運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-02-29 第101回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月二十九日(水曜日)     午前十一時四十二分開議 出席委員   委員長 愛野興一郎君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    稻葉  修君       臼井日出男君    榎本 和平君       北川 正恭君    河野 洋平君       二階 俊博君    葉梨 信行君       町村 信孝君    渡辺 栄一君       木島喜兵衛君    佐藤 徳雄君       田中 克彦君    中西 績介君       池田 克也君    伏屋 修治君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君  出席国務大臣        文 部 大 臣  森  喜朗君  出席政府委員        文部政務次官   中村  靖君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房審        議官       齊藤 尚夫君        文部大臣官房会        計課長      國分 正明君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省学術国際        局長       大崎  仁君        文部省社会教育        局長       宮野 禮一君        文部省体育局長  古村 澄一君        文部省管理局長  阿部 充夫君        文化庁長官    鈴木  勲君        文化庁次長    加戸 守行君  委員外出席者        文教委員会調査        室長       中嶋 米夫君     ————————————— 二月二十三日  私学助成増額に関する請願外一件(島田琢郎  君紹介)(第三二三号)  同外四件(新村源雄紹介)(第三二四号)  同外二件(五十嵐広三紹介)(第三八六号)  同(岡田春夫紹介)(第三八七号)  同外十八件(小林恒人紹介)(第三八八号)  同外四件(竹村泰子紹介)(第三八九号)  同外二件(池端清一紹介)(第四二二号)  同外一件(岡田春夫紹介)(第四二三号)  幼稚園教育予算増額等に関する請願藤木洋  子君紹介)(第三二五号)  同(山原健二郎紹介)(第三二六号)  学校図書館法の一部改正に関する請願東中光  雄君紹介)(第三二七号)  四十人学級早期実現等に関する請願佐藤祐  弘君紹介)(第三七七号)  教育条件整備充実等に関する請願経塚幸夫  君紹介)(第三七八号)  同(東中光雄紹介)(第三七九号)  同(藤田スミ紹介)(第三八〇号)  同(正森成二君紹介)(第三八一号)  高校増設促進等に関する請願経塚幸夫紹介  )(第三八二号)  同(東中光雄紹介)(第三八三号)  同(藤田スミ紹介)(第三八四号)  同(正森成二君紹介)(第三八五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 愛野興一郎

    愛野委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  文教行政基本施策に関し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森文部大臣
  3. 森喜朗

    森国務大臣 このたび文部大臣を拝命いたしました森喜朗でございます。  文教委員先生方の御指導をいただきながら文教行政を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしく御教導賜りますように、お願いとごあいさつを申し上げる次第でございます。(拍手)  第百一国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信一端を申し述べます。  我が国教育は、著しく普及し、その水準は国際的にも高く評価され、今日の我が国の経済、社会文化発展の原動力ともなっております。一方、近年における社会の急激な変化、教育量的拡大等は、これまでの教育あり方に対しても大きな影響を与えており、今日、さまざまな問題点が指摘されているところであります。  中曽根総理大臣は本国会施政方針演説において、三つの大きな基本的改革に取り組むこととし、その一つに教育改革を取り上げ、今こそ来るべき二十一世紀を展望し、教育改革を断行する時期に来ていると述べております。私もこの点に同感であり、二十一世紀我が国を担うにふさわしい青少年育成するため、教育全般にわたる改革を着実に推進していく必要があると考えます。  我が国教育あり方に関しては、これまで中央教育審議会から多くの答申が出され、文部省においてもその趣旨を尊重しながら各種施策実施してきたところでありますが、教育改革に対する国民的要請にこたえ、かつ課題重要性にかんがみ、長期的展望に立って、政府全体の責任において教育改革に取り組むため、総理大臣の諮問に応じて調査審議する機関を新たに設置すべく政府において検討を進めているところであります。  