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佐藤(誼)議員 今
質問されたことも、
基本にありますのは、
学校事務職員の全校配置の必要性はどなたも認めているわけです。しかし、その隘路になっているのが今御
指摘にありました
学校教育法第二十八条一項のただし書きですね。したがって、それが
法律上の
一つの隘路になっているわけでございますから、私
たちが提案した改正案においては、このただし書きの削除ということを
基本に据えているわけでございます。
この点については、先ほども
先生指摘されましたように、たび重なる附帯決議の中で、養護教諭を含めてですけれども、何遍かごの特例措置、特別措置、経過措置の削除についてやってきましたし、また今も言われました
昭和四十九年でしたか、その中では全校配置、複数についてまで、しかもそのために
学校教育法を改正すべきだということまで言っているわけですね。これは、私が先ほど言ったような国権の最高機関である
国会の決議というものは、当然行政当局がそれに基づいて改善すべきことはしなければならぬわけです。それが、いまだにそういうことをやっていない。つまり、具体的に言うならば、二十八条第一項のただし書きの削除をやっていない。したがって、私
たちはやむを得ずして本
法案を出したという経過になっているのです。したがって、そういう中で中心になっている二十八条第一項ただし書きを削除する、養護教諭でいえば、十二項の養護助教諭をもって養護教諭にかえることができるという代替措置、それから百三条の当分の間置かなくてもいい、このことを何とかしなければ、事務職員、養護教諭の全校配置ができない、こういうことで今改正案を出したわけです。
今
政府側の
答弁が、このたびの第五次計画で云々ということの中で九六%と言っておりますけれども、これは六十六年ででしょう。これでは私
たちの長年の附帯決議なり要望からいうとほど遠い措置でありまして、少なくとも先ほどありました
昭和六十四年までには養護教諭必置、それから事務職員も全校必置ということでやりたいというのがこの趣旨であるということを、まず最初に私は特に強調しておきたいと思っておる次第でございます。
そこで、今いろいろ御
質問ございましたが、何点かにわたっております、簡潔に申し上げますが、制定当時に比べて事務職員の仕事がどのように複雑化あるいは増大してきたかという具体的な事例等のことがありました。
制定当時は、どちらかというと
学校プロパーの事務、教職員の給与とか福利が中心でありましたけれども、その後は
学校の規模の拡大なり
学校教育の
教育の深さというものに関連いたしまして、事務職員あるいは事務としてやるべき範囲が、教諭は
教育をつかさどるがその
学校教育活動の事務は事務職員がつかさどる、こういう
学校教育活動の両輪であるという位置づけが明確になることによって、今
指摘されたような、年々その事務が複雑、多様化、私から言うと高度化してきたと言えると思うのです。
いろいろ細部にわたりますから
項目だけちょっと申し上げますと、今日の時点では、
学校予算の編成と執行、それから教職員の権利を実現する仕事、例えば扶養手当とか住宅手当、通勤手当その他福利厚生全体に関するもの、それからまた
学校の施設設備、物品の管理、改善等のもの、それから先ほどありましたような個々の
教育に直接関係のある
子供の就学保障の問題、さらにまた今日的には地域の父母、住民との連絡調整のこと、さらにこのような情報
社会におきましては情報処理の仕事など、非常に多様そして多量、高度化してきているというのが実態だと思います。
それから、二番目に小規模校のことがございました。この
指摘は極めて重要なのでございまして、
学校教育法二十八条一項の中で「ただし、特別の
事情のあるとき」というこのことについて、昨年この問題で
議論したときに
文部省側は、財政上の理由も根拠になるが、同時にこれは、
学校にとって校長や教諭はどうしても置かなければならぬけれども、事務の場合はまあまあいいのではないか、小規模の場合にはそういう点で、校長、教諭は置かなければならぬけれども、事務職員はこの際勘弁してもらってもいいのではないかというような趣旨で、この「特別の
事情のあるときは」ということで除外してもいい、そういう趣旨のことを述べられたけれども、私は、これは極めて遺憾な、しかも
