運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-05-08 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月八日(火曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    内海 英男君       大島 理森君    奥田 幹生君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       塩川正十郎君    月原 茂皓君       二階 俊博君    林  大幹君       山本 幸雄君    上原 康助君       角屋堅次郎君    元信  堯君       渡部 行雄君    鈴切 康雄君       山田 英介君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省簡易保険         局長      奥田 量三君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      永田 俊一君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊藤 博行君         国税庁長官官房         企画官     宇都宮康雄君         郵政大臣官房首         席監察官    加藤 祐策君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     戸田 菊雄君 同日  辞任         補欠選任   戸田 菊雄君     渡部 行雄君     ————————————— 四月二十五日  臨時教育審議会設置法案内閣提出第四七号) 同日  旧台湾人日本軍人軍属の補償に関する請願  (田邉國男紹介)(第三五九八号)  元従軍看護婦処遇に関する請願福島譲二君  紹介)(第三五九九号)  同外一件(鯨岡兵輔紹介)(第三六四四号)  同(嶋崎譲紹介)(第三六四五号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願相沢英之紹介)(  第三六九九号) 同月二十六日  傷病恩給等改善に関する請願井出一太郎君  紹介)(第三八一四号)  同(大塚雄司紹介)(第三八一五号)  戦後処理問題として在外預送金に関する請願  (柴田睦夫紹介)(第三八一六号)  元従軍看護婦処遇に関する請願外一件(池田  行彦紹介)(第三八一七号)  同(大塚雄司紹介)(第三八一八号)  同(木下敬之助紹介)(第三八一九号)  同外一件(佐藤一郎紹介)(第三八二〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第三八二一号) 五月七日  旧軍人恩給改定等に関する請願宮下創平君紹  介)(第四〇〇六号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願宮下創平紹介)(  第四〇〇七号) 同月八日  元従軍看護婦処遇に関する請願外一件(相沢  英之紹介)(第四〇五二号)  同(新井彬之君紹介)(第四〇五三号)  同(玉置一弥紹介)(第四〇五四号)  同(野呂昭彦紹介)(第四〇五五号)  同(伊藤英成紹介)(第四二六一号)  同外一件(石川要三紹介)(第四二六二号)  元逓信官吏勧奨退職者恩給適用に関する請願  (永江一仁紹介)(第四二五九号)  旧満州国軍に服務した軍人等処遇に関する請  願(宮下創平紹介)(第四二六〇号)  傷病恩給等改善に関する請願粕谷茂紹介  )(第四二六三号)  同(河本敏夫紹介)(第四二六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)      ————◇—————
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。奥田郵政大臣。     —————————————  郵政省設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵政省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、臨時行政調査会の答申を踏まえて決定した政府としての行政改革に関する当面の実施方針に基づき、郵政事業に係る地方行政機構総合化及び効率化を図るため、地方支分都局統合を行おうとするものであります。  その内容は、現在独立の地方支分部局として置かれている地方貯金局及び地方簡易保険局地方郵政局統合して、同局の貯金事務センター及び簡易保険事務センターとすることとし、これにより地方郵政局を中心とした為替貯金事業及び簡易保険郵便年金事業運営体制総合化及び効率化を図ろうとするものであります。  その他所要の規定の整備等を行うことといたしております。  この法律施行期日は、昭和五十九年七月一日といたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御可決くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 片岡清一

    片岡委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 片岡清一

    片岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川仁一君。
  6. 小川仁一

    小川(仁)委員 郵政省設置法の一部を改正する法律案について、性格及びこれに関連する事項について御質問いたします。  まず、地方貯金局二十八局、名瀬出張所沖縄管理事務所は別として地方簡易保険局七局、それぞれ事務センター等名称になりましたけれども事務所が現在ある場所に存続しているわけでございますが、今後、この事務センターを含めた第二弾、第三弾の統合といいますか、事務所の存続といったようなことについてはどうお考えになっておられましょうか。
  7. 奥山雄材

    奥山政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣趣旨説明でもお述べになりましたように、今回の郵政省設置法の一部を改正する法律案の中で御提案申し上げておりますのは、先ほど先生がおっしゃいました二十八の地方貯金局と七つの地方簡易保険局郵政局統合いたしまして、それぞれ貯金事務センター簡易保険事務センターとするものでございます。これをもちまして今回の機構改革関係の処理は完了というふうに考えております。
  8. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうしますと、これで一応この関係は終了と考えて、そこに働いておる職員も含めて仕事に専念できると思いますので、あと妙ないじり方をなさらないようにひとつお願いをしておきます。  同時に、事務センターという名称になりましたけれども地方郵政局の中でこの事務センターというものが附属機関といったような形での説明を受けたような感じもいたしますけれども、この性格といいますか位置づけといいますか、どういう一定の権限を持つかということについて御説明願いたいと思います。
  9. 奥山雄材

