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1984-07-17 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十七日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       太田 誠一君    鈴木 宗男君       高橋 辰夫君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    保利 耕輔君       三池  信君   三ッ林弥太郎君       山崎平八郎君    串原 義直君       田中 恒利君    松沢 俊昭君       駒谷  明君    武田 一夫君       水谷  弘君    神田  厚君       木下敬之助君    菅原喜重郎君       滝沢 幸助君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         食糧庁次長   山田 岸雄君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    木幡 昭七君         大蔵省主計局主         計官      寺村 信行君         厚生省生活衛生         局食品保険課長 玉木  武君         厚生省生活経済         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省経済         極統計情報部長 大坪 敏男君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 七月十七日  辞任         補欠選任   神田  厚君     木下敬之助君   菅原喜重郎君     滝沢 幸助君 同日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     神田  厚君   滝沢 幸助君     菅原喜重郎君     ————————————— 七月十七日  米穀政策の確立に関する請願(藤井勝志君紹介  )(第七九六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題等)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  3. 衛藤征士郎

    衛藤委員 まずもって米価につきまして、諸問題に言及いたしたいと思いますが、先般もある新聞に出ましたが、米が不足しておりますから早く米を買いだめしなさい、こういうような米不足についての怪文書世田谷の方で出回った。これについて食糧庁が事実についての調査をしたと思うわけでございますが、どうなっておるのか、一応その調査の報告をいただきたいと思います。
  4. 石川弘

    石川政府委員 御指摘のありましたように、世田谷中心にいたしまして、何かことしの端境期に米が不足するから今がお買いどきであるというような、中身がはっきりいたしませんが、一種怪文書が出回ったことがございまして、警察その他でもお調べをいただきました。出したところは明確になっておりませんが、何かその文書の中で、従来から買っているお米屋さんからどうぞというような文言がありまして、逆に小売の方々は大変迷惑をなさっておりまして、そういうことを決してお米屋さんがやっているわけではないというようなお答えがございました。  事柄としまして、新聞でも出ておりますように、一種デマでいろいろと混乱をさせてはいけないということで、私ども注意をいたしますし、関係方面でも注意をしていただいておるわけでございます。あの新聞紙上でもそうおっしゃっていますように、こういう時期にいわばデマを流して混乱をさせるということは決していいことではございませんので、これからもそういうものが出回らないように、また現実にお米につきましては主食として供給いたすものにつきましては大丈夫でございますので、そういう趣旨をさらに徹底していきたいと思っております。
  5. 衛藤征士郎

    衛藤委員 端境期が近づいてまいったわけでございますが、承りますと、ことしのいわゆる五十九米穀年度における六十年度に向けての端境期在庫の方は十万トンで何とか、こういうようなお話があったわけでございますが、一体ことしの端境期の米の需給は大丈夫かどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  6. 山村新治郎

    山村国務大臣 お答えいたします。  五十九年来穀年度におきます主食用供給といたしましては、五十八年産米千三十七万トンのほかに五十七年産米十万トンの持ち越しがございます。需要千五十万トンに見合った供給確保されているものと考えます。しかし、決してこれはゆとりがあるというものではございませんので、端境期におきましては、早期出荷を初め、きめ細かな需給売却操作を行いまして、万全を期してまいるつもりでございます。
  7. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ただいま大臣から万全を期すといううことで、安心はいたしましたが、御案内のように米穀年度少し前に繰り上がったような形で、いわゆる新米早食いが行われるわけでございますが、ことしは早食いについてはどの程度されるつもりか、お尋ねいたしたいと思います。
  8. 石川弘

    石川政府委員 御承知のように、端境期に最近比較的早期米出荷というものがございます。新米志向というものがございまして、例年八月から九月にかけましてある程度早食いといいますか、当年産米売却いたしておるわけでございますが、ことしは通常の年よりも少し多目に新米供給いたしませんと、需給バランスをとりにくくなろうかと思います。数量で申しますと、昨年は六十五万トンくらいのものをやっておるわけでございますが、それにさらに三十万トン程度のものは加わるのではなかろうか。そういたしますと、八月から始まるわけでございますが、九月末までには百万トンを超えます集荷が、現在もうなされておりますので、そういう意味で量的にはバランスはとれると思います。  ただ、これはやはりかなりきめ細かな操作をしていかなければならないと思っております。計画的な集荷をしなければならないとか、輸送力確保しなければいけないとか、あるいは売却につきましても非常に的確、迅速に行わなければならないと考えておりますので、食糧庁の全組織を挙げましてそういうことが可能になるようにやっていくつもりでございます。
  9. 衛藤征士郎

    衛藤委員 総理も衆議院におきましての答弁の中で、韓国からの返還米については十五万トンであるが、これは主食用ではない、加工用原料米である、このように明言されてきたわけでございます。この点につきまして生産者団体あるいは消費者団体におきましても、加工用原料米の十五万トンの韓国からの返還ではなくして、それが主食に回るのではないかというような懸念あるいは憶測がしばしば出ておるわけでございますが、この点につきまして、長官からもう一度明快な御答弁をいただきたいと思います。
  10. 石川弘

    石川政府委員 毎度申し上げましたように、韓国から返還をしていただきます米につきましては、例の五十三年産米問題で惹起しました加工用途向け供給不足を補うために輸入をしておるわけでございまして、これは間違いなく加工向けに使うことを考えております。
  11. 衛藤征士郎

    衛藤委員 端境期十万トンでございますから、先ほど長官に御答弁いただきましたように、集荷あるいは輸送等におきまして万全の体制を整えていただきたいということを特に強く要望いたしたいと思います。  次に、ゆとりのある備蓄、このような大臣の御発言もございましたが、このゆとりのある備蓄は極めて必要であると思うわけでございます。米の備蓄について今後どのように進めていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  12. 石川弘

    石川政府委員 第三期の水田利用再編対策を策定いたしました際にも、米のゆとりのある操作をいたしますためにはある程度水準在庫を持つ必要があるということでございまして、計画面では、御承知のように、年間約四十五万トンずつ三年間に積み増しをするという計画を立てたわけでございます。残念ながら、冷害その他の問題がございまして、これが直ちに積み上げられる水準のところまではいっておりませんが、私どもは、やはりゆとりのある水準在庫というものを持っておく必要があろうと思います。  規模につきましては、御承知のように、量的に拡大をいたしますと、不作年に対します安定的な効果ということはあるわけでございますが、他面、かつても経験いたしましたように、余り高い古米の混入をいたしますと、最近の消費者方々の嗜好その他の問題がありまして、消費の減退ということが起こったり、あるいはかなりのボリュームにはそれだけの財政負担を伴いますことから、三期で計画いたしました際に約百五十万トン前後のものが、そういう意味でいわば操作安全性から見ても、あるいは先ほど申しました米の消費を伸ばしていくとか、あるいは過大な財政負担にならないといったような水準からも望ましい在庫ではなかろうかというのが、一応その大きさとして結論づけられておるわけでございます。  問題は、そういう計画がきちっと実行に移せるようになるかどうかということにかかっておりますので、ことしの米の需給、特に本年産米生産状況等を見まして、大臣からもお答えをいたしておりますように、転作等につきましてもある程度弾力的な考え方を入れながら、早くこの水準計画的に達成できるような姿で見直しをしていきたいと思っております。
  13. 衛藤征士郎

    衛藤委員 七月十四日の各紙に出ておるのでございますが、農水省としまして来年度の減反を緩和する、つまり第三期水田利用再編対策見直しをする方針であるというような新聞報道がなされております。その中で、三年間の備蓄で百五十万トンではなくして、できれば米の備蓄は二年後に百五十万トンを目標にしたいというような報道もなされております。これはあくまで新聞報道でございますが、こういうところを踏まえまして、水田利用再編第三期対策転作面積見直しを考えておるかどうか、お答えをお願いいたしたいと思います。
  14. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 水田利用再編成の第三期対策の来年度の面積につきましては、まだこれから水稲の今年度の作況も見定める必要がございますし、また転作それ自体の実施がどんな状況になるか、これらの点を見きわめまして、また米の需給計画、そういう問題とも対応しながら弾力的に対応してまいりたい、かように考えております。
  15. 衛藤征士郎

    衛藤委員 重ねてお尋ねいたしますが、今年度の作況指数が幾らであれば、あるいはそれを切れば、来年の転作面積見直し、いわゆる第三期の見直しをするのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  16. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 作況指数の具体的な数字につきましては、例年ですと八月十五日の作況が大体各年の最初のものとしてまとめられました時点で発表されるわけでございますが、従来でございますと、作況指数が一ポイント違うごとに、数量で申しますと、大体十万トンぐらい上下するということでございます。そういうことで、現在、ことしの水稲作況については、気象の推移によりまして非常に見定めがたい状況でございます。したがいまして、作況指数がどのようになるかということもわかりませんし、またそれとの関係で、いわゆる第三期対策計画しました在庫積み増し年平均四十五万トン、こういうものの推移もその関係で決まってまいりますし、現段階では、作況指数がどんなふうになったら来年度の転作目標面積にどういう操作を加えるかということは、なかなか見定めがたい状況にございます。
  17. 衛藤征士郎

    衛藤委員 それでは、五十八年産の実績と同じだった場合、どうですか。
  18. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 五十八年の作況指数が九六でございますので、これは四ポイント下がっておりますから、それを単純にそのままで申しますれば、約四十万トンぐらい当初の計画よりも生産量が少ないということになるわけでありますので、そうしますと、そのまま数字をとりますれば、第三期で計画しました年平均約四十五万トンの在庫積み増しが実際上、計画上のものに近いものとしてはできなくなるわけでございます。
  19. 衛藤征士郎

    衛藤委員 次に、他用途利用米でございますが、他用途利用米主食に回すべきではないかというような農業団体意見もございますが、この他用途利用米主食に回すことについての御意見を承りたいと思います。
  20. 石川弘

    石川政府委員 ことしから発足いたしております他用途利用米につきましては、御承知のように国内生産可能なもの、これは主食以外の加工原料用でございましてもできるだけ国内で自給をしていこうということから生まれた制度でございまして、かつて過剰米で充てておりましたものがなくなってきたわけでございますので、それにかわるものを生産者実需者、これは加工方々との間で自主的に取り組みまして、しかもそれを第三期の対策の一環として入れた制度でございます。したがいまして、あくまでこれは主食以外にそういう用途がある。そういう用途があるというだけではなくて、加工方々はこれを原料として期待をしてつくられたわけでございますので、もしこれを転用するというようなことになりますと、その部分の需要にこたえることができないという基本的な問題が出てくるわけでございます。  私ども生産者方々からもいろいろそういう御意見を聞きながら、問題についていろいろ検討いたしておりますが、何せ加工原料用需要に見合った数量確保というのが他の方法によって何かできれば別でございますが、そういうことがない限りにおきまして、これを転用するということには基本的に問題があるのではないか。生産者方々の御意見を聞いておりますと、他用途利用に関するいろいろな問題意識、例えば同じお米が二重の価格で売られることに対する疑問であるとか、あるいは他用途利用米というものがまだいわゆる超多収米のようなものでつくられておりませんで、主食と全く同じなものが充てられるということに対する疑問とか、いろいろございまして、この問題に対して農業団体が取り組んでおられる苦悩もいろいろわかるわけではございますけれども、どうもこの加工用需要に見合った数量確保という面につきましてはなかなか解決しがたい問題があるわけでございますので、そういうことに大変難点があるのではないかということをお答えいたしているところでございます。
  21. 衛藤征士郎

    衛藤委員 長官答弁を聞いておりますと、他用途利用米については主食に回さない、このように理解してよろしいですね。
  22. 石川弘

    石川政府委員 そういうことをいたすことになりますと、別途のかなりいろいろな方策が必要でございますので、そういう別途の方策を考えることなくして他用途に転用することは、私ども主食供給加工原料供給もすることが責務でございますので、大変困難ではなかろうかと思っております。
  23. 衛藤征士郎

    衛藤委員 つまり他用途利用米はあくまでも加工用原料米である、このように理解をいたしたいと思います。  次に、韓国からの返還米のことにつきましてお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  御案内のとおり、昭和四十四年、四十五年、六十三万トン韓国にお貨ししたわけでございますが、このうち既に返していただいた分、十一万トン分はもう済んでいるわけでございます。ことし十五万トン分お返しいただき、そして残りが三十七万トン分、こうなるわけでございます。五十五年から償還された分、これは現金でございますが、これが十一万トン分済んでおるわけなんですが、国際価格でお返しいただいておりますから、一トン当たり十一万円ということだと思うわけでございます。そういたしますと、十五万トンの十一万円で百六十五億でございますか、この計算は間違いございませんか。  一方、もし韓国から十五万トン加工用原料米として返還米をいただかない場合にはいかような措置で対応するつもりであったのか。もしこの十五万トンを主食用から回さなければならないという前提に立ったときに、絶対量が不足して主食用加工用原料米として回すということを仮定した場合に、トン当たり三十万でございますから十五万トンの場合は四百五十億、こうなるわけでございます。そうすると、韓国の方から見ますと、十一万円の国際価格現金で返せば百六十五億で済みます。しかし、現物でお返しになりますと、韓国米が一トン幾らするのか私はよく知りませんが、少なくとも大変な負担になっておることは間違いない。韓国に対しては大変お気の毒だなということになるわけでございます。四百五十億から百六十五億を引きますとこの差が二百八十五億、つまり十五万トン、差の十九万円ですから二百八十五億となるわけでございます。  こういった計算から見ますと、韓国に対しては非常にお気の毒でしたけれども、我が方から見れば、かつて貸し付けたお米を返還していただくわけですからありがたいことではございます。大蔵省財政サイドからしまして、これは大変ありがたいことがここにできたわけでございまして、もし韓国の方からだめでございます、やはりどうしてもこれは現金で、国際価格でお返ししたいんです、こういうことになった場合、二百八十五億でございますから、米価一%引き上げますと約百四十億かかるかに聞いておりますから、二%分に匹敵するぐらいの大変ありがたい、財政的なゆとりとは申しませんが、余裕とは申しませんが、結構な事態がここに生じたわけでございまして、こういったことを考えますと、この韓国産米は大変ありがたいことだなと思うわけでございます。  この辺のところの御理解、それからもう一つ安全性、こういうことが非常に論議されるところでありますが、この韓国からの返還米は絶対に安全かどうか、その安全対策についてもひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  24. 石川弘

    石川政府委員 今の韓国返還米の財政的な問題でございますが、まず第一に、水田利用再編対策というものをやっております事態の中での返還でございますので、生産農民方々に大変御心配をかけたという意味では問題が多いことであったと思っております。  財政的な観点から申しますと、御承知のように、現金償還をいただきますより現物償還をしていただきますことは、韓国自体財政負担もあるわけでございます。その点につきましては韓国の御協力に感謝をしているわけでございます。今おっしゃいました、万が一主食加工用に払い下げた場合の財政負担、これは先生御指摘のように莫大なものでございまして、主食トン当たり三十万程度のものから十数万のところまで落とすわけでございますので、これはなかなかそういう形では、生産者の方からそういうお話があろうかと思いますが、消費者感情としてもなかなか受け入れがたい。したがいまして、そういう形ではなくて今度の他用途米をつくったという経緯がございます。したがいまして、そういうような大きな負担に比べますれば、財源的にはもちろん少なくて済むわけでございますけれども、その分が何か財政的に助かったというよりは、私どもとすれば、そもそも主食用価格で買い上げまして、これを加工用に落として売るということ自身が制度として成り立ちにくいのではなかろうかと思っております。  それからもう一つ安全性の問題でございますが、事の起こりがやはり安全性問題から出てきた問題でございますので、私ども韓国側協力をしていただきまして、まず船積みをいたします前に、返還されます米の所在します全倉庫から検体を採取いたしまして私どもの方に持ってまいりまして、食品衛生法に基づきます指定機関、これは穀物検定協会中央研究所を使っておりますが、そこで分析をいたしまして、食品衛生法に基づく食品あるいは添加物等規格基準等に適合したものだけを、向こうは今もみで置いてありますので、もみずり調製をしました上でこちらに入れてくるということを考えておりまして、御心配のかからないようにこの安全問題につきましてはきちっとやっていくつもりでございます。
  25. 衛藤征士郎

    衛藤委員 最後に農林大臣にお伺いをいたします。  私は、生産者米価というものは極めて低く抑えられているという認識に立っておるものでございます。私としましては町長を二期やっておりまして、田舎の農村町長としまして米づくりの実態をつぶさに体験してまいった一人でございますし、また私は衆議院に来る前参議院におりましたが、この六年間、米については私なりに精いっぱいの米価引き上げについての努力をしたつもりでございますが、昭和五十三年から見ましても米価引き上げ率は、五十三年〇・一%、五十四年〇・二%、五十五年二・三%、五十六年〇・四六%、五十七年一・一%、五十八年丁七五%、御案内のとおりでございます。  生産者米価食管法第三条第二項によりまして、御案内のとおり「生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ」このように決められておるわけでございますが、ややもすると「其ノ他ノ経済事情」の方に参酌が傾斜し過ぎまして、「米穀ノ再生産確保スルコト」あるいは「生産費及物価」という面についての配慮がいま少し不足しているのではないか、そういう感じがしてならないわけでございます。  米の消費拡大の問題とか、こういうことも関連する問題でありますが、農林省の御努力によりまして、学校給食の拡充であるとか、地方自治体の米の備蓄の進捗であるとか、あるいは防衛庁の非常用食糧備蓄であるとか、そういう消費拡大も進んでおりますが、さらに一層消費拡大に努めていただきたいと思うと同時に、何といいましても農民生産意欲を持ち続けるような、そしてまた農業後継者後継者たらんとする自信を持って、あすの農政に確信を持って取り組めるような、そういう農政を確立するその基本は米価であると私は思っているのです。酪農あり肥育畜産あり、あるいは園芸花卉等あり、いろいろございます。しかし私は、米価というのは特別なんだ、そういう気持ちを小さいときから持ってまいりました。  今回の生産者米価につきましては、新聞等にも引き上げ方針であるというふうに報道はされておりますが、大臣、ここで大臣の本年産生産者米価引き上げについての重大なる決意をひとつ表明していただきたいと思います。
  26. 山村新治郎

    山村国務大臣 今言われました消費拡大等につきましても、これは引き続いて努かしてまいります。何といいましても、日本がこれだけ平均寿命が延びたというのも、日本型食生活ということで、いわゆる米を中心にしまして、でん粉、そしてまた脂肪、たんぱく、これがバランスよくとれていたというのがこれだけ日本平均寿命が延びてきたということにもつながるようでございますし、この米の消費拡大という線についてはこれからも努力してまいります。  また、米の価格生産者米価、これにつきましては、現在、事務当局におきまして生産費、物価、賃金、そのほかの経済事情につきまして資料に基づきました検討を鋭意行っておるところでございますが、これを踏まえまして、食管法の規定に従いましたところの再生産確保、これを旨といたしまして、米審に意見を聞きまして決めていきたいというぐあいに考えます。
  27. 衛藤征士郎

    衛藤委員 時間が参りました。再度大臣並びに食糧庁長官にことしの生産者米価の適正なる決定をお願いいたしまして、質問を終わります。
  28. 阿部文男

  29. 松沢俊昭

    松沢委員 まず最初に、韓国米輸入につきまして質問をいたしたいと思います。  過般のこの委員会におきまして、韓国米緊急輸入をやらなければならないということははなはだ遺憾である、二度と再びこのようなことがあってはならないということで、全会一致で米の需給確保に関するところの決議をやったところであります。政府の方といたしましては、今まで韓国政府と交渉されまして、十五万トンの輸入ということになったわけでありますが、この韓国米国内で使う使い方というのは、さっきから御答弁ございますように、加工用原料米として使うのであって、主食としては使わないと何回もこの委員会で述べられているわけであります。  しかし、私の計算からしますならば、既に五月末までの間に五十三年産米十三ないし十四万トン、これが加工用原料米として供給されているわけなんであります。それから、二十万トン残っていると言うけれども、そのうち臭素残留の米、検査をやっていると大体半分がそんな状態になっているということで、半分は使われるようなお話も聞いているわけです。そうなりますと、そこで十万トンあるわけでございますから、これで二十四万トンぐらい供給ができる。二十七万トン必要だということになりますと、あと三万トンあれば十二分に加工用原料米としてはいいのじゃないか。十五万トン、こうなりますと量が余計過ぎるのじゃないか、こう思います。  そこで他用途米主食に回してもらいたいというところの要望があります。ですが、しかし、政府の方としてはこれは回すというわけにはいかない、回すにはいろんなことをやらなければ回すわけにはいかないんだ、さっき石川局長の方からそういうお話がありましたが、それではややこしい方法をとってやれば回すことができるのですか。  例えば私の考え方といたしましては、政府が十五万トン韓国から持ってくるところの米というのは、これは政府米でしたな。他用途米というのは業者との契約でしたな。だから、業者が他用途米として買ったものを等量交換で政府が他用途米以外に、余るわけだから、三万トンもあればいいんですよね。十五万トン要らないのだから、十二、三万トン余るわけだから、その余ったものを等量交換で交換する。業者が交換してくれと言いましたと言えば、これは交換できるのじゃないですか。そして、それを主食に回すということは可能性があるんじゃないですか。さっき局長が、いろいろ面倒な方法をとらなければなかなか主食に回せないと言うのは、そういうことを意味しているのじゃないかと私は思います。ですが、どうですか。
  30. 石川弘

    石川政府委員 先生お話しの、まず加工原料需給でございますが、例えば五十三年産米安全性が確認されました部分につきましては、御承知のように特に昨年の冷害等の影響もございまして、すそ物等の需給が大変逼迫をいたしておりまして、需要があります部分につきましては御承知のように需要に応じまして主食として使っているという経緯がございます。したがいまして、先生御指摘の五十三年産米につきまして、それを全部加工の方で使うということはなかなか困難でございます。  それからもう一つは、他用途米生産、これは御承知のように生産者の中でもなかなかまだ定着した感じがございませんで、契約という形では全体量のある部分は確保されているはずでございますが、肝心の集荷をいたします生産者団体自身が大変これの推進に苦労いたしておりますような事情等を考えますと、加工米の需要のところに対して供給いたします場合に、先生御指摘のようなトン数ではなくて、もう少し大きいものを需要に見合う供給量として確保する必要があろうかと思います。したがいまして、今先生の御指摘の、まず量の面で私どももう少し大きいものを加工原料として確保しておかなければいかぬというのが一つございます。  それから、私がなかなか大変だと申し上げましたのは、いずれにしましても、片一方の他用途米につきましては農民の感情としていろいろなことがあることは私も重々承知をいたしておりますが、これは加工団体の方の実需者との間で、そういう使い方をするんだという前提で既に進められていることでございます。したがいまして、役所の一方的意思だけでそれをどう動かすというようなこともできないわけでございます。  それからもう一つ、先生からも御指摘がありましたように、加工用需要に対しても何らかの形をとってこたえてあげられるという見通しがございませんと、そもそもそういう措置がとりづらい。私ども主食の安定供給にも責任がございますけれども、やはり加工原料につきましても安定供給をしなければいかぬという責務があると思っておりますので、そういう面でなかなか困難なことを伴ったことでございまして、現段階でそういう形で皆さんが納得するような解決方法というのはなかなか見出しがたいということを申し上げているわけでございます。
  31. 松沢俊昭

    松沢委員 農民から買い上げるのは政府でありませんで業者なんですよね。だから、買い上げてしまえば業者の米なんです、他用途米は。それから、韓国から来る米は、輸入してくれば政府米なんです。だから、要するにそれを交換すれば主食用に回すことができるのではないですか。そういうことは絶対しませんか。
  32. 石川弘

    石川政府委員 先生の御意見は、そもそも韓国から入れます十五万トンのボリュームだけで加工用が大丈夫という前提のように私は承っているわけでございますが、私どもが申し上げていますのは、十五万トンの外側に加工原料がありませんと加工方々に安定供給ができない。したがいまして、今先生がおっしゃいましたように加工の人たちがそれを政府に売るという前提があります場合には、それは十五万トンの外側にかわるべきものがございませんと、加工方々はそれを提供するという話はなかなかできないと思います。そこが先生のおっしゃっているところと私のお答えしているところの食い違う部分じゃなかろうかと思っております。
  33. 松沢俊昭

    松沢委員 六十万ヘクタールの中の五万六千ヘクタール他用途米をつくってくれ、こういう要請がされているわけですね。その他用途米というのが今生産されているわけです。ただ、二段米価になるということで農民感情からするならば不服だということでありますが、それが完全に他用途米として生産されて、そして他用途米の分野に回った場合においては、十五万トンの枠の外にそういうものがずっと余裕が出てくることになるんじゃないですか。そういう場合に、その十五万トンの中のどのくらいになりますかわかりませんけれども、その部分というものを、他用途米と政府の韓国米輸入米、この交換というのは絶対にやらないのかどうか、これを聞いているのです、そういう状態になっても。
  34. 石川弘

    石川政府委員 私どもは、今、十五万トン持ってありましょう韓国米加工原料として供給を予定いたしておりますので、これを交換いたしますと加工業者の方々供給すべき原材料が不足すると考えております。したがいまして、私どもは、今先生のおっしゃるような交換というような手法はとりがたいのではなかろうかと思っております。
  35. 松沢俊昭

    松沢委員 繰り返して何回やっても同じようなことですけれども、恐らくはそういうことはされないと、したら大変なことになりますわな、その点はひとつここで確認をしておきます。  それと、韓国米安全性の問題でありますが、これは、サンプルを韓国から持ってきて、そして日本食品衛生法ですかに基づいて検査をされる、こういうことになるというお話でございますが、これは何と何と何の検査をおやりになるのですか。今、五十三年産米は臭化メチル、いわゆる薫蒸剤の検査をやってもらったわけでありますが、その結果、臭素残留というのがあった、こういうことでありますけれども、私はいろいろな本を見ましたところが、韓国の河川それから土壌は大変汚染度が高い、重金属系の汚染度が高い、こういうことが韓国の農業の状態を報道しているところのデータにはあるわけです。そこで、韓国から来るところの米というのは韓国のどの地帯の米が入ってくるのか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。  それから検査も、そういうことが言われております。ですから、ただ単に薫蒸剤の検査だけでは済まされないと思います。ですが、どういうふうにして、どの程度の検査をされるのか、それをお伺いしたいと思うのです。
  36. 石川弘

    石川政府委員 検査をいたします項目につきましては、食品添加物等の規格基準がございまして、そこで、カドミウム及びカドミウム化合物というようなことから始まりまして十三品目のことを義務づけられておりますが、そのほかに、今回問題になりました臭素の暫定基準、例の五〇ppmという基準とか、それから検出されてはならないという臭化メチルとか燐化水素といったような、全部で十六項目について検査をいたすことにしております。  それから、先ほども申しましたように、まず返還米が所在します全倉庫からサンプルを送っていただいて、今申しました十六項目について検査をして、安全と認められるものをもみずりをして運んでくるということを考えております。  それから、重金属汚染とかそういうお話がございましたので、韓国に照会をいたしまして、そういう面でも安全かどうかということをチェックするようにいたしておりますが、特に、何か問題になりました漢江流域云々というお話もございまして、このあたりも調べましたところ、その地域の米は自由流通している米であって、政府米の方にはないというお話もございましたけれども、そういうことも含めまして照会をいたしまして、万全を期そうと思っております。
  37. 松沢俊昭

    松沢委員 そうすると、重金属の毒性検査というものもここでおやりになるということなんですか。
  38. 石川弘

    石川政府委員 その点につきましては、その重金属問題で特に問題となるような事案があるかどうか、現在事情を調査中でございますが、その結論を得ました上で、厚生省とも協議をした上で決めてまいりたいと思っております。
  39. 松沢俊昭

    松沢委員 じゃ、今はまだ決まっていないということですね。  それから、この米は十五万トン一挙に持ってくるというわけにはいかぬと思います。ですけれども、どういうふうにして輸入されるのですか。港、時期、それから船の回数等につきましてお聞かせを願いたいと思います。
  40. 石川弘

