運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-05-10 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君    理事 岸田 文武君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 宮地 正介君    理事 田中 慶秋君       工藤  巖君    熊川 次男君       二階 俊博君    中村 正男君       浜西 鉄雄君    浅井 美幸君       福岡 康夫君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房会計課長  遠山 仁人君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   小川  是君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省農蚕         園芸局総務課長 近長 武治君         食糧庁業務部需         給課長     赤木  壮君         水産庁漁政部水         産流通課長   吉村 龍助君         水産庁海洋漁業         部参事官    長田 綏男君         通商産業省貿易         局農水課長  土田 清蔵君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    関   収君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     渡辺 光夫君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高沢 信行君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 四月二十三日  公共料金値上げ反対等に関する請願小谷輝  二君紹介)(第三二八六号) 同月二十五日  公共料金値上げ反対等に関する請願近江巳  記夫君紹介)(第三六四三号)  同外一件(近江巳記夫君紹介)(第三六九八号  ) 同月二十六日  公共料金値上げ反対等に関する請願経塚幸  夫君紹介)(第三九一二号)  同(東中光雄紹介)(第三九一三号)  同(藤田スミ紹介)(第三九一四号)  同(正森成二君紹介)(第三九一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
  3. 浜西鉄雄

    浜西委員 きょうの質問は、日本海漁業問題と電力関係についてお伺いします。  先に短い時間で漁業問題について質問をいたします。きょうの新聞にも載っておりましたように、台湾からのサケ輸入問題がこれから処理をしなければならぬ問題になっておりますが、そういう全般的な問題でなくて、私は日本海漁業について絞ってお尋ねいたします。  五十八年度の漁業白書で、ざっと言ってみますと最近つくる漁業といいますか、沿岸漁業整備ができて明るい見通しがある、こういうふうなことになっておるようでございますが、問題は遠洋と申しますか沖合漁業、私は最近この関係者と会う機会がありましていろいろ聞いてみましたが、やはり幾つかの問題が出てきそうです。私は山口県でございますので、選挙区の萩を中心とした海域から見ても、朝鮮半島漁業関係はかなり厳しいものがあるわけで、少し中身を言っておきますけれども、特にイカ釣り漁業については、シーズン的には大体五月、六月あたり北朝鮮区域の一番盛んなときなんですが、これを指をくわえて見ておらなければならないということ、漁獲高も大分減ってきております。  私の調べたところによりますと、ちょっと言っておきますが、ソ連海域関係については、むしろ昭和五十四年から漸次上がってきておりまして、五十八年ではソ連海域では大方倍に近い漁獲高というふうになっております。日本海北朝鮮以外のその他の海域でも少しずつ上向きかげんで、昭和五十四年に比べれば五十八年度はかなりトン数はふえておるわけですが、合計において実は下がっておる。下がっておるというのは、昭和五十四年は北朝鮮関係の二千四百七トンであったイカが漸次減ってきて、五十七年では六十トン、五十八年度ゼロ、これはまさにイカ専業としておる人たちの死活問題になっておるわけです。  そこで、北朝鮮との漁業協定が切れて大方二年がたつような状態になっておりますが、この関係についてどのように今後対処していくのか、そしてこういった国際的な漁業協定の対応について現在どこまで考えておられるのか、この辺について事情を少し聞かしてもらいたいと思います。
  4. 長田綏男

    長田説明員 お答えいたします。  北朝鮮水域におきましては、昭和五十二年に北朝鮮が二百海里の経済水域を引きまして、日本との間では国交がない関係もございまして、日朝友好促進議員連盟社会党の朝特委、それから日朝漁業協議会といったような方々の御努力によって、五十二年から民間協定という形で入れる形になったわけでございます。不幸にして五十七年の六月で暫定協定延長が行われないという事態になっているわけでございますが、その後もこれら関係方々等漁業再開のための努力が払われているところでございます。  政府といたしましては、国交がございませんので直接交渉することはできませんが、今後とも暫定合意再開ができるだけ早く可能となるように関係者と密接な連絡をとってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  5. 浜西鉄雄

    浜西委員 もう一遍詳しい答弁をしてもらいたいのですが、ある意味では民間外交みたいな格好で、社会党の有志が参りまして話をする中でもなかなかうまくまとまらない、こういう状況を恐らく政府としてもキャッチしておられると思うのです。  簡単に質問しますが、北朝鮮との漁業協定が進まない、つまりだめになっておる原因は何か、まずこれをどういうふうに考えておられるか、ちょっと聞いてみます。
  6. 長田綏男

    長田説明員 北朝鮮との間では、朝鮮半島の問題を含めまして政治的ないろいろな問題があるということは承知してございます。ただし、今回また社会党方々が行かれて話の糸口をつけられてきておりますが、そのような交渉について特に日本政府が妨害をしておるといったことはないというふうに承知しております。
  7. 浜西鉄雄

    浜西委員 内容を知られておらないようですから、それじゃ私の方から提起しておきますが、社会党から北朝鮮に行ってまいりました責任者にでもいいと思うのですが、政府十分事情を聞いて、何が障害になっておるかという原因を、確かなところを把握して手を打たなければ、ただ何とかしてくださいでは未来永劫こういう状態が続くと思うのです。  一番困るのは、冒頭申し上げましたように、山口県のイカ専業の人が大変困っておるわけです。実は、船があるからひとつ北の方、北海道の方へでもどんどん行けばいいじゃないか、こういうふうな話もあるようですけれどもソ連水域の方まで行くとすれば、地図を見てもわかりますように日本海を縦に走るわけでして、五十トン級が最高クラスの船でありますと、ソ連の方へ行くというのは大変無理がある。つまり船とすれば小さいわけです。しかも、燃料も北朝鮮方面へ行く場合の倍以上のものほかかる。これは地図を見てもわかると思うのですが、大変な苦労をしているわけでございまして、それぞれ借金を抱えて、大体三千万から四千万ぐらいの借金でどうしようもない。さて、そういった一時しのぎの借金をするにしても、その金を貸してくれるところがなかなかない、これが実情であるわけですが、この辺の北朝鮮海域で主として漁業をやっておる漁業者に対する政府融資関係を初めとした手だてを現在までやっておるのかどうなのか、そのまま放置しておるのか、その辺の実態をちょっと教えてください。
  8. 長田綏男

    長田説明員 水産庁といたしましては、いろいろな原因経営状況が悪化している漁業者もおられますから、イカ関係その他の団体ともいろいろ相談をいたしまして、現在関係道県農林漁業金融公庫等に対して、例えば漁業者が既に借り入れを行っている農林漁業金融公庫資金漁業近代化資金については、中間の据置期間設定とか償還期限延長等償還条件の緩和、それから新たに資金が必要な漁業者については漁業経営維持安定資金という制度資金がございますが、これの円滑な融資というものについて措置がし得るように指導してございます。これらの件については、各漁業者から各都道府県に個々に相談していただくようにということで、今措置をしてまいっておるところでございます。
  9. 浜西鉄雄

    浜西委員 今の措置関係でも、見通しのない漁業者にはなかなか金を貸してもらえないという実態があるようですから、ここでその辺の実態をやりとりしても時間がむだになりますので差し控えますが、もっとその辺の実態を把握して、立ち至っていくような積極的な手だてを講じてもらいたいことをこの際強く要望しておきます。  さて、輸入関係ですが、台湾の問題を冒頭申し上げた。これはきょうは触れるつもりはありませんが、日本でとれるイカ輸入との比較、大体どれだけ年間輸入しておるのか、その実態をちょっと教えてください。
  10. 吉村龍助

    吉村説明員 お答え申し上げます。  イカ国内生産とそれから輸入状況でございますが、五十七年の数字を申し上げますと、国内イカ生産が約五十五万トン、それから輸入が九万六千トン、総供給がこれを合計いたしまして六十四万六千トン、このような状況になっております。
  11. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういう輸入をした結果、価格というものが安定しておるのか、あるいはそのためにかなりぐんと下がったのか、別に影響はないのか。私は、素人考えでありますと、輸入の安いのがどんどん入れば消費者は大変喜ぶ状態が出てくると思うのです。きょうの新聞に載っておりますような台湾ザケ、わずかであっても安くなるということが報道されておりますが、イカの場合でもそうではないかと思うのですが、漁業者に与えるその辺の影響についてどの程度のものなのか、ちょっと教えてください。
  12. 吉村龍助

    吉村説明員 最近我が国の水産物の輸入は、五十年、七十一万トンの水準から、五十八年には百三十二万トンとかなり高いペースでふえております。ただ、イカのように国内関係漁業者が非常に零細でございまして、また多数であるというような魚種につきましては、これらの漁業者を保護するために輸入割り当て制度というのを導入いたしております。イカはまさにこの輸入割り当て制度の対象となっておりまして、輸入枠設定に当たりましては、国内生産量及び価格動向等を十分に考慮いたしまして、国内関係漁業者に悪影響がないように配慮して輸入枠設定をしている状況でございます。  ちなみに申し上げますと、割り当て実態でございますが、例えば国内生産が比較的多かった五十五年をとりますと、輸入割り当ては一万八千トン発給してございます。五十八年、昨年の割り当て実績を見ますと、国内生産数量が五十五万トンであったという状況を反映いたしまして、三万八千トンというふうに、それぞれ国内生産量等を勘案しながら輸入割り当て数量を決めているという状況でございます。このような状況を反映いたしまして、私どもといたしましては、一応国内価格もそれなりの安定を保っておるというふうに理解しております。
  13. 浜西鉄雄

    浜西委員 今イカ専業関係中心に触れましたが、専業じゃなく、いろいろな多角経営をやっておられる人たちについても、実はサケ放流というものを聞きましたが、その実態はよくわからぬわけですが、サケ放流によってブリ、ハマチなどの値下がりも出てきている。言ってみれば、これは恐らく沿岸漁業と申しますか、養殖関係ではないかと私は思うのですけれども、そういう値下がりによってなかなか採算がとれないということ。  加えて韓国船がかなり日本海に入ってくる。私の資料によりますと、海域のダブつたところもあるし、その辺がこの地図だけではちょっと説明しにくいのですけれども日本海の本来日本海域、北緯何度とかちょっとわかりませんけれども、これに入ってくるというのです。それによってかなり漁場が荒らされてくるという実態が起こっておるのですが、年間を通じて外国船、特に私は韓国船というふうに絞りましたが、そういう状況についてはそれぞれの漁業者から、漁業協同組合ですか、ああいったところから報告があると思うのですが、大体どの程度こういうトラブルが発生しておるのか。日本全体の中で私は山口県の関係だけをちょっと聞いたわけですが、ほかにもあるんじゃないかと思うのです。そういったトラブルについて実態を把握されておれば、ちょっと聞かせてください。
  14. 長田綏男

    長田説明員 お答えいたします。  西日本周辺水域において韓国漁船がいろいろ違反操業をしているのが非常に今問題になっておるわけでございますが、これは西日本周辺、つまり対馬から最近は長崎県の沖、それから山陰の島根、鳥取の沖といったところまで、主として韓国のトロール船が出てきているわけでございます。  これについての違反というのは、一つ日本領海及び対馬周辺に十二海里の漁業専管水域がございまして、そこに入る違反、それからもう一つは、昭和四十年に日韓協定が結ばれましたときに、両国合意議事録という議事録を作成してございますが、それには昭和四十年当時、両国でそれぞれしいております国内規制措置、これについてはお互い尊重して違反しないような措置をとるということになってございますが、その四十年時点で、日本周辺全体に沖合底びき漁業禁止区域というのを設けているわけでございます。これは沿岸零細漁業と、それから底びきとの長いトラブル調整の結果そういう区域を指定しているわけでございますが、その領海ないし沖合底びき禁止区域の両方に入ってくるというのが昭和五十四、五年ごろからふえてきたわけでございます。  まず、領海それから十二海里の漁業専管水域内操業、これについては日本側取り締まり権限がございますから、主として海上保安庁が見つけ次第検挙なり措置をする。それから沖合底びき禁止区域内操業については、これは日本側取り締まり権限がなくて相手国政府措置をするということになってございますので、たびたび外交ルート等を通じてそれの措置、それから韓国側取り締まり船の派遣といったものを要請してきたところでございます。これは年によっても大分変わりますが、去年ですと沖合底びき禁止区域に毎日十隻、十二隻、十五隻入ってきているというので、年間で延べ約二千件弱がございまして、これはすべて見つけ次第我が方の監視船が写真を撮って、韓国側外交ルートを通じて通報するということで措置してもらうようにしてございます。  しかしなかなか減らないものですから、昨年八月に日韓定期閣僚会議がございまして、そのときに金子農林水産大臣から向こうの朴農水産部長官に、それから昨年の十月にも日韓水産庁長官庁長会談がございましたが、渡邊水産庁長官から韓国側庁長に強く指導取り締まりの申し入れ方をしたところでございます。その後一時十月、十一月ちょっと減ったんですが、最近またふえてきたものですから、ことし三月に開催されました日韓協定に基づく日韓漁業共同委員会で、韓国側違反操業実態を十分に説明し、強く善処方を申し入れるとともに、我が国監視船韓国側取り締まり官が、取り締まりはできませんけれどもオブザーバーとして乗って実態を見てもらうということと、それから定期的な取り締まり会議の開催、これを我が方から提案いたしまして、これについて韓国側は前向きに検討するという回答をいただいております。そういうことで、今韓国側の方もかなり韓国漁業者について手をやいておるようでございますが、日本韓国協力して違反の減少に努めていきたいというふうに考えております。
  15. 浜西鉄雄

    浜西委員 国際的な紛争、なかなか難しいわけでしょうけれども定期会合など強力に実現させてトラブルが起こらないように、特にそれでなくても大変狭い漁場日本海しか生きていけない漁業者のためにも、ぜひこの点については越境してこないような一つの慣行、ルールと申しますか、これをきちっとするように努力してもらいたい。  時間がありませんから、これ以上この問題に触れることはきょうはやめますけれども、やはり流通メカニズムの問題、その他まだまだ改良しなくちゃならぬ問題があると思うんです。この漁業白書にはそのことが触れられておらないようですが、やはり価格の安定、漁業者も立ち行くように、しかも消費者ができるだけ安く買えるような状態をつくるためにも、この流通メカニズムというものにいずれメスを入れなければならぬと私は思うわけです。この点実態をひとつつかんで、後日この漁業関係流通メカニズムについて私も提起いたしますが、政府も十分その実態を把握をして、将来かみ合うような論議の中でいい状態をつくり上げていきたいということを言っておきます。  それから最後に、これは質問でありませんが、地図を見てわかりますように、北朝鮮区域、特にイカ漁業については、ずっと時期的に年がら年じゅうそのときどきに、イカはもちろんですが、ズワイガニを初めとする豊富な漁場があるわけですから、北朝鮮との漁業協定民間で進める場合でも、政府が積極的に側面的にそれを進めるように、さらに民間外交でやる場合に、問題になっておる根源というものを日本政府みずからが解消するような姿勢をとらないと相手側も話に乗ってこないという実態もあるわけですから、この点くどいようですけれどもこの場をかりて申し入れておきます。  以上で漁業問題については打ち切らしていただきまして、次の問題に進みます。  そこで、電気料金の問題を前回も私は少し取り上げましたけれども、なかなかすとんと胸に落ちるようなお互いの討論になっておりませんのできょう改めてやりますが、この前の政府側答弁では、原子力発電は順調にと申しますか、稼働率もいいし順調にいっておるというようなことであります。この前の答弁はそういうことでありました。  しかし、私の方でいろいろ国際的にもっと広い視野でとらえてみると、そううまい状態が続くかどうか、大変疑問であるわけです。それぞれ新聞報道扱い方は違いますけれども、おしなべて放射性廃棄物海洋投棄は大変困難な状況になる、簡単に海に捨てさせてくれないという状態も起こっておるし、それから一番進んでおると見られるアメリカ、ここらあたり原子力発電所実態というものはかなり危機的な状態にあるというふうに報道されておるわけですが、その原因はやはり安全性というものとコスト高、つまり建設費が膨大なものにつくということなどが原因でこの原子力発電危機説がいろいろ言われておるわけです。もう一遍聞きますけれども日本の場合本当に安全性と今の稼働状態、ここではっきり現状だけ報告してもらいたいと思います。
  16. 高沢信行

