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1984-04-12 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)    午前十時三分開議  出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    羽田  孜君       保利 耕輔君    三池  信君      三ッ林弥太郎君    山崎平八郎君       渡辺 省一君    上西 和郎君       串原 義直君    新村 源雄君       田中 恒利君    細谷 昭雄君       矢山 有作君    安井 吉典君       駒谷  明君    斎藤  実君       武田 一夫君    水谷  弘君       神田  厚君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣        農林水産大臣   山村新治郎君  出席政府委員         社会保険庁医療         保険部長    坂本 龍彦君         林野庁長官   秋山 智英君         林野庁次長   後藤 康夫君         労働大臣官房審         議官      野見山眞之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         林野庁林政部長 甕   滋君         林野庁指導部長 高野 國夫君         林野庁業務部長 田中 恒寿君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     逆瀬川 潔君         建設省住宅局住         宅生産課長   中田  亨君         建設省住宅局建         築指導課長   片山 正夫君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 四月十一日  辞任      補欠選任   島田 安夫君     田澤 吉郎君 同月十二日  辞任      補欠選任   松沢 俊昭君     矢山 有作君 同日  辞任       補欠選任   矢山 有作君     松沢 俊昭君     ————————————— 四月十二日  畜産物の価格安定及び畜産経営強化等に関す  る請願赤城宗徳紹介)(第二七五七号)  農業土地基盤整備拡充に関する請願天野光  晴君紹介)(第二七五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二六号)  国有林野法の一部を改正する法律案内閣提出  第二八号)  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案国有林野法の一部を改正する法律案及び国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、今回提出されておりますいわゆる林野三法につきまして、順次御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、保安林整備臨時措置法の問題でございます。  森林というものに対しましては、適切な林業上の施業を行っておれば何ら外的規制を加えることがなくても自動的に公益的機能が発揮されるという一般的な考え方がございます。それを、現状においては生産第一主義をとるかそれとも公益優先かという二元対立的発想基本としていることが問題であって、今日までの政策、行政がこの型の発想基本としている。したがって、保安林制度が法令上、行政の建前上は整備された厳格なものであるにもかかわらず、現実には森林公益的機能というものが実効的に保全されているとは言いがたい、そういう二重構造が生まれている。ここに現行の保安林制度問題点が一つあるのではなかろうかというふうに考えるわけです。  この法律が第一次から第三次まで三十年間実施されてきているわけでありますが、現時点で森林荒廃が非常な問題とされているわけであります。措置法によりまして保安林面積が増加したけれども、実態は森林保安機能の低下が問題にされ、特に奥地の国有保安林荒廃が取り上げられているわけであります。保安林といいましても、特にその中で水源涵養保安林というものに指定しておきながら、木材生産第一主義という森林施業を行ったツケが今回ってきているのではないだろうか。  この保安機能の低下している国有保安林質的向上ということのために、今後農林水産省、林野庁としてはどのように対処しようというふうにお考えになっているか、まずこの点から伺います。
  4. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林配備につきましては、先生お話にございましたように、保安林整備臨時措置法に基づきましてこれまで計画的に配備をしてまいっておるところでありまして、五十七年度末までに森林面積の約三割に当たります七百六十六万ヘクタールの保安林配備がなされたわけでございます。これらの保安林につきましては、国土の保全水資源涵養、その他生活環境保全と、それぞれ重要な役割を果たしておるわけでございますが、最近におきまして林業全般をめぐる厳しい情勢の中で、保安林の一部におきまして十分な施業管理がなされていないために機能が低下している部分が出てまいっております。私ども森林計画制度一環としまして空中写真等によって機能低位森林というのを調べたわけでございますが、この低位林分については国有林民有林を通じまして八十九万ヘクタール、その中で民有林五十五万、国有林三十四万となっております。  ただ、この中には亜高山帯地帯等におきまして手入れをしましてもそれ以上機能のできないところ等もございますし、また治山事業あるいは水源林造成等によって対応していった方がベターであるというものもございまして、今後森林施業一環として要整備森林として一応現在私どもがマクロで押さえておりますのは、民有林については十五万ヘクタール、国有林については五万ヘクタール、かような面積になっておるわけでございますが、これらの面積につきましてはできるだけ早く機能を回復するような方法をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 昨年の九月に、奥鬼怒スーパー林道建設のために保安林、いわゆる水源涵養保安林保健保安林指定解除するという告示に対する異議意見書というものを栃木自然保護団体連絡協議会提出されたわけでございます。  これは「異議意見書 昭和五十八年九月二十日 農林水産大臣金子岩三殿」ということで、栃木県宇都宮市石井町二九九六番地、栃木自然保護団体連絡協議会代表田中正という方から、次の森林に係る森林法第三十条の告示内容について異議があるので意見書提出する、それは栃木県塩谷郡栗山村大字川俣字鬼怒沼六四六の一、〇・四六三六ヘクタールについてというので、「当該保安林指定解除することは、森林の有する保安的機能を十分に活用するという公益上の必要を著しく阻害する恐れがあるので、保健保安林水源かん養保安林と兼種一の指定解除すべきではな。」「当該保安林水源かん養保安林保健保安林の兼種保安林である。保健保安林は、国民生活向上に資するための生活環境保全、形成および森林レクリエーションの場の提供を目的として指定されたものであり、都市化開発の進行に伴う社会的要請に対応するものとして、その必要性は一層強くなっている。このような森林のもつ社会的、公益的機能の保持を、単に、林業森林所有者の枠内でとらえるのでなく、国家、国民全体の問題としてとらえることが緊急の課題といわれている。 保健保安林受益者として、当該保健保安林指定解除には重大な利害関係を有するものである。」こういう立場から、森林生活環境保全ないし保健休養機能に対する要請あるいは公益上の問題、いろいろの理由を挙げてこの解除に対する反対の異議意見書というものが提出されたわけであります。  これに対して、十月に同協議会は直接の利害関係者でないという理由意見書が却下されたわけです。同協議会は同保安林の直接の受益者であり、意見書提出があれば、森林法第三十二条の第二項によって公開聴聞を行うべきではなかったのか。これは保安林に対する国民のコンセンサスを得るためにも、可能な限り意見を聴取する必要というのはあったのではないか。保安林整備等を適切に推進するために、国の施策はもとより、林業関係者の努力とあわせて広く国民の協力を得ることが不可欠である。保安林を初め、森林とか林業重要性について国民の理解を一層深める必要がある。これは、保安林問題検討会中間報告にも出ているわけであります。  そうすると、こういう問題については当然利害関係者としての意見聴取というものを、公開聴聞というものを行うべきではなかったのかというふうに私ども理解するわけですが、この点はいかがでございますか。
  6. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林指定解除に当たりましては、森林法の規定によりまして、当該保安林指定もしくは解除利害関係を有する地方公共団体または指定もしくは解除に直接利害関係を有する者は意見書提出することができるとされておるわけでございます。この場合、今お話のございました件でございますが、「直接の利害関係を有する者」とは、通常、不特定多数の一般的な公益受益者ではなくて、特定の法的に保護されるべき利益利害関係を有する者をいうというふうに私ども理解しておるところでございます。  ただいまの奥鬼怒スーパー林道に係る保安林解除につきましては、栃木自然保護団体連絡協議会から意見書提出がありまして、慎重に審議を行ったところでございますが、当該協議会は、このような意味におきまして直接の利害関係を有する者に該当するとは認められなかったために、これを却下したわけでございます。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 森林開発公団が一昨年十月に公表した「奥鬼怒林道環境アセスメント調査報告書」というのによりますと、奥鬼怒地域荒廃現況について「荒廃現況総括表」というものを作成しているわけですが、この表によりますと、山腹崩壊地は〇・四八%、渓流荒廃地が〇・六五%で、荒廃率は一・一三%となっているわけです。山腹崩壊地に関する林野庁資料でも、有林地で一・一七%、無林地で二・三八%となっているわけです。それから、当地域での別の調査によりますと、天然林で〇・一〇%、カラマツ人工林で一・一五%、平均で〇・三五%、こういう結果になっているわけです。  この奥鬼怒スーパー林道対象地域は一万ヘクタールと言われていますので、この荒廃率計算した荒廃地は百十三ヘクタール、百十七ヘクタール、三十五ヘクタールとなるわけであります。  昨年森林開発公団の出した「奥鬼怒林道環境アセスメント概要」によりますと、「これまで手の届かなかった荒廃地一千六百ヘクタールが治山工事対象となり、砂防工事も四十九ヘクタール、十二カ所程度工事が見込まれている。なお、この工事量は五十七年八月災害以前の資料であるため、今後大幅に増加するものと思われる」と書かれているわけです。これによりますと、荒廃率は一六%となり、しかもなお増大するということになってくるわけです。  このような保安林林道開設し、森林伐採すれば、保安林機能が低下するのみか、自然破壊招ぐことになるのじゃないか、こう思うわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  8. 秋山智英

    秋山政府委員 この地域は、先生お話のございましたように一万ヘクタールの森林面積がございます。崩壊地も各地域にございますが、これはむしろ林道を使って治山運搬道路としても利用できますし、また、森林施業を適正に行うことによって活性化することによりまして森林内容をよくするという面からいきましても、林道は今後の森林維持管理の上からも大事じゃないかというふうに私は考えているところでございます。
  9. 小川国彦

    小川(国)委員 実質的にはこのスーパー林道荒廃面積が一六%ということは非常に重大な問題で、それがなお増大していくというときにその保安林の中に広大なスーパー林道開設していくこと、そのことの荒廃の方がさらに大きな問題を引き起こすのではないかと私は思うわけであります。そのことはさらに今後ただしていきたいと思います。  もう一つ、国有林においては林道開設する場合には経済性試算というものが当然行われなければならないと思うわけですが、奥鬼怒スーパー林道についての経済性というものは一体どうなっているか。  私ども、この試算を独自に行ってみました。延長工事による伐採対象森林は九百三十ヘクタール、二十二万八千立米ということで、これは前橋営林局試算によります九百六十四ヘクタール、二十二万三千五百三十七立米とほぼ同じになっております。当地域水源涵養保安林国立公園地域制限林でありまして、標高も高いところなので、択伐率は三〇%、回帰年四十年の択伐天然更新によりまして森林施業を行うとすれば、平均年伐採量は千七百立米程度、あるいは低く見れば千五百立米程度ではないかと見られるわけであります。仮に立木の価格を一立米当たり一万二千円としても、二千万円程度収入ということになってくるわけであります。前橋営林局でも今後十年間の伐採指定量を二万三千二百四十七立米試算しているわけですが、これによりましても、平均年伐採量は二千三百立米程度で、立木売り上げ収入は三千万円にもならない、こういう状況であります。さらに、伐採後の森林保育費道路維持管理費考えますと、二千万ないし三千万円の立木収入では採算には合わないのではないか、こういうふうに思うわけであります。加えて、財政赤字に悩んでいる国有林がこの奥鬼怒スーパー林道に十三億六千七百万円の賦課金を負担する理由というのは一体何なのか。特に、国有林野事業改善特別措置法では林道開設等整備改善計画が定められているわけであります。  そういう点から考えてみて、一体これはいかがなものかと思うわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  10. 秋山智英

    秋山政府委員 林道効果につきましては、直接効果に加えまして、外部経済福祉水準向上というようなものがございまして、これらを含めまして投資効果を計測することは極めて困難な面があるわけでございますが、この奥鬼怒林道につきましては、その開設によりまして豊富な森林資源の適切な開発、それから先ほどお話がございました治山砂防事業の実施によるところの国土保全問題、さらには林産物市場拡大の問題、それから特用林産物生産流通増大等に係る地域の活力の増進が図られるということもございまして、私はこの林道開発効果というのは極めて大きいと見ているわけでございます。  直接効果としてさらに具体的に申し述べますと、森林所有者あるいは林業関係者の直接享受する便益でございますが、収穫可能森林増大、それから利用可能の資源がふえてくるということ、それから造林可能地増大治山事業の推進、さらには現地の山に行く場合の歩行労働の軽減、重労働からの解放の問題、さらには伐採搬出費低減等生産歩どまり向上、それから造林保育管理費等低減育林投資促進等があるわけでございます。  それに加えて、間接効果としては、林道整備されることによりまして造林事業治山事業森林管理適正化によるところの機能向上の問題、それから収穫収量条件改善、文化、物資の交流促進による地域住民福祉向上の問題、それから林業生産活動活性化地場産業創出等によりまして地域産業振興住民所得向上、それから木材あるいは地域産業市場拡大土地資源有効利用というふうな、いろいろな問題があると私は思うわけでございます。  したがいまして、私どもこういうものを総合的に判断して、効果が広く及びまして地域全体の林業あるいは山村経済振興につながるということで、これは私は極めて大きい効果があるというふうに考えておるところでございます。
  11. 小川国彦

    小川(国)委員 大変たくさんの項目を挙げられたわけでありますが、直接的に森林施業を行ったことによる収益、それから林産物売り上げによる収益、そういうものは具体的な金額としてはどれくらい見込めますか。
  12. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林の場合の伐採につきましては、御承知のとおり森林施業計画に基づきまして林道開設との関係を踏まえながら逐次実施してまいるわけでございますので、金額的に幾らかということは現在申し上げられませんが、五十八年から六十七年の十年間における伐採量につきましては、国有林で十万立方メートル、民有林で五万立方メートル、合わせまして十五万立方メートルが計画されておるわけでございます。
  13. 小川国彦

    小川(国)委員 その伐採による収益は、金額的にはどの程度に見ておりますか。
  14. 秋山智英

    秋山政府委員 それは時期的にいろいろと今後長期にわたってまいる関係もございまして、現在その収益につきましては出しておりません。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 事業を行う場合、まして事業団に行わせるような場合には、さらにその収益性というものも当然考え事業でなければならな。国が十三億六千七百万円出して、年間収益が二千万か三千万程度しか見込めないということでは、この林道自体林業施業の中でこれを設置していくという意義が極めて乏しいのじゃないかというふうに思われるわけですね。しかも、十万立米と五万立米と出されたなら、それの植林に要してきた経費を引いて、これで一体どれだけのメリット数字になるのか、これは見通しとして持っていなければならないはずですよ。
  16. 秋山智英

    秋山政府委員 これにつきまして相当長期にわたる伐採計画もあるものですから、また一方におきましてこのスーパー林道国有林民有林を通じました山村振興林業振興という関係がございますので、国有林収入収益以外の部分も大分ございますので、それとすぐ対比するのはいかがかというような感じがいたします。
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 こういう林道開設するというのには、当然それによる林業的な経済メリット考えておやりになっていると思うのですよ。まさか観光をお考えになって林野庁がこういう林道をつくって山を壊すということはないと思うので、やはり林業施行上のメリットというものが具体的な数字として示されなければならないと思うのです。国においてはどうか、民間においてはどうか、十年なら十年を展望した見通し数字を示していただきたい。
  18. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど申し上げましたように、林道開設効果は直接的なものと間接的なものとございますので、収入支出損益計算だけで採算性を求めるということではちょっと単純に過ぎますので、やはりそれ以外のものを含めたものを考慮しなければならぬわけでございます。非常に前提条件も多うございまして、事業効果計量的把握というのは難しいものであろうというふうに理解しております。
  19. 小川国彦

    小川(国)委員 限られた時間の中の審議ですから、この点については、数字が出てこないということは皆さん方が具体的な経済性メリットというものを林業の上からは見通してない、こういうふうに理解せざるを得ないのですね。もちろん間接的なメリットというのは私どもも認めますよ。しかし、直接的なメリットぐらいは具体的な数字でお持ちにならなければいけないのじゃないですか。
  20. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど触れましたように、林道効果によるところの伐採につきましては、この十年間以降におきましてもローテーションで回って収穫量が入ってくるわけでございますので、当面の部分だけの計算ではできがたい関係がございまして、現在それは出しておりません。
  21. 小川国彦

    小川(国)委員 これはやはり重大な問題だと思うのですよ。十年以後もあるというなら、まず十年間はどうなのかということなんですよ。これは数字をお示しいただけないですか。
  22. 秋山智英

    秋山政府委員 いろいろの前提条件がございますが、今後十年間の分につきましては後ほど計算をいたしてみたい、検討してみたいと思っております。
  23. 小川国彦

    小川(国)委員 その数字は具体的にいつごろ出せますか。
  24. 秋山智英

    秋山政府委員 できるだけ早くやりたいと思います。
  25. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、できるだけ早くということに期待をいたしまして、私は、皆さん方が少なくともこの国会の開会中にはこれに対する具体的な数字を示されるように、次の機会にまた伺いたいと思います。  それから先ほどの水源林利害関係人の問題ですが、直接利害関係者というのは、私はやはり国民ではないかというふうに思うのですね。水源林などの森林整備のために必要な経費受益者が分担するという方式については、今度の林野法の一部改正でも分収育林という形で、広く国民に、森林資源を守りたい、こういうことでもう全国民に向けて林野庁が呼びかけるわけでございますね。そういうふうにして考えてみれば、この奥鬼怒森林に対する関心を持つ国民は直接利害関係者だと私は思うのです。  林野庁は既にそういう考え方で今度の林野法の一部改正も出しているわけですからね。そういう分収育林国有林皆さんが参加してください、この山でもどこの山でもいいですよということで、これは広く国民全体に呼びかけている。そういう立場から、利害関係者というものを非常に狭く限定するということはおかしいのではないですか。
  26. 秋山智英

    秋山政府委員 意見書提出との関係でございますが、水源涵養保安林におきましては、水源涵養機能あるいは洪水防止機能に資することを目的としているわけでございますが、この協議会は、保安林下流域におきまして事業も営んでおるわけでございませんし、財産も一切有していないことから、私どもとしましては、直接の利害関係者とは認められないわけであります。  また、当該保安林の一部が先生お話しのとおり保健保安林になっていますが、レクリエーション利用という公衆の保健休養に資することを目的としているわけでございますが、協議会国民全体の一員としてこの保健保安林利益を受益していると主張されておりますけれども、この利益というのは一般的な利益でございまして、個別具体的な利益とは言えないわけでございますので、私ども、これにつきましては直接の利害関係者とは認めていないわけでございます。
  27. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、この際、林野庁の頭を切りかえてもらいたいと思うのです。国民の海とか国民の山というのは、国民全体の共有財産なんですよ。よく海を埋め立てるときに、海はそこで漁をしている漁民だけのものだ、漁業補償を行えばその埋め立てをしてもよろしいというふうに考えるのですが、そうじゃなくて、海は漁師が魚をとる場所とはしているけれども、その海は後背地に住んでいる住民にとっては、乾湿のいろいろ気候的な機能を果たす干潟であったり、あるいはまた国民がそこで海水浴をしたり釣りをしたり、海は国民各層共通財産なんですよ。  それと同じように、国有林の山もそこで森林伐採して利益を受ける者もあるでしょうし、そこに入山させてもらえる人もあるだろうし、登山をする人もあるだろうし、あるいは健康浴林をさせてもらう人もあるだろうし、あらゆる国民共有財産だと思うのですよ。皆さん方が、そこで事業を営んでいるか財産を持っているかというようなことだけで、そういう人たちだけの利害関係を持つ山だというように考えていたら、それは林野庁がこれからやろうとしているいろいろな分収育林事業などから考えてみても、国民共有財産だという考え方前提にきちっと持ってもらわなければならない。そういう人みんなが山に関心を持ち、理解を持ってもらうという立場に立つならば、利害関係人というものをそういうふうに限定するというのはおかしいと思うのです。
  28. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもこの意見書提出を限定するゆえんのものは、あくまでもその処分の適正を期するという観点から行われる性格のものであるというふうに理解しております。したがいまして、当該処分に直接利害関係を有する者に限定していくということで私ども進めておるところでございます。
  29. 小川国彦

    小川(国)委員 処分の適正を期するとおっしゃいますけれども、私は皆さんが公聴会を開いて意見を聞くということは、国民の権利に対して大事なことだと思うのですよ。林野庁がこういう事業を行おうというときに、それに対して意見書が出されたら、あなた方はどういう見解を持っているのかということを、国民のどういう層であれ、公聴会を開いて意見を聞く、こういう姿勢を持っていなければいけないんじゃないか。利害関係人というものを皆さんのように非常に狭い範囲の事業的な、林業施業の上で商売的につながっている人だけが関係者だ、こういう狭い考え方で事を行うべきではないんではないか。こういう点は国民に広く門戸を開放して、林野行政に対する意見は謙虚に聞く、こういう意味で、やはり公聴会を開いて意見を聞くという見識のある姿勢が必要なんじゃないですか。
  30. 秋山智英

    秋山政府委員 現在の法制度の建前では、重ねて申し上げて恐縮でございますが、ただいま説明したような形で、私どもは直接利害関係を有する者に限定して聞いていくということで今後とも進めていきたいと思っております。
  31. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、分収育林なんかもあなた方は利害関係者だけでやっていこうと考えているのですか。
  32. 秋山智英

    秋山政府委員 分収育林をいたしますと、その人たちはその森林につきまして共有ということで森林所有者の一員に加わるわけですから、おのずとそこでは内容は違ってくると思います。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 いや、その対象はどういうふうに考えていらっしゃるかということなんです。
  34. 秋山智英

    秋山政府委員 これは広く国民皆さん対象にして緑資源の確保の重要性、さらには森林造成についての理解を深めるために広く募集をしてまいりたいと思っております。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 その姿勢が矛盾するわけですよ。ですから、私は、その点は今後林野庁としてもそういう姿勢を改めてもらいたいということを、この際きつく反省してもらいたいということを指摘しておきたいと思います。  それからさらに、保安林整備の問題について、保安林の中で一番大きな分野を占めておりますのが水源涵養保安林でございまして、これが五十七年一二月現在でいきますと、五百五十八万ヘクタールで、全保安林の七四・一%というものを占めているわけでございます。しかしながら、この水源涵養保安林に対する当局の施業制限が非常に緩やかでございまして、届け出をすれば皆伐もできる、こういうことになっているわけです。しかも、その水源酒養保安林については、二十ヘクタール以下の皆伐ならば認められるということになっているのです。これは非常に甘い基準じゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  36. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林につきましては、今先生お話のございましたように、指定施業要件を定めまして伐採等に制限をしているわけでございます。水源涵養保安林と申しますのは、その流域の中におきまして全体の洪水防止、流量調節をするということでございますので、その流域の中での一定の伐採面積を規制するという考え方からいろいろの制限がなされているわけでございますが、皆伐の場合におきましても皆伐できる面積、それから一カ所当たりの限度面積を定めまして、その流域全体としましての貯留能力を低下させない、やはり保安林指定しますと森林所有者にそういう制限を課するということで、林業経営上いろいろと制約を受けるわけでございますので、やはり最小限にしていくという考え方がございます。  しかしながら、一方におきまして、水源涵養保安林といたしましても林況が粗悪であるとか、あるいは伐採方法を制限しなければ機能の低下を来すという場合には択伐という指定もしておりますし、また場合によりましては、その度合いの高いときには禁伐というふうなことも措置しておりますが、全体的に流域全体でこれを調整しながら、その機能目的を果たすような形で私ども指導してまいっておるところでございます。
  37. 小川国彦

    小川(国)委員 それからもう一つ、さらに国は国有林水源涵養保安林において千六百メートル以上の亜高山帯等については、今度は五ヘクタール以内という規制を行っているわけです。しかも、これを続けて伐採してはいけない。五ヘクタールでも続けてやってはいけない。しかし、二十年以上の木のあるところでは、三十メートルから五十メートルの保護樹帯をつくるということで、その保護樹帯をつくれば五ヘクタール、保護樹帯を二、三十メートル置いてまた五ヘクタール、こういうふうに認めているわけですね。ところが、所によってはその五ヘクタールが広大な面積になってしまって、その地域一帯では百ヘクタール近くにもなってしまう。結局、五ヘクタール、保護樹帯、五ヘクタール、保護樹帯、二、三十メートルの保護樹帯が入っていくわけですが、そういう五ヘクタールずつやっていったその間に挟まれた保護樹帯というのは皆枯れていってしまう。百ヘクタールの伐採を認めたのと同じようなことになっている事例が見受けられるのですが、こういう保護樹帯は果たして役割を果たしているのか、この点はいかがですか。
  38. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林におきましては、今先生からお話がございましたように、実質的に面積を五ヘクタール未満というふうに制限いたしまして、保護樹帯をとるとかあるいは市松模様のように伐採箇所を分散するとかしておりまして、保護樹帯の場合には、それがあることによりまして伐採した跡地の造林が成長するまでその機能を果たさせるということでやっているわけでございますので、私はやはりそういう取り扱い方でいくことが水源涵養保安林としての機能のためにも大切ではないかというふうに考えているところでございます。
  39. 小川国彦

    小川(国)委員 ところが、具体的な事例として、奥鬼怒国有林の現状の中においては、今申し上げたような保護樹帯が皆枯れてしまうという問題が発生しているわけです。  これは、今市営林署管内にあります奥鬼怒国有林、通称馬坂団地あるいは黒沢団地と呼ばれているところでございますが、ここではいずれも五ヘクタール以内ということで皆伐を行って、隣地には必ず保護樹帯を残すという手法で行われたわけでありますが、現実には三十メートル程度の保護樹帯は次第に細くなって、皆伐跡地は不成績造林地の様相を呈して、部分的には崩壊地が発生している。馬坂団地の実態は、五ヘクタールの皆伐地が何十何百とつながった形になって、結果的には数百ヘクタールの皆伐を認めた、こういう現象を起こしているわけですが、こうした点についてはどのように掌握されておりますか。
  40. 秋山智英

    秋山政府委員 馬坂団地につきましては、面積はたしか六千三百九十九ヘクタールで、ほぼ全域に相当する六千三百二十一ヘクタールが水源涵養保安林指定されているというように理解をしております。  第四次の日光の地域施業計画、これは日光施業計画区に入っているわけでございますが、この第四次の計画におきましては、択伐が千四百三十三ヘクタール、皆伐が六百四十八ヘクタール指定されております。皆伐につきましては、一カ所当たりの面積指定施業圏の五ヘクタール以内ということで決められておりまして、施業に当たりましては、現在保安林機能の確保に努力しながら育林をしておるところでございます。  保護樹帯の現状につきましては、私は現地を見ておりませんので何とも申し上げられません。造林地そのものの育成のために保護樹帯が役立っておるのではないかというふうに私は概念的には理解しますが、現地を見ておりませんので、具体的なことについてはちょっと言葉を差し控えさせていただきたいと思います。
  41. 小川国彦

    小川(国)委員 この点もぜひ現地をごらんになって、適切な対策というものをお考えいただきたいし、保護樹林帯のあり方というものを再検討する材料にしていただきたいと思うのです。  さらにまた、具体的な事例として、奥日光の西ノ湖における水源涵養保安林のあり方について伺いたいと思うのです。  この奥日光の西ノ湖というのは、朝日新聞によって日本自然百選に選ばれた、自然美を誇る景勝の地であります。この西ノ湖の上流一帯が水源涵養保安林、そして国立公園に指定されているわけであります。ところが、この西ノ湖には、水源涵養保安林伐採のために流れ出た水が三右工門川を経て西ノ湖に流入しているわけなんです。この水源涵養保安林伐採によって山が荒廃し、雨が降ると土砂が三右工門川から西ノ湖へ流れ込んで、堆積した土砂によって西ノ湖の湖水が埋められてしまっている。湖水の水が著しく減少しているという状態を起こしているわけです。  この西ノ湖というのを見ますと、やはり水源涵養保安林機能というものをもっと大切なものとして考えていかなければならないんじゃないか、そういう事例としてこういうものを見受けるわけでありますが、この点については御検討なさっておりましょうか。
  42. 秋山智英

    秋山政府委員 西ノ湖地区でございますが、これは六百六十五ヘクタールございまして、ほぼ全域でございます六百六十二ヘクタールが先生お話し水源涵養保安林になっておりまして、うち百九ヘクタールが保健保安林の兼種になっているわけでございますが、先ほど申し上げました第四次の地域施業計画におきましては、これは伐採を一切計画しておりません。ここにつきましては四十八年度以降伐採はやめております。  それで、現在ここは人工林につきまして間伐、この間伐は保育のために、森林をよくするためにどうしても必要な間伐でございますので、これは第四次の計画では十二・七五ヘクタールを計画しておりますが、間伐以外の主伐については一切やめております。それから保育は当然のことながら計画をしているということで、内容整備に現在努力いたしておるところでございます。
  43. 小川国彦

    小川(国)委員 これは四十八年以降はやめている。ただ、間伐十二・七五ヘクタールというのは、今後の予定でございますか。
  44. 秋山智英

    秋山政府委員 現行の計画では十年間で十二・七五の間伐をやる、こういうことでございます。
  45. 小川国彦

    小川(国)委員 現地を説明できる写真をきょう私は手元に持ってこなかったのでありますが、これは皆さんの方もぜひ現地をごらんになっていただきたいと思うのです。十年来やめているというのでありますけれども水源涵養保安林がその機能を発揮しないとこういう状態が起こるのだなということがこの西ノ湖には象徴的にあらわれておりますので、その点を皆さん方にも検討をいただきたいというふうに思います。  さらに、政府は五十九年度で、民有保安林を買い入れして、保安林整備計画というものに三億五千万計上しております。しかし、これは年々買い入れ面積が減少してきておりまして、そういう際に、自然破壊とも思われるようなスーパー林道の方に十億円もかけている、こういうのはちょっと矛盾しているのではないかと思うのですね。五十九年度は保安林の買い入れが三億五千万。一方、スーパー林道に十億というのは、そういうお金があったなら保安林の買い入れにそういう予算をもっと回すべきではなかったのかと私は思いますが、いかがですか。
  46. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林内容整備につきましては、一般民有林につきましては、これまで保安林の改良事業であるとか、重要水源地域の総合治山事業であるとか、治山事業水源林造成事業、いろいろの方策助成をしてまいっておりまして、内容的に奥地の保安林整備されてきておりますことは、私どもはそれなりの治山行政の成果だというふうに考えております。  現在、私どもといたしましては、極力厳選をいたしまして保安林の買い上げをしておるわけでございまして、民有のままで保安林内容整備できるところはそういう形で伸ばしていきたい、そういうことで、今後も治山事業といたしましては、水質保全モデル強化事業であるとか重要水源地域の総合治山事業であるとか、そういうふうな総合的な中で複層林を造成しながら、あるいは治山施設を実施しながら内容を高めていくということもこれからさらに進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 時間がございませんので、保安林についての問題については後ほどまた大臣に伺うことにしまして、林野法の一部改正の問題について二、三点伺いたいと思うわけです。  新しい分収育林国有林の中に取り入れていくということは、今後とも林業経営をめぐる環境というものが非常に悪化していく、そして経済的にも労務の確保についても非常に不安があるのではないか、将来何らかの経営上のトラブルが発生するおそれがあるんじゃないか、こういうことを私どもは懸念するわけであります。  これまでの二十年間におけるヘクタール当たりの国有林の造林費というのは十六倍になっているわけなんですが、立木価格というのは二・二倍にしかなっていないわけです。昭和三十六年に八%だった造林投資が四十六年五%台、五十六年には三%になったというような状況です。一方、昭和五十六年ごろからの主伐収益というのですか、これを見ると、杉の四十五年生で六百万円。ところが、昨年はこれは四百万円台に下落している。杉の四十五年生というのは未成熟木ですから、良材より二、三割安。それからまた、国有林の人工造林面積、五十七年度で三万八千五百ヘクタールですか、この中でもヘクタール当たり立木の販売収入が五十万円以下のものが約七千ヘクタールですか、二割ぐらいに上っているわけですね。これを見ても、いかに林業収入というものが落ち込んでいるか、かかる状況があると思うのです。  そういう中で分収育林というものを国民に呼びかけていくということになるわけですが、この場合、費用負担の契約をお互いにやっていくわけです。しかし、この費用負担の契約が費用負担者の一方的な不利になるおそれはないか、国民の方がですね。費用負担者は林業上の知識が乏しいわけですし、費用負担者の立場を代行する意味で第三者機関によって立木の評価とか費用を算出する必要があるんじゃないかとも思うのですが、この点はいかがですか。
  48. 秋山智英

    秋山政府委員 分収育林につきましては、経済的対処というより、むしろ森林資源、緑資源の確保に国民的参加をいただくということで特に進めておるわけでございますが、分収育林対象林分は、現在考えておりますのは杉、ヒノキの二十一年生ないし三十年生の山でございまして、一応成林の見通しがついた山を対象としているわけでございます。  これから二十年、三十年という伐期まで管理経営するわけですが、これは国が責任を持って管理経営するわけでございます。ただ、これはやはり将来の労賃、物価、木材価格の変動というのがございますので、見通すことは非常に難しいわけでございますけれども森林の持っています価値というのは、世界的な地球レベルで見てまいりますと、先生御案内のとおり、中長期では世界的にも木材資源が不足する、不足物資であるというふうな見通しもございます。そういう中で国内資源をここで鋭意整備充実するということは非常に大切なことでございますし、適切な管理、これからどちらかと申しますと間伐を中心とした管理になるかと思いますが、そういう立派な管理を通じまして、参加された方々に立派な森林を十分伐期には供給できるような形に持っていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 時間がございませんのではしょりまして、国有林の特別措置法との関係をただしたいと思うのです。これは残り時間が限られておりますので、大臣にもこの点はお聞きをいただきた。  保安林荒廃している状況、買い上げ状況がもうずっと面積が少なくなってきている、一般会計から投入するにしても、国有保安林というものを指定しつ放しじゃなくて、そこの植林というものをきちっと行っていく、本来的な保安林機能を発揮させるようにする、こういうことについても一般会計の中で見ていかなければならない問題があると思うのです。  これについては、大臣、どのように考えておりましょうか。こういう保安林整備のために財政的な、もっと一般会計から特別会計に思い切って財源を考えていく、こういう点についてはいかがですか。
  50. 秋山智英

    秋山政府委員 事務的なことを申し上げたいと思います。  先生御承知のとおり、五十三年以来経営改善に取り組みまして、保安林の造林であるとか、あるいは治山事業につきましては全額でございますが、一般会計からこれを導入しているわけでございます。さらにまた五十八年から、森林管理するための林道の災害についても一般会計で見てもらっているわけでございます。非常に国家財政が厳しい中でございますけれども、私ども自主的な努力を十分やりながら、また一般会計からもそのような措置をしていただきながら経営改善に取り組んでいきたいということで、これからも積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  51. 山村新治郎

    山村国務大臣 今お尋ねになりました保安林の造林、これにつきましては、今一部一般会計からの繰り入れということでございます。そしてまた、このたびの国有林野事業改善特別措置法改正案におきまして六十八年度まで延長して実施をしていくということにはなっておりますが、我々といたしましては今度ともますます予算の方はふやしていかなければならないし、私もふやす方で一生懸命努力してまいります。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 国有林の中で保安林というのはそれぞれ国家的な保安機能として要請される面が多いわけですから、そういう大臣の姿勢でさらにお取り組みをいただきたいと思います。  最後に、国有林特定分収事業を行うわけでありますが、これは経過的な措置と考えているのか、恒久的な措置として考えているのか。  それから、国有林の資金コストという面で考えますと、分収事業よりも金融的もしくは財政的措置の方が有利なのではないかと考えられるのです。当面借りやすいところから借りるという態度で特定分収事業を進めても、将来分収時点において国有林収入が半減して、国有林の再建計画に影響が出てくるのじゃないか。しかも、高伐期まで持っていれば高い収益を上げられると予想される優良な林野において契約のために途中で処分するというのは、やはり経済的に不利益になるのじゃないか。その上、売上高が半分になる。これは将来の国有林の収支の改善に支障が起こってくるのではないか。  そういう面からは、もっと抜本的な国有林野の会計に寄与する方途というものを探っていく必要があるのではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  53. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども収育林の制度をこれから進めていくに当たりましての主たるねらいは、先ほど申し上げましたとおり、国民皆さん国有林の緑資源の造成に参画していただく、そういうことが主たる目的でございますので、私どもはこれは恒久的にやってまいるつもりでございます。  ただ、戦後植えました造林地が非常に多うございます。したがいまして、二十一年生ないし三十年生前後の山というのが現在非常に多いわけでございますので、当面この面積がふえるとは思いますが、やはり考え方としましてはこの緑資源の造成確保に御理解をいただくというところにポイントがございますので、恒久的にやってまいりたいと思っております。  なお、私ども収入については平準化を図るということも極めて重要でございますが、そういう意味においては二十年、三十年というところで収入を得るということも一つの方策として我々の収入確保の一助になるというふうにも理解しております。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 地方自治体の実績を見ますと、島根県の布施村とか熊本県の菊池市とか新潟県の赤泊村とか、全国至るところで実施しているのですが、ヘクタール当たりの収入というものから見ると、とても期待したようなものが得られな。集めた資金から見るとその何分の一でしかな。国の方で考えてみましても、一説によると、何か昭和七十年までに二千億円を期待しているという説があるのですが、二千億円というふうにして考えると、一口五十万円としても四十万口、四十万人の契約をしなければならな。これまでの地方自治体がやってきている事例を見ても、五千六百九十七口で九億二千万程度平均で見ると一口平均十六万円というのが民有林での実績なんですね。これを国有林特定分収で行うということになれば、造林公社でやってきたものにも影響を与えるであろうし、それからもう一つは、二千億円考えていらっしゃるかどうかわかりませんが、仮にそれを五十万円としても四十万口集めるというようなことはとても考えられな。財政援助を求める一つとして期待するのにはちょっと厳しいのではないかというふうに判断されるのですが。
  55. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもの育林分収の主たるねらいは先ほど申し上げましたとおりでございますが、そこで、私どもまずは五十九年におきまして一営林局で一ないしニカ所、北海道を除きまして本州、四国、九州の営林局でやりまして、その中におきましてこの育林分収の対象となる林分の選定をする。これは交通の便利なところでなければいけませんし、奥地の水源地帯は適当でございませんし、それから地元との関係も調整をしながらその地域選定をしていかなければならぬわけでございますので、五十九年の実行を踏まえて今後の計画を立ててまいりたいと考えているわけでございます。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、最後に農水大臣に。  国の林野事業の財政というものは、先般の公聴会におけるいろいろな意見を見ましても、国の林野事業重要性というものは非常にいろいろな角度から高まってきている。そういう面で、一兆円をことしは超えるであろう赤字をこのまま特別会計の中で抱えていくということは、今後国の林野資源森林資源を守っていくという面では非常に重大な問題として残されている。これを棚上げしていくという考え方もある、あるいはこれを国の出資に切りかえていくという考え方もある。そういう形にしなければ今後の国の林野事業を維持していけない、こういう状況に立ち至っているのではないかというふうに思うのです。思い切った国有林事業改善のための方策というものをぜひ大臣においてもこの在任中にお立ていただきたい。  ひとつその決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  57. 山村新治郎

