○森国務大臣 私は、先ほど
江田さんの御
質問でお答えを申し上げましたけれ
ども、幼児が成長過程にあって、家庭
教育と、そして、年齢的にいえば大体三歳から四歳であろうと思いますが、社会的にいろいろなものに大変関心を持ち出す年齢だろうと思うのです。家庭にありますと、やはりある程度親の愛情の中にはぐくまれていますから、社会の中で、例えばやっていいことと悪いこと、いいことといけないことというようなことについても、もちろん親は親の
立場で厳しくやりますけれ
ども、これは社会全体の中から出てくるものではない。しかし一方、外へ出てまいりますと、よその子供
たちとつき合う、これが、さっきちょっと申し上げましたけれ
ども、初めて対社会的な行動をしていく時期だろうと思います。そういう中で、幼稚園であれ保育所であれ、そういうみんなのグループの中で人間関係をつくり上げていく、そして、人間関係のマナーといいましょうか、そういうことを学んでいく大変大事な時期だ、こういうふうに
考えて、まさに
教育基本法第一条に示す人間形成の中で最も大事なところが就学前だろう、私はこう思います。
しかし一方、世の中の変化というものはどんどん進んでおりまして、これはこの
委員会であったか参議院であったか予算
委員会だか、私もちょっと忘れましたけれ
ども、幼稚園の子供
たちに字を教えていいのか悪いのか、もっときちっとした
教育をすべきではないか、そういう意見のやりとりもあったと思います。現時点では、
文部省の
立場からいえば、
教育はきちっと体系的に大体教えないようなことになって、もちろん小
学校からということになっておるわけです。しかし一方、社会。ではテレビが出てくる、コマーシャルが出てくる、子供
たちはいや応なしに字を覚えざるを得なくなってくる。そういうことに対して幼児
教育、幼稚園
教育は対応しているのかどうかというのは、当然疑問が出てくる。
さっきもちょっと触れましたけれ
ども、世のお父さん、お母さんはある程度、これは
国会での大臣としての言葉では不適切かもしれませんが、やはりわがままなところもある。言葉はよくないが、もうちょっと言えば、過大な
要求を幼稚園にしている。何だ、こんなことも幼稚園で教えてくれないのかという印象にどうしてもなる。予算
委員会で、たしか厚生省の課長さんだったか、
文部省が所管する幼稚園に負けないように保育所の方も
教育の改善を進めております、たしかそんな
答弁がありまして、保育所自身が幼稚園に負けない機能を果たすために
教育をやるんですというようなことを厚生省でも発言をしているのを、ちょっとおやっと思って私は首をかしげた面がございますが、しかし、それもやはり親の
要求だろうと思うのです。
だから、そういうことをどう満たしていくか、こういう時点の中で、
文部省といたしましては、やはり
文部省の大事な幼児
教育はどうあるべきか、幼稚園
教育内容というのはどうあるべきかということで、
昭和五十八年十一月、中教審で
教育内容等小
委員会から、幼児を取り巻く環境の変化に対応した幼稚園の
教育内容を検討しなさいということを報告を受けておるわけでございますので、その報告を受け、そして中教審の会長もあいさつの中で、直ちに実務的検討に着手することが望ましい課題であり、
文部省としても適切に対応するようにというような要望もございましたので、この趣旨に沿いまして、幼稚園
教育要領に関する調査研究協力者
会議を設けることにいたした。これは
先生御承知のとおりであります。
そういう
意味で、そういうところはそういう方向で進めて、当然
文部省固有の責任として、事務としてやっていかなければならぬということであろうと思いますが、それと同時に、私は、先ほ
ども江田さんのお尋ねに対してもちょっと申し上げましたが、いつも言うように、人生五十年からもう八十年近くなってきている。そして、ゼロ歳児
教育でありますとか三歳児
教育でありますとか、いろんなことがそれぞれの識者から提案をされている。やはり人間として就学する年齢というのは本当は何歳が一番いいんだろうか。かつて四六答申のときの中教審答申でこの幼保の問題が出たときに、何か幼稚園がつぶされるんじゃないかとか、小
学校長会が反対するというさまざまな利益代表の団体みたいな意見が闘わされましたけれ
ども、そういうことじゃなくて、本当に就学年齢は幾つなのか、しからば一体何歳まで
義務教育をやって、何歳まで学んだ方がいいのか、その前の幼児
教育というのはどれくらいやったらいいのか、こういうようなことは私は根本的に一度見直してみる必要がある。これはまさに二十一世紀に向けて、一体どういう
教育のプログラムが必要なんだろうかというようなことを御検討いただくという
意味で、臨時
教育審議会などにおいては私はこれが最大の課題、命題ではないかというような期待もいたしておるわけであります。
したがいまして、そうは言いながらも現時点としての幼稚園
教育はおろそかにできませんので、このことは先ほど申し上げた協力者
会議で進めてまいります、幼稚園
教育の
内容も
考えていきますが、当然国全体として、幼児
教育も含めながら全体の日本の
教育はいかにあるべきか、その一番スタートのところが幼児でございますから、そういう基本に立って、両方の面で、幼稚園
教育も含めた日本の
教育の全体像を今真剣にみんなが模索しなければならぬ時期だ、こういうふうに私は
考えております。
長くなって恐縮でございますが、今何を
考えているのかということでございましたので、私の個人的な見解も含めまして、また
文部省の対応をいたします課題といたしましてこのように
考えておりますということをお答えをさせていただきたいと思います。