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1984-07-19 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十九日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君    理事 浜田卓二郎君 理事 武部  文君    理事 松浦 利尚君 理事 宮地 正介君    理事 田中 慶秋君       尾身 幸次君    二階 俊博君       中村 正男君    浜西 鉄雄君       福岡 康夫君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 利部 脩二君         公正取引委員会         事務局審査部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      横溝 雅夫君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局審議官  福士 昌寿君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 玉木  武君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         農林水産大臣官         房参事官    黒木 敏郎君         農林水産省農蚕         園芸局企画課長 日出 英輔君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      増田 正尚君         食糧庁長官官房         総務課長    芝田  博君         食糧庁業務部需         給課長     赤木  壮君         食糧庁業務部需         給課米流通消費         対策室長    平野  愃君         食糧庁業務部加         工食品課長   須田  洵君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      糟谷  晃君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     加来 利一君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 七月十七日  公共料金引き上げ反対に関する請願(田中美  智子君紹介)(第七九九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦委員 いよいよ来年度の予算概算要求の時期に入ってきましたし、これからの我が国経済動向等極めて重要な段階に来ておりますので、長官に主としてこれからの経済見通し、そういった問題を中心お尋ねをしたいと思います。ぜひきょうは、長官の御意見を聞かしていただくという意味質問をしたいと思いますので、質問そのものについては簡単にして、長官答弁をひとつ思い切って長目にしていただいて結構ですから、御答弁をいただきたいと思うのであります。  この前、私は本委員会でもあるいは予算分科会でも御質問申し上げましたが、五十九年度の実質GNP上方修正になるだろう、そういう御発言があったわけであります。大方の民間の予想では五%前後に上方修正するデータが発表されておるわけでありますが、長官のお考え方を承りたい。上方修正といえば五%前後になるのかどうか、そういったものも含めて見通しをお聞かせいただきたいというふうに思います。  同時に、そういうGNP四・一%の上方修正をする我が国経済状況、六月から景気拡大方向に向いておるという月例報告が出され、引き続いて七月もまたそういった月例報告が出されておるわけでありますが、その要因としては輸出の増大がその最大の原因である、こういうふうにこの前も言っておられます。その後もさらに貿易収支というのは黒字拡大方向にどんどんと進んでおるということも新聞等で報道されておるわけでありますが、そういった全体的な景気動向等について長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の日本経済の動きには幾つかの特徴がございますが、その一つは、今お話しの輸出が非常に伸びておるということでございます。一月に政府見通しをつくりましたときには輸出黒字は三百四十億ドルぐらいと、このように考えておりましたが、ただいまのところはそれを大幅に上回る勢いでございます。それに従って経常収支も非常に大きく拡大をする傾向にございます。  それから第二は、民間設備投資、ことしは昨年に比べて約五%くらい伸びるであろうと想定をしておりましたが、最近は数年ぶりに中小企業がやや勢いづいてまいりましたことと、先端技術投資が相当拡大されておる、こういうことで、これも政府見通しを若干上回るであろう、このように思います。  ただ、GNPに一番大きなウエートを占めております個人消費が、伸びてはおりますけれども政府当初見通しを下回っておる。民間調査機関等におきましてもすべて当初見通しを下回る、こういう修正をいたしております。個人消費が伸び悩んでおるということは実質所得が伸びないということでございまして、ここに私は日本経済の一番大きな問題点がある、このように思います。  したがって、プラスの要素もあればマイナス要素もございますが、しかし、輸出の伸びが非常に大きな数字になっておりますから、全体として申し上げますと、成長率は相当上方修正になるのではなかろうか、このように思います。九月の段階で第一・四半期のいろいろな指標が正確に出てまいりますので、その時点判断をしたい、このように思っておりますけれども、現在の勢いがそのまま持続される、かつまた個人消費が若干上方に向く、最近は時間外手当等もふえておりますし、ボーナスも若干ふえる傾向でございますので、これからもし個人消費が少し伸びるということを考慮いたしますと、五%を相当超えるのではないか、こういう感じがいたしますが、正確な数字は九月の段階判断をしたいと思います。
  5. 松浦利尚

    松浦委員 今長官は、五%を相当大幅に超えるのではないか、こういう見通しを発表されました。しかし、またその反面、貿易に支えられておる経済成長であるということも言っておられるわけでありますが、実質問題として、そういった高い上方修正をいたしましても、内容的に見れば、先ほど時間外手当等がふえてきたというお話ですけれども、春闘の賃上げ率というのは平均して四・四六%と昨年並みだ。それから五十九年度の物価上昇率というのは五十八年度に比べてやや高い、こういうことから考えてみますと、個人消費とか住宅投資というのは余り期待されないのではないかという気がいたします。そうなれば、設備投資が若干伸びたといたしましても、結果的に外需依存型の成長がさらに強化されていく方向に進むのじゃないか、こういう気がしてならないわけであります。そのことは我が国のこれからの経済運営にとって果たして妥当なものなのかどうか、そういう点について長官の御判断を承っておきたいと思います。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十九年度は内需中心経済成長、このように考えておりましたが、先ほど申し上げましたように大変な勢い輸出拡大をいたしましたので、現在では外需依存型の成長になりつつある、こういう状態でございます。しかもその黒字幅が非常に巨額になっておりますので、ただいまは一応貿易摩擦表面化はいたしておりませんけれども、しかし各国から、一つの国が余り巨額黒字を継続的に続けるということは世界全体の保護貿易引き金になる、こういう意見等も出始めておりまして、私どもは、現在のような状態では、我が国といたしましても内需拡大いたしまして、もう少し内需依存経済成長ということを積極的に考えていきませんと世界全体に対して迷惑をかける、こういうことにもなりかねないのではないか、このように考えております。
  7. 松浦利尚

    松浦委員 長官は先般OECD経済閣僚理事会出席をされましたが、我が国経済運営についてOECD評価はどういう評価であったのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 OECD閣僚理事会は五月の中旬でございまして、その直前に日本が懸案の市場開放幾つかの課題を解決いたしまして、その直後でありましたので、日本に対する直接の攻撃はありませんでした。しかし、直接名指しで攻撃はいたしませんが、個別会談などをいたしますと、やはり保護貿易引き金にならないように日本としては今後政策注意をしてもらいたい、こういう話が幾つかございました。したがって、私は、世界日本を眺める目は、やはりこの巨額黒字日本がいつまで続けるのであろうか、あるいはまた、どこまでその数字が大きくなるのであろうか、こういう点に非常に大きな関心を払っておる、このように思います。  今は、貿易摩擦は一応表面的にはおさまった形でございますが、巨額黒字が続きますと理屈抜き摩擦表面化をいたしまして、いろいろな無理難題等もまた言われる、こういうことにもなりかねませんし、現に、対米関係等を見ますと、鉄鋼など、日本としては相当注意をして輸出をしておるわけでございますけれども、それでも一応議論の対象になりつつある、こういうことでもありますので、世界経済において日本が非常に大きなシェアを占めておる、大きな役割を果たしておるということを考えますと、御指摘の問題はこれからの日本経済運営の一番の重点課題ではなかろうか、このように考えます。
  9. 松浦利尚

    松浦委員 OECD経済見通し日本に関する部分を見ますと、OECD主要五カ国の経済指標の中で、一九八五年下期の経常収支は、アメリカは一千四十七億ドルの赤字我が国は三百七十七億五千万ドルの黒字、こういう数字OECD日本関係部分で出されておるわけですから、長官が言われるように経済摩擦要因というのは日米間に大変残されておる、こういうふうに思うのですけれども、御承知のように、きょう、アメリカ民主党大統領候補が決定をされます。いよいよ米大統領選挙が過熱をしてくると思うのであります。そういうさなかに、九月以降次々と日米間の交渉が予定をされておるわけでありますが、そのときに我が国に対して一番問題になってくるのがこの黒字の問題だというふうに思います。  そこで、これは長官お尋ねをするわけでありますが、先般発表されました通商白書を見ますと、我が国黒字というのは構造的な黒字だ。この構造的黒字に対処するためには、世界経済に貢献する方法としては内需拡大以外にない、そういうことを先ほども長官は御指摘になったわけであります。  そこで、これは日経新聞の長官との対談で出ておった記事を引用させていただいて恐縮ですけれども、六月十九日の長官の談話であります。この中で幾つかの点を挙げておられます。特にその一つとして、与野党間で合意した景気影響を与える大幅減税、これは当然所得減税というのはやられるべきだ、やれないのは野党責任もあるのだ、こういうふうに御指摘になっておるわけであります。大幅減税がやれないことについて野党責任であることも私たちは認めますが、この大幅減税の問題、あるいは国債罪悪視は間違いである、百十兆円近くの赤字、そのことだけを念頭に置くことは問題であり、国債罪悪視は間違っておるのではないかという御指摘もあります。また、大胆な投資減税をやるべきだということも言っておられます。さらに、行革と経済運営というのは別個のものだ、これを同一視して考えるのは間違っておるということも指摘をしておられるわけであります。  そういった意味で、この六月十九日の日経の対談は思い切った発言だと思うのでありますが、この委員会で、そういった総合的な景気浮揚内需拡大政策についての大臣考え方、それを具体的にお示しをいただきたいというふうに思います。時間をとっても結構ですから、どうぞ御意見を述べていただきたいと思います。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一の、日本経済が構造的に黒字体質になってしまったかどうかという問題でありますが、私はこれに対しては若干の異論があるのです。と申しますと、過去十年間を振り返ってみますと、日本貿易赤字であったときも何年かございます。しかし黒字だったときも何年かございまして、現在は黒字でありますけれども、その黒字背景というのは、エネルギー事情が国際的に安定をしておる、石油事情が安定をしておるということが一つございますし、それから現時点においては日本経済競争力世界で相当強い状態にある。この二つ背景にありますから黒字は出ておりますけれども、しかしこの二つ前提条件が永続するのかどうか。私は永続しないと思うのです。じっとしておったのでは日本国際競争力も失われるおそれが多分にある、こう思います。現に、最近アメリカなどは昨年後半から非常な勢い設備投資をいたしております。いずれ、来年、再来年、これが稼働を始めるわけでございます。そうするとアメリカ競争力というものは顕著に拡大をいたします、向上いたします。日本が現在のような状態を続けておりますと、競争力がやがては失われるということでございますから、世界最強競争力を維持できるかどうかということが黒字を出せるかどうかという前提条件でありますから、何もしないでじっとしておりますといずれこの競争力は失われる、こういう問題が一つございます。それから、石油事情も今は小康状態でありますけれども、しかし、中東情勢が御案内のように流動的でありますから、第三次石油危機が絶対に起こらないという保証はないわけでございます。したがって、体質的に日本黒字になってしまったのだ、こういうことは、今の時点ではそうかもわかりませんが、しかし、そういうことを言い切るということは問題だろう、このように私は考えております。  それから、国債を増発し始めましたのは昭和五十年からでございます。昭和五十年から五十九年までの十年間に百十兆ばかりの国債を増発いたしまして、残高が来年の三月には百二十兆になるということであります。しかし、この国債百十兆を増発したことによりまして、二回にわたる石油危機経済の大混乱を我が国は乗り切ってきたのでありまして、そして現時点では世界最強経済競争力を維持しておりますし、十年前に比べますとGNPも二倍になっております。そして、国民所得も一人当たり百九十六万円でありまして、それも二倍半になっておるわけであります。そういうことで、それなりの成果は上がっておると思うのです。  また、税収等調査してみますと、昭和五十年には国税地方税を合わせまして合計二十二兆でございましたが、ことし大蔵省が国会に出しております予算書を見ますと、国税地方税を合わせまして五十七兆になっておりますから、これも二倍半にふえておる、こういうことであります。なるほど、百十兆の国債増発に対する若干の利子負担はふえておりますけれども、しかし、一面大きな成果を上げておりますので、八兆か九兆ふえた国債利子だけを見まして大変だ大変だと言うのは一方的な判断ではないか。やはり、その間に日本経済がどのように発展をしたのか、国民所得がどのようにふえたのか、あるいは財政収入がどのように拡大されたか、経済の力はどのような世界的立場にあるのか、こういう総合的な判断が必要だ、こう思いますし、しかも百十兆という国債は、国民の貯蓄を背景政府が調達したものでありまして、反面から言いますと、これは国民の資産として国内に残っておるわけでございます。外国に賠償に取られたわけでも何でもありませんし、また、一部の国の借金を見ますと、対外債務が大部分でありまして、国外からの借金で非常に苦しんでおるわけでございますが、日本国債というものはそういうものではない。貯蓄過剰がこれによってある程度解消された、こういう判断もできると思うのでございます。だから、やはり物事は一方的に見ないで、総合的に判断することが必要でないか、このように考えておるわけでございます。  それから、先ほどアメリカ設備投資が大変な勢い拡大しておるということを申し上げましたが、それには幾つかの背景があるわけでございまして、我が国といたしましては、アメリカ設備投資がなぜそんなに急速に拡大しつつあるかをよく分析いたしまして、二、三年後を考えまして競争力が失われないような、そういう政策を強力に打ち出さなければならぬ、私はこう思っております。  それから、一昨年の臨調答申にも、直間比率を見直しなさい、こういう答申がございまして、そういう観点からも昨年五月の与野党合意所得税減税というものは大変よかった、私はこう思うのです。しかも、景気浮揚ができる規模所得税減税をやる、こういう内容でありますから、大変すばらしい合意だ、このように考えておりました。しかし、そのとおりいっておりませんので、一兆円の減税、一兆円の増税ということでありますから景気浮揚ができる規模内容にはなっておりませんし、これにはもちろん政府・自民党も責任はございますが、問題はまだ残っておる、私はこのようにも思います。それから、臨調答申考えますと、今のような税の構成でいいのであろうかというような問題も抜本的に考えていかなければならぬ、このように思います。  いずれにいたしましても、十二月までには検討、解決しなければならぬ課題だ、このように思います。
  11. 松浦利尚

    松浦委員 大蔵省は早々とガードをかたくして、投資減税はだめだ、あるいは大幅減税所得税減税もだめだ、そういったことを打ち上げておるわけでありますが、いよいよ来年度の予算編成期に入りまして、行革審からの極めて厳しい抑制措置要求、それに対して公共事業拡大とかそういった積極財政を今日我々社会党も主張をしておるわけでありますけれども、どうも政府の、大蔵省の発想といいますか、それは、シーリングという言葉を使わせていただければ、マイナスシーリングだという方向に非常にガードがかたい。ですから、来年度の予算編成で、こういう状況であっては長官の言われるような景気浮揚策というのは恐らく不可能ではないか、こういう気がしてなりません。  そこで長官に端的にお尋ねいたしますが、今日大蔵省のとろうとしておるそういった来年度の予算編成のあり方についてどういうふうにお考えになるのか、あるいは行革審抑制要求に対してどういうふうにお考えになるのか。長官の言われるような積極的な財政運営がこういう状況下で可能なのかどうか。私は、経済企画庁長官として、経済担当大臣として閣議で積極的に御発言をなさると思うのでありますが、そういった見通しについて長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 一昨日、政府と与党との間で予算編成方針並びにその手続についての大まかな合意ができまして、それに従って概算要求、それからその後の検討、こういうスケジュールが進んでいくと思います。いろいろな政府部内の発言がございましたけれども、それは一昨日以前の発言でございまして、一昨日そのような基本方針が決まりますと、やはりその基本方針を受けまして予算編成は進むと思いますので、私どももその手続に従って議論を進めていきたい、こう思っております。  それから、特に一番当初にお尋ねになりましたことしの経済成長はどうかという御質問に関連いたしまして、高目になるであろうということを言いましたが、そうなってきますと税収等拡大可能性がございますので、部分的な議論というよりも世界における我が国立場、また世界において日本が果たさなければならない責任、また日本の持っておる潜在的な力、こういう広い角度から財政経済方針議論していかなければならぬ。狭い立場に立って議論しますとややもすると間違いますので、広い角度からの議論が必要である、このように考えております。
  13. 松浦利尚

    松浦委員 これは事務当局で結構ですが、今年度のGNP四・一%が一%上がって五・一%というふうに仮になった場合、もっと高目だ、こういうふうに先ほど長官は言われたわけですが、計算しやすいように、仮に一%GNPが伸びたとして、自然増収はどれくらい見込まれるのですか。
  14. 赤羽隆夫

    赤羽(隆)政府委員 一%成長率が高まったときのGNPでございますけれども、今先生が御指摘になりました一%というのは実質GNPでございます。それに対して、税収に主として関係がありますのは名目GNP、こういうことでございますので、必ずしも即一%を基準にして計算するということはできないわけでありますけれども、いわゆる税収所得弾性値は、過去十年の平均をとりますと一・一弱、こういうことでございますから、そのとおり機械的に計算すれば、一%やや上回る増収効果があるということになります。ただし、この点については機械的な計算であるということを申し上げなければいけないと思います。
  15. 松浦利尚

    松浦委員 長官自然増収数千億、こういうふうに言っておられますが、数千億という数字ですね、その数千億というのはどれくらいを見込めるのですか。
  16. 赤羽隆夫

    赤羽(隆)政府委員 ただいま申し上げましたように、具体的な税収に結びつくにはいろいろな条件がございます。ただいま一・一弱であるということを申し上げましたけれども、その中にはゼロぐらいの年もありますし、マイナスの年もある、それから五十四年度ぐらいになりますと、一・九を上回る弾性値ということもございます。それぞれ景気の局面、あるいは物価動向、それからどういったような分野でもって所得がふえるのか、と申しますのは、企業の利潤がふえて全体の国民所得がふえるのか、そうじゃないのか、いろいろな要件がございますので、具体的にこの計算というのは難しいと思います。
  17. 松浦利尚

    松浦委員 そんなのはわかっているのですよ。具体的に長官が数千億と言っておられる。五%の高目成長になるだろう、こういうお話でした。ですから、自然増収は当然見込めるわけですね。ですから、この数千億というのが具体的にどれくらいの数字になるのかお聞きしようと思って、わかりやすく一般論じゃなくて数字を聞かせてくれ、そういうことです。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は数千億ということをどこかで言いましたけれども、それは五十八年度のことでございまして、五十九年度のことではありません。五十八年度は数千億と言っておりましたが、大体五千億弱に落ちつく、こういう報告を受けております。
  19. 松浦利尚