    山村国務大臣 今先生おっしゃいましたように、確かに林野というものは、これはいわゆる国土の保全水資源涵養、ただ単に木材資源を供給するというものではなくてこれは国家的なものであるということで、一林野庁ということだけではなく、農林水産省はもとより、国を挙げてというような姿勢で取り組んでいかなければならないものだ、そういうぐあいに自覚しておりますし、その方に向かって努力をしてまいります。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 質問を終わります。
  59. 阿部文男

    阿部委員長 日野市朗君。
  60. 日野市朗

    ○日野委員 まず大臣に伺いたいのですが、今日本の緑を我々が確保し、緑資源をさらに拡大していくということは非常に大事なことであろうと思います。この緑資源を確保していくということは、単に日本ばかりではございませんで、全地球的な規模で緑の破壊が進んでいるということが各方面から識者によって指摘されているところでありますし、残念ながら日本もその緑資源の破壊には日本の企業などを中心にして随分責任があるということも言われております。  何か話に聞きますと、東南アジアあたりの熱帯雨林、ここいらがかなり資源状況が悪くなってきている。それからアマゾン川流域あたりのあの広大な樹林、あれも空から見れば一応緑には見えるけれども、あのジャングルに入ってみると、ジャングルはもう昔日の面影はないんだというようなことすら言われて、我々は環境の問題、空気の中の酸素の含有量なんていうものを考えてみると、これは非常に大変なことだというふうに思わざるを得ないわけでございます。日本においても緑の重要性、これが大事でありますし、それから森林が持つ機能というものを非常に重要視しなければならないというふうに思っております。そこで、林政審答申なんかでも国有林事業の使命を論じております。私今さらここで申し上げるまでもないことでありましょうが、林産物の計画的、持続的な供給、それから国土の保全水資源涵養、自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等の森林の有する公益的機能の発揮、国有林野の活用、国有林事業の諸活動等を通ずる農山村地域振興への寄与など、国民経済及び国民生活の上で重要な使命を担っているという指摘がございます。私は、この指摘自体は妥当なものであろうと思います。大臣、いかがでございましょう。
  61. 山村新治郎

    山村国務大臣 今先生おっしゃいましたように、世界的にも緑の資源が失われている。そしてまた国内においても失われておる。しかしまたその上に、中長期的に見れば、木材資源、これはかなり苦しいものになってくるだろうということも言われております。  国有林事業国民経済及び国民生活の上での重要な使命を担っておるということを自覚しております。そしてまた、このような国有林事業の重要な使命につきまして、私としても十分にそれを認識し、今後の経営改善の実施過程においてもこの使命の達成ができることに遺憾のなきような努力を重ねていきたいというぐあいに思っております。
  62. 日野市朗

    ○日野委員 今大臣お答えになりましたが、一つはやはりこういう緑資源森林資源の確保ということ、これは破壊が異常な速さで進んだというようなこともございまして、今緊急性というものも必要であろうかと思うのですね。これは緊急に森林整備を進めなければならな。この緊急性についてはいかがお考えになりますか。
  63. 秋山智英

    秋山政府委員 我が国の森林内容を見てまいりますと、既に人工林が一千万ヘクタール、全体の森林の四割に達しておるわけでございますが、これはやはり戦後の造林に係るものが多うございまして、やはり八割近くが三十五年生未満である、間伐時期に到達している林分が非常に多うございますので、私どもとしましては、植えられた森林がやはり適正に管理され、いい状態で育成されるところに最重点を置いた森林造成にまずは力を注いでいかなければならないというように考えております。
  64. 日野市朗

    ○日野委員 何しろ、これは緊急に整備するといっても木のことでございますから、一朝一夕に成長するわけでもございません。かなり長い整備の期間というものが必要なわけでございます。そうしますと、これはかなり長い期間がかかるということから長期的に目標を設定して計画的にこれを行っていかなければならない、このことが必要であろうというふうに思います。この点についていかがでしょう。
  65. 秋山智英

    秋山政府委員 先生お話のとおりに、森林の造成につきましては長期計画に基づきまして進めてまいることが一番大事なことでございまして、現在「森林資源に関する基本計画」というのが私ども森林資源整備基本計画に相なっているわけでございます。この基本計画に基づきまして段階的に伐採をし、また造林をする、絶えず活力ある状態で森林が回転していくような、そういう施策をやっておるところでございます。
  66. 日野市朗

    ○日野委員 今「森林資源に関する基本計画」のお話が出ましたので、この点について伺っておきたいと思います。これは昭和五十五年の五月二十三日の閣議決定によるものであるというふうに私理解をしておりまして、その後着実に基本計画に沿った事業が進められていなければならないというふうに理解をいたします。  それで、この基本計画の内容について若干伺いたいと思いますが、基本計画の中の非常に重大な眼目の一つは、森林資源整備の目標を立てまして、それに近づけていくということであろうかと思います。何しろこれは木のことですから、かなり長い時間をかけての計画でありますから、昭和百一年度まで区切ってやっているようであります。それで、昭和五十一年の現状をまず現状として踏まえているようでございますが、その後の整備事業の推移から、現状として、人工林、天然林面積がどの程度までふえてきているのか、それから人工林率はどうなのか、年間伐採量はどうなのか、五十五年以降現在までの様子、ひとつこれをお知らせいただきたいと思います。
  67. 秋山智英

    秋山政府委員 先生御指摘の「森林資源に関する基本計画」は、五十五年の閣議決定であるわけでございますが、その基礎になっておりますのは、お話しのごとく五十一年の数字、これが基準年度でございまして、五十七年度までの七年間の実績で見てまいりますと、伐採量につきましては、年平均四千九百万立方メートルでございますが、五十一年が四千五百、五十二年が四千五百、五十三年が四千三百、五十四年が四千三百、五十五年が四千三百、それから五十六年が四千万、五十七年が四千万ということで、計画に対しまして〇・八七の割合になっております。  それから次に造林でございますが、造林は、御承知のとおり拡大造林と再造林とございますが、それをまとめて申しますと、この計画におきましては二十二万五千ヘクタールの年間平均でございますが、これにつきましては、五十一年が二十一万二千、五十二年が二十万二千、それから五十三年が十九万、五十四年が十七万八千、五十五年が十六万四千、五十六年が十五万六千、五十七年が十五万二千と、最近少し低減しておるわけでございますが、トータルでまいりますと、計画に対しまして八〇%の実行率ということになっておるわけであります。
  68. 日野市朗

    ○日野委員 人工林率はおわかりになりませんか。
  69. 秋山智英

    秋山政府委員 人工林率、現在三九%でございます。
  70. 日野市朗

    ○日野委員 この計画を見ると、特に造林が計画に対して八〇%ということでございまして、これはいささか気になる数字なんでございますが、これはどういうことだったのでしょうか。造林というのは、森林資源整備し、確保していくということになるとやはり基本的な事業であろうというふうに思うのですが、これのおくれというのは非常に気になるのですが、いかがでしょう。
  71. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど、拡大造林と再造林というふうに分けましてトータルを申し上げたわけでございますが、これは拡大造林と再造林と分けて見てまいりますと、拡大造林が計画に対しましては八三%、それから再造林が六八%と非常に落ちておるわけでございますが、特に最近再造林が落ちてまいっておりますのは、やはり木材価格の値下がり等もございまして、切り控えと申しますか、伐採を少し先へ延ばしているというふうなことがあるかと思います。  それから拡大造林につきましては、若干落ちてきていますが、これは伐採対象地域がだんだん少なくなってきているということと、それからまた、里山地域ですと入会林野等は権利関係等がございましてなかなか造林が進められない、そういうふうなことが原因の一つになっているかと思います。
  72. 日野市朗

    ○日野委員 この「森林資源に関する基本計画」はまさに基本計画であって、これは、これからの長期の日本の森林資源整備のために非常に重大な計画であろうというふうに私は思うのですが、そういうふうに造林関係が落ちてくるということになりますと、これは若干手直しをしなければならないのではなかろうかという感じもしますが、その点はいかがなものでしょうか。
  73. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、現在の森林林業関係をめぐる情勢というのは、ある意味におきましては非常に変革期に来ているのではないかというふうな分析をちょっとしておりますが、これにつきましては、情勢分析をしながら今後さらに検討してまいりたい、かように考えております。
  74. 日野市朗

    ○日野委員 特に林野庁あたりは国有林野の財政問題でさんざんいじめ抜かれて非常にお気の毒なんですが、財政問題のかぶりがこういう造林事業等の低落傾向に入っているとしたら、これはやはり大変な問題だというふうに思うのですが、そこいらはどうお考えですか。
  75. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林につきましては、計画どおりにほぼ実行されております。
  76. 日野市朗

    ○日野委員 では、若干問題を変えて別の方向からちょっと伺いたいのですがね。  山が、今伺ったお話の中でも整備計画どおりにはなかなかいっていないという現状がわかったわけですが、更新をしなければならない面積というものは今どのくらいになっておりますか。
  77. 田中恒寿

    田中説明員 国有林につきまして概数を申し上げますと、大体、年間の新植面積が約三万五千から四万近くを新植いたしております。現在の更新期間、更新期間と申しますと伐採に着手いたしましてからその林地が再び造林されるまでの期間を申しますけれども、それが一・八年程度の更新期間になっておりますので、大ざっぱに言いまして二を掛けますと現在の要更新面積が出てくる。大きく見ますと、八万ヘクタールまでにはならないだろう。七万から八万ぐらいのランニングストックを持っておるという状態でございます。
  78. 日野市朗

    ○日野委員 あなたが今八万とおっしゃった。これは新植を要するのが三万五千から四万で、二を掛けて八万をとられて、更新の必要な面積は今大体そのくらいだと言うのですが、そうすると、その更新期間内にこれをどんどん先に進めていく、スピードアップをしていくという考え方よりも、どうも後ろの方に偏っているような印象をふらっと受けたのですが、そんなことはございませんか。  それから、これだけ更新面積を抱えておって、これに対して適切な手は打たれているのでしょうか。
  79. 田中恒寿

    田中説明員 伐採が終わりましてから、労務等が順調にまいりますと、なるべく早く地ごしらえ、造林と取りかかりますのがいろいろな雑草、灌木等の繁茂を抑えまして望ましいことは御存じのとおりと思いますけれども、やはりいろいろ労務の調達その他がありまして、常時ある程度の在庫的な事業量を持っておるというのが一般でございます。  昨今のように木材関係の情勢が悪くなってまいりますと、どうしても造林意欲が落ちる等もありまして、多少は更新期間が延びるような傾向が一般的でございますけれども国有林の場合は割合に体制も整備しております。多少の苦しいところはございますけれども、極力更新期間を延ばさないように最大限努力をしております。適正とまでは申し上げられないかと存じますけれども、一・数年、二年までの範囲内であれば大体妥当な更新期間ではなかろうかというふうに考えております。
  80. 日野市朗

    ○日野委員 私から申し上げるまでもないのでありますが、木を切って放置しておきますと、山というものはどんどん荒れてしまうわけですね。植生なんかもすっかり変わってくるということは、私から指摘するまでもないのでありましょう。そういうことになるとますます、例えば新植をするにしても、その地ごしらえも手間暇がかかる。そして、新植をしても他の植生に負けてしまうというようなことがいろいろありますので、こういうことをほうっておくということは決して好ましいことではないと思うのです。  特に、この間の参考人の意見の中にもありましたけれども、やはり林野庁というのは、山に関しては技術を集積し、人を集積し、組織を集積してやっているわけでありますから、こういうのはおくらせないでどんどん進めるという姿勢が根本的に必要ではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  81. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、できるだけ早く更新をするようにこれからも努めてまいりたいと思います。
  82. 日野市朗

    ○日野委員 後で聞こうと思ったのですが、どうも気になるのでここで聞いておきますが、更新がおくれぎみだというのはどういう点に根本的な問題がありますか。金ですか、人ですか。両方ですか。
  83. 田中恒寿

    田中説明員 国有林事業の運営は、御案内のとおり自己資金と財投それから一般会計資金によって運営をいたしておりますが、現在の木材不況によりまして自己収入にかかわる分がなかなか予定どおり収入が上がらない、財政上非常に苦しい事情がございます。金という御質問でございましたが、そういう財務運用上の非常に苦しい資金繰りも一部は影響をいたしておるわけでございます。やはり一番大きい原因と申しますと、それはそういう財務上の資金事情によるものでございます。
  84. 日野市朗

    ○日野委員 国有林というのは必ずしも金がもうかることばかりやっていればいいというわけではございませんね。生産を上げてそこから収益を上げることも必要でありましょうが、それと同時に、さっきの林政審答申も指摘しているような公益的機能などの重要な使命を持っているわけでありますから、金を出す側の大蔵省は厳しいでありましょうけれども、その点はきちんとする必要があると思うのですが、大蔵省も呼んでおけばよかったですが、大臣、どうお考えになりますか。
  85. 秋山智英

    秋山政府委員 やはり私ども林業経営の基本は造林でございまして、極力更新期間を短縮して新植を早くするということは大事でございますので、私どもこれからも極力この資金の確保に努力してまいりたいと思います。一・七ないし一・六、五十七年度一・八で来ていますが、これはやはり短縮することが大事だと思いますので、先ほど申し上げましたように、これを縮める方にはさらに努力を重ねていかなければならぬと思っております。
  86. 日野市朗

    ○日野委員 これは植林をするということと、それからその後下刈り等の保育をしていくという、手間も金も人も必要だという、非常に苦しい作業をしなければならないわけでありますが、私いろいろな資料を見ておりまして、人工林施業から天然林施業への移行というのが割と多いような気がしてしようがないのです。人工林として手をかけてやっていくということから撤退して、そして安易に天然林という方向に逃げ出しているような感じがするわけでありますが、この天然林施業に移ったその実績は、五十八年度どの程度やっておりますか。
  87. 秋山智英

    秋山政府委員 人工林から天然林に移るというお話でございますが、これは例えて申しますとカラマツの人工林の植栽、特に北海道等で例を申しますと、その中にカンバ類が入ってまいっておりまして、将来森林として仕立てるにはカンバとカラマツを両方を混交林に仕立てていく方がよいのではないかというふうなものは、人工林から天然林施業と申しますか、そういう方に移行さしておるわけでございまして、決してこれは放置しているわけではございません。  ただ、この森林はどうして発生したかと申しますと、昭和三十年代から四十年代に非常に高海抜地域まで伐採した経緯がございまして、そこに造林したところにそういうふうな天然が入ってきたというのがございますし、それから層雲峡の大風倒木の跡地にカラマツ、トドマツ等を植えた後にエゾマツその他が入ってまいりまして、両者をあわせながら混交林をつくった方がベターであるというようなこともございまして、昭和三十年から四十年ぐらいにかけまして積極的に行われました拡大林地の中にそういうふうな取り扱いをした方がよいというようなものがございまして、それを移行させておるというようなことでございます。  そこで、最近数年の平均ですと、六千ヘクタールから七千ヘクタール程度面積がそういう対象になっております。これは全然木が立ってないということではございませんで、今申しましたように両者をうまく共生させながら、森林施業として取り扱っていこうというふうなものがその中の大半でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  88. 日野市朗

    ○日野委員 大面積皆伐というのは非常に大きなつめ跡を残したのではなかろうかというふうに思っているのですが、当時は大面積皆伐をやってどんどん全幹木で集材をして山の表土を削り取るというようなことまで、今考えてみると随分大胆なことをやったものだというふうにも思いますが、その跡地でありますから、当然山は非常に荒れる。そして、それをある程度ほっておきますと、新植をやっても、もう植生そのものが変わってきていて新植した苗がうまく育たないというようなことを我々も非常に見聞をするわけでございます。その跡が下刈り等が十分に行われずに、そして天然林施業に移さざるを得なかったということだったのではないでしょうか。
  89. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもも一斉皆伐、一斉造林によるところのそういう苦い勉強を、これは好むと好まざるとにかかわらずしたわけでございますが、そういう反省の上に立ちまして、昭和四十八年から新しい施業方法というのを導入いたしまして、現地の立地条件に見合った形で、皆伐地域、択伐地域というふうにそれぞれ地域の実態に合った形の施業方法に転換をしたわけでございます。  その施業方法に転換した以降におきましては、今申し上げましたような造林地は出てまいっておりません。それ以前の造林地にそういうものがありますので、現地に合った形で地方を生かしながら取り扱っていこうということで、今そういう方法をとっているわけでございます。
  90. 日野市朗

    ○日野委員 それで、さっき天然林施業をする場合の一応の基準をお話しいただけたというふうに思っているのですが、これについて明確に基準として定立されたものは「国有林野における新たな森林施業について」という昭和四十八年三月十三日の各営林局長あての通達であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  91. 秋山智英

    秋山政府委員 四十八年三月十三日の「国有林野における新たな森林施業について」という、これに基づきましてやっているわけでございます。
  92. 日野市朗

    ○日野委員 今長官が、新たな森林施業を行うようになってからはもう従来のようなことはない、そう荒れているというようなことはないというふうにおっしゃったように私は思うのです。ところが、現実を見てみますと、かなり山は荒れているのではないかというのが私の率直な印象でございます。  我が党でこの問題について随分調査をやっているわけでございますけれども、我が党で調査をしたところによりますと、現在段階で保護施業を要するものが大体五万ヘクタールぐらいあるのではなかろうかというふうに我が党では考えているわけなんですが、いかがでしょうか。
  93. 田中恒寿

    田中説明員 生育の不十分な造林地問題につきましては、五十二年以来いろいろと国会でも御論議をいただいたわけでございますけれども、私ども五十八年度までに、当時のそういう造林につきましては、保育、改植その他の手だてを尽くしまして、現在では、一部カモシカの激害地等におきましては、さいの河原と申しますか、根絶のできない獣害の継続するところがございますが、そういうところが約千六百ヘクタールぐらい残っておりますけれども、大半の生育不十分な造林につきましては昨年度いっぱいをもちまして解消をしたというふうに考えております。  なお、毎年三万から四万ヘクタールの造林をしておるわけでございますけれども、やはり山の自然条件等もございますので、局部的に風衝地とか岩石地等で成績の悪くなるところもございますが、そういうところにつきましては補植をするあるいは改植をするということによりまして常時修復に努めておりますので、今日におきましては、かつて御論議をいただきましたようないわゆる不成績造林地につきましては、これはほとんど今お話しのような面積ではないものというふうに考えております。
  94. 日野市朗

    ○日野委員 大分我々と認識が違うと思いますね。  そこで、我が党の調査の結果になる写真を委員長の許可をいただいてお見せしたいと思います。  まず、ここにあるのは青森営林署の中の青森事業事業図、この上に写真を張らしてもらいました。長官、写真をちょっとごらんになってください。はい、これです。  ちょっとごらんいただきたいのですが、そこに事業区の図面の二百五十六林班というやつ、左下の方になっていますけれども、林班がございますね。そこには、植えつけをしたはずですけれども、一面、もう木など全然見えておりません。そして隣には民有林、隣の林区の民有林が写っていますね。そこにはちゃんと木が見えるけれども、しかしどうも国有林の方は、二百五十六林班にはさっぱり木の形跡も見えないという状態です。それから、そこに二百六十九林班の写真が写っております。そこには十三年生の杉が植えてあるはずでありますが、ごらんのとおりの状況です。二百六十八林班には二十三年生の杉が植わっているはずなんであります。しかし、それも本当に二十三年生の杉が植わっているとは到底思えな。それから二百三十四林班にはアカマツの十九年生が植わっているはずなんでありますが、そこにもアカマツの姿は見えないわけですね。  それから、いかに下刈りがずさんに行われているかという例を御理解いただくために、私は、これもやはり青森営林署ですが、その事業図の中から写真を示したいと思います。  そこに四百十五林班の地内の樹木の状況を撮影した写真が出ております。ここに太いクズが植えた木に巻きついていて、今までの保育作業というのは一体どのように行われてきたのかと思わざるを得ない。クズというのは非常に繁殖力が強くて、一回切ってもまた生えてくるようなものであるということはよくわかりますが、それを防ぐための作業手順というものもちゃんと決められているはずでありますけれども、それが守られていたとはちょっと思えないのであります。  そこに出したのは青森だけでありますが、一枚一枚の写真について、これは確かにひどいところを写した写真でありますから、それがすべてだとは申し上げませんが、しかし、全体の印象としてつかまえていただきた。  それから、それは局地的なものだと言われると困りますので、私、ここに、これも社会党がやった実態調査で、全国各地の営林署について写真を撮影してきておりますので、ごらんいただきたいと思います。  そこに附せんを張っておきました。その附せんは、私かなりアトランダムに選んだつもりであります。特にひどいところを選んだということはありません。ぱっと開いて、そして出てきたところについて附せんを張りました。  その一番最初の附せんのところに出てくるのは赤井川という営林署ですか、そこの樹木の状態、これはもうすっかり雑草に覆われて生育が阻害されておりますね。  それから次は鷹巣営林署です。これは下刈りの状態ですが、果たしてそれで下刈りが行われたのかどうか、疑問に思います。  その次は湯沢営林署。これは、金をかけないように、人手をかけないようにということで、薬剤を散布をして除草しようとしたようであります。そこに先端が薬によってすっかりねじ曲がってしまった杉の葉が写っておりますね。  そして、その次は花輪営林署です。これも薬害の状況。もう葉が赤くなって枯れかけている、そういう状態がおわかりいただけるかと思います。  東北だけに偏ってはあれでありますから、その次に高知の野根営林署の伐倒した跡地の荒廃の状態が写っております。これは崩落も見えますね。かなり大規模な崩落が見えているようであります。  それから、最後に附せんを張っておきました徳島の徳島営林署。そこで下刈りをやったという、その状態を写しておきました。そこには五十八年の八月に下刈りをやったと書いてありますが、下刈り後一・五カ月程度でもう草がずっと伸びてきて、樹木の生育を阻害している状態が写されております。私、これなんか見ますと、果たして丁寧に下刈りされたのだろうかということについて根本的な疑問を感ぜざるを得ないのです。  今、私たちがやった調査の結果について写真を見ていただきました。その全体的な印象としてどのようにお感じになっておられるか、伺いたいと思います。いかがでしょうか。
  95. 秋山智英

    秋山政府委員 やはり造林、保育を適切にやることによって初めて山が成林をする、森林が成林するわけでございますので、保育というものは極めて重要でございますので、私どもそういう植栽後の保育、つる切り、除伐の基準を決めまして、それで各局にやらせておるわけでございます。  今見せてもらったような状態ですと、今後の成林という面でなかなか問題が多いかと思いますので、これらは現地の実情をよく調査しまして対処してまいりたいと思います。
  96. 日野市朗

    ○日野委員 先ほど、去年のうちに不成績地は一応解消したと考えておられるかの答弁がございましたけれども、私どもはどうも御説明のようなわけにはいっていないと思うのですが、これについて調査をし直してみるというお考えはございませんか。
  97. 田中恒寿

    田中説明員 私ども毎年の造林保育事業の実行の中で、下刈りにつきましても数十万ヘクタール、除伐その他につきましても大変な大面積をやっているわけでございます。日常、自分の国有林の山の管理を通じまして経過を観察いたしまして、翌年度の事業計画にそういう保育事業量を盛るわけでございまして、経常の事業実行の中でこういうものがどんどん消化いたしまして解消さるべきものと考えております。したがいまして、先生御指摘のようなことにつきましては十分肝に銘ずるわけでございますけれども、経常の我々の事業実行の過程でさらに一段と業務計画をしっかりとつくることによりまして、これらのものにつきましては早急に解消することができるものと考えております。
  98. 日野市朗

    ○日野委員 今度の林野三法は、かなりそれぞれプラスの面はある、前進的な面はあるというふうに私は評価するのにやぶさかではございませんが、しかし、ここの中でやっていくことは、できるだけ我が国の国有林野を豊かにしようという方向での発想から進んでいかなければならないと思うのですね。  私、非常に遺憾に思いますのは、国有林野事業改善特別措置法の一部改正案について、ここいらのところがないということなのですよ。期限の問題と退職金の問題だけに絞っていて、ここいらのところがないというのが非常に遺憾だ。ここいらをどういうふうに処置されるつもりですか。今度はこの特別措置法では、山をもっときちんと改善していこう、森林資源改善していこう、この程度で終わったけれども、その次にはもっと前進的な処置をとっていくのだ、こういうお考えはおありなんですか。
  99. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども改善計画の中におきましても森林整備の目標を掲げまして、それに基づいて計画的に伐採、造林を進めてまいるということで進めておりますし、それから現地の実情を、特に立地条件を十分踏まえまして、現在立っておる立木がヘクタール当たり五十万円以下のようなところについては、むしろ現在立っておる森林を択伐し、仕立てていく方が天然力を活用していい山になるということで、そういうところの状態に合った形の施業方法の導入とか、いろいろ現地の実態に即しました新しい技術導入をしながら森林資源整備なりをしていこうということを、林政審の答申でもいただいておりますが、私ども改善計画の中にも盛り込んで取り組んでいかなければならぬと考えております。
  100. 日野市朗

    ○日野委員 また先ほどの質問に戻りますけれども、せっかく植えた、そしてそれが荒れてくる、これを安易に天然林施業に移行しようというようなことはございますまいね。これからもしてはならないことだと思うのですが、いかがでしょう。
  101. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、安易にそういう方向に持っていくことは考えておりません。やはり現地の森林状態をどちらへ持っていった方がいいか。もう十年、十五年たっている山をよりよくするためにどうかということを現地で十分検討の上、対処してまいりた。対処しておるつもりでございますが、さらに一層それを厳しく対処してまいりたいと思います。
  102. 日野市朗

    ○日野委員 それから、一つやはり大きな問題だぞと思うのは、人の問題であろうと思います。これは何度も指摘しますが、国有林野にはすばらしい技術集団が集積されております。私は、こういうものは安易に減量していくべきではないのではないかと思うのです。  そこで、常々問題になるのは、民間への委託、請負の問題なんです。先ほどお見せした写真の中にも請負の問題はあります。しかし、その中でよく指摘されるのは、請負によって植林をした場合の活着率の悪さです。第一線の現場の人たちは知っているわけです。林野庁としては、これをどういうふうに把握しておられますか。
  103. 田中恒寿

    田中説明員 活着率につきましては、もちろん植え方の技能、技術もあるわけでございますけれども、大きく地形、地質あるいは気象等の条件がいろいろとかかわり合いがあるわけでございます。私どもの把握しておりますところによりますと、請負で実行いたしました場合におきましても、あるいは直営で実行いたしました場合におきましても、活着率に特段の差があるというふうには承知をいたしておりません。もちろん請負で実行した場合の検査につきましては、事業実行中に植え方の監督、検査等は十分いたしますとともに、でき上がりましたものにつきましても出来高の検査その他、検査要領を定めまして厳格にやっておるところでございますが、その後の経過を見ましても、直営と請負によります活着率の差というものはないというふうに私ども承知をいたしております。
  104. 日野市朗

    ○日野委員 私は、ここで請負でやった事業の検査の方法に一つ大きな問題があると思うのです。植えつけをする、それから大体一、ニカ月で検査をするわけですね。そうすると、そのときはまだ苗は生きているわけです。それからどんどん新苗が出てくる、枯れてしまう苗が出てくる、こういう現状なんじゃないですか。
  105. 田中恒寿

    田中説明員 そういうふうなことがありますと、翌年の補植事業のための調査でありますとか、その他山林の巡視の過程でもそういう現象は発見できるわけでございますけれども、私ども請負についてそういうことが特に多く出ておるというようなことは承知をいたしておりません。そのようなことはないと考えております。
  106. 日野市朗

    ○日野委員 私たちとここのところでもえらい認識の違いがあるのですね。私たちは、随分民間の請負では粗雑な施業が行われているという事例の報告は、かなり受けているわけであります。特に出来高で発注をする、それでどんどん出来高を上げるために粗雑な植え方をするという例も聞いておりますし、下刈りなどでもやはり下刈りとしては粗雑な下刈りをしてしまう。その結果、苗が枯れたり非常に大きなダメージを受けるというような実態は、これは私たちの方には随分上がってきている。林野庁の認識と私どもの認識との間には大分この点に違いがあると思うのです。  こういったところの実態をきちんと掌握するための努力をすることが必要ではないかと思いますが、どうでしょう。
  107. 田中恒寿

    田中説明員 林業関係の作業と申しますか、労働と申しますか、これは大方が出来高で行われるのが常でございまして、管理監督の行き届かないところで、それぞれ労働者あるいは親方等の方々が、そういう責任を持って出来高で仕事を実行するのが一般的であろうと思っております。したがいまして、国有林の請負によります事業実行におきましてもそういう形で行われておる例が多いと思いますけれどもお話にございましたようなことがございますと、それはその後の仕事の発注相手方としては私ども適当と考えられませんし、やはり山はどこへも逃げていかないわけでございまして、仕事の後は常に私ども把握できる状態になっているわけでございます。したがいまして、そういうことがないような、常時、不断の経営管理を私どもがすることによりまして、そういうことを未然に防ぐ体制が私どもにあるように努力をしておるところでございます。
  108. 日野市朗

    ○日野委員 ここのところは大分認識が違うので、これからはそういう検査などもしっかりやってもらわなければいけないし、私は大事なのは現場からの声をちゃんと吸い上げる一つのメカニズムのようなものができていなければならないのではなかろうか、そういうシステムがちゃんとつくられるのが必要ではなかろうかと思います。どうもこうやっていろんな人の話を聞いてみて、私も山は好きですから自分で山を歩いてみて、林野庁と現場との乖離があるような気がしてしようがないという私の感想を申し上げさせていただきたいと思います。  それから、私、民間の問題を取り上げたのですが、やはり人の問題というのは大事なことですね。本当に今若い人が営林署にはいなくなっちゃったです。人間というのは一朝一夕ではできるものではありません。人が要るといってすぐにそのときにどかどかと採用したからといって、その人たちが仕事ができるものではないので、やはり長い研さん、経験といったものの積み重ねが必要なんだと思うのですね。そして、一生懸命にそういう人たちが山を守るという使命感を持って働くことが必要だと思う。ところが、私こうやって見ておりまして、それは林野庁は非常に国有林が赤字赤字と言われて気の毒だとは思うのですよ。気の毒だとは思うのですが、五十三年に改善特別措置法が制定されてからの成果を見てみると、実際に山をちゃんとつくっていくという方に努力は向けられないで、人減らし、それから局の統廃合、営林署の統廃合、そういうものが自己目的化してしまったのではなかろうかという、非常に強い印象を私ぬぐい切れずにおります。  それであえて伺うのでありますけれども、営林署の統廃合をこれからも計画されているわけでありますが、営林署の統廃合をやっていくという場合、財政問題が根っこにあるわけですから、生産実績の上がらない営林署というものをどんどん整理をしていくというような傾向はないのでしょうか。また、生産実績を基準にして営林署の統廃合を進めようとしているのではないでしょうか、いかがでしょう。
  109. 秋山智英

    秋山政府委員 営林署の統廃合につきましては、五十二年の閣議決定に基づきまして十年間に約一割統廃合するということで私ども五十三年から実施してまいっているわけでございますが、これまでの対象となりました営林署は、事業規模が小さいところあるいは近距離に存在しましてむしろ一体経営した方が合理的であるというふうなものを対象として統廃合してまいったわけでございますが、今先生御指摘ございました森林の持っております機能は育成強化されなければならぬわけでございますので、森林管理経営が適正になされ、能率的な事業運営が図られ得るように検討しながら進めてまいっておりますが、私ども今後統廃合につきましては避けて通れない道でございます。国有林の持っています使命を達成するための健全化を早期に実現するためには、組織機構の統廃合というのは避けて通れない道でございますが、その場合に当たりましても、営林署と申しますのは地域の市町村と大変関係も深うございますので、実施するに当たりましては十分御理解をいただくように、また地域の作業が落ちないように、これにつきましては慎重に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 日野市朗

    ○日野委員 それから、私非常に目につくのは、苗畑事業所がどんどん廃止されていくという事態です。苗畑事業所というものは森林を造成していく上でかなり大事な役割を担っていると思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
  111. 秋山智英

    秋山政府委員 苗畑事業所は、申し上げるまでもございませんが、国有林内の造林に必要な苗木を育成するところでありますが、造林事業が逐次減少しておるわけでございますし、また、優良かつ健全な民間の苗木が経済的に安く購入できるというふうな客観情勢もございまして、苗畑の立地条件あるいは機能的能率性というものを勘案しまして、存置する必要のない苗畑については逐次廃止してまいりたい、かように考えておるところであります。
  112. 日野市朗

    ○日野委員 特に、苗畑事業所で規格外の苗なんかどんどん焼却しているようですね。ああいったものは活用できないでしょうか。例えば盆栽に使うとか、それから庭木にしたらかえって格好がいい木ができそうだとか、そういうものはどんどん活用して、焼却してしまうというもったいないことはすべきでないと思っておりますが、いかがでしょうか。
  113. 秋山智英

    秋山政府委員 これは、先生御指摘ございましたが、緑化の目的ということでいきますと、多少形質が悪いものは、木材生産対象ではございませんので、むしろ緑化思想を高揚させるという面で今後活用についてはさらに検討して進めてまいりたいと思います。
  114. 日野市朗

    ○日野委員 最後に大臣に伺いますが、今いろいろな議論をしたわけでありますが、いずれも日本の緑の資源をきちっとやっていこう、守っていこう、さらに新しく生産していこう、こういうことなわけで、林政審答申に挙げられた国有林野の使命は非常に重大だと思います。  もう一度ここで大臣から、長期的に計画的に、日本の国有林野のみならず民有林をも含めて、緑の資源を維持するために長期的な目標を設定して計画的に実現していく努力をするのだということをひとつお約束をいただきたいと思います。
  115. 山村新治郎

    山村国務大臣 国有林事業は国土面積の約二割、全森林面積の三割を占める大きなものでございます。世界的に緑が欠乏してくるという中にあって、日本の国としても緑の確保、特に国有林事業の場合はただ単に木材生産だけではございませんで、国土保全水資源涵養など公益的機能を有しておるわけでございます。そういう意味におきまして、一林野庁、一農林水産省ということではございませんで、やはり国全体として取り上げていかなければならない問題と思うわけでございます。今後もこの長期見通しをつくりながらこれに一生懸命やってまいるつもりであります。
  116. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  117. 阿部文男

    阿部委員長 新村源雄君。
  118. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今度提案されております林野三法につきましては、多くの皆さんの御質問がありまして、重複する面があると思うのですが、そういう点はお許しをいただきたいと思います。  まず最初に、林政審の答申が一月十一日になされました。この内容を見てまいりますと、大体七項目ぐらいになっておりまして、一つは「国有林事業の当面する問題と改革の推進」、二番目には「森林資源整備」、三番目は「業務運営の簡素化・合理化」、四番目には「要員規模の縮減及び組織機構の簡素化・合理化」、五番目には「自己収入の確保・増大」、六番目には「財務の改善と財政措置」、七番目に「一般林政等の充実強化」、こういうように七項目挙げておるわけでございます。  そこで、この答申の大体の流れを見てまいりますと、第一番には国有林の三大使命というものを掲げまして、一つには「林産物の計画的・持続的な供給」、二番目には「国土の保全水資源のかん養、自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等の森林の有する公益的機能の発揮」、三番目には「国有林野の活用、国有林事業の諸活動等を通ずる農山村地域振興への寄与」、こういうように使命の面では言っておりまして、この使命を達成するためには国有林事業の経営の健全性が確保されなければならな。そして「林業の特性を考慮した適切な施業と投資を通じて、森林資源整備充実が計画的に行われることが必要である。」こういうように提言をいたしておるわけでございます。しかし、この中ではいわゆる適切な施業あるいは投資についてはわずかに触れただけであって、具体的な施策は示されていな。それで、特に強調されているのは自助努力、さらには要員の削減あるいは林野や土地の売り払い、それから担当区を含む組織機構の縮小、さらには造林事業等の手抜き施業、こういうことが強調されておるわけでございます。  そこで、大臣そして林野庁の長官、あなた方はこの答申をお読みになってどういうような受けとめ方をされておりますか。
  119. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、五十三年以来経営改善に鋭意努力をしてまいったところでありますが、その後の各種の情勢の変化等によりまして、このままでは七十二年の収支均衡、健全性を確保するということは極めて困難な情勢に立ち至っておると考えまして、やはり一層の経営改善と新たな発想に基づくところの政策展開等も含めまして、この経営改善にさらに積極的に努力していかなければならぬ、かように考えておるところでございます。  特に林政審の答申におきましては、要員規模の縮減、組織機構の簡素合理化、自己収入の確保等厳しい自主的改善努力を求められておりますけれども、同時に、答申の中の「収支悪化のゆえをもって国有林野の管理経営をゆるがせにするようなことがあってはならな。」という観点から、国有林野の適正な管理資源充実の確保を図るために所要の財政措置を講ずる必要があるとしておるところでもございますので、ここで御審議いただいているわけでございますが、改善期間の延長並びに新たな財政措置を内容とする国有林野事業改善特別措置法改正案を提出するとともに、あわせて分収育林制度の国有林野への導入を内容とする国有林野法改正案を提出するところでございまして、私ども、この成立を待ちまして林政審の答申の内容を踏まえた新たな改善計画の策定を行いまして、国有林事業の経営の健全性を確保しまして、その使命の発揮に遺憾のないように頑張って努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  120. 山村新治郎

    山村国務大臣 今長官がお話ししましたとおり、今回国有林野事業改善特別措置法改正案を提出することになったわけでございます。我々といたしましては、さきの林政審の答申の内容を踏まえた新たな改善計画の策定を行い、国有林事業の経営の健全性を確保し、その使命の発揮に遺憾のないようにしてまいりたいというぐあいに考えております。
  121. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私は、この答申の内容をずっと読んでまいりまして、これがこのとおり行われるとすれば、国有林事業の本来の使命や役割からかけ離れた方向に向いてくるのではないか、こういうことを強く心配するものですが、今長官並びに大臣の方からそれぞれ御答弁があったわけですが、私は、そういう今までの延長線上の考え方ではこの国有林の危機というのは脱却することはできない、抜本的な考え方が必要だ、こういうように思うのですが、どうですか。
  122. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども従来の経営改善の路線を見直しまして、改善というよりむしろ改革というふうな新しい路線で思い切った自主的改善努力をすると同時に、また財政措置をしていただきまして、国有林野の経営改善、健全性の確保をできるだけ早く達成したいということであります。
  123. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次に、森林資源整備についてお伺いをいたしていきます。  昭和五十三年に策定をした計画では、昭和五十三年から六十二年までの十カ年間に一億四千百五十万立米、さらには五十三年から七十二年までの二十カ年間に二億九百万立米、こういうように見込んでおったのですが、これが五十八年三月の第四次経営基本計画では、十カ年間に一億三千六百六十万立米、二十年間に一億九千二百三十万立米、ざっとこういうように目標を下げた計画に変更しておる。そして、昭和五十八年では千三百八十五万立米から千三百八十万立米、こういうように五万立米も削減をする。そして、だんだん漸減方式をとっていっておるわけです。さらには、昭和五十八年から六十七年の十カ年間に千三百五十万立米から千二百四十万立米、こういうことで毎年十一万立米を減少していく、こういうように変わってきておるのですが、林野庁はこういう計画をつくるのに一体的確な調査なり資料の上にそういう計画を立てているのかどうなのか。こういう計画の変更の流れを見てまいりますと、まことに信頼ができない、こういう感じがするのですが、この経過について御説明をいただきた。
  124. 高野國夫

