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1984-04-03 第101回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月三日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君    理事 岸田 文武君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 宮地 正介君    理事 田中 慶秋君       伊吹 文明君    木部 佳昭君       二階 俊博君    小林 恒人君       中村 正男君    浅井 美幸君       福岡 康夫君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局審査部長 伊従  寛君         経済企画政務次         官       山崎武三郎君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁調整         局審議官    丸茂 明則君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  長野 文昭君         文部大臣官房企         画室長     上野 保之君         文部省大学局学         生課長     井上 孝美君         文部省管理局私         学振興課長   奥田與志清君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省食品         流通局野菜計画         課長      町田 英憲君         食糧庁管理部企         画課長     馬場久萬男君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     渡辺 光夫君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 金子みつ

    金子委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊吹文明君。
  3. 伊吹文明

    伊吹委員 河本長官を初めとして企画庁政策責任者方々は、歴史の流れを非常に的確に見て、今何をすべきかということを考えながら非常に積極的な展望政策運営に当たられまして、日本経済の各分野において現在非常に明るい兆しが出てまいっておりますことに対しまして、心から敬意をあらわしたいと思います。  特に、最近の月例経済報告を拝見いたしますと、鉱工業生産指数は毎月毎月プラスに転じておりますし、また物価消費者物価については大体二%ぐらい、そしてまた卸売物価に至ってはほぼ横ばいというような状態で、諸外国に比べてパフォーマンスも格段によろしいと思います。特に一九八〇年からの四年間を見ますと、この四年間で実質成長率プラスになっておるのは日本だけでございます。アメリカにしろ西ドイツにしろ、この四年間のうち三年間は実質マイナス成長ということでございますから、もちろん民間経営者方々を初めとする民間活力をうまく引き出されておるという意味では、極めて政策運営よろしきを得ておるのではないか。ただ、後に質問させていただきたいと思いますが、全体としては非常にうまくいっておるようでございますが、業種、地域についていろいろな問題があるということもまた事実でございます。  それからもう一つは、このような短期的な経済政策については大変うまくいっておるわけでございますが、長期的な展望日本経済をどの程度成長率に持っていくのかということがこれからの極めて大きな問題だと思います。特に、現在の需給ギャップをどのように調整するかということも非常に大切なわけでございますが、長期的に見て成長率をもう少し高めていくのならば、我々は何をすべきなのかというところに政治家としての歴史的な判断価値観、そのようなものがまず必要であろうかと思います。  まず最初に、経済運営に当たられる基本的な御認識を伺っておきたいわけでございますが、現在日本は大変豊かな国だと言われております。確かに経済パフォーマンスもよろしゅうございます。しかし社会資本を初めとしての国富は、他の先進国に比べると決して十分ではない。この社会資本を充実して真に豊かな国を築いていくためには、成長率は長期的には高目でなければいけない、私はかように思っております。河本長官の当委員会における御報告でも、「経済政策のよろしきを得れば、我が国経済活力を一層引き出すことは、十分可能と考えております。」という認識を明らかにしておられますが、まず政務次官にお伺いいたしたいのですが、日本は諸外国に比べて豊かな国だとお考えでしょうか。
  4. 大竹宏繁

    大竹政府委員 ただいまお話がございましたように、我が国経済の。パフォーマンス、そのよさというものは御指摘のとおりでございます。  ただ、豊かさという面になりますと、いろいろな測定の尺度というものもあると存じますが、少なくとも我が国を歴史的に長い目で見た場合には、日本は今や豊かな国になったというふうに言ってよろしいのではないかと考えております。
  5. 伊吹文明

    伊吹委員 現在、高度成長期を振り返りますと、実質一〇%程度成長が大変長く続いたわけでございます。このような時期には、例えば五%、四%という成長率の場合には不況であったという認識をしてもよろしいかと思います。現在は、既に御承知のようにいろいろな要因がございまして、高度成長期のような実質一〇%の成長率が何年も続くという状態ではないと思います。このようなときには五%、六%という成長率は極めて景気がいいという判断をするのが私は適当だろうかと思います。  企画庁は、経済見通しにおいて本年度四%を超える実質成長率をお考えになり、名目で見ますと六%近くの成長率考えておられます。河本長官お話にございますように、「経済政策のよろしきを得れば、我が国経済活力を一層引き出すことは、十分可能である」、こういうごあいさつをしておられるわけですが、現在の四%あるいは名目六%近くの成長率のもとで、需給ギャップがあるとお考えになっておりますか、それとも需給ギャップはないというふうに考えておられますか。
  6. 廣江運弘

    廣江政府委員 最初に私から需給ギャップにつきましてお話を申し上げます。  先生御高承のように、需給ギャップ需要供給能力の差を示すわけで、特にこれは計量的に示す場合には、供給能力のはかり方にいろいろ技術的な難しい問題が出ますね。一義的に定義するのはなかなか難しいわけですが、第二次石油危機後の長い景気停滞ということもありまして、私どもは結論的にはある程度需給ギャップは存在する、こういうふうに思っております。これは民間機関等におきましてもそれを計量的に示した研究はございますが、若干の需給ギャップは存在するということは私どもも認めざるを得ないと思います。ただ、昨年来、輸出を嚆矢といたしまして景気回復しておりますし、需給ギャップは今は傾向としますと縮小する方向にある、こういうふうに考えております。
  7. 伊吹文明

    伊吹委員 今調査局長の御答弁になったことが、大体現在の経済動きじゃないかと私も思います。企画庁経済見通しで述べておられる成長率をやや上回る成長が達成されるのではないかという見通しが、新聞などにもちらほら出ていることもまた事実でございます。現在の経済構造前提として若干の需給ギャップがあるんではないかという御判断でございますが、河本長官のごあいさつにございます「経済政策のよろしきを得れば、一層引き出すことは、十分可能と考えております。」ということに関して伺いたいのですが、一層の活力を引き出すとするならば、どの程度成長率までが可能だとお考えでございますか。
  8. 大竹宏繁

    大竹政府委員 やや中長期的な観点からお答えを申し上げたいと思いますが、御承知のように昨年度閣議で決定をされました「展望指針」におきましては、年平均実質四%程度名目で六ないし七%程度成長率を見込んでおるわけでございます。ただ、これはやはり政策的にもいろいろ努力をしなければいけないということは御指摘のとおりでございまして、まず、世界的な経済環境というものが回復に向かっているという基本的な認識はございますが、そのほか、国内的には現在進んでおります技術革新動きを一層推進していくということ、それからやはり良質の労働力を維持していくというようなこと、そうした経済政策のよろしきを得ればということがあるわけでございます。  これは平均でございますから、非常に環境のいい場合にはその平均を上回るということも十分あり得るわけでございますし、また、環境が悪ければ下回るということもあり得るわけでございまして、平均をそのような表現でお示ししておるわけでございます。
  9. 伊吹文明

    伊吹委員 今の御答弁で、マクロの減税であるとか財政支出追加以外に、各般の構造対策のようなものを絡めればさらに成長率が高まるのではないか、このような御答弁だったと思いますが、私もそのとおりだろうと思います。今は時代の大きな変わり目だろうと思います。高度経済成長時代産業構造あるいは社会構造、このようなものを前提にしてはなかなか成長率を高めることはできない、したがってこの構造を少しずつ変えていかなければいけない、これがいわゆる行政改革本当のねらいであろうかと私は思います。  そのような見地から見ますと、例えば政務次官の御出身である九州でございますとか、北海道であるとかあるいは四国であるとか、現在経済成長率日本全体では非常に明るいと言われておりますけれども、取り残されている地域があることもまた事実でございます。  私の出身県でございます京都府は、繊維を中心にいたしております経済構造を持っておりますが、このようなところは経済構造変革にやや乗りおくれて、現在景気は、日本全体としては明るいものがあろうかと思いますが、むしろまだら模様で、決してこれで安心できるという状態ではないのじゃないか。むしろ経済企画庁経済政策総合調整官庁としてお願いをしたいのは、マクロ政策を実施するということよりも、地域的、業種的な対策を講じていただいて、この変革期をうまく乗り切れるような御提言をお願いできればという声が大変強いと思いますが、そのあたりについていかがでございましょうか。
  10. 丸茂明則

    丸茂政府委員 先生指摘のとおり、景気は徐々に回復テンポを高めておりますが、まだ地域別あるいは産業別に、跛行性といいますか、ばらつきがある。地域によっては必ずしも回復テンポが高まっていないという点がございます。  したがいまして、きめの細かな政策が必要であるという点は私どもも常々考えているところでございますが、一つは、最近、昨年以来の輸出の増加に伴いまして、従来は不況産業といいますか、構造的に不況であるというふうに考えられておりました、端的に申し上げますと鉄鋼等々の素材産業のようなものにもやや明るさが見え始めておりますし、それから御指摘の中にございました中小企業、これはいろいろな産業によって違いますが、中小企業の中にも、昨年の後半くらいから少しずつ景況感が明るさを増してくるという状況でございます。私どもは、そういう景気波及効果がだんだん広がっていくということを期待すると同時に、政策的にもこれをサポートしていきたいと思っております。  また、地域別によりましては御指摘のような状況もございますので、今国会で本年度予算を御審議いただいておりますが、これが成立いたしました段階では、従来もやっておりますが、公共事業執行等につきまして、地方の情勢を十分に考慮して、関係各省にも御相談して、なるべくそういう地域経済プラスになるようにしていきたいというふうに考えております。
  11. 伊吹文明

    伊吹委員 今御答弁がございましたことですべてが尽きておると思いますが、私は、現在必要なのは、やや長期的な見地に立った構造対策といいますか、日本経済構造財政構造、そして私たち個人個人生き方、こういうものをもう一度——日本経済が物質的にも豊かな成長率を確保できる状態につくり直すことが一番大切であって、現在のままで安易に財政支出追加するということは、この構造変革の波をかえって中に包み隠してしまうのじゃないかという考え方で私はおるわけでございます。  欧米諸国では、先ほど調査局長が御指摘になりましたように、需要はもうかなりあるのだ、そしてむしろ生産力というか供給サイドが必ずしも十分じゃないのだ、したがって追加財政支出をどんどん入れるということはかえって物価を上げるだけで、成長率を押し上げないのだという考えがかなりあることは、もうすでに御承知のとおりだろうと思います。レーガン大統領や英国のサッチャー首相経済政策の根底にあるのは、このようなサプライサイドを重視した、もう一度構造対策をしっかりつくり直していこうじゃないか、安易に今構造を直さずに需要だけを追加するということは、かえって長期的に見て不適当じゃないかという考え方があるわけですが、日本現状について、このあたり企画庁の御判断はいかがでございましょうか。
  12. 廣江運弘

    廣江政府委員 サプライサイドを重視しなければいけないという考え方が、世界的にも大きな反省点として持ち上がってきていることも御説のとおりだと思います。  そこで、御質問我が国の場合供給能力はどうかということでございますが、供給能力は、先ほどの御質問の中にもございましたように、我が国の場合におきましても、高度成長期に比べますと相対的に低下してきているということは、これは否めない事実でございます。しかし、なお技術進歩率はかなり高いものがございますし、貯蓄率が高い。投資比率も高い。そして生産性上昇率欧米諸国よりは優位にあるということも事実でありまして、なおかなり良好なパフォーマンスを示していると考えます。今後も我が国景気回復をより一層着実にするということ、それから御指摘供給面での改善を図っていくということが、これからの我が国の力強い、特に持続的な成長を続ける一番の重要な要素ではないかと思います。
  13. 伊吹文明

    伊吹委員 高度成長期と現在を比べてみますと、いろいろな構造的な変化があると思うのですが、まず経済を見ます場合に、高度成長期とかあるいは戦後の非常に苦しい時期というように五年、十年という期間をとってもいいと思いますが、経済構造前提とした流れのようなもの、これを一つ傾向といいますか、トレンドと言ってもよろしいかと私は思いますが、もう一方で、その傾向と申しますか、流れの中で、毎年毎年供給需要を上回っておる、あるいは需要圧力が大変強いので物価が上がってくる、こういう一年、二年、あるいは上半期、下半期という単位でもよろしいかと思いますが、このようなやや短期的なサイクルというか循環というものがあるのじゃないかと思います。  この長期的な傾向値ということからいいますと、例えば石油の価格が非常に上がってしまう、代替エネルギーの開発は、価格的にもまだ石油をキャッチアップするまでに至っていない、あるいは公共部門のウエートが非常に高まってきたということも一つございます。  それから、これは今を生きる人間の生き方としては非常に美しい生き方であって、決して責められることではございませんけれども、戦後と比べれば、生産よりもどちらかというと消費を重視した支出構造になってきておる。地方の市町村でも、かつては道路投資をし、工場誘致に使ったお金で美術館を建てようという時代になってきておるわけでございます。ということからいきますと、長期的な傾向値としての成長率の高さというものはかなり落ち込んできておるという判断は、先ほど調査局長もおっしゃいましたけれども、私はやはり正しいのだろうと思います。  このような構造的な変化前提にして、短期の需給ギャップを埋めていくということを考えないと、極端な場合にはかえって物価だけが上昇しちゃうという場合もありましょうし、余り慎重に考え過ぎるとかえって失業がふえてくるという場合もあろうかと思います。このような構造対策ということが、行政改革がねらっておる本当の一番の大きなねらいであって、会社の経営でもそうだろうと思いますが、将来大きな花を吹かせるために、今何とか構造対策をつくっていけるような状態日本経済につくり出さなければいけない時期だ、私はこういう認識を持っておりますが、この長期的な問題については、御当局側はどのようにお考えでございましょうか。
  14. 大竹宏繁

    大竹政府委員 戦後何年かの期間で区切って振り返ってみてのお話でございますが、私どもも、今お話にあったような認識は共通に持っておるわけでございます。構造的な政策というものが必要であるということも仰せのとおりかと思います。  したがって、長期的に見た場合我が国政策運営をどうするかということは、「展望指針」では各政策分野について触れておるわけでございますけれども、一口で申しますと、創造的安定社会というふうに呼んでおるわけでございますが、その基本的な考え方は、やはりさまざまな状況変化がある。国民価値観変化がある。産業構造変化がある。そういう構造変化ということを踏まえて、それにふさわしい供給構造産業構造あるいは財政行政のあり方というものを念頭に置いてそういうことを申しておるわけでございます。したがって、経済政策という観点から考えました場合にも、これからのそうした新しい価値観、それに基づく需要といったようなものの変化考えますと、かなりさまざまな手法を考えていかなければいけないのではないかというふうには思っております。  具体的にはいろいろこれから検討していかなければならないわけでございますけれども仰せのように、民間活力というものを主体に財政あるいは行政守備範囲を厳しく見直していくということは、基本的に私どもそういう立場をとっておるわけでございます。
  15. 伊吹文明

    伊吹委員 企画庁策定作業中かと思いますが、長期的な日本経済計画と申しますか、これの作業は現在どのようになっておりますか。
  16. 大竹宏繁

    大竹政府委員 長期的な展望と申しますと、昨年の八月に決定されました「一九八〇年代経済社会展望指針」ということになるわけでございます。したがいまして、これが現在のところの基本的な私ども認識あるいは政策スタンスということであります。もちろん状況変化に応じましてそれを見直していくということはやらなければならないわけでございまして、毎年リボルビングという形でそれをやっていこうということで現在そういう方向作業をしておるわけでございますけれども、新しい計画というものをつくるという作業はいたしておりません。
  17. 伊吹文明

    伊吹委員 短期的には、最初に申し上げたように、大変経済政策よろしきを得て、日本パフォーマンスというのは抜群によろしいんだろうと私は思います。あとは構造対策十分意を用いていただくと同時に、長期的な観点から日本経済をもう少し充実させて、そして社会資本等を充実させて、諸外国からウサギ小屋だとか、こういうことを言われないような生活環境をやはりつくっていかなければいけないと私は思います。そういう意味からいけば、やや政治家に、現状でも仕方がないんだ、低成長でも仕方がないんだという認識が行き渡っていることは、私はこれは非常に遺憾なことだと思います。  そういう立場からいうと、きょう河本長官がお見えになっていないのは非常に残念ですが、河本長官の基本的なお考えについて私たちは大変賛同いたしております。ただ、その具体的な手段、政策構造対策等についてこれからいろいろまだまだお話をさせていただかなければいけない面があろうかと思いますが、どうぞこの短期的なパフォーマンスをしっかりと守っていただいて、さらに長期的な豊かな日本の建設のために、経済政策総合官庁として一層の御努力をいただくことを期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 金子みつ

  19. 武部文

    武部委員 河本長官がおくれておいでになるようでございまして、景気の問題に関連をして、最初にこれから申し上げます数字について、私の方の認識に誤りがあれば訂正をいただきたいし、我々の主張、数字が正しければそのようにお答えをいただいておきたいと思うのです。  去年の三月、OPECが画期的な原油値下げをやりました。ちょうどあれから一年たったわけであります。まさしく十年目のボーナスだとか、あるいは恵みの雨だとかいうような言葉が新聞に出まして、世界の消費国はこのバレル五ドルという値下げ経済政策転換景気回復に結びつけようと非常に努力をしておることが私どもの目からもうかがえるわけであります。特に西ドイツはこのバレル五ドルの値下げ経済政策転換に非常にうまく結びつけておるという事実を承知をしておるわけでありますが、少なくとも、石油というのは値上がりはするが値下げはない、こういう国民的な感覚の上から見ると、まさしく昨年三月の値下げは画期的なことでありました。  一体日本のような石油消費国がこの問題をどのように処理するだろうか、これは国民は言わずもがな、外国も注目をしておったところでありますが、一年たって、一体これが日本景気に何をもたらしただろうか、私は非常に疑問に思うのであります。  したがって、きょうは経企庁長官とその問題についてのやりとりをするわけでありますが、最初通産省にお尋ねをいたしますが、五十八年三月以降、推定五十九年三月、この一年間の原油輸入量金額LNGLPG関連をして同じことでありますが、この数量と値下げ金額を比較してみますと、この一年間に原油代金として支払いが減った額は一兆八千六百七十四億、これが原油LNG五百四億、LPG二百四十六億、こういう金額に推定出てくるわけであります。三つ合わせまして約一兆九千四百二十四億、実に二兆円も、バレル五ドル下がったために日本原油液化天然ガス液化石油ガス、この支払い額はこれほど減った、こういう数字が出てくるわけでありますが、通産省はお認めになりますか。
  20. 松尾邦彦

    松尾政府委員 先生今お述べになりましたような原油の値下がりに伴う我が国経済に与える効果につきましては、おっしゃいますようにまだ五十八年度の実績も全部出切っておりませんし、計算値も必ずしも私ども精微に持ち合わせておるわけではございませんが、おおむね原油LPGLNG等を加えまして、先生のおっしゃった金額に大差のない一兆八千億とかその近辺の数字になろうかと思います。正確な数字は手元に持ち合わせておりませんが、おおむね正解だと思います。
  21. 武部文

    武部委員 最初は一兆五千億ないし一兆六千億という数字ではないかと推定されまして、当委員会でお互いがやりとりしたことを私は記憶をいたしておりますが、結果的には二兆円に近いコストダウンになったというふうに見てよかろうと思います。  一バレル一ドル下がれば九電力で一千億のコストダウンだということもまたここで言われておったわけでありますが、それはそれといたしまして、原油、特にLNGLPG、これは金額は非常に少ないわけですから、数量といい金額といい圧倒的に多い原油、約一兆八千六百七十四億と言いましたが、約一兆八千億、この金額が減った。それはどのように経済の面で生かされておるか。  例えば石油業界ならば、皆さんが我々とここでやりとりいたしましたように、ガソリンあるいは灯油、そういうものは需給関係によって値段が決まる。値戻したとかいろいろなことのやりとりはありましたけれども、現実に価格が動いておる、これはまさしくそのとおりであろうと思います。したがって、原油一兆八千億、一年間に支払いが減った。これは一体灯油あるいはガソリン、石油化学製品、電力、ガス、そういうものに大別して金額的には大体どういうふうに割合を見たらいいだろうか、この点いかがでしょうか。
  22. 松尾邦彦

    松尾政府委員 まず石油製品への価格の影響でございますけれども、五ドルの原油価格の引き下げがございました後、御案内のように昨年の四月から石油会社は製品価格の引き下げを行っておりますけれども、現実の製品市況は先生十分御高承のとおりでございますけれども、業界の過当競争体質もございまして、原油の五ドル引き下げ分を上回る下げ幅で市況の低下が続いたというようなことがありまして、石油産業の体質の方はむしろ過当競争の過程で一層脆弱になっておったというのが昨年の状況でございます。したがいまして、原油の五ドル値下げ効果を上回るというべき還元が国民経済に対して行われたのではないかと存じます。
  23. 武部文

    武部委員 石油製品の点については、これは今言ったように実勢価格でありますから、電力やガスとはまた別な流れであるということはよくわかりますが、後で長官とやりとりするために金額をひとつ明らかにしていきたいと思いますので、次いで金額を申し上げますから、御回答をいただきたいのであります。  三月決算は間もなく発表されるわけでありますが、今日推定としていろいろとマスコミにも出ておりますが、特に九電力の利益が非常に多い、あるいはガス業界の利益が、このバレル五ドルの値下げさらには急激な円高によって見込まれる、こういう数字がしきりに新聞紙上に出ています。ここに日本工業新聞というのがございますが、大きな見出しで「"ガス値下げ"急浮上 電力にも波及必至」というような新聞記事が出ております。  国民の目から見れば、先ほど申し上げましたように、この一年間にこれだけ原油の値段が下がった、右へ倣えをしてLNGも下がった、そうなれば当然これは電力料金に何らかの動きが出てくるだろう、また新聞もそういうふうに書く、こういうふうになってきておるわけですが、石油製品とは違ってこれは認可料金でありますから全く動きがない。そういう中で三月期決算の予想が出てきておるわけでありますが、この数字は皆さんとしてお認めになりましょうか。  九電力総計五十九年三月予想、税引き後の利益四千二百五十億円、前期繰り越し二千三百二十九億、合計六千五百億、これが九電力の五十九年三月期並びに前期繰越金を合わせた金額でありますが、大体間違いございませんか。
  24. 小川邦夫

    ○小川政府委員 私ども決算数字はまだ入手しておりませんので、確定数字はもちろん知り得べくもございませんが、新聞報道等最近の状況をある程度予測した数字として、ただいま先生指摘のような数字が公表されていることは承知しておりますし、きちっとした数字は、そういうわけでまだ締まっておりません決算の数字ということではっきり私ども申し上げられませんが、余り大きいずれはないであろうという予測はしております。
  25. 武部文

    武部委員 それならばさらにお尋ねいたしますが、五十八年度の出水率の状況、原子力の稼働率の状況、これはどうでしょうか。
  26. 小川邦夫

    ○小川政府委員 出水率につきましては、上期が異常なほどの豊水でございましたけれども、下期、冬が非常な渇水でございます。実は本日最終的な年度の出水率がわかったところでございますが、一〇〇・三、つまり平水レベルでございます。これは先生御案内のとおり、上期は非常に豊水で採算上プラスになったということでございますが、下期が渇水でむしろ採算上マイナスになった、年度ではほぼ差し引きゼロのような形になっております。  それから原子力の設備利用率でございますが、これも本日わかった最新の数字でございますが、年度を通じての稼働率は七一・五%ということでございまして、これは五十七年度の六七・六%から比べますと好転しておりまして、採算上プラスに貢献しておるということだと思います。
  27. 武部文

    武部委員 それはわかりました。  それでは、この九電力の中で特別にこういう異常な数字が出てくる理由がちょっとわかりませんから、お尋ねをするわけであります。  北海道はマイナスでありますが、北海道を除いた各電力会社は、軒並みに前年同期比で大変な上昇率でありますが、その中で特に北陸電力は、経常利益で伸び率が二二七・九%、税引き後の利益で六八・五%も伸びております。東京電力は税引き後の利益が二〇・六%ですから、北陸電力の六八・五%というのは大変高い数字になりまけ。それから中国電力、これまた経常利益が九一・五%、利益が五七・四%も伸びておる。これは一体どこに原因があるのか、理由はなんだろうか、これをちょっとお聞かせいただけませんか。
  28. 小川邦夫

    ○小川政府委員 今の先生指摘数字は、私ども自身として確認はできておりませんけれども、ただ、御指摘のように、東京の収支改善の率に比べて中国、北陸が大幅にいいという傾向として私ども理解しておりますのは、やはり化石燃料のウエートが非常に大きいところは、石油とか、LNG、石炭等、今度五ドル原油下げに連動して下がった燃料価格の影響のウエートがそれだけ高うございますから、その値下がりメリットが相対的に大きかったということが一つ言えると思います。  また、東京のような非常に大きな消費地を抱えて、その需要の伸びが大きいため、電源の手当てをどんどん進め、しかもそれは、代替電源として原子力、LNG等、そういった発電所を導入する過程で資本費を急速に増加せざるを得ない状況にある。そういったことの資本費増というコスト増要素もあるということも、東京のようなところの採算の好転をある程度相殺をしておるという面があろうか、そういったようなことが、御指摘のような収益の伸びの格差をもたらしているのではないかと考えております。
  29. 武部文

    武部委員 もう一つ関連をして、それでは大手三ガスの数字をひとつ確かめたいと思います。東京、大阪、東邦、この大手の三ガス会社の五十九年三月の推定利益でありますが、東京三百三十億、大阪三百二十億、東邦七十四億、大手三社で大体七百二十四億、こういうことになります。そうすると、平均四一・四という対前年比の伸びが出てくるわけですが、大体これもお認めになりますか。
  30. 小川邦夫

    ○小川政府委員 ガスの場合も電力と同様私ども確定的な見通しを有してはおりませんが、いろいろ新聞その他で最近時点で言われておる数字先生指摘数字だと理解しておりますし、これと大きく外れることはないであろうと私どもも推定しております。
  31. 武部文

    武部委員 先ほどちょっと新聞の見出しを読み上げたわけですが、こういうことが逐次マスコミを通じて国民の前に明らかになってきた。  それで、昨年総選挙の前当委員会でいろいろとやりとりをいたしました際に、当時山中通産大臣でございまして、この料金の値下げという発言があり、またこれを否定する発言もあり、それじゃ委員会で論議をしようということになったわけですが、急病のためにかわられた。そうしてその後内閣改造ということでまた通産大臣がかわられたというようなことから、その後このバレル五ドル問題というものについて当委員会で余り踏み込んだ論議をする機会がなかったわけであります。  その間いろいろと紆余曲折はございましたが、今申し上げましたように、予想されるコストダウン、これによるいわゆる利益がこのような数字になって間もなくあらわれるということになるわけであります。先ほど申し上げたようなガスの値下げとか、あるいは電力に波及が必至だとか、こんなようなことがいろいろ出ておるわけですが、現在の段階で通産省は電力料金、ガス料金についてどういう見解を持っておられるか、それをお伺いしたい。
  32. 小川邦夫

