○赤羽(隆)政府委員 二・八%の達成の可能性に
関連をいたしまして、公共料金の値上げが数多くあるのではないか、この点から二・八%の実現の可能性に疑問があるのではないか、こういう趣旨の点が第一だろうと思います。
私
ども、五十八
年度は公共料金関係の上昇が比較的少ないという、ある
意味ではラッキーな年であった、こういうふうに
考えておりますけれ
ども、五十九
年度におきましては、これがかなりの数におきまして改定の時期を迎えているということは、これまでにも
お答えを申し上げてきたとおりでございます。
具体的に申しますと、五十九
年度の
消費者物価の安定の
見通しでございます二・八%のうち、一%強が公共料金や、それから予算におきまして間接税等の増税の影響として
考えられます。しかしながら、この公共料金等の影響を除いて見た一般
物価の
状況ということで申しますと、五十七
年度、五十八
年度、五十九
年度、三年間にわたりまして
物価安定の基調というものが崩れるものではない、こういうふうに
考えているわけでございます。
主たる要因で申しますと、
我が国の場合、
外国から資源を輸入してそれを加工して、一部を
輸出し、他方は
国民生活のためにそれぞれ充てているわけでございますけれ
ども、こうした海外からの輸入物資の値段というのが引き続き安定した
状態が続くであろう、こういうふうに思っております。さらに、下がるということでありませんとこの
上昇率を引き下げるというふうにはなかなか働かないわけでございますが、値上がりがないということになりますと、これが
物価押し上げ要因にはならない、こういうふうに理解しているわけでございます。
それから、五十七
年度、五十八
年度と
物価が落ちつきましたもう
一つの要因として、先ほど
お答え申し上げました賃金をめぐる情勢でございますけれ
ども、ここ数年間続いております節度ある賃金上昇、こういったような
状況に五十九
年度においては
変化がない、そういうふうに理解をしております。
もちろん、賃金と
物価との関係の間には
生産性の上昇という項目があるわけでございますが、この点におきましても、五十九
年度は稼働率の上昇等有利な条件がある。先ほ
ども調整
局長の方から
お答えを申しましたように、一人当たりの雇用者所得の伸び率は若干上昇するわけでございますが、それは
生産性の向上によって吸収できることで、賃金コストが
物価押し上げ要因になるというような事態は
考えなくて済む、こういうふうに理解しているわけでございます。そういうことで、基本的に二・八%の
物価上昇の実現可能性というものについて、私
どもは十分に可能だという確信を持っております。
それからもう
一つ、公共料金などが値上げになりました際の便乗値上げの問題でございますけれ
ども、私
ども、この便乗値上げが行われます可能性の多いものにいわゆる
消費者米価、売り渡し米価の値上がりなどがあるのではないか、こういうふうに理解しておりますけれ
ども、これにつきましては、売り渡し米価の引き上げの前後におきまして、私
どもの
関連の
物価モニター等を利用いたしまして、便乗値上げがないかどうかの
調査を実施しております。そのほかの公共料金に
関連いたしましても、便乗値上げの可能性が全くないというわけではございませんが、それは全体にインフレムードというものが出てくるような
状況になれば便乗値上げが行われる、こういうことではないかと理解しておりまして、現在幸いにしてそういう
状況にはないし、またそういう
状況にならないように私
どもとして万全の
対策を打っていきたい、こういうふうに
考えております。
したがいまして、基本的に二・八%という
物価目標の実現の可能性という客観条件はある、こういうふうに
考えられますし、さらに、いわば主観的な条件としてそれを損なうおそれがあるような便乗値上げといったようなことは未然に防いでまいりたい、そういうことで二・八%の実現は
年度末にかけて達成できるもの、これから一年ございますけれ
ども、私
どもそういうふうに
努力をしたいと
考えておる次第でございます。