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1984-06-21 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十一日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君    理事 岸田 文武君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 宮地 正介君    理事 田中 慶秋君       伊吹 文明君    木部 佳昭君       熊川 次男君    中村 正男君       浜西 鉄雄君    福岡 康夫君       塚田 延充君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋  元君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  堀江  侃君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省農蚕         園芸局企画課長 川合 淳二君         農林水産省畜産         局牛乳乳製品課         長       伊藤 礼史君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 鎭西 迪雄君         食糧庁長官官房         総務課長    芝田  博君         食糧庁業務部需         給課長     赤木  壮君         食糧庁業務部買         入課長     森元 光保君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   大塚 和彦君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     山本 貞一君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     関野 弘幹君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  上村 雅一君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 五月十一日  公共料金値上げ反対等に関する請願井上一  成君紹介)(第四七九六号)  同(上田卓三紹介)(第四七九七号)  同(和田貞夫紹介)(第四七九八号) 六月十九日  公共料金引き上げ反対に関する請願梅田勝  君紹介)(第六八一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
  3. 浜西鉄雄

    浜西委員 浜西でございます。  前回のこの物特委員会で、私は電気料金関係関連をいたしましていろいろ質問をいたしました。その中で時間切れ等もあって明確になっていない問題点を、本日は、多少重複するかもわかりませんが、順序を追って質問をいたします。  まずは基本的な物の考え方冒頭質問いたしますが、電気事業公共性、これは私も十分承知いたしております。そのことと、独占性と申しますか、独占企業というものを禁止しておる自由競争社会の中におけるこの問題と、今国会に提案されております電電三法の関連を比較してみまして、いずれも公共性あるいは国益、独占性というものについてはほとんど似通っておるわけです。ここで電電の三法を論議する必要はありませんけれども、それを片方では、私は別の角度から電電の方にもいろいろ関心を持っておりますので、それとあわせて眺めた場合に、電気事業独占性というものについて、過去のいきさつも詳しくわかりませんし、まず基本的な公共事業としての問題点と、競争社会における自由競争によって価格を安定させるというか、あるいは低く供給されていくという原理とこの問題は大変矛盾するような気がいたしますので、まず冒頭に、抽象的でありますが、基本的な物の考え方についてお尋ねいたします。
  4. 山本貞一

    山本説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から、電気事業公共性それから独占的な性格について御質問がございましたが、御承知のとおり、電気と申しますのは国民生活の基本であり、産業活動の源泉でございます。そういう意味で、この電気を安定的に、かつできるだけ安い価格供給するというのが最も重要なことだと考えておるわけでございます。  この電気供給する体制といたしまして、明治時代からいろいろな形態経験されてきました。当初は、もちろん認可でございましたが、複数企業による競争という形で発足いたしました。そのときは特定の需要者電力事業者需要を取り合いするというようなこと、それから設備投資の重複が大変多かったということ、さらには場合によれば倒産による電気供給の停止といったような大変大きな問題があったわけでございます。  一方、そういう経験を踏まえまして、一時発送電について全国一社というか、一形態による供給、それから配電については地域分割という時代がございました。この時代におきましても、ある程度の成果を上げたわけですが、やはり発電送電部門における一社ということの弊害も考えまして、昭和二十五年の終わりごろに基本的には現在の体制に移るような案ができたわけでございます。その後三十数年、現在の地域分割、九電力体制及び沖縄県における沖縄電力という形で推移してきておることは御承知のとおりでございます。  今申し上げました現在の体制で、先生がおっしゃいました競争という点がどういうふうに確保されているかというのを簡単に申し上げますと、一つは九電力体制ということで相互間に相当な競争が行われておるということが申し上げられると思います。電力料金が自分の社が余り高くならないように、それからサービスの質が落ちないように、あるいは停電をしないようにというような形で、各社相当激しい競争をし、切瑳琢磨しておられるところでございます。さらに、電気はある局面ではガスとか石油等と競合しておりまして、需要の奪い合いと申しますか、競争は末端ではかなりの程度で行われておりまして、そういう意味でも電力事業努力というのは私ども現実に目にしておるわけでございます。  さらに申し上げますと、電源開発株式会社を、電源開発あるいは広域運営のために特殊法人として設立しておるわけでございますが、電源開発株式会社電源開発なりあるいは送電という点で九電力会社と望ましい形で競争をしている、あるいは九電力会社に適当な刺激と競争理念を植えつけているという形になっておるわけでございます。  一方、独占を認めておる見返りとしまして、電力企業電気事業法によりまして供給義務を課しておりまして、さらに政府による、あるいは国による各種の規制を行っております。電気料金について公聴会を開いて決めておる、それからいろいろな経理監査あるいは業務の執行につきまして厳しい規制なり監査を行っておるところでございます。その意味で、私どもといたしましては、一方では独占弊害は十分防止されておると考えておりますし、一方では私企業の効率性というのも確保されておるというふうに考えておるわけでございます。過去百年近い経験によりまして、現体制が今考えられる最も望ましい形ではないかと考える次第でございます。もちろん、悠久不変なあるいは絶対的正解というふうに申し上げるつもりはございませんが、私どもとしては、現体制をもとに、さらに電気事業が適正な競争を行い、あるいは料金の安定に努めるように電力会社指導してまいりたいと考える次第でございます。
  5. 浜西鉄雄

    浜西委員 基本的な考え方、今答弁がありましたが、これに私はなぜこだわるかと申しますと、後ほど触れてもいいのですが、今ついでですから言っておきますが、前回の続きにもなります。地域に対して、電力会社協力金名目お金を、悪口を言えばばらまいておるわけですね。果たしてこれが適正な料金を決めることに通ずるかどうか、すべてこれは料金にかかっておると思うので、このことをあえて関連をさせて言うわけです。  私の選挙区の隣になりますけれども島根原発の場合でも、最初から順を追ってみると、前回私が問題を提起いたしましたお宮の屋根だとかあるいは町道だとか、そういうものは大体一億円程度の話で、前回例を挙げましたが、ずっとこれをさかのぼって調べてみますと、膨大なお金が出ておるわけです。これはもちろん関係中国電力になるわけですが、鹿島町に対して、これは島根県の鹿島町ですが、庁舎新築費に、全部で庁舎は十二億円かかっておるわけですが、このうちの八億円が寄附をされておりますね、中国電力から。それからさらにその後、県道と県が管理しております漁港の改修というのですか改築と申しますか、これに二億六千万円ですね。それから、さらにその後、町道改良金額的にはこの場合は大したことはないようですが、九千万円程度でありますけれども、これも全額寄附をいたしております。さらにその後、漁業関係者いろいろ話を詰めておりますが、結局これも四十億円から四十五億円の補償ということに大体決まるようであります。  さらにまだあります。山口県の小野田の火力発電所、この漁業補償は三十二億、それから山口県に対して原発協力金という名目で四億、先ほどから並べ上げた数字を合計しても膨大な金額になると思うのですが、これらが出せるというこの下地は一体何なのか。明らかに独占的な収益の中からそのような金が出せる状況ができ上がっておるのではないかという意味で、私は冒頭申し上げました独占性公益事業としての役割の問題について、大体こういうお金が出るということ自体大変国民には不可解だと思うので、これは電源三法の中からそういうことはやれるようになっておるのでしょうけれども、一体このことが料金決定の際にどのような——料金決定の場合は、総括原価で見るかどうかいろいろ問題がありますが、今私が申し上げました協力金としてはらまかれるお金料金に全く関係がないということなのか、私はあると思っていますけれども料金決定についてのメカニズムというか、もう一度わかりやすく説明してもらいたいと思います。
  6. 黒田直樹

    黒田説明員 お答え申し上げます。  需要の拡大に対応いたしまして、電力会社といたしましては、原子力発電所を初め電源開発に努めているところでございますが、こういう発電所建設にかかわりますいろいろな費用、今先生がおっしゃいましたような協力金あるいは補償費、こういうものは発電所建設価格の一部といたしまして、電力会社経理上は建設仮勘定に原則的には計上されることになろうかと思います。  電気料金査定におきましては、そのうち真実かつ有効な資産と認められるものにつきましてレートペースに算入いたしますし、その後発電所が運転を開始いたしましてからは、減価償却資産といたしまして年々の減価償却に加わり、また減価償却の未償却分につきましてはやはりレートベースに算入する、こういうことで電気料金査定を行っているわけでございます。したがって、その範囲におきましては、協力金あるいは補償費というようなものは電気料金総括原価を構成することは事実でございますが、今申し上げましたように、電気料金査定におきましては、電気事業の安定的かつ適正な遂行のために必要なものを審査してそれを対象にしていくということでございまして、不当に電気料金引き上げになるというようなことはないというふうに考えております。  今先生いろいろ数字をお挙げになりまして、私ども今手元にちょっと持っておりませんけれども、この協力金等につきましてもいろいろな支出の時点があるわけでございまして、現在の電気料金につきましては、先生指摘中国電力につきましては、五十五年の四月に改定が行われております。したがって、五十五年の四月から五十六年三月までを料金原価算定期間といたしまして料金算定を行っておりまして、その後にいろいろ支出されたようなものにつきましては、現在、そもそもそういう電気料金原価算定の基礎にはなっておりません。  簡単でございますが、以上でございます。
  7. 浜西鉄雄

    浜西委員 先ほど最初答弁の際に説明がありました、公聴会など開いて料金を決めるというふうな公共性を維持する立場の返事がありましたが、需要者立場からいいますと、今私が言ったいろいろな協力金名目で出ておるようなお金、これは間違いなく料金にはね返ってくるという見方をみんな持っておると思うのです。極端に言えば、もしこれを一本化して、九電力地域に分割しないで一本化、国営でやった場合に、どれだけ料金を下げることができるかとかいうものを私も試算してみたいと思うのですけれども、極論を言えば、国営でやったらいかがかということさえ言えるのではないかと思うわけであります。したがって、この問題については後日私も十分検討して、再び問題の提起をいたしますが、私から言えば、国営でいった方がむだな投資、むだなばらまきをやらなくて済むというように考えるわけです。まずそのことを物の考え方として一つ言っておきまして、この関係については後日いろいろ検討した結果、また改めて質問したいと思っております。  そこで、料金決定について、電気事業法第十九条に「適正な原価に適正な利潤を加えた」云々、こうあります。「適正な」ということについての判断というか、適正ということを判断する資料、そういう情報、今私申しましたようにばらまいておるそのことを含めて、これは適正という判断になるのかどうなのか。つまり十九条にある「適正な」というのは具体的にどのような状況判断をし、料金決定に対する適正な判断というか、適正という言葉は具体的にどのような対処の仕方を言われるのか。これは通産大臣がそのことを決める、こう書いてありますから、通産省ではそのことを十分把握した上で、こういう事情だから適正と判断をした、こういうように適正という結論を出す材料というか、そのプロセスというのは一体どういうものがあるのか、どういう努力をされているのか、適正という判断を下すについての具体的な説明をお願いしたいと思います。
  8. 黒田直樹

    黒田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、電気料金認可に当たりましては電気事業法十九条におきまして、一つの原則といたしまして「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」という基準があるわけでございます。これを具体的にというのは非常に難しいわけでございまして、一般的に申し上げれば、電気事業の合理的な投資計画あるいは合理的な需給見通し等に基づきまして、それぞれの費目について合理的な判断をしていくということになろうかと思うわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいました協力金あるいは補償費等につきましては、地域実情に応じまして、かつ第一義的には電気事業者判断支出されるものでございますが、一律の基準でもって適正を判断することは難しいわけでございまして、ケース・バイ・ケース判断をせざるを得ないと考えております。一般的にはその目的あるいは使途、金額等社会通念に照らしまして判断する必要がある、かように考えております。
  9. 浜西鉄雄

    浜西委員 大変抽象的でわかりにくいわけですが、例えばそういった膨大な協力金について実態をつかんだ上でそれを規制するなり、余りにもべらぼうなそういう金の出しっぷりについては行政指導としてこのように措置をしていくとか、あるいは措置をしておるとか、実態は絶えず把握しておるとか、そういうものの上で「適正な」というものに結びつくと私は思うのです。今そういうふうな回答がありませんが、そういうことで把握をすべきだと思うのです。後になって、こういう金がないしょで出ておったとか、その周辺の住民はそのことを期待しているから、それこそ寄附金づけになっておるというふうな悪口さえいろいろ言われるような状態について、もっと実情を把握すべきだというふうに私は思います。  そこで、そういう金を出されるのは特殊法人電源開発株式会社、これらがやるのか、それともそれぞれの九電力独自性判断をして出していくのか、それもよくわかりません。そういう膨大なお金支出されているのはどの会計から一体どのようにして支出されるのか、その辺をつかんでおられるのかどうなのか、ちょっとそれを聞いておきたいと思う。
  10. 山本貞一

    山本説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、先ほど業務課長が答えましたようなことでございますが、実際に支出するのは電源開発を行う九電力会社、それから電源開発株式会社が行う場合には電源開発株式会社が支払うということでございます。  先ほど先生指摘の高い協力金あるいは補償寄附というようなお話がございましたが、先ほどの答弁にもございましたが、電力会社としては必要最小限のものにとどめようと努力をしておりまして、御承知のように何年間もそのために立地努力を続け、あるいは立地がおくれるというようなのが現実でございます。私どもとしても電力会社からそういう報告を受けまして、地域実情に応じましてもちろん違いますが、必要最小限な額になるように、あるいはその支出の方法がいやしくも疑惑を招かないように最大限の努力をするよう指導をしておるところでございます。
  11. 浜西鉄雄

    浜西委員 この問題でやりとりしたって時間があれですから、また具体的な事実を後日私の方も整理をして質問をすることにいたします。  それでは、電気の現在の需要、夏のピーク時あたり使用量と申しますか、これと供給体制、現在で供給できる体制だと私は思っておりますし、むしろ余っておるということを耳にするわけですが、需要供給状況について説明をしてください。
  12. 関野弘幹

    関野説明員 御説明いたします。  五十八年度について、最大電力に対します実績供給予備率、これは九社の合計でございますが、これで見ますと一〇・九%ということになっておりますので、現在需給バランスはおおむね均衡しているものというふうに理解しております。
  13. 浜西鉄雄

    浜西委員 おおむね均衡しておるという中で、膨大なお金を出して原発がどんどん開発されようとしておる。アメリカではこの投資に見切りをつけて、むしろ皆キャンセルをしておるという状態は最近ずっと新聞で発表されておるとおりであります。我が国においてはむしろ調子よく、稼働率も七〇%を超えておるようでありますからそのことは結構な話ですけれども、どんどん設備をしなくちゃならぬ、バランスがとれておるのにさらに原発設備にどんどんお金を使っていくという方向になっておるが、同じ設備投資をやるならば、むしろ第一次エネルギー安定供給方向へ向かうのが行政指導として正しいのではないか。言ってみれば、電気というものは第二次エネルギーで、そのもとであるエネルギーを外国から輸入をして、石油にしてもあるいはウランにしても、そういうふうな状態では本当の意味での安定確保というか、そういうものについてはちょっとほど遠いと思うのです。同じお金を使うならばそういう方向に、後ほど状況を私は聞きたいと思っておりますが、つまり自然エネルギー開発その他、ソフトエネルギーの問題などに取り組む、そういう設備投資に充てていくというふうなことを本来やるべきではないかと私は思うのですが、通産省考え方を聞いておきたいと思うのです。
  14. 上村雅一

    上村説明員 御説明いたします。  ただいま先生の御指摘の問題は、今後の中長期的な電力需要がどうなるかという点に深く絡んだ問題と理解しております。通産省では、昨年の十一月に電気事業審議会から今後の需給見通しにつきまして報告を得ております。今後の電力需要につきましては、先生指摘がありましたが、エネルギー全体を見ますと、やはりエネルギー電力へのシフトというのは歴史的に着実に進んできておる現状でございますし、こんな背景を踏まえまして、今後の電力需要も引き続き着実に増大するものと見込んでおります。  電力安定供給確保のためには、電源の脱石油、それから電源多様化ということを図りながら効率的な供給が行われるよう、バランスのとれた電源構成を目指すべきとされておりまして、その中で原子力石油にかわるエネルギー中心として今後とも推進していく必要があると位置づけられております。その理由は、原子力発電は一度原子炉の中に核燃料を入れますと約一年間燃料の交換が必要ございません。この意味で、いわば核燃料を備蓄していると同じ効果がございます。また、原子力の場合には燃料費の比率が非常に小そうございますので経済的にすぐれている、あるいは燃料価格の変動に対して安定性を有しておること、また、核燃料サイクルの確立と相まって準国産エネルギーとして利用していこうというようなことで、将来にわたり、ほかの一次燃料に比べますと安定的な供給確保されると見ております。このような利点を原子力は有しておりますので、今後とも石油代替電源中心として原子力開発を推進していくという考えでございます。
  15. 浜西鉄雄

    浜西委員 燃料安定性は確かにほかのエネルギーと違って、これは理論的にも実態的にもそうだろうと思うのですが、問題は、安定性のことはわかっても安全性大変心配なわけで、この前どの新聞でしたか、きょう持っておりませんが、いろいろアンケートの結果でも、やはり安全性に対する不安というものは依然として消えていない。このことはやはり我々としても大事にして、安全性確保というものについてもっともっと追求していかなければならぬと思うのですが、たまたま核燃料サイクル施設について下北半島建設するということがこれは明るみに出ておるわけです。総事業費は約一兆円ということのようでありますが、この核燃料サイクルミ施設の問題についてどのように進めようとしておるのか、将来の見通しも含めて、下北半島建設について現状説明をしてください。
  16. 大塚和彦

    大塚説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘核燃料サイクルでございますけれども、確かに日本では原子力発電は今非常に大きな規模、千八百八十万キロワットぐらいの、世界第四位ぐらいの規模になっておりますが、その前後、つまりその燃料となります濃縮ウランでございますとか、それから使用済み燃料の再処理、あるいは発電所から出ますいわゆる低レベルの放射性廃棄物、それをどのように貯蔵し、きちっと処分するか、そのあたりについては立ちおくれておるのが現状でございます。これまで原子力委員会あるいは通産省諮問機関でございます総合エネルギー調査会、そういったところすべて含みまして、この核燃料サイクル施設建設を早く急ぎなさいということが何回も指摘されておるわけでございます。  ただいま御指摘になりました下北に関しましては、これはあくまでも電力業界中心とする事業主体がその立地の地点というものは交渉し決めてまいるわけでございますが、本年の四月二十日に電気事業連合会の平岩会長から青森県に対して正式な要請がございまして、これは包括的な要請で、いかなる施設をどの場所にということがあるわけではございませんけれども、包括的な要請として青森県知事に要請がございました。ただいまその施設の詳細について、あるいは立地地点についてどこを希望するかというようなことにつきまして、特に電事連に設置されました推進本部、下北の核燃料サイクル施設の推進本部というのがございますが、そこを中心に検討が進められている、かように存ずる次第でございます。
  17. 浜西鉄雄

    浜西委員 それで、私はちょっとわからぬので先に聞いておきますが、プルトニウムが抽出されるという問題につきまして、再処理のパイロットプラントというのは、ちょっと専門的に、何かの本で見たことはありますが、どういうふうなものか、その点だけ先に聞いておきたいと思います。
  18. 大塚和彦

    大塚説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたパイロットプラントはいろいろな表現で、例えば実験プラントと呼ばれたりいろいろございますが、一番最初の実験的な意味、試験的な意味を含めた小規模の工場あるいは施設、そういうものだと考えております。
  19. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういうパイロットプラントで実験をし、いずれ我が国でも再処理が可能、今のところ外国に頼っておるわけでありますが、そういう方向へ転換していくということだろうと思うのです。既に新聞に出ておりますように、軽水炉にかわるところの高速増殖炉という方向へこれから転換していくだろう、こういうことがちょっと載っております。問題はこの再処理、つまりエネルギーを最高に使ってうまく転用して、さらに濃縮というか濃いところの核を取り出してと、こういう意味だろうと思うのですが、その際にはプルトニウムという、大変私は素人でわかりませんが、これは物理学、高校生ぐらいの力があれば簡単に原子爆弾を製造することができるということをよく聞くし、そういう書物にも書いてあります。  問題は、これらの関係について国際原子力機関という一つの機関があって、その辺が軍事力に使用されるおそれがないかどうかということも含めて査察をされておるようでありますが、この再処理、プルトニウム生産という工程についての国際原子力機関の査察はどの程度、回数だとかあるいは査察する専門的な人員はどういう陣容でやるのか、その辺の回数なり陣容なり査察の程度と、それから国際原子力機関に加盟しておる加盟国とはどこどこか、これを質問しておきます。
  20. 大塚和彦

