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1984-07-11 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       高橋 辰夫君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    羽田  孜君       保利 耕輔君    三池  信君      三ッ林弥太郎君    山崎平八郎君       渡辺 省一君    上西 和郎君       串原 義直君    新村 源雄君       田中 恒利君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    安井 吉典君       駒谷  明君    斎藤  実君       水谷  弘君    神田  厚君       菅原喜重郎君    横手 文雄君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         通商産業省基礎         産業局長    野々内 隆君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     糸田 省吾君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   神田  厚君     横手 文雄君 同日  辞任         補欠選任   横手 文雄君     神田  厚君     ————————————— 本日の会議に付した案件  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第四三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  3. 串原義直

    串原委員 初めに大臣に伺って、質問に順次入りたいと思うわけでございますが、肥料法案は、制定以来三回にわたる延長が行われました。既に二十年を経過しておりますのに、今回さらに四回目の延長を行おうとしているわけでありますけれども、その理由は何であるか、まずこのことを伺いたいのでございます。
  4. 山村新治郎

    山村国務大臣 肥料価格安定等臨時措置法は、肥料価格の安定を図るため、その取引を適正かつ円滑にするために必要な措置等を講ずるために、昭和三十九年に制定されたものでございます。そして今日に至るまで、オイルショックのときを除きましては肥料価格は安定的に推移し、また輸出調整により国内肥料安定的供給輸出競争力強化等が図られてまいりました。  肥料価格安定等臨時措置法は、このように農業及び肥料工業発展に多大の貢献をしてまいりましたが、最近の農業及び化学肥料工業をめぐる厳しい状況にかんがみ、肥料価格の安定のための措置を引き続き講じようとし、今回またお願いするような次第でございます。
  5. 串原義直

    串原委員 今回の要望は、それぞれの団体から延長してもらいたいという要望が強かったというふうに仄聞しているわけですけれども、この延長についての要望というのは、化学肥料工業界農業団体とではどちらの方から強く延長要請があったのか、いかがですか。
  6. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 本法延長関連します要請等状況でございますが、御承知のように農業の部面では、食糧自給の問題なり、価格の問題なり、非常にいろいろの問題がございますし、また市場開放要請等がございまして、非常に農業の厳しい情勢の中で、重要物資でございます肥料につきましては価格の安定、また供給の安定、こういうことが大変望まれているわけでございます。一方、化学肥料工業側におきましても、非常に累次の石油危機の影響を受けたりしまして、御承知構造改善措置をさらに進めるというような段階に参っているわけでございまして、この法律につきましては、肥料価格需給の安定に大きな役割を果たしてきた、またこの延長によりまして、化学肥料構造改善の円滑な推進の期待が可能になる、また、合理化に伴いますメリットの還元につきましても、価格取り決め制度を通じまして農業面についてもそういう配慮がなされるということで、その他そういう条件の中で、農業団体側化学肥料工業側双方要請をしているわけでございまして、特に一方だけから強いということではございませんで、双方とも同様に延長を強く要望している、かように考えております。
  7. 串原義直

    串原委員 この法律は、初め五年間の暫定法として制定されたものだったわけですね。しかし、今回の延長を入れまして二十五年も存続をした、そういうことになると、実は恒久法ともう何ら変わらないということも言えるわけです。ちょっと余りにも長過ぎる、こういう意見、声があるわけでありますけれども、この意見に対してどうお答えになりますか。     〔委員長退席田名部委員長代理着席
  8. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 今のお尋ねでございました恒久法的な感じというのは、確かに全体を見ますとそういうふうな見方もあるでございましょうが、そもそもこの法律の体裁があくまでも臨時的なことでやるということでつくられておりますが、その後の経過を振り返ってみますと、四十五年、このときは化学肥料工業輸出産業として大きく飛躍しようということで、むしろ内需確保についての農業側懸念に対応するということで延長がなされましたし、また四十九年は第一次オイルショックのときのこれに対応する肥料価格安定の要請、また五十四年にはいわゆる第一次構造改善、それに伴います肥料工業合理化、こういうことで、それぞれの時期にこの臨時的な、限時的な法律延長の必要があるということで延長してまいったような次第でございます。  そういう意味で、全体的に見ますと、単純に延長を重ねてまいったというよりは、そのときどきの必要性に応じてこういう措置がとられてきたということでございます。これからさらに今後の延長につきましては、この法律運用、また長期的な視点に立った肥料価格の安定、流通秩序確立という問題については、引き続き私どもこの法律の適正な運用に努めてまいるという考え方で、今回の情勢に対応しました延長をお願いしたい、かような考え方を持っております。
  9. 串原義直

    串原委員 今御答弁いただきましたけれども臨時措置法としては余りにも長いではないか、この意見はなるほどと私たちはうなずかざるを得ないと思っているのですね。したがいまして、仮に今回延長されたといたしましたならば、これがもうそろそろ最後ということで考えなければいけないのじゃないか、こういう率直な意見がありますね。これはいかがでしょう。
  10. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 この問題につきましては、私ども今回のこの延長法案を提案しますまでに、お尋ねのございましたようなもう少し恒久的な観点に立った肥料政策という視点から法制の問題についてもいろいろ検討してまいったわけでございますが、現在の、肥料工業の面でも第二次の構造改善措置が進められるとか、こういう情勢の中で考えますと、当面はやはりどうも延長ということしかないというような考え方になったわけでございます。  五年たちました後の問題につきましては、いろいろ農業をめぐる情勢、また肥料工業状況ということもその間変わってまいりますし、今断定的にこの後は法的措置はどういうふうにするということがなかなか予測しがたい。私どもとしましては、むしろこの五年間の期間にさらにこの法律の適正な運用に努めますとともに、肥料政策と申しますか、価格流通政策について基本的にどうあるべきかということについても状況に応じまして真剣に検討してまいりたい、かように考えております。
  11. 串原義直

    串原委員 御答弁のように、五年後のことを今明確に答弁しろと言っても確かに無理でしょう。答弁の点はよくわかりまするけれども、今、肥料情勢等々踏まえ、今後の情勢をも踏まえて検討してまいりたいというお話でございましたが、できるだけこの五年間に諸情勢を整備していって、まあそろそろこの辺が終わりになるような努力をしたい、こういう意味で今御答弁なすったということですか。
  12. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 この点、今の御答弁の繰り返しになるようでございますが、今後の五年間の情勢というもの、また肥料工業合理化状況についてはやはり推移を見る必要があると思います。ただ、私ども安直に五年たちましたらまた延長というような、そんなことを考えているわけでは決してございませんで、やはり肥料という化学工業から産出されます非常に重要な農業資材というものの農業への供給の仕方、こういう形で受けとめますと、これは非常に基本的な仕組みとして、現在とっておりますような価格取り決めという制度もこれは一つの形でございますので、そういう形がいいかどうか、こういう問題も含めてこれからの私ども検討課題になる、かように考えております。
  13. 串原義直

    串原委員 これはちょっと大事なところですから重ねて伺いますが、先ほど申し上げたように暫定法ということで始まった法律ですね。暫定法という取り扱いで今運用されているわけでありますから、その立場に立ってさらに伺っておきたいわけでございますが、ただいま局長から御答弁をいただきました情勢を踏まえて今後検討されるわけでありますけれども、どういう環境になったらこの法律は廃止する、廃止してもよろしい、このことをどういうふうにお考えですか。
  14. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 その問題につきましてのお答えと申しますか、結局この法律のいわば制度的な意味での意義ということにだんだんなってくると思いますが、一つは、やはりこの法律の持っております効果と申しますのは、この価格取り決めに際しまして行政庁が、農林通産両省原価等報告を受けまして、こういうものを一つの客観的な資料として用いながら価格取り決めをしていく、それに伴いまして独占禁止法適用除外もしていく、こういうスタイルでございます。こういう考えの中で申しますと、やはりそういう一種の行政的なチェックと申しますか、その意義というものもそれなりにあるわけでございますから、私どもとしては、全体としまして化学肥料工業構造改善等も円滑に進み、取引面での不安、不安定な要素もなくなっていく、こういうことになりますと、本法のような措置必要性はだんだん少なくなっていくだろう、こういうような感じは持っております。
  15. 串原義直

    串原委員 したがいまして、局長、今御答弁になったような情勢になればこの法律必要性はだんだん薄くなるというお話ですね。したがって、今回のこの五年間で少なくともその情勢をつくりたいと思う、こういうことでしょう。どうですか、局長
  16. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 法律の性格から申しますと、やはりあくまでも限時的な法律でございますし、それから行政的なチェックにしましても、独占禁止法除外にしても、やはり本来は自由な状態であるものについてそれだけの関与がなされているわけでございます。したがいまして、製造工業合理化、また取引秩序確立、こういうような努力を私どもいたしまして、そういう条件が満たされていけばこういう法的措置も必要でなくなってくる、かように考えております。
  17. 串原義直

    串原委員 局長さん、したがって、今御答弁になったような情勢をこの五年間でつくるような努力をいたします、こういうことなんでしょう。いかがですか。
  18. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 そのとおりでございます。
  19. 串原義直

    串原委員 では、通産省からお見えでしょうか。——それでは伺いますけれども化学肥料工業界構造改善は前回の延長の際の理由にもなっていたわけです。つまり第一次構造改善ですね。その構造改善効果、いま一つは、現在実施している構造改善、つまり第二次構造改善内容、その進捗状況及びその見通しはどうなっておりますか、お答えください。
  20. 野々内隆

    野々内政府委員 構造改善、御指摘のとおり一次、二次と二度にわたって行われておりまして、第一次の構造改善は、御承知の第一次石油ショックを起因といたします需給構造変化、こういうものに対応いたしまして日本化学肥料工業を建て直すということがポイントでございました。したがいまして、過剰設備処理ポイントを置きまして対応策をとったわけでございます。それで、過剰設備処理につきましてはほぼ一〇〇%近い形で目的を達成いたしました。ところが、大変残念なことに、この第一次構造改善途上におきまして第二次石油ショックが発生をいたしまして、さらに厳しい状況化学肥料工業に与えるという状態になってまいりまして、そこで第二次の構造改善というものが特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして昨年よりスタートしたということでございます。  第二次の内容は、御承知のように一番大きなポイントは、やはり一つ過剰設備処理でございまして、これは従来の三業種アンモニア尿素湿式燐酸に加えまして、溶成燐肥化成肥料、合計五っの業種につきましてその対象として、さらに多くの過剰設備処理ということが目標にされております。それから、それだけではやはり構造改善が進まないということで、生産集約化あるいは技術開発というようなことで、この構造改善計画が終了いたしますまでには国際競争力を持った化学肥料工業として活性化するということを念頭に置きまして構造改善が進められております。  まだ始まったところでございますので、成果についてどこまでいっているかということは完全な見通しはできておりませんが、既に事業提携あるいは生産の受委託ということによりまして生産合理化が行われ、あるいはアンモニア原料石油系から石炭系にかえるというプラント建設が既に完成をし、試運転に入っているというふうに、着々と構造改善が進んでおります。これが目標どおりいくかどうかということになりますと、まだ先の話でございますが、目標どおり進展しなければならぬというふうに私ども考えておりますし、昨日の業界参考人も申しておりましたように、業界自体もそういう覚悟を持って取り組んでおりますし、私どももそういう方向で指導して、ぜひ国際競争力を持った化学肥料工業として再生させたい、かように考えております。
  21. 串原義直

    串原委員 昨日の参考人の皆さんからお話がありまして私も大分参考になったわけでありますけれども、その中で一つ気がついたことでございますが、化学肥料工業構造改善、つまり第二次構造改善計画を立てる時点と今日では、肥料をめぐる環境というのが少し変わってきているやに感じられるわけでございますけれども、第二次構造改善計画というのは見直す必要ば今のところない、こういうふうにお考えですか、どうなんです。
  22. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のとおり、化学肥料と申しますのは国際的な商品でございますので、国際的な情勢というものが非常に影響してまいります。先生指摘の部分は多分尿素中心とする輸出の問題、このあたりがポイントかと思いますが、確かにこの構造改善計画を策定いたします段階では、目標年度におきまして尿素輸出は四十万トン程度あるだろうという前提で考えておりましたが、五十七肥料年度では二十九万トンに落ち込んでおります。したがいまして、その点に関する限りは確かに情勢変化があったということは言えるかと思います。  ただ、国際市況というものは非常に変動が激しゅうございまして、尿素市況につきましては、昨日参考人の話もございましたが、本年に入りまして急速に回復をいたしておりまして、そのためにまた尿素輸出という問題が起ってきております。したがいまして、法律にも環境が変わったら計画を見直すという規定がございますので、私どもといたしましても、十分国際環境国内状況を見きわめまして、必要があれば当然改正をする、見直しをする必要があると思っておりますが、今現在は、また国際市況回復という点もございますので、今直ちにどうこうということではないと思っております。今後慎重に国際市況あるいは国内情勢を見きわめまして、必要があるという場合には直ちに見直しに着手するという考えでおります。
  23. 串原義直

    串原委員 先ほどの御答弁で、この第二次構造改善を実行していく段階で、構造改善終了時点ころには国際競争力を持った業界にしていきたい、こういう意味の御答弁がありましたけれども、そのことをいま少し具体的に教えてもらいたいわけであります。化学肥料工業界というのは第二次構造改善によって、さっき大まかな答弁はあったけれども終了時点どのような姿になるのか教えてくれませんか。
  24. 野々内隆

    野々内政府委員 従来化学肥料工業というのは、御承知のように輸出産業として、規模を大型化いたしましてコストダウンを図るという形で急速な成長を遂げてまいったわけでございますが、第一次及び第二次の石油ショックによりまして、主として石油系原料から化学肥料生産するというようなこともございまして、急速に国際競争力が衰えてまいりました。したがいまして、今回の第二次構造改善では、日本化学肥料工業内需に立脚をした産業というふうに意義づけをいたしまして、輸出というものを余り重視をしないというような形になっておりました。そこで、現在、構造改善目標になっておりますのは内需中心としたということで、一部の輸出というものはもちろん存続はいたしますけれども内需型ということを念頭に置いております。それに合いますように過剰設備処理をいたしまして、設備負担費を減少する。  他方、国際競争力を持つということはもう絶対条件でございますので、そのためには技術開発によりまして原料転換あるいは生産性の向上ということを行うという観点から、例えば石油系原料から石炭系原料への転換とか、あるいは相互に関連のある企業の間で生産の受託、委託を行いまして、輸送の錯綜を避けることによって輸送コストを引き下げる、あるいは設備改善をいたしまして製造コストを下げる、こういうような構造改善が現在進捗中でございます。
  25. 串原義直

    串原委員 今御答弁をいただきましたけれども国際競争力を強めなければならぬ、しかし内需中心にして考えていくための構造改善であって、輸出余り重視しない、こういう御答弁でございました。つまり輸出が減ってきたので肥料工業内需型産業転換するための構造改善である、こういう御答弁かというふうに思いますけれども、そういたしますと、この構造改善終了後も余り輸出はふえない、こういう理解で進めていらっしゃるわけですか。
  26. 野々内隆

    野々内政府委員 基本的には御指摘のとおりでございますが、品目によりまして若干差がございます。例えば尿素でございますと、これはアンモニア中心でございますので、どうしても国際競争力の点でまだ若干劣る点がございますので、輸出というものは余り大きくはない。先ほど申し上げましたように、四十万トンから三十万トンぐらいかと思います。硫安につきましては、これは比較的競争力もございますし、マレーシアのゴム園のように特定需要というものがございます。また、日本肥料が品質あるいは納期、それから東南アジアから見ますと非常に近いということもございまして、それぞれ一定需要があるということでございますし、発展途上国からは食糧増産のために経済協力として日本肥料が欲しいというような要請もございます。したがいまして、もう従来のような大きな輸出というものはございませんけれども一定量輸出はやはり東南アジア中心として存在をするというふうに考えております。
  27. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、第二次構造改善が終了いたしますと肥料工業界内需型産業になる。しかし、これは若干仮定の立場も踏まえて伺っていくわけでありますけれども、予想以上に輸出が多くなった場合、私が憂慮するのは国内確保はどうなるのかということです。申し上げるまでもありませんけれども肥料は、昨日の参考人先生方も言われておりましたように日本農業発展にとって基礎資材で重要なものである、農家の必需品でもございますね。したがって、内需確保は重要視されなければならない。将来輸出量が増加をしていった場合の政府国内需要確保、この対策はいかがいたしますか。
  28. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘の御心配は確かにごもっともだと思います。それで、この法律に基づきまして設立されておりました硫安輸出株式会社が従来から窓口を一本化いたしまして内需輸出量調整をいたしておりましたが、輸出が最近非常に減ってきたということで一昨年解散をいたしております。その段階で御指摘のような輸出内需調整ということが重要な問題になりましたので、輸出貿易管理令に基づきまして肥料輸出承認品目にするということにいたしまして、通産大臣輸出承認をした場合のみ輸出ができるということにいたしました。その際に内需との調整が必要でございますので、農林水産大臣同意を得て輸出承認をする、こういうシステムにいたしておりますので、今後とも内需確保については十分な配慮が可能であると考えております。
  29. 串原義直

    串原委員 今お話しのように、法改正によりまして、日本硫安輸出株式会社解散があって輸出に関する条文や需給見通しに関する条項がなくなっているわけですね。その需給見通し肥料価格取り決め交渉に欠くことのできない大事な資料でございますけれども、今後はその点はどうなるのか、需給見通しはつくっていくのかつくっていかないのか、お示しください。
  30. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは国の方では生産業者販売業者からの在庫数量報告聴取等に基づきましてアンモニア系窒素肥料高度化成肥料、こういうことの需給見通しを作成しております。これは一つは、価格取り決めの際に交渉当事者求めに応じて交付する、また従来の硫安輸出株式会社、そういう関係承認を行うということで必要があったわけでございますが、アンモニア系窒素肥料高度化成肥料需給見通しにつきましては、今回輸出株式会社関係規定を削除しましても、今後とも需給見通しは作成しまして、交渉当事者求めに応じまして交付していく、こういう考えでございます。
  31. 串原義直

    串原委員 ぜひそう願いたいと希望しておきますが、先ほど局長から答弁がありましたけれども需給見通し輸出との関連によりまして内需確保保障措置をどうするかということでございます。通産大臣承認によって輸出をするのだから大丈夫だという御答弁がありましたけれども、私はその承認措置だけでは若干危惧の念を持つわけです。つまりいかなる事態になっても国内での必要量確保するという行政措置、昨日の参考人先生方も歯どめという言葉を使われた方がいらっしゃいましたけれども、歯どめを持つべきだと私は思うのでございます。通産大臣承認一つの方法でしょう。しかし、行政措置、その歯どめを明確にしておく必要がある、こう考えるのですが一いかがでしょうか。
  32. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 内需確保の問題につきましては、ただいま基礎産業局長から御答弁がありましたように、輸出貿易管理令によります輸出承認、この制度運用の中で、私どもとしましては農林水産大臣同意ということもございますし、需給見通しも適正に作成しまして、こういう状況の中でこの制度運用を通じて遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。そういう点では、今回の法律改正の際に輸出株式会社関係規定を削除いたしますけれども輸出貿易管理令承認制度運用、または需給見通しの適正な作成ということで、いろいろな方面から寄せられております内需確保上の懸念のないように対処してまいりたい、かように考えております。
  33. 串原義直

    串原委員 私は、輸出貿易管理令措置だけでは歯どめになるかどうか心配している、こういうことを申し上げているわけです。大丈夫でしょうか。もう一度伺います。
  34. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 この点につきましては、昨日の参考人の御意見等にありましたような不安というか懸念を持たれる向きもございますので、私どもとしましては、この承認制度について、同意ということでございますが、通産大臣、通産省と常時連絡を持ちまして、内需確保については決して心配のないように対処してまいりたい、かように考えております。
  35. 串原義直

    串原委員 重ねて伺いませんけれども、この歯どめ対策についてはきちっと両省が連絡をとりつつ遺憾なきを期されるように措置をしてください。強く要請をしておきます。  そこで、次に移ります。先ほどお話しのように、肥料輸出というのは日本硫安輸出株式会社が一元的に実施してまいりましたけれども、五十七年六月に解散をした。このために今回の改正に当たってこの関連条項が削除されることになっておりますけれども解散後の輸出はどんなぐあいになされてきたのか、また今後どういう格好でこれが取り扱われることになるのか教えてください。
  36. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘硫安輸出株式会社、これは昭和二十九年に設立されておりますが、五十七年六月に解散をいたしますまでの二十八年間にわたりまして、硫安尿素内需確保及び輸出秩序の維持ということに役割を果たしてきたわけでございます。それで、御承知のように二次にわたります石油危機によりまして輸出が非常に減退をいたしまして、それから私ども構造改善計画というものが内需に基礎を置いた化学肥料工業、こういうことになってまいりました。したがいまして、今後は輸出につきましては従来のように余り大きな量ではないという考え方から解散をいたしました。  ただ、御指摘のように解散をいたしますと二つの問題が起こります。一つは、国内内需確保が十分であるかどうか。もう一つは、主たる輸出相手国であります東南アジアが、国内肥料の扱いを国営の会社あるいは統制によりまして一元化いたしておりますので、日本国内が過当競争によってこれらの窓口が一元化されております国と取引交渉をいたしますと、どうしても過当競争で値段が安くなってくるというような二点の問題がございました。  そこで、第一の問題につきましては、先ほど御答弁にございましたように、輸出貿易管理令に基づきまして、国内需給見通しを基本として、内需確保観点から通産大臣輸出承認及び農林大臣同意という形で運用してまいりました。  もう一つは、窓口が一本化されております東南アジアの国に対応いたしますために、日本側におきましても輸出取引法によりましてメーカーのカルテルを承認をいたしまして、これらの窓口一本化された国との取引については、日本側も窓口を一本化することによって、過当競争に基づく値下がりというものを防止するという、この二つの体制によりまして輸出運用いたしてまいっております。今後もそういう方向で輸出秩序の維持及び内需確保配慮いたしてまいりたいと思っております。
  37. 串原義直

    串原委員 それでは伺いますけれども、第二次構造改善の終了時におきましては、国内肥料価格というものは現状に比べてどのようになるとお考えになっていらっしゃいますか。
  38. 野々内隆

    野々内政府委員 一言で申しますと、輸入品と競争し得る価格ということが目標でございます。産構審の議論の段階で、例えばコストを目標年度までに一〇%以上下げようとか、特定価格目標というものがございましたが、御承知のように、国際市況というのは非常に変動が激しゅうございますので、どうも一義的にある数字を示すということはなかなか難しゅうございますので、輸入品と競争し得る価格に持っていきたい、これが基本的な考え方でございます。
  39. 串原義直

