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1984-03-01 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月一日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       太田 誠一君    鍵田忠三郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    高橋 辰夫君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       羽田  孜君    三池  信君      三ツ林弥太郎君    山崎平八郎君       上西 和郎君    串原 義直君       新村 源雄君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    駒谷  明君       斎藤  実君    武田 一夫君       水谷  弘君    神田  厚君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         外務省経済局次         長       恩田  宗君         農林水産政務次         官       島村 宜伸君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産省食品         流通局長    小野 重和君         農林水産技術会         議事務局長   関谷 俊作君         食糧庁長官   松浦  昭君         食糧庁次長   山田 岸雄君         林野庁長官   秋山 智英君         林野庁次長   後藤 康夫君         水産庁長官   渡邉 文雄君         水産庁次長   尾島 雄一君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 杉戸 大作君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      赤澤 壽男君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農林水産業の基  本施策)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  3. 衛藤征士郎

    衛藤委員 きょうは、予算委員会大臣が我が農水の方にお越しをいただいておりませんが、かわりに政務次官がおいででございますので、質疑を始めさせていただきます。  先般の大臣所信表明の中で、「農林水産業基盤である地域社会活性化を進める」このように強調され、いわゆる「二十一世紀へ向けて夢のある明るい農林水産業農山漁村の実現を図る」として、豊かな村づくりを強調されたわけでありますが、二十一世紀を展望してみますと、高齢者問題が日本社会全体としても大きな社会問題となってまいりますし、いわゆる農村高齢者生活の場としてその役割を果たしていく必要がある、私はこのように考えております。また、都市の人間が自然との触れ合いを求めておるということが、先般の総理府の世論調査でも指摘されておるところでございます。  こうした経済社会変化を受けとめて、これからの村づくりは新しい理念で進めていく必要がある、このように考えておるわけですが、大臣の提唱した豊かな村づくり基本的な考え方につきましてまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 島村宜伸

    島村政府委員 お答えをいたします。  我が国社会経済は今後急速に高齢化が進み、また一方で、経済安定成長定着国民価値観変化等によりまして、農林水産業及び農山漁村に大きな影響をもたらすものと考えられます。したがって、このような環境条件変化に即応しつつ、農林水産業基盤とする活力ある農山漁村地域社会を建設していくことは、二十一世紀に向けての我が国経済社会の健全な発展を図る上で極めて重要であると考えております。  そこで、こうした活力ある農山漁村地域社会の形成のためには、何よりも農林漁業体質強化を進め、若い担い手に夢を与える産業として育てることを基本とし、あわせて、村に住む人々に就業と生きがいの場を与え、また、一般国民に対しましては自然との触れ合い機会を提供するといった視点に立って、豊かな村づくりを進めていく必要があると考えておるわけであります。
  5. 衛藤征士郎

    衛藤委員 私は、大臣の御指摘された新しい村づくりというものは、いわゆる英語で言うところの新しいコミュニティー農村におけるコミュニティーづくり指摘されたのではないか、このように考えております。  大臣がいらっしゃいませんので、残念ながらその辺の論議を深めていくことはできませんが、後ほど他の委員からの御質疑大臣お越しになりましたらあろうかと思いますので、それでは若干質問いたしますが、御案内のとおり、農村におきまして混住化が進んでおります。そのために農地スプロール的壊廃が進んだり、生活排水農業用排水路への流入によりまして、水質の汚濁とかあるいは水路の管理費負担等をめぐってトラブルが生じておりますが、御案内のとおりかと思います。また、農村生活環境整備が特に下水道の整備等の面で著しくおくれておる、これは御指摘のとおりだろうと思いますが、こうした状況の中で、村づくりの一環として、土地あるいは水資源の有効かつ円滑な利用管理のための体制整備する必要がある、私はこのように考えておりますが、この点いかがお考えでございますか、お伺いいたします。
  6. 島村宜伸

    島村政府委員 お答え申し上げます。  構造改善推進による農業体質強化を図ることは、目下農政の緊急の課題であります。  このため、まず第一に農用地利用調整を行う。地域農業集団を広範に育成し、集団的土地利用調整活動を基軸といたしました構造政策推進してまいる所存であります。第二に、これとあわせ、一、土地、水のスプロール化防止と有効な利活用、第二に安定就業機会確保、第三に生活環境整備等地域の諸課題に適切にこたえていくことが不可欠であります。  第二の問題としまして、このような観点に立ちまして、まず予算面におきましては現行農振計画計画事項を追加し、従来の線引きを中心とした計画から、農業農村整備を図る上でのより総合的な農業並びに農村整備計画発展させるほか、新たに新農村地域定住促進対策事業都市農村交流活動促進等を進めてまいりたいと考えております。  さらに、農業基盤整備事業あるいは農業構造改善事業、新地域農業生産振興総合対策等、従来から掲上されております農村地域振興につながる各般施策の効率的な実施に努めてまいる所存であります。  また一方、法制面では、村づくりを進めるために当面必要と考えられる計画事項の追加や、各地域社会から提起されている課題にこたえる手法整備するため、今国会に提案する考えで農振法及び土地改良法の改正の準備を進めておるわけであります。  以上でございます。
  7. 衛藤征士郎

    衛藤委員 いわゆる土地利用型農業生産性向上を高めていく上で、構造政策が今指摘されたわけでございますが、構造政策をどのように進めていくか、少し議論を深めてもらいたいと思いますし、また、今政務次官が御説明になったいわゆる新農村地域定住促進対策事業でございますが、このことにつきまして詳しく農水省の御答弁をお願いいたしたいと思います。  また、農地三法を通じて賃貸借を進めようとしている、このように理解しておりますが、どのような成果があらわれておりますか、この点についてもお伺いをいたしたいと思います。お願いいたします。
  8. 森実孝郎

    森実政府委員 構造政策推進ということにつきましては、基本的には最も難しい課題である集団的な土地利用調整による規模拡大なり利用面的集積をどう進めるかが大きな課題であろうと思っております。この点につきましては、昨年来地域農業集団育成という形で、それぞれ地域実態作物の実情に応じまして、規模拡大、これも利用権設定並びに作業受委託を含めた規模拡大、それからもう一つ土地利用面的集積による機械の共同利用、それからもう一つは地力の低下等に対応するための畜産農家耕種農家の連携の強化、さらには里山の利用とか裏作の利用といった土地利用度を上げるための施策というふうなことを地域社会地権者が話し合うための組織として、地域農業集団育成ということを全国的に行うという考えで、全国農用地区域に属します集落の大体半分を三年がかりぐらいで指定いたしまして、ここで話し合い運動を進めるための施策を進めているところでございます。しかし、構造政策自体推進はもちろんそれだけではいけないわけでございまして、基本的にはやはり今言った集団的土地利用調整を進めるための前提としても、土地自体物的生産性を高めるという意味におきましても、やはり土地改良事業計画的推進ということが基本課題になるわけでございまして、昨年御決定願いました三十二兆八千億という第三次土地改良長計の線に沿って、厳しい財政事情のもとでございますが、予算確保とその効率的な実施ということに努めてまいりたいと思っております。  さらに、なかなか予算的には制約もございますが、構造改善事業その他を通じまして、資本装備近代化の問題、さらに投下された資本施設が効率的に利用できるための指導の強化ということに意を用いていく必要があろうと思っております。  それから第二は、農地法制定以来の、特に先ほど申し上げました構造政策基本課題でございます土地利用調整による規模拡大実績でございますが、五十八年の十二月末、つまり昨年の十二月末で十三万三千五百ヘクタールという実績を示しております。この一年間だけでも大体二万九千ヘクタール利用権設定が進んでおりまして、今の段階ではやはり中核農家規模拡大ということは、回り道を通りながらも、確実にこの農用地利用増進事業の体系の中で新しい農用地利用増進法なり賃貸奨励措置を背景として進んでおりますし、それから作業受委託も、全面的な作業受委託という、いわば利用権設定にかなり近い形を持ったものも、今日低平地の稲作等中心にして六万ヘクタール程度実態が生まれてきております。こういったものをどうやって育てるかということが非常に重要な課題ではないだろうかと思っているわけでございます。  御指摘がございましたいわゆる新しい定住対策でございますが、これは第一期の定住対策が五十八年で完了いたしますので、第二期の措置として新しい予算措置を講じ、新規六十地区を採択し、そのうち三十地区は年内に着手したいということで所要の予算を計上し、審議をお願いしているわけでございますが、基本になります考え方は従来と連続線上にあるわけでございまして、やはり構造政策を積極的に推進する視点に立って考える場合も、豊かな村づくりという問題がどうしても前提になる。やはり地域社会の、今委員指摘コミュニティーづくりということに取り組んでいかなければなりません。  そういう意味において、就業機会確保の問題、このための地場産業育成なりあるいは計画的な企業誘致の問題というものに取り組むための措置を講ずる。それからさらに、生活環境施設を、ほかの事業と一体をなしながら必要なものを補完的にそれぞれの集落につくっていく事業を行うというところを特に重視いたしまして、一次対策と異なります点は、特にこういった就業問題とか生活条件整備の問題、村づくりの問題について、ソフトウエアと申しますか、いわゆる必要な事務的な経費の助成の道も開きまして、話し合い活動強化することを重視しているわけでございます。
  9. 衛藤征士郎

    衛藤委員 農村社会において、いわゆる兼業農家、特に稲作兼業農家の問題が農村社会構成員として重要な立場を占めている、私はこのように考えておりますが、この稲作兼業農家について農水省はどのように考えておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 小島和義

    小島(和)政府委員 米は国民主要食糧でございまして、需要動向に即応して必要量安定生産を図ると同時に、生産性向上を図っていく必要があるわけでございます。  ただいま御指摘ございましたように、米の生産の中におきまして、約八五%の面積兼業農家によって担われる。特に第二種兼業農家が過半を占めているという状況にございます。日本農業発展のためにも、また稲作の安定という観点から見ましても、土地利用型の農業の中においての中核的な担い手育成するという必要があるわけでありまして、このため、ただいま構造改善局長から申し上げましたような土地流動化対策等を通じまして、規模の大きい、また生産性の高い農家育成していくということがまず基本であろうかと思います。  そうは申しながら、非常に数多い兼業農家日本稲作農業を担っているという現実があるわけでございますから、他方、高能率生産組織、これにはさまざまな型がございますが、そういった組織活用を通じまして、兼業農家稲作につきましても、一定の技術水準を維持いたしまして稲作の安定を図っていく、こういう必要があろうというふうに考えております。  また、御指摘ございましたように、稲作農家農村集落において非常に重要な構成メンバーになっているということも事実でございます。今後、活力ある農村地域社会維持発展を図るという意味におきまして、その役割を重視すべき点があるわけでございます。したがいまして、生産対策におけると同様、村づくり対策等におきましても、これら兼業農家を巻き込んだ形で対策を進めていくということが至当ではなかろうか、このように考えております。
  11. 衛藤征士郎

    衛藤委員 御案内のとおり、農村高齢者が増加する、また一方、年金だけには依存し切れない、こういう不安感から私は稲作兼業農家がふえている、定着化してきている、このように思いますので、活力ある施策をひとつお願いいたしたいと思います。  次に、米関係についてお伺いしますが、昨日の全国紙社説におきましても米の需給問題について社説の中に指摘されておりますし、また、けさの全国紙におきましても同じように米の需給問題が大きく取り上げられておりますが、米の不作が四年も続いております。また、食管在庫も底をついておりますし、ことしの端境期には米が不足するだろう、このように指摘されております。たまたま昨年のちょうど同時期の新聞報道にもやはり同じような新聞記事が散見されるわけでございまして、昨日の社説の中にも、緊急避難措置として海外から米を輸入することも考えなければならないのではないか、こういう社説があるわけであります。社説というのはその新聞社のいわゆる最も大切な主張でありますし、当然、読者はその社説を一番大切にいたしますが、その社説緊急避難措置として米の需給が逼迫したときに米を輸入しろというような記事が出ておる。私は、これは重大なことだと思うのです。  最近の需給情勢からして、国民への安定供給に問題はないのか、この辺のところを農水省にお伺いいたしたいと思います。
  12. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  五十八年の十一月から始まりまして五十九年の十月末に終わります五十九米穀年度でございますが、その年度におきます供給総量といたしましては、御案内の五十八年産米が千三十七万トンございますし、前年産米繰り越し分が十万トンございます。また、五十三年産米につきましても引き続き需要がございまして売れる見込みもございますので、最近の需要実態から見ますと、お米の需給に問題はない、このように私ども考えているわけでございます。  昨年も、先生御指摘のように、今ごろからいろいろと話題にはなりましたが、十月末にも特に問題もなく経過したことでございますし、この辺は今年も同じような需給ポジションにあるのではないか、こう考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、本米穀年度も米の安定供給確保しまして、国民に不安を与えることのないように需給売却操作に万全を期してまいりたい、このように考えております。  また、最近の在庫事情等考えまして、水田利用再編の第三期対策におきましては適正な在庫水準確保する、こういうことで毎年約四十五万トンの計画的な在庫積み増しを行うこととしておりますし、今後とも消費者に対しましてはいささかの不安も与えないように努めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  13. 衛藤征士郎

    衛藤委員 私は、米というのはいわゆる日本型食生活意味でも極めて栄養のバランスのとれた主食だと思いますし、また、水田農業生産力維持確保を図るという意味でも極めて重要だ、このように思っておりますが、米の消費拡大対策について若干お伺いをいたしたいと思います。  米の消費拡大、その眼目となるもので学校給食指摘されるわけですが、五十九年度予算におきましていわゆる値引き率はどうなったのか、お伺いをいたしたいと思いますし、また、今後の米の消費拡大対策について農水省のお考えをお伺いしておきます。
  14. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  米の消費拡大につきましては、米の需給均衡に資するとともに、長期的には我が国の風土、資源に適した基本食糧である米を中心といたしました日本型食生活を広く維持定着さしていくということを基本としておりますが、国及び地方を通ずる推進体制をこうした考えのもとに整備いたしまして、具体的には次のような各般施策を講じていこう、こういう考えのもとに推進しているわけでございます。  その第一は、米についての正しい知識普及啓発についてでございます。医師とか栄養士等専門家、それに婦人団体等各層の協力を得まして、消費者に対して米についての正しい知識普及啓発活動を行う。また、テレビとか新聞等各種媒体を使った宣伝事業を行うこととしているわけでございます。  第二は、地域における米消費拡大対策ということで、中央段階にとどまらず、都道府県なり市町村段階におきましても推進体制整備して積極的に消費拡大を展開していこう、このために地域米消費拡大総合対策事業、こういうのを実施しておるわけでございます。  第三は、学校給食への米飯導入を促進しておることでございます。学童期食習慣が将来の我が国食生活に大きな影響を及ぼすものである、こういう観点から、米飯学校給食計画的推進を図っていこう。現状では週一・八回程度実施回数でございますが、六十年代の初期には週三回程度にまで増大していこう、こういうことで現在実施しておるわけでございます。  第四には、米の新加工食品開発普及、こういうことも促進しようということでやっておるわけでございます。  それから、御質問のございました学校給食用米穀値引きについての予算問題でございますが、学校給食用米穀値引きにつきましては、財政負担が相当増加しておるということ、また、臨調答申におきましてもその助成の縮減を求められている、こういうこともございますので、その見直しを行ってきておりますが、学校給食への米飯導入は、当面の米の消費拡大という問題だけではなくて、将来の食生活に大きな影響を及ぼす、こういうふうなことも考え日本型食生活定着を図るという観点からは重要な意義を有するものであるということで、六〇%の値引きは維持していこう、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、従来実施しておりました新規米飯給食実施開始校に対する七〇%の特別な値引きにつきましては、実施校の比率が既に高い水準になっております。九五%まで今実施しておるわけでございまして、その所期の目的をおおむね達成したもの、このように認められますし、この点は特別の値引きは廃止しまして、新規実施校についても継続実施校と同様に六〇%の値引きをする、こういうことでやらしていただきたいというふうに考えているわけでございます。  いずれにしましても、農林水産省といたしましては、米飯給食重要性にかんがみまして、今後とも文部省と協議をしながら、米飯給食実施校の解消、米飯給食回数の増加など、米飯学校給食の一層の定着推進に向けて努力していきたい、このように考えておる次第でございます。
  15. 衛藤征士郎

    衛藤委員 赤ちゃんにとって母乳が必要であるように、我々日本人にとって母乳に匹敵するものは米食だ、私はこのように思っております。それほど大切だと思うのですが、御指摘ありましたように、学校給食の中にこれをきめ細かく織り込んでいくことが極めて大切だと思うのです。  今、週一・八回、これを昭和六十年度ですか、六十年初頭ですか、週三回に持っていく、このように言われましたが……。
  16. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  六十年代のなるべく早い時期に三回にまで持っていきたい、このように今文部省と協議して考えておる次第でございます。
  17. 衛藤征士郎

    衛藤委員 六十年代の本当にできるだけ早い時期に週三回を必ず実施してもらいたい、強く要請しておきます。  御案内のとおり、昭和五十九年度から六十一年度、三年間にわたりまして水田利用再編の第三期の対策が始まるわけでございますが、政務次官、この水田利用再編第三期対策につきまして、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  18. 島村宜伸

    島村政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十九年度から始まります水田利用再編第三期対策につきましては、需要動向地域実態に即した転作定着化を図ることを旨といたしまして推進してまいる所存であります。  第三期対策の概要について申し上げますと、まず、転作等目標面積につきましては、現下の米の需給事情、適正な在庫水準確保必要性等を考慮いたしまして、六十万ヘクタールと定めております。また、水田有効利用を図る等の観点から、新たに他用途利用米生産を行うことといたしております。さらに、奨励補助金につきましては、基本額は一定額引き下げましたが、転作定着化を進め得るよう、加算制度改善を図ることといたしております。  以上であります。
  19. 衛藤征士郎

    衛藤委員 今政務次官の御答弁にいわゆる転作定着化を図るというお話でございますが、どのような手法によってその転作定着化を図るのか、また、第三期対策実施に当たっての長期的な視点に立って、需要動向あるいは地域実態等につきましても若干御説明をお願いいたしたいと思います。
  20. 小島和義

    小島(和)政府委員 昭和五十三年度から始まりました水田利用再編対策も既に六年経過いたしまして、明年度から第三期対策ということになるわけでございます。  第三期対策基本的考え方はただいま政務次官からお答え申し上げましたとおりでございまして、その中におきまして、転作定着化を一層促進するという観点から若干の改善を行っておるわけでございます。  具体的には、都道府県及び市町村段階におきまして、地域農業の将来展望を踏まえまして、水田利用の今後の方向転作作物の作付の方向定着化方向等を明らかにする都道府県水田利用再編基本方針市町村段階におきましては市町村水田利用再編計画を策定することにいたしておりまして、これに即しました計画的な転作推進を図ってまいりたいと考えております。  また、奨励金の面におきましては、今申し上げましたような方針計画を受けまして、今回、現行の加算制度を見直しまして転作定着化推進加算というものを設けておりますが、その中のいわゆる第二種加算、これは都道府県ごとに知事がそれぞれの地域で最も望ましい転作に誘導をするという観点から、都道府県知事が加算交付の要件を決められる制度を設けております。  またさらに、市町村段階におきまして、水田利用再編計画に即しました転作定着を進める場合に緊急に必要とされる諸対策があるわけでございますが、それらに対しまして機動的に事業実施ができる水田利用再編対策推進事業という予算を新たに設けております。  これらを通じまして、従来にも増して転作定着が進みますように努力をいたしたい、かように考えております。
  21. 衛藤征士郎

    衛藤委員 また、第三期の対策では、新たに、政務次官答弁ございましたように他用途利用米導入するということでございますが、この他用途利用米について、その基本的な考え方並びに他用途利用米のいわゆる価格とか流通とか、そういう問題につきましても具体的にお伺いいたしたいと思います。
  22. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。  他用途利用米につきましては、米の需給の不均衡が今後とも避けられない状況のもとにおきまして、水田の持つ高い生産力が十分発揮されるような形で転作の円滑な推進を図ることが重要となってきているわけでございますし、また、過剰米処理の終了に伴いまして、六十年度から新たな加工原材料用の米穀の供給確保の必要性が生じてきております。それから、大幅な米の生産調整を実施している中におきましては、他用途利用米といえども米を輸入するというふうなことは不適当であると考えられますし、加工原材料用需要につきまして国内生産で対応することといたしまして、五十九年度から水田利用再編第三期対策の一環といたしまして導入する、こういうこととしたわけでございます。  また、他用途利用米導入につきましては、農政審議会の五十五年十月の答申及び五十七年八月の報告において述べられておりますように、「水田のもつ高い生産力と国土保全機能を発揮させその有効利用を図ることができること、」また「作付規模の拡大、多収技術の追求等を通じて稲作生産性向上に寄与できること、」こういった面から今後の農政の展開に当たりまして重要な意義を有するものと考えておる次第でございます。  この他用途利用米の価格、流通等の問題でございますが、今申し上げましたような導入の趣旨を踏まえまして、適正な生産流通の確保に十分留意し、次のとおりとしております。  他用途利用米の対象といたしましては、みそ、せんべい等の加工原材料用としております。  それから、他用途利用米生産、約二十七万トンと考えておりますが、を行うことといたしまして、その生産面積約五万六千ヘクタールは転作等目標面積の内数として扱おう、こう考えておるわけでございます。  それから、他用途利用米生産は、生産者の委託を受けた全国集荷団体とみそ、せんべい等の実需者の間におきますところの流通契約を結んでいただきまして、それに基づいて行ってもらおう、この場合に横流れ防止ということは徹底していかなければなりませんので、その流通は原則として破砕加工した形で流通させていこう、こう考えておるわけでございます。  また、他用途利用米全国集荷団体から実需者への供給価格についてでございますが、現行の破砕精米の価格水準を基準として当事者間で話し合いを行っていただき決定される、こういう手順を踏むことになろうと思われます。他用途利用米生産流通の円滑化を図っていこう、こうした観点から、トン当たり七万円の政府助成を食管特別会計から行うということも一応考えておるわけでございます。こうした結果、生産者手取りといたしましては、トン当たり十七万円弱、一俵当たりで約一万円くらいになろうかと思うのでございますが、その程度になると見込まれておるわけでございます。  このような観点から、今他用途利用米の作付等につきましては、集荷団体なり都道府県市町村一体となって協議していただきまして着々その実現に取り進めておる、こういうところでございます。
  23. 衛藤征士郎

    衛藤委員 水田利用再編対策実績を調べてみますと、いわゆる保全管理のものやあるいは青刈り稲がかなりの面積を占めておるわけでございますが、これを何とか他用途利用米にうまく転換していくことができないのか、また、他用途利用米の実際の配分といいますか、それはどうなっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  24. 山田岸雄

    山田(岸)政府委員 それでは、五十九年度の他用途利用米の配分につきまして私から説明させていただきます。  この都道府県への他用途利用米生産予定面積でございますが、全体の転作等目標面積は六十万ヘクタールでございますが、それに占める他用途利用米生産予定面積約六万ヘクタールの割合を出してみますと約一割になるわけでございまして、都道府県別の転作等目標面積のおおむね一割に相当する面積をめどとして、今他用途利用米を作付していただくよう各県で協議していただいているわけでございます。
  25. 衛藤征士郎

    衛藤委員 政務次官にお伺いいたします。  いわゆる所信表明の中で指摘されました稲づくり、土づくりのことでございますが、四年連続の不作ということは、基本的には稲作栽培期間における低温等の気象変動によるものが主因と考えられますけれども、稲作農家生産意欲の減退あるいは兼業化、高齢化の進展に伴う栽培管理の粗放化あるいは技術水準の低下といった人災的な要因もあったのではないかと思いますが、この点農水省はどのように認識され、また、どのように対処しておられますか。  また、土づくりでございますが、稲作とも関連しまして地力の低下を懸念する声が強いわけであります。堆肥等の有機物の施用量が年々低下する一方で、化学肥料に依存する度合いが強まっているわけでございますが、このような事態にあって土づくりをどのように進めていくのか、稲づくりと関連いたしまして政務次官の御答弁をお願いいたします。
  26. 島村宜伸

    島村政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、米は国民の主食でありますので、需要に応じて安定的な生産を図ることが何よりも重要であると考えております。  第二に、ここ数年の不作の主な原因は、不良な気象に見舞われたことによるところが大きいわけでありますが、また、一部では栽培管理の不徹底等により被害が助長された面があることも否めないところであります。  第三に、このような状況を踏まえまして、不良条件を克服し得るたくましい稲づくり運動の推進を提唱してまいりましたところ、地方公共団体、農業団体の積極的な参画のもとに、全国的に官民一体の新稲作運動を展開することとなった次第であります。  第四に、今後はこの新稲作運動を軸にいたしまして、村々に稲作改善の機運を盛り上げ、基本技術の一層の励行等を通じて作柄の安定向上に努めてまいりたいと考えております。  また、化学肥料への依存等に伴う地力の低下についてどう対応するか、こういう御質問でございますが、土壌は農業生産の基礎でありまして、我が国のような狭小な国土におきましては、国民食糧の安定供給確保農業経営の安定を図っていくためには、地力の維持増進は極めて重要であるわけであります。しかしながら、近年、有機物の使用の減少とかあるいは作土の浅層化などによります地力低下を化学肥料で補う傾向が顕著になってきておるわけでありますが、生産の安定向上を図るためには、基本的には地力の維持増進を図ることが必要であります。このため、従来から土づくり運動の推進を進めてきたところでありますが、土壌の調査、診断及び有機物増投、耕土改良等の地力対策実施してきたところであります。さらに、五十九年度からは新たに土づくりの模範となるモデル地区を設置いたしまして、土づくり対策強化拡充を図りますほか、耕土培養法の一部を改正いたしまして、地力の増進のための体制整備強化を図るべく準備を進めておるところでありまして、このような施策を通じて地力の増進に今後一層努めてまいりたい、そう考えておるわけであります。
  27. 衛藤征士郎

    衛藤委員 次に、日米農産物貿易問題につきましてお尋ねいたします。  けさの新聞を拝見しますと、山村農相は来週にも総務審議官を派米させて暗礁に乗り上げた日米農産物交渉の局面打開を図らせる、このように書かれております。御案内のとおり、輸入数量に関する合意の期限であります三月末を目前に控えておるわけでございますが、農産物貿易問題が日米間の大きな懸案になっております。  牛肉、かんきつをめぐる日米農産物交渉の現在までの経緯と今後の対処方針を、政務次官並びに関係局長にお伺いいたしたいと思います。
  28. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  牛肉、かんきつの交渉の経緯についてのお尋ねでございますが、これは、一昨年十月に第一回の協議がホノルルで行われましてから、本年一月二十日、二十一日に東京で行われました協議に至るまで、計五回行われました。  この間、アメリカ側は、当初、輸入制限の撤廃問題について極めて強硬な態度をとり続けておりまして、ほとんど意味のある協議を行い得る状態ではなかったわけでございますが、昨年秋以降、徐々に態度が緩和してまいりまして、本年一月の協議の際にはかなりの柔軟性が認められるようになったというふうに存じております。しかしながら、日米間の懸隔はいまだに大きいので、この日米間の隔たりをどうやって埋めるかということは容易ならざることでございますが、私どもとしては、三月末までには日米間で合意を達成して、牛肉、かんきつの輸入数量についての日米間の合意が空白状態に入ることは避けたいという心組みでスケジュールを考えておりますが、今月の何日ごろ協議が行われるというところまでは煮詰まっておりません。  それからもう一つ、輸入数量以外の、いわゆる周辺部分の問題というふうに申しておりますが、果汁の国産果汁との混合の問題でございますとか、そういう技術的な問題について二月にホノルルで日米両国の専門家間で協議が行われた、そういう経緯がございました。  今後の見通しについては、今後のスケジュールにつきまして詳細にお答えし得るほど煮詰まっておりませんが、今月中に決着をつけなければならないものというふうに認識はいたしております。
  29. 島村宜伸

    島村政府委員 おおむね今佐野局長から御説明申し上げたとおりでございますが、特に申し上げたいことは、日米農産物交渉におきましては、我が国農業を守るとの立場を堅持するという全会一致による本委員会の一昨年四月の決議及び本年一月の申し入れの趣旨を踏まえまして、農業者が犠牲にならないよう、今後とも我が国農業を着実に発展させていくことを念頭に置いて適切に対処してまいりたい、そう考えております。
  30. 衛藤征士郎

    衛藤委員 農業基本法第十三条には、輸入にかかわる農産物との関係の調整をわざわざうたっておるわけでございます。また、山村大臣はよく農業は生命産業である、こういうようなことを言われます。今回の日米農産物交渉に当たりましては、全国農家におきまして極めて神経質になっておる問題であります。日本の生命産業である農業を守るという立場と、また一方、アメリカにはアメリカの立場がありましょうし、日本には日本の国益を追求するという立場がありまして、その複合的な調整点、複合的な合意をどこに見出すかという問題であろうと思いますが、何といたしましても長い間の懸案でありますから、あくまでも日本農業を守る、そういう観点に立って、この交渉に誤りなきよう強く要請しておきます。  また、ただいまも御指摘いたしましたように、農基法第十三条にわざわざうたい上げた輸入にかかわる農産物との関係の調整、その関連からしましても、昨年五月、酪農及び肉用牛生産振興に関する法律の改正が行われまして、いわゆる大家畜を中心とする土地利用型農業、この土地利用型農業の基軸として大家畜生産を位置づける、そして今後肉用牛の振興を図る、このようにうたっております。  また、そのためには、何といいましても肉用牛の生産合理化を進めていかなければなりませんが、そのためには自給飼料の基盤整備の確立が急務であると思います。  この二点、大家畜生産振興基本方針と自給飼料対策につきまして、関係局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  31. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、大家畜生産我が国農業土地利用型農業一つの基軸でございますので、昨年、当委員会で法律改正をお認めいただきました後、十月に基本方針を策定いたしまして、公表いたしております。  その中では、御承知のように、草食性動物であります大家畜につきまして、極力自給飼料を使ってコストの安い生産をやっていく。酪農の場合は既にEC並みの規模に達しておりますけれども、肉用牛の場合は残念ながらまだ規模が小そうございますので、この規模を鋭意拡大をしていくということをうたっておりまして、それに経済的な肥育の仕方その他を定めております。それによりまして、近い将来、肉用牛につきましてもEC並みを目指すということにしているわけでございます。  その場合に、先生御指摘のございましたように、何と申しましても飼料の合理的な生産、特に購入飼料から自給飼料へと飼料の体系をだんだん直していくことが必要でございますので、実は本年度予算におきましても、畜産局の自給飼料関係の予算で単に金額を大きくするということだけではございませんで、幾つか改善をいたしております。  例えば団体営の草地改良等につきましては、だんだん工事費が増高してまいる可能性がございますので、一種の調整係数という方法を使いまして農家の負担が上がらないようにするというようなことをやっておりますほか、再整備と申しますか、従来、既に草地化されておりますものをさらに整備をするという単独事業が認められておりませんでしたが、こういう予算も認められるようにいたしております。  そのほか、御承知の五十億の無利子資金を創設しておりますが、その中では草地改良用の機械あるいはサイロ、そういったものが利用できるようにいたしておりますので、私どもとしましては、これらの予算活用いたしまして極力自給飼料の生産がふえて、購入飼料からこれに転換するというような農家がだんだんふえるように指導してまいりたいと思っております。
  32. 衛藤征士郎