教育改革推進については、この新たに設置を予定している機関において十分なる調査審議お願いするとともに、文教行政を預かる私といたしましても積極的に努力をいたしてまいる所存でありますが、文教行政の次のような諸課題については、当面、以下のとおり着実に施策を進めてまいる所存でございます。  第一は、初等中等教育改善充実であります。  初等中等教育におきましては、人間性豊かな児童生徒育成を目指した教育の一層の充実、定着を図るとともに、学級編制教職員定数改善計画についても、財政事情を考慮しつつ、その改善に努めてまいります。  学校教育の成否は、実際に教育に携わる教員の熱意や指導力などに負うところが大であり、今日、すぐれた資質を持った教員確保し、その実践的な指導力向上を図っていくことは緊要の課題であります。このため、教員教育者としての使命を自覚し、その職務の遂行に当たるよう教員採用現職教育改善充実に努めるとともに、教員養成免許制度改善を進めてまいる所存であります。  また、過熱した受験競争を緩和し、生徒が真にみずからの適性に応じた進路を選択できるようにするため、高等学校入学者選抜方法改善最善努力を払ってまいります。  教科書制度については、義務教育教科書無償給与制度を引き続き存続させることとしたほか、その改善について、昨年の六月の中央教育審議会答申趣旨を尊重しつつ、慎重かつ適切に対処してまいる所存であります。  また、希望するすべての幼児が幼稚園教育を受けられるよう、その整備充実に努め、心身障害を持つ児童生徒に対し、その障害の種類、程度に応じた適切な教育を行う特殊教育の一層の振興充実を図るとともに、心身ともに健全な児童生徒育成を図るため、学校体育学校保健学校安全の充実、魅力ある学校給食推進に努めてまいります。  公立学校施設設備については、過大規模校分離促進多目的スペース設置、特色ある学校づくり推進など、新しい時代要請を踏まえた施策を講じてまいります。  児童生徒問題行動は依然として深刻な状態にあり、中でも中学生を中心とする校内暴力事件が後を断っていないことに心を痛めております。私は、このような事態を一刻もゆるがせにすることなく、学校において正常な環境を維持し、豊かな教育活動を展開することによって国民信頼にこたえることが教育関係者に課せられた責務であると考えます。そのためには、まず学校教育専門機関として最大限の努力を払うとともに、学校家庭社会がそれぞれの教育機能を十分に発揮しつつ、相互に連携し、一体となってこれに当たることが肝要であります。  また、文部省としましても、学校における校長中心とする教職員一致協力体制の確立、学校管理運営状況の総点検、教育相談活動充実等の緊急の措置を講ずるとともに、長期的な観点から、初等中等教育内容方法改善基本的生活習慣の形成を含む道徳教育の一層の充実自然教室推進事業実施等の諸施策に取り組んでいみところであり、今後とも青少年の健全な育成のため全力を傾注していく所存であります。  第二は、高専教育充実についてであります。  高等教育につきましては、それぞれの高等教育機関の特色ある発展質的充実を図り、国民社会の多様な要請に適切にこたえていくことが重要な課題であります。  昭和五十九年度においては、国立大学について新たに長崎大学医療技術短期大学部を併設するほか新設医科大学等大学院新設する等、努めて精選しつつも教育研究等の上で必要な整備充実に力を注ぐとともに、公私立大学について引き続き所要助成を図ることといたしております。  さらに放送大学につきましては、来年四月の学生受け入れに向けて、放送局開局学生募集開始など、その準備遺漏なく進めてまいる所存であります。  大学入試については、受験生の立場にも留意しつつ、国公私立の各大学を通じ、入学者選抜方法改善、工夫に一層の努力を促し、学歴偏重社会的風潮の是正や各大学整備充実等施策と相まって、改善の実を上げてまいりたいと存じます。特に、共通一次学力試験を取り入れた入学者選抜方法につきましては、これまでの実施経験を踏まえつつ、実施期日の繰り下げ、教科、科目数あり方等についての検討をさらに積極的に進め、必要な改善を期してまいる所存であります。  また、育英奨学事業につきましては、現行の無利子貸与制度根幹として存続させつつ、その改善を図るとともに、量的拡充を配るため財政投融資資金導入により、新たに有利子貸与制度を創設することといたしております。  第三は、私学振興についてであります。  私立学校は、建学の精神に基づいた特色ある学校教育を行うことにより、我が国学校教育の普及と発展に多大の貢献をいたしてきております。今日、私学に寄せられる国民期待はますます大きくなってきており、私学においてもその社会的責任を自覚し、国民信頼により一層こたえていく必要があります。私立学校がその使命を達成できるよう、引き続きその教育条件維持向上に努めてまいりたいと考えております。  また、専修学校についても、時代進展に応じた特色ある専修学校振興を図るなど適切な配慮をしてまいる所存であります。  第四は、学術研究振興についてであります。  大学中心とする学術研究発展は、我が国学問的基盤確保し、その水準の一層の向上を図る上で必要欠くべからざるものであり、国家、社会のあらゆる分野の発展基盤を形成するものとして、極めて重要な課題であります。特に、今日、我が国が直面している資源エネルギー問題、がん対策等重要議題解決のためにも、すぐれた学術研究の一層の推進が強く要請されております。  このような大挙における掌術研究推進重要性を踏まえ、科学研究費充実等研究基盤整備に努めるとともに、加速器科学生命科学等重要基礎研究推進を図り、あわせて国内外を通ずる学術交流協力体制整備のための諸施策を進めることといたしております。