確かに
田中さんがおっしゃるような矛盾はあるのです。これは、かつて私も
文教委員会の
理事をいたしておりましたときにも問題になりましたが、国立大学設置法などの
国会の
審議がおくれることによって、新しい
学生を
募集できないではないかというような話にもなりまして、このところは、
文教委員会の問題というよりも、
国会に
予算と
法律を出す時期——私も
国会対策や議運を長くやってきましたので、おしかりをいただくかもしれませんよ、おしかりをいただくかもしれませんが、
予算が上がらなければ実際には関連
法案の
審議はできないわけですね。やってはならぬとは何も
国会法には書いてないけれ
ども、そういう
国会の運営の慣例になっているわけですね。そこでいつもこうした矛盾が出てくるわけです。したがって、そうなれば、
予算関連の
法案を
予算案の前に出せるのか、
審議できるのかできないのかという
議論にまでなってくるわけでございまして、これは
文教委員会で
議論することではなくて
国会全体の問題、あるいは議運の問題であろうというふうに私
どもも
考えますし、議運でもよくこうしたことを
議論いたしたことがございます。
今
田中さんがおっしゃるとおり、ずっと日にちを言われれば、四月一日から
学生が困ることがわかり切っておって出しておるじゃないかということになれば、それならば
予算関連の前
年度に、そういうことを準備するためにあらかじめ
法案を出す、こういうやり方がいいのか、またそれが可能なのか。これは国立大学設置法なんかの場合もよく言われることなんです。そういう準備をあらかじめしていくと、逆に言えば
年度が一年おくれていくのか。こういうことも一つの方策にはなる。今度の問題でも、まずこの
制度を出して、
国会で通して、新しい
年度からやっていくというやり方も一つの方途だろうと思います。しかし、私
どもとしては、従来の慣例からまいりまして、
予算は
新法で
お願いをしたわけですから、
予算を御
審議いただいて、
成立をしたら
予算の中に含まれている関連
法案として御
審議を
お願いしていく。その結果は、四月一日からは間に合わないということはあらかじめ予測できることであります。そこのところは、わかっておるならもっと前に
行政として、
文部大臣の権限でやったらどうか、今そういうお尋ねでありますけれ
ども、私
どもとしては、
法律を
お願いしておるその前にやるということについては、これはいいことだからやっていいが、もし逆のことだったらということにもなるわけで、ここのところは、政治家同士の話ですから、
田中さん、ぜひ御理解をいただきたい。おしかりはおしかりとして受けとめます。これは
局長も何度も申し上げております。やれなかったのか、怠慢だ——怠慢とまで言われると、私もいささか、怠慢なら怠慢で受けてもいいですが、政治家として、うんというような気持ちになります。しかし、こうして皆さんが大変御心配をいただいて、そして各党の
理事、
委員の皆さんの御発意によって
委員長からの申し出もございましたし、また皆さんもそろって
大臣室にもたびたびお越しをいただいて、そしていろいろな判断をしろということを言ってくださいましたので、一応の判断をまず
最初にいたしました。その結果、その残余についてということにもなりましたので、今
法案を御
審議いただいておることではございますけれ
ども、このことについても皆さんのお気持ちに、私
どもは多とするというよりもむしろ敬意を表したい、こういう気持ちでございましたので、私の判断で
事務当局にその作業を命じているわけでございます。したがいまして、確かに
国会の
審議権を拘束するということに結果的になったというのはまことに申しわけないことで遺憾でございますが、そのことをないようにしろということになれば、これは
法律を出す
方法、
予算と
予算関連の
法案、
予算本法そのものの関連、こうしたことな
ども検討してみなければならぬものでございまして、
文部省だけであるいはまた
文教委員会だけでこのことの判断をしろということは、これは今後の問題も含めて大変大事な問題でありますが、今の段階としては、その方向を私
どもは自分たちの判断で選ぶということはできなかったということでございます。
しかし、いずれにいたしましても、事は重大なことでございますので、超法規的なということを言いますとおしかりをいただくかもしれませんが、私
どもは、
国会の皆さんの御判断を一番大事に
考えなければならぬと
考えまして、いろいろな
措置を合いたしておるところでございまして、このことにつきましては、
先ほど宮地局長から申し上げましたように、なお一層努力をいたします。努力をいたしますが、おしかりはおしかりとしていただきながら、
大臣として怠慢であった、それはやらなかったのか、こう言われますと、私
どもとしては、非常に難しい立場でありましたというふうに申し上げることしかないわけでございます。いろいろな意味で、こうした
対象学生のために先生方から大変建設的な御意見をちょうだいいたしておりますということにつきましては、敬意と感謝を申し上げる次第でございます。