    衛藤委員 具体的な問題をお伺いいたしたいと思いますが、最近、肉牛価格の低迷が続いております。特に農家の経営を圧迫しておる小牛の価格、この現状、対策。  また、最近の豪雪等で野菜価格が上がっているようでございますが、この野菜価格についての対策、できれば具体的に、また簡単にお答えをいただきたい。お願いいたします。
  33. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御指摘ございました小牛価格でございますが、五十七年の九月ごろから低迷をしてまいりまして、大体昨年の十一月ごろが一番底かと思っておりますが、その後回復をいたしております。まだまだ水準としては低うございますので、いろいろと対策考えておるところでございますが、まず対策といたしましては、御承知のように小牛価格安定基金制度がございまして、これによりまして低落しましたものの九割は補てんをいたしておりますが、五十七年度で百十七億、五十八年度の上期だけで百十五億の補てんをいたしております。これのほかに生産奨励金というものも渡しておりますので、農家の方々の実質的な手取り水準は変わっていないわけでございます。  しかし、やはり長期の低落が続きますことは生産農家に大変な不安を与えますので、実はそういう決められております施策のほかに、昨年の暮れに特別の、特に雌牛の価格が下がってまいりましたものですから、肉用種の雌牛の効率利用促進事業というものを急遽つくりまして、かなりの頭数をこれによって小牛の生産地から肥育をいたしますような県に移すような施策もやっております。  それから、御承知のように今までの小牛価格安定基金は予算措置だけでやっておりましたけれども、昨年の法律改正によりまして法律に基づきました基金となりましたことから、生産者もこの基金がなくなるという不安がなくなったという意味で大変プラスにはなっていることと思います。それから、本年度予算におきましても、この価格の安定基金が大分額が少なくなっておりますので、昨年十八億の予算措置でございましたが、ことしは三十二億円という予算措置をいたしまして、基金の積み立てにも万全を期していきたいと思っております。
  34. 衛藤征士郎

    衛藤委員 次に、林野庁についてお伺いしますが、国有林問題でございます。  国有林は、木材価格の低迷、伐採量の低下によりまして赤字が累積していると承知しております。木材供給等の経済的機能はもとより、水資源の涵養であるとかあるいは土壌流亡の防止等の公益的機能の面でも、国有林の果たす役割は極めて大きい、このように考えておりますが、こういった情勢を踏まえたときに、私は、経営改善を進める必要があるのではないか、しかも早急に経営改善を進める必要があるのではないか、このように考えておりますが、その点につきましてお考えをお聞かせいただきたい。
  35. 島村宜伸

    島村政府委員 お答え申し上げます。  国有林野事業国民経済及び国民生活に大変重要な役割を果たしており、その使命を十分に果たしていくためには、御指摘のとおり経営改善を一層徹底しなければなりません。その健全性を確立することが何より肝要であると私どもも考えておるわけであります。このために、今国会に改善期間の延長、十年間でございますが、及び新たな財政措置を内容といたします国有林野事業改善特別措置法の改正案を提出することといたしておりまして、これに基づきましてさきの林政審議会答申の内容を踏まえた新たな改善計画の策定を行い、不退転の決意で経営改善に取り組んでまいる所存であります。  以上であります。
  36. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 ただいま政務次官からお答えを申し上げましたとおりでございまして、五十三年から現行の改善計画を開始したわけでございますが、木材価格の下落、低迷を初めといたしまして、伐採量の制約もございまして、財務事情がかえって悪化をしておるという状況でございますので、今国会にお願いをしております法改正によりまして財政措置も充実をさしていただきながら、一層の経営改善の徹底に努めてまいりたいと思っております。
  37. 衛藤征士郎

    衛藤委員 具体的な問題ですが、外材の輸入が国内の林業を圧迫している、そのように私は思っておるわけですが、この点についてはどうお考えですか。  また、外材輸入の将来展望について簡単にひとつ御答弁をお願いいたします。
  38. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 御案内のとおり、国内林業は、戦後の復興期から高度経済成長期にかけまして外材が余り入ってきません時期に供給の増大と木材価格の安定に非常に努力をしたということで、その後造林をいたしておりますけれども、国有林、民有林通じまして人工林の約八割がまだ三十年生以下というような状況でございますので、木材需給全体として見ますと、当分の間なお相当量の木材を海外に依存せざるを得ないような状況にございます。  ただ、問題は、この輸入が国内市況を圧迫しないように需要に見合って適切に行われるということが必要であるわけでございますが、特に過去三年間、三年半と申した方がよろしいかもしれませんが、世界的な木材不況というようなこともございまして、外材の輸入が価格の低迷の一つの大きな要因になったということは、木材需要、住宅建設の低迷とあわせまして、一つの要因になっておろうかと思います。  私ども、適切な輸入が需要に見合って行われますように産地国ともいろいろ話し合いを深めながら、また四半期ごとの需給見通しの作成、そしてそれを踏まえました関係業界の指導といったようなことで、今後とも適切な輸入が行われますように需給の安定に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  39. 衛藤征士郎

    衛藤委員 最後に、水産庁にお伺いいたします。  日本の漁業というのは、二百海里の規制の強化の中で、また高水準で推移する燃油価格の締めつけ、さらには水産物消費需要の停滞等、さらには魚価の低迷などで極めて厳しい情勢にあるわけでございますが、この困難な漁業情勢を乗り切るためにいかなる総合的な水産政策をとろうとしておるのか、このことを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  40. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 御指摘のように、最近におきます我が国の漁業は大変厳しい情勢に内外ともに遭遇しておるわけでございますが、このような情勢に対処いたしまして、私どもといたしましては、今後の日本漁業の振興を図るためには、まず漁業全般に共通する問題といたしましては、何といいましても需要に見合ったといいますか、資源量に見合った漁業の生産構造に再編していくということ、あるいは徹底した省エネルギーの漁法、漁具を開発していくということが基本的な問題であろうと思います。  それはそれといたしまして、一方、遠洋漁業に御指摘のような状況下で多くを期待できないわけでございますので、今後沿岸漁業の重要性というものはますます高まる一方だと思うわけでございますが、その沿岸漁業の振興を図るためには、栽培漁業あるいは沿岸漁場の整備開発というような形で、つくりあるいは育てる漁業というものを地道に努力を続けていくということが大事だと思いますし、そのために必要な生産基盤でございます漁港等の整備を進めるということも基礎的に重要な事項ではないかと思います。  一方、遠洋漁業につきましては、大変厳しい情勢ではございますが、何といいましても海外漁場の確保のための漁業外交といいますか、交渉というものを粘り強く続けるということが基本だと思いますし、これとあわせまして、新しい資源とか新しい漁場の開発等につきましてもできるだけの努力をしていく、それで海外漁業の操業の場を確保していくというのが基本的な施策方向ではないかと思います。  一方、水産物の流通あるいは加工の合理化によります価格の安定ということはもちろん大事なわけでございますが、特に最近魚食の健康に占めるよさというものが各方面で指摘されるようになっておりますので、この面での消費者に対します魚食の普及というものもできるだけ力を入れていくということが大事だろうと思います。  ただいま申しましたようないろいろな施策を総合的に推進することによりまして、御指摘のように大変難しい状況でございますが、何とかこの状況を乗り切っていきたいというふうに考えております。
  41. 衛藤征士郎

    衛藤委員 終わります。
  42. 阿部文男

    阿部委員長 日野市朗君。
  43. 日野市朗

    ○日野委員 私は、これから農林大臣所信表明に対する質疑をいたします。  でありますから、本当は大臣がいてもらわないと困るのでありますが、どうも三十分ほど予算の方にとられておるようであります。できるだけ早くこれは連れてきていただきたいというふうに思います。  それで、大臣がいなくてもいい質問というのはないのでありますが、まず細かいところを……(「政務次官がいるよ」と呼ぶ者あり)政務次官と違うよ。(発言する者多し)
  44. 阿部文男

    阿部委員長 速記をちょっととめてください。    〔速記中止〕
  45. 阿部文男

    阿部委員長 速記を始めてください。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時七分休憩      ————◇—————     午前十一時三十八分開議
  46. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。
  47. 日野市朗

    ○日野委員 大臣所信表明、これを、私、熟読玩味いたしました。特に日米の農産物交渉に関するくだりについては、注意をして読ましていただいたつもりであります。  その中で、第一番目に大臣が挙げておられるのは、日米農産物交渉においては我が国農業を守るという立場を堅持するということが第一点でございますね。そして、当委員会の一昨年の決議及び本年一月の申し入れの趣旨を踏まえるということが第二点。そして、農業者が犠牲にならないように、こういうふうに書いてございます。私も、全くこの点は同感なのであります。  それで、若干、いろんな交渉の動きなどを見る前に、認識を共通にしておいた方がよいのではなかろうかというふうに思います。この日米農産物交渉の結果いかんによって、我が国農業を守る立場ということを大臣は強調しておられますが、結果的にそうではないようなことになっては困りますので、まず認識を統一しておく必要があるというふうに思います。  それで、まず現段階で、交渉の中でどのようにその交渉が進んでいるのかというようなことについて若干伺っておきたいのであります。どうも新聞情報の方がいろいろ乱れ飛んでおりまして、牛肉については毎年二万トンずつ四カ年で八万トン、それからオレンジについては毎年一万五千トンで四カ年で六万トンというようなことが報ぜられておるわけでありますが、この数字は一体どういうことなのか、ひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  48. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私の場合はまだ実際の交渉の場に臨んでおりませんもので、交渉に臨みました政府委員の方から説明させます。
  49. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  実は、日米間の牛肉、かんきつについての協議は、先方との約束で、その中でのやりとりについては公表しないということで協議が行われております。したがいまして、新聞報道で挙げられた数字についても、これに論評を加えますことは、結果的に日米間の約束に反することになりかねませんので、恐れ入りますが御容赦いただきたいというふうに存じます。
  50. 日野市朗

    ○日野委員 交渉の当事者、そして重要な役割を占めておられる佐野さんのその立場は、私、よくわかります。でありますから、じゃ、実際どうなんだというような話は、私はここではしないでおこうと思うのです。  それで、まずここで、一応新聞報道であれ、今私申し上げましたような数字が巷間伝えられているわけでございまして、まずこの数字を土台にして、この数字で牛肉やオレンジの輸入が行われた場合、どのようなダメージが日本農業に来るのか、どのようなダメージを日本農業が受けるのかというようなことについて少しお話を聞きたいというふうに思うのでございます。  現在、牛肉は十四万一千トン、これを生牛に換算をいたしますと、大体一トンを五頭分と見ていいのではないかというふうに思います。部分肉で言いますと一頭について二百キログラムということでございますからそのくらいになると思うのですが、まず牛肉の方ですね。毎年二万トンで四カ年で八万トンということになりますと、どのような数量が頭数に直して入ってくることになるのか、ひとつ教えていただきたいと思いますが……。
  51. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 先生のおっしゃいます数字がちょっと私よくわからないので、私の方の仮のことでお話ししますと、向こう側が何万トンと言います場合にも、まず総枠の話かどうかがわからないわけでございます。今おっしゃいましたアメリカと従来交渉しております内容というのは、高級牛肉の話を交渉してきた経緯が今までございますが、その総枠かどうかという点と、それからもう一つ、毎年と言います場合に、その毎年の増加量を言っているのか、それとも単に今おっしゃいましたように二の四倍で八というような倍数でいいのか、その辺もちょっとわかりかねるわけでございますが、普通は、何トンと言っておりますのは部分肉で言っているのが普通でございます。  部分肉の大きさで申しますと、アメリカなり豪州から輸入されますものは、部分肉ベースで言いますと一頭がやはり二百キロ前後のものと考えられますから、もし向こうの生きている頭数に直すというのでございますれば、先生もおっしゃいましたように、一トンで大体五頭分くらいの数量かと思います。  ただ、日本の方は一頭の重量が六百キロを超えておりますので、日本の牛で見ますと大体四頭分で一トンくらいということになろうかと思いますが、あくまでもこれは仮定の数字でのあれでございます。
  52. 日野市朗

    ○日野委員 今仮定の数字とおっしゃったわけですが、もちろん一つの仮定を立ててそれがどのような影響を及ぼすかということは、これは一応新聞報道ということで伝えられているものを一つの基準といいますか、目安としてお答えをいただいているわけですが、今局長おっしゃるとおり、一トンだと大体二百キロの五頭分ということになる。そうすると、約八万トンの枠、これを拡大すると四十万頭分が大体ふえるという計算になろうかと思いますね。そうすると、現在入ってきているのは一トンで五頭というような計算でやってまいりますと、現在大体七十万頭分入ってきているということになります。それにこの八万トンの枠拡大ということになって四十万頭がふえるということになると、百十万頭分が輸入ということになるのではないでしょうか。いかがでしょう。
  53. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 もし毎年二万トンというような話でございますと、累積で言いますと、二万トンの次は四万トン、四万トンの次は六万トン、六万トンの次は八万トンということでございますから、累積しますとこれは二十万トンという大変大きな数字になるわけでございます。そういうことで、私どもとすれば、そういう新聞報道か何かのお話かと思いますが、そういうのは今の例えば十四万トンとかいうもと数字に比べましても大変大きな数字になるわけでございまして、私どもは、そういうものが私どものいわば普通の需給の中に入るものではないと思います。
  54. 日野市朗

    ○日野委員 局長、今の最後の答弁、ちょっと聞き取りにくかったので、何とおっしゃったのですか、最後の部分。
  55. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 これはあくまで仮定のことでございますが、二万トンを毎年ふやすということでございますと、累積量は八万トンではございませんで二十万トンになるわけでございます、そのふえていく分を全部足していきますと。ですから、そういうものと現在私どもが輸入をしております十四万一千トンというもと数字を比べましても大変膨大なものでございますので、そういう膨大なものが我々がやっております需給操作の中に入るような数字とは思っておりません。
  56. 日野市朗

    ○日野委員 思っているかいないかではなくて、私はあくまでもこれは仮定のものとして今お話をしているわけなんですが、大体二万トンずつ入ってくるということになると、これは大変な量であるということは今局長もおっしゃったとおりなんですが、今日本生産している乳牛ですね、これはトン数でどのくらい、そして頭数でどのくらいございますか。
  57. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 大変大ざっぱに申しますと、全体で国内で生産しておりますものを部分肉の姿で申しますと、大体三十四万トン前後のものが現在生産されております。これは部分肉でございます。  頭数で申しますと、今肉用として飼われているものは大体二百五十万頭とお考えいただければよろしいわけでございますが、肉として出てまいります場合は、まず乳雄という形のものとそれから肉専用種とそれから乳牛の廃牛が出てまいりますので、年間に屠殺されています意味での頭数でございますと、最近は大体百四十万頭ぐらいの大きさでございます。
  58. 日野市朗

    ○日野委員 現在日本生産される、屠殺される数量で百四十万ぐらい。そうすると、この二万トンという数字を毎年プラスしていくのか、累積していくのか、いろいろそれは計算方法はありますが、一番影響の少ないであろうと思われるような計算をとってみても、日本の現在の頭数にほぼ匹敵するぐらいのものが今までのものと足しますと入ってくるということになりますね。
  59. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御承知のように、現在国内の牛肉の需給を申しますと、七割が国内生産、三割が輸入でございます。架空の計算でも、そういう大きな数字を足しますと大変大きなものが輸入されるということでございます。
  60. 日野市朗

    ○日野委員 牛肉の消費の伸びというものはどうでございましょう。私が見たところでは、さしたる消費の伸びはちょっと見込めないような感じがいたしますが、ほぼ横ばいに近いというふうに見てよろしいのではないでしょうか。
  61. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 牛肉の消費でございますが、かつていわば高度成長期あたりは大変高い伸びを示しておりまして、十に近いような伸びをしていた時期がございますけれども、安定成長期に入りまして伸び率が順次下がってまいっております。ただ、これは先生も御承知のとおり、かなり毎年毎年で振れがございまして、例えば五十七から五十八にかけてなんかはかなり伸びたのですが、一転しまして五十八年度に入ってから伸び悩んだというようなこともございます。  私ども、大変巨視的に考えますれば、今私どもが六十五年見通しで長期見通しをやっておりますけれども、そういう見通しの線上の伸びというものはまだ期待できるのではないか。これは余り数字ではっきり幾らということでやりますと、毎年毎年はどうしても振れがございますから、そのとおりにならぬこともございますが、長期見通しで考えている需要の線のあたりは伸びてくるのではないか。私どもが扱っております畜産物の中ではまだ伸びが一番高いものでございます。
  62. 日野市朗

    ○日野委員 ここに一つのデータがあるのでございますけれども、国民が一人一年間に食べる牛肉の量というのは、五十三年度三・三キログラムであったものが、五十七年で三・九、その間若干ずつ伸びてきておりますが、五十七年で三・九キロ。そして、大体六十五年ごろの見通しとして四・六キロぐらいを見通しているのではありませんか。
  63. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 部分肉で換算しました場合の数字は、先生がおっしゃったような傾向を見ております。
  64. 日野市朗

    ○日野委員 そうすると、国民の牛肉の消費というようなものが飛躍的に伸びるということは現在不可能である、こういう認識でよろしゅうございますね。
  65. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御承知のように、二千五百キロカロリーという総体の栄養摂取量がほぼ上限に近づいてきておりますので、今後のこういう食物の伸びというのは、やはり物の代替の中で生まれてまいるはずでございます。したがいまして、私どもは、徐々にふえてまいるけれども、何かが突然他に置きかわって例えば極端な伸びをするということは、あらゆる食品について期待が薄いと思っております。
  66. 日野市朗

    ○日野委員 私、八万トン拡大をすれば四十万頭ぐらいだ、こういうふうな計算が立つということで、その点では、八万トンということであれば四十万頭というのは大体一致していると思うのですが、これですと、今和牛一頭当たり大体七十万ぐらいとしてみて、四、七、二十八でございますから、大体二千八百億円ぐらいが農家の牛肉生産による所得から差し引かれるというような形になるのじゃないですか。これは、私は伸び率大体横ばいという予測を立てるのですが、そうしますと、大体そのくらいが日本農家の所得から減っていくということになりませんか。
  67. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 先生の御指摘意味は、もし日本で消費される牛肉の量が変わらなくて、その分外国から入ったものが日本農家生産ができなくなって落ちるという御指摘かと思います。  なかなかこれは算定するのは容易じゃないのですが、例えば今牛肉の所得全体で五千数百億あるわけでございます。それの何分の一失われるかというような計算でございますれば、半分失われれば二千数百億という計算になるわけでございますが、形としましては御承知のように価格安定制度があるわけでございますので、そういう必要以上のものが入ってきたときはどういう影響が出るかというと、まず総体的には価格の低落、低落によって安定帯を割りますれば政府が買って買い支える、事業団が買い支えるという仕組みになっておるわけでございます。したがって、私ども、にわかにどれだけ入ったらどれだけ減るかという計算は難しいのではなかろうかと思っております。
  68. 日野市朗

    ○日野委員 私もそこのところはよく知っておりますので、非常に粗っぽい計算にさせていただいて、これを一応わかりやすい形でお話をしているわけなんですが、いずれにしてもこれが八万トンというような形で入ってまいりますと非常に深刻な打撃を日本畜産農家に与えること、これだけは争えないというふうに考えてよかろうかと思いますが、どうですか。
  69. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 八万トンというのは、二万トンふやしてその後一トンもふやさなければ八万トンでございますが、どんどんふやすという計算の方がごく普通でございますので、八万トンということでございますと、例えば御承知のように東京ラウンドの初年目、五十三年から五十四年にかけましては国内生産が沈滞をしまして需要が大変伸びまして、対前年で二万トンふやしたというようなこともあるわけでございます。したがいまして、総体で何万トンでどうかということもさることながら、毎年毎年の需給でそれがコントロールできる範囲かどうかということが大事でございまして、東京ラウンド締結後の姿を見ましても、五十四、五十五は五十三年に対比しまして二万トンを超えるような数量を入れておりますが、例えば五十六年は需給不均衡の中で八千トン減らしておる、その次の年は八千トンふやしておるというようなことでございますので、何万トンならばどうこうというのはちょっとにわかに、大変かどうかという意味で御返事がしにくいわけでございます。むしろ全体のその需給のバランスの中に入り得る量かどうかということかと思います。
  70. 日野市朗

    ○日野委員 じゃ、需給のバランスの中にすっぽりこれを吸収して、日本需給バランスが保たれるとあなたはおっしゃるのかな。
  71. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 例えば一年二万トンということは五十三年度から五十四年度にかけてあったわけでございます。輸入量を二万トン以上ふやしております。しかし、これはむしろ御承知のように五十四、五十五年あたりの高騰を抑えるために当初考えておりました数量を上回って入れて価格を安定させたということでございますので、何万トンならばいいというような意味でお聞きでございますと、私は率直に言いますとその八万トンという数字は全く見当がつかぬわけでございます。例えば一年で上げてその後全然ふやさなくても八万トンということでございますから、そういう数字がどこかに出ているのかどうかということも知りませんけれども、具体的に何万トンならばいいとか悪いとかいうことはちょっと申し上げにくいと思います。
  72. 日野市朗

    ○日野委員 どうも聞いていますと議論がかみ合わないですね。私は一応フィクションの問題である、これは一応仮定の問題としてこういうものが入ってきたらどうかと聞いているわけでして、どうもあなたのおっしゃることを聞いておりますと、私が仮定としてあなたに差し上げた数字、それをいろいろあなたの方で勝手にいじってくださるような感じがしているのですが、私が最初に申し上げたのは、毎年二万トンでそれを四カ年で八万トン、四カ年これを累積していくわけですね。二万トンずつふやしていく。
  73. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 私ども、長期に考えます場合は需要も若干ずつ拡大していくと考えておりますから、今先生がおっしゃった累積八万トンということでございますと、例えば初年度二万トンふやして、次の年は全然ふやさなくても二万トン入ってくるわけでございます、前の年と同じ量が。そういうことで考えますと、四年目の数量としての、そこから四年かかって現在の水準から二万トン上がっているというならば、四年目に十六万二千トンぐらいの数字になるということでございますから、そういうことになりますと、頭の方はばかに需要に対して大きく出ますが、後ろの方は逆に小さく出てまいります。その辺のところが、先生のおっしゃっている八万トンといいますのと、私どもが今まで需給でやっておりますのは、毎年少しずつ上がってくる、現実の姿としてそういうものを想定して需要も想定し、生産も誘導しているものでございますから、もし二万トンずつ足すという普通の考え方ですと総輸入量は二十万トンの増ということになるものですから、そこが、先生が八万トンでどうかとおっしゃっているのと私どもの申し上げているのがちょっと食い違っているのかと思います。
  74. 日野市朗

    ○日野委員 私は、二万トン、二万トン、二万トン、二万トンで八万トン、四年間で八万トンということで一応の計算を立ててさっきからお話をしてきたつもりなんですが、どうも食い違っていたかもしれない。しかし、とにかく四年後に現在の枠よりも八万トンふえるということです。
  75. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 もし最終水準で八万トンふえるということでお考えでございましたら、増加の総量は二十万トンでございます。二万トンの次は四万トン、四万トンの次は六万トン、六万トンの次は八万トンということでございますから、その増加量を全部足せば二十万トンの増加ということになるわけでございます。そういう大きな数字は、私どもの需給の操作の中で到底考えられない数字だと思っております。
  76. 日野市朗

    ○日野委員 現在の輸入から二万トンふやして四カ年ということで八万トン、こっちはこう言っているのですよ。
  77. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 過去の東京ラウンド等の扱いを見ましても、需要が毎年少しずつ伸びていくということでございますから、上積みをしていって最終目標年を定めて、総枠でございますと八十三年で十三万五千トンになるようにという協定を結んだわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、一遍初年度で上げまして、その後真っすぐその量を入れていくということでございますと、需給計算からいたしますと、年度の、例えば先生がおっしゃる四年なら四年の前の方では需給推算上大変厳しい数字になり、後ろの方へいくほど、入る入らぬはやってみておりませんのでわかりませんが、こなしやすい数字にだんだんなっていくというようなことになろうかと思います。  いずれにいたしましても、二万トンというような数字をもとにしたような試算というのは一切したことはございませんので、我々とすれば、そういう数字というものはいろんな検討の中には入っておりません。
  78. 日野市朗

    ○日野委員 もういいです。  じゃ、オレンジですが、これは現在八万二千トンの輸入ですけれども、これに六万トンがふえるということになりますと、十四万二千トンという数になりますね。  これはかなり大きい数字ですが、現在の中晩カン、伊予カンをとってみましょうか。伊予カンの出荷量、これは年間どのくらいでしょうか。
  79. 小島和義

    小島(和)政府委員 五十七年産の数字で申しますと、伊予カンの年間出荷量は十二万六千トン、かように把握をいたしております。
  80. 日野市朗

    ○日野委員 十二万六千トンの伊予カンとの対比から見ても、これはもうかなり大量のオレンジが入ってくることになるわけですが、どうでしょうね、かんきつ類を生産している農家にとって、結論だけ伺いましょう、こういう輸入というのは非常に大きな数字であって、非常に経営を圧迫するということは間違いないというふうに思いますが、どうですか。
  81. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいまの御質問でございますが、実は、現時点におきます八万二千トン、これが大体どんなかっこうで我が国に入ってきているかと申しますと、おおむね五万トンぐらいは六月、七月、八月、我が国におけるかんきつ生産がほとんどないこの時期に入っておるわけでございまして、残りの三万トンが残りの九カ月で入っておるわけでございますから、一月平均いたしますと三千トンぐらいのものでございます。我が国のミカンの出荷最盛期の例えば十二月をとりますと、温州ミカンだけで四十五万トンぐらいの出荷がございまして、この十二月には三千トン程度のものしか入ってない、こういう関係に相なるわけでございます。したがいまして、ただいま伊予カンとの比較がございましたけれども、伊予カンの出荷時期というものから考えてみますと、これがもろにかち合うということではございません。  ただし、伊予カンの生産時期においても輸入の果実も出回っておるわけでございますから、その間の競合関係が全くないと言えばうそになります。したがいまして、今お述べになりました数字につきまして、この真偽を私どもがこの席で申し上げる立場にないわけでございますが、伝えられております数字というのが我が国の果樹生産農家にとってみれば大変厳しい数字であるという点につきましては認識を等しくいたしておるわけでございます。
  82. 日野市朗

    ○日野委員 局長は、こういう数量の輸入、これに日本のかんきつ生産農家は耐えられるとお考えかどうか、いかがでしょう。ずばり伺いましょう。
  83. 小島和義

    小島(和)政府委員 大変難しい御質問でございまして、果物の場合には御承知のようにいろいろな品目がございまして、品目間で国内産のものも競争し合っておるわけでございます。それから、当然のことながら、毎年の価格変動というものもございます。そんなことで、いろいろ影響度というものを試算をいたしてみておるわけで、新聞紙上にも一時伝えられましたように、学者の中にもシミュレーションなんかを使いまして計算をいたしていただいておる方もあるわけでございますが、なかなかこの程度需要でこれだけの量ということが数量的に把握できないという点で、大変難しい御質問なわけでございます。  ただ、御承知のとおり、我が国の果樹生産と申しますか、全体的には大変停滞ぎみでございます。消費の方が、一人当たりで見ましても全体として見ましてもどうも下降ぎみである、こういう状況の中で、特にミカン生産農家は、面積も減らさなければいかぬということで骨を折っている状況にあるわけでございます。したがって、何トン入れればこうということを具体的に申し上げられないのでございますけれども、お話がありましたような数字が仮にもし実現するということになれば、我が国の果樹生産農家にとってみれば大変大きな影響を受けるものである、かように理解をいたしておりまして、何とかそういう事態は回避したい、かように考えております。
  84. 日野市朗

    ○日野委員 牛肉についてはどうですか。
  85. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 もし毎年前の年に比べて二万トン以上輸入量がふえるという前提での御質問と考えますれば、私どもとすれば、そういう膨大な輸入量が国内需給、国内生産影響を及ぼさないはずはございませんので、そういうものは、今私どもの考えておる、今まで申し上げておりましたような需要と国内生産の間で不足するものを計画的に入れるという考え方には合致しないと思います。
  86. 日野市朗

    ○日野委員 今度はちょっと外務省に伺いたいのですが、安倍外務大臣が訪米をされまして、ブロックさんと会ったりレーガンさんと会ったり、いろいろやってきたようであります。どうも安倍外務大臣は、随分農産物問題についての話をアメリカでやってきたように伝えられております。いかがでしょう。
  87. 恩田宗

    ○恩田政府委員 安倍大臣は一月下旬から二月二日にかけまして訪米いたしましたが、その訪米の目的は、中曽根新内閣になりまして日本の外交、防衛政策が不変である、こういうことを伝える、また国際情勢について意見を交換する、また日米間の懸案について話し合う、このような目的で訪米されたわけでございます。現地へ行かれまして、レーガン大統領以下ブッシュ副大統領、シュルツ国務長官等、米政府の高官とお話しになりましたが、これはそのような広い問題についてのお話し合いでございます。  もちろん、懸案でございます農産物、牛肉、かんきつ類の問題につきましてもお話があったわけでございますが、安倍大臣がお話しになりましたのは、基本的にこれらの問題については我が国が非常に厳しい国内情勢にあるというところについて米側に説明をいたしまして、日米間の総合的な協力関係の中でこの問題を考えていってほしい、日米間のこの重要な関係にかんがみて、米側としてもこの円満な解決のために柔軟な姿勢を持って取り組んでほしい、こういうことを強く要望されてきたわけでございます。大体それが農産物に関するお話の内容でございます。
  88. 日野市朗

    ○日野委員 ブロック通商代表やレーガン大統領なんかとの話は、これは密室、実際は密室ではないのでしょうけれども、我々の方になかなか情報が入りにくい状態にありますが、しかし、安倍外務大臣が一月三十日に記者会見をやっております。この記者会見によると、二、三カ月内に政治レベルによる決着を図るということを明言している。これはもうアメリカに行った安倍大臣がブロックさんやレーガンさんやシュルツさんや副大統領なんかともここの点は随分話をしてきたんじゃないかと思うのですね。  私も安倍外務大臣が訪米をされる直前にお会いをしました。彼はネゴシエーションはやりません、こう言って行ったのです。しかし現実に、どうも安倍外務大臣の記者会見を見ますと、ネゴシエーションがあったのではないか。特に二、三カ月内に政治レベルによる決着を図るというようなことを言っているわけですね。一体この政治的決着というのは何ですか。
  89. 恩田宗

    ○恩田政府委員 農産物問題につきましては、一月二十日、二十一日に米国通商代表のスミス大使が日本に来られまして、日本側と事務レベルでの協議を済ませております。したがって、安倍大臣は、そのような全体に事務レベルの協議が行われているという背景のもとで、依然としてまだ双方に相当の意見の懸隔がある、こういうことでございましたので、この問題がこのまま長く放置されていることは日米関係に及ぼす影響が非常に重要になってくる、こういうことでできるだけ早い解決が望ましい、こういう基本方針のもとに、また、現在の日米間の農産物に関する合意が今年三月末で一応期限が切れる、こういうことでございますので、このようなことを念頭に置いてできるだけ双方で閣僚レベルで最善の努力をしよう、こういうことを申された、これが大臣のおっしゃった政治的決着ということの御意味であろうか、こういうふうに存じます。
  90. 日野市朗

    ○日野委員 今、事務レベルではいろいろお互いに苦労しながらやっているわけでございますね。だれがどう見てもこれはデッドロックだなというような感じを我々持ちます。そういう中で、安倍さんがアメリカに行って農産物問題についても多くの時間を割いたというのは真実でございましょう。二月七日に、自民党の農産物輸入自由化等問題小委員会、そこで村田局長の方からその小委員会の方に報告が出ている。そこでは、農産物問題についても特に多くの時間を割いた、こうなっております。あなたが言われるように、そんな軽い程度の問題じゃないようですが、どうですか。
  91. 恩田宗

