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1984-05-10 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    内海 英男君       大島 理森君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    塩川正十郎君       月原 茂皓君    二階 俊博君       林  大幹君    山本 幸雄君       上原 康助君    角屋堅次郎君       元信  尭君    鈴切 康雄君       山田 英介君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君    三浦  久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      前田 正道君         防衛庁装備局長 木下 博生君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省簡易保険         局長      奥田 量三君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     藤井 一夫君         防衛庁防衛局運         用第二課長   上田 秀明君         科学技術庁研究         調整局宇宙企画         課長      清水 眞金君         科学技術庁研究         調整局宇宙国際         課長      森  忠久君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊藤 博行君         郵政大臣官房資         材部長     大友 昭雄君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   前田 光治君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      矢橋 幸一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川口 幹夫君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ————————————— 五月十日  旧満州国軍に服務した軍人等処遇に関する請  願(上草義輝紹介)(第四三一五号)  同(塩川正十郎紹介)(第四四一四号)  同(山本幸雄紹介)(第四四一五号)  元従軍看護婦処遇に関する請願外一件(稲葉  誠一君紹介)(第四三一六号)  同外一件(上草義輝紹介)(第四三一七号)  同外一件(上原康助紹介)(第四三一八号)  同(高沢寅男紹介)(第四三一九号)  同(山中末治紹介)(第四三二〇号)  同(清水勇紹介)(第四四一六号)  傷病恩給等の改善に関する請願池田行彦君紹  介(第四三二一号)  同(稲村利幸紹介)(第四三二二号)  同(梶山静六紹介)(第四三二三号)  同(浜野剛紹介)(第四三二四号)  同(足立篤郎紹介(第四四一七号)  同(榎本和平紹介(第四四一八号)  同(海部俊樹紹介(第四四一九号)  旧治安維持法等による犠牲者の賠償に関する請  願(柴田睦夫紹介)(第四三八一号)  同(瀬崎博義紹介)(第四三八二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四三八三号)  同(林百郎君紹介)(第四三八四号)  同(東中光雄紹介)(第四三八五号)  同(藤木洋子紹介)(第四三八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)      ————◇—————
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会技師長専務理事矢橋幸一君、同理事林乙也君及び専務理事川口幹夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片岡清一

    片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 片岡清一

    片岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  5. 三浦久

    三浦(久)委員 私はまず最初に、放送衛星ゆり号aの問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  このゆり二号は五月三日に突然故障を起こしたということでございますが、あとはもう中継器一つしか残っていないで大変不安定な状況になっておりますね。この故障原因と今後の対策等々について、まず最初お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  6. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お答え申し上げます。  ゆり号aについては、既に新聞報道等がなされておりますけれども、私どもといたしましても関係者の一員として大変残念に思い、また国民の皆様にも申しわけなく思っている次第でございますが、故障原因につきましては、現在宇宙開発事業団中心にいたしまして原因究明に努めているところでございますけれども、現在の段階におきましてはまだその究明が尽くされるに至っておりません。  ただ現象といたしまして申し上げられますことは、中継器A系統、これは三月にトラブル発生をしておりますけれども電源に対します保護回路が鋭敏に作用するという現象、これは現象でございます。原因ではございません。そういう現象が出ております。それからもう一つのRの系統につきましては、電源は入るわけでございますけれども、入った後、進行波管と申します中継器の中の機械に過剰な電流が流れるという現象が生じている、これも現象でございます。そういう状態でございまして、何が原因でそういう現象が起きているかということについては目下究明中でございます。
  7. 三浦久

    三浦(久)委員 今度の放送衛星の問題については国民もかなり期待しておったと思うのですね。特に高品位テレビの問題とか、また非常に音質がよいと言われるPCM音声放送、こういうニューメディア事業に対して国民大変期待をしておったと思いますが、今度の故障でこういうニューメディアを使った事業というのはどういうふうになるのですか。どういう影響を受けるのでしょうか。
  8. 鴨光一郎

    鴨政府委員 放送衛星BS2aには三つの中継器を搭載しておりますが、その中の二つ先ほど申し上げましたような現象を起こしております。したがいまして、残りがBという一チャンネルでございますけれどもNHKにおきましては五月十二日から、この正常に働いております一チャンネルを使って総合番組中心にした放送をしようという計画を進めているところでございます。そのような状況の中で、実は残りました時間を使っていろいろな実験をしようとしていたわけでございますけれども、非常に貴重な残りの一系統ということでございますので、そのあたりにつきましての利用の仕方は、これを大事にしていかなければいけない、安全に運用していかなければいけないという点がございますので、その点につきまして、いわゆる本来の放送時間以外の時間の使い方につきましては、現在NHKにおいていろいろどうするかということについての検討中でございます。
  9. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、ニューメディア実験というのはかなり制約を受けるということになりますね。大変残念なことだと思いますが、また来年の八月に予備機であるゆり号bを打ち上げる予定でございますね。そうすると、これも今回のゆり号aとほぼ同じ構造だということを聞いておるわけですが、この故障原因等々が明らかになり、その対策が講じられなければ、来年八月の予備機の打ち上げというのにも大きな障害を及ぼすのではないかというふうに思いますけれども、この点はどういうようにお考えになっておられますか。
  10. 鴨光一郎

    鴨政府委員 御指摘のように、予備機といたしましてのBS2bは来年の夏に打ち上げる予定になっておりますけれども、今回のトラブル発生をいたしましたので、先ほど申し上げましたように、まず当面はこの原因究明、そして回復措置に全力を挙げている状態でございます。したがいまして、今の段階で来年の夏の打ち上げ計画をどうするということの決定はいたしておりませんけれども、この原因究明あり方いかんによりましては、来年夏打ち上げの計画自体についても見直しをする必要が出てくる可能性がございます。
  11. 三浦久

    三浦(久)委員 宇宙衛星はかなり故障が多いですね。ひまわり二号も故障したままですね。何か対策が発表されているようですけれどもひまわり二号についてはどういう対策を講じておられるのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  12. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ひまわり二号と申しますものは気象衛星のことだと思いますけれども、この点につきましては郵政省の所管ではございませんので、宇宙開発事業団の方に御質問をいただきたいというふうに思います。恐縮でございますが……。
  13. 清水眞金

    清水説明員 ひまわり二号につきましては、昨年の十一月に至りまして、これは打ち上げましてから約二年三カ月を経過しておりますけれどもVISSRと申しまして地球からの画像をとります走査鏡に異常が生じまして、一月に至りまして古いGMSと交代しております。  それの原因につきましては、三月から宇宙開発委員会原因究明と今後の対策を検討審議いたしまして、きのう発表したわけでございますが、その対策内容につきましては、まず走査鏡ふぐあいを生ずるような原因といたしましては、例えばランプ経年変化によります光量の低下、あるいは宇宙空間でいろいろな機械が、例えば放射線とかそういうものの影響を受けまして、機能に若干の低下があったのではないか。そういうことがいろいろ複合して、先ほど申し上げましたようなふぐあいが生じたというふうに考えられるわけでございます。  したがいまして、そういうものを取り除くために、例えばランプの性能をよくするとか、あるいはそういう放射線影響を受けにくくするとか、あるいは仮に万一同じような事故が起きましても、いわばあるところでひっかかって走査鏡が動かなくなるわけでございますが、そういうひっかかりがございましてもそこをスキップしましてまたきちんと動くような、そういう別の回路を設けるとか、ひまわり三号の打ち上げには支障のないような対策を講ずるということにしております。
  14. 三浦久

    三浦(久)委員 何かトラブルが非常に多いのですけれども、これはやはり技術外国依存をするとか、その結果ブラックボックスを使用せざるを得ないとか、そういうことにも大きな影響があると私は思うのですね。ですから、自主開発路線というものをもっと強化をしなければならないのではないかというふうに思うのですけれども、こういうトラブルの根本的な原因、いわゆる物理的な原因じゃなくて体制上の原因といいますか、そういうものについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、どなたでも結構ですから。
  15. 清水眞金

    清水説明員 非常に難しい問題でございますが、基本的には日本で全部つくって、全部自分でやれるというのが一番望ましい。ただ、宇宙開発につきましては利用の方の要請も別途ございますし、それにできるだけ合わせた形で開発というものを進めざるを得ないということになりますと、できるだけ使えるものは使っていこうという形がとりあえずはやむを得ない状況ではないかと思っております。  しかしながら、ことしの二月に改訂いたしました宇宙開発政策大綱におきましても、国産というものを早急に進めていくという方針でやっておるわけでございます。それから、今ちょっとブラックボックスというお話が出ましたけれども、例えば今回のBS2ふぐあいを起こしておると想定されます中継器にいたしましても、あるいはひまわり二号のVISSRにいたしましても、これはかなり高い技術を必要とするものでございますので、現在は外国製でございます。ただ、これに関します運用等のいわゆる技術データはすべて開示されておりますので、原因究明につきましてはそういうところと十分連絡をとりながらやっておりますので、必ずしもブラックボックスであるので物がわからないということではございません。
  16. 三浦久

    三浦(久)委員 確かに二月の大綱の改訂で、自主性の確保とか独自の技術力を確立していくとかという方針が出されておりますね。しかし、これはたくさん打ち上げる、経験をうんと積んでいくということが必要だと思うのです。ところが今度、ことしの四月二十七日の経済対策閣僚会議でもって対外経済対策というものが決定されておりますね。ここで宇宙衛星についてはどうなっているのかというと、民間外国から宇宙衛星購入する道を開いておる。また、新しい電電購入することができる。政府自体自主開発路線に反しない限りは外国からの購入を認める。そういうようなことで、自主開発路線、自主的な技術開発、こういうものと逆行するような対策がとられているのじゃないかというふうに私は思うのですね。この点、科学技術庁はどういうふうにお考えでしょうか。
  17. 森忠久

    森説明員 お答えを申し上げます。  先日来の対外経済対策におきましての我が国政策考え方でございますが、御指摘民間企業利用者となる通信衛星購入につきましては、我が国宇宙開発政策大綱そのものが国あるいは国と協力して行います衛星開発につきましての自主技術開発内容を定めておりますものでございますので、国と離れて民間企業外国衛星購入するというような活動につきましては対象としておりませんので、我が国自主技術開発政策そのものには影響はないというふうに私ども考えておるわけでございます。  さらに新電電につきましては、その政策の中でも述べられておりますように、「宇宙開発政策との整合性」を図りつつということで、必要に応じて外国衛星を導入するという考え方に歯どめをいたしておるわけでございますので、これにつきましても、従来の自主開発路線ということの骨子は維持されるものではなかろうかと考えております。  さらに政府等需要者となります衛星につきましても、「宇宙開発政策自主技術開発を必要としないものについて」の購入の道を開いておるものでございますので、これにつきましても自主開発路線という線につきましては問題ないというふうに考えております。  なお、あえて申し上げますれば、後者二つにつきましては、現時点では具体的な購入予定はあるわけではございませんので、我が国の姿勢を示すという意味でこのような政策表明を行ったというふうに御理解いただければと思います。
  18. 三浦久

    三浦(久)委員 しかし、外国からの輸入の可能性に道を開いたという点ではやはり制度的には大きな後退だというふうに言わざるを得ないし、今自主開発路線は変わっていないんだ、こういうふうに言われましたけれども、今までの自主開発路線それ自体がかなり外国依存をしておるということが言えるわけですね。世界の大勢というのはやはり自主開発路線だと思うのですよ。日本でもそうだし、またそうでなければならないし、世界各国もそういう態度を取り続けているわけです。何でこういう自主開発路線というものを推進しなければならないのか、その理由をちょっとお聞かせいただきたい。
  19. 清水眞金

    清水説明員 宇宙開発自分の力でやっていくという基本的な理由は、宇宙利用自分の力で自在にやれるようにするというところが一番大きいと思います。それから宇宙開発から出てまいりますいろいろな波及効果がたくさんございます。例えば宇宙の産業が興るとかあるいは科学技術的な知見のすそ野が広く広がるとか、そういう波及的な効果もたくさんあると思います。
  20. 三浦久

    三浦(久)委員 ですから、私はもっとしっかり自主開発路線というものを推進していただきたいのですよ。  今度の対外経済対策決定によりまして、自主開発路線が非常にあいまいになるということと、もう一つ衛星平和利用の問題ですね。平和目的利用に限るのだというここがかなりあいまいになってこざるを得ないのじゃないかという心配をしているわけであります。事業団法というのは、要するに事業団が打ち上げし、それを利用させるという場合に適用になるわけですね。そうすると、民間衛星購入する場合にはこういう事業団法の縛りがなくなってしまいますね。ですから大変心配なわけです。しかし、幸いに国会決議があります。平和目的利用に限るという国会決議があるわけですが、民間外国から衛星購入した場合でもこの国会決議というものは適用になるのかどうか。これをぜひお尋ねをいたしたい。これは郵政大臣お尋ねしたいと思います。
  21. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生の御指摘は、通信衛星利用についての問題と承知をいたしておりますが、我が国における宇宙開発及び利用につきましては、私ども国会決議の趣旨に沿って平和の目的に限りこれを進めているところでございますので、そのように御承知をいただきたいと思います。
  22. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、民間購入した場合でも国会決議適用になるということですね。それをちょっとはっきりさせてほしいと思います。
  23. 清水眞金

    清水説明員 国会決議は具体的にどこまでどのように拘束力があるかということにつきましては、これは私どもの判断するところではないような気もいたします。国会決議の意味するところとかその対象範囲、そういうものにつきましてはあるいは国会が御判断されるところではないかと考えておりますけれども、行政府といたしましては、国会の御議論を踏まえまして、今後とも平和の目的に限って宇宙開発を進めていくということには変わりはございません。
  24. 三浦久

    三浦(久)委員 わかりました。  次にお尋ねいたしますが、今衛星問題についてお尋ねしましたけれども、この衛星について、日米の双方で共同して軍事利用する、そういう動きがありますね。それと関連して、日米共同訓練もまた最近盛んに行われておりますが、それとの関連でちょっとお尋ねしたいと思うのです。  四月二日から五日まで北海道の千歳基地航空自衛隊アメリカ空軍との日米共同訓練が行われました。この際、日本側から、アメリカ軍外出に備えて千歳ガイドブックというものを作成してアメリカ軍に配布をいたしております。これは「防衛施設広報」に載っておりますから明らかであります。こういうものをどのくらい作成したのか、そしてこの作成に要した費用、それからその予算費目、これをお尋ねいたしたいというふうに思います。
  25. 上田秀明

    上田説明員 お答えいたします。  御指摘資料は、千歳で行われました日米共同訓練を円滑に実施するために、現地部隊ガリ版刷り等作成いたしました、関係者に配布するための資料でございます。したがいまして、作成部数はおおよそ百部程度と聞いております。  それから、現地部隊現地に配賦してございます教育訓練費で支弁しておりまして、ガリ版わら半紙代等でございますので、二千円とかそういうような単位であるというふうに承知しております。
  26. 三浦久

    三浦(久)委員 そのガイドブックは、どういうことが記載されているのですか。
  27. 上田秀明

    上田説明員 ガイドブックの中には、共同訓練に参加しております米軍人のためのものでございますので、千歳基地の概要でございますとか、関連施設でございますとか、そういうものが掲載されておりますが、参考的なものといたしまして、千歳市の案内図、そういうものも掲載してございます。
  28. 三浦久

    三浦(久)委員 この「防衛施設広報」によりますと、こう書いていますね。「千歳基地では、米隊員外出に備え、”千歳ガイドブック”を作り、基地内の説明のほか、千歳市や札幌周辺市街地観光地などをはじめ夜の盛り場まで紹介、ウィスキー、ビールなどの値段も書き添えられた。」こういうふうになっているのです。夜の盛り場についてどういう紹介をしているのですか。
  29. 上田秀明

    上田説明員 先ほど申し上げました千歳市街地案内図等がございまして、その中には、レストランとかそういうものの記述がございます。
  30. 三浦久

    三浦(久)委員 これはアメリカ側要求によって作成したものですか。
  31. 上田秀明

    上田説明員 繰り返しになりますが、日米共同訓練に参加してまいりますアメリカ軍兵士関係者のために現地部隊が英語で作成したものでございまして、全く西も東もわからない米軍関係者に対して、先ほど申し上げましたように訓練関連施設その他を案内しておるものでございまして、参考までに千歳市の案内図等も挙げてある、こういうものでございまして、現地部隊作成いたしております。
  32. 三浦久

    三浦(久)委員 アメリカ軍訓練に来た。そのアメリカ軍の夜のプライベートな行動まで国費を使って、二千円だろうと三千円だろうと税金なんだから、そういう国費を使って何で案内をしなければならないのかということですね。私がその内容を、どういうような案内をしているのかというので、防衛庁資料要求した。そのガイドブックを出してほしいと言ったら、あなたたち回答をよこしましたね。ふざけた回答ですよ、この回答委員長も聞いてください。「上記資料は、日米共同訓練を円滑に実施するために作成した資料であり、共同訓練関係者以外には配布していないので提出は差し控えたい。」何を言っているのです。私がそのガイドブックをもらって千歳でも盛り場でも遊び歩こう、そのためにもらおうと思ったのですか。そういうことじゃないでしょう、あなた。あなたたちがどういう税金使い方をしているのかということを私は確かめたいので、その内容を知りたいということで資料要求をしたら、こういうふざけた回答なんですよ。何でこんなガイドブック日米共同訓練を円滑に実施するために必要なんですか。
  33. 上田秀明

    上田説明員 先ほどからお答え申し上げておりますが、訓練に関係いたしております施設、それから基地内の様子等が記載してございます。現地部隊が適宜関係者に配布するためにガリ版刷り等作成したものでございまして、共同訓練の円滑な実施のために作成したものでございまして、ごく現地限りでつくっているというようなものでございますので、共同訓練関係者以外には特に公に配布するというものでもないというふうに判断して、御提出を差し控えさせていただいたものでございます。
  34. 三浦久

    三浦(久)委員 だから冗談じゃないと言うのだよ。私が一市民として千歳をいろいろ歩き回りたいからくれと言ったわけじゃないのです。そうでしょう。さっきも言ったとおりです。あなたたちは、そうすると、日米共同訓練は夜まで一緒にやるのですか。そんなことじゃないでしょう。ですから、内容について何にもやましい点がないのなら出したらどうですか。この内容軍事秘密ですか。軍事秘密じゃないでしょう。出したらどうですか。
  35. 上田秀明

    上田説明員 先ほどから繰り返してお答え申し上げておりますが、共同訓練関連いたします施設、そういったものが掲載されておりまして、参考までに千歳市の市街区等も添付してございます。現地ガリ版刷り等で適宜関係者用作成したものでございまして、残部もございませんので、御提出は差し控えさせていただきたいと思います。
  36. 三浦久

    三浦(久)委員 それは詭弁ですよ。最初にこの回答は、残部がないから出せませんという理由じゃないじゃないですか。共同訓練を円滑に実施するために作成したものだから出せないと言っている。だから、残部がないからというのは今あなたが思いついて言っていることなのであって、幾らでもまだ残っているはずでしょう。委員長、私はこんなものまで資料として提出しないという防衛庁の態度はけしからぬと思う、国会軽視だと思うのです。今までも何回も、日米安保条約の円滑な運用に支障を来すとか、日米共同訓練の円滑な運用に支障を来すとか、そういう理由資料提出を拒んできましたけれども、こういうガイドブックまで国会に対して提出を拒むというようなことは国会軽視も甚だしいと思うのです。特に軍事秘密でも何でもないのですから。ですから、私は委員長にお願い申し上げたいのですが、ぜひこれを委員会提出するように指示していただきたいと思います。
  37. 片岡清一

    片岡委員長 また理事会で相談しますが、私は、それは——また理事会で御相談しましょう。
  38. 三浦久

    三浦(久)委員 では理事会でよろしくお取り計らいのほどをお願いいたします。  それじゃ郵政省、大臣にお尋ねいたします。  今回の法案でございますけれども、地方貯金局と地方簡易保険局を地方郵政局に統合するということなんですけれども、この案は臨調の答申に基づくものですね。最初に臨調から指摘されましたのは五十七年九月の臨調の第二、第三合同部会によってであります。当時、この指摘を受けまして郵政省は、簡保と貯金局は業務が違う、そういうことを理由にしてこの統合は不適当であるという回答を出しているというように私どもは承っておるわけでありますが、かつて不適当だとされたものを内容とする法案をどういう理由で今回提案をしてきたのか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。
  39. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 臨調審議の過程におきまして、地方貯金局と地方簡易保険局の郵政局への統合の問題が俎上に上りまして、その中で郵政省に対してもヒアリングがございました。そのヒアリングの中で郵政省といたしましては、地方貯金局と地方簡易保険局並びに郵政局が成立してまいりました経過、その時代的背景の違い、あるいは機関としての性格の違いといったようなものをるる御説明申し上げたことは事実でございます。  例えば、地方貯金局の場合はもともと貯金の原簿を所管する機関として設けられたものでございますし、本来業務が少ない場合には本省で処理されていたものを、業務の増大につれて原簿を地方に移管したということでございます。明治八年に郵便貯金が創設されまして明治十九年までは本省で一括処理していたわけですけれども、十九年に至りまして大阪と赤間に初めて原簿を移した、それが地方貯金局の濫觴でございます。現在の大阪地方貯金局と下関地方貯金局がそれに該当いたします。保険につきましても大正五年に制度が創設されまして、本省においてそういった保険の締結関係あるいは契約原簿の関係の事務は一括して処理しておりましたけれども、事務の増大につれてこれを地方にもその事務を処理する機関が必要だということで、昭和九年に至りまして初めて福岡に一局を設けたというのがそのオリジンでございます。  一方、郵政局の場合は、御承知のとおり全国に多数存在いたします郵便局を管理するための中間管理機構ということございますので、そういった性格を異にする機関を、単に同じ種類の機関を水平統合する、あるいは上下の機関を垂直統合するようなものとは違っていろいろな問題があるということをるる御説明申し上げました。  その点につきまして臨調の方でも大変御理解を示していただきまして、今回のような形で、つまり管理共通事務等を地方郵政局に統合する形での郵政省設置法の改正という形で決着を見たのでございます。
  40. 三浦久

    三浦(久)委員 どうもお話を聞いておっても、業務の違いは何も解消されてないわけでしょう。業務の遅いというのは残っているわけで、当初の意見がそのまま貫かれなければならないのに、今、当初反対しておったものを出す。私は非常に一貫性がないということを指摘しておきたいと思います。  それから、今度の統合によって総務部門の縮小を図ることが一つのメリットだと郵政省は言われておりますね。そうすると、どのくらいの総務部門の縮小が予定されているのか、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  41. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生御指摘のとおり、今回の統合によりまして、いわゆる管理共通部門というものが郵政局に統合されます。少し細分化して申し上げますと、人事関係事務、さらに中身といたしましては任用関係あるいは昇任昇格関係の事務等、あるいは経理部門といたしまして会計、出納、決算等の事務、あるいは資材関係といたしまして消耗品、式紙関係の事務といったようなものが郵政局に統合されますので、その分の要員が縮減される運びになっております。  ただ、この実施が昭和五十九年の七月一日を目途としておりますので、今年度についてはまだその予算措置は講じておりませんが、来年度におきましてその予算措置並びに要員縮減に伴う措置を必ず予算に反映すべく、現在その要員数の合理化について鋭意、計算作業中でございます。
  42. 三浦久

    三浦(久)委員 また、今回の統合によりまして、貯金業務と簡保の業務との人事交流が計画されていると聞いておりますけれども、そういう配置転換の場合、当該労働組合と十分に協議をするとか、また本人の意思を十分に尊重する必要があるだろうと思うわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  43. 三浦一郎

    三浦政府委員 地方貯金局、地方保険局を郵政局に統合する、こういうことのためには、先生おっしゃるとおり労働組合の理解と協力が必要である、このように考えておるわけでございます。これまでも基本的な考え方について意見交換を行ってきたところでございますけれども、今後とも十分に意思疎通をやっていきたいと考えております。  それから、配置転換など実施する必要があるといった場合につきましては、本人の適性、経験、通勤状況、それから希望、そういったものを十分総合的に勘案して実施していきたい、このように考えております。
  44. 三浦久

    三浦(久)委員 また、今、貯金局や簡易保険局の職場では人減らし合理化が行われるのじゃないかという心配をしているんですね。というのは、これまでもオンライン化によってずっと人が減らされている。ですから今度の統合を契機にして一層そういう人減らしが行われるのじゃないか、そういう心配を持っていらっしゃる方がたくさんおられるわけです。この点についてはどういうお考えなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  45. 三浦一郎

    三浦政府委員 貯金あるいは保険業務、これは総合機械計画その他オンライン、各種の計画の実施に伴いまして減員は実質することにいたしております。こういった機械化あるいは合理化の実施に伴って過員が発生するといった場合につきましては、他局への配置転換、そういう方法によって措置する予定でありますけれども、その場合、配置転換につきましては労働組合との間に配置転換協約を締結いたしておりますので、その実施に当たりましては、先ほども申しましたように本人の適性、経験、希望といったものを総合的に考えて実施する、そういうことにいたしておるものでございます。
  46. 三浦久

    三浦(久)委員 次に、五九・二を契機にされた郵便輸送の問題をちょっとお尋ねします。  ことしの二月の国鉄のダイヤ改正を契機として、郵便物の鉄道輸送を大幅に削減いたしました。自動車輸送を中心に切りかえていっているわけです。そしてまた同時に、県内の翌日配達体制の確立や、また区分方法の改正が行われております。そのために、郵政省の職員の人も、また受託業者、これは大手を挙げますと日本郵便逓送等々、そういう労働者も労働条件の非常に大きな変化を来しているわけであります。特に夜間の勤務が多くなっているというのが実情です。二月以前に予想されなかった労働環境上の問題がさまざま発生をしているということも事実であります。  特に受託業者である日逓に働く労働者は、今までは二人乗務で輸送しておったのですけれども、一人乗務になる。と同時にまた、今まで取り扱いの郵袋が一日に大体二百くらいだったらしいのですが、これは場所によっても違いますけれども、現在は大体倍近くなっている、四百くらいになっているということで、労働が非常に過密だというような苦情が出されております。その上、大変無理なダイヤが設定されている。どうしても決められたダイヤの時間では到着しない。スピード違反をしようと何しようと、道路事情等々によってどうしてもダイヤどおり走れない、そういうダイヤで運行させられているというのが実情なんです。そういう訴えも私のところへたくさん来ております。  それで、このダイヤというのはどこがどういう基準で作成しているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  47. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生から五十九年二月一日に実施しました輸送合理化について、いろいろな点で御質問がございましたが、一応順を追って御回答申し上げたいと思いますけれども、一番最後の問題だけでよろしゅうございますか。「三浦(久)委員「質問のところだけでいいです」と呼ぶ)  自動車の運行ダイヤの走行時間等について、どこが決めているかという御質問でございますが、その点は地方郵政局の郵務部の輸送課というところがございまして、そこであらかじめ試行テスト等を行って所要時間を見て、一応権限としてはそこで決めているというふうに……(三浦(久)委員「どういう基準で」と呼ぶ)高速道路とか普通の道路等の道路事情によって違うと思いますが、一般には時速四十キロとか五十キロとか、そういったことであらかじめ郵便局と郵便局の間を受託会社の車に添乗して試走しまして、それに基づいて所要時間を決めておるということでございます。
  48. 三浦久

