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1984-10-03 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月三日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 玉沢徳一郎君 理事 小川 国彦君    理事 吉浦 忠治君       小里 貞利君    鹿野 道彦君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       野呂田芳成君    羽田  孜君       三池  信君    山崎平八郎君       上西 和郎君    新村 源雄君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    駒谷  明君       斎藤  実君    武田 一夫君       水谷  弘君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  委員外出席者         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房技術総括審議         官       芦澤 利彰君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省経済         極東系情報部長 大坪 敏男君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         農林水産省食品         流通局長    塚田  実君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         水産庁長官   佐野 宏哉君         日本専売公社原         料本部長    佐藤 友之君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ――――――――――――― 委員の異動 十月三日  辞任         補欠選任   田邉 國男君     鹿野 道彦君   中村正三郎君     江藤 隆美君   保利 耕輔君     綿貫 民輔君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     中村正三郎君   鹿野 道彦君     田邉 國男君   綿貫 民輔君     保利 耕輔君     ――――――――――――― 八月八日  一、農産物自給の促進及び備蓄の確保のため   の農業生産振興に関する法律案安井吉典   君外八名提出衆法第二八号)  二、総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出   、衆法第二九号)  三、農民組合法案安井吉典君外八名提出、衆   法第三〇号)  四、農林水産業振興に関する件  五、農林水産物に関する件  六、農林水産業団体に関する件  七、農林水産金融に関する件  八、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  昭和五十九年産畑作物価格決定等に関する件      ――――◇―――――
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  てん菜てん菜糖、芋、でん粉及び大豆をめぐる最近の情勢について政府から説明を聴取いたします。塚田食品流通局長
  3. 塚田実

    塚田説明員 それでは御説明申し上げます。  まず、お手元にお配りしてございます資料のうち、てん菜及びてん菜糖について御説明申し上げます。  まず、第一ページをごらんいただきたいと思います。  一番右の欄に砂糖及び異性化糖という欄がございますが、一人当たり消費量、キログラムで見ますと、最近数年間横ばいまたはやや減少、また、需要量につきましても大体横ばいという状況が続いております。そのうち砂糖だけを取り上げますと、一番左側の欄に需要量がございますが、昭和五十一年ごろ三百万トンの水準にありましたものが、最近では二百五十万トンという水準になっておりまして、減少が目立っております。それから、砂糖のうちの国内産糖てん菜糖及び甘庶糖の合計の欄の生産量ごらんいただきますと、全体としては増加傾向にございます。特にてん菜糖増加傾向が目立っております。  次に、そのようなわけで、輸入実績真ん中辺にございますが、見ていただきますと、輸入実績は最近数年間、次第に減少傾向にございます。五十八年度で百七十五万トンというような状況になりてきております。また、砂糖全体の一人当たり消費量、その右にございますけれども横ばいからやや微減という状況になっております。  次に、二ページをごらんいただきたいと思います。  てん菜及びてん菜糖生産実績北海道について示してございます。  まず作付面積でございますけれども昭和五十年分水準から比べますとその後次第にふえてまいりまして、五十九年には七万五千二百ヘクタールということに見込まれております。史上最高というふうに考えております。ヘクタール当たり収量技術進歩によりまして次第に増加し、本年産につきましては五十三・七トンが見込まれております。生産量でございますが、これもこのような状況から順調に伸びてまいりまして、本年は天候に恵まれたこともありまして、四百万トンということが見込まれております。今までの最高でありました五十七年産実績に近いものであります。産糖量、一番右の欄でございますが、産糖量もかなりふえてまいりまして、昨年は冷害の年でありましたけれども、本年、五十九年は今のところ六十万トン程度見込まれておりまして、五十七年の水準に近づいております。  次に、三ページをごらんいただきたいと思います。  てん菜最低生産者価格及びてん菜糖事業団買い入れ価格でございます。  最低生産者価格につきましては、砂糖価格安定等に関する法律の規定によりまして、パリティ指数基準とし、物価その他の経済事情を参酌して定めることになっておりますが、五十八年でごらんいただきますように、二万二百六十円、奨励金を加えたものは二万一千二十円、事業団買い入れ価格はこれに製造経費等を加えたものでございます。  次に、四ページをごらんいただきたいと思います。  てん菜生産費推移が書かれてあります。  まず、一番右のトン当たり第二次生産費ごらんいただきますと、豊凶変動には多少のぶれはありますけれども、特に五十六年、五十八年は高くなっておりますが、あとは大体一万五千円から一万六千円というような水準になっております。また、十アール当たり収量でございますが、先ほど申しましたように順調に上がってまいりましたけれども、昨年は冷害で四・六トン、ことしは五・三七トンが見込まれております。  それから五ページに参りまして、これはてん菜対策関係予算価格対策生産対策、それから蚕糸砂糖類価格安定事業団調整金収支推移状況を示したものでございます。これはごらんいただけるとおりであります。  それから六ページに農業パリティ指数推移が、総合でございますけれども、お示ししてあります。  真ん中の五十八年の欄を見ていただきますと、昨年の後半からは一〇〇を割り込んでおりますが、本年に入っては一〇〇を上回っておりますけれども、非常に小さな上昇であります。そういうわけで、これは全体の物価の鎮静を反映しているものというふうに考えております。  以上でてん菜及びてん菜糖関係資料について御説明を終わります。  引き続きまして、芋、でん粉関係資料について御説明申し上げます。  まず第一が、一ページでございますが、カンショ及びバレイショ生産状況についてお示ししてございます。  まずカンショ、これは主に鹿児島産でございますけれども作付面積、十アール当たり収量収穫量とも大体安定的に推移しております。  それから春植えのバレイショでございますが、全国北海道について示してございます。ここ数年作付面積、十アール当たり収量とも――作付面積はやや増大傾向にございます。それから収穫量も、北海道ウエートが非常に高まってきております関係でこのような数字になっております。北海道につきましては、バレイショにつきましては作付面積が五十九年産で七万五千九百ヘクタール、五十年代で最高面積となっております。収量は大体前年並みが見込まれております。収穫量でございますが、これは五十九年産は恐らく史上最高に近いのではないかというふうに考えております。  次に、二ページをごらんいただきたいと思います。  でん粉年次別生産実績を示してございます。  甘でん、馬でん、小麦でん粉コーンスターチ合計カンショ生切り干し、こうなっておりますが、まず合計の欄を見ていただきますと、五十年と比べまして五十八年の見込み生産実績で約二倍ということになっております。コーンスターチウエートが約八割、残り一割強が馬でん、それから甘でんという順序になっております。それから、三ページをごらんいただきたいと思います。  三ページには、芋の原料基準価格及びでん粉カンショ切り干し政府買い入れ基準価格を示してございます。  御案内のように、原料基準価格は、カンショの場合は五十八年で二万八千二百八十円、バレイショの場合は一万七千四百八十円でありますが、カンショの場合はこれに奨励金を加えた取引指導価格、これは真ん中辺に示してございますが、これが実際の農家手取り価格となっております。それで、これに製造経費等を加えたものが買い入れ基準価格になるわけであります。ごらんのとおりでございます。  それから四ページに生産費推移が、まず原料用カンショについて示してございます。特に労働時間の減少が目立っておりますけれども、一番右のトン当たり第二次生産費のところをごらんいただきますと、五十七年で三万二千七百二十円でございまして、五十四年以降余り変化しておりません。  五ページに、原料用バレイショ生産費北海道について出ております。バレイショトン当たりの二次生産費、一番右の欄でございますけれども冷害年であります五十六年を除きますと、大体一万五千円から一万六千円台で推移しております。  六ページに芋、でん粉関係対策予算がお示ししてございます。価格対策関係生産対策関係と分けてお示ししてございます。ごらんのとおりでございます。  七ページに農業パリティ指数推移がありますが、これは先ほどてん菜糖のところで申し上げたものと同じでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わらせていただきます。
  4. 阿部文男

  5. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆関係につきまして御説明申し上げます。  大豆基準価格関係資料をお開きいただきますと、一ページが生産状況でございまして、一番右の全国欄ごらんいただきますと、作付面積では昭和五十二年産収穫量では昭和五十一年産、この辺が一番少なくなっておりまして、それから若干ずつふえる傾向を示しております。  ことしの五十九年産作付面積でございますが、これは次の二ページの、先般十九日に統計情報部から公表されましたことしの大豆作付面積予想収穫量ごらんいただきますと、その下の表にございますように、二ページの表でありますが、全体としては前年よりやや少なくなる状況でございますが、特にその中で田作部分が、ここに三角で立っておりますようにかなり大きく減っております。これは、ことしの水田利用再編対策におきまして他用途利用米制度の導入その他によりまして目標面積が実質的に軽減されておる、こういう関係影響しまして田を中心に面積減少が見られたのではないか、こう考えております。  次に三ページ、作柄でございますが、これは北海道その他主産県を掲げてございますが、この作況指数のところにありますように、ただいまの予想収穫量では全国で平年比一一二ということで、天候に恵まれましてやや作況がよろしいわけですが、特に北海道につきましては、この表の第二欄にありますように、一二一いう大変天候に恵まれたいい作況が見込まれておるのでございます。以下、四ページ、五ページ、一応いろいろな要因別にあるいは地域別作柄関係説明をしておるのがこの統計情報部資料でございます。そこで六ページをごらんいただきますと、五十一年から五十九年見込みに至ります大豆の全体的な需給状況であります。  下半分の表が需要でありまして、大体五十九生ですと四百六十七万トンぐらい、その中で製油用が大部分を占めるわけであります。なお、前年四百八十二万トンと若干需要量が多いのは、一番下の欄の在庫増にそれが入っていった、こういうようなことでございます。  この四百六十七万トンの需要に対しまして、国内生産は先ほどの資料にございましたように二十万トン台ぐらいでございますが、出回りは大体十五万トンとか十三、四万トンとか、そういうのが国産出回りでありまして、これが主に、御承知のように豆腐用とか煮豆用とか、そういうものに同っているわけでございます。いわゆる食品用に充てられているわけでございます。  そこで、価格関係で七ページでございますが、これは左の方の欄から輸入価格CIF)、関税輸入諸掛かり見込みまして、輸入港での倉庫渡し価格、この包装込みという右から二番目の欄をごらんいただきますと、六十キログラム当たりことしに入りまして大体五千円がらみで推移をしているわけであります。これは、昨年十月以降主産国であります。アメリカが熱波によりまして大幅に減収した、こういう影響から価格が少し高目推移をするということになっているのではないかと考えております。  そこで国内物につきましては、こういう国際価格の動向に見合いまして、最近時点での国産大豆価格販売価格は六十キログラム当たり六千九百五十四円程度を見込んでおるわけでございます。  八ページが基準価格等推移でございまして、これは大体一番左の基準価格てん菜糖の横並びの価格で取り決めをしているわけでございまして、最後の紙にいろいろ不足払い状況等が図示してございます。これは後ほどごらんいただきたいと思います。  生産費につきましては、九ページが田作でありまして、これは大体生産性向上結果が反映されておるわけでございますが、田作の場合には地代がかなり高うございますので、第二次生産費額は若干高いわけですが、六十キログラム当たりでは確実に減少低下傾向を示しております。  一方、十ページの畑作では、十アール当たり収量変動が非常に激しゅうございまして、その影響を大きく受けて、生産費はかなり上下をしておるということでございます。  さらに十一ページには、大豆交付金実績としまして最近二百億円台というかなり大きな額がこれに充てられておるわけでございます。  なお、十二ページは関係予算を収録しておりますので、お読みいただければ幸いと思います。  以上でございます。     ―――――――――――――
  6. 阿部文男

    阿部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  7. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 昭和五十九年度の畑作物価格決定の時期になってきたわけでありますけれどもてん菜バレイショ大豆価格について若干の御質問をさせていただきたいと思います。  てん菜最低生産者価格についてでありますけれども、例えば九月二十一日の北海道新聞では、ビートは引き下げる、そういう意向だというニュースが出ているわけです。こういうニュース農家を逆なでする話でありますので、極めて不謹慎な話だと私は思うのですけれども、実際はどうなんでしょうか。
  8. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  てん菜価格決定につきましては、先ほど申しましたように、私ども農業パリティ指数に基づきまして算出される価格基準とするわけでございますが、まだ八月分のパリティ指数が出ておりません。そういう意味で、これからその八月分の指数の結果を見て全体のパリティ指数上昇分がどの程度かわかるわけでございますが、そういうことをまず見て、それからいろいろ御相談して、例年どおりの手順で来週ぐらいに決めたいと思っておりますので、政府といたしまして具体的なことを何らまだ決めているわけでございません。
  9. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 てん菜生産奨励金カット財政当局では考えているという話が新聞には載っておるのですけれども、その点、局長さんいかがでしょうか。
  10. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  てん菜奨励金につきましては、昭和四十九年に他作物との収益性の不均衡を是正するために設けられたものでございます。確かに、その後の状況を見ますと、十アール当たり所得等を見ましても、あるいはその他の収益性で見ましても、てん菜の場合大幅に改善されておるわけでございます。そういう意味で私ども慎重に取り扱う必要があると考えておりますけれども、この点につきましてもまだ何ら具体的な決定は見ていないわけでございます。
  11. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 作付過剰だから、とれるから生産奨励金カットしよう、また値段も引き下げようというのでは、ちょっとこれは乱暴な言い方かもしれませんけれども結納金を入れてから後で背が低いだとか顔が悪いだとか体重が重いだとか、そんなたぐいの話と私は一緒だと思うのです。そういう問題ならば作付する前に検討なされるべき問題じゃないかと私は思うのですが、きょうはせっかく大臣室見えでありますので、大臣からはっきりと引き下げは絶対ない、さらにまた奨励金カット考えていないということをここで言明していただきたいのです。
  12. 山村新治郎

    山村国務大臣 今局長から申し上げましたとおり、てん菜につきましてはこの生産者価格パリティ指数に基づきまして算出される価格基準として、物価そのほかの経済事情等を参酌して決定するということでございまして、政府といたしましてはまだどうするかということを決定しているわけではございません。
  13. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 このてん菜というのは北海道農業の本当の基幹作物でありますし、寒地農業のチャンピオンでありますので、どうかこの価格決定に、十二日中に価格決定するというふうには聞いておるのでありますけれども当局の極力な御配慮を心からお願いしたいと思います。  続いて、バレイショ及びでん粉についてでありますけれどもバレイショ原料基準価格についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  14. 塚田実

    塚田説明員 バレイショ原料基準価格につきましても農業パリティ指数がまだ出そろっておりませんので、そういう段階で政府といたしまして具体的なことはまだ何も決めておりません。今後、てん菜と同様にこの問題につきましても各方面の御意見を聞きながら慎重に対処したいと考えております。
  15. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 輸入トウモロコシに対する関税割り当て制度の継続、延長を要求されておりますし、また、適切な抱き合わせ販売制度運用強化によって国内産でん粉全量優先消化を図ってほしいという要望があるのですが、これについてはいかがでしょうか。
  16. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  関税割り当て制度運用、それから抱き合わせの問題についての御指摘でございます。  正直なところを申しまして、外国産コーンスターチ価格がかなり割安であること、それと比べて国産のものはかなり割高であるということから、抱き合わせ比率も御案内のように年々上昇してきております。そういう意味で、関税割り当て制度の円滑な運用につきましては、行政の担当者として私どもかなり苦慮しているのが実情でございます。しかしながら、この制度生産農家の経営の安定にぜひ必要な制度でございますので、款ども今後ともこの制度運用には万全を期してさいまたいと思います。先般の日米農産物交渉でもこの点については米国からかなり苦情も言われかわけでございますが、私どもこの制度交渉の過程で守ったわけでございますので、今後ともこの制度の円滑な運用に努力してまいりたい、このように考えております。
  17. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。  国はてん菜バレイショ作付について、生産過剰基調から作付抑制をするのではないか、そんな指導を強化するのではないかという懸念があるわけですけれども、このてん菜バレイショはやはり北海道基幹作物でありますので、長期的な視点に立って北海道農業が進展するように指導してほしいのですが、この点、大臣いかがでしょうか。
  18. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  まずてん菜につきましても、五十九年産につきましては七万五千ヘクタールを超えております。バレイショも同様でございます。御案内のように北海道農業にとっててん菜バレイショは重要な作物であると私ども認識しておりますが、他方、この両作物とも、畑作の宿命と思いますけれども輪作が必要であります。そういう七万五千ヘクタールの中身を見ますと、一部では過作といいますか、連作あるいは二年輪作というようなことで輪作体系が崩れかけているということが私ども報告されておりますけれども、ぜひ適正な輪作体系のもとで的確なてん菜及びバレイショ生産をしていただきたいと考えておるわけであります。
  19. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 次に、大豆基準価格についてでありますけれども、ここ三年間、北海道大豆作付面積を見てみますと、五十七年が一万五千五百ヘクタール、五十八年が一方五千三百ヘクタール、五十九年が一万五千ヘクタールと停滞しているのです。なぜ停滞しているかというと、それは相対的に収益性が低いということで、農家手取り等考えると採算が合わないというのが現状なんです。ところが、この大豆についても奨励金をなくすだとか、価格の問題がとやかく言われておるのですけれども大豆も大事な作物でありますので、何とかこり奨励金はそのまま維持してほしいし、価格についても引き上げと言ったらいかがかどうかわかりませんが、とにかく現状は維持してほしいと考えておるのですが、いかがでしょうか。
  20. 山村新治郎

    山村国務大臣 この大豆基準価格、これは大豆なたね交付金暫定措置法に基づきまして、農業パリティ指数に基づいて算出される価格及び生産事情、そのほか経済事情を参酌して決定するということになっておりますが、その際に他の畑作物価格決定とのバランス、また現下の厳しい財政事情、また栽培技術高位平準化による生産性向上、これらを総合的に勘案いたしまして慎重に決定してまいりたいというぐあいに考えます。
  21. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣にもう一度お聞きしたいのですけれども奨励金カット、これは大事な問題ですので絶対避けてほしいと思うのですが、大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  22. 山村新治郎

    山村国務大臣 今御答弁申し上げましたとおり、まだカットをするしないというようなことを全然決めておるわけではございませんで、これには慎重に当たってまいりたいというぐあいに考えます。
  23. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この奨励金の、例えばビートについても大豆についてもですけれども、これはまだ具体的に財政当局からの相談だとか持ちかけはないと理解してよろしいのですか。
  24. 山村新治郎

    山村国務大臣 まだ全然ございません。
  25. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 全然ないという話を聞いて安心しておりますので、このままあと一週間か十日頑張っていただきたいと思います。先ほど来、大臣も答弁の中で財政再建あるいは厳しい財政状況という言葉がありましたけれども財政再建財政再建で大事な問題であります。やらなければならない問題だと私は思いますけれども食糧安保あるいは総合自給率向上等考えた場合、財政再建食糧総合安全保障とどっちが大事かという点をはっきりしてもらって、やはり要求するものは要求する、また、つけてもらうものはづけてもらうというのが農林省の考えではないかと私は思うのですが、この点、大臣いかがでしょうか。
  26. 山村新治郎

    山村国務大臣 今おっしゃいましたように、安全保障の面でも食糧安全保障は大事なことでございますし、特に農林水産省といたしましては、国民に食糧を安定的に供給するという大きな義務もございます。これらをよく頭に入れまして、この食糧安全保障という面に立っての必要なものは必要なものということで財政当局にも要求してまいるつもりでございます。
  27. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 私は、農業経営の安定を考えた場合、どうも価格政策だけ一辺倒ではおのずと自分で自分の首を絞めることになると思っております。やはり構造政策等も並行してやっていかなければいけないと思っておるのですが、その点一番大事なのは、例えば農地取得資金だとか農業の負債整理対策、これらのことを考えますと超長期あるいは超低利の融資制度を確立することが最も急務だと思うのです。当面、現行の融資制度の改善はもとよりでありますけれども、六十年度予算で新しい融資制度を要求して実効を上げてほしいと思うのですが、その点どうなっているでしょうか。
  28. 関谷俊作

    関谷説明員 融資の問題につきましては、お尋ねのございましたように、構造政策的な非常に経営構造にかかわる問題につきましては、従来から三分五厘、二十五年というような非常に長期低利の農地等取得資金を融資しておりますし、また、その他農家経営の維持の面では自作農維持資金の活用、こういうようなこともやっておるわけでございますが、当面、私ども生産関係の部局におきましては、従来のような生産関係のいろいろ九施設の補助金を少し農家の自主性を尊重した融資の方向に切りかえていきたい、これをさらに進めようということで来年度は農業改良資金をさらに拡充しまして、従来の技術導入面、さらに経営合理化というような面も含めました資金の拡大を図っていきたい、そのための改良資金助成法の改正、それからいろいろ農業改良資金の調整をいたします特別会計の制度の改正、こういうようなことも含めまして無利子資金制度の拡充を図っていきたい、かように考えております。
  29. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 その農業改良資金について、具体的にメニューがあるのでしょうか。
  30. 関谷俊作

    関谷説明員 これは、従来の技術導入資金でございますといろいろな技術の種類等を省令等で規定しておりまして、ただ実際面はかなり包括的な種類別の規定をしております。今後考えておりますのは、果樹経営その他については経営合理化資金、あるいは畜産につきましては畜産振興資金というような、もう少し経営の合理化に包括的に取り組めるような資金の方向に持っていきたい、こういうような趣旨で農業改良資金の内容につきまして再編成を図っていきたい、かように考えております。
  31. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 特に局長さんにお願いしたいのは、この農地取得資金だとかあるいは自作農維持資金の枠の拡大をどうしても図ってほしいのです。それは総体的な枠でなくて、個人に対する枠ですね。これは何とか前向きで検討してもらいたいと思っております。  時間ですので、最後に、今回の畑作三品とはちょっと関係ないのですが、現在全国的に豊作だということで大変うれしいニュースばかりがあるのですけれども北海道の一部では干ばつで大変苦しんでいる地域があるのです。まだ細かい資料等は上がっておりませんけれども資料がまとまり次第この干ばつ地域に対しても適切な措置を講じてもらいたいと思います。特に北見管内の遠軽、紋別地方は越冬用の飼料の確保で、その資金手立てで大変だということも聞いておりますので、この点を十分勘案してやってほしいと思います。  さらにまた、自作農維持資金の災害資金の融通の件ですけれども、これは百五十万の枠ですが、既に北海道では使ってしまっていますので、何か特例枠を考えてもらえれば大変ありがたいのですが、その点いかがでしょうか。
  32. 野明宏至

    ○野明説明員 北海道の北見地方では、干害で二、三番牧草を中心に被害が発生しておるわけでございます。全体としては生育はいいわけでございまして、したがって不足する農家については牧草のあっせん、調整というふうなことで越冬用の飼料の確保ができるような指導を現在やっておろわけでございます。そこで、必要とする資金につきましては、農協からの営農資金の融通とか、航るいは災害農家につきましては自作農維持資金の御指摘のような災害資金の融通というふうな道古あるわけであります。したがいまして、被害農家の実情を現在把握しておる状況のようでございます。それらを踏まえて適切な運用ができるようにしていきたいというふうに考えております。
  33. 後藤康夫

    ○後藤説明員 農林漁業金融公庫の行っております制度融資の中で、今御要望のありました農地取得資金でございますとか自作農維持資金、こういったものはなかなか資金需要が強いものでございます。御案内のとおり、財投の原資も伸びが非常に厳しくなっておりますし、また、こういった資金需要の強い資金と申しますのは金利の低いものでございまして、農林公庫の利子補給金がもう千三百億を超えるというような状況になっておりまして、状況はかなり厳しゅうございますけれども、こういった資金需要の強い資金につきましては必要な資金枠の確保にまた来年度に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  34. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 時間ですので、最後にもう一度大臣から、この十二日決定畑作三品については引き下げは絶対しない、奨励金カットにも断固立ち向かうという決意を聞かしてもらって、質問を終わりたいと思うのです。
  35. 山村新治郎

    山村国務大臣 先ほど来何遍も申し上げますように、総合的に生産者の立場、それらを勘案いたしまして、そして慎重に決定してまいりたいというぐあいに考えます。
  36. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 終わります。
  37. 阿部文男

  38. 安井吉典

    安井委員 きょうの質問の初めに、現在進行中の漁業協定の問題を若干伺いたいと思います。  一つは、日朝民間漁業協定であります。  おととしまでずっとともあれ続いてきた民間協定が、国交のない朝鮮民主主義人民共和国の代表入国問題をめぐって、日本政府がそれを拒否するというふうなことで、協定の話し合いが全くとぎれていたわけでありますが、今度石橋訪朝団の話し合いの中で、金日成主席から、交渉はピョンヤンでやりましょう、こういう発言があり、民間協定再開の可能性が出てきたわけであります。  私も一緒に参りまして、向こうとの話し合いにも臨んだわけでありますが、これは民間協定でありますけれども、その話し合いの中では日本の水産政策に関連する問題も向こうから出されるということも考えられます。近く日朝議員連盟の代表と日朝漁業協議会の代表が向こうへ渡ることになるわけであります。したがって、その際でありますので、日本政府としてもこの協定が成功できるように、正面からの問題ではないかもしれませんが、ぜひ協力をしていただきたい一そのことをまず申し上げて、お気持ちをお聞きいたしておきたいと思います。
  39. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  先生御自身も参加なさいました社会党代表団の訪朝の結果、ただいまお話のございましたように、谷会長代行それから日朝漁業協議会の長谷川会長などの一行が暫定合意再開のために訪朝される運びになるというふうに伺っておりまして、私どもといたしましても、今度訪朝なさる皆さん方と密接な連絡をとりながら、一日も早く合意が復活できますようにできる限り協力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  40. 安井吉典

    安井委員 大臣、それでいいですね。
  41. 山村新治郎

    山村国務大臣 今長官から御答弁申し上げましたとおり、我々としてもできるだけ御協力申し上げたい、何とかうまくやっていただきたいという気持ちでございます。
  42. 安井吉典

    安井委員 次に、これは山村大臣が訪ソされて、カメンツェフ漁業相とソ連で話し合いをなされたことでありますが、日ソ漁業協定が交渉行き詰まりという段階で大臣の話し合いで再開の道筋が開かれ、一日から高級事務レベル会議が始まっているということであります。  一つは、海洋法条約第六十六条の遡河性魚種に関する規定、つまりサケ・マスは沿岸国の排他的な主権があるという主張で、沖取りも一切まかりならぬというような厳しい考え方を向こうは出していたわけでありますが、それは日本側の主張のように、互恵的な協力というような基本線に立ち返った話し合いがこれから進むお見通しなのかどうか。  それからもう一つは、協定を今の一年ごとじゃなしにもう少し長期化し、安定的な漁業ができるようにという日本側の従来からの切なる要求があるわけであります。この見通しについては大臣はどういうふうにおとりになってお帰りになったか、この二点だけひとつ伺います。
  43. 山村新治郎

    山村国務大臣 日ソ漁業協力協定につきまして、今回カメンツェフ漁業大臣の招請で訪ソしたわけでございますが、私から、海洋法条約第六十六条を基礎にして海洋漁獲国の立場にも妥当な配慮の払われた解決ができるような要請を行いました。私とカメンツェフ大臣との間で、双方が相互理解の精神のもとで本問題の早期解決に努力したいということでございまして、十月一日から交渉を行っておるところでございます。母川国としてのソ連の立場と海上漁獲国としての我が国の立場との間にはまだ隔たりはあるようでございますが、私といたしましては、我が国北洋サケ・マス漁業の安定継続が図られるよう、最善の努力を尽くしたというぐあいに考えております。ソビエト側の感触にいたしましても、ソビエトといたしましてもこの日ソ漁業協力協定を何とか妥結したいという気持ちがよくわかりました。  そしてまた、日ソ、ソ日の問題につきましても、十月一日の交渉の場で一応この問題も取り上げてやっていこうということでございますので、これらについてもいろいろ話し合いが行われておるものと考えております。
  44. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 ただいま大臣からお答えいたしましたことは、長期化の問題につきましても十月一日からの日ソ漁業協力協定の協議の際にあわせて意見交換を行うという合意ができておるので、そういうことで意見交換が行われていくものと思うということをお答えをした次第でございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 きょうはたくさん問題を抱えておりますので、これ以上深入りいたしません。もちろん、今話し合いを行っている問題ですからね。しかし、いずれにいたしましても、長年にわたって日本の漁民が開発した大事な漁業でありますから、ぜひとも従来と同じように、あるいは従来よりももっと進んだ結果が得られますように、ひとつ政府として今後とも全力を挙げていただきたい、そのことをまず申し上げておきたいと思います。  次に、米の問題と畑作の問題について伺っていきたいと思います。  ことしは韓国米の輸入というような異常な事態を間に挟んで、米問題が非常に大きな要素として政治の中で取り上げられました。その結果、この委員会も集中審議をしたり国会の決議まで行われるというような状態であり、したがって、農林水産大臣に対して国会はかなりたくさんの宿題を前国会で出したのではなかったか、そう思います。つまり、備蓄の問題だとかあるいは減反緩和だとか、その他さまざまな問題について、決議という形で宿題を出していたわけです。したがって、それらの問題がどういうふうに今処理されているのか、そのことを私はきょう伺っていきたいと思います。  その中で、特に、米価が決まる最終段階に他出途米をどうするかといった問題が非常に大きな問題になったのは御承知のとおりでありましたが、加工用の必要量を確保できる見通しはこれはもら心配ないのだと大臣は繰り返し言われたわけで航りますが、ことしの豊作というような状況をも含めて、確保の見通しは十分できたわけですね。
  46. 石川弘

    ○石川説明員 加工原料につきましては、米価決定の際に一つの農業団体との間でお話し合いをしてきた結論があったわけでございます。これを実行いたします段階で農業団体とも再三にわたって話し合いをやったわけでございますが、農業団体は私どもの方に一つの方針をもちまして加工原料の確保についての御意見を持ってこられたわけでございまして、それは既に御承知のように、他用途米あるいは主食買い上げの見返りとしての自助努力、いずれの方法によってでも二十万トンについて確保するというお話でございまして、現在これを各県におろしていらっしゃいます。私どもの聞きましたところ、既に四十数県において県における確保の決定をなさっているわけでございますので、私はこれが実行されることによって加工原料は確保されるものと考えております。
  47. 安井吉典

    安井委員 他用途利用米という仕組みは来年もこのままおやりになるおつもりなのか、それとも形を変えたものにするつもりなのか、その点をお考えを伺いたいわけです。つまり、五十九年産米については主食への転用というようなことも農林水産省としてお決めになっているわけですね。こういうようなことしのやり方をも含めて来年以降はどうなさるのか、それを伺います。
  48. 石川弘

    ○石川説明員 五十九年度におきまして一部について主食転用問題が出ておりますが、これは決定の際にも明らかにいたしましたように、あくまでも五十九年度限りの措置ということでございます。  明年以降の問題でございますが、他用途利用米につきましては、御承知のように国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うという観点に立ちまして、生産者と実需者の自主的な取り組みを前提とした実需に見合った格好で供給するということで、既に第三期対策の中で組み入れたわけでございます。この制度は水田の有効利用あるいは稲作の生産性向上等の寄与など今後の農政展開に当たっても大変重要なものと考えておりますので、私ども六十年産以降につきましてもこれを維持していくという基本方針のもとで現在考えております。  実行の仕方につきましては、今年度の実行段階でいろいろと御意見が出ております。都道府県、市町村、農業団体、いずれの団体におきましてもいろいろ御意見のあるところでございますので、現在これらの御意見を聞きながら調整を行っておりまして、可及的速やかにその処理方針を決めたいと思いますが、基本はこの他用途米の制度を維持して、これをどうやって定着をさせるかという方向で改善を図っていくつもりでございます。
  49. 安井吉典

    安井委員 今の検討を、いつごろ結論をお出しになるのですか。
  50. 石川弘

    ○石川説明員 これは御承知のように全体の需給の問題なりそれから来年の転作問題などとも絡む問題でございますので、極力早目にということでやっておりますが、現在内部検討の段階でございまして、これをさらに関係者と打ち合わせをしたりあるいは財政当局その他と話し合って決めるわけでございますので、極力早い期間に私どもとすれば結論を得て御相談をしたいと思っております。
  51. 安井吉典

    安井委員 後で転作のことも伺いたいわけですが、転作の問題をお決めになるようなときと同じときに結論を出す、そういうふうな意味合いですか。
  52. 石川弘

    ○石川説明員 なるべくそのときを同じゅうして決めるようにしたいと思っております。
  53. 安井吉典

    安井委員 これはこの前もたびたび言ってきたわけでありますが、加工用米の必要な生産さえ確保できれば輸入するようなことは絶対にありませんと、これは国会の決議からしても当然でありますけれども、それをもう一度大臣から御決意を伺います。
  54. 山村新治郎

    山村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、この加工用米、これらを確保できていく場合には輸入などということはしなくて済むわけでございます。絶対にありません。
  55. 安井吉典

    安井委員 ちゃんと伺っておきます。  そこで、もう一つ、加工用ということと関連するのではないかと思うのですが、くず米、特定米穀というのですか、この問題があります。ことしはくず米が非常に少ないのですね。米の質が全体的にいいものですから、余り出ないわけです。そのためにくず米の値段が物すごく上がって、キロ百円、百十円、事によれば二百円近くの価格まで出ているような状況であります。そのくず米がこれまでどういうふうに使われてきて、今後またそのくず米の問題が、足りなくなるとその用途になっている部門からいろいろな注文が出てきやしないかという心配も私は持つわけでありますが、普通の年でくず米生産はどれぐらいあって、どれぐらい需要があって、どういうところに使われてきているのか。それから、ことしのくず米についてはどういうふうな生産の見通しをお持ちなのか、それを伺います。
  56. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘のように豊凶差によりましてくず米の発生量は異なっておりますが、一般的に言われておりますのはおおむね三十万トンから四十万トンの間でくず米の生産が行われている。現に五十八年度で申しますと、特定米穀の販売業者が実需者に販売しました量としましては約三十五万トンと考えられております。行き先でございますが、一つはお米のお菓子、米菓。この三十五万トンを大ざっぱに申しますと、大体九万トン前後のものが米菓にいっておりまして、それからみその方に五万トン弱。それから米穀粉、粉にいたしますものが二万トンちょっと。それからビール原料に回りますのが約七万数千トンぐらいでございます。その他五万四千トンというような数字がございますが、このほかに清酒用というのが六万トンぐらい五十八年度あるわけでございます。  これは先生も今御指摘になりましたように、不足いたしますと価格が大変上がってまいりまして、価格が上がってまいりますと、それなりの用途としてなかなか耐えられなくなりますと、他の、例えばコーンスターチとかそういうものと代替する部分が出てまいっているようでございます。したがいまして、豊凶差がありまして量はある程度上がり下がりをするわけでございますが、過去の経験で申しますと、これを補いますための加工原料としての破砕米の大きさ、これもある程度は動きますが、そう極端に動くわけではないようでございます。したがいまして、今年の場合も、おっしゃいますように大変作がいいのでくず米が少ないのではないかということでございますが、去年以来くず米価格が大変高い水準になってきておりまして、そうなりますと、例えば最も安いものを需要しておりました分野ではその需要が他のでん粉の方に移るということになろうかと思います。私ども、そういうようなことも頭に置きながら、加工米との関係を十分考えていきたいと思っております。
  57. 安井吉典

    安井委員 みそ、しょうゆの原料というので、いわゆる加工用米、他用途米、こういうことで私ども理解していたら、くず米も同じように現実にはそっちにいっているわけですね。だから、今まで政府が言っている加工用米というのとこのくず米というのは連なっている問題ですね。そういうふうに我々理解せざるを得ないわけであります。したがって、どれだけくず米が出るのかわかりませんが、不足な分はでん粉、特にコーンスターチの使い方もあるだろうし、バレイショでん粉もあると思いますし、そちらの方向で処理するとか他の含水炭素で代用するというような方向でいかなければ、くず米をどうしても欲しいということでそれはひとつ輸入をしてくれというような形で問題が出てくるとこれは大変だと思うわけであります。  先ほど大臣は、加工用のものについてはそれが足りないというようなことで輸入なんかしません、こう言われましたけれども、いわゆる他用冷米ということで話題になった加工米については子うかもしれませんが、くず米という一つの部分からまた輸入だなんというような方向にいかないとも限らないという心配が一つあります。これは杞憂だと思いますけれども、こういう問題も含めて先ほどの大臣の御答弁は輸入はしないんだということだと私は理解するわけですが、大臣、その上おりでよろしいですね。
  58. 石川弘

    ○石川説明員 このことはずっと前からこういう関係になっておりまして、要するにくず米だけでは加工原料が足らない部分を普通のお米から破砕をしていくとか、あるいは過去においては輸入したという形で補っているわけでございます。したがいまして、くず米に上から継ぎ足すというとおかしゅうございますが、いわば質の高いものから継ぎ足すのが加工米の世界であり、それから大変高騰した場合に下の方からといいますか、より価格の安いものから継ぎ足されるという場合と、その双方で動いているわけでございます。私どもそういう関係を十分承知の上でこの制度をつくり、運用しているわけでございますから、こういうことを頭に置いた上での大臣の御答弁とお考えいただいて結構でございます。
  59. 安井吉典

    安井委員 大臣、そのとおりですね。
  60. 山村新治郎

    山村国務大臣 今食糧庁長官から御答弁したとおりでございます。    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  61. 安井吉典

    安井委員 次に、いよいよこの前の国会の宿題の問題に入るわけでありますが、持ち時間が少ないのでそう深く入ったお話し合いはできないと思うのですが、まず需給計画が非常に不安定で、そのことがあの米騒動を起こしたということに一言で言えばなるのではないかと私は思います。つまり、その需給計画そのものが、減反がどうだとか備蓄がどうだとか、もちろん豊作、凶作という自然条件がありますね、そういうようなこともつながりますけれども、そういうことになりはしないかと思います。特に潜在生産量という奇妙な言葉で私どもしばしば説明を受けてきているわけで、わかったようなわからぬようなことで問題がいつも推移していくわけです。水田面積だって、つまりどれだけ作付ができるのかという水田面積のつかみ方だって、二期対策のときのあの水田面積が三期対策でもそっくりそのままあの表の上には書いてあるわけですね。そんなに同じ面積が続いているというようなことは考えられない。本地面積と潜在作付面積とは違うんじゃないかというようなことがある。平均単収のとらえ方だって、適当にやったというわけじゃないかもしれませんけれども、まだまだ私どもは検討の余地があると思う。それから需要量のとらえ方にいたしましても、政府が言うように減ってないのですね、現実に。そういうような問題もあるのではないか。そういういろいろな要素から考えれば、潜在生産量そのものが、これが三期対策の基本になっているのですけれども、その基本そのものがぐらついているのじゃないかということから問題があると思います。  その議論をするだけの時間がありません。これは後でまた皆さんもおやりになるだろうと思いますから後の議論に譲りますが、特にことしの場合はまさに肝を冷やすような端境期の需給状況ではなかったかと思います。大臣食糧庁長官もいろいろなことをここで言われておったわけでありますけれども、結局は豊作ということで救われたということでしかないのではないかと思います。そのことによって米の出荷が早まったりして危機を脱したということではないかと思うのです。ただ、私はこの後の問題を考えてみた場合に、ことしのような端境期の需給の綱渡り的な操作、これはどんなことがあってもやめなければいかぬと思います。これは結局は単年度需給均衡で今の食糧管理を進めているということに基本的な原因があるのではないか。今までは単年度需給は古米があったものですから可能だったわけですよ。緩衝地帯がちゃんとあるわけですからね。しかし、古米の在庫はなくなってしまったというこの現在では、やはり単年度ではなしに長期的な、長期というと語弊があるかもしれませんが、少なくとも中期的な需給計画というようなものに変えていかなければならぬのではないか、そうなれば当然備蓄をふやさなければいかぬし、減反の緩和も必要になってくる、こういうことになるのではないかと思います。需給計画の考え方について、私の今の主張にどうお答えいただけますか。
  62. 石川弘

    ○石川説明員 需給を考えます際に、単年度だけで考えるということは不可能でございまして、特に次年度に米を送るわけでございますので、実は五十九年度の政府が決めました米穀の管理に関する基本方針の中でも「豊凶に伴う生産量変動等に対処し、米穀の供給の確保を図るとの考え方の下に適正な在庫水準を保有することとし、」と書きまして、例の「第三期対策においては、各年約四十五万トンの在庫積増しを図ることとする。」ということで、実は五十九年の計画においても三年先まで一応見通しているわけでございます。  私ども過去における豊凶の経験を考えてみますと、一つは作況というようなもので余り変動されない、真ん中と申しますか、比較的順調にいった場合のものを真ん中に置きますけれども、やはり次年度あるいはその次の年ぐらいまでは先行きを見て、豊凶によってある程度生産を動かすという要素がございませんと、実に五%程度の上下を考えましても、これは御承知のように一千万トン規模の生産でございますから、下に五%下がりますのと上に五%上がるのとの間一〇%と申しますと、百万トンの規模でございます。百万トン規模というのは実はなかなか大きな規模でございますので、そういう今先生がまさしく中期とおっしゃったのは、例えば二、三年先を見てでありましても、それでも豊作が二年続いてまいりますと優に百万トン規模を突破するわけでございますので、そういう真ん中基準点に立てて、積み上がってくるときには抑える方向に、あるいは減ってくるときには上げる方向にというような、そういう緩衝地帯を設けたような考え方でなるべく需給の考え方をやっていかなければいけないのではないか。実は過去におきましても、積み上がりました経過は非常に短い期間に一挙に百万トン、数百万トンの規模になっておりますので、私ども今回そういう今後の管理に関する基本計画を考えます際には、そういう過去におきまして非常に早く積み上がった経過なり、あるいは今回のような経過ということを考えましたいわば基本計画というものを考えたいと思っております。
  63. 安井吉典