    ○恩田政府委員 安倍大臣は、農産物の問題については、シュルツ国務長官、ブッシュ副大統領、ブロック通商代表との会談におきましてこの問題を取り上げられたわけでございますが、これは主として、先ほど申し上げましたようにこの問題の日本における厳しい状況というものを御説明になる、それとまた、この問題をこのまま放置しておいては日米間の総合的な協力関係の上において非常に困ったことになりはしないか、したがって双方ができるだけ努力するべきである、そうして既に事務レベルで協議が行われているけれども、最終的には閣僚レベルにおいて最善の努力をするべきである、こういうことを非常に力説されたわけでございまして、それ以上の閣僚レベルでの努力というのは、担当の閣僚がおられるわけでございますからそれにお任せする。安倍大臣がそこでおっしゃったのは閣僚のレベルにおいてもできるだけ努力しようということを力説され、向こうもその趣旨を理解された、こういうことだと承知しております。
  92. 日野市朗

    ○日野委員 閣僚レベルでの解決というものはどういうものであるかということについてはまた改めて伺いますが、これは安倍さんとブロックさんあたりの話し合いではどうももっときついことが話し合われているらしいですね。これは、外に公表されたものから推測をいたしますとね。安倍外務大臣は一月三十日の記者会見でこんなことを言っているのですよ。事務レベルの交渉は暗礁に乗り上げているから政治決断をしなければならないということで一致した、そういうことを言っているのですね。これは、政治的な決断をしなければならないことで一致というのは一体どういうことか。それからもう一つ、閣僚レベルで決着をつけなければならないことだ、こう言っています。そしてあとは実行と決断で突破するしかない、日本の政界が安倍晋太郎を生かすか殺すかだ、このようなことまで記者会見で言っておられるのですな。安倍さんは随分気負っておられたようですね、この記者会見の場では。随分気負っていたようですよ。どうですか。あなたが言っておられるような簡単なことじゃなくて、安倍さんとアメリカ側との話というのはもう事務レベルではだめだ、こういうところにいっちゃったんじゃないですか。もう問題はそれより高度の閣僚レベルの話にしましょう、そこで一気に決着をつけましょう、そういうことだったのではないか、いかがでしょう。
  93. 恩田宗

    ○恩田政府委員 安倍大臣のアメリカ側と話した御趣旨は、日米間の総合的な協力関係の中でこの問題を位置づけて円満な解決のために米国側も努力してほしい、こういう趣旨でお話しされたというふうに私は承知しております。
  94. 日野市朗

    ○日野委員 どうもこれはまた安倍大臣に直接面と向かって聞きたいところですが、何かアメリカとの間に話し合いをつけたんじゃないですか。それは細かいところまでは一致しないにしても、どういう問題解決の手順で進めていくのか、大体の目標をどの程度にするのか、これはちゃんと話し合いを安倍大臣が行ってつけてきたんじゃないですか。どうですか。
  95. 恩田宗

    ○恩田政府委員 繰り返しになりますが、安倍大臣が米側と話されたのは、そのようなこの問題の重要性とこの問題の位置づけというものについて日米の双方の考え方を合わせてくる、こういうことをやっておいでになったというふうに承知しておりまして、具体的なことがあったとは承知しておりません。
  96. 日野市朗

    ○日野委員 では、今度は農水大臣伺いますが、私、こういう安倍さんの言動を見ておりますと、安倍さんはかなりのところまでアメリカでやってきたのではあるまいかというような感じがするのです。もちろん、これは安倍さん一人でおやりになれるわけはない。これはもちろん内閣総理大臣、それから何か閣外にございましたね、経済摩擦関係についての閣僚協議会みたいなものがありましたな。あんなところでもいろいろ話が出ているのではないか。それから、自民党内でもそろそろ腹固めが出てきているのではないか。しかも、それは農水省の現在の事務レベルの話し合い、それを乗り越えた頭越しの解決に一気に持っていこうとしているのではないか、こんなふうに私思えるのですが、どうですか。
  97. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 安倍外務大臣につきましては、ちょうど渡米する前でございました、対外経済閣僚会議がございまして、その席上、私から、最終的に責任をとるのは農林水産省であるから、それはお忘れないようにということは申しました。安倍外務大臣からは、堀の深さをはかってくるというような発言がございました。  そして、帰ってまいりましてから、牛肉、かんきつの問題については米側も弾力的に対応するということだから、ひとつよろしく頼む、三月末の期間、何とかこれまでに話をつけるようにしていただきたい、具体的な交渉は絶対やっておりませんからという報告がございました。  それと、今先生おっしゃいましたが、頭越しにどうこうと言いますけれども、これを決めるのは私でございますので、私に相談なくそんなことはないと思います。
  98. 日野市朗

    ○日野委員 確かにこれは、主務大臣は山村大臣、あなたですね。それで、安倍さんが帰ってこられて閣議でこの訪米の成果等についての報告があったわけでありますが、その中で、今や高いレベルでの大局的見地からの取り組みが適当な時期と判断されるのだというような報告はございませんでしたか。
  99. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私といたしましては、何にしても日米農産物、この交渉に関しましては、日本農業を守るということは堅持してまいります。特に、当委員会での一昨年四月の決議、また本年一月の申し入れ、この趣旨を体して適切に対処していきたい、私はそういうぐあいに考えております。
  100. 日野市朗

    ○日野委員 適切な対処というのが、あなたが所信表明で言われた日本農業を守ることになるのか、農家を守ることになるのか、非常に抽象的な言葉の中に秘められた問題でございますが、どうも自民党の内部も急速に政治決着に向かってこれを一気に決めてしまおうという方向に向けて動き出しているように私には見えますがね。  きのうあたりは、自民党の内部で自由化問題小委員会というのがあるらしいですが、一定の枠拡大を前提にして三役に一任を取りつけるというような動きがあって、あなたの方にもその旨連絡がなかったですか。
  101. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 恐らくこれは羽田小委員会ということだろうと思いますが、私のところへ正式には何もまだ申してきておりません。
  102. 日野市朗

    ○日野委員 大臣以外の農水省幹部にはどうですか。
  103. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  羽田先生御自身から私が直接伺ったところによりますと、総合農政調査会、農林部会の審議を経なければ態度を最終的には決定しかねるわけで、小委員会の話というのはその前の一つのステップであるというふうなお話を伺ったところでございます。
  104. 日野市朗

    ○日野委員 どうもこれはアメリカに行って安倍さんは堀の深さをはかって、これは越えられる深さだなと思ったに違いないと思うのです。越えられる深さというのは、政治的にこれは越えられる深さであるというふうにはかって、越えなければならないという決意もしてきたんじゃないか、そんな感じがしますね。  それともう一つ、どうも自民党の中にいろいろな動きがあって、そして、もうこれは三月末のタイムリミットまでに政治的にも決着させてしまいたいというような動きが見えるような感じがいたします。どうですか、農水大臣として、今あなたの部下の方々が、農林省の幹部が何とかしてアメリカからの圧力を避けようということで懸命の努力をしておられるのですが、まさかあなた、そういう配下の方々の懸命の努力を抜きにして、そしてまた農協あたり、それから生産者、そういった人たちの切なる願いを踏みにじって一気に政治的決着を図るというようなことはなさるまいね。いかがですか。
  105. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私と農林水産省の幹部は一体でございます。先ほど申しましたように、当委員会の決議、申し入れ、この趣旨を守ってまいります。
  106. 日野市朗

    ○日野委員 あなたはどうですか、この問題解決のために渡米をということを要請されておりませんか。その予定はございませんか。
  107. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 今のところ、いつ行ってくれとか、そういうような話はまだ全然出ておりません。
  108. 日野市朗

    ○日野委員 仄聞いたしますと、あなたの後援会があなたの大臣就任の祝賀会を三月中にやろうとしている。ところが、それはその時期はだめだということで取りやめになったというふうに聞いておりますが、いかがですか。
  109. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 そのようなことはございません。私の生まれ故郷の佐原市で、三月十一日、後援会を開く予定でございます。
  110. 日野市朗

    ○日野委員 私、こうやって見ておりますと、状況としていろいろ農水省は追い詰められておるような感じがどうもいたします。  また、私、安倍さんなんか行って農産物の問題を余り話してきてもらいたくはなかった。私が会ったとき、ネゴシエーションはいたしません、これは安倍さんが使った言葉ですからね、ネゴシエーションという言葉は。これはいたしませんということだったので、信用したいなと思ったが、実際はかなりの時間をこの問題にかけていろいろ話をしてきている。  そうして、どうも私が気になってしようがないのは、非常に安倍さんは興奮して、気負って記者会見をして、そしてこれは決着をつけるぞ、政治決断でやるぞ、こう記者会見の中では言っているわけですね。日本に帰ってきていろいろな公の場では大分トーンダウンしたというような、調子が下がってきたような感じがいたしますが、どうやらかなり突っ込んだ話がなされているような感じがいたします。そうして、今のところ中曽根総理自身はこの問題について表明を避けておりますけれども、どうもこれは自民党の内部からブレーキをかけられているその結果だというふうに伝えられております。それの真偽は私は今ここではただしません。  それから、自民党の内部でもうそろそろ決着をつけなければいかぬということでいろいろな動きが出てきている。もうこれについては強い指導力を総理が発揮しなければならないというようなことまで自民党の中で言われているということがけさの新聞なんかに載っております。こういうのを見ておりますと、いろいろ状況として締め上げる状況がだんだん強まってきている、こういうふうに思うのですね。あなたが所信表明で述べておられるように、日本農業を守る、当委員会の決議及び本年一月の申し入れ、これを踏まえる、農業者が犠牲にならないようにする、こういう観点からいったら、ここでしっかりとあなたの方で、そういう政治決着をというような動きにはブレーキをかけなければならない。ひとつ決意のほどを伺っておきたいのですが。
  111. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私といたしましては、この農産物の輸入という問題については、これは国内の需給状況、これをやはり見てやらなければならないと思いますし、そしてわが国の農業が着実に発展していくというのと調和のとれた形で輸入をしなければならないという基本考えでございます。  そこで、私としては、先ほどから申しておりますように、日本農業を守るということを頭にたたき込んでおりますし、そしてまた、今先生言われましたように、農業者が犠牲にならないように、そしてわが国農業が着実に発展するということを念頭に置いてこの交渉はやるつもりでございます。
  112. 日野市朗

    ○日野委員 調和のとれた形でなんという言葉が入りますと、すぐこっちは、根性が悪いものですからふらっと疑いたくなる。それからきょうの石川局長答弁とか農産園芸局長答弁なんか見ても、何か従来の考え方と少しニュアンスが違ってきたのではあるまいかなという感じ、これは私個人の感じであります。個人の感じだけを申し上げるわけですが、そんな感じがしないでもない。ひとつここは、切なる農民の願いというものをきちっと受けとめていただいて交渉に臨んでいただきたいと思います。  それじゃ、次の質問をさせていただきますが、私、所信表明を見て、ありゃ、養蚕に関することは何も書いてないやと思っていたわけであります。そこの問題について質問をする気はありませんが、やはり養蚕なんかについても若干はお書きになった方がよいのではあるまいかというような感じもいたします。  ところで、今、これもまた養蚕農家に非常に大きな衝撃を与えておりますね、繭の三割減反ということが新聞を今にぎわしております。これは今どうなっておりますか。
  113. 小島和義

    小島(和)政府委員 蚕糸関係の状況は、実に容易ならざる事態になっております。まず、絹の消費がこのところ数年、毎年毎年落ちてきておりまして、最近のピークで申しますと、昭和五十三年ぐらいに約四十六万俵の国内消費量がございましたが、昨年はついに三十万俵を割ってしまったという状況でございます。これに反比例いたしまして、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸の在庫は毎年毎年累増しておるという状況でございまして、借入金額は、この上買い入れ量がふえなくても、この年末には二千億円に達するだろう、こういう見込みでございます。  これまでの間、私どもはこういう事態を何とか改善しなければいかぬということで、絹の消費拡大のためのさまざまな対策、それから外国から輸入されております生糸、絹製品の輸入数量の圧縮、さらに、先年大変な騒ぎを起こしましたけれども、基準糸価の切り下げ、さらに、生糸の製造設備の廃棄を含めました製糸業の構造改善、いろいろなことを実はやってまいりましたが、どうも需給状況改善するというところまで至っておらないわけでございます。本年もし昨年同様の事態が続けば、ただいまの繭糸価格安定制度は、事業団の在庫の重みと借入金の重みでこの制度自体が危殆に瀕するような事態が起こりかねない、こういう思いを深くいたしておりまして、この正月以来、関係団体に呼びかけをいたしてきたわけでございます。  先週、今週にかけまして、繭の計画生産推進協議会というものを開きまして、関係の都道府県、繭の生産者団体その他関係団体を集めましてただいまのような状況を訴えまして、ことしは減産をせざるを得ないということを訴えてまいったわけでありますが、今週初めに至りまして、基本的な方針と申しますか、ことしは減産をするということについては一応の了解が得られたというふうになってきております。ただ、お話ございました、じゃ何割やるのかということにつきましては、一番この生産問題に深く関係をいたしております養蚕団体の内部でまだ十分組織討議が終わっておりませんので、なるべく早い時期に養蚕団体と農蚕園芸局の方で相談をいたしまして目標数量等は決定いたしたいということでございまして、三割というのは、一つ需給推算としてはお示しをした経過がございますが、三割減反を決めたということには相なっておりません。
  114. 日野市朗

    ○日野委員 生産農家にしてみれば、これは非常にショッキングなことだと思うのですね。農水省は、水田利用再編対策の第一期において、桑も転作奨励作物に指定をしたわけであります。そこで、どんどん農家の方でも水田転作に協力をするという形で桑の生産に力を入れた。そして設備投資なんかも随分やっているわけですね。そして今三割も減反しろと、三割という数字はまだ確定した数字じゃないと言われますけれども、これをやられたのでは生産農家はたまらないと思うのですね。もっといろいろな努力をやるべきではないかというふうにも思います。  たとえば、絹の着物なんかが非常に高い。余りにも高価品になり過ぎた。ここいらで需要がどんどん低落をする。それも何とかならぬのかと思うし、需要をもっと拡大するための努力がもっとなされてもいいのじゃないかというふうにも思いますね。背広もつくってみようとかインテリアの材料にも使おうとか、いろいろ努力はあるけれども、もっともっと努力がされてもいいように思う。それからもう一つ、何といっても輸入物、これを抑えることができないのか、こういう努力をもっとしてしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  115. 小島和義

    小島(和)政府委員 ただいまの御指摘まことにごもっともなことでございまして、私どももかねてよりこの問題については努力を傾注してきたところでございます。特に、日本の絹の消費はその九割が和服でございまして、いわゆる着物離れの現象というものに何か歯どめをかけられなければ、残りの一割の方で相当消費をふやしてみましても、これは全体の消費減を食いとめるに至らないわけでございます。その意味で、着物の世界におきましても着物自体についての知識、たとえば着つけを若い人に教えていくというふうなこと、それからお話ございました流通改善みたいなことにつきましても、これはなかなか強制できることではございませんが、現に中間の経費をできるだけ省略して売っていくというふうな新しい動きも出てきておりますので、そういったことを助長してまいりながら何とか消費減を食いとめたいという点では、全く思いは同じでございます。  また、インテリアとかあるいは洋装の世界につきましては、これは先年当委員会の御発議によりまして繭糸価格安定制度が改正されましたときに、新しい需要拡大については事業団在庫を安売りできるという制度をつくりまして、すでに一昨年の秋以来九千五百俵ばかり減額売り渡しをいたして、新しい需要拡大を価格面から刺激をしておるわけでございます。  それから輸入の方の圧縮でございますが、もう数年前以来何とかして輸入を減らしたい、これは国産保護のためにこういう制度をやっているわけでございますから、輸入を減らしたいということで、通産省ともども、二国間交渉等を通じまして輸入の圧縮に努めております。ちょっと数字を申し上げますと、五十三年を一〇〇といたしまして、五十七年の生糸輸入協定数量は二九%まで減らしております。それから、絹糸につきましても約五〇%まで減らしております。それから絹織物、これは面積ベースでございますが、五十三年を一〇〇といたしまして六〇というふうな水準まで圧縮をしてきておるわけでございます。この種の通商交渉におきまして輸入数量を減らすという交渉が今いかに大変な交渉であるかということは、まだ自由化されていないオレンジにつきましての昨今の貿易交渉をごらんいただいても大変なことであるということはおわかりいただけると思うわけでございまして、恐らく輸出国が輸出数量を減らすという格好での貿易交渉というのは他に先例がないんじゃないかと思うぐらいでございます。  さはさりながら、いよいよ国内の繭も減産、こういう事態に入ったわけでございますから、関係省庁とも協力いたしまして、一層輸入数量の圧縮には努力いたしたい、かように考えております。
  116. 日野市朗

    ○日野委員 この問題については、私は減産ということは感心できないので、きょうは時間がありませんからこの程度にとどめますが、またいろいろと論議をしたいと思います。  終わります。
  117. 阿部文男

    阿部委員長 午後一時十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議
  118. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷昭雄君。
  119. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、米について、もう全く米一点張りについて御質問申し上げたいと思います。  最初、ここに二月二十六日の朝日新聞がございますが、この二月二十六日の朝日新聞のトップ記事に大きく「政府 コメの売却を制限 来月から五%減 端境期の供給に備え 農水省通知」こういうふうにあるわけであります。そして内容を見ますと、「今年の端境期にコメの供給が不足するのを防ぐため、農林水産省は来月一日から六月末までの四カ月間、政府米と自主流通米の卸売業者への販売量を昨年実績より全国一律に約五%削減することを決め、二十五日までに都道府県全国の食糧事務所に通知した。減反下の四年連続不作でコメの需給が窮屈なところへ流通段階で仮需要が起きていることを、同省は理由に挙げ、この措置を取っても仮需の在庫が吐き出されるので、消費者への影響はほとんどないと言っている。」こういうふうに報道されておるわけであります。  このことについてでございますが、その次の日に農業新聞ではやはりそのことを追認をし、二十八日には読売新聞でもこのことを取り上げて追認をしておるわけであります。そして、松浦食糧庁長官は二十八日に、内容を見ますと、意外な波紋の広がりに驚いたという表現もある新聞ではしておるようですが、記者会見をして、そしてその内容についていろいろ説明を加え、さらには不安はないという言い方をしておられるということであります。  しかし、このことは大変ないろいろな問題を含んでおりまして、日本の米は一体底をついておるのではないか、その兆しというのは我々の見聞するところでも幾つかあるわけであります。私は秋田出身でありますけれども、私の方の県の状況を見ますと、昨年は四年連続の不作の年であったにもかかわらず、秋田県は一応平年作という作柄を保ち得たわけであります。そういう関係からだと思いますが、経済連を通じまして各単協そして農家に、農家保有米を政府に売り渡してほしいという集荷のいわば要請が昨年同様に参っておるわけであります。しかしながら、せっかく県間調整をして秋田県の限度数量をふやしてもらったにもかかわらず、現在なおこの限度数量の集荷に大変に苦労しておるというのが実情であります。  こういう点から考えますと、我々が見聞するところでも日本の米は今や不足時代に入っておるということは明らかではないか、こういうように思うわけであります。四年連続というこの不作、このことを一つ考えてみましても、この四年連続の不作そのものが明らかに今までの農政、今までの農政は自民党の農政でございますので、これは自民党農政の失敗ではないのか、自民党農政の失敗というものがこの四年連続の不作というものにつながったのではないか、私はそう思っておるわけであります。過去において四年も連続で冷害ということはございません。むしろ少しの異常気象にもすぐに影響を受けるという脆弱な農村をつくってきたという責任、この責任こそ私は農政の失敗ではないかというふうに思うわけでございます。  すなわち、六年続きの米価の据え置き、こういったものが農民の生産意欲を減退させる、そして労働力が高齢化をしながら第二種兼業へとどんどん移っていくわけでありますので、技術の上でも極めて質的に低下をしておる、さらには土壌が無機化しておる、こういうことを考えますと、これは政府の意図とは裏腹に、日本の稲づくり農業、米というのはどんどんこれは地盤沈下をしながら、今や過剰の時代ではなくて不足の時代を迎えたのではないかというふうに思うわけであります。  今次のこの米不足ということはそれを裏づけておるのではないか、こういうふうに思うわけですが、大臣所信表明がこの前行われました。四ページにこういうふうに言われておるわけであります。「農林水産業を取り巻く情勢は厳しく、今後の世界の食料需給の展望を見ましても、中長期的には楽観を許さないものがあります。このような状況のもとで、一億二千万人にも及ぶ国民に食料を安定的に供給するためには、」その次が大事なんですよ。「国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針のもとに、」諸施策を進めていきたい、このように大臣は表明されておるわけであります。  大臣にお聞きしたいと思いますが、日本の米と米作農業の現状、これをどう受けとめられているのか、主管大臣としましてこの所信表明の具体的な問題で御決意をお伺いしたい、こういうふうに思います。
  120. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 最初の先生の新聞紙上での米が足りないのではないかということですが、私もそれを見て驚きまして、すぐ食糧庁長官以下皆さんに来ていただきまして聞きましたら、これは心配ないということで、後でこれは詳しく食糧庁長官の方から説明させていただきます。  私の米に対する認識ということでございますが、五十九米穀年度供給総量としては、五十八年度産米千三十七万トンのほか、前年度産米十万トンの持ち越しもあり、さらに五十三年産米も引き続き売れる見込みでございます。最近の需要実態からすれば、米の需給に問題はないものと考えております。いずれにいたしましても、本米穀年度も米の安定供給確保し、国民に不安を与えることのないよう、需給卸売操作に万全を期する所存でございます。  また、最近の在庫事情を踏まえ、水田利用再編第三期対策におきましては、適正な在庫水準確保するため、毎年各四十五万トンの計画的な在庫積み増しを行うこととしており、今後とも国民にいささかの不安も与えないようにいたしていく所存でございます。  なお、現下の需給事情からすれば、特に作柄の安定を通じ計画的な米の生産が極めて重要となるため、基本技術の励行等を目指したたくましい稲づくり運動の推進を行い、作柄の安定に努めることといたしております。
  121. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大臣から細かい数量等はお聞きしようとは思わぬけれども、今のこの四年連続不作、こういう現状がもたらしておるものをどう受けとめ、そして大臣といたしましてこれでいいのかどうか、そのことをお聞きしたいと思うわけであります。率直にひとつお答え願いたいと思います。
  122. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 四年連続不作ということでございまして、そこでたくましい稲づくり——確かにこの一番大きいものは天候の不順でございましょう。しかし、やはり何といっても栽培技術、これの方のいわゆる不足ということもあったようにも思いますし、せんだっても実は各県、市町村そして農協の代表の皆さんにおいでいただきまして、御協力をいただくということで、たくましい稲づくりということで何とか今度の計画的なものはやっていけるというぐあいに思っております。
  123. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この点はまた後から議論したいと思うのですが、具体的に、この二十五日までに食糧庁が通達しました五%減、昨年実績よりも販売量を五%減らす、その理由は一体何なのか、お伺いしたい。
  124. 松浦昭

    ○松浦政府委員 非常に重要な御質問でございますので、やや細かに御答弁させていただきます。  ただいま大臣からも御答弁がございましたように、五十九米穀年度、これは昨年の十一月からことしの十月までの米穀年度でございますが、この供給総量といたしましては、先ほどもございましたように、五十八年産米は、残念ながら四年連続の不作でございまして、一千三十七万トンという状況でございます。ただ、この場合に、前年産米、これを十万トン持ち越しをしておるわけでございまして、これは五十八米穀年度から五十九米穀年度に引き継がれているものがございます。これに加えまして、五十三年産米、これは需要に応じて、こちらの方が希望に応じて売っていくわけでございますが、これが十ないし十五万トンあるいはこれ以上、希望によっては売れるかもしれません。このような状態でございますので、需要の方を一千五十万トンと私ども前々から申しておりますように測定をいたしておりますので、需給上問題はなく、かつ五十九米穀年度で十万トンの持ち越しをして六十米穀年度に繰り入れられる、全体としてはさように考えておるわけでございます。  そこで、先ほどの五%カットしたではないかというお話に入るわけでございますが、これは実は政府管理米の分野の話でございます。と申しますのは、全体の需給の関係は、農家の手持ちもございますし、その分を除いて政府の管理米、特にその中でも問題になりますのが政府米及びマル自米、自主流通米、この世界がどうなるかということが先ほどのお話につながっていくわけでございます。そこで、この政府管理米につきましても、全体といたしましては国民の必要とする米穀の数量は確保されまして問題がないというふうに思っておるわけでございますが、ただ、先ほども申しておりますように、政府米の在庫水準はいかにも低下しているという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、ゆとりのある操作であるということではないというふうに考えております。つまり、かなりきめ細かな注意深い需給操作が必要になってくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そのために必要なことは、この政府管理米を全期間かつ全国にむらなく安定供給するということが非常に必要であるわけでございまして、言葉をかえて申しますと、特定期間あるいは特定地域にお米が偏在するという状態をなくして供給していくということが必要ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。また同時に、真の消費者需要と申しますか、本当の需要の状態を見きわめながら、それに対して的確に需給の操作をし売却をしていくということが必要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、お話の中に入っていくわけでございますが、このような供給の計画を立てて政府の管理米を売っていくわけでございますけれども、その場合に、私どもは三つの期間に分けて供給量を測定し、予定計画を立てて売っていくという形になります。その第一期が十一月から二月まで、第二期がお話しの三月から六月まで、それから第三番目が七月から十月、この三期に分けて供給計画を立てて売っているわけでございます。  そこで、ただいまお尋ねの点は、この第二・三半期でございますところの三—六月の売却予定量、これをどういうふうに決定するかということで、実は昨日二百二十四万トンということで公表いたした次第でございますが、これはどういうふうに決めたかと申しますと、年間の供給予定総量は、先ほど申しました総体の需要量一千五十万トンから測定いたしまして六百六十万トン、これはもう前から決めておりまして、大体間違いのない数字だろうと思っております。これをもとにいたしまして、新米穀年度に入りましてからこれまでの供給実績、これを勘案し、同時に、端境期における政府米の安定供給を期することも考えながらこの三—六月期を決めていったということでございます。  もうちょっと平たく砕いて申しますと、ちょっと先生もお触れになりましたけれども、前々から流通の在庫が政府の売却量を見ておりますと徐々にふえておるのではないかという感じもいたしますし、特に二月に消費者米価の値上げもさせていただいたものでございますから、そこで若干の仮需といったようなこともございまして、十一—二月期にも流通の在庫がふえる状態で実は売却が行われているんじゃないかというふうに考えられるわけでございます。これを適当に調整するということが三—六月期で必要でございます。それからまた、三—六月期の需要そのものにつきましても十分に精査をいたしまして、先ほど申しましたような真の消費者需要に見合った形での売却量を決めていくということが必要であろうと思います。こういうふうにやってまいりますと、一番肝心な七—十月期、つまり端境期におきまして政府の手持ちのお米も余裕を持った状態で次の期に越えていける、ここが一番肝心でございますので、さような状態での予定計画を立てたいということで、いろいろ都道府県の意見等も聞きまして三—六月期に先ほどのような決定をしたということでございます。  これが実は前年における、つまり昭和五十八年の三—六月期の売却実績量よりも約五%ほど少なかったものでございますから、そのような新聞報道になったかというふうに思うわけでございますが、これはあくまでも供給予定量でございまして、別に消費者が購入する数量をカットしたり制限したりするという気持ちはございません。やはりそこで必要なお米の量というものは売っていくつもりでございまして、この計画に沿って売っていくことは事実でございますが、小売屋の店頭にお米がなくなるといったようなことが起こりますれば、食管制度そのものに大変なひびが入りますから、さようなことは絶対いたさないというつもりでやっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、この五十九米穀年度需給の操作を円滑かつ的確にいたしてまいりますためにこのような第二・三半期の予定計画を立て、それを公示した、それがそういう新聞報道になったということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  125. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今長官からいろいろ数字の説明がございました。しかし、その基調にあるものはどうかというと、例えば今のお話にもありましたとおり、大ざっぱな計画ではもうどうにもならぬ、いわゆるゆとりのある操作ではなくて、きめ細かな、一定の時期に特定の地域に米が偏らない、まんべんなく操作させなくちゃいけないということの言葉の端々に、具体的に米不足であるということを表明しておるのじゃないか、こう思うわけでございます。  例えば、この政府の計画によりましても、今のお答えにありましたとおり、ことしの端境期において十万トン持ち越す予定だ、こう言っているのですが、これは極めてまゆつばものだと思うのです。例えば、四年連続不作という去年、五十八年度のいわば十一月、これが米穀年度の始まりなわけですが、そこから出発した計画なんですよ、これは。しかし、実際早食いをしておる。早食いは、日本農業新聞の二十七日の表によりますと——私はこれは本当ですか、こう言ったら、農業新聞では自信を持ってこのとおりですと言うのですが、早食いがどのぐらいだというと二十万トンですよ。これは既に早食いをしてしまった、なくなっているのをもとにしながら立てておる政府数字なんですよ。したがって、日本農業新聞社の集計によりますと、いろいろ数字がありますけれども、少なくともこの計画は破綻をしておる。もう既に二十二万トンは不足をしておるし、早食いをしたのをみんな入れますとさらに多くの米の不足が予想される状況であるというふうに指摘しておるわけであります。先ほど私が申し上げましたように、米作地帯の個々の農家状況を見ましても、農協の倉庫を見ましても、それらの兆候というのは極めて明らかであります。  食糧庁長官が数字の上で持ち越しが十万トンあると言われるが、十万トンというのは一体幾らだと思うのです。長官が一番よく知っておられるんじゃないか。たった三日半ですよ。一億二千万の国民の食糧を供給すべきはずの責任ある当局が、三百六十五日のたった三日半しか持ち越せない、これは明らかに食糧政策の誤りですよ。ECの諸国やヨーロッパの国々がどれほどこの主食糧の備蓄に心がけておるのか、既に先刻おわかりだと思うわけです。我々も承知しております。もうこんな場で食糧は大丈夫ですよ、米は大丈夫ですよ、こんなことを言える長官じゃないと思うのですよ。深刻なこの米不足ということを前にしまして、率直に国民にこのことを訴えたらどうですか。全く数字のごろ合わせでは私は納得できないわけであります。
  126. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほど大臣もおっしゃいましたように、率直に申し上げてお米に心配はないということを申し上げているわけでございます。と申しますのは、多分これであったと思いますけれども、私も十分に読みました。農業新聞でございます。別にこの新聞の批判をいたすわけではございませんけれども、実はこれは政府米の分だけを言っているわけでございます。つまり、自主流通米の世界は全くよそに置いて、政府米の操作の分だけを書いておりますからこういうぐあいに書かれるわけでございます。しかも、その中に挙げております数字一つ一つは決して偽りの数字じゃございません。私はそれは認めます。ただし、これを全体として通観してみますときに、あくまでも政府の需給の操作というものは、政府米のみならず自主流通米も含めて一体として操作をしていくことは先生もよく御承知のとおりでございます。  そこで、先ほどもおっしゃられました二十万トン早食いしたじゃないかということでありますが、これは政府米として二十万トン出しているということでございまして、実は毎年平均で大体五十万トン程度は早食いをいたしております。これは、過去の実績は全部先生御存じだと思います。確かに五十八米穀年度はこれも需給が必ずしもゆとりのある年ではございませんでしたので、政府米、自主流通米合わせまして十五万トンほど早食いをしておるということは事実でございます。しかし、この点につきましては、若干大きな早食いはいたしておりますけれども、九月末の生産状況を見てみますと、早場の生産が大体百万トン近くは出てくるわけでございます。十月になりますと、十月末現在では大体政府米で二百万トン、自主流通米で百五十万トン程度の早場のお米が出てくるわけでございまして、その時期に持ってまいりますれば心配がないということも含めて私申し上げておるつもりでございます。  それからまた同時に、確かに先生御指摘のように在庫数量が十万トンの状況、これは私は低いと思います。率直にこれはそう思います。したがいまして、これは先ほども大臣が御答弁になりましたように、第三期の転作計画の中で、本来は七十万ヘクタールの転作をいたすところを六十万ヘクタールということで抑えまして、十万ヘクタール分は在庫の積み増しに充てる、各年約四十五万トンの積み増しをしていくということで在庫数量をふやしていくということで、需給の操作を長期的に安定させるということを考えている次第でございます。
  127. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、今の数字の方の問題は極端に言うと幾らでも操作できると思います。問題は、実際の米が、政府米という言い方でありますけれども、それなら自主流通米はうんと余っているのかという問題なんですよ。私は、政府米がこのとおり操作が非常に困難であるということは、自主流通米も同様だと思うわけであります。実際問題として絶対量が少ないわけですから、もしも政府米だけこういうことだということであればこれはつじつまが合わないわけでありまして、五%削減をせざるを得ないということ、これは仮需要がふえたとか、いろいろなことを言っておるわけですよ。問題は、卸売業者に、自主流通米もあわせまして、持っておる業者に吐き出させるためだという言い方をするのですが、実際問題として、昨年の暮れから、四年連続の不作だということ、米の供給が非常に難しいという観点から、農林水産省、特に食糧庁は、今までにない、かつてない厳重ないわばやみ米取り締まりをやっているわけであります。その成果が具体的にあらわれておる。自主流通米のほかはほとんど手に入らない、政府米をしたがって買わなくちゃいけない、自主流通米はどんどん出ていくので政府米を買わなくちゃいけない、こういう状態というのが私は現在出ておるのではないかというふうに思うわけであります。  したがって、どんなに抗弁しましても、この数字は政府米だけでありまして自主流通米は入っておらないのですよ、こう言っても、米そのものの内容というのは変わらない、基調は変わらない、そう言わざるを得ないと思うわけであります。ですから、私は、具体的にこういった数字の点では、これは皆さん方のいろいろな操作がありますので、十万トン余っていると言うとああそうかと思うのだけれども、実際は三日半だと言うと、あれっ、ああそうかということで、大変なこれは数字の魔術なわけであります。十万トン余っているのと三日間しかないよというのとでは大変な違いなんですよ。長官が述べておるのは数字。しかし、実感として全国の米作農家並びに消費者は極めて深刻にこの米不足の状況というのを受け取っておるということだけは確実であります。食糧庁というのは、国民に米をないしは主食を安定的に供給する責任を持っておる役所だというふうに私は理解しております。主務大臣の、これは農水大臣はもちろんでありますけれども、一体全体こういう数字のごろ合わせだけで国民は安心できない。特に、現在小規模のいわば外食業者、そして実際に政府米しか買えないという消費者、低所得層、この皆さん方は覆いがたい不安を感ずるわけであります。一体、本当にこの人方に対する不安というのを打ち消すことができますか。
  128. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まずその御答弁を申します際に、前提として、政府米とそれから自主流通米の状況をちょっと申し上げておきますと、確かに政府米につきましては、先ほどから申しましたようにやや先に売れているという感じがございます。  と申しますのは、基本的に申しますと、北海道が、五類の地帯が非常に大きな冷害をこうむったということは事実でございます。さようなことから、本来政府米に来るお米というのが比較的パイプが細くなっているのではないかという感じはいたします。したがいまして、自主流通米はその意味では、比較的の問題でございますけれども、これは政府米のような状況ではないというふうに考えられます。したがいまして、私ども、今度の三—六月の計画ではできるだけ自主流通米を先に使っていただく。政府米の方は、ただいま先生もおっしゃられましたような標準価格米あるいは業務用米といったような方々、つまり安いお米をお使いになる方の端境期における需要考えてその対応を図ってまいりたいということから三—六期の計画も立てておるわけでございます。  さらに申し上げますと、業務用米につきましては、先ほども申しました五十三年産米、これも十万トンから十五万トン、むしろ購入の希望もございますので、これをもって対応していくということも考えておる次第でございます。
  129. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 端的に聞きます。  五十八年度産米の買い入れの計画と並びに今後の見通しについて、計画では七百二十万トン買う。そのうち一月末までの実績は、自主流通米が三百二十六万トン、政府米が三百三十七万トン、合計六百六十三万トン。ちなみに、昨年の実績よりこれは二十三万トン少ないわけであります。そのほかに超過米が七万トン、モチ米が二十四万トン、合計六百九十四万トン。間違いありませんね。七百二十万トンという政府計画からしますと、二十六万トンの不足であります。今、三月に入りました。動いておると思うのですが、一体この二十六万トンというのは集荷の自信がおありなのかどうか、端的にお願いします。
  130. 松浦昭