    ○高野説明員 御説明申し上げます。  ただいまのお話にございました現行の経営基本計画でございますが、これは昭和五十五年に改定をされました「森林資源に関する基本計画」を勘案しながら、五十八年の三月に策定をされました全国森林計画に則してつくられたものでございます。この経営基本計画の収穫量は十五年間にわたる収穫量を計画をいたしておりまして、総量で一億九千二百三十万立方、こういうことに相なっております。それから、お話の中にございました昭和五十三年度策定の同じく経営基本計画におきます収穫量は二億九百万立方でございまして、両者を比較いたしますと千六百七十万立方減少いたしているわけであります。比率にいたしまして九二%に相なっております。  この理由でございますが、四つほどございまして、一つは、広葉樹の一部につきまして伐期を延長いたしまして大径の広葉樹を供給していきたい、こういう趣旨から伐期を延長したというのが一つございます。  それから二つ目といたしまして、カラマツの人工林の一部について同じように伐採する時期を延長したということがございます。おおむね三十五年くらいでありましたものを五十年くらいに延ばしております。この伐期の延長、広葉樹につきましてもカラマツにつきましても伐期を延長することは即伐採量の減少につながる、こういうことでございます。  それから三つ目の理由といたしまして、公益的な機能のより一層の発揮を図りたいという観点から、いわゆる天然林施業を積極的に推進することにした、こういうことがございます。  それから四つ目といたしまして、風でございますとかあるいは雪害などの被害があちこちで起こりまして、そういった森林被害に基づいて森林蓄積が減った、こういうことがございまして、以上四つの理由に基づきまして伐採量の減少があったということでございます。  なお、造林業について申し上げておきますと、収穫量に見合った量を計画いたしておりますので、五十三年の計画に対しまして五十八年の計画は約九〇%、こういうことになっておりまして、収穫量の減少に見合ったものと相なっているのでございます。  なお、年々の伐採量につきましては、今申し上げましたような長期にわたる伐採量の減少をできるだけ影響を小さくするように配慮いたしまして、年々少しずつ減らしながら計画を達成するように努めているところでございます。
  125. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今の御答弁では、大体実態に即しながら減少していったんだ、こういうことでございますが、かつて、北海道の十勝の上士幌というのが私の住んでいるところですが、昭和四十七、八年当時、駅前の土場に膨大な木材の集積が毎年毎年なされたわけです。私は一国民として、国有林から毎年毎年こんなに木を切っていって果たして持続的に木材資源というのは供給できるのだろうか、こういう不安を持ちまして、地元の営林署長さんに聞きに行ったわけですよ。署長さん、あんなに膨大な木材を毎年切っていって持続的に供給できるのか、こういうように質問いたしましたところ、署長さんは、いや新村さん大丈夫だ、もう営林局としては木の成長量に見合った分より切っていかないので、それで持続的にこういうように供給していっても心配ございません、こういう答弁をいただいて、私は専門的に積み上げられた数字だから本当に安心をして帰ってきたわけです。  ところが、今日はどうですか。私の町にも広大な国有林がありますが、この国有林の中を歩いて、本当に立派な林相をしているというところはほとんどなくなっているわけです。こういうことで、林野庁の今までの伐採というのは、そのときのいわゆる木材業界なりあるいはパルプ資本等の要請に応じてもう無計画に切ってきた、私は地元の山の実情を見てそういうように断言せざるを得ないわけですが、長官あるいは林野庁の部長さん方、本当に北海道の国有林野の状態というものを見ておられますか、見てどう感じておられますか。
  126. 秋山智英

    秋山政府委員 北海道の森林は、昭和二十九年の洞爺丸台風によりまして六千万石と言われるほどの大被害が特に天然林地域に発生をしまして、それの影響によりまして資源が大幅に減少したのは御承知のとおりであります。それから、御承知のように昭和三十五、六年から我が国は高度成長に入りまして、木材需要は急騰し、木材価格が暴騰し、しかも外材が入ってくるというような客観情勢になく、外貨もなかったために、国内においてそれに対応するという一つの国家的要請がございまして、国有林木材増産計画を立てまして、木材増産にその当時努力したという経緯がございます。当時、そういう中で私ども規模拡大し、要員を増強しながら木材生産に努力したという経緯もございますが、同時に、跡地につきましては造林を実行しながら進めてまいったわけでございます。  その後の我が国の木材需要につきましては、外材が三分の二を占めるというふうなこと、国産材については三分の一程度で、外材補完型が外材主導型に変わってきたというふうな経緯もございまして、その中で、現在、私ども国有林の再建、立て直しをしながら内容整備充実を図ってまいっておるわけでございますが、そのままでいきますと今後の国有林の健全性が確保できないということから、五十三年から改善計画を立てまして、鋭意努力をし、要員の縮減、組織機構の簡素合理化、それから収入の確保の自主的努力をしてまいったわけでございますが、御案内のとおり、木材価格の低迷、需要の停滞、さらには私どもの内部の要因といたしましても、いわゆるその増産時期に増員した要員が木材生産の減少に対応して十分調整できないというふうなものもございまして、大変現在将来へ向けて難しい状態にあるわけでございます。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕  私も、北海道営林局長といたしまして二年ほど北海道の国有林につきまして見てまいり、また指導し、森林資源整備充実に努力をしておるわけでございます。ただいま指導部長が申し上りましたように、北海道の広葉樹につきましてはやはり永続的に供給しなければならないということがございますし、カラマツ材につきましても、三十五年より五十年の伐期にした方が資源整備充実からよろしいではないかというふうな技術的判断もございまして、いろいろと内容の変更等もしておるわけでございます。これから技術的な合理性の上に立ちました森林施業をしていきますと、かつてのような天然林を中心とした国有林ではなく、やはり活力を持った森林に転換して地域振興木材需要に対応するような山に持っていけると私は思います。また、そうしていきませんと我が国の国有林の使命が達成できませんので、今後改善計画をさらに見直しまして、厳しい中ではございますが、自主的努力をし、またそれなりの財政措置をしていただきまして、健全性の確保に一層努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  127. 新村源雄

    ○新村(源)委員 こういう例を出して適当かどうかわかりませんが、三浦綾子さんの書いた小説で「天北原野」という小説があるのです。この下巻の場所は樺太に移っているわけです。その内容は、木材との関連が非常に多く出てくるわけです。そして、当時の樺太の木材産出の状況が生々しく書いてありまして、あれを見る限りは、樺太というのは大森林地帯だという感じがするわけです。ところが、昭和四十八年以降三回ばかり今のサハリンを訪問する機会がありましたが、あの小説のイメージに出てくるような森林というものはほとんどないわけです。私は、ちょうどあのイメージが私の今住んでおる町の国有林に何か似通っているような気がしてならないわけです。  ですから、今までの林野庁国有林伐採というのは、この数字から見て、あるいはまたそういう実態を身近に見てきまして、本当に無計画に伐採をしてきた、そのことが今日の国有林の現状につながっている、こういうように断定をして差し支えないのではないかというように考えるわけですが、その点についてもう一度、長官、御答弁をいただきたいと思います。
  128. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、無計画に伐採したわけではございません。やはり全国森林計画に基づきます国有林の経営基本計画、さらには各営林局におきまして森林施業計画というのを立てますが、それに基づきまして伐採し、造林をしてまいってきているわけでございますから、先ほど触れましたように、高度成長期につきましては国全体の強い要請によりまして成長量を超えた伐採をしたことは事実でございますが、私どもはそれは無計画ということではなく、そういう国家的要請に応じた伐採であるというふうに理解しております。  したがいまして、三十五年生未満の人工林が約八割を超えるという実態にあるわけでございますので、そういう状況、さらには最近の自然保護等の要請によりまして普通林地でも伐採ができないというような状況、いろいろそういうふうな情勢がございます。さらには、先ほど触れましたように、今後の我が国の木材需要の動向あるいは資源の実態から伐期齢を延ばした方がよいという判断等も技術的にいたしました結果、こういうふうな伐採のダウンになったということでございますが、私どもといたしましては、現在の資源内容をさらに一層充実整備しながら国有林の役割を果たすように努力していかなければならない、かように考えておるところでございます。
  129. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次に、造林についてお伺いいたしたいわけですが、改善計画では十カ年の間に人工造林を四十七万ヘクタール、それから天然更新林を七十万ヘクタール、こういうように計画をしておるわけですが、この計画から見ますと、五十三年から五十七年までに二十万六千四百ヘクタールということですが、この五カ年間で既に三万ヘクタールも減少している。それから五十七年以降の状態を見てみますと、五十七年では三万五千八百ヘクタール、五十八年では三万四千五百ヘクタール、五十九年では三万二千三百ヘクタール、こういうように毎年毎年造林が減少していっているわけです。こういうことをずっと推計をしていくと、十カ年間には十万ヘクタールも減少することが推計されるわけです。  先ほどの長官の御答弁から見ますと、積極的に植栽をやっている、造林をやっていると言われますが、この点からはどうしてもそういうことには納得できないわけですが、どういうことですか。
  130. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども施業計画に基づきまして伐採と造林を相互に調整しながら事業を実行しておるわけでございますが、国有林におきましての造林の目標に対しまして、既に九割の人工林造成を達しているわけでございます。したがいまして、私ども今後の造林計画を進めるに当たりましては、天然力を利用した天然林施業方法と人工林によるところの人工林施業とをうまく調整をとりながら森林の造成に努力しているわけでございまして、量が減ったからといいまして決してその内容が悪くなるということではなく、先ほど触れましたようにとにかく三十五年生以下の森林が八割を超えるという実態でございますので、むしろ現在植えられている森林の中身をよくすることにもっと力を入れていくことが大事ではないかと考えております。
  131. 新村源雄

    ○新村(源)委員 こういうように数学的に明らかに減少してきているということは、今の長官の説明だけでは納得できないわけです。これは一体どういうように数字的に減少してきているか、もっと的確にこの内容を伝えてくださ。     〔玉沢委員長代理退席、衛藤委員長代理着席〕
  132. 秋山智英

    秋山政府委員 それでは、細かくなりますが、具体的に申し上げます。  現在の国有林森林整備目標を達成するために、期間内における収穫、造林等について申し上げますと、主伐につきましてはこの十五年間に一億六千八百万立方メートル、先ほど言いましたように年間一千百二十万立方メートル、間伐が二千四百万立方メートル、年間一千六百万立方メートルということでございます。  この主伐に見合いまして造林として計画しておりますのが、総数で申しますと人工林が五十二万四千ヘクタール、天然更新が百一万四千ヘクタール、平均しまして人工林が三万五千ヘクタール、天然更新は六万八千ヘクタールと相なっております。国有林の場合におきましては、先生北海道で御承知のとおり亜高山地帯が多いわけでございまして、その地域は択伐作業で実施するということでございまして、これは天然下種更新により一部植え込みを伴う天然下種更新一類ということでやっておるわけでございますので、天然更新の面積が非常に多いわけであります。
  133. 新村源雄

    ○新村(源)委員 林業白書で見てまいりますと、昭和五十二年から五十五年までは大体五百億円から七百億円の山の被害なんですね。ところが、五十五年を境にして、五十六年、五十七年と、五十七年においては二千四百九十一億円もの被害が出ておる。さらにまた、白書の中で指摘しておるのですけれども、適切な管理が行われていない森林がだんだん増加をしてきている。「森林に対する手入れの行われる度合が低下していることは、森林病害虫の早期発見や防除、林道や作業道等の維持管理森林境界の保全管理等が十分に行われなくなり、健全な森林の維持造成を図る上に大きな影響を及ぼすことが懸念される。」こういうように林野庁みずからが林業白書の中で今日の山の荒れていく状態を明らかにしておるわけですね。  そういう点から見ますと、今までの長官あるいは指導部長さんのおっしゃるように山は年々よくなっているんだ、こういうこととは逆な現象を林野庁みずからが認めているということになるのですが、どうなんですか。
  134. 秋山智英

    秋山政府委員 森林内容整備するに当たりまして、まず人工林の内容整備ということが極めて重要だろうと思います。  先ほど申し上げましたが、国有林におきましても人工林をつくりましたが、民有林を含めまして約一千万ヘクタールの人工林ができ上がりまして、その過半数が間伐対象林分であります。特に戦後の旧薪炭林を伐採し、跡地に人工造林をされたという方々が多いわけでありまして、戦後初めて人工林をつくられたという方もおるわけでございますので、間伐等につきましては十分現地に合いました指導等ももちろん必要でございますが、やはり計画的にこれを進めるために、五十六年からは間伐を促進するための総合対策事業、さらに公共事業におきましても間伐林道、さらには林業構造改善事業におきまして間伐のための措置を進めてまいったわけでありますが、昨年は御承知のとおり国会におきまして森林法の一部改正をしていただきまして、特に間伐のおくれている地域につきましては市町村長が計画を立てまして計画的に実施する、また、計画ができ得ない場合には森林整備法人等に委託をしていただくというようなことを含めまして、いわゆる制度的にも予算的にも私ども措置したわけでございますが、この森林法改正に伴う実行は昨年秋以来でございますので、むしろこれからがその計画に基づく実行だと思います。  私どもは、そういう施策を踏まえまして、さらには、ことしから予算の内容としまして林業地域活性化対策であるとか木材需給のための供給体制整備であるとか、いろいろと新しい施策をつくりながら、内容活性化森林内容の充実に努めてまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  135. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間の関係がありますのでこの問題はこの程度にいたしまして、次は審議会の答申の内容に入っていきたいと思いますが、その前に、国有林野を初めとする民有林等の経営が非常に悪い、こういうことになっているわけですね。非常に苦しい状態にある。ところが、林業の主体をなしてまいりますパルプ産業の状況を見てまいりますと、このパルプ産業は、これは五十四年から五十七年までの業績ですが、年々業績が上がってきておるわけですね。そして昭和五十七年には、このパルプは、これは大手十社ですが、大手十社で四百七億円余のいわゆる経常利益が出ておるわけです。  林業というのは、木材を供給する、加工するというものは一つのセットでなければならないわけですね。ところが、外材の関係等もありますけれども木材を供給する側が非常に苦しくて、そして、これを加工して販売する側は年々業績がよくなってきている。こういう点について、この林政審のいわゆる財政措置等の内容に入る前に検討すべき事項があるのではないかというふうに考えるのですが、どうなんですか。
  136. 秋山智英

    秋山政府委員 パルプ関連産業におきましては、先生御承知のとおり、数年前から産構審の答申を踏まえて相当の経営改善努力をされたというふうに私ども聞いております。合理化、さらには過剰設備の廃棄その他ということで改善されて業績が上がったということを聞いております。  そこで問題は、供給源である木材関係でございますが、これは針葉樹と広葉樹におきましてはやはり内容的に違うと思います。広葉樹のチップにつきましては、最近、内外のチップ需給関係から上がってまいっておりますが、針葉樹のチップにつきましては、これは必ずしもまだ上昇という機運になっておりません。  そこで、私どもこれからの供給対策として考えていくに当たりましては、北海道の場合ですとカラマツの針葉樹あるいはトドマツの小径木のチップということになりますが、やはり供給を継続的に、安定的にするという体制をつくることが私は一番大事だろうと思います。それから本州、特に西南日本等におきまして松くい虫の被害が大分出てまいったときにおきましても、私どもパルプ業界に強く要請をしまして、計画的に供給するという体制をつくるので被害木については資源を有効に利用してほしいという要請をしながら、現在その被害木の有効活用にも努力をしているわけであります。  そういうふうな計画的、安定的供給体制をつくることが私どもとしては大事なことでございまして、だんだんとそういう体制が北海道地域でもカラマツの間伐材等を中心に出てきておりますが、これはさらに努めていかなければならないと思っております。  それから、さらに今度は木材利用の広範囲化と申しますか、多角化ということで、現在北海道でいろいろ検討されておりますように、チップをもとにしました飼料の問題あるいは有機質肥料の問題というような、いろいろな面の利用開発をしていきながら木材有効利用に対処することがこれからの私どもの大事なことだろうと思いますので、そういう面でも今後努力してまいりたいと考えております。
  137. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今、長官の答弁は供給面について御答弁があったわけですが、私は、木材供給をする立場の者が経営上非常に苦しい、しかし、これを加工、販売する立場の者が年々よくなってきている、こういうことだから、林業全体として、関税も含めてあるいは木材引取税も含めて検討する余地があるかないか、こういうことを含めて質問したわけです。こういう点についてどうですか。
  138. 秋山智英

    秋山政府委員 これからの林業振興するためには、まずもちまして木材需要の拡大ということが非常に重要でございます。したがいまして、五十九年度予算にもこの木材需要拡大のためのいろいろの施策を講じておるわけでございますが、それと同時に、事業拡大という中には各種の用途にむだなく木材利用できるような技術開発も当然必要でございますし、さらに今度は林業生産の方で、今先生御指摘がございましたが、木引税の問題が出てまいりましたので申し上げますが、これにつきましては、御承知のとおり、本年から間伐材はその対象から外すということで、そういう面での税制の改善も努力をしていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  139. 新村源雄

    ○新村(源)委員 もちろん、間伐材等の非常に価値の低いものについては木引税を外していくということはもう当然そのとおりで適切だと思いますが、私が質問していることはそういうことではなくて、輸入材も含めて、そういうものに対する関税とか木引税等も含めて検討する考え方はないのかということを聞いておるわけです。
  140. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、我が国の森林資源につきましては、御承知のとおり非常に供給力が弱いわけでございまして、当分の間は外材に依存しなければならないという実態にあります。しかも、現在の国際経済下におきまして強制的な措置は極めて難しいわけでございまして、私ども木材の需要に見合った供給ということで短期のいろいろの予測をしながら行政指導をすると同時に、国内の森林資源につきましては、基盤整備等を十分にし、足腰の強い林業を進めていくような措置を進めていくことが大事であろうと思っております。
  141. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この審議会の答申の内容で、特に財政措置の問題で、国有林事業はこれを改革推進しなければならない、こういう重要性にかんがみて、これは先ほども御質問があったかと思いますが、ひとり林野庁のみの立場では処理し切れない、政府全体が国有林事業の非常事態を認識してこれに取り組むことを期待する、こういうことを言っておるわけですね。  そこで、こういう答申を受けて、この部分でどういうような、政府全体の中でどういうような協議がされましたか。
  142. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、林政審の答申をいただきまして、これを踏まえまして本国会に法案の御審議をいただいておるわけでございます。それを踏まえてこれからいろいろの施策を展開することに相なると思いますが、五十九年度の予算要求に当たりましても、将来の林業、林産業の振興に役立つような施策を講じておるわけでございまして、これらをさらにこれから進めてまいることが非常に大事だと思いますし、また、木材利用開発について、さらには需要拡大につきましては建設省とも十分連携をとり、関係省庁と連携をとりながら進めておりまして、いろいろの手だては講じておるところでございます。
  143. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私はそういうことを聞いているのではなくて、今国有林事業が大変な非常事態にあるということは、山が非常に荒廃しているということが一つ、もう一つは国有林事業特別会計が年々累積赤字を重ねていっている、こういう二つのことを指していると私は思うのです。そこで、この後の国有林事業特別会計のこういう状態から逸脱していくためには、林野庁だけではだめなんだ、政府全体がこの非常事態を認識をして対処をせい、こういうふうに言って、さらには国有林事業は国土の保全や公共的な機能は非常に高いけれども収益性が低い、そして非採算部門が多い、これを適切に管理をしていくためには森林機能別区分等に基づく類型化を行う、そしてこれと森林の現況をもとにして経営成果というものを明らかにしていく、そのためには経理処理あるいは非採算部門の管理経営に要する費用の分担のあり方、こういうことを言っておるわけですね。  ですから、前段で聞いたのは、こういうこと等について林野庁あるいは農林省の枠内だけではなくて、政府全体としてこういう問題についてどういうような形で検討しようとしているか、あるいは今までにどうしてきたかということについてお伺いしたわけですが、これについてお伺いしたい。
  144. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 ただいまの御質問の中にもございましたように、林政審答申にも言われておることでございますが、国有林事業公益的な機能は高いけれどもなかなか収入の確保に結びつきにくいような林分を特に奥地の脊梁山脈地帯にたくさん持っているということは事実でございます。したがいまして、その適正な管理経営を行いますとともに、それに要します費用についての経費分担のあり方等の問題を解明していきますことは、国有林事業改善の上からも重要なことであるというふうに考えております。この点につきましては答申にも言われておりますし、まずは林野庁、私どもの中でいろいろ検討しなければいけない問題だというふうに考えております。  先般の参考人の御質疑の際にも、この公益機能木材生産機能との関係というようなことにつきましていろいろな方々から御意見がございました。その御意見の中には、健全な森林というものが造成をされて初めて公益機能木材機能の両方が兼ね備わった森林ができる、そういう意味でこの二つをはっきり分けるのはなかなか難しいのではないかというような御意見もあったわけでございますが、事ほどさように、この森林区分の手法の問題あるいは管理体制の問題、そういった森林の区分に対応しました施業方法はどうあるべきかといったような問題、あるいは受益者による費用負担の問題等々、非常にたくさんの検討をしなければならない課題がございますので、答申の指摘にもございますので今後早急に調査検討を進めたい、五十九年度から私どもその調査に取りかかりたいというふうに考えております。この検討の進捗状況によりまして、また関連する問題につきましては関係各省とも御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  145. 新村源雄

    ○新村(源)委員 大臣に一つお伺いしたいわけですが、衆議院の予算委員会でもこの問題が取り上げられて、大臣も御答弁なさっていますし、大蔵大臣も答弁をされている。あるいは総理大臣も、林政が極めて重要なことはこの前川俣さんに申し上げたとおりである、私は日本の森林の現状を憂える一人でもある、御指摘のことにつきましては今後とも力を入れていく考えであるという答弁をされているわけです。  そうすれば、これはひとり林野庁、農林省の問題にとどまらず、国全体の、いわゆる政府全体の問題としてこの問題に取り組んでいく、こういうように理解されるわけですが、この点については大臣はどういうふうにお考えですか。
  146. 山村新治郎

    山村国務大臣 国有林野という問題は、先ほど来お話がありますとおり、国土の保全水資源涵養など、公益機能も大きく持っておるわけでございまして、これは今先生がおっしゃいました林野庁、一農林水産省ということではなくて、政府全体として取り上げていかなければならな。今度の財投資金、そしてまたそれの利子については一般会計からの繰り入れ、そのほか林道とかそちらの方への、一部でございますが一般会計からの繰り入れ、これらを多くして、そして国全体として林業というものを育てていかなければならない、私はそういうぐあいに考えております。
  147. 新村源雄

    ○新村(源)委員 やはりひとり林野庁の今の改善計画林野庁内部における合理化では限度がある。しかも、今まで、五十三年の改善計画以来、いろいろ大切な事業所等を統廃合してきているわけですね。しかし、これをやってきたけれども、合理化をしたって、赤字の累積はちっとも減らないわけでしょう。それが実態なんでしょう。ですから、今大臣が言われたように、これは閣議で決定をして、国有林対策あるいは日本の林業というもの全体を含めて一つの機関を持って、この中で処理をしていく、こういう方向にまで発展をしなければ国有林の健全な運営というものはできない、私はこういうように考えておるわけでございまして、この点につきましては、また機会を改めて大臣あるいは長官等にお伺いをしたいと思っております。  次に、事業の実施形態でございますが、もう時間がございませんから端的に聞いていきたいと思いますが、改善計画の中で、直用をできるだけ減らして請負に多くを回していきたい、そして原則的に立木処分にしていきたい、こういうふうに言っておるわけです。長官はこういうことで一体国有林が守られると思っておりますか。
  148. 秋山智英

    秋山政府委員 直用事業につきましては、本来的には林業技術、林業労働の先導的模範とならなければならないと考えておるわけでございますが、現在、労働生産性が逐次改善されつつあるといいましても、民間事業体に比べましてまだ低位にあるのが現状でございます。このために、林政審議会の答申におきましても「業務運営の抜本的な改善のため、請負化を促進する方向に沿って現在の直よう事業について見直しを行い、直よう事業は真にそれにふさわしい業務に特化していく必要がある。」というふうに提言されております。私どもはこの趣旨を踏まえまして、今後国有林事業改善に努めてまいる所存でございます。また一方におきまして、国有林事業におきまして、素材生産、造林等の相当部分を民間事業体によって実行されておりますが、これらの民間事業体の育成強化ということも極めて重要でございますので、これにも十分意を用いながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  149. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これはもう既に前の質問者の皆さんからも指摘がされたところでございますが、民間事業体というのは何といってもそのときの経済の状態に左右されやす。そしてまた、そういうことで林業労働者が非常に劣悪な状況で雇用されている、こういう上に今の林業というのは一部が成り立っている、こういうように言って差し支えないと思うわけです。しかも、そういう雇用というのは、どちらかというと臨時雇い的な性格を持っている。そういうことから見れば、山を育てていく、あるいは適切な伐採を行う、こういうことから見て国有林事業の持つ高い技術あるいは組織力、こういうものはどうしても山を守っていく上に不可欠の問題である、こういうように思うわけです。  今、長官の答弁をいただいておりますと、逐次いわゆる請負を増加していこう、こういうことは国有林事業を守るのに逆行している。そしてまた林野庁も、林業全体の指導的な立場にある国家機関から見て、そういう劣悪な状態のところに事業をより多くしていくということは、その面からも根本的に誤りである、こういうように思うのですが、どうですか。
  150. 秋山智英

    秋山政府委員 民間の請負事業体、林業事業体、これはやはり国有林民有林を通じました地域林業の担い手という点で極めて重要な役割を果たすわけでございますので、私どもはやはり近代的な林業事業体の健全な発展が望ましいわけでございまして、いろいろ一般林業施策等によって経営基盤を整備すると同時に、国有林事業としましても林業事業体の登録制の整備であるとか、あるいは請負事業につきまして計画的な発注等によりまして経営の安定化、強化を図るとか、責任体制の確立を図るとか、労務改善に関する指導強化措置を図るとかやってまいっておりますが、さらにやはり今後地域林業の担い手でございますので、それの育成強化という面に意を用いたいろいろの施策も進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  151. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私が林野庁からいただいたいわゆる国有林面積林野庁を除いた局以下の職員の数で割ると、単純に一人当たり幾らの面積になるか。これを営林局の局長さん以下の頭で単純に割ってみると、今の国有林面積から見まして、一人当たり百四十三ヘクタールもあるんですよ。そうすると、適切な国有林維持管理をしていくのには一体どのぐらいの面積、そういうものが必要だと見ておられるのですか。
  152. 秋山智英

    秋山政府委員 これは成立している国有林資源状況、天然林が多いか人工林が多いかというふうな内容、それから地域林業の発展している状況その他、やはり社会的経済的自然的各種条件の中から生まれてくるものでございまして、北海道の国有林の場合あるいは東北の国有林の場合、九州の国有林の場合ということで、やはり森林の持っています条件によって決まってくるものでございますので、一概に何人という数字は出てまいらないと思います。  ただ申し上げられますのは、現在国有林におきましては業務収入によって人件費が賄い得ないという厳しい状況があるということが一方にございますし、また、北海道の道有林の経営と国有林の経営との比較検討等もしてまいりますと、やはりさらに合理化を進めていかなければならないというふうな内容でございますので、私どもはやはりこの際、健全性を確保するためには要員規模の縮小の問題、組織の簡素合理化の問題等も避けて通れない道だと考えておるわけでございます。
  153. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間がなくなってまいりましたが、今国有林事業所は、多くの場合は過疎化地域事業所があるわけです。したがって、その地域のいわゆる行政や経済に非常に大きなかかわり合いを持っている。したがいまして、これの統廃合ということにつきましては、地域行政あるいは住民の十分な理解を得た上でなければ統合してはならない、こういうように考えておるわけですが、この点についてはひとつ十分配慮をしていただきたい。  さらにまた、国有林事業の最先端であります担当区が今二千三百三十三カ所あるわけですが、主任が欠けているところが八十五カ所もある。こういうことで放置をされておるわけですね。これはぜひ補充をしてもらいたいし、さらにまた国有林管理経営を十分に行うという立場から、ここに補助員を一名ぜひ配置すべきである、こういう意見でございますから、この点について御答弁をいただきたい。
  154. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林事業の経営改善を進めるに当たりまして、組織機構の簡素化、合理化は避けて通れない道でございます。したがいまして、私どもも今後も計画に基づきまして組織の簡素合理化を進めていくわけでございますが、その場合におきまして、営林署と申しますのはやはり地域と密接な関係がございますので、地域皆さんの御理解を得ながら、また地域サービスが低下しないように留意しながら、慎重に対処してまいりたいと思っております。     〔衛藤委員長代理退席、玉沢委員長代理着席〕  なお、担当区事務所の問題につきましては、これは戦後二千三百三十三でずっと参っておりますが、やはり交通通信網の発達等の社会情勢の変化とか事業規模の変動とか、情勢も大変変わってきております。また林政審議会の答申におきましても、管理経営上存置の必要性のないものについては統廃合を行うとし、また主要な担当区事務所についてはその機能の充実を図るなど、全体的見直しを行う必要があるというふうに提言がされております。したがいまして、私ども今度新しい計画策定の段階におきましては、全体的な見直しを行いながら担当区の主任の配置についても検討をしてまいりたいと思います。  また補助員の問題につきましては、これは事業量との関係がございますので、それを勘案して適正に配置してまいりたいと考えております。
  155. 新村源雄

    ○新村(源)委員 最後に、先ほど申し上げましたが、国有林事業は非常に危機的な状況の中にある。したがって、これを早急に健全な方向に立て直す、これがすなわち国民の要求にこたえる道でもある、こういうように思うわけでございます。  大臣、ひとつ先ほどの御答弁にもありましたように、全力を挙げて国有林の健全化、そしてこの中に働く要員が安心をして緑を守り育てる、こういう意欲が喚起できるような方向で林政を進めていただきた。こういうことで、大臣の最後の決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  156. 山村新治郎

    山村国務大臣 この緑資源というものは国民的な要望でございます。これを守っていくためには、やはり一林野庁また農林水産省ということではなくて、政府全体としてやっていくべき問題ではないかと思います。今後も力いっぱい頑張ってまいります。
  157. 新村源雄

    ○新村(源)委員 終わります。
  158. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 斎藤実君。
  159. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、保安林整備臨時措置法に関しまして、また関連した問題につきまして若干の質問をしたいと思うのですが、今さら私から申し上げるまでもなく、国土の保全水資源涵養、または生活環境保全等の動きを通じましてこの保安林国民生活に重要な役割を果たしている、これは事実でございます。しかし、最近の保安林の情勢を見てみますと、各地で山崩れだとかその他の山地災害が極めて多く発生をいたしております。北海道でも昨年登別で大きな災害が発生いたしました。山地の周辺まで開発されておりまして、そのために被害が大きくなっているわけでございます。  林野庁は、このような国土開発の急速な発展に伴いまして山地災害の危険性が増大しているという事態をどういうふうに見ているのか、まず長官からお聞かせいただきたい。
  160. 秋山智英

    秋山政府委員 わが国は先生御承知のとおりもともと地形が急峻でございまして、地質的にも大変脆弱な箇所があちらこちらに多いわけでございまして、毎年台風とか集中豪雨によりまして被害を受け、また山崩れ等が発生しているわけでございます。特に最近は、今お話がございましたように、都市化の進展に伴いまして山地山ろく地帯で開発が進められておりまして、山崩れなどの被害を受ける。これが非常に山に迫ってきているというふうな特徴も実はございまして、私どもこの山地災害の発生の危険性というのは高まってきておるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、今後そういう災害の発生を防止するためには、そういう地域につきましてはよくその実態を把握しながら治山事業を積極的に行うと同時に、防災保安林等につきましても適切に配備し、またその内容を維持向上させながら、その災害の未然防止に努めていかなければならぬと思っております。また、森林そのものの機能もより高めていくことも大事だと思っておりますので、そういう両面から進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  161. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 保安林整備臨時措置法は、昭和二十九年に制定されてから今日まで二回にわたって有効期間が延長されてまいりました。保安林は量的に相当の成果を見たと聞いているわけでございますが、先ほど長官から山地災害は全国的に都市化に伴っていろいろな問題が起きているというふうに答弁がございましたが、北海道の渡島・胆振地区を中心として、ここはまた災害の多発地帯なんですね。北海道の渡島・胆振地区だけを私は今申し上げましたが、全国的に相当あると思うのですね。したがいまして、今私が申し上げましたこの渡島・胆振地区を中心として防災保安林指定が必要ではないか。これは地域住民からも極めて大きな要望があるわけでございまして、この北海道の渡島・胆振地区を中心とした保安林指定と、全国的にも相当私はあると思うのですが、これらの保安林配備についてどう対処されるのか、伺いたいと思うのです。
  162. 秋山智英

    秋山政府委員 今お話に出ました渡島・胆振地区の第三期の保安林整備計画を見てまいりますと、渡島地区は目標十三万ヘクタール強に対しまして五十七年度末の実績が十二万五千強でございまして、九六%、胆振地区は目標九万八千六百余に対しまして九万八千三百弱ということで、ほぼ一〇〇%、全体的には九八%ということでございます。  今先生からお話がございましたが、地域の被害状況を見てまいりますと、やはりきめ細かい配備計画を立てていかなければならないというのが今度の延長の一つの眼目になっておりますので、配備計画についてはその地域の実態を踏まえた形できめ細かくやってまいらなければならない、かように考えておるところでございます。
  163. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 本法の改正の趣旨は低下している保安林機能を回復するための措置であるというふうに我々は認識をしておるわけでございますが、その必要性につきましては昨今の山地災害の多発、山地山ろく地帯の開発の進展等の状況から見ましても緊急を要するものと認識をしておるわけでございますが、この機能の低下した保安林が増加をした背景として、近年の林業経営をめぐる情勢の悪化等に伴いまして、林業活動の停滞によりまして、森林施業維持管理が適切に行われなくなったことが大きな原因だろう、こう考えるわけでございまして、この保安林機能の維持強化を図っていくためには、林業、林産業全般について積極的な施策を図るべきではないかと私は思うのですが、それについての見解を伺いたいと思います。
  164. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生おっしゃいましたとおり、近年の林業、林産業は極めて厳しい状況にあります。保安林機能の維持強化を図っていくためにも、その振興は重要なものであろうと私は思っております。そこで、農林水産省といたしましては、林業地域活性化林業の担い手の確保、そして造林、林道等の林業生産基盤の整備木材産業の体制整備木材需要の拡大、これらの各般の施策を積極的に推進してまいるつもりでございます。
  165. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から林業、林産業の振興についても積極的に取り組んでいくという答弁がございましたが、大変結構なことです。  大臣、北海道ではナラなど優秀な広葉樹を生産しているわけでございまして、その製品は諸外国でも高く評価されておりまして、この資源の維持造成を図る必要があると私は考えるわけでございまして、今後優秀な広葉樹等を重視した施策を推進をしていくことが林業、林産業の今後の大きな課題だというふうに私は考えるわけでございますが、林野庁の見解を伺いたいと思います。
  166. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども森林資源の造成の基本的計画は、先生も御承知のとおり「森林資源に関する基本計画」でございますが、これは長期視点に立ちまして合理的な森林整備を図っていくわけでございますが、現在国全体として考えております針葉樹を主体としました人工林と広葉樹林、天然林とはほぼ大体半分ぐらいの計画でございますので、私ども地域の実態に合った形で森林施策業をすることをしております。当然のことながら、北海道におきます広葉樹林というのは世界に冠たるものでございます。また、現地を見てまいりますと稚幼樹の発生のよいところもございますし、択伐によりましてそういう森林が成立し得る環境条件にもあるわけでございますので、私どもは積極的にこの天然林施業によりまして、広葉樹、大径広葉樹と申します方がかえってよろしいかと思いますが、そういう生産も進めてまいりたいと考えておるところであります。
  167. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 二つお尋ねしたいと思うのです。  一点は、今回の改正案では、農林水産大臣指定をしようとする特定保安林とはどういう保安林対象としているのかということです。  二点目は、北海道は非常に気象条件が厳しいわけでございまして、そのための風雨あるいは霧、雪を防ぐといいますか、そういった特色のある保安林が多く指定をされておるわけでございます。これらの保安林地域住民の生活、産業活動などにとって極めて大きな役割を果たしているわけでございますが、今後ともこれらの保安林機能を確保していくことが極めて重要だというふうに私は認識をしているわけでございます。これらの保安林特定保安林指定される要件としてはどういうことを考えているのか、伺いたいと思います。
  168. 秋山智英

    秋山政府委員 特定保安林指定目的機能していないと認められる保安林でございまして、これは森林所有者が通常の造林等の施業をやれば機能が回復するような森林でございますので、早急に実施する必要のある森林対象としてやるわけでございます。  例えば、内容的にちょっと具体的に申し上げますと、水源涵養保安林等でございますと、通常の降雨によりましても林内各所に地表流の発生が認められ、渓流がすぐに増大して、渇水期には水がれが起こる、こういうふうなところを一例としては挙げられると思います。  また、お話の防霧保安林、防風保安林指定される場合の要件としましては、これらの保安林が林冠が疎開しまして、あるいは防風保安林の樹帯の幅が縮減することによって、風だとか霧が侵入して保全対象に被害を及ぼすというようなことが出てくると思います。したがいまして、これらの保安林につきましては、全体あるいは一部が疎林化したり、林帯幅が減少してきているようなものにつきましては特定保安林指定しまして、その機能の回復を早急に図るような措置を講じていかなければならない、かように考えているところであります。
  169. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官、現在林業をめぐる厳しい状況下にあるわけでございまして、この保安林機能を確保するためには、造林、保育等の施策を一生懸命やっている保安林所有者に対して、ただやれやれだけじゃ私はなかなか効果は上がらぬと思うのです。各種助成措置を優先的に行っていく必要があると考えるわけでございますが、どのような助成措置を考えているのか、伺いたいと思うのです。
  170. 秋山智英