また、研究体制整備一環として、昭和五十九年度を期して、文部省所轄機関である国立遺伝学研究所国立大学共同利用機関に改組転換することといたしております。  なお、学術研究振興については、先般の学術審議会答申趣旨を踏まえ、今後とも一層の努力を重ねてまいる所存であります。  第五は、社会教育及び体育スポーツ振興についてであります。  科学技術の進歩や情報化社会進展核家族化の進行、人口構成高齢化価値観多様化といった社会的諸条件の激変に対応し、国民は、今日、生涯を通じて新しい知識、技術を身につけるとともに、生きがいのある健康で心豊かな生活を送ることを求めております。この国民的要請にこたえるためには、生涯教育観点から、学校地域社会家庭を通じさまざまな教育機能総合的整備を図り、国民が、いつでもどこでも学べる体制を築いていく必要があります。  このため、各種社会教育施設整備充実各種学習機会の提供、社会教育指導者養成確保等に努めてまいるとともに、青少年に対する教育に意を用いて、青少年社会参加団体活動促進青少年に豊かな生活体験を与える少年自然の家等青少年教育施設整備充実家庭教育充実PTA活動促進などの諸施策を進める所存であります。  また、生涯スポーツ振興観点から、地域における体育スポーツ活動振興のための施設整備指導者養成確保、生涯スポーツ推進事業拡充等施策を一層進めることにより、たくましい青少年育成国民スポーツ振興に努めてまいりたいと考えておりをする。本年はオリンピック競技大会開催される年でもあり、我が国の選手の活躍に期待するとともに、国際競技力向上スポーツ国際交流推進のための施策充実にも力を入れてまいる所存であります。  第六は、文化振興についてであります。  我が国は、古来、進んで諸外国文化を摂取する一方、固有の文化との調和を図りながら独自のすぐれた文化を築いてまいりました。このようか民族の歴史的蓄積である伝統文化の継承と、新しい芸術文化創造発展を図ることは、重要な責務であります。  このような認識のもとに、芸術文化活動奨励助成芸術産業機会充実、いわゆる第二国立劇場施設設計競技実施を初めとする国公立文化施設拡充設備を行うなど、芸術文化及び地方文化振興を図り、また貴重な国民的財産である文化財の保存整備について諸般施策を講じてまいります。  また、近年における社会の急速な進展に応じ、著作権者等の権利を適正に保護するため必要な措置を議するよう種極的に取り組んでまいる所存であります。  最後に、教育学術文化国際交流及び国際協力推進についてであります。  教育学術文化国国交流及び国際協力推進を図ることは、我が国及び世界の学術文化発展向上に寄与することはもとより、諸国民との相互理解を深め、真の友好関係を築いていくためにも極めて重要であります。  このため、国費留学生新規受け入れ拡大など、留学生に関する事業推進に格別の努力を傾けるとともに、学術面における国際交流協力充実に努め、ASEAN諸国との拠点大学方式による研究者交流事業等充実を図ってまいります。また、海外子女教育につきましては、日本人学校増設派遣教育増員等その充実を図るとともに、帰国子女受け入れ体制整備努力してまいる考えであります。  以上、文教行政の直面する諸問題について所信一端を申し述べました。文教委員各位の一層の御指導、御協力お願い申し上げる次第であります。(拍手
  4. 愛野興一郎

    愛野委員長 次に、昭和五十九年度文部省所管予算概要につきまして聴取いたします。中村文部政務次官
  5. 中村靖

    中村(靖)政府委員 このたび文部政務次官を拝命いたしました中村靖でございます。  大臣を補佐して最善努力をいたしたいと思いますが、文教委員の諸先生方にぜひ御協力賜りますよう、まずお願いを申し上げます。(拍手)  昭和五十九年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十九年度の文部省所管予算につきましては、現下の厳しい財政状況のもとに、臨時行政調査会答申趣旨をも踏まえつつ編成いたしたところでありますが、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育学術文化の諸施策について予算確保に努めたところであります。  文部省所管一般会計予算額は四兆五千七百二十億四千万円、国立学校特別会計予算額は一兆六千十八億千万円でありまして、その純計額は五兆千二十一億六千四百万円となっております。  この統計学昭和五十年度の当初予算額と比較いたしますと、六百九十七億九千八百万月の増額となり、その増加率は一・四%となっております。また、文部省所管一般会計予算額は〇・八%の増加国立学校特別会計予算額は五・七%の増加となっております。  以下、昭和五十九年度予算における主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育充実に関する経費であります。  まず、義務教育学校学級編制及び教職員定数につきましては、昭和五十五年度から第五次改善計画が発足したところでありますが、昭和五十九年度は、教職員定数改善増につきまして、いわゆる行革関連特例法趣旨を踏まえて、改善計画の第五年次分として九百七十二人の増員を行うことといたしております。  また、教職員の貸賃の向上を図るため、新規採用教員等研修免許外教科担任教員研修教員海外派遣教員研究グループ補助教育研究団体への助成など、各種研修実施するほか、新たに教育指導全般充実を図るための事業一環として新任政務主任研修を行うことといたしております。  