    安井委員 消費者への安定的な食糧供給という側面ももちろんありますし、それから生産農民の方も毎年減反がふえたり減ったりでは、これも安定的な経営にいかないわけですね。それこそ猫の目農政ということの批判が強まるばかりなわけです。もっとも、去年からことしにかけての異常な状態の中で今までどおりやっていった方がいいという意味で私は申し上げているわけでは決してありませんけれども。ですから、そういうどちらの、消費の側面も生産者の側面も安定的な見通しを得るというのは、やはり中期的な見通しを明確にしていくということ。そして、そこで予定どおりいくわけないですよ、いろいろな条件が入るけれども、これはやはり財政負担でそこのところは柔軟さを図っていくというよりほかにないのではないかと私は思います。財政の要因が綱渡りをさせているわけですけれども、私はむしろ逆に安定的な供給が必要なんだということから財政への要求を強めていく、そういう方向こそ農林水産大臣、これは本当におやりになる問題ではないかと思うのですね。さらにこの問題をひとつお聞かせをいただきたい。  それからもう一つは、これも先ほどから申し上げている宿題でありますけれども、備蓄水準のことは今どういうふうな検討になっておるのか。四十五万トンでは私ども足らぬと思うから、もっと拡大せよということを強く言って、国会決議においても「ゆとりある需給計画のもとに、」私が今、中期的な計画と言ったのは、ゆとりある計画という言葉を国会決議の中にも使っているからです。「不測の事態に備え適正な在庫の積増しを行い、備蓄体制の確立に努めること。」これは国会決議です。それから大臣の談話の中にも「計画的な在庫積増しを行う」こう言われましたね。米審の答申でも「備蓄のあり方については、総合的視点から検討をすすめること。」という注文がついています。これが今どんなふうに進んでいるのかということ。  それから、もう時間がありませんので、続けて減反の緩和の問題です。これも米審の答申を見生すと、「早急に転作等目標面積の規模を見直すこと。」と言っております。それから国会の決議で古「転作面積の緩和については弾力的に対処すること。」と言っています。それから七月二十七日の大臣談話の中でも「転作等目標面積の見直しを行うこととし、」こう明確に書いてあります。  大豊作の見通しで、米の不安解消宣言ということだったそうでありますけれども、大豊作だから転作緩和宣言を考え直すなんということじゃ困りますよ。ひとつ備蓄水準の問題と転作緩和の問題についての今までの検討結果をお話しください。
  64. 山村新治郎

    山村国務大臣 転作につきまして、御存じのとおり、八月十五日が一〇三の作況でございましたが、しかし九月十五日になりますと一〇五ということでございまして、これは今までの米管理から比べますと、かなりゆとりのある米管理ということができると思いますが、しかしこれにしましても、いわゆる農家の皆さんを初め各地方公共団体、たくましい稲づくりということを提唱いたしまして、御協力のたまものであろうと思って感謝しております。  このような状況のもとで転作緩和ということをどのようにしていくか、本年の作柄、これはまたこれで最終ではございませんので、最終の作柄等を見た上で、そしてまた需要動向、これらをさらに十分見きわめた上で、できるだけ早く転作の面積等、これを弾力的に決めていきたい。ゆとりある需給操作を念頭に置いてやってまいります。
  65. 石川弘

    ○石川説明員 備蓄の水準の問題につきましては、今検討中でございますが、少なくともこの前、第三期の中で四十五万トンずつの積み増しということを考えておりまして、これはいろいろの考え方に応じたことでございまして、今回の問題は、そういう水準に計画があったけれども、達するか達しないかという、計画に実行が伴うかどうかという問題が主であったかと思います。  今御指摘の財政動向ということでございますが、やはり備蓄の場合に一番私ども頭にありますのは、備蓄しました米をどのように管理していくかというそこでございまして、これは一歩誤りますと、要するに積み上げ型といって処理不能の米をつくるということになりますので、実は水準を大きくしますとそういう問題に逢着し、結局はかつてのような非常に多い過剰米を積み上げたという苦い経験があるわけでございます。したがいまして、私どもはそういう三期の計画の中でありますものをどうやって実行に近づけるかという観点、それから何と申しましても、過去の経験からいいますと、備蓄します備蓄の方法とか、それをどのように使用をしていくかという、そちらの方に相当重点を置いた考え方をしながら現在詰めておるところでございます。
  66. 安井吉典

    安井委員 今、備蓄の方について、前の言い方は四十五万トンまで達しないような状況だったのでああいう言い方になったんだということになると、もう四十五万トンに達してしまえば新しい検討は要らないというふうにも受け取れるのですが、そうではないのでしょう。全体的に備蓄のあり方について新しく検討し直す、こういうことでしょう。
  67. 石川弘

    ○石川説明員 第三期対策の際は、各年四十五万トンの積み増しを行うということでございまして、四十五万トン水準でとめるということではございません。三期の期間中に四十五万トンずつ積み増しをしていこうというのが計画であったわけでございます。ただ、私今申し上げましたのは、その積み増しの水準とかその大きさのボリュームもさることながら、やはり現実的に検討してまいりますと、その米を一体どのように使っていくのかという計画が相伴いませんと、これは要するに積み上げ型の、使えないと申しますか、主食充当にできぬような米という形になるものでございますから、もちろん三期のときもそれを考えてやったわけでございますが、その操作面についてはさらに慎重な検討をしてやっていく必要があろうか。  それから、水準につきましても、これはプラスの面、マイナスの面双方あるわけでございますので、水準等につきましてもいろいろと考えておりますが、これは先ほど申しましたような財政という観点もさることながら、まず積み上げますことの、要するに凶作に対応してどのように出すかという反面、積み上がってくる段階でこれをどのように使用できるか、その双方を頭に置いて検討しておるところでございます。
  68. 安井吉典

    安井委員 減反の方について、十月十五日のあれでは十月の末か十一月になっちゃいますね、あの結果があらわれて、それで減反面積を決めるということになると。少し遅過ぎやしないかということを私ども心配しています。この間出た作況指数でもう大体大きな変更はないのじゃないかとも思うわけであります。したがって、このあり方についてできるだけ早く結論を出すということを要求しておきます。  さらにまた、どれぐらいの拡大をするのかという点について、十四万ヘクタールぐらいは拡大するという説もあるし、あるいはまた三万ヘクタールぐらいの拡大だなどという説もあります。いろいろな話が飛んでいるわけでありますが、その面積がどうなるかということもいろいろな要素の中からはじかれるのだろうと思うのですがね。それと、そういう中で緩和ができるということになれば、全国の転作面積の大部分北海道がかぶっている、水田面積の半分もかぶっているという実態があるわけですね。そういうような問題をも緩和の際に考慮をするお気持ちがあるのかどうかということ、これもひとつ伺います。
  69. 関谷俊作

    関谷説明員 今お尋ねの中の転作面積の問題下ございますが、確かに作況につきましてはかなり決定的な数字が出ておりますが、まだこういう年にはさらに作況がよくなる結果が出ることも過去にございまして、今月いっぱいについてはかなり慎重に需給問題をいろいろ検討しなければならない、こういうことでございます。  なお、その中で御指摘のございました北海道の問題につきましても、これは従来から土地条件なり米の品質、そういういろいろな問題を勘案して今お尋ねございましたような転作目標面積の配分になっているわけでございますが、いずれにしましても今回面積見直しということになりました場合には、お尋ねのございましたような事情については私ども従来に引き続き十分考慮すべき問題だ、かように考えております。
  70. 安井吉典

    安井委員 畑作の問題に移りたいと思います。時間が大分減ってしまいましたので多くを申し上げられませんが、国会の決議の中でも、国内の自給力を向上するという建前で決議が行われているわけです。国内の自給を中心として足らないものを輸入する、これがあくまで建前ではないかと思います。これは当然ですがね。  そういうことになりますと、米は言うなれば完全自給です。ですから、自給度を高めるということは畑作自給度を高めていくということ、畑作国内生産をふやしていくということ、一口に言ってそういうことにならざるを得ないのですね。その点はどうですか。
  71. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作物関係につきましては、特に北海道のような地域につきましては地域農業の基幹になっておりますし、今回いろいろ価格決定等に登場します大豆てん菜等も含めまして一つの輪作体系を形成しておりますので、いずれにしましても、そういうものの全体の中で地域農業の安定を図っていく、それで国内の農業によって生産可能なものはできる限り国内でつくっていく、こういう国内生産を強化するという意味自給力をできるだけ強めていく、こういう考え方で対処いたしたい、かように考えておりまして、なおその間、輸入により賄うべきものにつきましては従来からの輸入に対する十分な調整につきましては配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  72. 安井吉典

    安井委員 ここにこういう記述がありますね。「畑作地帯では、合理的な輪作体系を定着させることにより、飼料作物のほか、麦類、豆類、てん菜、ばれいしょ等の生産を組み合わせた生産性の高い畑作農業が展開する。草地及び畑作地帯では、農用地をまとまった形で集積することに上り、三十-四十ヘクタールないしそれ以上の大規模な農場的経営が多く生まれる。」これはほかでもない、農政審議会の「八〇年代の農政の基本方向」の一節です。  ところが、現実に畑作農業のあり方は、畑作が一番多いのは北海道でありますけれども、水田の転作が五〇%に近いということは、その分だけ畑へ移っているというわけですから、結局玉突き現象になってしわ寄せば全部畑にいく、計画的な生産なんてどうしようもないじゃないかということになっているわけです。あるいは先ほども話がありましたように、ことしも干害を受けた部分もあってその点は対策が必要なわけでありますが、総体的には豊作です。生産量が増している。ところが、アメリカ等の自由化の要求で輸入枠の拡大が特に雑豆等についてあって、その圧迫がこれまた大きく畑作に響いている。ですから、そのために畑の作物価格がことしは非常に下落しているのですね。例えば豆類だけについても、小豆が一俵二万五千円ぐらいしたのが今もう一方八千円台に落ち込んでいる。菜豆も二万円台のものが一万五千円ぐらいに落ち込んでいる。ですから、これは北海道の試算でありますけれども、五十七年の畑作作付は三十二万ヘクタール、ここで二千八百三十三億円ぐらいの水揚げがあったのですね。ところが五十九年の見通しは、作付は同じ三十二万ヘクタールでありますけれども、二千五百八十二億円ぐらいとしか推定されない。つまり、畑作全体で二百五十億円も水揚げが落ち込む、こういう事態になっているわけです。  ですから、非常にピンク色の長期計画はあっても、現実というのは非常に厳しくあらわれているというところに対して、今畑作三品の価格決定、そういう段階に来ているのだということを私はまず指摘しておきたいわけであります。  細かな具体的な話は後で新村委員の方が取り上げていただくことになっているわけでありますが、私は、その畑作について基本的な問題として、例えば重要な農産物についての生産目標をきちっとして、それをあくまでも確保するというふうな政策、あるいは価格体系も、限界地における費用、価格水準を保証して、作物間の収益の均衡を図る。これは、作物間ででたらめな、でたらめと言ったらしかられるかもしれませんが、とにかく全く違った基礎によって価格が決められてくるものですから、その場その場で作付が動いていく、そういう傾向があるわけですね。だから、収益性の均衡ということも必要なんです。それから、総合的な基盤整備や農地取得資金などの構造改善政策あるいは長期資金の問題、それから畑作は品種の改良が非常におくれています。これらの問題が対策として挙げられなければならぬと思うのですが、一つだけ絞ってお尋ねをしておきたいわけであります。  生産目標を明確にして、国内産と輸入をどれだけするかという総合的な需給計画を立てて、そして国内自給を中心とした、つまり国内生産が落ちないような措置を講じていくということが必要ではないか。そのために立法措置を講ずる、そういうことも大切ではないか。これはガットの国内法措置にも絡んで、そういう具体的な措置を日本政府が持つことになれば、国際的にも認知をしてくれる、理解をしてくれる、そういう道ができるのではないかと私は思うわけでありますが、その点どうですか。
  73. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作農業の場合に、やや具体的に問題を絞りましてお尋ねの問題についてお答えいたします。  特に北海道の場合には、畑作全体の面積が、これは飼料作物作付も含めまして、普通畑面積がこのところ四十二万ヘクタールぐらいと把握しておりますが、これが豆類、てん菜バレイショ、小麦、それに青刈り等のトウモロコシ等の飼料作物関係、こういうものに近年ですと大体均等に配分されているわけでございまして、こういうような一種のバランスある作付状況等から見ますと、こういう地域農業の均衡なり、あるいは個別経営として見ました合理的な土地利用なり、そういう面から見ますと、一つの合理的な輪作体系の維持確立ということが一番基本になろうかと思います。  そういう意味で、私ども北海道畑作農業全体としてこういう状態を、均衡ある状態を維持発展させていくということが基本であろうかと考えておりまして、これを直ちに直接的に、例えば生産を規制するとか面積をコントロールするというようなことをしないでも、全体として作付体系のバランスをとっていくことは可能ではなかろうか、かように考えております。価格面なり輸入面での措置については、こういう状態が何とか維持できるような方法でこれを続けていくというようなことが適当であろうと考えておりまして、お尋ねにございました、直ちに法的措置をとってこういう状態をいわば行政的にひとつコントロールしていくという手段よりも、一種の間接的な誘導、指導方策あるいは価格面、今お尋ねのありましたような技術面での改善、こういうことでもってこの均衡を維持していくということが一番いいのではなかろうか、かように考えております。
  74. 安井吉典

    安井委員 たくさん質問を準備しているのですけれども、もう時間がなくなりましたが、とりわけ価格問題で一番関心が高いのは、大豆について規格外に対する交付金、これを対象から外すのではないかという心配、それからビート価格については七百六十円残っている奨励金を外すという話もある。しかし、これは奨励金といいますけれども、二万一千二十円の本来の価格と加えた、それが全体的なビート価格だというふうにみんな思っているのですから、奨励金というふうな区分けをすること自体がおかしいのではないかと思うのですね。  その二点について、具体的な問題として伺って終わります。
  75. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆の規格外の問題でございますが、これは従来から非常に需要にこたえた、商品性の高い、いい大豆をつくろうということをやっていただいておりまして、そういう意味生産者団体にも特段の御努力を前々からお願いをしているわけでございます。  規格外の状況でございますが、内容的に見ますと、例えば病害虫に起因するものとか、あるいは乾燥調製過程に起因するものとか、それから未熟のもの、こういうふうに栽培面、調製面での努力をかなりいたしますと、改善するものがかなり内容的には割合が高い、こういうような状況もございまして、そういう意味ではやはり品質向上という面からもこの規格外の問題についてはむしろこれからさらに御努力をいただくということで、交付金の問題についてはひとつ検討すべき時期に来たのではなかろうか、こういうようなことを考えておりまして、なおこの点、まだ結論を出したわけではございませんので、さらに具体的に検討をしてまいりたい、かように考えております。
  76. 塚田実

    塚田説明員 てん菜奨励金の取り扱いについてお答えいたします。  御案内のようにてん菜奨励金価格の本体とは別にいたしまして、いわば収益性の大幅な低下や作付面積の激減に対処するものとして昭和四十九年、ちょうど十年ぐらい前に設けられたものであります。その後のてん菜の動向を見てみますと、御案内のように単収なり労働生産性もかなり向上して、それで収益性が大幅に改善されてきております。それから作付面積も御承知のように五十二年産以降大幅に増加をしておりまして、本年産は七万五千ヘクタール程度まで来ているわけであります。事実、もう一部の地域では過作と、層正な輪作が崩れかけているような状況にもなっているわけであります。そういう意味でこのてん革の奨励金の取り扱いはなかなか難しい問題でございますけれども、私どもは、この取り扱いはそのときどきの作付動向なり相対収益性あるいは財政事情等いろいろなこと、それから先生が言われたようなことを含めまして総合的な判断で行うものであるというふうに考えております。  奨励金をめぐる事情は、先ほど申しましたように非常に厳しいものがあります。私どもとしては、本年産についての取り扱いはこうした状況をよく検討して慎重に取り扱いたいというように考えております。
  77. 安井吉典

    安井委員 大臣、今かなり慎重な発言ですけれども、先ほども大臣としての価格についてのお考えがありましたが、やはり畑作そのもりが非常に大きな行き詰まりの中に来ているということを私は申し上げたわけですね。そういうものを頭に置いての価格決定でなければならぬと思います。子の点、最後に伺います。
  78. 山村新治郎

    山村国務大臣 今、両局長から御答弁ございましたが、私といたしましてもこの問題につきましては慎重に取り組んでいかなければならないというぐあいに考えております。
  79. 安井吉典

    安井委員 終わります。
  80. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 細谷昭雄君。
  81. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 最初に、ことしの作況の問題と米政策の見直しについてお伺いしたいと思います。  九月十五日、作況指数一〇五、やや良、こういうように発表になりまして、これは私ども大変喜んでおる次第でございます。この作況指数をもとにしまして五十九年度の地域計画、あらかじめ計画された数量を試算しますと、計画は千百十七万トンでございまして、実績が千百五十七万トンでございます。したがって、実績の千百五十七万トンから計画の千百十七万トンを引きますと、九日十五日現在で計画よりは四十万トン増ということになるわけであります。今、安井委員からの質問に対してもお答えのとおり、この四十万トン程度ということでは、これは六月の農林水産委員会における米の集中論議でこもごも我々から要望いたしましたとおり、しかもそれに対しまして中曽根首相並びに大臣が、ことしの作況を見ながら来年度における減反面積の見直しはやりましょう、こういう力強い約束をされたわけであります。今申し上げましたとおり四十万トン程度の増、十月十五日の最終の状況からしましても恐らくそれより十万トンは出ないだろう、こういうふうに思われますので、依然として政策見直しをする具体的な条件がここで整っておるというように私は思うわけでありまして、まず、約束をしました農政の見直しをする条件がこのように整っておるという観点から、これを見直しする決意をお伺いしたいと思います。
  82. 山村新治郎

    山村国務大臣 当委員会での集中審議の折に総理、私からも、今までの米の需給は余りにも厳しかった、もっとゆとりのあるものにしなければならぬということを申し上げました。今先生申しましたように、今の作況一〇五、また十月十五日どのような作況が出てまいるかわかりませんが、これらを勘案した上で、ゆとりのある需給操作、これを行えるようなことにしてまいりたいと思っております。
  83. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 百一特別国会で、先ほどお話がございましたとおり、衆参本会議でいわゆる満場一致による米決議が上げられたわけでございます。この趣旨を生かすということが望まれるわけであります。先ほど安井委員も触れられたわけでありますが、私は、ことしの作況にかんがみて、政府は米の備蓄法を制定すべきではないかというふうに考えるわけであります。  食管会計によって操作できる、こういうふうにおっしゃられると思うのですが、これは国民の立場からしますと大変不安であります。いわゆる綱渡り的な需給操作によって今まで行われたという観点からしますと、国民食糧を確保するという観点で別個に米備蓄法を当然制定すべきであると私は考えるわけであります。  ちなみに石油につきましては、通商産業省の関係で石油備蓄法というのがございます。これは百五十日分を備蓄するということが政府にとっては義務づけられておるわけでありますが、最も大事な米についてそういう独立した法律がない。大変に不思議でありますし、国民の側からしますと不安でならないわけであります。ぜひ来国会、百二国会に向けて政府は米備蓄法を用意する必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  84. 石川弘

    ○石川説明員 御承知のように、食管法という法律自身が「国民食糧ノ確保」ということを目的に書いてあります法律でございまして、数年前の改正の機会に、古い法律でございますので政府のそういう運用の方針といったようなものが表に出ておりませんで、要するに非常に必要最小限度の条文の法律でございましたので、今先生も御指摘のように、米をどう管理するかという管理の考え方というのを法制事項にした方がいいのではないかということで「米穀ノ管理二関スル基本計画」というものを入れたわけであります。この「米穀ノ管理二関スル基本計画」の中では、例えば五十九年度の案文で申しますと、今先生がおっしゃいました備蓄に関する部分が「五十九年度から始まる水田利用再編第三期対策においては、各年約四十五万トンの在庫積増しを図ること」とありますが、先生の御指摘はこれでは不十分ということかと思いますが、そういう趣旨の条文を織り込みまして、実はいわば主食管理の政府の方針を明文化したということでございます。  例にお引きになりました石油の場合は、御承知のようにこれは完全に外国に頼っておりまして、しかも管理自身が、国が管理するものではございませんで、国の方針を明記したということかと思いますので、この食糧管理法自身が今先生のおっしゃっているような趣旨が織り込まれた法律ではないか。むしろ問題とすれば、こういう計画をつくることをどうやって実行面で確保していくかという方につきましては、今まで長い間過剰問題が大変前面に出ておりましたけれども、たまたま今回のこういう問題を契機に、どのように管理をしていくかということを具体的にやる必要があろうかと思っておりますので、私どももその点は考えておりますが、私どもの立場で申しますと、食管法が先生の御趣旨を踏まえて規定をされているのではないかと思っております。
  85. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 長官のおっしゃることも法制面としてはよくわかりますけれども、これは決議の第四項として、制度化しなさいと明確にされておるわけです。したがって、この点を両院の国民的な要望という点で厳粛に受けとめられまして、我々も研究したいと思いますし、ぜひ政府としましても、不安のないように、いわゆる二重安全装置とでもいいましょうか、そういう法律をひとつできるだけ検討してもらいたい、このことを強く要望したいと思います。  それから第三の問題で、これは私の方の要望になります。  先ほどもお話がございました他用途利用米について、この他用途利用米は、ことしの八月二十五日の最終的な契約で約二十五万五千トンというふうに決まったそうでございます。二十万トンの他用途利用米が必要だということでありますので、五万五千トンについては一般食用米として一応契約転用をするというふうにも聞いておるわけでありますが、問題は、これらの操作その他について、時期がいっなのか、そうしてどういう手法で契約を変更するのか、こういった具体的な問題はもちろんのこと、こういうふうに決めた農業団体と農林水産省とのやりとりについても、まだ正式には我々に何らの説明も報告もされておらない。これは私は極めて国会を軽視しておると言わざるを得ないと思うのですよ。個々の議員の質問については答弁をしておるとおっしゃられるのだろうけれども、我々全体に対しては何らの説明もされておらないと受け取っておるわけであります。こういう問題は私は非常に遺憾であると思いますが、今後こういう問題についてはそういう誤解を受けないような配慮をしてもらいたいということが一つ。  それから、この二十五万五千トンという他用途利用米契約中、五万五千トンを一体いつの時点で、どういう手法で一般食用米に転用するのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。以上です。
  86. 石川弘

    ○石川説明員 他用途米の主食転用に絡む問題につきましては、たしか米価決定後の国会におきまして、安井先生あるいは津川先生からかなり詳しく御質問がございまして、私からお答えした経緯がございます。その後は実はまだ経過中でございまして、八月三十日だと思いますが、農業団体が私どもの方に団体としての意思を持ってまいりました。その持ってまいりました内容から申しますと、要するに二十万トンにつきましては、他用途米か、あるいは主食転用にかわります自助努力米で責任を持って集荷をしよう、そういうものについては各県の段階でどういう方法を選ぶか、地域の実情に応じてやりたい、それから米の性質につきましては、三等の規格を最低限満たすような条件でやりたいということでございますので、私どもはそういう手法についてオーケーをするということを話しまして、その後実は農業団体は現在なお末端に浸透中でございます。私のところに九月二十七日までに報告がありましたものは、四十一県が県段階における方法の決定をした。そういう意味では、まだ全部の決定が終わってないわけでございますが、私どもの方は終わるまでということになりますとこれはなかなか時間がたちますものですから、適宜私どもの方でそういう具体的事務の進め方につきまして農協等と相談をいたしておるところでございます。  考え方は、基本的に生産者団体が最終的に持ってこられました線にのっとりまして、これが円満にできるようにという趣旨でやっておりますので、県別で決定をなさって県段階で一応どういう形で、例えば大変多くの県がなさっているように八割は他用途米で対応し、二割は主食買い上げという方法を決めていただきましてその現実の出荷の計画をしていただきますれば、これは農業団体は十二月三十一日までにやるとおっしゃっておるわけでございますが、そういう方向を決定していただければ、私どもはいつでも対応できるという姿になっております。
  87. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私が要望しましたように、いずれいろいろな他団体、農業団体その他との折衝もあろうかと思うのですが、その都度やはり文書で、もしくは口頭でも結構ですけれども、当委員会、もし委員会が開かれない場合には文書等で逐次報告をしてもらいたいということを強く要望するものでございます。それはいいですね。
  88. 石川弘

    ○石川説明員 事柄が決まりまして御報告できるような態様になったときにさせていただきたいと思います。今回の場合は大変錯綜しておりまして、団体からもなかなか最終的な結論をいただいてない状態でございます。
  89. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ぜひそういうふうに今後配慮してもらいたいということを要望いたします。  次に、八郎潟の中央干拓と大潟村をめぐる諸問題について若干の質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、モデル農村をつくるという建設の目的でこれは二十年間という長い間かかりまして、八百五十二億七千一百万円という巨額の国費をつぎ込んで、一万七千二百七十一ヘクタールという干拓地をつくったわけでございます。これはあくまでも日本の中にいわゆるモデル農村をつくるということでございましたが、一体どういうモデル農村をつくろうと考えておったのか、そして現在おるのか、それを極めて簡潔にお答え願いたいと思います。
  90. 井上喜一

    ○井上説明員 お答えいたします。  大潟村につきましては、国営の八郎潟の干拓事業によって造成されましたおおむね一万六千ヘクタールという中央干拓地におきまして、大型機械の共同利用等によります生産性及び所得水準の高い農業経営から成る模範的な新農村を創設する、今先生がおっしゃいましたようなことを目的として建設されたものでございます。  入植者の具体的な営農規模、営農形態につきましては若干の経緯がございます。昭和四十二年から四十五年にかけまして四次にわたります入植がございました。その後第五次の入植の際にさらに追加配分がございまして、おおむね十五ヘクタールということになったわけでございます。当初は稲作の単一経営ということでございましたが、十五ヘクタールに規模を拡大いたしました後は田畑の複合経営で、おおむね田畑半々の経営をしていただく、こういうぐあいになったわけでございます。(細谷(昭)委員「経緯はわかりますから、端的にどういうモデルだか」と呼ぶ)そういうことで、当初は稲作の単一経営、現在におきましては田畑の複合経営を行う、こういうことに相なっているわけでございます。  このように、各十五ヘクタールの配分面積につきまして具体的な営農形態は、最近のような米の需給事情のもとでございまして、稲作の生産調整をやっているような状況でございますので、大潟村におきましても生産調整をやっていただくということでございます。それにいたしましてもなお経営規模、圃場条件、機械、施設等は、他の県あるいは市町村に比べましても非常にすぐれたものを持っている、このように考えているわけでございまして、現実の経営の中身につきましても相当の成果が上がっている、そのように我々は考えているわけでございます。
  91. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 問題は経過じゃなくて、一体どんなモデルをつくるのかということが私は聞きたいことなわけですよ。  私は、八月十七日に秋田県の社会党の県議の皆さん方、市町村の議員の皆さん方と一緒に実態調査に行ってまいりました。それを踏まえながら若干の質問をしたいと思うのですが、大潟村の現状は、いわゆる田畑複合の模範農家をつくるとか、機械化一貫体系の大型農業をつくるとか、いろいろなモデルケースがあると思うのですよ。どうも局長の話でははっきりしないのですがね。  それで、実情はどうだというと、まず大潟村農協の制度資金の借入状況を見ますと、これは大変なところに来ておるのです。ざっと見ましても、いわゆる貸付限度と大潟村農協が言っております二千万円以上の農家が九十八戸ございます。これは、五百八十八戸でございますので、一七%に達しておるわけであります。一七%以上の皆さん方が貸付限度額以上の金を借りておる。四千万以上というのが九戸もございます。こういうふうな借金の状況が非常に強まっておる。しかもそれは、六月と七月で一%ポイントが上がっているという状況なんです。  それにさらに農地の売却がどんどん進んでおる。例えば担保の問題ですが、一体どのくらいの担保が入っておるのかということを調べましたら、五十二年から五十九年七月まで八十一戸の農家の農地が担保に入っておるわけです。これは全農地の一四%に上ります。これが借金のカタになっておる。これはまさに四千万以上の九戸なんかは、いつ取られるかわからないという状態に追い込まれておるという状況なんです。それから一方では階層化が進んで、三十ヘクタールぐらい実質的に耕しておるところもある。それから、五百八十九戸あったのですが、一戸は御案内のとおり十五ヘクタールの農地を競売にされて挙家離村をしておるという状況であります。     〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕  さらに、過剰作付がどんどんふえておる。五十六年、五十七年は各一戸にすぎなかった過剰作付が、五十八年は十六一尺五十九年、ことしは九十二戸というふうになっておると言われております。実際は八十何戸ということだそうですけれども。このようにどんどん過剰作付がふえておるということ。さらに、周辺農家との対立の問題がございます。大変な問題なんです。近辺七町村の町村会が連名で、大潟村の過剰作付農家に行った農地は直ちに買い戻せ、そうしてそれを周辺農家に配分しろという、そんな強硬な言い方をしております。さらに一方、農事調停に参加する皆さん方がどんどんふえまして、二百九十二名というふうになっております。入植者のまさに過半数を超えております。  こういうふうな状況を見てまいる場合に、なぜ一体こうなっておるのか。今局長がお話しのモデル農村とは縁遠い大変な問題を抱えておるというのが実情でございます。  結論的に言いまして、これは田畑の厳しい総量規制、現在八・六対六・四でございます。この厳しい総量規制というものが、畑作の不振の問題と絡んで意欲があっても自由な経営ができない、創意が生かされない、このことに大きな原因が潜んでいるというふうに私は思うのです。まず、この問題をめぐって農林水産省は困っていると思うのですが、端的にその所感をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  92. 井上喜一

    ○井上説明員 お答えをいたします。  今先生から借入金の状況なり、あるいは農地が担保に入っている状況、あるいは過剰作付等の状況につきましてるる現地の実情のお話があったわけでございます。私どもも全体を把握してはおりませんが、部分的には資料によりまして借入金等につきましては把握をいたしております。  大潟村の現状は稲作をやる方が経営的に非常に有利であるということだと思いますが、ただ先ほどお答え申し上げましたように、現在国は全国的に米の需給均衡対策を実施しているところでございまして、単に大潟村だけではなしに全国農家に御協力をいただいている、そういう状況でございます。したがいまして、大潟村だけを例外的に扱うということはなかなか難しいのではないかと思うわけでございます。  今大潟村の経営の状況を見ますと、個々には差があろうかと思いますが、平均的に見ますと、五十八年の秋田県の調査によりますと二千二百万円程度の粗収入を上げておりまして、直接あるいは間接経費を除きました可処分所得では七百七十万円というような所得の水準のようでございますし、また、これに土地代金の利息等を加えますと一千万円を超えるような所得水準を実現をしているという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、大潟村におきましてもいろんな難しい問題はあろうかと思いますけれども関係者が工夫をして対応すれば経営可能な、他に比べて所得水準のかなり高い農業が実現できる、このように考える次第でございます。  このような観点から、国といたしましても大潟村におきます畑作経営の安定を強力に推進いたしますために、秋田県が行っております例えば排水対策特別事業でありますとか、あるいは土地改良総合整備事業などによりまして客土なんか行って畑作経営を助けております。また、畑作の技術的な経営的な問題につきましては、秋田県が農業試験場の大潟支場におきまして大潟村のための田畑複合経営技術実証試験をあわせて行っているというようなこともございます。また、農業改良普及所には特別に大潟支所を設けまして、大潟の試験場の支場の試験と一体となりまして普及活動を行っておる、こういうような状況でございまして、大潟村におきます大規模機械化一貫体系によります田畑複合経営の確立に努力をしている状況でございます。  農家としてはいろいろな状況があろうかと思いますけれども、こういうような状況でございますので、我々といたしましても大潟村の農家にはこういった意を十分理解していただきまして、田畑複合経営という方向で御努力いただきたい、このように考える次第でございます。
  93. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私も、大潟村の現状はこのまま座視するわけにはいかないと思うわけです。ただ、今局長お話しのとおり大潟村だけを抜いて云云ということが難しい、これは私もそう思います。そこで、大潟村をめぐる現状から大胆に政策転換をしなければいけない、こういう点では恐らく局長も同感だと思うのですよ。  私は一つ提案したいと思うのです。その提案というのは、端的に言いますと秋田県の九月県議会で私どもの仲間の県会議員が提案したことと同じことを私は提起したいと思うのです。まず、現状の水田八・六対六・四を十二・五対二・五とするということ。第二に転作率を二〇%として、二・五ヘクタールの水田は畑作として転作奨励金を支給する対象にする。第三は、残りの畑地二・五ヘクタールは周辺農家、秋田県でもいいのです、この周辺農家の転作面積を受け入れる集団転作地として県の指導によって共補償その他の措置が望ましい地域、こういうふうに考えていったらどうか。これを真剣に、かつ、なるべく早い機会に検討してもらいたいと思っているわけであります。  理由は、私から言うまでもなく、この八月の下旬に第三回目の村長選挙がございました。この村長選挙で、現職とそれに対立するもう一人の方が立候補したわけであります。私は双方にお会いしましていろいろな政策をお聞きしましたら、結局、現在十五町歩として登記されております水田をオール水田として認めてほしいということが第一点、これはこの村の最大公約数である、こういうように言っておりました。この十五町歩の中で転作といいますか、減反には協力しますと双方とも言っているのです。ただ違う点は何かというと、たった一つ、それを実現するために現職の方は農林水産省、県も含めましたいわば行政の話し合いによって解決していくという考え方、片方はそんななまぬるいことではだめなので農事調停という司法の場で決着をつけてもらう、その手法の違いだけなんです。それを踏んまえまして、私は今言ったような三つの提案、中身はこの三つに分かれておりますけれども、これを具体的な提案として全体の来年度の見直しの中で十分検討してもらいたい、こういうように要望するわけでありますが、端的に局長、長々と説明は要りません、やるかやらないか、それだけで結構です。
  94. 井上喜一

    ○井上説明員 水田利用の第三期対策につきましては、その骨格は六十一年度までできているわけでございますが、来年度どのような見直しがされるか、それは我々見直しの経過を見る必要があろうかと思います。また、第三期対策以降におきましてどのような対策が用意されるのか、これもしかるべき時点になりましたら検討されると思います。  大潟村の問題は無論こういった問題の検討と十分関連つけながら検討することは申すまでもないわけでございますが、ただ大潟村につきましては従来の経緯がございます。そういう経緯と離れて議論をするということについても、私も問題があろうかと思うわけでございます。先生の提案、せっかくの提案でございますが、検討させていただきますけれども、やはり大潟村としてもやっていただくべきことはやっていただかないといけないわけでございます。そういう従来の経緯ともども考慮いたしまして検討させていただきたい、このように考える次第でございます。
  95. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大臣、八月七日にも大臣から慎重に詰めていきたいというお話がございましたが、私は、今の提案によって第一にねらっておるところは、村に新しい活力と夢を持たせるということが必要ではないか。それから第二は、周辺農村、地域に溶け込む、地域と一緒にやっていく、連帯する、そういう農村でなければこれはモデル農村とは言えないと思うのです。第三は、当局と入植者間の相互理解、協調、これがどうしても必要だと思うのです。この三つをねらって今言った提案をしておるわけでありますが、局長はどうも消極的な話なんですよ。これは真剣に検討する価値があると思うのですが、ひとつ大臣、どうでしょう。一言で結構です。
  96. 山村新治郎

    山村国務大臣 大潟村のことにつきましては、周辺の市町村との間にいろいろなことがあったのはよく存じております。今言われましたように、夢を持ち、また周りの市町村と溶け込んでいくというような方向でできるだけ我々も指導してまいりたいというぐあいに考えます。
  97. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ぜひひとつお願いしたいと思います。  三番目の問題としまして、私は先日、九月三十日ですが、中海水門を初め弓浜その他の干拓地等、鳥取県の干拓地を視察してまいりました。地元の鳥取県並びに島根県の関係者の皆さん方にいろいろお話を伺ったり、帰ってから農林水産省当局からいろいろな事情をお聞きしたわけでございます。その上で、事業の根本的な見直しを求めろということと、当面はいわゆる中海水門の試行か中止してもらいたい、このことについてお伺いしたいと思うわけであります。  農林水産省は、宍道湖・中海淡水湖化に伴う六管理・生態系変化研究委員会、俗称南委員会というふうに言っておるようでありますが、この中間報告をせんだって公表したわけであります。これによりますと、淡水湖化事業が、直接かかわる島根県、鳥取県両県民の全面淡水化反対の世論とは全く正反対の方向づけをしておるというふうにとられておるわけであります。宍道湖と中海の淡六化計画が両湖の環境に及ぼす重大な悪影響、そのことによって起こる住民生活の環境破壊を心から危惧する人々が両県にかなりおるわけであります。しかも、それは社会党ばかりではありません。自民党も含めて一党派を超えてこの事業というものを根本から見直しを求めるという機運が非常に高まっておるということを直接感じてきました。  そこで第一の質問でありますけれども、まず利は、それを求める第一の理由として、中間報告にあります問題を検討した場合、除塩施設の効果が期待できないということであります。それはなぜかというと、これはA、B、Cの三つの案があるそうでありますが、このA方式というのは岡山県の児島湾湖水湖、いわゆる児島湖と言っております。B方式は熊本県の羊角湾湖水湖、そしてCは宍道湖と中海淡水湖、これが現在やろうとしておるものであります。しかし、AとBはいずれも完全に失敗をしております。このことは、現在もって非常に地元の頭痛の種になっておる。農水省自体も、これは頭痛の種であります。C方式というのはB方式にポンプをつけただけ、こういう方式でありますので、これは完全に有効に作動するかどうかということの不安というものを非常に持っているわけであります。  中間報告は、このC方式が完全に作動しますよという前提によって書かれたものなんです。ですから、この報告でも、この効果は今後の研究課題でありますと、完全に有効に作動した場合を前提として、これからの淡水化というのは水質その他については今後の研究課題であると言っておるほどでありまして、私は、まず熊本県の羊角湖の成功を見てからC方式を取り入れるべきだというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  98. 井上喜一

    ○井上説明員 中海の干拓事業を実施します場合に、その淡水化が水質その他にどのような影響を及ぼすかにつきましては、我々も事業の実施段階からずっと深い関心を払ってきたところでございます。今先生がおっしゃいましたように、いわゆる南委員会という学識経験者によります研究会でいろいろな側面から検討をしていただいたわけでございまして、その結果は、全体的にいいまして、淡水化後も大体今と同じような水質が維持できるのじゃなかろうかと、こういうような結論をいただいているわけでございます。  ただ、今御指摘の水門の操作等につきましては、これからやるわけでございます。これにつきましては、私ども淡水化の試行期間におきまして十分その機能を検証いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  99. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は試行を中止せよというふうに言っておるわけでありまして、試行をやってしまったらこれは何にもなりませんよ。試行をする段階ではございませんよというふうに私は言っているわけです。その点、誤解のないように。  第二は、現状の技術では水質の汚濁、それから富栄養化は防ぎようがないのではないか。植物プランクトンの発生や量の生態系の変化、これについても、余りにも多い学者の指摘がございます。例えば、委員になっておる島根大学の伊達教授も、アオコの発生については重大な警告をしておるわけであります。こういうふうな点からしますと、こういう多くの懸念や不安が解消されておらない現在、我々は余りにも多い水質汚濁の実例を見ておるわけであります。霞ケ浦しかりであります。私どもの八郎潟の承水路しかりであります。アオコの発生、それから八郎潟の場合はそれを使っておる飲料水、男鹿市の皆さん方の上水道の水源になっておりますので、これは今後大変に問題になろうとしております。  このように、現在の技術、現在の理論ではなかなか干拓地における環境問題の解決は難しい、こういうふうに考えられておるわけですが、この解明を何としても待つべきである。試行を始めてだめだったということで逆戻りをする、逆戻りをした段階ではもう既に生態系が変わってしまっているということは十分考えられるわけであります。そういう点で、まず試行を中止すべきであるというふうに考えるわけですが、重ねてお考えを聞きたいと思います。
  100. 井上喜一

    ○井上説明員 淡水化をいたしました場合に水質に与えます影響といたしましては、プラスの面とマイナスの面がございます。プラスの面といたしましては、例えば酸素が湖底にまで届くようになりまして燐の溶出が抑えられるというようなことが言われております。そういうことで、これは全体として評価をしなければいけないことでございますが、南委員会の結論は、まあ現在程度の水質の水準は維持できるのじゃないかということでございます。  ただ、御指摘のようになお不明の点が幾つかございます。これらの点につきましては、今後解明をしていく必要があるのは当然でございますが、アオコの問題等につきましても、我々試行期間中に十分そういった点についての調査をし、研究もしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  101. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 局長はあくまで試行ということの前提に立っておるので、議論はかみ合わない。私は大変遺憾に思うのです。中間報告では、宍道湖七珍と言われておりますヤマトシジミほかあの名産、いわば七つの海産魚介類、これが全滅をするというふうに述べておるわけです。特にヤマトシジミは、全国の種貝の供給の一〇〇%、全国消費量の四〇%が宍道湖で産出をされ、漁業補償によってこの漁業権は放棄されておりますけれども、現実にこれは年々産額が上がっておるという状況でございます。そのために、ヤマトシジミ漁協では、補償金の二億数千万円を農林水産省に返還したい、こういう動きが現実に出ておるのは御案内のとおりであります。  両湖における漁業の収入というのは、現在も三十億円に上っておると言われております。農業用水でこれからつくるであろう、いわば酪農だとか花卉とか蔬菜園芸、これで一体三十億円もうかるのかどうか、極めて疑問だと思うのです。経済効率性の上からしても、現在三十億円得ておる漁獲、こういうものは山陰の風物であり、全国にそういう名産を届けておるという点、こういう点からしまして、私は、どうしても今の水門の試行というのはきっぱり中止すべきである、環境がこれ以上水質汚染しない、生態系に影響がないということを十分見定めてからやるべきだというふうに思うのですが、この点いかがですか。
  102. 井上喜一