    串原委員 輸入品と競争し得る価格まで持っていきたいということの答弁をいただいたわけでありますけれども、昨日も参考人のある先生から指摘をされましたが、肥料価格は農産物価格に比べて高い、こういう指摘がありまして、私も無理もないというふうに同感を抱いた一人でございます。  そこで、今の御答弁によって伺うわけでございますが、ここにある資料がございます。時間がありませんので全部を読むわけにはまいりませんが、つまり、米と肥料の相対価格関係昭和五十二年十二月は米と肥料との相対の価格関係は、米対肥料三・七六倍であったと言うのですね。ところが五十八年十二月にはこの米対肥料の相対価格は二・九四倍となっている、こう言うのであります。この数字、間違いないと私も思いまするけれども、つまり肥料価格の占める度合いが農産物価格に比べて年とともに上がってきた、こういうことでございますね。  したがいまして、私がここで伺っておきたいことは、この構造改善終了時点において国内肥料価格は農産物価格と対比をして、少なくとも現時点よりも肥料価格が占める割合を下げていけるであろう、こういうことでなければならぬと思う。この辺はいかがでしょう。
  40. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料価格と農産物、特に米の価格との対比でございます。  ただいま先生お尋ねの中にございました五十二年、五十八年の対比につきましては、お話ございましたように、この間石油危機の影響等の肥料価格の大幅上昇がございまして、そういう関係がございますが、全体として見ますと、本法制定以後は、と言うと非常に長い期間になりまして恐縮でございますが、米と肥料との価格を比較すると、肥料の方が価格関係としては割安になっているというような資料もあるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、農産物価格というものは資材等の価格動向が非常に参酌されるわけでございまして、これは資材価格がそういう意味で農産物価格にもいろいろな意味で影響を持っていくという相互の関係にございます。こういう点がございまして、なかなか一概に、農産物価格の方を先に設定しまして、それに応じて肥料価格を下げていくとかいうことはなかなか難しゅうございますが、いずれにしましても、構造改善進捗の中で、私どもとしましても、通商産業省の指導の中で、今基礎産業局長からお話のありましたようなコスト面に最終的に集約されるような合理化措置をぜひとも進めていただきたい、かように考えております。
  41. 串原義直

    串原委員 それでは次に移りますけれども政府はこの法律に基づきまして、価格取り決めに際して交渉当事者にメーカーのコスト資料を交付することになっておりますね。このコスト調査の方法と内容はどのようになっておりますか。
  42. 野々内隆

    野々内政府委員 コスト調査の方法でございますが、これは本法に基づきまして、特定肥料生産業者に対しまして暦年ごとに実績の原価報告書の提出を求めております。この対象となっております硫安尿素、高度化成につきまして売上品総原価及びこれらの主原料でありますアンモニア、燐酸及び燐安の製造原価の実績につきまして、毎年一回暦年で行っております。  具体的には、企業会計原則に基づきまして原価計算基準というものをつくりまして、形式的には、特定肥料関係実績原価報告書作成規定というものが通産、農林両省で共同でつくられておりまして、これに基づきましてメーカーから報告求めております。それから、調査の正確を期しますために、両省で生産業者に対してヒアリングを行いますし、また、必要に応じまして実地に工場等に立入検査を行う、こういう方法をとっております。
  43. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、コスト調査のもとでありますところのメーカーからの報告資料、この信憑性というものは、必要によっては現場の調査もしているので高い、こういうことですね。
  44. 野々内隆

    野々内政府委員 さように理解いたしております。
  45. 串原義直

    串原委員 それでは次に伺いますけれども硫安尿素価格につきましては、国内価格輸出価格との間に格差が生じております。どうして輸出価格が安いのか、その理由を教えてください。
  46. 野々内隆

    野々内政府委員 輸出価格と申しますか、国際市況とそれから国内価格の決定要因に大きな差があるということが一つかと思います。国際市況は、コストというよりもむしろ需給状況で決まってくるというのが基本的な原因でございますが、国内の場合には、もちろんそのときの需給状況ということを勘案いたしますが、コストによって決まってくるというあたり、この辺が基本的な差かと思います。  しかし、実は輸出の商品につきましては国内の商品と取引条件が同じでないという点がかなりございます。例えば国内の商品の場合には、最寄りの駅まで届ける費用、運賃、こういうものが全部入っておりますが、輸出のFOBの場合には、岸壁に船を着け、それに積み込むということで、輸送費というものはほとんどかからない、あるいは倉敷料がかからない。それから包装費ですとか支払いの手形のサイトに基づきます金利負担とか、こういうものもいろいろございますので、確かに輸出価格国内価格に格差はございますけれども、表面的に見るほどは大きくない、こういうふうに理解いたしております。
  47. 串原義直

    串原委員 輸出価格国内肥料価格には転嫁していない、こういうことですか。
  48. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のとおりでございまして、国内につきましては、この法律に基づきまして、前暦年の原価をもとにいたしまして交渉が行われておりますが、その原価の中には赤字、黒字というものが入っておりません。したがいまして、輸出に基づく赤字というものは原価として入っていないというふうに申し上げていいかと思います。
  49. 串原義直

    串原委員 時間が参りますので次に伺いますけれども、季節性ですね、時期ですね、それを持っていて、重い物資でありますために、肥料の流通体制の現状というものはどうなっているのか。また、このところ国鉄が貨物輸送体制を従来のヤード方式から拠点間直行方式へ改正したわけですね。それによりましての影響はどうなってくるのか、そしてその対策をどのように講じていらっしゃるか、教えてください。
  50. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料の流通上の問題につきましては、御承知のように農協系、全農、県連、単協へ行きますこの系統で、元請段階で大体七割ぐらいの比率を持っておりますし、商系は元売商社、卸、小売という関係で三割ぐらいが元請段階、そういう構成比率でございます。  特に今後の流通の問題につきましては、また今回の法律改正上の必要性一つのもとにもなっておりますが、お話にございましたいわゆる貨物輸送合理化、貨物駅の集約、整理でございまして、これは五十九年二月から従来の八百四十八駅が四百六十駅体制になる、いわゆる拠点間直行列車への変更ということが行われておるわけでございます。こういう傾向になりますと、御指摘もございましたが、流通面では大変合理化努力をしなければいけない。具体的にどういうことをやっていくかということになりますと、いわゆる交錯輸送を回避するということでできるだけ地域単位に需給調整していく、こういうこと、また輸送距離の短縮ということで輸送面での体制を、特に農協系統組織においてはこの面での努力の余地がかなりあると思われますので、そういう意味輸送確保輸送費の増加抑制、こういうことにこれから努力をしなければならないわけでございますし、農林水産省としましても、こういういわば地域的な需給調整あるいは輸送合理化ということにつきまして、国鉄とも協議しながら、支障のないよう、また合理化のコスト低減が進むように指導いたしたい、かように考えております。
  51. 串原義直

    串原委員 時間が来たようでございますから、最後に大臣に伺いますけれども、ただいままでの質疑を通じまして幾つかの重要課題が確認をされたわけです。一、二ちょっと申し上げますと、肥料価格の低位安定に努力しなければならぬ。あるいは二つ目には、化学肥料工業構造改善によっての合理化メリットを農家に還元する努力ということをしなければならぬ。あるいは三番目は、私は最も重要だと考えておりますけれども肥料供給に当たって、仮に緊急事態が生じたとしても、まず国内需要の優先確保を図って国内農業生産に支障のないように措置をしなければならぬなどなどでございますね。この点についての政府の取り組む姿勢、基本方針につきまして、大臣より所信の表明をいただきとう存じます。
  52. 山村新治郎

    山村国務大臣 農業生産資材価格の安定ということは、これは農産物の生産コストの低減と農業所得の安定的確保を図る観点から極めて重要であると考えております。特に肥料農業生産に不可欠な基礎資材でございますので、化学肥料工業における合理化努力と相まって、肥料価格の低位安定を図るとともに、国内必要量安定的供給確保するということが必要でございます。また、使用する農家に対しまして安全で良質な肥料供給する、これも必要な課題となっております。したがいまして、本法運用によりまして適切な価格設定と内需の優先確保、これを図るとともに、昨年改正されました肥料取締法の運用を通じまして適切な品質保全措置を講じてまいりたいと考えております。  なお、化学肥料のみに過度の依存をするということは地力の面から見ても問題がございますので、先般成立を見ました地力増進法等により土づくりの推進も図り、また適切な施肥の指導にも努めてまいりたいと考えております。
  53. 串原義直

    串原委員 終わります。
  54. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 斎藤実君。
  55. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に農林大臣に、我が国の農業の基本的な問題についてお尋ねをいたします。  最近、米の問題をめぐりまして極めて厳しい我が国の農業事情にあるわけでございまして、数年来過大な減反あるいは需給見通しの誤りとか、あるいは安い米価、その他韓国米輸入の問題等で大きな問題を抱えているわけでございます。そこで、国内農産物の需給につきましては、食糧自給の伸び悩み、しかし依然として需給緩和の現状にあるわけでございます。飼料作物を初めとして小麦、大豆などの農産物は供給量の多くを輸入をいたしておりまして、総体として食糧自給力は極めて低い水準にあるわけでございます。国民食糧の安定確保を図る上からも、今後、食糧自給力の維持強化を図ることは重要な課題だというふうに私は考えるわけでございます。  さて一方、最近の農業をめぐる状況は、転作の強化、輸入外圧の強まり、生産者米価の頭打ちなどに見られる農産物価格の低迷などを考えますと、かつてない厳しい状況下に置かれているわけでございます。こうした厳しい農業情勢の中にあって、農業所得の安定した確保とあわせて良質かつ低廉な食糧の供給を図っていくためには、質、量の向上あるいは徹底した生産性の向上、それが生産コストの引き下げになるわけでございまして、これらの基本的な問題について大臣から最初に御答弁をいただきたいと思います。
  56. 山村新治郎

    山村国務大臣 まず一番初めに、米の問題につきましては、確かにおっしゃられるとおり、ゆとりがあると言えないような厳しい情勢でございます。少なくとも水田利用第三期対策、これにつきましては、ひとつ本年度の作況を見た上で、これを弾力的に運営していきたいというぐあいに考えます。  我が国の農業をめぐる内外の情勢はまことに厳しいものがございます。特に内におきましては行政審議会の方からもいわゆる効率的な農業の展開、これが求められておりますし、そしてまた外国から市場開放要求、これがますます強まってまいります。我々といたしましては、少なくとも米につきましては全量国内産をもってこれに充てるという基本方針は堅持してまいります。また、他の農産物につきましても国内生産で可能なものはできるだけ国内生産をもってこれに充てまして、足らざるものを輸入するという原則でやってまいりたいと思っております。そのほかいろいろな問題がございますが、いずれにいたしましても、この国会で御決議をいただきました食糧自給力の強化の趣旨も体しまして、今後ともいわゆる足腰の強い農業と申しますか、農業生産性向上という方へ向けて全力でやっていきたいというぐあいに考えます。
  57. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、厳しい状況下で農林大臣をお務めになっているわけですから大変だと思いますけれども、ひとつ日本農政に残る善政のレールを大臣の時代に敷いていただきたいとお願いしておきたいと思います。  最近、消費者や財界等から、我が国の農産物が諸外国から比べて非常に高い、こういう声が随分あるわけでございます。この責任がすべて農民にあるようなことを言われておるわけでございますが、肥料などの生産資材価格が高くて生産コストを高めている要因の一つになっていると思うわけでございますが、この生産資材価格が高くなったのは一体何が原因なのか、国としてどう考えているのか、お尋ねをしたいと思います。
  58. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 農産物価格は、御指摘のように外国に比べまして、特に土地利用型の作物でございます米、小麦、そういうものでは大変高いというのは事実でございまして、日本農業としましては、御指摘の資材の問題もございますが、こういう土地利用型農業で、非常に土地の面積が狭い、農地収入が零細であるというような非常に構造的な問題がございます。  資材面で考えますと、特に肥料をとってみますと、農家経済調査で見ると農業経営費の中で資材費は全体の七〇%ぐらいを占めております。農業経営費の中の資材費の割合は七割ぐらいありますが、肥料は大体一割ぐらいを占めておりまして、この比率が大体変動しておらない、こういうようなところでございます。  しかし、全体としますと、資材をつくります資材産業肥料工業あるいは機械、農薬等ございますが、そういう資材産業合理化というか、コスト低減の努力につきましては、私どもも、こういう合理化努力を進めていただきまして、資材をコスト面から下げていくような方向へさらに努力をされることを望んでおるわけでございます。特に資材の価格設定という面につきましては、今御審議いただいております臨時措置法運用等を通じまして、肥料、農薬、機械は大体似たようなことになっておりますが、生産者を代表します全農とメーカーとの価格交渉が基準になっておるという実態でもございますので、こういう面で全農等も指導をいたしまして、資材面での流通価格設定上の努力、また、先ほどお尋ねのございましたようなコスト面では、製造コストもありますが、流通面での合理化、こういうことについてこれからも一層指導してまいりたい、かように考えております。
  59. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 局長農業生産にとって欠くことのできない重要な基礎資材でありますこの肥料の適正な価格の安定と、それから供給の維持を図っていくことが極めて重要だと思うわけでございますが、最近、肥料価格の動向と農業経営に占める割合はどのようになっておりますか、伺いたいと思います。
  60. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料価格の動向でございますが、これは品物によりまして多少傾向が違います。しかし、全体を少し前から振り返ってみますと、二度のオイルショックの時期には原材料価格の高騰が非常に響きまして大幅な値上げを余儀なくされておるわけでございますが、その前後の時期については、価格は、わずかながらでございますけれども、若干引き下げの方向に推移をしております。  特に第二次石油危機後の五十六年−五十九年、最近のところを見ますと、価格変動の要因は、いろいろ資材費の動向、労務費、運送費等の値上がり要因もございますが、原材料価格の値下げ等がかなり反映いたしまして、この四年間は連続して肥料価格は大体引き下げられておる、こういうような実態でございます。  また、肥料費の割合でございますが、現金支出で見ますと、五十七年度には大体一四%をちょっと切るくらいでございます。それで、現金支出ではなくて、原価償却その他も入れました農業経営費全体の中で見ますと、資材費の中では農業機械が一番多いわけでございますが、肥料は経営費の中の大体一割、こういう傾向を維持しております。
  61. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この肥料価格安定等臨時措置法は、農業の健全な発展に資するということを目的にして制定されているわけでございますが、実際、価格の決め方を見てみますと、全農と肥料メーカーが自主的な話し合いをして価格を決めるわけですね。そして国に届ける。国で適正であると判断した場合にはそのまま決まるし、適正でないと判断した場合は行政指導をする、こういう形になっておるわけですが、私は、こういう制度では生産農家のために本当に効果があるのかどうかという疑問を持っておるわけです。どういう効果をもたらしたのか、農林省の考え方を伺いたいと思うのです。
  62. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法効果でございますが、これは現在の法律の建前が生産業者販売業者価格取り決めということを基本にしておるわけでございますが、これは生産者の代表という面では、全農が一つの系統農協の組織といたしまして全国農家の代表として価格交渉の場に臨んでおるわけでございまして、そういう意味生産者方面のいわば利益の実現と申しますか、価格交渉面での交渉力の発揮、こういう面で十分な力を発揮しておるとまず考えております。  行政的な面では、御承知のように、この価格交渉の取り決めに先立ちまして、農林水産大臣、通商産業大臣、両大臣の共同によりまして生産コスト、実績原価に関します資料をとりまして、これを十分チェックの上で交渉当事者に交付する。また、場合によりましては、取り決め価格の届け出がございまして、それに対する変更命令権も有する。こういう変更命令権等をいわば背景にいたしまして、行政的に価格取り決めについては実際上の指導もしていく、こういうようなことで価格交渉の円滑な推進、適正な価格形成の助長を図っておるわけでございます。  こういうような全体の、この法律の取り決めを通じまして、地域によります価格差あるいは需給の不均衡、場合によっては取引上の思惑買いというような、いわば流通上の混乱が防止されて価格の安定が図られている。また、特に石油危機の時期にも、価格の高騰というようなことに伴いますいわゆるショック、混乱を回避することができました。特に最近では、ただいま申し上げましたが、最近の原材料価格のいわば若干の低落傾向というものも反映しまして、労働費等上がっておるわけでございますが、この四年間は取り決め価格も少しずつ下がっておる、こういうような効果を果たしておる、かように考えております。
  63. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 肥料安定法によります硫安尿素高度化成肥料、この主要三品目価格については今御答弁がありましたが、この主要三品目以外のものについてはどういう形で価格を取り決めるのか、伺いたいと思います。
  64. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 法律の対象になっておりますいわゆる特定肥料以外の石灰窒素、過燐酸石灰、溶成燐肥、普通化成、こういうような一般の肥料でございますが、これは本法のような法律的な措置がございませんので、一般の商取引ということで売買契約が行われて流通しておるわけでございます。  しかし、現実を見ますと、これは先ほども申し上げましたが、全農という組織が、元請段階国内肥料の取り扱い量の約七割を占めております。この全農が農協、経済連等から予約注文を受けまして、大体肥料年度の始まる前にメーカーと個別に交渉を行いまして、いわばその積み上げと交渉、これを通じまして年間の購入価格、数量というものを締結しておりますので、こういうシステムから申しますと、制度上はございませんけれども、手続的にもあるいは内容的にも、大体特定肥料の決定価格を参考にし、またその決定手続に準じたような形でこういうものも価格交渉、価格決定がなされておる、かようなことでございます。
  65. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 農林省は、肥料安定法に基づいて肥料生産費等について検査を行った上で価格取り決めの妥当性を判断しているというふうに我々は聞いておるわけでございますが、その検査はどういうふうにして行われているのか、これが一点。  また、これまで届け出を受けた肥料価格に対して、価格取り決めの変更を命じる等の措置を講じたことがあるのかないのか。この二点をお尋ねしたいと思います。
  66. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 検査とお尋ねがございましたが、コスト調査の問題であろうかと考えております。これは本法に基づきまして、特定肥料生産業者に対しまして各暦年の実績原価報告書というものの提出を求めますほかに、この調査の正確を期するために、必要によりまして生産業者からのヒアリング、それから係官の工場への立入検査、こういうことも行いまして、いわば出されました原価の資料チェックをしながら、これを価格取り決めの交渉対象としまして提供するというようなことでございます。  このコスト調査におきましては、特定肥料関係実績原価報告書作成規定というものがございまして、一種の企業会計原則によりました製造原価の実績の調査をし、それを今申し上げましたようなチェックの上で報告書としてつくっておる、またこれを価格取り決めに当たります生産者、販売業者の代表に提供している、かようなことでございます。  なお、価格変更を命じたということにつきましては、従来はございませんけれども、ただ石油危機の時期に年度途中で価格改定が行われた、こういうことがございます。したがいまして、年度の途中におきましても取り決め価格の妥当性をチェックするということで、まさに石油危機のような非常に激しい事情変更が年度途中で起きた、こういうようなときには、価格改定に持っていくというような意味でのチェックをしているような次第でございます。
  67. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 適正な価格を取り決めるという観点から、肥料生産費等の検査、原価計算を厳重に、適正にやっておられるのかどうか、いかがですか。
  68. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは毎年の原価の報告を受けるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、この原価の決定の厳正を期するという意味で、資料チェック、これは、私どもとしましては、もちろん継続的に毎年の原価報告についてチェックをしているわけでございまして、その経年的な把握の中で毎年の原価につきましても資料チェックをしていくということ、また必要に応じ立入検査もする、こういうようなことで、あくまでもこの価格取り決めのいわば資料になります原価の把握につきましては、常々私どもの非常に重要な業務として厳正を期しておる次第でございます。
  69. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 肥料生産業者販売業者とが協議をいたしまして取り決められております肥料価格は、価格カルテルであり、高値安定となっているという声も随分聞くわけですが、この高値安定とカルテルについて国はどういうふうに考えておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  70. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは現在のシステムによります価格の決め方ということにかかわるわけでございます。価格取り決めに当たりますこの仕組みは、いわゆる価格カルテルと申しますと、その物資を製造するメーカー等が一方的に自分で販売価格を設定するということになるわけでございますが、肥料の場合には、生産者、メーカーと、それから全国農民を代表するような形でのいわゆる購買事業を行っております全農、需要者側との双方の取り決めということになっているわけでございまして、そういう意味で、価格決定のシステムにつきましては、需要者側である農業者の意向、あるいは利益、あるいは交渉力、そういうものが十分に反映していると我々は考えている次第でございます。  ただ、こういう自主取り決めの形になっておりますが、ただいま申し上げましたように、適正な原価の資料を交渉の基礎として提供する、また、価格取り決めの結果につきましてもチェックをする、そういうような法律上の権限を背景にしまして、常日ごろからこういう適正な原価に基づきました価格取り決めがなされるような指導を行政庁としましてもいたしておる、かようなことでございまして、そういう意味で、肥料価格の決定のシステムについては、御指摘のような高値安定というようなことのないような配慮、行政指導をこれからも続けてまいりたい、かように考えております。
  71. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 肥料輸出価格国内価格に相当の格差があるわけでございまして、先ほどの答弁の中で、国外に向けて安値で輸出をして、その差損が国内価格に上乗せをされているということはないという御答弁でございましたが、これはなぜそういうふうになるのか、なぜ格差が生じてくるのか。実態と、なぜこういうことが起きるのかという原因、この二つについて御答弁いただきたい。
  72. 野々内隆

    野々内政府委員 輸出品と国内向けとにある程度格差があるというのは事実でございます。  過去の実績で見てみますと、硫安につきましては、国内価格に対します輸出価格の比率が、四十八肥料年度から五十七肥料年度までの十年間をとってみますと、単純平均で七五・七ということで、四分の三ぐらいの水準になっております。尿素の場合は、同じく十年間の単純平均をとってみますと、八三・五ということで、二割弱の格差が生じております。これは、運賃とか包装費あるいは金利負担というような面で輸出取引国内取引との間に差がございます。それから、輸出価格と申しますのは国際市況に大きく左右されるというのが重点にございます。そういう原因によりまして両方に差が生じておりますが、この運賃とか包装費というような取引条件の差というものを考えますと、表面的にあらわれております差というものもそう大きくはなく、縮まってくるというふうに理解をいたしております。
  73. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最近の肥料業界は構造的な不況と言われておるわけでございますが、構造的な不況になった原因は一体何なのか、伺いたいと思います。
  74. 野々内隆

