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1984-06-28 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十八日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       保利 耕輔君    山崎平八郎君       上西 和郎君    新村 源雄君       田中 恒利君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    安井 吉典君       駒谷  明君    武田 一夫君       神田  厚君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         食糧庁長官   松浦  昭君         食糧庁次長   山田 岸雄君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米問題)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  3. 松沢俊昭

    松沢委員 十五万トンの韓国米の輸入が政府の方で決定されておるわけでありますけれども、五十三年の産米そのもの臭素汚染があるということで供給を差しとめている、こういうことでありますが、それならば韓国から来るところの米というのはこれは安全性があるのかどうか、それもまた一つの問題になってくると思うわけであります。  「今日のチョソン」という雑誌に出ているわけでありますけれども、南朝鮮におけるところの農薬汚染というのは大変な状態になっているんだということが報告されておるわけであります。したがって、臭素臭化メチルがどうなっているか、そういう検査だけであっては安全性を確保するというわけにはまいらぬと思うわけであります。したがって、ここにも出ておりますように水銀剤なんかを使って、そして田んぼの消毒なんかをやっておるということを書かれておりますが、こういうものも含めて全部検査をして、そして日本に持ち込む、こういうことになるのかどうか。  それから、この前韓国へ米を送る場合におきましては私の新潟の港からも送ったわけでございますけれども、その際は韓国の人が来て、そして米の品質検査をやって、悪いものは全部はねましていいものだけ選んで船積みをして出ていったという経過があるわけでございます。でありますから、韓国の米も、日本に持ってくるという場合におきましては、検査品質一切、日本の方から行って検査をされるのが当然であろうと私は思っておりますが、その辺の状況というのはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  4. 山村新治郎

    山村国務大臣 韓国への貸付米返還、これに関する品質年産、これらの細目につきましては現在協議中でございます。いずれにしましても、今先生おっしゃいましたように安全性の確保、これは十分配慮しなければならないものと思います。これには十分配慮するように適切に対処してまいらなければならないというぐあいに考えております。  細目政府委員の方から答弁させます。
  5. 松浦昭

    松浦政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、今回の韓国からの返還のお米につきましては、これが五十三年産米臭素残留の問題に起因したものでございますので、当然消費者方々にも十分に御安心がいただけるような方法でこれを返していただくということにいたしたいと思っております。  具体的な方法といたしましては、目下韓国協議中でございますが、私どもとしましては韓国側の協力を得まして船積みの前に検体を採取いたしまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、単に臭化メチルという点、つまり臭素残留ということだけではなくて農薬残留性、いろいろな農薬があると思います、その農薬残留性等につきまして全般的に検査もしまして、その安全性を確認した上でこれを受け入れるということで考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、返還米安全性については関係機関とも十分協議をいたしまして、その安全性に万全を期してまいりたいというふうに考えております。  それから品質の問題でございますが、先方とも等級その他につきまして今十分協議をいたしておるところでございまして、その内容が言われたとおりのものであるかどうかということにつきましては当然チェックをいたしまして我が方に返していただくというつもりでございます。
  6. 松沢俊昭

    松沢委員 十五万トンということでございますが、五月末現在で五十三年産米が二十万トン在庫しているという報告を受けているわけでありますが、そのうちの五〇ppm以上のものと以下のものとを分けながら供給計画というものを立てていかれる、こういうことでありますけれども、この前の報告によりますと、今までの分では大体半々ぐらいだ、こう言っておられるわけであります。そういう実績からいうと、見通しとしてはやはり十万トンぐらいは国内消費をするということができる可能性があるのですか。
  7. 松浦昭

    松浦政府委員 この間御答弁申し上げましたのは、六月十二日に政府から売却いたしました二万六千トンのお米でございますけれども、このお米を五〇ppm以下のものであるということで認定をいたしました際に、その対象となりました全体の検査をいたしました分がその約倍あったということで、約半分ぐらいが五〇ppm以上のものであったろうというふうに考えておるわけでありますが、これはやはりロットの大小の問題、そのほか果たしてこの二万六千トンというものが全体に対するどの程度代表性を持っているかということについてはまだ検査を進めてみなければわからないわけでございまして、今確たることを申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、しかし現状から申しまして、やはり半分程度のものは五〇ppm以上のものであろうと考えますると、半分ぐらいのものが検査に合格をして、これを加工原材料等に提供できるというふうになろうかと考えておる次第でございます。
  8. 松沢俊昭

    松沢委員 そうすると、仮に半分というものが五〇ppm以上であったとする場合、その汚染されたところの米というものはどのようにして始末されるつもりですか。
  9. 松浦昭

    松浦政府委員 現在とっております態勢は五〇ppm以下のものを確認いたしまして売却をするということで精いっぱいでございまして、実はその残りの五〇ppm以上であったお米につきまして、これをどのように使用していくか、あるいはこれをどのように処置をしていくかということにつきましてまだ検討の段階に入っておりません。いずれこれは検討しなければいけないというふうに考えております。
  10. 松沢俊昭

    松沢委員 五十八年の十一月一日現在で八十万トンの五十三年産米以前の米が繰り入れられた、こういうことになっておりまして、そのうち加工用に回されたものはどのくらいあるのですか刀
  11. 松浦昭

    松浦政府委員 去年の十一月以降五月末現在までで加工用に回しましたお米は、十三万トンから十四万トンというように考えております。
  12. 松沢俊昭

    松沢委員 そうしますと、韓国から十五万トン入ってまいるのですから、大体予定しておりまするところの加工原料米というのは年間二十七万トンということですから、十三から十四万トンもう既に加工用に回しているわけですから、そこへ十五万トンということになりますと、二十七万トンを上回ることになりますね。そしてまた約十万トンの残った米が使われるということになれば、十五万トン持ってきても、これは加工用だけに回すにはちょっと量が余計過ぎるということになるのではないですか。
  13. 松浦昭

    松浦政府委員 この点につきましては、何回か御説明いたしたわけでございますが、これから需要期に入ってまいります加工原材料のお米につきまして、この韓国からお返し願うお米を売却いたしましてこれに対応し充足していくわけでございますが、恐らくこの需要期に入ってまいります数量というのは、ある程度まで多くなるのではないかというふうに一つは考えております。  それからいま一つは、私ども、将来は、これは当然明年以降他用途利用米をもちまして加工原材料のお米に充てていくというように考えておるわけでございますけれども、この他用途米につきましては、果たしてどの程度まで、いつの時期に原材料として使用できるかということがまだ定かではない状況でございます。さような意味で、主食についてもこれだけゆとりの少ない需給操作をやりまして、私どもも非常に苦労しながら処理をしておるわけでございますけれども、やはり加工原材料につきましても実需者あるいは消費者方々に御心配がないような形である程度までゆとりを持った形で操作をするということを考えますと、韓国からは十五万トン程度のお米を返していただくことが適当ではないかと考えて、先方とそのようなことで大筋の合意をしたというのが経過でございます。
  14. 松沢俊昭

    松沢委員 余裕のあることは結構なことなんでございまして、やはり主食の面におきましても余裕のあるところの操作ができるように備蓄に万全を期していった方がいいのではないかという主張を私たちはやっておるわけでございます。しかし、生産調整をやっているさなかに米が足りなくなったから隣の国から米を持ってくるということについては、農民の気持ちを逆なですることになるのではないかということで四日間の集中審議が今行われているわけなんであります。そういうときにおきまして、感情の面からしましても、持ってこぬでもいいところの米まで持ってきているではないか、こういう印象を与えるということは政府としても決していいやり方ではないのではないか、私はそう思うのです。  しかも一方におきましては、いわゆる加工用原材料米として五万六千ヘクタールつくらせるということにしたわけでしょう。これを主食用に回したらどうかという意見が出ているわけですね。それは絶対に回すわけにはいかぬ、こういう御答弁ですが、そういう余裕というものが出てくれば、これは加工用に回すつもりであったけれども主食用の米の需給計画というものが非常に窮屈になっているということになればいろいろ検討して回すことも考えていかなければならないだろうというぐらいな考え方があっていいじゃないか、私はこう思うのでありますが、大臣どうでしょうかね。もっとそういう点は弾力的な立場で処理をしていかれるということが、私は野党だから言っているわけじゃないのでありまして、農政に参画している一人といたしまして、政府あるいはまた質問する野党側ということでなしにもつと腹を割った御答弁を賜りたい、こう思うわけなんです。
  15. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生御存じのとおり、米は全量国内産をもって賄うということが原則でございます。そこで、加工原材料用の米、これも少なくとも国内で賄うという基本の姿勢にのっとりまして、これを他用途利用米ということで先生今言いました五万六千ヘクタールというものを適用したものでございまして、これはあくまでも加工原材料用米に充てるということでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  16. 松沢俊昭

    松沢委員 それにしても、農協中央会の方では協力できないということを言っておりますし、農家の場合におきましても、こういう状態だから違約金二千円払えばもう売らなくてもいいんだというふうな話も出ているわけなんです。ですから、あなた方が幾らだめだと言っても主食用に回るような方向に動きつつあるんじゃないですか。加工用玄米というのも確保しながら、ある部分というのはもうやむを得ないだろうという判断を今のうちにつけておかれた方がいいのじゃないか。また九月、十月ごろになってから回さないと言ってあるのに回したという、ことで−ここで回せば同じような議論をやる必要はないじゃないか。その点は、この際、そういうこともあり得るというぐらいな弾力的な御答弁をいただいた方が将来のためにいいんじゃないか、こう思いますが、大臣長官、相談してお答え願いたいと思います。
  17. 松浦昭

    松浦政府委員 ただいまの松沢委員のお考え、篤と承りまして大臣とも今お話をしたわけでございます。この問題につきましては、確かに農家方々が今非常に大きな関心を持っておられるということを私ども承知をしておりますし、また同時に、全国農協中央会の方の御意見というものも私ども承っているわけでございます。私どもとしましては、やはりただいま大臣お話をしたような建前と申しますか、物の考え方基本がございますので、その線にのっとりながらよく団体側と託をしてみるということにいたしてみたいというふうに思います。
  18. 松沢俊昭

    松沢委員 ぜひそういうことで団体側ともお話し合いをされまして弾力的な対処をしていただきたい、私はこう思うわけであります。  それから、きのう私の党の新村委員の方から需給計画の見直しをやるべきなのじゃないか、こういう御指摘がございましたが、これにつきましてはやる必要はない、こういう一点張りの御答弁でございました。しかし考えてみますと、今こういう韓国米が輸入されるとかという騒ぎになって弐て、国会での答弁等におきましても早食いというのが行われているということが初めて国民の前に実は明らかになったわけなんでありまして、国民といたしましては、米穀年度というものはその年の十一月一日から始まって翌年の十月三十一日に締め切られるものである、したがって十万トンの持ち越しというものは十一月一日に持ち越されるものである、そしてその年の米というのはその年の十一月一日以降消費されるものである、こういう考え方需給計画というのを見ておりましたし、まさか早食いがこれほどたくさんあるということはだれも知らなかったと思うのであります。  しかし、政府の御答弁からいたしましてことしは相当の早食いをやらなければならない。ということになりますと、米穀年度そのものを変えるか、さもなかったならば需給計画を変えるか、このどっちかだと思うのであります。この点、どっちにするのかということをこの際明確にお答えをいただきたい、こう思うわけなんであります。
  19. 松浦昭

    松浦政府委員 きのうもお答え申し上げたわけでございますが、私どもことしの需給について早食い例年どおり程度であるということを申し上げたつもりは決してなかったわけでございまして、常にゆとりの少ない需給操作をやっていくということははっきり申し上げておったと思います。それでこの基本計画の中でも、御案内のように需給見通しに関する事項の中で「例年、十月末までに三百五十万トン以上の新米集荷があるので、問題はない。」こう書いてあるのでありますが、この部分早食いの予想を実は織り込んで基本計画の中に書いているつもりでございます。それをやれば問題はないというふうに読んでいただきたいわけでございます。  この基本計画を出しましたときから私どもはある程度までの新米早食いは必要であるというふうに考えておりましたし、もしもそういう必要がないということであればわざわざこのような文章は書かなかったつもりでございます。三百五十万トン以上の新米があるからそれをもちまして処理をいたしますということをこの中で書いているわけでございまして、さような意味でこれは予測した基本計画であった。ですから、その範囲内でありますということを実は申し上げているわけでございます。もしもこれを書きかえるということになりまして問題があるということになったらこれは大変なことでありまして、私どもといたしましてはこういった対応をしていくので問題はございませんということで実は書いているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  20. 松沢俊昭

    松沢委員 問題があるとかないということは別といたしまして、きのうも新村委員の方からも言っておられましたけれども、そういうことは別としても、十一月一日からこうなるんだというのがずれていることになれば、基本計画変更というのをやった方がいいじゃないか。変更ができない、こうなれば米穀年度というのを変える必要があるんじゃないか、こういうことなのであって、窮屈だとか窮屈でないとかそういうことは別として、この点はずれているわけですからはっきりさしていく必要があるんじゃないか、こういうことなんです。
  21. 松浦昭