    大塚説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、プルトニウムの問題でございますが、両方の顔を持っていると申しますか、両方のよい面と悪い面を持っているわけでございます。既に先生よく御承知のとおり、プルトニウムをさらに燃しまして、そして今言及されたわけでございますが、高速増殖炉などで燃やしますとそれが非常に効率のよい燃料になってまいりまして、一度燃したウランの中からまた出ましたプルトニウム、それをまた燃してそして使っていくということができるわけでございます。そういたしますと、日本のようにエネルギー資源の乏しいところでは、輸入したウラン資源を何回でも使えるような形になりまして、それが核燃料サイクルという形でのウラン資源の有効利用になる。ただその反面、プルトニウムは、おっしゃいましたとおりいろいろなうわさもある危険な物質でございまして、そしてアメリカでは一時どうやって原子爆弾をつくるかとかいう本が書かれてしまいまして、それをアメリカの行政当局などが慌てて回収するとか、いろいろなことがあったわけでございます。  そういうことがございますので、特にプルトニウムにつきましては、これはもちろん高濃縮ウランも同じでございますけれども、軍事転用されないように非常に厳しい規制を各国ともしておりますし、日本もしておる。そして国際的な機関といたしましては国際原子力機関、IAEAというウィーンに本部を置きます機関が、非常に厳しい基準をもってそれをいわば国際的に監視しておるわけでございます。日本には今二十六基ほど原子力発電所原子炉がございまして、そしてそれにまた先ほどちょっとパイロットプラントとおっしゃいましたが、動燃事業団などに核燃料サイクル関係のパイロットプラントなどもございます。  先ほどIAEAの査察についてどの程度という御質問がございましたが、これは施設の性格によってある程度違っておりまして、核燃料サイクル関係、例えば再処理などにつきましては、プルトニウムがその結果として出てくるものですから、特に査察の密度は濃い。私はちょっと今どれぐらいの頻度で何人というデータは持ち合わぜておりませんので、後刻また御報告申し上げたいと思いますけれども、再処理につきましてはかなり常時監視するような形でやっているように考えております。それから発電所につきましては、これはそのまま直ちにそこからプルトニウムが出るわけではございませんで、使用済み燃料の形で出てまいります。それを一たん再処理いたしませんとプルトニウムは出ないわけでございます。したがって、再処理などに比べますとその査察の程度というのはかなりはっきりした定型的な手続になっているというふうに考えております。  IAEAの加盟国数でございますが、私は今ちょっと加盟国数は持ち合わせておりませんが、主要な原子力関係施設を持っておる国はほとんど網羅しておる。これは共産圏も含みまして網羅しておるというふうに私は存じております。  以上でございます。
  21. 浜西鉄雄

    浜西委員 このプルトニウムは、今二つの顔を持っておると言われましたが、まさにそのとおりで、場合によっては大変危険なことになりかねないと思うので心配しておるわけです。平和利用、発電利用、最初そこから出発したものが、いざ鎌倉というときにはいつでも切りかえられるというおそれが私どもにはあるわけでありまして、そんなことのないように願ってこのような査察の関係質問したわけです。したがって、後日その査察の状態、もう少し詳しくひとつ調べてお答え願いたいと思います。  ただ、今その中に共産圏も含めてと申しますが、それは加盟国の中に共産圏も入っておるという意味なのか、査察するときには複数の相互査察というか、そういう意味合いをもってその中にも共産圏の方も入っておるというのか、中国だとかソ連だとかそういう意味なのか、ちょっとその辺を詳しく……。
  22. 大塚和彦

    大塚説明員 お答えを申し上げます。  加盟国でもあり、かつ、国際的な査察員を出してそして相互に監視している、その双方でございます。
  23. 浜西鉄雄

    浜西委員 わかりました。  そこで、今の再処理の関係は、これからいろいろお互いに監視をし注視をしていかなければならぬということで一応この問題を閉じておきます。  地下原発の問題がこの前からちょこちょこ頭を出しておるのです。マスコミにも取り上げられておるのですが、これは直接国がやっておるわけじゃありませんから実態は難しいと思いますが、少なくとも通産省関係ではこういう地下原発、候補地の名前が出ておるわけだから、これが一体いかなる将来展望を持ち、どのような規模で全国的に行われるか、これは把握をしておく義務があると思うのです。この辺について、私の関係する選挙区で言いますと山口県田万川、これは入っておるようでありますので、どの程度、どういう規模で、どういう構想で、将来どういう方向でやろうとしておるのか、現状をできる限り詳しく説明をしてもらいたいと思います。
  24. 上村雅一

    上村説明員 御説明いたします。  先生指摘の地下式原子力発電立地の勉強といいますか検討につきましては、通産省といたしましては、昭和五十二年度から五十六年度にわたりまして地下式原子力発電所の技術的概念を探るといいますかそういったことで、技術的なアプローチとして耐震性でありますとかあるいは環境、安全性等の研究等の項目の基礎的なフィージビリティースタディーを行ったものがございます。この基礎的な段階の調査では、基本的には地下式原子力発電所といいますのは、今までにかなりの数の大規模な地下式水力発電所がございますので、その建築技術を応用すれば技術的に建築技術としては可能なのではないかというような点は明らかになったわけでございます。  しかし、具体的なこの建設のためには、まだまだ技術的あるいは経済的に検討すべき課題がたくさんございまして、特に経済性につきましてはトータルとしてどの程度の経済性が期待できるかといった点につきましては、さらに詰めた検討が必要だというのが私どものスタディーの結論でございます。したがいまして、検討の段階では基礎的な技術的検討を行っただけでございまして、将来どの程度規模でとか、これからどのようなスケジュールでというようなことは現在のところ決めておりません。
  25. 浜西鉄雄

    浜西委員 まだそういう研究、基礎的な段階ということですから、これ以上通産省に聞いても無理だと思うのですが、やはりこれからはどちらかと言えば風光明媚なところだとか海に面したところなど、およそ想像がつく範疇では環境破壊ということにも通じかねないわけですから、今のところ候補地段階ですけれども、今後ともその候補地が具体的に建設に向かうというふうな段階では、十分なコンセンサスと行政指導の上でそのことをあらかじめ国民の前に明らかにするとか、行政の責任としてひとつ今後十分監視をし、把握をして我々の前に明らかにしてもらいたいと思います。そのことをつけ加えておきまして、次の課題に移ります。  今さっき少し触れておきましたが、ソフトエネルギー開発というものについてもっと力を入れていかなければならぬというふうに思うわけです。というのは、これも今さっき触れましたが、アメリカの原子力は大変つまずいて、具体的にたくさんな原子力発電所の名前がここにずっと載っておりますが、一口に言えば、安全対策で今後莫大な負担がかかるということです。したがって、片っ端からと言った方がいいでしょうが、せっかく発電所建設をやったのに途中でそのことがキャンセルに向かっておる。やはりこれは安全性の問題が大きな原因なんです。その安全性確保するために莫大な資金が要る、お金が要る、一口に言えばそういうことになっております。  日本の場合、安全性に大変自信を持っておられるようでありますが、私はその安全性は先般の国民各層からのアンケートによっても、まだまだぬぐい去ることができない不安がたくさんあるということを今さっき申し上げましたが、そういう意味合いからも、片方ではソフト・エネルギー・パスと申しますか、きれいな、未来永劫と言われている自然の波力とか風力とか太陽熱、地熱、いろいろあると思うのですが、これらについての開発計画をひとつこの場で、現状ここまで考えておる、あるいはこのような予算の裏づけもしておるという計画について明らかにしてもらいたいと思います。
  26. 関野弘幹

    関野説明員 御説明いたします。  原子力発電につきましては、先ほど上村子力発電課長も申しましたように、非常にすぐれた特性を有しているというふうに考えておりますので、今後とも電力供給の中核として、先生指摘のように安全性には万全を期しつつ積極的に開発していくことが必要だろうと考えているということがまず基本でございます。  ただ、そのほかの地熱あるいは水力発電等につきましても、これは供給安定性にすぐれた国産エネルギーとして着実な開発に努めていくということにしておりまして、政府としても資源の賦存状況調査あるいは建設段階における助成措置等を講じている次第でございます。  それから、太陽光発電あるいは風力発電等新しい発電技術については、現在技術開発の段階にあるわけでございまして、当面は供給力として非常に大きいものは期待できないというふうに考えておりますが、将来技術的にも経済的にも在来の発電技術と競争し得るものとして、例えば燃料電池でありますとか太陽光発電等の実用化は期待されているわけでありまして、これらについての技術開発というものを鋭意進めていくということにしているわけでございます。  これらの点について、今後とも官民協力のもとに技術開発の進展に応じて的確な経済性その他の評価を行いつつ技術開発を積極的に進めていくというのが基本的な方針でございます。
  27. 浜西鉄雄

    浜西委員 余り具体的じゃない問題もあるようですが、これは積極的に進めていかないと、アメリカではそういうつまずきの中から、これからは新しいエネルギー源として風力や地熱などを利用して、そういう自然のエネルギーを人類が取り入れるということに目を向けるべきだという結論が出ていることは新聞で報道されているところであります。  なぜ私がそれにこだわるかというと、使用済みの廃棄物が大変厄介なものだと私は思います。余り世間の目には触れておりませんけれども、もうかなりの捨てなければならない廃棄物がたまっておると思うのです。何か資料をちらっと見たような気がいたしますが、どの程度たまって、それをどういう保管の仕方をしておるのか。海洋投棄の問題は国際的にだめになりましたから、それ以外に一体どのように将来人類に悪影響を及ぼさないような捨て場所、保管、これは、どういう計画があるのか。現状どのくらいたまっておるのか。ドラム缶でいえば何本分だ、トン数でいえば何トン。今日現在の状況説明してください。
  28. 大塚和彦

    大塚説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたものは、いわゆる原子力発電所から出ます低レベルの放射性廃棄物、例えば先生よく御承知のとおり、発電所の見学などをいたしますといろいろ上から上っ張りのようなものを着せてもらいましたり、あるいは特別にオーバーシューズみたいなものを履かしてくれたり、そういったものも実はすべて燃したりなんかいたしますとごみになります。それから中で使っている工具だとかあるいはそれこそごみ箱とか、ああいうものも全部ごみになりまして、それが低レベルの放射性廃棄物というものになってまいります。こういうものは一応減容処理と申しましてなるべく小さくまとめようというやり方をして、燃えるものは燃したりいたしまして、その灰だとか水は濃縮したりして、そして今のやり方はそれをすべてセメント等で固めまして、大体標準的には二百リットルのドラム缶でございますが、そういうものに詰めております。  現在ございます原子力発電所から出ております。そのような低レベル放射性廃棄物の量でございますが、私どもが把握しております最新時点では、二百リッターのドラム缶に詰めまして三十六万本ぐらいでございます。先ほど私ちょっと御答弁申し上げたわけでございますが、これにつきましては現在原子力発電所の敷地の中におきまして安全な形でがっちりと保管しておるわけでございますが、確かにふえておるわけでございます。したがいまして、このような低レベル放射性廃棄物についてどこか敷地の外で安全に貯蔵いたします。そして貯蔵しておりますと、非常にこれは微量な放射能でございますが、半減期を迎えてだんだんレベルが減衰してまいります。いずれそれが非常に小さいレベルにまで減衰いたしまして、これは原子力安全委員会などの所掌でございますが、そのような廃棄物についてもうそのまま処分しても安全であるということになりましたら、集中的に貯蔵しておるものをそのまま処分として位置づけるというような考え方で現在進んでおるというものでございます。
  29. 浜西鉄雄

    浜西委員 時間の関係でこれで終わりますが、長期に置いておると低レベルになるということは、どこかに消えて散っていくというか、地中にいくのか大気にいくのか、恐らく長い間でしょうが、期間はおよそどのくらい置いておかなければいけぬのか。場所が狭い日本でどん詰まりになるとどこかに持っていかなければいけぬようになると思うのですが、長期とはどの程度なのか。  それから低レベルになるということはやはりどこかに消えてなくなるわけでしょうから宇宙の一定の量は同じだ、ただ物質が変化しただけだという唯物論でいきますと、形が変わっただけでそれそのものはドラム缶に入れておる、廃棄物としてなるべく濃縮して低レベルのものだけ集めたというが、低レベルといったってあるわけですから、ゼロレベルじゃないわけですから、それがだんだんなくなっていくということはやはり大気に消えていくか何かだろう、散っていくわけですね。だから散っていかないようにガラス状態で囲って、完全に散ることがないようにするということも聞いたことがあるのですが、そういう方法をとらないでドラム缶の上を何か囲っているのか、その囲いの仕方と、それから長期とはどのぐらい置いておったら、自然になくなって結局は一般のごみと同じようになるというその長期とは一体どのぐらいなのか、ひとつその辺を、最後ですが聞かしてください。
  30. 大塚和彦

    大塚説明員 お答えを申し上げます。  放射性廃棄物はいろいろな分け方ができるわけでございますが、先ほど私が御答弁申し上げましたのは私どもが低レベル放射性廃棄物と呼んでおるものでございまして、これは先ほどちょっと申し上げましたが、発電所の日常の運転から出てくるものでございます。先生が御指摘になりました、ガラスで固化するということをおっしゃいましたが、こちらの方は私どもの用語では高レベルの放射性廃棄物と呼んでおるものでございまして、これは特に再処理の過程で出てくることが多いものでございます。  この低レベルのものと高レベルのものはやはり性格的に非常に異なっております。またその中に、低レベルと申しましても、私どもは核種と呼んでおりますけれども、それぞれのどういうものが含まれているか、物によって半減期の長さも非常に違うわけでございます。ただ、どれぐらいの長い間置いておいたらという御質問ございましたけれども、これは原子力安全委員会などで安全基準ができたり、そういうことを待つわけでございますが、例えば低レベル放射性廃棄物でございますと数十年ぐらいの単位とか、ただこれは物によって非常に違いますし、どういうものが中に含まれているかという組成によって違うわけでございます。  高レベルのものでございますとあるいはさらにもっと長い、長半減期のものも中にはございます。これはトランスウラン、TRU廃棄物などと呼んでおるのですが、ちょっと専門的になるのですけれども、そういうものですともっともっと長くなる、これは核種によって違う、このように申し上げさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  31. 浜西鉄雄

    浜西委員 大体わかりました。もっと専門的に私も研究いたしまして、後日事を分けて、整理をしてまた質問することにいたします。  いよいよ最後になりますが、冒頭申し上げましたように、電気事業というものの独占性と公益性、今度電電の三法が論議をされておりますが、これが独禁法から除外をされる問題とあわせて——私は似たものだと思ったのです。一つの線を通じて片方では瞬時にして電力、片方は瞬時にして情報を送るというふうな違いだけで、設備状況から何からほとんど似通っておりますから、したがってこれと兼ね合わせの中で電気事業だけは独占性を認めて電電関係については認めないというその辺の関係について、後日また電電三法の論議が進む中でこの問題もまた取り上げてみたいと思っております。  もちろん料金関係が絶えず頭の中にあるわけでありますから、べらぼうな協力金をばらまくだけのお金があれば、もっと将来のソフトエネルギーあるいは第一次エネルギー安定確保のための方向へ向かうとか、それなりに私どもの方には一つの政策というものがあるわけですから、後日その問題ともう一遍照らし合わせまして、この電気事業独占性料金の決定の仕方など、きょうはまだ明確になっておりませんが、そのことを宿題に残しまして、きょうはこれで終わっておきたいと思います。  以上であります。
  32. 金子みつ

    金子委員長 武部文君。
  33. 武部文

    ○武部委員 最初に公取委員長にお伺いいたしたいと思います。  ことしの二月二十四日に、注目の石油やみカルテル事件の最高裁の判決が出されたわけであります。その後、できるだけ早い機会に公正取引委員会の見解をお伺いいたしたいと思っておりましたが、その機会を失しまして、ちょっと時期外れでございますが、この石油やみカルテル事件の最高裁判決というのはこれからの我が国に与える影響は非常に大きいものがあるというふうに私は理解をいたしておりますので、この機会に公正取引委員会の見解を改めてお伺いをいたしたいのであります。  我が国の産業界の中には、カルテルというのはやり得だ、後でいろいろなことを言われてもやった方が得だ、こういう風潮があったことは私は事実だと思うのです。そういう意味で今回の判決は、独禁法に違反するやみカルテルというものは犯罪である、こういうふうにはっきりと認定された、このようにあの判決文の中で読み取れるのであります。そういう意味では大変大きな意義を持った判決だと私は思っております。  特にこの判決文の中で取り上げられたのは行政指導についてであります。違法な行政指導が存在をしておったということをこの判決文は認めておるのであります。そうして、行政は価格形成に対してみだりに介入すべきではないということがはっきりと判決文の中に盛られておるのであります。ところが行政指導のあり方について私どもこの委員会で何回かやりとりをいたしたのでありますけれども、この二月二十四日の最高裁の判決について、法に適した行政指導であればそれは許されるのだ、こういう解釈が通産省の一部にある。これはこの判決が出た後にコメントがそれぞれの当事者から出ておりましたが、私ども当時それを読んで、やはり通産省の一部にはそういう解釈をしている人たちがいるようだ。これはマスコミもそれを取り上げたようであります。  しかしそういう解釈、法に適した行政指導であれば許される、こういう解釈は、その前段として、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的、健全な発達を阻害しないという条件が満たされた後、今私が読み上げた、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的、健全な発達を阻害しないという条件を満たした適法な行政指導であればという前提がなければならぬ、このように私どもは思うのですが、そういうことを全然触れないで、法に適した行政指導であれば許されるというような手前勝手な解釈は許されぬというふうに私は思うのですが、公正取引委員長はどういう御見解をお持ちでしょうか。
  34. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 二月二十四日の最高裁の石油価格協定刑事事件、この判決が我が国の独禁行政なり経済運営の上に持ちます意義につきましては、今お話がありましたように、私どもも非常に重要なものだというふうに考えております。  ところでその内容でございますけれども、お尋ねのございました行政指導関連いたしましては、これは御承知でございましょうけれども、最高裁の判決の中では、行政指導の適法性を広く認めるという趣旨でなくて、適法な行政指導の概念を極めて限定的に解釈しておる、私どもはそう理解しております。  まず、原則といたしまして、これも今お話がございましたように、「物の価格が市場における自由な競争によって決定されるべきことは、独禁法の最大の眼目とするところであって、価格形成に行政がみだりに介入すべきでないことは、同法の趣旨・目的に照らして明らかなところである。」ということを明確に言っておりまして、行政指導が認められる場合についておよそ三つ条件を挙げておると思うわけであります。  一つは、必要とする特別の事情がある。例えば四十八、九年当時の石油をめぐる異常、緊急事態において、標準価格制度等の正式の行政指導によっては法の所期する行政目的を達成することが困難なために、価格の抑制と民生の安定を目的とする、こういうような必要とする特別な事情がまずなければならぬ。第二に、その方法が社会通念上相当でなくてはならない。積極的、直接的な介入をできるだけ避けるという社会通念上相当と認められる方式によって行われていることが必要だ。三つ目の要件として、これもお示しのございましたように、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という独禁法の究極の目的に実質的に抵触するものとは認められない。この三つの要件を満たした場合に初めて違法でないという判断が下されるのであるというふうに理解しております。  繰り返しになりますが、最高裁のこの判決は、価格に関する行政指導について厳しい見方をしておる、原則的には認められないという趣旨だというふうに考えております。私ども委員会では、五十六年に「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」というものを各省庁にお示しをして、カルテル等の独禁法違反行為が行政指導によって誘発されることのないように十分留意していただきたいということを申し上げておるわけであります。今後とも関係省庁と十分連絡調整をして、独禁法の目的達成のために努力してまいりたいと考えております。
  35. 武部文