    ○小川政府委員 ただいま予測としては議論されておりますような好決算がある程度予想されておるということは確かでございますが、きちっとした最終的な決算の数字を踏まえて最終的な私どもとしての考えを表明すべきかとは考えております。  ただ、今時点でどう考えておるかという御質問でもあると思いますが、私どもといたしましては、この好決算がほぼ出るであろう状況を踏まえましても、やはり先行き為替レートとか、あるいは原油価格にしましても、国際情勢が中東を初めとして流動的であること等いろいろな不確定な要素を持っておる、そういう要素も一つございます。  それから、先ほど御指摘のように社によっていろいろ状況は違うといたしますものの、代替電源を着実に設置していくという観点から設備投資を進めておりまして、電源立地を進めておりまして、そのための資本費の増というものをどうしてもこの先ある程度予想せざるを得ない、それが収支的にはある程度のブレーキになっていく、そういうことを考えますと、やはり今の利益をすぐ料金引き下げということで還元するということよりは、中長期的な料金の安定ということを踏まえて慎重に対処することが必要ではないか、このように考えております。
  33. 武部文

    武部委員 中長期的に料金の安定ということをよく言われますが、私どもが短期、中期、長期ということをいろいろやりとりするときには、もちろん固定的なあれはないでしょうけれども、短期とは一年、中期とは大体五年、長期とは十年、こういうふうに考えるのが常識だと思うのですが、中長期となると、例えば五年以上、そんなことできますかな。あなた方の短期、中期、長期とは一体どういう期間を推定をしてお述べになっておるのでしょうか、ちょっとそれを述べてくださいますか。
  34. 小川邦夫

    ○小川政府委員 中長期という概念に、時間的に正確な年数を置いて実は申し上げたわけではございませんが、料金というのはできる限り長く安定することが望ましい、ある時期に下げることがあっても、すぐ一年後、二年後には上がるというような、過去の事例のような事態は招かないようにするということが先ほど御答弁申し上げました趣旨でございまして、特定の年数をイメージしているわけではございません。
  35. 武部文

    武部委員 短期、中期、長期が、短期は一年で中期は五年であと十年、そんなような固定的なあれはもちろんないと思いますが、よく中期だ、長期だという言葉が出るのですよ。長期安定のためにというようなことがよく通産省の言葉の中に出ますね。長期というと、これは割合長く思うのですよ。ところが、これから述べますが、今のような状況の中で、こんなことをしておったらすぐ次の値上げが来るんじゃないかと我々は非常に心配をしておるのですよ。そういうことがあるから、やはり発表というのは相当慎重に、言葉は選んでやってもらわないといかぬということを、蛇足ですがちょっと申し上げておきます。  あとの質問関連をして、もう一つ二つ質問をしておきます。  通産省は、電力会社に五十六年度末に別途積立金、これは、昭和五十五年度に値上げをして、その後、急速な円高がございました。その他の要因で利益が出て、別途積立金を千七百三十五億円積み立てさせておるようですが、この金額は間違いありませんか。
  36. 小川邦夫

    ○小川政府委員 五十七年度末の電力九社の別途積立金残額として、先生指摘のとおりの数字でございます。
  37. 武部文

    武部委員 この性格と使用目的をちょっと述べていただけませんか。
  38. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず積み立て自体が、円高差益等の利益を積み立てるということで積み立てたわけでございますが、その使途としては、料金の安定ということをこの積立金はもくろんでおります。
  39. 武部文

    武部委員 もう一つ、原子力再処理引当金ですか積立金ですか、こういうものがあるはずです。これは税引き後だと思うのですが、これの金額、ちょっと述べていただけますか。
  40. 黒田直樹

    ○黒田説明員 五十七年度末の使用済み核燃料再処理引当金の残高は、八百五十六億円でございます。
  41. 武部文

    武部委員 これは税引き後ですか。
  42. 黒田直樹

    ○黒田説明員 そうでございます。積んでいる額でございます。現在の残高でございます。
  43. 武部文

    武部委員 九電力は、別途積立金千七百三十五億円と、原子力再処理引当金八百五十六億円、合計約二千六百億の積立金を現在持っておる、こういうことになるわけですね。
  44. 黒田直樹

    ○黒田説明員 ただいまの御答弁で、使用済み核燃料再処理引当金の使途について御説明を漏らしましたが、使用済み核燃料再処理引当金は、通常の積立金ではございませんで、現在使用している原子力発電所で出てまいります核燃料を将来再処理するための引当金でございまして、そういう意味で、先ほど先生指摘の別途積立金とは性格が違うものでございます。この点をお含みおきいただきたいと思います。
  45. 武部文

    武部委員 もう一つお伺いいたしますが、九電力の設備投資の問題であります。  この設備投資の推移をずっと見ますと、昭和四十九年から昭和五十五年まで、第二次石油ショック、そのころまでの設備投資は、年率、平均して一四・八という数字が出ます。非常に高い数字であります。ところが五十五年ごろからどんどん下がりまして、設備投資はわずかに年率〇・五、一四・八に比較をいたしますと、非常に低い数字になりました。五十五、五十六、五十七、いずれも平均して年率〇・五%ぐらいの設備投資であります。五十八年度に二・七、こういう数字が出まして、五十九年度、大体どのぐらいな設備投資を予定しておられますか。
  46. 小川邦夫

    ○小川政府委員 現在、五十九年度設備投資計画については、ヒアリングの上集計中でございまして、私どもとしては集計結果の数字はまだ持ち合わせておりません。
  47. 武部文

    武部委員 私どもの推定するところでは、通産省は五十九年度の設備投資をさらにふやして、大体五%を超す設備投資を計画をしておるのではないか、こう思われますが、間違いありませんか。
  48. 渡辺光夫

    ○渡辺説明員 五十九年度の施設計画、ただいま申しましたように集計中でございましてまだ数字は持っておりませんが、私ども途中段階で各社から聞いておる数字の概況から見ますと、五十八年度の見込みよりもむしろ下回るのではないか、こういうふうに考えておりますので、増加ということはないのではないかと思っております。
  49. 武部文

    武部委員 これは経済企画庁長官との関係になりますから後に譲りますが、需要の点について、それではお伺いをいたします。  需要の伸びは一体これからどうなるかという点について、通産省はどういう見解を持っておいででしょうか。
  50. 小川邦夫

    ○小川政府委員 私ども近年の電力需要の動向を踏まえまして、昨年の十一月、電気事業審議会で長期的な需要の伸びの展望をいたしたわけでございますが、それによりますと、総需要電力量は、今後六十五年度までは年率で二・九%、それから六十五年から七十年度までは三・二%、ひっくるめますと、おおむね三%前後の年率の需要の伸びを見込んでおります。
  51. 武部文

    武部委員 それは実績から見ると非常に高い数字ではないでしょうか。例えば五十七年、あなた方の目標は、当初の計画を四・四%の需要の伸びと見ておったようですが、実績は一・三です。その前の五十六年度は、当初の計画は六・二%見込んでおりましたが二・三であります。これは明らかに第二次石油ショック以後の需要が減ってきたということを数字が明確に裏づけておる、このようになるのです。五十八年度は三・三でしたね。それを一体どのくらいと見ているのですか。五十九年度は三・二と見ておりますが、大体今の数字間違いありませんか。
  52. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘のとおり五十六年、七年という実績は非常に低うございまして、これはいわば第二次オイルショックの直後の調整期という時期に当たっておることから起因していると思われます。それで五十八年度でございますけれども、実は一時的季節要因と申しますか気候要因、夏の猛暑、冬の厳寒という要素が加わりましたことと、また景気の着実な回復を反映した需要の増というものもございまして、合わせますとかなり高い、おおむね前年度比六%程度需要の伸びになると見込まれておりまして、当初計画の三・三%から見ますと大幅の高い伸びになっております。  ただし、これは今申し上げましたように一時的というか、気候要因という特殊要因もございますから、この六%をそのまま非常に高い需要の伸びとして先行きを占うには無理がございます。しかし、景気回復要素もこの中にはかなり含まれておりまして、そういう意味から先ほど申し上げました年率三%前後の需要の伸びというものは、かなり蓋然性の高い見込みではないかと私ども考えております。
  53. 武部文

    武部委員 確かにここ数日前に出ました日本電力調査委員会の今後十年間の電力需要の伸びは三・二ですね。平均として三・二と書いてありますから大体今おっしゃった数字に合致するように思います。そこで今度は、この需要の伸びと設備投資の関係をお聞きをしたいのです。  景気回復のために政府が「今後の経済対策について」、これは閣議決定五十八年四月五日、さらに五十八年十月二十一日「総合経済対策」、いろんなものが出まして、五十八年十一月二十九日には、「総合経済対策の実施状況」というプリントがございますが、この中に電力業の設備投資について具体的な金額を示して、それを要請しておられますね。そして通産省から電力業界に対して要請をして、電力業界においては繰り上げ発注等をやって、五千八十億円の設備の効率化、供給信頼度の向上等のための投資、修繕費を含めてそういうものの増加を計画して逐次実施中、合計六千二百二十五億円、こういう数字が出ておりますね。これは一番最近の数字でございます。  この設備投資の推移と今の電力の需要の推移と比べてみると、需要数字よりもはるかに高い設備投資の伸びになっておる。これはだれの目にも数字が示すとおりですから明らかになるわけです。こういうふうに需要は三%ぐらいしか伸びない、そういう推移をして行くのになぜ設備投資だけがこのように金額が膨大になってくるのだろうか、この点について素人でも非常に疑問に思えるわけです。最初にその点についてちょっとお伺いします。
  54. 小川邦夫

    ○小川政府委員 実は過去の需給の実績の数字、これは電力量でございますが、設備投資金額と私ども申し上げる場合、実は電源の場合特に非常に足の長い、リードタイムの長い工事であるために、過去のオイルショック等のインフレ期間を経ておる、そのことがインフレ的要素として設備投資額の増に非常に大きく影響しておりますから、設備投資金額の増というのは必ずしも需要の量の増と一致せず、むしろ大きい数字に出ているのはその点を御注目いただく必要がある、こう思います。
  55. 武部文

    武部委員 今私が読み上げた五千八十億円という金額、これは通産省が認めておられるわけですが、五十八年度の設備投資の伸びを見ますと、この五千八十億円から五十八年度修繕費として使用した二千億を引きますと三千八十億円。少なくとも五十八年度は五十七年度に比して一二・三%も設備投資が伸びておるのですよ。需要の方は三%、このときはもっと減っているんですが、それなのに設備投資だけはこのように急激に伸びておる、これは一体どういうことでしょうか。
  56. 渡辺光夫

    ○渡辺説明員 五十八年度の問題でございますが、九電力会社の例で申し上げますと、毎年今ごろ施設計画年度当初の計画というものをつくっております。その後、年の半ば、大体秋九月ごろに中間的な見直しをする、こういう過程で現在五十八年度の実績の見込みをつくりつつある、こういう作業段階になりますが、先生指摘になりました数字は、恐らく九電力が発表しております秋口の数字前提に置きまして、それに対しまして先ほど先生の御指摘がございました設備投資の積み増しをそのまま足し合わせるとそういう非常に高い伸びになる、こういう御指摘かと思います。  実態的な面で若干補足さしていただきますと、設備投資の中で電源部門の投資額と、それから電源ではございません流通設備の部門とございますが、この中で特に電源部門の設備投資計画につきましては、例年のことでございますが、電源立地に伴います地元調整のおくれということがどうしても避けられないということがございまして、計画から見ますと実績が下回ってくる、こういう状況になるわけでございます。  五十八年度数字がどうかというのは、先ほど来申しておりますようにまだ集計中ではっきりはわかりませんけれども、例年から見まして当初の計画に相当おくれが出るということになろうと思いますので、それを前提考えますと、いわゆる積み増しというものを行いましてもそれほど高い伸びにはならぬのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。
  57. 武部文

    武部委員 需要の伸びは余り期待できないということはもう皆さんも認めておられるわけでしょう。電力会社もそれを認めておるわけですよ。それなのに設備投資だけがぐんぐん伸びていくのは一体どういうことか。私は利益隠しとは言わぬが、利益の分散じゃないか。そうして設備投資がどんどんふえれば減価償却になって後年度負担がふえてくるわけですから、そういう点についてどうも納得いく説明がないと我々は理解できないんですよ。そういう点についての通産省の見解というものがはっきりしていない。この点についてあなた方はもうちょっと納得いくように説明できませんか。
  58. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず五十八年度の設備投資の積み増してございますが、これはまさに先生指摘需要の伸びを上回るような設備容量づくりというような形の積み増しであってはならないという観点を私どもも踏まえまして、先ほどの五千八十億の積み増しという数字が出ておりますのも能力増につながらない、つまり設備の効率化あるいは供給の信頼性の向上という質的な改善にむしろ着目した積み増しをするということで設備投資積み増しを実施したわけでございます。  それから、この先の設備投資計画というのは、先ほど申し上げました、十一月に電気事業審議会がまとめました長期の需要見通し、これをまず踏まえまして、その需要見通しに対応する、将来、例えば昭和六十五年、昭和七十年に必要とする電源の量というものをはじき、それに合うように各社の設備投資計画計画するよう指導しておるということでございまして、まさにこの先の投資計画というものは、こういった電気事業審議会の需要見通しに対応した施設計画、それを受けた、資金を含めた意味の設備投資計画というものをつくらせるよう指導しておるわけでございます。
  59. 武部文

    武部委員 私は去年、ここへ議事録持ってきましたが、去年の五月にここで設備投資のことをやりとりしたのです。そのときに、計画表を持ってきて九電力の一覧表を述べたことを思い出しますが、北海道から九州電力に至るまで、電力各社は施設計画での石炭や原子力の計画変更をどんどんやっておる。それでこの一覧表を見ますと、どの電力会社も三年ぐらい全部計画を延期、こういう表がございまして、関西電力だけが特別でありまして関西電力は延期をしない、他は全部三年ないし四年延期だ、こういう表を私は読み上げて、あなた方もお認めになったはずですよ。そういうことで、設備投資というのはむしろ減っていかなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、あなた方の見解とどうも違うようであります。  これは三十一日の新聞でありますが、「東京ガス 設備投資五%減らす」、これはガスですが、液化天然ガスになったので、大体一段落したのでということになっていますが、大体そういう傾向が当たり前のことじゃないでしょうか。そういうときに、どうもこっちの方の政府の経済政策で、景気回復のためには、とにもかくにももうけておるところは電力だ、利益があるから設備投資だということで、何でもかんでもこっちの方へ使わせて、そうしてせぬでもいい設備投資までやって、あとは減価償却、後年度負担でくる、これじゃ消費者から見れば、ユーザーから見れば利益隠し、分散じゃないか、こういうふうに見られるのですが、どうですか。
  60. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず昨年春におきます五十八年度各社の施設計画、これが大幅に後ろ倒しの修正をしたものであること、御指摘のとおりでございます。  実は十一月の電気事業審議会の見通し自体が、そういった先行き需要の伸びは低成長であるということを踏まえてまとめたものでございまして、まさに十一月審議会の需要の伸びの見通しはそういう低い伸びを踏まえたものでございます。したがって、現在五十九年度施設計画というものを各社がこの審議会の答申を踏まえてつくっておりますものの、まさに去年、御指摘があったむしろ電源については後ろ倒しの修正をした、それをさらにまた近時点で見直す。そういう意味では、さらに若干の後ろ倒しの要素を恐らくことしもはらむであろう、そういう施設計画を現在作業中でございまして、傾向としては、着実な見通しに基づいた着実な電源立地の計画というものに今はなってきておるということでございます。  これが絶対額の設備投資が減るということになるかというと、そうではございません。しかし、言えることは、設備投資の伸びが過去何年か前には非常に高いものと見ておったものに比べれば、伸び率が大幅に低くなってきておることは事実でございます。
  61. 武部文

    武部委員 いろいろやりとりいたしましたが、まだ私はこの皆さんの説明が納得できない点もたくさんございまして、これから三月期の決算が正確に出てくるわけですから、その場合、もちろんこの決算に基づいて料金体系はいかにあるべきか、こういう点について論議しなければならぬわけですが、そのためにもいろいろ数字を確かめておきたいのであります。  九電力の資本金の総計は約二兆三千億円、間違いございませんな。それで、今の配当はどのぐらい、やはり一〇%ですか。
  62. 小川邦夫

    ○小川政府委員 資本金額はそのとおりでございまして、配当一〇%、それも御指摘のとおりでございます。
  63. 武部文

    武部委員 積立金は一%、これも間違いありませんか。引当金、退職積立金とか、そういうものはどのぐらいになっているのですか。——わからなければいいです。  もう一つお聞きいたします。九電力の収支実績推移というのがここにございます。これは電事連の資料でございますが、支払い利息というのが非常にふえておりますね。五十二年には五千八百三十七億円、この支払い利息が五十七年には一兆一千四百五十一億円、倍になっていますね。五十六年度は一兆円台、そして五十七年には一兆一千四百五十一億円、これが支払い利息であります。減価償却費一兆一千四百四十九億円。減価償却費と支払い利息が肩を並べています。そこまで膨大な金額になったわけですね。これはお認めになりますか。
  64. 小川邦夫

    ○小川政府委員 収支の実績、御指摘のとおりでございます。
  65. 武部文

    武部委員 そこで、この機会に通産省の見解をお聞きしたいわけですが、今いろいろ数字を述べました。最初から五十九年の三月、予想利益四千二百五十億円もお認めになりました。繰り越し二千三百二十九億円もお認めになった。こういう金額が出ておるわけです。しかも、円高は急速に進んで、きょうは大体二百二十四、五円でしょうか。これは大体二百四十八円ぐらいなレートの政府の考え方から見ると大変な円高であります。したがって、電力、ガス、いずれもこの円高は相当な利益増になって今後もあらわれてくることはもう間違いない。  こういう状況の中で、先ほど短期、中期、長期ということを申し上げましたけれども、一体、電力、ガスの料金について通産省はどう考えておるか。先ほど三点ばかりの政府の経済政策の文章をちょっと読み上げましたけれども景気浮揚の対策として電力業界に非常に強い要請をして設備投資をおやりになっておる、やらせておる。ところが、需要の伸びは一向に伸びないし、低迷状況だ。  こういう中で、最初に申し上げた一年間のOPECの値下げ後の推移を見ると、需給関係で値段が決まる石油製品、それは別として、電力、ガスについて国民の目から見ると非常に問題がある。したがって、今後電力並びにガスの料金は一体どうなるのか、この利益は一体どのように国民に還元されるのか、こういう指摘があるのは当然のことだと思うのです。これについて通産省の見解をひとつこの機会に、今の段階でどのようにお考えになっておるか、これを聞いておきたい。
  66. 小川邦夫

    ○小川政府委員 最終の決算数字というものはまだ持っておりませんので、その数字を見きわめたところでの判断が最終判断だとは思いますが、現時点で私ども感じますところは、一つに円高という御指摘がありましたが、実は五十八年度決算にとってこの三月から始まった急速な円高というのは残念ながらほとんど影響はしなくて、むしろ五十九年度の方に響くことかと考えます。また、その五十九年度全体にわたってどういうふうに円レートが推移するか、これは非常に判断しにくいところかと判断いたします。いずれにしましても、五十八年度にある程度の収益改善が前年度比でなされるであろうことは私どもも感じておりまして、その利益をどうするかということでございますが、私どもやはり料金というものはできるだけ長期に安定するということが非常に大事な視点であると考えております。  そういった観点を踏まえまして、五十八年度出てくるであろう決算につきまして判断をいたしたい、要すれば、料金の長期安定ということを踏まえて慎重に対処したいということでございます。
  67. 武部文

    武部委員 今、円レートのことをおっしゃったけれども、五十八年の上期は二百四十円平均が、五十七年度は二百四十九円五十七銭、大体十円高いんですよ。一円で電力業界は年二百二十億だから、十円なら二千二百億円、円高十円でもこれだけ利益はふえるのですね。そういうのがちゃんと数字に出てくるわけですから、この点も電力業界にとっては大変いいことだろう。その結果は一体国民に何をもたらすか。五十九年度はさらに円が高くなってくる可能性も強いわけですから、そういう点に注目するのは、私は当然だと思うのです。  きょうはこれ以上やりとりいたしません。いずれ通産大臣、エネ庁の長官にもこれは最終的には料金のことでありますから、きちんとした回答をしてもらわなければならぬと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、今日までやりとりをした中で、まだまだ疑問は残っております。我々としてはしっくりいかない面もありますが、まだ最終的な数字が出ておりません。これは間もなく出るわけですから、私の推定を述べたわけでありますから、具体的な数字が出次第、この問題についての、利益の国民還元のあり方について論議をしなければならぬ、その時期は間もなく来るだろう、こう思っております。  長官もお見えになりませんが、この機会にもう一つ通産省にお伺いをしておきたいのであります。それはこの二月二十四日に行われました石油やみカルテルの最高裁判決の問題であります。これも今までここで何回かやりとりをして、通産省行政指導について私は指摘をしたことを覚えておるのでありますが、このやみカルテルの判決が出たわけであります。これは明らかにこのカルテルは犯罪であるという画期的な判決だというふうに見ておるわけでありますが、この問題は、通産省、公取、いろいろ見解があるようでありますし、また国民の側にもいろいろ意見もある。これはまた後ほどすることにいたしまして、前回ここで私は石油業法のことを取り上げたわけであります。  今日、石油業法が、制定以来二十一年たって有名無実になっておるのではないか、いやむしろ石油業法が存在するがゆえにいろんな弊害が起きておるのではないか、したがって、これはもう必要ないという意見が石油審議会の委員の中にすら出てきた、こういう点を指摘をいたしました。当時、通産政務次官が出席をしておられまして、石油業法は石油業法なりにいい点もあるので、検討をしてこれからもしっかりやりたい、こういうような答弁があったのですが、今回の二月の末出された石油やみカルテル事件、この判決を契機にして、この際、石油業法というものは根本的に見直す時期に来ておるのじゃないか、私はこのように思いますが、通産省の見解をひとつ聞きたいと思います。
  68. 松尾邦彦

    松尾政府委員 石油業法につきましては、昨年も先生から御指摘いただいたところでございますけれども石油審議会におきましては、五十六年の十二月、小委員会報告という形で石油業法についての考え方を一回整理いたしたことがあるわけで、この点については先生も御高承と思いますけれども、今後とも石油政策の基本をなすのは石油の安定供給である、石油業法の目的は、そういう意味におきまして今後とも石油政策の基本をなすものであるという前提のもとではございますけれども、その後の、制定後の情勢の変化の中において石油業法を今日的にどう位置づけるか、種々の議論が行われまして、詳細は省略いたしますけれども、今日においても種々な重要な機能を果たしておる、そういう立論に立ちまして、石油業法につきましては長期的観点から今後のあり方の検討を続けるべきではありますが、当面は漸進的に運用をソフト化していくべきである、こういう御指摘をいただいているわけでございます。  私どもといたしましては、やはり石油経済、社会の基礎物資であり、その安定供給のためには、石油産業に対しまして供給確保のためにいろいろ責任を求めていかざるを得ないという点もございます。それからまた、石油というものが国際政治の影響を受けやすい、大変特色を持った商品であるということにもかんがみまして、今後とも内外の流動的な石油情勢に機動的に対応するための行政介入は最小限度行っていくことが必要であろうと思っているわけでございますが、石油業法そのものが今後どうあるべきかという点に関しましては、引き続き石油審議会の小委員会において今御検討いただいているところでございますので、御検討の結果を踏まえまして適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  69. 武部文

    武部委員 これはやみカルテルの問題と関係があるので、こういうふうに細切れでやってもしようがないわけですから、これは改めてすることにいたしますが、今安定供給という非常にきれいな言葉が実は問題だと私は思うのです。今日この石油業法が重要な機能を果たしておるという言葉が今たしかあったように思う、重要な機能を果たしておる。私は決して重要な機能を果たしておるとは思わないのであります。むしろこれは供給計画あるいは設備、そういうところまで通産省石油業法に基づいて今日この段階でなおやらねばならぬという理由が私には納得できないのであります。供給計画、こういうことが少なくとも価格の介入にまで実は入ってくる危険性がある、このことを前回も述べたのであります。今でもその考え方には変わりがないのであります。  こういう点を考えると、少なくとも石油業法は、今日もう見直す時期に来ておるというふうに私は思うのですけれども、今通産省はそういう見解はないように答えておられるわけですが、これはやみカルテル事件の判決の内容をもう少し詳しく皆さんとここでやりとりしないとこの問題に続いていかない、こういうふうに私は思いますから、この問題はここで打ち切っておきます。改めてこの石油業法の問題は取り上げてみたいと思っています。  長官お見えになりませんから、企画庁にひとつお伺いをいたしますが、消費者保護基本法、これを制定したのは当委員会でございまして、議員立法でたしか昭和四十三、四年のころだと思いますから、もう十五年もたちましょうか、当委員会でつくった消費者保護基本法、この法律に基づいて毎年消費者保護会議というものが政府で開催をされていろいろと論議されておる、これも承知をしておるところであります。  あれから十数年たちまして、非常に世の中が変わってきた。あの当時、我々が論議をしてつくった消費者保護基本法では考えられないような事態がその後起きてきた。したがって、当委員会であの後マルチの問題それからネズミ講の問題、そういうものが出て、無限連鎖講の問題で禁止法をつくった、これも御承知のように議員立法であります。マルチは訪問販売であのようなことになって、法律は通産省がつくったわけですが、やはり抜け穴があった。抜け穴があったからこそああいう事件が起きてきたんだと私どもは思って、いわゆる訪問販売法の改正というものは必要であるというふうに思っておりましたら、今度は割賦販売法、そういう問題が出てきたわけであります。  少なくとも消費者保護基本法制定時には余り論議をされなかった割賦販売法あるいは訪問販売法、そういうものが出てきた。あるいはサラ金もそうでありますが、サラ金と結びついたいろいろな形の新手の商法が出てきた。ほとんどこの被害者は泣き寝入りの状態であります。裁判で争って最終的な決着をつけぬ限りはだめだ、こういうことになって、裁判の費用もかかりますし、どうしてもそれは泣き寝入りになってしまうというケースが非常に多い。我々もたくさんの相談を受けるわけですが、これはほとんど決着がつかない、泣き寝入り。こういう中で割賦販売法の改正が準備をされておるやに聞くのであります。  しかも、政府の諮問機関である審議会ですか、調査会でそういう答申が出て、通産省はこの法律の改正に着手しておるということが報道されておりますが、これは少なくとも消費者保護基本法の所管官庁である経済企画庁と十分な連絡をとって、消費者の立場消費者の権利、いわゆる知る権利、そういうものが反映される法律でなければならぬ、このように思うのですが、今問題になっておるこの割賦販売法の法律については、経済企画庁としてはどのようにお考えになっておられるのか、これを聞いておきたいのでございます。
  70. 及川昭伍