    三浦(久)委員 ところが、実際はそうなってないみたいですね。一例を言いますと、これは私の地元の郵便局の問題ですけれども、今度地域区分局が福岡県で四つありますね。その一つである東小倉と博多、これのダイヤを見ますと、大体一時間二十五分になっているのです。労働者に言わせますと、スピード違反をして走っても一時間五十分から、時間帯によっては二時間かかる、こう言われています。それから、東小倉からもう一つの地域区分局である飯塚までは、ダイヤでは六十分になっています。ところが、実際は一時間二十分かかると言うのです。それで、でれば小倉の区内を歩く場合ですが、東小倉の区分局から西小倉の郵便局に行くのにダイヤは二十二分だけれども、その二十二分で、ラッシュのときに行って、そして郵袋をおろしたり積み込んだりとてもできないと言うのです。  私も、実情に合ったダイヤがつくられているかなと思って調べてみたのです。そうしたら、朝走るのも昼走るのも夜中に走るのも、みんな東小倉から博多までは一時間二十五分なんです。これは、道路事情というものを加味して実情に合わせてダイヤを編成したということは言えないのじゃないかという疑問なんです。それで、必ずおくれるそうであります。必ずおくれるから、郵便局の方もおくれるのは知っているそうであります。ですから、これは間違いのない事実だろうと思うのです。そういたしますと、手持ち時間がある場合はいいけれども、出発は必ず時間を守らなければいかぬそうです。ですから、結局休憩時間にしわ寄せがきたりいろいろ不利益なことになるということです。特に時間内に走らなければならぬということでスピード違反もやらなければならないし、非常に精神状況が不安定になる、こういうことも言われています。ですから、まだ二月一日から始められたばかりのことでありますので、一遍に全部矛盾なくというわけにいかないのでしょうけれども、しかし、もうちょっと実情に合わせてダイヤをつくったらどうだろうかということなんですが、いかがでございましょうか。
  49. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 二月一日のダイヤ改正は、県内の郵便物を翌日に配達するということを大きな目的としてやりましたので、そのために一番大事な便は夜中に走るダイヤ、それから非常に早朝に走るダイヤが重要になってくるわけです。したがいまして、先ほど試走テストを行ったと申しましたのは、主にそういった比較的交通の混雑してない時間帯を走ってダイヤを引いておりますので、同じ時間で昼間帯も引いておるとすれば、どうしても交通の事情が違いますのでおくれてくると思います。したがいまして、そういった問題につきましては、現在地方の実情を調査しておりますので、できるだけ早い時期にそういった問題は直していきたいと考えております。
  50. 三浦久

    三浦(久)委員 次は、さくら二号の問題をお伺いいたします。  防衛庁お見えですね。硫黄島というのは有事の際にシーレーン防衛にとって非常に重要な位置にあると、現在の夏目次官が昨年答弁をされていますね。この硫黄島の基地が最近非常に強化をされているというのが現状であります。例えば、五十九年度、大体夏か秋ごろだと思いますけれども、硫黄島に空域監視隊が新設される予定ですね。その任務、所属部隊名、本土の上級部隊名等を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  51. 藤井一夫

    ○藤井説明員 御質問いただきました硫黄島におきます空域監視隊でございますが、まず任務は、防衛庁はこの硫黄島を航空機の訓練基地として使用する計画を立てておりますので、訓練の際に訓練空域におけます訓練機と他の航空機との安全を確保いたしますために、空域を監視するレーダーを置きたいと思っておりますが、そのレーダーを運用して空域を監視する部隊でございます。  なお、隷属関係でございますが、これは航空自衛隊が沖縄に硫黄島基地隊という部隊を持っております。その中の一部隊でございます。なお、硫黄島航空基地隊の上級部隊は中部航空方面隊、さらにその上は航空総隊でございます。
  52. 三浦久

    三浦(久)委員 空域監視隊用に移動三次元レーダーというのが配備をされる予定ですね。大体いつごろ配備をされるのか。また、三次元レーダーの性能、その利用目的等々についてお尋ねいたします。
  53. 藤井一夫

    ○藤井説明員 先生は今移動三次元レーダーとおっしゃいましたけれども、私どもはここに置きますレーダーは移動を持たないものを考えておりますので、三次元レーダーでございます。  これにつきましては、一挙に入ってくるわけではございません、いろいろな構成部品が逐次入ってまいりますが、本年の秋ごろまでに整備されるということを考えております。  それから、先ほど私は答弁の中で沖縄と申し上げたかと思いますが、硫黄島の誤りでございますので、御了承いただきたいと思います。
  54. 三浦久

    三浦(久)委員 性能はどういう性能ですか。
  55. 藤井一夫

    ○藤井説明員 レーダーの性能といたしましては、本土に持っております移動警戒隊のレーダーと大体同じ性能でございますが、このレーダーがどれくらいの距離を監視できるか等の問題につきましては、防衛上の問題もございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  56. 三浦久

    三浦(久)委員 硫黄島基地では、ことしの一月から海上自衛隊の対潜哨戒機のP2Jが対潜訓練を行ったり、また夜間の離発着の訓練を行っておりますね。ことしの十月からは航空自衛隊のF4ファントム戦闘機による、まず夜間訓練、低高度要撃訓練、電子妨害下の要撃訓練、こういうものを始める予定ですね。どうでしょうか。
  57. 上田秀明

    上田説明員 お答えいたします。  海上自衛隊のP2Jの訓練でございますが、御指摘のように、昨年までは航法訓練を行っておりましたが、本年の一月から数機移動いたしまして、そこで移動訓練を開始しております。  航空自衛隊の方でございますが、御指摘のように五十九年十月ごろから移動訓練を開始したいというふうに考えておりますが、とりあえずは慣熟飛行ということでまず試行訓練を行いまして、御指摘のような本格的な移動訓練は六十年度に入ってからというふうな予定でございます。
  58. 三浦久

    三浦(久)委員 こういうように硫黄島での訓練が非常に頻繁に行われるというようになっているわけですね。そういうときに、通信衛星であるさくら二号の利用という問題が出てきているわけであります。  この通信衛星を使っての通信というのは、本土の基地との連絡用というのは当然なんですけれども、そうすると自衛隊の訓練に関するさまざまな情報の通信に使われるというふうに伺ってよろしいわけですか。
  59. 藤井一夫

    ○藤井説明員 今般、CS2を使いまして硫黄島との間の電話回線を引いていただいたわけでございますが、これはいろいろなことに使われるわけでございまして、硫黄島におります部隊の隊務にも使われると思いますし、一般隊員が本土と連絡をとる、そういうものにも使われますし、いろいろな用途に使われるというものでございます。
  60. 三浦久

    三浦(久)委員 引いてもらったと言うけれども、まだ引いてないでしょう。どうですか。
  61. 藤井一夫

    ○藤井説明員 五十九年度の予算におきまして引いていただく予算措置をしていただいているということでございます。
  62. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、例えば移動訓練というのですか、こっちから出かけていって硫黄島で訓練しますね。そういう場合に、いつからいつまでファントムの訓練をやるぞ、何機ぐらい行くぞ、そういうような指示とかもこれでやるのでしょう。それからまた、訓練結果の報告、そういうものもこの通信衛星を使ってやるのじゃないのですか。
  63. 藤井一夫

    ○藤井説明員 先ほどお答えいたしましたように、この回線を使いまして部隊の隊務、いろいろな隊務が入るわけでございますが、それもこの回線を利用したいと思っておりますので、その一部には今先生のおっしゃいましたようなものも当然入るというふうに理解しております。
  64. 三浦久

    三浦(久)委員 科学技術庁お尋ねいたしますけれども宇宙開発事業団法の第一条に「平和の目的に限り、」という規定があり、「平和の目的に限り、」というのは非軍事だという政府答弁がありますけれども、それは現在でも変わりませんね。
  65. 清水眞金

    清水説明員 宇宙開発事業団法第一条の「平和」という言葉は、非軍事を意味するというふうに解釈しております。
  66. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、非軍事に限るということは、軍事目的利用はしてはならないということに論理的にはなるんじゃありませんか。どうでしょうか。軍事と非軍事に分けて、非軍事に限るというわけですから、軍事はいけない、そういうことになるんじゃありませんか。どうですか。
  67. 片岡清一

    片岡委員長 木下装備局長
  68. 三浦久

    三浦(久)委員 いや、今科学技術庁がそう答えられたので、それとの関連お尋ねいたしておりますので……。
  69. 清水眞金

    清水説明員 軍事に使われるということの意味でございますけれども、軍事という言葉がどういう意味を持っているかということにつきましては、私どもの方で明確に定義するといいますか、その辺のあれはございませんけれども、常識的に軍事、非軍事という言葉はあると思います。そういう意味で、例えば偵察衛星等のように明確に軍事を目的としているものにつきましては、宇宙開発事業団開発したり打ち上げをしたりすることはできないというような御議論が従来から国会で行われておるというふうに承知しております。
  70. 三浦久

    三浦(久)委員 課長さん、どういうものが軍事になるのか、どういうものがしたがって非軍事になるのかということはいろいろ議論があるだろうと思いますね。また、防衛庁も政府も議論をしたいでしょう。しかし、その境界がどこかは別としても、少なくとも論理的には非軍事に限るのだと言えば軍事はだめだということでしょう。どうなんですか。それははっきりしているじゃないですか。
  71. 清水眞金

    清水説明員 お答えいたします。  論理的にはそのとおりだと思います。
  72. 三浦久

    三浦(久)委員 法制局にお尋ねいたしますけれども、五十八年五月十六日、参議院の安保特で、前法制局長官の角田さんが、偵察衛星を打ち上げることは「宇宙開発事業団はできない」というふうに述べていますね。そしてその理由として、軍事利用だからできないんだなということに対して、「そのとおりでございます。」というふうに言われているのですが、この答弁は間違いありませんね。
  73. 前田正道

    前田(正)政府委員 御指摘の寺田議員に対します角田前長官の答弁につきましては、現在でもそのとおりと考えております。
  74. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、偵察衛星というのは、結局軍事的な情報を収集する、そういう目的衛星だ、いわゆる軍事利用目的としているから、結局事業団が打ち上げることは事業団法一条によって禁止をされるということになると思うのですね。  郵政大臣お尋ねしますが、この宇宙開発事業団法第一条と同趣旨の国会決議が行われております。これも御承知のとおりでありますけれども、これも「平和の目的に限り、」というふうになっていますが、これも非軍事的目的に限るということを意味するわけですね、どうでしょうか。
  75. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今先生の御指摘平和利用目的、それが非軍事、軍事という概念の中で論議を進められておりますけれども、私自身今ここで、非軍事あるいは軍事だけが平和目的の概念とすぐ直結するのかということをちょっと断定しかねる気持ちがあります。ただ、先生の言われる形は、平和目的に限るという形で打ち上げた星である通信衛星、その利用に関して今国会でも国会決議の解釈をめぐってまだ問題点が残されておるということは認識いたしております。したがいまして、その推移を見守りながら対応していこうという気持ちでおることも事実でございます。
  76. 三浦久

    三浦(久)委員 しかし大臣、平和目的に限るというのは非軍事に限る、というのはもう歴代の科学技術庁長官の答弁ですよ。それを訂正されるのですか。平和的利用に限るというのは非軍事に限るということは、何回も念を押されている問題で、そのとおりですということを言われているのですよ。そのとおりじゃないのですか、どうでしょう。
  77. 奥田敬和

    奥田国務大臣 平和目的に限るということは承知しております。
  78. 三浦久

    三浦(久)委員 いや、平和目的に限るというのは非軍事なのだということは何回も言われているでしょう。岩動さんも言っておれば、安川さんも言っておれば、歴代の長官がみんな言われておることですよ。ですから私は、平和目的に限るというのは非軍事という意味ですねというふうにお尋ねしているのですけれども、いかがでしょう。そこは否定されないのじゃないですか。
  79. 片岡清一

    片岡委員長 電波監理局長
  80. 三浦久

    三浦(久)委員 郵政大臣の答弁に関連して質問しているので、郵政大臣からお答えいただきたいと思うのでございますけれども……。
  81. 片岡清一

    片岡委員長 まず、こっちから言って。
  82. 鴨光一郎

    鴨政府委員 大臣にかわりましてお答え申し上げます。  私ども、従来国会において政府側から、国会決議との関連において平和目的は非軍事と理解するという趣旨の答弁があったことは、承知をいたしております。
  83. 三浦久

    三浦(久)委員 そういうことでしょう。そうすると郵政大臣、政府は、また政府関係機関はそういう国会決議を尊重し遵守しなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 奥田敬和

    奥田国務大臣 遵守しなければならないことは当然だと思います。
  85. 三浦久

    三浦(久)委員 そうしますと、先ほど私がお尋ねいたしましたように、硫黄島というのは人家がないところなのですね。アメリカの基地と自衛隊の基地しかないところです。その自衛隊が例えば軍事訓練をやるためのさまざまな指示を出す、そういう通信にこのさくら二号を使うというわけでしょう。そうすると、それは当然だれが何と言おうと軍事利用だと思うのですよ。それからまた夏目次官も、これはシーレーン防衛上非常に重要な地位にあるのだ、硫黄島というのはそういう地位にあるのだということを言われている。今は訓練基地だけれども、将来有事の際作戦基地になるということも当然考えられるわけです。その硫黄島の軍事基地が軍事衛星利用するということは、単なる軍事訓練だけではなくてさらに戦闘行動の指揮、そういうものにまで使われる可能性が非常に強いわけです。ですから、もっと大きな軍事利用可能性に道を開いていくわけですよ。そうすると、私は国会決議の趣旨から言えばどうしても自衛隊にさくら二号を利用させてはならないというふうに思うのです。  ところが、今回の政府の決定は、使わせるのは平和目的に反しないとか国会決議に反しない、事業団法にも反しないというようなことになる。どうしてそういう論理になっていくのか、私は理解ができないのですけれども、この点、どういうふうにお考えでしょうか。
  86. 鴨光一郎

    鴨政府委員 国会決議のことにつきましては国会で決めていただくことは当然のことでございますけれども、私どもといたしまして、通信衛星利用につきましては電電公社が国内公衆通信業務用の通信回線として利用する目的でこれを使用するということでございますので、宇宙開発事業団法に反するものではなく、また平和目的に反するものではないという考え方に立っております。そしてまた、電電公社の性格は、あまねく公平に、差別することなく公衆電気通信サービスを提供する義務を負っているということでございますので、防衛庁から一般利用者として加入申し込みがあれば、公衆電気通信法に照らして電電公社は公衆電気通信サービスの提供を拒否することはできないというふうに考えておる次第でございます。
  87. 三浦久

    三浦(久)委員 それは公衆電気通信法の何条に基づくのですか。
  88. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいま申し上げましたのは公衆電気通信法でございますが、あまねくかつ公平に取り扱うべき旨の規定は、公衆電気通信法第一条でございます。それから、差別的取り扱いをしてはならないという規定は、公衆電気通信法の第三条でございます。
  89. 三浦久

    三浦(久)委員 そのほかまだあるでしょう、第三十条は。今のは「目的」の項に書いてあるのであって、精神規定なんですよ。もっとはっきりしたものがあるでしょう。第三十条にちゃんと書いてあるんじゃないの。
  90. 小山森也

    ○小山政府委員 公衆電気通信法の第三十条に「公社は、公社の予算の範囲内においては、普通加入区域及び特別加入区域内における加入電話の設置についての加入電話加入申込並びに電話加入区域外における加入電話の設置についての加入電話加入申込の全部を承諾しなければならない。」こうなっております。
  91. 三浦久

    三浦(久)委員 そうするとあなたたちは、自衛隊から加入電話の申し込みがあればそれを全部承諾しなければならない法律上の義務がある、だから使わせざるを得ないのだ、したがって法律に基づいてやっているのだから平和目的利用には反しないのだ、そういうようにおっしゃるわけなんですか、どうなんですか。
  92. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、電電公社のCS2の利用の態様、そして公衆電気通信法に基づきます電電公社のサービスの提供の義務、それと防衛庁からの一般利用者としての加入申し込みという点から申しまして、先ほどお答え申し上げましたような見解に立っている次第でございます。
  93. 三浦久

    三浦(久)委員 あなたたちは大事なことを隠しているわけです。  電電公社来ていますか。電電公社、三十条の前に二十九条がありますね。その二十九条というのは、電話加入区域を指定しなければならないでしょう。電話加入区域を指定していないところに申し込みをしても、それは拒否してもいいわけでしょう。三十条違反にはならないでしょう。どうですか。
  94. 寺島角夫

    ○寺島説明員 ただいまの問題にお答えいたします前に、公社の立場を申し上げておきたいと思います。  先ほど郵政省からも御答弁がございましたように、公社は現在、国内公衆電気通信を独占的に運用する立場にございます。したがいまして、申し込み、電話の利用等に関しましてあまねく公平にかつ不当な差別をしてはならないという精神でやらなければならない義務を持っておると考えておるわけでございます。  それで、ただいまお尋ねの硫黄島の問題につきましては、現在まだ防衛庁の方から正式な申し込みを私どもは受けておりません。したがいまして、それがもしありました場合には、先ほどから御議論になっておりますこの平和利用の問題につきまして、政府の御指導を得て、それで問題がないということであればお受けすることになろうかと思います。  それで、お尋ねのございました加入区域でございますけれども、加入区域を設定をするということは、そこに利用の申し込みがありますれば今まで加入区域にしていなかったところでも加入区域を設定いたしましてその利便を図るというのが、私ども公衆電気通信事業者としての基本的な立場であろうと考えております。
  95. 三浦久

    三浦(久)委員 まだ硫黄島は電話加入区域に指定されていませんね。
  96. 寺島角夫

    ○寺島説明員 御案内のとおり、硫黄島は大変遠距離でございまして、離れておるものでございますから、現在のところ衛星以外に適当な通信手段がございません。したがいまして、現在のところそこに電話の利用というものがございませんので、私どもとして加入区域の設定をいたしておりません。
  97. 三浦久

    三浦(久)委員 まだ設定されていないんだよね。そうすると、電話加入区域の指定をする場合にどういうことをあなたたちは考慮しなければならないようになっておりますか。
  98. 寺島角夫

    ○寺島説明員 加入区域の問題でございますけれども、特別な御負担をなくして一般と同様に一番低廉な価格で設置をしていただく区域でございますけれども、私ども、まず基本的にこれの地域拡大に過去努めてまいりました。そして現在、これが七キロ円になっておるわけでございますけれども、五十七年度以降さらに、この七キロの円外になりましても、おおむね十世帯程度の集落あるいは人がおられるというふうなところはこれは加入区域としていたしましょうということで、現在三カ年計画で進めておるわけでございます。
  99. 三浦久

    三浦(久)委員 それは電電公社の内規の問題でしょう。
  100. 寺島角夫

    ○寺島説明員 そうでございます。
  101. 三浦久

    三浦(久)委員 そうじゃなくて、法律上どういうことを考慮しなければならないようになっているかということを聞いているのです。——私が言いましょう。  公衆電気通信法第二十九条第三項で、第一項というのは加入区域の指定の問題でありますが、「前二項の規定による指定をするに当っては、一の区域ごとにその地域の社会的経済的の諸条件、行政区画、加入電話の需要及び供給の見込並びに公衆電気通信役務を提供するに要する原価を考慮しなければならない。」こうなっているわけですね。そして、これらすべての条件を考慮して指定するか指定しないかを決めるようになっているのではありませんか。そして、それを具体的な基準としてまとめたのが、今あなたがおっしゃった十世帯以上で七キロの範囲で云々という内規になってきているのでしょう。そうじゃないのですか。
  102. 寺島角夫

    ○寺島説明員 御指摘のとおり、この法の定める趣旨に従いまして加入区域を設定しておるわけでございます。  それで、先ほどお答え途中になりましたが、七キロ円外にありましても、おおむね十世帯程度まとまっているところは加入区域を設定いたしましょう、それからまた離島振興法その他で指定されております離島につきましては、その条件に当ではまらなくてもこれも指定いたしますという形で、できるだけ多くの方に御利便をいただくような形で進めておるわけでございます。
  103. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、この第二十九条の第三項によると、加入区域を指定する場合にはいろいろな条件を考慮しなければならない。考慮しなければならないということは、それを考慮して指定したり指定しなかったりするということなのであって、これは一つの裁量行為なんです。指定しなかったから即公衆電気通信法違反になるというような問題ではないのですね。  それでお尋ねしたいのですけれども、今あなたが言われた内規、十世帯以上まとまった集落がある場合には大体加入区域に指定するようにしておる、こう言われましたね。そうすると、十世帯以上まとまっている集落ではあるけれども、しかしいまだに電話加入区域に指定されていない、そういう集落がたくさんあるのじゃございませんか。どのくらいございますか。
  104. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほどお答え申し上げましたように、五十七年度から五十九年度まで三カ年計画で、おおむね十世帯程度の集落のある地域並びに離島につきまして普通加入区域に入れる作業を進めておるわけでございます。これでどうなったかと申しますと、その結果、三カ年計画で大体三百地域を持っておったわけでございますが、昨年五十八年度末までにそのうちの約二百九土地域を完了いたしまして、残りは土地域でございまして、これは今年度、五十九年度中にすべて完了する予定でございます。これによりまして、五十七年度末に半径七キロの円外に残っておりました世帯というのは大体六千世帯というふうに推定をしておるわけでございますが、このうちの約八〇%に当たります五千世帯につきまして救済をされるわけでございます。したがいまして、そのほかに十世帯程度に至らない、例えば一世帯とか二世帯とか、しかも近隣にケーブルが行ってないというふうなのが若干、推定でございますけれども、残の約千世帯程度ではないか、現在かように考えております。
  105. 三浦久

    三浦(久)委員 しかし、またいわゆる内規の基準に合わないところもあるわけでしょう。十世帯よりも少ない集落、そういう場合でも自分で設備費を出せば加入申し込みできますね。しかし金がたくさんかかるから加入できないという世帯まで入れるとどのくらいになりますか。今お話しになったのは、いわゆる内規の基準に合致しているけれども、まだ指定していないというところの世帯数でございましょう。そうじゃなくて今度は、合致しないがために加入の申し込みはできないという世帯は、千世帯のほかにどのくらいありますか。
  106. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほど千と申し上げましたのは七キロ円外にあります世帯の数で申し上げましたので、千と申しますのが大体、ただいま先生からも御指摘ございましたように、特別の御負担をいただければつけることができるというところではないか。そのうち現在どれだけ希望をお持ちかということになりますと、的確につかみかねておりますが、公衆電話等の設置をしておるところもございますし、いろいろな形があろうと考えております。
  107. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、やはりこれは裁量行為なんですよね。いろいろな基準で選定していって、できるところからやっていく、そういうことになっているわけですね。ですから、硫黄島の自衛隊の基地に関して何でそんなに急いで使用させなければならないのですか。私は非常に不思議です。  郵政省お尋ねしますけれども、この政府の決定の口頭説明メモという、これによりますと、何か使わせなければ法律違反だと言わぬばかりのことが書いてある。しかし使わさないことだってできるわけでしょう。千世帯もまだ加入申し込みできないでいる状況の中で、何で硫黄島の自衛隊の基地だけが優先的な取り扱いを受けなければならないのかということです。これでは差別的な扱いをしてはいけないとか、公平にしなければならぬとか、それから「一般の者と同様の地位において」とかと書いてあるけれども、一般の者と同様じゃないじゃないですか。一般の者よりも優先して早くあなたたちは加入区域を指定してもらおうとしているじゃありませんか。加入区域の指定がなければ申し込みができないのですか。加入区域の指定があったときには、申し込みがあればそれを全部承諾しなければならない。しかし、加入区域の指定というのは裁量行為なんですね。そうであれば、郵政大臣お尋ねしますが、この第二十九条によりますと、先ほど言いました社会的経済的諸条件も考慮しなければならないのです。そうすると、社会的諸条件というのは国会決議というものも当然頭の中に入れなければならないでしょう、この加入区域の指定をする場合に。そうであれば、いわゆる軍事的な利用はだめだ、そういう国会決議があるのであれば、当然それに照らして加入区域の指定をするかしないか、そこをやはり考慮しなければならない、私はそう思うのですけれども、大臣どういうふうにお考えですか。
  108. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまいろいろ先生から御指摘があった点でございますけれども、まず加入区域に指定するかしないかということでございます。その場合は、優先するのは三十条で、何しろ予算上可能なものは全部承諾しなければならないということがございまして、それでは、それをどこの電話局の加入区域に指定するかというのが二十九条でございます。  したがいまして、例えば予算上可能かどうかということにつきましては、従来は硫黄島というのは海底電線、これでいかなければとてもできないとなりますと、予算上これは非常に可能とは言えないということで引いてなかったわけでございますが、そういった意味での予算上の問題としては、これは国会決議の問題は別でございます、予算上の問題としては、これはCS2というのがあれば可能になってきたわけでございます。その中におきまして、どこの電話局の加入区域に指定するかということが二十九条でございます。その中におきまして、区域外であっても別に定める費用の負担があることを条件とすれば加入申し込みを承諾する区域を指定しなければならない、こうなっておるわけでございます。  それから、いわゆる「社会的経済的の諸条件、行政区画、」というのは、例えば東京都内でもそういったものがございまして、これがいいかどうかは別問題といたしまして、例えば立川市の中にはいろいろな加入区域というのがまざり合っているというような現象も現在ございます。その点のことでございますので、この二十九条の御理解というものに対しまして、何か先生の御主張と非常に違うことを言って心苦しいのでございますけれども、そういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  109. 三浦久

