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1984-07-24 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十四日(火曜日)     午前十時三十三分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    太田 誠一君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    高橋 辰夫君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       保利 耕輔君   三ッ林弥太郎君       山崎平八郎君    上西 和郎君       串原 義直君    新村 源雄君       田中 恒利君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    安井 吉典君       駒谷  明君    斎藤  実君       武田 一夫君    水谷  弘君       小沢 貞孝君    神田  厚君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産政務次         官       島村 宜伸君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁次長   山田 岸雄君  委員外出席者         内閣審議官   上野 治男君         大蔵省主計局主         計官      寺村 信行君         文部省体育局学         校給食課長   小西  亘君         農林水産省経済         極統計情報部長 大坪 敏男君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ――――――――――――― 委員の異動 七月二十四日  辞任         補欠選任   神田  厚君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     神田  厚君     ――――――――――――― 七月二十四日  昭和五十九年産生産者米価引き上げに関する  請願佐藤徳雄紹介)(第八六九二号)  米の安定供給体制確立に関する請願佐藤徳雄  君紹介)(第八六九三号)  昭和五十九年産米政府買い入れ価格引き上げ  等に関する請願坂口力紹介)(第八六九四  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十九年産  米穀政府買価格等)      ――――◇―――――
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田名部匡省君。
  3. 田名部匡省

    田名部委員 いよいよ米価も本日諮問がなされるわけであります。従来から算定方式をめぐっていろいろな議論がなされるわけでありまして、私どももう五回、六回の米価に携わってきたわけでありますが、食管法の第三条第二項では「生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こういうことになっているわけでありますが、どうも経済事情の方だけが前面に出てきまして、農家生産費あるいは物価その他賃金というものが余り見られていないという感じを実は受けるわけであります。また、算定方式がしょっちゅう変わるというのを見ておっても、何か米価を上げないためにいろいろ苦労をしておるような感じも受けるわけでありますが、一体この辺の考え方労賃評価がえの考え方も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  4. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  戦後の米価算定方式について見てみますと、生産費物価需給事情等の米を取り巻く諸事情を適切に米価算定に反映すべく、米価審議会等でいろいろ御議論いただきまして、検討を踏まえ運用してきたわけでございます。  その概要につきまして簡単に申し上げますと、昭和二十一年から二十六年産米につきましては価格パリティ方式ということでございまして、その方式がとられておりました。また二十七年から三十四年産米については、農村と都市所得均衡を図るといった観点から、所得パリティ方式が採用されました。それから、三十五年産米以降につきましては、稲作に要した費用を補てんするとともに、自家労働部分につきまして都市均衡労賃評価がえをするという、いわゆる生産費及び所得補償方式がとられてきたわけでございます。このように、生産費及び所得補償方式におきましては自家労働部分都市均衡労賃評価がえしているのでございまして、このことは、稲作農家都市勤労者並み所得を補償するとの考えに立っているわけでございます。
  5. 田名部匡省

    田名部委員 需給事情も恐らく経済事情の中に入るのだろうと思うのであります。きょう十一時にこの委員会でも明らかにされるわけでありますけれども、昨年を下回る一・四五と私ども伺っているわけでありますが、米の需給事情ということからいたしますと相当厳しい環境にある。しかも、韓国から輸入か返してもらうのかは別として、そういう状況の中で昨年より低い諮問がなされる、どうもその辺のところは私どもも割り切れぬところがあるわけであります。  全中の方、農業団体は七・七%の引き上げ要求をしているのであります。一方、財政当局の方で昨年どおりに積算すると〇・一%だ、これは新聞報道ですから正確なことはわかりませんが、それが一・四五に諮問をする、しかも農業団体の方は七・七%だ、この辺は考え方に余りにも開きがあるわけでありますが、この考え方に対するお答えをまたいただきたいと思います。
  6. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 農業団体要求米価につきましては、米の需給は当面は決してゆとりのあるものではございませんということは先生今御指摘のとおりだと思うのでございますが、依然として生産調整を行わなければならない、そうしなければ均衡が図れないということは中長期的な観点からは指摘ができるわけでございまして、米の管理に係る財政運営も、また国家財政が一層厳しい状況にありますことから、いろいろと困難な局面に直面しておるわけでございます。こうした点を考慮いたしますと、農業団体等から御要請のありましたようなアップ率では相当困難ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 田名部匡省

    田名部委員 政務次官おいでをいただきましたので、若干御質問をいたしたいと思うのであります。  臨調がこの種の決定に非常に大きなインパクトを与えている。国の政治責任臨調が全部とれるということなら結構でありますけれども、最終的な国民に対する政治責任は私は政治家にあると思うのであります。どうもこの臨調のいろいろな答申というものが、この種の議論をするときにはすべての責任を持つべき国会議員皆さんに大きな圧力といいますか、そういう感じを私ども受けるわけでありますが、仮にこのやり方が失敗をしたときの責任はやはり我々がとらぬといかぬと思うわけです。臨調はあくまでも起きた結果についての責任は一切とらない、言うだけであるということを考えたときに、私はこのあり方にどうもいささか疑問を持っておる。  いま一つは、四年連続の冷害の中で農家人たちはもうやる意欲を失っていることもまた事実なんです。しかも、構造改善あるいは土地改良等、これからいろいろと長期計画に基づいてやっていかなければならぬわけでありますが、これとて、国が五〇%の補助を出しているあるいは県も出す、しかし農家も負担があるわけでありますね。負担する能力がなければ構造改善事業土地改良事業といったことが進まないということからすると、やはり米価引き上げて、農家の方々が将来に向かって構造改善事業をやっていくときの資力というものをどこかで生み出してやらなければいかぬ、私は率直にこう思うのでありますが、この二点について政務次官の御見解を伺っておきたいと思います。
  8. 島村宜伸

    島村政府委員 第一点の御質問でございますが、いわば臨調の示される方向に我々が従い過ぎるのではないか、結果的にはその責任政治家がとるということを考えますときに、臨調考え方にそのまま振り回されるようなことがあってはならないという御指摘だと思います。政治的な判断ということは当然最終的には私どもがいたすわけでございますが、その前に、各界を代表する皆さんが大所高所から、あるいは将来的な展望の中で、これからの農政のあり方というものをいわば御判断いただくわけでございまして、あくまでこれは、このお考えを尊重しながら、あるいはそれをいろいろ参考にさせていただきながら、最終的には私たち責任を持つ行政を進めていく、こういう判断に立つべきだと考えております。  なお、第二の問題につきましては、確かに四年連続不作等農家経済は大変に厳しい状態に置かれていることは、勉強すればするほど私たちにもよく実感としてわかるわけでございまして、こういう方たちが将来少なくも、例えば稲作を進めていく上においていろいろな不安や不満ということがうっせきをしていくということは決して好ましいことでございませんので、その点につきましてはあくまで慎重に、しかも花も実もある判断というものを盛り込んで行政を進めなければいけないと私ども考えております。
  9. 田名部匡省

    田名部委員 臨調のいろいろな議論の中には、米の需給は非常に厳しい環境にあるとは言いつつも、潜在的には過剰である、そのとおりだと思うのですが、潜在的な過剰にあるという部分は、減反をさせているわけですから、私はこれは議論を聞いておって少しおかしいじゃないかな、減反させないという条件の中で言うならばそれは理解できますよ。しかし、現にずっと減反させているわけで、潜在的に過剰だ、それは全部つくらせればそういうことになりますけれども、つくらせないわけです。ですから、どうもその部分だけが出てまいりまして、ああいう言い回しというものは非常に、農家皆さんにとってもつくらせるだけつくらせているならばと、こういう気持ちはあるだろうと私は思うのですね。  そのことは今ここで議論しても結論の出る話ではありませんが、ただ一つは、今日まで韓国米の問題あるいは他用途米の問題、例年にない条件が重なって、米価決定というものを非常に難しくしていると私は思うのです。それをもっと議論していきますと、米が足りないのか、足りなくないのかというところに最終的には到達するのですね。要するに、他用途米主食で買い上げをしてくれという農業団体人たち考え方というのは、やはり主食である米が来年不足になるであろう、こういう見通し。食糧庁の今までの議論を聞いておりますと、いや、主食には御心配ございません。我々も自分で調べているわけではありませんから、一体どっちの話が本当の話なのか、その辺がわからない。わからないものですから、この米価の問題を非常に難しくしておる、こういうことだろうと思うのですね。その辺は何回聞いても、政府の方は大丈夫でございます、生産者の方は不足をいたしております、こういうすれ違いに議論が終わっております。  いずれにいたしましても、他用途米主食にしなければならぬほど、これは来年の場合ですが、どうなんでしょう、それによっては青刈りをやめさせることも早くやってやらなければいかぬし、間に合うということであれば――しかし、そのことは本当に真剣に答えていただかぬと、来年になってから足りなくなりましたというようなことがあっては大変な問題になる、私はこう思うのです。その辺のところをもう一遍明確にしておきたい、こう思います。
  10. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  五十九米穀年度需給操作につきましては、御案内のように政府手持ち等につきましてもゆとりがあるわけでもございませんし、早場米の活用ということで操作をやりながら万全を期していきたい、このように思っておるわけでございます。  今先生指摘の、今年の十一月から始まります六十米穀年度の問題につきましては、現在の水田利用三期対策におきまして四十五万トンの積み増しをやる、こういうことで五十九年産米生産されておるわけでございまして、そのほか、たくましい稲づくり運動ということで作柄を安定化しよう、こういう運動もなされておるわけでございます。  したがいまして、五十九年産米がどの程度の収量になるかということでございまして、私どもといたしましては、平年作というふうな作柄が与えられるのであれば、今申し上げましたような積み増し等もございますので、国民皆さん方に御迷惑をかけるようなことはなしに操作し得る、こういうふうに考えておるわけでございますが、なお念には念を入れまして、今年の秋口におきましては、作柄を見きわめながら今後の転作目標等について弾力的に対応していこう、こういうことでも考えている次第でございます。
  11. 田名部匡省

    田名部委員 いずれにいたしましても、主食であろうが加工米であろうが、どっちが足りなくても困るわけでありますから、その辺のところはやはり責任を持ってやっていただかなければいかぬし、国民に不安を与えるなどということがあってはならぬ。  しかも、米づくりをする農家皆さんがやっていただかぬことにはできない話でありますから、何といっても再生産につながるところの米価というもの、これは農林省農家味方になって本当に真剣になってやってもらわぬと、財政のことばかり心配してこのことをやってあげぬということになると、農林省以外に農家味方になるところはないのですから、そういう立場でしっかりおやりいただきたいということを申し上げ、残余の時間は同僚の鈴木委員にお願いをして、私の分は終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  12. 阿部文男

    阿部委員長 関連いたしまして、鈴木宗男君。
  13. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ことしの生産者米価が間もなく一・四五%の引き上げ諮問がなされるという話を今聞いておるのでありますけれども、ことしは、韓国米の返還だとか、また長年の減反政策等農家は大幅な値上げを希望しておりますし、また強く要望しておるわけであります。この一・四五という数字を私は満足のいく数字でないと考えるわけですけれども、この数字の根拠、あるいはこれで農家が納得するかどうか、お尋ねをしたいのであります。
  14. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今先生指摘の一・四五%でございますが、この試算につきましては後ほどまた資料をもちまして御説明させていただきたいと思っておるのでございます。  簡潔に申し上げますと、従来から採用しておりました生産費所得補償方式によって算定したものでございますし、またその算定の過程におきましては、米価審議会で採択されました米価算定に関する米価審議会委員会の報告とか、また前広米審等での論議を踏まえまして算定させていただいたような次第でございます。  今先生最後に、これで生産者が満足するか、こういう御指摘、御質問でございますが、この面につきましては、私ども生産者の御意向を十分気にはしながら、また承知はしておるわけでございますが、現在の諸情勢の中で御理解いただきたい、このように私たち考えておる次第でございます。
  15. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 臨調答申では、逆ざやの解消、さらには食管制度見直しを暗にうたっているわけでありますけれども、米は国民主要食糧でもありますし、また国民生活を守るためにも食管制度は将来とも堅持していただきたいと私は考えるわけでありますけれども政務次官、この点いかがお考えでしょうか。
  16. 島村宜伸

    島村政府委員 全く仰せのとおりだ、そう考えます。
  17. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 仰せのとおりならば、この点強く臨調あるいは関係者にお訴えをしていただきたいと思います。  米価のシーズンあるいは価格政策全般のとき、いつも農家負債整理の問題が出てくるわけでありますけれども、どうも農林省の出す資料あるいは農業団体が出す資料等数字がまちまちであります。  一つの例を申し上げますならば、農林省が出しております農家経済調査によりますと、五十七年の稲作農家借入金は八百五十三万円、貯蓄は千四百二十七万円、これは北海道稲作農家数字であります。ところが、北海道団体である北信連の「農協勘定月報」によりますと、五十七年の借入金は千二十四万円、貯蓄は九百十四万円と、著しく農林省数字と違うわけでありますけれども、これはどっちの数字が正しいかお答えを願いたいのです。
  18. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 本来でありますれば統計情報部の方でお答えするのが筋合いかと思いますけれども農家経済調査の方は、その農家の全体の預貯金あるいは借入金を調べるものでございます。北海道信連がまとめておられるのは、多分信連傘下単協勘定を総計されたものではないかと思います。したがいまして両者の間に差が出ているのではないか、このように考える次第であります。
  19. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 私は、金利に追われて働いている農家皆さんの姿を考えるとき、負債整理が一番の急務だと思うのです。住宅ローンだとか、あるいは車を買った、冷蔵庫も買った、ひょっとしたらキャバレーに行って使った金もいわゆる借金、負債の中に入っているという話をときどき私は聞くわけでありますけれども、この点しっかり、営農にかかった費用費用、また別の経費経費というふうに仕分けをして、しっかりした数字を出してもらって、私は、がっちり負債整理をやりたいと思うわけでありますけれども、その資料の提出を強く希望するものであります。
  20. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 統計情報部あるいは北海道庁の方と十分相談いたしまして、そういう資料を取りまとめてみたいと思います。
  21. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ローカルの話で恐縮ですけれども今北海道稲作農民キタヒカリの四類昇格を強く希望しておるわけでありますけれども、時期が時期なものですから、食糧庁の方から明確に答弁をお願いしたいのであります。
  22. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 米穀類別格付に当たりましては、米穀流通の実情とか従来からの連続性等に配慮しながら、市場評価の実勢にできるだけ即した格付を行う観点から、関係者意見も徴しながら行うこととしております。  格上げ要請のあるキタヒカリにつきましても、現在関係者意見をお聞きしておりますし、その検討に入っておるところでございまして、できるだけ早急にその結論を得たい、このように思っております。
  23. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 次長さん、これはあす、あさってに決まる問題ですから、もう少しはっきりしたお答えを願いたいのですけれども
  24. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 事務的に十分詰めておるわけでございますが、まだ最終的な結論、決裁、こういうところまでいっておりませんので、御勘弁願いたいと思います。
  25. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 前向きに検討していただいていると理解してよろしいでしょうか。
  26. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生の御意見も踏まえまして、十分検討さしていただきます。
  27. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 次に、北海道減反見直しについてお尋ねします。  北海道は、つくらしていただきますと、コストの安い、さらに今やおいしいお米もとれております。北海道転作率が四六・六%、都府県は一八・五%、北海道は大変な貢献を農林省にしているわけでありますけれども、この是正について見直しをお願いしたいわけであります。いかがでしょうか。
  28. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 水田利用再編目標面積配分につきましては、従来からそれぞれの地域の特性でございますとか、良質米生産状況あるいは特定作物への転作可能性、こんな点を総合的に勘案して行っておりまして、その結果が今先生の御質問にございました四四・何%、こういうような高い目標転作率になっているわけでございます。  これについては、そういう地域事情を勘案してまいりましたが、その後第一期から第三期にかけましては、全体的に申しますと、第一期の五十三年、全国転作目標面積の中で北海道のシェアが二三%でありましたのが第三期では一九%でありますとか、それから、全国目標面積が第一期から第三期へかけて一二%伸びましたときに北海道は六%の伸びになっているというようなことで、若干北海道状況の推移については私どもも勘案しているつもりでございますが、これからさらに、転作というか水田利用再編対策の推進上、お尋ねのございましたような御趣旨、十分考えまして対処してまいりたい、かように思っております。
  29. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今回の米価決定に当たっていろいろな施策も要求されておるわけでありますけれども自作農維持資金限度枠拡大について北海道からは特に強い要望があるわけであります。ことしは全国枠が二百五十五億確保されておりまして、そのうち北海道に九十億配分されておるわけでありますけれども北海道需要額あと二十億円ぐらい足りない、そう言われております。そのうち稲作農家が十三億ほど必要だと言われておりますので、配分枠拡大を強くお願いしたいわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  30. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 今御指摘のいわゆる自創資金の枠でございますけれども、これは年々増大してきておりまして、ことしは二百五十五億円でございます。このうち二百三十五億円を既に配分いたしておりまして、そのうち北海道に対しましては九十億円を配分したところでございます。二十億円残っているわけでございますが、これにつきましては、各県ごと資金需要動向等を見まして今後配分検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  31. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 その二十億の保留分大方北海道に回してもらえると北海道は万々喜んでもらえる結果になるのですが、いかがでしょうか。
  32. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 本資金につきましては、各地域とも需要が非常に強いわけでございます。北海道資金需要が非常に強いということを十分承知しております。このようなことを十分勘案いたしまして配分してまいりたい、このように考える次第でございます。
  33. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 もう一点。  農地等取得資金の枠の拡大についてお願いしたいのですけれども、これはことし全国七百億確保されまして、うち北海道は百五十七億配分していただいております。しかし、北海道はまだ二百十億必要だとも言われております。この農地等取得資金の枠の拡大についても特段の御配慮をお願いしたいわけであります。この点、いかがでしょうか。
  34. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 御指摘のように、ことしの資金枠七百億円ございまして、六百億円を既に配分済みでございまして、あと百億円が残っております。この資金につきましては、各県ごと資金需要状況も若干違うようでございますので、既に配分いたしました資金消化状況等を見まして残りの百億円につきましては配分をしてまいりたい、このように考えております。
  35. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 六百億のうち百五十七億北海道配分されておるわけですから、約四分の一いただいておるわけですけれども、この残り百億の保留分のうち、さらに四分の一は北海道にいただけ、ると計算しておいてよろしいでしょうか。
  36. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 北海道資金需要が非常に強いということを配分の際には十分念頭に置きたい、このように考えております。
  37. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 時間ですので終わります。
  38. 阿部文男

    阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三分休憩      ――――◇―――――     午前十一時三十九分開議
  39. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、昭和五十九年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  40. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 それでは、昭和五十九年産米穀政府買い入れ価格につきまして、本日米価審議会の方に諮問いたしましたので、その内容について御説明させていただきます。  まず最初に「諮問」、それから「諮問についての説明」を朗読させていただきます。      諮問   昭和五十九年産米穀政府買入価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。   昭和五十九年七月二十四日        農林水産大臣山村新治郎     …………………………………      諮問についての説明   米穀政府買入価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。   米穀政府買入価格につきましては、近年の米穀需給事情を考慮して、昭和五十三年産以降抑制的に定めてきたところであります。また、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対策を中心とする各種施策を通じて米需給均衡を回復するための努力が続けられております。   しかしながら、当面の米需給の実情は、四年連続の冷害等の影響による米の減産等のため、決してゆとりのある状況とはいえないものの、依然として生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという状況にあります。   また、米の管理に係わる財政運営も、国家財政が一層厳しい状況にある中で、困難な局面に直面しております。   今後の米の管理におきましては、以上のような事情に対処して、当面の米の安定供給を図りつつ、米需給均衡の回復に努めるとともに、各般の面にわたり合理化努力を行っていく必要があるものと考えられます。他方、農家経済を取り巻く最近の厳しい諸事情の下で、稲作生産性の向上に努めるとともに農業生産の再編成に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも何らかの配慮を払う必要があると思われます。   本年産米穀政府買入価格につきましては、以上の事情を総合勘案の上、現下の米穀需給事情に即応しつつ、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。  それでは、お手元にお配りしておりますところの「昭和五十九年産米穀政府買入価格の試算」という資料につきまして御説明させていただきます。  まず、資料に入る前に算定の基本的な考えについて申し上げさせていただきたいと思います。  本年産米穀算定に当たりましては、基本的な考えとしまして、五月二十五日の米価審議会において採択されました米価算定に関する米価審議会委員会報告の趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして算定を行っております。  すなわち、算定方式としましては、生産費及び所得補償方式によることとしておりますし、対象農家の平均生産費について、物財、雇用労働費など実際に支払う費用については生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえし、この評価がえ生産費を平均単収で除して、求める価格、いわゆる米全体の農家庭先価格でございますが、それを算定しております。  具体的な算定の主要点について申し上げますと、まず生産費の対象農家のとり方であります。  当面の米の需給は、四年連続の不作によりまして決してゆとりのある状況と言えるものではありませんが、依然として生産調整を行わなければ需給均衡を図れないという状況にあります。そこで、このような生産調整を行わなければならないという事情米価算定に反映させることといたしまして、生産費対象農家のとり方につきまして、農家生産費の低い順に並べ、その累積生産量が潜在生産量に対する需要量の比率になるまでの農家をとっております。  その場合、この比率を求める際の需要量につきましては、水田利用第三期対策における主食用等の生産予定量をとっております。また、それは御案内のとおり千九十万トンでございます。  また、潜在生産量につきましては、第三期対策における潜在生産量を次のように修正しております。すなわち、第三期対策における水稲の潜在作付面積には、転作の円滑な推進という見地から、永年性作物、林地、農業生産施設用地などが含まれているほか、永年性作物等につきまして、転作奨励金が支払われなくなった後におきましても、転作面積としてカウントする面積、いわゆる定着カウント面積と呼ばれているものでございますが、それが含まれておりまして、その意味では、第三期対策における潜在作付面積のすべてが水稲作付可能な水田というものではないと考えられます。  そこで、この場合におきましては、第三期対策における潜在生産量からこれらに係る生産量を控除します。また、第三期対策の潜在生産量には他用途利用米生産予定量が含まれておりますので、需要量の考え方と整合させるため、さらに他用途利用米予定量を差し引くこととしております。  具体的には、こうした数字につきましては、潜在生産量は全体で従来から千三百八十万トン、こういう数字が唱えられておりますが、今回の計算によりましては、永年性作物等の分といたしまして十一万トン分、他用途利用米の生産予定分といたしまして二十七万トン分、以上を千三百八十万トンから控除いたしまして千三百四十二万トンを計上しておるわけでございまして、この千三百四十二万トン分の千九十万トンの比率でございまして、八一%になるわけでございます。  次に、主な算定要素のうち、まず家族労働費の評価についてでございますが、これは家族労働費の評価に用います都市均衡労賃のとり方につきまして、基本的には五十六年以降のとり方と同様に、常用労働者五人以上千人未満の規模の製造業の賃金につきまして、都道府県別の米販売量ウエートにより加重平均した賃金という考え方に立つていますが、この賃金をそのままとりますと、本年の場合も昨年と同様、前年の適用労賃に比べて極めて低い伸び率になります。  そこで、このような急激な変化をそのまま米価に反映させますと、農家所得等に与える影響が大きいものがある、このように考えられますので、これを緩和するため、昨年の場合と同様に、米販売量をウエートとする平均賃金について労働者数をウエートとする平均賃金の上昇率を用いて調整する、いわゆる賃率調整と呼んでいるものでございますが、それを取り入れておるわけでございます。  それからまた、自作地の地代の評価につきましては、昨年までの算定におきましては旧統制小作料の水準によるという考え方をとっておりましたけれども、これにかえまして、土地資本利子という考え方に立って行っております。そうして、その場合の元本評価は固定資産税評価額によっておるわけでございます。  ちなみにその実額を申し上げますと、固定資産税評価額は、昭和五十八年度の一般田につきまして七万六千五百二十五円、十アール当たりでございますが、そういうことに相なっておりますし、利率といたしましては、十年の利付国債の応募者利回り七・四五八%を採用しているわけでございまして、この辺につきましては、八ページの方に詳細に書かれておるわけでございます。  それでは、お手元の資料に入らせていただきまして、若干説明させていただきます。  お手元の資料の第一ページには「求める価格」Pの算式が書かれております。この価格は農家の庭先段階での全平均のお米の価格でございまして、この数式に書かれておりますCといいますのは十アール当たり評価がえの生産費でございます。その中身につきましては後段の方に説明が載っておりますが、価格決定年の前三年の各年の米販売農家のうち生産費の低いものからのその累積生産数量比率が価格決定年の米穀需給事情を基礎として定める比率になるまでのものの十アール当たり平均生産費について、家族労働費については都市均衡労賃により評価がえし、物財、雇用労働費については物価修正する等、価格決定年に評価がえしたものでございます。  それから分母の方にございますHでございますが、これは十アール当たりの収量でございまして、三カ年の平均をとっておるものでございます。  それに六十を掛けましたものが、いわゆる六十キロ当たりの評価がえ生産費から求める価格になるわけでございます。  具体的にその数字を二ページの方でごらんいただきますと、求める価格は一万八千八十四円になるわけでございます。この価格に運搬費を足しましたものがいわゆる基準価格となるものでございまして、一万八千二百六十一円でございます。  この基準価格を基礎といたしまして各個別の価格が算出されるわけでございます。個別の算出価格といいますのは三ページの方に掲示をされておりますところの類別、等級別政府買い入れ価格でございますが、これを計算する際のいわゆるへそになる価格でございます。  その価格につきましては、先ほど求められました基準価格に類なり等級の格差を加除いたしまして、さらに歩どまり加算、これは引くわけでございますが、それによりましてウルチ軟質三類一等裸価格、こういうものが求められるわけでございます。  4に書いてありますのはウルチ一-五類の一、二等平均、包装込み、生産者手取り予定価格でございます。これが基本価格と言われておりまして、前年の基本価格一万八千二百六十六円に比べまして二百六十五円の額によりますところのアップになる一万八千五百三十一円でございまして、アップ率は一・四五%になるわけでございます。  この価格は、ウルチ軟質三類一等裸価格に従来と同じような計数を加除いたしまして、等級間の格差なり、また類同の格差、歩どまり加算、包装代、こういうものを加除いたしまして求められるわけでございます。  三ページをごらんいただきますと、先ほど申し上げましたへそ価格、三類の一等のところに出ておる価格でございますが、これを基準といたしまして類別格差と等級別の格差で開いていきまして、一類一等なり、二類二等なり、それぞれの価格が算定されるわけでございます。なお、類別、等級間格差は前年どおりとしておるわけでございます。  大体、はしょって御説明させていただきましたが、以上が今日米価審議会諮問をさせていただきました内容でございます。
  41. 阿部文男