    ○及川政府委員 御指摘のように、消費者保護基本法ができまして以来十六年目に入っておりまして、経済社会の情勢はいろいろ変わってきておると思います。お話がありました割賦販売の新たな商法等につきましてもその一つでございまして、消費者取引が非常に多様化しておるということで、国民生活審議会の消費政策部会でもこの二年来この問題について審議をしてまいりまして、御報告をいただいております。この御報告通産省にも生活局長名で適切な対応をとるようお願いいたしておりまして、通産省自身も産業構造審議会のそれぞれの部会で御審議いただいて、割賦販売法改正案の成案を政府部内、私どもももちろん協議を受けましてつくり上げまして、去る三月二十七日閣議決定して国会に御提出を申し上げたところでございます。  この法案では、いろいろ問題がありますいわゆる割賦購入あっせんに係る消費者取引を割賦販売法の対象にするとか、あるいは抗弁権の切断として問題になっておりますような問題、これについては抗弁権を接続するというような規定を設けてございまして、この分野における消費者保護が一歩前進するものと考えておる次第でございます。
  71. 武部文

    武部委員 消費者保護基本法につきましては、今おっしゃったように長い歴史があるわけですが、残念ながら、この見直しの論議を今日までしたことがないのです。しかし、具体的にあらわれてくる事例については、先ほど申し上げたように、例えばネズミ講の問題とかマルチとかあるいは金の問題とか、いろいろな問題が出てきて、新手のそういう問題は各委員会で、あるいは当委員会でもいろいろ論議をしてきたわけですが、法律改正というところまではいかなかった。  しかし、消費者保護の面で非常に重要な点は、犠牲者救済なんです。この点が消費者保護基本法の法律の項目の中になかった。我々はこれをつくりたいと思っていろいろ考えたわけですが、この犠牲者救済というのはなかなか言うはやすく実行は難しい、こういう点で今日に至ったわけですが、たまたま今申し上げたような問題が出てきたわけですから、経済企画庁消費者保護の立場に立って、今日までいろいろな事例は既に御承知のとおりですから、そういう問題について消費者が保護をされるように、知る権利やその他が守られるように、ぜひ強い姿勢で通産省と協議してもらいたいということを要望しておきたいと思います。  大臣がお見えになりましたので、もう時間がございませんが、私は一つだけ大臣にお尋ねをしておきたいのであります。  景気の問題でありまして、かねがね大臣といろいろやりとりをしたわけですが、やや上昇の機運だとか、明るい展望が出てきたとかいろいろなことを言われ、五十九年度実質成長四・一%、こういうことが先般の所信表明のときに大臣の口から述べられたわけであります。問題は、経済成長が昨年に比べて実質〇・七伸びる、まことに結構なことですが、その内訳を見ると、内需が三・六、外需が〇・五、内需の三・六は、去年の二・二に比べて実に一・四も数字が高くなっておるのであります。  一体五十九年度にこのような内需の伸びが本当に期待できるだろうか、こういう点については若干の危惧を持つのであります。今日の可処分所得の状況を見ても、決してプラス状況ではないのであります。公共料金は去年よりも大幅な値上げが待ち構えておる、あるいは失業率を見ても、むしろふえる一方だ。こういう点を見ると、一体この内需の三・六というのは実現可能な数字だろうかという点について、若干の危惧を持つのであります。大臣はこの点について一体どういうふうに考えておられるかということが一つの問題点であります。  もう一つは、先ほど来通産省といろいろやりとりをいたしました。原油バレル五ドルの値下げ日本経済にとっては大変な福音だ、少なくとも十年目に訪れた大変画期的なものだという評価があるわけですが、これを日本経済回復のために、景気回復のためにどのように結びつけていくか。やりとりした中で、当時、一兆五、六千億円の原油支払い代金が減少することになる、これは減税に例えるならば約七千五百億円の減税をしたと同じ効果があるのだという答弁が政府側からあったことを私は記憶をしておるのであります。  先ほどやりとりいたしましたが、通産省も三月からの原油バレル五ドルの値下げは、結果的にこの一年間に約二兆円、日本支払い代金が減ったことをお認めになったわけであります。二兆円であります。この二兆円という金額が一体どのように国民に還元され、日本経済回復のために、景気回復のためにどのような効果を上げてきたか、私は大変疑問に思うのであります。  時間の関係で多くを申し上げることができませんが、政府は二、三回にわたって経済政策指針を発表されて、その中の一項目に設備投資を大きく電力業界に要求され、その金が五千億を超えておるのであります。こういうことで電力料金の本来ならば国民に還元されるべき値下げ、そういうものが設備投資に回ってしまっておる。一体それが本当景気回復に役立ったのかどうかについても大変私は疑問に思うのであります。大臣はこのバレル五ドル下がった十年目のボーナスを一体どのように理解をしておられるか、日本経済に一体何が役に立ったのか、これをどのように役立たせようとしておるのか、この点について見解を二つお述べをいただきたいと思います。
  72. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一の問題は、経済成長のうち三・六%という内需が達成できるかどうかということでございますが、内需の一番の中心は民間の投資関係、設備投資、在庫投資、住宅投資といろいろございますが、特に設備投資関係が中小企業を中心に数年ぶりで相当活発に動き出したということだと思うのです。  なぜ動き出したかといいますと、それはアメリカ経済回復を起爆剤といたしまして日本景気が上方に転換をいたしましたが、しばらく続くんじゃないか、それであれば、ひとつこの際設備も古くなったし新しい投資をしたい、またいろいろな技術開発が進んでおりますから、それにおくれないようにやらなければいかぬということで、数年ぶりにようやく投資意欲が出てきた、こういうことだと思います。  ただしかし、この設備投資の伸び方なんかを見ておりますと、全体として大体五、六%見当の伸びだと思うのです。アメリカあたりは一二、三%設備投資が伸びておりますので、伸び方とすればこれはまだ小さいと思います。なおここに一工夫が必要でないか、そこで投資減税の拡大問題などがまだ課題として残っておる、こういうことだと思うのです。  それからもう一つは、やはり消費がどの見当ふえるか。政府の見通しでは、消費がある程度ふえることになっておりますが、ここが今月、昭和五十九年度からの一つの大きな課題でなかろうか、こう思っております。そういうことで、雇用者所得がどれくらい伸びるか、政府の見通し数字を入れて発表しておりますが、これを今注視をしておるところでございます。それで、今のところ三・六%見当の内需は、これから一年間よほどいろいろな点を注意しなければなりませんけれども、十分達成の可能性はある。ただし、ほっておかないで、経済の動向等を十分見きわめながら、その都度適切な有効な対策を進めていかなければならぬ、このように思っております。  それから第二の課題は、原油バレル五ドル下がったということは日本経済にとりまして大変大きなプラスでございまして、民間の設備投資が出てきたというのも一つはここにあると思うのです。エネルギーコストが下がったので採算がよくなった、あわせてそれならば設備投資をやってみようという設備投資意欲が出てきた大きな一つの背景になっておる、このように思います。  それから、先ほど御指摘がございましたが、電力業界なども社内の蓄積がある程度拡大をいたしましたので、それを機会に設備投資を進める、こういうこともやっておりまして、日本経済にとっては先ほど御指摘のありましたような数字ぐらいな大きな効果は出てきておる、このように思います。
  73. 武部文

    武部委員 もう一つ最後にお聞かせをいただきたいのですが、円高傾向というのは二つの側面を持っております。  例えば昭和五十三年に、私どもの記憶では円高が急激に進んで百七十六円という時代がありました。百七十六円というのは大変な円高でしたが、そのために輸出産業を中心にして倒産が起きた、そういう事態があったわけであります。このときには円高不況だなんという言葉があらわれたことを記憶をいたしておりますが、今年度の政府の円レートは二百三十四円が基準のようでありますが、既に二百二十四、五円です。もう十円も円高になっておるわけですが、円高が日本経済に与える影響というのは非常に大きいんです。先ほど言ったように、大体円のレートが百七十六円のときは円高不況で倒れていくということも起きるわけですが、長官としては、円のレートはどのぐらいのところが日本経済にとっては好ましい状況だとお考えになっておるだろうか。これは非常に問題が大きいのでありまして、公定歩合との関係もございますから、そういう点も考えてひとつ御見解を承りたいと思います。
  74. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに昭和五十三年に百七十円台の円高になりまして、当時中小企業が大変困りまして、中小企業対策ども円高対策である程度の救済策をやったと思いますが、その後また円安になりまして、二百七、八十円になったときもございました。だから、過去六年間を見ますと、ざっと百七、八十円から二百七、八十円の間の百円幅で動いておる、こういう非常に激しい動きをしております。  そこで、現在の段階はどうかといいますと、二百三十四円というのは、ことしの円が二百三十四円を中心に動くということではございませんで、予算編成に際しての政府のいろいろな計算をいたします場合に円の基準がないと困りますので、予算編成直前の一カ月間の円レートを平均にとりまして、それが二百三十四円になっておりますので一応計算の基礎にしておるということでございまして、五十九年度が二百三十四円で動くということではございません。  ただしかし、現在の円レートはやや円高になっておりますけれども、私は、日本経済のいろいろな実力から考えまして円は実力以下に評価されておる、こういう感じを持っております。したがって、もう少し円高になってもいいのではないか。そうなりますと金融政策どもやりやすくなる、こういうことだと思うのですが、しからばどの程度が妥当であるか、これは相場のことでもありますから具体的に言うわけにはまいりませんし、円の動きいかんによっては巨大な投機資金等も介入してまいりますのでなかなか一概には言いにくい、こう思っております。
  75. 武部文

    武部委員 きょうはこれで終わります。
  76. 金子みつ

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  77. 金子みつ

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村正男君。
  78. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大臣がまだ参議院の予算委員会の方へ御出席のようでございますので、まず消費者物価上昇率の動向について二、三御質問をしていきたいと思います。  昨年の十二月までは比較的物価は鎮静をしてきたわけですけれども、異常ともいえます厳冬の影響から、一月に入りまして全国の対前年同月比が一・八%の上昇になりまして、続いて二月に入りますと、東京都区部では、ここしばらくの間では極めて異常ともいえる対前年同月比で三・五%、憂慮しておりました全国については一応二・九%にとどまったわけですが、三月の年度末、既に東京都区部では対前年同月比で三・〇、こういう速報をいただいております。極めて一月から三月にかけて物価が上がったわけですが、まずこの中身についてお尋ねをしたいと思います。
  79. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 最近の消費者物価動きでございますけれども、ただいま御指摘のように、特にことしに入りましてから寒波それから降雪、こういうことが重なりまして、生鮮野菜の値上がりがございました。特に二月でございますけれども、二月の生鮮野菜は一年前に比べまして約四割高、こういうことでございました。そのために、全国ベースで見まして二・九%、それから東京都区部速報では三・五%の上昇ということになっております。三月に入りまして若干野菜の値下がりがございましたものの、依然として一年前に比べまして二割以上高い、こういう状況が続いておりますために、東京都区部の速報は三・〇%の上昇、こういうふうになっております。  生鮮野菜が非常に高くはなりましたけれども、生鮮果物及び生鮮魚介というのは幸いなことに昨年の水準を下回るという状況が続いております。こういうことで、生鮮野菜の異常高というものも多少は相殺されておるわけでございますが、全体として生鮮食品の上昇率が高い、こういうことでございます。  生鮮食品を除きました総合で見ますと、二月ぐらいまでは一%台、これが二月、三月と、東京都区部で申しますと二%台の高い方に来ておりますけれども、これなどもかなり寒波の影響がうかがわれておる、こういうふうに認識をしております。したがいまして、この寒波の影響を除きますと、ほぼ二%前後の消費者物価の実勢というのは続いている、こういうふうに理解をしております。  ただし、四月に入りましても、御承知のように例年よりは寒い状況が続いておりますので、生鮮野菜の生育のおくれというのはなおしばらく続くだろうということでございまして、四月末か五月に入らないと生鮮野菜の値段は下がらない、こういう状況かと思われます。しかしながら、基本的な物価状況、こういう生鮮食品あるいは寒波の影響を受けております一部の商品を除きますと、引き続き安定した基調が続いている、こういうふうに理解しております。これが最近の物価の動向でございます。
  80. 中村正男

    ○中村(正男)委員 三月の東京都区部が三・○。二月の場合も東京と全国を比較しますと、全国の場合はかなり下回った形でとどまっておるわけですが、三月の全国の見通しはどのぐらいになるのか、お聞きをしたいと思うのです。
  81. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 このところ全国指数と東京都区部の指数との間に大体〇・五あるいは〇・六ぐらいの差がございます。大体そのあたりのところをにらんで見当をつけますと、二・五とか二・六ぐらいが全国の三月ではないか、こういうふうに推測をしております。
  82. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ことしの場合はとりわけ異常寒波ということだと思うのですけれども、それにいたしましても、大体物価はいつもの傾向ですけれども、一−三月がどうしても高目になる。その理由というのは、おおむね生鮮野菜、これはもう異常に寒い冬というだけではなしに、大体冬場は野菜等の流通は悪くなるわけですから、そういう面で特にことしは今お答えいただいたような形で冬野菜は大変上がったわけですが、二月から三月にかけて具体的に物価局としてどのような手を打たれたのですか、その中身をお聞きしたいと思います。
  83. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 ただいま申し上げましたように、ことしの冬は生鮮魚介、生鮮果物というのは前年を下回っておりました。そのために専ら高値は生鮮野菜である、こういうことでございまして、この端境期を目がけまして従来からとられておる措置でございますけれども、タマネギ、バレイショそれからキャベツといったような調整保管をしておる野菜がございますが、これを十二月ぐらいから始めまして、一月、二月、三月と放出をしてもらっております。  それからもう一つは、いわゆる出荷の前倒し促進といったようなことでございまして、これも農林省に私どもの方から多少予算を使っていただく、こういう形で物価関係の予算を使っていただきまして、ホウレンソウなどにつきましての出荷の早出し促進の措置をとっていただく。それからキュウリ、キャベツ、大根といったようなものにつきまして、いわゆる規格外の並み級野菜と言っておりますけれども、こういったようなものにつきましてこん包費、それから運送費でございますが、輸送費の一部と申しますか、八〇%を補助する、こういう形で並み級野菜の出荷の促進ということをやっております。  ことしの並み級野菜の出荷の成果につきましては、今まだ事業が終わっておりませんので、具体的な数字で御説明することができませんけれども、三年ほど前にやりましたときの結果を申し上げますと、栃木県、群馬県の方から出てまいりましたキュウリの例で申しますと、規格品がキログラム当たりで見まして三百五十円見当のものが、規格外品は百五十円ぐらい、こういうことで卸売市場に出荷をされて、値段がそういうふうに決まっていることがございました。そのためにかけましたところの費用、補助金は十二円ぐらいということでございましたので、予算の使い方として非常に効率のある使い方ではなかったか、こういうふうに考えましたので、ことしもまたそういう措置を農林省を通じて現在実施中でございます。
  84. 中村正男

    ○中村(正男)委員 一−三月は大変上がったわけですけれども、八三年度、年間通しまして政府見通しは、当初対前年比二%、たしかそういう数字と伺っておるわけです。最終的な三月の全国の見通しも今お聞きをいたしましたが、通算いたしまして年度間の対前年比は二%の範囲におさまるのかどうか、その点をお聞きをしたいと思います。
  85. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 五十八年度消費者物価上昇率見通し、当初の見通しでは三・三%ということでございましたけれども、五十九年度経済見通しをつくります際に、実績見込みという形で二・〇%、こういうことで下方修正をされております。結論を申し上げますと、この二・〇%というのは十分に達成されるだろう、こういうふうに見ております。あるいは一・九%の可能性もなくはない、その程度の確実さで二・〇%という実績見込みどおりになるだろう、こういうふうに見てございます。
  86. 中村正男

    ○中村(正男)委員 二%は大丈夫、今こういうお答えをいただいたわけですが、確かに八三年度物価は鎮静をしてきたわけですけれども、これの理由がいろいろ考えられます。先ほど来の質問でもございました原油値下げ等もございますが、鎮静をした理由について幾つか考えられると思うのですけれども、その点についてお聞きをしたいと思います。
  87. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 五十八年度消費者物価が当初の見通しよりもかなり低くなった点について、私どもが分析している結果によりますと、次のような点が二大要因になるのではないかと思います。  一つは、今も御指摘がございましたように、原油の価格が引き下げになったということと、それから為替相場が円高の方向へ向かったということでございます。これが第一点でございます。  それから第二点は、賃金の上昇率が比較的穏やかな伸びになったという点も寄与しているだろう、こう思います。この二つが二大要因ではないかと思われますけれども、それにプラスして付加的な要因として、公共料金の上昇率が比較的少なかった、こういうことが五十八年度の場合はあったと思われます。  この二大要因でございますが、補足して申し上げますと、一年四カ月ぐらい前に、五十八年度の政府見通し消費者物価上昇率三・三%を計算したときの為替レートは二百五十五円で計算をしておりましたけれども年度が終わって実績として出ましたところでは二百三十六円三十九銭、こういうことで二十円弱為替レートが高くなった。それから原油の価格でございますけれども、その当時は三十四ドルの横ばいということでございましたけれども、これが最近では二十九ドル五十セント台まで下がってきているという点がございます。  それから二番目の要因と申し上げた賃金でありますけれども、これは毎勤統計の全産業の賃金の五十七年度の伸び率でございますが、四・七%ということでございました。これに対しまして、五十八年度に入りまして、つまり五十八年の四月からことしの二月まで十一カ月間の毎勤賃金の伸び率は三・一%、こういうことで、一%半ぐらい賃金の上昇率が下がっている、こういうことでございます。私どもとして、賃金が物価の上昇の原因であるというような考え方は、それのみが原因であるということは考えておりませんけれども、やはりコスト面の一つの重要な要因であることは間違いない、こういうふうな理解から、この二番目の要因もまた物価の安定化、見通しの超過達成に当たりまして寄与する要因であったと考えております。  公共料金の点でございますけれども、五十八年度というのは消費者米価、それから国鉄といったようなところが据え置きになったというラッキーな要素もございまして、比較的物価全体を押し上げる点が少なかった、これが三番目のやや小さな要因ではないか、こういうふうに分析をしております。
  88. 中村正男

    ○中村(正男)委員 原油値下げ、為替レート、結局言ってみれば、具体的な物価対策として有効な手だてをこちら側から打って下がった、こういう要因はむしろ少ないんじゃないか。例えば賃上げの問題にいたしましても、当初見込みよりも低目にとどまったというふうなことも、言ってみれば能動的な形での物価対策とは言えないと思うのですね。しかしこの一−三月を見てみますと、大変異常に物価が上がっておる。これは先ほども質問しましたけれども、大体例年の傾向なんですね。いわゆる冬場の対策、こういったことがどうしても後手後手にやはりなっているのではないだろうか。  先ほど具体的に、二月から三月にかけて農林水産省等の予算を使っての対策等もしたというお話ですけれども、一般の国民の目から見れば、また政府はこの対策に後手に回っているな、こういう率直な見方があるわけですね、タマネギの放出なんかを見てみましても、もうその必要もないくらい、ぼちぼち春野菜のタマネギといいますか、そういったものも出てくるわけでありますから。  要望になりますけれども、これは例年のことでございますので、もっと具体的な対策、手だてというものを早目に打っていただくようにお願いをしておきたいと思います。  それと関連いたしまして、いわゆる物価対策の予算の性格の問題なんですが、五十九年度物価対策の関係経費というのはたしか四兆三千五百三十一億円ですか、この四兆円余りの物価対策関係経費が経企庁の予算に組み込まれております。さらにその中でも生活必需物資等の安定的供給という項目があるのですが、これは一兆一千六百三十五億円、こうなっております。  ただ、その中を見てみますと、およそ半分強の六千四百八十億余りのものがいわゆる国鉄の助成費といいますか、端的にいえば補助金になっているわけです。一般の国民の目から見るならば、生活必需物資の安定供給に一兆一千六百億円も予算が組み込まれている、こういう見方をするのですが、実際はその半分しかない。これはことしに限ったことではないわけですし、例年そういう予算の組み方になっています。それは、国鉄の経営を安定的にしていくことが生活必需物資の安定輸送につながる、そういう論拠からこの辺の予算の費目になっていると思うのですが、今日国鉄の貨物のウエートもどんどん下がってきております。もうこういう形で予算項目にしておくのはどうか、むしろ明確に国鉄の補助金なら補助金という名目にして、生活必需物資の安定供給についての予算はこれだけだとした方が国民として納得がいくのではないか、私はこういうふうに思うのですけれども、その点についてお考えをお聞きをしておきたいと思います。
  89. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 物価対策関係経費についての御質問でございますけれども、これは十数年前からずっと毎年同じ項目に従いまして集計をされておるということでございますが、これは予算の正式の費目として整理をしたのではなくて、一つの参考資料として集計をしているものでございます。確かに仰せのようにいろいろな個々の項目を見てまいりますと、必ずしもどうしてこれが表題になっておりますような対策の経費なのかな、こういうふうにちょっと首をかしげるような項目もないわけではございませんけれども、いわば一種の統計的な連続性ということも考えなければいけない、こういうこともございましてずっと最初の分類を踏襲をしているという点がございます。この点は確かにそのときどき国鉄なら国鉄の輸送サービス、貨物がかなり重要なウエートを占めていたときから、貨物から撤退をする、そういったような情勢変化に対応して見直すべきであるということは仰せのとおりだと思いますので、研究をしてみたいと思っております。  ただ、内訳を示さずに、非常に大ざっぱにくくった数字だけで見ていただくということになりますとそういう問題点が発生をいたしますけれども、この内訳もそれぞれわかっていただけるように示しておりますので、それぞれの使途に応じまして、この項目は除外をしてみたらどうなるのかといったようなことは、過去にさかのぼってその経緯というものをお示しすることができる、こういうことだと考えております。  いずれにいたしましても、それぞれのサービスなり経費の重要性が経済情勢の変化とともに変わってきている、こういったような点を踏まえましてもう一回研究をしてみたい、こう考えている次第でございます。
  90. 中村正男

    ○中村(正男)委員 確かに今までのそういったいきさつがあると思うのですけれども、やはり時代は変わっておるわけですから、ぜひひとつ具体的に検討していただきまして、国民のわかりやすい物価対策費、そういうふうにしていただきたいと思います。と同時に、先ほどの答えの中でも、例えば冬野菜の対策で農林水産省の方の予算が使われているということなんですが、そのあたりもむしろ物価対策ということで物価局なり、経済企画庁の予算に一元化をすべきではないか。大変わかりにくい予算の仕組みになっている。きょうはこれは具体的なお答えは出ないと思いますから、要望として申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ質問したのです。いわゆる具体的な手だてがどうしても後手に回っている、国民の目から見れば率直にそう映るわけですが、それについてのお考えをお聞きをしておきたいと思います。
  91. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 私どもとして、後手に回っているじゃないかという御批判につきましては十分反省をして、今後の改善の方途を研究をしたい、こういうふうに考えておりますけれども、野菜の点について申しますと、やはり平年よりは非常に雪が多いとか、寒くなって生育が遅い、そういう意味での自然現象みたいなものもございますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思っているわけでございます。野菜などにつきましては、これが天候次第では逆に大変に豊作になり過ぎて困る、生育が行き過ぎまして困るというような事態もある、こういうことで、重要野菜につきましては専門の所管の農林省が中心になっているわけでありますけれども、どれだけの作付面積をするのか、それをどういうふうに播種をする、その他の出荷の計画、こういったものをきめ細かく、事業の実施につきましてきめ細かく指導などをやっていただいておるわけでございます。  そのときも、私どもとして、物価安定の見地から余裕を持った作付をしていただきたいと例年要望しているところでございますし、またそういう制度も一部ございます。そういう機会を通じて後手に回ったとか、あるいは予想に反して非常に高値になった際にとれるような措置というのをできるだけ敏速にとるようにしていきたい、またそのための改善の工夫というものについて研究をしてまいりたい、こういうように考えております。
  92. 中村正男

    ○中村(正男)委員 次に、八四年度、これからの年度についての幾つかの問題をお尋ねしていきたいと思うのです。  まず八四年度消費者物価上昇率、対前年比で政府見通し二・八%、こうなっているわけですけれども、我々としては、今お答えいただきましたように、八三年度一−三月が異常な厳冬の影響での突出した上昇率にもかかわらず二%台におさまるわけですから、八四年度も本来なら物価は二%程度に抑制すべきだ、こういう立場に立つわけです。しかし、まず公共料金が一斉に上がるいわゆる公共料金の表年度に今なっているということ、それから異常気象、もう四月に入っていますけれども、まだ肌寒いきょうこのごろでございますし、けさのNHKのニュースを見てみましても、春野菜に大きな影響がまだ尾を引くというようなことが言われております。  最初に、結論からお聞きをするわけですけれども、果たしてこの二・八%、政府見通しが今の状況の中で守り切れるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  93. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 まず結論から申しますと、私どもとしては十分達成可能な目標である、こういうふうに考えておりますし、また、達成をさせるための物価対策というものを、これから一年間ございますけれども年度末まで油断なくとっていかなければいけない、そういうことによって十分に実現可能な目標である、このように考えておるわけでございます。  五十八年度においていえば二%程度ということが、五十九年度には二・八%、二%台ということでは同じかもしれませんけれども、三%に近いところになっているわけでございますが、そういうことで物価上昇率が高まった、物価安定の基調というのにやや変化が見られるのではないか、こういったような御疑問があろうかと思いますけれども、私ども物価安定の基調というものはちっとも変わらない、こういうことを考えておるわけでございます。その点を御説明をいたしますと、こういうことだと思います。  公共料金の表年という表現をお使いいただきましたけれども、ことしの場合には公共料金はかなり上がる項目があることは御指摘のとおりでございまして、私どもの予測で申しますと、約一%強消費者物価を押し上げることになるだろう、こういうふうな見通しになっております。二・八%から一%強を引きますと一・七%ぐらいの数字になるかと思います。  これに対しまして、五十八年度の二・〇%のうち、公共料金関係で上がりましたのが〇・四%ということでございます。すなわち、公共料金を除く一般物価では一・六%。その前の五十七年度を見てみますと、消費者物価上昇率は二・四%でございましたけれども、そのうちの〇・六%が公共料金関係、したがいまして、これを引きますと一般物価上昇率は一・八%、こうなるわけでございます。ですから、五十七年度一・八、その次が一・六、五十九年度は一・七、ほぼ三年間同じ程度上昇率である、一般物価の安定基調というのは引き続き確保できる、こういうふうな見通しをしております。  五十八年度におきます物価が予想よりもさらに安定をした要因については先ほど申し上げましたけれども、五十九年度につきましても、こうした要因が基本的に変わるもの、こういうふうな認識はしておりません。そのことが、一般物価の過去二年間の安定基調は今年度もまた続いてくれるだろう、こういうふうに考えております主たる根拠でございます。
  94. 中村正男