    三浦(久)委員 それじゃお尋ねしますけれども、まだついてないところがたくさんあるわけです。この電電公社の内規に照らしてもちゃんとその条件を満たしているそういう集落についても、まだ電話加入区域の指定がない。それはたくさんあるというふうに今お話があったでしょう。それにもかかわらず、何で硫黄島の軍事基地だけ早く加入申し込みさせるというようなことをするのですか。おかしいじゃありませんか。それは優先的な利用じゃないですか。法律上どうしてもあなたたちが電話加入の区域指定をしなければならないという問題じゃないんだ。
  110. 小山森也

    ○小山政府委員 電話局の中、電話加入区域内にしなければならないということはないのでございます。しなければならないというのは、今、寺島電電社総務理事から申しましたように、内規でなっているわけでございます。ただしかし、区域外であっても特別の費用の負担があることを条件とすれば申し込みを承諾しなければならないとなっておりまして、区域外であるから引かないというわけにはいかないということでございます。
  111. 三浦久

    三浦(久)委員 それじゃ何で内規に合致して、例えば十以上の集落があるのにいまだに加入区域の指定をしていないのですか。していないということは、じゃ違法になっているわけですか。そういうことじゃないでしょう。どうなんですか。
  112. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、加入区域の拡大につきまして、できるだけ電話の利便を多くの方に図っていただくという意味で拡大に努めておりまして、七キロ円外につきましては、先ほどお答え申し上げましたように五九で終了するということにいたしております。  それから、先ほども申し上げましたが、離島につきましては、十世帯程度という条件ではなくても、離島振興法あるいは小生原諸島振興特別措置法等に指定をされておりますところにつきましては、これを加入区域としていくということで進めておるわけでございまして、硫黄島につきましても、この小笠原諸島振興法の中に入っておる離島である、こういうふうに考えておるわけであります。
  113. 三浦久

    三浦(久)委員 ここは一世帯もないんですよ、あなた。世帯ということから言えば、住民登録がされていない。一世帯もないんですよ。そしてそれは軍事目的に使われる。もうはっきりしているわけだ。それを何で硫黄島だけほかの地域よりも急いで加入区域指定をしなければならないのかということ、これは今まで政府が説明していたことと全然違う状況になっているということ。皆さん、今まで我々をだましておったのだ。国民をだましておったのだ。お答えがありますか。
  114. 寺島角夫

    ○寺島説明員 お尋ねでございますが、硫黄島につきましては、御指摘のとおり現在はございませんので、現在指定はいたしておりません。それで、先ほど申し上げましたように、まだ正式な申し込みは受け付けておりませんが、もし正式な申し込みがございましたならばそこにそういうサービスを行うためには加入区域の指定を行うことになるであろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
  115. 三浦久

    三浦(久)委員 ですから、その場合に何を考慮しなければならないのかということですよ。それは公平という問題もあるでしょう。差別的な取り扱いをしてはならないという精神条項、それも考慮に入れなければならないでしょう。国会決議はもっと頭の中に入れてもらわなければならない問題でしょう。そうすれば、そこで指定するのかしないのかということを、そういういろいろな条件を勘案して決めていくというのが政府の立場でなければならない。先ほど郵政大臣も、国会決議は尊重するのは当たり前だ、と。全然頭の中にないじゃありませんか、区域指定をする場合に。私は、非常に大きな問題だというふうに思います。  それで郵政大臣、もう時間がありませんので簡単にお尋ねいたしますけれども国会決議の解釈、運用ですね、これは国会に最終的な権限があるのだということが言われて、そしてこの国会決議の解釈については議運預かりになっているわけで、そこでまだ結論が出ていないわけであります。そういたしますと、この国会決議を尊重するのだという立場をおとりになるのであれば、当然この国会決議の解釈について、議運の見解が出てから措置させるのが当然なことだというふうに思うわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  116. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いつもここが焦点になるわけでございますが、国会決議の解釈は国会で決められる、これは当然そうでございます。本件が目下議院運営委員会に検討中で推移しているということも承知いたしております。  ただ、国会決議の最終的な決定権は、今申しましたようにもとより国会にあるわけでございますが、政府としても、一定の行政上の措置をとるために必要な限度で国会決議について一応の考え方を持っておるということもまた当然であろうと思うわけでございます。したがって、今硫黄島における自衛隊の利用に関しましてもいろいろ論議がございましたけれども通信衛星はあくまでも離島通信、そういったものの解消を図るためでございますし、今日、加入区域の指定云々の論議もなされておりましたけれども、自衛隊利用に限っても、優先ではなく差別なく扱わなければならないというような立場で電電側からも応答があったと思うわけでございます。したがって、国会決議の推移を見守っておるという発言を申し上げたのも、以上のような経緯がございますから、私たちも慎重に対応していくべきであろうと思っておるわけでございます。
  117. 三浦久

    三浦(久)委員 終わります。
  118. 片岡清一

  119. 上原康助

    上原委員 お尋ねする点がいろいろ重複する面もあろうかと思うのですが、一応郵政省なり電電公社と関連する問題についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。  法案につきましては、今回の改正案は名称変更という簡単なというか、臨調答申に基づいた一応の方針のようでありますから、我々もこの改正案につきましては賛成をする立場にありますので、そのほかの点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、もう既にいろいろ同僚議員の方からお尋ねもあったし、また郵政大臣関係者の御発言などもマスコミ等で拝見をしているわけですが、問題のゆり号a故障というか、実情、実態についてもう一度お尋ねをしておきたいと思うのです。  いよいよ明後日からこの放送衛星を使って特に難視聴地域への放送が実現をするということで、これの打ち上げが成功したという段階では今後の放送衛星を使用してのニューメディアというか、そういう面で多くの期待を国民に与えたことは間違いないと思うのです。また、国際的にも初の実用放送衛星であるということで大変注目をされたことは御承知のとおりで、関係者の喜びもひとしおであったと思うのです。しかし、その後次々と、次々というか故障が出て、三つの中継機器が設備をされているようですが、そのうち二つまでが故障をするという状況に相なった。残るはB中継器だけで、この分では果たして問題にされてきた難視聴地域の解消も十分できるのかどうか、先行き大変不安を与えていることは否めないと思うのですね。  そういうことで、現在はどういう活用状況になっているのか、また今後の見通しなり、この一連の故障をどう受けとめて今後の対策を立てられようとしているのか、改めて御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  120. 矢橋幸一

    矢橋参考人 お答えいたします。  今御指摘がございましたけれどもNHKといたしましては、BS2aに御指摘のような障害が発生いたしまして、本当にこの衛星の開局を待っておられました視聴者の皆さんに対しましていろいろな不安感を与える、本当に申しわけないという気持ちでおります。本当に痛恨のきわみだと思っております。  五月十二日からの放送につきましては、当面正常に動作しております残ります一つのB系統を使いまして、一チャンネルでございますけれども、それに地上の総合テレビジョンを中心とした番組を乗せまして、小笠原あるいは大東島の離島の方々あるいは山間の難視地域の方々に向けまして、従来の計画しておりました十分な難視対策というわけにいきませんけれども、皆様方の期待にこたえましていささかなりとも難視対策を前進させたい、あるいはその期待にいささかなりともこたえたいというふうに考えております。  NHKといたしましては、放送衛星の設計並びに製作を委託いたしました宇宙開発事業団に対しまして、速やかに今回の障害の原因究明並びに機能の回復というものを要請いたしまして、また、NHK衛星に関する専門技術者もおりますので、宇宙開発事業団の今後の努力にさらにNHKもそれに協力いたしまして、一刻も早くBS2aの機能回復を図って、できるだけ早く二チャンネルによる放送を開始して、計画どおりの難視解消あるいは衛星放送を期待しておられる皆さん方の期待にこたえるようにしたい、そういう意味の努力を最大限今後続けていきたいというふうに考えております。  また、来年の夏に打ち上げを予定されておりますBS2bでございますけれども、それにつきましても、現在開発事業団の方で原因究明をしております結果、こういうふうにすれば直る、そういう対策を至急に立てていただいて、同じ事故が二度と起きないように十分に対策を施した上で、来年の衛星の打ち上げをすべきだというふうに考えておるわけでございます。
  121. 上原康助

    上原委員 高度の技術を要する衛星打ち上げ、あるいはまた打ち上げて静止状態に入っても操作なりいろいろ困難な面もあろうかと思うのです。お答えしていることについては理解をいたしますし、またそれなりにNHKとしても深刻に受けとめておられるということもわかりますけれども、問題は、ゆり一号が七八年に実験衛星として打ち上げられていろいろ研究が続けられてきたわけですが、そのときも突然電波がとまった。そういった故障原因が十分に解明されないままに、実用化に向けて幾分焦りというか、あるいはNHKニューメディアの意欲は十分うかがえるにいたしましても、そういう手順なり慎重さというものが欠けておったのではないかという御指摘もあるわけですね。  それともう一つは、この中継器というか衛星に設備されている、言うところのブラックボックス、そういった中心部門の機器は、アメリカ製であるとかあるいはフランス製ですか、どういうものが使用されているのか、そういうものの点検なりあるいは機器の活用状況というか、そういうものを宇宙開発事業団なりNHKあるいは郵政省として十分に把握していない部分があるのじゃなかろうか、こういう疑問も持たれているわけですね。そこで、国産開発をしていきたいという大臣の御発言もあったように伺っているわけですが、そこらの状況はどうなっているのですか。故障しているものの原因解明は、やるとすれば一体どこがやるのですか。
  122. 矢橋幸一

    矢橋参考人 先ほどお話しになりました実験衛星の結果と今回のBS2aで発生しました障害は別の障害である、前の衛星とは別の障害であるというように宇宙開発事業団の方から聞いております。  それから、実験の成果その他につきましては宇宙開発事業団の方で十分取り入れて、信頼の置ける衛星を打ち上げられるというような見解のもとに衛星を打ち上げたというように聞いております。
  123. 上原康助

    上原委員 ですから、使用している機器は国産でないわけでしょう。国産でないというと、それはいろいろと企業秘密とかそういうものがあって十分に解明できないというハンディが我が方にあるのじゃないですか、宇宙開発事業団なりNHKなりに。それをどうするかということなんです。どこのものを使用しているのですか。アメリカのGEともう一つはどこですか。
  124. 矢橋幸一

    矢橋参考人 今回の衛星につきましては、宇宙開発事業団が東京芝浦電気に発注いたしまして、それからさらに芝浦電気からゼネラル・エレクトリックという会社へ一部を発注している。しかし、それに使います送信部分の進行波管につきましてはフランスのトムソン社のものを使っております。
  125. 上原康助

    上原委員 そうしますと、当初のBSの障害とは別の障害だということを宇宙開発事業団は言っている。しかし、予備を入れて三つあるものが二つまで故障しているわけですね。あと一つだってもつかどうかはだれも知らない。こんな不安定、不安な状況で難視地域の解消をやると言ってみたって、いつ消えるかわからぬということになっちゃうわけですね。  そういう状況は余りにも期待感を裏切る結果、裏切るという表現はよくないかもしれませんけれども、そういう結果になりかねない。見通しが立たない、これはいろいろ技術上の問題なりあるでしょうが、GEとかあるいはトムソン社にこういった重要な衛星の中枢部門を依拠せざるを得ないところにも問題があるのじゃないかという感じがしてならないわけですね、素人だからわかりませんがね。もちろんそれを国産にしていくことには相当の年月がたつでしょう。しかし、今後安定して継続的に放送衛星を実用化していくということであるならば、そこらの技術的な解明は、関係者としてはもちろんお考えになっていらっしゃると思うのですが、この点はどうなんですか。これは大臣の方から御見解を聞かしていただきたいと思います。
  126. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘される点には私も全く同感なんです。今度の衛星も、自主開発に沿った、しかも国民の本当に大きな期待と希望を乗せて、世界で初めての放送実用衛星としてきっとこの十二日からうまく機能してくれるだろうという大きな期待が込められておっただけに、今回の事故は本当に、先ほどNHK側からも言いましたけれども、全く痛恨な形の結果になっておることも事実でございます。  しかし、ふたをあけてみると、今も言いましたように宇宙開発事業団から、結局、日本のメーカーといっても肝心の心臓部はGEなりあるいはトムソン社なりという形でございますから、自主開発、名目はそうでございますけれども、心臓部は全部外国技術依存しなきゃならない。いってみれば国際混血衛星みたいな形であったということ。結果的に、原因究明という段になって今懸命にさせておるところでございますけれども、それとて海のかなたとの交換というような形もございますし、つくづく残念な上にもやりきれない気持ちであることも事実でございます。しかし、さりとはいっても、大変大きな国民負担に還元されるるリスクを冒しての事業でもございますし、今御指摘になったように、この大きな技術ギャップ。これは何としても認めざるを得ない。今日、宇宙開発を含めて私たちはもう先端技術の面においては世界のトップに行っておるような形ですけれども、こういった宇宙開発衛星を含めての技術キャップというものはやはり率直に現時点の水準を認めながらも、なおかつ、こういった形の原因究明も含めて自分たちが責任を持って開発を推し進めていかなければいかぬ。今度の失敗で逆に他方自主開発路線というものの必要性こそ強まれ、しかしこういった技術ギャップの問題点の認識も率直にやらなければいかぬという二つの面に今立たされて苦慮しているところでございます。  そういった意味合いにおいて、難視聴解消という特に離島地域の皆さん方の大きな夢を今後いかに守っていくか、あと一波をいかに有効に使ってやっていくか。しかしまた他方、先生も御指摘なさいましたけれども、この一波とて一〇〇%絶対大丈夫だとここで、技術的にももちろんのこと、胸を張れる人は一人もいないくらいの厳しい関頭に今立っておる。したがって、難視聴を今のところはサテライトを飛ばす形で解消しようという一つの目標は、ここで真剣にやはりお互いに、自主開発路線を進めながらもこの問題点についても検討しなきゃいかぬなあと今思っておるところでございます。
  127. 上原康助

    上原委員 そこで、これは自主開発、もちろんそういう方向に今後いくと思うのですが、先ほどのお話にもありましたように、宇宙開発事業団法第一条、平和目的に限るという、これも十分に尊重、遵守しなければいけない点であることもつけ加えておきたいし、どうもこの種のものは、今の日本技術メーカーもあるいはそうかもしれませんが、政府の頭の中も、軍事目的に活用できるものについては先端産業としてどんどん開発なりあるいは技術的な研究、研さんを相当積み重ねているかもしれないけれども、本当に国民生活とのかかわりあるいは平和的に利用していくというものについてはよりギャップがあり、おくれをとっているのではないかという懸念もされるわけで、そういったこともあわせてひとつお考えになっていただきたいということも申し上げておきたいと思います。  そこで、さっき、NHKの方の御答弁からいたしますと、機能回復にも全力を挙げておられるということなんですが、この故障を起こしている、あるいは電波障害に陥っている二つ中継器というのですか、それは機能回復が可能なんですか、見通しは一体どうなんですか。全くお手上げじゃないのかというのが一般的な見方なんですが、これは何らかの方法で機能を回復することができるとお見立てなのか。
  128. 矢橋幸一

    矢橋参考人 お答えいたします。  機能回復につきましては、我々は大変難しいという判断をしておりますけれども、これは宇宙開発事業団の方から、回復ができないわけではない、いずれにしましても原因をはっきり究明しないとその可能性については明言はできないけれども可能性が全くないわけではないというような報告を受けております。
  129. 上原康助

    上原委員 それは御専門家の方々がいろいろおやりになることですから、これ以上申し上げることは控えますが、やはり機能回復ができればそれにこしたことはない。しかし見通しは暗いということであると、作動している一つの機器だっていつ故障するかわからない、本当に大変綱渡り的な放送衛星の活用ということになりますので、そういう面は、今大臣なりお答えありましたように、来年のいわゆるb号の打ち上げについても慎重を期さなければいけないと思うのですね。かといって、一たんやりかけたものが余り長引くということもこれまた大変問題が生ずる、特に難視地域については。そういうこれからのニューメディア全体像を含めて、原因究明をやりながら、当初の目標、目的が達成できるようにさらに特段の御努力を要望しておきたいと思うのです。  それともう一つは、参考に聞いておきたいわけですが、この打ち上げには六百億の多額の資金が投入されてきた。一応保険も掛けられておったようですが、この契約期間の問題とかあるいはその他の理由で、結局保険も取れないという報道がなされているわけですね。もちろん契約は契約で、こういった故障が起きたからということで示談ということもなかなか難しいとは思うのですが、なぜこういう結果になってしまったのか、それが一つと、そうしますと、相当のリスクなり損失というものを今後NHKは負担をしなければいけない状況になると思うのですね、この衛星の実用化が十分できないという面から。そこいらの対策は一体どういうふうにお考えなのか。NHK独自でやるのか、あるいは政府としてもこれに対しての何らかのお考えなどがあるのかどうか、参考までにひとつお答えをいただきたいと思います。
  130. 矢橋幸一

    矢橋参考人 お答えいたします。  今御指摘のように、保険につきましては二種類がございまして、一つが打ち上げ保険と申しまして、衛星を種子島の基地に持っていってそこで打ち上げ体制をとり、それから衛星を打ち上げて所定の静止軌道へ持っていくまで、その間の保険が一つございます。これは打ち上げ保険と申します。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  それから、我々が宇宙開発事業団から衛星を引き取りまして、正常の運用体制に入ってから仮に五年の寿命があるとしますと、五年ぐらいの定常状態にもし事故があった場合の保険、これを寿命保険と言っております。その二種類あるのですけれども、打ち上げ保険につきましてはNHKと国で費用を出し合いまして保険に加入いたしまして、これにつきましては一応保険として国とNHK約十八億の金を払っております。我々は四月の二十二日の零時から引き継いだわけですけれども、その後の寿命保険につきましては、当初、三つの送信系統が完全に働いている、人間でいいますと完全な健康体であるという状態で寿命保険を保険会社と折衝していたわけですけれども、三月二十三日にA系統一つ不良になりまして、それに伴いまして保険の料率その他条件が変わってきますので、保険会社との間に再度寿命保険についてどうするかという折衝を持っていたわけでございますけれども、その間に二十二日が過ぎてしまいまして——これは保険金額が大変多うございますので、日本の保険会社だけではだめで、外国の保険会社も含めていろいろ料率その他も決めますので、かなり時間がかかります。そういう意味で、保険会社と折衝している段階でさらにRの二つ目の不良が出てしまったということで、我々はもちろん今後とも、この保険という問題は最後の一つに対しても保険の折衝は続けますけれども、現実に、現在は寿命保険につきましては保険金が取れなかったという状況でございます。
  131. 上原康助

    上原委員 そうしますと、先ほども申し上げましたように六百億かけて、その六割は受信料でやる、あと四割は国の予算で賄うというか助成をしていく、これの当初計画、狂いますね。この件については政府はどうなさるのですか。
  132. 鴨光一郎

    鴨政府委員 BS2aにつきましては、先ほどからお話が出ておりますような事態になっているわけでございますが、私どもといたしましては、これの原因究明に最大限の努力を関係者の間で払うということ、それから回復措置についてもできるだけの努力を払うということをしていくつもりでございますけれども、同時に、将来のBも2bにつきましてはこうした事態が再現しないような十分な万全な体制をとっていきたい、このように考えております。
  133. 上原康助

    上原委員 そこで、実情についてはある程度わかりましたが、問題は、あさってから開始をしようとしております四十二万世帯と言われている難視地域の放送は、けさもNHKのテレビではやるんだということをPRしておるので、実施はしていくと思うのですが、それは予定どおりなさるわけですね。また、その点では支障はないのかどうか、その点確かめておきたいと思います。
  134. 矢橋幸一

    矢橋参考人 放送開始につきましては、予定どおり一チャンネルで十二日から開始したいと思っております。  お話しの難視解消の問題でございますけれども、我々は、もちろん難視解消につきましては衛星の第一、第二をもって難視解消を行うという考え方を持っております。今後放送衛星によって難視を解消していくという基本的な考え方は変えるつもりはありませんけれども、ただ、具体的な難視解消の年度ごとの計画につきましては、今後どうするかということを検討していきたいと思っております。
  135. 上原康助

    上原委員 そうしますと、今度の放送の開始で全体をカバーするのは難しいということですか。
  136. 矢橋幸一

    矢橋参考人 一チャンネルで全体をカバーできます。
  137. 上原康助

    上原委員 離島関係者なり難視地域の方々の夢や願いを無にしないように、期待外れにならないように、この点は特に要望を申し上げておきたいと思います。  次の質問に移らせていただきますが、私は何回か、電話料金問題についても本委員会なりあるいは予算の分科会等でも取り上げてまいりましたが、今後の料金問題というのは、遠距離にしましても中距離あるいは都市地域というか市域というか、そういう面も電電公社改革問題と密接にかかわってまいりますので、後ほど時間があれば——法案もきょう午後あたりから趣旨説明がなされるようでありまして、まだ深く触れるわけにはまいりませんが、いずれにしても、この電話料金問題というのは国民生活と大変深い関係があることは言うまでもありません。  そういうことで、例えば遠距離電話料金はここ三年の間に改定がなされてきているわけですが、その改定しなければならなかった理由は一体何なのか。まず、そこいらからお聞かせをいただきたいと思います。     〔池田(行)委員長代理退席、深谷委員長     代理着席〕
  138. 小山森也

    ○小山政府委員 我が国の電話料金、電気通信料金でございますが、遠距離が非情に高いと言われております。そのかわり近距離は非常に安いというわけでございまして、これを比較いたしますと、遠近格差ということから申しますと、世界でも非常に遠近格差のある料金体系になっているということでございまして、特に遠距離の方の負担がコストベースとは言いがたい状態になっていたということがございます。それと同時に、技術革新というものがございまして、特に電気通信の世界では技術革新が著しいことから、従来の遠距離の方が比較的高いということが技術的にだんだん克服されてきた。事実、コストとしてもそういったものは遠近の差がなくなってきたというような裏づけもございまして、この遠近格差を解消していくことが電気通信という時間と距離を克服する手段にとっては一番の大事なことであるということから、遠距離通信料を引き下げてきた、こういうことでございます。
  139. 上原康助

    上原委員 そのことにつきましては、これまでもいろいろお答えがあったわけですが、確かに遠近格差がひどい。私は今でも格差は大きいと思うのです。これは後で具体的に少し触れさせていただきます。  さらに、最近の報道によりますと、中距離電話料金の値下げも決定をされている、これをしたいというのでしょうか、これからやるわけでしょうね。一応遠距離をある程度改定してきたので今回中距離料金も改定をしていくという御方針だと思うのですが、この件は今どういうふうに御検討なさっておるのか、まずその点からお答えいただきたいと思います。
  140. 小山森也

    ○小山政府委員 去年の七月から遠距離を下げました。その結果、中距離が遠近の間においてバランスがとれない体系になっているというところから、これは是正すべきであるという基本的な考えから、先日、公衆電気通信法の改正をお願いいたしまして、これが成立したわけでございます。これが実施は七月下旬ぐらいになろうかと存じますけれども、そういうことによりまして中距離電話料金の引き下げをし、またさらにこの中距離の電話料金、法定料金の引き下げに伴いまして、夜間料金、それから祝日休日の電話料金の割引、それから専用料金の引き下げというようなこともあわせて七月中旬以降、下旬になろうかと思いますが、行おう、こういう段階にあるわけでございます。
  141. 上原康助

    上原委員 この改定は、平日の夜間料金あるいは日曜日とか祝日の日中ではなくて、全体的に行うわけですか。
  142. 小山森也

    ○小山政府委員 祝日休日は、昼間もやるわけでございます。
  143. 上原康助

    上原委員 そのほかはやらないのですか。
  144. 小山森也

    ○小山政府委員 引き下げは、当然、法定料金の方の引き下げをやりますので昼間の料金が引き下げられまして、そのほかに割引をするもの、それから専用料金の引き下げをするということで、全般にわたるわけでございます。
  145. 上原康助

    上原委員 そこで、法定料金のこの値下げの幅というか、どのくらいになるのですか。
  146. 小山森也

    ○小山政府委員 距離段階別にいろいろなものがございますが、最高は二九%の引き下げになっております。最低のところは、ちょっと今持っている資料にパーセンテージがないのでございますけれども、一けた単位になっております。
  147. 上原康助

    上原委員 遠距離の場合はどのくらいでしたか。
  148. 寺島角夫

    ○寺島説明員 お答えいたします。  昨年の七月に実施をいたしました三百二十キロ以遠のところの引き下げ率は、一一%ないし三三%でございます。
  149. 上原康助

    上原委員 これは七月下旬、一説には二十日ごろという見方もあるようですが、いずれにしても七月に中距離電話料金の改定が実施をされるということで、一けた台から最高二九%程度だと、今お答えがあったわけです。  そこで、これだけ改定をしなければいけないということは、冒頭申し上げましたように、公社の民営化の問題、私はそれに向けた布石でもあるような感じもしないわけでないわけです。これは真藤総裁の御見解として既にマスコミ等で大きく取り上げられておるわけですが、いわゆる第二電電が参入してくるような事態になった場合は、需要の多い区間のみに集中していく可能性があるだろう、そうしますと、こういう地域における電話料金というものも現在よりも大幅に引き下げていかなければ対抗措置として取りづらいということが報道されているわけですが、その真意は一体那辺にあるのかということ。しかも長距離料金を含めて再検討をするというようなお考えのようにも聞こえるわけですが、そこいらの公社としての今後の御見解というのか、方針を明らかにしていただきたいと思うのです。
  150. 真藤恒

