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1984-04-12 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)    午前十時一分開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君    理事 岸田 文武君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 松浦 利尚君    理事 宮地 正介君 理事 田中 慶秋君       木部 佳昭君    工藤  巖君       二階 俊博君    小林 恒人君       中村 正男君    浜西 鉄雄君       福岡 康夫君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁物価         局審議官    佐藤 満秋君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部経済調査官 清島 傳生君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         大蔵大臣官房企         画官      福田  誠君         大蔵省主計局主         計企画官    中島 義雄君         国税庁調査査察         部調査課長   木下 信親君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省経済         局国際部国際経         済課長     上野 博史君         農林水産省農蚕         園芸局農薬対策         室長      岩本  毅君         農林水産省農蚕         園芸局繭糸課長 高木  賢君         農林水産省畜産         局畜政課長   鶴岡 俊彦君         食糧庁管理部企         画課長     馬場久萬男君         通商産業省産業         政策局調査課長 広海 正光君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      牧野  力君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      竹内 征司君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高沢 信行君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     谷口 富裕君         建設大臣官房政         策企画官    村瀬 興一君         日本国有鉄道経         営計画室長   前田喜代治君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
  3. 浜西鉄雄

    浜西委員 私は、主として物価に最も関係の深い電気料金関係などを中心に質問をするわけですが、その前に、やはり今日の政治情勢の中で、この場ではふさわしぐないかどうか知りませんけれども政府中枢部におられる河本経企庁長官もおられるわけですから一言お聞きしたいわけです。  もう既に新聞その他で報道されておりますように、政治倫理の問題に大きく影響を与える自民党の副総裁、これは内部関係ではそうですけれども、やはり総理が明らかにいたしましたように、できるだけ田中排除ということをするという約束にもかかわらず、国民重大な関心の的である田中派会長もやめないで、そのまま副総裁ということの今回の位置づけが、果たして政治を担当する一人として、少し国民の目がそれた段階で、新たにまた秋の党の人事の問題などをめぐってそのようなことが、今回国民に対する開き直りと見えるような、挑戦と見えるような副総裁就任の件について、冒頭にひとつ、政府中枢におられるわけでありますから、その辺のお考えを聞いて本題に入りたいと思います。一言その点についてお伺いしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題は自民党内部の問題でもございますので、この席で私からお答えするのはいかがかと思いますが、ただお尋ねの趣旨趣旨でございますから一言だけ申し上げますと、昨年の十二月の総裁声明に照らしまして若干の疑義がございますので、一体どう対応すべきかということにつきまして今いろいろ党内でも意見がございまして、まだ最終的にそれに対してどうこうするということは決まっておりませんが、いずれにいたしましてもここしばらくの間、若干の議論が続くのではないか、このように思います。
  5. 浜西鉄雄

    浜西委員 確かに党内関係でありますから、これ以上ここで詳しくいろいろ述べることは差しさわりがあるということも理解できますけれども、これは国の今後の政治、特に政治家倫理の問題については国民が重大な関心を寄せておりますときだけに、我々が今後ともこの倫理問題についてはお互い政治家として十分関心を寄せ、国民の期待に沿えるような、そういう国政のあり方に努力してまいりたいと思いますので、そのことをつけ加えておきます。  そこで、本題に入る前にもう一つありますが、電気料金、これの一番もとになるエネルギー関係でありますが、石油関係で五日あるいは四日の新聞に出ておりますように、歴代のと言った方がいいと思いますが、通産大臣をやっておられた当時の方々の名前も載っておりますし、東亜燃料工業から金品をもらっておるということが明らかになっておるわけですが、私どもは、そういった業界で大きく収益を上げておるようなところからもらうということは、どう見ても何かそこに一つの黒い疑惑を感ずるわけです。この東亜燃料については、たしか収益のあれを見ましても、これは三月期決算会社別の業績でありますが、この中に載っておりませんが、調べるところによりますと、群を抜いて東亜燃料は九百億円、これだけの利益を上げておるわけです。  このことを思うと、今回の新聞発表になりましたような安倍外相、山中元通産相、長谷川元建設相、岸元首相、それぞれこういう金品を受け取って、あわてて返した方もおられますけれども、このことは、私はどうしても国民に対する一番大きな疑惑を解明せにやならぬと思っております。収益を上げたとみなされる東亜燃料でございますから、一体この関係についてどう始末をし、国民に対してこの辺の説明をするのか、中身に入る前にこれはひとつ聞いておきたいと思うのですが、きょうここには通産大臣はおられませんからちょっと難しいわけですが、後ほどこの問題については見解なり私に対する答弁をもらいたいと思いますので、大臣おられませんから、冒頭にそのことを申し上げて中身に入ります。  私、常々疑問に思うのがあるのですが、電気料金、これの決定の仕方、このシステムが私は素人でよくわかりません。わかりませんが、結果として毎年順調に一割配当というものが、各電力会社それぞれ収益を上げて配当はそれだけのものをやっておるということ、そして片方では原子力発電設置についてはかなり事前投資、私が悪く言えば現地にばらまいて、言ってみれば説得活動にその金が使われていることも聞いております。そうするとそれらの問題、一体総合的に電気料金が決まるというこのシステム、これがどうも私わかりませんので、まことに申しわけありませんが、電気料金積算の問題について少し説明をしていただきたいのであります。そのことをまず申し上げておきます。
  6. 黒田直樹

    黒田説明員 お答え申し上げます。  電気料金決定仕組みということでございますが、御承知のように電気料金電気事業法によりまして通産大臣認可制ということになっているわけでございます。それで、電気事業法の十九条で電気料金認可基準というものがございまして、能率的な経営もとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものであり、かつ、それが特定の需要家を差別的に取り扱ったものであってはならないというのが基本的な考え方でございまして、いわゆる原価主義、それから公平の原則というものに基づいて認可することになっているわけでございます。  今具体的に積算の問題とおっしゃいましたので簡単に申し上げますと、要するに電気事業に要するいろいろな費用コストのトータルということでございまして、電気事業は非常に大きな設備産業でございますので、電気事業用固定資産減価償却費、あるいは人件費でありますとか燃料費でありますとか修繕費といったようないろいろな営業関係費用、それからいろいろ税金がかかるわけでございまして、そういう税負担、それに一定事業の報酬を総括したものを電気事業総括原価というふうにいいまして、これを電気の使い方あるいは使用電圧使用時間といったものに応じまして、個々の需要種別契約種別に具体的な料金決定している、こういうことでございます。  なお、認可に当たりましては公聴会等所要の手続を経て認可をする、こういうことになっております。
  7. 浜西鉄雄

    浜西委員 およその仕組みというものの説明がありましたが、事例を挙げて質問した方がわかりやすいと思いますけれども原子力発電など、これは燃料有限性の問題、石油がいずれなくなるという前提その他いろいろ理由はあると思うのですが、原子力発電所をつくった場合、それからそれが古くなった場合、解体する場合、使用済み燃料処理経費、これらは電気料金算定するのに入っておるのか入っておらないのか、それを簡単に説明してください。
  8. 黒田直樹

    黒田説明員 原子力発電所についての御質問でございますが、ただいま総括的に申し上げましたように、電気事業固定資産につきましては電気料金に入っているわけでございますので、したがって原子力発電所建設に要する費用というのは電気料金算定一つ基礎になることはもちろんでございます。ただ、つくる費用、後の費用といろいろおっしゃったわけでございまして、いわゆる後の方の費用につきましては、先生の御質問の御趣旨は恐らくバックエンド費用のことかと思いますけれども、これにつきましては、ごく一部が今までに実際に支払われているわけでございますけれどもバックエンドの多くのものにつきましては今後の問題でございまして、この取り扱いにつきましては電気事業審議会におきましても従来いろいろな検討が行われているところでございます。  使用済み核燃料の再処理費用の問題につきましては、五十六年十二月の電気事業審議会料金制度部会というところの中間報告におきまして、核燃料燃焼時点と再処理時点というものには相当のタイムラグがあるわけでございますので、これをいわば世代間の料金負担の公平という観点から、現在の燃焼時点引当金方式で入れていくことが適当であるという御報告をいただいておりまして、これに基づきまして、今後の問題としてはそういう方向で電気料金の中に入れていくことになろうかというふうに考えております。ただ、それ以外の費用につきましては、現在のところまだいろいろな不確定要素もございますので、電気料金算定基礎には入れておりません。
  9. 浜西鉄雄

    浜西委員 引当金方式そのものもいろいろ私これから研究していかなければいかぬと思っておりますが、後の費用の問題は今後の問題として残っておりますけれども、先の費用と申しますか、いろいろ場所を策定をして、決まったならば地元に対する協力金ということでかなりの金がおりております。それ以外にも建設に至る段階までにかなり費用、これは一口に設備投資の中に入るのかどうか知りませんが、この辺の経費も全部、簡単にわかりやすく言えば電気料金の計算の中に入る、こういうことですか。
  10. 黒田直樹

    黒田説明員 最初に申し上げましたように、電気事業法電気料金認可基準が、能率的な経営もとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものということになっておりまして、かかった費用がすべて入るという趣旨ではございませんで、適正なものは入り得るということでございます。
  11. 浜西鉄雄

    浜西委員 その適正なものというのが一口に言ってわかりにくいわけです。したがって、この問題は私も研究いたしまして、その辺の分類を的確につかんで後日この関係質問を継続したいと思っております。私自身研究不足の点もあります。今お答えになりました中身を十分検討いたしまして、後日これは引き続きやっていきたいと思っております。  原子力発電稼働率と申しますか稼働状況、これはアメリカの方でほかなり限界があるようでありますし、建設計画があっちこっち中止になっておるようであります。日本の場合、高い金を使って一体どのような稼働状況になっておるか、説明してもらいたいと思います。
  12. 高沢信行

    高沢説明員 お答え申し上げます。  日本原子力発電所稼働状況でございますが、昭和五十七年、五十八年、暦年ベースでございますが、連続をして七〇%を超えておるわけでございます。それから、先ごろ発表になりました五十八年度の、これは年度ベースでございますが、設備稼働率は七一・五%と大変高水準稼働率を達成しておるわけでございます。これは先生承知のように、原子力発電所の場合には現在一年に一回定期点検をすることが義務づけられておりますので、そういったことを考えますとフル稼働に近い状態だと理解をしております。
  13. 浜西鉄雄

    浜西委員 日本の場合には大変稼働率が高いということなんですが、私はどうもその辺疑問な点があります。アメリカの場合は今かなり建設中止、キャンセルが相次いでおるということがこれにもずっと書いてあるのですけれども日本の場合がそれだけ稼働率がいいと私は知りませんでした。  そこで、先ほどの質問と関連するわけですから、ここで完全な結論が出るのは無理と思います。私自身研究不足の点がありますので、この中身については後日また継続してやりますが、言ってみれば非常に危険が伴う、経費も高い、コストも当然そういった意味では高くなるわけですし、もっと自然エネルギー的なものを開発すべきだというふうに私はかねがね思っておるわけです。  ここに二十六日の、ワシントンのこれは有名な調査機関がこう言っておるわけです。原子力発電よりか、風力、地熱、こういうことでやることの方が、コスト関係はさることながら、これからのエネルギーじゃないかということが書いてあるわけです。日本においてはそういう自然エネルギーソフトエネルギーと申しますか、クリーンエネルギーというものについてどの程度これを開発しようとしておられるか、その辺の考え方をちょっとこれは参考のために聞いておきたいと思います。
  14. 高沢信行

    高沢説明員 私、所管ではございませんがお答えを申し上げますと、昨年の十一月に総合エネルギー調査会におきまして、長期エネルギー需給見通しの改定が行われたわけでございます。その中で新燃料油、新エネルギーとして位置づけられているものが、昭和五十七年度では九十万キロリッター、全体の〇・二%でございます。それが見通しとなりますと、昭和七十年度で千九百万キロリッター、全体のエネルギー量の中の四%程度を占めるに至るという見通しになっております。
  15. 浜西鉄雄

    浜西委員 これはもっと政府は力を入れて、自然エネルギーというか、新しいエネルギーと言った方がよいと思いますが、素人考えでまことに御無礼ですけれども、例えば潮力を利用する方法だって、私は山口県の人間でありまして、関門の海峡を通る潮の流れを見るたびに、夢みたいな話でありますけれども、例えばそういったものを利用すれば、永久的にエネルギーというものは動いておるわけであります。そういうものに対する開発をして、危険のない、しかも永久的なエネルギーというものを人類がつかみ取るというようなこと、これの研究開発に力を入れてもらいたいと思います。  一連のこういった電気の問題については、私自身勉強不足で中途半端なところがありますので、後日、この物特の中でいろいろ皆さんとともに検討し、追求してまいりたいと思っております。  最後に石油関係でありますが、石油売買価格というものについてちょっと私自身が疑問を持ったことがあります。元売石油から一般のガソリンスタンド、販売店ですか、これに行くときには、もちろん事前価格決定され、何ぼ、何ぼだ、これこれだということで買い取る、売られるわけですが、工場、つまり石油化学工場みたいなところですね、これに持ち込まれるときには、事前価格決定されておらないのではないかと思われるわけですが、その実態についてちょっと聞いておきたいと思います。つまり、事後価格ではないかと思われるわけですが、実態をひとつ説明してください。
  16. 高沢信行

    高沢説明員 石油部担当課の方が本日参っておりませんので、後日お答えをさせていただきます。
  17. 浜西鉄雄

    浜西委員 では後日整理をして、私ももう少し物価の一番もとであるエネルギー、とりわけ電気というもの、豆腐一丁こしらえるについても電気をおこすわけですから、物価安定のために、電気の問題、原子力の問題、これらはもっともっとお互い国民にわかりやすいシステム、わかりやすい流通あるいは価格、こういうものにしていく立場で、今後とも安い料金電気を供給するのための追求をしていきたいと思っておりますので、そのことを申し上げて、ただいまの回答も後日ということでありますので、宿題にしておきたいと思います。  そこで、今度は話は変わりますが、実は少し時間の制限を受けておりますので急ぎますが、蚕糸事業団のことについてお伺いをしてみたいと思います。  実は私は商工委員会の中でも蚕糸事業団のことについて触れましたが、たまたま私の方の手違いから、農水省の方からどなたも見えておりませんでしたし、通産省の方の答弁ではまだ要領を得ない部分がありますので、そういった意味では、商工委員会で提起をして私が質問をした内容と重複あるいはその続きということになろうと思いますが、お尋ねしてみたいと思うのです。  まず、蚕糸事業団が今日まで果たしてきた役割設置意義、こういうものについて冒頭に答えてもらいたいと思います。
  18. 高木賢

    高木説明員 お答え申し上げます。  蚕糸砂糖類事業団は、その前身を日本蚕糸事業団ということでございまして、かねてより生糸価格の安定を図ってまいりました。  これの業務は、大きく申し上げますと国産生糸の買い入れ、売り渡し、それから輸入生糸一元輸入売り渡しということでございますが、両々相まちまして日本蚕糸業の安定に大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。
  19. 浜西鉄雄

    浜西委員 また抽象的な御答弁でありますが、もうちょっと詳しく説明してもらわぬとわかりにくいわけです。  一般的な消費者立場から見た感覚で物を言いますと、蚕糸砂糖事業団が現在抱えておる、つまり倉庫に眠らしておる実態週刊誌でも取り上げられました。週刊誌でありますから、多少誇張したりするような部分もありますけれども、十七万五千俵というものが倉庫に眠っておる。私は行って見ておりませんが、横浜、神戸の倉庫に眠っておるというわけでありますが、一口に言って、高いお金をかけてもったいない話だという取り上げ方であります。  そこで、これに関連をして私が今質問したのは、この事業団消費者にとっていかなる役割を果たしたのか、あるいはそのような役割についてこれからも必要なのかどうか、大いに疑問があるわけです。だから、生産者なら生産者のためにこうだということならばもっとその辺を詳しく、事業団の果たす役割設置意義経費をこれだけつぎ込んでもそれだけの意義があるということの説明をお願いしたい、こういうことです。
  20. 高木賢

    高木説明員 生糸というものは非常に価格が乱高下する性質を持っております。日本の戦前以来の伝統にかんがみまして、あるときはものすごく上がり、あるときはものすごく下がるという歴史を繰り返してきたわけでございます。このようなことでは、生産者ももちろんでございますが、消費者にとりましても安定しないということで、やはり何らかのある幅の中に価格をおさめる必要がある、こういうことで繭糸価格安定法というものが戦後できまして、その幅の中におさめておるということでございます。  それは消費者にとってどういう意味があるかということでございますが、やはり一定価格原料価格がおさまるということは、機屋さんの側から見ればやはり経営の安定なり、それから安定した供給という上から重要な意義を持っておるものと思っております。
  21. 浜西鉄雄

    浜西委員 これは国際競争から見た場合に、自由化されておるわけですが、ではこれらが国際競争の中で、言ってみれば生産者の保護だろうと私は思うのですが、消費者という立場から見れば、むしろ国際競争の中で原料が安くなれば織物関係だってそれなりに安くなるし、最終的に消費者に絹の製品、洋服であれ、室内インテリア装飾品であれ、女性の着物であれ、安くなると私は思うのです。価格の安定というのが、外国生糸は入ってくるでしょうし、その関係でそれが必要なのかどうなのか、大変疑問があるのです。  どんどん安いのが入ってくれば、それを買い取って買いだめて、これから先どうそれを流通に乗せていくのか、つまり消費の側にそれを出していくのか、どうもその辺の蚕糸事業団の持っておる性格がわかりませんから、もう一遍わかりやすく、自由化されておる中身で実はこの点で問題があるんだ、だから必要なんだという説明、今の説明では私はどうしてもわかりにくい。もうちょっと詳しく説明してください。
  22. 高木賢

    高木説明員 お答え申し上げます。  できるだけ消費者に安い織物あるいは着物が届くということが、私どもにとっても望ましいということは改めて申し上げるまでもないことと存じております。  そこで、私ども養蚕なり製糸を担当する側といたしましても、その生産性向上を図りまして、できるだけ安い原料価格で提供できるようにということで、例えば養蚕につきましても、この十年間非常に生産性向上に努めまして、例えば労働時間も約半分近くにするというような合理化努力も行ってきております。  特に先生の御指摘のありました国際価格といいますか、中国との関係で申し上げますと、中国は御案内のように日本賃金水準の約二十分の一ということでございます。養蚕というのは非常に労働集約的な産業でございまして、大体生産費の六割が労働費で占められる、こういう実情にございます。そこのところで、実は中国のように日本の場合の二十分の一というような水準でございますので、大体リヨンなどで取引される場合には、七千円くらいの水準生糸が出ている、こういう実情でございます。私ども養蚕なり製糸合理化努力をやりまして、かなりコストも相対的には引き下げてきたわけでございますが、国際競争に完全に勝てるかということになりますと、中国との関係で言いますと約二倍くらいの値段になっている、こういうことでございます。  こういうことで、そのまま裸で国際競争にさらすということになりますと、約二倍の格差があるわけでございまして、そのままでは日本蚕糸業は立ち行かなくなると考えております。  そこで、事業団による生糸一元輸入制度というのが、昭和四十七年に国会の御発議によりまして全会一致により成立しております。それは政令で定める間は一元輸入できる、こういうことでございましたが、五十一年には、さらにまた国会の御発議により改正がございまして、昭和五十一年以来は当分の間一元輸入できるという制度になっておりまして、生糸の輸入につきましては所要の調整が行われているということでございます。  それからなお、消費者価格原料価格との関係でございます。  御案内のように、例えば一枚十万円の着物でございましても、価格に占める生糸代の割合というのは約一割でございます。なお、先ほども合理化努力を申し上げましたが、例えば昭和五十五年を一〇〇といたしますと、昭和五十六年に基準糸価を七百円引き下げ、さらに五十七年以降本年に至るまで糸価水準を据え置いております。したがいまして、原料たる糸価の水準は、五十五年を一〇〇としますと約九五の水準で動いております。これに対しまして着物の方の消費者価格は、五十五年を一〇〇といたしますと、総理府の調査によりますと一〇九・九ということでございますので、約一割上がっております。  そういうことで、原料価格、いわゆる生糸価格と末端の着物消費者価格というのは現状において必ずしも連動していない、こういう実情にありますことも御理解をいただきたいと思っておる次第でございます。
  23. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、原料を下げても消費者に渡るときには大したことはない。一口に言えば、原料代の占めるあれが一割ということですから、本当に大したことはないというその辺のことが私はよくわからぬわけです。  聞くところによると、間違っておったら訂正してもらいたいが、男性用の背広あたりは五万円ぐらいでできるということを聞いている、これはいろいろまぜての話だと思いますけれども着物だけに限定するんじゃなくて、用途を考えれば安く消費者の手に渡る方法は幾らでも考えられると思うのですが、その点のことと、それから今言う原料代一割程度にしか影響がないというこの流通システムというか、これがよくわがらぬですね。糸を倉庫から出して業者に渡す、業者はそれを織物屋にということでしょうが、原料を下げても絹というものがなぜ安くならぬのか、どうしてもわかりにくいわけです。  数字でいきますと、四十年代の終わりでは二億平方メートルというほどの需要があった。しかし、現在ではそれががた落ちでほとんど半分ぐらい、一億二千万平方メートル、こういうふうに落ちておるというのですね。そうすると、需要がそれだけ落ちた原因は、専門家ですからいろいろ調べておられると思うのですが、先の見通しがほとんどないものをいつまでも倉庫に抱えて、漸次それが膨れていくというようなシステムになぜしておるのか、この辺がちょっとわからぬですね。  同時に、古くなったものの始末についてもどうもはっきりしない。これも買いかえというか何かやっておるようでありますが、まず一つは先行き見通しというものが、消費の拡大が望まれるとか、あるいは一時的な減少だからということになれば、高い金をかけて、年間百六十億円程度のものが必要だ、こう言われるわけですが、それだけのものをかけても、一時的だから将来明るい展望もある、順調にそのことは回っていくんだというふうな見通しがあるのかどうなのか。現状のことはわかりましたから、そういう見通しと、それから古くなった下積みの糸、これの始末のつけ方、具体的に教えてください。
  24. 竹内征司