学校の実態を知らない発言あるいは
答弁だと言わざるを得ないわけです。先ほど申し上げましたように、規模が大きかろうが小さかろうが、
学校教育活動には、教諭が
教育をつかさどる部分と、
学校教育活動のためにどうしても必要な事務がありますから、その事務をつかさどらなければならぬという
分野があるわけです。これは大規模であろうが小規模であろうが同じだという、この
教育活動に対する
基本的な
考え方を押さえなければならぬというのが第一点であります。
それから、規模が小さくても大きくても、どうしても必要な最小限度の共通の事務はあるわけです。これは常識的にわかります。ですから、これは当然必置しなければなりませんし、必置しなければ、例えば
子供の
教育なり教職員の権利について、その専門家がいないことによってその権利が全うできない部分もあります。そして、そういう小規模の場合には
先生方が非常にたくさんの仕事、校務分掌を持ちながら、さらに加えて事務職員がいないために事務の仕事を持たなければならぬ、こういう実態にあるわけですから、私に言わせるならば、むしろ小規模校ほど早くやっていかなければならぬし、それとあわせながら、規模に応じてその事務職員の人数をふやしていく、こういう両面を転がしていくということが必要だということを
考え、特に
質問がありました点については強調したいし、そしてまた、先ほど言ったように、二十八条一項のただし書きをそのような形で解釈し、そのようなことで小規模校は勘弁してもらっていいんじゃないかというような
考えがあるならば、まさにこれは重大な認識の欠陥であるというふうに言わざるを得ません。
次に、連絡調整の問題ですが、これは今申し上げたように、
学校には教諭、それから事務、大づかみに言えばそういう二つの系統があると思います。校長を初め教諭は、その専門職として
学校の管理、それから児童の
教育をつかさどっているわけです。そういう専門的な仕事に入っています。ところが、
学校というのは
一つの有機体であり、組織体ですから、いろいろな問題が出てきたときにそれらを、全部それぞれ専門的に横たわっている仕事を連絡したり調整する機関がなければ、
学校はまともに動きません。それは内的にもそうですし、外部に向かって、PTAその他県
教育委員会等に対しても、市教委についても同じです。そういう調整の中心にあるのが事務室であり、事務職員であり、その機能を失えば
学校の有機的な運営なり本来の効果ある
教育活動はできないということが言えると思っております。
それから、事務職員が非行問題の対策やら課外クラブ活動に協力している実態云々のことがありました。この問題を
議論しますと、ある人は、法令にはっきりあるじゃないか、校長は
学校を管理し、教諭は児童の
教育をつかさどり、「事務職員は、事務に従事する。」ここが問題なんですけれども、私は事務をつかさどるということだと思いますが、法令上は「事務に従事する。」となっています。したがって、それぞれ職分があるのだから、事務職員の
皆さんは、そんな
教育に直接関係あるクラブ活動とか非行の
子供たちのことはやらなくたって、事務に従事さえしていればいいじゃないか、こういうことを言われますけれども、これは
学校の実態を知らないのだと思うのです。
教育活動というのは、直接
子供を扱う部分とそれからその
教育活動をより効果的にあらしめるための事務をつかさどる部分がありますから、そうなりますと、
学校の事務というのは一般行政事務と違いまして、
教育的な側面から重要な事務だというふうに
理解していかなければならぬ。その点で
教育活動と接点があります。
それからもう
一つは、同じ屋根の下におるわけですから、
先生方が少なければどうしたって
子供に対して、クラブ活動なり非行生徒の問題に対して扱うというのは当たり前なんです。避けて通れない問題です。ですから、そういう問題を実態に即して
考えていったときに、事務職員の全校必置は必要でありますし、特に
学校事務あるいは
学校事務職員の場合には、
教育という専門性を持ちながら事務に従事し、あるいは事務をつかさどり、そしてそういう事務職員としての研修、素養を持たなければならぬということを、せっかくの
質問でございますので、むしろこの際強調して、私の
答弁にさせていただきたいと思います。