    石川政府委員 現在韓国と協議をいたしておりますので、どこの港にどれくらいの隻数でということまで決まっておりませんけれども、かなりの港、主要港十港程度には配船をしなければいかぬのではないか。原料供給でございますから、そういうものが極力円滑にできるようにという観点から考えておりまして、隻数等につきましてはどういう大きさの船を向こうが使ってくるか、これは向こうの船で持ってくるわけでございまして、そういうことによりまして隻数も変わってまいるかと思いますが、極力円滑に、かつ、そういう意味では、いわば経費の面その他いろいろな陸上の輸送の面も考えました上で、最も合理的な姿になるように現在検討中でございます。
  41. 松沢俊昭

    松沢委員 第一船は——私は新潟ですけれども、新潟の港の倉庫の米は今港外の農協倉庫にどんどん移動しておりますが、新潟は米を入れる、そういう準備で移動しているのですか。
  42. 石川弘

    石川政府委員 どこの港に入れるためにどう準備しているというまで話を私は聞いておりませんけれども、新潟は御承知のように加工原料を相当お使いになる県ではございますけれども、そこへどういう形で入れていくかということはまだ決めておりませんし、これは韓国との話の中で進むことでございますので、かなりの数の港を使わなければならないとは思っておりますが、どこの港と決めたわけではございません。
  43. 松沢俊昭

    松沢委員 そう秘密にしなくとも、食糧庁の米を食糧事務所が移動させているわけだから、その長官石川さんなんだから、港の米が農協の倉庫の方へどんどん分散するということになれば、そこは空っぽになるのだから、そこへ船が入ってくるというのは大体常識的に考えられるのじゃないですか。長官にそういうことを報告しない下部機関もどうかしていると思いますね。まあ、それはわかりました。  韓国米の問題につきましては、私が一番心配しているのは安全性の問題でありますが、重金属汚染がひどいということが韓国の事情を説明しているところのデータには出ているわけです。御説明によりますと、それが検査するのかしないのかということがまだ定かでないということを私は大変心配しているわけなんでありまして、これはやはりちゃんと検査をやって、安全の上にも安全を考えて供給してもらわぬと困るのじゃないか、こういうことを強く注文をつけておきます。  それから次に、米の需給につきまして御質問を申し上げたいと思います。  まず、ことしの端境期が一体どうなるのかということであります。政府の政府米及び自主流通米の集荷計画というのが七百二十万トンであったわけでありますけれども、実績は六百九十六万トン、二十四万トンのマイナス、こういうことになっているわけですね。それから、昨年の早食いが六十五万トンと言われているわけですね。新米穀年度に入りましてから、二月までの消費の実績が二百二十一万トン。それから、これは推定になると思いますけれども、三月から六月までの、五・九%の昨年実績を下回る供給をやったとしても二百三十四万トン。そのほかに酒米五十万トン、モチ米二十五万トンというのがあるわけですから、これを差っ引かなければなりません。そうすると、実際は、七月の初めには百二十六万トンの在庫しかないということになるのじゃないか。年間の需要が大体六百六十万トンということになっていますから、月平均五十五万トンということになりますね。今の時期だと五十七万トンぐらい食べているのじゃないか、こういうことも言われるわけでありますが、その辺はちょっとわかりませんけれども、七月、八月とニカ月間五十五万トンないし五十七万トン食べるということになりますと、あと幾らも残らぬということになるわけです。  そして、食糧庁調査課の方の調査結果をきのうお聞きいたしましたところが、早場米地帯、特に千葉県なんというのは早場米地帯でありますけれども、大変おくれている、こういうことになっているわけですね。そうすると、早場米がもしもおくれるということになりますと、これはやはり大変な事態に入ってくるのじゃないか、こう思いますが、その辺は一体どうお考えになっておるのですか。
  44. 石川弘

    石川政府委員 御指摘のように、本年の端境期におきます需給状況は決してゆとりがあるとは言いがたい状況とは思っております。ただ御承知のように、ここ数年の状況を見ましても、新米供給というものはある程度潤沢になってきておりますけれども、その中で、私ども八月から九月にかけましては旬別でどれくらいの数量が出てくるかというものも承知をいたしております。  先生御指摘のように、比較的作がいい場合には出方が早いわけでございますが、作が悪い場合に若干、いい年に比べましては少ないわけでございますけれども、私ども、過去災害等がありましたとき等を考慮いたしましても、九月の末までにその種のものが百万トン超えますことは大体間違いない数字でございますので、豊作であれば非常にありがたいわけでございますけれども、そういう悪い場合を想定しましても、何とか早場米というものを活用することによって端境期需給というものを切り抜けていけるんではないか。そのためには、生産者方々の御協力はもちろんでございますが、的確な輸送とかいろいろな計画を立てまして、御心配をかけないようにということで、今から心を引き締めまして対応したいと思っております。
  45. 松沢俊昭

    松沢委員 大変なピンチに立っているということは御認識の上、万全の対策を立てる、こういうお考えなんですか。
  46. 石川弘

    石川政府委員 総量として不足するものではございませんけれども、早場米を使いますことはそれなりの努力が必要でございますので、そういうつもりで気を引き締めて、操作に万全を期すつもりでございます。総量に関して御心配をかけることはないと考えております。
  47. 松沢俊昭

    松沢委員 それでは、五十八年の米の生産費調査報告をおやりになるということだから、若干中断します。     —————————————
  48. 阿部文男

    阿部委員長 この際、昭和五十八年産米生産費統計調査結果について、政府から説明を聴取いたします。大坪統計情報部長
  49. 大坪敏男

    ○大坪説明員 それでは、昭和五十八年産米生産費につきまして概要を御報告申し上げます。資料がお手元に配付してございますのでごらんいただきたいと存じます。  まず五十八年産水稲の平均生産費でございますが、十アール当たり十七万四千五百六十九円でございまして、これは対前年比で一〇二二八%となっております。また、六十キログラム当たりにつきましては二万一千四百六十六円でございまして、対前年比では一〇四・三%となっております。このように六十キログラム当たり生産費の対前年比の方が十アール当たり生産費の対前年比を上回っている理由といたしましては、五十八年産米の十アール当たり収量が四百八十八キロと前年を七キロ下回っておりまして、前年対比で申しますと九八・六というように下回った結果でございます。さらに、十アール当たり所得につきましては七万八百九十六円でございまして、対前年比九九・一%となっております。  次に、二ページと三ページでございますが、生産費を構成いたします主要な費目につきまして御説明申し上げます。  まず、水稲生産費の費目別構成比につきましては、労働費が三九・六%と最も高く、次いで農機具費二八・八%、肥料費七・八%、賃借料及び料金五・六%となっておりまして、この四つの費目をもちまして費用合計の八一・八%を占めているわけでございます。  次に、主要費目の動向につきまして御説明申し上げますと、労働費でございますが、五万六千二百八十一円でございまして、前年を四・三%上回っております。これは労賃単価の上昇、対前年比一〇三・一でございますが、それに加えまして、天候不順等の影響で病害虫防除や刈り取り作業等の時間が増加したということから、十アール当たり投下労働時間が一・三%増加したことによるものでございます。  農機具費でございますが、四万九百七十円でございまして、前年を五・三%上回っております。これは主として自脱型コンバイン、乗用型トラクター、動力田植え機など高性能機械の更新等に伴う償却費の増加によるものでございます。  肥料費は一万一千百三十六円でございまして、前年を一・六%下回っております。これは主として肥料価格の下落、率で申しますと一・五%でございますが、価格の下落によるものでございます。  賃借料及び料金でございますが、七千九百八十一円でございまして、前年を四・三%上回っております。これは料金単価の上昇に加えまして、ライスセンター、航空防除等の利用が増加したことによるものでございます。  農業薬剤費でございますが、七千三百九円でございまして、前年を九・〇%上回っております。これは殺虫剤、殺菌剤等薬剤の使用量の増加によるものでございます。  光熱動力費でございますが、四千二百四十三円でございまして、前年を四・七%下回っております。これは燃料価格の下落によるものでございます。  地代でございますが、三万九百六十一円でございまして、前年を〇・九%上回っております。  以上、主要費目の動向について御説明した次第でございますが、最後に、水稲作の収益性でございますが、昭和五十八年産水稲の十アール当たり粗収益は十五万七千八百九十円でございまして、前年を一・四%上回っております。また、十アール当たり所得につきましては七万八百九十六円でございまして、前年を〇・九%下回ったわけでございます。  四ページ以降につきましては統計表でございますので、御説明を省略させていただきます。  以上でございます。
  50. 阿部文男

    阿部委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  51. 阿部文男

    阿部委員長 質疑を続行いたします。松沢俊昭君。
  52. 松沢俊昭

    松沢委員 それで、石川局長の答弁、ちょっと気に入らぬわけなんでありますが、本当に不足の状態に入って需給が緊迫してしまってピンチに立っている、だけれども万全な対策を立てている、こういうのが食糧庁の立場かと聞きましたところが、総体的には心配ないんだ、こういう話でありますが、大体、仮に端境期を切り抜けることができたとしても約百万トン近くの早食いをやらなければならないというのは、総体的に心配がない状態ではないんじゃないですか。本当は十一月一日から食い始めなければならぬものを約ニカ月分も早食いをしなければならぬというところの状態に入るのでしょう。それでも米というのは総体的には心配がない、そんなことを言ったら、日本の国民、幾らばかでも、政府は何言っているんだ、こうなるんじゃないですか。これはやはり大変な事態に入っている、そういう理解をしながら食糧庁としては万全の対策を立ててもらわなければならぬじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  53. 石川弘

    石川政府委員 私ども考えておりますのは、大臣からもお話をいたしておりますように、端境期にある程度のものは今までもやっているわけでございますが、そういう状態を超えて、やはり需給を調整していきますことについては決してゆとりがある状況とは思っておりませんで、したがいまして、こういうことを早く解決いたしますために需給面でもう少しゆとりのある形をとろうという努力はしなければならぬと思っております。  私が申し上げておりますのは、ことしの端境期現物がなくなるというような意味での御心配、そういうことになりますと、先ほど何かチラシで何とかというようなお話もございましたが、そういう事態ではないんで、それは新米というものを充当することによって可能でございますので、そういう意味混乱は御心配になる必要はない。しかし、全体の需給ゆとりがないということをはっきり申し上げておりますので、こういう状態を毎年続けるということは、米の安定供給という面で決して生産者消費者両方の方々の期待にこたえるゆえんではございませんので、そういうゆとりを持った需給の方へ誘導をしていかなければならないと考えております。
  54. 松沢俊昭

    松沢委員 今の状態はもし早場米というものがおくれたなんていうことになったらこれは大変なことになるんだ、私はこういうことを指摘しておりますけれども、おくれる心配がないなんて、それは長官、あなたはおてんとうさまでもないのにそんな予見はできないはずなんでありまして、この先気候がどうなるかわからぬわけなんでありますから、もしも八月の末から九月の初めに早場米というのが手当てできなかったということになれば、これは本当に大変なことになりますよ。どうですか。
  55. 石川弘

    石川政府委員 私、さっきお答えいたしましたのは、九月の上、中、下と分けまして、ここ数年間どれだけの集荷が行われているかということを申し上げたわけでございますが、先ほども申しましたように、比較的豊作型の年は集まりが早くて、不作型のときが集まりが低いわけでございますが、不作型のときでも九月下旬で約百万トン程度集荷はできているのではなかろうか。豊作型のときは百二、三十万トンというときもありますが、比較的作が悪いときでもそれぐらいのものはある。また、それぐらいのものがあれば端境期需給を何とか乗り越えるのではなかろうかという意味で申し上げたわけでございます。私もそういう意味では豊作型を望んでおりますけれども、豊作型でございますれば比較的集荷が多うございますので、そういうことが今そうであると申し上げたわけではございません。
  56. 松沢俊昭

    松沢委員 私の言っているのは、九月に百万トン集荷することができるにしても、九月の初旬、十日前までに集荷ができないということになれば大変なことになるのではないかということです。それは大変なことなのじゃないのですか。どうですか。
  57. 石川弘

    石川政府委員 過去五カ年ぐらいの数字を持っておりますが、大変作が悪かった時期でも、上旬で言いますと大体最低で二十万トン、最高三十数万トンでございます。中旬になりますとこれが五十万トンから八十万トンぐらいの大きさで集まつてきております。私どもそういう意味でこういう時期の集荷というものに大変期待をいたしておりますが、そういう必要なものが集められますように、またそれがうまく集配できますように、慎重な計画を立てたいと思っております。
  58. 松沢俊昭

    松沢委員 いや、今までの年とは違うのですから。もう本当に人間に食わせるという米ではないのではないかというものまでも全部吐き出してつないでも、なおかつ足りなくて韓国から輸入しなくてはならないという状態に入ったわけなんです。さっき申し上げておりますように、もう七月の初めには米というものはニカ月分くらいしかないのではないか、こういうふうなことは今までに経験したことはないわけなんですよ。だから十日ごろまでに早場米というものが集まらなかった場合には大変なことになるのではないか、こういうことなんでありまして、過去は、それは在庫もあったのですからそんなに心配しなくても何とか食いつなぐことができたということになると思いますので、その点の認識ははっきりしてかかってもらいたいと希望を申し上げます。  それじゃ、このような状態でことしもまた昨年同様の作柄であった場合、六十米穀年度状況というものは一体どうなるのですか。
  59. 石川弘

    石川政府委員 転作を若干緩めておりますからボリュームとしてはある程度出てくるわけでございますが、御承知のようにことしのいわば早食いの大きさがある程度あるわけでございますので、そういうものがあり、かつ、例えば作況が昨年並みの九十数パーセントというようなことになりますと、来年の端境期においても需給はかなり逼迫した状況にならざるを得ないと考えます。しかし、これはあくまで水田利用再編がどこまで実行の面で行われるかとかあるいはことしの作柄、この両方を見て決まることでございますが、ゆとりのある状況とは考えられないと思います。
  60. 松沢俊昭

    松沢委員 それで、ことしもまた来年も、食糧庁としても国民に米を食べさせるために大変な苦労をしなければならない、そういう年になっているようでありますが、潜在生産力という問題が千三百七十五万トン、こうなっております。その基礎になっているのは、面積が二百八十五万ヘクタール、単収が四百八十一キロですね。そこに陸稲が五万トンということで、千三百七十五万トン、こうなっているわけでありますが、今までの過去五年間の単収の平均をとりますと、四百五十二・八キロになっているのですね。ですから政府が考えておったところの単収から見ると、やや、三十キロ近く下がっているということであります。  それから、これは実態調査をやらなければなかなかわかりませんけれども、水田再編対策、減反をやめた場合米ができる状態に水田が復元するところの面積、これは一体幾らなんだということが問題だと思いますね。仮に半分は復元できないというような状態になりますと、もうこの辺で減反はやめなければならない、こういうことになるわけでありまして、そういう潜在生産力、この見直しをやらなければならないところの時期に来ているのではないか、こんなぐあいに考えます。ですが、この辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  61. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 水田利用再編対策の場合の潜在生産量の見方の問題でございます。  第三期対策におきましては、ただいま先生の御質疑の中にございましたようなことで二百八十五万ヘクタールの面積、それから単収は四百八十一キロ、こういう数字計算しておるわけでございますが、その基礎になる考え方は、二百八十五万ヘクタールの面積の方は、大体五十七年度の水稲の作付面積転作等実施面積を加えまして、その後若干の水田の壊廃面積を見込んで大体見込みをつける、こういうようなことになっておりまして、この面積要因の方から申し上げますと、確かに転作面積の中には永年作物のように転作対策の中で一応かなり定着性が高いものになっているものも含まれているわけでございます。これはしかし、転作奨励補助金を交付する必要があるということで、転作政策上の面積としては潜在生産能力あり、こういう扱いにしておるわけであります。したがいまして、こういうものはもちろんすぐに水田に戻るというわけではございませんけれども、長期的な傾向から見ますとやはり水田の生産力としては見込む必要がある、こういうような考え方に立っておるわけでございます。  この面積の問題、さらに今後最終的に先を見るとどうか、こういうことになるわけでございますが、現在の水田の面積から見ますと、この二百八十五万ヘクタール、あるいはもちろん今後壊廃その他によりまして多少減るとは申しますものの、そう急激に水田の作付可能面積が減っていくということではなかろうと思います。  一方、単収の方でございますが、これは確かに先生のお尋ねにございましたように、最近この四年間の不作、こういう状況がございまして、その実単収を単純に平均しますと先生のお尋ねのような数字になるわけでございます。これにはいろいろな要因が絡んでおるとは申しますものの、各年見ますと、五十年に一度とか百年に一度というようなかなり異常低温が記録されたりいたしまして、全体的には異常気象に伴います影響というものがかなり強く出ておるわけでございまして、またさらに今後の技術改善の可能性等を見ますと、平年単収というか平常の単収として見ましても、四百八十キロ水準というものはそう高過ぎるということはないのではないか。  全体を考えますと、第三期対策も含め日本の水田対策としては、需要から見て相当高い生産能力を潜在的には持っておる。この具体的な見方については、これはもちろん私どもさらに検討する必要があろうと考えておりますが、全体の構造的な関係については、やはり日本の稲の生産能力は需要から見ますと相当高いということで、転作政策のようなことは必要である、かように考えておる次第でございます。
  62. 松沢俊昭

    松沢委員 そういう考え方で五十三年からずっと調整的な転作をおやりになってまいったわけであります。しかし、あなた方の見方どおりに生産というものができなかった、それが今日の状態になっているのではないか、こう思うわけなんであります。  そんなようなことからして、総理大臣も、一昨日ですか、群馬の知事選挙の応援に行って、それでゆとりあるところの農政の展開ということで、減反の緩和ということを発表しておられるわけですね。中曽根総理は素人とは言いませんけれども、皆さんがむしろ専門家なんです。それからするならば、皆さんよりは専門家ではないと思う。しかし、政治的な最高の立場におられる人が、この辺で減反も緩和しなければならぬじゃないか、こういうことを言っておられるというのに、あなた方が、いや減反、これは単収も心配ないんだし、これは六十万ヘクタールの減反をやっているけれども、復元するということになれば相当部分というものが復元できるのだから、そう潜在生産力というものは変更する必要がないんだというような考え方で考えておられるということは、大変問題があるのじゃないか、私はこう思うのです。  それで、七月十六日、きのうですね、行革審の小委員会報告、これを見られたと思いますけれども、勝手なことが書かれておりますが、特に八ページの農業の問題等につきましては、要するにことしの米の値段というものを抑えるべきであるという意味のことが書かれておりますし、「米の需給は当面ゆとりがあるとはいえないものの、構造的には過剰傾向にあることにかんがみ、」こういう言葉を使っているわけであります。これは総理大臣の考え方とは大分違っていると思うのです。また、関谷局長の考え方ともこれは違っているのかということになりますと、どうも関谷局長は行革審の小委員会報告と同じような考え方になっておられるのじゃないか、これじゃ問題にならない、こう思いますが、一体この辺はどういうふうに理解したらいいのですか。
  63. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 私ども水田利用再編成の基本になる考え方につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日本の水田の生産能力から見ますとやはり需要との間に大きな開きがある、これは否めない事実でございますので、そういう需要の動向に応じて農業生産を誘導していく、そういう意味での転作も含めた地域の農業生産の再編成、こういう対策が基本的に必要であろう、この必要性は基本的に変わらないのではないか、こういうことを申し上げたような次第でございまして、当面、では六十年度の転作目標面積、第三期対策の二年度になるわけでございますが、これをどうするかということになりますと、これは総理の御発言もございましたし、農林水産大臣もしばしば申し上げているようなことでございまして、基本的には、ことしの作況、さらに転作状況、こういうものを見きわめながら弾力的に対応する、こういうことで、六十年度の目標面積も含めました第三期対策目標面積の調整につきましては、これは弾力的に考えていくということで、私の理解では、そういう総理あるいは農林水産大臣が申し上げているようなことと考え方の基本において変わらない、かように考えておるわけでございます。
  64. 松沢俊昭

    松沢委員 第一次の過剰米の処理、第二次の過剰米の処理、それを延べ払い輸出で各国に、十年間の据え置き、二十年間の年賦償還で、金利も安く出しておりましたのですが、それが約四百五十万トン以上に及んでおります。これは外務省の方でいろいろと手配されたと思います。外務省、おいでになっていると思いますが、この援助をもらったところの各国の反応というのは、どういう反応であったのですか。
  65. 木幡昭七

    ○木幡説明員 お答え申し上げます。  最初は私ども、嗜好が違うというような問題で若干どうかなという感じもございましたが、その後よく調べてみますと、援助いたしました相手国はいずれも、援助米を大変評価してくれているわけでございます。
  66. 松沢俊昭

    松沢委員 そこで、これは大臣に聞いた方がいいと思います。ですけれども、今、日本は、国際舞台におきましても大きな役割を果たしていかなければならない、そういう国になっているわけですね。そして、また一面におきましては、農林省の方としては、日本の一億一千万の国民の国内におけるところの食糧の安全供給、こういうことを考えていかなければならない、こういうことでありますが、今の外務省の答弁にもありましたように、日本では米が余ってしょうがないじゃないか、税金のむだ遣いだと言われましたけれども、それを利用して海外に対しますところの延べ払い輸出をやったら、それを受けたところの途上国は大変喜んでおった。そういうのもまた、考えてみますとやはり日本の役割だと私は思っているわけなんです。そのほかにケネディ・ラウンドというようなことがありまして、外国から米を買ってそして途上国に援助している、そういうものもありますから、相当の量に及んでいるわけでありますが、そういうものを全部含めた、そういう中で日本の米政策というものを考えていくところの時期であろうと私は思います。ですが、大臣、どうお考えになりますか。
  67. 山村新治郎

    山村国務大臣 御存じのとおりに、いわゆる我が国の米の輸出というものは、今まで過剰米処理の一環ということでやってきたわけでございます。過剰米処理終了後、米の輸出を継続するということにつきましては、これは何といっても米の国際価格国内価格に大きな格差がありまして、膨大な財政負担を余儀なくされるということもございます。それからまた国際的にも、補助金つき輸出をして、伝統的な米の輸出国から批判を受けるというようなことも出てまいりますし、また、この金額に対しまして、余り喜ばれない、いわゆる援助効率が薄いというようなこともございまして、米をつくって、国内産の米を外国へ援助を続けることはなかなか難しいというぐあいに考えております。
  68. 松沢俊昭

    松沢委員 国際価格と比較して日本の米の値段が高いということはしょっちゅう言われるわけでありますけれども、それは、例えばタイの米が安いといっても、タイの労働者の賃金は日本の労働者と比較したら比較にならぬほど安いのですよ。だから、そういう点からいくと日本国内における米の値段が日本の国民生活に重大な影響を与えるぐらい高い値段ではないのですね。今、五十八年の政府米の平均価格、政府から買ってもらう農家の米の値段は一万八千二百六十六円でしょう。これは一合に直すと一体幾らなんだかおわかりですか。
  69. 石川弘

    石川政府委員 家庭で消費する……
  70. 松沢俊昭

    松沢委員 売る値段だ。——時間がないから私の方で言いますが、これは百グラムで三十円四十四銭なんだ。だから、百五十グラムが一合となれば約四十五円ですよ。大体三合ぐらい食べれば腹いっぱいになるのですよ。  国電の神田から東京までの区間の運賃は幾らですか。大臣、わかりますか。
  71. 石川弘

    石川政府委員 国電の最初の運賃はたしか百十円か何かだと思っておりましたけれども、間違っておりましたら、また訂正させていただきます。
  72. 松沢俊昭

    松沢委員 百二十円なんです。だから、神田から東京までの区間の金を出すと腹いっぱい食べられる。それが日本の米の値段ですよ。財界の方では、これは高い高いという農業攻撃を盛んにやっているわけだ。要するに、それにどう反撃をやっていくかというのが農林大臣の仕事だと私は思うのです。特に自民党の中におきましても、行革審の方針に従ってやっていくとなればなかなか景気も回復してこない、そんなものにこだわっていられないじゃないかということも出てきておるわけでございますので、そういう点で、きのう出された行革審の小委員会の報告を大臣はどう受け取っておられますか。実にけしからぬ報告をやっているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  73. 山村新治郎

    山村国務大臣 行革審の小委員会の報告は「米の需給は当面ゆとりがあるとはいえないものの、構造的には過剰傾向にあることにかんがみ、五十九年産生産者米価は抑制的に」決めるというような指摘がございまして、当面の需給事情は踏まえておりますものの、厳しいものであるというぐあいに考えますが、いずれにいたしましても、生産者米価の決定につきましては、食糧管理法の規定に基づきまして、生産費及び物価そのほかの経済事情参酌しながら再生産確保を旨として決めてまいりたいと私は思います。
  74. 松沢俊昭

    松沢委員 時間が参りましたから長く質問はできませんけれども、再生産確保、この問題で農林省と私の全日本農民組合連合会が十年間にわたって裁判をやったんですね。そのとき食糧庁側の言い分としては、再生産確保というのは、国の必要とするところの米の量、これを生産することが再生産確保することを旨として定めるという意味なんだ、こう言っているわけだ。ところが、今までずっと過去四年間にわたりまして再生産確保されてこなかったですよ。これだけ必要だというけれども、その必要の米が生産できなかったわけだ。言ってみれば、今まで食管法にちゃんと決められているところの再生産確保することを旨とする米価ではなかった、こういうことが言えるのじゃないかと思うのですね。その点大臣どうお考えになっているか。  それから、私は五十八年の生産費調査の御報告もいただきましたが、それはそれといたしまして、今までの米価審議会に対しまするところの「諮問」そして「諮問についての説明」というのがございますね。これを見ますと、昨年も「依然として過剰傾向を脱するに至っておりません。」また一昨年も「過剰傾向は強まってきております。」それから、その前の年も「依然として過剰傾向を脱するに至っておりません。」こういうぐあいに諮問の主文に対する説明がなされているわけであります。  それで、さっきから長々と私が質問しておりましたのは、要するに、過剰傾向が強まっているとか、そういう基調であるとかいうことではないではないか、こういうことを主張しておるわけなんであります。そういう点からしますと、ことしの米価審議会に対しまするところの諮問、その説明というものは、やはり今までとは変わった文言にならなければならない、こう思っておるのですが、それについてはいかがにお考えになっておるのか、農林大臣から御説明をいただきたいと思うわけなんであります。
  75. 石川弘

    石川政府委員 諮問の案文につきましては、まだ私どもつくっておるわけでございませんけれども、最近の需給事情というようなものは頭に置いた諮問案文にしたいと思っておりますけれども、過剰傾向というような形で書いておりましたことにつきましては、これは、御承知のように多額の費用を使いました転作政策、水田利用再編対策を片側にやっているということを言っているわけでございまして、そういう意味でそういう基調ということを過去に言ったかと思います。ことしの案文等につきましては、私どもまだ作文をいたしておりませんが、最近の事情というようなものは頭に置いた形で事情を説明しなければならないと思っております。  それから、もう一つおっしゃいました再生産確保という面でございますが、これはどういう方々のものの再生産確保するかといいましたときに、私どもが考えておりますような、米の全体の需給を見まして、それに必要なものを再生産していただくというのが私たちの主張でございます。そういう意味で先生方の方と必ずしも意見が一致してなかったことはありますけれども、私ども、そういう再生産確保します場合には、国民がボリュームとして必要とするものを再生産確保していただくという考え方でございます。
  76. 山村新治郎

    山村国務大臣 ここ数年来いわゆる天候等の関係でいろいろ作況等がよくございませんでした。しかし、いずれにいたしましても再生産確保してということでやってまいりたいと思います。
  77. 松沢俊昭

    松沢委員 とにかく二十四日から本米審が始まるわけでありますが、今までのような諮問文でなしに、やはり今日の厳しいところ、米の需給事情というものを十分説明された諮問案というものをぜひ提出していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして質問を終わります。
  78. 阿部文男

    阿部委員長 小川国彦君。
  79. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最初に、これから二十四日、五日に米価審議会が開かれまして、全国農民が期待し、注目している米価の審議が行われる。これに当たって農業団体からは七・七%、一万九千三百八十四円という要求が出ているわけでありますが、ことしの米価農林大臣としてどういうふうに対応する考え方を持っているか。この六年間の統計を見ましても、国民総生産のアップ率は二九%、それから生産者米価のアップ率を見ますと六%、基準内賃金のアップ率を見ますと四三%、消費者物価のアップ率を見ますと二九%、国家財政のアップ率を見ますと七四%、国民の税負担のアップ率を見ますと、国税と地方税を入れて八三%、こういうふうに見てまいりますと、生産者米価のアップ率の六%というのがいかに低いかというようなことを感じるわけであります。  農業団体が出しているこの七・七%、一万九千三百八十四円というのも、いかにも今の財界臨調の攻撃に対して遠慮したような要求に立っているというふうに思うのですが、これは農林水産大臣としても、六年間で六%、年一%というような状況に対して、いろいろな生産資材が上がってきている、物価も上がってきている、そういう状況の中で、これに見合った農民の期待にこたえられる米価というものをどういうふうに考えているか、大臣長官、それぞれひとつ御答弁願いたいと思います。
  80. 山村新治郎

