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1984-04-19 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 松浦 利尚君    理事 宮地 正介君 理事 田中 慶秋君       稲垣 実男君    工藤  巖君       二階 俊博君    中村 正男君       浜西 鉄雄君    浅井 美幸君       福岡 康夫君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋  元君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁長官         官房長     窪田  弘君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁物価         局審議官    佐藤 満秋君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君  委員外出席者         総理府統計局調         査部消費統計課         長       酒井 忠敏君         経済企画庁国民         生活局審議官  新名 政英君         大蔵大臣官房企         画官      永田 俊一君         国税庁調査査察         部調査課長   木下 信親君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 鎭西 迪雄君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 豊田  実君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 浅見 喜紀君         郵政省郵務局管         理課経営企画室         長       小島 健史君         建設省都市局都         市計画課長   城野 好樹君         建設省住宅局住         宅政策課長   内藤  勲君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
  3. 浜西鉄雄

    浜西委員 物価問題に関係をする大事な部分でございますので、多少本筋から離れても最終的には国民生活に与える影響が大きいという意味でお尋ねするわけですが、答弁されるそれぞれの時間割りが、またほかの委員会との関係があるということをちょっと聞きましたので、質問が前後いたしますが、まず冒頭に、二月の新聞に載りまして問題になりました東亜燃料工業の関係であります。  簡単にまず質問いたしますが、この東亜燃料保険料の名目で、換算する金額で多少違いますが、一応総額六百五十万ドルということですから、ざっと計算をして十六億円、これらの金が保険料に上積みというか、通常では考えられない保険料追加が出されておるということについて、これは国税庁の方でお調べになったと思いますが、まず通常保険料と申しますか、こういったタンカーにかける保険料は、各会社どの程度が大体基準と申しますか標準か、その辺からお伺いしたいと思います。
  4. 木下信親

    木下説明員 どの程度が妥当かということにつきましては、国税庁としては計数をとっておりませんし、判断はしておりません。
  5. 浜西鉄雄

    浜西委員 国税庁調べがついたというふうにマスコミでは報じられておりますので、その関係でお尋ねしたわけですが、国税庁はそういった金の使途というか、保険料に幾ら支払われたというようなことを調べるに当たって、通常の標準的な保険料がどうだとかこうだとかいうことは全く無関係調査されるわけですか。
  6. 木下信親

    木下説明員 本件につきましての妥当な保険料というのは、おおよそ私ども見当をつけております。それから、もしそれをかなり超した保険料が支払われておるということになりますと、寄附金の問題が生ずるかと思います。
  7. 浜西鉄雄

    浜西委員 それではもっと具体的に聞きますが、この東亜燃料の場合、新聞に報じられましたところの四十七年七月から年額が増額されて、これが六十万五千ドルですか、年額計六十万五千ドルということの事実は間違いないわけですか。
  8. 木下信親

    木下説明員 調査中身につきましては、詳細は従来から御答弁を差し控えさせていただいておりますので、御容赦いただきたいと思います。
  9. 浜西鉄雄

    浜西委員 調査中身は差し控える、ちょっと私はよくわからぬわけですが、疑いがあるとして私どもは見ておるわけです。言ってみれば不必要な保険料が支払われておるということ自体国税庁メスを入れるというか、我々から言えばこれに対する調査理論性というか、自然な形でそこへ目が向いたというように見るわけですが、その問題についてそれ以上答えられないという意味ですか、それとも答えるほどの中身にまだ進んでいない、どういう意味ですか。
  10. 木下信親

    木下説明員 本件につきましては、五十八年に調査を終了しております。御指摘の点につきましても十分に審査いたしまして、適正な処理をしているつもりでございます。
  11. 浜西鉄雄

    浜西委員 その適正な処理ということは、具体的にもうちょっと説明してください、五十八年に終了して、具体的に処理をしたというその処理の仕方を。
  12. 木下信親

    木下説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、追加用船料がもし過大なものでございますれば、理論的にはその過大な部分寄附金として処理をする、つまりその全額が経費に落ちるのではなくて、寄附金限度計算によって一部は否認されることもある、こういう処理になろうかと思います。
  13. 浜西鉄雄

    浜西委員 これはずっとかなり前からやられておったというふうに私も承知しておるわけですが、結局税法上というか税務上の射程距離というか、時効内の三年間の処理をしたということなのか、さかのぼってそれらの点についての処理もされたのか、ちょっとその辺を聞いてみたいと思います。
  14. 木下信親

    木下説明員 税法上、除斥期間が切れない可能な限りの処理をいたしております。
  15. 浜西鉄雄

    浜西委員 いや、それは過去三年という税法上の時効内というか、それだけじゃなくしてもっとさかのぼった処理、こういう意味ですか。
  16. 木下信親

    木下説明員 本件についての具体的なお話ではございませんが、通常三年間さかのぼって処理をいたしております。
  17. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると結論は、三年から以前の分、つまり不自然な形で四十七年の七月から増額されたものは、結局何ら税法上の措置というものにならないまま、これがそのまま没になる、簡単に言えばそういうことですか。
  18. 木下信親

    木下説明員 そのとおりでございます。
  19. 浜西鉄雄

    浜西委員 ちょっともう一遍聞きますけれども、この定期船船料というか船賃に含まれるところの正規の保険料以外に追加保険料で出されて、それがどのような形でおさまっておるのか。私ども疑いは、新聞でも報じておりますように、そのことが国内に還流しておるのではないか、言ってみればわけのわからぬ金として、もっと後ほどまた違った角度でやりますが、政治家に対するいろいろな形でのお金に使われたのではないかという疑いがあるわけですが、東亜燃料追加保険料として払ったその保険料そのものは、それから先ほどういうおさまり方というか、どういう流れになっておるのか、それは調べられましたか。
  20. 木下信親

    木下説明員 調査に当たりましては資金流れが一番重大な項目でございますので、特に調べております。ただ、こういう保険料関係につきましては、第一次的には外国流れるわけでございますので、調査は極めて困難であるということでございますが、それが仮にバックしたという形跡がございますれば、一般的に徹底的に追及をいたしまして資金の行き先に課税をする、こういう姿勢で対処しております。
  21. 浜西鉄雄

    浜西委員 いや、それはバックされたということがあればというあくまで推定のような今発言ですが、その事実について調査が難しいからこれ以上事実はつかめないというのか、その辺がちょっとわからないのです。事実をつかまれたのではないかと私は思うのですが、事実をつかみようがないのか、ないとすればこういった外資系の業者に対して、これはまた別の角度でこれから国会としても考えなければいかぬと私は思うのです。つまり野放しになるようなそういうインチキがあって、もう調査の手が及ばないというようなことを放置するわけにはいかないと思うので、その点調査が難しかったけれども、最終的には調査を完了したのか、調査そのもの外国ということで、もうどうしようも打つ手がないというのか、その辺もうちょっとはっきりしてください
  22. 木下信親

    木下説明員 一般的に申し上げまして、調査は極力努力しているわけでございますが、任意調査ということもございますし、いろいろな制約稼働力制約あるいは外国の主権との関係もございまして、必ずしも全部が我々調査できているとは考えておりませんが、できる限りのことはしているつもりでございます。
  23. 浜西鉄雄

    浜西委員 精神論的な話で抽象的で、もっとも至極のように聞こえますけれども、結局は何か霧の向こうで、こういう普通常識では考えられないような十六億円になんなんとするようなお金処理が、国際的な一つの壁と申しますか、そういうものがあって難しい、しかし極力措置をする、どうもはっきりしないわけですが、やってみて難しかったのか、いまだに釈然としない、霧の向こうの話があるのか、この辺を私は聞いておるわけです。  だから、事実やってみて、調査をしてみて、もうこれ以上はとてもじゃないが難しいのか、具体的にちょっと言ってもらいたいと思うのです。調査は全くしてないのか、ほとんど全容は明るみに出ておるのか、その辺がちょっとわからぬです。これからの話じゃなくて、既に調査を終了したというわけでしょう。したならば、そのしたという一つの既成事実の中での分析を私は聞いておるわけですから、もうちょっとその辺をはっきりしてもらいたいと思います。
  24. 木下信親

    木下説明員 一番最初に申し上げましたように、個々納税者課税状況につきましては、具体的には御答弁を容赦していただきたいということでございますが、一般的に申し上げまして、私どもはできる限りのことをやっておる、こういうことでございます。
  25. 浜西鉄雄

    浜西委員 この問題はもう同じやりとりになると思いますので……。  私もこの関係につきましては、やはり国の責任で、外国資本のものが、平たく言えば好き勝手にできるような制度を放置するわけにはいかないという立場から物を言っておるわけですから、いずれ私自身ももう少し調査研究をして、この問題は継続してやることにして、きょうのところはこの程度質問でこの問題については終わっておきたいと思いますので、国税庁関係の方は次の委員会の方に行かれて結構であります。  それで、ただいまの質問と基本的には関連しておるわけですが、いろいろ私もあちらこちらから話を聞いておりますので、それを整理しながら、少し単純な質問から入ってみたいと思うのです。  まずエネルギー庁関係についてお尋ねしますが、十二月期の決算はもう終了しておると思うのです。後ほどいろいろ関連してお尋ねしますが、まず単純に東亜燃料の十二月決算、できれば資本力においてもそれとほぼ肩を並べておるようなところも含めて、資料があれば出してもらいたいわけです。それから今直ちに知りたいのは、東亜燃料の十二月期の決算がわかっておれば、ここで答えてください。
  26. 松尾邦彦

    松尾政府委員 ただいまお尋ねの五十八年十二月期の東亜燃料決算でございますけれども経常利益で八百九十二億円の計上をいたしております。他の石油企業の多くは三月期決算でございまして、一部十二月決算企業がございますけれども、ただいま詳細な数字は持ち合わせておりませんが、赤字会社もあれば黒字会社もあるというのが実情でございます。
  27. 浜西鉄雄

    浜西委員 グループ別ですと、生産能力販売シェアについてお尋ねするわけですが、私は古い資料しか持っておりませんが、傾向としてうかがえるのは、東亜燃料系、むしろエッソ、モービルグループと言った方がいいんですが、これの精製能力販売関係パーセンテージ、これがすべてと言った方がいいんですけれども販売の方のパーセンテージが、それぞれ皆少額でありますが、大きい。それから民族系関係でこれを見ますと、一つ会社を特定してもいいと思うのですが、民族系の平均の合計でいっても、すべて販売の方がパーセントが落ちておるのです。私この辺素人でよくわからぬわけですが、精製能力販売関係パーセントは、通産省計画段階でそういうパーセントを前提にして計画する基礎となるのかどうなのか。結果としてこういうのがあるのか。どちらが先なのか、ちょっと私素人でわかりませんが、その関係をちょっと教えてください。
  28. 松尾邦彦

    松尾政府委員 私どもといたしましては、石油情勢内外変動に応じまして、そのときどきの石油安定供給を図るべく国民経済的な要請に適合する形で行政を行ってきておるつもりでございますけれども、ただいま先生がおっしゃいました設備能力シェアあるいは販売シェアという問題は、私どもとしては、いずれにいたしましても石油業法枠組みの中で企業が行っております活動の結果としてあらわれた数字でございまして、特に今日シェアをシュアなものとして考えておるわけではないわけでございます。したがいまして、行政枠組みの中におきまして企業の自主的な活動の中で結果として数字が出てくるもの、かように考えております。
  29. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、この表でいきますと、やはり外資系の方が、精製能力販売との関係を見る限りにおいては結果としてどんどん太る、これは結果としての数字だそうですから、そういうふうに受けとめられると思うのです。  そこで、今さっき回答いただきました東亜燃料の十二月決算経常利益で八百九十二億円、言ってみれば九百億円、これだけの利益を上げたということで、これはひとつ対比としてちょっと私自身も知っておきたいんですが、比較的大きいのを言った方がいいと思うのですが、民族系出光あたりはどうなっていますか。これは十二月決算はできておるんですか。
  30. 松尾邦彦

    松尾政府委員 ただいま御指摘出光興産は三月決算会社でございまして、まだ五十八年度決算数字は固まってないように承知しております。
  31. 浜西鉄雄

    浜西委員 一応参考になりますから、それでは三月期で結構ですから、わかればちょっと言ってください。
  32. 松尾邦彦

    松尾政府委員 出光興産決算期は三月でございまして、先ほど指摘のありました東亜燃料の場合は十二月決算でございますので数字が既に公表されているわけですけれども出光興産の場合には、まだ公表されていないのが実情でございます。
  33. 浜西鉄雄

    浜西委員 それでは一つ逆に聞きますが、いまさっきお答えがありました中に赤字のところもある、赤字というか、つまり一口に言えばもうかっていないところはどこですか、ちょっとそれを言ってください。
  34. 松尾邦彦

    松尾政府委員 昨年の十二月決算企業の中でも経常利益赤字会社があるというふうに申し上げましたが、昭和石油は下期において赤字でございましたが、年間では黒字であった。しかし、そのほかの会社でも、五十八年度決算は出ておりませんけれども、五十七年度段階で見ますと、民族系企業には大変債務超過に苦しんでいる企業も何社かございまして、そういう会社が五十八年度決算においてどのような数字を計上できるか、私どもとしても注目をいたしておるところでございます。
  35. 浜西鉄雄

    浜西委員 決算関係が出そろってないわけですから比較は難しいと思うのですけれども、いろいろ私の方の資料によりますと、かなり東亜燃料が突出して利益を計上しておるということでありまして、そろった段階で、また後日この問題については継続してやりたいと思っております。今回の、二月に問題になりました、新聞で報道されました黒いうわさともこれは大いに関連すると思うのですけれども通産省自体東亜燃料に対して生産基準の問題だとかあるいはその後の前倒し関係など、目をつぶってみたりするようなことがあるのではないかという一部業界からの声もあるようですし、そういった意味で、私はこの問題についてこれから先も継続して深くメスを入れる必要があるというふうに思っております。  そこで通産省エネルギー庁ガソリン生産に対する指導、これは一体どのようにされているか。これは法律に基づいてやられておると思うのですけれども石油業法によれば、第三条ですか、五年間の供給計画ということを毎年度、その年度以降の五年間に対する計画というふうに書いてありますが、具体的にどのような指導をされておるのか。前倒しの増産の関係もいろいろうわさに聞いておりますし、それから同じ生産するのでも、ガソリンあるいはガソリン以外の言ってみればもうからないような製品もいろいろあるわけですが、その辺の割り当てというか生産計画というか指導というものについて、少し詳しく教えてください。
  36. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先生からも御指摘がございましたように、石油業法によりますと、毎年度五カ年間の石油供給計画を策定することになっておりまして、当該年度を含む五カ年間の石油の需要の動向もガイドラインとして各企業は念頭に置くこととしておるわけでございますけれども個々企業につきましては、同じく石油業法規定に基づきまして生産計画通産省に提出することになっておりまして、生産計画につきましては、同じく石油業法規定によりますと、石油安定供給に対して支障があるという場合には、大臣がその生産計画の変更について勧告をすることができるような法体系になっているわけでございます。  具体的な生産に当たりましてどのような指導通産省が行うかということにつきましては、冒頭にも申し上げましたように、内外石油情勢変動に応じまして、そのときどきで最も妥当と考えられる指導を、つまり行政的な関与をいたすことにいたしておりますけれども、大きな流れといたしましては、石油審議会からかねて指摘をされている線がございます。つまり、行政介入はできるだけ縮小、緩和していくべきである、そして企業の活力ができる限り発揮できるようにすべきであるという流れがあるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、ときどきに応じて弾力的な対応をいたすわけではございますけれども、現段階におきましては、原則といたしまして各社の提出する生産計画につきましては特段指導は例外的にしか行わない。それで、ガソリンに限りましては、末端の販売業界中小企業によって大変占められておるということもありますので、現段階では、ガソリンにつきましては各社生産計画に対する指導もいたしておりますけれども、その他の油種、したがいまして、原油の処理量を含めまして、原則として企業の自主的な活動をそのまま遂行してもらうことについて、特段の事情がない限り、私どもとしては特段の意見は申さないという形で運営をいたしているわけでございます。  それで、先ほど先生がおっしゃいました前倒しということなのでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、行政的な関与をどれくらいきめ細かくやるかというのはときどきの石油情勢によって変わってくるわけでございましょうけれども、現在におきましては、短い期間というよりは比較的長い期間を単位として指導を行っていくという建前をとっておりますので、同じ期間の中で早目生産をするのか遅日に生産をするのか、それは各企業が諸情勢の中で最も適当と思う方法を判断してやっていることだと思います。  いずれにしても、前半にたくさん生産をすれば後半にはなかなか生産できなくなるということは当然のことでございますので、前倒しでした方がいいか、後ろ倒しにした方がいいかというのは企業判断によって行われることでございますけれども、いずれにいたしましても、前倒しをした方がやり得であるというようなことにはならないように、十分な気配りをいたして行政に当たっている次第でございます。
  37. 浜西鉄雄

    浜西委員 行政指導を縮小せよという審議会指摘だということですが、果たして実態はどうかという疑問があるわけです。  特にガソリン関係について、計画を上回るものがずっと続いておって、例えば東亜燃料の場合、十月から十二月にかける期においても他の会社に比べればはるかに生産計画からオーバーしておる。また、この一月から三月の間についてもオーバーしておる。つまりずっとオーバーということは前倒しということですが、その前倒し最終調整は一体どのように把握をしてどういう指導をされるのか。前倒し企業判断をする、だから前がいいか後がいいかは企業判断だ、これはわかりましたが、前倒しということは、言ってみれば後生産をそれだけしないという時期が出てくるわけですが、その辺の監視、監督、指導というものの実態はどうなっているのか、ちょっとそれを岡かせてください。
  38. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、一定の期間の中で各企業がどのようなペース生産を行うかということは、企業自主的判断によって行われるわけでございますけれども、私どもも月々の需給の状況十分ウォッチをいたしまして、石油安定供給にそごのないような配慮をいたしておるわけでございますから、個々企業が仮に前倒しペース生産をすれば、それなりの数字は私どもでも十分把握いたしておるわけでございますし、また後半になりまして、前倒しの結果生産レベルを落とさざるを得ない状態になるにもかかわらず、それを無視して生産をするようなことは、現在どこの企業もやっておりません。  いずれも定められた範囲内での生産を、ただ前倒しにするか後ろ倒しにするかということで行うよう十分ウォッチいたしておりますので、どの企業におきましても枠内でしかるべく企業判断のもとで生産ペースは決められているわけで、私どもといたしましては、いずれにしてもいかなる企業におきましても、特定の企業について偏った指導を行うことのないようにいたしているわけでございます。
  39. 浜西鉄雄