    阿部委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  42. 阿部文男

    阿部委員長 質疑を続行いたします。細谷昭雄君。
  43. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大臣、昨夜から恐らく徹夜で過ごされたかというふうに推察をいたします。大変お疲れのところお気の毒でございますが、ただいまこのように諮問案が私どもへも提示されました。したがいまして、具体的な中身につきましては午後からの政府委員に対する質疑ということに譲りたいと思いますが、きょうは何といいましても全国生産農民にとって大変な諮問の日でございますので、私自身にもこんなにたくさんの、秋田県の県議会並びに市町村議会、農協からぜひ生産者米価を上げてほしいという切なる陳情、電報等が参っておるわけでございます。農協の皆さん方生産者米価を七・七%アップ、一万九千三百八十四円、これはぜひともことしは実現しても広わなければいかぬということで、多くの農家皆さん方が集まっておるわけでありまして、きょうはこの委員会にもそういう生産者の代表の皆さん方が傍聴されておるわけであります。  私は、今諮問案を聞きまして、唖然としたというよりまことにだんだんに腹立たしくなってまいっておるわけです。そういう農民の皆さん方の棚待というのを踏みにじるような今回の諮問、これに対しまして、私は大臣から率直に真情を吐露してお答え願いたいと思いますし、私もその意味で質問をしたいと思うわけでございます。  まず第一に、昨年まで六カ年間、米価は完全に据え置かれたというふうに言っても過言ではないと思います。この六年間のアップ率は六%、これに比べまして、例えば基準内賃金はどのくらい上がつたかといいますと、四三%アップ、米価のおよそ七倍弱、それから消費者物価、これは二九%アップの五倍でございます。国民生産はどうがというと、これまた二九%上がっております。これも五倍であります。国家財政はこの六年間にどれだけふえたかといいますと、七四%、実に十二倍強でございます。いずれも生産者米価に比べまして大幅に上がっているわけであります。  しかも今次長から、生産費所得補償方式という算定方式を提示されましたが、実はこれは五十六年度以降はまさに逆転現象が起きておるということは御案内のとおりでございます。生産費を償えないような生産者米価、これがずっと押しつけられておる。その理由は何かというと、極めて簡単、米が余っておる、そうして財政事情が極めて悪い、食管会計が赤字である、いわゆる三Kの一つとしてこの米退治の宣伝が非常に先行してきた。そういう中で生産者農家はじっと我慢して今まできたわけであります。しかもどうです、皆さん、今事情は全く変わっておる。  私はまず、大臣に、この現実、今までの米価が不当に抑えられた、このことについて大臣から率直にお認めになるかどうか、このことをお聞きしたい。
  44. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私としましては、本年度の米価につきまして、けさまで実はやっておりました。けさ大蔵省へ参りまして、七時半でございましたか、大蔵大臣ともいろいろ折衝をいたしました。しかし、御存じのとおりの行革審からの報告のとおり厳しいような、はっきり申しまして大蔵省の姿勢は崩れません。続きまして八時四十五分ですか、まとまりまして、そして大蔵大臣と再度詰めをいたしまして、私としては精いっぱい努力したつもりでございます。  何にいたしましても、この四年来のいわゆる冷害等によりまして、当面の米の需給は決してゆとりあるということは言えないと思いますが、しかし生産調整を行わなければならないというような、需給均衡を保っていけないということもございまして、今の苦しい国の財政事情等も考えましたけれども、私はあえてここでやはり米価引き上げということをやらなければということで、特に稲作農家皆さん生産性の向上、それからまた農業生産の再編成による農家稲作に対する意欲というものを増してもらうためにもということで、けさまでかかってやってきたわけでございまして、いろいろ御不満はあろうと思いますが、しかしここまでやってきたということもひとつわかっていただきたいと思います。
  45. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大臣個人がそういうふうに非常に徹夜をされて努力されたということは、これはもちろん個人的には大変御苦労さんだとは思います。  しかし大臣、私は五カ月前、三月一日のこの委員会で、臭化メチルの問題から五十三年産米の汚染問題を取り上げながら、現在のいわば米不足需給が極めて厳しい、そういう中から韓国米の輸入という問題にまで発展したわけでございます。今までのように米が過剰である、こういう理由で生産者米価を抑えつけてきたという環境が根本的に変わっておる。そのことは生産農民の皆さん方自身が最もこたえておるはずであります。いわゆる政府にだまされた、一体これはどうしてくれるんだという怒りというのが全国に満ち満ちておるわけであります。  大臣、恐らくそれはひしひしとわかっていると思う。しかるに、一国の食糧管理を預かる大臣が、確かに財政の当局であろうけれども大蔵大臣に首根っこを押さえられる、その大蔵大臣がさらに土光といういわゆる行革審に押さえられているのが日本の現状ではありませんか。こんなことで、行革審あって国会なし、行革審あって政府なしじゃありませんか。このことに対してどうですか。
  46. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 苦しい現在の財政状況、これはよくわかっておりますが、しかし私はあえてここでいわゆる値上げの諮問を行ったということで、決して大蔵省に首根っこを押さえられてというようなことはないと思います。現在、私が何遍も当委員会で御答弁申し上げておりますとおり、このいわゆる第三期対策、これにつきましても、本年度の作況を見ながら弾力的にということも申しておりますとおり、今の米の需給というのは決してゆとりのあるものとは言えない、やはりもう少しゆとりのあるものをということで、せんだっても総理も御出席いただいてここで御答弁申し上げましたとおり、今後はひとつゆとりのあるということを前提にして、やはり安全保障というような立場にも立って、今後の農政というものを展開していきたいというぐあいに考えます。
  47. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 それでは大臣、具体的にお聞きしたいと思うのですが、今回の諮問米価決定するに当たりまして、次のことが恐らく重要な問題として検討されたと思います。  その第一は、今回はどうしても基本米価を上げなければならない、大臣はそう考えられたと思うのです。例えば十時ぎりぎりまで大蔵大臣と折衝された、そうしてこの努力を認めてほしいというふうに言われたんですが、それでは大臣、大蔵大臣には農林水産省当局としてはどの程度のアップを要求したんですか。
  48. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 これはいわゆる交渉事でございますので、その内容等については発表を差し控吏さしていただきたいと思います。
  49. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 具体的な数字が言えなければ、少なくとも今の一・四五%と言われるものは、大臣、満足ですか。それとも不満ですか。
  50. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 これは交渉事でございますので、当方がすっかり満足というような額は、これはなかなか難しいと思います。しかし、きょう早朝から誠心誠意話し合いまして、そしてはっきり申しましてこれだけの額をのんでもらったというような額だと思います。
  51. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 第二の問題はいわゆる自流米、特に良質米奨励金について、当然これは議論の対象になったと思います。つまり良質米奨励金をカットするんじゃないかということを全国良質米地帯の皆さん方は極めて憂慮しておるわけであります。この点は一体どうですか。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  52. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  良質米奨励金等の自主流通助成につきましては、臨調等から厳しい指摘が行われているところでございますが、本年産の自主流通助成については、制度の健全な発展を図るという観点に立ちまして、自主流通米の流通の実態や政府米の財政負担との関連、こうしたものを踏まえまして検討を行っていく必要があると考えており、現在、具体的にそのあり方につきましては検討を深めておる段階でございまして、なお結論を得てないような情勢でございます。
  53. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この良質米奨励金というものはもう既に定着をしておるという問題でございます。しかも今まで食糧庁も農林水産省も、ことしの白書にも書かれておりますが、うまい米の嗜好という点で消費を伸ばそうという努力をされておるということであります。  私は、米価というのは基本的に種をおろす前に決めるのが本当だと思うのですよ。良質米奨励金というのが、例えば千七百円なら千七百円という奨励金がついておる。それを今まさに実をとろうというときに初めて値を下げる、こんなばかなことがありますか。私は食糧庁としましても、農林水産大臣としましても、この良質米奨励金というものをカットするなんということは絶対にやらせてはならぬ、そのように思うわけですが、その決意のほどをお伺いしたい。
  54. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 この自主流通の助成等につきましては、それは今言われましたように、確かに消費の拡大にもつながっておることでもございますので、ひとつこの制度の健全な発展ということを図る、その観点に立ちまして今後も、今米審も開かれておるところでございますので、それらを含めてひとつ検討してまいりたいというぐあいに考えます。
  55. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 第三点は、第三期転作のいわゆる面積緩和、これについても当然問題が出たと思います。私は午後の質問で実は潜在生産量について質疑をする予定でありましたが、もうこれは既に変更になったというふうに今お話を聞きました。したがって、当然これは面積緩和の点が議論されたと思うのです。一体面積を緩和するのかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
  56. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 第三期対策におきまして、御存じのとおり六十万ヘクタールということでお願いしておるわけでございますが、この四年連続の不作、冷害もございまして、はっきり申しまして、いろいろな面で米の需給事情というのは逼迫しております。それを考えた上で、本年度の作況等を見ましてひとつ弾力的にこれを取り扱っていきたいというぐあいに考えます。
  57. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これはぜひ、需要の関係からしますと、もう先ほど自民党の鈴木さんも聞いておったんですが、もっと率直に食糧庁はこの需給計画について反省すべきだと思うのです。もうことしの端境期、むしろ来年の端境期の方がもっと苦しくなる。これは、農林水産大臣がことしの作況によってということでは決して済まされないという問題があるのです。これは直ちにやるべきだ。これは減反緩和を含めまして真剣に検討要求したいというふうに思います。  第四点は、いわゆる他用途利用米の問題でございます。他用途利用米の問題について諮問がこのとおりおくれたというふうに聞いております。他用途利用米の主食用米への切りかえの問題がどうなっておるのか。それから、関連しまして、加工米不足の解消方法をどう考えられておるのか。この点についても当然議論になったと思うわけです。しかも、これは今回の諮問米価の一番肝心なところだというふうに考えられます。したがって、他用途利用米を食用米に切りかえるかどうか、その方針と、それをした場合に心配されております加工米不足の解消方法、この二つの点について明確に御答弁願いたいと思います。
  58. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  他用途利用米につきましては、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うとの観点に立ちまして、生産者と実需者との自主的な取り組みを前提として実需に見合った価格で供給するという趣旨で、第三期対策の一環として取り入れられたものでございます。したがいまして、政府といたしましては、用途に応じた米の安定供給が図られるように、農業団体において冷静な対応がなされることを期待しておるわけでございます。  もとより、主食である米につきましては、両院での国会決議の趣旨をも体しまして、今後とも米の需給の安定に最大限の努力を払っていきたい、このように考えている次第でございます。
  59. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これは極めて重大な発言が今あったと思います。農業団体の冷静な対応を静かに見守っておるという意味でありますが、裏返しますと、他用途利用米を主食用に切りかえるけれども、そのかわりに、いわゆる加工米不足については第二次輸入を認めなさいということだと思うのですよ、今次長が言っていることは。  では、農業団体の冷静な対応というのは、具体的に中身はどうですか。
  60. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私どもといたしましては、他用途利用米につきましては、従来から加工原材料用に充当するということで、生産者の方と実需者との間で契約をしてそうした流通を今後図っていこう、こういうことで始まったものでございますので、用途に応じました米の安定供給が図られるということが必要でございますし、農業団体におかれましても当初の方針どおり原材料用の用途に充当していただくことを私どもは期待しておるわけでございます。今申し上げました冷静な対応がなされることを期待しておるという意味は、そういう意味で私申し上げた次第でございます。
  61. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私はこれは極めて重大な問題だと思います。現在一・四五%という、伝えられる二者よりも下げておるという意味は、この問題を残して、結局この他用途米の食用米転用といいますか切りかえ、そうしておいて、いわゆる農家手取りを多くしながらそれで手を打とうという魂胆というのが見え見えなわけです。今までの経過からしまして、農林水産省というのは大変ずるい対応の仕方をしておるというように私は思うのですよ。それは、自民党の皆さん方が直接といいますか、その意向を受けて、そうして農業団体皆さん方といろいろ話をしておるということは報道機関に報道されておるわけであります。これは、その中身が今言った問題であります。したがって、農林水産省が直接手を下さないで責任逃れをしながら、その意向を打診しながら、最後にいわば政治加算という形で決着をつけるという、これはまことにフェアでないやり方だというふうに私は指摘せざるを得ないわけであります。  私は大臣にお聞きしたい。我々非常に危ぶんでおりますのは、伝えられるこの加工米不足を第二次の米の輸入という形でやるとすれば、七月二十日に衆議院、参議院、両院の本会議で米の需給安定に関する決議を我々は行ったわけであります。本委員会でも、その前に委員会決議を行ったわけでありますが、この委員会の決議と両院のいわば意思というものを、これと関連しましてどうお考えなのか、つまり輸入というのは絶対にやらないかどうか、このことを大臣にしっかりした御答弁をいただきたい、こう思います。
  62. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 御存じのとおり、食糧の安定供給というのは農林水産省に課せられた一番大きな責務であろうと思います。そして、これを達成するためには何といっても生産者皆さんの御協力も得てやっていかなければならないということでございます。せんだって衆参両院本会議におきまして決議をいただきました、主食たる米は全量自給すべしというような、この意を体しまして、今後ともこの米の需給安定に最大限の努力を払っていくつもりでございますし、また、現在いろいろ生産者皆さんとも話し合っておられる最中でもございますので、この協力を得ながらやっていきたいというぐあいに考えます。
  63. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 時間がありませんのでこれで終わりますが、米価の決め方、これを根本的に改める時期になったのではないか。いわゆる国会の議決案件にすべきじゃないかということ。そしてまた、米価審議会の形骸化というのをここら辺でもう一度考えていくべきじゃないかという点。それからもう一つは、農林水産大臣はもちろんでありますが、食糧庁自身がもっと責任感じ、そうして国民にもっと率直に米の需給関係についても語りかけていく、そうして国民の協力を仰ぐという姿勢がやはり必要ではないか。  最後に申し上げたいのは、農林水産大臣は、いわば米の需給計画について残念ながら大きな失敗をしたと私は思うのです。そうして、あの臭素米という問題では国家財産というものに大きな損集を招いた、そういう政治責任というのは免れることはできないと思います。そういう意味で、大臣からは、みずから責任をとりますというふうにおっしゃられておりますけれども、私は、本当に農業を守るということ、日本の食糧を守るということに一層の努力をしながら責任をとってもらいたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。
  64. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 安井吉典君。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 今、米審への試算米価を御説明いただきましたが、説明してすぐですから、なかなかのみ込めない点もたくさんあるわけでありますが、私はまず、諮問米価がこちらの方の委員会を待たせてまでこんなに遅くなるなんという例を知らないのですよ。大体前の日にいつも、たとえ難航しても決まっているわけですよ。それを、恐らく米審の方もきょうは待たせたのだと思いますね。そういう不手際が一つあるわけでありますが、これはもう、ちょっと時間がありませんので、省略いたします。  何よりも、一・四五%の引き上げ、昨年の引き上げは一・七五%だったわけです。それと比べて、これは私のみならず農民の皆さんはみんな君かしいと思うものではないかと思います。農林水産省の生産費調べでも六十キロ当たり全国で四・三%のアップだし、北海道はとりわけ二七・三%も上がっているのですね。生産費はもう全体的にみんな上がっているのですよ。さらにまた米の不足、恐らく四十五万トンの備蓄なんかできるような状態ではないという現状であります。それからもう一つは、何といいましても韓国米の輸入問題で国民に不安と不満を与えたという不手際は重大ではないかと思います。幾つか挙げてまいりましても、どこをとらえてみたって去年よりも低い諮問が行われるなどというようなことはだれも考うてなかったことではないかと思います。大臣、どうお考えですか。     〔衛藤委員長代理退席、上草委員長代理着席〕
  66. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 御存じのとおりに、行革審の小委員会におきましても厳しい報告がなされておりますように、関係方面といろいろ交渉しましたが、いわゆる値上げという線については難しい問題がございまして、とうとうけさ方になりましてもまだだめでございまして、私が直接大蔵省へ参りまして、そして大蔵大臣とけさ七時半から会談をしました。これでもまだ話がつきませんし、最終的には八時四十五分ですか、大蔵大臣と話をして、一・四五ということで諮問案を決めたようなわけでございますが、今後も米審の御意見等よく伺いながら、関係方面と連絡をとりながら米価決定を行っていきたいと思っております。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 まだ後の米審の審議を聞いてからという含みを持たせた御答弁だと思いますが、それは後で触れます。  算定方式の問題でありますが、説明を受けたばかりでよくわからないところがたくさんあるのです。昨年の算定要領と大きく違っているのは、総生産量に対して八一%を掛けている方式ですね。去年はたしか八〇%だったと思います。それの説明はさっきありましたけれども、この点と、それから、資本利子の算定あり方と地代の問題というふうにさっきの御説明だけで私は聞いたのですが、去年とことしとの大きな相違点について御説明ください。
  68. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  今の潜在需給ギャップを反映した必要量生産量比率につきましては、先生指摘のとおり昨年は八〇%でございましたが、本年は八一%という比率を採用さしていただいております。それの変化部分につきましては、先ほど申し上げましたように永年作物等が植わっておりまして水田には返らないところ等を勘案しまして、それと他用途利用米につきましての数量を差し引いて分母に置いた、こういうことから得られるものでございます。  それから、自己資本の金利につきまして、今年の実態をとりますと四・二三%ぐらいと、六カ月と三カ月の定期によるものでございますが、低くなるわけでございますが、それを前年適用されました四・四八ということで、これは逆に同じ数字を踏襲させていただいたということでございます。  ほかに地代につきましては、旧統制小作料というものを従来は使用させていただいておったのでございますが、それを、先ほど御説明させていただきましたような土地の資本利子ということで、元本といたしましては固定資産税評価額、これをとりまして評価させていただいたような次第でございます。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 今の三点で一・四五%アップという数字が出たのだ、去年との算式の違いはそういうふうに御説明をいただいたことだと思います。  しかし、例によって逆算方式で、大蔵大臣との話で、どうも第一回目はこの辺で抑えておいて後で政治加算をしてやろうじゃないかなんというような裏話で、これはもう農水省はいつも前科があるものですから、これは米価だけじゃありません、畜産物の価格もみんなそうですからそうじゃないかと思うのですが、それは今の段階では議論をしないことにいたします。  特に去年と違った大きな点のうち、潜在生産量の見方の問題であります。これは私どもも、千三百七十五万トンですか、さっきは八十万トンと言われましたけれども、これの基礎がおかしいじゃないかといつも言っている問題を今度はそういう格好で訂正されたわけでありますが、それじゃ一体今度の反別はどういうふうになったのか。ここであなた方が言われている永年作物の反別、他用途米の反別、それからそれを差し引いた全体の反別、その反別と単収、その見方がどう変わったのかをちょっと説明してください。
  70. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 今回の米価算定の際に、米価算定上の潜在生産量について調整が加えられておるわけでございますが、その中でいわば面積的な部分からまいりますのが、いわゆるカウントと申しまして、既に水田がつぶれているわけですが、転作対策転作としてカウントしている、これが、若干端数がございますが、おおむね七千ヘクタールぐらいございます。それから林地、養魚池、農業生産施設用地、こういう系統のものが約四千ヘクタール、このほかに永年性作物が一万一千五百ヘクタールぐらいございまして、この三つ全部を足しますと定着性の高いものとして二万一千七百ヘクタールということになりまして、これを大体転作田の単収、我々の計算では普通の単収より少し低い四百六十八キログラムではなかろうかということになっておりますが、これを掛けさして大体十一万トン、こういうふうな見込みが、この潜在生産量から今度差し引きました部分の宗着性の高い部分であります。このほかに、面積上申しますよりは数量で引きましたものが二十七万トンの他用途米。  こういうことで、先ほど千三百七十五万トンではないかというお話がございましたが、千三百七十五と申しますのは第三期対策上の、つまり昭和六十年の潜在生産量でございまして、五十九年につきましては千三百八十万トンということになっております。この千三百八十万トンから定着性の高いもの十一万トン、それから他用途米二十七万トン、これを差し引きまして千三百四十二万トンというものが今回の諮問米価において用いられている潜在生産量でございます。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 これはもっと詰めたいのですけれども、何しろあとわずかしか割り当て時間がないものですから、後の質問者なり今後の問題に残します。  そこで、この間衆参両院の本会議で米の輸入はしませんという完全自給に関する決議をしたのは御承知のとおりで、その前に衆参両院の農林水産委員会でいたしました。そういう決議を国会がするというのは、これは異常なことなんですよ。そういう異常な状態の中に今あるという前提に立っていれば、他用途米主食に回せば加工用が足りないからタイの砕米を入れるのだとかいう不謹慎な発言は出るはずがないと私は思うのです。きょうおくれたこともそれなんでしょう。他用途米の問題の扱いで農協との話し合いがおかしくなっているからこんなに時間がかかってしまったということじゃないのですか。  いずれにしても、いかなる形態であっても今は輸入なんということを考えるべき段階ではあり出せん。きょうはそのことは触れておりませんが、今度政治加算か何かのときにそういうような格好で結論が出るなんということになれば、この間いたしませんと明言した農林水産大臣政治責任、と言ったって、この前からあなたは政治責任をなかなかとらないのですけれども、今度こそ重大な問題ですよ。あるいは国会の審議を全部とめても両院の本会議の決議を守っていかなければいかぬ、我々はそういう決意を持っているのですが、どうですか。
  72. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 他用途利用米は、国内で生産可能なものは国内でできるだけ生産してこれを賄うという基本方針にのっとって、生産者と実需者との間で自主的な取り決めを行うことを前提として、農業団体の御理解もいただきながらここに坪用したわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、食糧を安定的に供給するという大きな義務もあるわけでございますので、今後とも農業団体の御協力をいただきながらこの達成に向かって邁進してまいりたいと思っております。  そこで、先ほどの国会の決議でございますが、主食である米については両院の決議もいただいておりますので、この趣旨を体しまして、今後も米の安定供給に最大限の努力を払ってまいりたいというぐあいに考えます。
  73. 安井吉典

    ○安井委員 あなたの言い方はおかしいじゃないですか。国会の決議に主食だなんて書いてありませんよ。米の輸入と書いてあります。主食も加工も一緒に入れて全部みんな食べるのですから、国民の食糧としての、加工用だって食糧でしょう。決議は主食だという言われ方は困りますよ、主食も加工も含めて全体の米の輸入は困るということですから。どうですか。
  74. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 両院の決議に対しましては、この趣旨を旨といたしまして万全の措置を図っていきたいというぐあいに考えます。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 輸入はしないということですね。
  76. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 両院の決議に違反することのないようにやってまいります。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 両院の決議は輸入しないということですから、それを確認されたわけですよ。  六十米穀年度で米が足りないということについていろいろ言われるわけでありますが、きのうも食糧庁から私ども説明を聞いたところでは、主食だけから言えば自給はもちろん可能だ、ただし加工米については他用途米が出ないということになったら不足するかもしれない、こういう説明だった。そのとおりですか。
  78. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お尋ねのとおりでございまして、加工原材料用の用途に供給されるべき他用途利用米の供給が行われない場合におきましては不測の事態を招来すると私たちは見込んでおります。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 今、農業、農民団体は他用途米主食で買い上げてほしいと言っています。主食並みで買い上げても――他用途米は出るのですから、出荷されるのですよ、二十七万トンかそれより少ないかもしれませんが。主食にすればなおさら余計に出ますよ。必ず出ますよ。ですから、いかなる形でもその二十七万トンの出荷が行われれば、主食プラス加工用というのはあなたの論理から言えば間に合うということでしょう、つまり他用途米が全部出たということを勘定すれば。
  80. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私どもといたしましては、今先生の御指摘の点ちょっと理解できないのですが、他用途利用米として生産されたものが主食用で買い上げられる、政府買い入れになるというようなことに相なりますれば、やはり加工原材料用には不足を来すと思うわけでございます。
  81. 安井吉典

    ○安井委員 私が聞いているのは、主食プラス加工用米、全部の出荷量です。米の絶対量ですよ。だって、今のあなた方の計算どおりにいけば、主食用は間に合うのでしょう。それから、他用途米が全部出れば加工用も間に合うのでしょう。それとも足りないのですか。間に合うのでしょう。加工用の米も今二十七万トンを農家が出しても足りないのですか、そうじゃないのでしょう。それは間に合うのでしょう。
  82. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米として生産されるものが、五十九年産米でございますが二十七万トン供給されれば、六十米穀年度内の加工原材料用の需要は満たされる、このように私どもは理解しております。
  83. 安井吉典

    ○安井委員 だから、私が言うのは、主食も間に合うし、二十七万トン出れば加工の方も間に合うのでしょう。それがたとえ主食並みの価格が払われたって、米は出るのですから、主食と加工用の合計に必要な絶対量だけは確保できるのじゃないですか。  問題は、一たん出てきた米を主食と加工に振り分けをするときに、加工ということになれば安くする、結局その分政府の負担がふえるだけです。つまり、絶対量の問題じゃなしに、これは財政負担の問題なんだ。だから、きょうは本当は大蔵大臣が来てやることなんでしょうけれども、結局は大蔵省との交渉であなた方が負けているのだ。昔は主食だってみんな加工用に向けたじゃないですか。それが食管会計をどんどん減らされる中で、にっちもさっちもいかない状態が今日になっているわけです。絶対量が足りないなんということを言うとあなた方の論理がおかしくなるじゃないですか。  絶対量、両方合計量はあるのです。ただ、それを全部主食で買い上げてしまえば、加工用にするためには安く払い下げしなければいけないから、その差額を政府が負担しなければならないという問題なんです。量はあるのです。問題は財政負担の問題なんです。その点をはっきりさせておかなければならないと私は思います。  それから備蓄基準について、今度の米価と同じ段階で明らかにするというふうに前からお話があったわけでありますが、どうですか。
  84. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 水田利用再編第三期対策におきましては、御案内のとおり、毎年四十五万トンの備蓄といいますか積み増しが計画されておるわけでございまして、三カ年にわたりまして平年作ということを前提として積み増しが行われますれば、約百五十万トン程度まで積み増しが可能ではないかというふうにも考えられますし、現段階におきましてはこうした積み増し量がおおむね適正な水準ではなかろうかと考えております。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 それは四十五万トンというものですね。この問題は時間が足りませんので後に回しますが、大臣、食管法の原則は二重価格制ですから、逆ざや解消とかいうような言い方は臨調が言うわけですけれども、これはむしろ食管法違反の発想ではないかと思うわけです。生産者米価が上がったら消費者米価を必ず上げるという筋のものではないのではないかと思います。この問題は食管財政の問題だと思いますが、消費者米価を連動して上げることはないと私は思うのですが、どうですか。
  86. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 二重価格制が食管法の基本というのはちょっとあれですが、これはやはりない方が望ましいと私は思っております。しかし、生産者米価と消費者米価というものは、これを連動させてどうこうということではなくて、おのずから別のものであるというぐあいに考えております。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 これは去年の金子農林水産大臣はこの米価のときに、生産者米価が上がったものを消費者米価を上げませんという言明をされました、私の在任中はという条件だったのですが。ところが、秋に内閣改造でやめてしまって在任中には上がらなかったのですが、しかし新しく就任したおなたが消費者米価をことし上げてしまったわけですよ。ですから、今度のこの場合も、消費者米価には連動させない、上げないということをきよら明言していただきたい。
  88. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 米の政府売り渡し価格につき生じての今後の取り扱いは何にも決めておりません。食管法の規定に従いまして、家計費及び物価そのほかの経済事情を十分配慮して消費者の家計安定を旨として適正に決めてまいりたいというぐあいに考えます。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 もう時間が終わりましたからやめますが、ただ大臣、二重価格制こそが食管法の生命ですから、そのことを忘れた農林水産大臣というのは存在理由がなくなってしまうのだ、そのことをひとつ警告して終わります。
  90. 上草義輝

    上草委員長代理 吉浦忠治君。
  91. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間が短いですから答弁は簡潔に、なるべく大臣にやっていただきたいのです。  長年にわたる大規模減反、それに四年続きの不作と生産資材価格等の上昇といった悪条件のもとでのこの生産者米価でございます。ここ六年間虫質的に年一%の据え置きというふうにしてきておりますが、それに加えて本年は、五十三年産米のいわゆる臭素汚染の問題等が発生をいたしておりますし、十七年ぶりのいわゆる外米輸入という異常事態下の生産者米価決定時期を迎えるに至ったわけであります。十九、二十日の前広米審では異例の価格論議まで立ち至ったということで、その議論が展開されたことは今までなかったわけでございます。その中で本年の米価については据え置くべきだというふうに述べた委員は一人もいない、いいですか大臣、そういうふうに中野米審会長は記者会見で語っているわけであります。  これほど、諸情勢から考えて据え置き諮問をとるべき態度ではないというふうに私は考える。一・四五というのはどこから出てきたのか。昨年よりも低いということは据え置きと全く同じでありますから、この生産者団体の統一要求価格、いわゆる七・七%アップに対して政府の昨年並みの低率引き上げ、プラス若干のものではあろうと思いますけれども、この六年間、政府は実質年平均で一%という小刻みの上乗せを実施してきたわけでありますが、今同僚の委員からも御質問がありましたように、機械なり肥料なり、いわゆる生産資材の高騰や他の産業従事者の賃金アップと比較をしてまいりましても、その格差は広がる一方で去ります。  米審に先立ち発表された五十八年度の生産費調査等によりましても、六十キロ当たりの生産費は前年比四・三%アップの二万千四百六十六円、昨年の米価は基本米価で一万七千九百九十六円ですから、生産農家は三千四百七十円も損をしている勘定になる。農水省の言う育てるべき中核稲作農家でも統計数字はこれを補っていないことが明らかになっているわけであります。つまり、生産農家生産費さえ補っていないという不当な米価であると言わざるを得ないわけであります。  このままの格差が広がりますと、大規模経営農家でも稲作だけではもう採算がとれない、兼業せざるを得ないということになってくるわけでありまして、現に政府に米を売り渡している約二百六十万戸の農家のうち約七〇%が一ヘクタール未満の小規模零細農家であることを考えますときに、稲作の衰退というものが一層拍車がかかるというふうに思われるわけでありまして、農家の意欲が落ちているために優良な米作地でも単収レベルが下がっていることはゆゆしき問題である。それを天候のせいとか、あるいは今問われている農家にその稲作の意欲を喚起させなければならないとき、生産者米価決定するにかかって大臣は、昨晩から一睡もしてない、一・四五%というので頑張った、こういうふうに今報告がありましたけれども、あなたは農林水産大臣でありますから、そのことについてやはりどこまでもその立場を貫かれる立場ですので、やむを得なかったというふうな言葉であってはならぬと思うのです。決意のほどをお尋ねをいたしたい。
  92. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 本年の政府のいわゆる買い入れ価格につきまして、十九、二十日の前広米審と申しますか事前米審でいろいろ御意見を伺ったところでございます。そして、本年の米需給の実情というものは決してゆとりある状況とは言えないものの、依然として生産調整を行っていかなければならない、これをやらないと需給均衡が保てないというような状況にあることも事実でございます。  また、苦しい財政事情のもとで米の管理に係る財政運営が厳しいという局面に突き当たっておるということもございますし、また四年連続不作、そして農家経済を取り巻く最近の厳しい諸情勢のもとで、稲作生産性の向上に努めるとともに、農業生産の再編成に取り組む農家皆さんの意欲に及ぼす影響も何らかの配慮を払う必要があるというぐあいに考えまして、けさから、まあ大蔵当局とするとかなり厳しい姿勢でございましたが、これらの状況というものをよく大蔵大臣に説明しながら、早朝から二回にわたり交渉をいたしまして、今回の一・四五%引き上げという諮問を行うことにしたことでございますので、我々といたしますと、全体のバランスということを考えた場合に、やはりここまで頑張ってきたということもひとつお認めいただければありがたいと思います。
  93. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 は正直な方で、私はそういう面では大変尊敬をして、あなたは大臣答弁の中でも問題があるぐらい正直におっしゃる人でございますから、あえて私は申し上げますが、この農家の方々の心情はあなたしかわからないのです。大蔵大臣じゃないのですよ。大蔵大臣はなるべく抑制しようということで来ているわけですから、その間に立ち向かっていくあなたの心情はそれはよくわかりますけれども、やむを得なかったとか、これで我慢してくださいという額じゃないものを諮問されているという点について、やはり米価審議会のその答申を今度は逆にあなたが十分尊重していただけるようなことで頑張っていただきたいのですよ。どうですか。
  94. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、一応一・四五%ということで諮問をいたしましたが、きょう、あすの米価審議会、これらの皆さんの御意見もよく伺いまして、それに対応してまいりたいというぐあいに考えます。
  95. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この米審の開かれた時期等を今言っていたって始まりませんけれども、行革審の小委員会の報告と米価諮問の関係についてちょっとだけ伺っておきたい。  我々は臨調がこれまで行ってきた作業についてはそれなりの評価はしておりますけれども、今回の報告書の中で「五十九年産生産者米価は抑制的に定める」としていることは、現在我が国農業、とりわけ稲作農家が置かれている現状を全く無視したものであるということで認めるわけにけいかないわけであります。  五十三年以降の米価は実質的には抑制をされているのは先ほど述べたとおりでありますが、農家の収益性は大幅に低下をしているわけでありまして、しかも四年続きの連続不作という経営の圧迫やら、減反政策をとりながらしかも韓国米を輸入しなければならなかった、そして需給逼迫、そういう農家を取り巻く環境というものは今大変な状態を来しているわけでありますから、先ほど申し上げましたように、五十八年産米生産費調査の結果が示すように、生産費は二万一千四百六十六円、米価は一万七千九百九十六円と、三千四百七十円も格差が生じているという実態、これは今述べられているようなことでは片手落ちの感を禁じ得ないわけでありますけれども、農水省はこの報告をどういうふうに受け取っていらっしゃるのか、率直にお答えいただきたい。
  96. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 行革審の報告、これは尊重すべきものであるということはもとよりでございますけれども、しかし、これによりまして本年の米価算定の扱いが決まるというものではないというぐあいに考えております。政府といたしましては、あくまでも食糧管理法の規定に従いまして、米価審議会の御意見を聞き、各般の事情を総合的に勘案して適正な決定を行っていきたいというぐあいに考えます。
  97. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 行革審の小委員会の報告では、自主流通助成など、いわゆる縮減合理化に努めること、こういうふうにしているわけでありますが、今年の良質米は単位面積当たりの収量が他に比較して少なくて、生産者に対しては価格補てんを、消費者に対しては価格の上昇を抑える、国民良質米選好にこたえる必要から奨励金が設けられている理由があるわけでありますから、これが円滑な流通の支えとなって、しかも国民に定着をしてきているものと私は考えるわけであります。言た、自主流通米は年々着実に伸びてきておりますが、これは奨励金が下支えとなっていることは田確であります。こうしたことを考えて、現段階で早急に縮減が行われるべきではないというふうに考えますけれども政府はどのようにお考えなのか、お答えをいただきたい。
  98. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  本年度の自主流通の助成につきましては、制度の健全な発展を図るという観点に立ちまして、自主流通の流通実態や政府米の財政負担との関係等も踏まえまして検討していく必要があると考えておりますし、現在具体的なあり方につきまして検討を深めているところでございます。
  99. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 米価決定に当たって、いわゆる基本米価引き上げというものとそれから良質米奨励金をセットと考えているというふうなこと自体が、基本米価引き上げ財源を奨励金の削減に求める動きが連日のように報道されているわけでありますけれども、そのような動きをしているとセットとして考えているというふうに私は受け取るわけですが、こういう点について政府はどのようにお考えなのか。
  100. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 セットということにつきましては問題があろうかと思うのでございますが、やはり私どもといたしましては、自主流通助成のあり方は自主流通制度の問題といたしまして、その範疇でまず今後のあり方について検討している、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  101. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農業というものはもともと天候に左右されるものでありますから、厳密な需給計画を立てるということがなかなか難しい面があろうかというふうに思うわけであります。政府は単年度需給方式というもので乗り切ろうというふうにお考えのようでありますが、これはもう既に無理じゃないかというふうに考えるわけです。その結果が十七年ぶりのいわゆる外米輸入というふうな形になってあらわれてきておりますから、今回の事態を契機にして、やはり国民の食糧安全保障というふうな見地から、いわゆる備蓄に重点を置くべきだというふうに私ども主張してきたわけでありますけれども政府はこの単年度需給方式というものを見直して、少なくとも三年ないしは五年ぐらいの、いわゆる中期的な視点に立ってその需給計画を立て直すべきではないかというふうに考えるわけです。  そこで政府は、備蓄数量目標というものを六十一年度までに約百五十万トンですか、その方針を固めているようでありますが、将来とも備蓄構想を定着させるための、単なる体制ではなくて、私もこの委員会決議のときに備蓄の問題を強く要求したわけでありますけれども、備蓄体制しかできなかったのですが、備蓄制度ということを述べてきたわけです。国民の食糧の安全保障の見地から、これを制度としてぜひとも確立する必要があるというふうに考えるわけです。この点についてどういうふうにお考えですか、お尋ねをいたしたい。
  102. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お米につきましては、先生御案内のように食管法による規定がございますし、改正食管法におきましては、基本計画というふうなものを策定いたしまして年度ごとに公表する、こういうことにも相なっておるわけでございまして、その中には、お米の管理の態様だとか基本的な考えなり、そういったことを示すことにもしておりまして、備蓄というふうなことにも関連いたしまして、おおむねそういう制度に近いようなといいましょうか、食管制度の中でそれが取り入れられ、かつ実施し得るものではないか、このように考えている次第でございます。
  103. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣、今備蓄の問題でこれほど緊急を要するときはない。これは備蓄があればこんなもの簡単に、ことしあたりは心配せずに乗り切れたわけですから、そういう面で、備蓄体制じゃなくて、私は制度を主張してきている立場でありますけれども、制度となると、いろいろ予算の問題やら今の食管法の財源の枠外でというふうなことになろうと思いますが、大臣、備蓄をどういうふうにお考えなのかどうか、決意で結構でございます。大臣の決意で結構でございますから……。
  104. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 現下の厳しい財政事情でございますので、それだけのものが許されるかどうかということでございます。農林水産省といたしましては、現実に即しまして、何とか国民皆さんに心配をかけないような備蓄というものを行っていきたいというぐあいに考えます。
  105. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 きのう早場米地帯の作況が発表されましたね。北海道では良、東北北部、日本海側の各県ではやや良、東北南部、北陸の各県並びに千葉県、茨城県は平年作とのことでありますが、現時点では結論的なことを言うのはまだ早いのではないかと思いますけれども、本年は平年作で一千九十万トン、その中には四十五万トンの在庫積み増しということで、今の備蓄というふうな形になるのかどうか。これは備蓄だろうと思いますけれども、予定しているようでありますが、五十九米穀年度でニカ月分の早食いをしなければ端境期を乗り切れないのではないかという事態になっているようでありますから、果たしてこう計画どおり進むかどうか。そうすると、五十九年の減反の実施率がどうなるか等を見て、政府の計画には疑問が生じてくるわけです。だから、政府はこれらを総合して米需給や備蓄がどうなるかをお考えなのかどうか。減反の実施率等も踏まえて、どういうふうにお考えになるのか。
  106. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 昨日公表されました早場地帯の作柄概況でございますが、これはあくまでも生育状況と言った方がいいようなもので、結果というか出た状況は大変よろしいわけですが、まだまだこれからの気象状態をよく見定めなければなりませんし、まだこれからまさに穂が形成されます時期でございますので、そこは私ども指導面で十分留意していきたいと考えております。  また、お尋ねの中のいわゆる転作の達成率につきましては、昨年ですと一〇六とかその前は一〇七というように多少高いわけでございまして、ことしも一〇〇よりはどうしても高くなるということですが、これも六月末までに報告がまとまりまして、私どもの手元で整理されますのはどうしてももう少し先になりまして、これらのことしの作況、また転作の実施状況、これを見定めました上で、お尋ねのような来年の水田利用再編成の目標面積については弾力的に対応していこう、こういうことでございまして、その段階では備蓄の水準をどういうふうに持っていくか、こういうふうなことも十分考慮に入れまして目標面積を定める、かようなことになろうと思います。
  107. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 主食用の異常な逼迫の原因ですね、そういうふうなときに生産者団体の方から他用途利用米の主食買い上げの要望が強く出されているわけですね。政府はこれをどのようにされるつもりなのか。私どもは他用途利用米を主食用として全量政府買い上げを図って、そして米の需給を安定さして国民の不安感を払拭しなければいけない、こう思うのですが、その見解をお伺いしたい。  それともう一つ、今日のようなこういう状態を招いた食糧庁並びに政府責任というものは、今国民の動きを見て、私はこれは大変なことだ、こう思うのです。本来ならばパニック状態になりますよ。ところがならないところを見れば、お米を食べる必要ないじゃないかという空気をつくったのはあなたたち責任ですよ。片や米の消費を図りながらこういう需給計画をつくってきたゆえんというものは反省を促したい。国民が、今米を食わなくたってほかのものがあるじゃないか、せっかく生産者農家の協力で減反をしていながら、需給調整をしていながら、そして足りなくして国民になおかつ米離れを起こすようなものを起こした原因というものは反省、反省をしなければいけない、こういう点も含めてお答えをいただきたい。
  108. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米につきましては、その用途を加工原材料用ということで、生産者と実需者との間の流通契約に基づまして五十九年産米から一応導入されたものでございまして、この点は、もしこれを主食用ということで買い上げてしまいますとその用途に供給するお米がなくなるわけでございますので、やはりその安定供給という面から支障を来すのではなかろうか、ころいうふうに考えておる次第でございます。  なお第二点の問題といたしまして需給計画等の問題でございますが、この点につきましては、過去二、三年前から連年の不作、こういうふうなことに対応いたしまして、転作目標を軽減しそれで積み増しの回復を図ろう、こういうことで努力してまいったわけでございますけれども、不幸にいたしまして連年の不作ということで今日までその目的が達成し得ないままに参っておるような次第でございまして、こうした点で国民皆さん方に混乱を生じるということにつきましては私たちも甚だ遺憾である、こういうふうに考えております。
  109. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に、きょうの新聞を見てびっくりしたのですけれども、給食米から臭素が検出されたという、これは千葉県の我孫子の小学校の鶴告が出ているのですね。学校給食は新米が原則じゃないですか。それと、古米ならば臭素が出て勇てもやむを得ない、こういう点もあるかもしれましんけれども、二番目には古米を食べさしたかどうかということ。それから第三番目に、五〇ppm以下ならば差し支えないじゃないかという感賞があなたたちにあるのじゃないですか。大変な問題で、一八ppmくらいならいいじゃないかというふうなことがあってはならない。これは児童の身体を安全にするという見地から、こういう問題が起こっては言語道断だと思うのですよ。毎回私は、学校給食のときに間違いない米を出していますね、大臣は、割引もして出してますよと答弁しているけれども、こういう問題が出ては、今の米価問題とは関係ないかもしれないけれども、重夫な問題です。  この三点についてお答えいただきたい。
  110. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  第一点の学校給食用の米穀は新米か古米かという点でございますが、私どもが学校給食用として供給しています米穀はすべて新米ということでございます。  臭素の点でございますが、これにつきましては、最近薫蒸しておるかどうかということとも関連いたしまして、既に食糧事務所の方に照会しておるわけですが、薫蒸はしてないらしい、こういうことでもございますし、さらに詳しい調査を実施したい、こう思っております。  あとは臭素の安全性の問題でございますが、私どもも決して五〇ppm以下だからいいのだ、こういうふうに安易な考えは持っておりませんし、できるだけ安全性の確保、こういったことにつきましては今後とも意を用いてまいりたい、こう考えております。
  111. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 要望だけして……。  大臣、この我孫子小の問題はわかり次第文書で報告してください、できると思いますから。今の時点でわからないならば後で報告してください。
  112. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 できるだけ早く詳しい報告をつくりましてお伝えしたいというぐあいに考えます。
  113. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 以上で終わります。
  114. 上草義輝