    ○竹内説明員 先生最初の方で御質問されました絹需要の動向につきまして、若干通産省の方から御説明申し上げたいと思います。確かに先生御指摘のとおり、四十七年の絹需要、これが二億八百万平米ということでピークでございまして、それ以降漸減してきておる。特にここ二、三年の落ち込みはひどうございまして、現在の水準は六十数%、一億四千万平米程度になっておるというのは先生御指摘のとおりでございます。  その原因につきましてはいろいろ考えられるわけでございますが、大きな原因といたしましては、一つは成人人口が減少してきておる。着物の用途といたしまして、成人式とかあるいは結婚式とかそういうところでよく使われるわけでございますけれども、そういう人口が四十七、八年ごろをピークといたしまして減少の傾向をたどっておるということが挙げられようかと思います。  第二番目の原因といたしましては、所得水準が最近上昇してない、大きくふえてない、こういう傾向がございます。そのことが結果におきまして、着物に対する需要の増加を阻んでおるということが言えようかと思うわけでございます。  第三番目は、生活様式の洋風化という点が挙げられるわけでございます。戦前戦後を通じましてだんだん生活様式が洋風化しておる。これは着物だけではございませんで、住宅そのものが非常に洋風化しておる。そういう状況の中におきまして、着物に対する需要が漸減してきておる、こういうことが挙げられようかと思います。  第四番目の原因といたしましては、他の繊維製品に対する価格の問題が挙げられようかと思います。他の繊維製品価格、これと絹の価格がどうなのか、これが相対的にイコールであればそう変わらないわけでございますが、絹だけが高くなる場合にはやはり競争力という点におきましては落ちていくということは否めないことだろうと思います。  こう見てみますと、成人人口の減少あるいは婚姻数の減少、生活様式の洋風化、そういうところからの減少の傾向は今後も続くと予想されますので、絹需要全体といたしましては、やはり今後とも減少の傾向になるというのは否めないことであろうかと思うわけでございます。  それからもう一つ流通段階の御指摘がございました。確かに着物に限りませんで、繊維製品製品価格に占める原料比率というのは大体一〇%前後でございます。それがその後、糸が織られる織りの段階、それから染められる染めの段階、それから製品によって違いますが、縫製の段階、それから最後に百貨店なり小売店なり、あるいはその他の流通系統によりまして消費者の手に渡る、こういうふうな流れを経ておるわけでございます。この各段階、非常に多段階になってございます。したがいまして、その間に発生しますいろいろなリスクの問題、それから流通の商品を寝かしておかなければならないという問題、それから商品の流行の変化に伴いますところのリスクの問題、こういうふうな問題がございまして、いろいろな経費がかかってくるわけでございます。  特に着物の場合には、染色部門が非常に重要なウエートを占めてございます。着物につきましては白生地では着物にならないわけでございまして、当然染めが入るわけでございますが、染めの過程におきまして、これは非常に人手を要する染めを含むものでございますから、そういうところの経費が非常に高くなってきておるということが製品価格の上昇を招いておるわけでございますが、それぞれの各段階におきまして大きくもうけているところはない、こういうことで、それぞれ非常に乏しい利益のもとで一生懸命働いておるという現状でございます。  以上でございます。
  25. 高木賢

    高木説明員 先生の御指摘のうち、まず品質の問題でございますが、事業団が保有しております生糸は長いもので五、六年既に経過しております。御指摘のような御心配は我々としても持っておりまして、実は先般大規模な調査をいたしました。長期間保管している生糸につきまして、生糸流通関係者の専門家十名にお願いいたしまして、全部倉庫を見て回ってもらいまして再検査をいたしましたけれども、その品質は現在のところ低下していない、こういう結論を得ております。  そこで、今も通産省の方から需要動向についてお話がありましたが、私どもも何を考えるに当たっても、まず需要動向を的確につかむということが大前提であるというふうに考えております。  そこで今、省内にある繭糸価格安定制度に関する研究会で学識経験者に研究をお願いしておりますが、そこでのメーンテーマの一つがやはり需要動向をどう見るかということでございます。  それから、私ども役所といたしましても、五十九年度、先般成立をさしていただきましたが、需要動向調査というものを予算に組みまして、これはただ素人の論議だけでもいけませんので、専門家に頼みましてきちっとした見通しを出してもらおうということで今作業を進めております。この需要動向を見て生産なりその他の対応も早急に整備しなければいけない、こういうふうに思っております。  それからもう一つ、在庫との関連でどうかということでございますが、やはり在庫を活用して、かつ需要増進に資するように使う、こういう一石二鳥の策といたしまして、実は五十七年暮れ以来、新規用途売り渡しという制度を設けまして、これまでの用途でない新たな用途あるいは新たな販路を開拓する場合には、事業団の在庫糸を時価より千五百円、あるいは用途によりましては、研究用などの用途には三千円ということで割引をいたしまして売却をする、こういうことをやっております。既にこれによりまして、この三月までに一万二千俵の契約をしたところでございます。  これは実はこの三月までは千円ないし二千円引きということで値下げ幅が低かったのでございますが、三月以来千五百円ないし三千円ということで値下げ幅も下げまして、新規用途に向けた事業団在庫糸の活用がより一層図られるように手当てをしたところでございます。これによりまして事業団在庫の活用が図られ、あわせて新規用途等に向けた販売がさらにふえるということを期待しておるわけでございます。  先生御指摘の、先ほどの背広の五万五千円でございますが、それも実は新規用途に向けた糸を活用してつくられた背広が市販されているものでございます。  そういうことで、今需要拡大と在庫糸の活用ということをあわせねらいました制度の推進を図っているところでございます。
  26. 浜西鉄雄

    浜西委員 多少わかってきました。  そこで、それじゃそういった新たな用途に対する対策というものと関連をするわけですが、絹振興基金というのですか、こういうものを設けるということと、割引をして、言ってみれば三月に一万二千俵出したことと、ちょっとその辺はどういう関係になるのですか。新たな用途のために、繊維工業構造改善事業協会というものがあって、それに振興基金というものを出しておるのではないかと思うし、大体それはどのぐらい出しておるのかも実は知りたいわけですが、そのことと別に、新たな用途としてそういう道を開いて三月に一万二千俵出した、こういうことになるのか、その辺がちょっとわかりにくいのです。  それからもう一つは、中小企業対策み一環ということで産地中小企業対策の支援というのがあるわけですが、その支援は具体的には補助金みたいなものでやっておるのか、合理化といいますか機械化がどの程度要るか知りませんが、そういった機械の方の支援ということなのか、ちょっと具体的にそういったものがわかりませんので、時間がありませんから、わかりやすく簡単にひとつ説明してください。
  27. 竹内征司

    ○竹内説明員 ただいまの、まず最初に絹振興基金の使い道でございますが、この基金一億円、これを先生御指摘のとおり繊維事業協会に積んでおりまして、その果実をもちまして毎年着物振興事業というのをやってございます。毎年春等にキャンペーンを実施しておるというのにこれを使っておるわけでございます。  次に、産地中小企業臨時措置法に基づきます助成でございますが、これは国及び都道府県がそれぞれ二分の一の補助をいたしまして、いろいろな産地のビジョンをまずつくってもらうということでございます。その産地のビジョンをつくりましたら、それに基づきまして、新商品の研究開発あるいは従業員に対する研修等を行いまして、できました製品につきまして、需要開拓のために展示会あるいは市場調査等をやってまいるということでございまして、指定を受けました絹、人繊織物の産地、これは二十三産地ございます。
  28. 浜西鉄雄

    浜西委員 時間が来ましたから、またいずれ、この問題は私も十分研究をして、後日いろいろはっきりしてもらいたい点があるわけですが、一口に言いまして、最後の質問になりますが、高い金を費やして抱えておるこれらのものを、新しい用途の発掘その他で今から見通しをつけようとなさっておるのですが、現時点で、冒頭言いました十七万五千俵のはけ口といいますか、大体平均的に四、五万俵ぐらいが理想だというふうに言われておるのですが、これが十七万五千俵も抱えておるわけです。今さっき背広の話が出ました。いろいろ研修会、研究会も出ました。そういうものをやる中で、これが近い将来膨大な利子を払ってまでも抱えておくような事態はだんだん解消するというような見通しがあるのかどうなのか、その点だけ聞いて終わりたいと思います。時間がございません。また後日これはずっと続いてやりたいと思っております。その点だけ最後に聞きます。
  29. 高木賢

    高木説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、膨大な在庫をいつまでも抱えていいというふうに私ども考えているわけでは全くございません。できるだけ早く、現在製糸なり養蚕の側も稼働しておりまして、新しい糸がどんどん出てくるという状況にはございますけれども、そういうものと調整をとりながら、在庫をできるだけ有効に活用して出していく、こういう方針で臨みたいと考えております。  ただ具体的な計画といいますか内容につきましては、先ほども申し上げましたけれども、全体的にこの繭糸価格安定制度をどうするのかという検討の中の一環といたしまして、ただいま省内に設けました研究会において研究をお願いしておるわけでございます。早く結論を得まして、その中で在庫問題につきましても御回答いただきまして、私どもも適切に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  30. 浜西鉄雄

    浜西委員 質問はこれで終わりましたが、冒頭、私が責任ある立場の回答を求めて宿題になつておりますが、東亜燃料の三月決算、九百億円からもうけておる、このことと、新聞に報道されたことについての疑惑を晴らすべきだと私は思うのです。言ってみれば我々の任務は、物価というものの安定についてお互い日本経済の中に占めるいろいろな問題点を取り除く、新しい方法があればそれを設置するという任務だろうと思いますが、一番もとになる原動力である石油業界からこのようなことがなされるということについて、これは私は通産大臣にお伺いしたがったわけですが、おられませんので、この問題について近い機会に明らかにしてもらいたいということを再度つけ加えて、私の質問をこれで終わります。
  31. 金子みつ

    金子委員長 中村正男君。
  32. 中村正男

    ○中村(正男)委員 最初に河本長官に、公共投資の前倒しにつきまして若干お聞きをしておきたいと思います。  景気対策ということで、この前倒しについての是非、異論もあるようでございますが、具体的にどのようにされようとしておるのか、お聞きをしたいと思います。同時に、長官も御案内のように、景気の足取りは確かに上向いてはきております。しかし雇用の面から見てみますと一向に完全失業率は下がってないわけですし、とりわけ地方といいますか地域の失業率が非常に悪い。五十八年の十月十二月を見てみましても、全国平均では完全失業率が二・五%ですが、北海道では三・四、四国では三・三、九州、沖縄では三・三。したがって、この公共投資の前倒しを具体的に進められるのであれば、中央集中的な形よりも、むしろ思い切って地方にきめ細かな形での公共投資の前倒しをぜひ急ぐべきではないか、こう思うのですけれども、長官のお考えをお聞きをしたいと思います。
  33. 河本敏夫

    河本国務大臣 予算が成立いたしましたので、公共事業の執行をどうするかということについて、先般政府と与党との間で相談をいたしまして、前倒しの方針は決まりました。それじゃどういうように前倒しをするかということにつきましては今作業中でございまして、多分来週の火曜日、十七日ごろには具体的な内容が決定される、このように考えております。  基本的な考え方は二つございまして、一つは今お述べになりましたように、景気は大勢としては回復過程にありますけれども、地域によるばらつきが大変厳しいものがまだ残っております。それは、やはり長い間不況が続いておりましたということが一つと、それからもう一つは、第一次産業あるいは公共事業に依存しておる地域が相当ございますので、そういう地域では大変まだ厳しい状態が残っておりますので、当然そういうところをある程度優先的に考えていく必要があろう、こう思っております。  それから第二点は、ことしの日本の経済政策の一番の眼目は、やはり巨額の貿易の不均衡にどう対処するかということだと思うのですが、そのためには、個々の問題の解決も必要でございますが、マクロ経済政策をしっかりやって、国内の購買力を拡大していくということ、経済の力をもっと高めていくということ、それを進めませんと、日本の巨額の貿易不均衡が引き金になりまして、あるいは世界に保護貿易的傾向がさらに助長されるのではないか、こういう問題も残っておりますので、そういうことになりますと世界全体に大変悪い影響が出てまいりまするし、日本にとってもまた大変厳しい影響が出てまいりますので、何としてもマクロ経済対策をしっかりやる必要があろうと思います。その第一弾として公共事業の前倒しをしていく、こういうことについて相談をしておる、こういうことでございます。
  34. 中村正男

    ○中村(正男)委員 具体的には十七日に決める、こういうことでありますが、一部新聞紙上では予算の七五%を前に持ってくるというふうなことも報道されておりますし、そのことについて今の段階で言える範囲のことをもう少し具体的にお述べいただきたいと思うのです。
  35. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど申し上げましたように、目標が二つございますので、やはりできるだけ大量の前倒しをした方がいい、こう私は思うのです。ただ、一部には、前倒しをすると後半必ず補正予算を組まなければいかぬ、そうなってくるとまた財政上問題だという説もありますけれども、しかし、景気全体が力強いものになりますと必ずしもそういうことにはならないと私は思います。  御案内のように、昭和五十四年の経済というものは非常に力強いものになりましたから、公共事業は後倒しをする、翌年度に繰り越す、こういうこともございました。将来のことを心配する余り当面の対策を怠る、そういうことではいかぬと思いますので、先ほど申し上げましたような二つの目標がございますので、その観点において取り組んでまいりたい、こう思っております。
  36. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ぜひ前段の地域のばらつきに重点を置いた施策を実行していただきたいということを要望しておきます。  それから二つ目は、前回の私の質問の中で、とりわけことしは公共料金が軒並み上がる、特に三Kの健保、米それから国鉄、これは消費者に大変大きな影響を与えるということで質問したわけです。国鉄と消費者米価は今回の値上げでいつまでもつのかという質問をしたのですが、いささかあいまいな形で終わっています。きょうは国鉄の方からも来ていただいておりますので、ぜひひとつ明確に、この国鉄と消費者米価、六十年は値上げをしない、さらに六十一年も値上げはしない、こういうことをこの場で約束をしてもらいたいというふうに思うのです。
  37. 前田喜代治

    ○前田説明員 御答弁申し上げますが、国鉄は現在経営改善計画という計画をもちまして、収支の均衡を目指していろいろな努力を重ねているわけでございます。もちろん国鉄の企業努力というのが大前提になっておりまして、それに財政的な助成を前提にいたしまして、また物価等あるいは輸送の状況、競争関係というようなものを考慮いたしまして、ある程度運賃の方も配慮しながら収支を全うしようということで、現在その途上にございまして、全力を挙げて努力しておるところでございます。  先生のお話にもございましたように、ことしは運賃改正のお願いを今しているところでございまして、運賃につきまして今後六十年、それから六十一年という御指摘がございましたが、私どもとしてはやはり企業努力、諸般の情勢も随分変化しておりますので、弾力的に対応しながら企業努力をさらに進めるという前提に立ちまして努力を続けていきたいと思っております。運賃につきましても、やはり物価の動向、あるいは今回御承認いただければ値上げするということでその推移等を見守りまして、あるいは競争関係等も配慮いたしまして、これから弾力的に決めていくことだと思いますので、現在のところ、六十年、六十一年につきまして具体的にお答え申し上げかねるところでございますけれども、いずれにいたしましても、企業努力を前提にいたしまして競争関係等も配慮して対処してまいりたいと考えております。
  38. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 消費者米価のお尋ねでございますが、本年三・七六%引き上げをさせていただいたわけでございます。この米穀の政府売り渡し価格、取り扱いといいますのは、御承知のように食糧管理法の規定に基づきまして、家計費及び物価その他の経済事情を十分に配慮して決めるということになっておりまして、六十年、六十一年におきます。そういう意味での経済事情等については、私どもとしてもまだ十分な検討はしておりません。現在のところ取り扱いについては何も決めておらぬわけでございます。そういう意味で、今後家計費なり物価その他の経済事情を十分配慮しまして適切に対応していきたいというふうに考えております。
  39. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今の答弁ですと、前回と全く変わってない、極めてあいまいな答弁と言わざるを得ないわけですが、少なくとも公共料金を引き上げるということについては、一定見通しときちっとした計画性に基づいてやるわけですから、せめて翌年は上げないということを前提にして、それを国民に約束しながらお願いをするというのが筋じゃないかと私は思うのです。この点について、経済の総元締めである河本長官にぜひひとつ政府としてのお考えをお聞きしたいと思うのです。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府が経済政策を進めます場合に、一番重視しておりますのは物価でございます。したがいまして、物価政策という観点からは、特に公共料金の値上げに対しては厳しく対処していかなければなりません。ただ、米価につきましては逆ざやの早期解消、こういう問題もございますし、国鉄につきましてはやはり収支の採算ということもございますので、その点もやはりある程度勘案しなければなりません。しかし、物価政策ということが経済政策の根本でございまして一番大事でございますから、その点を十分勘案しながら対処してまいりたい、このように思います。
  41. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今までも公共料金については、とりわけ消費者米価、国鉄は少なくとも連続して値上げはなかったわけでありますから、もう来年は絶対値上げをしないという方向でぜひひとつ政府としても明確に態度を表明してもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  時間がありませんので、次へ行きます。  先ごろ農産物交渉が一応決着を見たわけですけれども一つ消費者にとって、今回の交渉で牛肉が毎年六千九百トンずつふえていく、輸入がふえていくということですから、当然この価格は下がる、こういうふうに期待をいたしております。その点についてまずお聞きをしたいと思います。
  42. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 御案内のように、牛肉につきましては畜産物の価格安定等に関する法律という法律に基づきまして価格安定制度をとっているわけでございます。民貿部分は除きまして、事業団が輸入するものにつきましてはそういう枠組みの中で市場に需給動向を見ながら出していくということになっております。ただ、私どもその価格安定制度を運用します指標となる安定帯価格につきましてはできるだけ抑制的に設定しておりますし、特にこ三二年ほどは諸資材が上昇する中で据え置きの方針をとってきております。そういう運用もありまして、牛肉の卸売価格、小売価格とも、ほかの物価は上がる、あるいは食料品価格は上がる中で相対的に安定して推移しておるわけでございます。  いずれにしましても、輸入牛肉につきましてもこういう安定価格制度の中で売り払い、市場に放出していくわけでございますけれども、そういう制度を適切に運用するということによりまして、名目価格自身を引き下げるということは率直に言いまして難しい点があろうかと思いますけれども、そういう据え置きその他の方針をとっておりますので、実質的な価格については相対的に引き下げになっているということで、消費者にとってもメリットはあるわけでございますし、今後ともそういう運用をしていきたいと思います。特に輸入牛肉につきましては国産牛肉に比べまして比較的安いというようなことになっておりますし、また指定店制度その他の活用にもよりまして、消費者にとってもメリットのあるような運用に心がけていきたいというように思っております。
  43. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今の答弁では、私の理解では下がらない、こういうふうに受け取らざるを得ないのですけれども、六千九百トンもの量が毎年ふえていく、当然消費者は下がるという期待をしておるわけですし、輸入肉については、こういう時期こそふえるものについては一〇%ぐらい輸入価格に上乗せをして一斉に放出をするというふうな思い切った消費者行政をぜひひとつやるべきじゃないか。価格が下がれば当然消費もふえてくるわけです。そうなれば国内の畜産農家についても大きな刺激になります。  さらに畜産物の飼料を大方アメリカの飼料穀物に頼っておる日本の現状からいたしますと、飼料穀物の輸入もふえてくるわけですから、アメリカにとっても潤うわけです。共存共栄になるわけでありますから、こういう農産物交渉が一応決着して、消費者がその結果我々にとってはどうなるのかと注目しているこの時期こそ、思い切った政策をぜひひとつ実施をしてもらいたいというふうに私は強く要求をしておきます。  それから、今回の結末との関連で、現在農産物の輸入が年間、総額で結構ですから今まで幾らになっておったのか。今回の交渉結果で額的には幾ら増額になるのか、数字でお答えをいただきたいと思います。
  44. 上野博史

    ○上野説明員 お答えを申し上げます。  我が国の農産物の総輸入額は、八三年の実績で見まして約四兆円、百六十七億ドル程度でございます。そのうちアメリカからの輸入が一兆六千四百億円程度ございまして七十億ドル弱程度のドル表示の輸入になっております。今回の日米決着によります輸入量の増加によりましてどの程度の額がふえるかということにつきましては、これは将来の話でございますから価格がどういうふうになっていくのか、あるいはレートがどういうふうに動いていくかというふうなことで的確に申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、最近の輸入価格あるいはレート等を用いて大ざっぱに計算をしてみますと、大体九十億円程度、ドル表示で四千万ドル程度のものではないかというふうに考えております。
  45. 中村正男

    ○中村(正男)委員 農産物全体でアメリカからは約七十億ドル、今回の交渉の結果でも四千万ドルしかふえない、こういうことを考えますと、今回の交渉そのものは、いわゆる日米間の貿易摩擦の解消にはそう大きな影響をもたらさないといいますか、逆にアメリカの方から言いますと数字的にはそんなに期待したものではない。先ほど言いました消費者にとってもプラスにはならない、値下げがない、農家にいたしましても先行き不安が増大をする。一体今回の農産物交渉というのは我が国にとってはどういうことなのか、何をもたらしたのか、政府の努力は大変だったと思うのですが、国民の側からすると一体我々にとってはどういうことになるのか、こういう率直な疑問があると私は思うのです。この点について河本長官に見解をひとつお聞きをしたいと思うのです。
  46. 河本敏夫

    河本国務大臣 金額的には、お述べになりましたようにせいぜい三千万ドルとか四千万ドルしかふえませんから極めて小さいものだと思います。これによって日米の貿易関係が改善されるというようなことは全然ない。ただしかし、この問題は長年政治問題として日米間の懸案になっておりましたので、金額は別として象徴的な問題になっておる、こういうことで、この問題が解決されたということは政治的な意味が大変大きかった、私はこのように思います。  ただ、お述べになりましたように、消費者の側から見れば牛肉が一向安くならぬ、何とかならぬか、こういう声も非常に強いわけですし、日本の農業の国際競争力をもう少し高めていく、こういう問題もございますから、今御指摘になった点は極めて重大な課題ばかりだと私は思います。アメリカ側もそういう問題を指摘しておりまして、もう少し安くならぬのか、なれば市場も拡大、需要も拡大するじゃないか、また解決の方法も出てくるじゃないか、こういう指摘もございますので、これからの大きな課題であろう、このように思います。
  47. 中村正男