    高沢説明員 原子力発電所稼働状況でございますが、五十七年それから五十八年という暦年ベースで見ますと、二年連続して七〇%を超える稼働率を示しているわけでございます。それから年度ベースで見ますと、五十八年度で七一・五%というこれまでの年度ベース最高設備稼働率を示しているわけでございます。原子力発電所の場合には、御承知のとおり一年に一遍定期検査を義務づけられておりますから、そういった定期検査を除いて考えますと、フル稼働に近い状態でその運転がされているという理解をしているわけでございます。  それから安全性の問題につきましては、原子力発電所の場合には何よりも安全性確保というのが大前提でございまして、事業者からその設置許可申請が出されました段階で通産省が厳重な審査を行った上で、さらに万全を期すために原子力安全委員会でのダブルチェックを受けているわけでございます。そういったことでこれまで日本原子力発電所について安全性確保がなされてきたものと私どもも理解しているわけでございまして、今後ともその安全性確保が何よりも重要な要件であるというような考え方のもとで、その安全確保には万全を期してまいりたいと考えております。
  17. 浜西鉄雄

    浜西委員 安全の問題についてはいろいろの角度で大変論議しなくちゃならぬ問題点幾つがありますが、先に建設の問題につきまして外国の例を引きますと、大変莫大な金がかかるので皆ちゅうちょしてそれぞれの計画キャンセルという状態が続いておる、こういうふうな報道があるわけです。ことしの二月報道されたものでも、アメリカのイリノイ州にあるところのバイロン原発ですか、これあたりキャンセルがあったというふうなことがずっと続いておりますね。ほかにもあります。その原因は、結局安全性の問題があるというふうに指摘をされておるわけですね。日本はその点が非常に順調にいっておる。点検点検でさっとやって、順調に七〇%以上の稼働率フル稼働みたいな状態、どうもその辺が外国では、特にアメリカでは、進んでおる国でさえもこのようにいろいろ安全性の問題があってキャンセルになっておるという。  そして、二番目の問題は、コストが当初見積もりの二倍以上になっておる。甚だしいところは四倍以上にも達しておるところがある、こういうふうな状態、具体的にここにずっと名前が載っておりますが、時間がかかるから申し上げませんが、こういう状態です。  したがって、安全性の問題は別の角度で論議するにしても、まず建設コスト関係について、一体これはどのぐらいかかっておるものか。普通一号炉、二号炉、その一号炉が何ぼというふうにキロワット関係では差があると思うのですけれども、大体一般的に見て日本にある原子力発電、これからつくろうとする場合に、どのぐらいの建設費がかかるものか、ちょっと例を挙げてもらいたいと思います。
  18. 渡辺光夫

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所コストを考えます場合に、今先生お話しのございますように資本費の割合が非常に高いものでございますから、建設コストがどういうふうに動いていくかということが非常に重要な要素になっておるわけでございます。私どもの方でも、毎年新しくでき上がる発電所が大体どのぐらいのコストになっておるかというようなことをいろいろ試算いたしております。  現在の数字で一番新しいのが、昨年試算いたしました五十八年度に運転開始をする発電所の場合という数字を持っておりますが、それによりますと、これはあくまでもモデルでございますので、今先生お話しのように一号機増設機では違ってくるという問題がございますが、一応モデルということで御了解いただきましてその数字を申し上げますと、キロワット当たりにいたしまして三十万円という建設単価になっております。したがいまして、現在一般的な建設の大きさになっております百十万キロワット程度発電所一基をつくるということになりますと、三千三百億円程度ということになるわけでございます。現実には一号機だけという立地地点は少のうございまして、二ないし四とかいう形の立地になっておりますので、それぞれの号機を見ますと少しずつばらつきがございますが、一応おおよその見当としてはそうなっております。
  19. 浜西鉄雄

    浜西委員 私どもから見ると大変な建設費だというように思うのですが、私が質問する趣旨は、もともと電気料金というものが諸物価に与える影響は一番大でありますから、最大限安い料金をという立場で物を申すわけです。原発の場合、一般的に安い、安いと言われるのですね。果たして安いのかどうなのか。この電気料金の計算にいろいろなまやかしがあるのではないかと私は思うのです。結局建設費だけでも百十万キロワットで三千三百億円、大体一般的にはその程度の話でありますが、しかしこれ以外に膨大な金もまた出ていくわけですね。  これは電源開発促進対策特別会計法、いわゆる電源三法からずっと類推をしてみると、いろいろなところに金を出さなければいかぬと言うとおかしいが、出すシステムになっていますね。わかりやすく言えば、地域の自治体に対する交付金を初めとして、その隣接する市町村に対する交付金などを含めますと、べらぼうなものが出るわけです。したがって、これらを全部そっくりひっくるめて電気料金計算のコストに入っておると思うのですが、一体そういうふうな計算になっておるのかどうか。この辺の電源三法によるところの交付金と、今回答のありました三千三百億円程度かかると言われましたそういったものを全部ひっくるめて料金計算をして、なおかつ安いと言えるのかどうか、ちょっともう一遍、その辺わかりやすく説明してもらいたいと思うのです。
  20. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど申し上げました三十万円程度という建設単価でございますが、これを計算するに当たりましては、いろいろなコストを含めた数字と御了解いただきたいと思います。  もう少し詳しく申し上げますと、例えば建設の期間が原子力の場合には数年かかるというふうに長うございますので、その間の建設中の利息、そういうものも必要でございますが、それも含まれております。それから、お尋ねのいろいろな補償の関係でございますとか、あるいは地元の御協力の関係で支出される金額というふうなものもございますが、こういうものもいずれも建設のために必要な経費の中に含まれておるわけでございます。それから、電源開発促進税の関係でございますが、これは直接的にコストに入れるというやり方では計算いたしておりませんが、電気事業者が負担いたします租税公課につきましても一定の計算の方向をつくりまして、一応配付いたしております。したがって、間接的ではございますが、電気事業者が負担いたします租税公課の一部として電源開発促進税負担額も含まれておる、こういう数字でございます。
  21. 浜西鉄雄

    浜西委員 私の方の資料と対比してみると大分違うわけです。  一つ具体的な例を申し上げます。山口県の豊北というところがあります。豊浦郡にあり、日本海に面したきれいなところですが、この豊北原発の昭和五十七年度につくった工事費の概算額でも、一号機の方が五千四百十億円、二号機が三千四百億円、これははっきりしておるわけです。これ以外に電源三法によるところのいろいろ出ていく金がある、こういうことになっておるわけですが、かなり違います。今あなたの言われました三千三百億円の中にそういうものも入っておるという説明ですけれども、まるっきり違います。あなたのものが正しいのか、私の把握しているのが正しいのか、もう一遍その辺をはっきりさせてもらいたいと思います。
  22. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先生が今具体的な例でお挙げになりました豊北発電所の件でございますが、先生の数字は、電気事業者が毎年施設計画をつくっておりますが、その施設計画をつくるに際しまして、新しく建設する発電所コストがどの程度になるかというおおよそのめどをつくっておりますので、恐らくそのときの数字ではないかと思われます。私どもが先ほど申しました三十万円程度というのは、最初にお断りいたしましたように、個別地点の数字をそのまま使うということではございませんで、一定の条件を前提としたモデル的なものを使っておるわけでございます。したがいまして、個別地点との関係は必ずしも一致しないという点が第一点でございます。  それから、先ほど申しましたのは、五十八年度に運転開始をした発電所の例でございます。そうしますと、リードタイムが大体数年間ということでございますから、五十二、三年ごろに着工した発電所が今動き出しておる、こういうことでございます。豊北発電所の場合にはまだ着工に至っておりませんので、今後着工するといたしましても、電気事業者のつくった計画によりますと六十八年度前後ではないかというような計画になっておるようでございますから、これから十年近く後になるわけでございます。その間の物価上昇による影響というようなことも当然考えなければなりませんので、そういう意味では、五十八年度の数字とのそのままの比較についてはやや問題が残るのではないか、こういうふうに考えております。  それから、電源三法の税等につきましては、先ほど申しましたように、建設に関連する附帯経費の一部の中に一応租税公課の負担というようなものも、明示的には入っておりませんが、考え方としてはそういうものも含んだ数字でございます。
  23. 浜西鉄雄

    浜西委員 予算策定の年度の差で多少の違いがあるということはわかりますが、かなり金額的に違いがあるので私はその点を指摘したわけです。恐らくまだまだこれ以外に随分お金がかかる理屈になると思うのです。  小さいことかもわかりませんが、実情を言っておきますと、島根原発の鹿島町、この場合の例ですと、これは金額的には小さいわけですが、いろいろなことがあるんだという意味で私の把握した、これは公判記録によって私自身が調べたわけですが、例えば島根県知事が難病研究所の運営資金を一億円寄附してほしい、これは中国電力に出させておりますね。そういう問題とか、あるいは役場の職員から地域のいろいろ町内の役員クラスですか、そういう人たちについては先進地の原発視察、これは見学に行くわけですが、そういう名目で、ある意味では慰安旅行みたいな、言ってみれば視察は一時間あるいは一時間半程度で、これは公判記録で一時間ないし一時間半というふうにはっきり言っておるわけですが、あとは温泉地でのいろいろな接待がある。もっとリアルに大変やっていますが、国会ですから余りそういうことは言いませんけれども、そういう接待がある。莫大なお金がかかると思うのです。  それからまたさらに、地元鹿島町の原発対策協議会という進める団体があるわけですが、これの視察旅行費として三千二百万円寄附をしたことも、これはいろいろ町議会で取り上げられたりした経過もあるわけです。あるいは竣工式で、時価一万四千円程度のトランジスタラジオが七百個も出ておる。あるいは県にそのとき一億円の寄附、町に五千万円の寄附、あるいは武道館建設に五千万円、神社の屋根修理代に二千万円、こういうふうに、とにかく地域に建設費以外に、飲み食いも含めそういうお金が出るというのは、言ってみればこれは最終的には電気料金にはね返ってくるというふうに私は思うのです。それらが全部電気料金でない、別枠であるというのだったらその辺を言ってもらえばいいのですが、私の言うことが正しければ、それらをひっくるめて、将来のことはいいです、現在原子力発電で使ったそういうすべての経費の上に計算をされておるのかどうなのか、そしてその電気料は一体幾らするのか、これをこの場でちょっとはっきりしてもらいたいと思うのです。  私は水力発電、火力発電の資料を持っておりますので、それと比較してちょっといろいろ言いたいわけですから、現在原子力発電での、わかりやすく言えば電気料金は一キロワット時幾らなのか、ちょっと知らせてください。
  24. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど来御説明いたしております最近時点で動いております原子力発電所コストを試算いたしますと、十二円五十銭程度というふうに計算いたしております。この内容は、先ほど来申しますように、一応いろいろな費用を全部含めたものでございます。その中には今先生お話のございました、発電所建設に伴いまして電気事業者が必要な経費として支出しているいろいろな諸経費、そういったようなものも一応前提とした数字でございます。  では、それがどのぐらいの影響を与えるかということでございますが、これは現実のそれぞれの発電所を見ますと、どの程度のそういう経費が支出されているかということにつきましても千差万別でございますので、なかなかその大きさをきちっと出すということは難しいわけでございますが、おおよそのめどとしてお考えいただきたいと思いますが、先ほど申しました百十万キロワット原子力発電所が仮に七〇%の稼働率で動いていくということにいたしますと、一年間に六十数億キロワットアワーの電力を発生するわけでございます。これが今一般的に三十年程度動くのではないかと言われておるわけでございますから、三十年といたしますと二千億キロワットアワーぐらいの大きさの電力を発生するわけでございます。仮に今いろいろなそういう諸経費のようなものを、発電所が生涯に発生するであろう二千億キロワットアワー程度の電気の量でどのくらいの影響が出るかというのを見ますと、極めて小さいものに相当する、こういうふうに理解いたしておるわけでございます。
  25. 浜西鉄雄

    浜西委員 時間が迫ってきましたからこればかりやっておるとあれですが、それじゃ簡単に聞きますが、廃棄物の問題、処理というものは将来ずっと残されたままいくと思うんです。宇宙に打ち上げて人類から遠ざけるか、あるいは南海の海深く沈めるか、これにはまだ結論が出ておりませんが、これらの本来必要な経費というものは膨大なものになってくると思うのです。私はこれが入っておらないと思うのですが、その点どうですか。
  26. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど申し上げました十二円五十銭という計算の中には、核燃料の関係を申しますと、ウラン精鉱の購入代、濃縮加工代、再処理の経費、そういうものはいずれも入れております。ただ、今先生のお話のございました廃棄物のうちで、廃棄物の最終処分に要する経費と発電所運転を停止しました後の廃止措置、廃炉といっておりますが、そういった経費は算入いたしておりません。これらのまだ算入しておりません経費につきましては、今後いろいろな技術開発の進展に伴いまして、より安全により安価にという方向が考えられる問題もございまして、現段階ではかなり流動的な要素があるということで正確な算定をいたしていないわけでございます。  ただ、過去のいろいろな例から推測いたしますと、おおむね発電原価の一割程度に相当するのではないか、こういうふうに言われておるわけでございます。したがいまして、これらの費用を加えましても、原子力発電所の発電コストの水準そのものが非常に大幅に変わってくるということはないと理解しておるわけでございます。
  27. 浜西鉄雄

    浜西委員 一割程度という推測なんですが、将来いろいろ開発されるということを期待の上での話ですけれども、現段階で考えると、とてもじゃないが一割というようなものじゃないと私は思います。宇宙に打ち上げられたら膨大なお金がかかるわけですから、そういうふうなことなどを、将来のことをここで一割程度というふうに認定づけること自身が私はおかしいと思うんです。これは莫大な金になることは間違いないと思うのです。将来論争をしてもしようがありませんが、いずれにしても現在十二円五十銭だという単価に入っておらないということは事実ですね。  この廃炉の問題、廃棄の関係については入っておらないということだけははっきりしましたので、いずれこの問題については論争が残っておると理解をして、それじゃ価格、料金だけ、コスト関係だけを絞ってみますと、実は通常電気会社が一キロワット時で約十四円ぐらいだと言われておりますが、山口県が県の水力発電所で出しておるのは七円五十銭なんです。したがって、電力会社が今出しておる十四円との差は六円五十銭ということになる。これは県によって多少違いがあるかもわからぬが、そう大きな違いはないと私は見ておるのです。このように、安い電気を供給できるようなことは県段階でも実証済みですね。膨大な不安を抱え、膨大なこれからの廃炉処理、廃棄処理は天文学的数字になると私は思うのです。そういうただ単なる期待だけでまだ実行性のないもの、国際的にも海に捨てちゃいかぬということが決まったばかりでありますが、そういうふうな危険を冒し、将来に不安を残しながら何も——私から見れば十二円五十銭は高いと思うのです。七円五十銭でできるわけで五円も安いわけですから、そういうものに本来力を入れるべきだと思うのです。  ここでソフトエネルギーの問題を私が長々しゃべる必要はありません。既に外国ではそういうソフトエネルギーについてどんどん開発を進めておるという記事の切り抜きを私はたくさん持っておるわけです。これは進められておるわけです。これらのきれいなエネルギー、風力であれ、地熱であれ、もちろん水力あるいは波力、潮力、いろいろあると思うのですが、同じお金をかけるならば、そういう安全性がどうだこうだという必要の全くない、しかも未来永久に使える自然エネルギーというものをうまく利用することについてどの程度検討されているのか、開発というものに力を入れているのか。予算的な措置とその構えというものについて、あれば聞かせてください。
  28. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど先生御指摘のございました水力発電所の発電コストでございますが、現在でき上がっております水力発電所の平均的な水準という意味で御指摘いただいたと思っておりますが、現在の水力発電所の資源量から申しますと、余り残されていないという問題がございますし、開発コストにつきましても、最近運転開始されるものは、キロワットアワーにいたしまして二十円前後になっております。既存のものが安くできておりますのは、長い間かかって蓄積した安い時代の発電所を有効に活用しているということで可能になっているわけでございますので、今後の開発につきましては、むしろ開発地点がどんどん悪化していくというようなことで、いろいろな発電所の中ではむしろやや割高な傾向を持った電源だ、こういうふうに経済的には位置づけられるわけでございます。しかしながら、国産の残されたエネルギーということで大変貴重なものでございますので、私どもといたしましても、長期的には着実に水力を進めていく、こういう方向を考えているわけでございます。  それからさらにクリーンなエネルギーをどうするかということ、これも大変大事な問題でございますので、今いろいろな形での研究開発をいたしておるわけでございますが、いずれもまだ技術的にいろいろな残された課題がございまして、現実の供給力として事業者が直ちに導入するという状況にはないわけでございます。しかしながら、将来の方向といたしましては、お尋ねのような方向でいろいろな研究開発、あるいは資源の賦存状況調査とかいうことをいたしておりますので、そういうものができるだけ早く実を結ぶことを我々も期待しているわけでございます。  幾つか例を申し上げさせていただきますと、太陽の光を利用しました発電でございますが、こういうものは近い将来導入される時期の問題といたしましては、数千キロワットくらいの規模のものができればということをもくろんでいるようでございますが、現状ではなかなかその程度の規模のものまで行くのにもいろいろな難しい問題があるということでございます。  それから、風力発電につきましても今いろいろな実験をいたしておりますが、現在三宅島でやっております百キロワットというのが一番大きな実験例でございます。これも供給の信頼度が安定した電源ということで位置づけますためには、まだいろいろ解決しなければいけない問題があるということもございますし、経済的にはまだ相当割高だということでございますので、そういう電源に依存せざるを得ないというような特殊な条件のもとで当面は導入が行われるのではないか、こういうふうに考えております。  それから、もう一つ新しい発電方式として、例えば燃料電池というようなものの開発もいろいろ努力いたしております。現在日本で実証的に行われております規模で最も大きいのが四千五百キロワットでございますが、これも供給信頼度の問題をまずきちっと実証いたしまして、その上でさらに経済性で既存の発電方式と十分競争できるようなものにしていかなければいかぬ、そういうことでいろいろなことに取り組んではおりますが、今すぐには間に合わない、いずれにしろ長期の問題としてやっているものでございます。
  29. 浜西鉄雄