    ○松浦政府委員 確かに現在の集荷の状態が六百九十四万トンの状態である、これは一月末でございますが、そういう状況であることは私も承知しております。  ただ、これは昨年の作柄がかなり遅延型だったということもございまして、さような意味で検査そのものもかなりおくれておりますし、やはり通年集荷ということを通じましてこれを確保していくということで七百二十万トンのところまで持っていきたい、そういうことで最善の努力を尽くしているところでございます。
  131. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 後から長官が記者会見したときの中身について議論したいと思うのですが、こういう米不足の状況というのはもう覆いがたい、私はこういうふうに思うわけでありまして、この点からして、第三期転作を、こういう米不足という状況を踏まえてさらに減反政策を続けるということは、これは全く矛盾していると私は思うわけであります。したがって、この第三期転作というものについては撤回したらどうか。撤回をする気がないのかどうか、まず農水大臣にお伺いしたい。
  132. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先生御承知のように、米につきましては四年連続不作と言われておりますけれども、米の生産力というのは、これは需要を大幅に上回っておることは御存じのとおりでございます。したがいまして、米需給の均衡を確保いたしますためには、今後ともやはり水田利用再編対策の着実かつ的確な推進が必要と考えております。  なお、五十九年度から発足いたします第三期対策につきましては、このような最近における米の需給事情、適正な在庫水準確保必要性等を考慮いたしまして、四十五万トンの在庫積み増しを図ることとして、目標面積を六十万ヘクタールということにしたところでございまして、今のところその方針で進んでまいります。
  133. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私は、四年連続の不作というのは五年連続、ことしの不作にもつながるのじゃないかという危惧を持っているわけでございます。ですから、大臣所信表明におきまして、今言ったたくましい稲づくり運動、そして健康な土づくり運動、これを提唱されておるわけですね。しかも、積み増しを四十五万トンぜひやりたい。だったら、これは今までのような過剰傾向という中で出てきました減反政策、この減反政策をもう抜本的にやめなくちゃいけない、もっともっと面積を減らさなくちゃいけない、こう思うわけでありますが、単に他用途利用米ということを導入しただけに終わり、面積についてはほとんど変わらない。これは一体、本当にこんなことができますか。極めて矛盾しているわけでありますよ。米は、うんと健康な稲づくりだ、そして米をうんと上げなくちゃいけない。片方ではそれを今度はつくらせない。極めて矛盾した政策ではありませんか。撤回しなさいよ。
  134. 小島和義

    小島(和)政府委員 過去の四年連続の不作の原因は、先ほど申し上げましたように、主として気象要因である、これはこの四年間の気象条件の中から十分立証のできることでございます。  具体的な例で申し上げますと、昨年作況指数七四ということで全国最低の水準を記録いたしました北海道は、一昨年は作況指数一〇五ということで、かなりないい作柄でございました。逆に、昨年作況指数一一一ということで全国一の作況指数を記録いたしました高知県は、その前の年は作況指数九五ということでございます。したがいまして、わずか一年間で農業実態が急に変わるわけはございませんし、それぞれその年々の大変悪い条件のもとにおいてこういう状態に相なったというふうに考えております。  もちろん農業でございますから、豊凶変動というのは避けられないわけでございますが、村々まで入ってみますと、気象条件が悪かったにもかかわらずまずまずの収量を上げておるという農家が実際におることは間違いないわけでございます。裏返しに申し上げますならば、適期に適切なる栽培管理をやればこのような作柄の不良ということを幾らかでも食いとめ得たということはあるわけでございますので、過去四年間の成績を見ますと、一つには転作目標以上に転作が行われたという実態もございますし、今申し上げましたように作柄が予定どおり上がらなかったということもございまして、全体として需給計画どおりの生産を上げてない、これは紛れもない事実でございます。  本年の気象条件をどのようなものとして見通すかというのは大変難しいのでございますが、仮に若干の不良条件に見舞われましても、それを克服し得るたくましい稲づくりをやる必要があるだろうと思っておるわけでございます。  具体的な手法といたしましては、従来から言われております基本技術を励行する。その基本技術の励行に当たりまして、個々の農家ではいろんな制約があってなかなかできないという地域もあるわけでございますから、さまざまな生産組織の活動を通じましてそれを補っていくということを軸といたしまして新稲作運動を実施いたしたい、それによりまして需給計画上見込んでおります生産量というものを確保いたしたい、こういう思想でございまして、大臣がお述べになりました需給ギャップというのは、水田利用再編対策を何にも行わなかったとすれば年間で三百万トン程度の余剰が出てくることは明らかでございまして、二、三年を出ずして古米の山を築くということになるわけでございまして、それはぜひとも回避しなければならない。しかも、そういう転作を行いつつ、一方では計画どおりの米の生産を上げ、転作転作として定着を図りながら予定生産を上げていきたい、こういうのが私どものただいまの目標でございまして、全力を傾注いたしておるところでございます。
  135. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私どもは、今政府がやろうとしております第三期水田転作そのものに対しては極めて反対であるわけであります。この立場は一応はっきりしておきたい。私どもは、むしろこういう時期にこそ力いっぱい米をつくっていく、そして四十五万トンと言わず、もうEC諸国でやっているような、そういう備蓄をきちっとやっていく、そうして一年間うまい米は人間が食用にする、古米になったらいろんな家畜のえさにしてもいいし、いわゆる他用途米という形で米はいろんな点でやっていく。これがいわば大臣所信表明にあります、国内でつくれるものは最大限つくるという、その基本的な方針に合っておるのじゃないか。私どもは、そういう意味で、今こそ日本の米を稲作農家に力いっぱいつくらせるべきだという方針を持っておるわけであります。そのことに対して、私は今、ひとつ皆さん方に私たちの党の態度というのをはっきりさしておきたい、こう思うわけであります。  今回の、一応転作をやるというこの内容に触れたいと思いますが、我々が年来主張しておりましたいわゆるえさ米運動の中で、ホールクロップサイレージが今回転作作目にいわば認められたという点は、私どもは評価をしておる次第でございます。私ども民間の運動というのをこの五年間に少なくとも皆さん方は認めざるを得なかったというその状況、これはやはり現場の皆さん方が要求するものは今言ったように率直にどんどん取り上げてほしいというように思うわけであります。その点で、さらにグレーンサイレージの問題につきましても検討を加えていただきたいというように思うわけであります。  そこで、何としても第三期で現場で一番問題になっておりますのが他用途利用米の問題でございます。時間がありませんので端的に聞きますが、他用途利用米はペナルティーがありますか。
  136. 松浦昭

    ○松浦政府委員 他用途利用米につきましては、御案内のように水田利用再編対策の一環で導入されるものでございますが、その生産予定面積転作等目標面積の内数にしていることは先生御案内のとおりでございます。したがいまして、他用途利用米を含む転作面積につきましては公平確保措置というものがこれは適用になりますけれども、転作作物として他用途米を生産するかあるいは他作物を作付するかは、これは生産者の任意という形にゆだねている次第でございます。したがいまして、これだけによってペナルティーということは出てこないということでございます。
  137. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 もしもペナルティーがなくて、例えば仮に他用途利用米を全然出さなかった、そうした場合にどうしますか。
  138. 小島和義

    小島(和)政府委員 他用途米導入の発想は、御承知のように従来過剰米をもって充当いたしてまいりました加工原料用の米がなくなるという事態を踏まえまして、これを過剰米発生以前の状態に戻して、輸入米をもって充てるかあるいは国内でつくるか、こういう議論でございまして、米をつくりたいという農家の潜在的な願望というのは大変強い、また、日本農業のかんがい農業を特質とするという実態からしましても、水田生産力活用していくというのはこの場合の政策としては望ましいのではないか、かような判断からこの転作の仕組みの中において導入するということにいたしたわけでございます。したがって、これは形の変わった転作みたいなものだ、こういう理解でおるわけでございまして、先ほど食糧庁長官から申し上げましたように転作の内数、こういう理解をいたしておるわけでございます。  しかしながら、この仕組みを全国的に導入するに当たりまして、各県それぞれいろいろな御意見がございまして、端的に申し上げるならば、総論賛成各論反対というところもあるわけでございまして、農業団体等の御希望としては、やはり何か一つのめどを示してもらわなければこれはなかなか動かない、どこかの県がやるだろうということで結局全然動かないということになりかねないので、一応のめどをお示しするということが必要なんではないかというふうな判断から、昨年転作目標面積に対しておおむね一割という線で各県別のめどをお示ししているわけでございます。ただ、その各県の対応というのが多少違っておりまして、従来転作の世界で非常に問題の多うございました例えば青刈り稲でございますとかあるいは保全管理でございますとか、そういうふうなところにつきましては他用途利用米の入り得る条件というのは非常に高いと思うわけでございますが、反面において非常に立派な転作をやっておるというところもございますわけで、なかなか口で言うほど一律というわけにはまいりません。その県ごとのいろいろな事情というのは、県の判断を聞きながらある程度県間で調整をしていく、こういうことで国全体として必要な他用途利用米を何とかはめ込んでいく、こういうプロセスにあるわけでございます。  したがいまして、先ほど食糧庁長官から申し上げましたとおり転作の内数でございますから、転作だけで一〇〇%目標達成したという地域がございますれば、いわゆる公平確保措置というものが発動されることはないわけでございます。ただ、全国ことごとく転作だけでその目標を達成いたしまして他用途米は全然生み出されてこないということになりますれば、これはこれで問題なわけでございますから、その意味で各県と相談をしながら必要量確保したいということで現在作業をいたしておる最中でございます。
  139. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 もし仮に五年連続ことしも不作になった場合、これは当然食用米そのものに不足を生ずるわけであります。先ほどの計画で四十五万積み増しするというふうに言っているのですけれども、もしも食用米に不足を生じた場合に、当然これはこの資料によりましても調整はするというふうにはなっているのですよ。  お聞きしたい点は、他用途利用米が政府米として転用されることもあり得る、大臣ちょっとこの前そんなことを言いましたね。そう言いましたね。あり得る、当然だと思います。食用米に転用する場合、これは当然政府米として転用するわけでありますので、追加払い、こういうことがあるということをはっきりしながら、追加払いというのをつくってもらう前に補償すべきではないか、こう思います。その点。
  140. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほどからるる御答弁いたしておりますように、水田利用再編第三期対策におきまして、各年四十五万トンの計画的な在庫積み増しということも行っておりますので、これがいわば不足の場合のバッファーということになります。また、先ほども御答弁いたしましたように、新米が大量に集荷されるという状態もございまして、主食用の米に不足を来すことはないという前提で物を考えております。したがいまして、他用途利用米の政府買い入れを行うということを想定しておりませんので、さようなことは今のところ考えていないということを申し上げる次第でございます。
  141. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今のところは考えておらない、計画どおり行われるということでしょう。それはそうだと思うのです。もしもと私が仮定しておるわけですが、大臣だって言っておるのですよ、食用米が、政府米が足りない場合には、当然何の米でもいい、食べる米であれば。どだいこの他用途利用米は、品種を在来米というふうに言っているわけであります。我々が主張するような外国稲、超多収米ではならぬ。在来稲である。在来稲であるというゆえんのものは、大臣がいみじくも——正直に言えば大臣と同じようなことを発想するのですよ。大臣は正直ですからね。政府米が足りなかったらやはりそっちの方を食べるのが当たり前じゃないか、素直な発想なんですよ。ですから、私はそのことを聞いているわけです。  仮にあなた方の計画どおりいかなくて政府米が不足している場合には、他用途利用米を御利用なさるでしょう。それは絶対ないと言う。私は仮にと言っているのです、不足した場合にはどうですか。
  142. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まず、在来の主食用の品種を使っておるじゃないかということのお尋ねでございますが、当面はいわゆる超多収穫品種というものが生産される見込みが立っておりませんので、この他用途米につきましては加工原材料用に限定をいたしておりますけれども、在来の主食用の品種をもって充てておるということだけでございまして、これをもちまして別に主食用に転用することを前提として考えたわけではございません。先ほどから申しておりますように、私どもとしましては、この五十九米穀年度につきましてはいろいろな状況考えてみましてもこれを乗り切っていけるというふうに考えておりますので、他用途米につきましてこれを主食用に充てていくということは現段階でこれを想定しておらないということでございまして、その御答弁でわかっていただきたいと思います。
  143. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 皆さん方の一応のただ計画というふうにして承っておきますが、今後そういう事態になった場合に、さらにこの問題については皆さんを追及したい、こういうふうに思っておるわけであります。  もう一つ、他用途利用米は二段米価の導入じゃないかということを、専ら農業団体並びに農家の皆さん方も我々も危惧をしておるわけであります。私は、二段米価じゃなくて四段米価じゃないか、こういうふうに思っているのですよ、実際は。考えてみますと、トン当たり七万円の助成金を加えましても六十キロ当たり一万飛び飛び八十円にしかなりません。現在、五十八年米価が六十キロ一万八千二百六十六円。五五%にしかなりません。こういうふうな低い米価を決めて、そうして同じ圃場から同じ米なんですよ。これには、出すのは三等米で結構ですと、こんなふうに書いておるのですが、同じ圃場の同じ米なんですよ。それがたった五五%の値段、政府のねらいというものは、自主流通米、政府米、余剰米、その上に他用途利用米のこの一万飛び飛び八十円、まさに四段米価じゃありませんか。これは、ことしの米に導入しながら、一つの側面として米価を抑制するという意図があるのじゃないか、私はそう思っておるのです。これは二段米価じゃないというその根拠を示していただきたい。
  144. 松浦昭

    ○松浦政府委員 他用途利用米は、その政府の趣旨は先ほど農蚕園芸局長が御答弁いたしましたけれども、やはり主食用より低い供給価格であれば一定の加工用のお米の需要があることを想定いたしまして、これで国内産で加工原材料用のお米も賄おうということで導入をしたものでございまして、その価格水準が主食用のそれと違うというのは、おのずから当然のことというふうに考えられるわけでございます。  ただ、その場合に私どもとしましてはトン七万円の助成をいたしたわけでございますけれども、一般的に申しまして他用途利用米につきましては新たな農業機械等の投資を必要としないということは先生もよくおわかりのとおりでございます。あるいは他作物に転換をする場合に比べまして、栽培技術等の面で農家導入しやすいというような利点もございまして、この助成をもって手取り価格は一応確保できるという前提でお願いをしたということでございます。  したがいまして、この他用途利用米はこのような性格から生産者と実需者との間における自主的な契約によりまして生産、流通が行われる、また、価格も自主的に決定されるということになっており、それに政府の助成が加わる、こういう仕組みでございます。したがいまして、ただいま二段米価、二重米価ということもおっしゃられたわけでございますが、これは他用途利用米についての価格形成の仕方でございまして、一方、主食用の政府買い入れ価格につきましては、これは食管法のきちんとした規定がございます。この規定によりまして適正に定めていくということになりますので、他用途利用米の価格と主食用の政府買い入れ価格との間には関連はないということで私ども理解をし、今後の米価の算定にも当たっていくというふうに考えておる次第でございます。
  145. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 それは言い逃れです。これは政府で決めた価格じゃありませんから、お互いの契約ですからということですが、現実にこれは言い逃れなんですよ。問題は、そういう低い米を皆さん方が集めようとしておるわけであります。一体集まりますか。
  146. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほども御答弁ございましたように、一応私どもは転作等目標面積の一割ということをめどにいたしまして各都道府県にこの他用途利用米をお願いをいたしておりまして、現在市町村段階におり、その中でも例えば青刈りの地帯、こういうところに傾斜をさせながらやったり、あるいは一律にやったり、いろいろな御工夫を凝らしていただきながらこの導入に当たっていただいておるわけでございます。目下生産者の段階でいろいろと御議論をし、協議をいただいておるというふうに承っておるところでございますが、当初考えておりましたよりは割合円滑にこの問題は導入が図られておるんではないかというように考えておりまして、実は一部の県でございますが、もっと他用途利用米をふやしてほしいというような県もあることは事実でございます。
  147. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この問題は、もう少し推移を見ながら、続けてこれは議論をしていきたいと思います。  時間がありませんので端的にお答え願いたいと思うのです。  売り渡し量の配分の問題ですが、保管と検査、これにつきまして市町村や集荷団体が委任されておるわけです。  第一に、集荷単位がキログラムで示されているわけです。これは包装単位ですね。三十キロとか六十キロ、一体どういうふうにしてこれを調整しますか。  二番目、個々の生産者は裸で出荷できるかどうか。つまり、はい私の方は十三キロです、私の方は七十三キロですと裸で出荷できるか。  三番目、政府売り渡しは自主流通米と並列出荷であります。自主流通米、政府米と一緒にというふうにこれで言っているわけですよ。並列検査、検査も並列なんですよ。実際問題として検査、集荷、これは不可能に近いというふうに言っているわけですよ、現場では。農協でも食糧事務所でも。今の少ない人員、今の農協の現状で、集荷も検査も保管も一体どうしてやるのか。  この三つの点の疑問について端的にお答え願いたい、もう一つ残っていますから。
  148. 松浦昭

    ○松浦政府委員 恐らく第一の御質問は端量検査、端量出荷の問題だと思います。この点につきましては、従来から、主食用の米につきましても端量も確実に集荷をするという建前から端量の出荷を認めておりますので、それと全く同様の方法でやってまいりたいというふうに思っております。ただ、ばら検査のような場合には、例えば先生お尋ねの十三キロといったような場合にも、これは当然やれるようにいたしたいというふうに思っております。  それから第二点に並行出荷の問題でございますが、これはそこにも書いてございますように、並行出荷をしようというふうに考えております。並行出荷、両方とも一緒に出荷をするということでございます。これは特にもう一つの大きな問題がございますのは、横流れの防止ということをやはり考えておかなければいけませんので、この観点からぜひ並行出荷をいたしたいというふうに考えております。  それから第三点の、このような他用途利用米もともに検査をするのは大変ではないかということでございますが、この量全体は二十七万トンでございます。ですから、我が方の全検査の体制の中で、転作目標面積の一割を出荷してくる、そういうような数量でございますので、もちろん検査手続その他を合理化しながらこの体制を整えていかなければならぬということは事実でございますが、私としては検査が不可能であるというふうには考えておりません。
  149. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 最後になりましたが、貯蔵しておりました五十三年産米、超古米です。これを長官が、この前の二十八日の記者会見の際、米不足はありませんと言われたその中で、政府米が足りなければ五十三年超古米もいわば配給に乗せます、そのほかに五十八年産米も重点的に出します、こう言っているのですよ。  この五十三年超古米は五回薫蒸しているわけです。その薫蒸剤は臭化メチル剤、酸化エチレン混合剤、そして燐化アルミニウム剤。これは極めて危険じゃないか。いわゆる毒性が残留をするというふうにいろいろな論文に書いてあるわけです。「技術と人間」、辻万千子さんの論文その他の論文があります。長官は、国民の食糧が足りないという場合には、もうことしの現実の問題ですよ、五十三年超古米を食わせる、本当に責任を持ちますか。
  150. 松浦昭

    ○松浦政府委員 五十三年産米につきましては、決してこれは強制的に売るつもりはございません。需要に応じまして御希望によって売っていく、特に業務用米を中心にいたしまして売っていくつもりでございます。  その場合に、ただいま先生の安全性について問題がないかという御指摘の点でございますが、お米の保管管理につきましては、日常から倉庫内の通風、換気あるいは環境整備等を行ってまいりまして米の品質の保持を図ってまいるわけでございます。あるいは病虫害等の発生も防止しているわけでございますけれども、特に病虫害の発生を防止しがたいという場合に、薬剤をガス状で作用させるいわゆる薫蒸という方法をとっていることは事実でございます。今、大体五回とおっしゃられましたけれども、年一回の薫蒸ということでございます。そういうことでやってまいっておりまして、その場合の薫蒸剤についてでございますが、当然使用方法はきちんと守っておりまして、薫蒸実施後、その都度十分な換気を行う、すっかり中の空気を入れかえるということもやっておりますし、ガスの除去は徹底してやっております。また、使用している薫蒸剤についてはいずれも非常に揮発性の高いものでございまして、つまり沸点が非常に低いものでございますから、これについては速やかにガスは除去されまして残留はないというふうに考えております。したがいまして、米の安全性につきましては問題はないものと考えまして、先ほど申しましたように、これを希望によって売り払うということを考えておるわけでございます。ただいま申されましたように三つの薫蒸剤を使っておりますけれども、これはいずれも農薬取締法に基づいて厳重な検査を受けたそういう農薬でございまして、いわゆる登録農薬でございます。その使用方法も守っておりますので、安全性に問題はないというふうに考えている次第であります。
  151. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 終わります。
  152. 阿部文男

    阿部委員長 吉浦忠治君。
  153. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、農林水産大臣所信表明に対する質疑を行いますが、全般的に質問をさせていただきまして、各分野にわたっては同僚の議員から専門的に質問を申し上げたいと思うわけでございます。  まず最初に、農林水産大臣基本姿勢について伺いたいのでございますが、山村大臣は、選挙区は異なりますけれども、同じ千葉県の選出でございまして、先輩議員として常に尊敬をいたしたものでございますが、今回大臣の就任に際しまして御同慶の至りでございます。おめでとうございます。  大臣は、長く議運関係で活躍をされておりまして、遠くは、まだ私は国会に議席をいただいておりませんでしたけれども、あの「よど」号のハイジャック事件では身がわり新治郎としてその名を全国にとどろかせた方でございましたが、事農林水産関係については、失礼でございますけれども、長い議員の活動の中で一番経験が乏しいのではないかというふうに思うわけでございます。大臣は佐原の米穀商のお生まれでございますから農林水産関係には関係がございますけれども、昨年末の組閣に当たりまして呼び込みのときに、私の聞き間違いかどうかわかりませんが、おれは農林水産は知らないんだとか素人だとか、何か謙虚でございましょうけれども、巷間こういうふうに伝わっているわけでございます。優秀な官僚がきら星のごとく後ろに控えていらっしゃいますが、官僚の作文をそのまま棒読みになさることはまさか男山新にはなかろうというふうに思うわけでございまして、経験の薄さをどうカバーなさって、岐路に立つ我が国の農林水産行政を今後どのように指導されていくおつもりなのか、まずこの点からお伺いをいたしたいと思います。
  154. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいま先生から、大臣就任に際しまして素人ということを言ったそうだがというお話でございますが、まさにそのとおりでございまして、素人で、一生懸命勉強してまいりますということのごあいさつを申し上げました。  ただ、私、代々米屋でございまして、特にこの食糧管理制度ができましてから米の商売はできなくなったわけでございますが、私が大臣になっちゃったものですから、実は私が社長をしておったのですが、山村株式会社で米の集荷業をやっておりましたが、女房にかわりまして、今女房が社長ということでやっております。  今先生おっしゃいましたように、優秀な官僚がきら星のごとくということでございますが、これらの皆さんの御意見、いい知恵をどんどん出していただきまして、そしてそれをどのように使っていくか、それは私の責任でやってまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても、日本農林水産業を取り巻く内外の情勢はまことに厳しいものがございまして、外からは市場開放要求が大きくなされておりますし、また、内にありましては行財政改革ということで、効率的な農林水産業の運営ということを強く望まれております。  私は、これらの観点に立って、今先生がおっしゃいました優秀な官僚の知恵もうんとかりまして、そして日本農業が今後とも着実に発展していくように、ひとつ一生懸命やってまいりたい、これが基本姿勢でございます。
  155. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 優秀な官僚の知恵ばかりをかりないで、国民の知恵もひとつおかりいただいて、この大臣の期間中に、山村大臣はこれをやられたというふうな実績を残せるような活躍をひとつしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。  一月一日の日本農業新聞を見ますと、新聞社が昨年末、全国農業大学校の在校生を対象に行った調査だと思いますけれども、その意向調査をされた結果が出ておりました。これによりますと、農業はやりがいのある仕事だというふうに、積極的な農業観を持つ者がかなり多くいらっしゃる。そこで、二十一世紀農業に意欲がうかがわれるようでありますけれども、大臣は現下の農業を取り巻く情勢が厳しい、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありまして、このような若い人々の期待にこたえられる、いわゆる「二十一世紀へ向けて夢のある明るい農林水産業農山漁村の実現を図る」必要があるというふうに思うわけでございます。この基盤となるところの豊かな村づくり、これを進めたいと所信で述べられております。その考え方自体は私もうなずけますけれども、この問題を具体的にどのように進めていかれようとなさるのか、これについて当面どのような施策をお持ちなのかをまずお伺いをいたしたい。
  156. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 今先生から豊かな村づくりの具体的な施策はどうするかということですが、予算面におきまして現行の農振計画計画事項を追加し、従来の線引きを中心とした計画から、農業農村整備を図る上でより総合的な計画に進展させてまいります。新たに新農村地域定住促進対策事業都市農村の交流の促進を進めてまいります。またさらに、農業基盤整備事業農業構造改善事業、新地域農業生産総合振興対策事業等、従来から掲上されている農村地域振興に連なる各般施策の効率的な実施に努めてまいります。また、構造政策推進による農業体質強化と活力ある農村地域社会の形成を一体的に推進する観点に立って村づくりを進めるため、当面必要と考えられる計画事項の追加、また各地域社会から提起されている課題に対応する手法整備するため、今国会に提出する考えで農振法及び土地改良法の改正の準備を進めております。  詳細につきましては政府委員の方から。
  157. 森実孝郎