    山村国務大臣 農業団体の七・七%アップということに対しましては、これは団体でのいわゆる申し合わせということでございますので、これに対する論評はちょっと差し控えたいと思いますが、いずれにしましても本年の生産者米価の取り扱いにつきましては、現在事務当局におきまして生産費、物価、賃金そのほかの経済事情参酌して、資料に基づきまして鋭意検討中でございます。これを踏まえまして、食管法の規定に従いまして、再生産確保を旨として米価審議会の意見を聞いた上で適正に決めていきたいというぐあいに考えます。
  81. 石川弘

    石川政府委員 御指摘米価の動きでございますが、いろいろと物財費その他の上昇ということもございます。一方で、御承知のような生産性向上というような分もあったわけでございます。大変、率自身は他のものに比べまして低いという御批判でございますが、毎年与えられました諸事情、これは生産面、資材面とかあるいは効率の面とか、そういうことで算定をいたしておりまして、私どももそういう基本的な諸指標の動きというものを見ながら適切に決めてまいりたいと思っております。
  82. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この六年間の例えば消費者物価指数を今見ますと一二九、そういう段階で見ていくと、いろいろ農家の使っている肥料、農薬、農機具、その他あらゆる生産資材、これを三〇%ぐらい上がっているというふうに見てまいりますと、六十キロ当たり二万二千二百円ぐらいになってもいいのではないかというぐらい、私どもは今の米価というものは遠慮し過ぎるというか低過ぎるというか、抑え込まれ過ぎているというふうに思うわけなんです。  今大臣は米審の意見を聞いて、こういうふうにおっしゃられたのですが、そうすると米審前にいわゆる政治米価といいますか、政府が先行してアップ率を決める、こういうことはございませんか。
  83. 山村新治郎

    山村国務大臣 御存じのとおりに、今度十九、二十日と前広米審も行います。これらの意見をいろいろよく伺った上でやっていきたいと思っております。
  84. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、十九、二十日の前広米審から二十四、五日の本米審の間ごろに政府の考え方をまとめていく、こういうふうに理解してよろしいですか。
  85. 山村新治郎

    山村国務大臣 基本的にそのような線でやってまいりたいと思います。
  86. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、七月十五日、中曽根総理が群馬県知事選の応援の際に、来年度の減反を緩和して備蓄に取り組むという表明をされたということが各紙一斉に報ぜられているわけですが、これは政府の方針なのか、あるいは山村農水相、食糧庁長官はこの総理の発言をどういうふうに受けとめておられるか。
  87. 山村新治郎

    山村国務大臣 総理の発言は、私及び農林水産省の考えと変わらないと思います。現在需給がかなり厳しいものであるということの上に立ちまして、御存じのとおりに水田利用第三期対策を、本年度の需給状況作況等を見た上で弾力的に考えていく、そしてまた備蓄もそれ相応の備蓄というものは行わなければならないということですから、一緒の考えであろうと思います。
  88. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしますと、総理の発言の裏づけとしまして、これから百五十万トン備蓄を行うというふうに報ぜられているわけですが、まず昭和六十年十月末段階において第一段階五十五万トン備蓄という政府の計画になっているのですが、この見通しは達成される、こういうふうに理解してよろしいですか。
  89. 石川弘

    石川政府委員 ことしの作況というのが大変問題でございまして、ことしの作況の姿いかんによりましてはそういう水準に達しない場合もあり得るわけでございます。したがいまして、私ども作況を見ながら、大臣も申されましたように、弾力的対応が必要になろうかと思っております。
  90. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農水省は、この期末で十万トン、それから来年の期末で四十五万トン、そうすると来年の十月三十一日には五十五万トンの備蓄ができなければならないはずです。とすると、それはことしの作況を見てというようなことではその備蓄が確実に行われるというふうには判断できないと思うのですね。  政府がこれだけ、総理も、群馬県の知事選で勝つかどうかわかりませんが、選挙応援でこれだけ威勢よくぶって、これで農民票も集めるのじゃないかと思うのですね。だから、そういう意図もあってお国入りした群馬県で言ったことですから、一国の総理が言ったことですから、これはやはり具体的に歯どめ措置がなければならない。ラッパ吹いて終わり、選挙勝って終わりでは困るのです。これは全国農民が注目している問題ですし、もちろん消費者も注目している問題ですから、確実に三カ年で百五十万トンに達するためには来年の十月三十一日の五十五万トンのめどというものを、ことしのお天気次第なんてことでは非常に不安定だと思うのです。もうちょっと確実な歯どめというものをお考えになれないですか。
  91. 石川弘

    石川政府委員 先生の御指摘の、三年なら三年の期間にそういう目標に達成させるために毎年度の転作問題なりあるいは米の集荷問題をきちっとやらなければならないと思っておりますが、十月、来年の端境期の問題になりますと、与えられたるものといたしましては、今年産の米ということが中心になってまいりますので、どうしてもそういう意味で、その与えられたものをどう積み増しが可能か、その場合に比較的、今御指摘になりましたようなことしの作況が一番大きな要素でございます。私どもそういう面で、三年なら三年の期間に積み増しをしますためには、次年度以降の転作の大きさの問題その他については十分弾力的に対応してまいるつもりでございます。
  92. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、来年は危ないかもしれないけれども、三年で百五十万トン積む、これはおやりになる、こういうお考えですか。
  93. 石川弘

    石川政府委員 少なくとも三期の水田利用再編のときにはそういう考え方で計画自身がつくってあったわけでございますが、残念ながら実行の面でそのとおりにいかないおそれが比較的強いわけでございますので、そういう目標に目がけて、それが達成できるような転作の問題なりあるいは米の集荷の問題なり需給の問題なりを策定し、かつそれが実行できるようにしてまいりたいと思っております。
  94. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、もう一遍端的に言いますと、三年内には必ずやると……。
  95. 石川弘

    石川政府委員 そういうように持っていくつもりでございます。
  96. 小川国彦

    ○小川(国)委員 持っていくつもりでは困るのですね。つもりじゃなくて、総理が少くも言ったわけでしょう。知事選で言ったというのは、三年間で百五十万トン備蓄をやるということを具体的に言っているわけですね。そうじゃないと総理が言っていることと——今山村さんも総理が言ったことと私も長官もみんな考えが同じだ、政府一体だということなら、やはり政府の考え方というもの、総理の考え方というものは、具体的に来年で五十五万トン、それからその次に四十五万トンですか、それから四十五万トンと積んでいかれなければならないのですね。それがどうも明確でない。  じゃもう一遍申し上げますが、来年の十月三十一日には五十五万トンは積めるという、これはお天気抜きに積めるという見通しはないのですか。
  97. 石川弘

    石川政府委員 これは先ほど申し上げました、一%狂いますと十万トン狂うわけでございます。ですから作況で、例えば五%程度の異動、上に働いてくれれば大変いいわけでございますが、マイナスというようなことも考えておきませんといけませんので、そういう意味では積めるということを今申し上げる事態ではないと思います。  しかし、私申し上げておりますのは、来年の端境期の問題というのはまさしくことしの米のとれ高に影響するわけでありますが、再来年度以降は、転作の規模を動かすという手法がございますから、こういうものを含めて次年度以降のところで——つもりと申しましたのは決してやらないというようなことも含めて言っているわけではございませんので、たまたま私ども第三期の計画では、計画上はできるという前提でいわば転作面積もつくったわけでございますが、残念ながら作況あるいは転作の進行状況等をやりました結果、その見通しが必ずしもできなかったわけでございます。したがいまして、今度はそういう計画面と実施面ということ両方考えてそういう三カ年の備蓄計画をつくると同時に、それが単なる計画じゃなくて実行できるような施策を一緒に考えていくということを申し上げているわけでございます。
  98. 小川国彦

    ○小川(国)委員 もう第三期は出発しているので、当然それは三カ年で達成されるということなんでしょうか。今いろいろ農林省が、輸入もしなければならない、五十三年産米の問題も起こったという事態に直面した中で、もう一遍三カ年で実行できるようにしていく、こういう考え方をしっかり持った、こういうふうに理解していいですか。
  99. 石川弘

    石川政府委員 三カ年でそういう結論に行くように、計画それから実行面、両方でそういうことができますような考え方をとっていることは間違いございません。
  100. 小川国彦

    ○小川(国)委員 しばしば今までの長官の言動が実行されませんので、今度の長官には念押しをして聞いているので、大変くどくなりましたが、ひとつそういうことでやっていただきたいと思うのです。  そこで、余り先のことを考えていたのじゃ備蓄意味はない。今の長官答弁だと、三カ年で達成するというと、やはり減反緩和をこれから来年、再来年やっていく中でというふうにとれるのですが、既に五十五万トンというものを来年積む、それから備蓄のために一挙に緩和して三年後にまたそれをもとへ戻すということは困難なことですから、やはりそこのところを緩やかに、しかも手がたく、しかもまたそれが過剰にならないように、これは我々も考えていかなければならない問題だと思う。  そういうふうに考えますと、ことしの作況指数、先ほど自民党の方は九六という考え方も言っておられましたが、仮に作況指数を一〇〇とした場合に、五十五万トンの備蓄は可能ですか。
  101. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 先ほどの九六というのは昨年と同じ作況指数であったらどうなるかという議論でございまして、仮定の議論だったわけですが、一〇〇といたしますと、これは先ほど長官の御答弁にありましたように、第三期対策を考えますときは結局前提がございまして、三年、各年平均四十五万トンで進む、こういう計画ですが、その前提は、転作目標面積六十万ヘクタールを決めました場合に、それぞれの転作については一〇〇%達成である、もちろん過小達成もないかわりに超過達成もないという、一応一〇〇%の達成率と、それから作況指数は大体見込みました平年単収一〇〇、こういう前提でやっております。  この二つの条件が変わりまして、作況指数が上下に変動する、あるいは達成率が、下に行くことはまずないわけで超過達成がある程度起きる、こういうことになりますと、結局米の生産量がその分だけ変動いたします、  お尋ねの、今年度の作況指数が一〇〇であればどうなるか、こういうことになりますと、水田の再編成の方の達成率が一〇〇である限りは、超過達成がない限りは一応第三期対策の初年度目の計画として、平年ベースでございますけれども、四十五万トン程度在庫に回る分がその中から出てくる、こういう想定になるわけでございます。  それが第三期対策のフレームなわけでございまして、もちろんその前に、そこの今年度のお米がとれますまでの間にいろいろな、前提となりました米の消費状況なり需給事情に当初見込まないような変動が別のところから出てくれば、これはもちろん計画どおりの四十五万トン程度在庫積み増しに回る分はまた変動するということになりますが、そのことがない、すべて計画どおりということになりますると、四十五万トン分の在庫積み増しに回る分が出てくる、こういう計算になるわけでございます。
  102. 小川国彦

    ○小川(国)委員 どうも、私が作況だけ言ったら今度減反達成率ですね。これは今まで一〇〇は絶対ないのですよね、神様じゃないので。しかも今水田の減反達成率を一〇三とか一〇五とか言われていますが、この数字も狂うこと自体はっきりしているわけですよ。  じゃ皆さんは、どういう前提だったら四十五万トン積めるというのですか。その前提をひとつ簡潔に言ってくれませんか。
  103. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 前提は、ただいま申し上げましたように作況指数一〇〇、それから超過達成なしで、ちょうど一〇〇%、過不足なく転作目標が達成された、こういう前提の場合に第三期対策計画どおりのことが起きる、こういうことでございます。
  104. 小川国彦

    ○小川(国)委員 神様じゃない限り、農水省、これは難しいと思うのですよ。作況の一〇〇はあり得るかもしれないけれども、達成率の一〇〇があり得ない。そうすると、これも四十五万トンはここで崩れる、こういうことになりますか。
  105. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 作況の方の要因と超過達成の方の要因は、これは非常に微妙な問題もございまして、第三期対策がスタートするときに、従来からもちろん超過達成が望ましいと申しますか、とにかく達成することがよろしいということで指導してまいりましたので、超過達成するなとはなかなかうまく言えないわけですけれども、去年の十一月以来指導しております線は、気持ちとしてはちょうど適正に目標達成するように、こういうような指導を通達上もして、全国でお願いをしておる次第でございまして、こちらの方の要因は、もちろん、去年ですと超過達成率が一〇六になっております。その前の五十七年転作が一〇七になっておりまして、ことしはその辺の要因があるのですが、実は、これは数字上の問題でございますが、超過達成率のかかるいわばもとの数字というのが、転作計画量にかかります。数字で申しますと、現時点では二百六十万ヘクタールにかかりますので、全国ですとその転作計画分の二百万トンないし二百五、六十万トンぐらいのところに一%の増減がありますと、その影響としては一%が大体二、三万トンになるわけでございますから、達成率の変動に伴う分は数字としてはそれほど大きいものではないということになろうかと思います。
  106. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この減反達成率が一%狂うと三万トン。そうすると、五%狂うと十五万トン、こういうことですね。だから、もうここで十五万トン狂います。作況指数一〇〇が仮に前年並みの九六になるとここで四%狂います、四十万トン狂います。そうすると、もう五十万トン狂います、備蓄ができない、こういうことになってしまいますね。これでは三カ年でうたった備蓄というものの裏づけはなくなってしまうのじゃないですか。これはもちろん今までの百五万トンの問題は別にしてですよ。先食いの問題、それからことしの集荷不足、需要の伸び、百五万トンの狂いを別にしてこういうことになってくると、総理が言った群馬発言というのはどうも根拠がないと言わざるを得ないのですがね。
  107. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 総理が発言され、また農林水産大臣が繰り返し答弁されております趣旨は、ことしの転作状況なり作況、五十九年産米状況を見て、需給計画と照らし合わせながら、六十年度産米に係る転作等目標面積について弾力的に対応する必要がある、対応しょう、こういうことを申し上げているような次第でございまして、五十九年産米の方はこういうことでレールが敷かれておりますからこれからの成り行きを見るわけでございますが、その状況需給計画、あるいは在庫積み増し状況、そういうものを絡み合わせた結果が六十年度の転作目標面積の緩和と申しますか、そういう問題になってくるということで、弾力的な対応をする考えであるということを申し上げている次第でございます。
  108. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、来年度で四十五万トンつくるといいますとどのくらいの緩和面積を考えていらっしゃるのですか。四十五万トンつくるのには十万ヘクタールですよね。そうすると、仮に来年の秋に四十五万トンできるというためには、ことしのでは間に合わないけれども、つくるのには来年度で十万ヘクタール緩和する、こういう計算になりますが……。
  109. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 ことしというか五十九年産米で四十五万トンのできない分を六十年度で、また一年間できないとしまして一年後にするとすれば、まさに四十五万トン、十万ヘクタールぐらい、こういうことになるわけでございます。  ただ、これはいずれにしてもまずことしの米のとれぐあい、転作状況というものがまだ全く見通しがはっきりしないわけでございますので、なかなかこの辺は、どうしても数字上の仮定の問題になりますので、繰り返しになりまして恐縮でございますが、ことしの作況、また転作状況、さらに言えば米の需給状況あるいは在庫積み増しの必要性、こういうものを勘案して六十年度の目標面積をまた弾力的に考えていこう、こういうことでございます。
  110. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いや、先の話を聞いてもだめですから、くどいようですが、もう一遍。  来年の十月三十一日、来年の減反緩和でできるのはそれ以後になるわけで、ことしの米のできたぐあいで決まるわけですね。しかも、今までに百五万トンの先食いみたいなものがある。それから、ことしの作況指数が仮に九六ということになったら、そこで四十万トン。減反の達成率が一〇三以下ということはないので、三を超えたら十万トンそこで狂う。どう考えても来年の十月三十一日にはゼロになってしまうのですね。ゼロの可能性が強いのですよ。ここで何か思い切った手を打たなかったら、総理が言った群馬発言の裏づけはないと思うのです。いかがなんでしょうか。総理は、来年の十月三十一日にはできない、しかし、六十一年の十月三十一日で一挙に百万トンに持っていこう、こういうことを言ったのでしょうかね。さっき、農水省の皆さんも意見が十分一致しているということであれば、食糧庁長官も農蚕園芸局長さんの方も、そこのところは総理と打ち合わせではなかったのですか。
  111. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 お尋ねの中の、今ここで打つ手と、こういう問題でございますが、これは五十九年産転作の話ではなくて、六十年産転作の問題について要するに打つ手があるわけでございます。それは具体的に転作目標面積の緩和の問題になるわけですが、それについては従来の例、先生もよく御承知のように、これからの作況等がはっきりしました時点で、具体的には本年秋の時点で米の需給計画等も全体的に勘案しながら決定をしていく、こういうようなことになるわけでございまして、今ここで六十年産目標面積を決めなければならないというよりは、その辺のまだ見定めるべき要因を全部見定めまして、この秋の時点に具体的に目標面積を決める、かようなことになろうかと思います。
  112. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、この秋の米で危なかったら、来年の米でやっても来年の十月三十一日には減反緩和の実施の中で五十五万トンは確保しますと、こういうことですか。それは必ずやる、そういうことに理解していいですか。
  113. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 六十年産米でどのくらい在庫目標の回復ということを考えるか、その必要性の数字については非常に変動要素がございます。特に具体的に四十五万という数字が出てくるかどうか。これはまた食糧庁の方の在庫積み増しあるいは備蓄水準計画的な見通しがはっきりした時点でここの転作目標面積を決める、かようなことになろうと思います。
  114. 小川国彦

    ○小川(国)委員 委員長、私はこの限られた時間で、これは長官初め局長が答弁を繰り返していても、具体的に来年の十月三十一日で四十五万トンプラス十万トン、五十五万トンが達成できるという裏づけがわからないのですよ。出てこないのですよ、皆さんの根拠が。だから、少なくとも中曽根発言の裏づけ、中曽根発言の真意はどういうことだったのか。来年の十月三十一日で第一回の五十五万トンの備蓄はできるという発言だったのか、三カ年で百五十万トンやるということだったのか、それはどっちだったのでしょうかね。
  115. 石川弘

    石川政府委員 来年の十月といいますと、もう五十九年産で対応することでございますから、これで何万トン数字を必ず確保するというのは大変難しゅうございます。総理がおっしゃっておりますのは、計画的に備蓄をするという面で、私どもが、先ほど先生がおっしゃいましたように計画をしましても、例えば転作の実施率が上回ればこれは実行できぬわけでございますから、そういう実行面も含めて三カ年で百五十万トン、第三期の対策の当時に想定をしておりました水準に近づく、そのために努力をするということだと思っております。
  116. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、総理は後の方を言われた、三年で百五十万トンを言われた、こういうことですか。
  117. 石川弘

    石川政府委員 総理は具体的に三年ということをおっしゃっているわけではないと思います。要するに総理のおっしゃっている趣旨は、計画的にある程度備蓄水準を持ってゆとりのある食管操作をしなければいかぬということをおっしゃっているわけでございまして、それは少なくともことしの米で解決できるという御趣旨よりも、時間をかけるけれども確実にそういうゆとりのある操作ができるような水準をという御趣旨だと考えております。
  118. 小川国彦

    ○小川(国)委員 中曽根さんは群馬の知事選で格好いいことを言いましたけれども、どうも裏づけが極めて不十分だと私は思うのですよ。来年の見通しもなければ三年間でやるという確信もなくてああいう群馬発言のようなことをやるというのは非常に不見識だ。  だから、委員長、総理が言われた真意は一体どこにあったのか、総理は来年の十月三十一日での備蓄を言ったのか、三カ年の備蓄を言ったのか、備蓄に対する数字の根拠、三カ年で百五十万トン積み上げる根拠というものをどういうふうに農水省が積み上げておられるか、総理はそれをどのように表現されたのか、この辺をひとつ当委員会に文書で御回答願いたい。それからもう一つ、農水省としては一年目の備蓄、二年目、三年目の備蓄をどのような条件において達成するかということを当委員会にひとつ文書でお示し願いたい、こういうふうに私は思います。
  119. 阿部文男

    阿部委員長 ただいまの小川委員からの発言があった問題については、後刻理事会において検討させていただきます。
  120. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省がせっかくおいでになっていますので、今論議されてまいりました備蓄の問題について、大蔵省としてはどういうふうにこの財政的な裏づけをお考えになっているか。
  121. 寺村信行

    ○寺村説明員 ただいま農林水産省の方から御答弁がございましたけれども、農林水産省とも十分協議しながら今後の対応を考えてまいりたいと思っております。
  122. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この備蓄をしていくためには、何か中曽根さんは食糧安保というようなことを言われているのですが、そうすると従来の食管会計の枠外で備蓄のための財政的な基盤を当然お考えの上で言われているんじゃないかというふうに思うのですが、その辺についてはいかがでございますか。
  123. 寺村信行

    ○寺村説明員 御承知のとおり、財政が非常に厳しい状況にございます。そういった中でぎりぎりの適正な在庫水準は那辺にあるか、その辺は今後とも農水省といろいろ検討しながら対処してまいりたいと考えております。
  124. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省としてはこの備蓄の問題について適正な在庫水準という表現を今されているのですが、当農水委員会ではこの備蓄の体制をつくるということを決議しているわけでございますね。四本の柱の中の非常に重要な問題としてこの備蓄体制を確立するということをうたっているわけなんですが、そういう意味ではぜひ大蔵省にもそのことの持つ重要な意味を御認識願って、そのための財政的な措置について、総理の発言というものが大蔵省によってどう裏づけられるのか、これは非常に重大な関心事なんで、その辺をひとつお考え願いたいと思うのですが、いかがですか。
  125. 寺村信行

    ○寺村説明員 繰り返しになりますけれども、昨年、第三期水田利用再編対策が策定されました段階で、今後の備蓄積み増しを四十五万トンということで一応農林水産省と大蔵省との間で協議が調ったわけでございますけれども、今日の事態を踏まえまして、それから先ほど農林水産省からの御答弁もございますので、その辺のところを今後検討してまいりたいと考えております。
  126. 小川国彦

    ○小川(国)委員 協議が調ったわけなんでしょうけれども、その協議の根拠が非常に綱渡り的なことでなければ備蓄できないという感じなわけですよ。現に生産調整の達成率が一〇〇%なんということは神様じゃなければできないですよ。日本の全農家の水田を見たって、この水田をやるのにここで切れと言ったって、一反歩の真ん中で田んぼを切るわけにはいかないわけです。だから当然神わざでもできないような条件の中で、単年度四十五万トン、ことしの在庫十万トン、五十五万トンはとてもできない。だから、ここで何らかの手を打たないと、総理も真剣に考え始めてくれた備蓄の裏づけというものができないのじゃないか。  四十五万トンの協議が調ったその根拠が、今、主計官もお聞きのように非常に無理な状況の中で行われようとしているわけですよ。百五万トンも先食いしなければならぬ、さらに減反の達成率でも一〇〇%で計算しているという無理がある、それから作況も非常に変動性の問題を抱えていて不安がある、こういう状況の中では、財政的にもよほど思い切ったことを考えないと、備蓄ゼロという国は日本ぐらいだと思うのですよ。ここでやはり国の災害とかいろいろな緊急事態を考えたら、最低百五十万トンというものは、従来の二百万トン、政府の考え方から後退しているけれども、達成しなければならぬと私どもは思うのですよ。     〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕  これは大蔵省の中でひとり農林担当の主計官だけではなくて、省の中でも、日本の国の食糧の安全——石油は今百三十五日ですね。これを百五十日、五カ月に持っていこうというときでしょう。そのときに食糧の備蓄は一カ月もないのですよ。むしろマイナス何カ月という状態ですよ。国全体で言えば今百万トン足りないという状況ですから、これは何とかしなければならぬ問題だと思うのですが、その点大蔵省で前向きに農水省と、さっきおっしゃられた四十五万トンについて、適正な在庫水準でもよろしいです、これを一歩進めて備蓄としてのものにしていく御協議を願えないかと思うのですが、いかがですか。
  127. 寺村信行

    ○寺村説明員 実は昭和四十八年に世界的な食糧不安が論議されたときがございますが、それ以降、当時二百万トン備蓄構想という論議が盛んに言われました。その結果、転作面積を四十九年以降かなり緩和したわけでございますが、その結果たちまち六百五十万トンの過剰在庫が積み上がりまして、そのための過剰米の処理のために二兆円の財政負担がかかっております。その二兆円のうちなお四千五百億円がまだ一般会計からクリアできないわけでございまして、これがなお農林水産関係予算の大きな負担の圧力となっているわけでございます。  こういったような事態は三たび起こしてはならない、非常に財政が厳しい状況でございますのでそういう状況はぜひ避けなければならないと考えておりますが、一方、先ほど来の御論議にもございましたように、最も基礎的な物資でございます米の安定的な供給確保するということは重要な政策課題でございます。そういったことを踏まえまして今後農林水産省と検討してまいりたいと考えております。
  128. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大変前向きなお考えをいただいてありがたいと思っておりますが、確かに私ども備蓄が過剰にならないように絶えず考えていかなければならないと思うのです。ですから、そういう点では我々は、備蓄の限度というものが、百五十万なら百五十万達成された、それ以上またさらにつくっていくということは、また今言った過剰の問題をもう一遍繰り返すわけなんで、例えば十万ヘクタールを三年間備蓄用としてやれば、四十五万トンずつ三年間積み重ねられるわけですね。それをさっき言ったように二十万ヘクタールを一気にやろうということになると、今せっかくある程度定着してきた転作をまたもとに戻して、三年たったらまた転作をやれというのは無理な話でありますから、そこのところは三カ年の中で、適切な減反緩和の中でいくということをお考えいただきたいと思うので、これは今の大蔵省の方の御答弁に基づいてそういうところを——我々も決して過剰を求めて言っているのではない。これはある意味で農水省の責任がこういう過剰を生んだんだとも私は思っておるわけなんで、そういう意味では備蓄と過剰の間の限界というのはどこなんだということをぴしっと定めて、そこで備蓄を行っていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。  それから次に、食管制度の中で、今の食管制度というものは、先ほど申し上げましたように生産者米価を保障するということも一つの仕事でありますが、やはり消費者に安定した米を提供していくということは大事な仕事だというふうに私は思っているわけなのです。  そういう意味で、食糧庁が標準価格米については十キロ当たり三千六百二十八円という小売指導価格の基準をつくっているのですが、いわゆる上米、中米と言われる自主流通米あるいは政府米については指導価格というものがない。そういうことのために、今米の値段というのは天井知らずのような状況になっている。こういうことから、やはり食糧庁において都道府県との協議をして、精米の指導価格といいますか、そういうものを設定して、消費者供給される米価というものを安定していく必要があるのじゃないか、こういうように思うのですが、この点はいかがですか。
  129. 石川弘

    石川政府委員 小売価格の問題につきましては、先生御承知のように、かつては物価統制令がかかっていたわけでございますが、これを撤廃しまして、その後一時期、たしか狂乱物価で一斉に上がってまいりましたときに一種の指導価格的なもので指導したことがあるわけでございます。これは公取等との関係もございますけれども、一般に言いますと、いわば自由な競争の中で適切に決めた方がいいのではないか、行政指導の価格というのは往々にして硬直的になるというような御批判もありまして、現状では標準価格米につきましてそういうことをやっておりますが、その他の米につきましては、逆に競争を刺激しますために小売店の店舗数をある程度ふやすとかそういうことをしながら、一種の自由な価格価格の定着をねらっているわけでございます。  しかし、ただほうり出しているわけではございませんで、御承知のように政府の売り渡し価格等を変えました際には、そういうものが末端にどのように浸透しているか、それが適正な形になっているかどうかといったようなことは国とかあるいは都道府県を通じましてやっておりますが、幾らにしろというような指導につきましては、先ほどの趣旨からいいまして、標準価格米は別にいたしまして、その他のものにつきましては自主的な形でやらせておって、そういうものの内容とか品質とかということにつきましては、御承知のように食糧庁の職員なり都道府県の職員の方にいろいろとチェックをしていただいているというのが現状でございます。
  130. 小川国彦