    浜西委員 時間が来ましたから締めくくりますけれども、三宅島の百キロワット、規模とすればまだまだもっと拡大できると思うのです。ちなみに言っておきますけれどもアメリカではもう既に風力だけで四千六百基もつくっておるというのですね。出力が三百メガというのですから膨大なものが既に実行段階に入っているわけです。やってやれないことはないわけですから、何回も言うようですけれども、危険を冒して将来子々孫々にそういう過去の大きなつめ跡を残していくというようなことだけはさせてはならぬと思いますし、そのためにも自然エネルギーというものに政府はもっと力を入れてやるべきだと思います。  一言最後に、私、出身のところですから気にかかるわけですが、萩という大変きれいな日本海に面したところでありますが、ここに原子力発電所をつくるというようなうわさもあるわけですけれども、その点、政府としてどの程度把握しておられますか。一番私の肝心なところですから、ちょっと聞かしてください。
  30. 高沢信行

    高沢説明員 萩地点での原子力発電所の構想につきましては、そういった構想があるということは当方も承知をしておりますけれども、話が具体的に進んでいるようには現段階では聞いておりません。
  31. 浜西鉄雄

    浜西委員 終わります。
  32. 金子みつ

    金子委員長 中村正男君。
  33. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私のきょうの質問は、政府の税制調査会が六十年度の税制改正に向けて既に作業が始まった、こういう新聞報道を見ておるわけですが、これに対しまして、六十年度税制改正に向けて大蔵省としてどういう内容を検討しておるのか、まずそこからお聞きをしたいと思います。
  34. 小川是

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  政府の税制調査会は先月末に会合を開きましたが、その際には、当局より今国会における税法に関する審議の状況を御報告したという状況でございます。
  35. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのです。大蔵省として六十年度税制改正に向けて当然もう準備が進んでいると思うのですが、その内容について聞かしていただきたい、こういうことを言っているのです。
  36. 小川是

    ○小川説明員 ただいま五十九年度予算が成立し、あるいは税制改正が成立して、それが五十九年度について動き出したところでございまして、現段階において六十年度の税制改正について具体的な検討なり勉強に入っているという状況にはまだないわけでございます。
  37. 中村正男

    ○中村(正男)委員 これはしかし全くけしからぬ答弁だと思うのです。もう既に、物品税の対象品目を拡大するというふうなことは業界筋にもその旨流されておりますし、各新聞の記事にも出ておるわけですし、あるいは利子配当課税の見直し、あるいは法人税の退職給与引当金の問題等々、もう具体的に出ておるわけでしょう。だから、決まってからでは国民の立場からそれに対して意見が言えないわけでありますから、きょうはこういう委員会です、率直に大蔵省としてどういう内容を考えているのか、そのことは当然質問する権利もありますし、また、それに対して答えていただかなければどうしようもないと私は思うのですが、きっちりと具体的な内容を、検討されておる項目について答弁をお願いします。
  38. 小川是

    ○小川説明員 お答えいたします。  各年度の税制改正につきましては、政府の税制調査会におきまして、通常毎年九月ないし十月ごろから審議を始めるのが例でございます。その間に、各年度の税制改正以外に中期的な税制改正につきまして、従来の例で申しますと三年に一度、ちょうど任期が三年で参りますものですから三年に一度、中期的な税制改正の答申をいただいてきておるわけでございます。  最近の例で申しますと、昨年の十一月に税制改正に関する中期答申をいただきました。それをいわば下地にいたしまして五十九年度の具体的な税制改正について御審議をいただき、それをさらに具体的な法案にして国会で御審議をいただいたわけでございます。かつ、現在の税制調査会の委員の方の任期が五月いっぱいで来るということになってございます。したがいまして、当然のことながら六十年度の税制改正につきましては本年の秋以降の具体的な審議になるわけでございますが、政府税制調査会そのものも、今回の任期切れ以降に新たにスタートしたところで審議がなされることになろうかと存じます。  なお、私は税制二課長で物品税を所管しておりますが、お尋ねのありました中で、具体的なものといたしまして例えば物品税についてのお尋ねがございました。新聞等で事務機器等についての審議が始まったというふうに報じられているではないかというお尋ねでございますが、現段階はそういうところに至っておりません。これは、五十九年度の物品税法の改正につきまして今国会で御審議をいただきましたとき、予算委員会あるいは大蔵委員会においていろいろ御質疑がございました。その中で主税局長からお答えいたしておりますのは、そのような課税範囲の拡大につきましては今後の検討課題として勉強していかなければならないことだ、こういうふうに御答弁申し上げている次第でございます。
  39. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今後段の物品税の課税対象品目の拡大については検討しておる、こういう答えがございましたので、既に事務機器、情報処理通信機器に対して課税範囲を広げていく、こういう前提に立っておられますので、その上で質問をしていきたいと思います。  まず、この物品税の基本的な性格、その趣旨、そのことについてどういうふうな認識に立っておられるのか、その辺からお聞きをしたいと思います。
  40. 小川是

    ○小川説明員 物品税の基本的な性格につきましては、先ほど申し上げました、昨年十一月に出ました政府税制調査会の答申におきましても性格づけを述べておりますが、ちょっと読み上げさせていただきますと、我が国の物品税は、消費の持つ担税力に着目し、物品を課税対象として課しているものであり、その税負担は、生産・流通過程を通じ、最終的には消費者に転嫁されることが予定されている間接消費税の一つであるというふうに説明をされております。  さらに沿革的に申し上げるならば、物品税は、戦前、昭和十二年に臨時のものとして入れられまして、当初奢侈品課税あるいは消費抑制のための課税であるということで、次第に課税対象が拡大されてまいりました。戦後における税制改正を通じましては、主として奢侈品あるいは比較的高価な便益品であるとか、趣味、娯楽品等に課税対象が絞られてきているという経緯があるわけでございます。  しかしながら、この税制調査会の答申におきましては、最近における国民生活水準の向上に伴い、各種の物品あるいはサービスが非常に多様にかつ潤沢に供給されているという状況から見ますと、現在のように課税対象を絞っておくというのは実態にそぐわなくなっているのではないかという問題点が指摘され、その課税範囲の拡大についていろいろと考えていくべきではないかということを答申されているわけでございます。
  41. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今述べられたように、この物品税というのは、昭和十二年、北支事変のときにいわゆる戦時立法として特別に制定、創設をされた、言ってみれば戦費を調達するための短期間の税制であったわけです。それがその後なし崩し的に拡大されてきておるわけです。  とりわけ、昭和二十四年には、シャウプ税制使節団が日本に来られまして、この勧告によりますと、物品税が拡大されていることについて、これをもっと純化、整理、改正すべきである、こういうことがなされまして、主として個人家計における消費対象である奢侈的高級品に絞る、これが物品税の基本的な趣旨ではないか、私はこういうふうに思うのです。このことをめぐりまして今までもかなり論議がなされてきております。  とりわけ五十九年度の税制改正に向けて、新たに物品税の範囲がまた拡大、見直しをされるという中で、ことしの三月、日にちはちょっと後で調べていただきたいのですが、大蔵委員会で我が党の伊藤委員の方から、物品税の拡大が行われていることについて、極めて問題である、憲法違反である、こういう指摘がなされまして、大蔵委員会で大臣答弁として、五十九年度の税制改正について、物品税の範囲を広げることについては、ぜひひとつ従来の枠としてこれは認めていただきたい、六十年度に向けては、伊藤委員の発言を十分尊重してひとつ検討をさしていただく、こういうことで保留になっているわけです。  そういうことで、六十年度改正に向けて大蔵省としてどういうふうに受けとめておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  42. 小川是

    ○小川説明員 ただいまお尋ねのありました大蔵委員会における伊藤茂委員の御指摘、それに対する大蔵大臣の答弁は三月二十六日、衆議院の大蔵委員会でございます。  三月二十六日の大蔵委員会におきまして大蔵大臣から次のように答弁をいたしております。「委員から御指摘のあった物品税の課税範囲の拡大の問題については、重要な問題でありますので、当委員会における審議の状況を正確に税制調査会に報告の上、検討すべき課題であると考えます。」先ほど申し上げました四月の下旬に開かれました政府税制調査会におきまして、今国会における税法関係の審議の状況を御報告いたしましたときに、物品税の課税範囲についてただいまのような御指摘があったということを正確に御報告申し上げた次第でございます。
  43. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そういうやりとりがあり大臣答弁がある中で、さらに六十年度に向けて物品税の対象品目を拡大されていく、こういうことについては大変大きな問題だと私は思うのです。そのことの論議はこれからしていきますが、まず今言いました物品税の趣旨、いわゆる高級消費的な奢侈品に限定をする、こういう考え方に立つならば、その後の見直しで相当範囲が拡大されておりますけれども、今日現在一般的な社会常識で奢侈品、高級本奢侈品で課税対象になってないもの、この主なものは大蔵省としてはどういうふうな品物を考えておられるのか、ちょっとお聞きをしたいと思うのです。
  44. 小川是

    ○小川説明員 先ほど現在の物品税の課税対象が主として奢侈品あるいは趣味、娯楽品、高価な便益品等にいわば分類されると申しましたのは非常に便宜的な分類でございまして、奢侈品として例示をしろということであれば、現在課税されているものの中では貴石類あるいは貴金属類また毛皮製品といったようなものを通常奢侈品の例示として申し上げているわけでございます。課税物品の大部分は、そういう意味ではむしろ趣味、娯楽品とか家電製品というような便益品というように考えた方が当たるのではないかという物品群でございます。したがいまして、今お尋ねのありましたような意味で何か具体的に奢侈品として外れているものがあるのではないかという点につきましては、何が奢侈品であるかという考え方が、特に経済構造が変わりあるいはそれが個人の所得、消費の高度化につながっている状況におきましては非常にとらえにくいというのが率直なところでございます。
  45. 中村正男

    ○中村(正男)委員 若干あいまいな答弁なんですが、要は奢侈品、高級奢侈品というものに対しては非常に課税がしにくい、むしろそれよりも便益性という面で対象品目を拡大していく方が、言ってみれば手っ取り早い形で徴税できる、私はこういう理解になるわけですね。物品税の定義からいたしますと、今現在まで行われてきたことは不合理きわまりないということを申し上げておきたいと思います。  もう一つお聞きしたいのですが、いわゆる生産財で課税されているものは一体どういうものがあるのか。今おっしゃった、あるいは我々が理解しておる面ではやはり消費財になるわけですけれども生産財で課税されておるものは一体どういうものがあるかお聞きをしたいと思います。
  46. 小川是

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  冒頭申し上げましたように、物品税の沿革の中で、戦後主として奢侈品等個人消費財に課税対象が絞られてまいっておりますので、現在課税されております物品であって生産財として使用されている可能性のあるものは極めて限られているのではないかというふうに考えております。恐らく可能性といたしましては、例えば貨物自動車あるいは自動車のたぐい、または家具等が課税されておりますので、企業で使用されております家具であっても物品税は課税されるわけでございます。  なお、かつて物品税におきましては、いわばある意味では生産財と言ってもよろしいのかと存じますが、計算機であるとかタイプライターであるとか電話機であるとかいったような財についても物品税の課税が行われたことがあるわけでございます。
  47. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そこで本題に入っていくわけでございますけれども、いわゆる情報通信機器、ワードプロセッサー、それから電子式複写機、ファクシミリ、電子式卓上計算機、電子タイプライター、こういった情報処理通信機器に対して課税対象として検討されようとしておるのかどうか、全く検討外として見ていいのか、その辺をお聞きしたいと思うのです。
  48. 小川是

    ○小川説明員 昨年十一月の政府の税制調査会の答申におきまして、先ほど申し上げましたように、現在の物品税の課税対象は、国民経済の実態あるいは消費の実態に対応できなくなっているのではないかという御指摘がありまして、その後に引き続きまして、「したがって、物品税の課税対象については、現行の考え方のように狭い範囲に限定することなく、物品税の基本的性格に立ち返り、最近における消費の実態等を踏まえ、その範囲を拡大していくことを検討する必要がある。」という御指摘をいただいているわけでございます。かつ、さらにその後続きまして、その物品の「使用、消費の実態やそれからもたらされる便益等からみて税負担を求めることができると認められる物品を、産業経済に及ぼす影響等に十分配意しつつ課税対象に取り入れることが適当である。」という答申をいただいておるわけでございます。  五十九年度の物品税税制改正の過程におきましてこのような答申を受けまして、今御指摘のありましたような事務用機器につきまして課税対象に取り入れることが適当かどうか、技術的に可能かどうかということを検討したことは事実でございます。しかしながら、五十九年度改正におきましては結論を得るに至らず、具体的な税法の御提案の中身には至らなかったということでございます。  また、六十年度にそれをやるつもりかという問題につきましては、繰り返しになりますが、主税局長から大蔵委員会において答弁いたしましたとおり、今後とも検討課題として勉強をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  49. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ということは、大蔵省としてもこれを課税対象にするという態度はまだ決めでおられない、こういうことなんですか。
  50. 小川是

    ○小川説明員 具体的に何を、あるいは御指摘のあった物品を課税対象に取り入れるべきであるということを決めているわけではございません。あくまでも今後とも検討課題であり、勉強をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  51. 中村正男

    ○中村(正男)委員 しかし、具体的にはもう十分対象品目として検討をされておる、そのことは否定されないわけですか。
  52. 小川是

    ○小川説明員 お答えいたします。  検討の過程あるいは今回の税法の審議の過程におきましても、若干の事務用機器の具体的な物品が話題になったことは事実でございます。しかしながら、何を検討の爼上にのせるべきであるか、何を外すべきであるかというそのこと自体もなお私どもとしては勉強をしなければならない。仮に将来の問題といたしまして、勉強の成果を物品税法の改正として御提案いたすときには、当該物品の課税が他の物品との関係においてバランスがとれたものでなければなりませんし、あるいは執行面において技術的に可能なものでなければなりません。そういう問題を十分に検討しなければいけないというふうに考えておりますもので、特定のある一つだけをとらえて、これはいけるだろうとかいけないだろうというような非常に短絡した結論の出し方は無理であろうというふうに考えております。
  53. 中村正男

    ○中村(正男)委員 検討をされておるということでございますので、逆に言うと今一番重要な段階ではないかと思います。したがって、幾つかの点でこの論議をしていきたいと思うのです。  まず、今申し上げましたこの五品目、ワードプロセッサー、電子式複写機、ファクシミリ、電子タイプライター、電子式卓上計算機、これは消費財とお考えになるのか生産財になるのか、その認識をお聞きをしたいと思うのです。
  54. 小川是

    ○小川説明員 生産財であるか消費財であるかというところは、いかなる定義を与えるかによって決まってくるものであろうかと存じます。ただ一般的に、主として個人の経済生活において、あるいは消費生活において使用するものであるかどうかという観点から見ますと、一部のものにつきましては、個人が使用するというよりは、むしろ企業の経済活動の段階あるいは官庁も含めまして使われるものが多いというふうに考えているわけでございます。
  55. 中村正男