    ○真藤説明員 通信量の非常に多い例えば東京−大阪の間を、新しい設備で必要最小限度の人員配置でやりますと、値下げした後の現在の私どもの通信料に比べてまだかなり安い原価で運営できるということは否定できない事実だと心得ております。  ところで、これから先の将来を考えてみましても、新しいメディアがだんだん世の中に普及されるにつれまして、遠距離料金というものをもう少し合理的な数字まで下げませんと、なかなか一般の皆さんが自由にお使いになれるというのにはちょっと無理がというふうな数字が現状の数字でございますので、私どもは財務の基盤が許す限り、当面、遠距離料金の値下げに精力を集中する所存でございます。  よく世間で、遠距離を下げるから近距離を上げるんだという意向があるというふうに曲解されておりますけれども、そうではございませんで、遠距離を下げるということによって単価は下がりましても通話量が漸次ふえてくるはずでございます。これは夜間の深夜割引ということを思い切ってやりましたところが、単価は半分以下に下がっておりますけれども総通話量が非常にふえてまいりまして、総収入は夜間割引を思い切ってやる以前に比べてはるかにふえております。そういう現象利用しながら、便利にして増収を図りつつ、財務の余裕が出てきた限りにおいては、当分遠距離料金を下げていくということに精力を集中しようというふうに考えております。  もう一つ問題がございますのは、現在、近距離通話の収入とそれに必要なコストというものは、正確な数字は現状では出しかねますが、赤字になっておることもこれは否定できない事実でございます。そこで、これをはっきりさせますために、アメリカのAT&Tに非常にすぐれた回線の瞬間瞬間における利用状態をチェックするシステムがございますので、五十八年度にそれを買い込むことにいたしまして、五十九年度、現在急いで工事を進めております。来年の夏以降にはこれから数字が科学的に出てまいりますので、この数字をベースにいたしまして、近距離通話の実態が一体どうなっておるかということを正確に把握しながら、この遠距離料金の値下げというものを合理的に、科学的なデータの上に乗って、財務の許す範囲において進めていくというのが当面の私どもの仕事だと考えて、今後進めていくべきだというふうに考えております。
  151. 上原康助

    上原委員 そこで、少しく疑問がありますことは、確かに遠距離という距離をどう設定するかという問題が一つ出てくるわけですね、中距離なのか遠距離なのか。例えば今の総裁の御答弁あるいは頭の中に描いておられることは、東京−大阪間などの主要幹線の遠距離というか長距離電話料金は三分の一ないし二分の一程度に引き下げても十分対応措置ができる、そういうお考えのように聞こえるわけですね。そうしますと、さらにそれよりずっと需要が少ない、例えば沖縄とか北海道とか四国とか、いわゆる遠隔地域の距離というものはどういうふうに見ておられるのかというようなことが疑問の点として出てくるわけですね。この公社の経営形態の民営化構想にしましても、競争原理だけを導入していった場合に、住民サービスの面とかあるいは受益者——受益者というより住民の負担等が非常なアンバラとしてどうもいろいろな弊害が出てくる可能性があると私は思うのですね。そういう面から、単に需要の多い区間のみの遠距離料金が値下げになっても、これはより遠距離の方は大変困るというか、負担が過重になっていく。今でさえ大変不公平さがあると私は思いますので、先ほどの御答弁と関連して、そこいらは一体どうなんですか。
  152. 真藤恒

    ○真藤説明員 ミクロに考えますと、今先生の御質問のとおりの現象が出てくると思います。そこで、去年遠距離料金を下げましたときに、三百二十キロ以遠は一律に三分四百円という下げ方をしておりまして、従来遠くなるほど段階的に高くなっておったのをそこで断ち切っております。遠距離料金の値下げというのは、ある距離段階から先は遠近格差のない姿で切り下げていきませんと、先生の今おっしゃったような心配、弊害が出てくるわけでございますので、その点既に気がつきまして、第一段階の値下げをしましたのは三百二十キロ以遠は全部全国同じ料金にしたわけでございます。それで、そういう考え方で遠距離料金を下げますと、今度は近距離と遠距離との間の中距離が高目になりますのでまた中距離を下げて、また遠距離を下げて中距離を下げてというやり方をやりながらだんだん下げていこうというのが私ども考え方でございます。
  153. 上原康助

    上原委員 そこらの調整というものは十分お考えにならないと、やはりより遠距離、遠隔にある方は大変心配というか、そういう懸念を持つということは当然かと思いますので、そこらの調整は十分やっていただきたいと思うのです。  それと今の関係で、地域差も非常に大きいわけです。例えば私の沖縄県ですとほとんど離島圏なので、遠距離、中距離料金が固いという実感を持つわけです。例えば那覇−宮古間ですと今三百六十円です、今回の改正で二百六十円になるんですか。那覇−八重山間ですと四百円、那覇−南北大東島も四百円。那覇−宮古間というのは東京−名古屋間に匹敵しますね。那覇−八重山は確かに東京−四国、九州間に匹敵していると思う。南北両大東も同様である。しかし、他府県ではせいぜい三分間三十円あるいは九十円といった料金で済むのではないかという気が私はするわけです。東京都内にしても二十三区は十円でいくが、そのほかは〇三を回さなければかからぬ。それはどこにもそういう不公平感あるいは地域格差的なものはあるとは思うのですが、沖縄の場合はそれが非常に強い、大きいという気がしてならないのですね。これの改善策は一体お考えなのかどうかということ。  私は、この件については一昨年の内閣委員会、この委員会ですが、三月二十五日でしたかお尋ねをして、当時郵政大臣は箕輪さんでしたが、箕輸大臣は私にこういう御答弁をなさっておるのです。私は沖縄から帰って真藤総裁に対し、沖縄の離島の電話料金をもっと安くなるように御検討いただきたい、遠距離はどこも同じであるが特に沖縄は気の毒である、気の毒であるという表現もいかがかと思うのだが、非常に高いと考えているので、検討の中で特に沖縄は考えてやってくれぬかとお願いをした、こういうお答えをしているわけです。もちろんその後、今さっき御答弁がありましたように、若干は改定はされてきたのですが、今私が指摘した数字を御理解いただければおわかりのように、まだまだ改善の余地はあると私は見ているのですが、この点いかがでしょう。どうお考えでしょう。
  154. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもこの当事者といたしましては、さっきからお答えしておりますように、距離に関係のある料金の格差というものをできるだけ早く差を小さくしていくということが当面の私どもの責任だというふうに心得ている次第でございまして、今いろいろな考え方、案を積んだり崩したりしながら勉強もいたしておりますが、ある程度まとまりましたら、また郵政御当局ともいろいろ御相談しながら事を進めていきたいと思っております。とにかく遠距離料金をもう少し合理化しなければ、本当の使い物になる高度情報通信網にはならないのだということだけは、はっきり覚悟しておることだけはここで申し上げます。
  155. 上原康助

    上原委員 ですからそれは、御検討をし改善なさるということは先ほど来おっしゃっておるのですから期待したいわけですが、今私が指摘をしました、一昨年の内閣委員会でもこの問題を取り上げたのです。県内のほかの地域に比較して高い料金になっている。そのことについては郵政大臣が検討させるということを言っておられるわけです。若干は改定されたけれども、まだ改定の余地はある、改善しなければいけないと私は思うのです。  もう今、電話というのは日常の必需品というか、必要品ですよ。文字を書くというよりも、何か用事があればすぐ受話器をとるというように、今のお互いの家庭においてもあるいは仕事面においてもなっておりますので、その県内格差というもの、地域格差というものについてももう少し御検討していただかなければいけないと思うのですね。この点は大臣の御見解も聞いておきたいと思うのです。せっかくあなたの御先輩の箕輸大臣もそういうことを指示するということをおっしゃったのです。私は、この点は全然御努力なさらなかったとは言っていません。一定の御努力は評価しつつも、なお相当の格差があるということは否定できない実態なので、これの改善についてももう少しお考えになっていただきたい、このことをお尋ねしておるわけです。
  156. 奥田敬和

    奥田国務大臣 箕輸大臣当時、先生にお答えした趣旨は私も受け継いで生かしてまいらなければならぬと思います。特に先生の御指摘は、沖縄県内の離島間通信をうんと知恵を絞ってやれということだろうと思います。東京から沖縄の方は確かに何回かの改正によりまして安くなる方向に来ておることも当然でございますし、今総裁が言いましたように、これをもっともっと下げていく方針だということも基本的には御納得いただけるかと思います。特に離島間通信で、星を使うか何を使うか、いろいろ技術的な問題点もあるでしょうけれども、私から総裁を含めてお願いして、沖縄県だけがまだ大きな差別の中で苦労しておるという実態を当然理解もしていただいておることと思いますけれども、さらに私からもそういった方向で指導してまいりたいと思います。
  157. 上原康助

    上原委員 これはほかの地域にもそういうところはあるかもしれません。     〔深谷委員長代理退席、委員長着席〕  長崎県なら壱岐地域あるいは対馬地域とか、ほかにもあろうかと思うのです。そういった面こそもう少し公社としても御検討いただいて、一挙にはできないにしても格差を縮めていく、地域負担にならないよう、地域住民の過重な負担にならないような御配慮をひとつ。今そういう御努力をするというお答えもありましたので、ぜひもう少しお考えになっていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  次に、これもきょうは細々した問題だらけで恐縮なんですが、もう一つは電波障害のことをお尋ねしておきたいと思うのです。  現在我が国でラジオが非常に聞き取りにくいとか、さっきテレビの難視地域は四十二万世帯くらいあるというのはわかって、大体どこどこということもいろいろ言われているわけですが、ラジオが電波の障害によって聞き取りにくいという地域は全国的にどこどこがあるのですか。
  158. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ラジオの外国による混信でございますが、ラジオの特性からいたしまして特に夜間に多くなってくる状況がございますけれども、全国的に見まして、夜間におきましてはかなりな部分、九割近くのところに何らかの障害が出てきている、混信が出てきているという状況でございます。
  159. 上原康助

    上原委員 九割って、それはどこどこ。そんな極端な例をおっしゃったら困りますよ。例えば野球放送が聞こえないとか、英会話の講習を受けたいとしてもそれが電波障害で聞けないとか、ドラマが聞けないとか、民放にしてもNHKにしてもニュースが全く聞けないとか何らかの雑音が入るとか、そういうことで——九割もといったら、では日本全国全部ラジオが聞こえないの。私が言っているのはそういう極端なことじゃないのだよ。通常のニュースなり野球放送なり、自分が本当に聞きたいという放送を聴取できないという地域はあるのですか、ないのですかと聞いているのです。
  160. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生御指摘のような意味でひどい混信の状態のところは、全国的に見まして約一割でございます。その場所でございますけれども日本海側を中心にいたしまして、九州、沖縄、あるいは日本海側ではございませんけれども名古屋などにも一部そういう現象が生じております。
  161. 上原康助

    上原委員 では、そういうことで改善をしてもらいたいという陳情なり要望なり、改善策についての地域住民の声は郵政省なりに出されているのですか。
  162. 鴨光一郎

    鴨政府委員 御指摘のような陳情を私ども承っております。
  163. 上原康助

    上原委員 それはどこどこですか。
  164. 鴨光一郎

    鴨政府委員 沖縄もございますし、宮崎などもございます。
  165. 上原康助

    上原委員 程度の差はいろいろあると私は思うのですが、沖縄本島北部地域では夜間と早朝はラジオはほとんど聞こえないのです。私もときどき名護市とか大宜味とか国頭とか今帰仁とか東村というところへ行くのですが、特に名護市、旧羽地村とか大宜味、国頭、あの東一帯は全くラジオが聞こえないのです。かつては国頭村にVOAがあって、その電波障害でラジオが聞こえないとかテレビが映らないとか、いろいろな障害があったわけです。しかし、VOAは御承知のように撤去され移転をしたわけですが、現在は晩方、大体六時以降あるいは七時ごろから、肝心なところからもうニュースも全然聞こえないのです。これは単なる雑音とか、そういうことだけじゃないのです。例えば琉球放送の周波数には韓国放送が混信するとか、ラジオ沖縄の方には朝鮮放送が混信してくる、あるいは極東放送はモスクワらしいもので混信状態NHKの場合ですと中国語とロシア語が入る。この問題は突然起きた問題ではなくて、北部住民はこの四、五年来非常な悩みとして訴えられてきているわけですが、なかなか改善がされていない。最近は地方議会においても取り上げられて、何とかしてもらいたいということで県なり各放送局にも要望が出されているようであります。このことについては郵政省も知っておられるでしょう。  これは例えば五十六年八月の「逓信協会雑誌」においても、沖縄郵政管理事務所の陰山電波監理部長は、地理的に言ってラジオなどは外国の電波との混信があるということについて、これはかなりひどいです、特に北部に行きますと、夜間などは台湾とか韓国の放送に押さえられてしまうところが多い、こういう指摘をしているわけです、五十六年段階から。こういう改善策をとらなければいかぬということを沖縄の郵政管理事務所の関係者も言っているわけですよ。この解決策というのは一体どうお考えなのか。また、今国民はどのくらいラジオを聞いているのですか、それもわかれば説明してください。
  166. 鴨光一郎

    鴨政府委員 御指摘のございました沖縄本島の名護以北の問題につきましては、NHK放送も含めまして外国放送局による混信が特に夜間ひどいということで、私ども地元からの陳情も承っているところでございます。  それで対策ということでございますが、私ども混信を与えている外国放送局につきまして、位置あるいは規模等を確認するためにNHKと協力をして実態調査を行っているわけでございますが、なかなかこの調査結果が的確に出てこないという側面もございます。ただ努力はいたしておりますので、この調査の結果に応じまして混信軽減のための、例えば混信を与えている外国放送局が国際協定に合致していないというふうなことでございますれば、当然のことに郵政省として相手主管庁あてに混信の排除方の要請をする、そういった措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  167. 上原康助

    上原委員 その障害をなくする対策としてはどういうことが考えられるのですか。
  168. 鴨光一郎

    鴨政府委員 一つは、混信があります場合に、ただいま申し上げました相手国に混信排除の要請をするというのがございます。それから国内的に考えました場合には、これはコストがかかるという問題がございますけれども、中継局の設置というふうなことが対策としては考えられるものでございます。
  169. 上原康助

    上原委員 そうしますと、やろうと思えばできることですね。  そこで、どのくらいラジオの聴取者がいるかということについてはお答えにならなかったのですが、特に最近はむしろテレビ離れ、ラジオ復活という傾向が全国的にあるということは指摘をするまでもないと思うのですね。国民全体で平日にラジオを聞く方々というのは約二六%、特に十六歳から十九歳、二十歳未満の男性の場合は三八%、女子が三六%、これは恐らく英語講座とか大学講座とか、そういった学生さんが多いのじゃないかという感じがするわけですね、この年代からしまして。こういう実態からしましても、ラジオの必要性、重頭性というものは、私は無視できないと思うのですね。それが手短に利用できない、あるいは何を言っているかわからない、特に聞きたいと自分が思っているダイヤルに合わしてみたって雑音しか入らない、野球放送も聞こえない、こういう実態では、本当に何が文化生活ですか。特に台風情報などは、テレビが消えたりした場合はラジオに頼らざるを得ない。こういう面からしても、この電波障害というものは絶対に解消しなければいかない緊急課題なんですよ。今いろいろ九割であるとかそんなことでおっしゃっても納得できませんし、一割と言ったってこんなに広いところはないですよ。皆さんお調べになってきてください。行ってみてください。沖縄の電波監理部の方々も北部の難聴は以前から問題になっている、議会の陳情も受けているが、国際的な問題も含むので本庁に報告をしてあると言っている。だから、今本庁はその調査をやっているということです。  この問題の解決策は、今もありましたが、専門家の指摘によれば、一つは、相手が出す電波よりも強力な電波をこっちもぶつけていく、これは対抗措置でしょうね、発信するという方法があるようですが、これはいわゆる電波法とかその他の件でなかなかうまくいくかどうかわかりませんが、そういう方法がある。二点目には、外国放送に邪魔されない周波帯に変更していく。ただ、この周波数の変更問題は国際会議に語らなければいけない点があって、今お答えがありましたように、非常に難しいというよりも、中波国際会議というのがあるというのでしょう、ここに提起してみたらどうですか。あるいは、逆に相手もそういう妨害というか障害を受けているかもしれない、中国とか台湾とかそういうアジアの近隣諸国というのは。沖縄本島と近いとか、あるいはさっき言った宮崎とか長崎とか、そういう障害があるかもしれない。したがって、外国放送に邪魔されない周波数に変更するには、この中波国際会議に諮っていく。  もう一つは、今ありましたように、中継局の設置ということが考えられるわけです。中継局を設置するには相当の予算がかかる。だから、NHK沖縄支局にしてもあるいは琉球放送にしてもラジオ沖縄にしても極東放送にしても、独自の立場で解決することはなかなか難しいと言っているわけです。この問題はほっておくわけにはいかない。そういう意味で、いろいろ調査をして、その実態を見て対策を立てるということでしたが、郵政大臣、実態はそういう状況なんです。  したがって、これは中継局を設置するなり、今申し上げましたように中波国際会議に提起をするなり、早目に何らかの手を打って、普通にラジオが聞こえるという状態にあの地域を持っていかなければいけないですよ。人口だって四、五万以上ですよ。この対策について、いかがですか。
  170. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生御指摘の中渡放送会議でございますが、これは一九七五年の会議によりまして、全世界的な規模での地域協定が締結をされているのでございます。御指摘のような周波数の変更あるいは電力の変更ということも物理的には可能でございますが、今申しました協定、国際的なプランと申しましょうか、周波数割り当て計画がございますので、それの修正ということになるわけでございます。当然、私どもといたしまして、それに値するような適当な周波数帯があるかどうかということにつきましても検討いたしているわけでございますが、これまでも検討してまいりましてなかなか適当な周波数が、既に国際的に先ほど申しました協定の中に非常に多くの需要を盛り込んでおりますために、変更の余地も極めて限られている状況にございますが、もしそういう余地があるとするならば、その点についても努力をし、国際調整に持ち出してみたいというふうに考えております。
  171. 矢橋幸一

    矢橋参考人 基本的な解決方法につきましては今電波監理局長から御説明があったとおりでございますけれどもNHKといたしましても、こういった中継局の設置あるいは増局の問題につきましていろいろ検討しておりまして、郵政の方へこれからいろいろお願いしていくことになろうかと思いますが、当面の措置として、受信指導と申しまして、例えばアンテナの指向性といいますか一番混信を少なくして聞く方法とか、あるいは夜間に、これはローカルの間願がありますけれども、最近大電力になりました福岡とか、大阪の大電力の方が夜は入りますのでそちらを受信する方法とか、基本的な解決ではございませんけれどもそういった技術指導もきめ細かくやっていこうと考えております。
  172. 上原康助

    上原委員 いろいろな方法があるかもしれませんが、しかしこれはそう時間を——もちろん時間をかけねば解決できない、あれを聞いておって、実際問題としてそう生易しいものではないと私は思います。それはラジオではないですよ、ざわざわして何を言っているかさっぱりわからない。前のVOAがあったとき以上に今はひどいのです。ですから、こういうことが今どきあること自体もどうかと思うのです。これは、今NHKの方からもお答えがありましたように、放送局もそうですが、何といっても電波監理は一応郵政省ですね。地元の沖縄の郵政管理事務所あるいは放送担当関係者とこの電波障害をどう解釈するかで早急に協議をさせて改善策をやっていく、それに対して、NHKとしても郵政省としても全面的に対策をバックアップして、技術的な改善策があればある、あるいは予算を伴わなければいけない面があるならば、それを含めて早急に検討をしていくということくらいは私は誠意を示していただきたいと思うのです。この点は、ひとつまとめて大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  173. 奥田敬和

    奥田国務大臣 沖縄北部の今大変難視聴のそういった区域の事情については、お聞きいたしておってまことに申しわけないなと思っておった次第です。技術点な問題点というものもあるでしょうけれども、問題は、やはり中継局をつくったり用地を確保しての予算的な問題も絡んでくるわけでございます。しかし、私どもとして今ここで先生にお約束できることは、ともかくそういった技術的改善の面も含めて、そういった中継局設置の面も含めて、両面からNHK等ともこの問題解消については前向きに、検討というのではなくて、改善の方向に向かって努力いたします。
  174. 上原康助

    上原委員 これは北部地域だけではなくして、県民の非常に強い要望ですから、ぜひひとつ、今の大臣の御決意あるいはNHKさんからありましたそういう方向で解決をしていただきたいと思います。  次は、これも余りいい話ではないのですが、NHKの受信料の問題なんです。私は六年前の予算分科会で取り上げたことがあったのですが、私も随分長い話だから忘れておったのです。何を質問するかでいろいろ調べてみると、こういうものがまだ未解決というか、その後改善されていないということがわかりましたので、改めて取り上げさせていただきたいと思います。  相手のあることで、NHKさんもなかなか御苦労いただいているという説明も受けましたが、いわゆる米軍施設内の米人住宅であるとかあるいは施設外にも米軍はたくさんおるわけで、しかも今問題になっていることなんですが、本土でもどんどん米軍住宅ができてきている、沖縄も相当ふえてきている。神奈川あるいは山口あたりでもふえておって、五十五年度から五十九年度を累計しますと二千三百十戸もふえているわけですね。これは大なり小なりというか、何らかの形で米軍といえどもNHKを見ているわけです。中には日本の奥さんを持っている方もたくさんいるから、むしろアメリカの放送よりも日本の民放とかを見る方々も多い。だが、この受信料が取れない。私が六年前に取り上げたときも、当時は服部郵政大臣ですが、戦後三十三年間このような問題が放置されていたことはまことに残念である、私は、外務省、防衛施設庁、郵政省が一体的になってこの問題解決のために最善の努力を払う体制をつくってまいりたいと思う、こう御答弁をなさっているわけですね。その後NHKの方も、米軍基地内の居住者を調査なさったり、あるいは郵便による受信契約勧奨をおやりになるとか、いろいろ御努力はなさったようですが、契約に応じたのはわずか数件であったとかでなかなか反応がない、こういう実情のようであります。  しかし、私は確かに、外務省も来ておられると思うのですが、地位協定十三条三項とのかかわりもいろいろあると思う。あると思いますが、日本側も思いやりとかなんとか精いっぱい誠意を見せているにもかかわらず、こういうわずかなことに対して外交特権というか、あるいは基地の治外法権的なことで出し渋るとかいうのは、日米友好の上においてもいささかよくない。そういう面で、もう少しこの点はNHKも外務省も、政府全体として何らかの形で問題提起をしていただいて解決策を講ずべきじゃなかろうかという気がするのですが、この点についてどういう御見解を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  175. 林乙也

    ○林参考人 ただいま御指摘がございましたように、米軍基地内におきますNHKの受信契約の点でございますけれども基地内におきましても、その住居に居住する世帯の契約につきましては、NHK放送を受信できる受信設備を設置されておられる場合にはあくまでも契約をいただかなければならないという考え方でございまして、従来からいろいろ手だてを尽くしてまいったわけでございます。お話もございましたように、郵便あるいは電話等によりましていろいろお願いするということをやってまいったわけでございますが、現実にはやはり、基地内に立ち入って個々にお会して契約をいただくのでなければ契約に至らないことは確実でございまして、基地内に立ち入ることがままならない、御了承いただけないという状況のもとにおきまして契約が進んでいないという状況でございます。  NHKといたしましては、冒頭にも申しました契約についての基本的な考え方をあくまでも続けながら、なおNHK放送及び協会全体に対する理解もより一層深める努力を尽くす中で改善を図っていくように努めてまいりたいと考えております。
  176. 上原康助

    上原委員 私がこの問題をちょっと取り上げたいという話をしましたら、担当者が参りましていろいろ説明も受けました、そういう努力もしたがなかなか思うようにいかぬと。そこで大臣、私はこの問題はNHKだけに任すわけにいかないと思うのです。何千円、何万円取ると言うのなら話は別だが、当然受信料を払わなければいけないということは知っているわけだから、これは外交チャンネルを通すなりあるいは政府として方針をお決めになってアメリカ側に協力を申し入れるなり、やはり対話が必要ですね。  そういう面で外務省も少ししゃんとしてもらって、言うべきところは言って、皆さんがNHKをバックアップするように協議をして、少しこういう問題は——本当はこういうことで国会で一々論議になるということ自体が問題だと私は思うのです。そんなにけちけちするなら、アメリカの基地をつくるとか、あんなことは一切日本側もやらなければいいのだよ。我が方に道はつくらず、飛行場はつくらず、家はつくらず、どんどんさせておきながら、こういうことさえも誠意を持って対応しないというなら、何の日米友好ですか。その件については少し外務省も、何らかの形で大使館に申し入れるとか在日米軍司令官に言うとか、方法があると私は思う。これはどうですか。
  177. 加藤良三

    ○加藤説明員 外務省といたしましても過去に側面的に米側との話し合いをさせていただいたという経緯はあるわけでございます。先生がもう御案内のとおり地位協定十三条ということをおっしゃられましたけれども、米側は受信料というものが地位協定十三条に言う租税公課に当たるのだという解釈をなかなか変えません。私どもの方としては、それに当たらないのだから、それは払うべきだという考えをとっているわけでございますが、この対立点が依然としてなかなか解消しない。これは基本的に非常に難しい問題なのではないかというふうに思っているわけでございます。  そこで、当面はやはりNHKの方で今までなされてきている努力を継続され、そして我々の方がそれを側面的に支援させていただくという形が一番現実的なのではなかろうか、そういう観点に立って現実的な対処ということを心がけたいというふうに一般的に考えているわけでございます。
  178. 上原康助

    上原委員 何か一歩足を抜いたような御答弁ですが、それではちょっと納得しかねますよ、加藤さん。私も、こういう問題は地位協定の解釈がどうのこうのとかぎゅうぎゅうやっても、これは対人関係ですからなかなかかみ合わない面もあろうかと思うのです。しかし、政府として十三条三項に該当するという解釈には立たないという見解が一方にあり、NHKとしても徴収すべきものであるという姿勢に立っておられるならば、これは政府全体でそういう方向にいくというのが筋じゃないですか。これは郵政大臣の決意を伺っておきましょう。
  179. 奥田敬和

    奥田国務大臣 幾つかの問題点があると思うのです。外務省の方にも協力をお願いしてNHK基地内の居住実態を調べて、聴視料をもらいたいと申し出て、断られたのは事実でございます。断った理由は、基地内の居住実態も含めてそういったことには応ずるわけにはいかない、そしてまた地位協定の面を出されたのだと思うのです。  ただ、アメリカ人にとってみると、公共放送の制度はなじまないと思うのですね。(「そんなことを言ってもらっちゃ困るんだ」と呼ぶ者あり)いやいや、アメリカの場合はなじまないというか、全部民間放送ですから、はっきり言って公共放送はないわけですから、したがって、そういった意味合いではこちらの説得するPRが足りない。日本の方はこういった公共放送としてのNHKの聴視料を国民あまねく、これを見ておられる方からは全部いただくことになっておるのだという基本的な面も含めて、この二面からわたって、もちろん外務省にも御協力をいただきながら在日のそういった担当の責任者にもこういった内容説明し、それが家族にもおりるような形で一遍努力してみようと思っております。ただ、基地内に勧誘員が自由に出入りしてこういった戸別徴収という形が、向こうとして応ずるか応じないかということは大変デリケートな問題点もあろうかと思います。その点はむしろ先生らの方がよく基地内実態はわかっておられるわけですから、また御相談もしながら話し合いを続けるということで御理解を願いたいと思います。
  180. 上原康助