    森実政府委員 村づくりという問題は、一言で申しますと、いわば地域社会の農民の皆さんの住民運動としての盛り上がりという面と市町村長さんの誘導という、二つの側面があるだろうと思っております。また同時に、農林水産省だけではなくて、雇用の問題、企業誘致の問題とか生活条件整備の問題等について各省の協力を受けていかなければならないと思っております。  そういう意味で、やはり段階的に問題を進める必要があるというふうに認識しておりまして、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、当面必要な予算措置を講ずると同時に、土地改良法と農振法の改正を準備中でございまして、今国会に提案させていただきたいと思っております。  その内容は、県及び市町村計画事項に、農用地地域農業集団の活動等を媒介としました効率的な利用改善なり利用促進という問題、それから地元地域社会における安定就業機会確保という問題、さらに生活環境施設整備といった問題を加えまして、市町村長さんたちが住民の要望を受けとめて行動できるための目標なり基準を決めていきたい。さらに、現実に、先ほど大臣からも申し上げましたように、それぞれの地域社会村づくりのためにいろいろな要望が出ております。そういった点を受けとめまして、一つは、最近の集落社会の機能の低下と申しますか、部落機能の低下、そういった点にも考慮を置きまして、地権者の話し合いを通じて農業施設とかあるいは農村生活に結びついた基幹的な施設の建設や管理や配置を考えるという問題について、地権者相互の協定を結ぶ制度の問題。それからもう一つは、やはり一部山間部地帯で共通の課題になっております里山の開発利用農用地開発を促進するための林地の交換分合の制度の問題。それからもう一つは、生活環境施設用地の確保ということをできるだけ安上がりに、しかも共通の話し合いを通じて進めるために、これについての交換分合や共同減歩制度の導入という問題。さらに、前々から問題になっております低平地、大都市や中都市の周辺におきます地域排水路として活用されております農業用排水路管理や補修を強化するための所要の法制の手直し、例えば知事さんの裁定制度の導入、そういった問題を含めたいわば計画事項等、当面具体的に要望の出ております手法整備するための法律改正ということを考えておりまして、改めて審議をお願いしたいと思っておるわけでございます。
  158. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また、最近では一村一品運動的な動きが各地域地域に見られておりますけれども、農林水産省はこれをどういうふうに評価されておられますのか、これに対してどういうふうな助成考えておられますか。時間があればこの点も二、三問お尋ねをいたしたいわけでございますけれども、まずこの点からお答えをいただきたい。
  159. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 最近、大分県を初めといたしまして一村一品運動の動きが広まっておりますが、これも村づくりの一環でございまして、基本的にはただいま大臣あるいは構造改善局長が御説明したようなことだと思いますが、若干具体的に申し上げますと、一村一品という場合に、農林水産物、一次産品の場合と、二次産品といいますか、加工品の場合があると思います。一次産品の場合ですと、従来いわゆる産地化、主産地形成の助成ということで、構造改善事業を初め各種事業に対する助成が行われているわけでございますけれども、加工品の場合でございますと、これにつきましては、私どもの局で所管しているわけでございますが、これ自体の評価といたしましては、これは当然のことでございますけれども、農林水産物の高付加価値化を図るということで、地域農林水産業振興にも資するものでございますし、また、地域での雇用とか所得の機会確保増大を図る、こういう意味があると思うわけであります。  そこで、具体的な助成でございますが、私ども五十八年度から地域農水産物利用高度化事業というものを進めております。これにはハード、ソフトの二種類ございますが、詳しいことは省略いたしますけれども、これに基づいて地域農林水産物の高度化といいますか、あるいは食品産業振興ということを進めております。各県、取り組みが大変熱心でございまして、私ども、各県ともあるいは市町村とも一緒になってこのいわゆる一村一品、特に加工産業振興に力を入れたい、かように存じております。
  160. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣は、所信表明の中で「国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針」だというふうに言っておりますが、国内で生産を伸ばす主要な作物として、今までも論議してまいりました麦、大豆、飼料作物等が考えられますが、その具体的な方策というものをどういうふうにお持ちなのか、お答えをいただきたい。
  161. 小島和義

    小島(和)政府委員 自給率向上の眼目とされております作物は麦、大豆などでございまして、大変輸入の依存率の高い作目が挙げられておるわけでございます。  麦、大豆について申しますと、近年生産が非常にふえてまいりまして、麦で申しますと、かつて四十万トンぐらいまで落ち込みましたものが最近では百万トンを超えているという状況になっておりますし、また大豆につきましても、一時十万トン台まで落ちましたものが昨今では二十万トン台ということで、自給率も若干改善されておるわけでございます。この生産がどういうところで行われているかと申しますと、かつて麦、大豆、それぞれ畑作物というふうに考えておりましたが、今日ではいずれもその三分の二ぐらいは田んぼで生産をされるに至っております。したがって、最近進めております水田利用再編対策と無関係な問題ではないわけでございまして、この対策におきましても特定作物という扱いをいたしておりますほか、価格安定対策、各種の生産対策を通じましてこれらの作物育成に努めておるわけでございます。  今後の生産対策のポイントといたしましては、麦は大部分の機械が稲作と共用できる、またスケールメリットの非常に大きい作目でございます。その意味で、規模のメリットの追求ということが生産対策一つの眼目であるというふうに考えております。現に北海道に行われております麦作につきましては、平均的な反当の労働投下時間が二十六時間ぐらいでございますが、北海道の場合には三時間ぐらいで上がっている、こういう麦作が現にできておるわけでございます。また、麦は日本では数少ない冬作物でございますから、西南地方になりますと、裏作物として作付けまして、表は表で別な作物利用する、こういうことが可能なわけでございますので、それを通じまして土地利用度向上、ひいては土地の全収益の向上ということが可能になるわけでございまして、その辺が今後の生産対策一つのねらい目であるというふうに考えております。  それから大豆でございますけれども、これは麦ほど完全に機械化ができるわけではございませんので、そこが一つの問題でございますが、近年着実に単収は向上いたしておりまして、向上していると言っても水準は甚だ低いのでございますが、五十七年産以降では、全国平均百五十キロ台を記録いたしておるわけでございます。  ただ、これは一つの例でございますが、転作大豆を中心に栽培いたしております富山県におきましては、過去三年連続して十アール当たり二百キロをオーバーしておる、こういう成績も上げてきておるわけでございまして、今後、栽培技術の向上によりまして単収の大幅アップが期待できる作物であるというふうに考えております。中でも、適当な時期に防除をするということが必須の要件でございまして、その辺が今後の大豆作の振興の決め手ではないかというふうに考えております。  また、先ほど申し上げましたように機械化の一貫体系ということも大変おくれておりますものですから、その意味で機械化作業体系の整備ということもあわせて努力をしてまいりたい、かように考えております。
  162. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 飼料作物でございますが、御指摘のように、国内の大家畜生産のコストを下げていきますためには、購入飼料の依存度を下げまして極力自給飼料の利用率を上げることが必要でございます。したがいまして、私どもが現在飼料の作付をいたしております面積として百五万ヘクタールぐらいございますが、これを長期的に拡大するような計画を持っておりまして、量的には年間草地造成一万ヘクタールぐらいのものでございますけれども、着実に今後も拡大をしていきたいと思っております。  具体的な振興施策といたしましては、草地改良等の公共事業を着実に実行いたしますほかに、五十九年度から新たに草地改良、特に団体営の草地改良につきましては、事業費の高騰を抑えるために一定の調整係数を掛けまして農民負担が上がらないようにするというような方式とか、あるいは草地の更新のための助成事業とか、こういうものもやっておりますし、それから、既耕地における飼料作物の効率的利用のために無利息の資金を設けておりまして、これによって草地のいわば収穫管理のための施設農家の人に容易に入るようにするといったようなことも新たに考えているわけでございます。  そのほか、御承知のように優良種子を導入しますための事業とか、あるいは林野等農業利用をしていないようなところに採草、放牧できるような形をするための新しい事業、そういう畜産農家が集団となりまして未利用地を利用するような事業考えておりますので、こういう事業を着実に進めることによりまして、自給飼料の供給量を増大して畜産経営を安定したいと思っております。
  163. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 なるべく簡潔に、概括的にお尋ねを申し上げておりますので、お願いをしたいと思います。  続いて、バイオテクノロジー等の先端技術についてお尋ねをいたしますが、最近国民の関心が大変高まっておりまして、大臣も「官・産・学の連携強化による総合的な開発を強力に推進」するというふうに言っておるわけでありまして、その取り組みについての基本的な考え方伺いたいわけであります。  また、現在特に重点を置いて進めておられる対策はどういうものがあるかをお尋ねいたしたい。  この二点。
  164. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先生おっしゃいますように、このバイオテクノロジー、これは農林水産業、それから食品産業、これらにおける生産性の飛躍的な向上、また新しい生産行程の開発など、その将来の発展にとって極めて重要な役割を果たすものと考えております。このために、昭和五十九年度から官・産・学の連帯強化による総合的なバイオテクノロジー、先端技術の開発を積極的に推進することといたしまして、バイオテクノロジー室の設置などの推進体制整備、国による先行的、基盤的な研究の強化、民間の研究活力の積極的な活用作物遺伝資源・育種情報総合的管理利用システムの確立、これらを図っていくということにしております。
  165. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また、そのような先端技術の一例として、千葉県の、これは畜産試験場だったと思いますが、私見せてもらいましたけれども、牛の受精卵移植等があるわけでございまして、その実用化等は促進すべきものというふうに私は思いますが、この点についてどのようにお考えなのか。
  166. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 受精卵移植技術につきましては、御承知のように今までの家畜改良が優秀な雄を使って改良してきたわけでございますが、受精卵移植技術が実用化されましたことによって、優秀な雌牛の遺伝形質、気質を持った小牛をたくさんつくれるということでございますので、五十年ごろから始めておりましたが、いよいよ実用化の段階ということで、昨年家畜改良増殖法を改正していただきまして、この受精卵移植技術を一般化し、普及するということにいたしております。  現在、五十七年度で申しますと約二百頭ばかりの牛がこの受精卵移植技術によって既に供給されているわけでございますが、技術水準をさらに上げますことによって、現在は大体三回実施しまして一回くらいが成功するというような確率でございますが、私どもの種畜牧場等の技術によりますと、二分の一くらい、要するに二回に一回くらいは成功するくらいまで技術水準は上がってきております。したがって、種畜牧場等で各県の関係者の方なりあるいは団体の方なりにこの技術を教えまして、この技術がさらに一層敷衍化するよう、予算的にもいろいろと措置をとっておるところでございます。
  167. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 米の問題についてお伺いをいたしますが、米は我が国食生活上における最も基幹的な食糧でありますし、また、稲作水田農業中心とする我が国農業生産上極めて重要な地位を占めているわけであります。このため、需給に見合った計画的な、かつ安定的な米生産を行うことが重要でありますが、ここ数年間は連続して不作に見舞われる等の不安定なものとなっているわけであります。こうした状況にかんがみまして、農林水産省は新しくたくましい稲づくりというふうなものを進めておられるようでありますけれども、そのねらいは何であるか。  また、これまで水田利用再編対策を進めて米生産の力を抜いてきたのにもかかわりませず、ここで急に稲づくりを進めるというふうなものは矛盾があるのではないかというふうに私は思うわけです。そういう矛盾の点をわかるようにひとつ説明をしてもらいたいし、農家の側でも混乱を起こすのではないかというふうに考えるわけであります。その辺をどのように理解したらいいのか、この点をお伺いをいたしたい。
  168. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先生御存じのように、米は構造的に過剰基調にございます。水田利用再編対策をやはり着実に推進する必要がありますが、同時にまた、米は国民主要食糧ということでもあり、需要量に見合った安定的な生産を行うこと、これが基本でございます。しかしながら、四年連続の不作ということもあり、需給計画どおりの生産確保されていない状況にございます。この主な原因は天候不良、これが大きいものでございますけれども、また、一部では栽培管理の不徹底等により被害が助長された面がございます。これも否定することはできないと思います。  このような状況を踏まえ、農家、指導者等の稲作改善に関する機運の醸成と基本技術の励行等を通じる作柄の安定を主眼として、不良条件を克服し得るたくましい稲づくりを目指して新稲作運動を官民一体となって全国的に展開することとなった次第でございます。水田農家が通常水田転作作物の両方を栽培しているわけでございますが、稲作の安定と転作定着が両々相まって経営の安定が図れるわけでありますから、両対策は矛盾するものではないというぐあいに考えております。  今後は、この新稲作運動を軸に村々に稲作改善の機運を盛り上げ、基本技術の一層の励行等を通じて、作柄の安定向上に一層努めてまいりたいと思っております。
  169. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 このたくましい稲づくりの推進とあわせまして、地力の問題に触れておきたいわけであります。  近年、土壌管理の粗放化や化学肥料の依存に起因いたしまして作土の浅層化、土壌有機物等の減少等が見られまして、地力の低下が懸念されているわけでありますけれども、農林水産省では、このような事態に対処して農業生産力の長期的な安定と増進を図るために全国的に健康な土づくり、これを推進する、こういうふうに大臣所信表明では述べられております。具体的な施策をどのように進められるのか、この点をお伺いいたしたい。
  170. 小島和義

    小島(和)政府委員 土壌は農業生産基本でございまして、地球の人口は地球上わずか十五センチの作土で生命を支えられている、こういうことをおっしゃる方もいるわけでございまして、日本のように非常に国土の狭いところで高い農業生産を維持していくため、あるいは農業経営を安定させるためには、土壌問題というのは必要最大な問題でございます。  先ほど大臣から申し上げましたように、新稲作運動を展開しているわけでございまして、稲作に関する限りは土づくり運動も当然その一環をなすわけでございますが、稲作以外の作物もあるわけでございますので、別個に柱を立てまして土づくり運動というものを進めておるわけでございます。  御指摘ございましたように、我が国はもともと不良土壌地帯が多いのでございますが、加えて作土の浅層化とか有機物不足、こういった事態が非常に顕著になっておりまして、そのことが化学肥料の多用ということにつながり、さらにはそれがまた土壌の悪化につながるという悪循環が出てきているところもあるわけでございます。  従来、こういった問題を解決するためにいろいろな対策をやってきているわけでございますが、今後、この五十九年度以降の対策の進め方といたしましては、私ども三つに分けて考えたらいいんではないかというふうに考えております。  一つは、土壌の問題はつまるところ個々の農家の問題になるわけでございまして、国や県がすべてお手伝いするということはできない問題でございますから、個々の農家の啓蒙普及と申しますか、そういう意味での土づくり運動というものがどうしても必要であるということがまず第一点でございます。  それから第二は、個々の農家が対応すると申しましても、かつてのように自前で堆肥をつくってそれを増投するということがなかなかできにくいような社会条件が生まれてきているわけでございますから、その地域として対応し得るような対策、例えば有機物の供給センターをつくりますとか、あるいは地域一つの実験的な地区をつくって一つ改善手法をつくり出すとか、あるいは畜産と結合いたしました一種の地域複合生産体制とか、そういったことについて国が予算面からお手伝いをしていくということが第二点の対策であろうと思います。  それから第三の問題といたしまして、これまで国や県が中心となってやってまいりましたさまざまな技術サービスがあるわけでございます。例えば、地力調査でありますとかあるいは土壌診断といったことで、国や県がその持っております技術を活用いたしまして農家の行います土づくり運動に対していろいろ技術面からアドバイスをしていく、こういう行政サービスがあるわけでございます。それらはこれまで主として予算措置によってやってまいったわけでございますが、ここまで参りますと、そういった国や県の行政サービスにつきまして一つの制度的な裏打ちを考えたらいいのではないかと思いまして、今次国会に地力増進法という、仮称の段階でございますが、一つの法制を確立いたしたいということで法案をお出しいたしたいと思っております。  今申し上げました運動と、それから予算措置と法制措置と、一種の三つ重ね弁当のようなものでございますが、そういった対策を組み合わせてこの土づくり対策を進めていきたいというのが私どものねらいでございます。
  171. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、法制度の改正を今検討中のようでございますけれども、改正のポイントというのは今の点でよろしゅうございますか。これは現段階でどのようなお考えなのかどうか、簡潔で結構ですから……。
  172. 小島和義

    小島(和)政府委員 これはまだ内閣法制局その他関係各省折衝中の問題でございますので、明確にはちょっと申し上げかねるのでございますが、地力の増進に関する指針を国が策定をする。それから、農地の土壌に関する調査あるいは土壌診断といった地力の増進のために都道府県が行うべき技術サービスの骨組みをつくる。それから第三には、最近地力の不足を補うためにいろいろな土壌改良資材が出回ってきております。その中には、その内容並びにその使い道ということについて問題がある資材も出てきておりますので、これを農家によくわからせるための必要な表示をさせていくといったことが、ただいま考えております法案の内容でございます。
  173. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に、時間もございませんものですから、林野庁の長官お見えでございますからお尋ねをいたしたいのですが、最近の木材価格の低迷、経営諸経費等の増高等によりまして、林業生産活動が著しく停滞をしておるわけでありまして、まことに憂慮すべき状態であると言わざるを得ないと思うわけであります。  そこで、林業地域活性化を図り、長期的な視点から林業を活力ある産業として育成することが何といっても急務であろうというふうに考えるわけでありますけれども、この点、所信表明にもございましたが、「木材産業について、競争力を強化するための体制整備を進める」、こういうふうに言っておられますけれども、これについて五十九年度予算で何か具体的な対策をお立てなのかどうか、この点をまずお聞かせをいただきたい。
  174. 秋山智英

    ○秋山政府委員 林業をめぐる情勢につきましては、先生御承知の大変厳しい情勢がございます。そこで、まず活性化を図るためには、地域の人たちの就業機会を増大しまして所得を向上させることが何としてもポイントでございますので、そういう面から、私どもは、林業だけでなく、農業と複合して経営をするとか、あるいは地場の資源を有効活用するとか、さらには森林組合が担い手でございますので、森林組合の活動を強化するというふうな意味を内容に持ちました林業地域活性化総合対策事業というのを五十九年度から実施したいと考えております。  これと、これまでやっております新林業構造改善事業とあわせまして、ぜひともこの活性化を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  175. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今度の農林水産委員会は林野国会とも言われておりますので、この点は詳しくまたその法案のときに審議をいたしたいと思います。  次に、水産庁長官にお尋ねを一点だけいたしたい。  水産関係についてでございますが、水産物は動物性たんぱく質供給の半分近くを占めておりますし、しかも、栄養面ですぐれているにもかかわりませず、需要が伸び悩んでいるわけであります。水産物は国産の比率が高いことでもあり、流通、加工、消費に一段と力を注ぐことが重要であるというふうに考えるわけであります。農林水産大臣は、水産物の流通、加工、消費について、その対策の充実を図るというふうに言っておるわけでありますけれども、この具体的な内容についてお伺いをいたしたい。
  176. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 消費、流通改善等の必要性は御指摘のとおりでございますが、その前に、最近の水産物の需給状況をちょっと御報告申し上げたいと思います。  昨年一年間を見てみますと、かなり漁獲量がふえております。その関係で価格の関係が一、二割下がっているというのが現在の需給状況でございまして、そういうこともこれあり、最近の我が国の漁業経営というのはなかなか容易ならざるものがあるわけであります。そういった需給状況を踏まえまして、御指摘のように水産物の消費拡大とか流通、加工の合理化というものを進めていくということの重要性は、もちろん基本的に全く大事なことであるわけでありますが、一方、最近の水産物の需要を見ますと、価格が下がってもなかなか需要が伸びないという面も見受けられるわけであります。ただ、明るい面といたしましては、水産物の持っております健康的にいいという点の認識というものが、だんだん消費者の間にも広まってきたような感じもいたすわけでございます。  そういったことを踏まえまして、明年度におきましては、まず魚食のよさというもの、健康上いいという点を具体的に啓発をしようということで、水産物の栄養特性とかあるいは簡便な料理方法等を魚別に解説をいたしました冊子をかなり大量につくりまして、これを広く頒布をしたいということ。あるいは鮮魚の小売商も最近魚の需要が大変伸び悩んでおるということを同じように憂えておるものでございますから、魚の小売商などが中心になりまして、お魚セミナーというような形で、魚あるいはその料理法につきましての一般の消費者の理解を深めるといった行事もやってみたいと思っております。  また一方、水産物の家庭内消費あるいは畜産物と比べてみますと、畜産物は、家庭内消費のほかに家庭外における消費というものもかなりあるわけでありますが、いわゆる外食におきます水産物の利用というものがなかなか進まない。これは扱いにくいというようなことも現実としてあるわけでありまして、水産物をもっと使ってもらうための供給対策整備、家庭外消費における水産物の需要の拡大というようなことも試みにやってみたいと思っておるわけであります。  さらに、水産物の肉だけではなくて、頭、骨、内臓等につきましても、その栄養特性を生かした加工利用技術の開発というようなことも新規に試みてみたいと思っておるわけであります。  そういった消費拡大施策のほかに、従来行っております水産物の商品特性に即しました流通の合理化、産地の市場の整備とか、あるいは加工拠点地域の加工施設整備等につきましても、従来どおりその予算措置の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでありまして、今申しましたように、幾つかの新規事業を含めながら、水産物の消費あるいは流通改善等につきましてまた一段と努力をしてみたいというふうに考えておるわけであります。
  177. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。
  178. 阿部文男

    阿部委員長 水谷弘君。
  179. 水谷弘

    ○水谷委員 私は、本委員会で初めて発言をさせていただくことになりました栃木二区の水谷弘であります。諸先輩の委員の各位におかれましては、どうぞ今後ともよろしく御指導をお願い申し上げます。  私の先輩の吉浦委員から、大臣の所信に対する総括的な御質問がございました。私は、主に個別的な問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。  その前に、我が国農業は、自給率の低下や、また農用地面積の縮小、さらにまた農業後継者の減少など、また、今最も大きな問題になっております農畜産物の輸入枠拡大等に見られますように、高度経済成長を続けるときはもちろんでありましたが、低成長へ移行した以降もなお後退に次ぐ後退、縮小に次ぐ縮小を続けておるわけであります。確かに農家経営は、高度成長以前に比べ農外収入が増大し、豊かになってきている一面も認めますが、これも昨今の経済低迷等によって非常に厳しい対応を迫られてきております。とりわけ不安定な兼業農家などにあっては、農畜産物が相対的過剰基調にある中にあって、再びその打開策を農業収入へ求めようとするなど、現場の農村においては、実に涙ぐましい努力を続けておられるわけであります。このような状況下にあって、米国などは法外な市場開放要求を迫ってきておりますが、私はこれに強く反対するものであります。しかし、このことについては重複を避ける意味からきょうはあえて質問はいたしませんが、ひとつ大臣農水省は、我が国農業を守り、国民食糧の安定確保を図る上からも、毅然たる態度をもって交渉に臨んでいただくよう強く要望しておきます。  そこでまずお尋ねしたいのは、政府は後退に次ぐ後退を続ける我が国農政にどこで歯どめをかけ、再建の手がかりをどこに求めようとしておられるのか、それをお伺いしたいと思います。  また、私ども現場を回っておりますと、我が国農政は場当たり農政であるとの批判が依然として強いわけでありますが、このような農政批判を政府はどのように受けとめられているか。  この二点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  180. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 水谷先生にお答えいたします。  先ほども吉浦先生にお答えいたしましたが、我が国農業を取り巻く内外の情勢はまことに厳しいものがございます。諸外国からの市場開放要求、また内にありましては行財政改革の推進ということで、効率のよい農業の実行ということもございます。この厳しい状況下にありますが、御指摘農業の後退ということ、これは絶対避けなければなりません。その健全な発展を図ってまいりたい。この発展の方法として、食糧自給率につきましては、畜産物消費の増大によって飼料作物需要が増加しますので、穀物全体の自給率がある程度低下することは避けられない、この一面がございます。しかし一方で、飼料作物の自給体制強化や、麦、大豆等の生産増加を図ってまいりたいと考えております。  また、農地の壊廃につきましては、土地の多面的利用という観点からやむを得ない面もありますが、農振法の適切な運用や、第三次土地改良長期計画に基づく農用地造成の推進等により、優良農地を極力確保するよう努めてまいる所存でございます。  さらに、高度成長期において農業労働力の流出が続きましたが、これを契機として規模の拡大を通じ、農業体質強化を図ってまいりたいという考えでもございます。  また、農業後継者の育成にも努めてまいる所存でございます。  そしてまた、今先生おっしゃいました、一貫性がないということでございましたが、農産物の生産は短期的には気象と自然条件に左右されるという問題がございますが、需給事情に応じた弾力的な対応が必要であります。特に、米の生産調整につきましては、予期せざる要因による不作に対応した在庫積み増しの必要性や需給ギャップの拡大に応じて目標数量の修正を図ってきておるところでございます。しかしながら、長期的には食生活変化動向等を踏まえ、長期的な見通しに沿って安定的な生産確保されるよう努めてまいっておるところでございます。  また、農政の方向といたしましては、長期の展望を踏まえ、農政審議会から出された「八〇年代の農政の基本方向」に沿って、優良農地確保整備を図りつつ、需要動向に応じた生産の再編成と生産性向上を進めることとし、一貫して農業体質強化に努めているところでございます。
  181. 水谷弘

    ○水谷委員 大臣の真剣な御決心を承りまして、今後ともより一層御努力をお願いしたいと思います。  私の地元は栃木県でございまして、御存じのとおり、いわゆる転作等の目標面積においては絶対数で北海道に次ぐ第二位の県でございます。そこで、私は、当面の最大課題となります第三期対策や、また米の需給問題など、米穀政策について以下いろいろとお伺いしたいと思います。  現在の第二次減反政策は昭和五十三年からの十カ年という期限設定のもとにスタートし、最終の昭和六十二年まで余すところ四年しかありません。そのスタートに当たって農水省は十カ年で転作定着させ、また、米の需給均衡をも図るという方針で臨んだと思いますが、今でもその基本方針には変わりはないのか、伺います。
  182. 小島和義

    小島(和)政府委員 水田利用再編対策基本的な考え方といたしましては、今御指摘ございましたように、米の需給均衡を図るということと、それから転作物を中心にしまして水田利用の再編成を図る、こういうことが目標でございます。  過去六年間におきまして米の毎年三百万トンにも及ぶ過剰が発生するということを防止いたしまして、不作という事情も重なりまして少し予定よりは米の生産が少なかったという問題が新たに出ておりますけれども、過剰発生を防止するという限りにおいては一応の目標を達成しておるわけでございます。  また、この転作をきっかけといたしまして、従来の水田稲作経営の中において麦、大豆を初めといたしまして野菜その他の高収益作物、こういったものの導入が図られまして新しい農業経営が育ってきておるということも事実でございます。  さはさりながら、我が国農業基本的な体質といたしましては、水田におけるかんがい農業と申しますかを特徴といたしておりますものですから、ただいまの水田再編の奨励金によってこの転作が支えられておるということもまた事実でございます。したがいまして、この十年間で転作の完全定着が図れるか、こういう御質問であるといたしますと、まだ相当な時間がかかるのではないか、かようにお答え申し上げたいと存じます。
  183. 水谷弘

    ○水谷委員 ことしから三カ年計画で三期対策が始まります。農家は、三期対策についてもそうですが、第二臨調などが転作奨励金からの早期脱却を求めているだけに、ある意味では三期対策はよく見通しがきくところでありますが、ポスト三期対策は一体どうなるのかということについて一層強い関心を持っております。農家は場当たり的な対応をするわけにはいきません。  そこで、まずポスト三期対策についてせめて基本的な考え方を示し、農家に対して長期的な展望を明確にしてやるべきだと考えますが、この点はいかがですか。
  184. 小島和義

    小島(和)政府委員 五十九年度から第三期対策がスタートいたすわけでございまして、率直に申し上げて第三期の後どうなるかという問題につきましてはまだ検討の段階に入っておらぬわけでございます。今の段階で申し上げられることは、三期終了の時点におきまして三期中のこの対策実施状況、それによる転作定着化状況、さらには米の需給動向やら他用途利用米の今後のあり方、そういったことを総合的に勘案いたしまして三期以後の対策は検討いたしたいと思っておるわけでございます。  そういうわけで、今具体的に展望を明らかにし得ないのでございますが、需給の方の展望ということに相なりますと、御承知のように六十五年を見越しました長期見通しがあるわけでございます。それによりますと、昭和六十五年度におきましては、生産調整を要する面積といたしまして七十六万ヘクタールを見込んでおる、こういうことがまずあるわけでございます。もちろんこれとても、今後のいろいろな需給事情等を考えて具体的に数字が固まってくるわけでございますから、六十五年になったら必ず七十六万ヘクタールの生産調整になる、こういうことを断言するつもりはないわけでございまして、そういったことを踏まえながら今後の対策考えていく、こういう段階であるということを申し上げておきたいと存じます。
  185. 水谷弘

    ○水谷委員 ただいまの答弁では、十年、二十年先の問題に対してその予測が立たないというような答弁でございますが、農業は一年二年のサイクルでその経営が成り立つわけでないことはよく御存じのとおりであります。そのような産業でありますゆえに、農家の皆さんは数々の困難を乗り越えて今日まで取り組んでこられているわけであります。私は、質問というよりもお願いをしておきますが、今申し上げた、せめて基本的な考え方を示していくべきであるとお願いを申し上げておきます。  時間が限られておりますので、次へ進みます。米の需給をめぐって若干お尋ねをいたします。  農水省は、二月の二十五日までに、都道府県と食糧事務所に対し、三月から六月までの政府が米を卸売業者に売り渡す量を昨年実績より五%減らす旨を通知したようでありますが、この五%削減をした理由は何か、お伺いいたします。
  186. 松浦昭

    ○松浦政府委員 私ども、決して五%削減ということを申しておるわけでございませんので、その点も含みながら御答弁を申し上げたいと思います。  先ほど細谷委員の御質問に対しまして大臣がお答えになりましたように、五十九米穀年度におきましては、その供給総量は五十八年産米一千三十七万トン、このほかに前年産の持ち越し十万トン、さらに五十三年産米も引き続き需要がございますので、この売却の見込みも入れまして、これが約十万トンから十五万トン程度あると思っております。このようなことから、需要を一千五十万トン、前々から申し上げているとおりでございますので、この需給実態から考えますると、米の需給に問題はないというのが私どもの基本的な考え方でございます。  ただ、この場合におきまして、先生御指摘の問題は実は政府管理米の操作にあるわけでございます。この政府管理米につきましても、全体といたしましては国民の必要とする米穀の数量は確保されて、特に問題はないと考えておりますが、私どもとしては、やはりゆとりのある需給の操作ではございませんので、その意味ではきめの細かな操作をしていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。この点につきましては、ひところに比べまして政府米の在庫水準も低下している現状で、全期間かつ全国むらなく安定供給を行っていく、つまり、地域的にもあるいは時期的にも米が偏在するといったようなことがないようにしていくということが非常に重要でございまして、また一方で、本当の需要に見合った形で米の売却を行っていくということが必要になってきているというふうに考えるわけでございます。  このようなことから、私どもは、一年間の米穀年度を三つの期間に分けまして売却の予定数量というものを決めていくわけでございますが、この予定数量の第二・三半期、これが三—六月でございます。これを実は供給計画という形で昨日公表いたしたわけでございまして、何も私ども二十五日に通知をいたしたわけではございません。昨日公表をいたしました。  この売却予定量でございますが、これは一千五十万トンの需要量を前提にいたしまして、年間供給予定総量、これを六百六十万トンと置きまして、その際に第二・三半期をどのように供給していったらいいかということを考えたわけでございますが、その場合に、新米穀年度に入りましてからこれまで供給実績を見てまいりますると、二月の消費者米価の値上げといったようなこともございまして、やや在庫が流通段階にあるのじゃないかということが考えられます。これを調整していく必要があるわけでございます。それからまた、この三—六月期そのものの真の需要量というものも十分にはかってまいらなければいかぬ。こうしてまいりますると、一番重要な時期でございます七—十月のいわゆる端境期、これに政府米がかなりの手持ちを持ちまして対応できるという状況をつくっていくということでございます。そこで三—六月の予定の数量を二百二十四万トンというぐあいで公表いたしたわけでございますが、これが前年の実績に対しまして約五%ほど低かったために、カットしたんじゃないかといったようなことの記事が出たということでございます。  しかし、これはあくまでも供給予定量でございまして、消費者が購入する数量をカットするというような気持ちは私どもないわけでございまして、もちろんこのようなきめの細かな需給操作ということの中におきましては、やはりこの売却操作を適切に行っていくという必要はございますけれども、お米屋さんの店頭に米がなくなるといったようなことは絶対いたさないつもりでございます。国民にいささかの不安もないように適切な需給操作をしていきたい、その一環として三—六月の予定売却数量をこのような形で設定したということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  187. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、五十八米穀年度において当初予定どおり十万トンを昭和五十九米穀年度へ持ち越したとのことでありますけれども、これは食糧庁が計画段階で公表した数量ぎりぎりのところで抑えた、特に昨年の場合は十月以前に新米の売り渡し量を多くするなどして無理なつじつま合わせをやったのではないか、こんなふうに考えられてならないわけであります。  ところで、参考のために聞いておきたいのでありますけれども、米穀年度が改まらない十月以前に食糧庁が売り渡した米の数量、これは新米の早食い、俗にこのように言われておりますが、古米の持ち越し量とこの新米の早食いの数量、これは昭和五十三年秋以降どのような推移をたどっているか、各年ごとに教えていただきたいと思います。
  188. 松浦昭