    ○井上説明員 淡水化いたします場合に、当然そこにすむ動物が違ってくるわけでございます。したがいまして、お話のように消滅する魚種もございます。しかし、新たにそこに入ってくるような魚も出てくるのじゃないかと思うのでございます。私どもといたしましては、干拓事業に必要な範囲で漁業補償をいたしまして、事業の遂行に当たっているところでございます。  繰り返してお答えするようでございますけれども、この実施につきましては、私ども慎重な検討を経まして、その結果に基づきまして取り進めたい、このように考えているわけでございまして、総合的に見ますと、まずまず水質の方についてはそう大きな変化はないのじゃないか、こういう前提のもとに進めているわけでございます。ただ、御指摘のように、地元にいろいろな意見がございます。これらの意見につきまして十分聞く必要がございますので、私どもといたしましては、この淡水化計画につきまして十分地元の方に説明をいたしております。地元の了解を得た上で淡水化を進めるわけでございますが、それも直ちに淡水化ということはございませんで、淡水化の試行をしながら、その経過の中で異常事態が発生すればその時点でまた検討する、こういうような慎重な態度をとって今後取り進めていきたい、このように考える次第でございます。
  103. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 第四番目に、二十年前に立案した当時と現在では大分農業事情というのは変わってきておる、農政そのものも変わってきておるわけであります。中海の二千ヘクタールのいわゆる農地干拓、これは、実際の配分は現在一〇〇%畑ということで考えられておるわけでありますね。その後、既耕地の斐伊川の右岸、斐川町の二千三百ヘクタールなどが新たな計画として入っておる関係で、当初の必要供給水量八千万トンというふうに規定しておりますけれども、諸般の状況からしまして、どうも住民として当然計画を変更すべきじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。水田が畑になり、しかも既耕地が水が不足だというので後から入っていく、そういう点からしますと、八千万トンの水というのは必要がないのではないかというのが率直な住民の疑問なわけであります。  私は、平田市を含めて中海干拓地の各農地ごとに島根県、鳥取県の双方で提起しております、いわゆる農業用水を必要とする地域につきましては湖中湖、ミニ淡水湖とでもいいましょうか、部分淡水化を図るべきではないか、このように考えるわけであります。こういう点で、今局長のおっしゃるようにあくまでも試行してしまうと、これはどんどんそちらの方に進んでいってしまう。そうじゃなくて、もう一度やはりじっくり考えながらこの部分淡水ができないのかどうか、この点をもう一度検討してもらいたい、こういうように強く要望するものでございますが、いかがですか。
  104. 井上喜一

    ○井上説明員 今の中海・宍道湖の全面閉め切りの案に対しまして、宍道湖なりあるいは中海を部分的に閉め切りまして淡水化して必要な水を供給していく、こういう案があることは十分承知しておりますし、また、それはそれとして一つのメリットを持っていると我々も考えるわけでございます。  ただ、そういう案を検討いたします場合に、私どもといたしましては、一つは工事費、したがいまして地元負担というものを考えざるを得ないわけでございます。そういう負担の問題、あるいは工事をいたします場合の工事の難易性の問題でありますとか、あるいはできました施設を管理する、管理しやすいとかあるいは管理費がかからないというような点も検討する必要があろうかと思います。また、新しく湖をつくるわけでございますので、治水との関係というのは非常に重要になってこようと思います。治水上問題がないのじゃないといけないわけでございます。私どもといたしまして、こういった諸点を検討したわけでございますけれども、なかなかこの湖中湖案というのは、そのメリットはありながらも、現行計画にかわるような案とはなり得ないのではないかというのが現在までの結論でございます。
  105. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これは、金額という点、工事上の技術面、いろいろあると思うのですが、やはり住民がつくってよかったな、こういうものでなければ私は国費を使った値がなーと思うのですよ。私、あの長大な水門に立ちまして、大変なものだなというふうに思いました。しかし、現実にあれだけの国費をかけてだれも喜んでおらない、これは一体どういうことなのか力農林省はメンツの問題もあるでしょうが、あれは進捗率七〇%、あと三〇%あればいいというふうに言われておるのですが、あれをそのままやりたら、山陰のあの風光明媚、そして宍道湖七珍と言われるいろいろな風物、そしてひいては人間の環境、こういうものが、あの長大な国の計画と国費を使ったことによって衰退をしていくのではないかというおそれさえ持っているわけであります。ぜひひとつこの点は慎重の上にも慎重を期してもらいたい。  特に、最後にお聞きしたいのですが、この宍道湖・中海淡水化試行計画の実施に当たりましては、両県と各関係市町村の了解を得ておるのかどうか。二番目には、環境庁の了解を得ておるのか。そして第三段階は建設省、第四段階は運輸省であります。これらの関係機関の十分な了承を得るばかりでなく、これはたくさんの陳情、請願が出ておるわけでありますね。この中海・宍道湖の淡水化工事を中止してもらいたいという陳情、請願、我々も受けておるわけです。こういう人方と十二分に話し合った上でなければ試行をすべきではない、私はこういうふうに考えるわけでありますが、これは局長とそれから大臣の基本的な考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。  これで終わりたいと思います。
  106. 井上喜一

    ○井上説明員 こういう問題につきましては非常に重要な問題と考えておりますので、私ども、地元の関係機関あるいは関係中央官庁におきましても関係機関と十分協議の上、それらの了解のもとに慎重に取り進めてまいるというのが基本的な我我の考えでございます。
  107. 山村新治郎

    山村国務大臣 淡水化試行につきまして、鳥取県、島根県また関係省庁、これらの了解を得ながらひとつ慎重に対処してまいりたいと思っております。
  108. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 じゃ、終わります。
  109. 阿部文男

    阿部委員長 上西和郎君。
  110. 上西和郎

    ○上西委員 私は、本日の質問のまず冒頭に、つい先般、大変悪化といいましょうか、冷却化しておりました日ソ間の問題を打開し、日ソ漁業協定などの前進のために勇気を持ってソビエトを訪問され、大きな成果を上げてこられた山村新治郎農林水産大臣の行動を心から評価をしますと同時に、大変御苦労でしたとおねぎらいを申し上げ、あわせまして大臣から、この訪問、交渉を通じて得た感触なり今後の見通し、そうしたことについて、日本の漁業、大きくは水産業全体に及ぼすこと大変大きいと思いますので、まずそのことについて所信なり見解の御表明をいただきたいと思います。
  111. 山村新治郎

    山村国務大臣 私、カメンツェフ漁業大臣に招待を受けまして、九月十六日から二十三日まで訪ソをいたしました。そして九月十七日と二十二日、二回にわたりまして同大臣との間で、我が国北洋漁業の安定を図る観点から、日ソ漁業協力協定交渉の円満な解決と、双方が関心のある事項につき協議を行ったものでございます。  会談では、率直かつ忌憚のない意見交換の結果、日ソ漁業関係がおおむね順調に推移し、今後ともこれを発展させていく方向で努力すべきであるということについて意見の一致が見られました。さらに、今回の会談を通じまして、カメンツェフ漁業大臣との個人的友情と申しますか、友好関係が培われたことは、大きな成果だったというぐあいに思っております。  また、個別の問題につきましても、懸案の日ソ漁業協力協定交渉については、双方が相互理解の精神のもとで早期解決に努力する、そしてまた、日ソ、ソ日漁業協定の長期化問題については、日ソ漁業協力協定交渉の際に予備的協議を行うという点で合意が見られるなど、私は有意義であったというぐあいに考えております。  私としては、今般の訪ソ、これによりまして所期の目的を十分達したものと考えておりますが、なお、カメンツェフ漁業大臣に対しまして訪日要請をいたしましたところ、同大臣はこれに快く応じ、その時期等につきましては、外交ルートを通じてまた決めていきたいというぐあいに考えております。
  112. 上西和郎

    ○上西委員 大変御苦労さまでした。どうか、大臣のせっかく得られました成果が、今後の我が国の漁業の発展なり、水産業の発展に役立つことを祈念をして、話題を一転し、私はただいまから、私の選挙区でもありますが、鹿児島県の畑作の基幹作目でありますでん粉用サツマイモ、我々は唐芋と言っているのでありますが、このサツマイモの問題について少しくきめ細かな御質問を申し上げていきたい、このように考えます。  まず第一点は、私も農村地帯に住んでいるのでありますが、三十年前後のころは、例えて言えげサツマイモ一俵が六百円しておった。そのころ子のでん粉工場で雇われる女性の労働者の日当、賃金は二百円だった、一日分ですね。いわばそれぐらいの高値でサツマイモが売り買いされて、鹿児島県の農家経済を大変支えたのであります。  ところが昨今の価格等は、十二分に皆様御承知と思いますが、少なくとも農家の方々の生産意欲を堅持する、そして、かつ農家の皆さん方の経済を支え得る、生産費を上回る価格が現実、補償されていないのではないか。こうなりますと、鹿児島県の場合、特にサツマイモというのは台風常襲地帯で最も強く、今さら青木昆陽の故事をひもとくまでもなく、鹿児島県の農業を支えている主要な基幹作目でありますから、これの価格決定については重要な関心がある。生産農家だけではなく、でん粉業界だけではなく、鹿児島県の経済界挙げての関心事である、こう言っても過言ではないと思います。  したがいまして、ぼつぼつこの価格決定の時期に差しかかっておりますが、このサツマイモの価格、これはもちろん北海道バレイショとも関連するわけでありますが、でん粉用のサツマイモ、この価格問題について、大臣はどのような基本的なお考えをお持ちで対処されようとしておるか、まず、このことについて見解を承りたいと思います。
  113. 山村新治郎

    山村国務大臣 カンショ生産者価格につきましては、四十九年から原料基準価格に加えて取引指導価格が設けられた価格決定方式となっており、その水準カンショ生産費を十分償うものというぐあいになっております。  この取引指導価格決定当たりまして、一つとして、トウモロコシの関税割り当て制度運用による国内産でん粉の消化状況、二として、他の畑作物価格決定とのバランス、三として、現下の厳しい財政事情、需給事情等々、総合的に勘案して決定してまいりたいというぐあいに考えております。
  114. 上西和郎

    ○上西委員 その基本的なお考え、それなりにわかるのです。私がずばりお尋ねしたいのは、生産費を下回っているじゃありませんか、現実。これについて具体的に、農水省は将来のサツマイモのいわゆる生産を含めて、どのような方針でこの問題に対処されようとしているのか、その点についてお承りしたいと思うのです。
  115. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  まず生産費の問題について申し上げたいと思いますが、ただいま大臣が申し上げましたとおり、取引指導価格、これが実は農家手取り価格になるわけですが、それと生産費と比べて一体どうか、こういうことでございます。  私ども調査によりますと、一俵当たり、これは三十七・五キロで言うわけですが、計算しまして、農家手取り価格は五十七年で千三百六十円ということになっております。それで、生産費の方で申しますと、これは千二百二十七円ということで、したがって、手取り価格の方が一割、一一〇・八%ということ、五十六年は一〇七・九%、こういうふうになっておるわけであります。  そこで、基本的な考え方として、今大臣も申し上げましたとおり、私ども、近く決定するわけでございますけれども法律によりまして、まず私どもは、原料基準価格に加えて取引カンショ価格が設けられておるわけでございますけれども、パリティの指数の動向、それから生産性向上、その他の経済事情総合的に判断して、慎重に決めていきたいというふうに考えておるわけであります。今後、いろいろな要素を総合的に勘案してまいりたい、このように考えております。
  116. 上西和郎

    ○上西委員 局長のお答えはそれなりに現行の制度の中ですからやむを得ないと思いますが、問題は農家の置かれている実態なんです。正直言って、米だって思うように上がらない、サツマイモも価格がどうなのかわからない、そういう中でほかのものは待ったなしでしょう。例えば農業者年金の保険料、どうですか、国民年金を含めて毎年ウナギ登りだ。国民健康保険税、ことしぐっと上がったでしょう。待ったなしでしょう。農家の皆さんは収入が伸びないからあなた方は国民健康保険税、減免しましょう、ないでしょう。そうした諸税公課を含め、ほかのものの物価を含めてぐんぐん上がっていっている。  片一方では、確かに数字を細かくおっしゃれば何かカバーしているようですけれども農家の実感として、サツマイモの値段はとてもじゃないが、生産費をカバーしていない。幸い、マルチ農法その他で若干の増収がありますから、辛うじてカバーしているというのが実情じゃないでしょうか。鹿児島県でサツマイモがつぶれたら、農業は破壊しますよ。そうした観点から、やはり生産農家に意欲を与える、私は期待感とまでは言いません、少なくとも、そういう考えを農水省は持っているのか、安堵感を与えるようなお答えはいただけないものでしょうか。
  117. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  まず私ども、芋でん粉北海道バレイショも含めますけれどもでん粉につきましての一番の問題は、関税割り当て制度運用というかたい言葉になりますが、まず、そのでん粉需要でございますけれども、その需要をどうやって確保するか。それで海外のものと切り離して、言ってみれば国産を優先して、それで需要を国内産でできるだけ満たしていく、こういうことで関税割り当て制度をやっておるわけでございますけれども、そのようにして生産されたものを必ず使えるよう値するということがまず先決だろうということに――それは農家経済の安定ということも絶対必要でございます。そこで、私ども制度運用といたしましては、そういうことを確実にしながら、なおかつその生産費を十分念頭に置いて、それでパリティも動くわけですから、そういうことも念頭に置いて、それから先生の今御指摘の点も踏まえて、これならばあれだというような水準に持っていくべく、また現在も検討しているところでございまして、確かに農家の方から御不満あろうと思いますけれども、全体の条件が非常に厳しいものですから、私どもは今申し上げたような諸点をいろいろ総合的に勘案して慎重に決めていきたい、このように思っております。
  118. 上西和郎

    ○上西委員 一応わかりました。  では次に、農水省の指導でこれ以上サツマイモをつくるな、作付面積をふやすな、こういうことが行われているようでありますが、これらについてはどのような見解で、将来どう対応されようとしているのか。とりわけ、ローカルではありますが、日本の農業全体から見たら極めて微々たるものかもしれませんが、鹿児島県にとっては欠かすことのできないサツマイモの生産について、そうした作付面積の制限等をなさっている真意、将来的な展望、こういうことについて見解を明らかにしていただきたいと思います。
  119. 塚田実

    塚田説明員 御説明いたします。  まず、御案内かと思いますけれどもカンショ及びバレイショは南九州及び北海道等の畑作地帯における基幹作物である、私どもそのように認識しております。その主要用途となっております芋でん粉の消化に当たっては、先ほどもお答え申しましたけれども関税割り当て制度運用によってその需要の確保と価格の安定に努めているわけであります。  しかし、最近のでん粉需要の動向と申しますと、異性化糖需要もほぼ一巡して頭打ちになっております。それから、でん粉の新規需要も当面期待できないということから、需要は頭打ちになっておるわけであります。さらに、このような状況のもとで、極めて割高な国産でん粉と抱き合わせたコーンスターチのミックス価格と、それから二次税率によるコーンスターチ価格が極めて接近してきている。具体的に申し上げますと一国産の芋でん粉トン当たり十八万円、それからコーンスターチトン当たり八万円、それを一対上で私どもミックスするわけですが、これが九万五千円、すると二次税率で入ってこようとするものは、二次税率はキロ十五円で四〇%関税に相当しますが、九万六千円、わずか千円の差になってぐるわけです。そういう非常に接近しておるから、この制度運用が非常に厳しい状況にあるわけであります。  そこで、芋でん粉生産をこのままやっていきますとどういうことが起こるかと言えば、二つの選択の余地がある。二次税率を上げるかどうか、しかしながらこれはもうこの間の日米交渉、最行の価格交渉で四〇%と既に非常に高いわけですから、四〇を五〇、六〇とはいかない。それで他方、国産の原料の価格を下げるかということ、このどちらかの選択になるわけでございますが、子ういう厳しい状況に置かれておりましたので、和どもとしては適正な生産が行われるよう関係方面にお願いしてきているところであります。  私ども先般の日米交渉でも、私も担当しましたけれども、この問題はアメリカは、国産優先ということでアメリカのローカルコンテント法案みかいなものじゃないか、日本は反対していて自分ではやることはやっているじゃないか、こういうようなことでいろいろ厳しい交渉が行われましたけれども、せっかく交渉を乗り切って制度を確保したわけでございますので、私どもこの制度を大事にしていきたいということで、原料用芋の計画的な生産が行われますようにこれを今回改めて、ことしの四月二十三日でございますけれども、農蚕園芸局長と私の連名で御協力をお願いしている、こういうことでございます。
  120. 上西和郎

    ○上西委員 経過といきさつはわかりました。  私が非常に心配しておりますのは、実は私は電力の出身で、昭和二十五年に入社したのでありますが、当時は、大げさに言えば一つの町に五十や百、でん粉工場があったと言ってよいでしょう。もう六カ月でとまりますから、我々はしょっちゅう季節電力計算というのをやらされました。それででん粉工場が休止だ。そうしておりますと、私が住んでおります大隅半島の一番大きな都市、人口七万五千ですけれども、ここだって五つないわけです。極端なことを言うとでん粉工場の数が片手に入ってしまうのです。もう軒並みに、いい意味で言えば統合整理をされたと言ってよいでしょう。しかし、今御指摘のようなことで、でん粉需要動向その他からいって、仮に鹿児島県ででん粉業が行き詰まってオシャカになったら、もう生産農家も大打撃ですよ。  したがいまして、そうした観点から私ちょっと具体的にお尋ねしたいのですが、一時期、でん粉の汚水、悪臭、私たち近隣に住む者にとっては懐しい感じもしてならないのですが、改めておいでになる方にとってはたまらない、こういうことから、悪臭対策それから汚水排水対策ということで、田んぼを埋め立ててため池をつくらせて巨額の出費を業界に負担をさせる、こういうことが続きました。そういったことの推移ども含めて、今後でん粉業界は一体どうなるのか、またどうしていこうとされているのか、そういうことについて少しく見解を承りたいと思うのです。
  121. 塚田実

    塚田説明員 先生御承知のことを繰り返すのはどうかと思いますが、経緯を多少申し上げますと、まず国産でん粉工場に対する水質汚濁防止法、これは昭和四十六年六月二十四日に施行されたものでございますけれども、これに基づくBOD等の排出規制と申しますのは、当時国産でん粉工場の排水処理が極めて難しい状態にありましたので、一律基準適用への準備期間としての暫定値とかあるいは暫定期間が設けられ、その間にその排水処理施設の整備を図ったわけであります。  その結果、バレイショでん粉については昭和五十四年六月以降、カンショでん粉については五十六年六月以降、一律基準の適用移行となりまして、現在では一律基準内での処理が達成できる状況になっております。国の予算措置、あるいは地元の皆さん方の御努力によってここまでに持ってきた。  さあそうしますと、現在の問題は、今度は窒素と燐に移ってきております。これに係る排出基準の設定について今検討されているわけでございますけれども農林水産省としては、国産でん粉の製造業の操業に支障を来しては困りますので、これは所管が環境庁でございますが、現在の基準ではなかなかやっていけないものもあろうかと思いますので、暫定基準を設けるなどしてそういうことができないかどうか、そういうことで環境庁と十分協議しているところでございます。ぜひそういうことをやっていきたいと考えております。
  122. 上西和郎

    ○上西委員 局長、それはそれでわかるのです。私もきょうはこの問題であなた方と丁々発止とやり合うのではなくて、やはりローカルであっても、サツマイモを含む鹿児島県の農業のことを思うときに、今お話のあったこととあわせまして、将来のでん粉業の指導といいますか育成、そうしたことに関してはどういう方針をお持ちなんでしょうかということについて、局長ちょっとお答えいただけませんか。
  123. 塚田実

    塚田説明員 今申し上げましたことはでん粉工場に対するあれでございますが、私どもの基本的な認識としては、でん粉工場がうまくいかなければ芋を生産する農家生産がうまくいかないわけでございます。そういう意味で、芋の生産農家と工場とが裏腹の関係にあるというふうにまず認識しております。  そこで、これからの問題といたしましては、先ほどから繰り返しますけれども、できればでん粉需要を開拓して新しいものがあればいいのですが、でん粉需要生産がうまくいくようにやっていかなければいけない。外国産のものと直接競合にさらされるようなことのないようにしなければいけない。ですから、生産面では計画的な生産と、それから需要の競合する面では国産をまず優先して考えていく、そういうことによって安定したでん粉の世界をつくり上げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  124. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  芋のことについて最後に、これは要望を含めてでありますが、今お話しのように、とてもじゃないがコストでは外国産に太刀打ちできぬ、こういうことで一、七の混合販売等をされている。よくわかるのです。しかし、再三申し上げているように、サツマイモにとってでん粉というのは絶対のものでありますから、そうした意味合いで国内でん粉の優先消化、そのための今のような混合販売、しかしその自由化は絶対阻止をする。  とりわけ、私、自分の選挙区だからローカル的に申し上げるわけじゃありませんけれども北海道バレイショでん粉に比べますとサツマイモでん粉は非常に用途が狭いと私は理解しております。私は化学屋じゃないので、それはどういうことかはよくわかりませんが、少なくとも用途を調べる限りバレイショでん粉の方がはるかに広い。サツマイモのでん粉は水あめその他、非常に狭まれている用途しかない。こういうハンディがあるやに理解されますので、こうしたことについて自由化は絶対やらぬ、ぎりぎりのところまで比率を高めてでも今の販売制度を堅持していただきたい。そのことがひいてはでん粉を、さらにはサツマイモ、バレイショ生産を守っていくことになるのじゃないか、こう考えますので、御要望を申し上げ、もし何かありましたら御見解をいただければありがたいと思います。
  125. 塚田実

    塚田説明員 私ども運用が非常に難しいわけでありますけれども、せっかくの関税割り当て制度、これは大事な制度でございますので、これはぜひ堅持して、その適正な運用に努めていきたいと考えておりますが、自由化問題、これは非常に重要な問題であります。アメリカがねらっているのはまさにこれでございまして、厳しい交渉が行われたわけでございます。  カンショは先ほど申し上げましたように九州の農業で不可欠の極めて重要な作物であります。国産でん粉にとってもブドウ糖というのはまた重要な需要先となっておるし、このブドウ糖についても外国からの要求が非常に強いわけでございますけれども、そういうような事情から見て、我が国に比べてはるかに安価なでん粉やブドウ糖が自由に入ってくるということになりますれば、芋でん粉の主産地である南九州の畑作農家にも重大な影響を及ぼすというふうに考えております。そういうわけで、これまでもそうでしたけれども、これからの交渉に当たっても、自由化はできないということで、今後とも現行制度の継続に努めてまいりたい、こういうように考えております。
  126. 上西和郎

    ○上西委員 ただいま大臣並びに局長からお答えいただいたことが今後の農水省の方針として生かされ、ローカル的なものかもしれませんが、少なくとも鹿児島県のサツマイモを生産している農家に、でん粉業界に政治の光が当たっていくような方向でぜひ御努力いただくことをお願いをし、引き続き、鹿児島県並びに沖縄県にしかないと言ってよいサトウキビの問題について少しく御質問させていただきたいと思うのです。  まず冒頭、大臣から、このサトウキビの価格引き上げ、同じことが言えるのであります。生産費を下回っているではないか、とりわけ台風常襲地帯でございますから、ことしはまだ一度も来ないということでマスコミが非常に奇異な現象だと主で言っておりますが、台風銀座の三丁目というのは決して沖縄、鹿児島から東京に移っておりません。台風常襲地帯であることは変わらない。そういう極めて厳しい環境の中でそれに耐え抜く作物は、鹿児島県で言えばサツマイモとサトウキビ、沖縄に行きましてもサトウキビが主になってしまう。種子島でもサトウキビとサツマイモを除いてはということになってしまうのでありますが、現実に生産費を下回っているではないかと肌に感じている生産農家の気持ちに対し、今後の価格決定に当たってはどういう方針で臨まれようとするのか、まず見解を承りたいと思います。
  127. 山村新治郎

    山村国務大臣 サトウキビの生産者価格につきまして、農林水産省として原則的な算出方法、これはパリティ指数に基づき算出される価格基準といたしまして、物価その他の経済事情等を参酌して決定することとしております。その際に、他の畑作物価格決定とのバランス、また現下の厳しい財政事情、需給事情等をも総合的に勘案して適正に決定してまいりたいというぐあいに考えます。
  128. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  ただ、ここで念を押しておきたいのは、物価指数ということを、私は正直言って昭和二十八年から種子島、屋久島には年々参っておりますから痛いほどわかるのは、物価政府の統計で出てきているようなものだけではなくて、現実に肌に感じる物価の高さというのがあるのです。台風警報が発せられたら途端に、極端なことを言うと生鮮食料品がばんと上がるのですね。これはどうしようもないわけです、入ってこなくなるわけですから。一般の統計調査のときにはそうしたことはなかなか出てこぬわけです。  そうしたことから、肌に感じている地域住民、生産農家の目から見れば、作文と言っては大変失礼かもしれませんが、鋭意皆さんが努力なさったものであっても、果たして実態とかみ合うかどうか。実感として生産費を下回っているではないか、こういうことになります。そうしたことがひいては生産意欲の減退、農家の皆さん方が農業離れをしていく、これはやはり危険なことでございますので、そうした大所高所からの配慮を含めて価格決定に当たっていただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。  次に、作付面積の制限をされていますね。実は私、先月の一日から五日ほど種子島を回りました。そのときに、直接ではありません、間接的にある場所でこういう話を聞いたのです。  農林水産省の高官という表現でした。種子島においでになった高官という方が、どういう方か私は名前も何もわざとお聞きしなかったのですが、その方がお見えになって、ある首長さんとしておきましょう、町名その他伏せておいた方が無難だと思いますから。そこでお茶を飲んだのか食事をされたのか知りませんが、その場所で、もうとてもじゃない、サトウキビもへずつてもらわなければ困る、こうおっしゃったら、その首長さん、烈火のごとく怒って、たばこはつくるな芋はへずれ、その上にサトウキビまでやめろとは一体種子島の農家に死ねということかということで、大変な一場面が現出した。  おっしゃった方は、私常々申し上げますように日本国家を支えている国家公務員の皆さん、日本農業の前途を極めて憂え、鋭意努力されている農林水産省の方でありますから、決して他意があったとは思いません。しかしその発言は、種子島で鋭意農業に携わっている方あるいはその農業の実態を見て何とかしようとやっている首長さん方にとっては、大変などぎつい発言だったのではないでしょうか。烈火のごとく怒ったという首長さんの気持ちが私は痛いほどわかるのです。そうした立場で言いますと、作付面積を一体どうしてこれからへずつていくのか。  さらに、それに関連をして、六十三年度の目標設定がほぼ行われましたね。それを私、きのうちょっと手に入れて見ましたら、故意か偶然か、作付てん菜もサトウキビの方も、目標生産費のところの収穫面積やヘクタール当たり収量、こういうところが空白のまま、歩どまり率などは極めて厳しいものが設定されている。  こうしたことについて、私、心ある方々から電話その他で意見をいただきましたら、この歩どまり率はとてもじゃないが到達不可能だ、ただでさえ種子島と奄美大島でもハンディがある、沖縄に至ってはさらにハンディが出てくる。そうした中で、幾ら目標とはいいながら、このような厳しい歩どまり率を出されて、片や作付面積その他も全く白紙と言ってよいこの目標のつくり方はどうしても合点がいかぬ。まずこの計画自体に対する不信感、さらには大変厳しい到達不能の目標を掲げていること、これは裏を返して言葉を厳しく言えば、行革路線の中でこれ以上糖価安定のために金は出せぬ、現在の予算ぎりぎりでいくならば、逆に割りましてこれだけの歩どまりでなければだめだ、こういうことを生産農家や製造業者に強制しているのではないか。私はそこまで思いたくありませんけれども、こういう声が出てくるのもやんぬるかなと言っていいのではないでしょうか。  そうした意味合いで、作付面積の制限といいますか減反、それに関連をして今の目標設定の内容、検討の経過、こうしたことについて少しく見解を承りたいと思います。
  129. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  まず、この問題について幾つかの点で御指摘ございますけれども、私、第一に申し上げたいことは、先ほども申しましたような通達は、作付制限ではなくて、計画的な生産をお願いしたい、北海道のようなところでは輪作体系を守っていただきたい、今、二年輪作、あそこは四年、五年輪作でございますから、それが崩れてき始めておりますので、適正な輪作をお願いしたい、そういう趣旨でございます。それを一言申し上げておきたいと思います。  そこで、六十三年の生産目標について今お話がありました。私、率直に申し上げまして、この砂糖の世界は、国産糖の製糖業者も、砂糖をつくる農家も、輸入してきて精製糖をつくる精糖業者も、ユーザー、お菓子屋さんも、みんな同じ糖価安定制度という制度の中の船に乗っているのだろうと私は思っておりますけれども、それで、それぞれの皆さんが、御不満があっても我慢していただかないとこれは困る。お菓子屋さんに言わせれば、外国の砂糖の何倍もする砂糖を原料として使って、それでもなおかつ競争にさらされるのは非常に遺憾だという話もあります。それから、精製糖業界からすれば、国産糖の保護のために何百億もの金を私ども負担して、それでやっているのです、しかしながら、役所からは合理化しろ合理化しろ、合理化目標も精製糖業界、出しておるわけでございますが、そうして、中で、てん菜糖をつくる工場も、それから甘庶糖をつくる工場も、製造経費等については今後努力していっていただきたい、私ども、このように考えているわけでございまして、そういうことで、甘味資源審議会でもその合理化の目標を御議論していただいた、こういうわけでございます。  ですから、それは六十三年目標で、年々事情が変わっていきますから、それは物価修正したり、修正すべきときは訂正するわけでございますけれども、目標というのは持っている必要がありますので、そのようにしているわけであります。その辺、ひとつ御理解していただければと、このように考えているわけでございます。
  130. 上西和郎

    ○上西委員 再三申し上げますように、皆さん方は極めて優秀で、極めて熱心にお仕事をなさっていますから、出されている資料あるいは計画等にいささかも遺漏はないと私は思っているのです。ただ、問題は、この資料を見せられた、目標を示された生産農家なり、今局長がおっしゃった同じ船の上の方々が見ていきますと、素人が見たってわかるわけでしょう。耕作反別は空白だ、単収も明示されていない、それでいて歩どまりだけはと、こうなっていきますと、一体何を根拠に、これから先、生産農家に、製造業者に何を要求してくるのかという不安が出てこないというのはうそじゃないでしょうか。  現実に、先祖伝来種子島なら種子島、奄美なら奄美にお住まいになって、台風常襲地帯で、これしかないという基幹作物は、その大きな柱はサトウキビだ。例えば種子島だけで言えば、農家の粗収入の四割以上がサトウキビでございます。そうしたものをつくっている方々にとって、ここが空白になっておるが一体どうなるのだろうか、そういう不安を持たせているではありませんか、私はあえてそう言いたいのです。  だからそのことについて、今おっしゃったことは私はそれなりにわかるのですけれども、ここが空白になっている、では、この前の目標をつくるとき、五十八年度ですね、五年に一回だそうですが、そのときにはここは空白だったのですかと突っ込んでお尋ねしたいのです。仮に、今度初めて空白にされたのなら、それなりの理由がおありたんだ、それが御説明できるならば御説明いただきたいし、差し支えなければ審議会の討議の経過などについてもこの場で明らかにしていただきたい、こういうことなんです。
  131. 関谷俊作

    関谷説明員 これは、ただいま審議会の経過等のお話もございましたが、国内産糖の目標生産費を設定しますときに、サトウキビの生産見通しを前提とするわけでありまして、その場合に、操業量の基礎になります原料生産量の見通しがやはり直接必要な資料だということで、ことし、今回の審議会でも、六十三年を目標とした原料生産量について諮問しまして、答申を受けて、二百六十五万七千トンとしております。  この目標生産量、これは面積そのものは明らかにしておりませんが、結局どういう考え方で決めたかと申しますと、最近の鹿児島県、沖縄県の生産実績を基礎にしまして、これからの基盤整備、栽培技術の改善なり優良品種の普及、こういうことによる生産性向上も勘案して推計したものでございまして、あくまでも目標生産費を算定する上での基礎数値ということでございます。  ちなみに前回との対比で申し上げますと、前回五十八年目標の場合には原料生産量は三百二万九千トンとしておりました。三百二万九千トンでございますが、実際は二百四十五万七千トンということで、かなり乖離が見られた、こういうこともございまして、今回生産費を設定する場合にできるだけ達成可能な目標を立てるということで、今申し上げましたような生産面なり技術水準面なり、そういう面での配慮を払いまして慎重に検討して決定した、こういう経緯でございます。
  132. 上西和郎

    ○上西委員 ただ私、最後にこの目標について念を押しておきたいのは、歩どまり率は達成不可能ではないかという極めて素朴な声があるのです。ですから、目標は目標としてお決めになった、これはやむを得ぬと思います。しかし目標を幾ら設定されても、現地の生産農家なり製造業者の方々は、到底達成不能の歩どまり率だ、こういう声があり、私のところにはまだまだ全部の数は寄せておりませんけれども、寄せられた声の圧倒的部分は、できたら達成可能な目標に修正してほしい、こういう強い声があることもこの場で申し添え、今後の検討課題にしていただきたいとお願いしておきます。  引き続きまして、サトウキビの労働は極めて過酷なものがあります。とりわけその中でも脱葉、葉を落とす、これが大変なことで、正直言って、同じ鹿児島県の作目でも、サツマイモの場合に比べますと大変な労働、重労働と言ってもいいでしょう。そうした中で必要なのは機械化であります。ところが圃場整備が基盤整備を含めてなかなか進まぬ。そういった現状にありますが、今後圃場整備を含めて基盤整備の促進、あるいは現実に機械化のために今行われております国庫補助、こうしたことについての今後の維持といいますか、こうしたことについてはどのようなお考えなのか、ぜひお示しいただきたいと思います。
  133. 関谷俊作

    関谷説明員 お尋ねございましたように、サトウキビの中で収穫作業が労働時間の過半を占めておりまして、私どもの持っております五十七年の生産費でも、鹿児島の場合で十アール当たり百十八・九時間のうち収穫が実に七十八・三時間、ちょうど三分の二ぐらいを占めております。  したがいまして、これはやはり機械化ということを進めるわけでございますが、その場合にあくまでも地域の実情、今お尋ねのございましたような土地の状況なり何なりに応じて進めていかなければならないわけでございまして、従来の状況を見ましても、鹿児島県の場合には比較的中型あるいは小型の機械と脱葉機を組み合わせる、こういうような方向がなかなか有望ではなかろうかということ、沖縄の場合には大型ハーベスターが現在でもかなり入っております。  このような実情も考えまして、私ども予算的にも力を入れてやっておりますのは、一つのサトウキビの営農団地の総合的な整備ということで、基盤整備、機械施設の導入ということをやっておるわけでございますが、それに加えまして、現在特に収穫機械化モデル事業というのをやっております。これはグリーン・チョッピング・ハーベスターという一種の中型の収穫機械を中心にした一つのモデル地区事業でございまして、グリーン・チョッピング・ハーベスターに伴走車をつけてコンテナも加えました、一地区で圃場区画で二千万近いものになるわけでございますが、これで試算をいたしますと、現在の収穫時間、七十八時間と先ほど申し上げましたが、これが大体五分の一近くになるという試算もございまして、こうなりますと全体として労働時間がかなり減ってくる、こんなことの試算もございますので、これは一つのモデル事業でございますし、こういうことを現地の実情に即してできるだけ早く普及を図っていきたい。現状は残念ながら収穫の機械化の割合は特に鹿児島県の場合非常に微々たるものでございますので、これからやっていくべきことだと思っております。
  134. 上西和郎

    ○上西委員 大変ありがたいお答えです。  私、申し落としましたが、私が今度の質問に当たって徴集をした各方面からの声、もちろん生産農家を含めてでございますが、自助努力を惜しまない、これは共通をして寄せられております。私たちも一生懸命やる、しかし先ほど言ったように到達不可能なもの、あるいは現在もやっていただいていることだけはという意見、要望でございますから、ちょっと申し落としておりましたので、ここでつけ加えさせていただきます。  次は品種改良増収対策、私も原原種その他回っておるのでありますが、正直申し上げて、サツマイモのマルチその他による増収の割といいますか率に比べますと、サトウキビの場合は大変これが立ちおくれているのではないか。品種改良増収対策等についていかなる施策、お取り組みの方針ありゃ否や、お答えいただきたいと思います。
  135. 櫛渕欽也

    櫛渕説明員 サトウキビの品種改良増収対策につきましては、特に沖縄、鹿児島、この両県の大変重要な基幹作物ということで、これの重要性を十分わきまえておりまして、まずサトウキビの品種改良についてでございますが、主要な目標を四点設けまして、第一点は高糖度、糖度の高い性質、第二点は病害虫に対する抵抗性を付与すること、第三点は機械化適応性、それから第四点は多収性、収量の多い性質、これを主目標、その他いろいろありますけれども、そういうものを育種の目標にしまして、国の熱帯農業研究センター、これは石垣にございますが、ここと九州農業試験倶の種子島にございます研究室、それからさらに鹿児島県と沖縄県に県の指定試験事業というのがございまして、そういうところを中心に分担、協力しながら進めております。  これまでの主たる成果を若干申し上げますと、まず幾つかの優良品種が出ておりますが、一つはNiF3というのがございまして、これは昭和十七年に九州農試でつくったものですけれども、糖度が高くて収量もあり、かつ早熟でございまして、先ほどちょっと先生のお話がありました脱葉といいますか、今まで鹿児島、沖縄に普及しておりますNCO310という基幹品種に比べて葉っぱが非常に脱葉しやすい、そういう性質を持っておる、そういった品種が生まれておりますし、さらにNiN2という、これは倒伏に強い、しかも収量が多い、こういったものが生まれて、これは距児島県で現在優良品種として奨励されております。さらに沖縄県に奨励されるものの中にはF161、これはやはり、先ほどの基幹品種が黒穂病に弱いのですけれども、この品種は黒穂病に対して抵抗性を持っている、そのほか収量も多い、こういったものが最近の普及品種として注目されておりまして、さらに今後近い将来に一層優良な品種候補が生まれつつあると聞いておるわけでございます。  さらに、増収対策としての試験研究場面では、やはり重要な点は幾つかございますけれども、黒穂病とか葉枯れ病というような主要な病害虫に対する対策、防除技術、それから先ほどありました収穫機械の改良というような面がありますし、さらにはサトウキビ、特殊なそういう作物でございまして、例の不萌芽を防止する技術、この辺が非常に重要なわけでございまして、そのための株出し栽培技術、こういったものをより向上させております。  こういったいろいろなことがございますけれども予算面といたしましては、先ほど申し上げましたように国の委託事業として指定試験事業というのがございまして、ここで今沖縄、鹿児島両県にわたって品種改良を中心にした指定試験事業、それから沖縄に病害虫防除の指定試験事業、これが非常に成果を上げておりますし、さらに県の単独事業で国の補助でやります総合助成という事業がございますが、これ等も含めながら、これまでもいろいろと成果を上げてまいりました。この面の財政事情は大変厳しいのですけれども、私どもとしては今後とも試験研究に必要な経費の確保につきまして鋭意努力してまいりたいと考えております。
  136. 上西和郎

    ○上西委員 ぜひその御努力を堅持していただくことをお願いしておきたいと思います。  ただいまお答えの中で若干関連があるのでありますが、不萌芽の原因になる病害虫対策、これの拡充強化について、私は学者じゃありませんので現地の名前で言いますと、ハリガネムシ、チンチバック、アオドウガネ、こうしたものが今の対策の中に入ってないのじゃないですか。これを含めて拡充強化ができないのかどうか、その点に絞ってお尋ねしたいと思うのです。
  137. 関谷俊作

    関谷説明員 病害虫につきましては、従来からはいわゆる黒穂病の対策ということで継続的に事業を実施しておりましたが、最近の問題としては、まさに今お尋ねのございました不萌芽の原因になっている虫で、ハリガネムシというのは私どもの名前ではカンシャクシコメツキと言うそうでございますが、これにつきましては新防除技術の導入促進ということで、六十年度要求の中に特にこの関係の防除費も要求をしまして、全体的に病害虫防除総合対策事業の中でサトウキビの防除対策を強化してまいりたい、かように考えております。
  138. 上西和郎

    ○上西委員 局長、僕が言ったあとの二つはどうなんですか、チンチバック、アオドウガネ。学術用語でなく、私も種子島の害虫名で言っておりますので……。
  139. 櫛渕欽也

    櫛渕説明員 私どもの関連では、先ほど申し上げました沖縄にございますサトウキビ害虫の防除の指定試験事業がございまして、そこの事業で研究の対象にしております害虫が、ただいまちょっと話のありましたカンシャクシコメッキ類、そのほかにカンシャコバネナガカメムシというのがございます。それからカンシャノシンクィハマキ、そのほかバッタ類、この辺を研究対象にしてずっと研究を進めておるわけでございます。
  140. 関谷俊作

    関谷説明員 失礼いたしました。  アオドウガネにつきまして、これは従来病害虫防除対策の中で対策を取り上げてまいりまして、現在のところはもう既に一種の対策としては講じられておりますので、一応問題としては一般的な防除の努力でやっていただくということでございます。それからチンチバックの方は、聞くところによりますと、これは不萌芽とは関係ないそうでございまして、これは普通の各農家の自主的な努力でやっていただくということでございます。
  141. 上西和郎