    上草委員長代理 小沢貞孝君。
  115. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣はお疲れのところでしょうが、うんと易しく質問をしますので、ひとつ親切に御答弁を……。  率直に私お尋ねをするわけですが、五月二十八日の韓国米輸入、このときには他用途米といいますか工業用米が足りないから輸入する、こういうようにお聞きして、私たちはそういうことだとばかり思っておりました。ところが、どうも主食がもうどうにも操作困難になるという事態に立ち至ったようでありますが、率直に言って、大臣、そうなんですか、ことしは。
  116. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 主食の米、これにつきましては確かにゆとりのある状態とは言えないようでございます。しかし、これについての安定供給というのは、端境期、この早期出荷、これらをお願いいたしまして完全に乗り切れるというぐあいでございますが、詳細の数字につきましては政府委員の方から御説明申し上げます。
  117. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 二十一日の新聞ですが「主食米円滑操作不能に」、こういう大々的見出しであります。それで「石川弘食糧庁長官が「早食い数量はほぼ九十五万トンにのぼる」」、こういうことから「政府は今年度から加工原材料の米として生産した他用途利用米を主食用に買い上げざるを得ない事態に」立ち至った。そういうことから「さらに問題なのは六十米穀年度需給操作だ。今年、新米を百五万トン早食いしてしまえば、主食用の米は平年作となった場合でも五百九十五万トンしか残らず、十・四か月分しかない。需要を五十八米穀年度程度と想定すれば計算では六十年九月十二日に〝米切れ〟となり、六十米穀年度も八十八万トン早食いが必要となる。」これは新聞の記事でありますが、石川長官が前広米審で述べたことから解析していくと理論的にはそういうような事態になるのではないか、こういうように考えます。  したがって、私たち国民の前に今までは、とにかく加工用米、他用途米が足りない、ああそれなら韓国から、我々は輸入と見るが、政府皆さんは貸したものを返してもらうのだ、こう言ってやってまいりましたけれども、ここへ来て私たちは、何だ、ことしの主食用の米も不足なのか、こういう印象を受けるわけです。大臣、率直にそうなんじゃないですか。
  118. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 御答弁申し上げます。  先ほど申し上げましたように、確かにこの端境期に早期出荷等をお願いいたしますと主食用の米は間違いないということでございます。他用途利用米をそっちへというようなことは全然考えておりませんで、そういうようなぐあいに数字的にもちゃんとできるということになっております。  そしてまた、韓国からこれは現物返還――実は、これは確かに輸入、輸入ということになっておりますけれども食管法上からいいますと外国へ貸し付けることができるということにのっとって農林水産省としては貸し付けた米、それを現物で返還いただくという契約になっておりましたが、この返還期に参りまして、日本が過剰米を拘えておる、韓国は米が足りないということで、では現金でどうだということで双方で納得して現金ということになったわけでございますが、しかし、それにしましても、この米につきましては加工原材料用の米であるということで、主食に回すというようなことは考えておりません。  先生御心配の数量等の詳細につきまして今ちょっと御説明申し上げます。
  119. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、要するに私たちは、ことしの主食操作が大変困難になった、この事実を大臣、認めますか。
  120. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 これは決してゆとりのある状況ではないということは言えると思います。そこで、いろいろございましたが、第三期対策も、今年度の作況そしてまた転作の実行状況、これらを見た上で弾力的にこれを行うべきであるというような方針にしておるわけでございます。
  121. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣が率直に認めたから私はこれ以上追及はいたしませんが、とにかく、ことしの主食用の操作が困難になる、こういう異常事態になってきたという事実は、私は、米の需給の甘かった点を政府は率直に反省をしなければならないのではないか、こう思うのです。どうです。
  122. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 おっしゃられるとおりでございまして、総理も当委員会そして参議院の農水委員会におきまして申し上げておりますとおり、もっとゆとりを持った需給というものを行うべきであるというようなことを申し上げておりますし、確かに二回の過剰米を抱えまして、それに対して余り用心深過ぎてしまったというようなこともあろうと思います。今後は弾力的にこれを操作していくべきだというぐあいに考えます。
  123. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういう事態になったから、農業団体からことしの他用途米に予定をしておったものを主食に買えという要求が出ているんだけれども、これは順序が逆なんです。政府の方から、どうかことしは他用途米にお願いしたものを主食に買い上げなければならないのでお願いします、こういかなければ、今の大臣の答弁からいえばおかしいではないですか。どうですか。
  124. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 第三期対策につきまして、御存じのとおりの四十五万トン積み増しというのも計画しておるわけでございます。しかし、本年度に限っては決して需給操作ゆとりがあるものではなかったということでございますので、この他用途利用米につきましては、実はこれは加工原材料用米ということで、外国から輸入するよりはやはり日本の水田を使ってそれをやった方がいいのではないかということで、農業団体皆さんの御理解もいただいてこの導入を図ったわけでございます。そこで、今、他用途利用米を主食にということもございますが、いろいろ各方面で協議をしておる最中のようでございますし、何とか御協力をいただいて農林水産省の一つの重要な役目であります食糧の安定供給、この責任を果たしていきたいというぐあいに考えます。
  125. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは農業団体の方が米の需給を知っているから、ことし他用途につくっておったものを主食に回さなければ困るのではないかということで農業団体要求になったのだけれども、実際、今日においてことしの主食状況を見れば、いや、違うんだ、これは政府の方から、実はことしは他用途米にお願いをしておるものを主食に買い入れなければ需給操作が困難であるからお願いします、こういうようにいかなければならない筋なんです、今の大臣の答弁からいっても。くどいようですが、そこをもう一回。
  126. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  今、先生指摘需給の問題でございますが、決してゆとりがあるわけではございませんが、私どもといたしましては、五十八年産の在庫しているもの、それから五十九年に産米として新たに供給されますところの、九月末でございますと約百万トンの供給がございますし、また十月末になりますれば四百万トンの供給も期待されるわけでございますから、これらの適正な集荷なり需給操作をやることによりまして万全を期していきたい。したがいまして、加工原材料用のものを主食用として直ちに流用するということなしに、主食用は主食用として万全を期してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  127. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 事務当局はいろいろ数字の弁明をするわけですが、私たちは大局から見れば、これは政府の方から、ことし他用途米にお願いしてあるものを主食に回してもらいたい、こう言うべき筋なんです、今までずっと見ていて。それを農業団体から言わせて、そしてそれに応じてやろう、こういう格好をとっているところに根本問題、間違いの問題があると思う。  いずれにしましても、石川長官のお話ではないが、いつもの年であるならば五十万トン平均、ことしは早食いをして九十五万トンから百五万トンになると出ているわけです。そういうことになると、さっきの新聞のとおり来年の需給計画に支障を来すので、来年は減反緩和をいたします、常に作況指数を一〇〇として、それを今までの言明は、ことしの作況を見てみてと、こう言っているんだけれども、今論議をされてきた数字を見ただけで、来年は当然減反緩和をいたします、作況指数によって何ヘクタールになるか、その数量は別として、政府の口からまだ減反緩和をします、こういう答弁がないわけで、大臣、どうですか、この数字からいって当然減反緩和でしょう。
  128. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 おっしゃられるのはよくわかりますが、実はことしの作況がどういう数字で出てくるかわかりません。それと、またもう一つ、いわゆる転作がどのような実施状況で行われたか、これもまたもうしばらくたたないとわからないわけでございますので、これらを見た上で弾力的にということでひとつ御理解をいただきたいと思います。     〔上草委員長代理退席、玉沢委員長代理着席〕
  129. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がありませんので、夕方の時間にさらに回したいと思いますが、先ほど安井先生質問をして中途半端になりましたが、五十三年産米がまだ二十万トンある。残留臭素の関係でその半分ぐらいしか使えない、こういうことになると、約十万トンは使えるであろう。そこへ十五万トンの韓国米の輸入があるということになれば、他用途米に使える米がことし二十五万トンある。そして韓国米が七月末か八月末に入ってくるとすると、他用途米の使用料は一カ月平均二万トンないし二・一、二万トン。こういうことになると、ことしの需給計画からいうならば、九月、十月のニカ月、あるいはさらに八、九、十の三カ月でもよろしいが、最大限二、三が六、少なく見積もれば二、二が四、四万トンないし六万トンがことしの必要量であるということになる、二十五万マイナス四万ないし六万トンということになれば、他用途として目的を設置されたものが来米穀年度分に十八万トンから二十万トン繰り越される。  今まで政府の計画の中で他用途米を使ったのは、一番少ないときで昭和四十五年の八万八千トンであり、昭和五十二年が十二万六千トンであります。おととしの五十七年が二十一万トンであります。そういうことならば、昭和六十年度の他用途米においても賄っていけるのではないか、韓国から今度入れることによって。そうすると、なぜ農業団体主食に買い込むならばこの次もさらに第二次輸入をせざるを得ないと言うのか、これは数字から見れば脅迫ではないか、こういうように考えられる。どうですか。
  130. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 加工原材料用の原料供給関係について、先生るる数字を並べて御説明ありましたが、私たちの見ております見込みでございますけれども、五十三年産米の現在高、これは五月末で二十万トンあったわけでございますが、これらにつきましては、厚生省が臭素の残留性については十分検査をしてくれ、こういうことでもって、私ども検査をして現在おくらせていただいているわけでございます。これにつきまして、残量といいますか、そのようなものは少なくなっておるわけでもございますし、かつ、韓国から返還されるものにつきましては十五万トンでございますけれども、これは八月ぐらいから供給させていただく予定にしておりまして、こうしたものの需要量は、これからは大量に需要される時期にも入るわけでございまして、月々二万ないし二万五千トンぐらいではなかろうか、そういうふうに思っております。  そういたしますれば、十五万トンのものが六カ月ないし七カ月ぐらいの需要に満たされるであろう、こう考えられるわけでございまして、今年末から来年の一月ぐらいまではこれで供給し得るか、このように見込まれるわけですが、その後につきましてはやはり他用途利用米の供給をもって食いつないでいく、こういうことでなくては安定的な供給がなし得ないのではなかろうか、このように推定しているわけでございます。
  131. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 質問時間が終わりましたので、私は大臣に申し上げますが、食糧庁の事務当局からの説明だけ聞いていたのじゃ政治家農林大臣山村の資格はないのじゃないか。私が計算した数字だって、ことし四、五万トンないし六万トン。二十五万トンあるのだから、それを引いたって、来年に繰り越されるものが十八ないし二十万トンある。大臣、その上、政府のベースに乗らないものが五十万トンぐらい出るわけですよ、他用途米が。そして、さっきの安井理論から言うならば、足りないことはない、こう言うのだ。絶対量はちゃんとつくれる、こういうことになれば、主食用で買ったものを回したってできるのだから、数学的に他用途米をこれから新たに輸入しなければならないという理論は成り立たないと私は思う。  これはひとつ大臣は事務当局の説明をよく調べてみて、これだけ問題になっているときに、輸入しなければならないぞなんということを事務当局が言うのを大臣が真に受けている事態は過ちだと私は思う。どうです。
  132. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先と言われることはよくわかりますが、十万トンというのは、五十三年産米の五〇ppm以下というのについては、これは恐らく主食の方でございます。それで、韓国から来る十五万トン、これは今事務当局から申し上げましたとおり、二万トンから二万五千トンぐらい毎月必要じゃないかということでやってまいりますと、いわゆる加工原材料用の米は数字で申しましても足りなくなってくるということになるわけでございまして、何とか農業者の団体皆さんにも御理解をいただいて、御協力をいただいて、ひとつ安定供給、これの責任を果たしていくようにお願いしたいというぐあいに考えます。
  133. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 すれ違いだから、また夕方続けます。  これで質問を終わります。
  134. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 恐縮でございますが、今大臣から御説明させていただきました数字の中で、五十三年産米の残留臭素の暫定基準に合格するものの数字でおおよそ十万トンぐらいか、こういうふうなことでまず御説明があったのですが、その数字はまだ十分固まってない段階でございますし、最終結果につきましては検査を進めてみなければわからないということが一点。それから、これらの用途でございますが、加工原材料用を主体としておりまして、一部は主食用といいましょうか、業務用に充当しておるのが実態なんでございますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  135. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 津川武一君。
  136. 津川武一

    ○津川委員 私は、とりあえず大臣に政治的な基本姿勢、そして諮問の具体的な内容に対しては後刻事務当局にお尋ねいたします。  政府諮問案の一・四五%アップというのが全く問題にならないことは、今までの野党同僚議員の質問のとおりでございます。そこで私たちは、この問題にならない諮問案を撤回して農民の要求にこたえるような再諮問を行う必要があると思っております。それを強く主張いたします。大臣の答弁を求めます。
  137. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいままで御答弁申し上げ言したとおり、一・四五%ということで現在米価審議会諮問をいたしまして、いろいろ御意見をお伺いしておるところでございます。これにつきましても、御存じのとおりの行革審の報告等もございまして、厳しい情勢でございますが、けさも大蔵大臣と早朝から二度にわたりまして、今の日本の農業の置かれておる立場、米の問題等をいろいろ話しまして、そして一・四五ということで頑張ってやってきたところでございます。今後も米価審議会等意見等をよく伺いまして、そして米価決定してまいりたいというぐあいに考えます。
  138. 津川武一

    ○津川委員 第二の問題は、この農林水産常任委員会で、そして二十日には本会議で、米の外国からの輸入はやってはいけないと、これは国民的な常識にもなっておりますし、今進行しておる政府の手による韓国米の輸入に国民が激しい怒りを燃やしております。したがって、農林水産委員会の決議にも本会議の決議にもなったわけです。本会議の決議は二十日。三日よりたってないきのうあたりから、きょうあたりから、政府農業団体の他用途米を食用に買えという要求を聞くかわりに、もう一回外国米を輸入する、いわゆる第二次輸入、こういうことがささやかれております。報道されております。政府はそんなことをやってきたのか、やっているのか。  大臣としては、委員会の決議、国会の決議、これを尊重して、絶対に再輸入ということがあってはならないと思いますが、その方針を明らかにしていただきます。
  139. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 他用途利用米、これは、国内で生産可能なものはできるだけ国内で生産するというような観点に立ちまして、生産者と実需者、この自主的な取り組みを前提として、実需に見合った価格で供給するという趣旨で第三期対策の一環として取り入れたものでございます。したがいまして、政府といたしましては用途に応じた安定供給が図られるように、農業団体においてひとつよろしく御協力をいただきながら、何とか安定供給の責務を果たしていきたいというぐあいに考えております。  しかし、主食である米につきましては、両院での御決議、この趣旨を体しまして、今後とも米の需給の安定に最大限の努力を払ってまいります。趣旨を尊重してまいります。
  140. 津川武一

    ○津川委員 はっきりしない。これでは疑惑がますます深まるだけ。  そこで、大臣、この際、再輸入は絶対にしない、このことを明言していただかなければ国民は承知いたしません。再答弁を求めます。
  141. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 両院の決議を尊重してまいります。
  142. 津川武一

    ○津川委員 両院の決議は再輸入してはならぬということを言っておりますので、強く強くそのことを守ることを要求して、諮問の内容に入っていきます。  過去六年間生産者米価はわずか六%アップ、事実上の据え置き、生産費は六年前と比べて四二・三%も上がっております。十アール当たりの稲作所得は、五十二年から五十八年までの間に、五十二年には九万一千二百六十六円、五十八年には七万八百九十六円へと、二二・三%もダウンしております。その結果、一日当たり家族労働報酬も同期間に三九・〇%も低下するなど農家経営は困難の極に達しております。そのために、私のところに農家経営困難を切々と訴えるはがきが一千枚以上届いておりますが、ここに一つ、二つ紹介して大臣の施策の参考にしていただきます。  これは木造町の永田というところの三浦司という人。毎年恒例とも思える自民党の農民いじめ、農民だましの政治政策にはもう鼻血も出なくなりました。大幅な米価の値上げを要求しているのではありません。まことに紳士的な要求であります。我々の生活を守るために要求米価を実現してください。これが一人。もう一人は稲垣村の吉出というところの山口修さんという人。米価は六年据え置き、冷害は四年連続。妻を東京へ出稼ぎさせながら農作業をやり、合間に日稼ぎしているが、生活は苦しく借金はふえる一方。このままだと、あとの子供二人は高校に入れることができません。それで悩んでいます。借地も含めて三町五反ありますが、農業で食えない政治のために苦しんでおります。農業で食えない政治はやめてほしいのです。ことしの農民の要求はささやかで当然のことばかりだと思っております。要求米価を実現させてください。こういう三町五反歩の農家、妻を出稼ぎさせて自分は日雇い労働をやりながら田をつくっている。もう一つ、鶴田町妙堂崎の中野昭嗣という人。農民は低米価減反で借金がかさみ、先祖伝来の水田を手放しておるという状況です。要求米価実現、減反なしの田づくりにしてください、こういうことでございます。  こうしたことからいえば、農業団体要求している七・七%アップというのは控え目な要求だと思います。ところが、それさえも大幅に下回る一・四五%のアップ、これはとても引き上げなどと言えるものではないのです。実質七年据え置きの米価と言わざるを得ません。  そこで聞きますが、今回の諮問米価は農民の要求に十分こたえたと胸を張って答弁できましょうか。先ほど来審の庭に行ってみました。そうしたら、こう言っております。ことしは生産者米価を上げて農業を守れる絶好のチャンスだ。というのは、先般来問題になっておる米不足国民的な関心を呼んで、国民の支持をもらっておる。こういうときに問題が解決されなければ、農民は永久の地獄に陥って、もうお米を、田んぼを捨てるよりかしょうがない、こう言っております。この農民に大臣はこたえることができるのかどうか。もっとひどいのは、長年続いた生産者米価の抑制によって農民が田をつくる気持ちがなくなっている。今、日本の農業で一番問題なのは、農民に生産意欲を与えるということ。どうしても生産意欲を回復させる内容にさせなければなりませんが、今度の諮問はこれらにこたえておりますかどうか、大臣の端的な所見を伺います。
  143. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 御存じのとおりに、行革審の報告等にもありますとおり、かなり厳しいものでございました。これは財政当局もそのような姿勢ということでございまして、本当にけさ早くから二回にわたりまして大蔵大臣と折衝いたしまして、一・四五ということで一応諮問案というのを決めたわけでございます。すべて満足ということにはまいりませんが、しかし、一生懸命頑張ったというのも認めていただきたいと思います。
  144. 津川武一

    ○津川委員 一・四五%という低い米価諮問したについては、経済のことが問題になるようでございますが、七・七%上げたとしても財源が千五十五億円。戦闘機一機百五十億円なので、七機分削れば可能なんです。この点のことを財源として私たち強く強く政府に申し上げて、要求米価を虫現させていただきたいのです。これが最後の質問一つ。  最後の質問の二つ目は、一・四五%アップのこれだけの財源を政府良質米奨励金のカットなどで出して実質上農民の手取りを減らす、こういうことをしてはならないという問題です。  三番目は、財源を消費者米価の値上げでやるんじゃないか。金子前農林大臣は一年前の米価決定のとき、消費者米価には連動させないと約束したが、今の大臣になってから、その連動させないという約束をほごにして、あなたの初仕事として消費者米価を上げております。今度の一・四五というわずかな生産者米価の値上げの財源として、消費者米価を上げることはないでしょうね。この三点を念を押して伺って、質問を終わります。
  145. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 米価引き上げに伴うところの財源につきましては、今後の食管運営の推移を見きわめながら、自主流通米に係る助成の見直し等を含めまして創意工夫を凝らしながら、食管運営全体の中から捻出できるよう努めてまいりたいというぐあいに考えております。  良質米等自主流通米助成につきましては、臨調等からの厳しい指摘が行われているところでありますが、本年産の自主流通米助成につきましては、制度の健全な発展を図るという観点に立ちながら、自主流通米の流通実態や政府米の財政負担との関連等も踏まえて検討を行っていきたいと思っております。  そしてまた消費者米価につきましては、売り渡し価格……(津川委員「上げない」と呼ぶ)いえ、これははっきり申しまして生産者米価とは別のものでございます。今後の扱いにつきまして、家計費、物価、それら等を勘案しながら消費者の家計の安定を旨として決めてまいりたいというぐあいに考えます。
  146. 津川武一

    ○津川委員 今の自主流通米の奨励金、どうやら下げるという格好にありますので、そんなことは絶対にしないということをもう一回明言していただいて、私は終わります。
  147. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 流通実態そしてまた政府米の財政負担との関連、これを踏まえて検討を行っていきたいというぐあいに考えます。
  148. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  149. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 串原義直君。
  150. 串原義直

    ○串原委員 順次伺ってまいります。  まず次官に伺いますが、ことしはど米が不足である、あるいは韓国米輸入という事態、各種の問題が多く出てまいりまして、農民の心を逆なでした年は珍しい。こんな年は初めてだと思うのであります。にもかかわらず、一・四五%というまことに低い米価。これは実質的には据え置きですね。これをお決めになった。  私が知る限り、私の友人である農家皆さんは、米をつくってももう勘定が合わない、しかしそれにしても心配ないように自家用米だけは確保しよう、これだけは確保しておこう、そのために水田を管理していくんだ。実はこういう考え方ですよ、私の友人たちは。これではどうも日本の農業の将来は心配だし、いよいよ農家皆さんの心というのは米から離れていく。特に一・四五%値上げということでは、農家皆さんの気持ちは土から離れていくのではないかと私は憂慮いたします。政府はこれで農家の目をもう一度米づくりに向けることができるとお考えですか。
  151. 島村宜伸

    島村政府委員 先生指摘になられるまでもなく、農家の実情が大変厳しい状況下に置かれているということは私たちも重々承知しておるわけでございます。しかし、御承知のように財政事情も大変逼迫いたしておるわけでございますから、長期的な視野に立った国家の運営という判断で大所高所でいろいろ苦労をして積み上げた結果が一・四五%ということであると私は承知いたしております。したがいまして、我々なりには最善の努力をした結果でございますので、御容認いただければありがたい、こう考えます。
  152. 串原義直

    ○串原委員 金の都合もあった、そういう中で努力をした、これが最大限である、こういうことですね。そういたしますと、もうこれからは再度かさ上げということはない、こういうことですか。
  153. 島村宜伸

    島村政府委員 私ども自身は現在は一・四五%という線を出しまして諮問いたした結果でございますが、御承知のように、きょう、あすと米価審議会が開かれておりまして、その委員の方々の御意見等承りながら、また政府そして党がそれぞれの立場でいろいろ話し合いを進めまして最終的な結論を出す、そう考えますので、現時点では一・四五%とお答えさせていただきます。
  154. 串原義直

    ○串原委員 その推移はこれから眺めさせてもらいます。  そこで、算定方式について一言触れておきますけれども、先ほど来価算定方式については説明をいただきました。そして、先ほど我が党の同僚議員からの質疑を聞いていて、やはりことしも逆算方式算定方式をこしらえたなという感じが率直にいたします。先に米価を決めておいてそれから算定方式を当てはめた、こういうことですよ、ことしも間違いなく。どういうふうに言われようともそういうことだ。つまり、年ごとに米価算定方式が変わるということはいけませんということを私は何回かこの議場で指摘してきたはずです。きちっと算定方式を確立すべきだ、こう言ってまいりました。にもかかわらず、やはりことしも答えを決めておいて逆算方式を当てはめた、それが一・四五ということにたまたまなっただけである、これは金の都合でそうなった、こういうことですね。まことに遺憾至極です。  伺いますが、五十六年度方式でやったらことしは幾らになるのですか。
  155. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  五十六年度の方式で計算させていただきますと、基準価格でございますが、一万九千九百六十円になります。六十キロ当たりでございます。五十八年産の基準価格は一万七千九百九十六円、六十キロでございますので、一〇・九%アップということに相なります。
  156. 串原義直

    ○串原委員 この算定方式で時間をとるわけにいきませんから、一つの例として今伺ったのですけれども、そういうことなんですよ。五十六年の方式でやると一万九千九百六十円、一〇・九%上がる。仄聞したところによると、去年の算定方式だと〇・一である。いろいろな話し合いの結果一・四五%になりました、これだけのことでありますということでは、農家皆さんは承知しっこない。どう言っても承知しっこないですよ。まことに不満な米価である、明確に私は申し上げて、そこで伺いたいことは、算定方式というものはきちっと決めておいて、出た答えはそのとおりに米審に諮問すべきである、そういう方式をこしらえなければいけません。そうじやありませんか、そう思いませんか、どうです。
  157. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 算定方式についてでございますが、今年におきましては米価審議会の中に小委員会が設定されまして、たびたびの検討を重ねていただきました結果が報告されているわけでございます。私どもは、そのような算定に関します米価審議会の報告、それからまた、先般行われました前広米審の論議を踏まえて今回試算をさせていただいたわけでございまして、これらの米価審議会の報告は十分尊重してやらしていただいたと考えております。     〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 串原義直

    ○串原委員 次長、私の言っているのは、年ご上に算定方式が変わってはいけませんということを言っているのですよ。算定方式をきちっと確定しておいて、その上で昭和五十九年度の米価、六十年度の米価を算出して諮問をしなさい、そうすべきではありませんか、こういうことを言っているのです。そのことを言っているのですよ。正確にお答えください。
  159. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生の御指摘の点は十分私も理解しておるつもりでございます。  なお、米価審議会算定委員会の報告でございますが、その報告の中を見ますと、余り安定件というふうなことに執着すると弾力性を失っていろいろの事情等に対応し得ないようなことにもたる。したがいまして、当面三年程度を基準にして基本的な事項については変えない、こういうようなことで考えてはどうか、こういう御意見もございまして、私ども、今後そうした御意見も踏まえて米価算定ということはやっていかなければならない、こう考えております。
  160. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、三年程度は固定しておいて算定方式考えたい、こういうことですか。
  161. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 もう一度申し上げますと、算定要素というふうなもの、いわゆる家族労働費だとか自作地地代だとか自己資本利子だとか、こういったものでございますが、いずれも所得付与的な性格のものでございまして、「このうち、家族労働費の評価生産費及び所得補償方式の根幹をなす部分であるので、具体的なとり方を決めた後は、当面の適用期間中は、原則として変えないことが適当」ではないか、また「自作地地代及び自己資本利子の評価については運用に若干の幅を古たせることも考えられる。」こういう報告をいただいているわけでございます。
  162. 串原義直

    ○串原委員 次長、ちゃんと答弁しなさい。算定方式をきちっと固定しておいて、年ごとに逆算半価みたいなことをやりなさんなということを私は言っているのです。だれがどう言ったということを聞いているんじゃない。政府の方針、食糧庁の方針としてあなた方がきちっと算定方式を確定しておいて、その算定方式に基づいて出た答えを米審にかけなさいと私は言っているのです。そのことをよろしくないと思うのですか、どうですか。
  163. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 算定方式につきましては生産費所得補償方式をとっておるわけでございますが、その要素のとり方につきまして先生指摘の点があるのではなかろうかと考えておるわけでございます。それで、今先生指摘のように逆算米価ではないかということでございますが、私どもの方では、今年、先ほど申し上げましたような米価審議会の御意見を踏まえまして算定しているわけでございまして、逆算してこれにこう近づけて云々、こういうことよりは、むしろきょう御説明させていただいたような方式で求めましたものが一・四五%のアップになった、こう御理解いただきたいと思います。
  164. 串原義直

    ○串原委員 これで時間をとるのは困りますから、これでやめますけれども、では来年もことしと同じ方式を適用するのですか。
  165. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先ほど申し上げました家族労働費の評価がえというふうなことにつきましては、米審の報告にもそれをちゃんと固定的にやつた方がいい、こういうことではございますが、ほかは弾力的にやる面もある、こういう御指摘もございますし、私どもといたしましては、食管法の規定にいろいろの事情を勘案して考えろ、こういうことにも相なっておりますので、今後につきましてはできるだけ安定的な算定方式考えてまいりたいと考えておるわけでございます。
  166. 串原義直

    ○串原委員 再度要請して次に移りますが、年とともに算定方式が変わるということではいけません。ことしはこの部分はこういたしました、ことしはこの項目はこう変更いたしました、こういうことではいけないわけですよ。したがって、少なくとも六十米穀年度までにはきちっとした算定方式というものをいま少し確立をして、農民の理解を得られるようにせっかく努力をされることを期待をしておきます。  続いて、ことしの米価は他用途利用米のこと、良質米奨励金のこと、転作奨励金との関連などで決められたものであるのか、あるいはそれらのことは後日のこと、つまり別個のこととして、米価米価単独で決められるということになるのか、大事なところだから伺っておきます。
  167. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  現在米価審議会諮問しております米価につきましては、先ほどの算定方式に従いまして算定をし、諮問しているわけでございまして、相互の関連というふうなものを持たせつつ云々ということではない、このように御理解いただきたいと思います。
  168. 串原義直

    ○串原委員 つまり、他用途利用米、良質米奨励金、転作奨励金等との関連はありませんという明確な御答弁を今いただきましたが、したがって、ただいま申し上げました米価の問題以外の三点につきましては、別の機会に検討決定される、こういうことでいいわけですね。
  169. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 自主流通米の奨励金等につきましては、現在、それぞれ自主流通米制度を今後とも健全に発展させていく、こういう観点に立ちながら、その流通の実態なり政府米の財政負担との関連等を検討しておるわけでございまして、この問題につきましては、どういうふうにやるかは現在検討を深めておるということでございまして、時期は別途――そういう立場で、私たちは自主流通米制度については現在検討はしていることはしております。
  170. 串原義直

    ○串原委員 では、次に移りますけれども、過日、国会の決議がございました。米の需給安定に関する決議です。特に輸入に依存することのないよう、国内生産によって自給の方針を堅持することの項につきましては、次官、どのように受けとめられていらっしゃるか、明確にお答えを願います。
  171. 島村宜伸

    島村政府委員 米は日本人の主食でございますし、米につきましてはあくまで国内生産においてこれを賄うという前提を踏まえて我々はこれからも取り組んでいこうと考えております。
  172. 串原義直

    ○串原委員 つまり、輸入してはいけないという国会の意思を尊重する、輸入するということは考えない、こういうことですね。
  173. 島村宜伸

    島村政府委員 常識的に日本人の食生活が保障されるという判断がなされる以上は、断固この前提を踏まえて我々は活動すべきだ、そう考えております。
  174. 串原義直

    ○串原委員 今、言葉を慎重に選んで御答弁になったが、つまり輸入をするということは考えない、こういうことですね。
  175. 島村宜伸

    島村政府委員 私が今申し上げました意味合いは、天災地変その他特別我々が不可抗力と言えるような状況にあって、国内生産で予定したものが全く確保できないというときになるような場合を一応頭に浮かべて御答弁申し上げましたが、通常の場合には輸入は考えない、こういうことでございます。
  176. 串原義直

    ○串原委員 そこで伺いますけれども、他用途利用米を主食に買うとすれば、タイなどのくず米を入れなければならぬことになるので、そのこと、つまりくず米などを輸入することを認めてもらえませんかということを農業団体に強要した、こういうことを聞くわけですね。まことに私はこれは許せない態度だと思う。全く筋の通らない話というのはこのことです。米の需給責任を持たなければならぬのは政府ですよ。あなた方の言う他用途利用米を主食用に買い上げるということの要求を通せというのならば、タイからくず米を買ってきますよ、そのことをいいですか悪いですかということを農業団体に可否を求めるということは許せない。これはどういう感覚でおやりになったのですか、お答えください。
  177. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米の政府買い上げ、主食用として政府に買い上げるようにという要請団体側から提出されておりますことは、私どもも承知しておるわけでございますが、私どもといたしましては、この他用途利用米につきましては、五十九年産米から生産者の御意向も踏まえ、また実需者との間で、両者の間で供給契約が交わされまして、円滑な流通が図られることを期待しておるわけでございまして、今もってそうした供給がなされることを私ども生産者の皆様方にも期待しているわけでございます。  したがいまして、もしその他用途利用米が主食用に買い上げられました際、その加工原材料用の需要が十分充足し得るかどうか、こういう問題もあろうかと思うのでございます。いろいろ御意見はあるようでございますが、マスコミ等では、直ちにそれを輸入というふうなことに結びつけられまして報じられてもおるのではないかと思うのです。私どもの方から、主食用で買えと言うのなら輸入だよということを逆に押しつけたといいますか、そういう意見を吐くようなことはございませんし、私どもは先ほど申し上げましたような方向を期待しておるわけです。  いずれにいたしましても、加工原材料用の用徐につきまして、もし他用途利用米が主食用等に充当されることになりますと、その加工原材料用の用途に不足を来すということは想定されるわけでございますので、その不足分が充足されない限り、主食用はともかく供給責任は果たせたといたしましても、加工原材料用部門の供給責任を果たし得ないというようなことにも相なるわけでございまして、私ども、双方の供給責任が十分果たせるような点につきまして、生産者皆さん方とも今後協議しながらその対応策を考えていかなければならぬのじゃないかと考えております。
  178. 串原義直

    ○串原委員 これはマスコミの報道ですけれども、自民党と一緒に農業団体に輸入を承認いたしますか、右か左か、どうしますか、こういうことを迫りたと言っている。それから、農業団体関係者によりますと、その問題で延々と協議をしたということも実は私は耳にしているのですね。ということになりますと、他用途利用米を主食用に買い上げる、そうであるならばタイ等からくず米を買ってくる、輸入する、このことは自民党さんも了解の上であなた方と話をした、こういうことですかね。
  179. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 実は昨日までその交渉に私が当たっておりましたので、私から補足させていただきたいと思います。  ただいま山田次長から答弁がありましたように、生産者団体から他用途米を国で買ってくれという要請が来たわけでございます。その要請を受けまして我々いろいろ検討したわけでございますけれども、他用途米を国で買い上げますと、他用途米として生産なり流通を契約していた数量があるわけでございますが、この部分がなくなる。そうすると、その分は一体どうやって賄うのだろう。買ってくれということと同時に、その後に穴のあいたものについてどうするかという注文も一緒に出してくれということを、団体側に党と一緒に要請したわけでございます。  それを受けまして団体側では、穴のあいた部分についても、やはり集荷業者である農協、経済連、全農、こういうものにとりまして安定供給をする責務があるということで、先般来いろいろな知恵を出し合っているわけでございます。昨日夕方も、二十七万トソは買っていただきたい、しかしそれでは穴があくので十五万トンについて農家飯米から出す、そうすると別に輸入をしなくてもそういう知恵がありますというようなことも全中から当方に回答が来ているわけでございます。しかし、それにつきまして各県段階でそういう集荷体制なり約束が本当にきちんとできるかどうかというものにつきましても、組織内部でまだ議論が干されていないと聞いているわけでございます。  したがいまして、新聞等ではいろいろな報道がされておりましたけれども、我々の意識なり行動といたしましては、あくまでも他用途米ということでスタートし、他用途米ということで契約し、それからつくってきたというものを主食用というもので横にしてしまった際に、その他用途米の後埋めをどうするんだ、そういう後始末というものを並行して要請してくれなければ我々としては検討できないということで、全中の代表と二日、三日とかけましてお互い協議をしているというのが現状でございます。
  180. 串原義直

    ○串原委員 つまり、私の言いたいことは、他用途利用米を主食用として買い上げよという要請をするならば、加工用米が足らなくなった場合に困るので、それは輸入をしなければならぬ、それを了解するかしないか、こういう問いかけ方はしてはいけません、今後してはいかぬ、このことは明確にしておいてもらいたい。御答弁願います。
  181. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 二者択一を迫るような問いかけは当方としてはいたしておりません。
  182. 串原義直

    ○串原委員 これは、これからもしないという答弁と理解して、次に移ります。  したがいまして、加工用米も不足するという事態が心配であるならば、まず政府の態度としてとらなければなりませんことは、農業団体農家皆さんに、この心配をどうやったら取り除けるか考えてもらいたい、知恵を出してもらいたい、協力してもらいたい、こういうことであなた方から要請すべきだと思うのです。そこで知恵を出すべきだと思うのです。これを原則にすべきだと思う。つまり、国内生産ですべて賄うということを前提にしてその知恵を出すべきだと思う。このことを次官からお答えいただきたい。
  183. 島村宜伸