    ○小川(国)委員 チェックをなさっているということなんですが、現実に私、昨日、一昨日と大阪に参りまして、いろいろ米の流通事情の調査をしました。それから先般も、東京、神奈川、千葉の卸から小売、消費者の間を回って米の実態を調べてみました。  これは大阪の例ですが、新潟コシの卸の仕入れ価格が二万三千三百四十八円、小売価格が三万四千八十円、利潤が一万七百三十二円、利潤率が三一・五。石川のコシヒカリが二万二千四百五十四円、これが三万三千円で売られていまして、利潤が一万五百四十六円で三二%の利潤率。福井のコシヒカリが二万二千四百四十円のものが三万三千円で売られていまして、利潤は一万五百六十円、三二%の利潤率。新潟の越路早生が二万一千六百二十二円、これに対して小売価格は三万一千九百二十円で、利潤は一万二百九十八円、三二%の利潤率。これは皆自主流通米でありますけれども、大体二万二、三千円の米が三万三、四千円で売られているわけですね。利潤は皆一万円で、三〇%を超えている利潤率ですね、卸、小売の利潤率が。これは非常に大き過ぎるのじゃないかというふうに思うのです。  それからさらに政府米。一般に大衆の志向しているのはもっと価格の安いお米なんですね。着物に例えれば、コシヒカリのような晴れ着をしょっちゅう着るわけにはいかない。主婦は地道に、ふだんはふだん着ていっているわけです。ふだん着というと、やはり政府米が半分以上入ったお米が志向されているわけです。  大阪でママゴールド、ハイコールドというのを見たのですが、これがマル自で、卸の仕入れ価格が二万二千五百円のものが小売価格になると三万一千九百二十円、利潤は九千四百二十円で二九・五%の利潤率。その場合のマル政が、一類、二類入っているのですが、一類は一万八千六百円の仕入れが三万一千九百二十円の小売価格計算されて、利潤は一万三千三百二十円で、四一・七%の利潤率。二類も同様。ハイコールドも、二万二千三百八十円の仕入れの米が三万八百四十四円で、八千四百六十四円の利益、二七・五%の利潤率。それからマル政が五〇%以上入っているのですが、これが一万八千八百九十六円のお米が小売では三万八百四十円で、一万一千九百四十四円の利潤、三八・七%という利潤率なんですよ。  これでざっと見ますと、自主流通で三割、政府米で言うと四割近い利益を卸、小売の流通機構で上げているわけですね。これは一方で政府が、良質米ということで、AIであれば千八百五十円の補助金を出しているお米ですよ。大ざっぱに言えば一万八千円の米価に二千円乗せて二万円。出荷団体が大体二万二千円ぐらいで出しているのが三万二、三千円になっている。あるいは三万五千円になっている。あるいはまたコシヒカリといいながら——コシヒカリというのはコシヒカリが五〇%以上入っていればコシヒカリだ、あと四割は政府米が入っているということにしたら、三万五千円が七万円のお米になっていると思うのですよ。  これは少なくとも消費者に対して安定した、おいしい米を提供するという政府のあり方からいえば、まさに今消費者米価は天井知らずになってしまっている。ここにきちんとした指導価格を考える、上米、中米、並み米と三段階くらいの、消費者にわかりいい米を供給していくという考え方を政府はこの際持つべきではないのか、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  131. 石川弘

    石川政府委員 今御指摘数字、私どもが通常得ております数字よりも少し高いような気がいたしておりますので、今大阪とおっしゃいましたが、そういうところにつきましても数字を調べさせていただきまして、どういう水準のものになっているか、私どもももう一度調査をさせていただきたいと思います。普通私どもが頭に置いておりましたのは、小売の段階で二〇%前後のマージンは取っているのは間違いないと思っております。これは他の食品の小売よりも若干低い水準というのが私たちの頭にあったのでございますが、先生の今御指摘の中ではかなり高いものもあるように思われますので、そういう実態等についても調べてみたいと思っております。  それから、もう一つ御指摘の、上下幅でもつくって指導価格に入れたらどうかというお話でございますが、先ほど申しましたように、小売価格に上下限つけますような手法につきましては、自由な販売、自由な競争の中で価格を安定させていくべきだという公正取引委員会等の基本的な考え方がございまして、標準価格米のようなものは特例として認めているわけでございますが、一般的に価格水準をつくりますことは硬直的になりやすいというのが公取等のお考えのように思っております。私どもとしますれば、競争という問題で非常に欠けるところがございますと、今御指摘のようなことが起こるかと思いますが、米の販売につきましてはいろいろな系統がございます。御承知のように商系もありますし農協系もありますし、あるいは生協等にも販売をさせているわけでございまして、そういう競争の中で合理的な水準に落ちつくようにということを考えております。私どもとしても、何か流通段階だけが特別利潤が高いということでは、生産、流通、消費全部考えました場合、バランスを失すると思いますので、そういう面も考えながら指導していくつもりでございます。
  132. 小川国彦

    ○小川(国)委員 端的に長官に伺いますが、東京、神奈川、大阪を含めてですが、一番いいコシヒカリのお米は十キロどのぐらいしていらっしゃるとお思いになりますか。
  133. 石川弘

    石川政府委員 最近聞きまして、私が前やっておりましたときは四千八百円ぐらいの水準でございましたが、五千円の水準を超えておるようでございますので、かなり高くなっていると考えております。
  134. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣はお幾らぐらいというふうにお思いになりますか。
  135. 山村新治郎

    山村国務大臣 五千数百円というところでございます。
  136. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣の方がやはり下情によく通じていらっしゃいまして五千数百円で、私ども歩いて回ったところで東京、大阪も大体五千五百円というのがコシヒカリの十キロ当たりの値段なんです。そうするとそこで三万三千円。  それからもう一つお聞きしたいのですが、私今申し上げたように、食糧庁の通達ではコシヒカリというのは一〇〇%コシヒカリなんですか、あるいは五〇%以上入っていればコシヒカリということでよろしいのですか。
  137. 石川弘

    石川政府委員 表示の仕方で、コシヒカリが五〇%ありますれば、コシヒカリが五〇%、その他のものが五〇%入っていることを表示させているわけでございます。それから単品もございます。これは、例えば新潟、コシヒカリ、五十八年産というような、いわば任意の表示ですが、三点セットと称するものを書かせまして、中は専ら単品のものもございます。
  138. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、コシヒカリという場合には一〇〇%コシヒカリが入ってなければいけないので、ほかのものを入れた場合には、ほかのものが何%入っている、これをきちっと表示させるということですか。
  139. 石川弘

    石川政府委員 御指摘のとおりでございます。
  140. 小川国彦

    ○小川(国)委員 どうもそれは行われていないようですね。いずれにしても長官が四千八百円の認識では困ると思うのですよ。やはりこういう五千五百円というのは一番低い方の価格なんで、私は、五千五百というのは表に出たものだけれども、問題は、コシヒカリという中身が一〇〇%コシヒカリではないと思っているのですよ、五千五百円のものも。だから、そういう点では五千五百円というのは最高値のようであるけれども、あるいはこれは最低値かもしれないのですよ。  こちらにコシヒカリの生産地出身の先生がおりますので、これはまた後ほど伺っていただきたいと思いますが、いずれにしても私は、自主流通米、政府米含めて、今の長官答弁のように自由な競争の中で行われるということは、一般の商品であればそれもいいと思いますよ。しかし、少なくも米については、二重価格制度をとって、政府が生産者から高く買って消費者に安く売っているわけでしょう。ところが安く売ったお米が消費者に安く行ってない。大阪へ行ってびっくりしたのですが、標準米というのがないのですが、これは長官、御存じですか。
  141. 石川弘

    石川政府委員 先にちょっとさっきのことを訂正させていただきます。私、四千八百円と言いましたのは、三年前におりましたときに四千八百円の水準であったのが、最近五千円を超えているのでびっくりしたと申し上げたので、五千円を超えていることは知っているわけでございます。  それから、今の標準価格米の常置の問題でございますが、これは原料としまして標準価格米が常置できる数量を提供しているわけでございます。実は調査をいたしました結果、たしか二%か三%の店に常置がされてないという調査結果がございまして、これではまずいということで指導しているというのが現在の事情でございます。
  142. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いや、それは二%か三%だからまずいというのじゃなくて、現実には全部ブレンド米になっちゃっているのですよ。ブレンド米になって高く売られているという実態なんですが、食糧庁では、このブレンド米というものについて、全国的にどういうブレンド米がつくられて、何種類ぐらいあって、その価格はどうなっているか、その成分はどうなっているか、これは把握していらっしゃいますか。
  143. 石川弘

    石川政府委員 ブレンドの問題につきましては、県の単位で、大体どういうものとどういうものを使ってどういう構成の水準価格にするかというのを県で行っております協議会がございまして、その協議会の場で相談をしながらつくらしているわけでございます。数字等につきましては、私、今手元に持っておりませんが、各県においてどういうような構成をしているかはわかるようになっております。
  144. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは食糧庁では統計は全部集めていらっしゃいませんか。
  145. 石川弘

    石川政府委員 上米、中米というような区分での数字は、調査課で調査をしてとっております。それから今申し上げましたブレンドがどういうようなものとどういうものでやっているというのは、そういう表示の仕方で違いのあるものは、何県でどういうものを原材料にしてどういう表示をしているかということを別途調査をしてとっております。
  146. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それは食糧庁で各都道府県ごとに調査したものを一括してまとめて持っていらっしゃいますか。
  147. 石川弘

    石川政府委員 持っておるようでございます。
  148. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それは全国の都道府県の協議会でブレンドの協議をしたというブレンド米の名前と、価格は幾らで、そして自主流通米何%、政府米何%、そういう構成のものがございますか。
  149. 石川弘

    石川政府委員 どういう類のものを何%入れてどういう構成になっているかということがわかりますような、そういう品質区分の設定の態様ごとにとっているわけでございますが、価格については全国的な集計はいたしておりません。
  150. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それは皆さんの方はこういう書き込む欄をつくってあるだけで、その中身は入ってない、こういうことでしょう。
  151. 石川弘

    石川政府委員 価格のところは欄もないわけでございまして、実は表示の仕方でどんなお米は何%入っているかというような形での、そういういわば品質区分を書かせているわけでございます。
  152. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ブレンド米というのが一番のくせ者で、これがあるがゆえに米の消費の実態というものが不明になっている。大阪では、本来なら標準価格米で売られるべきお米が全部自流米と一緒になってブレンド米になってしまっている。ですから、このブレンド米の実態というものを食糧庁がきちっと把握されませんと、米の流通の形態の混乱は正されない。  それからもう一つは、私は大阪で一番大きな第一食糧という卸会社も行って見てまいりました。ここの事業報告書も見てみました。ここを見ましても、ここは日本一の卸業者で、年間千二百五十億の売り上げをして、五十八年度六百四十九万七千俵というのですから、大阪の市場の七割を押さえているのですよ。ところが、この会社の税引き後利益を見ますと、五十五年の五億七千万が五十六年に六億一千万、五十七年に六億六千万、五十八年は十一億一千五百万と、非常な利益が上がってきて、しかも粗利益で見ましても、五十五年で五・九六%の粗利が今六・九六%と一%も粗利益率が上がっているのですね。しかもここの累積利益が二十四億九千万というので、大変な上がりをしている。  これは私、今申し上げた一つの象徴として大阪の第一食糧を見たわけでありますが、結局今食糧庁が行っている価格の天井というものの指導価格を設定していない。今長官は、都道府県の米穀流通適正化協議会でやっているということなんですが、やっていますのは、大阪が五十四、五年ごろ二年間やったのです。ところが、ほかの府県がどこもやらないので、ここもやめてしまった。残念ながら、今全国の都道府県で、食糧事務所と協議して、この適正化協議会でブレンド米の内容とか自主流通米、政府米を含めて幾らで上限を行うべきかということを協議して、それを定めているところはないのですよ。  これはきょう私時間がなくて、食糧庁がいかにしてそういうことになってきたかということは触れられませんが、食糧庁としては今生産者米価を決めるに当たって、今の消費者米価、実際に売られている消費者米価からいうならば、生産者に二万二千円払っても高くないと思える状況なんですよ。生産者米価をそう上げられないなら、今の天井知らずの流通機構にメスを入れて、消費者に安定した、安い、おいしい米を提供できるというためには、この上限を、きちっと指導価格を設けていくという考え方を持たないと、食糧行政が非常に混乱したものになっていると私は思うのですが、最後に大臣、いかがでしょうか、こういう点をひとつこれから思い切って改革して、販売価格にも指導価格を設けていく、そして、ブレンド米によってごまかされるのではなくて、少なくも上米、中米、並み米という三段階ぐらいのきちっとした段階別の指導価格をつくって、米の販売価格を安定させるべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  153. 山村新治郎

    山村国務大臣 上限は、つくりますと高値安定というようなことにもなってしまいますのでいろいろ問題があろうと思いますが、いずれにいたしましても、できるだけ安く消費者の皆さんに提供するようにひとつ勉強してまいりたいと思います。
  154. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間が来てしまって大変申しわけないのですが、大事な問題なんであと二、三分いただいて申し上げたいと思うのです。  高値安定という理由のために食糧庁は、昭和四十五年十二月にその検討が始まって、四十七年四月に物価統制令を廃止してしまった。それからさらに中野和仁今の米審会長が事務次官のときに、昭和四十九年一月に食糧庁が、上米、中米というものを、都道府県の実情に合った小売価格の指導価格の設定を決めて、そして標準価格米の指導価格と同時に上米、中米の小売価格引き上げ幅の上限を各都道府県に指示したんです。ところがその後中野和仁事務次官、大河原太一郎長官のときに通達で、引き上げ幅上限の指示の必要を認められる場合は従来の方法で指導を行うことも差し支えないというようなことで、ここで上限の設定を取り外してしまったんですね。高値安定というのは今まで何十年間の歴史の中で一年しかないんです。あとは、指導価格をすれば抑制できたはずなんです。それを野放しにしてきたのが今日の消費者価格の非常な高値を生んでしまっているので、この点食糧庁は、大臣もそうなんですが、これが高値安定になることは絶対ないんです。三〇%も四〇%も売り渡し価格よりも高く売られているという状況は異常に過ぎるのではないか、ここを正す考えをやはり食糧庁大臣も私は持っていただきたいと思うのですが、もう一つその点を伺いたい。
  155. 石川弘

    石川政府委員 あの通達を廃止しましたいきさつは、御承知のように、狂乱物価が終わった段階で各そういう指導価格的なものを外していくというプロセスで外されたものと思っております。  それから、先生御指摘のように、私どもも米につきましてはいろいろな系統からいろいろな米を流せるシステムにしておりますので、余りそういう独占的な小売利潤を獲得しようとすれば、当然それは競争に負けるという条件があろうと思います。そういう条件もつくりながら適正な水準というもの、ただ私どうも行政で上限をつくるというのは、今の小売に対する特に公取のいろいろな姿勢等から見ましてなかなか容易ではないと思いますけれども、私どもも、適正な利潤でやっていただくことは望ましいことでございますので、そういう方向では努力をしてみたいと思います。
  156. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間がちょっと過ぎてしまいましたので、これで終わらしていただきたいと思います。
  157. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時五十七分開議
  158. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。
  159. 武田一夫

    ○武田委員 二十四、二十五日に米価審議会が開かれまして、その前に事前米審が行われるという、いよいよ本年度の生産者米価の決定の時期であります。今回の韓国米輸入の騒動あるいは米需給の不足の問題等、生産者農家も大変心配しているだけでなく、消費者自体も、どうなっているんだという非常な心配をしている、そういうさなかでの米価の決定でございますが、それに当たりまして私は、大臣中心として、食糧庁長官も新しく今度就任されましたし、お尋ねをしたいことがございますので、一時間三十分の時間でいろいろと質問させていただきます。  まず最初に、例年ですと食糧庁のあるいは農林水産省の人事というのは、いつも米審が終わって米価決定の後、その辺に行われていた。ことしは非常に早くおやりになったということ、これは何かわけがあるのか。  それからもう一つ、私たちは当初米価審議会というのは十一日から十三日の間に行われるのじゃないか。生産者団体もそういう予定を組んでいたようでありますが、これもかなりおくれた。何かそこには特別なお考えがあったのかどうか、この点ひとつお聞かせ願いたい、こう思います。
  160. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の人事でございますが、実はここの三年間局長クラスの大きな人事異動を行っておりませんでした。農林水産省におきます幹部人事は停滞の観があり、牛肉、かんきつに関する日米の農産物問題、これは去る四月に私訪米いたしまして一区切りを見たところでございます。この春の段階におきまして人事の刷新を考えましたが、法案審議、さらには五十三年産米に関する論議等が行われ、今回まで人事の決定を延ばさざるを得ませんでした。  そこで、来年度以降の農政の骨格を決定づけます昭和六十年度予算要求の取りまとめを行うべき時期が迫っております。また米価決定も例年よりおくれることもありまして、米価決定後までに人事を延ばすことは、来年度予算要求に向けての政策取りまとめ上支障を来すおそれが強いと考えたのであります。そこで、国会開会中でもあり、さらには二法案の審議途中ということで皆様に多大の御迷惑をおかけした面もありましたが、予算編成等の事情も考えまして、現下の農政の新しい諸問題に対処する人事を七月六日という時点を選んで決定したところでありまして、それ以外の特別の意味はございません。  実はそのほかにもしあるとしますと、省内の人心一新、若返りというようなこともあろうと思います。霞が関内におきまして、他の省庁から農林水産省にはホンコンフラワーという花が咲いているというようなことも言われました。これは、普通ですと一年で人事そのほかあるところを三年もやって動かないでいる。また農林水産省内におきましては、各部課におきましてわからない問題があると局長のところへ行って聞いてこい、局長三年もやっているから局長の方が詳い、これはやゆでございましょうけれども、そういうこともございましたので、この際人心一新、若返りということでやったわけでございます。  なお、今回の大事におきまして、特に行政の連続性の面も十分配慮して適切な人事配置を行ったと思っております。
  161. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、米価審議会の予定がずれたというよりも、当初からそうだったというふうには思わないのですが、その点はどうなんですか。
  162. 石川弘

    石川政府委員 過去におきましても八月とか七月の末日にやったこともございまして、先生御指摘のようにここ数年十日前後ということがあったわけでございますが、御承知のような米をめぐりますいろいろな難しい事情もございまして、米価審議会の会長さんとも十分御相談いたしまして、今回初めてでございますが事前米審を二日開くということも考え、諸先生方の日程等もお聞きをいたしまして十九、二十日の事前米審、二十四、二十五日の本米審ということを決めたわけでございます。
  163. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろ事情はわかりました。ただ、いろいろなところに行きますと、一つは、ことしの米価に対する布陣を相当ガードをかたくしているのではないか。長官は相当ベテランですね。管理部長さんをやられ、次長さんをやられまして、その間低米価で随分御苦労なさった経験の持ち主でございますから、山村大臣を安心させるための相当しっかりした防備体制ではないか。また、行財政改革小委員会の報告が十六日に出てきて、そして二十五日ですか、今度は臨時行政改革推進審議会の意見書が出される。ここで財界の皆さん方のいわゆる年来の主張である米価抑制等々の強力なバックアップが出てくる。こうなれば米価に対する抑え込みにはもってこい、非常に強い味方が出てくる。そういう一つのスケジュールの中でこういうふうな人事と、委員会、審議会の後におくらせたのではないかという考えを農家の方々に言われるわけです。私はそこまで勘ぐって言うのはいけないよと言うのでありますが、いかんともしようがない。これまでの経過を見ますと、いずれにしましても米価を据え置き、据え置きということで来ているわけですが、そういうことはないですね、大臣
  164. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の生産者米価につきましても、やはり従来どおりの、物価そのほかの経済事情等を勘案しまして、再生産確保することを旨といたしまして米価審議会に諮問いたしまして、そしてその意見を聞いた上で適正な価格を決定してまいりたいと思っております。
  165. 武田一夫

    ○武田委員 きのう小委員会の報告があった。農政に関する内容としてどういうものがその報告の中に盛り込まれていますか。
  166. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 きのう発表になりました報告の中では、まず一つは当面の米価について、生産者米価については抑制的に定めること、それから自主流通助成等食糧管理費については縮減合理化を図ることというのが第一点でございます。  それからその他につきましては、公共事業につきましては引き続き抑制する。それから集会施設等の上物につきましては、引き続きこれも同じように新規着工等について抑制するというのが出ております。  それから三番目に、機械、施設に対する補助でございますとかあるいは米価以外の価格政策に対する助成、こういうものにつきましても、従来臨調の基本答申にありました線に従って縮減合理化を図ることということがきのうの報告の内容になっております。
  167. 武田一夫

    ○武田委員 大臣、今報告のあらあらの内容を聞きました。そういうような報告書が出ているわけですね。二十五日にも恐らくこれと似たような厳しい内容のもので出てきて、大変御心配状況が出てくると思うのですが、せんだっての当委員会で私が質問したときに、米価の決定は私がやるのです、こう言いましたよね。私はしかと耳の中にこびりついております。そういう話を聞いたわけでありますが、この行革審の報告やそういうこととかかわりなく、これから米価審議会もある、諮問をするわけですね。それによっていろいろと状況を判断して最終的には大臣が責任を持って米価を決めるわけですね。これは間違いないわけですね。財界が何とかかんとか、こういうことを言ったとしても、そんなのには翻弄されるわけじゃないと私は確信しています。その点は間違いないですね。
  168. 山村新治郎

    山村国務大臣 行革審小委員会の方でかなり厳しいものが出てまいりました。しかし、私といたしましては、今事務当局におきまして生産費、物価、それから賃金そのほかの経済状況につきまして、資料に基づきまして鋭意検討をさせておる最中でございます。これを踏まえまして、食管法の規定に従いました再生産確保を旨として、米価審議会の意見を聞きまして適正に決定してまいりたいというぐあいに考えます。
  169. 武田一夫

    ○武田委員 そこで長官、新しく長官となったわけでございますが、昔の古巣に帰ってきたわけですから仕事も非常にやりやすいし、相当意欲満々で、新しい体制の中で注目をされているわけです。  長官は前は畜産問題で随分御苦労なさったし、畜産の方も牛肉等の拡大があって余り歓迎はされなかったわけですね。石川長官も不幸な星の下に生まれてきたと言うと申しわけないのですが、もしここで米価に一つの取りこぼしがあるとまた大変だと、私はいたく同情しながら、しかしながらベテランでございますから、状況をよく踏まえて、米価に対する農家の皆さん方の気持ちもよく知っている長官だと思うだけに、長官にいろいろとお尋ねをしたい。  まず一つは、米価について率直に、個人的な見解としまして——ずっとこれまでやってきましたね、そういう中で米価のあり方は果たしてこれでいいものか。それからやはり米穀政策というものをこの辺でいろいろと考えるときに来ているのではないかという問題。それからもう一つは、非常に私は関心を持っているのですが、食管制度というものをどういうふうにこれから考えていかれるか、運用の面でどうしていくかという、この三つを、ひとつ実務者としまして、最高責任者として、お考えをまずじっくりとお聞かせ願いたい。それでその話を大臣もよく聞いていただいて、あわせて大臣にも時々ちょっとまた御質問いたしますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  170. 石川弘

    石川政府委員 御指摘のように、前に在任いたしましたときにちょうど食管制度見直しの時期でございまして、食管法の改正を当委員会にお願いしたわけでございます。あのときの改革といいますか、制度改正の中では、どちらかといいますと、かなり統制的法規でございました食管法の中に、やはり自主流通というものをきちっと位置づけることによりまして、まあ当時の言葉で言っておりましたのは過不足両様に備えた安定供給体制をつくる、それから品質とかそういうものに応じた弾力的運用ができるようにというつもりでああいう制度改正をいたしたわけでございます。  過不足両様に備える、当時過剰という感じが強うございましたけれども、やはり米の問題には、状況に応じてそういう変化があるという前提でいろいろ制度を直したわけでございますが、現時点になってみますと、食管の一番大事なのは、そういう安定供給生産者にとって安定的に供給できる場があると同時に、消費者にとっても安定的に供給できるということが一番大事ではなかろうかと思っております。  したがいまして、今回、こういう時点で私、着任したわけでございますが、やはりそういう食管制度の持ちます一番大事なところをこれから確実に実行ができるようにということを心がけてまいりたいと思っております。  個人的にというお話でございますが、私は、やはり食管法のそういう精神がどうやって生かされるかという点になりますと、価格面の問題にしろ、あるいは量のコントロールの問題にしろ、やはりそのときどきの需給その他の経済事情というものを考えまして、制度としての継続性、安定性ということが大事ではなかろうかと思います。  そういう意味で、価格については確かに生産者方々からは抑制的な米価だというお話もあるわけでございますが、やはり何と申しましても、一定の価格と量のバランスをとっていく、そういう面からは、比較的需給の面で、御承知のように全く放置しての需給じゃございませんで、片側にかなりの水田利用再編というものを行いながらの需給でございますので、基本におきましてはそういうことも頭に置いた価格政策の運用が必要ではなかろうか。それから量の問題につきましては、計画という面からは積み増し等も考えておったわけでございますが、実行面でまいりますとなかなか積み増ししてくることができなかったということもございますので、そういうことは、現在の需給状況を頭に置きまして、改めるべきものは改めなければいけないという気持ちでございます。  いずれにしましても、過去におりましたけれども、現在の事情につきましてはさらによく勉強をし、精査をする必要があると思いますので、大至急、現状につきましてさらによく勉強を重ねまして、方向を定めるのに誤りのないようにしていきたいと思っております。
  171. 武田一夫

    ○武田委員 食管制度の根幹、よく言われますけれども生産者消費者と二つの方々に、生産者にとっては再生産が十分可能な価格でお米を買い上げてあげる、消費者には家計の安定の面から、経済的なそういう面を考慮して適切な価格で差し上げる、そういうことで、そこに一つの生産者米価消費者米価の間の逆ざやと言われる二重米価の性格というものをこれまでずっと保ってきながら、そういうバランスをとってきた。  しかし、そこのところが随分責められまして、最近も責められて、もう逆ざやなどとんでもないから、そんな赤字は早く解消するようにということで、特に最近は責められているわけですな。責められて責められて、それに耐え切れずして抑えてきた。少し上げると、今度は、上がった分というのは消費者に必ずかぶせて、去年は一・七五%上げたら、もう直ちに、消費者米価には連動しないとさきの金子大臣が約束をしていながら、がらっと変わっちゃって、三・八%もまるまるアップしちゃって消費者に上乗せしてしまう。こういう、でたらめもいい、約束がくるくる変わるようなことであっては、どうしようもない。こういうことはきちっとけじめをつけなければいけない。やはり大事なことは、約束したことは守る。そうでしょう。ここで話されたことが、ちょっと時間がたつとそれが変わっちゃうのでは、これは食糧庁に対する、そしてひいては農政全般に対する不信というのはますます大きくなってしまう。私は、この点は大いに反省をして、その点に対するきちっとしたけじめある一つの行き方をとってほしいと思うのです。  そこで大臣、二重米価、いわゆる逆ざや、これは縮めていけという財界の——まあこれは縮めてきた。これはこのままいってもいいものですかね、どうですか。
  172. 石川弘

    石川政府委員 御承知のように、逆ざやにつきましては、末端逆ざやから始まりまして、最近逆ざやと言われているものは売買逆ざやでございます。さらに、その上にコスト逆ざやとかいろいろあるわけでございますが、逆ざやがあること自身は、実は食管の本質とは必ずしも考えられませんので、ただ末端逆ざや等は、御承知のように逆に流通が非常に乱れるということからだんだん是正をしてまいりまして、今逆ざや解消と言われているものの中心は売買逆ざやであろうかと思います。これは、コストの面まで含めました逆ざやということになりますといろいろ論議のあるところでございますので、私どもは、当面、売買逆ざやをなるべく解消できるようにということを目途に行動しているわけでございます。  これにつきましては、やはり米の管理に要する経費の中でかなり大きな部分でございましたけれども消費者の御協力等も得ながらかなりの低い水準まで下げてきておりますので、こういうような形をもう少し推し進めていくということは、効率的な農政という観点からも必要ではなかろうかと思っております。
  173. 武田一夫