    ○武部委員 公正取引委員長の見解はわかりました。私どもも、この判決は非常に厳しい見方であるというふうにとらえておるわけですが、今申し上げたように、一部には、玉虫色、手前勝手という言葉は当たらぬかもしれませんが、玉虫色に解釈をしておるというような傾向もなきにしもあらずでございまして、これからいろいろなことが起きるだろうと思いますが、今お述べになった点をはっきりと公正取引委員会の基本的な姿勢として対処をしていただきたい、このことを特に要望しておくわけであります。  次の点は、この石油のやみカルテル事件と前後して、公正取引委員会が、建設業界の独禁法上の活動指針というものをまとめて独占禁止懇話会に報告をされた件であります。  この指針の内容というのは、私どもから見れば、当時も大変問題になったことですが、談合の防止ではなくて、かえって談合、いわゆる違反を誘発するような危険を持っておるのではないかという世論の批判が非常に強かった。このことを大変残念に思うのですが、特に建設省や日本土木工業協会の皆さんは、公正取引委員会独占禁止懇話会に報告をしたこの活動指針を一歩前進だというふうに評価をしておるという報道さえ出ておったのであります。このことは、逆に言えば、建設省やあるいは土木協から圧力がかかって、公正取引委員会がこういう逆なとも言えるような活動指針をまとめて報告したのではないか、こういうことさえ当時も言われておりましたが、これに対する公正取引委員会の見解をひとつお伺いしたいのであります。
  36. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 公共工事に係る建設業における受注予定者の決定事件、俗に談合事件と言っておるものでございますけれども、これにつきましては、私ども公正取引委員会といたしましては、厳しく従来から対応してまいりました。今回のガイドライン、これが公表されたからといって、従前からの対応が変わるということは全くございません。受注予定者を決めるとか、受注予定価格を決めるとか、特定の入札者を入札から排除する、こういったようなことが違法であるということは全く変わらないわけでございます。  問題は、今回の公共工事のガイドラインにおいてつくりました主要な趣旨は、建設業者の数が非常に多くて、九九・三%ですか、そのくらいの方がいわゆる中小企業または個人形態である、法についての認識も一般的には余り高い水準ではないというようなことから、情報提供活動とか経営指導活動、これは本来事業者団体とするとやっていいことでございます。そのやっていいことの中で、原則としてどこまで違反にならないかということを例示して示すということによって業界の混乱を避けたいと思ったわけでございますが、内容が、私どものこのガイドラインの内容と従来からの当委員会の対応が全く変わらないということとの間に、これからPRに努めていくつもりでございますけれども、若干世間で誤解があったことは、お話のありましたようなことは私どもも考えておりまして、非常に遺憾に思っているわけでございます。  公共工事に係る建設業団体が活動を行う上における一つ判断基準としてガイドラインが活用されることが望まれるわけでございますけれども、今後とも、違反の事実に接したときは厳正に対処してまいるという所存に変わりはございません。
  37. 武部文

    ○武部委員 この建設業界の談合につきましては国民の中から非常に強い批判が出ておることは御案内のとおりであります。今委員長はこのガイドラインの点を申されまして、特にPRのことをおっしゃったわけですが、確かにあの懇話会に対する報告は、談合をむしろ慫慂しておるのではないかとさえ一部では言われたのでありまして、これは公正取引委員会の本当の気持ちとは全く違うとおっしゃっておるわけですから、そういう意味について、ぜひPRをひとつはっきりして、談合についての国民の批判、そういうものを強く受けとめてこれからもやっていただきたい、こう思うのであります。  この機会に、公正取引委員会に対して一つ要望しておきたいのでありますが、私どもこの委員会でも、しばしば独禁法の取り扱いの問題等についていろいろと論議をしてきたところであります。今日、経団連やあるいは自民党の中にも相変わらず公正取引委員会を批判する動きがあるのであります。  こういう情勢の中で公正取引委員会の姿勢を見ておりますと、例えば審決集の中から違反者の個々人の課徴金の金額を外す、そういうことをおやりになった、あるいは先ほど述べたような建設業界に対する独禁法上の活動指針というふうなものが出る。こういうことを見ておると、一部では、公正取引委員会は圧力に屈して次第に後退をしておるのではないかというようなことさえ実は言われておるのであります。恐らくこれに対する反論もあると思いますが、冒頭に申し上げましたような、あの石油やみカルテル事件を断固として摘発をされたああいう当時の勢いがなくなったのではないか、こういうことさえ言われておるのでありまして、そういう意味からいうならば、独禁法第一条に言うところの一般消費者の利益を守り、国民経済の民主的で健全な発展を促進する、これがまさに公取の使命であると私は思います。そういう意味で、公正取引委員会はひとつ毅然とした態度でこれから臨んでもらいたい、こういうことを期待するわけですが、最後に委員長の見解を承っておきたいと思います。
  38. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 経済社会が構造変化に直面しておるということは事実でございます。新しい局面を切り開いて経済を伸ばしていくためには創意工夫というものが大変必要になってまいるわけであります。その創意工夫は企業の自由な活動によって支えられる、そのとおりだというふうに思います。今お示しのありましたように、独占禁止法が究極の目的としております国民の利益また経済の民主的な発展、これをいよいよ追求しなければならない時期が参っておりますので、独占禁止法の運用につきましては、いやしくも法違反の事実に接しました場合には厳正に対処してまいるという所存には変わりはありませんし、今お示しのような点につきましては十分一般にも周知をしていきたいというふうに考えます。
  39. 武部文

    ○武部委員 わかりました。公取委員長、結構です。  それでは、次の問題に移りたいと思いますが、経済企画庁長官にお伺いをいたしたいのであります。  昨年三月、原油の値下げが行われまして、一バレル五ドル下がったわけであります。これは消費国にとっては大変な福音でありまして、三月でありましたが、現実には五月ごろから価格が下がってきたということもありましょうが、あれからちょうど一年たったわけであります。当時バレルードル値が動けば九電力合計年一千億、円が一円動けば同じように九電力百二十億円、こういうことが当委員会でもやりとりをされました。特に原油の大量消費国であります日本にとって、バレル五ドル値下げというのは日本の経済界にあるいは国民生活に大変な影響をもたらすだろう、それも好影響をもたらすだろう、こういうことは大臣の口からもしばしば出たところであります。  この原油バレル五ドル値下げが一年間一体どういう形で日本の経済に貢献をしただろうか、一体国民生活に何をもたらしただろうか、こういう点について私はこれから具体的な問題を通して論議をしたいと思うわけですが、企画庁長官としては、この一年間の日本経済、国民生活に対してどういう影響があったというふうにお思いでしょうか、それをお伺いしたい。
  40. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 原油価格の値下げは、日本経済全体にとりまして非常にいい影響が出ると思います。また、国民生活にとりましてもやはりいい影響が出ております。
  41. 武部文

    ○武部委員 それならば具体的に申し上げてみたいと思いますが、バレル五ドルの値下げは日本の原油支払い価格に対してどういう数字をもたらしたかという計算をしてみますと、円高も若干含みますが、この一年間の数字の総計は約二兆円であります。もし間違いがあれば御指摘ください。私どもはそういう計算をしておるわけであります。二兆円の支払いが減った、これは相当大きな金であります。  それでは、今おっしゃったように、一体これが現実に目に見えて日本経済に何をもたらしただろうか。余り目に見えないのであります、目に見えればお知らせをいただきたいのでありますが。特に国民の目から見ると、ガソリン、灯油、こういう日常国民の生活に直接関係のあるものの値段はそれでも動きが国民の目に映っております。ここでもいろいろやりとりいたしましたように、ガソリンの値段は一時大変な値下がりをした。それがまた途中で通産省のいろいろな指導やその他があって、値戻しという形でまた上がって、いろいろなことをいたしました。  灯油は若干下がってきた。他の石油製品でも若干の値下がりをした。この石油製品については、そういうふうに目に見えて国民の側にはわかるわけでありますが、その他のものは一向わからぬ。むしろ政府は、景気回復ということでこの一年間のうちに二回ないし三回の景気浮揚政策というものを発表されました。その中に電力設備投資という項目があって、非常に大きな金額がその中にあったことを私どもは記憶しておりますが、国民の側から見れば、電力需要はだんだん減ってきておる。こういうときにこのバレル五ドルの、二兆円の金の大部分が投資に回されておる。なるほどそれは景気浮揚に役立つかもしれません。しかし、今申し上げるように電力会社需要あるいはこれから先の投資の計画、そういうものを見たときに、むしろ押しつけて設備投資をやらせたのではないか。  電力はさっき申し上げるようにバレル一ドルで一千億ですから、五ドル下がれば五千億だという金額はだれの目にも明らかで、ここでやりとりしたわけであります。一年間で五千億の燃料費の支払いが減った電力会社、それだけもうかったじゃないか、それが目に見えて国民の側に一体何をもたらしたか一向にわからぬ。出てきた私どもに対する政府側の資料を見れば、どんどん設備投資を押しつけておる、こういう格好になっておったのではないか、このように思うのですが、大臣はどうお思いでしょうか。
  42. 小川邦夫

    ○小川政府委員 昨年秋の景気対策は、御指摘のとおり、最終的な金額でいいますと、電力業界は五千百億円程度設備投資、修繕費の積み上げをやったということでございます。ただ、それが五十八年度経理に直接影響する部分は、設備投資の部分はほとんど将来の償却という形でかかわるのでありまして、当期そのものにはすぐに響きません。ただ、修繕費の方はほぼ五千百億のうち二千億程度ございますが、この二千億程度というのは、確かに五十八年度経理に加わる形で影響を与えております。  これがむだな投資かどうかということでございますが、あくまで修繕費、設備の老朽化したものを改めるとか効率を高めるとかという形の使い方をしておるわけでございまして、決して設備能力増とかそういうものにつながるものではございませんし、また、二千億ふやしたということ自体は、五十七年度に非常に経理が悪かったときに切り詰めて、このままほっておきますと、将来保安だとか効率の問題があるという意味でも必要な修繕費積み増しでもあったということで、これ自体は電力の健全な運営の意味でも必要であったとともに、この二千億の金額は、設備投資の三千百億と加えて地方経済の浮揚に非常に役立ったというふうに認識しております。
  43. 武部文

    ○武部委員 今の五千億の内容は、おっしゃったように二千億と三千億、こういうふうに分かれております。電力業界がバレル五ドルの値下げで相当な利益が計上されるであろうということは通産省も想定をされて、山中通産大臣のときの発言があった。委員会でしばしば論議をしたことですから皆さんも御記憶のとおり。山中通産大臣ははっきりとした見解を述べておられた。病気でかわられて、今度は宇野通産大臣になったらがらっと内容が変わった。小此木通産大臣になったら、またそのことについての見解が違っておる。三人くるくる変わっておる。  我々から見れば、山中通産大臣のときには、電力業界の利益については国民の納得いくような形でこの利益は処理しなければいかぬ、こういう発言でございましたので、我々も大いに期待をし、どういう形で目に見えるだろうかという矢先に更迭になったわけであります。かわられた宇野大臣は全く百八十度違う見解を述べられて、小此木さんはその後引き続いて今日に来ておる、これはあなた方の御承知のとおりです。  そこで、そのやりとりをしておったって時間がありませんから、それならば具体的にこの内容についてお伺いしたいのであります。  その前にもう一つお伺いいたしますが、何か中東のイラン・イラク戦争の結果、原油が上がるだろうとかいろんなことを言って、これから先不安定だからどうだこうだという話がありますが、ついぜんだって来日したオタイバ石油相は、五十九年度中は大体この二十九ドルの水準は動かぬ、上がることはないということを日本で言明しておったわけですが、通産省としては、当面バレル二十九ドルはこのままの水準で動かないというふうに認識しておられるのか、それとも、中東でスポットが若干上がっているようなことはありますが、原油の値段について近い将来変動がある、そのように見ておるのですか、その点いかがですか。
  44. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生もお述べになりましたように、産油国の首脳の中には、原油の政府公式販売価格は、この一両年引き続き安定させておくべきだとのお考えを示されていることは私ども承知しております。ただ一方におきまして、最近の中東情勢というものは極めて予断を許さないことも一面のまた事実でございます。幸い何度か緊迫する場面もありながら、原油のスポット市場の動向はさほど大幅な上昇は見ておりませんけれども、タンカー攻撃があると若干またスポット価格が上がったり、またそれがおさまりますともとへ戻るというようなことの繰り返してございますので、波乱含みの中で今小康を保っているというのが実情でございまして、今後の石油価格の動向につきましては、このような流動的な中東情勢の中で慎重な見きわめをしていくことが必要なのではないかというふうに考えております。
  45. 武部文

    ○武部委員 さっきオタイバ石油相の話をいたしましたが、これは日本の政府の要人との話し合いの中で彼がそういう言明をしておったということははっきりとしておるわけですから、我々は当面、この一年くらいは二十九ドルの相場が続くだろう、このように見ておるわけです。それは先のことですから、これだけにしておきましょう。  そこで、今設備投資の話があったわけですが、設備投資が五十年、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年と、平均してみると年率一四・八%くらいな伸び率で、これは相当に伸びておったのですが、五十五年の料金の値上げ、その後は五十六年も五十七年もわずかに年率にして〇・五%しか設備投資は伸びていないのです。ところが五十八年に入って、これは五%の伸びになることはもう確実だ、こういうふうに数字の上から出てくるのです。五十九年度の想定としても、大体計算として先ほどの三千億、二千億、そういうものを計算をした場合には四・一%の伸び率になる。こういうことになるのですよ。こういう計算が出てくるのです。間違いならば、詳細にあなた方から反論があればいいのです。  これは明らかに需給関係から見て過剰設備です。むしろあなた方が、通産省が九電力に対して設備投資を押しつけた、こういう格好になっておるとしか思えないのです。なぜこういうことをしたかというと、私はいっかもここで発言いたしましたが、これは明らかに利益の分散をねらったものじゃないか、こういうことを発言をしたわけですが、そういう点について通産省の見解をひとつ聞きたいのであります。
  46. 小川邦夫

    ○小川政府委員 五十年度からの年率について、今回じベースの計算を持っておりませんからその確認はできませんが、確かに傾向といたしまして近年二けたの設備投資の伸びが続いた時期があったということは事実でございます。  それから五十六、七年、若干数字は違いますけれども、御指摘のように一、二%の前年度比伸び、五十七年度については、私ども数字でございますと、設備投資はマイナス、〇・六でございますからまあ横ばいという意味で、基本的には先生指摘の傾向とは変わらない。それから五十八年、これは推定実績でございますので、端数についてまだ動きがあると思いますが、私どもの手元にございます数字では、絶対金額では三兆三千九百億円でございまして、前年度比の伸びでは五・七%、そういう意味では五%台という御指摘と基本的には変わらない伸びになっておると思います。それから五十九年度の現在の設備投資計画、これは春の段階での各社がまとめたものでございますが、それによりますと三兆二千百六十五億という数字でございまして、五十九年度のこの数字は、前年度の三兆三千九百億という推定実績がそのままであるとしますと前年度比減、五十八年度に対してマイナス五%というふうになるわけでございます。そういうふうに設備投資金額は、非常にでこぼこその年によってしております。  ただ、そういう数字はともかくといたしまして、利益をむだに過剰設備として設備投資に回しているのではないかという点でございますが、この設備投資は、電源、非電源設備投資、それぞれ毎年度電力需要の先行き見通しというものを現実的なものとして見直しつつ、それに合わして設備投資計画というものをつくっておりますので、決してその設備投資計画が需要の見込みとの関係で過剰投資になっておるということではない。  では、五十八年度の積み増しはどうであったかということでございます。五千百億のうち、設備投資そのものは三千百億相当でございます。ただ、これも能力増というような形の積み増しはしておりません。供給安定性、信頼性の向上、設備の効率化という質的向上に充てる。設備過剰に拍車をかげるような設備投資積み増しは決してしないで、むしろ質的向上に充てるようにということで三千百億の投資積み増しを景気対策の一環としてやったものでございまして、過剰投資ということにはつながらず、むしろ質の向上、将来的には設備の効率化によってコスト低減に資する内容のものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  47. 武部文

    ○武部委員 五十八年度の数字の三兆三千九百五億円、これはその中から三千七十億円を引かなければならぬのですよ。そういう点が間違っておるのです。あなた方と私どもとの間にこの数字が違う。したがって、五十八年度の実績推定は三兆九百五億円というのが正しい数字であって、それから推定した五十九年度の三兆二千百六十五億円ということになれば、マイナス五・一じゃなくてプラス四・一という設備投資がふえていくことになるのですよ。この辺の数字が、あなた方の説明が私どもには納得できないのですよ。だからここは数字が変わっちゃうのですよ。あなたはマイナスと言うし、こっちはプラスと言うし、これはここでやっておってもしようがないから後に回しましょう。  そういうような傾向の中で五十八年度の決算が発表されたわけですね。新聞報道では史上二位だとかいろいろなことを言われておりますが、昭和五十五年のあの値上げのときが史上最高の利益でしたね。そういうことになってくると、今回の経常利益は明らかに史上第二位の金額が出てきたということはこの点ではっきりするわけでありまして、九千二百八億円という数字が経常で出ておりますね。この中で、時間の関係でちょっと疑問の点を一つそれじゃ申し上げましょう。  今回、原価変動積立金というものを設けておるようでありますが、この原価変動積立金というものの性格を聞きたいのであります。原価変動積立金は電気事業法第三十六条後段、これに基づいて積み立てられたものでしょうか。
  48. 小川邦夫

    ○小川政府委員 この積立金は三十六条に基づく命令によって行うものではございませんで、商法上の利益処分としての任意積立金の一つとして行うものでございます。
  49. 武部文

    ○武部委員 それならば、それは通産省指導によってそれを行ったのか、それとも業界が任意にやったのか、どちらでしょうか。
  50. 小川邦夫

    ○小川政府委員 具体的に申し上げますと、今回のこの原価変動調整積立金の積み立てにつきましては、四月に通産大臣から電力業界に対しまして、原油値下がり等によって五十八年度に生ずる余剰利益はこれを明確な形で積み立てて、料金の長期安定に活用してほしいという要請をしたわけでございます。電力各社はこの大臣要請の趣旨を踏まえまして、この原価変動調整積立金という形で明確な区分経理を行うこととしたものでございます。
  51. 武部文

    ○武部委員 そうすると、これは通産省指導によって今回初めて設けられたものだ、このように理解してよろしゅうございますね。
  52. 小川邦夫

    ○小川政府委員 積立金の一つでございますから、基本的には電力各社の自主的な判断のもとに株主総会の議を経て決めるものでございます。ただ、それを行うにつきましては、通産省が基本的な概念を示して、それに沿うよう指導したという意味では指導というふうにお考えいただきたいと思います。そしてその積立金というのは、新しく今回つくったということでございます。
  53. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、その積立額の算定については基準があるわけですか。
  54. 小川邦夫

    ○小川政府委員 通産省が法的に措置する準備金ではございませんから、通産省基準を設ける、そういうようなことはしておりませんが、この積立金の算定の仕方というのは、電力業界との間でこういう理解になっております。  この積み立ての中身というのは、今期の余剰利益を積むということで、余剰利益ということは、具体的に言いますと、税引き後の当期利益から一〇%配当額をまず引きまして、それから利益準備金、さらには租特法による諸準備金の積立限度額等、こういった費用の合計額を控除した残額、これを一口に今期の余剰利益と私ども言っておりますが、それを原則として全額各社が積み立てるということでございます。原則として全額と申し上げましたが、各社によって端数の丸め方の流儀がございます。一億円単位とか五億円単位とかそういう端数の丸めということはございますが、原則としてそういった余剰利益の全額を積み立てるという考え方になっております。
  55. 武部文

    ○武部委員 それならばもう一つお伺いいたしますが、九電力には別途積立金というものが現在千七百三十五億円ございますね。この別途積立金と、新しく原価変動調整積立金ですか、これはどういう関係があるのです。
  56. 小川邦夫

    ○小川政府委員 商法上の概念でまいりますれば、利益処分としての任意積立金であって、性格的には同じということになりますが、今回この原価変動調整積立金をつくりましたのは、原油価格引き下げということの行われました五十八年度という時期に当たって、過去いろいろな要因で積み立てた別途積立金とは区別して、わかりやすく数字を示す意味で、区分して経理することにしたものでございます。
  57. 武部文

    ○武部委員 そうすると、別途積立金というのは大体円高差益によるものが中心であったのでずっと積み立てておった。今度は油の値下げによって起きたもの、さらにそれにたまたま円高の傾向があって、それがチャンポンになって、そういうものだから二つに分けてやったんだ、こういうふうに理解するんですか。そうなれば、何でわざわざ原価変動調整積立金などという難しい名前にせぬでも、一つの別途積立金というのがあるのですから、第二別途積立金でもいいでしょう。  それならば、取り崩しはどういうことになるのですか。
  58. 小川邦夫

    ○小川政府委員 私ども考え方電力も同じと御理解いただいて結構でございますが、考え方では、この原価変動調整積立金の取り崩しというのは、別途積立金を取り崩した後なお配当原資不足というような事態を生じたときに取り崩す。あくまで過去に貯金をした別途積立金というものを使った後においてもなお不足のときに、この積立金を使用するという意味で、大切に使って長期の料金安定に役立てよう、こういう考え方でございます。
  59. 武部文

    ○武部委員 基準も何もない、それはそれぞれの電力会社に任ぜて、この金額通産省としてもちろん指示してない。それぞれの電力会社がそれぞれ自由で、何の基準によって積み立てたかよくわからぬようだが、ここに表がありますが、合計八百二十三億円ですね。この八百二十三億円という金額の根拠は何でしょうか。どこから出てきた根拠ですか。
  60. 小川邦夫

    ○小川政府委員 積立金の算定根拠は、先ほど申し上げましたように、今期の余剰利益は原則として全額という考え方をとっております。ただ、その余剰利益というのがどういう中身かということになるわけでございますが、これは電力会社の健全経営のために一〇%配当というものは必要、それに対応しまして利益準備金も必要、それから租特法に基づいて認められております諸準備金の積み立てといった必要な金額を控除して、いわばほっておけば次期繰り越し、どういう処分をするか、利益処分として株主総会でいかようにも決められるはずの余剰金額を原則としてほかに回さないで、この原価変動調整積立金に原則全額を積み立てる、こういう処理をしたものでございます。そういう意味で、基準と申しますか、ある意味基準が今申し上げたような内容でございますが、原則として余剰利益は全部積み立てるということが一つはっきりした基本線であることを御理解いただきたいと思います。
  61. 武部文