    浜西委員 またちょっと角度を変えてお尋ねしますが、この生産計画というものは石油業法に基づいて、つまり石油は不足するときもだぶつくときもいろいろあるから、その変動に左右されないように、国民生活支障のないように、それが法律で定められたと思うんですね、共本は。そのために生産計画というものを提出さして、それによって実施をしていく。しかしその期間内で、生産能力を持っておる会社は、後にするか先にするかその企業判断でやるとすれば、その時期時期にかなりの価格の変動なり、あるいは他の会社との言ってみれば一つ企業競争みたいなおかしなものが起ってきはしないかということがあるのでこの計画というものが重視されてきていると思うんですが、その計画意味するものと、前倒しするか後倒しにするかは企業自由裁量というふうにも受け取れますが、それじゃ通産省はそれに対して、法の精神に基づいてこれをどのように考えておるのか。  私が今発言を聞くと、言ってみればそれは企業判断で、先にやれば後で少し調整するだけだ。先にやったときに、一時的にそういう状態が起これば石油業界というものが混乱をするということを通産省は考えておるのかおらないのか、ちょっとその辺のことについてはっきりしてください。
  40. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、石油安定供給の確保というものが政策課題として基本的にあるわけでございますけれども内外石油情勢はそのときどきに応じまして、その安定供給を確保するために、国民経済が石油政策に求める内容というものは違っているわけであろうと存じます。したがいまして、そのときどきに応じて行政的な関与のレベルと申しますか、内容もおのずと情勢に合わせて変わるわけでございますけれども石油安定供給の確保という至上課題をどのような形で実現するのがよいかというのは、まさしくそのときどきの石油情勢によっても変わってくるわけでございます。  オイルショックのときのような非常時は別といたしまして、現在のような内外石油情勢のもとにおいて、言ってみれば平時においてとられるべき対応というものは、先ほど申し上げましたような石油審議会の報告にもございますように、できるだけ企業の活力の発揮を求める、そして価格の形成は市場メカニズムを通じて合理的な価格形成を期待する、これが基本であろう。しかし、石油製品及び石油産業には、他の産業にないいろいろな特性を持っておりますから、全く何らの関与なしにすべて市場メカニズムに任すわけにはまいらない。そのときどきに応じて必要最小限度の行政介入は行っていくべきだというのが石油審議会の御指摘の線でもありますし、私どもとしても日ごろの行政に当たる際の心構えだろうと思っているわけでございます。  それで、現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、内外石油情勢等から考えますと、先ほど審議会の答申の線を踏まえて、極力企業の自主的な活動を尊重する。しかし、大きな枠組みが踏み外されることがないような気配りは必要である。したがいまして、石油供給計画につきましても、企業が経営を行っていく際の一つのガイドラインとしてできるだけ受けとめられるような要素を強める。その中で企業個々生産計画を策定していくわけですけれども、もとよりその生産計画石油安定供給の確保に著しく支障を生ずるおそれが大きいという場合には、私どもといたしましても当面所要の指導を行うというのが基本的な対応になっているわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、ガソリンとその他の油種、原油の処理とではおのずと政策的な関与の度合いが違っておる。そこに現在では、ガソリン部分につきましてはきめ細かな配慮が一層行われる必要があるという認識に基づいて関与が行われているわけでございますけれども、そのガソリンにつきましても、先ほどのように今日の石油情勢を考えてみますと、ある程度期間内で企業がどのように生産テンポを調整するかというところを余りかっちりと政府の方で枠をはめることは、必ずしも現在における行政のあり方として適当ではない。しかし、何もしなくてはこれはまた大変問題もあるであろうというところで、現在最も妥当な行政介入のあり方は何かということにつきまして私どもなりに考えて行っているのが、現在のやり方でございます。
  41. 浜西鉄雄

    浜西委員 精神的にはわかるわけですが、しかし、具体的に少し物を言っておかないといけぬと思うんです。通産省の方が専門ですから、私が数字を申し述べるよりかそちらの方からはっきり言ってもらった方がいいと思うんですけれども、下期の供給計画、つまり十月から十二月のガソリン生産計画、これは前年比で九八・六%というふうに策定をされておったと思うんです。この結果、実績としてこれを上回った分もあると思うんですが、どの程度上回った実績になっておるのか、わかればそれを言ってください。
  42. 松尾邦彦

    松尾政府委員 私どもガソリン生産に関しましては、ある時期には月別に指導してきた時期もございますし、四半期別に指導してきた時期もあるのでございますけれども、昨年からは先ほど申し上げたようなできるだけ企業の自主的な判断を尊重していくという観点から、上期、下期の年二期で一応の枠組みをつくって指導をするようにいたしておりまして、四半期ごとの指導は行っていないのが実情でございます。したがいまして、四半期ごとの枠に対してどのような各社の実績であったかという点に関しましては、私どもとしましてはそういう数字を持ち合わせていないわけでございます。
  43. 浜西鉄雄

    浜西委員 これはやや無主任な感じを受けますが、石油業法の精神からいっても、安定供給の立場から、あるいは業界の混乱を防ぐためにも、正常な指導監督というものが必要だと私は思うのです。  それでは一年の計画をやれば、あとはどうぞ業界で適当にやってください、簡単に言えばそういう程度のことですか。ちょっと聞いておきます。
  44. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先ほども申し上げたことでございますけれども生産計画につきましては、年、上期、下期につきまして、その期間における生産につきましては、私どもといたしまして指導をいたす立場で臨んでおるわけでございます。その他の油種につきましては、これも先ほど申し上げたわけですが、原油処理量ともども石油供給計画一つのガイドラインとして、企業の自主的な判断において生産計画を組み、実施をしていくことについて、私どもはウォッチをしているにとどまっているわけでございます。  そうは申しましても、もちろん私どもといたしましても、石油安定供給の確保という視点を常に持っていなければならないわけでございますので、ある特定の企業が極めて突出した過大な生産計画を、あるいは原油の処理計画を提出し、その実行を通じて石油安定供給に著しい支障が生ずるおそれが極めて大であるときには、私どもといたしまして、当然のことながら所要の指導を行うことにいたしながら日々の行政運営を行っているのが実態でございます。
  45. 浜西鉄雄

    浜西委員 どうも釈然としませんね。大体業界の中で東亜燃料が、一般的にわかりやすい言葉でいいますともうけて、そのもうけた裏には、言ってみれば自分の会社だけのことを考えて独善的な生産をやり、そういう流通をやっておるからもうかっておるのだということで、かなり業界から厳しい批判なりが従来から——これは言ってみれば出光興産石油連盟といいますか全石連というのですか、これから脱退した経過なども昔あったわけです。  そのようなことの歴史的な経過、そして今日、さっき回答がありましたように、八百九十二億円の十二月決算利益の問題から、ずっと一連のものを並べてみると明らかに突出しているわけですが、業界内におけるこの点についての非難とか、あるいは通産省に対して何とかしなければならぬというものは全くないのですか、あるのですか、それを先にちょっと聞いておきたい。
  46. 松尾邦彦

    松尾政府委員 石油製品は他の作業にない特質がいろいろあるということを申し上げたわけでございますけれども、その特質の一つには、日本の石油産業は非常に資本的にも多様性に富んでおる。もう少し簡単に申せば、民族系企業もあれば外資系企業もある。それから企業の間にいろいろな格差も存在している。これは厳然とした事実としてあるわけであろうと思います。ただ、そのような格差が現在存在していること、また何ゆえにそういう存在になってきたかというところまで立ち入ってみますと、これはいろいろな要因が内外からあるわけでございまして、そういう各般の内外情勢を念頭に置きながら、石油産業の全体が、石油安定供給の確保という国民経済的な要請に十分こたえられるような安定供給基盤を構築していくという尺度から、私どもとしては常に企業活動を見てまいっているわけでございます。  当然のことながら、企業は大変過当競争を行っております。過当競争の中ではいろいろな切瑳琢磨もあるわけですけれども、そういう切磋琢磨が、通常の産業に比べますと、先ほど申し上げました石油製品及び石油産業の特質からいたしまして、他に比して極めて大きいということもまた現実でございます。そういう意味で、私どもとしては、そういう石油製品、石油産業の特性には十分注意しながら行政的な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  47. 浜西鉄雄

    浜西委員 どうもはっきり物を言わないで困るのですが、そういう業界からのいろいろな声が耳に入っておるのか入らないのか、これすらも答弁できないということでは、適切な指導をするだけの判断通産省側にないということを暴露したようなものだと私は思うのです。この秤の関係については、国民のこれからの生活のエネルギーの一番大事な部分ですから、もっときちっとした状況把握、そして判断のもとに指導をやっていくということが必要である。観念論、精神論でさっきから答弁が繰り返されておるわけですが、また後日これは続けてやりますけれども、私は、どうも、もっとこれは国民の前に明らかにしていく必要があると思っております。  そこで、それじゃこの東亜燃料販売ルートというか流通経路というか、石油製品がどのようにして販売されていっておるのか、その辺の状態をわかりやすく説明してください。これはほかの産業と違う特質があるというわけですから、そういう販売ルートを持たなければ太刀打っていけないという、私はその辺が他産業にない特殊事情だと思いますから、その特性というか、そういうものの中で東亜燃料はどのようにしてそういう販売経路を持って、それにずっと流通さしておるのか、それをちょっと説明してください。
  48. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先生も御存じのとおり、東亜燃料は精製専業の企業でございますので、石油製品の販売につきましては、資本提携先でございますエッソとモービルを通じて販売をいたしているわけでございます。  私が先ほど申し上げました石油製品なり石油産業の特性ということは、これは申し上げれば大変長きにわたってお答えもしなければならない部分かと思いますけれども、今の先生の御質問との関連で申しますと、何と申しましても石油は国民経済上の基礎物資であるのですけれども、大変国際政治の影響を受けやすい商品である。そして、コストということを考えますと、原油価格の決定にいたしましても、コストの構成要因として非常に大きなウエートを占めております為替レートにいたしましても、これは大変他律的な問題でございまして、企業の自助努力によってそれを自律的に処理することは極めて難しい商品である。  かつまた、連産品ということでございますので、油種別の需給バランスというものは、その連産品という特性の中で解決していかなければならない。また、各石油製品はいずれもいわゆる製品差別性のない、極めて個性的でない商品でございますから、どうしても競争ということになりますと価格面の競争に頼らざるを得ない面が多い。かつまた、石油産業という点から見ますと、先ほど申し上げましたように、大変資本が多様性を持っておる。そして、市場規模に比べて企業の数が、元売レベルでもまた末端の販売レベルでも過多に存在しておる。  まだまだ幾つか挙げる点があろうかと思いますけれども、例えばそのような特性のもとに日々の営業活動石油企業によって行われている、そういう状態を申し上げたかったわけでございます。
  49. 浜西鉄雄

    浜西委員 特性、特殊事情というのは、大体それでわかりました。  そういった意味では、最終的には末端で価格競争というものが行われる性質を基本的に持っておるということがその段階で既にもうあるわけですから、そこでやはり通産省は、そういう価格の面においても石油製品の流通段階におけるところの乱れというか、そういうことがないように指導し、監督していかなければならぬと私は思っております。それが石油業法の基本的な法の精神だろうと思っております。  そこで、こういうことを御承知かどうか聞いておきたいのですが、言葉で速記の方にわかるかどうか知りませんが、業転玉、こういうことについて、通産省はその事実というか、それがどのようにして行われるか知っておられるかどうか、ちょっと聞いておきます。
  50. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先生指摘の業転、つまり業者間の製品転売というものがあることは承知いたしております。  これは、どうしてそのようなことが生ずるかにつきましては、いろいろな事情があると存じますけれども、あるときには地域別の事情により、つまりある地域では自分のところは玉がたくさんあるけれども他の地域では玉が不足する、そういった地域別の需給のバランス調整もありましょうし、あるいは時間的な調整もありましょうし、いろいろな要因が重なってそういうことが行われるわけでございまして、これは流通段階において、市場としてそういうものが存在することによって石油の円滑な供給に資する面もあると存じます。もちろん、他方におきましては、業者間の転売価格が市場の価格形成に影響を与えているという点もあるわけでございます。  いずれにしましても、私どもとしても業者間の転売の動きにつきましては関心を持っておるわけでございますけれども、なかなか実態を的確に把握することは難しい面もある、さような意味で、難しいのですけれども関心を持って見守っているというのが私どもの現在の立場でございます。
  51. 浜西鉄雄

    浜西委員 実態がつかみにくいということですが、しかしこれが石油業界の中で問題になっておるのじゃないですか。つまり、冒頭質問したことに対して回答がありましたが、これだけの収益を、九百億円に近い収益を上げるというこのやり方の中に、業転によって価格を下げて、販売するスタンドその他小売業者は安い方がどんどん売れるわけですから、今そういう業転によって業界の乱れを起こし、非難をされ、ここが問題になっておると私は聞いておるのですが、通産省はそんなことは実態がつかめない、全くそういうことについてはわからない、こういうことですか。
  52. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、業転相場の動向については私どもも関心を持って見守っているわけでございますが、その全貌を的確に捕捉することは必ずしも容易ではないという趣旨を申し上げたわけでございます。  ただ、最近の実情は、もちろん統計的にきちんと把握しているわけではございませんけれども、現在業者の転売が極めて大量に行われているというよりは、長い時間の経過の中で見ますと、比較的量は限られているのじゃないかというのが私どもの認識でございます。
  53. 浜西鉄雄

    浜西委員 この業転というようなやり方をどこでチェックしどこで歯どめをするか。これからの通産省としてのこれに対する処理の仕方というか指導のあり方、これは全くないのか、それとも努力目標としてこういうことを考えておるというのか、これに対する措置について答えてください。
  54. 松尾邦彦

    松尾政府委員 何分にも流通という世界はなかなか私どもでも捕捉するのに限界のある領域でございますけれども、業転相場が石油全体の市況に与えている影響というものも私どもなりに十分認識しているつもりでございます。したがいまして、できるだけこの動向については把握するための努力を今後とも引き続き進めてまいりたいと考えております。
  55. 浜西鉄雄

    浜西委員 私は、きょうの時間は二時間でも三時間でもいいというふうに聞いておったのですが、あと五分前ということですからちょっと私も困ったのですが、幸いに物特委員会は法案審議と直接関係がないわけですから、これからもパートツー、パートスリーで私はこの問題を追い求めていきたいと思っております。  大変中途半端になると思うのですが、基本は、これだけの収益を上げておるということと、それから二月の上旬に各社が取り上げました、東亜燃料の言ってみれば一遍香港の方へ金を出して、つまり保険料で出して、それが国内に還流をしてその一部が政治家に渡ったということについて、これは報道された事実であります。中にはあわててわかって返したという人もおられるようですけれども、これらについては、業界の中では、東亜燃料が言ってみれば政治家とのつながりで横暴であって、わがままな販売方法をとっておるということはもう公然の事実になっておると思うのです。  この関係について、私はこれから先も追い求めていくし、それからさらに構造改善計画というものもいろいろあるようでありますが、この問題についてはきょうは時間がありません。一体このような状態の中で構造改善というのは可能なのかどうなのかということについても追い求めていくつもりであります。時間がありませんから、どうせ中途半端なものならばこれ以上の質問はきょうは終わりにいたしますが、私はこの問題一筋にこれから込い求めていくということを明らかにして、終わりたいと思います。
  56. 金子みつ

    金子委員長 松浦利尚君。
  57. 松浦利尚

    ○松浦委員 時間が制約されておりますから簡単に御質問させていただきますが、まず河本長官に、前回の質疑と継続をして冒頭お尋ねを申し上げたいと思うのであります。  それは、ことしの二月に決定をいたしました五十九年度経済指標の中で、私の質問にお答えになりまして上方修正をする。その上方修正をする内容については、一つは経常収支の上方修正、もう一つは設備投資が順調に伸びてきているという二つのことを述べられたのでありますが、経常収支の上方修正について、当初貿易収支は三百四十億ドル、経常収支は二百三十億ドルと二月の段階では試算されておったのでありますが、これがどれくらいの増加になるのか、どれくらいの修正になるのか、具体的に数字をお示しいただきたいということが第一点であります。  もう一点は、設備投資が緩やかに回復基調にあるわけでありますが、しかし、調べてみますと、先端産業の設術投資額がふえておるのでありまして、これは当然輸出関連に伴う設備投資の緩やかな上昇だと見るのが至当でありまして、内需による設備投資の増大だとは読み取ることができないわけでありますが、その二つの問題について長官から御答弁をいただければと思います。
  58. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一−三月の経済動向が正確にわかるのは、大体六月の後半であります。それから、新年度に入りまして、四−六、新年度の第一・四半期の経済動向がわかるのは九月の後半でございます。そういうことでございますので、毎年秋になりますと、その年の経済動向が、ほぼ計画どおりいっておるのかあるいはどうかというようなことが大体見当がつきまして、そしてその時点で毎年大体経済見通しの見直しをしておるというのが恒例でございますが、先般のお尋ねで、上方修正をする可能性があるかということをお聞きになりましたので、その可能性がないわけではない、可能性としてはあるでしょう、こういうことを私は申し上げたわけでございまして、上方修正するということを言い切ったわけではございませんので、どうぞその点は御理解賜りたいと思います。  もし上方修正する可能性ありとすれば何が動くかというお尋ねでございましたから、一つは設備投資が拡大する可能性があるということと、経常収支が拡大する可能性がある、そこまで申し上げたのでございまして、それでは一体経常収支はどれくらい拡大するか、貿易収支はどれくらい拡大するかと言われますと、まだ新年度に入ったばかりでございますので、数字を持ってお答えするというのは大変難しいと思います。ただ、ことしの一月に貿易収支と経常収支の見通しを発表いたしましたのは、その前後の数字から判断をして、先ほどお述べになりましたような政府見通しの数字を発表したのです。ところが、一月から三月までの数字を見ますと、相当大きく伸びておりますので、その数字を見て、また世界経済の動向を見て、貿易と経常収支は上方修正する可能性がある、私はこういうことを申し上げたわけであります。  設備投資は、今お述べになりましたように、先端産業も拡大をしておりますが、中小企業がやはり数年ぶりに強含みでございますので、中小企業の設備投資は、毎年大企業とほぼ半々の投資をしておるわけでありますが、ことしは中小企業の方が相当大企業よりも大きく伸びるのではないか、こういう感じがいたしておりますが、正確な数字は今申し上げるような段階ではございませんので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  59. 松浦利尚