    奥山政府委員 貯金事務センターなり簡易保険事務センター機関としての性格でございますけれども先生承知のとおり、現在の郵政省設置法におきましては、地方貯金局並びに地方簡易保険局はいずれも独立した地方支分部局として位置づけられております。ところが、今回の地方郵政局への統合によりまして、貯金事務センター並びに簡易保険事務センター地方郵政局事務の一部を所掌する機関になるわけでございます。つまり、すべての郵政事業に係る事務は本省に最終的には集約して所掌されることは申し上げるまでもございませんが、それをまず第一義的に分掌いたしますのが地方郵政局、その地方郵政局事務の一部をさらに貯金事務センター並びに簡易保険事務センターが分掌するという形になります。  ただいま先生がおっしゃいましたように、これが附属機関としての性格を持つのではないかということでございますが、附属機関と申しますのは、現行の国家行政組織法第八条に規定されておりますように、審議会なり試験研究機関文教施設あるいは医療施設等でございますので、これらの貯金事務センター並びに簡易保険事務センターはあくまでも第二次的な地方支分部局でございまして、附属機関としての性格を持つものではないというふうに観念しております。
  10. 小川仁一

    小川(仁)委員 今回の移管に伴って、労使関係話し合いを含めて業務がスムーズに移行していくことが非常に大事だと思いますし、同時に、今置かれております貯金事業は非常に厳しい情勢でもございます。それだけに、移管後この仕事が非常に有効に機能するためには労使というものがお互いに協力し合わなければいけない、特に貯金業務については厳しい情勢があるからそうならなければならないと思いますので、こういう改編あるいは統合という場合には労使間で基本的なお話し合いをぜひお願いしたい。そうすることによって郵政省仕事もまた一層効率を上げることができるであろうし、国民にとっても非常に大事だと思いますから、そういう立場で今後とも臨んでいただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。  さて、そういう中で臨時職員といいますか臨時補充員というふうな形の人たちがまだこの事務センターにあるわけでございますが、この人たちと今回の統合問題とはかかわりがございましょうか。
  11. 三浦一郎

    三浦政府委員 郵政省として臨時補充員として採用しておりまして、これはどこの局地に勤めておりましても皆さん共通身分でございますので、地方郵政局への統合になりましても臨時補充員としての身分はそのまま継続いたすもの、そのように考えております。
  12. 小川仁一

    小川(仁)委員 臨時補充員に対して通勤手当はお出しになっておられますか。
  13. 三浦一郎

    三浦政府委員 お答えいたします。  臨時補充員につきましては、正規職員と全く同様でございまして、通勤手当は支払っております。
  14. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、臨時補充員任用期間みたいなものもそれぞれあると思いますが、貯金局の場合は次のオンライン化までという形で存在するのですか。それとも、オンラインになってもなお臨時補充員というのが存在するという定員状況でございますか。その辺の計画をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  15. 三浦一郎

    三浦政府委員 臨時補充員というのは、郵政省臨時補充員任用規程というのがございまして、これに基づきまして採用しあるいは任用しておる、こういうものでございます。したがいまして、その仕事内容オンラインとかそういうものとは関係ございませんで、臨時補充一般のものとしてやりますので、それによって、仕事オンラインとかそういうものに関係なく、臨時補充員としての身分は継続する、そのようになっております。
  16. 小川仁一

    小川(仁)委員 これは郵政省に限ったことではなくて、行政改革後、地方の市町村を含め、いわゆる官庁というところに大変な数の臨時補充員存在するようになりました。例えば、私の県の県庁へ行って見ましても、臨時職員の方が正職員より多いとは申しませんけれども、大変な数でございます。郵政省はそういうところに比較すると数は少ないような感じがいたしますけれども、これは公務に従事する人間がそれだけ必要だということを一面で意味しているとも思います。したがって、臨時補充員といいますか、臨時職員という存在をむしろ仕事の容量によって正規職員採用がえをしていく、こういう形を計画的におとりにならないと、行政改革によって定員は減りましたわ、仕事は減ってない、臨時職員だけふえましたわという一般的傾向存在するということは、行政をやる立場から決していいことではないと思いますので、そういう点について今後の皆さん計画といいますか、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 三浦一郎

    三浦政府委員 臨時補充員といいますものは、臨時職員採用しなければ事業運営上支障を来すおそれがある、そういうときに任用するものでございまして、任用期間は六カ月以内、こういうことになっております。それで具体的には、職員が病気によって休職になる、それから合理化が予定されている局所の職員が退職したとき、あるいは正規試験合格者で欠員の補充ができていない、こういったときに任用するものであります。  そういった場合に、正規職員採用しませんで臨時補充員で充当するその理由は、例えば休職の場合で言えば、正規職員がその休職事由が消滅した、これによって職務に復帰することが予定されている、そういった場合。それからまた合理化の場合で言えば、合理化実施に伴いまして過員となることが予想される、正規職員として採用するのは適当でない、そういった場合にこの臨時補充員でやっておく。こういったことでございますので、正規職員にかわる者、この者として臨時補充員採用している、このようなものでございます。
  18. 小川仁一