    ○武部委員 それならば、この金額の中で、東京電力が三十三億円ですね。これに対して中部電力が二百六十億円、大変な違いがありますね。中国でさえ百三十億円。この三十三億というのは、どうしてこう少ないのですか。何か理由があるのですか。
  62. 小川邦夫

    ○小川政府委員 東京電力が三十三億円の積み立てということ、御指摘のとおりでございます。これは積立金の算定基準とかそういったものが違うという話では全くないわけでございまして、むしろコスト構成上の各社の事情から出てくるもので、東京電力について申し上げますと、東京電力の場合は非常に大消費地を抱えた管轄内で、年々の電源立地というものを非常に大規模に必要としております。そういったことから、その資本費負担というものがどうしても多額に要る。年々ふえていかざるを得ない資本費の増というものがございますし、そういう状況で五十七年度には東京電力の収支は非常に苦しい状況にあったことは御案内のとおりでございます。  そういうこともございまして、五十七年度には修繕費も実は大幅カットしたという経緯がございまして、そのカットした反動と景気対策の協力ということもありまして、五十八年度には今度は修繕費が非常にふえるという形になった。端的に言いますと、資本費の増、修繕費の増というものを中心に東京電力の場合コストの増加傾向が非常に著しく、長期的傾向としても財務的に苦しい状況にあったということが、結果として余剰利益の配当金を払って諸準備金を積み立てた後の残りが非常に少額の三十三億にとどまったというコスト構成上の特徴から出てきたもので、その出てきた結果の余剰金額を全額積み立てたというのがこの三十三億でございます。
  63. 武部文

    ○武部委員 ちょっと私はそれが理解できないのですが、もう一つその前に、先ほどあなたから説明のありました千七百三十五億円の別途積立金のことです。これは五十二年度末から積み立てておりますね。五十二年から五十三年ずっと積み立ててきて現在千七百三十五億円。この別途積立金というのはどういう根拠で積み立てたものですか。どういう理由でそういうことができるのですか。
  64. 小川邦夫

    ○小川政府委員 別途積立金につきましては、五十二年度からスタートしたということでございますが、今の積み立てば、一たん取り崩した後五十五年度から積み増したものが御指摘数字金額でございます。  この別途積立金をつくったのは、電力各社が自主的判断におきまして利益処分としての任意積立金として創設したものでございます。
  65. 武部文

    ○武部委員 結局円高差益をいろいろここでやりとりして、ガラス張りにすべきではないかというような意見もあった。したがってその利益が出たので、あのときこれはほとんど円高差益の分だから、はっきり国民の目に映るように別途積み立てた。それは電力会社の自主的な考え方でやったのであって、通産省は一切知らぬ。そこで、そうならばその次の、今度やったこれは、円高差益もあるがバレル五ドルの値下げの問題もあるので、それも別途に積み立てるように今度は通産大臣指導して、業界を呼んで、そして積み立てろ、しかし金額はおまえらに任せる、そういうことでこの二つのものが積み立てられておる、こういうふうに理解していいのですか。
  66. 小川邦夫

    ○小川政府委員 別途積立金の創設の経緯、的に電力各社が自発的につくったということは申し上げたとおりでございますが、確かに先生指摘のように為替差益というものが大量に発止した時期であるために、ガラス張り、経理的に発生した利益について区分経理をした方がいいという世論がございまして、五十二年当時にも通産省からそういう指導を行いましたし、五十五年度にまた利益が、先ほど御指摘のような史上最高の利益だったときにも、これは具体的な積み立てのやり方ということは何も指導しておりませんが、社外流出をしないようにという包括的な形での要請通産省から電力各社にいたしました。そういった包括的な要請を踏まえまして、具体的には各社の自主的な判断、株主総会の議というものを経て別途積立金をつくったものでございます。  それと今度の積立金との違いは、今回の積立金については、原油引き下げを契機とした大幅な利益というものについては社外流出することのないように明確に区分経理する。もちろん別途積立金に積むという方法論もあり得たのですが、こういった一つの歴史的なきっかけで生じた利益というものはわかりやすく区分した方がいいという考え方、そうして別途積立金を使った後に大切に使おうという考え方、そういう趣旨でこういう積立金を創設することになったわけでございます。
  67. 武部文

    ○武部委員 そうすると、取り崩す場合は別途積立金が最初であって、今度の創設された原価変動調整積立金は二番手、そういうことですね。そうすると、仮に利益配当金が不十分な場合、利益の配当金が支払われないというような場合にもこれは取り崩せるのですか。そういうもののためにもこれはちゃんと使えるようにしてあるのですか。
  68. 小川邦夫

    ○小川政府委員 電力会社といたしまして必要な資金を調達し続けるために配当というものは続けざるを得ない。その配当所要利益が不足いたしましたときには、この積立金を取り崩すということは可能でございます。ただ、それも別途積立金を取り崩して後という考え方でこの積立金の取り崩しをしてもらおう、こういう考え方でございます。
  69. 武部文

    ○武部委員 もうこれは明らかに内部留保の金だというふうに理解できますね、今の説明を聞くならば。内部留保で、利益をそういう形にしてちゃんと積み立てておるのだということですね。国民の側から見れば、電力料金というものはそれだけの、例えばさっき言うように九千二百八億円の経常利益が出ておる。史上二位の利益が出た。ところがそれはみんなそういうような形で積み立てられておる。電力料金はどうなるかというと、供給安定のため、長期安定のためだ、こういうことで何の恩恵もしておらぬ、こういうことに国民の目には映るわけですよ。それはそれとしてまた改めて言いましょう。私どもは今有価証券報告書を詳細に検討を加えておるわけですから、いずれ改めてこの問題点指摘をしなければならぬと思っておりますが、それは後日に譲りましょう。  そこで、さっきの三十三億円の東京電力のはだれの目にも非常に少ないじゃないか、この東京だけが何で三十三億円というような少ない金額だったのだろうかという疑問が起きておるのは当然だと思うのです。  そこで、あなたの方から提出されました決算の報告書によりますと、東京電力の経常利益は二千五百六十九億円ですね。そうして当期利益は千二百十九億円、その下に当期利益、旧商法ベース七百四十九億円と書いてありますね。ほかの電力会社は、この当期利益とその下の旧商法ベースによる当期利益との金額にほとんど差はない。ところがこの東京電力だけ何で千二百億円が七百億円になるのですか。これはどういう理由ですか。
  70. 小川邦夫

    ○小川政府委員 これは東京電力原子力発電を非常に大々的に導入しておることとかかわりがございまして、当期利益、旧商法ベースで七百四十九億でございますが、これから原子力発電工事償却準備金というものの積み増しが差っ引かれるわけでございます。それを行った後ということになりますので、ほかと比べてその原子力発電工事償却準備金の大きいことが差としてあらわれているということでございます。
  71. 武部文

    ○武部委員 そうすると、原子力発電工事償却準備金のことをおっしゃったわけですが、これは基準があるのですか。基準があって、この工事の準備金は何ぼやれ、例えば利益の何%やれとか、そういうことがあるのですか。
  72. 黒田直樹

    黒田説明員 原子力発電工事償却準備金でございますが、これは租税特別措置法によりまして、各期間の各年度の原子力発電所建設費の百分の十六を積むことができることになっております。この取り崩しにつきましては、原子力発電所の運転開始後七年間で均等額以上を毎年度取り崩すことができる、こういうことになっております。したがって、要件は租税特別措置法で定められている、こういうことでございます。
  73. 武部文

    ○武部委員 今東京電力には、この原子力発電工事償却準備金が千三十二億円ありますね。現在千三十二億円あるはずだ。その金額の約半分ですよ、今回積み立てた金額は四百九十六億円ですから。約五百億円の金が、この利益の中から旧商法ペースという理由でもって落とされておる、こういうことになるのですよ。そうでしょう。そういう金額を落としてあるから、当期利益が非常に少なくなって、そして三十三億しか積み立てられなかった、こういうふうに理解していいのですか。
  74. 黒田直樹

    黒田説明員 先ほど部長から御答弁申し上げましたように、東京電力につきましては、五十八年度はかなりの規模原子力発電所建設が行われているところでございます。具体的に申し上げますと、六十年度に運転開始予定の福島第二の三号機であるとかあるいは柏崎・刈羽、こういうところで、いわば工事の最終段階としていろいろな建設が行われておりますのでそのような金額になったもの、こういうふうに理解をいたしております。
  75. 武部文

    ○武部委員 私はちょっと理解ができないのです。確かに今回償却準備金は四つの電力会社が積み立てておりますね。この金額の総計は八百五十九億です。そういう点で納得できませんが、もう時間的に余裕がありませんから、改めてまた次回にさぜていただくことにして、もう一つ聞いておかなければいけません。  今度はガスです。ガス会社の変動調整積立金は二百八十五億、別途積立金の残高は七百二十億、こういう金額で約一千億、こういう積立金が三大ガス、東京、大阪、東邦ガスで行われておる、こういうことになるわけですが、この金額は間違いありませんか。
  76. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘のとおりでございます。
  77. 武部文

    ○武部委員 電力とガス、これは今まで大体同じようなやり方で、利益の処分あるいは設備投資、そういうものについて通産省指導をしてこられて、そういう報告を当委員会でもしばしば私ども受けたところであります。  しかし、この三つのガス会社、これはすでに設備はほとんど完全というところまでいっておるのではないか、もう設備投資の必要はないではないかとさえ言われておるし、我々もそのように理解をしておるわけです。ほとんどLNGに転換をされた燃料だけに、中東からホルムズ海峡を通ってくるような原油と違って、インドネシアとかあるいはアラスカとかブルネイとか、そういうところから入ってくるわけですから輸入の危険性というものはない。原油とは全く違う。そういう点から考えるならば、この利益の処分方法、処分の考え方というのは、電力とガスはもう変わってきてもいいじゃないか、こういうふうに思うわけですが、通産省はそういうふうには思いませんか。
  78. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘のように、コストの構成上電力とガスと趣を興にするところがございます。しかしながら、その違うところは逆にガスにとってウイークポイントというところもあるわけでございまして、ガス事業にとって原料のコスト上のウエートというものは五割近くを占めておるわけでございます。したがって燃料費、為替でございますとかあるいは原油価格そのものでございましても、一たん中東情勢で動きがある場合に、実はLNGと石油と違う、ソースとしてはLNGは安泰ではないかというお話がございまして、量的確保の問題はそのとおりでございますが、価格面でいきますとオイルリンクでLNGも動いておりまして、一たん原油が動く場合にはLNGも大きく影響を受けて動く可能性がある。下がるときも下がったわけですが、上がるときもオイルリンクで上がるという意味で、為替の変動とともに、価格面で非常に不安定な状況がある。五割も占める原料費が大きくそういう不安定な要因で振られてしまうことは電力よりはるかに大きいという意味で、内部留保というものをしっかり持っておりませんと、料金の長期安定ということになかなかガスとしても困難な問題が出てくるということが一つでございます。  もう一つは、先ほど御指摘のように、資本費の増というものが発電所をつくるという電力と違って余りないではないかという点は、その点ではそのとおりでございます。ただ、保安対策というガスにとってやはり特徴的な費用増要因というものを抱えております。御案内の、昨年十一月の掛川事故というのがございました。あれはLPGの方の事故で都市ガスの事故ではございませんでしたが、あれに象徴されますように、消費者保安の抜本的強化というものが非常に必要になってきているということを痛感させる事件でございました。  私どもとしては、保安対策抜本強化ということをこの都市ガスについて指導しておりますし、ガス業界も呼応して思い切った対策を、消費者保安あるいは腐食導管の取りかえという安全のための努力をしようとしておる。これが非常に大きな金額として、コスト的に言いますと百億、二百億というような規模の積み増しをこの保安対策をさらに今後進めることによって必要としてくるということで、これがいわば電力で言う資本費増、修繕費の増加というものに似た形で保安対策費が、形としては修繕費という形であらわれるのが多いわけですが、それが今後も出てくる。こういったことに備える必要もあるというのがガスの状況でございます。
  79. 武部文

    ○武部委員 時間が来ましたからもうそろそろやめますが、今ガスの量と価格のことをおっしゃった。量については、今私が言ったように、入ってくるところが原油と全く違うのですよ。電力燃料とは違っておる。そういうところから見ると、この輸入先については電力よりはむしろ安定的な輸入先である。価格については、おっしゃるようにこれは原油に右へ倣えするわけですからそれは言えるでしょう。しかし、バレル二十九ドルの問題が安定的な現在の状況だとするならば、それはそう大きな変動が量や価格において起きるわけがない。  そういう場合にこの積立金の金額を見ると、電力の新しい原価変動調整積立金は九電力では八百二十三億、これに対して三社で二百八十五億という金額は、比較をしてガスの方が非常に大きいでしょう。別途積立金も、九電力で千七百三十五億、三ガスで七百二十億。そうなってくると、あなたのおっしゃったようないわゆる保安の問題、これは確かに言えると思います、これは一番大事なことですから。それならば、おっしゃった通産省指導しておるこの家庭保安、消費者保安、これについて実施計画と資本手当及びその時期と期間、こういうことについてあなたの方で考えておおられることがあるならば資料として提出していただきたい。それを拝見させてもらいたい。それによって私どもは、この保留をされた金額ですね、そういうものが妥当な金額であるか、これが現在の価格料金にどういう関係があるか、そういう点のひとつ分析をしてみなければならぬ、このように思うわけです。  もう一つは、浜西君が話をした例の原子力の各電力会社が支払っておる協力金のことをきょうは申し上げたかったのですが、東北電力あるいは東京、特に北海道、四国、この三カ所はいろいろ問題が出ておるようでありまして、私どもとしては大変内容的にも指摘をしたい点がありますが、きょうは時間が来ましたので、改めてまた次の機会に譲らしていただきたい。  ちょっとしり切れトンボになってしまいましたが、時間の関係がありますので次回に譲ることにいたしまして、私の質問はこれで終わります。  どうもありがとうございました。
  80. 金子みつ

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  81. 金子みつ

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福岡康夫君。
  82. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は、予算編成を前にいたしまして、現在政府は積極予算をとるのか消極予算をとるのか、ここ数日間問題にされております問題につきまして、いろいろ経済企画庁の方に御見解を問いたいと思うわけでございます。  まず第一には、五十八年度のGNP統計が発表されましたものを見ますと、実質経済成長率は三・七%となっております。これは政府見通しである三・四%を上回るものであると私は見ておるわけでございます。ところで、この一月から三月期は前期に比べて一・八%、年率に直すと七・四%となる高い成長率となっておりますが、これについて河本長官は十九日の閣議後の記者会見で、この高い伸び率はことしはうるう年の影響がかなりあるのではないか、今後ともこうした成長が続くかどうか疑問であるという趣旨の発言をなさっておると聞き及んでおります。  そこで、経済のベテランである河本経済企画庁長官にお尋ねいたしたいのでありますが、今後の経済の見通し及びうるう年の影響を差し引いた場合の五十八年度の成長率は何%となるかについて御説明をお願いしたい、かように思うわけでございます。
  83. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一−三月の成長は一・八%でありますが、今お話しのうるう年の関係がございまして、これを考慮いたしますと大体一・三%ぐらいの成長でなかろうか、このように思います。したがって、年率に直しますと五%前後の成長だと思います。  うるう年についての計算方法はきちんとしたものがあるわけではございませんが、一定の前提を置きまして計算をしておるわけでございます。これが五十八年度の成長にどの見当の影響を及ぼしたかといいますと、大体〇・一くらい引けばいいのではないか。したがって三・七の成長が三・六くらいの成長でなかろうか、平年に直しますと。大体そういう感じを持っております。
  84. 福岡康夫

    ○福岡委員 ところで五十八年度の経済成長率を需要項目別に見てみますと、民間消費の伸びが実質的には二・九%、民間住宅が前年に比べてマイナス七%というように家計部門の伸びが思わしくありません。また企業設備や在庫投資を含めた民間部門の全体について見ても、いまひとつ力強さを欠いているように私は思うわけでございます。公的部門について見ても、公的固定資本形成は、五十八年度も公共事業の前倒しが仮にありましたとしても年度後半においては息切れしてしまい、下半期は前期に比べましてマイナスというような始末で、内需全体の盛り上がりが欠けているという感じを否めないわけでございます。  そこで、五十八年度における成長率三・七%を内需と外需に分けて寄与度は幾らになっておりますか、お伺いしたいわけでございます。
  85. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今度発表されました一−三月期QEを入れて計算をいたしてみますと、実質成長率三・七%のうち内需が一・九、外需が一・八%の寄与度になっております。
  86. 福岡康夫

    ○福岡委員 依然として我が国の経済は外需依存型だと思うわけでございます。先月のOECD閣僚理事会に河本長官は御出席されておりますが、ロンドン・サミットの地ならしをされたわけであります。そのOECD閣僚理事会においては、当然我が国の大幅な国際収支の黒字について話題になったのではないかと私は思うわけでございますが、このままでは欧米各国との貿易摩擦は構造的なものになってしまうおそれがあると私は思うわけでございます。  先ごろ発表されました通商白書でも、我が国の国際収支の黒字が構造的なものであるから、外国との資本提携によって企業が外国に進出していくことが今後とも重要であるということが述べられておりましたが、この構造的とも言える我が国の黒字に関して、OECD閣僚理事会に出席されました経済企画庁長官としてどのようなお考えを持っておられるのか、また外国の我が国に対する意見、要望などをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  87. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 OECDの閣僚理事会がございましたのは先月の十七日、十八日でございますが、その直前に日本とECとの第一回の閣僚会議がございました。この二つの国際会議を通じまして、表立って我が国の黒字幅の大きいことに対する攻撃あるいはそれに近い発言はございませんでした。  と申しますのは、四月、五月と一連の対外経済対策を作業を終わりまして発表したものですから、それに対する評価等もございまして、その直後だったものですからそういう攻撃はございませんが、ただしかし、個別会談などを通じていろいろ意見を聞いてみますと、やはり巨額の黒字がずっと続くということに対しては相当な抵抗を持っておるように思います。したがいまして、今はおさまっておりますけれども、こういう状態が続きますと、必ず再びくすぶってくるのではないか、私はこのように考えております。
  88. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま河本経済企画庁長官は今後はくすぶってくるような気がする、こういうことをおっしゃいましたが、これに対する対策の御見解は当然お持ちだと思いますが、その御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。
  89. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 巨額の黒字を拡大均衡の方に持っていくということのために、今、日本として一番望ましい課題は、円を実力相応の評価にするということだと思います。私どもは現在の円レートは実力以下に評価されておる、このように考えておりますが、やはり四月などは約四十四億ドルばかり海外へ資本が流出をしております。五月はまだ正確な数字はございませんが、大体三十五、六億ドルぐらい流出をしております。月平均四十億ドル、五十八年度よりもはるかにまた大きな数字になっておりまして、こういうことがやはり非常な円安の背景にあるのだと思います。したがって、日本だけでどうにもしようのない点もございますが、しかし、何とか円が妥当な水準に評価されれば、私どもは貿易の不均衡はある程度解消するんではないか、このように思います。  それからもう一つは、内需が弱いということになりますと、どうしても外国から輸入する力が少なくなりますので、やはり内需を拡大をするということが必要だ、このように思います。計算上は内需の拡大によってそんなには輸入はふえないんだという説もございますが、これもその内容によりけりでございまして、内需が相当強く拡大をされるということになりますと、私はこれまでの計算方法は改めて考え直してみる必要はある、このように思います。したがって、内需の拡大と円の適当な水準、こういうことがこれからの大きな課題であろうかと思います。  それから同時に、保護貿易を排除いたしまして自由貿易体制を守っていくということのために新ラウンドを始めようということについて基本的な合意が得られておりますけれども、まだ日程等が決まっておりません。この問題につきましては、発展途上国であるとかヨーロッパ諸国におきましてやはり抵抗がございますので、これからはそういう国々の抵抗に対して理解を求めまして、できるだけ早く具体的なスケジュールを進めていくということが必要であろう、このように考えております。
  90. 福岡康夫