    松浦委員 それから、御承知のように今円安傾向であります。特に、アメリカ高金利政策から来る円安ということも当然あり得るわけですけれども円ドル委員会合意事項というのは円レートにどういう影響を与えようとしておるのか、その点が第一点お聞きしたいことであります。  それからもう一点は、アメリカ経済というのはこのままの状況で進むのか、どうだろうか。そういう問題について大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一の御質問事務当局から答弁をさせます。  第二点のアメリカ経済展望でありますけれどもアメリカ経済展望につきましては、アメリカ政府は、五十九年度、一九八四年以降五年間アメリカ経済は四%成長が続く、こういうことを発表いたしておりまして、ことしにつきましては四%と言っておりましたが、上方修正をいたしまして現在では六%である、こう言っております。その第一・四半期が実績九・七%、それから第二・四半期はまだ正確には出ておりませんが、五・七%見当であるとアメリカ政府は言っております。  ところが民間であるとかあるいは学者、評論家の間には、アメリカ景気はそんなに長続きしない、来年になれば悪くなるであろうとか、再来年になれば悪くなるであろうとか、こういういろいろな議論がございます。そこで私もOECD閣僚理事会等で、アメリカからも何人か政府の代表が来ておりましたので、この点を突っ込んで質問をいたしてみたのでございますが、アメリカ政府の言うのには、民間アメリカ経済に対する見通しはいろいろあるけれども、過去二、三年について言えばほとんど当たっていない、アメリカ政府見通しが全部当たっておる、したがって、将来についてもアメリカ政府見通しを信頼してもらいたい、こういうことを言っておりました。我々といたしましても、アメリカ政府見通しを否認する立場にはございませんので、そのまま受け取っているわけでございますが、しかし問題点がないわけではない、こう思います。  しかし、私はむしろアメリカ経済成長が続くかどうかということは、アメリカの現在とっております政策、あるいはいろいろな形の赤字、こういうことよりも、第三次石油危機が起こるか起こらないか、むしろこういうことの方が危険性としては大きいのではないか、私は第三次石油危機が起こらなければ、アメリカ経済は多少のでこぼこはあろうかと思いますけれども、やはり大勢としては相当期間続くのではないか、こういう感じがいたします。
  21. 赤羽隆夫

    赤羽(隆)政府委員 円ドル委員会合意円レートに与える影響について、企画庁の見解はどうであるか、こうお尋ねでございます。  一般に金融・資本市場の自由化というのは内外の資本交流、お金の交流を活発にいたしますので、そういったようなものが果たして円高あるいは円安、いずれの方向へ働くのかはよくわからない、というよりもそのときの条件によって違う、こういうふうに思います。したがいまして、短期的な判断は難しいと思いますけれども、長期的には円が国際化される、円が国際的な通貨としていろいろな決済通貨などとして需要されることが多くなるわけでございますから、円に対する需要がふえるということは基本的に円高の方向に働く要素になり得る、こういうふうに思います。日本経済がこれだけ大きな経済になっておりますので、物、サービスなどの貿易の面ばかりではなく、お金の面におきましても経済の実力に見合ったような正当な評価を受ける、そういう意味で、長期的に見れば基本方向としては円のレートに対しては好ましい方向であろう、こういうふうに考えておりますけれども、短期的には先ほど申しましたようなことで、どちらに働くかということは予想するのが難しい、こう考えております。
  22. 松浦利尚

    松浦委員 最近の円安傾向というものの最大の原因は、やはりアメリカ高金利政策によるものというふうに理解をする方が正しいのでしょうかね。ちょっと教えてくれませんか。
  23. 赤羽隆夫

    赤羽(隆)政府委員 お答えいたします。  最近の日本の国際収支の構造を見てみますと、経常収支黒字、四月、五月、この二カ月間の季節調整値の勢いが、瞬間風速が一年間続くという計算をいたしますと、経常収支黒字というものは三百四、五十億ドル、こういうことになります。これだけ黒字があるわけでありますから、円は高くなってしかるべきだ、こう思うわけでありますけれども、その反面において長期資本の流出超過、特に本邦資本の流出超過というのが非常に続いておる。こういうことで基礎収支あるいは総合収支で見ますと黒字はない、あるいはときによっては赤字になる、こういう状況でございます。  円為替あるいはドル為替に対する需要というものは、それが貿易から出てくるかあるいは資本から出てくるか、そういう色がついていないわけでございますから、結局現在のところは、貿易あるいは経常で申しますと円高の要因が強いわけでありますけれども、その反面で資本流出が続いておる、そういうことで円は安くなっている、安くなることによりまして貿易の強制力が強まっておる、それがまた再び貿易黒字拡大するという、いわば悪循環的な傾向が続いている、その結果として貿易黒字拡大する、しかし、それにほぼ見合った額が資本収支で流出している、その結果円安が維持されている、こういうことではないかと思います。
  24. 松浦利尚

    松浦委員 さらにもう一点お尋ねしておきますが、最近レーガン大統領が署名をいたしました米国債券の利息の非居住者非課税措置、こういったことがますます資本の流出を招いて円安傾向に拍車をかけるような状況になると思うのですが、そういう問題についてどういうふうにお考えになるのか、その点についてお聞かせください。
  25. 赤羽隆夫

    赤羽(隆)政府委員 非居住者が取得いたします米国の債券の利子について免税になる、こういうことは、これを購入する側にいたしますとそれだけネットの所得がふえる、こういうことでありますから、米国債券の非居住者に対する魅力が強まる、こういうことだと思います。そういうことは米国債券に対する需要を増す方向になる、こういうふうに考えられると思います。しかし、債券に対する需要が増加をするということは全体として債券の価格を上げる、すなわち利子率を下げる、そういう面もございます。したがいまして、この効果が円のレートに対して一概に円安方向のみに働くかどうか、これはもうちょっと事態を見守りましてそれを分析してみないとわからない、こういうふうに考えているわけです。
  26. 松浦利尚

    松浦委員 今度の円安傾向というのは、ある意味では長期化するのではないかという不安感も持つわけであります。いずれにいたしましても、これは不透明な部分ですから、これ以上質問してみてもなかなか難しいと思います。  ただ言えることは、アメリカの対外赤字一千億ドルあるいは財政赤字二千億ドルとも言われておるわけであります。「インフレ懸念抬頭する米国経済」これは野村総合研究所の資料でありますが、前もって御連絡しておきましたから恐らくお読みいただいたと思うのですが、この資料によると、アメリカは米議会に資料を提出しておりますが、その通貨供給量を見ますと、当初金融引き締め政策をとっておったはずのアメリカが、実はマネーサプライのM1が五・五%だったものを七・二%というふうに見直しておるわけです。実質的には金融引き締めはとっておらなかったという数字が出されて、米議会で実は問題になったという報道がここに出されておるわけです。そしてそういうことから、通貨の増大からくるインフレ懸念というのが米国経済に非常に出てきておる。それからまた、アメリカでは製造業の稼働率が八〇%以上超えるとインフレになるということが言われておるそうでありますが、電機、機械等ではもう九〇%、自動車では八五%、そういうふうに大変高い稼働率を示しておる状況であります。ですから、そういったものと関連をしてドルが暴落するときが来るのではないか、俗にささやかれておるドル暴落のXデーというのが来るのじゃないかというような議論があるわけでありますが、こういったものに対してどういうふうにお考えになるのか。Xデーというのがあるのかないのか。  先ほど長官は、そういうことよりも第三次石油ショックがあるのかないのかということがより重大だ、こう言われました。確かにそのとおりだと思うのでありますが、そういった意味では中近東の紛争という問題の影響というのを黙視できないことも事実ですが、同時にこのアメリカ経済というのが果たしてレーガン大統領のもとでそううまくいくのだろうか、大統領選挙後に大変な状況になるのではないか、そういう懸念がするわけですが、そういう点について大臣あるいは事務局の方からお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 お尋ねの野村総研のレポートに関連した点に主としてお答えしたいと思います。  確かに昨年、アメリカのマネーサプライ、第四・四半期のM1につきまして、当初五・五%だったのが七・二%に修正されておりますが、これは実績の数字であります。これは統計のとり方を古い方式から新しい方式に変えたとかあるいは季節指数が変わったとかいう全く技術的な要因で、実績の数字が今まで五・五と見ておったのが七・二に修正されたということでありまして、連銀の金融政策のスタンスがM1の供給のターゲットを変えたということではございませんので、この事実から直ちにFRB、連邦準備制度が金融政策のスタンスを引き締めスタンスから緩和スタンスに変えたとは見れないのではないかと存じます。  最近の連銀の金融政策のスタンスでございますが、確かにコンチネンタル・イリノイ銀行とかそういう国内の銀行で経営上の問題が生じている例もございますし、後進国の累積債務問題もございますし、そうきつく締めるといろいろ内外に影響を及ぼすから緩和すべきではないか、あるいはするだろうというような見方が一方にあることは事実でございますけれども、実際にはやはり、先生も御指摘になっておりますインフレ懸念再燃がないようにということで引き続き引き締めスタンスをとっておると私どもは見ております。FOMCという連邦公開市場委員会が十六、十七日に行われまして、そこで当面の金融政策議論されたはずでありますが、その結果は今部外秘になっておりまして、外に出ておりませんのでよくわかりませんけれども、しばらく前に行われたFOMCにおきましては、フェデラル・ファンド・レートが今までより若干高めになってもそれを容認する、それで今までのマネーサプライのターゲット、目標の数字は維持するということが決められておりまして、インフレ再燃、インフレ懸念を抑えるために連邦準備制度は引き締めスタンスの金融政策をとっていると私ども考えております。
  28. 松浦利尚

    松浦委員 そうすると、ドル暴落のXデーなどということはあり得ない、こういうことですな。
  29. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 為替相場のことは市場に聞けというのが一般に言われることでございまして、なかなか予想が立てがたいことは先生も御存じのとおりでございますが、基調として、大臣も申されましたように一−二月年率九・七、四−六月が五・七、これも上方修正される可能性がある、内容的には設備投資が非常に強い、個人消費も弱くない、クリスマスぐらいまでは個人消費の強さが続くだろうというアメリカ経済の実体面の強さがまずございます。他方では、基本的にはアメリカの財政赤字が大きいということがありますが、加えて、そういうふうに設備投資がふえてまいりますと、今までアメリカ企業が自己資金で設備資金を賄うという局面だったと思いますけれども、だんだん金融市場から金を借りて設備投資をせざるを得なくなってくるということになりますと、金融市場における資金需要圧力が強くなって金利引き上げ要因になってくる。他方、連邦準備制度理事会の方は今申しましたように引き締めスタンスを続ける。こういうことになりますとアメリカの金利先高観というのはなかなか簡単に払拭されない。そうするとドルのじり高傾向というのはしばらく続くと見ざるを得ないわけで、御指摘のようにアメリカ経常収支の累積赤字が非常にふえておって、これが実体的にはドルを弱くする要因なんですけれども、したがって、アメリカの金利高の傾向と経常赤字がどんどんふえているという傾向、いつ為替レート面にその勢いのあらわれ方が変わるかというのはよくわかりませんけれども、少なくともしばらくの間はドルじり高傾向の方が、そういう実勢の方が強いのではないかというような感じが私はいたします。
  30. 松浦利尚

    松浦委員 もう時間が来ましたから最後にいたしますが、これは日経新聞で読んだことですから事実かどうか確認をさせていただきたいと思うのですが、長官は九日に盛岡で記者会見をなさいましたですか。その記者会見をなさった中で、昨年、一昨年と人勧は凍結、部分的実施だった、政府は昨年末に最善を尽くすと約束した、もし政府が人勧制度を守らなければ制度を変えなければならないという指摘をして、人勧をことしは完全実施すべきだ、こういうふうに言っておられるわけでありますが、まさしく私もそのとおりだというふうに思います。個人消費拡大をする、そういう意味からも人勧というのは非常に重要な意味を持つと思うのですが、この際、長官の人勧に対するお考え方を本委員会でお述べいただきたいというふうに思います。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 人勧についての最終の決定は、給与関係閣僚会議を開きましてそこで最終決定をされる、こういう手続が必要でございます。しかし一昨年、昨年も凍結あるいは部分実施、こういうことでございまして、この人勧の問題については答申を待って最善を尽くす、完全実施のために全力を挙げます、こういうことを政府は何回か答弁をいたしておりますし、ことしは先ほど申し上げますように数年ぶりで経済も上向いてまいりました。既に昨年度の税収政府見通しよりも五千億弱増収になっておるということでありますし、ことしもどれくらい増収になりますか、もう少し見ないとわかりませんが、いずれにいたしましても政府見通しを相当上回る、こういうことであろうと思います。そういうことでありますから、私は完全実施の条件は整いつつある、このように思いますので、答申を見なければ云々という説もございますが、およその見当もついておりますので、やはりことしは完全実施をしなければいかぬ、そういう経緯になっておる、このように私は思います。  何しろ、憲法に保障されておる労働基本権をある程度制約する、その代償措置として人勧完全実施という仕組みがあるわけでございます。それを多年にわたりまして実行しない、経済や財政の条件がよくなりつつあるにもかかわらず実施をしないということになりますと、この制度そのものから根本的に再検討しなければならぬ、こういう大きな問題も起こってまいりますから、給与関係閣僚会議の結論を見ませんと政府としての方針がこうだということは言い切れませんが、少なくとも私自身は給与関係閣僚会議では完全実施を主張しなければならぬ、このように考えております。
  32. 松浦利尚

    松浦委員 大変明確な御答弁をいただきました。自然増収も大量に見込まれる状況でありますし、据え置かれた公務員の立場考えますと極めてお気の毒ですし、内需拡大するという意味で、ぜひ長官の今の決意を中曽根内閣の政策の面に反映させていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、五分間早くなりましたけれども、最初の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 金子みつ

    金子委員長 次に、浜西鉄雄君。
  34. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 本日は、米の関係につきましていろいろお尋ねしたいと思います。  七月四日に、米の倉庫あるいは卸業者、小売業者、それぞれの現場を見てまいりました。まずその関係につきまして、私なりに思ったこと、感じたことを含めまして、いろいろお聞きしたいと思うのです。  そこで最初は、ごくありふれた一般的な質問で、既に農水関係ではそのやりとりは十分されたと思いますが、物特として、本委員会立場から、現在、米の流通の問題について大きな関心を寄せるべきであるし、そういった意味合いで、今日まで既に立場を明らかにされておる問題と思いますが、オーソドックスな点から聞いておきたいと思います。  まず、我が国の米の、特に主食用として幾ら確保しておけばいいのかということなどを中心に、今日の他用途利用米の不足などに象徴されるようなこの事態に至った一連の説明を冒頭にお聞きしておきたいと思います。
  35. 赤木壮