    ○中村(正男)委員 消費財か生産財か、これは使う段階で確かに微妙な点はございます。しかし、私が今から申し上げることを検討していただきまして、これはあくまでも今日的なこれからの情報化社会においては、明らかに生産財のしかも重要な物品であるということをぜひひとつ理解をしていただきたいと思うのです。  言うまでもなく、情報処理通信機器というのは、これからとりわけ迅速な情報の処理、伝達が要求されますし、それを通じて高度情報化社会の実現、さらには経済全般における生産性の向上のために極めて重要な機器になっていくと思っておりますし、また現にもうそうなりつつあるわけです。これらの普及というものが非常にこれからの社会の高度化に役立つわけでございます。  きょうは通産省からも特に出席をいただいておるわけですが、経済企画庁のことしの三月の調査によりますと、中小企業あるいはサービス業等の設備投資の動向に関する調査であるわけですが、これを見ますと、中堅、中小サービス業の八二%の企業が事務のOA化、システム化等のいわゆる技術革新に何らかの対応をしていきたい、こういう意向が明確に出ております。さらに、今後三年間の設備投資の予定中、事務用機器あるいはこういった機械に対して七三%が投資の対象にしておるという集計が出ておるわけです。こういう認識に立ちますと、こういう機器に仮に物品税が課せられるということになりますと、当然これは価格にはね返ってきますし、これらを導入して企業の活性化あるいは体質強化に役立てたい、こういう中小企業のニーズというものが大変減殺をされる、ひいてはこういった中小企業の健全育成に大きな影響が出てくると私は思うのですが、その辺、これからの中小企業とOA機器に対する関係を含めまして、通産省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  56. 関収

    ○関説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、これからの産業の合理化あるいは国民生活の向上あるいは社会問題の解決といったような視点から、情報化は非常に大きな役割を果たし得るものと私ども確信をいたしておるわけでございます。そういった意味で、特に先生御指摘のございましたように、中小企業における情報化ということも非常に大きな政策課題の一つになっておるわけでございまして、私どもも各方面の施策を講ずるということにいたしておるわけでございます。  御案内のとおり、大企業の分野におきましては情報化はかなり進展をいたしておりますが、中小企業におきます情報化はまだこれからという段階でございます。そこでいろいろハンディキャップもございますので、例えば中小企業が使いやすいソフトウエアあるいは機器の開発といったような面、あるいは中小企業が情報関連機器を導入いたします場合の融資あるいは投資減税といったようなものも、五十九年度から新たに設けていただいたといったような段階に来ておるわけでございまして、今後とも中小企業の情報化につきまして全力を挙げてやってまいりたいと思うわけでございます。  次に、いわゆる情報関連機器に対して物品税の課税対象とするか否かという問題でございますが、先ほど大蔵省の方からお答えございましたように、六十年度税制改正に関する具体的な御相談はまだ全くいただいていない段階でございますので、全く仮定の話になろうかと思いますが、私どもは例えば物品税の課税対象を考えます場合にも、それが情報化に与える影響でございますとか、あるいはさらに広範な産業経済に与える影響といったようなものを十分勘案しながら検討さるべきものと考えておる次第でございます。
  57. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大変ありがとうございました。  大蔵省は、今私の方から述べたような今日的な、あるいはこれからの社会におけるこういう情報処理通信機器の持つ役割、そういったことに対する認識、とりわけ、今通産省の関課長の方から指摘をされました中小企業の体質強化との関連、大蔵省としての認識は、物品税の対象にするという仮にこの論議が進んでいくならば、それとの関連でどういう認識に立っておられるか、お聞きをしておきたいと思います。
  58. 小川是

    ○小川説明員 御指摘の点につきましては、今通商産業省の方から御答弁がありましたとおり私どもも認識しているわけでございます。かつ、税として物品税の課税範囲に通信機器あるいはその他の情報処理機器を仮に検討対象としていく場合に留意すべき点といたしましては、この点も税制調査会の答申が指摘しておりますように、産業経済に及ぼす影響等に十分配意しつつ検討していくべきであるというふうに考えているわけでございます。
  59. 中村正男

    ○中村(正男)委員 それではそういう論議の上で、技術的な点を一、二お尋ねしていきたいと思うのです。  仮にこういう情報処理通信機器が課税対象になってくるとした場合に、今企業の中でのこういった機器の使われ方が非常に複雑になってきておるわけですね。工場の中でも当然いろんなコントロール、あるいは企画段階、計画段階、管理というような面での使われ方、また事務所で一般的に使っている使われ方等々あるわけですけれども、同じ機器でありながら使用するその場所あるいは使用しておる機能、役割、そういうことに対してどういう区分け、仕分けをされようとしておられるのか、その辺をお聞きをしたいと思います。
  60. 小川是

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  一般論として申し上げますならば、物品税の先ほど来御説明申し上げております性格及び政府の税制調査会の答申の趣旨に沿いまして、企業の事務部門において用いられる汎用性の高い事務機器類であって便益性の高いもの、例えばそういうものについては物品税の課税対象とすることを検討してよろしいのではないかということで、昨年来勉強をいたしてきているわけでございます。今後とも、まずその辺の事務機器類について勉強をしてみたいというふうに考えているわけでございます。
  61. 中村正男

    ○中村(正男)委員 事務所で使う事務機器として検討していきたい、こういうお答えのように私は受け取ったんですが、今日の企業活動、事業活動というものが、昔とまさにさま変わりしている。単に今までの場合は、事務と言えば企業活動、事業活動の補完的な、補助的な役割、そういう性格であったと思うんですね。しかし、今日の工業社会の中では、あるいは高度な情報化社会の中では、むしろいうところの事務というものが、全体の企業活動なり事業活動というものをリードしている、指導している、そういう時代に変わっていると思うんですね。その辺の認識は大蔵省一体どういうふうにとらまえておるのか、お聞きをしておきたいと思うんです。
  62. 小川是

    ○小川説明員 私どもが物品税の課税対象の拡大について、従来の奢侈品であるとか個人だけが使用する便益品以外のものに広げていくとすればどういうものを対象として考えるべきかという議論をいたしましたときには、企業の生産活動における原材料あるいは物品に該当するものがあるとしますと、生産に直接用いられるような機械といったようなものはさしあたり検討対象からは外すべきであろう。むしろ官公庁も含めまして、いろいろの活動の中で使われる一般的な事務機器といったようなものに着目して考えていってはどうかというふうに議論を進めたわけでございます。  何ゆえ汎用性の高い事務機器というふうに申し上げるかといいますと、それがやはり一般的な便益性というものを持っているというふうに考えられるからでございまして、特定の業種あるいは特定の工場において使われる、そういう機器類ではなくて、どこでも使われるような事務機器類で、便益性の非常に高いものを検討してみたいというふうに考えてきたわけでございます。
  63. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ちょっとお聞きをしますけれども、ワードプロセッサーでございますね。これは市中に出回っているもの、大体金額的にどのくらいのものというふうに受け取っておられますか。
  64. 小川是

    ○小川説明員 これはごく最近の時点でございませんで、五十九年度のいろいろの作業をやります勉強の過程で得ましたものとしましては、五十七年度の出荷額がワードプロセッサーで三百五十八億円でございます。
  65. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私は単価を聞いているんです。大体どのくらいの単価のものが市中に出回っているか。
  66. 小川是

    ○小川説明員 わかりました。  単価につきましては、単体としてワードプロセッサー専用で使われるもの、あるいはその他の用途と複合的に用いられるものがあるというふうに承知をいたしております。  専用のワードプロセッサーでは、かなり高いものもあり、かなり高いといいますのは百万円を超えるようなもの、それから数十万円のものまでいろいろ幅が広いというふうに承知をいたしております。
  67. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私の方で簡単に調べただけでも、約三十万円くらいから四百万円くらいのものまである、こういうことなんですね。先ほどの一般事務、とりわけ便益性という一般的な物差しでとらまえて、そしてその範囲のものに課税を考えていってはどうか、勉強している、こういうお答えなんですが、このワープロだけ見て金額的にラインを引くならば、一体どの辺くらいが一般的な便益性と考えられるのか、聞いておきたいと思うんです。
  68. 小川是

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  物品税の課税対象に取り入れることを検討いたしますときに、金額でこの種の事務機器を切るということは非常に難しいことではなかろうかというふうに思っております。勉強の途中ではございますが、先ほどお話しございましたように、例えば百万円を超えるものから数十万円のものまでワードプロセッサー一つでもある。その場合に、ある金額を超えるものは便益性があるけれども、ある金額を下回るものは一般的な便益性の高さは低いのではなかろうかという区分の仕方というのは無理ではなかろうかというのが、現段階における率直な感じでございます。
  69. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そういうことになるわけですね。したがって、三十万円のものは一般の便益性があるから課税して、百万円を超えるものはいわゆる機器だ、生産機器的な要素が強いから課税しない。私は非常に線が引きにくいと思うんですね。結果として、ワープロはいろいろな形で、その役割、機能は、今申し上げたような企業システムの中で大変重要な役割をしていると思うんですね。同時に、こういった機器というのは、今も少し言われたんですが、単体としての機能だけではなしに、複合化、一体化の傾向が極めて急速に進んでいます。そうした中で、便益性ということでとらまえて、どの部分を切り離して課税対象にできるのか、今考えておられるお考えをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  70. 小川是

    ○小川説明員 ただいまのお尋ねの点は、仮に物品税の課税対象を一部の事務機器に拡大するとしました場合に、そう踏み切った場合に起こる最も難しい問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。私どももいろいろ勉強させていただきましても、何をどこで切れば妥当な物品として課税対象とし得るかどうかという点につきまして、今この段階で特定の物品について考えを持ち合わせているわけではございません。今後とも勉強の過程におきまして、関連の産業界にいろいろ御意見を伺いながら、特に技術的な面についていろいろ意見交換をしながら勉強をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  71. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間が参りましたので、あと特に経企庁に最後にお聞きをしたいと思います。  こういった情報処理通信機器、これは当然経企庁としてもその動向を注目されておられると思いますが、大変今急速に生産が拡大されておりますし、とりわけ輸出比率が極めて高くなってきております。電子式タイプライターですと生産が二十万台、九九・八%が輸出でございますし、卓上計算機、これは既にもう六千六百五十五万台、そのうち輸出は五千百二十四万台、七七%。電子式複写機は百九十二万台、輸出は百四十五万台、七五・四%。ファクシミリはこれからの製品でございますが、生産台数三十万台、輸出は九万台でこれでも既に二八・九%、こういう実態であります。こういう輸出型の商品、これにさらに物品税が課せられるということになりますと、ますます国内での市況というものが停滞をする、一層輸出ドライブがかかっていく、こういう懸念を持つわけです。国際的な貿易摩擦という面でも大変私は重要な問題だと思うのですが、経企庁のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  72. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 御指摘の点につきましては、先生のおっしゃることは基本的に同感だと考えておるわけでございます。  ただ、具体的な物品税との関連の議論になりますと、先ほど来大蔵省からもお話ございますように、まだ中身の検討に入っているわけではございませんし、今後その検討の過程におきまして企画庁としての考え方を申し述べるということになろうかと思いますが、基本的な考え方としまして、今後これらの産業が日本の産業の発展を担う大きなファクターになるわけでございますし、また御指摘のように輸出面でも非常に大きなウエートがございます。そういうことでございますので、これらの発展のために産業政策全体の見地から推進していくということが望ましいと考えておるわけでございます。
  73. 中村正男

    ○中村(正男)委員 最後に、長官御出席をいただいておりますので、特に今の後段の問題、そしてハイテクノロジー時代と言われておるこれからの情報化社会、その中におけるこういった情報処理通信機器の持つ役割、民間の経済の活力が特に問われている中、さらには中小企業の合理化を急がなければいかぬというふうなこと等々の観点から、いわゆる経済活動、経済政策全般から考えて、果たしてこういった品物に対する課税がどんな影響を及ぼすのか。我々の立場からは、これはもう課税対象にすべきでない、こういうことを強く要望したいわけですけれども長官のお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  74. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 我が国は貿易立国であるという立場から考えますと、常に我が国産業界が強い競争力を外国に対して持たなければならぬということはもう当然でございます。ただし、この問題は税の立場からだけではなくして、常に有効な設備投資を積極的に進めていって、さらに産業界の合理化を進める、こういう観点からも考えなければならぬと思います。したがって幅広い角度から検討する必要があろう、このように私は思います。
  75. 中村正男

    ○中村(正男)委員 質問を終わります。
  76. 金子みつ

    金子委員長 宮地正介君。
  77. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに河本長官に伺いたいと思います。  昨日、ブッシュ米副大統領が参りまして、日米貿易問題を初めとする経済問題についていろいろ会談が行われたようでございます。河本長官は内閣の特に経済の中心閣僚ということで非常に大事なお立場にあるわけでございますが、今回の米国副大統領との会談において、一部に日米の経済摩擦が何か一部休戦的な、そうした解決の方途が見出された、このようなことが新聞報道でされておるわけでございますが、まだまだ日米のこれからの経済問題というものは非常に大きな課題が残されていると思うわけでございます。まず長官としてこの会談はどのように評価をしておられるのか、また今後この日米貿易摩擦の問題の解決のために政府としてどのように対応されようと考えておられるのか、この点について伺いたいと思います。
  78. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 我が国の立場といたしましては、今ややもすると世界で保護貿易的な傾向が台頭しておりますので、それを排除して自由貿易体制を守っていくということが一番大きな課題でございます。そういう角度に立ちまして日米間の経済問題、特に貿易摩擦の問題についてことしになりましてからいろいろな準備をいたしておりましたが、四月に一応の対策を日本側がまとめたことは御案内のとおりでございます。それに対しましてブッシュ副大統領を団長とする今回のミッションは、おおむねこれまでの問題点は解決をした、こういう評価をいたしました。しかしなお二、三の問題は残っておる、こういうことも強く指摘をしております。  二、三の問題とは何ぞやといいますと、それは円の国際化、金融資本の自由化という問題でございまして、これは非常に強い関心を持っておりまして、再三にわたりまして指摘をいたしております。  それからなお関税の一部で未解決の問題がございます。それはワインと紙製品、これは関税を下げることになっておるのですけれども、どこまで下げるかということを今国内で作業中でございまして、この点が残っております。林産物の問題につきましては先方も非常に強い関心を持っておりましたが、我が国は不況業種でございますし、構造改善事業がようやく軌道に乗り始めたばかりでございますので、この分については関税の引き下げは行わないという方針を決めておりますので、以上の二点が残っておりますが、当面の個別案件としては大部分の問題は解決をした、このように先方も評価し、私どもも先方との対談でそのように受けとめております。  ただ、先方がマクロ的な立場に立って指摘をいたしましたことは、昨年以上にことしの日米貿易の不均衡、日本側の黒字幅は拡大する気配である、そういう点も十分今後考慮して、貿易の拡大均衡、こういう方向に進めてもらいたいという強い要請が出ておりますので、このマクロ的な問題は引き続いて残る、このように考えております。
  79. 宮地正介

    ○宮地委員 特に金融自由化の問題が、最近我が国においても非常に大きな課題になってきておるわけでございます。どうもこの金融開放問題については非常に不満であった、こういうふうに報ぜられておりますが、この問題については、長官としてはどのようにこの会談においてお話し合いをされたのか。また今後について、本来大蔵大臣なのですが、経済閣僚の中心大臣ということで、この問題についてはどのようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
  80. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この問題は、昨年の十一月に竹下・リーガン声明が発表されまして、金融と資本の自由化について一応のスケジュールが組まれております。そこで、今月中に最終の作業を終えまして、その報告をリーガン財務長官と竹下大蔵大臣に出すことになっております。その報告書の作成が、今月二十一日ローマで最終的に打ち合わせをされることになっておりまして、その準備のために連日のようにずっと作業が続いておるわけでございます。作業の過程でなかなか急速な合意ができないものですから、先方もいら立っておるような感じを受けておりますけれども、大問題でもございますから、そう一朝一夕に合意は得られませんけれども、しかし日本側もどうしても前向きに対処しなければならぬという考え方のようでありますので、私は、今月中にはある程度前進するのではないか、こう思っております。  しかし、その点先方は大変不満を持っておりまして、繰り返し繰り返し作業を督促するように強い要請をいたしておりますので、もう少し経過を見ないと、今のところ具体的には申し上げかねる段階でございます。
  81. 宮地正介