    ○福岡委員 今河本経済企画庁長官の御意見を聞きまして、私もいろいろ勉強させていただいておるわけでございますが、最近自民党の幹部やある派閥の領袖などがこうした意見を相次いで述べられ、河本長官もこうした議論に賛意を表されております。ところが一方では、十八日、十九日の衆参本会議における総理大臣の答弁や行政改革推進審議会などの意見は、拡大均衡論を否定する意見のようでございます。私はこの際、河本長官の拡大均衡政策が国際摩擦を避ける上からも、財政再建をする上からも、世界経済に貢献する上からも必要であるということを明言していただきたいと思うわけでございますが、ひとつ河本長官、腹蔵なき御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  91. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 さしあたってはシーリングの問題でありますが、これの結論が出ますのは多分来月の下旬になるであろう、このように思います。自由民主党にも政務調査会がございまして、そこで多分本日ぐらいから本格的な議論が始まるのではないか、このように思います。私は私なりに考えを持っておるのですけれども、もう少し党内の意見の推移を見まして、その上で適切な意見を発表したい、このように考えております。
  92. 福岡康夫

    ○福岡委員 失礼でございますけれども、その時期は大体いつごろかということをちょっとお聞きしたいのでございます。といいますのは、予算編成はもうぼつぼつ始まる段階になっておりますので、ひとつ経済企画庁長官の御意見の明確な発言が得られるのはいつごろか、こういうことの御発言をいただけたらと思います。
  93. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 予算編成は、普通の年ですと十二月に終わります。このシーリングというのは恒例に従いまして八月末に各省から概算要求を出しますので、その概算要求の出し方についての一つ基準を設けるということでありますので、最終的な政府の予算にそれがそのままなるということではございません。例えば昭和五十二年末に昭和五十三年の予算を編成いたしましたが、そのときには五十二年の八月に決めました概算要求をはるかに上回って、消化できる最大限の予算を組んだ、こういう例もございます。したがって、経済の動向を見まして、最終的にこの十二月になりませんと、予算がどういう姿になるかということはわかりませんが、しかし現段階における議論としてはそれなりに大切な議論だ、私はこのように考えております。  そこでこの根底に横たわる問題は、一つは先ほど申し上げましたように、日本の黒字幅が非常に大きな数字になりつつある、五十九年度の貿易の黒字、それから経常収支の黒字幅の見通しにつきましては一月にその見通しを発表したのでございますが、その後一月、二月、三月、四月、五月とここ数カ月間の経常収支、貿易収支の黒字の動向を見ておりますと、一月に発表いたしました昭和五十九年見通しをはるかに大きく上回る気配でございます。このままの数字が続きますと相当巨額の黒字になるのではないか、このように考えておりますので、やはり国際社会における有力な経済大国といたしまして、世界全体に対する影響等も考えなければなりませんので、先ほど申し上げましたような二つの対策も真剣に検討してみる必要があると私は思います。  それからアメリカの一−三月の成長の実績が発表になりましたが、発表の回を追いましてだんだんと上方に修正されまして、最終的には年率に直しまして九・七という数字になっております。それから四−六も相当低くなるのではないかという話も一時ございましたが、これも昨日の発表を見ますと、五・七という実質成長が可能である、こういうように発表されております。そうしますと、年度間を通じてアメリカの成長は相当高いものになる、このように思われますし、かねがね私が申し上げておりますように、経済の基礎的条件は日本の方がアメリカよりもはるかにいいと私どもは考えておりますので、条件の悪いアメリカが相当高い成長をして、条件のいい日本がそれよりも低い成長しかできないということはやはり何らかの問題点があるのではないか。やはり日本の持っております潜在成長力が十分発揮できるということになりませんと、先ほど御指摘のございました国民生活も向上できません。  したがって経済の最大の柱である消費も伸びない、こういうことにもなりますし、国民生活が向上いたしませんと、それを無視して国際社会に貢献をする、対外援助をするということにも当然抵抗が出てくるであろう、このようにも思いますので、やはり私は今の経済の状態を考え、またアメリカの動きなどを参考にいたしまして、日本としては日本の持っておる潜在成長力が十分発揮できるような政策をこの際断行する必要がある、このように考えております。  そういう考え方を背景にいたしまして、さて当面のシーリングをどうするかということでございますが、せっかくきょうから関係者の間で議論が始まったわけでありますから、経済企画庁の方から議論の始まったそのときに意見を言うことはちょっと差し控えまして、まだ四十日ばかりございますから、その間適切な判断をしたい、このように考えております。
  94. 福岡康夫

    ○福岡委員 その問題につきましては、経済企画庁長官の言われるように、あと四十日間あるからそのうちに出ると思いますので、次の問題に移らしていただきます。  五十八年度の我が国の国際収支を見てみますと、経常収支で二百四十二億七千七百万ドル、貿易収支で三百四十五億九千八百万ドルの黒字でありまして、五十八年のアメリカの経常収支の赤字四百七億ドル、貿易収支の赤字六百九十三億ドルと比較しまして極めて対照的であります。ことしはこの黒字と赤字の乖離はさらに進むのじゃないかと私は考えておるわけでございます。ECと我が国との収支の差も、我が国が百億ドルとなっておるのであります。このままでは我が国が世界経済の中に伍して貢献していくという立場にあるとは言えません。  そうしたことから、我が党の竹入委員長も先日の記者会見で、昭和六十年度予算の一律マイナスシーリングなどはやめて生活関連公共事業費をふやすなど、景気の拡大策をとる必要があると述べておるわけでございます。本年景気の拡大策をとったからといってそれが直ちに行政改革や財政再建の方針に反するというものではなく、景気が拡大すれば税収がふえ、かえって財政再建に役立つと私は考えるわけでございます。また行政簡素化を進める、小さい政府をつくるという行政改革は別途に進めればよいのではないかと私は考えておるわけでございます。経済運営の基本的態度は、これらの問題と別個の問題と思うのでありますが、この点について河本経済企画庁長官はどういう御意見でございましょうか、お伺いいたします。
  95. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 基本的な考え方は私も全く賛成でございます。ただ、今我が国で非常な誤解が一つございまして、それは行政改革を進めればそれで何でも解決できる、こういう誤解であります。しかし、行政改革はあくまでやらなければならぬと思いますけれども、これはあくまでも節約でございますので、それだけで財政再建ができるとは私どもはどうしても考えられない。やはり経済の活性化を図りまして、そこから財政収入の拡大を図っていく、それが両々相まって当面の財政再建ができる、このように考えております。  したがって、基本的な考え方につきましては全く同感でございますし、特に今日本の政府は貧乏しておりますけれども、しかし国民経済全体から見ますと貯蓄過剰の状態でございまして、こういう国は世界広しといえども日本をおいてないのではないか。国全体には金がたっぷり余っておる、政府は貧乏だ、こういう状態でございますから、いろんな形で国内に余っておる資金を動員、活用していく、こういうことが当面の大きな課題でなかろうか、私はこのように考えております。
  96. 福岡康夫

    ○福岡委員 拡大政策をとることで最も心配になってくるのが物価の問題ではないかと思うわけでございます。自民党の宮澤議員の資産倍増論でも、その他いろいろ言われております拡大論でも、物価のことについては何も触れられておらないのでありますが、五十八年度の消費者物価上昇率は一・九%でございました。これは三十年来の低い記録であります。その意味では国民生活は安定していると言えるわけでございます。  しかしながら、一方で実質賃金はここ数年一%ないし二%程度の上昇でありまして、所得税や社会保険料などを差し引かれました可処分所得はほとんどふえていないというのが実情でございます。国民生活は足踏みをしていると言っても過言ではないのではないかと私は思うわけでございます。またGNP統計でも、個人消費の伸びが、物価が安定しているのに緩慢な伸びにとどまっておりますのはそのためではないかと思うわけでございます。また失業者にしましても、最近では失業率は二・七%、百七十万人程度で推移しておりまして、これは逆に三十年来の悪い記録になっているのではないかと思います。  物価が安定しているからといっても、国民生活は安定、向上しているとは必ずしも言えないのではないかと総合的に私は判断するわけでございます。したがって、仮に拡大政策がとられたといたしましても、賃金が抑制され、税金や社会保険料がふえ、失業者が多発している状況下では、国民はたとえ一%でも物価が上がってもらっては困るわけでございます。拡大政策と物価との関連について河本長官はどの程度の許容度を持ってお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思うわけであります。
  97. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 物価が安定をしておるということは、これはすべての経済政策の前提条件でございまして、物価の安定がございませんと他の経済政策も有効にこれを進めることが不可能でございます。したがって、経済政策の中で何を一番大事に考えるかと言われますとやはり物価の安定だ、このように思います。  ところで、昨年度は御指摘のように消費者物価は一・九%でありましたが、本年度は二・八%という目標を設定しております。大分高くなっておりますが、これは公共料金または公共料金に準ずる分野での値上げが相当たくさんございまして、これが約一%強物価を申し上げることになっております。この点は大変遺憾でございますが、ここ二、三年ずっと延ばしておった公共料金が相当ございますので、万やむを得ずある程度今年度にこれを解決することにいたしまして、これが一%強の物価上昇につながる、その結果二・八%という昨年度よりも若干高い水準になりますが、これは絶対守っていきたい、これは超えないように絶対しなければいかぬ、このように考えております。
  98. 福岡康夫

    ○福岡委員 拡大政策をとればある程度物価が上がるというのは常識でありまして、アメリカでは既に企業の設備稼働率が八〇%を超え、物の種類によっては品不足感が流れていると私は聞いております。アメリカの過去の例から見まして、設備稼働率が八〇尾を超えるとインフレになると言われているのでありまして、アメリカでは既にインフレの心配があちこちで聞かれているということでございます。したがいまして、仮に拡大政策がとられたといたしましても、需給バランスが崩れないように経済運営を機動的に行うことが重要ではないかと私は考えておるわけでございますが、物価の安定はどのような経済政策がとられたといたしましても、国民生活の安定のため第一義的なものとして考えていかなければならないと私は考えるものでございます。  税収の確保を図り、財政再建を確実な軌道に乗せるためには経済の拡大が重要なことでありますが、そのために物価が上がってしまったのでは本末転倒と言わなければなりません。税収の拡大を図るために名目成長率をある程度大きくしろという議論がありますが、この点について河本経済企画庁長官はどういうようなお考えをお持ちなのか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  99. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど物価の安定がすべての経済政策の基礎であるということを申し上げました。アメリカ経済などを見ましても、やはり一番の心配点はインフレは起こらないかということだと思います。しかし、幸いここ数カ月間大体四%台で持ちこたえておるようでございまして、今のところはその心配は出ておりませんが、余り過熱いたしますと、やはりこの問題が若干心配だと思います。最近は八一%までぐらい操業率は高くなったようですけれども、まだ若干余裕があるように向こうでは言っておりますので、まだインフレの心配はないと思います。日本でもやはり名目成長率を高めるために云々という御議論がございましたけれども、そんなことは毛頭考えておりません。やはり物価の安定ということを最優先して考えていきたい、このように思います。
  100. 福岡康夫

    ○福岡委員 いろいろ経済政策について率直な御意見をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。  次に、行政管理庁にお伺いしたいと思うわけでございますが、私、行政管理庁の「畜産物の生産及び流通に関する行政監察結果報告書 牛肉を中心として」という表題の報告書を読ませていただいたわけでございます。この監察の目的及び監察結果について、簡単に行政管理庁当局の御説明をお願いしたいと思うわけでございます。
  101. 堀江侃

    ○堀江説明員 御説明をいたします。畜産物の生産及び流通に関する行政監察を実施いたしました目的でございますけれども、畜産振興事業団が行います輸入牛肉売買の実施状況、国内産牛肉の生産、流通の実態などを調査いたしまして、輸入牛肉による価格安定制度の効果的な運用、牛肉に係る流通、消費者対策の充実、牛肉の安定的供給のための肉用牛生産対策の推進という観点に立ちまして、関係行政施策の改善に資そうといたしたものでございます。  調査結果に基づきまして、昭和五十八年一月に公正取引委員会と農林水産省に対しまして勧告をいたしました。その主な点を申し上げますと、第一に輸入牛肉の適期、適量の売り渡しの実施でございますとか、輸入牛肉差益金による助成事業の効果的な実施など、畜産振興事業団の業務の一層の効果の確保を提言いたしました。第二に、肉用牛の生産コストの低減など生産諸対策の一層の推進を図る必要を指摘いたしました。第三点は、牛肉の小売段階における表示の改善、輸入牛肉販売店制度の適正な運用の確保、食肉卸売市場や食肉センターの機能の強化、牛肉の格付制度の実効性の確保などの流通、消費者対策の充実につきまして指摘いたしております。
  102. 福岡康夫

    ○福岡委員 行政管理庁に重ねてお尋ねいたしますが、この監察結果のポイントだけちょっともう一度、どういう問題点を農林水産省に指摘したのか、この点についてもう一度簡単に要点だけ御説明願いたいと思います。
  103. 堀江侃

    ○堀江説明員 ただいまも御説明をいたしましたけれども、ポイントを数点にわたって申し上げます。  第一点は、輸入牛肉によりまして国内牛肉販売価格の安定を図る仕組みがございますけれども、これが調査の結果によりますとある面で十分な機能を果たしてないというのが第一点でございます。
  104. 福岡康夫

    ○福岡委員 それだけで結構です。  農林水産省にお尋ねいたしますが、ただいまお聞きになりましたように、行政管理庁の方といたしましては、畜産物の価格安定等に関する法律、畜安法の趣旨、目的が十分生かされていないという行政監察結果報告になっております。すなわち牛肉の価格安定制度が十分生かされていないために牛肉の価格が安定上位価格を突破したまま約一年半経過したり、指定助成対象事業の補助金や出資金について有効な活用が図られないなどの指摘がこの監察結果報告書にあるわけでございますが、その後これらのことについて農林水産省当局はどのような改善策をおとりになったのか、御説明願いたいと思うわけでございます。
  105. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 五十八年一月の行政監察につきましては、ただいま行政管理庁の方から御説明したとおりでございます。私どもそれを受けまして、五十八年六月に行政管理庁の方に回答いたしております。  そこのところの勧告のポイントにつきまして今先生からもお話があったわけでございますが、実は昭和五十年に牛肉を価格安定制度の対象にいたしまして以来五十九年まで九年ぐらいの運用の実態があるわけでございますが、その中で卸売価格が安定帯を飛び出したのは、今御指摘がございました和牛については五十四年と一部五十五年にかかりました。乳雄は五十五年一年間だけでございまして、あとの八年程度価格安定帯の中で非常に安定してきている。特に最近数年間は極めて安定しているという実態にあることを御理解願いたいと思います。五十四年におきます高騰は、実は国内産の和牛が激減いたしまして、輸入牛肉の放出がそれに追いつかなかった。ただ、輸入牛肉はその当時前年に対しまして二万トン多く入れまして対応したわけでございますけれども、和牛と輸入牛肉の品質の格差等の問題もございまして、効果が出るまでに若干の時間がかかった、こういうことでございます。
  106. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま農林水産当局の方からそういう御答弁がございましたが、この結果報告について行政管理庁としてはどういう評価をお持ちですか。その評価をちょっと御説明願いたいと思います。
  107. 堀江侃

    ○堀江説明員 お答えいたします。  ただいま農水省の方から御説明がございましたが、牛肉の価格安定、輸入牛肉の適期適量の売り渡しということによりまして、価格の安定について農水省の方で努力を払われておるわけでございます。私どもは、一定の期間調査をいたしまして、より適期適量な売り渡しの実施ということについて御意見を申し上げたわけでございまして、この意見をもとにしまして、農水省の方でさらに状況の推移を見ながら適切な措置が講じられるように期待をいたしておるわけでございます。
  108. 福岡康夫

    ○福岡委員 重ねてお尋ねいたしますが、行政管理庁としては、今のお話、ちょっと奥歯に挟まったようなお話でございますが、十分であるか、それとも不十分だ、また積極的にやる必要があるのか、この点についてもうちょっとはっきり言っていただきたいと思います。
  109. 堀江侃

    ○堀江説明員 私ども調査を実施いたしました段階では適切でない状況が生じておった、その後勧告を申し上げまして、それに即して農水省の方で今後はそういう事態が生じないような御措置をおとりになるだろうというふうに期待をいたしておると御理解をいただきたいと思います。
  110. 福岡康夫

    ○福岡委員 重ねてお尋ねしますが、現在では十分ではない、こういう判断をしていいのかどうか、この点だけお答え願いたいと思います。
  111. 堀江侃

    ○堀江説明員 現段階におきましては、輸入牛肉の放出の状況等について私どもなりに調査をいたしておりませんので、特に明確な御返事ができかねるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  112. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで私の考えをいろいろ述べさせていただくわけでございますが、さきの問題をいろいろ見てみますと、牛肉等の問題についても、最近の報道によりますと、畜産振興事業団の輸入肉の放出量が昨年の同期に比べて非常に少ないということであります。そこで、オーストラリアのチルド肉の輸入と放出のタイミングや量が不適切になっておるのではないかと私は思っておるわけでございますが、チルド肉は非常に需要が旺盛であると聞いておりますので、十分供給できるように考えていただきたいと思うわけでございます。  そこで、五十九年度以降の我が国の牛肉総輸入枠を話し合う日豪牛肉交渉が六月十四日に行われたとのことでありますが、新聞等の報ずるところによりますと、この交渉でオーストラリア側が輸入総枠で日本側に譲歩をした見返りに、日本側はオーストラリア側が要求していたチルド牛肉枠の創設について輸入量増大に努めるとの意向を示したとのことでありますけれども、チルド牛肉枠を新設するお考えはあるのかどうか、農林水産省当局の御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。先ほどのお話では、行政管理庁としては現在いろいろ調査してないのでわからないということなんで、これは私の考えで、ひとつこういう見解があるということで、農林水産省当局の御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。
  113. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 まず五十四、五年以降におきます輸入牛肉の適時適切な販売についてどういう努力をしたかという点につきましてお話しさせていただきたいと思います。  私どもも畜産振興事業団の需給調整機能というものは非常に重要であるということにかんがみまして、なるべく国内の需要に応じた部位を適時適切に放出するということに努めてまいりまして、五十七年以降、事業団の中に生産、流通、需要各分野の専門家から成ります輸入牛肉委員会というものを設けまして、売買の対象にいたします牛肉の種類だとか部位、規格等につきまして十分意見をお聞きいたしまして、需要界、流通界の実態というものを踏まえて適切な放出に努めている、こういうことでございまして、その後は先ほど申しましたように、価格安定帯の中に私どもとしては非常にうまくおさまっている、こういうように理解いたしております。  それからチルド牛肉でございますけれども、まず、全般的に申しますと輸入量が毎年度着実にふえてきていることもございまして、畜産振興事業団が放出する輸入牛肉の量も毎年度着実にふえております。チルドビーフは、先生承知だと思いますけれども、いわゆる冷蔵ものでございまして、これは生ものでございまして、国内に到着してから需要家に渡るまでの期間が限られておりますので、需給調整上非常に取り扱いを慎重にしなければならぬ、こういう性格的な制約のあるものでございます。それで私どもとしては、これはそういう意味では非常に慎重に取り扱う必要があるものだろう、こういう理解をしておりますが、五月あたりにチルドビーフが確かに国内の到着数量というのが少なくなっております。これは実はオーストラリアにおきます港湾ストが四月中旬まで続きまして、これの影響でおくれたわけでございまして、これのおくれというのは六月になれば取り戻すだろう、かように理解しております。  それと、日豪の牛肉協議、前回六月十四日、事務レベルで行われまして、豪州側は、豪州のグラスフェッドのチルドビーフの我が国に対する安定的輸出、あるいは輸出量の拡大ということについて強い御希望を持っておられることは事実でございます。私どもといたしましては、今申しましたように生ものでございまして、需給調整上非常に取り扱いが難しいという制約はございますけれども、今後ともその安定的な輸入に努めることは可能ではないか、かように考えているところでございます。  ただ、具体的な交渉の中身につきましては、ただいままだ交渉中でございますので、具体的な点については差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 福岡康夫