    ○中村(正男)委員 やや私の期待しておったような答弁を長官の方からいただきましたので一応次に移ります。  今回の農産物交渉の結果、あるいはこれから論議が始まるわけですけれども電気通信事業法の改正の問題でいわゆるVANの自由化の問題、また金融の自由化、とにかくアメリカの方からの注文、アメリカの利益優先の政策の押し込みといいますか、そういうことが大変気になって仕方がないわけであります。ぜひひとつもっと日本立場日本国民立場に立った形でこれからも政策運営をお願いしたい。とりわけさらにこれから先端技術の開放の問題だとか、また工業製品に対するアメリカの保護主義が一層強まってくるということも懸念されますので、ぜひひとつ対等の立場での貿易、そういったことを強く進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。時間がございませんので、今回農産物の輸入をさらにまた増加するということに関連をして、食べ物の安全について二、三御質問をしていきたいと思います。  このように海外から長距離にわたって輸送して入ってくる食物、当然カビを防ぐような薬剤、さらには殺虫剤、薫蒸剤等々、有害な食品添加物や農薬、薬剤が使われるということになるわけであります。これは食べ物の安全性から見ても十分注意をしてかからなければならないと思います。ぜひひとつまず水際での監視体制の強化、これは厚生省の仕事だと思いますけれども、同時に相手国、輸出国のいわゆる安全管理という面についても強い監視体制をお願いしておきたいと思います。  輸入小麦の有機燐剤の汚染源、これが植物防疫所あるいは食糧事務所で大変問題になっております。有害とされるスミチオンだとかマラソン、こういった農薬については、日本の場合は国内に輸入された後は使っていない、こういうことですけれども、輸出国では当然これは貯蔵中に使われておる。国内に入りますと、メチルブロマイドというものが使われておるというふうに聞くわけですけれども、この点は事実かどうかお尋ねをしたいと思います。
  48. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答えいたします。  私どもは、国内で使われております農薬についての使用規制その他登録検査を担当しておるわけでございますけれども、海外から輸入されます植物にいろいろな病害虫が付着して我が国への侵入の機会をうかがっておるわけですが、そういった侵入、蔓延を防止するために、私どもは植物防疫法の規定に基づきまして輸入港で植物検疫を実施しておるわけです。こういった輸入検疫の際に、例えば先ほど先生御指摘の小麦等で害虫が付着していることが発見される場合があるわけでございますけれども、こういった場合にはこれを殺すために一定の消毒方法を講じております。  その場合には、臭化メチル剤その他の薫蒸を実施しておるわけですけれども、こういった薫蒸剤の安全性の問題につきましては、特にメチルブロマイドにつきましては、本剤は非常に揮発性が高いということで、消毒した後において短時日のうちに消失していくというようなことがわかっておりますので、その安全性については特段の問題がないというふうに考えております。
  49. 中村正男

    ○中村(正男)委員 日本で使われておる、国内で使われておるメチルブロマイドあるいは臭化メチルというものは、いわゆる食品衛生法上に定められておる食品添加物にはなってない、こういうふうに私は理解をするわけです。一方、輸入のレモンあるいはグレープフルーツに使われておるOPP、これはとりわけアメリカから強い要求で、アメリカのごり押しで、結果的に国内の法律上大変強い毒性があるにもかかわらず食品添加物に指定をした、こういう経緯があるわけですけれども、そういう法律上の建前を貫いていくのであれば、先ほど言ったメチルブロマイドも当然食品添加物に指定をしなければならぬじゃないか、こう思うのですけれども、その点はどうなのかお聞きをしたいというふうに思います。
  50. 市川和孝

    ○市川説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、食品の保存という点から見ますと、メチルブロマイドもあるいはOPPも目的とするところは同じではないかということになるわけでございますが、確かに農薬取締法によるもの、それから食品衛生法によりまして食品添加物として規制されているもの、両者があるわけでございます。私ども、直接食品に添加されるようなものにつきましては、食品添加物として従来からその使用基準等を設けて規制してきているわけでございますが、その両法の境界領域というような部分にありまして、農薬として既に登録されているというようなものにつきましては、その必要に応じまして、食品衛生法で今度は当該農薬の残留の限度の基準というものを設けまして、食品の安全を損なうことのないように対処するということでやってきております。  なお、境界の領域に関係する問題につきましては、今後とも農水省と連絡を十分密にいたしまして、食品の安全性ということが損なわれることがないようにしてまいりたいと考えております。
  51. 中村正男

    ○中村(正男)委員 農薬か食品添加物か、境界については大変あいまいなところがある、こういう答弁なんです。これは私は何もメチルブロマイドとかあるいは臭化メチル、大変危険性のある、毒性のおそれのあるそういうものを食品添加物にせよ、こういうことを言っているのじゃないんです。しかし、これはそういう法的な面で見れば明らかに食品衛生法に定められておる添加物には違いないんですけれども、そういう扱いがされてない。これはやはり毒性その他に心配もあるということから適用になっていない、指定になっていないと私は思うのです。  こういう農薬行政、食品添加物行政が今極めてばらばら、片や農水省関係では農薬取締法で規定がされておる。片や厚生省では食品衛生法あるいは毒物劇物取締法、薬事法、こういうもので管理されておる。環境庁へいきますと農薬取締法、水質汚濁防止法、建設省にもシロアリ退治の薬物の問題がありますけれども、こういう四省にわたって、農薬また我々国民の命に大変深いかかわりのある食品添加物がばらばらの中で行政が行われておるということに対して、今の境界線の問題もありますし、大変そこに不安を感じると同時に、行政のむだもあるのじゃないかというふうに私は考えます。ぜひひとつこのばらばら行政について一元化を図ってもらいたい。国民の命という面からすると厚生省に一元化して、とにもかくにも食べ物の安全性についてはもっと一貫した行政をしてもらいたいということをぜひ要望しておきます、時間がございませんので。  さらにそれに関連いたしまして、今までの農薬に関する毒性のデータですね、これはやはりすべて公開をすべきだ、消費者が安心して生活できるように公開をすべきだということを国会でも取り上げられてきたのですけれども、その辺が消費者にとって極めて不信の念をさらに強める今の状況になっております。幾つかの裁判結果もございますし、この際、今申し上げました情報の公開、農薬行政のガラス張りということについて、ひとつ前向きなお答えをいただきたいと思います。
  52. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答えいたします。  農薬の登録検査に当たりましては、申請者から薬効、薬害のデータあるいは毒性試験のデータその他、登録検査に必要なデータの提供を求めるわけでございます。とりわけその安全性に関するデータの問題でございますけれども、こういったデータは、農薬の登録申請者がその作成に当たりましては中立の毒性試験機関において作成したものでございます。その作成に当たりましては、申請者が総力を結集して長い年月をかけてつくっているということがございます。こういったデータは、いわば申請者が得ました貴重な財産だというふうに言ってもいいんではないかというふうに私ども考えております。したがいまして、その公表の可否につきましては、申請者みずからが判断することが適当であろうというふうに思っております。  なお、私ども農林水産省といたしましては、農薬の安全性を厳正に検査をするという立場からこういった毒性データの提出を申請者から求めておるものでございまして、検査以外の目的のためにこういったデータを私ども立場から発表する立場にはないというふうに考えております。
  53. 中村正男

    ○中村(正男)委員 確かにそれは一つの大変な作業工程あるいは研究工程があることは私は否定をいたしません。私が言っているのは、そういう研究過程の細かな、それこそ研究者なりあるいは企業の重要な秘密に属するもの、それを公開せよ、こう言っているんじゃないのです。厚生省が認可をした、許可をしたそういった農薬あるいは薬剤の結果的なデータの公開を求めておるわけですから、それは企業秘密に属するとかそういうたぐいではないというふうに私は申し上げておきたいと思います。  研究者の保護ということを強調されたわけですけれども、既に現在の国会に提出されておりますが、食べ物の安全性を大切にする政策を求める署名というのが、わずか四カ月の間で十万名も署名が集まっておるわけです。やはりそういう国民の農薬あるいは薬剤の危険性、食品添加物に対する懸念は非常に増大をしておるという見地に立つなら、私は厚生省としては、むしろ国民の側に立って前向きな政策を実行すべきだというふうに強くこれも要求をしておきたいと思います。今までの厚生省の答弁から、全然前進がないということに不満を強く表明をしておきたいと思います。  最後に、それとの関連で、これはもう簡単なことなんですが、また昨年八月二十七日に一挙に十一品目が食品添加物として指定されました。ずっと経年的に見てみますと、一時、昭和四十年当時はこの食品添加物の指定品目が減る傾向にあったんですけれども、昨年はこれが一挙に十一品目もふえる、こういうふうになったわけです。この中には、先般も論議されました大変有害性のあるアスパルテームというふうなものも含まれております。消費者にとっては、こういう食品添加物がふえるということは、ふえるたびに食生活の危険を感じるわけです。消費者にとっては何ら有益なものじゃないわけです。ぜひひとつこの十一品目を撤廃していただきたいということを要求し、またその考え方を聞いておきたいと思います。
  54. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  食品添加物の指定に当たりましての厚生省の基本的な考え方は、個々の食品添加物につきましてその安全性及び有用性が確認されたものに限って使用を認めるというものでございます。  他方、近年におきましては、加工食品が非常に普及をしてきた、それからまた食品の国際流通というものが非常に増大するなど、食生活環境が大変変化してきておるわけでございまして、このような背景のもとで、内外から指定の要望のありましたものにつきまして、昨年食品衛生調査会におきましてその安全性及び有用性につきまして御審議をいただきまして、指定して差し支えないという答申を得たものでございます。  なお、先生御指摘の中に、従来減る傾向であったというような御指摘もございました。私ども厚生省におきましては、例えば従来より使用実態のなくなったものだとか、あるいは新しい水準で安全性の再点検をやりまして問題のある治験が得られましたものにつきましては、従来から適宜見直しということを行ってきておるわけでございますが、昭和五十九年度におきましては添加物の使用実態調査の御予算をお認めいただきましたことから、今後年次計画的に添加物の使用実態等につきましても調査を行いまして、必要に応じまして適宜現行の使用基準等の見直しというようなことも行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  55. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、先ほどから農薬行政のばらばらな実態、さらにはその情報公開についての消極的な姿勢、今の食品添加物十一品目撤廃せよということに対して否定的な態度、消費者にとっては極めて不十分な厚生省なり農林水産省の態度だということを私は残念に思います。食べ物がいわゆる安全性よりも流通の便利さ、あるいは大量生産を追求してコストだけ追い求める、こういう風潮が極めて高まっております。こういったことに対して歯どめをかけるのが私は政府の側、監督官庁の役割だと思うのですけれども、私は一向にそういう姿勢が見られないということを指摘をして、あと二、三残されておりますが、質問については次回に譲って終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 金子みつ

    金子委員長 松浦利尚君。
  57. 松浦利尚

    ○松浦委員 時間が限られておりますから、簡潔に質問をさせていただきます。  まず資源エネルギー庁にお尋ねをいたしますが、先般三月二十五日のローカル報道でありますが、電力中央研究所が、我々国民にとっては全くの寝耳に水でありましたが、地下原発について特定の地域を指定をして研究をしておられたという事実が実は報道されたわけでありますが、そのことについてエネ庁は事前に知っておられたかどうか、そのことをお尋ねします。
  58. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えいたします。  事前には承知しておりませんでした。
  59. 松浦利尚

    ○松浦委員 この電力中央研究所の報告書によりますと、昭和五十四年度からエネ庁自体も地下原発について研究しておったということが記載をされておりますが、現実にエネ庁としては、地下原発について研究を進めておられるわけですか。
  60. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えいたします。  一般的な技術的前提条件に基づきます机上の検討はしておりますけれども先生おっしゃられたような具体的な地点についての検討はしておりません。
  61. 松浦利尚

    ○松浦委員 この電力中央研究所の資料によりますと、昭和五十二年からエネ庁がそういう地下原発について研究をすると同時に、中央研究所の方も着手した、こういうふうになっておるのですが、全く無関係に地下原発については研究をしておられるのですか。
  62. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えいたします。  通産省の研究は昭和五十六年までの研究でございまして、そういう意味で全く関係してないとは言えないかもしれませんけれども、いずれにしろ通産省としましては、電中研の研究について事前承知していたわけではございません。
  63. 松浦利尚

    ○松浦委員 ここに実は電力中央研究所の「研究結果報告書 終了報告」というのが私の手元に来ております。これをつぶさに調べてみますと、極めて具体的に記述がしてあるわけです。これを一々読み上げると時間がかかりますから主な部分だけを申し上げますと、「資源エネルギー庁で昭和五十二年より検討を始めている。当所においても「二〇〇〇年研究会」により昭和五十四年より地下立地の候補地域についての考察を実施し、」と、極めて具体的に五十四年から研究に着手したと書いてあるわけですね。こういうことがエネ庁とは全く無関係に一方的に行われるのですか。
  64. 谷口富裕

    ○谷口説明員 先生のおっしゃられる、個別の地点も含めました詳しい検討をやっているという点については承知しておりませんでしたが、地下立地についての検討をやっているということについては担当のレベルでは承知しておったということでございます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦委員 恐らくそうでなければ、これほど具体的に掘り下げての議論はできるはずがないと思います。  そこで、一、二質問をさせていただくのですが、ここで問題になりますのは、第Ⅰ期から第Ⅳ期に分けて、第Ⅰ期一九九一年、もうあと七、八年でありますが、一九九一年から二〇〇〇年の間にモデルプラントを建設をする、そしていろいろ地域、地盤、環境、断層、地すべり、そういったものをチェックをいたしまして、好条件の候補地を選定をした。そして、立型のモデルプラントの建設候補地、これは北九州市から百十キロメートルの地点に発電機を設置する。具体的には山口県の阿武郡。ここに発電電力量は百十万キロワットの五基、五百五十万キロワットを設置する。  それから、同じく横型方式のモデルプラントの建設候補地として、大阪という大都会から百六十五キロメートルの地点に発電機を設置する。百十万キロワットの四基、四百四十万キロワット、場所としては徳島県の海部郡。  それから、地下パッケージ方式のモデルプラントの建設候補地としては、名古屋から百三十キロメートルの地点、発電機の設置基数は六十万キロワットの二基、こういうふうにモデルプラントの設定地を極めて具体的に書いておるのですね。この地下パッケージ方式のモデルプラントは福井県の丹生郡。町名が若干違って報道されておる部分もあります。  ここの文書によると、大体そういうところに一九九一年から二〇〇〇年の間にモデルプラントをつくる。そしてそのモデルプラントができた次には、第Ⅱ期、第Ⅲ期という形で地下原発を設備していくんだという書類が既に出ておるわけですね。たくさんの地域から選定して、具体的に絞り込んでこの三地点が極めて好条件の地域だというふうにこれに書いてある。こういう事実について、エネ庁は全く御存じないのですか。
  66. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えいたします。  電中研で行いました具体的地点の選定につきましては、大まかな技術的あるいは経済的条件を想定しましてふるいにかけた結果、残った地点を挙げているということで、研究を具体的にするために具体的な地点を挙げていると了解しておりますが、いずれにしろ、個別地点についての詳しい話は通産省としては承知しておりません。
  67. 松浦利尚

    ○松浦委員 新聞で一部報道されておるように、三十八地点については地図から読み取れる場所ですね。ところが、今私が申し上げたモデルプラントをつくる三地点については極めて具体的に書いてあるんだ。今エネ庁が言われたようなそんな簡単なことでは、国民は納得しないと私は思うのですね。  御承知のように、この原発問題についてはいろいろな意見があります。賛成、反対いろいろな意見がある。しかし、御承知のように原子炉は三十年の耐用年数しかない。三十年たった原子炉をどのように撤去するのか。放射能を含んだ廃炉の原子炉はそのまま放置されておる。それをいかにして撤去するかについてエネ庁は今やっと研究を開始した。放射線に汚染をされたものについての投棄場所すらまだ決まっておらない。  アメリカでは、原子炉については既に通常の電力に比べてコスト高になったということで、原子炉の設備投資のスピードを緩めてきておる。そういう状況の中で一方的にこういうことが国民の知らないところで進んでいる。それは地下原子炉をつくれと主張する人もおるでしょう。しかし、国民が全く知らないところで、しかも具体的にこういうことがどんどん進行しているということは、国民にとって極めて不安です。  そういった問題について、本日はエネルギー庁長官の御出席を求めたのでありますが、法案の審議の関係で御出席はありません。公益事業部長さんですか、エネルギー庁を代表して、この問題についてどう対処されるのか、現実にここまで明るみになってきておるこの内容についてどうされるのか、そういう方針について明確にお答えいただきたい。
  68. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘の電中研の調査研究というものは、かなり初期段階調査研究と資源エネルギー庁も理解しておりまして、具体的な地点についての議論もその研究の過程で行われたことは承知しておりますが、資源エネルギー庁としては、その具体的な地点についてオーソライズをするようなこともございませんし、まだまだそこまで、その地点の議論を具体的な実施の問題として議論するような段階でもないと承知しております。したがって、電中研が独自にこの個別地点について初期段階調査として検討したものと理解しておりまして、資源エネルギー庁の指導のもとに、あるいは資源エネルギー庁がその地点の議論をオーソライズするという意味合いにおいて議論をしたものとは考えておりません。  今後の問題としては、まだまだ研究調査段階のテーマだと心得ておりますので、今後そういった問題については慎重に検討していくことにいたしたいと考えております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦委員 しかも、より具体的に実験を進めようとしておるのです。最後の締めくくりでは、「地下立地に際しての建屋および原子炉機器配管系および地下空洞の耐震安定性の研究および岩盤評価の研究」をこれから検討していく。全地域でこういう実験をするということは恐らく不可能であります。結局、絞り込んだモデルプラントをつくる三地点について、これから建屋なんかの問題について研究を加えると最終報告書に書いてある。こういう点について、これからも資源エネルギー庁は研究をどんどん進めさせる、そういうお考えなのかどうか、そのことが第一点。  それから、こういう問題で情報を持っておるのは政府側です。情報というのはすべて政府に集まってくる。ところが、その情報を知ろうとしても国民の側は知れない。全く国民の知らないところでこういう研究なり、こういうことがどんどん進んでいくということは、これから情報社会になればなるほど国民の側にとっては非常に危険ですね。この二つの問題について明確にお答えいただきたい。
  70. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず、この電中研の調査研究というものは、きっかけとして、資源エネルギー庁の調査を見た上で始めたものではございますが、あくまで電中研自身の独自の調査研究として進めておるものでございまして、資源エネルギー庁の指導のもとにやっておるものではございません。そういう意味で、電中研が独自の立場で研究を続けること自体について、資源エネルギー庁としてそれを差しとめるとか、そういった介入をすることは適当ではないと考えております。ただ、資源エネルギー庁といたしましては、まだ具体的な地下立地地点を実施の問題として議論していくような段階ではないと考えておりまして、そういった問題に入る前に、まだ調査研究というもの、技術的な問題、経済的な問題をしっかり勉強していくことが大切だ、このように理解しております。
  71. 松浦利尚

    ○松浦委員 調査研究をすることについて否定はいたしません。しかし、ここに書いてあるように、具体的に一つの地点を絞り込んでやることについて問題があるわけです。結果的にここにできるかもしれない。そのときになってエネルギー庁はいろいろ言ってみたって、初めから計画的にやったんじゃないか、こういう批判が出るだけです。  問題は、絞り込んでなぜこういうことが行われておるのかということが問題なんです。学術的に、一般的にいろいろ研究をなさるのは自由ですよ。大都市から離れてどれぐらいのところに原子炉をつくろうというような、そういう議論ならいいです。しかし、北九州市から何キロ離れたところにつくるというような、それはもう研究という枠組みから出ておりますよ、明らかに。非常に国民に不安を与えるのです、こういうのは。そういう点は、電力中央研究所に対してもう少しエネ庁としての指導力を発揮してもらいたい。その点について明確な御答弁をいただきたいと思います。  なお、私が手元に持っておるこの資料は、エネ庁は御存じありませんか、その二つについて……。
  72. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず、後の御質問の方の、その報告書そのものを入手しているかという点は、実は入手しておりません。あらましについては聞いております。  それから、個別の地点について議論をすることは穏当ではないではないか、指導をすべきではないかという御指摘の点でございますが、電中研の調査研究があくまで机上研究であるということで、その机上研究とじての個別地点の議論であったかと理解しております。ただ、御指摘の点を考えながら私ども判断いたしますのは、その机上研究での個別地点の論議が、あたかも具体的な立地の問題として地点につき言及することがあって、実施段階の問題のごとく世上誤解を与えることはあってはならないと思いますので、そういった点については資源エネルギー庁といたしましては十分指導、注意してまいりたいと考えております。
  73. 松浦利尚

    ○松浦委員 こればかり議論しているわけにいきませんが、ぜひ電力中央研究所にこの研究結果報告書、これを直ちにエネ庁は提出を求めて、この三つの地点に具体的に立地まで絞り込んでモデルプラントをつくろうとする、しかも建設期日までも決め込む、こういった問題について、電力中央研究所の見解、同時にこれに対するエネ庁の見解、これを早急にまとめていただいて、本委員会に提出をしていただきたい、そのことを最後に要求したいと思います。委員長の御配慮をお願いします。
  74. 金子みつ

    金子委員長 資源エネルギー庁、よろしいですね。
  75. 小川邦夫

    ○小川政府委員 今の御指摘の点につきましては、ただいま答弁申し上げましたように、個別地点の研究調査とはいえども、個別地点の論議があたかも具体的な立地の問題のように誤解を招くようなことがあってはならない、そのような指導はいたすことをここで確約いたしたいと存じます。
  76. 松浦利尚