    ○宮地委員 今月末に大蔵大臣から報告書が出される、この内容がこれから果たしてどういう内容になるか、これは問題であろうかと思います。この金融自由化というのは、我が国にとっても非常に重要な課題でございますので、大蔵委員会においても再三この問題は論議を尽くしているわけでございますが、金融の自由化の推進とともに、また現在の国内における銀行あるいは証券、生保、信託、こうした各業界の間における調整、また同じ業界内においても大中小と非常に——これは時代の流れであると同時に、単に保護的に考えるのではなくしかしその反面、国内事情というものもよく勘案をし、慎重にこれは対処していかなくてはならない、このように考えているわけでございます。その点については河本長官についても同じような考えを持っておると思います。  そこで、きょうは限られた時間でございますので話題を移していきたいと思いますが、長官のいわゆる積極的な内需拡大策を基本としたマクロ経済政策、この問題が、どうもきのうの副大統領との間で何かお話をするチャンスがなかったように聞いておるわけでございますが、この点について積極的な御発言があったのかどうか、伺いたいと思います。
  82. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨日は、日本側の対外経済問題についての関係八閣僚と先方との会談でございますので、ほとんど全部個別問題に終始をいたしました。しかし、一昨日私とブッシュ副大統領がお目にかかりましたときには、マクロ政策についてもいろいろお話し合いをいたしました。副大統領からはアメリカ経済の現状、そして今後の展望、私からは世界経済の現状と展望、そしてどうすれば自由貿易体制を守ることができるか、こういうことについても十分話し合いをいたしました。
  83. 宮地正介

    ○宮地委員 長官は、昨日の経済審議会におきましても、この内需拡大の問題に触れまして、政府の現在の四・一%の実質経済成長率、この問題を、さらに高目の成長を目指すべきであるというような意見を前々から持っておられるのですが、私は、長官の腹は大体五%から六%程度を考えているのではないか、こう思っておりますが、その点はどの程度を考えておられるのか伺いたいと思います。
  84. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年の八月に御案内のように政府は「展望と指針」を発表いたしまして、昭和六十五年までの我が国の経済運営につきまして基本的な方針を明らかにいたしております。それによりますと、この間四%の成長を続ける、こういうことでありますが、しかし、こういう世界経済の激動期におきまして、同じような型にはまった成長をずっと八年間続けるということはとても考えられないことでございまして、条件の悪いときには四%以下になることも当然あると思います。また、条件のいいときには四%を超える、あるいは相当大幅に超える、こういう経済であっても決しておかしくない、このように思います。そしてその平均が四%ということであれば理解できますけれども、毎年型にはまって四%、そういうことは常識上もあり得ないことでございます。  そこで、現在の段階は幸いにアメリカ経済が昨年の春以降非常に勢いを増しておりまして、その影響でようやく世界全体が数年ぶりで景気回復の方向に方向転換した、このように考えられております現在でございますから、こういうときにはやはり四%よりも高目の成長を志していく、計画をしていく、それは私は当然の政策でなかろうか、このように考えております。そこでその趣旨を言ったわけでございます。  さて、それじゃ一体どうして四%以上の成長を続けるかということにつきましては、これは一連の国際会議が終わりましてから、七月以降には六十年度の予算の概算要求もしなければならぬ時期を迎えますので、それと並行して高目の成長をするためにはどうすればよろしいか、こういう議論が当然出てくる、私はこのように思います。  それから、国内的だけではなく、国際的に考えましても、我が国は世界で二番目の経済力を持っておりまして、世界経済に対する我が国の責任というものは非常に重いと思うのです。自分のことだけやっておればよろしい、こういうことではないと思います。国際社会に積極的に貢献をするという大きな責任が日本にはあると思いますし、そのために経済協力を国策の柱にしておるわけでございますから、そういう観点からも、やはり我が国の持っております潜在成長力が十分生かされない、こういうことでは大変残念に思いますから、そういう観点からもやはりこの問題に取り組んでいく必要があろう、このように考えておりまして、来月の後半以降の大きな課題でなかろうか、このように考えております。
  85. 宮地正介

    ○宮地委員 今大臣がおっしゃいましたように、マクロ経済政策のねらいが、一つ国内の景気対策、もう一つは外圧に対する対応を適正化していく、前者の国内の景気をさらに浮場さしていく。先ほどお話しのように、八〇年代に四%で、画一的に毎年という、これはいいときには大いにやるべきで、私もそのとおりだ、こう思うのです。長官のマクロ経済政策の中身をいろいろ研究してまいりますと、一つは大幅な減税、これが一つの柱。もう一つは財政政策による大規模な公共投資、三つ目には金融政策による金利の引き下げなどが大体どうも中身になっているように私は思えるわけでございます。  しかし、確かに現在の景気は徐々に回復をしておりますけれども、内需拡大の中で最も大事と言われております個人消費支出、これがどうももたついているのではないか。また、一方では大幅減税といいましても、百二十兆円近い国債を抱えておって、五十九年度の減税などにおいても、御案内のとおり見返り増税でとんとんという収支合わせをしておる。また金利の引き下げについても、今申し上げましたような国内状況から見てなかなか厳しい。  私は河本長官の経済拡大政策を基調としたマクロ経済政策には大変賛意を表している一人なのでございますが、実際これが政府の今後の政策として導入されていくには、幾つかの壁が非常に厚いのではないか。これを乗り切っていくためには、相当な長官の政治力というものが働かないと難しいのではないか、こんな感じをしているわけでございますが、この中身の問題について、長官は来年度予算編成の中で同時進行で進めていきたい、こういう抽象的な御発言でございましたが、もう少し当委員会において、長官としての私見でも結構でございますが、具体的な内容を明らかにしていただければありがたいと思います。
  86. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実は一昨日、ブッシュ副大統領と懇談をいたしましたときに、副大統領からアメリカ経済の現状について説明がございました。三年前に現在の政権がスタートしたときには、失業率は一二%、そして二けたのインフレ、大変な不況が続いておったわけであります。成長もマイナス成長であったそうでありますが、そういうことではどうにもこうにもならないということで、新政権になってから思い切った決断によって景気回復を図ってきて、それが現在功を奏した、こういうお話がございました。  その内容は、御案内のように積極果敢なインフレ対策、それと大規模な所得減税と投資減税、それから政府の諸規制の廃止、こういう幾つかのことが柱になっておるようでございますが、幸いに思い切った政治的決断が功を奏しまして、ようやくインフレがおさまり、そして現在では瞬間風速では八%成長というようなことを言っております。しかし一九八四年という年に限りますと、先般五・九%実質成長、こういうように修正したようでございますが、とにかく名目では一〇%を超える高い成長になっておりますし、実質でも六%前後の成長は十分達成できる、こういうことを言っております。失業者も約四百万減った、こういう話でございまして、しかも物価は四%台である、二けたインフレが完全におさまっておる、こういう話がございまして、私もその決断を高く評価するということを言っておいたのでございます。  ですから、三年前のアメリカ経済、一体どこへ行くんだろうか、アメリカはもうつぶれるのではないか、こう言われておった経済が、政治的な決断によって見事に立ち直ったということを考えますと、日本は条件ははるかにいいわけでありますから、私は方法がないわけでは決してない、このように思います。したがって、方法があればそれを実行すればいいわけでありまして、また財政再建という観点から考えましても、やはりある程度経済に力が出てまいりませんと財政再建もできない、こう思いますし、幸いに日本は貯蓄が過剰で、非常に資金の余裕のある国でもございますから、アメリカよりもいろいろやりやすい点もあると思います。  そういうことがございますので、これから一体どうすればよいかということは、内閣や自由民主党挙げていろいろ検討しなければならぬ課題だ、このように考えております。
  87. 宮地正介

    ○宮地委員 日本経済の現在の景気の浮揚というものが、やはり世界経済、なかんずくアメリカ経済のそうした景気の回復、拡大、こういうものが非常に影響して今日の日本経済が支えられておる。いわば具体的には輸出志向型のそうした景気浮揚、これをもっと思い切って内需拡大型の景気浮揚にさらに転換をしていきませんと、こうした日米、日欧等の経済摩擦もさらに進みますし、そういう点で、こうした一つの景気の回復基調の中で中身をさらに精査し、内需拡大にもっと積極的に重点を置いた、さらに景気の回復から景気の拡大へ向けての積極的な対策というものが今こそ必要なときではないか。  そういうことを見てくると、どうも個人の消費のもたつきというものについて大変私は心配をしているわけでございますし、むしろこの個人消費のもたつきのないよう、このあたりに積極的な経済運営というものの目玉、魂を打ち込んでいくべきではないか、こう思いますが、この内需拡大策について長官はどのように考えておられるか、現状と今後について伺いたいと思います。
  88. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 内需の拡大ということになりますと、やはり検討すべき課題は幾つかあると思います。  その一つは個人消費をどのように考えていくかということだと思いますが、これは何しろGNPの中で六割を占めておりまして、非常に大きな役割を果たしております。私は、昨年の九月の臨時国会で与野党の間で合意ができまして、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をする、こういう合意ができて文書を交換されましたので、これは大変いいことだ、これが本当に実行されれば景気は非常によくなるのではないか、こういう期待をしておったのでございますが、残念ながら、紆余曲折がございましたけれども御案内のような経過で、今回の減税は効果ゼロとは言いませんけれども、ほとんど効果が期待されるような内容にはなっていない、こういう結果になったということは大変私も遺憾に思っております。  しかしこういう減税問題は、やはり国民的な合意といいますか、非常に強い力が加わってまいりませんと、一人や二人がこうする、ああすると言ったってできるものではございません。そういう意味で、昨年九月のあの与野党の合意というものはもうあれで済んでしまったのかどうか大変私も疑問に思っておるわけでございますが、あのときのようなエネルギーがあって初めてこういう大事業というものはできるのだ、私はこのように考えております。しかしこの問題は大問題でございますので、前にも申し上げたと思いますけれども、大蔵大臣と自由民主党の政策責任者にその経過を言いまして、あのときの効果が上がってないではないか、だからもう一回税制全体を抜本的に見直す過程において、この所得税減税問題をもう一回再検討してもらいたい、こういうことをお願いしております。できれば、所得税の大規模減税によって景気が回復できるというあのときの合意が実現できることを私は強く期待をしておるわけでございます。  それから第二点は、ことしは中小企業の設備投資が数年ぶりでやや盛んになってきております。それは、中小企業では長い間投資ができませんでした。景気がよくない、資金も十分調達できないということで、とにかく数年間思うような投資ができなかったと思うのですが、幸いに景気がある程度回復するのではないかという展望がようやく開けて、それじゃ新しい技術を投資しなければどうしても競争に負ける、やらざるを得ないという‘とで始められたケースが非常に多いと思うのです。しかしそれとても、昨年の投資額に比べて大体実質で五%、名目で六%ぐらいな投資であろう、この程度であります。  アメリカの現在の設備投資を見ますと、昨年に比べて初めは一けた増であろうと言っておったのですけれども、だんだんと拡大をしてまいりまして、現在では二八%ぐらいは昨年に比べて拡大するのではないか、こういう動きにもなっておりますし、中には二〇%を超えるであろう、こういう説すらも出ておるような状態でございます。しかも、アメリカの産業の内部では蓄積が非常に今拡大をしております。それは、大規模な投資減税によりまして償却が非常に進むものですから、それによる蓄積、それからもう一つは景気回復による利益の拡大、それによる蓄積、そういうことで、企業内部の蓄積というものは現在の動きでは四千億ドルないし五千億ドルだ、こういう数字を言っておりますが、いずれにいたしましても、昨年に比べて十数%の設備投資が進んでおるということは、日本に比べてはるかに大きな金額でもありますし、数字だ、こう思うのです。  今激しい技術革新が行われておりますときでありますから、こういうときにこそ思い切った投資をしないと、数年後には日本の産業の国際競争力は弱まってまいります。日本の産業もオイルショックまでは非常に新しい設備であったのでありますが、最近は相当古くなっておりまして、数年を待たないで、二、三年後には、今のような状態であればアメリカの設備投資の方がはるかにすぐれたものになるであろう、私はこういう感じがいたしますので、そこで設備投資を、アメリカとは指摘いたしませんが、とにかく外国に負けないような設備投資をして産業の競争力を維持するということが最大緊急の課題でなかろうか、このように思います。それはまた同時に大きな景気回復にもつながるんだ、このように理解をいたしております。  それからもう一つは、日本の場合は先進国でありますけれども、社会資本のストック、投資ということについては、私は先進国の中ではおくれておるのではないか、このように思います。下水とか公園なんか見ましても、あるいは住宅なんか見ましても、大変貧弱な状態でございますから、やはり日本では社会資本投資をもう少し積極的に進めていくという一つの大きな課題があるのではないか、こういうように思うのでございます。  そういうことを考えますと、この際、金融政策が設備投資の分野で特に大きな役割を果たしてもらいたいわけでありますが、金融政策が大変やりにくい内外の条件がございますので、日本銀行や大蔵省が大変苦労しておられると思うのですけれども、何とかそこはもう少し工夫をしてもらって、物価が二%という非常に低い水準でございますから、もう少し金融政策に工夫の余地はないものだろうかと期待をしておるのです。そういう幾つかのことを考えながら内需拡大をやはりこの際もう一回考え直してみる必要があるのじゃないか。幸い日本といたしましては、先ほど申し上げました貯蓄過剰、国内資金はたっぷり全体としてある、こういう外国にない強い条件がございますから、そういう条件を生かしてもう一回よく検討すべきではないか、私はこう思います。  先ほど国債の話が出ましたけれども、私は、過去十年間の国債発行によって日本経済の現在の基礎が固まっておるのだ、こう思います。だから国債に対しては正しい評価をするということが大事でございまして、また金額も大きいですけれども、しかしそれは全体のGNPと経済の活力との比較において判断すべきであって、国債を出すということになりますと、何か犯罪のように曲解する向きもございますが、そういうことではなくして、正当な評価を与える必要があるのではないか。しかも外国と違いまして、国債といいましても全部国内での借金でありまして、国民の貯蓄によって賄われておる、こういうことでございまして、外国から全部金を借りておる、そういう国とは全然事情が違いますので、こういう点も正当に評価しながら、先ほど申し上げましたような内需拡大対策というものを総合的によく検討する必要があろう、このように思います。
  89. 宮地正介