    ○中村(正男)委員 確かに、今具体的に出ております米あるいは国鉄運賃、こういった公共料金では一・〇%強、こういうふうに受け取るわけですけれども、このほか、地方の公共料金も、私鉄の値上げがもう既にあったわけですけれども、タクシーの料金の改定等これから予定がされております。さらに物品税が上がるわけですけれども、今の一・〇強の中にはそういったものも織り込み済みなのか、五十九年度関連予算の公共料金だけで一・〇なのか、その辺もう少しお聞きをしたいと思うのです。
  95. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 一%強と申し上げましたその内訳を申し上げますと、予算関連の公共料金、ただいま御指摘のございました米価でありますとか国鉄あるいは授業料でありますとか、あるいは一部値下げになるものもございます。例えば電話の中距離の通話料金、こういったようなものを含めまして、予算関連の公共料金ということになりますと、〇・三弱の消費者物価押し上げ要因になっております。  それから、予算に関連いたしまして酒税、物品税あるいは石油税、こういったようなものがどういうふうに影響するのか。これは一〇〇%消費者物価に転嫁をされる、こういう前提のもとで計算をいたしますと、酒税、物品税等の影響というものは約〇・二%ぐらいになります。したがいまして、国家予算に関連をいたします公共料金及び関接税の効果は〇・五前後になろうと思います。  それに加えまして認可料金、これは先ほど委員が御指摘になりましたバスでありますとかあるいは私鉄でありますとかタクシーといったような認可料金、それにNHKの料金なども加えてでございますが、これが〇・三%ぐらいになる、こういうふうに考えられます。そういたしますと〇・八近くになるわけでございまして、そのほかに、地方公共料金というものがございます。  この地方公共料金は、地方の公共団体におきまして非常に差がございます。千差万別と言えばやや言い過ぎでございますが、かなり差がございます。そうでございますので、これを予測するのがなかなか難しいわけでございますけれども、東京都の例など新聞などに報道されます例を計算して試算をいたしてみますと、大体〇・三ぐらいではないか、こういうことで、全体を合わせまして一%強、こういうことになってございます。  したがいまして、予算関連の公共料金だけではなく、すべての公共料金プラス間接税の影響等も織り込んだ最大限の数字である、こういうふうに申し上げていいと思います。
  96. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ぜひひとつ二・八をできるだけ下げるようないろんな手だてを早期に打っていただきたいということを要望しておきたいと思います。  ところで、先ほど本会議で健保の改悪問題の提案趣旨説明がございまして、ことしはいわゆる三K、米、国鉄、健保、かねてから国民の暮らしを極めて圧迫しておる大きな問題、すべてこれ改悪になっていくわけですが、とりわけ米、国鉄運賃ですね。これについては極めて構造的なといいますかそういう体質になっておりまして、果たしてことしのこの料金改定、値上げでいつまでもつのか、その点具体的に見通しといいますか、お考えをお聞きをしたいと思います。特に米と国鉄運賃です。
  97. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 米と国鉄の改定後の運賃がいつまでもつのかということでございますけれども、私どもとしてはできるだけ長くもつようにしていただきたい、こういうふうに希望しているわけでございますけれども、具体的にいつまでというのは今の段階で申し上げられない、こう思います。  ただ、これは米、国鉄に限らず、一般論として申し上げるわけでございますけれども物価というのは、これはしばしば経済の体温というふうに例えられますけれども日本経済自身、あるいは個別の価格で申しますとその経営体が健全でなければいけない。そうでなければいつまでたっても熱は下がらない。一時的にアスピリンを飲ませることによって熱を下げることはできますけれども、アスピリンの効果がなくなった場合には再び熱が高くなる。病気が治っていなければ再び熱が出てくる、こういうことでございまして、一時的に財政補助のような形で価格の上昇率を抑えたといたしましても、それは決して経営体あるいはそれぞれの商品の生産構造供給構造が改善されて、安いコストでサービスなり商品なりが提供される、こういうことにならないわけでございます。  ですから、やはり問題は生産性を向上させる、それから赤字になりますような問題点が幾つかあると思いますけれども、そういうものを一つ一つ治していく、こういう態度でなければ、いつまでもたせるかということは、できるだけ長らくもたせたい、こういうことを希望は表明するわけでございますけれども、それがずっと続くだろう、そういうふうな楽観的な見通しというものはなかなか立てられない、正直言ってそういうことだと思っております。
  98. 中村正男

    ○中村(正男)委員 消費者物価の動向についての質問は一応これで終わりますけれども、とりわけ公共料金の中でも一番国民生活に波及的影響の大きい米と国鉄の運賃がことし上がるわけでございます。今の答弁では、具体的に国民としてはいつまで今の料金改定でもつのか大変不安が残るわけですけれども政策的にでもこの二点については抑える努力をぜひひとつ強力に行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、物価上昇率との関連で、いわゆる指数、統計のとり方について御質問をしていきたいと思うのです。  まず、内閣総理大臣官房広報室の「物価の上昇感に関する世論調査」というのをいただいたわけですが、これを見てみますと、例えばこれは五十七年十二月調査でございます。対象は、標本数としては一万人を対象にとっているわけですから、これはかなり精度の高いものだと思うのですが、「物価の上昇感と統計数値のずれ」、こういう項目がございます。  五十七年十一月の物価は、昨年の同じ時期、いわゆる一年前に比べてどのくらい上がったと思うか、こういう設問に対して、五%くらいというものが一八%、最も多くなっておりまして、その次は一〇%くらいというのが一七%、七ないし八%くらいというのが一〇%になっております。半数以上が五%から一〇%くらい上がっている、こういう物価の上昇感を端的に出しておるわけです。一方、具体的な数字として、それではどれだけのいわゆる対前年同月比の物価上昇率があったのかということになってみますと、二・三%なんですね。政府の現在の統計指数から出てくる消費者物価上昇率というものが、一般消費者の物価上昇感と極めて大きな隔たりがある、このことについて、まず基本的にどういうふうにこのことをおとりになるのか、お答えをいただきたいと思います。
  99. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 物価の統計とそれから生活実感の違い、こういう問題ではないかと思います。  この問題につきましては、当委員会でもしばしば御質問がある点でございますけれども、これは一部はやはり統計そのもののつくり方と申しますか、統計というものに対する無理解ということは申しませんけれども、やや過大な期待、こういうことが生活実感に合わないから統計が問題があるのではないか、そういう気持ちにさせる要因ではないか、こう思っている次第でございます。  と申しますのは、消費者物価指数が統計の上で二・三%上がったということの意味はどういうことかと申しますと、これは一年前と全く同じ生活をしている場合に二・三%だけ余分にお金が必要になります、こういうことを言っております。ところが、それぞれの御家庭、いずれの御家庭におきましても、一年前と全く同じ生活をしているということはあり得ないということではないかと思います。  例えば一年前に坊やが中学の三年生だった。これは義務教育でございますから授業料は必要ない、それから教科書も無償でもらった、こういうことでありますけれども、一年たってみますと、公立高校の一年生になっている。公立高校といいましても、ちゃんと授業料は取られる、教科書、参考書は自分で買わなければいけない、こういうことでございますし、一年成長しているわけですからいろいろなコストがかかる。食費も多分にかかる。こういうことで、決して一年前とは同じ生活内容ではない。そのために余分にいろいろな経費がかかっている、こういうことではないかと思います。それを生活の内容が変わった部分、それから物価が上がった部分、こういうふうに必ずしも分けては認識しないのが普通の一般の方たちの感覚ではないか、こういうふうに思っております。  ですから、そういう一般の方々が大変に生活費が余分にかかるようになっている、これは全く事実でございますけれども、そういったようなものをどういうふうに分析をするのか。一部が生活の内容の変化であり、一部は同じ内容の生活をするのに必要な物価上昇率である、これを分析するための資料と申しますか、これが物価の統計だ、こういうふうに理解しております。それだけに、むしろ生活実感とかけ離れているという、それは確かに問題点ではありますけれども、むしろそれなるがゆえに分析が可能になる、こういうものではないかと考えている次第でございます。  現在の消費者物価指数のつくり方というのは、もう三、四十年前ですけれども、ILOの国際的な会議がございまして、そこで決められました方式に従って統計がつくられている、こういうことで、それぞれ問題点があることは間違いないのですけれども、そうはいいましても、現在のところではこれ以上の統計のつくり方は考えられない、そういうふうなものではないか、こういうふうに理解をしているわけであります。
  100. 中村正男

    ○中村(正男)委員 やはり国民立場からいたしますと、より生活実感、いわゆる生計というとらまえ方で政府のそういう基礎的な対応を求めていくわけでございます。  今たまたま教育の問題をお話しになられたのですけれども、とりわけ最近の生活の中で教育費の高騰というのが非常に家計を圧迫しておる。とりわけ中高年になっていきますと、住宅と教育、この二つが暮らしの中で一番しんどい要素になっているわけですけれども、政府の統計的な形で使われる教育費、一世帯当たりの負担額というのは額でどのくらいになっておるのか、お聞きをしたいと思うのです。
  101. 及川昭伍

    ○及川政府委員 家計調査によりまして、全国全世帯の家計に占める教育費の割合は、平均値で申し上げますと三%強でございますが、実額で申し上げますと、五十八年の数字で十一万六千六百四十二円というふうになっております。トータルの額は、五十年に家計費全体の中で二・八%だったが、五十八年には三・七%とわずかな増加というふうに見えておりますが、先ほど物価局長から答弁されたことと同じようなことが教育費についても当てはまりまして、例えば三十歳前半層でありますと教育費は八千円でございますが、四十歳後半層になりますと二万円になるというふうに、年齢階級別に非常にその負担は違ってくると考えております。  ただいまは家計調査上の教育費、これは授業料その他の狭い意味の教育費でございますが、それに教育関係費、例えばランドセル代やその他の教育に関係する費用も含めたものがありますが、それについて見ますと、先ほどの年齢階級別の費用負担額は、三十歳前半層が月額一万三千円でありますのが、四十歳後半層は三万二千円になるというふうに、年齢階級によって負担額が急増するということがわかります。
  102. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今の五十八年度十一万円余りということは、平均して一カ月一万円に満たない、こういう理解でいいのか、それと、その中には最近急増してます、とりわけ若年層ではそれのウエートが高いわけですけれども、塾ですね。塾に通っている費用も含まれておるのか、それはその調査の対象に入ってないのか、それをまずお聞きしたいと思うのです。
  103. 及川昭伍

    ○及川政府委員 ただいま申し上げました年額十一万六千円というのは狭い意味の教育費の方でございますが、これには授業料等、教科書、学習参考書、補習教育というものが含まれておりまして、補習教育等の中に塾の費用も含まれております。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、これは全国全世帯の平均の一年間の経費でございまして、塾に行っている子供のいる家庭とか、大学や高校生を持っておる家庭となりますと、この平均値とは相当違った数字になると思います。
  104. 中村正男

    ○中村(正男)委員 政府の集計された結果と、一般の家庭で実際に支払っている教育費というものにかなり大きな隔たりがある。  これは大阪の限られた特定の地域でございますが、私たちがそこで約千五百世帯を対象に調査をしたわけです。それによりますと、一番多いのがやはり二万円以上という数値になっております。最高は五万円以上というふうな教育費が実際に家計の中で支出をされている。こういうことを申し上げておきたいと思います。  また、塾に通っている子供を持つ家庭を見てみましても、半数以上、五五%の家庭では塾に通っている。また、学校の教師の家庭でも三二%が、教師の子供でありながら塾に通わしている。大変大きな家計の負担になっているということで、政府の統計の基礎となるような数字とかなり違うということを申し上げておきたいと思います。  そこで、この統計のとり方は、現在五百十二品目になっているというふうにお聞きをしておるわけですが、これは五年ごとに見直し、前回五十五年、次は六十年。五年間というのは、私は少し長いのじゃないかという考え方に立つわけですけれども、前回五十五年に見直した項目についてお聞きをしたいと思います。
  105. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 ちょっと資料を手元に持っておりませんので、後ほど調べて別途御報告申し上げます。
  106. 中村正男

    ○中村(正男)委員 後ほどまたそれはお願いするとして、私は、そう基本的には大きな見直しというのは行われなかったのではないか、こういう認識に立っております。依然としていわゆる消費支出の範囲というのは、私はその考え方はずっと変わってないと思うのです。先ほど来から申し上げていますように、一般の国民立場に立てば、単なる従来の、二十年間続いておるといいますか、そういう統計のあり方では今日の国民の生活の実感にはそぐわない、こういう声が極めて強くなっております。  我々の立場からいいますならば、いわゆる生計費というとらまえ方で抜本的な見直しといいますか、統計項目の見方をそういう視点で検討はできないものか。とりわけ六十年は来年に迫っておるわけですから、その点について、例えば今住居費なんかは、これも恐らくこの委員会でたびたび論議があったと思うのですが、家賃は入っているけれども、ローンの支払いは財産形成になるから消費とはみなさない、こういうことで除外をされている。現実は、むしろ大多数の一般の勤労国民というのは、長期のローンを住居費に使っておるわけですから、その点の見直しは、私はやはり今日的な課題としてぜひ検討をしていただきたいと思います。  それから社会保険料、これも、それには必ず給付がある、したがってこれも単なる消費にはならないということで今まで片づけられてきたわけですけれども、五十七年度にこの非消費支出が収入に占める割合が一四・六%であったものが、五十八年には一五・一%、もっとロングランで見るならば、確実に非消費支出が増大をしておる。そのことが今一番国民の暮らしを大きく圧迫しておるわけですから、そういうものの国民生活に占める割合、ひいては年率どのぐらい上がったのかというのを物価指数の統計の基礎に入れるべきではないかというふうに私は思うのですが、その点についてもお聞きをしたいと思います。  それから、来年度見直しをするわけですけれども、その場合の委員会、今どういう階層のどういう方々が入っておられるのか詳しくは存じませんけれども、ぜひ消費者の代表、とりわけ労働組合の代表を入れるべきではないだろうか。特に今日消費者物価上昇率というのは、国民生活にとって大変重要な基礎的な問題でございます。賃金改定、給与改定の基礎に、それぞれ政府も労使もこれを一定の物差しとして見ておるわけですから、より現実的な統計のあり方に変えていかなければいけない、こういう立場で今二、三お聞きをいたしましたので、その点について御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 物価指数の決め方でございますけれども消費者物価指数の場合には、家計の消費支出に関係のあります商品及びサービスの価格の変化を総合的にとらえる、こういう目的にそもそもなっております。具体的に申しますと、五百十二品目の価格を調査しているということでございますが、これは五十五年のときの家計の消費支出のバスケットの中で一万分の一以上の支出金額のあるものをとらえてそれを調べている、こういうことになってございます。この点は多分六十年度を基準に改定になるときも全く同じ考え方で行われるだろう、こういうふうに考えます。一万分の一以上の支出ウエートを占めます品目の数が若干ふえるだろう、こういうことはございますが、基本的には変わらない、こういうふうに思います。  そこで、生活実感と申しますか、生活の実態に合ったというふうに仰せられます生計費指数、こういったようなものをどういうふうに考えたらいいのかという点でございますけれども、これは一つ考え方ではあると思いますが、しかしながらそれを消費者物価指数というものに対して要求することは、ややツーマッチと申しますか、余分のことを期待をする、こういうことではないかと思っております。  そうは申しましても、御指摘のように税金、社会保険料、その他いわゆる非消費支出支出がふえているということは事実でございます。その点について、もし何にも統計がない、こういうことでありますと大変困ったことでありますし、それは統計調査をする立場におきますところの政府の怠慢である、こういうことになろうかと思いますけれども、先ほどからも統計を引用して御紹介をしております家計調査、これを御利用いただければ、消費、いわゆる消費支出に含まれるもの以外の非消費支出から、あるいはこれは貯蓄の一形態だというふうに整理されておりますけれども、住宅ローンの返済、こういったようなものもすべて毎月の動きまで統計がとれるわけでございます。ですから、そういうものとあわせて分析をしていただく、こういうことが必要じゃないか、それによってまた十分な分析ができるもの、こういうふうに考えております。  それをこの二つを一緒にいたしますと、先ほども御説明いたしましたように、去年と同じあるいは基準年次と全く同じ生活をした場合にかかるべき費用と、それから生活の内容が変わったことによってかかっている費用、こういったものを分離して分析をする、そういうこと自体が不可能になると、逆に、改善というよりは私ども立場からいいますとむしろ問題点をふやす、こういうことではないかと考えております。  そういったような問題点を、世界じゅうの専門家が集まりまして一九四七年のILOの専門家委員会で勧告を出しました。もちろん現在のような方式にもいろいろ問題点があることは間違いないのですけれども、それ以外の方式を導入しますと、かえって逆に問題点がふえてしまう。そういう意味で最善のものとして勧告された方式に従って総理府統計局が今統計を調査しておられるわけでございますから、これは六十年度基準になりますときも本質的にはやり方は変わらない、むしろ変えてはならないものと私どもは理解をしております。  それから、この統計に関します委員会に労働組合代表とか消費者代表をという話でございますけれども、これは極めて専門的な委員会でございますので、むしろ第三者のみの、学識経験者と申しますか学者と申しますか、そういったような専門家だけの委員会である方がよろしい、こういうふうに私どもは理解しております。  いずれにいたしましても、この統計をつくっておりますのは総理府統計局でございますので、私どもの所管ではないわけでございまして、責任者として確固とした御答弁ができないということを付言させていただきたいと思います。もちろん、総理府統計局には、物価特別委員会におきましてこういうふうな御要望、御意見が出たということを私どもの方から伝えさせていただくようにさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  108. 中村正男

    ○中村(正男)委員 河本長官、帰ってこられましたので、質問を長官の方にし、御答弁をお願いをするということにしたいと思いますが、今の問題、確かに統計という難しい、しかもそれは歴史的に続いていることでございますから、専門家というお考えはわからないこともございません。しかし、先ほども言いましたけれども、今日、消費者物価上昇率というものは極めて重い社会的な影響を持つものになってきております。労働組合の役員も、かつてのような幅の狭いそういう立場では物を見ておりませんし、かなり消費者、国民の生活の立場から物価を専門的にとらまえて研究している人たちがたくさんおられます。ぜひ単なる学識経験者というのじゃなしに、本当国民生活の中へ飛び込んだ、そういう生きた専門家として労働組合役員というものを見直していただきまして、ぜひ統計局の方にそういう意見が強くあったということをお伝え願いたいと思います。  そこで河本長官にお尋ねをいたしますが、先ほど先輩委員の御質問がございまして、八四年度成長率見通しについてお答えいただいたのですが、八三年度、いわゆる三・四%当初見込みに対してほぼこの段階で予測がされると思うのですが、その数値は大体どのくらいになるというふうに見ておられるのか。またその中身ですね、いわゆる内需と外需の割合、どの程度に落ちつくのか、この辺をお聞きをしたいと思います。
  109. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほどの局長に対する御質問につきましては、局長も申し上げましたように総理府の方に伝えまして、よく相談をさせることにいたします。  それから五十八年度成長でありますが、これはおよそ政府の目標三・四%は達成できる、このように考えております。  内訳につきましては調整局長から答弁いたします。
  110. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 内需と外需の比率でございますが、現段階での我々の推定によりますと、内需が二・二、外需が一・二程度のものになるのではないかと推定いたしております。
  111. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間がもうかなりたってきましたので、質問を急ぎます。  五十九年度、八四年度なんですが、今の答えですと、五十八年は内が二・二に対して外が一・二ということなんですが、五十九年度は外需が〇・五とかなり低目に見ておられるわけですけれども、少しそれは低過ぎるのじゃないか。結果として、五十八年度、そのまま尾を引くような形で外需がやはり相当高くなるのじゃないか、こう思うのですが、その点についてお聞きをしたいと思います。
  112. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 五十九年度につきましての御質問でございますが、まずちょっと経常収支につきまして五十八年度状況を御説明申し上げますと、現段階で、五十八年度の経常収支の見通しが二百三十億ドル程度の黒字になるものと考えておるわけでございます。  問題は、五十九年度の経常収支の黒字幅がどの程度になるかという点でございますが、現在政府の公式な見通しは、五十八年度とほぼ同じ二百三十億ドル程度の黒字を見込んでおるわけでございます。ただ、この点は、今御指摘ございましたように、世界経済が全体として回復して、特にその中でアメリカ経済が急速な回復をしておる状況を受けまして、日本輸出が極めて伸びておるわけでございます。そういう状況を受けて、この二百三十億ドルにつきましては、やや弾力的に考えなければならぬ点は確かにあろうかと思っておるわけでございます。  しかし、内外需の比率という点になりますと、これは今、私が申し上げました五十八年度が二百三十億ドルの黒字、五十九年度が二百三十億ドルの黒字といたしましても、外需の比率は、これは前年度比の関係になりますので〇・五程度でおさまるのではないかと考えておりまして、その意味では、あくまで五十九年度の五十八年度に対する比較としての外需依存度は、五十八年度よりもはるかに小さな数字になることは間違いない状況にあるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  113. 中村正男

    ○中村(正男)委員 それでは次に移ります。  雇用者所得の一人当たりの伸びについてお尋ねしたいのですが、八三年度、当初政府見通しでは五・二%見込んでおられたわけですが、これは、結果として三・五%程度に落ちつくというふうに伺っております。そのことがまず間違いないかどうかお聞きしたいのですが、同時に、当初見通しをこれだけ大幅に下回ったその理由について、具体的にお聞きをしたいと思います。
  114. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今御指摘のとおり、五十八年度の実績見込みにおきましては、一人当たり雇用者所得を三・五程度というふうに考えておるわけでございます。  御指摘のとおり、五・二%から三・五%に伸び率が非常に低くなりました主因は、やはり年度当初、景気は緩やかには回復をいたしたわけでございますが、そのテンポが極めて緩やかでございまして、その背景といたしまして、いわゆる所得が非常に伸び悩んだ、これは家計費調査その他でも明らかでございますが、所得が伸び悩んだということがあろうかと思うわけでございます。特に、春闘のペース以上に落ち込んでおる面もございます。  例えば、春闘で申し上げますと、四%台の春闘のベースでございますが、一人当たり雇用者所得で見ますと三・五というようなことになっております。これらは、雇用の形態も非常に違ってきた面もございまして、例えば女性がパートに進出されておられまして、そういうパートの賃金が相対的に上がらなかったとか、そういう点もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、全体として所得の伸び悩みが見られた、こういうことを反映したものと思っておるわけでございます。
  115. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そういう答えの上に立ちまして、八四年度見通しとして四・七%の一人当たりの雇用者所得の伸びを見込まれておるわけですけれども、この数字はどうしても実現しないことには不況も長引きますし、雇用不安も解消されない、個人消費に大きな足かせになるというふうに思うのですけれども、この四・七を維持していくためには、望ましい春の賃金交渉、一体どの辺の水準で落ちつけばこれが可能なのか。数字的に、これはもう全く政策的なことを抜きにして、四・七の一人当たりの雇用者所得の伸びを実現するためには、平均で賃上げ率はどのぐらいが望ましいと思われるのか、その辺をお聞きをしたいと思います。
  116. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 一人当たり雇用者所得を四・七%と推計いたしましたのは、マクロ的に推計をいたしておりまして、その意味では、いわゆる春闘のベースアップを想定して算定をいたしておりません。五十九年度の全体的な経済成長の度合い、あるいは物価の動向その他を踏まえましてマクロ的に推計をいたしまして、その中で我々が最近着目しております点は、一つは時間外手当が最近非常にふえつつあるという点、それから三月期の法人の利益が相当ふえるであろうということを背景としまして、ボーナスも五十八年度よりは伸びるのではないかというような数点を総括いたしまして計算をいたしておるわけでございまして、春闘のベースとして御質問でございましたが、これは我々政府当局が申し上げるのはいかがか、こう思っておるわけでございます。
  117. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私は、単に数字的な面でざつくりと、当然このくらい上がらなければ四・七%は達成し得ないというのは数字として出てくるわけですから、ぜひそれはお聞きをしたがったのですが、残念ながら抽象的なお答えにとどまりました。  時間がございませんので、せっかく長官に御出席いただいておりますので、減税の問題についてお聞きをしたいと思います。  五十九年度予算の中で八千七百億円所得税の減税、住民税を含めまして当年度で一兆一千八百億円の減税が実施をされるわけですが、これは財源として物品税あるいは酒税等が充てられるということは一応度外視しまして、やはり我々としては大幅な減税というのが今どうしても、個人消費を堅実に回復さす、そして内需の拡大を図っていく、内需主導型の経済運営に持っていくためには絶対私は必要だ、こういう認識に立っております。  しかもそれは単年度で終わるのではなしに、少なくとも中期的に、もっとより大型な所得税の減税を実施すべきだ、こういうふうに思っているわけですけれども、その点について河本長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  118. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年秋の臨時国会で、与党と野党との間で合意がありましたのは、景気浮揚ができる規模の所得税の減税をする、しかも五十八年からする、こういう約束を文書で交わしておりますので、私はもう少し充実したものになるかと思っておったのでありますが、減税一兆円規模で、増税が約一兆円規模だ、こういうことでは経済に及ぼす影響は、皆無、ゼロとは言いませんけれども、非常に小さいものになってしまうのではないか、このように思います。  そこで私は、この一月、予算編成前の政府・与党連絡会議で、もう少し税の問題について抜本的に考え直したらどうか、増減税プラス・マイナス・ゼロということではなくして、思い切った税体系を根本的に見直す、その中で直接税と間接税の比率を是正する、これは臨調にもございますので、直接税を思い切って減らす、間接税を機会を見てふやしていく、こういうことを検討してみたらどうだろうかということを大蔵大臣や自民党の方に提案をいたしまして、それぞれの責任者に至急に検討してもらうようにお願いをしておるのでございます。  アメリカの景気回復状態などを見ますと、やはり大規模減税がてこになっております。所得税減税とそれから投資減税がてこになってあれだけの力を発揮しておるわけでございますから、日本も潜在成長力が非常に強くあると思いますので、その力がまだ十分発揮できてない、その一つの起爆剤、てことして、やはり税体系の問題を抜本的に今申し上げたように検討し直すということが私は非常に大きな課題でなかろうか、こう思っております。
  119. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、今長官の方からお答えをいただきましたように、景気浮揚のためには、昨年の一千五百億円、それから五十九年度の今実施されようとしておるこの減税規模では、しかも片っ方での増税では効果がない、こういう御答弁をいただきました。我々もぜひ中期的にこの大幅減税というものを続けていく、こういうことを要望しておきたいと思うのです。  とりわけ今の予算編成が単年度主義になっております。そういう中では、どうしても大幅減税をやるにはそれなりの財源を探してこなければならぬという宿命にございます。西ドイツのように、基本的な政策については中期的な、せめて五年間ぐらいそれを守っていく、あるいは五年間ぐらいの予算編成の考え方に立って実施をしていくということが大変私は大事ではないだろうかということで、ひとつ中期的に思い切った所得税の減税を実施していく、こういう決意をぜひいま一度長官の方からお答えをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  120. 河本敏夫