    野々内政府委員 従来肥料工業設備を大型化いたしまして、輸出に依存をしてトータルとしてのコストを下げるという方向で発展をしてまいりました。ところが二度の石油ショックによりまして、主として石油系原料であるということによって国内製造コストが割高になってきたということが一つの原因でございます。もう一つは、輸出面におきまして、東南アジア各国がみずから肥料生産する、東南アジア各国にとりましても農業の重要な資材であります肥料をなるべく外国に依存したくないという考えもございまして、国内生産をするという形になっておりまして、この双方から輸出というものが急激に減少いたしてまいりました。したがいまして、従来輸出に大きく依存いたしておりました肥料工業輸出が急激に減ったということで、そのほかのコスト問題はございますが、主として石油ショックに基づくコストの高騰、それから、従来輸入国でありました発展途上国が自分で生産を始めた、これらの事情によりまして構造的な不況に陥ったということかと思います。
  75. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 肥料安定法の延長が提案されておりますが、この延長必要性が一体どこにあるのかということを私はお尋ねしたい。むしろ別な角度から、例えば自由競争をさせるとか価格の形成をガラス張りにするとか、そういった観点から肥料価格安定対策を講ずるのが妥当ではないかと私は思うのですが、これに対しての御意見を伺いたいと思います。
  76. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 今回法律延長を御提案しております趣旨は、一つ農業面で、水田利用再編対策のようないわば農業生産の再編成という課題にこたえ、また農業経営の合理化を図っていく、こういうような面で肥料価格安定に対する要請が非常に強い。一方肥料工業の側におきましては、今回さらに第二次の構造改善を実施して一層のコスト引き下げを図っていく、こういうような事情にございますし、なお流通面でも、国鉄貨物駅の集約化に伴う物流面の合理化ということが  どうしても必要になっております。  こういうようなことを考えますと、やはり現在のシステムを当面延長していくことが必要であるということを考えておるわけでございますが、全体を考えますと、現在の制度のシステムというものは、昔のいわゆる肥料二法等に基づきまして直接的に価格を公定するというよりは、あくまでも需要者と生産者、メーカーとの価格取り決めということをいわば基本に置きまして、それに対して行政庁が適正な原価資料を提供する、それから、その取り決めの内容についてもチェックする、そういう形での仕組みというものを、これは独占禁止法適用除外等も持ちましたあくまでも暫定的な措置として今まで実施されていたわけでございますが、現在の肥料情勢から申しますと、こういう形での価格安定、需給安定の措置を続けていくということは当面必要であるし、また現行方式の延長が適切であろう、こういう判断のもとに延長法案を御提案したような次第でございます。     〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、またお尋ねをしますけれども農業生産者にとって欠くことのできない重要な基礎資材であります肥料の適正な価格の安定と供給の維持ということは、極めて重要な課題でございます。そこで、農業生産費の低減を図る上からも、肥料価格の適正化はますます重要な問題だというふうに考えるわけでございますが、国の今後の肥料行政の取り組みについて大臣から伺いたいと思います。
  78. 山村新治郎

    山村国務大臣 肥料農業生産力を向上していくためには必要不可欠なものであるというぐあいに考えます。このために、全国の農家に適期に必要な種類が必要な量だけ確実に供給されることが重要であるというぐあいに考えます。また、農業経営費に占める割合も相対的に高いだけに、肥料価格の低位安定を図るとともに、使用する農家に対して安全でかつ良質な肥料供給することが必要な課題であると考えております。したがいまして、肥料工業における合理化努力並びに本法運用によりまして適切な価格の設定と内需の優先確保を図るとともに、昨年改正されました肥料取締法の運用を通じまして適正な品質保全措置を講じてまいりたいと考えております。  なお、化学肥料のみに過度に依存することなく、これは地力の面で問題もございますので、先般成立を見ました地力増進法等により土づくりの推進も図り、また適切な施肥の指導にも努めてまいりたいと考えております。
  79. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今大臣から御答弁ございましたように地力をやはり大事にして、その上の肥料行政ということで、積極的な取り組みを心から要望申し上げて、私の質問を終わります。
  80. 阿部文男

    阿部委員長 松沢俊昭君。
  81. 松沢俊昭

    ○松沢委員 同僚の議員の皆さんからいろいろと御質問がございましたので、なるべく重複は避けたいと思いますけれども、重複する面がありましたら御了承願いたいと思います。  化学肥料の歴史というのは今に始まったことでございませんで、戦前からの歴史がずっとあるわけでございます。とりわけ昭和二十九年に二法ができ上がりまして、そして政府価格の決定をやっておりましたけれども、三十九年にこの二法というものが廃止され、それにかわって今審議をやっておりますところの臨時措置法ということになったことは申し上げるまでもございません。それというのも、普通の産品と違いまして、化学肥料というのは国民食糧と深いところの裏腹の関係があるからこういう歴史というのが続いてきておる、私はかように考えておるわけであります。  そしてこの臨時措置は五カ年間の期限であったわけでありますが、きのうもちょっと申し上げましたけれども、この法律が制定される場合におきましては、二法が切れればもうそのまま野放しにすべきであるというのがその当時業界意見であったわけですね。ところが、農業団体側といたしましてはまだ安全でないから二法を残すべきだ、我が党はそういう主張でございまして、それを緩めて今の臨時措置法にするということはけしからぬじゃないかという主張であったわけであります。しかし、いずれにいたしましても野放しにするわけにはまいらぬ、こういう議論が展開されてまいりました。そしてこの措置法ができ上がりまして、五年間たちましたらまた五年間延長ということで、今回で四回目ということになるわけですね。  私は、物が物であるわけでありますから、結論あるいはいい制度を見つけ出すのは非常に難しいから延期延期で来ているというふうには考えますけれども、もうこの辺でそろそろ同じことを繰り返すことなしに、どうしても特別な制度というのが欠かすことのできないものであるとするならば、政府の方もそれなりに知恵を絞って新たな制度をつくり上げる必要があるのじゃないか、こんなぐあいに考えます。今回の五年間延長の提案理由の説明を見ましても、何かおざなりの提案理由の説明にしか受け取ることができないわけでありますが、この点、現時点においてこれを延長しなければならない理由をもう少し詳しく、農林省側と通産省側からお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  82. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 本法延長理由につきましては提案理由説明にも書かれておりますが、基本的には、先生の御指摘の中によくあらわれましたように、肥料の資材としての重要性、特にこれからの農業生産調整、再編成あるいは農業経営の規模拡大、こういうような農政上の問題を進めていく上での重要性がございますし、また直接的には肥料工業の方でさらに第二次の構造改善を進めるということでコスト低減に向けての一層の努力がされるわけでございます。また流通面におきましては、貨物駅の集約化に伴います流通体制の再編成、こういうようなことがこの延長をお願いするいわば実質的な理由でございます。  そのほかに、先生お尋ねの中にございましたような肥料価格安定制度というのはそもそもどうあるべきか、こういう問題につきましては、かつての肥料二法から現行法にかわりましたときに、直接的に国あるいは行政庁価格を設定するのではなくて、自由取引というか自主的価格取り決めを基本にして、それに必要なルール化なり行政庁としてのチェックあるいは資料提供をしていく、こういう仕組みになったわけでございます。  こういう仕組みが肥料価格安定制度として最善であるかどうか、こういう問題についてはいろいろな議論の余地があると思いますし、私ども先生お話にございましたような非常に基本的な制度についての検討もすべきである、かように考えておりますが、資材の流通というものが現在の法制のもとでは本来は自由であるということでございますので、それに対するチェック機能としては現在のような仕組みを当面続けるということがどうも現段階では一番適切なのではなかろうか、かように考えたわけでございまして、さらに、今回お願いする延長の五年の間に製造工業合理化状況も見、また流通の秩序の確立、こういう面についても私ども努力をしまして、適切な肥料価格安定対策のあり方についてはさらに検討、勉強してまいりたいと考えております。
  83. 野々内隆

    野々内政府委員 ただいまの関谷局長の御説明どおりかと思います。化学肥料工業側から見ましても、長期的に化学肥料の安定的な供給を行うという観点から現在構造改善に取り組んでおりますが、この構造改善、俗な言葉で言えばもう待ったなしの状態でございまして、何とか輸入品に競争し得る体制にまで持っていく必要があるわけでございます。  そのためには、この法律に基づきますシステムによりまして価格が安定をし、また政府がつくる需給見通しを勘案して安定的な生産を行える、これが構造改善を進めますときに大変役に立っております。したがいまして、そういう肥料の長期安定的な供給のための構造改善、こういう観点からもぜひ本法延長ということを再度お願いいたしておる、こういうことでございます。
  84. 松沢俊昭

    ○松沢委員 この法律を見ますと、これは「農業及び肥料工業の健全な発展に資することを目的とする。」こういうことになっているわけでありますが、農林省の関谷局長の方からも価格の安定ということを言っておられるわけです。それから通産省の局長の方からも、価格の安定が構造改善をやっていく上において必要なんだ、こう言っておられます。さっきも質問の中でいろいろ御指摘がございましたが、今の価格というのは高値安定なんじゃないか、もっと低位安定でいくべきじゃないか、こういう意見生産者側の方では出ているわけなんですよ。  そこで、もしこの時期で廃案にしてしまった場合、一体価格はどうなるのか。それからもう一つは、需要に見合う生産量というのはどういう変化が出てくるのか。これはまだやっていませんからわかりませんけれども、両方の局長の想定される姿、それをお聞きをしたい、こう思うわけですが、どうでしょう。
  85. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 延長を御提案しているときに、なくなったらどうなるか考えろというのは大変難しい御質問でございます。  本法の今までに至る運用の結果といたしまして、現在の制度が一種のルール化している。例えとしては少しきついかもしれませんが、空気のようになっているという説もあるくらいでございます。そういう意味で、ない状態というのは想定するのが非常に難しいわけでございますが、実質的な、経済的な取引の面におきましては、これだけ全農が流通面、販売面でのシェアを持ち、力を持っているわけでございますし、組織もございますから、本法がない状態でもメーカーとのいわば価格交渉、価格取り決めについて相当な力を発揮して、そういう面で供給あるいは価格両面の安定を図っていくということは十分考えられることでございます。  ただ、そこにおきまして独占禁止法上の取り扱いというような問題もございますし、それから特に私どもとしては、行政庁が原価資料を提供する、こういう適正な原価面でのチェックを、自主的な取り決めに対していわば行政的なチェックをしているわけでございますから、これがなくなりました面での若干の不安、あるいはこれを契機にしまして大体長い間には完全な民間の協定という形になっていく可能性もございますので、そういう面で当面すぐに大混乱が起きるということは全農の今の実態等からしましても考えられないとは思いますけれども、長期的には化学肥料工業面での合理化等が進められていく過程の中で、例えばそういう合理化メリットを十分肥料価格に反映していくとか、こういうような面でのことが十分行われるかどうか、これはやはり不安があるのではなかろうか、かように考えております。
  86. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすると、値段は下がるのですか上がるのですか。
  87. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 まさに非常に端的なお尋ねでございますが、今申し上げましたように、すぐにこういう価格取り決めのルール、手順が崩れてなくなるということはないということとすれば、法律がない場合とある場合と想定しまして、あしたからすぐにも価格が上がっていく、あるいは下がっていくというようなことはないのではないかと私は思います。やはり法律のない状態が続いていく中では、価格は現状よりは不安定、あるいはコスト面からの合理化面でのメリットのつながり、こういうようなことが十分に行われなくなるのではなかろうか、こういう不安を持っておるわけでございます。
  88. 野々内隆

    野々内政府委員 仮定の問題でございますのでちょっと御説明しにくうございますが、関谷局長おっしゃいましたように、きょうなくなったと仮定しても、あすから直ちに混乱が起こるということでなしに、既に一定の秩序ができ上がっておりますから、しばらくは秩序というものがあるだろうと思います。  ただ、化学工業の様子を見ておりますと、過剰設備というものから非常に苦しい状態になっておりますので、多分相互の企業の間で疑心暗鬼から、極端な例を申し上げますと過当競争に陥るだろうと思います。そういたしますと当然生産の受委託とか合理化というものができなくなりますので、多分過当競争で一時的には値段が下がっていくと思いますが、それによって赤字が累積をする、それが極端に行き着きますと結局化学肥料工業存続自体が非常に危険な状態になり、工場の閉鎖という形で地域経済に悪影響を及ぼす、非常に極端な言い方をすればそういうことになる。それから、そういたしますと、国内供給能力がなくなれば、当然輸入に代替されることによって外国の肥料工業日本価格が支配されるという方向に行く可能性があるかと思います。  当面直ちにどうこうということはないかと思いますけれども、言えることは、構造改善というものが行われなくなって、いつまでも日本化学工業が国際競争あるいは輸入品に打ちかつ価格の方向に合理化ができない、そういうような不安定な状態に陥るであろうということは言えるかと思います。
  89. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これは想定の話ですからなかなかお答えしにくいと思いますけれども、私の判断からしまするならば、一時的には値段は下がるんじゃないか。要するにその下がるのを支えていくところの状況というのが今の状況なんであって、したがって生産農民の側からすれば、結局化学肥料工業のために今は犠牲にされているんじゃないか、そういうことが何回も何回も繰り返し延長されることについては不満であるという意見が、きのうあたりの参考人の皆さんのお話を聞きますと出ているんじゃないか、こんなぐあいに実は考えるわけでございます。  そういう点で両方相まって発展、安定してもらわなければならぬわけなんでありますから、私はどれがどうということは申し上げませんけれども、ただ昭和五十六年の九月に諮問され、五十七年の六月に答申がありましたところの産業構造審議会化学工業部会の答申「今後の化学肥料工業及びその施策のあり方について」というのがございますので、それを見せてもらいますと、いろいろなものが書かれていますが、「輸出については企業の柔軟な対処が必要。また、輸出秩序の維持、経済協力の推進による支援の継続が望まれる。」なんという文章がございますし、それから「化学肥料価格形成に当たっては、長期的な化学肥料の安定供給確保する観点から企業の合理化意欲を減退させることのないよう留意し」という文章もここに出ているわけなんです。それから「農業化学肥料工業の健全な発展をいかに確保すべきかとの基本的かつより幅広い視点に立った検討が必要。」こういうぐあいになっておりますが、三十九年の二法が切れるとき、産業界の方の意見としては、もうこれでいいじゃないか、これ以上我々を拘束してもらっては困る、こういう意見というのがあったわけですね。その当時の国会の議事録なんか見ましても、たしか融資でございますけれども、三十七年には百十五億円ですか、融資をしているわけですね。その他税制上の優遇措置もとっているわけです。  今第二次構造改善事業をやっておられますけれども、これにつきましても、金の面から、税金の面からいろいろと手当てをして、六十三年までですかの間に完成をさせる、完了をさせるという方向で進んでいるわけなんです。それが合理化がなされてしまったとき、五十四年に切れるわけでしたが、今度もう一回でこれは切れるわけであります。そのとき、いろいろこの法に助けられながらずっと進んでいって、そのときになって、もう国際競争力も十分についたんだから、そこから出るところのメリットだとかというものは企業の方の懐の中に入れてしまって、そして農業なんというのは面倒見ていられないんだ、そういう方向で逃げ切るというところに危険性があるのじゃないかという気がしますが、そういう点は通産省の方ではどうお考えになっていますか。
  90. 野々内隆

    野々内政府委員 まず、肥料の安定供給というのは非常に重要な問題でございまして、それは農業サイドから見てもちろん重要なんですが、供給側の化学肥料工業から見ましても、安定的に供給ができるということは企業経営を安定にするということからいって非常に重要なポイントであろうかと思います。したがいまして、お客様は神様という言葉がございますが、供給側と需要側が一体にならない限りはその産業発展はあり得ないのだろうと私は思います。  それから、国際競争力を持つまでに合理化をしていくというのは、一口で言っておりますが、これは非常に難しい大変な事業でございまして、化学肥料工業側といたしましても、今後、技術開発設備投資、原料転換、いろいろなことをやりながら最大限の努力をしていってやっと達成されるという非常に難しい目標であろうかと思います。したがいまして、構造改善が済んだ段階で国際価格に比べてコストが非常に安くなって、大変もうかって喜ぶというような事態になり得るかどうか、私はそこまではなかなか難しいだろうと思っております。また、そういうふうに国際競争力がついてまいりましたら、当然そのメリットは供給側と需要側が均てんをして、そして双方が一体となって発展をしていくという考え方化学工業がいかない限りは、とても発展は望めないと思っておりますし、私ども農林水産省と協力しながら、当然そういう方向で業界の指導に当たってまいる必要があると考えております。
  91. 松沢俊昭

    ○松沢委員 今の法律でも双方発展ということを目標に掲げているわけなんです。ただ、肥やしの値段の決め方でありますが、これも先ほど指摘されておりましたように、法律的には全農という言葉はありませんけれども、結局販売業者側としては全農が今相手になって、一方の生産業者側としては協会が相手になっているのですか、そういうことで双方で交渉をやって価格を決めるということになっているわけですね。  その場合に、さっきから申し上げておりますように、つくる側と売る側が安定しても、使う側が安定しなければ農業発展はないわけなんです。使う側の方は文句を言っているわけです。そうすると、参議院の議事録なんかを見ましても、さっき関谷局長の方からもお話がありましたように、全農というのは販売業者である反面また生産者の代表でもあるのじゃないかと言われるわけでありますけれども、この場合の立場はそうではないと私は思うのです。やはり買う側の代表であって、使う側の代表ではないと思うのです。だから使う側の代表が、生産農民側がいろいろな不満を出してきている、こういうことが言えると思うわけです。  そこで、要するにこの仕組みを今この法律のもとで変えて、生産者代表として、きのうも参考人として出てきておりますところの北海道農民連盟なんというのもあるのですが、そういう人も全農と一緒に加わって、そしてメーカー側との交渉ができるという仕組みにはこの法律上からしてできるのですか、できないのですか、どうですか。
  92. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 お尋ねのございましたような生産者、農民参加ということでございますが、現在の法律の中には肥料を買う側の全農に当たりますものを販売業者ということでつかまえられておりまして、価格取り決めの当事者は生産業者販売業者でございますから、価格決定がいいかどうかということの意見を反映することは実際上全農の組織の中でいろいろ努力されておるようでございますが、価格取り決め自体に参加することは制度上も予定されておりませんし、価格取り決めの性格が一種の販売、売買行為というものと対応する形にもなっておりますので、そういう意味制度上の措置としてはできない、こういうことでございます。
  93. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それじゃ、製造業者側としてはどなたが出ておられるのですか。
  94. 野々内隆

    野々内政府委員 製造業者も数が多うございますので、その中から代表を選んで委員会をつくりまして、これが販売業者側と交渉するシステムになっております。
  95. 松沢俊昭

    ○松沢委員 法律の第三条で「特定肥料生産業者及び販売業者は、前条第一項の取決めを締結しようとするときは、農林水産大臣及び通商産業大臣に対し、その取決めの締結のため必要な資料の交付を求めることができる。」そして第二項に「当該生産業者及び販売業者に対し、当該資料を交付する。」こうなっていますが、製造業者の場合におきましては、七〇%も八〇%も製造しているのはいませんから、みんなでいろいろ相談してその中から代表を選ぶということだから、資料の交付があった場合におきましては、みんなそれぞれ別な会社でありますから、一体これがいいのか悪いのかを検討する場合においては、もらってからみんなで相談すると思います。  ところが全農の場合におきましても、全農そのものというのは各県の連合会が加盟しておりますし、各県の連合会の中には各単協が加盟しているわけなんであります。したがって、交付された資料がどうだかという検討はその内部でやって差し支えないと私は思うわけでありますけれども、しかし、実際に全農さんにそれを見せろと言っても見せないという過去の経過があって、であるからこそ不信感が強まってきているというぐあいに私は考えるわけなんであります。  でありますから、業界の場合におきましては当然そうしなかったらおさまりがつきません。それと同じように、販売業者側と言われておる農業団体側としても、それが部内においてちゃんとわかるように、検討のできるようにさせる必要があるのじゃないかと思いますが、農林省の方はどうお考えになっていますか。
  96. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 法律に定めます価格取り決めの当事者というのは、法律上も全農側は販売業者としてつかまえられておりますし、この価格取り決めの要件にいたしましても、販売業者それから生産業者、特に販売業者は、販売業者としてその販売の中で相当のウエートを占めている者でなければならない、こういうようなことも価格取り決めの要件になっておりますので、法律の形というものはあくまでも販売業者である全農に価格取り決めの交渉権限、決定権限が与えられておるわけでございますし、国の提供します資料もその当事者である全農に提供されるわけでございまして、これを全農の組織の中でどういうふうに取り扱うかということにつきましては、最終的な交渉のことでもございますので、一概に、直ちにその資料を広く公表するということはなかなか難しいし、資料の性格があくまでも価格取り決め当事者に対する資料として提供されておりますので、秘密保持というような観点もそこに入ってまいるわけでございまして、全体的に肥料の取り決めあるいは肥料価格、あるいは流通も含めました問題について、全農が組織として、県連、単協も含めました組織内での情報交流と申しますか、その直接、間接の構成員、さらに言えば農民の方々までも含めた組織の中の意向を反映して価格取り決めを行う、また、そのための情報活動をやるということは私どもも必要だと思いますし、そういう指導もいたしておるつもりでございますが、ただ、生にこの資料を部内で広く配付するということは、やはり法律の性格からしますと難しいのではないか、かように考えます。
  97. 松沢俊昭

    ○松沢委員 業界側の方は私が申し上げましたような方法でやっておられるわけでしょう。
  98. 野々内隆

    野々内政府委員 私どもが交渉委員資料を交付いたしますと、交渉委員は、必要に応じまして生産業者側の特定のメンバーと相談をするために資料を見せるということはあり得ると思っております。
  99. 松沢俊昭

    ○松沢委員 局長、今通産省の方から、製造業者側の方ではもらった資料を検討するために代表が業界と相談される、こうなっているわけですね。そうすれば全農の方でも、当然のことながら、その構成メンバーと相談されるのが建前なんじゃないですか。それが何で悪いのですか。農林省が圧力をかけるからできないんじゃないですか。農林省がそうすべきだという指導をすれば、今のように全農さんと下部、末端との不信感というのは解消されていくんじゃないか、私はそう思うのです。  私は全農が悪いなんて言っているわけじゃないですよ。だけれども、全農もやはり下部の方の見解も十二分に吸収できるような体制をつくってもらわぬと、農業協同組合全体が混乱する、こういう立場で言っているわけなんであります。業界の方はそういう方法でいろいろ御相談されているとなれば、生産者側といいますか、農業側の方でも十分に相談のできるような状況をつくってもらうように農林省の方でも御指導されたらどうか、こう言っているわけですが、どうですか。
  100. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 法律的な問題になりましてちょっとかた苦しくなりますが、交渉取り決めの当事者は、販売業者販売業者たる全農一つでございまして、生産業者の方は、今通産省の方からお答えがございましたが、個々の生産業者が集合して価格取り決め当事者になっているわけでございまして、その中に代表者の選任等があるようでございますが、これはあくまでも、個々の生産業者の方々が参加している価格取り決めについて自分たちの代表者を参加させているということで、価格取り決めの当事者はあくまでも個々の生産業者でございます。そういうことで、全農と一応法律的な人格を異にします構成員である県連等の関係とは、そこが違うというふうに制度上はなっているわけでございます。  したがいまして、全農自身が自分の構成員である系統組織の中で、価格取り決めに含めましてどういうような情報交換あるいは価格の検討をするかということにつきましては、私どもも決して価格資料というものについてのいわば秘密性というものを指導しているわけではございませんが、法律的な性格でそういうふうに全農自身に価格取り決めの権限が与えられるという意味では、資料自体の非公表ということは守られなければならないというふうに考えますが、これは肥料全体としましては、価格、流通全体を通じて全農の中にも関係委員会あるいは理事会がございますし、肥料肥料として一つの系統事業としてずっと歴史を持って実施されているわけでございますから、そういう中で、お話のございましたような組織内部での情報交流あるいは討議というものは十分されるべきだと思いますし、私どももそういう指導はしてまいりたい、かように考えております。
  101. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そこのところが私も納得できないわけでありますが、そういうことであれば、全農をばらしてしまって、四十七都道府県の経済連が販売業者だということでやって、そして中央の代表として全農が交渉に当たる、こういうようなやり方をやればそれはできるのですか。あるいはまた、もう単協全部が販売業者である——実際、農民から見るならば販売業者ですからね。じゃ、そういうのが全部販売業者だ、その中から代表として、例えば全農の田中常務理事が当たってくれる、こういうことになれば、製造業者側と同じような方法で両省の方から出されたところのデータを生のまま見て検討することができる、こうなるのですか。
  102. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 まことにその辺、いわゆる実質的な情報交流、検討の話と制度上の扱いとが非常に違いまして、大変答弁がかた苦しくなるわけでございますが、現在の法律上の販売業者というものは、価格取り決めのいわば要件といたしまして、国内向けの販売額がそれぞれの販売額の総額に対し相当の比率を占めているということが要件になっておりまして、これは法律上、括弧で書いてあるわけでございますが、生産業者から直接買い入れた特定肥料の販売額というふうに書いてありますものですから、全農から県連等に売りまして、県連がまた売っている、その限りでは県連はもちろん販売業者であるのですが、法律上の販売業者の要件は、生産業者から直接買った肥料のシェア、こういうことになっておりますので、これから申しますと県連等は価格取り決めには参加できない、こういうふうに解釈上なるわけでございます。したがいまして、あくまでも系統組織内の情報交流、検討の問題になるということで、法律上の扱いは、現在の流通の実態から申しますと全農が価格取り決めの当事者になれるということでございます。  なお、本件とはちょっと関係がございませんけれども、いわゆる商系の元売り業者、これは御承知のように価格取り決めに参加しておりませんけれども、これはちょうど生産業者の方が共同して取り決めに参加しておられるように、全農と共同していわゆる元売り業者の方々が取り決めに参加できるということで、俗に言う元売り段階で販売ということをつかまえている、こういうことでございます。
  103. 松沢俊昭