    ○宮地委員 今の大臣のお話の中で少し具体的に、特に減税問題については与野党合意、こういうお話がございまして、来年度においてそれではどの程度の減税の規模を大臣の頭の中では描いておられるのか。与野党合意というのは、これは所得税減税一兆円、住民税減税四千億円、一兆四千億というのが大方の与野党合意の内容でございますが、この程度の規模なのか、あるいはよく言われております三兆円程度、こうした大きな減税をお考えなのか。  また、第二点の中小企業の投資、金融政策の面、そうした金利面からの促進、それも私は非常に大事であろうと思いますが、五十九年度で導入されました投資減税、これもやはり思い切ってやっていく。これも六十年度の予算編成の中でさらに推進をしていくべきではないか。  また第三点の社会資本の問題につきましても、私も同感でございます。特に政府の公共事業の投資の中身、この精査、転換期に来ているのではないか。どうも大型プロジェクトを中心としたいわゆる公共事業投資というものが優先していく。今大臣のおっしゃったように、下水とか住宅とかそうした生活関連の基盤を強化拡充していくような公共事業投資、これは下からの内需拡大にも非常に大きな効果もあるわけでございまして、大型プロジェクト中心のそうした基盤を拡充する公共事業投資の方向から、生活関連基盤を拡充していく方向への転換もすべきではないか。そうした内容について、私なりの提言を含めて大臣にお話をしてみたわけでございますが、この点について大臣の所見をもう少し伺いたいと思います。
  90. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年の九月の与野党合意というのは、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をせよということでありまして、景気浮揚ができるという、そういう内容にはなっておりますけれども、一兆四千億とかそんなことは何も言っていないと思うのです。一部の政党はそういうことを言っておられるかもわかりませんが、合意意はそういう内容ではない。合意は景気浮揚ができる規模の所得減税である、こういうことでありますから、数字はやはり与野党の間で検討すべき課題ではなかったかと私は思いますが、そういうことをしないまま、ああいう混乱期でございましたから、うやむやのうちに一応の結論が出たということは大変残念に思います。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  それじゃ景気浮揚ができる規模というと幾らになるかというお話でございますが、それは、アメリカのやり方も一つの参考になると思いますが、私から具体的な数字を言うべき立場にはございませんので、先ほど申し上げましたように、大蔵大臣や自由民主党の政策責任者の方へとにかく景気浮揚をするためには一体どうしたらよいのか、税体系を根本的にこの際考え直すという観点に立ってひとつ検討してくださいという提案をしておる段階でございますから、私の方から具体的には申し上げない方がいいと思います。  ただ、御参考までに申し上げますと、昭和四十九年に所得税の減税をいたしましたが、そのときは一兆八千億やっております。そのときのGNPに比べますと、現在のGNPはそのときの二倍以上になっておりますから、現在の経済規模に直しますと約四兆、こういうことになろうと思います。これも一つの参考になるのではないかと思いますし、いや、それじゃ不十分だ、もう少しアメリカのようなやり方を参考にすべきだ、そういう意見もありますので、そういう角度からの検討も一つあろうと思いますが、数字は私から申し上げる立場にはございません。  それから社会資本投資の内容は、これは大規模プロジェクトということになりますとやはり準備に数年を必要といたしますし、なかなか大変だろうと思うのです。特に最近は、国有地を活用いたしまして、それに民間資本を導入した大規模開発ということが言われておりまして、これは大変結構だと思いますが、これもやはり相当時間がかかると思います。特に環境問題等がございまして、地域社会との調整にやはり相当時間がかかるようでありますから、これを経済政策として進めるということは非常に大きな意義があると思いますけれども、これは当面の景気対策とは混同しない方がよろしい。ことし、来年の経済には余り影響はない、このように考えておりますので、やはり社会資本投資といいましても、今御指摘のような国民生活に関係があるものから優先的に考えていくということの方がよろしいのではなかろうか、このように思います。  投資減税は、中小企業それから省エネ、先端産業の一部等を中心にいたしましてことしからやっておりますけれども、その規模はせいぜい千億程度でありまして、これも効果ゼロとは言いませんけれども、その程度では、日本の今の経済規模から見ましてそう大きな効果は期待できないと思います。私は、今産業の転換期である、そして技術革新が大変な勢いで進んでおる、それを産業の分野に積極的に取り入れていかなければならぬ、そういう非常な事態であるということを考えますと、小さく限定した投資減税ではなくして、やはり大規模な投資減税を考えれば相当効果が出てくるのではないかと思いますが、ことしはとりあえず選挙に約束したことだけはやるというようなことで、非常に小規模なものになっておりますのは大変残念であると思います。
  91. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が大分なくなってまいりました。では、話題を少し変えまして、赤いダイヤと言われている小豆の問題についてちょっと関係当局に伺いたいと思います。  現在の小豆の国内需要は九万トンから十万トンと言われておりますが、これで間違いないのか。また北海道の十勝を中心とした国内生産が大体四万四、五千トン、輸入がやはり大体四万五千トンから五万トン、特に最近は昨年の北海道の十勝の小豆が非常に不作であったということで、輸入の比率が若干ふえているようでございますが、この辺の数値を少し報告していただきたいと思います。
  92. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  小豆につきましては、先生御指摘のように、大変豊作のときもございますし、作柄がよくないというときがございます。近年で申し上げますと、五十五年、五十六年産が大変不作でございますし、また作付面積も減っておりました。それから五十七年は、その前年に比べますと作付面積もかなり増加しておりますし、作柄もよかったわけでございます。具体的な数字で申し上げますと、全国で五十五年の小豆の作付面積が五万五千九百ヘクタール、五十六年が五万二千六百ヘクタール、五十七年が六万二千七百ヘクタール、昨年は六万九千八百ヘクタールでございました。  しかし、十アール当たり収量が、先ほど申し上げましたようにかなり変動がございまして、五十五年が十アール当たりで百キロでございます。作況指数で見ますと七七という状況でございますし、その翌年も九十八キロ、それから五十七年は百五十キロというかなりの豊作でございました。五十八年は最終的には八十七キロ、作況指数で申しますと六三ということでございます。特に主産地の北海道が、昨年の六月の上旬以降非常に温度が低くて日照も不足した、このような状況でございます。したがいまして、生産量は五十五年が五万六千トン、五十六年が五万一千五百トン、五十七年が九万四千二百トン、五十八年が六万七百トン、このような状況になっております。  なお、輸入につきましては、以上のような状況に基づきまして、それぞれ各期ごとに割り当てをして推移してきておりまして、年度別で申し上げますと、五十五年が二万五千トン、五十六年が四万八千トン、五十七年が五万八千トン、五十八年が一万九千トンでございます。
  93. 宮地正介

    ○宮地委員 国内需要です。需要はこれを足したわけじゃないでしょう。
  94. 近長武治

    ○近長説明員 国内の消費量でございますが、五十五年で九万八千二百トン、五十六年度で九万三千九百トン、五十七年が九万八千九百トン、五十八年が九万五千トン、年によって若干の変動がございますが、大体このような数字で推移してきております。
  95. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほどお話ししましたように、大体小豆の国内需要は九万トンから九万八千トンの間である。国内生産輸入関係、きょうは限られた時間でございますので、特にこの輸入のIQの外貨割り当て、このやり方というものについてどういうふうにまずやっておるのか。現在大体四十五商社が加入されておると言いますが、大手といいますか、上位大体三社ぐらいで相当なシェアを占めている、このようにも言われておるわけですが、この辺はどのようになっているのか、御報告をいただきたいと思います。
  96. 土田清蔵

    ○土田説明員 お答えいたします。  雑豆のIQ制度につきましては、一応私ども、年度を上期と下期の二期に分けまして、まず農林水産省の方と輸入割り当て限度量を定めております。その上で輸入商社への割り当てを行っておりますが、国内需給上いわば必要な物資というようなことでございますので、その確実かつ継続的な供給を確保しなければいけないといったようなこと、あるいは輸入秩序の混乱を防止するといったような観点から、経験と能力のある輸入実績者に対しまして、実績に応じた割り当てを行っております。  先ほど先生の方から、現在の割り当て商社数四十五社ということがございましたが、五十九年度上期につきまして、先月私ども輸入割り当て証の交付を行っておりますが、現在までのところ、輸入割り当て証の交付を行いました商社数は四十三社でございます。
  97. 宮地正介

    ○宮地委員 特に輸入商社に対しての外貨の割り当て、この実績主義の中におきまして、いろいろと国民の中からも非常に不満といいますか疑惑といいますか、こういうものが出てきているわけですね。これについて農林水産省と通産省は、既に新年度から改善をしていく、こういうことで国会でお約束されているわけですが、現段階でその改善についてどのように検討を進められておるのか、報告をいただきたいと思います。
  98. 近長武治

    ○近長説明員 実は本年の二月に、たしか予算委員会でこの件についての御議論がございまして、この問題はなかなか難しい問題ではございますが、農林水産省の方といたしましても、やはり何らかの改善を図る必要があるという必要性は十分認識しております。したがいまして、できれば新年度早々にも、関係する業界とも話し合いの場を持って、また通産省とも十分相談いたしまして、改善を進めるという方向で対処していきたい、こういうふうに御答弁いたしまして、その後早速三月の二十六日に、私たちの方で生産、流通、加工等に関係をする人に集まっていただきまして、雑豆につきましていろいろ御意見を聞く、そういう場を設けたわけでございます。  その際に、やはりこういうようなことを今後継続して、なるべく早く流通改善のための方策について関係者の中で一致するような点を見出すようにということで、その後大体十ぐらいの団体の人と、それからそのほかにも学識経験をお持ちの方にお集まりいただきまして、現在、雑豆流通の改善についての懇談会というような形で進んでおりまして、一回目は四月の二十日に行っております。第二回をなるべく早く開いていきたいと思っております。  現在のところは、それぞれのところから問題点、それから具体的に雑豆の消費量がどういうふうになっているかというようなことも聴取しておりますが、これからも精力的にこういうようなことを進めまして、なるべく早く一致したような改善案が得られるようにして、当然のことながら通産省とも協力して進めてまいりたい、現在のところはこのような状況でございます。
  99. 宮地正介

    ○宮地委員 具体的にちょっと私お話ししてみたいと思うのですが、一九八三年産の天津小豆の場合なんですが、例えば中国からの積み出し地の価格、これが大体トン当たり、当時六百五十ドル、一ドル二百三十円の当時のレートで換算しますと、約十四万九千五百円。これが日本に上陸してまいりますと、運賃とか関税とか調整金、そういうものを入れますと、トン当たり二十二万二千二百九十八円。そうしますと、大体六十キロの一袋当たり一万三千三百三十八円、大体こういう感じになるわけでございます。東京穀物取引所の一九八三年の十一月で、大体一袋三万三千円ぐらい、この数字にもし誤りがあれば正していただきたいのですが、大体ざっと見て、一袋当たり二万円程度商社がもうかるといいますか、こういう感じになっているわけですね。そうすると、我々国民、消費者から見ますと、日本の国民は小豆は何か高いものを食べさせられているのではないか、こんな感じがするのですね。そういう中から、今申し上げましたような、こうした実需者団体による共同購入とか、あるいは輸入割り当ての方法の改善というものが国会で論議されてきた、こう思うのです。  この点についての改善、今まだ余り具体的でないのではっきりしないのですが、今実態的に、この三月ごろからいろいろ皆さんの方で改善策をとられてから、商社の一袋当たりの粗利、今ざっと一袋当たり二万円程度と私言ったのですが、これが一万円ぐらいに大分落ち込んできているのではないかというお話もあるのですが、この点、もう少し具体的に御報告いだだきたいと思います。
  100. 土田清蔵

    ○土田説明員 お答えいたします。  私ども輸入割り当てをいたしました商社に対しまして、毎月販売報告書をとっております。それによりまして、五十八年について見てみますと、もちろん私ども小豆だけではございませんで、小豆のほかにインゲン、ソラマメ、エンドウといった四品目合わせていわゆる雑豆というようなことで割り当てを行っておりますし、またそういうような観点で私どもも販売報告を見ておりますが、それによりますと、昨年の場合には、確かに先生おっしゃいますように、大変大きな利益が出ているということは私どもも認識しておりますし、雑豆全体で見ますと、大体四割弱程度の粗利益が出たのではなかろうかというふうに見ております。もちろん粗利益でございますから輸入業者のいわゆる販売コスト等は含まれておりませんので、輸入業者の販売コストを入れますと、利益率はもっと下がってくるであろうというふうに考えております。  昨年の場合は非常に異常な年であったのではなかろうかというふうに私ども見ておりまして、先ほど来先生も御指摘なさっておりますように、昨年の国内産小豆が、特に冷害によりまして非常な不作で国内価格が暴騰したというようなことがございます。それからまた海外の状況を見てみますと、通常であれば国内価格が上昇しますと、それに引っ張られまして上昇するというのが今までのパターンだったわけでございますけれども、昨年の場合には思いのほか海外相場が安い価格で手当てできた、こういったような要因がたまたま重なりまして大きな利益につながってきたかと思いますけれども、いわゆる継続的な営業活動といたしましてより長期間について見てみますと、先生も御案内かと思いますけれども、雑豆価格が低迷するといったようなときもございますし、企業のリスクといったようなものもございまして、長期間で見ますと、必ずしもそんなに大きな利益が上がっていないというのが実情かと思います。  なお、最近の状況につきまして、私どもまだ正確な数字を手元に持っておりませんけれども、海外相場が昨年の場合先生御指摘のように、天津小豆、確かに六百五十ドル程度といったようなことが一般的に出ておりましたけれども、最近はトン当たり八百ドルを超えるというような状況になってきておりますので、利益率はかなり下がってきているというふうに見ております。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に経済企画庁に、国民生活局長か物価局長で結構なんですが、大臣がちょっとお食事なもので、答弁をお願いしたいのです。  この小豆の問題については、北海道の十勝などのこうした国内生産者を保護するために、一つはIQという制度がとられてきた。しかし、消費者行政というものがこの中に盛り込まれていないというところに私は非常に疑問を感じている一人なんであります。国内生産者保護、そして今度はその生産者保護に伴ってIQ制という輸入業者、商社。ところが、今までは輸入業者がお話しのように粗利で四〇%、今通産省は余り利益が上がってないような言い方をしておりますがこれはとんでもない話で、現実は一部の商社が、上位の数社が大変な利益を得ているということは明らかなことなんです。  外国の小豆を食べている方に比べると、日本消費者は一説には大体倍くらい高いのを食べさせられている、大体これが言われている通念です。私は、消費者保護の立場に立っておる経済企画庁は、この小豆の問題についても今後監視をしていただくと同時に、消費者保護という立場でぜひこの問題については対応し、指導していただきたい、このように思うわけでございますが、この点についての経済企画庁の御見解を伺って終わりにしたいと思います。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 及川昭伍

    ○及川政府委員 生産者の利益と消費者の利益の調和を図ることは、国民生活、国民経済の安定発展のためにも非常に大事なことであると思っております。その中でも、特に自由貿易の利益を消費者に還元するということが国際的にも非常に重大な関心事項になってきておりまして、OECDに消費者政策委員会というものがあるわけですが、昨年来国際貿易と消費者利益について検討を進めてまいったところでございます。我が国消費者行政も今後国際化時代を迎えて、自由貿易政策と消費者利益政策との調和のために今後さらに注目し、協議を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  小豆につきましても、その一環として、今後さらに関係当局と相談をしてまいりたいと思っております。
  103. 金子みつ

    金子委員長 塚田延充君。
  104. 塚田延充

    ○塚田委員 経済企画庁は、官庁の中のブレーン部隊として、経済問題について政府の経済政策全般を整合性あるように調整し、また必要な助言を与える、このような役割を担っている、言うならば経済問題のシンクタンク部隊じゃなかろうかと私は考えております。その企画庁が機能を十二分に発揮するために、お役人の頭だけで考えておって不足する面があってはいかぬと考えてでございましょうか、民間などに対しましてもいろいろと委託調査研究をなされているようでございます。その件数がかなり多いのじゃないかと思いますけれども、五十五年以降主に民間調査を依頼した件数、そしてその主なものについて、委託先であるとか調査依頼の内容について御教示いただきたいと思います。
  105. 遠山仁人

    ○遠山政府委員 御指摘のとおり、経済企画庁はかなりの件数を外部の専門団体、専門研究機関等に委託をしておりますが、五十五年度以降の件数を申しますと、地方公共団体に委託したのもありますが、それを除きまして地方公共団体以外の件数を申し上げますと、五十五年度に四十七件、五十六年度四十五件、五十七年度四十三件、五十八年度五十四件、こういうふうになっております。  その内容でございますが、いろいろな項目に分かれていろいろな内容になっておりますので、一口に申し上げるのはちょっと難しいんですが、例を挙げますと、例えば民間の研究機関に委託した例としては「情報システムの高度化と流通機構の変化に関する調査」、これは五十八年度の例でございますが、流通産業研究所という流通問題を検討します専門の研究機関に委託をいたしました。御承知のような情報システム、情報化が進んでいるわけですので、そういう情報システム高度化が進みました段階で流通機構がどういうふうに変わっていくか、その場合にどういう課題があるかということを検討いたしたものでございます。  そのほかのテーマといたしましては「情報社会における消費者保護に関する調査」、こんなような調査もいたしました。これは社団法人ですが、商事法務研究会という機関に委託をいたしまして、情報社会が進みます段階での消費者保護の問題、あるいはそれに必要な対策等を検討していただく、こういうふうなことでございます。  そのほかのことにつきましてはちょっと細かくなりますので……。
  106. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま二つの例を挙げてくださいましたけれども、その二つのケースにつきまして、それを受け取ってからどのような処置の仕方をしたのか。例えば庁内においてさらにそれを自分自身で検討し直したとか、またはそれを関係諸官庁もしくは地方公共団体に手引みたいなものとして渡したとか、いずれにしてもそれをどのように生かそうとしたのか、その処置例について御説明いただきたいと存じます。
  107. 遠山仁人