    河本国務大臣 臨調の答申は、直間比率を中長期的に抜本的に見直せ、こういう趣旨が書いてあるわけです。単年度主義でありますから、今のような経済情勢でありますと、大規模な減税をしますと相当経済は急速によくなるだろう、私はこう思っております。私は、一例としてその政府・与党連絡会議で提案をいたしましたのは、年の初めに所得税の大減税をする、そして景気がよくなれば、大体年度末には景気がよくなると思うから、年度末に間接税の増徴を考えたらどうだ、これに拘束されるわけじゃございませんが、一例としてこういうことも言っておりますので、いろいろ検討していただいておると考えております。
  121. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ありがとうございました。これで終わります。
  122. 金子みつ

    金子委員長 福岡康夫君。
  123. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま経済企画庁長官が御出席されておりますので、河本経済企画庁長官のいろいろ経済政策につきまして真意をお聞かせ願いたいと思うわけでございますが、政府の五十九年度経済運営の基本的態度によりますと、内需を盛り上げてそして輸入をふやし、世界経済へ貢献して経済摩擦を避けなければならないとありますが、五十九年度予算と内需拡大との関係につきまして、河本経済企画庁長官のお考えをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  124. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十九年度の政府予算は、経済成長に対して中立という説明をしておりますが、別の言葉で言いますと、経済成長に及ぼす影響はゼロである、こういう意味でございます。もちろん、ある程度の下支えはするのだと思いますけれども成長には何ら貢献をしないということでございますので、どうすれば内需の拡大ができるかということは、予算もさることながら、別の角度から広く検討しなければならぬ、このように考えております。
  125. 福岡康夫

    ○福岡委員 内需を拡大していくことが最大の政策課題であるということはわかりますが、河本経済企画庁長官は、この内需を持続的に拡大していくために今後どのような施策をおとりになるのか、具体的にお考えをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  126. 河本敏夫

    河本国務大臣 私が内需の拡大ということを強く考えておりますのは、もちろん現在雇用情勢も余りよくありませんし、雇用問題の解決も急がなければなりません。そのために内需の拡大ということが必要になりますが、同時に、対外経済摩擦がだんだんと厳しくなっております。こういう状態が続きますと、保護貿易が台頭いたしまして自由貿易体制が維持できない、こういう危険すらあると思うのです。我が国はこういう国柄でございますから、自由貿易体制が維持できませんと将来の発展はありませんし、生存すら危うくなってくるということでございますので、やはり自由貿易体制を維持するということを政策の最重点課題に置かなければならぬ、こう思っておるのです。  そういう意味で、現在対外貿易摩擦の個別案件がたくさんございますが、その個別案件の解決に全力を尽くしております。しかし、個別案件が一応目鼻がついたからといって、私は、貿易収支の改善にはそんなに役立たないのではないか、皆無とは言いませんが、まあ非常に少ないのではないか、こう思っております。やはりこの貿易収支の抜本的な改善のためには、内需の拡大をいたしまして国内の購買力を拡大する、それから同時に、円が今実力以下に評価されておる、このように考えておりますので、やはり円はもう少し高い水準に、実力に近い水準に評価される、これが輸入の拡大にもつながる、このように思いますので、この為替の問題とそれから内需の問題、これが貿易摩擦を解消する非常に大きな前提条件でなかろうか、私はこのように考えまして、内需の拡大ということを言っておるわけでございます。  さしあたっては、年度全体といたしましては、先ほど申し上げましたように予算は経済成長に対してゼロでありますけれども、その中での公共事業社会資本投資を、予算が通りました段階で政府部内で相談をいたしまして、こういう情勢でございますから、特に地域等によるばらつきが非常に厳しい状態が残っておりますのである程度前倒しをする、これを早急に政府部内で相談をしなければならぬ、このように考えております。  それから財政がこれだけ力が弱くなっておりますので、こういうときには金融政策が非常に大事になるわけでございます。物価は二%そこそこに安定をしておりますが、実際の長期金利は八%前後ということで、実質金利は非常に高い水準になっております。だから、金融政策をもう少し実情に合ったように、物価水準に合ったような機動的な運営がしたい。これは非常に大きな内需振興の効果があろうと私は思うのですけれども、機動的運営をするための内外の幾つかの阻害要因がございまして、なかなかこれもできにくい状態でございます。  そこで、どうすれば金融政策をもう少し機動的に運営できるかということについて政府部内でも検討しなければならぬ、このように考えておりますが、さしあたっては公共事業の前倒し、金融政策を機動的に運営するためにどういう方策が必要であるかということについての政府部内での検討、こういうことが大きな課題でなかろうか、こう思っております。
  127. 福岡康夫

    ○福岡委員 河本長官は、アメリカの高金利が世界の経済運営の妨げになっておって、それがドル高の原因になっているということをかねてから主張されておられるわけでございますが、この立場はアメリカ側の主張と真っ正面から違うと思います。この問題について長官のお考えをお聞かせください。
  128. 河本敏夫

    河本国務大臣 この間リーガン財務長官が日本に来られまして、そのときに意見交換をしたのです。リーガン長官の意見ですと、ドル高の原因、円安の原因は円の国際化をしないからそういうことになっているのだ、アメリカの金利とは関係ない、こういう話をしておられましたが、私はその説はいただきかねる、現実問題としてそうはなっていない。やはりアメリカの金利が高くなれば日本との金利差が拡大しますから、それだけアメリカへ資本が流れていく、この金額が拡大をするわけであります。それが円安の今一番の大きな背景になっておるということをいろいろ説明するのですけれども、なかなかそうであるということは言わない。  しかし、アメリカの政府部内でも二説ございまして、アメリカの金利高がドル高・円安の原因だということをそのまま正確に認めておる人もあります。リーガン財務長官のような方もございますが、アメリカの国内では、むしろ大多数の人がアメリカの高金利が為替の動きの大きな原因になっておる、こういう意見を持っておられるのではないか、私はこのように考えております。
  129. 福岡康夫

    ○福岡委員 河本経済企画庁長官は経済運営については非常にベテランでありますし、積極的な経済政策をとる方と伺っております。内需を拡大していくためには思い切った減税が必要ではないかと思います。それによって景気が持続的に拡大していけば税収もふえるわけですから、減税が必ずしも財政を圧迫することにはならないと思います。河本長官に思い切った経済運営をお願いしたいと私は思うのでございますが、長官の本心をお聞かせください。
  130. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはちょっと御参考までに申し上げたいと思いますが、さっき申し上げましたように、リーガン財務長官は金利と為替の関係については私と意見が合わなかったのですが、ほかの面ではまさに意見がぴったりと一致しまして、私もリーガン財務長官の意見を大変評価したのです。  まずアメリカの現在の景気の模様を聞きましたところが、こういうことを言っておられました。アメリカの景気は大変よろしい、一−三月も実質成長は七・二%になっておる、したがって、こういう情勢がほぼずっと続くのではないか、多少の上下はあると思うけれども、政府見通しは十分達成できると思っておる。政府見通しというのは実質五・三%成長名目一〇・一%成長だそうでありますが、その原動力はどこにあったかというと、大規模な所得税減税、それと大規模な投資減税、これをあの苦しい赤字財政の中で思い切って断行した、ここにアメリカ景気が上昇した一番の原動力がある、こういうことを繰り返し説明をしておられました。  そこで、アメリカとの貿易摩擦をどうすれば解消できるかということについてもいろいろ意見交換をしたのですが、その国の内需、購買力が拡大しない限りなかなか輸入はふえませんから、二国間の貿易摩擦は解消できない、ときに日本はどういう政策をとっておられるのですかと、こういうお話がございました。その趣旨は、アメリカのやり方なども若干参考にされたらどうでしょうか、こういう趣旨でなかったかと私は推測をしておるのでございますが、アメリカの経済の基礎的な条件、日本経済の基礎的な条件をいろいろ比べてみますと、幾つかございますが、すべての分野日本の方がすぐれておる、私はこのように思うのです。  しかし、さっき申し上げましたように、最近日本経済成長はせいぜい三%をちょっと超えた程度、向こうは七%。条件が悪い国が七%の成長をして、条件のいい国が三%そこそこの成長しかできないということはどこかに問題があるのではないか、私はこのように思います。  そういう意味で、さっき申し上げました所得税の減税などを、今回のようなやり方も、これはもう済んだことでありますからしようがないといたしまして、これだけに満足しないで、税体系を抜本的に見直す過程におきましてもう一回思い切った所得税の大減税を検討してみる、こういうことが必要ではないか。昭和五十二年から本格的な所得税の減税をしておりませんから、所得税の総額はざっと二倍になっております。そういう状態でもありますし、国民消費支出ども伸び悩んでおる、こういうことを考えますと、減税問題を税体系全体の見直しの中においてもう一回よく吟味してみる、こういうことが必要でなかろうか。これはさっきも申し上げましたが、政府・与党連絡会議でそういう提案をいたしまして、責任者の間でそれぞれ検討していただいておるというのが現状でございます。
  131. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、話題を転じまして、具体的な物価対策についていろいろ御質問してみたいと思うわけでございます。  去る三月二十一日に、私は物価対策特別委員会の委員といたしまして、千葉県の柏市にある某食品会社の東京工場を視察させていただきましたが、このとき非常に驚いたことがございます。私は、食品会社の東京工場の前身、目黒工場を十五年前見学したことがあるわけでございますが、たしかこのときには、働いておられた女子作業員の方は、十六歳から二十四、五歳ぐらいの常用の独身女性がほとんどであったと記憶しております。ところが、このたび私が視察に行ったところ、働いておられる女子作業員の方が、三十五歳から四十五歳ぐらいのパートの奥様方だったということでございます。  私は、案内をされた方に、この工場で働いておられる女子作業員の方はどのような方々ですかということをちょっと尋ねてみましたところ、ほとんどパートの従業員で、工場周辺から通ってこられる中年の奥様方です、こういう返事がございました。そして、三十代の方は子供に家庭教師をつけたり進学塾に通わせるための費用、また四十五歳前後の方は子供を大学に行かせるための準備資金、または現在大学に行っている子供の学資、納付金のための費用稼ぎの奥様方である、こういうことを御説明されておりました。ここ四、五年前から家計における教育に関する費用が大きな比重を占め、御主人の収入だけでは賄い切れなくなっておる。子供の教育関連費用を稼ぐために一生懸命働いておられるパート従業員の奥様方の姿に、特に私は強く胸を打たれたわけでございます。  私はこのことに非常に関心を持ちまして、先週末私の選挙区に帰った折、百貨店やスーパーで働いておられる女子作業員さんとの対話を持ちましたところ、十人中十人が三十五歳から四十五歳までの方で、子供の教育に関連する費用を支出するために、世帯主の収入だけでは不足いたすからやむなく働いておるということでありました。そこで私、帰京後早速教育費について、いろいろ関係資料、及び関係官庁からヒアリングを受けた結果、以下御質問をいたします教育費をめぐる問題に非常に重大な関心を持ったわけでございます。  いろいろ具体的な資料につきましては、昭和五十四年に全国消費実態調査、家計収支結果速報、これは五年ごとに出しておるわけでございます。ことしがちょうど調査年になりますが、一番直近のものは昭和五十四年に総理府の統計局が発表しております。こういう資料に基づきまして、今から物価対策について、この安定した物価の中に、教育費につきましては非常に問題点があるのだということで、いろいろ細かい問題を御質問させていただきたい、かように思うわけでございます。  そこで、まず物価局長にお伺いいたしますが、消費者物価の五十八年度政府見通しは対前年比二・〇%という中で、物価上昇の目立つものがあります。それは教育費であると思いますが、いかがでございますか。
  132. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 仰せのとおり、教育関連消費者物価指数の上昇率平均を上回った数字になってございます。
  133. 福岡康夫

    ○福岡委員 私の調査したところによりますと、昭和四十八年度の第一次石油危機以降、教育費は毎年二けたの上昇を示して、五十四年からは一けたの上昇にはなりましたが、それでも五十五年を一〇〇とした指数を見てみますと、五十八年平均で一一九・七と中分類指数中最も上昇率の高いものとなっております。五十八年平均の総合指数が一〇九・七でありますから、一〇ポイントも先行しておるということになるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  134. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 この消費者物価指数統計の上では仰せのとおりでございます。
  135. 福岡康夫

    ○福岡委員 教育費、特に授業料は、既に四十八年から五十三年まで六年間、二けたの上昇が続いております。他の費目には例を見ることができないと思うわけでございます。現在でも突出した上昇が続いておる状況であります。五十九年度も国立大学授業料の一六・七%の引き上げを初め、私立大学授業料の値上げがあるようでありますが、なぜ教育費だけが十年間も突出した値上がりになるのか、また教育費のように毎年二けたも上昇した費目が他にあるのか、お伺いいたしたい。また、物価局長のこの問題に対する御見解をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  136. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 教育費関係の物価指数の上昇率が早いという点は御指摘のとおりでございます。これはどうしてそういうことになったのか、私どもの理解で申しますと、やはりコストとの関係で考えているという点が一つございます。それとともに、全体の所得水準が上がってくることによります父兄の負担率の増加という点があろうかと思います。そういったような点を考慮いたしまして、国立大学、公立学校につきましての授業料の調整をしているわけでございますけれども、現在のところで五十九年度、正確には数字が出ておりませんけれども、ほぼ見当をつけますと、国立学校の授業料収入が国立学校の運営費に占めますところの割合というのは依然として一割以下、こういうことになってございます。  それに対しまして私立学校の方、また値上げがあるわけでございますが、これはやや古い資料でございまして、二、三年前の数字でございますが、本質的には変わらないと思いますけれども、これは一人当たりの私立学校の運営経費に対しまして授業料収入が約七割という比率を占めております。最近のように進学される方の割合がふえる、それから確かに生活はなかなか楽にならないとはいえ、父兄の所得水準も上がってきて負担能力もふえる、こういうような状況のもとでは、コストの一割以下といったような状況というのは公共料金としても調整の余地のあるものである、こういうふうに理解をいたしまして、文部省当局、それから大蔵省も含めました関係当局の協議の結果、物価観点から見てもこの程度の引き上げというのはやむを得ないだろう、こういうふうに考えた次第でございます。
  137. 福岡康夫

    ○福岡委員 五十九年度の大学授業料の値上げ決定に当たって、文部省から協議を受けたと思いますが、その際いかなる注文をおつけになったのか、経済企画庁の御意見をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  138. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 私どもといたしまして文部省に申し上げましたことは、公共料金というのは物価及び国民生活に及ぼす影響が大きいものであるから、この点を十分考慮して厳正に取り扱うんだ、こういう方針で協力してほしいということを申し上げました。その上で、先ほども御説明申しましたような考え方に基づいてこの程度の値上げというのはやむを得ない、こういうことで了承した次第でございます。私ども立場において了承した次第でございます。
  139. 福岡康夫

    ○福岡委員 今物価局長は私ども立場で、こういう御見解をお述べになっておりますが、これは具体的にはどういうことでございましょうか。
  140. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 それは、国立大学の授業料を上げるわけでございますけれども、それが物価を再び押し上げる、インフレ再燃の契機になるようなものではないという理解、それから国民生活の面におきまして、確かに負担はふえるわけでございますけれども、それは父兄の所得水準の向上、こういうことで吸収できる範囲内だ、こういう理解に立った上で、私どもとしてはやむを得ない、こういうことを申し上げたということでございます。
  141. 福岡康夫

    ○福岡委員 それは具体的な資料に基づいてでございますか。また、実態調査をやった結果総合的判断をされたのか、推定でそういうふうに御判断をされているのか、その点はいかがでございますか。
  142. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 私どもが持っております資料は、授業料収入と学校運営費の割合といったような資料、それから学生の生活実態調査、いわば学生版の家計調査でございますけれども、そういったような資料を参考とさせていただいてそういう判断をしているということでございます。
  143. 福岡康夫

    ○福岡委員 経済の低成長が続く中で、勤労者の賃金が伸び悩んでおる。一方、所得税、消費支出などがふえて、勤労者の可処分所得というのは五十八年も実質は〇・七%という低い伸びとなっております。特に、五十五年と五十六年の可処分所得は二年連続してマイナスになっておるのではございませんでしょうか。こうした状況の中で教育費だけが突出して値上げが続くために、高校生や大学生を抱える四十代から五十歳台の世代が大変家計の圧迫を受けておるわけでございます。五十九年度予算案を見ますと五十八年度に続いて私学助成費が削減されていることは、当然父兄の負担がさらにふえるということになるのですから、教育費をめぐる問題をいろいろ私は質問してみたいと思うわけでございます。  そこで、行政管理庁に次にお尋ねしたいのでございますが、行政管理庁は昨年の七月、日本私学振興財団の業務運営に関して行政監察を実施されておるわけでございます。その結果、監督行政監察結果報告書をお出しになりましたが、それによりますと、私立大学の財政は好転しているということのようでありますが、監察の目的、監察結果及び監督官庁に対する勧告の概要を御説明願いたいと思うわけでございます。
  144. 長野文昭

    ○長野説明員 お答えを申し上げます。  今先生指摘の監察は、日本私学振興財団の業務運営に関する監督行政監察ということでございます。  これにつきましては、御案内のように、我が国の学校教育におきまして私立学校が極めて大きな役割を担っている、このため国は私立学校の健全な発展に資することを目的といたしまして経常経費に対する補助を行いましたり、施設設備の整備費に対する融費等を行っております。これらの振興助成策の多くは日本私学振興財団を通じて行われている、そういうこともございまして、この監察におきましては、財団の制度とか業務運営等について調査いたしまして、関係行政の改善に資することを目的として実施したものでございます。監察の結果は、五十八年の七月文部省に対して改善を勧告してございます。  その内容を申し上げますと、まず私立大学の経常費補助金についてでございますけれども、これは教育条件の維持及び向上、それから学生の経済的負担の軽減、それから経営の健全化を高めるために設けられたものでございます。調査対象といたしました学校法人の昭和五十六年度経営、財務状況を見てみますと、これを五十年度のものと比較してみますと、学校法人の自主的な努力や経常費補助によりましてその経営状況は改善されてきております。  数字で申し上げますと、調査対象といたしました学校法人は三十三校ございますけれども消費収支で見てみまして、黒字校、いわゆる黒字となっている学校でございますけれども、それが五十年度は十四校でございましたものが、五十六年度は十九校になっている。それから同じく自己資金率を見てみますと、五十年度が五五・九%でありましたものが五十六年度になりますと六五・二%になっている。それから総資産の額でいきますと、五十年度が四千四百六十億円だったものが五十六年度は九千六百十二億円になっている。それから運用資産、流動資産の割合で見ますと、五十年度が二四・三%であったものが五十六年度は三八・八%というふうに非常に改善されてきております。  また、一方では国の財政状況は極めて厳しい状況にある、そういうことを勘案いたしまして、経常費補助の効果は十分認められるというふうなものの、当分の間補助金の総額を抑制したらどうだろうかという勧告をまず第一にいたしております。  次に、補助金の配分に際しまして行われております配分額の調整についてでございますけれども、これは調整係数等が据え置かれていることから、私立大学におきまして定員超過が非常に改善されてきているというふうな実態に照らしますと、調整要素として十分に働いてないものがある。それからまた、給与水準の著しく高い学校、高額の学生納付金を徴収しているもの、そういうものが見られますので、これらの事項につきましても、調整要素として何らかの調整を考えまして補助金の配分方法を見直していったらどうだろうかというふうなことを第二に指摘してございます。  このほか貸付条件等について、財団の業務運営の状況とか私立学校の教育条件の維持向上につきましての指導等、そういうものにつきましても勧告してございます。
  145. 福岡康夫

    ○福岡委員 行政管理庁の方の御意見はそういうことでございます。  では次に文部省当局にお伺いいたしますが、日本私立大学連盟が昨年の八月に発表したところによりますと、加盟している八十大学の財政は、五十六年度末において累積赤字が十億円近くに悪化しているということでありますが、最近の私立大学の経営状態はどのようになっているのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  146. 奥田與志清

    ○奥田説明員 ただいま先生指摘の点でございますけれども、例えば大学法人を例にとってみますと、先ほど行政管理庁の方からお話がありましたように、従前に比べまして、この経常費補助金の効果でありますとかあるいは私学の自主的な経営努力といったようなことが功を奏しまして、全体として見ますと年々好転してきているという状況一つございます。しかし五十六年度におきまして、私どもは通常累積赤字と申しておりますけれども、翌年度繰越消費支出超過額というものが約一千八百億ございますし、それから長期借入金が五千四百億円程度ございまして、大学法人の財政状況は、全体として見ましたら好転はしているものの、個別に見ましてなお問題も残っているのではないかというふうに思っております。
  147. 福岡康夫

    ○福岡委員 今両方の行政官庁にお伺いいたしますと、その相違点が大分出ているわけでありますが、このたびの行政管理庁の監察結果報告書を読みますと、私立大学に対する補助金を抑制するのだという視点が強く感ぜられるわけでございますが、行政管理庁当局の御見解はいかがでございますか。
  148. 長野文昭

    ○長野説明員 お答えを申し上げます。  ただいま御説明いたしましたように、この監察は財団の業務運営の実態を調査するというようなことから出ておりまして、当初から私学の補助金を抑制するというふうなものを意図して行ったものではございません。しかしながら、監察の結果、私立学校の経営、財務の状況が改善されてきている、一方では国の財政状況は極めて厳しい状況にあるということから、当分の間総額を抑制したらどうだろうかという勧告を行ったわけでございます。
  149. 福岡康夫

    ○福岡委員 学生一人当たりの教育条件というものが、国立大学と私立大学とでは大変な格差があります。これは国民の皆様も御承知のことだと思いますが、例えば昭和五十六年度私立大学連盟の調査における学生一人当たりの教育条件を見ますと、学生納付金は国立大学の三倍、それから校舎面積は国立大学の三分の一、蔵書冊数は国立大学の四二%、国庫負担金は国立大学の十分の一、使われる費用は国立大学の三九%ということでございます。  行政管理庁の監察では、私立大学がこうした格差を少しでも是正するために、校舎を広げたりした分を基本金に組み入れ、その結果として赤字を出したことに対して強い指摘をしておるわけでございますが、私学助成金というものがもともと経常費に対する補助だといっても、お金に色がついておるわけではございません。行政管理庁というのは会計検査院とは違うと思うんです。もう少し教育のあり方を配慮した監察態度がとられてもいいのではないか、これは私見でございますが、行政管理庁当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  150. 長野文昭

    ○長野説明員 お答え申し上げます。  私どもの方の立場といたしまして、監察の結果でございますけれども、基本金組み入れを計画的に行うということは、私立大学が教育条件を整備向上させるためにはどうしても必要なことだ、そういう点につきましては、先生の御見解と同様でございます。しかしながら、調査結果によりましたら、帰属収入に対しまして著しく高い基本金の組み入れを行っているものが見られる。高いものと申しますと、五〇%以上も基本金として組み入れているものが二校ございますし、中には計画的でなくて、ある時期に相当多額の基本金を組み入れているものもございます。そういうことで補助金の配分に当たりまして、これらの点につきまして一応配慮したらどうだろうかというふうな勧告をしているわけでございます。
  151. 福岡康夫

    ○福岡委員 文部省当局にお尋ねしたいのでございますが、私学の教育条件の改善はどのようにして行う必要があるのか、そのお考えをひとつお示し願いたいと思うわけです。
  152. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先ほど先生指摘のように、今高等教育を含めまして我が国の学校教育におきまして大事なことは、質的な向上を図るということでございます。その場合、ただいま具体的に例をお挙げくださいましたように、大学におきましては、国立大学と私立大学の間に、教育、研究条件の間に格差がある。また負担の関係、学納金におきましても格差がございます。  したがいまして、私どもはこれらにつきまして、経常費補助金をできるだけ有効に活用していただくということで、配分方法の工夫、改善を加えてきているわけでございますが、とりわけ大事な点は、御指摘ございましたように、質的な向上を図る。特に、私学は建学の精神に基づきまして特色のある教育を行うわけでございますので、そういう努力を一層助長するように、補助金の配分上工夫を凝らしてきておるところでございます。
  153. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は投資的経費は必要であると思うわけでございますが、文部省の御見解はいかがでございますか。
  154. 奥田與志清

    ○奥田説明員 ただいま先生指摘の投資的経費の主なものは、校舎でありますとか校地でありますとか、あるいは大型の設備等でございまして、学校がすばらしい教育、研究をしていくために恒久的に整備しなければならない、そういうものでございまして、私どもはそういうものの整備をまず第一義的には私学自身の手でやっていただきたい。そのかわり、経常的な経費につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ経常費補助金につきましての確保を図り、それを効率的に配分するという努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  155. 福岡康夫

    ○福岡委員 私立大学の経営については、いろいろ新聞で不祥事件が取り上げられたりして、文部省も助成金の配分を停止した大学が幾つかあるようでございます。こういうことがあるということは私は知っておるわけでございますが、こうした幾つかの大学の不祥事件が私学助成減額の契機となっているとすれば、はなはだ残念であると思うわけでございます。私学助成は今後とも減額されていくのかどうかお伺いしたいと思うわけでございますが、文部省の御見解いかがでございますか。
  156. 奥田與志清

    ○奥田説明員 ただいま申し上げましたように、経常費補助金、私どもは非常に大事な補助金だというふうに考えているわけでございます。  一方、先生指摘のように、国民の血税で大学に対しまして補助金を出しているわけでございますが、既に新聞等で御案内のような私立大学でおよそあってはならないような事件が発生いたしまして、まことに遺憾なことだというふうに思っておるわけでございます。そういう大学に対しましては、当然社会的責任を負っていただくという意味で、補助金の政策上も厳しい措置をとらなければならないということは、これは当然のことかと思います。  それと別に、真摯な努力をしております私学がたくさんございます。そういうところに対しまして経常費補助金をできるだけ確保したいということで対処しているわけでございますけれども、これまた先生御案内のように厳しい国の財政事情のもとにございますし、私どもとしましても、臨調答申等踏まえながら、できるだけの補助金の確保をしたいということでございますけれども、先ほどお話しございましたように、五十九年度予算案につきましては、前年度に対しまして一〇%強の縮減を図らざるを得なかったという状況がございます。
  157. 福岡康夫

    ○福岡委員 昨年の六月二十八日、文部大臣の私的諮問機関である育英奨学事業に関する調査研究会から答申があったと思いますが、五十九年度予算においてどのように措置されたのか、文部省の御見解をお伺いしたいと思います。
  158. 井上孝美