    上原委員 私なんかもゲートで門前払いだから、入れるはずないですよ。それはある程度お気持ちはわかりました。しかし、公共放送だからなじまないというのは、郷に入っては郷に従えですよ。それを聞かなければ帰れと言ったらいい。それと、PRするのがNHKなり放送じゃないですか。肝心の皆さんがPRが足りない。だれがPRするのですか。そういったのを含めて改めて問題提起しておきますので、今NHKさんあるいは外務省、大臣のお答えがありましたので、これは我が方としては黙認するわけにはいかぬよということは絶えずアメリカ側に提起をして、前進させるように特段の御努力を要求しておきたいと思います。  あと少し時間があるようですから、もう少し続けさしていただきますが、せっかくの機会ですので、さっきの電波問題との関係もあるわけですが、もう一つは、これは恐らく大臣もよく御理解いただいておる問題だと思うのですが、先島地区への民放放映問題が以前から取りざたというか、実現すべきだということで取り上げられてきたわけですね。これも五十七年の本委員会で、当時箕輪郵政大臣ですが、私取り上げて御見解を聞いたことがあるわけですが、これも中継局をつくらなければいかぬ、あるいは同線、回路というのかケーブルですね、そういうものを仮に新たに敷設をすると、RBCとかOTVあたりで一社八千万くらい、一億近くかかる。その保守維持費についても数千万円程度必要だということで、実現するにもそういう問題をどう解決していくかということがあるので慎重に検討さしていただきたいということでございました。しかし、御承知のように沖縄の民放二社の経営状況を今考えてみましても、独自でそういった設備投資をするということはなかなか困難な状況にあると言って差し支えないと思うのです。あるいはNHKと共同で民放難視聴の解消をやるとすると、これは何としても国の助成措置を仰がなければいけない問題ではなかろうかと思うのですが、こういうことについても、これだけマスコミ時代ですから、NHKしか見れないということも地域文化、地域住民の生活面からすると不自由、不便をかこっていることは間違いないと思うのです。そういう面で、政府としてもこの件についても引き続き検討をしていただいて、何らかのめどづけができないものかどうか、改めて御見解を聞かしていただきたいと存じます。
  181. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生今お話しございましたように、先島地区における民放の難視聴解消につきましては、建設に要する経費に加えて海底ケーブルの回線料等の運営費の負担がございます。そういったことから、現在の民放二社の経営状況ではこれが大変難しいというお答えは以前に委員会での箕輸大臣からのお答えと変わらないわけでございます。大変申しわけなく思っておりますが、沖縄の民放二社につきましては、いずれも先島地区の難視解消につきましてみずからの課題であるということは二社も十分認識をしている、また私どももそういうことで指導もしてまいりたいわけでございますが、何にしましても費用がかかるという点からいたしまして、現在の両社の経営状況等を見守りながら難視解消のための指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  182. 上原康助

    上原委員 確かにいろいろ難しいというか隆路があることはわかりますが、民放とて努力をしていないわけではないのですよ。御承知のように沖縄本島においては、既に民放は難視聴解消のためにNHKと共同でサテライト局を五十七年三月まで、この十年間に二十六局も設置をしてきているわけです。そのうちさっきの北部地域、これもラジオが聞こえないだけではなく、テレビも一部地域は映らなかった。今帰仁村に中継局を五十六年三月に開局したことによって、本島北部における民放とNHKの難視聴地域差が全くなくなって、民放の難視聴地域一万世帯が改善されているわけで、こういう自助努力もなさっているということもぜひ御理解いただきたいと思うのです。  しかし、宮古、石垣、いわゆる八重山まで延ばすにはさっき申し上げましたような多額の投資が必要になる、ここには独自にということだけではいささか手が出ないというか、ちょっとためらわざるを得ないということのようなんです。ですから、そういう面についてはいろいろの方法があると思いますので、今お答えもありましたけれども、ぜひ実現を図るように、この点も特に後で大臣の御見解も聞かしていただきたいのです。沖縄の郵政管理事務所の「郵政」というパンフがありますね。この中でもこういうことについて津嘉山監視課長さんが述べているのですよ。「まだ若干の格差も残されているものと思われます。例えば先島地区における民放の同時放映の問題もその一つです。これは地域住民の要望が大変強いということで、最も大きい課題だろうと思います。」関係者はこういうふうに言っておられるわけです。自分たちで、そういう問題があり、解決しなければいけない最も大きい課題であるということを指摘をしておるわけですから、こういうことはまた関係者というか、その地域住民はその「郵政」というパンフを通して読んでいるわけだから、期待感を抱きますよね。そういう面からも、この問題もいつまでも検討検討というわけにはいかないと思いますが、北部はもう解決したのですから、郵政大臣、今度宮古、八重山まで解決するように、改めてひとつ決意を伺っておきましょう。
  183. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先島も大変関心は持っておるらしいので、地元民放の琉球放送なり沖縄テレビの二社も、私たちに対しては、これは決してほっておけないんだ、何とかして解消に努力したい、いろいろ考えておるようです。海底ケーブルを使ってみたりあるいは通信衛星回線を利用した場合には幾らにつくかとか、固定的な経費も非常に熱心に検討しておることも事実です。問題は、中継局をつくる固定的な経費に多少公の特別な面の応援があれば何とか踏み切りたいという前向きな意思も持っておりますから、これらの面を今ここですぐ返答しろと言われても、大体経費がどのくらいかかるものかなという総体的な面も含めて、お互いに相談し合ってみようと思います。
  184. 上原康助

    上原委員 地元の方の関係者も相当検討しておられるようですから、ぜひひとつ呼吸を合わせて解決を図っていただきたいと思います。  皆さんお昼もとりたいでしょうから、きょうは少し早目に終えるように努力してみたいと思いますが、最後に、せっかくの機会ですので、復帰後の沖縄の郵政事業についてちょっとだけお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  きょうが五月十日で、あと五日しますと沖縄が復帰して十三年目に入るわけです。この間いろいろな面で改善はされてきていますが、特に郵政関係についても、郵便局あるいは簡易郵便局の推移とか郵便物の取り扱いの数の推移とか、ややもすると一時期、滞留、遅配というものがいろいろな制度の変化とか郵便物がふえたという面で大変あったやに聞いたわけですが、最近の状況はどういうふうになっているのか、この十年ないし十二、三年でどのような改善がなされてきたのか、総括的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  185. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 昭和四十七年五月十五日に、四半世紀にわたりまして施政権が分離されておりました沖縄の本土復帰が実現いたしました際に、私どもといたしましても、それまでの間に本土と沖縄の間に余りにも大きな業務格差が生じていたことに着目いたしまして、一日も早く本土並みにこの格差を是正することに今日まで努めてまいったところでございます。ただいま先生がおっしゃいましたように満十二年が経過したわけでございますけれども、その間に、復帰前において本土並みに維持されておらなかった郵政三事業の各般にわたる業務関係の事項あるいはサービスの項目につきましては、いずれもほぼ本土並みに回復したといいましょうか、本土並みの扱いになったということが総括的に申し上げられる点でございます。  ただいま第一種、第二種、手紙、はがきは、それまで航空郵便でないと本土に航空送達できませんでしたけれども、復帰と同時に航空機に載せるようにいたしましたし、さらに一昨年ですか、本土復帰十周年の日を期しまして、昭和五十七年五月十五日を期しまして大型の通常郵便物につきまして本土よりも早く本土−沖縄間の航空送達を実施したというようなサービスも実行したところでございますし、速達郵便物につきましても本土並みに実施したところでございます。  そのほか、為替貯金につきましても、それまでに実施されておりませんでした振替業務あるいは定額小為替業務につきましても復帰と同時に実施いたしまして、今日順調に御利用いただいているところでございます。  さらに、簡易保険、郵便年金につきましても、戦後復帰までの間簡易保険事業が実施されていなかったわけですけれども、復帰と同時に実施いたしまして、現在毎年簡易保険につきましても大変立派な成績を上げさせていただいているところでございます。  先生が御指摘になりました復帰後一時期、そのようなサービス格差の是正の観点から業務の混乱が認められたことは事実でございます。それをなくすために、私どもも復帰前から復帰後に備えてさまざまな訓練をいたしてまいりましたけれども、実際に復帰後急激に事務量がふえましたために、ある一時期、郵便の遅配、滞留が生じて大変御迷惑をおかけした時期がございました。しかしながら、その後郵便番号制も実施いたしましたし、それから各年度ごと、沖縄郵政管理事務所が中心になりまして、沖縄県民の皆様方の信頼にこたえ得る郵便業務の運行を確保するためのプロジェクトチームを設置いたしまして、特に業務運行の困難な局をピックアップいたしまして、それらの局につきまして例えば要員の適正配置あるいは作業の運行体制の管理の適正化といったようなことを個別に指導いたしまして、業務運行は現在のところおおむね順調に推移いたしております。  なお、それら要員、業務にわたる指導とあわせまして、局舎の改善につきましても、先生御承知のとおり那覇郵便局の新築、そのほかほとんどの局で国費あるいはその他の方法で改善が着々と進んでいるところでございます。  なお、一言付言させていただきますと、復帰前の那覇郵便局は今日那覇中央郵便局という名称になっておりますけれども、これは郵政省の内規で申しますと中央郵便局の名称を冠する基準に達しておりませんけれども、これを復帰十年の記念といたしまして、一昨年、那覇中央郵便局という形で格上げと言ってはおかしいかもしれませんが、沖縄県民の郵政事業のモラルアップのためにこういう名称を冠させていただいたところでございます。
  186. 上原康助

    上原委員 大体私もそういうことについてある程度聞いておったわけですが、かなり改善されてきていることはそれなりに評価をしたいと思います。しかし、郵政業務というのは人が中心でありますし、そういう面に対しても働く人々の立場を十分尊重するというのが基本でなければいかないと私は思いますので、今後とも、単に指導の強化とかそういうことではなくして、沖縄が復帰前あるいは戦後どういう歴史をたどって関係者が努力をして今日の郵政業務に持ってこられたか、そういった労苦に対しても十分御理解と、報いられるようにやっていただきたいということと、いろいろ先島の郵便物の、これは必ずしも郵政省じゃなくして国鉄郵便物、そういった問題とのかかわりもありますけれども、そういう改善策なりあるいは沖縄だけでなく全国的に指摘されている特定郵便局の問題等々、まだ改善を図らなければいかない点もあるやに聞いております。そういう面もぜひさらに御努力をいただきたいということを申し上げて、きょうはこれで終えたいと思います。
  187. 片岡清一

    片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ————◇—————     午後四時四十五分開議
  188. 片岡清一

    片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田英介君。
  189. 山田英介

    ○山田委員 郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑をさせていただきます。  最初に法案の関連でございますが、今回の設置法改正案、中身は地方貯金局全国で二十四、地方簡易保険局全国で七つ、これらを地方郵政局に統合して附属事務センターとする、こういう中身のようでございます。合わせて地方局が三十一局削減されることになります。ただしかし、局長職というのは三十一なくなるわけですけれども、事務センターの長という方が三十一人できるわけでございますね。そうしますと、この場合における給与ベースはどういうことになりますでしょうか、それが一点。  それから、地方簡易保険局の方は全国で七つの局で今までカバーしていたということで、参考資料などを見ましても、例えば関東郵政局のところを見ますと、実際にはどちらの簡易保険事務センターが関東地区を担当なさるのか、事務を所轄なさるのか明確になっていないわけでございますが、その二点について簡略、簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  190. 三浦一郎

    三浦政府委員 人事局長でございますが、まず給与面についてお答え申し上げます。  給与というものは、職務の内容につきましてその複雑性、困難性、それからその責任につきまして強さの度合い、その他いろいろな条件によって決めるものでございます。今回、地方貯金局長、それから地方簡易保険局長、これが事務センターの長となるということでございますけれども、その内容につきまして今後検討していきたいと考えております。ただ、これは予想でございますけれども、大幅な変更はなかろう、このように存じております。
  191. 奥田量三

    奥田政府委員 新しい簡易保険事務センターの管轄区域についてのお尋ねでございますが、御指摘のように現在全国七つの地方簡易保険局で簡易保険の契約事務等を取り扱っております。したがいまして、郵政局の管轄区域についてまたがって地方簡易保険局が所掌をいたしているケースがあるわけでございますが、これにつきましては、今回の機構改正後におきましても現在の地方簡易保険局の所掌地域をそのまま新しい簡易保険事務センターの所掌地域とする予定にいたしておりまして、その辺につきましては、お手元の法案第七条の地方郵政局の管轄区域は政令で定めるとなっておりますこの政令の中で明らかにしてまいりたいと考えております。
  192. 山田英介

    ○山田委員 関連いたしまして、逓信病院のあり方といいますか、臨調答申でも指摘がなされているところでございますので、何点か伺っておきたいと思います。  「行政改革に関する当面の実施方針について」というのがことしの一月二十五日閣議決定をなされているわけですが、その中に逓信病院につきましては「昭和六十三年度末までを目途に利用率の低い病院等二箇所の整理統合を進める」、このようにございます。それより先に昨年の五月二十四日、いわゆる新行革大綱にもこの逓信病院の整理合理化ということが盛り込まれて閣議決定をされているわけでございます。その中には、逓信病院、診療所の整理統合につきましては、「五十九年度予算編成過程において具体的成案を得て、措置するものとする。」こうなっているわけです。この問題については五十九年度の予算編成の過程を通じて具体的な成案を得る、このように閣議決定なされておりますが、この点につきましてはどのようになっておりますか。
  193. 三浦一郎

    三浦政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、逓信病院につきまして整理統合を進める、こういったことで五十九年一月二十五日、政府の行革実施方針ということで決めたわけでございます。これにつきましては、当面の行政改革とございまして、六十三年度末までにということでございます。ただ、先生御指摘の五十九年度の予算ということでございますが、これは逓信診療所のことでございまして、診療所の整理統合につきまして目下鋭意検討を進めている、そういう段階でございます。
  194. 山田英介

    ○山田委員 逓信診療所に限った書かれ方じゃないと思います。もう一回御確認をいただきたいと思います。逓信病院及び診療所というか、むしろ逓信病院の方にウエートを置かれているような書かれ方であるかと思いますが、それを御確認をいただきたいと思うのです。
  195. 三浦一郎

    三浦政府委員 具体化の方針でございますけれども、逓信病院については、「特に利用率の低い病院、小規模病院、近接病院等の整理統合、診療科等の削減、定員の縮減等の合理化を行うほか、診療所についても整理統合を進めること」とする、このようになっておるわけでございます。
  196. 山田英介

    ○山田委員 それが六十三年度をめどにということでございましょう。それはそれで結構でございますが、利用率の低い逓信病院、赤字の大きな病院といいますか、これは一つ二つ挙げますと、どちらとどちらということになるのでしょうか。全国で十六の逓信病院がございますね、診療所は七十二ということでございますが。
  197. 三浦一郎

    三浦政府委員 御指摘のとおり全国に十六病院があるわけでございますけれども、そのうち利用率の低い病院と申しますと、結核専門の性格を有する病院が長年の歴史の中でございます。そういった病院がこれに当たるか、このように考えております。
  198. 山田英介

    ○山田委員 そうしますと、兵庫県の明石逓信病院、それから札幌南逓信病院、この二つが結核の診療科目を持っているところでございますが、恐らくこの二つということになるのだろうと思います。  この逓信病院は、基本的に三十万人を超える郵政省の職員の皆さん、それからその職員の皆さんの御家族の健康を保持するために設置をされているというふうに理解をいたしておりますが、一般の国民に対しては診療という意味における開放はなされているのでしょうか。その辺の現状を御報告いただきたいと思います。
  199. 三浦一郎

    三浦政府委員 逓信病院の一般開放でございますけれども、昭和五十五年度に広島の逓信病院を皮切りといたしまして順次実施してきておりまして、現在十六ある逓信病院のうち十三病院を開放いたしております。郵政省といたしましては、一般開放を予定している病院のうち大部分は既に実施済みである、残るものは東京でございまして、これが現在まだ一般開放に向けて鋭意努力中、こういうことでございます。
  200. 山田英介

    ○山田委員 東京都におきましても医療需要というのは大変高いものがあろうかと思います。十六病院の中、御努力をなされて十二病院まで一般開放ということで、国民の命や健康を守る上で逓信病院が大きな貢献をされているということ、私は大変評価をしたいと思っております。したがいまして、東京がおくれている理由につきましてはそれぞれいろいろとあろうかと思いますけれども郵政省におかれましても関係方面と鋭意協議なり御相談なりを進められて、一日でも早く東京都民のためにといいますか国民のために、東京逓信病院も一般開放がなされますようにぜひ御努力をいただきたいと思いますが、その見通しと、あと二つ開放されていないところがあるわけですが、それは明石逓信病院と札幌南逓信病院の二つであるとこれは確認をさせていただきますが、この二つお願いをします。
  201. 三浦一郎

    三浦政府委員 東京逓信病院につきましては、目下鋭意努力をいたしておりますので、できるだけ早い機会にこれまた一般開放にこぎつけたい、このように考えております。  それからなお、一般開放を予定しておりません逓信病院、これは先生御指摘のとおり明石と札幌南、これについては一般開放を行う予定はございません。
  202. 山田英介

    ○山田委員 今回の郵政省設置法の一部を改正する法律案の中身が、いわゆる臨調答申における行政改革の一つの方向を踏まえた機構改革の法案改正であると理解をしておるものですから、そういう意味で、先ほど申し上げました逓信病院並びに逓信診療所の整理統合につきましては六十三年度を目途に、こうなっておりますけれども、六十三年度までにやればいいんだ、そういうことではならないのだろうと私は思うわけでございます。行政改革の本質といいますか精神を踏まえてみても、できる限りの努力をなされて、そして六十一年度、六十二年度でももしできることがあるならばそれはしっかりとお進めをいただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。  現実に、逓信病院の収支のバランスはどうなっておりますか。
  203. 三浦一郎

    三浦政府委員 五十七年度末におきまして、逓信病院全体といたしまして九十五億円の赤字、そういうことでございます。
  204. 山田英介

    ○山田委員 五十七年度単年度で九十五億円の赤字が発生しているわけでございます。それを踏まえて、例えばそういう同じペースで推移したとすれば、仮に十年こういう形で来ているとすれば単純に計算しても約一千億円という膨大な赤字の額になってくるわけでございます。設置者は郵政本省・経営者も郵政本省ということだろうと私は思っておりますが、そういう中で、申し上げましたように五十九年度の予算編成の過程でその整理統合をしっかり考えていきなさい、そういう臨調の答申というか閣議決定考え方というのは、逓信病院の九十五億円という単年度の赤字を何とかしなければならないだろう、そういう部分がやはり踏まえられているのだろうと私は理解するわけです。したがいまして、六十三年度をめどに成案を得るということになっておりますが、それは六十年度でもいいんだし、六十一年度でも、できるのであれば少してもこの赤字の額を少なくしていくような姿勢と御努力がやはり必要であると私は思いますが、その点、もう一度御答弁をいただきたいと存じます。
  205. 三浦一郎

    三浦政府委員 郵政事業全体といたしまして、これは人力に依存する度合いが非常に強い事業であるということで、逓信病院が非常に健康管理に重要な役割を果たしておる、こういう点はぜひとも御理解をお願いいたしたいと思うわけでございます。しかしながら、この運営について効率化を推進していく、これまた非常に重要な課題でございますので、これにつきましては、先生のおっしゃるとおり、できるだけの努力をやってこれについては収支の改善に努力していく、このように考えているところでございます。
  206. 山田英介

    ○山田委員 ぜひ真剣にお取り組みをいただきたいとお願いいたします。  大蔵省、お見えいただいていますでしょうか。利子配当課税制度の抜本改定が今非常に論議をされておるようでございますけれども、それに関連いたしまして、何点か先に大蔵省さんに伺いたいと思います。  まず、預貯金の利子課税制度の改定論議でございますが、報道などによりますと、六十年度の予算編成では財源が三兆円から四兆円くらい不足するのじゃないかというふうに言われている中で、その手当ての柱の中心に、大蔵省の方では、一度すべての預貯金の利子に高率で課税をいたしまして、それで年末調整時に申告に基づいてマル優とか郵便貯金の非課税限度額の枠内で還付をする方式というものが六十年度税制改正の大きな目玉として、そしてまたそれによって財源対策を大蔵省は期待をされているというような報道に多く接しているわけでございます。そういう中で、私はまず、この預貯金の利子に対する課税制度の見直しというのは、本来、例えば少額貯蓄等の優遇制度をやめさせるとかそういうことじゃなくて、そういうマル優だとか郵便貯金の制度を悪用してそうして税金逃れをするというようなものを防止するためにこの少額貯蓄の利子課税の問題などは当初論議がスタートした一番大もとの理由であったというふうに思っておるわけでございます。その点につきまして、大蔵省はどういう御認識をお持ちなんでしょうか。
  207. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  現在の利子課税の検討の状況でございますけれども、先般もお答え申し上げましたように、利子課税の関係につきましては、例のグリーンカードの問題がございます。経緯的には、グリーンカードの問題を中心にいたしまして、本件は六十一年の一月一日から実施するということで三年間の延期がなされております。その際にいろいろな議論がございましたけれども、そこでの議論を踏まえて、税制調査会でも利子課税のあり方というものをもう一度原点に返って議論すべきではないだろうかということから、昨年の夏からもう一度議論がスタートしております。  秋の段階で税調の中期答申が出されておりますけれども、そこでは課税貯蓄、非課税貯蓄を含めまして基本的な議論はされております。例えば非課税貯蓄について申し上げますならば、当初といいますか、制度がスタートしたときにおける意味合いと今日的意味合いをどう考えるかといったような議論等もございますが、いずれにいたしましても、中期答申の段階では必ずしも各論の議論にまでは至っておりません。これまでの経緯あるいはそれぞれの制度の本来の趣旨と現状あるいはその利用の実態、そういったものを十分検討した上でさらに各論を詰めるべきであるというところで終わっております。  その後、年が明けまして、毎年税制改正を行います際には年度答申をちょうだいすることになっておりますけれども、その年度答申の審議の際におきましても本件につきまして御議論いただきましたが、やはり各論のお答えを出していただくというところまでには至っておりませんで、その際の答申に書かれておりますのは、グリーンカードの施行時期との関係で、できればことしの夏までを目途に各論の詰めをするのが望ましいというふうな、いわばタイム的なことでのコメントはございましたけれども、中身までは入っておりませんというのが現状でございます。
  208. 山田英介

    ○山田委員 つい最近、大蔵省の方では政府の税制調査会に諮る利子配当課税制度の改革案、これは三案に絞って委員の皆さんに提示をなされた、こういう報道に接しております。それはもう御案内のとおりだと思いますけれども、一案は現行方式内における合理化、具対的には非課税限度額の枠をマル優三百万、特別マル優三百万、郵便貯金三百万、三つ合わせて九百万を大体半分ぐらいにして、いわゆる非課税限度額の管理強化をいたしまして、それで分離課税税率三五%を四〇%に引き上げるというのと組み合わせて第一案を出されているようでございます。これはどういうわけで限度管理を強化なさるのですか、そういうお考えに立つのですか。
  209. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 三案というふうにおっしゃっておられますのは新聞報道で言われているのをおっしゃっておられるのだろうと思うのですけれども、私どもとしてまだ大蔵省案という格好で案をまとめるまでには至っておりません。  実態を申し上げますと、現在税調での審議の状況は、全体としてまとめられておりますのは先ほどの中期答申で書かれておるのが現状でございます。そこで示されておりますのは、課税貯蓄について、一体基本的にどういう利子の性格といいましょうか、利子所得というものをどういうものとして考えていくのがいいだろうかというような点、あるいはその議論との関係で、委員の皆さんの中で例えばこういうことをおっしゃる方もございます。利子所得の非常に大量に発生する、あるいは浮動性があるといいましょうか、代替可能性がある、元本が代替可能的であるというようなことから、かつての分類所得税的な観点でこういった利子所得というのをとらえてはどうかというような議論もございます。それから片や、所得である以上は他の所得と全く同じではないだろうかということで、今申し上げたような分類所得税的な発想というのは適当じゃないというような議論もありまして、そういった御議論が中期答申の中に、こういう御意見もある、こういう御意見もあるという格好で紹介がされておりますけれども、税調全体としてどういうふうに考えるかというところについてはなお今後詰めていく必要があるというのが現状かと思います。  先ほどの、全部に課税をして還付したらどうかというような御意見の方もあったかと思いますけれども、大蔵省が現時点、具体的な案をもって大蔵省案と考えておるというような状況にはまだ立ち至っておりません。一応私どもといたしましては、税調での御議論を踏まえ、そこで答申をいただきましたならば、それを踏まえて大蔵省としての案を考えていきたいというのが現在の状況でございます。
  210. 山田英介

    ○山田委員 そう申されますけれども、現実には大蔵省から税調の方にたたき台という形で三案あるいは六案、これはマスコミ報道ですけれども、そうは実態とかけ離れたようなマスコミの報道というのはないと私は思っておりますので、そういう意味で、要するに税調の答申待ちだという御答弁のようでございますけれども、私が伺いましたのは、限度管理強化をなさるという考え方が大蔵省にないかと言えば、ワン・オブ・ゼムで幾つかの中の一つにはそういう考え方があるわけでしょうから、その考え方について、なぜ限度管理を強化なさるのか、その論拠を一言伺いたかったのでございますが、簡単で結構でございます、時間がありませんから。
  211. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 三案とか六案とおっしゃっておられますのは、私どもが案として提示したということじゃなくて、世の中いろいろ言われております考え方を類型化して申し上げておるということで、大蔵省がこういう考えに基づいてこういう案がいいというような判断をする状況には至っていないというのが先ほど来申し上げていることでございます。
  212. 山田英介