    ○松浦委員 現在の状況から推量して、長官としては確定的なことはお述べになることは難しいとは思いますし、また、いろいろな意味で外圧という問題も長官の発言一つで起こり得る可能性もなきにしもあらずだと思うのでありますが、およそ見当としてはどれぐらいのところにいくのじゃないか、そういう点の把握というのは長官個人としてはお持ちではございませんですか。
  60. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 実は、予算委員会等で、民間の見通しの中で、政府の経常収支や貿易収支の黒字見通しは低い方だ、中には貿易収支などは四百億ドルを相当超える、経常収支も三百五十億ドル前後になる、こういう見通しがあるがどうか、こういう御質問からこの議論が出てきたわけでございますが、私が申し上げましたのは、政府見通しを、上回る可能性があるということだけを申し上げたわけでございまして、今は数字を申し上げる段階ではございませんので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  61. 松浦利尚

    ○松浦委員 数字そのものについては余りここでこだわるつもりはありません。しかし、経済企画庁の局長クラスの方が新聞にある数字を出されておるのでありますが、その新聞数字についての妥当性を、それではお答えください。
  62. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 例えばOECDなどでは今、日本のことしの経常収支は三百億ドルを超えるであろうと言っておりますし、IMFがつい数日前に発表いたしました数字は三百億ドル弱、こういう数字を言っております。国際的には大体そういう数字になるのじゃないかという説が多いのですけれども、政府といたしまして、今直ちにそれに同調するという立場にはございませんので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  63. 松浦利尚

    ○松浦委員 それでは、その問題は一応以上で終わらしていただきたいと思うのであります。  質問が変わりますけれども、実は私の手元に、経済企画庁の物価局から出されました「最近の物価動向」があるわけでありますが、その十ページを見てまいりますと、この中で公共サービス料金と個人サービス料金という指数があるわけでありますが、昭和五十五年度は公共サービス料金の方が個人サービス料金よりも指数が低かったわけであります。ところが五十六年、五十七年と逆転をいたしまして、個人サービス料金よりも公共サービス料金の方が指数が上に行っておる。ウエートが上がっておる。  前年度比を見ましても、五十五年度では公共サービス料金が五・七、個人サービス料金が七・四という前年度比でございましたけれども、五十六年、五十七年とこれが逆転をいたしまして、公共サービス料金の方が個人サービス料金よりも前年度比で上がっておるわけですね。しかも物価は極めて安定をしておる、こういうふうによく言われておるわけでありますが、しかしこの五十六年、五十七年の推移をこうして見てまいりますと、どうも公共料金の値上がりというものが物価上昇に寄与しておる率が非常に高い。確かに物価は安定しておる、安定しておるというふうに言われる中で、公共料金の比重が非常に高まってきておるというのが、この「最近の物価動向」の中から読み取れるわけでありますが、この問題について経済企画庁はどのような見解をお持ちですか、お答えいただきたいと思うのです。
  64. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 公共料金の物価に対する寄与でございますけれども、これは年々かなり違いがございます。例えば五十七年度で申し上げますと、物価全体に対します公共料金の寄与というのは〇・六%ぐらいでございました。五十七年度の消費者物価指数の上昇率、二・四%でございますけれども、その中の〇・六%が公共料金の寄与、ここでごらんいただきます公共サービスと公共料金の違いでございますけれども、公共料金の中にはお米でありますとか、たばこ、塩といったような商品が入ってございます。商品も含めました公共料金の寄与が五十七年度においては〇・六、それから五十八年度におきましてはこれが〇・五ぐらいになっております。  それに対しまして五十九年度、本年度でございますが、この見通しにおきましては、二・八%の消費者物価の見通しのうち公共料金関係の寄与は、これに間接税の増税も含めましてその影響を計算いたしますと約一%強、こういうふうになっております。このように年々違いがあるということでございますが、今年度の場合には公共料金の寄与度というのは全体に大きくなっている、そういう状況かと思われます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦委員 ここで原則に立ち返ってちょっとお尋ねをしたいと思うのでありますが、公共料金というのは一体どういうものを公共料金というのか、公共料金というものの概念が変わってきておるんじゃないか。もっと端的に言いますと、公共料金というのは、ある意味では政策手段というものがある、所得の再配分というものがある、そういう性格、手段というものを考慮した上で公共料金というものが決められてきたという経緯もあると思うのですね。ですから、公団住宅があるとかあるいは公立保育所があるとか、そういった公的機関もそういう行政を実際的に手がけてきた。ところが、最近になりますと、公共料金という性格を持ちながらコスト主義ということが言われ出した、原価主義ということが言われ出した。そうすると、従来考えておった公共料金というものの発想が基本的に今日崩れてきておるんではないか、私はそう思うのでありますが、経済企画庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
  66. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 公共料金というものがどういう性格のものであり、どういう本質のものであるかという点でございますけれども、従来から私どもは、公共料金というのは、政府があるいは行政機関が何らかの形でその価格形成に関与することが制度上決まっております商品並びにサービスの価格である、こういうふうに理解をしております。そしていずれの場合にも価格形成の根本になりますのはやはりコストでございます。  ただし、先生が今御指摘になりましたようないろいろな公共目的から、すべてのコストを価格に反映させることが、いろいろな社会政策なり経済なりの目的から好ましくないものにつきましては補助金が直接交付される、あるいは低利の資金が融資される、こういう形でコストの一部を公共的な負担によって賄う、それ以外のものは受益者が負担していただく、こういったような種類のサービスがあることは間違いありませんけれども、そうした公共的な補助、これを考慮に入れた、計算に入れた上で原価でもって料金が決められるべきである、こういうことは昔から変わっていない、こういうふうに理解をしております。  そうした場合の原価というものはそもそも何であるのかということでありますけれども、いわゆる親方日の丸のもとでの実際の原価、放漫経営のもとでかかっております実際の原価を料金計算の基礎にするわけではない。能率的な経営のもとでの合理的な適正原価、これを推定をいたしまして、それをもとに価格の計算をする、これが公共料金のあり方ではないか、こういうふうに理解をしておりますし、こういったような理解に基づいて実際に公共料金の調整を進めている、これはずっと変わらないことだ、私どもはそう理解しております。
  67. 松浦利尚

    ○松浦委員 これはいろいろな見方でしょうが、ここに一つの論文があるわけです。政府介入の理由と供給体制、要するに、公共料金あるいは公共サービスというような問題については、まず理由の第一として市場の失敗、二番目に自然独占、三番目に所得の再配分、四番目に質的水準の維持、こういう四つに理由づけられるというふうに言われておるわけですが、そのことは否定はなさいませんでしょう。
  68. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 どの方の論文でありますか、私どもとは若干見解が違っていると思います。それから経済学の立場から見ましても、今おっしゃったような理解は必ずしも正しい理解に基づいた論文であるというふうには思いません。
  69. 松浦利尚

    ○松浦委員 ここに書いてある内容について、確かに今言われた否定的な見解も存在すると思うのでありますが、しかし、少なくとも公共料金というのは政策手段があって初めて公共料金、要するに政府は何らかの形で介入をして補助あるいは行き過ぎを是正する、そういったものを含めて公共料金というものが体系づけられてきたというふうに私は思うのです。  実は最近の調査調べてみますと、公営と民営による料金というものを比較してみましたら、これは経済企画庁の資料からチェックをしてもらったのですが、昭和五十年を一〇〇といたしまして昭和五十八年度どうなっているかといいますと、国鉄料金、これはまた今度値上げをいたしますからさらに変わると思うのでありますが、五十年を一〇〇として、五十八年度では国鉄が二・四九倍、それに対して民鉄は一・八六倍なんですね。公営家賃が二・二五倍上がっておるのに民営家賃は一・五七倍、国立の大学授業料は四・九七倍上がっておりますが、私立の大学授業料は二・八倍、公立高校授業料は何と六・一二倍上がっておりますが、私立高校は一・九五倍、公立幼稚園の授業料は三・二一倍ですが、私立幼稚園は一・七八倍、このように、従来政策手段としてあったはずの公共料金の引き上げ額がぐっと民間、民営に比べて大きいわけですね。  ということは、逆に言うと、公共料金、政策手段というものがもう必要でなくなった時代が来ておるのじゃないか。むしろ、ある意味では民営に任せてしまった方がいい時代に来ておるのではないか。経済企画庁長官がよく言われる民間活力を生かす、そういう段階に来ておるのじゃないか、そういう数字がここにあらわれてきておるような気がするのです。  今までが安かったから、今あなたが言われたように、今までは政策手段で低く抑えてきたけれども、これからはコスト主義だ、原価主義だというものが導入されてぐっと仮に上げられてきたとすれば、公共料金的な性格というものはもうこの際失いつつあるのじゃないか、政策手段というものがもうなくなってきているわけですから。そういうものについて、長官、どのように今のやりとりを通じてお考えになりますか。
  70. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は、公営企業というものはできるだけ民営に移した方がいい、移されるものはもう民営に移した方がよろしい、基本的にそう考えております。  ただ、先ほど来、ことしは公共料金による物価上昇要因が高いではないかというお話でございますが、物価局長が説明いたしましたように、五十七年、五十八年はいろいろな形で抑えておりまして、もう抑え切れなくなったものも相当ございますのでことしに集中した、こういうこともございます。それで数年ぶりで一%という大台に、公共料金による物価上昇要因が加わった、こういうことでございまして、これは私は昭和五十五年以降初めてのことだと考えております。それだけ公共料金の取り扱いはことしはよほど気をつけなければならぬ、このように考えておりまして、厳しく査定をしながらその判断を進めてまいりたい、このように考えております。
  71. 松浦利尚

    ○松浦委員 今言ったように、民間に比べてみて極端に公共料金の引き上げ幅が伸びていくという状況の中では、私は、どうも物価担当の経済企画庁としては国民の期待に反しておるのではないかという気がしてなりません。  そこで、公取の委員長がおいでですから、公取の委員長にお尋ねをしたいと思うのであります。  この前も内閣委員会でちょっと経済部長にお尋ねをしたのでありますけれども、御承知のようにOECDが一九七九年九月、五十四年に、「競争政策と適用除外分野又は規制分野に関する理事会勧告」というのを採択いたしました。それを受けて「政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直しについて」という概要を、五十七年八月に公正取引委員会からお示しになっておられるわけであります。この公正取引委員会の考え方に対して、今の政府なりあるいは公社公団、そういったそれぞれのところはどういう反応を示しておるのか。公正取引委員会のこの考え方について賛同を示しておるのかどうか、そういう点について委員長からひとつお答えをいただきたいと思います。
  72. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 五十七年八月に、今お話のありましたように、独禁法の適用除外分野の見直しと政府規制制度の見直しということで、十六の業種について当委員会の考え方をお示しをして各省庁に申し上げておるわけであります。それに従って、こういう考え方を参考としてそれぞれの政府規制制度の見直しをしていただきたいというお願いをしております。  その趣旨については既に御承知のことと思いますので繰り返しませんけれども、それに従って私どもまずやりましたのは、行政管理庁と合同検討会議をつくるということで、これはそれぞれのレベルで年に数回開いてきておるわけでございます。行政管理庁でも行政監察をなさいますときに当委員会の考え方も参考にしていただいて、それぞれの政府規制制度について、例えば陸上運送でございますとか、トラックでございますとか、そういう分野でございますけれども行政管理庁の行政監察結果として勧告しておられるわけでございます。  それから臨調でも、私ども十六業種について見解を明らかにしたわけですが、その中の七業種と石油という新しい品目を入れて全体の八業種について、政府規制を民間に移して経済の活力をかき立てるべし、こういう御意見を御発表になったわけであります。そういう形で全体として政府規制を見直していって、できるだけ民間の活力を利用する、活用していく、こういう方向に大きく向いてきておる、こういうふうに思います。現に通運でございますとか、それからその他若干の業種については、規制緩和の具体的な動きがあります。  ただ全体として、私どもが十六業種を選びまして各省庁に検討をお願いしておるわけでございますが、それについて現在までにどのように各省庁で検討が進められておるかということを一概に申し上げるわけにいかないわけでございますけれども、世界の大勢として、なるべく独禁法の及ぶ範囲、つまり民間の創意工夫を生かして活力を発揮できるような方向に持っていくということについての考え方は相当浸透してきておると思いますし、金融の問題もそうでございますが、各省庁で政府規制について、それぞれのお立場から緩和についての行政を進めておられるというふうに理解しております。
  73. 松浦利尚

    ○松浦委員 私が先ほど申し上げましたように、公的機関が介入をしておるところの分野が非常に引き上げ幅が大きくて、そうでないところは非常に低い、そういう状況が矛盾の形で、現実に今経済企画庁から出された数字を集計してみますと、あらわれてきておるのです。  具体的に公取の委員長にお尋ねをいたしますが、運輸省はこういうことに対して積極的ですか。
  74. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 私どもは、一般的な制度の問題として政府規制制度を見直しをして、必要でないものはやめていただくし、必要だとしてもそのやり方を縮小していただくことを御検討願いたいという御依頼をしておるわけであります。  今お尋ねの公共料金、こういうものについての水準の問題というのは、それぞれの所管の官庁なり所管の機関で、それぞれの独禁法の適用が及ばない認可料金の問題、水準の問題として御検討になっておられるところであります。私ども、全体の制度として、より競争を入れて、民間の自由で公正な競争の結果定まるような需給のバランスする価格にしていくのが正しいという考え方は申し上げておりますが、独禁法の運用として一定の価格水準をどうこうするということ、これは元来独禁法の適用の及ばない分野で、むしろそういう及ばない分野を競争によって決めていくのが本来の経済のあり方でございますから、そういう競争の結果落ちつく価格というものをできるだけ広げていくべきだ、繰り返しになりますけれども、そういうお願いをしておるわけであります。個々の価格水準について独禁法上どうあるべきだということをここで申し上げるのは、私どもの力の外であるというふうに理解しております。
  75. 松浦利尚

    ○松浦委員 運輸省はどうですか。
  76. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 そういうことで、例えば認可料金制になっておりますタクシーの問題、運賃の問題とかいろいろありますでしょうが、通運の問題につきましては、制度の問題として、近距離の通運料金のいわば一種の自由化というものが進んできております。そういう形で前進を見ておると思うわけですが、絶対的な価格水準については、認可に残されている以上、私どもの立場から運輸省にとやかく申し上げることはできない建前になっておると理解しております。
  77. 松浦利尚

    ○松浦委員 公取委員長が非常に言葉を選んで慎重に慎重に言っておられるわけですが、理解できます。だから私は、この五十七年八月に出された公取委員会の見解について、運輸省の方はどういうことをどういうふうにしておられるかというのを聞きたかったわけですけれども、余り大したことはないということを今言っておられるように聞き取りましたから、それは結構です。  ここで経済企画庁長官に、あるいは公正取引委員会委員長さんに一般論としてお尋ねをしたいのですが、政府が認可料金で認可をした、ところが、認可をしたらお客さんが減った、だから今度は値下げをしたいから値下げをさせてくださいと政府にお願いをしたら、値下げはいかぬと言って拒否するわけですね。これは一般論としては望ましい姿でしょうか。長官それから公取委員、長から、それぞれ一般論としてお答えいただきたいと思います。
  78. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 それぞれの事業のコストの点から料金というのは自然に決まってくるかと思うわけであります。殊に公共料金は、物の供給にかかる価格というよりはむしろサービスの価格というものが多いように思います。殊にいまお尋ねの運輸部門につきましてはそういうものが多いように思いますので、先ほど物価局長からもお答えのあったような、非常に能率的な機関でのコストがどうあるべきかということも判断に入れて、料金水準というものが認可として決まってくるのだろうと理解しております。その場合に、具体的な問題といたしましては、認可御当局の考え方というものがそういう方向に従って行われるのが正しいわけでありまして、私ども基本的な立場から申しますと、物の需給によって決まるべきだと思います。
  79. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私も、一般論から申し上げますと、もう少し安い料金でもやれるというところがあればそれは真剣に検討すべきではないか。高いところが何かおかしな経営をしておる、こういうこともあり得るわけですから、徹底して合理化してこれだけでやりますというところがあれば、それは真剣にその問題を取り上げなければならぬ、このように私は思います。
  80. 松浦利尚