    ○上西委員 では、最後にお尋ねしたいのですが、幸いことしは台風が来ておりません。しかし、再々申し上げますように、台風常襲地帯であることはいささかも変わっておりませんので、一大台風が押し寄せて塩害がありますと、種子島というのは標高五百メートル以上は土地がありません。極端に言うと、島の真ん中へ立てば四万八万みんな見渡せると言ってもよい島なんですね。ですから、塩害で全滅です。あるいは異常冷気が残っておりまして、晩霜でもあろうものなら大霜害になって全滅。こうなったときには現在の諸制度、施策あるいは共済制度では生産農家は到底救済できないだろう。生産業者も大変な打撃を受ける。こういうことは万々起こり得ないかもしれませんが、やはり一抹の不安が残っております。こうしたことがもし仮にあるとすれば、そのようなことについての対策は御検討いただいているのかどうか。もしないとすれば、今後御検討いただくようなお考えがおありや否や、このことについて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  142. 塚田実

    塚田説明員 まず、サトウキビとてん菜とは、背景とする自然条件、いろいろ違っていると私ども認識しておりまして、価格決定の時期につきましても従来から分けて決定しているわけでございます。  先生御指摘のように、災害は、特に台風災害につきましては、十月といえども南の方は安全でないわけでございます。ですから、私ども来週にはてん菜についての価格決定はしたいと思っておりますが、キビの方は今月の後ろの方でやっていきたい。できるだけ自然条件の推移を見てみたい、このように考えております。  万が一災害がありますれば、私ども、先生御指摘のようにいろいろ災害対策の施策を持っておりますので、そういうものを十分活用して対処していきたい、このように考えております。
  143. 上西和郎

    ○上西委員 大変結構なお答えをいただきましたが、再三申し上げておりますように日本全体から見ればローカル、しかし鹿児島県にとっては大変な主要作目、サツマイモ、サトウキビ等について今後とも万般の御配慮をいただくことを重ねて強くお願いし、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  144. 阿部文男

    阿部委員長 小川国彦君。
  145. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、昭和五十九年の米の取り扱いをめぐって、特に他用途米の買い上げ変更に関する政治責任の問題についてまずお伺いしたいと思うわけです。  農林水産省は、五十九年七月二十七日に「昭和五十九年産生産者米価の閣議決定についての農林水産大臣談話」を発表されたわけです。その際、第四項目において「他用途利用米の取扱いは、十九年産については、主食用への転用を図るため諸条件の整備につき検討する。」こういうふうに発表したわけです。それを受けまして、各新聞は次のように報道しているわけです。五十九年七月二十七日付の読売新聞では「他用途米を主食に良質奨励金減らさず」、それから朝日新聞も同日付で「他用途米まず処理全量を主食用買いに」、サンケイ新聞も同日付で「他用途米主食用に買い上げで合意」こういうふうに、いずれの新聞も大見出しで一斉に報じているわけであります。  このことによって全国の農民は、他用途米は、一俵、六十キログラム当たり一万八十円の価格から一万八千六百六十八円で買い上げられるものとだれもが信じたわけです。このことは、他用途米の売り渡し委託数量二十五万四千七百四十六トンで、農民が収入増となる金額はざっと計算いたしまして約三百六十五億円になる、こういうふうな計算も成り立っていたわけです。ところがその後、豊作が見込まれる九月四日になりまして食糧庁は、他用途利用米の取り扱いについての重大な方針転換をしたわけです。その内容は、他用途利用米を主食の一万八千六百六十八円で買い上げろと言っていて農民にぬか喜びをさせていたわけでありますが、豊作になったら再び一万八十円、これにプラスアルファとして若干の金額をつけまして、一万二千円程度ということで買い上げるということになってしまったわけなんです。農民は政府にペテンにかけられたというふうに、大変な憤りを持っているわけです。  経過はどうあれ、全国の農民に一万八千円何がしで買うということを言っておいて、その当時はまだ豊作になるか凶作になるかわからないといえ時点でございましたから、恐らく政府も他用途辛を主食に繰り入れることによって万一の主食の備えをしたいという考えがあったのだろうと私は田う。そういうふうに言っておきながら、豊作になったらまたその二十万トンを他用途米のもとの一万円に戻すというのは、農民に対して大変な不信感を与えたというふうに私どもは理解しているわけなんです。全国の農民を農政不信に陥れたことは非常に重大な責任があるというふうに思うのですが、この点、食糧庁長官はこの責任をどういうふうに感じておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  146. 石川弘

    ○石川説明員 先生おっしゃいました経過でございますが、私の方からもう少し経過を述べさせていただきますが、米価決定に先立ちまして、私ども生産者団体と、米価に入ります前に他用途問題について何らかの決着を見たいということでいろいろと話を詰めておりました。  私どもは、その中で、これは米審でも申し上げておりますし、当時の国会、これは米価終了後も八月七日の当委員会で申し上げておりますけれども、私どもは他用途、要するに加工原料については、これが主食用に転用されました場合は絶対的に不足をする、したがいまして、主食に転用いたします際には、それにかわるべき措置、要するに何らかの措置が必要であるということをかねがね申しておったわけでございます。米価の審議、それから価格決定の際の中におきましても、私どもはその主張を何度も申し上げておりまして、特に生産者団体との関係で何度も交渉しました際には、主食に転用しました際のそれにかわるべきものの手当てということについて生産者団体との合意ができませんとこの話ができないということを再三申し上げたわけでございます。  その結果、決定に際しまして、これは先生も御承知と思いますが「五十九年産他用途米については希望者につき主食に転用する。」これは「希望者につき」でございます。それから「これに伴い不足する加工原料用米については農協がその自助努力によって農家保有米等を集荷することにより充当する。なお、その数量等については今後政府・農協間で協議の上決定する。」ということが生産者組織の代表と与党の方々との間の確認事項として決められたわけでございます。  そういう確認事項を踏まえまして、私どもはこういう確認事項を実施する手続を今後決めていくということを申し上げておりまして、実はそのことは、八月七日の当委員会の審議の中でも私あるいは大臣もそういう趣旨を御説明しておるわけでございます。  その後、農業団体内部におきましてこの確認事項をどのように実行をするかということをいろいろ御討議を願いまして、私どもの方に、八月三十日でございますが、農業団体から「加工原料米の確保についての基本的考え方」というのをお持ちになりまして私どもに御相談があったわけでございます。この御相談の中身は、御承知と思いますが、五十九年産限りの措置として、他用途利用米の生産出荷契約を行っています生産者を対象にしまして「生産者が希望すればその希望に応じて契約の範囲内で転用を認める。」その場合、私どもは、自主流通米なりあるいは政府管理米、いずれでも結構だ、こう申し上げておるわけでございます。その場合には、先ほどの確認事項にございますように「主食用への転用により不足することとなる加工原料用米は農業団体が自助努力によって農家保有米等を集荷して確保する。」そういう趣旨の、先ほど申しました確認事項の線に沿ったお話がございまして、数量については、先ほども政府・農協間で協議するとございますが、要するに他用途あるいは自助努力、いずれの場合でもいいわけですが、それを合わせまして二十万玄米トンを最小限集めていただく。その場合は、集める方法は地域の実情に応じてどういう方法をとっても差し支えがないということ。それから、議論がありました品質につきましては「三等の規格を最低限満たすもの」ということを言っているわけでございます。  したがいまして、そういう前提のもとで私どもはお話し合いを進めてきておりますし、対外的に常にそういうことを申してきておるわけでございますので、あの決定の際に買い上げると言うときには、買い上げる場合にその不足する部分を自助努力で出すということは当然付加されているものと考えているわけでございます。  先生御指摘のように、個別の農民の中では、買うということだけを聞いていたというお話があるわけでございますが、私ども米価決定の際に関係団体と再三協議しました際に、不足するものの自助努力による集荷ということも含めて、団体側から、そういうことをするから買うということについて合意をしろというお話があって、それについてお答えをしたわけでございまして、そういうことが誤解をされておりますことがないわけではないわけでございます。私どもも大変残念でございますが、私どもは何度もこの立場で申し上げ、かつ御理解を得るようにやって、その結果が八月三十日の団体の決定となったものと考えております。
  147. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今長官は、その経過については当初からそういうことを考えておったというようなことを言っておられるわけでありますが、全国の農協なりあるいは市町村段階の指導というものは必ずしもそういうふうにはいってないわけです。しかも食糧庁は、他用途米を集める努力というものは挙げて農業団体側の責任に転嫁している。五十九年九月四日の食糧庁の通達を見ますと、食糧庁は本来の業務として、当然この集荷についても食糧庁自体も責任はあると私は思う。それを一切放棄して、責任を農業団体の自助努力ということに転嫁しているわけなんです。  しかも、私がひきょうだと思いますのは、このほど農業団体から別紙のとおり食糧庁に対し申し入れがあり、この申し入れば農業団体からの申し入れに基づく、こういうふうに言っているわけです。相手方から言ってくるように仕向けておいて、そしてこれは食糧庁の通達でも、方針ではない、相手方から言ってきたことだ、こういうような言い方をしているわけなんです。  しかし、それでは相手方はどういうふうに見ているかというと、五十九年八月二十九日の全国農協中央会及びその農協米穀対策本部の「昭和五十九年の加工原料用米の確保対策について」という中では「加工原料用米の不足問題は、政府の米需給計画の錯誤に原因があり、その責任は挙げて政府が負わなければならない。」と述べているわけですね。この責任を一体食糧庁はどういうふうに受けとめているのか、その点をお伺いしたいわけなんです。
  148. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘の点につきましては、御承知のように、不足しますものを輸入せざるを得ないという事態になりましたことについてはまことに申しわけないということは再三申し上げておるわけでございます。したがいまして、それと他用途米とを含めて五十九年から六十年にかけての加工原料の確保をするということで走ってきたわけでございますが、その重要な一部でございます他用途米について、是が非でも主食転用ということについて考えてほしいという御要請があったわけでございます。主食の世界は何とかそれでも、奥行きのない需給ではございますが見通しがあるが、他用途の世界は万が一これが供給されなくなれば絶対量が不足をする。したがいまして、私どもは他用途でそれを対応したいからそうしていただきたいということを再三申し上げてきたわけでございますが、それについて農業団体は、政府が足らないと思うものは、それによって不足するものは自助努力でも出すというお話の上でやったわけでございます。私ども責任を転嫁するということではございませんで、私どもの主張はあくまで他用途でやっていただきたい、他用途がなくなれば、これは全く供給をされないということになれば外部に依存せざるを得なくなる、そのことは生産者として受け入れがたいというお話でございますから、国会においてもそういう御決議があるわけでございますから、それは他用途で出していただきたいということを長い間、これは期間としては数日かもしれませんが、ほとんど毎日の議論をしました上で、生産者サイドから自助努力によって出す、自助努力によって出すからその量に心配をさせないというお話でございまして、こういう形で決着をつけたわけでございます。  したがいまして、私どもは責任を回避しているわけではございませんで、むしろ他用途も含めた供給責任を果たすためには、この確認事項でお約束いただいたとおりのことをしていただく。しかし、数量については私どももいろいろ考えて、必要最小限度という詰めをいたしまして、二十万トンということでお話し合いをした経緯でございます。
  149. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣談話を発表された七月二十七日の時点では、食糧庁長官はこの他用途米は自助努力で集まるというふうに考えておったのですか。
  150. 石川弘

    ○石川説明員 私どもは前々からこれは「希望により」と書きまして、そこは生産者の選択によらざるを得ないと考えておりました。したがいまして、八月七日ここでお答えをした際にも、私は、他用途でお出しになる方も多分相当あるはずだ、したがいまして、全部を主食転用ということはあり得ないということを申し上げております。これは私どもはいろいろな計算をいたしまして、どちらが有利かというような話もいろいろといたしましたけれども生産者団体としてはその両方、どちらかということはあり得るというお話でございますので、私どもはいずれの道をも選択できるようにということでああいう覚書がつくられた経緯がございます。
  151. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その七月二十七日の新聞が先ほども申し上げたように、例えば朝日新聞では「他用途米まず処理 全量を主食用買いに」こう出ておるのですよ。これは非常に大きい五段の見出しで書いているわけです。それから読売新聞、これも「他用途米を主食に」と、やはり五段抜きで大きく出ているわけです。サンケイ新聞は横一面の見出しを使って「主食用に買い上げで合意」と出ているのですよ。これだけ大きく、何大紙かわかりませんが、日本の有力新聞の大半が主食に買うということを書いている段階では、全国の農民は、農水省がひねってつくった通達などを個々の農民が見るわけはないので、全量主食で買い上げるものと理解するのは当然だと思うのですよ。その段階で、もし食糧庁長官が言うように、そうしたならば他用途米は自助努力でも集まらぬだろうという判断があったなら、なぜそのときにこれを取り消すか、あるいは大臣談話を出させないというぐらいのあなたの決断なり配慮なり判断がなければならないと思うのですよ。  七月二十七日の段階ではこういうことを発表させて、そして九月四日まで経緯してから、あなた方自助努力でこれはやるべきことなんで、できないのだから八割はもとに戻す、こういうやり方は、では七月末から九月初めまでの四十数日の間というのは一体何をしていたのだ、こういうことにもなりかねないわけなんですよ。  もう一度長官に伺いますが、あなたは七月二十七日の時点で、では他用途米は自助努力で幾ら集まるというふうに考えておったのですか。
  152. 石川弘

    ○石川説明員 私どもは数量でどれくらい集まるということはその時点では何とも言いようがない状態でございました。しかし私は何度もそれは申し上げておりますが、全量を買い上げて、しかもそこに何ら自助努力による米を出すことがないというようなことを申し上げたことは一度もございませんで、私どもはむしろ、買い上げる場合には自助努力による米の集荷をお願いしているのだということを再三申し上げております。そういう記事が出ましたのは、私どもの方でそういう記事を出させているわけではございません。私どもは、買い上げるときは自助努力というものがついているのだ、米の価格決定の際の最後の一番の詰めば専らそこにあったわけでございますから、自助努力と無関係に主食だけに買い上げてもらえるというような形で農業団体が下に流している経緯も実はないわけでございます。そういう自助努力がついているものであるということは農業団体も十分御承知の上で、しかし買ってもらうという方をあるいは新聞の方でそういうことを主にお書きになったのかと思いますが、私どもが何か買うというようなことを言った覚えは全くございません。私どもはあそこの覚書にあるとおりのことを申し上げておるわけでございます。
  153. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、大変私は感覚の悪い長官だと思うのですね。天下の三大紙か四大紙か、そういう新聞が全量主食に買うという見出しで新聞記事を書いているのに、私の方はそう言った覚えはないのだから、私の方の覚書なり言っている内容を見ればわかるはずだ、こう言っているのは、天下の情勢に極めて疎い長官だと私は言わざるを得ないですね。これだけの新聞が書いている。しかしあなたの判断では、自助努力で集まらないのではないか、自助努力という条件をつけているときに、数量では幾ら集まるかわからない、そういうことなんでしょう。そういうときに、こういうような新聞が出ているのにそれを放置してきた。  もう一つ突っ込んで伺いたいのですが、農家の自助努力という言葉が五十九年九月四日の食糧庁通達に何カ所も出てくるわけなんですよ。自助努力というのは一体どういうことなんですか。農家が何で自分を助けるために、言うならば食糧庁で自助努力で出せというお米は、六十キロ、一俵当たり五千八百八十円なんですよ。どう考えても、主食で一方では一万八千六百六十八円で買い上げるということを言って、しかしその反面で五千八百八十円の米も出せと言っているのは非常に矛盾しているのですよ。五千八百八十円という根拠は一体何なのですか。
  154. 石川弘

    ○石川説明員 これは米価の際の農業団体と私ども交渉の長い長い経緯を申し上げませんとなかなか御理解いただけないと思いますが、私どもが申し上げたことではございませんで、特に自助努力の問題につきましては、私どもは他用途で助成をして出す道があるわけでございます。したがって、これでやっていただきたいということを再三申し上げてその経緯の中で農業団体の方から、例えば五十八年産米の保有米という話がまず出ました。しかし、五十八年産保有米については、先生も御承知のとおり、それを出す能力があるなら政府は買いますということで、買いの手続の告示までいたしました。そういう中で生産者が、例えば一軒何俵というやり方もあるということで、自助努力、要するに何らの助成もなくて自分が出すというお話が出てきたわけでございます。私がれしろそういうことの困難性を主張している中で、農業団体の幹部がこれだけ集まってやるということを信用できないのかという御叱責を受けた経緯もございます。したがいまして私どもは、自助感力ということはそこに書かれているとおり生産者がみずからの力でお出しになるということだと理解をしております。
  155. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ですから繰り返して尋ねますが、あなたはそのとき自助努力で二十七万トンの米が出るというふうにお考えになったのですか、どうなんですか。
  156. 石川弘

    ○石川説明員 自助努力だけで出すことは私は不可能だと思っておりますから、希望によってどちらかの選択をするということをはっきり申し上げてあります。
  157. 小川国彦

    ○小川(国)委員 非常にそこのところがあいまいですね。大体常識的に考えて、一万八千六百六十八円で買うものと五千八百八十円で買うものとあったら、どちらを選ぶかといったら高く買ってぐれる一万八千円の方を選ぶのは当然でしょう。与れを、そういうふうにしますと言っておいて、早らなくなったら今度はではそれは五千八百八十円で出しなさいというのは――物はそんなにたくさんないと私は思うのですよ、お米は。限られている。この他用途米に回せる余地というのは限られていると思うのですよ。限られたものを一方では一万八千六百六十八円で買いますということを言って、ただしそれを出していったら穴があくのはわかっているわけでしょう。その穴のあいた分は五千八百八十円であなた方出しなさいよ。いわば同じものなんですよ。同じものを一方でこっちに認めると、こう言って、しかしそれで穴があいたらこっちのものは責任を持って出しなさいよというのは矛盾しているのじゃないですか。その時点であなた方が矛盾した方針を持ったということじゃないですか。
  158. 石川弘

    ○石川説明員 先生にお断りしますが、何か豊作になったら方針を変えたということではなくて、方針はまさしく、七月のたしかあれは二十七日か二十八日の決定でございますが、その時点の方針でございます。決して変えたわけではございません。したがいまして、農業団体も八月三十日にああいう決定をしたのは、あの確認事項に基づいて部内討議をして決めたわけでございますので、決してあの後の時点で方針を変えたわけではございません。  それからもう一つ先生御指摘の、例えばどっちが有利かという判断等は、私もその時点において、主食買い上げとそれから自助努力で出すものが並んだ場合はこういう条件になるでしょう、他用途はこういう条件になるでしようというようなお話もいろいろいたしております。しかし、御承知のように農業団体の中では、金銭ずくの話は別ということではございませんけれども、例えば一人一戸で何キロ運動とか、そういうやり方もあるんだ、決して金銭ずくでどちらが得か損かという選択ではない、逆に申しますと、一番得な方法は、全部買ってもらって、そのかわり足らざるものを輸入するというのが一番得かもしれぬけれども、そういう方針はとれぬのだという話が再々ございました。したがいまして、そういう形もこの運動の中ではあり得る。現に今度四十一県においてお決めになった中にも、そういう比較的集める量が少ないところでは他用途米という方針をとらないという県も実はあるわけでございます。したがいまして私どもは、そういう農業団体の中の何度も何度も行われた協議の結果と私どもの対応というものを組み合わせて、いずれの道をも選び得るという方法をとったわけでございます。
  159. 小川国彦

    ○小川(国)委員 食糧庁長官というのは日本の食糧行政、特に米の行政を全部預かっているわけですから、一千百五十万トンの需要供給の中身というのはおよそ全部わかっているはずです。日本の農家の米の総生産量もわかっている。需要供給の需給計画もわかっている。その中で、この二十七万トンの取り扱いがそういうあいまいな形で終始したらどうなるであろうかということは、大臣談話を出した時点で食糧庁長官考えていなければならぬと思うのです。少なくとも大臣談話が出たら、あなたはそれを守ってやり抜くという判断をその時点で持たなければならない。それができないならば、できないということを天下に表明すべきなんです。あいまいなままに終始してきたその結果が、今全国農家農業団体で非常に混乱を起こしている。  具体的な例を申し上げたいと私は思うのです。私も国会が休みの間に農村を回って、いろいろな農家の皆さん、農業団体の皆さんから他用途米の取り扱いについての意見を聞いて歩いた。一番困っているのが末端の農協の組合長さん、役員の皆さん、それから市町村の農政担当者、どうやって農民に政府の方針転換を説明したらいいか、納得してもらったらいいか、食糧庁長官が腹をくくるのではなくて農協の組合長が腹をくくらなければならない、こういう状況が起こっているのです。  例えばある農協の組合長さんは、自分は本来他用途利用米の参入は一物二価になる、今一万八千六百六十八円の米を一万一千円などというのは一物二価になる、また米の引き下げ要因ともなる、したがって基本的には賛成できないが、米の輸入をなくすために万やむを得ず、自分の農協では五千俵の目標に対して、実行組合長の会議農家部落長の会議を開いてようやく四千六百俵の予約をとった。さらに一トン十二万円、一俵、六十キロ当たりだと一万八十円の価格についても、生産者が十円、農協が五円、県段階で十円七十六銭等を加えて一万一千円にまで価格を引き上げて集荷の体制をつくった、ところが七月二十七日に農林水産大臣談話において、他用途米、青刈り稲を主食にすることが発表され、その後二十日間にわたって農協としては他用途米の集荷推進事業に一生懸命取り組んだと言うのです。  そういう中で当初目標五千俵に対して八千俵近い予約を得ることができた。これは主食用に回すという条件が加わって、それで初めてこういう集荷が可能になってきたのだ。さらに、八月十日には他用途米を主食に回すということなので共補償ということを取りやめるという方針も農協で検針して決定した。  そうしたやさきに、八月下旬になって食糧庁と全中で二十五万トンのうち二十万トンを再び加工用に回す、その価格は一万一千五百十八円に加えて県連、単協が四百八十二円をプラスして、およそ一万二千円にすることが発表されたというのですね。このことが九月十日ごろに末端農協の組合員にも知らされた結果、農民の間にもう大変な混乱が起こって農協に抗議が殺到している。聞けば、千葉県でも当初六千トンぐらいだったのが一万二千トンの集荷目標に定めたやさきに、これが今度また一万二千円ということになって、一体予約というのは法律上どういうことになるのか、どういう契約になるのか、そういう論争まで起こっている。ニカ月近く主食に回すという前提で進んできた農家に対して、再び他用途米に戻すということは、政府の農政不信以外にないと言うのです。第一線の農協組合長さん方は非常に怒っている。  しかも青刈り稲も、途中で市町村や農協の指導では、青刈り稲も主食で買い上げますから完熟させてください、こういうことで、七月末に青刈りで刈る予定の人がみんな主食になると思って延ばしたというのです。そういう人たちも非常な憤りを持っているわけです。そういうことについて、そういう農協の集荷に当たっている第一線の混乱というものを長官は一体どういうふうに理解なさいますか。
  160. 石川弘

    ○石川説明員 そういうことも考えておりますので、私どもはできるだけ早く農業団体の意思を決めていただくように、私どもからもいろいろな働きかけをしたわけでございます。しかし、農業団体の内部におきましてもこういう確認事項についての理解の差が大変ございました。一つは、こういういわば自助努力ということについての理解がされていないことがございます。それからもう一つは、数量とか、特に品質について、例えばくず米で充当すればいいのだというようなことを考えていらっしゃった方もあるようでございます。したがいまして、そういうことをやるのに農業団体は結果的には八月三十日までかかったわけでございますが、今先生御指摘の、何かその後になって急速に契約を延ばしたということは、そもそもこの他用途米の問題としてはちょっと異例のことかと思いまして、これはあくまで五十九年産の他用途米について、原契約としてそういう契約をなさっている方にやるということで農業団体も初めから推進したことでございますので、何か決まったら契約を進めたというのはいささか扱いとしては変ではないかと思いますが、私ども現に市町村段階でいろいろお問い合わせ等がございましたので、私たちとすればできる限りこういう趣旨で今農業団体と調整をしているのだということを再三にわたってお話をしているところでございます。途中の段階で農業団体ともお話をしていますし、それから県等についてもこの趣旨は逐一農政局等を通じてお話をして、こういうものが早く徹底するようにということをやっておりましたけれども、先生御承知のように、いろいろな混乱が別ったことは事実でございます。
  161. 小川国彦

    ○小川(国)委員 原契約がそのまま推移したことは私も認めているのですよ。ただ問題は、皆さんの方の指導が徹底しないために、他用途米を出せない、あるいは他用途米を協力しないというよらなところの分がそっちこっち数量が動いているわけです。都道府県の間でも動いている、市町村の間でも、やらないところがあれば、やるところに動いて、原契約の数字が決まるまでに相当動いて、他用途米の割り当て自体が非常にアンバランスになっているわけです。しかし、それなりにやろうと思っていたところが、一万八千円になるから他用途利用米を非常な無理をして一生懸命つくろうということで引き受けたところは喜んだわけですよ。喜んだだけに、今度はその裏切られた失望感が非常に大きいのです。  それからもう一つ、こういう問題も起こっているのですよ。第一線の農家では、九月三十日までに出荷すれば自主流通米としての取り扱いを受けられるということで、大半の農家が非銘柄米を農協に売り渡してしまっているわけです。現在手元に残っている米は、一俵二万三千円のコシヒカリしか残っていないのです。そうすると、ここへ来て一万二千円の他用途米を出せということになると、二万三千円のコシヒカリを今度は泣く泣く一万二千円の他用途米で出さなければならないのですよ。こういう実態についてはどういうふうに解決されますか。
  162. 石川弘

    ○石川説明員 早い時点から御相談がありまして、他用途米に類するものとして検査をしましたものは別はいにして積みまして、出さないことで指導しておりまして、要するに他用途米に向けて初め出されるであろうという前提で積みました米は、最近農業団体と話がつきましたが、他用途のマル他というのを押すことになっておりますが、そういう形で回すことになっておりますので、全部先に出ているという事態はないはずでございます。他用途に初めから向かって、あるいは他用途を前提としてつくられたもので方針が決められないで残されたものは別はいにして積んである、それの扱いを早くしてくれということでございますので、農業団体と話をしまして、他用途で来るものはマル他、それから自助努力で出てくるものは他を二つ打って出すというような話し合いももう既についております。
  163. 小川国彦

    ○小川(国)委員 マル他の判こはいつの時点で押すことになっているのですか。
  164. 石川弘

    ○石川説明員 方針が決まりまして、県段階で数量を確認する際に出すことにしております。
  165. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、それはもう九月三十日以前に主食用として出荷してしまったものをまたマル他としての変更を認めるということですか。
  166. 石川弘

    ○石川説明員 検査を済ませましたが、現在出荷しないで別積みにしてあるわけでございます。その段階で、他用途にしようと思うけれども他用途という方向が決まらないものにつきましては別積みにして、別はいにして積めという指導を既に流してございますので、そういうものを使っておやりになって結構でございます。
  167. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私よく理解できないのですが、九月三十日までに出せば自主流通で供米できるというので雑米を早く言えば出してしまったわけです。二万一千円で出しちゃった。そうすると、十月一日以降に他用途米を出すということになると、おくれてできる銘柄米のコシヒカリしか残ってない。コシヒカリの二万三千円のものを他用途米で出すということはなお損害が大きくなるというのですね。その場合に、それではあなたの言うのは、九月三十日以前に出した雑米を他用途米に回すことができる、こういうことなのですか。
  168. 石川弘

    ○石川説明員 事態をもう少しよく聞いてお答えしなければいかぬと思いますが、私どもの聞いておりますのは、まず出すというのは、検査を受けて、しかし出荷をしない状況でとめてあるはずでございます、他用途に向くはずのものは。したがいまして、今先生のおっしゃったのは、みんなもう出荷しちゃって、倉庫にはなくなってというお話かと思いますが、私ども非常に早期の扱いについて千葉あるいは新潟等あるいは北陸から相談を受けましたのは、例えば北陸なんかだともう全部刈り取りを終わっておるわけでございます。既に全部が刈り取りが終わっておるわけですが、そういうときに前もって他用途という前提で検査を依頼すべきものについては、他用途の扱いが決まっておりませんでしたので、これはマル他と、他用途と決まったという判こを押すのがちょっといろいろ問題がありましたので、判こを押さないで別はいにして積んでおくようにという指導をしておるはずでございますから、そういう扱いになっておると思います。  全部出したものをどうするかということにつきましては、全部出したものがあるかどうか調べまして、その繰りかえということがきくかどうか、全部本当に出荷し終わって、出荷というのはもうその倉庫にないという場合でございますが、そういう場合があるかどうかはちょっと検討してみますが、私どもが聞いておりますのは、他用途を契約なさっている方は他用途の契約分に関しては出荷をしない状態、検査を判こを押すところで、手前でとめてあって別はいに積んであると聞いております。
  169. 小川国彦

    ○小川(国)委員 長官の理解がまだ末端の実情を理解してないと思うのですよ。数カ町村でもう今までに自主流通米で出せということなので一般の供米として雑米を出してしまった、それは二万一千円で出しちゃった、こういうことなんです。今残っているものを、二万三千円で出すコシヒカリを他用途に回すということは大変気の毒なことなわけですよ。その出す時点では他用途という判を押してないのは当然なんですよ、他用途米を出すのはこれからの人が大半なわけですから。あなた自身のところだって他用途米の集荷がどのぐらいになっておるかまだ把握しておりませんでしょう。
  170. 石川弘

    ○石川説明員 私が申し上げておりますのは、早場地帯で米を買って、他用途の分も検査を受けにくる、そういう場合にどう処理するかというのがいろいろと農業団体等から相談ございましたので、他用途については他用途としてはっきり出すのは他用途でいいわけでございます。主食で買い上げる場合は他用途という判こを押すわけにいかぬわけでございます。主食として検査すべきでございますので、そういうものについては、その人の他用途の契約分量については別はいにして積みおくようにという指導をしておるはずでございます。  これはそういうことで農業団体も納得して帰っておりますので、先生のおっしゃいますように何か一部が、既に全部倉庫からなくなってコシヒカリ分だけしか残ってないというような事態は、こういうことがあるかどうかも含めまして検討いたしますが、私も別にコシヒカリを他用途に回す必要はないと思っておりますので,そういうのはどういう差し繰りがあるかということは検討してみますが、そういうことが起こらないように、他用途の契約分については現在はその扱いを保留した状態で、別はいで検査を終わって農業倉庫に積むようにという指導をしておるところでございます。
  171. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私の言っていることと長官の答えていることと別なんですよ。長官の言っていることは言っていることでいいのです。ただ、私は他用途米を出すなら、雑米から他用途に出してもいいお米を他用途に向けていきたいわけです。一番いい、高いコシヒカリを他用途に回したくはない、これは農民心理。これは経済から見ても当然。ところが現実には政府の方針が徹底しないために現場でそういう混乱が起こっている。そういう場合は差しかえを考えるぐらいのことがなければいかぬのではないか。これは検討課題として取り組むということにしてもらえばいいわけです。
  172. 石川弘

    ○石川説明員 契約をなさっている方は個別に他用途の分量を確保をなさっているわけでございます。もし主食に売ってしまったということになると、これまた主食としての検査もしないで売ったということになろうかと思うのですが、主食の検査、要するに他用途から主食に転換するときの自主流通でやるか主食でやるかという扱いも実は今まだ決めてないわけでございます。そこは先生の御趣旨は私もよくわかりますので、別にいい米で他用途を出してくださいと言っているわけじゃございませんので、ただ実務的に申しますと、他用途米を契約なさっている方が自主流通あるいは主食で買ってもらうという手続については農業団体と今話をしているところでございます。したがいまして、それがもう事実上いってしまったということは本当はないんじゃないかと思いますけれども、御趣旨の点は私どもわかりますので、別に私どもはササ、コシを他用途に回す必要はないと思っておりますので、実情を調べましてお答えをしたいと思います。
  173. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これはぜひ実態を十分把握して、そういう農家に経済的損害を与えないように、他用途米が別積みであるならまだ手をつけないはずでありましょうから、そこの操作を農民がこれ以上損害にならぬように対処願いたいと思います。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  174. 石川弘

    ○石川説明員 私どもも、何かそこで言いましたように、品質については加工に適するもので結構でございますから、別はいとかそういうものが多分あると思いますので、そういうものど交換が、交換と申しますか、やれるように農業団体とよく考えてみます。
  175. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それから、現地で起こった問題はまたさらにいろいろありまして、例えば全国の市町村の中で畜産振興事業の一環でホールクロップ米をつくっているわけです。市町村によりましては、他用途米が主食として買い上げられる、一俵一万八千六百六十八円になるなら、ホールクロップ米も、減反補償とそれから市町村の助成とい「うようなものを加え、県の助成を加えてやはり一万八千六百六十八円にしてやろうということで、ホールクロップ米の最終買い上げ価格を主食の米価と同じ値段にした町村があるわけです。ところが、またそれが他用途米が一万二千円に落っこちましたから、じゃ、これの是正をしなければならないかという問題を起こしているところもあるわけなんですよ。こういう実態についてはどうお考えになりますか。
  176. 石川弘

    ○石川説明員 実は普通の米の値段と同じにしなければいかぬということ自身が問題ではなかろうかと思います。普通の米の値段と同じに加工原料をつくる、あるいはえさをつくるということでございますと、それは何らかの意味で膨大な財政負担、それは国か地方公共団体かは別でございますが、膨大な財政負担を伴いながらやらなければいかぬということでございますので、私ども生産者にもそういう御努力を願って、もう少しコストの下がったところで、政府も例えば加工原料はトン七万円を助成するわけでございますから、そういう水準で何とか定着化をいたしませんと、これはいずれか大変な財政負担を伴うということで、こういう制度自身が安泰でなくなるのではないか。水準のどこの高さがいいかという議論があるかと思いますけれども、例えばえさを主食と同じ価格でつくれということになりますと、これは私はむしろ問題ではなかろうかと思います。
  177. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それはあなたの言うのも当然なんですが、ただそういう混乱も起こっているということなんですよ。地方のある町会議員さんは、ホールクロップ米が他用途米と同じ値段だったのが、他用途米が一万八千円になるというのでホールクロップ米をやめて他用途米の指導をした。一万八千円になるものが今度一万二千円になってしまった。大損するような指導をした町会議員は今度選挙落っことすなんて言われましてね。そういう末端に笑えない被害まで起こしているのですよ。  ですから、やはり農水省が少なくもこういう方針を打ち出す、打ち出したからには大綱それを守り抜くという精神がないと、第一線の農家の人たちや農政の指導者たちが大混乱、大失態を引き起こす、大変な事態を引き起こすということを十分食糧庁長官も反省し、大臣もそういう面の指導については、少なくも大臣談話で出したことは周知徹底される、こういうような指導をしていかなければいかぬのではないかというふうに私は思うのですが、今度の他用途米変更の事態について長官としてはその最終的な責任をどうお感じになっているか、今私が申し上げたような全国段階のいろいろな混乱を引き起こした責任というものをどうお感じになっているか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  178. 石川弘

    ○石川説明員 再三申し上げますが、途中で変更したことではございませんで、決定の際に決められたことを実行しようとしたことでございますが、そういう意味でいろいろと末端でこの事業を実施なさっている方に大変御迷惑をかけたと思っております。市町村会等からは非常にきついおしかりも受けておりますけれども、私どもは途中で変更したのではなくて、あの時点でこういう方針でやる、ただ、それがなかなか徹底をしなかったということだと考えております。
  179. 小川国彦

    ○小川(国)委員 食糧庁長官、当初から二つあったということを言っておられるのですけれども、末端では、他用途米の主食買い上げということに期待を持たしただけに、裏切られたという感じ々非常に持っているわけですね。こういう点については、食糧行政を監督する大臣としても、こういう農民に不信感を与えないような農政指導、一貫した農政というものをやはりやっていただきたいと思うのですが、この問題について大臣考えはどういうふうにお持ちになっていらっしゃるか。
  180. 山村新治郎

    山村国務大臣 今まで食糧庁長官から何遍も御答弁申し上げておりますが、今度のいわゆる他用途利用米を主食並みにということを農業団体から言ってきたときに、長官が、それではということで、それらの混乱が起こるというようなことを含めて何遍も何遍も交渉しているわけでございます。そして、自助努力によってということで、生産者の皆さんの御協力を得なければ食管の運営というものはスムーズにまいりませんし、最後には我々が自助努力をする、我々を信用できないのかというようなこともあったそうでございます。そして長官として、これらの他用途利用米をいわゆる食糧米並みにというようなことを決めたわけでございます。  ただ、その間にあって下へ対する徹底の仕方というのが少し遅かったことも事実のようでございますので、それらの徹底等につきましては今後ともそれらについてできるだけ早く理解をしていただく。まず他用途米自体につきましてもやっとこのごろわかってきたというようなところでございまして、何か農林水産省が無理におっつけたというような感を持っているのもあろうかと思いますので、これらについてのいわゆる徹底というものは今後もやっていかなければならないというぐ云いに考えます。
  181. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この問題については長官も大臣もひとつ重大な反省を持って、農政の末端で本山に米づくりに苦労している農民の期待に背くことのないように、やはり反省の上に今後の農政を担当していっていただきたい、こういうふうに思います。  それから最後に、先ほども同僚議員が触れましたが、備蓄の問題について、現行では積み増し備蓄ということで、非常に備蓄に対する考え方が作況指数によって変動していくというような状況にあります。これに対して、作況変動にかかわらずきちっと三カ年で政府の言っている百四十五万トンを積み上げる、こういう明確な方針なり対策九り、政府として立てるのかどうか、その点、簡潔にひとつ……。
  182. 山村新治郎

    山村国務大臣 米は国民の主食でございますので、その安定供給を図っていくためには、ある程度のいわゆる在庫、これは持つべきであるといろぐあいに考えます。  そこで、今度の四十五万トンずつの各年積み増しという水田利用第三期対策をしたわけでございますが、この四十五万トンずつの積み増しというのはひとつ確実にやっていきたい、やっていく方針でございます。
  183. 小川国彦

    ○小川(国)委員 来年の作況指数が九五というような事態の場合にはどうなりますか。
  184. 山村新治郎

    山村国務大臣 その場合には、これははっきり申しまして在庫積み増しできないわけでございますが、幸いにもことしはどうやら一〇五まで参りまして、これからもどういう変化がございますか、それらを見て、米の需給操作というものをゆとりのあるようなぐあいにするために、確実な在庫積み増し、これをやっていきたいと思います。
  185. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、確実な在庫積み増しというのは、備蓄立法をつくるか、あるいは備蓄の数量というものを政府が法的義務づけをしませんと、今の積み増しは作況指数変動によって崩れる場合もあるという状況になっておりますから、この点については国の法的な義務づけを持った備蓄を考えていくべきじゃないかと思いますが、その点最後に伺って終わりにしたいと思います。
  186. 石川弘

    ○石川説明員 国に対する義務づけを法律の形でとるのか、それとも先ほど申しました国がみずから決めております基本方針の中でうたっていくのかという方法論につきましては、先ほど私どもの意見を申し上げたわけでございます。私ども今までもそういうプランを立てているわけでございますが、そのプランと実行面においていろいろな困難があったわけでございますので、プランもさることながら、どのような実行可能な方法があるか、それから今の場合には、積み増す方の論議がどうしても必要になってくるわけではございますけれども、逆に過去において、時間的に申しますといわば積み過ぎというような状態の期間の方が長かったわけでございまして、そちらの方の問題も考え合わせまして、大臣が申し上げておりますようなゆとりのある操作ができる、しかもそれが米としてうまく循環をしていく、そういうことを考えながらプランニングを少し進めてみたいと思っております。
  187. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間が参りましたので、終わります。
  188. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 松沢俊昭君。
  189. 松沢俊昭

    ○松沢委員 今小川さんの方から他用途米についての質問がございましたが、確かに末端の方は混乱しているわけです。それで、この前のこの委員会におきましても、私の方で質問しましたところが、他用途米を主食用に回すという話し合いのときにおいては、ちゃんと私が質問したようなことを農業団体に言って、農業団体それでもいいか、こういう了解を得て取り決めをやったのだ、こういう食糧庁長官の御答弁がございましたが、今小川委員の質問に対しましても同様な答弁をしておられるわけです。  そうすると、今混乱が起きているというのは、末端の農家は、減反だとか他用途米だとか、いわゆる米政策というものは、政府であれ農協中央であれ、ろくなことをしていないという不信感を持っているわけですよ。だけれども、今のお話からいたしますと、いや、おれの方は方針を変えないでちゃんとやってきたのだが、農協の方が、九月四日の詰めの段階で、そうなれば損しますというような話までやったけれども、それを振り切って自助努力でやるからそれを認める、こういうことになったので、だからこれは農協が混乱を起こさせているのだ、こういうふうに私は受け取る以外にないわけなんでありますが、これは長官、やはり農協が悪いというわけですか。
  190. 石川弘

    ○石川説明員 率直に申しますと、この問題はだれがいいとか悪いとかと言って決められるような性質のことでございませんで、私は農業団体の内部でもいろいろ御意見が分かれていたと思います。  率直に言いますと、どちらかというと買うという方だけに主力を置かれて、買った後のことについては、それは農業団体の知ったことではないから政府の措置に任せればいいという御意見も現にございました。八月三十日に価格決定をなさる際のプロセスの中でもそういう議論があったように聞いておりますし、それから、やはり制度はあるのだから、制度をなるべく使って、有利に生産者に他用途米を出してもらう方がいいのではないかという御趣旨もありましたし、それから、この問題は経済的な問題を離れて、どちらかというと全農民一体となってということで行動した方がいいというような御主張もあるように思います。現に私どものところに来られます農業団体の指導者の方もいろいろと御意見が分かれております。  私どもも、そういういろいろ御意見が分かれている中でこれを結論づけ、しかも他用途米という制度自身が浸透が非常に未熟な状況でこういうことになったわけでございますから、私ども自身にもいろいろ指導上の問題があったと思います。したがいまして、市町村会その他からはきつい御批判も受けているわけでございますので、私どもは別にどちらが悪い、どっちがいいということではございませんで、こういう今回の経緯を踏まえて、むしろこの他用途米問題を我々の米の考え方の中にどうやって今後定着させるかということに腐心をしているわけでございます。先ほど農業団体の方のことを申し上げたのは、自助努力ということをお話がございましたので、この問題については私どもの方から申し上げた趣旨ではないという趣旨で申し上げたわけでございます。
  191. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いや、どれが悪いとかどれがいいとかという問題ではないと言うけれども、末端の方としては、一体政府が悪いのかそれとも農協中央の方が悪いのか、どっちなんだ、やはり責任追及をやっていかなきゃならぬというわけですね。だからその場合、政府の方はちゃんとそういう混乱が起きないような手だてを立てていたのだ、ところが農協の方がその方針を末端の方に浸透させなかったから混乱が起きているのだから、これはやはり農協中央が悪いんじゃないか、こう言われればそれでいいわけですよ。どっちなんですか、はっきりと。
  192. 石川弘