    秋山政府委員 昨年の森林法改正によりまして新たに制度化されました森林整備計画は、これは人工林におきまして除伐、間伐が適正に行われていないという場合に、森林整備市町村長が計画を立てまして、地域の実情に即した形で適正な間伐、保育を実施して人工林をつくっていこう、こういう目的でございまして、主体はいわゆる人工林に対する内容整備ということであります。今回、特定保安林におきましては、その保安林の中で、森林の林相と申しますが、疎林であるとか災害その他で痛めつけられているというふうな場合に、その林分を整理伐いたしまして跡地に植栽をし、下刈りをして保安林機能的によくしていこうということでございますので、対象としてはいわゆる天然林が主体でございまして、人工林が含まれるという場合は非常に少ないというふうなことでございまして、おのずとそこに対象が違ってきているわけでございます。
  171. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官、保安林の中にも機能が低下している保安林が相当あると思うのですね。これらの保安林機能を回復するためには、積極的な治山事業を実施することが必要だろうと思うのですが、林野庁として治山事業について今後どう対処していくのか、伺いたいと思います。
  172. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林機能を回復するに当たりましてまず考えられますのは、治山事業で対処しなければなかなか森林所有者ができ得ないようなところがございます。これは治山事業で土どめ工をし、あるいは山腹工をし、保全をするというようなことでありますし、また奥地、水源地域等につきましては公団の造林でやるというようなこともございます。それ以外のいわゆる要整備森林というのは、これは本来的には森林所有者が当然なされなければならぬわけですが、林業生産の停滞とか不在村の森林所有者で手を加えていないというようなところについては、これは今回の保安林整備措置法の中で質的改善という対象に入るわけでございますので、それにつきましては、森林総合整備事業であるとか、あるいはその他の各種の助成事業を優先採択するとか、さらには林道等につきましても実行しやすいように優先採択をするとか、いろいろな助成を含めながらこれを進めてまいりたいと思っております。  なお、治山事業につきましては、現在、第六次の治山五カ年計画に基づきまして、危険性の高いところがございます、崩壊地がございますので、それらを計画的に復旧し、内容整備してまいりたい、かように考えているところでございます。
  173. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ保安林機能を高めて、活力ある健全な森林の状態に整備されるよう強く要望するわけでございますが、間伐ですね、これも機能の維持強化を図る上で極めて重要な措置であると考えるわけでございます。  今回、地域森林計画によりまして保安林機能の確保を図ろうとしているわけでございますが、昨年森林法改正して制度化された間伐、保育のための森林整備計画との関連はどうなっておりますか、ちょっとお尋ねをいたします。
  174. 秋山智英

    秋山政府委員 昨年の森林法改正によりまして、間伐のおくれている地域につきましては市町村長が森林整備計画をつくりましてその適切な実施をするということであります。これは昨年の秋から実施しておるわけでございますが、これからがいよいよその成果が上がる段階に来ておると思いますが、ひとつこれらを計画的になし得るような措置を講じてまいりたいと考えております。
  175. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。  長官、北海道では、戦後カラマツの造林が積極的に行われてまいりました。間伐を必要とする時期を迎えているわけでございまして、今日その利用方法が大きな問題になっているわけでございます。カラマツ材の需要開発を推進していくことが森林所有者等の施業意欲といったものを喚起する上で極めて必要だというふうに考えるわけでございますが、これらに対してどう取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
  176. 秋山智英

    秋山政府委員 先生御指摘のとおり、北海道におきましてはカラマツの人工林が大変多うございまして、その大半は間伐対象時期になっておるわけでございます。したがいまして、これは生産並びに需要の両面から検討していかなければならぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、各市町村におきまして整備計画をつくり、これを計画的に実施すると同時に、北海道の森林組合なりあるいは国有林なり生産関係皆さんが計画的に一定量を間違いなく供給するという体制がまずできませんと需要者側がこれに対応できないということで、四、五年ほど前からそういう体制が逐次できつつありますので、計画生産という形をまずとっていかなければならぬと思います。  また一方におきまして、利用面においては、御承知のカラマツセンター等を中心にしまして集成材その他の利用も大分進んでおりますし、またLVLという新しい型の合板の利用も進んでおりますし、さらには畜舎その他に間伐材等も大分使われ出しておりますので、そういう面については関係の団体が十分連携をとりながら需要の開拓をしていくことが間伐の促進に大きな役割を果たすと思いますけれども、これは両面から進めていかなければならないと考えておるところでございます。
  177. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北海道の札幌市の水源となっております定山渓の水源涵養保安林あるいは根釧地方の防風雨保安林など国有保安林が重要な役割を果たしておるわけでございますが、今回の法改正に関連しまして国有保安林についてはどういう措置を講じようとしておるのか、伺いたいと思います。
  178. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林におきましても、一部におきまして今後質的に向上しなければならない森林があることは事実でありますが、先生今御指摘の定山渓の国有林につきましては、あれは札幌の方々の水がめでございまして、内容が非常に整備されておりまして、絶えず濁らないきれいな水が供給されるということで全国的にも有名な状態にあるわけでございます。ああいう森林状態に持っていくことが保安林の一つのメルクマールになると思いますので、北海道におきましてもそういうモデルを国有林にもよく指導しながら現在進めておりますが、国有林の場合には森林施業計画というのがございまして、これに基づいて進めておりますので、その一環としまして保安林質的向上についてもひとつ進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  179. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 時間が参りましたので最後に大臣に一言お尋ねしたいと思うのですが、森林の有しておる多くの機能については最近一般国民にも大変理解されつつあるということでございますが、しかし、必ずしも十分とは言えないと思うのですね。今後保安林整備を進めていくためには、森林所有者に対してはもとより、一般国民に対しても保安林あるいは森林林業の果たしていく役割その他の重要性についてよくPRをして、理解と協力を求めるような努力をすべきではないかと私は思うのです。保安林整備に対する国民の要望は、今後一層高まっていくと思うわけでございます。  これらの要請にこたえて、今後十年間において必要な措置を図っていくことについて、大臣から決意を伺って終わりたいと思います。
  180. 山村新治郎

    山村国務大臣 保安林は、それこそ災害から守るという意味からも大きな役目を持っておるわけでございます。特に緑資源というもの、これを一般国民にわかってもらうために、今回の分収育林どもその一つでございますが、それにしましても今先生おっしゃいましたようにもっともっとPRしていくということでございますので、このPR、そしてまた政府全体として取り組んでいかなければならない、そういうぐあいに考えております。
  181. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上で終わります。
  182. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 神田厚君。
  183. 神田厚

    ○神田委員 国有林野事業改善特別措置法及び国有林野法改正法、さらには保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案に関しまして御質問を申し上げます。  まず最初に国有林野事業改善特別措置法の問題でありますが、その基本的な考え方といたしまして、今回の法改正が一月十一日に林政審議会から出されました答申等を踏まえてなされるものでありますけれども、この国有林事業の経営改善にとりまして我が国の林業、林産業全体の振興が不可欠である、いわゆる総合林政の推進ということが基本になっております。  そこで、まず第一に、我が国の林業、林産業の振興策をどういうふうに講じるのか、その点について御質問いたします。
  184. 山村新治郎

    山村国務大臣 今日の国有林事業の経営悪化、これは我が国の林業全体の構造的な要因というものもございます。しかしまた、国有林事業固有の要因、これとが重なり合って生じているというぐあいに考えます。  このため、林政審議会の答申を最大限に尊重して一般林政施策の一層の充実強化を図っていきたいと思います。そのためには、林業地域活性化林業事業体の強化、これを含めた林業の担い手の育成確保、また造林、林道林業生産基盤の整備、また保安林機能強化等国土保全対策の充実、そして木材産業の体制整備木材需要の維持拡大、これらの諸施策を強力に推進してまいりたいというぐあいに考えております。
  185. 神田厚

    ○神田委員 それでは続きまして、国有林事業の使命を果たすために必要な財政措置、要員、組織機構についてどういうふうにお考えでありますか。
  186. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林事業の持っております使命を十分に果たしていくためには、何と申しましても経営の健全性を確立することが大切でございます。特に現在業務収入をもちまして人件費を賄い得ないという厳しい財務事情にございます。したがいまして、組織機構の簡素化、合理化、要員規模の縮減は私ども避けて通れない課題だというふうに認識しておるわけでございます。  そこで、組織機構につきましては、先般の閣議決定、一月二十五日の行政改革に関する当面の実施方針というのが出ているわけでございますが、これに沿いまして措置を講ずるとともに、現業機関としての特質を考慮しました内部組織の改善合理化も行いまして、まずは簡素合理化を果たしてまいりたいと思っております。また一方要員につきましては、定年制の施行、それから省庁間の配置転換等の推進、新規採用の抑制、請負化の促進ということによりまして縮減を行うことによりまして、事業規模に見合った要員、組織体制で能率的な事業運営を行うことができる企業体となるように努力しなければならない、かように考えておるところでございます。  今申し上げましたことは私どもの自主的改善努力でございますが、こういう自主的改善努力を進めてまいります上におきましても、まず当面経営の健全性を確保するためには、基本的条件が整備されるまでの間は、この事業の推進、経営改善の円滑な実施のために、今御審議をいただいています退職手当に関する資金的措置を含む財政措置等を講じまして、今後の国有林の適正な管理森林資源内容の充実の確保に努力していかなければならない、かように考えておるところであります。
  187. 神田厚

    ○神田委員 次に、改善期間の延長と財務の改善の問題でありますが、まず一つは、国有林事業の経営改善は五十三年度以来取り組まれてきたわけでありますが、林政審答申では、経営悪化の原因は我が国全体を取り巻く構造的要因である、こういうふうに指摘をしております。一方で、国有林事業固有の要因があるという指摘もございます。  こうした要因の分析とそれに対する具体的措置がまず必要であると考えますが、どういうふうにお考えになりますか。
  188. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、これまで経営改善に取り組んでまいりまして、それなりに成果を得たわけでございますが、今後、大変厳しい中でございますので、いろいろと具体的な政策も同時に展開していきませんとなかなか七十二年度までに収支均衡を回復することが困難なわけでございますので、まず新しい政策展開も同時並行的に進めてまいろうと思っておるわけでございます。そこで、今回いろいろ御審議いただいておりますのも、そういう趣旨に基づいた一番大事な法案だというふうに理解しております。
  189. 神田厚

    ○神田委員 これまでの経営改善の取り組み方については、どういうふうに評価をなさっておりますか。
  190. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、五十三年以来、組織機構の合理化につきましては、営林局署の統廃合につきまして計画どおり実施しておりますし、要員につきましても、五年間に約一万人の縮減をする、また事業所の統廃合等も計画どおり実は実施しておりまして、私どもは、これはそれなりに成果が上がってまいってきておるというふうに理解しておりますが、客観情勢の非常に厳しいことと、一部事業能率性等においても不十分な点がございますので、やはりそれが今の苦しい財務事情の原因になっておると理解しております。
  191. 神田厚

    ○神田委員 この法律は、七十二年度で収支均衡の達成を図る、こういうふうに言っておるわけでありますが、どうでしょうか、七十二年度の収支均衡の達成を図るためにどういうふうな取り組みが必要になってきますか。
  192. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、現在の林業をめぐる厳しい状況の中で、その中において改善計画に取り組むわけでございますが、これはそう容易な目標ではないと思っております。私どもといたしましては、改善というよりも改革というふうに、非常に厳しい、さらに組織、要員等の簡素化、合理化、さらには木材収入の確保、また林地売り払い等による収入確保と、いろいろ自主的努力をしながら、一方におきまして、基本的条件が確保できるまでの間は財政的にもお願いし、この目標達成に向かって職員が一丸となってやっていかなければならない、かように考えておるところであります。
  193. 神田厚

    ○神田委員 続きまして、国有林事業は、公益的な機能の発揮、つまり水資源涵養、国土保全保健休養、こういう意味におきまして公益的な機能の発揮という大きな使命を持っておりますが、現行の会計制度の枠組みの中で収入確保、支出削減を図っているような状況であります。こういうことでありますれば、こうした公益的な機能を損なうおそれがあるというふうに考えるが、その辺はどうでありますか。
  194. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども国有林事業は、本来、やはり企業的に経営するというのが我々の事業の性格でございまして、私どもそういう中にありますが、先ほど申し上げましたように、五十三年から経営改善に積極的に取り組んでおりますが、一方におきまして、保安林内における造林であるとか林道開設に要する事業費に一般会計から繰り入れを行っているわけでございます。さらに、五十八年からは林道の災害につきましても一般会計からの繰り入れの対象にしたほか、国有林内の治山事業はすべて一般会計の負担で、いわゆる治山勘定で実施をするということにしておるわけでございまして、このように、これまでも、国家財政は非常に厳しい中でございますが、経営改善に必要な財政措置をとってきているわけでございます。  五十九年度におきましては、この厳しい客観情勢下でございますが、その中におきまして、経営改善に取り組むに当たりまして改善期間を延長し、それの期間、一般会計からの繰り入れをお願いすると同時に、急増する退職手当の財源の借り入れとそれから利子財源の一般会計からの繰り入れというようなことを行おうとしておるところでございまして、私どもは、経営改善の自主的な努力と、さらにはこれらの財政措置によりまして適切な管理経営をやり、健全性の確保にさらに一層努力してまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  195. 神田厚

    ○神田委員 ただいまちょっとお話がありましたが、公益的な機能の発揮にかかわるところの問題につきましては、森林造成費等につきましても一般会計の負担の増大を求めていく、及び受益者負担の積極的な導入を検討すべきではないかというふうに考えておりまして、例えば、今回導入します分収育林制度についても、電力会社等にダム上流域に対する森林の保有に参入をしてもらう、こういうことを促進してはどうだろうかというふうに考えておりますが、この辺のところのお考えはいかがでありますか。
  196. 秋山智英

    秋山政府委員 公益性を重視した施業をするということは、一方におきましては応益分担の問題に絡んでくるわけでございます。林野庁も、これまで応益分担につきましての調査等もいろいろと重ねてまいっておるわけでございます。基本的にこれは非常に望ましいわけでございますが、ただ、具体化する場合におきまして、受益効果の定量的な把握をどうするかという問題、それから受益者特定する方法はどうしたらいいかとか、あるいは受益者を参加させる指標はどうかというふうな、いろいろな問題が実はございまして、現在これに取り組んでいるわけでございます。この問題は国有林民有林を通じた問題でございますので、いろいろな方法を講じ、また各地域におきましてのそういう基金造成への参加等の方法もございますが、いろいろな角度からこれは取り組んでいかなければならぬ問題だと考えています。  また、育林分収につきましては、現在、私ども、緑資源の確保につきまして一般の国民皆さんに御理解をいただき、森林資源重要性を知っていただき、やはり森林造成には長期間と資金がかかるというようなことも御理解いただくことが非常に大事だと思ってこれを進めておりますが、電力会社その他のこれに対する参加問題は、今後の課題として検討していかなければならないと考えております。
  197. 神田厚

    ○神田委員 次に、林政審答申では、収入確保のため、林野、土地の売り払いの必要性を指摘をしております。  そこで、まず第一に、土地の高度利用と国有財産管理という観点から、売り払いをどういうふうに位置づけているのか。さらに二番目には、売り払いということになりますと、収入確保の面からは一般競争による売り払いが有利でありますが、国有地という性格から公共性を重視する必要性があるというふうに考えますが、この点どういうふうに対処するのか。三番目には、利活用による収入確保はどのように考えているのか。  この三点をお伺いいたします。
  198. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 現在の国有林事業の非常に厳しい財務状況を乗り切っていきますためには、国有林事業が保有しております資産の見直しをみずから行いまして、現に不用となっているもの、あるいは見直しの結果将来とも国が保有することを要しないことになったもの、あるいは宿舎の高層化等によりまして生じた余剰地といったようなものにつきましては、国土の有効利用といった面から、地域の土地利用計画に沿った方向で適切かつ積極的に売り払い等を行いまして、一層の自己収入の確保を図っていかなければいかぬというふうに思っております。その際、私どものこの国有林事業の使命達成と地域振興に配慮いたしました国有林野の土地利用のあり方を見きわめて、それを踏まえてやっていくということが必要であると考えておりまして、答申でもこれまでのその都度対応ではなくて土地利用計画に沿った方向でやれというふうな御指摘がございますので、そういった方向で考えてまいりたいと思います。  ただいま、収入確保ということになれば一般競争による売り払いということだけれども、国有地という公的な性格から見れば公共性を重視するということになるだろうが、その辺はどう考えるのかというお尋ねでございますが、国有林初め国有財産の土地の売り払いにつきましては、昭和四十七年の国有財産中央審議会の答申というものがございまして、従来から公用、公共用の用に供するものを優先をいたしてまいってきております。私ども、自己収入の確保の中でこの林野、土地の売り払いは極めて重要な位置を占めてきておりますが、この場合におきましても、やはり地域振興なり国土の有効利用ということで、地元との関係も調整しながらという形の中で、公用、公共用優先の原則は十分踏まえながら対応をしていかなければいけないものだというふうに考えております。  利活用につきましても、従来から地域の実態に応じながら、また私ども国有林事業事業遂行との調整を図りながら、福祉向上なり地元産業の振興というものにできるだけ寄与をいたす方向で実施をしてまいってきております。財務事情の改善を図ることが緊要な課題になってきております現状を踏まえまして、今後ともみずからの保有資産の見直しを行いながら適切な利活用を進め、自己収入の確保にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  199. 神田厚

    ○神田委員 本会議の後、また引き続いて質疑をします。  これで終わります。
  200. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十三分休憩     —————————————     午後三時十一分開議
  201. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神田厚君。
  202. 神田厚

    ○神田委員 午前中に引き続きまして、林野三法についての質疑をいたします。  退職手当にかかわる財政措置等につきまして御質問を申し上げます。  企業体といたしまして自助努力は国民にとっても当然のことでありますが、一方、構造的な要因によります赤字につきましては、政府として措置すべきでないかという考え方に立っております。そういう意味におきまして、例えば借入金にかかわる利子負担は今後一層増大するわけでありますが、こうした利子負担の軽減措置等についてはどういうふうな考え方を持っているのか。利率の引き下げあるいは一般会計からの補てん等についての問題はどういうふうにお考えになっておりますか。
  203. 秋山智英

    秋山政府委員 退職手当はいわゆる人件費の一部をなす経費でございまして、本来的にはこれは企業体としての国有林事業勘定の負担で支払うべきものと考えておりますが、しかし、私ども今回この退職手当の財源につきまして借り入れを行うことにしましたのは、現在の国有林の職員の年齢構成を見ますと、定年制の施行とも関連しまして、今後退職手当が急増しまして国有林事業の財務を圧迫するといった、財源確保などの理由からでございます。  それから、後でお話がございました借金に係る利子率の負担等の問題の軽減措置でございますが、私どもの借入金は御承知のとおり資金運用部資金から借りているわけでございますが、この貸付利率につきましては統一的に設定されまして、国有林のみが引き下げるというのは困難な事情にあるわけであります。  それからまた、林道とか造林のいわゆる投資的な経費でございます事業施設費につきましては、これは将来の生産活動によりまして利子を含む償還が可能なことを前提として借り入れているわけでございまして、本来的に利子補給にはなじみにくいものであると私ども考えているところでございます。
  204. 神田厚

    ○神田委員 今回の改正案におきまして新たに退職金を財投資金から借り入れること、借り入れにかかわる利子を一般会計の負担とすることを盛り込んでおりますが、本来国の責任で措置すべきではないかという考え方が一つあります。また、今後退職者の増加に伴いまして借入金が一層累増すると思われますが、その見通しはどういうふうになっておりますか。また、今後の一般会計からの利子の補給については、苦しい国家財政のもとで担保をどういうふうにとっていくのか。この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  205. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、私どもやはり退職金につきましては本来的には国有林事業勘定の負担で支払うべきというふうに考えておりますが、非常に今財政事情が厳しいわけでございまして、その中で財政を圧迫しますと経営改善の推進が極めて難しくなるために、財投資金からの借り入れをしたわけでございます。  これにつきましては利子補給をお願いしまして、私ども改善計画に基づきまして経営改善をするわけでございますので、要員の調整が進捗するということは経営改善に極めて大きな意味を持ちますし、退職手当に係りますところの借入金と申しますのは、いわば事業施設費とは違いまして生産増大に結びつかない点がございますので、今後の国有林事業の財務圧迫がないようにということで、特にこれにつきましては利子補給をお願いするという形をとっておるわけでございます。  そこで、退職手当に係る借入金それから繰入金の今後の見通しでございますが、これは毎年度やはり予算で決めていくものでございまして、現段階におきまして今後十年間に幾らかというようなことが決まるわけのものでございませんので、これにつきましては、今後とも逐次計画的に予算でお願いして対処していきたい、かように考えているところであります。
  206. 神田厚

    ○神田委員 利子補給についての担保の問題はどのようになっていますか。
  207. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 ただいま長官からもお答え申し上げましたように、この利子補給そのものは、年々政府におきまして予算編成をいたしまして、国会の御承認を得るという形で年々決まってまいるわけでございますが、このたび法律改正をしていただきまして制度的な裏づけも与えていただき、そしてまた当委員会で多くの先生方からも、国有林事業重要性、またそれを関係各方面に十分に認識させるようにというふうなお言葉がございました。そういう努力を通じまして、必要な額を年々確保してまいりたいというふうに考えております。
  208. 神田厚

    ○神田委員 続きまして、森林レクリエーションの場といたしまして、自然休養村等の整備あるいは管理にかかわる経費につきましても、受益者負担あるいは一般会計からの導入、こういうことを検討すべきではないかと考えますが、どのようにお考えになりますか。  また同時に、地元管理につきましては、民間委託を検討してはどうでしょうか。
  209. 甕滋

    ○甕説明員 先生ただいま御指摘の森林レクリエーション利用の問題でございますが、国有林事業の果たすべき重要な使命の一つと心得ております。今後とも、自然休養の場としてすぐれた国有林野を積極的に国民レクリエーション利用に供してまいるつもりでございます。  その場合に、森林レクリエーション利用が公共の福祉の増進あるいは地域振興といった観点に寄与すると同時に、土地の使用等によります収入の確保を図る事業でもございますので、その効率的な実施に心がける必要があると思っております。  地元に管理を委託してそれを運営することもという御指摘につきましても、実際に最近におきまして、地方公共団体あるいは民間事業体との連携によります第三セクター、こういったものを積極的に活用いたしまして、その収益性もかなりのレベルで改善されつつある現状でございます。今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  210. 神田厚

    ○神田委員 次に、国有林事業の運営のあり方につきまして御質問を申し上げます。  答申では、昭和六十三年度までに四万大規模を目指し要員管理を行う必要があると指摘をされておりますが、国有林事業の中長期ビジョン、昭和六十三年度以降の姿につきまして、対応する要員管理をどう行うのか、お答えをいただきたいと思います。
  211. 秋山智英

    秋山政府委員 林政審答申におきましては、今後の経営改善の推進に触れまして、要員の縮減が特に重要な課題というふうに述べておりまして、改善期間の前半期につきましては厳しく要員管理を行うことによりまして、現在の定員内外の職員合わせまして五万五千人体制から昭和六十三年においては約四万大規模とすることが可能と見込まれるので、これを目標として適正な要員管理を行う必要があるというふうに提言をされておるわけでございます。  そこで、私ども、この要員規模の縮減につきまして厳しい要員管理を行うこととしております。五十歳以上の職員が五割弱を占めている現状におきまして、五十九年度末に予定されておりますところの定年制施行による退職者の急増の問題、それから省庁間の配転の推進、それから新規採用の抑制、こういうふうな厳しい要員管理を行うことによりまして、先ほども申し上げましたが、昭和六十三年度末までには、現行の約五万五千人体制を約四万大規模に縮減することを目標といたしまして、職員並びに関係労働組合の協力をも得つつ努力してまいりたい、かように考えているところでございます。  なお、六十四年度以降の国有林事業の要員規模につきましては、事業実行形態のあり方、改善合理化の進捗状況とも深く関連がございますので、具体的な推移を申し上げることは困難な状況にございます。
  212. 神田厚

    ○神田委員 それでは、その要員の規模の縮小に見合いました業務の効率化、簡素化等の合理化が実際に行われることができるのかどうか。
  213. 秋山智英

    秋山政府委員 今後要員規模を縮減する上におきまして、何と申しましても業務の効率化、簡素化というものは重要な課題であるわけでございます。そこで、私ども、組織機構の簡素合理化、事務の改善合理化、電算機等のOA機器の導入、それから職員研修の充実というふうないろいろの措置を講じますとともに、作業の能率の向上、合理化の推進等を積極的に進めまして、要員規模を縮小しつつ業務の適正な実行に遺憾のないように期してまいりたい、かように考えているところでございます。
  214. 神田厚

    ○神田委員 そうでなくともこの合理化問題というのは大変いろいろな問題が起こるわけでありますから、果たしてその規模の縮小に見合った形でうまく合理化が達成できるかどうかというところは非常に大事な問題だと思っております。特にそういう面におきましては、林野庁の方の指導力によりまして合理化に対して取り組んでいる職員とそれを阻害するような者との間の、努力の成果というようなものについて、きちんとした評価と処遇をしなければならないと考えますが、その点はいかがでありますか。
  215. 秋山智英

    秋山政府委員 これから私ども国有林事業の改革を着実かつ円滑に実行をしていくわけですが、やはりその原動力は職員でございます。したがいまして、職員の努力に対する正当な評価、処遇というのは職場の活性化を図るために極めて重要であるというふうに私ども認識しておるわけでございます。  そこで、その方法にはいろいろございますが、職場を単位といたしました評価方式の導入であるとか職員の処遇改善等も含めまして、今後幅広い検討を行ってまいりまして、職場の活性化のためにいろいろと措置を講じてまいりたいと考えております。
  216. 神田厚

    ○神田委員 次に、組織機構のうち営林署につきましては昭和五十四年に九署、昭和五十七年に七署の統廃合を行ったわけでありますが、経営改善という観点からどういうふうにこれを評価しているのか。  また、局署等の統廃合については、行政官庁と取り扱いを一つにして数合わせ的な統廃合はやるべきではない、こういうふうに考えております。むしろ現業官庁として、答申で言う地域的諸条件に応じた機動的対応が可能となる営林署体系への整備を検討し、実質的改善を優先させるべきではないかと考えますが、いかがでありますか。
  217. 秋山智英

    秋山政府委員 営林署の統廃合につきましては、五十二年当時三百五十署ございましたが、一割を目途としまして整理統合を行うという閣議決定に基づきまして、五十三年度に九署、五十六年度に七署、合わせまして十六署の統廃合を実施してきたわけでございます。  この統廃合は、直ちにその効果が発現をするものではございませんけれども長期的に見ますと間接管理部門の簡素化、間接経費の節減という面で効果があったものと私は思います。これからも出てくるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、統廃合につきましては、地方公共団体皆さんあるいは地域皆さんの御理解を得つつやらなければいけませんし、国有林事業機能の低下や地元関係者に対するサービスの低下を招くことがないように慎重に対処していかなければならない、かように考えているところでございます。今先生も御指摘いただきましたが、地域的条件に応じて機動的対応が可能となる営林署組織体系の整備を図るという課題は、これからの大きな課題でございますので、我々は慎重に検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  218. 神田厚

    ○神田委員 次に販売形態についてでありますが、立木販売を指向すべきだと答申にありますが、その改変に際しまして、国有林地域振興に対する役割との観点から、地元企業の振興なくして立木販売に移行することには問題があるのではないか。この辺のところの環境整備はどういうふうにするのか。
  219. 秋山智英

    秋山政府委員 今後の国有林事業におきます販売形態につきましては、林政審の答申の趣旨に沿いまして立木販売を指向しつつも、現在我が国の林産業における製材業者の伐木部門が非常に縮小してきているということもございますし、市売り市場からの素材供給への依存度の強まりというふうな実態があるわけでございます。また、国有林自身を内容的に見ましても、要員調整の段階にありまして、職員をフルに活用せねばいかぬという問題もございますし、また収入確保、付加価値を高めて収入増大を図るということを考えてまいりますと、現実にはやはり素材生産、販売を継続する必要があるというふうに現在考えておりまます。  また、立木販売の場合にありましても、実質的には買い受け人のほとんどの方々は地元の製材業、素材生産業を営む方々でございます。また、必要によりまして地域振興に資するような販売方法の適切な選択を行うというふうなことも当然考えていきまして、地域振興に問題のないようにこれは進めてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  220. 神田厚

    ○神田委員 答申でもう一つの指摘でありますが、森林機能区分等に基づく類型化により経営成果を明確にする、こういうことの必要性を答申で指摘をしておりますが、経営成果を明確に把握するため、標準行程等の基準を定めることも必要、こういうふうに考えられますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  221. 秋山智英

    秋山政府委員 今後の国有林森林施業の合理化、さらには効率的な投資を進めていくに当たりましては、今先生からお話がありました森林の有する機能区分、森林帯区分等に基づいて森林の類型化を行いますとともに、それに応じた森林施業方法、林業施業方法を明確にしていくことが私はやはり必要であると考えておるわけでございます。  そこで、これらの施業方法を効率的に行うためには、客観的でありましてまた標準的な作業行程というものを把握することが非常に大切であると考えておりますので、私どもこれらの標準的な行程の把握につきましては、いろいろと地形、地位、地理等複雑な条件がございますけれども、今後ともさらに適正な把握に努めまして、経営成果の明確化に資していかなければならない、かように考えておるところであります。
  222. 神田厚

    ○神田委員 終わります。      ————◇—————
  223. 阿部文男

    阿部委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会委員でありました島田安夫君が、昨十一日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。  ここに、委員各位とともに御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願い申し上げます。——黙祷。     〔総員起立、黙祷〕
  224. 阿部文男

    阿部委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。      ————◇—————
  225. 阿部文男

    阿部委員長 津川武一君。
  226. 津川武一

    ○津川委員 国有林野、林野庁、この二つが臨調、行革で不当に扱われているというふうに私は考えております。そこで、きょうは、林野庁国有林野の持っておる大きな林地、林材、組織力、労働力、技術力が守られ、発展していくようなことを願いつつ、その道を模索しながら質問を展開していきたいと思います。同時に、施業計画では若干の注文もつけてみたい、こんなふうに感じております。  ここに臨調の最終答申がございますが、ここでは経営悪化を招いたことを真っ正面から取り上げているのです。しかし、その経営悪化を招いた原因として「昭和三十年代半ばにおける外材輸入の自由化により国内市場の大部分を奪われ、木材価格が低迷する一方、人件費等生産コストが上昇し、林業採算性が著しく低下したこと、また、近年、住宅の新設戸数の減少等による需要の停滞が顕著になっていることである。」まあまあ正しく指摘しております。この指摘を解決するために臨調が最終答申を出したなら私はあえて文句は言いませんが、この中で問題としては、「昭和三十年代の事業規模の拡大等に伴い膨張した要員がその後の業務量の変化に応じて十分に縮小されず、」そこでこういう結論を出してくるわけであります。何を要求したかというと、要員規模を縮小しろ、事業実行形態の投資水準によっては目標達成に今の状態は極めて困難だからこれを減らせ、組織の要員を整理しろ、立木で販売しろ、非経済林はほったらかせ、それから請負化をやれ、こういうことを皆さんに迫っております。  もし昭和三十年代の要員の拡大で要員が多いとするならば、徹底的に人工植林する、徹底的に保育する、これは後で話しますが、そういうことを勧告してこそ初めて正しい勧告だと思うわけであります。それをしないで来た。私はある意味において、林野庁皆さんが犠牲者にされているのじゃないかなという気持ちも端的にするわけなので、これに抗議しながら少し質問を展開していきます。  そこで第一の質問は、農水大臣に、何回も繰り返されましたが、森林の持つ意味合いというもの、外国だけでなく、日本で森林涵養していくことの必要性が今決定的に出てきましたし、このために林政審議会も各般の官庁が協力しなければならないということまで言っておりましたので、この辺に対する農水大臣の御所信をもう一回承っておきたいと思うのです。
  227. 山村新治郎

    山村国務大臣 森林は、木材生産機能だけではなくて、国土保全水資源涵養など公益的機能を有しており、国民生活に極めて重要な役割を果たしておるものと思っております。このため、農林水産省といたしましては、このような森林重要性を踏まえ、森林の有する諸機能を高度に発揮させるよう、林業生産基盤の整備、国土保全対策の充実等、各般の施策を積極的に推進してまいるつもりでございます。
  228. 津川武一

    ○津川委員 私もその農水大臣の所信を是として、この点では農水省とも林野庁とも一緒に頑張ってみたいと思っているわけです。  そこで、林野庁の計画課がかつて森林の有する公的機能の評価、これを金額であらわしたことがございます。何年か前のこの委員会で私もこれを使わしていただきましたが、それをさらに五十六年十月に修正してこの評価額を出しております。総計で二十五兆四千三百億円。水資源涵養三兆六千八百億円、土砂流出防止、国土保全五兆四千五百億円、保健休養三兆八千四百億円、酸素供給、大気浄化一兆一千四百億円。この試算には問題もあるかと思いますが、ことしの国の予算が五十兆何がしかなのに毎年二十五兆円からの仕事をしておる、これは非常に大きな宝だと思うわけであります。これだけのものを全部林野庁がやっているとは私は言いませんけれども、これをつくり出す上において林野庁の果たしている役割は非常に大きいものだと思います。  そこで、国立公園、保安林、この点で林野庁がどのくらいの施業をしているか。例えば国立公園に林道を開くとか山を守るためにどのくらいの人員を、どのくらいの金額を、どのくらいの機材を、どのくらいのガソリンを-国立公園施業のために、保安林施業のために林野庁はこれだけ使っておりながら代価として受け取っていないのじゃないか、ただ働きさせられているのじゃないか、こんなふうに考えるわけであります。水資源涵養の三兆六千八百億円、これに対しても、皆さん施業によって工業用水ができているのです、水道の水ができているのです、国民がいろいろなところで水泳できる水もできているのです。この水をつくるために一生懸命苦労されておる林野庁の努力が金で払われていな。そうして臨調は赤字だと皆さんを責め立ててくるわけです。国立公園と並んで、保健体育もそうです、酸素をつくることも、炭酸ガスを吸収してくれることもそうです。  そこで林野庁にお伺いしますが、このことで環境庁とどんな相談をされているのか。おまえらのためにおれたちこれだけやっておるからおまえたちも一緒にこのための予算要求を、などと相談しているかどうか。建設省とはどんな相談をされておるか。国土保全のために、災害防止のために国土庁だとか建設省とどんな相談をされておるのか。ここいらをひとつお伺いしたいと思うのでございます。
  229. 秋山智英

    秋山政府委員 ただいま先生からお話のございました森林の持っています公益的な機能の評価でございますが、これは御案内のとおり国有林民有林を通じた我が国全体の森林機能の評価でございまして、私どももこの内容整備に鋭意努力をしているわけでございますが、今度は具体的にそのうちの国有林につきまして、国立公園、森林レクリエーション、そういう面にも私ども森林施業の充実整備を通じましていろいろ努力をしているわけでございます。  そこで、現在、国有林には昭和五十八年四月一日現在で二百十六万ヘクタールの自然公園がございますし、それから約一万ヘクタールの自然環境保全地域がございます。そのほかにレクリエーションの森としましては五十四万ヘクタールを設定いたしましてその内容整備に努力しているわけでございますが、これらの森林施業につきましては、私ども国有林事業に従事する職員が一体的になりまして、普通の林地林業経営、それからまた国有林の中の保全管理の見回りとか、いろいろと一体的にやっておる関係がございまして、それの費用を特に分離するという経理は現在はなされておりません。  それから、環境庁とのいろいろの協議と申しますか、これは自然公園、自然環境保全地域指定ということにかかわる問題であるとか、あるいはその地域の中におきまして森林施業をどういうふうにやっていくか、どういう制限をするかということやら、あるいは施設を設置するについてのいろいろな打ち合わせ、協議等いろいろ緊密な連携をとりまして、森林の持っております森林レクリエーション、自然環境保全形成の面での機能の発揮には努力をしているわけでございますが、私どもそのために幾ら回せとか、そういう具体的な論議は現在しておりません。  それから次に、森林の持っております国土保全あるいは災害防止というふうな機能が非常に重要であるわけでございまして、これに十分な予算をかけて対策を立てていく。私どもはやはり森林内容整備充実しまして国土保全、災害防止を図るということは国民生活の安定と向上に極めて重要でございますので、現在は治山治水緊急措置法に基づきまして第六次の治山五カ年計画によりまして治山事業を計画的に実施しているわけでございますが、この計画策定に当たりましては、当然のことでございますが、治山と治水と連携をとりながら総合性を保ってこの整備目標、計画内容をつくらなければいかぬということで、十分調整をとっているわけでございます。また、この五カ年計画の実施に当たりましても、流域におけるそれぞれの特性を勘案しまして連携をとり、砂防、治山と連絡調整会議を開きながら計画、工事実行あるいは管理等についても効率的な事業が実施できるように努めておるわけであります。それから激甚災害が発生した場合におきましては、その都度連絡をとりながら災害防止、復旧等に必要な措置を講じておるというのが現状でございます。
  230. 津川武一

    ○津川委員 そこで、林野庁にお願いといいますか、元気を出してくださいといいますか、国立公園、保健森林、このことで林野庁だけが負担を出している。おまえらも少し一緒に負担してみないか、環境庁の予算で、水道でいえば厚生省の予算で分割してお互いにやるということになってくると、臨調にこんなに突っ込まれなくてもよろしいのです。ここいらをぜひこれから他省庁との協議をやって、危険の分散というよりか負担の分散、責任の分散をしてもらって、そこに予算の要求をしてもらわなければならな。  特に、委員会皆さんも恐らく賛成してくれると思いますが、大蔵省がこの面でもっと多くの財政支出をすべきだと思うわけです。私は、完全な独立採算というのはいけないので、どこまでもそこいらが必要だと思いますが、こういうことを具体的にやったことはありますか、これからどうなさいますか、どちらでも結構です、お答え願います。
  231. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、現在国有林事業につきましては企業的にこれを運営するといったてまえで鋭意努力しているわけでございますが、森林の持っております機能というのは、その地域に応じまして木材生産を主体とする林分もあれば、国土保全を中心としてやる林分、あるいはそれが重複した林分、いろいろとその林分があるわけでございます。私ども森林施業計画に基づきまして全体としての森林内容整備充実できるようにということで、この伐採、造林計画を初め、各種事業計画を立てて実行しているわけでございますが、あくまでもやはり企業的にこれを運営するといったてまえになっておりますので、現在、五十三年以来でございますが、この経営内容の悪化が出てまいりましたので、経営改善に取り組むべく鋭意努力しているわけでございます。  その自主的努力とあわせまして、五十三年以来保安林内の造林あるいは幹線林道につきましての一般会計からの導入とか、あるいは五十八年からは林道の災害についても一般会計から導入するとか、さらには国有林治山はすべて一般会計の予算で事業を実施するとか、いろいろと私どもなりに、国家財政厳しい中でございますけれども、一般会計からの導入を図ってまいってきているわけでございますが、今後におきましては、国有林をめぐる情勢が極めて厳しい中でございますので、自主的努力をしながら、また要員の調整の中におきましての退職金の増加に対する財投資金の導入、一般会計からの利子補給というのをお願いしながら、また改善期間を延長してもらいながら一般会計からも導入していくというようなことで、自主的努力と財政措置と相まちまして、私ども国有林の健全性を確保して国民皆さん要請にこたえるようにしていかなければならぬということで現在鋭意努力し、これからもさらに一層努力をしていかなければならぬ、かように考えているところでございます。
  232. 津川武一