    ○武田委員 食管会計の実態を見ていますと、五十二年から五十八年の実態をいただいても、非常な努力の中でその赤字がずんずん減っているわけですね。そしてまた、人員整理等もかなり努力なさって、そういう面の御苦労があるのはよくわかります。ただ、どうしても食糧の安定供給生産者消費者を守るという両方の立場から、食管制度というものをしかと運営していくことを考えれば、余り食管会計の赤字云々ということを責めるべきものではないと私は思うわけです。それをまた安易に受けて、それを無理してやって、それで農家だけでなく消費者にも苦労をかけるようなものでもないと私は思うんですね、  きょうは大蔵省も来ているので、大蔵省の方にもひとつ御見解を聞こうと思うのですが、私は、例えばことしの五十九年度の見通しとして、三勘定の赤字が五千六百五十億というふうに見ておりますね。これなどは、正直言って、人口一億として一人五千円の負担ですね、税金の。ですから、四人家族で大体二万円という負担、これが一兆円ということになったとしても、大体一人一万円。となると、四人家族で四万円です。食糧を安心して提供してもらえれば、あるいはまた安全なものを安心して提供してもらえれば、我々消費者としても少々高いお米であっても文句を言わずに受けますよという空気は最近強いですね。大体、アンケートなんか見ましても、七割くらいの方はそういうふうに農業というものに、食糧に対する考え方も随分最近変わってきています。  そういうような一般的な社会情勢というものもよく見きわめたときに、財界、臨調等から言われるような食管会計に対するいろんな批判とかそういう御意見に余りにも耳を傾け過ぎることは、私は食糧庁だけでなく、日本米穀政策の上においても大変困る問題になってくるのではないか、こういうふうに思うのです。ですから、私は農林大臣食糧庁長官もこの程度のものは、先ほども申し上げましたように、食糧というものは、総理も最近ちょっとようやくわかってきたようでしたね、当委員会にも呼ばれたものですから。随分大臣も一生懸命頑張って総理を教育しているんでしょう。ですから、前橋に行って記者会見でも反省をしていることがわかりまして、これはいいことだな、その中でも食糧というのは国家の総合安全保障の中で大事な部門である、そういう一面の理解を初めてしたような気がするわけでありまして、それで、言うなれば防衛やエネルギーや、そしてそれ以上にこの食糧というものの持つ重みというのを私は少し理解しかけてきたと思うのです。  この際、もっとその重要性をさらに理解をさせる、これは閣内にあっても大臣の責任です。そして、そういう世論の統一をしまして、この食管というものの正当なる予算づけの中において、来年度予算の中においてもこれはしかと当然のお金として一銭なりとも削るわけにはいかぬし、このままいくのが日本の食糧を守る上で大事なことだというようなことを胸を張って言ってほしいと私は思うのです。どうでしょうか、大臣
  174. 山村新治郎

    山村国務大臣 食糧を国民に安定的に供給するというのは農林水産省の一番の大きな役目でもございますし、特に米につきましては、主食たる米は少なくとも全量国内産をもってこれに充てるというような基本姿勢でまいります。総理におきましても、確かにせんだって来の当委員会、そしてまた参議院の農水委員会での御答弁でも、本当に前向きに御答弁をいただいておりますが、総理の基本姿勢、これは当農林水産省の基本姿勢と何ら変わるものではないと思っております。今後も、今までのいわゆるゆとりのある状況と言えない、これをもっとゆとりのあるものにするという形をつくっていかなければなりませんし、本年度の需給動向、そして作況等、これらを見ながらこの第三期対策、これらも弾力的に運用したいというぐあいに考えております。
  175. 武田一夫

    ○武田委員 大蔵省の方、おいでですね。シーリングで大変御苦労でございます。ただ、このシーリングのあり方、いろいろと言われているのですが、公共事業の問題で最近いろいろと、これでは景気の回復の上において非常に不都合なことがある、あるいはまた福祉とか教育とか、そういう弱いところに締めつけがいっている、地方財政等へ、いわゆる地方へ今度また締めつけがいっている、補助金を切れ、交付金を切れとかという中で、農業も文字どおりその中でいじめられている一つです。シーリングで予算の枠が決められますと、いずれにしても必ず食管のところにくるわけです。  しかしながら私は、さっきお話し申し上げたような観点から、やはり大蔵省大蔵省の独自の判断で決めるんでしょうが、どうも私は大蔵省の決め方というのは財界の言われる臨調路線の言い分を率直に素直に受けとめがちであろう。やはり日本の食糧というものの置かれている、農業の置かれている、そういう大事な観点というのは、果たして竹下大蔵大臣以下皆さん方実務者の方々理解をされているのかというと、私も非常に不安な気持ちになります。  正直言って私たちは、大蔵大臣に今度の米価の問題につきましていろいろと御注文これあり、お伺いしたいと言ったら、随分逃げられまして、いまだにその機会に恵まれておりません。今週のうちに一度お会いしてじっくりとお話をしようと思っているのでありますが、ひとつ食管会計の中身を見まして、例えば人件費や事務費などというのは、これは一般会計で飯を食っている方々が随分いるわけですから、こういうものを取り外していって、それが食管会計がずうたいを大きくしている一つにもなっているわけですから、そういうのを別に食管会計の中でなくて、要するに一般の国家公務員並みの手当てをする、こういうようなことを考えて、これは食糧庁もそうですが、そういうふうな方向で、何だか知らないけれども、そういうものをまぜると全体的にずうたいが大きいものになってくるというようなことなどを改善する、そういう余地はないものか。また私はすべきだと思う。  それからまた、その食管に手をかけることによって必ず犠牲になるのは、さっき言ったように消費者でもございますから、こういうことを考えると、やはりその中身をよく知って対応してもらいたいな、こういうふうに思うのですが、どんなものでしょうか。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  176. 寺村信行

    ○寺村説明員 十分御承知のことと存じますけれども、財政は今大変厳しい状況に置かれておりまして、一般会計の歳入のうちに占めます租税収入の割合が六八%、それから公債依存度が二五%というような状況が五十九年度の状況でございますが、このような厳しい状況がもう十年間近くにわたって続いているわけでございます。  五十九年度の予算の編成に際しましても、あらゆる施策経費につきまして、基本的な制度の根本から見直しを行いまして節減合理化を図ったところでございまして、農林水産関係予算に限らず、ただいま先生お話のございました社会保障関係予算あるいは文教予算あるいは一般的な、司法関係の予算等、ありとあらゆる経費につきましていろいろな角度から節減合理化を図りまして、一般歳出につきましては全体として三百億を超える削減を行っているような状況でございます。  そういった状況の中で農林水産関係予算の編成に当たりましても、厳しい枠の中ではございますけれども、できるだけ資金の効率的な運用、同じ資金を使います以上、より優先順位の高いものに配分をするというような考え方からここ数年農林水産関係の予算編成を行っておるところでございます。そういった中で、食糧管理費の予算につきましてもいろんな角度から検討いたしまして、種々節減合理化を図ってきたところでございます。  もちろん御指摘のように食糧の安定供給というのは最も重要な政策課題でございます。そういった政策課題にこたえつつ、全体の中で、より資金の優先的な配分を心がけてきたところでございますが、今後とも引き続きそのような方向で対処してまいりたいと考えております。
  177. 武田一夫

    ○武田委員 米、食糧というのは優先順序からいったら私は一番だと思うのですね。食べ物がなくて一切の社会的行動というものは成り立たないわけですから、飛行機があったってこれはどうしようもないですからね。  ですから基本的な国内の政策の中で大事なものは何かというと、やはり基盤産業である産業が活性化して、そこから活力のある地域社会ができ、経済における波動といいますか波及効果も大きくなっていく。そこに一つの経済活性化が生まれまして、その中から地域が発展していくことによっての経済の浮上によって税が多く取れるような体制というか、そういうものにしていく。  ですから農業を見てみますと、農家なんか米がとれない、冷害となりますと、間違いなく地方経済というのはどうしようもない。商工業はもろにきちゃう。まして公共事業はさっき話があったように非常に落ち込んでいる。そのために農家の方々で、例えば例を挙げると建設業あるいは土木業なんかで農外収入を得ようとしている方々にもろにぶつかってくる。ここで農家経済がさらに一段と落ち込む。ですから地域の大工さんなどは金づちをシャベルに切りかえて、あるいは懐中電灯に切りかえて、何のことかと思ったら大工さんは土方から警備保障の方までという、そういう一つの例をとっても職業的にも大変な落ち込み。これを考えると、一番基本となるそういう基幹産業、特に日本の中における東北、北海道あるいは北陸等々という米を中心に生きている場所というのは特に深刻。こういうところの活力に対する打ち込みが非常に停滞していたから、私は日本経済の落ち込みは一段と深刻になっていると思う。  そういうことを考えると、優先順序云々という話がありましたが、不必要なものは削って、きちっと合理化をやってむだをなくす、我々も当然そのことは認めますし、進めてほしいと思うけれども、これは削っては相ならぬ、どんなに苦しくても守らなければならないというものがあるわけですよ。そこまでシーリングだということで攻め込んでいって、弱い体質にさらに追い打ちをかけるようなことであってはならぬと思うのです。  そういう意味で、予算の編成においては大蔵省にもお願いしたいし、農林省もそういう意味で今度の予算編成、持に食糧庁長官はそのためにがっちりした大物を据えつけたということでございますから、大いに御健闘を心から期待しておきたいと思うのです。  そこで次に、細かいことに入っていきますが、これはずっと大臣にお尋ねいたします。  一つは、十五日中曽根総理が記者会見しましたね。そのとき米の需給に関して、かつて米が過剰だったときもあったが云々ということから、これまでの農政が厳し過ぎたという反省をしている、こう言っていますが、大臣はどうですか。大臣も同じ考えですか。
  178. 山村新治郎

    山村国務大臣 今まで農林水産省は農林水産省なりに一生懸命やってきたと思います。しかし、せんだっての当委員会での御答弁でも申し上げましたとおり、余りにもゆとりを持つことが少ないような厳しい状況になったことは事実でございます。そこで、これは総理もそのお考えで言ったと思いますが、今後はもう少しゆとりを持った農政を展開していかなければならぬというようなことを申し上げました。私も今後はもっとゆとりを持った需給関係というものを持っていくべきだというぐあいに考えております。
  179. 武田一夫

    ○武田委員 大臣の心の中にあるゆとりのある農政というものの姿、どういうようなことになればゆとりある農政になるだろうという青写真がありますか。
  180. 山村新治郎

    山村国務大臣 今の情勢が厳しい状況と申し上げましたが、やはり備蓄するものは備蓄して、適正な備蓄を行って、そして需給操作がもっと緩やかなものというのがゆとりあることじゃないかと思います。
  181. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、ひとつ備蓄の問題でもっとまじめにやっていこうということですね。四十五万トン、三年で百三十五万トン、この問題は正式にそういう方向で行くのだということは決めておるわけですか。この点、どうでございますか。
  182. 石川弘

    石川政府委員 三期対策を設定いたしますときにそういう考え方で決めているわけでございます。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 そのことは各地の農家の皆さんや農協の方々等は既に御承知のことでしょうかね。どうなんですか。
  184. 石川弘

    石川政府委員 三期対策を決めます際に中央協議会というのを開いておりまして、その場合は都道府県、市町村、農業団体の方が全部お集まりいただいている席でそういう政府の考え方をお話をしております。したがいまして関係者にも十分行き渡っていると考えております。ただ問題は、計画と実行面でいろいろとそごが、これは三期以前の話も若干ございますが、そういうそごが出てきているという実情にあろうかと思います。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 私たちは何度も二百万トンくらいは必要でないか、できればもみ貯蔵をしていった方がいいんじゃないか、そのために農林省としても頑張ってほしいということを申し上げました。そのためには恐らく二千億近いお金が単純に見ても必要になってくるでしょう。ですから財政的な問題でも相当御苦労なさると思うけれども、今後の一つの方向としては、総理は減反は大幅緩和の方向、大臣も減反の方は緩和して考えていくということを言われていますから、これはセットにして、これから農林省の、食糧庁の一つの大きな目玉として、意のある対応を私は重ねてお願いしたいと思うのです。大臣、この点どうですか。
  186. 山村新治郎

    山村国務大臣 先ほど来申しておりますように、いわゆる適正な備蓄ということで在庫積み増しも行いますし、そしてまた在庫積み増しを行うにふさわしいいわゆる転作等、それらを弾力的にひとつやってまいりたいと考えております。
  187. 武田一夫

    ○武田委員 次に、これから決まるであろう生産者米価につきまして多少お尋ねしますが、生産者団体はもう既に六十キロ当たり一万九千三百八十四円、前年比七・七%の値上げの要求を出しまして、各地でその実現のために強力な運動を展開し、大臣食糧庁長官にもその代表は既にお伺いしているはずでございます。  先ほども大臣生産者が意欲を持って農業に取り組んでいけるように頑張る、またそのためのしっかりした体制としての人事の早い異動でもあるということでございましたので、私、非常に希望を持っておりまして、ことしの米価は間違いなく上がるというふうにもう理解したわけでありますが、大臣が最終的に決めるということでございますので、何ぼ上げるとかというような細かいことは聞きませんけれども大臣は上げるという気持ちでいるのは間違いないと思うのですが、その点いかがでございましょう。
  188. 山村新治郎

    山村国務大臣 生産農民の再生産確保するというようなことを旨といたしまして米価決定に当たってまいりたいと思います。
  189. 武田一夫

    ○武田委員 余り難しいことを言わないで、まず第一弾として上げるんだと言ってもらえば、農家の方はそれで随分気も晴れると思うのです。どうですか。
  190. 山村新治郎

    山村国務大臣 ずばっとどうするかということを言えということでございますが、政府といたしましては、現在、事務当局におきまして生産費、物価、賃金、そのほかの経済事情につきまして資料に基づきまして鋭意検討しておる最中でもございますし、これを踏まえて、再生産確保を旨といたしまして決めてまいりたいと思っております。
  191. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、その結果上げちゃならぬということが出ると上げないということになるわけですか。
  192. 山村新治郎

    山村国務大臣 そういうわけではございません。上げる下げるということではございませんで、基本姿勢といたしまして、再生産確保するというところでやってまいりたいと思っております。
  193. 武田一夫

    ○武田委員 生産者は随分我慢してきたな、心棒でもいっかは車から外れて、途中で過熱の余りすり切れて暴走するという心配もあると私は思うくらい、そういう寸前まで辛抱してきたなということを痛感します。大体、据え置きみたいな、あるいは据え置きでなく実質引き下げだと言われるほどのここ数年の実態、昭和五十三年の水田利用再編がスタートして以来ずっと調べてみますと、米の過剰、財政負担の軽減を理由として随分抑制されてきたなと思うのであります。  五十三年に生産者団体の皆さんは十三・三%の要求をしました。しかし〇・一%しか上がりませんでした。五十四年には十三・九%の要求がたった〇・二%でありました。五十五年が一六・三%で一番上がって二・三%。五十六年は一七・七%の要求に対してたった〇・五%。五十七年は四・三七%アップの要求に対して一・一%。昨年は五・六%のアップ要求に対して一・七五%。そして、昭和五十三年が一万七千二百五十一円、今一万八千二百六十六円でございます。生産者米価は合計してもわずか六%くらいの引き上げであります。  しかしながら、この間生産資材の価格は大変上がりました。丁八%くらいだと言われておる。物価が二七%上がっている。賃金も四()ないし四三%くらいアップしている。生産費の上昇が三五%以上になった。  そういう状況の中で苦労したのは、言うなれば農家の皆さん方の生活の中における大変な経営の悪化と苦労、それをカバーするために農外収入を求めて二兼農家がふえて、そしてその農外収入がふえることによって辛うじて生活のやりくりをやっている。消費者物価指数が五十二年から五十八年の六年間で一二九となっておりますから、本来、もしこの計算からいくと、もう生産者米価は五十八年は二万円を超していなくてはならない、最低でも二万二千二百二十二円くらいでないとやっていけない。それを四千円も抑え込んで、それでゆとりがあるというふうに言えるのかな。  さっきの米の備蓄だけがゆとりではないのです。要するに農家の方々も人であります。人並みな生活をしたい。苦労するのもいい、苦労した分だけ報いがあれば喜んでやる。しかし、それがさっばりないじゃありませんか。  だから若い連中が、しかと農業に職業として取りつき、そこに命をかけて働こうとする子弟が一万人にもならず、九千、八千、七千というところで低迷しているじゃないですか。そして、そういうような状況でありますから生産意欲の低下も著しい、これが結局は冷災害においての一つの大きな落ち込みの原因にもなっている。となったら、そういう繰り返しを続けていけば、もうどうしようもない農業構造になって虚弱体質もいいところ、それでもって二十一世紀の農業というこれからの農業が、間違いなく一億の民を養うだけのきちっとした力を持っていけるかどうか、私は疑問でありますが、大臣、この点についてはどういうお考えですか。
  194. 石川弘

    石川政府委員 御指摘のように、水準自身はここ数年間大変低い水準でまいっております。米価につきましては、ああいう算定方式で資材その他の物品のことも考えるわけでございますが、片一方では効率化といったような形でそういうものを克服することも算定要素に入っているわけでございます。  一般論で申しわけございませんけれども米価そのものの決め方につきましては、現在やっております生産費所得補償方式というものを使いまして、必要な数量について満たされるだけの分量、それに応ずる生産者の方の手取りの価格というものを算定しているわけでございまして、私どもとすれば、そういう価格だけで物価その他の上がりをカバーしようといたしますと、そこにはどちらかと申しますと過剰と申しますか、そういう形になりかねないということがあるわけでございます。したがいまして、算定方式を使いまして毎年毎年やってきたわけでございますが、その結果として今御指摘のように比較的低い水準でまいったわけでございまして、これは今の米の生産構造とか他の農産物価格といったものと対比して考えますと農家の方々にいろいろ御不満があることは承知いたしておりますけれども、こういう水準でやってこざるを得なかったのではないかと思っております。
  195. 武田一夫

    ○武田委員 算定方式云々と言うのだけれども、算定方式だって今までくるくる変えて、今度三つの問題があるわけです。それだって農家の皆さん方は、最初から据え置きとかかってからの逆算であるとはっきり言っているわけです。ですから、同じ土俵でお互いに話し合って、今度は生所方式という一つの土俵はお互いに理解し合ったわけですね。問題は中身、三つの要素についてです。地代とか、そういう問題についてよく話し合ったらどうなんですか。お互いにとる要素が違う、これでは一般の方々には特にわかりにくい。こういうようなことはこれからの一つの取り組みとしてよっぽど考えていかなければいかぬと思うのです。  ですから、私もきょういろいろと聞いたのですが、家族労働の評価の問題にしましても、潜在需要の問題にしましても、あるいは地代の問題にしましても、その中身のとり方が違うといえば随分違うわけです。今度の生産者の出した七・七%というのは、本来の今までやってきた生所方式からいけば大体二七%ぐらいの要求になるけれども、その中で例えば企画管理費をもうカットしたとか実納小作料を変更したとかいうことで大体二〇%近くを、本当に現状に現実的に即したものという一つの苦しい中での対応ということで七・七%を出してきたということでありますから、そういう努力をしていることをきちっと認めてやった上でお話し合いをしかとやるべきじゃないか。  きのうは全中の代表の皆さんと皆さん方が何かやられたわけでしょう。ですからそういうところで何回かの話し合いの中で、しっかり理解できる、しかも再生産を保持できるのだ、わかったというものがなぜ出せないのか。結論は財政云々ということが頭にあって、それが責められるのが怖い、それだけじゃないか。農家の生活の実態というよりその方にばかり頭がいっているのではないか。これは政治じゃないと思うのです。一番一生懸命働く、いわゆる支える母体となっている方々のための農林水産省です。食糧庁長官です。大蔵省でもないのです。どこでもない。そういう方々の実態を一番知っていなくてはならないはずです。その点を私は十分に、今度の米価の算定要素の中の三つの点については、しかと農家の期待にこたえるような方向での取り組みをお願いしたい。お願いしておきます。  こうやって見ていますと、いろいろな生産資材価格の上昇、これは生産費が増加するわけです。五十四年以降、第二次生産費生産者米価を上回っているわけです。そして年々その差が大きくなっている。だから、御承知のとおり稲作の所得率というのはずっと低下しています。五十二年で六一%の所得率が五十七年には四六%になっている。ですから、反面からいうと生産者米価が六年間で千円くらいしか上がらない。しかしながら、生産費は五千円以上にもなっているはずです。こういうような状況ですから、具体的に言うと、五十二年の十アール当たりの九万二千円の所得が七万二千円と低下しているとか、特に心配なのは、いわゆる規模の大きい稲作農家がまともに打撃を受けている。中核農家を大切に育てていくと言われるそういうところの方々、米を中心に生きて、あるいは米を中心とした複合経営というものに入っている方々にもろにぶつかって、そういう人たちを一番苦しめているということになると、これは農政の基本方向とまるっきり反対の米価になっているのではないか。  ですから、例えば稲作の作付面積が三ヘクタールの農家の一戸当たりの稲作所得が五十年産米では四百八十七万円、五十七年産米では三百八十万と、百万もの減収だというデータがある。これじゃ、そういう方々はどうするのか、あなた方もやはり農外収入を求めて二兼農家になりなさいと言うのか、こういうことになるわけです。中核農家全部、特に米を生産している主要県の皆さん方の心境というのはもう大変なものですよ。この点、どういうふうに御理解をしているのでしょうか。
  196. 石川弘

    石川政府委員 今先生御指摘がありましたように、過去において、大規模農家の方、特に稲作の専業的大規模農家の方が、いわば所得の割合からいいましてもかなりいい姿に出ておりましたですけれども、今御指摘のように、最近の情勢では、そういう三町以上層という稲作比重のかなり高い専業的な方々の経営に少し影が見えているというのは事実でございまして、私どもも、そういう方々は稲作に——稲作といいますのは年間の稼働の中で周年ではございませんので、それ以外の農作物との結びつきというものはやはり必要だとは思いますけれども、そういうところに問題が出てきておるのは事実でございます。  これはやはり価格水準ということだけではなかなか解決できるわけではございませんで、他の農業部門との組み合わせ、あるいはそういう方々にとってさらに例の構造政策というようなことから、他の方々の土地をいわば利用しまして大規模稲作をやるとか、そういうような要素も組み込みまして対策を立てませんと、これをただ米価だけでということになりますと、結果的には価格で量を誘導していくということになろうかと思いますので、今先生御指摘がありましたような事実は私ども肝に銘じまして、そういう農業、他の農業部門との兼業の形とか、あるいは先ほど言いました稲作のさらに規模拡大のための土地の流動策といったようなものを考えながら、所得の確保に努めていきたいと思っております。
  197. 武田一夫

    ○武田委員 そう言っても、土地の流動化は余り進まず、苦労しているわけですよ。それでほかのものをやっても、例えば牛肉でもそのとおりです。野菜をやれば野菜が過剰になってくる、小麦をやれば小麦が過剰になってくるというふうになれば、どうやったらいいのか。それじゃひとつ具体的な、こうやれば安心して我々が農業で間違いなくゆとりある生活ができるという構想をひとつ指示してほしい。そのとおりやったら間違いなくやれるんだという保証のあるものを示してほしい。今もうそういう段階に来ているんですよ。今長官が言うようなそんな簡単なものでいくわけはない。  だから、今米が生活の一つのよりどころであるならば、そこでしかと生活を安定させる中でそういうものに取り組んでいく、せめてそういう施策にきちっと手を打って万全を期してもらえばありがたいが、それもできず、こういう冷害になると殊のほかに厳しくなるということになれば、これは農家の皆さん方は考えざるを得ないと思うのですよ。専業なんてとてもじゃない、我々は息子、娘を全部サラリーマンにしてしまおう。土、日は最近週休制ですからね。もうますますやりやすい二兼農家、そういうふうにいく。オール二兼にしろというのか。二兼になったらなったなりに、土地に対する手入れ等々で専業と比べものにならない落ち込んだものがいろいろとあります。これは本当に、政府が言うような潜在的生産力云々とかというのも、最近そういうことを考えると、どうも机上のプランであって、現地に行って見てもらいたいと思うのです。  この間、鹿島台の農協青年部が、減反をしている田んぼに韓国米輸入に抗議して田植えをした。そこは三年間休耕していた。それで、田植えをするときの状況を聞いたら、普通の耕運機じゃ全然土は耕作できないと言う。五倍も六倍もある馬力の大きなものを借りてきて、普通一枚の田んぼだったら一時間かからないでやるのが夕方までかかった。土地を放置しておくとこんなにも大変手間がかかる。これが十年、十五年たったらもう二度と普通の田んぼに戻ることは考えられない、こういう事実があるわけです。そういう田んぼがあちこちに出ている。  行ってみるとおわかりのように、これはいい田んぼです。そういうような荒廃した姿を今日こうやってもたらしたというのは、やはり政府の米の対応、米穀政策の取り組みの失敗だと私は思う。ここの点はしっかり反省していかぬと皆さん方の期待するような農業の方向にいかぬ、私はこういうふうに思います。そのことだけ一言申し上げます。ですから、よく実態を知った上で、適切な価格、農家の皆さん方がこれがもう最低ぎりぎりだと言って一生懸命努力をして出してきた米価というものにひとつこたえていただきたいという希望を申し上げておきます。  次に、自主流通米制度の問題。米価が上がると、その上がった分は必ずこの方に目を向けるのはなぜなんでしょうか。大臣、どういうわけでしょうか。
  198. 石川弘

    石川政府委員 自主流通助成につきましては、これはある程度長い歴史の中に自主流通を助長してきたわけでございますが、一昨年、昨年の自主流通助成につきましては、御承知の流通促進奨励金というものを落としておりますが、これは御承知のように逆ざやに対応した補助政策でございまして、逆ざやが縮減をしてまいりますと、当然と申しますとおかしゅうございますが、これの存立の意味がなくなる、そういう補助金でございます。そういう意味で、一昨年、昨年と流通促進奨励金につきまして、これは米価の決定の際でございますが、そういうものは段階的に廃止をしたということでございます。  自主流通の助成には、その他御承知の良質米奨励とか販売促進費とかいろいろございますけれども、そういうものにつきましても、今までのこの助成が果たしてきました役割と、それから現実にそれがどう作動しているかというようなことも含めて常にこれは検討を要することでございますが、現段階でそれをどうこうするということを決めておるわけではございません。そういう補助金が持っております意味と、それがどのような効果を発揮しておるかということを勘案しながら、さらに検討を深めるべきものと考えております。
  199. 武田一夫