    ○赤木説明員 まず米の需給についてでございますが、五十八年産米は当初千九十万トン生産する予定でございましたが、昨年は作況が九六でございまして、予想したような生産ができなくて、千三十七万トンの生産になったわけでございます。したがいまして、この生産された米をもって供給する五十九米穀年度の供給量というものは、この五十八年産の千三十七万トンに、前年産の持ち越し等が十万トン、その他五十三年産米等のものがございまして、トータルで千六十万トンの供給を予定いたしたわけでございます。一方、需要は千五十万トンと見ておりましたので、差し引き十万トンがことしの十月末持ち越しというような形で考えておったわけでございます。  これは主食の世界での話でございますが、一方、加工原材料用につきましては、従前から過剰米をもって充ててきていたわけでございます。過剰米は昭和四十年代の初めから発生しておりまして、この過剰米の有効利用ということで工業用に充ててきておったわけでございますが、五十九米穀年度におきましても五十三年産米等の過剰米でこれに充てるということにいたしておるわけでございますが、昭和五十四年から行っております過剰米処理計画によって五十八米穀年度でおおむね過剰米処理も終わるということで、五十九米穀年度は、過剰米処理の中で他用途米が出るまでの間工業用にだけこの過剰米をもって充てるというふうにいたしておったわけでございます。五十九年産では、過剰米の処理が終わった後に他用途利用米を生産して、これでその後は加工用の原料に供給していくという計画になっておったわけでございます。  ところが、今回の五十三年産米等の臭素の残留に関連してその一部がこれらに供することができなくなったということで、加工用の原料に供給することを予定していたものが一部使えないというような事態になったわけでございます。そういたしますと、五十九米穀年度の中でも加工用については一部不足を生ずる事態も予測されるということで、韓国に貸し付けておりました米につきまして、それを現物返還していただくというふうなことで対応していこうとしておるわけでございます。  いずれにしましても、最近の需給事情にゆとりがないもので、在庫も非常に低水準となっておるわけでございまして、五十九年産の米につきましては、水田利用再編第三期対策の中である程度の在庫積み増しも図るということで、毎年四十五万トンずつの在庫積み増しを図っていくという計画の中で生産を進めておるわけでございますが、五十九年産についても春先からたくましい稲づくりというようなことでいろいろな生産活動もやっておるわけでございます。現在までのところお天気にも恵まれて生育は順調にいっているというような状態だと思っております。  いずれにしても需給にゆとりがない状況でございますので、本年の作柄も見ながら、在庫積み増し等の点についてはさらに十分検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  36. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それで、実は私はこの前視察に行ったときに、米の不足で、ある種のパニック状態が起こるようなものがありはしないかと心配しながら行ったわけですが、全くない。その点では意外に米不足というものが消費者のところまで、大騒ぎになるような兆候が見られないということで安心はしたわけですが、問題は、そのときに小売業者が、あそこの小売業者は月島であったと思うのですが、一口に言えば、高い自主流通米はあるけれども業務用がない、不足しておる、何とか業務用をたくさんもらえるように、きょうはせっかく国会から来られたのだからひとつお願いしておきますよというふうな、笑い話も含めてありました。  そこで、この業務用米と自主流通米などの関係がどうもわかりにくいことをそのときに私は感じたわけです。一つは忍者米と称する米が陰で出回っておるということ。このことについて後ほど少しお聞きしたいわけですが、忍者米には三つのルートがあるということですから、全く政府の把握し得ない部分で米が動いておる。このことは後ほどまた質問しますが、きょうの朝日新聞で、私がこの前現地視察したときに思ったこととこの新聞とが符合するわけです。私は質問の要旨を今から申し上げますが、銘柄米というか、いいお米は幾らでもあるということがこれに書いてありまして、問題は、このいい米が果たして中身が本物かどうかということが疑わしい記事になっておるわけです。  これは本日の朝日新聞です。例えば「ササニシキ、コシヒカリに五十三年産米や道産米などが混米され、高いコメに仕立てる「格上げ混米」がその原因だ。」と、こう書いてあるのですね。銘柄米はそれだけあるはずはない。にもかかわらずそのようなものが多分にあるということは、加工用米が卸やらあるいは小売の段階でふるいにかけられて、粒の大きいようなものが業務用に化ける、今度は業務用米の一部がさらに一般家庭用にまぜられて、にせ銘柄の入った高い米として売られておる、こういう現象になったと見られると書いてあります。  業務用をもう少しもらいたい、自主流通米はたくさんありますよ、しかし、私は実は業務用が欲しいのです、と。私は、恐らくその小売の人のお得意さんは、食堂だとか弁当屋さんだとか、そういうところがこの月島のお得意さんだと思うのです。そういうふうに欲しがっておるけれども、自主流通米はあるがそういう業務用米がないということ、この辺の問題について、一体政府立場から、こういう米の流通について厳格な把握あるいはチェック、そういう混米を防げる機能をどの程度今日まで果たしてきたのか。こういう疑わしいことが現実にありそうなことなのか。これはあくまで憶測的に書いてありますが、しかし憶測としてもかなり確かな書きっぷりでありますので、私は大変心配をして、まずそのことからお聞きして、後ほど忍者米の関係についてお聞きする。まず、そういったチェック機能を十分果たしておるかどうかという点からお聞きしておきたいと思います。
  37. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  消費者に一定の品質の米を安定的に供給するということは極めて重要なことでございますが、良質米の生産にはおのずから限界がございますので、いろいろな品質の米をブレンドして供給するということは必要なことではないかというふうに思っております。  ただ、このブレンドの中身が消費者に無用の混乱を来すということは好ましくございませんので、その点についてはきちんと表示させるというようなことで今まで指導しております。このために、食糧管理法に基づきまして、販売業者に業務運営基準ということで適正な表示を義務づけております。具体的には、業務運営基準に従いまして、搗精は大型搗精工場で行われるものと小売の店頭搗精工場で行われるものがありますが、大型搗精工場につきましては第三者検定機関で週一回以上検定を行う、それから小売の店頭につきましては、食糧事務所なり県が巡回指導しまして適正な表示をチェックするというようなことでやっております。  ただ、きょうの朝日新聞でも書いてありますけれども、私どもの方の巡回指導の結果でも、約一・二%ぐらいの数字でございますけれども、表示と中身の不一致の事実が確認されております。これらにつきましては確認の都度是正を指導しておりますが、その都度是正が果たされているというふうに考えておりまして、表示はおおむね適正に行われているのではないかと考えております。
  38. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 これは私が視察に行ったときにもらった資料なんですが、カラーで立派なもので、米の品がそろえてありまして、ちゃんと表示がしてあるのです。この工場も見ました。最新式のあれで、小さな粒のものはぴんとはじいて、糸くずもぱっと目にもとまらぬ早わざで空気銃の小さいようなものでぴしぴしとはじいていく、そういう精米の過程もつぶさに見てまいりました。問題は、今の答弁にもありますように確実なチェック機能を果たしていない。漏れがあって、発見した都度指導しておるということでありますが、この忍者米という問題について、これも関連しておりますから忍者米の話をお聞きしておきたいのです。  これはかなりインチキ性があると私は思うのです。アメリカから入ってきた米が、加工用として着色されておる。それをある商社が受けとめて、洗って色を抜く、それが食用に回っていく。安く手に入れて高く売れるということがあるわけです。  そのうちの一つが、アメリカの駐留軍、これが日本で演習を開始したときに、約五万トン前後だと思いますが、実物供与で米がアメリカから運び込まれるということを聞いておりますが、それは事実かどうか。
  39. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  実は、ある雑誌に御指摘のようなことが報道されたことは承知しておりますけれども、駐留軍の演習用のお米は地位協定に基づきまして米軍が輸入することができるわけでございますが、これを国内の流通に回すということはもともと認められておらないわけで、これがもし仮にあるとすれば食糧管理法違反になります。私ども、食糧事務所なり関係の業者からいろいろ情報を収集しておりますけれども、そのようなうわさを聞いたことがあるという業者は確かにおりますけれども、具体的な商談ですとか現品について確認したことはないということでございますので、恐らくそういう事実はないのではないかと考えております。
  40. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 この忍者米の三ルートのうちの一つのルートがアメリカ駐留軍の話ですが、それでは具体的にお聞きします。  まず、アメリカ本土から演習用米として、参加人員、演習日数、こういうものの計算に基づく数量のものが、ベースキャンプ、基地の資材部に運び込まれる。その陸揚げは横浜と沖縄の二カ所で行われると具体的に書いてあるのです。うわさにしろ何にしろ、そういうことがこのように活字になって出るということは公然の秘密だと思うのです。だから、抽象的な回答でなくして、実際横浜に行って調べた結果こうだというふうな回答ならばいざ知らず、その辺も詳しくもうちょっと——沖縄と横浜ということになっておる、数量は五万トン、約六十万人分の米だ、こういうふうにはっきり出ておるわけですから、全く根も葉もない作り事の情報だとは思われませんが、具体的にどのようにそのことをチェックし、確かめたのか、お伺いしておきます。
  41. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  具体的に米軍基地にどのぐらいの数字で入ってくるかというのは私どもチェックはしておりませんけれども、私どもが食糧管理の適正な運営の立場から一番気を配っておりますのは、そういうものが国内の流通に回ることでございます。私どもの方は、販売業者なり食糧事務所なりを通じまして、そういうものが国内流通に回っているかどうかについては十分な注意を払い、仮にそういう事実またはその疑いがあります場合は必要な調査も行うということで今までやってきております。うわさそのものは確かにございますけれども、そういうものに対する現物の流通というのは今まで確認されておりませんし、具体的なそういう事実を推定するに足るということでもございません。私どもは現在そういうものはないと考えておるわけですけれども、仮にそういう事実または疑うに足ることがありますれば、必要な調査なり現地確認はやってみたいと思っております。
  42. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私は農家の人たちとも話をしてまいりまして、本日の質問に備えるために正直な声も聞いたわけです。たまたま米価問題が、これから政府との関係でいろいろ折衝が行われるという時期でありますけれども、農家の人たちは、片方では減反政策をしておいて、忍者米のごときものも含めて外国からいろいろ形を変えて入るということに大変憤りを持っているし、これはぜひ明らかにしてもらいたいということであるわけです。  そこで、今の答弁では私は納得しかねますが、ベース、つまりアメリカの基地から卸業者に対してトン当たり八万かち十一万円前後、大体そこらあたりで売られておるようであります。さらに次は第二次卸と申しますが、この関係には十三万円から十六万円、こういうふうな値段で引き取られておる。そして今度はそれが外食産業に対してはトン当たり三十六万円から三十七万円、最初安かったものがそういうふうにだんだん途中マージンが重なってこういうべらぼうな結果になっておることを含めて、これは駐留軍ルートということではっきり出ておるわけですから、そういうことがあったならばという仮定の話ではなくして、これは私はかなり真実性があると見ております。これはひとつ、ほかの関係も今から申し上げますけれども、十分実態を把握して、その結果について後日、この物特委員会の中で明らかにしてもらいたいと思います。中途半端にしておいてはますます農家の人たちの怒りも買うし、消費者に対して政府として厳正な米の管理が行き届いていないという意味で、また毒の入った米を知らぬうちに食べさせられるのじゃないかとか、本来ならば加工用に回っていくものがまぜられて口に入ってくるのではないかとか、いたずらな不安を起こすわけですから、こういったルートについてはきちっと実態を把握して、後日そのことについての調査結果をお願いしておきたいと思うのです。
  43. 金子みつ

    金子委員長 食糧庁、よろしいですか。
  44. 平野愃

    ○平野説明員 ちょっと繰り返しになりますけれども、私の方は現時点では、そういううわさだけで、具体的な事実は承知してないのですけれども、御指摘がありましたので、再度関係者に当たるなり調査はして、その結果を御報告させていただきたいと思います。
  45. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 じゃそういうことで、ぜひこの問題は確かめて、きちっと明らかにしてもらいたいと思います。  そこで、忍者米の二つ目のルートですが、これは俗に商社ルートと申します。問題は米というもののとらえ方の範疇で、これはちょっとおもしろいと思うのですが、米とは収穫した米のもみ殻を取り除いたもの、それ以外は米ではない、大体こういう受けとめ方で流通しておるということの説明がここにあるわけです。したがって、それ以外は食材になる、原料になる、加工品になる、こういう名称をつけられてくる。  そこで、これはローマ字で書いてありますからN商社、どこの商社かわかりません。資本金三億円と書いてあります。これがアメリカの集荷業者と提携をして、つまりアメリカでピンク色の着色をして、これを加工食品としてから輸入をする。着色は、散水、つまり水をかけることによって簡単に除ける。したがって陸揚げ地にその施設を設けておいて、それで今言うように色を落として、もとのカリフォルニア米にちゃんと戻す。そういうものがトン当たり大体三十万円から三十五万円というふうにかなり安く売られておる。この商社の加工食品の年間の輸入量は九万六千トン、こう書いてある。  問題は、二つ目のこういう商社ルートというのが現実にあるのか、全く作り話なのか、その辺をどの程度把握しておられるか、お聞きしておきたいと思う。
  46. 須田洵

    ○須田説明員 御指摘の点でございますけれども、例えば着色していわゆる加工品らしく見せまして、それを一たん入れて、それから後で色を抜いて普通の米として流通するというようなことがこの「家の光」の七月号に出ているわけで、先生の御指摘のようなことでございます。  私どもあらかじめ御説明いたしたいのは、現在我が国におきます米の輸入が一体どうなっているかということを全体的に御理解いただく必要があるのではないかと思われるわけでございます。  まず、米は、食管制度のもとにおきまして、国家貿易品目ということで政府が管理するということでございます。それから、米の粉とか米飯とかおもちそのもの、あるいはビタミン強化米とか、いろいろな形での加工品といいますかあるいは半加工品といいますか、そういったものの輸入につきましては、輸入制限品目という扱いにしております。その輸入制限品目にする中で、では実際の割り当てをしているのかどうかということでございますけれども、この中におきまして、米を粉にしました米粉については、ごく特殊な用途向け、例えば染色用のり、そういったものに使うものにつきまして年間大体二、三千トンくらい割り当てをしておりますが、それ以外には原則として輸入割り当てもいたしておりません。したがいまして、そういうルートで輸入されるということは実際上考えられないことで、全く考えられないと言ってもよろしいかと思います。  先生御指摘の「家の光」にその記事が出たときに、真っ先に我々もそのうわさといいますかそういったことを気にいたしまして、日ごろからこういった動きがないかどうかについて我々の立場でもいろいろ気にしておりますので、食糧事務所その他いろいろなところに問い合わせ等をいたしましても、実際そういうことは全くあり得ないというふうに聞いております。実態認識としてそのように理解しております。
  47. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 片方では堂々とこれが発表されておって、肝心な食糧庁の方はそういう事実はないと。これはちょっと私はどちらを信用していいかわからぬ。今回の一連の五十三年産米の消毒のし過ぎの問題を見ても、何か完全な管理体制がまたしかれてない。それぞれの部門ではそれなりにやっているけれども、米の搬送も含め、日本列島における総括的な全流通、そのチェックも含め今何が不足しているのか、どういう割り当てをしたらいいのか、総合的に見て抜けておるのじゃないかという気がするのです。  というのは、第三のルート、これはちょっと申し上げておきますが発展途上国への海外援助米ですね。恐らく承知と思いますけれども、これにも書いてありますが、これはアメリカから直接買い受けてそのまま船で運ばれておる。もちろんそれは商社がやるわけですが、これも何か国民の知らぬ間にアメリカの米が日本の商社を通じて海外援助米として活躍しておるというか、持っていかれておる。これが第三のルート。  以上三つが忍者米として世に言う公然の事実だ、こうなっておるわけですが、第一のルートについては、米軍基地その他きちっと実態をつかんで後日明らかにしてもらうということでいいわけですが、第二、第三についてもやはり一に匹敵するようなことだと私は思うので、もっと実態を把握をした上でこれも後日整理してもらわないと疑いが解けませんから、私もこういった公の場で発言する以上、きちっとした整理をして国民に安心のいくような結末としていきたいので、その点についても態度をはっきりしてください。
  48. 須田洵

    ○須田説明員 ただいまの第二点のことは先ほど御説明したとおりでございますけれども、先生のそういう御指摘でございますから、なお念には念を入れてといいますか、さらにもう一度事実関係も調べてみるように努めたいと思います。  それから、第三点ルートにつきましては、私の直接の所管ではございませんけれども、事実認識として、海外援助のためのお米というのはいわゆるケア援助等の枠組みでいろいろやられておりますが、実際に使うお米は必ずしも日本の国産米だけではございませんで、タイ米とか外国産米を使うわけでございます。そのお米は、日本に入ってくるということではなくて、そのまま被援助国の方に回される、そういう仕組みになっております。念のため御説明申し上げます。
  49. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私は、もうちょっとこの辺のことを明らかにするために伺っておきたいのです。  ちょっとまた原則的な話に戻しますが、主食用と他用途利用米の区分と言うか区分けと申しますか、私どもは素人的に考えると、せっかく耕作面積があるわけですから減反をやらないでつくって、そのつくったお米を十分備蓄をし—その備蓄でちょっと言っておくのですが、この前見に行きました深川の倉庫、あれは政府の倉庫にしては大変古いです。見てくれが悪い。確かにネズミ返しがありまして低温で保管はされております。きれいに掃除もされておりました。しかし、外見からしても、どう見たってあれが政府の倉庫にしては少しお粗末だ。多少予算を使ってでも、この倉庫はもっと見ても信頼の置けるような、ああなるほど立派だと言えるような倉庫にすべきだとまず私は思うのです。そういう倉庫を全国の輸送経路に照らし合わせて各所につくって、そして備蓄をして、古くなったものから、言ってみれば古くなるとぼろぼろっといくし、においも少しついてくるという話を聞いていますが、そういうものを加工用に向けていくというようなことにならないのか、どうなのか。現在やっている主食用と他用途利用米はどこで区分しておるのか、どのような処理をされるのか。もちろん他用途利用米の方は安く買い上げるということですが、その辺を素人の私にわかるようにちょっと説明をしてください。
  50. 芝田博

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  他用途利用米制度は本年度からスタートをしたものでございまして、確かに今まで非常になじみのない制度でございますので、なかなか御理解いただけない点もあるかと存じます。  この制度の趣旨は、我が国の水田の生産力を維持する上におきまして、価格の低い米を提供することができればさらに主食用以外にも米の消費需要を開拓できるという点に着目いたしまして、生産者団体等とも話し合いの上で設けられた制度でございまして、御指摘のように、主食用米と他用途利用米を品種的には特に区別はしておりません。将来にわたりましては、他用途利用米に適した多収品種、少々味の点に問題があっても収量の多い品種というようなものの開発も研究を進めておりますが、現状におきましては、そういうような品種的なはっきりした区別はございません。  そういう意味で、主食用の米を加工用に回すことがうまくいくのかどうかも含めて非常に御疑問があるところかと思うわけでございます。その意味で、もちろんいろいろ議論があったわけでございますが、現在は、これの生産、流通につきましては、特に流通につきましては、一応自主流通米に準じまして生産者と実需者との間での契約によりまして流通させることにしておりまして、これに対しまして政府は必要な規制を加えるとともに奨励、助成を行うというシステムになっているわけでございます。  現実にそうなりまして、どんなふうに生産されて、どんな仕分けで流通するのかということにつきましては、圃場の特定ということ、つまりこの田んぼは主食米、この田んぼは他用途利用米というようなことは行っておりませんで、量的に各農家にどれだけという割り当てになっているわけでございます。そして、主食用米は政府買い上げなり自主流通という形で米の生産という中になるわけでございますが、他用途利用米は一応転作作物の内側という扱いになっているわけでございます。そして、生産されたお米につきましては、検査の段階で主食用と他用途利用米というものを区別することになっております。これは検査を請求いたします生産者の申し出によりまして、検査に当たりましてはもちろん同じように等級をつけるわけでございますが、等級とともに他用途利用米である旨の証印を評票に打つという形でこれをはっきりわかるように区別してまいる、その後の流通は、今申しましたように、契約に従いまして加工業者に流れるということにしているわけでございます。  次に、先生の御指摘は、そのような制度は制度として、そのような他用途利用米というものでなしに、主食用米の中で古い米を加工原材料用に回すことにすればそのような制度は必要ないのではないかという御指摘かと思うわけでございます。  これにつきましては、御存じのように、加工原材料用の米と申しますものは、我が国で過剰米が問題になります以前は輸入に頼っておったわけでございます。と申しますのも、何分にも我が国の生産されますお米と海外のお米との価格の差もございますし、加工用には海外のお米でも足りるということから、そのような価格の安いお米を求める実需業界の要請によりまして、食管法上もこれを認めて輸入しておったわけでございます。しかし、過剰米が生じましてからは、その処理の一環として輸入をやめまして、過剰米の古くなったものを加工原材料用に売却いたしておったわけでございます。そこから御推察いただけますように、非常に大きな価格差がございますが、過剰米は処分ということでございますのでそのような価格差が問題でなしに、損失覚悟で処理してきたわけでございます。今後過剰米がなくなった段階でこれをどうするかということを議論した段階におきまして、また輸入に戻るのか、いやせっかく我が国の生産力の高い水田があるのだからこれを活用して、いささか価格は低くてもこれを供給していく、国も助成するが生産者もある程度価格を我慢して供給していくのかという決断を迫られた形で議論の末に、価格が主食用米に比べまして少々と申しましょうか、少々ではないかもしれませんが、我慢していこうということでスタートしたわけでございますので、その間の価格差は本質的に存在するわけでございます。  そうなりまして、おっしゃいますように過剰米が存在しておりますればそれをもって充てていくことになりますが、意識的に過剰米を生み出してこれに充てていくということにつきましては、過去の過剰米処理が非常に大きな財政負担をしております経験からいたしましてもなかなか国民の納得も得られないということでございますので、意識的に古い米をつくっていくというわけにはまいりませんし、また先生のおっしゃるように、意識的でなくても、自然にある程度古米、古々米が生ずるであろうという、そのような量的に不確かなものに頼っていくわけにまいりませんし、一方におきまして、再び過剰米処理を繰り返すことのないように食管制度を運用していきたい、いかねばならないと考えておりますので、そのような古いお米がこれから大量に生ずるというようなことは我々としてはあってはならないと考えておりますので、これに頼ることは非常に難しいかと考えております。
  51. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 現在の制度なり基本的な考え方はわかりましたが、基本的な考えの中にも少し私と違う部分もあります。私は、古い米が残らないようにということを考えていないのです。残ってもいいじゃないか。古い米が余るほど十分あるという前提で備蓄されなければいかぬ。備蓄というものは、うまくいけばそれは絶えず二、三年でずっと回転していくのが一番いいでしょうけれども、やはり不作のときもあるから余分に備蓄しておくという意味で、古い米が残るということもあり得る前提で、その場合に負担が大変、それこそ国の財政を圧迫するということにつながると思いますけれども、これはまた違う角度で、それこそ潜水艦や戦闘機をつくるよりかその方を国民の皆さんははるかに希望しておるのではないか。これは別の論議ですから、お金がかかるからというふうなものではなくして、必要なものは金をかけて安心のいく食糧自給体制をつくるべきだ、私はその点では、きょうはその場ではありませんから、少し意見が違うということだけ表明しておきます。  さて、今の回答の中に、量的に割り当てるというのですから、質的には何ら変わらない。米以外のものもつくるという意味で量的に割り当てる、こういう意味ですから、できたものは本来の米と品質的にも変わらない。多少肥料その他で倹約して違いがあるかもわからぬが、見た目は違わないと思うのです。そうすると、検査の段階で分けるという、検査の段階で粒の大きさなり色合いなりつや、いろいろあるでしょう、専門的にはわかりませんが、分けられたものが主食用、加工用原料として流れていく。  さてその場合に、全国需要者団体というのが十二団体、私が数えたのは十二団体ですが、割り当てをし、何ぼ要るからこれこれということで需給全体の計画でやられると思うのですが、これと冒頭言いました商社、米の扱い、忍者米の扱いも含めて商社がいろいろやっておるわけですが、商社とこれとうまく結びついた場合に、店頭で小さな店が精米をやっておりますが、そこまでは疑えないかもわからぬが、価格的にも安いわけですね、言ってみれば、主食以外の他用途利用米なりそういう加工用に回されるものは。それが回り回って、精米段階で袋詰めされるときにこのチェックは本当にできることなのか、どうしても心配なんです。先ほどの回答で、何日かに一遍検査してみて、まざっておったら注意を与える、指導するということですが、大がかりなそういう団体、私の調べで十二団体ですが、これとそういう商社と結びついて、やろうと思えばやれないことはないという疑いがあるわけですが、この辺は食糧庁として厳格なチェックを、もうちょっと詳しく、私の言うことを否定されれば一番結構なことですから、そういうことはない、なぜならばこういうふうにやっておるからという、その辺を聞かせていただきたいと思います。
  52. 赤木壮