    ○松浦委員 それでは、私の言ったことについて委員長の方で御配慮をいただきます。後刻理事会でお諮りください。
  77. 金子みつ

    金子委員長 はい、わかりました。
  78. 松浦利尚

    ○松浦委員 それでは次の質問に入ります。  次の質問は、御承知のように、九電力会社の年度別利益率一覧表を見てまいりますと、先般武部委員からも指摘があったそうでありますが、五十八年度で、予想決算でありますが、経常利益が九千三十億円見込まれておるわけであります。大変な経常利益であります。税引き後の利益にいたしましても四千二百五十億、相当なものであります。  五十五年度からずっと計算をしてまいりますと、五十五年度で九電力会社の経常利益が一兆八百十億円、五十六年度の経常利益が六千二百二十一億円、五十七年度の経常利益が六千百四十一億円、これは確定であります。そうすると、五十八年度が予想で九千三十億円、これは大変な利益率であります。こういうふうな利益を得ておるということは、当然事業法第十九条の供給規程の第二項の一、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」ということから見ていかがなものか、その点の質問が第一点。  それから第二点は、第二十三条の供給規程等に関する命令及び処分、「料金その他の供給条件(次項の規定による変更があったときは、変更後の供給規程又は料金その他の供給条件)の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。」ですから、九電力会社が余りにも膨大に利益を上げたときにはこの事業法によって料金を下げなさいという是正勧告ができる、そういう条文もあるわけでありますが、こういう利益についてこのまま放置されるおつもりですか。
  79. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘の十九条に言う「適正な利潤」であり、あるいは二十三条の命令発動要件に当たるかということは、今御指摘のようなこの経年の利益状況がそれに該当するかどうかでございますが、私どもの判断といたしましては、経常利益の実数で申し上げますと、ただいま先生が御指摘のとおり、五十五年の一兆円、五十六年、五十七年の六千億円台ということはまさに実績でそのとおり出ておるわけでございます。五十八年につきましては、これも先日の御質疑にございましたように、新聞報道等では経常利益ベースで九千億前後だと言われておりまして、私どもとしては大きくそれを外れることはないだろうと申し上げたわけでございます。  これらを総じまして、実は実数で大きく見えましても、この経常利益から御案内のように法人税が相当額払われなければいけません。安定的な資金を確保するための一定配当をここからしなければならない。それから諸準備金、渇水準備金とか税法上の諸準備金をここから引く。こういったものを差し引いた残りの配当、税引き後の利益というものは、この数年間の趨勢で申し上げても必ずしも大きくない。具体的には、五十五年度は利益が大きい年でございましたが、売上高利益率で言えば三%を下回っておりますし、五十六、五十七年度のそういった配当、税引き後の利益の売上高の比率では○コンマ以下のパーセントになっておる、こういうことでございます。  ただ、五十八年度は御指摘のように大きくなってきておるということでございますが、これもやはり今のような税配当、諸準備金を差し引きますとそれほど大きな額にはならないものと見ております。  それでも利益は利益で出るではないかということは残るわけでございますが、この場合にやはりある程度先行きの電力の収支というものをにらみながら利益水準を判断することになるわけですが、二つのポイントがございまして、一つは、資本費増が年々二、三千億規模でふえていくということを中心にコスト増の趨勢にあるということを踏まえなければならない。もう一つは、非常に諸要因の不確定な要素がある。例えば為替レートが十円円安になれば千二百億円の欠損につながり、原油価格が一ドル上がれば千億の収支悪化につながる等、非常に不確定要因があるということがございまして、それへの備えということも必要でございます。  そういったことを考えますと、もちろん五十八年度の決算が出ておりませんので最終的なことはその決算が出たところでの判断ではございますが、現時点での私ども考え方としては、今のような利益レベル、先行きの見通しを総合的に勘案いたしますと、適正水準を逸脱しており、あるいは二十三条に規定する「著しく不適当」な料金水準だというふうには考えにくいという判断をしております。
  80. 松浦利尚

    ○松浦委員 時間がありませんから、要点だけ簡潔に御答弁いただきたいと思うのです。  河本長官は経済担当大臣でありますし物価担当大臣でもありますが、実は五十三年十二月に料金制度部会中間報告を出しておるわけであります。その内容というのは、次のような検討内容になっておるのです。「過大な利益が長期間発生する場合には、準備金を積み立てる一方となり、かなりの期間取崩しが行われないこととなる。このような場合には、原則として料金の見直しを行う必要があり、準備金の積み立てのみで対処するのは適切でない。」こういう中間答申があるのです。  これは実は昭和五十七年にエネ庁が指導して電力会社の利益から別途積立金として一千七百三十五億円置いておるわけです。ですから、今度さらに利益率がアップをしてまいりますと、またこのように別途積立金で積み増して、別途にエネ庁が指導する、そういうふうにして料金の安定化に即しておるわけでありますが、ここに注としてこういうことが書いてあるのです。要するに準備金というのは料金の安定を目的とするというその趣旨からして無税であることが望ましい、五十三年十二月の料金制度部会中間報告に出ておるわけです。  ですから、例えば今ここに今年度の見込みとして九千億円の経常利益が見込まれる。これに法人税その他税をかけますと四千二百五十億円の純利益ということになるのですが、この九千三十億円と五十七年に別途積み立てておる一千七百三十五億円、これを別途積み立てで、将来石油の値上がりがあったとか料金の改定をしなければならぬという状況が来たときに取り崩して、その部分料金値上げがないように地ならしをする、そういう方法をやったらどうかということもこの料金制度部会中間報告で出されておるのです。  かって料金を上げたから、たくさんもうかったから消費者に還元せよということで、結果的に一戸当たり二百円か三百円程度料金が返ってきた。結果的には、後から考えてみていろいろ反省させられた経過もあるのですが、バレル当たり五ドル石油が下がってきて、しかもこれから上がる要素というのがない状況の中で、これから九電力会社の利益がこれ以上さらに増大をしていくことはあり得ることだと私は思うのです。ですからこういう意味で、無税の別途積み立てという形で、準備金という形で将来の料金値上げを抑える、そういう運用に資する、そのことはこの中間報告一つの有効な提案だと私は思うのですが、そういう問題について大臣どう思われますか。
  81. 河本敏夫

    河本国務大臣 エネ庁はまた別の角度から御意見を持っておられると思いますが、私は物価政策とそれから経済政策、こういう見地からお答えをしたいと思います。  昭和五十五年に大幅な電力料金の値上げをいたしました。約五割の値上げをしたのですが、そのこと自身物価に直接に及ぼした影響は消費者物価約一%の上昇でありますけれども、間接的にははかり知るべからざる大きな影響を産業界全体に及ぼしたと思います。産業界全体の採算の悪化等もございまして、五十五年以降四年間の不況の一つの大きな原因になっておる、こう思うのです。  そこで、やはり電力料金というのはすべての産業の採算の一番の基礎になる問題でございますから、できるだけ長くこの料金体系が据え置かれるということは大変望ましい、こう思います。それから、仮に万一上がる場合でも、物価に悪影響が及ばないような配慮が必要だ、私はつくづく昭和五十五年の大規模な値上げからそのことを痛感いたしております。そういう意味におきまして、今御指摘の、電力会社が利益が出ても、これをすぐに消費者に還元しろ、二百円か三百円還元しろというような議論は私は今度は出てこない、こう思います。昭和五十三年の大きな失敗はそこにあったと思うのです。  やはり、あのときにある程度積み立てをしておきまして、そしてそれを別の形で消費者に還元をする、そういう形にしてもらえば物価政策も非常によかったと思いますし、それから産業界全体にも大きなプラスになった、このように思います。ですから、税金の問題につきましてはここでにわかに答えられる問題ではございませんので、ここではお答えは差し控えたいと思いますけれども、積立金という問題につきましては、今申し上げましたような物価政策と経済政策、そういう観点から大局的な判断が望ましい、私はこのように思っております。
  82. 松浦利尚

    ○松浦委員 将来の電気料金を長期間安定的に据え置くという意味からも、今大臣が言われましたように、一定期間抑えておくという御配慮をこれからぜひお願いしたいというふうに申し上げたいと存じます。エネ庁は御意見があるでしょうけれども物価担当大臣がお答えになったことですから、そういうふうにエネ庁の方も御理解をいただきたいというふうに思います。  次いで、実は大臣は次の総裁選挙等の一つの中心的な立場におられる方だと私たちは理解をしておるわけでありますが、先般参議院の予算委員会におきまして、昭和五十九年二月八日に決定をいたしました五十九年度の経済見通しの上方修正を示唆なさったわけであります。そうすると、この上方修正をしなければならない最大の理由というのはどこにポイントがあるのか。例えば国内需要の中の民間需要、公的需要にあるのか、あるいは経常海外余剰にあるのか、こういった問題について、どこが従来の見通しと違ったから上方修正をしなければならないようになったのか、その点について具体的にお答えを願いたいと思います。
  83. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず前提として申し上げたいことは、今世界経済の激動期でございまして、世界経済は激しく動いておる、私はこう思うのです。そこで、日本のみならず世界各国が年度の途中におきましてたびたび経済見通しの変更をいたしております。アメリカも御承知のように昨日、一九八四年度、昨年の十月からことしの九月までの経済見通しを五・三%から五・九%に上方修正をしております。日本も世界経済の中にあるわけでございますから、やはり世界経済全体の動きから大きな影響を受けております。  それで、今御質問のように、先般参議院で、五十九年度の経済成長見通しは去る一月に決めたばかりですけれども、最近の世界経済の動きや日本経済の動きから見て上方修正の可能性あり、こういう趣旨のことを答弁したことは事実でございます。その場合に、やはり一番大きく動くと思われますのは、経常収支とそれからもう一つは民間の設備投資、このように理解をしております。
  84. 松浦利尚

    ○松浦委員 大臣はこの前の予算委員会で、公共事業の前倒しをやる、景気刺激の一つの方法として前倒しをやる、こういうふうに御答弁なさっておられるわけであります。これは経済企画庁が出された四半期別の国民所得統計速報でありますが、これを見ますと、前倒しをいたしました五十七年度の前半は確かに公的需要が伸びるのですけれども、前倒しをしてあとつなぎをいたしませんから、十月、十二月になると景気が、公的需要が落ち込むという、結果的に、前倒しをしたばかりに後半には息切れがくる、国内の状況はこういう状況なんですね、前倒しをいたしましても。  そこで、実はもう時間がありませんからはしょってお尋ねをいたしますけれども、このOECDの経済見通し、これも経済企画庁の「ESP」の八十九ページに記載をされておるのでありますが、経常収支の一九八四年度の状況、世界各国、OECD加盟国の主要各国の状況を見ますと、日本の経常収支の黒字が三百十五億ドル、OECD全体の赤字が四百十七億ドル、ですから、逆に言いますと、OECD各国の赤字を全部日本が吸収してしまっておる、そういう状況になっておるわけです。  ですから、上方修正をなさった中で、経常収支が当初見積もりよりも大きくなる、これも五十九年四月六日の日経ですけれども、経済企画庁の首脳の方は、経常収支が三百五十億ドルになるかもしれないという予想を出しておられるのですね。そうすると、経済摩擦というのはむしろ五十九年になればなるほど加熱をしてくる。ところが一方で国内の景気というのは、内需というのは、公共事業の前倒しという政策があるだけで、輸入を促進するための、輸入を拡大するための内需拡大政策というのは出されておられないわけですね。  ですから、そういった意味で輸出も伸びるが輸入も伸びる、内需も拡大をするという、バランスした五十九年度の経済運営がどうしても必要だ。牛肉やらオレンジの輸入をしてみても一億ドルにもならない、わずかな貿易収支の改善にしか資さないわけですから、私は、そういった意味で、この予算編成前に経済企画庁長官が言われておった、まさしく補正の中で公共事業前倒しに対する後半の対応、同時に、今年度の予算は景気に対してはゼロであるということを予算委員会で言っておられます。ガソリン税の一・二%の値上げから言えばマイナスに作用するかもしれない今年度の予算であります。  そうなれば、経済摩擦を解消する唯一の内需拡大政策、それはまさしく長官の言われておる大型減税だ、こういうふうに私は思うのです。それがなければまた大変な経済摩擦が、後半、大統領選挙を直前にしてくるのじゃないか、そういう気がしてならないのですが、この際思い切って大臣の言われる減税政策、公共事業前倒しの補充、そういったものについてひとつ大臣としてのお考え方をお示しをいただきたいというふうに思います。
  85. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしの経済政策の中で一番大事な点は、貿易の拡大均衡をどう維持していくかということだと思います。このままほっておきますと、やはりアメリカの経済が大変な勢いでよくなっておりますし、ヨーロッパその他の経済もある程度よくなりつつありますので、ほっておけば貿易の黒字は政府の予想よりもふえる――ふえるとは言い切れませんが、ふえる可能性は非常に大きい。  それから経常収支の黒字幅もふえる可能性が非常に大きい。ひいてはこれが世界の保護貿易的傾向を助長いたしまして、自由貿易体制が阻害される、こういうことにもなりかねない。そうなってきますと、世界の政治経済に与える影響は大変なものがございまして、日本経済にも非常に大きな暗雲が漂う、こういうことにもなりかねないと思います。  そこで、その問題の解決のためには一体何が必要かということは今お述べになりましたが、個々の問題の解決ももちろん大事なんですけれども、個々の問題を全部解決いたしましても、それによって国際収支の改善される額というものは大変小さい。やはりその後には大規模な黒字対策をどうするかという問題が、自由貿易体制を維持するという問題との関連において当然起こってくると思います。特に、最近ECからは八項目の日本に対する要求が出ておりますが、その中で、マクロ経済対策を一体どうするんだ、こういう要請も出ております。私は、個別問題が解決をいたしますと、アメリカからもマクロ経済問題が当然出てくる、このように思います。  そこで、一体国内の対策として考えられるのは何かといいますと、要するに減税問題、それと金融政策、それから公共事業の取り扱いをどうするか、この三つが大きな柱だと思います。  昨年の九月、臨時国会の堅頭で、与党と野党との間で、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をするということが協定されまして決まりましたが、これは私はすばらしい協定だ、このように大変期待をしておったのでありますが、残念ながらそのような内容にはなりませんでした。五十八年からというのですから、昨年の十二月までにそういう対応ができると強く期待しておったのですけれども、現実にはできておりませんし、五十九年も増税、減税同時施行ということでありますから、効果はゼロとは言いませんが、この減税の効果は非常に小さいものになっておる、こういうことであります。そこで、公共事業の前倒しだけではそんなに大きな効果は出てまいりませんので、やはり何らかのもう少し規模の大きい強力な景気対策というものが必要でなかろうかということは、もう御指摘をまつまでもないと私は思います。  そこで、減税問題はついこの間決まったばかりでありますから、また直ちにもう一回やり直すというわけにはいかないと思います。しかし私は、できるだけ早く今の税体系を抜本的に見直すという作業をしていただいて、その過程でやはり大幅な減税問題をできるだけ早く取り上げてもらいたい、このように経済政策の立場から強い希望を持っておりまして、先般大蔵大臣や自由民主党の政策責任者にそういう提言をいたしまして、至急に作業をしてもらいたい、こういうことを言っておりますが、いつからこれがスタートできますか、あるいはどういう結論が出ますか、それに対しては私も大変大きな関心を持っております。
  86. 松浦利尚

    ○松浦委員 もう時間が来ましたから最後に一点だけお願いをしておきますが、実は過去に経済摩擦というのが今度のを入れて三回あったわけです。昭和四十六年、四十七年、例のニクソン・ショックでありますが、このときには幸いなことに第一次石油ショックというのがあって経済摩擦は消えた。五十二年、五十三年にまた貿易摩擦がぐわっと出たのですが、これまた第二次石油ショックで幸い貿易摩擦は消えた。ところが、今度はそういう神風的な、対外的なものが何にもない状況下でありますから、神風が吹かない。要するに、経済担当大臣、河本長官が今言われた、政府みずからの力で経済摩擦を解決する以外に方法がない状況に来ておると思うのです。過去の例は二回とも神風が吹いたわけですから、ぜひ大臣の御健闘を期待いたしたいと思います。  それともう一つは、実はこれは総裁選挙に出られたときに長官が出された本なんですが、この中に非常におもしろいと言えば大変語弊がありますが、こういうことが書いてあります。今非常に食糧不足で飢餓状態で、餓死状態になっておる、世界各国たくさんの人たちが餓死状態におる、ですからそれに食糧を供給しなければならぬ、その食糧を供給する力を持っておるのはアメリカであり、カナダであり、オーストラリアだ、ですからそういうところに日本が、契約栽培ではありませんが、アメリカの農家に援助用の農産物をつくってもらって、それを援助としてそういう飢餓状態にあるところに出す、そうすればアメリカの農家も助かるし、日本の農家も何もアメリカから農畜産物が入ってこなくていいわけでありますから、そういうことをしたらどうだろうかということがここに書いてあるんです。この二つについて大臣の御見解を承って終わります。
  87. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは最近の国連の調査で、世界の飢餓人口、栄養不良に陥っておる人口が全人口の約一割ある、さらにまたその一割の人が毎年餓死しておる、その三割が子供である、こういう報道がございまして、最近いろいろな報道を見ますと、餓死寸前の子供たちの写真がたびたび出ておりますが、本当に目を覆うばかりだ、こう思います。  国連の報告を見ますと、ざっと四億五千万の人が飢餓状態にあると言っておるんです。そこで私は、実は二年ばかり前に農林省にお願いしまして、この飢餓状態にある人たちの食糧問題を解決するのにはどれぐらいの食糧が必要かということを検討してもらいましたところが、八千万トンの食糧があればよろしい、しかしそのうち一千万トンはいろいろな国際機関があって援助をしておりますので、残るところは約七千万トンだ、こういうお話がございました。七千万トンの生産に必要なお金は幾らぐらいですかと聞きましたところが、約百六十億ドルぐらいだ、こういうお話でございまして、七千万トンの食糧の生産の余力は世界にありますかと聞きましたところが、それはアメリカ一カ国でもやろうと思えば十分できます、こういうことでありました。  翻って、一方で軍備の拡張競争が進んでおりまして、これも国連の最近の発表によりますと、世界の軍事費は八千億ドルである、このように言われております。せいぜいその二%があれば先ほどの食糧問題が解決いたしますので、私が言いましたのは、日本一カ国だけでそれをやれと言ったわけではございませんで、主として世界の先進国がこの問題にもっと関心を払うべきではないか、もし世界の政治家が、何千万という餓死者が毎年続いておるのを指をくわえて見ておった、何もしないで軍備の拡張だけをやっておった、こういうことになると、これは後世の歴史家がどういう評価を下すか、そういうことを考えると、この問題についてもっと真剣な検討をしたらどうだろうか、やろうと思えばやれない問題ではない、こういう提案をしたといういきさつがございます。
  88. 松浦利尚

    ○松浦委員 ありがとうございました。終わります。
  89. 金子みつ

    金子委員長 宮地正介君。
  90. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣が所用で十二時四十分にはこちらを出られるということでございますので、総括的に大臣に最初に御答弁をお願いしたいと思います。  私は、きょうは初めに、先物取引のいわゆる悪徳商法の問題について少し議論をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。との問題につきましては、既に国会におきましても各委員会などで何度か取り上げられてまいりました。そういう点で国会としても今後十二分に監視をし、対応をしていかなくてはならない、このように思っております。特にこの先物取引によりますところの被害、この発生が、過去三年間見てまいりますと、年々ふえ続けてきているわけでございます。例えば、五十六年におきましては二百九十三人、十五億六千百万、また五十七年におきましても四百十四人、十九億二千七百万、五十八年におきましても五百五十九人、二十三億六千四百万、そしてこの被害の実際の中身も、我々この物特委員会におきまして消費者保護の立場から考えてみますと、まことにゆゆしき事態が発生をしてきております。お年寄りとか御婦人とか、余り知識のない弱い立場の方に非常に問題がふえてきておる。  特に、その中におきましてもいわゆる現物まがいの悪徳商法、これがまた際立ってふえてきておりまして、先ほど申し上げました被害の状況などの中でも現物まがい、御存じのとおり特に金とかパラジウムなど、こういうものを見せて、実際は証書の紙つぺら、ペーパーで対応する。特に、大阪に本社のある豊田商事などが最近は悪らつな商法をしておる。また、そうした豊田商事の分裂した企業も非常に発生をしてきておりまして、さらにそうした悪徳商法が全国的に今急激にふえ続けてきておる。  そういう中で、この三月二十四日に大阪地検に対しましても既に告訴、正式なといいますか、大衆の告訴も取り上げられ、大変に大きな社会問題となっているわけでございます。さきにこの物特におきましても、いわゆるネズミ講防止法という法律を議員立法によってつくり、ネズミ講のああした社会問題化したやり方に対して、国会が立法府としての良識と権威を国民に示しまして大変に評価を受けたわけでございますが、特に私は現在急激なスピードで発生してきておる先物取引による悪徳商法、なかんずく現物まがいの悪徳商法について大変ゆゆしき事態である、本格的に政府としてもこの問題に取り組んでいかなくては大変な社会問題になるのではないか、こういう危惧をしているわけでございますので、きょうは関係省庁の皆さんにおいでいただいておりますので、具体的なことはこれから詰めてまいりたいと思います。当然長官としても、特に消費者国民生活を守るというお立場の経済企画庁の最高責任者でございますので、こうした問題についても十二分に理解と、また状況については御知識をお持ちと思いますが、この問題についての長官の御決意、今後に対する御見解、こういうものをお聞かせいただければありがたいと思っております。
  91. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘の事実は、まさにそのとおりだと思います。これは、国民生活それから消費者立場を守るという政府の政策から考えましてもゆゆしき事態だと思いますし、しかも、その傾向がますます顕著になりつつあるということでございますから、政府といたしましてもこの問題を何らかの形で至急前向きに解決をしなければならぬ、対応しなければならぬ、このように考えておりまして、関係省庁と至急相談をしたい、このように思っておるところでございます。
  92. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、きょうは大変重要な会議と伺っておりますので、どうぞこれでお引き取りいただいて結構でございます。  さて、きょうは本会議が二時からということでございまして、昼食の大変重要なお時間を皆さんにおいでいただきまして議論するのは私も若干気が引けるわけでございますが、現在は国政の重大なときでございますので、皆さんに御理解と御協力いただきたい。今大臣から非常に前向きの決意、見解を伺いました。そこで、まず金の問題についての現物まがい商法については、担当はまず通産省のエネルギー庁鉱業課でございますが、先ほど私の手元に入りました皆さんからいただいた資料によりますと、消費者相談件数は、五十七年度におきましては全体として六千四百五十八件、その中で金にかかわる件数が六百六十七件、全体に占める割合が約一〇・三%、金にかかわる相談の金額は約十七億七千四百八十九万円、五十八年度におきましては消費者相談件数が七千十三件、金にかかわる件数が一千五十件、全体に占める割合は一四・九%、金にかかわる相談金額も二十三億二百五十万円、こういう御報告をいただいたわけでございますが、数字的な面のみならず、具体的にその中身は果たしてどういう内容の御相談になっているのか、この辺をもう少し御説明いただきたいと思います。
  93. 牧野力

    ○牧野説明員 通産省の消費済課長でございます。  私どもの方では、本省及び各通産局に消費者相談の窓口がございまして、今御指摘のとおりの件数で相談に応じておるわけでございます。金の現物まがいの取引につきましても、今御指摘のような件数でございます。  この相談の内容でございますが、金の売買契約と同時に金の賃貸借契約を締結し、現物は企業が預かってそれを運用する、運用益と称して価格の一〇%を前渡しし、あるいはその解除になかなか応じないというような契約がなされておるようでございます。  そこで、主な相談の具体例でございますけれども、例えば、契約はしたけれどもどういう会社か、信用できる企業かどうか、あるいは一年間預ける、こう言われておるけれどもそれは大丈夫かどうか、こういったケース、あるいは契約書にサインしたらその取り立てが非常にしつこい、これはどうしたらいいかとか、あるいは解約に応じてくれないとか、それから、解約をいたしましても三〇%という非常に高い違約金を取られて困っておる、あるいは一年間経過した場合には返金すると言ったにもかかわらず返金してくれない、強引に契約を更新させられて非常に困っておる、こういったケースが大半を占めているということでございます。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 具体的に先ほど申し上げました豊田商事株式会社、この会社の概要とこの会社が行っている商法のやり方、これについてはどのように行政指導をされておるのか、その点について伺いたい。
  95. 牧野力