    島村政府委員 お答えいたします。  当然私どもとすれば主食用も加工用も供給責任を持つわけでございますから、その点につきましては、例えば主食用がまだ十分な保証を得ないという段階において他用途利用米を主食用として買い上げるというようなことについても話し合うべきではないか、こういうことでございますが、それぞれ価格が違いますし、これはあくまで生産者と実需者のお互いの立場に立って、いわばその価格との関連も含めて安定的に供給するという建前のものでございますから、これをいきなり生産者の側との話し合いということまで私たちはまだ踏み切れない、こういうことでございます。
  184. 串原義直

    ○串原委員 加工用米の主食用買い上げ問題も含めて、加工用米不足対策についても国内で賄い得る方策をまず最優先して考えていくべきですということを私は言っているのです。そのことはどうですか。
  185. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先ほど来山田次長から答弁しておりますように、主食用の需給は決して楽ではございませんけれども、いろいろな努力でどうやら賄っているわけでございます。それから別途加工用につきましては、主食用と別に、枠としては二十七万トン、契約ベースでは若干少ないようでございますけれども、そういうものの契約が単協段階と農家段階とは取り交わされているわけでございまして、ことし発足しました他用途利用米のいろいろな仕組みに従いましてこれが出荷されるといたしますれば、他用途利用米といいますか、加工原材料については不足を来さないわけでございます。今回加工原材料の不足問題が出てまいりましたのは、約束してきました二十数万トンの他用途利用米を主食用によけてしまうというところから出てきたわけでございまして、あらかじめ加工用が不足なのでこれをどうするというような問いかけをするような環境に、ことしは、現在のところではないわけでございます。
  186. 串原義直

    ○串原委員 全くこれでもう時間が過ぎてしまう嫌いがありますのでやめることにいたしますけれども、いずれにしても、先ほど答弁されたように、他用途利用米を加工用米にしないで主食用に買い上げるとするなら、加工用米が不足になる心配がある、これは輸入しますよ、輸入して充当しなければしょうがありません、仕方がありません、どうですかということを、イエスかノーかのような問いかけをしてはいけません、これを強く要請しておくことと、それから加工用米も不足するという事態、いかなる事態になりましても加工用米であろうと主食用であろうと不足するという心配があるならば、農業団体農家皆さんに充当する方策はないか、知恵はありませんか、これをまずお願いをしたり協議をしたりしていくべきである、これを原則とすべきである、こういうふうに思うのです。これは、次長からもう一度答弁しておいてもらいたい。
  187. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米制度の今後の円滑な発展を図るためにも、また国内におきまして加工原材料用の原料米を安定的に供給する、こういう観点からも、生産者団体なり実需者団体、またその行政に携わっている私どもといたしましても、相互に協議を重ねながらその安定的供給の確保、こういうことをやっていかなければならないことは、私ども申し上げるまでもなく必要なことだと考えております。
  188. 串原義直

    ○串原委員 けさ新聞に報道されました、私も若干耳にしておったことが報道されたのでございますが、我孫子市の教育委員会が日本食品分析センターに依頼して学校給食用米を分析した結果一八ppmの臭素が検出された、これは大変なことだというので文部省と農林省に伺って至急調査分析をしてもらいたい、こういうことをお願いしたということでございますが、私は遺憾なことは、このことは日野市にもかつてあった、日野市に次いで二度目である、こういうことですね。これは文部省御出席をいただいていると思いますけれども、どう受けとめておりますか。
  189. 小西亘

    ○小西説明員 お答えいたします。  我孫子市で学校給食米から残留臭素が検出されたという件につきましては、現在、まずこの事事関係をはっきりさせることが先決だと思っておりまして、日本学校健康会に指示いたしましてその事実関係について調査している最中でございます。
  190. 串原義直

    ○串原委員 文部省筋としては、今の調査の答えはいつごろ出ますか。そうゆっくり時間を置いてはいけないと思う。いかがですか。
  191. 小西亘

    ○小西説明員 できる限り速やかに調査の結果を出してくれるようにという指示をいたしております。
  192. 串原義直

    ○串原委員 速やかにというのは、十日前後で出ますか。
  193. 小西亘

    ○小西説明員 可能な限り早くということでございます。
  194. 串原義直

    ○串原委員 それでは食糧庁に伺いますが、学校給食用の米は当年度米でなければならないことは原則でしょう。いかがですか。
  195. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 御指摘のとおり、学校給食用の米穀はすべて新米を供給する、こういうような建前でやっておるわけでございますが、なお、今先生指摘の日野市の場合におきましては、私記憶するところでは、学校健康会からの正式ルートを通じての米を調達したものではなくて、その市内におけるお米屋さんから勝手にお買いになった、こういうふうなものじゃなかったかと思うわけでございます。そのときの分析結果が多分一〇ppm以下じゃなかったか、こういうことで、ちょっと記憶は定かでございませんが、多少ルートの違ったところからお買いになってそれをお使いになっていたということでございまして、一般の学校給食用の米穀につきましてはすべて新米が供給される、私たちはこういうふうな仕組みをつくって供給体制をしいているわけでございます。
  196. 串原義直

    ○串原委員 といたしますと、柏市にもそういう事実があったそうでありますけれども、我孫子市の小学校で事実それが検出されたということはどういうことでしょう。つまり、私の理解では五十三年ごろの古米がどこかで混米されたのではないか、こういう疑いを私は強く持つわけですよ。五十八年産米から臭素が出るということは私はどうしても理解できない。そういうことがあるのですか、次長さん、どうです。
  197. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 臭素の残留性につきましては、自然界にも臭素はありますので、多少の残留は新米についても認められるわけでございます。特に場所によりまして、それが海岸等に近いといいますか、一定の地域のものについては多少臭素の含有量が新米におきましても高い、そういう事態はあるわけでございますが、なおここで報じられておりますような一八ppmという数字につきましては、一般の新米だけでそれが測定されるというケースにつきましては私もまだ初耳でございまして、そうしたものの原因が那辺にあったか、現在私どもの方出先の食糧事務所にも調査をさせておる次第でございます。
  198. 串原義直

    ○串原委員 次長さん、食糧事務所に調査をさしているということ、それもそれとしてよろしいが、私はこれは重大な事態だと受けとめているのです。私の常識では、五十八年度米から臭素が一八ppm出るはずがない。だとすると、その原因は何か。食糧庁から現場の食糧事務所に、どんなぐあいでしたかちょっと調べてみてくれや、ぐらいな受けとめ方では大変だというふうに実は思っているのです。これは厳しく受けとめてぴしっとした調査、徹底した調査、少なくとも古米の流通経路も含めた調査をすべきだと思っているのです。いかがでしょうか。
  199. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 御指摘の点も踏まえて調査を実施いたします。
  200. 串原義直

    ○串原委員 いつごろまでに答えが出るでしょう。
  201. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 調査の期間でございますが、私ども、文部省の方と相談しながら現在調査をやっているようでございまして、との点なるべく早くその結果を明らかにしたい、こういうことでひとつ御理解いただきたいと思います。
  202. 串原義直

    ○串原委員 期限を切っても無理でしょうけれども、先ほどから申し上げるようにこれは大変な問題だと私は受けとめておりますから、可能な限り緊急に調査を進めていくべきである、強く要請しておきます。  時間がそろそろ参りますから、最後になろうかと思いますけれども、今月の十七日に通産省と話し合いをして韓国米の輸入承認が行われたようです。これはいつどのような方法で輸入されてくるのか、これが一つ。  いま一つは、あちこちから韓国米の安全性についての意見も実は出ている。これは皆さんお聞き及びだと思っております。私も聞いております。その内容の正否はともかくとして、安全性について私はやはりチェックする必要があるのではないかと考えておりますが、その安全性のチェックの仕方はどういうことにいたしますか、これが二つ目。  いま一つは、臭素問題で残念ながら食糧庁はいささか国民から米の安全性につきまして信頼を失ってしまった、そういうこともあるから、この韓国米の安全性について関係機関、団体から要請があったならば、検査してもいいですよ、してくださいよということでサンプルを提供する用意がありますかどうか、これを質問いたします。
  203. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 韓国産の返還米につきまして、まず第一点の、いつどの辺に入港するか、陸揚げされるかという点でございますが、現在韓国の方から其体的な、どの港でどのような船でいつごろ積める、こういう詳細な報告がまだ来ておりませんので、私どもはその報告に接しまして具体的な港及び入港日時がはっきりしてくるのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。なお、予想されますところでは、まだ日時等はっきりしないのですが、八月の初めごろになるのではなかろうか、これは予想でございまして、まだ確定的な通報に基づいて申し上げている段階ではございませんが、そういう点が第一点でございます。  それから、第二点の安全性の問題でございますが、安全性につきましては、韓国にありますところの、現在もみで貯蔵されているもので日本に返還されると想定される場所から、全倉庫からサンプルを日本に空輸させていただいておりまして、そのサンプルにつきまして厚生省と協議いたしまして、食品安全性に関する基準として設けられているもの十三項目、それからあと三項目は、先般の臭素の残留性の問題で出てまいりました残留臭素、それから臭化メチル、それから燐化アルミニウムだったと思うのですが、そうした項目につきましての検査をして、それで安全なもののみを日本に送っていただこうということを今手配しているわけでございます。それを逐次進めさせていただいております。それからなお、返還されて国内に陸揚げされるものについてでございますが、それにつきましては別途に厚生省とも今協議しながら、安全性の確保の観点から念には念を入れて、どのような項目についてどういう分析調査をすればいいかということを現在検討している段階でございます。  最後に、サンプルの提供の問題でございますが、これはまずは私ども、今申し上げますような安全性の確保ということでやらしていただいておりますので、それを信用していただきたい、このように思うわけでございますが、なお必要な要請というふうなことになりますれば、その時点で検討させていただく。といいますのは、どうでもこうでも幾らでもというふうなことにでも相なりますと、いろいろと、私の方のそういった食管物資につきましてサンプルがどこでも歩くというのもいかがなものかというふうにも思いますし、その辺はひとつ今後の問題として、私どもができるだけそういう疑惑を招かないような安全なものを国内に持ってくる、こういうことで今頑張っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  204. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、終わります。
  205. 阿部文男

    阿部委員長 細谷昭雄君。
  206. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 先ほど諮問米価が我々に説明されましたけれども、若干この問題について質問をいたしたいと思います。  最初に潜在生産量の問題でございますが、千三百八十万トン、平年単収四百七十九キロ、こういう最初の設定に対しまして、私は、実態からしましてこれは誤りであるということを指摘しながら、その是正を求めたいと思ってきのう通告をいたしました。しかし、先ほどこれが一転して是正をされましたが、この是正の結果、きょうの諮問米価にどれだけはね返っておるのか、それから平年単収四百七十九キロは変わらないのかどうか、この二つ。
  207. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 潜在生産量につきましては、第三期対策の仕組みでは、その真ん中の年度で千三百七十五万トンでございますが、昭和五十九年につきましては千三百八十万トンというふうに見込んでおるわけでございます。  今回諮問米価算定に際しまして、これから若干のいわゆる定着性の高いもの等を引いておるわけでございますが、その前提になります引く前の千三百八十万トンにつきましては、第三期対策の仕組みとしまして、今お尋ねのございました単収の中で申しますと、昭和五十九年産米につきましては全国的には四百八十キロという数値で見込んでおります。また面積につきましても、五十七年の米の作付面積に転作等実施面積を加えまして、それから若干の水田の壊廃面積を引くという、それが千三百八十万トンというもとの数でございます。今回はそれから大体定着性の高いもの等の十一万トン、それから他用途利用米二十七万トンを引いたわけでございまして、その根っこになっております千三百八十万トンという数値そのものについてはこれをまだ変えておらない、こういうようなことでございます。
  208. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 かなり専門的なことで、これは極めてわかりにくいわけですよ。千三百八十万トンというのは、先ほど説明がありましたとおり実情には即しておらない。しかし、この潜在生産力そのものがとどのつまり第三期水田転作の基本になっておりますから、この基本の諸元が誤りだ、これを崩していきますと当然第三期転作の是正をしなければならぬ、こういうことになるわけですよ。それをもとにしながら、やはり米価というものは諸要素が入ってきますので、この潜在生産量が千三百八十万トンから千三百四十二万トンに変わったことによって今回の諮問米価にどの程度影響を与えたのか、このことを聞いているわけです。
  209. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  今の計数の変更によりまして〇・八%程度の影響があろうかと推定されます。
  210. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 第二は試算の諸要素について、これは同僚議員からいろいろ指摘がありましたし、これからもあると思います。私は端的にお聞きしたいと思います。  この試算の諸要素をどうとるかということによって、先ほど串原委員指摘されたように非常に違ってくるわけです。この諸元のとり方、諸要素のとり方というのは、大変皆さん方御都合がいいように、そのときの状況に合わせて諸元のとり方を変えていくわけですよ。その結果、私がさっき指摘しましたように、五十六年以降の米価は、生産費所得補償方式とは名前ばかりで、結局は生産費を償うに足る米価になっておらない。逆転現象が起きておるというのはそのためなんですよ。そのことを串原委員指摘しておるわけです。  諸要素のとり方が極めて御都合主義で、財政負担を少なくする、つまり、皆さん方が最初に米価を決める、いわゆるつかみ金で決める、それに合わせて諸元を決めていくということ。ですから、一貫性がないというように指摘されておるわけです。私もそのとおりだと思うのです。そこで、生産費所得補償方式が現在破産状態になっておるということは、東京工大の梶井教授が既に指摘されておるところでございます。私もそう思うのです。そこで、生産費のとり方について、全販売農家生産費に変える必要を認めないかどうか。
  211. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 御指摘の点につきましては、米価審議会の価格算定委員会結論を見ましても、需給事情等特に構造的な過剰状態に置かれておる場合には何らかの方法で算定に反映させることが必要ではないか。そうした場合の方法論といたしまして、今先生指摘生産費の対象農家を限定するという方策がある。そうした場合どういう方法でやるかということでございますが、私どもが今回も採用させていただいておりますそれが一つの案である、こういうふうに認めていただいておるわけでございまして、一応そのような結論に示されました考え方で今回もやらせていただいている次第でございます。
  212. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 そうだとすれば、小委員会というのは生産農民にとっては、これは失礼な言い方ですけれども、少なくとも生産者側に立った小委員会ではない、こう言えるわけです。皆さん方の言う米は過剰傾向に現在あるのだ、したがって、抑制をするための要素として全生産農家生産費はとれない、抑制する立場での要素をとるという言い方ですので、極めて遺憾だと思うのです。  家族労働費の評価にしましても、私は五人以上の全国平均、いわば他産業の平均をとるべきだという主張を持っているのですが、これまた同じだと思うのです。今次長に聞かなくてもわかるのですよ。三番目の自作地地代についても同様なんです。先ほどの説明では固定資産税の評価額と言いましたが、これはそうじゃなくて、正常売買評価の価格を修正しながらそれに土地資本利子を付与する、これを起算しなければ正当な生産費は出てこないと思うのです。そのことを怠っておる。まさにどの要素、諸元をとりましても抑制をする方向でしかとっておらない。ですから、このように逆転現象が起きる。生産費所得補償方式だって使わないでもらいたいと思うのです。これはごまかしですよ。そのことについてどうですか。
  213. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 生産費所得補償方式によりまして各要素につきましていろいろと算定をしておるわけでございますが、今先生指摘の家族労働費の都市均衡労賃への評価がえにおきまして、製造業五人から九百九十九人を私どもは採用させていただいておるわけでございます。それをいわゆる青天で全部を採用したらどうか、こういう御意向かと思うのでございますが、そうした場合におきましては、大都会に大工場等がありましてそうした賃金を算定することにもなりますし、むしろこのことにつきましては都道府県別の米の販売量ウエートで今の五人から九百九十九人くらいの規模のものを平均を出す、こういうふうなことが家族労働費を都市均衡労賃に置きかえる場合にはより妥当ではなかろうか、こう考えているわけでございます。  もう一つの自作地地代の問題でございますが、今先生指摘のようにその土地資本というふうなことで見ました際に、私どもが言っている固定資産課税額ですか、それで見るのか、そうではなくて別の団体がやられたような方法があるのか、こういうことでございますが、農地につきましてけ私どもが採用しておりますような方法で固定資産税はかけられておるわけでございまして、一般の土地につきまして別の評価がなされておる、こういうふうに御理解いただければと思うわけでございます。私どもも決して故意にやっているということじゃなしに、さっき申し上げましたような米価審議会の御報告をいただいてやらしていただいているわけでございます。  なお、米価審議会米価算定委員会のメンバーには生産者を代表するような学識経験者の方古お見えでございまして、先ほどの調査対象農家の選定について、私どもは申し上げましたような潜在生産数量と総需要量との比率をとってやっているわけですが、生産者のそういった方々等も入れた中には、別の御意見として、当面は需給が逼迫しているからそういうのをとらずに全対象農家々とるということもあるではないか、こういう御意見もあったことは、実は事実でございます。
  214. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 諸元のとり方につきましては、私は意見を述べましたが、少なくともかけた生産費は償うことができる米価にするために、こんな間に合わない諸元はとらない、これだけは強く要望したいと思います。  時間がなくなってしまいますが、財政当局お尋ねをしたいと思います。  今回の生産者米価財政措置をどうされるつもりなのか。  一つは、今一・四五%、これがアップになったわけです。もちろんこれは後から政治加算という形でさらにアルファがつくだろうと思うのですが、行革審は三・四%といういわゆる逆ざや解消を強く要望されております。財政当局は、行革審から言われているからということで、黙っているとすぐこの逆ざや解消を言い出すわけですよ。昨年の米価の際にも早速大蔵省から、米価審議会米価決定した途端、消費者米価を上げなければならぬということがありました。こんなことがあってはならぬということで、私は今質問するわけであります。現行逆ざや三・四%、それに今回の一・四五%上がりますと四・八五%という逆ざやになるわけであります。これに要する経費は何億でありますか。そして、大蔵省としてはこの財源措置をどこに求めるつもりでありましょうか。これが第一点。  第二点は、逆ざや解消といいますのは、食管法三条二項、これによって生産者には生産費所得補償方式、そして消費者には家計を圧迫しない、これを旨とすると書いてあるのですよ。法の精神は、そこの旨とするというところにあると思うのです。私どもはそれを二重米価制度と言っているわけです。生産者には高く、消費者には、すべての国民に対して食糧を安定的に保障していくという精神、これは昭和十七年というあの米穀の非常に不足する時代につくられたという法律の趣旨からしても明らかであります。それは現在生きておる。ですから、財政当局がばかの一つ覚えみたいに逆ざや解消を叫ぶというのは、まさにこの食管法第三条二項の法の精神を無視するというふうに思わざるを得ないわけであります。  そこで、私は、この逆ざや解消なんということを言わないでほしいということ。そうして、もしもこれを逆ざや解消という形で、ことしの二月みたいに消費者米価を上げますと、直ちに卸量の段階、小売の段階を通りまして、一般家庭には、単に行政当局が決めております政府米の売り渡し価格の消費者米価ではなくて、六〇%以上が自流米を食べているという一般家庭では物すごい価格で高騰しているわけであります。我々が米の調査を大都市において行ったことでも明らかであります。先日、これは小川委員によって詳しく皆さん方に質疑されておりますので、省略いたします。いたしますが、少なくとも本旨は、あのような高い米価をつくらないということが本旨でございますので、自主流通米というのは需要によっては自由に値段が動いていくわけでありますので、その基本になる米価政府米価のあれを上げては絶対ならぬ、私はそういう意味で、財政当局に財源をどうするかという点では安易に逆ざや解消を言ってもらいたくない、このことを強く要望したい。この点でどうだかという点。  第三点は、五十九米穀年度では、現在二十四万トンの買い上げされない、いわば買い上げを達成されておらない量があるわけです。そうですね。二十四万トン、つまり政府米として皆さん方が買い入れすることのできなかったそういう政府米があるわけです。この二十四万トンは、私の試算で現在の米価に直しますとトン当たり三十万三千円、これに二十四万トン掛けますと、概算して七百二十七億円という数字が出るわけです。七百二十七億円は食管会計で保留されておる財源であります。そのほかに保管料が大分使い残しがあります。それはどのくらいあるか。そのほかに輸送費、手数料、これも米がとれないものですからその分だけ余っておる。こういった問題で、いわばかなり財源の余裕が出ておるじゃないか、五十九米穀年度の会計では。  そこで、私は、食管特別会計の性格上、これは食糧の安全確保上の措置として特別会計にしておるというふうに承知をしておるわけであります。この点どうでしょう。財政当局のお考えを聞かせていただきたい。  さらに、先日、両院で米の需給に関する決議が行われました。あの趣旨も同様だと思います。したがって、私は、国家財政という中で、特に来年度予算について、現在シーリングが云々されております。今から防衛費は聖域であるというふうなことを、財政当局が言ったのかどうかわかりませんよ、わかりませんが、そんなことが言われておるわけであります。私は、防衛費の聖域は認めないけれども、少なくとも国民の平均的な立場からしますと、この食管特別会計なりこの食管制度なりというのは、すべての国民が、これこそ手をつけない、聖域であるべきだと思っているわけであります。その意味で、これは少なくとも一億二千万の国民の食糧安全保障という意味で、財政当局から、六十年度予算の際ないしは五十九米穀年度の特別会計を削減しないという約束、これをぜひ言明をしていただきたい。  以上五点について、農林水産省の当局にも関連あるところ、それから財政当局からもお答え願いたいというふうに思います。
  215. 寺村信行

    ○寺村説明員 今回の生産者米価引き上げに伴います必要財源は約二百億円でございます。これにつきましては、食糧管理費の節減合理化により対応してまいりたいと考えております。  それから逆ざや解消の問題でございますけれども、消費者負担にいたしましても、あるいは財政負担、財政負担は納税者負担でございますので、いずれにいたしましても国民の負担であることには変わりがないわけでございまして、基本的には、こういったものの値段につきましては、受益者負担によるのが妥当ではないかという考えのもとに逆ざや解消という措置をこれまで続けてきたところでございます。現在、財政が非常に厳しい状況にございます。先ほど御指摘にもございましたけれども臨調答申にも盛られていることでございまして、引き続き逆ざや解消の努力は続けてまいりたいと考えておりますが、今後の消費者米価の具体的な取り扱いにつきまして、現段階で何か決めているということはございません。  それから、来年度予算編成に関連いたしましての問題でございますが、本年度末で国債残高は百二十二兆円、その利払いに要します経費が一般会計予算の一八%にも達しますような、大変厳しい状況が続いております。本年度予算編成も、すべての施策につきまして、制度の根本にまでさかのぼりまして徹底した節減合理化を図っているところでございますが、来年度予算の編成に当たりましても大変厳しい状況でございまして、こういった削減努力を続けざるを得ないのではないか、このような状況に至っているのではないかと考えております。
  216. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今先生から御質問の点でございますが、逆ざやにつきましては、やはり物の値段といたしまして逆ざやがあるということは好ましくないことではなかろうか、こう考えられよいたしますし、その逆ざやはできるだけ縮小する、解消ということで、当面は早期縮小という方向で進んでおるわけでございますけれども、なお、この取り扱い方につきましては、その影響するところいろいろございますので、そうした点は十分配慮してやっていかなければならない、こう考えておる次第でございます。  そのほか、五十八年産米の買い入れ数量の見込み減に伴って、ある程度の買い入れ経費なりそれから保管料、こういったものが節約できるのではないか、こういう御指摘でございますが、こうした問題につきましては、既に五十九年度の食管予算を編成する段階におきまして、五十八年産米の米なり麦なりの不作に伴う節減というふうなことがある程度想定されるわけでございますので、そうしたものは既に織り込まれた格好で一般会計からの繰入額が決まっておりますので、今回のもので直ちにどうというわけにまいらない点もあるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。  なお、食糧の安全保障に係る問題といたしまして、これについて必要な経費、そうしたものは十分確保していくべきではないかという点でございますが、私どもも、米麦という国民の食糧として最も重要な物資を管理しておるわけでございますので、それに必要な経費につきましては、節約はもちろんやらなければならないことでございますが、その国民への安定供給をするための必要経費、こういうものは今後とも確保してやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  217. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これで終わりますけれども、ただ、財政当局にぜひお願いしたい。これは本当に先ほどからありましたとおり、農林水産省はないけれども大蔵省はあるという状況なんですよ。これではもうしょうがない。どんなに大臣が頑張っても、食糧庁皆さん方が青黒くなっても、これではたまらぬと思うのです。ぜひひとつ主計官から財政当局に対して実情を十二分にお話しいただきたいということを強く要望するものでございます。  質問を終わります。
  218. 阿部文男

    阿部委員長 新村源雄君。
  219. 新村源雄

    ○新村(源)委員 米の需給関係につきましてはかつてない危機を迎えておるわけでございまして、このことは真剣に取り組んできた農民の怒りを爆発寸前にまで導いたことであり、さらにはまた一般消費者に主食の供給に対する大きな不安を与えているという、まさに非常事態だと思うわけでございます。こういうときにわずか一・四五%の引き上げ諮問が行われたということは、遺憾ということを通り越して、まさに農林省あるいは大蔵省の暴挙である、こういうように私どもも断ぜざるを得ないと思うわけでございます。  そこで、順次質問を進めてまいりたいと思います。  先ほどから算定要領につきましてはそれぞれの委員の方から御質問がありましたが、私は、そのうちの単純な二つの部分について御質問を申し上げます。  第一点は、生産費のとり方でございます。この文章から見ますと、「生産費の低いものからの累積生産数量が、各年産米の総生産数量の八一%になるところまでの米販売農家とする。」こういうように言っておるわけですが、この八一%というものの根拠をもう一度お示しいただきたいと思います。
  220. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 八一%を計算いたしましたものは、分母に千三百四十二万トンという潜在生産数量を置きまして、もちろんその際、御説明いたしましたように永年性作物等の分十一万トンを引くとか他用途利用米の生産予定数量二十七万トンを控除する。その控除は千三百八十万トンから控除いたしたものでございますが、それを分母に置きまして、分子には五十九年産生産予定量千九十万トンを置いたわけでございまして、その結果得られる数値が八一%に相なったわけでございます。
  221. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この潜在生産量の千三百四十二万トンというのは、もう既に幾たびか論議がされてきておるわけです。したがって、私どもはこういう問題のある分母というものを使うこと自体がおかしいのではないか、実情に沿ってないのではないか、こういうことを考えることが第一点。  さらに、今進めております米の需給計画は単年度計画になっておるわけですね。それをなぜもっと単純に、単年度計画として一千九十万トンにその生産費を即当てていく方法がどうしてとれないのですか。
  222. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 必要量、需要量といたしましては千九十万トンを置いているわけでございますが、その数量は水田利用再編第三期対策におきまして四十五万トンの積み増しを行う、こういうものも含められているものでございまして、こうした数量を需要として生産する。なお、潜在生産量というようなものにつきましては、分母に挙げたような数量が目下ございまして、現在も転作というふうなことをやっていかなければならないという構造的な需給ギャップ、これを今回の買い入れ価格試算におきまして反映するために使っておるわけでございます。
  223. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そういうところに極めて実態と整合性のない根拠が生まれてくると思うわけです。したがって、私が先ほど申し上げましたように、その生産費は、今年度予定されておる一千九十万トン、あるいは四十五万トン積み増しをするということであればそれを即当てはめていかなければ整合性が出て来ないのじゃないですか。そういう架空のものを分母に置いてはじき出す。そしてそれと八一%の関連性というものも極めて理解に苦しむ、こういうように考えるのですが、どうですか。
  224. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生の御指摘の点につきましては、生産費の対象農家をどういうふうに選定するかの問題で、私どもは先ほど来申し上げておりますような八一%という数字を現在のような需給事情下においては使いまして、それで対象農家を限定いたしましてその生産費を採用していただいているわけでございます。全生産量を採用する、こういう方法もあることはあるのでございますが、何分水田利用再編第三期対策を実施している段階でもございますので、こういう計算をやらしていただいているわけでございます。
  225. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、昨年度は幾らですか。
  226. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 昨年度におきましては、八〇%ちょうどでございます。
  227. 新村源雄

    ○新村(源)委員 その変わってきた根拠はどこにありますか。
  228. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 五十八年産米生産予定数量及び分母、分子に入れておりましたところの潜在生産数量、これが違うわけでございますので、それを使いまして、なお前年におきましては、永年性作物等の相当分のトン数だとか他用途米はございませんでしたので、そういった控除額はございません。
  229. 新村源雄

    ○新村(源)委員 ただいま指摘をいたしましたように、こういう極めて不的確な潜在生産量、こういうものを分母に置いて試算される生産費というのは極めて整合性に欠ける、こういうことでございますから、先ほど申し上げましたように米は一年一年生産されていくいわゆる単年度生産ですから、そういう意味においてはその年度に生産される、政府の予定をしている生産量に即当てはめて計算するのが正しい、こういうように思いますので、この点についてはさらに今後検討を深めていただきたい、こういうように思います。  次に単収でございますが、政府は三年間の平均収量として五百二キロ、こういうことを生産数量に当てはめておるわけですね。ところが、昭和五十九年の作物統計平均単収は、これは政府が今年度の一千九十万トンを積み上げた根拠として四百七十九キロになっておるわけですが、そういうものをことしの生産目標として持っておりながら、ただ単に一部の生産費調査農家の平均単収をそのまま当てはめて五百二キロにしているというところに、実態とはかなり大きな開きが出てきている。こういう点についてはどうなんですか。
  230. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 御指摘の五百二キロの平均を得ました単収につきましては、対象農家の平均単収でございまして、こうした単収を上げるために対象の農家はいろいろの物財その他の支出をしておるわけでございまして、そうした物財なり労働なりをかけまして、その結果得られた単収が五百二キロ、こういうことに相なるわけでございますので、私どもは、こうした計算をする際におきましては、やはり対象農家の平均収量、こういうものを基準として算定すべきではないかと考えております。
  231. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、第三期計画で見込んでいる単収は幾らですか。
  232. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 第三期対策三年分は三年平均でございまして、真ん中の六十年度が期央でございますが、その六十年度の分が四百八十一キロ、それから昭和五十九年、ことしにつきましては四百八十キロで潜在生産量を計算しております。  なお、先ほどお尋ねのございました今年の四百七十九キロというのは、統計情報部がことしの米の生産量の一つのめどとしまして、平年であれば四百七十九キロということを一応算定をしておるわけでございます。したがいまして、第三期対策の中の推定単収とは性格を異にしております。
  233. 新村源雄

    ○新村(源)委員 作物統計平均単収から見ましても、第三期計画で見込んでいる単収から見ましても、五百二キロというのはどう考えても実態の単収にはなり得ない、こういうように見なければ左らないわけですね。最近、学者等が言っているのは、いわゆる第二次生産費、これまではいろいろな要素があって多少動くけれども、一番大きいのは単収だ、こういうように指摘しているわけですよ。明らかに、そういう実態とあなた方の計算されている五百二キロというのは大きな、三十キロ近い差がある。これがいわゆる試算米価に大きな影響力を持っていると思うのです。これはぜひ修正しなければならぬと思うのですが、どうですか。
  234. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先ほど申し上げましたように、生産費調査をされております農家の実際の単収につきましては、その農家がいろいろと物財費、労働費等をかけまして、その結果として生産されるお米があるわけでございまして、その単収はそういう経費と無関係にあるわけではない、こういうふうにも考えられますし、そのことが生産費の対象となっておる農家の収量が高い、こういうことでございますので、やはり経費その他との見合いで考えるべき問題ではなかろうか。これは経費算定する場合の分母に置いておるものでございますので、それで生産ができる云々、こうしたものとはまた別の観点から採用されてもいいのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  235. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そういうことを言ったら、生産費調査なりあるいは単収調査なりというのは、これは全く一般の米を生産する農家からかけ離れたものということになりますよ、次長、そういうことを基準にするのだったら。それは、一般の大衆の米作農家のいわゆる必要経費であり単収になり得ないのじゃないですか、そういうことをおっしゃったら。
  236. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 生産費調査の対象になっている農家につきましては、規模等も上層に多少偏倚している、こういう点が見られようかと思うのでございますが、いま先生指摘の単収につきましては、もう一つの要素があろうかと思うのです。といいますのは、先ほどの生産費の低い農家から八一%をずっととってきておる、それの農家までの平均生産費を足しているわけでございますから、そのときの単収も比較的高いものである、こういうことになっておろうかと思います。
  237. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次長、今農蚕園芸局長のおっしゃいましたような、三期計画でも六十年度に四百八十一キロとおっしゃっているのでしょう。そういうように、政府の追っている数字米価を試算する数字とは違うというようなことはあり得ないですよ。これは納得できないです。どうですか。
  238. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 生産費算定する際の一応単収としましては、常にその対象農家の収量で割られまして、それでキログラム当たり、六十キロなら六十キロで幾ら、こういうことが出されるわけでございますので、私どももその経費と単収という関係で今経費を見ているわけですから、それを採用せざるを得ないのじゃないか。それ以外の数字といいますと、今の経費とのかかわり合いで数字が得られないのじゃないか、こういうように思うわけでございます。
  239. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、そういう説明をこの算定要領の中に明記してありますか。そういうことで出ている、これを農民に――納得できないのですよ。しかし、五百二キロというものは、今次長のおっしゃったような、そういう関係で五百二キロを使ったのだという根拠を明確に示してありますか。
  240. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 きょうお配りいたしました「昭和五十九年産米穀政府買入価格の試算」これの第一ページにHというのがありますが、「価格決定年の前三年の各年の対象農家の十アール当たり平均収量」、こういうふうにうたっておりまして、それはこういうものをとっておりますよということで、その結果が先ほど御指摘にな。ました単収に相なっているわけでございます。
  241. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間がございませんので、そういう説明を受けても、これは一部の、いわゆる農林省調査をしている農家がこうなっているんだ、しかし一般の農家は全く違った数字であるというところからすれば、そういうことに限っては、これはもうでたらめだと言わざるを得ないのですよ。そういう生産費調査なり単収なりというものを、やはり一般の、全国の米の生産される平均値を的確に把握をしてそこから試算されるということでなければ私は納得ができない、こういうように考えますので、この点については、本来は直ちに試算し直せ、こういうように言いたいところですが、そういうことはできないでしょう。できないから、これから、聞くところによると米審がきょう、あすで、後は政治加算の二段米価だ、こういうようにおうしゃっていますから、この政治加算がされるその中にさらにこのものを加えてぜひ試算してもらいたい、こういう要求を申し上げます。  次に、今年韓国から十五万トンの米を輸入するということが日本のこの食管の運用上かつてない汚点を残した、こういうように言って差し支えないと思うわけです。  しかし、そういう中で「家の光」という、歴史も非常に長いし、また全国農家が購読をしている、その七月号に「今後の米の需給事情を占う日本に上陸する忍者米」、こういう記事が載っておるわけです。この中で言っておりますのは、三つのルートがある、駐留軍関係によるルートが一つ、それから加工米という名前を冠して入ってくるルートが一つ、それから援助米という名前で入ってくるルート、この三つを指摘しておるわけです。  そこで、この第一の駐留軍関係の米の入ってくるルートは、今アメリカの軍人が五万人日本に駐留していますけれども、一年間に延べ六十万人が日本で演習する、それに必要な米ということで五万トン入ってくるそうです。ところが、アメリカの食生活から見て米はほとんど食わない。その約九〇%がいわゆるアメリカの資材部から日本の卸売業者に行って、そしてそれが仲売、いわゆる中間に入って実需者に行く、それがほとんど外食産業だ、こういうように言われておるわけです。この実態について御存じですか。
  242. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私も「家の光」にそのような記事の出ておったことは読んでおりますが、そういった事実があるかどうか、私ども現段階まで調査したところではそういった事実は確認できないわけでございます。  例えば、今先生指摘のようなアメリカの駐留軍が演習のために食べるようなお米といいますと、大体長粒種ではないかと思われるわけでございます。日本人が大体主食等で消費しているものは御案内のとおり円粒種でございまして、そういった数量の長粒種という特徴的なものが国内で流通するということになりますれば、今先生指摘のような業務用等ででも流れるということでございますれば直ちにわかるのではなかろうか、こうも思われるわけでございますが、そうした事実があるかどうかにつきましてはさらに調査もしてみたい、こう考えているわけでございます。  もう一つの御指摘の、多少加工した段階で国内に持ってきまして、国内においてそれをまた洗って主食用等に回せるようなものもあるのではないか、こういう記事もあったかと思うのでございますが、こうした多少色をつけた云々というふうなものは税関を通ります際にやはりお米ということで取り扱われるはずでございまして、そうしたお米でございますれば自由に輸入もできないわけでございます。そうした面で、果たしてこれはそんなことがあるのだろうかといって疑問を抱かざるを得ないような事態でございます。  もう一つの援助米についてでございますが、援助米につきましては両国、贈与する方と被贈与、受ける方との間におきまして一応契約がなされまして、その運ぶものは、我が国の場合におきましては例えば第三国から買い付けられまして、それが被援助国に持っていかれる際におきましては直接持っていかれるのが実態でございまして、そうしたものが我が本土に上がってくるなり云々ということはちょっと常識的には考えられないような問題でございまして、いずれの場合におきましてもそういった忍者米、こういったものがあるのかどうか、私ども非常に疑問を持っておるわけでございます。
  243. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私は、この記事を見て大変なことだ、こう思って「家の光」の編集長さんに電話を入れました。そして取材をされた記者の方にも電話に出ていただきまして、このことの確認をしたが、我々は報道したことについては責任を持つ、しかし取材に当たった経過についてはコメントは避けさしてくれ、こういうことなんですよ。  この問題は、私はこの前の米の問題を審議したときに本当は質問する予定で農林省に通告していたのですね。だから、これは私が通告してからかなり時日がたっておるわけですよ。一体どういう調査をされましたか。
  244. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私どもも今先生指摘の「家の光」の記者の方に対しまして忍者米の件について問い合わせもしているわけでございますが、ニュースソースとか掲載されたこと以外には申し上げられないとかということでございまして、再度接触を試みましてその確認等には努めてみたい、こう思っておるわけでございます。  その他、情報として得られるかということで、例えば業務用だとか商社関係にそういう事実があるかどうかといったようなことにつきましては、それぞれの関係業界の方に「家の光」にこういうことが出ておったのでどうか、こういうことは照会等しているわけでございますが、今のところ確たるものは全然確認できないわけでございます。
  245. 新村源雄