    ○山田委員 それから、考え方としては、先ほど申し上げました三つの非課税制度合わせて九百万、それから財形貯蓄の勤労者本人については五百万ということで非課税扱いがなされているために、一人一千四百万非課税限度額ということになっているわけです。今度は、四人家族ということになれば四千一百万円まで非課税限度額の枠がある。それは現実には、いろいろな調査などを見まして、平均の貯蓄高が六百数十万とかいうようなことであるからそんなには非課税限度額の枠を大きくとっておかなくてもいいのじゃないか、だから例えば半分に限度管理を強化するのだという発想があるとすれば、私はいささか異論のあるところでございまして、もしそういうことであれば、四千百万円までの非課税限度額の枠があるのだから、それを超えての預貯金に対する利子は、例えば三年間凍結をされておりますグリーンカードというものでもってむしろ明確に税金逃れを抑えていくという考え方に立たざるを得ないわけでございまして、私はそういう考え方を持っておるものですから、言われております一案というようなことについてはぜひ慎重にお取り扱いをいただきたいと大蔵省にお願いしたいと思います。  それから二案、三案と言われていますが、二案というのは先ほども触れられておりましたけれども、高率の源泉徴収課税の方式ですね。言われておりますのは、一律にすべての預貯金に四〇%を課税をして、それで年末調整とかあるいは申告時期に証明書なりを提出をすれば——失礼しました、そうじゃないですね。要するに四〇%すべてに課税する、一定の証明書なりを提出をすれば二〇%という形で還付をされるとか、あるいは三百万以内の非課税限度額の預貯金に対してもいきなり四〇%取られるわけですし、その場合に氏名、住所を明らかにすれば二〇%を適用するとか、低所得者にはゼロ%の、そういう形で四〇、二〇、ゼロ%と三段階方式、これが第二案と巷間言われている中身になっているようでございますが、これと第三案の、マル優とかの少額貯蓄の非課税制度というものを全廃をして一律に一〇%すべて徴収しよう、利子課税をしよう、こういうようなことが伝えられているわけでございます。  特に、この二つ目、三つ目につきましては、もしそれが導入されたり実施されるということになれば、郵便貯金の非課税限度額、郵便貯金の制度を根幹から覆すというような結果をもたらすわけでございます。そういうことが現実に行われていいものかどうか。百年からの歴史を持つ郵便貯金の非課税限度額三百万というのが決められているわけでございます。もし預貯金すべてに課税をされるというような制度が導入されるとすれば、これは大変なことになるだろうと私は心配をしておるわけでございますが、大蔵省はその辺どのように考えておられるのですか、郵便貯金との兼ね合いについて。
  213. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 先生御案内のように、現在個人貯蓄が五十八年三月末で三百八十兆円ほどございます。その中で非課税となっておりますのが、郵貯、マル優を含めまして二百二十六兆ということで、その比率にいたしますと六割ということになります。利子所得の性格をどう考えるかということ自体いろいろな御議論がありますけれども一つの所得の種目で六割も非課税になっておるというのはかなりのものであるということは言えようかと思います。そういったマクロの議論、そのほか実際の貯蓄の実態がどうであるか、そういったようなことも現在勉強しておるところでございますけれども、そういう中で非課税貯蓄をどう考えたらいいだろうかというのが現在での税調を含めての審議の現状ではないかというふうに思います。  具体的に郵貯はどうかあるいはマル優はどうかという各論的なところまでは、先ほど来申し上げておりますように方向づけができておりませんので具体的な御意見を申し上げるような状況じゃございませんが、そういったマクロ的な問題、あるいはミクロにおける個々の問題等々を全体としてどう考えたらいいかという、そういった問題意識があることは事実でございます。
  214. 山田英介

    ○山田委員 ここで利子配当課税制度についての抜本的な改定案というようなものが出てきたというのは、これは御案内のとおりの経過でございまして、六十二年の一月からグリーンカードがスタートします、その準備期間として六十一年の一月からカードを実際交付しなければならないという作業が控えているわけですから、どうしても、八月までにそれにかわり得る利子配当課税制度というものをつくらなければならない、そういう事情があるわけでございます。私が申し上げたいのは、マル優とか郵便貯金の制度を否定するとか廃止するという方向で考えるのじゃなくて、これらの制度を不正行使してそして税金を逃れる、そういう手段に使っているという、それを防止することが一番大事な点であって、利子課税制度が見直されて検討されてきた大もとというのはそこにあるわけですから。それが最近は、何か財政再建のためとか一時的な例えば財源不足の穴埋めのためにマル優とか特別マル優とか郵便貯金の制度を否定をして、それをなくしてそれで何兆円とかの財源不足の穴埋めにしていこうというような、そんな姿勢が大蔵省の方に見え隠れする、それを私は非常に心配をしておるわけでございます。  この日本の経済の成長を支えてきた零細な貯蓄、あるいは貯蓄をしようという日本人の一つの美風といいますか、それがまさに今日の我が国を支えてきた大きな要因であったということは、だれも否定できない事実でございます。しかも四十年、五十年というマル優制度です。郵便貯金に至っては、創業以来ですから百年ぐらい、一世紀ぐらいたつのでしょうか、そして国民の間に完全に定着してきているこういう少額貯蓄等の非課税の制度を、安易など言ったら失礼に当たるかもしれませんが、一時的な財政再建の財源不足の穴埋めのために、それに目をつけて税収に何とかつなげていこうという姿勢があるとすれば、それはぜひとも改めていただきたいと思いますし、私はそういうやり方は断じて反対でございます。大蔵省、それをぜひ聞き取っておいていただきたいと存じます。答弁は結構です。  郵政大臣に一言御答弁をいただきたいと思っておりますが、先ほど触れましたように、郵便貯金というのは制度創設以来非課税ということで定着しているわけでございます。そういう中で、預貯金のすべてに今言われておりますような課税がなされることになれば、制度の根幹が崩れるというか大変更を余儀なくされるわけでございますが、最近の利子配当課税制度の改定論議など、大臣としてどのようにごらんになり、そしてまた郵便貯金の問題と関連をしてどのような御所見をお持ちでございますか、お聞かせいただきたいと存じます。
  215. 奥田敬和

    奥田国務大臣 非課税貯蓄の見直し論についてはいろいろ論議がなされていることは私もよく承知いたしております。しかし、今先生が御指摘なさいましたように、長い歴史的な沿革がございます、国民生活に密着した、しかも少額の汗とあぶらの結晶で、貯蓄性向の強い、そういったお金が郵便貯金でございます。ある意味においては御指摘のとおり郵貯を支えてきた根幹とも言える制度でもございます。今日、残高八十五兆という巨大な貯蓄資金として、それがまた他方、財投なり国民生活、国民経済の発展に本当に大きく貢献しておることも事実でございます。そういった意味合いから、私たちはこの少額貯蓄非課税制度の堅持という形の基本姿勢は貫いてまいるつもりでございます。  しかし、今先生も御指摘なさいましたように、こういったマル優、非課税の陰に隠れて悪用するというような例はまかりならぬと思っております。ですから、今回のオンライン一万九千、とりあえず郵便局ネットのオンライン計画の完成に従いましても名寄せ等を厳重にやり、そういった限度額オーバーに対しては、こういうわけでできませんという形の趣旨も徹底してやっておるところでございます。  ただこの際、付言して一言申し上げたいのは、別にだれがどうということじゃありませんけれども、マスコミの報道ぶりにあらわれる形の中で、郵便貯金口座があたかも三億五千万もあるといったような、本当の実質デマでございます。現実には五千万口座、大衆の一つの貯蓄の窓口ということで親しまれてきた実態を極言して、あたかも郵便貯金がそういった非課税制度を利用して何か悪用する温床のような形の報道が流布される向きがありますけれども、まことに遺憾だと思っております。そういう点においては、そういう制度上の間違った運用がないように気をつけていくことがむしろ今日の非課税制度の守っていく道だという形で努力してまいりたいと思っております。
  216. 山田英介

    ○山田委員 次の問題に移りたいと思います。  郵便法第五条で郵便事業の独占を規定しているわけでございますけれども、その第二項に「何人も、他人の信書の送達を業としてはならない。」という規定がございます。ここに言う信書というのは何なのか、具体的にはどんなものが信書に入るのか、これを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  217. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 信書とは特定の人にあてた通信文を記載したものだというふうに考えております。  なお、通信文とは自己の意思を他人に伝え、またはある事実を通知するために、文字またはこれにかわる記号を用いて著されたものだというふうに思っておりまして、例えば書状とか領収証、納品書等を例として挙げたいと思います。
  218. 山田英介

    ○山田委員 第三項のただし書きに「但し、貨物に添附する無封の添状又は送状は、この限りでない。」とございますけれども、ここに言う添附というのは、貨物、荷物に張りつけられている、貼付されていることを言うのですか、それとも必ずしも貼付されていなくてもいいということでしょうか。
  219. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 必ずしも張りつけられたものでなくても、中に同封されたものでも結構でございます。
  220. 山田英介

    ○山田委員 一緒に例えばよかったのですが、もう一つ、「無封の」とございます。無封のという意味ですけれども、いわゆる裸のままの例えば書類ということなんですか、それとも口をあけたままの、封筒に入れても口をふさがないというのも、無封のというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  221. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生おっしゃいました後の方で、開封したもので密封したものでなければ結構でございます。
  222. 山田英介

    ○山田委員 そうすると、先ほど御答弁いただきましたけれども、信書の定義は、特定の人、団体にあてた通信文を記載した文書、形式は問わないとおっしゃいました。文字も記号も含まれる、記載の手段はペン、毛筆などの手書きあるいは印刷、タイプ、ファクシミリ、コピーなども含まれる、さらに具体的に手紙、先ほどおっしゃいました納品書、受取書、払込通知書、請求書、依頼書、見積書、報告書、会議開催案内書など、先ほど二、三、具体例を挙げられましたけれども、これらも信書に当たるのでしょうか。今申し上げました会議開催案内書まで、ほとんど全部信書ということでございますか。
  223. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 そのとおりでございます。
  224. 山田英介

    ○山田委員 郵便事業を国が独占している趣旨につきましては、例えば信書の秘密を保持するとか、郵便の利益をあまねく公平に国民が受けられることを確保するためとかございますけれども、最近、オートバイを利用して小さな荷物だけではなくて書類なども配達する会社が急激にふえてきたという事情にございます。これらが「信書の送達を業としてはならない。」と規定した郵便法五条の規定に違反する疑いがあるということで、全国の郵政局とか郵政監察局が実態調査にいよいよ入るという報道に接しているわけでございますが、これは具体的にどのような実態調査になっておりますか。
  225. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 私どもは、ただいま先生おっしゃいましたようなオートバイを使った運送便の会社が東京都内、大阪等にあることは承知しておりますが、それほどたくさんあるわけではございません。まだ大変少ない数だと思っております。  私どもの調べました範囲では、例えば東京の港区にソクハイ、渋谷に公営社といったような会社があることを承知しております。なお、大阪にも同じような会社が二、三ございますし、名古屋、横浜等にも一、二あるというふうに承知しております。
  226. 山田英介

    ○山田委員 臨調の答申などを拝見しても、特に郵便事業につきましては、新しい時代に対応した事業体質の強化とかあるいはまた体質の改善とかということが指摘をされておるわけです。その中で、例えば「迅速に送達する必要があるサービス等で、現在郵便事業で対応しておらず、かつ、今後とも対応することが採算上極めて困難とみられるものについては、民間開放を含めその扱いを検討する。」こういうことがうたわれております。それに関連して、今御報告いただきましたバイクなどを使って会社の書類などを送達するというそういう業者の中には、こうした仕事というものが全国でふえているのはそれだけ需要があるからなんだ、したがって郵政省から文句を言われる筋合いもないんだ、そういうようなお気持ちもあるようでございます。そういう業者を利用している側にも、業者と依頼先がお互いに信頼関係の上で送達をしていただいているんだから、それが郵便法五条の違反で取り締まるというようなことであるならば、そういう需要の多い分野における業務をむしろ郵政省が代行してもらいたい、こういうような声も事実あるようでございます。したがって、先ほどの臨調の答申も踏まえまして、例えばこういう考え方、声については、郵政省、どんなふうなお考えでございますか。
  227. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生御指摘のように、先般の臨調で、迅速に送達する必要のあるもので、かつ郵便事業が対応し得ないものは民間に開放することも検討しろという御提言があります。しかしながら、郵便事業を国が独占して運営してきております理由として、国民の最も基礎的な通信手段を全国あまねくなるべく安く送達するという趣旨で国の独占を保証されておるわけでございまして、一部でもそういった信書の送達を民間に任せるといったようなことになりますと、どうしてもクリームスキミングといったような現象も出てきまして、ただいま申しました全国あまねくなるべく安く送達するという伝統的な制度の趣旨にだんだん反してくるということになりますので、私どもとしては、そういった需要に対してはできるだけ郵政省として対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  228. 山田英介

    ○山田委員 それで結構なんだろうと私は思います。同じサービスを、業者がやっているような形で郵政省がサービスを提供するということがじゃできるかといえば、それはできないことだし、またすべきじゃないと思います。郵政省の職員の方が電話一本で取りに行く、事実そんなことはできるわけはないと私は思います。ただ、この分野の需要が現実にかなり存在する。あるいはこれから社会の進展につれてすき間産業的な部分でもっと伸びていく、需要がそれだけ大きくなっていくという予測も十分なされるわけでございまして、したがって、この間の調整をしっかり考えていくということは大事なことだというふうに私は思っております。したがいまして、一刀両断的に処理をするといいますか対応するのではなくて、私はもう少し弾力的に、じゃ郵便法の五条を改正するなんということはできないことですから、信書の基準を、例えばさっき五つも十も挙げました、それが全部信書だということで、裏返せば書類というのは全部信書になるということでございますが、その信書の基準というものをもう少し弾力的にとらえていくということも含めて、こういう一つの事態が起きてきたということをむしろ前向きにとらえていただいて、そして質の高い郵便サービスを今後またさらに国民に提供できるようにひとつ格段の御努力をいただきたい、そういう方向でむしろとらえていただきたいなと私は思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  一点。そういう業者の方にビジネス書類とか原稿なんかの配達をお願いした場合に、それが例えば裸のままだったら、これはどういうことになるのですか。要するに、封筒に入れてない裸のままで書類を業者に渡して、これを幾らであそこへ届けてくれ、引き受けましたということで、業として裸でもし書類なり文書なりを渡した場合には、これはやはり信書なんですか。
  229. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 信書であれば、それは無封であってもやはり郵便法五条に抵触するということになります。  ただ、先ほど私の説明が不十分だったかと思いますが、印刷物がすべて信書だとは解釈しておりません。やはりその内容等によって、単なる広告的なものは信書ではないというふうに思っております。
  230. 山田英介

    ○山田委員 先ほども申し上げましたように、この新しい一つの動きといいますか社会の変化といいますか、まだ全体から見ればそれは小さな分野かもしれませんけれども、一刀両断的に、それをいけないんだ、何が何でもいけないんだという、それだけではなくて、むしろ対応としては、国民にさらに信頼され、質の高い郵便サービスが提供できるように、一つ参考としてといいますか生かして、速達業務などまだ御努力をいただきたいとお願い申し上げておきます。  最後になりますが、郵便ポストについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  郵便ポストの設置数は全国で十四万四千八百二十五本、約十四万五千本、一本当たりの人口が大体八百十九人、一本当たりの面積が二・六平方キロメートル、先進諸国の水準とほぼ同じだというふうにございます。  そこで、十五万本近いポストのうちで鉄製の角型ポストと旧型の丸型ポストというのでしょうか、これとの比率はどういうことになっておりますか。
  231. 大友昭雄

    ○大友説明員 お答え申し上げます。  十五万本ありますもののうち、丸型ポストという形で広く親しまれてきておりますものは約三万本ほどでございます。
  232. 山田英介

    ○山田委員 古い丸型のポストを角型に取りかえられているわけですね。念のために、お取りかえになられている理由。  それから、取りかえられた旧丸型のポスト、これは三万本引くわけですから約十二万本、角型に取りかえられています。その十二万本はどう処置なされていますか。
  233. 大友昭雄

    ○大友説明員 先ほど申し上げました十五万本のうちの三万本というのはよく知られております丸い形のものでございまして、そのほかに、地方に参りますと、山の中で小さなかけ型のポストというものもございます。それが約五万本ほど、約三分の一はそういったものでございます。残りのものが、大都会を中心にしまして二口のもの、あるいは一口でありましても角型のものというふうな形になるわけでございます。  丸型のものにつきましては、御指摘のとおり、最近の郵便の差し出しされる、御利用される実態あるいは作業の内容あるいは郵便のスピード化といったものも考えあわせまして、逐次丸型の一口のものから角型の二口のものに切りかえるという形で郵務局の方で業務計画を進めてまいっております。五十八年度を例に申し上げますと、丸型のものから角型のものにかえましたもの、約一万五千本ほどございます。  それらのかえましたもののうち、まだ使用にたえ得るもの、比較的最近設置されたものも中にはございますので、そういったものについては、地方におきますかけ型のものを丸型のものに切りかえる、使えるものはほかのところへ転用してまだ使っていくという形で活用いたしております。最終的に、かなり長い間使っておりましてはかの郵便局へ持っていっても今後長期間使用するにたえないだろうと見込まれますものは、切りかえました時点で不用という形で、郵便のポストとしては使わないことにしておりまして、それは再使用されることのないような措置を施して売り払い処分をする、あるいは売り払いにも適しないような、品質が劣化しましたものにつきましては、そのまま廃棄処分にするという形になっております。
  234. 山田英介

    ○山田委員 四、五年前から郵政省の方では毎月二十三日を「ふみの日」ということで制定といいますか決められて、手紙やはがきなどの啓蒙をなさっておられるようでございますが、この目的効果ですね、一言ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  235. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 一言で申しますと、そういったキャンペーンによって郵便の利用をふやしていきたいということでございます。
  236. 山田英介

    ○山田委員 先ほどの御答弁ですと、使用にたえないものは再び使用されることがないように処分される。恐らく打ち壊すか破砕するか、そういう処分がなされているのだろうと思います。  私は、ささやかな提案でございますが、古い丸型のポストは、郵便事業創業が明治四年、ことしで百十三年の長い歴史を持っておるわけでございます。ある意味では、その百年以上の郵便事業の歴史のシンボル的な存在が古い丸型のポストである、私は実はこういうようなとらえ方をしている一人でございます。非常に親しみだとか愛着を持つ人も多いわけでございます。子供たちにとっても、丸型のポストを知らずにこれから育っていくわけです。全部鉄製の、機能的で近代的かもしれませんけれども、環境が全部近代化といいますか機能化されていく中の一つとして存在するわけですから特段の感情等もわかないということも言えるかと思います。しかし、時代の変化だとかあるいは郵便事業の歴史といったものを、少しオーバーに聞こえるかもしれませんけれども、この古い丸型のポストを通して子供たちにしても自然に学ぶことができるかもしれないと私は思っております。それから、何といっても手づくりの雰囲気だとか素朴なたたずまいとか人間的な温かさとか、そんな感じのものを古い丸型のポストに私は感じることができるわけでございます。  この丸型のポストを、例えば希望なりがあれば、公園だとか学校だとかに展示してみたらいかがかな、こう思っているわけです。使用にたえ得ないものは二度と使用されないように処分してしまうというだけじゃなくて、公園だとか学校だとか、そういうところにそれを展示して、郵便事業百年の歴史のシンボルとして、子供たちのあるいは大人たちの親しみだとかあるいは学ぶということに資するような、そういうことを私は御提案申し上げたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  237. 大友昭雄

    ○大友説明員 お答え申し上げます。  郵便の歴史の貴重な資料として学校や公園などに展示したらいかがかという先生のお話でございますけれども、以前、私どもとしましても、教育用という見地から学校に譲与した例がございます。ところが、その後の状況の中から、一般のお客様が御利用いただけないような措置も施し、また、そのような区域に設置されていたポストではございますけれども、時間がたった中で、校庭内に置かれたポストの中に数十通の郵便が入っていたというような事故が起こっております。最近におきましても、以前の古いポストの中に間違って郵便を入れようとしたところ、たまたまそれが使われていないことを知っておられた方の目にとまって注意をされた、郵便に対する信頼感を失うことになりかねないではないかというふうな御指摘もいただいたことがございます。そういったことがございまして、現在では学校や公園に展示するというやり方は私どもはとっておらないところでございます。  先生の御提案のほかにも、いろいろ御希望を申し出られる向きあるいは御提案をいただく向きもあるわけでございますけれども、そういった誤って利用されるおそれがある、また実際にそういう例が過去に何件かあったという事情も御説明申し上げて御理解いただき、お許しをいただいてきておるということでございます。
  238. 山田英介

    ○山田委員 時間が過ぎて済みません。ちょっと一言だけ。  それは幾らでも対応の仕方があるわけです。「ふみの日」という看板、私も拝見していますけれども、例えばああいう看板をつくられるわけでしょう。「ふみの日」なんとかと、書いてあるわけです。例えば丸型のポストのわきにそういう看板なりを子供たちでも読めるような形で、これが郵便事業の百年の歴史のシンボルだよというようなことを書いて、もしそれでも間違って入れる人がいるとすれば、それはそこにただし書きが書いてあれば、よしんばふさいでもいいのじゃないですか。本当にそれは対応の仕方ですよ。「ふみの日」という看板までつくるのですから。そういうことを考えられるわけですから。  私が申し上げたいのは、東京の逓信博物館に行かなければ郵便百年の歴史を学ぶことができない、触れることができないということじゃなくて、一本のあの親しみ深い丸型ポストを公園の片隅あるいは学校の入り口に置くことによって、郵便の文化とか歴史とか伝統というものに身近なところで子供たちが、また大人たちが接していけるような環境を努力して御検討なさることは不可能じゃないし、また、ぜひやっていただきたいというふうに私は思うわけでございます。それがまた郵便に対する理解を深め、高めるということになれば、それは郵便事業の伸びが鈍化している状況の中で、手紙やはがきを書く、その大切さ、親しみを持った子供たちが大きくなっていけば、それはそれとして郵便事業郵政省の大きな支えの力になり得るのではないか、このように私は思うものですから、済みませんが、大臣、最後に一言御答弁をお願いします。
  239. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今担当からは、過去においてそういった過ちがあって信用を失したということで、問題にならないように何か廃棄処分にしておるというようなことでございますけれども、先生の御提案は私にもじんと伝わってまいります。ですから、誤って投函できないようなちょっとした措置を講ずることによって、今言われましたような郵政百年の歴史を多少明記して、「ふみの日」なんという格好の宣伝にもなることでもございますし、ひとつ前向きに検討させていただきまして、そういった形に生きればポストも本望だろうと思いますから、そういう形で一生懸命努力したいと思います。
  240. 山田英介

    ○山田委員 終わります。
  241. 片岡清一

    片岡委員長 元信堯君。
  242. 元信堯

    ○元信委員 大分時間も過ぎてまいりまして、皆さんもお疲れでしょうが、しばらくおつき合いを願いたいと思います。質問も簡潔にやりたいと思いますので、答弁もひとつ、要点をついて簡潔に賜れればと思います。  まず、郵政省設置法でございますが、今回の設置法改正の本旨は、地方貯金局、地方簡易保険局に対する本省の権限なり所掌事務というものを地方の郵政局に言うならば分権をしていく、臨調の地方分権の本旨に沿ったものである、こういうふうに理解してよろしいかどうか、まずここから伺いたいと思います。
  243. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 今回の改正は、これまで本省に直結して、独立した地方支分部局として存在しておりました地方貯金局並びに地方簡易保険局を郵政局に統合するわけでございますので、本省がこれまで所掌しておりました事務を一部郵政局に委譲することになります。その意味におきまして、先生のおっしゃるとおり、地方に権限なり所掌事務を分権化したということが言えようかと思います。
  244. 元信堯

    ○元信委員 このことによって、貯金なり簡易保険事務なりに関するサービス、ユーザーに対するサービスの低下を招くようなことがあってはならないと思いますが、そういうことがないかどうかひとつ承りたいと思います。
  245. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 地方貯金局及び地方簡易保険局といいますと、よく郵便局の後方事務と言われることで比較的お客様との接点が薄いために、余りお客様の権利義務、国民の権利義務に関係がないように思われますけれども、そこで取り扱っております仕事は、貯金や保険の原簿関係事務、あるいは契約締結事務、あるいは為替貯金その他郵便を含む各種の現金受け払いに伴う証拠書類の計算等、我々郵政三事業を円滑に運営する上に非常に欠かせないものでございますので、これが今回の改正によっていささかでも国民サービスの低下を来すような形になっては、むしろ角を矯めて牛を殺すことになってしまいますので、そのようなことのないように、庁舎の統合等は一切行わない形で、従来どおりのサービスが維持できるように措置してございます。
  246. 元信堯

    ○元信委員 よく承りました。  それでは、職員の処遇について今回の変更によって変化があるか、また、もしあるとすれば具体的にどのように処遇の変更があるか、そこのところについて承りたいと存じます。
  247. 三浦久

    三浦政府委員 地方貯金局、地方簡易保険局が郵政局に統合されましても、個々の職員につきましてその職務の内容に基本的に変化はない、このように考えております。したがいまして、処遇につきましても基本的に変更はございません。
  248. 元信堯

    ○元信委員 それではこのことによって、郵政の労使関係はなかなか難しいわけでございますが、どういう関係が出るというふうにお考えになっていますか。
  249. 三浦一郎

    三浦政府委員 現在の郵政事業における労使関係でございますけれども、地方貯金局、それから地方簡易保険局、これらを含めまして比較的安定している、このように考えております。したがいまして、今後も正常で安定した労使関係を続けたい、こういうふうに考えているところでございます。今回地方貯金局、地方簡易保険局、これが郵政局に統合されましてもこういう基本的方針は変わらない、こういうことと考えておりますので、今後ともこういう基本的な方針に基づきまして適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  250. 元信堯

    ○元信委員 労使関係に入りましたので、ちょっとこの改正案とは離れますけれども、本年二月、国鉄のいわゆる五九・二ダイヤ改正が行われまして、輸送システムについても変更があったやに伺っておりますけれども、この変更の内容について具体的に承りたいと思います。
  251. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ことしの二月一日から国鉄のダイヤ改正を機会に、郵便事業につきましても、送達速度の大幅な向上を目的としまして、同じ県内、また近くの県であれば隣接府県においても、夕方まで引き受けた郵便物をすべて翌日に配達するという仕組みを全国的にとったわけでございます。そういった目的を達成するために、これまで主として鉄道に依存しておりました郵便輸送を自主的なダイヤの組める自動車輸送に切りかえることによりまして、ただいま申し上げましたような郵便の送達速度の向上のための輸送体系の変更を行ったということでございます。
  252. 元信堯