    ○津川委員 退職する人に退職手当を払うのは当たり前であって、これは相手と協議するとかどうかじゃなくてやらなければならぬことなんですが、問題は、国有林野のことを議論すると、どこへ行っても決定権を握っているのは大蔵省だということ。その大蔵省との交渉、これとのやり合いが何よりも必要になってきているわけ。この点では、御苦労でも、我々も応援するから、林野庁長官と一緒に大蔵省へ行ってもいいから、頑張っていただきたいと思うのです。  そこで、厚生省に、環境庁に林野課とでもいうべきものがあってしかるべきだ。皆さんの職員がそちらに出向して、環境庁の職員を皆さんに交代してでも勤務させていくという形をとらないと、国有林野の、保健林野の責任だけはとらされるということになりますので、この点はあえて答弁を求めませんが、ひとつ検討していただきたいと思うのです。山村農水大臣も、答弁いただきませんけれども、これはひとつ御検討願いた。そうでないと、本当の責任分担が出てこないで、非難だけ、攻撃だけを林野庁が引き受けなければならぬ。  昨年の島根県を中心とした山陰地方の水害、同僚の中林委員が詳しくこの点で皆さんに質問したので繰り返しませんが、このときに非難されているのは林野庁林野庁もやるべきことをやってなかったかもわからぬ。建設省もだ。大蔵省も共同加害者、やはりここいらが大事なんですね。そこで、島根県の被害を救済する、再びこういうことがないように、そのことで早急に建設省、大蔵省、林野庁の三者協議を開いていただきたいのです。そうでないと、皆さんだけが非難される。私は、非難されるべきはむしろ財政を削った大蔵省だと思っているわけなんです。この三省が協定、相談をして、その結果、島根県に再び災害を起こさないように、あの災害の後片づけをするようにぜひやっていただきたいと思うのです。  お気持ちがあったら返事してください。
  233. 秋山智英

    秋山政府委員 最近、山地の周辺の開拓、開発が進むとか、あるいは一部に森林の大変悪いところ等もございまして、被害が発生してきております。私ども、やはり災害を未然に防止するというのは極めて重要でございますので、この森林整備には鋭意努力しておるわけでございます。  災害の発生した場合におきましては、二次災害が起こらないように緊急治山事業でまずは行い、さらに今度は復旧につきましては、ただいま申し上げましたように、現在第六次の治山五カ年計画で鋭意その復旧に努力しておるわけでございます。その場合におきましても、国家資金を有効に、効率的に使うためには治水と治山を連携をとってやるということが極めて重要でございますし、また、国土庁とも全体的な国土保全との絡みにおきまして調整をとりながら実施しておるところでございまして、そういう意味での森林地域の災害防止は私どもの重要な仕事でございますので、今後さらに一層そういう面での連携をとりながら進めてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  234. 津川武一

    ○津川委員 国土庁との調整をとる、結構でございます。やってくださ。国土庁と一緒になって、建設省と一緒になって大蔵省にぶつかっていただきたい。ここのところを私はお願いしたいのです。もう一回、長官、どうぞ。
  235. 秋山智英

    秋山政府委員 治山治水緊急措置法に基づきまして、五カ年計画をつくりまして治山治水を進めていくわけでございますが、その段階におきましては、建設省はもちろんでございますが、国土庁とも十分連携をとりながらこれは進めてまいりたいと思っております。
  236. 津川武一

    ○津川委員 次の質問に移っていきます。  今、日本の国は資本主義の国、もうけよう、利益を上げよう、利潤を上げよう、そういう中で、林野庁は必ずしも資本主義の体制でやれないことは今まで話したとおり。ペイしないものを、金の返ってこないものをやらなければならぬ、ここに林野庁の苦しみ、本当の姿があると思うのですが、林野庁の財政を急速に悪くしたものに外材がございます。この外材をどうするかということでございます。とうとうとして入ってくる外材の問題なんです。政府が昭和四十一年に立てた木材長期需給見通しては、五十年の需要量一億立米、そのうち国産材七一%。しかし、実際の需要量は、一億見通したのに九千六百三十七万立米、まあまあ同じぐらいにいっております。ところが、これは木材の需給見通しと同じ比率で進んでおりますけれども、国産材は予定の七一%はおろか、三五・九%よりもいっていません。ここに問題があるわけであります。この減ったのは自然に減ったのでなく、減らしたものは外国木材木材が自由化されている。これのことを考えないでは、皆さんの財政というものはなかなか立て直せない、今の施業計画でも無理だと私は思います。  そこで、どうしたならばこの外材を処置できるか。この間の大臣が苦労された牛肉、オレンジでは、アメリカの方は日本にこれこれのものを入れろというふうに要求してくる。日本の自動車が集中豪雨的にアメリカに行くと、アメリカは二百万台、二百五十万台ではだめだから百八十万台に抑えろと、向こうの方から要求してきている。例えばECは何らかの形で課徴金体制をつくっているわけ。これほど外材にいじめられておりながら、大企業のわがままをそのまま是認している。林野庁がひとりで、自分の生産する木材の価格を下げられて黙っているというのは、余りにも人がよ過ぎるのじゃないか。資本主義の世の中だから、ここはいろいろなこともやらなければならぬと思うのです。そこで、通産省と外材の輸入を、皆さんが計画した分だけ国産材が出ていく形で比率を修正してもらう、この相談、輸入制限、この処置を通産省と協議して、その処置に出るべきだと思うのです。ECなんかはちゃんと、ガットの規定にもありますが、必要な処置をとることができることになっております。このガットの規定を適用して必要な処置を講じてみる。このことも一つの大事な大事なことになっておりますが、ここいらあたりの御決意、所信、対策をぜひひとつ確立していただきたい、その気持ちを聞かしていただきたいのです。
  237. 秋山智英

    秋山政府委員 我が国の現在の森林資源の構造から見てまいりますと、やはり当分の間、相当量の木材を外材に依存しなければならないという実態にあるわけでございます。したがいまして、私ども、外材の輸入につきましては、国内市況を圧迫しないように需要に見合いました適切な輸入が行われることが必要であるわけでございまして、そこで、現在、対外的には米国、カナダ等の主要な産地国との間で幅広い情報交換あるいは意見交換を持ってきておるところでございます。また国内的には、専門家の方々に集まっていただきまして、短期の需給見通しを作成し、公表し、この関係業界の指導をいたしまして、木材需給の安定に努めてきたところでございます。  ですが、今申しました木材需要全体の面から見てまいりますと、やはり今後とも当分の間相当量の木材を外材に依存せざるを得ないという状況に実はあるわけでございまして、適切な輸入を図っていくに当たりましては、強権的な方法による輸入調整というのを行うことは、現在各国から市場開放を求められているという国際環境から見て困難であり、適当でないというふうに考えておるところであります。
  238. 津川武一

    ○津川委員 ガットの規定にも必要な措置を講ずることができるようになっているし、日本よりも経済的に強いアメリカが日本の自動車のアメリカへの集中豪雨的輸出を台数規制しているのですよ。日本の大企業が計画的に輸入するならまだいいが、かなり無計画に輸入して、それが日本の材木の価格を圧迫している。この認識は、そう考えておりますか、ひとつ答えていただきます。
  239. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど触れましたとおり、資源事情から見まして、私ども、今後当分の間やはり相当量外材に依存せざるを得ないという状態にあります。したがいまして、そういう中で、現在の国際経済環境下では、重ねて申し上げて恐縮でございますが、やはり強権的な方法での輸入制限というのは非常に問題がございまして、適当でないと私ども考えておりますので、あくまでも需要に見合った輸入をするために、短期の需給見通しをやるとか、あるいはまた国内の林業、林産業の足腰を強くするというようなことを積極的に進めていかなければならない、かように考えているところでございます。
  240. 津川武一

    ○津川委員 私、下北半島のヒバを見に行きました。この間は皆さんのお世話で津軽半島の市浦営林署に行って、これまたヒバ材を見せていただきました。あの節は非常にお世話になりまして、ありがとうございました。  ところで、下北半島でもヒバが切ったまま売れな。それから、この間は秋田の営林署の藤里町へ行ってきました。ここでは杉が切られたまま売れないでごろごろしているのです。これはなぜでしょう。これは外材の影響なんです。こういう点でかなりの被害を受けているときに、林野庁長官は需給を見ながらと言う。林野庁長官に言わせると、入ってくる外材を中心に見るから。そこで、やはり日本の杉でもあのすばらしいヒバでも売れていくようにするためには、外材に対する一つの対策がどうしても必要であります。これを通産省とぜひぜひ協議してしかるべき措置をとることが、皆さんの経営を安定させることもできるし、国土保全の仕事も安心していける、こういう立場なのでございます。林野庁長官に権限がないのか、あるいはその意欲がないのか、あるいは肝っ玉が小さいのか、通産省にかかっていくだけの元気がないのか、なかなか私の期待した返事がない。これは仕方ありません。しかし、そのことを強く強く要求して、次の質問に入っていきます。  それは、臨調答申も報告しておるように、建築材の問題なんです。ここのところにも問題が出てまいります。  政府の第四期住宅建設五カ年計画、昭和五十六年度から六十年度に七百七十万戸見込んでおる。しかし、五十六年−五十八年の実績では計三百三十万、残る二年一カ月で四百三十六万。建設計画は達成されていません。住宅建設の中でも特に木造住宅の数の減少は、一九七三年には百十二万戸の木造住宅の建設であったが、今日では六十万台、約半分に落ち込んでおります。国民の中には、木材住宅に根強い要求があるわけです。こういう状態の中で、住宅金融公庫では木造に対するものは鉄筋や鉄骨よりも金額は少なく返済期間も短くしている。また、建築基準法による高さの制限、三階制限、いろいろなことがある。学校の体育館のフローリングなんて、昔木材で立派にやれたものを、今木材はふっ飛んでしまう。例えば、ここのこの机は木材だ。政府の官庁、林野庁の職員の机はスチールだ。大蔵省も同じだ。内閣も同じだ。こんな格好で、木材の需要というものを拡大する体制ということがなくなって、そのとばっちりを林野庁が引き受けて四苦八苦しているわけであります。木造住宅、木材のこういう質のよい家具の状態など、木材の需要拡大、やはりこれを念頭に置かないと林野庁の財政もなかなか苦しくなる。  そこで、この木材住宅だとか木材家具だとか、こういうものをどう考えて、林野庁はどうされてきたかをお知らせ願います。
  241. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもこれからの林業振興するということになりますと、まずはこの木材需要の拡大を図らなければならぬわけでございます。最近は、住宅建設の減少と、もう一つはやはり木造率が下がってきているという問題もあるわけでございます。したがいまして、私どもやはり木材のよさを一般にPRし、理解してもらい、さらにその動向に合って供給を実現していくということが極めて重要であるわけでございます。  先ほど先生お話にありました青森ヒバの問題にしましても、ヒバ自身は従来東北地方それから石川県を中心とした需要圏だけでございまして、それをやはり日本全体に広げるというふうな努力も私ども必ずしも十分じゃなかったわけでございまして、ヒバですとこれはシロアリに強いということで、むしろ今度は別の需要開発もできるわけですから、そういう販売面での改善も含めまして、また、需要圏を広げましてそれを売りさばくという新しい販売政策の展開ということもしていかなければならないわけでございます。  一方におきまして、従来から我が国のように非常に湿気の多いところにつきまして、木材の方がはるかに健康的にいいわけでございますし、木材のよさをPRし、火災についてもすぐ燃えるなんということでなくて、それなりによさがあるわけです。また、地震にも同じ重量ですとほかのものよりも強いとか、いろいろな特徴がございますので、そういうふうなPRをしていかなければならぬと思いまして、私どもこれまでにもやってまいりましたが、さらに、今年からは大工、工務店、一般消費者に対する木材利用の普及啓発を図るということで、木材普及センターなどを設けまして木材利用促進体制を整備していこうということも新たに考えておるわけでございます。やはり数多くの方々に木材のよさを理解してもらうということが極めて重要でございますので、積極的に取り組んでまいりたいということで今措置しているところでございます。
  242. 津川武一

    ○津川委員 木材のよさがたくさんある。それを認めて、これをひとつ国民に知らせる、PRする、それも御苦労さまです。  この間、東京で青森ヒバ材の展示会をやりましたら、皆さんから非常に御支援をいただいて、何かヒバ材の認識も少し広がるようで、私も喜んでいる一人ですが、林野庁長官の答弁は、それはそれなりによろし。そこいらがあるいは限界なのかもしれないなと私は今思っているのです。問題は、建設省とどう渡り合うか、文部省とどう渡り合うか、内閣とどう渡り合うかということ。あの林野庁自身のスチールの執務机、あれに木材を持ってきて、小さな中小企業の人たちに注文をとってみたら、木材がふえる。木材に対するそういう小さな工業も発達していくんだな。こういうことを内閣全体でやってもらうとか、こういうことを文部省に頼んでみるとか、あの体育館のフローリングというのはなぜ今木材でなくなったかと私は不思議でしょうがな。  こういう官庁関係のことがぜひ必要だ。長官から今聞くと、一生懸命PRしていく、これはいい。だが、そこではもっと大きなものが解決されない。木造住宅を計画どおりやらせていく。僻地である、また一戸住宅を持つ人たちに、木造住宅というのはかなり魅力がある。こういう文部省、建設省などの協議、そこで木材の消費の拡大、ここのところを進めていただきたいのです。飛騨の高山、熊本の八代、あそこに行くと、切った木材を製材する、そして加工する。それから木工芸がある。精密機械をつくる。ここまで木材の消費が始まっている。そうしなければ基本的な材木が出ていかな。先ほど北海道の広葉樹の話が出ました。ブナもある、ケヤキもある。ここらあたりをずっと使うような形のものを、単なる雑誌のPRだけでなく、行政府として処置すべきことが今強く求められているわけであります。ぜひ建設省とだけはこの点で突っ込んだ話し合いをしていただきたいのでございます。いかがでございます。
  243. 秋山智英

    秋山政府委員 木材需要の拡大を図るためには、木材需要の大宗を占めております住宅建設部門、これを所掌する建設省と連携をとることが重要でございます。そこで、現在、林野庁といたしましては、建設省と農林水産省共管になっております日本住宅・木材技術センターを通じまして、木材利用技術の開発であるとかその成果に基づく普及啓蒙事業もやってまいっておりますが、さらに建設省と密接な連携を持ちながら、二、三申し上げますと、従来過疎地域等に限定されておりました木造住宅の可能地域を都市部に拡大するという問題、それから集成材技術が最近大分進みまして、大断面の構造の集成材を用いた木造の大規模な体育館の建設を促進するために、高さの制限十三メートルというのは緩和するとか、それから三階建ての木造住宅の建設促進のための簡易構造設計基準の制定というようなことを今建設省と連携をとりながらやってまいっております。  今先生お話の中にございました学校体育館等のそういう広がりにつきましても、大断面の構造用の集成材を用いることが必須条件になっていますが、二千平米未満のそういう学校体育館等につきましては木造でできるというようなことも現在道を開きつつございます。今後、私どもは建設省と連携をとりながら、木造住宅の需要拡大に努力していかなければならないと思っております。
  244. 津川武一

    ○津川委員 建設省ともいろいろ相談してやるそうで、結構でございます。相談をもっともっと進めていただきたいのですが、私が願いたいのは、建設省に要求してほしいということ、迫ってほしいということ、こうしなければならないのです。  そこで、もう一つこの点で質問させていただきます。  農村に行っていつも思うんだが、農村での公共建築物、そのほとんどがこのごろ鉄になってきた。もっと木を使いたいものだなということを、火事の集団発生もないし、つくづく思うわけです。そこの公営住宅、これも何とかしていただきた。農村の地域では木造のものがやりやすいのです。そして特に気をつけていただきたいのは、大臣が隣におりますが、あなたたちが大臣にお願いしていただきたいのだが、農水省が僻地の農村の環境整備、生活を豊かにするためにいろいろな補助施設をつくっている。これが木造でないんです。建築法に従って、三階以上、これは木造はだめなんです。しかし、あの僻地における木造三階建てぐらいは、補助を出すのが皆さんの農水省だから、ここのところぐらいは検討されてしかるべきじゃないかな。この間も私たちの西目屋村や相馬村に行ってみたら、幾つかの施設が農水省の予算でつくっているものがございます。これが残念ながら木造でな。その施設もぴょっこり離れている。私は具体的な検討に入るべきだと思うのですが、これはいかがでございます。
  245. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、木造の公営住宅推進という点につきまして、建設省と一緒になりまして各県に出向きまして、その対策を練り、関係皆さんに御理解いただくように五十六年以来努力をしてまいっております。木造公営住宅でございますが、五十五年にはわずか二百三十八戸でございましたが、年々増加してまいりまして、五十八年には九百二十二戸までまいりました。これは、特に木材生産地域の道府県等においては、やはり地場で生産される木材を、公営住宅を初めとしまして、あるいは農林水産省の補助事業におきます畜舎であるとか、そういうものについては極力木造でつくろうという意欲が最近非常に活発化してきておりますので、私どもは建設省と連携をとりながら今後とも進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  246. 津川武一

    ○津川委員 皆さん行政官だから、行政の中で木材がもっと消費されるような対策を、遠慮会釈なく、各省と連絡をとってやってほしいのです。  そこで、大臣に二つばかり質問がございます。  その一つは、こういう情勢で公益機能を果たすとすれば、農水大臣は厚生省だとか環境庁だとか国土庁だとか建設省だとかとかなり密に協議しなければ、一緒にやらなければならな。木材の消費、外材のことなんというと、今度は通産省、建設省、文部省とこういう点でかなり協議していただかなければならな。これは林政審議会の答申のかなめでもございます。  そこで大臣にお願いなのは、問題のかなめは金なんです。大蔵省なんです。外国の農産物の輸入のとき、大臣が総理大臣や大蔵大臣と話されたそうですが、本当にそのとおりで、そういう点で、総理大臣や大蔵大臣と林業を守るためにじっくりひとつ、大臣の政治力を一〇〇%、一二〇%発揮していただきたい、こう願いながら、大臣の答弁をお願いする次第です。
  247. 山村新治郎

    山村国務大臣 今まで国有林事業におきまして、保安林の造林、幹線林道開設等に要する経費の一部を一般会計から受け入れております。そしてまた、治山事業については一般会計で負担をする。そして、今度の改正法をお願いしておりますが、そこの中で、保安林の造林については六十八年度まで一般会計を延長して繰り入れを行う、また今度のいわゆる退職手当についても財投からこれを出してもらいまして、そしてまた利子は一般会計の負担というようなぐあいにやっております。今先生言われましたように、後、事あるごとに大蔵省とはよく交渉いたしまして、一般会計から何とかいろいろ引っ張り出してきたいと思います。  今先生、いわゆる木材の需要拡大というようなことでお話しになりましたが、私の方も文部省、建設省と相談してやってまいりますが、先生の方もひとつ御協力いただきたいと思います。これは魚梁瀬杉の名刺です。私は今一生懸命拡大に協力しておりますので、ひとつ先生の方もよろしくお願いしたいと思います。
  248. 津川武一

    ○津川委員 ぜひひとつ総理大臣ともその点でかけ合っていただくよう、もっと言えば経済閣僚会議のときにこれを具体的に、今問題なのは木材を使わなければならないということだから、どうぞ……。  もう一つの大臣に対する質問は、先ほど林野庁長官がいろいろなヒバ材のPRをしてくれまして、私もあのとき本当によかったなと思いました。  この間私たちが新幹線に乗りますと、これが入っているのです、「グッディ」。どうぞお持ち帰りくださいというわけなんです。これを見ましたら、「特集・森」なんです。こんなふうにすばらしい宣伝が書いてある。私はついうっとりして汽車の中で見ておりましたが、この中でいろいろおもしろい、大事なことが書いてあります。     〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕 「森を愛する人々」という中に稲本正さんという人が出ていて、飛騨の高山に「オーク・ヴィレッジ」というのがある。「オーク・ヴィレッジ」というのはドングリの木の村で、ここでは「「お椀から建物まで」を合言葉として、木器、家具、織物、藤製品、鉄器などを手づくりしている。」あの飛騨の高山でああいう精密家具が発生する根拠もここいらにあるわけです。これを見て、屋久杉からいろいろなものを見せていただいて、私はいいなと思いました。  この間、「喜びも悲しみも幾歳月」という映画を見て感動したわけです。私の地帯は出稼ぎ者が多く、何でああいうふうに酒を飲むのでしょうね。酔っぱらって火事を出して死んでしまう。そうすると、応急の処置ができないから、私たちが行ってお世話して跡を片づけてやる。あの消防署の人たちの苦労というのは大変なものなんです。そこで消防庁長官に災害対策特別委員会でお願いしたんです。この消防庁の皆さんの苦労を、あの「喜びも悲しみも幾歳月」の映画のように映画にしてくれないかと言って頼んだら、一本の映画ができました。  それで、山のすばらしいこの緑、国民の命を保っておるこのすばらしいことを何らかの形で、そしてあの担当区の中で、雪の中ででも山を見回っている労働者、職員の皆さんの苦労というものが映画にならないかな。せっかく二十五兆円というお金を試算したので、もう一つその点で、国民とともに歩むという、国民にやっぱり守ってもらうという形のこういう宣伝なんかなさってくれないかなということでございます。大臣、いかがでございます。
  249. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林水産省は今こぞってPRをしているところでございます。特にせんだってはちょうど閣議のときに——御存じのとおり、絹糸が大変な問題になっております。着物以外にというので、私、閣僚みんなに絹の背広を着せることにしまして、みんなに御協力もいただきましたし、またせんだっては、これは水産庁の方ですが、水産の方も、実は魚が余り食べられなくなっておるというようなところで、今の魚食というものが日本型食生活ということで、日本人の平均寿命がこれだけ急に延びたというのもそれなんだというような意味を込めながら、「ザ・サカナ」ということでPRもしております。  今度はザ・何と言ったらいいんでしょうか、まあ森林浴といういい言葉も出たわけですから、長官と相談しながら、これからも事あるごとにPRを重ねてこの需要というものを増していきたいというぐあいに考えております。
  250. 津川武一

    ○津川委員 大臣に対する質問が続いて恐縮ですが、もう一つお願いします。  それは、先ほど話したとおり、臨調行革は、何というのですか、林野庁にやきもちをやいているんでしょうか。林野庁が持っておる広大な林地、土地、森林、林材。林野庁が持っておる恐ろしい組織力。中央に林野庁がある、全国に営林局がある、営林署がある、担当区がある、事業所がある。それから物すごい労働力。山を切って育てていく、保育していく。あの危険も顧みない、労働災害を冒しながらも山をつくり上げていく労働力。そして山を育てていく。伐採についても、保育についても、枝打ちにしても、山を見回る能力にしても、病虫害を見ていく能力にしても、すばらしい労働力を持っている。この中で、今度皆さんの方は営業と計画を分けるというのでしょう。あと、営業現場も直営をやめて請負に出せという格好で、この宝物が何か切られていくみたいな寂しさを無性に感ずるわけです。そこで、これは大臣に守ってもらわなければならぬ。この日本でもそんなにないこういう宝を何とか守り育てていただけないかなということですが、大臣の御決意をお伺いします。
  251. 山村新治郎

    山村国務大臣 今後の国有林事業改善に当たって、さきの林政審議会の答申を踏まえまして、組織機構の簡素化、合理化、事業規模に見合う要員規模の縮減を図る一方、地域林業の先導的な役割を果たし得るような技術開発の推進等にも努め、効率的な組織と、そしてまた先導的な技術をもって日本林業の模範となる事業運営を行い得る体制を実現していきたいと考えております。
  252. 津川武一

    ○津川委員 今度は、皆さんの提案されている法案の施業実態に移ってまいります。今まではかなり皆さんを激励しましたけれども、今度は、ここでは多少文句が出てくるのです。  一つは立木販売、二つには天然林施業、もう一つには請負に出す、こういうことなんです。山を育てるのはだれか、地元の人です。これは参考人の、地元なくして国有林はないという意見、六人みんな同じだったのです。  そこで、立木のまま売ると地元の人がやる仕事がないわけです。丸太にすると地元の方がやれるわけですね。ここのところに問題が出てくる。それから今度は売り渡す場合、青森県の西半分の鰺ケ沢、深浦、五所川原地域を歩いてみて胸にじかじか刺さってくるものは、大型のトラックに杉が満杯され、ブナが満杯されてどこに走っていると思いますか。これが能代、大館。地元の人と皆さんが育てた山に対する発言権も関与権も、一緒に育てたという喜びも、ここから一緒に収益を取るという喜びも、何もなくなっているのです。ここに根本的な問題がある。これが立木販売です。  さあ今度は、保育、植栽、畑をつくって植えて、そして下刈りをして、間伐をやって、枝打ちをして育てていく、これが請負になったらどうなるか。立木を切ったときにどうなるか。これも、山に行くと、今簡易宿泊所もしくは飯場ができております。皆さんが請負させた事業家は地元の人でないのです。地元の人が請負しているならば、そこに飯場なんかつくる必要はない。これでは地元がどうなりますかということ。  もう一つには、立木で売るというのは、資本主義で一番まずいやり方です。資本主義の世の中だから、少しでも加工して付加価値を加えていってこそ初めて商売になる。林野庁行政府だから商売でないと言えばそうだけれども、しかし、臨調にこれだけいじめられてみれば、やはり立木皆さんが売らないで、皆さんの方で切って、製材もやらなければならぬ、木工もやらなければならぬ、さらにはそこに仏壇までできるという加工をやらなければならぬ。もう一回繰り返しますけれども、この中でこの人が言っていることはそこなんです。茶わんからみんなつくっていくという。おわんから建物まで、そして木器、家具、こうなると地元に一つの密着ができていく、こういう形なんです。  私のふるさとの青森県には津軽半島、北の方から市浦、中里、金木営林署がある。そして、今度は奥羽線沿いには碇ケ関、大鰐、黒石、青森。日本海岸の方に行くと鯵ケ沢、深浦。ここでみんな立木で持ち去られている。ここでも製材業がこのごろ破産し始めている。ここで木工が育たない。こういう一貫した作業、この中に出てくる茶わんから家具まで、こうすれば林業でペイする、林野庁が臨調から言われないで済むわけであります。ぜひとも皆さんの力で立木販売をやめていただいて、直営でやっていただいて、もっと大きな労働者を入れていただきたい、入れていただかなければならぬ、こういう情勢でございます。立木販売は、下請は、請負はとんでもないことであって、この点に対する皆さんの検討の結果と、どうしてこんなおかしな結論になったのか、知らせていただきます。
  253. 田中恒寿

    田中説明員 国有林の産物を立木販売という形にするかあるいは素材の形に生産いたしまして販売をするか、その区分につきましては、いろいろ地域の沿革的な事情もございます。あるいはまた売り手と買い方の利害の関与する面もあるわけでございますけれども、臨調答申あるいは林政審答申におきましても、国有林立木販売を指向せよ、それを原則とすると言われましたゆえんは、私ども生産事業を行いますために事業課ができる、あるいは貯木場を持つ、その関係する作業員を抱えるというようなことで、ややもすれば肥大化した組織機構になりがちである。したがって、常に官業の組織を抜本的に簡素化する、見直す場合には、その最もドラスチックな方法と申しますか、立木販売という形を考えて、それを反省の材料とする気持ちがなければ、ややもすれば肥大化を免れないという御議論の末にこういう提言をいただいているわけでございます。  現在そういう方向を志向しつつありますけれども、最近の製材所と申しますと、かつて持っておりました伐出部門をだんだん持たなくなってきておる、あるいは市売り市場整備されてまいりましてそこから手軽に入手する、そういう傾向が強まっておりますので、現実的に林産業界に対応するためにはやはり素材生産を継続する必要がございますし、私どもも優秀な技術を持った多数の作業員をまだまだ抱えておるという要員事情もまだあるわけでございます。そういうわけで、当面生産事業を継続することといたしておりますけれども、また販売につきまして、先生、大量の木が大型トラックで運搬されるというお話もございましたが、優良な木を優秀な技術で加工販売するという、いわゆる川下のそういう木材関連産業が力を持って、また山の方の造林、生産等の林業諸活動も非常に活発になると私ども考えているわけでございます。  なおまた、私どもいろいろな事業を実行いたします際に極力地元の労働力によりたい、林業事業体によって実行する方向をとりたいと思っておりまして、青森県におきましても、例えば津軽から下北、下北から津軽程度までのほどの移動もないのではないか、ごく短距離の、どういたしましても土着性の強い、地元の労働力でございますので、そんなに広範囲に人が来て仕事をしていることはな。私どもとしましても、極力地元に定着した林業事業体であってほしいということで仕事の発注をするように指導しているところでございます。  なおまた、木工等の資材につきましては、伝統工芸品と申しますか、あるいは家内工業的な木工、加工、そういうものが地元で発達いたしますことは、私どももそれに適当した樹材種を積極的にやはり随意契約によって売り払いまして、そういう産業の助長となるように努めたいというふうに考えておるところでございます。
  254. 津川武一

    ○津川委員 資本主義は、商売は一つでも付加価値をふやすということ。この付加価値をふやして売るということを林野庁は全く放棄してしまったのか。林野庁が復活していく第一義的なものは付加価値を加えていくということだ、このことをどう庁内で検討しているか、明らかにしていただきた。  地元にいい労働力があればと言うけれども、冗談ではありません。地元にほかの人たちを入れる飯場ができている、簡易住宅がそこでつくられてほかの人たちが来る。地元が出てこな。地元で言うと、もう一つは、皆さんのところで随意契約がふえている。それならば地元にどのくらい随意契約でおろしているか、これが減っている。別な人が随意契約で行っている。本当に地元におりているか。  この間、地元の山子が茨城県の皆さんのところの営林署が払い下げたものを請負で切りに来ている。そこに雇われた労働者、青森県のきこりが何で茨城県の営林署の山を切りに来なければならぬのか。これが地元を荒廃させている。この人は死んでしまったのです。切っているうちに真っ向からこう……。私が言っても労働災害が適用されない。  皆さんのところで、林野庁の労働者の一年の労働災害が二千人ぐらいある。民有林の労働者は一万人ぐらいいる、災害を受けて労働災害が適用されているのは。こうなってくると、林野庁の労働力というのは災害も少ない、数の比較もあるだろうけれども。そこのところに決定的な、地元と密着する、これがなくして、今臨調で皆さんがやっているのは地元を切りなさい、地元なんか要らないということで、今まで育ててきた地元というものを無惨に切っていく形になっている。地元に適当な労働力があればと言っているけれども、そんなものはとんでもない話なんだ。この一事でわかるでしょう。専門のきこりがなぜ地元に雇われないで茨城まで出稼ぎに行かなければならないか。  こういう点でどうしてもやめていただきたいのは、立木販売、下請におろすこと。直営事業を閉鎖する、これは林野庁にとっては自殺行為になると私は思うのです。先ほども言いましたように、この点では林野庁にすばらしい労働力の集団がある。これをフルに使っていただければ、仕事がないかというと、あります。この間、藤里営林署のある藤里町に行ってみたら、植えつけ、地ごしらえ、下刈り、つる切り、除伐、枝切り、根踏み、倒木起こし、藤里営林署の地域施業計画では四千七百六十六人、山子たちがこれをやるために、本当にやろうと思ったら、自分たちで勘定してみたら七千三百四十五人。だから、山を植えましょう、人工林をふやしましょう、植えましょう、地ごしらえをやりましょう、下刈りをやりましょう、つる切りをやりましょう、除伐をやりましょう、枝打ちをやりましょう、山を育てましょう。今の現業労働者で足りないくらいです。そのことをやらないで労働者の首切りに出たところに、私も林野庁の労働組合の皆さんとも相談してみたが、ここに一つの林野庁の自殺行為とも言われるものが含まれているわけです。これが完成したときには、現業というものは何にもない林野庁、役所だけ。こんな林野庁は、私はいただきたくはありません。  もう一度長官なりだれか、この点での答弁をお願いして、質問を終わります。
  255. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども国有林の使命といたしましては、木材生産の量的補給問題がございますし、公益機能整備することもございますが、同時に、地域の農山村の経済振興ということも十分考えております。地域には林業事業体が、国有林民有林を通じて林業をするという方々もおられますので、そういう方々の働く場もつくっていかなければならぬと思います。特にその場合、素材生産の場合においては、付加価値を高める一方において、コストがそれ以上にかかるということであればこれはいかぬわけでございますので、コストを下げて能率的な素材生産をするということでこれから対応していくことが大事であると思います。  やはり地域振興には私ども国有林事業としては十分役割を持っているわけでございますので、経営改善を進めるに当たりましても、十分念頭に置いてやってまいりたいと思っております。
  256. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  257. 阿部文男

    阿部委員長 水谷弘君。
  258. 水谷弘

    ○水谷委員 林野三法の質疑でありますが、私は、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案国有林野法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。  初めに、山村農林水産大臣に御質問をいたします。  既に、五十八年度の林野特別会計における長期借入金は二千七十億、債務残高は九千五百九億円であり、五十九年度の債務残高は一兆円を超えると言われております。今や第二の国鉄とも言われている現状でございます。  元来、戦後の国有林に課せられた課題は、戦時中の乱伐によって荒廃した森林の復旧、それから経済復旧に必要な木材を豊富に供給することにあったと思います。その役割を果たす制度的基礎として、経営の原則に企業性を持ち込んだ特別会計制度、独立採算制として林野特別会計は発足したのでありますが、このような社会的要請にこたえる国有林野経営は、三十年代の前半までは黒字収支のもとで比較的順調に経営が展開してきたと思われます。それは、木材需要が拡大し、木材価格が上昇するという恵まれた条件の中で、国有林は常に経済的優位性を発揮してきたのであります。しかし、昭和三十五年の外材の輸入自由化を契機として外材支配の影響を大きくこうむることになり、さらに木材需要の減少傾向、特に第一次オイルショック後の経済の長期低迷のもとで消費が伸び悩み、木材不況、国有林の経営環境が著しく悪化したと考えられます。  国土面積の約二割、全森林面積の約三割を占める国有林野は国民共通の財産であり、林政審の答申でも「一、林産物の計画的・持続的な供給、二、国土の保全水資源のかん養、自然環境の保全形成、保健休養の場の提供等の森林の有する公益的機能の発揮、三、国有林野の活用、国有林事業の諸活動等を通ずる農山村地域振興への寄与など、国民経済及び国民生活の上で重要な使命を担っている。」と指摘しているところであります。  そこで、今回の改正案では財務改善、財政措置において自己収入の確保と支出の縮減を図ることを基本としているのでありますが、国有林事業の赤字が、国鉄など安企業や特殊法人の多くに見られる赤字や経営破綻と同一視され、社会的な関心を現在強めております。しかし、林業が持つ特殊性、独占度の弱い特殊の安企業としての国有林事業考えますと、この問題を解決し、その再建を図るためには、今回のような緊急避難的な財政措置ではなく、まず第一に、国有林事業における赤字の原因を徹底的に洗い直し、過去における林業政策の欠陥を明確にし、二度と同じ轍を踏まないように長期的展望に立った改革に取り組むべきだと考えます。  そして第二には、さらに一歩踏み込んで、独立採算制のあり方、単に単年度収支均衡の原則のあり方についても本格的な検討が必要ではないか、このように考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  259. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生おっしゃいましたように、この国有林野、これは何といっても我が国の国土の保全水資源涵養、これらの公的部門を初めとして、我が国国民にとってなくてはならないものでございますし、また、国際的にも緑が危機だというようなことも叫ばれております。そして、国有林事業昭和二十二年から特別会計によって企業的に運営されてきておるわけでございますが、現在においても基本的にはこの特別会計制度を維持すべきものというぐあいには考えております。  しかしながら、国有林事業の財政が逼迫しているからといって、森林の造成をおろそかにするというようなことはできないわけでございます。これまでも保安林の造林、幹線林道開設等に要する経費の一部を一般会計から受け入れております。そのほか治山事業については、すべて一般会計負担で実施しているところであります。また、現在御審議をお願いしております国有林野事業改善特別措置法改正案では、保安林造成等についての一部の一般会計からの繰り入れを昭和六十八年度まで延長して実施することといたしております。そしてまた、急増する退職手当について新たに借入金及びその利子の一般会計負担の道を開くことといたしております。  このような財政措置と自主的改善努力の一層の徹底によりまして、運営の健全性を確立するために必要な基本的な条件が整備され、本来の特別会計方式による企業的経営が可能になる、こういうぐあいに考えております。
  260. 水谷弘

    ○水谷委員 ぜひそうあっていただきたいと思うところであります。  次に、林政審の答申の中に「国有林野は、国土の保全等の公益的機能は高いが収入確保には結びつき難い、いわゆる非採算林分を多く保有しているので、この適正な管理経営が行われるよう、森林機能別区分等に基づく類型化を行い、これと森林の現況を基に、経営成果を明確に把握するための経理処理及び非採算林分管理経営に要する費用についての経費分担の在り方等の問題について、早急に調査検討を進める必要がある。」とございます。今年度、調査費が計上されたと伺っておりますが、どのような方向で取り組まれるのか、伺いたいと思います。
  261. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林の配置を見てまいりますと、脊梁山脈地帯に多く分布しているわけであります。国有林事業としてこれらの森林管理経営してまいりますと、「国土の保全等の公益的機能は高いが収入確保には結びつき難い、」という、今お話しのいわゆる非採算林分が多く存在しているわけでございまして、この適正な管理運営を確保することは、私どもやはり極めて重要な課題であると考えておるわけでございます。  そこで、この非採算林分と申しますか、これはいわゆるというふうに申し上げた方がよろしいと思いますが、この成果計算を明らかにするということが、やはり経営の管理を的確に運営するために重要でありますが、これにつきましては、その森林の区分をどういうふうにしたらよろしいかという話もございますし、それからそれを管理する体制をどうしたらよいかという問題、さらには、その森林の取り扱い方、施業方法はどうあるべきかというような問題、それから受益者による費用負担の問題もございますし、また会計処理基準の設定と実務上の問題と、これからいろいろ解明していかなければならぬ問題がございまして、こういう検討課題をこれから取り組んでいかなければならぬわけですが、林政審の答申にも指摘をいただいているわけでございますので、早急にこの調査検討を五十九年度から進めてまいりたい、かように考えているところであります。
  262. 水谷弘