    ○石川説明員 率直に言いまして、事柄自体があの米価の混乱の中で行われておりまして、全部の方々がこの問題のいろいろな討議の経過を御理解になってないわけでございます。したがいまして、いろいろな憶測等がございまして、どちらがどうこうというような話があろうかと思いますが、私はずっと最初から最後までの事の経過を見ておりまして、あれだけのいろいろな要請、混乱、いろいろ五ものの中でのことでございますので、どちらがいい悪いというような事柄で解決することではないと思っております。
  193. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これは、やはり密室の中でそういう話し合いが行われて決められたものだ、だから、ガラス張りでないわけだから下の方は全然わからぬわけですよ。米審の前の日、朝の二時ごろ決めたのじゃないですか、違いますか。
  194. 石川弘

    ○石川説明員 事柄が本当に決着を見るようになりましたのはついこの間でございますから、そういう筋書きのことでございますれば要求時点からでございます。それから、決して密室でやっていることではございませんで、私自身、米対本部の委員会等にも出まして意見を申し上げておりますし、米対本部委員の中でも討議をなさっていることでございますから、関係者の数が限られているのは、そういう組織として限られているということではございますけれども、別に密室でやったということではございません。
  195. 松沢俊昭

    ○松沢委員 関連の質問はこれで終わります。それで、まず一つですが、減反、生産調整をやっているさなかに外国から米を入れるとはけしからぬじゃないかということで、韓国から十五万トンの米輸入をめぐって、八月十日から入り出して、そして入るたびごとに各地域の農民団体、農業団体がそれに対するところの抗議の集会など々開いてきていることは御承知のとおりであります。したがって、だれの目から見ても、米が余るからといって減反政策をやって、今度足りなくかったからといって輸入をやるということは、やはり農民の気持ちを逆なでするものである、これは私だけでありませんで、一般の国民の皆さんもそういうふうに見ておられるわけです。  ところが政府の方としては、これは貸していたものを返してもらうのだ、こういうお話なんでありますが、韓国に対しまして、貸しているものと延べ払い輸出と二つあるのでしょう。だから、貸しているものがどのくらいで、輸出したものがどのくらいなのか、今までの経過を聞かせていただきたいと思います。
  196. 石川弘

    ○石川説明員 数字をちょっと調べまして、後ほどお答えいたします。――貸し付けておりましたものの総数量が六十三万三千トンでございます。それから、現金で売りましたものが二十五万トンでございます。
  197. 松沢俊昭

    ○松沢委員 農民の皆さんは二度と再びこういうようなことがあってはならぬということを言っておりますし、この委員会におきましても、委員会決議といたしまして、このようなことがあってはならない、これが本会議にまで決議が上がっていった、こういう経過があるわけであります。ことしは幸いにして今までにないところの作柄でありますので、みんな喜んでいるわけでありまするけれども、依然として、米作についての作業等を見ていますと、あるいは肥培管理なんかを見ておりますと、手抜きの管理が行われている、これだけは間違いないと思うのです。したがって、ことし若干作柄がよかったからといって、来年またいい作柄になるとはこれは保証がつかぬわけなんであります。  したがって、私たち心配しておりますのは、政府の言い分としては、これは輸入ではないのであって、貸し付けたものを返してもらうのだ、こういう童話なんでありまするが、そうすると六十三万三千トン貸し付けがあるわけですね。二十五万トンですか、これは売った、こういうふうにしてちゃんと仕切られているわけでありますから、まだまだ大変な量を貸し付けているわけだが、また不作になった場合においては韓国から返してもらう、こういうことをやってもらいたくないということが国会の決議でもあり、農民のやはり考え方でもあるわけなんでありまするが、あなた方はその場合、これは輸入ではないのだ、返してもらうのだと言ってまた同じようなことをやることはまさかないと思いますが、その点はどう考えていますか。
  198. 石川弘

    ○石川説明員 私どもが将来の需給を考えていきます場合に、そういう例えば韓国からの返還ということを頭に置いた計画をつくることは全くございません。
  199. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それから、韓国米の輸入時点で米の安全性の問題につきましていろいろと国会で議論がございました。それで、厚生省の方としては十五品目にわたって検査をやるということを約束されたわけであります。これはやはり安全であるというところの証明をするために検査結果の公表というのをやるべきじゃないか、こういうことを我我は要求してきているわけでありまするが、政府の方としてはおやりになっておらない。農林省の方は、お話を聞いておりますと、韓国はもみ貯蔵だというお話があったわけでありますけれども、最近入ってくるところの米にはコクゾウムシなどがついているわけなんでありまして、あれはもみ貯蔵の場合においてはついていないわけなんですね。そういうことになりますと、どういう米がどういうふうにして集荷されて日本に来ているのか、私たちも非常に疑問に思うわけなんです。これは玄米貯蔵で倉庫に入っているのを持ってきておられるのか、あるいはまた最初言っておられるように、もみ貯蔵というもので、送る前にもみを取って調製をやって持ってきたのか、その辺はっきりさせてもらいたい。  それからもう一つは、大体米にはそういう虫がついておりますから当然薫蒸をやる。薫蒸をやる場合においては、五月の末に食品衛生調査会で、五〇ppm以上の臭素があるものは、やはり食糧としては不適当だということで暫定基準をつくりましたですね。そういう暫定基準に合わせて検査をされた結果、どの程度――八月十日のものは食糧に供給しておられると思いますが、検査結果というのはどんな結果になっているのですか。これは別に韓国の米がどうとかいうことの後のお話ですが、日本へ持ってきてから日本で薫蒸した結果がどうなっているか、これは公表できると思いますのですが、どうなっているか、明らかにしてもらいたい。
  200. 石川弘

    ○石川説明員 最初に韓国の米の貯蔵でございますが、御指摘のとおりもみ貯蔵をやっております。それから日本に移してまいります場合は、貯蔵しておりますもみを精米工場で玄米にいたしまして、そして玄米の状態で輸入しているわけでございます。  害虫の発生につきましては、そういう事態がございましたので、大使館その他を通じまして現地の事情等も調査をいたしております。どれくらいの期間精米後向こうの港頭の倉庫にあったか、あるいは精米したところにあったかというふうなことも調査をいたしておりますが、たまたま御承知のように大変暑い時期にそういう調製をしてこちらへ持ってきておりますので、十分その期間に、もみにいなかったものでもそういうコクゾウムシ等が付着する条件があるようでございます。我々の方からそういうことを申し上げておりまして、向こうの方でも港頭の倉庫なり精米所の倉庫等について、そういう発生がなるべくないようにという注意をしていただいておるようなわけでございます。  こちらに来まして発生をしました場合には、御承知のように臭化メチルの薫蒸をするわけでございますが、臭化メチルの薫蒸、これは一回だけしかやらぬわけでございますし、向こうでは薫蒸していない米でございますから、一回だけの薫蒸でございますので、暫定基準値でございます五〇ppmをはるかに下回る数字で合格をいたしまして、販売をいたしております。
  201. 松沢俊昭

    ○松沢委員 どの程度のppmであったか。それから、やはりカドミウムだとかそういうものの汚染問題については、消費者の皆さんは大変心配しておられるわけでありますが、そういう点何らかの方法で、安全であるのであるなら安全であるのだということを明らかにすることをお考え願いたいと思いますのですが、何かいい方法はないのですか。
  202. 石川弘

    ○石川説明員 いろいろな農薬その他の汚染に関する調査につきましては、厚生省が責任を持ちまして調査をいたしまして、いずれも基準値その他について全く問題がないということを言っておるわけでございます。何か数量的に公にするようなことにつきましては、これは対外的な問題もございまして差し控えさせていただきたいということをかねがね申し上げているわけでございます。それから、私どもがいたします臭化メチルの薫蒸後の数値にいたしましても、これはもう責任を持ちまして申し上げておるわけでございますが、暫定基準をはるかに下回る数字でございますので、検査の都度これが何ppmというようなことを特段申し上げる必要はなかろうかと思っております。
  203. 松沢俊昭

    ○松沢委員 韓国の米の輸入というのは現実に行われておりますが、長官の方からも、要するにこれを返してもらうという前提で需給計画は立てません、こういうことを言っておられるのだから、二度とこのようなことはないと思いますが、やはり新聞等によりますと、韓国ではアメリカからも輸入をしなければならないという状況になっているということも伝えられておりますし、あるいはまた今回の水害で北朝鮮の方からも救援物質をもらうという事態に入っております。そういうような韓国そのものが困っているという状態でありまするから、これはやはりその点も考えて、以後絶対にこのようなことがないように、ひとつ皆さんの方からもはっきりとして、国内の米は国内で自給するという国会の決議を尊重していただきたい、こういうことを要望申し上げます。  それで二つ目には、ことしの作況は九月十五日現在、私も資料をいただきましたが、一〇五%という作柄だということであります。しかし、そうは言うものの、五十九米穀年度における需給関係から見ますと、政府が言っておられますように九十五万トンの早食いということになるわけですね。そしてさらに、もう超古米がないわけですから、今まではそこから二十七万トン程度ずつのいわゆるみそ、しょうゆ、せんぺいなどの加工用原料米というものを出してきたわけでありますけれども、それもやはりこの一〇五の生産量の中から出していかなければならない、こういうことになりますと、先ほどから四十五万トンの積み増しを毎年やるのだということを皆さん約束しておられまするけれども、これはできないのじゃないですか、どうですか。
  204. 石川弘

    ○石川説明員 これは作況も含めての話でございますので、今の時点で先々までちょっと申しかねるのですが、私どもはそういう今後の作況と米の需給の状況というものを考えまして、あの三期対策のときに頭に置きましたような規模のものがほぼ積み増しできるような形が望ましいのではないかと思っております。  この場合においては豊凶問題がございますので、非常に楽観的に考えますと簡単にできますし、それから逆に不作が連続すると想定しますとこれはとても膨大なものになるわけでございますが、過去の経験に徴して申しますれば、そういう豊凶差が大きく出ますときは二年ぐらいでいろいろと見直しをしませんと、それを見直しをしないという前提をとりますと、一挙に積み上げてみたりあるいは非常に不足するというような経験もございますので、私ども先ほど大臣からも申し上げたようなことを、そういう積み増しがある程度可能なようなことを中期的に眺めてみまして案をつくり、しかもまた短期的な、例えばこの一〇五というようなのも大きいと同時に、もっと大きな三角も実はあったわけでございますので、そういうような場合にはどんな見直しが可能か、そういう見直しの可能性も含めて今検討しておるところでございます。
  205. 松沢俊昭

    ○松沢委員 六十米穀年度の政府の計画ですか、見通しですか、それからいたしますと生産量が千九十万トン、五十九年度から繰り越すのが十万トンで供給が千百万トン、そして需要の計が千四十五万トンだ、だから六十年の十月末の持ち越しというのは五十五万トンですか、つまり四十五万トンは積み増しができる、こういう計画であるわけです。  ところが、五%の伸びですから、その分はふえるわけですね。ふえますけれども、五十万トンふえたとしても九十五万トン早食いしているわけですから、その分はへこむわけなんですね。そしてさらに、今の説明を聞いていますと、二十万トンの加工用原料米ですか他用途米ですか、それをそこからまた捻出していかなければならない、こうなりますと、実際は二十万トン前後しか備蓄ができないという結果になるのじゃないですか。だから、何かことし豊作だからもう本当に米は心配ないような、そういう雰囲気に日本国じゅうなっているようでございますけれども、来年はまだまだ大変厳しい需給関係にあるのだということはやはりこの際明らかにしておく必要があるのじゃないか、こう思いますが、長官どうですか。
  206. 石川弘

    ○石川説明員 別に私ども、一回の豊作ですべてが大丈夫と申し上げているわけじゃございませんで、大変御心配になっていらっしゃった方々に申し上げているのは、端境期の需給はもちろんのこと、六十年度に対する持ち越しについても当初よりもかなり余裕が出てきているということは申し上げております。  ただもう一方、先ほど先生も御指摘のように、ことしの需給については相当量の新米早食いをやっておりますから、これをどんな水準にまで戻すかということは問題の一つでございます。そ れから他用途米の問題は、二十七万トンが二十万トンになるわけでございますので、決して量的にふえるわけじゃございません。これは織り込んでおるわけでございます。  そういういろいろな条件を加味しながら、しかも大臣から申し上げているようにある程度余裕を持っての操作ができる範囲、しかも御承知のように、先ほどから先生方の御指摘の中でも、転作の規模を余り短期に、例えば一年ごとに動かすというようなことについては否定的な御意見がございます。私どもなかなかやりにくいと思っておりますので、そうなりますと、単年度だけでわっと緩めて次の年に強くいくということもなかなかやりにくい、そういういろいろなことも勘案して需給規模を考えているところでございます。
  207. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いや、私の言わんとするのは、確かに石川長官が言われるように、何しろおてんとうさまを相手にする農業生産なんですから、幾ら正確に予定を立てたとしても予定どおりには私はいかぬと思うのですよ。ですから、それを要するに固定化するということについてもいささかやはり問題はあることはあると私は思っております。だけれども、我が党の安井委員が言われましたように、これはもうやむを得ぬ、だからその部分は財政負担で決まりをつけていく以外にないのじゃないか、私もこういう考え方を持っているわけなんであります。でありまするから、長官の言われるとおり固定化することが不可能な場合においては、なるべく誤差の出ないような計画を立てることは結構でありますけれども、不可能なことをあえて言ってもこれは無理な話なんです。  ただ、私の聞いているのは、六十米穀年度には四十五万トンの積み増しができるという計画が現にあるわけだけれども、これはことしが一〇五であった場合においてはそれは達成はできませんよ、こういうことを明らかにしてもらえばいいのですよ。だから、六十年の作柄を見てそれでまた考えていかなきゃならない、こういうことになると思いますが、要するに、一〇五の場合は六十米穀年度は計画どおりの四十五万トンの積み増しは不可能だ、これははっきり言えるのでしょう。
  208. 石川弘

    ○石川説明員 先生の御質問の趣旨がこういうことでよろしければお答えしたいのですが、要するに、例えば今度一〇五の作があった場合に六十年度に持ち越す五十九年度の米が四十五万トンあるかないかという御趣旨でございましょうか。それとも六十年度末の……。
  209. 松沢俊昭

    ○松沢委員 だから、結局、持ち越し十万トン、備蓄四十五万トン、こういう計算で五十五万トンとなっているわけでしょう。だから、その四十五万トンの備蓄は数字からいっても無理じゃないか。
  210. 石川弘

    ○石川説明員 そういう趣旨でございますと、四十五万トンの積み増し分は、何と申しますか、さず計画的に需給を緩めてあるわけでございます。それから、早食いを四十五万トンと想定しますと、その四十五万トンというのは五%の作況の伸びにほぼバランスをする数字でございます。ですから、五十九年度末から六十米穀年度末に持ち超しますお米の量といたしましては、ほぼ我々が頭に置きました規模はあるのではなかろうかと思っております。
  211. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これは農林省の数字ですが、五%上回ることによって陸稲を含めて千百六十一万二千トンとなっているでしょう。ですから、こういう皆さんの計画からすれば、五十九年産生産量は千九十万トンの予定でいたわけでしょう。だから、千百六十万トンに伸びたけれども、しかし、九十五万トン早食いしているわけだからそこから差っ引かなければならない、これは間違いないわけですね。それから今度、二十七万トン要るのだけれども、ことし二十万トンだ。この二十万トンを別枠としてとらなければならない。そういう善っ引きをやっていきますと、これはとても六十年十月持ち越し五十五万トンということにはならわのじゃないか。
  212. 石川弘

    ○石川説明員 先生おっしゃいました早食い九十五万トンというのは、通常ベースが五十万トンでございまして、その五十万トン程度は、年度をまたがります前に、新米がおいしいとか新米に対する志向ということで当然食べていく米でございます。したがいまして、四十五万トン程度がどうやら通常ベースの先に行き過ぎている。ですから、取り戻すのをどこまで取り戻すかということでございますと、通常は五十万トン規模にまで下げるというのが私どもの操作の実態でございますので、そうお考えいただければ、これはあくまで頭の中の体操でございますが、計算上はほぼ当初ねらったところにいくということでございます。
  213. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それは数字のごまかしというものですよ。単年度で計算すればいいわけなんであって、そうなった場合においては五十五万にはならないのですよ、もともと早食いしているのだから。五十五万トンくらい早食いしていてそれを九十五万トンにしたのだから、五十万トンくらいは、これは確かに今までよりは異常な消費量であった、それをもとに戻せば政府の言うとおり五十五万トンくらいは持ち越されるのではないか、こういう理屈をあなたは立てておられますけれども、これは数字の魔術でありまして、単年度でいった場合においては私の計算は正しいのではないですか。お役人さんというのは数字のまやかしによって国民を惑わすということは私はよくないと思う。  ことしは綱渡りのような状態でありました。食糧庁長官みずから地方へ行って鞭撻されてその綱渡りに成功したわけだ。だけれども、それじゃ来年大丈夫かということになると、来年の食べるものは大丈夫かもしれぬけれども政府が積み増しをやろうというところの四十五万トンの備蓄は単年度ではちょっと無理だ。だから、作柄を見ながら減反の見直しをやるというお話がありましたが、やはり減反の見直しをある程度やらなければ、本当に安定供給というのはまだまだ無理なんじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけでありますし、もちろん長官の方でもそういうお考えなんじゃないかと私は思っておりますが、その辺を明らかにしてもらえばいいのです。
  214. 石川弘

    ○石川説明員 私、先ほど六十米穀年度の末の姿でどうかということでああいうお答えをしたわけでございますが、私どもが今後の計画を考えますのは六十年度末だけじゃございませんで、六十一年度末の米穀年度がどうなるかというようなこと、もうちょっとその先まで含めて計画を練っているわけでございますから、そういう計画の中で大臣がお答えをいたしておりますような積み増しが可能となるような需給、それの背後にあります生産ということを考えているわけでございます。
  215. 松沢俊昭

    ○松沢委員 同じことを何度言ってもしょうがないのですけれども、いずれにせよ、まだまだ安定供給なんというどころの事態ではないのでありまして、ようやく危機を乗り越えた、こういう段階なのだという御見解でいいのじゃないですか。どうですか。
  216. 石川弘

    ○石川説明員 この食管の運用の歴史を見ますと、本当にちょうどいいときというのが残念ながら大変短うございまして、どちらかというと過剰基調の時期が長かったわけでございます。私どもは、何度も申し上げますように、ある程度奥行弐を持って安定供給ができるような需給計画をつくっていきたいと思っております。
  217. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それならば別な角度でちょっとお聞きしたいと思いますけれども、来年の減反面積の緩和というのは、前々から言われておりますが、なるべく早目にやってもらわぬと、市町村はさっきの他用途米の問題と同じように、混乱を起こすおそれがあるわけでありますが、これはいつごろ末端の方におりるようになるのですか、その点をお伺いしたいと思います。
  218. 関谷俊作

    関谷説明員 来年度の転作目標面積につきましては、従来ですと十一月初旬の時期に農業生産対策中央協議会を開きまして正式決定をしております。ことしも、結果的にはやはり十月十五日の作況を見ませんと確定的なものが出ませんので、最終決定はその時期になろうと思いますけれども、お尋ねのございましたような他用途米問題も含めました来年度の米の作付なり転作作物作付、非常に関連いたしますので、できるだけ今月中に食糧庁の需給計画も詰めていただいて、私ども生産担当部局と両方で相談しまして早くめどを得たい、そういう気持ちは持っておりますが、もう少し作況の動き等も見きわめ、また需給の状況も詰めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  219. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大臣にお伺いしますけれども大臣のゆとりのあるところの農政にしていかなければならない、米問題も、本当に大変な時期に大臣に就任されておりますが、ことしは比較的天候もよかったのでようやく危機を乗り越えたという状態でありますけれども、冒頭に申し上げておりまするように、安定供給、安定生産というものができる、そういうとりわけ変わった状況でもまだまだないわけでありますから、やはり危機は乗り越えたけれどもまだまだ安心はしておられないという状況だと思います。そういう点で、今度は五十三年産米もありませんから、足りなくなったら本当に大変なんでありますから、そういった点からいって、今局長の方から答弁がございましたが、八月末あたりまでにということになりますと、ある程度の大ざっぱな、やはり何とか面積はもう少し減らさなければならぬだろうとか、それぐらいの大ざっぱな考え方は出してもらっても差し支えないじゃないか、そういう時期なんじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣、どういう感じでおられますか。
  220. 山村新治郎

    山村国務大臣 御存じのとおり、八月十五日中は一〇三でございました。そして九月十五日が一〇五、十月十五日また出てくるわけでございますが、これがどういうぐあいに出てまいりますか、この作況を見た上でいわゆる転作面積、これをどのようにしたらいいか、先ほど先生のお話がございましたが、今年度確かに天候にも恵まれましたが、同時にまたたくましい稲づくりというのを提唱いたしまして、知事会、市長会、町村会、これらの皆さんの御協力、そしてまた農業者の皆さんの御協力をいただいて、私ははっきり言うと、ここまで豊作になってきたということにつながると思って感謝しております。そして、それらの皆さんにおこたえするためにも、できるだけ早い機会にこの転作の方向というものを決めたいと思いますが、何にしてももう一息、十月十五日、作況が出てくるわけでございますので、それを見た上でできるだけ早く決めていきたいというぐあいに思います。
  221. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私の聞くのは、できるだけ早くやってもらいたいけれども、あなたの感じからいくと、今までの国会の経過がありますからやはり緩和をするという方向でなるべく早く始末をつけていく、こういうふうな理解でいいですか。
  222. 山村新治郎

    山村国務大臣 総理とともにこの農水委員会での集中審議にも呼ばれまして、総理からもあのとき、余りにも厳しい需給操作である、もっとゆとりのある需給操作というものをすべきであるということもございますので、この十月十五日の作況を見た上で、ゆとりのある米の需給というものを目指して弾力的にやってまいります。
  223. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それから、他用途米の問題で若干聞きたいと思いますが、大体他用途米そのものというのは無理な制度だと私は思うのです。同じ品物を別々な価格で買うなんて、こういうやり方自体が私は不合理だと思うのです。しかし、御飯を食べてもらう人も我々から見まするならばお客様、せんぺいやみそをつくってくれる皆さんも農民から見ればお客様なんでありまするから、したがって日本の米作をやっている農民は、その全部の皆さんに満足のいくように供給をしていく、これは当然な話だと思うのです。ですから、外国に依存しないところの政策を政府からとってもらいたい、こういうことでいるわけでありますが、問題は、今農林省の方でも逆七五三で超多収穫品種、関谷局長も今まで頑張ってこられましたのですが、そういうのをなるべく早く進めてもらいまして、そして多収穫品種をつくって、いろいろな、えさにする米だとか、あるいはまた加工原料米とか主食にするとかという米をうんとつくって用途別に使っていく、こういうのが私は好ましいやり方だと思うのです。  そういうような点からいたしまして、仮に今そういう研究の結果が実用化されていないといたしましても、例えば私、新潟でありますけれども、多収穫品種というのがやっぱりあるのですね。ことしあたりは十三俵ぐらいとれるのですよ。だけれども、コシヒカリということになりますと、せいぜい九俵か八俵半、こういうことになるわけでありますから、値段の面にしましても、コシヒカリになれば二万四千円以上に売れるわけ、だけれども、そういう多収穫品種になりますと一万八千円程度、こういうことでありますから、その差というのは六千円以上になっているわけですね。これは現実なんですよ。  ですからそういう点を考えた場合におきましては、他用途米の買い上げをやるには新しい検査規格というものをつくって、そして他用途米はこういうようなものを他用途米にするのだ、主食はこういうものを使うのだ、こういうふうにしてぴしっと区分けをつけるならば、それは混乱というものは今よりは起きないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけなんでありますが、さっき小川さんの方からも質問がございましたように、何でも同じ値段で買うというのだから出せ出せと言って出したでしょう。そうしたところが、それが今度は他用途米の価格だ。だから、コシヒカリを他用途米の価格で出せなんて言われてもこれは出せるものじゃないという問題が起きてくるわけでありますから、そこらのところ、やっぱり新しいところに検査規格をきちっとつくってやれ、これは農協も主張しているのですよ。私たちも主張している。  私たちは別に、米をうんとつくって、減反なんかしない方がいいと思います。うんとつくって、そしてそれは品種改良をやって、反当十五俵ぐらいできるものをこれはえさ用に回した方がいいじゃないかとか、味がいいのはこれは主食に回した方がいいじゃないか、これは要するに工業用に回した方がいいじゃないかとかというふうに、やはり政府のタという字と私たちのタという字は違うわけでありまして、多いという字を書くわけなんでありますが、そういう米政策に変えていかなければならぬと私は思うのです。  そういう点で、大臣、私の考え方、同じ米を片っ方は一万二千円ぐらいにして、片っ方は一万八千円だ、二万円だということになっては、これはやはり不公平だし理屈に合わぬという農民の気持ちもこれは十分考えてもらいたいと思いますのですが、どうでしょうか。     〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
  224. 山村新治郎

    山村国務大臣 先と言われるように、他用途米、一物二価ということでおかしいじゃないか、そしてまた他用途米に利用するような米は多収穫米を使ったらどうだというようなことでございますが、事実、多収穫米につきましては農林水産省としても随分研究もいたしましてやっております。一時、一トンぐらいとれるという話があるような米がございまして、それも研究いたさせました。しかし、倒伏が起こるとか、それから病害虫に弱い、思ったようなところの、一トンというようなそんな数量にはとても及ばないということでございまして、これらについても研究はいたしておりますが、実用という段階ではなかなか難しいようでございます。このほか、いわゆる他用途利用米につきましては、御存じのとおりに国会決議もこの間いただきました。主食たる米は全量国内産をもってこれに充てるべしということでございますので、それを考えますときに、いわゆる他用途利用米というものを、加工原材料用米でございますが、これがない場合には、とても先と言うように、全部買って、私も農林水産大臣としてぜひやりたいのですが、これは恐らく今の苦しい財政事情ではちょっと無理ではないかと思います。しかし、今言われました多収穫米、これらにつきましては極力力を入れて研究させておるところでございます。しかしまた、他用途利用米につきましては、これはひとつ農民の皆さんの御理解をいただきながらこれを推進することによって、せんだっていただいた国会決議、これも守れるわけでございますので、この点も御理解いただければありがたいと思います。
  225. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これで終わりますが、他用途米を出さなかった場合はペナルティーはあるのですか、長官。
  226. 関谷俊作

    関谷説明員 これは、契約どおり出荷しなかった場合には、いわゆる公平確保措置を適用いたします。
  227. 松沢俊昭

    ○松沢委員 ペナルティーというのは減反面積のことを言っているわけですが、契約を破棄するということになれば違約金を納める、これは当然の話だと思いますが、どういうことなんですか。
  228. 関谷俊作

    関谷説明員 いわゆる違約金の方は、これは農協と生産者、集荷業者と生産者の間の問題だと思いますが、水田利用再編対策上は、普通の目標面積を達成しなかったと同様な、いわゆる公平確保措置で翌年度の限度数量等に反映させていく、こういうことでございます。
  229. 松沢俊昭

    ○松沢委員 では終わります。
  230. 阿部文男

    阿部委員長 新村源雄君。
  231. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私は、来る十二日に決定されようとしております畑作三品の問題について御質問を申し上げてまいりますが、この大要につきましては、去る八月二日の本委員会におきまして大要質問を申し上げたところでございます。当日の私の質問に対する答弁の内容をずっと子細に見てまいりますと、どうも総論賛成各論反対という、こういう印象を受けざるを得ないわけであります。そこで、今度問題になってまいりますそれぞれの品目を見てまいりますと、一つはてん菜でございます。  てん菜は、北海道は、沖縄の甘庶糖等を含めて、日本の唯一の甘味資源の生産地でございます。日本の砂糖の消費量は大体三百十万トン前後ということで推移をしております。このうち、北海道てん菜糖で大体六十万トン前後、それから沖縄の甘庶糖で二十五万トン前後、したがって、両方合わせて八十五万トン程度でございます。これは、国内の三百十万トンという消費量から見ますと、約三分の一弱の供給力より持ってないわけでございます。  さらに、バレイショの問題でございますが、バレイショは、御案内のように生食用あるいは加工用、そして残ったものはでん粉にする。そして、このでん粉のところで問題が出てくるわけでございますが、このでん粉にいたしましても、全国の消費量は昭和五十八年で約二百三万トンでございます。これも、本州のカンショでん粉十三万トン、北海道の馬でんが三十万トン、合わせて四十五万トン、二百万トンの消費に対してわずかに四十四、五万トンの供給力より持ってない、四分の一も持ってない、こういうことでございます。さらにまた大豆等におきましては、自給力わずか四%という、本当に取るに足らない供給力より持ってない。  さらにこれに付随をいたしまして雑豆でございますが、雑豆も国内の消費量は約四百万トン、国内生産量は二百万トン、これも二分の一より持ってない。  こういう中で、北海道畑作ばかりではございませんが、本州の甘蔗あるいは沖縄の甘庶糖、こういうものはいつも圧迫を受けておるわけです。そこで、具体的な質問に入る前に総括的に若干お伺いをしたいわけでございますが、どうもこれらの畑作の品目につきまして、農林省当局北海道に対してこれの生産規制を常に行ってきている、こういう現実がちらほらと見受けられるわけでございますが、この実態については農林水産省どういうことでございますか。
  232. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作物、特に北海道畑地帯の畑作物でございますが、これにつきましては、かねてから私ども北海道畑作面積の中で豆類、バレイショ、小麦等のこういう基幹的な作物がバランスを持って作付されるということが合理的な作付体系、また地域農業の均衡の上に非常によろしいということで、そういう考え方で指導はいたしておりますが、今お尋ねの中にございましたような生産規制ということに当たるような意味面積を制限したり、そういうようなことはいたしておりません。
  233. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、具体的にちょっとお伺いいたします。  これは農林水産省農蚕園芸局長が四月二十三日付で北海道知事にあてた文書ですが、全部読めばいいわけですが、一部だけ申し上げます。  この「記」の二の中に「馬鈴しよでん粉生産については、厳しい需給事情等にかんがみ、生産過剰を招来することのないようでん粉原料用馬鈴しよの適正な作付指導を行うとともに、安易に他の用途からの転換が行われることのないよう努めること。」こういうように非常に厳しい文書通達が来ております。これは一体何を意味するのですか。
  234. 関谷俊作

    関谷説明員 これは、ただいまの通達の中におらわれておりますように、バレイショでん粉需給状況等も勘案し、それから先ほど申し上げました北海道畑作地帯の農業作付体系、いわゆる輪作、そういう問題を考えますと、そこの中にありますような問題につきましては慎重に対処していただきたいという一般的な指導方針を御連絡したわけで、いわゆる生産規制というような意味で厳格に面積をコントロールする、こういうようなことで出した通達ではございません。
  235. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それは局長さん、御答弁とこの内容とは大分違っておりますね。これは具体的に端的に申し上げますと、こういうことだと思うのですよ。生産過剰を招来することのないようでん粉原料用バレイショの適切な作付指導を行うとともに、安易に他の用途からの転換を行わないということですね。現地では食用として貯蔵してきた、しかし食用の時期が来てもどうしても食用として消費できなかった。このときに、従来北海道としては非常に大きな出血を覚悟ででん粉に加工せざるを得ないことがあるわけです。私どもは、これを指しているのではないか、これ以外に考えられないわけですね。あるとすれば具体的にどういうことですか。
  236. 塚田実

    塚田説明員 ただいま御質問の生産について、私ども計画的に生産をお願いしている、その背景は私の局のでん粉の需給問題にかかわるものですから、私から御説明させていただきます。  御案内のように、でん粉需要異性化糖需要も一巡しまして横ばいになっている、でん粉の新規需要もなかなか期待できない。こういう中で外国産のものと国産のものと抱き合わせということで、関税割り当て制度のもとで国産のものを優先してユーザーに使っていただいているわけでございます。  そこで、なぜこのように厳しいかと申しますと、国産のものはトン当たり十八万円いたします。海外のものは今のところ八万円でございます。ですから、このままでは国産のものは売れないわけですから、ユーザーの方に外国産コーンスターチ等抱き合わせてミックス価格にして使っていただいているわけであります。そうしますと、今一対七でございますから九万五千円という数字になるわけですね。  外国から入ってくる関税割り当て制度のもとで、二次税率で入ってこれるわけですが、現在の関税率、キロ当たり十五円のもとで四〇%相当の関税でございますが、それが九万六千円で極めて接近しているわけでございます。ですから、今の事態でうまく本制度運用していくにはどうしなければいけないかといえば、極端な場合は二次税率を上げるか原料価格を下げるか、どちらかの手段しかない。二次税率四〇%、非常に高いわけですが、それを五〇、六〇と上げていくのも非常に難しい。原料価格の引き下げ、これはまたもちろんいろいろ難しい問題がある。そのようにすれば、どうしても現在の制度を堅持するという立場に立ちますと、ひとつ計画的な生産をお願いしたいということで、私どものお願いを先ほどの通達のような形でしているわけでございます。
  237. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そのシステムはわかりますよ。システムはわかりますけれども、この内容の数字を見ますと、水あめ、ブドウ糖、異性化糖、これの総量に使われているのは百二十四万トンです。そのうち甘でんと馬でんで使われているのはわずかに二十二万トンですよ。たったそれだけの比率より持っていないのですよ。私が先ほど申し上げましたように、バレイショ全体の消費は二百万トンもある。そのうち五十万トンも国内生産がないんだということなんですね。極めて低い自給。そんな中で水あめや異性化糖に百二十万トンも全体で使っていて、国内のものがわずかに二十二万トンそこそこのものしか操作できないのですか。そんなに農林水産省は力がないのですか。
  238. 塚田実

    塚田説明員 御説明申し上げます。  それはなぜかといえば、端的に申しますと、国産のものと外国産のものと単価が開き過ぎるわけです。トン当たり十八万円のものと八万円のものがあるわけですから、同じ値段であれば一対一で割り当てればいいわけですけれども、値段に差があるものですから、国産が一、外国産が七というようなことで抱き合わせてやっと先ほど申しました二次税率の九万六千円より下に、それも九万五千円ということで抑えている、そういう実情であります。ただ、その需要さえふえていけばそれは別に問題はないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、残念ながら需要が頭打ちというようなもとではこのような結果にならぎるを得ないということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  239. 新村源雄

    ○新村(源)委員 大臣、今私の質問を聞いておりましてどういうようにお考えになりますか。農林水産省はそんなに力がないのですか。四分の一にも満たないものを――今、国の全体の予算は五十兆円でしょう。こんなところで自衛隊の国防費を引き出すのはおかしいですが、やがて三兆円にたろうとしているでしょう。三兆円になろうとしている中で、本当にわずか何十億の金のものを、しかも農民が汗水を流してつくったものを捨てろという意味です、この通達の内容は。もし私の受けとめ方が正確だとすれば、そういうことになります。馬でんにしか加工できないわけです。それを安易に加工してはならぬと言っておるわけでしょう。  大臣、こういう問題についてどうお考えになりますか。
  240. 塚田実

    塚田説明員 先ほど申しましたような厳しい需給事情でございますので、私どもでん粉について国産でん粉の完全な消化を図るという角度から、この割り当て制度からそのように申し上げておるわけでございまして、何も生産規制しろとかというようなことを決して申し上げているわけではないわけです。食品用とかいろいろ用途があるわけですから、その用途に従ってそれを使っていただきたい、そういうことでお願いしておるということで御理解いただきたいと思います。
  241. 山村新治郎

    山村国務大臣 今局長から御答弁しましたように、関税の問題等を含めましていろいろ難しい問題はあるようでございます。しかし、今先生が言われますのもごもっともでございますので、いろいろまた検討してまいりたい。しかし、我が国の置かれておる立場、私もこの春、四月に入りましてから農産物交渉に行ってまいりましたときに、我が国が貿易立国として立たされておるときに、農産物だけはだめだと言って前へ立ちはだかるのも国全体の方策からしますと難しいわけでございます。我々農林水産省として、国内生産でできるものはできるだけ国内生産で賄うと同時に、また我々がいわゆる生産性向上等努力しながらできるだけぎりぎりの線で外国製品とも闘っていかなければならないところもあるわけでございます。で、ひとつ勉強させていただきたいと思います。
  242. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この問題につきましてはまだまだ事例を挙げて追及したいところでございますが、局長さん、これは北海道バレイショ生産農家あるいは農業団体にとっては非常に深刻な問題に発展する可能性があるのです。でございますから、十分ひとつ配慮してやっていただきたい。まらにまた、大臣、殊に農林水産省はもう少し強くなってもらわなければ農民は浮かばれないですよ、まだ後でいろいろと言いたいのですが。それに関連してもう一つ申し上げたいわけですが、事務次官は出ていらっしゃいませんね。――けさの朝日新聞に「市場開放 四年後には大幅?」、これは渡邉事務次官が当面の農林水産行政の課題について説明したことに対して、総理が四年後にはことしの四月に決まった牛肉、オレンジのようにそんな小さいことでごちゃごちゃしないで、大幅に思い切って自由化をせい、そういう意味の発言であるということを朝日新聞が報道しでいるわけですよ。これに関連をして、総理が去る九月の二十七日ですか、行政視察といいますか、私はちょうど中国へ行って、いなかったのですが、我が郷土の十勝にいらして、農業青年と車座で歓談をして「農業大型化融資前向き検討約束」、こういうなにが出ているわけです。これとこれ々比べてみますと、一体これはどっちを向いていいのかわからないのですね。これは一体どうなんですかね、この真相は。
  243. 田中宏尚

    ○田中説明員 きのう、うちの事務次官から総理に来年度の重点施策について御説明申し上げまして、私も同席しておりましたので、私から説明させていただきます。  きょう朝日にはそういう記事になっていたようでございますけれども、きのうの総理の指示は、ことしの日米交渉はいろいろな努力の積み重ねでどうやら円満に終わった。四年後にまたああいうことがあるので、国内のいろいろな農業生産体制というものの体質を強化していくようにという御指示はございましたけれども、四年後に大幅であるとか、そういうたぐいの御発言は一切ございませんでした。
  244. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この問題はこの問題として今後に残っていく問題だと思いますが、そこで去る四月の日米貿易摩擦の中で、牛肉、オレンジ、これに附帯をいたしまして、非関税自由化品目の十三品目につきまして事務レベルで詰めていけ、こういうことで、その中で雑豆の輸入枠を十二万トンもしくは五千五百万ドル、こういう底辺が決められたわけですね。ところが、これは先ほど申し上げましたように、日本の雑豆の消費量というのは全体で四百万トン。十二万トンというのはちょうどこの半分の二百万トンに相当するわけですね。そうすると、需要の半分だけは外国から依存をするんだ、こういう位置づけを明確にしたわけですね。そういうようにいたしますと、北海道畑作農家というのは、先ほど塚田局長さんからお話がありましたように、理想的な輪作体系というのが望ましいから今そういう方面で指導しているんだ、こうおっしゃったのですが、北海道には八十九万ヘクタールの畑地面積がある。これは飼料畑も含めてでございますが、飼料畑を除いて四十一万四千九百ヘクタール。全国畑作面積から見ましても実に三分の一を持っておるわけです。こういう中で輪作体系を決めよう、こういうことですが、しかしこれ以外に北海道には十万ヘクタールのいわゆる休耕田があるわけです。これがどう動くかということによって北海道畑作生産というのは大きく変わってくるわけです。ですから、この位置づけを明確にしないで、先ほどおっしゃったようにバレイショがこうだ、ビートがこうだ、豆がこうだとおっしゃってもこれは大変なことなんですが、こういう点については農林当局はどういうようにお考えになっておりますか。
  245. 関谷俊作

    関谷説明員 北海道畑作面積は、先ほどお尋ねもございましたが、大体四十二万ヘクタールぐらいになっておりますが、その中で豆類が六万六千ヘクタールぐらいになっております。六万ヘクタールぐらいございます。それで、全体的にはこういうことで、先ほども御答弁申し上げましたとおり、豆類、てん菜バレイショ、小麦、青刈りトウモロコシ、こういうような各種の基幹的な作物を組み合わせてある程度のバランスを持って作付をしていくということが一番望ましいことではなかろうか、こういうように考えております。  具体的に雑豆等の問題につきましては、今年度の五十九豆年度の供給面は、去年の国産雑豆が不作でありましたが、前年度の繰り越しと外国産豆の適正な輸入によりまして大体順調な供給が行われておりますが、需給全体として見ますと、五十八年が消費量全体、豆年度で二十三万七千トン程度、そのうちの輸入が十一万七千七百トンぐらい、こういうような見込みでございます。  次の五十九豆年度につきまして、これは五十八年十月からの一年間でありますが、私ども見込みとしましては、消費の面では前年の前豆年度の二十三万七千トンをもう少し上回る、こういうような見込みもございます。  価格面につきましては、若干五十九年産作柄が良好でありまして、作付面積が一方比較的多い、こういうことを反映しまして、小豆の場合、大体現在一俵六十キロで二万六千円前後ぐらいで推移しております。七月以降若干低落をしているわけでございます。こういうような事情、よく考えなければなりませんが、いずれにしましても、こういうような畑作の基幹的な作物であります雑豆の生産安定という面に配慮しながら、国内生産状況をよく見ながら、また消費動向を見きわめながら、今後の輸入調整も含めて価格の安定を図ってまいりたい、基本的にはこういうふうに考えております。
  246. 新村源雄