    ○福岡委員 農林水産省にお伺いしたいのでございますが、昨年、総理大臣や農林水産大臣が我が国の牛肉価格をEC並みの価格にしたいというような発言をなされておるわけでございます。その後、農林水産省や畜産振興事業団はEC並みの価格を目指していろいろ努力しておられると思いますが、具体的にどのような努力をなされたのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  115. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 日本におきまして肉用牛産業が産業として確立いたしましたのは四十年代に入りましてからでございまして、それまでは御承知のように役畜としての利用から来る副産物の利用ということであったわけでございまして、実態も、歴史が浅うございましたし、制度的にも酪農に比べて十年なり十五年おくれていた、こういう実態があったわけでございます。そういうことの反省に立ちまして、昨年、国会におきまして酪農振興法を改正されまして、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律という法律ができまして、それを受けまして、政府として酪農及び肉用牛生産の振興に関する基本方針というものを昨年十月二十六日に実は策定いたしたわけでございます。  その考え方は、一言で申しますと土地条件に格段の差のある豪州、アメリカ並みとは言えませんけれども、土地条件が比較的似通っているEC諸国並みの価格には近づけられるのではないかということで、その基本方針の中でいろいろな観点から肉用牛生産の振興を総合的に進めていく、こういうことにしたところでございます。  それの考え方は、一つは、まず我が国が非常に零細経営規模でございまして、特に子牛を生産しております繁殖経営部門が非常に零細である。ただ、これは土地資源あるいは野草等の国土資源の有効利用あるいは地域経済上非常に重要なものでございまして、ここの強化が必要であるということで、肉用牛の繁殖経営におきます中核的担い手を育成していこうというようなことが第一点でございます。  それから第二点目は、諸外国に比べまして日本の肉用牛生産の飼料基盤が非常に弱いと申しますか、おくれておる。したがいまして、飼料自給率を向上することによってコストを低減する。  それから三点目は、肥育期間が日本の場合は非常に長い。これは日本人の嗜好性にもよるわけでございますが、御承知のように、すき焼きとかしゃぶしゃぶ等の肉というのは、ある程度さしが入っていないと調理に向かないものですから、そういう日本人の嗜好というものもございまして、なるべく肥育期間を長くして、そういうさしの入った肉をつくって高く売りたい、こういう経営体としての経営志向というのがあるわけでございますが、トータルとして考えた場合、必ずしもそれが肉用牛の肥育経営にとってプラスではないんじゃないかという反省もございまして、肥育期間を短縮して経済的な肥育を推進する、これが三点目でございます。  それからもう一つは、日本におきます肉用牛資源の約七割が酪農部門から由来しておりまして、これは年とった母牛、それと乳雄でございます。この酪農経営の中におきまして、雄子牛を一定期間、哺育育成期間、子牛になるまでの間でございますけれども、酪農経営の中で育成することによりまして事故率を低下させる、こういうことによりまして肉資源を確保する。大きく言いますとこの四点に分けて鋭意生産性の向上とコストの低減というのを図っていこう、かように進め始めたところでございます。
  116. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、町を歩いておりますと、いわゆる牛肉の安売りデーというようなのにぶつかりまして、いろいろ畜産振興事業団の指定店の看板がかかっているのを見受けるわけでございますが、現在全国で牛肉の販売店が幾らありまして、そのうち指定店は何軒あるのか、この点について農林水産省の方で数字がわかっておれば教えていただきたいと思います。
  117. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 食肉の小売業の数につきましては、私ども全国で約三万四千店というように承知しております。
  118. 福岡康夫

    ○福岡委員 三万四千、そのうち指定店は幾らですか。
  119. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 失礼いたしました。  そのうち畜産振興事業団におきます輸入牛肉の指定店は、今年度さらに数をふやしまして現在三千店でございます。
  120. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま数をふやしてとおっしゃいましたけれども昭和五十七、八、九とどの程度ふやしていっておるのか、数字がわかればちょっと教えていただきたいと思います。
  121. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 私、今手元に持っておりますのは、五十七年度には約二千三百店でございました。それから五十八年度、去年でございますが、それを二千八百店にふやしまして、今年度さらに数をふやしまして三千店にした、こういうことでございます。
  122. 福岡康夫

    ○福岡委員 いろいろ農林水産省の方で、指定助成対象事業として牛肉特売等の消費者対策費が計上されておるのは私も予算書を見てよくわかっておりますが、これも指定助成対象事業全体の金額からすれば一割にも満たない金額じゃないか。数にしても何にしても非常に少ないということが言えるわけでございます。指定店及び助成費をもっとふやして、特売回数もふやして消費者保護を図ってもらいたいと考えておりますが、いかがでしょうか。ひとつその御見解、今後の見通しについて御説明願いたいと思います。
  123. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 事業団で行っておりますいわゆる指定助成対象事業でございますけれども、これの私どもの基本的な考え方につきましては、零細、分散的に一過性で事業を行うよりも、国内生産性の向上に努めまして、足腰の強い肉用牛経営をつくり上げる、これが長期的に消費者にとって非常にプラスになるのではないかという考え方をとっております。  そこで私どもといたしましては、そういうこともございまして、国内の生産性の向上が図られまして、先ほど申しましたように、五十年に牛肉を価格安定制度の対象に取り入れて以来、五十四年は卸売実勢価格として一〇〇を超えておりますけれども、現在の卸売価格の実勢相場といいますのは五十年よりもむしろずっと下回っている、こういうことになったのであろう、かように考えているわけでございます。ただし、我が国の牛肉の消費形態が、御承知のように少量多頻度買いということにございまして、これが小売店におきますコストの上昇要因等になっておる、こういうようなことがございます。  それからもう一つは、牛肉につきましては、やはり消費者の消費の歴史というのが比較的新しゅうございますので、調理方法なり調理形態というのが必ずしもまだ定着していないこともございまして、部位による価格評価がかなりアンバラである、こういうようなこともございますので、そういう方向に沿った流通段階でのコストの低減あるいは小売価格の安定、あるいはそういう普及、啓蒙等を中心にいたします消費改善というものを毎年度事業としてやっておるところでございます。それで、私どもの整理では、今先生おっしゃいましたけれども、五十八年度の指定助成対象事業の中で流通消費対策には約二四%ぐらい使っておるということでございまして、全体が二百億強の中で五十億円程度を流通消費対策に使っている、かように私どもは整理しております。
  124. 福岡康夫

    ○福岡委員 農林水産省にお尋ねいたしますが、世界で一番高い牛肉はどこの国でございましょうか。
  125. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 絶対価格で申しますと、私も今そういう観点からの資料を持っていないわけでございますが、例えば日本とECと比べますと、日本はまだEC諸国よりも三割程度高い。それからオーストラリアと比べますと、日本は三倍程度、アメリカと比べますと倍ぐらい、かような感じでございます。
  126. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこでお尋ねするわけでございますが、我が国の牛肉は、確かに今おっしゃったように世界一高いということになっております。物価指数で見ますと、ここ数年牛肉価格は比較的安定的に推移しておりますけれども、それでも世界一高いことには変わりございません。一九七八年から八一年まで、ECの牛肉は二六・五%値上げをいたしております。それに比べて我が国の牛肉は同期間に二・七%下落しておるわけでございます。それでもECの牛肉価格は我が国牛肉価格の六五%にすぎないのであります。これは新聞の報道でありますが、事実とすれば、ECの牛肉価格が上がって我が国との価格差が縮まったということになりますが、事実でしょうか。ひとつこの点の御見解をお聞きしたいわけでございます。
  127. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 諸外国と価格を比較する場合に、特に品質面をどう見るかということが重要でございまして、特に牛肉のようなものにつきましては、日本における普通の牛肉の品質と諸外国における普通の牛肉の品質というのは必ずしも同一ではございませんので、その点いろいろな方法で類似のものを比べるということが必要であるわけでございますが、そういうことをやりまして、限界がございますけれども、私どもが計算いたしますところ現時点におきましては、先ほど申しましたように日本はECよりも三割ぐらい高い。ただ、これは五、六年前に比べますと、ECは日本よりも五割ぐらい安かったわけでございまして、日本の実勢価格がその間ほとんど一〇〇で推移してきている。そういうこともございまして、約五割が現時点で約三割まで格差が縮小してきている、かように私どもは理解しております。
  128. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、今後EC並みの価格にするのにはどのような政策手段をお持ちになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  129. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 先ほど申しましたように、昨年成立いたしました酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づきます政府としての基本方針、これに沿いまして四つのポイントを中心にいたしまして国内の生産コストの低減に努めますと、現実的な期間においてこの三割の格差というものの圧縮は可能である、かように私ども考えておるわけでございます。
  130. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、五十七年の八月に公明党の長田武士委員がこの物価問題特別委員会質問いたしました記録を読ましていただいたわけでございますが、そのとき農林水産省及び森事業団理事長は、当時バター、脱脂粉乳の価格が安定指標価格の一〇〇%を上回らないように適切に放出を行い、価格を安定させるということを約束されておるわけでございますが、昨年の牛肉についての行政管理庁の勧告にあったと同じような価格操作も、事業団の不作為によって価格の高騰があったことはまことに遺憾だ、こういうふうに思うわけでございます。なぜ輸入してでも価格を冷やさなかったのか、行政管理庁の勧告はいまだ生かされていないと思っておりますが、農林水産省当局の責任ある御答弁をお願いしたいと思うのです。
  131. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 バター、脱脂粉乳等の最近の需給の動向をちょっと申し上げたいのでありますが、昭和五十年代に入りましてから大変牛乳の生産量がふえまして、一方で飲用牛乳の消費が伸び悩むというところから、乳製品の市況は五十二年から五十六年にかけまして安定指標価格を大きく割り込む、乳製品の大幅な過剰在庫が累積するという、酪農にとって大変苦しい状況になったわけでございます。その中で、五十四年度から生産者はみずから生乳の生産を抑制するという計画的生産を始めたわけでございまして、この結果五十六年後半以降需給はようやく均衡に向かったということでございますが、我が国の酪農はもともと供給過剰に陥りやすい面があるということから、今後も生産調整を続けていかざるを得ないというふうに私ども考えております。また乳製品の需給は、我が国におきましては底が浅うございまして、一歩誤りますと過剰から一転不足という事態を招来しかねないという問題もございまして、これらをにらみながら需給価格に遺憾なきを期しているということでございます。  こういう生産調整のもとで大変難しい需給操作をやるということでございますが、その中で、バターにつきましては五十七年の七月に安定指標価格の四%を超えた、脱脂粉乳についても五十七年の六月に四%を超えたということでございますが、その後、今お話のございました時期にかけまして数度にわたる事業団の放出の効果が出てまいりまして、五十八年の六月をピークといたしまして価格はなだらかに下降線をたどってまいりました。現在のところ市況は安定指標価格比で、五月の数字でございますが、バターが一〇五・四%、脱脂粉乳は一〇四・九%ということでございますが、これらの最近の価格の水準でございますとか、民間の在庫の水準あるいは今申しました計画生産の状況等を総合的に判断いたしまして、安定指標価格水準に収れんさせるべく十分注意を払って今後の運営に取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。
  132. 福岡康夫

    ○福岡委員 今のお話を聞いておりますと、どういう方法をとるのか、ちょっとえらい抽象的過ぎて、私が頭が悪いのかもわかりませんが、理解できないのですが、輸入枠をふやすのかふやさないのか。
  133. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 需給の動向に十分配慮をいたして、必要な時点におきましては必要な輸入をしてまいるということでございますが、現在の状況ではそういう事態ではないというふうに私ども考えております。
  134. 福岡康夫

    ○福岡委員 では次に、畜産振興事業団は、牛肉の価格安定のほかに、豚肉とかバターや脱脂粉乳など、乳製品についての価格安定事業についても行っておられるわけでございますが、牛肉価格は最近の資料によりますと、安定上位価格を上回らない、すれすれで推移しているわけでございますが、バターや脱脂粉乳については安定指標価格を四%以上も突破しておる状態です。これが約二年間続いておるわけです。事実関係について、農林水産省当局にこの点についての御説明をお願いしたいと思うわけでございます。
  135. 伊藤礼史

    ○伊藤説明員 一〇四%と申します四%の水準は、事業団が高値を冷やすために売買の操作をする一つのめどでございますが、その四%の水準を超して現在まできているということは先生指摘のとおりでございます。ただ、申し上げましたように、だんだん軟化をいたしまして、今や四%すれすれでございまして、物によりましては四%を割っている乳製品もあるという状況に来ましたということでございます。
  136. 福岡康夫

    ○福岡委員 以上をもちまして、質問を終わらせていただきます。
  137. 金子みつ

    金子委員長 田中慶秋君。
  138. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 きょうはお米を中心とした問題について質問をさせていただきたいと思います。  御案内のように、私たちの主食でありますお米は、戦後、国民の課題として食糧の増産あるいはまた祖国の復興等々について大きな役割をしてまいりましたけれども、今日では、生産過剰と称して生産調整を強要され、八年連続転作を行ってきたわけであります。本年度より稲作の転作も第三期対策に入ってきておりますけれども、現在、政府の手持ち在庫等々が底をつき、食糧の安定供給も危ぶまれているというような問題がいろんな形でうわさをされております。特にこの三年あるいはまた四年連続の不作という問題が起きていると思いますし、また五十三年度の古米の問題等々に端を発して、急速こういう問題が大きくクローズアップされたんだろうと思っております。しかし、本質的に三年なり四年なりの不作という問題についても、これからその対策なり根本的な原因の調査ということが必要だろうと思います。  そういう前提に立って、現在の米の需給状態はどうなっているか、まず冒頭質問をさせていただきたい、こんなふうに思います。
  139. 赤木壮

    ○赤木説明員 米の需給でございますが、五十八年産米は当初計画千九十五万トンの生産を予定しておったわけでございますが、御承知のとおり、四年続きの不作ということで、この生産量が千三十七万トンに落ちてきたわけでございます。五十九米穀年度におきましては、この生産量のほか、前年から持ち越したもの等を含めまして、千六十万トンの供給量になり、需要量が千五十万トンと見ておりましたので、今年の十月末在庫は、古米在庫としては十万トンが持ち越せるというように考えておるわけでございます。以上でございます。
  140. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 現在の在庫等の問題も御説明いただきましたけれども、五十九米穀年度で消費すべきお米の一部を五十八年度中に消費をしているというのが実態だろうと思いますし、実際、米の需給というのは、今在庫が十万トンと言われておりますけれども、もっと下回っている、あるいはもっと悪いんじゃないか、こういうことが言われているのですけれども、その辺の実態はどうなんでしょう。
  141. 赤木壮

    ○赤木説明員 先ほど私が申し上げましたのは、ことしの十月末での古米在庫が十万トン持ち越しという形になっておるというふうに申し上げたわけでございますが、現実の在庫は、最近時点ということで見ますと、本年三月末で、政府管理米、自主流通米と政府米ということになりますけれども、これを過剰米を別にいたしましても三百十万トン程度はあると見込んでございます。  以上でございます。
  142. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 現在自主流通米、政府米等々の問題で、在庫高そのものが余り心配をされないような数字を述べられているわけですけれども、実質政府米と言われる数字そのものがそれじゃどの程度になっているんでしょう。
  143. 赤木壮

    ○赤木説明員 さっき申し上げました三百十万トンのうち百七十万トンが政府米でございまして、このほかに自主流通米が約百四十万トンと推定されておるところでございます。
  144. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今の数字からしますと、それほど心配されないような数字が出ているわけですけれども実態として四年続きの不作あるいはまた今のお米の需給実態等々を考えてまいりますと、将来とも在庫そのものについてのとらえ方というものはどんなふうにお考えになっているのか。
  145. 赤木壮

    ○赤木説明員 在庫量、米穀年度末に前年産古米が十万トンというような状況というのは非常に在庫水準は低いというふうに考えておるわけでございまして、これも四年続きの不作の結果としてこうなったわけでございますが、これからの問題としては、適正在庫を保有していく必要があるという考えに立って、五十九年度から始まります水田利用再編第三期対策、三年間続くわけでございますが、これの中では毎年四十五万トンずつ在庫を積み増していくということで、三年間たちますと約百五十万トン程度の在庫積み増しというふうになるわけでございますが、現在の在庫水準は少し低いという現実認識に基づきまして、そのように考えて対応しようとしているところでございます。
  146. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これらの水田利用再編第三期対策、すなわち転作面積等々が、当初計画よりも拡大されるという形でよろしいのですか、四十五万トンアップされるということになりますと。
  147. 川合淳二

    ○川合説明員 第三期対策について御説明申し上げます。  私ども、転作をしないで水稲あるいは陸稲をつくったらどのぐらいとれるかというのを潜在生産量と申しておりますが、この三期の計画といたしましては千三百七十五万トンを考えております。それで各年の平均の需要量を一千四十万トンというふうに考えておりまして、そのほかに先ほど御説明いたしました在庫積み増し四十五万トンということで、生産を千八十五万トンというふうに置いているわけでございます。したがいまして、御質問の、私ども要調整数量と申しております転作の面積でございますが、本来この積み増しがないといたしますと約七十万ヘクタールしなければいけないというのを、十万ヘクタール減らしまして六十万ヘクタールという形にいたしまして、この積み増しを図るという計画になっているわけでございます。
  148. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そうしますと、この転作面積が縮小されるというふうに理解していいわけですね。ところが、今のそれは、従来までのお米の需給状態で転作というものが縮小される方向であったんではないかと思うのですけれども、現況のようなお米の需給状態になってきますと、この辺についての転作の縮小というものがもっとされる必要があるんじゃないかと思うのですが、その辺どうなんでしょう。
  149. 川合淳二

    ○川合説明員 私どもこの三期の計画を立てます際に考えておりましたのは、先ほど需給課長から説明申しました在庫がかなり低い水準にあるということを前提として考えておりますので、したがいまして、先ほど申しましたような四十五万トンという積み増しを行うことによりまして、ゆとりある需給計画をとりたいということで行ったものでございます。
  150. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 先ほど説明でも明らかになっているわけですけれども、大体四年続きの不作というものがこういう形になったという問題、そして五十三年古米の問題が先般厚生省で発表された臭素の問題、五〇ppm等の問題から急速先般も韓国産米の輸入の問題に、こんな形でそれぞれ現在進行中だというふうに承っているわけですけれども、一方においては減反をし、他方で輸入をするという、これは農業従事者だけではなく、一般世相として大変これらの政策についての予盾といいますか、そんなことを感ぜざるを得ないわけですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょう。
  151. 芝田博

    ○芝田説明員 今回の韓国からの米の現物返還の問題につきましては、これは従来から五十三年産米をもって充てておりましたところの加工原材料用の用途に供する米穀、これが今回の問題によりまして一部不足することが予測される、そのような事態になりましたために、この分に充てるべく協議を開始したものでございまして、これは用途に応じて国民の皆様に需要のある米穀を供給するという使命を果たすためでございますが、そのような特別の問題から生じたところのものでございまして、本年限りの措置でございますので、御理解いただきたいと思います。
  152. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今韓国産米等について、その安全の度合いやら、あるいはまた韓国産米は何年度産米なのか、その辺がおわかりであったらお答えいただきたいと思うんです。
  153. 芝田博

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  実は韓国への貸付米の返還の協議につきましては先ほどと申しますか、本日大体合意したということでございまして、韓国産の水稲ウルチ玄米十五万トンを一九八四年に現物で返還していただくということになったわけでございます。  その内容でございますが、それにつきましては、細部につきましてはさらにこれから協議するということになってまいるかと思うわけでございますけれども、大体五十六年産米以降のものとなる見込みでございます。
  154. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 先ほど韓国産米は今年度限りであるという限定された形で返還されるということでありますけれども、現在の作付その他いろいろなことを考えて、それらの今後の対応というものを明確に今の時点でしませんと、それぞれの従来までの考え方、減反を拡大する、あるいはまたそういう形の問題を明らかにしていかないと、今年度すらお米そのものに対する、作付あるいは作柄にもあろうかと思いますけれども、お米に対する不安というものは解消できないような気がするんですけれども、その辺はどうなんでしょう。
  155. 芝田博

    ○芝田説明員 先生の御指摘もございましたように、お米は、天候等によりましてかなり作柄の変更もございますので、われわれといたしましては、もちろんお米は全量自給という原則をいささかも変えておるわけではございませんが、来年度以降の作付面積、つまり減反面積の扱い等につきましては、作柄等も見つつ、またこれについて必要な対応をなしていきたいということでございます。
  156. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今それぞれの現況におけるお米に対する対応というものが明らかになりましたけれども、ただ、実はマスコミその他でお米が足りないというような問題が報道されている関係で、現実にはお米の実態というのはもっと厳しいような気がするのです。ということは、政府米そのものが末端においてそれぞれ調整されているような形のものが場所によってはあるということ、あるいはまた自主流通米にそれが混在をされてないと思いますけれども、現時点において政府米の購入割り当てみたいな形の中で、大変いろいろな不安材料が出てきているという問題があるわけですけれども、そういう問題に対する対応というものが現時点に行われているのかどうか、その辺を述べていただきたいと思うんです。
  157. 赤木壮

    ○赤木説明員 五十九米穀年度の供給総量は先ほど申し上げたとおりでございまして、最近の需要実態からすれば、全体としては国民の必要とする米は十分にあるというふうに考えて、必ずしもゆとりがあるという状態ではないことはもちろん認識しておるわけでございますが、そういう全体の概況だと思っております。  ただ、具体的内容について見ますと、五十九米穀年度の品質別の供給量を見ますと、自主流通米の取扱量がふえて、政府米が若干減少しているということでございます。特に昨年は北海道なんかが大幅に不作であったということも影響してこういうふうなことになっておるわけでございますが、お米はとれたものを次の米穀年度に供給していくという形になるわけでございますので、このとれたものの中を全国的あるいは全期間むらなく政府米の供給を図っていくという考え方で対処しているわけでございまして、卸から小売への売り方に対する指導も含めて、原料米の供給事情にも即した形で真の消費者需要に見合ったきめ細かな対応が必要であるというように考えておるわけでございまして、全体として政府米が従前よりは少し少なくなり、自主流通米が多いという状況の中で、卸、小売あるいは消費者への供給がなされているという実態にございます。
  158. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今課長から述べられているように、政府米そのものが不足ぎみであるということは明らかなんですけれども、今心配されているのが、こういう実態を踏まえて、自主流通米を余計売らんがために、今のような政府米が足りないという形、あるいはまた入荷がおくれている、あるいはまた割り当てが少ない、そういうニュアンスでそれぞれ末端で商売がされているように受けとめられているようなんですけれども、その辺の実態はどうなっていますか。
  159. 赤木壮