    松浦政府委員 確かに我が方の部内におきましても、このような例年五十万トン、普通の年でも五十万トンくらいの早食いをしておるわけでございますから、そういう措置について需給計画の問題なり、あるいはむしろ米穀年度を直してしまってはどうかという議論もございます。まだ結論を得ないままに今日まで来ておるわけでございますが、この問題については確かに先生おっしゃるような問題がございますので、どのような方法をとるかということについては将来の問題として検討させていただきます。
  22. 松沢俊昭

    松沢委員 五十八年の集荷目標は七百二十万トンでありましたが、現在の実績は六百九十七万トン、私のもらったものにはそうなっているのですが、二十三万トンずれがありますね。それから消費の面におきましては、予定といたしましては六百六十万トンということでありますけれども、これも六百八十万トン以上の伸びが出てくるんじゃないか。とにかく見通しですからそういうことも考えられる。こうなりますと、これは相当計画よりもずれてマイナスになってくるということになるわけですね。  そこで、米の潜在生産力の問題でありますが、現在政府の方では潜在生産力は千三百七十五万トシと考えておられるわけですね。だけれども、御承知のように昨年六十万ヘクタールの減反目標を立てましたが、大幅に上回って六十四万ヘクタール、こういうことになっているわけですね。結局、考えてみますと六十万か六十四万という減反面積の中にもう復元不可能な、例えば杉を植えてしまったとかあるいはもうほとんど宅地化してしまっているとか、あるいはもともと田んぼでなかったのを開田をやって田んぼにしたのだけれども完全に畑になってしまっているとか、要するにいろいろなことが考えられますので、この千三百七十五万トンの潜在生産力基礎になる二百八十五万ヘクタールの面積というものは大分ずれが出てきている、復元が不可能だということが言えると私は思うのであります。そうなれば、面積の面からいたしましても潜在生産力は落ちている。  それからもう一つの問題は単収でございます。これも上回っていくはずでありますけれども、いわゆる強制減反が始まった五十三年におきましては単収四百九十九キロ、その後四百八十二、四百十二、四百五十三、四百五十八、こういうぐあいに伸びていないわけでございます。だから、三期減反では四百八十二くらいのところで押さえておられますけれども、そういう見通しというのもっかぬということになれば、単収の面からいたしましてもこれまた落ち込みが出てくるのじゃないか。  それともう一つは、農業労働力の問題からいたしましても、御承知のような状態でございますのでなかなか難しいという面があるわけであります。そうすれば、千三百七十五万トンの日本の米の潜在生産力があるということ自体、実は夢物語なんじゃないか。だから、こういうものはやはり見直して、そしてだれが常識的に考えてもこの程度面積は米をつくってもらわなければなりませんよ、そういう答えをもうこの段階へ来ましたならば出す必要があるのじゃないか、こう思っておりますが、これはまず大臣の方からこの物の考え方を聞きまして、具体的な数字の面におきましては、小島さんもおいでになっておりますし、長官もおられますから聞きますけれども、ひとつ大臣の方からまず考え方をお示し願いたいと思うのです。
  23. 山村新治郎

    山村国務大臣 先と言われるのは、いろいろ状況も変化してきたから実際に千三百七十五万トンはないじゃないかというようなことじゃないかと思います。しかし、千三百七十五万トン、これは転作をしておるところも入れてということでございますが、実際の数字というのは変わってくるかもわかりませんが、しかし、潜在的には多いということを政府では考えておるわけでございますが、詳細につきましては今局長から御答弁させます。
  24. 小島和義

    小島(和)政府委員 潜在生産量と申しますのは、仮に明年度水田利用再編対策というものが全廃されたといたしますれば、直ちに千三百七十五万トンの米ができる、そういうことを意味しておるわけではないわけでございまして、現在稲の植わっております田んぼ、それから既に転作をいたしておりますところ、それから転作ではございませんが転作としてカウントされるもの、そういったものを潜在作付面積といたしまして、それに三期中の平均の単収を乗じたものということでございますから、転作奨励金を交付するための対象水田を幾らと見るかという計算のプロセスとして出てくるわけでございます。  御指摘のように、現在奨励金をもらっております転作田の中には、既に果樹等の永年性作物が植わっておりますもの、あるいは農業用施設ができ上がっておりますもの、それから今年から転換畑という制度をつくりまして、これも水田には復帰し得ないものとして一定期間奨励金打ち切りということになるわけでございます。そのほかに、経済的な理由から見まして相当有利な転作が行われているために容易には水田に復帰しないというふうなものもあるわけでございますが、それらにつきましても、潜在生産量から備蓄等を含めました必要量を減じまして、残りが要調整数量ということで、これを面積に換算いたしましたものについて奨励金を出しておるわけでございますから、そういう積算上の基礎として容易に水田に復帰し得ないものも含まれておるということは御理解いただけると思います。また現実にも、仮に水田利用再編対策というものが全廃になりました場合には、昨年の六十四万ヘクタールの全部とは申しませんが、相当部分はやはり水田に復帰するという可能性も含んでいるということもまた御理解いただけると思います。  そこで、単収の問題でございますが、これはなかなか難しい問題でございまして、翌年一年だけの単収を見通すということも大変難しいのでございますが、三期対策需給のフレームといたしましては、三年間の平均の単収で見通しを立てておるわけでございまして、過去におきますところのトレンドでございますとか、単収に影響を与えますいろいろな技術的な要因、さらに先生の御指摘になりましたような社会的な要因というようなものも加味いたしまして、気象条件が普通であればどれぐらいとれるかというものを見通しておるわけでございます。  確かに、稲作の担い手の要素と申しますか、問題がいろいろ出てきておりますが、一例として申し上げますならば、昨年作況指数が一一一ということで全国一を記録いたしました高知県の場合、その前の年の作況指数は九五ということでございますし、昨年七四ということで全国最低でございました北海道の場合は、その前の年は作況指数一〇五ということで、人的な要素もいろいろございますが、主な要素は気象的な要因でございまして、気象条件さえ普通であればかなりな収量は上がった、これもまた事実でございます。現に昨年の実収高四百五十九キロでございますが、作況指数でいいますと九六ということで、決して高いとは言えないわけでございますが、実取水準とすれば、歴史上の、過去の史上六番目の単収ということでございますから、単収の実力が年を追って向上してきているということも、これはさまざまな努力の結果としてそのような結果になっていることもまた事実でございます。単収の今後の推移をどう見るか、大変難しい問題でございますが、十分検討を加えました上でこのような数字を採用いたしたということでございます。
  25. 松沢俊昭

    松沢委員 時間が参りましたのでこれで終りますけれども、今小島局長の方からもいろいろと説明がありましたが、とにかく単収というのは気象上の関係で伸びないだけの話であって、こういうお話でありますけれども、それだけではないわけであって、やはり農村の労働力だとか農村の変化、こういうものが単収というものを伸ばさないところの要因にもなっている。これをやはり農林省の方で認めていかなかったら困るのじゃないかと私は思うのです。  そういうことと、さっきお話ありましたように、いろいろ奨励金の問題で反別の面積の問題なんか考えておられるようでありますけれども、全体的に大変窮屈になってきておるわけだから、だから見直しをやるべきじゃないか、こういうことを申し上げておるわけでありますから、そういう点、もう時間が参りまして詰めるわけにいきませんけれども、十分ひとつ御検討を賜りたい。  以上要望申し上げまして、終わります。
  26. 阿部文男

    阿部委員長 小川国彦君。
  27. 小川国彦

    ○小川(国)委員 米の問題を既に四日間にわたっていろいろと質問をして、かなりいろいろな問題点が出されているわけでありますが、総ざらいする形でもう一度問題点を伺いたいと思います。まず最初に、五十三年産米検査結果でございますが、その後どのような検体数の検査が行われたか。総トン数では幾らか。全部の検体数は幾つになるか。そのうち検査済みはどの程度か。それからその結果は、五一ppm以上はどれくらいのトン数になっているか。以下はどのくらいになっているか。ひとつ御報告をいただけたらと思います。
  28. 松浦昭

    松浦政府委員 五十三年産米残留臭素検査についてでございますが、現在、売却計画に支障のないように検査を実施しているところでございまして、その結果どのようになっているかというお尋ねであろうと思います。  この検査結果につきましては、これまでも御答弁申し上げてまいりましたけれども、暫定基準に適合しているものとして食糧事務所に通知した数量が二万六千トンでございます。これは検査対象が五万三千トンでございましたから、四八%に当たります。  次に、これに相当する検体数でございますが、総検体数は約三百六十検体でございます。このうち基準を超えたものは約百七十検体でございます。残りが基準内のものでございます。  以上でございます。
  29. 小川国彦

    ○小川(国)委員 基準を超えた数量をトン数でお知らせいただきたいと思います。それから、基準内の数量をトン数でお知らせいただきたいと思います。
  30. 松浦昭

    松浦政府委員 基準を超えたのが、差し引きでございますから、二万七千トンでございます。二つ目の御質問は、ちょっと私聞き落としましたので…。
  31. 小川国彦

    ○小川(国)委員 五〇ppm以下であったトン数でございますね。
  32. 松浦昭

    松浦政府委員 五〇ppm以下であったものが二万六千トンでございます。二万六千トン対二万七千トンということでございます。
  33. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしますと、あと残っております数量はどのくらいの数量になるのでございますか。未検査数量でございますが……。
  34. 松浦昭

    松浦政府委員 目下検査中のものも含めまして約二十万トンございましたから、差し引き約十五万トンという状態になっております。
  35. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしますと、検査したものの総数が五万三千トン、そのうち五〇ppmを超えたものが二万七千トン、以下のものが二万六千トン、こういうふうに理解してよろしいですか。
  36. 松浦昭

    松浦政府委員 そのとおりでございます。
  37. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういたしますと、この検査結果では五〇ppmを超えたものが過半数を超える。五万トンの結果がこれでございますから、推定いたしますと、恐らく残り十五万トンの中でも過半数を超えるということになりますと、いわゆる五十三年産米が総体で二十万トン残っておる、その過半数が食用にも加工用にも供し得ないものである、こういうことでございますか。
  38. 松浦昭

    松浦政府委員 まだ検査は一部でございまして、そのロットの大小の状況、それからまた、現在済ませましたものが果たしてどれだけの代表性があるかということにつきましてもまだはっきりしない状態でございまして、さような意味で、ここで確定的なことを申し上げることは難しいと思いますが、現在の段階では約半分ちょっと超えたという実態でございます。
  39. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、五〇ppmを超えたものが半分を超えている、これについてはともかく出庫を停止して、その取り扱いについては今後検討をされていく、こういうことでございますか。
  40. 松浦昭

    松浦政府委員 五〇ppmを超えておりますものについては、直ちに出庫を停止しております。そして、この取り扱いにつきましては、目下売却と検査で手がいっぱいでございますので、残りをどうするかということにつきましてはまだ手がつかないという状況でございますが、当然先に参りまして、これをどう措置するかということは検討いたしてまいりたいと思っております。
  41. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この五〇ppm以下のものについては売却を続けているわけでございますか。
  42. 松浦昭

    松浦政府委員 五〇ppm以下のものにつきましては、厚生省からの御要請に基づいてさような措置をとっておりますので、当然これは売却を続けているわけでございます。
  43. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、検査を終わった五〇ppm以下の二万六千トンについては現在もう売却を終わっている、こういうことになりますか。
  44. 松浦昭

    松浦政府委員 この部分は売却済みでございます。
  45. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今後は検査を済み次第、五〇ppm以下についてはさらに売却をしていく、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  46. 松浦昭

    松浦政府委員 今後とも検査を続けまして、五〇ppm以下のものでございますれば今後とも売却を続けていくつもりでございます。
  47. 小川国彦

    ○小川(国)委員 厚生省の方に安全性の問題について伺いたいわけでありますが、今回厚生省の委員会が決めた五〇ppmという基準は、一九六六年にWHOの専門委員会会議で決めた基準である。本来この基準を決めるには急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、この三つについて通常実験が行われる。ところが、WHOの基準については慢性毒性についての過去の実験データがなかった。本来なら長期投与実験というものがあって、例えば最近の農薬取締法では二年間の実験が必要であると定められていると伺っております。  そういうことで、このWHOのレポートでは、この基準を決めた際にコメントとして、このデータには慢性毒性の実験がないことが問題である、三年以内にこの実験を行うべきではないかという指摘がなされているということでございますが、こういう点について留意はなさいましたかどうか。
  48. 市川和孝