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  育英奨学事業につきましては、臨調答申等もございまして、文部省に育英奨学事業に関する調査研究会を設け、一年半にわたる調査研究を行いましたところ、ただいま先生からお話がございましたように、昨年の六月二十八日に報告をちょうだいしたわけでございます。  その中では、今後におきます育英奨学事業のあり方について御提言をいただいたわけでございますので、文部省といたしまして昭和五十九年度予算におきまして、無利子貸与制度の改善を行うとともに、育英奨学事業の量的拡充を図るために、財政投融資資金を新たに導入することによりまして、低利の有利子貸与制度の創設を行うこととしているわけでございます。  具体的に申しますと、無利子貸与制度につきましては、一般貸与と特別貸与を五十八年度では実施しているわけでございますが、その一般貸与と特別貸与を一本化するとともに、貸与月額の増額を行うこととしているわけでございます。また、有利子貸与制度につきましては、当面は大学、短大を対象といたしまして、初年度の昭和五十九年度におきましては、貸与人員二万人、事業費を六十五億円の規模といたしまして、貸与利率は、在学中は無利子とし、卒業後の貸与利率は、基本的な貸与月額につきましては年三%といたしているわけでございます。  この結果、無利子貸与事業、有利子貸与事業合わせますと、昭和五十九年度におきましては、貸与人員について一万一千人の増員、事業費につきましては約六十七億円の増となっておりまして、学年進行完成年度の昭和六十四年度におきましては、貸与人員につきましては約四万二千人の増加、事業費につきましては約三百四十億円の増加を見込んでいるところでございます。
  159. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は今のお話を聞いていまして、こういう現実からしますと、育英事業の拡大はますますその必要性がふえてくるわけじゃないかと思うわけでございますが、特に教育の機会均等を守るためにも育英事業の量的拡大が必要であると思いますが、文部省の御見解いかがでございますか。
  160. 井上孝美

    ○井上説明員 ただいま先生指摘のとおり、私どもとしても、ただいまの学生生活費の実情あるいは授業料の負担の実情等を考慮いたしました場合に、その量的拡充の必要性については十分認識をし、また、育英奨学事業の調査研究会の報告においても、同様の趣旨の御提言をいただいているところでございます。したがいまして、ただいまの財政事情等も考慮した場合に、貸与月額の増につきましては、無利子貸与制度につきまして積極的に今回取り組んだわけでございますが、対象人員の増につきましては、有利子貸与制度を創設することによりまして、その量的拡充を図るということで、貸与人員を初年度二万人という規模で始めさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  161. 福岡康夫

    ○福岡委員 奨学生の採用を、いろいろ資料を見てみますと、国公立大学に偏っていないのか、また、国公立大学と私立大学との奨学生の比率はどういうようになっておるのか、非常に興味を持っておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  162. 井上孝美

    ○井上説明員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、近年におきます高等教育の量的拡充におきまして、私立大学の学生数が著しく増加したことによりまして、日本育英会の奨学生につきましては、国公立大学の場合はおおむね大学生の四人に一人、私立大学の場合は十人に一人程度の割合で奨学金を支給しているわけでございます。  私立大学の貸与人員につきましては、国公立大学と私立大学の採用割合等を勘案いたしまして、従来から増員に努めてきたところでございますが、五十九年度におきましては、先ほども申し上げましたように、有利子貸与制度を創設することといたしまして、貸与人員につきましては、国公立大学につきましては五千人、私立大学につきましては一万五千人の貸与人員を措置することにいたしておりますので、学年進行完成年度の六十四年度におきましては、私立大学の貸与人員につきましては五十八年度に比べ四万四千人増加させ、その格差を縮小させるように努力したいというように考えております。
  163. 福岡康夫

    ○福岡委員 このたび文部省と日本私学振興財団におかれては、高過ぎる役員報酬を支払っている私立大学とか短大に対して、補助金を削減することを決めておられます。新しい基準による補助額の算定を終えた、こういうように聞いておるわけでございますが、この新しい基準について御説明願いたいと思います。  また、役員の著しく高い報酬を抑制するために、私立学校法上の監事、評議員会、理事会の各制度の機能強化を図るべく、文部省当局はこの点について私立大学を指導されることが必要だと思いますが、文部省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  164. 奥田與志清

    ○奥田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、非常に厳しい財政事情のもとにございます。したがいまして、この経常費の補助金につきましては、できるだけ効率的に配分をしたいというふうに考えているわけでございますけれども、ただいま先生指摘の高い役員報酬−役員報酬は補助金の対象にはなっておりませんけれども、おっしゃいましたように、金に色目はございません。したがいまして、著しく高いところにつきましてはその程度に応じて抑制をしてほしいということで、私の方は、一応教育研究条件の整備状況との関連で、整備が必ずしも十分でないところは一千六百万円を超える部分について配分抑制をしたい、さらに、経営努力がなされていて役員が非常に一生懸命やっておられるというふうなところは二千万円以上について抑制をお願いしたいということを今回打ち出したわけでございます。  なお、先生指摘のように、何と申しましても大学の内部で監事でありますとか評議員会とかいうふうなところが正常に機能して、社会の批判を招くことのないように運営をするということが大事でございますので、こういう点につきましても機会あるごとに指導はいたしておりますけれども、今後さらに指導を強化してまいりたいと思っております。
  165. 福岡康夫

    ○福岡委員 先ほど来ずっと教育費の問題を取り上げていろいろ御質問しておるわけでございますが、次に公正取引委員会に対して教育費にかかわる問題についてお伺いいたしたいと思うわけでございます。  教育事業を行う学校法人及びこれらの団体の授業料値上げ等は独禁法の対象になるのかどうか、御意見をお伺いしたいと思うわけであります。
  166. 伊従寛

    伊従政府委員 教育事業を行っている学校法人あるいは学校法人の団体でございましても、教育事業に関連しまして経済活動を行い、例えば御指摘のように授業料の一斉値上げを行うといったふうな場合には、独禁法の対象になる場合があり得ると考えております。
  167. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの御発言によりますと、独禁法上の事業者及び事業者団体の対象になり得る場合もあるという御発言でございましたが、なり得る場合、この点についてちょっと御見解をお聞きしたいのでございます。
  168. 伊従寛

    伊従政府委員 教育事業そのものにつきましては独占禁止法の対象外と考えておりますけれども、教育事業に関連しまして、学校法人あるいはその団体が経済活動を行っていて、その経済活動の中で、例えば協定によりまして授業料を一斉に値上げするといったふうな問題がありますときには、それの背景や目的その他を調べまして、独禁法上問題になり得る場合があるということでございます。
  169. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、現在までに、教育事業に対する独禁法違反の疑いでいろいろ調査されたことがございましたら御報告願いたいと思うわけでございます。
  170. 伊従寛

    伊従政府委員 教育事業に関連しまして、まず独禁法違反の申告だとか苦情が来ておりますが、それらにつきましては点検いたしまして、問題のあるものについては注意ないし警告した事例がございます。  多少例を挙げますと、これは昭和五十八年でございますが、五十八年度の私立の高校、これは岡山県でございますが、岡山県の私立の高校が、入学検定料、いわゆる受験料について協定して値上げしたということがございまして一これについて注意を喚起しております。また、五十六年に、神奈川県の幼稚園の協会が入学金につきましてやはり値上げの協定をしているというので、これに対してある警告をした事例がございます。それから、いわゆる学校教育法に言います学校ではございませんで、いわゆる各種学校につきましては、これは正式に違反事件として処理した例がございます。
  171. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は、今いろいろと御質問いたしましたように、これからの、といいますのは今年から来年にかけて、またどのくらい続くかもわかりませんが、この物価の安定した中で、教育費の問題は非常に国民の関心が深いと思いますので、学校法人の授業料とか入学金とか検定料等の値上げ問題については、公正取引委員会は全力を挙げてこれに前向きでひとつ取り組んでほしいと思うわけでございますが、公正取引委員会当局の御見解をお聞きしたいと思います。
  172. 伊従寛

    伊従政府委員 従来から当委員会としましては、業種のいかんにかかわらず、独禁法に違反するおそれのある事案に対しましては積極的に取り組んできておりますが、教育事業の分野における問題につきましても、教育事業の特殊性を踏まえつつ、独禁法上問題があると認められる事案については適切な措置を積極的に講じていきたいと思っております。
  173. 福岡康夫

    ○福岡委員 文部省当局は、国民の負託にこたえるために、この際助成金の適正な処理に真剣に取り組むべきではないかと思うわけでございますが、文部当局の具体的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  174. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生指摘のとおりでございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、不幸な事件が最近ございました。したがいまして、この補助金を取り扱っておりますのは私学振興財団でございますけれども、こちらにおけるところの審査体制というものを、事前、事後、今まで以上に強化してやるというふうなことや、それから一方、学校法人におきましても内部監査を、先ほど御指摘ございましたように充実していただくように指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  175. 福岡康夫

    ○福岡委員 文部省当局と、私学振興財団ですか、これとの連係プレーは非常に必要だと思います。今後これとの関連について緊密度を増しまして、監督指導下にございます私立学校に対する行政指導は十分取り組んでほしいと思うわけでございますが、具体的にはどういう対策をおとりになるのか、ひとつ御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。
  176. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生指摘のように、この補助金は私学の実態を十分踏まえて効率的な配分を行うということを前提考えておりますので、私学の実態を十分把握するように努めるということが第一に大事でございます。私学振興財団におきましてそういうセクションはございますけれども、新年度、五十九年度からは内部の機構改革もいたしまして、こういう問題について、今まで以上に有効に機能するようにしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  177. 福岡康夫

    ○福岡委員 時間が参ったそうでございます。一時間二十分と思いましたが、一時間でございましたもので、もう時間がございませんので、最後に文部省当局にお尋ねしたいのでございます。  臨時教育審議会においては、単に教育制度のみならず、教育の機会均等の確保との関連で、著しく増高している教育費及び教育産業関連費についても検討課題とすべきであると考えるわけでございますが、文部省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  178. 上野保之

    ○上野説明員 お答えいたします。  臨時教育審議会は、教育改革に対する国民的な要請にこたえまして、長期的展望に立って政府全体の責任においてこれに取り組むために今回設置することとしたものでございまして、この審議会におきましては、教育及びこれに関連する分野に関して必要な改革を図るために調査審議していただくということを考えておりますが、具体的にどのような問題について御審議いただくかということにつきましては、この臨時教育審議会自身においてお決めいただく課題だろうと考えております。
  179. 福岡康夫

    ○福岡委員 一応事務局当局といたしましても、教育費及び教育産業関連費の問題もあるのだということは、案として取り上げていただきたいのだということを私申しておるわけでございまして、文部省の方の御説明にあるとおり、そういう対策、どういう問題を取り上げてどうするかということは、当然審議会で決めるべきものだと思います。事務当局としていかがか、こういうことでございますので、この御見解をお示し願いたいと思います。
  180. 上野保之

    ○上野説明員 これは先ほど申し上げましたように、教育及びこれに関連する分野ということでございますから、一応そういう御指摘の問題点はこういうところで検討されるに値するといいますか、当然考慮される問題であろうとは考えております。  ただ、具体的にそういう教育費を、先生のおっしゃる教育の機会均等というような理念からどういうふうに御検討いただくかということにつきましては、これは審議会で個々具体的に問題点を洗い出して御検討いただく問題だろうと考えております。
  181. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、私の本日の質問を終えるに当たりまして、最後に河本経済企画庁長官に、経済企画庁立場から私学助成のあり方及び育英事業のあり方についての御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。
  182. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはいろんな角度から意見があると思うのですが、教育費の負担が非常にふえておるという角度からいえば、補助金をもう少し拡大した方がよろしいということも言えますけれども、ただ、臨調の答申もございますし、それから現在の財政事情等を考えますと、現在の補助金カットという方向は私は万やむを得ない、このように考えております。
  183. 福岡康夫

    ○福岡委員 これをもって質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  184. 金子みつ

    金子委員長 田中慶秋君。
  185. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 五十九年度物価の動向について経済企画庁は、経済政策を進める前提条件として物価の安定は絶対必要なものであり、物価の安定なくして活力のある福祉社会の実現は望めない、こういうことを述べられているわけでありますが、これらの問題を含めながら、以下数点、長官初め関係の皆さん方に質問をしてみたいと思います。  まず最初に、経済企画庁関係でありますけれども、国鉄運賃あるいはまたNHK放送料金等の問題を初めとする公共料金の値上げがそれぞれ予想されているわけでありますが、これらについて、少なくとも上昇率二・八%の確保という問題についてどのように考えられているのかということが一点。  これに関連して、便乗値上げ等々の問題がよく心配をされるわけでありますけれども、これらについての考え方を冒頭にお伺いしたいと思います。
  186. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 二・八%の達成の可能性に関連をいたしまして、公共料金の値上げが数多くあるのではないか、この点から二・八%の実現の可能性に疑問があるのではないか、こういう趣旨の点が第一だろうと思います。  私ども、五十八年度は公共料金関係の上昇が比較的少ないという、ある意味ではラッキーな年であった、こういうふうに考えておりますけれども、五十九年度におきましては、これがかなりの数におきまして改定の時期を迎えているということは、これまでにもお答えを申し上げてきたとおりでございます。  具体的に申しますと、五十九年度消費者物価の安定の見通しでございます二・八%のうち、一%強が公共料金や、それから予算におきまして間接税等の増税の影響として考えられます。しかしながら、この公共料金等の影響を除いて見た一般物価状況ということで申しますと、五十七年度、五十八年度、五十九年度、三年間にわたりまして物価安定の基調というものが崩れるものではない、こういうふうに考えているわけでございます。  主たる要因で申しますと、我が国の場合、外国から資源を輸入してそれを加工して、一部を輸出し、他方は国民生活のためにそれぞれ充てているわけでございますけれども、こうした海外からの輸入物資の値段というのが引き続き安定した状態が続くであろう、こういうふうに思っております。さらに、下がるということでありませんとこの上昇率を引き下げるというふうにはなかなか働かないわけでございますが、値上がりがないということになりますと、これが物価押し上げ要因にはならない、こういうふうに理解しているわけでございます。  それから、五十七年度、五十八年度物価が落ちつきましたもう一つの要因として、先ほどお答え申し上げました賃金をめぐる情勢でございますけれども、ここ数年間続いております節度ある賃金上昇、こういったような状況に五十九年度においては変化がない、そういうふうに理解をしております。  もちろん、賃金と物価との関係の間には生産性の上昇という項目があるわけでございますが、この点におきましても、五十九年度は稼働率の上昇等有利な条件がある。先ほども調整局長の方からお答えを申しましたように、一人当たりの雇用者所得の伸び率は若干上昇するわけでございますが、それは生産性の向上によって吸収できることで、賃金コストが物価押し上げ要因になるというような事態は考えなくて済む、こういうふうに理解しているわけでございます。そういうことで、基本的に二・八%の物価上昇の実現可能性というものについて、私どもは十分に可能だという確信を持っております。  それからもう一つ、公共料金などが値上げになりました際の便乗値上げの問題でございますけれども、私ども、この便乗値上げが行われます可能性の多いものにいわゆる消費者米価、売り渡し米価の値上がりなどがあるのではないか、こういうふうに理解しておりますけれども、これにつきましては、売り渡し米価の引き上げの前後におきまして、私ども関連物価モニター等を利用いたしまして、便乗値上げがないかどうかの調査を実施しております。そのほかの公共料金に関連いたしましても、便乗値上げの可能性が全くないというわけではございませんが、それは全体にインフレムードというものが出てくるような状況になれば便乗値上げが行われる、こういうことではないかと理解しておりまして、現在幸いにしてそういう状況にはないし、またそういう状況にならないように私どもとして万全の対策を打っていきたい、こういうふうに考えております。  したがいまして、基本的に二・八%という物価目標の実現の可能性という客観条件はある、こういうふうに考えられますし、さらに、いわば主観的な条件としてそれを損なうおそれがあるような便乗値上げといったようなことは未然に防いでまいりたい、そういうことで二・八%の実現は年度末にかけて達成できるもの、これから一年ございますけれども、私どもそういうふうに努力をしたいと考えておる次第でございます。
  187. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今説明をいただいたわけですけれども、少なくとも公共料金を初め、今それぞれの間接税の値上げが予想されておりますし、地方自治体はもう既に三月末で大体議会は終わっているわけですけれども、下水道、上水、手数料を初め軒並み値上げなんです。去年はたまたま二%で抑えられたというのは、去年は選挙の年で地方統一選挙があって、現実的には全国的に公共料金の値上げはストップされたわけです。そのツケといいますか、それがことし全面的に来ているのですから、あなたがおっしゃっているように簡単にそういうことができ得るとは限ってない、私はそう思うのです。  便乗値上げはどうか、あり得ないようなことを言われておりますけれども、例えば上水を一つとりますと、水道料金が上がるということ、すなわち極端なことを言えば銭湯も上がればあるいはまた豆腐の値段も上がる、全般的に影響するわけです。そういうことを考えてまいりますと、この二・八%をあなた自信が相当あるようにおっしゃられているわけですけれども、大変危険であるということが一つ。  そしてこの公共料金、例えば水道料金をとっても、自治体によっては一対二十ぐらいの開きがあるわけですから、こういうことを含めてこれらの問題については大変心配がされておりますし、もしあなたが二・八%は可能であるということならば、地方自治体を含めてそういう問題についてどれだけ啓蒙なり抑制策をとられていたかということについて、その辺についてお伺いしたい。それが一つ。  もう一つは、五十九年度賃金問題について比較的安定ムードを言われておりますけれども景気がよくなるという前提を含めるならば、少なくとも賃金は今までずっと抑えられてきたのだからという労働者側の意見からいえば、今年度こそは何とか決戦でということで相当の意気込みがあるわけであります。同時に、それを何とか生産性でカバーをするということを言われておりますけれども、それは今の設備投資の状況からまいりますと大変窮屈なところであろうと思います。特に中小企業の皆さんは、現実に設備投資をしても設備減税が認められているわけではありませんから、こういうことを含めて考えてみますと、一連のそういう相関関係においては大変懸念が持たれているわけであります。その辺について明快な答弁をいただきたいと思うのです。
  188. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 地方公共料金に関してどういうふうな指導なり要請をしているのか、この問題でございますけれども、私どもは、公共料金の問題は物価及び国民生活に関連をするものでありますので、これを考慮して十分慎重に取り扱っていただきたいという点が第一点。  それともう一つは、やはりそのもとにありますのは、合理的で能率的な経営、こういうもので事業を営んでもらわなければ困る。そのもとでの適正原価というものは受益者負担という立場から利用者に負担をしていただくといたしましても、それはやはり適正な、能率的な、合理的経営のもとでの原価でなければいけない、こういうことを申し上げております。  そういう点から見ますと、すべてとは申しませんけれども、一部の公営公共料金企業におきましてまだまだいろいろ合理化の余地がある、こういうことを承知をしております。私どもとしては、その都度所管庁などを通じまして、あるいは直接にお目にかかりまして、この点の合理化というものを要請をしている、こういうことでございます。結局は、この経営自身が能率的で合理的で生産性の高いものでありませんと地方公共料金の安定というものは期せられない、こういう点で大いに指導と申しますか要請をしている、こういうことでございます。  それから賃金の点についてでございますけれども生産性の向上が必ずしもそう容易にはできないという点は、いろいろそういう分野もあろうかと思いますけれども、先ほど先生も御指摘になりましたように、最気の回復ということは、それに伴いまして稼働率が向上する、こういう面がございます。稼働率の向上ということはすなわち生産性の向上という形でとらえられるわけでございますので、一方で景気回復することによって勤労収入がふえる、それに見合って生産性の上昇もまた可能になる、これが一般論ではないか、こういうふうに理解をしております。  したがいまして、本年度の勤労者所得と申しますか雇用者所得というものが、政府見通しということで五十八年度よりも少し伸びが高くなるといたしましても、それは当然その背後に生産性の向上、こういうことがございますので、それによってかなりの部分は吸収できる、物価に対する圧力という点においては心配しなくて済むのではないか、やや楽観的かもしれませんが、私どもとしてはそういうふうに理解をしております。
  189. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今特に公共料金等の問題で、地方に対してもそれぞれの指導をしているやに承っておりますけれども、現実問題として、補助金や交付金のカットの問題やら、あらゆる形の中で、財政難を含めて、地方自治体は一斉に値上げをしていることは事実なのです。例えば、手数料一つとっても、平均して一七%の値上げをしているのですよ。多いところでは、この手数料だけでも五三%近い値上げをしている、現実にこういう実態があるわけですから、そういうことを含めて考えてまいりますと、あなたがおっしゃるように、一定して比較的抑制をされた形で公共料金は抑えられている、そういう実態じゃないことは事実なのです。こういうことを考えてまいりますと、もう根底からこの基本数字が崩れる心配がある、私はそういうふうに申し上げたいわけですし、恐らく三月いっぱいでほぼ改定をされてきていると思いますが、そのはね上がりというのは新年度にかかってくるわけです。  そういう点で、その辺を見守ってはいきたいと思いますけれども、いずれにしても、そういう実態であるということの認識に立って、今あなたがおっしゃったのは二・八%、この問題についてはほぼ間違いないという自信のほどを言われておるわけですけれども、私は大変危惧をしているわけなので、もう一度その辺を答弁願いたいと思うのです。
  190. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 五十九年度の場合、地方の公共料金が非常にたくさんの項目におきまして引き上げになるという点はそのとおりだろうと思います。現に、前年度の末であります三月中にも上がっているところがございます。  それで、そういうものを含めて、公共料金全体が一%程度の上昇にとどまるのだろうかという点が御心配いただいている事柄ではないか、こういうふうに理解をいたしますけれども、実は、地方公共団体、たくさんございますので、すべてにわたってこれを調査して把握をするということはできませんので、私どもとしては、東京都を一つの代表例として計算をしたわけでございます。  東京都におきましても、いろいろ知事部局あるいは都議会におきまして御配慮がございまして、当初に打ち出されました原案よりはかなり抑制的な線でもって値上げが決まっている、こういうふうに理解しておりますけれども、そういったようなものをすべて計算をしてみましても、東京都区部の物価に対する押し上げ要因ということになりますと、〇・三を少し切る程度のものである、こういうことでございます。それぞれ項目は多うございますけれども一つ一つのウエートというものが必ずしも大きくはない、こういうことでございまして、それが積み上がって〇・三%、数字は小さいように思いますけれども、むしろそれは大変なことだ、こういう認識を私どもとしては持っている次第でございます。  したがって、一つ一つの問題、大変な問題であるという認識と、それから二・八%を突破するような要因になるという点とは、やや問題といいますか、観点が違うのではないか、一つ一つ大変なことが行われておって、さらにその中で御努力が図られた結果二・八%、そういう枠内におさまっている、こういうことだと理解をしております。
  191. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは、自治省にお伺いしますけれども、今東京の例が答弁として返ってきたわけですが、全般的に、公共料金というのはどのような形で抑制をされているか、あるいはまた通達をされているか、実態というのを把握していたらお答えをいただきたいと思うのです。
  192. 小林実