    ○松浦政府委員 五十三年以降ということで申し上げたいと思いますが、米穀年度ごとに申し上げます。  五十三年が持ち越し量が五百七十二万トン、五十四年六百五十万トン、五十五年六百六十六万トン、五十六年四百三十九万トン、五十七年二百六十八万トン、五十八年九十万トン。うち、前年産米でございますが、五十三年三百七十八万トン、五十四年二百十六万トン、五十五年百七十八万トン、五十六年九十一万トン、五十七年四十万トン、五十八年十万トンでございます。  それから新米の供給数量でございますが、五十三年が約三十五万トン、五十四年が約三十五万トン、五十五年が四十万トン、五十六年四十五万トン、五十七年五十万トン、五十八年六十五万トン、これはいずれも政府、自主流通米両方合わせての新米の供給量であります。
  189. 水谷弘

    ○水谷委員 いずれにしても、いまのいわゆる俗に言う新米の早食いが五十三年三十五万トンから五十八年六十五万トンと数量がふえてきております。これについては、米の消費量も伸びているかもしれないといったこと、また、ことしの端境期にも米が不足したときは早場米を早食いすればいいといっても、早場米の作況が悪かったらどうするかといったことなどからして、食糧庁の皆さん方も、ことしの端境期のことは内心ではいろいろと御心配をされているのではないか。先ほどから長官の御答弁では、断じて心配ないと言われる。心配あっては困るわけでありますけれども、内心はそのように心配しておられるのではないかと思います。そこで、私はここで、ことしの場合はせめて、この四年にわたって異常気象が続いているわけでありますので、早場米をできるだけ多くおつくりいただく、また、たとえ気象条件がおかしくなってもその影響を最小限に食いとめられるような措置を講ずるなどして、何らかの早場米対策を講じておく必要があると考えますが、これについてはどうですか。
  190. 松浦昭

    ○松浦政府委員 端境期におきましては、先ほど申し上げましたようにおおむね毎年五十万トン、去年はちょっと多くなりまして六十五万トンといういわゆる早食いをいたしたわけでございますが、もとより需給の操作に十分気をつけまして端境期を越し、新米の供給を待つという状況にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  ただいまお尋ねの早場米の確保対策ということをどうするかということでございますが、これは、先ほどから御答弁申し上げておりますように、水田利用の第三期対策におきまして、適正な在庫水準確保するということから、各年四十五万トンという計画的な在庫積み増しをしていくということを考えておるわけでございまして、このために、転作の目標面積も本来七十万ヘクタールのところを六十万ヘクタールということで抑えて実は設定しているということでございます。もとよりこの四十五万トンの中には早場地帯も含めてございますので、このようにゆとりを持った需給計画のもとで生産が行われるということと、先ほどから申しております適切な売却操作、需給操作ということによりまして十分に対処できるというふうに考えている次第であります。
  191. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、先ほど吉浦議員からも触れられましたが、本年から新しい稲づくり、新稲作運動を始める。このことにつきまして、一方では大規模な減反を強いて生産意欲を喪失させておきながら、片方では生産性を高めるための運動を展開するなどという論理は承服できない、現場の農家の皆さんの立場からすればそういうお声が返ってくるのはよくわかるわけであります。私は、そういう農家の皆さんのお声を聞きながら、米の不足におびえてここで新稲作運動を展開する農水省の、責任ある立場でございますからそのような気持ちもわからないわけではありませんが、そのこと以上に、減反面積を減らす方がより一層効果を発揮すると考えるわけであります。今日まで積み上げられてきた一つの議論から新しい方向への議論になってしまうかもしれませんが、その意味から、農水省は第三期対策における減反規模を再検討すべきであると考えますけれども、これはいかがですか。
  192. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先生の御質問は、新稲作運動などより減反面積を緩和する方がいいじゃないか、第三期対策の減反規模を見直す気持ちはないかということでございますが、先生御存じのように、今の米は、これはもういわゆる需要をはるかに上回るものがあるわけでございます。四年連続不作とは言いますけれども、これに対応して今度五十九年の稲作運動ということを提唱したわけですが、今度の第三期対策につきまして、目標面積は、最近における米の需要事情、適正な在庫水準確保必要性等を考慮いたしまして、毎年約四十五万トンの在庫積み増し、これを図ることといたしまして、目標面積を六十万ヘクタールということにしたわけでございますが、水田利用再編対策につきましては、この第三期の米需給計画に即してその着実かつ的確な推進を図ることは、これはまず必要であると考えます。  この新稲作運動は米の増産を目的とするというものではございませんで、このような水田利用再編対策への着実な推進のもとにあって、需要に見合う米を的確に安定的に確保するということを目標にしておるものでございまして、何とかその趣旨を御了解願いたいと思います。
  193. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、第三期対策の中で特に注目を集めておりますいわゆる他用途利用米について御質問いたします。  本年から他用途利用米導入されることになったわけでありますが、私が現場の農家を訪問をしていろいろお話をしている際に、この点が農家の皆さんに御理解をいただいていない。現状においてでありますが、大まかな見当でありますが、二割ほどぐらいしかこのことについてはっきりとした理解が得られていない。この時期に来てこのようなことでは非常に困るわけであります。政府も、他用途利用米の実用化ということについて混乱を来さないように、また、農家に余計な心配をかけないように早急に御理解と御協力をいただくべきである、このように考えますが、今後どう対応されますか。
  194. 松浦昭

    ○松浦政府委員 他用途利用米生産につきましては、既に大部分の県におきまして県段階から市町村段階におりまして、生産集荷予定面積あるいは数量というものをお示ししておるわけでございますが、現在の段階では、各生産者ごとの具体的な生産集荷予定面積あるいは数量というものの協議調整が進められているところでございまして、確かに先生おっしゃられますように、場所によってはまだ十分でないところがあるかもしれません。しかしながら、現在その段階で協議が行われているというふうに御理解をいただきたいと思います。  私どもといたしましては、全般の情勢を見てみますると、まだ不十分なところもありますけれども、全般的には、やはりかなりこの他用途米の御理解が深まっているというふうに考えておる次第でございます。ただ、先生も御指摘のとおりの地帯もあるかもしれませんので、なお生産者あるいは生産者団体、さらに公共団体一体となりまして、私どもも指導いたしまして趣旨の徹底を図ってまいる所存でございます。
  195. 水谷弘

    ○水谷委員 ぜひそれはお願いをしたいと思います。  今回、政府買い上げ米との差が非常に大きくついたわけであります。これまでも政府買い上げ米と自主流通米で価格差がつけられてきました。今回は他用途利用米にさらに大きな価格差がついている。  ちなみに、私の地元の場合では、三類の米を他用途利用米に回した場合は、一俵当たり従来一万六千円程度で出荷していたものをおよそ一万円程度の手取りという価格になるわけであります。このことは、稲作農家にとっては同じ米でありながら大きな格差をつけられると、大変戸惑いを感じているわけでありますので、どうか一日も早くそれらをしっかりと皆様に周知徹底されるように、いわばこれは周知徹底などという高飛車な態度ではなく、誠意を持って御理解と御協力をいただく形でなければならぬと思うわけであります。  また、本来、食管法は一物一価という原則で始まったものと私は思いますが、この原則が変質を迫られていることに、農家の皆さん方は今回の問題でも大きく不安を感じている人もおられるわけであります。この点を農林水産省はどう考えておられるか、お伺いをいたしたい。
  196. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 他用途利用米は、生産者と実需者との間に自主的な契約に基づいて生産、流通が行われ、自主的に価格が決定されるものでございます。また、その導入に当たりましては、生産、流通の円滑化を図るため所要の政府助成を行うことといたしております。  一方、主食用の政府買い入れ価格につきましては、従来どおり食管法の規定に従って適正に定めることとなっておりますので、他用途利用米導入により生産者に不安を与えることはないと考えております。  なお、他用途利用米の必要性や生産、流通の仕組みについては、現在行政と生産団体が一体となって、先生今おっしゃいました生産者の御理解と御協力を得るよう取り組んでおるところでございます。よろしくひとつお願いをしたいと思います。
  197. 水谷弘

    ○水谷委員 生産者と実需者との間で価格が決定される、形態はそのようでありますが、私は決して実態はそうではないと考えるわけであります。減反面積を割り当て、そしてその一割を他用途利用米にという、そこまで一つの、非常にこれはペナルティーを科するほどの減反面積というものを片方で用意しておきながら、いわゆるこの価格の問題においてはその両者で決定をしていくという。ですから、将来他用途利用米の価格の問題について不安を持つようなことはないということでありますが、生産農家、現実の農家の感じておられることは全くそれに反する実態であります。このことだけはやはり明確におわかりになっていた方がよろしいかと思います。  この他用途利用米の価格は、トン当たり約十二万という形になってきます。従来の加工原料向けの米の売り渡し価格は、結局は生産者と実需者の間で決定をする形をとりながら、現状を追認する価格で決定が出てくる。そこで、この後予測されるのは、アルコール米とかえさ米といった加工原料向けの米以外に他用途利用米導入する際の布石として利用されるのではないかといったうがった見方をする、実はうがった見方というよりも、逆に言えば素朴な心配もお持ちになっているわけであります。すなわち、えさ米を導入する場合でも、トン当たり四万円程度だといった価格を現状追認することになったのでは農家経営は成り立たないわけであります。この点について政府はどう考えておられるか、お伺いをしたい。
  198. 松浦昭

    ○松浦政府委員 他用途米の導入につきましては、この目的は水田という非常に大切な農地を有効に将来とも活用していこうという気持ちと、それからまた、従来まで過剰米をもって充てておりました加工原料用の米につきましても国内で生産をして輸入をしないようにしようという考えのもとにこれを導入したいと考えたことは、先生よく御存じのとおりでございます。しかし、その場合にやはり過剰米につきましては生産者と実需者との間の自主的な取り決めという形の中で価格を形成していくということを考えてまいっておるわけでございまして、さような意味では、その価格について主食用のそれと違ってくるということは、これはやむを得ないというふうに思うわけでございます。  ただ、この他用途米につきましても、先ほどから大臣も御答弁なさっておられますように、政府の助成、トン当たり七万円というものを助成をいたしましたこともございまして、この場合にはお米でございますので一般的に新たな農業機械等の投資を行わなくて済むといったことや、あるいは他作物に転換をする場合に比べて栽培技術等も新たに導入する必要がないといったようなことで、このような助成のもとにおいて生産可能な手取りの確保はできるのではないかということでお願いを申しているということが前提でございます。  そこで、先ほど御懸念のございましたアルコールあるいは飼料用の米の生産について、このようなことであらかじめ追認の前例をつくっていくのじゃないかという御指摘でございましたけれども、この点につきましては、やはりアルコール米あるいは飼料用米の生産につきまして、その販売価格が加工原材料用の米よりもさらに低くなるという事実は、これは認めざるを得ないと思います。したがいまして、これを直ちに今この形で導入していくということは非常に難しい問題があるというふうに考えますので、今後、将来の問題といたしまして超多収品種の研究開発あるいは稲作の大幅なコストダウンということを考え、中長期的な展望に立ちながらこの問題に取り組んでいくということが必要ではないかというふうに思っている次第であります。
  199. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、小規模山間地農業対策についてお伺いをしたいと思います。  構造政策、政府は口を開けば構造政策と言っておられます。私もこの構造政策の必要性は最も重視をするものであります。しかし、私の地元に限らず、全国的にも山間地や山の斜面を開田したような田を抱え、一生懸命営農に励んでおられる農家が多数おられます。このような地域は平場と異なり、基盤整備の対象となり得ず、したがってとかく政府の構造政策の対象となり得ないことから、国の農政の対象外に置かれがちであります。しかし、こうした地域農業の存在は、たとえそれが小規模であっても、地域政策や国土保全を図る見地から見て非常に重要な役割を果たしていると考えますが、農林水産大臣はこのような小規模山間地農業といったものを農政の中にどのように位置づけ、またどのような政策を準備しておられるか、伺いたいのであります。
  200. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 御指摘のような地域については、まず地域農業集団の話し合いを通じ、限界地や低利用地の有効利用、裏作の導入、里山の開発等により生産規模の拡大を図ることといたしております。  また、各地において零細な農地を十分に活用し、地域の特性を生かした作物づくりや、これを原料とした農産加工を進めることについても指導してまいりたいと存じます。  このほか、構造改善事業等の総合助成施策活用して、小規模の圃場整備、農道、かんがい排水等の基盤整備を重点的に実施すると同時に、公共事業、非公共事業を通じて、設計基準については、例えば一区画三十アールといった一律の基準で行うものではなく、弾力的に運用することといたしております。  さらに、新農村地域定住促進対策事業等を通じて、農産加工、観光等、地域資源を生かした安定就業機会の創出、確保に努めてまいります。  以上の施策により、御指摘のような条件に恵まれない地域振興改善に努めてまいりたいと存じます。
  201. 水谷弘

    ○水谷委員 時間の制限がありますのでこの問題はこれで終わりますが、今回の五九豪雪で、日本海側のみならず全国的に大規模で長期的な異常豪雪に見舞われたわけであります。この豪雪による現地の皆様方の御苦労は、私も調査団と行ってきまして、本当に言葉ではあらわせないような御苦労をなさっておるところであります。雪害もかなりの規模に及んでいるわけでありますが、この現状をどのように掌握しておられるか、お伺いしたいと思います。  さらに、雪害対策については、関係者の皆様の御苦労を思うと早急な措置をとるべきだと思いますが、今後の救済措置に対する方針を聞かせていただきたいと思います。
  202. 角道謙一

    角道政府委員 お答え申し上げます。  この冬の豪雪によります農林水産業関係の被害状況は、現在、関係機関を通じ調査を行っておりますが、最終的にはやはり融雪が終わりませんと把握できないという状況でございますが、これまでのところ、都道府県からの報告がございました被害総額は三百六十四億でございます。主として地域は九州方面、中四国が多うございます。  この主な内訳は、ビニールハウス等の営農施設が二百二十二億円、野菜、果樹等の農作物が百二十四億円、林業が十八億円でございます。  対策といたしましては、農林水産省におきましては本省及び関係農政局に豪雪災害の対策をとるための連絡会議をまず設置したわけでございまして、また現地にも担当官を派遣し、被害状況の把握に努めたところでございます。  特に園芸用の施設の被害が多いために、鋼管、ビニールフィルムその他の施設につきましての修復資材が非常に足りないということもございましたので、これにつきましては円滑な供給を確保するために関係団体に協力を要請したところでございますし、また、園芸用施設なり果樹園の雪害防止対策につきましても通達を出しまして、営農指導をとったところでございます。  特に園芸施設につきまして被害が非常に多うございましたので、これにつきましては公庫等の制度資金につきまして融資のあっせん等を行ったところでございます。また、園芸施設につきましては、共済関係では共済金の早期支払いということを行っております。  以上が大体今とりましたところの対策でございます。
  203. 水谷弘

    ○水谷委員 以上で終わります。
  204. 阿部文男

    阿部委員長 神田厚君。
  205. 神田厚

    ○神田委員 大臣所信表明に対しまして御質問を申し上げます。  まず最初に、農政の転換期ともいうべき大変大事な時期に山村大臣御就任でありますが、御案内のように、日本農業がまことに内外ともに厳しい環境の中で現在農政が推進をされているわけでありますが、新大臣といたしまして、こういう厳しい状況の中で御就任をなさった御感想をひとつお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  206. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいま先生おっしゃいましたように、農林水産大臣を拝命いたしましたときに、この内外ともに重大な時期に日本農林水産業が立たされておるということを考えまして、本当に身の引き締まるものを感じました。今後も、この農林水産業を二十一世紀へ向かって着実に発展させていく、これを念頭に置いてひとつやってまいりたいと思います。
  207. 神田厚

    ○神田委員 それでは、以下、大臣所信表明に対しまして、問題点につきまして御質問をさせていただきたい、このように考えております。  最初に、構造政策問題でございます。  八〇年代の農政につきまして、政府は、農政審議会や臨調の答申等に基づき構造政策路線を一層強力に展開をする、こう常々表明をしておりまして、臨調等も構造政策に対する金の問題につきましてはこれを出すことを惜しまないという方針も持っているようでありますが、まず第一番目には、農政審の答申で、今後農地の流動化施策を積極的に推進をするように、昭和六十五年には七十万戸程度中核農家が所有する農地面積の全農地面積に対する割合を六割程度に引き上げるということを目標といたしまして、中核農家農地を集積するという政策をとっているわけであります。現在、五十七年度実績で、農用地利用増進法による利用権設定等の問題にかんがみまして、昭和五十七年実績では約八・八万ヘクタールと、農政審が予定した数字とほぼ同じ数字になっておりますが、流動化の中身が必ずしも大規模農家が集積をするという状況にはなってないというような様子でもあります。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕  したがいまして、大規模農家農地がどうして集積をしないのか。全体の農地の集積、流動化は進んでいるけれども、その中身が意図したような形で行われていないという問題につきまして、どういうふうな原因があるのか。その辺につきましての考え方あるいはその実績の面につきましての御報告、あわせてお伺いをしたいと思うのであります。
  208. 森実孝郎

    森実政府委員 農用地の流動化を考える場合、全体の流動化量がどのくらいあるだろうかということと、まさに神田先生御指摘のように、どういう人に集積していくかという二つの側面があるだろうと思います。  私、率直に申し上げまして、量的な意味での流動化のテンポも、それからあるいは中核農家への集中度というものも、やはり段階を追って進んでいるのが今日の状況だろうと思います。確かに、出し手は圧倒的に一ヘクタール未満の階層であることは事実でございます。逆に受け手は圧倒的に一ヘクタール以上の階層に集中しておりますが、必ずしも三ヘクタールなら三ヘクタール以上の階層ばかりに集中しているわけじゃなくて、二町層前後の方もかなり入っているという実態があるわけでございます。  この理由というのはいろいろ考えられますが、広範に農地が移動しますのは、まず一つ水田稲作経営でございますが、稲作経営の場合は、低平地におきましては、特に東北、北陸等においては作業受委託段階にあるものがかなりございまして、現に東北、北陸を中心に約六万六千ヘクタールの全面作業受委託があるわけでございます。これが次の段階においてどういうふうに利用権設定まで伸びていくかという問題が一つあるだろうと思います。  それからもう一つは、具体的にそれぞれの地域土地の借り受けを受けるインパクトになっておりますのは、やはり連作障害とか地力低下から土地を借りるということが畑作経営ではかなり大きなウエートを持っております。この種の営農につきましては全般的に中核農家でもそう大きな規模を必要としないということが第二の理由だろうと思います。  それから三番目は、西日本で最近かなりふえてきておりますいわゆる酪農経営や肉牛経営の利用権設定でございますが、これにつきましては実は資料上もまだ不明確な点がありまして、さらに詰めていかなければなりませんけれども、共同利用の形で借り受けるとか、あるいは段階的に借り受け面積をふやしていくというケースが多いものですから、そういう意味で、大きな理由は大体その三つだろうと思いますが、御指摘のように大規模農家、特に三町以上の階層に集中するという形に利用権設定は出てきていないということは事実だと思います。これをどう考えるかが、まさに御指摘のようにこれから農用地の流動化政策の中心課題であろうと私どもも思います。  実は昨年地域農業集団育成ということを強く打ち出しましたのは、個々の経営の拡大、個々の土地の貸し借り、土地の貸し借りは分解していけば最後はそうなるわけでございますが、そういう形で地域ぐるみの問題にならないし、また、全国の問題にならないところにこの問題があるだろう、なかなか進まない理由があるだろう。そういう意味で、全国的に地域農業集団育成を進めて、地域社会全体としての話し合いで、中核農家段階的に規模拡大を進めるための話し合いを慫慂していくという施策をとりますと同時に、その場合におきましては必ずしも利用権設定にだけ直接結びつけないで、作業の受委託とかあるいは機械の共同利用という形で、実質的に中核農家が大きな経営支配を持てるような形をつくっていくという道を開いたのもそういうわけでございます。  また、さらに今後の課題といたしましては、やはり何と申しましても地域ぐるみで土地利用調整を進め、中核農家段階的に進めていくためにはどうしても村づくりの問題にどう取り組むかが大きな課題という観念を持っておりまして、構造改善施策を強力に推進する意味からも、先ほど大臣も申し上げましたように、村づくり問題に組織的に取り組むためのまず端緒をつかんでまいりたいと思っているわけでございます。
  209. 神田厚

    ○神田委員 構造政策を図る一環といたしまして農村計画制度を提唱してその実現を図っていくということで、今国会に農振法及び土地改良法の改正案を提出をするというように聞いております。その内容を明らかにしていただきますと同時に、こうした措置農地の流動化や中核農家育成という構造政策推進にどういうふうに寄与するのかという問題につきまして御見解を伺いたいと思います。
  210. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 お答えいたします。  構造改善推進による農業体質強化を図ることは、現下農政の緊急の課題でございます。また、これとあわせて活力ある農村地域社会の形成を一体的に推進していかなければなりません。このために、現行農振計画村づくりを進めるために当面必要と考えられる計画事項を追加するとともに、農村において生じている課題にこたえるための手法、すなわち農業施設等の維持管理機能の充実等を図るための集落段階における協定方式の活用、里山等の地域資源活用生活環境施設用地を確保するための手法の充実、低平地において地域排水路として利用されている農業用排水路管理や補修を改善するための知事裁定制の導入等を内容とする農振法及び土地改良法の改正の準備を進めておるところでございます。  詳細につきましては政府委員より御説明申し上げます。
  211. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘の法律改正と構造政策との関係という問題でございますが、まず基本的には、現在農地の流動化を進めていく場合において、出し手の安定就業機会確保するという問題が非常に大きな課題になることは御案内のとおりでございます。そういう意味において、地域ぐるみで市町村長さんが中心になって安定就業機会への取り組み、つまり安定通勤兼業農家をつくっていくということが出し手確保という点でやはり大きな問題だろう。  それからもう一つは、土地の集団的利用調整にならなければやはり中核農家段階的な規模拡大も進まないし、地域全体の問題にもならない。そういう意味においては、コミュニティー活動の強化なり生活条件整備という問題に取り組んでいくことがどうしても農村社会として必要である。  三番目は、やはり今日の中心課題土地利用型農業の問題になるわけでございますが、混住化の進展等から生じております土地や水利用のスプロール化、そういった問題を考えますと、土地利用型農業に不可欠な圃場の団地としての確保とかあるいは整備された用排水路の良好な管理等が、やはり構造政策を進める上で土地改良事業実施と並んで前提になる、そういう意味で、私どもは重要な関係を持っていると思います。  また、段取りの問題としても、経験的に申しますと、やはり市町村長さんたちが現実にいろいろな手法利用されながら村づくりに取り組んでいる、就労問題に取り組み、生活問題に取り組んでおられるところで、同時に構造政策を、土地利用調整を進めておられる優良事例がたくさんございまして、私どもはその経験的事実も重視して、市町村長さんたちのイニシアチブのもとで住民の盛り上がりを育てながら土地の集団利用調整を進めるためには、そういった側面が経験的にも重要ではないだろうかと見ているわけでございます。
  212. 神田厚

    ○神田委員 構造政策は、これから日本農業基盤強化という面では非常に大事であります。そういう中で、構造政策を今後非常に積極的に進めていくということは大変いいことでありますが、ただ一つ問題なのは、土地改良の問題一つとりましても、進捗度が非常に遅いというような問題がありまして、その遅い中で時代の方がどんどん変わってきている、農業環境が変わってきている、生産基盤の環境が変わってきているというようなことがありますから、やはり計画に沿った形できちんとそれが実行できるような行政の方の努力はまた相当していかなければならないということでありますので、あえてそのこともお願いをしておきたいというふうに思っております。  続きまして、第三期対策につきまして御質問を申し上げます。  三期対策は、特色は、一つは他用途利用米制度の導入であります。もう一点は在庫積み増し導入であり、さらに奨励金体系の改正の三点、これがこの三期対策の柱でありますが、現在の情勢を見ておりますと非常に問題があるようであります。  まず、他用途利用米制度につきまして御質問を申し上げたいと思うのでありますが、この他用途利用米制度が転作の世界に導入をされましたのは、水田機能の維持活用を図るという観点からでありますが、まず問題になりますのは、五万六千ヘクタールの面積、二十七万トンを生産するということでありますが、これをどういうふうに生産に結びつけていくのか、だれがどういう指導をして、そしてどういうふうな形でこれを生産をしていくのかという問題があります。果たしてこの五万六千ヘクタールの面積、二十七万トンを収穫をするという、そういう当初の計画が現場に混乱がなく進めることができるのかどうか、この辺につきまして、この指導の問題についてお伺いしたいと思います。
  213. 小島和義

    小島(和)政府委員 まず、今回他用途利用米導入に当たりまして、稲作がどういうふうに変わるのかという観点から申し上げたいのでありますが、五十八年の転作実施面積は、合計いたしますと約六十四万ヘクタールございます。今回転作等目標面積を六十万ヘクタールに定め、そのうち約一割弱の五万六千ヘクタール程度は他用途米ということになりますと、約五十四万ヘクタール強の転作で足りる、こういうことになるわけでございまして、五十八年の転作実績と五十九年の狭い意味転作と比較いたしますと、十万ヘクタール程度面積減ということになるわけでございます。稲作の方で申し上げれば、逆に作付面積がそれだけふえるということを意味するわけでございます。したがいまして、場所によりましては転作から水田作への復帰を伴うという問題があるわけでございまして、このためには用排水路、畦畔等の補修あるいは圃場の均平化、雑草の防除というふうなことから、水稲の作付、適正な栽培管理ができるような条件をまずつくるという必要があるわけでございます。  それから具体的な稲作の進め方につきましては、先ほど来御議論が出ておりますように、主食用米それから他用途利用米合わせまして計画生産量を確保するという問題がございますので、基本技術の励行等によりまして水稲の作柄の安定向上を図る、こういう問題がまずあるわけでございます。  それから他用途利用米それ自体について申し上げますならば、今日の段階で他用途利用米利用すべき特別な品種があるわけではございませんので、既存の品種の中から選んでいくということになろうかと思います。その場合に、従来の主食用というのは食味その他主食用に適した品種の選定ということにかなり傾斜をかけて考えておるわけでございますが、この他用途利用米ということになりますれば、収穫量、災害に対する抵抗性というふうな視点からすぐれた品種を選ぶ、こういうことになろうかと思います。もちろんそういう特別な品種でなければならないということはないわけでございます。そういうことで、品種をできるだけ他用途利用米向きに選定をしていくということになりますと、個々の農家がそれぞれの圃場で少しずつ生産をするというのは大変ロスの多い、手間のかかることに相なりますので、できますならば一定の広さにまとまった地域で他用途利用米をつくっていくということが望ましいのではなかろうかと存じております。  以上申し上げましたようなことを、農林省は毎年その年々の春夏作の技術指導ということで各都道府県に対して指導いたしておりまして、本年の場合、一月三十一日付で事務次官通達の形で各都道府県に通達をし、そのような方向生産指導に当たっていただきたいということをお願いいたしておるわけでございます。
  214. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、これは行政指導型であくまで指導の方は徹底していく、こういうことですか。
  215. 小島和義

    小島(和)政府委員 この他用途利用米の作付面積は、いわゆる転作等目標面積の内数であるという考えでございますから、すべての農家が必ず一割ずつ他用途米をつくらなければならない、かような意味には考えておりませんで、その場所場所におきますところの、転作を選ぶか、他用途米を選ぶかという選択の余地はあるわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたように、その結果みんながみんな転作の方を選ぶということになりますと、米の需給均衡という観点からだけいきますとあるいはそれでもよろしいのかもしれませんが、現実に他用途利用米を必要とする需要者がおるわけでございますから必要量確保しなければならない、その意味で各都道府県別にその作付期待量と申しますか、めどを示しておるわけでございます。  具体的にそれが県、市町村農家とおりていく段階におきましていろいろな話し合いが行われ、一つの村の中で特定の集落がまとめて引き受けるという場合もございましょうし、あるいは市町村間において面積の調整が行われまして県の中の特定の地域が主として生産を引き受けるという場合もございましょう。また、都道府県単位でなかなか消化し切れないということから県を越えて面積の融通が行われる、こういうことも期待しながら運用をするというのが基本的な考え方でございます。
  216. 神田厚

    ○神田委員 配分の問題にまでわたって御答弁いただきましたが、この他用途利用米の配分消化については、農林省が今回配分したそのやり方は、公平確保という原則から全国一律転作目標面積のおおむね一割という形で配分をしたわけでありますが、こういうことで果たしていいのかどうかということに対する問題も出てきている。さらには、県の間でも完全消化できる県とちょっと難しいと言われているような県があるというように聞いておりますが、全国ベースでこういう問題について、今回これを実施をした後で調整をするような考え方があるのかどうか、この配分消化の問題につきましてひとつお伺いをしたいのであります。
  217. 松浦昭

    ○松浦政府委員 他用途利用米生産、集荷の予定面積でございますけれども、これは先ほども農蚕園芸局長からの御答弁がございましたが、一応これは全都道府県の御協力を得て実施しておりますところの水田利用再編対策の一環ということで導入されているという事実、あるいはその導入の背景となった事情といたしまして、やはりある程度までいわゆる転作の限界感と申しますか、土地条件あるいは営農上の理由からなかなかこれ以上の転作が難しいといったようなこういう困難、これはやはり各県共通のものがあるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、都道府県それぞれの転作等目標面積のおおむね一割ということで、適切かつ公平な配分を行っていくということから今のようないわゆる一律配分という方式を県の段階ではとったわけでございます。  しかしながら、これも御答弁がございましたけれども、町村の段階に参りますると、これは例えば青刈りが非常に多い地帯とかあるいは湿田単作の地帯であるとか、そういう地域によりましてはまとめて引き受けるというところもございます。それからまた、生産者の段階でもそういうことがあり得るということでございますので、この段階におきましては生産者と十分に協議調整をいたしまして、ある程度まで傾斜したような配分をしているところもございます。その地域地域の実情によりまして配分をしていただいておるという関係になっております。  なお、県間の問題でございますが、県間につきましても一方におきまして転作定着性等によりましてある程度まで生産予定面積確保が困難な県というものもございます。一方では当初の予定以上の生産が見込まれる県もございます。先ほどもちょっと御答弁いたしましたが、二、三の県におきましてはもうちょっと他用途利用米導入面積をふやしてくれというところも実はあるわけでございます。かような県の間の調整ということは当然円滑な生産の調整を図る上におきまして重要でございますので、いわゆる県間調整ということもこれからやってまいろうというように考えておる次第でございます。
  218. 神田厚

    ○神田委員 転作面積の決定に当たってはいろいろな要素をとらえて減反面積の割り当てをしたわけでありますが、他用途米の導入というのは、考え方から言えば転作の上にさらにこの他用途米を導入するというふうな、ただ単に一割全部上乗せをして他用途米を導入すればいいという考え方ではないというふうに思うのですね。基本的な問題の上で、この一律消化、一律配分という問題については私は非常に問題が残るというふうに思っておりますから、この一年間果たして二十七万トンの収穫がうまくできるのかどうかを含めまして、やはり一年やってみて問題がありますれば一律配分問題につきましてはひとつ再検討をお願いしたいと思うのですが、いかがでありますか。
  219. 松浦昭

    ○松浦政府委員 もとよりこの他用途利用米の制度はまことに新たに導入された制度でございまして、試行錯誤を続けながらできるだけこれがスムーズに導入されるように今後とも図っていかなければいかぬというように思います。最初の年でございますので、先ほど申しましたような事情もございまして一律配分ということをまずやりまして、そこから市町村あるいは県間の調整といったような手段をとりながら調整をしてまいったわけでございますが、このような実績も重なってまいりますので、今後そのような経験を踏まえまして対応していくということが適当ではないかというふうに思っております。
  220. 神田厚