    ○水谷委員 いろいろな問題点が山積していると思いますが、ぜひひとつ真剣にお取り組みをいただきたいと思います。  これは参考までにお伺いをしておきたいのでございますが、過去においては今日と全く逆で、むしろ林野特別会計から一般会計への繰り入れが行われてきたわけであります。そこで、どのくらいの繰り入れが今まで行われてきたか。昭和二十八年以降のトータルを現在の卸売物価水準に直して、もしおわかりになれば御報告をいただきたいと思います。
  263. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 お答え申し上げます。  国有林事業特別会計から一般会計への繰り入れは、昭和二十八年度から昭和四十七年度にかけて行われておりまして、その額は、単純に合計をいたしますと、約四百六十九億円に相なります。なお、このほかに森林開発公団国有林事業特別会計から四百五十四億円の出資を別途いたしております。  これを現時点で評価いたしますことについては、いろいろ難しい問題もございますし、幾つかの方法も考えられるわけでございますが、仮に卸売物価指数によりまして、昭和五十七年度価格に換算をいたしますと、一般会計への繰り入れが約一千億円、森林開発公団への出資金は約八百億円というような試算の結果に相なるわけでございます。
  264. 水谷弘

    ○水谷委員 ありがとうございました。  次に、二十一世紀に入って本格的な国産材時代を迎えると言われております。そこで、現在の外材支配体制の中で国産材振興の具体的な対策についてお伺いをしたいと思います。  木材供給に占める国産材の割合は、五十七年でわずか三六%という資料がございます。これは全国平均ですから、いろいろな努力をやり、真剣に対応していらっしゃる都道府県においては、かなりのところまで国産材の利用が促進をされております。私の地元であります栃木県においても、五〇%を超える国産材を実際に利用しているわけでございます。しかし、今後もこのような外材の支配体制が強まっていきますと、国産材の競争力が弱まり、国内林業の経営が悪化の一途をたどるというおそれがあるわけであります。現実にそうなってもおります。そうなりますと、森林の持つ公益的機能までも低下をしていくことは必至と考えられます。木材は輸入できても、国土の保全水資源涵養森林の有する機能は輸入できない、これは当然のことであります。  そのような観点から、国内の林業振興、国産材のより一層の振興を図るために、具体的にここでお伺いをしたいと思います。  第一番目に、国有林材、特に国産材の中でも指導的地位にある国有林材の需要開発のためのPR活動、これをどのように推進されていらっしゃるか。第二番目に、産地銘柄の形成の推進、これに対しては国有林材が非常に大きく寄与して今日まで各地に産地銘柄が形成をされてきておりますが、今後さらにこの推進に対してどう取り組んでいかれるか。三番目として、需要不振材の広域販売の実施。四番目に、国有林材安定供給のシステム、特に流通加工体制の整備強化、これにどのように具体的に取り組んでいかれるか。それから五番目に、販売方法のうちで随意契約、一般競争契約そして市場等に委託される委託販売をどのように行っていかれるのか。まとめてお伺いをいたします。
  265. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林事業一環としまして、木材収入の確保をより一層高めるということは非常に大事なことであるわけでございます。木材需要をめぐる情勢というものは大変厳しい情勢下でございますが、国有林には大変多くの種類の木材生産されますし、また全国的に販売組織を持っているわけでございまして、新たな視点に立った積極的な販売事業を推進していくということが大事だと思うわけでございます。  そこで、私ども今度の経営改善との絡みにおきまして、特に前垂れ精神に徹底して積極的な企業努力をしていかなければならぬというふうなまず基本的姿勢に立ちまして、需要される方々に対しまして広範な木材情報の提供、それから国有林材によりますところのモデル住宅の展示というふうに、具体的にそういうものをつくりまして積極的なPR活動を行いたいと思っております。  それから、広範な需要者を対象としまして広域的な販売網を広げていく。とかく従来は地域地域の需要圏の中で売り払うという形をとっておりましたが、秋田杉あるいは青森ヒバ材というようなのは東京市場あるいは名古屋市場、大阪市場、さらには九州市場というふうに広く長所を生かした形で売りさばいていくということが収入の増加につながるわけでございますので、そういうふうな販売の組織網の拡大による販売をしてまいろうと思っております。  それから、長期協定に基づく予約的な販売もしてまいろうと思っております。特に間伐のようなものにつきましては、一定量を計画的に販売していくことによって初めてこれが売りさばけますので、そういう意味での長期協定に基づく予約販売をしてまいろう。  それから、同じ秋田杉を採材するに当たりましても、やはり需要に見合った形で三メーターの採材をする場合、三メーター六十の場合、四メーターの場合と、いろいろとそういうふうなニーズに合った形できめ細かい採材をしながら、場合によりましては葉枯らし乾燥と申しますか、要するに乾燥を自然に早くさせ良質材をつくるとか、そういうふうな創意工夫をしながら生産販売をしていくというようなこともぼつぼつ地について積極的にやり始めておりますので、これを積極的に取り組んでいこうと思っております。  それから、従来国有林の場合には木材を丸太で生産するという段階までやっておりますが、さらに国有林材のよさを一般に理解していただくためには、流通業、建築業という民間の方々の活力をうまく生かしまして木造住宅の開発普及に積極的に取り組んでまいりたい、そんなことも実は考えておりまして、国有林材の供給ネットワークモデル事業というようなことで、今私が細かく申し上げましたような形で、ジャパン・ウッド・ライフというような、横文字でまことにきざでございますが、ニーズに合った国有林材でこれを供給する。その場合には木材業、大工、工務店の方々、住宅企画センターの方々、こういう方々が入りまして知恵を絞りましてそういうふうなニーズに合った木造住宅を供給する。さらに、アフターケアという問題も大事でございますので、そういうことも含めたネットワークシステム等もこれから具体化しながら国有林材のPRをし、かつまた収入の確保に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。  なお、販売別の処分につきましては業務部長から説明させます。
  266. 田中恒寿

    田中説明員 委託販売についても御説明申し上げたいと思います。  従来は営林署の貯木場、土場におきまして公売あるいは随意契約で販売をいたしておりましたけれども、民間の活力を活用する、もちはもち屋と申しますか、そういうわけで最近は民間の市売り市場も大変発達してまいっております。したがいまして、定期開催の市日に合わせまして国有林材を出品して委託販売をする、こういうふうな販売方法を漸次拡大をしてきておるところでございます。  それからまた広域化の例といたしましては、先ほど青森のヒバの需要不振のお話もございましたけれども、立派な材でありながら地方的な段階でしか評価されないというようなものにつきましては、従来は随意契約は地元にほぼ限定をされておりましたけれども、これを十分有効に利用開発する人に対しましては、それが鹿児島であろうと熊本であろうと、相当期間の安定した供給契約を結びまして販路を拡張していく、そういうふうな積極的な販売戦略と申しますか、そういうことを最近は拡大しておるところでございます。  なお、特に生産過程での有効な活動といたしましては、特に採材について万全の対策で臨みたい。研修を行い、業界との意見交換等によりましてそのときの市場で最も望まれる採材によって販売をしていく、そういう売れる商品を生産する生産事業であることに徹するような生産活動も最近は非常に力を入れて行っておるところでございます。
  267. 水谷弘

    ○水谷委員 今いろいろお話がございましたことをひとつ積極的に、具体的に現場で実施できますように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  私ども先日現場へ行ってまいりまして、仕分けされた丸太をいろいろ見させていただきました。その中で、もう少し工夫をすればこれが四割、五割くらいにまで価値が出るというものを具体的に見てもおります。全国でございますから、なかなか最先端までそれを徹底するということは大変かもしれません。しかし、急務でありますからひとつ真剣にお取り組みをいただきた。  次に、国有林事業の収支の改善に資するために、これも先ほどから申し上げていることでありますが、国有林材の需要開発木材需要の全体の開発をどう推進していくかということについてお伺いをいたします。  木材需要の拡大を図るためには、建築基準法における木材建築物の位置づけを改めて見直すべきではないかと考えます。そこで、建設省にお伺いをいたすわけですが、過日、私は党の委員と一緒に筑波の林業試験場において集成材を利用した体育館を見てまいりました。実に立派なものでございました。その際に、構造上また強度性、耐火性、ともに鉄骨構造にも劣らないものであるといういろいろな御説明がございました。木材は強度性も弱く耐火性にも乏しいという位置づけでありますが、改めて見直しをしたわけであります。  最近、この間もテレビでやっておりましたが、鉄筋コンクリートの腐食の問題が起こっているところでもあります。木造建築物の高さ制限の緩和、また防火地域における木造建築物の積極的な位置づけを図るため、火災試験、強度試験、また木造の耐火性を高める研究等積極的に取り組んで、木材建築物の価値を見直すべきであると私は考えるわけであります。  建設省のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  268. 片山正夫

    ○片山説明員 木造建築物につきましては、木が火に弱いということから、一般的に耐火性能が必ずしも高くないとされております。このため、火災の際に建築物が倒壊いたしまして周辺に被害を及ぼす、あるいは延焼が拡大いたしまして、建築火災が都市火災に拡大されるような危険性もございます。  こういうことを考慮いたしまして、建築基準法に幾つかの制限規定がございます。例えば、御指摘のように高さの制限というのがございまして、これは高さが十三メートルを超えるものは建築することができないとされております。さらにまた、都市計画の地域規制がございまして、都市計画で防火地域指定されましたところにつきましては木造建築物は建築することができないとされ、また準防火地域におきましては、延べ面積が五百平方メートルを超えるような大規模のものは建築することができないというような規定がございます。これらの規定は、いずれも火災の危険を防除するという観点から最小限の規制と考えております。  このような一般的な規定のほかに、特別な規定もございます。これは、先生御指摘のような集成材に関することにも関連いたしますが、これは特殊な建築材料等を使用することによりまして防火性能の向上が図られた建築物につきましては、建築基準法のうちの第三十八条等の規定によりまして、先ほど御説明申し上げましたような制限の緩和を図ることができることとされております。既に大断面の集成材を使用しました木造建築物につきましては、高さの制限を緩和いたして、十三メートルを超えました建築物が既に建設されているところでございます。今後、研究開発の成果を見守りまして、私どもそれに即応して対処してまいりたいと考えております。
  269. 中田亨

    ○中田説明員 木造建築に関する耐火性能の向上のための研究開発の点についてお答え申し上げます。  御承知のとおり、木造住宅は現在我が国にございます住宅の八割を占めております。それから、最近だんだんその比率が減ってきたとはいえ、毎年建築されます住宅の五割程度は木造でございます。こういう観点から、建設省といたしましても、木造住宅の質を高め、防火性能を向上させるということは、非常に大事な課題であると考えております。  したがいまして、建設省といたしましても、昭和五十二年度から五十五年度にかけて木造住宅在来工法合理化促進事業というのを行っておりますが、その一環といたしまして木造住宅の防火性能を向上させるための研究開発も行ってきております。その成果につきましては、現在マニュアルにまとめまして、実際に家を建てております大工、工務店といった方々に対する技術の普及を図っているところでございます。  また、集成材を利用した住宅につきましても、昭和五十五年度から実施しております住機能高度化推進プロジェクトというのをやっておるわけでございますが、その一環といたしまして研究開発を進めているところでございます。この成果につきましても、追ってマニュアル等にまとめましてその普及を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  270. 水谷弘

    ○水谷委員 ひとつ建設省だけではなくて、林野庁も、類焼等に強い、また耐火性能、燃えない木造住宅を開発するために取り組んでいただきたい。  次に、木材販売以外のいわゆる自己収入確保の対策について、アグロフォレストリー、またバイオマス、特用林産物生産拡大、さらにレクリエーション利用等、森林の活用方法を多面的に広げていくことについて、現在林野庁はどう取り組んでおられるか、お伺いをしたいと思います。
  271. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、現在国有林事業の財政が非常に厳しい状況にございますので、いろいろ創意工夫を重ねまして、林産物収入増大のほかに土地の有効利用等を一層推進しまして、まずは自己収入の確保に鋭意努力をしなければならないと考えておるところでございます。  そこで、今までお話がございましたように、木材あるいは木材加工品の生産販売、流通というふうにいろいろやっておりますが、今度はそれに必要な土地の活用要請につきましても、やはり地域の土地利用計画を踏まえながら、国有林事業の実行との調整を図りつつ利活用を進めていかなければならぬと思います。さらに、国有林には森林レクリエーション対象となる大変有効な地域がございますので、それらの地域対象としまして、第三セクターも導入したいろいろの森林レクリエーション事業を進めてまいろうと考えておりますし、今度御審議をいただいております育林分収制度は、もちろん基本的には国民皆さんに緑資源重要性について御理解をいただき、一緒になって森林の造成をしていただくということでありますが、同時にあわせて、これが我が収入の一助ともなるということであります。  それから、バイオマス技術の活用による森林資源の高度利用の問題でございますが、これも例えばその一例としましては、ポプラとかシラカバという木のチップにしたものを爆砕したのが牛、馬、羊、ヤギの非常に有効な飼料になるというふうなことを林業試験場、草地試験場等で開発しておりますが、そういうふうないろいろなバイオマス事業の問題がございますので、それも取り組む。  さらには、林地における自然食品栽培ということで現在試験的にやっておりますが、アグロフォレストリーというようなことで昔の木場作を一歩近代的に進めた方法のそういうふうな利用考え、とにかくいろいろな方法を考えながら収入確保の道を開いていこうということで、現在研究を進め、検討を進めているところでございます。
  272. 水谷弘

    ○水谷委員 ここでちょっと視点を変えて質問をいたします。  林政審の答申によりますと、現在の約五万五千人体制を「昭和六十三年度においては約四万大規模とすることが可能と見込まれる」こうあります。これを林野庁はそのまま実行されるお考えでいるのかどうか、お伺いをいたします。
  273. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、経営改善に積極的に取り組んでいくに当たりましては、組織機構の簡素合理化とともに要員の縮小の問題は極めて重要な問題として取り組んでいるところでございます。  林政審の答申におきまして、現在の五万五千人体制を四万人体制に六十三年当初に持っていく可能性があるので、それについて積極的な対応をせよというふうな話がございます。私ども、今後定年制の施行に伴う退職あるいは他省庁への配置転換、さらには新規抑制、いろいろな方法を講じながらこの目標に向かって鋭意努力してまいりたい、かように考えているところであります。
  274. 水谷弘

    ○水谷委員 そうした改善合理化が農山村地域における林業の担い手を流出させたり、さらにまた過疎化に拍車をかけたり、国有林事業が果たすべき役割である農山村地域振興と逆行をすることになるのではないか、こういう心配が一つ。もう一つは、現場で苦労し、国有林事業の発展のために真剣に取り組んでいらっしゃる、働いていらっしゃる職員の方々が今後希望を持って大いに職務意欲を旺盛にして、今回目指すこの改善事業に取り組んでいただかなければならない。その点に重大な配慮をしながら慎重に対応しなければならないと思います。職員の福利厚生や待遇改善についてもしっかりと取り組んでいくべきだと思いますが、それらについてお答えをいただきたい。
  275. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども国有林事業がその使命を十分に果たすためにはできるだけ早く経営の健全性を確立するということで、先ほど申し上げましたような経営改善努力を鋭意する考えでございますが、その中におきまして、この経営改善を進めるに当たりましても、地元の地域皆さんの御理解、御協力をちょうだいしながら、また、農山村地域の経済振興への寄与は私ども国有林事業の使命の大きな柱となっているわけでございますので、地域の実情に応じた地域振興対策にも十分配慮しながら経営改善の実施に努力してまいりたいと思っております。  また、今後この経営改善を進めるに当たりましては、国有林事業に従事する職員一人一人がその国有林事業重要性を十分認識し、意欲を持って取り組まなければなりませんし、また、労働組合の理解と協力を得ながら進めてまいらなければならぬということもございますので、私ども、その辺につきましては十分理解、協力を求めながら、また、職務意欲の向上にも十分配慮しながら一丸となって取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  276. 水谷弘

    ○水谷委員 御質問いたしますが、分収育林契約を結ぶに当たりまして、投機を目的とした大口資本が集中するかもしれない、こういうおそれがあるわけであります。どのようにしてそれを防ぎ、零細出資者を守っていくかということ、これが一つ。それからもう一つは、今後の問題としてでありますが、分収育林契約の相手として、水源林によって直接間接の利益を受けていると思われる方々、県、上下流の市町村また電力会社等の参加、これを図っていくべきではないかと考えます。  最後に、長官は各委員の質問に対して、林業を魅力あるものにしていくという決意を再三披歴をされておりますが、ぜひそうしていただきた。本当に林業後継者がいな。先代が一生懸命育ててきたが、なかなか後継者がその後を引き受けてくれな。どうかひとつ、林業後継者が希望を持って林業に携わり、また、山村に住むことがうらやましいと言われるような活気のある山村を建設していくために、さらに一層の御努力をお願いしたいと思います。  長官にまとめて答弁を求めて、以上で質問を終わらせていただきます。
  277. 秋山智英

    秋山政府委員 まず最初に、これから国有林が分収育林を進めるに当たりましての問題点につきましてお触れいただいたわけでございます。  私ども、この制度は広く国民皆さんに参加をしていただきまして、この森林林業についての理解を深めていただくということで進めておるわけでございますので、やはり広く参加者を得ることに観点を置きまして、やり方としましては公募抽せん方式で適切に相手方を選定するということで進めてまいろうと思います。現在の林業をめぐる厳しい情勢下では、大口の買い占め等が起こるとは思いませんが、もしそのようなことがあると非常に遺憾なことでございますので、特定の資本に集中するという弊害は避けなければなりません。募集なり契約するに当たりましては、私ども国が責任を持ってやることでございますので、その辺については十分配慮して対処してまいりたいと思います。  それから第二点の、ダム上流の水源林森林につきまして深いかかわり合いを持つ企業、地方公共団体あるいは電力会社等に分収育林制度への参加を求めるということでございますが、これは今後の課題として、地域の経済振興のためにも極めて意義がありますので、検討をさせていただきたいと存じます。  それから、最後になりますが、我が国の森林資源整備充実するということは国を挙げての強い要請でございます。ということは、その森林管理育成するのは林業従事者であり、山村に生活する人々でございますので、やはり林業を魅力あるものにし、山林地域の定住条件を整備し、働きやすい場にしなければならないということで、本年からその一環としまして林業地域活性化対策事業ということで、農業、林業を複合経営しながら、地場資源を有効に利用しながら、地域活性化にこれを役立てようということも考えております。従来の林業構造改善事業、その他の事業、さらにはこの基盤整備等につきましても、いろいろな方途を講じながら、魅力のある林業にすべくこれからも一生懸命努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  278. 水谷弘

    ○水谷委員 ありがとうございました。
  279. 阿部文男

    阿部委員長 串原義直君。
  280. 串原義直

    ○串原委員 まず、大臣に伺いたいと思うわけであります。  今日、緑や森林に対する国民的関心が高まりまして、森林が果たす国土保全水資源涵養保健休養などの公益機能の維持発揮への国民要請が今後一層強まってくるものと思われるのであります。地球的規模で森林の危機が叫ばれ、有識者が二十一世紀の展望を語る中で、人類生存の最大の危機として、地球上、特に南半球地域森林の消失が挙げられているわけであります。  大臣は、こうした予測と、ある意味では現況といってよろしいかと思いますけれども、この事態にどんな認識をお持ちになっていらっしゃるのか、数字的なことも御理解をいただいているならば含めまして、伺っておきたいと思います。
  281. 山村新治郎

    山村国務大臣 先生おっしゃいましたように、近年における熱帯地域を中心とした急速な森林の減少、これは緑資源の喪失にとどまらず、農業生産環境の悪化等をもたらすとともに、地球的規模での環境への影響も懸念されておるところでございます。政府といたしましては、このような状況をまことにゆゆしい事態と認識しております。そして林業協力の分野におきましても、従来から行われておる技術及び資金等に関する協力の一層の充実強化を図り、これらの地域森林資源の造成、保全に積極的に関与してまいりたいと思います。  数字等につきましては、長官の方から御説明申し上げます。
  282. 秋山智英

    秋山政府委員 FAOの調査あるいはUNEPの調査等によりますと、熱帯アメリカ、熱帯アフリカ、熱帯アジア等におきまして年平均一千百万ヘクタール前後の森林が、森林から他の用途化あるいは砂漠化と申しますかに転換しているというふうに言われていますが、その約五割は焼き畑移動耕作によるものであるというふうな報告を受けております。
  283. 串原義直

    ○串原委員 さらに、大臣にこの問題を伺います。  狭い国土に多くの人口を擁して資源小国と言われる我が国におきまして、資源と環境問題は二十一世紀への最大の課題と言っても言い過ぎではない、こういうふうに実は私は考えているところであります。我が国は木材需要の多くを外材輸入に依存してきておりまするけれども、ただいまお話のありましたような世界的な森林消失という事態の中で、これまでのような安易な外材依存は見直されなければならない、こう私は思うわけであります。  そこで、国内の森林資源の維持涵養を最大優先し、環境維持と木材の自給率を高める方向への政策転換、これが緊急課題だと思うのでありますけれども、これに対して大臣は基本的にどう考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  284. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林水産省といたしましては、昭和五十五年閣議決定の「森林資源に関する基本計画」に基づきまして、国内森林資源整備を進め、木材自給率の向上を図るとともに、国土保全生活環境の維持を図ってまいることといたしております。今後とも国産材の供給量を増大させるための造林、そして林道等の生産基盤の整備、また林業構造の改善、国産材の加工流通対策等、各般の施策を従来にも増して強力に展開してまいりたいと思っております。
  285. 串原義直

    ○串原委員 今、大臣、従来にも増して取り組んでまいりたい、こういう話がありました。つまり、年とともに後退をしている山の情勢、実態、これを考えるときに、この際つまり政策転換をしなければならぬという事態になっている、こういう認識で大臣いらっしゃるわけですね。どうですか。
  286. 山村新治郎

    山村国務大臣 林野三法提出に際しましてその内容を御検討いただけばおわかりいただけると思いますが、今までできなかった財投からの繰り入れそしてそれに対する一般会計から財投の利子を繰り入れるというような新しい方法も講じながら、従来にも増して先生のおっしゃった趣旨に沿ってやっていきたいと思っております。
  287. 串原義直

    ○串原委員 今大臣が答弁されたことは、今回この法改正を含めて、つまり国内自給率を高めるという方向などを含めて政策転換をやらなければならない時期に来ているのだ、こういうように大臣も考えていらっしゃる、こういうふうに御答弁をいただいたということでこれから議論を進めてまいりたい、こういうふうに思います。  そこで、この十年間における森林蓄積の推移、それから伐採量の推移、成長量の関係を含めまして、一年間どのくらいの資源ストックとなっておりますか。おわかりであるならば、国有林民有林別に明らかにしていただきたいというふうに思います。
  288. 秋山智英

    秋山政府委員 最近におきますところの森林蓄積について申し上げますと、昭和四十六年におきまして蓄積が二十億七千九百万でございましたが、それが五十一年では二十一億八千六百万、それから五十六年では二十四億八千四百万というふうに、戦後造林されました人工林が逐次成長し、面積におきましても約一千万に及んでまいってきておりますので、内容は逐次増加をしてまいっておりますが、特に戦後植えた造林地が多いために、その約八割強が三十五年生以下の森林である。したがいまして、これからはその内容としましては、特に間伐等を積極的に推進して内容をよくしていくということが森林資源造成上の一番の重要課題となっておるわけであります。
  289. 串原義直

    ○串原委員 長官、今間伐を要する若い山が多い、こういう御答弁をいただいたのでありますが、それは面積はどのくらいですか。
  290. 秋山智英

    秋山政府委員 今、一千万ヘクタールの人工林の約八割強でございますかが三十五年生以下の人工林になっておるわけであります。
  291. 串原義直

    ○串原委員 この間伐は進んでいるとお考えですか。
  292. 秋山智英

    秋山政府委員 間伐対象森林につきましては、人工林の約四七%というふうに現在理解しておりますが、緊急にこの間伐をしなければならない面積が約百九十万ヘクタールでございまして、これを計画的に実施していくということが極めて重要でございます。間伐促進総合対策事業を進める前におきましては、年間十ないし十五万ヘクタールの間伐がなされておりましたが、総合対策が進められ得るようになりましてからそれがふえてまいりまして、五十六年に二十三万ヘクタール、五十七年に二十四万四千ヘクタールというように増加をしておりますが、私ども昨年森林法の一部改正をお願いいたしまして、間伐のおくれている地域につきましては市町村長が森林整備計画をつくりましてそれをさらに進めていくというふうな法制度も確定いたしましたので、従来の森林総合整備事業であるとか間伐促進総合事業であるとか間伐林道であるとか林業構造改善事業であるとか、いろいろそういう助成制度と連携をとりながら、さらにこれを積極的に進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  293. 串原義直

    ○串原委員 長官から今当面の間伐対策について述べられました。現在行われているこの対策で間伐は十分進んでいく、林野庁が想定しているように進んでいくとお考えですか。
  294. 秋山智英

    秋山政府委員 間伐を積極的に進めるに当たりましては、やはり生産面での対応とそれから需要面での対応ということが大事であろうと思います。  そこで、生産面におきましては間伐を計画的に実行し、その集荷を系統的に行う、一定量を計画的に供給するという体制をとることが非常に重要でございまして、そういう意味で、間伐生産情報システムをうまく活用しながら、また需要情報とも連携をとるということもしております。  さらに、間伐材の有効利用という面で現在いろいろな機関を通じてお願いしておるわけでございます。例えば日本住宅・木材技術センターにおきましてはセブンパイセブンという形の住宅の実施、さらには集成材によりまして間伐材を大径材にしながらそれを木材利用する方法だとか、畜舎あるいは建設道路のガードウッドにするとか、あるいは各木造の、今まで鉄その他に奪われていたものを例えば木れんがを使うとか、また木毛を畳の裏に使う方法だとか、そういうふうな新しい方法をあらゆる分野で現在開発中でございますので、そういう需要開拓の面をさらに一層進めていかなければならないと考えております。
  295. 串原義直

    ○串原委員 今御答弁になりました間伐材の有効利用について、あなた方林野庁がお考えになっていること、計画されていること、それを各省庁と連携されるところについては何か連絡協議会みたいなものを持って話し合いを進めていらっしゃいますか。
  296. 秋山智英

    秋山政府委員 建設省と十分連絡をとりながら進めておるところでございます。
  297. 串原義直

    ○串原委員 さて、それでは次の問題に進ませていただきます。  全国的に電力でありますとかあるいは水利用のためのダムというものがありますけれども、現在大小合わせてダム貯水池の数はどのくらいありますか。  最近これらのダムの堆砂が問題になっておりまして、ダム上流地域の山の扱いというものが大きく関係していることは間違いないわけでございます。あなた方が御承知になっていらっしゃるところでよろしいわけでありますが、ダム堆砂の実態について伺いたいのであります。この好ましくない状態を解消してまいりますためにどうやったらいいと考えていらっしゃいますか。  時間がありませんので私は多く申し上げられませんけれども、私の地元飯田市に松川ダムというのがあります。これはもう五、六十年は長期計画で砂はたまらないということでつくったダムなんですけれども、ここ二、三年の集中豪雨によってすっかりダムに砂がたまってしまった、大変だということなんであります。これは治水だけではなくて、関係地域の飲用水にも利用している大事なダムです。こういうものが全国にいっぱいあるはずですね。これはちょっと放置しておけない事態でありますから、そのような状態を承知されていらっしゃると思いますので、この好ましくない事態解消のためには何をなさろうとされておるのか、農林省の立場でひとつ御答弁願います。
  298. 秋山智英

    秋山政府委員 一九八〇年のダム総覧によって見ますと、五十五年三月末現在で堤高十五メートル以上のダムは全国で二千二百あるというふうに公表されております。堆砂の状況につきましては、一部のダムで公表されておりますが、中には堆砂が大分進んでいるというデータも見えておるわけであります。  ここで私ども林野庁森林資源整備充実という面から考えてまいりますと、土砂の崩壊、流出を防止する機能をフルに生かしていかなければいけないわけでございまして、これによりましてダム上流の森林地帯の土壌の流出等を防止する、これにあわせまして、治山事業等の積極的推進によりまして堆砂を防ぐことが我々に与えられた当面の課題であろうと考えております。
  299. 串原義直

    ○串原委員 したがいまして、改めて伺いますけれども、砂がそんなにたまっては困るダムが大変にあるはずだ。そして、予想以上に堆砂が早いダムが各地にあるはずでありますから、特にひどいといいますか、緊急に対策を要するダムについては、上流の山を治めるということも含めて、この際建設省と積極的に話し合いをして点検調査をして、対策を立て、進めるべきではないか、こう思うのです。いかがでしょう。
  300. 秋山智英

    秋山政府委員 今後検討させていただきます。
  301. 串原義直

    ○串原委員 済みません。今の答弁、もう一度お願いします。
  302. 秋山智英

    秋山政府委員 検討させていただきます。
  303. 串原義直

    ○串原委員 検討という御答弁をいただきましたが、長官、私は検討は当然のことだと思うのです。この放置しておけない事態に対して取り組まなければいけないと思うのです。取り組む姿勢を少なくとも一番積極的に林野庁が持たなければいかぬと思う。金がかかることだから、そう簡単にいかないでしょう。しかし、積極的に取り組んでまいります、これがなければなかなか山も治まらないし、大事なダムも予想以上に早く砂に埋まっていってしまうという事態になる。つまり、国を守るという一つの原点じゃありませんか。検討ということはわかりますよ。わかりますけれども、それは当たり前のことなんだ。積極的に取り組まなければだめなんです。いかがでしょう。
  304. 秋山智英

    秋山政府委員 治山治水につきましては、先生御承知のように、ただいま治山治水緊急措置法に基づきましてこの整備をしているわけでございますが、その内容としましては、当然のことながら、第六次の治山と治水の事業計画の中で事業の調整を図りながら、森林地域から河川にわたる災害の防止に努力しているわけでございます。その段階におきまして、今先生から御提案のございましたことは絶えず連携をとりながら進めておりますが、さらに広流域にわたりましての論議ということになりますと、どういう形で進めていくかという今後の進め方につきましては、私どもひとつ検討して前向きで取り組んでまいりたいと思います。
  305. 串原義直

    ○串原委員 前向きで検討いたしますということですから、私はその推移を見守りたい、こう思っているところです。あえて申し上げますけれども、長官、自信を持ってという表現はどうかと思いますが、思い切って取り組まなければなかなか進まない。山は治まらないし、ダムの堆砂もとまらない、こう思っていますよ。今の前向きという答弁に対して大いに期待をしています。  そこで、森林資源整備には計画林業活動の推進が必要でありまして、特に林業経営にはその経営基盤である森林の計画的施業が不可欠でございます。森林資源の造成には長期の年月が伴いますだけに、森林施業の計画的かつ着実な推進が必要とされるのであります。これは、ほかの産業とは異なります林業の特質であると言ってもいいと思います。そういう理解を持つことが重要でありますので、森林所有者といたしましてはそれぞれその点は理解をし、取り組んでいらっしゃるというふうに思うわけでありますけれども、この森林所有者等が任意で策定することといたしておりますところの森林施業計画というのは、今日どのような状況になっていらっしゃるか。林野庁の当初考えておられた、あるいは予想しておられた施業計画の進度というものがあろうと思うのでありますが、それと比べてみて、現在の進捗率というのはどのくらいに理解されていらっしゃいますか。
  306. 高野國夫

    ○高野説明員 数字的なことにつきまして御説明申し上げます。  ただいまお話のございました森林施業計画制度は、申し上げるまでもなく森林の計画的かつ適正な施業を確保するための手段として大変重要なものでございまして、昭和四十三年に制度化されたわけであります。それ以来、林野庁といたしましてはその推進に努めているところでございます。  現在におきます認定面積は、五十八年三月末現在で約一千万ヘクタールに及んでおります。この数字は、森林施業計画の作成が期待されております民有林の総面積、約千六百二十三万ヘクタールでございますけれども、それに対しまして六五%という数字でございます。なお努力すべき余地がございますので、今後とも私ども積極的に努力をしてまいりたい、このように思っております。
  307. 串原義直

    ○串原委員 私はもうちょっと進んでほしいと考えているのです。だが、この程度にとどまっているという要因はなんでしょうか。
  308. 高野國夫

    ○高野説明員 いろいろ理由もあろうかと思いますけれども、一つには、なお行政側といたしまして、国なりあるいは都道府県なりのPRの仕方などもまだなすべき分野があろうかと思いますし、それからさらに計画制度を推進していく上でいろいろと森林所有者皆さん方にとりましてメリットになりますような手だてが用意できるかどうかといったような点も、なお検討の余地があろうかなと思っております。
  309. 串原義直

    ○串原委員 それでは、次の問題に移ります。  近年、林業生産活動の後退がどうも際立ってきている、私はこういうふうに理解していますけれども、ただいまの前の質問とも関連するわけでありますけれども、この要因は何でしょうか。木材価格の低迷、労賃の上昇等で林業経営の収益性というものの低下、これがその基本の要因ではないでしょうか。認識のほどを御答弁願いたいと思います。
  310. 秋山智英

    秋山政府委員 林業を取り巻く状況の中で、まず一番の大きな問題点は、住宅着工量が昭和四十八年に百九十万戸ぐらいございましたが、これが五十八年に百十四万戸に落ちている。木材需要の停滞というものは非常に大きな要因になっていると思います。しかも、木造率がやはり下がってきているということも一つの問題点かと思います。  そこで、そういう中におきまして木材価格が低迷しておりまして、五十七年度の山元立木価格が四十五年に比べまして一・五倍しか伸びておりません。これに対しまして、林業経費等については五十七年度の木材伐出業の賃金並びに造林手の賃金がそれぞれ四十五年に比べますと三・六倍、四倍というふうに増高しまして、先生おっしゃいましたが、林業採算性が低下しているということが問題であろうと思います。  それからもう一つは、山村地域林業就業者の方々の高齢化が進んでいることも停滞の原因になっていると思います。
  311. 串原義直

    ○串原委員 つまり、今言われたような要因で山の不振が今日あるわけです。そこで、国内林業の不振というのは木材需要構造、木材産業の動向と結びついているわけですね。  そこで、ただいまの御答弁も含めて、わが国の木材の需給の状況あるいは長期の需給の見通しとの関係というのはこれからどうなっていくだろうか。そして、農林省はどう指導性を発揮していこうと考えているのか、この際明らかにしておいてもらいたい。
  312. 秋山智英

    秋山政府委員 我が国の木材需要につきましては、四十八年度までは一貫して増加しまして一億一千七百万立方メートルまで達したわけでございますが、その後につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、木材需要の大宗をなしております住宅建築の減少、木造率の低下ということから、五十八年には九千一百万立方メートル程度になる見込みでございます。  こういう木材需要の減退によりまして、木材供給量は国産材のみならず外材につきましても落ちてきているわけでございますが、外材の輸入量は、五十八年は五十四年のピーク時の七八%、それから国産材につきましては、五十四年に比べますと九五%程度になっているわけでございまして、これがやはり林業並びに木材関連産業に厳しい状況をもたらしているわけでございます。  そこで、一方、我が国の森林資源でございますが、先ほど申し上げましたように、戦後の造林地が今後の適正な手入れによってさらにこれが成長してまいりますと、現在の「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」に基づいて申し上げますと、昭和七十一年には国産材の供給量が五千七百七十万立方メートルになる、五十八年の一・八倍に増加するという見込みでございます。もちろんこれを進めるに当たりましては、適切な森林管理経営がなされなければならぬわけでございます。  そこで、これを可能たらしめるためには、まず第一に木材需要拡大策を講ずることが必要でございます。そういう意味におきまして、私ども建設省と連携をとりながら木造住宅の今後の需要拡大、また一般の国民の方々に木材重要性について御理解いただく施策を講ずるというようなこと、いろいろ手だてを講じております。同時に、やはり国内の森林資源を有効に活用し得る木材生産供給体制の整備が必要だろうと思うわけであります。  そこで、五十九年度の予算におきましては、そういう意味で木材生産の供給体制の整備充実、それから木材産業の拠点を整備するための事業だとか、木材利用を一般の方々に御理解いただく利用促進のための事業とか、そういう意味で将来に向けましての基盤になるような政策をいろいろと打ち出しているところでございます。
  313. 串原義直

    ○串原委員 積極的に進めてください。  そこで、時間が過ぎますから議論を進めておる時間がありませんけれども、高い山の中の学校が新しく建てられるというときに、ほとんどの学校がコンクリートですね。その裏山にはすばらしい木材がある。その木材は放置しておいて、里の方から上げていったセメントと砂と砂利で固めたコンクリートの学校を山の上につくる、こんな行政でいいのだろうかということをつくづく日ごろ考えている者の一人なんです。これは林野庁だけに申し上げて解決する問題じゃない、農林省頑張れと言うだけで解決する問題ではないことは承知している。しかし、山の上の小学校が、裏山にすばらしい林材を控えながらコンクリート校になる、それでなければ時によると補助金が出ない、こんな制度が今日黙認されていいだろうかというふうに思う。このことについて、時間の関係もあるからきょうここで時間をかけて議論したくないけれども、重大な問題だと考えているのです。これは、日本の木材資源の活用の問題も含めて真剣に検討されるべき時期に来ていると私考えるのですが、長官、これはどうですか。
  314. 秋山智英

    秋山政府委員 私も今のお話と全く同感でございまして、体育館等につきましては木造でつくるということが非常に大事でございまして、これは建設省とも連携をとりながら、大断面集成材を使いますと二千平米以下の体育館等については木造でつぐれるというふうなこともようやく道が開けたわけでございます。児童が体操をするに当たりましてはフローリングの木造の中での方がはるかにいいという要請も非常に高うございますので、これからも文部省の方にも働きかけながら進めてまいろうということで、現在いろいろと対策を検討しているところでございます。
  315. 串原義直

    ○串原委員 それでは、今のことにつきましては建設省、文部省等とも連携をとって対策を進めてもらうことを強く要請をしておきます。  次に進みます。  国有林事業収入見通しとも関連をいたしますけれども、先ほども出ました木材価格の今後の推移、外材主導の木材需要のもとで木材価格の安定化対策は重要だと思いますけれども、どのように進めていこうと考えていらっしゃるか、お答えを願います。
  316. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど申しましたように、需要の大幅減退で現在価格が低迷している、こういう実情がございますが、価格を安定するためには需要の維持拡大という問題と、もう一つは需要の動向に即した供給を実現していくということでございます。  木材需要の拡大対策につきましては、木造住宅の建設促進ということが特に重要でございまして、木造の公営住宅の促進であるとか、あるいは農林水産省におきますところの補助事業におきましては、できるだけ木材利用して畜舎その他もつくっていただくというようなことも進めておりますし、さらに木材利用技術の開発、普及、加工ということが具体的にございますが、その中におきまして、当面一番緊急にしなければならないことは、流通の近代化の問題があろうかと思います。そういう意味で、流通加工の整備ということで、ことしから木材の団地の拠点整備をする場合には利子助成をするということで、足腰の強い団地形成をしていこうということで考えているわけでございますが、何と申しましても、国産材の安定供給体制を整備して、それと同時に流通施設の整備を図る、これを二つあわせまして国産材の安定供給特別対策と相なるわけでございます。そういう施策を五十八年から進めておりますが、さらにこれは今後積極的に取り組んでいこうと思っております。  それから外材につきましては、我が国の現在の森林資源構造から見てまいりますと、当分の間外材に依存しなければならないわけでございますので、秩序ある輸入が円滑になされますように、現在、木材需給対策中央協議会等におきまして主要木材の短期需給の見通しを作成し、それを公表し、適正な輸入を指導しているわけでございます。さらには、木材価格情報のシステムも、情報収集、提供という面においてさらに一層これを有効化活用しなければならないと思っております。  もう一点、最近、木造率が下がってきているということは、いたずらに価格を上げることは木材以外のものに代替されるという問題がございますので、私は、コストダウンをしまして足腰の強い林業、林産業を形成することが非常に大事ではないかと感じておりますので、そういう面からの林道の作設を初めとしましていろいろの基盤整備も努力していかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  317. 串原義直