    ○武田委員 自主流通米制度は、消費者の良質米志向というものにこたえて、米の消費減退に歯どめをかけるという大きな政策的なものを持っていたわけですね。ですから、そういう意味から奨励金等の助成で応援をして、そういう志向型にこたえられるような体制をとって、農家の方は一生懸命努力をして今日きちっとそういう体制を整えるだけの力を持ってきたわけです。ですから、良質米奨励金の効果というものが非常にあった。私は、そういうことが良質米を今日支えているわけだと思うのです。  それに、良質米生産ということを考えると、私は宮城県ですが、非常に手間がかかります。経費もかかります。それから、普通の米から比べると収量も一割からちょっとは少ない。こういうような実態があって、そういうことを換算すると、やはり奨励金があって初めてメリットがあるものでありますから、こういうものが削減、カットされれば、それではまた収量の多い方に戻るわけです。  その一例を私は具体的に申し上げますと、恐らく長官は詳しいから事情はよく知っていると思うのですが、大臣もひとつ聞いてほしいと思うのです。いもち病というものに弱いわけですね。ですから事前に対応しなければいけないのです。農薬散布します。航空駆除を最低でも大体四回ないし五回やるのです。一回につき、十アール当たり大体五百円の経費がかかる、農薬代ですよ。そのほかに最低でも個人では二回。二回で使う薬は、十アール当たり二千三百二十円のものと四百五十五円のもの、名前は省略しますが、それを使います。多い方はそのほかにさらに四回くらい。だから、二回から六回くらい。さらにその方々はそのための経費がかさむ。そのほかに病虫駆除をやらなければいけない。これも大体二回くらいは最低やる。最低二回やると十アール当たり千五百円ぐらいの経費がかかる。こういうものを通算しますと、経費の面だけで最低でも十アール当たり六千七百七十五円かかります。  普通の、宮城県でいえばササニシキに対してささほなみというものを研究しまして、強くてうまいものだから今度良質米の方にとお願いをしておるわけですが、こういうものと比べると、やはり二倍なり三倍ぐらいの手間と経費がかかる。そして管理費も、そういうふうに三倍、四倍、五倍はかかる。  それからもう一つは、天候が不順になってきますと生育が順調に進まないために、これを進めるための努力をしても肥料代がまたかさむ。こういうこともここ四年間は特に激しかった。大体十アール当たり二回ぐらい、そういう余分の肥料代として三千七百五十六円くらいかかるというのです。それからもう一つ、収量が一割ないし一割五分少ない。ササニシキが十アール当たり大体四百六十五キロ、ささほなみが五百七十六キロ。これは宮城県の五十八年の計算です。百十一キロです。約二俵だ。大体一俵から二俵と言われていますが、こういう一つのマイナス条件がある。  東北の一つの例を見てみますと、過去十年間、宮城県、秋田県、青森県の三県について見ますと、宮城県では十アール当たりの平均収量が四百六十六キロ、青森県が五百十五キロ、秋田県が五百五十六キロです。宮城県は大体七・七七俵、青森県は八・六俵弱、秋田県が九・三俵弱です。五十八年を見ても、宮城県は作況指数が九五、四百七十二キロ、青森県が作況指数九〇、五百三十四キロ、秋田県が一〇一、五百七十二キロ。こういうことを見ますとおわかりでしょう。要するに数量の面からもかなり低い。  ですから、そういうようなことを計算しますと、自主流通米と政府米の価格、六十キロ当たり、奨励金を含む場合に二万二千百八十七円になる。なければ一万九千八百四十八円。政府の一等、二等米の平均が一万八千二百六十六円となると、もうほとんど差はないですね。こうなったら多収穫の方に飛んじゃって、良質米やめたということになる心配が間違いなくある。この点、よく理解をしておいてほしいと私は思うのです。どうでしょうかね。
  200. 石川弘

    石川政府委員 今御指摘ございましたように、農家の方々は良質米をつくられます場合に、よく言うかかり増しの経費とか、単収減とかいうような要素があるということをおっしゃっておりまして、私どももいろいろな数字でそういうものを検証しようとしておるわけでございますが、良質米奨励の場合は、御承知のように良質米をそれだけ評価をして市場価格で高く買ってもらっている、その場合にどこまで国の助成でメリットを引き出してあげなければいけないかということとの関係でございます。  そもそも財政論からいたしますと、ごく一般的に申しますれば、政府が直接買って管理をしておりますものより自主流通の方が相対的に安いという問題があるわけでございますが、問題は、そういう助成をどの程度までして、農家の方としていわば良質米生産をやっていただき、しかもそれがそれなりの価格で市場に流れるかという、そういう話でございまして、私ども、先ほどちょっと流促のことを申しましたのは、流促という奨励金は、逆ざやがなくなれば結果的になくなるという性質の補助金でございますが、良質米の場合はそういう事情をいろいろ勘案して検討しなければいかぬ補助であるということは十分熟知をいたしております。しかし、問題が全くないわけではなくて、今申しましたような助成の手厚さの問題なり、そのことと市場でどのような価格で流通するか、あるいは先生も御指摘になりましたような量的な確保がどの程度可能か、そういうことをいろいろと比較検討しながら勉強している、そういう状況でございます。
  201. 武田一夫

    ○武田委員 ですから、今申し上げたようなことから考えますと、米価の問題に関与してこの自主流通の奨励金がいじくり回されるということは生産者にとっては耐えられないことでありますから、これはこれとして別途に、しかとこういう状況を今後とも保っていけるような、やはり生産者に対する一つの大きな励みと安心というものを取りつけてほしいということでございまして、米価が一%上がったらその分の財源がないから食管の中でやってしまえ、それはどこだ、ここだ、そう安易に手をつけてもらったら困る。その点は長官もよくおわかりだし、大臣もおわかりだろう。しかも総理府の統計によりますと、八割以上の方が良質米の方に志向しているということで、そういうお米を期待を持って、いいものを、おいしいものをという方向で行っているわけでありますから、その辺の状況もひとつ銘記をしてほしいということを要望しておきます。大臣、この点について、しかと大臣の心の中にとどめておいてほしいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、時間が来ましたので、もう一つお尋ねをいたします。  前の委員会で私質問したとき、五十四年産米の話が出ました。この前私は五十九年の三月末でどのくらいあるかと言ったら、三万トンある、こういうのを食糧庁の方から聞きましたが、この間前長官の松浦長官が話したときは五十四年産米は二万トンございます。今度資料をもらったら一万七千トンに減っているのです。これはどういうことなんでございましょうか、ひとつ説明していただきたい。
  202. 石川弘

    石川政府委員 前の長官が答えましたのは、時点が違っていたようでございますが、現状で申しますと一番新しい数字は五月末の在庫で一万七千トンというのが正確でございます。
  203. 武田一夫

    ○武田委員 いない人のことを言ってもしょうがないのだが、私は三万トンというのを最初に聞いたのです。直接聞いたのですから、資料要求のときに。ここでは二万トンと議事録にあります。今度一万七千トンです。一万七千トンが本当だったわけですね。どうなんですか。
  204. 石川弘

    石川政府委員 前長官お答えしました時点は三月末の数字お答えしたようでございます。
  205. 武田一夫

    ○武田委員 ですから、私は三月末は三万トンとちゃんと聞いたのです、おたくの係の方から、ここで二万トンとなったから、おかしいじゃないか、その一万トンどうしたのだと言ったら、食糧庁長官主食として食べさせた、こうここで言ったのです。そうでしょう。そうなんですよ。それをまた一万七千トンですから、三千トン使ったわけですな。これは間違いないでしょう。
  206. 石川弘

    石川政府委員 五十四年産米、七月上旬までに約二千トンが基準に適合するということでやっておりますが、その二千トンを生み出すもとの検査の対象数量としては約三千四百トン、検査しました結果、その中から約二千トンが要するに例の基準に合格するということで食用に向けるということにいたしておるわけでございます。
  207. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、これにも臭素なんかがあって食べられないものがあったということですね。五十四年産米というのは、その三月前は聞いても全然出てこなかったのですよ。米のあるのを出せと言われても全然出てこなかった。ありませんと言っていたんですよ。なぜ急に出てきたかということですよ。  それでは、一万七千トンはどこにどのくらいあるのか、ちょっと教えていただけますか。
  208. 石川弘

    石川政府委員 ありますものは、北海道産のものが北海道と東京、青森産のものが宮城県と三重県にございます。
  209. 武田一夫

    ○武田委員 その数量はどのくらいずつあるわけですか。
  210. 石川弘

    石川政府委員 県別の在庫量、ちょっと今持ってないようでございますが、さっき言いましたように五月末在庫では一万七千トンという数字でございます。
  211. 武田一夫

    ○武田委員 私はなぜ聞くかというと、この間もそうですが、五十三年産米等を含めた米の在庫量はどうかと言うと、非常に流動的で、それは移動しているかわからないけれども、ある時点では何ぼあって、それからどのくらい動いたかというのが今のコンピューターの世の中でわからぬというのは、私は非常にわからぬことですね。ですから、こういうことでまた今後も米の需給操作の中であいまいにされてしまうと心配なんですよ。ですから、出てきたものは、ちゃんとうみはすっかり絞っておかぬといかぬと思うから確認するのです。  宮城県には三千四百トンあるんですよ。宮城県の食糧事務所に行ったらすぐわかったのですよ。何でこれがわからないのかな。どうなんですか。一万七千トンのうち北海道に何月何日現在何ぼ、これがわからない。今多少動いていますが、それは構いません。しかも、今聞いたら食べられないものもあったというわけです。  これは使用は主食用ですか、どうなんですか。
  212. 石川弘

    石川政府委員 検査に合格したものは主食用に使うつもりでございます。
  213. 武田一夫

    ○武田委員 これは幾らぐらいで売っているわけですか、どういう形で主食として使われておるわけですか。
  214. 石川弘

    石川政府委員 徳用米の原料で売っておりまして、玄米一トン当たり十八万五千百円でございます。
  215. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、これは一般の消費者が食べているわけですね。五十四年産米をいわゆる主食用に回しているということはどうなんですかね。五十九年ですからもう六年目ですね。これは普通のやり方としては何ら抵抗なくやっているわけですか。
  216. 石川弘

    石川政府委員 御承知のように、去年からことしにかけての需給で申しますと、比較的価格の安い米の原材料部分が、特に北海道の冷害等がございまして若干供給することにタイトな状況であることは御承知のとおりでございます。したがいまして、全体の需給というものは何とかバランスをとってやっているわけでございますが、御承知のようにそういう業務用とかあるいは比較的安い価格での供給を期待するそういう需要に対しては、かつてよくありました道産米その他という形での供給量は絞られているものですから、そういうことの需要があることは事実でございまして、こちらからというよりも、どちらかというとそういう需要のある方々から原料の提供を求められます場合には、先ほど申しましたように検査をしまして、いわゆる臭素等の問題がないということをはっきりさせました上で供給をしているわけでございます。
  217. 武田一夫

    ○武田委員 私は問題だと思うのですね。一つは、それだけ米がないわけでしょう。安い、いわゆる政府米として使う米がなかったということの一つの証拠でもあるわけですね。五十四年産米までやらなくてはいけなかった。ところが、私は現場へ行って聞きましたが、いっこういりことを決めたかわかりませんが、これはいつ決めたのですか、主食用として売るということは。そしてそれを食糧事務所にちゃんと流しましたか。
  218. 石川弘

    石川政府委員 五十四年産米というのは初めから過剰米という考え方で処理している米でございませんで、そういう需給操作の中にあるものでございます。問題は、臭素のような問題が起きておりますのでその検査をしなければ使わないということでございまして、いつの時点から使うようにしたということではございません。
  219. 武田一夫

    ○武田委員 入っている倉庫の管理者に聞くと、何に使ったらいいかわからないし、どうしろという指示もないので、我々はずっと預かっていますと言うのです。どうしたらいいのでしょうか、こう言うのですよ。それはその業者だけじゃないのです、食糧事務所の方も言うのですよ。だから保管しております、宮城県には四カ所で三千四百トン。それではちょっとおかしいじゃないですか。きちっとこういうふうに使うんだから検査云々とかというのが一つもないのだ。それは、では宮城県だけ指示しなかったのですか。どうなのですか、その点。
  220. 石川弘

    石川政府委員 預かっていただいている方には別に用途その他を指定するわけではございませんけれども、事務所の方は今申し上げましたとおり必要なものを検査をして出す、これはもちろん需要に見合って出していくというわけでございますから、何かこちらから売りつけるという感じではございません。需要に見合って売っていくということを言っておりますので、これは当然事務所は知っているわけでございます。数日前、事務所長が私のところへ来ました際にもそういうことを話しておりましたので、先生にお答えした方が知らなかったのかもしれませんが、事務所にはそういう趣旨は言っておるわけでございます。
  221. 武田一夫

    ○武田委員 私は六月の初めごろちゃんと事務所のしかるべき人から聞いたんだ。だから聞いているのですよ。  それでは、五十四年産米というのは安全性は間違いなく心配ないですね、食べているんだから。絶対間違いないですな。その点もう一度お聞きしておきます。
  222. 石川弘

    石川政府委員 そういう問題が起こりましたので全部検査をいたしておりますので、検査をして大丈夫というものを回すわけでございまして、検査に合格しないものは出してまいる考えはございません。
  223. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃ、後でもう一度私はその中身を調べてみたいと思っております。その結果どういうものが出てくるかわからないけれども長官を疑うわけではありませんが……。  最後に、時間ですので。韓国米の持ち込みについて正式の調印が行われましたね。そこで、手っ取り早くお聞きしますと、一つは、その経費、どのくらいかかるのか、全体的に。それから船積み、いつ行い、どこの港にいつ届くのか。それからこの安全性の問題で非常に心配されていますが、この問題についてはどういうような対応をして間違いない、安全なものだということを保証するものか、この点についてまとめてお尋ねをいたしたいと思います。
  224. 石川弘

    石川政府委員 最初経費とおっしゃいましたのは多分こういうことかと思いますので、間違っておりますればまたお話しいたしますが、向こうからの受け渡しの条件は、日本の港のいわば本船乗り渡し、CIFという、積み出し経費とか海外運賃、保険料は全部向こうで持ってもらいまして、今度は日本に来て日本の港へ揚げるという、その揚げる経費分だけをこちらが持つわけでございますが、これは、八四年返還分は、規定どおりに返還されてまいります三万六千トン部分は大韓民国の方で負担をしてもらいますので、お金はかかりません。約束よりも繰り上げて返還をいたします部分、十一万四千トン部分につきましては、日本の港で陸揚げをいたします経費につきましては向こうの国の経費じゃなくて、我が国の経費で揚げるということでございまして、この陸揚げに要する経費はおおむね五億円程度のものではなかろうかと思っております。  それから、いつどこの港に入れるかという御質問でございます。今韓国の方とも相談をいたしておりますが、かなりの多くの港、十港を超えるかあるいは十港程度の港に揚げてまいりまして、極力円滑に加工需要につないでまいりたいと思っておりますが、どの港にいつということはまだ決まっておりません。  それから安全性の問題でございますが、これは私どもも大変、安全性を確認する必要があると思っておりますので、現在、返還されます米があります向こうの倉庫、すべてのそのストックポイントのところからサンプルを送っていただいておりまして、これにつきまして御承知の安全の基準に従いました検査をいたしまして、そこで安全であるということを確認をした上で、現地でもみずりをしまして日本の港に入れていただくということを考えておりますので、御心配のないように万全を尽くすつもりでございます。
  225. 武田一夫

    ○武田委員 長官答弁の中で今、繰り上げて返還してもらう分は五十一万四千トンと言ったが、これは間違いでしょう。
  226. 石川弘

    石川政府委員 十一万四千トンです。
  227. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃ最後に一つ聞きますけれども、この港が十くらいに分散するというのは、これは何かわけがあるんだと思うのですが、どういう理由で十くらいの港に分散するのか。
  228. 石川弘

    石川政府委員 数量としまして十五万トンというかなりの数量でございますので、かなりの数の船を使わなければいかぬということと、それからこれは日本に入れましてそれをおせんべいだとかおみそとかいう加工原材料として渡すわけでございますが、そういう加工メーカーというのはかなり各地に分散してあるわけでございますので、そういうところに円滑に配送ができるようにという趣旨で考えているわけでございます。
  229. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、時間が来ましたので、終わります。
  230. 上草義輝

    上草委員長代理 滝沢幸助君。     〔上草委員長代理退席、衛藤委員長代理着席〕
  231. 滝沢幸助

    滝沢委員 食糧事情、農政の現状、まことに重大なときに農水大臣をお引き受けいただきまして、さきにはアメリカにみずから赴かれまして困難なる問題の処理に当たられるなど、大臣の労を多とするものであります。全国の農民が熱いまなざしを持って大臣の大きな決断と勇気ある判断を期待しているわけでありますので、どうぞひとつ、持ち前の勇気を持って日本農政の将来を開いていただきたいと御期待申し上げるわけでございます。  そこで、米審のことからまずお伺いさせていただきますが、あさってから、前広米審と言うのだそうでありますけれども、私、最初役人さんからこの言葉を聞きましたとき、日本語で話してくれ、こういったのでございます。マエピロベイシンなどと言うものですから。そこで、これは大臣でなくても結構ですが、どんな意味ですか。
  232. 石川弘

    石川政府委員 実は、米審のいろいろな御論議の結果、いきなり価格というようなところに入ってまいりますと、周辺事情についての御議論が十分でない場合がございまして、米審の運営の中で、価格そのものといいますよりも、もう少し周辺にありますいろいろな事情について御議論をいただきまして、前広にということかと思いますけれども、そういう御議論を重ねられた上で、委員方々の意のあるところは大体はっきりさせました上で価格の審議に入ったらいいということからこういう会議の形式をとっておりまして、慣例的に前広米審と言うことになっております。特段、何か特別の意味で呼んでおるわけではございません。
  233. 滝沢幸助

    滝沢委員 承れば、広というのは問題を広くということですか、広い意見を聞くというのですか、どこが広いか知らぬけれども。そうなれば予備審査で、予備米審でいいのじゃないですか。字引を繰ってみても、なかなかうまい答えが出てこない言葉なんです。それほどに米審というのは難しい課題を持っているのかもしれませんけれども、それはそれ。  ところで、私は米審の歴史を勉強させていただきました。そうしましたら、ここ五、六年の間のことでございますけれども、例えば五十三、五十四年は世に言う実質的な据え置きでございますね。つまり、まともな答申が得られなかった時期もあるわけであります。そして、五十五年は少し上がった形でありますけれども、五十六、五十七年は、ここが問題なのでありますけれども、いわば答申よりも上回って決まった。自民党さんのお骨折りによりまして、いわゆる政治加算でございますね。こういう形。そして、昨年の五十八年度、これも米審を待たずして決定したみたいな印象を受けるわけであります。ゆえにこそ、最初の日は諮問案が出せずに、二日目に諮問していらっしゃいます。私は、自民党さんの御努力は多としますけれども、米審の建前を尊重する姿勢ではないのではないかと思うわけであります。逆に言えば、米審は最近十分に機能していなかった、政治決定優先であったというふうに思いまするときに、今や米審の制度見直しの時期ではないのか、ないしは米審の運営についてもう少し工夫が必要ではないか、こう思うのであります。いかがなものですか。
  234. 山村新治郎

    山村国務大臣 米価審議会におきましては、米価そのほかの主要食糧の価格の決定に関する基本事項について調査審議していただくこととなっております。このために、米穀生産、流通、消費に関してはもちろん、経済、財政等の全般にわたり、学識経験のある方々委員にお願いして十分論議していただいて、委員全員の意見をできるだけ集約していただいて、政府としてはその意見をできる限り尊重してまいったところでございます。  特に先生、今、前広、事前米審でございますか、これも、このところ大概開かれるのは一日ということでございましたが、今回は十九、二十日と二日間にわたってこれを開きまして、できるだけ多くの御意見をお伺いしたい。そしてまた、今年度産の生産者米価の決定につきましては、米価審議会の御意見を聞くとともに、また関係各方面との意見調整を経て適正に決定したいというぐあいに考えます。
  235. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣お答えの中では、米審の制度等については見直し等は必要ないというふうにお考えと理解していいですか。  時間がないですから一緒に聞かしていただきますけれども、ことしの諮問は幾らで出るのか、これは先ほども委員から御質問のあったところで、全国農民の非常なる関心事でございます。  ただ、先ほど資料をちょうだいしました。これは五十八年産米生産の費用、いわばこの計算の基準となるべきものでありましょう。それを見ますと、肥料費というものがございまして、少し昨年を下回ったと書いてある。そのほかに光熱動力費が下回ったと書いてあるだけで、あとは全部昨年よりも上回ったと書いてあるわけです。これを拝見いたしますと、少なくとも去年よりは価格を上げるという諮問が出るものと信じ、またそうなくてはならないであろうというふうに思うのですが、いかがですか。この二点。
  236. 山村新治郎

    山村国務大臣 私といたしましては特別に変更する必要はないというぐあいに考えますし、できるだけ米価審議会の意見を尊重して決めてまいりたいというぐあいに考えます。  詳細につきましては政府委員の方から……。
  237. 石川弘

    石川政府委員 先ほどお示しをいたしております。その数字は、五十八年度の生産費調査でございます。先生御承知のように、米価を算定いたしますときには過去三年間の数字を使いまして、しかもその数字の中からいろいろな評価がえ等をいたします。それから効率が上がっているものはマイナスに働かせる等いろいろございますので、その数字だけでの上下ということはないわけでございます。今三年間の数字を精密に検討しているところでございます。
  238. 滝沢幸助

    滝沢委員 米価の金額についてはおっしゃれない事情もお察しできますが……。  臭素米についてでありますけれども、いろいろとお話がございました。五十三年産米二十万トンについてただいま検査中というふうに理解して、その中で相当量いわば指摘されるであろう、だから韓国から輸入というようなことになるわけでありますけれども、それはそれとしまして、厚生省においで願っているはずであります。厚生省がこの検査をなさったのかあるいはなさしめたのか知らぬけれども、これをなさった動機は何でございますか。何か三月の予算委員会で我が党の神田議員の発言等が一つのきっかけになったというふうにも言われておりますけれども、この動機は何ですか。そして、これをなさった法的根拠は何ですか。何か国際基準なんというものがありまして、これが五〇ppmだというのでありますけれども、世界農業機構、または保健機構、それぞれ国連の機関でございましょうけれども、この数値というものは、日本は批准しているのかどうか、これに拘束される法的根拠があるのかどうか、ここら辺のところをひとつ。
  239. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  今回私どもの方で食糧庁と一緒に五十三年産米の薫蒸剤につきましての残留検査をいたしましたのは、先生御指摘のとおり、去る三月に五十三年産米主食用に出回っているということで、これについての残留農薬の検査をするようにという御指摘を受けたことがきっかけになりまして調査をいたしたものでございます。  それから、第二点でございますが、現在つくられております国際食品規格と申しますものは、国際的に流通いたします食料品につきましての安全基準というものを、国連の専門機関でございますFAOとWHOが共同して作業を進めているわけでございまして、特に法的に拘束力があるというような性格のものではございませんが、一つの基準としてこういうものが国際的にでき上がっているということでございます。
  240. 滝沢幸助

    滝沢委員 国際間に流通するときの一つの基準でしょう。国内のときの拘束力はないわけですから、人の財産に対してけちをつけたことにならぬかどうか。そして、何か承れば、仕事の仕方がいささか泥縄式なんです。これに法的根拠を与える法制化の道を考えていらっしゃるかどうか。そして、本当にこれが危険なものであるならば、それらの米は回収せしめるのかどうか。そして加えて、時間がなにでありますからセットさせていただきますけれども、これは薫蒸の作業の結果こういうことになったというのですから、それそのものがおのずから汚染したのとは違うのでありますから、ならば、薫蒸の方法について今後もっといい方法がないものかどうかと思うのであります。  そして、この問題についての最後に、これは確かにいいことですよ、危険なものを食べさせない結果になるのですから。だけれども、米に対する拒否反応を増大しますね。私は何か党の米の消費拡大委員長なそうでありますから特に感ずるのでありますが、せっかく米を食べましようと私たちが言っているときに、米というのはやはり嫌なもの、いけないものと思いますね。このことについての指導、農林省の仕事か知らぬけれども、これらのことを尋ねさせていただきます。
  241. 石川弘

    石川政府委員 今の御指摘の米自身の安全性を疑われるということのお話でございますが、そういう問題があるものはきちっと検査をしまして、今後こういうことが二度とないということで米に関する信頼感を得ていきたいと私は思っております。たまたま問題になりましたものはかなり年限を経たものでございます。今後の需給状況等を考えてまいります場合に、備蓄等の積み増しをいたしましても、いわば味を確保しますためには低温倉庫等に保管して、極力そういう薫蒸等の回数を多くないようにして、安心して食べていただけるような将来の積み増しなり、回転利用の計画を私どもは考えていくつもりでございます。
  242. 市川和孝

    ○市川説明員 食品衛生法におきます基準と申しますのは、安全性と有害性の境界におきましてつくるということではございませんで、十分な安全率というものを見込んで基準をつくるものでございます。したがいまして、今回の暫定基準につきましても、お米について一層安全性確保するという観点から基準を設けたものでございます。  なお、この基準を今後食品衛生法に基づきます食品の基準とすることにつきましては検討してまいりたいと考えております。
  243. 滝沢幸助

    滝沢委員 次に、韓国米輸入のことでありますが、と言えば、輸入ではなくて返還だ、敗戦ではなくて終戦だみたいな話でございますが、それはそれ。  ところで大臣、与党の中の代議士があるところで、これは全斗煥大統領の日本訪問に対してのお土産だというようなお話をなさったと聞きましてあきれ返っているわけでありますけれども、非常に大事な時期でありますから、このようなたわけたことが与党の中から出てこないように、名誉のためにも、そうじゃないんだ、日本から要請してこういうことになったんだということを、大臣この席できちんとおっしゃっていただきたいと思うのです。  もう一つ、しかしこれは韓国米とは言うけれども韓国そのものが輸入しているんでしょう。なれば、一部新聞等韓国経由のカリフォルニア米というようなことを言っているわけですが、これは本当に韓国産米ですか、韓国所有米ですか、いずれでございましょうか。
  244. 山村新治郎

    山村国務大臣 まず最初に、韓国の大統額の訪日に対するお土産ということでございますが、このようなことはないと思います。これはあくまでも、韓国で米が足らないときに日本がお貸しした、その当時は現物でお返しをいただくというような契約であったそうでございます。ところが返還をしていただく時期になりまして、日本過剰米を抱えておる、そしてまた韓国の方では米が足りないということで、現金にということで両国で合意したといういきさつがあるそうでございますので、これは韓国日本が米を貸したのに対する韓国側の好意のあらわれであるというぐあいに考えます。  また、韓国で米を輸入しておる、その米が回ってくるのじゃないかということでございますが、これはあくまでも五十六年度以降の韓国産玄米ということでございますので、この点はひとつ御安心いただきたいと思います。
  245. 滝沢幸助

    滝沢委員 よくわかりました。  そこで、これは過ぎたことでありますけれども、これを決定する前に農業団体生産者の代表というような方々と事前に話をつけてなさればよかったのではないかと思うのですが、なさったのかどうか承りたい。  とともに、実は今いろいろと議論を承っておりまして、一体日本には今米が本当に幾らあるのか。そしてそれは、五十三年米がいろいろと議論されておりますが、もっと古いものもあるのかどうか。そこで、いろいろここで申し上げると時間も経過しますし、お答えはなかなかはっきりしませんので資料の要求をいたします。  日本にあるすべての米の生産年そしてその量、そして保管されている場所及びその量、そして今後のこれが使われる計画というものを、時間はかかって結構でありますから、委員会を通じてちょうだいできますように委員長においてお取り計らいを願いたいと存じます。
  246. 衛藤征士郎

    衛藤委員長代理 資料の点につきましては理事会で検討いたします。
  247. 滝沢幸助

    滝沢委員 どうぞよろしくお願いします。  それでは、先ほど申し上げた農業団体等のことについて一言。
  248. 石川弘

    石川政府委員 韓国米返還問題につきましては、五月二十八日の段階で農業団体等の関係団体に説明を行いまして理解を求めたようでございます。しかしそれより先に新聞報道しているという事実がございます。
  249. 滝沢幸助

    滝沢委員 新聞報道した、新聞がけしからぬという言い方は通用しませんで、最初それを思ったらすぐに相談すればいいのですよ。それは新聞に本当のことを書かれただけの話でしょう。かつて増産増産というときも協力して日本の戦争を戦ってきたんですね。そして敗戦後にも増産増産ということで御自分の食べ物すらも供出してきたんです。そして国の政策が変わりまして、今度は減反と言われればその減反にも協力したんじゃありませんか。それらのことを考えますれば、大きな政策の転換前にはやはり生産者農民に御相談なさるのが倫理じゃありませんか。ロッキードだけが倫理じゃありません。それを新聞が先に書いたのがけしからぬという言い方はこれは全くいけない、このように存じまして、過ぎ去ったことを責めているわけじゃありません、どうぞひとつ、今後生産者農民とともに日本農政を開いていくんだという御決意を披瀝願いたいと思うのです。
  250. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回のこの五十三年産米に端を発しまして韓国米現物返還という不手際、これはまさにあったと思います。まことに遺憾でございます。  今後、先と言われますように生産者農民の皆さんと相談いたしまして、今先生が言われましたような戦中戦後、農民の皆さんの御協力によりましてここまで日本の食糧というものを確保してきたわけでございますから、それらを念頭に入れて対応してまいります。
  251. 滝沢幸助