    ○遠山政府委員 ただいま申し上げました委託調査一つの例として申し上げたわけでございますが、今お尋ねの、その件につきましてどういうふうにということでございますが、いろんな委託調査がございますので、先に一般的な形で申し上げた方がよろしいんじゃなかろうかと思います。  (塚田委員「何か一つの例を挙げて言ってください」と呼ぶ)はい。委託調査につきましては、事前に十分その必要性あるいはその成果の利用等を検討いたしまして、調査を依頼して報告書をもらっているわけでございます。したがいまして、その成果物は庁内におきますいろんな検討資料に使うわけでございますが、同時に各種の審議会での検討あるいは景気判断のための資料、それから白書の分析等に使う、こういうことでございます。  お尋ねがございましたように、それを公表いたしまして広くまた各方面で使ってもらう、あるいは関係省庁に検討してもらう、こういうふうなこともございます。先ほど申しました二つのケースにつきましては、いずれも新しい技術発展に伴いますいろいろな経済社会の影響を検討しているものでございますので、これはそういった内容の庁内の検討に十分使用しておりますし、それからまだ公表してないものもございますけれども、公表いたしまして関係方面にも利用していただく、こういうふうに考えております。  一般的に申しますと、そういうふうな形でいろいろ使うわけですが、先ほどの「情報システムの高度化と流通機構の変化に関する調査」につきましては、流通機構がどういうふうに変わっていくのか、それからそれによって消費者にどういうふうな影響を与えているのか、それから物価の面ではどういうふうな影響があるか、こういうふうなことを検討されるということでございます。
  108. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、私の質問民間活力の活用に関することに絞ってまいりたいと存じます。  まず、この民間活力の活用に関して、各省、各人、各団体からいろいろな提言などあると思いますが、まず最初に、政府なり他の省庁からこの問題に関する提言があるのかないのか、あったとすれば、どの省庁からどういう件に絞って提言がなされ、その内容はどういうものであったか、御説明ください。
  109. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 経済企画庁以外の省庁におきまして、民間活力活用の方策というテーマで、委託調査あるいは省内の検討委員会というような形で報告をしておるものが幾つかございます。  建設省でございますけれども、二件ございまして、昨年の七月に「規制の緩和等による都市開発の促進方策」というのを省内の委員会の形で検討し、公表しております。それから本年の四月に、民間活力検討委員会という省内の委員会から検討結果の第一次報告が公表されております。  二番目が国土庁でございますが、これは委託調査の形で「民間活力活用による定住構想推進のための各種プロジェクト調査」という報告書でございますが、本年三月に公表されております。  それから大蔵省の関係では、理財局長の私的諮問機関という形で公務員宿舎問題研究会というものが設けられまして、「都心における公務員宿舎の高層化による用地の有効活用について」という報告書が昨年の九月に公表されております。  それから民間の団体といたしまして、経済同友会が都市問題プロジェクトという組織で「民間活力による都市開発の効果的促進」という調査が、これは昨年の十月公表されております。それからもう一つ民間では、不動産協会と建築業協会が行いました「民間活力導入促進方策について」というテーマで、これも昨年の九月に公表になっております。  主なものは以上でございます。
  110. 塚田延充

    ○塚田委員 民間活力の活用に関する調査研究として、経済企画庁としてはJAPICに研究を委託し、それがこのたび提言の形で提出されてきたわけでございますけれども、これをお受け取りになりまして、その内容をごらんになって、企画庁としてはどのような受けとめ方、感想を持っておられるのか、そして、今御説明いただいたような他の省庁もしくは民間からの提言と比較いたしまして、その中にそごといいましょうか食い違いというか、考え方の違いがあるような部分があるのかどうか、このような点について感想をいただきたいと思います。
  111. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 ただいまお答えいたしました他の省庁の報告におきましても、目指すところは民間活力の活用ということでございます。したがいまして、やはりJAPICも同じ立場といえば同じでございます。  ただ、私どもの感想として申し上げさせていただきますならば、このJAPICの報告は非常に範囲が広いという点が一つ挙げられるかと思います。非常に分野も多岐にわたっております。先ほど引用いたしましたほかの省庁におきましては、例えば国有地の活用であるとかいったような、あるいは都市開発といったような一部の分野にとどまるものがあるわけでございますけれども、JAPICは非常に包括的でございまして、都市再開発ももちろんでございますが、そのほかに、新しい需要に応じていろいろな分野がこれから出てくるというような認識を踏まえまして、さまざまな事業分野を取り上げているということが一つでございます。  それからもう一つは、民間活力の活用の方策につきましても、海外調査をするあるいはアンケート調査をするというような、かなり時間をかけた調査をいたしました。したがいまして、そこに盛られております提言も、例えば事業主体であるとかあるいはその進め方の際の新しい方式といったようなもの、あるいは規制緩和、資金調達の問題といったようないろいろ新しい考え方を含んでいるということでございます。したがいまして、同じような提言も中にはございます。例えば規制緩和というものに柔しては、大体おっしゃられることはそう違っているわけではございません。これは事の性質上、ある程度重複なり同じようなことを言うことはあり得るわけでございますので、そこは別に問題があるというふうに私どもは思っておりません。  ただ、このJAPICの提言というのは非常に広い分野にわたり、しかも問題も多岐にわたっておりますので、実現をする場合の可能性ということになりますと非常に難しいものも含んでいるわけでございますし、これからなお検討していかなければいけないというようなものも中にはあるかと思います。したがいまして、そういう性格のものでございますので、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、この委託調査の趣旨が従来の公共事業のやり方とは違う観点から、新しい時代の要請に基づいて、公共的な事業分野でどうやって民間活力を活用して今後進めていくかという大きな問題として御提言をいただいたわけでございますので、この包括的な提言を関係各省にもお渡しいたしまして、その実現方についてもさらに検討をお願いしておるという状況でございます。
  112. 塚田延充

    ○塚田委員 せっかくのJAPICからの提言でございますけれども、その生かし方について、今の局長のお話によると、関係省庁にも渡してその参考に供するという使い方もあるようなことでございますけれども、やはり主体は企画庁でございまして、企画庁自身が本来考えて、そして公共事業に関する民間活力をどうしようかということについて、本来政府の中のブレーンとしてリードし、引っ張っていく、そのためにいわゆる参考意見も求めるという形で提言を受けたんじゃないかと思うんです。となると、この提言そのものを焼き直しもせずにそのまま参考資料としてはらまくというだけでは、せっかく公費を使い、また一方JAPICも全精力を傾けて知恵を絞ったにしては、使われ方が中途半端でもったいないと思うんです。  ということで、この提言を受けて今景気回復と申しましょうか、また社会資本ストックを充実させなければいけないという国家目標に合わせて経済企画庁としてはどうすべきなのか、この提言をもとに英知を絞って、それを経済関係閣僚会議に諮って日本政府全体としての指針とするとか手引とするとか、このような役割をこの提言を機に果たしたらいかがかと考えますが、それについていかがお考えでございましょう。
  113. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 私の御説明で言葉が少し不足をしておったかと思いますので、補足をさせていただきながらただいまの御質問にお答えさせていただきたいと思います。  そもそもこの民間活力の活用という問題は、言うならば今まで国なり地方公共団体なりあるいは公団、事業団といったような特殊法人、公の立場の主体が自分の資金、一部民間資金も使いますけれども、税金あるいは借入金等を使いましてさまざまな社会資本の整備を行ってきたわけでございます。ところが、非常に国民のニーズも多様化してまいっております。それから国の財政事情というものも高度成長期とは違って、社会資本を年々大幅に増加させるというようなわけにはまいらないという状況でございます。  それからもう一つ、これは臨調の指摘にもございますように、今まで国なりあるいは地方団体等も含めた政府部門がやってまいりました仕事というものがいわばやり過ぎではなかろうか、もう少し政府のやるべきことを厳しく見直すべきではないかというような御指摘がございますし、それから民間におきましても、ある事業につきましては、公的な部門が行うよりも民間資金あるいは人材、ノーハウ等を活用して行った方が効率的である、あるいはニーズに即した事業ができるというような機運が高まっておるわけでございます。したがいまして、民間側からも民間活力の活用ということについての認識が高まっておるわけでございます。  そういう状況を背景に考えました場合、ただいまのお尋ねのように、経済企画庁が何か先頭になって旗を振って、一つの方針、施策をつくって関係の省庁なり民間なりにその方針で行うように働きかけるということが、果たしてこの提言を生かす上でいい方法であるかどうか、やや私ども疑問に思っておるところがございます。やはり民間のそういう自発的な意思というものが一方ではあり、さまざまな工夫、知恵というものも考えていくというようなこと、それが民間活力というものを支えるゆえんでございます。政府政府だけという立場からそれを主導し実行させるということは、事の趣旨からいっていかがであろうかというふうに考えております。もちろん、公共的事業でございますから、民間の立場あるいは民間の原理だけで事業を実施するということは問題でございます。官と民とのいわば協調態勢といいますか、お互いに知恵を出し合いながら、プロジェクトに即し、あるいは事業分野に即した形で行っていくということが一番望ましいのではないか、このように考えております。  したがいまして、その実行という問題につきましても、むしろ事業分野なりあるいはプロジェクトなりごとに関係省庁あるいは民間といったような関係者の間の協議、話し合いの中から一つの工夫なり制度なりというものが生まれてくるということではなかろうかと思っております。もちろん企画庁といたしましては、そういう立場に立ちながらもこうしたせっかくの機運の盛り上がり、あるいは具体的な御提言というものを十分に生かしてまいりたい。こうした機会をとらえてできるだけ多くの分野で活力が発揮されるということが望ましいわけでございますので、そういう方向に向かって、具体的な問題につきましてはもちろん各省にもいろいろ御相談をし、必要な場合には推進役もさせていただく、そういうふうに考えておるわけでございます。
  114. 塚田延充

    ○塚田委員 経済企画庁に旗を振れとまでは申しませんけれども、この提言をただうのみにして、ブレーンとしての検討もしないのでは意味がないじゃないかということを申し上げたかったわけでございます。  例えばこの提言の中に免税開発債というような提案がございます。また、複数の土地の統合の場合、五百平米以上で都市開発も考えていいんじゃないかという提言など、とにかくJAPICは民間側として考え得ることを徹底的に羅列してきた。こうしたらいいんじゃなかろうか、こうする方法があるよということを単に提案してきたのみでございまして、これじゃいわゆる素材だけであって、本当にこれを生かすことには結びつかないと思うのです。そういう意味において、政府の経済政策のブレーンたる企画庁だったらば、このJAPIC提言について庁内において再料理して経済政策に生かすようにしなければいけないのじゃないか、このように考えるわけでございます。  そういう観点から、この提言の中身について二、三お尋ねしたいと思いますが、ただいま申し上げたとおり、免税開発債の例は外国には多いようですが、日本では例が少なくてなかなかなじまない面もあるのじゃないか。それを民間側ではぽんと言ってきた。それをうのみにするような形で、今後新しい民間プロジェクトと申しましょうか、民間活力を使ったプロジェクトにおいて、やろうとしてできもしないことでもって時間、エネルギーを費やすというようなことがあり得るかもしらぬ。免税開発債について、非常にいい方法だからやろうよ、そうした場合、ブレーンとしては、この件については現状からするとこういう問題点があるとか、こういうことを解決しなければ難しいうのみにできないというようなことをアドバイスすべきと思いますが、まず免税開発債について、我が国として活用できるのかどうか簡単にお答えいただきたいと思います。
  115. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 免税開発債ということで提言がございますが、その下敷きになっておりますのは、アメリカで実施されております住宅開発収入債券あるいは工業開発収入債券といったような名前で呼ばれておる制度でございます。これは一口に申しますれば、住宅開発あるいは企業誘地をする、あるいは工場を建てるといったような資金を本来企業が調達をしなければいけないわけでございますけれども、地方の州が便宜調達をいたしまして、その資金で工場なり住宅を建てる。例えば企業が工場をリースいたしまして、リースの資金でその債券を償還する、こういう仕組みでございます。  問題は、その債券の利子が非課税になっておるという点でございます。確かに非課税ということでありますために、市場金利の大体六割ぐらいで資金調達ができるというメリットがございます。要は、公共的事業の資金調達の場合には、できるだけ低利長期の金を調達できればいいわけでございます。免税というのは一番端的にそれを達する方法ではございます。  しかしながら、免税という問題については、別の財政上の見地から、あるいは税制の中での議論等、いろいろ複雑な問題がございます。免税債というのは一つの提案ではありますけれども、それでは税金を使ってある特定のプロジェクトだけ利子を非課税にするということが現在の税制の仕組みの中でできるかどうかということは、御指摘のように非常に難しい問題だと思います。したがって、個別のこういう提言ということよりも、現在のいろいろな資金調達のやり方をできるだけ有利に使うこと、それからいろいろな資金調達を組み合わせるというやり方、そういうことが現実的ではないかというふうに思っております。問題によってはそういうことでまたJAPICともいろいろ御相談をし、私どもなりの勉強もしてみたいと思っております。
  116. 塚田延充

    ○塚田委員 今免税開発債につきまして私が指摘したのは、例を挙げようというような意味で言ったわけでございまして、いわゆる提言をそのままあちこちに流したところで意味をなさない。あくまでもこれを焼き直して、これが他省庁、他公共団体で活用できるようにブレーンとして直して指導しなければ意味をなさない、それが経済企画庁の仕事じゃないかと私は思うわけでございます。  あの提言を見ますと、民間としてはもうかる仕事をやりたい、もうけたいということでウの目タカの目になることも事実でございます。となりますと、民間の効率性の名前のもとでございますけれども民間としてのいわゆる経済性だけでプロジェクトを遂行することになり、公共性が無視される危険性がある。環境問題、公害問題がその例になるかと思います。このようなことについてどういう歯どめをかけるのかというようなことについても、企画庁としてははっきりしためどを示す必要があるのじゃないかと思います。  また俗に民間側はもうけのためをも考えて、都市再開発とか線引きの見直しなど、規制の緩和を求めてきておるわけですけれども、いわゆる規制緩和という甘い汁のみ吸われて食い逃げされる、このような危険性もあると思うのですけれども、それらについて企画庁としてははっきりした見解を示す必要があると思いますが、これについていかがお考えでございましょう。
  117. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 一つは、公的な性格をどうやって確保するか、もう一つは、利益だけ懐にしていわば食い逃げというような事態が起こらないか、その二つの御質問であったかと思います。  まず、公共性の問題でございますが、これは公的な性格を持っておる事業であります以上、やはり何らかの歯どめが必要でございます。それは当然の前提と私どもは考えております。では、それをどうやって確保するかということはいろいろあるわけでございまして、事業主体が非常に公的な性格を持っておればいいということが一つあろうかと思います。それから、その事業主体に対する監督といったような問題もある。それから事業そのものに対するいろいろな規制というものもあり得るかもしれない。いずれにしましても、法律なりあるいは新しい制度なりが必要な面が多いのではないかというふうに思います。  それから、規制緩和に関連いたしてでございますが、規制緩和が必要な分野がいろいろあるということは提言にもあるとおりだと思います。ただ、規制の緩和は、緩和すれば緩和するほどいいという性格のものではないわけでございます。  規制の種類といたしては、一般的に二つに分けて考えられるわけでありますけれども、経済的な規制、収益、料金といったような面の規制、これはできるだけ自由の方がいいのではないか。新しく事業に参入する人も自由に参入できるというような意味で、できるだけ規制が少ない方がいいということは一般的に言えると思います。ただ、もう一つ社会的な規制といいますか、御指摘のありました環境、公害といったような、あるいはその他の社会的な目的のための規制というものはやはり国民の合意のもとに行っているわけでございまして、必要な規制はやはり引き続き行わなければいけないわけでございます。ただ、これは余りに行き過ぎているというケースについては緩和をしていかなければいけないということはそのとおりだとは思います。  したがって、利益だけ、あるいは緩和の結果だけ得て企業が収益だけ上げてしまうということは規制との関係では考えられないのではないかと思います。公共的な事業の性格からいいましても、多額の収益を上げるような事業というものはいわば公共事業ではないわけでございますので、そういう事業の性格、それからもう一つはそういう経済的な規制を自由にすることによる収益、競争の結果による適正な収益、それから必要な場合には社会的な規制、こういう面から考えますると、多額の収益を規制緩和の結果として特定の企業が懐にするというような事態は生じないというふうに考えております。
  118. 塚田延充

    ○塚田委員 民間開発業者に公的権限を付与してほしいなどというようなことも提言されておりますし、そうなった場合、これが公正に使用されるかどうか監督しなければいけないなどという問題も、今何点か私が指摘したことと同じように、その提言のままでは使えないことが多いと思う。そういう意味におきまして、やはりブレーンとしての立場にある企画庁として、これをもとに民間活力導入に関する全般問題について縦、横、斜めから政府のありよう、官としての組み込み方についてひとつまとめていただけたら、このように提案いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  119. 金子みつ