    ○元信委員 いわゆる五九・二の改革と言われるものは、今御説明がありましたように、従来の鉄道輸送から自動車輸送に切りかえて、そのことによって労働条件等に大幅な変更があったように伺っております。これについて労働組合であります全逓の協力があって達成されたと伺っておりますけれども、労働組合の協力について郵政省としてはどういう御見解をお持ちか、承りたいと思います。
  253. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 鉄道輸送から自動車輸送に切りかえることによりまして、鉄道郵便局で働いておりました約三千五百名の職員を一般の局に配置がえをする必要がございました。また配置がえの人数は、単に鉄道郵便局の三千五百名にとどまらず、それに関連しまして全体として約六千名に及ぶ職員の配置がえを行ったわけでございますが、その間労働組合は郵便事業の置かれている厳しい現状等を十分理解していただきまして、極めて積極的に御協力をいただき、私どもとしては大変感謝をしているというところでございます。
  254. 元信堯

    ○元信委員 感謝をしているということだそうですが、これは言うまでもないことです。労使関係の改善、安定のためには、労働組合と使用者側の信頼関係というものが現場の第一線まで徹底する必要がある、こういうふうに私どもは思うわけでございますが、そういう点について郵政省のお考えを承ります。
  255. 三浦一郎

    三浦政府委員 郵政事業は、本省から地方郵政局、地方貯金局、地方簡易保険局、郵便局、こういったものでやっているわけでございますけれども、何といいましても郵政事業の第一線というものは郵便局である、このように考えております。しかも、この郵政事業を人力によってやっておる、そういった関係から労使関係というものは極めて重要である、そういった意味で正常な労使関係というものは基本である、まさに先生の御指摘のとおりである、このように考えているところでございます。この場合、特に郵便局における、第一線における労使関係につきましても重要性については認識しておる、こういったことでございまして、全逓が労使関係の正常安定化を現場第一線に及ぼす、こういった意向を持っておる、その努力につきましては省としても十分承知しておりまして、期待もしておる、そういうところでございます。
  256. 元信堯

    ○元信委員 労使の信頼関係と申しましてもこれはごく具体的なことでございまして、かけ声だけではなかなか信頼関係まで到達しないわけでございます。信頼関係を確立するためにまず最初に一番重要なことは、当局の側から現場の労働者、労働組合に対して不当労働行為またはそれと疑わしいようなことを一切しない、これが第一の出発点であろうというふうに思いますけれども、これはどうでしょうか。
  257. 三浦一郎

    三浦政府委員 正常な労使関係を確立するということは非常に重要なことであるし、その観点に立ちますと、不当労働行為というものはしてはならない、こういう認識で私どもかねがね指導しておるところでございます。今後ともその方針でまいりたい、このように考えております。
  258. 元信堯

    ○元信委員 不当労働行為は一切しない、これはよく承っておきたいと思います。  こういう場合、今日のような郵政事業の危機下、前回の委員会でも各方面から郵政事業の危機ということが論議されたわけでございますけれども、こういう危機下にあってこれを乗り切るということのためには、まず何よりも郵政省の側で、郵政省一体となって乗り切るための労使関係の改善策というものを具体的に打ち出す必要があるというふうに思いますけれども、具体的にどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと存じます。
  259. 三浦一郎

    三浦政府委員 今日厳しい事業環境にございますので、それにつきましては共通認識を深めながら双方が一致して協力していかなければいけない、このように考えておるところでございます。こういったことでございますので、私どもといたしましては、組合を大切なパートナーであると認識し、真剣に理解と協力を求めていく。それから、組合から要求がございますれば、現在非常に厳しい事業環境あるいは事業財政というところでございますので、我慢すべきところも求めていかなければならないとは考えておりますけれども、これに対しまして誠意を持って対応していく、こういう考え方でございます。
  260. 元信堯

    ○元信委員 誠意を持って対応するということだそうですが、もう少し具体的な問題に踏み込んでいかなければならぬと思います。やはり労使が信頼関係に到達をするということになりますと、その前提として、各レベルにおける十分な意思疎通といいますか、お互いに何を考えておるか、そこのところがきちんとされてなければならぬというふうに思います。すなわち労使交渉の充実であろうというふうに思うわけでございますが、具体的に労使交渉を充実させていくことについて、基本的な郵政省考え方を承りたいと思います。
  261. 三浦一郎

    三浦政府委員 労使の共通認識を深めて信頼関係を高める、こういったことのためにも、交渉あるいは労使間の意思疎通、すべて非常に重要であると考えておるところでございます。幸いにも、関係労働組合も交渉あるいは話し合いを重視する、こういう方針で省と対応しております。したがいまして私どもとしては、郵政事業における労使間のコミュニケーションは深まっておる、このように理解しておるところでございます。
  262. 元信堯

    ○元信委員 認識を聞いているんじゃなくて、どうするかということを聞いているんですが、これはおいおい具体的に聞いてまいります。  郵政事業の場合、労使の交渉機関というのは中央と地方、それから各支部、こういうふうになっておるというふうに聞いておりますが、間違いございませんか。
  263. 三浦一郎

    三浦政府委員 現在、当省における組合との交渉でございますけれども、中央段階は本省、本部間、それから地方段階は郵政局とそれに相対応する地本間、それから支部段階は郵便局長とその支部間、こういうことになっております。
  264. 元信堯

    ○元信委員 私どもは日ごろ労働組合から、郵政省における労使問題についていろいろなことを承っておるわけでございますけれども、それによりますと、郵政省においては、当局の側が労使問題に関する権限を限りなく本省の側に集中をしておって、今おっしゃった地方、支部、局長間の交渉というのは事実上、交渉はするけれども解決機能がない、こんなふうに聞かされておるわけですが、その点、郵政省としてはどのように御認識になっておるでしょうか。
  265. 三浦一郎

    三浦政府委員 郵政事業は、御案内のとおり全国一律のサービスを実施する、こういうことでございまして、また労働条件につきましても全国が同一の基準に基づくことが重要である、このように考えております。したがいまして、同一基準につきまして、主として中央において制度化、協約化が行われておる、これが実際のところでございます。  しかしながら、地方段階、支部段階それぞれの段階につきましても、それにふさわしい事項について交渉を行う、そして、そういう対象となる事項につきましても円滑なコミュニケーションが行われておる、このように理解しておるところでございます。
  266. 元信堯

    ○元信委員 郵政事業のサービスは全国一律ではありましょうけれども、労働条件というものは必ずしも全国一律でないというふうに思うわけなんですよ。したがって、個々の問題を各最末端で言いますと支部、局長間で解決ができない、何でもかんでもこれは全国一律だから上へ上げてやらなければならぬということになりますと、どうも郵政省の願望とは将来的に必ずしも一致できない。労使間というものが最末端でまたがたがたするという可能性が出てくるのではないかというふうに思われるわけですけれども、将来的に支部、局長間に問題解決能力というものを付与していくことが現場の安定のために必要じゃないかと思います。どうでしょうか。
  267. 三浦一郎

    三浦政府委員 労働組合側から、特に支部段階での意思疎通のあり方を中心にいたしまして問題提起があるというのは事実でございます。しかし、このことにつきましても現在中央労使間で十分に話し合って、そしてルールの充実を図っておる、このようでございまして、労使それぞれの立場の違いから対立する場面もあるということは否定いたしませんけれども、しかしこれからも、組合からの問題提起に対しまして、私どもとしては実態を把握いたしまして、よりよいルールの運用ができるように努力してまいりたい、このように考えております。
  268. 元信堯

    ○元信委員 言うまでもなく第二臨調は、中央に過度に権限が集中することは好ましくないということを指摘しておるわけであり、先ほども御答弁がありましたように、今回の一部改正の中でも中央の権限を地方郵政局に一部委譲するということは否定しないという御答弁だったと思うのです。そうだとしますと、今の御答弁というのは、意見の違う点について中央において議論はするけれども、地方の交渉機能の充実ということについてはどうも積極性が感じられないと思うのですが、もう一遍、そこのところを地方分権との関連でお答えをいただきたいと思います。
  269. 三浦一郎

    三浦政府委員 地方分権についてこれからも努力するということは事実でございますけれども、何といいましても郵政事業に働く職員の労働条件、勤務条件は基本的には同一の基準が必要である、このように考えておるところでございます。したがいまして、その部分については地方にはおろすことはできないわけでございます。しかし、我々といたしましては、各段階におきまして解決できる問題については今後とも誠意を持って対処する、そして労使関係の改善に一層の成果が上がるように努力いたしたい、このように考えておるところでございます。
  270. 元信堯

    ○元信委員 全国一律ということにばかにこだわるのですが、サービスの全国一律というのはこれはちゃんとやってもらわなければいかぬ。必ずしもそうじゃなかったということも後から少し言いたいと思いますけれども、労働条件はサービスとは直接関係がない。日本は随分細長い国でございまして、北海道から沖縄まで、気候も随分違いますし、また過疎も過密もある。この東京のようなところもありますし、私の選挙区でもクマが出るようなところもあるわけです。そういうところへ郵便を配達するのに、どこでも一緒ということではちょっと無理があるのではないかと思うのですね。それを全部中央に上げて交渉をやるということになると、中央交渉を毎日やっていても追いつかない、こういうことになるので、少なくとも地方郵政局程度では実りのある交渉ができるぐらいのことはしなければならぬ、こう思うのです。あなたはあくまでも中央の交渉に固執しますか。
  271. 三浦一郎

    三浦政府委員 給与の問題でございますとか勤務時間の問題でございますとか、そういった意味におきまして、私ども労働条件というものは全国で非常に同一の基準ということがあるというふうに理解しているわけでございます。しかしながら、現在関係の組合といろいろ話し合いをいたしておりまして、支部段階あるいはその地方段階で対応できる問題につきましてはおろすようにするということについても、目下鋭意お互いに交渉中である、このように御理解願いたいと思います。
  272. 元信堯

    ○元信委員 余りこのことばかり押し問答しておってもいかぬですが、もう一遍詰めたいと思うのです。  郵政省としては労使関係改善のためにやるべきことはやる、これは確認できると思うのですが、そのために地方や各支部段階における交渉、労働条件というのは賃金や労働時間ばかりじゃないことは御存じですね、各地域の事情によるところが多いわけですから、地方支部における交渉の充実、これはどうしても避けて通れないと思うのです。その方向で議論をしている、努力をしている、そのことは確認できますか。ひとつその点だけ確認をしておきたいと思います。
  273. 三浦一郎

    三浦政府委員 各地方段階においてやるべきものにつきましては、各地方段階で対応できるということについては十分努力いたしております。
  274. 元信堯

    ○元信委員 それでは次に、郵便事業関係について少し伺いたいと思います。  郵便事業というのは、先ほどもお話がありましたが、宅配事業でありますとかいろいろなものがあらわれまして、郵便法の保護にもかかわらずかなり厳しい状況に置かれているというふうに思うのです。郵便事業全体が今日どういう状況、動向にあるのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  275. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便事業の現状を、物数と収支状況の両面から簡単に申し上げたいと思います。  物数は、料金を引き上げました年は減少しておりますが、そうでない年は、わずかでありますが、ふえております。昨年度、五十八年度におきましては対前年比四・四%の増加で、百六十一億一千六百万通程度と推定しております。  また、財政事情でございますが、昭和五十五年に料金の改定をさせていただきましたおかげで、その後収支は大幅に改善されてまいりまして、五十八年度、昨年度は、収入が一兆二千四百二十七億円に対し、支出が一兆二千百八十一億円で、二百四十六億円の単年度黒字、これは予算ベースでございますが、そういった数字になっておりまして、累積赤字は二百九十三億円まで減少してまいっております。しかしながら、本年度、五十九年度の予算におきましては、残念ながら、単年度百五十五億円の赤字を見込んでおり、累積赤字は四百四十八億円になる見込みであるというのが現状でございます。
  276. 元信堯

    ○元信委員 去年は黒字で累積赤字も減ってきたということでありますが、ことしは百五十五億円もまた欠損を計上する、これはどういうことですか、これも御説明を願いたいと思います。  さりとて、財政面だけを考えてそれではまた一丁値上げをするかということになりますと、郵政事業全体からユーザーが離れていく、こういう現象を来す。この悪循環に陥りますと、そう言ってはなんですが、国鉄みたいなことになりかねぬわけでありますから、料金値上げで財政を回復するということではなくて、利用者のニーズに対応してサービスを改善するあるいは新たなサービスを開拓をしていく、こういうことで対応していかなければならぬと思うのです。そういう観点から、今後、収支の改善のために料金改定でいくのか、それともサービス改善でいくのか。サービス改善でいくとすれば、具体的にどういうプログラムを打考えか。そこらについて伺いたいと思います。
  277. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 昨年は黒字であったものが五十九年度は赤字になる理由でございますが、郵便物数は、五十九年度は対前年比三・四%の増加を見込んでおりますが、収入は二・〇%の増加しか見込んでおりません。他方、費用の方が、人件費、物件費等の増によりまして五・三%の増という予算でございまして、そういった収益と費用との差が収支を悪化させておるということでございます。  なお、百五十五億の赤字につきましては、大臣からも強く、できるだけ努力して赤字を出さないようにしろということで、私どももできるだけ郵便物数を予想よりもふやすことによってこの赤字を消し込む努力をしていきたいというふうに思っております。  ちなみに、百五十五億という赤字は、四十円のはがきで換算しますと約四億通でございます。したがいまして、年賀はがきが年間三十億でございまして、暑中見舞いのはがきは昨年は一億三千万通程度でございますが、ことしは三〇%ほどふやしまして、一億八千万通ほど出すことにしております。そういった暑中はがきの増発行とか、また、年度もまだ相当期間がございますので、その間いろいろな営業活動を活発にして物数をふやす努力を積極的にやっていきたいというふうに思っておりますと同時に、経費につきましてもできるだけ節約して、年度の百五十五億の赤字が消し込めるように精いっぱいやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  278. 元信堯

    ○元信委員 その程度のことではなかなか難しそうに思います。  ちょっと私、さっき料金改定の見通しについてもお伺いしたつもりでございます。どうでしょうか。
  279. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 少なくともことし、来年、この一、二年と申しますか二、三年と申しますか、そういった期間では料金の改定は考えておりません。
  280. 元信堯

    ○元信委員 二、三年と言わずに二、三十年ぐらいはと言ってもらいたいと思いますが、問題は、なるべく郵便に国民を呼び戻すといいますか引きつけるといいますか、こういうことでなければいかぬと思うのですね。そのために現場のサービスといいますか、郵便局このごろ大分改善をされたということは認めますけれども、どうしてもまだお役所気分といいますか、これが根本的に抜けておらない。昔は切手払い下げ所といったそうだが、そんなような感じがせぬでもないわけです。郵便局へ行くと、あれせよ、これせよと、いろいろやかましいわけです。その最たるものが郵便番号ですね。郵便番号が書いてあれば郵便局が便利というのはよくわかりますけれども、これは、利用者に対して記入が強制されるべきものでありましょうか、どうでしょう。
  281. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便規則の第九条の二に「郵便物の差出人は、その差し出す郵便物に、受取人の住所又は居所の郵便番号を記載するように努めなければならない。」というふうに書いてありまして、そういった意味では努力目標だ、努力していただきたいということでございまして、強制ではございません。
  282. 元信堯

    ○元信委員 現実に郵便局へ参りますと、ポストに入れてしまえばそれはいいわけですが、いろいろな事情で、窓口で差し出しますと郵便番号を書けとやかましくてしょうがないわけです。実際には郵政省としては現場に、客にこれを書かせるようにという指導をなさっておるのでしょうか。
  283. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現在郵便物の九六%に郵便番号が記載されておる現状でございます。そういった現状を踏まえまして、郵便局の区分け作業はあて名を見て区分けする仕組みではなくて、郵便番号によって区分けする仕組みを原則としております。したがいまして、郵便番号の記載されていないものは一たん外しまして、別の作業場で区分けするといったようなやり方でございますので、郵便番号が記載されているものとそうでないものとは半日から一日の送達速度の差が生じます。そういった実態でございますので、郵便局としましては、お客様に対するサービスの観点からも郵便番号の記載をお願いしておるという状況でございます。  なお、郵便番号制につきましては、日本はもちろんでございますが、先進各国もほとんどすべてやっておりまして、これがやはり近代的な社会の一つの方向かと思います。
  284. 元信堯

    ○元信委員 遅くなるから早くやろうと言っているのですから、聞いていないことは答弁などせぬように。  客のためを思って言ってやっているのだ、こういう結構なお答えでございましたが、こういうこともあるわけですね。郵便番号で区分けをするというのですが、その区分けはだれがするわけですか。
  285. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 職員がする場合と、大きな局になりますと郵便番号自動読取区分機という機械によって作業する場合と、両方ございます。
  286. 元信堯

    ○元信委員 職員でやる場合と機械でやる場合と、二通りということですね。利用者がやる場合がありますか。
  287. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 利用者にお願いしまして、郵便番号によって区分けして差し出していただく場合もございます。
  288. 元信堯

    ○元信委員 どういう場合でしょうか。根拠と場合と、両方言ってください。
  289. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 これは二つございまして、区分協力というということで、郵便番号によってあて先別に区分けしていただきますと料金を割り引くという制度がございます。そういったメリットがございますので、お客様の方で積極的に区分けして差し出していただくというケースがございます。  もう一つは、第三種郵便物につきまして、郵便規則によりまして、第三種郵便物を差し出していただく利用者の方に郵便番号によって区分けして差し出していただくという場合がございます。
  290. 元信堯

    ○元信委員 郵便規則によって区分けをして差し出していただくというのは非常にあいまいな言い方なんですけれども、正確におっしゃっていただきたいのです。義務なのかどうか。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕
  291. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便法の第二十三条を昭和五十六年一月の法改正のときに改正させていただきまして、郵便法二十三条にこういうふうに書いております。「第三種郵便物の認可のあることを表す文字を掲げた定期刊行物を内容とする郵便物で開封とし、省令の定めるところにより差し出されるものは、第三種郵便物とする。」ということで「省令の定めるところにより差し出されるもの」が第三種郵便物であるというふうに法律の根拠を置き、省令によってかくかくしかじかの場合はこういった方法で区分けして差し出していただきたい、それから差し出す郵便局も特定の郵便局にお願いしたい、そういったことを省令で定めているわけでございます。
  292. 元信堯

    ○元信委員 お願いしたいだなんというような省令があるとは思えぬのですが、もうちょっとそこのところを正確におっしゃってください。
  293. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便規則の第二十一条にこういうふうに書いております。「定期刊行物を内容とする郵便物を第三種郵便物として差し出そうとする者は、当該郵便物を次の各号に定めるところにより、差し出さなければならない。ただし、同時に差し出そうとする郵便物が五十通に満たない場合は、この限りでない。」ということで「一 郵便物の配達事務を取り扱う郵便局又は地方郵政局長の指定した郵便局に差し出すこと。」差し出す郵便局を決めております。それから二番目に「料金別納、料金計器別納又は料金後納とすること。」ということで、現金ではなくて簡便な方法で納めるということを二番目に書いております。それから三番目として「第一号の郵便局の長が指定するところにより、郵便物の受取人の住所若しくは居所の郵便番号ごとに分け、又は当該郵便局の長が指定する区域に分けて差し出すこと。」ということで、差し出す郵便局長の定めるところによって差し出すということで、その内容は個々具体的な例や物数等によって多少変わるということでございます。
  294. 元信堯

    ○元信委員 そうしますと、その郵便規則でいくと郵便番号別に区分をしなければ郵便局は受け取らぬ、こういうことですか。
  295. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便物の引き受けをしないということはございませんが、第三種郵便物の条件に該当しないということになりますと、料金面におきまして第一種の料金をいただくということになるわけでございます。
  296. 元信堯

    ○元信委員 そうすると、これは区分して出さなければ第三種扱いにはなりませんよ、こういう理解でいいわけですね。わかりました。  規則は規則かもしれませんが、こういうところにお役所仕事というのがまことに明瞭にあらわれているわけでございます。こんなことをやっていますと、だんだん郵便局へ行くのが嫌になる、見るのも嫌になる、こういうことになりやせぬかと思います。これは省令でございますから政府においてお決めになることでございます。ここら辺は再検討の要があるのではないか。余りにも郵便局の方の都合でユーザーに対してあれやれ、これやれ、そうでなければ割り増し料金だぞ、金が高くなるぞ、こういうふうに思えるわけでございますが、全体の郵便事業のあり方としてぜひその辺再検討の必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  297. 奥田敬和

    奥田国務大臣 民間サービスとの比較において、言われる点もあると思います。確かにお役所式と申しますか、それと前垂れ精神、前垂れがけでやれという形に相当のギャップがあるということを私も感じて、常々口に出しておるわけでございます、しかし、今日的には、お互いの労使慣行も非常に良好な環境を維持しておりますし、今日置かれている郵便事業の危機感というものはまさに労使間にも徹底してまいっておりますし、結局、自分たちが頑張れば、サービスは国民に返り、そのことが自分らの生活の改善にもつながっていく。先般の期末手当等々で私も政府部内で相当頑張ることができたのも、やはりいい意味のファミリー意識を発揮してくれた結果が今日の事業の成果の中に少しずつあらわれておるということでございます。  しかしながら、今言っておられるような、押しつけがましい、何でも省令や一元体制のもとの中でのそういった形だけでいくという精神から、むしろ本当の前垂れがけ精神でお客さん獲得、お客さんサービスをやっていくということで、先般来、小包においても「ふるさと小包」とか、今、暑中見舞いぐらい大したことないと言われますけれども、この暑中見舞いでも、一億枚ふやすと今度は何十億の黒字になって返ってくるということで、うちわつきの、九十枚買ってもらったらうちわ一本、わずかなことですけれども、それも一つの何かやる気を起こさすきっかけにしたいということ、あるいは記念切手等々も、やはり五百万のそういった切手を愛好されておる方もいらっしゃるわけですから、ありとあらゆる手を尽くして、今年度の赤字解消を何とか値上げに持っていかないという方向の中で、徐々に成果が上がっておるということだけはどうか御理解を賜りたいと思います。
  298. 元信堯

    ○元信委員 労使関係も良好になってきた、郵政省の中は非常にいい環境だということだそうですが、郵政省の中はそれでいいでしょうが、私申しておりますのは、ユーザーといいますか、利用者との関係でこれでいいかということですね。労働者と使用者がお互いにこうやって、ではこれもあれも利用者にやらせようじゃないかというようなことを幾ら相談しても、これは根本的な問題の解決にはならない。そうこうしている間に再三お話がありますように民間で郵便まがいのものができて、これは郵政省みたいなことは言いませんよ、随分サービスがいいわけであります。あれもこれも郵政省令なんということは決して言わない。郵便規則なんというものはない。  そういうことからいいますと、ここらを改めていく、なるべくお客さんの便宜を図ろう。僕は、ずっと第三種郵便物を郵便局に持っていく仕事を三年間やってきたのです。全くいやになってしまう。ばんたびにそうやって、ああせい、こうせいと指図を受けながらやってきたわけですから、そういうところを改めていかないと、そういう郵便規則にのっとって仕事をやるだなんということを言っていますと、大臣おっしゃる利用拡大というのも絵にかいたもち、こういうことになりかねないと思うのです。ですから、そういう意味で、郵便規則というものをぜひ見直してもらいたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。  以上で、直接法律にかかわる部分はおしまいでございます。  次いで、NHKに伺いたいと思います。きょうは、遅い時間にどうも御苦労さまでございます。  過般、NHKでは犯罪報道と呼称の基本方針というものを策定をされて、最近テレビなどでも、この種報道に当たって容疑者であるとか元被告であるとか、どうも耳なれない呼称を承っておるわけでございますけれどもNHKにおいて今般こういうようなことをされたようでございますが、まずその背景と基本方針について、概略のところ御説明いただきたいと思います。
  299. 川口幹夫

    川口参考人 放送における呼称の問題、それから特に犯罪呼称の問題というのは、これまでもいろいろな議論をしてまいりましたけれども、その基本にあるのは放送法、それからこれに基づきまして国内番組基準というのがございます。この中に、第一項、人権・人格というところがございまして、「人権を守り、人格を尊重する。」というふうな国内番組基準がございます。これに基づきまして、放送における言葉というのは、原則として呼び捨てにしない、それから敬称や肩書をつけるというようなことをやっております。ただ、運動選手だとかあるいは芸能人の芸名等につきまして、放送番組の性格あるいは内容などによって敬称を省略するというふうなケースもございます。  このたび、犯罪に関する呼び方、これを四月一日からいわゆる呼び捨てをやめまして、容疑者あるいは肩書というふうな形にしましたのも、こういう人権を守るというふうな基本の精神からでございます。
  300. 元信堯

    ○元信委員 呼び捨てにしないというふうに承りましたが、絶対にしないですか。
  301. 川口幹夫

    川口参考人 放送は社会の中で報道の役目を果たす機関でございますから、例えば衆人環視の中で行われた殺人、そのときの犯人に対する呼び方というふうなものはもちろん呼び捨てにする、そういうケースもございます。社会正義の立場あるいはいわゆる人間感情というふうなことから呼び捨てにするケースもございます。それから、刑が確定いたしました場合は呼び捨てにするというふうなことを原則にしております。
  302. 元信堯

    ○元信委員 衆人環視の中で行われた現行犯については呼び捨てにするということだそうでございますが、なかなかそうは言っても難しいと思いますね。交通事故はどうですか。
  303. 川口幹夫

    川口参考人 交通事故の場合は大体呼び捨てにしない。容疑者という名前をつけるということが原則でございます。
  304. 元信堯

    ○元信委員 交通事故は衆人環視の中じゃないですか。
  305. 川口幹夫

    川口参考人 いわゆる凶悪犯罪あるいはそのことによって社会的に許しがたいというふうな人間的な感情を起こさせるような事件、そういうふうなものに関して呼び捨てにするということを原則にしたいと思っております。
  306. 元信堯