    ○新村(源)委員 第一点の駐留軍関係のことですが、これは確認することにそんなに手間取らないのではないですか。何かやってみましたか。農民が十五万トンの米が入ってくるということでこのくらい全国的に騒然としている中で、もしそういう事実が放任されているとすれば、農林水産省すなわち食糧庁責任は免れないと私は思いますよ。
  246. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 この点につきましては、今までのところ外務省に照会しましたことと、もう一つは基地周辺のお米の販売業者、こういうところにもいろいろと聞いているわけでございますが、そういった事実はない、こういうことに私どもは聞いているわけでございます。
  247. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今ここで証人を連れてきてやるわけにいかぬわけですから。しかし、もしこのことが事実とすればあなた方はどういう責任をとりますか。
  248. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私どもとしましては、そういった実態があるかどうか十分見きわめなければならないわけでございまして、食管法に抵触するような行為があってはならない、こう思っているわけでございます。
  249. 新村源雄

    ○新村(源)委員 そこで、輸入の規制というのは食管法の第十一条で規制しているわけですね。ところが、最近非常に問題になるのはいわゆる加工品、こう言うのですね。食管法の第十一条の四項に「政府ハ特二必要アリト認ムルトキハ政令ノ定ムル所二依リ期間ヲ指定シ米穀及麦以外ノ主要食糧ノ輸出又ハ輸入ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得」こういうように言っておるわけですね。米麦以外の主要食糧というのは何なんですか。
  250. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 米麦以外の主要食糧といたしましては、米穀粉、小麦粉、小麦粉を主たる原料として製造したパン類、米穀粉または小麦粉を主たる原料として製造しためん類、もち、米飯、米穀または米穀粉を主たる原料として製造した加工品であって農林水産大臣の指定するもの、それから輸入されたでん粉類、これだけになっております。
  251. 新村源雄

    ○新村(源)委員 最近、いわゆる乳製品でもそうですが、主食に関してもまがいものということで非常に多く輸入されているという事実があるわけです。そこで政府は、この十一条の四項に基づいて政令できちっと決めていますか。「政令ノ定ムル所二依リ期間ヲ指定シ米穀及麦以外ノ主要食糧ノ輸出又ハ輸入ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得」ということは、政令で決めてなかったらできないのですよ。政令で決めてありますか。
  252. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 政令はまだ未定になっております。
  253. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次官にお伺いしたいのですが、食管というのは国内の生産農民を守り、そして消費者を守るという、いわゆる幅の広い日本の食糧政策の根幹をなすものでしょう。その根幹をなす食管法が――今いろいろ輸入をめぐってこのくらい神経が立って、日本の農業がどんどん押し込まれてくる。そうでしょう。畜産、酪農だってそうでしょう。そういうときにこういう重要なことを何で決めてないのですか。次官、どうですか。
  254. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今の問題につきましては、食管法で規制されている場合と、また輸出入の貿易管理令をもちまして数量制限等のリストに上がりまして規制されている場合があるかと思うのでございますが、その数量制限等の規制によりまして第一義的には波打ち際で輸入を防止し得る、私どもはこのように考えて対処している次第でございます。
  255. 新村源雄

    ○新村(源)委員 数量制限ということになると、これはIQ制度ということになるのですか。
  256. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 IQ制度でございます。
  257. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それは、政令がなくてもそういうIQ制度は運用できますか。
  258. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 これは私ちょっと不確かでございますが、貿易管理令に基づいて品目が決定されておるのではないかというふうに理解しております。
  259. 新村源雄

    ○新村(源)委員 IQ制度ということになりますと、これは枠を決めるかあるいは外貨、ドルで決めるか、いずれかで制限しなければいかぬでしょう。枠をかけなければいかぬでしょう。そうでしょう、次長。そういう運用が事実上なされているのですか。
  260. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 必要なものについてはそうした枠が設定されております。
  261. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私の調べたところではそういうことをやってないというのですよ。どうなんですか。
  262. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私が今申し上げました後ろにありましたのは、例えばモチ米の粉であったでしょうか、そういったものを染色用ののりといたしまして一年間に二千六百トンぐらいだったか割り当てがあるとか、こういうふうなことで輸入が規制してあるわけでございます。その辺を念頭に置きまして、多少不確かな面もございますが、答弁させていただいたわけでございます。
  263. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この問題は、この時間内でいわゆる忍者米というものの実態、あるいは今日本に向かって食糧攻勢がかけられている。三三%というような本当に低い自給率に下がってきておる。これはあの手この手、法の目をくぐって日本の市場に食糧のいわゆる輸出攻勢がかけられている。そういう時期なんですよ。そういう時期に、それをきっちりと農民の立場に立って防波堤となつて守ってくれなければならない農林水産省、ことに食糧庁、それがそういうあいまいな答弁では、そこにいらっしゃる農民の皆さんも極めて不満足だと思うのですよ。  そういう意味においては、きょうはこの程度でやめますけれども、私が今申し上げましたようないわゆる忍者米というものの実態あるいはこれに対応するところの法の整備、こういうものについてどう対応されていこうとするか、政務次官意見を聞いて、私の質問を終わります。
  264. 島村宜伸

    島村政府委員 私ども農林水産省の仕事は、当然のことに農民の立場をきちんと擁護し、将来的な展望に立って、農民が常に再生産の意欲を持ち得るような環境を守っていくのが我々の仕事でございます。また一方においては消費者の立場も十分理解し、消費者の理解と協力が得られるということも肝要でございます。この点については、先生指摘のとおり十分それに意を用いてこれからも対処していくという考えでございます。  なお、忍者米等のお話がございましたが、この点につきましては、私も今までいろいろそういううわさを聞いたり、活字になったものを見ますたびに、私は正直言うと余り詳しくございませんのでそれなりに勉強させていただいておりますが、多少活字の行き過ぎではないか、むしろ推測の域を出ないと思うのでございますが、こういう余り行き過ぎた報道のために農民も消費者も、あるいは国民全体が惑わされるということはいかがなものか、むしろそういう批判すら私自身は持っております。
  265. 阿部文男

    阿部委員長 上西和郎君。
  266. 上西和郎

    ○上西委員 私は、まず冒頭に、山村農林水産大臣初め農林水産省、食糧庁の皆様方の、最近大変御熱心に米価問題にお取り組みいただいておるその御努力に心からの敬意を表したいと思います。  常々申し上げますように、日本の国家公務員の皆さん方は日本のために、国民のためにお仕事をなさっている、昼夜を分かたず誠心誠意お仕事をなさっている。それあればこそ、官僚王国と言われていても日本がきちっと行政が守られていっているのではないか。そうした意味で、本朝未明どころか、米審が始まるそのぎりぎりまで大変な御努力をいただいたことに改めて心から敬意を表したいと思うのでありますが、私、生まれて初めてこの諮問資料をいただきました。どうしても納得できないところが幾つかございますので、以下、順次質問させていただきたいと思います。  いただいて特に思いましたのは、きれいに活字で印刷してある、ただし主要な数字部分は全部後から書き込んだ資料が出ている。これでは、米作農家の方はもちろん消費者の皆さん方を含めて、何かどこかで決められたことの結果を逆に操作して数字を書き込んでいったのではないかという素朴な疑問があるのであります。そうした点についていかがなものか、まずお答えをいただきたいと思います。
  267. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、私ども今回の諮問案をつくりますのに昨晩は夜通しかかってやっておったわけでありまして、最終決着がつきまして、それを印刷にして当委員会及び米審会場に持ち込むためにどのようにすれば時間を節約して印刷物として配付できるかというふうなことを考えまして鉛筆書きでやらせていただいたような次第でございまして、決して前からあった、逆算とかという意味ではございません。資料配付のためにそういう点を利用させていただいたということで、従来でございますれば活版印刷のもので毎年配付させていただくのが慣例でございますが、本日は朝の七時四十何分までかかりまして、それでこの委員会に間に合わすべく努力をした結果でございますので、御理解いただきたいと思います。
  268. 上西和郎

    ○上西委員 それはそれなりに御苦労のほどは察することができるのでありますが、何といっても出された数字が、少なくとも米作農家皆さんや今度の米の問題について一定程度関心を持っておる国民の目から見て当然の数字が出ておれば、私もこんなことは言いたくないのです。しゃにむに低く抑えているから、結果として作文ではありませんかといやでもお尋ねしたくなるのです。少なくとも一・四五%、一万八千五百三十一円、これは農業に携わっておる者であろうとそうでない完全な消費者であろうと、だれも合点のいく数字ではないと私は思います。したがいまして、以下、順次具体的な質問を申し上げたいと思います。  資料をいただいてわかるのでありますが、改めて五十六年、五十七年、五十八年の三年間だけをとってみても、原生産費は大きく上昇してきている。ところが、価格決定年の評価がえ生産費というのは、故意か偶然かきちっとサイン、コサインのカーブを打っている。こういうところが私たちにはどうしても納得できないのであります。物価は上がっている。労働者の賃金も全部上がっている。なぜこうした評価がえの生産費だけは下がっているのか。例えば五十七年には下がっている。極端なことを言うと、五十八年のことし分と五十六年の分を見るとほんのわずかしか違わない、ほとんど同一額に抑えられている。こうしたところを見ると、何か結論を出して無理して帳じりを合わせているというふうにしかどうしてもうかがえないのです。おまけに、懸命にお仕事をなさっている権威ある農林水産省の調査結果でも、たしか私の記憶では二万一千四百六十六円ですか、生産費がかかっているということが出ているようですが、その辺は一体どうなっているのですか。私のような素人にもわかるように、具体的かつ科学的にお答えいただきたいと思います。
  269. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 米価評価がえ生産費が原生産費よりも低い理由についてのお尋ねと思うのでございますが、御指摘のように、近年、米価と第二次生産費を比較した場合におきましては、米価が第二次生産費を下回っているのは事実でございます。これは、生産費が労働費や農機具費の増大していることを反映して上昇しているのに対しまして、米価は特に近年の過剰基調を反映して上昇幅が少なくなっている。言うなれば対象農家のとり方等におきまして、先ほど御説明させていただきましたような、生産農家のうち生産費の低い方からその累積生産量が八一%になるところまでの生産費をとりまして計算しているということもございまして、原生産費よりは低くなっておる、こういう実態でございます。
  270. 上西和郎

    ○上西委員 それでは、このいただいた資料でどうしても合点がいかないのですが、十ページと十一ページの「算出基礎」のところで、五十六年から五十七年にかけては、家族労働時間が直接間接ともに短くなっておりますから当然家族労働費が直接間接ともに低くなる。その差額を私が今試算で出したところでは、直接家族労働費では原生産費は千六百十三円低くなり、評価がえ生産費は三千四百五十九円低くなる。間接家族労働費は同じく百四十一円と二百七十二円低くなる。ところが、五十七年から五十八年、労働時間が〇・五時間延びています。そうすると、家族労働費の直接のところでは、原生産費は二千二十五円増額している一ところが、評価がえ生産費はわずかに五百二十四円しか上がっていない。間接の方は百四十円と百三十六円、ほぼ同額だ。  そうしますと、五十六年と五十七年とを比べた場合、ざっと見て家族労働費の直接間接とも二倍と言っていいでしょう。ところが、五十七年から五十八年にかけてはなぜこんなふうに数字が違うのか、私のような者にとってはどうしても理解できません。この辺をわかりやすくきちっと解明していただきたいのです。
  271. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 十ページの五十六年の原生産費と価格決定評価がえ生産費におきます家族労働費を見ていただきますと、直接のところで原生産費につきましては四万八千百八十円というのが載っかっているわけでございますが、これは評価する前の原生産費でございまして、それの価格決定評価がえ生産費といたしましては五万九千六百五十三円でございまして、家族労賃をその年の都市均衡労賃評価がえした結果五万九千六百五十三円が得られたわけでございます。
  272. 上西和郎

    ○上西委員 次長、少なくとも私が質問したときは聞いておってください。あなたは私が質問したことに答えていないじゃないですか。後ろのついている方も気をつけてください。  私が質問したのは、五十六年と五十七年、五十七年と五十八年を比較したときに、直接間接の数字の差がアンバランス過ぎるのではないか。五十七年と五十八年だけでももう一遍言いますが、労働時間が〇・五時間ふえたことによって、家族労働費の直接の方は原生産費は二千二十五円上がっているが、評価がえ生産費はわずか五百二十四円しか上がっていない。間接の方は百四十円、百三十六円とほぼ一緒だが、なぜこんなになるのですかと聞いている。おかしいじゃありませんか。だから、わかりやすく科学的に答えてくれと言っている。  次長、不親切な答えは困ります。国家公務員を信頼しているがゆえに私はきちっと質問しているのです。我々の期待にこたえるお答えをください。
  273. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 失礼しました。それではもう一度御説明させていただきます。  十一ページの五十七年と五十八年の家族労働費のところで御説明させていただきますと、五十七年と五十八年の原生産費のところにつきましては、これは評価がえも何もすることなしに、それぞれの年度の原生産費におきます金額でございます。今度は右側の価格決定評価がえ生産費、これは五十七年のものも五十九年に評価がえをしたという意味です。五十八年のものも五十九年に評価がえし、それぞれの年度のものを全部評価がえをして物価スライドして五十九年ベースに持っていったわけでございます。したがいまして、この差は今先生指摘のように五十七年と五十八年の原生産費につきましては一年間のギャップがございまして、それが出てくるわけでございます。今度は価格決定評価がえ生産費といいますのは、ベースがすべて五十九年に合わされるわけでございますので、こうした年度による振れば小さくなるわけでございます。
  274. 上西和郎

    ○上西委員 補佐する方も、あなた方は少なくとも優秀な成績で厳しい上級職採用試験を通ってきた方々なんだから、誠心誠意やってくださると私は本当に確信しているんだけれども、なぜこんなにぼけるのですか。僕はさっきからあえてとぼけるなと言いたいくらいですよ。五十六年と五十七年の原生産費評価がえ生産費のここのところだけ見ても、その差額の数字と比べたときに、なぜ五十八年だけはこんなふうに直接と間接で数字が違うのですかと僕は尋ねている。直接、間接とも同じような比率-僕は差を言っている。だから、そこら辺を明確におっしゃってくださらぬと、算出基礎に僕たちは不信感を持たざるを得ない。私はさっきからその辺を明確にわかりやすく答えてくださいと言っているのです。わかっているのですか。僕は決して難しい質問をしていると思っていませんよ。おつくりになったのはあなた方なんだから、わかりやすく具体的に御説明してくださいと言っているのです。(「委員長、この時間はタイムだよ」と呼ぶ者あり)
  275. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 甚だ恐縮でございますが、もう一度今の問いの方を御指摘いただかないと、ちょっと私理解できないところでございますが……。
  276. 上西和郎

    ○上西委員 だから、僕はさっき言ったでしょう。僕は初めてこの資料を生でいただいたんだから、ですから素朴な質問をしているのですよ。これはあなた方が優秀な頭脳で生み出した算出基礎なんだから。  そうしますと、五十六年と五十七年を直接、間接の原生産費評価かえ生産費とを比べていくと、直接では原生産費で千六百十三円違う。評価がえでは三千四百五十九円違いますね。間接では百四十一円と二百七十二円違うわけだ。低くなっている、労働時間が三・三時間短くなっているから。ところが、五十七年から五十八年にかけて〇・五時間伸びたら、原生産費は二千二十五円伸びた。評価がえではわずか五百二十四円しか伸びていない。ところが、間接の方は百四十円と百三十六円、ほぼ一緒ではないか。どうしてこんなふうに数字の比率が違うのですか。何かこの原因を、こうなった理由をわかりやすく、かつ科学的にお答えください、こう言っている。おわかりですか。
  277. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今の御質問の点につきましては、四ページのところに都市均衡労賃一時間当たり男女込み千四十八円三十九銭、それから男子の場合が千三百五十九円三十四銭でございますが、この男女込みの方が直接でございまして、間接の方は男子、これをとっております関係から今のようなギャップが出るものだ、こういうふうに思われるわけでございます。
  278. 上西和郎

    ○上西委員 どうしても納得できませんね。この質問は保留させていただきたいと思いますが、僕はそれを聞いているのじゃないのですよ。数字の違いというか、差額ですよ。直接の場合は原生産費は二千二十五円上がった、評価がえは五百二十四円しか上がっていない。ところが、間接の方はほぼ同額上がっているのだが、なぜこうなるのですかと言っているのですよ。それは基礎じゃないでしょう。あなた方が何かいじっているわけだ。微調整係数とかなんとかね。だから、そのことについてわかりやすくやってもらわぬと、お聞きになっている方々だってそれはわかりっこないですよ。もっとやっぱり素直に聞いてくださいよ。  では、これは保留します。  大分時間をロスしましたので、次の質問に移らせていただきます。  先ほど次長は八一%で切ったとおっしゃる。これはやはり全割の農家を対象にすべきてはないかと、私は実に素直に思うのです。ですから、八一%でどうしても切らなくてはならないというのなら、この米価で一体どれだけの生産農家がカバーできるのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  279. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今先生お尋ねいただきました点は、米価生産費をどの程度カバーしておるか、その戸数カバー率であったかと思うのでございますが、よろしゅうございますか。(上西委員「はい、結構です」と呼ぶ)  その点につきましては、御案内のとおり今年の今算定しておりますものにつきましてはちょっとまだ不明でございますが、過去の実態について申し上げますれば、五十八年につきまして第一次生産費の戸数カバー率は四七%程度でございますし、五十七年におきまして四九%程度でございます。それから第二次生産費につきましては、五十八年におきまして一六%程度でございますし、五十七年におきましても同じく戸数カバー率は一六%程度でございます。
  280. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。だから、こういう米価ではとどうしても言わざるを得ないわけです。  総理大臣よりはるかに偉い方がいましてね、もう八十をお越しになっている方がイワシを食ったりされて、いろいろ御発言なさいます、日本の国内の米は高いとか安いとか。しかし、いざというときに自衛隊のジェット機は米をつくってくれませんよ。百日分国家に石油を備蓄したって、石油を飲んで生きていけますか。一たん緩急あるたびに、いろいろと防衛費のことについてもあるのですが、それをここで議論しようと思いません。それはそれで意見を仮に認めたとしても、一番大事なのは自国でどれだけ食べる物をつくるか、それにかかっているわけでしょう。そのことについて、何か高いからどこそこから買ってこいとか、この前の日曜日なんかもテレビの前で勝手なことをいろいろおっしゃっている方がいましたけれども、そんなことに私らは惑わされることなく、本当に額に汗して働く農家皆さん方生産意欲を高めるような米価、このことを原点に置いてや広ないと、朝早く、徹夜でやったけれども結果的には押し切られて、そしてそれに合わせて皆さん大は一生懸命計算をして何か無理な数字をつくるから、私が先ほどお尋ねしても明快な答えが出てとない、こんなふうな感じがしますので、そうしたカバー率をもっともっと高めていく、そういった方向でぜひ米価の算出をやっていただきたい。  次に、都市均衡労賃問題です。  私は、この資料を見てびっくりしたのです。五人から一千人未満というところを盛んに対象になさっていますね。そして、それに何とかかんとかという係数をお掛けになっていますが、なぜ農家皆さん方は、日本の今の産業構造の中で大中小とあれば小企業の部類に属するところの方々の賃金を基礎に米価を、労賃を算出しなくちゃならないのですか。農家皆さん方は生活度合い、勤労の度合いから見て小企業程度でいいんだ、こういうお考えなんですか。これはどうしても合点がいきませんので、科学的な根拠をお示しいただきたいと思う。
  281. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 私の方で計算させていただきました今の規模のとり方でございますが、多少の変動は従来ございましたけれども、おおむね五人から一千、この程度のところをとらしていただいているわけでございます。大体都市均衡労賃というふうなものを算定する際におきまして、こうした企業の所得というものとバランスをとるということが一つ考え方ではないかという点でございまして、明確な論拠、科学的な根拠というふうに裏づけられて説明をなし得るといいますか、そんなことよりは、むしろ従来からの経験ないしは過去におきますとり方等につきましても米価算定委員会等においても議論していただきまして、特にどこでなければならぬというふうなことは規定されておりませんが、一応方法論としてはこういう方法でやるのがいいのではないか、こういう結論をいただいているわけでございます。
  282. 上西和郎

    ○上西委員 私もかつて少し賃金問題をかじったことがあるのです。そのときに勉強させられたのは、賃金の算出基礎、これは複雑にして怪奇とまでは言いません、複雑多岐にすればするほど賃金に関する不平不満が薄れていくのだということを聞いているのです。ですから、やはり簡単明瞭、わかりやすくする、そうしてお互いが納得をする、そのことが農家皆さん方の信頼を回復していくことではないでしょうか。今度の米価に限らず、とりわけこの一年間の日本の農政のあり方というのが、心ある農家皆さん方をどれだけ揺さぶったでしょうか。長きにわたる農林水産省に対する信頼が薄らいだことでしょうか。そう思いますと、わずか千人未満で切るなんということをせずに、青天井とまでは言いませんが、大中小とあるならば、せめて中企業以上大企業のところあたりまでの労賃を基礎にぴしっと置いていく。農家皆さん方の労働の中身というのは、単に時間とかなんとかというものではかり知れぬものがあるでしょう。そうした農家の方々の御苦労を思う亡きに、やはり基礎は、農水省は胸を張って、いやいやあの方々の労働の実態から見て当然ここに算出基礎を置くべきだ、今次官もうなずかれましたから、こういうことを大臣などともぜひ協議をいただいて、胸を張ってそうした算出基礎をとっていただきたい、こういうお願いをし、次に地代の問題についてお尋ねをしたいのです。  自作地代の問題です。  これについて、固定資産税評価額をなぜ基礎にされるのかというのが、私、素朴に疑問として出てくるのです。というのは、固定資産を評価するときは制限とか枠とかいろいろあるようでありますが、これが一たん売買されるときはまた全然別でございますね、いわゆる資産としての評価というのは。だから、国税庁が日本の全都市の土地の売買評価額というのをよく出しますね、どこどこ県ではどこが一番高いとか。ああいったものは、当然優秀な農林水産省は全国の水田の売買価格などはお出しになっていると思う。そういうものを自作地代の算出基礎に入れられることについてはお考えありゃなきや、御見解をいただきたいと思います。
  283. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 この地代の評価の問題につきましてはいろいろと議論のあったところでございまして、先ほど来御紹介しております米価審議会算定委員会におきましてこういった案が提示されておることもございまして、議論されましてそれを採用させていただいているようなことでございます。その売買される価格も、例えばどういう動機で売られるか買われるかということでございますが、将来の値段を見越して早目に買い急ぎするような場合とか、小さな区画を切り売りするような場合とか、そういった価格を入れるべきか入れないかというふうな議論がいろいろなされまして、そうして固定資産税の評価額を採用させていただきまして、それに利子率を掛けまして地代として評価させていただいたわけでございます。
  284. 上西和郎

    ○上西委員 それなりにお答えをされている理由はわかるのです。ただ、私がこういうことをお尋ねしているのは、あくまでも米価決定の基礎が、やはり米作農家皆さん、消費者の方々を含めて、ああそれならわかる、理解できるという、だれが見ても納得できるものがきちっきちっとないと、それが底辺にあっての正しい上げ幅、米価決定、こうならなければいけないと思ってあえてお尋ねした次第です。今後の検討課題として、ぜひ真剣にお取り組みいただきたいと思います。  では、諮問資料を離れまして、あと二、三お尋ねしたいのでありますが、私は正直言ってもともと農家の出身なんです。戦後いろいろあって、それこそ田畑全部手放しましたので、今実際農業はやっていませんが、私が住んでいるところも農村地帯ですから、農家の方々もたくさんいらっしゃるわけですね。そうすると、その方々の共通した悩みは、後継者がいない、そのことに尽きるのです。とりわけ、酪農その他に比べて米作の方々が一番困っているようです。こうしたことについて、若い方々にとって魅力ある農業というものは今だんだん影が薄くなってきている。その大きな原因の一つ米価ではないか、こう思うのでありますが、ここ十年か十五年で結構ですが、新規高卒者の就農状況並びに定着率等について資料がおありならばお示しをいただきたいと思います。
  285. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 お尋ねの新規学卒者の中の高等学校卒の方々の就農状況でございますが、残念ながら、定着の方は追跡調査が必要でございますので、ちょっと資料がございませんので、農家就業動向調査の中で見ますと、昭和四十年高校卒で新規に就農された方は大体二万七千人ぐらい、それから五年後の四十五年が二万四千六百人という数字が出ておりますが、昭和五十年代に入り生じてからこの数字が非常に減少いたしまして、五十年が八千百人、五十五年が五千二百人でございまして、それ以後五十八年までは大体五千人前後で推移しておりまして、昭和五十八年四千六百人、こういう数字が出ております。
  286. 上西和郎

    ○上西委員 今の数字をお聞きになってもおわかりのように、若者にとって魅力ある農業というのは今本当にどんどん影を薄くしていっている。かつて我々は、農本主義とかいろいろ聞きました。国家の根幹は農業だ、だからということで豊葦原の瑞穂の国と教えられ、また事実そのとおりだったと思います。ですから、先ほどちょっと申し上げましたように、もし何かが起きて海外からの輸入の方法とかそういったものに大きな支障でも起きたら、日本は無関係であってもどこで戦争があるかもわからない、どこで天変地異が起こるかもわからない、あるいはストライキがあって積み込みが不可能になる、いろいろなことが予測されますね。そうしたときに、日本は一体どうして食べていくかと言えば、やはり我が国の農業を大事にしていく、それが農林水産省に与えられている主要な任務だと僕は思う。  そうした観点に立つならば、そのことをきちんと底辺に置いての米価決定その他のいろいろな施策、このことがなければならないと思いますので、今数字を聞いて改めて私肌にアワを生じる思いがいたしましたが、少なくとも高校を出て若年労働者が喜んで農業に従事をしていく、そういうことが復元していきますように御努力をお願いして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  それは、四年連続不作でございますね。指数が一〇〇を下回っている。これは異常なことです。これは江戸時代なら一揆続発でしょう。表現は別として、革命が起きたかもしれない。今の世の中だから何とか切り抜けてきた。それはわかるのですが、この不作についての原因をとかく異常気象だとかいろいろおっしゃっていますが、それだけではなくて、働く方々の意欲、その結果として出てくる技術の向上などが停滞しているのではないか。そうしたことについて、やはり農業の技術を高めていく、温存していく、そうした意味でもやはり稲作農家の意欲をかき立てる米価、このことについてはどのようなお考えをお持ちか、次官、見解をいただきたいと思います。
  287. 島村宜伸

    島村政府委員 先生指摘のとおり、このところのいわば四年連続の不作、こういうことでございますが、農家のいわば生産意欲の減退に原因があるのではないか、こういう御指摘でございますが、私どもはそういう面もあろうかとは思いますが、やはり私たちとしても予測し得ない異常気象が最大の原因だろう、こう思います。同時にまた、確かに一時期は米が過剰になるたびに農家が苦しまれたわけでありますから、そういう点では見えないところで意欲が減退している面があるのかな、こういうことも確かに御指摘のとおりあろうかとは思っております。
  288. 上西和郎

    ○上西委員 次官、私がもう一遍重ねてお尋ねをし、かつお願いをしたいのは、数字がさっき出ましたように、若年労働者で農業に就労する方がどんどん減ってきている。今までずっと農業に携わっている方は高齢化になる、これは理の当然ですね。したがって、平均的にどうしたって農業従事者の中に他の産業に比較して大変高い老化現象が起きざるを得ないでしょう。そうした意味での労働力の質の低下ですね。そうしたことが、異常気象があったときに昔なら歯を食いしばってそれに耐えてやっていこうということになるのが、ああもうということであきらめ、そしてお先真っ暗だ、米価がどうなるかわからぬ、物価はどんどん上がるのに米価は上がってないわけですから、だから農家の方々がますます意欲を減退さしている。だから、異常気象とそうしたものとが相乗した結果がやはり指数を低く抑えさしていっている、結果として不作の連続だ、こう私は考えているのでありますが、そうしたことをもうちょっと深く突っ込んだところで、あと一言次官から御見解をいただきたいと思うのです。
  289. 小川国彦

    ○小川(国)委員 委員長、ちょっとその前に議事進行ですが、自民党の議員が一人もいなくなっちゃっているのですよ。全部野党だけの出席で、重要な米価審議の際に自民党の議員が一人もいないということは重大な責任の問題ですから、委員長からひとつ厳重に注意をお願いしたい。
  290. 阿部文男

    阿部委員長 委員長より厳重に注意いたし、処置いたします。  続けてください。
  291. 島村宜伸

    島村政府委員 お答えしてよろしゅうございますか。――日本の国の高齢化社会化が急速に進むことはよく指摘されますし、またこのことに対処がいろいろ要求されるわけでございますが、特に農村でこの現象が非常に極端であるということを私たちは非常に憂慮をしておるところでございます。ただ、また一方で最近は若年の働き手と言えるような階層の方々の農村への回帰現象ということも現実に数字の上であらわれていることでございまして、こういう点は、先生も御指摘のとおり、若い人たちが意欲を持ち、また誇りを持って農村に復帰をする、あるいは農村で新しい基盤を持つ、こういう環境づくりは大変必要だ、そうは考えております。
  292. 上西和郎

    ○上西委員 ことし、山村大臣の所信表明演説以後、いろいろな法案が出ましたね。それはすべて、農村の混住化やいろいろな問題があるけれども、こうしていこう、ああしていこうと、その意欲を私は高く評価しているのです。しかし、幾らそういう施策をやっても、肝心かなめの農業に魅力を与えなければそれはやはり働き手がいなくなりますよ。しかも、その根幹に米価の問題がある。稲作農家がやはり中核でしょう。そうした方方がみずから意欲を失うようなしむけ方を米価決定のたびにやっていくから、幾ら法律やら立派な所信、方針が出ても、まさに仏つくって魂入れずになるのではないか、私このように愚考いたしますので、改めて次官以下農水省の幹部の皆さん方も心して米価問題に、少なくとも米作農民、この方々に失望を与えない、そうしたことを今後とも絶え間なく御努力いただくことをお願いをしたいと思います。  さて、委員長、大変恐縮ですが、さっき次官は書き過ぎじゃないかと言われたのですが、ここに週刊サンケイの最新号があります。この中に一番トップの見出しで「韓国米緊急輸入で「日韓密約」説」、こうなっている。私、きのう早速買って読んでみましたが、その密約説に入る前に、この中で、私読んでいて思わずみずから赤面をいたしました。これは少し筆の走りがあるかと思いますが、少なくとも四十四年、四十五年に韓国に貸与した米について、韓国からいわゆる韓国政府高官が足しげく日本に来た。ところが「彼らが都内のホテルから農林省食糧庁に面会の時間を確認して出かけていっても、三十分や一時間待たすのは平気の平左。その上、応対に出てくるのもせいぜい課長級。」そうしてその課長クラスが「韓国の次官クラスの高官に向かって、実にぞんざいな口のききょうをした。」ホテルに帰って涙した高官がたくさんいる。そうして「韓国の国会では「われわれは乞食ではない。ひもじい思いをしてもいいから、日本にたたき返してこい」」という議論が交わされた。  私は、当時の課長クラスの方々が今どの程度の位でお偉くなっているかわかりません。何人か残っていらっしゃるでしょう。もしこれが事実とするならば、私はやはり国辱物だと思う。ですから、私はここで何もこの週刊サンケイを全面的に信じて言うわけじゃない。私は再三申し上げますように、公務員の皆さん方の資質と能力、努力は高く評価しておりますけれども、少なくともこの書かれていることの十分の一でも真実とするならば、やはり今度の韓国米輸入問題が当初難航したことが裏打ちされる思いがするのであります。  この辺について、当時のことを御存じの方でもおられましたら、一言まずコメントをいただきたいと思うのです。
  293. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 四十四年から五年の当時の貸し付け時におきます交渉につきまして、韓国側でいろいろと情報があるようでございますが、私どもの方では大体この当時課長をやられていた方方はすべて御卒業になっておられる方でございましょうし、また、もしも報道されているようなことが事実であるとすれば、決してそのようなことは好ましいことじゃございませんし、恥ずべきことではなかろうか、こういうふうに考えます。
  294. 上西和郎

    ○上西委員 さっきタイム、タイムとおっしゃったので少し延ばしてもらえるかと思ったら、いや、もう時間が来ましたというふうに参りましたから、もうこれ以上申し上げませんが、その後出てきた密約説、山村大臣から高度な政治判断が必要だと電話一本入ったらさっとまとまった。もちろんその前には課長さんが行っていて、急遽部長が派遣をされ、山村大臣の電話一本ですぐ十七日にまとまったというのがこの記事の書いている本音でありますけれども、この中身を私ここで、大臣もおられませんし、あえて追及しようとは思いません。しかし、韓国米輸入問題がもたらした日本の農政に対する不信感、これは生産農家といわず消費者の方々といわず、大変根強く幅広いものがあります。それにこたえるためにも、こうした事実について明快な見解を示し、そうして毅然たる態度で、事実があるならば明確に、事実なしとするならばそれなりに明快に、そうして全国民がひとしく日本の農政に信頼を回復していく、その方向への御努力をお願いをし、質問を終わらせていただきます。
  295. 小川国彦