次に、児童生徒問題行動を未然に防止し、その健全な育成を切望している国民期待にこたえるため、まず、道徳教育充実方策として、新たに学校家庭連携推進校指定及び道徳教育用郷士資料研究開発を進めるとともに、指導資料作成配布校長等指導者養成実践講座開催等を行うことといたしております。さらに、生徒指導充実強化につきましては、新たに、児童生徒が豊かな自然環境の中で規律ある集団宿泊生活を通じて学校教育活動を行う自然教室推進事業実施することとしたほか、教育相談活動推進事業及び生徒指導担当数貝研修拡充を図るとともに、中学校生徒指導推進会善等開催生徒指導推進校勤労生産学習研究推進校指定等事業を行うことといたしております。  義務教育教科書無償給与につきましては、これを継続することとし、所要経費を計上いたしております。  幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うほか、幼稚園施設整備を図ることといたしております。  特殊教育につきましては、重度、重複障害児のための介助職員増員を図るとともに、心身障害児適正就学推進等を行うことといたしております。  さらに、児童生徒等の健康の保持増進に係る事業推進に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設設備整備を図ることといたしております。  次に、公立学校施設整備につきましては、校舎零建物の新増改築事業について、必要な事業量確保を図るとともに、現行急増用地取得費補助制度拡充による過大規模校分離促進多目的スペース確保のための小中学校校舎基準面積改定積雪寒冷地における高等学校屋内運動場基準面積改定等制度改善を行うこととし、これらに要する経費として四千七億円を計上いたしております。  なお、新たに学校教育制度に係る諸問題について調査研究を行うこととしたほか、要保護・準要保護児童生徒援助充実地域改善対策としての教育振興定時制及び通信教育振興理科教育及び産業教育充実英語教育振興など、各般施策につきましても所要経費を計上いたしております。  第二は、高等教育整備充実に関する経費であります。  まず、放送大学につきましては、昨年四月に放置し、広く国公私立大学との連携協力のもとに、放送を効果的に活用した大挙教育実施推進することといたしておりますが、昭和五十九年度には、昭和六十年四月の学生受け入れに向けて、放送局開局学生募集開始など、所要の諸準備遺漏なく進めることといたしております。  次に、育英奨学事業につきましては、日本育英会学資貸与について、現行の無利子貸与制度根幹として存続させながら、その改善を図るとともに、量的拡充を図るため、財政投融資資金導入により、新たに有利子貸与制度を創設することとし、政府貸付金八百二十二億円、財政投融資資金六十五億円と返還金とを合わせて、千百八十四億円の学資貸与事業を行うことといたしております。  また、国立大学整備につきましては、長崎大学医療技術短期大学部を創設することとしたほか、地方における国立大学中心に、教育研究上緊急なものについて、学科等整備充実を図ることといたしております。  大学院につきましては、北見工業大学図書館情報大学並びに高知、佐賀及び大分の三医科大学に新たに大学院設置するほか、研究科、専攻の新設等を行うことといたしております。  附属病院につきましては、新設医科大学附属病院年次計画に基づき整備するほか、既設の附属病院についても、腫瘍センター新設救急部増設など、その充実を図ることといたしております。  なお、国立大学授業料につきましては、諸般情書を総合的に勘案し、昭和五十九年度にこれを改定することといたしております。  このほか、公立大学につきましては、医科大学看護大学等経常費補助等について所要助成を図ることといたしております。  第三は、学科振興に関する経費であります。  まず、科学研究費補助金につきましては、独創的、先駆的な研究推進し、我が国学術研究を格段に発展させるため引き続を充実を図ることとし、昭和五十八年度に対して十億円増の四百五億円を計上いたしております。  次に、重要基礎研究につきましては、エネルギー関理科学加速器科学及び宇宙・地球環境の解明についても一層の進展を期するとともに、特に、対がん十カ年総合戦軽に関連する研究推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として四百七十六億円を計上いたしております。  なお、学術研究体制整備につきましても、文部省所轄研究所である国立遺伝学研究所国立大学共同利用機関に改組、転換するなど各般施策を進めることといたしております。  第四は、私学助成に関する経費であります。  まず、私立大学等に対する経常費補助につきましては、臨時行政調査会答申等もあり、二千四百三十八億五千万円を計上いたしております。この中で、特色ある教育研究に対する特別補助百億円をあらかじめ計上するほか、私立大学等研究装置等施設整備費補助についても四十億円を計上し、教育研究推進に配慮いたしております。  なお、最近における私立大学をめぐる諸問題の発生にかんがみ、学識経験者等による学校法人運営に関する調査指導を行うための経費を計上し、学校法人管理運営適正化に資することといたしております。  また、私立高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましては、大学等同様臨時行政調査会答申等もあり、七百十六億円を計上いたしております。  