    ○松浦委員 私はやはり許認可料金の限界が今あらわれてきておると思うのです。一遍決めたらどうも経営が思わしくないから値下げをしてでもやりたい、値下げしても経営ができるというふうに政府にお願いをしても、それはいかぬ、値下げはいかぬ、こういうふうに頭から押さえつけられるのですから、そこにはもう何の競争も存在しない。ですから確かに一面いいようではあるけれども先ほど私が数字で示したように、政府が一方的に介入をして料金を抑え込む、あるいは一律にするという発想では対応できない時代が到来をしてきておる。にもかかわらず、依然として従来の枠組みの中で行政をしようとするところに大きな矛盾があらわれてきておるような気がしてなりません。  今から具体的な例として申し上げますが、これはタクシーの問題であります。昭和五十二年度の年次報告の中で、公正取引委員会と運輸省との間で、タクシーの運賃改定申請の方法についての覚書を交換をしておられます。簡単に言うと、タクシーの値上げで一斉に地域的に談合して陸運局に申請を出す、それはいけませんぞということで、公取が排除勧告を何遍もなさる。たまりかねて運輸省との間で、一括申請はだめです、個々の申請にしなさい、そういうふうな独禁法第三条、または第八条第一項第一号もしくは第四号に抵触するおそれのあるような行為はやめさせなさい、そういうことを交換なさっておられるわけでありますが、その点は運輸省も、きょう旅客課長さん来ておられますが、理解しておられますね。それから公正取引委員会もそのことは理解しておられますでしょうね。いかがでしょうか。
  81. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 五十二年の六月二十一日に運輸省との間で、一括代理申請は認めない、事業者団体が申請内容を決定し、これに基づいて申請するよう構成事業者に強制する等の、構成事業者の機能、活動の不当制限行為はないように事業者団体を指導していただきたいということをお話をしまして、運輸省の方も御理解いただいて関係先に通知をなさったわけでありますが、五十七年になって再度問題が発生いたしましたので、五十七年の四月二十九日に再び運輸省から同じ指導内容の周知方を図っておられるわけであります。それはお話のとおりでございます。
  82. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  今お話のありましたとおり、公正取引委員会との間でお約束をしまして、関係団体の指導をしておるところでございます。
  83. 松浦利尚

    ○松浦委員 これから具体的なケースについてお尋ねをいたしますが、京都にMKタクシーというのがあることを御承知だと思うのでありますが、このMKタクシーが、値上げをするとお堺さんが離れるからということで値上げ申請を非常に渋った。ところが、御承知のように運輸省は同一地域同一料金という発想のもとに行政を進めてまいりましたから、MKタクシーが反対をしておる限りは値上げがなかなかできない。しかし一括申請をすると、先ほど言った公取との間の約束事、独禁政策に抵触する、ですからいろいろ、直接運輸省がするということはあり得ないことですが、業界などを使って、最終的にこのMKタクシー会社も値上げを申請して認可を受けたわけであります。  ところが、当初MKタクシーが考えておったと同じように、料金を値上げしたら途端にお客さんが減って、どうも経営が思わしくない、ですから今度はMKタクシーは、値上げをしてみたけれどもお客さんが減ったから値下げをしたい、値下げを許可してください、こう言って大阪の陸運局に値下げの申請をしたわけですね。ところが逆に、この値下げの申請に対して運輸省は、道路運送法の第八条を適用いたしまして、値下げはまかりならぬ。経営者は値下げしたい、値下げした方が経営が順調にいくから値下げをさせてくださいと申請をしたら、許認可の権限を持っておる運輸省の方は、それはだめだ、こう言って値下げを認めない。そのために今、東京、横浜はタクシーの値上げが認められたようでありますが、同一地域同一料金という体制があるので六大都市全部が値上げ申請をするかと見ておったら、こういう動きが出てきましたために京都、大阪というのはまとまらない。経営者が自分で自分の会社の料金を値下げしたいと言うけれども、値下げさせない、これが許認可料金の現実の矛盾の姿なんですね。  私は具体的に運輸省にお尋ねをいたしますが、この道路運送法の第八条ができた時代というのは、一定のサービスを国民に提供する、そういう政策目的を持って、顧客に迷惑をかけないようにするためにというので、値上げをするときにこの道路運送法の八条というのがあったと思うのですね。値下げということはこの段階では考えておらなかった。にもかかわらず第八条というものを適用して値下げを認めないというような——確かにこの道路運送法八条という法律根拠をもって値下げを認めないことは事実、これは許認可料金でありますから、運輸省が認めなければ下げるわけにいかない。こういう問題について運輸省の方は矛盾を感じませんか。これは当たり前のことだ、値下げしようというのが少し狂っているんだ、頭の方がおかしいんだというふうに考えられますか、どうですか。
  84. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  私ども、運賃の認可に当たりましては、道路運送法に基づき審査し、処理をしておるところでございます。今お話しの条文につきましても、一定の良質な旅客サービスを維持していくということを前提に規定がございまして、今回の案件につきましても、この八条の規定に基づきまして審査をして処理をしたところでございます。
  85. 松浦利尚

    ○松浦委員 大臣、これは具体的な例です。ですから、具体的なMKタクシーの問題についてお尋ねしようとは思いませんが、政府の許認可料金というのはそういう枠をはめてしまうのですね。一遍決めてしまったら値下げすることすら認めない、これでは一体どこに民間活力が出るでしょうか。しかも、MKタクシーというのは非常にサービスのいい会社だと聞いております。お客さんにありがとうございますと言わなければ料金は要りませんとステッカーが張ってある車であります。従業員の教育も非常にいい。しかも京都では大手の企業であります。もうそろそろこういうものは見直していい段階に来ておるのではないでしょうか。法律を建前にして、民間の経営者が値下げをしようとしても値下げを認めないような、こういう古い体質というのはまさに改めなければならぬことが、今日国民の政府に求めておる姿じゃないかと思うのです。大臣、これは一つの例として申し上げましたが、具体的にこのMKタクシーについてのお答えは必要ではありませんが、こういうものは一つのケースとして、物価担当大臣としてどういうふうに判断をされますか。  それから公取委員長は、これは許認可という行政の範疇でありますから、先ほど言いましたように公取の及ばない範疇ではありますけれども、しかし、政府が介入しておるがゆえにこういうことが行われるということの基本的な問題点、その点について公取委員長の御見解を承りたいと思います。
  86. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ある分野で企業が料金を下げたい、あるいは価格を下げたい、こういう申請が出た場合に、その申請内容を検討いたしまして、申請内容が合理的なものであればそれを真剣に取り上げなければならぬと私は思います。どういう規則があるか知りません、またどういう法律があるかわかりませんが、それを認めないということであれば、社会の発展も経済の発展も、世の中の進歩はないわけでありますから、その中身をよく検討して、合理性があれば総合的な見地から、より高い見地から判断するような方向に行政あるいは法律を直していけばよろしい、このように私は思います。
  87. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 五十七年の八月に私どもが運輸省にお示しをしました公取委員会の公的規制の考え方をあらまし申し上げますと、価格規制の問題を二つに分けておりまして、一般消費者向けの、例えばタクシーなどはそうだと思いますが、一般消費者を相手とする料金については、消費者保護という観点も必要でありましょう。したがって、認可料金を残すとしても、それは最高額制限という考え方はとれないかということであります。もう一つは事業者向け、企業向けの料金、これについては自由ということでいいではないか、例えばハイヤーなどがそうかもしれません。そういう考え方をお示しして、今検討を願っておるわけであります。  お示しのようなケースにつきましては、基本的には政府規制をできるだけ縮めていただいて、需給に従って正しい料金水準が定まればいいわけでございますけれども、そのことについて独禁法の立場から今すぐどうこうということはできないわけでございます。これは御理解いただいておると思いますが、料金決定の方法について、できるだけ認可申請の段階で、事業者団体の機能、活動に不当な制限が及ばないようにという形で独禁法の運用を厳格にやってまいりたい、運輸省にも御理解をいただきたいというところでございます。
  88. 松浦利尚

    ○松浦委員 時間が来ましたから、河本長官に最終的にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、アメリカはOECDの勧告を受けたからとか、そういうことを前提にしてかどうかはわかりませんけれども、非常に早いスピードで政府の介入を実は排除してきておるわけですね。例えば国際関係につきましても、今ユナイテッド・エアラインズの問題で日米間の、IATAの関係もこれあり、アメリカとの間でいろいろと話が進められておるやにも聞くのですけれども、実は今度の航空料金の値下げというのは、アメリカ自体では一九七八年の十月に、既にもう国内航空には参入規制の緩和、料金規制の緩和、例えば五〇%以内の引き下げは自由にやりなさい、五%以内の引き上げは自由にやりなさい、国際線についても、料金規制の緩和は標準料金の五〇%以内の引き下げはよろしゅうございますよ、五%の引き上げも規制はいたしませんよ、こういうこともどんどん民間企業に勧めてきておるわけですね。  こういうアメリカの国内における経済体制と、日本のように許認可という形でがんじがらめになっておる経済体制、がんじがらめと言うたらちょっと語弊がありますが、公正取引委員会の政府規制法律枠組みでいえば百七十三本、産業大分類の昭和五十年産業連関表の生産金額からいえば四一・四%、その分野に対して今日も政府が何らかの形で規制を加えておる。そういう状況とアメリカの状況とを比較してみて、私は、外圧というものは当然起こってくると思う。  今円ドル委員会関係についても、一応金融自由化の方向でアメリカとの間に話がつきましたし、牛肉、オレンジについても枠拡大で話がつきましたし、電電のVANの開放についても話がついた。今度は海洋輸送の問題でいろいろとアメリカからクレームが来ておるというような形で、そういう日本のがんじがらめにしておる政府の介入、規制という枠組みの中で、自由経済、開放経済を目指しておるアメリカと今後ともトラブルを起こさずにいけるのかどうか、そういった問題について長官のお話を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 アメリカ側の今とっております経済政策の一番大きな柱は、政府の産業に対する介入をできるだけ少なくしよう、これを最大の柱にしておるようであります。それから大減税、物価対策、こういうことを柱にやっておるわけでありますが、政府規制を最小限にとどめる、これが非常に大きな柱になっておりまして、現在のアメリカの経済が目をみはるような発展を遂げておる一つの背景というものは、政府規制をできるだけ外すということ、そして自由に競争させるという、そこに発展の大きな原動力があると思います。  私は、もう戦後四十年もたつわけでありますから、アメリカのやり方は当然のことだと思います。日本もやはり政府の規制とか統制はできるだけ外していく、それは日本国内だけではなく国際的にも外していく、そういう方向に政策を持っていくことが必要だ、このように思います。
  90. 松浦利尚

    ○松浦委員 私の質問を終わります。
  91. 金子みつ

    金子委員長 福岡康夫君。
  92. 福岡康夫

    ○福岡委員 本日は、私の選挙区及びいろいろのところから、主婦の方から苦情や相談が参っております問題について取り上げたいと思っておるわけでございます。  というのは、急激な輸送状況の変化と、また需要者と供給者の対話がいろいろ変わってきている宅配問題、いわゆる運輸における宅配問題について苦情が殺到しておりますので、この問題を取り上げていろいろ御質問させていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、経済企画庁にお尋ねいたしますが、昭和五十七年度に経済企画庁の予算で、主婦連合会に対して、「交通・運輸サービスについて  主婦の意識調査報告書」というものが提出されておると思います。私今手元に、昨日経済企画庁の方から提出していただきました「経済企画庁委託調査」、こういう形で報告書を持っておるわけでございますが、これについて事実関係をひとつ確認していただきたいと思います。
  93. 新名政英

    ○新名説明員 今先生がお話しになりました「主婦の意識調査」というのは、経済企画庁の国民生活局が五十七年度の委託調査としまして首都圏の主婦千人を対象としてやりましたものでございます。
  94. 福岡康夫

    ○福岡委員 この調査目的、この報告書をいかに経済企画庁の方は御利用になりましたのか、その御説明をちょっとお願いしたいと思います。
  95. 新名政英

    ○新名説明員 経済企画庁は国民生活行政をやっておりまして、国民生活行政と申しますのは、国民のもろもろの苦情だとかそういう具体的なものをくみ上げまして、それを行政に反映させる、こういうことも非常に重要な役目だと思っておりまして、そういう考え方に基づきまして、消費者政策の重要な柱ということをこういう意識調査をやる場合に考えております。この調査もその一環としてやったものでございます。
  96. 福岡康夫

    ○福岡委員 運輸省に対しましては何らかの対応を求めましたでしょうか、どうでしょうか。
  97. 新名政英

    ○新名説明員 この「主婦の意識調査」の調査結果につきましては、関係各省庁に資料をお配りいたしまして、適切な対応をお願いいたしているところでございます。
  98. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、まず最初に運輸省にお尋ねしたいんでございますが、宅配便がここ近年急成長しておりますが、最近における輸送実績はどうなっているのか、また宅配便が急成長してきた理由をどういうふうにお考えになっているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  99. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 お答えいたします。  宅配便輸送、御承知のように最近急成長を遂げておりまして、五十六年度におきましては約一億個、五十七年度におきましては約一億七千四百万個の輸送実績というふうになっております。  それからもう一点お尋ねの宅配便輸送の成長の原因でございますが、これは例えば電話一本で集荷に来てくれるとか、あるいは米屋さん、酒屋さんあるいはコンビニエンスストアといったようなところを取次店という形で組織することによりまして、一般消費者の身近なところでの受け付け体制を整備した。それから大型ターミナルの建設あるいは高速自動仕分け機といったようなもの、あるいは集配車への無線システムの導入といったようなことで迅速な輸送体制を整備した。それからさらに、運賃等につきましても、確定額一個幾らといったような形で単純化を図ったというようなことで、一言で言いますと、質の高い輸送サービスを利用者に利用しやすい形で提供した、こういうことで、従来通常の路線トラック便で運ばれておりました少量物品に加えまして、国鉄あるいは郵便小包に依存していた一般消費者の少量物品が宅配便に移行した。あるいはさらに、従来は表立っておりませんでした潜在的な少量物品の輸送需要が掘り起こされた。そういうようなことから、近年宅配便が急成長しているというふうに認識しております。
  100. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、宅配便の道路運送法に基づく位置づけとか運賃についての規制はどのようにな  っているのか、お伺いしたいと思います。
  101. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 宅配便といいますのは道路運送法上どのような位置づけになっているかということでございますが、道路運送法におきましてトラック運送事業というのは、大きく分けますと、一般路線貨物自動車運送事業、いわゆる路線トラックと、それから一般区域貨物自動車運送事業、いわゆる区域トラックとに分かれますが、路線トラックというのは、一口で言えば、バスで申し上げますと乗り合いバスのようなものをお考えいただけばいいんですが、要するに、不特定多数の小口の貨物を積み合わせして定期、定路線で運送するということでございまして、宅配便輸送というのは、この路線トラック運送事業の一形態ということになるわけでございます。  それから宅配便の運賃につきましては、同じく道路運送法によりまして認可が必要であるということになっております。
  102. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、宅配便の運賃について、行政管理庁の方から勧告、また臨時行政調査会から答申を受けておると聞いておりますが、いかがでございましょうか。
  103. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、昭和五十七年十一月二十四日に、行政管理庁から陸上貨物運送事業についての監察結果に基づく勧告が出ておりまして、その中の一つの項目といたしまして、いわゆる宅配便については、貨物の重量別、運送距離別に全国一律で認可されている一般路線トラック運送事業の認可運賃を適用することとされているが、現実には認可運賃と乖離が生じている面もある。こういったことから、「宅配便の運賃については、輸送サービスの内容等に対応したものを定め得るようその在り方について検討すること。」という勧告を受けております。  それから第二臨調の最終答申、これは昭和五十八年三月十四日でございますが、その答申の中にも、全く同様の趣旨の指摘が盛り込まれております。
  104. 福岡康夫

    ○福岡委員 昭和五十八年七月六日、それに先駆けて、運輸省の宅配便運賃制度研究会からの報告書が出ておると思いますが、いかがでございますか。もしあるとすれば、そのあらましについて、内容を御説明願いたいと思うのです。
  105. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 運輸省といたしましては、ただいま申し上げました行政管理庁の勧告あるいは臨時行政調査会の答申を受けまして、省内に学識経験者も含めました宅配便運賃制度研究会というものをつくりまして、これは、第一回目は昭和五十八年の四月十五日に開催いたしまして、最終の第八回目がただいま先生おっしゃいました五十八年七月六日でございますが、七月六日にこの研究会の報告がまとめられたわけでございます。  その中身の要点を申し上げますと、行管、臨調からも指摘されておりますように、従来宅配便の運賃というのは、先ほど申し上げましたように、宅配便それ自体が路線トラックの一形態でございますので、路線トラック運賃をそのまま適用して、その範囲内で各事業者がやっておったわけでございますが、この研究会におきましても、「現行の路線トラック運送事業の運賃とは別途の宅配便の特質に合った運賃制度を設定する必要がある。」ということで、その際の基本的な考え方といたしまして、二点ございます。  一つは、「一般消費者の保護に資するものであること」ということでございまして、宅配便というのは、運送契約にふなれな一般消費者の方々を主たる荷主とするものでありますし、また、先ほど申し上げましたような、宅配便の取次店自身が米屋さんであるとか酒屋さんであるといったような、トラック運送事業そのものを経営している者でない者が貨物の引き受けを行っている。それから、通常の路線トラックの貨物に比べまして軽量で、一口一個の貨物が多い、したがいまして画一定型的に処理しなければならないといったような特徴を有しておりますので、その運賃は一般消費者の方々が利用しやすい単純かつ明快なものであることが必要だという点が基本的な考え方の一点でございます。  それからもう一点は、「事業者の創意工夫が活かされるものであること」という点でございまして、何回も申し上げておりますように、路線トラック運送事業の一形態ではありますが、これが各トラック事業者の創意工夫に基づきまして、利便性、簡便性ということを重視して商品化された、冒頭にも申し上げましたように、それが利用者のニーズに合致したということで急成長を遂げてきておりますので、今後とも事業者の創意工夫を生かす余地のあるものにする必要がある、この二点が基本的な考え方でございます。  具体的には、運賃は、一個幾らといった確定額とする。それから地帯制ということで、何キロメートルごとに幾らということではなくて、例えば関東一円は幾ら、関東から北海道は幾らというような地帯制を採用するとか、あるいは複雑な料金制度は設けないとか、あるいは、取次店等へ持ち込んだ場合には一定の減額を行うとかいうようなこと。  それからさらに、先ほど申し上げましたように、宅配便の運賃も、道路運送法によりまして路線トラック事業の運賃ということで認可制になっておるわけでございますが、この宅配便の運賃につきましては、申請の運賃の額が運輸省の定める認可基準の範囲内である場合には、原則として、一々詳細な審査をせずに、個別の運賃をほぼ自動的に認可していくというようなことが、研究会の報告の骨子となっております。
  106. 福岡康夫