    ○小川(国)委員 重ねて議事進行について申し上げますけれども、重大な米価の問題について米価審議会が行われているわけで、それと同時並行で国会の農林水産委員会もこれに取り組んでいるわけですから、先はどのような自民党の理事を含めて全委員がこの委員会欠席という状態では審議は進められないと思うのですよ。したがって、これは委員長から自民党に対して厳重注意をしていただきまして、メンバーの招集がなければ審議には応じられない、こういう事態でございますので、委員長がひとつ特段の取り計らいをくださるように要請いたします。
  296. 阿部文男

    阿部委員長 委員長名でもって理事初め各委員を今厳重に電話で呼び出しておりますから、来ましたら、私からも厳重に注意いたします。(「それ世で休憩」と呼ぶ者あり)もう参りますから続行いたしましょう。  暫時休憩いたします。     午後四時十二分休憩      ――――◇―――――     午後四時二十二分開議
  297. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水谷弘君。
  298. 水谷弘

    ○水谷委員 臭素汚染米それから加工用原料米の不足ということで、韓国からの米の緊急輸入という大変な非常事態を招いた結果、現在、生産農家皆さん方のお怒りは、歴史的に見ても重大な問題として今爆発をしているところであります。  先ほど来、本米審の前庭に集まられた多くの生産農家皆さんのお怒りは、このような緊急事能を招いた政府、ざらにまた、ことしは約百万トンの早食いをしなければ需給が逼迫をするという非常な米不足という大変な状況の中で、長期にわたって七・七%アップを最低ぎりぎりというところで生産者団体皆さん方要求を続けてこられた。それに対して、きょうの諮問の中身は一・四五%アップという、全く生産農家の声を無視した諮問内容であったわけであります。あの広場にお集まりになられている多くの皆さん方は、一体今も農家にもうこれ以上米はつくらなくていいんだ、そういう態度を示すのかということで、大変なお怒りを持って現在も米価引き上げのために闘っておいでになるわけであります。このような米を取り巻く状況、過去になかったこのような客観情勢というものを政府が真剣に受けとめて、生産農家皆さんに大いなる誠意を持って示していかなければならない、このように私は考えているわけでありますが、今回の一・四五%アップという諮問に対して、農水省としての基本的な考え方を冒頭政務次官からお答えいただきたいと思います。
  299. 島村宜伸

    島村政府委員 御指摘の一・四五%の諮問についてどう考えるか、こういうことでございますが、私たちとしても決してこれが十二分なものだと考えておるわけではございません。しかし、現下の財政事情、いわば将来的な展望に立った諸般の事情を勘案いたしました上で、我々としてもやむを得ない仕儀として一・四五%の諮問をいたした、こういうことでございます。
  300. 水谷弘

    ○水谷委員 諮問の内容について、順次何点か御質問をいたします。  四年連続の冷害であるが、しかし米は過剰基調にある、このような基本的な認識を持っておいでになるわけですが、過剰基調という尺度をどこに置くかによって随分考え方が変わっていくわけであります。第三期の生産調整において四十五万トンの積み増しという、このような計画を立てて本年度からスタートをしたわけでありますが、この積み増しについてはもはや現時点においては不可能であろう、このような情勢にあるわけであります。  かつての米過剰、過去二回大変な過剰米処理という問題で、単年度需給均衡という体制のもとに、いわゆる抑制策という形で低米価政策をずっととってこられました。その米価算定の重要な柱になるのは、対象農家の選定の問題、さらにまた各算定要素の修正、評価がえの方法、そして三番目として米の需給事情。もちろん今次官からおっしゃった財政事情等は無視はできないのでありますが、これらの問題を、先ほど申し上げたとおりいわゆる米価を抑制する、生産を抑制するという基本的な姿勢から、政策的意図的に、三十五年以来とってきた生産費所得補償方式をいろいろといじくりながら、その諮問を今日まで続けてきた、そういう経過を私は明らかに見るのであります。  そこで、対象農家、今回八一%という数字を必要量比率としてとられておるわけでありますが、これの根拠をひとつ御説明いただきたいと思います。
  301. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  必要量の比率といたしまして八一%を算定いたしましたのは、分子の方に五十九年産生産予定量といたしまして千九十万トンを置きまして、分母の方には潜在生産量、五十九年産米にありましては今まで数字として出ておりますのは千三百八十万トンでございますが、その千三百八十万トンから永年性作物等に相当する面積の分といたしまして十一万トンを控除し、ほか、他用途利用米の生産予定量分といたしまして二十七万トンを控除させていただきまして、計千三百四十二万トンを分母に置きまして、得られた比率が八一%に相なるわけでございます。
  302. 水谷弘

    ○水谷委員 このように分母を千三百四十二に直す、これは私は何も、二十七万トンという数字はことし他用途米として初めて出てきたわけですが、永年性作物の分についてはもう定着して、本来ならばことしこれを直すのではなく、既に前から直さなければならなかったものだ、このように考えるわけです。遅きに失したな、このように思わざるを得ないわけでありますが、この潜在生産量のバックになっているいわゆる潜在作付面積について、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
  303. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 潜在生産量は、もともと第三期の水田利用再編対策の基礎として、どれくらい政策的にいわゆる転作等を進める必要があるかという観点から設定しているものでございまして、昭和六十年の千三百八十万トンにつきましては、水田の作付面積と単収を見込んでおるわけでございますが、その場合の単収としましては、昭和六十年度は四百八十一キロというような数字でございまして、作付面積の方は、大体水稲の実際の作付面積に転作等で対象にしております実施面積を加えまして、それから壊廃等の見込みを引くということで、第三期対策としましては二百八十五万ヘクタールという見通しになっております。  これと、先ほど次長からお話のありました永年作物等の関係でございますが、実はこれはあくまでも、先ほどございました十一万トンなら十一万トンに見合う数字は、水田利用再編成の世界では、あるいは奨励金を交付したり、あるいは奨励金は交付しないけれども転作面積とカウントするということで、政策対象にしておるわけでございます。したがいまして、これを単純に水田利用再編の方でも外すということになりますと、奨励金が出ないとか、あるいは過去に永年性作物に転作したにもかかわらずカウントがされないということになりまして、せっかく永年作物でいわゆる転作に協力してくださった農家の方々に大変酷になります。そういうことで、そういう永年作物等も含めましたものを転作の世界では潜在生産量、こういう扱いにしておるわけでございます。
  304. 水谷弘

    ○水谷委員 転作奨励金等をお願いして、そして転作をする、これは国民食糧自給という大きな観点からの一つの政策でありますから、奨励金は出すのが当たり前であります。しかし、もう長い間永年性作物が完全に定着をし、それをさらにまたすべて掘り起こして水田に戻す、このようなことは現実的には不可能なのであります。そういうものまで潜在生産量を生み出してくるバックとして位置づけるということは基本的には大きな間違いがある、そういうことで今回こういう見直しをしたというふうに評価をいたします。  しかし、私は、この対象農家生産量比率八一%というとり方、これも多くの委員から議論があったと思いますけれども、少なくとも全米販売農家を対象とするのが当然である、このように主張するわけであります。まして現在のように需給が非常に厳しくなっている、さらにまた〇・五へクタール以下の農家皆さん方の占める地位というもの、米生産に携わられるその地位は非常に重要になっているわけであります。そういうことを考えますと、当然現在のこの生産費累積曲線と潜在生産量の生産費累積曲線、これを両方同一としてみなすような対象農家の選定に対しては、ここで大きく見直しをすべきである、このように私は申し上げるわけですが、御所見を伺いたいと思います。
  305. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 米の需給状況をどのように算定方式の中に反映させるか、こういう問題につきまして米価審議会算定委員会等でもるる御議論をいただいたわけでございますが、その結論といたしましては、今先生の御指摘生産費対象農家というものにつきまして潜在需給ギャップを反映させる方式一つ方式考えられる、こういうふうに御指摘いただいておるわけでございまして、なお先生の御指摘されました生産費対象農家を全農家をとれ、こういう御意見もあるにはあったわけでございますが、私どもはこの生産調整をやっているという厳しい事情の中におきまして、四年連続の不作、こういう実態はあるわけでございますけれども、やはり潜在需給ギャップというものについて十分配慮していかなければならない、こう考えまして、今のような生産費の対象農家を一応選定させていただいておる次第でございます。
  306. 水谷弘

    ○水谷委員 ぜひそういう現在の考え方を大きく改めていただきたいことを申し上げて、次に移ります。  米価の第一次生産費、いわゆる直接生産費の割合を過去の実態から見てまいりますと、四十三年産、すなわち米の生産調整が始まる直前、ここまではほぼ一様に一・八倍から二倍、第一次生産費に対する米価というのがそういう状況でありました。これが生産調整と並行して年々低下の一途をたどって、五十年代前半では一・四倍、また五十年代後半ではさらに低下が著しく、五十八年産ではこの倍率が一・一倍にまでなってきているわけであります。さらには、生産費所得補償方式という方式をとるのであれば、少なくとも生産費を割るような米価というのは当然承服はできないわけであります。五十五年産以来第二次生産費を割る米価、このような低米価で今日まで経過してきているわけであります。  そこで、今回の諮問の中で地代の問題についてお伺いをしたいと思います。  十アール当たりのいわゆる労働費が第二次生産費に占める割合を調べてみますと、昭和三十五年産では五〇・二%、このような数字になっております。ところが五十八年産では三二・二%、これはいわゆる生産の高度化、機械化等が図られて省力化が図られたという結果がうかがわれるわけではありますけれども、地代の方はどうかと考えますと、第二次生産費における地代の割合というのが、昭和三十五年では七・二%、これに対して五十八年では一七・七%と、第二次生産費における地代の占める割合というのが急上昇しているわけです。この地代の占める割合が大きくなっていることが、実は本当に生産費を見る上で非常に重要な要素になってきたわけであります。今回の諮問の中身では、これが、元本を固定資産税の評価額として利率が七・四五八%、このようになっているわけでありますが、もう少し具体的にこの地代評価について中身を明らかにしていただきたいと思います。
  307. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 本年の試算米価におきますところの自作地地代の評価につきましては、米価審議会算定委員会の報告を踏まえまして、昨年まで用いておりました旧統制小作料の水準によるという考え方にかえまして、土地資本利子という考え方に立って行ったわけでございます。この場合の元本評価についてでございますが、今先生指摘の固定資産税評価額を採用させていただいております。さらに利率につきましては、十年利付国債の応募者利回りをとって適正な評価を行おう、こういうことで採用させていただいたような次第でございます。
  308. 水谷弘

    ○水谷委員 先ほども議論がございましたけれども、実際の実納小作料、この実態、さらにはいわゆる地価が非常に高騰しておるという社会状況の中で、固定資産税の評価額を元本に据えたという妥当性については大変疑義があるわけであります。やはり生産者団体皆さん方が御要求されている少なくとも正常な売買価格、それが元本に据えられることが必要ではないか、このように考えているわけです。  もう一つは、七・四五八%というかなり利率としては高いわけですが、これをとられた根拠はどういうことですか。
  309. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 土地資本の特徴といたしまして非常に安定性がある、こういうふうな面を評価し、かつまた、流動性においてはそう強くないといった面にも配慮しましてそのような利率を採用させていただいたわけでございます。
  310. 水谷弘

    ○水谷委員 この乗じたパーセント、この率というものはそんなにくるくる変わるべきものではない。今の御答弁によりますとそういう内容、性格のものと判断をいたしますが、状況が変わったからということで安易にこの数字を変更することのないように、今のこの数字を持ってこられた根拠を伺ったわけでありますから、ひとつしっかり守っていただきたい。さらに、冒頭申し上げましたように、正常な売買価格を元本にというこの基本的な考え方を持ちながらひとつ今後の対応をお願いしておきたいと思います。  この地代に関係しましてもう一点お尋ねをいたしますが、構造政策を推進していく上でやはり土地改良事業における受益者の負担、その費用の償還、これは、現在のように米価が毎年低米価政策で抑えられる、採算が合わない、こんな土地改良なんか必要ないという御議論が非常に多いわけで、そういうことを考えてみても、少なくとも土地改良事業等における受益者が負担をしているその資金、償還資金の利息分くらいは生産者米価のこの生産費の中でちゃんと見ているのであろう、このように考えているわけですが、それはどこでどのように算出をしておられるか、伺いたいと思います。
  311. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 土地改良事業の借入資金利子につきましては、生産費調査におきましては資本利子の中に計上されておると聞いておりますし、私どもはそのような生産費調査の結果をとっておりますので、資本利子の中に含められておる、このように御理解いただきたいと思います。
  312. 水谷弘

    ○水谷委員 時間がありませんので先へ参りますが、この地代、実際の生産費調査に見られる地代は三分の一くらいしか評価がされていないわけであります。どうかこの地代についても適正な評価をするように強く望むものであります。  次に、生産費の問題からは幾らか離れますが、今回の米を取り巻く環境の中で一番大きな問題が韓国米の輸入という問題であります。その発端は、臭素による汚染ということでございました。そこで、その問題が起きてより今日までかなり日数が経過をしているわけでありますが、五十三年産の超古米の基準を超えるものと超えないものとの汚染割合、これがどういうふうな状況になっているか、伺いたいと思います。
  313. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  五十三年産米の五〇ppm以上のものと以下のものを私ども調査いたしまして、以下のものを現在売却させていただいておるわけでございます。最近の売却に向けるべきものとして把握されました数字は、五万二千トンくらいを一応売却できる、こういうように把握しているわけでございますが、その母数になります全体の数量はたしか十万三千トンくらいではなかったか、その約半分程度が今のところでは不合格のものになり、また半分が合格、こういうふうには見られるわけでございます。  今後のものにつきましては、なお地域等非常に散在しているというふうなこともございまして、今までどおりのようにはいかないのではなかろうか、こう思われるわけでございますが、その辺はまだ定かに見通すことが困難なような情勢でございます。
  314. 水谷弘

    ○水谷委員 母数が十万三千。そうすると、まだ検査等やっていないのが約十万くらいあるということで承知してよろしいですな。  それでお伺いいたしますが、この基準を上回ったもの、五〇ppmを超えたものはどういうふうに処理されるのですか。
  315. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今、どのような用途に仕向けられるかにつきましては、いろいろと検討には入っておるわけでございますけれども、少なくとも食用以外の用途というふうなことになるのではなかろうか、このように思うわけでございますが、まだはっきり開発されてないような次第でございます。
  316. 水谷弘

    ○水谷委員 それではその基準を下回ったもの、すなわち五〇ppm以下のものはどのように扱われますか。
  317. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 これは、従来から私どもが売却させていただいておりました加工原材料用の用途、それから一部は、主食用でございますが、業務用と言いまして食堂あたりで使われておるものに売却させていただいております。
  318. 水谷弘

    ○水谷委員 加工用に回す。実際は韓国から十五万トンを入れたわけでありますから、この中で加工用に回っていくということになりますと、加工用の必要数量と考え合わせますと、この十五万トンと足しますとかなり需要を上回る数字になる、このように考えるわけですが、それはそのまま来年の米穀年度に持ち越す、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  319. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 来年の米穀年度に持ち越して、韓国産米につきましては他用途利用米が安定的に供給されるまでの食いつなぎ用として使っていかなければならない、こういうふうに考えます。
  320. 水谷弘

    ○水谷委員 今私が伺いました理由は、今次長が最後におっしゃった他用途利用米を生産者の皆様方が御心配をされて、ことしの米需給のこの逼迫した情勢の中で他用途利用米で政府が買い上げて、それを米の需給操作が厳しいからといって先へ行って主食用に回されたのでは認めるわけにいかない、そのようなことまで危惧をされて、他用途利用米はこの際主食用として買い上げろ、これが大変な御心配の上に立った御要求であるわけです。  この他用途利用米を主食用にということになると、二十七万トンという加工用原料米に穴があく、そうするとまた第二次輸入ということにならざるを得ないが、それでもいいかというような議論が行われているということが伝えられているわけであります。米の輸入ということは今年限りの緊急避難措置という、これはもうこの委員会で大臣が再三にわたって答弁をしてこられたことでありますから、間違ってもそんな第二次輸入などという考え方を持ってはならないし、持つべきでもないわけでありますが、その根拠として二十七万トンが足りない、このような単発な政府のお考えが出てきているように承っております。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕  二十七万トンの他用途利用米をもし主食に必要として政府が買い上げなければならないということであるならば、その不足分についてどうするかは、この間の臭素汚染米みたいに、足りなくなればすぐ韓国へ行ってというような、こういう態度だけは断じてとってはならない。そのために食糧庁があり、政府がある。二十七万トンの手当てはどうするかということを考えるために皆さん方がおいでになるわけです。それが穴があけば輸入しかないぞ、こんな横暴な議論がまかり通ってはならないと私は思うわけです。  そのためには、いわゆる米でなくても加工用原料として使えるコーンスターチとか、さらにまた青刈り稲をどうするか。さらに、今議論をしてきました十五万トンではことし分は多いわけです。幾らか持ち越していくわけです。さらにまた、臭素の汚染濃度で基準を下回ったものが確保されるかもしれない。それらの加工用原料米の手当てというのは、いろいろ工夫して、苦労してひねり出していけば、すぐ第二次輸入の議論をしなくとも十分対応できる問題だ、このように私は考えているわけです。政務次官、この辺の基本的な考え方を伺いたいと思います。
  321. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 恐縮でございますが、最初に数字的な問題につきまして私から御説明させていただきます。  御案内のように、主食用につきましては決してゆとりのあるという状態ではございませんが、五十九年産の早場米の適正な需給操作によりましてこの端境期は十分やっていける、このように私ども考えておる次第でございますし、加工原材料用につきましては先ほどの韓国産の手当てをさせていただいたわけでございます。そのあとにつきましては、五十九年産の他用途利用米をその用途に使わせていただこう、こういうことで生産者と実需者の間で供給契約を結んでやってもらう、こう考えていたわけでございまして、もし加工原材料用に回すべき他用途利用米を主食用に買い上げ等をいたしますと、加工原材料用の需要分に支障を来す、こういうことも考えられるわけでございます。その際、今先生指摘のように、マスコミ等の一部で、直ちに二次輸入等というふうなことを考えるとか押しつけるとかいうようなことも報じられておるわけでございますが、私どもはやはり他用途利用米制度の今後の円滑な発展というふうなことを期待しまして、加工原材料用に本来あるべき姿のところに供給していただければと願っておるわけでございます。  なお、今先生指摘のような、もし他用途利用米を主食用等に転用するような際にその穴が埋められるかどうかという問題につきましては、なかなか難しい問題であろう。といいますのは、今までもありましたような用途がございますし、たしかコーンスターチとかワキシスターチとか、多少の代替は可能かと思うのでございますが、それに多くを期待することも困難ではなかろうか、こういうふうに思われますし、もしそういうふうな議論がなされるのであれば、私どもはその代替を何でやれるか、可能かどうか、こういうような面が十分検討されるべき問題だと考えております。決してすぐに二次輸入とかいうふうなことを考えるべき問題だとは思いません。
  322. 島村宜伸

    島村政府委員 私に対する御質問についてお答えさせていただきます。  今回の韓国米のいわば現物返還が輸入と報じられたこともありまして、大変に皆さんに御心配をおかけしたことはまことに恐縮に存じておる次第でございます。しかし、これはあくまで五十三年産米の、いわば予期せぬ臭素汚染ということが実際に出てまいりまして、これに対する緊急避難的な措置と言って言い過ぎでないわけでございまして、その意味では、これはことし限りのものであるというふうに私たちはかたく考えております。  なお、いろいろ誤解がかなり広まっておるわけでございますのであえて付言をいたしますが、御承知のように、WHO、世界保健機構あるいはFAO、国連食糧農業機構、これらで人間が一日に食べる許容量として認められておるのが五十ミリグラムでございます。しかし、仮に七〇ppmの米を、日本人の一日当たり平均は今二百十八グラムでございますが、これを三百グラム、約五割増し食べたといたしましても、それによって摂取いたします臭素は二十一ミリグラムでございます。これに調味料とか自然食品に含まれる十五ミリグラムを入れましても三十六ミリグラムでございまして、そういう点では、率直に申して、これは多少私個人の考えもありますが、臭素の汚染というものがいささか過大に報道されておるような感じがしないではありません。しかし、日本人はこういうことに非常に敏感な国民性を持っておりますし、安全性に対する国民感情を十分配慮するこが私たちの務めでございますので、そういう意味で、これからこの韓国米についての我々の配慮というものをより確かなものにしていこうと考えておるわけでございます。
  323. 水谷弘

    ○水谷委員 今政務次官、個人的なお考えということでおっしゃいましたが、臭素の基準というものはどうかひとつ厳しく守っていただきたい。こういったものを間違っても食用に回すようなことのないように、厳しく申し上げておきます。  最後に、農業を取り巻く非常に厳しい環境、農業の再建、また国民食糧自給向上のために現場で本当に御苦労されていらっしゃる農家皆さん方だけが財政事情等いろいろな問題でしわ寄せをされるようなことのないように、御労苦にこたえられるような生産者米価決定をされるように、豊水省が体を張っても頑張っていくべきである、このように要請をして最後にいたします。
  324. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 駒谷明君。
  325. 駒谷明

    ○駒谷委員 引き続きまして、米価問題に関連してお尋ねをいたします。かなりの委員皆さん方から、いろいろな観点から質疑が行われました。できるだけ重複を避けてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  まず最初にお伺いいたしたいのは、今回米価集議会の方に出されました大臣の諮問米価のアップが一・四五%ということでございます。現地にいらっしゃいます農業者、農家皆さん方は大変なふんまんの気持ちでございまして、日本の農業に対する大変な不信を起こしておられるわけでありますが、今回のこの諮問につきまして、農業団体から要求がなされております観点からお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  全中初め農業団体から米価の審議に当たりまして政府に対して要求がなされておりますアップは、御存じのとおり七・七%という要請でございます。試算の内容等に多少の食い違いがあろうかと思いますけれども農業団体生産者の希望であります米価の七・七%のアップ、この要求に対して政府の方はどのように評価をされておられるのか、それからお伺いをしたいと思います。
  326. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  農業団体要求米価につきましては、米の需給は当面は決してゆとりのあるものとは言えないわけでございますが、依然として生産調整を行っていかなければその均衡が図れないというふうな情勢であること、及び米の管理にかかわります財政運営も、国家財政が一層厳しい状況にあることでございますし、困難な局面に直面しております。こうしたことを考慮いたしますと、七・七%という要求のアップ額を実現するというふうな状況にないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  327. 駒谷明

    ○駒谷委員 それでは次の点についてお尋ねをいたしますが、先ほど来次長の方から答弁があります米価審議会の小委員会の報告についてであります。  昭和五十八年度の米価審議会米穀政府買い上げ価格に関する答申、これに関連をいたしまして、この審議会から米価算定方式について「種々問題があるので、昨年の審議会の意見にもかんがみ、別途大方の納得の得られるような算定方式について早急に検討すべきである。」これは昨年の米価審議会答申の中の意見でございますけれども、それに基づいて小委員会が設置されまして、御存じのとおり五月二十五日にこの報告書が出されたわけでありますが、農水省としてはその内容をどのように評価をされ、今回の諮問にどのように生かされておられるのか、具体的にお伺いをしたいと思います。
  328. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 米価算定委員会の報告につきましては、算定方式につきましては一応生産費及び所得補償方式が適当である、こういうことで意見がまとまっておるわけでございますが、要素のとり方等につきましてはいろいろのニュアンスの違った見解等もあるわけでございます。  私どもがこの算定委員会の報告を踏まえて算定さしていただきまして点について具体的に申し上げますと、算定方式としては、いま申し上げましたような生産費所得補償方式でございます。  それから生産費の対象農家のとり方につきまして、農家を「生産費の低い順にその累積生産数量比率が潜在生産量に対する需要量の比率になるまでの農家」としている点でございますが、この点は、今の構造的な需給事情を反映させることはないので、全農家をとったらどうかというふうな意見もございましたが、私どもは、今申し上げましたような潜在需給ギャップ反映の比率をとらしていただいたような次第でございます。  なお、家族労働費の評価につきましては、製造業の賃金について都道府県別の米販売量ウエートにより加重平均した賃金ということがまずうたわれておろうかと思うのでございます。そのほかに労働者数に基づく平均というのもございますが、私どもはその米販売量ウエートによる加重平均の賃金を採用さしていただいている次第でございます。  それから自作地地代の評価につきましては、昨年までの旧統制小作料の水準にかえまして、土地の資本利子という考え方に立って今回算定さしていただいた次第でございます。  大まかな点は、大体以上のようなところでございます。
  329. 駒谷明

    ○駒谷委員 答弁ありました自作地の地代の評価の問題でありますけれども、先ほどからもたびたび質疑が行われておるわけでありますが、この小委員会での報告の中には、自作地の地代の評価を現行よりも高いものにするという考え方、恐らくその考え方に立って今回の評価がなされたのであろうと思うわけであります。その意見の中に、やはり先ほどからお話の出ております売買価格を基本にした地代評価をすべきであるという意見もあるわけでございますが、これと、今回農林省がとられましたこの評価の仕方、その差異はどのような形になるのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  330. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  一般の土地につきましては、正常売買価格をもって適正な時価と評価し、固定資産税の課税が行われる、こういうことになっておるようでございますが、農地につきましては、その売買が一般に農業経営を可能とする程度の規模の農地を単位として行われるのではなくて、ほとんどの場合が切り売りだとか買い足しというふうな形で行われることから、その価格が一般に割高に決定されているという事情にあるようでございまして、正常売買価格ではなくて、これに農地の平均十アール当たり純収益の限界収益額に対する割合、五五%でございますが、こうしたものを乗じた適正な時価、すなわち固定資産税評価額、こういうものを採用さしていただいているわけでございます。  具体的に申し上げますと、こうした私どものような算定をやりますと、十アール当たり五千七百七円でございまして、それで、これは農業団体等算定されたものでございますが、正常売買価格に基づく十アール当たりの評価額は七千七百七十六円ということに相なっております。
  331. 駒谷明

    ○駒谷委員 今回の米価引き上げの率の差という一つの要因として、この地代の評価の仕方があろうかと思うわけでありますけれども、いわゆる地代評価というものを大きくとるという小委員会考え方の中からいきますと、生産者皆さん方の立場に立てば、より高い評価というものが望まれてしかるべきだと思うわけでありますが、今回そのような評価額を一つの基本にした根拠についてもう一度具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  332. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  農地の評価をどのようにするか、また一般の土地の評価をどのようにするか、こういうようなことにつきまして見ますと、一般の土地につきましては、正常売買価格というようなものを基準に固定資産税の評価が行われておる、こういうことに相なっておりますが、農地につきましては、先ほど来申し上げておりますように、正常売買価格に五五%が掛けられましたものが一応固定資産税評価額、こういうふうなことにもなっておりまして、私どもは後段の方の数字を使わせていただいているような次第でございます。
  333. 駒谷明

    ○駒谷委員 そこの具体的な内容については、それの計算の方法については納得しているのですよ。算定方式としては地代評価というものを高く見るという基本的な考え方で私の方はお尋ねをしているわけですが、小委員会では、土地の評価というものについては今回は低い方の評価の仕方でとった、なぜそういう評価の仕方をされたのか、それについてお伺いしたいと思っているのです。
  334. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 食糧庁が採用しておりますのは、今先生が御指摘の、小委員会の報告どおりの考え方で行っているわけでございまして、特に故意にそれを引き下げるとか、そういうことで対応しているわけじゃございません。
  335. 駒谷明

    ○駒谷委員 それでは、評価の仕方についても、今後はその評価の仕方のままで変わらない、そちいう考え方で理解してよろしいですか。
  336. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 小委員会の報告によりますと、この算定要素のとり方につきまして運用の仕方ということで一応規定されておりますが、家族労働費の評価生産費及び所得補償方式の根幹をなすものであるから、当面の適用期間中は原則として変えない、こういうことが適当であろうが、自作地地代、自己資本利子の評価につきましては運用に若干の幅を持たせることも考えられる、こういうふうに規定されておるところでございまして、この規定も一応考えながら、できるだけ変えないでいきたい。未来永劫ということではございませんが、適用期間中とここで言っておりますのも、三年程度、こういうふうに書かれておりますので、そういった御意見等も踏まえて今後運営していきたい、こう考えております。
  337. 駒谷明

    ○駒谷委員 これはよく今後も検討をしていただきたいと私も思っておるわけでございます。実際の取引関係等については、現在の評価額というのは、今説明のあったように低い価格で評価がなされているわけであります。そういう点からいきますと、この自作地の地代評価というのは、あくまでもきちっとした形で評価をされるべきだ、生産者の立場から考えるならばそうあるべきだと私は思うわけであります。その点については今後も十分にひとつ検討を進めていただきますようにお願いをいたしておきます。  続いて、生産費算定のとり方でございますけれども、先ほども水谷委員からお尋ねがありました。この中で、必要量の比率というのが今回八一%に決められておるわけでありますけれども、この八一%の算出の基礎になった内容をもう一度簡単にお伺いしたいと思います。
  338. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 八一%でございますが、分母に潜在生産量を置きまして、分子の方に千九十万トンという主食用の必要生産量、こういうものを置いたわけでございます。  分母の潜在生産量でございますが、これは第三期の水田利用再編対策の前提になっております潜在生産量が昭和五十九年につきましては千三百八十万トンでございまして、それから十一万トン、これは大体定着性の高い永年作物等の面積でございます。それから二十七万トンの他用途米を引きまして、千三百四十二万トンという数字を分母に置いております。この中で十一万トンという数字は、内訳としては、転作の、いわゆる水田利用再編対策の中で、従来奨励金を交付されて永年作物等に転作しました面積の中で、第三期対策の中でいわゆるカウントと申しまして転作扱いにしているもの約七千ヘクタール、それから林地、養魚池、農業生産施設等になっておりますのが約四千ヘクタール、このほかに、当年度に奨励金をもらって永年作物等に転作するもの一万一千五百ヘクタール程度、この三つがございまして、これを足しますと二万二千七百ヘクタール、これを転作田十アール当たりの単収四百六十八キロと、こう置きまして掛け合わせますと大体十一万トン、こういうことでこの十一万トンが定着性の高い転作であるということで差し引いたわけでございます。
  339. 駒谷明

    ○駒谷委員 この潜在生産量の問題でありますけれども、潜在生産量は、平年単収と、そして先ほど説明のありました潜在作付面積、両方を乗じた内容が潜在生産量ということになっておるようでありますけれども、この平年単収の方についてはどのように評価がなされたのですか。
  340. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 平年単収と申しますか、潜在生産量を算定します場合に用いました単収は、第三期対策、つまり昭和六十年につきましては四百八十一キログラムになっております。それで、ただいま申し上げました千三百八十万トン、つまり五十九年の場合には、この四百八十一キロに当たります単収を四百八十キロと見込んでおりまして、これは過去の単収の伸び、傾向等から見まして大体このくらいの単収を見込んで、水稲の潜在生産力というのはどのくらいあるかという場合にこのような単収を見込んでおるわけでございます。
  341. 駒谷明

    ○駒谷委員 この小委員会の報告の中の算定方式の中で「需給事情米価算定に反映させることが適当であるとしても、需給事情は、あくまでも現実にあらわれた需給でとらえるべきであり、」という考え方も述べられておるわけでありますけれども、この「現実にあらわれた需給」というのは実収というふうに私は思うのでありますけれども、その点について、どういうふうにこの点の判断をされたのか、お伺いしたいと思います。
  342. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  今御指摘の点につきましては「需給事情は、あくまでも現実にあらわれた需給」ということとここに規定されておりますのは、前段で潜在生産力なり潜在的な需給ギャップ、こういったことが記述されておりまして、そういった潜在というふうなことじゃなしに、むしろ現実にあらわれた当面の需給、こういうような面を重視すべきではないかという御意見と私どもは受けとめております。
  343. 駒谷明

    ○駒谷委員 私がこの点でお尋ねしているのは、必要量の比率が高くなれば生産費というものは上昇する、これはもう計算の方式なんですから。そして低くなれば生産費というのは下がる。そうたりますと、分母というものに対する評価の仕方によって大変生産費が上がったりも下がったりもする、そういうふうになるわけであります。過去におきます生産の実収を見てみましても、この平年単収というのは実収よりも大変高いのではないかと思うわけでありますけれども、そのような評価の仕方が果たして現実に合っているのかどうか、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  344. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 平年収量と申しますのは、過去の正常な年の単収の動向から来るわけでございます。過去四年は明らかに不作でございますので、例えば前年でございますと作況指数九六というようなことで、これは平年収量に対する指数がそういうふうに四%の開きができておるわけでございます。それで、毎年、平年単収は審議会に諮りまして統計情報部の方で決めておられるわけですが、この場合には、そういう過去の動向、普通の気象状況であればそれが続くかどうか、こういうような見込みも決めまして、今年度、つまり五十九年産米につきましては四百七十九キロという平年単収が決められておるわけでございます。  それとこの四年の実績の開きが非常に大きいじゃないか。これはあくまでもいろいろな要因がございますけれども、我々の技術的な視点から申しますと、過去四年の中に、例えば五十年に一度とか百年に一度というような異常な低温が記録された地方がございまして、そういう異常気象的な要因が非常に大きいということで平年単収からの開きがこういうふうに大きい年が四年続いたということで、平年単収そのものはあくまでも作柄判定上の普通の状況であればこのぐらいとれるという数値として算定されておるわけでございます。
  345. 駒谷明

    ○駒谷委員 過去におきまして、四百八十一キロ以上の単収をおさめたのは五十年、五十三年、五十四年の三カ年でありますが、この作況指数は五十年で一〇二、五十三年一〇五、五十四年は一〇八となっているわけです。収量の面からいきますと、ことしの作況指数は平年の作況指数以上の虫収を上げなければ四百八十一という平年単収はとれないのではないか、現実の問題からそういうふうに思うわけでありますけれども、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  346. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 実単収というのは、お尋ねの中にございましたように最近変動が特に大きいわけでございまして、四年不作の前は今お話のありましたように平年単収よりかなり高い数字を出しております。平常の状態でどうかということになりますと、そういう全体の状況から見て普通の状態であればということを見通すのは非常に難しいわけでございますが、それには統計情報部の方でも関係の審議会にお諮りをしまして、全体として平年であればどうであろうかというようなことを推定して平年単収を出していただいているわけでございまして、具体的にことしはどうか、あるいは来年はどうかということになりますと、ことしは例えば昨日出ました統計情報部の七月十五日の早場米地帯の作柄概況では、これはまだまだ収量に結びつけるのは早いわけでございますけれども北海道は良ということになりまして、これは順調にいきますと作況指数一〇六以上、それから東北地方が大体やや良でございまして、これですと一〇二から一〇五、これはもちろん現段階での水稲の育ち方であります。  そういうことで、気象条件その他平常な状態であれば平年どのくらいとれるかというのが平年単収でございますので、過去四年の状態から直ちにことしないし来年がそれからまた非常に低い方に乖離するということを断定的に言うということではなくて、反面、高い方も条件がよければ期待できる、こういうようなことであろうと思います。
  347. 駒谷明

    ○駒谷委員 今回の米価審議に対する諮問の内郷でありますけれども、この算定方式米価の基礎価格の決定に大変重要なウエートを占めるわけであります。したがいまして、農業者の立場に立ち、これから日本の農業を大きく発展をさせる、振興させていく立場から、あくまでも農業者の立場に立った考え方算定をすべきであると思うわけでございますけれども、その点について、今後の考え方も含めて次官からお伺いをいたしたいと思います。
  348. 島村宜伸