    ○新村(源)委員 局長さん、それは後でまたお聞きしたいと思っておりますが、私が今お聞きしたのは、北海道の豆作を言っても、てん菜バレイショの問題を言っても、これはそういう輪作体系ということが望ましいということはみんなわかっているんだ。わかつちゃいるけれども、十万ヘクタールといういわゆる水田を休んでいる、そういうところが、これは北海道で例えばてん菜を四百万トン以上とつちゃならぬ、こう言ったって、あるいは場合によっては五百万トンになり得る可能性をそこに残しているわけですよ。ですから、その十万へクタールの水田というものを畑作の四十二万ヘクタールとの関連でどういうように理解々されているかということをお伺いしたわけです。その点についてはどういうふうにお考えですか。
  247. 関谷俊作

    関谷説明員 北海道につきましては、水田利用再編成の面では大体転作率四四%ぐらいの目標面積でやっていただいております関係から、今お尋ねのございましたように――これは休耕田ではございませんで、転作等に向けられているものが十万ヘクタールぐらいあるわけでございます。これにつきましては、お尋ねのございましたように、野菜その他飼料作物、若干大豆類その他も含めまして、いわゆる畑作地帯の畑作物と供給面で競合する点があるわけでございますが、これはやはり北海道農業の問題としまして、水田も含めて土地の有効利用を図っていくということで、あながち水田からの転作ということをこれから実施しなくていいというわけではございませんので、この水田の転作によりつくられます畑作物も含めまして、総合的に需給、価格の安定を図っていかな仕ればならない、こういうふうに考えております。
  248. 新村源雄

    ○新村(源)委員 なかなか的確な答弁が出てこないわけですが、私はここでどうしても提言をしておかなければならないのは、やはり北海道の十万ヘクタールの水田というのはあらゆる手段を講じてできるだけ米をつくる、転作率を低くする、これが第一の前提だと思うのです。しかし、なおこれで吸収されないものについては、畑作面積の四十二万ヘクタールのうちから四輪作のそういう中で転作から転用してきたところの例えばてん菜が幾らだ、バレイショが幾らだ、あるいは豆類は繁らだ、こういうものについて特別な配慮を持って見てもらわなければ、畑作農家がどんなに一生懸命に輪作上これが望ましいんだと言ってやっても、それを総まとめにして見てもらったのではどうにもならないでしょう。そうでないですか。北海道畑作農業というものについて見ていくためにはそういうものを配慮して見ていく、こういうょうにひとつ明確に御答弁をいただきたいわけです。
  249. 関谷俊作

    関谷説明員 転作につきましては、特に北海情の場合、地域によりましていろいろ条件が異なるわけでございますので、特に道南とか中央方面にかけましてはかなり野菜の面で生産が伸びておるとか、転作がかなり消化されているとか、いろいろなことがあるようでございます。ただ基本的には、お尋ねのようにここで畑作物をつくります場合に、どういうものにつきましてもいわゆる畑地帯の畑作物との競合関係が出てくるわけでございますから、御趣旨のようにその両者をあわせ考えて対策を考えなければいけない、こういうことは全く同感でございます。
  250. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そこで、雑豆はIQ制度によって国内の農業を守るという立場から運用されてきたわけです。したがって、10制度が一定の枠を設定した、日本の経済政策の中で設定せざるを得なかった、こう言っていいと私は思うのです。ということであれば、このIQ制度によって受ける不利益というものは日本の政治の中で吸収しなければならない責任が国に出てきていると私は思うのですが、この点についてはどうですか。
  251. 関谷俊作

    関谷説明員 IQ制度につきましては、あくまでも現在の貿易上はいわゆる残存輸入制限というような扱いの中で、現在の国内生産状況から申しますとこういう方式に雑豆なら雑豆を乗せていかなければならない、こういうことで実施をしているようなわけでございます。これにつきましては、そのこと自身がそういう意味でガット上の問題もあるわけでございますし、我々としましては、そういう国内の現在の状況からしますと、現在これを廃止して自由化するということはとても考えられない、やはり国内生産との調整を十分考えながら運用していかなければいけないということで、この運用につきましては私ども慎重に需給状況を見、国内生産あるいは国内の需要面、そういう面の配慮をしながら適切に運用していくべきものと考えております。
  252. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そこで、四月七日に日米貿易摩擦の問題点であった牛肉、オレンジの交渉が成立したときに大臣がその談話としてずっと述べられて、「十三品目についても、決着を図るべく、今後事務レベルで集中的な協議を行う。」こういうようにおっしゃって、その結果として十二万トン、五千五百万ドル、こういうようになったわけですね。その談話の中に、これは全部一括のものとしてそういうようになった、最後に「しかし、万一、不測の事態が発生するような場合には、直ちに必要な措置を講ずる方針であるので、生産者各位におかれては、動揺することなく、生産活動に努力していただきたい。」こういうことで、大臣が責任を持って交渉したがこうだった、しかし、このことによって日本の農業や農民が心配するというようなことがあったらちゃんと対策をしてやる、こういうようにおっしゃったわけですね。これはこのとおりやっていただけるわけですね。
  253. 山村新治郎

    山村国務大臣 牛肉、オレンジにつきましては、御存じのとおり四年間ということのいわゆる妥協ができたわけでございますが、十三品目についてはとりあえず二年ということで、これも牛肉、かんきつと同じように四年までと思ってやったのですが、どうしても二年ということで二年の、とりあえずガット提訴取り下げということになったわけでございます。そして、不測の事態が生じた場合にはあらゆる措置をとってこれにこたえていくということを言ったわけでございまして、私としまして我が国農業を守るという立場もございますので、私にできる点ではあらゆる措置をとっていきたいというぐあいに考えます。
  254. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そこで、今年IQ制度で十二万トンというものは確実に入ってくる。関谷局長さんの方から先ほど現況等についてお知らせがございました。しかし何と言いましても、この十二万トンが決定したということと、幸いにして今年は豊作だということで、豆類の価格がやや、暴落と言ってもいいくらいの価格の低迷を来しておるわけです。また別な機会に御要請を申し上げようと思っておりますが、北海道の酪農家はもちろんでございますが、畑作農家もこの規模拡大あるいは機械化その他の推進等によりまして、昭和五十八年度末で一戸平均約一千七百万円近い負債を持っているわけですよ。こういう価格の低落というのは、農家経済にとっては非常に手痛い打撃を受けるわけですね。  それで、今農協も含めてこの価格対策というものをどうしようかということで一生懸命検討しておるわけです。しかし残念ながら、私の調べてきたところによりますと、小豆だけをとらえても、どうしても来年度に約五十万俵持ち越さないともう処置ができないということが明らかになっております。五十万俵を棚上げしていくということになると、その金は一これはもうそれをただ預けっ放しにしておくというわけにいきませんので、当然金利倉敷等がかかる。そうすれば、価格の暴落の上にさらにそれがかぶっていくということですから、農家の負担は非常に重くなってくるわけですよ。こういう点等について、私は政府は積極的な対策を講ずるべきである、こういうように思うのですが、どうですか。
  255. 関谷俊作

    関谷説明員 在庫の状況等も含めまして、雑豆の需給状況につきましては、私ども十分注意をして見ているつもりでございます。また、今お話のございましたような在庫の増加傾向の中で、そういう問題が提起されていることも承知しておりますが、現在の状況からしますと、こういう状況をいろいろ勘案して、私どもとしては今直ちに生産者方面の在庫問題について何らかの手を打つという段階まではまだ来ていないというふうに考えておりますが、いずれにしましても、さらに状況生産者団体の方々からもよくお聞きをしまして、我々としては慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
  256. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この問題につきましては特に今年度、まだ具体的に農業団体の段階ではどういうようにしていこうという方策は決定はしていないようでございます。しかし、何らかの方策をとらなければならぬということだけは明らかでございますから、先ほどから申し上げましたように、これはやはり政治的に私はこういう情勢を生んできている、こう言わざるを得ないので、大臣、ぜひそういう対策をやっていただきたい。そういうことで、大臣、決意をひとつ表明をいただきたいと思います。
  257. 山村新治郎

    山村国務大臣 地元の生産者からもよく事情をお聞きしながら、不測の事態が起きないように対処してまいりたい、かように考えます。
  258. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次に、てん菜の問題についてお伺いしたいと思います。  この前段として、先ほど申し上げましたように、北海道てん菜あるいは沖縄の甘庶糖、これを含めて大体八十五万トン程度生産量でございますから、この程度のものはやはり独立国として最低限守っていかなければならないと私どもは思うのです。しかし、どうも北海道の現場に行くと、ビートをこれ以上つくってはならぬという農林省の指導がある、こういう声を間々聞くわけですよ。しかし、農林省が策定した長期計画の中には、面積七万七千ヘクタール、そして生産量の目標値四百万トン、こういうものが明らかに出ているわけですね。ですから、もっともっと自給力を高めるということであれば、七万七千ヘクタールではなくて八万ヘクタールでも八万五千ヘクタールでもいいと私は思うのですよ。今の段階でそういう声が聞こえるということは非常に遺憾なんですが、農林省当局はそういう声を出しているのですか。
  259. 塚田実

    塚田説明員 お答え申し上げます。  私、先月も北海道へ参りましたけれども、その北海道で申し上げたことは、生産の規制なんということは申し上げておりませんけれども、合理的な輪作で計画的な生産をぜひやっていただきたい、このように申し上げてきているわけであります。それはまた、帰りましてからも重ねてその旨は申し上げております。と申しますのは、ことし七万五千二百ヘクタール作付されまして、それけそれとして、非常に天候に恵まれて豊作で、これは私も非常に結構だと思っておりますけれども北海道からの報告によりますと、その合理的な輪作が行われていない町村が若干あります。それは、網走を中心にして、連作が行われる、二年間またいでまたてん菜をつくる、そういうようなことが行われているという話も報告を受けておりますので、ぜひ合理的な輪作をやっていただきたい、それが北海道農業発展の基礎の一つであるということを申し上げている次第であります。  それからもう一つは、てん菜糖の需給事情というものもございます。御案内のように、ことしの生産量は四百万トン、見込みでございますけれども、まだ産糖量がどのくらいになるかわかりませんが、六十万トン程度を見込まれるのではないかと思っております。五十七年が六十一万四千トンの生産実績であります。その際の経験といたしまして、砂糖の市況がかなり落ち込んだということがあります。そこで、私どもはそういう経験を二度繰り返してはならないということで、現在いろいろ知恵を絞って、五十万トン程度は円滑に販売できると思いますけれども、残る十万トンについていろいろ知恵を絞って、そうした五十七年の経験を繰り返さないように今やっているところでございます。そういう意味で、北海道の糖業者の立場もございますので、私どもはそういうことを踏まえて、先ほど申し上げたようなことを言ってまいってきているところでございます。
  260. 新村源雄

    ○新村(源)委員 てん菜価格につきましては、特に今度の決定では、価格といわゆる奨励金という形で二本立てになって二万一千二十円、こういうことになっていまして、このうち七百六十円が奨励金という形になっている。しかし、農家にとってはこれはてん菜価格なんですよ。今さらこれは奨励金だから、何か今年はこの奨励金については問題がある、こういうことを行管等から言われているということをちらほら聞くわけですが、そういうことは一つのテクニックの問題であって、いわゆるてん菜価格推移をずっと見ましても、この農業パリティ総合指数から見ましても、これはもう明らかにこの二万一千二十円というのはてん菜価格であるわけです。だから、これを基準として今年幾らアップするかということが論議されるべきであって、この奨励金云々というようなことは到底我々に通じない話であります。大臣、私の考え方は間違っておりますか、ちょっと……。
  261. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  ただいま二点御質問がありまして、まず最低生産者価格につきましては、私ども、これはまさに先生御案内のとおり、農業パリティ指数に基づいて算出される価格基準にいたしまして、物価その他経済事情等を参酌して決めることにしております。その際、他の畑作物価格決定とのバランス、現下の厳しい財政事情なり先ほど申し上げました需給事情、それから特にてん菜につきましては、近年機械化の進展等により生産性向上が顕著であります。そういうようなことも含めて総合的に検討して決定していきたいと思っておりますが、まだ何ら私ども政府としてこうするということを決めたものはございません。慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、てん菜生産奨励金についての御指摘でございますが、これは私ども考えでは、奨励金昭和四十九年に設定されまして、その趣旨は、収益性の大幅な低下や作付面積の激減に対処するものということで設定されたというふうに理解しております。てん菜の近年の生産性向上、単収の向上あるいは労働生産性向上に伴う収益性が大幅に改善しております。作付面積も五十二年産以降大幅に増加し、一部で先ほど申しましたように過作傾向も見られるわけであります。そういうことも踏まえ、また先生の御指摘の、含めたものが手取り価格であるというような御意見も、もちろん私もよく承知しております。そういういろいろな事情、また厳しい財政事情もあります。そうしたことを総合的に勘案して慎重に取り扱っていきたいというふうに考えております。
  262. 山村新治郎

    山村国務大臣 今局長から御答弁申し上げましたが、先生のお考えもよくわかるわけでございまして、ひとつ慎重にやってまいります。
  263. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これはあくまでも二万一千二十円というのは農民の生産価格である、こういう認識の上に、これを基盤に今年度の価格を、正当な農業パリティ指数なりあるいは生産の実情等を考慮しながら決定をしていただきたい。  さらにバレイショでん粉の問題につきましては、先ほど申し上げましたように本当にわずかなものですから、わずかなものを、余ってからどうのこうのということではなくて、責任を持って完全に処理をします、こういうことで、大臣、よろしゅうございますね。
  264. 塚田実

    塚田説明員 お答えします。  先ほど申し上げましたことは、国産でん粉の優先消化ということで制度ができておりまして、日米交渉でアメリカ側が強烈な文句を言ったのはまさにこの点なわけです。それにもかかわらず我々はこの制度を守ったわけですから、この制度を堅持してまいりたいというふうに考えております。
  265. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間がなくなりましたので、最後に大豆の問題。大豆の問題は、これは国内で一定の自給力をどうしても持っていかなければならない極めて重要な作目であると思うわけです。しかし残念ながら、非常に単収が低い、価格も安い、こういうことで、農家はつくりたいのだけれども採算性に合わないのでなかなかつくれないという盲点がございます。幾らつくれつくれと言っても、自分の経済の中で消化し切れないものはっくれないわけですから、したがって、価格の面で大幅にアップをしてもらうと同時に――私、ついこの間中国へ行って吉林省の農業試験場を見てまいりました。地形的な問題で比較にはなりませんけれども、ことしは作柄がよく、まさに鈴なりになっていると表現していいくらいにびっしりさやがついているわけですね。そういうことから見れば、日本の試験研究機関も一生懸命おやりになっているのですが、もう少し積極的に試験研究機関を動員して大豆の品種改良に取り組んでいただきたい、こういうようにひとつ大臣に要請をいたしますが、大臣の方から御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  266. 山村新治郎

    山村国務大臣 大豆につきましては、新品種、これらにつきましてもっと本腰を入れて試験研究に取り組んでいきたいと考えます。
  267. 新村源雄

    ○新村(源)委員 終わります。
  268. 阿部文男

    阿部委員長 斎藤実君。
  269. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北海道畑作につきましては、我が国の食糧自給確保の面でも大きな役割を果たしているわけでございます。基幹作物でございますてん菜バレイショ、豆類、麦等についてはそのほとんどが北海道に依存をしている現状でございます。北海道畑作農業はとりわけ厳しい気象条件のもとで営農をいたしておりまして、経営安定化のために経営規模の拡大とか生産の合理化等に真剣な努力をこれまで重ねてまいりまして、我が国における食糧供給の使命を今日まで果たしてきているわけでございます。  しかしながら、最近の北海道畑作経営は、数年にわたりましての畑作物価格の抑制に加えて、相次ぐ冷害等に見舞われまして、農家経済は大きな打撃を受けておるわけでございます。さらに国内における農産物自給の伸び悩み、あるいは海外農産物輸入枠の拡大等、環境は次第に厳しくなっているわけです。したがいまして、北海道農家畑作物生産に対して大きな不安を抱いておるわけでございます。  こういう情勢の中で北海道の基幹畑作物であるてん菜バレイショ大豆の五十九年度価格が近く決められるわけでございますが、この価格北海道畑作農家に与える影響は極めて大きいわけであります。したがいまして、これから順次御質問をいたしてまいります。  畑作の安定化対策についてでございますが、特に畑作物生産の位置づけであります。現在の畑作農家の最も大きな問題は、需給環境が年々厳しくなっているということでございます。特に北海道畑作基幹作物であるてん菜バレイショ、さらに小麦も品種と関連して厳しい状況にあるわけでございますが、国では昭和六十五年度目標の農産物需要生産の長期見通しを立てているわけでございます。この長期見通しの方向での生産の位置づけを果たして確保することが可能なのかどうか、また、そのための方策としてどういうことを考えておられるのか、最初に大臣から伺いたいと思います。
  270. 山村新治郎

    山村国務大臣 畑作物につきましては、我が国の総合的な食糧自給力の強化、需要に見合った農業生産の再編成を図るという観点から、長期的た生産目標に即しまして、地域の実態に応じ、その生産振興を進めておるところでございます。今後とも長期的な視点に立って需要の動向に即した畑作物生産振興を図るため、地域の実態に応じた合理的な輪作体系の確立を畑作経営の基本と位置づけまして、基盤整備、経営近代化施設の整備等の生産振興対策を講じてまいりたいと考えております。
  271. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、ぜひともこの畑作の問題については重大な関心を持っていただきたいと思うのです。そこで、畑作農家が不安なく、あるいは意欲を持って生産を行うためには、国として、農林省として、北海道畑作の位置づけを明確にすべきである、こう私は思うのです。これがありませんと、ただ混乱をするし、また農家も意欲を失うわけでございますので、畑作北海道に対する位置つけを明確にしていただきたい、私はこういうふうに思うわけでございます。いかがですか。
  272. 関谷俊作

    関谷説明員 我が国の畑作農業の中におきまして、北海道畑作農業というのはとにかく非常に基幹的な地位を占め、また、畑作農業として極めて典型的な形態になっておるわけでございまして、そういう意味で、農業のあり方としまして一つの地域農業としてのしっかりした地位を持っていると思います。  その具体的なあり方ということになりますと、やはり作物の内容としまして、豆類とかてん菜バレイショ、その他小麦等、禾本科、豆科、根菜類、こういうような畑作物の基幹的なものが適当なバランスを持って、合理的な作付体系、いわゆる輪作体系のもとに作付されるということで、こういう非常に典型的な畑作地帯として均衡ある発展をとっていくべきものではなかろうか、かように考えております。
  273. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 なぜ私は申し上げるかといいますと、一つはてん菜バレイショ等の需要が伸び悩んでいるということ、それから需給環境が悪化をしておるということ、雑豆の自由化要求の強化、しかも過去二年冷害だということで、北海道畑作についての環境が非常に厳しいわけですね。また、それに加えて基盤整備のおくれや地力の低下、作付の偏重等によって病害虫の発生等も大きな課題になっておるわけでございます。北海道畑作状況は非常に厳しい、こういうことで私は今後の北海道畑作の位置つけを国としてはこれとこれとこれというふうに何点かお示し願いたいと思うのですが、いかがですか。
  274. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作のこれからのあり方、また目標を示せ、こういうことでございますが、畑作農業としましては、畑作物生産の基盤を整備します意味で、土地基盤の整備ということで従来から畑作地帯の土地改良を推進しております。また、こういう面で生産の安定を図る考え方から、災害等の問題につきましても、畑作に固有の病害虫の防除なり、それからさらに品種の改良なり、こういう面にも力を入れているわけでございますが、やはり基本的にはその地域の基幹作物となります豆類、てん菜バレイショ、小麦、さらに青刈りトウモロコシのような飼料作物、こういうものが合理的な輪作体系のもとにつくられていく、こういうような農業のあり方をこれから定着するような形で指導をしていくということが基本的な北海道畑作農業のあり方ではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
  275. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 局長、今適正な輪作体系の確立というふうにおっしゃいました。これは私は理屈はわかるのですが、この適正な輪作体系の確立のための具体的な施策はいかがですか。
  276. 関谷俊作

    関谷説明員 輪作体系の具体的な組み立ての問題が一つあるわけでございまして、これは畑作地帯の基盤整備等を進めるのとあわせまして、一つの技術指導のいわば基本的な形としまして、それぞれの地域に応じました作物の組み合わせ、それを基幹としました土地利用のあり方についていろいろな輪作体系のいわば類型をお示しをする、こういうようなことは技術の指導面で従来から実施しておるわけでございます。  さらに、こういうものを定着させる方策としましては、従来からやっておりますことでございますが、地域の条件に応じまして集団的な営農組織を育成する、それからその輪作体系の定着に必要な小規模の土地基盤整備を実施する、畜産との有機的結合による地力の維持増強、それから全体の畑作を効率的に運営するに必要な高性能の農業機械施設を導入設置する、こういうようなことを総合的に生産対策として組み合わせまして実施をしてまいりたい、こう考えております。
  277. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最近てん菜バレイショ等の畑作生産が過剰基調にあると言われておるわけですが、需給の動向は一体どうなっておるのか、これが一点。  それからまた、これら過剰基調にある畑作物について作付を抑制しようという指導がされているというふうに各農家あるいは団体から私も聞くのですが、どの作物についてどういうような抑制指導をしているのか、伺いたいと思います。
  278. 関谷俊作

    関谷説明員 北海道畑作の場合の作物別の関係につきましては、先ほど来申し上げておりますが、一つは、やはり合理的な輪作体系のもとで基幹的な作物がバランスをもって作付されていくということで、現在のところでは、地域的な総体として見ますと、てん菜バレイショ、豆類、小麦、こういう基幹的なものがほぼ均衡がとれたような状態になっておりますが、地域的にはまだまだ若干バランスがよくないという点があるようでございます。  基本的な考え方はそういうことでございまして、過剰基調という中で具体的に作物作付を、特定の作物を抑制するというような面積に応じた規制をしているわけではございませんが、ただ、後ほどまた食品流通局の方からお答えがあろうかと思いますが、てん菜につきましては、いろいろ砂糖需要低迷というような状況の中で単収の向上生産性の安定によるコストの低下、こういうことが求められております。若干そういう意味では作付が増加する傾向もあるようでございまして、先ほどの合理的な輪作体系の確立ということも含めまして、こういう点についてはよくよく注意すべきことであるというようなことで、そういう趣旨を徹底する必要はあろうかと考えます。  また、原料用バレイショについても、若干でん粉の需給の不均衡が見られる、こういうようなことで需要の増加している加工食品用品種への転換、こんなことも進める必要があるというようなこともございますが、これら需要面の問題、それから輪作体系の問題の両方含めますと、やはり全体がバランスをもっていくという考え方で指導していくのが一番いいのではなかろうかということでございまして、具体的に抑制をするというようなことよりも、一つの地域の農業としての輪作体糸の維持ということを基本としながら、あわせて需要面にも配慮していく、こういうことがこれからの方向であろうと考えております。
  279. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今局長の答弁で、地域の実態に即しててん菜とかバレイショ、豆類、麦類等を適正に組み合わせた輪作を基本とすべきだ、これは私はわかります。そのとおりだと思うのですが、畑作全体の作付をどうするかということを示さないで、特定の作物だけ作付を抑制するということは困る。農家が何を作付していいのか迷ってしまうわけです。もしそうであれば、畑作の基本としている輪作を崩壊するようなことになると私は思うのですね。局長、いかがですか。
  280. 関谷俊作

    関谷説明員 私ども指導の基本の考え方にありますことがまさに今お尋ねにあったような考え方でございまして、特定の作物をこれ以上伸びではいかぬというような、抑制するような考え方よりも、現在、北海道畑作面積の中で基幹的な四つの作物がバランスをもっていくことが、需要面から見ても非常によろしいということでもあり、また、土地利用の面から見ても非常によろしいということでございます。  そういう意味で、特定のものを抑えるということは非常によくない。また一方で、特定のものがその需要状況に応じてたまたま非常に過剰に伸びていくということも逆に言えばよろしくないわけでございまして、あくまでも全体のバランスを保っていくというのが北海道畑作地帯のこれからの農業のあり方であろうということで考えております。
  281. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、ちょっとお尋ねするのですが、北海道てん菜、小麦、バレイショなどの需給環境が非常に厳しいということ、これは大臣もお認めになると思うのです。その背景には、五割に近い水田の転作の中で、これら作物作付がかなりの比重を占めているわけです。それでなくても北海道の場合は他府県の目標転作率に比べて二・五倍という極めて過重な負担を強いられているわけです。このことは稲作にとってももちろんでありますが、畑作への影響も極めて大きいわけです。政府はこの転作の見直しを検討すると言っているが、この機会に北海道に対する過重な転作目標面積の傾斜配分を思い切って改めるべきではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  282. 関谷俊作

    関谷説明員 転作目標面積の配分につきましては、いわゆる水田利用再編対策の発足の当初からいろいろな状況、特にその土地の条件それから米の品質、そういういろいろな条件を勘案して配分をいたしまして、最近の時点では、目標面積の減ります中で北海道の減る度合いはほかの県よりは少し大きくなっているわけでございますが、現在時点で見ますとやはり四〇%以上の高い転作率になっております。  これからいろいろ転作の全国段階での目標面積の見直し等を実施します場合に、この問題は私ども常に念頭にあるわけでございまして、最近の北海道の稲作の実態、そういう問題もよく考えながらこれから慎重に検討すべき問題であろうというように考えております。
  283. 山村新治郎

    山村国務大臣 ちょうど北海道の場合は、本年からキタヒカリの昇格等もございましたし、何にしても地域の実態に即したいわゆる転作というものをやっていかなければなりませんので、実態をよく見きわめた上で転作面積を決めていきたいというぐあいに考えます。
  284. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、畑地の基盤整備、地力対策について伺いたいと思うのです。  水田の基盤整備に比べまして、畑地の基盤整備は非常に立ちおくれております。干ばつに凶作なしと言われておりますが、北海道の網走地方などでは大きい干ばつがありまして非常に被害が出ておる。逆に、冷害年には排水不良地に大きな被害が生じております。畑地のかんがい排水施設の整備や大型機械化に対応する農道、圃場整備についてはどういうふうに進めていくのか、この基本的な考えを伺いたいと思います。  それから、地力問題、土づくりが非常に重要な課題となっております。生産者も土づくり運動に真剣に取り組んでおるわけでございますが、土壌改良、有機物の土地への還元が私は基本だと思うのです。この面での施策にもっと力を入れるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  285. 井上喜一

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  北海道農業のためには基盤整備が必要不可欠であるということにつきましては、先生と同意見でございます。国の方も、第三次土地改良長期計画という、五十八年から向こう十年間にわたりましての計画を立てております。北海道におきましても北海道庁の方で、これからの北海道農業の展開方向なるものを明らかにされておりますし、北海道開発局の方はそれを受けまして、向こう十年間の土地改良の基本的な方向というようなものを公表されております。具体的にどういった事業をどういう地区に実施するかということにつきましては、全体のそういう計画との関連を考慮しながら、地元の事業に対する熟度等を考慮いたしながら具体的に決定をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  286. 関谷俊作

    関谷説明員 土づくりあるいは地力増進の問題につきましては、先般国会で通していただきました地力増進法の実施に今かかっているわけでございます。これは、地力増進の非常に基本的な方針、それから、その中で土壌改良のいわば目標というような基準をお示ししますと同時に、県段階で特に地力増進を進める必要のある地域を指定する、こういうような仕組みになっておるわけでございます。  この中で、いわゆる土壌改良を中心にしました土地の物理的、化学的な性質の改善ということで取り組むわけでございますが、これは何分にも今山村大臣のもとで進めております健康な土づくりというような運動と一緒に実施をすべき問題でございまして、いわゆる土壌改良資材の投入ということもございますが、特に畑作地帯の場合には、有機物質の還元ということになりますと、畜産との結びつきでありますとか畑作物のいろいろな残渣物を土地に還元するとかいうような、日ごろの営農の中で改善すべき問題が多いわけでございます。そういう点も含めまして、今後とも畑作地帯の地力増進あるいは土つくりにつきましては、鋭意また都道府県、北海道とも協力をしまして推進をしてまいりたい、かように考えております。
  287. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど御答弁ありましたように、国では北海道昭和六十年代道農業基盤整備事業推進の基本方向を発表いたしましたね。その中で今後十年間で二十二万ヘクタールの農地造成を計画をいたしておりますが、需給状況が非常に厳しい中でこの二十二万ヘクタールについてどういう作物作付を計画しているのか、伺いたい。
  288. 井上喜一

    ○井上説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、北海道開発局で昭和六十年代北海道農業基盤整備事業推進の基本方向というのを発表しておりまして、その中で向こう十年間に農用地を二十二万ヘクタール造成をしていく、こういうことになっております。これの基本方向というものは、これからの基盤整備を推進するためのガイドラインというような位置づけになっているようでございます。この計画は、先ほどもお答えいたしましたように、北海道庁でこれからの北海道農業の発展方向、発展方策というものを公表したわけでございますが、それと表裏一体のものとしてつくられております。そういうことで、この二十二万ヘクタールが具体的にどの作物にどのように割り振られるかということは計画では明らかになっておりませんが、全体といたしまして、北海道におきます特徴のある農業といいますと、一つには大家畜の農業でございます。したがいまして、そういう大家畜の用に供します飼料作物を導入する、そういう農用地開発が多かろうというふうに考えるわけでございます。
  289. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、畑作三品の価格について伺いたいと思います。  ことしの畑作物価格につきましては、農業パリティ指数もほとんど上昇しておらずに需給事情も極めて厳しいということから、価格の引き上げは困難である、特にてん菜は引き下げられるおそれもあるというような報道が随分されておるわけでございます。しかし、最近ようやく安定化に向かってきた畑作農家経済は価格の二年連続の据え置きということで非常に苦しい状況に置かれているわけでございまして、数年来の冷害によって再び厳しい状況が生まれているわけでございますが、この畑作の安定的な発展を図るためにも、生産者に希望を与えるようなある程度価格引き上げが必要ではないか、まして、てん菜最低生産者価格については引き下げられるようなことがあっては断じてならない、ぜひともこれは奨励金を織り込んだ価格として適正な決定をすべきであると私は思いますが、いかがですか。
  290. 山村新治郎

    山村国務大臣 五十九年産てん菜及びバレイショ生産価格につきましては、パリティ指数に基づき算出される価格基準として物価その他の経済事情等を参酌して決定するということになっておりますが、その際に、他の畑作物価格決定とのバランス、また現下の厳しい財政事情及び需給事情、また近年機械化の進展等により生産性向上がされてきておるということ等を総合的に勘案しながら決定してまいりたいと考えております。
  291. 塚田実

    塚田説明員 ただいま生産者価格奨励金を織り込んで価格を決めたらどうかという御質問がありました。それにつきましてお答えいたします。  奨励金につきましては、これはてん菜糖でございますが、価格本体とは別にいわば収益性の相対的なアンバランスあるいは作付面積の激減、そういうようなことの趣旨で昭和四十九年に設けられたものでございます。そこで、そういう趣旨で設けられたものでありますから、私どもとしては、生産者価格にこれを織り込むということについては難しいというふうに考えております。奨励金の取り扱いについては、私どもは、近年のてん菜の単収なり労働生産性なり、それから作付面積の動きなり、そういうようなものを慎重に、総合的に勘案して決めていきたいというふうに考えております。
  292. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、今御答弁がございましたように、いろいろな条件を勘案して決められる、これはぜひひとつお願いしたいと思うのですが、このパリティ指数によりまして算出した価格基準として決められるわけでございますが、最近ではパリティアップ相当分を、生産性向上したということでアップされずに据え置きをされているという状況にあるわけでございます。何とか農家の努力に、生産性向上というものは農家の努力によって生み出されたものでございまして、農家生産意欲を失わないように、農家が将来に希望を持てるような価格決定をぜひひとつお願いしたい、御要望申し上げておきます。  それから、本年度の米価は二・二%の価格アップが決定されましたが、麦価についても本年は据え置かれたわけであります。畑作物価格はここ二年据え置かれておりまして、仮に本年も据え置かれると三年連続据え置きということになりまして、米価に比べて非常に抑制された価格決定というふうに私はなると思うのですね。このことは、畑作経営に与える影響はもとより、農家生産意欲の減退にもつながりかねないということに私はなると思うのですが、大臣、ひとつ十分この点も配慮をされて御決定いただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  293. 山村新治郎

    山村国務大臣 農家生産意欲は一番大事なことでございます。これらについても十分配慮しながら価格決定に臨んでまいりたいと思います。
  294. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 我が国の甘味資源作物として重要なてん菜は、今日まで多くの困難な状況を乗り越えて現在のように北海道畑作基幹作物として位置づけをされてまいりましたが、この歴史の中で奨励金が付され、その生産振興が図られたものと私は理解をしているわけでございますが、最近、てん菜価格決定当たりまして、奨励金をなし崩し的に削減をして、さらにまた本年もこれらの削減を考えているというふうに報道されているわけでございますが、今日のてん菜生産はこの奨励金を含めた中でようやく生産費を充足しているという現状でございますので、今年のてん菜価格を決めるに当たりましては、奨励金最低生産者価格に織り込んだ価格を基礎として決めるべきである、こう私は思うのですが、いかがですか。
  295. 塚田実

    塚田説明員 お答えします。ただいま御指摘のように、北海道てん菜生産は長い歴史がありまして、十数年前まではその単収がECの水準よりも低いという、かなり低い状況でありましたけれども農家の皆さん方の御努力によりまして、今やECの水準も抜くというような状況になってきております。そういう意味で、北海道てん菜北海道農業に定着したというふうに私ども考えております。そういう意味で、この北海道てん菜をこれからもなお維持発展させていかなければいけないわけであります。そういうような角度から、私ども従来から政策を行ってきているわけであります。  そこで、御指摘の奨励金でございますけれども昭和四十九年、今から十年ぐらい前の時点で申しますと、てん菜生産の、例えば十アール当たり所得一つとってみましても、他の作物、小麦なりバレイショなり、そういうものに比べて相対的に不利であったというようなこと、それからやはり能率のあるてん菜糖生産をするためには、作付面積が当時ではまだ少な過ぎるというようなことがありまして、そうしたアンバランスを是正するという角度から、昭和四十九年にこれをつくったということであります。それで十年続いて今日に参っているわけであります。  そこで、私ども最低生産者価格は現在生産費を凶作年冷害年を除しては上回っていると思っておりますが、奨励金の設定の趣旨がそういうものでございますので、最低生産者価格にこれを織り込むということは、その設定の趣旨から申しまして難しいというふうに考えております。この点はぜひ御理解いただければというふうに考えております。
  296. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 生産の位置づけと関連する質問でございますが、このてん菜バレイショは寒冷地作物の柱でございまして、昨年は冷害に強いてん菜バレイショ作付が伸びているわけでございます。砂糖についてもでん粉についても需給環境が極めて悪化しているわけでございますがこのためにでん粉バレイショ生産の育成強化が強まっているわけでございます。そこで、糖安洪による需給機能の強化、糖価安定の方向についての何らかの対策というか、新しい施策が考えられないものか、これが一点。  それから、国内産でん粉の抱き合わせ販売制度の効果も少しずつ後退をしてきているわけでございますが、国内産でん粉の需給拡大の方向、方策について何かお考えがあれば承っておきたい。
  297. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  糖価安定制度に基づきまして現在砂糖の全体を一応コントロールしているわけでございますけれども、その中で私どもが一番大事であるというふうに思っておりますのは、砂糖需要が一時は三百万トンありましたけれども、現在二百五十万トンでございますが、そうした需要の低下の中で、もちろんその結果輸入も減ってきているわけでございますけれども、その中で大事なことは、やはりそれぞれ砂糖生産するものは、輸入糖を砂糖にする精製糖業界、それからてん菜糖、それから沖縄等南の甘庶糖の砂糖、そういう三者があるバランスをとっていくことが必要であろうというふうに考えております。  そこで、てん菜糖に着目いたしますれば、私どもは、農家の段階はちょっと別にしまして、まず大事な一つは、てん菜からてん菜糖生産する工場の合理化、近代化ということであろう。それが能率を高めるわけでございますから、そういう面で私ども大いに期待もしております。  それから精製糖業界は、今需要の低迷の中で設備の廃棄、それから人員整理ということも行っておりまして、今かなり合理化努力を行っているところでございます。そのようにしていけば、てん菜糖が能率よく生産できれば、その需要が低迷する中でも、てん菜糖の販路が拡大していくわけですから、そういう中で北海道農業におけるてん菜生産の安定的な発展を図っていきたいというふうに考えております。  もちろん、てん菜生産する側も適正な輪作はぜひ行っていただきたい。網走を中心にして一町村の畑地の中で五〇%近くがてん菜ということでは輪作が崩れているわけですから、輪作を崩しますと糖度が落ちるということは明らかでございます。糖度が落ちればてん菜からてん菜糖をつくる工場が困るわけですから、それはまた能率を悪くするわけでございます。ですから、それぞれの立場でよくバランスをとってやっていただきたい、私どもそのような角度で強力な指導を現に行っておりますし、またお願いもしているところでございます。  それからでん粉につきましては、この制度は御案内のように国産でん粉を優先して処理してもらうということで、国産でん粉を使った者が海外から輸入したものをまず使える、こういう制度でございます。これも、残念ながらでん粉需要が低迷しておりますけれども、できれば新規需要を少しでも開拓してパイをまず大きくして、その上で国産でん粉を優先的に処理していく。この制度は、難しい状況にありますけれども、私どもいろいろ知恵を絞ってぜひ守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  298. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大豆につきましては自給率の向上が大きな課題でございますが、これは収益性が非常に低いのですね。そのために作付面積の増大がなかなか難しいという実情にあるわけでございますが、この大豆振興のためには農家の所得を高めることが基本だろうと思うのですが、そのための対策としてどういうことを考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  299. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆につきましては、私どもの実施しております農業生産総合対策の中の一環としまして、特に高性能の機械導入、それから小土地基盤整備、そういうものを組み合わせましてコストの安い、それから今お尋ねのございましたような大変大きな海外価格差もございまして、こういうものを少しでも縮めていくことはなかなか難しゅうございますが、そういうコストの安い大豆作、それから特に日本の国産大豆の場合には製油向けというよりはむしろ煮豆、納豆のような国内の食品向けの生産をできるだけ国内産で賄っていくということが基本でございますから、そういう面での品質改善を含めました品種の改良、優良品種の導入、こういうことを進めまして総合的に国産大豆振興を図ってまいりたいと考えております。
  300. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北海道畑作農業は、我が国の食糧供給のためにも今後大きく寄与していくものと私は考えるわけでございます。このことから、今日北海道が置かれている厳しい状況を十分に御理解いただいて、本年度の畑作物価格についても農家所得と再生産の確保ができますように適切な価格決定されますよう、また、特に畑作農業振興対策を今後十分講ぜられるよう要望して、質問を終わります。
  301. 阿部文男

  302. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 干害対策について御質問申し上げます。  農家は五年ぶりの豊作で今年は愁眉を開いたわけでございますが、連日三十度を超す雨なしの猛暑のために水不足で被害を受けた農家も方々に出たわけでございます。山形の調査でも畑作、殊に果樹の被害が大変であった状況も把握してまいっておりますし、岩手でも胆沢平野の穀倉地帯は水不足で深刻でありました。殊に、水利の末端の水田では登熟障害も出ているわけでございます。私は、質問のたびに基盤整備と水資源対策は国家の責任でこれを実施あるいは確保するように常に要望しているところでございますが、今夏の干害の実態の概要でもよろしゅうございますが、今把握しておりますならばお知らせ願いたいと思います。
  303. 芦澤利彰

    芦澤説明員 ことしの夏作物の干ばつの実態について御説明させていただきます。  御案内のとおり、ことしは梅雨明け以来各地で少雨傾向が続きまして、八月の中旬まで東海、近畿、中国、四国、これらを除く各地域で少雨に関する気象情報が気象台から相次いで発表されるなどいたしまして、全国的に干ばつ傾向が続いたわけでございます。  この干ばつの影響を受けまして、特に先生御指摘のとおり水田の中で基盤整備事業が十分進んでないような地域を中心にいたしまして、例えば福島県では一部の地域で田んぼの表面が白く乾いたり、あるいは一部亀裂が入るというふうな影響が出てきたところもございますし、また、野菜等の畑作物では作付が十分できなかった、時期がおくれたような被害も出ておりますし、また、桃等の果物では玉伸びが十分でないというふうな被害も出ておるわけでございます。  私ども、そういう状況に対しまして、例えば東北農政局では干ばつ対策連絡会を設置する等して情報の収集を行うとか、必要に応じて農政局の持っているポンプの貸し付けを行うとかいうふうなことで被害の軽減に努めてまいったわけでございます。しかし、その後八月十七日から二十三日にかけましてちょうど台風十号が日本海の沖約二百キロのところをずっと通りまして、それに伴う降雨がかなりありましたほか、八月の後半あるいは九月の初めの間に秋雨前線の活動によってかなり広い範囲にわたって降雨があり、少雨傾向は一応現時点では解消しているわけでございます。現時点で飼料作物の生育遅延あるいはまた野菜、畑作物等の生育遅延が見られるなど、一部の地域ではまだ多少の影響は残っておりますけれども、大部分のところでは既に干ばつの影響は回避したり、およそ回避できるような状況になっているというのが現時点での状況でございます。
  304. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今まで牧草地の干害対策は余り考えなかったわけでございます。しかし、今夏のような猛暑になりますと、方々に全く異常なほどの被害を受けた牧草地が見受けられたわけでございます。この牧草地の干害対策についてどのように国の方で考えているのか。私としましては、牧草地も五、六年に一度地力増進法の中で堆肥を入れさせて、ハローイングしてデントコーンでもそれにまきつける、いわゆる表土を幾らかでも厚くしていく、そういうテクニックも必要じゃないかなというふうに考えているわけでございますが、一応政府のお考えをお聞きいたします。
  305. 野明宏至