    小林説明員 地方団体の手数料あるいは使用料の問題についてのお答えになると思いますが、先ほど来のお答えの中にもございましたけれども地方団体の場合にも、財政状況が非常に厳しいわけでございますが、私どもといたしましては、まず歳出面で徹底した抑制を図るということを第一にいたしております。それから、使用料、手数料が絡む問題は受益者負担の絡む問題でございまして、それらにつきましては適時適切に行う必要があるというふうに考えております。  御質問の中にございました一七%とかあるいは五三%の話というのは、機関委任事務に関する手数料例の話かと思いますが、これは三年に一回ずつ改正をしておるわけでございまして、実際の事務に係る経費支出につきまして、各関係省と協議いたしまして、今回直したわけでございます。これはごく限られた方々に対するものでございまして、当該事務に要する費用につきましては、標準的なものを基礎として算定をしておるわけでございます。  その他、使用料といたしましては、高等学校の授業料とか、あるいは保育料の問題があると思いますが、高等学校の場合で申し上げますと、六千二百円というのを五十八年度に国税の算定の際に収入の方で上げるということにいたしました。これらが今度の三月議会で、この六千二百円にしているところが多いのではなかろうかという感じがいたしておるわけでございます。それから保育料につきましては、これは国の方に徴収基準がございまして、多くの地方団体は国の徴収基準よりも低いのが通例でございまして、私どもといたしましては、やはり受益者負担の原則からいたしますと、国の基準ぐらいは取っていただきたいという指導をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、基本は、歳出の方をまず抑えて、その上で受益者負担の原則という観点から適正化を行ってほしいという指導をしておるわけでございます。
  193. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 地方自治体、まさしく財政難ということもありまして、財源確保の意味からも、先ほど言った機関委任事務以外にも手数料が軒並み上がっていることは事実なんです。同時に、今言った高校授業料や保育あるいはまた幼稚園のこういうものは全部上がっているのです。たまたま去年は選挙の年ということがあって、皆さんのところから通達、指導があっても比較的抑えていた、それが軒並みずっとこういう形で上がってきていることは事実なんです。  その辺について、やはりこれからもいろんな形で指導していく、歳出面だけ抑えようとしたって、全体的な今までの授業料からいろんなことを考えてまいりますと、それほど抑えられるべきものではないというふうに私は理解しておるわけで、そういう点を含めて、ぜひこれからも、この辺が今後の一番大きな問題になろうと思いますので、指導あるいはまた地方自治体に対する要請というものをやっていただきたい、こういうふうに思う次第であります。  先ほど来価の問題で、便乗値上げの答弁をいただいたわけですけれども、私は確かに米価の引き上げというものが便乗値上げを説明するのに一番いい例だと思うのです。例えば米価引き上げ、そうすると必ず外食産業軒並み、そういう点で、これらについてモニターの話も出ておりますけれども、このモニターというのは米価の引き上げごとに大体おやりになっておるようでありますけれども、今年度の結果が出たわけですか。
  194. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 まだ結果は出ておりません。
  195. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは食糧庁にお伺いしますけれども、過去のデータで、米価の引き上げと便乗値上げの相関関係というものはどのようになっておりますか。
  196. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 前回米価の値上げを行いました五十七年四月の例で申し上げますと、このとき政府の米穀の売り渡し価格の引き上げが三・九%ということでお願いしたわけでございますが、全国の食糧事務所を通じまして、三月下旬と五月下旬を比べて調査をしたわけでございます。この場合に、値上げ前の三月下旬に比べまして五月下旬の外食の平均価格を見ますと、親子どんぶり、カツどん、カレーライス、ライス、チャーハン、これらの品目につきますと、平均で一円ないし三円上昇している。したがって、その上昇率は〇・四%ないし〇・七%ぐらいというふうに考えております。
  197. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 現実問題として、モニターのチェック項目にもよろうと思うのですけれども、今〇・三ないし〇・四あるいは〇・七という形で御説明があったわけですが、非常に把握のしにくい問題じゃないかと思うのです。例えばそれぞれの業種によって違う。今、天どんとかそういう形で例を挙げられましたけれども、幾ら上げたくても上げられない、例えばすし業界なんというのはもうほとんど軒並み上がっていない、これも事実なんですね、私もそれなりに調査をさせていただいたわけですけれども。ところが間接的に、単品ずつになってまいりますと、それが非常に値上げされている、これが実態なんですね。こういうことを含めて、私は便乗値上げというものについて、言葉がいいかどうかは別問題として、チェックをするのに非常に難しい要素はあると思うのですけれども、これから正確なデータをちょうだいするためには何か考えられているのですか。
  198. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 私どもが現在やっておりますやり方は、食糧庁の委嘱しているモニター、それから経済企画庁物価モニターの方にもお願いをしておりますが、同一店舗で同一品目について、時期をずらして幾らになったかというのを調査していただいて報告をいただくというやり方でやっております。先生のおっしゃるように、殊にこれらの加工食品の中に占めます米の割合というのは非常に少ないわけでございます。そういう意味では的確かどうかという議論はあるかと思いますが、やはり同一店舗において、例えば先ほどの例で言いますと、三月と五月で同じ親子どんぶりという名前で売られているものが幾らになっているか、こういう調査をお願いすると一番正確ではないかと思っております。
  199. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今親子どんぶりで、現実に価格表で一円上がりました、二円上がりました、三円上がりました、こんなことはないわけでしょう。ですから本当に難しいと思うのですよ。ただ、上がるときは、今言ったように三年とか据え置きをしてぽんと上がる、こういうことだと思うのですね。御苦労をされて調べた結果、カツどん一円上がったという話は聞いたことがないのですね、悪いけれども。何かそういう例はありますか。
  200. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 先ほど申しましたのは全体の平均でございまして、例えば五十七年の例で申しますと、親子どんぶりにつきましては、調査店数が千三百五十一あるわけでございます。その中で値上げをしたのは六十一店舗、そこの値上げの金額平均すると四十五円、こういうような形になるのです。したがって、千三百五十一の店舗として平均すると非常に少ない額になるということです。
  201. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 データというものは、ただデータをとるためのデータだったらしようがないと思うのです、はっきり申し上げて。今みたいにカツどんが一円、三円上がったというそんなでたらめな考え方数字をもらったってしようがないのですよ。ではそれが物価にどう影響しますかというと、〇・二ないし三%、こんなことであっては信頼関係というのは何も持てないと思うのですね、はっきり言って。やはり食糧庁が、米価の値上げになったときに、三年に一度、二年に一度、こんな形で値上げになっているその前提として、直接米が上がるという比率もわかりますけれども、どれだけ影響されているかというのも調査しにくいということはわかりますけれども、もっと正確なデータというものを把握してほしい。ですから、チェック項目は大丈夫ですかと申し上げているわけなんです。  その辺について、これからも今のままでいくのか、あるいは今後これを改めて正しいデータに一歩前進させるように努力されていくのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  202. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 外食の値上がりの仕方についての調査の手法というのは確かにいろいろあると思いますが、全国には都市も農村もありまして、そういうところで的確に把握する、今言ったようなやり方で調べていく。後は、先生のおっしゃるように、全国平均で非常に少ない額になる、しかし店によっては多く上がっている、こういう問題をどう理解するかということであるというふうに思うわけでございます。  私ども調査でいいますと、消費者米価が上がる、上がらないと関係なく、全国的にいいますと、毎年平均すればある程度の率でこれらの外食物は上がっているわけでありまして、それはむしろお米の値段が上がった、上がらないということではなくて、ほかの要素で上がる部分が大部分であるというふうに考えているわけでございます。
  203. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そうすると、先ほど経済企画庁の方でお答えをいただいた、米価の値上がりが便乗に非常に大きい、端的な例でということと、現実に今の答えとは関係ないわけですね。そういう点を含めて、私はもう少しデータとか調査とか、そういうものが現実に合ったようにしないと、単なる調査をした、それで結果的にその数字によって遊ばれたのでは困るわけですから、その辺をちゃんとしてください。
  204. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 農林省の方からお答えになりました一円とか二円という数字は、確かに一円、二円の値上げというのはないわけでございまして、これは平均数字でございますけれども平均数字が一円、二円にとどまるということは、米価の値上げがあったときに関連して、例えば四十円、五十円あるいは三十円といったような大幅な値上げをした店が非常に少ない、こういうことを表示しているわけでございます。  ですから、平均数字しか調べていないということならば、確かにただいま御注意をいただきましたようなことだと思いますけれども、その後で再質問について当局の方からお答えがありましたように、何軒の業者においてどういう値上がりがあったかということをちゃんと調べておるわけでございまして、したがいまして、一円、二円ということでお答えをしたお答えの趣旨についてはともかくといたしまして、調査の内容が極めて粗雑な調査をしているというふうに受け取られたのでは事実に違うということを申し上げたいと思います。  それから、調査をするということの意味でございますけれども、これは私どもが、物価当局あるいは食糧庁の当局が重大な関心を持っていますよ、こういうことを業者の方々に注意を喚起する、調査、監視というといかめしい名前でありますけれども、実はこういう関心を持って皆さんのところを注目さしていただいております、こういうことを意識して物価安定に協力をしていただく、またそういう便乗値上げをするようなことをしたら消費者からそっぽを向かれますよ、こういうことを意識していただく、こういうための一つの手段としてやっておるというふうに私どもは理解をしております。  もちろんそうは言っても、ちゃんと分析ができないような数字のとらえ方ではいけない、これはまさしくおっしゃるとおりでございまして、なお改善の余地はあるというふうに考えておりますけれども、私どもとして、先ほどおっしゃられるほどのことは十分に考えてやっているつもりだということを申し上げたいと思います。
  205. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 全体的な監視の意味でということであればより理解もできますし、これから便乗値上げを抑制するという監視方法の一つとして今後も続けていきたい、こういうことであればよく理解はできますが、せっかく調査をされるのですから、やはりそれなりにそのデータが有効に使えるように、ぜひこれからそういう点での考え方をもう一歩前進をしていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、実は農林省にちょっとお伺いしたいのですけれども、先ほど来前の方の質問でいろいろと論議をされておりましたけれども、異例の豪雪という問題で野菜類が大幅に値上げをされたということ、それはよくわかるのです。露地栽培の問題でいろいろな形で野菜の値上げはわかるのですが、特に便乗値上げがありますね。極端なことを言えば、何もタマネギやジャガイモまで値上げする必要はないわけですね。それが葉物と一緒に値上げされている、こういう実態をどのように把握しているのですか。
  206. 町田英憲

    ○町田説明員 最近に例を見ないような異常寒波によりまして、御指摘のとおり野菜価格につきましては大変に値上がりいたしております。そういう中で、そういった天候条件等のない品目についても便乗的に値上がりがあるのではないかという御指摘でございますけれども、私ども、これにつきましては都道府県なりを通じましていろいろな指導を行い、あるいはまた消費者モニター等を使いましてそういった事態については把握をいたしておりまして、極力そういう形での便乗的なといいますか、そういうことのないように十分に監視なり指導なりをいたしております。
  207. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 監視をいたしているということじゃなく、現実に上がっているから申し上げているわけです。露地栽培のもの、葉物が豪雪で全然だめだというのはわかります。しかし、タマネギやジャガイモやニンジンまで値上げする必要はないわけです。白菜まで値上げになっているのです。白菜やタマネギが今露地栽培でとれるわけじゃないのです。それは値上げしないように指導しています、しかし現実に、指導しているけれども値上げされている、これはどうするのですか。
  208. 町田英憲

    ○町田説明員 確かにただいま先生がおっしゃいましたような実態はございます。それにつきましてはいろいろな背景がございますけれども一つは御存じのとおり、野菜につきましては各品目間にかなりの代替性がございます。特に露地栽培の野菜が非常に高騰しているという中で、比較的品物が豊富なものについて通常よりも需要が集中しているということが一点ございます。  それから、さらには八百屋さんの販売政策といいましょうか、そういう面でも、一定の量を売って八百屋さんの生計を成り立たせるという背景もございまして、非常に高騰している品目につきましては、なかなか利ざやを乗せにくいということもございまして、そういう他の品目全体の中で生計を維持していくというような対応もあろうかと思っております。いずれにしても、そういうような中で、野菜全体の価格が安定するようには最大の努力をいたしてきているつもりでございます。
  209. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これらについてのモニターを使って云々、それではモニターを使ってどういう指導なりどういうチェックをされているのか、先ほど説明があったと思うのですね、その辺をちょっとお伺いをしたいと思います。
  210. 町田英憲

    ○町田説明員 チェックにつきましては、先ほども申し上げましたけれども一つは農林省の出先機関でございます地方農政局の職員が各八百屋さんを回りまして、その辺の物価の動向なりについて常時実態を把握しているというようなこと、さらにはまた、都道府県なり市場関係なりにもいろいろと要請等を行いまして、そういった問題についての監視なり、要すれば適切な指導なりをお願いをしているということでございます。
  211. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そういう指導とは逆に、今のような値上げがされているというこの実態、私も、はっきり申し上げて、雪が降るたびに市場に行くのです。そうするとそういう結果が出ている。数字として出ているし、物がないから、結果的にそういう状態になってくるわけで、やはりこの辺で何らかの対策を立てなければいかぬじゃないか、こんなふうに思うのです。対策があったらお聞かせいただきたい。
  212. 町田英憲

    ○町田説明員 今おっしゃったようなことについての対策につきましては、先ほど申し上げたようなことでこれまでも実施をしてきたつもりでございますし、これからもそういった方向でさらに指導を強化していきたいと考えております。
  213. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 指導だけでは現実にこの問題は解決できませんので、一つ政策として、例えばそれぞれの産地と契約栽培みたいな形の指導をして、アッパーリミツト、アンダーリミットを抑えて、法律で規制するというわけにいきませんけれども一つの制度的な形の中で、地方自治体に対して奨励制度といいますか、そういうことをやる意思はありますか。
  214. 町田英憲

    ○町田説明員 野菜価格の安定につきましては、基本的には需要に見合った生産を確保していくということであろうと思いますけれども、そうは申しましても、野菜につきましては、その商品の特質からかなり天候の影響を受けるということで、短期的な価格変動がございます。  そういうことに対処いたしまして、私どもは、野菜供給安定基金にキャベツなりあるいはタマネギなりバレイショなりを買い入れなり保管をさせまして、高騰時には緊急的に放出をさせる、あるいはまた、重要野菜需給調整事業の運用によりまして、出荷の前倒しを行うというような対策を行わしたところでございまして、例えば、先ほど申し上げました売買保管事業につきましては、三月におきましては、約八千九百トンのタマネギ、バレイショ、キャベツでございますけれども、市場に放出をいたしております。また、四月におきましても、これを引き続き実施をしていくというふうに考えております。
  215. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 やっていることについては理解をしているのです。ただ、あなた、今野菜を担当している課長さんなんだから、現状を見て、農家みずからが野菜に対する——自分が幾らつくっても値段もつけられないわけです。そんなことを含めて、今のようなちょうど豪雪がある、ではこの際という問題が出てくるわけだから、そういう点では一つの制度の中で地方自治体がある程度やっているところも出てきているわけです。  例えば契約栽培をするとかあるいは奨励制度という形の中で、これ以上下回ったときにはこの基金を生かそうとか、これ以上上回らないようにこれを抑えていこうとか、それなりに地方自治体で苦労しているわけです。地方自治体で苦労しているものが国でできないという法はないわけでしょう。ですから、その辺をどうしているかということを聞いているわけです。
  216. 町田英憲

    ○町田説明員 私ども、野菜につきましては、基本的には需要に見合いました生産を確保するということでございまして、今先生の御指摘のとおり、一定の保証価格を設けまして、それを通じまして、一定の価格より下がった場合には農家に保証するという制度を通じまして、農家の生産を刺激をしていくという対策を講じる一方、価格の高騰時におきましては、先ほど申し上げましたとおり、野菜供給安定基金の保管野菜の放出というようなことを通じまして、適正な値段にできるだけ安定するように努力をしていきたいというふうに考えております。
  217. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは、次に国鉄の関係をお伺いしたいと思うのです。今の野菜の問題についてはこれからも努力をしていただくということで……。  実は国鉄の運賃値上げ等がこれからされるわけでありますけれども、国鉄の経営改善計画というものを含めて、将来の運賃等々の問題もあろうと思います。特に貨物線の廃止の問題を含めて、「1万人が“ブラ勤”?」というような、最近、きのうですかおとといですか、新聞報道もありますね、現実に余剰人員であるという。しかし一万人、例えば二十万にしたって一カ月二十億のお金ですね。こういうことをしてまいりますともう大変なお金になってきょうかと思うのですね。赤字が続いている上にこれだけ一こういう点での経営改善計画というのはあるわけですか。それとも将来どういうふうにするのか。
  218. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 経営改善計画につきましては、五十六年に策定をいたしたわけでございますが、その際予定をしておりました輸送量並びに収入でありますが、特に貨物の輸送量は激減をいたしまして、当初予定とかなり乖離をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、その際にも、要員規模につきましても、三十五万人ということでやってまいろうということを考えたわけでございますが、輸送量の落ち込みからいたしますと、三十五万人では当初予定いたしました効率が発揮できない、生産性が発揮できないというようなことでございますので、さらに内容を精査し、深度化をしたいということで考えておるわけでございます。その際に運賃改定も、一応これは試算でございますので必ずしも確定したものではございませんけれども、五%程度の運賃改定を一応試算として織り込んでまいったわけでございます。しかし、これまた五十八年度におきましては、やはり諸種の状況判断いたしまして、運賃改定を見送って今日に至っておるわけでございます。  そのようなことで、実態に即した対応策をこれから講じなければならないというふうに考えておるわけでございまして、その点では、私ども経営改善計画、当初定めましたものにつきまして、その内容を一部変更すると申しますか、修正をしなければならないのではなかろうかというふうに現在考えておるところでございます。
  219. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それぞれ大変問題になっている国鉄再建計画だと思いますけれども、ただ、片方で貨物線の問題がそういう形で、下から一万人の余剰人員が出たからということでほかにそれを使っていたのではやはり士気に影響すると思うのです。先ほど言った生産性なんて上がらぬですよ、はっきり申し上げて。ですから、そういう点ではこれからいろいろな検討をされると思うのですけれども、やはり問題は、例えば民間でありますと、雇用保険を使って一時帰休をさせるとかいろいろなことができるわけですけれども、現実問題として国鉄はこれらのことができないと思うのです。しかし、できないからといってこのまま放置できないと思うのです。そういうことを含めて、何らかの対策があるのですか。
  220. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 おっしゃいますように、かなりのテンポで合理化が進んでおりますので、余剰人員がかなり多く出ることは私ども認識をいたしております。その際に、当面私どものできる範囲内といたしまして、増収活動に振り向けるとか、あるいは現在外注をいたしております、あるいは予定しております。その業務を職員によって行うとか、余剰人員を最大限に活用してまいりたいというふうに思っております。  しかし、今後さらに私ども効率性は追求をしたいということで考えておりますので、余剰人員はさらに拡大する可能性も考えられると思います。その際には、今先生お話しになりましたような問題その他も含めて総合的な対策を打っていく必要があるのではなかろうかという認識をしておりまして、これはできるだけ早期に私どもとして取り上げることのできる体制にしたいということで現在検討しております。
  221. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 臨調とかあるいはまた行革とかいう形の中でそれぞれ懸命に努力をされている。しかしその結果、片方ではいろいろな形で職場を失った、片方でいろいろな努力をされた結果、逆に人が余ってそれが余剰人員となり、将来とも一生懸命やる意欲までそがれたのでは何にもならないのですから、そういうことを含めて本当に体質改善をここで図って、何らかの経営改善の方向でぜひ努力をしなければ、行革だ臨調だとただいろいろなことを並べて、結果的には人が余って経費倒れに終わったのでは何にもならぬと思うのです。そういうことのないようにぜひ何らかの措置を考えていただかないといけないのではないかなと思うので、その辺を含めてお伺いします。
  222. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 先生の御指摘のありました点というのは、私どもとしても大変重要なことだということで認識をいたしております。何とか職員のモラルを保ちつつ再建ができるという道を歩かなければならないというふうに考えておりまして、最善を尽くしたいと思っております。
  223. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そこで長官にお聞きしたいのですけれども、長官の所信表明の中で、物価の安定、高い貯蓄率等の問題、行革の円滑なという形で経済運営の基本姿勢が述べられているわけであります。先ほど来、それぞれ消費者物価等の問題を含めて一連の質疑をさせていただいてきたわけですけれども、長官、端的に申し上げて、今申し上げた公共料金やいろいろなことを含めて、物価の二・八%ということについての自信のほどはどうですか。
  224. 河本敏夫

    河本国務大臣 ここ数年間の物価動向を見ておりますと、一番大きく公共料金が物価を押し上げた年が昭和五十五年であったと思います。二・二%も押し上げておりますが、そのうち電力料金がざっと一%ですから、電力料金以外のものは一%強上げておるということで、非常に高い物価水準になったのでありますが、五十九年度は、広い意味での公共料金、いろいろな細々したものをたくさん合わせましてざっと一%強の物価上昇要因になっております。したがって、この数年間に五十五年と五十九年、この二カ年が、公共料金によって物価が上昇する危険性がある年である、この点は御指摘のように十分理解しなければいかぬ、私はこう思っております。  そこで、先ほど物価局長が説明いたしましたように、公共料金以外の分野物価は非常に安定をしておりますので、気をつけますとまずまず大丈夫だ、こう思っておりますけれども、万一、二・八%を突破するという危険性が全然ないわけではございません、やはり突発事情等もございますから。そういうことを心配いたしまして、予算編成の段階におきましても、大蔵大臣と自由民主党の政務調査会長と私、三人が相談をいたしまして、そういう場合には予備費から必要なお金を幾らでも出そう、とにかく物価政策というのはあらゆる経済政策の根本になる大事な問題だから、どうしても二・八%以内に抑えなければいかぬ、こういう申し合わせもいたしております。そういうことで、公共料金が大幅に上がる年でもございますから、十分気をつけてやってまいりたいと思っております。
  225. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひ長官が言われたように、物価の問題については最善を尽くしていただきたいと思います。  そこで、実は、景気がよくなった、よくなった、最近またよくなりつつあるということで、実質経済成長率四・一%を政府は見込んでおるわけですけれども、現実問題として、これは民間活力だということも長官も言われている、そのとおりだと思うのです。  しかし私は、この四・一%というものは少なくとも五%台に上乗せをすべきであろうということで、恐らく長官もこの意見には賛成だと思うのです。ということは、片方では財政が厳しいと言っていながら経済成長を醸し出す努力をされていない、こういうことがちょっとひっかかるわけですけれども、その辺を長官はどう考えておりますか。
  226. 河本敏夫

    河本国務大臣 第二次石油危機が起こりましてから相当長く不況が続いておりましたが、ようやく景気が上昇に転じましたのは、私はやはりアメリカの景気の急速な回復に基づく輸出の拡大にある、このように思っております。日本の国内でも若干の調整が終わりましたけれども、やはり起爆剤というものはアメリカの景気回復にあった、このように思っております。  ただ、大勢としてはいい方向に行っているのですけれども、しかし、その力は依然として弱いと私は思います。結局、それだけ地域によるばらつき、業種によるばらつきが相当大きく残っている、こういうことでなかろうかと思います。ばらつきをなくするためには、やはり力がもう少し強くならないとばらつきはなくならない、このように思いますので、むしろこれからが経済政策をどのように進めるかという非常に大事なときでなかろうか。せっかく大勢が上向いてきたわけでございますし、しかもアメリカ以外の、ヨーロッパでも景気が上昇の方向にございますし、アジアも一部の国を除きまして上昇の方向にございますので、ちょうど客観的な条件も整っておりますので、やはりこの機会を最も有効に生かしていくということが非常に大事でなかろうか、こう思います。そこで、予算が通りました段階で幾つかの対策を積極的に考えていかなければならぬ、このように考えております。
  227. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それぞればらつきがあるという問題を含めて、私も実は予算委員会で、一兆円の公共投資を社公民を含めて政府に対する要望をしてまいりましたし、そういう前提で拡大均衡政策を含めてやるべきではないか、こういうことを迫ったわけでありますけれども、しかし現時点では、それらに対しては消極的姿勢を大蔵大臣は見せられたわけですが、企画庁長官、その辺はどう思いますか。
  228. 河本敏夫

    河本国務大臣 私も、今御指摘の問題についての与野党折衝の経過は聞いております。ただ、与党自民党の方は、現時点では公共投資を別にふやさなくてもいいのではないかと言っておりますのは、むしろ予算が通った段階である程度の繰り上げ実施、前倒しをやればさしあたってはその効果は出てくる、こういう判断もあったからだ、こう思います。  公共投資は、一般会計だけですと六兆数千億でありますが、それ以外には財投、それから地方の補助事業、単独事業等もございますから、全部入れますと二十兆を超えます。その中で相当大幅な前倒しをやりますと、それなりの効果、公共投資を増額したと同じ効果が出てまいりますから、さしあたりはそういう方向で予算成立段階において閣内でも相談をしてみたい、こう思っておるところでございます。  そうなりますと、後半が息切れするじゃないか、当然こういう問題が起こってきます。そこで、与野党折衝の段階におきましても自民党の方から、そのときにはそのときに十分考える、こういう趣旨の答弁があったように聞いておりますので、年度間を通じて景気回復が十分できるような方向考えていかなければならぬ、こう思っております。
  229. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私も実は予算の前倒しをあのとき大蔵大臣に主張したわけですが、予算成立後状況判断に応じてそうしてみたい、こんなことを言われておりました。  しかし、過去の例を見てみますと、比較的前倒しが少ないわけですし、もう一つは、予算を見てごらんなさい、いろいろな公共事業をずっと見てまいりますと、どうしても年度末集中的になってまいります。ですから、そういう点では今長官が言われたように、もっと早く決定をされて、それでやっていかないと、地方自治体は、それからまた逆にいろいろなことを含めて、実際に仕事にかかれるのは八月、九月、これは早い方なんです。下手すると十月、十一月になって現実には仕事をしているわけですから、そういう点では全体的なばらつきの解消や経済効果をあらわすためには、長官が言われるように、もっともっと積極的に閣内の中でこれらについて徹底して前倒しをするように主張していただきたいと思うのですが、長官の考え方を……。
  230. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは与党自由民主党の方からも非常に強い要請も出ておりますし、それから多分与野党折衝の際にも若干の話し合いも内々あったのではないか、このようにも思いますので、予算成立段階におきまして至急に検討したいと思っております。
  231. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、経済というのは総合力を発揮しないと効果があらわれないと思うのです。民間活力だけでは私は経済効果というのはあらわれないし、官民一体となって初めて相乗効果があらわれるものと信じておる一人でございますので、そういう点を含めてぜひこれらの取り組みをしていただきたい、こんなふうに思うわけです。  そこで、長官が所信表明の中で「調和ある対外経済関係の形成と世界経済」の問題をとらえているわけでありますけれども、実は長官、今農林水産大臣がアメリカへ行きましたね。オレンジ、牛肉の問題、こういう問題を含めて、大変日米関係というのは今心配をされている状態じゃないかと思うのです。オレンジ、農産物だけでとどまるのかどうか、あるいはまた、これが工業製品まで及ぶんじゃないかという一部マスコミの報道もされていたり、いろいろなことを言われているわけですし、逆に工業製品の犠牲になっているのが牛肉、オレンジじゃないか、こんな話も出ているわけですけれども、長官のこの辺についての見通しなり、考え方を……。
  232. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは農林省おられますと、農林省の方から御答弁があるのがいいのだと思いますが、ただ、私の方も調整をしております関係もございまして若干申し上げますと、農林省と先方との事務折衝の最終段階で向こうも数字を出しておりますし、こちらも数字を出しておりまして、お互いに数字を出し合って、その差が相当あるということで今度農林大臣が行かれたわけでありますが、向こうもある程度譲ると言っておりますししますので、我が方も若干柔軟な姿勢を当然とられるんではないか、こう思います。  ただ、交渉事でありますから、話し合ってみませんと妥結するかどうかわかりませんが、私どもといたしましては、日米間の摩擦が余り強くなりますと両国の関係にもひびが入るおそれもございますので、できれば交渉が成立することを強く期待をいたしております。  ただ、その後、工業製品の問題はどうかということでございますが、これに対しましては、アメリカ側から特に数品目を指定いたしまして、関税の引き続いての引き下げを要求されております。五十九年度からの関税引き下げが成立をいたしましたので、今月から先方の提案につきまして関係省庁との間で具体的に相談をしてみたい、このように考えておるところでございますが、工業製品につきましては、農産物と違いまして競争力のある分野もございます。ない分野もございますが、ある分野は相当ございますので、これは農産物よりはある程度やりやすいのではないか、こう思っております。
  233. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間も余りありませんので、最後に長官にお聞きしたいのですが、「八〇年代経済社会展望指針」という問題を含めて、私は実はこれからの日本経済というのはいろいろな角度で総転換期に来ているのじゃないかと思っているのです。ということは、従来の日本産業形態で、現実にこれが四・一%なり五%の経済成長でいくと、ちょうど二十一世紀には倍になると思うのです。そうすると、現況のままで、このままの日本経済志向なり工業志向で行っていいかどうかを考えてみると、大変疑問だと思うのです。そういう点では頭脳型産業とか先端産業、あるいはまた、ここで経済の脱皮とかいろいろなことが望まれているのですけれども、この辺について長官どういうふうにお考えになっておりますか。
  234. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年発表いたしました「展望指針」では、大体今後平均四%成長を続けていく、これは実質成長名目では六、七%成長、こういうことを目標にしておりますが、今お話しのように、実質成長では今後十六年間でざっと二倍になると思います。名目成長ではざっと三倍になるのではないか、こういう感じがいたします。七%成長が続くということになりますと三倍になる。そうすると、今の三百兆が九百兆、こういうことにもなりますので、それを想定いたしましていろいろなことを考えていかなければなりませんが、「展望指針」では具体的な数字はほとんどないわけですね。毎年世界経済及び日本状態を具体的に判断をして、その都度具体的な対策を立てていく、こういう仕組みになっておりますので、毎年の計画が非常に大事になるわけでございます。  さしあたっては、さっきから議論になっております、とにかく数年ぶりに景気回復の姿、展望が見えてきましたから、やはりこの機会を生かし切らなければいかぬ、私はこう思います。四%成長といいますと、悪いときには二、三%成長、いいときには五、六%成長、それで初めて平均四%ということになるわけですから、いいときに四%というような目標では、悪いときもございますから四%成長は達成できません。  それで、条件がいいことし以降につきましては、私はできるだけ潜在成長力が生かされるような、そういう政策を推し進めていくことが必要だ、そのことがすなわち財政再建にもつながる、このように理解をしております。
  235. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 最後になろうと思いますが、そこで私は長官にお聞きしたいのは、今の政府は緊縮といいますか、縮小経済志向を目指していると思うのですが、長官のお話なり答弁を聞いていますと、拡大均衡を望まれた方がよりベターではないか、あるいはまた、よりその方がこれからの日本経済において適正な道ではないかというふうな認識を私は得たのですが、その辺長官どう思いますか。
  236. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本は世界経済と表裏一体の関係にございますから、世界経済がよくなりませんと、幾ら日本だけで工夫努力いたしましても、なかなか経済はよくなるものじゃございません。しかし、さっき申し上げましたように、世界経済も数年ぶりでよくなりつつある、まさに絶好のチャンスだと思いますので、財政の力は弱いですけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたような公共事業の前倒しなどの工夫もございますし、それから財政以外の分野でのやるべき政策もたくさんございますから、やはり私はこういうときには、日本の潜在成長力がある程度発揮できるような、日本の実力がある程度発揮できるような、そういう政策を進めていくということが適当ではないか、このように思っております。  あなたの政党からも予算委員会財政展望等を示されまして、いろいろ数字を私どもも点検をいたしましたのでございますが、大変参考にさせていただいております。
  237. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間が来たから終わりますけれども、最後に、ぜひ長官、アメリカもレーガン大統領になって大幅減税をして経済回復を見たわけですから、そういう点で閣僚の一人として、今後も減税なりあるいはそういう方向について一段の御配慮と努力を切望して私の質問を終わります。
  238. 金子みつ