    ○市川説明員 ただいま先生指摘の一九六六年に臭化メチルにつきまして残留基準が議論されまして、臭素としての基準が決められたことは御指摘のとおりでございます。それで、この節に許容基準として考えられましたものは、臭素についての残留基準でございますが、臭素につきましては人での使用経験と申しましょうか、臨床的な経験が非常に豊富にあるということから、人での経験をもとに臭素の摂取許容量というものが決められたわけでございます。  なお、その節さらにただいま先生の御指摘がありましたような慢性毒性という点につきましては、当時利用できました一年間の動物実験が、犬あるいはラット等で行われておりましたので、それらを利用して評価が行われたものでございます。  それから、ただいま先生の方から、三年以内にこのものについての長期毒性試験が必要であるというコメントであるということでございますが、WHOの委員会の評価におきましては、今後臭化メチル等の残留程度あるいは反応生成物についての作用等によってはそういうものが必要となるかもしれないということをコメントしているわけでございます。  なお、一九六六年以降もWHOでは引き続き安全性の評価を行っておりますが、現在まで五〇ppmの基準については変更が加えられていない状況でございます。
  49. 小川国彦

    ○小川(国)委員 五ppmを決めるに当たって慢性毒性の実験がなされていない、こういうことについて政府としてはどういうふうに考えているか。それから、その一九六六年以降に新しい慢性毒性の実験データが出されているかどうか、この点はいかがでございますか。
  50. 市川和孝

    ○市川説明員 臭化メチルの燻蒸えさによるラット等の動物実験は、一九六六年の専門家委員会で、多数国の専門家で構成されている残留農薬の専門家会議で、毒性評価に際しまして採用されたものでございます。先般の食品衛生調査会の残留農薬部会におきましても、安全性評価に活用し得るものというふうに考えられたものでございます。  なお、その後現在までに追加の試験が行われているかどうかという点については、私ども調査いたしたわけでございますが、そういうものが行われているということは承知いたしておりません。
  51. 小川国彦

    ○小川(国)委員 このWHOのテストの中では、今動物実験の実例があったという御報告ですが、これについては亜急性の実験については一年間だけしかやっていないということでございます。そうすると、この実験を二年間やったらあるいは発がん性を持ってがんになったかもしれない、こういう可能性もあるのではないかというふうに考えるのですが、この点はいかがですか。
  52. 市川和孝

    ○市川説明員 慢性毒性の試験期間をどう見るかということでございますけれども、特にそういうものについての一般的な規定というものはそうないわけでございますが、例えばOECDでつくっておりますテストガイドラインというようなものによりますと、慢性毒性の期間というものは十二カ月以上というような規定はございます。当時審議されました資料というものは一年間の実験であるわけでございますが、それ以降特にそれ以上の試験が必要であるということはWHOの方でも指摘をしていないわけでございまして、私どもとしては今の段階ではこの範囲内で評価ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  53. 小川国彦

    ○小川(国)委員 慢性毒性の実験については、三つの実験が必要とされている。三次世代遺伝実験、母親に食べさせてその子供、孫にどういう影響が出てくるか。それから催奇性実験、発がん性実験、この三つの実験が必要だと言われているのですが、こうした実験は行われておりますか。
  54. 市川和孝

    ○市川説明員 次世代の試験等は、現在までに報告はございません。
  55. 小川国彦

    ○小川(国)委員 あとの二つについてはいかがでございますか。
  56. 市川和孝

    ○市川説明員 現在までのところ、報告はされておりません。
  57. 小川国彦

    ○小川(国)委員 国連の基準というのは、メチルブロマイドを使った場合の穀物に残っている臭素の含有量をもってメチルブロマイドの規制値としているわけですね。この調査会の資料でいくと、一般的に臭素の存在量が幾ら以上あってはいけないということで一切を規制しよう、こういうふうに見えるわけです。それからメチルブロマイド、いわゆる臭化メチルについてブロムの基準をどこに置いて規制しようとしているのか、この点が不明なのですが、この点はどういうふうに御説明を願えるのでしょうか。
  58. 市川和孝

    ○市川説明員 穀類におけるブロムの基準ということでございますけれども、一般的に申しまして、残留農薬の基準を定めます場合には、当該物質の一日摂取許容量の範囲内で残留実態というものを勘案いたしまして、十分に安全性が確保されるというレベルで決められるわけでございます。この穀類につきましても、残留農薬専門家委員会では同様の考え方で基準を決めたものと考えております。
  59. 小川国彦

    ○小川(国)委員 言葉をかえて言いますと、この基準というのは今御答弁あったようにWHOの五〇ppmを引用しているのですが、これはメチルブロマイドに対する規制値なのか、一般的な臭素に対する規制値なのか。この食品調査会の報告によると、ブロムの存在が一般の規制値のようにとれるようになっているのですね。この点はどうなんでございましょうか。
  60. 市川和孝

    ○市川説明員 この基準の考え方にありますものは、臭化メチルを使いました場合には、臭化メチルそのものは非常に気散性があるということで食品中にはほとんど残留しない。しかしながら、一部のものは分解いたしまして臭素とメチル化物ができてくるのではないかという考え方がございます。  ただし、このメチル化物というようなものにつきましては通常の方法てけなかなか分析がいたせませんので、臭素を指標といたしまして基準がつくられているわけでございます。
  61. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ともかく臭素の規制値をもってメチルブロマイドの規制値に引用していくというのですか、転用していくというのですか、私はここのところに問題は残るのではないかというふうに思うわけですね。現代科学の最高の方法検査すれば、例えば〇・五ppbという感度でやれば現在の分析方法ではメチルブロマイドそのものもはかれるのではないか、こういうふうに思うわけですね。昔はメチルブロマイドの存在量を今おっしゃるようにブロムの存在量で残量を考えたと思うのですが、現在はその両方を行うことが可能なのではないか、こういうふうに思うのです。その方がより国民に対して安心を与えられるのではないかと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  62. 市川和孝

    ○市川説明員 先生にただいま御指摘いただきました点は、臭化メチルの分析をもっと精度を上げて調べられるのではないかという点でございますが、大切な点だと存じますので、私ども今後検討させていただきたいと存じます。
  63. 小川国彦

    ○小川(国)委員 同様な問題は酸化エチレン、臭化メチルでつくられておりますエキポンですね、発売されているエキポンでは酸化エチレンが一三%、臭化メチルが八五%となっているのですが、この酸化エチレンも全く問題にされていない。この酸化エチレンの実験はどういうふうになっておりますか。
  64. 市川和孝

    ○市川説明員 酸化エチレンにつきましても、今回食糧庁と共同で行いました検査では一応検査成分の対象として分析をいたしました。その結果では、酸化エチレンも同様に検出されなかったという結果でございました。
  65. 小川国彦

    ○小川(国)委員 実は私どももこの検査の問題で、酸化エチレンについてもあるいはメチル基についても実験を依頼したのです。しかし、その実験する数値が非常に甘い数値で実験している。だから、検出されないという形が出てくるのですね。だから、そういう点では、今あなたがおっしゃったように〇・五ppbという感度まで持っていけば、こういうものの安全性が現代の科学で十分確かめ得るというふうに私ども考えるわけなんです。だから、そこのところが非常に甘い検出方法で、数値が出ないというふうに言い切るのは早計ではないのか。  特にWHOの基準が決められたのは一九六六年ということで、そのデータはいっかというと一九四〇年の実験に基礎を置いているわけです。もう今から五十年も前の実験、しかもそれは戦争中の実験で、非常に粗っぽい実験データをもとにしたものである。だからこそそのレポートの中に、三年後に慢性毒性の実験を行うべきではないかということが記されているのじゃないかと思うのです。そういうものを、今日本主食、皆さんは外国の小麦と比較して言ったというのですが、外国人は小麦だけを食べているわけじゃないのですよ。小麦も食べれば、肉も食べれば、乳製品も食べる、牛乳も飲む。日本人は米だけ食べている場合があるわけですよ。おかずはなくても、米だけ食べる。そういう摂取量からいけば、小麦のデータ、非常に古いWHOのデータをそのまま持ってきて安全性というのにはいささか早計なのではないか。少なくとも厚生省が安全性を言うからには、現代の科学の力を総動員して、一億一千万の国民が食べる米の安全なんですから、そこまで検査を行うべきではなかったのか、こういうのが私どもの考えとしてあるわけですね。  それからもう一つ、これは私の方も皆さんの方も検討されているので伺いたいと思うのですが、一九六六年のデータの中では、チェコやニュージーランドでは二〇ppmの基準を用いていたというのが記録としてあるのです。皆さんがそれは五〇ppmになったと言うのですが、それはどういう事情で変わったのかわかりませんが、私は、二〇ppmという数字も出てくるのも、やはり一つ安全性を求める面からはそういうものもあったのではないかというふうに思うわけです。  そういう点からいうならば、厚生省が検査して、臭素で既に五〇ppmを超えたものが半分以上だめになる、今こういう状況にあるわけです。そうすると、これらにない臭素以外の毒性というものが、半分以上だめなものの中に、あるいは今残っているものの中にも、検出すれば相当出てくる可能性があるのじゃないか、おそれがあるのじゃないか。そういうところを本当にたださないで、安易にこのWHOの基準にだけ寄りかかって、この出庫に同意している。販売したものの回収はしなくてもいい、厚生省はこう言われたというのですが、日本人の命の大切さ、食糧の大切さについてもう少し科学的な立場に立脚した検討がなされてもよかったのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  66. 市川和孝

    ○市川説明員 先ほどちょっと申し上げましたが、WHOでは一九六六年以降も安全性の評価ということを繰り返してきて現在に至りまして、なお五〇ppmの基準というものについては変更を加えていないわけでございまして、食品衛生調査会ではこのような経過も参考として調査審議されたわけでございまして、私どもとしては、現在の基準で安全性に問題はないというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、先日の本委員会におきましても細谷先生から同様の御指摘を私どもちょうだいいたしました。この点につきましては、研究者あるいは専門家の御意見も聞きながら、また関係省庁とも相談しながら検討してまいります。
  67. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣でも長官でも結構なんですが、国民の食べる米というものについて、たとえ量が二十万トンであれ三十五万トンであれ、国民の食糧に供するという点ではその安全性をもっと突き詰める努力というものが食糧庁自体にもあるべきじゃなかったのかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  68. 松浦昭

    松浦政府委員 私どもといたしましては、国民主食でございますから、安全性という点については本当に念には念を入れてやらなければならないというふうに考え、またこの問題が起こりましたことを契機といたしまして、さらに安全性につきましての認識というものは深めてまいりたいというふうに思う次第であります。
  69. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、これを皆さんが加工用であるとおっしゃる、しかし、現実にはそれが主食にも回っていっているという実態を考えますと、少なくともその米を別にしておいて、農家の皆さんから米の供給を願うというような形の中ででも、本当に三十五万トンの五十三年産米安全性を確認してからでも遅くはないのではないか。そういうので、これをいたずらに売っていくという状況は重大な問題であって、今でもこの販売を中止し、回収をし、そして検査をもう一遍、今言ったような政府の努力をさすべきではないか、私はこういうふうに思います。
  70. 松浦昭

    松浦政府委員 厚生省の方の御見解は、やはり専門のお立場での御意見を反映しての御意見であるというふうに考えております。より一層の安全性を求めまして、五〇ppm以下のものを売却するようにという御要請でございますので、それにつきましては今後とも厳格に守ってまいるつもりでございますが、一応専門家が御相談になってお決めになりましたそのような基準というものでございますので、これは守りながら売却はさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
  71. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これ以上議論をしても皆さんの方に反省がないようですので、私は、この点は政府のさらに挙げての反省を促しておきたいと思います。  それから、韓国からの輸入数量の十五万トン、これは全部加工用にお使いになるのでございますか。
  72. 松浦昭

    松浦政府委員 韓国から十五万トンの返済をお願いしましたそのもととなりましたことは、五十三年産米臭素残留という問題が起きまして、このために他用途利用米が出てくるまでの間に加工原材料用のお米が一部不足するという予測がされましたので韓国からの御返済をお願いするということでございましたので、当然私どもといたしましては、これは加工原材料用として充当するということで考えておる次第でございます。
  73. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは加工原材料用とおっしゃいましても、加工原材料用は、私ずっと見ると、昭和五十四年二十三万トン、五十五年が二十三万トン、五十六年が二十四万トン、五十七年が二十万トン、五十八年が二十万トンというふうに、ここ数年は二十万トンで推移してきているわけですね。そうすると、実際の加工用の売り渡し状況が二十万トンで推移してきているのに、もう既に十五万トン五十三年産米供給しているとすれば、加工用ならあと五万トンの輸入で足りるはずなのではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  74. 松浦昭

    松浦政府委員 多分、先生のお手持ちの資料は砕米の数字ではないかと思います。丸米の分もございます。みそ等に使いますものは丸米もございます。  最近の売り渡し石数を申しますと、五十六年以降は大体二十七万トンという推移でございますので、その点はひとつ御訂正をお願いいたしたいと思います。
  75. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、二十七万トンのうち十五万トンを提供していますと、あと十二万トンでございますね〇三万トン余分になるのですが、これはいかがなわけですか。
  76. 松浦昭