    ○神田委員 次に、五十九米穀年度におけるお米の供給計画の問題につきまして御質問申し上げます。  これは先ほども同僚議員の方から質問が出ておりましたが、米の供給不安が急速に取り上げられてきております。私も五十九米穀年度における政府米の需給見通しについては、五十八年産米の作況指数九六、転作達成見込み一〇六等から見まして少なくとも五十万程度需給ギャップ、供給減が生じるのではないかというふうに考えておりますが、その点はいかがでありますか。
  221. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほどからお答え申しておりますように、総体の需給の関係を五十九米穀年度について見ますると、前年産米からの持ち越し量が十万トン、これは間違いなくございます。それに加えまして、残念ながら四年連続の不作でございましたが、基本的に五十八年産米が一千三十七万トンあるわけでございます。それに五十三年産米、これも需要がございまして売れている状況でございますので、これが十万トンから約十五万トン、もうちょっといくかもしれませんが、その供給量がございます。一方、需要の方は一千五十万トンでございますので、五十九米穀年度から六十米穀年度へ約十万トンの持ち越しを持ってこの五十九米穀年度は対応できるということで、需給の不安はないというふうに私は考えている次第でございます。
  222. 神田厚

    ○神田委員 三月—六月期におきまして五%米の供給を減らすという方針を出したようでありますが、その理由は何でありますか。
  223. 松浦昭

    ○松浦政府委員 先ほどから御答弁を申し上げておりますように、この問題は全体の需給関係、つまり農家の手持ちあるいは自主流通米、それに政府米全部含めました需給の状態についてただいま申し上げたとおりであるわけでございますが、その中の政府管理米の状態がどうかということがただいま御指摘になった問題であろうというふうに思うわけでございます。  政府管理米につきましても、ただいま御答弁いたしましたように、総体の需給関係につきまして特に不安はないということを申しましたとおりでございまして、全体としては国民の必要とする米穀の数量は確保されまして問題はないというふうに考えておりますが、ただ、やはりゆとりのある需給操作ではないということは事実でございます。これは、五十八年の際も同じでございました。すなわち、政府米の在庫水準が低下しているという状況もございまして、全期間かつ全国むらなく安定供給を行っていくということが必要で、特に期間的あるいは地域的に米が偏在するというようなことがあってはいけないというふうに考えているわけでございます。したがって、真の需要量に見合った形で売却操作をしていくことが必要な段階であるというふうに考えております。  これに関連いたしまして、このような供給操作を行っていきます際に、私どもは、一年間、五十九年度を三つの三半期と申しますか、それに分けまして操作をいたしておるわけでございますが、この第二・三半期でございます三—六月、この売却予定量につきまして、昨日二百二十四万トンということで公表した次第でございますが、これが実はちょうど前年の同期に比べまして約五%程度実績から低い予定数量を売却予定量ということで公表しましたために、あたかもカットをするんじゃないかというふうに受け取られておったわけでございます。しかしながら、私どもこの第二・三半期の売却予定数量を決めました際におきまして考えましたことは、その基本は年間供給予定数量六百六十万トン、これは前々から公表しておるところでございます。今これは変える必要は全くないというふうに考えておるわけでございますが、この数字をもとにいたしまして、新米穀年度に入りましてからこれまでの供給実績、これは消費者米価の値上げ等もございまして若干流通在庫が多目になっているのじゃないかという感じがいたします。この調整が必要であるということ、さらに加えまして、この三—六月の第二・三半期の実態に合った需要というものを的確に把握してこれを売却につなげていくということの必要性、こういったことによりまして、七—十月のいわゆる端境期、ここに政府米を相当持ちました形で売却を行い、需給操作に万全を期していくということから実はこのような供給の予定を発表いたしたということでございます。  しかし、あくまでもこれは五%カットしたということではございませんで、いわゆる消費者が購入する数量を制限するというよりは、むしろこのような的確な在庫操作を行っていくためにやったことでございまして、もちろん米屋の店頭にお米がなくなるといったようなことは私ども絶対にいたすつもりはございませんし、国民にいささかの不安も与えることのないように供給の操作をするために行ったというふうに御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  224. 神田厚

    ○神田委員 ことしの需給のいわゆるつなぎとして、五十三年産米の低温貯蔵ではない常温貯蔵の米が放出をされているということも言われておりますし、さらに、いわゆる飼料用で回しておりましたところの五十三年産米を主食転用という形でふやしていかなければならないということも言われている。非常に米の供給についていろいろ問題が出てきておりますね。  ところで、不安のないような形で、せめてこの主食の供給ぐらいは余り国民の皆さんに不安を持たせないでこれは供給をしていただかなければいけないわけでありますが、数が少ない上に、さらに五十三年米、超古米を放出をしていく。その古米も低温貯蔵ではない常温貯蔵、つまり農薬によりまして何回か薫蒸されている米が放出をされていることでありますが、その実態と、どういうふうな形で薫蒸されて、さらに食品衛生上問題がないのかどうか、その辺の安全性も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  225. 松浦昭

    ○松浦政府委員 今回の需給操作に当たりまして、五十三年産米を主として業務用米、業務用のお米に充てていきたいというふうに考えておるわけでございますが、これは、まず申し上げておきたいことは、決して強制的にこれを売り渡すということではございません。私どもは需要のあるところに、お米屋さんの需要によりましてこれを売っていくというつもりでございます。その際に、五十三年産米でございますので、できるだけ品質のよいものから売っていこうということで、昨年は低温の倉庫で貯蔵いたしたものを売ったわけでございますが、その低温貯蔵のものは五十八年の米穀年度におきまして処理をいたしましたので、ことしは常温のものも売っていこうというふうに考えておるわけでございます。  ただ、その場合の安全性につきましては、私どもこれは問題がないというふうに考えておるわけでございまして、まず米穀の保管管理につきましては、日常から倉庫内の通風換気あるいは環境整備等につきまして意を用いているところでございますし、病害虫の発生の予防が難しい場合に限って薬剤のガス状態での薫蒸という方法をとっているわけでございます。その場合に、現在ございます五十三年産米は毎年一回程度の薫蒸をいたしているわけでございますが、その薫蒸につきましては、当然薫蒸後におきましてその都度十分換気をいたしましてガスの除去をいたしているということでございます。そしてまた、使用している薫蒸剤そのものはいずれも沸点が非常に低いものでございまして、揮発性の非常に高いものでございます。したがいまして、使いました後におきましては、速やかにガスが出、蒸発してしまう、他に出てしまうということでございまして、残留はないものというふうに考えておる次第でございます。  なお、食糧庁で使用している薫蒸剤でございますが、これは農薬取締法に基づきまして厳重な検査を受けて登録されましたいわゆる登録農薬でございまして、先ほど御質問がございましたメチルブロマイド、エキボン、燐化アルミニウムという三種類の登録の農薬を使っておりまして、安全性の問題はないというふうに考えている次第でございます。
  226. 神田厚

    ○神田委員 この農薬、薬剤使用の、いわゆる六年前の米ですか、五十三年産米については残留農薬の試験はしておりますか、安全性の試験は。
  227. 松浦昭

    ○松浦政府委員 これは、先ほど申しましたように、農薬取締法上極めて厳重な検査によりまして、物性から申しましてその残留は考えられないようなものでございます。極めて揮発性の高い、またその取り扱いの方法につきましても、先ほど申しましたように換気をいたしまして、すぐにガスが除去できるようにいたしておるような使用方法をいたしておりますので、特に残留農薬の検査はいたしておりません。
  228. 神田厚

    ○神田委員 私は、やはり国民の不安を除く意味におきまして、農林水産省は、この五十三年産米、飼料用として常温保管したものを主食として、人間が食べるものとして放出をしているわけでありますから、その安全性について、これが安全であるという証明をきちんとすべきである、そういうふうに考えておりますが、いかがですか。
  229. 松浦昭

    ○松浦政府委員 この問題につきましては、ただいま申しましたように、農薬取締法に基づく極めて厳重な検査を受けた農薬でございますので、その使用につきましても確実にその使用方法を守ってやっておりますから問題はないものというふうに考えておりまして、国民に御不安を与えることはないというふうに考えておる次第でございます。
  230. 神田厚

    ○神田委員 私の方といたしましては、やはりある程度きちんとした形で、農林水産省が絶対大丈夫だという保証をしていただいた方がこれは安心をするわけであります。要するに、飼料用として貯蔵されたものを人間に食べさせるということでありますから、それについての一つのきちんとした方針というものはやはり出してもらった方がいいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  231. 松浦昭

    ○松浦政府委員 ただいま飼料用とおっしゃいましたけれども、これは飼料用にも使っておりますし、輸出用にも使っておりますし、それから主食用にも使っておる、そういうものでございまして、全体として、昨年の十月末に六十万トンほどございましたうちの一部を使うだけでございます。したがいまして、私どもの方としましては、先ほども申しておりますようにこれは厚生省の方では残留農薬の基準がないわけでございまして、あくまでもこれは農薬検査法上大丈夫である、そこでもって十分な検査をして、その検査の結果このような使用方法に基づいて使用したら大丈夫であるということで使用いたしておるものでございますから、その使用方法を守ったものとして安全であるということを申し上げておりますし、そのようなことで対処したいというふうに考えておる次第でございます。
  232. 神田厚

    ○神田委員 この問題は結論が出ないようでありますが、予算委員会でも質問を用意しておりますから、いずれまたお聞きしたいと思っております。  それでは、第三期対策在庫積み増しの問題でありますが、この第三期対策につきましては、各年四十五万トンを計画的に積み増しをする、こういうふうに言っているわけでありますが、こういう五十九米穀年度における需給ギャップからいたしまして、果たして四十五万トンの在庫積み増し確保ができるのかどうか、この点はいかがでありますか。
  233. 松浦昭

    ○松浦政府委員 在庫の積み増しにつきましては、今回の第三期の対策の中で最も大きな柱でございまして、御案内のように、本来でございましたら七十万ヘクタールのところを六十万ヘクタールという転作等目標面積設定いたしまして、四十五万トンの在庫を毎年積み上げようということでございます。その際に、もちろんこの在庫がきちんと計画どおり積み上がるかどうかということは、天候が平年のベースであるかどうかということにかかるわけでございますけれども、先ほど大臣も御答弁ございましたように、稲作技術の平準化といったようなことでのたくましい稲づくり運動というものをやっていただくというようなことによりまして、若干の悪天候も克服していけるという稲作技術を敷衍していくということもやっていこうということで鋭意努力をいたしておりますので、私どもとしては、天候に問題がなければこのとおりの計画で積み上がってまいるというように考えておる次第でございます。
  234. 神田厚

    ○神田委員 現在のこういう状況を見ておりますと、第三期対策の第一年目で四十五万トンの在庫の積み増しがきちんとできるかどうかという問題は、私自身はこれがなかなかできないのではないかという考え方に立つものでありますが、もしもこういうことができないということになりますれば、転作面積等のいわゆる再検討という問題にも発展をしていく問題だというふうに考えております。天候やその他いろんな不確定要素がある中での問題でありますが、これだけ二年間にわたりまして綱渡りの需給ギャップをしながら、さらに四十五万トン積み増しが果たしてできるのかどうか。この辺につきましては、別に数字を挙げたけれどもそれができなかったからというような問題ではなくて、それが達成できるような努力をひとつしていただくと同時に、達成ができないような状況でありますれば、やはり転作面積等の再検討、緩和等も含めて対策考えていただきたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  235. 小島和義

    小島(和)政府委員 これから稲作の作期を迎えるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、主食用米はもちろんでございますし、他用途利用米を含めまして本年の稲作が予定どおり進みまして計画生産量が達成をされ、また備蓄も達成されるということを期待いたしまして全力を挙げたいというふうに考えております。
  236. 神田厚

    ○神田委員 さらに、先ほどちょっとお話がありました援助米の問題でありますが、援助米を受けておりますところの途上国は、今回日本が五十八年度で援助米打ち切りの方針を決めたということに関係いたしまして、なお継続的に援助米を出してもらいたいという訴えが続いているというふうに聞いておりますが、その辺の事情はいかがでありますか。
  237. 松浦昭

    ○松浦政府委員 ただいま援助の打ち切りという御表現をおとりになりましたし、また、新聞等にもそう書いてあったわけでございますが、実はこの問題は、五十年から五十三年までの四年間に生じましたいわゆる過剰米につきまして、これを計画的に処理していくということで、五十四年から始まりまして本年度をもちましておおむねその処理が完了するということの一環としてこれはやったわけでございまして、あらかじめこの計画に基づいてやりましたので、別にことし打ち切ったというわけではないわけでございます。ただ、これはあくまでも過剰米を前提にいたしまして計画的にこれを処理するということのために導入した考え方でございまして、したがいまして、また新たに輸出用のための米をつくるということになりますると、これは財政負担が非常に大きなものになります。  また同時に、問題が生じますのは、東南アジア等を中心にいたしました米の伝統的な輸出国がございます。この輸出国に対しましては、私どもは、これは過剰米処理の一環であって、輸出を目的としてつくったお米ではないから、あなた方のお仕事のじゃまをするわけではないということを御了解の上で輸出をしているわけでございまして、さようなことから、輸出用のお米をつくってこれを出すということは非常に難しいというふうに考えておる次第でございます。
  238. 神田厚

    ○神田委員 時間が余りありませんので、この援助米の問題もなお大変大事な問題でありますから、後で続いて質問さしていただきたいと思います。  大臣にお伺いをしたいのでありますが、三期対策、非常に大変でありますね、出だしから。そういう意味におきましては、ひとつことしの出方を見まして、この三期対策全般に対する見直しをその結果におきまして考えるようなことがありますか、どうでしょうか。
  239. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいままで政府委員の方からいろいろ御答弁申し上げましたが、せっかくつくり上げた計画でございます。慎重にこの計画を見守ってまいりたいというぐあいに考えております。
  240. 神田厚

    ○神田委員 それから一言、先ほど言いました超古米の安全性の問題でありますが、この点についてはどういう御感想をお持ちでありますか。——大臣に聞いている。
  241. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 お答えいたします。  先ほど食糧庁長官から御答弁いたしたとおりでございます。
  242. 神田厚

    ○神田委員 もうちょっといいアドバイスに来たのかと思ったら……。  それでは、輸入自由化問題につきましてひとつお伺いします。  いよいよ三月末あたりをめどとして決着に入るというようなことでありますが、私どもは、やはり現在のこういう状況の中で、新たな輸入枠の拡大、さらには自由化問題につきましては非常に懸念をしております。大臣は、事務担当者を派遣をしてこの問題を詰めるということでありますが、どういうふうな現時点でのお考えでありますか。
  243. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 とりあえず、近日中に農林水産省事務担当官を向こうへ、交渉というよりは打ち合わせという形で行かせたいと思っております。
  244. 神田厚

    ○神田委員 結局、最終的に政治決着というような形をとらざるを得ないような状況になるかと思うのでありますが、この場合、この問題につきまして総理と御相談になっておりますか。
  245. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 総理からはまだ何の話もございません。
  246. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、大臣といたしましてはこの問題の結末を大体いつごろというふうにお考えでありますか。
  247. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 できることならば、前大臣がお約束したようでございます、本年三月末ということでございますので、それまでの間に何とか話し合いをつけたいというぐあいに考えております。
  248. 神田厚

    ○神田委員 大臣の印象としては、現在アメリカ側のいわゆる日本に対する意見の申し出といいますか、意見表明は、かなり日本といたしましては受け入れがたい状況になっているというお考えでありますか。
  249. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私の場合、まだ直接交渉に入っておるわけではございませんで、せんだって安倍外務大臣が渡米されました折、いろいろそのときに外務大臣は堀の深さをはかってくるというようなことを言って出かけてまいりましたが、帰ってまいりましてから、アメリカもかなり弾力的だ、ひとつ日本の方も三月末決着を目指して努力していただきたいということを申しておりました。
  250. 神田厚

    ○神田委員 堀の深さは教えてもらえたのですか。
  251. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 かなり大きな幅があるというようなことを申しておりました。
  252. 神田厚

    ○神田委員 これは後でまた詳しく御質問申し上げますが、結局、四年間にわたりましてアメリカの要求するところの枠拡大をのみますれば、現時点では日本の例えば牛肉の場合には畜産農家の五万戸程度が大変な影響を受ける、場合によりましてはこれは廃業しなければならないというような非常に深刻な数字が提示をされているようでありますね。したがいまして、農林水産大臣といたしましては、日本のミカン、畜産それぞれの農家を守ってひとつ御奮戦をお願いをいたします。  最後に御決意をお伺いいたします。
  253. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私といたしましては、一昨年の四月二十二日、当委員会での農畜水産物の輸入自由化反対に関する件、この決議もいただきました。そしてまた、本年一月二十六日の農畜産物の輸入自由化・枠拡大に関する申し入れ、これもいただいております。私は、農産物の輸入というものは、我が国農産物の需給状態を見た上で、我が国農業が健全に発展していくというのと調和のとれた形で輸入すべきであるというぐあいに考えております。この二回の決議そして申し入れ、この趣旨を体しまして交渉に当たってまいります。
  254. 神田厚

    ○神田委員 どうぞ頑張ってください。  ありがとうございました。
  255. 上草義輝

    上草委員長代理 中林佳子君。
  256. 中林佳子

    ○中林委員 私は、まず初めに、日米農産物交渉についての大臣基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。  アメリカのレーガン大統領がことしの二月二日にアメリカ議会に提出しました八四年大統領経済報告の中でこの問題に触れて、日本が農産物輸入を自由化すれば、日本国内で生産するよりもより安く輸入できるようになり、日本自身の利益になる、このように述べているわけですが、大臣自身は農産物の輸入自由化が日本自身の利益になるとお考えなのか、ならないとお考えなのか、その点についての御見解をお伺いします。
  257. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私は、ただいまお答え申しましたように、農産物の輸入というものは、これは我が国農産物の需給動向、これを踏まえた上で、そして我が国農業が健全に発展していくというのと調和のとれた形で輸入すべきであるというぐあいに考えております。
  258. 中林佳子

    ○中林委員 今までの輸入自由化の道を開いてきた経過を見て、決して日本農業のためにもならないし、日本の利益にもならないというのが私の見解でございますので、その点も、今までの農業での輸入自由化の果たした役割をぜひもう一度反省をしていただきたいというふうに思うわけですが、大臣所信表明の中で、この日米農産物交渉について「我が国農業を守るという立場を堅持し、」とか、あるいは「農業者が犠牲にならないよう、今後とも我が国農業を着実に発展させていくことを念頭に置いて適切に対処」していく、このように言われているわけです。しかし、これでは、自由化やあるいは農産物枠拡大がアメリカから要求されているわけですけれども、それらについて、では大臣はどのように対処していくのかという具体的なことがわからないわけですね。ですから、この点について、大臣は本当にどのように具体的に対処していかれるのか。例えば田澤元農林水産大臣は、一昨年の五月の参議院の農林水産委員会でこのようにおっしゃっているわけですね。残存輸入制限の品目については、自由化もこの枠の拡大もいたしません、そういう態度で臨みましたし、今後も臨んでまいりたい、こういうふうに答弁されておりますし、金子前農水大臣も、一昨年十二月のこの委員会で、「自由化へ移行する方針とかあるいは枠の拡大等についてはこれまで以上に強い姿勢で反対を押し切っていく、」こういう決意をあらわしておられるわけなんです。  そこでお伺いするわけですけれども、山村農水大臣といたしましてはどのように対処していくのか、具体的なことをお伺いしたいと思います。
  259. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 今から交渉に当たるわけでございまして、これをここで言ってしまいますと向こうに手の内を見せるようなことになりますから、これは御勘弁いただきたいと思います。
  260. 中林佳子

    ○中林委員 ここは日本の農水委員会でございますから、いろいろ選挙前には農民に対しても公約をなさったと思いますし、おっしゃってみても、それが手の内を見せるとかなんとかということでは決してないと思うのですね。これまでの農水大臣がそれぞれの御決意をお述べになっているわけですから、新大臣としてどのように対処をしていかれるのか、その点をぜひお伺いしたいと思います。
  261. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私の場合は、今もう目の先に交渉を控えておるわけですから、今までの農林大臣とはちょっと立場が違うと思います。
  262. 中林佳子

    ○中林委員 余りにも無責任といいますか、本当に今、目の前に来ているだけに日本の農民は大変心配しているわけです。それだけに、大臣の言動一つ一つを心配しながら見守っているというのが実情なわけですけれども、どうなんでしょうか。
  263. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私の交渉に臨む態度は、一昨年の当委員会での決議、そして本年一月の当委員会からの申し入れ、この趣旨を踏まえて、これを念頭に入れて交渉に当たってまいります。
  264. 中林佳子

    ○中林委員 非常に不明確といいますか、そう言いながら一体どうなるのだろうかというのは霧に包まれたような発言でございますが、所信表明の中で農業者が犠牲にならないようにというふうにおっしゃっているわけです。ところが、現実の問題として今農家ではどうなっているのか、この点について少し述べてみたいと思うわけです。  既に大臣のお耳にも入っていると思いますけれども、牛肉やオレンジの輸入が自由化されるとかあるいは枠が拡大されることでさえ、ミカン農家の人だとかあるいは肉牛農家の経営というのは全く成り立っていかないんだ、こういうことが全国農家の声として上がっているわけです。  私は島根県選出でございますので島根県の実例を挙げますけれども、島根県は和牛生産でも全国で優秀な和牛を生産しているところなんです。その中でも、県がモデルとしているようなところがあるわけです。これは江津市という市なんですが、そこに江津畜産という生産組合がありまして、ここでの昨年の損益計算書というのが出ているわけですが、これは県内でも記帳が整備されて、技術水準も県下の実績としては高水準だ、こう言われている生産組合なわけです。しかし、ここの収支決算を見てみますと、どの家も全部赤字だ。一番少ない赤字としては二十万円程度ですけれども、一番たくさんの赤字を抱えているところは八百六十万円、こういう数字があらわされております。これは優秀なところなんです。だから、大変な実例を挙げればもっとひどいところがあるし、自殺者まで出ているという状況も御存じだと思いますけれども、これが今の農家実態なわけなんです。  ですから、自由化はもちろんはねのけていただきたいと思いますけれども、国の食糧の事情を見ながら枠拡大がされるのじゃないかという懸念がどうしても心配としてあるわけなんです。ですから、こういう農民の人たちの声をぜひよく胸におさめていただいて、自由化はもちろん、枠拡大もしない、こういうことをぜひ態度として貫いてほしいと思うわけですが、それも言えないのでしょうか。
  265. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 先ほどより何遍も御答弁しておりますとおり、本委員会の決議、本委員会の申し入れ、これを念頭に置きまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展していくということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
  266. 中林佳子

    ○中林委員 そういう答弁はこの委員会でもたびたび、山村大臣は今回が初めてでございますけれども、今までの大臣の例も、同じような答弁をなさりながら実は私どもは随分裏切られたという経緯を持っております。例えば田澤発言の直後に、本当に直後なんです、パイナップル缶詰など三品目が枠拡大されました。それから金子発言のときには、その翌日にトマトジュースなど六品目の輸入枠の拡大が行われました。  こういうことですから、本当に決意を新たにしていただいて、農家にはいいことを言うけれども、実際アメリカに行ったときにはアメリカの言いなりになる、もうこういうようなことであってはならないぎりぎりのところに今畜産農家もミカン農家も、ミカンだけではなくて果樹農家全体が危惧を抱いているということなんです。ですから、そういう意味では本当に強い態度で臨んでいただきたいということを強く要望して、これで論じても始まりませんので、次に移りたい、このように思います。  そこで、次の問題でございますけれども、現在農林水産省では七地区で国営の干拓事業をなさっているはずですね。事業が始まった当初というのは、食糧難と言われていた時代でございました。ところが、現在はもう減反も進んでいるような状況でございまして、随分状況が変わっているわけです。ですから、現在の干拓を行っていらっしゃる目的、これは何であるかということについてお答えいただきたいと思います。
  267. 森実孝郎

    森実政府委員 私が申すまでもなく、我が国の可住地は十一万平方キロでございまして、その半分が農地に充当されているわけでございます。しかし、今経済発展なり人口の増加の中で、やはり農地の壊廃は一定の範囲で進んでいかざるを得ない、そういう状況のもとでどうやって農用地確保していくかということが基本課題だろうと思います。  その場合、山場のいわゆる農用地開発に畜産の飼料基盤をつくるという意味でウエートがかかってまいりますけれども、同時に、低平地の河口部、内海等における干拓につきましても、これが良好な状態で改良が加えられますならば、やはり農用地として、新しい農業考える場合においても極めて有力であり、また、そのことが我が国の国土の造成なり農業生産規模確保に連なるという視点実施しているわけでございます。ただ、現実に干拓地が稲作に一般的には向いているという事情もございまして、そういう意味においては、干拓地区の採択というものは従来に比べてかなり抑制的に推移しているということも事実でございます。
  268. 中林佳子

    ○中林委員 一方で農地がつぶれていっているということにあわせて農用地確保、それだけの目的なわけですか。
  269. 森実孝郎

    森実政府委員 それでは多少分解して答弁さしていただきますと、トータルの問題としてはやはり農業生産基盤をどう確保していくかという方途としてひとつ考えていくということが基本にあるだろうと思います。  それから、地域問題としては、やはり具体的に経営規模が極めて狭小な地域等において、規模拡大をどうやって進めていくかという重要なてこ入れになっていくという面もあるだろうと思います。さらに、理想的な大規模なものについては、地域のそれぞれのモデル経営をつくっていくという意味もあるだろうと思います。それはそれぞれの事業によって意味合いが違ってくるという面もあるわけでございます。
  270. 中林佳子

    ○中林委員 かつてこの問題をお聞きしたときに、農水省のお答えで、食糧難というか食糧危機に対して今そういう農地確保してやるんだ、こういうお答えをいただいていたことがあるのですが、その点は変更なさったのですか。
  271. 森実孝郎

    森実政府委員 数年前でございますが、本委員会においても食糧の自給力強化に関する決議が行われているわけでございます。  自給力という問題は、分解してまいりますと、結局、今日の状況で何もかも国内で自給できるということではございませんで、やはり必要な農用地確保し、良好な土地改良施設整備し、さらに担い手確保していく、こういうことが基本になるだろうと思います。そういう意味においては、私ども、やはりいわゆる自給力の確保という視点基本的に連なっていると思っております。
  272. 中林佳子

    ○中林委員 干拓事業についてはどのところにおいてもさまざまな問題が今起きているわけで、私は島根県出身でございますので、本日、中海干拓淡水化事業のみに限ってお伺いしてみたいと思うわけでございます。  まず営農の問題でございますが、現在営農計画はどのように立てられているのでしょうか。
  273. 森実孝郎

    森実政府委員 中海の干拓事業につきましては、二千五百四十二ヘクタールの土地を造成し、そのうち千九百六十二ヘクタールが農用地になる。また同時にあわせ行う土地改良事業がございまして、既耕地七千三百ヘクタールについてかんがいを行うと同時に、今申し上げた千九百六十二ヘクタールの地区農用地にかんがいを行うという計画になっているわけでございます。  そこで、営農につきましては、一部酪農経営等については入植を予定し、他は果樹、花卉、花木、野菜並びに酪農の増反を考えているわけでございます。  具体的には、酪農経営につきましては入植農家で大体十ヘクタール程度規模で、最終的には成牛五十頭程度を飼養する規模を想定し、また増反農家では、既耕地を含めて五ヘクタール程度で、既耕地を含めて成牛三十頭程度を飼養できる状況をつくっていきたいと思っております。  果樹経営につきましては、例えば、これは増反になるわけでございますが、ブドウを中心に二ヘクタール程度、花卉、花木経営につきましてはグラジオラスとかサツキ等、既耕地を含めて三ヘクタール程度の経営、また野菜農家につきましては、スイカ、メロン、ニンジン、白ネギ等で既耕地を含めて二ないし四ヘクタール程度を予定しております。
  274. 中林佳子

    ○中林委員 県の方の営農計画書というのは私も拝見いたしましたが、これで本当に生活がやっていけるだけのものになるのかどうか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
  275. 森実孝郎

    森実政府委員 入植と増反に分けて問題を考えていく必要があると思いますが、増反につきましては、私が申すまでもなく、この周辺地域は、島根も鳥取も経営耕地面積が狭くて、農家規模拡大への意欲は極めて積極旺盛でございます。そういう意味において、かなりまとまった規模、例えば、種目によって違いますが、一ヘクタールから三ヘクタール程度の増反が行われることによって、その地域としてはかなり有力ないわゆる経営がつくられていくと思います。  一部には酪農の入植がございます。これは、裏日本におきます現在の生乳の需給関係その他から考えまして、市乳生産を目途にした酪農経営の創設というものが十分可能であろうと思っておるわけでございます。
  276. 中林佳子

    ○中林委員 細かい数字をおっしゃっていただけなかったものですから、確信がまだまだ持てないというように受け取りましたが、実はこの営農計画の問題も二転三転していることは御存じだと思います。  今私の手元にいただいている県の営農計画での見通しについても、例えばブドウなどもおっしゃったわけですが、ブドウは今既にできているところで試験をしている作物の中には入っていないのですね。多分、昨年やっと植えて、まだ収穫はしていないのです。ですから、そういう意味では、そこでの作物がどのくらいできていくのかという見通しを、これはよその既耕地の分を例にとったというお話も聞いておりますけれども、それぞれの作物についても非常に不安を感じているというのが現状です。ここの問題だけでも、これからの問題でございますから非常に予測が難しいわけですが、既に国営の干拓地として営農なさっている例を見ましても、私どもは、営農計画に対して非常に暗い見通ししかないのではないかというふうに思えるわけです。  例えば、国営のモデル事業として行われた八郎潟の問題ですね。これは最近の新聞でもよく書かれているわけですが、農協の貸付限度額と言われている二千三百万以上の借金を抱える者が百人近くもいる、こういう数字が出ております。そのうち何人かは土地の売却を余儀なくされている状況だということです。つい最近も、二人の入植者が経営難で農地を手放すことになっている、こういう記事を私見ました。  それからまた、現在も継続中の河北潟の問題ですけれども、これは昭和五十四年から入植がされておりますが、経営難だとか経営不安だとか、こういうことで脱落者が相次いでいる。ですから、何回も再募集を繰り返している、こういう現状なわけなんですね。ですから、この河北潟についても、本格的な営農が始まったら三分の一ぐらいは脱落するのではないか、このようにささやかれているわけなんですね。  中海干拓の問題について、学者などがよく計算をしているわけですが、十アール当たりの土地配分価格が現在百六十万だ、こう言われているのですね。学者の試算で、その学者が試算をしたときは配分価格十アール当たり百四十三万五千円でやっておりますけれども、それでも、入植のときには十ヘクタールぐらいだとおっしゃいましたが、農用地施設も含めまして約二億円近く要るのではないか、こういう計算がされております。それで経費なども、もちろん国の有利な資金も借りての上の話でございますけれども、生活費も差し引いてみますと、年間大体四百万以上の赤字になる。これは増反の場合もやはり四百万以上の赤字になる。こういうような数字が出ているわけなんです。ですから、そういう意味で、数字を示していただかないと、大体どの程度生活費として、あるいは利益として、この営農を、入植したりあるいは増反すればやっていけるか、そういう見通しはお持ちなのでしょうか。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  277. 森実孝郎