    ○赤木説明員 全国の米の消費を見ておりますと、だんだん自主流通に対する消費性向と申しますか、要望が非常に強くなっておるわけでございまして、自主流通の取扱量はどんどんふえているという実態にあるわけでございます。自主流通の量はどうやって決められるかと申しますと、やはり卸、小売さん方の希望を踏まえた形で、全国の指定法人、集荷業者の中でいろいろ協議しながらその数字を決めていくということになっておるわけでございまして、この辺につきましては需要サイドと供給サイドとのいろいろの話し合いを通じて決まっていくわけで、この自主流通米割合というものは徐々に上がってきておるということで、需要者の要望に沿った形での自主流通米の供給が行われる形で自主流通米がふえてきているという実態になっているのではないかと思っております。
  160. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 とらえ方とすればそういうとらえ方もあると思いますけれども、逆も言えるのだろうと思うのです。自主流通米が確かに年々上がっていることは事実なんですけれども、そうじゃない、政府米がないから、あるいは政府米が全般的に不足ぎみである、そういう話が出ているから逆に自主流通米を買わざるを得ない、そういうことが現実に起きている、あるいは現実にそういう傾向があるということをあなたは把握しておりますか。
  161. 赤木壮

    ○赤木説明員 現在の米の供給実態については先ほど申し上げたとおりでございますが、全体の中で自主流通はゆとりがあり、政府米がより窮屈であるという実態になっておることは確かでございます。これは自主流通米についての希望が非常に多いということも理由になるわけでございますが、もちろん四年続きの冷災害の中でよりいい米が欲しいということになりますと、自主流通米の方がよりいいというような形でだんだんそういうように傾斜してきているという面もあるのではないかというふうに考えております。消費者の性向といたしましては、上質な米を求めるという傾向がますます強まっているのではないかというふうに感じられるところもあるわけでございます。
  162. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 米価というものがあるわけですね。米価があって政府米があり、そしてその中で相対的に政府米、自主流通米のバランスの問題も当然抱える、それはやはり物価の影響を考えるとそうなってくると思うのです。ところが、良質米指向だからということでどんどんそのバランスを崩していったら、現在の政府米なんというのははっきり申し上げて必要なくなってくるわけです。業務用だけみたいな形になってきはせぬかということになってまいりますので、そういう点では、自主流通米あるいは政府米のある程度ちゃんとしたバランスというのは確保しなければいけないのだろうと思うのです。その辺はどう考えておりますか。
  163. 赤木壮

    ○赤木説明員 自主流通米と政府米が持つそれぞれの機能というものがあると思うわけでございますが、発生的に見ましても、自主流通米は上質な米を供給するという形で流通しておるわけでございまして、上質な米は自主流通米で、それから中庸の米は政府米を中心として供給されるという形で供給していく必要があると思っております。  この自主流通米と政府米のバランスの問題でございますが、ここら辺は消費者の需要に合わせた形で自主流通米、政府米それぞれどれぐらいになるかということは、関係者の意見も十分聞きながらそれらを踏まえた形で供給計画等もつくっておるわけでございます。
  164. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 やはり今の考え方はもう少し改めてもらわないといけないと思うのですね。上質米、上質米というが、それぞれの作柄によってその年度で、逆に上質米であるのか中質米であるのかおかしくなってくると思うのです。ことしはたまたま上質米だったのですけれども、来年はそれが上質米でないという場合も出てくるわけですから、そういう点である程度バランスを考えてやっていかないと、逆にもう政府米そのものが自主流通米だ、やり方によっては需要供給の問題だからというこんな無責任みたいな発言になってしまうおそれがあるわけです。  それと今ある程度バランスをちゃんと確保しておかなければ、逆に高いものを絶えず、商売とすればそっちの方が得ですからそういう方向になってくるわけなんで、政府として指導する問題、政府としてのバランスというものはちゃんと保っていかないと、何のためにそういうランクづけをされるかおかしくなってしまうのじゃないかと思うのです。.その辺を明確にしてください。
  165. 赤木壮

    ○赤木説明員 政府米と自主流通米のバランスは、需要供給との事情をよく考えながらバランスをとっていく必要があるというふうには考えるわけでございますが、具体的な数値等は現実需要がどうなっているか、自主流通米についての需要がどうなっているか、また全体の供給に対して政府米もどれぐらい必要であるかという点も十分かみ合わせながら、全体の生産量は大体計画で決まっておるわけでございますが、しかも生産地の事情も単年度ごとで大幅に変わるわけではございませんので、そういう実態も踏まえながら、米の全体需給の安定を図っていくためにどういうふうにするかということも十分考えながら全体計画をつくっていきたいと思っておりますし、そのように現在はやっているつもりでございます。
  166. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これだけで詰めるわけにまいりませんけれども、基本的に需要供給だけで、やはり日本の食糧なんですし、主食なんですから、それだけでやられたのでは、極端なことを言えば貧乏人はまずいものを食えということになってしまうわけです。そういうものじゃないと思うし、あるいはまたそれぞれ品質、今のように四年続きの作柄の状態からすると、幾らコシヒカリであっても、その作柄によっては上質米と違う場合が出てくるわけだと思うのです。そういう問題を含めて明確にちゃんとランクづけをするのが私は政府指導ではないかと思うのですけれども、その辺を明確にしてください。
  167. 芝田博

    ○芝田説明員 ただいまの先生の御指摘は、自主流通米と政府米のバランスをどのあたり政府は考えているのか、端的に申しますれば、何割ぐらいまでが自主流通米で許されるのか、何割ぐらいを政府米で確保しなければならないのか、そういう御質問かと思うわけでございますが、もちろん食管制度の重要な目的は供給の安定とともに価格の安定でございまして、安定した価格で国民の必要とするお米を供給しなければならない、そのためには自主流通米も含めた政府管理米全体の安定、そのほかに、特に政府が売買いたします政府米の量が大きな割合を持って市場をコントロールする力を持っていく、これを失わないということも非常に重要だと考えておりまして、今のところ四割が限度とか五割が限度とか画一的なことは申せないのでございますが、そのような政府米が市場のコントロール、規制力を失わない、そういう限界も一方見きわめながら、一方先ほど需給課長が申しましたように需要供給と申しますか、需要の強さ等も勘案しながら計画を立てていきたい、そのように考えております。
  168. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そこで、実は五十三年度の古米といいますか、加工用に回すということで、先般汚染の問題が出てきたわけですけれども、この汚染の問題も、国際基準上の残留臭素という形でそれぞれ問題が出てきたことが前提となって今回の韓国米の輸入といいますか、返還といいますか、そういうことになったわけですけれども、この汚染の度合い、これがどの辺まで、状態によっては、極端なことを言えば、調査結果から、何も返還なり輸入なりしなくてもいいのじゃないか、こんな論評を新聞で見たことがあるのですけれども、その辺はどうなんでしょう。
  169. 芝田博

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  実は、我々汚染という言葉はちょっと避けたいと思うわけでございますが、臭素の含まれる量が厚生省で示されました暫定基準に適応しているかどうか、そういう観点からいたしまして、どの程度五十三年度米が適応しているかどうか、全体をつかむにはまだ少々時間をいただきたいと思っているわけでございます。そして、この問題が顕在化いたしました本年五月末におきまして、五十三年産米は約二十万トン在庫をしているわけでございまして、そのうちどれだけの量が販売できるものになるか、売却できるものになるか、またどれだけの量ができないかということ、全体を見きわめるには少し時間がかかるわけでございますので、そういう意味では少し大事をとって考えねばならない。我々といたしましては、加工原材料といえども一日も供給をとぎらすわけにはまいりませんので、大事をとって、早目にと申しますか、韓国との協議を開始したわけでございます。  御存じのように、もし協議が調いましても、現実に入ってくるまでには時間を要するという事情もございまして、このような方向でいっておるわけでございます。また、どの程度の数量が適応するかしないか、今申し上げましたように全体をつかむには時間がかかるわけでございますが、一方におきまして、検査して適応するものから販売していく、これは需要がございますので、またそうしなければ加工業者の方は困られますのでそうしているわけでございます。今までの実績で見てまいりますと、約半分程度が適応しているという状況でございます。
  170. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今それぞれ進められていることですから、この辺については余り立ち入ったことは別にして、加工米というのですか他用途米というのですか、それを現在の主食米に用途変更することによって輸入が避けられるという構想が一部あったように思うのですけれども、その辺はどうなんですか。
  171. 芝田博

    ○芝田説明員 他用途利用米は、これは御存じのとおり、先ほど申し上げました、現在五十三年産米をもって充てております加工原料用というものを別途主食用以外につくっていただくということで発足しておるものでございまして、これはあくまで、やはり加工業者もこれを当てにしておりますし、実需者と生産者との間に流通の契約を結んでこれを進めていくということになっておりますので、やはりこれはそのような需要があるわけでございますので、需要に対して確実に供給されることが必要となってくるわけでございます。  もしもこれを主食用に回すといたしました場合には、さすればこれを当てにしておりました加工業者にとってはその供給がなされないということになりまして、別途その手当ての問題、要すれば、また別途の輸入の問題等も起こってまいることになりますので、このような方法では本問題は解決できないと考えているわけでございます。
  172. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 他用途米を主食用に回しながら、あるいはまたその穴があいたものを等級外米といいますか、それで特別枠を設けて、他用途米といいますか加工用米に回すことができるのではないかという農業従事者の実態の話があるのですけれども、その辺はどうなんですか。
  173. 芝田博

    ○芝田説明員 先生指摘のとおりの議論もございますが、いわゆる等級外の特定米穀というものでございますが、これにつきましてもそれぞれすでに流通しているものでございまして、それなりに用途を見つけて長年流通しているというものでございますので、これをもって直ちに新しい用途と申しますか、それに充てようといたしましても、量的に不足をいたしますし、旧来の利用者、実需者に大きな影響を与えることになりますので、なかなか難しいかと思っております。
  174. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 結局不作が四年も続くということは、今の等級外米というのがわりかし多いのだそうです。そういう点で等級外米といいますか、そういうものをいま少し調査されて、加工米その他の方に充当させることも必要ではないかと思うのですけれども、その辺についてこれから御検討いただけるかどうか。
  175. 赤木壮

    ○赤木説明員 くず米等のいわゆる特定米穀と言われているものでございますけれども、これは先ほど芝田課長からお話ありましたように、すでに特定の需要を持って供給されておるわけでございまして、特定の者、特に加工用の需要者は、すでにそういうものを使って、そのほかに政府から過剰米の分をもらって全体の供給量を確保しているという状態でございます。  こういうふうにして考えますと、片方を片方に持っていったとしても、結局同じその分は足りなくなるというような関係になるわけでございまして、量的には幾らかという議論はいろいろあるわけでございますけれども、特定米穀の今まで我々が承知している数値は三十万トン程度はあるというふうに言われておるわけでございますが、こういうものもちゃんと日本国の中でどこかで消化されてきておるというわけでございまして、現時点からこれらを特別つかまえて新たなルートで供給するということはなかなか難しいという実態にございます。
  176. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 恐らくこのくず米と言われるものの総量なりというものもまだ把握してないと思うし、そういうことを含めて、逆を言えばそれによって価格も非常に抑えられ、たたかれて買われているのが実態なので、総体的にその辺についても農業従事者の立場に立った形で考えるならば、ある程度の枠組みなりあるいはまた全体的な把握なりというのが必要だと思うので、そういうことを含めてこれからぜひ調査をしていただきたいと思うのです。  ということは、今回のお米の需給の逼迫といいますか、こういうことを招いた原因というのは、先ほども四年続きの不作だということですけれども、私は、根本的に不作というその原因をつくったものは、単なる冷夏だけの問題ではないと思うのです。はっきり申し上げて、要するに生産者の手抜きによってできたものだと思う。それは言うならば政府の農業指導が悪いからである。結局米価が安い形の中で、米生産者は食べられないからどうしても出稼ぎを始め、あるいは専業農家という形じゃなくして次のものを求められる。そうすると、化学肥料を中心とした形の中で米の生産に当たるものですから、そういう点では土壌そのものが、持久力といいますか、地方が薄れてきている。ですから少しぐらいの気候の変化によるこの不作の原因が出てきたと思うのです。それがひいてはいろいろな形で国民に対するお米の不安まで来ているわけです。  根本的な問題になると米価に及ぶわけですけれども、米価にいく前にまずこれからの農政のあり方として、化学肥料だけに頼ることでないような形の問題、もう一度その辺について検討する余地があろう。これはもう四年だけじゃなく、五年も六年も下手すると続いて、今のような生産体制でいきますと、これから農業といいますか、お米はだんだんそういう傾向になってくる、こういう心配が出てきているわけなので、その辺についてどういうふうにお考えになっているか。
  177. 川合淳二

    ○川合説明員 最近続いております不作につきまして、その原因についての御質問でございますが、やはり基本的には異常気象によるものが多いと思いますが、御指摘のように最近の稲作農家の構造と申しますか、これはかなり変化してきておりまして、兼業農家による稲作というものがかなりの部分を占めているわけでございます。したがいまして、異常気象の中で最近の作柄を見ますと、地域あるいは個々の農家によりまして、同じところでもかなりの差があるというようなことがございまして、やはり稲作の取り組みに変化があるのではないかというふうに考えております。  そういうことから、各地で稲作の取り組みにつきましてかなりの反省が出ておりまして、本格的な取り組みをもう一度しようではないかということで、各県、そしてことしからは私どもの大臣の提唱によりまして、新稲作運動というような形で運動を進めてきております。やはり基本的な技術の励行あるいは指導技術の普遍化と申しますか、普及というものをもう一度見直す必要があるということでございまして、各地でそういう取り組みが本年は行われているというふうに考えております。
  178. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私も、農家の手抜きという表現はいいかどうかは別にして、地方がだんだん落っこってきたからということで、政府が新稲作運動を開始したのもそういうところにあるのだろうと思います。ただ言えることは、米価そのものが低いという問題で、現実に農家がお米の生産だけで食べていけないところに問題が出てきはせぬかと思うのです。そういうことから、今ちょうどこれから米価の審議会の問題が出てくるわけですけれども、従来は米価算定方式、すなわち物価賃金スライド方式をとられていたわけでありますけれども、その以前は所得補償方式といいますか、こういうものも参考にされていたような気がするのですけれども、その辺について所得補償方式に変更したらどうかという考え方もあるわけですが、その辺はどうなんでしょう。
  179. 芝田博

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘になった米価の問題でございますが、まず基本論といたしまして、確かに農家の意欲の全体的な低下が稲作の不調につながっているんではないか、その中で特に意欲に関係するものは価格ではないかという御指摘、もっともでございますが、一方におきまして、我が国の米の値段というものは国際価格からかなり乖離した高い水準になっているということもございます。そのために、農民の意欲の向上、稲作の生産性の向上ということが価格以外の手段によって進められるということが、長い目で見た場合に非常に重要ではないかということで、価格政策も大事でございますが、より一層構造改善政策、農家の経営規模の改善等の方向を推進するということが言われているわけでございまして、そのような方向をとっているわけでございます。  そして米価そのものにつきましても、もちろん我々といたしましては非常に重視しているわけでございますが、これにつきましては、現在のところ、我々といたしまして生産費所得補償方式という方式はとっているわけでございまして、生産者団体の要求といたしまして、過去二年、生産費所得方式から一度離れて、物価賃金スライド方式というものを採用されて要求されたわけでございますが、生産者団体も本年はまた生産費所得補償方式に返って要求をされたというふうに承っておる次第でございます。
  180. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今の生産意欲の問題を一つとっても、あるいはまた現在の米価あるいは消費者米価等々の二重価格の問題、いろいろお米が複雑であることは事実なんですけれども、しかし一方、もう一歩前進して考えると、お米というのは戦略物資にもつながっていく重要な問題でありますから、そういう点ではこのお米の備蓄というものに対する、安定供給と同時に、不安のない形の中でお米というのは備蓄をされていかなければいけないんじゃないか。そういう点では、今の一般会計といいますか、このお米の会計とは別枠に特別会計か何かをつくりながら新たな備蓄というものを考えることによって、お米に対する不安やそういうものが解消されるんじゃないかと思うのですけれども、その辺の発想というものについて、少し何か政府に対する考え方があったらお聞かせをいただきたい。
  181. 芝田博

    ○芝田説明員 国民の主食でございます米の備蓄という問題は非常に重要な問題でございまして、過去には二百万トンの備蓄を政府の政策として打ち出したこともあるわけでございますが、現在お聞きのとおり、第三期対策におきましては、この三年間を通じて各年四十五万トンずつの備蓄の積み増しを行う、最終的には百五十万トン水準にというふうに考えておるわけでございます。  先生指摘のように、このような備蓄を、食糧管理特別会計の中でか外でかにいたしましても、別会計のもとにという御指摘のねらいは、これについて財政負担の拘束からかなり自由にしてやってはどうかという御指摘かと思うのでございますが、現在の厳しい財政事情もございまして、我々といたしましては、備蓄もある程度これを回転的に持っていける、つまり備蓄がそう超古米のようになって処分しなければならないというようなことにならない範囲でやっていくということも、これまた国民の負担の軽減という点から必要かと考えておりまして、その意味では、会計的には現在の制度の中でできるだけ効率的にやっていくことが最適ではないかと考えておる次第でございます。
  182. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間も参りましたので、最後に、いずれにしてもこれからの農政の問題の中で、まず生産者が生産意欲を持てるように、米価なりあるいは農業技術指導なり、あるいはまたこれからの全体的な長期にわたるお米に対する一つの指数といいますか、将来とも安心して生産者が生産できるような体制というものをつくっていかなければいけないんだと思うのです。例えば米価にしても、三年も四年も据え置きみたいな形になってきていたのでは、現実問題としてそこに働いている生産者というのは農業を営む意欲というのは後退するでしょうし、いろいろなことを含めてバランスのとれた米価でなければいけないし、農業政策でなければいけないしあるいは備蓄量でなければいけないと思うのです。  そういう点では、今回たまたまそういう不足が出てきたという事態も踏まえながら、将来ともそういう不安のないような形をとるために、それがひいては物価の安定にもつながっていく、私はそういうふうに信じておりますので、そういうことを含めて、最後に皆さんの考え方を述べていただきたいと思います。
  183. 芝田博

    ○芝田説明員 お米は我が国の農業にとりまして基幹的な作目でございますとともに、国民の食糧におきましても非常に大きなウエートを占める主要な主食でございます。その価格及び供給の安定ということは、生産者にとっても消費者にとっても非常に大切なことと考えております。我々も、食糧管理制度の基本的な使命はそこにあると思うわけでございますが、今後とも先生の御指摘も踏まえまして、その方向で運用してまいりたいと存じます。
  184. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 以上で終わります。
  185. 金子みつ

    金子委員長 藤田スミ君。
  186. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、お米の問題についてきようは質問をしていきたいと思います。  まず最初に、五十三年産米についてお伺いをしたいわけですが、きのう農水委員会で、五十三年産米はもう既に検査をしたもののうちの半数が合格をしていた、今も半分程度が適応している、こういうふうにおっしゃいました。裏を返して言えば、半数が基準以上の臭素が残留していたことが明らかになった、こういうことじゃないんでしょうか。  そこでお伺いをしたいわけですが、第一に、何検体検査をし、そしてそのうち何検体が五〇ppmを超えていたのか。第二番目に、五〇ppmを超えたもののうち、最高は何ppmなのか。そして五〇ppmを超えたものの平均は何ppmなのか。三つ目に、検査検体の全平均のppmはどうなのか。第四番目に、このことは厚生省に知らせているのかどうか、この四つについてお伺いをしたいわけです。
  187. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをさせていただきます。  今四点の御質問があったわけでございますが、第一点の、これまでに検査済みとなった検体数は幾らかというお話でございますけれども、現在各食糧事務所からサンプルを取り寄せておりまして、全体でどのくらいになるかは、現時点においてははっきりいたしておりませんけれども、五十三年産以前産米の在庫しておりました倉庫数が約二千程度でございます。したがいまして、検体数も大体その程度になるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、現在の進捗状況につきまして、大体二割から三割程度進んでおるということで御理解をいただきたいというふうに思います。  それから第二点の、このうち五〇ppmを超える検体がどのくらいあったのかというお話でございますけれども、私の方、現在検査を進めておるわけでございますけれども、売却等の関係もございまして、六月の十二日までに通知をいたしました数量が約二万六千トンございます。これは検査の検体といたしましては非常にロットの大きいものとか小さいものとかいうのがございますので、検体数ではなかなか数字をお話し申し上げることはできませんけれども、二万六千トンは検査をした対象の約半分ということでございまして、先ほど先生がお話をしておりましたように、大体半分が合格していたということでございます。  それから五〇ppmを超えたものの最高の値はどのくらいだったかというお話でございますけれども、実は私の方は先般厚生省の方から暫定基準が示されまして、この暫定基準に基づきまして、それを超えるものにつきましては売却をしないという方針で現在対応しておるわけでございまして、したがいまして、超えるものについての数値等につきましては、公表するということにつきましては差し控えさせていただきたいということでございます。
  188. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まだ検査検体の全平均もお答えになっておられませんし、厚生省に知らせたのかどうかもお答えになっておりません。
  189. 森元光保