    松浦政府委員 この分につきましては、今後の需要の増ということも考えられますし、それからまた、他用途利用米が来年になりまして初めて出てくると思いますが、この他用途利用米がどのような状態で、どの程度出てくるかということはいまだ定かでない状況でございます。  私も、主食用のお米につきましては、御案内のように非常にゆとりが少ない操作を現在いたして心を砕いてやっておるわけでございますが、加工利用につきましてもある程度まで消費者なり実需者方々に安心していただけるような状態操作をしたいというふうに考えておりますので、そのような分として韓国からの御返済は十五万トンということで決めさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  77. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この点も疑問が残るわけですが、私の質疑時間が終わりましたので、また次の機会にこの問題をたださせてもらう、こういうことで終わりたいと思います。
  78. 阿部文男

    阿部委員長 武田一夫君。
  79. 武田一夫

    ○武田委員 先日は、総理をお呼びしましてお尋ねをしました。昨日、実は官房長官や総理大臣、農林大臣に申し入れもしました。その際、特に官房長官に会いましたとき、食糧庁としましては、こうした非常な心配の中の食糧問題、米の需給とかそういうものについて余り深刻に考えてないですな。官房長官に会ったら、最初に何と言ったと思います。米は大丈夫ですよ、こう言うのです。お天気は心配ありません、こう言うのです。だれがそう言ったのだと言ったら、いやそうなんだということで、食糧庁長官等の農林省がそう言っているのかと思わざるを得ない。この間の総理の答弁の中においても、私はこの事態を深刻に受けとめているというようなことは感じられないわけです。みんなが一生懸命心配しているときに、一国の総理やそういう方々がむとんちゃくであるということは、まことにもってその農政に対する姿勢というものを疑わざるを得ない。このことはいかぬと思うのです。ですから、そういう意味で閣僚すべてにしっかりとレクチャーをして、実態を教えていくくらいの責任を持って取り組んでほしい。この間の総理の答弁の中で、私は農林大臣に全幅の信頼を置いている、大変な確信を持った答弁を聞いておりますし、そういう意味で、農林水産大臣の農政の中における責任者としての識見と姿勢というものは非常に大事になってくる、こういうふうに思うわけです。それを一番期待しているのは農家の皆さん方ではないかと思います。  そこで、まず最初に、総理から信頼を受けまして全権を委任されて農林行政に当たる最高責任者として、農林水産大臣もお米の問題については一切私が最後は決めるのですということも言っていましたから、この問題についてどういうふうにお決めになるつもりか、二、三簡潔にお聞きします。  一つは、三期対策転作面積の大幅な緩和を求めています。我々も要望しました。そして、備蓄の必要性も認めております。我々も、もみ貯蔵として二百万トン程度は必要である、これは食糧の安全保障ということ、しかもこういう緊急事態が発生したということを考えて、今後国民に安心して食糧を提供するという責任の上に立ってしかとやるべきだ、こういうふうに申し入れをして、農家の皆さん方もそういう要望を掲げております。この点についてどういうふうに考えているか。  もう一つは、他用途米として今年から作付されております稲あるいは青刈り、ホールクロップサイレージ用の稲についても主食用の稲に切りかえて政府は買い上げをしてもらいたい。特に、きょうの新聞でも御承知のとおり、宮城県等では他用途利用米主食用にするということを決めてそういう運動に入りました。こういうことを考えますと、まず農林大臣から、農家の皆さん方のそうした切実な要望にこたえ得るかどうか、しかと答弁をしていただきたい。簡潔に、やる、やらない、これだけで結構です。
  80. 山村新治郎

    山村国務大臣 第三期対策につきましては、今年度の作況を見た上で弾力的に運用するというぐあいに考えております。せんだっても、総理も、武田さんは余り真剣でなかったと言われましたが、私はかなり真剣であったと思います。もっとゆとりのある農政というものをやっていかなければならないのではないか、総理からの発言としてはこれは本当に大変な発言じゃないかと思うのですが、これをはっきり約束もいたしましたし、私も今後転作等につきましては、本年度の作況を見た上で第三期対策を弾力的に運用してまいるつもりでございます。  また、他用途利用米でございますが、先生御存じのとおり、これは全量国内産をもって充てるということを原則にしております。加工原材料用の米に充てようということで他用途利用米の制度をつくったわけでございますので、これは私が言及する問題ではないと思いますが、今農業団体内でのいろいろな申し合わせ等ございます。しかし、これも農民の皆さん方に御理解を得ながら、他用途利用米、これはこれで確保してまいらなければならないというぐあいに考えております。〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  81. 武田一夫

    ○武田委員 全中が韓国米の輸入という突如として起こした政府の行動に、これは農家、農民に対する背信の行為であるという怒りの抗議をしまして、他用途利用米の契約はしない、あるいは来年の転作には協力しないということを打ち出した。しかも、その話の中で、早場米の出荷にも協力しないという方向でいこうじゃないかという強い話も出たと聞いています。政府の対応によっては、この話がまたぶり返してきたらどうなるんだということを考えたときに、消費者も抱えている日本の大きな行政の中でその責任は農林水産省の対応にあったとさんざん非難され、また怒りが爆発するんじゃないか。ですから、来年度の需給等々に、いや、ことしの端境期の米の安全確保にさえも心配を来したらどうなるかということを考えたときに、これは農協サイドの問題だからそちらで善処してくれなどということは相ならぬと私は思うのです。  農林大臣食糧庁長官もよく話し合って、米価大会は近いのです。七月九日ですよ。大臣もその場に出ますか。呼ばれているでしょう。私は、ことしは例年になくエキサイトするのではないかと見ています。そうあってほしくはないと思うけれども、今の状況ではしようがない。政府がこのくらい一生懸命大変ながら努力をして、我々の要望や要求に本当に心温かく対応していくか、一挙一動をよく見ているわけです。それにこたえる期間はまだ多少ある。その中で善処する対応を積極的にしていく必要がやはりあるのではないかと思うのですが、大臣、どうですか。
  82. 山村新治郎

    山村国務大臣 今言われましたように、早場米の出荷拒否などということが出た場合には大変なことになってしまいます。そのほか他用途利用米水田利用再編対策、これらの御協力もいただいて農政というものを進めていかなければならないわけでございます。これらがないという場合になりましたらたちまち食管制度の崩壊ということにもなってしまいますし、私は今後も誠心誠意農民の皆様方とお話し合いをし、そして御理解をいただきながらやってまいりたいというぐあいに考えます。
  83. 武田一夫

    ○武田委員 誠意というものは大事です。私はそのことだけお願いしておきます。  次に、韓国産米の十五万トンの輸入交渉が成立しました。そこで、私なりに考えてみると、いろいろと心配なことがあるのです。  聞くところでは、当初はもっと大きな数量を要望していた。二十万トンとも二十六万トンとも言っておりますが、かなりの数量だったけれども向こうの都合でこうなったんだということであります。この十五万トンをこちらに持ってきます。経費がいろいろとかかるわけですね。これはもみで持ってくるというふうに聞いているのですが、その点はどうですか。
  84. 松浦昭

    松浦政府委員 先方はもみで保管をしていることは事実でございますが、もちろん玄米の形にしてこちらに持ってきてもらうつもりでございます。
  85. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、そうした経費は、保険料とか輸送費とか、あるいは積んだりおろしたりするとか、そういうものがございますね。しかも、これは一回にどんと来るわけではない、何回にもわたって入れるのでしょう、そういう経費というものはどのくらいと見ておるわけですか。
  86. 松浦昭

    松浦政府委員 韓国への貸付米返還に要する諸経費につきましては、目下協議中でございまして、その詳細まで御説明する段階には至っておりませんけれども基本的に申しまして、我が国の港における本船乗り渡し、いわゆるCIFでございますが、その受け渡し条件を基本にして経費の話し合いを進めているという状態でございます。つまり、向こうの港からこちらの港まで持ってくる、本船乗り渡しの状態で我が方にお渡しいただくということが基本でございます。
  87. 武田一夫

    ○武田委員 韓国にとっては現金で返した方が、向こうの財政的な見地からいうと非常に、要するに財政的には、三・五倍くらいの差があるわけですから、現物で来るということになるとかなり損するわけですね、単純に計算すれば。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕 こういうことは、私は韓国国民感情にも大変な影響を与えると見ているのです。それにいろいろな手数料などで余分な金がもしかかっていったとか、そうなれば、韓国の対日関係の今後に国民感情としてこういうことが相当影響を与える。  向こうに行った新聞記者の話を聞きますと、やはり日本の身勝手だということを言っているのを聞いてきたということも聞いています。ですから、そういういろいろなことで向こうに迷惑をかけるということは、国際信義上、これは日本の外交としてはまことにまずいことです。これはお願いに行っているわけなんですね。ですから、そういう点では、向こうの皆さん方に日本というのは大変な国だというような変なしこりを残すようなことはやってはならぬ。金というのは怖いです。食べ物の恨みと金の恨み、これは怖いわけです、どこの世界でも。しかも、自分の都合、勝手でやられているわけですから、そういう底辺の感情をよく考えていかなくてはいけない。  大臣、この点はどうですか。
  88. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の韓国政府の十五万トンに及ぶ返還には感謝いたしております。韓国政府といたしましても、韓国政府が米のないときに日本からお貸しいただいたということで、いわゆるその恩に感じてということでやっていただいたものと思います。これは、私としては本当に心から感謝しておるものでございます。  そしてまた韓国政府との間も、そういうようないわゆる金で返せば安く済むものをというのをあえてこういうぐあいに現物の返還をしていただいたわけでございますから、これは感謝いたしております。しかし、この間において、私が知る限りにおいてはぎくしゃくしたものはなく、本当にスムーズに行われたということを聞いておりますし、韓国政府に対しては感謝いたしております。
  89. 武田一夫

    ○武田委員 それから、もし今後韓国がある年に大豊作になった、米が余った、日本の皆さん、前と同じように現物でお返しします、私は必ずこう言ってくると思う。そのときに拒否するわけにいかぬじゃないですか。どうなんですか。
  90. 松浦昭

    松浦政府委員 韓国への貸付米返還につきましては、ことし十五万トンの現物返還を受けるということになって基本的な合意を見たわけでございますが、残り部分返還方法につきましては、今後日本国内事情も十分踏まえまして韓国協議をするというのが我々の考え方でございます。もちろん国内事情ということの中には、先般来当委員会で御議論をしていただきました、やはりお米というものは国内産をもって自給していくんだという態勢というものも十分踏まえまして協議をしていかなければならぬというふうに思っております。
  91. 武田一夫

    ○武田委員 大臣、けさの新聞を見たら、状況によってはまた韓国米かあるいはほかの米を入れるんじゃないかと載っていました。これはどうですか。
  92. 山村新治郎

    山村国務大臣 それは新聞に載っておることでございまして、私としては、今回限りということでございます。
  93. 武田一夫

    ○武田委員 それは、絶対間違いないのですね。
  94. 山村新治郎

    山村国務大臣 間違いございません。
  95. 武田一夫

    ○武田委員 長官、最初に入ってくる米は、いつごろ、どのくらいの量がどこの港に入ってきて、第二回、三回とあるとすれば、それはどうなっているのか。
  96. 松浦昭

    松浦政府委員 まだ細目につきましては向こうと協議中でございますが、ただいま申し得ることは、第一回の返還分につきましては七月中に向こうが積み出すということでございまして、その量につきましてはまだ決まっておりません。また、二回以降のことにつきましても今後の問題でございます。
  97. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、七月中に積み出したものはいつごろ日本に着くわけですか。
  98. 松浦昭

    松浦政府委員 積み出しをいたしました場合には、日本韓国との距離でございますから、比較的短期日にこちらの方に到着するというふうに思っております。ただ、港につきましてはまだ向こうと結論を出しておる状態ではありません。
  99. 武田一夫

    ○武田委員 そういう間ずっと通して、今向こうで備蓄されて保管されている在庫の安全性の問題については万全を期してもらいたいと思うのですが、その対応というのはどういうふうにやろうとしているか。
  100. 松浦昭

    松浦政府委員 この問題につきましては、本来、韓国からの御返済をお願いするということになったことにつきましても、五十三年産米臭素残留の問題から生じたわけでございます。さようなことから、国民消費者の皆様方に御不安のないような措置をとらなければいけないということで、韓国側ともこの点非常に慎重に協議をいたしたわけでございますが、積み出しの前にこのお返し願うお米のサンプルをとりまして、それにつきまして検査をし、特にこれは、先ほども答弁いたしましたが、臭素残留ということだけではなくて農薬残留等全般につきまして十分にチェックをいたしまして、その結果で安全性を確かめた上でこちらへ持ってくるというふうな体制をとりたいと思います。その際には、当然、こちらにおきまして関係機関とも十分に協議をし、その御協力も得て処置したいというふうに思っております。
  101. 武田一夫