    ○元信委員 社会感情というのは、どなたの感情でございましょうか。
  307. 川口幹夫

    川口参考人 これがなかなか難しいと思います。正直に申し上げまして、主観的な面での判断が伴うものでございます。そこで私どもでは、このことについていわゆる判断の基準がばらばらにならないように、犯罪の呼称に関する委員会というものを二十四時間常時設けておりまして、その中で問題点があれば直ちに処理をするということを行いまして、なるべくいわゆる偏った判断にならないように、基準は一定するような形に努めてまいりたいと思っております。
  308. 元信堯

    ○元信委員 NHKにおいて、報道における客観性の確保ということはどういうふうにお考えでしょうか。
  309. 川口幹夫

    川口参考人 放送は常に不偏不党、公正中立てなければいけないというのは、放送法の中に特筆大書してあるところでございます。報道における不偏不党、公正中立というのは、この放送法の精神にのっとってやらなければいけないというふうに思っております。その不偏不党あるいは公正中立という言葉の概念の中に、いずれの立場にも立たない、できるだけ客観的にこれを報道するということが公正、中立の原則であろうかと存じます。
  310. 元信堯

    ○元信委員 できるだけ客観的にとおっしゃったわけですが、さっきは主観的な判断であるとおっしゃいました。矛盾がございませんか。
  311. 川口幹夫

    川口参考人 先ほどの主観的にというのは、例えば衆人環視の中でとか、それから事故と先ほど先生おっしゃいましたけれども、そのような起こった犯罪の犯人に対してどういうふうに呼ぶかという場合に、主観の差が多少あるというふうに申し上げたところでございます。それをできるだけ主観的にならないように、客観的、公平な判断でやるために委員会を設けるというふうに申し上げました。今の客観的というのは、いわゆる報道姿勢として客観的な立場をとるというふうに申し上げたところでございます。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  312. 元信堯

    ○元信委員 その主観的ということと客観的という用語の使い方に多少混乱があるのではないかと、今承っておって思ったわけでございますが、報道というものはあくまで客観的でなければならぬということだと思います。ところが敬称をつけたりあるいは呼び捨てにしたりするということは、これはとりもなおさずそのこと自身が主観であるというふうに言わなきゃならぬですね。ある者は尊敬し、ある者はさげすみ、こういうことになるわけですから、そこのところにどうも客観報道との間の矛盾点が基本的にあると思うのですが、いかがですか。
  313. 川口幹夫

    川口参考人 先ほど申し上げましたけれども、原則として呼び捨てにはしない。敬称または肩書、それから容疑者、被告等の言葉を使って、いわゆる呼び捨てということが持つ差別感というものをなくそうということでございます。
  314. 元信堯

    ○元信委員 それは全然答弁になってない。私が言っておるのは、早い話が、あなたは原則としてと言っただけで、これこれこういう場合というのを実際に挙げられました。そういう場合であるとないとにかかわらず、およそある人を尊称、敬称をつけて呼ぶ、ある人をこれをつけないで呼ぶというのは、基本的にそこのところに主観が働かなければそういう振り分けというのはできないわけですね。事実を報道しているのに、主観がなければそういうことはできないわけです。そこのところを聞いているのです。
  315. 川口幹夫

    川口参考人 そこのところが実はこれまでの問題点であったわけでございます。私どもはこれまで、犯罪に関係のある人はすべて呼び捨てにするというふうなことで実施をしておりました。それを、原則として呼び捨てにしない、必ず何らかの意味で肩書または容疑者等の名称をつける、特別の場合だけ呼び捨てにするというふうに決めたわけでございます。
  316. 元信堯

    ○元信委員 どこまでいっても——特別の場合というのを、では、だれが一体判断をするのか。それはNHKの二十四時間やっておる何とかという組織がやるということですけれども、そこでやったとしても、それはあるいはNHKというものの主観であるということは免れぬわけでしょう。
  317. 川口幹夫

    川口参考人 呼び捨てにするケースというのは極めて少ない、特別の場合であるというふうに申し上げました。ですから、原則としては呼び捨てにしないということが原則なんです。そこで、今先生おっしゃったような、ではそこの判断をだれがするか、これは大変主観的になるではないかという御指摘は、ごもっともでございます。私どももそういうことについては非常に腐心をいたしまして、そのために今の委員会を設けたり、絶えずこのことについての論議を起こして、いわゆる偏った形での主観的な判断だけで行うような印象は絶対に避けたいというふうに思っております。
  318. 元信堯

    ○元信委員 水かけ論はやめたいと思うので、これはこういうふうにおっしゃればいいと思うのです。主観的なんですよ、これは。どこまでいっても、ある者を呼び捨てにし、ある者をそうでないというふうにする場合、その判断というものは物差しがない以上、それはレアケースであるとかそれに腐心をしているとか、あなた方の内部のことを幾ら言っても何にもならない。事の本質は主観的だと言わざるを得ないと僕は思うのです。はっきりおっしゃってください。関係のないことを言わないように。
  319. 川口幹夫

    川口参考人 いわゆる判断の問題ということでございますけれども、編集判断というのは主観ではない。市民感情というのは個人の主観によるものだというふうに思うのですが、私どもが報道をしていく上で幾つかのよって立つ基盤、それはこれまでの社会の流れだとかあるいは現代の社会の判断、そういうものをバックにしておるわけでございます。そういう編集判断を、例えば個人の主観というものでやるべきではない、これはあくまでも客観的な立場でやるべきだというふうに思います。
  320. 元信堯

    ○元信委員 個人の主観であるとか偏っておるとかということを聞いておるのじゃないのです。振り分けをするときは客観的な振り分けなんということはありっこないのだから、結局そこは主観によらざるを得ないということをどうしてあなたは認められないのですか。主観的が悪いと言っておるのではないですよ。主観か客観かという論理学上の問題だけれども、そこのところを聞いておるのです。
  321. 川口幹夫

    川口参考人 例えば今申し上げましたことの中で、私が主観と客観ということで言いますと、できるだけ客観に近い形に……(元信委員「そう思っておるだけなんだよ、あなたが」と呼ぶ)ですけれども、その中でNHKの編集判断というものがございますが、それを主観、例えばNHKがそういうふうに判断したのだということを、それはNHKの主観ではないかと言われれば、論理的にはそういうことが言えると思います。
  322. 元信堯

    ○元信委員 早くそう言えば時間が倹約できて、おなかがすかなくて済むというものだ。ああだこうだ筋の通らぬことをぐだぐだ言うのはやめにして、率直な話でもうちょっといきたいと思います。NHKはそういう主観的な——主観的が悪いと言っておるのではないよ。そこのところを誤解せぬようにしてもらいたいと思うのです。そうすると、主観というものがどういうものであるかということをもうちょっと検証していきたいと思うのです。  それはできる限り社会常識というか、正義というのも余りぱっとしない概念だと思いますけれども、あなた方がそう思いたいと思っておるところでやっておると思うのですが、そういうあなた方のなるべく客観に近づけようとしておるところの主観に立ってみて、こういう場合にちょっと具体例で伺いたいと思うのですが、例えば我が国の中にあっては、これは基本方針の中にもありますけれども、逮捕されたり起訴されたり、またそれで拘留されるあるいは刑が確定すると呼び捨てになるのですが、逮捕、起訴段階では容疑者という言い方になるわけですね。それはたとえ元首相であっても逮捕された段階では容疑者であり、それが起訴されると被告になるわけですね。そういういわゆる肩書と容疑者なり何なりという、呼称というのも余りぱっとしない言い方だと思うけれども、あなた方の言い方によると呼称だから呼称でいきたいと思いますが、呼称の使い分けの基準を一応お持ちだと思うのです。その基準について伺いたいと思います。
  323. 川口幹夫

    川口参考人 原則としては必ず容疑者もしくは肩書をつける。それから、肩書をつける人と容疑者と名前を呼ぶ人との間にこれまた差別が起こりはしないかということも考えられます。したがって、そのことについての第一回目は、必ず容疑者、つまり肩書をつけた場合でも肩書プラス姓プラス容疑者というふうなことをやって、その後肩書だけにするというふうなことで、なるべくそういう差別感みたいなものは生じないようにしたいというふうに思っております。
  324. 元信堯

    ○元信委員 それも主観的な判断になるわけですが、例えば交通事故なんかの場合は加害者を、ここで言えば交通事故を起こして逮捕されるとおっしゃるところの容疑者と言わなければいかぬと思うのですが、そういう場合は容疑者という言い方はしない、こういうふうに考えていいのですか。
  325. 川口幹夫

    川口参考人 交通事故で逮捕された人について報道するときは、○○容疑者または○○運転手というふうなことになろうかと思います。単純な駐車違反等はニュースになることはまずありませんが、例えばそれが原因で事故が起きて逮捕された場合も、報道するときの原則は同じく○○容疑者または○○運転手という形にしたいと思っております。
  326. 元信堯

    ○元信委員 ○○運転手と○○容疑者では全然違うと思うのです。大体その肩書というのは、さっきあなたもおっしゃったように、肩書、名前、何とか、こういうふうになるわけです。普通は、肩書、名前で尊称が来るわけですね。NHK専務理事何とかさん、こうなるわけです。ですから、何とか運転手という場合と何とか容疑者という場合は根本的に違うと思うのですよ。そこのところは何らかの基準がなくてはいかぬと思うのですが、どうですか。
  327. 川口幹夫

    川口参考人 肩書をつけるというのは、例えばそのことがプロの運転手が起こした事故、それから普通の素人が起こした事故というのでは若干のフィーリングの差がある。これは起こした事故の例えば大きさとか、それから状況だとかいうふうなことからも、プロの運転手が起こした事故だということがわかった方が報道としては非常にわかりやすいということがあります。そのようなときに例えば○○運転手というようなことをつけるということで、原則はやはり容疑者でなければいけないというふうに思っております。
  328. 元信堯

    ○元信委員 そうすると、大体基準についてはっきりしたことは、我が国では犯罪を犯して逮捕された場合は、従来は呼び捨てできたけれども、これからは容疑者でいく。必要な場合は、その人を説明するためというか、これはこういうプロの運転手であるとかないとか、そういうことが報道の中で判然とするように肩書をつけて呼ぶ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  329. 川口幹夫

    川口参考人 そのような形で処理をしていきたいというふうに思っております。
  330. 元信堯

    ○元信委員 そうしますと、大体国内のことはわかりましたが、今度は、外国で起こった犯罪の場合はどういう基準をお持ちでございましょうか。
  331. 川口幹夫

    川口参考人 日本人が外国で犯罪を犯した場合でも、一般的な言い方としてはこの基本方針にのっとっていきたいというふうに思います。ただ、外国での犯罪というものについては大変難しいケースがありますので、ケース・バイ・ケースで判断をしなければいけないこともあろうかというふうに思っております。
  332. 元信堯

    ○元信委員 ケース・バイ・ケースでは要するに基準がないということを言っているようなものですが、そうしますと、ちょっと過去の事例についてどういう処理をされたかということを伺いたいと思いますが、例えば日本人が外国で起こした犯罪について、典型的な例としてIBM事件というのがございましたね。NHKの報道の中ではどういうふうに扱われましたか。
  333. 川口幹夫

    川口参考人 IBMの事件の場合は、日立製作所神奈川工場の○○工場長、それから三菱電機の情報処理開発部の○○主幹というように、日本関係者には肩書をつけて報道いたしました。
  334. 元信堯

    ○元信委員 それはどういうわけですか。
  335. 川口幹夫

    川口参考人 肩書をつけました根拠というのは、事件がアメリカ側のいわゆるおとり捜査というふうなことで明らかになり、また犯罪の性格というのが、個人の犯罪ということよりもむしろ企業犯罪のにおいが強い、それから、和解が成立する可能性がある、そういう予測もありました。そのようなことで、この事件については肩書をつけて放送いたしました。
  336. 元信堯

    ○元信委員 そうすると、企業犯罪の場合は個人は免責されるという意味で肩書をつけた、こういう理解でいいですか。
  337. 川口幹夫

    川口参考人 それも理由の一部になっております。
  338. 元信堯

    ○元信委員 外国における領海の侵犯というのは、どういうふうにお考えになりますか。
  339. 川口幹夫

    川口参考人 領海侵犯のケースはこれまで起こったことがございません。そういうふうな放送をこの四月二日以降にしたことはございませんので、今即座に私がここで答えるようなケースを持っておりません。ただし、これから起こったら、先ほど申し上げました呼称に関する委員会を招集して直ちに判断をしたい、十分な検討を直ちに私は命じたいと思います。よろしく。
  340. 元信堯

    ○元信委員 そんなものは答弁じゃない。過去において領海侵犯がなかったなんということはないと思うし、NHKだって報道は随分やっていたと思うのですよ。それはどうなんですか。
  341. 川口幹夫

    川口参考人 過去に起こったケースはすべて呼び捨てでございました。したがって、今回以降は先ほどの基本原則に従ってやるというふうなことが原則であろうと私は思いますが、ただ、今まではっきり決めてなかったというか、私が承知していなかったケースでございましたので、大変申しわけございません。
  342. 元信堯

    ○元信委員 海外における日本人の犯罪についても、大変いろいろだということがわかったわけでございます。  今度は外国における外国人の犯罪。これもいろいろなケースがありますから、またケース・バイ・ケースだなんということになるのかもしれませんが、具体的な例として、昨年八月でしたか、フィリピンの空港でアキノ氏暗殺事件というのがございました。フィリピンの政府は何とかという人が射殺犯人であるというような報道をいたしましたけれども、こういうケースはNHKは今までどういうふうに報道されましたか。
  343. 川口幹夫

    川口参考人 この事件の当時NHKで報道いたしましたときには、現場で射殺されましたロランド・ガルマンという男が犯人とされている、つまり、という男が、あるいは、と言われる男というふうな表現で報道いたしました。現時点でこの事件を報道するとすれば、ガルマン容疑者というふうなことになろうかと思います。
  344. 元信堯

    ○元信委員 この場合、このガルマンという人を一応容疑者として、NHKはその立場で報道したわけですね。その容疑者とした根拠は何ですか。
  345. 川口幹夫

    川口参考人 この場合は外国で起こったことであり、NHKが身近なところで判断をする基準を持たない、そういうふうなケースかと思います。この場合は、その外国の警察または司法当局の発表に基づいてさきのような表現をしたものでございます。
  346. 元信堯

    ○元信委員 そうすると、外国ではその国の政府とか司法当局の発表に従う、こういうことですね。  ソ連の反体制活動家サハロフ博士という方がおりまして、これはソ連では犯罪者ということになっているようでございますが、この人の場合はどういうふうに報道しますか。
  347. 川口幹夫

    川口参考人 サハロフ博士あるいはノーベル賞作家のソルジェニーツィン氏というふうな肩書をつけて放送しております。日本においては政治犯とかスパイ罪等についての法律がございません。したがって、これらについての犯罪もございません。法体系を異にする外国のケースの報道についてはなかなか困難な問題がございますけれどもお尋ねのような場合には肩書、敬称を用いることを原則としております。
  348. 元信堯

    ○元信委員 そうしますと、外国での犯罪でも刑法犯の容疑者については容疑者でいく、それからすべての政治犯は、さっき肩書とおっしゃったですが、ソルジェニーツィン氏という氏は僕は肩書じゃないと思うのですね、尊称だと思います、これは尊称つきでいく、こういう基準があるというふうに理解していいですか。
  349. 川口幹夫

    川口参考人 そのとおりでございます。
  350. 元信堯

    ○元信委員 いわゆる呼び捨て問題について、NHKは多少のこれは改善と言えるかどうか、僕は新たな差別になるのじゃないかと思っているのですが、されたようですが、さっき原則的に呼び捨てにする場合というので、スポーツ選手、芸能人については呼び捨てでいくというふうにおっしゃいました。呼び捨てでいく犯罪者においても容疑者、こういうわけだが、スポーツ選手、芸能人については呼び捨てでいくその根拠は何ですか。
  351. 川口幹夫

    川口参考人 スポーツ選手、芸能人の呼び捨てというのは、いわゆる敬称をつけないあるいは差別をする意味での呼び捨てとは全く違うというふうに解釈しております。例えばプロ野球の選手の出てくるプロ野球中継の場合だとか、それから芸能人のステージにおける呼び方だとかいう場合は、例えば放送の性質からいって、一々敬称をつけて報道していたのではそのスピード感そのほか全くついていけません。この場合は呼び捨てにすること自体が何らその人の人権を差別していない、人格をおとしめていないというふうな判断でございます。それから芸能人の場合なども、例えば歌い手の名前、それに曲目をつけて、何の何がしの何という曲というふうに敬称をつけないで呼ぶことがむしろそのステージの内容からいってふさわしい、そういうふうなケースがございますのでこれは敬称をつけない。  それから、例えばプロ野球の選手でもあるいは芸能人でも、そういうスポーツの場面だとかあるいはステージだとか、芸能活動または自分たちの運動の活動以外のところで呼ぶ場合は、当然何々選手とかあるいは何々さんとかいうふうな敬称をつけることは一般人と同じでございます。
  352. 元信堯

    ○元信委員 今言ったのは根拠じゃなくて、お考え方みたいなものだろうと思うのですね。スポーツ選手をスポーツに関する報道についてすべて呼び捨てで言っていますか。
  353. 川口幹夫

    川口参考人 原則としてはそのような形でやってもいい、あるいはその方が例えばスポーツ放送内容としてはふさわしいというふうに思っております。ただ、それで全部通すかというと、例えばスポーツ中継の中のいわゆる間、幕合いじゃございませんけれども、休憩時間みたいなところがあって、そこでもし個人的な名前についていろいろ話をするというふうなことが起これば、これをさんづけにするケースあるいは選手を付して名前を呼ぶケース、それはいろいろあっていいかと思います。
  354. 元信堯

    ○元信委員 五月八日十時四十五分からのスポーツニュースで、南アフリカからイギリスに国籍を移した選手が何とかというレースに出たら六着になったという報道がありました。そのときはどういうふうな扱いでありましたか。
  355. 川口幹夫

    川口参考人 このときのスポーツニュースでは、南アフリカの女性選手をゾーラ・バッドさんというふうにさんづけにいたしました。その理由は、競技そのものを伝えるよりも、ロサンゼルス・オリンピックヘの参加資格をめぐる話題の女性というふうなことで取り上げたものでございまして、したがって、ゾーラ・バッドというふうに呼び捨てにするよりもゾーラ・バッドさんというふうな呼び方にした方がいいというふうに判断したわけでございます。
  356. 元信堯

    ○元信委員 これはしかし、スポーツ番組の中でスポーツに関する報道をしたわけですよ。そういう政治的な話ではなかったと思うのです。では、一つの番組の中でずっとゾーラ・バッドさんと言いましたか。
  357. 川口幹夫

    川口参考人 これは私は見ておりませんので、今はっきりしたお答えはできません。ただ、その場合もNHKが編集権に基づいてそのような呼び方をしたものだというふうに思っております。
  358. 元信堯

    ○元信委員 編集権だなんということを持ち出したのでは話にも何もなりゃせぬのですが、私が言いたいのは、一々揚げ足取っているわけではありませんが、事ほどさようにこういう問題は混乱が多いということを申し上げているのです。それを僕はたまたま見た。あるときはゾーラ・バッドが六着になったと言い、ゾーラ・バッドさんの参加は難しくなりましたと言い、そういうことを言ったわけであって、かなりいいかげんだなというふうな印象を持ったわけであります。  それで、そろそろ締めくくりをしたいと思いますが、呼び捨てというのをどういうふうに考えるか。あなたは犯罪者についてはいたく人格を傷つけられる、それから芸能人については全然傷つけられないと言う。しかし、これは随分ある意味で言えば御都合主義的なものであって、それはあなたは芸能人じゃないしスポーツ選手でもないからわからぬのであって、特に問題があるなと思うのは、高校野球とか未成年の子供のスポーツなんかについてもこういうことになっているわけですね。ですから、これはどこかで僕は統一しなければならぬというふうに思うのです。呼び捨てにした場合でも別にさしたる問題がないといいますか、むしろそれで通っているというのは随分あると思うのです。外国の報道の場合いかがでしょう。
  359. 川口幹夫

    川口参考人 外国のすべてのケースをつまびらかにしているわけではございませんけれども、例えばアメリカの放送などではほとんど呼び捨てでございます。まずフルネームで呼んで、あとはラストネームを呼ぶというふうなことで、特別の敬称をつけるケースは全くないというふうなことであろうかと思います。
  360. 元信堯

    ○元信委員 そうだと思うのですね。レーガン大統領が中国を訪問した、ロナルド・レーガンビジットチャイナ、こう言うだけのことですね。この我が国の敬称問題というのは、そもそも身分制度というものがずっと今日まで報道の中に尾を引いているというふうに見ていいのではないかと思うのですね。スポーツ選手、芸能人というものについてはかって人格が認められないとされていた時代がありました。それが今日までずっと続いているというのが事の起こりではないかというふうに思うのです。ですから、あるところには敬称をつけたりあるところにはつけなくてそれが当たり前だというようなことについては、そろそろ検討するべき時代に来ていると思いますが、いかがでしょう。
  361. 川口幹夫

    川口参考人 芸能人の呼び方につきましては敬称を省略するケースもあるというふうに私申し上げまして、今のところNHKでは何々さんづけというのが多うございます。  この呼称問題というのは、今先生がおっしゃいましたように非常に難しい問題がたくさんございます。私どももこのことに四月二日からあえて踏み切った理由は、それでもなおかつ基本原則を立てて、人格、人権の尊重、それから人間の平等というふうなものを基本精神に据えたいということで始めたのでございます。したがって、御指摘のような多少の混乱とか、それから私が今答弁の中で多少混乱した印象を与えましたけれども、そのようなことがあります。それは率直に認めます。ただ、これからその基本方針に従って、基本的な精神にのっとってやるということがこれからの放送のあり方としては適切ではないか、そのように考えております。
  362. 元信堯

    ○元信委員 私ども選挙を戦う人間もしばしば報道の中ではそういう報道に遭うわけですね。「元信堯当選確実」わあっということになるわけですが、それでも別に気分の上で差し支えるというようなことはないわけであります。  英語圏でも、今御答弁ありましたように大体呼び捨てといいますか特に敬称をつけないということで通っているわけでございますし、また我が国の出版の中でも、例えば学術論文の中では一切敬称はつけません。それで通っているわけであります。新聞報道だけが、先ほど申しましたように客観報道を旗印としておりながら実際には主観的に、それが個人の主観じゃないように努めているということはわかりますけれども、しかし、ある人をさげすみある人をたっとぶということにおいては主観であることには間違いないわけでありますから、主観的な報道をしているわけであります。この主観的な報道をしている限りは、今僕がねちねちいろいろ細かいことを申し上げましたけれども、そういう矛盾というのは、これは線を引いた限り必ずつきまとう問題なわけであります。そういう意味で、これはNHKに限りません、我が国のジャーナリズム全体の問題でございましょうけれども、新聞裁判といいますかジャーナリズム裁判という問題も言われて随分久しいわけでございまして、最近これを検討しようというような機運が生まれてきたことは甚だ結構だというふうに思うわけでありまして、ぜひまたこういう問題、そういう視野も含めて御検討をいただきたいと思います。  最後に、ちょっとこのことだけ伺いたいと思うのですが、今私申しましたように放送番組の中の批判というのは非常に難しいわけですね。私は見ておりませんでした、もう放送終わりましたというようなことで、私も過去にもNHKの番組をちょっと批判したことがあるのですが、なかなか要領を得ない。そんなこと言いましたっけねというような話で終始するわけでございまして、非常に困るわけでございますが、そういう意味で放送法第四条がもうちょっと活用されてしかるべきだというふうに思っております。いかがでしょうか。
  363. 川口幹夫

    川口参考人 放送自体が誤っておりましたら、訂正放送するということは当然のことでございます。私どもは、先ほど申し上げました放送法の精神にのっとって、不偏不党、公正中立ということを標榜して報道の任に当たっておりますけれども、それは人間がやることでございますからもちろん誤りなしとはしません。その場合の訂正放送等については、放送法の精神を生かしていきたいというふうに思っております。
  364. 元信堯

    ○元信委員 放送法第四条の存在がどの程度知られているというふうに思われますか。
  365. 川口幹夫

    川口参考人 一般の方々にはそれほど詳しくは知られていないだろうと思っております。
  366. 元信堯

    ○元信委員 皆様のNHK、こういうふうに言われるわけでございますから、そういう問題にも視聴者が十分参加できるというようなことは基本的に必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  367. 川口幹夫

    川口参考人 放送というのは放送機関のものでなくて視聴者のものだというふうな考え方国民の財産であるというふうな考え方をとろうとしております。したがって、そういったいろいろな放送に関することをできるだけ知っていただくことは当然の努めであると思います。そちらの方向に従ってそういうことはできるだけ周知をしていくように努めたいと思います。
  368. 元信堯

    ○元信委員 NHKにも放送の中で、何とかの窓といいましたか、そういうNHK自身のコマーシャルといいますかPRの時間もとっておいでのようでございます。そのほか「グラフNHK」というのがありましたか、そういうふうにNHK自身のPRのメディアも持っておいでになるわけですから、そういう中で、NHKの番組の紹介をするだけでなくて、NHKがそういう放送の公平性といいますか不偏不党、それを担保するためのいろいろな制度を持っているというようなことを積極的に国民にもPRしていく必要がある。それがないと、国民というのはNHKに対して一方的な印象を受けることになるわけでございますから、ぜひそういうメディアを活用して趣旨が徹底されるようにお計らいをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  369. 川口幹夫

    川口参考人 先生おっしゃいましたように「NHKの窓」というのが毎日曜日にございます。それから毎日「NHKガイド」という時間もとっております。それから日曜日には「チャンネルNHK」ということで、これはもっぱら番組の紹介でございますが、そういうふうな放送における番組もございます。それから視聴者会議あるいは視聴者懇談会というふうな形での会議もございます。出版物等含めて、こういうことにはより一層力を尽くしていきたいと思っております。
  370. 元信堯

    ○元信委員 では、最後に具体的に伺いますが、放送法第四条の存在についてNHKとしてもPRする、これは約束できますか。
  371. 川口幹夫

    川口参考人 これは基本的な権利の問題でありますから、当然私どもはその方向でいくことをお約束いたします。
  372. 元信堯

    ○元信委員 終わります。
  373. 片岡清一

    片岡委員長 次回は、来る十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十八分散会