    ○赤木説明員 先ほど来御説明しているとおり、現在加工用の原料は過剰米で供給しているわけでございますが、こういうものは安くもあるということで、主食用と混同されて流通することになれば食管制度が混乱するというようなこともありますし、米の流通秩序維持という観点からこれらが主食用に横流れしないようにということで、原則としてこういう米につきましては、米の流通に無関係であるような精麦工場で変形加工、破砕しましてこれがそのまま主食に行かないような形で破砕精米に加工しまして、それでこういうものを実需者団体に売って実需者に渡っていくということにいたしておるわけでございます。  したがって、普通の丸米ではなくて破砕の状態で流通していくということで、見るからに物が違うような形になるということになるわけでございますが、さらに、実需者、団体も含めてでございますけれども、これらが横流しをしたような場合はそういうところには破砕精米を供給しないような措置もとるようにしておりますし、この破砕精米を行う加工工場でも、食糧事務所の職員が立ち会いでやるとか、日々の加工終了後は立ち会い職員が原料倉庫の確認あるいは原料タンク等の封印を行って米の横流れ防止に万全を期しているというような状態でございます。また、破砕加工工場あるいは実需者の原料の使用状況等、定期的な所要の報告もいただいておるわけでございますし、随時食糧事務所の職員も巡回しておるわけでございまして、このような加工原材料用の米が主食用に回っていく、横流ししていくということはないものというように考えてございます。
  53. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 最初私が申し上げたように、きょうの朝日新聞に、「加工用米が卸や小売り段階でふるいにかけられ、つぶの大きいのが業務用に化ける。」こう書いてあるのです。これは、ふるいにかけたら大きい米は残るというような意味にとれるわけです。破砕をするとおっしゃるが、本当に破砕しているのかどうか疑わしいわけです。しておるとなれば、米は真っ二つになるのか、三つぐらいに分かれるのか、ちょこっと先が削れる程度か、破砕の程度を聞かせてください。
  54. 赤木壮

    ○赤木説明員 破砕するわけでございますが、丁寧に一粒ずつ全部破砕ということにもなかなかいかないというようなことで、一〇%程度は丸米のままで残ってもいいという程度の破砕にしていくということで変形加工しておるところでございます。
  55. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 破砕一〇%の話は現実にはどういうことなのか、ちょっとまだわかりかねた点もありますが、破砕にしろ封印にしろ、もうちょっとその辺の管理体制、監視を十分しておかないと、安く払い下げられたような形のものが回り回って食用米になって、その間で業者がもうけて、結局消費者は、多少安いから本来加工米に行くものへ手を出して食べていく。ないしは、大量に米を必要とする外食業者、弁当屋さんだとか、今度は弁当屋さんにそんなに悪いお米を使っちゃいないと怒られますから、差しさわりがあるので余り言えませんけれども、そういうふうに回り回って、結局安いということで、本来なら食用でないものが形を変えてくるという疑いがあるから、私はこのことをしつこく言っておるわけです。  きょうの新聞を見て私もびっくりしたし、それから現地へ調査に行った段階では確かに精米機がついておりました。ほかの小売業者の店先でもついておりました。だから、どこでどうなるか、疑わしいことを余り口に出してはいかぬけれども、新聞でこれだけ書かれておれば、そういうこともあり得るということについて我々はやはり警戒心を持って十分認識しておく必要があると思うのです。私どもも、これから先もこういう問題について厳しい目で見ることにしますが、何としても食糧庁自身が、そういう疑いを晴らすためにももつと厳しいチェック機能を果たさなければならぬと思いますので、そのことをぜひ実行してもらいたいと思います。  さて、次の問題に行きます。  米の不足の実態で、潜在生産力ということをよく聞くわけです。我が国の潜在生産力の計算の仕方、つかみ方について、農家の人たちは、これを過大に計算をしておるんじゃないかということを盛んに言うわけですが、私はわかりませんから、ちょっと専門的に、潜在生産力とはいかなる計算で、どのような把握をしておるのかを聞かしてください。
  56. 芝田博

    ○芝田説明員 お答えいたします。  潜在生産力と申します概念は、現在転作等によって他の作物が植わっているような水田も含めまして、我が国に現存しております水田の総面積に対しまして想定されるところの単収を掛けまして計算するということでございまして、その総数は千三百七十五万トンというふうに第三期対策におきましては計算しているところでございます。
  57. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 農家の人たちは私にこう言うのです。一遍転作をしていろいろほかのもの、根を張る木のようなもの、ミカンか何か知りませんが、そういうものを植えたり、遊ばしたりすると、仮に一朝事あって戦争状態になった、輸送船は米を運んでこない、さあつくれといっても、それだけの転作をしたものが、図面にかいたように、手のひらを返したように直ちに米がつくれる、あるいはほかの食糧でもらいですが、そういうようにもとに戻すということは実態的にはなかなか難しい話だ、政府はそれを過剰に、千三百七十五万トンですか、見ておるのではないかというふうな意見があるのです。その辺は、実態的なものを見ても直ちに復元は難しい、潜在生産力としては何%か減にして見なければいけないというようなことも考えに入れてこういう把握の仕方をしておるのか、もう一遍聞かしてください。
  58. 赤木壮

    ○赤木説明員 潜在生産量の見方は先ほど総務課長から御説明したとおりの基本的考え方でございますが、それは水田に稲を仮に全部作付すればどれぐらいできるかというようなことで出したものが潜在生産量に基本的にはなるわけでございますが、転作もずっとやってきておりますので潜在作付面積の中にも実際は果樹等の永年性作物に転作しているものもございますから、全部が全部現実にそこに稲が植えられるものばかりではないというものもあるわけでございますが、基本的には転作奨励金の補助の対象となるような従前の水田をこの水田の潜在作付面積というふうに言っておるわけでございまして、大部分は普通の水田に戻ってちゃんと生産できるものであるということで、ただ転作をやっていて翌年にそのまま直ちに戻り得るかどうかという点についてはいろいろ御議論があるかとは思いますけれども、通常の場合ですとそれくらいの生産力はあるということで計算しておるわけでございます。  現実に米の生産が行われるものは、そこにどうということではなくて、残って稲を作付しているものについての単収がどういうふうになって、全体として生産が幾らできるかということが問題になるのだろうと思います。そこにつきましては、五十九年産の米につきましては全部で千九十万トンの生産になるように稲の作付を計画しておるわけでございます。
  59. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 時間の制限がありますので、言いたいことだけを言って答弁をもらったら終わりにしますが、まず、穀物輸入の実態が国民によくわからないし、私もよくわからないのです。恐らく専門的に農水委員会などで十分説明があったと思いますけれども、一番近い、計算ができてなければ昨年度でもいいのですが、一般的に言う現在の穀物の輸入実態を数値的に明らかにしてもらいたいと思うのです。やはり米の不足という実態の中で、米以外の麦だとか大豆だとか飼料だとかたくさんあると思うのですが、そういう穀物輸入の実態、それから農地面積はどのくらいあったら本当の自給体制ができると思っておるか、それから米の価格を決めるについてはどういう決め方、必要経費、農村雇用賃金の問題あるいは家族労働の関係をどういうふうにみなしておるかとか、いろいろあると思うのですが、その辺を少し、米価の関係が今から話題になりますから、一応基本的に米価はこういうことで決めるべきだと思っておるという物の考え方、これを聞いておきます。  あと、また私も意見具申し上げますが、今の三つの点について聞かしてください。
  60. 芝田博

    ○芝田説明員 端的に申しまして食糧庁の所管外の事項にもわたりますので、直ちに正確なお答えができない点もございますが、まず米価の点に関しましてお答えいたしたいと思います。  御存じのとおり、本年の米価を決定いたしますために諮問いたします米価審議会が、本日からいわゆる前広米審と称する会議を開催していただいておりまして、本日とあす二日にわたりまして、米価をめぐります事情につきまして政府から御説明いたしますとともに、委員の各位におかれまして十分な御審議をいただく。それを受けまして、来週に入りましていわゆる本米審というものを二十四、二十五の両日にわたりまして開催いたしまして、ここで米価審議会としての御意見を承り、また関係筋の御意見を承って決定の運びとなるわけでございます。  現段階におきまして政府は、食管法で言われております米価決定の基礎となりますところの生産費、物価、賃金その他の経済事情について、資料に基づきまして鋭意検討しているところでございまして、これを踏まえて、食糧管理法の規定に従いまして再生産の確保を旨とし、米価審議会の意向を聞いた上で適正に決定してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  その前の御質問でございます穀物輸入の実態、総量につきまして、まことに申しわけございませんが、今手元に正確な数字を持参しておりませんので後ほどまたお届けしたいと思いますが、概括的に申し上げまして、米につきましては御存じのとおり、今回韓国米の返還の問題がございますが、全量自給しておりまして、現実我々といたしまして、韓国米返還の問題及び一部特殊な沖縄における輸入の問題を除きまして、輸入はないということでございます。その他も、輸入は最近におきまして食糧としては小麦、また飼料穀物としてのトウモロコシ等相当の量に上っておりますが、これにつきましては後ほど詳しい資料をお届けしたいと思います。  それからまた、どのくらいの農地があれば、我が国の食糧の安全保障と申しますか国民の食糧の安定供給を期し得るのかという御質問でございます。  これにつきましては、農地の利用方法等も絡んでまいりまして、例えばカロリーを中心に農地の生産力を発揮させると考えた場合と、現実にあります消費者のニーズに合わせて収益を中心考えて何を植えつけるかによりまして、非常に違った利用の仕方があるわけでございます。農林水産省におきましても、輸入が途絶えたような場合、我が国の利用できる農地にどのような作物を植えつけたら最低必要なカロリーを確保できるかという試算はいろいろいたしておるところでございますが、実はその試算内容もきょうは持参しておりませんが、私の記憶ではその場合、五百五十万ヘクタールの農地を基礎に置いていろいろ考えておるというふうに記憶しております。
  61. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 完全な答弁でないものもありますが、これまた後日資料をいただくことにいたしまして、最後に結論だけ申し上げて終わりますが、農地面積はカロリーでいけば六百二十万ヘクタールぐらいは必要だという考え方を持っております。これはまた後日機会があればお互いいろいろやりとりしてみたいと思っております。  結論は、消費者の場合どうしても、安くてうまい、これは当然です。安い米を欲しがるということで、とかく安い外米へというふうに流れていった場合に、確かに消費者のニーズにはこたえられるだろうが、一朝事あるときには我が国の食糧自給はめちゃめちゃになるわけですから、少々国費を使ってでも備蓄体制にこれから十分留意すべきだ、つまり備蓄を十分する、減反反対、このことを申し上げて、私の質問を終わります。
  62. 金子みつ

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  63. 金子みつ

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  64. 田中慶秋

    田中(慶)委員 最初に、企画庁関係についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。  現在における経済状態は、先ほども長官が言われたように全般的な上方見直し、すなわちGNP四・一%が五%以上に、こういうことであったわけでありますけれども、ただ、その中でやはり大きな問題点というのは幾つかあるのではないかと思います。貿易、すなわち輸出中心とした日本の現在の立場ということから内需がどうしてもおくれている。これらの問題について、いろいろな問題があろうと思いますけれども、総体的には個人の所得の伸び悩みというものが指摘をされるのではないかと思います。長官も、公共投資拡大等については、ことしの予算委員会その他で、今年度後半についてそれぞれ全体的な経済の流れをとらえた中で検討しなければいけないのではないか、こういうお話も出ておりました。あるいはまた投資減税等の問題についても相当強調されていたわけでありますけれども、この辺について考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の日本経済の一番の問題点は、輸出拡大によりまして経済が回復し、支えられておる、ここに問題があると思うのです。したがって、巨額貿易黒字経常収支黒字が出ておりまして、こういう状態が続きますと、これが引き金になりまして世界全体に保護貿易が巻き起こる危険性が多分にあると思います。そうなりますと、世界全体に非常に大きな迷惑をかけることにもなりますので、この点は私どもは真剣に考えていかなければならぬ、このように思います。  そこで、このためにはやはり内需拡大が必要でございます。国内の購買力を高めませんと貿易の収支は改善されません。また同時に、円の価格が適正な水準に維持されるということが非常に大事だ、このように思っておりますが、いずれにいたしましても、日本経済世界全体に迷惑をかけないような、そういう立場に立っての経済運営が必要である、このように思います。  それから、もう一つ問題点は、個人消費政府見通しを下回っておる。ふえてはおりますけれども、そのふえ方が大変に鈍い。しかも個人消費GNPの六割弱を占めておりまして、この動向いかんによって景気動向が決まりますので、この点は非常に問題点だ、こう思います。  なぜ個人消費が伸びないのか。これはやはり実質所得がふえないというところに問題があると思います。国民実質所得がふえないということは、国民が豊かになっていないという証拠でありまして、これは単に経済運営の問題だけではなく、政治の上からも非常に大きな問題だ、このように理解をしておりまして、個人消費がもう少し伸びるためにはどういう政策が必要かということはこれからの大きな課題であろう、このように考えております。
  66. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、個人の所得の伸び悩み、すなわち内需の問題もこの点に起因されているのだろうと思います。そういう点で、現実にはこの四月のベースアップも四・五%程度、しかし反面、大幅減税は期待したけれどもそれぞれの間接税がその分だけふえた、あるいはまた逆に可処分所得そのものが思うようにいかぬ、こういう形の問題があったと思うのです。  これらに対して、今長官もこの辺は政治的にというお話があったわけですけれども、今後これをどのような形でおやりになる考えがあるのか、この辺をお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 河本敏夫

    河本国務大臣 個人消費拡大のためにはやはり国民実質所得が伸びるということが前提条件だと思うのです。そういう意味で、昨年の九月の国会における与党と野党所得税の大幅減税についての合意は非常に適切な結論であった、私はこのように思います。しかも内容が、五十八年から景気浮揚ができる規模所得税減税をやります、こういう合意内容でありますから、私は、これによりまして日本経済が相当大きく姿を変えるのではないか、このように期待をしておりましたが、御案内のように、若干の減税はしましたけれども同じ幅の増税がございまして、国民所得には影響するところ皆無とは言いませんけれども、その影響するところは大変少ない。したがって、九月の合意事項は少しも実行されていない、私はこのように思います。  もちろん政府と与党の責任も重大でございますけれども、しかし合意したのは与党と野党合意をしたわけでありますから、野党におかれても、果たしてあの約束がそのままでいいのかどうかということについてのいろいろの御判断もあろうと思いますが、それはそれといたしまして、臨調からも直間比率を見直せ、こういう答申も出ておりますから、その臨調答申を踏まえまして、さらにこの所得税の問題についてはもう少し進んだ議論が引き続いて行われることを私は期待をいたしております。
  68. 田中慶秋