    金子委員長 それでは次に、藤田スミ君。
  239. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは随分公共料金の問題が取り上げられておりますけれども、私は河本長官の所信から、最初にまず物価問題、特に公共料金の問題について国民の生活に及ぼす影響という角度から取り上げていきたいと思います。  長官は、所信の中でも、「公共料金についても物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱っていくことにより、物価の安定基調を維持したいと考えております。」こういうふうに述べておられるわけです。しかし、ことしは先ほどから何遍も言われておりますが、本当に例年にない公共料金の値上げラッシュというのでしょうか、米、国鉄、私鉄、その後地下鉄、タクシー、それからNHKの受信料、それから地方公共団体が引き上げていきました下水料、保育料、本当に細かく言えばきりがないぐらいたくさんな公共料金の引き上げが続いております。これが物価及び国民の生活に与える影響についてどういうふうに御判断をしておられるか、もう一度お伺いをしたいと思います。
  240. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 五十九年度中に値上げが見込まれております公共料金が消費者物価全体に及ぼす影響でございますけれども、私ども二・八%という五十九年度消費者物価上昇率見通しを行うときに個別に検討いたしました。その結果、予算関連の公共料金で約〇・三%程度全体の物価を押し上げる、それ以外の認可料金あるいは地方公共料金、これに間接税が一〇〇%消費者物価に転嫁される、こういう前提で計算をいたしまして、公共料金及び間接税の影響は一%強、こういうことで見通しをつくっております。つまり二・八%の中で一%強が公共料金、それ以外の一般物価が一・七%強、それぐらいのことではないか、こう見ている次第でございます。
  241. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 お話を聞いておりますと、物価上昇への影響は比較的小さい、だからいいんだというようにも聞こえるわけなんですが、国民の生活から見てそういうことになるのかどうか。  きょう私はここに三月十五日の総理府統計局が出しました家計調査報告というのを持っておりますが、国民の生活の実態というのは、特に勤労者世帯の五十八年度消費支出実質で〇・四%の増加と低い伸びとなった、こういうふうに書いておりますね。これは二度の石油危機景気停滞の影響で実質減少した四十九年、五十一年及び五十五年に次ぐ低い伸び率である、こういうふうに書いてあります。そして特にこの伸びが下回っていったのは、食料、被服、教育、教養娯楽、家計を担当している者なら大体どの辺で抑えて生活をしているかというのは、これで本当によくわかるわけなんですがね。こういう実態から考えていきましたら、物価安定、物価安定と言われているけれども、それとは裏腹に大変厳しい状態にある、こういうことで、だから今の公共料金の問題もそういう国民の実態を抜きにしては論ずることができないというふうに考えるわけなんです。  とりわけその一つに、私は公共料金の値上げというのは低所得者に大変重い負担を強いることになるんじゃないか、いわゆる逆累進性といいますか、この問題があると思います。この五年間の推移を見ましても、消費支出における公共料金の割合は、低所得層の第一分位で七七年の一七・七%から八二年の一九・七%と二%も上がっているわけなんです。これがことしのような公共料金の値上げラッシュの中で、もっとこの負担割合がふえていくんじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、この公共料金の逆累進性について経企庁はどのようにお考えなんでしょうか。
  242. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 公共料金の支出消費支出の総額に占めます割合、あるいは税引き前所得であります実収入に占めます割合を所得階層別に見ますと、低所得者層ほどその支出割合が大きいというのは御指摘のとおりでございます。それはそのとおりでございますけれども、公共料金につきまして逆累進性、こういったような税金あるいは社会保険負担、いわばその都度の取引の間で双務的な対価の支払いということではなくて、片務的な負担でございます。そういうものについて使われますような概念を適用するのはいかがか、そういうふうに考えております。  と申しますのは、公共料金といいましても、これは特定の商品、特定のサービスを消費したことに対する対価ということでございますので、これを税金などと同じように考えるという点については、御指摘ではございますが、問題があると考えております。ただし、これを実収入に対する割合、あるいは消費支出総額に対する割合ということでは、低所得者層の方がその支出割合が大きいという点は御指摘のとおりでございます。
  243. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 低所得層に与える影響が非常に大きい、公共料金が引き上げられれば引き上げられるほど低所得層は負担感が非常に重くなるということは、いろいろおっしゃられたけれども、お認めになっていることなんです。実際大変な状態だと思います。  さらにその公共料金の値上げというのは、一般の商品の値上げと違って、値上げされたからといって毎日の生活の中でこれを避けて通るわけにいかないわけですね、買わないようにしようなんといったって、公共料金というのはいや応なく私たちがいろいろお世話になるものばかりなんですから。そういう点では確実に家計の負担に返ってくるわけなんです。この点で、実収入に対して非消費支出が増大し、さらにその消費支出の面でも必需的な経費が増大をしていく中で、この公共料金の値上げが家計に対して大変深刻な影響を与えていくことは明白だと思いますが、この点はいかがお考えですか。
  244. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 公共料金負担が、負担といいますか、支出割合がふえるという傾向がさらに進むのではないか。  それは私どもも、単純な見通しの問題としてそういうふうに理解をしております。ただし、公共料金でありますからといって、これは必ずしもすべてが必需的な性格のものではない。必需的性格の強い、基礎的性格の強い支出であるということは仰せのとおりでございますけれども、必ずしもそうではないということと、やはり節約といったようなことで対処できる分も、これは余り多くないと思いますけれども、決して少なくない。こういうことで合理的な消費者行動というものを心がけていただきたい、こういったようなことも私どもとしては消費者の皆様に要請をしているわけでございます。  しかし、基本的には物価及び国民生活に対して非常に重要な影響を持つ価格決定ということでございますので、私どもとしてはまず企業体の合理化、生産性の向上、コストの節約、こういったようなことに努めていただく、そのもとでの適正コストというのは具体的にサービス、商品を消費する方に基本的には負担をしていただく、こういうことで対処をしている次第でございます。
  245. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 節約といっても節約するにもできない、国鉄運賃、私鉄運賃なんというのも節約できませんね。お米もそうですね。二杯の御飯を一杯にせいなんということできませんでしょう。私は、先ほどから大変安易なことを言われるなと思って、そのことを一言申し上げておきたいと思います。もう少し国民の直接の暮らしについて、まじめにという言い方は余りよくないと思いますが、しかし真剣に考えていただきたい。節約できないのが公共料金という性質のものだ。それでなくても家計の方で、負担がかからないように言われなくても随分やりくりの方では節約していますよ。  その点で、先ほどの御答弁の中でも企業の合理化、適正化を図っていきたい、結局公共料金の値上げによる逆累進性、その言葉がいけないということですが、しかし低所得層に特に負担がかかっていく、そして家計の負担が多くなっていく、こういうことに対して、それを解消する方向性というのはそういうお考えというふうに理解していいのですか。
  246. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 そういう方向性とおっしゃいますと……。
  247. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 安易な値上げをやめさせて厳正に企業の合理化を進めていく、こういうふうなお考えが、公共料金の値上げによるさまざまな負担を解消する、そういう方向性だというふうに経企庁は考えていると理解していいのかということを聞いたわけです。
  248. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 大変失礼いたしました。  私どもといたしましては、公共料金の問題というのは、先ほども申しましたように片務的な負担というようなものではない、こういうことでございまして、サービスを提供する、商品を提供する企業体のコストとの関係というのは決して無視できない、こういうふうに理解をしております。したがいまして、現実の経営、実際経営のもとでのコストということではなくて、能率的な経営、合理的な経営生産性の高い経営のもとでの適正なコストというものを反映するようにしていただかなければいけない。そのためには企業体が、合理化の余地のある部分については合理化のために最大限の努力を払っていただきたい。そのためにまた役立つような観点から、私どもとしてもいろいろ指導なり助言なりということをいたしましょう、こういうことを基本にして公共料金の水準というものを決めたい、これが基本的な考え方でございます。  ただし、実際の公共料金の改定の時期といったようなことになりますと、そのときどきの物価情勢などを勘案いたしまして、その時期の調整、それから値上げ幅につきましても調整をさしていただく、こういう基本的な態度で臨んでいる、こういうことを申し上げた次第でございます。  この合理的な経営のもとでの適正原価、生産性の高い経営のもとでの適正原価ということに基づいて料金を決めるということが、結局は公共料金が上がっていきますのを抑制することになる、こういうふうに理解しているということでございます。それが基本的な方向であるのかとおっしゃられますと、そのとおりでございます。
  249. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大変単純に申し上げて恐縮ですが、そういう長い長い御説明よりも、公共料金の値上げを、中止していくと言いたいわけなんですが極力抑えていく、そうして値下げのできるものは値下げをしていく、こういうことで国民の生活を守っていく、これは内需の拡大にも非常に大事な問題だ、私はそういうふうに考えるわけです。  そこでお伺いしますが、私はここに、日経新聞に経企庁の物価調整課長さんが書かれた「求められる合理化努力」という論文を持っております。この中に「大幅な黒字が発生している業種について、料金をどうするか考え方をはっきりさせることである。公共料金企業についても、適正な利潤が確保されるべきことは当然であるが、赤字になれば一定の条件の下でとはいえ料金引き上げが認められる業種では、黒字の場合にも原則としては料金引き下げを検討すべきであろう。」こういうことを書いておられます。この業種には当然電力、ガス業界も入ってくるというふうに思います。経企庁として当然このようなお考え方で進めていくべきだと思いますが、どうでしょうか。
  250. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 その論文に書いてあるとおりに考えております。
  251. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 けさほども同僚の議員から問題になりましたが、昨年の原油価格が一バレル当たり五ドル下がりました。その値下がりによりまして、概算によっても電力業界で年間五千億の利益が、ガス業界で四百五十億円の利益が出る。現に既に八三年の中間期決算では、電力九社で経常利益が三千七百二十三億円、ガス三社で四百五十六億円出ております。さらに三月三日、これも日経新聞が大きく取り上げましたが、八四年の三月期決算の予想では、これはさきに通産省も大きく外れることはないというふうに述べられましたが、通期で見ますと、電力九社で九千三十億円、前年比四七%増、ガス三社が千四百七十億円、前年比四一・八%増なんです。まさに過去最高の利益が出ている。こういうふうに書かれております。  さらに言えば、電力業界は五十七年度末の段階で千七百三十五億円の円高差益の別途積立金もあるはずなんです。料金の安定というのは当然これで図れる段階に来ている。利益の還元、つまり値下げを行うべきではないかというふうに考えますが、経企庁はいかがお考えでしょうか。
  252. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 昨年の秋ごろでございますけれども、この問題が出ましたときに私ども次のようなふうに考えました。それは、公共料金企業が適正利潤を超える利潤を継続的に上げるということであれば、確かに値下げに反映をしなければいけないということを前提にいたしまして、果たしてどれだけの金額が現実にコストの低下あるいは適正利潤を超えるだけの利益の増加になるのかということを分析をしてみました。その当時はまだ決算の資料がございませんでしたので、上期の決算が出ました段階において改めて企画庁物価局としても計算をしてみました。  その結果を今御紹介申し上げますと、五十八年度の上期の決算におきまして、一年前、五十七年度の上期の決算と比較をいたしまして、原材料費が九社合計で大体二千二百億円強節約になっております。しかし、その中身を分析してみますと、そのうち大体千五百億円が原油価格の値下げ及び円レートが高くなったことによる節約であるということがわかりました。ただし、この千五百億円という数字でございますけれども、これだけ節約になりましたのは、五十七年の上期におきまして為替レートが二百五十三円、それから一バレル当たりの輸入価格が三十四ドル強、こういうことでございまして、現在の料金を算定するときの基準になりました為替レートニ百四十二円、それから原油価格一バレル当たり三十二ドル強、こういうのと比較をいたしますと、円が高くなりましたことによるところの原油価格の節約というのは約五、六百億円、こういうことになるわけでございます。  五、六百億円というのを一キロワットアワー当たりに計算をいたしますと、大体二十四、五銭である、こういうことになろうかと思います。一般の消費者家計におきまして、月間の電力量の使用というのは二百キロワットアワーくらいになるものですから、一キロワットアワー当たり二十四、五銭ということでありますと、原油が査定基準よりも下がった、査定基準よりも円が上がったことによるところの影響というのは、月当たりせいぜい五十円見当ではないか、こういうことになったわけでございます。こういうことであれば、一般の印象では確かに先ほど御指摘のありましたように、五ドルで五千億円の超過利潤が発生をする、こういう印象でありましたけれども、実際の数字の上から詰めていきますと、そんな大きな数字にはならない、こういうことでございまして、それならば、値下げの問題というのは、現実問題として問題にならないのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。  ところで、その後下半期の状況がどうかということでございますけれども、これは間もなく年度の決算が出るということでございますので、その段階で今申しましたような観点から分析をした上で私ども考え方を決めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  先ほど御指摘になりました「経済教室」の私ども課長の論文というのは、いわば教科書的な原則論を書いたものでございます。私ども、この教科書的な原則論というものをできるだけ現実に適用していく、そういう方途を研究していきたい、これからもそれに努力を続けていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  この問題について私ども立場を御説明申し上げました。
  253. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 長官、お疲れでしょうが、今のお話によりますと、下半期を分析した上で考えていきたい、上半期をいろいろ分析した結果では、今すぐに問題にするほどのことではないというふうに分析をしたけれども、こういうことで、いずれにしても黒字が出た場合にはそれをやはり還元していくという立場でその原則を貫いていきたいというお話でございました。  私は、最後に長官にこの問題についてお伺いをしたいわけです。  その後、三月の上旬から特に円高傾向が急速になりまして、さらに新たな利益ということも考えられるわけであります。円高について言えば、一円円高になるたびに年間二百二十億、だから前回の値上げ査定時の一ドル二百四十二円でざっと計算をしましても、現在二百二十五円ですから、したがって二千四十億ぐらいの円高差益というのはまた考えられるわけですね。もちろんそれはずっと年間推移しての話ですから、一概には言えないでしょうが、しかしそれにしても、既に予想されているこの三月期の決算で、通期で見ると、史上最高だということは、もうこれは一般のマスコミでも言われているところなんです。  私は、経企庁として積極的に電力、ガス料金値下げのイニシアチブをとって、発揮して、国民生活のために頑張ってほしい、これがせめて、ことし公共料金の値上げラッシュの中で、幾らか大きな潤いになるのではないかというふうに考えるわけです。長官、最後にお願いをいたします。
  254. 河本敏夫

    河本国務大臣 電力業界の五十八年度の利益というものは多分数千億になるであろう、このように思います。また、ガス業界も相当な利益になると思います。そこで、お説のように値下げ論が出たのだと思います。  電電公社のようなところでも、大きな利益を上げれば長距離通話料を下げるとか、そういうこともやっておるじゃないか、こういうことからの御意見でなかろうかと思いますが、実は昭和五十三年にも電力会社で非常に大きな利益が出ました、ガス会社でも利益が出まして、これをどうすべきかということについて随分議論がございました。値下げ論も随分強かったのでありますが、私は別の意見を持っておったのですけれども、結局値下げをいたしまして、わずかずつ各需要家庭に還元をするということにいたしました。  しかし、現在の考え方は、むしろわずかな還元をしないで、これは別途の積立金として積み立てておいて、例えばできるだけ長く電力料金を据え置くとか、そしてまた時と場合によりますと、電柱などが都会などでもたくさん見られるわけでございますが、そういうものを地下に埋めるための投資に使うとか、そういうものにまとめて使うと非常に大きな効果が出てくるわけでございますが、各家庭に還元しますとほんのわずかな金額にしかならない、こういうことでございますので、実は私もいろいろな意見はありますけれども、やはり以上申し上げましたように、できるだけ長く現在の料金を据え置き、かつまた公共的な投資にこれを使っていく、そういう方向に活用したらいかがか。ただし、これは電力会社の私すべき金ではございませんから、いかなる場合でもやはり別会計にいたしましてこれを留保しておく、こういうことは必要でないか、このように思っております。
  255. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はその意見に異議があります。きょうは、これ以上議論をしておりますともう一つの問題に入れませんからあれなんですが、しかし、電気事業法の二十三条でも、供給規程の中身が著しく不適当なときにあっては、その変更を命令することができるというふうな政府の権限まで持たされている。もう著しく不適当になってきている、なって一年ですね。去年の段階でも随分議論されて、そして山中通産大臣はああいう発言をされて、値下げをむしろするべきだというお立場で発言をされたかと思います。しかし不安定だということで今日まで来て、もう事実まで出てきているわけですから、ここら辺では原油値下げ、円高といういわば天の恵みはやはりあまねく国民に天の恵みとして返すべきが筋じゃなかろうかというふうに思います。ただ、長官は返すという点で一致していると思いますから、そういうことでこの問題は次に取り上げていきたいと思います。  次に、人工甘味料のアスパルテームの問題についてお伺いをしたいわけです。  これは昨年規制緩和されました食品添加物十一品目の一つに入っております。このアスパルテームは、体の中に入りますと分解して二つのアミノ酸になりまして、その一つがフェニルアラニンになるそうなんです。このフェニルアラニンは、フェニルケトン尿症の赤ちゃんはこれを摂取してはならないということになっているそうであります。このことは、昨年の参議院の中でも厚生省の方がそういうふうに述べておられます。  そこでお伺いしたいのですが、厚生省はフェニルケトン尿症の子供たちがこのアスパルチームを摂取しないためにどのような措置をとっておられるのか。
  256. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  フェニルケトン尿症でございますが、現在我が国では、出生後大体一週間以内にほとんどの新生児につきまして検査が行われているわけでございまして、不幸にしてフェニルケトン尿症であるということが発見されますと、それに基づきまして医療機関におきましてフェニルアラニンの摂取制限ということにつきましての指導がその親御さんに対して行われるわけでございます。  アスパルチームでございますが、先生指摘のとおり、アスパルテームは体の中に入りますとフェニルアラニン、それからアスパラギン酸という二つのアミノ酸に分解いたします。フェニルアラニンは御承知のとおり必須のアミノ酸でございまして、私どもが日常的に摂取する食品の中にたんぱく質の成分として非常に広く分布しているわけでございますから、フェニルケトン尿症児の場合には、ただいま御指摘がありましたようにその摂取量をコントロールする必要があるということでございますので、私ども現在このアスパルチームにつきましては、食品衛生調査会での御指摘も踏まえまして、食品におきましてアスパルテーム含有という表示のほかに、フェニルアラニン含有という表示をすることを義務づけているわけでございます。
  257. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 フェニルアラニンの含有というだけで、それでわかりますか。フェニルケトン尿症に子供のときにがかったお母さんは、外国ではもう結婚した途端からできるだけアスパルテームを摂取しない、フェニルアラニンを摂取しないように極力気をつけて準備をしていくというのですね。つまりそれは、フェニルケトン尿症にかかったその子供が成長してお母さんになって、そしてよく知らないでフェニルアラニンをずっととり続けていくと、その次にできた子供に精薄児が出生してくる可能性が非常に大きい、これは学会でもデータが発表されておりますが、そういうことが出ていて非常に外国でもそういうことを気をつけているわけです。だから、私はフェニルアラニンが単に含有されているということの表示だけでは不十分じゃないかというふうに考えるわけなんです。  委員長、よろしゅうございますか。——ひとつこれを見てください。これは味の素が「カロリーを控えたい方におすすめします。パルスイート」という新発売の商品を出しているわけです。これにはなるほどおっしゃったように、小さいところに「フェニルアラニン化合物含有」という表示は入っていますね、わかりますか。箱の中に入っています。だけれども、これだけでわかりますか。私はこういう表示の仕方は大変無責任だと思うのです。一方ではフェニルケトン尿症の子供たち、その子供たちは、極力このフェニルアラニンを摂取することを抑えていけば、IQも落ちずに十歳から十二歳ぐらいになったら完全に回復するという療法までちゃんと出ているわけです。だったらそのフェニルアラニンという化合物含有だけじゃなしに、ちゃんとフェニルケトン尿症にかかった子供はできるだけこれを飲まないようにするべきだというようなことまでつけて当然じゃないかというふうに考えるわけです。どうなんでしょうか。
  258. 市川和孝

    ○市川説明員 先ほども申し上げましたとおり、フェニルケトン尿症であるという子供が発見されますと、医療機関では食事療法全般にわたる注意といたしまして、フェニルアラニンの摂取量をコントロールする必要があるということを御両親に指導されるわけでございますので、私どもといたしましては、フェニルアラニン含有ということが書かれていればその趣旨は十分理解されるのではないかというふうに考えておるところでございます。  なお、そのあたりにつきまして、もう少し情報の提供を努めていく必要があるということで、私ども、母子衛生関係の担当部局を通じまして、医療機関あるいは低フェニルアラニンの特殊ミルクをつくっております事業団体がございますが、そういうところでは比較的よくフェニルケトン尿症児がかかっております医療機関というものを把握しておることもございますので、そういった機関を通じましてアスパルチームにはフェニルアラニンが入っていますという情報の提供を行っているところでございます。
  259. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 外国では、フェニルケトン尿症の人たちはこれをできるだけ飲まないようにしてほしいという表示が入っているのに、どうして日本ではそれを入れることができないのでしょうか。入っているということは調査会の中でもちゃんと認めておられるわけです。だったら日本でもどうしてそこまで表示をしないのですか。しかも、低フェニルアラニンの特殊ミルクを開発するというお話でしたけれども、味の素はその最初の特殊ミルクをつくるときにいろいろかかわった企業なんです。だからいわばこういうふうな症状を持った子供たちはこのアスパルチームは安易に摂取してはならないのだ、絶対に摂取してはならないのだということをどこよりも一番よく知っているのです。  ところが読んでみますと、何だか健康によいというような話がいっぱい並んでいるけれども、ちっともその辺のところ軒書かれていないということは、私は単にそれを関係の病院にもっと情報を提供していくというようなやり方では大変不十分だというふうに考えるわけです。しかもその小さな子供が成長して、いつまでも両親がおるわけではありませんから、フェニルケトン尿症に自分は小さいときかかったということはわかっていても、その聞く親がわからなかったら、フェニルケトン尿症にかかった者はフェニルアラニンの化合物を摂取してはならないなんて、そんなこと、なかなかそこまでわかりませんからね。ぱっと書かれてあったら、そういえば何だか自分もそういうふうな症状を持っていたということはわかるでしょう。  だから、そういうふうな関係のところに情報を送るというようなことではなしに、こういう一面広告までするのだったら、ここにちゃんと小さな囲みでもいい、書けばいいのじゃないか、そういう指導をしないと、こういう問題に対して厚生省が本当に責任を持った対応をしていないというふうに私は思うわけです。
  260. 市川和孝

    ○市川説明員 先ほど申し上げましたとおり、フェニルアラニンそのものは、私どもにとりましての必須アミノ酸として非常に広く一般の食品中に分布しているわけでございます。このアスパルチームにつきましては、特にフェニルアラニンが入っているという表示を食品の中へつけ加えさせまして、その事実をどなたがごらんになってもわかるようにしているという点におきまして、私どもとしては、この表示をもちまして、十分食事上の注意というものが達せられるのではないかと考えている次第でございます。
  261. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これは局長通達の中でも、「フェニルケトン尿症患児の保健指導に当たっては、次の事項に留意されたい。」ということでちゃんと書いているじゃありませんか。それをそのまま、いつまでもと言わないまでも、こういうふうな一面広告で出すときに、これは昨年の十一品目の食品添加物の規制緩和によって初めて市場に出てきたわけでしょう。だったら、そういう新しい商品に対しては、せめて責任を持つ。ほかならぬ特殊ミルクについて、味の素が一番最初にタッチした企業なんですから専門家なんですね。ある意味では皆さんよりも専門家なんです。  その専門家の企業が、こういうふうなきれいにレイアウトした広告を出しながら、そういうことを一言も触れていない。うんと探していけばなるほどここにありますよ。うんと探していかなければならないようなところにしか書いていないし、注意書きの一つも書いていないというのは大変無責任だし——私は、局長通達というのはそういうふうに読んだのです。しかも、昨年の質疑の中での局長さんの御答弁もそういうふうに読みました。だから、まさかこんな広告が出てくるとは私は夢にも思わなかった。もう少し責任のある態度だったと思っています。  厚生省は人の命を預かるところでしょう。十一品目の中の規制緩和に取り上げられただけでも、私は本当は我慢ならない気持ちがしているわけです。しかし、百歩譲っても、せめて新しく広告を出したりするときには、そういうふうなフェニルケトン尿症の子供たち、それにかかった人たちは、この摂取はやめてくださいよということぐらいは、出して当たり前じゃないでしょうか。検討してください。
  262. 市川和孝

    ○市川説明員 先ほど外国の例を先生ちょっと御指摘あったわけでございますけれども外国の事例でフェニルケトン尿症とかあるいはフェニルアラニン含有というような表示のところもございますが、フェニルアラニン化合物含有という表示だけをしているような例もございます。  ただいま御指摘の点については、今後そのような広告をいたす場合があれば、私どもも指導をしてまいりたいと思います。
  263. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、ぜひ指導していただくということを再度要望して、終わりたいと思います。
  264. 金子みつ

    金子委員長 次回は、来る十二日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十三分散会