    ○福岡委員 今課長の方からお話がありましたように、確かにこの宅配便というものは十年前ごろから急速に成長をし、この四、五年前から超スピードで急成長した。こういう形で、今までの運送事業というものは事業者と事業者であった。それがこの一、二年の間には、事業者対一般の消費者、プロと申しますか、専門家同士の取引であったものが、一般消費者を対象に、事業者、プロと一般の消費者との取り決め、こういう形の新しい流通形態に変わったのが実情でございます。まさに今御説明にありましたような形です。  ですから、先ほど行政管理庁及び臨時行政調査会の答申、また運輸省内部の宅配便運賃制度研究会の答申になってこういう問題があらわれて、いわゆる「宅配便の運賃については、輸送サービスの内容等に対応したものを定め得るようその在り方について検討すること。」という一大目標が、三つの審議会といいますか、そういうものから答申があったと思います。これについて、その対処の仕方でございますが、具体的には運輸省はどのように対応したのか、その内容をお示し願いたいと思うわけです。
  107. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 ただいま申し上げましたような宅配便運賃制度研究会の報告が、昭和五十八年七月六日にまとめられたわけでございますが、その後運輸省といたしましては、行政ベースとして、そこで言われておりましたいわゆる宅配便運賃の認可基準の具体的な策定作業に入りまして、この認可基準を五十八年の七月二十七日に決定して公表したわけでございます。なお、この認可基準の策定に当たりましては、経済企画庁にも御協議を申し上げ、また私ども審議会でございます運輸審議会にも事実上報告をするというような手順も踏みまして、七月二十七日に具体的な認可基準を策定して公表したわけでございます。  さらに、この認可基準に基づきまして、具体的に申し上げますとヤマト運輸株式会社、あるいは日本通運といったような二十七社の宅配便につきまして、五十八年八月四日付で、これも運輸審議会等に諮るといった必要な手続を踏みまして、具体的な宅配便の運賃を認可したという次第でございます。
  108. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、国民生活を守る経済企画庁の立場から、この運輸省の結末報告について、一応主婦連の報告書は各省に配付した、これは運輸省にもお配りになったと思うのですが、その結果報告はどのように御報告を受け、経済企画庁は対応されたのか、御見解をお示し願いたいと思います。
  109. 及川昭伍

    ○及川政府委員 経済企画庁としても、宅配便については非常に強い関心を持っておりまして、実は国民生活審議会の消費者政策部会において宅配便を昨年一年間検討いたしました。その結果については、この主婦の意識調査報告書も参考にしながら、トラブルの解消のために消費者の利益を守るような宅配便約款をつくることが必要だという指摘をいたしまして、その方向で現在運輸省においても御検討をいただいていると承知しております。  例えば、従来は事業半向けの標準貨物運送約款を消費者取引にも使っておったわけですが、新しく消費者向け約款をつくる必要がある、具体的には、引き渡し期間についても、現行は最低でも四日というふうになっていますが、例えば、宅配便は明くる日には着きますよということでもし消費者に宣伝しておるのであるならば、約款上も明くる日には着きますよという約束をするようにしたらどうでしょうかとか、あるいは事業半間ですと、荷物が着いたときあけてみないで受け取っても受け取った人の責任ということで損害賠償しないということになっていますが、消費者取引でしたならば、あけてみたら壊れていたということだったら、それは損害賠償の請求権をなくすのじゃなくて持たせるように考えたらどうでしょうか等等の意見を、この主婦の意識調査の後さらに国民生活審議会で議論いたしまして取りまとめまして、そういう方向で是正方を運輸省にも申し入れいたしておりまして、そのような方向で運輸省で御検討が進められているというふうに理解をしております。
  110. 福岡康夫

    ○福岡委員 運輸省にお尋ねいたしますが、今経済企画庁の方からそういう問題を提起した、こういうお話でございますが、これについて実施したものと現在検討中の部分、これを詳細に御報告願いたいと思うわけです。
  111. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 宅配便につきましては、最近急成長を遂げたということと、それからただいま先生指摘がございましたように、従来トラック運送事業者というのは、どちらかといえばメーカーであるとか商社であるとか商店であるとかといったような、いわゆる企業を荷主とする輸送が中心だったわけでございますが、最近宅配便等を初めといたしまして、一般消費者を荷主とするような事業が急成長したということで、必ずしもトラック運送事業者の側でそういった一般消費者の方々への対応が十分でないという面も確かにございます。  それから、先ほど来お話が出ております主婦連におきます意識調査、これも私ども資料をいただいておりますし、それから国民生活センターの調査、それからそのほかのいろいろな消費者団体の調査、あるいは私どもの方にも時々利用者の方から直接苦情の定店がかかってきておりまして、その中身といいますのは、例えば荷物が延着したとか、あるいは荷物が壊れていたとか、送られて来た荷物が玄関先に放置されていたとか、あるいは従業員の対応が悪いとか、あるいは苦情を持ち込んでもたらい回しにされたといったようないろいろな苦情があるわけでございます。  私どもといたしましては、こういった点を十分反省もし、業界に対して指導もしていかなければならないという認識のもとに、先ほど申し上げました宅配便運賃の認可に際しまして、認可書を交付する際に、個々の事業者に対しまして文書で今言ったような点につきまして利用者の方々に迷惑をかけないように、必要な事項を利用者の方々に十分御理解いただいた上で利用していただくようにといったようなことを中心といたします指導をいたしております。  これは個々の事業者に対する指導でございますが、これとは別に五十七年の十月に、トラック運送事業者の全国的な団体でございます社団法人全日本トラック協会というのがございますが、この全ト協に対しまして、宅配便について利用者保護のための対策の充実について業界としてなすべきことを検討してこれを報告するようにという指示をいたしたわけでございます。全ト協はこの指示を受けまして、宅配便をやっております事業者の実務者等で検討会を構成いたしまして、翌年の九月九日に検討結果の報告が出ております。この検討結果の報告の中身の詳細は省略をいたしますが、個々の事業者が実施すべきもの、あるいは業界団体全体として実施すべきものというようなことに分かれておりまして、業界といたしましても、この内容に沿って現在努力をしているというところでございます。
  112. 福岡康夫

    ○福岡委員 この急送に急成長しました宅配便の運賃の認可を受けている業者数は幾らでございますか。
  113. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 宅配便の運賃の認可を受けております下業者は、みずからが中心となりまして何々便と銘打ってそういった宅配便サービスを提供している事業者で申し上げますと三十五社でございますが、この三十五社と連絡運輸あるいはこれに付随してといいましょうか、そういった形で、何らかの形で宅配便に参画している事業者まで含めますと百三十九社でございまして、このメーンの会社の三十五社を含めました百三十九社につきまして、現在宅配便の運賃を認可しております。
  114. 福岡康夫

    ○福岡委員 相当数の認可事業者数と思うわけでございますが、私、先ほど経済企画庁の方に提出いたしました主婦の意識調査の報告書を手に入れておるわけでございますが、これを見てみますと、この問題につきましてたくさんの苦情や不満が述べられております。  ここで代表的なものを二、三御紹介しておきますと、一、宅配便には保証がないのが不安です。それから二番目には、神奈川県から埼玉県に五日もかかった。それから三番目は、事故の際の補償について査定に手間がかかるので、消費者に立証義務を食わすのは、これは不合理じゃないか。細かくいろいろの苦情や不満がいっぱい述べられておりますが、このような事実について運輸省当局は現在承知しておるかどうか、この点についての御見解、いかがでございますか。
  115. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 先ほども申し上げましたように、ただいま先生指摘の主婦の意識調査あるいは国民生活センターの調査、あるいはその他の消費者団体等の調査あるいは新聞等への投書、それから先ほども申し上げましたが、私どもの運輸省あるいは地方の陸連局といったようなところにも直接そういった苦情が寄せられることもありまして、そのような実態があるということは承知いたしております。
  116. 福岡康夫

    ○福岡委員 しからば運輸省当局としては、このようなトラブルを解消するために事業者に対していかなる処置をとっているのか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  117. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 これもただいま申し上げましたが、ちょっと繰り返しになりますけれども、宅配便の運賃の認可をいたしました際に、取次店、集配員等に対して宅配便のサービス内容、利用者に周知すべき事項等について十分な指導を行う、あるいは宅配便輸送における延着、紛失、破損等の事故の防止のための措置を十分に講ずる、あるいは苦情処理窓口の整備等苦情処理体制を確立するといったようなことにつきまして、個別に各事業者に文書で指導しております。  それから、これも繰り返しになりますが、業界団体であります全日本トラック協会に対しまして、業界全体でもっと利用者が安心して利用できるような宅配便輸送を目指してとういったことをなすべきかという検討を指示しまして、この検討結果が五十八年の九月九日に出ております。これに基づきまして私ども指導を続けておりますし、業界でもそれなりの努力をしているということでございます。
  118. 福岡康夫

    ○福岡委員 すると、宅急便によります一般の消費者を拘束する事業者対一般消費者との貨物運送約款と申しますか、これはいつごろできて、どういうものが拘束されておるのか。また、先ほど申しましたが、十年前は事業者対事業者、いわゆるプロ対プロ、ところが宅急便の場合は、きょう現在プロと一般の消費者、素人、こういう形になるわけでございますが、その十年前の約款と現在の約款とは違うのか、同じものであるか、この点についてはいかがでございますか。
  119. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 トラック運送事業者が用います運送約款、これは道路運送法で同じく認可制ということになっておりますが、ただ、運輸大臣が標準運送約款というものを定めて告示した助合に、この標準運送約款をそのまま用いる場合には特段の手続は必要がないという規定になっております。  それで運輸省では、昭和四十八年に、トラック運送事業についての標準運送約款を告示しております。ただこれは、冒頭申し上げましたトラック運送事業というのは、路線トラックと区域トラックというふうに大きく分かれるわけでございますが、これが一本の標準運送約款でありますし、それから先生指摘のように、昭和四十八年ごろは、宅配便輸送といったような輸送サービスがほとんどなかったころにできたものでございまして、必ずしも最近の宅配便といったような一般の消費者の方々を相手とする輸送、あるいは最近における輸送のスピード化といったような実態にそぐわない面があることも事実でございますが、ただ現在のところ、標準運送約款は、当時制定されたままの形になっております。
  120. 福岡康夫

    ○福岡委員 先ほど経済企画庁の方からも御説明がありましたが、確かに一般消費者向けの約款を急いでつくる必要があるのじゃないかと思うのです。というのは、今私、運輸省が示しております標準貨物運送約款 昭和四十八年二月二十一日運輸省告示第六十三号で制定されておる内容を見てびっくりしておるわけですが、これは事業者対事業者、いわゆるプロとプロとの形でやる人たちの契約であれば、なるほどこれは専門家ですからどうかわかりませんが、これが一般消費者と事業者の場合、おじいさん、おばあさんがこういうようなものを見て本当にわかるのかどうか、私は非常に疑問を感じておるわけです。これが十年たったきょう、いわゆる流通形態の変わったきょう現在において、こういうものがまかり通っておるということは、行政姿勢としておかしいと思うのですが、いかがでございますか。
  121. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 私どもといたしましても、ただいま申し上げましたように、当時の標準運送約款、当時のといいますか、現在も生きておるわけでございますが、この標準運送約款が新しい輸送サービスとしての宅配便輸送にふさわしいものというふうには考えていないわけでございます。  先ほど経済企画庁の方からも御答弁がありましたように、国民生活審議会の約款取引委員会でもいろいろ問題点あるいは今後の方向が指摘されておりますし、運輸省におきましても、この国民生活審議会の報告を参考にしながら検討のための研究会を設けまして、例えば引き渡し期間と遅延損害の問題、それから荷受け人が不在である場合の取り扱い、あるいはこれも先ほど経済企画庁からも御答弁ございましたが、無留保受け取り、いわゆる中身を改めずに受け取って、後で壊れているものが見つかったような場合の取り扱い、あるいは引受貨物の制限といったようないろいろな問題につきまして、商法を専門とする学者の方々の意見も聞きまして、問題点の整理と改善の方向をこの一月にまとめたところでございます。  この約款の問題につきましては、国民生活審議会の報告あるいは私どもの研究会の報告も、ただいま申し上げましたように、問題点と今後の方向という形は示されておりますが、具体的な条文化という形になっておりませんので、これから実務的に具体的な標準運送約款という形に仕上げる作業に入りたいというふうに思っております。
  122. 福岡康夫

    ○福岡委員 経済企画庁にお尋ねしたいのでございますが、この標準貨物運送約款の実物は見ておられますか、どうでしょうか。
  123. 及川昭伍

    ○及川政府委員 十分に見ておりまして、それに関するいろいろの問題点を、先ほど申し上げましたように、国民生活審議会消費者政策部会意見として取りまとめたところでございます。
  124. 福岡康夫

    ○福岡委員 経済企画庁にお願いしたいのでございますが、このように消費者サイドから見た場合に、この約款は余りにも現実とかけ離れた面があるということは、運輸省当局の方も認識されておるようでございます。これを早急にやっていただきたいと思います。特に消費者保護行政を担当する経済企画庁といたしましては、ぜひともこの問題を早急に解決していただきたい、運輸省に働きかけていただきたいと思うわけでございますが、取り組み姿勢について御説明願いたいと思います。
  125. 及川昭伍

    ○及川政府委員 この問題につきましては、昨年国民生活審議会の消費者政策部会からの報告をいただいた段階で、国民生活局長名で運輸省の担当局長に改善方を申し入れいたしておるところでありますが、昨日の国民生活審議会総会で、さらに審議会の意見として長官あてに約款取引の適正化についての御意見をいただいておりますので、さらに関係大臣としての運輸省にも、もう一段是正方についてお願いをし、御相談をさらに強めてまりたいと思っております。
  126. 福岡康夫

    ○福岡委員 運輸省当局に御質問いたしますが、宅配便はとりに来てくれる、配達が早いといった便利さが受けて急成長しておるものだと私は思うわけでございます。宅配便をトラブルなく利用者に利用していただくためには、一般の消費者に対するわかりやすいPRが必要ではないかと思うのでございます。運輸省当局は、この面についてどのようにこれから取り組んでいかれるのか、御見解をお示し願いたいと思います。
  127. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 宅配便の利用につきまして、利用者の方と運送事業者との間でのトラブルを解消するために、ただいま御指摘のありました約款を改正するということも当然重要なテーマでございまして、これに対しましては私どもとしても積極的に対応をしているところでございますが、もう一つ、約款の改正以前に、運送事業者の従業員あるいは取次店の従業員といったものが、いろいろ我が社の輸送サービスについてのある意味では限界といいましょうか、そういったものを十分認識して、利用者の方々にわかっていただく、あるいは利用者の方々も宅配便輸送というものの姿を正しく理解していただきまして、両者が共通の認識の上に立って利用していただくということが、トラブルの解消にもつながる道ではないかというふうに考えております。  そういった意味から、一般の消費者の方々に、例えば宅配便の利用の手引といったようなことについてさらにPRをしていく必要があるというふうに考えております。それでこの点につきましては、先ほども申し上げました全日本トラック協会に対しましてそういった点を指示いたしまして、現在、「宅配便を上手に使っていただくために」と題します漫画入りのわかりやすいパンフレットを作成中でございまして、これが近く完成する予定でございます。
  128. 福岡康夫

    ○福岡委員 今おっしゃいましたパンフレットは、見通していいですが、大体いつごろまでに一般消費者に周知徹底できますか、お尋ねしたいのです。
  129. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 現在、一応のゲラ刷りができ上がっておりまして、遅くも五月中にはでき上がると思っております。一応現在五万部ほどつくる予定にしておりまして、これができ上がりました場合には、いろんな機関を通じまして無料で消費者の方々に配布する予定にしております。
  130. 福岡康夫

    ○福岡委員 そういう結構なことはどしどし早く進めていただきたいと思うのですが、もう一歩前進しまして、宅配便の利用増加に伴って利用者からの苦情もこれだけふえておるのでございますから、この対策として各事業所に事故係を設けるとか、それから業界団体に苦情相談機関、これは主婦の方もいろいろ申しておるわけでございますが、会社とトラブルを起こしてそこの会社に相談に行ったっても自分たちの味方になってくれない、向こう会社の都合のいいとおりにやられちゃう。ですから第三者機関みたいなものをこしらえて、そういうものの処理機関を考えてほしいという要望が多々参っておるわけでございますが、業界に苦情相談機関を設けるように運輸省当局としては御指導してはいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。
  131. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 利用者の方々からの苦情を見ますと、延着てあるとか破損、紛失であるとかいったような事故が起こること自体がけしからぬという苦情もございますが、それ以上に苦情が強いのが、事故が起きた場合の後の事業者の対応ということでございます。この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、個別の下業者に対しましても苦情処理窓口あるいは担当責任者を整備するように、あるいは宅配の伝票といいましょうか送り状といいましょうか、そういったものに必ず問い合わせ先の電話番号を記入するようにといったような指導もしておりまして、最近ではだんだんこういった各事業者内での苦情処理体制というものも整備されてきておるわけでございます。  もう一つ先生から御指摘ございました、事業者個々が対応するのではなくて、第三者的な相談の窓口といった点についてはどうかという点でございますが、この点につきましては、現在既に全日本トラック協会、それから各都道府県ごとにまたトラック協会という社団法人があるわけでございますが、そういったところで輸送サービスセンターというものを設置いたしまして、これは必ずしも宅配便輸送のためだけということではございませんが、いろいろな相談ないし苦情等に応じているわけでございます。しかしながら、最近のように宅配便等が急成長をいたしておりますので、さらにこの輸送サービスセンターの機能の充実強化を図りまして、利用者の方々に安心して利用していただけるような宅配便輸送を目指しましてさらに業界指導していきたいというふうに考えております。
  132. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの運輸省当局の姿勢、私、非常に評価しております。ぜひそうしてなるべく早くこの問題を解決していただきたいと思います。  次の問題に移るわけでございますが、私、消費者団体の方から聞いたわけでございますが、最近次のようなことがあったわけでございます。  これは運輸省当局にお尋ねするのでございますが、東京からの旅行者が四国の高松のホテルにお土産を忘れてしまって、帰京後すぐホテルに電話連絡して、宅配便で送ってくれるよう依頼したということでございます。ところがトラック便で送り届けてこられて、千八百円を着払いで支払ったとのことです。その旅行者は、宅配便に着払い制度があったなら千円で済んだのにと言っていたということでございますが、宅配便にも着払い制度を導入すべきだと私は考えるわけでございますが、運輸省当局の御見解、いかがでございますか。
  133. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 現在、宅配便でない通常の路線トラック便につきましても、原則は運賃元払いということになっておりまして、ただ運送事業者が承諾した場合には着払いも例外的に受け付けているということでございます。  それでへ宅配便につきましては、先ほど運賃制度研究会の報告も簡単に御紹介申し上げましたが、その中でも取り上げられておりますように、非常にたくさんの不特定多数の小口貨物というものを迅速、確実に処理をしていかなければいけないということ、特に取次店等、直接運送会社の従業員でない者が取り扱うというようなこともございまして、着払いと元払いというものを混在させた場合に非常に取り扱いが煩瑣になってくる、あるいは今の例のように、御本人が忘れ物を送ってもらうというような場合は問題はないかと思いますけれども、荷受け人と荷送り人とが異なる場合が通常でございまして、そういうふうになりますと、両者の間で必ずしも連絡がうまくいっていなかったような場合に、着払いだというようなことになりますと、そこでまた荷受け人と運送事業者の間でトラブルが発生する可能性もある、そういったような問題があろうかと思います。  さらに具体的に検討いたしますといろいろネックが出てくるかと思いますが、どういった点にネックがあるのか、それから、そういったネックを解消する方策がどこまで可能なのかといった点を含めまして今後検討させていただきたいと思っております。
  134. 福岡康夫