    島村政府委員 仰せのとおり、農家の立場を十分我々は配慮してこれからも算定をしていくべきだと私たち考えております。
  349. 駒谷明

    ○駒谷委員 それじゃ、その点については今後もよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、自主流通米の問題について最後にお尋ねをいたします。  新聞関係の報ずるところでございますけれども良質米奨励金の削減が見送られるであろうという報道があるわけでございますが、この自主流通米の奨励金については、良質米志向の消費者の立場から考えるならば、また今後の米需給の問題等から踏まえていくならば、どうしても良質米の奨励金は今後も存続させるのが大変重要な内容であろうと私は思うわけでありますけれども、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  350. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 自主流通米の助成の問題につきましては、制度の健全な発展を図るという観点に立ちまして、自主流通米の流通の実態や政府米の財政負担との関連、こういったことをも踏まえながら現在検討しておるわけでございまして、なお検討を深めた上で早急に結論を出すことにしたいと考えておる次第でございます。
  351. 駒谷明

    ○駒谷委員 以上で終わります。
  352. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 小沢貞孝君。
  353. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 午前中に引き続いて一点だけ質問をいたしたいと思います。それは備蓄についてであります。  今、消費者を含めて国民は食糧問題に大変不安を持っております。この間私は日経で見たのですが、だれがまいたか知らぬが、どこかの団地にビラを配って、どうぞ早く近所の食糧店へ買いに行ってください、こういうビラが出るということは、消費者を含めてこの食糧問題に大変不安を感じているのではないかというように私は考えるわけであります。この間、奥むめおさんか、主婦連の米の消費の動向調査のデータを見ると、約五割に近い人が備蓄をやれ、こういうアンケートが出ておることは端的にそのことを物語っているのではないかというように考えます。  時間がありませんけれども、世界各国のこれに対する態度は、例えばスイスでは、穀物備蓄政策について「この計画の重要な機能を担っているのが穀物の備蓄計画である。スイスの備蓄制度の法的根拠は、スイス連邦憲法並びに一九五五年に制定された国家経済防衛準備に関する連邦法、一九五九年のパン用穀物供給法である。」こういうものによって備蓄制度が確立しているようであります。西ドイツは、国家備蓄の実態は、小麦が三・八カ月分、ライ麦が五・九カ月分、飼料穀物が〇・五カ月分、脱脂粉乳等。スウェーデンにおいては、約千五百品目にわたって備蓄、これは量はちょっとわからぬが、そういうことで、どこの国においても、言うならば総合安全保障という立場から備蓄制度が確立されているわけであります。  石油備蓄は、数年前に法律ができて、民間備蓄でたしか四、五百億も金をかけてあるわけであります。国家備蓄の方は千何百億、合計で二千数百億の金をかけて、石油については万全の措置をつくりつつある、こういうのもまた実態ではないかと思います。  この間、備蓄制度をつくれと超党派の国会決議がなされているわけであります。きのうだか、米穀政策や米価問題で野党共闘が行われましたが、これまた野党全員一致でもって、この際どうしても新たな制度を確立しなければならない、こういう情勢になっているわけです。  そこで私は、この備蓄の問題については先進国と同じように、単に食糧庁というよりは国家安全保障、総合安全保障という立場から日本も取り組んでいかなければならない重要な問題ではないか、こういうように考えているわけです。石油はもちろんですが、穀物等が入ってこなくなったら大変なことだ、こういう事態ではないかと思いますが、最近誕生した、よくわからないんだが危機管理等特命事項担当大臣ですか、中西大臣、そこではこの問題について、何か将来検討をしようとかそういうテーマになっておりますか、あるいは研究しておりますか、まずそこからお尋ねをしたいと思います。
  354. 上野治男

    ○上野説明員 先生ただいま御指摘の問題については非常に重要な問題だとは存じております。しかし、中西大臣が総理から特命を受けましたのは、主として大震災とかハイジャックというような、突発的な大事件が発生した場合の政府のとるべき措置の調査研究についてでございます。  もちろん食糧危機のような問題というのは広い意味で危機の概念には入ると思いますし、今後順次検討していかなければならない問題だろうと思っております。しかしその場合でも、あくまで農水省のような主管の省庁が中心になって検討していただき、中西大臣のもとでは、関係省庁間の施策に抜け穴がないか、あるいは対応のおくれがないかというのを見つけていただきまして、各省庁間の施策の統一の保持という見地からの必要な調査研究を主として進めていきたい、こう考えている次第でございます。
  355. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今の答弁も第一義的にはやはり農水省、こういうことのようでありますが、食糧庁の備蓄の歴史というのは、備蓄とは言わぬ、持ち越し数量みたいなものなんだが、これでは国民がだんだん心配するのも無理はないと思うような数字であります。昭和五十一年が二百五十四万トン、五十二年が二百九十七万トン、五十三年三百七十七万トン。これは在庫備蓄と言うよりも、余っちゃって困っているような感覚の持ち越してはないか、こう思います。五十四年が二百十六万トン、五十五年が百七十八万トン、五十六年はぐっと減って九十一万トン、五十七年は四十万トン、五十八年は驚くなかれ十万トン。ことしの、五十九年の見込みはゼロではないか、こう思います。  この歴史を見ると、食糧庁というのは、いつだったか、第一次古米の在庫でどうにもしようがたかった、一兆円の金をかけちゃった。第二次のときには二兆円金をかけちゃった。余った米をどう始末していいかということに悩んできた歴史を食糧庁は持っているのではないか、これは私は無理からぬ点もあると思います。だから、だれかうまいことを言ったが、あつものに懲りてなますを吹く、こう言ったのだけれども、私は今でもどうも農林省食糧庁というところはそういう感覚しか持っていないんじゃないか、こういうように考えます。  そこで、国会決議等も踏まえて、この時期に当たって制度として備蓄についてこれから研究しょう、新たに取り組もう、こういうお気持ちがおありでしょうか。
  356. 島村宜伸

    島村政府委員 先生指摘のとおり、お米の問題では私ども就任以来ずっと苦しい、大変不安な気持ちで過ごしたことは正直な話でございます。ただ問題は、まずその不安な問題についてでございますが、最近のいろいろな、例えば六月十八日に全国の農政局長会議、その後の統計情報部等の精査な報告を受けまして、最近はやや愁眉を開いているということでございます。  それは稲の生育が非常に順調である、おおむね平年並み、それよりよい、あるいはややよいというような報告を各地、全体で受けておるわけでございます。あわせて、気象条件が非常に上方修平された、長期予報も非常にいい結果になったので、愁眉を開いておるわけでございます。  ただ問題は、お米のいわば在庫といいますか神庫積み増しをたくさんさせていただければ私どもこんなにつらい厳しい思いをしなくて済んだわけでございますが、しかし、一方でこの在庫積み憎しは当然財政負担を増大させますし、また古米の混入率が高まるということは結果的に消費の減退を招くということにつながるわけでございます。ちなみに昭和四十八年当時の日本人の平均摂取量は年間九十・八キログラムでございますが、これは五十八年までまいりますと七十六・四キログラム。ただでさえ消費が減退しているときに、もしいわば古米をたくさん残してまずいお米を供給するということになると、この消費の減退に拍車をかけるということになるわけでございまして、この点も私たち大変頭の痛いところでございます。  特に今回水田利用再編第三期対策で私ども予定しておりますのは、今年度の生産米から毎年四十五万トンずつの積み増しをする、そうすると今までの持ち越し十万トンを加えて約百五十万トンの、いわば米の備蓄というよりは在庫積み増しをいたすわけでございますが、これすらも単体で供給いたしましても五カ月分いわば古米を持つという形になるわけでございますから、そういう意味では少しでもおいしいお米を食べていただいて米の消費というものを確保していかなければいけないという立場に立てば、劣化しにくい原油等とは同じように考えにくいという面があるわけでございます。  また同時に、先生、国際的な視野でスイス、スウェーデン等の御指摘をなさいましたが、御承知のようにスイス、スウェーデンは、まず歴史的にも地理的にもあるいは経済、農業関係の環境が非常に極端に違うわけでございまして、また同時に人口を見ましても、スイスの現在人口六百四十三万人、スウェーデンが八百三十二万人でございまして、我が国の十分の一以下のいわば人口の少ない国でもございます。特に両国とも非同盟永世中立国としてもう世界的に通じている国でもございますので、いろいろな意味で立場が違うということも指摘できるのではないか、そう思います。  ただ、御心配いただきます点につきましては私たちも全く同感でございまして、この点については、将来ともに日本人の主食であります米の供給を絶対に絶やさない、これが肝要である、このことは全く同感でございます。
  357. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 再び内閣官房といいますか危機管理等特命大臣のいらっしゃるところへお尋ねしたいわけですが、危機管理はハイジャックばかりじゃないと私は思う。広い意味において世界各国は総合安全保障の立場で取り組んでいるわけです。だから、少なくとも私は今食糧危機だと国民がみんな感じでいると思いますから、どうぞ新しい大臣、何から手をつけていいかよくわからないのではないかと思いますが、所管である農林大臣と十分相談をされて、この問題について研究をしてもらえるようにお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  358. 上野治男

    ○上野説明員 ただいま先生の御趣旨はよくわかりますし、中西大臣自身の当面指示されておりますことはあくまで突発的な大事件でございますが、しかし、先生指摘のような問題について我が国として長期的な課題として検討していかなければいけないと思っておりますので、同一線上において各省庁と一緒になって検討していくということは今後もやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  359. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 委員長に提案があります。  今食糧備蓄については、制度的にしっかりしたものをつくらなければならないというのはほとんど私は国民の合意を得られていると思います。先ほどちょっと阿部委員長にもお願いをしておきましたけれども、後で理事会等の相談で、超党派でこの問題に取り組むようにひとつ委員長に提案をいたします。
  360. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 ただいまの提言につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  361. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わります。
  362. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 菅原喜重郎君。
  363. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 政府にお伺いします。  本日、昭和五十九年度米価諮問が、農民団体要求米価七・七%アップを余りに下回る一・四五%アップで諮問されたことに私たちは大変な不満を持っているわけでございます。私は、この米価の中には、食糧の国家安全保障と耕地維持による国土保全の意味が担われている関係で、この方面の配慮からだけでも十分に農民要求の価格は守るべきではないのか、こう主張してきた関係で、今回の諮問には全く失望と怒りを感じているわけでございます。  そこで、これまでの米価決定の経緯を見ますと、昭和五十三年には〇・一%の諮問に対しまして決定はこのとおり、〇・一%になっております。昭和五十四年には〇・二%の諮問に対しまして〇・二%。実質的には、諸物価の値上がりから見ますと、全くの据え置き同様でございます。五十五年が、このような今までの低いアップ率に対しますところの農民の運動、また農家の窮乏等ということがございまして、二・三%の諮問に対しまして二・三%と、諮問どおりに三年間は決定されているわけでございます。  しかし、五十六年度、五十七年度を見ますと、五十六年度は〇・一%の諮問に対しまして〇・五%の決定、五十七年度は零%の諮問に対しまして一・一%の決定、これは私たち政治決定政治加算がなされた、このように解釈しているわけでございます。昨年は政治加算、政治決定、こういうことが先走りしまして一波乱あったわけでございますが、諮問一・七五%に対しまして決定は一・七五ということになっているわけでございますが、こういうような今までの経過を見ますと、今回一・四五%が諮問されても、またここでここ二、三年来の傾向から幾らかのアップをして、いわゆる政治決定をして米価が決められるのではないか、私たちはこのように推測するわけでございます。  そうなりますと、米価というのは一体何で決まっていくのか。この数年来の流れを見ますと、闘争の力と力で決められていって、どこに合理的な決め方というものがあるのか。これでは政治倫理を乱していくような米価決定の姿になっているわけでございます。こういうことで、私は将来への不安を感じているものでございます。私はこの辺でもうちょっと合理性のある決め方を考えるべきではないかと思うのでありますが、この点に関してまず政府考え方をただしたいと思います。
  364. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  生産者米価決定につきましては、食糧管理法の規定に基づきまして「生産費及其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、このようになっておりまして、従来から私どもといたしましては適正な価格を定めるべく努力してまいった次第でございます。  本年産米価につきましては、四年連続の冷害等によりまして当面の米の需給は決してゆとりのある状況とは言えないわけでございますが、依然として一方で生産調整をやらなければならない、こういった状況にあることもございますし、厳しい財政事情等を考慮するとともに、他方、農家健済を取り巻きます最近の厳しい諸事情のもとで稲作生産性の向上にお努めいただき、また農業生産の再編成に取り組んでいただいております農家の意欲に及ぼす影響にも配慮いたしまして、米価引き上げを図ることといたしまして、本日からあすの米価審議会意見を十分聞くこととしたところでございまして、米価審議会答申を得まして関係方面との調整の上で適正に決定してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  365. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私の質問しております趣旨というのは、今の米価決定はいろいろな政治配慮的なものではないのかということでございますから、私はこれがいいとか悪いとかではないわけです。ですから、こういう政治的な配慮で決めるなら政治的配慮の基準というものを決めて、生産費所得補償方式とかなんとかでなく、こういう米価なのだという何か一つの基準がないと、どうも米価闘争はおかしいのじゃないか。もう既に食管法自体が、これから質問するわけなのですが、私たちは変遷を見ますと随分内容を変容させておりますので、ここいら辺でそういう政治決定される米価なら政治決定される米価の基準をつくるべきではないか、こういう趣旨から質問しているわけですから、この点に対して御意見をお伺いします。
  366. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今先生の方から政治決定というお言葉で随分御主張があったわけでございますが、私どもの立場からいたしますれば、生産費所得補償方式という方式を用いまして、食管法の規定に従いましてそのときどきの事情を反映させて算定してまいった、このように考えておる次第でございまして、政治的に決定されるその基準というようなことはなかなか図りがたいことではなかろうかと思うわけでございます。
  367. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それではお伺いしますが、生産費所得補償でやる、あるいは適正米価を決めていきたいとかあるいは農業生産の再生産を維持する価格にしていきたいということを答弁されているわけですが、今回の農業団体要求米価と私たちのところに配付された諮問算定米価、一体農業団体要求されている米価はどういう価格なのか、政府はこれに対してどういう見解をとったのか、このことをお聞きしたいと思います。
  368. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 農業団体から七・七%のアップの要請を受けておるわけでございますが、この要求米価につきましては、米の需給は当面決してゆとりがあるとは言えないわけでございますけれども、依然として生産調整をやっていかなければならない状況にあることとか、米の管理に係りますところの財政運営も、国家財政が一層厳しい状況にある中で困難な局面に直面していること、こういったことを考慮いたしますと、それを実現するような状況にはないのではなかろうかと私ども考えている次第でございます。
  369. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私がこのことを質問するのは、この前の質問の中で、経済的な指数はだれが見たってそう変動があるものじゃないのだから、物価指数その他いろいろな経済的な指数を正確に出して、我々が審議するときは数字的なものは合ったもの、納得のいく資料を提供すべきだ、そして政治加算は政治加算として当然政策の中であってよろしいものなのだから、政治加算は政治加算でどこら辺でするのかという話し合いにした方がいいのじゃないかということを質問していたわけです。  しかし、このことに対しましては、結局農民は農民サイドでやるのだから、また政府政府の試算の指数をもってやるのだから一緒にはなれないのだ、計数上の一致点は見出されないのだから仕方ないという答弁だったのですよ。しかし、もう政治だって科学なんです。殊に経済というのは農民側が見るのと政府の方が見るのがそんなに違うというのじゃおかしいわけですから、こういう意味で、今や米価政治決定される性格を持ってきている、それに対しては、政治決定されるなら政治決定されるものだという何か国民も納得できる新しい方式を、そういう合理性をここで追求すべきじゃないか、こういうことを私は感じているわけです。  そこで、食管法の今までの経緯を見ますと、食管法昭和十七年に戦時統制の中で実施されたわけでございます。これが昭和三十年に予約制度がとられてきたわけです。そして、昭和四十四年に自主流通米制を導入し、四十七年には物価統制令から米が適用除外になっておりますね。それから四十六年には予約限度数量制が採用されているわけです。昭和五十七年に至っては統制的平常時の配給制が廃止されまして、新食管法に変わっております。  食管法のいわゆる法の中身は変遷しているのに、米価決定だけが依然として同じような闘争でわあわあ騒いでいるといったら、これはどうなるのかなという危惧を感じるわけです。私はこういう意味から、一体食管法の役割というものはどのように変遷されているのか、この点についてひとつ政府の見解を知らせていただきたい、こう思います。
  370. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答えいたします。  食管法の役割につきましては、国民の必要とする米を政府責任を持って管理いたしまして米の安定供給を図る、こういうことではなかろうかと思うわけでございまして、食管制度のこうした基本を維持することが困難になるおそれがございましたので、先生先ほど御指摘のような食管法の改正ということをしていただきまして、過剰とか不足、いかなる需給事情におきましても的確に対応をできるような法改正をお願いして五十七年に施行させていただいているような次第でございます。
  371. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、六月二十日に大臣や食糧庁長官に質問しておりますが、その際、昭和五十三年産米が外食に流れていることについて、安く外食に流している米が表示されて売られているのかどうか。私は外食に流れたことがいい、悪いじゃないのですよ、安い米が表示されて売られているかどうかということを聞いたわけですよ。そうしたら、いや、それは表示義務がないのだから、そしてまた、安い米が外食に流れても食管法にいわゆる違反をするものじゃないから、それはただ表示されないで売られております、こういう答弁を得たわけです。     〔衛藤委員長代理退席、田名部委員長代理着席〕  そこで私は、これはいわゆる社会倫理、道義的に大変な問題をはらんでいるということを意識しまして、また質問していったわけです。というのは、昔はいわゆるやみ米というものに対しては売る方も買う方も一つの罪意識を持っていたので、それはいろいろなところでチェック作用が働くけれども、今買う方は、そういうあるルートで安いのを買ってくる、そして売って、それを食べる方は、買う国民は、随分安い飯だというので感謝しながらやる、そうしたら一体社会倫理の問題はどうなるのかということを心配して追及したわけでございます。  そこで、私は今の政府米の流通機構を見ておりますと、どうも食管法によって、どこか一部が不当に利益を得ても、それが十分に監視できるのか、できないのか、不安を持ってきたわけでございます。そういう点でこういう流通機構面をはっきりすれば、まだこの一・四五%以上も実は農民に還元できるのじゃないかなというような気もしたものですから、このことも調べて今また質問するわけなんですが、今の流通経路というのは一体どのようになっているわけなんですか。私も調べておりますが、まず政府からこのことについてひとつ報告をしていただきたいと思います。
  372. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 五十三年産米主食用に充当されたものの流通の実態でございますが、この五十三年産米につきましては業務用に限定して供給しておるわけでございまして、それを使用すろ者といたしましては外食事業者ということになろうかと思います。こうした外食事業者にありましては、販売業者と価格とか品質の関係等につきすしてお互いに十分話し合いがなされまして、納得の上で売買が行われておる、こういうことではなかろうかと思いますし、こうした場合にありましては表示といった制度等も適用しておりません。  消費者の場合にありましては、販売業者と外食事業者間における売買のように品質とか価格等について十分協議をして、中身等について納得も十分していただいて売買がなされておるとは考えられず、必ずしも全部がそういうことにはなっていないでしょうし、やはりそうした消費者を保護していくという観点から、表示という制度をもちすして、一定の表示の様式も定めまして、中身等について消費者に趣旨を徹底していただいて、その信用を確保しながら販売していただこうというととで私どもとしては販売といいますか流通については規定しておるわけでございます。  なお、流通業者間の問題についてでございますが、小売業者にありましては、改正食管法のもとでブランチといった、出店といいますか、店を出すことでございますが、そうしたものも出していただきまして、適正な競争のもとに消費者に利価を提供していただく、こういうことも考えておりまして、販売業者間の適正かつ円滑な販売業務、こういうことを通じて消費者に円滑にお米が流通するよう制度としては仕組んで運用している次第でございます。
  373. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、米の安定供給を確保するためにいわゆる古米を外食に流してはいかぬとかなんとか、そう言っているのではないので、今安い米は安い米なりに適正な表示をして売らせるようにしないと、大変ないわゆる道義退廃を招くということを言っているのですから、そのことについては一応この前の答弁よりは責任ある、前向きの答弁をいただいたので、大変私は満足しているわけでございます。  もう一つ、時間がなくなってきておりますので質問を急ぎます。  他用途利用米として一応契約した場合、ことしのように天候がよいと予約限度超過米というものが出てくるのじゃないかとも考えられます。そうなりますと、他用途利用米として出荷しないで、予約限度超過米として他用途利用米の数量以上に上乗せになった場合、今の制度だと全部これが買い上げられる、そういうことでございますか。
  374. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米の生産は、御案内のように転作目標面積の内数として位置づけておるわけでございまして、その生産出荷が図られるように措置しておりますし、また実際の出荷に当たりましては、主食用のものと転作の内数として生産されました他用途利用米とを並行して出荷していただく、こういうふうにしておるところでございまして、御指摘のような生産者間の不公平といいますか、超過米で出してしまうとか、こういうふうなことは生じないように指導しておるところでございます。
  375. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、今までの米価決定の論議を振り返ってみまして、厳しい状況のもとにある稲作の今後の展望を切り開くためには、価格政策と同様に、構造政策、生産政策に重点を置いて、生産性の向上、コストの引き下げを図ることがやはり重要だ、そういう認識をみんな持っているわけでございます。  特に水田は、これは米以外に今のところつくれないわけですし、農民が米をつくっても、いわゆる一たん緩急とか何かのあるときは、すぐこれは食管法の国家統制の対象になると思うのですね。ですから、事水田の基盤整備は国家の責任で水管理と同時に施行する、一〇〇%国家投資で強権を発動してでも基盤整備を完了し、水のかんがい排水経路のシステム化を設備して、そして国家安全保障のために農民に耕地を委託栽培させているんだ、こういう観点で今後ひとつ今の補助比率をどんどん高めてくれということを私は言ったわけです。そうしたら、個人の資産、財産に対してこれ以上の国家投資の増大はできないというようなことの今までの返事なんですが、事水田にそんなことをやっていると大変なことになると私は感じますので、この点ひとつ新しい法律の見直し要請、要望するわけなんですが、この点についてひとつ考えをお伺いしたいと思います。
  376. 井上喜一

    井上(喜)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のようなお考えもあるわけでございますけれども、確かに、食糧を供給していくあるいは国土を保全していくという点から見ますと、農地というのは非常に公的な性格が強いということは認めるわけでございますが、同時に、その農地の上で農業を営んでおります農家の個別利益にもつながっていっている、こういう側面も否定できないと思います。したがいまして、国といたしましては、農地のそういう公的側面に即しまして高率の補助金を交付しているわけでございますが、同時にまた農家にも適正な負担をお願いをしているというのが実情でございます。  したがいまして、今後におきましても、今日のような財政事情のもとでございますと補助率を高めていくというのはなかなか問題がございます。したがいまして、現行のような補助率を背景にいたしまして、極力土地改良事業に参加をいたします農家の理解を得まして事業を円滑に推進をしていくというのが最も適切な対処の仕方ではないか、このように考える次第でございます。
  377. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうも私の考えに対しましてはなかなかガードがかたいようでございます。  時間が参りましたので、私は、農業は研究開発集約産業として、先進産業として発展できるものだという考えを持っております。ですから、補助金制度より融資制度の拡充、あと米の消費については、玄米フレークのパテントをぜひ国がとるような研究をしていただきたい。それから、農業研究開発、新品種、いわゆる輸出を目標とした、そういう観点からの農業政策に今後力を入れていっていただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
  378. 田名部匡省

    田名部委員長代理 津川武一君。
  379. 津川武一

    ○津川委員 私は、午前中大臣に、一・四五%の諮問では稲作農業は成り立たなくなっていくので、諮問を撤回し、再諮問案を出すように求めました。もう一つは、いわゆる第二次外国からの輸入などということが論議されておりますが、とんでもないことであるので、そんなことのないように強く強く要求してみましたが、これからは諮問の内容、米価の具体的なことに対して若干の質問を展開いたします。  まず第一は、生産費を償う米価を確保するということでございます。食管法では、生産者米価は再生産を確保することを旨として決めるようにと言っておりますが、六年間の実質据え置きの中で、ほとんどの農家生産費を償うことができたくなっております。  先日発表された五十八年米生産費調査によれば、資本利子や地代を除いたいわゆる第一次生産費を見た場合、五十八年度産米価がそれを上回っている農家戸数、つまりペイしている農家は全体の四七%、半分の農家で再生産費が補償されておりません。そして地代や資本利子を入れた第二次生産費で見ると一六%、カバーしているのは一六%よりなくなっております。八割強の農家生産費を償えないでおります。赤字生産を強いられております。これでいいかという問題でございます。  これを作付面積で見ますと、生産費を償っておるのはO・三ヘクタール、〇・五ヘクタール、一・○ヘクタール、一・五ヘクタール、二・○ヘクタール、ここまでのところではみんな赤字、そしてわずかに生産費が安くなっておるのは二ヘクタールから三ヘクタールの間だけ、そして三ヘクタール以上になるとこれまた赤字になっております。こうしたことで、食管法で言う再生産確保ができている米価と言えるのでしょうか。  また、五十二年当時、第二次生産費で五八%がカバーされておった、それが年々このカバー率が、ペイする人が少なく減ってまいっており住す。これが皆さんのおやりになっておる農政でございます。生産費を償わない稲作農家に押しつけて農業をどんどん後退させてきました。これでいいかという問題でございます。速やかに方針を是正して生産費が償える稲作に切りかえるべきだと思いますが、この点、いかがでございますか。
  380. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今先生生産費を中心に政府の買い入れ価格との対比で分析された結果を御説明いただいたわけでございますが、私どももそうした農家の経済の厳しさというふうなことは受けとめておりまして、なおそのほかにも、最近の需給事情とか中長期的な転作を進めていかな仕ればならないといった情勢、それに国の財政が生常に窮屈である、こうした中におきます生産者半価のあり方、こういうようなもろもろの点につきまして配慮して今回も諮問米価算定させていただいているような次第でございまして、できるぼけ生産者にとっても生産意欲の減退につながるようなことがあってはならない、こういう面にも配慮しておるわけでございますが、現実の生産者価格といいますものは、財政事情需給事情等もございまして、今諮問米価としてお示ししているような水準に相なっておる次第でございます。
  381. 津川武一

    ○津川委員 農民に採算の合わない苦しい生産者米価をということは端的に認識されておって、その点はよかったと思います。したがって、これから生産費を確保できるような農業のために渾身の努力をすべきだと思います。  そこで、こうなったについての説明に財政の問題が出た、臨調の問題が出た。そこで、なぜ国の経済が苦しいのか、これを一度でも皆さんが論諾していただきたいのです。財政が苦しいからペイしない稲作をやれと言わないで、なぜ財政が苦しいかというと軍事費につき込んでいるから、大企業にかなりつぎ込んでいるからだ。このことに対して一言も言わないで――研究されていると思います。そして、一つ覚えに財政が苦しいからと言うのでは国民を納得せしめない。国の、国民に対してサービスする皆さん、国家公務員としてそういうことではなくして、生産者米価にこたえるという立場から論議を起こしていくことを強く強く要請して、質問を進めていきます。  皆さんが懸命になって中核農家育成とやってきましたが、この中核農家、低米価による稲作収益性の悪化による打撃を最もひどく受けているのが、農業依存度が高い上層農家でございます。現に稲作を主にしておる農家の中で男子基幹専従者のいる農家、これは中核農家ですが、その数は五十八年の十八万九千戸から五十九年の十四万七千戸へと四万二千戸も減っております。こういうことなのです。生産費が償われないから、そこでやっていけなくて、こういう皆さんが育てようと思った中核農家が落ちてきた。  同時に、零細な兼業農家生産費を償わなくてもよいと皆さん考えておるのでしょうか。こういう考え方はやはり許されないと思います。昨年、一昨年と政府諮問の際に米価算定の対象から外した一ヘクタール未満の農家、私たちの中林委員がこのことで皆さんをかなり詳細にわたって追及しましたが、こういう農家、一ヘクタール未満の農家は全体の戸数の七七・五%を占めて、販売するお米のシェアからいえば四割を占めております。現実にこれだけの役割を果たしておる零細兼業農家の米生産をどう位置づけておるのでしょうか。日本の主食を確保するためにはこういう農家は当てにしなくてもいいとでも考えているのでしょうか。兼業農民にどんなに生産費を割っても生産を続けろと言い続けるのでしょうか。この点も重ねて答えていただきます。
  382. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生御案内のように、価格政策につきましては、価格の過度の変動の防止とか農業所得の維持といった機能も持っておりますが、同時に需給の調整を図るというふうな機能も持っておりまして、その運用に当たりましては、これら価格政策の持つ機能が農産物ごとの事情に照らしまして適正に発揮されるように努めていくことが肝要ではないか、このように考えるわけでございます。  したがいまして、中核農家の育成といったことにつきましては、ただ単に価格政策でということにいたしますとなかなか難しい点もあるわけでございまして、今後は農地の流動化なり農業生産の組織化を通ずる規模の拡大生産政策をより一層積極的に推進することによりまして、生産性の向上に努めていくことが重要でございますし、価格政策につきましてもこれらの政策との関連に十分配慮して適正に運用していかなくてはならないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  383. 津川武一

    ○津川委員 一度そういう農家意見を聞いてごらんなさいよ。皆さんが一生懸命やれと言った、皆さんがかわいがってくれた中核農家皆さんの言うとおりにやってみた。ところが、減る一方なのだ。この根本は何といっても収穫される利益と突っ込む経費のバランスが問題だ。これを抜きにして――構造改善政策を一生懸命やってくれた。これはだれも文句を言わないが、問題がここまでくると価格政策一本にかかってくる。したがって、中核農家皆さんが育てているように、希望している計画より減らないように計画書を具体的に出していただかないと、中核農家はついていけなくなっている。これが日本の農業を後退させている。中核農家生産意欲が落ちているところに、あの人に続いていけと言っているところが落ちていく、そこに問題があるわけです。  委員長、この計画を後で出してもらえるように委員長からもお願いしてください。
  384. 田名部匡省

    田名部委員長代理 はい。
  385. 津川武一

    ○津川委員 それでは、進めていきます。  もう一つ。私たちは、一生懸命農業をやろうとしておる人はどんなに条件が悪いところでもやはり農業をやらせたい、そのためには生産費を償わなければならない。例えば山地、山田、谷田、僻地、ここでは耕作放棄も見られているのです。日本の農業全体を育てていくときに、とにかく農地であるところに意欲のある農家に農業をつくらせないで、耕作放棄を見ているというところ、こういう条件の悪い人の生産費を償う米価ということが基準でなければならないが、この点はいかがでございますか。
  386. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今年の諮問米価算定するに当たりましての考え方といたしまして、御説明させていただきましたように、当面の需給というものにつきましては決してゆとりがあるものではございませんが、中長期的にはやはり転作をやっていかなければならないような事情にもございますし、私どもはこうした財政事情とか転作事情だとかいったものをも勘案しながら米価算定していかなければならないと思っておるわけでございます。  今先生指摘のような生産者の方々もおられるわけでございますが、こうした方々にございましては、価格政策以外のいろいろと、生産構造政策ともども力を合わせて初めて効果が出てくるのではなかろうか、このように考える次第でございます。
  387. 津川武一

    ○津川委員 条件のいいところ、流通の便利なところ、そこいらあたりは転作もできる。条件の悪いところは転作のしようがない。だから、皆さんが一回やって耕地をつくっていても放棄されている、そこいらに重点を当てていかなければ日本の農業は順調に育っていかない、そのことを申し上げて、今度は他用途米に移っていきます。  政府は、農業団体の他用途米主食用買い上げ要求を逆手にとって、主食用に転用した場合加工用米についての輸入を認知せよと迫っております。これはとんでもない卑劣なやり方であり、問題のすりかえであります。こういう問題提起自体、この委員会で決議した決議や国会決議の趣旨と真っ向から反しております。主食用、加工用問わず安定して供給するという政府責任を放棄したことにもなります。  そこで確認のために聞きますが、他用途米を中食に回さなくとも主食不足を生することはないでしょうね。この点は断言できますか。
  388. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 主食の供給につきましては決してゆとりのあるほどの在庫を持っておるということではございませんが、私どもといたしましては、この秋口から出回ってまいります五十九年産米の活用を通じましてその安定的供給に万全を期してまいりたいと考えております。
  389. 津川武一

    ○津川委員 この点に関連してもう一つお伺いしますが、今年産主食用と他用途米生産の総量は来年度の主食用と加工用の需要を十分満たすことができるでしょうか。
  390. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 ちょっと御質問の向きが私はっきり理解できなかったわけでございますが、主食用の世界にありましては、先ほど申し上げましたように今年の端境期は五十九年産米の早食い、こういうことで対応してまいる所存でございます。なお、六十米穀年度につきましても、五十九年産米にありましては四十五万トンの積み増し、こういったことも図られる予定になっておりますし、その積み増し分をも、これを全部積み増しということにはできないことになろうかと思うのでございます。今後の作柄なり需要の実態なり、これによって変わるわけでございますけれども、六十米穀年度につきましても、主食用については十分きめの細かい需給操作をすることによりまして対応し得る、このように考えておる次第でございます。  また、加工原材料用の他用途利用米の件でございますが、他用途利用米が今年秋口から出回る、こういうことを私ども期待しておるわけでございますが、それまでの間につきましては五十三年産米のうちで暫定基準に合格するもの、いわゆる残留臭素の五〇ppm以下のものでございますが、それの供給と、あと韓国から返還されるお米でもちまして供給させていただき、それで他用途利用米に食いつないでいこうと考えておるわけでございます。他用途利用米が一応計画どおり生産、流通されますれば、加工原材料用の用途につきましても安定的な供給がなし得ると考えているわけでございますが、一たん加工原材料用向けとして生産されました他用途利用米を主食用に買い上げる、このようなことに相なりますと、そのために加工原材料用の需要の中に穴があく、こういうことも危惧されるわけでございます。私どもはこの他用途利用米制度の考え方、意義から見ましても、その健全な発展を期待しておるところでございます。
  391. 津川武一

    ○津川委員 私の言ったのは、主食用米が足りなくなれば輸入しなければならなくなる、加工用米が足りなくなれば輸入しなければならなくなる、それをさせたくないわけです。そこで五十九年度の主食と加工用の需要を、今の皆さんの計画では十分満たし得るのか。満たし得るとすれば輸入は要らない、私は次のことに入るわけですが、満たし得るかどうか。
  392. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 主食用につきましては、先ほど申し上げましたように五十九年産米で今米穀年度といいますか五十九年度、ぞれから六十米穀年度でございますけれども、その間におきましては今年の秋口におきまして作柄を見ながら転作の弾力的な対応、こういうことも考えられるわけでございますが、それで十分対応し得ると考えておりますし、加工原材料用につきましても、他用途利用米の安定的供給ということを期待した上で大丈夫だ、こう考えておるわけでございます。
  393. 津川武一

    ○津川委員 そこで、加工用米は皆さんが計画しているように順調に安定的に生産されて集められるかどうか、供給場に出せるかどうかにかかってくると思います。そこで、加工用米の植えつけ、買い付け、集荷計画、これが順調にいけば結構ですが、今順調にいけばということを前提にして輸入しなくてもいいとおっしゃった。そのとおりなんですね。そこで、作付面積、これからの集荷見通し、順調にいっておりますか。いきそうですが。
  394. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 五十九年産米につきまして今までのところ、先般も早場地帯の作柄の概況が出されましたが、良、やや良、平年並み、こういうところでございます。ただこの問題は、今そうだからといって収穫が既に保証されている、こういう問題ではございませんが、今までのところ順調に推移していると見ております。  なお、集荷等につきましては今後の問題でございまして、関係業界の方々の協力と生産者の御協力も得ながら計画的に集荷をし、それを需給操作に回していきたいと考えております。
  395. 津川武一