    田中(慶)委員 担当大臣ということではないので、その減税問題についてそれ以上お答えできないと思いますが、ただ経済担当の大臣として、景気浮揚に対してそれだけの影響度合いが出てこなければ最終的には今の内需拡大というものが大変懸念をされてまいりますから、そういう点で今後、それは確かに与野党合意減税だったかもわかりません、しかし、減税の問題が例えばこれから再度与野党の間で話し合いをするような立場になったときに、経済に与える影響が非常に大きいということで、これらについて大臣の御支持がいただけるかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  69. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、日本経済の運営は、経済規模が非常に小さくて世界全体にほとんど影響を及ぼさないということであれば国内問題だけを考えればいいと思うのですけれども、たびたび申し上げますように、貿易黒字が五百億ドル近い数字になり、経常収支は三百五十億ドルを突破しようとしている。歴史上かつてなかったような巨額黒字が出てまいりまして、それが世界全体の貿易のあり方に対しても大きな影響を及ぼそうとしている。戦後、世界経済全体が順調に回復してまいりましたのは、いろいろ条件はございますけれども、非常に大きな柱は自由貿易という体制が維持できた、ここにあるわけでございますが、その基本原則が日本引き金になりまして保護貿易に変わる危険性が多分にある、そういうことになりますと、世界の一割国家としての日本の国際的な役割というものはよほど反省しなければならぬ、私はこのように思います。  そこで、現在の日本世界における立場から日本経済全体の運営ということを考えていかなければならぬ。しかりとするならば、内需拡大ということについても、国内のことだけを考えないで国際的な視野に立ってこの判断をしていかなければならぬ。私は、昨年の与野党合意が実現されることを強く期待いたしております。
  70. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、既に六十年度の予算の問題でいろいろな報道をされたりあるいはまたそれぞれの作業が行われているわけであります。そういう現時点で、政府がゼロシーリングあるいはマイナスシーリングという問題を打ち出しているわけでありますけれども、今長官が言われているように内需拡大、すなわち国際経済の中でこの問題を考えたとき内需拡大をしなければいけない、こういうことを今発言なさっているわけでありますので、そういう点を考えたときに、今ゼロシーリングマイナスシーリングという問題についてはどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思うのです。
  71. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題につきましては、いろいろ議論がございましたが、一昨日政府と与党との間で予算の概算要求方針につきまして一応の合意ができますと同時に、十二月に政府原案が決定するわけでございますので、それまでの間、概算要求概算要求といたしまして、経済動向、財政事情の変化等を踏まえまして予算はどうあるべきかということについて引き続いて検討することになっております。したがって、概算要求の姿のままの予算ができ上がるとは私ども考えておりません。やはり重要な政策については十分配慮をした、そういう内容になるということを私どもは希望しておりますし、また現在の経済事情、財政事情も数年ぶりでよくなりつつございますので、当然そういう結果になるのではないか、このように考えております。
  72. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今長官として大分前向きな発言をされているわけでありますけれども、この財政事情から、例の行革関連あるいは臨調の一連の関係昭和五十九年度までの特別立法が措置されていたわけでありますけれども、今般それが昭和六十五年まで、こういう形で新たな答申が出たように思います。こういう問題を含めて考えてまいりますと、半面では抑制、半面では景気が少しよくなることを期待しているという問題もありますけれども、公共投資を含めてもっと積極的な財政の確立方針をとることで今のような特別措置法そのものを昭和五十九年を六十五年まで延ばさなくてもできるのじゃないかと思うのですけれども、その辺の大臣としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  73. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十六年に一連の行政改革のための法律が決まりましたが、三年間の時限立法でございました。それが延びるか延びないかということにつきましては、まだ議論が煮詰まっておりませんで、そういう意見が一部にあるようでございますけれども政府としてはその方針は決まったわけではないと私は理解をしております。  ただ、重ねて申し上げたいのは、十二月の六十年度政府予算原案の決定までにはずっと引き続いて予算のあり方等について議論をしてまいりますので、そのときの一番大きな課題は、社会資本投資を一体どうしたらよいのか、第二は、民間設備投資が、拡大方向にはありますけれどもアメリカに比べますとその拡大のテンポが非常に緩やかである、そうすると日本競争力が失われるが、これに対する対応をどうするか、もう一つは、先ほど来御指摘個人消費がなかなか伸びない、それに対して税制措置を一体どう考えるのか、特に臨調答申直間比率の見直しという問題は手をつけないでほっておくのか、こういう幾つかの問題があろうと思うのです。  そういう問題につきましては、数年ぶりに経済が上向きに転じまして、税の自然増収も既に五十八年度には政府見通しより五千億弱増加をしておりますし、五十九年度にはさらにそれを相当上回る自然増収も期待できる、こういうときでもございますから、先ほど申し上げました日本世界における責任ということを考えまして、十分それに対応できるような内容の予算が望ましい、私はこのように考えております。
  74. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今長官として非常に前向きな発言をされているわけであります。確かに、貿易そのものが大幅黒字である。しかし、アメリカと比較したときに、日本の設備そのものが見直し時期に来ているだろうと言われているにもかかわらず、設備投資に対する状況というのは今余り芳しくないと思っております。そういう点で、投資減税といいますか、設備に対する投資減税というものをこの辺でやっていかなければ、これから国際競争の中に大きな影響を与えるのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
  75. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の後半からアメリカ設備投資が非常な勢い拡大をしておりますが、なぜ拡大をしておるかということについて調べてみましたところ、やはり企業内部の蓄積が非常に巨額に達しておる、これが一番大きな原動力であると私ども判断をいたしております。  なぜそんなに巨額な蓄積ができるかといいますと、一つアメリカ景気の回復によりまして利益が拡大をしたということもございますが、同時に、レーガン政権がスタートした当初からの幅広い投資減税によって企業内部の蓄積が拡大しておる、こういうことを私どもは認識いたしております。そこで、こういう状態が続きますと一年先には日本競争力が失われるおそれがございまして、日本のような貿易立国の国で経済競争力が失われますと大ことでございますので、できるだけ早くそれに対する対応策が必要だ、このように痛感をいたしております。そのために、今はもう、日本では投資減税はあるのですけれども規模が非常に小さくてしかも対象範囲が非常に限定されており、ほとんど有名無実に近い状態でございますので、アメリカのやり方などを参考にいたしましてもっと有効な対応策が必要でなかろうか、私はこのように思います。自分だけでひとりよがりでおりましても、相手がどんどんいろいろな対策を進めておりますと競争に取り残されるわけでありますから、やはり競争相手のやり方を見ながらそれに対抗していくという考え方が必要だ、このように思います。
  76. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣が今、投資減税等についてもそれぞれの現況を見ながら具体的な措置が必要だということを述べられているわけでありますけれども、ところで、来年以降の経済見通し全般にわたってお聞きしたいわけです。  アメリカの場合、レーガン政権がどうなるか、まだこれからわかりません。しかし、アメリカ景気は来年以降、高金利政策その他のことを含めて鈍化するだろうということが一部報道されているわけであります。そういう点を考えてまいりますと、アメリカ日本経済状態というのは大変緊密な因果関係があろうと思うので、そういう点を含めて、税収入は去年、ことし大変よくなってきたということでありますけれども、来年度以降、予算編成期もあるわけでありますが、その辺はどのようにとらえられているのでしょうか。
  77. 河本敏夫

    河本国務大臣 アメリカ景気動向日本経済に非常に大きな影響を及ぼしますことは、アメリカ日本貿易が非常に巨額に達しておるということからも判断できるのでございます。そこで、私どもアメリカの来年以降の景気がどうなるかということについては非常に関心を持っておりますが、これには二説ございまして、アメリカ政府は来年以降も心配はない、こう言っております。  御承知のように、ことし以降一九八九年まで四%成長を続けるということを発表しております。ことしについては、上方修正いたしまして六%成長ということを言っておりますが、現在はそれを上回っております。来年度以降についてはアメリカ政府はそう言うのですけれども民間の多くの見通しはあるいは来年から少し下回るのではないか、あるいは再来年から少し下回るのではないかといういろいろな議論がございますが、政権が交代すればまた話は別だと思いますが、政権が交代をしなければ、若干政策修正があったといたしましても、そんなに急激に景気が低下するような、そういう政策国民をだましたことにもなりますから、そういう政策をとらないのではないか、私はこのように思います。  アメリカ経済がそんなに大きな変化がないとするならば、日本内需拡大をもう少し積極的にやれば日本経済はことしよりもさらに強力な成長を遂げることができるであろう、そうすると財政事情もよほど好転をする、このように理解をいたしておりますが、御指摘のように、アメリカ経済動向が来年以降の日本経済に非常に大きな影響があるということは事実でございます。
  78. 田中慶秋

    田中(慶)委員 企画庁関係で最後にもう一点お尋ねしたいわけであります。  よく二十一世紀のビジョンとかいろいろな形で言われて、今それぞれの政策展開がされるわけでありますけれども、既に公共施設の九割以上が、先ほども設備減税の問題で指摘をしましたように、その施設の更新が望まれているわけであります。あるいはまた国がやっておりました都市下水、こういうことを含めて、それぞれの従来までつくってまいりました施設に対しても、当然この辺になってまいりますと更新時期になってこようかと思います。そういう前提に立ちますと、これからもそれぞれ政府の間でお互いに連携をとった形の中で長期的に、より計画的な設備投資も、当然民間だけではなく、公共投資的な形の中で必要ではないか、こんなふうに思うのですけれども、この辺将来にわたっての展望をお聞かせをいただきたいと思うのです。
  79. 河本敏夫

    河本国務大臣 今政府では、社会資本投資につきましては十五本の五カ年計画をつくりまして、それに従って対策を進めております。十五本のうちざっと半分の八本は五十六年にスタートしたのでありますが、残り七本は五十七年と五十八年にスタートしたものでございます。閣議で決めまして政府基本方針としてスタートをしたのでありますが、現在までのところそれが思うように、計画どおり進んでおりません。したがいまして、日本の社会資本投資はその充実がおくれがちでございまして、中にはもう社会資本投資などは行き届いたから十分ではないかという議論もございます。それは発展途上国に比べますと進んでおりますけれども、ヨーロッパ、アメリカに比べますとまだまだおくれておりまして、私どもはヨーロッパ、アメリカに行くたびにそのことを痛感をするわけでございます。むしろ先進工業国の中では一番おくれておるのではないか、こういう感すらございます。特に下水道などは御案内のような普及率でございますから、先進国としては恥ずかしいような状態でございます。したがいまして、現時点ではこの五カ年計画をできるだけ早く軌道に乗せるという観点から、社会資本投資公共事業拡大が叫ばれておるわけでございます。  今のお話は、現時点では拡大が非常に大事だけれども、二十一世紀になると既に投資をした設備等が古くなってその補修のための、あるいは維持のための経費が非常に拡大をするから、新規投資はなかなかできにくい、だからそういう事態が起こる前にきちんと日本の社会資本投資をしっかりやりなさい、こういう御意見だと思いますが、私どももまさにそういう考え方でおります。
  80. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これから来年度、六十年度予算編成期に当たっていろいろな問題が出てくると思います。そういう点で、ぜひ拡大均衡政策をとっていただけるように私の方として希望させていただきたい、こんなふうに思っております。  そこで、次に農水関係の問題についてお聞きをしたいと思うのです。  今米価の問題がその時期になってまいりまして、要求も七・七%ということで、米審が二十四、二十五日に行われるわけであります。まずその辺でお聞きしたいわけですけれども、現在の要求米価というものをどのように評価をされているのかお伺いしたいと思うのです。
  81. 芝田博

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  農業団体の要求米価は、農業団体の全国組織でございます全国農協中央会から出されたものでございまして、農業団体独自の調査に基づきまして、いわゆる生産費及び所得補償方式によりまして算定されたものと承知しております。  先生は、それについて政府として、農水省としてどのように評価しているかという御質問でございますが、時期が時期でございますのでこれに対する評価という点は差し控えさせていただきたいと存じます。
  82. 田中慶秋

    田中(慶)委員 確かに時期が時期だからということなんですけれども、ただ従来、この四年ないし五年近く実質的な生産者米価が上がっていない、こんなふうだと思うのです。そういう点では、現在七・七%要求されている米価が一〇〇%認められたとしても、恐らく一世帯当たり家計に及ぼす影響というのは、米価そのものではそれほどないと思うのです。先般もこの問題で、逆算すると大体御飯一ぜん一円ぐらいじゃないか、こういうお話が出たくらいですから、それほど影響がない。しかし問題は、関連する物価といいますか、関連して便乗値上げをされると大きな問題が出てくるのだろうと思います。  そういう点で、これらのことを含めて、米価の引き上げと便乗値上げという問題についてどのようにお考えになっているかをお答えいただきたいと思うのです。
  83. 須田洵

    ○須田説明員 米価の問題につきましては今申しましたような状況でございますが、御指摘の点は、恐らくはその生産者米価に関連しまして、消費者米価と申しますか米の政府売り渡し価格の扱いがどうなるか、あるいはさらに、それに応じて便乗値上げ等についての指導といいますか措置についてどういうふうに考えるか、こういうことかと思いますが、米の政府売り渡し価格の今後の扱いにつきましては、米の需給あるいは物価、家計の動向等を総合的に判断いたしまして対処してまいるということでございます。したがいまして現段階で消費者米価が上がるとか下がるとか、そういった意味での具体的な一定の仮定に立った議論をするのは非常に難しいのではないかという感じがしております。  ただ、従前からこの問題につきましては、消費者米価改定に際しましては、消費者物価安定の重要性にかんがみましていろいろな措置を講じてきております。  一つには、業界に対する指導あるいは協力の要請、第二点としましては、価格動向につきまして、全国の食糧事務所職員によりまして物価、価格動向調査、監視をしっかり行う、三点目におきましては、消費者に対しまして米価改定によります外食への影響等につきまして適切にPR活動を行うといったようなことをもろもろやっております。  あくまでも仮定の上に立った措置というものはなかなか議論しにくいわけでございますけれども、仮に将来米価改定等があれば、恐らく従来の扱いを踏まえまして適切に対応していくということに相なろうかと思います。
  84. 田中慶秋

    田中(慶)委員 従来、生産者米価、消費者米価の改定が行われたときに、便乗値上げを阻止するために具体的な対策その他をおやりになっていたかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思うのです。
  85. 須田洵

    ○須田説明員 御指摘の点でございますが、今申しましたこと、従来対応しておりますことを若干詳しく申しますと、一つ関係団体等に対します指導でございます。これは外食の関係団体が幾つかございますが、その関係団体に対しまして米価改定に際しまして便乗した値上げを厳に慎むように指導、通達をしております。  それから第二点としまして、先ほど申しました価格動向についての監視あるいは調査でございますが、消費者米価を改定するちょうどその前後の期間をとりまして、全国の食糧事務所職員によりまして外食価格の調査、それから巡回指導も行っております。さらにそういうこととあわせまして、食糧モニターによります外食価格等の調査、監視を実施しております。  それから、先ほども申しました三つ目の点でございますけれども、消費者に対するPRでございます。テレビあるいは新聞等を活用しまして、米価改定によります影響というものがこういうことになっているということを適切に示しまして、外食への影響等につきまして消費者に対しまして的確に認識していただくようなPR活動、こういったもろもろの措置を講じております。
  86. 田中慶秋

    田中(慶)委員 消費者米価を含めて、需給の中で価格というものが決まっていくということであろうかと思いますが、そういう中で現在、お米の不安というものがいろいろな形で報道されて、減反政策の見直しについても、総理から第三期水田利用再編対策となっている六十万ヘクタールの問題についてこれを少し見直しをしながらというようなニュアンスの発言があったわけでありますが、現時点で減反政策の見直しというものは農水省として具体的にどのような形で作業を進めているのか、お伺いしたいと思います。
  87. 日出英輔

    ○日出説明員 御説明申し上げます。  去る六月五日に農林水産大臣談話ということで、米の需給につきまして逼迫をしているという前提で、「来年度の生産調整数量については、本年産米の作況の推移を見て、不測の事態にそなえて米の適正在庫を確保する観点から、弾力的な対応を行う必要があると考えており、米の需給に万全を期して参る所存であります。」という大臣談話を出したところでございます。  先生のお尋ねは、その後の中曽根総理の減反緩和の発言等を踏まえて、さらに具体的にどういう取り扱いをするかという御質問だと思いますが、現在の転作の実施状況の取りまとめが実はまだ終わっておりません。大体わかりますのが七月末ないし八月になると思います。地域によってどんな状況で転作が行われているのかという問題と、さらには、本年の作況につきましてまだ具体的に何も申し上げられる段階でございません。したがいまして、この二つの点が必ずしもまだはっきりしておりませんものですから、具体的な取り扱いにつきましてはいましばらく様子を見て検討をしたいというふうに思っておる次第でございます。
  88. 田中慶秋

    田中(慶)委員 確かに作況も影響があると思いますけれども、現在備蓄の問題も考えられているわけですから、そういう点では減反政策の見直しというのは当然もう進んでいると思うのです。そういう点で、今第三期水田利用再編計画の対象として五十九年が六十万ヘクタール、こういうことであったわけですけれども、今の需給の問題やら、あるいはまた制度として備蓄政策をとっていくという方針が打ち出されているわけですから、今のような答弁では私は理解できませんし、納得しないわけで、そういう点で、むしろこういうことを含めて前向きな話が出ていいと思うことが一つ。  時間がないから、もう一つやらせてもらいますが、例えば生産者米価の問題も価格制度の問題と言っておりますけれども現時点で農業政策そのものがやはり後退されている面が多々あろうと思います。ということは、生産コストだけがアップされている。それは、例えば必要もない機械の購入を奨励したり、それに補助金制度がとられたりいろいろなことをして、大体農機具が農家一戸当たり約七百万程度持たれている、こういうデータもあるわけです。しかし、稼働率を見てみますと、一年の間にわずか、それこそ一週間程度しか使わない機械まで持っている。何か現実には財産みたいな形で農機具を持たれている。こういう農業政策そのものが逆にコストにはね返っているのではなかろうかと思うのですけれども、そういう点も含めて、農業指導というものを今どのように行われているのか。少なくてもこういう問題をただ放置していいというものではないと思うのです。現実にそれが生産コストにはね返ってくるわけでありますから、基本的な農業政策というものをもっとそういう点を含めて行うべきじゃないか。  減反問題と、この二点について、これは農水の方ですか、答弁願いたいと思うのです。
  89. 日出英輔

    ○日出説明員 先ほどの最初の方の減反につきまして、繰り返すようでございますけれども、現在米価の議論のさなかで、先生おっしゃいますように備蓄の積み増しといいますか余裕ある在庫を行うという前提で、どのくらいの数量を現実持ったらいいのかということを含めていろいろ議論が行われております。水田利用再編対策の出発当初は、御案内のとおり各年四十五万トン積み増しをしていくということで、約百五十万弱の数量積み増しということを言ったわけでございますが、その後の需給操作等もございますものですから、具体的に今この辺のところも議論してございます。  そういった意味で、今の備蓄の積み増しの問題、本年の作況の問題、それから現実の転作の実施の状況の問題、この辺のところを踏まえまして、これはなかなか全国的な数字だけ決めるわけにもまいりませんので、地域の実情も踏まえまして今検討している最中でございますが、今何かという形で申し上げられる段階でないことを御理解いただきたいと思っております。
  90. 黒木敏郎

    ○黒木説明員 御説明を申し上げます。  今後の農政の眼目の一つは、やはりコストダウンをどういうふうにして図っていくかということにもあるわけでございまして、特に土地を広く使わなければならない農業のタイプ、土地利用型の農業、こういうふうに言っているわけでございますけれども、この点につきましては、一つは、農地の賃貸借等を通じまして農地の流動化を図っていく、そういうことによりまして規模拡大を進めていかなければならないというのが一つございます。  それからもう一つには、ただいま先生御指摘になりましたように、稼働率が低い形でそれぞれ機械を持っているというようなことはコストアップの要因につながりますので、この点につきましては、やはりできるだけ経営のタイプに合ったような農業機械なりいろいろな資材を購入されるというような指導と、さらには、個々単独でいろいろな農作業を行うということではなくて、むしろ農業生産組織というふうな言い方をしておりますけれども、いろいろな作業ですとか、そこにおきまして使います機械を共同で使用する、あるいはそういったような一連の農作業の流れを一つにとらえてみまして、そこで共同部に物を運んでまいる、こういった農業生産組織の育成というものも図っておりますし、また中心的な農業の担い手でございます中核農家、そういうような人たちに作業を任せていただくというようなことを通じて経営の効率化を図ってまいる、こういうようなことをいろいろ行政の指導をいたしておりますし、また、必要な助成も行っているところでございます。この点をさらに進めていかなければならない、かように受けとめている次第でございます。
  91. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ただ一点だけ、農業問題というのはやはりこれから大変重要な問題だと思います。食糧問題というのは、少なくてもこれから国の大きな、国防にも影響するような問題ではなかろうか、こんなふうに思いますので、その政策いかんによっては、先般の牛肉やオレンジと同じような形で貿易摩擦の対象あるいは工業製品のツケみたいな形になったのではいけないわけですから、そういう点で、もっと近代化やあるいは経営の合理化あるいはまた集約化やあるいは構造改善事業というものを促進をしていかなければ、いつも必ずそういう問題で末端が悩んでいる、それが後継者の問題や兼業農家に発展するわけでありまして、そういうことを含めて積極的な取り組みを行っていただきたい。それがひいてはこの農産物の価格の安定や、あるいはまた逆に食べられる農業政策、食べられる農業従事者になっていくのだろうと思いますので、そういう点を含めて取り組んでいただきたい、こんなことを要請して、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  92. 金子みつ