    ○松沢委員 交付された資料というものを全農傘下の組合員の皆さんに公表すると、何か不都合なことがございますか。
  104. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは不都合というか、実質的な不都合という問題の以前に、制度的な仕組みとしまして、法律上この原価資料が、価格取り決めに必要な限りにおいて資料を交付するということでございますし、その資料の有効性を担保するために原価調査をしまして適正な原価を把握して、それを資料として交付しているわけでございます。やはり原価と申しますものは本来企業秘密でございますし、それをいわば行政的なチェックをしながら、あくまでも価格取り決めに使用するということで交付しているということでございますから、法律の趣旨から申しますと、これが直接的に価格取り決め当事者以外のところに出ていくということは適当ではない、かように考えております。
  105. 松沢俊昭

    ○松沢委員 やはりそのところが不透明なんだね。それで批判が出るのです。企業秘密だと言うけれども、例えばそれじゃ、交渉をやるときに皆さんが交付をする資料というものは、何々会社がどのくらいなコストであるとか、何々会社がどのくらいなコストであるというようなことは出しておられないのじゃないですか。だから、そういう点からいくならば、私は企業秘密なんというものはないと思うのですね。  例えば米価の計算なんかにしましても、農家の必要経費が幾らであるかという計算をやって出すでしょう。農家だってやはり秘密はあるのですよ。だけれども、それは企業秘密なんということは言ってないでしょう。しかもこれは公表されるのですよ、農林大臣おられますけれども。何で化学肥料のコストのデータだけが秘密なのですか。そんなことないのじゃないかと思う。そしてまた、その内容というものも、例えば三井何とかがどのくらいかかっているとか東洋高圧がどのくらいかかっているとかというのは、一々あなた方は全農のところへ出されるのですか、どういうものを出しておられるのですか。
  106. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 まず原価資料の交付の仕方でございますが、これは現実には法律的に決まつておることではございませんけれども、個々の会社という形ではなくて、平均原価と、それから交渉の参考までにということで最高、最低のコストは一緒に提供しているような実態でございます。  ただ、非常に理屈っぽくなって恐縮でございますが、現在の制度があくまでも民間——民間というか当事者間の自主的な取り決め、それについて、行政庁がそれが適正に行われるようにいわばチェック機能を果たす、こういうのが基本でございますので、確かに原価資料というものは一たん国の手に入るわけでございますが、その性格というものは、民間の自主的な取り決めのいわば資料として使う意味で一応行政庁チェックをする、こういうような仕組みになっておりますので、どうもそこのところは、一般の農産物の生産費というようなものとはやはり性格が違う、こういうように考えております。
  107. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は違わぬと思いますが、問題は、今の例えば硫安にしましても、結局大部分というものが副生硫安、回収硫安、こういうものでつくられているということになるわけでありますから、全農さんの方からもいろいろ聞きましたけれども、ただと同じようなものを肥やしに使うんじゃないか、ただよりもっと金がかかるんじゃないか。肥やしに使うから何とかメリットが出てくるのであって、肥やしに使わなかったら、公害防止の設備なんかを使わなければならぬからマイナスになるんじゃないか。そういうものを使って硫安なんというのをつくっているのだから、もっと安くなってもいいじゃないかというような言い分だとか、あるいはまた、参議院でもいろいろ議論されましたように、五十四年の改正当時の渡辺農林大臣は、単品メーカーというのは余りないのだから、繊維会社とか鉄鋼会社とかいうものが肥やしをつくっているわけだから、鉄の方にコストが余りかからぬでこっちの方にかかったということになればこっちが高くなる、だから、コストの分配というのはちょうど大豆油と大豆かすみたいなものであって、大豆かすの方がコストが余計かかるということになれば大豆油の方はかからぬ、あるいはその逆のこともあるだろう、そういうものなんだということを言っているわけなんですね。  だから、全体をどのようにして考えて、そして肥やしの値段をつくっているのかということは非常に問題のあるところなんであります。それだけにやはり公開をしていくというのが一番生産者側を納得させるにいいことであり、国民を納得させるにいいことだと思うのですよ。それができないということであるとするならば、それにかわるべき制度というものをつくっていかなければならぬじゃないか、私はそう思うわけであります。  もう時間が参りましたからこれ以上申し上げませんけれども局長の方でも十分検討されまして、もし制度上において、今の法律上においてそれができないということになれば、運用上において不満の出ないような方法を考えるというようなことをしてもらいたいと思いますが、これはどうですか。
  108. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 現行制度の性格から申し上げまして、いろいろの制度上の制約があると思います。かつての肥料二法時代には、行政庁価格決定をする場合には、これは当然でございますが、原価資料もその参考として出ておったわけでございます。制度上の建前はございますが、先生の御指摘の趣旨は私どもも十分理解をしておるつもりでございますので、これからさらに、御指摘のような疑念の起きないように鋭意検討してまいりたい、かように考えております。
  109. 松沢俊昭

    ○松沢委員 最後に農林大臣に申し上げたいわけなんでありますが、これで四回目の改正ということになるわけですね。同じことばかり繰り返していってもしようがない話なんでありまして、この辺で——どうしてもこういうような制度が必要だと私は思うのですよ。だけれども、この法律が万全であるということにはならぬと私は思うのですね。例えば農場の生産計画化学肥料生産計画というのを表裏一体にして考えてみるとか、あるいはまた、今申し上げましたような問題があるから、価格の取り決めの場合におきましては審議会のようなものをつくっていくとか、こういう重要な物資なんでありますから、価格の決定は業者に任せるということでなしに、政府の方で決定をやっていく。米麦価は政府でやっているわけだから、そういうようなことをやる。国営なんということはなかなかできないと思いますけれども、国が相当関与した管理をやって、いかなる状態が来ようとも、食糧生産には支障を来さない、そういう肥料の備蓄だとか生産、そしてまた流通体制というものを考えていかなければならない、私はこう思っておりますが、五年間のうちに農林省の方でも通産省の方でもそういう点を十分考えてもらって、そして五年後においては同じようなことが起きないように善処をしてもらいたい、こう思いますが、大臣の御所見をお願いします。
  110. 山村新治郎

    山村国務大臣 肥料農業にとって欠かせないものでございます。そして現在、この法案の審議をいただいておるわけでございますが、何にしましても、関係者の皆様方の御不満が起きないようなぐあいに、いろいろ難しい点もあるようでございますが、ひとつ前向きに検討してまいります。
  111. 松沢俊昭

    ○松沢委員 終わります。
  112. 阿部文男

    阿部委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  113. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村源雄君。
  114. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今度の肥料価格安定等臨時措置法は非常に重大な意義を持っておりまして、近年、農業生産の、酪農、畜産部分を除いた農業経営費の中で約二〇%の化学肥料を使用しておるわけです。しかも、そのうちで窒素系の肥料というのは五割ないし六割使われておるということから見れば、日本農業生産の一〇%に相当する、そのくらいのシェアを持っておるものでございます。  したがって、この法律は、肥料二法以来、安定法になって既に二十年。それで五年前に同じように審議をされたときに、今全農でも公表しておりますが、肥料二法以来の引き続く安定法に至るまでの国内価格輸出価格との格差について、五年前にどういう認識で受け取って、そしてどういう論議をされましたか。
  115. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のとおり、国内価格輸出価格に差がございまして、この肥料二法当時からの議論というのも、輸出価格の赤字が国内に転嫁をされないような仕組みをつくるということに非常に基本的な考え方があったように思います。  御承知のように、輸出価格は国際的な市況によって影響を受けてまいりますので、国内価格との間にどうしても格差が存在する、これは日本だけでなしに、世界じゅうそういう情勢になっております。したがいまして、日本の場合にも、例えば最近の十年間では国内価格に対しまして輸出価格というのは七割から八割というような水準になっておりますが、この格差の原因というのは、運賃とか包装費、金利負担というような、種々の両者の間の取引条件の差等による部分も相当程度あるということかと思います。したがいまして、私どもも、本法運用の経緯におきまして、何とか肥料化学工業構造改善合理化をすることによって国内価格を引き下げ、両方の格差が縮小するように努めてまいったつもりでございます。
  116. 新村源雄

    ○新村(源)委員 単純に輸出価格国内価格を対比をいたしますと、私の手元の資料では、安定法が成立されてから、硫安では七一%、それから尿素では七七%、これだけの格差があるわけです。さらに、全農の資料に基づいて、この格差に国内流通のいわゆる運賃、保管経費あるいは包装格差、さらには支払いサイト、こういうものを全部国内の流通経費に充ててみても、硫安においてはなお八二%ということになっているわけです。さらに、尿素においては七一%ということになっています。さらに、これを国際価格と対比をいたしてみますと、最低と最高の中間をとっても、硫安では四三%、尿素では四五%、こういう大きな格差を持っておるわけです。  したがって、肥料工業に対して具体的にどういうように五年間指導してきたか。少なくともこの表でこの価格の推移を見ている限りでは、そういう具体的な指導、そしてその成果がこの肥料価格にはね返っているという実績はないのですが、どうですか。
  117. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のとおり、国内価格輸出価格の間にかなりの格差が存在することとなっておりますが、原因は、一方で輸出価格というものが国際市況によりまして大きく変動いたしまして、石油ショックのときのような場合には、むしろ逆に国内価格よりも輸出価格の方が高くなるというような非常に不安定な状態であったわけでございます。国際価格そのものを動かすということは不可能でございますので、むしろ国内価格、それはコストでございますが、何とかコストを合理化によって引き下げようということが政策の基本かと考えております。  このコストの上昇の非常に大きな原因は、二度の石油ショックによります原料価格の高騰、これが非常に大きな要因でございまして、そのために政府といたしましても二度にわたります構造改善、これを業界に指導してまいりました。残念ながら御指摘のように石油ショックの影響もあり、かえって値段は高くなっております。しかしながら、構造改善によりまして、一時的な石油ショックによる値上がりの場合以外は傾向的には低下をしているというような状態になっておりまして、今後ともできるだけ輸入品に対抗し得るようなコストになるように業界自体合理化構造改善努力をさせますと同時に、私どもといたしましてもその方向で引き続き指導いたしてまいりたい、かように考えております。
  118. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この際、この五カ年間の経過をたどってみて、そして一体どこに問題点があったのかということを明確にしなければ、これから五カ年間にそういうものは改善されるとは私は思わないわけです。今御答弁をいただいたわけですが、確かにこの価格の推移を見てまいりますと、オイルショックのときは国際価格が一時的にはね上がったことはあります。ありますけれども、それはたった一年ですね。一年で国際価格は正常になっているわけですね。ところが、国内価格はそのときはそれほどの飛び上がりはなかったけれども、あなた方のおっしゃる安定かもしれないが、しかしそれ以来ずっと高値安定してきておるわけですね。国際価格はそれを終わってからさらにずっと価格が引き下がってきている。しかし、国内価格は高値で上がったところでずっと安定してきている。これは一体どうしたことですか。
  119. 野々内隆

    野々内政府委員 国際市況が下がったというのは二つ原因があると思います。一つは、石油ショックの後、世界的に供給過剰になりまして需給状態が非常にアンバランスになったというような問題、それからもう一つは、石油価格の値上がりということから、諸外国におきまして原料転換、特に天然ガスを原料とする方向に変更が行われている、この辺が諸外国におけるコストダウンの非常に大きな要因ではないかと思います。  我が国の場合には、天然ガスを産出いたしますが、ほんのわずかでございまして、肥料工業全体に影響するほどではございません。したがいまして、石炭、LPG等への転換あるいは硫酸製造におきます優位性、こういうものを活用いたしまして何とか値段を下げるべく努力をしたわけでございますが、いかんせんメインな原料でございますナフサが余りにも高騰いたしまして、そのために残念ながら価格の低下がそう大きくなかったということになったと思います。
  120. 新村源雄

    ○新村(源)委員 したがって、この五カ年間そういう成果があらわれなかったということは、これは農政問題に対する研究討論集会の中での権威者の意見なんですが、時間がかかりますから問題点だけ読みますが、「問題は、空中窒素に化合させる水素源をいかに安く確保するかということです。その選択で日本産業政策は結果として失敗した。つまり、水素源を石油に求めたのが日本であり、天然ガスに求めたのがアメリカやヨーロッパのいくつかの国だったわけです。大もとのところで選択」が失敗した、こう言っているのですが、この点については事実はどうですか。
  121. 野々内隆

    野々内政府委員 水素源が問題であるというのは、全く御指摘のとおりでございます。それで、この水素源をどこに求めるかという点でございますが、従来石油が非常に大量豊富であった時代には当然石油に求めるということが正しかったのであろうかと思います。しかしながら、石油ショックによりまして石油が暴騰いたしまして、その結果石油に依存をしたということが非常にマイナスになったわけでございまして、何とかこれから改善をしなければならぬということで石炭、LPG等への転換を行いつつございます。  我が国におきましても、天然ガスがもし大量に産出てきますればもちろんこれに依存することは可能でございますが、残念ながら少量でございまして、外国から天然ガスをLNGの形で現在輸入をいたしておりますが、これは液化費用並びに運送費用がかなりかかりますので、とても東南アジア及びアメリカに対抗ができないという点がございます。したがいまして、水素源に石炭を用いるものあるいはLPGを用いるものという形での転換を現在計画いたしております。
  122. 新村源雄

    ○新村(源)委員 同じ研究会の中でこういうようなことを言っているのですね。今化学肥料工業は第二次の構造改善をやっている、その柱の一つ原料転換をどうするかということだった。そこで、これは名指しで言っているわけですが、「三菱ガス化学はアラスカに膨大な天然ガス源をもっています。これを窒素化学肥料原料にして、かなり安い価格で大量生産することはできなくもないのですが、それは業界を混乱させるということで事実上」見送りにしている、こういうことが指摘されているのですが、構造改善の中でこういうようなことがあるのですか、どうですか。
  123. 野々内隆

    野々内政府委員 天然ガスを利用いたしまして尿素をより安く製造することができるというのは既に例もございますし、三菱ガス化学のプロジェクト自体は私存じませんが、多分可能であろうかと思っております。現に我が国では高度化成肥料用の原料という形で尿素の輸入が行われ始めておりまして、三菱ガス化学のプロジェクトそのものを日本に入らないようにしたというようなことについては、私ちょっと存じません。
  124. 新村源雄

    ○新村(源)委員 ですから、こういう面から見ますと、この法律によっていわゆるカルテルを組む、いわゆる安定供給をするという形の中で原価から価格の安定をしていく、そうするとこれからの構造改善の中に企業努力というものが今言ったようなことで行われないのではないかという心配があるのですが、これはどうなんですか。そういう点を克服できますか。
  125. 野々内隆

    野々内政府委員 御承知のように肥料は今輸入が完全に自由化されておりますので、もし国内のメーカーが構造改善を長期にわたって行わないというような事態になりますと、当然国内需要家は輸入の方に目が向くことになるだろうと思います。もちろん輸入が安定的であるのか、その他いろいろ考慮すべき点はあるかと思います。しかし、余りにも長期にもし輸入価格と国産価格とに大きな格差があるということであれば、需要家は輸入に目が向くというのは当然かと思います。  したがいまして、国内肥料メーカーはそういうことを念頭に置きまして、この際積極的に構造改善を進めて輸入品に対抗し得るようなコスト引き下げということを図る必要があると考えておりまして、そのために現在第二次の構造改善を行っておりますが、私どもも指導をするつもりでおりますし、化学肥料メーカーもその考え方で現在構造改善を推進している、かように理解をいたしております。
  126. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これからの構造改善というのは肥料のこれからの価格形成の上で非常に大きな要素を持っているので、ひとつ厳重な構造政策に対する企業の指導といいますか、そういうものを進めていってもらいたい。  それから、これはちょっとまた過去のことに逆戻りをするわけですが、先ほど国内価格輸出価格との価格差の問題、あるいはこの中にしばしば言われておりますいわゆる輸出による赤字補てんを国内肥料の上にかぶしてきたのではないか、あるいはもう一つの要因としては施設を過大につくり過ぎた、これからそのことを合理化することによってそのリスクをまた農民にしょわせるのではないか、こういう二つの心配があるわけですよ。そこで、今までの価格形成の中で、一体本当に適正な価格肥料価格が形成されていたかどうかということに非常に疑わしい資料があるわけですね。それは、ある資料によりますと、昭和三十五年の高圧ポリエチレンあるいはポリプロピレン、酸化エチレン、こういう三品目を対象にして、そして化学肥料との価格差の推移を出しているわけですよ。全部言っていると時間がかかりますので高圧ポリエチレン、大体あとのものは同じような数値を持っておりますので、それに絞って質問したいと思いますが、高圧ポリエチレンの場合は、これはキログラムですが、昭和三十五年においては三百円、昭和四十年においては合理化によって百五十一円になっておる。そして昭和四十五年にはさらに下がって百二円になった。そして昭和四十八年のオイルショックをくぐって百六十六円にこれは上がってきたわけですよ。そうしますと、昭和三十五年と、それから合理化が進んだ昭和四十五年とを比較いたしますと実に三四%の合理化を進めてきたわけですね。さらに、これを昭和三十五年とそれから昭和五十年のいわゆるオイルショック後のそれの対比でも五五%であるわけです。  ところが、化学肥料の場合はどうかというと、これと同じ方法で計算をしていきますと、肥料の場合はトンになりますが、昭和三十五年では一万八千九百三十九円、それから昭和四十年には一万八千百十八円、昭和四十五年では一万六千四百六十八円、こういうように、合理化といいますか、そういう幅というのは極めて少ないわけですね。さらに昭和五十年の、オイルショックを越えた後では二万三千三百十八円。これをパーセントにしますと、三十五年と四十五年の対比では、ポリエチレンの方は三四%に対して八七%、さらにオイルショック後の昭和五十年では五五%に対して化学肥料の方は実に一二三%になっておるわけですよ。こういうことは一体転嫁をしなかったという理由になりますか。どういうように証明されますか。
  127. 野々内隆

    野々内政府委員 化学肥料とポリエチレン等の他の化学工業製品と比べてみますと、三十五年から五十年にかけての価格を比べてみますと、確かに化学肥料の方が値上がり率が大きいという部分があることは事実でございます。これは、実はポリエチレンのような石油化学製品につきましては、以前は生産量が非常に少なくて生産規模も小さい、このためにコストが割高だったわけでございます。ところが、近年生産が伸びるにつれまして生産規模が拡大をいたしまして、またスケールメリットとか技術革新ということで割安になったというふうに考えられます。いわば石油化学工業自体が成長産業であって、その成長の過程においてコストダウンを図ることができたということが言い得るのではないかと思います。  他方、硫安等の肥料工業につきましては、既に三十年代にはかなりの生産規模を持っておりまして、また製造の技術面でも一定の水準に達しておりました。このために、石油ショックというような燃料価格原料価格の高騰というものをスケールメリットとか技術開発によって吸収をするという部分が石油化学に比べまして低かったということが言えるのではないかというふうに考えております。したがいまして、成長産業と成熟産業におけるショックの影響の仕方、こういうものが基本的にはその間に存在をしたのじゃないだろうかというふうに考えております。
  128. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今答弁をいただいたのですが、しかし、そういうこととは全く逆なことが、これは「転機に立つ石油化学工業」、岩波新書で出している文献の中で、いわゆる化学肥料というのは一つのコンビナートの中でつくられている、だからこのコンビナートを最大限に動かしていきたいということだけれども、そういうことになればこれはいわゆる過剰になってくる、過剰になってくるから需要に合った生産のところで抑えていかなければならぬ、しかし、もしここで二重価格制であって市場が全く違う、そういう状態の中ではそういうことが可能だ、そしてその最も典型的な例は化学肥料業界だというように指摘しておるのです。そういうことを、通産省はこういうこと等で検討されたことはありますか。
  129. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘資料そのものは私寡聞にして読んでおりませんが、確かに国際市況というものが主として需給によって非常に大きく変動するというような一つの場と、それから国内ではコストを基準に置いて安定的に長期的に供給するという場、そういう二つが存在をしたということは事実であろうかと思っております。そこにこの法律の存在の意義があったのではないかと思います。もしそういう法律がなしに輸出価格による赤字というものがそのまま国内に転嫁されるというような状態になりますと、これは需要家であります農民との間において大きな問題になるということで、政府の規制によりまして輸出による赤字と国内のコスト計算というものを切り離して取り扱うという制度が発足をし、現在においても運用されておる、こういうふうに理解をいたしております。
  130. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、価格の推移の中で、外国に輸出された量等々から見て、もし国内価格がいわゆる安定ぎりぎりの線であるとするならば、輸出した膨大な肥料は損失になるわけですね。それは一体どこで補てんしているのですか。
  131. 野々内隆

    野々内政府委員 輸出には二つの面があると思います。一つは、おっしゃるようにそれによってトータルコストとの間に差ができて赤字が発生をするという問題、もう一つは、輸出をすることによって稼働率が上がることによる単位当たりの固定費の減少、この二つの面があるかと思います。それで、もし輸出が固定費をもカバーしないような状態でありますと、これは完全に企業にとって赤字になるわけでございますが、輸出が変動費をカバーいたしまして、固定費もカバーできるというような状態になりますと、それは輸出があることによってトータルコストとしてのコストが下がってくる、こういうメリットが存在をするわけでございます。  従来、肥料工業におきまして輸出が行われておりましたのは、このように変動費をカバーして、かつ固定費について負担の軽減になるというメリットを目標にして輸出をいたしておりまして、したがいまして、その分赤字というものが発生をいたしておりますが、それは国内肥料価格に反映をさせないで、その企業全体としての利益計算の中でカバーされていた、こういうふうに理解をされております。
  132. 新村源雄