    ○串原委員 今御答弁になりました流通の近代化のために木材団地の拠点整備、私は重要だろうと思う。今あなたが考えていらっしゃる拠点というのは、どのくらいの箇所を考えていらっしゃいますか。
  318. 秋山智英

    秋山政府委員 各県によりまして木材団地の広がりはいろいろと千差万別と言うと変でありますが、これは木材産業の発展過程から見てまいりまして、いろいろ特徴的でございます。一つの団地形成がなされているところにつきまして、製材業、木工業、家具業、チップその他、いろいろと関連産業がある地域に集合しますと、流通コストダウンという面で非常に大きな役割を果たすと思いますし、またさらに今度はそれが林業構造改善事業と結びつけ得るような地域については、それと連携を持たせるとか、いろいろ方法がございますが、流通コストをダウンさせるというような形でその地域の流通の実態に即して、より近代的な方向に持っていきたいということで現在これの指導に努めておるところであります。
  319. 串原義直

    ○串原委員 長官、先ほどの答弁で外材の問題に触れて、当分の間は外材輸入に頼らざるを得ない、これは私はわかります。この言葉だけならばわかります。しかし、私がここで伺いたいことは、木材需給の現状から見て今日の外材の輸入割合、およそ七割と言われていますね、これは余りにも多過ぎると私は思う。長官はどうお考えですか。
  320. 秋山智英

    秋山政府委員 現在の外材の輸入割合は、先生とほぼ同じような約六四%、若干国産材の方がふえてまいっておるというような実態がございますが、いずれにしましても約三分の二が外材でございます。  現在の国内の森林構成から見てまいりますと、間伐材が多うございますけれども、主伐材を急激にふやしていくというような資源構成になっておらぬということで、非常に厳しい状況に置かれておりますので、そういう中におきまして足腰の強い林業地帯をつくっていくというための基盤整備をしながら、逐次国産材の供給をふやしながら進めていくという体制をとらざるを得ないだろうと現在私ども考えております。
  321. 串原義直

    ○串原委員 つまり、国産材の木材自給率を高めたいと思う、こういうお話だと思いますけれども、現状は今答弁されたような高い輸入率である、できるならばこの辺まで自給率を高めたい、こういうことを長期展望の上で考えていらっしゃると思う。どの程度考えになっていらっしゃいますか。
  322. 秋山智英

    秋山政府委員 現在は、五十五年に策定された「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」でこれを見通しておるのによりますと、六十一年には六一%程度にしたいと考えております。ただし、この見通しにおきましては需要量が若干多うございますので、六一%と申しましても、即これが現在の需要とのギャップをどう埋めるかという問題がありますが、いずれにいたしましても、私ども、国内の資源の充実に伴いまして自給率を高め得るような施策を逐次強力に展開していきまして、少なくともこういう比率に持っていくように努力しなければならぬと思っております。
  323. 串原義直

    ○串原委員 六十一年六一%でありますけれども、もう少し長期展望に立つ場合に、農林省としてはこの程度の輸入率、つまり自給率になることが望ましいということで、十年、十五年のいささか長期になります場合にはどんなことを考えていらっしゃいますか。
  324. 秋山智英

    秋山政府委員 この計画によりますと、先ほど輸入率で申し上げましたが、これは裏を返しますと、供給率でいきますとこの差額ということでございますので、御理解いただきたいと思いますが、七十一年には輸入量の比率は五六・七というふうな見通しを立てておるわけであります。
  325. 串原義直

    ○串原委員 このあなたの計画していらっしゃる、つまり政府の計画していらっしゃる輸入率を低めていく、つまり自給率を高めていくということは施策よろしきを得なければなかなか簡単じゃない、こう私は考えるわけです。  そこで、私は伺いたいのでありますけれども、外材輸入の実態というのは、現状、全く商社任せである、政府はその実績の結果を受けておるにすぎない、こう私は思うわけであります。そこで、丸太製品別の調整や国産材との調整など木材需給全般について政府の積極的な調整というのが必要になってくるのではないか。例えば木材需給協議会というような組織をつくりまして、年ごとに外材の産地国別輸入量や国産材の供給量等について調査をし、調整をし、必要によりましては二国間による政府協議を行う、こんなことも考えながらやるべき時期に来ているのではないか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
  326. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、需給のギャップを極力少なくするということが一番大きな課題でございますが、このために、木材需給対策中央協議会におきまして、主要木材の短期需給見通しの作成、公表と、それから日本木材備蓄機構を通じました内外の需給あるいは価格情報の収集、提供ということをやりまして指導しているわけでございますが、やはり今後需要に見合った適切な輸入を進めていくためには、民間ベースの努力と相まちまして、今先生お話がございましたが、政府間ベースにおきましても、産地国政府との対話を通じまして、お互いの理解を深めて円滑な木材貿易が維持できる環境を造成していくことが重要だろうと思っています。  これまで林野庁としましては、日米の林産物委員会、日加経済協力合同委員会の定期会合等の場を通じまして、この木材貿易の円滑な維持発展を図るべく努力しておりますが、さらに南洋材の産地国との間におきましても、インドネシア政府に対しまして幅広い情報あるいは意見交換を行いたいという提案をして、現在その具体化に努力しているところでありますが、私どもこういう問題についてはさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
  327. 串原義直

    ○串原委員 ただいままで質疑をしてまいりましたような林業情勢の中におきまして、国有林事業の経営は悪化の一途をたどっているわけです。我が党は、現行特別措置法制定時の国会審議やその後の改善計画実施をめぐりましての国会質疑において、国有林の今日の財政悪化は、外材主導の木材需給のもとで住宅建設の落ち込みなどによる木材需要の減退、木材価格の下落、低迷など、主としてその要因は国有林事業を取り巻く外部構造的なものであるということ、したがって、この打開策がないまま、もっぱら経営内部の自助努力として当面的な収支均衡のみを追求して、人を減らすとかあるいは手抜きの作業を助長するとかというようなことでは解決できない、つまり改善計画は根本的に、抜本的に見直すべきであるというようなことを政府に求めてきたところであります。  そこで、林政審答申は、国有林事業の財政悪化の要因につきまして、国産材の需要不振と価格の低迷、これまでの過伐によって目下資源造成過程にあることや、あるいは資源保護要請等からくる伐採量の縮減など、外部的、構造的な事情にあることを認めておるのであります。そして、これを打開するためには、これまでの枠組みではなくて、一般林政等の充実強化や財政措置をも含めた新たな政策展開なしにはその再建は困難であるという見解を林政審答申は示しております。  この見解の示すところは、国有林事業が直面している今日の経営悪化や財政赤字問題は、ひとり国有林経営の内部的努力のみでは到底打開できるものではないとする認識や見解を強調し、政策課題の提示にとどまっていて具体的解決策を示していないという不十分さはありますけれども、今申し上げました提示されている政策課題については、農林省として早急に具体化されるべきものであると私は考える。この点につきまして政府の見解を伺いたいのであります。
  328. 山村新治郎

    山村国務大臣 今日の国有林事業の経営悪化は、我が国の林業全体の構造的要因とまた国有林事業固有の要因とが重なり合って生じておるというぐあいに考えております。このため、国有林事業が経営改善のための自助努力を尽くすことはもちろんでございますが、我が国の森林林業全体の将来展望を切り開くための各般の政策努力が国有林事業改善のためにも重要と考えております。  したがいまして、国有林野事業改善特別措置法改正を待って、林政審議会答申を踏まえた新たな改善計画の策定を行い、そして、これをもとにしまして、自主的改善努力の一層の徹底を基本にいたしまして、所要の財政措置ともあわせて経営改善に取り組んでまいりますとともに、一般林政施策につきましても、今後なお一層の充実強化に努めてまいる所存でございます。
  329. 串原義直

    ○串原委員 今大臣に新たな改善計画の策定とあわせてということで御答弁をいただきました。つまり、今の御答弁は、大臣の責任においても、政府は答申の「一般林政等の充実強化」の指摘事項、時間が迫ってきましたから一々触れたいと思ったけれども触れませんが、指摘事項について、改善計画の策定及び実施の段階で具体化するものと理解してよろしゅうございますか。
  330. 秋山智英

    秋山政府委員 林政政策の充実につきましても、一生懸命努力してまいりたいと考えております。
  331. 串原義直

    ○串原委員 大臣に伺います。つまり、さっき大臣は、新たな改善計画の策定を考えます、こういうふうに言われたが、答申の「一般林政等の充実強化」の指摘事項につきまして、新たな改善計画の策定及び実施の段階で具体化してまいります、こういうことを言われたと理解してよろしゅうございますかということです。
  332. 山村新治郎

    山村国務大臣 前向きに努力をいたしてまいります。
  333. 串原義直

    ○串原委員 それでは、長官、前向きに努力をしてまいりますという大臣の答弁がありましたが、そのことはつまり、改善計画実施と並行して具体化しようとするもろもろの対策につきましては、少なくとも改善計画策定の段階から一定の方向性というものを持って、検討、素案に基づきまして林政審で審議が行われるもの、こういうふうに考えていいわけですね。
  334. 秋山智英

    秋山政府委員 それはやはり、改善計画の策定、実施の段階で、もろもろの施策がございますので、検討し、努力をしてまいるということでございます。     〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕
  335. 串原義直

    ○串原委員 つまり、私が強調を申し上げたいと思いますことは、改善計画の策定、その具体化がなされなければ、法改正だけでは林政審答申の提起にはこたえていくことができない、そういうふうに考えておりますので、あえてこの際強調をさせていただいたし、大臣からも御答弁をいただいたところであります。そうじやありませんか、長官。
  336. 秋山智英

    秋山政府委員 一例を申し上げますと、林政審答申にいわゆる非採算林分の取り扱いについて今後検討せよというようなこともありますが、あの場合におきましては、森林地帯の区分をどうするか、それから森林の取り扱い方をどうするか、あるいはその経理区分をどうするかというような非常に難しい問題等もございます。これは五十九年度の予算で取り組むわけでございますけれども、それの成果を得るのはまず五十九年の調査を踏まえないとできない、そういう難しい問題等もございますので、これから進めていくいろいろの問題につきましては、策定実施の段階で前向きに鋭意努力してまいります、かように申し上げているところでございます。
  337. 串原義直

    ○串原委員 そこで、時間が参りましたけれども、将来のために大事なことでありますから伺っておきますが、今日、過疎化の進む山村地域の実情のもとで林業を発展させるためには、林業労働力の確保と林業後継者の育成が重要な課題となっているわけです。しかし、その施策がなかなか実効を上げな。これは簡単なことではないということは私ども承知はしているけれども、この際、林業三法を提示をされた農林省として、何を柱にしてこれに取り組んでいこうと考えていらっしゃるか、お答えを願います。
  338. 秋山智英

    秋山政府委員 林業労働力の確保並びに林業後継者育成ということは、極めて重要なことは御指摘のとおりでございます。林野庁といたしましても、造林事業林道事業林業構造改善事業その他各種の林業生産活動の活発化を図るための施策をいろいろ推進しておるわけでございまして、何と申しましても林業に従事する方々の就労機会をふやしていくことが基本でございますし、それから林業従事者、山村で農林業に従事されておる方々の定住化促進ということが非常に重要でございますし、やはり就労条件の改善問題、若い方々の確保の問題、林業後継者の育成問題といろいろございますが、これを極力推進してまいるところでございます。  特に五十九年度から、林業地域の就業の機会を確保しまして、その活性化を図るために、林業地域活性化総合対策事業というものを進めたいと考えておりますし、また林業事業体の経営基盤の強化、それから雇用体制の整備を図るために林業事業体雇用体制整備振興対策事業というようなものも進めてまいりたいと思いますが、これまでのやっております事業とこれを関連づけながら、鋭意充実に努力してまいりたいと考えているところであります。
  339. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りました。そこで、大臣、最後に決意を伺っておきます。  時間がかかるからもういろいろ申し上げませんが、この際ともかく腹を据えて、経済性だけで左右されない林政を推進してくださ。そうでなければ解決しな。極端なことを言うと、経済性は山を治める場合に必要でないほどの時期に来ている、こう思う。  決意を伺って、私の質問を終わります。
  340. 山村新治郎

    山村国務大臣 国有林事業というものは、ただ単に木材生産するのみならず、国土の保全水資源涵養等の公益的な部門も持っているわけでございます。そして、国民ひとしく緑を待ち望んでおるわけでございまして、一林野庁、農林水産省という問題ではございませんで、政府全体の問題であろうと私は理解しております。そこで、今後とも国有林事業、このいわゆる経済危機突破のために、今先生経済性だけではないと言われたことも十分頭に置きまして取り組んでまいるつもりでございます。
  341. 串原義直

    ○串原委員 終わります。
  342. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 矢山有作君。
  343. 矢山有作

    矢山委員 最初にお願いしておきたいのですが、極めて時間が限られておるということは御存じのとおりですから、こちらも要点だけ質問してまいりますので、簡略に、要点を外さないでお答え願いたいと思います。  まず、国有林野財政の建て直しのためには、私は、国有林野の経営全般にメスを入れるべきときだ、そして改善すべきは改善しなければならぬ、こう思います。しかしながら、時間がございませんので、きょうは林産物の販売制度についてだけお聞きをしておきたい、こういうふうに思うわけです。  国有林事業における立木販売の状況を見ますと、かつては総販売量の約八〇%、圧倒的に多かったわけでありますが、その後年々これが減少して、五十七年度において販売総量の半数以上、五九%を占めております。素材販売との価格の比較を見ますと、相当の開きがあります。そこで聞きたいのは、立木販売の予定価格の評定をどういうふうにやっておるかということです。
  344. 秋山智英

    秋山政府委員 今ちょっと聞き落としまして、まことに申しわけありません。立木販売の評定でございますね。失礼いたしました。(矢山委員立木販売価格の評定方法」と呼ぶ)これはまず予定価格というのを評定することに相なるわけでございますが、立木の買い受け人が健全な経営を行って(矢山委員「そんなことはいいから評定の方法について言ってください、時間がないから」と呼ぶ)評定方式につきましては、数式で申し上げると一番わかりいいと思いますので申し上げましょうか。これは立木単価と申しますのは、利用率に(矢山委員「そんな細かいことはいいです」と呼ぶ)収益率、資本回収期間それから市場価格というものによりまして一定な方式を出しているわけでございますが、立木を素材にし販売する場合に適切な利益が得られることを前提として定めておりますので、その点について販売する場合に一つのポイントとして考えております。
  345. 矢山有作

    矢山委員 あんた、わかってないのだな。立木販売予定価格の評定はどうなっておるかというと、製品市場価格それから営業利益プラス必要な事業費プラス一般管理費プラス販売経費、それを引き去る、簡単に言うならそういう方法で出しているわけでしょう。違いますか。
  346. 田中恒寿

    田中説明員 歩どまりがございますけれども、そのとおりでございます。
  347. 矢山有作

    矢山委員 そこで、次に聞きたいのは、営業利益はどういうふうにして算定しておるかということです。わかった人が言ってください、時間がかかるから。
  348. 田中恒寿

    田中説明員 一般的な中小企業の利益率を参考にして決めております。
  349. 矢山有作

    矢山委員 一般的な中小企業の営業利益率を参考にして決めておるということですが、あなたの方の資料をもらってみますと、中を分析すれば、結局それは収益率というものを一応考えておって、その収益率に対して資本の回収期間を掛け合わして出しているわけでしょう。その収益率は月〇・〇一六ぐらいに見ておるでしょう。そうですね。
  350. 田中恒寿

    田中説明員 昭和三十四年以来そういう数字でございます。
  351. 矢山有作

    矢山委員 そこでお聞きしたいのは、収益率を月〇・〇一六、年率にすると一九・二%になりますね、この根拠は一体何なのかということです。恐らく、根拠は昭和三十四年に製造業の営業利益率を参考にして出した、先ほどの御答弁にありましたが、そういうふうに考えたらいいのですね。
  352. 田中恒寿

    田中説明員 買い受け人が当該立木を素材生産し、販売する場合に適切な利益が得られるように定めたものでありまして、収益率は通商産業省調査の中小企業の製造業の経営資本対営業利益率を参考として定めているところでございます。
  353. 矢山有作

    矢山委員 そこで、中小企業の製造業の営業利益率を基礎に置いて定めたと言うのですが、それは先ほどおっしゃった昭和三十四年のものですね。昭和三十四年からいうと今何年たっていますか、二十五年経過していますね。二十五年もたてば立木伐出業の業務形態は、労働装備率も飛躍的に上がってきておるだろうし、そしてまた取り巻く経営環境も非常に大きく異なっておるだろうし、企業経営自体が大きく変わってきておるのじゃないかと思うのです。そういう中で二十五年のものをそのまま採用しておるのは適切だといえるのでしょうか。あなたが参考にしたとおっしゃる中小企業の製造業の営業利益率も、中小企業庁としては毎年毎年発表していますね。中小企業庁は毎年毎年製造業の利益率を出して発表しておるのに、林野庁は三十四年のときのものを固執して、それを基礎に置いて収益率を考えておるというのはちょっとおかしいのじゃないのですか。
  354. 田中恒寿

    田中説明員 基本的にはこの二十五年間においても素材の生産過程等においては大きい変化はないと思っておりますことと、もう一つ、中小企業庁編の「中小企業の経営指標」なる資料によりますと、経営資本対営業利益率は余り大きな変化がなく推移をいたしておるように考えられるところでございます。
  355. 矢山有作

    矢山委員 余り大きな変化がないとおっしゃるけれども、少なくとも中小企業庁の方は毎年毎年それを調査をしてはじき出しておるわけでしょう。そうすれば、その変化にやはり対応して考えていくのが筋じゃないですか。三十四年のときの営業利益率の出し方と三十五年以後の営業利益率の出し方は、通産省の方でもちょっと変えておるという話もあるわけです。そういう実態がありながら依然として三十四年度のものを使っておるということに問題があると思いませんか。農林水産大臣、どうですか、そんなべらぼうな話がありますか。
  356. 田中恒寿

    田中説明員 算出の根拠等の詳しいことについては存じておりません。
  357. 矢山有作

    矢山委員 算出の詳しい根拠は存じておらぬ人が三十四年のものをそのまま十年一日のごとく二十五年間使っておって、それで足れりとしておるのですかと言っているのですよ。少なくとも通産省はこうした問題は重要な問題だと考えておるから、営業利益率を毎年毎年はじき出しておるのですよ。経営の問題を真剣に考えるなら、林野庁もそのくらいの努力をしてもいいのじゃないですか。それから、中小企業庁の製造業の営業利益率の調査だけに頼るのでなしに、林野庁自体が素材生産業の経営実態は一体どうなっておるのだろうかというそれを踏まえて、そこでの営業利益率は何ぼになっておるのだろうということをもっと真剣に調査をして考えるべきなんじゃないですか、どうなんです。
  358. 田中恒寿

    田中説明員 先ほどよく存じてないと申し上げましたのは、途中で計算方法が変わったという点につきまして私ども詳しくなかったわけでございます。  なお、素材生産業あるいは製材業等の伐出部門、それがどのような形でいわゆる木材生産活動をするかという実態等につきましては、私どももいろいろな必要がございますので、それぞれの目的に応じたいろいろな調査はしておるところでございます。
  359. 矢山有作

    矢山委員 それでは、中小企業庁の製造業の営業利益率なんかに頼らないで、今おっしゃったように林野庁自体が素材生産業のそうした実態を調査をし、営業利益率をつかんでいらっしゃるのなら、それを使うのが当然じゃないですか。よそがつくったものを盲目的に使うよりも、あなた方みずから素材生産業の経営実態を調査をして営業利益率を知っておるというのだから、それをなぜ使わないのですか。自分らで調べてちゃんとつかんでおいて、人のものを借りてきて使うというのはおかしいじゃないですか。
  360. 田中恒寿

    田中説明員 私が調査と申しましたのは、例えば事業期間でありますとか、生産の作業行程でありますとか、立木の予定価格を評定いたします際に必要ないろいろな調査がございますので、そういうことを申し上げたのでありまして、収益率につきましては私ども直接の調査はいたしておりません。今までのものを援用をしているわけでございます。
  361. 矢山有作

    矢山委員 これでやりとりをやっておったら切りがな。農林水産大臣、今のやりとりを聞いておられてどう思われますか。二十五年も前に中小企業庁が調べた製造業の営業利益率というものを基礎にして収益率を出していっておるというのですよ。そんなばかなことはないでしょう。その間世の中は大変変わっているのですよ。素材生産業だって労働装備も変わっていれば、それから資本装備も変わっているだろうし、いろいろな経済環境が変わっているのですよ。そうすれば、農林水産大臣みずから素材生産業の実態調査をやって、営業利益率がどの程度なのかというのを林野庁みずからが的確につかんで、そして自信の持てる営業利益率というものを考えるべきじゃないのですか。そういうふうな方向で検討するのが少なくとも林野庁の、これから経営改善を図ろうとする者の責任ではありませんか。どう思います。
  362. 山村新治郎

    山村国務大臣 確かに二十年以上にわたってこれを使用しているということで、実態を調査させます。
  363. 矢山有作

    矢山委員 実態を調査をして、それに基づいて立木販売の予定価格の評定方式を変えていくのが筋でしょうが。そうしなさいよ。
  364. 山村新治郎

    山村国務大臣 実態を調査いたしまして、適切に対処いたします。
  365. 矢山有作

    矢山委員 適切に対処するということは、必要なら評定方式を変えるということですね。
  366. 秋山智英

    秋山政府委員 私が担当責任者でございますから……。  実態を調査いたしまして、またその内容について研究の上適切に対処したいと思います。
  367. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 発言を求めて、許可を得てから発言をしてください。
  368. 矢山有作

    矢山委員 そんなばかなことはないでしょう。実態調査をして実態をつかんでから、それに合わせて営業利益率を見るのは、あなた、当然じゃないですか。そんなわけのわからぬ答弁はないでしょう。どうなんです。
  369. 秋山智英

    秋山政府委員 二十年同じ利益率を使ってきておりますが、確かに先生おっしゃるとおり、それから現在まで長い期間がございますので、その間のいろいろの調査等も十分実態調査いたしまして、それからこれは十分検討しなければいかぬものですから、検討した上で適切に対処してまいりたいと思います。
  370. 矢山有作

    矢山委員 そのぐらいにしておきましょう、少しはやる気があるようだから。  次に、五十七年度における木材販売は、一般競争契約によるものが立木で二七%、素材で五九%、随意契約によるものが立木で七一%、製品で三一%あります。販売実態について見ると、一般競争契約による場合の予定価格を一〇〇とすると、立木では一三五、製品で二三で落札されております。ところが、随意契約の場合は、予定価格を一〇〇とした場合、立木で一〇七、製品で一〇四で売り払っておる。一般競争契約による場合に比べて随意契約による場合の方が相当に低額で販売しておる、こういう実態がございます。  そこで、この販売方法についてもこの際考えていくべきじゃないか。つまり、競争原理を基本として広域的な販路の拡大、顧客の獲得をやる、そして有利な販売を推進していく、そういうふうに改めていくのが当然じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  371. 秋山智英

    秋山政府委員 今先生お話にございましたように、立木販売、素材販売の一般競争、随意契約等の比率は、年々で多少の差はございますが、ほぼそんな比率でございます。そこで、私ども内容分析してまいりますと、随意契約の立木販売には間伐材の処分であるとかあるいは部分木、それから地元住民の稼ぎ用の立木、支障木、こういうふうな販売で、これは一般競争契約になじまないものが過半を占めているという実態がございます。残りが地元工場に相なっております。そういうこともございまして、値開きの率が小さくなっておる要因であるというふうに分析をしております。  一般競争契約につきましては、競争心理が微妙に影響することもございまして値開き率は高くなる傾向にありますが、一面、最近のように木材不況の場合におきましては不落率が大分高くなっているということがございまして、私ども国有林事業を進めていく上におきまして安定的な収入の確保を図る面でやはり問題があるという面もあるわけでございます。  私ども今後国有林材の販売を行うに当たりましては、需要の動向あるいは林分内容等も十分分析しながら、それに合った販売方法をしていかなければならない、かように考えております。
  372. 矢山有作

    矢山委員 この議論をもっと突き詰めてやろうと思えば、私は質問の前に要求したのですが、それぞれ、国有林材の売り払い実態がどうなっておるのか、売り払い先から何から全部調べて出してくれと言ったのですよ。そうせぬとなかなか議論ができない。あなたの言うように、間伐材だとか何だとかいうものがあるから、それをやる場合には立木販売の方がいいんだ、こういうようなことを言い出すわけですな。しかし、少なくともだれが考えたって、競争入札でやる場合と随意契約でやる場合と一般的な傾向としてどちらが有利かといったら、競争原理が導入された方が有利なのは決まりきっているんですよ。今、赤字赤字と言って困っているんでしょう。少しでも収入を上げる努力をしなければいかぬのでしょう。そうしたら、そういう努力をやるべきなんじゃないですか。  不落がふえたという。なるほどふえておるようですね。しかし、不落があったからといって、それはそれで終わり、売らないんですということじゃないのでしょう。不落があったならあったで、その不落の時点で考えてまたやったらいいはずなんです。そういう理屈を言って言い抜けをするのでなしに、一般競争契約と随意契約とどっちが有利だといったら、傾向としては一般競争契約の方が有利だという実態が出ているのだから、そういう方向に努力をするというのがあなた方の考え方じゃないの、赤字を少しでも減らしていこう、経営を立て直そうというなら。そうじゃないんですか。
  373. 田中恒寿

    田中説明員 林産物の販売におきましては、一般競争入札と随意契約を適切に組み合わせることが必要であろうと思っております。と申しますのは、例えば現在の外材でございますけれども、これは完全な商品といたしまして、電話一本で手形でどこにでも流通するという、非常に有利な条件にあります。国産材は大体そうではない、非常に少量で現金取引が多かったりということで、不利な条件で国産材の市場性を確保していかなければいかぬ。それからいろいろ品質にもむらがございまして、それを安定的に使って市場拡大、維持してもらうためには、そういう製材工場と産地側との結びつきが必要になるわけであります。そうして国産材市場を安定させるために随意契約ということで結んでおく。随意契約と申しましても、御案内のとおり市場価格でもって売り払いをしているわけでございます。一般入札の場合には、どうしてもそれを他の人との競争に耐えてでも手に入れる、そういう必要に迫られた人が競争原理の働いた心理で入れますので、それなりの価格がそこに出てくる、そういう性格がございますけれども、またそれに頼りますと、私どもの会計といたしましては毎月々の資金計画もございまして、随意契約によって安定した資金計画も確保いたしませんと、不落が出たときなどは資金計画に非常に穴が出るということもあるわけでございます。
  374. 矢山有作

    矢山委員 従来の方式を固執することを中心にしていろいろ議論を展開されておるようですが、もう少し今までの経営の分析をやってみて、その上に立ってもし競争原理を導入した方が有利だというならそういう方向を志向する意欲はないのですか。そういう意欲はゼロなんですか。随契と一般競争契約を適切に組み合わせる、その適切な基準はどこにある。そんないろいろな言いわけをするのでなしに、現在の経営分析をやってみて、そしてどちらが有利か、その有利な方をとっていくというのが筋じゃないの。地元に払い下げをする、地元との結びつきがあるからだ。地元の国産材に対する依存率はだんだん下がってきているじゃないですか。そういういろいろな周辺の事情を考えながら有利な販売方法を考えるという、その視点がないのですか。
  375. 山村新治郎

    山村国務大臣 勉強させますから。
  376. 矢山有作

    矢山委員 農水大臣、勉強させると言っておるのだが、あなた、きょう言うたらそれで済む話じゃないんだよ、本当に勉強させなければ。頑固だからな、勉強する意欲はなかなかなさそうだ。
  377. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、これから販売を広域的に、しかもシステム販売とかいろいろ新しい方法も収入の確保を図るために五十九年度は進めようというところでございますので、今の随意契約と一般公売入札というふうに分けると、別の角度から販売の新しい方法も今いろいろと考えておりますので、そういうことを含めて検討させていただきたいと思います。
  378. 矢山有作

    矢山委員 さすが長官で、頭が少し柔軟だね。少し本気でもうけることを考えなさいよ、そうしないとどうにもならぬのだから。  それから、立木販売の推移を見てみますと、昭和四十年代の販売総量の約八〇%から五十七年度では約五九%に減少していますね。しかし、そうは言いながら国有林財政が今日のごとく悪化している中では、収益の確保のために立木販売から付加価値を高める素材販売を主体にする方向を目指すべきではないか、こう思いますが、いかがですか。     〔田名部委員長代理退席、上草委員長代理着席〕
  379. 秋山智英

    秋山政府委員 極力付加価値を高めて収入を上げるというのも大事なことでありますが、と同時に、生産コストをダウンしなければいかぬという問題もございます。そこで、私ども、現在林政審議会の答申をいただきまして販売問題にいろいろと取り組んでおるわけでございますが、今後経営改善を進めるに当たりまして経営体の内容をスリムにするということは極めて重要でございますが、と同時に、木材を販売するに当たりましては、地域のニーズということがございます。最近の国有林素材の木材業界の皆さんは、素材販売で購入したいという要請のある地域がございますし、また、一方におきまして木材市場等を通じて販売するというような形態も西日本に大分出ておりますので、そういう販売形態も一つ考えていかなければならぬと思います。さらにまた、私ども要員をこれから調整していくということでございますが、職員もおりますから、やはり有効に活用して付加価値を高めるということも大事でございますので、そういうことも考えてやっていきますが、同時に、最初に触れました生産コストをダウンする。やはり価値を高めて売るということで、これは素材販売についてもこれから私ども持続していかなければならない、かように考えております。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  380. 矢山有作

    矢山委員 あなたからもらった資料で私調べてみたのですけれども立木販売をやる場合と素材販売をやる場合の値段を比較してみたのです。そうしたら、五十五年度で、大体素材で売った方が立木で売った場合の三・七九倍、五十六年度は四・四五倍、五十七年度は四・〇六倍、四倍以上なんですよね。そうすると、素材販売という方向を志向した方が経営としては極めて有利なんじゃないかと私は思う。そこで、素材販売の方向を志向してもらいたいし、また、あなたも言われたように、最近は林業地域ではむしろ素材販売を求めるという傾向、あなたがおっしゃったとおりです。私もそう認識しています。そういう傾向が強いわけですから、その点はぜひ素材販売の方向を志向するということで今後努力をしていただきたい。その中で経営の合理化が必要なら、許される経営の合理化をやればいいわけですから。とにかく頭から首を切ってしまってもう素材販売できないのだ、したがって立木販売だ、不利でも仕方がない、こんな短絡的な考え方は持つべきではないと思いますよ。わかりますね。
  381. 秋山智英

    秋山政府委員 林政審答申におきまして、販売形態につきまして立木販売方式を志向せよということを私ども言われておりますが、志向しつつも、私先ほど申し上げましたような実態も踏まえまして、立木販売、素材販売も進めてまいろうと思っております。  先生今御指摘のございました中で若干申し上げますと、立木販売の場合には間伐材だとか質の差異もございますので、そこは先生御承知だと思いますので深くは申しませんが、そういう問題もございますが、私どもやはり現実的には素材生産販売も続けてまいりたいと考えております。
  382. 矢山有作

    矢山委員 臨調臨調と言ってみたって、実際に林業の問題をよく知らぬ人たちが、とにかく人を安く使ってもうければいいんだという感覚で物を考えているわけだから、国有林全体の経営というのは余りわかっていな。だから、素材販売が国有林の経営にとって収益を上げる上に有利だということになれば、大胆にその道を突き進むべきですよ。  それからもう一つは、林産物の販売で販売代金の延納を認めていますね。五十七年度で見ると千五百四十二億円の延納を認めておるわけです。その利率は七・一%としておるのですが、しかし、担保が手形交換所加入銀行等の支払い保証の手形である場合などにおいては、保証料というものを考えて、その利率を五・六四%に軽減しておりますね。ところが、この五・六四%の軽減利率で延納しておるものが全体の中のほとんどですね。これはちょっとおかしいのではないか。国有林経営がこれだけ悪化しておるときに、多額の借入金に依存しておるのに、それをこういう軽減税率をほとんど全体の延納に対して認めるというのは私はちょっとおかしい気がするのですが、どうですか。
  383. 田中恒寿

    田中説明員 国有林産物の大体七〇%くらいが現在廷納制度で買い受けられておりまして、大変主力をなしておるような販売方法になっております。非常に資力の弱い中小企業が多く、有価証券とか定期預金を担保として提供するような資金的余裕の乏しい業界が多いわけでございます。したがいまして、そういう割り引いた形の今の延納制度が業界で非常に定着しておりますので、私どもとしてはそれを販売政策といたしまして現在まで運用してきておるわけでございます。
  384. 矢山有作

    矢山委員 五・六四の軽減税率を適用することが定着をしておる。それは定着しておるでしょう、長いことそれでやってきたのですから。しかし、定着しておるかおらぬかは別で、それが適切なのかどうかというのは考えなければならぬ問題ですよね。相手の資金力等にも問題がありましょうし、中小企業、中小企業といいながら、資金力の豊かなものも資金力の余りない苦しいものも一律に軽減税率を適用してきたからそれを適用するんだという物の考え方というのは、そろそろこの辺で再検討すべきじゃないですか。実際、これはよく検討してくださ。そして、あなた方がそんなことを言うなら、一方では借入金に依存しておって、その借入金の利子は七・一%でしょう。一方では、ほとんどの延納に対して軽減税率を適用しているわけでしょう。こんなばかなことでやれますか。子供が考えたってやれぬのですよ。延納額のほとんどに対して五・六四%を適用する、そして借入金の方は七・一%の利子を払う、こんなばかなことはないでしょう。
  385. 秋山智英

    秋山政府委員 この措置を是正すべきだという御意見もございますけれども、業務部長も申し上げましたが、保証にしか頼ることができない零細な地元業者の金利負担が過重になるという問題がございますし、このような業者が借入金の中心となっている国有林事業の販売が円滑に行われなくなるということもございます。地域林業との関係もいろいろございますので、私どもはやはり現行措置について御理解を得たいと思っておるわけでございます。  今先生御指摘ございました延納利率の問題というのは、確かに販売政策上どちらがベターかということで決まってくる問題でございますし、また財投の金利は国の金融政策の一環で決まるものでございますので、これらについては、直結するというのはいささか問題があると思いますが、私どもは今後の国有林野の販売が安定的にスムーズにいけるということも考えながらしていかなければならぬという面がございますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  386. 矢山有作

    矢山委員 これは、理解しろと言ってもそうですがと言うわけにはいかぬけれども、その問題はその問題として、議論として残しておきましょう。  しかし、少なくともそういう延納額についての軽減措置を決めるのなら、借入金の利子は真剣に考えなさいよ。これは真剣に考えるべきです。林政審の答申でも、借入条件の改善ということをちゃんと言っているわけでしょう。林政審の答申でわざわざ言っておるのですから、これは大いに実現する努力をしなければいかぬのじゃないですか。軽減税率を利用するなら、借入金の利子を下げるという努力をやったらどうですか。
  387. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども、借入金の償還期限の延長等につきましては、これまでもいろいろ検討し、要請してまいっておりますが、まだまだ実現はできない状態にあるわけでございます。ただ、利子率の問題につきましては、国有林事業だけでなぐ横との関係がございますので、これはなかなか難しい問題だと考えておるところであります。
  388. 矢山有作

    矢山委員 難しい難しいと言いながら、一方では高い利子を払って一方では軽減税率を適用しておったのでは、なかなかこれは経営の改善も財政の建て直しもできませんよ。これはしっかりお考えになった方がいいのじゃないですか。農林水産大臣どうですか。借りてくる利子は高い、もらう方の場合には安い利子で延納を認めておる、これはおかしいのじゃないですか。おかしいと思うでしょう。
  389. 山村新治郎

    山村国務大臣 今まで商慣習上いろいろやってまいったことであろうかと思います。これもひとつ勉強させてもらいます。
  390. 矢山有作

    矢山委員 農林水産大臣、なかなか勉強家で、勉強する勉強するとおっしゃっている。ぜひ勉強していただきた。というのは、僕はこう見ておって、国有林の経営の状態はとにかくあの昔の帝室林野局におったころからの考え方から一歩も出ていません。頭が古。特別会計になったんだから経営分析をやって、どういうふうにしてもうけるところではちゃんともうけて経営を健全に持っていくかというような頭がない、どうもそういう感じです。その頭の切りかえをやらさなければいけませんよ。農林水産大臣は、あなた、実にすぱすぱっと物を言われるのだから、頭の切りかえをやらせなさいよ。そうしなければ、とてもじゃないが、ろくなことにはならぬですよ。はっきり申し上げておきます。  そこで、次の問題に移りたいのです。  先ほども質疑の中で林業労働力の確保の問題が出ておりましたが、この林業労働者の生活実態調査というのを最近やったのですが、それを見ますと、これは大変なんだ。二十九歳以下が〇・八%、五十歳以上が大体六〇%近。こういう状態では、後継者を確保するとか後継者の育成だと言ってみたところで、口では言ってもこれはどうにもならぬような状態になっているわけですね。ここのところこういう状態がずっと続いている。こういう中で、一体新規学卒者を含めて若年労働力をどう確保しようというのですか。先ほど何かおっしゃっていたようですけれども、あなたが先ほどおっしゃっていた答弁では、これはなかなかむずかしいですな。
  391. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもといたしましては、林業労働力の確保と林業後継者の育成というのは重大な問題であることは先生と同じでございます。そこで、やはり林業地域活性化の問題がどうしても第一に私は必要であると思いまして、従来も基盤整備を初め各種の事業で働く場を広げるということが大事だと思いますし、さらに今後進めてまいりますには、山村地域は農業と林業を複合経営する方法も必要ですし、また混牧林という畜産と林業を一緒にするとか、そういうふうないろいろな知恵を絞らぬといかぬと思います。特に最近シイタケ等の特用林産については、三千億円産業ということで、山村地域についてこれは収入源として非常にいい効果を得ておりますので、そういうふうないろいろな地場の資源を有効活用しながらそこに活性化の道を開くということが私は非常に必要だろうと思います。私どもこれまでも各種林業の施策を、基盤整備から林業構造改善事業、間伐対策とかいろいろやってまいっておりますが、さらにそういう面から真剣に取り組んでいかなければいけないのではないかというようなことを現在考えておるところであります。
  392. 矢山有作