    ○武田委員 わかりました。  これも新聞ですから、直接聞いたわけじゃありませんが、私も新聞記者を七年ばかりやった男です。新聞はそうインチキを書くものではないですよ。私は書いたためしはないです。農林水産省の幹部の中に韓国備蓄論ということを言う人がいるんだ、こういうことですが、大臣、こういうことを聞いたことはないですか。そういうことを口にする幹部がいるんだそうです。
  102. 山村新治郎

    山村国務大臣 どの幹部が言ったかもわかりませんけれども、もしお名前がわかれば言っていただきたいと思いますが、そのようなことは初めて伺いました。
  103. 武田一夫

    ○武田委員 こういうことも言っているのです。「仮に主食用が極端に不足し、実需者韓国米を欲しいと言えば、売らないわけにはいかない」、要するに、米屋さんが韓国米でもいいから売ってくれ、主食にしたい、こう言ってきたら売らないわけにいかぬ、こう言っているのだそうです。これも農林省の幹部の方が漏らしている言葉だというのですが、こういうことはどうですか。
  104. 山村新治郎

    山村国務大臣 できれば幹部の名前を明らかにしてもらうとありがたいと思うのですが、そういうようなことは一切考えておりませんし、先ほど来長官から何遍も御答弁申し上げましたとおり、いわゆる加工原材料用米ということでの現物返還でございます。
  105. 武田一夫

    ○武田委員 米の流通業界では、加工用原料の方の心配はなくなったけれども、やはり業務用の米が心配だ。一般論としては非常に窮屈になっている。私の宮城県も窮屈、隣の山形県、福島県も窮屈、遠くは長崎県は五月ごろから窮屈なんです。農協系統の要するに政府米を扱っている倉庫は大変なんですよ。この間、恐らく食糧庁に宮城県の卸屋さんが十社くらい行ったんじゃないですか。もう早く前倒しをするか枠をふやしてもらわぬと、小売店さんも相当やられて、これは小売店さんが騒いだら大変だ、こういう状況です。ですから、米の流通業界の中には、五十三年産米韓国産米の区別を問わず、とにかくあるものを食糧庁から買い受けたい、そのくらい大変なんだ、加工業界の人たちはいいな、こういうふうなことを漏らしているというのですね。こういう状況をどうお思いですか。
  106. 松浦昭

    松浦政府委員 業務用の需要先はかなり多種多様でございまして、使用されるお米の種類もいろいろございますけれども、一般的にはやはり安いお米が好まれていると思います。標準価格米であるとかあるいは三等米等に対する需要がかなり大きいようであるというふうに聞いております。本年度の場合には、御案内のように北海道の不作等によりまして三−五類米あるいは三等米等の合計供給量が昨年に比べまして一割弱減少しておりますので、こういった事情から米穀の流通業界の一部で原料が窮屈だという声が出ているというふうに私ども聞いております。  ただ、自主流通米等は十分にございますし、全体としての供給量はあると考えておりますので、これらも十分に活用していただきながら、業務用に対する供給についても不足がないように対処していきたいと思っておるわけでございます。私ども、五十三年産米につきましては、今後とも買い受けの希望がございましたら、当然五〇ppm以下のものでございますけれども、引き続き業務用として売却はしてまいりたいと考えておるわけでございます。  ただ、韓国からお返しを願うお米につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、これは加工原材料用ということで充当することを考えておるわけであります。
  107. 武田一夫

    ○武田委員 七月から十月期の主食用の米の流通量を決めますね。まだ決まらぬでしょうが、これは大体どのくらいの数量、そしてこれは卸業者の皆さん方が十分満足のいくようなものであるかどうか、この点お答えをいただきたい。
  108. 松浦昭

    松浦政府委員 私ども、七−十月期の供給計画につきましては、現在都道府県知事等の御意見も聴取しているところで、まだ最終的な結論に達しておらないという状況で、ここではっきりとしたトン数をお示しし、御回答いたす状況にないわけでございますが、七−十月期と申しますのは相対的に夏場の不需要期、お米の不需要期に入るわけでございまして、さような面で三−六月期は、この委員会でも大分御討論をいただきましたようにかなり厳しい供給計画に相なったわけでございますが、これに比較いたしましては若干緩めの計画にいたしまして、端境期を円滑に乗り切っていけるように対応したいと考えております。
  109. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、三月から六月までよりは緩めた、要するに恐らく前年度実績の何%減くらいでいくのでしょうね。それを減でなくて丸々欲しいと言ったらそういうふうに応じてくれますか、どうですか。
  110. 松浦昭

    松浦政府委員 これはやはり真の需要に見合った状態での売却をいたしていきたいということでございますので、予定といたしましては、先ほど申しましたように三−六月期よりはゆとりのある対応をとってまいるつもりでございます。  しかしながら、やはりこういう時期でございますから、真の需要と申しますか、また時期的にあるいは場所的にお米が偏在するといったことがないような形で供給計画は策定しなければいかぬと考えております。ただ、末端の店頭にお米がなくなるような状態はあり得ないような、そういう供給計画にいたしたいと思っております。
  111. 武田一夫

    ○武田委員 一般的に、小売店さんは大体三日くらいの保有はある。卸屋さんは五日くらい、ちょっといいときは一週間くらいは持っているのだそうです、常識的に。それが、今、私の地元では現実にないというのです。だから、六月の末に、彼らは恐らく二十五、六日ごろと言っていたのです、七月分の米を売ってもらわぬと、小売店さんに行くまでに何だかんだで一週間くらいかかる。それが七月に決められて、あるいは六月末の三十日あたりに決められて、一週間ブランクがあいたらどうするんだと深刻に心配しているのですよ。恐らくこの点はいろいろ状況を聞いていると思いますから、十分に対応して、そういう心配のないように、消費者が買いに行ったら標準米がなかったとかということのないような対応をきちっとしてほしい、これはお願いしておきます。  最後にお尋ねしますが、現在、五月末でも六月の何日現在でもいいけれども、一番新しい段階で米は一切合財まぜてどのくらいの数量があるか、ちょっと聞かしてもらいたい。
  112. 松浦昭

    松浦政府委員 一切合財とおっしゃられますと、農家段階もありますし、流通の段階もございますし、そこまでの数字は私どももわからないわけでございます。したがいまして、お尋ねは恐らく政府、それからマル自の在庫、これを合わせてどのくらいあるかというお尋ねではないかと思います。  私どもの正確につかまえられます在庫水準は四月末の在庫でございますが、政府米の在庫は約百四十万トンでございます。それから自主流通米の在庫は、当然これは農業団体が持っておられる在庫でございますが、これは良質米等の支払いの関係等から申しまして、販売を確定するということがなかなか時間がかかるものですから、必ずしも明確に申せないわけですが、あえて推定をして申し上げれば、大体百十万トンくらいじゃないかというふうに私どもつかんでおります。
  113. 武田一夫

    ○武田委員 長官、私は資料を取り寄せて聞いたら、今四月で言ったけれども、五十九年三月現在で五十一年から五十三年までの米は三万三千トンある。そのうちほとんどが五十三年産米だ。その次、五十四年から五十七年の米が三万トンある。そのほとんどが五十四年産米である。そして五十八年度米は、標準米と言われるものが百六十八万トン、そして自主流通米として扱っているのが百四十万トン、合計三百八万トンある。五十九年三月末の数字で私はこう聞いたわけです。  そこで、五十四年から五十七年の三万トンというのはどういう米なんだといったら、五十四年産米がほとんどだ。これはまだ三万トンあるわけですか。もしあるとすればこれはどういう米で、どういうところに使っているのか、どこの米か、きょうはそれだけ聞いておきましょう、時間がもう来ているようですから。
  114. 松浦昭

    松浦政府委員 五十四年産米があるではないかというお尋ねだと思いますが、確かに五十四年産米につきましては北海道及び青森県産のものが、北海道から一部の都県に在庫しておりまして、その数量は約二万トンくらいじゃないかと思っております。これは逐次主食用に売却をいたしているところでございます。
  115. 武田一夫

    ○武田委員 売却は主食用ですか。そうすると、宮城県には三千四百トンあるのです。これは主食用ですか。そうすると、宮城県そのほかの県にも何かあるわけですな。そうすると五十三、五十四ですね、臭素の問題云々とか言われていて、もし主食用とすれば、またこれは問題にしなければならないわけですな、食べているとすれば。というのは、地元の食糧事務所に聞いたのです。そうしたら、何にするかわからぬので、指示もないし、それで置いてあると言うわけです。業者さんも、どうしようという指示もないものですから私の倉庫には千トン入っていますと、こう言うのですが、それを長官主食用だということになれば、ちょっと時間がなくなったが、これは問題にしなければならないと思うわけですよ。ほかの先先に私は余り迷惑をかけたくないから、それだけ一言言っておきます。
  116. 松浦昭

    松浦政府委員 もちろんこれを希望に応じまして主食用として売却をいたします場合には、検査をいたしまして、五〇ppm以下のものであるかどうかということを確認した上で売却するつもりであります。
  117. 武田一夫

    ○武田委員 それでは時間が来ましたので……。  ただ、これは問題だと思いますよ。ですから、私は、三月末のときは三万トンあるとちゃんと聞いたんだ。今長官は二万トンだと言うのです。三月から一万トン売っているわけだね。これは主食用だったと。これは確認だけしておいて、いずれまた後でその中身等をやはりいろいろと聞かなくてはいかぬなと思う。クエスチョンマークだけをつけて、質問を終わらせていただきます。
  118. 阿部文男

    阿部委員長 安井吉典君。
  119. 安井吉典

    ○安井委員 締めくくりの質問ということで六十分与えられておりますが、私は、いわゆる責任論もあります。それから汚染問題。需給計画韓国米の問題、他用途米、それから減反備蓄、それから食管財政の問題、米価と、大体九項目お聞きをしたいわけでありますが、なかなかとてもそうはいかぬと思います。したがって、時間の関係で外れるものがあっても、それは重要ではないからだ、そういうふうに受け取らないでいただきたいと思います。  最近の国会のやりとりを速記録の中から引き抜いたのがあります。これは五十八年二月の衆議院の農林水産委員会で、松沢委員が当時の金子国務大臣に、米の需給は不安ではないかというのを繰り返し質問したのに対して、金子大臣は、絶対ありません、「松沢先生も余り御心配なさらぬ方がいいのじゃないでしょうか。」こう答えています。あるいは予算委員会の川俣委員の質問に対しても、これは山村国務大臣が「輸入をしなくても絶対済むというぐあいに考えております。」そういう答弁があります。あるいは輸入問題については、私ども減反の現況において輸入する考え方は全くございませんというのを、繰り返し繰り返し、これは食糧庁長官大臣もやっているわけであります。あるいは自給問題を、これは予算委員会分科会で繰り返し繰り返し聞かれた山村大臣は「米の自給につきましては、農林水産省として責任を持ってやってまいるつもりでございます。御安心ください。」そうも言っておられます。安全性の問題についても、もう繰り返し繰り返し、絶対安全です、こういう言い方があるわけですが、これは後で申し上げますけれども、つまり私どもは、国会の中でうそにうその答弁をお聞きをしてきた。そういうふうな気がしてならぬわけであります。  外では、今は米価シーズンなものですから各地で大会が開かれて、これではもう来年の減反には協力しないとか、他用途米の契約には協力しないとか、そういう決議がばんばんなされているわけですね。抗議的な意味の田植えが今始まったりしている。私は、そういう状況の中でこの四日間の集中審議が進んできたということになると思うのでありますが、大臣も、責任があります、こう言われるし、総理も、あらかじめ根回しして、農業生産者の理解を得ることに欠けていたとすれば遺憾であります、こういうような言い方もここでなさっておられるようであります。私は、国会というのはあくまでも国権の最高機関だ、これはもう大臣もその点はお認めなさると思います。自民党という一つの政党よりはもっともっと重みのあるものだと思うんですよ。  この問題が起きて、スクープが出てきたものですから、私どもびっくりしたわけですが、自民党の方には何か御説明をされたそうでありますけれども、うそを言われた我々国会の方は、我々が大臣のところに抗議に行った。それに対して、実はという、それだけじゃないですか。これは、我々が抗議に行かなければ一体どうするつもりだったのですかね。私は、普通の答弁ならいいですよ。しかし、今あらわれているのは、全く裏返しの事実しかあらわれていないようなそういう答弁をしておきながら、国会に対して何らの対策がなくて、やっと我々が要求して開かれたここで初めて話が出てきた、こういうわけでは、私はどうも気が済まないわけであります。これは、責任をおとりになる、責任は私にありますということを何度も大臣は言われるわけでありますが、それはどういう意味なのですか。どういうことをなさるおつもりなのですか。
  120. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の、五十三年産米に端を発しまして、韓国米の現物返還等、国民の皆さんを初め関係各界に不安そして混乱、これを起こしましたことはまことに遺憾でございます。私といたしましては、この最終的な責任というのは一に私にあるものでございますが、とりあえず国民の皆さんに食糧を安定供給するというその責務を果たすべく全力を挙げておるところでございますし、そしてまた、これを機に、このようなゆとりがあると言えないような状況操作というものは改めるべきものであるということで、今後本年度の作況を見た上でも弾力的にこれに対応していく。第三期対策もこれを弾力的に運用するというぐあいに考えております。
  121. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ、責任をとるという意味は、ここで何度も謝りましたね、謝罪といいますか、陳謝されたし、それから後はひとつ心を入れかえて、これからの農政の中で、今幾つか言われましたような問題点の解決をする、それが責任をとるという意味で今までおっしゃっていたわけですね。
  122. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回のこの問題につきましての最終的な責任は私にございます。私の責任において処理いたしたいという、その言葉でひとつ御推察いただきたいと思います。
  123. 安井吉典