    ○新村(源)委員 同じ製造工程の中でできてくるわけですね。そうすれば、そういういわゆるコンビナート全体としてカバーできるということであれば、国内肥料もそのことによって下げることができるのじゃないですか、あなたの理論からいけば。全く別な工程でつくってくるのであればそういうこともわかるけれども、同じでしょう。そこはどうなんですか。
  133. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のとおりでございます。したがいまして、そこにこの法律に基づきますコスト主義というのが非常に大きな意味を持ってくるのではないかと思います。  と申しますのは、この交渉が行われますときには、政府が調査をいたしました前暦年のコストというものが交渉当事者に示されまして、交渉当事者はそれをベースとして、その後の各種の予想とかいろいろな条件を勘案いたしまして価格交渉を行うわけでございますが、前年に使われましたコストといいますのは輸出を含んでおります。したがいまして、稼働率が高くなっておりますので、単位当たりの固定費の負担というものが下がっております。他方、このコストの中には黒字、赤字が入っておりません。したがいまして、輸出に基づく赤字というものがコストの中に入っていない、かつ輸出による稼働率アップというものの固定費負担減がコストの中に入っているということで、この交渉がコストをもとにして行われるというそこに非常に大きな意味がある、こういうふうに考えております。
  134. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今の答弁では理解できないわけです。  では、化学肥料工業というものの全体像を見ますと、こういう中でいわゆるアンモニア等の不可避産業として出てくる、こういうもののコストの的確な把握、これは数字的にやっているのですか。
  135. 野々内隆

    野々内政府委員 企業の原価計算は企業会計原則というものに基づきまして行われるわけでございますが、その場合、一番問題になりますのは、今御指摘のように共通的にかかった経費をどの部分に幾ら配分するかという、ここが確かに問題になろうかと思います。これは通常の場合には、その製品の価格等を考えました負担可能な範囲というものがございまして、その範囲で企業の中において配分をされるわけでございますが、私どもは企業から提出をされました費用配分をチェックいたしまして、恣意的に動かされることがないかどうかということをチェックいたします。  通常、企業は歴史的に費用配分の方法というものを決めておりまして、恣意的にそのときどきの状況によってこれを勝手に変えるということは許されないことになっております。私どもも出てまいりました資料を見まして、それが過去の経緯及び現状から見て正当に配分されているかどうか、ここをチェックいたしております。
  136. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それは、企業から示された資料に基づいて恣意的に行われたかどうかというようなことがあるかないかということですね。しかし、先ほど申し上げたこの文献の中では「言ってみれば、個々の製品の間へのコストの配分は、むしろ製品の価格の動きに応じて悪意的に行なわれたものだ、」こういうふうに断定しているわけです。あなたのおっしゃることと全く逆なんですね。どうなんですか。
  137. 野々内隆

    野々内政府委員 それは、特定産業が発生をしたとき、あるいは特定の製品が新たに市場に出回ったとき、こういうときにはどこにどれだけのコストをかけるかということを決めるのは比較的簡単かと思いますが、しかしながら、ある歴史を持って企業が動き始めますと、またそれによってでき上がりました製品が市場に出回りますと、他企業との競争等もございますし、その企業の歴史的な動きもございまして、恣意的にどこかにたくさんかぶせるというようなことは、実際問題としては不可能かと思います。  渡辺農林水産大臣が非常にわかりやすく大豆と油かすのお話をなさいましたけれども、確かにわかりやすうはございますが、実際の企業の運営としましては、特定のところに恣意的にかけて、特定のところは恣意的にかけないというようなことは、実際問題としてはできない。そこを私どもチェックいたしまして、その企業の費用配分というものが歴史的に非常に安定をしているものかどうか、あるいはその業界全体として通念化しているようなやり方でやっているのかどうか、そのあたりをチェックして、恣意的な配分というものを防止するというふうに努めております。
  138. 新村源雄

    ○新村(源)委員 局長、それは土台がもう既にそういうことでできておるわけですね。今あなたが歴史的にとおっしゃったでしょう。土台がそういうことで組み上げられておれば、それはその配分が動いたことはわかるでしょう。そういう土台に誤りがあるというところが、いわゆるこういう価格差が出ているのだ、こういうことにならないですか。
  139. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘のように、歴史的な問題にのみ重点を置きますと確かにそうなるかと思います。しかしながら、企業の存立といいますのは、これが全く独立して存在をするということではなしに、他の製品との競合もございますし、それから輸入品との競合、いろいろな競合関係の中で存在をするということでございますので、恣意的にあることをし、それをまた永久に続けるということは、実際問題として難しいのではないかというふうに考えております。
  140. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、肥料用の尿素と工業用の尿素価格がどうなっておるか知っていますか。
  141. 野々内隆

    野々内政府委員 国内統計によりますと、肥料用の尿素国内尿素と比べますと、形式的には若干工業用の尿素の方が安く売れております。
  142. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それはどうして安くなっていますか。原価が安いのですか。
  143. 野々内隆

    野々内政府委員 これは肥料用の価格と申しますのは、御承知のように各地域への持ち込み価格でございまして、運賃等が入っております。したがいまして、表面的には農業用の尿素の方が高く出るわけでございますが、それらを逆に計算いたしますと余り差がないというふうに理解いたしております。
  144. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これは私の調べで確たるものではないですが、大体トン当たり二万円の格差があるということが言われているのですが、それが今局長のおっしゃるような価格に相当しますか。
  145. 野々内隆

    野々内政府委員 化学工業統計によりまして検査をいたしておりますと、工業用の尿素の平均出荷額は五十七肥料年度で大体トン六万円ぐらいになっております。他方、肥料尿素の取り決め価格はトン七万円程度というふうに見ております。
  146. 新村源雄

    ○新村(源)委員 内容をずっと系列的にいろいろな資料等を調べてみますと、局長さんのおっしゃることではどうしても納得できないわけです。もう表面的にそういう矛盾が明らかに出ておるわけです。こういうことがこれからずっと続くとすれば——私は、何といっても日本国内で使う肥料国内で安定的に自給するということが大原則である、こういうように思っているのです。このことによって農民は今非常に厳しい立場に立っている。特に農畜産物においては国際価格にしわ寄せされよう、こういうことで六年も七年も据え置きでしょう。そういう中で農民は借金がどんどんふえて、本当にぎりぎりのところまで来ておるわけです。これは兼業の農家の方々はそうでもないですが、これは別な機会にまた改めて言いたいわけですが、専業農家ほどそういう鋏差状況の中で負債という形になって残っていっているわけです。そういう問題がどうしても根っこにあるから、局長のおっしゃるように理屈の上で二重価格というものは成立し得ても、実際的にはそういうことは了解することはできないということなんです。  そういう立場から見てまいりますと、私は、この安定法の第五条、第六条のいわゆる独禁法規定除外、カルテル、こういうものについては無用ではないかと思うのです。今のような状態が続いていくとすれば、どこかで肥料工業さんにも合理化をしてもらわなければならぬ。競争原理というものがどこかでもっと働いてこなかったならば、この体制は変わらないんじゃないかと思うのです。そういう点で、この第五条、第六条について、農蚕園芸局長どういうように思いますか。
  147. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料の原価把握あるいは価格形成の問題でございますが、先生の御質問の中にございましたように輸出価格国内価格の問題でございますとか、原価の中に原材料等をどう見込むか、こういう大変難しい問題がありまして、確かに肥料の原価の適正な把握とそれに応じた価格形成ということが、言ってみれば肥料の行政の一番要請ではなかろうかと思います。  現在の肥料価格安定等臨時措置法がむしろそういう面での問題にどう対処しているかということでございますが、これは先ほど来基礎産業局長お話にもございましたように、少し割り切った言い方をしますと、先生の御懸念になりましたような点をむしろチェックをする、あるいはそういうものが適正に行われるように原価算定をしまして、それを基礎資料として提供して価格取り決めをしてもらう。しかも、その価格等のチェックの仕事を肥料需要者であります農業を預かります農林水産省が通商産業省と共同して共管の仕事としてやる。また価格取り決め販売業者、全農とメーカーとの間でやる。こういう需要者側、農業側と工業側とが両方で共同してチェックをしていく、ここにむしろ現在の法律、またここで延長をお願いしておる法律の存在意義があるのじゃなかろうか。  今先生お話にございましたように、いろいろの面でそういう原価チェックなり価格取り決めが適正に行われているかどうか、そういう御疑念がいろいろあるわけでございますが、これに対しては、むしろ我々この法律運用に当たります役所としましては、また農業というものを今の難しい情勢の中で発展を図っていく責任を負っております農林水産省としましては、まさにこの肥料の原価チェック輸出価格等の関係あるいは共通原料費のようなものの見方、そういうものについて厳正に処理をしていくということで、今お話しになったような事態はないように今までもやってきたつもりでございますが、これからもそういう方向でこの法律の実施に努めてまいりたい、かように考えております。
  148. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この法律ば五年のいわゆる時限立法ですが、今度この法律が通っていけば、またいろんな文句はあるけれども、五カ年間またほおかぶりして通っていくという危険性があるので、ここで今肥料工業に対しては第二次構造改善事業で一つ目標を示されておるわけですね。  六十肥料年度までに昭和五十六年の主要企業の平均総原価に持っていくために、アンモニアにおいては一〇%以上、尿素においては一一%以上、燐肥においては一六%以上の合理化をやる、こう言っているわけです。ですから、私は、こういう五カ年間の時限立法でありますが、この経過について毎年委員会に報告をしてもらう、いわゆる国会に報告をする、こういうようにやってもらいたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  149. 山村新治郎

    山村国務大臣 できるだけ御質問の趣旨に沿うようにやってみたいと思います。
  150. 新村源雄

    ○新村(源)委員 ただいま申し上げましたような構造改善目標は、六十肥料年度までに確実に達成できますね、通産省。
  151. 野々内隆

    野々内政府委員 合理化目標はできるだけ達成するように努力をしなければならぬと思っております。その覚悟で、今後あらゆる施策を進めたいと思っております。
  152. 新村源雄

    ○新村(源)委員 さらに、私が先ほど申し上げましたように、国内肥料国内供給していくという完全な体制をとるためには、この際欧米に匹敵するぐらいの肥料価格まで下げる、そういう長期目標がなければ、私は国内で恒久的に供給をしていくという体制にはなっていかないと思いますよ。ですから、この五カ年間が勝負どころなんだ。したがって、ただいま申し上げましたような一〇%、一一%、二八%の目標ではなくて、いわゆる欧米まで、立地条件が違いますからそこまでいかなくても、アラスカにそういう膨大なガスの資源を持っているというようなこと等もあるわけですから、こういうこと等も含めて、本当に安定した供給体制をとるために、この目標をさらに上回るものを五カ年間で達成をしてもらいたいと思うのですが、大臣並びに通産省の答弁をお伺いします。
  153. 野々内隆

    野々内政府委員 今回の第二次構造改善目標は、日本化学肥料工業が輸入品と十分競争し得るような価格国内農業肥料を安定的に供給できるような体制に持っていきたい、これが基本的な考えでございます。そういう方向であらゆる努力を尽くしていきたいと考えております。
  154. 山村新治郎

    山村国務大臣 これは私の所管ではございませんので、しっかり目的達成のためにやってもらいたいとひとつ通産大臣によく伝えます。
  155. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私が先ほどから何回も触れたように、肥料価格というのは農畜産物の価格に直接響いてくる問題です。そこで、きのう北海道農民連盟の委員長さんが申しておられたように、五十四年には十アール当たり六千八百十四円であった、ところが五十七年には九千三百二十円、これは実に三六%の上昇です。しかし、米価はどうかというと、この期間に三・九%より上がっていない。したがって、同じ農民の立場を守るための農林水産省が、こういう矛盾を認めながら、こういう矛盾が同じ場所で論議されていいのですか。関谷局長さん、どうですか。
  156. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 米価と特に肥料価格関係でございますが、例えば先生の御指摘の数字もございましたが、確かに五十二年度あたりと五十八年度というようなことで比較しますと、米の価格よりも硫安尿素等の方が上がり方が大きいということで、いわゆる格差になっておるわけでございますが、肥料法全体としましては、現在の法律ができました三十九年と現在までの、約二十年間くらいになりますが、この間の米と肥料価格の相対比はかなり肥料の方が割安になっている、こういうような情勢もございます。  肥料につきましては、原材料の価格でございますとか、いわゆる石油ショック的な非常に外部的な要因でかなり変動がどうしても原価面に出てまいります。そういうことで、今のような最近の年次ではそういう価格関係にはございますけれども肥料価格としましては、最近の四年間引き続きこの法律によります取り決め価格は若干ずつ引き下げられておりますし、私どもとしましても、この価格取り決めが適正に行われますよう、原価の調査、チェック、また生産業者それから販売業者両面に対する指導、そういう面で肥料価格の適正化という面についてはできる限りの努力をしてまいりたい、かように考えております。
  157. 新村源雄

    ○新村(源)委員 最後に、大臣に、ただいま申し上げましたように日本農業を守る、そして国内食糧自給率を高めていく、そのことは、これは金が幾らかかってもいいというものではなくて、やはり農業自体にもそういう合理化というのは強く要請されてきているわけですね。これはひとり農業ばかりではなくて、肥料もあれば農機具もあり、こういうものを総体的に、農業のそういう方向に向けてのあらゆる角度からの協力がなければそういう方向というのは達成できないわけですね。したがって、今回のこの法律についても、やはり農業を守り、国内産業を守る、肥料工業を守る、こういうことを原点に置きながら、今申し上げましたような合理化の追求については全力を挙げて進めてもらうということと同時に、もう米価の時期になってきましたが、正しくこういう価格というものは農畜産物価格の中に反映をする、こういうことの大臣の所信をお伺いして、終わりたいと思います。
  158. 山村新治郎

    山村国務大臣 農業生産資材価格の安定ということは、これは農産物の生産コストの低減と農業所得の安定的確保を図る観点から極めて重要であると考えております。  今先生言われましたこれらの生産資材につきまして、適正な価格ということで今言われた合理化そのほかを図りながら、できるだけ安いものを提供していただくということでやってまいりたいと思いますし、また米価につきましては、少なくとも生産者の再生産確保、そしてまた物価そのほかの経済事情等の参酌ということもございまして、これを米審の方でいろいろ御意見をお伺いしながら決めてまいりたいというぐあいに考えます。
  159. 新村源雄

    ○新村(源)委員 終わります。
  160. 阿部文男

    阿部委員長 駒谷明君。
  161. 駒谷明

    ○駒谷委員 私の方から、時間は四十分でございますが、若干の質問をさせていただきます。  今回、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、この法律昭和三十九年に制定をされまして、今日まで三回にわたって延長され、暫定法と言われながら既に二十年の運用になっておるところであります。今回さらに五年間の延長をしようという提案でございますけれども、その理由として、三つの理由を農水省が挙げておられるわけであります。  その一つは、農業者サイドに立って考えますと、生産性の向上、水田転作等の農業生産の再編成を効果的に推進するために、農業生産基礎資材である肥料価格及び供給の安定を図ることが重要だ、これは農業サイドに立った一つ理由であります。  もう一つは、肥料生産者サイドで、肥料生産コストの低減、そして安定供給の基盤を確立する、現在進められている特定産業構造改善臨時措置法に基づいて化学肥料工業構造改善を達成する必要がある、それが一つであります。  さらに一つは物流面ということで、この三つの理由が挙がっておるわけでありますけれども、最初に基本的な問題といたしまして、我が国の農業が当面している厳しい情勢の中で、肥料の役割といいますか、どのようにこの肥料の問題を考えておられるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  162. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料につきましては、これは農業生産上言うまでもなく不可欠な基礎資材でございまして、現実の経営費の中でも大体一割ぐらいのウエートを持っております大変重要な物資でございます。そういうことで、我々の肥料に対する対策の基本的な考え方としましては、本法運用等によりまして価格の安定を図っていく、適正な水準における安定を図っていくということ、また国内で必要な資材としての必要量確保していく、さらに品質の問題等につきましては、これは昨年肥料取締法の改正等もいたしましてこういう品質の確保を図っていく、こういうような諸点を重点といたしまして、これからも農業経営の発展に支障のないような肥料政策を実施してまいりたい、かように考えております。
  163. 駒谷明

    ○駒谷委員 それでは、今回の改正についてでありますけれども、今度のこの改正が通りますと今度は二十五年間、これは大変長い運用になるわけであります。臨時措置法という立法の趣旨から見ますと、また当初の法制定の目的が価格の安定、これは同じなんですけれども、当時は輸出調整、そして内需優先確保という趣旨からの立法であった。時代の移り変わりに従って、肥料需要の動向の中心が大きく変わってきた。しかしながら、臨時措置法という法律のままでこの問題を解決するというのは果たしていかがなものかと私は思うわけであります。法律の新たなつくりかえをすべきではなかったか、そういう考えも持つわけでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  164. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 本法の過去三回の延長の経緯につきましては、御質問の中にもございまして、四十五年当時輸出産業として伸びていた時代に、内需確保というような要請から本法の継続をするというときもございましたし、さらにその後の四十九年、これは狂乱物価の中で肥料価格の安定について非常に農業側要請が強かったということでございます。五十四年改正以降になりますと少し状態が変わってまいりまして、肥料工業設備過剰事態の中で構造改善を進めていく段階での肥料の安定的な価格形成を図っていくというような必要性、むしろこれが表面に出てまいるというような、いろいろな時期の転換がございますが、法律のタイプというか内容として申しますと、現在の法律は、過去の肥料二法のような直接的な統制的な価格、国が公定価格を設定するという状態から切りかわりまして、生産者と販売業者の自主的な取り決め、それが適正に行われるようにしていく、こういう考え方が基礎にあるわけでございます。  これは、確かに長い間の運用経過から見まして、お話にもありましたように、もう少し恒久的な制度考えられないかという観点からも検討いたしたわけでございますが、現在の肥料工業というものは民間製造業でございますし、流通の方はもちろん自由流通でございます。そういう全体の中で考えますと、第二次の構造改善が進められる現段階で見ますと、やはり従来の自主的な価格取り決めを基本線としました法律の形を続けるよりないのではないか。もちろん、本当の恒久的な視点に立ちました肥料価格制度あるいは肥料価格政策についてはさらにこれからも検討する、そういう必要があると考えておりますが、現時点ではやはりこのタイプを当面続けていくということで対処していくのが適当ではなかろうかと考えた次第でございます。
  165. 駒谷明

    ○駒谷委員 公正取引委員会、お見えでございますか。——それでは公正取引委員会お尋ねをいたしますが、農業基礎資材である肥料価格の安定、これは農業者にとっては生産性の向上の上から大変重要な問題であることは申すまでもありません。しかしながら、先ほども説明がありましたように、この法律の制定当時と現在とは化学肥料需要の動向が大変変化をしてきておる。現在の価格の取り決め制度が独禁法の適用除外となっている、カルテル行為を認めていることの是非について、やはり一部の中からそういう批判の声が出ているのも事実であります。この点どのように考えておられますか、お伺いしたいと思います。
  166. 糸田省吾

    ○糸田説明員 先生からお話がございましたとおり、この法律では特定肥料価格の取り決めにつきましては独占禁止法適用除外ということになっているわけでございます。これは、我が国農業の現在置かれております立場とかあるいは化学肥料工業の現状といったことから見まして、農業生産の基礎的な資材でございます肥料につきましては価格などの面で無用な混乱が生じないようにといったような配慮からこういった制度が存在しているもの、かように私ども考えている次第でございます。もちろん企業の事業活動といいますか、もっと言いますならば経済のいろいろな分野におきまして公正で自由な競争を促進しなければならない、そういう独占禁止法立場からいたしますと、こういう適用除外制度というものはあくまでも例外的なものであるという認識でございまして、したがってその内容もできるだけ最小限にとどめなければならないもの、かように考えている次第でございます。  ただ、我が国の化学肥料工業の現状ということで考えてみますと、これまで累次の石油危機によりまして非常に厳しい構造的な困難に直面しているということも事実であろうかと思います。現に、現在特定産業構造改善臨時措置法によりまして構造改善が実施されているような状況でございまして、こういった面から考えますと、化学肥料工業が無用の混乱を生ずることなく構造改善を円滑に推進するという趣旨でこの法案を御提案申し上げているのもやむを得ないことか、かように考えている次第でございます。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  167. 駒谷明

    ○駒谷委員 実はこの問題につきましては、我が党の吉浦委員昭和五十四年の第八十七国会で、本委員会で公取の方にお尋ねをして答弁をいただいておるのです。その答弁の中に、五年前のことですけれども、できるだけ早い時期、この五年以内に何とか廃止するような方向で検討してもらいたいという答弁が出ておるわけであります。実際には第二次構造改善というのは特産のいわゆる構造改善事業でかかっておるわけでございますので、その事情はよくわかるわけでありますけれども、この公取の方の考え方というのは五年前と変わらないわけですか。その点についてお伺いしたいと思うのです。
  168. 糸田省吾

    ○糸田説明員 先生からお話ございましたとおり、前回のこの法律延長の際におきまして、私どもの方から、この法律は五年限りで廃止する、そういう方向で各方面で御検討をお願いしたい、かように申し上げた経緯がございます。前回の延長に当たりましても、先ほど申し上げたと同様に、当時日本化学肥料工業構造改善を実施しているときでございました。法律特定不況産業安定臨時措置法によりまして、構造改善実施中という状況にあったわけでございます。  これはその当時の予定では、前回の延長の期間内にこの構造改善が終了するというふうに考えられていたわけでございますが、しかしながらその後御承知のとおり第二次の石油危機が発生いたしまして、それでこの構造改善も昨年からは特定産業構造改善臨時措置法によりましてさらに五年間継続のやむなきに至っておるということでございます。したがって、その意味からいたしまして、この法律がさらに延長されましてそれで構造改善を円滑に進めなければならないということもやむを得ないものか、かように私どもとしては認識しているわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今回の延長の期間内に化学肥料工業構造改善の徹底が図られまして、以後はこの法律がなくても肥料の適正で円滑な取引が実現されるよう、関係方面におかれましては最大限の努力が行われるということを私どもとしては強く期待している次第でございます。
  169. 駒谷明