    ○牧野説明員 今御指摘の企業でございますが、私どもといたしましては特に調査をいたしておりません。ただ、同社発行のパンフレットによりますと、豊田商事株式会社、五十三年七月の設立、資本金は二億五千万円、本社は大阪、東京、代表取締役は永野一男氏、事務所は七支社四十六事業所、従業員が五十八年七月現在で五千六百八十二名、年商は五十七年の実績でございますが三百五十億円、こういうことがパンフレットに書かれております。  行政指導云々でございますが、私どもといたしましては、こういった現物まがいの商法に消費者がひっかからないということが一番大事でございますが、そのためには信用ある、信頼できる企業を糾合いたしまして日本金地金流通協会、これは社団法人でありますが、こういったものをつくっていただいて、そこでしっかりした買い物をしてもらう、こういうことを指導しているわけでございます。なお消費者に対しましては、現物を現金で買う、それからこういう信用ある企業から買うというようなことを極力PRをしているところでございまして、豊田商事そのものに対しまして特別に行政指導は行っておりません。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 この会社は金はどのくらい持っておるのでしょう。
  97. 牧野力

    ○牧野説明員 個別の企業に対しましては、金をどのくらい保有しているかどうかということは、当企業も含めまして私どもとしては掌握をしておりません。明確に掌握はしておりませんが、ただ我が国におきます金地金の現物の流通の大部分を扱っております、先ほど申し上げました日本金地金流通協会の会員企業でございますが、こういった企業がいわゆる御指摘の現物まがいの商法を行っている業者と取引をしているということは聞いておりません。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 年商が昭和五十七年度で三百五十億円ある、しかし今のお話ですと、この日本金地金流通協会、これは登録店の制度ですが、そこにはこれは入っていない。ですから当然になかなか把握ができない。三百五十億の年商があれば、大体三百億で十トン金を保有してなければおかしい、普通の単純計算で。ところが、通産省としては立ち入り権もないというようなことも恐らくお考えの中にあるのでしょう。しかし、行政指導という立場から、三百五十億円のこれだけのいわゆる年商があって、現実に十トン近い金が動けば、これはもうすぐにだれの目でもわかるわけです。ところが実際は動いている気配はない。しかし、消費者の方ではペーパーでもって金が実際に動いているような状態で悪徳商法に遭って被害が続出している。  そういうような中で通産省は代表を呼んで、現在起きている実態の中から、まず金はあなたのところはどうなっておるのだ、あるいは現在の悪徳商法に対しては、非常にこういう被害の実態が多いが、実際としてあなたの方はどういうことをやっておるのか、こういうことを呼んで対応された事実はあるのですか。
  99. 牧野力

    ○牧野説明員 消費者トラブルが生じました場合に、私どもの相談所におきましては、特別に裁定の権限とかそういうものがあるわけではございませんが、当事者を呼びましていろいろアドバイスをいたしましたり、もう少し消費者のことをよく考えて態度を改めるようにとかいうような一般的な指導はしております。  そういう一環といたしまして、過去豊田商事につきましても内情等についていろいろ伺ったことはありますが、答えがほとんど返ってこない、こういう状況でございます。先ほど委員も御指摘になりましたように、強制権といいますか、立ち入り権限その他を私ども持っていないという状況のもとで、それをより突っ込んで行政指導をするということには現在の状況では限界がある、こういうことでございます。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 国税庁は、この会社については税務の面からはどういう御調査をした経緯がございますか。
  101. 木下信親

    ○木下説明員 御質問でございますけれども、国税庁としましては、調査をしたかしないかを含めまして、個別の企業のことにつきましてはお答えしたことはございません。  ただ、一般的に申し上げますと、各種の資料、これはもちろんマスコミの資料も含めまして蓄積いたしまして、納税者から出されました申告書と総合検討いたしまして、必要ならば実地調査をいたしまして課税の適正化を図っております。特に本件のような社会的問題がありと認められるものにつきましては注意深く対応しておるところでございます。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 国税庁は、国会におきましても再三厳正な調査をする、こういうふうにあなたの上司も答弁しておるのです。経過の期間も相当たってきておるのです。ですから、内容的なことについては当然お話しができないと思います。今のお話を聞いておりますと、何かこれからやる、こういう感じなんですが、これでは少し業務怠慢じゃないかと思うのです。現実に今まで調査は一度もしたことないのですか。
  103. 木下信親

    ○木下説明員 必要に応じて調査をいたしております。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 国会において国税庁はそうした厳正な調査という答弁をしておりますので、ましてこうした社会問題となっておる企業でございますので、ぜひ今後の調査においてもシビアに対応していただきたい、このように私は思うのです。そこで、こうした豊田商事だけでなくして、同じような分立した会社が、例えば東京信金株とかナショナル信金株とかいろいろあるようでございますが、こうした企業は果たしてどのぐらい今国内にあるのか。特にこうした被害の消費者からの苦情が多いところはどんなところなんだろう、上位十社ぐらいで結構でございますから、ちょっとお示しいただきたいと思います。
  105. 牧野力

    ○牧野説明員 私ども消費者相談室に相談のあった企業名でございますが、豊田商事以外にも、例えば東京信金株式会社、これは東京に本社がございます。それからナショナル信金株式会社、これは横浜でございます。それから東京の東洋通商株式会社、それからこれも東京でございますが、三和信託株式会社、それから日興商事株式会社、それから大阪の大阪債券株式会社、以上が私どもの相談室に相談のあった関係の現物まがい取引の企業でございます。ただ、これが何件あったかということにつきましては、今詳細な統計はとっておりません。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 今通産省からお話を聞いていて、またきょういらっしゃる委員の皆さんもおわかりのとおり、東京信金株とかナショナル信金株、あるいは三和信託株、こういう名前を聞いていますと、何か有名ブランドの、一流銀行の、一流の信用金庫の関係の企業ではないかという錯覚がやはり起きると思います。これは全部金にまつわるいわゆる金現物まがい商法をやっておる会社です。そういうところにも非常に巧みな悪徳商法のねらいが我々見ていてうかがえるわけです。  そういう中で、きょうは警察庁も見えておりますので、本来なら出資法あるいは詐欺罪などで当然これは告発できるわけでございますが、そうした悪徳商法まがいの企業が、大変恐喝的なあるいは暴行的なこういうふらちなことまでやって商売しておる。そうした具体的な問題を警察庁としても把握をしていると思いますので、そうした現状の御報告と、また具体的な例につきまして御報告いだだければありがたい、こう思います。
  107. 清島傳生

    ○清島説明員 具体的な例ということでございますが、五十八年の十一月に、お尋ねの会社のある支店の社員を恐喝罪によって検挙しております。概要を申しますと、七十歳になる老人に対しまして、純金五百グラムの売買を強要いたしまして、被害者宅に居座って暴行、脅迫を加えまして、現金等を喝取したという恐喝事件で検挙した事例がございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 こうした関連の問題で、今まで総体的にはどのぐらいの検挙、逮捕、数字的にはどのように把握されておりますか。
  109. 清島傳生

    ○清島説明員 私どもの方に報告があって承知しているのは、今申した件ぐらいだろうと思います。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 例えば、私もいきなりということは大変御無礼と思いまして、事前に何件かお調べいただくように昨日お願いをしておいたわけでございますが、特に非常に私が憤りを感じますのは、老人、お年寄りの方をねらって福祉商法ですね、年金を送ると言って強引に購入契約を結んでいく、そしてあげくの果ては通帳や印鑑まで持っていってしまう。こういうことで、特にこの問題についても内偵を進めていたというふうに私は伺っているのですが、現在の段階で御報告できる範囲で結構でございますが、これは福岡で起きた問題ですね。特にいわゆる企業年金という問題あるいは福祉年金に当たった、こういうようなケースで巧みに金現物まがいの商法を操作しておる。この件について警察庁もつかんでいると思いますが、ちょっと状況報告をしていただきたいと思います。
  111. 清島傳生

    ○清島説明員 お尋ねの件は、企業年金支払いを口実に、買うつもりのない金を結果的に買わされたという被害届が出ておる事案がございますが、その件だろうと思います。この件につきましては、現在、届け出のあった者などから事情を聞くなどしております。具体的な状況については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 私の方では、そうした今の暴行とか恐喝など含め、この種の金現物まがいの商法によっての実際被害が大体百件以上はもう出ているだろう、大体警察庁の捜査の方でも、末端における摘発も二十件を超えているのではないか、こういうように承知をしているわけでございます。特に今申し上げましたのは年金のトーク勧誘事件ということで、私はこれは非常にゆゆしき問題である、このように思っております。  また、警視庁においても東京信金の準詐欺罪の告訴、告発事件、こうした問題についてもやはり捜査をお進めになっていると思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  113. 清島傳生

    ○清島説明員 お尋ねの件は、本年一月に警視庁が被害者の弁護人から相談を受けまして、さらに四月に入りまして被害者の親族からお尋ねの会社の役員及び従業員を相手取って詐欺罪で告発を受けた事案だと思いますが、これにつきましては関係者から事情聴取をするなど、現在捜査をやっているところでございます。
  114. 宮地正介

    ○宮地委員 このように、数を挙げればまだたくさんあります。しかしきょうは限られた時間でございますので、要は、こうした金の現物まがいの商法によって、もう既にそうした警察ざたにまでなっている問題が非常に多発している。この実情をやはり厳粛に見ていかなくてはならない。  そこで、特に先ほども大臣にちょっと触れましたが、三月の二十四日に大阪地検に対しまして被害者が告訴を行ったわけでございます。この問題についてはいわゆる一般の消費者のゲリラ的告訴といいますか、そういう告訴の第一号として非常に大きな意義があるのではないか。今通産省の立入検査権がないからなかなかできないという歯に物の挟まったような厳しさ、警察庁としては現実にそうした事件が発生している、こうしたことを考えましたとき、法務省としてもこの大阪地検に告訴された今回の案件については、特段の調査、事務の処理のスピード的対応をすべきである、私はこのように思っておりますが、法務省としての御決意、今後の取り組み、こういうものについて伺いたいと思います。
  115. 北島敬介

    ○北島説明員 御指摘の豊田商事株式会社関係者に対します詐欺等の告訴事件、これにつきましては御指摘のように最近大阪地検において告訴を受理しております。これに対します検察庁の具体的な対応ということにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますが、検察当局といたしましては、受理した事件につきましては、その事案の実態なり社会的に及ぼす影響というようなことも十分勘案いたしまして、これまでも迅速的確に処理してまいったというふうに考えております。本件につきましても同様の方針で対処するものというふうに承知しております。
  116. 宮地正介

    ○宮地委員 法務省にいたしましても、今までも寛刑事局長から「適宜適切な対処をする」と国会で再三答弁をされているわけでございます。具体的に今回こうした案件が提訴されたわけでございますから、先ほどの大臣の御決意にも適応したように、どうかこの問題にまずスピーディーに対応し、処理をし、国民の前に明らかにしていただいて、こうした被害にできるだけ遭わないような対応をしていただきたい。特に先ほども申し上げましたネズミ講のときなんかも、やはり長野のああした判決後に大きな影響があったわけでございますので、よろしくお願いをしたい、このように思うわけでございます。  そこでもう一度通産省に伺いたいのですが、こうした問題について、金の購入はうまい話に御用心ということでいろいろマスコミを使ってPRをやっているわけでございますが、まだ実際消費者のところにPRが非常に不足しているのじゃないか。この問題についてはどのくらい予算措置をして、どういうマスコミを使って消費者に被害が起きないようにPRをされているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  117. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘のとおり、悪質な現物まがいの金取引商法から消費者を守るためには、何よりも消費者にそういったものにひっかからないようにPRをすることが重要であろう、御指摘のとおりだと思います。  そこで私どもといたしましては、PRの具体的内容でございますが、例えば政府の広報でございますとか、そういうかたいところだけで広報をするのではなくて、例えば女性が勧誘されることが非常に多いということもありますので、これは具体的な雑誌の名前になりますが、例えば主婦の友でありますとか各種の週刊誌あるいはテレビ、新聞等での政府広報等、あるいは最近では中央紙はもとより地方紙に至るまで約五十七新聞にそういうPR、つまり現金で買いなさい、あるいは信用あるところで買いなさい、あるいは店頭で買いなさいというようなことをPRしているところでございます。  なお、先ほど申し上げました金地金流通協会、これは消費者が安心して買える、そういった受け皿をつくるという意味でできたわけでございますが、こういった協会におきましても、講演会でありますとか女性雑誌、あるいは一般の週刊誌にいろいろ広報をしているところでございます。
  118. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは大臣がおりませんので、国民生活局長にこの問題について最後に伺いたいんです。  今限られた時間でございますので、一部の具体的な問題を通じてこの問題に取り組んできたわけでございますが、とにもかくにもこうした金の現物まがい商法というものに対して大変な被害の実態が明るみになってきているわけでございます。ネズミ講のときもそうでございますが、これがやはり縦割り行政の中で埋没してはならない、むしろ縦割り行政の個性を生かして各省庁が責任を持って厳格に対応する、その調整役といいますか、国民生活を守るという立場から常にリーダーシップをとっていくのが経済企画庁ではないか、私はこう思うわけです。  先ほども大変にゆゆしき事態なので積極的に取り組む、こういう大臣の御発言があったわけでございますので、この問題について今後積極的にリーダーシップをとり、より消費者の皆さんの被害がなくなるようにぜひ御努力いただきたい、このように思いますが、生活局長の決意を伺いたいと思います。
  119. 及川昭伍

    ○及川政府委員 御指摘のありました金の現物まがい取引などの商品取引被害が多発しておるということは、私ども承知しております。消費者保護施策を進める上で重要な問題でございますので、消費者保護会議、昨年十一月八日開きました会議では、特にこの問題について一項目取り上げまして、関係法令の厳格な適用を行うことによって事業者の規制を一方で行うとともに、他方消費者の啓発を行うことが必要だということを決めておりまして、両々相まって消費者の被害の事前防止、消費者利益の擁護に努めてまいりたいと思っております。関係省庁と協力しながらさらに進めてまいりたいと考えております。
  120. 宮地正介

    ○宮地委員 特にこの問題で今後非常に問題になる点としては出資法との絡み、また五十五年四月二十六日のいわゆる商品取引法八条の逆転見解といいますか、こういったものも解決していく道の中で今大変ネックになっていることも事実であります。  そこで、大蔵省あるいは通産省としては、この解決の方途の問題として、こうした難しい問題でありますが、どのように取り組んでおられるのか。そうした法的な面で縛ることがどうしても難しいなら、また何らかの議員立法措置というものも考えなくてはならないのか。現行の法律の中で解決していくのが私は筋ではないか、その点についての見解を伺いたいと思います。
  121. 福田誠

    ○福田説明員 お答えいたします。  まず、私どもでは出資法の一部を所管しておりますので、御質問趣旨は、出資法の第二条で預かり金の禁止の規定がございますので、それとの関係を御質問されているものと理解しております。  それで、出資法第二条で預かり金を禁止しておりますが、この預かり金というのは、法律上は預金と同様の経済的性質を有するものというふうにされております。したがいまして、今般のいろいろな案件につきましても、まずこの拠出された資金の性格いかんが問題となるわけでございまして、これにつきましてはそれぞれの会社の勧誘行為の実態とか資金拠出者における認識、どういう性格のお金として拠出されたかというような点を吟味する必要があろうかということでございまして、いずれにしましても、それぞれの案件に即して個別に検討して判断する必要があろうと思います。  それから、今後どうするかというお尋ねでございますが、私どもといたしましても、マスコミ等を通じましてこういうものが非常に社会問題となっていることは承知しておりまして、今後情報の収集を積極的に行いまして、必要に応じて関係当局とも十分相談してまいりたいと考えております。
  122. 宮地正介

    ○宮地委員 商取法の関係
  123. 牧野力

    ○牧野説明員 本件は現物まがいということでございまして、先物でございませんので、商取法の適用というのは問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、こういった消費者に非常に被害を及ぼすような商法が蔓延をするということにつきましては、私ども消費者保護をやっている立場から非常に問題であろうと思いますので、先ほど申し上げましたように、私どもでできることにつきましてはなお一層これを充実するとともに、関係省庁とも連絡をいたしまして、今後とも的確な対処をしていきたい、かように考えております。
  124. 宮地正介

    ○宮地委員 この特に先物取引商法の被害の問題さらにその中の具体的な金現物まがいの悪徳商法の問題につきましては、今後とも当物価問題特別委員会におきまして監視をしながら、一日も早くこうした悪徳商法がなくなるように消費者保護の立場から私は状況に応じて各省庁にお伺いをしていきたい、きょうは限られた時間でございますので、この問題についてはこの程度で終わりにさせていただきたい、このように思います。  さらに次の問題といたしまして、時間がありませんので端的にお伺いをしてまいりたいと思いますが、最近石油の元売業界における集約化の問題が非常に大きな問題になってきておるわけでございます。この集約化の問題につきましては、既に「元売企業の集約化について」ということで、中間報告が本年二月二十七日に石油審議会の石油部会小委員会からも出されておるわけでございます。この中間報告に基づいて、通産省としても当然この集約化の問題に取り組んでおろうかと思いますが、現段階における検討の状況について御報告いだだきたいと思います。
  125. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生御指摘になられましたように、先般の石油審議会におきまして、小委員会から元売の集約化に関します報告が提出されたわけでございますけれども、そこにおきましては、基礎物資として非常に重要な石油につきましての安定供給の確保という国民経済上の要請に対処するように、個別企業の枠を超えた石油の供給システム全体の合理化、効率化の推進とあわせまして、自律的な産業秩序の形成を通じまして安定的な供給基盤を確保するという趣旨で元売の集約化を推進すべきであるという趣旨報告が出されております。その報告におきましては、さらにその進め方につきまして、各企業の自己経営責任原則のもとで業界が自主的に対応していくことが基本であるという旨を強調いたしておるところでございます。  なおその際、報告におきましては、行政の対応といたしましてこのような企業の自主的な判断をできるだけ助長する、企業の自主的対応への自覚を促す、そのための補助的な手段として政策的な手段を考慮する必要がある、確保する必要があるという趣旨報告でございますので、私どもといたしましては、まず企業の自主的な対応が進むことを期待しているところでありますが、現にこの小委員会の報告段階におきましても、ようやくそのような自主的対応への機運が高まりつつあるということでございますので、私どもといたしましてはそのような企業の対応の状況を見きわめながら、私どもとしての政策的な誘導措置の運用を図ってまいりたいと考えているのが現状でございます。
  126. 宮地正介

    ○宮地委員 この中間報告の中で、特に元売集約化の基本的な指針といたしまして「我が国石油元売企業は十三社と市場規模に比して企業数が過多であり、しかも販売シェアが一〇%台に達している企業は少ない。」こういうことで、基本的には今後二五%のシェアあるいは販売シェアを一〇%台に乗せよう、こういうことになってまいりますと、ある意味では今までの十三社が七グループに元売が集約化される、それによっていろいろと業界における乱売効果というものについての構造上の改善ができる。  しかし一方では消費者立場から考えますと、今までも石油の元売メーカーの場合には何かと独禁法に抵触する、こうした問題で過去におきましても厳しい裁判の結果も出ておるわけです。そういうことを考えますと、そうした一方の構造改善という方向とともに、あるいは今もお話しありましたように産業の秩序を守りながらやっていく上において、私は今後の通産省における行政指導のあり方というものは、ある意味では非常に対応を慎重にやっていかなくてはならない、こう思うわけです。  そこで具体的に、今集約化の中で、特に日石と三菱が集約化されると販売シェアが二五%を超える、あるいはエッソ、ゼネラル、モービル、キグナス、シェル、昭和、こういったところが今検討されているようでございますが、こうした集約化が、今後元売から小売のスタンドに至る流通段階においてはどのように系列化が調整されていくのだろうか、その結果が消費者にどういうような影響を及ぼしていくんだろうか、その点については通産省はどのように御調査をされているのか。  私は今四つのグループについてお話ししたわけで、これについてもまだ皆さんの方では具体的な答弁は難しいかと思いますが、今申し上げたような点についてどのように調査また検討を進めておられるのか、お伺いしたいと思います。
  127. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げたことではございますけれども、元売の集約化を推進することの意義ということは、物流面の合理化、効率化と、あわせて自律的な産業秩序の形成を図るということを通じまして、基礎物資である石油の安定的な供給基盤を確保していくということにあるわけでございますので、元売の集約化を今後企業が進めていくに当たりまして、私どもとして期待している内容というのは、一つには石油供給システム全体の合理化、効率化に資するものでなければならない、第二には、自律的な産業秩序の確立に資するものでなければならない、こういう二つの点があろうかと思います。  また、小委員会の報告書にも明らかにされているところではございますが、元売の集約化を推進するに当たりましては、適正かつ有効な競争が維持されるべきことは言うまでもない旨の指摘もされているわけでございます。  特に、今先生の御指摘がございましたのは、流通段階に与える影響はどうかということになるわけでございますけれども、個々の企業が自主的にどのような集約化を推進していくかにつきましては、現在それぞれの企業が検討を行っている段階でございまして、まだ具体的な内容が固まってきているわけでもございませんけれども、一般論として申し上げることになりますと、当然のことながら、先ほど申し上げた趣旨からいたしまして、元売の集約化を通じまして供給システムの合理化、効率化が進むということで、流通段階におきましてもより低廉なコストによる製品供給が可能になるという面が一方ございます。  また、現在の石油製品に関する国内の過当競争というものは、元売段階の過当競争体質と販売業界における過当競争体質と両面から成り立っているとは思いますけれども、その中で特に今元売段階につきましてはこのような集約化の推進を通じまして適正、有効な競争条件の形成が可能になってくるだろう、こういうことは、当然安定供給基盤の構築の上で流通業界にとっても稗益することがあるかと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、過当競争体質は、元売段階に限らず販売業界の段階にも見られるところでありまして、販売業界の今後のあり方、構造改善をどう進めていくかということが一方においてまた必要になってくるわけでございまして、この点につきましては先般の石油審議会小委員会の報告においても、今後元売段階の集約化と相まって、流通段階においても構造改善を進めていく必要があるという旨を指摘しているところでございますので、そのような問題意識のもとに今後の集約化問題を見きわめてまいりたいと考えております。
  128. 宮地正介

    ○宮地委員 特に、公取としては、まだ具体的な問題は出てませんので非常に難しいと思いますが、一般論で結構ですが、こうした元売が十三社から七グループに集約されてくる、私は、ある意味では公取としても今後監視の対応というものは、今までの、過去の元売の行ってきた一つの商売のいろいろな姿から見たときに、むしろ非常に厳格に対応していかなければならないのではないか、こう思いますが、この点について集約化の方向と、公取としての今後の目の向け方といいますか、こういう点について御見解があれば伺いたいと思います。
  129. 佐藤徳太郎

    佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。  集約化の問題につきまして、今先生お話がございましたようにいろいろ巷間で動きがありまして、私ども関心を持って見ておるところでございますが、まだ具体的な問題は出ておりませんので、具体的な案件が出ました段階で、私どもといたしまして独禁法の適正な運用という観点から審査をしていくというのがこれからの手順だろうと思います。  ただ、一般的な考え方ということで、先ほど来先生がお述べになっていることとほぼ同じことでございますが、私どもといたしましても、石油業界のこういう集約化というものは、業界全体の合理化とか効率化を目指して、その効果が需要者を初めといたしまして国民経済全体に及ぶものであるということがまず必要ではないかというぐあいに考えております。そのためには、何よりもやはり業界全体が競争体質を維持いたしまして、また、個々の企業が自主的に判断して創意工夫を発揮していくことが必要ではないか、単に競争単位を安易に減らしていくというようなことでは、本当の意味での合理化とか、そういうものはできていかないのじゃないかという考え方を持っております。  最初に申し上げましたように、私どもとしても、この問題については今後とも重要な関心を持って見ていきたい、かように考えております。
  130. 宮地正介

    ○宮地委員 具体的にこの集約化を進めていく中で、当然通産省としても検討はされていると思うのですが、今後石油業法の省令の改正、この問題は中身についてはなかなか触れられないでしょうが、目途としてはどの辺に置いているのか、その辺を伺いたい。
  131. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど来申し上げておりますように、元売の集約化の進め方は、各企業の自主的な対応を基本とすることは申し上げるまでもないわけでございますけれども、小委員会の報告におきましても、先ほど来申し上げました目的に照らして実効性のあるものでなければならないということも指摘しているわけでもございますので、私どもといたしましては、今後、元売企業におきます集約化の動きにつきましては、どのような提携内容であり、また、それをどのように具体的に実行していくかということにつきましては、政策的な観点からそれを把握しておく必要もあろうかと考えておるわけでございます。  しかし、それを具体的にどのような手順でどのような形で把握するようにしていくか、実はまだ検討中でございますが、御指摘のように石油業法の省令を改正いたしましてそのような把握ができるようにすることも一つの案だということで、現在検討を進めている段階でございます。
  132. 宮地正介

    ○宮地委員 この石油業法の省令改正も、そう遠くない、四月から五月ごろには大体やっていくような方向でないと現実の対応が厳しいのではないかと私はお察しするわけであります。  そういう中で、特にこの提携内容の届け出制の義務化の問題というものも、最近いろいろ言われてきているわけです。特にこの届け出制の義務化の問題について、通産省は省令の改正の時期でさえ言えないのですから、踏み込んだこういう問題については当然今明らかにできないと思うのです。しかし、既にこうした提携内容の届け出制の義務化の問題、提携グループ内の仕切り価格の調整の問題、あるいは事業調整、リベートの廃止を見込んだ取引条件の統一の問題、あるいは製品交換など取引先の相互尊重主義、こういった問題も当然これは今後検討課題として私は浮かび上がってくると思います。  そこで、そうした段階において当然今佐藤経済部長は関心を持っておる、こういうふうにおっしゃっておりました。当然こうした問題が出てくれば関心を持たざるを得ない。しかし、今は未成熟の検討段階ですから皆さんの方から言えないと思いますが、こうした問題も当然テーマとして具体化してくるであろう。しかしこうした問題は逆に当初の、例えば過当競争についてはどういうふうになっていくのだろうか。立場を変えてみれば、過当競争は余りなくならないのじゃないかとか、あるいは系列特約店の事業調整、リベートの廃止あるいは仕切り価格の調整、こういうのは非常に難しいのじゃないか、こういう御議論もあるわけでございます。  きょうは時期的にそうした非常に重大な時期なので、通産省としてもなかなか中身には立ち入って答弁はしにくいのは承知しております。しかし、既に業界内においてはこうした議論もとり行われているやに私も伺っておりますので、きょうはあえてこちら側からお話をしたわけでございますが、要はこの中間報告の本旨に基づいて今後元売の集約化が健全な形で進んでいくことを私は期待したい。  しかし、それが再び独禁法に抵触するような事態が発生する、あるいは消費者立場から見て一向にプラスにならない、かえって元売の方が今まで以上にさらに一方的に保護されて、消費者の接点であるスタンドなどいわゆる末端の流通段階が非常に厳しくされる、こういうことであってはならない、こう思うわけでございますが、最後に通産省に、この点についての今後集約化について決意、見解を伺って、本日の質問を終わりにしたい、こう思います。
  133. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生の御指摘がございましたように、石油産業というのは大変過当競争体質がございます。それにはそれなりの石油産業としての特性に根差す面もいろいろあるわけでございますが、いずれにいたしましても、基礎物資の安定供給を図っていくべき国民経済的要請にこたえ得る石油産業であらねばならない。その石油産業は、もとより元売に限らず流通、販売業界もその国民的な要請、付託にこたえられるものでなければならないわけでございます。  それはいかなる形において実現されるかと申しますれば、元売段階の構造改善、それから流通段階の構造改善、それらを通じて石油供給システム全体が、企業の枠を超えて国民経済全体に効率化の効果が及ぶように、そしてその間においても適正かつ有効な競争が維持される、そのような行政のもとにおいて行われるべきことであろうと存じますので、私どもといたしましてもそのような趣旨を十分に念頭に置きまして、石油産業国民経済によります要請に十分こたえられるような体質になっていくことを心がけてまいりたいと考えております。
  134. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは昼休みを使いまして御議論、御協力ありがとうございました。  時間が参りましたので、これで終わります。
  135. 金子みつ

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時八分開議
  136. 金子みつ

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。塚田延充君。
  137. 塚田延充

    ○塚田委員 アメリカは、連邦準備制度理事会、すなわちFRBの決定に基づいて、去る九日に公定歩合を〇・五%引き上げたと報道されております。  アメリカ経済は、いわゆるレーガノミックスによって、昨年以来大変好調な経済成長を実現し、去年のデータで見ますと、昨年末の十二月期においては四・九%の経済成長を示し、これが好都合なことには、それ以前の四-六月の九・七%とか、七-九月の七・六%のときは、ちょっとこれは過熱する危険性があるのじゃないかと言われておったものが、今申し上げたように、昨年末には四・九%と減速された。そのために、アメリカの景気回復は長続きする徴候と観測されて、これは大変結構なことじゃないかと歓迎されていたわけでございますが、ことしに入った途端に、例えば一-三月期のデータによりますと、推定成長率が七・二%とまたまた上昇してしまい、景気の過熱が警戒されるようになった。これが、このたび九日にFRBが公定歩合を〇・五%引き上げた背景だと報道されているわけでございます。  つきましては、アメリカ経済は日本とのいわゆる連動性において極めて関係が深いわけでございますので、このアメリカ経済の今後の見通しにつきまして、経済企画庁としてはどのように推移について推測しているのか、特にただいま申し上げたようなこのたびの公定歩合の引き上げがどのような影響をアメリカ経済に及ぼすと、よそのことではあるけれども、観測するのか、お伺いしたいと思います。
  138. 廣江運弘

    廣江政府委員 若干数字について説明いたします。  アメリカの景気の現況は、今先生が数字を挙げられましたような過程でございまして、年が変わりまして、いろいろ消費、住宅等の数字が高いレベルを示しておりました。それに伴いまして短期金利がかなり上昇したものですから、公定歩合との差を縮めるという意味で九日に公定歩合〇・五%の切り上げがあったわけでございますが、これはまさに市場実勢金利に追随するという意味で、政策当局が政策の健全性を保とうと思ったものだというふうに評価できるのではないかと思っております。いわばインフレなき持続的な長い成長を確保しようと思ったことだと思っております。  第一・四半期のフラッシュエスティメートといいますか、今の推測値は、先ほど先生言われました七・二ということでございますが、ことしに入りましていろいろなデータが出ておりますが、その中の一つ設備投資の数字がございます。これは名目で二二%を超すというような高い数字を出しております。それに物価が、寒波の影響等もありまして一、二カ月若干上がりぎみではございますが、まだ四・六ということで落ちついておりますし、労働生産性もしっかりしているということで、今後ともアメリカの経済はかなり着実な拡大を遂げていくものだと思っております。  そういうことを踏まえまして、昨日の情報によりますと、アメリカ政府は当初、今年の実質成長率見通しを五・三と言っておりましたのを五・九に直しましたし、第四・四半期の、いわば年中成長率を四・五と言っておりましたのを五・〇%というふうに直しておるわけでございます。ちなみに申し上げますと、消費者物価は当初四・五と見ておりましたが、四・一と見ておるような状況でございまして、我々は現在アメリカ政府のこうした今後の見通し方というものをそのまま信用していいのではないか、若干の危惧がないとは言いませんが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  139. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、アメリカの公定歩合と申しましょうか金利が今後どのような推移をすると考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  140. 廣江運弘

    廣江政府委員 金利の動向につきまして将来を占うのはなかなか難しいことではございますが、御承知のように四月に入りましてからも、フェデラル・ファンド・レートは一〇%を超しておりますし、ときどきイレギュラーな動きを示しまして、十日には九%を若干割るというような状況でございますが、例えばTBの三カ月物は十日で九・六四ということでございますが、アメリカ政府は、先ほど申し上げました政府経済見通しの中ではこれは九%を若干切る、八・九だと思いますけれども、八・九ぐらいを見通しております。金利の見通しが必ずしも政府見通しのどおりにいくかどうかということについては確たる保証はございませんが、かなり資金需要が出てきておるということが一つございます。  それからもう一つは、アメリカの二つの大きな赤字であります財政赤字が、ことしは当初の見通しょりも成長が高いということで若干減るようですが、なお高いレベルであります。要するにこの二つの資金需要がかなり強いものですから、強いて見通しを言えと言われれば、割に強い数字を当面は予想せざるを得ないかな、こういうふうに思っております。
  141. 塚田延充

    ○塚田委員 今解説みたいなものがございましたけれども、そのようにアメリカの経済は景気が過熱ぎみであって、逆に冷やすくらいの状態であるというわけでございますけれども、結果論からいえば、今まで日本の置かれておった経済情勢からすると、比較して見た場合好調な景気をもたらしていたのじゃないか、これがいわゆるレーガノミックスと言われているわけでございますが、このようにアメリカとの比較において、河本長官といたしましてはこのレーガノミックスをどのように評価しておられるのか、御見解をお聞きしたいと思います。
  142. 河本敏夫

    河本国務大臣 この九月に終わる一九八四年度の新しい経済見通しを約六%弱に上方修正したということは、私はアメリカの経済が非常に力強い足取りで進んでおると思っております。しかも、物価は安定をしておるということでありますので、巷間いろいろな説がありますけれども、やはりアメリカ政府見通しをおおむね信頼していいのではないか、私はこのように思っております。  翻って日本の状態を見ますと、十-十二月期、まだ明確ではありませんが、年率に直しまして三・一%成長、こういう状態でございます。経済の基礎的な条件はあらゆる分野で日本の方がいい思うのですが、その条件のいい日本が今申し上げましたような状態で、日本よりも条件の悪いアメリカの経済が以上申し上げましたような大変な勢いで活況を呈しておるということは、やはり日本としましても何らか政策的に再検討しなければならぬ大きな課題を抱えているのではないか、こう思っております。
  143. 塚田延充

    ○塚田委員 アメリカの公定歩合の引き上げは、今では一時ほどではないと言えるわけでございますが、ドル高、この勢いを再び強めることにつながるのじゃなかろうか、それによりまして、内外にとりまして大きな問題となっておりますアメリカの貿易収支の大幅な赤字をさらに拡大する要因になるのじゃないかと懸念されるわけでございます。  ところが、去る三月二十三日ですか、河本長官及び竹下大蔵大臣と、ちょうど中国を訪問されたその帰りにお寄りになったというリーガン財務長官が相次いで会談されましたが、今河本長官の御見解にございましたように、日本のファンダメンタルズは大変いいのじゃないか、このような見方をしておりますが、そのような両国経済のファンダメンタルズを見た場合、円レートの方が、すなわち円相場が割安になっている、このようなことでは日米ともに見解が一致したそうでございますけれども日本側の見解といたしましては、この円安の傾向というものはアメリカの高金利が強く影響している、このように指摘されたのに対して、リーガン長官の方は、いや、そんなことではないのだ、一番大きな要因は円の自由化が進んでいないからだ、このように主張され、円レートが割安になっておる要因についての日米の意見が結局は平行線に終わったと伝えられております。  それで、河本長官にお伺いしたいのですが、このリーガン会談において、日米双方の見解の一致した点及び食い違いが出た点につきまして御説明を賜りたいと存じます。
  144. 河本敏夫

    河本国務大臣 いろいろな点で意見を交換いたしましたが、今お述べになりました円ドルの関係、為替問題については意見が一致しませんでしたが、他の問題については全部意見が一致をいたしました。例えば、日米間の懸案の諸問題を早期に解決しなければならぬという問題、あるいは円の現在の価値というものは実力以下に今評価されておるという問題、それからアメリカの好景気のよって来る原因、今おっしゃったレーガノミックスのアメリカ経済に及ぼした影響、幾つかの問題については意見は一致いたしましたが、円安の傾向はアメリカの金利高によるのだという私の意見に対しては、リーガン長官は同意いたしませんでした。  今おっしゃったように、ほかの要因があるということを言いましたが、これはアメリカ政府部内にもリーガン長官と違った意見がございまして、私は、必ずしもそれはアメリカ政府の正式の見解ではない、このように思っておりますので、この問題について結末をつけることは一時留保をいたしましたが、その後企画庁でいろいろ実績等を調べまして、理論構成等を検討させましたが、どうもリーガン長官の言っていることは事実とちょっと違っておるように、今でも思っております。
  145. 塚田延充

    ○塚田委員 経済企画庁では、今長官の御説明がありましたように、リーガン財務長官の発言に対する反論をまとめておられる。すなわち、リーガン財務長官は円の動きとアメリカの金利は無関係であると発言したわけですけれども、それに対する反論として、円相場はアメリカの金利に敏感であって、円の国際化にも金利差縮小が必要であるとして、改めてアメリカの高金利の是正を求める、こういう文書をまとめたという報告がございますけれども、このまとめられた反論の文書を、どういう形で、またどういうルートでアメリカ側に伝えるのか。  また、ちょうどその時期に、水をかけるような形で実施されることになりました、先ほど述べたようなアメリカの公定歩合が引き上げられてしまった、このようなことに対して、日本政府としてはどういう感想を持って、その感想をアメリカにどういう形で伝えるつもりなのか、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
  146. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今御指摘の新聞報道でございますが、これはリーガン長官に対する反論という形の文書で取りまとめたわけではございませんで、大臣発言の背景となります日本のいろいろな過去の実績等を踏まえまして一応分析をしてみた、こういう種類の文書でございます。その意味で、この文書を海外に持ち出していろいろなところでばらまくというような性格のものではなくて、企画庁内の勉強用というふうに御理解いただきたいと思いますが、一番大きな趣旨は、外為法が改正されまして自由化が行われました五十六年以降について見ますと、日米間の実質長期金利差が日本の長期資本の流出超過を招きまして、それが円安という方向に傾いておるという点について分析をしたものでございます。
  147. 塚田延充

    ○塚田委員 アメリカのレーガン政権は、理念におきましては、景気の動向に合わせて裁量的に財政政策を行うというようなやり方というのは全面的に否定しているわけです。ところが、結果的には大変大規模な減税を実施するなどによりまして、その結果財政赤字がまた大幅になってしまった。しかし一方では、これによって一昨年以降景気が大変な回復を示したとか、また、大変懸念されておりましたインフレの鎮静化については好影響をもたらしたとか、このように、いわゆる政策としての大規模減税が大きな役割を演じた、これは今や通説じゃないかと思われるわけでございます。  そこで河本長官にお尋ねいたしますけれども、先ほどの質問かなり重複いたしますけれども、このようないわゆるレーガノミックスに対しまして、日本として、ずばり学ぶべき点は何なのだろうか。財政赤字について悩んでいるのは日本アメリカも同じでございます。そういう意味からしますと、今学ぶべき点と申したけれども、いい点ばかりじゃない、今言ったような財政赤字の問題を同じように抱えておる。となると、アメリカのこのレーガノミックスに対しまして、やっちゃいけないという意味における、いわゆる反面教師ですね、注意すべき点はアメリカから何を学ぶべきか、この辺、長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  148. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本のことしの一番大きな課題は、対外経済摩擦を早く解消することだと思います。それでさしあたって個別問題をやっておりますけれども、この後引き続いてマクロ対策が必要になってくるのではないかと思うのです。そうしませんと巨額の貿易の不均衡はなかなか解消しにくい、こう思います。そこで私は財務長官に、アメリカ経済の現状、それから景気回復の過程並びに背景、こういうことについて説明を求めたのでございますが、レーガン政権発足以来の経過をずつと詳細に話してくれました。そしてまた、日本の今進めておる政策についても質問がございました。  リーガン財務長官が非常に詳細に私に話をしてくれましたのは、アメリカのやり方がもし参考になるならば若干参考にされたらどうでしょうか、多分こういうお考えもあったのではないかと思ってよく聞いておったのでございますが、そこで私が一番感心をいたしましたのは、やはり大統領の決断だと思うのです。景気回復をいろいろ言っておられましたけれども、やはりまず第一に指摘されたのは大規模な減税であります。第二がインフレ対策であります。それから第三が、政府のいろいろな規則、そういうものをできるだけ撤廃いたしまして、フリーな経済活動ができるような条件をつくる、こういうことについての説明がございましたが、特に私は感服をいたしましたのは大規模減税であります。  この減税を実施するに当たりまして、大統領の周辺には非常に強い反対があったようであります。そんなに歴史上かつてないような、想像もできないような大規模な減税をすれば、今でも――今でもというのは当時、三年前のことでありますが、大変財政が苦しいのに一遍に赤字がふえて、アメリカの財政はたちまちにして行き詰まる、こういう意見も非常に強かったようでありますが、大統領としましては、自分が大統領になった以上はアメリカを必ず強くするんだ、強くするためにはアメリカ国民が貧乏ではお話にならぬ、やはりアメリカ国民は豊かになる必要がある、そのためには今の重い税金に対して何らかの改正を加える必要がある、そして同時に、所得をふやすためには景気をよくしなければならぬ、ちっぽけなことをやっておったのではアメリカのような大規模な経済はなかなか動かない、こういうことから、周辺の反対を押し切って決断をされたわけでございますが、やはりその大決断が現在のアメリカの力が発揮できる背景になっておるということを、私は財務長官の話を聞きながら痛感をいたしました。私自身も前からそういう感じを持っておりましたが、実際に責任者から説明を聞きまして、その感を深くしたわけでございます。
  149. 塚田延充

    ○塚田委員 河本長官は、常々アメリカよりファンダメンタルズのよい、整っておる日本の成長率がアメリカを下回っているというのはおかしい、これは政治の面の決断が欠ける面があるのじゃなかろうかというような発言がしばしば見受けられたと思うのですが、私ども一般国民にいたしましても、そのような、同じような考え方を持っていたわけでございまして、それゆえに私どもは五十九年度の予算においても大幅減税が必要だと強く主張したわけでございます。形の上では、その長官の声が届いたからか、それとも私ども野党のいろいろな主張が入れられたからか、それとも国民の常識もしくは国民の要望としての減税要求が入れられたのか別としましても、形の上では大幅減税が五十九年度予算において実現された。  ところが、大変残念なことには、いわゆる見返り増税ということでもって、結果的にはその大幅減税の意義が帳消しになってしまった。アメリカにおいてはリーガン財務長官でさえもはっきりと、大幅減税が大変な景気回復に力があったというふうに明言されておるのに反して、大変残念な政策選択を日本としては行ってしまったわけでありまして、俗に言えば、本来暖房を入れて暖めるところ、それをやりながら一方で冷房も入れてしまうというような経済政策になったわけでございます。予算が決まったところで今さら言ってもしようがないわけでございますが、国民はさらに景気が回復するように何らかの刺激ある政策がとられることを、でき得る範囲内で政府に期待しているわけでございますけれども、そうなりますと、当面のところは金融政策をもってそれをするしかないと思うのです。  そこで長官にお尋ねいたしますけれども、先ほど申し上げたように、ちょうどアメリカが公定歩合を上げてしまった、日米の金利差が開いてしまったというような、環境がかえって悪くなったわけでございますけれども、それを抜きとした場合、一方では日本経済のみを見た場合には、景気振興のために公定歩合を下げろという声もないわけではない。今の状況下において公定歩合の引き下げは日本で可能と思われるかどうか、御感想をお聞かせください。
  150. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本の国内だけの事情を見ますと、物価は二%そこそこで安定をしておりますから、私は大幅に金利が下げられる条件はある、このように思います。  ただしかし、今御指摘もございましたが、やはりアメリカとの金利差がさらにそれによって拡大をいたしますと、現在以上に大量の資本が流出する、こういう可能性もより強くなりますのでやはり円のレートに響いてくる、このように思います。そういうことから、国内にもやりにくい条件は別にございますけれどもアメリカとの金利差だけを考えましても、私は今の段階ではどうもちょっとやりにくいのではないか、こういう感じがいたします。  国内の景気をよくする対策といたしましては、先ほどお話しの減税、金融政策あるいは社会資本の拡大、さしあたって大きな効果があるのはこの三つしかないわけでありますので、今は予算が通ったばかりでありますけれども、やはり国際的に見まして日本の黒字幅が拡大の方向にいきっつあるということを考えますと、日本が引き金になりまして、世界的な保護貿易的傾向も出てくる危険性もございますので、やはりこの問題は単なる国内問題だけではなく、世界経済に対する日本立場というような観点に立って、真剣に、急いで検討すべき課題ではなかろうか、私はこのように考えております。
  151. 塚田延充

    ○塚田委員 ずばりお尋ねしたいと思いますが、それでは金融政策としての公定歩合引き下げ、これはどんな条件だったらばこの日本において実施できると考えておられますか。
  152. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題は日本銀行が一応判断されることになっておりますので、私から突っ込んだ話はしにくいのですけれども、金融政策が機動的に運営しにくい幾つかの条件は日本にあると私は思うのですが、やはりその最大のものはアメリカとの金利差、それによる資本の海外流出、したがってアメリカの金利がもう少し下がれば一番の障害は取り除かれる、このように思います。
  153. 塚田延充