    ○安井委員 責任をとるという意味がよくわからなかったのですが、そういうことだというふうに一応理解しておきます。  いずれにいたしましても、食管行政もそうなんですけれども、官僚的な対応というのは、我々国会に対しても、物事を隠す、うそを言う、ごまかす、どうもそういう三原則があるような気がしてならぬわけであります。はっきりした具体的な問題をこちらが求めているのに対して、どうもそれから逃れるというふうな感じを受けてならぬわけであります。まず、私は、この四日間の審議を通して、そういう一番大きな問題点があるということだけ指摘しておきます。  最初に汚染問題でありますが、これはまず厚生省からお聞きしたいわけであります。  三月十日の予算分科会におきましてこの問題が取り上げられておりますし、あるいはまた三月一日の農水委員会とか、随分しばしばの扱いがあるわけであります。そのうち、予算第四分科会で渡部国務大臣、それから竹中政府委員の出席がありまして、これはもう絶対安全ですという言い方が何度も何度もなされているわけですね。何で安全なのかと聞いたら、竹中政府委員は、文献を調べたら安全であります、こういう答弁ですね。それからまた渡部国務大臣は、四日間ぐらいで消滅すると聞いております、お米は心配ありません、特に新潟と福島の米は心配ないと私は承知しております、こう言っておりますね。これは質問者が新潟の松沢委員であって、答弁する大臣が福島だからそう言ったのかもしれませんが、何で福島と新潟のお米だけが安全なんですか。その基礎もここで教えてください。厚生省、大臣がきょう来ておりませんが、かわってお答えください。
  124. 市川和孝

    ○市川説明員 臭化メチルにつきまして三月に御質問をいただきました際には、臭化メチル等の薫蒸成分につきましては、文献上いずれも揮発性の高いものであるということで、比較的短期間のうちに消失することが既に報告されているわけでございまして、薫蒸成分そのものにつきましての残留性は問題ないと考えていたわけでございます。また、臭化メチルが分解して生じます臭素残留ということにつきましても、既にFAO、WHOの摂取許容量というようなものもございますので、その範囲内におさまるものであれば安全性については問題ないというふうに考えたわけでございます。  御指摘の新潟、福島のお米については、私ちょっと当時の実情をまだ把握しておりません段階でございますから、何とも申し上げかねるところでございます。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 厚生省はこの質問が行われた後で初めて実態調査検査をやったのですね。それまでやってないわけですよ。国会の質問がなかったら、これはいつまでもわからないままでいったわけですね、農水省は全然やる気がないのですから。厚生省を呼んで質問して初めて、ここで文献だけじゃなしになおやれという要求でこれは始めたのでしょう。これがなかったらやらなかったわけですよ。だから、これは本当に大変なことであった、私はそう思うわけであります。  そして、それを厚生省も安全と言いますから問題ありません、安全でありますとオウム返しに、今日まで農水省は繰り返し繰り返し言ってきたわけであります。それが今度の検査の結果明らかになって問題が出てきたんだ、こういうことであります。この問題についてはもうしばしばここで議論がありましたので、時間がありませんので、私特につけ加えては言いたくありませんけれども、これは食糧庁長官でよろしいですが、五十三年産米、あるいはさっき御指摘のありました五十四年産米も含めて、在庫全体の安全性が確認されるのはいつですか。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  126. 松浦昭

    松浦政府委員 ただいま検査をしながら売却をしていく、もちろん五〇ppm以下のものでございますが、売却していくという態勢でございまして、その進行の状況から考えますと、六月に入りましてこの態勢をとってまいりましたので、やはり、その時点から約三カ月はかかるというふうに思っております。
  127. 安井吉典

    ○安井委員 五十四年産米の話が出たのも含めて、やはり消費者の方はその五十三年産米がどう入っているのかということの不安を持っています。五〇ppm以下だから心配ない、こう言われるわけですけれども、五十三年産米がブレンドや何かの形で入っている可能性があるわけですね、主食の場合。混入の割合を消費者に対してきちっと示していただく、袋に示すとか、そういうお考えはありませんか。
  128. 松浦昭

    松浦政府委員 ブレンドの状態は一〇ないし二〇%ぐらいじゃないかというふうに思っておりますが、何分にもこれは業務用でございます。私ども、小売店から直接消費者に袋詰めでお売りするというような状態では売らないようにということで指導いたしております。したがいまして、業務用と申しますと、いろいろな外食とかそういうところでございますので、表示はちょっと難しいんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
  129. 安井吉典

    ○安井委員 五十三年産米あるいは五十四年産米も含めて、米ぬかの問題についてお考えになったことはありませんか。あるいはぬか油の問題について、これはもう私ども常識で考えても、米の薫蒸が終われば内部よりも外側のぬかの部分臭素の付着が多いのじゃないか、そう思いますが、どうなんですか。しかし、そのぬかもいろいろな格好で加工に向けられたりしているわけですね。あるいはぬか油という形もあるわけですよ。そういう点はどうですか。
  130. 松浦昭

    松浦政府委員 お米自体の方を現在集中的に考えておりまして、まだ米ぬかのことについては考え及んでおりませんでした。
  131. 安井吉典

    ○安井委員 今までは考え及んでおりませんけれども、私は、もっと検討なり対策が必要だと思いますが、どうですか。
  132. 松浦昭

    松浦政府委員 検査そのものは玄米の状態検査をしておりますから、ぬかの部分が付着しておるといいますか、それが含まれている状態で五〇ppm以下ということでやっておるわけでございます。  それから、私の承知しておるところでは、ぬかのところに非常に付着しているということをおっしゃいましたけれども、やはり中の方まで臭素残留しているという前提で、精米の部分につきましても五〇ppm以下の状態が実現するような形で実は検査をし、そしてまたそれを売却している状態であるということを御理解いただきたいと思います。
  133. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、どういうふうな調べ方をするのかもわかりませんけれども、米粒全体よりもぬかだけを取り上げた方がどうも濃度が高いように私は思うのです。何もやりませんということじゃおかしいと思いますね。もう少し検討してみてくれませんか。臭素の問題が米粒全体よりもぬかの方が多いのか少ないのか、それだけでも明らかにしてくださいよ。
  134. 松浦昭

    松浦政府委員 検討してみたいと思います。
  135. 安井吉典

    ○安井委員 これは汚染の問題が出たついでですから、今度韓国から米が入るとすると、そこの汚染の問題がまた問題になる、こういうことで今しばしば取り上げられた問題であります。もちろんそれはそうだと私は思うし、それからもう一つ、特に申し上げたいのは、今、南朝鮮型水俣病という問題が出ているわけですね。つまり農薬そのもの、水銀が入った農薬は、日本と違って規制が緩いのではないですかね。それで、有機水銀で汚染されて農民の髪の毛が抜けたり、そういうような問題もあるわけです。特に金浦米が大変だというような情報もあります。ですから、これは輸入のところでお聞きしてもいいのですけれども、今汚染問題が出ておりますので、単に臭素であるとかそんなことではなしに、水銀の問題ということになるとこれは大変ですよ。どうですか。
  136. 松浦昭

    松浦政府委員 今回韓国からお返しを願うお米につきましては、その返還をしていただく原因が五十三年産米臭素残留問題というところに端を発しておりますので、当然消費者方々に御不安をかけないように、私ども船積みの前に韓国政府協議をいたしまして、単に臭素残留ということだけではなくて、農薬残留全般につきまして、農薬残留等につきましてと申し上げた方がいいと思いますが、チェックをいたしまして、それで我が国へ持ってくるということを考えておるわけでございます。もちろん国内につきましても関係機関十分協議をして、安全性につきましては万全を期して御返還を願うということを考えておる次第でございます。
  137. 安井吉典

    ○安井委員 私ども韓国米の輸入を認めたわけではありません。しかし、無理やりでも政府が進めるとすればそういう問題があるということを指摘しておきたいし、もしもその検査が行われるというような段階では、その検査の結果をこちらに報告してください。
  138. 松浦昭

    松浦政府委員 相手国のあることでもございますので、どのようにこれを取り扱うかということを考えさせていただきますが、いずれにいたしましても、国民に御不安を与えないような形で対処いたしたいというふうに思っております。
  139. 安井吉典

    ○安井委員 需給計画の問題についてもいろいろな角度からお話し合いがありましたので、もうつけ加える必要はないと思いますが、今日までここの場であるいは本会議で、総理は、なあに今度のことは加工用が五十三年産米の関係でだめになったので、おかしくなったので、単にそれだけの問題ですよと事柄を矮小化することだけを事とした答弁が今日まで繰り返されてきているわけであります。  しかし、今までの質疑応答なりあるいはきょうのお話し合いの中でも明らかになったのは、これから端境期まで加工用米で一カ月わずか三、四万トンなんですね。それを十五万トンまで入れるというのは、さっき何度もあったのは、他用途米が十分に入らないかもしれないということを考えてこれだけふやしたんだ、こうおっしゃるわけですからね。単に五十三年産米汚染という問題だけじゃないんですよ。こんな小さな問題ですというふうに言うけれども、それはみんなうそなんですね。他用途米が入ってくるのか入ってこないのかという不安を農水省は持っているわけですよ。農民の人たちは怒っているわけですからね。それも含めて十五万トンになるんでしょう。ですから、今度の需給計画変更は、加工用米だけについても、単に汚染の問題だけじゃないんだ。他用途米が出るか出ないかという、そういう問題も含めた、そういう点から今度の問題が始まったわけじゃないんですか。十五万トンというのはそうじゃないですか。
  140. 松浦昭

    松浦政府委員 韓国からお米を返していただくということの主要な内容は、他用途米が出てまいります間に従来五十三年産米をもって充てようと考えておりました分につきましてどうしても不足が生ずるおそれがあるということ、これが主原因であることは間違いございません。ただ、今後の需要の増加ということも、これから加工用は相当な需要期に入ってまいります。さような点で、どの程度までまた需要が伸びるのかということも考えなければいけませんし、それからまた他用途米が果たしてどのような形で出るかわからない。そういうこともございますので、加工原材料についても、より安全な状態と申しますか、よりゆとりのある状態ということを実現したいということで十五万トンを考えたということでございまして、あくまでも主たる要素は五十三年産米臭素残留問題にあるということは、これは間違いないところでございます。
  141. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、総理にもう一回レクチャーし直してくださいよ。総理は、五十二年産米のあれが起きたから十五万トンを入れるんだと思っているんだ。そういうような答弁じゃないですか。この間あたりからずっと、本会議でもそうですよ、これは小さな問題です、それだけ言うわけですよ。そうじゃないでしょう。加工用のための他用途米が入るか入らないかという、需給計画全体の問題として今度の問題が出てきたわけですからね。はっきり総理に教えておきなさいよ。いつもの調子で相変わらずぶって歩くのじゃないかと思いますからね。その点、加工用だけでもそういう全体的な計画の狂いをあなた方心配しているということを白状したわけですから。  それから、加工用だけではなくて、主食についても業務用やあるいは家庭用というものも含めて需給計画は今までのとおりいかないんだ。それはいまだかつてないでしょう。百万トンぐらいの早場米を先食いしなければならぬという事態は今までないことですから。そんな百万トンという話はここで我々聞いた覚えはありませんよ。先食いという話はありましたけれども。だから、需給計画そのものの狂いというものをやはりあなた方は今度のこの事件の中で認めざるを得なくなったわけでしょう。どうですか。
  142. 山村新治郎