    金子委員長 次に、藤田スミ君。
  93. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、きょうは食用油の問題についてお伺いをしたいと思います。  今、業務用食用油の品不足と価格の高騰が全国的に起こっておりますが、それだけではなしに、家庭用の食用油に至るまで価格の高騰が及んできております。  その原因については後で触れていきたいと思いますが、まず農水省、現在の価格と品不足の状況についてどういうふうにつかんでおられるか。また、農水省として、この問題に対してこれまでどのような対策を打ってこられたのか、お伺いをしたいわけです。
  94. 増田正尚

    ○増田説明員 御説明いたします。  食用油につきましては、確かに先生が今御指摘のように、業務用を中心に最近非常に値上がりをしてきているという状況がございます。昨年前半は三千円、これは日本経済新聞調査の商品相場で、十六・五キログラムを単位としておりますが、昨年前半三千円台でございましたが、昨年の熱波の影響によりまして後半には四千円になりまして、ことしに入りまして三千八百円から三千九百円台で推移しておりましたけれども、四月ごろから上昇してきておりまして、六月には四千五百円、七月十三日の調査では四千九百円にまで上昇してきておりまして、家庭用につきましても徐々に値上がりをしているという状況でございます。  このような価格の上昇でございますけれども、これは昨年、アメリカの大豆を初めといたしまして、世界の油料種子が非常に減産をしたということで、世界の主な油脂原料や油脂の需給が逼迫をいたしまして、昨年秋以降、価格が高騰しているということがまず基調にあるというふうに理解をいたしております。  私どもといたしまして、国内の需給状況等について絶えず状況の把握に努めているわけでございますが、国内の需給状況について見ますと、期首在庫の減少とか輸入が多少減少しているということはございますけれども、国内の搾油生産は前年に比べて増加しておりまして、供給全体といたしましてはほぼ前年程度のものを確保いたしております。ただ、需要が増加しておりますので、需給が若干窮屈になっているということはございます。また、大豆油の併産品でございます大豆油かすの需要が不振でございますので、国内生産に当たりましては大豆の搾油が減少いたしまして、油分のより多い菜種の搾油が増加しておりますが、菜種につきましては国際価格の上昇が非常に著しいという事情がございます。  こういう状況を踏まえまして、農林水産省といたしましては需給事情、それから価格の動向について十分状況の把握に努めるとともに、食用油脂メーカーや流通業界に対しまして、食用油の安定的な供給、販売を図るよう指導をいたしております。特に価格の上昇が顕著に見られるようになりました五月以降につきましては、品不足といった事態が生じないように指導を行っている次第でございます。  また油料種子の確保につきましては、我が国は大豆、菜種とも全部を輸入しております。油料種子の確保は非常に重要でございますが、特にカナダの菜種の需給が逼迫をいたしまして、六月時点で前年に比べて九割程度の値上がりになっているという状況がございますので、カナダに対しまして、本年は異常な事態であるということで、例年十一月に行っております協議を繰り上げまして、七月にカナダから関係者に来日していただきまして協議を行い、さらにまた九月には本格的な協議を行うなど、油料種子の安定的な確保にも努めている次第でございます。
  95. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いろいろ対策をとっておられるということなんですが、一向に価格の方は鎮静化しておりませんね。品不足の方もいよいよ深刻な状態があるというふうに考えるわけです。私は、どうしてこういうことなのかなということで、業界の関係の資料だとか農水省の方が書いておられる論文などを見て、大変疑問に思ったことがあるのですが、今のお話でも私はそう思いました。価格が急騰することを肯定していらっしゃるのじゃないか。むしろ業界と一体となって推し進めておられる、そういうふうに言いたくなるような受けとめ方をしております。  これは昨年の十一月の業界誌なんですが、「メーカーが今の出荷水準を維持すれば四千五百円の油価実現も可能だろう。」業界誌の十一月号を見ますとこういうふうに文章を出しておられるわけです。現在の状況というのは既にその文章で予測をしておられるわけですね。  もう一つ「農業と経済」という十二月号を見ました。農水省の食品油脂課植物油脂係長が書いておられる文章なんですが、「製油企業の売り上げに占める原料コストは八割を超えるので、コスト上昇に応じた価格引き上げは避けられない。」こういうことを書かれ、「大豆油価格の上昇はこれを大量に使用するマーガリン・マヨネーズ等の製造コストを引き上げるであろうし、惣菜店の天ぷら等の揚げもの価格等にも響くであろう。」私はこの文章を大変肯定的だなというふうに読まざるを得なかったわけです。  農水省は、現在の価格をそういうふうに考えておられるわけですか。
  96. 増田正尚

    ○増田説明員 御説明いたします。  先ほども御説明いたしましたように、現在の油脂の価格上昇の基調には国際需給の逼迫というのがあるわけでございまして、私どもといたしましては、油脂は基本的な国民の食糧でございますので、国民生活に影響を与えることのないよう安定的な供給を図るよう業界の方を指導しております。特に価格の問題につきましては、量の確保を図ることが重要であるというふうに私ども考えておりますので、先ほども説明いたしましたように、円滑な供給を指導いたしますとともに原料確保等についてもいろいろと対策を講じているという次第でございます。
  97. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 国際価格に左右されるからやむを得ない、やはり私はそういうふうにしか聞こえません。  しかし、どうなんでしょうか。昨年十一月に出された業界誌を見ますと、事細かにメーカーが斗缶油四千五百円を目指して大々的に書いているのですね。その中に四千五百円の算定根拠を大変詳しく書いてくれているのですが、粗利益をトン当たり二万五千円として計算をしていくとつまり斗缶当たり四千五百円になるんだ、こうあるわけです。ただ最後の方にこう書いてます。「合理化の進んだメーカーからみれば」この粗利益をトン当たり二万五千円と見込んだのも「余裕のある数字となっているだろう。」こういうふうに書いております。  現在既に一斗缶は、先ほどのお話にもありますように五千円、それをもう超えるところまで行っております。合理化の進んだメーカー、豊年や日清や味の素、そういうところは、つまりはこの熱波の影響による大豆の値上がり、そういうものに便乗して必要以上に上げているということになりはしませんか。不当なものとは思われませんか。
  98. 増田正尚

    ○増田説明員 御説明いたします。  私どもといたしましては、食用油につきましては、国民の基本的な食糧であるということで、安定的な供給を図るよう極力業界を指導しているところでございます。  食用油の価格につきましては、原料価格が市況商品でございましていろいろ変動いたしますし、また製品価格につきましても、業務用、加工用、家庭用といろいろ用途がございまして、それぞれの価格形成条件が異なるということがございますし、また食用油を製造いたしますときに併産品として油かすが大量に出るわけでございますが、この価格も変動するということで、食用油の価格がどの程度が妥当であるかどうかということを判断するのは非常に難しい問題でございます。  ただ、現在の業務用市況の状況につきましては、ただいま出回ります食用油につきましてはその原料は五月のものになるわけでございますけれども、五月といいますのは非常に輸入価格が高騰していた時期ということでございまして、そうした状況考えますと、現在の水準というのはある程度はやむを得ないものがあるのではないかなというふうに思っております。しかし、最近の国際価格から見ますと現在国際価格が低下してきておりますので、それに比べますとやや高いのではないかというふうに見ております。
  99. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 一度この業界誌をごらんになってくださいな。大変玄人らしく、トン当たり三百五十ドルで大豆が入ったときに粗利益を二万五千円とはじいて、それを油かすとそれから油に分けて、結局かなり合理化の進んだメーカーはゆとりのある利益になるんだということを書いているのです。過去のを調べましたら、おっしゃるように大体輸入の大豆にふさわしい油の価格になっているかというと、そういうことじゃありません。初めに計算ありなんです。私は今やや高目だとおっしゃったことだけは確認をしておきたいと思いますけれども、一貫して弁解しておられる。  業界を指導されておるとおっしゃいますけれども、これも業界の指導でしょうか。今、私はここに業界誌を持っていますが、この業界誌の中に、大豆油が大変高騰してきた、つまり農水省が指導していただかなければならないことしの一月の二十日に「浅草・草津亭において製販懇談会を開催し、地方会員代表から交々意見が述べられた。終って懇親会に移り四十名近い参加者でまことに盛会であった。来賓各位多数、メーカーは各社であった。豊年製油、日清製油、昭和産業、味の素、吉原製油、」というふうに並んで、驚いたことに食品油脂課から、大変恐縮ですが、課長の名前も入っていますね、増田課長、渡辺課長補佐、西野植物油脂係長、さっき論文を書いた方も入っているんです。  私はこの業界誌をずっと調べてまして、どうしてこんなに油が上がっているのかなというのでずっと読んでいるときに、これを見て実は大変びっくりしました。一体この懇親会、草津亭で、なかなかの場所だと思いますが、どんな指導をされたんですか。
  100. 増田正尚

    ○増田説明員 ことしの一月二十日の問屋さんを中心といたしました会合につきまして、私も出席いたしましてあいさつをいたしましたことは事実でございます。  私どもといたしましては、やはり生産者、それから流通業者あるいは私どもも含めまして、それぞれの立場は異なりますが、状況の把握等について意見を交換するということが非常に重要だと思っております。こういう新年会あるいは総会等につきまして、私ども機会がございました場合には、やはりそういう生産者あるいは流通業者にも、社会的責任ということを強調いたしまして、国民への安定的な供給ということを常に訴えております。そういうことを述べる機会としてはなかなかいい機会ではないかなというふうに考えております。
  101. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 国民の目から見たら大変疑問に思わざるを得ません。何でわざわざ浅草くんだりまで行って、草津亭で指導せんならぬのかなと。そうでしょう。状況の把握なら、その重要さは私もよくわかります。指導の大切さもわかります。そして、それは何も相手とけんかばかりしていたら通ずるものではなしに、やはり一定のコンセンサスの中で生まれてくるものですから、それもわかります。しかし、大変社会的に食用油が上がったということが言われ出して問題になってきている時期、私は去年農水委員会でこの大豆の熱波の影響の問題についても質問いたしました。そのときも、業界を厳しく指導してという御答弁であったかと思います。そういうふうに厳しく指導していかなければならないときに、わざわざ草津亭まで行って、そうして状況の把握が重要だから流通業者やメーカーと懇親会をやったんだなどというのは、全く国民の側から聞いていると不可解千万、こんなことはとっても納得ができないわけです。だから先ほどのように私は、今の価格が、メーカー自身、業界自身が試算をしてそれを目指していっている、そして、もうそのラインをはるかに超えている状況になっているのに対しても随分弁解をされているんじゃなかろうか、こういうふうに思います。  業界関係者にいろいろ話を聞いてみました。食用油は消費者物価指数年報を見てもよくわかりますが、五十五年を一〇〇として、さかのぼって五十一年が一〇六・〇、五十二年が一〇四・八、五十三年が一〇三・〇、五十四年が九九・六、そして五十五年を一〇〇と見たら五十六年が一〇一・一、五十七年が九九、こういうふうに非常に物価安定の優等生であったわけです。これに対して業界は価格の引き上げの機会をねらっていました。そういうことなんです。今回の値上げは、昨年の熱波による大豆減産に伴ういわば千載一遇のチャンス、こういうことであったわけであります。そして業界は出荷制限を始めました。安定供給ということで指導しておられたでしょうが、市場は出荷制限で悩まされるようになりました。そして価格の引き上げに成功していったんです。農水省はこのことをどう考えておられますか。
  102. 増田正尚

    ○増田説明員 御説明いたします。  業界指導のあり方につきましては、先生に若干誤解があるのじゃないかなというふうに思います。業界を指導いたしましたのはその一月二十日だけの時期ではございません。たまたまそれは業界誌に紹介されているということでございまして、それは問屋団体の主催をする会合が草津亭で開かれたということで、私どももそこへ行きまして、全国から関係の問屋さんが集まるという機会でございますので、いろいろ説明したということでございます。それ以後につきましても、私どもといたしましては、随時流通業界あるいは業界等につきまして、私どもの方にいろいろ来ていただきまして指導をいたしております。  それから価格につきましても、今の価格というのは、基本的には国際的な端境期が今来ているということでございまして、それが基調にあるということでございます。幸い菜種につきましてはかなりの生産増加が見込まれておりますし、また菜種油につきましての……(藤田(ス)委員「聞いていることに答えてください。出荷制限のことを聞いているんです」と呼ぶ)私どもといたしましては安定供給を指導しておりまして、そういう出荷制限をしている等につきましては私どもとしては把握しておりません。
  103. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは大変不勉強ですよ。そんなことがまともな答弁だというふうに思っていらっしゃるんですか。私は、この質問のためにここしばらくずっと資料を集めただけでも、なるほどお豆腐屋さんが言うように、てんぷら屋さんが怒るように品不足が出ているなと。私自身が直接業者の皆さんから聞いたニュースと、それから「バーゲン姿消す」と日経新聞に出ましたが、実際に私も何軒かのスーパーを歩いてなるほどなということで、こんなもの素人でもあれですよ、業界関係者は言っていますよ、出荷制限は一割から二割、これはもう常識の話になっている。こんな当たり前のことをつかんでおられないなどというようなことで、何で価格指導になるんですか。どういうことなんでしょう。
  104. 増田正尚

    ○増田説明員 私どもといたしましては、現在の置かれている状況からある程度の価格の上昇はやむを得ないというふうに考えております。しかし、量的な意味での安定的な供給を図るということは非常に重要でございますので、生産者あるいは流通業者に対して安定的かつ円滑な供給を図るよういろいろ指導しておりまして、そういう出荷制限はないように私どもの方としては指導しております。
  105. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 出荷制限がないように指導しておられることは先ほどのお話でわかるのです、そう言っておられますから。そのことを否定しているのじゃないです。だけれども、出荷制限が現にあるのを全然認められないということは、結局ちゃんと現状把握をしていないじゃないですか。メーカーや流通業界の話は聞いても、国民の生活の方にはあなたは目を向けられないのでしょうか。私は大変残念なんです。  実際に今の大豆油の在庫状況を見てみましても、必ずしもこの時期、つまり八三年からことしに至って、特に品不足が出てきた四月の在庫あるいは五月の在庫を見ても、ここ二、三年前と比較をして必ずしも特に少ないということじゃない。だけれども、品不足が出てきている。これはもう出荷制限をやられている、そしてそれが高値を呼んできている、こういう筋書きになっているのを、どうしてそんなふうに、指導するとか安定供給だとか言っておきながら実際にそれを見ようとしないのか。そこに草津亭の問題があるということを言っているわけなんです。  きょうは公正取引委員会が来ておられます。過去に公正取引委員会は油脂業界に立ち入っているというふうに聞いておりますけれども、その状況はどうだったのか。また、現在大豆油の出荷制限は、大豆かすの売れ行きが悪いからというような理由、そういうような先ほどの御説明にあったような理由からではなく、明らかに価格の引き上げをねらっている、そのことはもう業界誌が既に昨年の十一月からちゃんと論文に書いて、そういう筋書きをつくって進めてきているということも明らかであります。そして各社一斉の生産調整、価格引き上げの中で出荷制限がなされてきているわけですが、これにどう対応するおつもりなのか、明らかにしていただきたいわけです。
  106. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、公正取引委員会は、食用油業界に対しまして四十三年七月と四十九年十一月の二回、生産調整等を行って独占禁止法に違反しているのじゃないか、そういう疑いで調査を行ったことがございますが、違反行為が既往のものであったというような事情から、四十三年七月の場合には注意を行って今後を戒めるということをいたしました。それから四十九年十一月の場合には、二度目でありますので、これは厳重な文書警告を行うという措置をとっておるわけでございます。  なお、最近の価格、あるいは一部の新聞報道等によりますと生産調整を伴う出荷制限などもあって価格も上がっているというような事実は、私ども承知しておるところでございまして、価格が市場の正常な行為によらず、違法な行為で行うようなこと、そういうような疑いを示す具体的な端緒がございます場合には、これは言うまでもなく法に従いまして厳正に対処してまいる、こういう考えでおるわけでございます。
  107. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農水省、今の公取委の発言をよく胸にとどめておいてください。知らぬ存ぜぬを決め込むというようなひきょうなまねはしないでいただきたいと思います。  状況は、大豆油だけではないのです。この間、五月二十一日に日本マーガリン工業会の小川会長が、大豆油価格の上昇を理由にしてマーガリンの値上げを宣言しました。そして、その他の加工油脂あるいはマヨネーズも一斉に値上げをねらっているのです。マーガリン、それはもちろん家庭用だけじゃありません、半分以上業務用に回して使われています。そして、学校給食用のマーガリンというようなものも随分、年間四千トンくらい使われているのですね。だから、その波及的効果というのは非常に大きいわけです。この点、どういうふうにこうした問題に対処していこうと思われるのか。  同時に私は、経企庁にもお伺いをしておきたいと思います。この問題については私はいささか農水省に対して不信を持っておりますので、特に経企庁にお願いをしたいわけなんですけれども、その価格高騰について、経企庁としても一層物価安定のために対応をしていっていただきたい。この点でお伺いをしたいと思います。
  108. 増田正尚