    ○森元説明員 失礼いたしました。  したがいまして、検査の検体数の平均の数値につきましても、先ほど申し上げましたようにまだ検査の途中であるということもございますし、それから地域的な検査の偏在というのもございまして、これを現在平均値で申し上げることにつきましてはひとつ差し控えさせていただきたいということでございます。  それから、検査の結果につきましては、いずれ厚生省の方には御連絡をするというふうに考えておる次第でございます。
  190. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大体五万二千トン検査をした結果、二万六千トンが超えるもの、こういうふうに理解をしていいわけですね。半数、五〇ppmを超えたのは、検体はともかく量で言えばそういうことであった。
  191. 森元光保

    ○森元説明員 お答えいたします。  二万六千トンを合格しているということで通知をしておりまして、したがいまして、その通知数量は検査をした数量の約半分程度であった、こういうことでございます。
  192. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 結局、ひっくり返したらそんな話になりますよ。  それで、売却をしないから数値を公表することは差し控えたいというのは、これは今の国民の感情からしたらとても納得できませんね。何ぼ五〇ppmを超えたらもう売却しないから、そうは言っても、これは後でも触れますが、もう流通段階にも流れてしまっているわけです。だからこそ、この五十三年産米の検査の結果がどうであったかということは、これはやはり全部公開していく、このことが国民の信頼を取り戻すもとになるのじゃないですか。  もともとこの五十三年産米について、本当にこれが大丈夫なのかどうか、少なくとも農水省は大丈夫だと言われるなら、それの裏づけが欲しいと言ってどれだけ消費者は言ってきましたか。それを今日ただいままで全く検査らしい検査もしないで、今この期に及んでこういうことが出てきた。そうして半数がやはり不合格なんだ、不適格なんだということになった以上、それは国民に、最高はどれくらいのppmになっていたのかというその実態は正直に明らかにしてこそ、私は、米に対する政府への信頼を取り戻す一つの重要なポイントになると思うのですよ。その点で公表していただきたいわけです。
  193. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  現在検査は、先ほど申し上げましたように大体二割から三割程度終わっておるわけでございまして、売却を円滑に進めるという観点から、できるだけ大きなロットのものを対象にして検査を進めているというような状況でございます。したがいまして、今後の検査の推移によっては、いわゆるロットの単位というものが非常に在庫している状況でばらばらでございますので、現時点でこれを公表するということになりますと、今後いろいろの誤解、そういったこともございまして、かえって消費者に混乱を招くということもございますので、私の方としては厳正な検査をした上で五〇ppmを超えないものについて売却をしていくという方針で今後とも対応していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  194. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、そういう態度がけしからぬということを言っているのです。五〇ppmを超えるものを売らないのは当たり前のことなんです。売らないものの部分であっても、どうであったのかということを明らかにするべきだ。今すぐでなくても、最終的に国民に公表する、それぐらいのことは言って当たり前のことだと思うんですよ。これまで消費者が本当にどれだけ要求してきましたか。あんなに毎年毎年薫蒸して本当に大丈夫なのかなと言っていたら、政府の方はそれは大丈夫だ、大丈夫だと言うばかりなんです。一度でも検査したのかと言ったら、検査をしないけれども大丈夫なんだ、そういう繰り返しが今日こういうことになっているわけでしょう。私は、国民に対する申しわけなさからいっても、やはりここではっきりと事実は事実として国民の前にさらけ出して、そうして信頼を回復せよということを言っているわけなんです。当たり前のことじゃないですか。
  195. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  先ほども申し上げましたように、現在検査が二割ないし三割程度の進捗状況でございまして、検査の対象になっている地域もサンプルもかなり偏在をしているというようなこともございますので、ここでその数値等を公表することにつきましては差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  196. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうしたら、最終は公表されるわけですか。
  197. 森元光保

    ○森元説明員 先ほども申し上げましたように、厚生省にはいずれ検査の結果につきましては私の方は通知をするというふうに考えておりますので、その時点でまた厚生省といろいろ御相談をさせていただくということになろうかと思います。
  198. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それじゃ、もう一度厚生省にお尋ねしましょう。  厚生省は、農水省からそういう最終のデータの結果が報告されたら、それは国民に公表するということで対応していただきたい。厚生省、いかがですか。
  199. 市川和孝

    ○市川説明員 ただいまお話しのこれまでの検査数値というようなものについては、まだ私ども食糧庁からは報告といいますか連絡を受けておりませんでございますが、そういう結果が出てまいりますれば、私どもとしてその結果について安全性という観点からも再度検討をしてみるということで、その結果の公表の取り扱いということにつきましては食糧庁と十分相談して決めてまいりたいと考えております。
  200. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 答えになっていないわけなんですね。  私は、長年農水省に、言葉が悪いですがある意味ではだまされ続けてきた消費者にかわって、このことは厳しく要求をしておきます。資料を必ず提出してください。  それで、今回の結果は、当初厚生省が発表したデータと余りにも違い過ぎるわけです。そうじゃないでしょうか。約半数がクロであったにもかかわらず、三十サンプルを任意に集めてそのうち一サンプルがクロであった、これが厚生省の当初の発表でした。私、難しい数学のことは余りよくわからないのですが、学者に聞くと、白い玉を一千個、黒い玉を一千個まぜまして、目隠しをして、そして白い玉を二十九個出して黒い玉を一個だけっかまえる、これはもう至難のわざなんですって。大体五億分の一の確率だというのです。物すごいものですね。難しい数学やなあと思って私は聞いていたのですが、言ってみたらそれぐらいに確率的にもほとんどあり得ない、そういうサンプル結果でしょう。先ほど、もちろん検体では言われなかったから、反論があったら言ってください。  そんなぐらいに確率的にはあり得ないことが、厚生省の発表ではあったわけです。その後の発表とそれだけの食い違いがあるわけです。だから私は、サンプルのとり方に人為的な操作があったのではないか、こういうことも疑わざるを得ないわけです。この点、農水省はどのようなサンプルの仕方を各食糧事務所に指示されたのか、明らかにしてください。
  201. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  先生の御指摘の点につきましては、検査結果が三十検体でございますけれども、そのうち五〇を超えるのが一検体あった。実は東京都の例は、玄米ベースで申し上げますと、四検体のうち二検体が五〇を超えるものがあったというような状況になっておるわけでございますが、実はこの検体というのは、それぞれの倉庫の中に入っておりますロットの大きさというものが非常に大きいものと小さいものがあるということでございまして、私の方が三十検体のサンプルをとりましたのは、主要な産地から一応それぞれロットを代表するようなサンプルを持ってきてくれということでとったわけでございます。したがいまして、結果的にその在庫数量と検体数の合否というものは必ずしも一致をしてこないというように当初からも思っておりましたし、そういうことでロットの大きいものがアウトになるということになりますと、仮に検体数では非常に合格率が多くても、在庫の数では逆に合格の比率が低くなるというような状況が今回の結果として出てきたのではないかというふうに見ておるわけでございます。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 こんなに話がややこしくなるから、だから検体も明らかにしてください。一体どこから出てきたものが何ppm以上で売却できなかったのかということまで含めて国民にはっきりさぜていかなければ、こういうふうな疑問が出てきても仕方ないじゃありませんか。五億分の一の確率が最初の当たりであって、後のは数学的に考えても妥当な線で出てきたなどというような話になってきたら、これはもう話になりませんよ。数量的にいえば結局そういうことですね。検体でいえば最初厚生省が発表されたような結果が出たけれども、数量でトータルしていくと、二週目というのですか、きのう委員会で明らかにされたような結果になって出てきたんだ、こういうことなんですね。
  203. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  先ほど来から申し上げておりますように、現在まだ検査が二割から三割程度の進捗ということでございます。したがいまして、その中のロットの大きさの分布というものも非常にばらつきがあるわけでございます。ただ検体数が、いわゆる安全性調査でやりましたものは三十検体をやっておりますので、現在進めておりますのは全量調査の一部ということでそういった数字が出てきているというふうに御理解をいただきたいというふうに思っております。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 厚生省はどうなんですか。先ほど言いましたように、今度の農水省が発表したデータというのは厚生省の発表したデータと非常に大きな違いがあるわけですね。だから、厚生省の最初の発表はまさにあり得ない確率であった。そうするとサンプルの信憑性、すなわち正確に全体を反映したものではない、そういう疑いが出てくるわけなんです。  あのニュースを聞きましたときに、国民はどない思いましたですか。何かクロ、クロ、危ない、危ないと言っていたけれども、やはり三十検体の中の一検体やったのやな、こういうふうに思ったのですよ。ところがきのうのニュースを聞くと半数がだめだと言う。これはえらいこっちゃなと、話が全然違うてくるのです。それで今聞いたら、検体と数量の関係でこういうふうに話が変わってくるんだということなんですが、そうなってきたら、もう厚生省のサンプルの信憑性なんというのは、これは本当に正確に全体を反映したものと言えるかなという気分になるわけなのです。この点についてはどうなのですか。
  205. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  今回の調査と申しますのは、私どもと食糧庁とで共同で調査を実施したわけでございますが、この検体の採取ということに当たりましては、食糧庁に対しまして、できるだけ薫蒸の実情というものを反映するような検体採取ということをお願いしたものでございます。結果的には、私どもの共同調査における結果は、三十検体中一検体が五〇ppmを超えているというような結果でございました。  今回、ただいま先生指摘の点、確かにかなりの食い違いがあるということでございますけれども、全体の検体の中でどの程度の比率になるのかということは、先ほど私お答え申し上げましたように、まだ私ども自体、食糧庁における売却前の検査結果というものにつきまして通知を受けておりませんので、その辺の結果を見て検討していきたいと思います。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 確かに食い違いがあるという実情が反映できるものをというふうに期待をして検査をされながら、その結果と現在とでは大きな食い違いがあるということをお認めになりました。  そこで、私は、この第一回目の厚生省のデータは全体を正確にあらわしていない、こういうふうに思わざるを得ませんので、厚生省は再度農薬を含む検査をやり直しするべきである、このことについてどういうふうにお考えか、お伺いをしたいわけです。  あわせて、農水省の方ですが、第一回目のデータの信頼性が欠ける以上、臭素残留だけじゃなく、その後の調査の中でも、農薬残留のチェックもあわせてやるべきではないか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  207. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  薫蒸剤につきましての検査は、現に今食糧庁の方で実施されているわけでございますので、その結果が出てくれば、前に共同調査という形でやりましたものよりもはるかに大きな規模で実施されるわけでございますから、それによって実情というものは私ども十分把握できるというふうに考えておるわけでございます。
  208. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  三十検体の検査におきましても、臭化メチル等のいわゆる薫蒸剤の有効成分につきましては検査をしたわけでございまして、これはいずれの検体からも検出をされてないという報告が出ておるわけでございます。そういう点につきましては、私の方といたしましては、従来から薫蒸剤のガスは非常に沸点が低いということもございまして、これにつきましては蒸発してしまうということが一応実証されたというふうに考えておりますので、私どもの方といたしましては、現時点におきましては、臭素の残留につきまして検査をしながら売却をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  209. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 だけれども、臭素の残留そのものも随分違いが出てきているわけでしょう。少なくとも印象では大きな違いがあるわけです。だから、揮発性で蒸発してしまうから大丈夫なんだというように言わないで、もう一度他の検体で農薬が残留していないかどうか、そのことについてはやはり十分チェックをする姿勢というのは大事なことじゃないのですか。
  210. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  私どもの方といたしましては、いずれにいたしましても薫蒸剤の有効成分が残るということになりますと、これは非常に重大な問題だということでございまして、この点については非常に心配をしていたわけでございます。しかし、三十検体やりました結果、いずれも検出せずという状況でございますので、さらにこれを臭素の検査と合わせて実施していくということにつきましては現在は考えておらない、こういうことでございます。
  211. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 考えていないから考えろということを言っているのですよ。どうしてそんなに無責任な態度なんですか。心配でたまらないわけです。お米なんというのは、炊いて赤ちゃんも食べるのですよ。だからこの際、徹底的にいろんな面から安全性を確認する、何も私は危ないと言っているのと違いますよ。危ないとは言っていませんが、最初に三十検体のうち一検体だけがクロでしたと言っていたにもかかわらず、調べたら二万六千トンがクロでした、五万二千トンぐらいのうちの約半数がクロでした、こういうふうに話がころっと変わってきているわけですから、それだったらもう一度農薬の残留についてもチェックをする、そうしてそれはやはりシロでした、これでいいわけです、もしそうなら。そうであるかないか、検査もしないでわからないじゃないですか。三十検体だけのときとは随分違ってきているわけです、後ほどの検査では。だから、あわぜて農薬の残留のチェックというものもやはり並行して行っていく、そういうことぐらいの誠意は見ぜて当たり前じゃないのでしょうか。
  212. 森元光保

    ○森元説明員 実は五月二十八日の残留部会にこのデータが提出をされまして検討されたというふうに聞いておるわけでございます。その際出されましたデータの中では、先ほども申し上げておりますように、薫蒸剤の有効成分そのものは全く検出されなかったということになっておるわけでございます。いずれにいたしましても、安全な食糧を供給していくということは当然食糧庁の供給責任の一端でございますので、私の方がそういったいわゆる農薬残留の有効成分をさらにあわせて検査しながら売却していくということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、現時点で考えておらない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  213. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 委員長、お聞きのように全然平行線なんです。私は、消費者に責任を持つ当委員会として、もう一度資料を提出するとともに、こういう検査をきちんと行うべきだ、国民が納得する検査を行うべきだということを委員会として要求をしていただきたいと思います。
  214. 森元光保

    ○森元説明員 先ほど来申しておりますように、現在臭素の残留についてはやっているわけでございますが、先生も御指摘のあったような状況、先ほど申し上げましたように、量的には半分の量ということになっております。これは全体の検査がまだ済んでいないわけでございますけれども、場合によっては若干の抜き取り的な、追加的ないわゆる調査ということにつきましては検討させていただきたいというふうに思っております。
  215. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 抜き取り的に追加検査をする、そういうことでお約束をいただいたというふうに理解をいたします。  次に移っていきます。在庫分の半数が現在時点基準を超えているということが言われている中で、いよいよもって流通分にもそういう基準値を超えるものがあるということは十分想定されるわけなんですが、その流通分の五十三年産米もやはり検査をするべきである、この点について厚生省、農水省の見解はいかがなものでしょう。
  216. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  五月二十八日の残留部会の報告で暫定基準というものが一応出たわけでございます。食糧庁といたしましては、その暫定基準に適合するように今後売却を速やかにやっていくということで対処したわけでございます。その時点におきまして流通在庫の問題もいろいろあったわけでございます。しかし、部会の報告あるいは厚生省さんからの御要請という中におきましても、いわゆるADIの範囲内の一応検査結果、あるいは米の摂取量、さらには日常の食生活の中にもこの臭素というものが含まれているわけでございますが、そういったようなものから推定をいたしまして、人の健康に影響するものではないという判断をされておるわけでございます。したがいまして、いわゆる流通在庫について回収までは必要はないのではないかということで私の方も聞いておりますし、また厚生省さんの出されました通達の中におきましても、七月一日以降はこういったものが販売、加工されないように都道府県に指導してほしいというようなことを聞いておりますので、私の方としては、現時点としては流通在庫について回収等する考えは持っておらないわけでございます。
  217. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  流通品につきましては、厚生省といたしましては、都道府県に対しまして、七月一日以降はこの基準を超えるものが販売あるいは加工されるような状況にあってはいけないということで通知をいたしまして、現在各都道府県の衛生部局におきまして、この暫定基準の適用に向けての検査等の準備が進められているものと考えております。
  218. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が本当になくなってしまって大変残念なんですが、流通段階に流れ出てしまっている米についても回収をして、そうして十分検査をする、その責任をとるべきだということは申し上げておきたいと思います。  あわせて五十四年産米というのが、これは私ども調査では今度の七月から十月期の供給計画の中に盛り込まれているわけです。五十四年産米の在庫数量を示していただきたいのと、それから五十四年産米といえどももう既に五年経過をしているわけですから、これも安全かどうかという点ではいろいろと不安があるわけです。これも当然検査をするべきであるというふうに考えておりますが、この点いかがなものでしょう。
  219. 赤木壮

    ○赤木説明員 五十九年三月末の五十四年産米の在庫は約二万トンでございます。
  220. 森元光保

    ○森元説明員 五十四年産米につきましても、私どもといたしましては、五十三年以前産米と同様に売却に当たっては検査をしてまいりたいというふうに思っております。
  221. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたが、私ども調査では、都道府県と農水省との打ち合わせで、この七月から十月の供給計画の中に五十三年産米を相当数量入れているわけなんです。そのこと自身非常に非常識だ、もし検査結果がクロだということでその計画に織り込んだものが出せなくなった場合、食糧庁は一体どういう責任をとるおつもりなのか。  それから、私が大阪府に行っていろいろと調査をいたしましたが、大阪府の方は五十三年産米の消化はもう限度に達している、だからこれ以上の供給は直接一般消費者への売却という事態を招きかねないので、適正な流通を阻害するおそれもあるということで農水大臣に対して要望書を出されているはずなんです。実際消費者が調べたら、一般家庭にも回る店頭で五十三年産米が混米されている、こういうことも言われております。これは加工原材料用のものなんだと五十三年産米は言われていますが、しかし、これはもう明らかに一般消費者の方にも回されているんじゃないですか。少なくとも業務用ということで外食産業の方には回っているでしょう。ここのところだけはっきりしていただいて、あとの問題は次の機会にまたお尋ねをしていきたいと思いますが、その点だけ明らかにしておいてください。
  222. 赤木壮

    ○赤木説明員 五十三年産米は工業用に供給するほか、業務用ということで供給しておるわけでございます。これは希望に応じて売っているという状況でございまして、昨今の売却状況の中では非常に需要も多い、希望も多いという状況になってございます。  それから、外食産業に回っておるかという御質問でございましょうか、ちょっと…。
  223. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 五十三年産米を相当数量七−十供給計画の中に入れているけれども、その五十三年産米がもしクロということで織り込めなかったらどう責任をとるのか。
  224. 赤木壮

    ○赤木説明員 失礼いたしました。  この問題は、供給計画の中では三等米等の供給量ということの中で、希望があればこれらを売っていくという体制の中でこれまでもやってきておるわけでございまして、希望に応じながらこれらの量をめどに供給していくわけでございます。五十三年産米についてもこういう枠の中で現実的な対応をしていくということになると考えてございます。
  225. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が来ましたからこれで終わりますが、希望があればというそれはまさに論弁なんですね。それは論弁ですよ。希望があればというなら、供給計画の中に割り当てられていないのかというと、割り当てられているでしょう。大阪府も東京都も割り当てられているんです、五十三年産米は。それを希望という名で割り当てているのですか。そうじゃないでしょう。もし供給計画で大阪府が賄い切れなければ五十三年産米を回してよろしいよと、割り当て外の五十三年産米を希望という名で出す、それはもしかしたらそういう話になるかもしれません。しかし、供給計画そのものの中で織り込まれているものは、これは希望じゃないでしょう。しかもこの七−十計画で、これは足りませんといったときに五十三年産米しか優先できませんよというのは、これは希望で受けるんじゃないですからね。そこのところは私は訂正を求めておきたいと思うのです。
  226. 赤木壮

    ○赤木説明員 供給計画につきましては都道府県等ともいろいろ協議しながらやっておるわけでございまして、一定の希望に基づいてある程度話し合いをしながらやっていくということで、そういう計画の中で、現実的には実際の売却希望が出てきたら売却していくという形になるわけでございまして、これは希望に沿って売っているということでございます。
  227. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうしたら、希望というのは、望まなければ別のものを受けられるということになりますね、希望やったら。
  228. 赤木壮

    ○赤木説明員 いや、別のものをということではなくて、そのものが要るか要らないかということで、五十三年産米が欲しいということであればそれをお渡しするということでございます。
  229. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 切りがないからこれで終わります。ありがとうございました。
  230. 金子みつ

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会