    ○駒谷委員 ありがとうございました。公取委員会、結構でございます。  それでは、具体的に構造改善等の問題についてお伺いしたいと思います。  肥料対策協議会の報告によりますと、本法価格の取り決め制度について、今回延長になった理由のことが述べられておるわけでありますけれども、その期間については「化学肥料工業構造改善化学肥料の新物流体系への移行等の事情を考慮し、化学肥料の安定供給基盤が確立されるまでのおおむね五か年間とすることが妥当である。」と指摘をされております。それに基づいて今回改正案が提案になったと思われるわけでありますが、安定供給基盤の確立についての見通し、コストの低減、そして安定供給、その内容等を含めて、具体策について農水省、通産省あわせてお伺いをしたいと思います。  また、この構造改善の対策の推進に当たってはその合理化メリットを消費者に均てんする配慮をするよう指摘されておりますけれども、その方策とチェックはどのようになされておりますか。あわせてお伺いをいたします。
  170. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 まず肥料対策協議会の報告について、特に私どもの方からお答えするのは流通関係中心でございますが、化学肥料では、全体の中では国鉄依存度は輸送物資の中で割合高い方でございますけれども、最近非常に国鉄輸送の割合は低下してきておりまして、五十二年度五二%だったものが五十七年度には三〇%、こういうような変化を来しております。これに加えまして、この間御承知の国鉄の貨物駅の集約整理ということで、五十九年二月から四百六十駅体制、従来五十七年度から八百四十八でございましたが、四百六十駅体制に移行しまして、拠点間直行列車への変更というようなことが行われましたものですから、物流体系としましては、さらにこれに対応した物流体系の移行が必要になってくるわけでございます。  これは、化学肥料工業面では構造改善に伴います生産体制の合理化集約化が進められるわけでございますが、この間特にメーカー間での委託生産、振りかえ出荷等による交錯輸送の排除によりまして地域需給を徹底する。また国鉄、トラック、内航船、そういうような各輸送機関の間の合理的な組み合わせによりまして輸送コストの節減を図る。さらに包装、出荷設備の近代化を図る。こういうような構造改善計画とあわせた合理化施策が必要になってくるわけでございまして、特に国鉄貨物輸送合理化に対処しますと、これらの施策が必要でございますし、また全農というような流通関係の担当組織におきましても、特に流通面での合理化、コスト低下を図っていきたい、かようなことで鋭意これから進めていくというようなことでございます。  なお、合理化メリットの均てんにつきまして、その合理化メリットをどういうふうに農業に均てんさせていくか、こういう問題でございます。これは御承知のように、本法制定以来、本法に基づきまして、毎暦年コスト調査を実施しまして、メーカーから出されました原価等資料、これに十分チェックを加えまして、必要によりいろいろ立入検査等もするというようなことによりまして適正な原価資料をつくりまして、この過程でいわゆる合理化メリットにつきましても原価に十分反映していくようなことで資料をつくりまして、これを価格取り決め団体に交付していくというようなことで、これから構造改善が進みます過程での、御指摘になりましたような合理化メリットの問題については、私ども本法運用の重要な問題として対処してまいりたい、かように考えております。
  171. 野々内隆

    野々内政府委員 御指摘の昨年十二月の肥料対策協議会の報告を踏まえまして、化学肥料工業では、今後、内需に基盤を置いた産業という形で再活性化を図りまして、国際競争下におきまして将来の需要に対する安定的な供給が可能となるような経営基盤をつくることが目標ということでございまして、昨年六月から特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして構造改善を現在実施中でございます。  ポイントについて御説明申し上げますと、アンモニア尿素湿式燐酸溶成燐肥化成肥料、この五製造業につきまして構造改善計画が策定されておりますが、過剰設備処理といたしましてそれぞれ六十六万トン、二〇%、尿素は八十三万トン、三六%、湿式燐酸が十三万トン、一七%、それから二十四万トン、三二%、八十一万トン、一三%というように、このおのおの五業種につきましてまず過剰設備処理いたしまして、それから事業提携等によりまして生産集約化し、生産合理化のための活性化投資を行う。こういう形で過剰な設備を廃棄をし、今後合理化をするための事業提携、投資を行うというような構造改善を現在推進中でございます。私どもといたしましては、この構造改善事業を円滑に推進をいたしまして、自由な取引のもとで肥料価格が安定をし、また取引が適正化する、そういうような肥料の安定供給基盤が確立されますようにこの五年間の構造改善期間に最大限の努力をいたしたい、かように考えております。
  172. 駒谷明

    ○駒谷委員 通産省にお尋ねをいたしますが、先ほどの御答弁で、この五年間、厳密には六十三年の六月ですか、この構造改善事業が計画的に完全に実施されれば、国内におきます需要に対して安定供給、そしてコスト低減という問題も解決の見通しがつく。こういう恐らく基本計画に基づいての構造改善であろうと思うわけでありますが、現実にこれが六十三年に完成いたしますと、今問題になっておりますこの安定法案、これは暫定法ですけれども、この法案の目的は、通産省としてはなくなったというふうに理解してよろしいのですか。
  173. 野々内隆

    野々内政府委員 この法律の目的が農業にとって非常に重要な資材でございます肥料を安定的に供給をするということにあるわけでございまして、他方、私どもが現在進めております構造改善肥料の安定的な供給ということを目的といたしておりますので、双方とも目的が一致するわけかと思います。したがいまして、化学肥料工業側だけから見るといたしますとこの法律というものが必要なくなるかもしれません。しかしながら、今後とも農業に対する肥料の安定的な供給というのは、これは永遠の命題であろうかというふうに考えておりますので、これはこの法律であるかないかは別にいたしまして、何らかの施策が必要かどうかというものは別途考える必要があろうかと思っておりますが、私どもとしましては、化学工業側からは何とかこの法律がなくても肥料が安定的に供給できるような基盤をつくりたい、こういうふうに考えております。
  174. 駒谷明

    ○駒谷委員 国内需要に対して安定的に供給できる体制ということでありますけれども、多少その問題について私不安を持っておるわけであります。  先ほど来から各委員から質問もありましたけれども、問題は、これは輸出の問題であります。といいますのは、先ほどの答弁の中で、内需を基盤にした構造改善ということで、先ほど説明のありました残存能力、恐らく内需を主体とした残存能力の構造改善であろう、そのように思うわけであります。昨日の参考人の陳述の中にもありましたけれども化学肥料業界としては国際競争力を身につけるということが大きなコスト低減の眼目であるということで意見が出たわけでございますけれども、そういうふうにコストの低減がなされると完全に国際競争力も身についてくる、輸出も可能であるというところまで来るのではないか。また、日本のそういう工業界というのはあくまでも材料を入れ、加工し、そして出すというのが今まで成り立ってきた一つの形でありますので、かつては輸出が大きく伸びた時期があるわけでございますので、企業としてはそれだけの努力をしたいという考え方をお持ちではないかと私は思うわけであります。  そういたしますと、この構造改善からさらに進んでいきますと、そういうふうに輸出の問題がどうしてもひっかかってくる。そうなりますと、内需確保の問題、これは大変いろいろ問題がこれから出てくるのじゃないか、そのように思うわけでありますけれども、通産省はどういうふうに思っていらっしゃいますか。
  175. 野々内隆

    野々内政府委員 今後、化学肥料工業内需に基盤を置いた産業として再活性化いたしたいということが基本的な考えでございますが、もちろんその場合、合理化によりまして十分国際競争力がつき輸出が可能になれば、国内の操業度が上がりましてトータルとしてのコストが下がるという意味で望ましいと考えております。しかしながら、それには余り大きく期待をすべきではないという考えでございます。と申しますのは、御指摘のように、国内農業にとりまして肥料というのは非常に重要な素材でございますので、これを安定的に供給をするということが第一の命題かと心得ます。したがいまして、輸出貿易管理令に基づきまして輸出につきましては通産大臣承認が必要であるというようにいたしまして、その承認に際しましては農林大臣同意を得るという形で、国内内需輸出調整しながら全体として健全な発展をするというふうに考えておりまして、内需確保には万全を期したいと考えております。
  176. 駒谷明

    ○駒谷委員 農水省にお伺いします。  先ほどの通産省の答弁関係するわけでありますが、構造改善計画どおりに完成すれば、公取の方からも意見がありましたように、暫定法は廃止すべきではないか、そしてそれにかわる、国内需要を確保するという観点からその問題について何らかの措置考えなければならないのじゃないか。先ほど答弁がありましたけれども、もう一度その考え方についてお伺いしたいと思います。
  177. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法の機能としまして、内需確保価格の安定というような大きなねらいがここに盛り込まれているわけでございまして、内需確保の点については、輸出会社の解散以後の問題としましては、今基礎産業局長お答えになりましたような輸出承認運用ということで、農林水産大臣同意を得て通産大臣承認をされる、こういうふうな仕組みの中で内需輸出との数量的な調整については図られていくということでございます。  そういう意味で全体を見ますと、価格の安定面につきましては、現行法といいますか、今度の延長をお願いしております法律一つの機能がございまして、お話の中にもございましたが、これが全くなくなっていいかどうか。その機能と申しますのは、生産業者販売業者価格取り決めについて行政庁が、通産、農林共同しまして適正な原価資料を提供していく、こういう一種のチェック機能を果たしているという面がございます。もちろん独占禁止法との関係につきましては、公正取引委員会からお話がございましたように、あくまでも臨時的な適用除外である、こういうような法制上の大きな制約もございます。  それやこれや考えますと、肥料価格政策なり需給政策としての恒久的な制度なり政策はいかにあるべきかというのはなかなか大変難しい状況でございますし、現在の第二次構造改善が成果を上げました時点でどういうような形の制度、政策を考えるべきか、これは私ども本当に真剣にこれから考えなければいけないことでございまして、現在の時点で廃止するのが、廃止というか、とにかく何もなくなるのがいいのだというふうにも考えておりませんし、また、いろいろな要素を考えますと、これはこれからの情勢の推移を見ながら検討すべき問題だと考えております。
  178. 駒谷明

    ○駒谷委員 肥料生産コストの低減という観点からいきますと肥料のコストというものは大変重要な問題になってまいりますので、価格の低位安定、安定供給という点から、この点についてはさらに十分に検討していただきたいと思うわけであります。  次に、需要の動向の問題について簡単でよろしいからお伺いしたいと思います。  最近の化学肥料需要の動向ですけれども、中長期的に見た今後の需要見通しはどうなっていくのか、これがまず第一点でございます。もう一つは、生産調整が行われている、これは肥料の消費量に少なからず影響を及ぼしているのではないかと思うわけでございますが、今、水田利用再編の第三期対策などが農業生産再編成という形で進行している現況からどういうふうな影響があると認識されているのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
  179. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料のやや長期的な需要見通しの問題でございます。  御質問の中にございましたように、水田利用再編対策、いわゆる転作が初めて実施されましたり、あるいは大幅に転作の目標面積が引き上げられるというようなことがございますと、その後はどうも水田に使う肥料需要が落ちまして、需要が確かに落ちるということは今までも確認されております。ただ、もう少し長いタームで見ますと、転作面ではいろいろな園芸とか飼料作物とか、肥料を必要とするものがあるわけでございますので、水田利用再編成に伴って直接肥料需要が減退するというような影響はないというふうに考えております。  そこで、もっとも長い目で見るとどうなんだということでございますが、当面は、農林水産省では六十五年度の農産物の長期見通しというものを持っておりますので、これを前提にしまして、そこに描かれた農業生産の姿を実現するための必要肥料はどんなものであろうかということを主な肥料等で算定しますと、大体年率〇・七%か〇・九%ぐらい、一%を少し切るくらいの非常に緩いテンポで需要量としては増加していくということで、水田利用再編成に伴って減少していくという見通しにはならないのではないかという、試算的には今そういうような見通しを持っております。
  180. 駒谷明

    ○駒谷委員 少しずつではあるけれども肥料関係が伸びるという答弁であります。  これに関連する問題ですけれども、近年、土づくりが後退して、全国的な規模で地力の低下が問題になっております。その一つの要因として農業化学肥料に対する依存度が必要以上に大変高くなっているのではないか、きのうの参考人意見の中にもそういう点が答弁として出ておりました。したがって、有機肥料の施用が年々減っている現況だ、我が国においての農業は諸外国に比して化学肥料の使い過ぎではないか、これも私はそう思うわけでございますけれども、そういう点から考えまして、農水省並びに農協その他の団体が土づくり運動や有機物の施用の促進運動、これに力を入れておられるようでありますが、堆厩肥など有機農業に積極的に取り組んでいかなければならない時期ではないか。そういう観点から、化学肥料の使用量の現状をどう見ているか、今後の施肥の行政指導について具体的にお伺いをしたいと思います。先ほどの答弁の中で、一アール当たりの化学肥料の施肥量というものが基礎になっての算定だろうと思いますけれども、今後のそういうような問題等を踏まえていきますと、やはり化学肥料の使用量という問題についても十分に検討しなければならないのじゃないかという感じもするわけでありますが、施肥の行政指導等を含めてお伺いします。
  181. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 まず、化学肥料の使用状況、これは国際的に見ても少し過剰施用ではないか、こういうような御指摘でございます。これはなかなか比較が難しゅうございますが、FAO統計等を使いまして主な窒素、燐酸、カリについて消費量の試算等をしてみますと、客観的に申しますと、日本の使用量は世界平均から見て極めて高うございます。しかし、いわゆる先進国と申しますか、西欧諸国の中では日本よりもかなり高い国がこれもまたかなりあるというようなことで、大体東南アジア方面等の国から見ますと非常に日本の水準は高いわけでございますが、いわゆる先進国型の農業の地域から見ると必ずしも高いとは言えない。  例えば窒素使用量を十アール当たりで見ますと、我が国は十二・六キロでございますが、ベルギーの二十二・一キロ、フランス十一・五キロ、ドイツ二十・七キロ、イギリス十七・七キロ、こういうように日本よりかなり高い実態もございます。  しかし、日本農業という目で見ますと、これは地力増進法のときにも十分御審議いただいたわけでございますが、有機物の肥料施用、具体的には米生産費調査で見ますと、堆厩肥の使用などは昭和三十年ごろですと十アール六百五十キロだったものが、五十七年ですと二百キロ程度になっておる、こういうような地力の維持という面から見ると望ましくない状態が進行しておるわけでございます。これは、現在農林水産省としましては土づくり運動というものを展開しまして、運動として有機物の施用ということを奨励し、働きかけて励行していく。それから、有機物の増投を推進するための施設の導入でございますとか、県の実施しております地力診断というようなことによりまして化学肥料の適正な使用を図っていく。こういうようなことで、今回成立しました地力増進法を中心に据えまして、肥料の適正な使用、それから土壌の持ちます生産力、いわゆる地力の増進、その中での有機物施用の促進、こういうことについてはこの地力増進法の成立を契機に一層の推進、努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  182. 駒谷明

    ○駒谷委員 化学肥料の施用というのも農業にとっては特に重要な問題でもございますし、有機肥料の問題もこれまた重要な問題でございますので、適正使用という問題に十分取り組んでいただきたいと思うわけであります。  最後に、大臣にお伺いをいたします。  最近の農業経済の動向を見ましても、農家の所得、総所得というのは年々伸び悩んでいる現状であります。農業所得については落ち込みが目立っているところであります。これは大臣御存じのとおりであります。特に米を初め農産物の価格の低迷に例年の冷害による災害等が加わりまして、農業を取り巻く実情は大変厳しい状況であります。一方、農家の肥料費の支出だけを見ましても、昭和五十年度では一戸当たり十万一千円の支出から五十七年度には十五万八千円と、大変増加をしてきておる。その原因は、肥料価格の上昇、購入量の増加等によるところが大きいと言われておるわけでありますけれども肥料費の支出の節減が農業生産コストの低減を図る上に、また今後の農業生産を振興させていく上にも重要な課題であろうと思うわけであります。今後どのようにしてこの肥料の低価格と安定供給を図っていくか、農業者の立場を守っていくかが重要でございます。肥料政策の基本的方針を最後に大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  183. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生おっしゃられますように、農業生産価格の安定ということ、これは農産物の生産コストの低減ということにもなりますし、農業所得の安定的確保を図る観点から極めて重要であると考えております。特に肥料につきましては農業生産に不可欠な基礎資材でもございますし、化学肥料工業における合理化努力と相まって肥料価格の低位安定を図るとともに、国内必要量安定的供給確保することが重要であります。また、使用する農家に対して安全で良質な肥料供給することも必要な課題だと思っております。  したがいまして、本法運用によりまして適切な価格設定と内需の優先確保を図るとともに、昨年改正されました肥料取締法の運用を通じまして適切な品質保全措置を講じてまいりたいと考えております。  また、化学肥料のみに過度の依存をいたしておりますことは地力の面から見ましても問題でございますので、先般成立を見ました地力増進法等により土づくりの推進を図り、また適切な施肥の指導にも努めてまいりたいというぐあいに考えます。
  184. 駒谷明

    ○駒谷委員 終わります。
  185. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 菅原喜重郎君。
  186. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 本法はカルテル法じゃないか、あるいは高価格安定対策になっているのではないか、こういう不安が持たれているところの今回の肥料価格安定法でございます。また、再三質問されているわけでございますが、本法は制定以来三回延長いたしまして二十年を経過しているのに、今回四度目の延長を行おうとしておるわけでございます。こういう意味で、私もまずこの四度目の延長理由をお伺いしたい、こう思います。
  187. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 この法律は、三十九年に制定されましてから三回の延長を経て、今回四回目に当たっておるわけでございます。もともとこの法律は、価格カルテルというお言葉もございましたが、通常のカルテルとちょっと違いまして、生産業者、メーカーと販売業者、いわば対立関係にある生産者と需要者代表が価格取り決めをするということでございますし、また行政的な原価資料チェックとか、あるいはできました取り決めについての変更命令というような権限も留保されたりしておりまして、いわば単純な、普通の独占禁止法除外等でございます不況カルテルというようなものとはちょっと違っておるわけでございます。  そこで、最近の五十四年の場合には第一次の構造改善を実施する、こういうことで、今回は我々としましてはそういう第二次の構造改善が引き続きさらに実施をされて、過剰設備の問題あるいはコストの低減、こういうことをねらいにして構造改善が行われますし、農業面から申しますと、水田利用再編成のような農業生産の再編成あるいは農業経営の規模の拡大というような、農業面から見た肥料の重要性、特に価格安定の重要性が非常に強い、こういうことでございますし、一方、物流面でも貨物駅の集約化等に伴います流通体制の再編成というような問題もあるわけでございます。こういう事情を考えますと、今申し上げたような現在のシステムのこの法律を当面延長いたしまして、従来に引き続き価格取り決めについての行政的ないわば資料提供等の面でのチェックをして、適正、安定した価格の形成を図っていく、こういうことが必要であろう、こういうふうに考え延長を御提案した次第でございます。
  188. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、この措置法に対する反対意見もあるわけでございます。私の手元に「改正問題に関する要請書」といたしまして、  本法については昭和三十九年に肥料二法の後をうけて制定され、これまで三回にわたる延長が行われて参りました。この間、とくに第二次石油ショック後、わが国の肥料価格は国際的に割高となり、競争力を失うに至っております。現在、特定産業構造改善臨時措置法に基づく構造改善にとりくんでいますが、その実は上らず、割高な肥料価格によるわが国農産物の生産コストを著しく上昇させるに至りました。  他方、政府はこうした農産物の生産コスト上昇をよそに、すべての農畜産物価格のEC水準化を求め、数年来、農畜産物生産価格の抑制を続けており、農家の経営収支を悪化させる状況にあります。  今回、本法の一部を改正して五カ年間の延長を行うことに対し、我々はきわめて遺憾ながら  反対せざるを得ません。こういう意見に対しましてどのように考えているのか、所見をお聞きしたいと思います。
  189. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 農業の重要な生産資材でございます肥料価格安定という問題で、この法律価格のいわば高位安定というような結果をもたらしているのではないか、こういうような懸念のもとにおける御批判、御意見等のあることは私ども承知しておりますが、もともとのこの制度のシステム、運用から見ますと、肥料という工業製品が資材として農業面に提供される。本来これは自由取引でございますから、価格形成も自由なわけでございます。そういう意味価格形成が行われたとしますと、取引上の当事者関係、あるいは輸出の面での市況とか、そういうような変動要因がそのまま流通の中にあらわれてまいりまして、むしろ国内価格の安定あるいは需給の安定が難しいということになろうかと思います。  そうかと申しまして、かつての肥料二法のような非常に統制的な面に移行するということもいかがかということで、今お話しの反対意見の中等に挙げられましたような点につきましては、農林通産両省が一緒になりまして、この価格の自主的な取り決めの基礎になります原価を適正に審査をしてチェックをして提供する、また、取り決め価格の結果につきましても、届け出を受けまして十分審査をし、日常の仕事として肥料価格を適正な水準に安定させるということで常時努力をしてまいっておるわけでございまして、そういう意味で、今お話のございましたような御批判のないように、行政庁としては本法の適正な運用に努めてまいりたい、かように考えております。
  190. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農民側では今回の安定法にこのような不安を抱いているわけでございますので、十分にこういう不安が起こらないような御指導をこちらから要請する次第でございます。  次に、今回の延長理由は、その趣旨説明の中にもありましたが、農業側の面よりも化学肥料工業構造改善関連してのものであると思われるわけでございます。この点につきまして、過去第一次構造改善、また第二次構造改善にも取り組んで企業側の努力を促進させていると思うわけでございますが、第一次構造改善では昭和五十四年一月現在でアンモニアが四百五十六万トン、尿素製造が三百九十九万トン、燐酸製造が九十三万トンを、それぞれアンモニア三百三十七万トン、尿素製造二百三十二万トン、燐酸製造七十六万トン、処理目標を定めまして構造改善を促進したわけでございますが、この結果につきましてはどのように評価しているのか、まずお伺いしたいと思います。
  191. 野々内隆

    野々内政府委員 第一次の構造改善は第一次石油ショックに伴います需給構造変化に対処するというのが大きな目標でございまして、御指摘のように、肥料関係は三つの業種につきまして過剰設備処理を行ったわけでございます。この過剰設備処理はほぼ一〇〇%目標どおり達成をされておりまして、第二次の石油ショックさえなければ、より安定をした状態肥料工業が存在したというふうに考えております。残念ながら、第二次ショックのために新たに需給の構造上の問題が発生をしたというふうに考えております。
  192. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この第二次構造改善事業ではさらにアンモニアにおきまして二〇%、尿素製造におきまして三六%、燐酸製造におきまして一七%の処理目標を掲げて現在取り組ませているわけでございますが、私はこれに取り組ませている内容が一体どのようなものなのか、疑問を持っているものでございます。といいますのは、現在ある設備の縮小再生産的な方向でこの処理目標を達成させようとしているのか、あるいはスクラップ・アンド・ビルドのような内容でこの縮小再生産を図らせようとしているものなのか、この点について内容をお知らせいただきたいと思います。
  193. 野々内隆