    森実政府委員 数字は、いろいろな試算がございます。しかし、私は、中海の干拓の営農をどう考えるかは、まさにこれからの問題だろうと思っているわけでございます。  誤解がないように、若干先ほど御質問の中にも触れられた八郎潟の問題についても触れさせていただきたいと思います。  八郎潟の現在の営農というのは、二千万を超える粗収入を平均して持っております。そこで、経営費を除きましても一千万を超える所得があります。償還金、この償還金は金利だけではございませんで、資産形成に見合う元本の部分も入ってでございますが、これを除きましても五百万ないし六百万の所得という数字になっておるわけでございます。先生がおっしゃった、二千万を超える農協からの借金を持った農家がどのくらいあるか。実は私、きのう八郎潟の営農者の皆さんたくさんの方とお会いいたしまして話をしたばかりでございますが、ずっと数字をにらんでみますと、実は五十六年以降常時大体六十戸ぐらいなんです。今の一番新しい時点でいっても六十三戸で、これは五百八十九戸のうちの一割強の数字だろうと思います。  率直に申しまして、干拓地と申しますのは、土地の条件がまだ固まっていない点がある、それから非常に規模が大きいということになりますと、やはり個人の経営資質というものが非常に物を言ってくる。技術能力なり経営能力、これが現実に経営収支の上でも、単収の上でさえはっきり出てきている。ここら辺のところが、私は入植を中心にした場合のことについては非常にむずかしい問題だろうと思います。  中海の問題につきましては、これからも私どもの方のスタッフとさらに県のスタッフ等とも十分相談をしながら詰めてまいりますし、さらに増反を希望している方がたくさんいるわけでございますから、そういう既農家の方々の御意見も聞いて調べていかなければならぬと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、市乳としての酪農以外に、蔬菜とか花卉とか花木という需要動向が非常に変化していくし、また、市場性が高くて価格も非常に変動する商品があるわけでございまして、この経営計算というのは、私いろいろな方がされたのを幾つか見ましたけれども、極端に言いますと、売り方と出荷時期によって非常に違ってくるというふうな問題もございまして、そういった点も含めて少し検討させていただきたいと思います。
  278. 中林佳子

    ○中林委員 まさにこれからの問題だとおっしゃるわけで、私もそうだと思うのですね。本当に今これが確かだというのは、中海干拓の問題に関しては言えないんじゃないかというふうにさえ思えるわけです。すでに八郎潟だとかその他の干拓地の例で、六十数戸だからそれで大丈夫なんだというお話は、これは私は六十数戸でも、国のモデル事業としておやりになったものでございますから非常に問題だと思うし、農地として干拓したものが売られなければならないという状況になっていく。もちろん個人の問題もあるでしょうけれども、私はやはり国の指導なり営農計画の見通し、これはちゃんと経営が成り立っていくようなものをつくらないとだめではないかというふうに思うわけです。  ですから、そういう意味では、中海のこれからの営農計画の見通し、これはまさにこれからだとお話しになりましたので、ここにいただいている県の計画というのは確定的ではないというふうに受けとめたいと思います。もちろん先ほどお話がありましたように、流通の問題だとかそのときどきの情勢の変化によって、数字は計算されているとおりにはいかないわけでございますから、ぜひこの営農計画の問題はよく研究をしていただきたい、このように思います。  次に問題になっているのが水質の問題なんです。これは農林水産省としても随分御心配をされているようでして、水管理及び生態系変化に関する調査委員会に調査を依頼なさったはずでございます。中間報告はすでにでき上がっている。これは多分昨年三月にはでき上がっていたはずでございます。当初は、刷り上がった段階では住民に公表する、このようにおっしゃっていたわけなんですが、いまだに公表されておりません。それはなぜ公表されないのか、また、いつごろ公表されるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  279. 森実孝郎

    森実政府委員 この委員会におきましては、両県の将来の流入負荷量とその削減対策が明らかになった時点で早急に淡水化後の将来水質予測を実施しろということを言っているわけでございます。  御案内のように、去年の十二月に実は県の水質管理計画が公表されたわけでございます。したがって、この県の水質管理計画を基礎として水質予測作業を現在実施しているところでございます。そういう意味で、将来の水質予測を明らかにした上で、報告とあわせて公表したいと思っております。  この種の問題は、部分的にデータを公表いたしますと、いろいろな誤解なり理解の仕方が出てくる。誤解とは申しませんが、理解の仕方が出てきて混乱することもございますので、なるべくいろいろなデータをあわせて、関係者の皆さんに広く、そろったデータで御判断していただくのがいいのではないだろうかということで、中間報告自体はまだ発表を差し控えております。追加作業を待って一緒に発表したい、こう思っているわけでございます。
  280. 中林佳子

    ○中林委員 水管理及び生態系変化に関する調査委員会のこの報告については、両県の管理計画とは関係なく最初はなさったはずなんです。ですから、その島根県や鳥取県の管理計画が出る出ないにかかわらず、刷り上がったものは公表しますというお話でございました。ですから、そういう意味は私は通用しないと思いますし、多分刷り上がったのは一冊の本みたいになっているのではないかと推測されるわけですが、データでございますから、数字をいらうというようなことは全くだれもできないわけです。したがって、私は、県民やあるいは全国でも注目されているこの水質問題でございますから、早く公表されて、そして国民の討論に付したらどうか、このように思うわけですけれども、いかがですか。
  281. 森実孝郎

    森実政府委員 同じ答弁を繰り返して恐縮でございますが、要するに、淡水化した後の将来予測が一つ問題になるわけでございます。現に、淡水化するしないに関係なく、やはり工業の発展なり人口の増加等の中で、宍道湖、中海のある程度の汚染は進んでいる実態がありまして、県としても、この将来の人口動向とか産業の種類別生産量等のフレームを設定いたしまして、流入汚濁負荷量とそれをベースにした計画削減量をつくることが客観的に必要になっているわけでございます。私どもが皆さんに判断していただくのは、いわばこの削減を前提にした水質予測でなければ現実の予測にならないわけだろうと理解しているわけで、委員会も、まさにそういう点があるので、水管理計画が決まったところで作業しろということを御指摘されているわけでございます。  そういう意味で、十二月にようやく県の水質管理計画ができましたので、いま予測作業を進めている。完了したらあわせて公表したいということを申し上げているわけでございます。
  282. 中林佳子

    ○中林委員 大体の見通しとして、いつごろということが言えますでしょうか。
  283. 森実孝郎

    森実政府委員 時期につきましては、できるだけ速やかにというようなことは言えません。そう早急にというわけにはちょっといかないのではないだろうかと思います。若干の時間は要ると思います。
  284. 中林佳子

    ○中林委員 非常にはかりにくい言い方でございますから、これ以上深追いはいたしません。  次に、環境庁の方にお伺いしたいと思うわけですが、中海と日本海とのつながりを遮断して淡水化すれば、中海も宍道湖の汚濁も一層進んで、生態系の変化によって漁業だとか観光に非常に大きな被害を与えるということが私どもの非常に心配しているところです。宍道湖、中海とも湖沼類型ではAということになっているわけです。それで、これはCODの基準が三ppm以下だということになっているわけですが、現時点での水質はどのようになっているのか。  それからまた、昭和六十五年あるいは昭和七十年の時点では基準に達することができるのかどうか、その見通しも含めて教えていただきたいと思います。
  285. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  現在の水質につきましては、中海及び境水道におきましては、CODにつきまして、これは日間平均値の七五%値でございますが、大体二・三から五・六ほどになっております。  それから宍道湖につきましては、ちょっときょうは数字を持ってきておりませんので、後刻先生の方にお届けさしていただきたいと思います。  七十年の値につきましては、これは県の方の水質管理計画の方でいろいろ検討を進めておりますが、このような値を含めまして、先ほど農林水産省の方で御説明もございました将来水質予測を含めたそのような中間報告につきまして現在検討中でございます。
  286. 中林佳子

    ○中林委員 もちろん、淡水化してどうなるかという話は今御検討中だと思いますけれども、現時点から推測されるもの、これについて島根県の水管理委員会がまとめたものによりますと、昭和六十五年にも昭和七十年にも湖沼類型Aには達しないという結論づけをされております。そのぐらい汚れている。しかも、そのためには各種の対策は全部講じるんだ、下水対策、農排水対策あるいは観光者のいろいろな廃棄物、そういうものも全部きれいにした上でなおかつ基準には達しないんだ、こういう結論づけになっているわけで、環境問題として私は非常にゆゆしき問題を含んでいる、このように思わざるを得ないわけです。  一昨年の六月に、原前環境庁長官が現地を視察されました。その後、汚濁しないことがはっきりしない以上、淡水化は実施すべきでない、霞ケ浦、八郎潟、児島湖などこれまで淡水化した湖がいずれも深刻な汚濁に悩まされている、この事実からも中海、宍道湖だけが淡水化しても汚れないという保証はない、こう言っておられます。国会でも、そのときの原長官は淡水化について慎重の上にも慎重を期してやらなければならない。そして、これなら大丈夫、あるいはこれではだめだということを見きわめて、環境庁の考えをしっかりまとめて対応していきたい、このように御答弁されています。環境庁として現在でもこの方針に変わりがないのか、確認をしたいと思います。
  287. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 環境庁の方針に変わりはございません。  先ほどの農林水産省の方の現在おまとめ中の調査、検討結果を待って、その説明を私どもは受けまして、そしてその上で慎重に対処してまいりたい、かように存じます。
  288. 中林佳子

    ○中林委員 大臣にちょっとお伺いしたいと思うわけですけれども、大臣は中海、宍道湖を御存じでしょうか。もしごらんになっていなかったらちょっと御説明さしていただきたいと思うわけですけれども、中海は全国で五位、宍道湖は六位の広さを持つ汽水湖、つまり塩水が入っている湖でございます。ここには六百五十種類以上の生物が住んでおりまして、中でも宍道湖は我が国最大の内水面漁場として、特産のヤマトシジミは全国の水揚げの三分の一を占めているという状況です。スズキだとかシラウオだとかワカサギだとか、こういう宍道湖七珍味ということで全国にも非常に称賛されているし、美しい景観と相まって当地を訪れる観光客は大変喜んでいる。ぜひ大臣にも来ていただきたいと思いますけれども、この中海も宍道湖も、今一番住民が、あるいは全国的にも懸念されていることは、淡水化すれば汚れるのではないか、こういう懸念が一つでございます。  共産党はこの計画が進められる二十年前から一貫して反対はしているわけですが、今も共産党だけじゃなくてほとんどの者がそういう懸念を表明しております。本来ならば、私どもが思いますのは、これだけの有史以来の日本の財産でございますから、もっと内水面漁業を発展させたり、あるいは水質をもっときれいにして観光産業を栄えさせるなどの経済性を高めるべきだ、こういうふうに思うわけです。  一方、県内の減反面積をちょうどこの干拓事業が始まった時点から数えますと、一万七千ヘクタールが減っております。そういう意味では、干拓地の約七倍が減っている、こういう計算になるわけですね。ですから、今科学者や研究者を中心にしながらでも水質汚濁が大変懸念されているし、営農計画の見通しでも大変赤字を抱えるのではないか。松江市長などもその辺の懸念を本などにも書いておりますけれども、そういう意味で行政側にも今一つの懸念をされている、こういう状況になっております。  全国の干拓の計画を見ましても、例えば諫早湾の干拓などは勇断を持って計画変更がされておりますけれども、このように今本当に行革が叫ばれているときに、これまで国のお金が五百億円近くこの事業にかけられました。これからさらに三百二十億円が予定をされております。ですから、こういう今懸念されているところに急いでやる必要はないというふうに思うわけですので、ぜひ大臣、これは慎重に検討していただき、そして計画変更など見直しをしていただくことはできないでしょうか。
  289. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 関係各省、県、市町村、これらと慎重に検討してまいります。
  290. 中林佳子

    ○中林委員 ぜひお願いいたします。  続いて、災害問題についてお伺いしたいと思います。  昨年七月の豪雨災害に関係してでございますけれども、島根県の西部を中心に五百ミリを超える集中豪雨に見舞われて、山崩れなどによって死者が百三人、行方不明四人、被害総額は県の年間予算を超える三千四百四十五億円、まさに未曾有の被害を島根県は受けました。  この災害、特に山崩れなどがありますけれども、その原因を農林水産省としてはどのようにお考えでしょうか。
  291. 秋山智英

    ○秋山政府委員 島根県の五十八年七月の豪雨によります山地崩壊でございますが、これは過去九十年間の最大値と言われる一日の最大雨量が浜田市で三百三十一・五ミリメートル、連続雨量が三隅町付近で五百五十ミリメートルと、非常に記録的な豪雨があったことに加えまして、この地帯が強く風化を受けた厚い表土層の分布するいわゆる特殊土壌地帯だということがこの要因になったものと判断しております。
  292. 中林佳子

    ○中林委員 記録的な豪雨が災害の原因だ、こういうふうにおっしゃって、まさに天災だ、このように受け取られるわけですね。だけれども、私もその災害直後被災地をくまなく回りましたけれども、本当にそれだけで片づけてしまっていいのかどうか、これはだれもが思っていることなんです。二度とこんな災害を起こさないためにも、本当に防げなかったのかどうなのか、こういう災害を起こさないような方策はこれから立てられないのかどうなのか、これを研究課題としてやっていただかなければ、百七名もの命、これは私浮かばれないと思うのですね。それから、災害を受けたところも、またあるのではないかという非常に不安感を持っております。ですから、災害の発生の状況だとかあるいは今後の防災対策などは国としてどうするのかという調査だとか研究、これが非常に大切だと思いますけれども、その御計画はいかがでしょうか。
  293. 秋山智英

    ○秋山政府委員 今後の防災対策でございますが、五十八年の集中豪雨の経験も踏まえまして、第六次の治山五カ年計画に基づきます荒廃山地の復旧あるいは地すべり等の復旧、予防対策推進という面につきまして、遺漏のないように進めてまいりたいと思っています。  特に復旧対策でございますが、山地崩壊の箇所で、この次の豪雨等によりまして人家、公共施設に被害を与えるおそれがあるというふうに見られる箇所につきましては災害関連緊急治山事業によりまして、また、人家裏山等で発生しました小規模の山地崩壊につきましては林地崩壊防止事業によりまして本年度中に実施しまして、再度災害が起こらぬように防止を図っているところでございます。  また、五十九年度以降におきましても、治山激甚災害対策特別緊急事業あるいは林地災害防止事業計画的に進めてまいりまして、復旧をできるだけ早くしてまいりたい、かように考えております。
  294. 中林佳子

    ○中林委員 災害復旧をやっていただくのは、もちろんこれはどうしてもやっていただかなければならないことですが、例えば長崎災害の後には、土砂流のメカニズムだとかあるいは避難命令の出し方だとか、そういうことについての三つの研究が国としてやられているわけなんですね。ですから、長崎の方がひどくなくて島根の方がひどいなどということは毛頭ありませんけれども、まさにそれを上回るような大変な災害でございましたから、国として、一体あの災害の原因は本当に天災だけであったのかどうか、この辺の研究をぜひやっていただきたいと思うわけなんです。  国がやられなくても、島根県は独自で実は研究しております。御存じだと思いますけれども、林業土木施設研究所に委託いたしまして、報告書がもう出ているわけですね。それを見ますと、非常に今後の防災計画などに参考になるような指針も出ているようでございます。例えば、山地災害危険地と災害発生の実態について調査しているわけですが、その場合「今後、さらに危険地判定の適合度を増していくためには、地域的な特性、土地開発の有無など現在の危険地判定基準にない要因を加えて判定基準を改善していく必要がある」、こういう提言を行っているわけです。  これは、私は非常に大切なことだと思います。といいますのは、今回の災害の特徴は、百七人の死者、行方不明の中で、実に八十一人が家屋の中で亡くなっている。つまり、無警戒で、裏山が崩れるということを全く知らなかったし、信じていなかった、そういう無防備な中での山崩れで、非常にたくさんの人が家の中で土砂崩れに遭って亡くなっている、こういう状況なわけなんです。ですから、人命を守ることはもちろんですけれども、田んぼだとか山など、こういった国の大切な財産を守っていくために、特に危険地の判定基準の見直しなど、これはやっていただけるのでしょうか。
  295. 秋山智英

    ○秋山政府委員 私も、島根県が独自に調査をしたということは承知しております。レポートも読みました。現在の私どもが実施しております山地災害危険地の判定につきましてはおおむね的確であるということがやはりそこでも言われております。私どもは、今後災害の起きないように進めてまいることが大事でございますので、これからは森林施業の適切な取り扱いと治山事業をうまくかみ合わせながらこれを進めてまいるつもりでございます。
  296. 中林佳子

    ○中林委員 もちろんこれまで危険地として指定されているところから発生もしておりますけれども、それ以外の発生が非常に多いということです。ですから、判定基準そのものを見直していただく検討をぜひ、県がやったその報告書を見ていただいても結構でございますから、それを参考に危険箇所の基準の見直しを今後検討していただくことができるのかどうか、その点もう一度お伺いしたいと思います。
  297. 秋山智英

    ○秋山政府委員 これからの災害を防止するためには、やはり総合的な治山復旧計画を立てることが必要でございますし、絶えず今後も技術的な追求をしながら進めてまいることが極めて重要でございますので、これからも十分そういう研究を踏まえた上での治山事業を進めてまいりたいと考えております。
  298. 中林佳子

    ○中林委員 今回の災害のもう一つの教訓として、水田の持つ国土保全機能、貯水機能ということについて改めて見直していく必要があるのではないか、このように思うわけです。ある大学の先生は、これを研究されまして、つまり水田はダムの役割をしているんだ、十アール当たり大体二万円の治水費用を生み出しているんだ、こういう研究もあるわけですね。  こういうことに着眼いたしまして、埼玉県の草加市の方では、五十七年の九月の台風十八号で市内の六割の家屋が浸水するなど、大変水害に悩まされてきたところです。そういう教訓から、水田をできるだけ保全し、遊水機能を持たそうという動きが始まっているわけなんです。  島根県で災害の大きいところの一つであります美都町でも、今回の災害でこういう大きな被害を受けたという教訓の中から、田んぼをこれ以上荒らしてはいけない、こういう教訓を引き出しまして、米をつくれるところでは米をつくろう、こういう動きが始まっているわけです。そこで、ぜひ国として水田の国土保全の機能に着眼をした研究、これを強めていただきたいと思うわけですけれども、研究はやっていらっしゃるのでしょうか。
  299. 関谷俊作

    ○関谷(俊)政府委員 水田の保水機能につきまして研究を進めているか、こういうお尋ねでございますが、ただいま、その前にお話のございましたような林地の問題、これも含めまして、私どもでは、農林水産業、こういうものの持ちます国土資源なり環境の保全という、そういう機能をどう評価するか、また、そういう機能を増進するためにはどうしたらいいか、そういう研究を進めております。これは五十七年度から六年計画でやっておるものでございまして、たとえば農用地、森林、そういうものの持ちます水資源の涵養あるいは洪水防止、水質浄化、そういう水の保全機能でありますとか、土砂崩壊あるいは土砂浸食を防止する、そういう土の保全機能、こういうものにつきまして、そういう機能の要因を解明する、また、それをさらに定量的に評価するその方法を開発する、こういうことをまずやりまして、さらにこういう機能を保全したり増進する、そういうためにはどうしたらいいか、こういうような国土資源、環境保全という観点からの研究を、これはプロジェクト研究と申しまして、国の試験場がいろいろ組織的に協力体制をしきまして、いま六年計画で進めておるところでございます。
  300. 中林佳子

    ○中林委員 ぜひそれを強めていただき、そしてその結果から、私は、水田の持つ意味の大切さをお考えになるならば、減反政策の見直しをぜひやっていただきたい、このように要望したいと思います。  次に、具体的な災害復旧の問題で二、三お伺いしたいと思うわけですが、一点は、昨年の災害による未復旧田の転作上の扱いの問題です。  被災地の水田は大変な被害を受けているわけですが、一番ひどかった三隅町では、全体の面積が五百四十六・八ヘクタール、このうち約七割が災害を受けております。その七割のうち九割の三百四十三ヘクタールがことしの田植えに間に合わないであろう、こういうふうに言われております。被災市町村では、もうこういう状況ではとても従来どおりの転作割り当ては消化できないのだ、こういう声が圧倒的なんです。このように復旧できないところの転作の扱い、これはぜひ転作に取り入れていただけないか、こういう要望が非常に強いわけです。農家にとってみれば当然の要求だ、私はこのように思うわけですが、こうした場合の特別の配慮を検討していただけないか、このことを御要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  301. 小島和義

    小島(和)政府委員 災害を受けられました農家の方には大変お気の毒なことでありまして、関係局におきまして災害復旧に努力をいたしておるわけでございます。  今次のような災害になりますと、ことしの稲作の作期までに復旧が間に合わないかというものが出てくる心配がございまして、私どもも、今御指摘のような数字を県からちょうだいをいたしておるわけでございます。そこで、そういう未復旧の田んぼにおきましては、これは稲作はもちろん、転作もできないわけでございますから、そのことは大変お気の毒なのでございますが、転作奨励金は、水稲作付が可能な田んぼにおいて他の作物等を作付をする、こういう事実に着目して奨励金を出しておるわけでございまして、壊廃等の理由によって作物の作付ができないというところに出す性格のものではないということは御理解いただけると思います。  しかしながら、その未復旧田におきまして災害なかりせば当然やっておったであろう転作分まで何らの扱いをしないということになりますと、その分を他の地区でこなさなければならない、こういう非常に気の毒な事態が出てくるわけでございまして、一昨年の長崎災害をきっかけといたしまして、その未復旧田のうち、その地区転作目標率分だけは、奨励金は出さないけれども転作の達成状況の計算上は転作扱いをする、こういうことにいたしておるわけでございます。昨年の島根の災害の扱いといたしましても、ただいま申し上げたようなことが一番妥当なのではないか、かように考えておるわけでございます。
  302. 中林佳子

    ○中林委員 長崎の被害も大変で特別の御配慮をされたわけですが、本当にそれ以上に大変だったわけでございますので、ぜひ特段の御配慮をお願いしたいと思います。  次に、災害復旧事業査定設計委託費補助についてですね。これについてお伺いするわけですが、委託費の二分の一を国が補助する、こういうことになっているのですが、被災地の実情を聞きますと大変な状況になっているわけです。  実際委託費が、これは美都町の例ですけれども、農地、農用施設で、農地が三千九百五十四万二千円、農用施設が四千二十万一千円、これに対して本当の補助対象になったのは、大体二分の一程度に対してしか補助対象になっていない。したがって、それについての国が二分の一の補助でございますから、実際は被災を受けた上に一般財源の持ち出しで委託費に出さなければならない、払わなければならないということで、財政上大変厳しい、こういう実態を訴えられております。美都町などは財政規模が十六億円という本当に小さい町でございますが、そこで一般財源を、これは農業だけじゃなくて公共土木なども含めますと八千万以上出さなければいけないという計算になっているわけですね。ですから、本来はこういう委託をしなくても、そこの自治体がやらなければいけない仕事でございますけれども、災害が起きますと大変人手が足らなくなって、どうしても委託しなければならない。委託しますと、委託業者には余り安いと引き受けてもらえないという実情もあるようでございます。  そういう意味では、実際にかかった委託費とその補助対象になるところがこんなに離れないように、なるべく近づけていただくようなことはできないものか、それが一点ですね。  それからもう一点は、既に査定は終わっているわけで、これから実施設計に入るわけですが、これについても、今の自治体が抱えている職員では対応できなくて、これまた委託しなければいけないんじゃないかということを懸念されていますが、これには全く補助はありません。そういう意味で、今災害地もあるいは県も本当は人をふやしたいけれども、ふやせない。そうであるならば、例えば県に対して国としての応援体制、これをしていただけないものだろうか、こういう強い要請があるのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  303. 森実孝郎

    森実政府委員 災害復旧の場合におきます査定の設計委託費の問題でございますが、これにつきましては、実は従来は建前として認めない方針であったわけですが、五十二年以降特例といたしまして、先生の御指摘のような事情もございますので、予算の範囲内で委託費を支出しております。昨年も実はこの島根豪雨を含む梅雨前線豪雨についてはいち早く委託費の支出を決めておりまして、国全体として、農林省としては六億七千八百万の補助金のうち実は島根県に二億六千七百万行っているという形で、できるだけの配慮は払ったつもりでございます。この補助金をふやせという御要望が具体的な市町村としてあることは他の災害についても同様でございますが、今日の状況下では、私、これが限界ではないか、そういう意味においてはひとつ御寛恕願いたいと思います。  それから実施設計の問題でございますが、これは、一定の範囲では工事雑費として災害復旧費の本体から支出を認めております。そういう意味で処理ができるものと思っております。  なお、実施設計につきましてもそうでございますが、査定につきましては、私どもいち早く査定事務の簡素化ということで、例えば五百万未満については総合単価を使うとか八十万円以下のものについては机上査定をやるというふうな形で事務手続の簡素化をやっておりますし、さらに県職員の応援体制もとったわけでございます。  この応援体制の問題につきましては、確かに集中して災害が起こった市町村には大変な問題だと思いますので、具体的な問題として農政局を督励いたしまして、県とも相談し、いろいろできるだけのことをしたいと思います。
  304. 中林佳子

    ○中林委員 もう少し災害復旧でお尋ねしたいと思いましたが、時間が非常に限られてまいりました。本当に大変な災害でございましたので、国としても特段の御援助をお願いしたいと思います。  そこで、続いて漁業問題についてお伺いしたいわけですが、本当は漁業全般についてお伺いしたいと思いましたけれども、残り時間が限られてまいりましたので、具体的に韓国漁船の無謀操業、この問題についてお伺いしたい、このように思います。  韓国漁船の無謀操業の問題は日本海沿岸でいろいろ出ておりますけれども、特に山陰沖に限ってお伺いしたい、このように思います。  どうも水産庁の方では山陰沖は最近は余りないのではないかという御認識のように聞いておりますけれども、県がまとめた調査によりますと、韓国漁船の無謀操業は、現認されただけでも五十七年は二百三隻。五十八年は、六月までに七百五十八隻、七月以降は千六百二隻というふうに、昨年一年間で二千三百六十隻。これは五十七年の十倍以上に膨れ上がっているわけです。特に漁業者の人たちが心配しているのは、こういう無謀操業が続けば資源が枯渇してしまうのではないか、こういうことを大変心配しているわけですね。特に日本が禁止している沖合底びきですが、六月—八月、この時期に一番たくさんやってくる。こういうときに、今山陰沖で、特殊な漁法ですけれども、シイラ漬け漁というのをやっております。これは、モウソウ竹を切って、それでいかだみたいなものをつくって均等に並べる、それをシイラ漬け漁と言うわけですが、そういう伝統的な漁法ですが、このシイラのその漬けそのものが切られてしまうということで、これも五十八年には五百四十二個も被害が出ている。こういうことで、大変深刻で、漁そのものを中止した人さえも出てきているわけです。  そういうわけで、ぜひ国に対して、特に水産庁でございますけれども、御要望したいと思いますのは、こういうシイラ漬けが持ち去られても何らの補償策もないという状況なわけなんですね。ですから、一点は、こうした韓国漁船による沿岸漁民に対する被害救済措置、これを国として検討していただくわけにはいかないのでしょうか。これが一点でございます。
  305. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 西日本の水域におきます韓国船の操業で時々問題が起こるわけでございます。その都度、あるいは私も昨年の秋向こうへ参りまして種々交渉をいたしまして、現在、特に山陰沖につきましては非常に少なくなっているというふうに聞いておるわけでございます。  それはそれといたしまして、漁具あるいは漁船につきまして韓国漁船によります被害があるわけでありますが、基本的には本件は私ども民事問題であるということで、民間取り決めによる両国の民間団体間、日本側は大日本水産会、韓国の水産業協同組合中央会の協議によりまして自主的な解決が図られているわけであります。御案内のように、非常に狭い海域で多数の漁船が日本も韓国も入り合っているわけでありまして、日本側も韓国に対しまして相当の被害を与えております。韓国側からも日本は被害を受けるわけでありますが。それにつきましては、やはり両国の漁業者団体がそれぞれルールを話し合って、そこで話し合いをつけるというのが一番適切な方法ではないかというふうに考えておるわけであります。
  306. 中林佳子

    ○中林委員 質問した点だけを明確に答えていただきたいと思いますが、日本側も韓国側に被害を与えているんだ、こういう実態をお話しになりますが、山陰沖については、沿岸漁民に聞きますと、自分たちはとてもそれだけの力がないということで、これは一定の大きなところだと思うのですよ。ですから、そういう意味では、本当に沿岸漁民を救うという立場をもう少し堅持していただきたいというふうに思います。  それから二点目は、特に韓国側に申していただくときにこういう点をやっていただきたいという声を漁民から聞いているのですが、それはつまり韓国側の監視船みたいなものですね、これが出たときには韓国側からの被害が非常に少なくなる。昨年一回だけ韓国の方の監視船が出たようでございます。そのときは本当に少なかったということなんです。今、北海道沖に常時韓国のそういう監視船がいるようでございますけれども、山陰沖にもそれをぜひ配置するよう、韓国との折衝の中でこの点を強く御要望していただきたいというふうに思います。それはいかがでしょう。
  307. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 御指摘のような事実があることは、実際そういうことでございまして、各県からもその旨の要望が強くございます。  昨年の十月に私韓国に参りましていろいろ交渉したときにも、そのことを強く申し入れたわけでございまして、その後、韓国からの監視船の派遣状況は、従来に比べますとかなりふえているというふうに認識をしております。そういったことも、最近における韓国船のいわゆる無謀といいますか、違反操業というものが少なくなっている理由だろうと思いますが、今後とも、その点につきましては大変重要なことでございますので、機会あるごとに韓国側に申し入れていきたいというふうに思っております。
  308. 中林佳子

    ○中林委員 時間が来ていますけれども、海上保安庁の方に来ていただいておりますので、あと一点だけお伺いさせてください。  海上保安庁にもたびたび取り締まり強化を強く要望しておりますが、特に海上保安庁の取り締まりの範囲は領海内ということは漁業者の人たちも十分承知しております。ただ、この領海侵犯が最近非常に頻繁である。ことしに入ってからも五隻も既に拿捕されているわけですね。ですから、そういうところを見ましても、海上保安庁としての取り締まり強化、これが強く求められているところだと思うのです。  ただ、この点を注意していただきたいのですが、最近韓国漁船は非常によく考えて操業しているようでございまして、夜の操業ですが、領海内から出発して、朝になれば公海に出ていくような、こういう操業の仕方をして、なかなか捕まりにくいということがあるようでございます。漁民の人たちは、自分たちが操業をやめてもそれを見張ったりということも努力しておりますけれども、生活がかかっている問題ですから、なかなかいつもいつもそういうことはできない。  そこで、海上保安庁に夜間の監視取り締まり体制強化、それから特に底びき禁止の六月から八月の集中取り締まり強化、この点をぜひやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  309. 赤澤壽男

    赤澤説明員 御説明します。  今先生の御案内のように、海上保安庁としましては五十八年八隻を検挙しまして、今年は既に二月いっぱいで五隻を検挙しております。  そういった韓国漁船の操業状況にございますところから、今後海上保安庁としましては、まず航空機によりまして広い範囲といいますか、広域的な哨戒を行いまして、これでまず韓国漁船の動静を把握する。そういった上で、巡視船艇によりましてシイラ漬けなどの盛漁期、特に夜間に侵犯操業するような、そういった悪質な事案を重点に取り締まりを強化してまいりたい。そういったところから、そういった事案が発生しました際には徹底的に検挙するといった方針でございます。
  310. 中林佳子

    ○中林委員 六月—八月。
  311. 赤澤壽男

    赤澤説明員 六月—八月、まさにシイラ漬け漁業の盛漁期でございます。当然その時期には今申しましたような取り締まり方針でございます。
  312. 中林佳子

    ○中林委員 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  313. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、来る六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会