    ○津川委員 そこで、食糧庁は他用途米が各県にどのくらい植えられているか、それの一覧表を持っていますか。持っていたら私のところに出してほしいのです、これは大事なことになってきましたので。
  396. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 他用途利用米のことしの扱いにつきましては、六月の末くらいまでには一次集荷業者と他用途米生産農家との間で契約をしていただきまして、その数量をいわば転作の実施権者である市町村長の方に連絡していただく、こういうことになっておりまして、それを私どもが取りまとめる、そういう段階でございます。  これは実はざっくばらんに申し上げますと、最近のような他用途利用米の扱いがいろいろ論議されている、そういうことも影響していると思いますが、現在のところどの程度のものになるか市町村長段階でもまだまとまっていなくて、まだ私どもの方へ報告も来ておりませんので数字はないわけでございますが、非常に達観的に申しますと、全体の見込みとしては、従来のシステムでまいりますと二十七万トンいっぱいまではなかなかいかないのじゃないか、しかし二十万トンを超えることは見込みとしては見込めるのではないか、これは一つの気配と申しますか見込みでございますが、そんなように考えております。
  397. 津川武一

    ○津川委員 できるだけ早くまとめて私たちのところへ報告していただきたいのです。  私も心配だったからこの間高知県に行ってみました。そうしたら、役場や経済連や農協や県庁などが入って、何か皆さんの方の要請もあって計画を立てた生産量が三千二百四十トン。役場や県庁や経済連に行って実際聞いてみたら、つけているのが二百トン。これが現状なんです。なぜこうなったか。高知県は三五%もう転作しちゃった。それで施設園芸にしちゃったんです。他用途米つくれと言ってもつくる場所がない、これが一つ。他用途米一俵一万八十円、こんなもので到底つくれない。どんなに逆立ちしても他用途米皆さんが予定した、計画したとおりできていかないのです。そこで、どうなっているか計画を教えてほしい。  どうしてもこれができないといわゆる第二次輸入になりますので、私たちもだめなんです、反対、させてはいけない。そこで、他用途米、こういうことに対して徹底的な対策、指導がほしいのです。高知県の現地に行ってみて、問題を探って、これを全国的な指導体制にしなければならないと思いますが、ここいらはいかがでございます。
  398. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 なかなかこれは難しいところでございまして、他用途米は、御承知のようにこれを計画しますときは二十七万トン、面積で五万六千ヘクタール。これは一つのめどとしては、各県ごと転作目標面積の大体一割ぐらいをこれでこなしてもらいたいということで、県ごとの、厳密な意味での配分ではございませんけれども、消化の目標をお示しして、それで大体、少なくとも計画段階のところでは県や市町村の御努力によって一応皆さんどのくらいやるかということのめどはつけられたのではないか、かように思っております。  ただ、その後が、今先生お尋ねにもございましたが、いろいろな問題もあったのでしょうけれども全国ベースで二十七万トンまではいかないけれども、二十万トンを少し超えるくらいのところまではこのままいきますと他用途米としての契約はできるのではないかということで、なかなか一〇〇%というわけにはまいらない、こういう状況でございます。  なお、私どもその途中では、ちょっと話題にもなりましたが、いわゆる青刈り稲のようなものについては、これは本来望ましくない転作でありますので、できるだけ他用途米に切りかえてもらうように、こんなことも六月末にかけまして指導したりしまして、従来のシステムで申しますと、他用途米全国的に見れば大体当初予定したとおりやってもらいたいということを極力指導してまいったような次第でございます。
  399. 津川武一

    ○津川委員 そこで、端境期になって米が不足するというのは、五万トンとか十万トンという極めて小さな単位のところで問題が出てきていろいろなパニックなんかが起きる、そういう心配があるので、二十七万トン予定して二十万トンどうかという、ここにもかなり問題があるわけです。したがって、そこいらのところは絶対間違えないようにしていただかないと、また第二次輸入という話が出てくるので、それを阻止するのがここで他用途米を計画どおりやるということになってくるわけです。  もう一つ。百万トンだとか百五万トン先食いして、足りなくなってくるので、九月五日ごろになってくると帳簿上では米がなくなって、これをどうしても早場米で埋めなければならぬ。早場米の状況が心配なわけです。  そこで、これが最後の質問になりますけれども、これも高知県に行ってみましたら、早場米、去年は高知県がかつてないほどの豊作、その中で経済連が自主流通米として、マル自として集めたのが六千トン。ことしの皆さんの、食糧庁や県庁との計画の中でやっていくとすれば、あの端境期を無難に通過するとすれば九千八百トン、これだけ出さなければならぬ。これが早場米の状態です。作が去年よりよくない。早場米を出そうと思っても、これもなかなか容易でないというのが経済連の仕事なんです。一つには、やはり生産者米価。自由米市場ができておって、コシヒカリを自由米市場に出すと二万三千円、自主流通米で出していくと二万一千円。これでは早場米が皆さんが意図したような流通に乗らないと非常に心配していました。ここにも生産者米価がひっかかってきた。  もう一つには、かつてあった早場米奨励金、これなどというものも何らかの形で出していかないと、早場米を計画どおり集めて九月五日-十日にわたるあの端境期の米の不足状態を乗り切れないんじゃないかという心配を私は痛切に感じてきましたが、そんなことは絶対にあってはならないと思いますので、早場米が全国的にどうなっているのか、これに対する皆さんの方針がどうなのか、早場米の作付や出荷の計画、今ここで答えるのもすぐにはいかないでしょうから、先ほどの他用途米と同じように資料として出していただきたい。早場米に対する対策だけはぜひ答えていただきたい。
  400. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生からも御指摘ございましたが、早場米の計画的な集荷、それの円滑な需給操作、こういうことは私どももぜひともやってまいらなければならないことでございまして、現在その集荷体制等の整備を行っている段階でございまして、都道府県はもちろんのこと、関係の農業団体、それからずっと末端までに至る食糧事務所とそういった農業団体との協議等を通じまして集荷体制を整備し、円滑な出荷なりまた需給操作が可能なように今最善の努力を尽くしておるところでございます。
  401. 津川武一

    ○津川委員 そこで、山田次長でもよろしいし関谷局長でもよろしいが、早場米と他用途利用米の作付面積と流通計画といいますか集荷計画、これをつくって出していただきたい。これを出してくださいますか。どちらでもいいですが、返事をしていただければこれで終わります。
  402. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 今の御要請でございますが、直ちにといいますか、できるだけ早くという御要請ではないかと思うのでございますが、私ども作柄等がどの程度のものになるか、そこで見られるトン数等でございますけれども、そういったトン数等も、具体的にこういった場所に出させていただきまして御検討願うというところの数字はなかなか固まりにくいものではなかろうか、こういうふうにも思われますので、検討はさせていただきますが、今この場で御回答をして御確約するほどの自信がないので、もう一度検討させてもらいたい、このように思います。     〔田名部委員長代理退席、上草委員長代理着席〕
  403. 津川武一

    ○津川委員 早くつくって、つくったら出してください。終わります。
  404. 上草義輝

    上草委員長代理 日野市朗君。
  405. 日野市朗

    ○日野委員 きょう一・四五%の生産者米価値上げの諮問案が出たようであります。私、現在の状況の中で一・四五%という数字を見ますと、まことに失望すると同時に、またかというような感じが実はするわけであります。  私たち農水委員会でも、米の需給問題については決議を出しました。また本院において本会議における決議も出しました。その表現された文言の解釈いかんにかかわらず、その内容としたところは、米の需給については万遺憾なきを期すというところにこの問題があったことはもう食糧庁も十分御承知だと思います。そして、その中の一つに、生産者農民の生産意欲を刺激することが必要であるというような共通の認識もあったのではなかろうか。それは農水省も感じ取っておられるのではないかと思いますが、そういう観点からしまして、本日の一・四五%という数字はまことに遺憾でありますし、一連の思想として流れておりますものの中には、きちんと日本の国内産米で賄っていくという考え方があるわけでございます。  それにしても私、非常に不愉快に思っておりますのは、どうもここ一両日の間に全中に対して食糧庁及び自民党から、他用途利用米、これを主食用にして買い上げる、それとのバーターであるかのように、あたかもそれとの対価関係といいますかバーター関係とでもいうように、米の第二次輸入、これについて全中に、文句を言うなよという、これは私から言わせれば脅迫とでも言えるような申し入れをなさり、それに対する回答を強要したというような新聞記事が流されておりまして、一般にはそのように受け取られておるのでありますが、その実情はどのようなものだったのでしょう。
  406. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここ一両日の全中との接触に私、タッチしてまいりましたので、私から経過を御報告いたしたいと思います。  今回の米価要求に絡みまして、全中なり全中米対から、今年度の他用途利用米を全量政府で買い上げてくれという要求と、それから他用途向けの規格についての来年度以降の新規設定という要求があわせてこちらに来たわけでございます。  それをめぐりましてこの一週間ぐらいいろいろなやりとりなり議論があったわけでございますけれども、我々といたしましては、その他用途利用米につきましては、ことし新しい制度として加工原材料を賄うということで二十七万トンお願いし、単協農家段階でも、先ほど話がありましたように二十万トンを超す数量の契約というものが結ばれておるわけでございます。現実にそれを使ってくれる実需者というものもあるわけでございまして、そういう仕組みの中に入っております米を主食用ということで買い上げてしまいますと他用途の分が穴があく。それじゃこの穴のあいた分をどういうふうに処置しようと全中さんは思っているのだろうか。買ってくれということと同時に、その後始末、国にいたしましても、それから集荷団体である農協にいたしましても、加工原材料を使う業者に対する安定的な供給を行うという責務というものはお互い持っているわけでございますので、その責務をどういうふうに貫徹するのだということの問いかけをずっとしてきたことは事実でございます。  それが経過においてタイ砕米の輸入を強要したというような記事になったことも事実でございますが、そういう二者択一的な問いかけということはしておりませんので、新聞の報道につきましては、我々としても遺憾に思っておるわけでございます。
  407. 日野市朗

    ○日野委員 官房長政府側にお願いしますが、私たちもいろいろなことを知っておりますから、できるだけ簡明にひとつお願いしたいと思います。私も九分しかない時間ですからね。イエスかノーかで答えていただく。  そうすると、農水省が全中との他用途米をめぐる話し合いにタッチしたこと、これは間違いないな。イエスかノーか。
  408. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 加工原材料の安定的確保の方策を検討してくれという申し入れをいたしております。
  409. 日野市朗

    ○日野委員 これを確保できないのなら第二次輸入はやむを得ない、そういうことになりますぞ、こう言った、間違いありませんね。
  410. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 そういうことを言った事実はございません。
  411. 日野市朗

    ○日野委員 あなた、他用途米の問題というのはそういう一面を持って常にここで論議されている、そういう問題であることは御承知のはずだ。そして他用途利用米、これを全中の方で主食用として買い入れろということであれば足りなくなります、それをどうします、これは外国から来る、そういうことになってもしようがないではありませんか、これは当然の論理じゃありませんか、あなた方の方の論理から言えば。どうですか。
  412. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 そういう事態になることが心配なので、全中で、他用途米を国に買ってくれと言うのなら、国内でそれを別途手当てできる方策があるかどうか、それを詰めてくれということを言っているわけでございます。
  413. 日野市朗

    ○日野委員 そうすると、あなた方は国外から持ってくるということは一言も言っていないのかな。
  414. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 加工用で買い上げてしまえば、その分穴があいて、それを国内で集めなければ輸入という不幸な事態になる、そういう事態にならないための努力があるのかどうかということを聞いているわけでございます。
  415. 日野市朗

    ○日野委員 結局言ったわけですな。言ったから新聞にも載った、そういうことでしょう。今のあなたのお答えでも、その間にそういう第二次輸入の問題が話題になったことをほのめかしている。ほのめかしているというよりも、かなりはっきり言ったというふうに私は理解をいたします。  それでは、我々が本委員会でやった、それから本会議でやった、その輸入をしないために、外国から外国産米を持ってこないために、わざわざあの決議をやったわけですから、それに対する決議に既に抵触するような行為が、あの決議ができて一両日のうちにもう既に抵触するような事態が発生している、そういう事態を農水省みずからがつくり出した、こういうふうに理解するが、いかがかな。
  416. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 他用途米は他用途米として我々は国内で使いたいわけでございまして、他用途米を国で主食用に買ってくれと言ってきているのが全中でございます。買ってくれと言った場合の後始末をどうするんだという問いかけの中で、せっかくつくってもらっている他用途米が横に持っていかれると、その後始末が物理的に困るという話をしているだけでございます。
  417. 日野市朗

    ○日野委員 その会談について伺いますが、その会談の衝に当たったものは農水省及び自民党である、いかがですか。
  418. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 こういう議会民主制の行政でございますので、我々と全中とでそういうことを詰める際に自民党も同席したことは事実でございます。
  419. 日野市朗

    ○日野委員 本院の決議に抵触をするような事態、これを招来して、そのことを少なくとも公的機関である農水省とそれから自民党、そして全中との間でそういう話し合いをなさった、その責任は、これはその三者が負うという覚悟はできているのでしょうね。
  420. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 くどいようでございますけれども委員会の決議に反するようなことはしたくないということで折衝しているわけでございまして、委員会の決議なり本会議の決議なりに反したということは一切いたしておりません。
  421. 日野市朗

    ○日野委員 そういう行為について、それをどのように判断するかは今後の論議にまつことにいたしましょう。  ところで、先ほども話に出ておりましたが、他用途利用米はもう加工原材料用としてあるんだという話であります。それがなくなったらどうするんだというお話をしていますが、大体どの程度が契約できているのですか。まだ契約さえ定かにできていないものを脅迫の種にとって――ちょっと言葉が過ぎたらごめんなさいよ。おどしの材料に使って、一体どうしてくれる、これがなくなればあたかも第二次輸入だよというようなことはフェアではないですね。加工原料米としての他用途米、一体どのくらい集まる見込みですか。  さっきの質問で聞いていると、あなた方は二十万トンとかそんなことを言っていますが、私も知っていますよ、どんな契約の現状になっているかは。しかも現在、加工原料米をめぐっていろいろな論議があって、もう加工原料米の契約書などというのは、農協に出したのをまた取り下げてこい、そんな話までみんなしているのですよ。そういう事態は御承知でしょう。一体どのくらい集まるという見込みを持っているのですか。先ほどは何ですか、関谷さんは見込みとかなんとかじゃなくて気配とかいう言葉を使われましたね。あなたも随分ボキャブラリーの豊富な方だなと思って感心して聞きましたけれども、一体気配とはどういう意味ですか。
  422. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 私ども用途米を仕組む場合、六月三十日までに契約しましたものを市町村長に通知してくれ、こういうことになっているわけですが、その通知が具体的にされているかされていないか、まだ集まっておらないわけでございます。したがいまして、今先生お尋ねの中にございましたが、今まさに中央でこういう問題が論議されていることも大分影響していると思いますが、恐らく一次集荷業者との契約のできぐあい、あるいはそれを取り下げるとか、いろいろ流動的な状態にあるのだろう。私先ほど二十万トンを超えると申しましたのは、こういう状態になる以前の全体的な状況を県の関係者等から総合しますと、まあ二十万トン少し超えるぐらいはいくのではないかという見込みであった、こういうことであります。
  423. 日野市朗

    ○日野委員 一つの制度が発足をするとき、その当初から瑕疵を持った、きずを持った制度というのは将来どのように成長していくかということをここで考えてみなければいけないと思うのですよ。私余り感情的な議論ばかりするわけではありませんで、そういう観点から先を見た場合、この制度は一応考え直す方が得策ではないかと思うのです。いかがですか。同じような感想を持ちませんか。
  424. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の件に関しまして全中等からも、他用途利用米制度というものを何とか来年度以降定着させたい、そのために、農民の納得を従前に得ていない点もあるので、例えば規格等も含めましてお互いに検討しようという申し入れも来ておりますので、そういう方向で対処したいと思っております。
  425. 日野市朗

    ○日野委員 まああなた方が他用途利用米について、これがなくなると加工原材料用にいろいろ問題が出てくるということをおっしゃるのは、結局財政面を非常に意識されるからそうおっしゃるわけで、私は、これは理由がないことだということを言っているわけではないのです。ただ、現在のような、食糧が非常に不足をしてきたという場合、そのことによっていかに財政当局を説得し、そしていかに関係者に理解を求めるかという、そういう努力を惜しむべきではないだろうということを私申し上げるわけなんでありまして、この点で財政当局の説得に当たることは非常に難しいとするなら、いろいろな知恵を出し合ってみんなでその点の説得などもしょう、こういうふうに言ってるいわけでありますから、ひとつ誤解なくお願いしたいと思います。  さっき主計官が来られて、依然として姿勢はかたいですね。まさに蛇が棒をのんだような姿勢でありまして、この方の相手をするのじゃ皆さんもお気の毒にという思いはございますが、しかし、非常な米不足という中でこれだけみんなが大騒ぎをしている、そういう中で、これはわかってもらうようにみんなで努力を積み重ねるべきが至当ではなかろうか、こういうふうに思っております。  それからもう一つ、私どうしても執念深く追及をしておかなければならないのは、このような米不足という一連の問題が起きまして、もはや政治問題であります。その問題について農水省はどのように考えておられるかということなんです。  この間、当委員会におきましても、中林佳子君がその問題についての質問をした際に大臣が答えておりました。何か霞が関あたりでは農水省にホンコンフラワーの花が咲いているとかなんとかという言葉も使われて、その言葉が穏当かどうかということはまたこれからの審議にまつわけでありますが、どちらにしてもあの農水大臣の態度、答えた文言をずっと検討しておりますと、どうも責任をとろうという意識は全くないように見える。これだけみんなを騒がしておいて、一体その責任はどうなさるおつもりか。農水省がここで申しわけありませんと言って頭を下げたこと、私よく存じております。しかしこれは頭一つ下げたぐらいじゃ済む問題ではないと私は思いますが、一体どのようにお考えか、お聞かせください。
  426. 島村宜伸

    島村政府委員 山村大臣がどう申されたかは詳しく存じませんが、私は大臣の性格をよく知る者の一人として、非常に真っ正直な人ですから、ある意味では言葉に不足があったかもしれませんが、しかしそれはそれなりに、はたについておってもはらはらするぐらい自分の心情というものを率直に申し述べておるのが日常でございます。そういう点ではもし言葉に行き過ぎがあったり、足らざる点があれば、それは私どもからかわっておわびしなければいけませんが、少なくも事実を事実のままに申し上げて、そして皆さんの御理解を得たいという姿勢に終始していることは事実でありますし、あくまで日本の農業を守る、このことは就任以来一貫していることでございます。  今回の貸付米の返還を求めざるを得ないという事態になりましたことは本当に遺憾だと思っております。しかし、私どもといたしましては、各用途に応じましていわば米の安定供給をするという重要な責務を担っておるわけでございまして、今回は予期せぬ臭素汚染ということで緊急避難的な措置をとった、こういうことでございます。しかし、あくまで米は日本国民主食であると同時に、また我が国の農業の基本をなすものでありますから、これからも本院における決議の趣旨を十分に体しまして、米の供給を安定的に行う、そのために努めていきたい、そう考えております。
  427. 日野市朗

    ○日野委員 私が言いたいのは、これから努力するのは当たり前だ、しかし今までのやり方、これが間違っていたというふうに思っているのか思っていないのかが問題だということを言っているわけですね。思っているのならば、その思いをあらわすだけの表現方式があるはずだ、こういうことなんですよ。何の責任感じているという表現もなされていないではないか。私が知っている範囲ではここで頭を下げただけですよ。それで足りるのかどうかということです。
  428. 島村宜伸

    島村政府委員 むしろ私ども内輪の人間から言わしていただくと、気の毒なくらい心を痛めておるのが実情でございます。ただ、御承知のように五十五、六、七、八と四年間続いた不作ということで、今ぎりぎりの状態に追い込まれているわけでありますが、しかしそれはそれとして、水田利用再編第三期対策においても、あくまで供給をぎりぎりの枠組みの中でやっておるものですから、今回のような予期せぬ事態が生じますとこういうことが起きるということはある意味では避けられない、そう思います。しかし今回の教訓を生かして、今後こういうことのないように万般の配慮をして、迷惑をおかけすることを繰り返さないように、そう努めたいと考えております。
  429. 日野市朗

    ○日野委員 非常に不幸な予言をしておきましょう。今のような単年度需給を繰り返していって、そしてろくに米価も上げない、しかももしひょっとしてこの第三期対策、この十分な見直しもしないなんということになったら、毎年同じようなことが起きますよ。大臣の首、幾つあっても足りませんぞ。このことだけは申し上げておきましょう。  時間がありませんから、これで終わります。
  430. 上草義輝

    上草委員長代理 田中恒利君。
  431. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間がもうなくなりましたし、私は最後ですから、要点はほぼ出尽くしておるわけでありますが、簡明に質問しますから簡明にお答えいただきたいと思います。  今、他用途米に穴があくという言葉が出ましたが、どのくらい穴があくんですか。
  432. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途利用米の供給がどの程度なされるか、こういうことによろうかと思うのでございますが、一応私どもの今見込んでおりますところでは、韓国からの返還米でもちまして今米穀年度、さらに六十米穀年度の十二月から一月ぐらいまでは供給可能であろう、このように見込んでおるわけでございますが、それ以降におきまして他用途利用米の供給がなされない場合におきましては、やはり加工事業者等に支障を生ずる、このように考えております。
  433. 田中恒利

    田中(恒)委員 五十三年古米二十万トン、半分程度、約十万トン、もっと下るかもしらぬけれども、そういうふうになりますね。それは一月までになくなるの。
  434. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 五十三年産米の供給能力につきましてはなお見通しがたいところもあるわけでございますが、今までのところ売却しておりましたところから見まして、あと余り多くを期待するわけにはいかないんだろう、こう考えておるわけでございます。したがいまして、韓国産の返還米が日本に到着しますれば、こうしたものを中心に供給していくようになると考えております。
  435. 田中恒利

    田中(恒)委員 他用途米の問題がこれだけやかましくなっておるわけですけれども、あなたのところは、これは私わかると思うんだ。他用途米二十七万トン。毎月の需要も大体二万トンから二万二、三千トンでしょう。はっきりわかっておるのです。それから供給する方も十五万トン韓国から入れたわけだから、そして五十三年古米も二十万トンあって、検査をして五〇ppm以上は使えないということになって、五〇ppm以下は使うというのだから、それもある程度めどは立つのですよ。もう半分は立っているわけでしょう。あと半分がまだいろいろおっしゃるわけだけれども。  そういうものをはっきり出して、そしてこういう状態になります、ぎりぎりいったら来年の三月、四月、五月、そういうところが非常に、ないならない、こういう形で本来持ちかけなければいけないのです。特に集荷団体である農協などとの話では。それをやってないでしょう。そういうものを出して、そしてこれだけ足らないのだからどうすればいいのだ、国内でどれだけのものができるのか。あなた方も御承知のように寸この委員会の前に議論をしたときに、輸入より前に国内で需給をどうするか、既に農民の一部からは飯米を出す、こういう決議をやっておる、そういう動きもあるわけですから、そういうものをどう活用していくかという政策配慮がなされなければいけなかったのが、そういう点が細かくなされていなかったところに一つの問題があると私は思う。  他用途米の問題は私はわかっておると思うのですよ。もしあなた方がそれを出さなければ、私ども一つ心配しておるのは、五十三年超古々米というものが依然として業務用としてどこか主食に持っていかれる、そういう側面が相当あるのではないかということを言われておるわけです。そういうようなことは考えずに、主食は心配ないと言うのだから、それなら他用途米、足らないのはぎりぎりどれだけ足らない、二カ月足らないのか、三カ月足らないのか、五万トン足らないのか、十万トンか、十五万トンか、二十万トンか、余裕が要りますからぴしゃりとは言いませんけれども、そんなものを明らかにしながら他用途米の用途対策というものを明確にする必要があると思うのですが、いかがですか。
  436. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 他用途米につきましては、先ほど申し上げましたように韓国産のお米で供給されるものにつきまして、来年の一月ごろまでは大丈夫ではないか、こういうふうににらんでおるわけでございますので、その後における需要分というものにつきましては、やはり他用途利用米に期待せざるを得ないのではないか、こういうように見るわけでございます。  なお、他用途利用米につきましては、御案内のように国内におきますところの砕米、くず米といったものとの競合といいますか、代替関係というふうなものもございますし、ある程度の変動があるわけでございます。したがいまして、ここで数字を厳密に申し上げることが非常に困難なような事情のあることもひとつ御理解いただきたいと思いますが、私どももできるだけ今後の需要ということにつきましても検討を深めていかなければならないと考えておる次第でございます。
  437. 田中恒利

    田中(恒)委員 ちょっとまだよくわからないんだが、五十三年の古米は他用途米には使わないんですか。使うとすればそれは何カ月分ぐらい、おおよそ見当つくでしょう。使うんですか、使わないんですか。
  438. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 五十三年産米の古米のうちで検査に合格したものでございますが、これにつきましては現在も売却を実施させていただいております。後は韓国産につないでいこう。加工原材料用の用途に売却するということで今までまいっておりますが、そのほかにも主食用、業務用でございますが、最近におきますところの安い、低廉なお米の需要が非常に強いということもございますので、そこにある程度は埋めていかなければならないんではないか、こう考えておる次第でございます。
  439. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうなったら主食が大変なんでしょう。五十三年超古米を使わなければいけないという、その実態が問題なんです。そこのところをぼやかすから他用途米の細かい計算を出さないんですよ。  私どもの計算では、来年の一月までは韓国米でいくんだ、八月から入ってくれば。それから五十三年古米を他用途米に使えば大体四カ月程度までは続くと思うんだ。だから二月、三月、四月、五月、この辺まで使えるんじゃないか。五、六、七、八、この辺をどういうふうにしていくかということでこの他用途米の問題が出てくる。他用途米は、今大体二十二、三万トン程度は可能ではないかというような程度の御説明があったが、そのとおりいくかどうか、私もわからない。しかし十四、五万トンぐらいのものは幾ら少なくても集まる。  私は、そういう計算からいけば、輸入しなくたって他用途米につなげる。そういうものがあるのになぜ輸入の問題がこれほどやかましく出てきたのかということについては、これははっきり言えば、輸入を入れれば、トン五万六千円、六万円程度で入るんだから、十二万円で売れるんだから、トン当たり六万円もうかる。しかも他用途米主食で買ってあれすれば七万円の補助金は要らなくて、トン当たり一万円ぐらいのものでしょう。そういう財政的な配慮であなた方の論法が出てきたんじゃないか、こういうように考えますが、違いますか。
  440. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘主食用は大丈夫というふうに、私も主として五十九年の早場米を操作することによって大丈夫と申し上げておるわけでございますが、ここでお言葉を返すようで恐縮でございますが、数量以外の質的な問題といたしまして、需要として、そういった業務用等におきましては、特に五十八年産米につきましては北海道の冷害等もございまして業務用等に使われるお米が少ないわけでございますので、そうしたところに五十三年産米需要もあるわけでございまして、これは単に数量の問題といいますよりは、質的な点から来る需要ということもひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。  したがいまして、予算上の問題、こういうことで私ども今出し渋るといいますか、いろいろ議論をしているということではございませんで、今のような実情のあることを御理解いただきたいと思います。
  441. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、五十三年古米を業務用として主食に使うという姿勢の中には、米の主食需給そのものが非常に緊迫をしておる、こういうふうに感じざるを得ません。いろいろありますけれども、問題を指摘をしておくことにとどめておきます。  次に、米価でありますが、米価は、同僚委員先生方からいろいろな御質問があったように、少なくともこの七、八年来実質的な据え置きの状態に置かれておった。その背景は過剰という一言であったと思うのです。過剰であるのか過剰でないのかということを、あなた方は理屈の上では潜在生産力といったようなものを持ち出してきておるわけだけれども、しかしそれは理屈であって、現実にはこういう綱渡りのような需給操作をしなければいけないというのがある米の実態なんですよね。それをこの際明確にして、その上に立つ米価の体制をとるべきではないか、こういうように私は考えるのです。  まず、ことしの米の需給というものは非常に厳しいものであるということには間違いありませんね。
  442. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 先生指摘のとおり、今年の需給につきましてはゆとりのあるものでないことには間違いありません。
  443. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういう需給の厳しさというものがことしの米価算定要素の中にはどういう形で入り込んでおりますか。
  444. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 需給の厳しさという点につきまして、具体的にここというふうには申し上げかねるのでございますが、米価審議会算定委員会から提示されました結論を踏まえまして、私どももいろいろと配慮して今日の一・四五%の諮問案というものを作成させていただいたわけでございます。
  445. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこのところがやはり問題だと思う。これまで、これほど米が過剰であるから米価引き上げができないということで、実質据え置きの状態をもう六年も続けてきておって、こういう状況になってその事情が反映できないということは、あなた方は食管法第三条をよく振りかざすわけだけれども、余りにも得手勝手過ぎるのじゃないですか。そういう意味で、需給ギャップの必要量方式、潜在生産力、こんな潜在生産力なんというものを勝手につくって、一体実態があるのか、こういうものが。これだけの米をつくるという力が今日本の水田にあるのか。  例えば今減反をやめた場合に、皆さんがおっしゃるような米が、生産力が出てくるのかということを自信を持ってお答えできますか。ことしは少し、二、三量を引かれておりますね。果樹とかいろいろな施設用地とか、そんなのが引かれておるようですね。二十七万トンも量を引いておるようですけれども、しかしそれを除いても、現実に今の水田に作付をしたらこれだけのものができるというふうに言えますか。私は言えぬと思うのですよ。そんな架空なものを前提に置いて米価算定していくという、そういうやり方は間違っていると思うのです。  今問題になるのは、ともかく百万トンの配分をしなければいけないという現実の需給があるわけなんですよ。この現実の需給を前提にしてなぜ算定米価というものが考えられていかないのか。あなた方は今まで、米が過剰であるということで五十一年、五十二年から――それまでは確かに米価はある意味では農林省生産費調査を上回った米価決定しておった。過剰の段階からぐっと落ち込んできたわけでしょう。今生産費調査を下回ること、恐らく三千円から三千四、五百円下がってきておる、そういう形にいろいろな要素をとってきておる。要素のとり方はどうでもなりますよ。  しかし、そんなことをやってくるとすれば、ことしの場合は逆にはね上がらしていく、こういうものがなされなければいけないが、それをやっていないというところに我々も不満があるし、これは全国の、特に米をつくっていらっしゃる皆さんにとっては、農政に対する異常な不信を巻き起こしていると思うのですよ。そういう点を改めてもらわなければいけないと私は思います。次官、どうですか。
  446. 島村宜伸

    島村政府委員 私自身、農林水産省の政務次官を拝命いたしまして、今まで米があるとか米が不足であるということについてはたから見ておった人間には、とても理解できない事実を実は知りました。それは特に最近非常に顕著でございますが、米の種類によって、余裕のあるものと全く不足を来しているものとあることでございます。そして、例えばそういう需要があってある品種のものが手に入らないとなると、これがそのまま米がないといううわさにつながっていく。先ほどから再々申し上げていますように、確かに今、米の需給は大変厳しい状況にありますが、こういうときだからなおさらにこのことの影響が非常に大きく出るわけでございます。  その意味では、昨年北海道の作米が非常に不作でございました。こういうことが数字であらわされている面もありまして、例えばこういう種類のお米に対して非常に集中的に需要が起きている。私はむしろ、素人ですからそういう面を非常に強く感じたのかもしれませんが、そういう偏ったいわば需給の逼迫がそのまま米全体の逼迫ということにつながる面を私自身は感じております。しかし、いずれにせよ、人間のやることでございますから、まだまだいろいろ足らざる点につきましては皆様の御指導をいただいて、少しでも万全を期せるようにこれからも努力をしていきたい、そう考えます。
  447. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は時間がありませんから、細かいことはもう申し上げませんが、米価の問題を我々がこれほどやかましく言うのは、単に米価の水準なり米価算定要素をめぐっての意見の対立というだけにとどまらずに、日本の農政が減反政策を中心にし、特に米を抑え込んできた、こういう段階から急激に縮小再生産の段階に入っておると私は思うのです。これは米だけではなくて、畜産にしましても果樹にしましても、全体的に農政が米の減反政策以降大きく後退してきておるし、農業そのものがそういう状態に追い込まれて危機感を増勢してきておると思うのです。そういうものが全体として米価問題に集中をしておる。特に、ことしの場合は輸入という異常な事態を巻き起こしただけに、異例な事態を全国各地で起こしておると思うのです。  そういう意味で、我々は米価という問題を農政の一つの重要な課題にして取り組んでいかなければいけない、そういう認識がございますから、いろいろな観点から問題を議論してきたわけでありますが、ただ、議論のしっ放しになってしまう嫌いがあるわけです。この委員会の審議だって、特に野党が中心になってやっておるものだから、まあ言いっ放しで聞いておけばいい、こういう程度の取り組みをしておったのでは、いっかやがて大きな穴に落ち込んで、もう起き上がることができない、こんな事態になる不安があると思います。そういう意味では、委員会全体の運営もくるめて、私はもっと本格的な実りのある審議と、新しい政策路線を築き上げるような、そういう方向を目指して努力していただきたい、このことを注文しておきたいと思います。  なお、私は、四野党の共同で、実はこの米価審議の委員会に決議を上程いたしたいということで先般来各党に御相談をしていただいたのでありますけれども、残念ながら与党自民党から同意を得ることができませんで、全党一致の決議をするに至りません。この際私が、四党のこの米価に対する私どもの決意と我々の意思を、策定をいたしました案文を朗読して皆さんにお考えいただき、記録にとどめたいと思いますし、最後にこれについての政務次官の御答弁をいただいて終わりたいと思いますので、朗読をさしていただきたいと思います。     昭和五十九年産生産者米価決定に関する件(案)   十数年間にわたる減反政策と実質六年間の生産者米価据置き、加えて、四年連続の不作のなかで、農民の生産意欲は極度に減退し、わが国農業は憂うべき事態を迎えている。   このような状態のなかで、政府は、農民・農業団体の強い反対を押しきって、韓国米の緊急輸入を決めたが、昭和五十九米穀年度の端境期には、約ニカ月分におよぶ新米の早食いを必要とするほどの深刻な米需給の逼迫で、国民に不安を与えている。   米はわが国国民主食である。   しかるに、政府は、これまでの農業政策の失敗を反省することなく、本日、米価審議会に対し、本年産米価について、生産農民の期待を裏切った低米価諮問したことは甚だ遺憾である。   よって、政府は、本年産米価の大幅引上げをはかるとともに、良質米奨励金等を削減することなく、生産農民の要望を実現し、生産力の活性化を図るべきである。   右、決議する。    昭和五十九年七月二十四日            日本社会党・護憲共同            公明党・国民会議            民社党・国民連合            日本共産党・革新共同  以上、四党提案の決議に対して、最後に政務次官の御所信を承って終わります。
  448. 島村宜伸

    島村政府委員 ただいまの御意見につきましては、本日の委員会におきましても種々御議論のあったところでございますが、現在米価審議会で審議中でございますので、その答申を待って適正に決定してまいりたいと存ずる次第であります。
  449. 上草義輝

    上草委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十二分散会