    ○福岡委員 今私が説明したお話の中で、千円と千八百円、これは大分金額が違うのですよ。百円とか二百円ならいいですけれども、宅配便で普通の状態で送れば千円で済むものが千八百円、着払いは片一方はない。千円と千八百円といえば開きがあり過ぎるわけです。消費者サイドに立って、これだけの差があっていいかどうか。これは宅配便の制度について積極的に運輸省は取り組んで、事業者保護だけでなくて、もう少し消費者保護サイドでこの問題を解決していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  135. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 ただいまもお答えいたしましたように、宅配便輸送サービスというものが全体として迅速性であるとか正確性であるとか、そういった質の高さというものを保っていく必要がございますので、そういった面との兼ね合いも含めまして、今後実情についてもいろいろ業界からも意見を聞きまして、先ほども申し上げましたように、どういうような形でやればそういった宅配便輸送のメリットを損ねない形で着払いということが可能になるのかどうかという点を検討していきたいと思っております。
  136. 福岡康夫

    ○福岡委員 経済企画庁の方、今のお話を聞かれてまして、消費者行政を担当する官庁といたしまして、御見解いかがでございますか。
  137. 及川昭伍

    ○及川政府委員 宅配便に着払い制度を取り入れることが消費者利益に一方でなるかと思いますが、そのコストが宅配便のシステムの中でどの程度になるのか、コストが仮に非常に多いとなりますと、今の安くて早くて確実にというシステムが壊れる可能性もあろうかと思いますので、運輸省で慎重に検討というのはそういう意味かと思いますから、これからの検討課題として、本当の意味で消費者利益が図られるような方向で御検討をお願いしたいと思いますし、我々も検討課題にさせていただきたいと思います。
  138. 福岡康夫

    ○福岡委員 ぜひ経済企画庁と運輸省とがこの問題について早急に相互に御意見を御交換されまして、こういう新しい問題を導入するということを積極的に進めていくことをお願い申し上げます。  次に、消費名関係の問題に同じく続いて入るわけでございますが、これも主婦連の意識調査の中から出た問題でございますが、「宅配便は何処でも送れるわけではない。」路線にない場所は送れない、こういうように主婦連合会の出した報告書の中に述べてあるわけでございます。一社だけで全国のネットワークの体制が困難であるとすれば、各社が提携して全国ネットワーク体制を至急整備することが消費者の利便になるんではないかと考えるわけでございますが、運輸省当局としましてもそのように業界指導していくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  139. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 現在宅配便を行っております路線トラック会社、この中には一社またはみずからの系列の路線会社等によりましてほぼ全国的なネットワークを形成しているものもございますし、数社が相提携いたしまして全国的なネットを組んでいるものもございます。それからまた、一定の地域内のみに限りまして輸送サービスを提供しているというものもございまして、その態様はさまざまでございます。  ただ、宅配便を含む路線トラック運送事業といいますのは、各家庭なり取次店なりから小口貨物を集荷してまいりまして、これを方面別に仕分けをいたしまして、それを大型トラックに積み込む、さらに到着地でまた配達先別に仕分けをいたしまして、個々の家庭まで配達をするという非常に複雑な過程を踏む事業でございまして、これは一種のシステム産業と言えるものでございまして、相当規模の投資と人員を必要とするわけでございます。そういった面から、現在宅配便輸送をやっております路線トラック事業者が、この一つ一つの事業者すべてがそれぞれ独自に全国的なネットワークを形成するということにつきましては、投資効率という面からも非常に問題がございますし、現実にも一社で全国ネットを形成するだけの資金力ぶがある事業者というものはおのずから限られてくるわけでございます。  それから、路線トラック事業といいますのは極めて公共性の高い事業でありますので、道路運送法によりまして事業の免許制がとられているわけでございます。これは、無制限な参入というものを認めました場合には、かえって過当競争によりまして輸送サービスが低下をし、利用者の方々に迷惑をかけるおそれがある。そういったことから、適正な事業運営を確保して良質な輸送サービスを提供するというためにも免許制になっているわけでございまして、事業者からの路線免許の申請があった場合には、法に定める免許基準に照らして判断をしていくということでございます。  そういったことで、全社がそれぞれ皆全国ネットを形成するということにつきましては非常に問題が多いわけでございますが、ただ、先生のただいま御指摘の点につきましては、現在離島であるとかあるいは極端な僻地といったようなところを除きますと、どれかの宅配便を利用すれば一応全国的にカバーされているというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、利用者の方々も、それぞれの宅配会社の配達可能区域といったようなものを十分御理解していただきまして、その上でどこを利用するかということを選択していただきたいと思うわけでございまして、そのためにも我が社の宅配便輸送サービスの配達区域といったようなものも利用者の方々にさらに周知を図っていく必要がある、そういう点についてもさらに指導していきたいというふうに考えております。
  140. 福岡康夫

    ○福岡委員 この宅配便問題につきまして、締めくくりとして河本経済企画庁長官にお聞きしたいのでございますが、ずっとお聞きになっておりましたように、この宅配便問題というのは、事業者対事業者との取引から事業者対一般消費者との取引という新しい運輸の、流通形態の変化に伴って、ここ二、三年非常にクローズアップしてきた消費者保護のいろいろのトラブルの問題が起こっておるわけでございます。そういう形から、河本経済企画庁長官といたしましては、消費者保護行政の担当大田といたしましてどのように対応をお示しになるのか御見解をお聞きしたい、かように思うわけでございます。
  141. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今いろいろ御意見を承っておりましたが、宅配問題というのが最近国民経済及び国民生活に大変大きな影響を持つようになっておるということを拝聴いたしまして、企画庁といたしましても、その観点から今後その仕事がどのように進んでいくのか十分見守っていきたい、このように思います。
  142. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、時間がございませんので郵政省にお尋ねいたしますが、民間の宅配便の影響を受けて郵便小包が減少しておると聞いておるわけでございます。この原因についていかに考えておられるのか、郵政省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  143. 小島健史

    ○小島説明員 先生指摘のとおり、郵便小包は民間宅配便の最近における急激な成長によりましてかなり激しい状況に立たされているわけでございます。民間宅配便の大きな伸びの原因といたしましては、先ほど来お話がございましたが、集荷サービスなりスピードの問題、それから簡易な包装、そういう各種のサービスがお客様のニーズに合致したことが非常に大きな原因になっているのではないかなと思っております。
  144. 福岡康夫

    ○福岡委員 郵便小包につきましても利用者から非常に苦情があると聞いておるわけでございますが、郵便小包の輸送サービスの改善のためにいかなる対応策を講じておられるのか、郵政省当局の御見解をお願いしたいと思います。
  145. 小島健史

    ○小島説明員 輸送スピードにつきましては、郵便小包に対しますお宮様の要望意見の中で一番強いものがあるわけでございまして、そういう観点から、これまで送達速度の向上につきましては各種の施策を講じてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、五十七年の六月には、東京−大阪間におきまして普通扱いの小包を翌日配達するということを始めまして、さらには、同じ時期でございますが、速達小包につきましては従来特別な料金をいただいて航空搭載をしていたわけでございますが、五十七年六月からは特別の料金なしに航空搭載するようになったということ。さらに昨年十月には、速達小包の航空搭載地域の拡大を図ったということでございます。  送達速度の向上につきまして一番大きなものは、何と申しましてもことしの二月一日から郵便輸送システムを抜本的に改めまして、郵便小包を含めます全種別の郵便物について、同一県内及び隣接県などにつきまして翌日配達を実施したということでございまして、これまで送達速度につきましては特に施策を講じてきたわけでございますが、今後ともお宮様のニーズにかんがみましてスピードの向上に一層の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  146. 福岡康夫

    ○福岡委員 時間が参りましたので、質疑を終わらせていただきます。  どうも御苦労さまでございました。
  147. 金子みつ

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  148. 金子みつ

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  149. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 景気の見通しと対策について質問させていただきたいと存じます。  御案内のように五十九年度予算の中でも、経企庁あるいは政府の見通しは四・一%という形で其体的な予算に出されているわけですけれども、先般それぞれ景気の回復が見込まれる、こういう形の中で、少なくても四・一%以上の国民経済研究協会の見通しという中で、五・三%台の成長率達成ができるというような考え方が述べられているわけですけれども、これらに対する根拠、あるいはまた具体的な現在の取り組みがあったらお示しをいただきたい、こんなふうに思います。
  150. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今の御質問の五・三%という詳細につきましては、実は私ども余り詳しく聞いておるわけではございませんので非常にお答えしにくいわけでございますが、多分その中で政府見通しと一番違う点は、経常収支の黒字幅が政府見通しよりはるかに大きくなっておるという点が一番違う点であろうかと思っております。
  151. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 御案内のように、これらの問題について企画庁長官も、従来から四・一%の問題を含めて成長率をもっと上げるべきだという考え方があられたように思いますけれども、長官、国民経済研究協会というところで出されているこの数字等について御認識があるかどうか、あられたらその見解を含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  152. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年八月に、政府では昨年から昭和六十五年まで、八年間平均四%の成長をするということを目標にしておるということを発表いたしております。経済はずっと激動しておりますので、情勢の悪いときには四%以下にならざるを得ないと思いますし、また逆に情勢のいいときには四%以上にしないと平均四%にはなりません。昨年まではまだ第二次石油危機の厳しい影響が残っておりましたので三%そこそこの成長しかできなかったのでございますが、ことし以降は突発事情がない限り、世界経済も状態がよろしいようですし、日本の経済もその影響を受けましてある程度条件がよくなりつつございますので当然平均の目標値を超える、こういうことが望ましい、こう思っておりますし、またそういう方向に行く可能性もあろうかと思います。  情勢のいいときには四%を相当超える、そういう政策を考えて初めて八年間の平均が四%、こういうことになるであろう、このように思いますので、これからの政策につきましてはよほどいろいろな角度からの配慮が必要であるというように思います。
  153. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 現時点を見ますと、中小企業の設備投資も一部回復の傾向にはありますけれども、まだまだそこから脱し切れないということもあるんではないかと思います。あるいはまた、消費の購買力もあと一歩という中で、現在支えられているのは国際収支の面、先ほども出ました経常収支の黒字に支えられている面が大変強いんだと私は思うのですけれども、そういう点で、現在長官が言われているように四・一%を大幅にアップする、すなわち経常収支の黒字が今既に二百三十億ドルと言われているのですけれども、この成長率は今の長官の話からすると、当然相当アップするんではなかろうかと思います。成長率と国際収支のバランスについてどうお考えになられているのか、ふえるとするとどのぐらいふえるという見込みか、考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  154. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この一月に貿易収支と経常収支の見通しについて政府が発表いたしましたが、その時点では大体そういう動きだったと思うのですけれども、その後三カ月ばかりの動向を見ておりますと、どうも相当大幅に拡大しそうな傾向でございます。いろいろな国際機関なんかも日本の経常収支、貿易収支は相当拡大するであろうという見通しを立てておりますが、ただ、さて具体的にどうかと言われますと、まだ新しい年度がスタートしたばかりでございますので、正確な数字を申し上げる段階ではございません。
  155. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 長官の持論だと思いますけれども、拡大均衡という形の中で、長官みずからがこれについて恐らく一つの見通し、方向という形で述べられたんだと思いますけれども、本年度の経常収支は三百五十億ドル程度、こんな話が出ていたように承っておりますし、仮にこれが五百億ドルを超えると国際的な貿易摩擦がより悪化をする、こうなると自由貿易についてひびが入りかねない、こんな長官の考え方が述べられていたようです。これらについての真意のほどはどうなんでしょうか。
  156. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その数字は誤報だと思います。正確ではございません。  私が言いましたのは、民間の中には経常収支が三百五十億ドルを超えるという見通しもある、そういうときには貿易収支は黒字が五百億ドル近いものになって、もしそんなことになるならば、民間の見通しのようなことになるならばそれはもう大変なことになる、国際摩擦が拡大をする、こういう民間の数字についての質問があったものですから、それに対して若干のコメントをした、こういうことでございます。
  157. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 長官が今言われたように、確かに民間機関という前提で長官がコメントをされていたようですけれども、それでは民間機関という前提に立って考えるならば、三百五十億ドル程度の見通しというものが現時点においては可能なのかどうか。そしてさらに、仮にこれが五百億ドルを超える立場でというコメントをされたようでありますけれども、私も、今それでなくてもあらゆる日本の貿易問題について非常に敏感な状態になっている世界各国でありますから、これらについて、自由化という問題について、あるいは自由貿易という問題について大変心配される傾向も出てくるのじゃないかと思いますが、その辺について長官の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  158. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、国際機関、例えばOECDあたりでは二百億ドルを超えるだろう、こう言っておりますし、IMFの先般の発表では三百億ドル弱、こういう数字になっておりまして、ほとんどが日本の政府の見通しよりも高い数字を予見をいたしております。また一−三月の数字も、このまま続けば相当大幅に政府見通しを上回る、こういう見通してございますが、しかし今の段階でこの見通しを変える、そういう時期ではまだございませんので、もう少し上半期の動きを見守りたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、仮に政府見通しのような数字におさまったといたしましても、これは世界歴史始まって以来の、史上空前の、一カ国が一年に出すであろう最高の数字だ、このように私は思いますので、当然日本のに額の黒字が引き金になりまして世界に保護貿易的な傾向が拡大される、こういうことになる危険性も多分にございます。そういうことになりますと世界全体に迷惑をかけることにもなりますし、それからまた日本自身も大変困る、こういうことでもございますので、今考えておりますことは、差し当たっては対外経済摩擦関係の個別案件を早急に解決したい、このように思っております。  四月末をめどにいたしまして、今いろいろ政府部内の調整を進めておりますが、これらもある程度前進すると思いますけれども、これが前進をいたしましても、直接的に貿易収支、経常収支に及ぼす影響というものは極めて金額は小さいと思います。したがって、個別案件が解決することによって先ほど申し上げましたような貿易摩擦、経済摩擦が解消される、こういうものではございませんので、後、引き続いてマクロ的に、一体この巨額の貿易インバランス、特に対アメリカ、対ECが中心になろうかと思いますが、これに対してどう対応していけばよろしいのか、こういう問題が、ことしの個別案件が解決されました以降の最大の経済問題でもあり、同時に最大の政治問題ではなかろうか、このように私は思いますし、特に国際的な問題でもございますので、日本といたしましてはよほどしっかり対応しなければならぬ、このように思います。
  159. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今長官からそれぞれの見通しについて述べられて、半面においては大変心強く、半面においては国際的な経済の中で大変不安の状態、日本の立場として不安の状態といいますか、対策が急がれている問題も出てくるだろうと思います。  そこで、実は民間の賃上げと内需の問題、これもやはり経済問題には大変な影響力があるだろう、こんなふうに思うわけであります。そこで、今賃金闘争がそれぞれ行われているわけですけれども、いみじくも四%台といいますか、経済成長率、さらにはことしの賃上げ率は四%台、民間平均が現在四・四%台の攻防でありまして、こういう中では、昨年と大差のない賃上げの水準ではないかと思うのです。  そこで、今のような状態でいきますと、内需の拡大については相当不安の材料があるのじゃないかと思うのですけれども、この辺について、長官の立場でこれらをどう見られているか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  160. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年、政府の経済見通しの中で大きく狂った項目が幾つかございますが、その最たるものが雇用者所得の伸びが政府見通しを大幅に下回った、こういうことだと思います。  しかしことしは、御存じのような数字を一応の目標として出しておりますが、景気がある程度よくなりつつありますので、時間外労働等も若干ふえておるようでございます。また業種によってばらつきがございますけれども、全体としては利益もふえておるようでございますから、ボーナス寸もある程度は当然ふえるであろう、このように思います。ベースアップは、今お述べになりましたように去年と大差がない水準のようでありますけれども、それ以外の要素も若干加わっておりますので、政府の雇用者所得一人当たりの見通しあるいは全体としての見通しはそんなには狂わぬのではないか、このように思います。  ただしかし、いずれにいたしましてもそんなに大きな数字ではございませんので、最近の動向を見ますと、やはり国民所得の伸びが小さいということから、消費の方も若干ふえておりますけれどもその消費の伸びが力が弱い、こういうことは否めないと思います。ここらあたりがことしの経済成長に非常に大きく影響を及ぼしますので、政府といたしましても、注意を持って今見守っておるというのが現状でございます。
  161. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 長官も賃金の関係と内需、経済のバランスについて述べられたわけですけれども、確かに昨年と比較して、ことしはベースアップ率がまた同じぐらいじゃないか。ところが、昨年と比較してことし大幅に違うのは、公共料金を初めとするそれぞれの値上げがいっぱいされていること、これだと思うのです。  そうすると、今長官は、比較的希望的観測の中で、内需の拡大も少しは労働総収入の中でカバーをされるのじゃないかというふうに述べられているわけですけれども、全般的に考えてまいりますと、今申し上げたように、公共料金軒並みでありますから、そういう点では、私は逆に内需の拡大というものについて大変心配をしているわけでございまして、これらについて、労働総収入と今申し上げたような公共料金の値上げとの関連の中で、むしろ内需昨年並み、あるいはその辺を確保できるかということについて長官の考え方をもしよければ聞かしていただきたいと思います。
  162. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私は決して楽観しておるのではありませんで、最近の消費動向を見ると、伸びるには伸びておるけれどもその伸びが大変弱い、こういうことを申し上げまして、そして問題はここにあるということを痛感いたしております。  やはり経済全体が発展をするということのためには、国民の所得がふえて生活が豊かになるということが前提条件でありますが、先ほど申し上げますような所得の伸びでありますし、確かに消費者物価も五十八年度よりは高くなります、そういう問題もありますし、せっかくの減税も増税と抱き合わせでございますから、これも影響はゼロとは言いませんけれども極めて小さい、こういうことでありますので、最大の経済成長の柱である消費動向がやや不安定、力が弱いものですから、この力が弱いところを一体どこで補っていくのか、これがこれからの大きな課題だ、このように考えております。
  163. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そういう長官から述べられた関係の中で、景気回復傾向にあると言っても、中小企業の倒産というのは相変わらず続いているわけでございまして、東京商工のリサーチによりますと、五十八年度で一万九千九百五十九件、前年対比一五%のアップということは大変厳しい状態ではなかろうかと思うのです。同時に、今年の三月、言うならば決算時であります三月が千九百二十五件も倒産をされている、こういう問題について、その原因は、まだまだ景気そのものが低迷をしているのかな、こんな形に考えているのですけれども、これらについては通産省ですか、ひとつその見解を述べていただきたいと思います。
  164. 廣江運弘