    山村国務大臣 総理自身も、せんだっての当委員会そして参議院での農水委員会、ここにおきまして、今後はやはりもっとゆとりを持った農政というものを展開しなければならぬということも申し上げておるとおりでございますし、私自身もまた、今後は、このようなゆとりのない、ゆとりがあるというようなことが言えないような状況の農政というものは、国民の食糧安全保障ということにもつながるわけでございますので、それはひとつ弾力を持ってやっていきたいというぐあいに考えます。総理もそのように認識されたと思っております。
  143. 安井吉典

    ○安井委員 今のように端腰掛十万トン。そういう綱渡り的な需給計画では危険だということ、あるいは加工用についても五十三年産米が使えないというような、これはあなた方が想像していないような事件も起きるわけですから、これからだって何が起きるかわかりませんよ。したがって、需給計画というものはゆとりがなければいかぬということについて、これは大臣もこの間うちからここで答弁されておりますし、需給計画そのものの見直し、弾力性、そのことだけは確認しておきたいと思いますが、よろしいですね。
  144. 山村新治郎

    山村国務大臣 今年の作況を見た上で弾力的にひとつやってまいりたい。今先生言われましたゆとりのあるというのをもってやっていきたいというぐあいに考えます。
  145. 安井吉典

    ○安井委員 これも後で触れますけれども、作況を見なくたってもうわかっているんですよ。作況の問題ももちろんありますよ。作況を見なくたって、今までのあなた方の立てた計画の狂いというものだけはもう既に明らかになっているのではないかと思います。  そこで、韓国米でありますけれども、これも先ほど来ここで何度も何度も指摘をされたわけでありますが、もし十五万トンを入れるということになっての経費は、先ほども運賃その他の話がありましたけれども、運賃のほかに諸掛かりもあるでしょう。あるいは保険料もあるでしょう。大体金額でそれぞれどれくらいかかるのか、それを御説明ください。
  146. 松浦昭

    松浦政府委員 これは先ほども御説明いたしましたように、契約に基づきまして韓国側はCIFの状態で我が方に持ってきてくれるということでございますから、この諸掛かりにつきましては韓国側が負担をするということで目下交渉いたしております。したがいまして、私どもその計算はいたしておりません。
  147. 安井吉典

    ○安井委員 保険やその他の諸掛かりもみんなそうですね。
  148. 松浦昭

    松浦政府委員 保険も含めてでございます。
  149. 安井吉典

    ○安井委員 私疑問に思うのは、四十四年、四十五年に六十三万三千トンの貸し付けをした、こういうわけですね。そして五十五年から毎年三万六千トンずつ国際価格で現金償還をしてきた、そして現在五十二万二千トン残っている、こういう説明を承ってきたわけです。ただ、今度の契約の内容はどうなのかと聞いたら、これは申し上げる段階ではありませんということで不透明のままになっているわけであります。  そこで、今度五十二万二千トンの中から十五万トン返ってくれば、あと残るのは幾らですか。
  150. 松浦昭

    松浦政府委員 基本的な分としては、三十七万トンという形になります。
  151. 安井吉典

    ○安井委員 これは大臣に伺いますけれども、輸入の問題でさっきも申し上げましたように、輸入をしなくても絶対済むというぐあいに考えておりますということをあなたは予算委員会で、この国会で何度も何度も言ってきたわけですね。そしてここでは韓国米を、あれは貸したのを返してもらうのであって輸入ではない、こう言いましたね。いまだにそう言っているのかもしれませんけれども。そうだとすれば、輸入をしなくても絶対済むというぐあいに考えておりますとあなたが国会ではっきり言ったときは、韓国米というのはたとえ戻ってきても輸入ではないんだ、そういうことを頭に置いての御発言ですか。
  152. 山村新治郎

    山村国務大臣 その当時は、韓国米の現物返還というのは考えておりませんでした。
  153. 安井吉典

    ○安井委員 では、韓国米の現物返還なるものは輸入ではないと今でも言われるわけですか。
  154. 山村新治郎

    山村国務大臣 関税法から申しますと、外国から物が入ってくるということで輸入ということでございますが、食管法の方で見ますと、米を貸し付けることができるということで韓国に貸し付けたという形になっておりますので、一般的に言う輸入とは違うもの、そういうぐあいに認識しております。
  155. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、輸入の問題のやりとりはありましたけれども、これは通関実績を見れば国の外に出ていくのは輸出で中に入ってくるのは輸入ですよ、名前がどうあろうと。韓国に貸し付けたときも通関実績の中では輸出になっているのですから、これはもう明らかですよ。それを、さもこれは貸し付けであって輸入ではありませんよというような子供だましみたいなことでだまそうったって、みんな、国会議員はもちろん農民の人たちだって腹を立てるのは当然だと思います。  そこで、残り三十七万トンですか、これを金額で返してもらうとすれば幾らになるのですか。
  156. 松浦昭

    松浦政府委員 これは、御返還を願うお米の価格をどう見るかということがいろいろと問題になりますし、また金銭償還の場合の国際価格がどのように変動するかという要素もございますが、返還米の貸付額がトン当たり十一万二千円、それから金銭の償還額でやった場合にはこれが国際価格で五万六千円ということで一応考えてみますと、財政の負担額が約十七億という形になっております。
  157. 安井吉典

    ○安井委員 あなた方が契約の中身を発表しないものですから、いろいろな憶測があるわけですよ。つまり、今度は十五万トンだけ返してもらったが、諸掛かりや何かは、これは韓国も負担は大変なんです。あそこは米が足りなくてあちこちから輸入している国なんですよ。なかなかそんな余裕がありませんのを返せと言ってやるわけですから、向こうに言わせればまるでサラ金の取り立てみたいなことを今日本はやっているわけですよ。余っている国なら別ですよ。アメリカからといろんなら別ですけれども、そうじゃないんだ。だから、一つの憶測があるわけですよ。つまり、十五万トンだけ返してもらって、借金はまだ残っておりますから、あとはそれを棒引きにするとかそれを幾らか減らすとか、そういうようなことがあるんじゃないかという憶測記事もありますよ。憶測かどうか知りませんが、どうですか。
  158. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回は本当に韓国政府の好意で現物返還をいただいたわけでございます。韓国政府といたしましては、私が聞くところによりますと、韓国が苦しいときに日本から助けてもらったというその恩返しのつもりでやるということでやっていただいたことということでございまして、あとの棒引きだとかそういうようなことは、これはもう憶測でございますので、その点は御心配なさらないようにしていただきたいと思います。
  159. 安井吉典

    ○安井委員 それからもう一つ、私どもが心配しなくてもいいように御答弁をいただきたいと思います。  残り三十七万トンありますね。これをまさか今後において現物で返してもらうというような措置はおとりにならないと思いますが、どうですか。それはまた今と同じ問題を再現することになります。これはありませんね。
  160. 山村新治郎

    山村国務大臣 これは今回限りの緊急的なことでございます。
  161. 安井吉典

    ○安井委員 そうしますと、あとの返還はみんなお金で返還される、こういうことでよろしいですね。
  162. 松浦昭

    松浦政府委員 韓国との関係では、今回の合意は、最終の姿は今後はやはり協議をするということになると思います。しかしながら、もちろんその協議に当たりまして、ただいま大臣も御答弁なさいましたように我が国の国内の事情がございます。先方もあるいは現物で返したいということを申してくるかもしれません。しかしながら、我が方は国産でお米を自給するという体制をとっているわけでございますから、さような事情を十分説明いたしましてその際の協議に臨んでいくというのが私どもの態度でございます。  なお、先ほど十七億と申しましたが、これは一年分でございますから、その点正確に申しておきます。
  163. 安井吉典

    ○安井委員 十五万トンというのが一体どこから出たのか。初めは十万トンというのがまた五万トンふえてみたり、その内訳の話、経過についてはあなた方がここで言わないものですから、私ども幾度も幾度も質問しているわけですが、そのことはたびたびやりとりがありましたから、もう時間もありませんし、繰り返しません。しかし、いずれにしても減反で一生懸命政府に協力をしている農民の立場からすれば、現実の通関手続上の輸入を、いや、これは貸した米を返すものでありますなんという子供だましみたいな言い方でされるというようなことでは農民が怒るのは当たり前ですよ。そのことについては、我々はどうしても納得がいかないということを申し上げておきたいと思います。  他用途米について、十万トンくらいなんですけれども、順調にいかないのではないかという心配をされているということを私は先ほど来何回も聞かされたわけであります。これはまた大変な問題ではないかと思います。しかも、今度のようなことで農民は腹を立てているわけですから、恐らく次々開かれる農民大会などはみんなその決議になると思いますよ。ですから、明るい情勢はさらさらないわけでありますけれども、そういうことで本当に予定どおり集まらなかったら一体どうするのか。まさか今度は韓国がだめならアメリカからなんて輸入のことを考えるようなことはさらさらないと思いますが、どうですか。
  164. 山村新治郎

    山村国務大臣 今回の他用途利用米につきましては、少なくとも米は国内産をもって全量これを充てるということでやってまいりました。そこで、加工原材料用米に充てるために他用途米の手当てをしたわけでございます。これがもしだめということになれば大変なことになりますので、誠心誠意農民の皆さんにもお話しして御協力をいただくようにやってまいりたいというぐあいに考えます。
  165. 安井吉典

    ○安井委員 一つ方法として農協等から提案がありますよね。今のような状況の中では、やはり他用途米を一応主食で買い上げていく、しかし三等の下にむしろ新しい規格を設けていく、下位等級を設けていく。去年のあの北海道を初め大変な減収の際に規格外米を設定したわけですね。あれが結構売れているのですから。加工用だけじゃなしに、どんどんブレンドの中に入っているらしい。私ども全部調査してみますとそういうことが明らかなんですよ。ですから、今の三等の下にもっと下位等級を設けるということになれば、下位等級ですから値段も安いですね。そういうのを加工用米に向ける。他用途米に対する代案ですよ。これについてはどうお考えですか。
  166. 松浦昭

    松浦政府委員 三等米の下に下位等級を設けた場合には、そこに該当する従来からのお米がございます。これはいわゆる特定米穀と言われているお米でございまして、作柄にもよりますが、大体三十万トンから三十五万トンというお米が現在これに該当しているわけでございます。実はこれは特定の用途がございまして、比較的加工原材料用の我々の今売っておりますお米の分野と競合するわけでございますが、みそ、せんべい、さらにはビール用といった用途があるわけでございます。  このような既に特定用途を持っておりますお米とまさに競合するところに他用途米の新しい等級を設定されたお米が充当されるということになりますれば、その分の用途を食ってしまうことになりますので、結局同じことであるということに相なろうかと思います。したがいまして、私どもとしては他用途利用米は他用途利用米として導入をしていくということが必要であると考えておるわけでございます。
  167. 安井吉典

    ○安井委員 今の御説明だけでは、私はどうも理解できないわけであります。その特定用途米なるものを幅を広げていくとか、まだまだ知恵の出しようがあるように思うのですよ。その点は今後の宿題にしておきますので、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  減反の問題につきましては、これもことしの作況状況を見た上で在庫積み増しを含めて弾力的に運用するというのがこれまでの政府答弁でありました。金子大臣のときに、三期減反をやる場合に、私たちは繰り返しこの問題を取り上げました。そのとき金子大臣は、いや猫の目農政と言われる、くるくる変わるので農民の不安や不平が出てくるから、ここでがっちり決めたらもう五年なり十年なりそのままでいけるようなものにするのですということを言われる。そんなのうまくいくのかと言ったら、いや、一つ案ができたら安井先生の方に必ず御連絡します、こういうことで御連絡いただきましたよ。今度のこの問題では連絡はありませんけれども、この前の減反生産調整の問題では折に触れてその段階状況について報告を受けています。それは別として、金子大臣のときにもうこれできちっとするのだと言ったようなことが、まずその第一年度から崩れざるを得なかったという状況に来ているわけであります。  ただ、私たちにすれば、在庫積み増しの問題もこの中に含まれていると言うし、作況の問題ももちろんあると言うし、需給状態からいっても、作柄がかなりよくたって百万トン近くも先食いするのだから、どうも足りないですよ。そういうようなことからすれば、もう少し待って対策を打ち立てるのだということでは私どもは納得できないわけであります。もう少し具体的に今までの計画をこういうところまで検討し直したいというお考えをこの際明らかにしていただきたい。どうですか。
  168. 小島和義