    ○増田説明員 加工油脂の問題につきまして、その原材料の多くが植物油脂を使っているということでございますので、今の値上がりに関連いたしましていろいろな状況があるというふうに存じております。私どもといたしましては、マーガリン業界あるいはマヨネーズ・ドレッシング業界に対しまして、油脂業界とよく連絡を取り合って、現在の需給状況あるいは今後の見通し等について明確な状況把握を行って、それに基づいた対応をしていくよう指導いたしております。
  109. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 私どもも、ここ何カ月か前から食用油が上がっているという声を各地から聞いておりまして、それについて実情の把握に努めてきたところでございます。ただ、基本的な原因は、やはり昨年の熱波が一番大きい意味があるということでございまして、ことしの秋の収穫はかなり豊作が期待されるという話もございますので、そういう時期が来れば当然解消いたしましょうから、それまでの間、御指摘のように便乗値上げであるとかあるいは売り惜しみであるとか、そういうことのないように十分周知徹底方を図っていきたいと思っております。特に、各地の消費者の方々が、一部値上がりしたということで先行き心配を持ってまたあわてて買いに走るというようなことになりますと大変問題でございますから、そういうことのないように対処して理解を得てまいりたいと思っております。
  110. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この問題は、時間が参りましたのでこれで終わります。  最後に、私はきょう通産省の方にもお願いをしておりまして、時間がなくなってまことに恐縮でございます。ただ、一問だけお伺いをして、終わりにしたいと思います。  訪販法や割賦販売法の改正でいろいろと御苦労をいただいて、その点では前進したというふうに思っておりますが、役務が取り残され、まだまだそういう点では手を変え、品を変え、悪質なそういう問題が残っております。  早速でございますが、具体的には、ことしの一月に秋田県で起こりましたエルムという出版会社の問題で、消費者被害が起こっているわけなんです。これは果たして消費者かというようなことも言われていたということで対応がおくれたというふうに、しかし、被害者の方はその厳しい対処がなされなかったのじゃないかというようなことも言っているのです。ともあれ、児童用の教材を販売するそういう専門販売契約を結んで、百六十万円も資格信認金などを支払わせながら実際の話は全く裏腹のものであったということで、通産省もごあっせんをいただいたことを私はよく知っております。  ただ、エルム出版はその後倒産をいたしました。こういうケースで倒産するというのは、これまた一番被害に輪をかけてまいります。せっかくあっせんをいただいた件でございますので、この点は通産省の名誉にかけてひとつ最後まできちっと対応していただきたいし、御指導をお願いしたいわけでございます。
  111. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 御説明申し上げます。  ただいまのエルム出版にまつわる件でございますけれども、確かに、エルム出版とただいまの被害者という方との間の代理店契約、これがこじれまして、最終的にはこの契約を解消したいという話に進んでいったことは事実でございます。  それでこの問題、法律的に論じますと、代理店契約でございますのでなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、私どもは、事案の中身をよく見ましたところ確かにお気の毒な点がありますので、何とか被害者の方が救済されないかということで企業を指導いたしまして、今先生からお話がありましたように、納付したお金を、全額ではございませんけれども返すということで合意書の作成までこぎつけたわけでございます。その後、エルム出版は五月になりまして不渡りを出しまして、倒産というところまではいってないようでございますが、現在再建のための努力を続けている、こういう状況でございます。  私ども、こういう不幸な事態に企業がなってしまったので若干当惑しているわけでございますけれども、やはり一度合意したこと、特に被害者がいるということでございますので、この合意の中身は何とか優先的に扱うべきであるというふうに考えておりまして、企業に対してもそういう指導を行っております。今後とも、その趣旨に従って極力この合意が達成できるようにエルム出版を指導していきたいというふうに考えております。
  112. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りました。どうもありがとうございます。
  113. 金子みつ

    金子委員長 次に福岡康夫君。
  114. 福岡康夫

    ○福岡委員 私の子供時代には考えられていなかったことでございますが、いわゆる空気と水は無料だというのが私の子供時代の概念でございましたが、ところが去年からことしにかけまして水が売られておる。空気と水、無料であったと考えていたその水が値段のあるものとして商戦市場に出ておる。こういう問題につきまして、私の方にもいろいろ消費者の皆様方から瓶詰の水が持ち込まれ、カタログ等持ち込まれまして、水というのは一体どうなのか、一般の消費者の方が興味をお持ちな問題でございますので、この問題についていろいろ取り上げて関係当局に御質問してみたいと思うわけでございます。また、テレビ、新聞等においても、なぜ売れる瓶詰の水、名水ほど人気、また私が聞くところによりますと輸入品もある、アメリカ、カナダ、韓国、フランスの水、これが国内の市場に出回っておるというような現象がございますので、いろいろお尋ねしてみたいと思うわけでございます。  これに関連して、まず第一に厚生省にお尋ねしたいのでございますが、最近ミネラルウオーター、ナチュラルウオーターまたはおいしい水と銘打って水が売られておりますが、ミネラルウオーターを製造販売しようとする者は食品衛生法第二十一条及び食品衛生法施行令第五条の十五の規定によって都道府県知事の営業許可が必要だ、こういうように聞いておるのですが、この点についていかがでございますか、お答え願いたいと思うわけです。
  115. 玉木武

    ○玉木説明員 先生御案内のとおり、ミネラルウオーターを製造しようとする者は、食品衛生法第二十一条に基づきまして、清涼飲料水製造業として都道府県知事の許可を受けなければならないこととされております。
  116. 福岡康夫

    ○福岡委員 昭和五十八年に、ミネラルウオーターを販売して、無許可販売業者として都道府県知事によって摘発及び行政指導を受けた者は何件くらいございますか。
  117. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  炭酸飲料、果実飲料、ミネラルウオーター等個別食品ごとの統計までは把握しておりませんが、昭和五十八年におきます清涼飲料水全体の行政処分としましては、営業の禁止命令二件、廃棄命令一件、回収命令等その他の処分が六十一件ございまして、無許可営業で告発した件数はゼロでございます。  以上でございます。
  118. 福岡康夫

    ○福岡委員 では重ねてお尋ねしたいのですが、現在、国内の清涼飲料水製造業者の許可数は何件か、そのうちミネラルウオーターの製造業者は何名くらいおるのか、昭和五十八年の清涼飲料水販売業者の販売量の何%くらいを占めておるのか。シェアについては推定で結構でございますが、ひとつお答え願いたいと思います。
  119. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  昭和五十八年末現在、炭酸飲料、果実飲料等の清涼飲料水を製造しております施設は二千五百七十九施設になっております。炭酸飲料、果実飲料、ミネラルウオーター等の個別食品ごとの統計までは把握しておりませんので、二千五百七十九施設の内訳としてミネラルウオーターの製造施設をお示しできませんけれども、ミネラルウオーター製造関係団体からは、団体に加入しておる製造業者数は四十一社、四十八工場であると聞いております。ミネラルウオーター製造関係団体からは、国内で製造された清涼飲料水のうちミネラルウオーターが占める割合は一・五%であると聞いております。  以上でございます。
  120. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、ミネラルウオーターの販売量の推移を、昭和五十六年、五十七年、五十八年の三年について、推定で結構ですから御説明の上、五十九年の見通しについて御見解を承りたいと思うのです。
  121. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  正確な統計数字としては把握しておりませんが、ミネラルウオーター関係団体から聞いた資料でございますけれども昭和五十六年で販売量が七万四千キロリットル、販売総額が九十三億ということになっております。五十七年が販売量七万五千キロリットル、九十六億円、五十八年が七万八千キロリットル、九十八億円、五十九年も推定でございますが、八万五千キロリットル、百六億円くらいの売り上げになるであろう、このように申しております。  以上でございます。
  122. 福岡康夫

    ○福岡委員 ミネラルウオーターは輸入品も相当数出回っておると聞いておりますが、元売業者の数及び輸入品の販売量が国内生産販売量のどのくらいのシェアを持っているのか、お聞かせください。
  123. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  輸入業者数の正確な統計数字は把握しておりませんけれども昭和五十八年におきますミネラルウオーターの輸入届け出件数が三十七件であることから、同一業者が複数回輸入していないものと仮定しますと、最大で三十七社がミネラルウオーターを輸入しているのではないかと考えております。また、ミネラルウオーター製造関係団体からは、国内で販売されておりますミネラルウオーターのうち輸入品の占める割合は大体一・四%である、このように聞いております。
  124. 福岡康夫

    ○福岡委員 しからば、今までの事情いろいろお聞きしますと、厚生省もこの水が商品として国内市場に爆発的人気を得ていろいろ出回っておるということは御認識のようでございますが、これに対して厚生省は、環境衛生法上どのような対策を今までにおとりになっているのか。いろいろおとりになった、また、これからの対策をお立てになる見通し等について、お聞かせ願いたいと思います。
  125. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  先生御存じのように、このような清涼飲料水関係には食品衛生法で規格基準が設定されております。したがいまして、この規格基準でもってミネラルウオーターに対しても対応しておるということでございますが、ちなみにこの規格基準内容を申し上げますと、製造基準としては原水の要件を決めております。この原水の要件と申しますのは、水道水の水質基準に適合したものということになっております。ただし、硬度と出は除外されております。さらに加熱殺菌要件が決められておりまして、八十五度Cで三十分間加熱すると規定されております。そのほか、成分規格として大腸菌群が陰性、また砒素とか鉛とかカドミウム等の有害重金属が検出されてはならない、このような規定を設けております。  これらの規格基準に違反した場合におきましては、都道府県におきまして製品の回収とか廃棄とかを行いまして、適正な製造販売が行われるように対応いたしております。
  126. 福岡康夫

    ○福岡委員 きょうまでに何らかの措置をおとりになったことがございますか。
  127. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げたわけでございますが、ミネラルウオーター個別食品での統計は持っておりません。しかしながら、清涼飲料水関係全体ではそれ相応の対応をいたしておりまして、先ほどちょっと申し上げましたように営業の禁上命令が二件ございますし、そのほか回収命令等の処分をしたものが六十一件ございますが、その中にミネラルウオーターがどの程度含まれておるかという統計は、今のところ十分精査いたしておりません。また文書でもって御回答申し上げたいと思います。
  128. 福岡康夫

    ○福岡委員 今の御発言を聞いておりますと、清涼飲料水全般的にはいろいろ対策は練られているが、特にミネラルウオーターの問題についての厚生省としての環境衛生上の対策は講じていない、こういうように私は理解させていただきますが、いかがでございましょうか。
  129. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  御指摘の点でございますが、確かに清涼飲料業界全体の中に占めるミネラルウオーター関係の業界は小そうございまして、対応が十分とまでは言えないかもしれませんけれども、今までのところ我々が各県から聴取した情報によりますと、それ相応の状況の中で営業活動が行われている、このように考えております。  しかし、御指摘にございましたようにこれは生産量が年々ふえておりますし、また外国からの輸入もふえる可能性がございますので、ミネラルウオーターに対する対応については、今後関係業界と十分連絡をとりながら、あるべき姿での行政対応を考えていきたい、このように考えております。
  130. 福岡康夫

    ○福岡委員 実は現在、一般の成人対象ではなくて、赤ちゃんのお水という、赤ちゃんを対象の水が賞味期間一年というような形で市場に出回っているような事実もあるわけです。私の方に一般の消費者のお母さんから、一年間の賞味期間で赤ちゃんのお水は果たして大丈夫かという問い合わせが相当数ございます。  そういうように赤ちゃんを対象にしての水、それも賞味期間が一年と表示して行われている現状につきまして、厚生省自体は緊急を要してこういう問題は対処しなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。
  131. 玉木武

    ○玉木説明員 御指摘の点につきましては、我々は十分な情報を持っておりません。現在、御指摘ございました中身につきましては早急に精査いたしまして、どのような内容でもって赤ちゃんの飲料だというようなことをいたしておるのか、もし問題があるようであれば、食品衛生法に従いまして対応を考えたいと思っております。
  132. 福岡康夫

    ○福岡委員 この問題については、大人でなくて赤ちゃん、一番弱い体でございますので、厚生省もいろいろお忙しいと思いますが、きょう現在において一般消費者がこの水の環境衛生の問題について、特に赤ちゃんのお水について非常に関心を持っておりますので、ぜひとも母親の不安をぬぐうようにできるだけ早急に対策を講じていただきたいと考えます。  次に、例えばミネラルウオーターの製造販売業者が万一都道府県知事の許可を受けないで販売していたことが判明した場合は、厚生省はいかなる措置をおとりになるのか。といいますのは、私がその前にお尋ねしたいのは、ミネラルウオーターで無許可業者があるのかどうか、厚生省で全国的に一度ぐらいでもお調べになったことがあるのか、それをお聞きの上、もしそういう者が販売していたことが判明した場合はどういう措置を緊急におとりになるのか。
  133. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  無許可営業をやっているかいないかのチェックをしたかという御指摘でございますが、残念ながら、そういうチェックを現在までいたしておりません。しかし、このような問題に対しては現在とみに各県の食品衛生監視員の中で関心が高まっておりますので、現在のところ無許可営業者はいないものと考えております。  それと、先ほどの許可を受けないで販売した場合にはどのような処置を講ずるかという御質問でございますが、許可を受けずにミネラルウオーターを製造しておりました場合は、当該の都道府県において当該営業者を無許可営業ということで告発することができることになっております。また、衛生上危害を及ぼすおそれがあるものであれば、その製品を回収させるというような措置を講ずることになっております。
  134. 福岡康夫

    ○福岡委員 自然の水及びおいしい水、ミネラルウオーターが、厚生省が示されております製造基準及び成分規格を下回る基準で国内市場に出回っている場合には、いかなる対応をされるつもりでございますか。
  135. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  先ほど製造基準とか成分規格について御紹介したわけでございますが、このような規格基準に違反しております場合には、都道府県におきまして営業者に対し製品の回収、廃棄等を命ずることになります。
  136. 福岡康夫

    ○福岡委員 次にお尋ねしたいのですが、食品衛生法第十一条に基づくミネラルウオーターの販売についての表示が十分であるというのは、どの程度までを指しておるのか。表示禁止規定があるので、ちょっとお尋ねしたいのです。
  137. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  ミネラルウオーターに対しましては、食品衛生法に基づきましてその名称、製造所の所在地、輸入品にあっては輸入業者の営業所所在地になります。それから製造者の氏名、輸入品にありましては輸入業者の氏名ということになります。それに製造年月日、表示義務が必要な添加物を使用しているものにあってはその添加物名を表示するという必要が出てまいります。  なお、製造年月日につきましては、ガラス瓶またはポリエチレン製容器包装におさめられたものにあってはこれを省略できるということになっておりますが、紙栓をつけたものでは製造年月日をつけなければならない、こういうことになっております。  以上であります。
  138. 福岡康夫

    ○福岡委員 昨年から水が商品としてどうしてこのように販売されるようになったのか、厚生省はどういうようにお考えでございましょうか。
  139. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  この辺の考え方はなかなか難しいわけでございますが、我々としましては、国民の生活水準が向上してまいりまして、天然、自然というものに対する一種のあこがれといったようなものが根底にあるのではないか、このように考えております。
  140. 福岡康夫

    ○福岡委員 これに関連してですが、厚生省は有識者を募っておいしい水研究会を発足させた、こういう新聞記事がありますが、この会の目的及びその結論はいつごろ出るのか、お伺いしたいと思います。
  141. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明いたします。  これは、水道のサイドからいろいろ研究しようということでございますが、先ほど食品保健課長も御説明いたしましたが、近年国民の嗜好が高級化しているというふうなこともありまして、水道の水についてもおいしい水を欲しいという声が高まっております。また他方、一部の地域では水道の水が季節によってまずいという声もあるわけでございます。  これからの水道行政をどう展開していくかということにつきまして、去る三月でございますけれども、厚生大臣の諮問機関でございます生活環境審議会から「高普及時代を迎えた水道行政の今後の方策について」という答申をちょうだいいたしまして、その中にも水道によって今後はおいしい水の供給を目指すべきだという提言が入っておるわけでございます。そういうことで、厚生省といたしましても、今後国民のそういった要請にこたえまして、水道の方でできるだけおいしい水を供給していくことを誘導する必要があるというように考えておるわけでございます。  お尋ねのおいしい水研究会でございますけれども、研究会のメンバーは水質の御専門家、これは化学者でございますが、それから味の鑑定のできるような非常に感覚のすぐれた方、あるいはお料理などの専門家、こういった方にお集まりいただきまして、おいしい水というのはまずどういうふうなものかということについて研究することを目的としておりまして、六月にスタートしたところでございます。  これからずっと研究を続けまして、一つは水のおいしさを決める要件、これを数値化できるものならしてみたい。それから、日本の各地のおいしい水、水道水の例というのもどんなものがあるのかというふうなこと、それから水をおいしく飲むための条件などについて研究したい。私ども事務局といたしましては、今年度いっぱいにこの結論を出して、それに合わせたおいしい水、しかも安全な水を供給していくということを考えておるわけでございます。
  142. 福岡康夫

    ○福岡委員 最後に、厚生省にお尋ねいたします。  水を商品として販売されるという新たな問題につきまして、水道行政、環境衛生行政を担当しております厚生省としては、総合的な対策をどうとるのか、この御見解をひとつお聞きしたいと思います。
  143. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、おいしい水研究会を主宰しております担当課の行政とも連絡を密にいたしまして、ミネラルウオーターを含め、食品による衛生上の危害発生を防止するために万全を期してまいりたい、このように考えております。
  144. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、表示行政を担当しております公正取引委員会お尋ねいたします。  表示には自然の水とか天然の水とかいって、店頭で水が今まで私が申しましたように売られておるわけでございますが、その中身の水が水道の水とか通常の井戸の水といった場合や、また輸入品もあるのでございますけれども、その中身の水が、韓国の水とかアメリカの水とかフランスの水とかいって事実上は日本国内の水といったような場合には、景品表示法の不当表示の問題になるのかどうか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  145. 利部脩二

    ○利部政府委員 お答えいたします。  まず、韓国の水とかカナダの水とか称して実は日本の水であった、そういう表示をして商品として水を販売している場合ですと、景品表示法の不当な表示に当たります。  それから、水道の水を天然、自然の水と称して売るような場合も、景品表示法の不当な表示に当たるおそれが非常に濃いと思います。
  146. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで、公正取引委員会に御見解をお聞きしたいのです。  食品衛生については公正競争規約を業種ごとにおつくりになっておるものが相当数ございますが、ひとつ公正取引委員会も、一般消費者保護のため、また業者間の公正な競争のためにも、このミネラルウオーターの公正競争規約の設定をミネラルウオーター販売業界に積極的に指導していくお考えはないのかどうか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  147. 利部脩二

    ○利部政府委員 お答えいたします。  まことに遺憾なことでございますが、私どもの方でまだミネラルウオーターなり天然の水なりについて関心を持って調べていたことはございませんので、本日御質問を受けましてこれから考えてみたいと思いますが、業界の規模なり消費者の求めているところは何か等々を検討いたしまして、消費者の不利益にならないように、公正な商売をしている事業者が正当な利益を上げられるような、そういう状況が好ましいわけでございますから、そのために公正競争規約が有益であるということであれば、そういう指導をいたしたいと考えております。
  148. 福岡康夫