    廣江政府委員 我が国の経済の動向は、輸出の好調に加えて、内需の中でも設備投資等は持ち直しの傾向がはっきりしてきております。こうした景況を受けて、中小企業の景況感にも徐々に明るさが出ておりますが、ここで二つばかり問題を指摘いたしますと、中小企業は主として消費、建設等に依存する業種が多いというようなことで、業種別等のばらつきがあるという点。  それからもう一つは、今先生指摘の倒産がほとんど中小企業で発生をしておる、こういうことでございまして、全体の中小企業の景況は先ほど申し上げましたように明るくなっておると思います。それは生産の動向を見ましてもはっきりいたしておりますし、中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫等の景況調査等からもはっきり指摘できるところではございますが、先ほど私が申し上げたような問題点があるということでございます。  そこで、倒産多発の理由ということになりますと、倒産はやはり長い間の不況で皆さん耐えてきたわけでございますね。それが耐え切れなくなったものが倒産という形であらわれるということでございまして、いわば指標でいいますと遅行的な指標でございますので、景況はよくなっておるけれども中小企業等が長い間の停滞から持ちこたえられなくなって倒産に結びついておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  165. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 倒産の原因というものが今までの蓄積というか、その中で今回のような倒産件数が出た、こういうことでありますけれども、しかし私は、今景気が少しずつよくなってきている、そういう中でそれぞれ蓄積された今までのいろんな問題が、景気がよくなったところで倒産するというこの原因というのは、何か素朴な感情として納得できないのです、はっきり申し上げて。もっと深刻な景気状態なり、輸出もおかしくなり内需もおかしいということであればそれはわかるのですけれども、今のような状態ですと、内需も少しは拡大される、輸出もよくなった、しかし倒産件数は多いということになると、僕はほかに原因があるような気がするのですけれども、その辺どうなんでしょう。
  166. 廣江運弘

    廣江政府委員 先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますが、中小企業に業種別の跛行性がある、こう言いました。これは全産業自体にもございますが、中小企業はその中で、やはり建設とか消費に一番頼っております。倒産件数の中で見ましても、建設の割合が非常に高いわけでございます。それから、卸、小売、製造業といったようなものの比率が高いわけでございまして、全体はよくなっておっても、こういうものがよくならないものとして残っておって、それが長い間の不況に耐えられなくなって倒産というものに結びついたんだ、こう思う次第でございます。
  167. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 経企庁のお考え方として、倒産の件数の多い中には、業種別に建設が大分多くなってきている、こういう答弁をいただいたわけです。  そこで、建設省に質問したいわけですけれども、少なくとも住宅建設を含めて公共投資的な問題として内需の拡大を図る、こういう前提であろうかと思いますが、住宅建設について、五十六年、五十七年の見通しでは百十八万あるいは百十九五尺こんな形になられていたわけですけれども、この辺で最終の戸数というものをもし把握していたら御答弁いただきたいのです。
  168. 内藤勲

    ○内藤説明員 五十六年度、五十七年度の住宅着工戸数ということでございますと、五十六年度が百十四万三千戸、五十七年度が百十五万七千戸ということになります。
  169. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そうすると、これは百十四万なり百十五万最終的に建設されたということの認識でよろしいですか。
  170. 内藤勲

    ○内藤説明員 住宅の戸数につきましては、着工届けといいますか、建築基準法に基づきまして着工する際に届け出を行うことになっていますが、その届け出の件数ということでその戸数が出ておりますが、ほぼできた戸数というふうに理解していいと思います。
  171. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そうすると、先ほど来、業種的には建設を含めての倒産が多い、今までの累積の中でそういう結果である。そうすると、この建設に対する公共投資的な建設省としての戸数という問題が、逆にこの辺でもう一度再チェックなり検討される必要があるんじゃないかと思うのですが、その辺、どうなんでしょう。言っていることがわかりますか。——要するに、今倒産件数がずっと多い、その中でも建設関係が一番多い。そうですね。そういう説明であったわけです。五十六年、五十七年、届け出を、確認を含めて大体目的どおり建っている、五十八年度は集計されたかどうかまだわかりませんけれども。そういう傾向でいきますと、そういう一つのデータに基づくならば、内需の拡大なり、経済的にも波及的効果を及ぼしているだろう、そういう前提でいくと、倒産するというのは、件数的には逆から言うとおかしいんじゃないか、こんなことも成り立つんだと思うのですが、その辺、どうなんでしょうか。
  172. 内藤勲

    ○内藤説明員 私は住宅の立場だけでお答えいたしますが、五十五年度あたりから住宅の着工戸数というのは落ち込んでおります。それ以前は年間百五十万戸台といいますか、その前後で推移していたわけですが、五十五年度あたりから非常に落ち込んでおります。建設省では、住宅建設につきましては住宅建設五カ年計画、そういうものに基づいて進めているわけですが、その辺のベースからいいますと、最近の着工状況は必ずしも芳しい数字ではない、そういうことは言えると思います。
  173. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 すなわち、今の住宅建設について政策的な問題が出ているんじゃないかと思うのです。例えば土地政策の問題、税制の問題、こういう中で、今建てかえをしたいとかあるいは住宅を必要とされても、今の景気問題を含めて、ベースアップもそんなに従来みたいに上がらない、こういう環境の中ですから建設関係が悪いような気が私はするわけです。  そこで、私は建設省にお伺いしたいわけです。  特に近郊都市における土地政策の一環としての線引きの見直し、こういう問題が必要だと思うのです。特に線引きそのものが昭和四十五年度に行われたわけですけれども、あのときは、線引きそのものに対する取り組みというのは非常に場当たり的であったわけです、駆け込みみたいな形で。ですから至るところで虫食い、基本的な姿勢が何もない。例えば駅から何メートルだとか、あるいは幹線道路から何メートルが市街化であり調整区域である、そういう指導が何もなかったために今のような問題が出てきているような気がする。そこで、この線引きの見直しという問題について建設省の考え方があるかどうか。
  174. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  線引き制度と申しますのは、都市に非常に急激に人口等が集中をしてきまして、非常に無秩序な市街地の拡大ということに対応してとられた措置でございます。  この十年間の推移を見ますと、総括的にはやはり市街地のいたずらな拡大を防止して、都市整備上必要な計画であったというふうに思っておるわけでございます。ただ、大都市の近郊等におきましては、住宅宅地の需要に応じ切れていない、やや運用が硬直的に行われたというようなことがございまして、一昨年の九月に新しい線引きの見直しの通達というのを建設事務次官名で各都道府県知事に出しておるところでございます。  それは実需と申しますか、実際に良好な住宅宅地の供給につながるような計画を持っている場合には積極的に市街化区域に取り込む。それから市街化区域に駆け込みと申しまして、おっしゃいますようにとにかく市街化区域に入っておかなきゃいかぬということで、非常に広い市街化区域が設定されておりますところでは、実際には住宅宅地の需要供給に結びつかないというところにつきましては積極的に逆線引きをするというのが主な考え方でございますが、現在各都道府県におきまして調査、それから地元の住宅宅地の需要の把握というような調査を進めまして、早いところでは、六都道府県ばかりでございますが、見直しを一部完了いたしておりますし、現在全国的に見直し作業の進行中でございます。遅いものでも六十年ぐらいまでには全部完了するように積極的に都道府県を指導してまいりたいと思っております。
  175. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 線引きの見直し、逆線引きの問題、いろいろなことを検討されておるようですけれども、基本的に線引きの思想というものをはっきりしてもらいたいわけです、はっきり申し上げて。今線引きの見直しというのは微調整だけしかやろうとしていないわけですから、そういう点では駅を中心としてとか、国道あるいは県道とか、そういう形での基本線があればもっと線引きの見直しが明確になると思う。土地政策にも役立つと思います。同時に景気に対する影響力というものも高く出てくると思うのです。そういう点を含めて、私が申し上げたような考え方にひとつ建設省としての取り組みをどうされるか、ちょっとお考えを述べていただきたい。
  176. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  線引きの見直しを、先ほど申し上げましたように、特に大都市近郊におきまして住宅宅地需要にこたえるという形で実質的に供給につながるもの、例えば土地区画整理事業を地主さんの間で組合をつくっておやりになるとか、それから民間の優良な開発事業が周辺の水、道路交通その他の調整を了しましたものを入れるとかというような形で進めてまいりたいということでございまして、先生のおっしゃいました駅から何百メートルとか、幹線街路から何メートルというような形よりは、むしろ面的な用発をどうやって進めるかということについて重点的に調整を地元と図りながらやっていくというのが、今回の現在進めております見直しの基本方針でございます。
  177. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間もないからこれ以上あれなんですけれども、ただ意見として申し上げておきたいことは、昭和四十五年六月十日に施行された新都市計画法に基づく線引きは、その時点が、指導要綱が非常に間違っていたためにいろいろな障害が起きているわけですから、そういう点で今申し上げていることは、その基準となるもの、ポイントとなるものをぜひ明確にして今後指導していただきたい。そしてそのことでやがて良好な都市あるいは良好な住宅環境ができてくると思うし、あるいはまた逆に言えば農業もそれによって守ることもできるわけですから、そういう一つのプロセスがないと、今の虫食いとかそういうものは絶対に直っていかない。あるいはまたそういう点では非常にミニ宅地が多くなっていく、こういう原因にもなってきますので、それがひいては内需とか、先ほどの倒産の問題とか、いろいろなことがありましたので関連して申し上げたので、ぜひその辺を含めて今後御検討いただきたいと思います。  特に宅地の問題等に対して自治省にお伺いしたいわけですけれども、固定資産税とかあるいは税制上の問題もあって、もっともっと求めやすい住宅地、建てやすい住居、こういう形になると、今大変倒産で困っている人たち、あるいはまたこれからもそういう点ではこういうところに大きな問題が出てくるのではないかと心配されている問題の解決になるんじゃないかと思うのですが、何らかの税制の見直しの方向というものがあるかどうか、あるいはまた考えられているかどうかお聞かせをいただきたいのです。
  178. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  地方税の関係で、特に住宅宅地の供給との関係で大きな税目になっておりますのは固定資産税だろうと思います。その中で先生指摘の、特に大都市近郊における宅地供給との関連では、三大都市圏の中の従来はAB農地と言っておりましてかなり面積的には狭いところについて、俗に言っております宅地並み課税というのを実施してきましたが、五十七年度の税制改正でこれをC農地まで拡大するということをやっております。  ただその際、大変いろいろ議論がありまして、都市近郊農業との関係をどう考えるかということで、長期営農継続農地という認定制度をつくっておりまして、そこで都市近郊農業の配慮と、宅地供給とのいわば接点をそういう制度で解決しようということで五十七年度からやってきております。私どもとすれば、認定の実態からいいますと、全部が全部長期営農継続農地にもなっておりませんで、いろいろ農業会議等の調査なんか来ますと、転用を考えておるような方は長期営農継続農地に手を挙げてないとかというようなことで、かなり宅地並み課税課税面積というのはふえておりますので、税制としてはもうしばらくその推移を見守っていきたいというふうに考えております。
  179. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひ自治省にお願いしたいことは、景気とそういう制度のバランスがあると思うのです。景気が悪いときに、あるいは倒産が多いときにもう少し推移を見守るということであっては政策的に私は後手だと思うのです。やはりそういう一つ一つの政策が、先手先手と打たれて初めて景気に対する影響度も出てくるでしょうし、あるいはまたマイホームを求められる人たちも大変住宅に対する関心度は高いわけですから、そういう点でぜひ税制の問題、十分検討していただきたいと思います。特に、今自分たちの家は本当に欲しいのだけれども、土地の問題やら税制の問題で現実に手が出ない人たちがたくさんいます。サラリーマンの人たちはそういう点で本当に多いわけですから、そういうことを含めてぜひこれから検討をしていただきたいと要望しておきます。  最後になりますけれども、最近金融の自由化といいますか金利の問題等について、いろいろな問題点あるいはまた日米円ドルの問題等について論じられておりますけれども、これと景気との問題やらあるいはまた国内に対する影響度合い等について、大蔵省ですか、この辺についてどういうふうにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  180. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、我が国の金融の自由化は、国際化といいますか、あるいは国債の大量発行等によりまして、漸次進展してきていることは御指摘のとおりでございます。ただ金融の自由化を進めます際に、これが急激に進みますと、経済、金融にあるいは信用秩序に混乱を与えるということもございますので、その辺は慎重に、漸進的に金融の自由化というものは進めていかなければいけないという考えに立って我々は金融行政をやっておるつもりでございます。  経済に与える影響ということを一つとってみますと、例えば金利の問題につきましても、これが急激に進みますと、いろいろな説がございますが、金融情勢によっても違いますが、短期的に言いますと、例えば貸出笠利が上昇して、これが投資意欲に影響を与えるというようなことも考えられますので、やはり先ほど申し上げましたように、これを漸進的に慎重にソフトランディングさせていかなければならない、そのように考えております。
  181. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 特に日米の金融摩擦の問題というのが最近いろいろと論じられておりまして、これらについては合意とか決着が見られたというお話が出ているわけですけれども、こういう点でこの問題、すなわち円ドルの問題になってこようかと思いますが、この問題と日本の国内の景気に与える影響というのはどういうふうに考えられているのですか。
  182. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  今の御質問のように円ドル委員会、十六、十七日にありまして終わったところでございますが、我々、金融・資本市場の自由化という問題をアメリカと議論しておりますが、これにつきましては、先ほど私が申し上げましたような墓表的な線に沿いまして、アメリカにも説明しております。したがいまして、やはり金融・資本市場の自由化、国内の自主的な自由化ということで考えていく必要があろうと思います。それによって、国内の経済、金融に与える混乱も回避していけるのではないかというふうに基本的には考えております。
  183. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ただ一貫して言えることは、経済と暮らしというものは大変影響が多いわけですし、あるいはまたそれぞれ企業活動や、あるいはまたそれぞれの環境問題にとっても大変大きな影響度合いがある。そこで、できるだけ関係の皆さん方にお願いしたいことは、ことしの予算でも前倒しをするというこんな見解、すなわち大蔵大臣は、この三月末あるいは四月早々に予算に対する前倒しを含めて、あるいは公共投資がさらに少なければ、こういう問題も検討されていたようですからこういう答弁があったわけで、そういう点を含めながら、経企庁としても景気対策を十二分に、これからも間髪入れずに、そういう点でぜひひとつ積極的な施策、長官がいつも言われているような拡大均衡といいますか、積極的経済施策をぜひお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  184. 金子みつ