    矢山委員 おっしゃることはわかります。極めて抽象的ですけれども、そういう施策が必要だと思います。ところが、具体的な問題になってきますと、若年労働者が林業に従事するということのためには、賃金だとかその他の労働条件の問題というのを真剣に考えておかぬと、とてもじゃないが、若い人たち林業には従事しないのじゃないですか。先ほど言いました林業労働者の生活実態調査で調べてみたのですが、どういう状況かというと、全国平均林業労働者の世帯収入が二十四万五千七百五十円、勤労者の世帯収入に比べると大体六二、三%ぐらいなんです。しかも世帯収入で二三・四%、林業労働収入で見ると五六・五%が生活保護水準並みなんです。こういうことでは、林業基本法二条で言っておる趣旨あるいは四十九年の林政審の施策部会の言っておる趣旨、こういう点からいっても、この趣旨にさっぱりそぐわないし、一体こういった低賃金の状態というのを具体的にどういうふうに改善しようとするのか。賃金問題というのは、先ほど言いましたように、若年労働力確保のための最重要な課題ですから、こういう賃金問題をもう少し考えたらいいのじゃないですか。
  393. 秋山智英

    秋山政府委員 林業を魅力あるものにするためには就労条件をよくしなければいかぬわけで、我々もいろいろとこれについては対策を練っているわけでございますが、さっき触れましたように、いろいろな産業をかみ合わせながら収入を上げていくということもどうしても考えなければいかぬと思っています。  それから林業の場合に、今先生お話にありました実態調査を私も読ませていただいておりますが、年間を通じて就労と申しますか、農業、林業を含めまして就労機会を長くするということが非常に大事でございますので、そういう点にもさらに今後方を用いていかなければならぬと思います。  そこで、五十九年からさらに考えております林業事業体の雇用体制整備振興対策事業という、非常に長い言葉でございますが、これも、各県において雇用体制が整備できるようなそういう指導員を各県に配置し、また各地区に配置しながら、雇用がより長くできるような形に持ってくるようなそういう指導も進めてまいると同時に、さっき申しました活性化事業によりましていろいろ仕事を複合的に経営しながら収入を上げていくというようなことも考えていかなければいかぬと思っております。
  394. 矢山有作

    矢山委員 それはわかります。わかりますが、林業労働者自体の賃金の訂正というものも念頭に置きながら、その賃金改善が図られる方向というものを追求をしてもらわなければいかぬと思うのですね。林業地帯に行って聞くと、せめて国有林の従業者並みぐらいになればなということがありますから、そういう点はひとつ今後の検討課題として、どういう方向でこの問題を解決していくか、これを考えてほしいと思う。  それからもう一つは、民間林業労働者の所得が低い、これはやはり雇用の不安定と裏腹の関係にあるわけだと私は思うのです。そこで、総理府の労働力調査報告を見てみたのですが、林業就業者数が全体としては減っていっておる。その中で、常用雇用者は大体横ばい傾向ですね。だから、臨時日雇いも格別改善をされてない、こういう状況です。そこで私は考えたのですが、雇用の場を創設するということになると、今皆さんの方で地域森林計画などをつくっていろいろ努力をしておられますね。だから、そういう地域森林計画などというものをつくるときに、計画、事業、雇用、こういったものを一体的にとらえてそういったものを作成をしていく。作成をするに当たっては、市町村を主体にした山持ち、事業主、労働代表、学識経験者、こういった者を含んだ協議会などというようなものをこしらえて、そういった計画の作成というものをやれぬものだろうかというふうに思うのですが、その点どうですか。
  395. 秋山智英

    秋山政府委員 地域森林計画策定等におきましては、これは先生御承知のとおり、都道府県の森林審議会並びに市町村長の意見を聞いてやっておるわけでございまして、昨年の森林法改正によりまして、各町村が策定する森林整備計画におきましては、協議会を開催して、森林組合その他林業関係者の方々の意見を聞くように努めるよう指導しておるわけでございますが、林業労働者の雇用安定確保の問題については、やはり基本的には地域全体の問題としてとらまえる必要があるわけでございまして、私ども、労働省が地域要請によりまして設置されている地域雇用対策連絡会議というものに積極的に参加すると申しますか、活用を図りながら、林野庁としても林業振興立場、それから各種事業を推進して各林業事業体が活性化するという面からこういう問題に取り組みながら、先ほど触れました新しい制度もうまくかみ合わせをやっていきたい、かように考えておるところであります。
  396. 矢山有作

    矢山委員 それからもう一つ聞いておきたいのですが、雇用契約を結ぶとき、賃金やその他の労働条件について文書で明示すべきだと私は思うのですが、あなたの方からいただいたこの資料で見ると、文書によるものが四四・九%ほど、口頭によっているものが五五・一%ほど、そしてまた、雇用契約の内容に立ち入ってみると、決めてないというのがあるのですね。そういったようなことではこれはいかぬのじゃないかと思うのです。この点の改善を積極的にやるべきだと思いますが、どうです。
  397. 秋山智英

    秋山政府委員 先生御指摘のとおり、資料を差し上げましたように、文書が約四五%でございまして、雇用計画の内容につきましても不備な点が多々ございます。そこで、私どもこれまでも施策を強力に推進するように進めてまいったのですが、今後は、先ほど触れました林業事業体の雇用体制整備の仕事で、事業体自身の基盤の強化を図ると同時に、やはり雇用の安定化という問題が非常に重要でございますから、各県に配置します林業事業体の指導員を活用いたしまして、雇用契約の改善には一層努力してまいりたい、かように考えております。
  398. 矢山有作

    矢山委員 私も何回か民間林業労働の問題をいろいろお聞きしてみたのですがね、チェーンソーの規制の問題からいろいろやってみたのですが、委員会での御答弁はいいのですわ、いまおっしゃったように、やるやると。いいのだが、ずっと見ておると、どうも実態が伴わないのですね。だから、やるやると口ではおっしゃるけれども、実際にはそれが実現をしていないといううらみがあるのじゃないかと思うのです。だから、やるとおっしゃる以上は、やはり効果が出るように真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。それで、やるやると言いながら、どうしてできぬのだろうかと私は考えてみた。ちょっと、いろいろ調べてみたのですがね。林野庁管理職にある者が民間事業体に天下りをしておる。そして、案外それらの人が管理者的なポストについておるというのが非常に多いのですね。だから、これを正当に物を考えるなら、そういったことについて、雇用契約の問題にしろ、その他労働条件の問題にしろ、いろいろなことを林野庁がどういう方針で指導していっているんだという、そのことをよく知っておる人たちが民間事業体に天下りしておるわけだ。だから、その人たちが真剣にそれに取り組めばもう少しは改善効果が上がると思うのだね。ところが、天下りはしておるのだけれども改善効果はさっぱり出てこないんだ。これでは、林野庁の職員というものの資質が疑われるのじゃないですか。天下りの実態を示せと言われれば、こんなにたくさんあるからそれを示してもいいんですよ。時間がないからきょうはやめておきますが。天下りをして管理者的なポストへ座るなら、林野庁が民間林業全体に対していろいろな指導をしておる、その指導が徹底するような努力をしなければいけないのじゃないですか。これから天下りをする人たちにそういう努力をやるべきだということを、あなた、きちっと言いますか、農林水産大臣。そこら辺が大事なところだ。——これは農林水産大臣だ。
  399. 秋山智英

    秋山政府委員 今、きつい御批判をちょうだいしたわけでございますが、これからの林業労働者の確保という問題は極めて重要でございますし、また就労機会の安定化の問題も重要でございますので、不備な点は、今後さらに各都道府県を通じまして、また各営林局の事業に、請負事業体に入っていますので、そのときにもいろいろそういう点についてはさらに指導をしてまいりたいと思います。
  400. 山村新治郎

    山村国務大臣 私がすべてを任せておる林野庁長官があのように言っておりますので、これでおわかりいただけると思います。
  401. 矢山有作

    矢山委員 せっかく林野庁の職員が天下りしていくわけだから、そこで、なるほど管理的なポストに林野庁の職員が座っただけのことはあるわい、この指導がだんだん徹底してどんどんいい方向に行き出した、こういうふうに評価をされるようにひとつしてもらえませんかな、それをひとつお願いしておきます。  そこで、もう時間がそろそろ参りましたから、最後に二つばかりお伺いします。  労働省、見えていますね。労働省にお伺いしたいのは、今お話を聞いておっていただいたと思うのですが、この民間林業労働者の問題について林野庁の方もなかなか十分な対応ができていな。これはやはり林業労働者について、港湾あるいは建設労働者のように林業労働者としての定めもない、あるいは何日以上就労した者を労働者にするか不明確だ、したがって、他産業に見られないような林業労働者の実態把握すら困難になる、そこで対策がおくれる、こういうことになっておるのだと思うのです。  そこで、労働省にお聞きしたいのは、林業労働力の特殊性から考えてみて、あえて言うなら、年間林業労働九十日以上については、林業専業労働者に、そして林業手帳を交付するとか、あるいはこれらの労働者については職業安定所に登録をする、そして雇用や処遇などの全般について指導監督をやっていくようにする、こういうことをやったらどうかと思うのですが、御見解をお聞かせ願いた。  それからもう一つは、労働時間などについて労働基準法八条六号の除外条項が今日なお残されておるわけですね。こういうことでは、幾ら口で劣悪な労働条件を改善して優秀な労働力を確保しようと言ってもできないのじゃないかと思うので、この労働基準法の八条六号の除外条項をなくしていくべきじゃないかと思うのですが、労働省の御見解をお伺いいたします。
  402. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 御指摘の林業労働対策につきましては、先ほど来お話がございましたような林野庁の進められております対策と対応いたしまして、私どもも雇用関係の近代化のために雇用管理の近代化あるいは安全の確保等について努力してまいりたいと思っておりますが、お尋ねの登録等の問題につきましては、これらの基盤になる対策等の進捗状況等との関連もいろいろあると思いますので、そういう点につきましては林野庁とも御相談しながらさらに勉強させていただきたいと思います。
  403. 逆瀬川潔

    ○逆瀬川説明員 林業労働者の労働時間の問題でございます。  先生御承知のように、林業労働につきましては労働者の作業が気象等の自然条件に影響されることが多いということで、労働基準法上、農業、水産業とともに労働時間、休日等の規定を適用しないことになっているわけでございます。一般の事業と同じように時間規制を加えることは難しい問題があると考えるのでございますが、現在、労働基準法の労働時間に関する規定につきましては、労働大臣の私的諮問機関でございますけれども、労働基準法研究会で調査研究をいたしているところでございますので、先生御指摘の問題につきましてもその中で検討させていただきたいと考えております。
  404. 矢山有作

    矢山委員 検討してもらいたいのですが、先ほど来言っているように、新規学卒者を含めて将来の日本林業のために若年労働力、優秀な労働力を確保しようというなら、やはり労働条件といったものは積極的に改善を図らぬと、幾ら抽象的なことを並べてみたところでそれではやれない。やれないから、今日、今言ったように二十九歳以下の若年労働力が〇・八%だというような状態になっておるのです。だから、そういった点はもう少し日本の将来の森林林業全体を考えて、優秀な労働力を確保するというのなら、そうした抽象論だけでなしに、具体的にどこを改善していくべきかということを真剣に考えてもらいた。これは農林水産大臣も労働省と積極的に折衝しながら進めてもらいたいと思います。  それから、各種の社会保険の適用状況の実態を調べてみたのですが、これまた極めて悪いですな。考えてみると林業基本法をつくってもう二十年、林政審の施策部会で社会保障の拡充が指摘されてもう十年たっている。その間林退共の新設なり一人親方の労災の適用はあったけれども、余りにも結果はお粗末だと言わなければならぬと思うのです。そこで私が申し上げたいのは、健康保険法の第十三条は林業労働を一律除外しておりますね。こういった点はもう改めるべきじゃないか、こういうふうに私は思うのです。厚生年金保険法についても同じですが、これはどういう見解を持っておられますか。
  405. 坂本龍彦

    ○坂本政府委員 健康保険、厚生年金におきましては、今御指摘ございましたように林業という業種は強制適用対象となっておりません。しかしながら任意加入という道はございまして、現在までこの林業以外にも、例えば飲食店営業でございますとかサービス業でございますとか、そういう強制適用対象になっていない業種全体につきまして私どもとしては任意加入の促進を図ってまいったわけでございます。  しかしながら、これを任意加入ではなくて強制加入にすべきであるといういろいろの御要望、御意見もございます。そういう実態にかんがみまして、特に今回健康保険及び厚生年金につきまして大幅な制度改正考えておりますが、その立案の過程においての関係審議会の御意見等も踏まえまして、この際、林業も含めまして現在強制適用になっておりません業種につきましても、法人の事業所につきましては六十一年四月から段階的に強制適用することにいたしまして、そのための改正法案を今国会に既に提案申し上げているところでございます。
  406. 矢山有作

    矢山委員 法人事業所に限ってということのようですが、できるだけ法人事業所だけに限らぬ方向で適用できるような方向というものを追及してもらいた。きょうはこの程度でとめておきます。ぜひそういう方向も考えておいてくださ。  そこで、もうちょっと時間があるから林野庁に聞いておきたいのですが、造林などの請負なんかで契約する場合に、地域における社会保険加入者の実態によって福利厚生費を出していく、こういうような方式に昨年あたりから変更しておりますね。
  407. 秋山智英

    秋山政府委員 必要なものは契約のときに算入しております。
  408. 矢山有作

    矢山委員 必要なものは算入しておる、それはわかっている。つまり、福利厚生費に算入するときに、社会保険加入者のその地域の実態を踏まえて福利厚生費を見ろ、こう言っているのだ。これはあなたのところから通達が出ているよ。
  409. 田中恒寿

    田中説明員 労災等につきましては全部でございますが、そのほかのそういう保険につきましては実態に応じて見ることにいたしております。
  410. 矢山有作

    矢山委員 そこで、農林水産大臣考えてもらいた。社会保険の適用を推進して林業労働者の福祉向上を図ると言いながら、その地域の加入の実態に合わせて福利厚生費を見るということになると、改善する方向は出てこないですよ。いわゆる社会保険の適用を進めていって労働条件の改善の一つにしようというのなら、むしろ社会保険に加入させる方向で福利厚生費を出していって、そして加入をサボっておるところに対してはそれ相応の処置をとっていくということにしなければ上向きにならぬでしょう。その地域の加入の実態が低いところに合わせて福利厚生費を算出して請負契約をやるというようなばかな話では社会保険の適用は進まなくなってしまう。そうでしょう。
  411. 秋山智英

    秋山政府委員 加入した場合におきましては、それは契約のときに算入するという形でやっておりますので、いろいろ社会保険その他のあれがございますが、加入しているものは全部内容的に算定のときに見ておりますが、それ以上のことはしておりません。
  412. 矢山有作

    矢山委員 加入しているものを福利厚生費で見るのは当たり前の話です。そんなことは聞かなくたって、私だってわかっている。問題は、福利厚生費の算出のときにその地域の加入実態を見て福利厚生費を算出するというから、その地域における加入の実態が低いときにはそれで福利厚生費を見ることになるわけですが、むしろそれを引き上げて、加入を促進していく方向であなた方が物を考えるなら、そういう請負契約を結ぶときに加入をするという方向で福利厚生費を算出して、そして加入させないでおるようなところについてはそれ相応の措置をとっていくのが加入を促進していく道になるのでしょう。理屈はそうでしょう。違いますか。
  413. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもといたしましても、加入を促進する指導は今後さらに強く進めてまいりたいと思います。
  414. 矢山有作

    矢山委員 だから言っているのです、加入を促進する指導のためにもそれが必要なのじゃないかと。低い加入率しかないところに合わせて福利厚生費をはじいておったのでは、一つも改善の芽が出てこな。加入をさせるという方向で福利厚生費をはじくのが加入を促進することになるのじゃないですか。このくらいの理屈がわからぬのですか。頭のかたいのにもほどがあるね。わかりますか。わかりませんか。
  415. 秋山智英

    秋山政府委員 何回も申し上げて恐縮でございますが、加入を促進するように指導し、加入した場合においては見ていくということで私どももさらに強力に加入指導をしてまいりたいと思います。
  416. 矢山有作

    矢山委員 もう時間がありませんからこれでやめますが、この問題をやっておって、本当にあきれ果てたものですね。あなたのところから出しておる通達をもって、実態に即してもう一遍機会を求めてあなた方の間違いをはっきり指摘しましょう。時間が来たから、余り人に迷惑をかけてはいかぬので、きょうはこれで終わっておきます。
  417. 阿部文男

    阿部委員長 駒谷明君。
  418. 駒谷明

    ○駒谷委員 私でしんがりでございます。きょうは長時間質疑が行われたわけでございますが、できるだけ簡潔にお尋ねしたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。  最初に、国有林事業改善基本的な考え方でございますけれども国有林事業の経営改善は、林政審の答申を踏まえて、新たに策定をされる改善計画によって推進されることになると思うわけでございますが、林政審の答申では経営改善について七点指摘をされているように思うわけでございます。一つは、十年間、五十九年から六十八年まで一部改正の法案は延長するということであります。一つは、組織及び要員の合理化の問題。それから自己収入の確保、増大。それから販売形態。事業運営の改善合理化。森林資源整備充実。昭和七十二年度までに収支均衡を図ることを目標にする。そういう答申が出ていると思うわけであります。  そこで、自助努力を基本とした経営改善ということになりますと、先ほどから何回も質疑が出ておりますけれども、経済の合理性にウエートが置かれ過ぎて、しかも、十四年という短期間に収支均衡という目標、そういう問題等を考えますと、林野施業とその他において、価値の高い樹種についての過伐等も起きてくるのではないか、国有林管理経営がどうしてもおろそかになるのではなかろうかという心配があるわけであります。本来、国有林野の使命であります木材の安定供給や国土保全、水源涵養保健休養の場の提供等、森林の持つ公益的機能の発揮に支障を来すのではないかという心配があるわけでございます。  したがって、経営改善の推進に当たって、将来における木材需給の構造あるいは緑資源の充実、生活環境保全を求める国民的な要請の高まりの中で今後の森林資源整備充実を図る必要があると思いますけれども、経営改善に取り組む基本的な考え方を簡潔にお伺いしたいと思います。
  419. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林事業につきましては、五十三年以来、改善計画に基づきまして事業各般にわたっての改善努力をしてまいって、私どもも機構の統廃合、要員の縮小、事業所の廃止その他、それなりの成果を得てきたわけでございますけれども森林林業を取り巻く情勢の厳しさ、木材価格の低迷等、さらには森林資源伐採量の制約というような問題もございまして、財務事情が悪化しておるわけでございます。また、能率向上についてもそれなりの努力をしてまいっておりますが、これもまだ十分でないということから財務事情が悪化しておるわけでございまして、今後の国有林事業の展望を見てまいりますと、私ども、今先生お話にありました、森林資源整備充実しまして国有林事業の持っておる使命を達成するためには健全性の確保をしていかなければならぬわけでございます。  そこで、今後の木材需要の動向等も見ながら、また、資源収穫量の減少等から見てまいりますと、林産物の伸び悩みの問題がございますし、また定年法の施行によりまして退職者が急増するという問題も抱えておりますし、造林、林道等の財政投融資資金からの借入金の利子支払い、償還金も増大するという大変厳しい見通してございます。  そこで、この使命達成のために、健全性のある林業経営体、国有林経営体にするためにはここで思い切った改善に取り組まなければならぬということで、今回御審議いただいております国有林野事業改善特別措置法改正国有林野法改正を、何とかこれを今後の改善基本といたして進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  420. 駒谷明

    ○駒谷委員 先日、四月十日、当委員会に参考人の方に来ていただいて質疑が行われたわけであります。この参考人の意見の開陳の中でも、七十二年度の収支均衡という問題について御意見がいろいろと出たわけですけれども、経営の健全性というものは回復することが難しいという御意見がかなりあったように思うわけでございます。  そういう点から、改善計画の達成を期するためにはどういうふうに具体的に推進方策をとっていかれるのか、これまたこれからの問題ですけれども考え方をお伺いしたいと思います。
  421. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほどこれからの見通しにつきまして若干申し上げましたが、これからの木材価格の動向とか債務残高の累増ということからしますと、私どもこれから経営努力をしてまいりましても、七十二年度収支均衡の達成は大変容易ならぬ目標であることも事実でございます。しかし、長期的に見ますと、世界の森林資源見通しからいきますと、資源の減少ということで木材の不足化も懸念される状況でございますが、国有林におきましては、戦後造林しました人工林が逐次伐採対象に相なるわけでございまして、六十年代の末からは収穫量も上昇に転ずるわけでございます。  したがいまして、この間におきまして業務運営の簡素合理化とか、あるいは要員規模の縮減とか組織機構の簡素合理化をやりながら、また自己収入につきましては販売方法についていろいろと改善を加えながら、さらには不要不急の土地を売り払うとか土地利用の見直しをしながら収入の増を図るとか、いろいろ改善努力を一層徹底してまいることによりまして、一方において林業経営の基本的な事項の整備をするまでは所要の財政措置が必要でございますので、それをいたしながら、七十二年度までに収支均衡が達成するように強力に進めてまいる覚悟でございます。
  422. 駒谷明

    ○駒谷委員 長官の方から自己収入の確保それから土地の売り払いという問題が出てまいりましたけれども、その問題について多少お伺いをいたしたいと思います。  この自己収入増大を図るということにつきましては、林政審の答申で、五十九年度以降改善期間の前半期終了時点を目途に林産物収入、それから林野等売り払い代など自己収入増大を図って、償還金、支払い利子を除く事業支出との均衡が達成されるように努めなさい、そういう提言がなされていると思うわけでございます。これは経営の健全化を確保するという点から大変重要な問題だと思うわけでございますが、自己収入の主たるものは、何といっても木材の販売収入ということになると思うわけであります。  先ほどもるる質疑があったわけでございますが、木材の需要をめぐる厳しい情勢のもとで、資源的制約等もあり、新しい視点に立って、いかにして素材の付加価値を高めていくか、有利な販売に導いていくか、細かい創意工夫というものを今後いろいろと凝らしていかなければならないのではないか、そのように思うわけでございますが、いわゆる木材の販売戦略ということについて、収入確保の増大の方策をどのように考えておられますか、お伺いをしたいと思います。
  423. 田中恒寿

    田中説明員 木材需要の拡大につきましては、国有林の、まず生産事業のところにおきまして、市場の需要動向に即しました採材、あるいは昨今非常に希望の多い葉枯らし材の生産、さらに採材につきましては、よく打ち出し材というわけでございますけれども、元玉を非常に大切にした価値の高い元玉を生産するための生産方法、そういう生産を全国的に徹底をいたした。こういうことを局署の組織を通じまして現場にも徹底し、そういういろいろな研究発表等も私ども行っているところでございます。  さらに、安定的な需要を拡大いたしますために、従来地元という範囲を比較的小さく考えておりましたものを広域的に、流通の広域化に対応いたしまして、国有林の優良材を価値高く製品化していく業者に対しまして安定的な供給を約束するシステム販売とか予約販売、そういうものをだんだんと採用しておるところでございます。  なお、これは新たな製品需要を開発する場合におきましても、そのような促進策をとっておるところでございます。  それから、何といいましても木造住宅の不振が大変大きいわけでございますので、大工、工務店等と直接手を握りまして、広く国民皆さんが木造住宅、特に国有林材を使用した木造住宅をつくりたいというような希望等に対しましては、それが能率的にかなえられる方法をまずは首都圏において試験的にやってみたいということで、このほど着手をしておるわけでございますが、この成績いかんによりましては、例えば各県と営林局とにおきましてもそういうことを広げることも検討していって、一番の底支えになります木造住宅の需要拡大に大いに努力をいたしたい、そのような販売戦略を考えているところでございます。
  424. 駒谷明

    ○駒谷委員 我が党の水谷委員からもお尋ねがあって答弁があったわけでございますが、「秋田木材通信」の五十九年三月一日付で出ているものですが、鷹巣営林署の主任の安東さんという方が、しん持ち柱用材生産を中心として大変な販売の効果を上げている。その内容でございますが、実験的に公売を実施をして、今までと単価比較で一・五倍の格差の高価な販売の実収を上げることができたという経緯と結果が、この「秋田木材通信」という機関紙を通して研究発表が行われておるわけですが、林野庁長官、ごらんになられましたか。
  425. 秋山智英

    秋山政府委員 私も読ませてもらいましたが、これは非常に意欲的な、しかも今後の国有林の販売に当たりまして、同じ材を価値を高めて売るという点について非常に意義のある内容だと思っております。特に秋田杉につきましては、従来の採材というのが三・六メーター一本で比較的画一的な面がございましたが、最近におきましては、今先生お話にありましたように、四メーター材、三メーター材で採材してまいりますと、それがそれぞれの需要にマッチした形で売れているということでございまして、私どもはこういう優良事例につきましてはさらに一般に普及しながらその収入確保に努力していかなければならない、かように考えておるところであります。
  426. 駒谷明

    ○駒谷委員 中身については省きますけれども、先ほど業務部長から御答弁がありましたが、実際には具体的にこういうふうな研究をし、実験的にやりながら、現場で大変苦労なさって、しかもこれだけ大きな成果を上げている。その問題が十分に林野庁の全域に徹底がなされていないのではないか、そのような点が見受けられるわけでございます。この点については、これだけの努力をなさって発表なさっているわけですから、これをどんどん林野庁の営林署、各現場の方に徹底して、十分に基本的な問題を考えていかなければならないのではないかと思うわけでございます。  特に、この方は、採材の前からもう既にその着手に当たっているわけです。そして検討委員会まで開いて、どうしたら現在の林野庁の赤字の状況を付加価値を高めて材木をより高価に売ることができるか、そういうことで立木の段階から選定をし、それに対する対応をする、そこまで熱心にやっていらっしゃる。まさに林野庁の模範的な人ではないかと私は思うのです。先ほどから再三造材あるいは採材についての問題が出ておりますけれども、特に、ひとつ林野庁皆さん方の方でいいものはどんどん取り入れる、そういう姿勢で考えていただきたい、そのように思うわけでございます。  しかも、それは最近気がついたようですね。私も兵庫県におりますけれども、これは相当前から聞くわけですが、この秋田においては実験的に行われたのがごく最近の発表です。したがって、ことしあるいは去年、おととしの段階ではこういう発想は恐らく出ていなかったのではないか。それだけ貴重な国有林国民財産がそういう形で安く売られているというような問題等があるわけですから、今後の収入確保の上で重要な問題だと思いますので、その点について林野庁長官の決意をもう一度お伺いしたいと思います。
  427. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども事業を実施するに当たりまして、現場第一線で創意工夫をしながら、よりよい造林地を造成する。さらに今度は、伐採に当たりましては同じ立木を創意工夫することによりまして高く売る。また、ニーズに合った伐採方法によって収益を高めることは極めて重要でございまして、各営林局におきまして技術研究発表会というのを毎年させておるわけでございますが、最近はこれの発表者が大変ふえてまいりまして、こういう厳しい中であればあるほど、自分らでこの苦難を切り抜いていこうという創意工夫の努力が非常に大きな力として盛り上がってきつつございます。  その中で、この採材問題につきましても、最近は特に前垂れ精神でひとつ徹底した企業努力をせよということで、私どもいろいろと採材等についての現場指導等もしておりますが、それをベースにしまして、今鷹巣営林署の実例等も出てまいっておるわけでございますが、私ども、こういう研究成果につきましては今後の業務の改善に活用する上に極めて重要でございますので、活用すると同時に、また特にそういう顕著な人についてはそれなりの表彰と申しますか、そういうこともして意欲を高めていくことがこれからは大事であろうと考えております。
  428. 駒谷明

    ○駒谷委員 やはり経営改善を進めていく一番根本の原動力になるのは、現場で指導に当たる、あるいは実際に携わる職員の皆さん方であろうと思います。そういう点から、十分に対応していただけるようにお願いをいたします。  次に、収入確保の増大のための一環として、先ほどもお話が出ました林野、土地の売り払い等についてお伺いをしたいと思いますが、林政審では、昭和六十三年度までに過去五年間の実績、これは約一千億円というふうに資料にありますけれども、その三倍程度、すなわち三千億円の収入確保に努める必要があると、売り払いについての一つの目標というものを掲げておるわけでございますけれども、そこで昭和五十三年から五十七年までの過去五年間に林野、土地の処分をされた実績、件数並びに処分の面積、これは全国でどのような状況になっておりますか。また、売り払いの条件等についてはどのように定めておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  429. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 経営改善が始まりましてから、すなわち五十三年度から五十七年度までの五カ年間で、林野約六百七十四億円、土地が約二百十四億円、合計約八百八十八億円の売り払い等を行っております。これらは、改善計画の趣旨に基づきます保有資産の利用の見直しによる、国有林事業として不要となったもの及び余剰地等でございます。  処分に当たりましては、国有財産の処分の基本的な原則に従いまして、地元で公共団体等が公共用あるいは公用に使用するという希望なり計画があります場合には、そこを優先いたします。そういう希望なり計画がございません場合には、競争入札で公売に付して処分をいたしておる、こういうことでございます。
  430. 駒谷明

    ○駒谷委員 林野面積、土地の面積は全国ベースでどのような状況になっておりますか。——ちょうだいしている資料で、こちらの方から申し上げます。  林野はこの五年間、面積で約一万一千ヘクタール、それから土地につきましては五十七ヘクタール、合計で全国で約一万一千百ヘクタールぐらい、件数は林野については四千四百十五件、それから土地については八百十七件、そういうふうに出ているわけでございます。土地の処分と比べますと林野は当然大変多いわけですけれども、価格の問題からいきますと、土地の方はわずか五十七ヘクタールですが、やはり土地処分というのは価格が高く売れるということがはっきり出ている。全体の八百八十八億の約二五%で売れているのですね。林野の方は、大変な土地が売られた中で金額的には六百七十四億円、これは土地の評価の関係だろうと思いますが、この中でお伺いしたいのは保安林ですね。保安林解除してそして処分をしたという、その林野関係はありませんか。ありましたら、お伺いしたい。
  431. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 先ほどの五十三年度から五十七年度までの五カ年間で、保安林であったものを売り払いました件数が二百三十件、面積が千二百四十一ヘクタール、約百三十六億円でございますが、このうち三十九件、三百ニヘクタール、金額にいたしますと三十六億円につきましては、保安林のまま公園、緑地等に売り渡しておるものでございます。保安林解除しての売り払いは百九十一件、九百三十九ヘクタール、約百億円でございますが、これはダムあるいは道路、農地等の用に充てるために解除をいたしまして、また解除をいたします際に保安林目的のための代替施設を設ける必要があります場合には、そういうものを設けまして解除をいたしたものでございます。
  432. 駒谷明

    ○駒谷委員 実はこの林野国会で、この保安林整備の問題が今大きな議題になっておるところでございます。保安林解除理由というもの、これは国有林管理規程というもので明確に決められておるわけでございますけれども、それに基づいてなされ、また処分をされたと思うわけでございます。  このような保安林基本的な問題についてお伺いしますけれども、これらの林野、土地、その処分の中で、今後、やはり保安林の問題については、いわゆる森林の国土保全という立場を十分に勘案しながら、保安林機能低下を回復させるためにこの法案が出ているような状況でありますので、保安林指定解除、不要存置林野として売り払う問題等については今後も十分に慎重にやる必要があるかと思いますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
  433. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 先ほど申し上げました解除して売り払いをいたしましたものを取得をした相手方はほとんど地方公共団体とか公社、公団といったようなものが多いわけでございます。現況保安林でございます国有林を売り払います場合には、公用、公共用もしくは公益事業の用に供するものについて行っているわけでございますが、解除を必要といたします場合には、森林法の規定に基づきまして、具体的な土地利用計画があって、しかも代替施設の設置等によりまして保安林解除要件に適合する場合にのみ指定解除を行って売り払うという方針で、十分慎重に対応してまいりたいと思っております。
  434. 駒谷明

    ○駒谷委員 今後五年間で従来の五年間の約三倍の売り払いの目標ということになりますと、先ほどの資料の中でも土地の売り払いの場合、それから林野の売り払いの場合、これは金額的には相当開きがありますし、そういう点から考えますとかなり売り払いについて方向性を十分に検討していかなければならないのではないかというふうな感じもするわけでございますけれども、しかも、この国有林野につきましてはやはり経営の基盤になる部分でもありますので、そういう点から今後の売り払いの選定、方向、また五年後の今の三倍という問題等についてどのように考えておられますか、お伺いをいたします。
  435. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 この点につきましては、林政審答申の中でも、今までの受け身のその都度対応ということではなくて、地域の土地利用計画というものを十分踏まえて、計画性をある程度持った積極的な取り組みが必要だというふうに指摘をされているわけでございますが、特に、今後は不要になっております土地を処分するのは当然でございますが、さらに地価の高い高地価地域に所在いたします庁舎とか宿舎とか苗畑、貯木場等の施設につきまして土地利用の面から立体化なりあるいは低地価の地域への移転の方が望ましい、あるいは業務の必要上廃止しても差し支えないというようなところにつきましてそのような立体化なり移転等を行いまして、その跡地なり余剰地を売り払っていくということを考えております。  それから林野につきましては、これはまさに国有林事業の経営の基盤でございます。国有林事業の経営基盤として保持をしていかなければいけない林野というのはちゃんと保持をしてまいる考えでございますが、土地需要の動向でございますとか国有林事業との調整等に十分配慮をいたしながら、地域の土地利用計画に沿った方向で検討をし、また対象林野を決定をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  436. 駒谷明

    ○駒谷委員 土地の売り払いにつきましては、私も不要な分については処分をして、そして自己収入の上に上げていくということ、これについて否定をするものではありません。ただ、この処分についてはいろいろと問題が起きやすいわけでありますので、その点についてはひとつ慎重にやっていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、国有林野法の一部を改正する法律案関係につきまして、いわゆる分収育林の問題について一点だけお伺いをいたします。  この分収育林制度は、これから具体的な運営等について検討がなされるであろうと思いますけれども対象地をどうするか、あるいは応募者の選定、この林齢、樹種はどういうふうにやっていくか、これからの検討の課題であろうかと思うわけでございます。  特に今回の国有林の分収育林制度、これについての林野庁の意識調査、この中にも、都市住民の意向の調査の中では一番トップにあるのは投資活動への参加ということで、国土の緑化に参加ができる、あるいは自然に接することができる、そういうふうな参加者の期待が大変大きいわけでございます。したがって、この参加をなさる皆さん方の希望というのは、国有林野におきます森林施業の体験あるいはレクリエーション的な考え方、あるいは森林林業と直接触れ合う場づくり、そういうふうなことで、特に最近話題になっております緑の健康法としての森林浴、そういうふうな問題等も踏まえて、この分収育林において国民の参加という考え方、これがかなり強くなってくるのであろうと思うわけでございます。  したがって、この募集に当たりましては、森林施業適正化あるいは費用負担者の権利の保護、いわゆる参加者の権利保護ということはやはり重要な問題であると私思うわけであります。大変息の長い話でありますけれども、やはり二十年、三十年という長い間伐期を待つわけでありますから、それに基づく成林するまでの適正な森林施業の確保ということ、これまた重要な問題だろうと思うのです。そういう点から、この費用負担者の権利保護という立場からこの適正化の問題についてどう取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
  437. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林の分収育林契約につきましては、今お話のございましたように非常に長期にわたるものでございまして、これは分収木の所有権は国と費用負担者の方との共有でございまして、共有の持ち分権の保護ということになりますので、特に慎重に対応していかなければならぬと思っておるわけでございます。  そこで、まず具体的に申し上げますと、分収木の所在する範囲の主要な地点には、当然のことながら所定の形式によりました標識を設置して、はっきりとそれを明示できる方法をとります。それからまた、国が責任を持ってこれを直接管理をしていくわけでございますが、非常に長期にわたる契約でございまして、鋭意その管理には十分慎重を期していくわけでございますけれども、万が一の山林火災というようなことがあってはいかぬわけでございますので、私ども、公募に当たりましては、費用負担者が森林損害保険制度に必ず加入することを条件としてこれは進めてまいるつもりでございますし、また、管理についてはそういうことを踏まえてこれを慎重に適正に管理していきたい、かように考えておるところであります。
  438. 駒谷明

    ○駒谷委員 国民が分収育林制度に乗って結局育林の資金を出資をするという形になるわけでございますので、金銭的に、間接的ではありますけれども、保育の応援をするという形になろうかと思います。  そこで、ここの点については林野庁の長官のお考えを聞いておきたいのですけれども国有林野法の十四条でございますね。林産物の採取という問題がありますね。おわかりでしょうか。これは造林者に対して林産物の採取という問題について認められておるわけでございますけれども、当然今回の分収育林制度では国と国民との間の二者契約になるわけですね。国が所有者であり、そして造林、育林者という立場になるわけでございます。そういう点からいきますと、この十四条というのは国がその権利を持つという形になるわけですけれども、その点について、金銭的出資をしているという形からいきますと、間接的ではありますけれども保育に関与するという形が出てくるかと思います。  それからもう一つは、森林の方ヘレクリエーションとかそういう形でこの分収育林の自分の担当しておる部分について入る場合に、その地域にできますいろいろな林産物の採取という点が出てくるかと思いますけれども、これに対するいろいろ難しい面があるかと私も思いますが、林野庁としてはこれからの運営に当たってこれはスムーズにやっていく必要があるだろう。民有林の分収育林の場合は三者契約をする場合が多いわけです。三者の場合は造林者は別にできるわけでありますから難しい問題だろうと思いますが、国の場合にはその点がスムーズにいくのではないかと思うわけです。そこらの点について林野庁長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  439. 秋山智英

    秋山政府委員 部分林の場合におきましては、長い間の旧慣に根差す地元住民森林利用の実態というものが前提になっておりまして、この林産物の、副産物の権利を持つことはできるわけでございますが、分収育林の場合には、制度的には権利を付与し義務を課することはないわけでございますので、制度的にはできないわけでございますけれども、ただ、森林資源を維持造成し、場合によっては体験学習ということをしながら自然のシステムを勉強するというようなことも出てくると思いますので、その場合においては地域の自治体の森林レクリエーションの場の提供としてこの山を視察に来られたときにあわせて見ていただくとか、あるいは地域皆さんとの交流の場をつくるとか、いろいろそういうふうな運用は考えていきたいと思っておりますが、制度的には権利を付与することは非常に難しく、できないわけでございます。
  440. 駒谷明

    ○駒谷委員 時間が参りましたので、多少意見が違うわけでございますけれども、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  441. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、来る十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時十三分散会