    ○野明説明員 御指摘のように、七月から八月にかけまして北海道の一部地域、あるいは東北地域でございますと岩手とか山形あるいは福島の一部地域において、二、三番牧草を中心にして被害が出ておるわけでございます。  これに対しましては、私どもといたしまして早くから干ばつが予想されるような状況でございましたので、八月以降、現地に担当官を派遣しまして、あるいはまた地方農政局の畜産課長会議等を通じまして実情を把握いたしますとともに、そういう地域に対しましては飼料作物生産技術指導を丁寧にやっていくとか、あるいは今後の越冬飼料というふうな観点で、個々の不足する農家に対しましては飼料のあっせん調整をいたしますとか、さらにはビートトップとかあるいは稲わらといったものの未利用資源の積極的活用、これらに対しては一部補助事業を活用することもできるわけでございまして、そういったような各種の指導をやってまいっておるところでございます。今後につきましても、実情を十分把握しつつ指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  306. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、干ばつに強い草地の造成を維持していくということがやはり主要条件でございます。そのためにはやはり等高線条に水をいつでも散水利用できるような体制を常に為政者は考えていっていただきたいと要望いたしまして、他の質問に移ります。他用途利用米の食料米転換についてでございます。  一応、取り扱い方針の骨子としましては、加工原料米、他用途利用米として集荷される米と自助努力により集荷される農家保有米を合わせ最低限二十万玄米トンにすること、集荷させる米の品質は三等の規格を最低限満たすこと、それから集荷される農家保有米の流通は原則として破砕加工して行うというふうに理解しておりますが、その内容についてまた詳しく御説明をお願いいたします。
  307. 石川弘

    ○石川説明員 米価決定の際に、農業団体と御相談の上で、他用途米をいわば主食に買い上げてそのかわり自助努力で出すか、あるいは他用途米を出すかという具体的なやり方を御相談することになっておりましたが、先ほども申し上げましたように、八月三十日に農業団体からそういうお申し出がございまして、基本的には内容に異存がございませんので、私ども、今先生がおっしゃいましたように量としては二十万トン、それから主食転用する場合の方途は自主流通米でも政府米でもどちらでもよいということ、それからそのやり方は、農業団体も言っておりますように、どういう方法をとるかは県段階でまとめてやっていただくということ、それからその結果として出てきます米については、最低二十万玄米トンの原料を十二月三十一日までに出していただく、品質は三等規格を最低限満たすということで結構でございましようということをお答えをいたしました。  その後、九月十一日に全国農業協同組合中央会の理事会で、それから九月十二日に全国農業協同組合連合会、全農の理事会で五十九年産の加工原料用米の取り扱いに対する決定が行われたわけでございまして、それをもちまして各県で現在やり方について方針を決めている段階でございますが、九月二十七日現在でまず四十一県ばかりは方針を決定いたしております。その他のものはなお方針の決定に至っておりませんが、私どものところに入りました情報によりますと、大半の県におきましては八割を他用途で出す、二割について主食に買い上げるという方向で決定がなされたやに承っておりますので、そういう方向で県で計画をおまとめいただきますれば直ちに実際の手続に入れると考えております。
  308. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そうすると、この二十万トンは、一応八割ぐらいは今までの報告では他用途利用米の方から集荷される見通しでございますね。
  309. 石川弘

    ○石川説明員 各県において一律ではございませんが、全中、全農は二十五万トンを各県に振り分けておりますが、その振り分けをいたしますもとは、二十五万トンを前提にして振り分けをいたしております。その中で、要するに二十万トンを原料として供給してもらう。これは、出し方は他用途であろうがあるいは自助努力でもいいわけであります。八割、二割というのは、この二十五万トン、二十万トンという関係を各県がほぼそれと似たような関係でおろしているということでございます。
  310. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農業団体が集め得ない場合が起きるかもしれないという懸念はございませんか。
  311. 石川弘

    ○石川説明員 農業団体が全国の組織を挙げてそういう方針を決めておりまして、その背後には輸入というようなことを避けるということで決めておりますので、私どもはそういう団体の決定というものを信頼をいたしておりまして、できない場合ということを先回りをしていろいろ考えるというような形はとっておりません。
  312. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 万が一集めかねたというような場合、また外米輸入をせざるを得ないような態勢が出るんじゃないかという不安もございましたので質問したわけでありますが、この他用途利用米がもし何らかの理由で出せなかった場合は二千円の違約金が払われるようになっているようでございます。しかし、余り米制度でこれを売り渡しますと大体一万五千円ぐらいになるわけでございますが、正直者がばかを見ないように、割り当て数量の最低限の出荷だけは確保するように私の方からも要望するわけでございます。  次に、全国町村会で他用途利用米につきまして緊急申し入れがなされたわけでございます。市町村長が水田利用再編第三期対策に初めて導入された他用途利用米に協力して、いろいろ現地においてこれの受け入れ方を努力してきたわけでございますが、この他用途利用米が主食用に回されるというような行政施策の重要な変更に当たって担当市町村長と相談がなかったということの不満のあらわれだと思っているわけでございます。このことにつきまして、やはり農政不信や農業への取り組み意欲の減退を再度招来するようなことのないように、私からも要望しておく次第でございます。  次に、米穀の販売の価格についてでございますが、全農と却売業者団体による昭和五十九年度産の自主流通米の生産販売価格交渉が妥結しましたその結果を見ますと、コシヒカリなどの銘柄米の価格は、前年産米に比べまして六十キロ当たり二・一%から二・二%の引き上げ率になっているようでございます。主要銘柄米の新価格、新潟コシヒカリAランク一等東京着が二万三千七百五十六円は、上げ幅が四百七十五円ぐらいになっております。岩手、宮城、秋田、庄内等のササニシキ、これも東京着が二万三千三十六円でございます。ブレンド米の表示価格について、現在どのように価格決定されているのか、また政府の方で指導しているのか、お聞きいたしたいと思います。
  313. 石川弘

    ○石川説明員 米をブレンドして売りますのは、御承知のように良質米そのもの、単品の流通もこれは認めておりますけれども、単品の米というのは御承知のように生産量としてはある程度限界がございまして、そういういい原料と若干の増量的な原料をまぜましてブレンドをして、品質においてもそういうことが受け入れられるような形でやるということはある程度行われているわけでございます。そういう場合に、私どもは御承知のようにどういう原料がどのように構成されているかということをその表示につけるように、特にこれは一軒一軒の小さな小売屋さんが店頭で精米します場合にはなかなか困難でございますが、今流通の大体六割以上というのは大型搗精工場がやっておるわけでございますので、大型搗精工場におきましてはどういう種類の米がどのように入っているかということを表示をさせ、しかもそういうことについてある程度民間団体の検査もさせて、そういう構成がはっきりわかるように、それからそれが現実にそのようにつくられているかどうかも点検するようなシステムをつくっているわけでございます。  問題は価格でございますが、これにつきましては、いわゆる物統令的な、幾らにしろというようなことはいたしておりませんで、これはいろいろな販売の競争原理の中で決まってくるわけでございますが、私どもは、上米、中米それぞれの米が現在どのような価格水準で売られているかというような調査をいたしておりまして、これは政府米が上がったような場合にそれがどのように変化していくかということを調査をいたしますが、おおむねそういうものの我々が考えております水準の中に入っているように思っております。
  314. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 昭和五十八年度の米卸売団体の利益計上というのは、大変な計上がなされているようでございます。ブレンド米の表示価格が本当に厳重に表示されているのでしたら、それは正当な流通の中での価格として認めていいわけでございますが、今言いましたように、ブレンドされるとほとんどわからないような米も価格には差が出ているわけでございますから、この点、このことも再三申し上げますが、正直者がばかを見ないような、国民がばかを見ないような、そういう価格へのチェック、これはもう厳重に政府の方でも心がけるよう、私から要望する次第でございます。  次に、現在の米穀卸売体制について、自由競争の原理導入のようなことができないのか、あと、小売業者との契約もある程度複数の対応ができないのか、この点をお聞きしたいと思います。
  315. 石川弘

    ○石川説明員 今御指摘の、五十八年あたりで卸の利益がかなり上がったということでございますが、これは多分に米の供給自身がタイトになってまいりまして、米の業者にとりましていわば大変過剰な状態にあります場合には農家保有米等競争する条件が大変激しかったわけでございますが、そういうものがなくなってきた中で、たまたまそういういわば卸として売りやすい条件が出てきたということでございますが、これは御承知のように最近こういう形で米の需給が回復をしてまいります中で、卸の競争というものはもう少し激しくなるような様相を呈すると思います。  その場合、御承知の制度改正後の運用でございますが、今御指摘のように、小売がいろいろとブランチその他の形での競争が激しくなったことに比べて卸は比較的温存されているのではないかという御議論があることは私どもも十分承知をいたしております。その中の一つとして今お話があった登録、要するに結びつきの問題等も議論としてあることも承知をいたしております。やはり卸というものは健全な経営をやりますと同時にそれなりの競争が必要なわけでございますが、御承知のように卸の中にはそういう意味ではむしろ弱小卸というようなものもございまして、卸についての運営改善あるいは卸についてどのような業務の方向へ持っていくかということにつきましては、これは切りかえの時点というのがあるわけでございますが、それの時点に至るまでの間ということではございませんが、常々卸の競争のあり方がどうであるかというようなことも私ども十分把握をしまして、そういう意味で健全な卸が競争し得る体制――御承知のように卸には三通りの卸がございまして、一つは小売が協同組合をつくっておりますいわゆる全糧連系という卸、それから商売屋さんがやっていらっしゃった商系の卸、それからほとんどの県に経済連、要するに農協系の卸、いわば毛色の違った卸が大体あるわけでございます。これが全部備わっている場合とない場合もございますが、そういう形質の違った卸の間で相当な競争ができるような条件づくりはしていきたいと思っております。
  316. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 正当な競争のできるような体制をひとつ心がけていただきたい、こう思います。  次に、畑作物価格決定についてでございます。  この対象となっている畑作物については、水田利用再編対策の実施の中にあって地域畑作基幹作物として位置づけられ、農業経営の重要な柱となっているものでございます。農林省は、この点、これらに対してどのような位置づけをしているのか、まずお伺いいたしたいと思います。大臣にお伺いします。
  317. 山村新治郎

    山村国務大臣 この畑作物大豆てん菜バレイショ、サトウキビなどば、我が国の畑作地帯における農業経営上欠くことのできない重要な作物でございます。このため、農林水産省といたしましては、適地適作を基本としながら、合理的輪作体系の確立と栽培技術向上、作目の特性に応じた需給及び価格の安定、土地基盤整備の促進、高能率機械施設の整備、これら施策を総合的に進めまして畑作振興を図ってまいりたいと考えております。
  318. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 本当に立派な御答弁、ありがとうございました。そのようにひとつ頑張っていただきます。  次に、今回の価格決定に当たって価格引き下げあいるは生産抑制を行うような報道等もなされているわけでございますが、ひとつ価格決定につきましては農民の生産意欲を阻害することのないような特段の配慮を強く要望する次第でございます。  次に、蚕糸砂糖類価格安定事業団の調整金の収支についてお伺いするわけでございますが、現存どのようになっているのか。私の調べでは、四、五百億も三角収支になっているようでございます。これは将来どうも累積の赤字が予想されるおけでございますので、私はこの赤字解消には、そろそろ糖価制度のメカニズムを見直す時期にやってきているのか、または市場変動に対応する何らかの弾力的体制が必要となってきているのか、これら両方ではないかと考えるわけでございますが、この点についてお伺いいたします。
  319. 塚田実

    塚田説明員 お答えいたします。  まず、蚕糸砂糖類価格安定事業団の調整金の収支についてでございます。  御指摘のように、この事業団の調整金の収支につきましては、本年七月末現在で四百八十億円の赤字ということになっております。これの原因といたしましては、いろいろあるわけですが、まず申し上げなければいけませんのは、五十七年三月末で特例法が失効したことによりまして、精糖業界、輸入砂糖を精製する業界でございますが、これが過当乱売競争を行ったというようなこと、それから、国産糖のうちてん菜糖が市場最高の六十一万四千トンと五十七年になりまして、てん菜糖の需給が均衡を失したようなことなどによりまして、市況が一年余り低迷しまして、その結果として国内産糖に対する市価参酌調整金の支出が急増したためであります。その後、昨年の十月から今日まで、精製糖業界が本格的な構造改善を始めたというようなことから、市況も適正な水準に戻ってきております。そういう意味で、調整金の支出も急速に減少してきているわけでございます。  そこで、糖価安定制度を見直したらどうかというような御質問でございますけれども、私ども臨調からもそういうような趣旨の御指摘もいただいておるわけでございますが、私どもは今後とも適正な市価水準が維持されるように、糖価安定制度を適宜適切な運用にしてまいるとともに、国産糖について需要に見合った適正な生産販売が行われるように指導していくということにより収支の改善を図って、まずもって見直しよりもこういう方法でやっていきたいというように考えております。
  320. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 前向きな発言というのはなかなか勇気の要るものでございますので、ひとつ質問の趣旨を十分に体しまして対応していただきたい、こう思っております。  次に、大豆についてでございますが、水田利用再編対策の戦略作物として農家は意欲的にその生産に取り組んでいるのが現況でございます。五十三年度以降その成果が上がりまして、作付面積及び生産量ともに上昇してきております。しかしながら、昨年以来交付金財源の面から今後の生産に不安が生じております。政府は、この大豆生産振興について、今後とも当然この全量買い上げ、また交付金財源の面からの制限をなさらないように、私から要望しておきます。  次は、葉たばこの減反面積の見通しについてでございます。  たばこ耕作審議会からの答申がなされまして、減反面積一万六十六ヘクタールの諮問に四千八百八十五ヘクタールの減反、それから価格も据え置きになっているわけでございます。しかし、現在二十四万トンの標準在庫に加えまして、在庫が十三カ月分の過剰を持っており、売れ行きも停滞しておる。こうなりますと、そのしわ寄せが耕作農民にくるのじゃないか、こういう不安も起きるわけでございます。  この葉たばこの減反面積の見通しについての政府の見解をお聞きいたしたいと思います。
  321. 佐藤友之

    佐藤説明員 お答えします。  現在、原料の葉たばこの需給事情には大変厳しいものがございまして、一つは、消費量の停滞の中で来年四月から流通の自由化ということで、外国製品のシェアがある程度ふえるということを覚悟せざるを得ません。  それから二番目といたしまして、製品の喫味の緩和化あるいはコストを低減するという意味から、単位当たりの原料使用量が製造技術の向上と相まって将来大幅に減っていくだろう、そういう見通しがございます。  さらに三点目といたしまして、現在約一年分の過剰在庫を抱えておるわけでございまして、これの早急な解消が必要でございます。  そうした背景のもとに、今回、たばこ耕作審議会に、先ほど御指摘のございましたように、現存の面積よりも一万六十六ヘクタール減反する旨御諮問したわけでございますが、この考え方は今後五年間の需給、そういうものを全部見通しまして、六十年に一万六十六ヘクタールを減反する、そのかわり今後五年間特段需給事情に大幅な変更がない限りは、農家の計画的な生産性向上並びに経営の安定を考慮いたしましてその面積を据え置く、そういう考えで御諮問したわけでございますけれども、大変審議が難航いたしまして、五年間の見通しを二年間で新たに過剰在庫が発生しない面積にするということになりました。  また、今回の諮問に当たりましては、現在持っております過剰在庫の解消に当たって、公社も努力をいたしますけれども生産者にも応分の御協力をいただきたいということを申し上げたわけでございますが、この分が外れまして、結果として今御指摘の四千八百八十五ヘクタールの減少ということになったようなわけでございます。  そうしたことから、六十二年以降の耕作面積につきましては、需給事情といったようなことを勘案しながら、再度また計画を考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  322. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 減反分は栽培技術、省力経営の指導等をもってひとつカバーするように要望して、他の質問に移ります。  農地流動化の問題でございます。  農用地利用増進制度も進められまして、農地の流動化が進んでいるわけでございます。このことは将来の日本の農業構造の刷新に非常に画期的な役割を果たしてくるものであると、私もこの制度を喜んでいるわけでございます。ただ、今この制度運用当たりまして、現在各部落に農事実行組合というのがございます。これは任意組合の形でございます。そして、部落ごとにいわゆる農地の所有者が集まっていろいろ話し合いをしている。ですから、農事組合を中心としてこの流動化を進めていく方向にひとつ努力されるなら一層の効果が出てくるんじゃないか、こう考える次第でございます。今まであるせっかく部落のいわゆる体制を活用することと、それから農民は、自分たちも入っている組合だという安心感から、簡単に組合には土地を提供してもいいという、そういう心理になりますから、この制度を利用していただきたい。しかし、それにつきましては農地の流動化、これはもう大変これからの農村改革に必要なことでございます。ひとつこの促進について大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  323. 山村新治郎

    山村国務大臣 最近の農業をめぐる情勢にかんがみますれば、農業生産の再編成を進めながら、構造政策の積極的推進によりまして土地利用型農業生産性向上を図ることが重要であると考えております。このためには農地流動化が必要でございますし、現在各種の施策を通じてその推進に努めているところであります。今後とも、地域ぐるみの農用地の利用調整活動の充実強化、農用地利用増進事業の積極的推進等によりまして、農地流動化とその中核農家への利用集積等を一層に促進してまいりたいというぐあいに考えます。
  324. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 以上をもって質問を終わります。
  325. 阿部文男

    阿部委員長 津川武一君。
  326. 津川武一

    ○津川委員 政府は、小麦や菜種などでは既に価格を据え置いております。今度もまた何か据え置きもしくは引き下げを計画しているようでございますが、でん粉の原料であるカンショバレイショ及び砂糖の原料であるサトウキビ、てん菜、この中で、てん菜バレイショ北海道畑作基幹作物であります。大豆も同じような基幹作物になっております。サトウキビは、沖縄農業の七割近くを占めており、沖縄の農業はサトウキビ抜きには考えられません。  そこで、北海道でも沖縄でも、農家の皆さんが懸命に生産性向上のために努力して一定の成果を上げております。ところが、最近臨調行革の押しつけや、大量の輸入を前提とした過剰問題、食品工業の側からの圧力などが強まる中で、生産者価格の据え置きが続けられ、かてて加えて法律制度の見直しが迫られており、生産農民は今後も安定して生産が維持できるかどうか大きな不安を持っております。この不安を解消して畑作振興をさせなければならないと思いますが、政府畑作振興の基本方針を伺わしていただきます。
  327. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作につきましては、特に畑作の地帯の重点的な地帯におきましては、特に作目の組み合わせによりまして合理的な作付体系を確立しながら、バランスを持った畑作農業が展開されていくということが一番基本であろうかと思います。そういう意味におきまして、主要な作物としまして、例えば小麦、それからてん菜バレイショ等があるわけでございますが、そういうそれぞれの作目のバランスある作付体系を維持しながら、同時にそれぞれのものの、個別のものについての生産性向上、コストの引き下げを図りながら需給の安定を図っていく、こういう方向で、非常に多角的な、内容の極めて多様な農業でございますので、全体のバランスと個々の作目の需給価格安定、両面に気を配りながらこの対策を推進していくべきものと考えております。
  328. 津川武一

    ○津川委員 多様、たくさんの作物をつくって何かやるというそれ自身は問題はありませんが、沖縄、六七%がサトウキビ、これを組み合わせるにしても、他の作物のあれがない。したがって、サトウキビの沖縄農業としての位置づけ、これは特別な位置づけをして特別な対策をとらなければならないと思いますが、沖縄の畑作をどうするか、もう一度答弁願います。
  329. 関谷俊作

    関谷説明員 ただいま、やや全国的な視点で申し上げましたので、あるいは沖縄の問題にはそのままのカバーするようなお答えではなかったわけでございますが、沖縄の場合には、お尋ねございましたように、一種の亜熱帯地域での農業の中でサトウキビが非常に基幹的な作目として位置づけられております。そういう意味におきまして、沖縄農業の内容また沖縄の農家の所得安定、そういう面からサトウキビの生産及び価格の安定が大変重要でございます。  今後の対策としましては、従来も実施しておりますけれども、土地基盤の整備によりまして生産の安定また生産性向上を図ることと、従来からもやっておりますが、作柄の安定あるいは多収、そういう面に配慮しました品種の改良、こういう面にも力を入れてまいらなければいけないと思っておりますし、その他収穫面では、労力が非常に必要でございますので機械化をさらに進めまして、コスト、労働時間の低減を図る、こういうようなことを全体的に実施をしてまいりまして、あわせて、今後とも価格の安定については十分留意してまいりたい、かように考えております。
  330. 津川武一

    ○津川委員 沖縄のサトウキビについてはもう一回お尋ねしますが、沖縄の農業はサトウキビ抜きにしてないということを考えながら、サトウキビ対策を徹底的に進めることを要求して、質問を進めていきます。  政府は、農業生産の長期ビジョンとして六十五年長期見通しを発表しました。そこで、この見通しにおける、発表した大豆てん菜バレイショ、サトウキビ、菜種は、計画はどうなっているのか、その計画に対して現在どう進行しておるのか、これを答えていただきます。
  331. 関谷俊作

    関谷説明員 畑作物のうちで、全体的に見ますと、六十五年度の長期見通しに沿って生産振興を図っておるわけでございますが、今のお尋ねの中にもございましたけれども、主要なものから先に申し上げますと、麦、大豆につきましては、大体、作付面積の中で転作面積、転作によります田作の占める割合がかなり高いわけでございますが、最近、田作作付面積がやや鈍化傾向にありますけれども、全体としては、長期見通しに対しまして、麦でありますと作付面積で、長期見通し五十一万ヘクタールに対して三十五万三千ヘクタール、五十八年産でございます。それから大豆の場合には、長期見通し二十一万ヘクタールに対しまして十四万三千、こういうようなことで、面積的に増加傾向をたどっておるわけであります。  一方、てん菜バレイショでございますが、これは両方とも大体、作付面積では目標面積を下回っておるわけでございますが、生産量の面で長期見通しの水準をほぼ達成しておりまして、てん菜では、大体作付面積面では長期見通し七万七千ヘクタール、作付面積が七万三千ヘクタール、実際が、五十八年が七万三千ヘクタール、バレイショの場合、十三万五千ヘクタールに対して十二万八千ヘクタール、こういうようなことで、長期見通しに沿った、かなり近い状況になってきております。  このほか、サトウキビでございますが、長期見通しに沿った生産の拡大が進んでおりまして、長期見通し三万八千ヘクタールのところ、五十八年産で三万五千ヘクタール、こういうような水準でございます。  菜種については、長期見通しの中に具体的に織り込んでおりませんので、目標数値が設定されておらない、こういう状況でございます。
  332. 津川武一

    ○津川委員 菜種のことは後でまた質問いたします。  そこで、てん菜バレイショがある程度まで計画どおりいっている。この中で大豆なんです。今も話されたように、二十一万ヘクタール、四十二万トンを目標にしていて、十四万三千ヘクタールよりいかない。バレイショはいい、てん菜はいい、なぜ大豆がいかないのか、ここに一つの問題が出てくるわけでございます。大豆作付面積は五十六年以降年々減少して、かなり目標から遠ざかってきたのです。ここでなぜ大豆だけが、かなり自給率を高めなければならぬ重要畑作物である大豆がこんなふうに後退しているのか、この後退を取りとめて前進させるためにどんなことをなさるつもりか、ここのところを明らかにしていただきます。
  333. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆についての長期見通しの方向に沿った生産拡大の問題でございますが、これは現在交付金制度で対象にしておりますが、実際問題として輸入品との価格差が大きいということもございまして、生産性向上の目標が非常に高いわけでございます。その中で、我々としましては、やはり基本的には単収を高めるということ、また畑作の場合特に単収不安定でございますので、高めかつ安定させること、それから労働時間の短縮、こういうことを図りながら大豆作付面を拡大していく、またそれを定着化させていくということに努める必要があると考えております。  そのための方策としましては、優良な品種を開発して普及する、また栽培管理技術を改良する、生産の組織化を図る、こういうことで主産地の形成を進めながら高位水準生産を安定させていくということが必要と考えておりまして、この過程で非常に能率の高い収穫機等の機械の開発導入、これも必要でございますし、また基本的には基盤整備による生産基盤の向上、充実ということが必要でございます。具体的には、農蚕園芸局では小土地基盤整備、共同利用施設整備、こういう対策をいろいろ組み合わせながら総合的に実施をするということで、生産性向上を図りながら今後とも生産拡大には極力努力してまいりたい、かように考えております。
  334. 津川武一

    ○津川委員 局長説明も方針も一生懸命で、私もなるほどなと思って聞いていたのですが、項目が八方美人なんですね。今局長が挙げたものでもう七つか八つになる。したがって、問題は、重点的にやれない。  大豆のことでもう一回質問しますが、私は価格の問題だと思っているのです。そのことはこれからもう一回やります。  そこでまた、規格外大豆交付金支給の対象から外すと伝えられておりますが、事実かどうか。農家経営の大豆を安定させようとすれば、これは外すわけにはいかないのですが、外せば大豆対策の大きな後退になると思いますが、ここらはどうでございますか。
  335. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆につきましては、従来からいいものをつくってくれということで、低品位のものはできる限り生産されないような生産者団体の努力を要請して、またその面の指導をしているわけでございますが、実際に規格外と言われているものの状況を見ますと、内容的には病害、虫害によるもの、それからいわゆる調製過程で汚損されたりしたもの、さらに未熟粒、こんなものが多うございまして、当然の状況としてどうしても被害などがあって悪いものが出るというよりは、そういう栽培管理、また調製面の技術の向上によってかなり防げるものがあるというふうに我々考えております。  こういうことから申しますと、従来規格外の指導、できるだけそういうものを生産されないような生産面、管理、調製面の指導をお願いしておるわけでございますが、こういう時期で、今検討の素材としましては、規格外の問題については、ほかの米麦等では御承知のように等外のものは買い入れ対象にしていないというようなこともございまして、大豆の場合にも、これらの努力によって規格外の割合も少し減るような傾向も見られておりますので、この際これを交付金の対象として除外することも検討すべきではないかということで検討はいたしております。  ただ、まだ結論を出しておりませんが、いずれにしましてもこの問題については、生産者団体の方面の一層の努力をお願いしながら、交付金制度のあり方として従来に引き続き検討すべきことと考えております。
  336. 津川武一

    ○津川委員 局長の発言、私はとんでもないこと、聞き捨てならない項目もあったと思うのです。農家が管理の点で手を抜くとかサボるとかいう意味のことではないと思うのだけれども、そういう意味で規格外の大豆が出たというならば重大発言なので、後でまたこれをよく見てみますが、大豆が特別に落ちているので育てようと思えば、規格外を差別してはいけないということを重ねて申し上げて、質問を続けていきます。  そこでサトウキビですが、先ほどの三万八千ヘクタールに対して大体三万五千ヘクタールいっている。政府は去る九月七日の甘味資源審議会への諮問の中で、六十三年度を目標とする甘庶糖の原料生産量を、五年前に五十八年度の目標を決めておりますが、それよりも一割下げて二百六十五万トンとしておるが、生産目標をなぜ下げたのかということです。  現在鹿児島では八十万トンから生産されておる。沖縄の振興開発計画で二百三十万トン計画している。皆さんが二百六十五万トンに引き下げた中から鹿児島の八十万トンを差し引くと沖縄は百八十五万トン、ここに沖縄に対する特別な攻撃が私はあると思う。沖縄に対しては特別に考えなければならない。ここはどうしても承認するわけにいかないので、この沖縄のサトウキビの面積減少は絶対にやめて、拡張していかなければならないと思います。沖縄はあのとおり被害県でありますので、沖縄が立てた振興計画を政府が実現してあげるという態度をとらなければなりませんが、いかがでございますか。
  337. 関谷俊作

    関谷説明員 先般の甘味資源審議会の答申を受けて決定しました六十三年の目標生産費において、お尋ねのとおり甘庶糖の原料生産量二百六十五万七千トンというふうに見込んでおります。これは最近の鹿児島県、沖縄県の生産実績を基礎にしまして、これから土地基盤の整備、栽培技術の改善、優良品種の普及というような、生産性向上面での効果も勘案して推計したものでございまして、前回の五十八年目標の場合には三百二万九千トンが原料生産量見込みだったわけでございますが、実際が二百四十五万七千トン、これは五十八年の数値でございます。こういうことになっておりますので、我々としましては、今回の目標設定に際してはできるだけ現実的な配慮をした方がよかろうということで、二百六十五万七千トンという生産目標を設定したわけでございまして、これはまだ別に、県別にどうというような議論を私どもはしているわけではございません。
  338. 津川武一

    ○津川委員 この点は、沖縄振興開発計画の線で沖縄のサトウキビを進めていくよう強く強く要求して次に移ります。  菜種でございます。菜種は五十八年に三千二百二十トン、輸入が百二十万トン、これは一体どうなるの。こういうことなんです。食用油でございますけれども、動物性の油をとるよりも、植物性脂肪の方がコレステロールを取る非常に大きな役割を果たしています。このコレステロールを取る植物性の油というものを現在輸入大豆に預けておいて、国内生産の菜種などというものからの食用油をこんなふうにやってしまうのは非常に問題があると思います。百二十万トンに対して三千二百二十トンという、菜種を壊滅させるのじゃありませんか。どうしても菜種は守り、育てなければならないと思いますが、菜種に対する対策を聞かしてください。
  339. 関谷俊作

    関谷説明員 菜種につきましては今お尋ねのございましたような状況でございまして、作付面積が三十二年の二十六万ヘクタールをピークにしまして年々減少しまして、五十八年が二千ヘクタールということになっております。  これらの原因としては、水稲の早期移植化による裏作物として作付がなかなか難しくなっている、あるいは兼業化による影響、それから野菜作等の収益性の高いものへの転作。それから、これは一つの悪循環でございますが、面積が少なくなりました関係もありまして収穫調製の機械化ができない。それから梅雨期の病害による作柄不安、こういうような状況がございまして、実は少なくともこの生産の維持を図っていくこともなかなか難しいような状況でございます。  私どもとしましては、現在、地域特産農作物生産総合振興事業というものを実施しまして、その中で菜種も含めました特産農作物の営農集団の育成をする、それから共同利用機械施設等の整備に対して助成をするということを実施しておりますし、また菜種の生産振興対策推進指導事業などにおきまして省力多収技術の普及、一番基本的なことは菜種を合理的な輪作体系の中に組み込むということでございまして、そういうことをする営農集団を育成する。こういうような一種のモデル的な機械化多収栽培体系、そういうものを実証展示をしてその普及推進を図る、こういうことを実施しながら、極力菜種の振興を図っていきたいということで努力をしてまいっておる次第でございます。
  340. 津川武一

    ○津川委員 今述べたことを極力やってきて菜種がこんな運命になっちゃったわけです。お話を聞くと、また百貨店みたいにいろいろなことをやっていますが、問題は、一つだけやってください。二毛作として菜種が使えるようにする。昔、二毛作として使ったのです。そういう体系をつくれば菜種はうんとふえます。そういうことをやらないで、あれやこれや百貨店みたいにお題目を並べてみても問題は解決しません。  時間が来ましたので大臣に、最後の問題に移りますが、大豆があんなふうに耕作面積が減っていくのは価格なんだよ。きょうあなたがここで報告したとおり、大豆が転作のうちで八千四百ヘクタール減っている。なぜ減ったかということをあなたははしなくも言った。他用途利用米の方に転じたという。他用途利用米で、一俵一万八十円で十アールで十万円足らずの収入があれば、大豆よりもここに転換する、これが大事なんです。だから、やはり収入を保証していく、価格を保証していくところで大豆が守れる。皆さんがやった中で大豆が一番減ってきているのはそこにあるので、全体の価格保証の中で特に大豆価格保証というものがこの問題を決めるキーポイントになっていることは、あなたがきょう報告した資料の中から浮き彫りに出てくる。このことを指摘しますが、こういうふうにやってくれますか。それで私の質問を終わります。
  341. 関谷俊作

    関谷説明員 大豆の場合には、その資料の一番最後のページにもございますが、非常に交付金ウエートが高うございまして、価格面が大事なのですが、価格面に大変財政負担を要している。一方、御指摘のございました他用途利用米との比較から見ると、それでも収益が劣る。大変難しい状況にございますが、生産対策価格対策、両面を含めまして、私どもとしてはできる限りの努力をしてまいりたい、かように思っております。
  342. 津川武一

    ○津川委員 臨調行革のそういう予算締めつけに負けないで農業振興することを大臣にも要求して、質問を終わります。      ――――◇―――――
  343. 阿部文男

    阿部委員長 この際、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による昭和五十九年産畑作物価格決定等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
  344. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る昭和五十九年産畑作物価格決定等に関する件について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     昭和五十九年産畑作物価格決定等に関する件(案)   農業生産の再編成と地域農業総合的推進のため、畑作振興のはたす重要性にかんがみ、政府は、本年産てん菜、さとうきび、甘しょ、馬れいしょ、甘しょでん粉、馬れいしょでん粉及び大豆生産者価格等の決定に当たっては、左記事項の実現に努めるべきである。       記  一 てん菜、甘しょ、馬れいしょ、大豆については、畑作振興上欠くことのできない基幹作物であるので、国が公表している「農産物需要生産の長期見通し」の方向に沿って適正な輪作体系の維持を基本とし、計画的、安定的な畑作生産が行われるよう指導すること。   また、さとうきびについては、沖縄県及び鹿児島県南西諸島における基幹作物であるので、生産性向上を図り、経営の安定化に努めること。  二 てん菜、さとうきび、甘しょ、馬れいしょ及び大豆生産者価格については、農業所得と再生産の確保が十分図られる価格とすること。  三 てん菜糖、甘しゃ糖の事業団買入れ価格及び甘しょでん粉、馬れいしょでん粉並びに甘しょ生切干の買入れ基準価格は、集荷製造経費及び歩留り等の実態を適正に反映して決定すること。  四 てん菜については、原料の適正な評価と砂糖の効率的な生産を図るため、糖分を基準とする取引制度への移行が円滑かつ速やかに実現されるよう指導を行うこと。  五 てん菜、さとうきび、甘しょ、馬れいしょ及び大豆生産性向上を図るため、土地基盤の整備、優良種苗の開発普及、機械化作業体系の確立等を促進すること。  六 国内産いもでん粉の円滑な流通を図るため、コーンスターチ用どうもろこしに係る関税割当制度の継続に努めるとともに、外国産でん粉については秩序ある輸入が行われるようにすること。   右決議する。 以上であります。  決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ、委員各位の十分御承知のところでありますので、これを省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますよう、お願いいたします。(拍手)
  345. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  玉沢徳一郎君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  346. 阿部文男

    阿部委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。山村農林水産大臣
  347. 山村新治郎

    山村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分検討し、適切に対処すべく努力いたす所存でございます。
  348. 阿部文男

    阿部委員長 なお、ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  350. 阿部文男

    阿部委員長 質疑を続行いたします。中林佳子君。
  351. 中林佳子

    ○中林委員 去る八月の二十日に「宍道湖中海淡水湖化に関連する水理水質及び生態の挙動について」の中間報告が島根県、鳥取県両知事に説明され、公表と相なりました。  そこで、この中間報告についてお伺いするわけですけれども、この調査は何年かけて行われたのか、また、この調査、中間報告に至るまでの予算は幾らかかったのか、そしてこれは何と何を明らかにするための調査であったのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  352. 井上喜一

    ○井上説明員 お答えいたします。  御案内のとおり、中海事業に関連したものでございまして、私ども、中海の干拓事業を実施いたします場合に、その事業効果というのは非常に大きなものがあるというふうに考えておりますけれども、他面、自然環境に与える影響があるということは否定できないところでございまして、これについての検討をいたしてきたわけでございます。  ただいま御指摘がありました委員会につきましても、宍道湖・中海の淡水化によります水質及び生態系への影響につきましての検討をお願いいたしたわけでございます。五十五年から五十八年までの三カ年間にわたりまして委員会で検討をお願いしたわけでございまして、その間にかかりました予算は約二億一千万でございます。  中身につきましては、報告書の中にございますように、宍道湖一中海を淡水化いたしました場合におきます水質の変化あるいは生態系への影響等についての検討でございます。
  353. 中林佳子

    ○中林委員 明らかになったとされている水質の問題についてまずお伺いするわけですけれども、この水質の将来予測ですね、淡水化した後どうなるかという予測はどういう方法で測定をされたのですか。
  354. 井上喜一

    ○井上説明員 淡水化をいたしました後の水質予測の方法でございますが、これは全窒素量、全焼、それから化学的酸素要求量、いわゆるCODでございますが、これにつきまして行っておりまして、これらの予測につきましては、淡水化後の状況の変化、これは淡水化いたしますと貯水容量が減少いたします、あるいは湖の流れが変わります、こういった変化を織り込んでおります。また、塩分躍層が完全に消失いたしますことから、下層の酸素の状況が改善されまして燐の溶出が抑制される、こういう効果が期待されるわけでございまして、こういった諸要因をシミュレーションを行いまして、淡水化後の水質予測を行ったわけでございます。
  355. 中林佳子

    ○中林委員 聞きたいことのお答えにちょっとならないのですけれども、ここに、現況と淡水湖化後の水質、これは中間報告の総論部分ですね、これが「要旨」という形で出ているわけです。それを見ますと、現況は今までの、要するに中海も宍道湖もこれまでずっと調べた中での一番最高値と最低値が出ているわけです。ただし、予測の方は、これを読んでみますと、要するに六年間の月別の平均をシミュレーションして、その中の一年間の最高と最低値しか出てないということになるわけですね。  それで私、お伺いするわけですけれども、この「要旨」の方の五十ページ、ここに出ている現況とそれから淡水湖化後のそれぞれのブロックでの数値、これは比較ができるものですか。
  356. 井上喜一

    ○井上説明員 比較ができるようなシミュレーションを用いましてこれを行ったわけでございます。
  357. 中林佳子

    ○中林委員 きのう私は農水省の説明を受けたのですけれども、これは比較にならない数字だとおっしゃっていたわけですね。実は一冊が一番いいわけですけれども、この中には総論部分と各論部分が載っております。いわば総論部分、こちらの「要旨」として出ているのではその最大と最小が載っているけれども、平均値というのは落とされているわけなんです。こちらの「各論」の方には現況と淡水湖化後の平均が出ているわけですね。ですから、淡水湖化後のシミュレーションはあくまでも六年間の平均値をとっているので、例えば最大アオコが発生したような数字などはインプットできていない状況の中で計算されていると思うのですね。ですから、本来比較ができるのは少なくとも現況と淡水湖化後の平均、ここで比較しないと、とても淡水湖化後の水質がどうなるという結論部分は導き出せないというふうに私は思うのですけれども、その点はいかがですか。
  358. 井上喜一

    ○井上説明員 先生の御指摘は、中間報告の中にはそういう詳しいデータが入っているけれども「要旨」の中には平均値を出していないじゃないか、こういう質問かと思います。  私ども計算いたします場合には全体の数字を使いまして計算をするわけでございます。ただ「要旨」の場合は報告全体の中から主要なものをピックアップしまして関係者にわかりやすいような形で編集いたしたものでございますので、その平均値を「要旨」の中には載せなかったわけでございまして、特別に他意はございません。
  359. 中林佳子

    ○中林委員 他意がないばかりではないと思うのですね。この「要旨」の中に確かにシミュレーションをやったという、いわば折れ線グラフみたいのが載っているのですけれども、この中にも載るはずの平均値が全く落とされている、現況で。予測の一本の線だけが出て、これは下の方にあるからきれいになるであろうという結論を導き出すために、こういうように現況の平均値が落とされているとしか思えないわけです。  そこで、ここの水質の問題での結論部分は、現況に近い水質を維持できる、こういうふうに結論づけておられるのですが、水質の中で一番問題になるのはCODだと思うのですね。これで各論部分での評価という表で私は単純に比較してみました。CODでよくなるという部分は一番上の宍道湖域、それから中海下流域、ここだけであって、あとの三つのブロックについては平均値で比較すると悪くなっているわけです。その他、窒素や燐も比較をしてみましたけれども、窒素や燐というよりもむしろCODの方が水質に影響を及ぼすということで考えれば、悪くなる方が実は多い、こういう結果が表にして見れば明らかなんです。一目瞭然なんです。それを見て現況に近い水質が維持できる、こういう結論づけがされているのは甚だ非科学的なことだと指摘をせざるを得ないわけです。これが一点です。  水質の問題では非常に故意に、明らかに農水省の方が載せなければならない数字をこちらの「要旨」の方で落としている。つまり、こちらの「各論」が載っている六百ページを超えるようなこの本はそんなに配られないわけです。こちらの「要旨」の方がいわば全体に公表の、論議の対象になるわけですね。ですから、そういう意味では水質の問題で一番大切なものが落とされている。住民だれもが心配をしている水質の問題でこういう非科学的な状況になっているのは甚だ遺憾だと思わざるを得ないわけです。  では次に、生態系の問題について伺うわけですけれども、今度の報告書では生態系では何が明らかになったわけですか。
  360. 井上喜一