    金子委員長 藤田スミ君。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 せっかく大臣がお見えですので、一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  時間がございませんのでできるだけ簡潔にお答えをいただきたいんですが、せんだって日米交渉で牛肉とオレンジの一応の決着がつきました。限りなく自由化に近いオレンジの枠拡大、そして急増する牛肉の輸入、こういうことで、生産者も大変大きなショックを受けておりますが、外国から食物を輸入するという問題は、決して消費者は無関心でおられないわけであります。  一九六〇年代には穀物の自給率が八二%であった。八〇年代に入って三三%に低下した。菜の花が大変咲くようになりましたが、菜種の自給率なんて〇・二%。お豆腐なんて日本人しが食べないはずでありましたが、その原料である大豆は五%の自給率、こういうことで、今どんどん拡大されていく食糧の輸入に対して消費者は決して無関心でない。それは日本の食糧の危機という観点から最近消費者の関心が高まっておりますが、消費者保護の官庁の大臣としてこの問題に対する御見解をお伺いして、本論に入っていきたいわけです。  簡単で結構でございます。
  186. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 食糧全般の問題については農林省からお答えになるのがいいと思いますが、今度の農産物の交渉は長年の懸案でございますし、特に昨年アメリカ大統領が日本にやってまいりまして、日本の選挙が終わればこの問題を解決してください、そういうことで残されておった問題でもございますので、交渉は難航いたしましたけれども、ほぼ日米主張の中間ラインで妥結したということは、私は大変結構であったと思います。  ただ、この機会に国内の酪農を一体どうするかという問題がございまして、やはりこの機会に酪農の競争力を強化するという政策を並行してとらなければならぬと思いますので、農林省でもこの点を非常に重視しておられるのではないか。この農産物が決着をいたしましたのを機会に、日本の農業全般の競争力、特に酪農の競争力が強化されることを私どもも期待をいたしております。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうはこの問題が主ではありませんが、その御答弁で私は納得ということじゃないわけです。むしろそういう競争の原理という名のもとに、現実に酪農業も畜産業も大変大きな脅かしを受けていて、それは消費者の暮らしにとっても必ず大きなはね返りが来る。この点で私は大臣の御意見に賛成いたしかねますが、きょうはこの問題じゃございませんので、これで終わります。  きょうは、牛肉の内臓の問題についてお伺いをしたいわけです。現在、牛肉の内臓、その中でもスカートと呼ばれる横隔膜の輸入量が急増をしているわけですが、農林水産省は、このスカートの輸入が末端までどのように流通をしていっているか、また家庭においてはその消費状況実態ではどうなっているか、つかんでおられるかおられないのか。おられるとしたら、その実情についてお伺いをしたいわけです。
  188. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 先生ただいまおっしゃいましたスカートでございますが、これはいわゆる横隔膜といいまして、牛肉とは区別されます内臓に入るものでございますけれども、内臓類全体といたしましては、最近数年間大体五万トンから六万トン程度輸入されております。そのうちかなりの部分が、今おっしゃいましたスカート類であろう、こういうように言われております。ただ、いろんな統計あるいは通関上も区別されておりませんので、正確に何トンということを申し上げられないわけでございますけれども、私ども、いろいろ関係業界等からの聞き取りによりますと、主として焼き肉屋あるいはファミリーレストラン等での焼き肉需要、こういったものに利用されている、一部最近ではたれとかそういうものとのセットによりまして家庭消費にも入ってきておる、こういうように認識しております。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、私は今アメリカの統計を持っているのですが、八二年のアメリカの、輸出統計に基づきますと、アメリカから日本への牛肉の輸出量は四万九千五百十九トン、今言われたその内臓は二万三千八百十八トンになっているのです。日本の統計で同じこの八二年を見てみますと、アメリカからの牛肉の輸入量は三万二千七十九トンで、内臓は四万三千二百九十一トン、こういうふうになっているわけであります。数字が全く合わないわけですが、これは一体どういうことなのか、明らかにしていただきたい。
  190. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 米国につきましては、日本と違いまして国際的な関税分類基準を採用しておりませんで、独自の関税分類基準に基づいた分類をやっている、こういうことが基本にございますので、それぞれ対応いたします正確な比較というのは必ずしも容易ではないわけでございますけれども、内臓類全体の輸出入量、今先生おっしゃいましたように日米両国の数字には確かに開きがございます。ただ、これはここ一、二年始まったということでございませんで、ずっとそういう状態になっているというのが実態でございます。  このことにつきましては、一つは輸出入の時間的なギャップというのが影響しているだろうということのほかに、もう一つは、各国とも輸入に際しましては、いろいろ関税制度あるいは国内の産業との調整というようなことで相当厳密にやられておるわけでございますけれども、輸出の際にはそういうことについての厳密さというのが比較的要求されないというようなこともあるのではないかというように考えております。
  191. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、先ほどのお話からしますと、結局、アメリカでは牛肉と称している部分が日本では内臓として流入しているものもある、そういうことですね。その部分の数量はもう一度お聞きしたいわけです。先ほどスカートは年間五万から六万トンというふうにおっしゃいましたが、そういうことでよければそれでいいのですが。
  192. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 アメリカの輸出統計分類が業者の申告制によっておりますので、私が先ほど申しましたように、日本との分類におきます対比ということについては厳正さが必ずしもないのではないかというように考えております。それから、先ほど私が申しましたのは、スカート類を含みます内臓全体の世界各国からの全輸入量、これが最近五万トンから六万トンでございまして、そのかなりの部分がスカート類であろう、こういうように考えております。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 はっきりおっしゃらないのですが、私がアメリカでは牛肉と称している部分が日本では内臓として流通しているものもあるんですねとお聞きしたら、いろいろ言われるのですが、結局、それはアメリカでは牛肉と称している部分が、日本では内臓として流通しているものもあるという御答弁だというふうに聞いておきたいと思います。さらに、その内臓部分にスカートが入っていて、そのスカートは全体で先ほどおっしゃったような数字になっているということを確認して先にいきたいと思います。首を振っておられますので、そういうことで私の言うこと間違いないですね。——いや、もういいのです、時間がないから。首だけ振ってください。要約そういうことで、お隣の方がしきりに首を振ってはりますから、そういうことで進めます。  そのスカートは、日本では焼き肉用あるいは成型肉としてアメリカンステーキあるいはファミリーステーキといった名前で売られているのです。一般家庭でも牛肉として食べられているわけであります。そして牛肉関係者の話では、豪州産の下位等級牛肉、一番レベルの低いクラスの牛肉などと競合性があるというふうにも言われております。当然それは日本の牛肉需要に影響があるはずでありますけれども、この点についてはどういうふうに判断をしておられますか。
  194. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 内臓の消費といいますのが一般家庭に入ってきましたのが比較的最近でございます。かつては関西のいわゆるホルモン焼き屋、あるいは関東におきます焼き肉屋あるいはモツ、こういった形態で一定の嗜好範囲の中におきます需要というのがあったわけでございます。私どもはこのものが必ずしも牛肉とストレートに競合するというようには考えておりませんけれども、いずれにいたしましても要するに肉の副産物でございますので、全体としての動物たんぱく質の摂取という関係ではそれは一定の関係がある、こういうように理解しております。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いいですか。この内臓肉、私はややこしいですから、じきに肉とつけてしまうのですが、内臓はIQではないわけですから、当然畜産振興事業団を通さずに流通するわけです。だから安いわけですね。そして肉の種類も、豪州産の下位等級牛肉と競合すると言われるぐらいですから、これは大変安いということで家庭でも愛用しているところが多いわけです。そして現に牛肉の内臓は、先ほど最近の数字をおっしゃいましたけれども、実は五十一年二万トン前後のところだったのです。ところが五十二年、五十三年というこの二年間でほとんど倍増しまして、五十八年には六万トンというふうに三倍増にふえていっているわけです。それでも牛肉の需要に影響が出ないとおっしゃるわけですか、私は出ないはずはないというふうに考えますが。
  196. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 先生おっしゃいましたように、確かに五十二年までは比較的数量が少のうございましたが、五十三年から五万数千トンということでずっと来まして、五十八年六万一千トンになっております。その間に約二割ぐらいふえておりますが、牛肉はその間に約三割ぐらいふえておる、こういう状況でございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この内臓は、つなぎ合わせてステーキにして、アメリカンステーキあるいはファミリーステーキとして売られていた。昭和五十六年に公取委が指示通達を出すまでは、店頭では内臓肉、成型肉という今のような表示はしていなかったのです。当然消費者の方も、これはもう牛肉を買うたとばっかり思っていた。その五十六年の表示があってから、成型肉と書いてあるから、ちょっと成型肉って何とか、内臓肉って何よといって私なんかもお店屋さんで聞きましたが、それまではアメリカンステーキやファミリーステーキと言われたら、えらい結構なもんや、おまけに今でも百グラム大体三百円程度ですから、これはもう家族にたくさん食べさせられると思って大いに喜んで買って帰ったのです。消費者はそういうふうに牛肉を買ったと思っていたのです。そしてこのことは、総理府の家計調査にも反映をされているというふうに思うのです。  これはなぜかといいますと、総理府の家計調査を見ますと、内臓の輸入が急増してきたときと、家庭で使う牛肉の消費量が急増しているときとがほとんど一致しているわけです。特にアメリカンステーキが急速に伸びた五十三年というのは、牛肉の消費量はそれまで年間三百グラムぐらいの単位でふえていたのが、ぴゅっと一キログラム上がっていますよ。大体この年を思い返しましたら、ああ私もそうだった、こう思うわけです。えらい安い肉、ありがたいなと思って食べた記憶もありますわ。したがって、お聞きいたしますが、当然昭和五十六年の公取委の措置がとられるまでは、アメリカンステーキは牛肉として家計調査報告に記載されていたと思うのですが、これは企画庁ですね、お願いいたします。
  198. 酒井忠敏

    ○酒井説明員 お答えいたします。  総理府統計局で家計調査をやっておりますので、総理府からお答えさせていただきます。  家計調査というのは家計簿でやっておりまして、家庭の主婦の方はほとんど書いていただくことになりますが、家計簿に牛肉と書かれておりますと、お値段に特別差がない限り牛肉ということに符号づけされております。ふだんですと、内臓物とはっきりとわかりますと他の生鮮肉というところで分類が変わってまいります。  以上です。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、五十六年の表示の指示が出るまでは、特に相当に安い肉はともかくとしても、家計簿の記載は大方の家庭は牛肉というふうに記載をしていた、家計調査のもとはそうであった、こういうふうにおっしゃられたと理解していいのですね。
  200. 酒井忠敏

    ○酒井説明員 家計簿の内容は私どもの方でいただきましてから検査をいたしますが、内容検査の種類としては、牛肉と書かれておりましたりステーキ用肉と書かれておりましたら、あとチェックする材料といたしましては値段のレンジ、幅でございまして、これが豚肉なり鶏肉なりの値段ではないかと思われない限り家庭に問い合わせたりそういうことはいたしませんで、牛肉のままで処理させていただいております。
  201. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 では、お伺いをいたしますが、農水省は昭和五十五年に六十五年度の牛肉需要の見通しを発表しておられるわけです。当然この牛肉の需要見通しをつくるに当たって牛肉の家計消費動向の基礎となる総理府の家計調査報告は参考にしておられるはずだと考えますが、いかがでしょうか。
  202. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、五十五年閣議決定を経まして、私ども昭和六十五年の「農産物の需要と生産の長期見通しについて」というのをつくっておりまして、それが現在の指針になっておるわけでございます。  これは今先生おっしゃいましたように、基本的には今後の経済動向がどうなるかということ、要するにかつてのような高い経済成長は期待できない、それから牛肉の消費の伸びにつきましては、引き続き食肉の中では高い伸びが期待できるが、かつてのような高い伸びは見込めない、それから食肉間の競合関係が強くなる傾向にある、こういうような諸要素というのを勘案いたしまして長期見通しを立てたものでございまして、家計消費の動向というのもその計算過程と申しますか、それをつくる段階においては当然考慮の要素にはしております。
  203. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 家計調査報告というのを考慮の要素にしている、当然のことなんです。しかし、このことは非常に大事な問題なんですね。しかもこれは何か隅っこで考慮に入れているという程度のものじゃないということは、農政、審の需給専門部会の座長の並木さんが御自身の文章の中で強調しておられるわけですね。この需給専門部会の並木さんは、「農政審答申の裏おもて」という文書を出しておられて、家計調査による所得弾性値を根拠にして六十五年の需給の長期見通しは抑制ぎみにした、こういうふうにこの文書の中でも家計調査の役割を書いておられるわけです。だから、この家計調査にあらわれた数字というのは非常に大事な問題になってくるわけです。  繰り返しになると思いますが、この需給見通しというのは、先ほどの御説明にありましたように五十五年に立てられた。そして六十五年はこうなるだろうという長期需要見通しを立てて、そうして今もアメリカといろいろ交渉する基本的な数字に使っておられるわけです。  ところで、その需要見通しをつくった昭和五十五年当時は、先ほど総理府に確認をしたときにも切らかになりましたように、家庭で牛肉だと思ってアメリカンステーキだとかファミリーステーキを買ったときに、それは内臓であるにもかかわらず、五十六年までは表示がありませんから、当然前年の需給見通しを参考にするその家計調査の中では牛肉として出てくるわけです。そして、この内臓は急速にその消費を伸ばしてきているわけです。  何か先ほどからしきりに家庭での消費は、内臓は部分やみたいにおっしゃいますけれども、実際にはそうじゃないですよ。国内産の内臓はそうじゃないんです。これはかなり高級の料理屋にも行くんです。その筋に聞いたら、こんなものは常識なんですよ。アメリカから輸入される内臓の方は、そういうふうにして大方の家庭の方に流れていく。少なくとも、小さく見積もっても六〇%ぐらいは家庭の方に流れていっていたんです。  だから家計調査をやると、それぞれの家がそれまで三布グラムずつぐらいしかふえていなかった牛肉の使用が、一挙に一キロにふえるというような現象になってあらわれたんです。したがって、この家計調査報告で出てきた当時の牛肉の使用の伸びというのは、相当部分内臓が占めているのじゃないか、そういうことになるわけでありまして、そういう経緯から考えると、逆に言えば内臓の伸びを除いた部分、本当の牛肉、アメリカも牛肉だといって太鼓判を押してくる牛肉、ほんまの牛肉というものの消費の伸びは当然落ちてくるはずじゃないんですか。ここのところは非常に大事な問題ですので、はっきり言ってほしいのです。家計調査報告に基づいて牛肉の需要見通しをつくると、全く実態に合わない数字になっているということじゃないでしょうか。
  204. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 先ほど私が家計調査も考慮の一つに当然していると申しましたのは、実は若干細かくなりますけれども、私どもの長期見通しの考え方を申しますと、食料需給表というのがございまして、これは家計消費のほかに業務用、外食用すべてを合わせたものの牛肉の総需要と供給、それから一人当たりの純食料というものを出しているものでございまして、これはずっと時系列的に継続性を持って農林省で精査をして出しているものでございます。  私ども長期見通しを出すに当たりましては、この一人当たりの牛肉の消費量といいますものが、実質民間最終消費支出と非常に相関度が高いということで、この実質民間最終消費支出の伸びを考慮いたしまして、一定の数式によりまして六十五年時点におきます一人当たりの牛肉の消費量というのを出しまして、六十五年におきます人口を乗じましてトータルとしての牛肉の需要というのを出しておるわけでございまして、食料需給表には内臓は入れておりません。現在も入れておりませんし、ずっと継続してこれは入れておりません。  したがいまして、先ほど申されましたように、家計調査におきます個別ケースにつきましては、それぞれの調査対象家庭が牛肉と思ってスカート類を購入したものがケースとしてまじっておるということはあると思いますけれども、私どもの長期見通しのベースは、あくまでも牛肉につきましての一人当たり消費量、これを民間最終消費支出の伸びとの一定の相関度の高い関係式、これから導き出したものでございますので、今先生指摘のような誤差と申しますか、差異が生ずるということは考えておりません。
  205. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はそれは大変長い長い弁解だというふうに思うんです。所得弾性値というのが、この見通しを立てる上で重要な指標になっているじゃありませんか。その所得弾性値というのをはじき出していくためには、総理府の家計調査というのが一番大きなベースになっているじゃありませんか。そういうふうにいろいろ弁解されること自身、私はこの長期需要見通しのもとの数字のところで重要な誤差を認めておられるということにすぎないというふうに言わざるを得ないわけです。  内臓は牛肉の需要に影響を与えていないと言われますけれども、実際はそうでしょう。家計調査で牛肉需要として把握しているんですから、その統計に基づいて牛肉の需要の見通しを——数字全部がそれとは言いませんけれども、重要な柱として見通しを立てていくとしたら、その見通しをもとにアメリカの牛肉の輸入交渉を行い、年間六千九百トンの牛肉の輸入の増加、これは大した影響ないんだといっても国民の方が首をかしげるのは当然であります。  今、年間五万トンから六万トンと言われる牛肉もどき、そういう言い方もあります。あるいは擬装牛肉、そういう言い方もありますよ、そういう言い方ですり抜けられているそれは、ぜひともアメリカ並みの牛肉ということであの誤差の部分だけでもきちんと位置づけて、スカートは誤差の部分と、それからアメリカも内臓と認めて出してきている部分と両方にミックスされておりますけれども、せめてその誤差の部分だけでも米国並みの牛肉と位置づけて輸入枠に取り込むべきである、私はそういうふうに考えます。最後の御答弁です、どうぞ。
  206. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 内臓につきましては、国際的にもこれは牛肉と組成自身が違っておりますので、明確に各国とも区別しております。アメリカ自身も食肉輸入法というのがございまして、これは牛肉につきまして一定のトリガーレベルに達しますと各国に自主規制を求める、あるいは行政府が割り当て権を発動するという法律がございますが、この食肉輸入法の対象にもしておりません。日本におきましても、内臓は自由物資でございますし牛肉は割り当て物資ということで、輸入制度も違えております。  それから先生今申されましたように、表示につきましては五十六年の公取によります。知徹底の御指導というのがなされておりまして、私どもは、これが十分守られておりまして、消費者の方は内臓肉あるいは成型ステーキということを承知をして購入されている、こういうように考えております。
  207. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、しかし、今でも表示は決して徹底しているとは言い切れない。きょうはこの問題で質問しているのと違いますからやめますが、あなたは結局私の言っていることを認めたくないからまた話を蒸し返して、またもとのもくあみのところへ話を戻して、そして内臓と牛肉とは違うんだというふうに言われますけれども、さっき認められたように、現にこれはアメリカの方が輸出をこれだけ日本にしましたという牛肉の量よりも、日本が受け入れましたという牛肉の方がずっと少ないじゃありませんか、首を縦に振ってはりますけれども。もう何遍も説明しましたから私はやめますが、しかし、五十五年に立てた需要見通しは現時点の情勢のもとではもう一度見直すべきである、そうして少なくともアメリカが牛肉と認めたものは日本も牛肉と認めて、それは輸入枠の中にちゃんと取り込んで計算をするべきである、このことを最後に申し上げて私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  208. 金子みつ

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会