    滝沢委員 次に、他用途米、これはまことにわけのわからぬ名前であり、また措置なんですけれども、これは何か実質上は市町村長ないしは市町村の農協等の御協力によって措置されているようであります。実は市町村長さんが今直面している一つの悩みは、安いんでしょう、だからその分をひとつ町で持ってくれというようなことを言われて困っていらっしゃると聞くのでありますが、これは国会に対してはどのような手続をされたものでありましょうか。そして、例えば食糧管理法等のいわゆる法的根拠はどういうことでありましょう。  時間がなにでありますからひっくるめて聞かせていただきますけれども、あれはことしから植えたんですかな。いずれにしましても、面積はどれだけで、しかも収穫の見込みはどういうことでありましょうか。そして、これを一日も早く一般のいわば食品の米に繰り込んでくれという要望は切なるものがあるのでありますが、こういうようなことをひとつ一括して、いかがなものでありましょうか、大臣の政治家としての御判断、今後のこともあるわけでありますから。あとなお事務的にあるならば、その点は局長どうぞ。
  252. 石川弘

    石川政府委員 他用途米は、形といたしましては水田転作の一環でございまして、第三次の水田利用再編対策を立てます際に、転作そのもの、他の作物というのではなくて、他用途米生産いたしまして、それをもって国内加工需要にこたえるということで組み込んだものでございます。姿としましては、生産者団体加工米の実需者、これはおせんべいとかみそとかつくっていらっしゃる方々団体との契約によって行うということで進めておるわけでございます。当初二十七万トン程度生産を予想いたしておりまして、これにつきましては水田利用再編対策の方でトン当たり七万円の助成をするという形が決められておるわけでございます。  それから、今おっしゃいました市町村等での援助といいますのは、転作等につきましていろいろ県あるいは市町村というような形で独自に援助をなさっている場合もございまして、そういうものの一環としてそういう要請がなされておると思いますが、これは私どもとすれば、国内のそういう需要に対して国内でこたえるということになりますと、非常に多額の財政負担を伴いますような場合には、主食に対する以上に大きな負担をするということは消費者の感情からもなかなかできない。しかし、できるだけこういう原材料も国内でつくりたいというお話の上で発足をさせたわけでございます。  今御指摘のように、生産者団体の方からはこれを主食にというお話があるわけでございますけれども、先ほどから申しておりますように、食管の立場から申しますと、主食需給も大切でございますが、加工原材料につきましてもやはり供給責任があるわけでございまして、この他用途米につきまして、何らかの他にかわるような供給の方法が確立されない限りは、これは加工原材料用を不足させるということに結果としてなるわけでございますので、主食用への転用というのはなかなか困難を伴うことであろうと思っております。
  253. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 第三期対策を仕組みます場合の需給計画と申しますか、計画上としましては、生産調整数量の中に数量にして約二十七万トン、面積にして約五万六千ヘクタール、これが第三期対策を仕組みました場合の他用途米のいわば計画上の数量でございます。第一年であります今年度に、簡単に言えばこれがどのくらい出てくるかという問題は、まだ市町村なりの段階で取りまとめ中でございまして、具体的に私どもの段階では、実際にどのくらいの数量あるいはこれを換算しました面積がどのくらいになるかということはまだ判明しておりません。
  254. 滝沢幸助

    滝沢委員 今おっしゃいましたけれども、どれだけ出てくるかは市町村の方で取りまとめなくちゃわからぬというようなことですよね。極めてずさんだと思うのです。  それで、原材料の、いわゆる加工用のこういうものだから主食とは分けたいとおっしゃるのだけれども、今までは同じ米を使っていたんでしょう。こういう、ふうな原材料として使うことは、去年、ことし始まったんじゃないのですよ。昔からせんべいだってあったんです。そうでしょう。ですから、新しく需要が出たんじゃないのですよ。需要の状態はもとからあったんです。それに対して、それに使う分は別だという言い方をしてこられたわけだけれども、今までは主食の米、一緒のものを使ったんでしょう。つまりは日本に米が不足してきたので、その減反を緩和したということと一緒じゃありませんか。  なれば、この原材料に回すようなことと分けないで、物が違うのじゃないのですから、同じ米なんですから、あの青田刈りまでさせて減反を強制しておきながら、一方こちらで、農業団体が農家と相談して加工用のいわゆる他用途米ならばつくってもいいよ、どのくらいつくったか、どのくらいできてくるかは後にならなくちゃわからぬよみたいな話では、減反に涙をのんで協力して、自殺までしている歴史を見れば、計画ずさんと言えませんか。
  255. 石川弘

    石川政府委員 御承知のように過去におきましては、加工原料は歴史的に申しますと輸入に頼っていた時代もございます。たまたまここ数年の間は過剰米がございまして、過剰米処理の形態で、いわば安値払い下げでやってきたわけでございます。ところが、過剰米の処理が終わる段階になりました際に、これをどのように供給するかということを生産者団体とも相談したわけでございますが、農民手取りが下がるというマイナス面はありますけれども、やはり国内で極力自給をしたいということもございまして、転作計画の中に、国ももちろん助成をいたしまして組み込んだわけでございます。  この計画自身は、三期の対策を組みます際に、都道府県、市町村はもちろん農業団体もみんな入っていただきましてやったことではございますが、現在の状況で申しますと、この韓国米輸入問題等を契機にいたしまして、農家の方は大変御不満だということはよく承知をいたしますが、これはあくまでそういう国内供給するんだというお話から始まった措置でございますので、そのあたりの今後のいわば展開ということがうまくまいりませんと国内供給が不可能になる、そういう事態になっているわけでございます、
  256. 滝沢幸助

    滝沢委員 他用途米は、政府の方ではわかっても農民の方ではわからぬ、これが結論だと思いまして、一日も早くこういうようなものをまともな主食用と一緒の取り扱いにして、減反を緩和されるように要望しておきます。  ところで、備蓄でございますが、この必要性は言うまでもございません。私たちは二百万トンぐらい必要と思っておりますが、政府の方は百五十万トン、これは結構でしょう。ところが、この備蓄のために幾らぐらいの予算がかかりますか。
  257. 石川弘

    石川政府委員 需給操作の規模をふやしますればそれなりに要るわけでございますけれども、御承知のように我々の考えでおります備蓄は、積み上げておいて……(滝沢委員「幾らかかるかというその数字だけで結構です」と呼ぶ)トン当たりで言いますと、最初の年にたしか七万ぐらいの費用がかかると思います。それだけの規模がふえてまいります。
  258. 滝沢幸助

    滝沢委員 全体で幾らかかるかを聞きたいのですが、幾ら備蓄できるかがわからぬわけですから答えられなくて、トン当たり七万というようなことだと思いますが、いずれにしましても、私は、日本が今食糧を備蓄するということは非常に大切なことだと思うのです。これは食糧防衛ないしは安全という言葉が出てきましたほどに国家の独立と安全と平和のためには欠くことのできない課題であります。ゆえにこそ、日本は今、防衛もどうにもならぬ、教育もどうにもならぬ、食糧もどうにもならぬ、国家独立、安全、平和の三原則が全部どうにもならぬことでありますが、せめて食糧の備蓄だけはきちんとやろうじゃありませんか。そのために、かつて石油がそうでありましたように特別会計で備蓄のことをきちんとやっていただこう、食管の取り扱いだけでは不十分ではないのかな、こういうふうに思うのでありますが、大蔵省並びに農林大臣の所見をちょうだいしたいと思います。
  259. 石川弘

    石川政府委員 食糧管理特別会計自身、特別会計でございまして、備蓄しますものも回転させながら通常の米の需給に使ってまいるわけでございます。積みつ放しにしておきますれば、それは使わなければいわば廃棄になるわけですが、私どもは通常の米の需給の中へ入れて回転をさせてまいりますので、先生の御指摘の趣旨はそういうものの財源を確保しろという御趣旨であろうと思いますが、それは一般会計からの繰り入れという形でつなぐわけでございまして、備蓄のために別途特別会計を設置する必要はなかろうと思います。
  260. 寺村信行

    ○寺村説明員 現行の財政法の規定によりますと、特別会計を設置いたします場合は、特定の事業を行う場合、それから特定の資金を運用する場合、それから特定の歳入をもって特定の歳出に充てる場合、三つの場合に限定されているわけでございます。ただいまの委員の御提言は第一の場合に当たると思いますが、現に食糧管理特別会計がございますので、その中での一体的な運用が妥当ではないかと考えております。
  261. 滝沢幸助

    滝沢委員 それは意見として承っておきますが、我々は、特別会計で備蓄をきちんとせよということをひっ提げて今後努力をしてまいりたいと思いますので、記憶をしておいていただきたいと思います。  ところで、私はこの備蓄について、いっかも予算委員会の分科会で申し上げましたが、もみ備蓄することがよろしい、二十年でも三十年でもしまっておくことができる。しかも、あれは生き物ですから、紙の袋に入れることが間違いなんです。ですから、これは俵を——昔は農家は俵をつくり、かますをつくって、その金も政府からもらったのです。ところが、今は逆に袋代を出して、これが製袋業者にいくわけでしょう。ここら辺に一つの課題があるわけです。  もう一つは、私は、農家自身に、生産者に保管させろ、そうなれば、一朝事ある、焼けた、爆撃されたとしたって何百万トンも一緒に吹っ飛ぶということはない、こういうことですよね。これはしかし、私の一つの政治生命をかけた提言としてひっ提げていくわけでありますけれども大臣、ひとつこういう話にも耳を傾けていただきたい。役人さんに言わせれば、それは倉庫が倍必要だよということで終わってしまうのです。だけれども、これを年次計画で農家に倉庫を持たせる、そのことについて、例えば新築しましても免税措置を講ずるとかなんとかの方法があろうと思うので、大臣、ひとつ御意見を……。
  262. 山村新治郎

    山村国務大臣 確かにもみでの備蓄は一つの考え方であろうと思います。先生がおっしゃいましたのをひとつ検討させていただきたいと思っております。
  263. 滝沢幸助

    滝沢委員 時間が迫ってまいりましたからはしょらせていただきますけれども、基盤整備事業に対しまして、実は何かことしは一兆四千九百二十五億ですか、一兆五千億ばかりをお使いになる、結構なことでありますが、これに対して受益者の負担は千七百二十二億というのだそうでございます。ところが、計画を承りますと三十二兆を六十八年までですかにお使いになる、十年間の計画だそうでありますけれども、この率でいきますと、臨調なんかもゼロシーリングということを言っておりますから、これは達成できないわけです。そしてまた、世界の食糧の事情の変遷、また連年の不作、これらを見ますと、画一主義に三反歩の田んぼをつくるというようなことではやっていけないのではないか。つまり、この基盤整備、土地改良の事業についての計画を見直す必要があると思うのですが、いかがですか。
  264. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 お答えいたします。  先生今御指摘のとおり、第三次の土地改良長期計画の事業量は、五十八年から十年間で三十二兆八千億円を予定いたしております。また、最近の財政事情は非常に厳しいものがございまして、国の公共事業関係の長期計画はいずれも進捗状況がおくれぎみでございまして、土地改良の長期計画につきましてもその例外ではございません。昭和五十八年から五十九年までの二年間の進捗率は、事業費を基礎として見ますと一一%程度になっております。しかしながら、この計画は五十八年度に策定されたばかりでございまして、やっと二年目を迎えたというところでございます。私どもといたしましては、現在のところ計画を見直す、変更するということは考えてないわけでございます。したがいまして、これから基盤整備事業を計画的に推進していくわけでございます。それが必要でございますので、今後ともその達成に向けまして努力をしてまいりたいと思います。  また、農業基盤整備事業を実施いたします場合に、もう少し実態を見て効率的に実施をしてはどうかという御意見でございます。例えば三反区画の圃場整備につきましても、もう少し弾力的な対応が必要ではないのかという御指摘でございますが、これにつきましても、私どもといたしましては、原則にとらわれまして画一的に三十アール区画にするというようなことは考えておりませんで、地域の自然的な条件あるいは経済的な条件に応じまして弾力的に設計をしていく、事業を施行していく、こういうことに心がけてまいりたいと考えております。
  265. 滝沢幸助

    滝沢委員 ところで、さっきもいろいろ数字のやりとりがありましたが、我が国の潜在生産力は幾らなのか、そしてそのうちの水田面積は幾らなのか、うち転作している面積は本当に幾らなのか、これをきちんとおっしゃっていただくとともに、私は先ほど良質米奨励金、これはいろいろとありましたが、ぜひとも残すように、大蔵省もいらっしゃいますけれども、それなくしてはやっていけないというふうに思うのでありまして、ひとつお願いをしたいと思います。  もう交代の時間になりますから、これらの話の結論として、減反政策は少なくとも誤りであった、でなくとも成功しなかったというふうに見直す必要がある。これは、歴史的な一つの大きなる課題としてそのようなものである。これはだれがいいとか悪いとか言っているわけじゃありません。減反政策をここに見直して、農政を基本からいわば再出発して、食糧の安全と国の独立を守っていこう、こういうことになろうと思いますが、最後に大臣、ひとつ力強い決意を拝聴したいと思います。
  266. 山村新治郎

    山村国務大臣 減反政策につきましては、第三期水田利用再編対策を、本年度の需給状況そしてまた作況等を見た上で、備蓄等をどのようにするかを含めまして弾力的に運営してまいりたいというぐあいに考えます。
  267. 滝沢幸助

    滝沢委員 数量等に答弁がまだないのがありますが、時間でありますし、交代させていただきます。  ありがとうございました。
  268. 衛藤征士郎

    衛藤委員長代理 木下敬之助君。
  269. 木下敬之助

    ○木下委員 いよいよ来週二十四日、二十五日と米価審議会が開かれますが、米価はこの六年間据え置かれたり、ほんの少ししか上がらなかったりで、結局六年間で六%しか上がっておりません。その間に物価は二七%上がり、平均賃金は四〇%上がっているのに、米価だけがこのありさまであります。まことに不合理なことでありまして、米作農家の皆さんは、ことしこそは一万九千三百八十四円の要求米価を何としてでも実現してほしい、こういう思いでいっぱいであろうと思います。その上、一期、二期、三期と水田対策による減反をさせられ、思うような収入の図れない転作を余儀なくされてきたところに今回の突然の韓国米輸入という事態が起こったのですから、ことしの米価は要求米価の実現ができないならば政府に協力はできない、何らかの実効ある手段に訴えるしかない、このような決意を固めておられるだろうと思います。  私のところに寄せられました一般の農家の方々の生の声を二、三紹介いたしますと、偉い役人の方々は米は植えておけば勝手に育つものと思っているのではないか、米づくりの苦労を知っているのだろうか、こういう声。また、来年の減反に農家は協力するつもりはない、また、他用途米を出さないよう申し合わせている、こういったことを言っておられるわけですが、農家の方々の怒りがひしひしと伝わってくるわけでございますが、こういう状況を政府は一体どのように考えておられるのか、ことしの米価に対する政府のお考えをお伺いいたします。
  270. 山村新治郎

    山村国務大臣 本年度の生産者米価につきましては、今先生おっしゃいましたように、二十四、二十五日と本米審を行います。そして十九、二十日と前広米審を行いますが、例年ですと一日の前広米審ということでございますが、本年は特に米価審議会の御意見をよくお聞きしてということで、一日ふやしました。  本年の生産者米価の取り扱いにつきましては、現在事務局におきまして生産費、物価、賃金そのほかの経済事情につきまして資料に基づき鋭意検討しておるところでございます。これを踏まえまして、食管法の規定に従いまして、再生産確保を旨といたしまして米価審議会の意見を先ほど言ったように十分お聞きいたしまして、適正に対処してまいりたいというぐあいに考えます。
  271. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣には、何度も農産物の輸入自由化の問題その他でお考えを伺いました。そのたびに、一応言葉の上で一生懸命やろうという大臣の気持ちは伝わってくるのですが、現状はなかなかそうなりませんし、この六年間を見ましても、当然物価が上がっていく中で米価も上がってもらいたい、また、そうあるべき米審のあり方であろうと思いますが、その米審が十分な機能をしないままこういう状態である、何かおかしいのじゃないかという感じを持っているのですね。  再生産ができるような米価をと申されますが、農機具や肥料等の米の生産費に直接関係してくる物価は年々確実に上がっております。先ほど申しましたように、六年間ですと二七%になるほど上がっている。米価というのは少なくとも物価上昇には合わせるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  272. 石川弘

    石川政府委員 御承知のように、三十五年以来生産費所得補償方式という算定方式がございまして、この中では具体的に農機具費、肥料費、肥料につきましては、これは過去三年の姿を使ってそういう実際に要したものを算定いたしますし、それから労働費、これは家族労働費等は、御承知のようにいろいろ見方の差はございますけれども、都市の労働者の方々の賃金に置きかえる、そういう形でやっているわけでございます。したがいまして、毎年毎年のその動きというものは、若干はならされますけれども、中に入っているわけでございます。そういう上がります要素と、例えば合理化によって労働時間が少なくなってくるとか、そういう合理化要素が片方にありますとそれはマイナスに働く、その連続の線上で成っておりますので、この生産費所得補償方式をとっておりますことはそういう意味で資材費の物価スライドだけという形とは違っておりますので、個別の農家の方におかれましてはやはり資材費の毎年毎年の上がりみたいなものが強く印象に出てくると思いますけれども、方式とすればそういうものを織り込んで、もう一つは実際に支払われる労賃ではなくてそういう都市均衡労賃に評価がえしてやるという方式で算定をしているわけでございます。
  273. 木下敬之助

    ○木下委員 今のような答弁を聞いた農家の方が、先ほど申しましたような偉い役人の方々は米は植えておけば勝手に育つと思っているのではなかろうか、こういう感じになるのだと思います。  そういった農機具等の物価の値上がりだけじゃなくて、物価が上昇すれば当然生活にもいろいろな関係がございます。米作農家の方々の生活必需品も確実に値上がりしていっているわけですが、このように物価が大幅に上昇する中に取り残されておる米価によって収入を抑えられた人々の生活の苦しさをどう考えておられるのでしょうか。物価は二七%も上がるのに収入はわずか六%増に抑えられてどうやって生活しろと言うのか。余りにも米作農家の生活を無視したやり方ではないかと思うのですが、この点はどう考えられますか。
  274. 石川弘

    石川政府委員 農家の方々の生活という面におきましては、御承知のように農業収入、農外収入、いろいろなものがあるわけでございますが、そういう形の中で、どちらかと申しますと稲作の収入の規模自身がだんだん小さくはなってきておりますけれども、そういう面で、結果的には農家の方々は稲作収入が余りふえない部分を他の収入で補ってきていただいているのが現状じゃなかろうかと思います。  先ほど御指摘のありましたように、そういう意味では大変大型の専業の稲作農家の方々にかなりの問題が出てきているように思いますけれども、先ほど算定方式を申し上げましたところ、役人の計算と申されたわけでございますが、実はこういう算定方式の使い方につきましては農業団体方々とかねがね私ども話しておりまして、話しておりましたそういう物の考え方の積み重ねがこの生産費所得補償方式ということになったわけでございます。  問題は、その中でどんな数字を使うか。例えば私どもが都市の方々との収入を比較します場合に、五人以上千人未満の都市の労働者の方の賃金と合わせようということを申し上げますと、農業団体の方は、五人以上、青天井と言うのですが、上を切らないところまでとってくれとか、そういうぐあいに要素要素を一つ一つ検討してみますと、そんな大きな、考え方が全く違うというものじゃございませんで、そういうことの積み重ねが現実の米価でございます。私ども、そういう生産者から直接お伺いすることもございますし、生産者の指導組織の方々ともよく相談をしておるわけでございまして、こういう算定の仕方なり考え方なりというのは極力農家の方にもわかっていただきたいと思っております。
  275. 木下敬之助

    ○木下委員 その物の考え方は大差がなくて、それを積み上げていると言う。その、大差はないけれどもほんの少しある差を積み上げていくと、物価は二七%上がるのに米は六%しか上がらない、その誤差の積み重ねが六年間でこれだけ出ているわけですから、ちょっとの差と言わずに、出てきた結果を見て判断なさっていただきたいと私は思います。  この数年物価は上がり、日本全国平均賃金は四〇%も上がっているのに、据え置かれた米価による収入ではやっていけない。やっていけないはずのところを、今も言われましたようにそれぞれいろいろと努力して副収入の道を見つけて、出稼ぎに出たり日傭取りに出たりして生活を支えてきた、こういうのが実態であろうと思います。しかし、このところ景気が悪くて土建業も仕事が少なくなってきておりまして、その副収入の道も閉ざされてきております。  こういった農家の生活のことに十分配慮した米価でなければならないと思いますが、政府はこういった点を踏まえて、ことしは一万九千三百八十四円の要求米価をそのまま実現させるべきだと考えますが、どうですか。
  276. 石川弘

    石川政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたように、各要素を積み上げながら計算をしておるところでございます。それと、前広米審その他で米価審議会の御意見も聞かせていただかなければなりませんし、関係団体ともよく御相談をしようと思っております。
  277. 木下敬之助

    ○木下委員 私の言っているところにはなかなか入ってこられません。今言われたように、農家の生活実態が反映しない今のような米価の決定の考え方とシステムでは、本気で一生の仕事として米をつくる人はいなくなってしまう、こう思います。私は、このままでは日本の農業の将来はまことに暗いものだと考えています。何とかして安心して米づくりに励める環境を整備して、先の見通しのある農業にしていかないと、日本農業の未来を背負ってぐれる後継者はいなくなっていく、このように思います。  後継者どころか、先日の武道館で行われました米価要求の大会で婦人の代表の方が言っておられましたね。余りにも報いられない姿を見ている娘さんに、お母さんやめたらどう、こう言われる、こういうふうに語っておられました。私はあの大会へ行ってこの話を聞いていて、女性の悲痛な声を聞いていて胸がじんとなったのですけれども大臣はどうですか。大臣はあのときはおられなかったと思いますけれども、こういう話を聞いて何も感じませんか。どこかが間違っていると思われませんか。  こんなふうに生活実態と理屈とがだんだん離れていく。どんな理屈をつけた米価の決定をしても、農家と農家の未来がこんな暗い米価では、私はその米価は誤りである、このように思います。お答えください。
  278. 山村新治郎

    山村国務大臣 又聞きでございますが、雰囲気はよくわかるつもりでございます。ただ、日本の農業、特に土地の狭いところでの農業、これを考えますときに、今の米価というものを、生産者の方に再生産を、そしてまた消費者の方には安定的にできるだけ安い価格でということで、本当の難しいところに立っておるわけでございますが、何にいたしましても、各方面の代表の方がお集まりでございますので、米価審議会等の意見をよく聞きまして、そして適正な価格というものを決定していきたいというぐあいに考えます。
  279. 木下敬之助

    ○木下委員 米の問題、食糧の問題は日本の安全保障の見地からまことに重大であり、一国の根本ともいうべき問題でございますから、後継者が育たないところか、やめようという人がいるというこの現状をもっと逼迫した切実な問題として、今すぐ取り組むべきである、このことを強く訴えておきます。  残り時間しあと少してございますので、一、二問お伺いいたします。  多量の臭素の残留が認められ、食用に適さないことになった五十三年米のその後の検査と出荷の状況をお伺いいたします。
  280. 石川弘

    石川政府委員 検査の結果適合しましたものとしまして通知をいたしましたものが、六月の末までに三万九千トンございます。七月になってから新たに通知したものを加えまして、現在のところ五万二千トンまで基準適合という状態になっております。
  281. 木下敬之助

    ○木下委員 五万二千トンは適合したその検査で、五〇ppm以上ということではねられた米というのは今後どうするおつもりですか、お伺いいたします。
  282. 石川弘

    石川政府委員 この使途につきましては、いわば安全性で問題になったものでございますから、使い方としましていろいろな使い方はあり得るわけでございますが、それには、そういう使い方をした場合本当に大丈夫かどうか。例えば、端的に言いますと工業用アルコールみたいなものにはほとんど問題はないと思いますけれども、その他の用途等に使います場合には、そういう用途に使い得るかどうかという安全性の確認がやはり必要でございますので、そういうことも今勉強いたしております。これは管理の面から申しますと、そういう使い方がはっきりしました際には極力早くそういうものに回すという形で考えております。
  283. 木下敬之助

    ○木下委員 五〇ppmという線で片方は適合、片方はもう食用じゃない、そういう非常に細かい線で分けるわけですから、これはお百姓さんが大変な苦労をしてつくった米でございますから、危険なものを食用に回す、これもとんでもないことですけれども、同時に、まさにお米なんだという気持ちもちゃんと持って厳密に当たっていただきたい、そのように思います。そしてまた、この臭素というものが一応五〇ppm以上のものはだめだと言われた。これは一体我々が間違って食べているとだんだん蓄積してくるものかどうなのか、また家畜等が食べればどんなふうになるのかとか、どうぞひとつちゃんとした研究をしてやっていただきたい、このように思います。  この臭素米発覚によって急速韓国米輸入するようになったことはまことに遺憾でございまして、このような事態を招いたその責任は重大でございます。何とか国内で買い集める道はないものか、残念でなりません。しかし、これはもうそういうことでございますが、この輸入することになった韓国米は間違いなく韓国産米なのか、またその米は安全なのか、そしてその安全性はどうやって確認するのかをお伺いしたいと思います。
  284. 石川弘

    石川政府委員 安全性につきましては、まず日本に出してまいりますすべての倉庫から検体を送っていただきまして、十六の安全項目につきまして検査をして、安全であるという確認をした上で現地でもみずりをいたしまして輸入をしてくるつもりでございます。  それから、明らかに韓国の統一という種類の米でございます。
  285. 木下敬之助

    ○木下委員 じゃ、時間が参りましたので、これで終わります。
  286. 衛藤征士郎

    衛藤委員長代理 中林佳子君。
  287. 中林佳子

    ○中林委員 十四日に韓国産米の輸入についての協議がまとまり、これによって七月末から韓国産米の輸入が始まることになるわけですが、この問題が明らかになってから、韓国産米の輸入に反対する声は農家、消費者問わず今や国民的な世論となってますます広がっているところです。そして、輸入という事態を避けるために農家は農家でぎりぎりの努力をしようと提起もして、実際の行動にも出られました。我が党も、輸入しないで済む手だてをこの委員会でもあるいは申し入れなどにも繰り返し提起をしてまいりました。にもかかわらず輸入を強行するということに、強い憤りを覚えずにはいられないわけです。  改めて大臣にお伺いするわけですが、今回の輸入という措置が、農水省としてとり得る最善の道であったというふうにお考えなのでしょうか。
  288. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の韓国に対して貸し付けた米の現物返還という問題につきまして、先ほどこれをする手続等についていろいろおしかりも受けましたが、これは確かに言われたとおり、もっと各方面へ呼びかけてということもあったかもしれません。これは、その点配慮が欠けたということは認めざるを得ません。  しかし、今回の現物返還というのは、これは加工原材料用米に限るという、いわゆる緊急避難的なことでございますので、ひとつ関係各位の皆さんの御理解をいただいて、何とか今後とも御協力いただきたいという気持ちでございます。農林水産大臣としては、まことに遺憾でございました。
  289. 中林佳子

    ○中林委員 最善ではなかったということをお認めになっております。  私どもは、いろいろと緊急増産、間に合うんだという提起をしながらそれをおやりにならなかった意味で、二重三重の意味で政府の今回の輸入決定という協議をされたことに強い抗議の意思を表明して次にお伺いするわけですが、今回の韓国産米の安全性の確認についてはどのような方法でおやりになるのか、その際どういうものについてチェックをするのか、また、全部で何検体ぐらい検査をなさるのか、その点お答え願います。
  290. 石川弘

    石川政府委員 返還を受けます米穀安全性の確認につきましては、韓国側協力を得まして、船積み前に返還米穀の所在いたします全倉庫からサンプルを採取いたしまして、我が国の食品衛生法上指定されました機関で分析をしまして、その分析の際には十六の項目につきましての分析を必要といたしておりますけれども、そういうことをやりました上で適合したものを現地におきましてもみずり調製いたしまして、玄米の姿で国内へ持ってぐるということでございます。  検体の数につきましては、現在向こうの方と相談をいたしておりますが、全部の倉庫からいただいてくるということになっております。
  291. 中林佳子

    ○中林委員 食品衛生法上では十二品目ですね。それが四品目ふえたということはどういう根拠でそうなっているのか、それぞれの品目について具体的にお答えをいただきたいと思います。
  292. 石川弘

    石川政府委員 今度問題になりました臭素、それからそのもとになります臭化メチルなり燐化水素というものを加えております。そのほか、カドミウムでございます。
  293. 中林佳子