    小島(和)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども大臣から申し上げましたように、昨今の需給事情から見まして、今後の水田利用再編対策については相当弾力的に対応していかなければならないということをお答えしているわけでございます。  御承知のことと思いますが、この対策を始めますときに在庫の積み増し水準をどれくらいに見るか、またどういうテンポで積んでいくのかということが大変大きな議論でございまして、もちろん短期に大量のものを積むということも一つ考え方でございますが、そういたしました場合に、在庫積み増しはしょせんは一過性のものでございますから、積み増しが終わった時点ではまた平常の水準に戻らなければならないということになります。そういたしますと、転作目標面積としては非常に大きくふれるわけでございますので、転作目標面積の期中固定ということも一つの考えではないか。各地方からもそういう御要望が非常に強うございますので、それらも勘案いたしまして三カ年間で四十五万トンずつ積み増しをする、こういう三期の需給フレームになっているわけでございます。  ところが、そうは申しましても需給の問題の方がより大事なことでございますので、そういう原則にこだわらずに今後の対応を柔軟にしていこうということでございますが、具体的にしからば何万ヘクタール転作目標面積として減るのであるかというお尋ねでございますれば、今の時点でまだことしの作柄及び水稲の作付面積も定かには把握してないわけでございますし、本年の需要の動きについてもまだ的確な結果は得られないわけでございます。いましばらく事態の推移を見ました上でしかるべき時期に判断をいたしたいということでございますので、今の時点で数字にわたります判断と申しますか、見通しを申し上げることは御容赦いただきたいというふうに考えております。
  169. 安井吉典

    ○安井委員 備蓄というか、初年度積み増し四十五万トンということになっておりましたが、今の状況から言えば四十五万トンの備蓄という形では最終的には難しいのじゃないですか。そのことはどういう見通しですか。
  170. 松浦昭

    松浦政府委員 今後の作況も十分に見てみなければならないことでございますし、また同時に、ただいま山村農林水産大臣の御提唱のもとで基本技術の励行ということを前提にいたしました新稲作運動ということも展開をいたして、できるだけお米の生産を確保したいということで全力を挙げているところでございます。さような結果も見ました上でこの在庫の水準というものが決まってくると思いますので、まだ判断をするには早いのではないかと考えておる次第でございます。
  171. 安井吉典

    ○安井委員 大臣に伺いますけれども、去年も生産調整の全体的な計画備蓄の問題も含めて、国会の方とよく相談してやります、金子大臣はよく言われました。そういうことでやってきているのですが、今の御答弁では、今すぐ言えといったって無理です、こう言われるわけでありますが、政府のお考えがまとまったらそのまとまった段階で、最後の結論が出たときではだめですよ、その途中の段階でも私ども国会の方にお話をいただきたい。いかがですか。
  172. 山村新治郎

    山村国務大臣 これは、決定する前にいろいろ御相談に上がりたいと思います。せんだっても当農水委員会におきまして総理から小川議員の質問に対しましても、野党の皆さんの御意見も農業者の皆さんの御意見もということもございますし、これが決まる前に御相談に上がります。
  173. 安井吉典

    ○安井委員 私は、今度の米問題の混乱したドラマの大事な問題はやはり財政問題だと思います。食管会計が、臨調答申もあって締めつけるだけ締めつけられてきている。したがって、ちょっと何か故障が起きてももうどうしようもないような状況になる。さっき韓国への米備蓄論も出ましたけれども、そういうことで預けたわけじゃないと大臣もおっしゃったとすれば、今主食は十分あるという説明です。私ども主食も危ないのではないかと言うのですけれども、しかし十分あるなら、たった月三万とか四万トンなんですから、それを先食いしていけば早場米の先食いがまた三、四万トンか十万トンぐらいふえるだけでこれはやれるのです、加工用に。ただ、そうすれば財政負担がある。問題はそれなんでしょう。だからすべて財政の問題で、今度の問題はいよいよこんがらがってしまって、につちもさっちもいかなくなっているというのが基本の問題ではなかろうかと思います。  今度こうなったのも、五十三年産米がこうなるというのはだれもわからないわけですから、これを農林水産大臣食糧庁長官の責任だと言ってみたって、わからなかったという事実だけはどうしようもないということになれば、これは政府の責任だというとらえ方にならざるを得ないと私は思うわけです。政府全体として、つまり財政的な措置でがんじがらめにしていて闊達な自由な対応ができないようにされている,そこに問題があるわけですから、本当なら総理だけじゃなしに大蔵大臣もぜひ来てもらいたかった、私どもはそれを主張したわけです。ですから、大蔵省を含めた政府全体の問題としてこれから食管の問題、米の問題を処理していくという姿勢でなければ解決は絶対にできないんだ、私はそう思うのです。きょうは大蔵大臣にかわって農林大臣から答弁してもらってもいいかな。ひとつ大蔵大臣になったつもりでやってください。
  174. 山村新治郎

    山村国務大臣 当農水委員会でも総理が来てはっきり、今後はもっとゆとりのあるものをということを言われましたので、大蔵大臣よりは総理大臣の方が偉いと思いますので、総理大臣が言っていることでございますので、この点は今後ゆとりを持ってということでお考えいただいて結構ではないかと思います。〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 安井吉典

    ○安井委員 大蔵大臣が来ていませんけれども、しかし総理大臣にはっきり言ってくださいよ。そして、あなたもどんどん主張していただきたいと思います。こんなままでもっと次に新しい問題でも起きたら、またこれは大変なことになりますよ。ですから、農林水産大臣が何遍腹を切ってもどうしようもないというようなことにならざるを得ないと思うのです。やはり政府全体の責任であり、そしてとりわけ財政の責任というか、基本的な課題はそこにあるということを、農林水産大臣、もっとしっかりして閣議の中でも主張したり、来年度の予算の中でもきちっとやってもらわなければならぬと思います。そのことをひとつ申し上げておきたいと思います。  もう一つ、最後に、生産者米価が今問題となっているところであります。私どもは、生産費所得補償という食管法の原則によって決めていくべきだという基本論に立っているわけでありますが、今農民感情は異常に高まっています。そういうようなものが、ことしの米価が決まる段階でどう反応していくのか、そういうような点もあるわけであります、米価決定はいつごろになるお気持ちですか。
  176. 松浦昭

    松浦政府委員 米価審議会の日取りが米価の決定の一つの目安になるわけでございますが、この点につきましては、去年は七月の中旬でございましたけれども、まだその日取りにつきまして最終的な決定をいたしておらない状況でございます。
  177. 安井吉典

    ○安井委員 中旬以後になることは間違いないが、まさか月がかわるというようなこともなかろうと思いますよね。下旬ということですか。
  178. 松浦昭

    松浦政府委員 まだ日取りを決定しておりませんが、まだ下旬ということも決定しておらない次第でございます。
  179. 安井吉典

    ○安井委員 これはもう今異常事態が起きているものだから、米審を開いて決めようといったって、これは大変なことになるじゃないかというようなことがあるからですかね、その辺がよくわからないんだが。新聞では、例えば九州ですか、農政局に農民が乱入したという記事もありますね。それは農民側の感情だというような言い方は、私は一概にしたくありませんけれども、とにかく大変激高をしている、そういう事態にあることだけは間違いないと思います。  だから、私はさっき食管の会計のことを言いましたが、今米価は幾らに決めるんだなどと聞いたって、これはなにかもしれませんけれども、生産者米価と消費者米価、二重価格制という食管の仕組みがあるわけでありますから、したがって、私は、どんなことがあっても食管会計の繰り入れをふやさなければならないという事態が必ず起きるんじゃないかと思いますがね。食管会計をいじらないで、つまり生産者米価を上げたら消費者米価も同時に上げるとか、そういうような形では処理できないのではないか。特に消費者の側も、今度の場合は、事の始まりは消費者から出たわけですから、こんな汚染米を食べさせられてどうなるんだという、その消費者の運動が五十三年産米の問題に発展して、それからなんですよ、これは。五十三年産米は生産者の問題ではありません。したがって、私は今起きているのは消費者と生産者と両面から問題提起がなされている、こう見ざるを得ないと思うわけであります。したがって、食管会計の枠をふやすという、それぐらいの決意でなければことしの米価問題は処理できないと私は思うのですが、大臣どうですか。
  180. 山村新治郎

    山村国務大臣 今長官から申し上げましたように、期日を含めましてまだ全くの白紙でございます。しかし、生産者米価というものは、生産費及び物価そのほかの経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定めるということになっておりますので、この規定に基づきまして再生産の確保を旨として決めていきたいというぐあいに考えます。
  181. 安井吉典

    ○安井委員 その基本米価に大きく関係があるのが各種の奨励金措置であります。例えば早場米がきちっと出てくれなければ需給計画のために非常に困るじゃないか、そういう意味で、早場米の問題をどうするかとか、あるいは良質米の奨励金をどうするかとか、そういういろいろな奨励金問題があるわけです。今の段階でお答えはどこまでできますか。
  182. 松浦昭

    松浦政府委員 良質米奨励金を初めとする奨励金の問題につきましては、従来から臨調の御答申その他いろいろな問題の提起があることは先生よく御承知のとおりでございます。このような状況のもとにあって、米価とも非常に関連がございますこれら奨励金についてどうするかということにつきましては目下検討中でございまして、まだ何ら判断をしておる状況ではございませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。
  183. 安井吉典

    ○安井委員 時期がちょっと早くて、それこそゆとりがまだありますから、そういう意味ではきょうきちっとしたお答えを得られると私も思いませんけれども基本価格と同時に、この奨励金の問題もことしの場合は非常に大きな問題提起になっていくということは間違いないと思っておりますので、その点をひとつ十分検討していただきたいと思います。  全中の米穀対策中央本部が、六月二十二日、韓国米輸入に抗議をして、他用途米の契約をしないとか六十年度の転作に協力しないとかの申し合わせが行われたわけであります。これは中央段階だけじゃなしに、今全国あちこちの情報を聞いてみますと、各地で全部同じような決議がなされているようです。ですから、これは単なるゼスチャーだとかなんとかという形で済まされる問題ではないのではないかと思いますが、政府としてはどう考えていますか。
  184. 松浦昭

    松浦政府委員 全国農業協同組合中央会の申し合わせについては私どもも承っておるわけでございますが、基本的には農業団体内部で行われたものと受けとめておりますので、私どもとしてはこの段階で正式にコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、あえて申しますれば、基本的に申しまして、今回の措置につきましては本年産の他用途利用米の流通が本格化するまでの原材料用の需要に対応しようというためのものでございまして、米の安定供給の責任を果たす上で真にやむを得ないものであるということを御理解願いたいなと思っているわけでございます。  また、特に他用途利用米については、この契約をしないというような申し合わせをなさったということも承っておるわけでございますけれども、先ほどから大臣が何回か御答弁なさっておられるように、加工原材料用といえども国内産のお米をもって充てていきたいという気持ちでございますので、そのような点を十分に理解していただき、また、そういうことはなかなか実行できないという場合だったならば、現在私どもが考えていないような事態にもなりかねないということでもございますので、ひとつその点を十分に理解をいただいて、やはり国内で賄っていくのだという態勢についての御理解を得ていきたいと思うわけでございます。  それから、減反に協力しないというお話でございますけれども、この減反というのは米の需給の均衡を図るためにどうしても重要な施策てございますし、もしも減反の協力が得られないということになりますと、過剰米の発生を招きまして食管制度そのものが崩れてしまうという心配を私どもいたすわけでございます。しかし、大臣も先ほどから申しておられますように、この問題については今後作況を見て弾力的に対応するということでございますから、さような点も十分に先方お話をいたしまして、御理解を得ていきたいと思うわけでございます。  以上のようなことで、私どもとしては農業団体にひとつできるだけ冷静に対応していただきたいということを期待しておるわけでございまして、この事情について十分に団体ともお話をし、意思の疎通を図ってこの問題を解決していきたいと考えている次第であります。
  185. 安井吉典

    ○安井委員 今の答弁の中に、現在考えられないような事態が起きた場合という言葉があったわけですが、そういう場合は、他用途米はないのだし、そうなれば輸入より方法はないのだ、何かそういうお気持ちのように聞こえてならないのですが、私は減反をやっているのですから、そういう中で、いついかなる事態が起きても輸入などという考え方は絶対あり得ないと思うのです。ちょっとその私が感じた不安を消してください。
  186. 松浦昭

    松浦政府委員 私が申し上げたのは、そういう考えられないような事態というものを招来しないように、私どもとしては国産で賄っていくという態勢について御理解をいただきたいということを申し上げたいということでございます。
  187. 安井吉典

    ○安井委員 最後に、大臣、今度のこの事態に対する反省については先ほども伺ったわけでありますけれども、随分たくさん問題があります。私ども幾つか挙げたわけでありますけれども、とりわけ一番大事なのは、日本人の食べる米は日本人でつくるのだというその基本考え方だと思います。えたいの知れない、あるいは水銀が含まれているような米を食わされてはかなわぬわけですから、気心の知れている日本の農民のつくったものを食べていく、それが基本でなければならぬと思います。いかなる事態があっても輸入などということは絶対考えない、そういうことで締めくくってよろしいですね。
  188. 山村新治郎

    山村国務大臣 現在の第三期対策、これを本年の作況を見て弾力的に運用していくということを申し上げました。そしてまた、今先生の言われた、米は全量国内産をもって賄うということに徹底してまいります。
  189. 安井吉典

    ○安井委員 わかりました。
  190. 阿部文男

    阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。  午後零時四十七分休憩     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