  120. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、きょうは米の問題についてお尋ねをしたいと思います。  最近米穀店から米が十分に入ってこないんだという苦情が各地から出されてきております。私のところにも実は米穀店から同様の訴えがございました。そこで私は、特に堺、泉州、大阪府南部ですが、そこから十店だけ取り出して直接聞いてみました。そうすると、半数の五店から、米が十分入ってこないで大変困っているという苦情が出てきたわけであります。  その内容は、この二月ごろから政府に手持ちの米がないからとして二〇%ほどカットされてきているんだ、あるいは自主流通米は従来どおりだが、山陰、北陸地方の政府管理米はカットされている、あるいは政府管理米はカットされているが自主流通米はカットなし、結局高い米を売らざるを得なくなっている、問屋が品不足だと言っている、あるいは仲間内ではカットされてきていると言われている、あるいは宣伝の行き届いているコシヒカリ、ササニシキがカットされてきていて、カットはことし新規に得意を取った分がすなわち入ってこない状態にある、その理由は二年続きの不作が原因だと聞いている、こういうようなことが出てきたわけであります。  これは氷山の一角だと思われますが、きょうは農水省から来ていただいておりますが、このような状況についてどういうふうに認識し、原因と対策をどのように考えておられるのか、最初にお伺いをしたいと思います。
  121. 赤木壮

    ○赤木説明員 米の需給についてでございますが、五十九米穀年度の米の供給につきましては、五十八年産米が千三十七万トンの生産がございまして、このほかにも前年産米の持ち越し等もございまして、合計千六十万トンの供給総量と見込んでおります。一方需要が千五十万トンというふうに見込まれておりますので、五十九米穀年度末、つまりことしの十月末には、五十八米穀年度と同様に十万トン程度の前年産米を持ち越せるというふうに考えておるところでございます。  今いろいろな事例をお話しになったわけでございますが、こういうふうな全体需給の中で実際の米の操作をいろいろやっておるわけでございますが、五十九米穀年度の主食用のウルチ米の需要量につきましては、近年の米の消費動向等を踏まえながらいろいろことしもその供給計画をつくっておるわけでございますが、総需要量を千五十万トンと見込んだ上で、これから農家消費等を差っ引いたもので六百六十万トンの自主流通米、政府米を合わせたものの供給ということで計画をつくっておりまして、三月、六月期におきましても売却計画をつくってきたわけでございます。  ひところに比べまして政府米の在庫水準が低下しているという状況のもとでも、全期間あるいは全国むらなく安定供給を図っていくということで、全国的な形で平等、かつ必要なものを上手に売っていくというような形で対応いたしていくようにしておるわけでございます。もっともこれは供給計画、予定量でございまして、実際消費者が必要とされる米は供給していくということでございまして、現実の消費動向を見ながら適切な売却操作を行っていくというふうな形で対応していきたいと考えております。
  122. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それは対応なんでして、私がお尋ねしているのは、そういうような状態を聞かされているけれども、その実態についてどういうふうに把握をしているかということをもう一つお尋ねしているわけです。対応はよくわかっているのですがね。こういう実態が出てきているけれどもどう認識しておられるのですか。そういうことはないと言うのですか。
  123. 赤木壮

    ○赤木説明員 お答えいたします。  前年に比べてどういう数字で売られているかという話がよく議論になるわけでございますが、前年は、今までの実績に比べてみましても非常に多く売れているというような実態があるわけでございまして、これは消費者の消費動向を見ましても、総理府の家計調査等を見ましても、実際の消費は毎年減ってきておるわけでございまして、食糧庁も調査しているわけでございますが、実消費量というのは年々減っているという状況になっておるわけでございます。  前年供給したものとの関係で言いますと、実際には米不足と去年も言われたわけでございまして、流通段階で玉不足を見込んである程度在庫積み増し等も図られたというような実態もあるように見受けられるわけでございます。ことしも適正な真の需要に合わせた形で供給をしていくということで、卸、小売間でいろいろ競争が激しい中で米を売っておるわけでございますけれども、前年実績に比べると、政府売却米が少なく自主流通米は多くというような形で実際の供給はなされておるわけでございますが、この自主流通米が多くということは米屋さんの希望をまとめ上げて、それに沿って供給量を決めることにしておるわけでございます。そういう供給希望を足し合わせていった場合に、そういうふうに少しふやして供給してほしいという声の中で、供給量を確保しながら対応しておるわけでございまして、実際の末端で必要とするような米については安定的に供給されるように努めていきたいと考えてございます。
  124. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一回確認しておきたいのですが、安定的に供給されるように努力をしていく、対応していくということはよくわかるのです。けれども、私が取り出したこういうような状態というのは、実際に農水省の方も聞いておられるでしょう。そういう実態が出てきていたということについては認めた上でお話しになったというふうに認識してよろしいですか。簡単で結構です。
  125. 赤木壮

    ○赤木説明員 お答えいたします。  先ほどお話しになったのは小売の供給状況についてのお話だと思いますが、卸と小売とのやりとりの中で一部にそういうふうなことはあるものと思われますけれども、それが具体的にどこでどうなっているかということを確実に把握しているわけではございません。そういう話はときどき出てくることは承知しております。
  126. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 特に、先ほども私申しましたように、政府米について、政府米の中でも標準価格米の需給について心配があるわけなんです。新聞報道でも、山口県ではことしの一月ごろから標準価格米が需要量の七、八〇%程度しか入らないで、卸業者でも、県内五店のうち二店で品切れになっていた、こういうことが伝えられております。食管法では、標準価格米は常置義務があるわけなんですね。だからこういうようなことはあってはならないと思いますが、この点については農水省はどのような責任をとられたわけですか。
  127. 赤木壮

    ○赤木説明員 標準価格米についてでございますが、標準価格米は消費者から欲しいということであれば必ず置いて供給するようにという指導をやっておるわけでございますけれども、これらの原料になります三−五類の供給でございますが、五十九米穀年度の年間供給計画、北海道産米が不作であったということで若干は減っておるわけでございます。総供給量の中で占めるこれらの割合というのは三三%となっておりまして、前年より若干は下がっておりますが、前米穀年度の場合も大体三五%程度は供給しているわけでございまして、本年度もこれらの三−五類比率というものが特に著しく低いというような状況ではないというふうに把握しておるわけでございます。  こういう供給状況になっておるわけでございますが、一方、標準価格米の購入についてどうなっておるかということでございますけれども、その大半を占める家庭購入でございますが、これも総理府の家計調査で見ますと、全体で一二%程度を標準価格米で供給しているという実態もあるわけでございまして、購入している実態と供給している実態というものを眺めてみますと、必要な原料が十分行っていないというようなことではないというふうに認識してございます。
  128. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 必要な原料が行っていないはずはないところでこういうような問題が事実起こったのです。山口県の問題はよく御存じのはずなんですね。けれども、そこでこういうような問題が起こったのです。これはやはり裏返せば全体として非常に需給が逼迫している状況を反映してきているということが言えるのではないかというふうに思うわけです。  先ほどの御説明にもありましたけれども、十月末の前年産米は十万トンでしょう。わずか十万トンしか在庫量はないわけですね。しかも、これはあくまでも計画上の問題であってと、これは前食糧庁長官で現事務次官の渡邊さんもおっしゃっておられますが、実際には八月から新米が出荷されて、十月末までには少なくともことしは三百五十万トン、四百万トンですか、確保する、それが出回ってしまう、だから結局年間出回りの四割から五割に相当する分が早場米という形で出てくるものによって消費されていく、こういうことなんですよね。言葉をかえたら、政府の在庫は十万トンはおろかマイナスで、結局は新米の早食いによって急場をしのいでいる、そういうことを渡邊さんは言っておられるのじゃないかというふうに私は読みました。まさに薄氷というのですか、非常にうまく配分をして、しかし、その途中で何かあれば穴があいてそういう問題が起こってくるということにもなっていくのじゃないでしょうか。  しかも、農水省も心配しているように、もう既に大雪の影響でおくれが出てきて、北日本の米作は、田起こしや苗づくりなど基本作業が三日から一週間おくれているというふうに言われております。さらに気象庁の長期予報でも、十月後半から東日本中心に肌寒い日が多く、大雨のおそれがある、こういうふうに冷害の予想をしているわけなんです。五年連続の米不作という冷害はあってほしくないわけです。あってほしくないわけですが、あった場合のことも想定しなければならないわけで、昨年のような冷害なら、計画を先ほどおっしゃいましたでしょうか、ことしは千九十万トンというふうに言われている、その生産がおぼつかなくなるのじゃなかろうかということも考えられるわけです。問題はことしの端境期の量的確保、これについてはどういうふうに考えておられるわけですか。
  129. 赤木壮

    ○赤木説明員 お答えいたします。  先ほど全体の供給については申し上げたところでございますが、本米穀年度末にも前年と同様に十万トン程度の持ち越しということで、全体で不足というようなことはないというふうに考えておるわけです。  御質問の中にもございましたように、毎年十月末までには新米が大量に集荷されてくるわけでございまして、五十八年産で見ましても四百万トン程度は集荷されておるわけでございます。毎年新米が新米穀年度になる前に供給されているという実態があるわけでございまして、毎年そういうふうに行われているような状態を考えてみますと、五十九米穀年度の端境期についても、供給については特に問題はないというふうに考えておるわけでございます。  しかし、こういうふうな在庫が必ず十分かと言われますと、それは決して需給にゆとりがある状況ではないとは認識しておるわけでございまして、販売業者の方々の御理解、御協力もいただきながら、計画的な需給売却操作に努めておるわけでございます。きめ細かな対応というものが従前以上に必要になるかとは思いますけれども、端境期に万全を期すような形で対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、五十九年産についてのお話もあったわけでございます。  最近の在庫事情を踏まえますと、生産面でも少し在庫をふやすような形で対応していく必要があるのではないかという考えのもとに、水田利用再編第三期対策、五十九年度から三年間にわたって実施することになっておるわけでございますが、これらの計画の中で、適正在庫を確保するということで、各年約四十五万トンずつの在庫積み増しを行うように計画をしておるわけでございます。各三年間にわたり四十五万トンずつ毎年積み増しされていくというような計画にもなっておりますし、昨今の稲作事情を踏まえながら、「たくましい稲づくり」というようなものも運動としてやるように努めておるわけでございまして、米の安定供給に生産面からも一生懸命努めておるところでございます。
  130. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 毎年早場米を早食いしていくというけれども、ふだんはおいしいから早食いするんですね。ないから早食いするのと、おいしいから、ちょっと去年の米は横へ置いといて新米を早食いしていこうというのと、大分事情が違いますからね。だから端境期の問題を大変心配しているわけなんです。  ことしも新米が出回るので、十月末までには集荷されるから一応問題がないということなのですが、その早場米のほとんどは自主流通米の方に行くんじゃないですか。そういうことで、標準価格米は端境期に不足というような事態が起こらないとはっきり言ってもらえますか。
  131. 赤木壮

    ○赤木説明員 新米が十月末に約四百万トン程度集荷されるわけでございますが、このうち自主流通米が大体二百万トン程度は集荷されておりますし、政府米も百五十万トン以上は集荷されるというのが現状でございまして、これらのものを品質別、地域別にむらなく上手に使っていくというような形で対応していく必要があろうかとは思っております。  こういう絶対量の中であるわけでございまして、自主流通米ばかりが集まっているということではなくて、農家は生産いたしますと自主流通米、政府米込みで集荷場所へ持ってくるわけでございまして、これを両方に振り分けていくという形でございますので、そこら辺が偏った形でしか集まらないということではないという実態でございます。
  132. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 念を押しますが、八月末の早場米、九月末の早場米、十月末の早場米、こうありますね。この八月、九月、この辺あたりが非常に心配される時期なのです。そういう時期でも政府米を確保し、標準価格米が足らなければ早場米を補って十分確保する、その約束だけはきちんとしておいてください、簡単で結構ですから。
  133. 赤木壮

    ○赤木説明員 端境期の原料供給につきましては、そういうふうな標準価格米の原料についても必要なものは供給するということを考えながら、年間計画の中で、端境期にそういうものが十分供給できるような計画をつくりながら対応することとしておりまして、そういう計画の中で今後の端境期を迎えていきたいというふうに思っております。
  134. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 次に、五十三年産米についてお伺いをしたいわけです。  先ほどの御説明の中では、五十三年産米の問題はその他と言って一括されたのですが、これはいろいろな資料でも、五十九米穀年度で十万トンから十五万トン五十三年産米を導入をするということが言われております。五十三年産米は五度も薫蒸されて、しかも常温保管で、米自身が相当傷んで味もひどいものではないかというふうに思うわけです。この点が一点。あわせて、この五十三年産米の用途、これについて明らかにしていただきたい、これが二点です。三点目は、標準価格米の原材料にこれを回すというようなことは絶対ない、このことも確認をしておきたいわけです。
  135. 金子みつ

    金子委員長 答弁は簡潔にお願いします。
  136. 赤木壮

    ○赤木説明員 五十三年産米の味の話が出たわけでございますが、これはいろいろ精米にしたものを食べたりしているわけでございますが、味の点は混米した状態ではそうよくわからないというような評価が多いようでございます。  それからこれらの用途でございますが、用途は大型外食事業者、いわゆる業務用に旺盛な需要があるということでございまして、その希望に応じて、これらの用途に充てるべく売却しておるわけでございまして、五十九米穀年度においても引き続きこういう業務用ということで売却しておるところでございます。(藤田(ス)委員「標準価格米に回さないか」と呼ぶ)業務用ということで売り渡しておるわけでございますから、基本的にはそういうものにはいかないのではないかというふうに考えてございます。
  137. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ちょっとはっきり、基本的にはというようなことじゃなしに、一言ではっきり、そんな標準価格米には回すはずはございません、これで結構なんですから、それだけ聞いておきたいわけです。
  138. 赤木壮

    ○赤木説明員 業務用ということで売却しておるわけでございまして、標準価格米の原料はまた決まっておるわけでございますので、そういうはずはないと思っております。
  139. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間がありませんので、その五十三年産米の薫蒸剤の残留問題、これは消費者の中に不安が広がっているわけです。  厚生省は予算委員会で、農水省とよく相談をいたしまして実際に調査をすることについて検討を進めてまいりたい、こういうふうに御答弁されておりますが、その後どのような検討をされ、いつごろその結果が出てくることになっているのかお伺いをしたいわけです。  時間がありませんので、恐れ入りますが簡単にお願いします。
  140. 金子みつ

    金子委員長 簡潔にどうぞ。
  141. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  五十三年産米の薫蒸剤の残留検査につきましては、食糧庁とも協力いたしまして、この主成分であります臭化メチル、酸化エチレン、燐化水素それから臭素につきまして分析を現在進めております。検査につきましては、五月下旬には終了するよう現在努力をしておるところでございます。
  142. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後になります。  今日このような問題を私がここで取り上げなければならないというのは、最大の原因は食管法の精神に反した政府の需給計画にあると思うのですね。単年度の需給を均衡させるといっても、現実には逼迫状態が出ているじゃありませんか。生産者は減反で泣いて、消費者は米不足の不安を抱くという需給計画は、それそのものが大きな間違いであって見直しを求めておきたい。そして、不作の年でもそういう不安が起こらないように生産計画をもう一度立て直すべきではないかということは申し上げておきたいと思います。  同時に、今集荷小売業界から、米が不足したら輸入をしてほしい、作況によっては東南アジア諸国などから砕米輸入も検討されたいという要望書が出されているやに聞いておりますけれども政府はこれに対してどのように答えておられるのか、これが一点です。  最後に経済企画庁、ただいまの議論でもおわかりのように、米の需給は極めて逼迫をしているわけですが、このようなときに米の買い占めとか売り惜しみというようなことが少しでも起こってくれば穴があくわけです、生地が薄いですから。だから、そういう点では国民生活上深刻な状態になるわけで、経済企画庁としても買占め売惜しみ防止法の担当官庁として、米の需給動向に対して監視を強め、不当な動きが出ないようにすべきであると思いますが、この点、あわせてお答えを願います。
  143. 赤木壮

    ○赤木説明員 みそ、せんべい等の加工業者から、外米、タイの砕米等を過剰米ができる前は使っておったという経緯もございまして、あちらの方が安くてよいというような事情もございまして、足りないということであればそういうものを入れてくれという要望はかねてから言われていたところでございますが、現在の供給事情でございますと、こういうものを入れなくても十分対応できるものと考えてございます。  以上でございます。
  144. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お米のことでございますから、私どもとしてもこの問題について十分注意をして事態の推移を眺めていきたいと思っております。  ただいま食糧庁の方からもお答えがありましたように、私どもとしては現在のところ需給については心配ないと考えておりますけれども、しかしながら、万一そういうことがある場合には食管法に基づきまして適切な措置がとられるだろう、こういうふうに考えております。と申しますのは、ただいま委員から御指摘のありました買占め防止法よりは食管法の方がずっと強い法律でございます。そういうことで、食管法の立場において適切な措置がとられるもの、こういうふうに期待しております。
  145. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 終わります。
  146. 金子みつ

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十四分散会