日本私学振興財団貸付事業につきましては、政府出資金五億円及び財政投融資資金からの借入金四百三十四億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十八年度と同額の八百五億円の貸付額を予定いたしております。  また、専修学校につきましては、大型教育装置に対する補助生徒に対する奨学金貸与国費外国人留学生受け入れ拡充を図るほか、新たに教員研修事業費等補助の対象に教育内容等改善研究協方校事業を加えるなど、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。  第五は、社会教育振興に関する経費であります。  まず、地域におけお社会教育活動拠点となる公立社会教育施設につきましては、引き続きその整備を図ることとし、これらの施策に要する経費として百三十一億円を計上いたしております。  また、社会教育活動振興を図るため、社会教育主事社会教育指導員等社会教育指導者層充実に努めるとともに、青少年、成人、婦人、高齢者など各層に対して、学習機会を提供し、地域連帯意識を醸成するための地域活動促進するなど、社会教育の幅広い展開を図ることとして所要経費を計上いたしております。  さらに、青少年の健全育成に資するため、家庭教育充実に努めるほか、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、福井県の小浜市に第九番目の少年自然の家を設置することとし、所要経費を計上いたしております。  第六は、体育スポーツ振興に関する経費であります。  国民の体力づくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育スポーツ施設整備を進めるため、社会体育施設学校体育施設について、その整備に要する経費として百九十二億円を計上いたしております。  また、学校体育につきましては、学校体育実技指導者の資質向上に努め、格技指導推進校の拡充を図るほか、学校体育大会の補助についても所要経費を計上しております。  さらに、生涯スポーツ推進事業について一層の拡充を図るなど、家庭学校地域における体力つくり事業充実を図り、たくましい青少年育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。  なお、日本体育協会の行う選手強化事業国際交流事業等に対して補助を行うとともに、国民体育大会の助成など各般施策につきましても所要経費を計上いたしております。  第七は、芸術文化振興文化保護充実に関する経費であります。  まず、地域社会における文化振興につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、移動芸術祭等の施策を行うとともに、新たに中学校芸術鑑賞教室を実施するための経費を計上いたしております。  また、芸術文化創造の援助等につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術家研修、芸術祭について所要経費を計上するとともに、中国引揚者に対する日本語教材等を作成するための経費を計上いたしております。  次に、文化保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝、重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備・公有化を進め、また、天然記念物の保護及び食害対策を充実するとともに、昭和五十八年度に開場した国立能楽堂及び国立文楽劇場の事業充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。  また、文化施設整備につきましては、地域社会における文化振興拠点となる文化会館、歴史民俗資料館等の地方文化施設整備を図るとともに、国立文化施設については、かねてより準備を進めてまいりました第二国立劇場について建設に必要な建築設計競技を行うこととし、そのための経費を計上いたしております。  第八は、教育学術文化国際交流協力推進に関する経費であります。  まず、発展途上国への協力等の観点から、国費留学生新規受け入れ拡充するとともに、外国政府我が国に派遣する留学生のための予備教育への協力及び受け入れを進めるなど、留学生に関する事業を積極的に推進することとし、そのために要する経費として八十九億円を計上いたしております。さらに、ユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。  また、学術国際交流協力推進するため、新たに日仏共同で日本海溝の調査実施するなど、二国間、多国間にわたる各種の国際共同研究を進めるとともに、拠点大学方式によるASEAN諸国との学術交流事業拡充、先進諸国等との研究者交流事業促進など日本学術振興会が行う学術交流事業充実を図ることといたしております。  また、海外子女教育につきましては、日本人学校増設児童生徒数の増加に対応し、派遣教員増員を行うとともに、帰国子女教育研究協力校の指定を行うなど、帰国子女受け入れ体制整備を図ることといたしております。  以上、昭和五十九年度の文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。(拍手
  6. 愛野興一郎

    愛野委員長 以上で説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会