    野々内政府委員 今回の構造改善は、第一次構造改善に比較いたしますと再活性化という点にかなりのウエートを置いております。今回はさきの三業種に新たに二業種を追加いたしましてアンモニア尿素湿式燐酸溶成燐肥化成肥料の五つの業種を指定いたしておりまして、昨年の六月二十一日付でまず過剰設備処理が図られております。先生今御指摘アンモニア六十六万トン、二〇%、尿素八十三万トン、三六%、湿式燐酸十三万トン、一七%、溶成燐肥二十四万トン、三二%、化成肥料八十一万トン、一三%というように、まず設備処理目標とされております。     〔玉沢委員長代理退席、上草委員長代理着席〕  それから、合理化の中身といたしまして、事業提携等によりまして生産集約化を行い、また生産合理化のための活性化の投資、こういうことを主たる内容といたします構造改善を現在実施中でございまして、設備処理につきましてはまだスタート時点でございますので、現在各業界におきまして具体的な検討が進められております。  御指摘合理化の面でございますが、これは、まず生産集約化につきましては、例えば昨年六月二十九日には日東化学、ラサ工業、東北肥料、サン化学というような四社が肥料部門を統合いたしましてコープケミカルというものを設立いたしておりますとか、あるいは三菱化成、多木化学が日本燐酸へ燐安の生産集約化するとか、そのほか生産の委託によりましていろいろ合理化を行っております。アンモニアにつきましては、例えば三菱化成から旭化成へというようなことが行われております。また他方、このような生産の受委託だけではございませんで、活性化の投資といたしまして、例えば宇部アンモニアでは原料をLPGから石炭にかえるということで石炭ガス化によるアンモニアプラントの建設を始めまして、現在既に試運転に入っておりますし、また日本燐酸では燐酸と燐安の生産集約化の工事が行われておるということでございまして、政府といたしましてはこのような構造改善の円滑な実施に向けまして適時適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
  194. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、現在指導しているところの第二次構造改善事業終了の時点では一応国際競争力に対抗できる体質を各メーカーが確立てきていく、このように見通していいわけでございますか。
  195. 野々内隆

    野々内政府委員 御承知のように、化学肥料工業農業生産にとって不可欠な基礎的な産業であるということはもう当然でございますが、そればかりではなしに、化学工業全体の中の一部門ということで、非常に重要な産業として健全な発展が図られているわけでございます。現在当面いたしております構造的な困難の克服をするという目的のために構造改善計画が実施されておりまして、そのために大幅な設備処理あるいは合理化投資というようなことが行われております。これらの対策によりまして、今後、化学肥料工業内需に基盤を置いた産業であって、そして国際競争のもとにおいて十分存立できるような肥料の安定的な供給ができるような経営基盤を確立する、こういうことが今回の構造改善目標ということになっております。
  196. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それではまたお伺いしますが、この化学肥料工業が今回の構造改善によってどんな姿に変わっていこうとしているのか。現在この対象となっているメーカーと、今後指導によって国際化にも対応できる体質の新しい企業が出つつあるようでございますので、そういう企業の見通し、将来的な展望というものについてお伺いしたいと思います。
  197. 野々内隆

    野々内政府委員 化学肥料工業は、従来輸出というところに重点を置きまして、大規模な設備投資を行うことによって世界の肥料工場という形でコストダウンを図り、発展をしてきたわけでございますが、第一次、第二次の石油ショックによりまして国際的にコストが割高になってまいりまして、構造的な困難に遭遇をしたわけでございます。このために、一次、二次の構造改善を行っておりますが、特に今回の構造改善では、化学肥料工業というものを化学工業の中の一環であるというように位置づけをしながら、かつ輸出に依存をしないで内需に依存をした、内需を基盤とした産業という形で再活性化をいたしております。  そのために、石油系原料から石炭系あるいはLPG系の原料への転換ということも行われております。また、生産につきましても、非能率な設備、工場を閉鎖いたしまして、能率のいい工場に集約をする、あるいは地域的に相互に補完し合える工場につきましては、生産をそれぞれ受託いたしまして、物流経費の削減を図る、こういう形で現在合理化を行っておりまして、内需を基盤とした国内肥料を安定的に供給できるような、そういうしっかりした経営基盤を持つような形で再生をいたしたい、かように考えております。
  198. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今の指導でございますと、内需に基盤を置いたところの再活性化を図らせようという方針のようでございますが、この方針でございますと、また一つの不安が出てくるわけでございます。といいますのは、内需に基盤を置いた再活性化を現措置法のような法のもとで、また価格の取り決め等でやっていきますと、果たして企業間に競争原理の作用が働くような体制が出てくるのかどうか、こういう不安が生じるわけなんでございますが、この点について政府の所信をお伺いいたします。
  199. 野々内隆

    野々内政府委員 基本的には、日本肥料は輸入が完全に自由化をされておりますので、この法律のもとにおきましても、構造改善が不十分な場合には、当然需要家の目は輸入に向くというふうに考えられますので、国内法律のもとにあぐらをかいて構造改善が進まないというような事態にはならないであろうと考えております。  また他方、今回の価格取り決めはあくまで平均的な価格がベースになって行われておりますので、当然平均よりもコストの高い企業は常に競争にさらされ、価格を低くする圧力がかかるわけでございますので、不断に価格コスト引き下げ圧力というものがかかっていると考えておりますので、この法律のもとにおきましても同様、コスト引き下げの圧力というものがかかり、企業の構造改善への努力は促進されるであろうと考えております。
  200. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 きのうの参考人の陳述の中で、化成肥料関係原料を海外に依存する分が高いわけでございます。こうなりますと、果たして将来とも国際競争力という面が十分に付与されるのかどうか。もしこのように常に原料を海外に依存する体質の産業でございますと、構造不況業種になっているのじゃないか。そうなりますと、この法案はこういう不況業種産業保護法的な性格を持ってくるのじゃないか。さらに、今まで輸出しておりました国における需給生産体制というものも今後見通されるわけでございます。こういう要素を入れますと、また今回の法案はさらに再延長されていくのではないか、こういう不安を持つわけでございます。この点について所信をお伺いします。
  201. 野々内隆

    野々内政府委員 化成肥料につきましては、確かに輸入に依存する部分が非常に多いわけでございますが、例えば燐酸系でございますと、燐鉱石の輸入というものはございますが、これを加工いたします例えば硫酸あたりは日本は国際的に十分競争力を持っておりますし、またその加工過程で出ます石こうにつきましては石こうボードという形で有効に利用されることによりまして燐酸系の生産コストを下げるということは十分可能だというふうに考えております。  カリにつきましては、現在、長期契約等によりまして安定的な輸入を考えておりますし、窒素系につきましては、アンモニアの特に水素源の原料転換というようなことでコストの削減ということを考えております。  したがいまして、大もとにおきまして輸入に依存をするということではございますが、それを加工する段階におきまして何とか合理化をし、国際競争力を持って生きていけるようにしたい、かように考えております。
  202. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この法案に対する企業家側からの政府要望というものはどのようなものであったわけでございますか。
  203. 野々内隆

    野々内政府委員 化学肥料工業は、現在、構造改善を進めなければならないというもう非常に重要な局面に立たされておりまして、待ったなしの状態になっております。そのためには、どうしても安定的な見通しのある需要の上に立った企業経営ができるようにしていただきたいというのが企業側の延長の望みでございまして、この安定的な見通しのある需要の上に立ちまして早急に経営を安定化させ、構造改善を進めたいというのが企業側の希望でございます。
  204. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それから、この第二次構造改善を指導するに当たって、政府で予算面ではどういう対応をしようとしているのか、またどういう項目での予算措置考えているのか、お伺いしたいと思います。
  205. 野々内隆

    野々内政府委員 御承知のような財政状況でございますので、余り大きな手当てもできておりませんが、税制、金融上の促進措置というものをとっております。  金融上では、活性化の投資をする企業につきまして開銀等から融資を行う、あるいは設備処理に伴います各種の借り入れにつきまして基金によります債務保証を行う等の金融上の支援措置をとっております。  それから、税制上も、企業提携、合併等に伴う税制の優遇措置あるいは設備処理に伴います税制上の措置、かような問題につきまして税制上の優遇措置をとっております。
  206. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は安定したところの価格での肥料供給体制を確立する、そのことには賛成でございますが、しかし一方では国際競争力、自由化に対応できるところの指導でなければならぬ、こう考えているわけでございます。  そういう観点から質問をしているわけでもございますが、もう一つ、金肥依存に対するところの日本の耕作営農体制について、昨今の現実を見ましての一つの危惧もあるわけでございますが、世界各国との耕地面積当たりの金肥使用量の比較はどうなっているのか。これは今手元に資料がございませんならば後でもよろしゅうございますが、諸外国との金肥使用量の比較を見ますと、その比率は非常に高いわけでございます。もちろんヨーロッパのオランダとかベルギーの諸国は日本と似た高さの使用を示しているわけでございます。  しかし、四月二十五日に私が地力増進法案の審議の際に御質問していたわけでございますが、文明の興亡は、その土地の生産力によって開花し、その土地を収奪、荒廃させて滅びていく繰り返しじゃないか。現在、この地球の砂漠化も懸念される中で、日本の現状は金肥依存の営農体質を構成してしまったので、全国的な規模で地力減退が見られている。このために、地力を国土資源とみなし、国の責任でこの国土資源の維持保全を図るべきだ。そういうことと、さらに地力増進法は、こういう点から見るとまだ対策指針の策定であり、助言、指導、勧告の域を出ていないので、これの強化を要請したわけでございます。  こうなりますと、将来こういう地力増進法が徹底してまいりますと、金肥が減少するということも十分に考えられるのではないか、こういうことで、現在の指標で指導しているところの構造改善事業に果たして将来危惧はないのか、こういう点をひとつお伺いしたいと思います。
  207. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 今お話しの中にございました我が国の農業の金肥依存、いわゆる化学肥料依存が行き過ぎておるのではないかということで、これはFAO等の資料を使いまして十アール当たりの施用量についても私どもで多少世界比較をして見ておるわけでございますが、今先生の御質問の中にありましたようなまさにそういう傾向があらわれておりまして、世界平均で見ますと、日本の窒素、燐酸、カリの施用量はずば抜けて高いわけでございますが、国別になりますと、粗放農業でありますソ連という国からは高うございまして、東南アジア諸国からも高いわけでございますが、お話の中にも出てまいりました西欧諸国の中で特にベルギー、西ドイツあたりの窒素使用量は日本よりも非常に高いというような数字も出ております。  しかし、こういうようなことで、全体としましては日本の土壌あるいは地力、こういう問題から見ますと、過剰施肥ということではございませんかもしれませんが、有機質の施用による地力の基本的な増強ということが非常に大事でございまして、これは地力増進法の成立を契機にしまして望ましい土壌の目標を設定し、それに従いまして国、県が中心になりまして、また農家の方々の一種の土づくり運動的な機運も醸成しまして地力増強、具体的には有機物の施用の励行、こういうようなことに取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。  こういうことはこういうこととしまして、いずれにしても肥料のいろいろな長期的な見通し、特に肥料工業構造改善措置との関係日本肥料需要見通しがどうなるのかということがございました。これはなかなか難しゅうございますが、水田利用再編成が進んでいく、しかし一方転作によりましていろいろ、水稲よりかなり施肥量の高い園芸その他の作物も出てまいります。こういうような諸要素を、現時点で予見し得るデータを使いまして六十五年の農産物の需要の長期見通しに即して肥料の消費量、需要量がどうなっていくかということを試算しますと、年率で大体〇・七%から〇・九%くらいのテンポで総量として肥料需要量は増大していくというようなことで、減退というような見通しではございませんが、そうかといって大幅に増加していく、こういうようなことにはなっておりません。大体そういうような需要見通しを持っております。
  208. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 先ほどの大臣答弁の中に、地力増進法も制定しているのでこの肥料価格安定法と並んで、双方で今後農業の指導を行っていきたいという答弁がございましたが、地力増進法はどうしても有機質肥料の問題が出てくるわけでございますし、これのチェック、指導の体制の確立が必要でございますので、このことを十分に今後検討していただきたいということを要望しながら、今まで申し上げましたような不安材料からも、今回第二次構造改善で、メーカー、企業が私たち農民、国内肥料需要に対しましては低位安定した価格供給ができるように、また国際競争力、自由化にも対応できるような思い切った体質改善を図らせるような政府の対応が必要じゃないかと私は考えますので、この点の政府の一層の対応の強化という面についての所信をひとつお伺いしたい、こう思います。
  209. 野々内隆

    野々内政府委員 化学肥料農業にとりましては非常に重要な資材であるという観点から、その安定的な供給というものが非常に重要な課題になっているということは、私ども及び化学工業も十分認識をいたしておるところでございます。  第一次、第二次石油ショックのために非常にコストが高騰いたしまして、残念ながら現在国際競争力が十分でないという状態になっておりますので、今回の第二次構造改善によりまして輸入品と十分競合できるような安定した経営基盤になるようにできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えております。そのために過剰設備処理あるいは生産集約化等によります事業の提携、それから原料転換等の技術開発、こういうものを積極的に進めまして安定した経営基盤を持つ化学肥料工業として再生いたしますように官民挙げて努力をいたしたい、かように考えております。
  210. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、国内価格輸出価格との差をできるだけ縮める方向に国の指導をお願いしたいわけでございますので、この点について、一応輸出価格はFOBの価格であり国内価格は軒下渡しの価格になっている、そういう答弁でございまして、だからここの価格の差は仕方がないというようなことでございました。しかし、今まで企業側で収支決算が輸出価格国内価格あわせてどうなっていたのか、国の方で調査したことがありますならばお知らせいただきたいと思います。
  211. 野々内隆

    野々内政府委員 輸出価格の赤字と国内価格の赤字につきまして、企業収支について特に調査をいたしたということはございませんが、国内価格につきましてはコスト主義をとっておりまして、輸出の赤字あるいは黒字が国内価格に転嫁されないような手段というものを講じておりまして、そこを分けるように努力をいたしております。
  212. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それから、現在の価格取り決めに当たってでございますが、価格、コストの決定になる参考資料は、メーカー側に対して法で調査できるようになっているわけでございますか。
  213. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは肥料価格安定等臨時措置法の中に報告徴収、こういうような権限が規定されておりまして、それに基づきまして原価等の調査もいたしております。
  214. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そういたしますと、その政府の調査、立ち入り権限というのはどの程度のものになるわけでございますか。
  215. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは法律上の権限としまして報告徴収、立入検査ということが農林水産大臣、通商産業大臣大臣に権限がございまして、これがこういう関係で働きますのは、肥料価格安定等臨時措置法に基づきます価格取り決め資料になります原価資料を作成して取り決め当事者に交付します、その原価資料の作成に当たって原価の報告求め、場合によっては工場等に立入検査をしてチェックをする、それで適正な原価資料をつくる、こういう面で発揮をされるということが主な部面でございます。
  216. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、きのうの参考人に対しまして質問したわけでございますが、価格決定は団体交渉を行って決めているんだ、そして消費者側、流通側は流通当事者代表の全農とメーカーがこの価格決定をするということでございました。また参考人は、政府から要求されている資料は正確なもの、一応ガラス張りのものを出していると言うわけでございます。そこで私は、一応こういう取り決めでなっているなら、この価格決定に農民代表を加えてもらってもよいではないかとも考えるわけでございますが、この点についての政府のお考え、所信をお伺いします。
  217. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 これは肥料価格制度の歴史で申しますと、かつての肥料二法によります公定価格時代には価格の審議会等ございまして、そこに当然でございますが農業者の代表の方も参加していただいておったということでございまして、そういう政府自身が価格決定をするという制度の場合には、それなりの広く関係者の方々の意見を、いわば反映するというか、そういう審議会等のシステムもとられているわけでございます。昭和三十九年に現在の法律にかわりましてからは、基礎が生産業者販売業者、それも一番もとの段階で、メーカーから直接買いますいわゆる元売業者である全農、この間の価格取り決め、こういうことに制度がなりまして、またそれの価格取り決めに必要な資料を当事者に提供をするということになっておりますので、なかなかこの仕組みの中で、お話のございましたような農民代表の参加というような形態が考えにくいわけでございまして、現実にも審議会というようなものの場と違うわけでございますので、どういう方をどういうふうに選び出してその過程に参加するか、その参加された方の資格というのは一体どういうふうなことになるのかということがあるものですから、なかなか農民参加という形での制度措置にはなじまないような仕組みになっております。  ただ、全農としましては、当然のことでございますけれども、この肥料問題、価格需給問題、こういうものはよく組織内でも討議をされているわけでございますし、また必要な資料を通じて組織内の情報交流もされている、こういうことで、足らざる点は補っていくというようなことにつきまして、私どもも引き続き指導をしてまいりたいと考えております。
  218. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一応今までのような価格取り決めでございますと、やはり全農に対するところの、全農一当事者のみでは一つの不安を持っている農民団体もあるわけでございますので、この点今後検討していただきたいと思うわけでございます。  次に、農家経済における肥料の支出負担状況、また農業生産資材に比べてどのような農家経済の圧迫になっているのか、この点政府はどのように調べているか、また把握しているか、お伺いします。
  219. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 肥料の農家経済におきます地位あるいはその負担状況、これは私どもの統計情報部の農家経済調査の中から関係資料を大体とりまして状況を見るわけでございますが、現金支出で見ますと、昭和四十年度、これは大分前でございますが、三万四千九百円、五十七年度は十五万七千九百円ということで、これは単価の上昇と肥料消費量の増大に伴いまして絶対額が非常に大きくふえておるわけでございます。  ただ、現金支出の中でこの肥料費がどのぐらいの割合を占めているかと申しますと、大体最近のところでは一四%前後ということでございます。また、これは現金支出で今申し上げたわけですが、農業経営費、いわゆる減価償却費あるいは自家労賃部分、自給部分も含めました農業経営費全体の中では、肥料の割合は一〇%弱ということでございまして、ちなみに農機具費が一番資材では大きくて、経営費の中の一九・四%、えさ代が一八・九%、こういうような状況でありまして、肥料の場合には今申し上げましたように一〇%程度の経営費の中のウエートでずっと最近推移をしております。
  220. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、きのうの一参考人の陳述からも、農民は国際価格よりもいつも高い肥料を買わされてきていたんだ、そういう観念が農民の側には強いわけでございますので、今後この価格低減のためには輸送関係の問題等の対応にも政府はよろしきを得た指導をやっていっていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、時間が参りましたので、大臣に質問をいたしたいと思います。  その前に、六月二十日に私が食糧庁長官に質問しました際、古米の払い下げについて外食用に回す場合は社会規範を乱すようなことのないようにすべきだということに対しまして、私の質問の趣旨に沿うた指導をしたいという答弁があったわけでございます。食糧庁長官が更迭されておりますので、この際大臣の方からも私への答弁に沿うた指導を行うよう要請する次第でございます。これは大臣要請いたします。  次に、最近の肥料をめぐる状況と今後の肥料政策の基本方針を大臣にお伺いするわけでございます。  安定供給確保するという趣旨に賛成するものでございますが、価格が低位安定でなくてはなりませんので、どうかひとつ低位安定でこの基本方針がなされるように、また国際化、自由化に十分対応できるような指導がなされるように要望しながら、大臣の基本方針をお伺いしたいと思う次第でございます。
  221. 山村新治郎

    山村国務大臣 米につきましては、消費者の皆さんに心配をかけないように、安全性を確認してちゃんと配慮した施策を講じてまいります。  また、今先生おっしゃいましたように、最近の農業をめぐる情勢、これはかつてない厳しいものになってきております。的確な農業技術の対応等に基づく農業生産性向上と生産コストの引き下げが必要となっております。また化学工業におきましても、累次のオイルショックの影響を受けまして構造的に困難な状況が継続しているために、特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして大幅な設備処理中心といたしまして第二次の構造改善対策を実施しておるところでございます。  このため、農業生産に欠くことのできない基礎資材でございます肥料につきまして、先と言われましたように価格を低位安定させ、十分な量を確保すると同時に、化学肥料に過度に依存することなく適正な施肥指導、そしてまた有機質肥料の施用による地力づくり及び肥料の品質保全を図ることが今後の肥料政策の基本というぐあいに考えております。
  222. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 終わります。
  223. 上草義輝

    上草委員長代理 津川武一君。
  224. 津川武一

    ○津川委員 初めに、農用資材のことで農林大臣と農水省にお尋ねします。  政府農業生産性向上によるコストの低下を農政の重点目標一つに掲げております。しかし、そのための具体的施策として位置づけているのは規模拡大、技術の向上、農業基盤整備などであり、農用資材価格の引き下げは入っていないのではないかと思っております。私は農家経営の安定を図る上でも、コスト引き下げによる国民への食糧供給確保という点からも、農用資材価格の引き下げは農政の当面している第一義的課題だと思います。今、生産者米価引き上げを求めておる農民の運動が起こっておる中で、農用資材の価格を引き下げることが大きな要求になっております。  そこで、大臣お尋ねしますが、同僚の串原さんや斎藤さんもお尋ねしましたけれども大臣農業における農用資材をどのように評価しておられるか、これが一つ。農用資材の価格引き下げを政府は農政の中でどのように位置づけておるか、これが二つ。三つ目には、その引き下げのために具体的にどんな手を打ったのか、お答え願います。
  225. 山村新治郎

    山村国務大臣 基本的な問題につきましては私から御答弁申し上げまして、詳細につきましては政府委員の方から御答弁します。  農業生産資材価格の安定ということは、農産物生産費の上昇を抑制し、農業所得の安定的確保を図る観点から極めて重要であると考えております。肥料、農薬及び農業機械の価格は、全農とメーカーが交渉して決めた価格が基準となって商系をも含めた小売価格が形成されておるところでございます。このために、肥料価格安定等臨時措置法の適切な運用等によりまして適正な価格設定がなされるように努力しておるところでございます。
  226. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 農業生産資材と申しますと、主要なものが肥料、農薬等でございますが、これらにつきましては、今大臣の御答弁にございましたように、我々として価格問題で一番の着眼点としては、やはり全農の全体的な価格の交渉というところが一つの山になるわけでございますし、肥料の場合には今審議をお願いしている肥料価格安定等臨時措置法によりまして適正な原価資料チェックして提供しまして適正な価格取り決めがされるように指導する、こういうことで具体的な形をなしておるわけでございます。肥料の場合には、こういう特定肥料についての取り決め価格が実際上ほかの肥料についてもかなり影響力を発揮しているということで、やはり適正な原価を反映するような価格取り決めがされておるというふうに考えておりますが、農薬、農業機械等につきましてはこういうような法的措置はございませんので、私どもといたしましては価格面の問題につきましてはあくまでも行政指導の世界で、コストの切り下げと同時に適正な価格が実現されるように指導面で鋭意努力をしてまいりたい、かように考えております。
  227. 津川武一

    ○津川委員 大臣農業資材の適正価格のために努めてきたとおっしゃっておりますが、農家が求めているのは価格を下げること、農家の経営を安定させるには価格が下がることです。そこで、大臣の答えられた適正価格の中に価格を引き下げるということが入っていなければ今の日本農業の実情に合わないと思います。この点、もう一度大臣お答え願います。
  228. 山村新治郎

    山村国務大臣 適正な価格が決定されるように努力してまいります。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  229. 津川武一