    ○井上説明員 まず、今の中間報告全体と「要旨」との関係につきまして御指摘があった点につきましてお答えいたしますけれども、私どもの計算は中間報告全体にあります中の数値を使って計算しているわけでございます。「要旨」はあくまでそういう計算の過程なり計算結果の要約でございまして、その要約が非常に簡単なものであるからといいまして、そういう数値だけを使って計算をしているということはございませんので、その点御理解をいただきたいと思います。  また、CODの値が各地点によって違っておりますが、この値の読み方でございます。確かに御指摘のように、CODが下がるところ上がるところございますけれども、上がるところがございましても、専門家の立場から見ますと非常に問題にすべきそういう変化なのかどうか、こういう点が問題でございますが、専門家の先生方の結論では余り大きな変化ではない、大体同程度水準推移するだろう、こういうような御意見でございます。  それから次に、生態系についての御質問でございますが、中間報告では植物プランクトン、水生植物、底生動物、魚介類につきまして、その現状と淡水化の後におきます生態変化について解明がなされております。  その中身でございますが、淡水化をしました後は、植物プランクトン構成は鞭毛藻類と珪藻類の比率が減少いたしまして、藍藻類と緑藻類の比率が高まるということになっております。また、水生動物は海水性または汽水性のものから淡水性のものに変わってまいります。底生動物は時間とともに現存する海水または汽水性のものにかわりまして淡水性のものが増加をする。それから、現在の中海の湖底の無酸素状態が解消されれば、淡水性の底生動物は湖の底まで生息可能となりまして、その種もふえ、生態系も安定するだろう。また、魚類につきましては、海水、汽水性のものは全域で生息しなくなり純淡水魚が残存していく、このようになっております。
  361. 中林佳子

    ○中林委員 汽水湖の場合は鞭毛藻類があって、淡水化すればそれが藍藻類になるというのはわかっているわけですけれども、その藍藻が一番影響を与えるのはアオコの発生ですね。このアオコの発生の予測というのはされているわけですか。
  362. 井上喜一

    ○井上説明員 中間報告で、淡水化された場合にアオコがどうなるかということでございますが、これは宍道湖、中海ともに夏季にアオコが出現する可能性が少なくないということを言っております。現在も時にアオコが発生することがあるわけでございますが、中間報告におきましてもただいまのようなことを言っております。ただ、現段階におきましてはこれが大増殖するような状況ではないだろう、こういう指摘もございます。  アオコの発生の要因といいますのは、植物プランクトン種の生物学的競合関係や栄養塩濃度、それに水温等の生息環境に左右されると言われておりますけれども、発生のメカニズムそのものにつきましては現在でも学問的に十分明らかにされてない、そういう側面を持っております。私どもといたしましては今後さらに検討していきたい、このように考えているところでございます。
  363. 中林佳子

    ○中林委員 アオコの発生予測というのは、確かにこの「各論」では警告を発しております。ただし「総論」の部分ですね、こちらの薄くなった「要旨」の部分では、アオコの予測というのは全く落ちております。これがまず第一点ですね。  それから、このアオコの問題を研究されている今度の研究委員会の小委員会でありますプランクトンの部分の小委員会がありますね。そこの小委員長をやっていらっしゃる島根大学の伊達教授の話があるわけで、私も直接伊達先生から話を伺ったわけですけれども、確かに中間報告をまとめるまでには淡水化後のアオコの発生の量をつかむという点ではまだできなかった、こういうふうにおっしゃっているわけですね。しかし、その後、中間報告をまとめた後、アオコの発生のデータをいろいろと入手する機会ができた。最近の例でいけば、例えば昭和五十八年に琵琶湖で大量発生をした。このときの窒素だとか燐、これは中海よりも琵琶湖の方が多いわけです。宍道湖に比べると同じくらいだ。そのときでも実は琵琶湖は非常に大量発生しているし、中海や宍道湖が水門が閉め切られれば滞流時間は琵琶湖よりも大きくなるのであるから、そういうことを考えれば、従来のデータにつけ加えれば、宍道湖にもアオコが大量発生する、そういう予測が行われるのだ。また、昭和五十六年に宍道湖でもアオコが発生しておる。そのときのデータもこの中間報告をまとめる段階では入っていなかったのだけれども、実は最近それも手に入った。そのデータから見てみると、やはり大量発生の予測は量的にもできるのだ、こういう警告を発していらっしゃるわけです。  ですから、これは学問的にはいわば今の最高水準の中間報告だなどというふうにおっしゃっているのですけれども、現段階で、その小委員会委員長をやっていらっしゃる伊達教授がもう予測を科学的に明らかにしていらっしゃるのですよ。ですから、そういうことを加味すれば、当然今度のこれで生態系に及ぼす問題は今後の課題だなどと言って逃れることはできないと思うわけですけれども、いかがですか。
  364. 井上喜一

    ○井上説明員 伊達先生が今御指摘のような発言をされているということは新聞等で我々承知しておりますが、具体的にお会いしまして確認したということではございません。我々はいずれこの問題につきましては委員会におきまして検討いただきたいと思っている課題の一つでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、アオコの発生のメカニズムというのはなおわからない面があるわけでございまして、宍道湖と琵琶湖が違う条件のところも多々あろうかと思います。そういう全体につきましての検討もお願いをいたしたい、このように考えております。
  365. 中林佳子

    ○中林委員 それから、植物プランクトン、このアオコの問題でもそういう未解明の問題がまだたくさんあるということでしたけれども、魚だとか貝だとか、現在すんでいるそういう動物が宍道湖や中海に与えている影響、それは今度の状況の中でわかっているわけですか。自然浄化の問題だとか、あるいはより一層汚濁をさせている要因になっているとか、その辺のことも解明できているわけですか。
  366. 井上喜一

    ○井上説明員 個々の魚ごとに水質に対してどういう影響を与えるかという点については解明されておりませんけれども、例えば、そういう魚は魚全体といたしましてたんぱく質を食べましていずれ死んでいくわけでございます。そういうものが湖底に沈殿をしていくわけでございます。そういうような形で個々の魚の種類ごとというのではなしに、湖底の生物全体がそういう循環を繰り返すという前提のもとに水質の解明がなされたというふうに承知いたしております。
  367. 中林佳子

    ○中林委員 それはおかしいと思うのですね。今後の検討課題、調査の課題の中に、実はこういう動物が水質にどのような影響を受けるか、また与えるかということは今後の解明にまたなければならないということになっているわけです。確かに今度の生態系の調査研究でわかったのは、汽水湖から淡水化に移行すれば、汽水湖にすんでいた汽水性の生物はなくなって淡水性の生物になるというのは、これはもうだれが考えてみても当たり前のことなんですよ。そんなことがわかったぐらいで、その生態系の、要するに淡水化後の予測がつくなどということは非常にこれはおこがましいと言わざるを得ません。  そこで、これは現実にやろうと思えばできるのじゃないですか。例えばもう先例地があるわけなんですよ。もう淡水化をしたところがあるわけでしょう、霞ケ浦だとかあるいは児島湖だとか、八郎潟だとか。こういうところでその生態系に与える予測というものは十分調査が可能だというふうに思うわけですね。ですから、この生態系の問題でも、今度の中間報告ではまだまだ解明されなければならない部分が多過ぎると私は指摘をせざるを得ません。  そこで、次に水門操作についてお伺いするわけですけれども、この水門操作の説明で、中海の水位よりも外潮位が高い場合ですね、このときはそりゲートは閉め切りになる、こういうふうに説明されているわけですけれども、渇水時の水質に与える予測、つまりそういうときの水質の予測というものは計算されているわけですか。
  368. 井上喜一

    ○井上説明員 まず水生植物でありますとか底生動物、魚類などが水質に与える影響度合いはどうなのかという御質問がございましたが、これは専門学者が現在までの知見によりまして変化の予測を行っておりますが、それぞれにつきまして水質に与える影響度合いを定量化するということは現在の学問レベルでは非常に難しいということでございます。しかしながら、これらの生態系の変化が水質に及ぼす影響につきましては、燐の溶出現象として、全体の水質予測の要素に含めたものとして解析が行われております。  次に、渇水年について水質予測は行っているのか、こういう趣旨の御質問かと思います。中間報告では、流入負荷量を算定いたします基準年、これは昭和五十五年に置いておりますが、これに最も近く、平常年と考えられる昭和五十四年の河川流量を基準にいたしまして水質予測を行ったものでございまして、通常のシミュレーションといたしましては評価できるものだと我々考えております。  御質問の渇水年についてのこの計算はまだ行ってないわけでございまして、我々といたしましても今後の検討課題だとは思いますが、ただ、渇水年等につきましても、宍道湖、中海の水の滞留日数は、平常年におきましても既に植物プランクトンの増殖にとって十分な日数でありまして、多少滞留日数が長くなるということになりましたとしても、水質に大きな変化がないのではないかという考えもございます。しかし、これらについては検討課題と我々は考えております。
  369. 中林佳子

    ○中林委員 大変な問題ですよ、局長。だれもが一番心配しているのは、要するにあの中浦水門の樋門の閉め切りによってため池になる。ため池になれば必ず水は汚れる。これは素人目に考えてみてそこが一番心配です。だからこそ私どもは水質に対する予測というものを非常に心配しました。二億一千万ぐらいかけてこういう立派な中間報告が出た。私どもはその渇水年のときのいわば予測というのは必ず入っているであろう、こういうふうに思ったのに、それはまだ今後の検討課題だなどというのは、もう極めて遺憾だと言わなければならない。  現に、ここに昭和二十六年の水門操作の計画書の抜き出しを私持っているわけですけれども、これを見ただけでも、六月、七月、八月、九月、もう二十四時間閉め切りという日が相当数あるわけなんですよ。四十八年の渇水年、一番近いところで言えばですね、それなども必ずあるはずなんですけれども、その資料をお見せくださいと言えば、それはいろいろな都合で見せられませんとおっしゃるものですから、これは今ある中で、私どもはわざわざ島根県の県庁まで出かけていって分厚い中からやっと引き出してきたものなんですよ。  それを見ましても、例えばこの二十六年のデータで六月は二十四時間閉めっ放しというのが半月、十五日間、八月はもうほとんど閉めっ放し、二十六日間、九月に至っても半月以上、十七日間の計画になっておるわけなんですよ。そうしますと、流れは一様になってスムーズになるような書き出しがありますけれども、とんでもないことですよ。もう閉め切ってしまうわけですから、流れなんぞ、それはそこの湖の中では一定の流れはあるでしょう、波も立ちますし、いろいろなことがあるわけですから。ただこういうことが予測されていない、まだこれからの検討課題です、そう言いながら、多分汚濁は進行しないだろうと思っているなどと局長おっしゃることなどは、もう科学を冒涜するものだと言わざるを得ないわけです。ですから、こういう点でも今度の中間報告というのは、私は非常に欠陥があると指摘をせざるを得ません。  そこで、さらにこの中間報告で、まあ漁民の方方が一番指摘をしているのは、今でも中海も宍道湖も汚れているけれども、まだ中浦水門の樋門が閉め切られないで日本海から海水が入っている、また引き潮のときには出ていく、この潮汐の働きで自然浄化作用があるのだ、漁民の方々は、それは宍道湖の中心部以上にまでも入っているのを、もう今までの生活体験の中から自分たちは知っている、こういうふうにお話しになっているのです。  ところが、今回の中間報告を見れば、それはただ単なる往復運動にすぎないんだ、そこで中浦水門のところではかってみて、燐の除去量というものを明らかにしていらっしゃるわけですけれども、この燐の除去量も、実は海水による燐の搬出量は河川水による搬出量に比べて、その河川水の一六%にすぎない、非常に小さいものだ、潮汐の影響というのは浄化作用には余り働いていないのだという結論を導き出しておられるわけです。  しかし、先ほど指摘をしましたように、渇水年のときはもうゲートは全部閉め切ってしまうわけですよ。だから河川から流れ込んでくる水も実は外に出ていかないのですよ。それなのに河川から持ち出される方が実は量が非常に多くて、潮汐によるものは非常に少ない、こう限定をされているのですけれども、そうなりますと、もう燐の除去というのはそういう中では河川の流れによっても持ち出されない、こういうふうに言わざるを得ないと思うわけです。  中間報告では、そういう中浦水門の樋門のところで海水の量などからはかって計算をしてみれば一六%にすぎないのだ、こういう結論を導き出しておられますけれども、ここに島根大学地域分析研究会が発行しております「飫宇の入海」、この中に当時島根大学の助教授をなさっていらっしゃいました大竹先生、現在東京大学の助教授をなさっておりますけれども、その先生がこの潮汐の役割というのを科学的に明らかにしていらっしゃる項目があるわけです。これを見ますと、小さい潮の満ち干のときは、入ってくるときはきれいなのが入って、出るときは汚れた燐を持ち去っていく、その値は約二倍の値だ、こういうふうに言っておられますし、大きい満ち干があるときは二倍から四倍、そういうのを自分は調べたのだということをこの中で明らかにしておられるのです。  ですから、これも科学者が明らかにしたものですし、こちらも科学的に明らかにしたというふうに報告になっているわけですけれども、漁民の実態から言えば、潮汐の働きというのは非常に大きいものがある。こういうことを考えれば、私は、この「飫宇の入海」の方に書いてある、大竹先生が燐のいわば濃度を、そこで入ってくるのと出ていくのをはかって発表になっている方が正しいのではないか、こういうふうに思えてならないわけなんです。この点についてはいかがですか。
  370. 井上喜一

    ○井上説明員 いずれの場合も学者先生がそういうものをお書きになったということでございますが、私どもは、この問題につきましては日本を代表いたしますそれぞれの専門分野の先生方を網羅いたしまして結論を出していただいたと思います。中海の流入等につきましても十分の調査の上にこういった結論が出されたと私ども考えるわけでございます。
  371. 中林佳子

    ○中林委員 この一点についても科学者の間でも極めていろいろな意見があるということだけは知っておいていただきたいと思います。  そこで、総合影響評価、この点が非常に大切なんです。この点でお伺いするわけですけれども、ここで、結論部分で「総合的に判断すれば、淡水湖化は湖の現況程度の水質をほぼ維持しながら進めて行くことが可能であろう。」こういう結論をつけているわけなんですが、この総合判断とは上記の(1)から(5)に当たる部分ですか。簡単にお答えください。
  372. 井上喜一

    ○井上説明員 御指摘のとおり、その「要旨」の中で(1)から(5)までに要約してございます。
  373. 中林佳子

    ○中林委員 そうしますと、私は非常に矛盾があると思わざるを得ないわけです。というのは、一番は淡水湖化によって流れが一様にスムーズになっていくとまず述べてありますけれども、この「要旨」の四十九ページには「滞留時間は、淡水化前に比べやや増加する。」こういうふうになっているわけですね。ここに矛盾があります。ましてや渇水年のときはまだ予測されていないわけでしょう。それなのに、スムーズになるなどと言って結論づけている。まず(1)の部分が非常に問題だと思わざるを得ません。  それから二番目の問題も、現在の除塩施設は欠陥があるというのは県もあの干拓事務所でも認めておられます。これはポンプを増設すればいいのだとかいろいろおっしゃっておりますけれども、これも、除塩施設の問題も問題だと思います。  それから三番目ですけれども、三番と四番の間には大変矛盾があるのではないでしょうか。といいますのは、淡水化すれば塩分躍層がなくなって、要するに湖に塩分の部分と淡水の部分がなくなるので、一様になって燐の溶出が抑制されるのだというようなことが三番に書いてあるわけですね。それなのに四番では、燐などが溶出されたものはずっとゲートの方に流れていって、そのゲートから吐き出されるのできれいになる、これはつまり塩分躍層がないと、ずっと重たいものでないと下にいかないわけでしょう、溶出されて。だから一様になったら下の方に行かないと思うのですけれども、こういう点があります。  それから五番目の生態系の問題は当たり前のことしか書いてないわけですから、こういうことで判断すれば現状程度の水質をほぼ維持していくであろう、こう結論づけているのは、私は、余りにも解明されなければならない点や矛盾があることからこういう結論を導き出すのは、どうも承服できないと思うわけですけれども、いかがですか。
  374. 井上喜一

    ○井上説明員 まず第一の湖の流れでございますけれども、大橋川から中浦水門に向かうスムーズな一様の流れに近づくということでございますが、これは今潮が入ったり出たりするわけでございますが、閉め切り後は、確かに滞留日数はふえるわけでありますけれども、流れそのものといたしましてはスムーズに一つの方向に向かって流れていく、こういう事実を言っていると思います。  それから二番目の除塩施設の操作の問題あるいは施設そのものの問題でございますけれども、これは試行の段階になりますれば、十分そういった操作の仕方なりあるいは今の除塩施設で十分であるかどうかというようなことの検討をいたしたい、このように考えるわけでございます。しかし除塩施設につきましてはそれなりの効果はあると我々は期待しているわけでございます。  三番目でございますけれども、塩分躍層がなくなりまして溶存酸素が湖底まで届きやすくなる、したがいまして底の泥からの燐の溶出が抑制されることが期待されるということを言っているわけでございます。  四番目の方は、一番と関係があろうかと思いますけれども、密度流等によります下層からの栄養塩類が上向きに押し上げがなくなってくるということでございまして、さらにこれらが漸次除塩施設の方に行きまして、これはもちろん除塩施設の適切な操作管理が必要でございますけれども、最終的には湖外の方へ搬出される、こういうことを言っているものと思います。  こういうことを踏まえまして、全体といたしましては、総合的評価として、淡水化後も現況程度の水質が維持されていくのじゃないか、こういうことを言っているものと理解をしております。
  375. 中林佳子

    ○中林委員 この中間報告をもって試行に入りたいと話していらっしゃるわけですけれども、この試行という問題ですね。これは、この中に「淡水化試行期間中、そのことが原因で藻類の異常発生等の異常事態が生起するようであれば、関係行政機関と十分打合わせの上、水門操作の一時休止等必要と認められる措置をとることとする。」こういうふうになっているわけですけれども、異常というものはだれが判断するか、そしてそのとき水門は閉めるのか、あけておくのかということ、それから試行とは何年をめどに行うのか、その根拠、それから試行の期間が終わった時点で、それまでいろいろ検討課題がありますから、その検討をやる間水門は一体どうするのか、この点について簡単にお答えください。
  376. 井上喜一

    ○井上説明員 地元の県、市町村あるいは中央の関係機関の了解が得られれば試行に入りたいと思っておりますが、試行期間につきましては三年間を予定しております。  その試行期間中に異常な事態が発生いたしますれば、その時点で対応策を考え考えでございます。その異常事態とは何かということでございますが、これにつきましても関係機関と十分相談の上、異常事態というものを特定してまいりたいと考える次第でございます。  なお、試行期間中に我々としましては必要な調査をし、データを集めまして、そういうデータをもとにさらに研究委員会におきまして検討いただきまして、最終的な御報告をいただきたいと考えている次第でございます。
  377. 中林佳子

    ○中林委員 そのとき閉め切るのかどうか。あけて、もとに返すのか。
  378. 井上喜一

    ○井上説明員 私といたしましては、特に問題がなければ、水門をあけてまたもとに戻すということはないのではないかと考えております。
  379. 中林佳子

    ○中林委員 それではこれは試行、つまりテストと言えないのじゃないですか。その三年間なら三年間というものを見て、そして一たんあけて、その検討期間、今度も五十八年までとおっしゃるけれども、実際は五十七年でまとめようとしたのが、いろいろな論議を得て、五十八年までなって、そして明らかになるまでも一年かかったわけですよ。ですから、今回もその検討課題をして、いわばその間閉めたまま最終報告を待つのだなどということは、これは決して試行じゃないのですよ。テストじゃない。こんなごまかしをやるのはやめていただきたいと思いますよ。もう淡水化開始だと言わなければならないと思うので、農水省はこういうごまかしをしながらこれをごり押ししようとしていることは、私は大変遺憾だと思います。  ましてや、大臣、ここに農水省が非常に美しいパンフレットをつくっていらっしゃるのです。今度の淡水化を進めるために住民の理解を得やすくするためだということでやっておられますけれども、まさしくこれは、私どもから見たら、こんなものをつくってもらったら本当に大変な事態になる。  つまり、最初「もともと宍道湖は淡水湖でした。」この「もともと」というのは一体どういう意味ですか。これは歴史も明らかに、ここに私は「宍道町誌」というのを持ってきておりますけれども、この中に江戸の初期まではちゃんと海水が入っていた事実が明らかになっているわけですよ。それから地質学で調べた先生もそのことを明らかにしておられます。「もともと」というのは宍道湖ができたもともとでしょう。それなのに、淡水湖でしたからもとへ返すようなイメージづくりを初めからやっている。  その次に、これはドリームプランでございますということですけれども、どこに松江市があり、どこに周辺の市町村があるかなどというのは全くわからないようなドリームプラン、これはまさしくおかしいわけです。  ましてや水質の問題に至りますと、この中海や宍道湖は環境に恵まれてこんなにきれいでございます、それに比べて霞ケ浦や児島湖はこんなに汚いのですという表が出ているのですけれども、これは中海や宍道湖の現況と、こちらは淡水化した後汚れ切ったところでの比較でしょう。まさにナンセンスなパンフレットが色も美しくお金もかけて出ている。本当にこういうパンフレットは即刻やめてほしいと言わざるを得ないわけです。  大臣、今こういう論議を通じましても、実は渇水年のときの予測はしてないとか、アオコの発生の予測はしてないとか、まだまだ科学的にいろいろ解明しなければならないのに、これで関係市町村などの合意を得て進めていくということをおっしゃっているようですけれども、私は少なくとも住民が本当に納得のいく論議が進まない限り、中浦水門の閉め切りをすべきでないと思うわけです。最後に大臣の見解を聞いて質問を終わります。
  380. 山村新治郎

    山村国務大臣 中海干拓事業の淡水化につきましては、従来から学識経験者による研究会において調査検討を進めてきた結果、総合的に判断すれば淡水化は現況程度の水質をほぼ維持しながら進めていくことが可能であろうとの結論が得られました。さらに、本格的な淡水化に先立ち淡水化の試行を実施することとし、その際には鳥取、島根両県と関係機関の了解を求めることとしておる等、慎重に対応してきたところであり、今後とも同様、慎重に対応する所存でございます。
  381. 中林佳子

    ○中林委員 終わります。
  382. 阿部文男

    阿部委員長 武田一夫君。
  383. 武田一夫

    ○武田委員 最後ですからひとつ……。  最初に日米諮問委員会、新賢人会議という名前で通称言われているのだそうですが、九月十七日「よりよき協調を求めて――日米関係の課題と可能性」と題した両国間の政治、経済など全般にかかわる報告書を中曽根首相とレーガン大統領に提出いたしました。農林大臣もこの中身を知っていると思うのですが、私はその中身で多少気にかかることがありますのでお尋ねいたします。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕  その中身には具体的にいろいろなことが書いてあるのですが、提言があります。提言の二、三を申し上げますと「日本がコメの国内価格国際価格の格差を縮小することはきわめて重要である。」とか、あるいは「米国は対日食糧供給の継続的保証をさらに強化すべきである。」それから三番目には「日本農業の長期的な構造調整の推進と併せて自由化を継続的に進めていくべきである。かかる努力の一環として、日本農業の自由化推進方策の提言を目的とした民間の専門家からなる日米合同委員会の設置を考慮すべきである。」等々という内容のものが両方の総理、大統領に提出された。  これを見ますと、どうも日本農業の軽視の提言が、ちょっとというよりも相当ちらついている。日本農業の保護論とか国際分業論あるいはまた農産物の自由化推進を主張しているような内容。新賢人会議というのですから賢人が集まったわけですから、どういう人が集まったのかと中身を見たら、政、財、労働界から七名で構成されているということですね。やはりこれは問題ではないでしょうか。こういう内容を聞いて、あるいは読みまして、大臣どう思いますか。その点最初に答えてください。
  384. 山村新治郎

    山村国務大臣 農業・林産物貿易に関する提言につきまして今後詳細に検討してまいる考えではございますが、見解を異にする面も多いというのが一読したところの私の率直な感想でございます。  例えば食糧安全保障の問題につきましては、我が国の自然、社会、経済的要素を総合的に勘案し、また食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえまして対処していく考えでございます。また、農林業につきましては、国際的比較優位と特化に基づいて貿易を拡大するというように単に経済ベースで割り切れない多くの面があり、工業とは異なった扱いをする必要があると考えております。しかしながら、農林業の特殊性に甘んずることなく、その生産性向上を図ることは重要な政策課題でもございますし、構造改善等の推進を通じて今後さらに一層の努力を図っていくべきものと考えております。
  385. 武田一夫

    ○武田委員 アメリカ側にはちゃんと農業関係者は入っているのです。なぜ日本がこういう重要なところに押し込めなかったかというのは大事な今後の問題です。そういう点で農業はどんどん押し込まれているという気がしてならぬのです。この人選等に当たっては、総理と皆さん方もそこに関係者がいたのではないかと思うのですが、これはどういうわけでそういう重要な課題に対応できるきちっとした農業専門家が入ってなかったかという点。また今後、総理等に進言して、そういう方面の方は向こうもきちっといるわけですから、対等に物の言える方を構成メンバーに入れるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  386. 後藤康夫

    ○後藤説明員 この日米諮問委員会につきましては、昨年の一月の日米首脳会談の際に決定されたものでございまして、当時その人選の具体的な経過につきましては私どもつまびらかにいたさないわけでございますけれども、今お話しございましたように、この種のいろいろな提言等が行われますような機関につきまして、人選なりあるいはまた委員の方々に農業の立場を十分御理解していただくというような努力は、御指摘のとおり大変重要なことだと思っておりますので、今後十分努力し、また気をつけてまいりたいと思っております。
  387. 山村新治郎

    山村国務大臣 今経済局長が申したとおりでございまして、今後少なくともこの構成メンバー等に関しまして、農業を代表するメンバーの参加を強く要望してまいるつもりでございます。
  388. 武田一夫

    ○武田委員 この内容を日本側の正当な意見として向こうが受けとめたら大変なことになる、向こうにはずみをつけさせるという心配があるわけです。ですから、正当なこちら側の言い分が向こうに通ずるような賢人会議であってほしいということを踏まえて、この点は、その提言の中身については慎重に取り扱ってもらうように働きかけなければいけないと思うのです。その点もしかと私は農林水産大臣にお願いしたいのです。  それでは、米の問題についていろいろ質問します。  大臣も国会が終わりましてからあちこちを視察なさったりされまして、特に農村の方には随分行かれたのではないかと思います。各地を回りまして、ことしの米の出来高に対する農民のいろいろな感情とかそうした農村の雰囲気をいろいろと肌で感じられまして、どういうふうな御感想をお持ちか、ひとつ聞かせていただきたい。
  389. 山村新治郎

    山村国務大臣 御存じのとおりに、四年連続不作でございまして、特に、私、北海道へ参りましたときに、事によると作況一一〇以上いくぞというような御感想を伺いましたときに、何とかそれでいっていただきたい。本年度たくましい稲づくりを提言いたしまして、そして、これは地方公共団体、知事会、市長会、町村会、これらの皆さんを初め、農業団体の皆さんにたくましい稲づくり方の御協力もお願いいたしました。これらの皆さんの御協力、そして天候、両々相まってこれだけの成果が出たものと思います。  今後、この豊作というものをゆとりある米の需給に結びつけるべく、今後の転作問題等いろいろひとつ弾力的に、ゆとりある需給に向かって進んでまいりたいというぐあいに考えます。
  390. 武田一夫

    ○武田委員 率直に言って、どこに行っても豊作なものですから、喜びはひとしおですね。それで周辺の商工業の皆さん方もいろいろと大変期待をしている。やっぱり豊作というのは非常にいいものですね。大豊作というのはもっといいのだ、こういう気分、今後、農業の中で、米がたくさんとれてよかったな、また来年も一生懸命頑張ろうなという雰囲気があってほしいものだなと思ったのではないか。ただ、その中にちらちらとまた気になることが新聞等で出てくるものですから、農家の方々は、何でこの楽しいときにそんな変なことを言うのだということを気にしている。その気にしていることをちょっと聞かせて、いろいろと御意見を伺いたいと思うのです。  まず、現状のままでいけばことしの収穫量はどのくらいと見込んでいるのか。これは、今後の米の需給の中で、心配のない、来年の端境期までを通しまして間違いなく大丈夫だぞと言えるものかどうか、その点、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたい。
  391. 大坪敏男

    ○大坪説明員 本年の米の収穫見込み量の問題でございますが、先生御案内のように、先般本年産水陸稲の作付面積なり水稲の九月十五日現在におきます作柄について公表したところでございますが、これによりますと、本年産水稲の作付面積は青刈り面積を含めまして二百三十万ヘクタールというふうに見ておりまして、また作柄作況指数で申して一〇五、十アール当たり収量では五百三キログラムと見込んでいるわけでございます。  この数値を用いまして、まず水稲収穫量を試算してみますと、青刈り面積を除いた作付面積を用いて試算いたしますと、千百五十二万トンと見込まれるわけでございます。これに陸稲を加えて本年産の水陸稲計の収穫量を試算いたしますと、千百五十七万トンというふうに見込まれるわけでございます。
  392. 石川弘

    ○石川説明員 今、統計情報部長から御説明をいたしました千百五十七万トンという収穫量考えますと、この中に二十万トンの加工原料用が入っておりますので、これを除きますと、主食等の一般米は千百三十七万トンという数字になるわけでございますが、これを六十年度の米穀年度でどのように考えるかということでございますが、総量といたしましては、早食いをしました数量というものを、これはもう既に五十九年度で使っているという前提をいたしますと、これを四十万トンと見るかあるいは四十五万トンと見るか、いろいろの見方があるわけでございますが、これから四、五十万トンのものを戻しますものを六十米穀年度の供給として考えるといたしますと、実質的に千九十万トン前後のもの、あるいはそれを若干上回るようなものが供給として見込めるわけでございます。したがいまして、これは早食いをしました残りのものとして考えましても、当初計画的に考えておりました数量を若干上回る程度の規模のものとなるわけでございまして、そういう面では次年度にかけて、余り御心配をかけないような数量が確保できるのではないかと思っております。
  393. 武田一夫

    ○武田委員 数字的に心配のない、だから来年の端境期も見通しがついたというふうに長官も話されているのですが、私はちょっとこれは、余り安心し過ぎますと少し心配だなという気がするわけです。  それはやはり、最近の気象の変動状況を見ますと、かなり作況のぶれが大きいということをこの際に慎重に考えて来年臨んだ方がいいのじゃないかな、私はこういうことを思うので、やはり我我に大事なことは、消費者がここ半年の間に随分米の需給動向を心配されているということですから、この際そういう将来に対する需給の不安というものをしかと払拭するという責任もある。そのためにやはり十分の対応をしなくてはいけない、こういうふうに思うわけです。ですから、持ち越し量がふえたように見えているけれども、実際これが過剰米として十分なんだということにはならぬと私は思う。その点をやはり、しかと正確に知らせていかなくてはいけないと思うのです。  そういう意味で今後、この委員会でいろいろと公約をなさってきました減反の緩和の問題、やはり米が豊作だったからということでこれを見直すのだなんという話が、農林省のずっと遠くの方で言っている人の声が遠くの東北にも聞こえてくるということで心配だというのがその一つでありますが、まさかそんなことはないんだぞ、ちゃんと総理も農林水産大臣も約束したんだ、そういうことで安心をさせているわけでありますが、そういう農家の皆さん方に対するお約束を十分守って、この減反はしかと緩和の方向でなさってほしい、こう思うわけであります。  と同時に、この際、やはりゆとりを持った需給計画に乗りました策定をしまして、備蓄の問題にも、こういうときであるからこそしかとやっていくのだということの確認の答弁を私はひとつ求めたい、こう思うのでございます。大臣、いかがでしょうか。
  394. 山村新治郎

    山村国務大臣 米は国民の主食でございます。その安定供給を図っていくためには、ある程度水準の在庫、これを保有しておく必要がございます。その際、米の在庫水準につきましては、不作時における在庫取りましの所要量、財政負担の問題、また備蓄更新による古米の主食への充当可能量等に十分配慮し、望ましい在庫形成を図っていく必要があると考えております。水田利用再編第三期対策におきまして、こうした考え方を種々勘案した上で計画的な在庫積み増しを各年四十五万トンずつ行うということにいたしておりますが、今後ともゆとりある需給操作を目指して進んでまいりたいと思っております。
  395. 武田一夫

    ○武田委員 そうした具体的な農家の皆さん方が待っているような、そういう一つの方向性を早く提示してあげてほしいと思うのです。でなければ、いろいろな計画の中で農家の皆さん方が安心して農作業に取り組めるということが停滞しがちでございますので、しかとお願いをしたい、こう思います。  それで、もう一つ聞きたいのは、他用途米を初めとしました米の多角的利用への長期的な展望をこの際しかと明示する必要があるのではないかと私は思うのでございますが、食糧庁初め農林水産省としましてもいろいろと御苦労しているようでございます。この点について、見通し、方向性というものをひとつ聞かしていただけないものかな、こう思うのですが、いかがですか。
  396. 石川弘

    ○石川説明員 他用途米につきましては、まず一番可能性の高いものということで、生産者の普通の主食の米価水準と格差の小さい、いわば工業原料と申しますか加工原料用のもので始めているわけでございます。その他先生も御指摘のアルコールだとか、あるいは特にえさということになりますとこの格差が大変大きゅうございますので、やはり何と申しましても相当程度の多収が確保されませんと実施に移すのにはまだまだ問題があろうかと思いますが、方向といたしまして、米が極力用途が広がることは望ましいことでございますので、一方におきまして研究面あるいはこれの実用化の面におきまして、いわゆる超多収米というものが実行段階に移るように努力いたしますとともに、私どもとすれば、まずその第一歩として、今回試みております加工原料用の他用途米というものを何とか定着させたいと思っております。  今回のいろいろな御心配をかけました中で、国内においてできるだけ供給するためには、それなりの生産者の御努力も要るわけでございまして、特に今回のいろいろな経緯にかんがみまして、極力生産性の高いところ、しかも多収が可能なところで集中的に生産をするというような方向を導き出したいと思っておりますので、いろいろ御指摘の点も踏まえまして、さらに検討を進め、できるものから実行段階に入るということでございます。
  397. 武田一夫

    ○武田委員 これは今後の大きな課題です。そういう意味でひとつ技術陣の総力を挙げた対応をお願いしたい。七五三計画も随分進んでいるのではないかと思うので、これはきょうは余り聞きませんが、いずれその成果の実態等もお尋ねしたいと思うのですが、やはりこれは多く期待をしているわけです。ですから、この際、さらに来年度の予算等もあるわけですから、そういう点への重点的な対応でもって解決への一つの一里塚を築いて、実績を上げていってほしい、こう思います。  そこで、技術関係の問題で芦澤審議官にお尋ねします。  ことしは豊作で、非常に天候がよかったというぐあいで、たくましい稲づくり、これが成功したのではないかということを述べられておりまして、技術の対応がうまくいっているということもあわせてことしの豊作につながったのではないか。先ほど五百三キロくらいというのが考えられているということですから、これはかってない豊作でございまして、非常に結構なことだということでございます。  そこで、今回、四年、五年の冷害、不作に対していろいろと対応なされた技術的なものは、どういうものを重点的になされたものかという点と、そうしたものを今後さらに強化していけばこういうようないい結果がますます出ていくものか、あるいは冷害に弱い稲などにもそうした効果が波及して結構な豊作を期待できるものかという二つの点でひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  398. 芦澤利彰

    芦澤説明員 本年の稲作が作況指数一〇五を得ました要因の一つとして、たくましい稲づくりが挙げられるわけでございますけれども、とにかく四年続きの不作の事態を踏まえまして、私ども農家あるいは指導者等に稲作改善に関する機運を醸成していくということと、それからその実を上げるために基本技術の励行を通して作柄を安定していくというふうなこと、これを主眼として掲げました新稲作運動を、地方公共団体、農業団体それに国が一体になって全国的に展開したわけでございますが、このたくましい稲づくりは、四十五道府県においてそれぞれの地域の特色を生かした、例えば生産の安定化だとかコストダウンだとか良質米の生産だとかというふうな、それぞれの地域の特色を生かしたテーマを掲げて行われたわけでございます。  その中で、特に技術的な問題について見ますと、一つには、耐冷性品種の導入等、適地における適品種の導入というものをもう一度見直そうじゃないかという品種の選定がその一つでございます。  二つ目には、むれ苗だとか徒長苗だとかというようなものを防止して、とにかく稲作生産の基礎になる健苗を育成するということを第二の柱に掲げております。  第三には、適期に田植えをするわけでございますけれども、その際、特に活着が大切でございますので、できるだけ風が少ない、あるいは気温の高い天気のいい日に、適期に田植えを行うようにというふうなことを呼びかけたわけでございます。  第四には、生育の状況に応じました適切な水管理が何より肝心でございますので、そういう適切な水管理をすることを呼びかけたわけでございます。  第五に、特に五十八年は西日本等を中心にいたしましてウンカ等によっての被害が急激に発生いたしましたので、病害虫の防除体制の整備と適期における防除を徹底していこうというふうなことを呼びかけたわけでございます。  さらに稲作生産の基本でございます土づくりについても、もう一度土づくりの原点に立ち返ってということを呼びかけたわけでございまして、これらの基本技術の励行につきまして特にきめ細かな措置を行ってきたわけでございます。  こういうふうな動きを通じまして、ことしの稲作については、農家の意欲も大分向上してまいりましたし、またそれの結果として普及員等が行いますあぜ道講習会等・各種の講習会でも、これまで以上の多くの人たちが参加して活発に御議論願つたというふうなことを聞いておりまして、基本技術の励行がなされ、それに天候にも恵まれて五年ぶりの実りの秋を迎えたというふうに考えておるところでございます。  それで、こういったくましい稲づくりあるいは新稲作運動が定着し、前進すれば、冷害は克服できるかという点でございますけれども、やはり技術でカバーできる部分と、五十五年の天候のようにどうにも技術だけでカバーできない部分と両方ございますので、私どもはこれから耐冷性品種の育成というふうな基本的な技術開発を進めつつ、天候に合わせて、天候変動に耐え得る幅を大きくするような稲づくり、それを今後とも前進させていって、稲作の安定化に一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  399. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろと御苦労の跡は伺いました。  私は、今いろいろと話された中で、今後はもう一層稲作の研究ということに、今まではどちらかというとたくさんとれていたものですから、なるべくそっとしていたような気がします。離れていたような気がします。研究はやっているようだけれども、もっと強力な研究というものが足らなかったのじゃないか、これからどんどんそういう研究をしていくことと、技術指導には限度はないと思うのです。ですから、限りなき向上を目指した技術指導、こういうものの展望を掲げまして、きめ細かい対応をさらにしていけば、今審議官の言われるような天候のいろいろな変化に対応できる稲づくりというものも間違いなくできるというふうに私は思っております。  特に、今までずっと見ていますと、日本海側の方よりも太平洋の方が悲劇の舞台になっているわけで、気候、風の問題もあります。やませ等の問題もある。海流のいろいろな問題もあるということを考えますと、これはいろいろな部門の総力的な対応も必要ではないか、こういうことを思うだけに、ひとつ今後の対応に一層徹底した取り組みをお願いしたい、私はこういうふうに思います。審議官どうもありがとうございました。  それから最後に一つ、また臭素米のことでちょっと一つだけ聞いておきたいのですが、今まで臭素米の検査をやってきましたね。十万トンくらい食えないということですが、これは全部検査が終わったものかどうか、それから終わったものは今どういう状況になっているのか、今後これはどういうふうに処理するのかということをちょっと聞かせてもらいたいと思うのです。
  400. 石川弘

    ○石川説明員 臭素米につきましてはもうほぼ検査を完了いたしまして、大変小さなロットのものがまだ若干残っておりましてそれを進めておりますが、九月末までの検査の結果では、検査に適合しないものとして約十一万トンのものがございます。この米は現在各都道府県の政府の指定倉庫、それから政府自身の倉庫に保管をいたしておるわけでございます。  使途の問題としましては関係各省とも相談をしておるわけでございまして、これは直ちに食用に回すというわけにいきませんので、どういう用い方をすればそういう害がなくて、なおかつ財政負担の増高しない方法ということで現在さらに検討を進めたり、あるいはある種の実験的な検査等もいたしておりますが、早急にその方針は決めておきたいと思っております。
  401. 武田一夫

    ○武田委員 今の答弁でちょっと気になるのですが、直ちに食糧に回すことができない、直ちにというのですから一年間くらい置くと――私はここが問題で聞いたのですが、実は歩いていたら、この臭素というのが一年か二年くらい置くと抜けてしまうのだというのですね。だから、直ちにというのは、抜けるから、どうもこの辺気になるものですから、直ちに云々というところ、どういうことですか。
  402. 石川弘

    ○石川説明員 大変誤解のあることを申し上げて申しわけございません。直ちにというのは、直接そのものを人間の口に入れて、したがいまして、みそとかしようゆとかせんべいとか、そういう形では使えないということははっきりいたしておりますので、これを原材料としてアルコールをつくっていくとか、あるいはこれをえさにした場合に、そのえさによって生産される家畜にそういう問題が起こらないかどうかとか、そういうことを頭に置いてという意味でございます。
  403. 武田一夫

    ○武田委員 要するに安全に、後顧の憂いなく処理をしていくというための検討をしているということですね。
  404. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘のとおりでございます。
  405. 武田一夫

    ○武田委員 こういう問題というのは後々まで尾を引きますもので、この際はっきりとそういう処置で、また今後の処置で過ちのないようにお願いしたい。  実は今申し上げましたように、私もあちこち東北を歩いていたときにそういう話を聞いて、ひょっとするとまたなんという心配を持っている方がおりました。この間もうちの同僚議員が兵庫の方を歩いていたときに、米ではないのですが、何か臭素米が入っているのじゃないかということで随分心配して、相談を受けたということでした。前にも千葉でもそういったことがあったらしいですね。ですから、これは恐らく、またほとぼりが冷めればなんという心配を持っているということを、非常に神経質に考えているということを、しかと長官、関係者の肝に銘じて善処してほしい、こういうふうに思うわけであります。  時間がまだありますが、随分長いこと御苦労を願いましたので、この辺で早目に終わらせていただきます。
  406. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十五分散会