    ○中林委員 農水省としては、韓国で米に使われている農薬についてはきちんとつかんでいらっしゃるわけでしょうか。その際、万が一日本で禁止されているものが使われている場合など、これ以外の農薬、有害物質について検査をするというお考えはないのでしょうか。
  294. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 韓国で使われている農薬の実態については、具体的な正確な資料はございませんけれども、技術的な視点から見ますと、韓国の稲作と日本の稲作が病害虫その他いろいろな点で大体同じような状況にあるというふうに考えております。したがいまして、農薬の種類等もかなり日本と似たようなものが使われていて、具体的には、一部日本でつくられました水稲用の農薬が韓国へ輸出されて使われております。  一方、韓国国内での農薬の規制については、聞くところによりますと、日本の農薬取締法とは若干体裁を異にしますが、登録制度による農薬の規制が行われている、かように承知しております。  なお、その農薬を使用しましたものの日本に参りましてからの検査等は、食品なり食糧としての安全性についての検査等が行われるわけでございます。
  295. 中林佳子

    ○中林委員 日本と同じような、余り詳しくはわからないというようなことで、今挙げられた十六品目以外の検査は行われるのかどうかというお答えはなかったわけですが、実際に倉庫ごとの検体を調べるとおっしゃっているわけですが、倉庫にどこの米が来ているのかということは調べればわかると思いますのぐその倉庫に来た米に使われた韓国の農薬、これをぜひ調べていただいて、日本で使用禁止をしているようなものが万が一使われているというようなことであれば十六品目以外にも検査をする必要があると思うわけですけれども、その点についてはいかがですか。
  296. 石川弘

    石川政府委員 一般論として申し上げただけではなくて、どういう農薬を使用しているかということを向こうと協議をいたしておりまして、先ほど農蚕園芸局長お答えしましたように、日本とほぼ同じものの農薬を使った栽培が行われている、それを前提にしましてやっておりますが、一部不明な点があるので調査をいたしておるところでございます。そういうものは何ら問題がなければいいわけでございますが、その調査の結果をまちましてやりますが、私どもが今得ている情報では問題がないということは聞いておりますが、さらに調査をいたしておりますので、その結論を得まして厚生省とも相談をいたすつもりでございます。
  297. 中林佳子

    ○中林委員 安全の上にも安全を重ねなければならないというふうに思いますので、十六品目以外でも調査が必要だというような農薬がもし使われていれば、ぜひ検査の方を強めていただきたいと思います。そして、その検査の結果、これは公表するおつもりがあるのでしょうか。ぜひ公表していただきたいと思うのですが。
  298. 石川弘

    石川政府委員 これは双務的なものでございます。向こうから提供されましたものでやるわけで、私どもの方はだめなものは入れないということははっきりしているわけでございまして、そういう意味で入ってくるものは我々の検査に合格したものを入れるということでございます。何か公表というような性質のことではなかろうと思っております。
  299. 中林佳子

    ○中林委員 信じないわけではないのですけれども、ただ、基準をオーバーする臭素が発覚したことからこの問題は出ているわけですから、そういう意味では、全国民が韓国産米についての安全性は注目をしているわけなんですよ。ですから、私は、別にこれを公表しないという理由はどこにもないと思いますので、ぜひ公表していただきたいということを重ねてお伺いしますが、どうでしょうか。
  300. 石川弘

    石川政府委員 私どもは、安全に問題がある検体がありましたらそれは入れないということははっきり言っておるわけでありまして、私どもとすれば国内に入ってくるものが確実に安全であるということははっきり申し上げられますが、今回のような性質のことでどこの何がどうであるかということを何か申し上げることは、提供されます韓国との関係等もございます。そういうことも考えまして、私どもは、国内には問題のないものを入れるということははっきり申し上げられると思います。     〔衛藤委員長代理退席、田名部委員長代理着席〕
  301. 中林佳子

    ○中林委員 韓国との関係があるというふうにおっしゃるわけですが、私は、韓国の国民にとっても安全なものを食べるという点では共通したものがあるということで、韓国に対して御迷惑がかかるというふうには思わないわけです。ですから、委員会として、韓国産米の検査の結果を委員会にでも公表していただければだれもが納得するのではないかと思いますので、委員長にそのことをひとつ御協議いただくよう申し置いておきます。
  302. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 後刻理事会で検討させていただきます。
  303. 中林佳子

    ○中林委員 厚生省にお聞きするわけですが、日本韓国産米が輸入された場合、それについての安全性の検査はなさるというふうに聞いているのですが、その際どういうものについて検査をなさるのでしょうか。
  304. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  今回輸入されます韓国産米の安全性確保につきましては、厚生省としては、日本に到着した時点で食品衛生法に定められております米の残留農薬、十二農薬及びカドミウム並びに今回五月二十八日に暫定的に定められました臭素等十六項目について検査を実施したい、このように考えております。そのほか、韓国の米への農薬の使用状況等を農水省その他関係方面からいただきました場合、必要と認められる項目が出てまいりましたら検査も実施してまいりたい、このように考えております。
  305. 中林佳子

    ○中林委員 農水省の方にも要望しておきましたけれども、厚生省でも、韓国で米についてどういう農薬が使われているかということをよく把握していただいて、一部では重金属などの汚染が心配されているというようなことも言われているわけですので、そういう危険性のあるものについては念には念を入れて検査をしていただきたいと思うわけですけれども、もう一度よろしくお願いします。
  306. 玉木武

    ○玉木説明員 今の御質問の趣旨を踏まえて慎重にやってまいりたいと思います。
  307. 中林佳子

    ○中林委員 それで、厚生省としてはこの検査の結果は公表されるおつもりがあるのでしょうか。ぜひ公表していただきたいと思うわけですが、それと同時に、万一検査の結果安全性が確認されないものについてはどのように処置なさるのでしょうか。
  308. 玉木武

    ○玉木説明員 検査の結果の内容につきましては、先ほど食糧庁長官お答えになりましたような問題もございますので、農水省の方と十分検討さしていただきまして公表するかどうかについての決定をいたしたいと考えております。  また、食品衛生法違反になりました場合にはどうするかというような御質問でございますが、検査の結果、食品衛生法違反となった韓国産米が見つかりました場合には、他の輸入食品及び国内食品と同様に、食品としての流通は認められませんので、食糧庁に対しまして食糧の原料として販売されませんように申し入れいたしたいと思います。
  309. 中林佳子

    ○中林委員 厚生省の公表のことも、ぜひ委員会で検討していただきたいというふうに思います。  それで、安全性が確認されなかったものについての厚生省の見解はわかりましたが、厚生省の結果がわかりまして基準に合致しないものが出た場合、農水省としてはどのようになさいますか。
  310. 石川弘

    石川政府委員 私ども、そういう事態を避けますために、事前にサンプルをとりましてかなりの事前のことをやってから、もみずりをして入れるということをやっておるわけでございますが、今のところ、そういうことがないというような前提におります。それが万が一ありますれば厚生省のおっしゃるとおりになろうかと思いますが、そういう事態を避けますために、事前にある程度のチェックをしてからやるという方法をとっているわけでございます。
  311. 中林佳子

    ○中林委員 農水省が荷物を積み出す前にあらかじめ検査をなさるというのはわかるのですよ。厚生省として、港に入るときにチェックをする、それでこそ安全性確保されると思います。厚生省が入ってきたときにチェックをなさるというのは、これは万が一の場合も想定してのやり方ですから、可能性としては出る場合もあり得るかもわかりませんよ。その場合、農水省としては、港に来た米を一体どうなさるのですか。
  312. 石川弘

    石川政府委員 これは万が一の場合でございますが、万が一出まして、食用に流通させるわけにいかぬということでございますれば、現に五十三年産米についてそういうものがあると同様の措置をとる以外には方法がないわけでございますが、私ども、極力そういう事態にならないように、事前にサンプルをとりまして、適正な検査の結果で積み出しをしてもらうという考え方をしております。
  313. 中林佳子

    ○中林委員 先日この委員会で、韓国に貸し付けた米で、今回の十五万トンを差し引いた残りの分三十七万トンについて今後の返還方法を私が質問した際に、前長官か、残りの分の返還方法については日本国内の事情というものを踏まえて韓国側と協議をして今後決めていく、こういう答弁をなさったわけです。現在でもこの三十七万トンの返還方法は決まっていないのか、それとも、きのう付の新聞報道では、韓国米輸入は今回限りで、残りの三十七万八千トンについては従来の返還契約が生かされ、現金返還に戻ると強調している、こういう報道があるわけですが、今回の協議で現金返還という合意になったのでしょうか。
  314. 石川弘

    石川政府委員 最初現物返還の規定で契約をしたわけでございますが、途中から、先ほど大臣お話しになりましたように現金返還の規定に変えていただいているわけでございます。今回の分について特例的に現物でお返しをいただく、しかも繰り上げてお返しをいただくということをこの間契約をしたわけでございます。そのままの状態では、残りは現金返還の形になると思うわけでございますが、前長官が先生にお答えしておりましたのは、そういうものを何かこちらだけで決めたということになりますと、ああいう契約は双務的なものでございまして、向こうもいろいろなことを向こうとして提案できる機能を持っているわけでございます。したがいまして、そのことを無視して日本だけで決めたとかあるいはこうするとかいうようなことではまずいという配慮からああいう答弁をしていると思います。  私どもの態度は、私どもとすれば今後の返還現金でお願いしたいと思っておりますけれども韓国側はそれに対して、いろいろ韓国の立場として申し出られることを決して否定している、あるいはこちらで一方的にそうできるものでございませんので、そこは韓国側にも、そういう向こうの立場として日本に契約を変えるとかそういうことを提案する機能は依然として残っているわけでございます。そこを御理解いただきたいと思います。
  315. 中林佳子

    ○中林委員 きのう、ちょっと質問のことでお話ししたときに、今度の協議の中で現金返還という確認はとれたというふうに説明を聞いたのです。ですから、前の委員会よりも少し前に進んだのではないかというふうに私ども理解したのですけれども、違いますか。
  316. 石川弘

    石川政府委員 基本的に現金で返していただくのに、今回の特例的な現物返還が十五万トンについてあったわけでございます。ですから、何か別にもう一遍こちらから意思表示をしなければ、自動的に現金返還の規定が動くわけでございますけれども、ただそれは、日本の方がそうであるから未来永劫これで押し通すのだということを日本だけで主張いたしますと、韓国からいろいろ提案できる機能を奪うことになりますので、そこは双務的なものだということをお答えしているわけでございます。
  317. 中林佳子

    ○中林委員 基本は今回限りだと大臣も御答弁なさっているので、その点をぜひ踏まえて、二度とこういう輸入がないというふうにしていただきたいと思います。  さて、先ほどずっと審議の中でも出てきている中曽根総理の発言の問題ですが、遊説先の群馬で「かつて米が過剰だった時もあったが、みそ、せんべいなどへの他用途米の不足という事態が起き、(これまでの農政が)厳しすぎたとの反省もある」こういうこともおっしゃっているわけですね。  大臣にお伺いするわけですが、大臣もこれまでの農政が厳し過ぎたというふうにお考えでしょうか。
  318. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の米の需給関係は、ゆとりがあるとは言えないというような状況にあることは否定できないと思います。そして、総理も私も同じ考えでございますが、もう少しゆとりを持った需給をやっていかなければならぬ。それには、水田利用再編対策等もひとつ弾力的に運用していこうということでございます。
  319. 中林佳子

    ○中林委員 そうしますと、十五日の中曽根総理の発言の中に「減反政策については米の安全保障、備蓄という観点から、ゆとりのある農政を来年度以降進めていこうと考えている」、減反の見直しを表明されたわけですね。これまで大臣は、ことしの作況を見て弾力的に対応する、こういうことをたびたび御答弁なさっているわけなんですが、作況指数を見てということが総理の話の中には入っていないわけですね。ですから、その点一歩進んでいるというふうに私どもは思うわけです。ですから、大臣としてもこの際はっきりと、来年以降は減反の見直しを行うのだという言明をなさるのが当然だと思うわけですけれども、いかがですか。
  320. 山村新治郎

    山村国務大臣 これは需給の動向、そして作況を見た上で弾力的に運用いたします。
  321. 中林佳子

    ○中林委員 そうすると、総理がおっしゃったのはその辺が抜けていたということなんでしょうか。私は、総理がこの委員会に出席されて非常に厳しい状況をお聞きになってこういう発言が出たのだというふうに思うわけですから、作況を見てというのじゃなくて、この辺でぜひ決断をなさって今から減反政策緩和の方向は取り組まないと間に合わないと思いますので、その点を指摘して次に移りたいと思います。  昨日、行革審小委員会の報告書が出たわけですが、この報告書で生産者米価について「米の需給は当面ゆとりがあるとはいえないものの、構造的には過剰傾向にあることにかんがみ、五十九年産生産者米価は抑制的に定めるとともに、引き続き自主流通助成等食糧管理に係る財政負担の縮減・合理化に努める。」こういうふうにあるわけですが、大臣も同じようなお考えをお持ちなんでしょうか。
  322. 山村新治郎

    山村国務大臣 行革審の小委員会の報告で今委員のおっしゃいましたような指摘がございまして、これは当面の需給事情を踏まえてはいるものの、かなり厳しいものと受けとめております。  いずれにしましても、私といたしましては、生産者米価決定は食糧管理法の規定に基づきまして生産費及び物価そのぽか経済事情、これを参酌しまして再生産確保を旨として定めることとされておりますので、本年の生産者米価におきましても、そのような考え方のもとに現在鋭意検討中でございます。
  323. 中林佳子

    ○中林委員 行革審小委員会の報告書は農産物輸入自由化などと同様に財界の立場に立ったものだということがはっきりしております。大臣はこの行革審の報告に対して、農民の立場に立ってきちんと物を言うべきではないかというふうに思うわけなんです。現に建設大臣は建設委員会で行革審について、行革審の公共事業抑制方針に対しては真っ向から反論することを委員会でおっしゃっているわけなんですね。ですから、そういう意味で本当に農民の立場を今重んずるならば、大臣もこのような行革審の報告書に対して反論を唱えるべきだと思うわけですけれども、いかがですか。
  324. 山村新治郎

    山村国務大臣 私の今の御答弁でおわかりいただけると思います。いずれにしても、生産者米価決定につきましては再生産確保を旨としてということを申し上げております。
  325. 中林佳子

    ○中林委員 今までも、この委員会米価決定のときには歴代の大臣がそのようなことをおっしゃりながらそれができていないというところに大きな問題があるわけなんです。だから、生産者米価がこの六年間米の過剰だとか財政負担の軽減を理由に抑制されてきたわけなんです。この間賃金が三九%、先ほどから大臣もこの数字はちゃんと耳に入ったと思いますけれども、どの委員も言っているように消費者物価は二七%もアップしている。米の生産費の上昇は三五%以上になっているわけです。しかし、生産者米価の方は六%引き上がったにすぎないわけです。ですから、実質引き下げになっているわけなんです。稲作農家に対して過酷な価格を押しつけてきた。そのために農家経営は本当に大変になっているわけですよ。  島根県の農家経済調査によりますと、農業依存度は昭和五十二年に二四・二%、これが五十七年には半分の一二・九%になっているわけです。農業所得でいいますと、昭和五十二年には七十五万六千九百円だったのが昭和五十七年には六十万七千六百円、十五万円も落ち込んでいるわけですね。だから、農業だけでは生活できなくて、農業以外に収入を求めなければ生活ができないというのが実態なんですよ。  ですから、行革審はこうした実態と大きくかけ離れたやり方をしているというふうに思わざるを得ません。ですから、今回農業団体が要求しておられます七・七%の生産者米価引き上げは当然だと思うわけですけれども、もう一度大臣の決意を伺います。     〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
  326. 石川弘

    石川政府委員 米価につきましては御承知の算定方法がございまして、その算定方法につきます各要素につきましても、私ども今その数字に従いまして検討をやっているわけでございます。生産費所得補償方式というあの方式を使いまして、使いますいろいろな要素なり物の考え方なりも十分勉強いたしまして、政府の米価の決定の資料としてつくっておるわけでございますが、御承知のように米審等でのいろいろな御意見もあろうかと思います。そういうものを踏まえて決定をしていきたいと思っております。
  327. 中林佳子

    ○中林委員 私も直接農家の方々の実態を足で歩いて聞いてまいりました。一町二反ほど米をつくっている農家の方なんです。舟木さんとおっしゃる松江市の方なんですが、五十八年の収支を見せてもらって驚いたのですが、米による収入が百九十七万円、それに対して肥料、農薬、農機具、一般生産資材などの支払いが九十五万円、この上に小作料、土地改良費、租税などの請負担が三十一万円、残るのがわずか七十一万円なんです。夫婦二人で朝早くから働いて二人の労働報酬がこれになるわけですから、月に直すと五万円とちょっとなんですね。これで生活できないのは当たり前です。ですから、だんなさんは一月から四月の間酒造会社に杜氏として働いております。この農外収入によってやっと生活が成り立つというのが実態なわけです。  また、四町歩以上米をつくっている、政府の言われる中核農家の方の話も聞いたわけですが、この方は午前中は漁業をなさっています。シジミをとっている。午後は農業。これでやっと生活が成り立つ。子供の前では農業はだめだなどと言うと子供が跡を継がないので、そういうことも言えないでいる。ぜひ米価引き上げてほしい、こういう訴えをなさっているわけなんですね。  ですから、本当に稲作農家の生産意欲を高める上でも、食管法の再生産確保できるように生産者米価引き上げるべきである、この趣旨に沿って先ほど言明されているようにぜひ引き上げていただきたいと思うわけです。きょういただいた五十八年度産の米の生産費、これを見ましても、もうまさに政府が計算した中で五十八年度産六十キロ当たり二万一千四百六十六円かかっているわけですから、これでどうして再生産確保ができると胸を張って言えるのですか。今まで幾ら国会で御答弁なさって食管法の建前を守るとか再生産確保をするとかおっしゃっても、事実が物語っているわけなんですよ。ですから、少なくともことしは本当に再生産確保できるんだともう一度言明できますか。
  328. 石川弘

    石川政府委員 米作の場合は、御承知のようにかなりの規模を持ちましても米作でいわば働いていらっしゃる期間というのは大変限られておりまして、米の表だけでありとあらゆる収入を確保しようとしますと、かなり大きな規模の方でなければこれは確保できないわけでございます。そういうところをいろいろと農業の中とかあるいは農業の外側の収入とを合わせて経営をなさっているのが実態でございまして、その場合米の部分が比較的安定的な収入になるという強みがございまして、その他の農業あるいは兼業、今水産もおっしゃいましたが、そういうものとの組み合わせで所得を確保するというのが農家の実際の姿ではなかろうかと思います。したがいまして、米の価格だけでありとあらゆる生計を立てるということになりますと、かなり大規模な経営というものを想定しませんとなかなか難しいかと思います。  再生産確保につきましては、おっしゃいましたようにどういう階層、どういう方々の再生産確保しているかという問題はあろうかと思います。比較的規模も小さく農業依存度の小さい方にとりましては、なかなか費用の増高が大きいわけでございますが、こういう方はこういう方々でそういうその他収入と米とを合わせてむしろ安定した生活をなさっているというような状態がございますので、私ども、この再生産確保という問題につきましては、極力そういう大型経営というようなもの、比較的米作依存度の高い方々の再生産確保というようなところに焦点を置くべきだと思っておりますので、いろいろと食管法で今言っております生産費所得補償方式、どういう方々のところをとらえてその計算をするかということをやっておるわけでございまして、法に定めますような条件に合致するように算定をしていくつもりでございます。
  329. 中林佳子

    ○中林委員 先ほど例を挙げたのは島根県でも非常に大きな農家の例なんですよ。そういうところがほかのことをやらないと収入にならない。実際、再生産は保障されていない価格が出ているわけなんです。ですから、そこをきちっと見ていただかなければならないし、どんなに条件が悪いところでも再生産確保できる、これが食管法の趣旨だと思いますよ。ですから、大きい農家だけに目が向くんじゃなくて、例えば一町歩以下のところでも十分それで成り立っていくような手だてはとっていただきたいと思うわけです。  そこで、私は非常に心配なのは、五十七年、五十八年の米価審議会への諮問をするに当たって、一ヘクタール未満の農家を米価算定の対象から外すという方法を一つの試算としておとりになったわけですね。現在、全国的に見て一ヘクタール未満の農家は八五・七%を占めております。島根県でも九〇・三%、これで生産高の七三・六%を占めているわけなんです。政府のこれまでの二年間の考え方からいけば、全国の八割から九割の農家は生産費を償わなくてもよい、こういう見方になってしまうと思うのです。ですから、ことしはぜひそういう考えをお捨てになって、一ヘクタール未満の農家に対しても十分な配慮を払っていただきたい。政府は一ヘクタール以下の農家の生産も頼りにしていらっしゃるわけでしょう。ですから、その点はいかがでしょうか。
  330. 石川弘

    石川政府委員 あの試算(2)ということで出しましたものは、要するにそういう層であれば今の米価水準よりも下でもまだできるというような意味で、三角、要するにこれなら下げられるというようなことが書いてあるわけでございますが、そういうように何か国が一ヘクタール未満の農家の方々生産を期待してないというようにとられますことは、大変政府としても心外でございまして、そういうものの積み重ねの上で生産が成り立っていることは事実でございます。やってみますと皮肉な結果が出てまいりまして、小さな比較的依存度の低いところの方が農家総所得が高いように出てきたり、いろいろしておりますが、私どもとして一ヘクタール以上で算定してそれを試算として改めて用いて、その試算(1)というのと対比しなければいけないかどうか、その点は十分考えていきたいと思っております。
  331. 中林佳子

    ○中林委員 農家所得と言われるとごまかしがありますので、農業所得あるいは米の所得というふうにやっていただきたいと思います。  次に、他用途米の問題についてお伺いするわけですが、この他用途米の導入について、農水省はこれをつくらなければ米の輸入しかないということで、農民に二者択一を迫って無理やり導入をしたものなんです。  例えば、ここに島根県が各市町村に向けた文書があるわけですが、これは読んでみますと多分国が出した文書だと思います。そによりますと「県なり市町村が導入を拒否した場合は、その県、市町村は加工原材料用米の輸入理解したと解釈される。」というふうに、農民を脅迫して導入を強行したのは明らかになっております。現に農家の方々からは、他用途米を引き受けなければ米は輸入しかない、そう言われるから泣く泣く他用途米を引き受けたんだ、今回のように輸入するとはまるで詐欺に遭ったようなものだ、こういうふうな怒りをどこに行っても言われるわけです。  さらに、農家の人たちは他用途米のような半値のものでは到底納得できない、二段米価をつくること自体がもうおかしいのだ、主食用の値段で買い上げるべきだ、今回は特に主食用米価で買い上げてもらわなければ困るのだ、こういうことをおっしゃっておるわけですが、他用途米制度をこの際おやめになって、主食米と同じ扱いで買い上げるお気持ちはないのでしょうか。
  332. 石川弘

    石川政府委員 何か二者択一を迫ったというお話でございますが、第三期の水田利用再編対策を立てます際に、これは先ほどから申しておりますように、加工の世界につきましては過去において輸入という手法をとったこともございます。たまたま過剰米が出てまいりまして、そういう過剰米というものを使って、これはトン三十万円のものを十数万円まで落とすわけでございますから、大変な財政負担を伴いながらやってきだわけでございますけれども、この過剰米の処理が終わってまいります段階で、どのような選択をしたらよかろうかということで関係団体、都道府県、市町村とも御協議をしたわけでございます。  しかし、水田利用再編というものも、ある程度やってまいりますと、なかなかやりにくい場面も出てまいります。例えば御承知のようになかなか土地改良が進まなくて、水稲生産というようなものにしか向かないようなところにだんだん来るとか、そういうようなことがございました際に、生産者団体ともよくお話をして、こういう形で国も助成をする、しかし他用途米需要というものをつなぎとめます場合にはそんな高いものでは今度は需要側がついてまいりませんので、いわば国も負担する、生産者努力していただく、そういうものの総合したものとして他用途米制度を組み立てて発足させたわけでございます。これは生産者団体と実需側では自分たちでこうしようという一種の約束のもとに走り出した制度でございますが、先生御承知のように、やはりそのことが末端の農家には何かすっきり腹に入らぬものがあったのかとは思います。  しかし、これはあくまで主食以外の加工の米も国内供給しましようという計画のもとに発足したことでございますので、今先生から主食の方にというお話があるわけでございますが、これは主食の方にということだけでは……(中林委員「いや、主食と同じ扱いにしろということです」と呼ぶ)主食と同じようにというので主食と同じ価格で買って安く売れということでございますと、おせんべいとかみその原材料の方が主食よりももっと大きい財政負担をして流していくということで、これは消費者の感情もなかなか納得ができない。そういうことがございまして発足した制度でございますので、単に主食用にということだけでは問題の解決になりませんで、他用途、要するに加工用原材料もどうやって供給するかということをあわせてお話をしてまいりませんと、私どもは両方に対して責任を果たすことができないわけでございます。そういう実情にありますことをお答えをいたしておきます。
  333. 中林佳子

    ○中林委員 今まで他用途米をつくってなかったのですから、それを今回他用途米をつくって半値で買うなどということ自体がそもそも初めから間違いなんです。ですから、私どもはこういう二重価格制度というのはぜひ取っ払ってほしいと思います。  最後に、農水省が七月六日付で大幅な人事異動を行われた問題について大臣にお伺いするわけですけれども、今回の人事異動は米審前の大幅な人事ということで異例だ、こういうふうに言われているわけです。その背景には今回の韓国産米の輸入にあらわれた米政策の失敗があり、それを取り繕うための人事で、松浦前食糧庁長官は金子前農相時の人事劇では次期次官の約束手形が出されていたのに今回詰め腹を切らされた、こういうふうにも言われているわけです。しかし、食糧庁長官の更迭人事だけでは余りにも米問題の失政を認めたことになるため、次官の入省年次を二年若返らせ一連の人事異動を行ったことで乗り切ったのだ、どういうふうに言われているわけです。  そこで、大臣、あなたは松浦前食糧庁長官に今回の米問題の責任をとらせたのか、それが第一点ですね。  それから、大臣に念のためにお伺いするわけですけれども、もしそうであるならば、私どもは、食糧庁長官がおやめになっただけで今回の米問題を一件落着ということにされるなら、それでは済まされないというふうに思うわけなんですね。現に松浦前食糧庁長官の退任が明らかになった後の七月九日の武道館の約一万人が結集した米価大会でも、参加者からは山村農相自身の罷免を要求する声が大きく上がりました。また、大臣の罷免を要求する署名を行おう、こういうような提起も出されているわけなんですね。ですから、今回の米問題については食糧庁長官がやめただけでおさまる問題ではないというふうに思うわけです。ですから、大臣自身その責任はどういうふうにおとりになるのか、松浦前長官の問題と大臣自身の問題をお伺いして終わります。
  334. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林水産省は、この三年間局長クラスの大きな人事異動を行っておりませんでした。農林水産省における幹部人事は停滞の感がございました。日米農産物問題、四月に一応四年間の一区切りというものは見ましたが、この春の段階で人事刷新ということを考えましたが、法案審議、さらには御存じの五十三年産米等がございまして、今回まで人事の決定を延ばさざるを得ませんでした。そこで、来年度以降の農政の骨格を決定づけます六十年度予算要求の取りまとめを行うべき時期が迫っております。また、米価決定も例年よりおくれることもございまして、米価決定後に人事を延ばすことは来年度予算要求に向けての政策取りまとめ上支障を来すおそれが強いと考えました。特に国会開会中でもございますし、さらには二法案の審議の途中ということもございまして、皆様には多大の御迷惑をおかけした面もございましたが、実は省内の人心一新、若返りという線も強く考えました。  ちょうど霞が関におきまして、他の省庁からは農林水産省にはホンコンフラワーが咲いているということでございました。何だと聞いてみましたら、三年も幹部の人事異動を行わず、それこそ何年やらせておくのだろうというようなことでございました。また、省内におきましても、部課におきましてわからない問題が出てきますと、局長のところに行って聞いてみろというようなことでございます。これは、局長を三年やっておって局長の方が詳しいというようなこともございました。  そこで人心一新、若返りということでございまして、米の問題とは一切関係ございません。特にこの大事におきまして今回の米価の問題と行政の継続性の面も十分に配慮しておりますし、今回の五三米につきましての最終責任は私にすべてあるものと考えております。
  335. 中林佳子

    ○中林委員 終わります。
  336. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会