    ○津川委員 それでは、後で農民の要求をさらにまた大臣に質問するとして、進めていきます。  公取にお尋ねいたします。  本法律の柱は、肥料メーカーと販売業者価格取り決めを認め、これを独禁法の適用除外とするものでございます。いわば肥料については価格カルテルを認めたものでございます。しかも、この法律昭和二十九年に二法として国の直接決定という形で、三十九年以来は今の法律の建前で五年間の臨時的措置としながら、過去四回二十年も延長されております。  そこで公取委員会に聞きますが、独禁法の適用除外という例外的措置として二十年、三十年にもわたって延長することをどう評価しておるかという問題でございます。今農家の求めておるのは肥料の値下げでございます。それだのに、農家には肥料の原価は明らかにされておりません。そして、このカルテルに守られて外国向けの肥料よりも高い肥料が農家に届けられております。この状態をなぜ独禁法の適用除外という法律で三十年も続けてきたのでございましょうか。公取がなぜこういうものを三十年も認めてきたのでございましょうか。  もう一つは、今日本でお米が不足して大問題になっております。米の安定生産が農家の経営をよくして、農家に生産意欲を大きくさせていくことが何よりも必要になっております。これが今日本農業や国が課せられている大任務であります。この任務に反して、大企業の圧力のもとで農業が軽視されておる。高いと農民が一斉に反発しておる肥料価格を押しつけられておる。どちらが守らなければならないものか。日本農業の大問題に背中を向けて、しかも三十年の長きにわたって肥料メーカーの高位価格を守ってきたのがこのカルテルでないでしょうか。  もう一つの問題は、日本は先進的な資本主義国であります。大企業は十分それなりの経営の方針を持っております。硫安は新日本製鉄や化学繊維大工業がつくり出しております。そして、新日本製鉄などはこの肥料を売り出しております。しかし、連産品といいますか、副生産物といいますか、コストが明確でないのです。企業がコンビナートの中でたくさん出てくる製品の中でどの製品に、ここでは硫安にどのくらいの経費を課すかということは企業の採算本位でかなり自由にできる。かなり自由にできる中で、カルテルがあるために企業は硫安に高い経費をかけてきた、これが現実の姿でございます。この姿を守ってきたのが二十年、三十年にわたるこの法律、前の法律と今の法律なのでございます。  公取は、こういう高い水準の価格を農民に押しつけられてきておるこの状態をどう考えておられるか、今後もこの状態を認めていくつもりか、この点をお答え願います。
  230. 糸田省吾

    ○糸田説明員 ただいま先生お話のありました、この法律の中におきます特定肥料価格の取り決めにつきまして独占禁止法適用除外になっているという点についてまずお答え申し上げたいと思います。  これは、現在の我が国の農業が置かれております立場とかあるいは肥料工業界の現況とか、そういったものからいろいろ考えてまいりますと、こういう農業生産の基礎的な資材である肥料につきましては、価格とかそういった面について無用な混乱が生じないようにするということが必要ではないか、そういった趣旨でこの法律がこれまで運用されてきた、かように理解している次第でございます。  ただ、先生のおっしゃいますとおり、私ども公正取引委員会立場からいたしますと、いろいろな経済分野で公正で自由な競争が貫徹できるように、促進するようにということで独占禁止法運用しているわけでございますから、そういった面からいたしますと、こういう独占禁止法適用除外という考え方は、これはあくまでも例外的なものであるということでございます。したがって、その内容もできるだけ最小限にとどめるべきでございますし、もちろん、必要がなくなれば一刻も早くやめていただくという筋合いのものかと思っております。  ただ、現在の我が国の肥料工業の実態を見てまいりますと、もちろん先生御高承のとおり、一次あるいは二次にわたります石油危機によりまして構造的に非常に厳しい状態に置かれていることも事実かと思います。それで、現に、現在は特定産業構造改善臨時措置法によりまして構造改善の真っ最中という状況でございます。したがいまして、こういう状態のもとにおきましては、この構造改善を円滑に、かつ適正に進めることが何よりも肝要である。そういったことからいたしますと、この法律がさらに延長されることがあっても、私ども立場としてはやむを得ないものか、かように考えておる次第でございます。  ただ、もちろんあくまでもこれは例外的なものでございますから、今後はこの法律延長されております期間のうちに構造改善が完全に徹底されるよう各方面で最大限の努力を私どもとしてはぜひともお願いしたい、かように考えておるわけでございます。  それから、この価格取り決め制度によります価格の問題でございますが、先生指摘のように、ユーザーであります農民の方にとって不当にその利益を害するようなことがあってはならないという点におきましては、全く同感でございます。この法律におきましても、その点についてはいろいろな面で配慮されているというふうに私ども考えておるわけでございます。  例えば、この価格取り決めにつきましてもいろいろな要件があるわけですが、その中には、農業肥料工業の健全な発展に支障を与えるものであってはならないとか、それから一般消費者や関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものである、といったような厳しい要件が設定されておりますし、それからまた手続面におきましても、例えば価格取り決めに際しては必要な資料の提供が主務大臣から行われるといった制度もございますし、さらには、主務大臣価格取り決めにつきましての変更とか廃止命令といった所要の権限を与えられております。それから、公正取引委員会にもその関係で主務大臣に対する処分請求という制度も認められているところでございます。したがいまして、こういった制度が適正に運用されることによりまして、いやしくも農民の利益が不当に害されるといったような弊害が生ずることのないようにこの法律運用されるもの、そのように考えておるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましても、今後ともこういった価格取り決めなどの実態につきまして十分注視してまいるとともに、主務官庁との連絡を密にしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  231. 津川武一

    ○津川委員 公取にもう一つお尋ねいたします。  今、こういうカルテルで守られているのは例外的だという、しかも三十年にもわたって、その間政府が問題を解決し得なかったということを伺ったわけです。そこで、こういう例外なカルテルがほかの企業、ほかの業種に、わけても今度の硫安みたいに新日本製鉄なんというずば抜けて大きな大企業、こういう大きな企業を守るために行われている例がございましょうか。ありましたら教えていただきたいと思います。
  232. 糸田省吾

    ○糸田説明員 独占禁止法適用除外を定めております法律は幾つもあるわけでございますが、もちろんこれは私ども立場からすればいずれも例外的なものだという認識でございます。その中でも多いのは、これは実態からしてやむを得ない面もあろうかと思いますが、中小企業関係法律で、例えば中小企業団体の組織に関する法律というものがございますが、この法律が長い間運用されてきているわけでございます。  それからまた、今大企業という話もございましたが、極めて身近なところで申し上げますと、昨年から施行されております特定産業構造改善臨時措置法、この法律過剰設備処理につきましては適用除外カルテルの制度が設けられているところでございます。
  233. 津川武一

    ○津川委員 続いて、政府お尋ねいたします。  農水省、現時点でこの法律が農民にどんな意味を持っているか、この法律の評価なりメリットなり、農民に対する意味合いをお答え願います。
  234. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 今回延長をお願いしておるわけでございますが、この法律効果と申しますと、やはり中心的には、価格取り決めの面では、この法律の中に仕組まれております、適正な原価資料を作成しまして価格取り決め資料として交付する。また、価格取り決めの結果につきましては、今公正取引委員会の方からもお話がありましたが、事後的な面でのチェックあるいは一定の要件に適合しなくなったと認めるときには変更命令、廃止命令というようなこともございまして、そういう行政庁の権限を背景にしまして生産業者販売業者間の価格の取り決めについてチェック機能を発揮する、これが私ども考えますこの法律制度の一番のメリットではなかろうか。  肥料価格については、かねがねいろいろな面での御指摘があるわけでございます。輸出価格国内価格との関係でございますとか、コストの適正な算定がなされたかどうか、こういうようないろいろな形での問題が提起されておりますが、私ども行政庁としましては、農林水産省はあくまでも農業の健全な発展ということで、農業生産の重要資材である肥料価格安定を図るということでございますので、こういう法律に与えられましたチェック権限を最大限に活用して価格の適正化を図ってまいりたい、これが私どもの責務であると同時にこの法律の持ついわば効果というかメリット、こういうふうに考えております。
  235. 津川武一

    ○津川委員 この法律ですが、ほとんどの単協、全農を除いたどこの単協へ行っても、ほとんどと言ってもいいほど、私たちの使う肥料輸出される肥料よりも高く、割高だ、こう私たちに訴えてくるわけです。  そこで、この格差は当然と見ているのか、なくすべきだと考えているのか、政府として、輸出価格よりも国内価格が高くなって農民が困っているという現状をどう説明なさるのか、この点をお伺いします。
  236. 野々内隆

    野々内政府委員 輸出価格国内価格が違う原理によって決定されているというのが実情でございまして、国内供給につきましては、長期、安定的に肥料供給する必要があるということからコストを中心とする価格によって供給されておりますが、国際的な肥料の値動きは、安定というよりも、そのときどきの需給によって変動いたしております。したがいまして、石油ショックのときのように足らなくなりますと暴騰いたしますし、現在のように余ってまいりますと値段が下がります。既にもう本年の初めからこの半年くらいの間にも相当程度、例えば尿素価格等は上昇いたしております。そういうふうに国際価格は非常に不安定な状態でございます。  しかしながら、私どもは、常に輸出価格国内価格を下回っていいのかどうか、この点は疑問に思っておりまして、ぜひ国内価格も、コストを切り下げまして十分国際競争力があるように持っていくことが望ましいと考えております。したがいまして、今回の第二次の構造改善計画におきましても、この改善計画の達成目標は、日本化学肥料工業が輸入品に十分対抗し得るような価格で、そして国内の農家の方々に安定的に供給できる、そういう安定した経営基盤を持つようにしたい、これが今回の第二次構造改善目標でございまして、そういう方向で民間企業も努力をいたしますし、私どももできるだけ指導し、支援をしていきたい、かように考えております。
  237. 津川武一

    ○津川委員 そこで、国内価格輸出価格をなるべく差がないようにするために指導していく、このことは了承しますが、なぜ国内価格輸出価格との間に差が出てくるかという問題でございます。法の建前が違う、価格の決定が違うと言っているわけですが、現実には輸出価格が安くて国内の方が高くなっている。こういう根拠をもう少し説明していただかないと農民は納得しないと思います。もう一度お願いします。
  238. 野々内隆

    野々内政府委員 価格差の生ずる原因は、二つに分けて考えられると思います。  一つは、取引条件なり形態が異なるという面から来る価格差でございまして、御承知のように輸出につきましては、通常、工場の岸壁から本船に荷渡しされるために国内運送費というものはほとんど必要ございませんし、また国内における倉敷料も必要ございません。それに比べまして国内の費用は、着地の、消費地の渡してございますので、日本全国どこへ行っても同じになりますように工場からそこまで運ぶだけのコストが必要でございます。それから倉敷料も必要でございます。他方、荷姿で見ますと、国内は二十キログラムが平均でございますが、輸出につきましては、ばら積みでありますとか五十キロというような大きな包装でございまして、格段に包装費が安くついております。また手形の支払いでございますが、輸出につきましては通常アットサイトで、非常に短い期間で支払いが行われますが、国内はかなり長い。輸出に比べますと五十日以上の格差のある支払い期日になりますので、その間の金利等が必要になってまいります。こういうふうに取引の形態、条件によります差、これは当然永久について回る格差でございます。  他方、輸出につきましては、国際商品市況というものによって、需給により変動いたします。ところが国内は、需給により変動するということよりも、むしろコストを勘案をして長期的に安定した形で供給をする。こういうふうに二つが異なる観点から決定されておりますので、そこは変動があってやむを得ないかというふうに思っております。  ただしかし問題は、輸出をすることによって国内の総コストを安くするようにしなければならない。それは、輸出をすることによりまして操業度が上がります。そういたしますと、単位当たりの固定費負担というものが減ってまいります。そこが輸出一つのメリットでございます。もう一つ問題は、輸出に基づく赤字を国内に転嫁してはならないという原則でございます。この二つの原則がある限りは、輸出国内におきまして差が生じてもやむを得ないというふうに考えております。しかしながら、最も望ましいのは、国内価格が下がりまして、十分輸出と競争し得るような値段まで下がる、そのためにはコストを下げるための合理化を行う、これが最も望ましい方向ではないかというふうに考えております。
  239. 津川武一

    ○津川委員 局長は今までの御答弁の中で繰り返し繰り返し輸送料のことを話していました。しかし、国民は納得していません。例えば五十七肥料年度で言うと、硫安国内価格三万一千五百五十円、輸出一万八千七百六十六円、これだけの差が出ている。そこであなたの説明はレールとFOBの差の中にあると言う。皆さんの言っているのはその差が七千百五十六円。これをそっくり輸出に加えてみても二万五千九百二十二円。国内価格は三万一千五百五十円。これだけの差がある。しかし、よく農協の言うのは、単協ではトラックで工場に行ってとってくると二千四百円。輸送経費というのが二千四百円になると、FOBで一万八千七百六十六円、それに二千四百円を加えまして二万一千百六十六円。国内は三万一千円。何としても高い。ここらあたり、国民が納得できるように説明していただきたいのです。  この内容についてはこの後もう一回あなたにお尋ねするとして、組み立てた質問だから進めていきますが、化学肥料工業の幾つかの業種は、特定産業構造改善臨時措置法の対象業種となり、構造改善設備廃棄、それらが国による税制面、金融面のさまざまな優遇措置をとりながら進められております。  そこでお尋ねです。この構造改善合理化が進むまでの間、価格カルテルを認めてくれというのが今回の法延長の趣旨だと思いますが、この合理化はどのような目標に向かっているのか、肥料価格をどの水準まで下げるのによろしいのか、この御計画を伺わせていただきます。
  240. 野々内隆

    野々内政府委員 今回法律延長をお願いいたしております理由は、三点あるかと思います。第一点は農業を取り巻く非常に厳しい環境から来る対応、第二点は肥料工業をめぐる対応、第三点が国鉄の貨物合理化によります物流面から来る対応、この三点かと思います。  先生指摘の第二点でございますが、現在行っております構造改善は、第二次石油ショックに基づきますコストの高騰から来る構造的な問題に対処するというのが基本的な目的でございますが、構造改善計画の最終的な目標というのは、我が国の化学肥料工業が輸入品と十分競争できるようにコストを合理化し、国内で安定的に供給できる、内需に基盤を置いた産業として再活性化する、これが基本的な考え方でございます。
  241. 津川武一

    ○津川委員 まださっぱりしませんが、何としても輸出価格国内価格よりも安過ぎるという点は、国民の政府に対する、行政に対する大きな不信なんで、この点のできるだけの解明を引き続き要求していきます。  次に、現在国内価格は、政府がメーカーより報告させた実績原価を交渉当事者に示しているので適正に決められているとされておりますが、何をもって適正と言うのか、この実績原価を国会に資料として提出できるか、この二点を答えていただきます。
  242. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 価格取り決め資料として提供しております実績原価でございますが、これは御承知のように、前年暦年分の実績原価の調査結果をまとめておるわけでございますが、この過程におきましては、私どもずっと毎年原価を追求しているわけでございますので、その内容的なチェック、さらに必要によりますれば工場の立入検査等もいたしまして、必要な指導をして原価資料をまとめておる、かようなことでございまして、この資料の公表等の扱いにつきましては、法律上の手続によりましてあくまでも価格取り決め資料として当事者に提供しておりますので、これを一般的に公表するということは、事柄の性質上適当でないということで、公表いたしておらないような次第でございます。
  243. 津川武一

    ○津川委員 やはり原価が明らかにされないので問題が解決されない。今日本の国民全体の要求していることは、大きな企業のつくり出す品物の原価を明らかにして、企業にももうけてもらわなければならぬけれども、国民がもっと安いものを手に入れなければならぬということなんです。したがって、委員長から、この実績原価を我々に示してくださるよう、政府に特段の交渉をしていただくようお願いして、次に質問を進めていきます。  そこで問題は硫安価格でございます。新日本製鉄がやっている間に回収されていく硫安、合成繊維の方からは七割、新日本製鉄などのコークス炉の排ガスから来るものは、副生硫安が三割となっておりますが、ここには原価がないのです。硫安は、硫酸を処理する過程の中で出てくる、コンビナートの全体の中で出てくる。したがって、ほかのものにコストをかけるか硫安にコストをかけるかはその企業の自由裁量なんです。どちらにかけるか。もしカルテルがなくて自由競争だったら、全農が個々のメーカーと交渉できるならば、価格にかけるコストを下げる方に使えたのです。それを使えなくさせているのが今度のカルテルなんです。  ここに、城西大学の学長でこういう化学工業の専門家である渡辺徳二さん、それからやはり化学関係の工場の部長をしておる佐伯さんという人の「転機に立つ石油化学工業」という本がございますが、カルテルが成立するためには何が必要か。一つの企業がコンビナートの中で幾つかの品物をつくる、これが一つ条件、この硫安のように。そして、売る市場が二つ以上あるということ、一つ輸出市場、一つ国内市場。こういう場合に独占なり寡占なりカルテルがあれば、この場合で言うと輸出価格国内価格に大きな価格の差をつくることができる、これが価格の理論なんです。通産省の局長が、これがわからないで、先ほど全部の質問をごまかしている。したがって、速やかにこの大企業のカルテルにストップをかけて、カルテルをなくして、全農と個々のメーカーが価格交渉をやるように——私は病院をやっていますが、職員と一緒になって自分で三十の薬屋さんと交渉する、そのことによって価格が正しくなる。このカルテルは事業団体の全農が独占的に、ここのところに問題があるので、これを解決する方策を通産省から、このカルテルをこのまま許しておくかどうかについてはもう一回公取から答弁をお願いします。  まず通産省から。
  244. 野々内隆

    野々内政府委員 農業の非常に重要な資材でございます化学肥料を安定的に供給するということは、非常に重要なことかと思います。現在、日本化学肥料工業は第二次石油ショックによりまして国際競争力を失っておりますが、何とかこれを再生いたしまして、輸入品に十分競争できるような、かつ安定的な形で国内の農家の皆さんに肥料がお届けできるような、そういう化学肥料工業に再生をする、これが現在の第二次構造改善目標でございますが、この構造改善を実効あらしめるためには、現在ここに御審議をお願いいたしておりますこの法律によりまして、安定的に、また先の見通しを持った企業経営ができる、これがどうしても必要かというふうに考えております。御指摘のカルテルの弊害ということがないように、私どもとしても、農林水産省と御協力をしながら十分な監視を続けていきたい、かように考えております。
  245. 関谷俊作

    関谷(俊)政府委員 この法律のかなめになります原価の問題につきましては、通産省だけでやっているわけではございませんで、我々農業のことを専らの仕事としております農林水産省と通産省の共同の責任で実施しておりますので、御指摘のありましたような点は、私どもも常々勉強しているつもりでございますが、この価格決定には厳正を期したい、かように考えております。
  246. 糸田省吾

    ○糸田説明員 先ほども申し上げたところでございますが、化学肥料工業構造改善の徹底を図りまして、以後、こういった適用除外制度がなくても肥料取引の適正化、公正化が図られますことを期待している次第でございます。
  247. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  248. 阿部文男

    阿部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  249. 阿部文男

    阿部委員長 この際、本案に対し、上草義輝君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上草義輝君。     —————————————  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  250. 上草義輝

    上草委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配布したとおりであります。  技術的な条文でございますので、朗読を省略し、以下、修正内容を簡単に申し上げます。  修正点は、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律昭和五十九年七月一日で施行されたことに伴い、同法による改正後の農林水産省設置法及び通商産業省設置法の規定中、肥料価格安定等臨時措置法肥料価格安定臨時措置法に改めるほか、所要の規定の整理を行おうとするものであります。  以上が修正案の趣旨及び内容であります。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  251. 阿部文男

    阿部委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  252. 阿部文男

    阿部委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中林佳子君。
  253. 中林佳子

    ○中林委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっております肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案についての反対討論を行います。  反対の第一の理由は、本法律が大手化学肥料メーカーの価格カルテルを容認し、その利益のために奉仕する内容を持っているからであります。  今日、肥料メーカーは総合的な化学工業として発展していますが、これを支えたのが本法による肥料の独占価格の保証であり、政府の金融上、税制上のあらゆる優遇措置の結果であります。石油ショック後、肥料工業が不況産業に陥り、過剰設備の廃棄を迫られていますが、本法に基づく価格カルテルは、肥料価格低落を防ぎ、設備処理をスムーズに進めるとともに、肥料業界の寡占体制を一層強める役割を果たしております。  第二に、この法律のもとで農民は相対的に高い価格肥料を押しつけられてきました。今日農民は、外国農産物の輸入攻勢のもとで、多くの農畜産物に過剰が広がり、生産調整を余儀なくされ、生産費を大幅に下回る農畜産物価格に苦しんでいます。こうしたもとで、独占資本が生産する肥料について、輸出価格や自由競争の際に実現する水準より高い価格を法に基づき押しつけられることは、農民にとって到底納得できるものではありません。  しかも、政府の言う原価調査などというものは、結局メーカー側の言いなりと言わざるを得ません。  第三に、今日の化学肥料工業過剰設備は、利潤追求第一主義で大型化を進め、安い資源と労働力を求めて海外に進出したことが大きな要因となっております。政府肥料メーカーは、こうしたみずからの高度成長政策の破綻の責任をあいまいにし、肥料工業の安定なくして農業経営の発展はないなどと称して、過剰設備処理を農民や労働者、国民の大きな負担と犠牲のもとに進めようとしています。  私は、今日の農業と農家経営の実態から見て、肥料を初め農用資材の価格引き下げが極めて重要な課題であり、そのためには、肥料などの原価を公表し、真に農民の声が反映される価格決定の仕組みを確立することこそが必要であることを指摘して、反対討論を終わります。
  254. 阿部文男

    阿部委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  255. 阿部文男

    阿部委員長 これより肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決に入ります。  まず、上草義輝君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  256. 阿部文男

    阿部委員長 起立多数。よって、上草義輝君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  257. 阿部文男

    阿部委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  258. 阿部文男

    阿部委員長 この際、本案に対し、上草義輝君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。日野市朗君。
  259. 日野市朗

    ○日野委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近の農業及び化学肥料工業をめぐる厳しい諸情勢にかんがみ、本法の施行に当っては、国際肥料事情にも対処しつつ、肥料価格及び需給の安定が図られるよう左記事項の実現に努めるべきである。       記  一 農畜産物価格のコスト低減が要請されている今日の情勢にかんがみ、肥料価格の安定を図るため、特定肥料価格取決めに当たっては、化学肥料工業構造改善基本計画等に基づく合理化メリットが今後とも適正に反映されるよう指導すること。    また、併せて価格取決め交渉の公正と実効を期すること。  二 化学肥料工業構造改善については、産業構造審議会の答申の趣旨を配慮しつつ、早期に生産コストの低減が進められるよう指導すること。    また、化学肥料工業設備処理等に当たっては、雇用及び地域経済に及ぼす影響を十分考慮し、その安定が図られるよう積極的に指導すること。  三 肥料供給に当たっては、国内需要の優先確保が図られるよう従来と同様に需給見通しを作成し、これに基づいて輸出承認を行うこと。  四 肥料輸送体系の変化に対応しつつ、交錯輸送の是正等流通改善を積極的に指導し、販売経費の節減に努めること。    右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ委員各位の十分御承知のところでありますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  260. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  上草義輝君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 阿部文男

    阿部委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することにいたしました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山村農林水産大臣
  262. 山村新治郎

    山村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  263. 阿部文男

    阿部委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  265. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、来る十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会      ————◇—————