    ○塚田委員 景気について集中的に今お伺いしているような形ですが、景気対策というものは公共投資のいかんによって大きく左右されることは御承知のとおりでございます。五十七年度及び五十八年度を見てみますと、どちらかというと不況型の経済情勢であった。その対策としまして、とにかく非常に抑えられた範囲内の公共投資予算の中で、仕方なしというような形で前倒しの公共投資が行われたわけでございます。その結果、この両年度ともに、年度前半においては公共投資の活発化によって、そのGNPに対する寄与率が大きくプラス方向に響いたけれども、それぞれの年度の後半においてはいわゆる種切れと申しましょうか、息切れのために公共投資による寄与率は逆にマイナスになって、成長率を上げるのに対して障害材料になってしまった、こういうような実績になっているのじゃないかと思うのです。  このことは、いかに公共投資が、いわゆるGNPの成長率に対して寄与することが連動しているかということを物語っているのじゃないか。すなわち、公共投資があればGNPは成長するし、ない場合にはゼロもしくはマイナスに成長が落ちてしまうというわけでございます。  そこでお伺いしたいのは、現在のような景気がやっと上がっていくのじゃなかろうか、そういうような指標が見えてきた、ここのかじ取りで今後の景気の動向が大きく左右されて、うまく波に乗れるのか、やはりだめだったのかというような分かれ道になる時期に今差しかかっていると思うわけでございます。このような重大な局面に置かれておる現在、このたび決まりました五十九年度予算の中で、公共投資につきまして、大事なときだから前半に前倒しをして思い切り刺激をしなさいという意見も強うございます。  そこで企画庁の方にお伺いしたいのですが、今年度におきまして公共投資の前倒しをどのくらいの率で行うのか、またそのような政策決定をいつするのか、これについてお伺いしたいと思います。
  154. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 公共事業の前倒しの問題につきましては、現在政府部内で鋭意検討中でございまして、来週早々にも結論を得るべく作業を進めておるところでございます。  現在、まず五十八年度からの繰越額等の作業をいたしておりまして、その数字が確定した段階におきまして具体的な前倒しについての方針を決めたいと思って鋭意作業をしておる、そういう段階でございますので、まだ具体的な数字をお示しするような状況ではございません。
  155. 塚田延充

    ○塚田委員 公共投資の前倒しは、具体的にはまだ数字は挙げられないということでございますけれども、昨年と比べて率として同じようなことを考えておるのか、もっと徹底的に前倒しをしてしまうのか、それともことしはそんなにしないよというのか、その辺の感触だけお聞かせいただけたらと思います。
  156. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 先ほど申し上げました前年度からの繰越額というのがどの程度になるかによりまして、今の点については相当違った形になると思っております。例えば繰越額が非常に多くなりますと、上期に執行する率が非常に、率だけでなくて額がふえてまいりますので、そこが率に影響する、こういうことがございます。しかしながら、基本的には先ほど先生御指摘のように、緩やかな景気回復の方向にございますので、これにはずみをつけるというようなこと、かつまた、大臣がおっしゃっておりますような国際的ないろいろな配慮等を踏まえまして、企画庁としてはできるだけ前倒しの額を大きくしたいと思って努力をいたしておる最中でございます。
  157. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま企画庁としては、景気対策として前倒しの額、率をできるだけ大きく持っていきたい意向であると御答弁をいただいたわけでございますけれども、五十七年度、五十八年度の例からいたしますと、下期において結局は息切れ、種切れしてしまって成長率が落ちてしまうというような轍を踏んでいるわけでございます。  となりますと、本年度においても、そのような息切れがないように下期の対策についても考えておかなければいけない、このように考えるのですけれども、そうした場合、その追加投資につきまして補正予算を組んで、いわゆる息切れを防ぐような手だてを講ずる必要があると今のところ考えるのか、もしくはそれをやるような御意思があるのか、または今の景気回復基調からすると、昨年や一昨年とは違って景気が回復基調にあるから、前半前倒しするとそのはずみだけでもってうまくいってしまうから、補正予算などは考える必要はさらさらないようになるかもしらぬというように読むのか、この辺のことについてお聞かせいただきたいと思います。
  158. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今御質問の点につきましては、今後の経済の動向を眺めなければ結論を出すという性格のものではないと思います。前倒しをした結果、景気全体が非常にうまく上昇してくるという事態になりますれば追加予算も必要ないわけでございますし、また、逆のこともあり得るわけでございますが、現段階で追加予算が必要だという判断をする状況ではない、そのときの状況いかんだ、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  159. 塚田延充

    ○塚田委員 河本長官にお尋ねいたしますが、最近よく民間の活力を大いに活用しようじゃないかというような論がふえておりますけれども、いわゆる民間の活力をどのように評価し、またそれを生かすためにどのような具体的な刺激策なりがあるのか、長官のお考えをお聞かせください。
  160. 河本敏夫

    河本国務大臣 民間の活力を導入して大規模なプロジェクトを進めたらどうかという案がございまして、今政府の方も懸命に取り組んでおります。  ただ、従来これに対して誤解がございまして、こういうプロジェクトを計画すれば直ちに経済上の効果があらわれるという向きもあったのでございますが、しかしいざ始めてみますと、地域との調整、つまり環境問題等もございますし、それとの関連において計画の立案にも相当時間がかかる、したがって、スタートしてからやはり何年かかかりませんと現実に仕事にかかれない、こういうことにもなりまして、このこと自身は大変結構でどうしてもやらなければならぬと思いますが、このことと、ことし、来年の景気対策とは全然別問題である、こういう理解が必要だ、こう思っております。
  161. 塚田延充

    ○塚田委員 河本長官といたしましては、民間の活力導入については中長期的には期待できるというか、いろいろこれを評価し、また活用しなければいけない、このような趣旨答弁であり、同時に、しかしそれはことし、来年というような短期的な見方では、すぐにはそれが景気の動向に影響を与えるようなものでもないんじゃないか、このようにお伺いしたわけです。  実のところ経済企画庁といたしましては、民間機関でございますJAPIC、日本プロジェクト産業協議会ですか、こういう機関に対しまして、民間活力の導入問題について諮問をされておると伺っております。そのJAPICに対しましてどのようなことを諮問されたのか、その内容、そしてその答申と申しましょうか、回答がいつ出されてきており、またその出されてきた回答を企画庁としてはどのように取り扱って今後の経済政策の中に生かしていこうとしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  162. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 JAPICに対する私どものお願いは委託という形でございまして、委託調査という形で昨年お願いをいたしております。したがいまして、その委託に対する調査結果の報告という形で、企画庁には報告が先月の末に提出されておるわけでございます。  私どものこの委託調査をいたしました趣旨は、いわゆる公共的な事業につきまして民間の活力を導入して、できるだけ新しい時代の新しいニーズに即した公共的事業のやり方、どういう分野があるか、それから今までの制度とか慣行を、どういうところを直せばいいのかといったようなことを多面的に研究をして御報告をいただきたい、こういうことでございます。いずれにしても、広範な問題でございますし、JAPICの方でも産業界あるいは学界、言論界といった学識経験者の方にいろいろな角度で調査をいただくために委員会をつくりまして、いろいろ勉強していただいて、最近御報告を受け取ったわけであります。  したがいまして、私どもといたしましては、この中身についてよく勉強いたしまして、いろいろな御提案がございます、それらがどういう形であれば現実に実施ができるかというようなこともいろいろ考えまして、できるものから順次実施に移すというようなことを考えていきたいと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、これをどうするのかというお尋ねでございますが、今検討いたしておるところでございますので、近々公表をしたいと思っておるところでございます。
  163. 塚田延充

    ○塚田委員 公共投資なるものの効果につきまして、例えば今のような緊縮財政のもとにおいても、公債の発行によってでも公共投資を追加したらどうか、それによって景気がよくなる可能性があるし、そうなれば税収もふえるじゃないか、税収がふえるようになれば財政の赤字縮小に役立つはずというような、ちょっと長期的に見たサイクルでの刺激効果を認める議論があるわけでございまして、どちらかと申しますと、私どももそのような考え方が十分あるし、レーガノミックスはそれを実証したのではなかろうか、このように考えているわけでございますが、一方日本政府部内におきましては、最近では幾ら公共投資を追加しても、どちらかというと用地の買収費に消えてしまって実際の刺激効果はほとんどないんだ、このような理論構成もしておる向きがあるようでございます。  そこでお伺いしたいのですが、大蔵省としては、いわゆる公共投資が景気に対する刺激効果についてどのように考えておられるのか、その見解について説明いただきたいと思います。
  164. 中島義雄

    ○中島説明員 一般論といたしまして、公共投資の景気刺激効果につきましては、あるかないかということであれば、これはもちろんあると考えております。ただその具体的な効果の程度につきましては、そのときどきの経済情勢等によりましてかなり変わってくるものでございまして、近年の公共投資の追加による乗数効果の試算を見ますと、例えば経済企画庁のモデルによる推計値などでは、四十年代に比べまして五十年代に入ってやや低下してきておる。その背景といたしましては、これは昨年の経済報告にも述べられてございますけれども、経済、産業構造の変化等によりまして、最終需要増大の投資誘発効果が低下してきているということが指摘されていると認識いたしております。  ところで問題は、公共投資拡大等の財政依存の景気拡大策が財政収支にどのような影響をもたらすかというところでございます。その点につきましては、まず公共投資等の景気拡大効果が、ただいま申し上げましたように近年やや低下してきていると考えられますこと、さらにその財源が結局公債の増発によらざるを得ないということになりますと、これ以上の公債の増発が金利を下支えする、あるいはその上昇をもたらすということになりまして、かえって景気回復に水を差しがねないということにも注意する必要があると考えております。  財政収支に与える影響につきまして試算してみますと、仮に経済成長率を一%高くするために、今GNPの全体規模が約三百兆円でございますから、三兆円の需要をつくり出すということになるわけでございますが、そういったこととして試算してみますと、モデル等によって出されております乗数を用いて逆算いたしますと、二兆円以上もの公共投資を追加する必要があるということになります。仮にその半分が国費といたしましても一兆円以上の国費が要る。その財源を準備しなければならないということになるわけでございます。  ところで他方、経済成長率が一%上がることに伴います税収の増でございますが、これは現在の租税弾性値等を前提に考えますと、大体三千億円程度でございます。したがって、全体として見ますと、多少用います試算の前提等によって違いはありましょうけれども、全体としましては財政収支がかえって悪化いたしまして、国債残高の一層の累増をもたらすおそれが強いというふうに考えておるところでございます。
  165. 塚田延充

    ○塚田委員 同じ質問を通産省にしたいと思います。通産省の御見解をお聞かせください。
  166. 広海正光

    ○広海説明員 公共投資の効果につきましてはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、昨年実は通産省の産業政策局長の非公式な勉強会を組織いたしまして、マクロ経済運営につきましていろいろな勉強をしたわけでございますけれども、この研究会が去年の十月に発表したレポートによりますと、二兆円の公共投資をやりますと、一年目に名目GNPが〇・七、二年目に〇・九ふえる、こういう試算が、あくまでも試算でございますけれども出されております。  これをベースに、今の御質問の財政への影響がどうなるかという点でございますが、これもこのレポートによりますと、公共投資の直接的な効果だけでは、公共投資実施に伴う歳出増を賄うということは必ずしも言いがたい。言いがたいが、各種の景気対策を総合的に実施いたしますと、そのときの経済情勢にもよるわけでございますが、企業マインドを刺激し、予想以上の効果も期待できるのではないか、こういうふうに指摘されてございます。
  167. 塚田延充

    ○塚田委員 建設省はいかがでございましょう。
  168. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 私どもは公共事業の執行に責任を持っているわけでございますが、その景気刺激という面も当然大事ではございますが、御承知のように、諸外国に対しまして整備水準がおくれているというようなことから、中長期的に公共事業の着実な推進ということが必要であるというふうに考えてございます。  それから景気に対する影響ということでございますが、それは他のとり得る手段との相対的な影響の度合いということもあろうかと思いますけれども、先ほどから御議論がありますように、従来に比べますと景気に対するプラスの効果というものは少しずつ下がってきているという面はあろうかと思いますが、ただいま申し上げましたように、他の手段との相対的なことで考えますと、相当の効果を持っているものであるというふうに考えております。
  169. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま大蔵、通産、建設三省から公共投資のいわゆる景気に対する刺激効果、また財政に対する影響につきましてお尋ねしたわけでございますが、お聞きしておりますと、大蔵省と、一方通産、建設のようなそれを実施する省庁との間ではかなりのニュアンスの差、すなわち大蔵省の方は否定的な見解のようにも受けとめられますし、片方はそうでもない。他の政策との兼ね合いにおいてはかなりの効果があり得る、このような見解が出たわけでございます。  そこで、内閣におきましては副総理格として、特にこの経済運営につきましては、言うなれば最高の責任者とも言うべきかじ取り役でございます河本長官は、この公共投資の刺激効果につきましてどのようにお考えになっているのか御見解をお聞かせください。
  170. 河本敏夫

    河本国務大臣 公共投資、社会資本投資のことでございますが、これを考える場合に、日本が社会資本の面で先進国の中でどういう立場であるかということをまず考える必要があろうと思います。発展途上国に比べますと日本の社会資本投資は進んでおりますけれども、先進国と比べてみますと日本の社会資本投資は非常におくれておる、これは言えると思うのです。下水道一つをとってみましてもよくおわかりいただけると思います。  そこで、これまでの政府の経済政策、特に十年前に起こりました第一次石油危機からの経済政策をずっと見てみますと、景気が悪くなったときにまできるだけ社会資本投資を拡大していく、景気がよくなれば若干減らしていくという景気の調整役としての役割を非常に大きく果たしてきたと思うのです。特に第一次石油危機の後比較的早く景気が回復いたしましたのは、社会資本投資を思い切って拡大した、そういうところにあった、このように思います。ここ三、四年はずっと横並びでありますけれども、今景気が回復期にございますので、この公共投資を一体どうしたらいいかということがこれからも非常に大きな課題になると思います。  一方、過去十年、第一次石油危機、第二次石油危機の間に日本は巨額の国債を発行しております。この十年間にざっと百十兆という国債を発行いたしまして、今年度の終わりには百二十兆を超える、こういう状態になろうかと思うのです。このことで非常に意見が分かれるわけであります。大変だという説と、必ずしもそうでもないという説と二つに分かれるわけでありますが、百十兆という国債がふえたということはいかにも私は大変なことだと思います。  ただしかし、これによってその十年間に日本経済がどのように変化したかということを考えてみますと、昭和五十年には、税収は国税と地方税合わせまして二十二兆しかありませんでした。ことし大蔵省が出しております予算を見ますと、国税と地方税を合わせましてざっと五十七兆になっております。約三十五兆という税収がこの間にふえておる。もっともその間百兆以上の国債が増発されておりますから、金利負担も八兆くらいふえております。これまでややもすると議論になりましたのは、金利負担が八兆ふえたので大変だという議論が目立ったのでございますが、一方で三十五兆という税収がふえておる。しかも、先ほども申し上げましたが、現在の日本の経済は基礎的条件では世界で一番強い状態である、良好な状態である。物価も世界一安定しておる。経済の国際競争力も維持されておる。しかも、ここで考えなければならないのは、確かに百二十兆という国債はございますが、これはもう全部国内での借金、国民の皆さんが貯金された貯蓄を背景にしてそれが達成されたということを考えなければなりません。他の国が全部外債で国の経済を賄っておる、巨額に達しておるのとは全然事情が違うと思うのでございます。  しかも、現在は金融の流れ全体を見ますと、国内で貯蓄過剰の状態でありまして、アメリカの金利が高くなればどんどん外国へ流れていく、年間三百億ドル以上の金が流れていっておる、こういう状態であります。そういうことを考えますと、国債の残高が巨額に達したということに対して一体どういう評価をするのか、ここは意見の分かれるところだ、こう私は思っております。  それからもう一つ申し上げたいのは、昨年の八月に政府の方は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものを発表しておりまして、名目経済成長は六、七%ということを発表しております。実質経済成長は四%。もし七%の名目成長がずっと今世紀、十六年間続くといたしますと、日本のGNPはこれから十六年後には約九百兆、三倍以上になりまして、貯蓄率も現在の水準が維持されますと、百兆以上の貯蓄が毎年拡大する、こういうことになろうと思うのです。でありますから、国債の残高が多いということは、単なる数字だけではなく、国の経済の勢いはどうか、規模はどうか、そういう観点からも総合的に判断しなければならぬ、私はこのように思っております。  この問題は先ほどお聞きのようにいろいろな説がございまして、経済企画庁としてなかなか結論は出しにくいのでありますが、当面一番大事なことは、日本の国際収支の黒字幅が大変大きな数字になって国際的な摩擦が拡大しておる、こういうときに何をすべきかということから判断をしなければならぬ、このように考えております。
  171. 塚田延充

    ○塚田委員 現時点では景気もかなり回復基調にあるということが、いろいろな経済指標によって示されつつあると言われているわけですけれども、私どもの実感、特に私など中小企業の方とのおつき合いが多いわけですけれども、どうも政府なり日銀なりの言っていることが実感としてよくわからない、まだ景気はそんなによいとは思えない、このような町の声が強いわけでございます。言うならば、大企業と中小企業とか、または地域間の格差とかいうような、俗に言うまだら現象、これが実際に起きているんじゃないかと思うのです。このようなまだら現象、ばらつき現象に対しまして、その効果を広く一般化せしめるためにどのような対処策を考えておられるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  172. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 さしあたりの問題といたしまして、先ほど公共事業の上期の執行について議論をいたしておるわけでございますが、その際に、特に地域によっておっしゃるような面が非常にございますので、そういう点を十分配慮した形で進めてまいりたいということで、現在政府部内で話し合っているところでございます。
  173. 塚田延充

    ○塚田委員 物価の方はここ数年間、長官自身が明言されましたように、世界的に見ても大変な優等生であるということで、国民としては今のような物価安定を大変喜んでいるわけでございます。本年度は公共料金の値上がり年と申しましょうか、大体こういう公共料金というのは、二年に一回とか三年に一回とかそのサイクルがほとんど一致した形で、あれも上がればこれも上がるというようなことで、せっかく落ちついておる物価政府としては今年度目標を二・八%に置いているわけでございますけれども、何としてもこれを達成する。すなわち物価をこれ以上上がらせないように守っていくんだということが強く望まれるわけでございます。これにつきまして、時間がなくなりましたので、長官の方から、どのようにして物価を守っていくのか、鎮静化させていくのか、決意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  174. 河本敏夫

    河本国務大臣 物価政策は経済政策の中でも一番大事だ、私はこう思っております。物価が安定をしておりませんとほかの経済政策をなかなか実行しにくい、また、実行いたしましても効果が上がらない、こういうことでございますので、物価政策を最重点に考えていかなければならぬと思います。  ことしは、今お話がありましたが、広い意味での公共料金が一度に集中的に出てまいりまして、物価に相当影響を及ぼします。一%強の影響が出てくるのではないかと思います。幸いにほかの物価が安定をしておりますので、全体として二八%と想定をしておりますが、これ以上はどうしても上がらないようにしなければならぬ。そこで、予算編成の段階におきましても、もし上がるような傾向が出てくれば必要な資金を予備費から幾らでも投入して物価対策をしっかりやる、こういうととにつきまして大蔵大臣や自民党の方の了解をいただいておりまして、物価政策を最重点に考えていきたい、このように思っております。
  175. 塚田延充

    ○塚田委員 国民の望んでおります物価対策につきましては、ぜひ経済企画庁としても全力を挙げて、公共料金の値上がりムードにもかかわらず、二・八%以下に必ず抑えるという強い決意で今後の経済運営をしていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  176. 金子みつ

    金子委員長 藤田スミ君。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは本会議に割賦販売法の一部を改正する法律案というのが提出されました。その中身につきましてはもちろん当該委員会でこれから審議されていくわけですから、その中身の問題ではありませんが、私は今日の消費者被害の実態から考えていきますと、どうしても割賦販売法の改正だけではだめだ、やはり訪問販売法の改正を速やかに行うことによってこういう種の消費者被害を救済していくことができるというふうに考えております。そこで、特に訪問販売法に関する問題を中心に質問をしていきたいと思います。  国民生活センターの調査でも、各地の消費生活センターなどで受け付けました訪問販売や通信販売、キャッチセールスもあれば催眠商法というようなものもありますが、そういう手合いの問題で消費者から寄せられている苦情あるいは相談の件数というのは、毎年三〇%から四〇%ずつくらいのふえ方になってきているわけです。  もちろんその背景には訪問販売、通信販売、こういう販売法が急増してきているということにあるわけなんですが、昨年十二月に発表されました矢野経済研究所の調査によりましても、五十七年度は訪問販売が三兆二千六百億円、通信販売が一兆三百億円という売上高を上げております。全小売売上高の五・六%を占める数字になっているわけです。しかも伸び率は五十六年度は一一%、五十七年度は一三・八%というように、大変急成長を遂げていっているわけですが、今後ともこういう傾向は強まるのは必至だというふうに私は考えますが、経済企画庁はどういうふうに判断をしておられますか。
  178. 及川昭伍

    ○及川政府委員 経済企画庁といたしましても消費構造の変化に非常に関心を持ちまして、消費構造研究会を設けていろいろな検討を進め、つい先日、結果の御報告をいただいたわけでございますが、その中でも、消費の仕方が多様化してまいりまして、訪問販売、通信販売等につきましても御指摘のように非常に増加し、今後とも増加していく分野であろうかというふうに報告を受けております。  現在既にアメリカにおいては総小売額の一〇%以上になっておるわけでございますが、我が国においては通信販売、訪問販売についての公式の統計はございませんけれども、矢野経済研究所の推計はやや多目かと思いますが、おおむねその程度のものかと思いますし、今後それがさらに増加していくものと考えております。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 御答弁にありましたように、訪問販売、通信販売が急成長していく、そうするとその裏で、今日まで見ましたら被害が急増していくということになるわけです。したがって、保護の強化というのは本当に求められていると思います。  そこで被害の実態なんですが、経済企画庁が消費者取引の多様化に伴う消費者苦情実態調査というのを行っておられるわけですが、その消費者被害の特徴的な点をお示しをいただきたいわけです。
  180. 及川昭伍