    ○福岡委員 私の方に申し入れている消費者の代表の方等は、この水の問題については表示そのものを信ずるしかないのだ、ほかに信じようがない、無色透明であるし、どっちから見たってどうにもならぬ、そこで特にこのミネラルウオーターについては自然の水、天然の水というのにはひとつ表示規約をつくっていただいて一般消費者の保護をやっていただきたいという申し入れが多々ありますので、こういうことも御認識の上ひとつ積極的な御指導をお願いしたい、かように考えますが、御見解をちょっと伺います。
  149. 利部脩二

    ○利部政府委員 御趣旨まことにごもっともなことだと思います。そういった方向で進めていきたいと存じます。
  150. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、次に私はボイラーの問題について、いろいろ労働省当局にお尋ねしたいと思います。  ボイラ協会がボイラー業界にとってどのように役立っておるのか、ひとつ労働省の御見解をお聞きしたいと思います。
  151. 加来利一

    ○加来説明員 御説明申し上げます。  日本ボイラ協会は社団法人であるわけでございますけれども昭和二十一年十一月に設立されたもので、同協会の現在の定款によりますと、設立の目的は「ボイラおよび圧力容器ならびにこれに附属する機械器具による災害および大気汚染等を防止し、あわせてこれらの進歩発達と熱経済に資すること」とされているわけでございます。  さらに、同協会は、ボイラー、圧力容器の構造やその製造、それから使用に関する調査研究を行う、それも一つございます。それとともに、労働安全衛生法に基づきまして、検査代行機関、それから個別の検定の代行機関として、労働大臣の指定を受けて検査、検定業務を行っておりまして、これらの事業を通じまして、それぞれボイラーや圧力容器等によります労働災害の防止に資している、このように考えているわけでございます。
  152. 福岡康夫

    ○福岡委員 労働省の方で、今おっしゃいましたボイラーの検査でございますけれども、ボイラ協会にボイラー検査も代行してやらしておる、そういうお話でございましたけれども、これに対する検査の料金、これはどういう推移になっておりますか、ひとつお聞かせください。
  153. 加来利一

    ○加来説明員 御説明申し上げます。  検査は、代行検査と申しておりますように、本来労働省が直接行うべき検査を代行機関であるボイラ協会に代行させている、こういう筋書きでございまして、検査手数料につきましては、国が行う場合の手数料を算定をいたしまして、そしてそれが国が行う手数料になるわけでございますが、ボイラ協会の場合につきましては、それに準じましてボイラ協会の方で業務規程という形で手数料を定めまして、それを労働大臣が認可をする、こういう形になっております。
  154. 福岡康夫

    ○福岡委員 私が聞いているのは価格ですね。これの価格の推移が幾らになっておるのか、おっしゃっていただきたい。検査料です。
  155. 加来利一

    ○加来説明員 検査料は非常に各種の種類に分かれておりますので……(福岡委員「標準物で結構でございますよ」と呼ぶ)若干の例で申し上げさせていただきたいと思います。  まず、ボイラーにつきまして性能検査という検査がございます。これらにつきましては、現在、大きなボイラーと小さいボイラーで相当差があるわけでございますけれども、伝熱面積といいまして熱を伝えます面積がございますが、これが五以上十平方メートル未満のものにつきましては現在一基当たり一万二千円、このぐらいになっておりまして、さらに非常に大きなボイラーでございます七百平方メートル以上のものにつきましては四万五千円ということになっております。
  156. 福岡康夫

    ○福岡委員 小型ボイラーは幾らですか。
  157. 加来利一

    ○加来説明員 小型ボイラーにつきましては検定手数料ということになっておりまして、これは一基当たり現在五千七百円でございます。
  158. 福岡康夫

    ○福岡委員 その値上げの日にちはいつですか。
  159. 加来利一

    ○加来説明員 五十九年六月一日でございます。
  160. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで労働省にお尋ねしたいのでございますが、ボイラ協会は、今課長お話をいろいろ聞いていると、ボイラーのユーザーやメーカーが会員となって最初つくられたものである。昭和五十五年度及び五十七年度の一般会計の決算書及び検査特別会計決算書等を私、見てみますと、一般会計の規模に比べて検査会計の規模の大きさが目につくわけでございます。  これは見させていただいたわけでございますが、この現象は、ボイラ協会設立当初の目的であるボイラー技術の向上及びボイラーマンの指導等といった本来の目的を逸脱して、収入増のみを図らんとする体質に変わっていると見受けられるわけでございますが、この点について、ボイラ協会の監督官庁である労働省はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  161. 加来利一

    ○加来説明員 御説明申し上げます。  先生が申されました社団法人日本ボイラ協会の五十五年度、五十七年度の決算額、一般会計につきましては、例えば五十七年度でありますと、二億九千九百十万円となっております。それから検査特別会計の方の決算額は、同五十七年度は三十一億九千万円で、確かにこちらの額の方が非常に大きいということは承知しているわけでございます。  ただ、ボイラ協会は、先ほど申し上げましたように、大きく分けまして二つの性格を持っているわけでございまして、一つは、先生御指摘のボイラーの発展といいますか、安全性の確保についての学術団体的色彩を持つ部分であります。いま一つは、国が行います検査の代行、こういう部分になるわけでございまして、国が行います検査の代行部分についても、適正な検査を実行できるという観点からボイラ協会にお願いしているわけでございます。したがいまして、その部分について、最近急激に基数が伸びているということでは必ずしもございませんが、実施しております検査の基数が多いために会計としてはこのように大きな額になってきているわけでございます。  さらに一言申し上げさせていただきますと、この特別会計の額の中には、検査の代行のほかに、輸出をしますボイラーにつきまして、最近シンガポール等のASEAN諸国等に輸出されるボイラーにつきまして、それらの諸国から、ボイラーの検査を行ったものを持ってきてくれ、こういう要請がございまして、それを行っておる部分もございます。
  162. 福岡康夫

    ○福岡委員 私が財産資料を見てみますと、現在、特定積立金の累計額は二十二億三千三百万円、研修所設立準備金の累積額は二億九千万円となっております。このような莫大な額の留保は、ボイラ協会のためではなくて、どういうことに—先ほど私が聞きましたが、小型ボイラーについても六月に値上げをし、さらに、たしか三月ですか、一度値上げをされておりますね、五十九年の六月から六百円の値上がりだから。どうして急速に一基当たり現在五千七百円と値上げをしなければいけなかったのか。これだけの剰余資金を持ちながら五千七百円へ値上げ、ましてやこれは社団法人ではございませんか。そうですね。社団法人でありながら、そこまでの利益の増収をなぜ図らなければいかぬのか。そして、この六百円の値上げをなぜ行わなければならなかったのか。その根拠を示していただきたい、かように考えております。
  163. 加来利一

    ○加来説明員 御説明申し上げます。  最初の日本ボイラ協会の累積特定積立金及びその研修所設立準備金のことでございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、昭和五十七年度における特定積立金の累計は二十二億八千三百万円、研修所積立準備金の累積は二億九千四百万円となっておるわけでございます。  この特定積立金は、ボイラー、圧力容器などが技術的に著しい進歩を遂げておりまして、検査代行機関である日本ボイラ協会においてもこれに対応した検査を実施できるように試験研究を行う必要がある、こういったことから、この試験研究施設を建設するために計画的に積み立てているものでありまして、また検査員に対して技術の進歩に対応した教育を実施する必要から、研修所を建設するための準備金を積み立てているものと聞いているわけでございます。  なお、これらの計画につきましては、昭和五十九年度の同協会の通常総会におきまして、両計画を一本化して試験研究施設を建設することが認められ、本年度にマスタープランの策定が予定されている、このような計画になっているわけでございまして、このような計画そのものは、適正な検査を行うために基本的に重要なことであり、必要なことと考えているわけでございます。  それから、御指摘の第二点でございますが、先生言われました小型ボイラーの検定料の値上げは、五十五年六月一日に行われました後、五十八年六月一日に五千円から五千百円の値上げが行われまして、その後五十九年六月一日に六百円の値上げが行われて、五千七百円に現在なっているわけでございます。これは、代行検査の部分の収入をこの二年間ほど詳細に見てまいりますと、その部分でこういった累積積立金が出るような黒字になっているわけではございませんで、昨年度等につきましては若干のマイナスも出ている、こういう状況でもございます。これはさらに詳しくこれから調べてみたいと思っておりますが、そういうふうな理解を私どもはしております。
  164. 福岡康夫

    ○福岡委員 私が申しておりますのは、特定積立金の累計額、検査の費目が二十二億三千三百万円、これだけの黒を持ちながら六月にまた六百円の値上げを行った。こういう形についてその根拠が、どうしてそこの値上げをしたのか理解に苦しむわけだし、また、ボイラー業界の皆様方も、どういうことでボイラ協会がそこまでやらなければいかぬのか、黒字があるのに。これはまた任意ではございません。労働省の代行機関でございますから、当然この検査を受けなければいかぬ。それも、自動車とか家電関係と比べまして、ボイラーの場合、一基一基その検定料というのは取られるわけです。一件当たり五千七百円です。これが自動車と家電の場合は抜き取りでございますが、ボイラーの場合は一つ一つおやりになっておられる。そういう形から考えまして、ボイラーの製造、販売量はどんどん伸びていく中において、またおたくの方といたしましてもこの対象を広げるということで検定の対象物件も多くなる見通しもお持ちのようでございますけれども、こういう中でどうしてそこまでおやりにならなければいかぬのか。もう少し、一般の事業者の方にこういう六百円の負担をむしろ還元していただいて、一般のボイラー需要者といいますか事業者が買えるような段階まで労働省もお考えになっていただきたいと思って私はこういう質問をしておるわけでございますが、これについて課長の御見解をお尋ねしたいと思います。
  165. 加来利一

    ○加来説明員 御説明いたします。  先生がおっしゃいます趣旨はよくわかるわけでございますが、この検査ないし検定は労働者の災害を防止することを目的としておりまして、そのためには、労働省が定めております構造規格がございまして、それに適合しているということを個々のボイラーないしは小型ボイラーにつきまして調べることが必要な要件として労働安全衛生法で定められております。  したがいまして、それに要します経費というのは、国が本来行います場合の経費、これらは平均的な検査時間に対する人件費でありますとか旅費でありますとか、それから庁費、検査用機器の購入費等をそのときの物価に応じて積算いたしまして出すわけでございまして、それに従って必要経費ということでいただく、こういう形になっておるわけでございます。したがいまして、ボイラ協会の方の業務規程で先ほど申し上げましたように出してこられました額も、そのようなことで適正な額として私どもは認可をしておるわけでございます。
  166. 福岡康夫

    ○福岡委員 課長、このボイラ協会は民間会社じゃないのです。企業の利益の追求をやっているのではなくて、社団法人なんですよ。そして、今私が何遍もお尋ねしておるように特定積立金の累計額は二十二億三千三百万円あることもあなたはお認めになっております。なぜさらに六百円も値上げをしなければいかぬか、その根拠。それは人件費がどうとか、具体的な数字で示してもらいたいと思うのですがね。これは黒字があって、そしてさらに値上げをしなければいかぬという、それも二度ほど値上げが続いておるわけです。だから、一般のボイラーの業者の皆さんが、何で値上げをしてこれだけの金額を納めなければいかぬのか、累積黒字が二十二億もあるじゃないか、むしろ業者に利益を還元するために検定手数料は引き下げるべきじゃないか。二十二億という金額は非常に大きいのですよ。そういう黒字を持ちながらどうしてそこまで値上げを増進していかなければいかぬかという点について——確かにこれは大事なことです。ボイラーの検定については、これによって被害が起こらないように労働省は十分指導すべきであります。だから、このボイラ協会そのものが、社団法人でおたくの労働大臣の認可の法人でなければ私は何も申しません。その監督のもとにあればこそ、また法的な必要条件であればこそ、業者の皆様方がこれに手数料をお払いになるわけです。いいですか、そういう形なんです。そして、これも私が申しておりますように、自動車とか家電の場合は抜き取りのあれもありますが、ボイラーの場合は危険度の問題から一品一品検査するという形をとっておるわけでございます。そういう面から考えて、ひとつ労働省は、経済的感覚もお考えになってこのボイラ協会の御指導を行っていただきたいというのが私の考えでございますが、いかがでございますか。
  167. 加来利一

    ○加来説明員 先生御指摘の累積積立金でございますが、これは先ほど申し上げましたように、ボイラーの技術の進歩に対応した試験研究と研修のための施設のために積み立ててきている、このように聞いておるわけでございまして、その部分と、それから手数料の部分とのそれぞれの性格につきましては、それぞれ異なったものになるのではないかというふうに考えるわけでございます。  ただ、先生がおっしゃいましたような趣旨もわかるわけでございますので、その辺につきましては今後ともさらに検討をさせていただきたい、このように思うわけでございます。
  168. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま課長は、よくわかる、わからぬことはない、だから検討させてほしい、こういうことですが、どういうように、いつごろまでに御返事がいただけるのか、御答弁願いたいと思います。
  169. 加来利一

    ○加来説明員 お答えします。  この件につきましては、私どもの監督下にある社団法人であるとはいいましても、日本ボイラ協会という独立した法人であるわけでございますので、そちらの意見どももちろん十分に聞くというより、むしろそちらの方で決める話でもあるわけでございますので、その辺につきましてはさらに基本的な観点も含めて内部で検討しなければならないと思いますので、時期につきましては、今ここではお約束はちょっとしかねるわけでございます。
  170. 福岡康夫

    ○福岡委員 課長、この検定料の問題については、労働大臣の認可によって行うのではないのですか。許可権は労働大臣が持っておるのではないのですか。それから、定款、業務規程、規格その他は労働省の指導によって行うようになっておるのではないのですか。
  171. 加来利一

    ○加来説明員 業務規程につきましては、検査代行機関の方で業務規程を定めまして、そして労働大臣に認可申請書を提出して認可を受ける、このようになっております。
  172. 福岡康夫

    ○福岡委員 やはり民間会社と違って社団法人で、労働大臣の認可法人ですから、監督権をできるだけ発動いたしまして、こういうような御指導については早急におやりになることを私は希望いたします。  そこで、そういう問題を私はなぜしつこく言うのかと申しますと、昭和五十八年九月二十五日付の熱産業経済新聞の報ずるところによりますと、安田海上火災保険はボイラ・ターボセット保険料率三〇%の引き下げを五十八年十月一日より実施することとしてあるわけでございます。熱産業経済新聞の報ずるところによりますれば、これは製品の安全性が向上して事故率の減少が理由となっておるというのが現状ではないか、こういう民間動向もございますので、こういう問題も参考にいたしまして、ひとつ検定手数料の問題はお考え願いたい、かように考えます。  次に、現在小型貫流ボイラーは、小型ボイラー構造規格にのっとって設計、製作されて、個別検定を受けておりますけれども、これが通常のボイラー構造規格に合致させて検査に合格するものに設計変更いたしますと、実用上の機能が全く向上しなくても製造原価は三割から五割アップするということになっておりますが、このようなことはユーザーの金銭的、時間的負担も大きく、メーカーの生産は極度に低下することとなりますし、百害あって一利もないので、この点についても労働省の細かい配慮をお願いしたいと思うわけでございますが、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
  173. 加来利一

    ○加来説明員 御説明します。  小型貫流ボイラーにつきましては、他の種類のボイラーに比べて、昭和三十四年に貫流ボイラーの規制を行った際に、比較的危険性が少ないということから、適用区分の規制値を十分の一と下げておるわけでございますが、最近、時間当たりの蒸発量が大きい貫流ボイラーが市場に出てきておりまして、この面から、労働省が設置いたしました学識経験者から成りますボイラー安全性評価研究会におきまして、その安全性について検討を要する、このようにされました。したがいまして、この点を含めて、現在ボイラーの安全性の評価についてさらに実態面から検討していただくために、日本ボイラ協会、メーカー、ユーザー、検査機関等から成るボイラー安全対策委員会を設置していただいておりまして、この委員会で実態に合った区分についての御議論をいただいておるわけでございます。これは小型貫流ボイラーの問題だけではなくて、ボイラー全般の問題についてそういう検討をお願いしておるわけでございます。それらの検討の結果を待ちまして、どのような取り扱いをするか決めてまいりたい、私どもはこのように思っております。
  174. 福岡康夫

    ○福岡委員 小型貫流ボイラーの安全性については、労働省の昭和五十年から五十六年のボイラーの種類別の事故統計によっても明らかでありますが、小型貫流ボイラーがこのように極めて安全であるのにかかわらず、ボイラ協会は製造においては一部許可型ボイラーに繰り入れようとしております。あるいは業者に整備させて代行検査機関に検査をさせるなど、定期自主検査を強化しようとの動きがあると聞いておりますけれども、事実であるかどうか、労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
  175. 加来利一

    ○加来説明員 小型貫流ボイラーに対する定期自主検査を強化するという点につきましては、現在それだけで御意見をちょうだいしておるわけではございませんで、先ほど申し上げましたボイラー全体の安全性の中でそのような方法もあるという形の御指摘をいただいているわけでございます。
  176. 福岡康夫

    ○福岡委員 最終的に総論になってくるわけでございますが、私は日本ボイラ協会はボイラーの安全性の維持にとって何ら役立っているとは思えないとの業界の強い声を聞いておるわけでございますが、ボイラ協会の本来の目的を達するためには、できるだけ制限をなくしていただいて、余り無用な介入はボイラー業界にはやっていただきたくないという業者の声もあるということをひとつ御念頭に置いていただきたいと思うわけでございます。責任等の負担はメーカーや需要家が負担し、検査をすれど何らの責任はボイラ協会はとっておるわけではございません。民間の自主性に任せてやるべきであって、いろいろと規則をつくって過度に業界に介入することは少し考慮すべきではないかと私は思うわけでございます。ボイラ協会が検定という名のもとに干渉するのは行政改革の方向にも時代の流れにも逆行いたすと私は考えておるわけでございます。個別検定を選別検定にするとか、小型貫流ボイラーの規制強化は余りすべきではないのではないかと私も今までの議論から考えておるわけでございますが、この点についての労働省の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。これをもって私の質問を終わりたいと思います。
  177. 加来利一

    ○加来説明員 日本ボイラ協会の使命等につきましては先ほど来申し上げているわけでございますが、なおボイラー等に関します検査制度につきましては、ボイラーが危険な機械であります関係から、労働災害を防止するという観点で従前より設けられておるわけでございまして、現在もボイラーの災害そのものが後を絶っておるわけではございませんので、これらの必要性については変わっておらない、私どもはこのように考えるわけでございます。
  178. 福岡康夫

    ○福岡委員 以上をもって質問を終わらせていただきます。
  179. 金子みつ

    金子委員長 次回は、来る二十六日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会