    ○及川政府委員 特に取引が多様化した中で、店舗外取引についての被害実態を昨年、国民生活センター等を中心として調査いたしました。その結果によりますと、被害あるいは苦情の内容は総じて次のような特徴があろうかと思います。  まず第一に、取引の形態でございますが、自宅や職場等への訪問販売が最も多いわけでございますが、いわゆるキャッチセールスと称しまして街頭で声をかけて販売するようなやり方とか、あるいはアポイントメントセールスと称して電話で予約したり、喫茶店に呼び出したりして契約するというようなやり方が最近ふえてきております。苦情の対象品目としては商品が圧倒的に多いわけですけれども、最近、サービスあるいはサービス関連のものがかなり多くなってきております。  それから、契約の金額あるいは支払い方法としましては、契約金額が非常に多額のものが多くなってきておりまして、支払いの方法としては信販会社等による立てかえ払いを伴うものが約半分程度というふうになってきております。  特徴的なことを申し上げますと以上のようなことになります。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣には最後に総括的に御答弁をいただきますので、恐縮ですが質問を続けていきたいと思います。  それでは具体的にお聞きをしていきたいと思うのです。  この訪問販売法ですが、先ほどの御説明にもありましたように、店舗外取引による被害が非常に大きい。数字では七四%を占めるということになっているわけです。したがって、ここでも訪問販売法の役割は非常に重要になってまいります。しかしながら、その訪問販売法を見ますと、規制の対象は「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品で政令で定めるもの」、そういうふうに政令で指定するものというふうに、指定商品を対象にしているわけです。言葉をかえますと、その指定商品外のものは規制の対象にならない、訪問販売法によってかばわれない、そういうことになるわけであります。  私は、この質問に当たってアメリカだとかヨーロッパではどうなっているかということをいろいろ調べてみましたけれどもアメリカでもヨーロッパでも店舗外取引に係る法令では、規制の対象はすべての商品に及ぼすということになっておりまして、日本のように指定商品を決めているというようなのは大変珍しい状態になっているわけです。珍しいというよりか、ないわけですね。ヨーロッパとかアメリカとか、主な先進諸国の中を見ましたら、ないわけです。したがって、私はやはり訪問販売法はすべての商品を規制の対象にするべきじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
  182. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘は、現行の訪問販売法における指定商品制度が適当ではないのではないかという御質問かと思いますが、訪問販売法によりまして訪問販売を行います業者は、一般の店頭売りの業者等と違いまして、セールスマンが氏名を明示しなければいかぬ、あるいは書面を交付しなければいかぬ。書面の交付は罰則担保でございます。あるいは、解除、クーリングオフ、四日間は無条件でできる、こういう義務を課しているものでございます。  訪問販売法、五十一年に制定されたわけでございますが、法律による規制に際しましてはあくまでも、これは業者といえども国民に新たな規制を、一種の罰則担保の規制をかけるわけでございますから必要最小限度のものに限定をし、あるいはどういう場合にどういう義務を課せられるかということをはっきり要件として明示する必要がある、こういうことで指定商品制がとられたと承知いたしております。  ただ、私どもといたしましては、御指摘のように指定商品制に漏れがある、重要な商品でありながら指定されない、こういうことがあっては問題でありますので、従来からも定型的に供される、主として日常生活の用に供される御指摘のような商品につきまして訪問販売がなされる、あるいはそれによって問題が生ずるおそれのあるものにつきましては逐次政令で指定をしているつもりでございますし、現在におきましてもそういうことで、もし漏れが生じてきているということであれば、これを速やかに追加指定していくことについては全くやぶさかでないという立場でございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 お話を聞いていますと、問題が起こりそうだ、あるいは起これば逐次商品を追加していって指定商品をふやすんだ、そして現在の御判断では、商品を指定していて大体カバーできているんだ、こういうことなんですが、その辺がどうも納得できないわけです。  そうすると、この指定商品でもうほとんどカバーできているのだったら、指定商品なんて改めて指定しなくてもいいじゃないかと言いたくなりますし、問題が起こりそうだ、あるいは新たに出てきた、あるいは問題が起こったということになれば逐次指定商品に入れていくんだという考えも、そんなことやったら後手後手やないか、こう言いたくなるわけなのです。この辺いかがですか。
  184. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘の点もわからぬではありませんが、逆に指定が極めて敏速にやられれば問題はないということにもなるわけでございますし、何度も申し上げますように、やはり新たな義務を課すようなものにつきましては要件をはっきりさせる、法律なり政令を見ればそれははっきり書いてあるということが必要であろうかと思っております。  私どもといたしましては、現在におきまして、非常に指定の必要があるものをぐずぐずして指定をしてないというようなことはないと思っておりますけれども、なおこの点については、要望、状況があれば、そういう必要があれば迅速に指定をしていきたい、そういうことによって消費者の保護を図っていきたい、そういうふうに考えております。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大体訪問販売法というのは販売方法が非常に特殊なものだ、そこに着目をして消費者保護を図っていこう、こういうのがこの法律の趣旨であるというふうに思うわけですね。したがって、取引対象が何であるかということは関係がないんじゃないか、だからこそ諸外国ではもう指定商品なんて外して、そして訪問販売、通信販売にかかわっている商品は全部その対象にしていくということになっているというふうに考えるわけです。その点では今の御答弁、納得いきません。  訪問販売法は、また同時に、先ほど被害の実態について御指摘がありましたサービスにかかわるものですね。役務ともいいますが、その役務を規制の対象にしておりません。ですからこの役務つき商品、サービスを抱き合わせた商品、それからもちろんサービスオンリーの商品、こういうものにかかわる被害というのが随分出てきているわけであります。これもまた諸外国の例を引いてあれですが、役務を規制対象にしているところというのも、またこの表で見ましたらすべてなんですね。「物品および役務」、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、全部こういうことになっております。この点ではいかがでしょう、訪問販売法の中での役務。
  186. 牧野力

    ○牧野説明員 訪問販売法が五十一年に制定をされましたときには役務がその対象となっていないわけでございますが、そのときの役務を対象としなかった理由については、役務というのは非常にいろいろな種類のものがありまして、定型的な条件で定型的な内容の役務を提供するものではないものが多い、画一的な法規制になじみにくいというような理由から役務が対象とならなかったというふうに承知いたしております。  ではございますが、今委員が御指摘になりましたように、最近役務に関しまして、役務の訪問販売についていろいろトラブルが生じていることは私ども承知いたしております。そういうことでございますので、私どもといたしましては、役務等の訪問販売についての実態調査を早急に行いまして、果たして訪問販売の規制になじむものかどうか、なじむとしたらどういうような規制のあり方があるのか、そういうものが適当かどうかということも含めまして、例えば私ども産業構造審議会がございますが、そこの消費経済部会等の場を活用いたしまして検討いたしたいというふうに思っております。  なお、この訪問販売法は、御指摘のように消費者の保護を図ることが一つの大きな目的ではございますが、他方、商品の流通を適正かつ円滑にするということも法目的の一つの柱であるわけでございます。(藤田(ス)委員「それはわかっておりますから」と呼ぶ)そういうことでございます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この点では、消費者保護の立場に立たれる経済企画庁としてはお考えはいかがでしょうか。私は、実態になじむのかどうか、それが適当かどうかということを今から調べるというのは、ちょっともう本当にいら立たしい気さえするのですが、既に経済企画庁の方の諮問機関である国民生活審議会ですか、この中でも指摘されておりますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。  時間の関係でこれを一点にしておきます。  それから、きょうこの割賦販売法の改正案が提案されてきたわけですが、この改正案の中には、役務関連取引の適正化ということは触れていないわけです。私、三年ぐらい前に、日本教育研究センターの倒産による消費者の被害、それとの絡みで中国信販の責任の問題など取り上げたことがございますが、今本当に求められるのは、役務に関係する、ここのところじゃないかというふうに考えておりまして、この点では産構審の消費経済部会の答申でも、「役務関連取引について商品に係る取引と同様に規定の整備を図ることが妥当である。」こういうふうに言っております。そういう点で経済企画庁のお考えをお聞かせいただきたいわけです。
  188. 及川昭伍

    ○及川政府委員 割賦販売、訪問販売、ともに現在役務は対象外となっているわけでございますが、御指摘のように、役務に関するトラブルも非常に多発しておりますので何らかの対策が必要だというふうに考えておりますし、国民生活審議会消費者政策部会の昨年十二月の報告でも、その方向で指定商品制の見直し、あるいは役務を対象とするようなことについての報告をいただいているわけでございます。経済企画庁としては、この消費者政策部会の方向に沿って早急に政府部内で検討が行われることが望ましいと考えておりますが、先ほど通産省から答弁申し上げましたように、サービスについてはその内容とか形態とか、あるいは定義の仕方とか、役務と物との価格の仕分けの仕方とか、いろいろ法律技術的に検討すべき多くの問題点がありまして、今回の割賦販売法の改正には盛り込むことができなかったというふうに理解をしておりますが、今後さらに政府部内で検討を進めるべき課題であるというふうに思っております。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ぜひこの際、割賦販売法の中に役務を対象に入れるように働きかけをしていただきたい。この際、通産省に特に働きかけをしていただきたいというふうに私は考えるわけです。  私は三年前のときも、ちょうど経済企画庁長官をしておられて、そしてこの質問は長官にもいたしました。長官もたしか前向きの御答弁をいただいたと思いますが、割賦販売法の改正が出されているちょうどいい機会ですので、積極的に割賦販売法にも役務が対象に取り入れられるように強力に働きかけをしていただきたい、これはお願いでございますが、長官、いかがでございましょうか。
  190. 河本敏夫

    河本国務大臣 問題点よくわかりましたから、勉強さしていただきます。
  191. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次に、クーリングオフの問題について入っていきたいと思います。  クーリングオフについて一般消費者の知識というのは、なかなか周知徹底がうまくいきませんで、これは日本割賦協会が実施しました調査を見ましても、クーリングオフを全く知らない人というのが三四・六%、名称だけは知っているがということで中身を知らない人、こういう人が二〇・七%、合わせて半数以上の人たちがクーリングオフのことについては知らずにいるわけなんです。これが知らないから被害が非常に多いということございます。周知徹底を図るためにいろいろ対策をとっておられるということは承知しておりますが、最近特に力を入れておられる周知徹底の分について、通産省の方からお答えをいただきたい。
  192. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘のように、クーリングオフ制度の周知徹底がこの制度を守らせるために一番重要であろうということでございまして、私どももいろいろPRの手段を講じておりますが、最近では特にテレビの放映あるいはリーフレット、パンフレット等の配布により、いろいろこの制度を消費者の皆さん方に知っていただくように努力しております。これもただつくったというだけではなくて、各地の消費者センターでありますとか、地方公共団体の消費者担当課でございますとか、そういったところに積極的にお配りをいたしまして、PRに努めているところでございます。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 現行法では、クーリングオフというのは四日間、その期間は四日間です。消費者はクーリングオフは書面で行わなければならないということを知っている人が少ないわけですから、結局販売業者に契約の解除を申し入れたいときに電話をするわけですね。そうすると業者が悪用しまして、今担当者がいないんだとか、あるいはあしたにしてくれとか、あるいは電話に出ないとかいうようなことになって、四日というのはすぐたってしまって、結局それで被害が出てくる。そういう点では、早くからこれを延ばすべきだという意見は消費者センターからも随分要求が出てきていると思います。  諸外国でも、イギリスが十四日間なんですよ。西ドイツも十四日間、オーストリアが七日間、フランスが七日間、日本というのは本当にこの点でも私は消費者保護がおくれているなというふうに思っておりますが、延長するお考えはありませんか。
  194. 牧野力

    ○牧野説明員 先ほどから御意見がございましたように、私どもの今一番重要なのは、クーリングオフの制度があるということ、あるいはその内容がこういうことであるということを消費者に周知徹底をいたしまして、これを的確に使っていただくというところに現在最重点を置いてこの問題に取り組んでいるところでございます。  ただ、今御指摘がありましたように、この四日というのは短い、一週間程度に延長すべきではないかという声が非常に強くなっていることも十分承知いたしております。今御指摘になりました諸外国の例、日本より長い例もございますが、アメリカのように三日というところもございます。いずれにいたしましても、この延長ということを今後の一つの重要な課題といたしまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました産業構造審議会等でこの問題は前向きに取り組んで御審議いただきたいというふうに考えております。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 前向きに取り組んでいただくということで審議をお願いしているということですから、ぜひこの期間を延長するということは早く実現をしていただきたいと思います。  アメリカが三日だというふうに言われましたので、なぜアメリカが三日かということを、御承知かと思いますがちょっと言いますと、アメリカというのはクーリングオフ用の書類を添付する、そういうことをきちっと義務づけているわけです。したがって、三日であっても間に合うわけです。私は、次にこのことをぜひ実現をしていただきたいということを言いたいわけなんです。  クーリングオフということは知っていても、クーリングオフは書面で行わなければならないということを知っている消費者が非常に少ない。確かに赤線で囲んで、幾らかそういうことを約款の中に書き込んでおられるということも知っています。しかし、それにもかかわらずそういうことが消費者というのはなかなかわかりにくい。別紙で、気が変わったらこれを送付してくだすったら解約を無条件でいたします、あるいは簡易はがきでそういうような契約解除のできる旨を表示できる、そういうものがあれば消費者というのは随分立場が変わってくるというふうに思うわけです。そういう点では、こういう書面方式というものを取り入れるお考えはないか、このことをお伺いしたいわけです。
  196. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘の点ごもっともであろうかと思います。私どもといたしましても、この契約書面に、例えばクーリングオフ用のはがきの刷り込み等が望ましいというふうに考えるわけです。ただ、これはコストが若干かかるようなことでもありますので、あくまでも業界の同意を得て指導する必要があろうかと思います。これは強制するようなたぐいのものではございませんので、私どもといたしましては、業界に対してこういった方式をとるように現在指導を行っているところでございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その指導を徹底して、そうして一日も早くクーリングオフ用の書類を添付する、こういうことで、約款の指導の中でその添付を強力に指導していただく、この点もう一度はっきりお約束願いたいわけです。
  198. 牧野力

    ○牧野説明員 できる限りの指導をいたします。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 このクーリングオフについて、もう一つは、現金払いの場合に適用されない、これがまた一つの大きな問題になって、このごろはだんだん業者も賢くなりまして、しかも訪問販売というときには、消費者というのは本当に非常に強制、一種の脅迫という言葉は余り適当じゃないと思いますが、強引に商品を売り込まれるという点では弱い立場にどうしてもなってしまいます。そういう点はセールスマンもよく心得ていて、考える時間を与えないで現金取引をさせてしまうという例が多いわけであります。  フランスで見ますと、訪問販売で消費者の弱点または無知を悪用した者は一年ないし五年の禁錮になる、こういう規定になっております。したがって、フランスあたりに参りますと、こういう被害は非常に少ないということなんですね。この点では、やはり現金払いについてもクーリングオフを適用させていく、あるいはフランスのように訪問販売で消費者の弱点、無知を悪用したものは規制していく、こういうことでなければ消費者保護ということにならないと思いますが、これは経済企画庁にお伺いをしたいわけです。
  200. 及川昭伍

    ○及川政府委員 クーリングオフ制度を現金即決払いに適用するかどうかというのは、非常に大事な問題であろうかと思います。しかしながら、セールスマンの攻撃性や誘導性が強力であればあるほど即金払いが多くなるということがありまして、現金払いにも適用すべきだということがいろいろ言われているわけでありますけれども、また別途契約の安定性といいますか、契約がすでに完結したものを消費者側が自由に解除することができるということになりますと、法の安定を損なうということで、反対の意見も当然のことながらあるわけでございます。  国民生活審議会の消費者政策部会では、このことについてもう過去一年余にわたって検討いたしまして、一応現金払いについても一定の条件のもとにクーリングオフ制度を認めることを中長期の課題として検討したらどうかというような御報告をいただいておりまして、その問題はやはり一つの検討課題であろうかと思います。例えば自動車等に日用雑貨品を積んで売りにくるというものも訪問販売であり、現金即決払いでありますし、路上の物品販売だとか露店の販売等いろいろなやり方がありますが、いろいろな店舗外取引における現金即決払いというのが通常行われている事例が非常に多いわけでございますから、その辺についてどのように取り扱うか等々、いろいろ難しい問題があろうかと思いますので、十分検討させていただきたいと思います。
  201. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 難しい問題があるというのは私もよくわかりますが、余りにも消費者保護という面でおくれておりますので、こういうふうに諸外国の例を見て、ぜひこういう被害が防止できるように対策を強化していただきたいということを申し添えておきたいと思います。  コーキ出版の倒産、今大変問題になっておりますが、どういう被害であったかということは十分御承知のことだと思います。これは二月の初旬に倒産をしました。塾経営のノーハウを教えますということで、全国の主婦約千二百人から五億円近い資金を集めていたわけです。この資金の集め方というのは、主婦らに絶対迷惑をかけないということで覚書を交わし、そして名義を借りて信販会社から立てかえ払いを受けるというようなもので、このコーキ出版の倒産によって主婦たちは信販の支払い義務だけが残り、そして今苦情が殺到しております。  もう一つは通信教育ということでセットで、これもローンの支払いだけ残って、通信教育を受けた人たちも大きな被害を受けております。このような問題というのは、私が三年前に取り上げました日本教育研究センターの問題と同じで後を絶たないわけなのですが、この点、まず通産省はどういうふうに是正をしていくおつもりなのか、お伺いをしたいわけです。
  202. 牧野力

    ○牧野説明員 御指摘のように、信販会社等が販売店と契約を結ぶわけでございますが、十分な調査もなしに、非常に財務基盤の弱いあるいは悪質な販売店と契約する、そのあおりとして、販売店から商品なりサービスの提供を受けた消費者が非常に被害を受ける、こういう事態が最近非常に多くなっていることは十分承知いたしております。  私どもといたしましては、基本的には割賦販売法の改正その他で対応するということでございますが、行政的には、五十七年に各信販会社に通達を出しまして、例えば商品の供給、役務の提供を円滑に行うことができないような販売店、あるいは倒産のおそれのある販売店を加盟店にしないようにするとか、あるいは商品に傷があったとか故障があったとか、いろいろ消費者苦情があった場合に、信販会社としてもそれに即応するような社内体制を確立する、あるいは消費者が契約した場合の意思を十分に確認する、そういったことを主体とした通達を出して業界を指導してきたところでございます。
  203. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 業界を指導されてもこういう問題が起こっているわけです。ぜひ通産省は、これは業者側に対する指導ということだけじゃなしに、被害者に対しても、国民生活センターが今一生懸命取り組んでおりますので、そこに対しては積極的に、消費者の側の救済に力をかしていただきたいと思います。  私この事件が起こりましたときに、どうしてこういう事件が後を絶たないのだろう、どうしたら一番いいかなというふうにいろいろ考えておりましたが、これはクレジット契約を結ぶときに文書で契約の確認を求める、こういうことも一つは非常に大事じゃないか。これはコーキ出版のような、主婦が名義を貸して使われるという問題だけじゃなしに、お年寄りが強引に押しつけられて家族の中でトラブルが起こるとか、経済力の十分ない学生たちが契約を結んできたのはいいけれども、それによってローンの支払いがどんどんふえてきてどうしようもなくなるというような被害を防いでいく上でも非常に大事です。  ところが今、クレジット契約を結ぶときに、契約の確認は電話一本なんですね。消費者にしてみたら、電話がかかってきたけれども、それは商品購入の意思の確認なのかというふうに受けとめてしまって、それが立てかえ払い契約を締結する意思の確認というふうにはなかなか受けとめられない、そういうことがございます。そういうような点で、私は、やはりこのクレジット契約はお金の貸し借りの問題ですから、電話一本で、あなた契約しましたか、はい、しましたよ、ガチャ、というようなやり方じゃなしに、文書で確認をさせていく、これが被害を防いでいく、これが全部じゃないですが、一つの大きな力になっていくのじゃないかというふうに考えるわけです。この点いかがでしょうか。
  204. 牧野力

    ○牧野説明員 クレジット契約が最近非常に伸びております裏腹として、非常に大きな消費者トラブルが起こっていることも事実でございますが、他方、このクレジット契約の簡便性といいますか、それが非常に消費者のニーズといいますか利便に即している。それがゆえに非常に取引が伸びているという面も否定し得ないわけでございます。したがいまして、この辺は一律に文書でやるということになりますと、現在トラブルが生じている何層倍ものうまくいっている取引があるわけでございますから、そういったものまでも文書を出させるようにいたしますと、非常にこのクレジット契約の消費者利便という面が影響を受けるという面も否定し得ないわけでございます。  ただ、御指摘のように電話で非常にイージーに意思を確認するというところに問題があることも事実でございますので、私どもといたしましては、電話で確認する場合にも、その本人しか知り得ない事実を十分に聞いて本人の意思を確認するように、社員教育なりそういったことをやるように従来から指導をしてきておりますが、こういったことをより一層今後とも強めていきたいというふうに考えております。
  205. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それはあきませんよ。社員教育なんというのはあかんのですわ。それは、倒産しかかっている販売業者と信販会社とが一本になっているのと違うかというような事例、今までの大型倒産、大型被害の中での姿というのはそういうことになっているのです。社員を指導して本人しか知らぬ話を、そんな、それは甘いのです。やはりもっときちんと、お金のことなんですから、お互いそれで二年なり三年なり支払いをしていかなければならぬ義務づけを消費者は受けるわけですから、その点ではきちっと一枚のはがきで、あなた契約されましたか、返信用のはがきで、私契約しました、このやりとりだけでいいのですから、それぐらいのことは、あれだけの、額も大きいですから、二十万、三十万、時によったら七十万というのもありますから、そういうような大きな額を扱う以上、それぐらいの責任というのは社会的な常識からしても当たり前ではないですか。  その点で、通産省のそういう姿勢が今まで大きな被害をつくり出してきたもとになっていると言ったら大変えげつないかしれませんけれども、私はそう言いたくなるわけです。もう一度最後に御答弁をお願いをしたいと思います。  それから、時間がありませんから最後に長官にお伺いをいたします。  私は、きょうは本当はまだ契約の問題も契約書の問題も持ってきたのですが、もう時間が参りましたのでこれで終わります。ただ、お聞きのように割賦販売法だけ改正しましても、訪問販売法が改正されていない現状のもとで、消費者保護という点ではまだまだ非常にざるになって、被害は十分これからも予想されます。  それからクーリングオフの問題だとかあるいはクレジット契約を結ぶときのこういう書面の交換の問題だとか、いろいろ消費者保護という観点から見ましたら、実に諸外国に比べておくれているというのは、この一枚の、たったこれだけの表を見ても、本当に恥ずかしいなという気持ちがいたします。消費者保護という立場でお働きの長官に最後に御決意のほどをお伺いするとともに、その前に通産省にもう一度。
  206. 牧野力

    ○牧野説明員 御意見は十分に深刻に受けとめまして、勉強させていただきます。
  207. 河本敏夫

    河本国務大臣 消費者行政、消費者の保護ということは企画庁の非常に大きな仕事でございますので、その観点からいろいろな問題点を指摘されました。企画庁におきましても前向きに検討いたします。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。
  209. 金子みつ

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会