    小川(仁)委員 臨時補充員採用するという法律上の根拠その他は私もわかっております。ただ私が言っているのは、実はどこの官庁でも臨時補充員が多過ぎる。物件費が歩いたり、まあ食糧費が歩いているという例はないようでございますけれども、こういう傾向があるのです。そして六カ月、六カ月の採用であることもわかっておりますが、六カ月、六カ月が、足しますと一年になります。四回足しますと二年になります。こういった形での職員採用が、郵政省にはないかもしれませんけれども、他の官庁にはあります。郵政省にもないわけじゃないような感じもいたしますので、六カ月で採用しておりますとか産休の場合採用しておりますとか、そういう建前じゃなくて、私の言っているのは、本音として、臨時というままで通年的に長く採用して働く者が存在することは公務あるいは行政に対する無責任性を示すような感じさえするものですから、こういう点がもし皆さんの方にございましたら、この際きちっと、必要なら定員増でも構わぬし、こういう形で臨時補充員通年制をなくするような方式をとっていただきたい。ひとつ大臣行革全般にかかわる問題ですし、行政全般にかかわる問題でもございますから、臨時補充員通年採用あるいは二年、三年採用というような悪弊をなくすような指導方針をとるということを明確にお話し願えないでしょうか。
  19. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生指摘のように、今回の行政改革趣旨に沿った改革も言ってみればそういった一元体制効率化を目指しておるわけで、できることなら臨時的な補充員を極力減らしていって、そういうことがない、定員内での業務効率化、一体化を図りたいというのが趣旨でございます。ただ、これは全く臨時的に現状においてはやらなきゃいかぬような状態になっておりますけれども、今回の合理化推進によって何とかそうした形も少しでもなくしていく方向の中で努力していきたいというのが趣旨でございます。
  20. 小川仁一

    小川(仁)委員 では、臨時職員についてはひとつ今後とも今言ったようなお考えで御指導を願いたいと思います。  話を変えますけれども、実はこれは四月二十一日の朝日新聞だったと思いますが、「大目に見れぬ”私設郵便” 市の委託受けた文書配達違法の疑いで聴取」というので、東北郵政監察局山形支局が問題を提起しております。御承知と思いますけれども山形県の米沢にある米沢シルバー人材センター、これはお年寄りの方が働いているところでございますが、ここの方々が市の委託を受けて交通災害共済加入申込書などを市民に配り、報酬を受けていたことが明らかになりました。これが郵便法違反だというので記事になっておりますが、この関係、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  21. 加藤祐策

    加藤説明員 ただいま御指摘がありましたように、社団法人米沢シルバー人材センターが市役所から郵便物を市内の家庭に配るということを請け負った事件でございまして、調べましたところ、事実といたしまして郵便法違反だということははっきりいたしましたけれども、事後の取り扱いといたしましては、関係者にこれは郵便法違反だからやめるようにという注意をいたしまして、米沢市の方でもそれを受け入れて、今後はこういうことをしないということになるように近々取り運びたいと思っております。
  22. 小川仁一

    小川(仁)委員 私設郵便、これは配達関係でありますけれども、例えばこのごろダイレクトメールみたいなものが、切手まがい印刷をしたものを含めて、かなり民間の方が配達をして歩いているという状況があるわけでございますが、特に郵便切手まがい印刷をしたのを配られたりしますと、あれっと思ったりすることもあるわけでございます。こういう関係のことに対してはどういう措置をおとりになっておられますか。
  23. 永岡茂治

    永岡政府委員 ただいま先生指摘の、切手に似たスタンプを張ってダイレクトメールなどを民間業者が送達している事例が、非常に例は少ないわけでございますが、私どもも若干目につくわけでございます。しかし、それは明らかに郵便法にも違反しますし、また、郵便切手類模造等取締法というのがございまして、郵政大臣が発行する郵便切手に似たようなものを製造したり使用したりしてはいけないという法律がございまして、それに違反した場合には一年以下の懲役または五万円以下の罰金に処するという法律がございますので、そういったケースにつきましては、私ども監察の方で警告し、また必要によっては捜査し、告訴していく、そういったことになろうかと思います。
  24. 小川仁一

    小川(仁)委員 なろうと思いますと、他人事みたいなお話でございますが、これは他人事じゃないでしょう。と申しますのは、私などは田舎におりますから、郵便配達さんにしても非常に長い時間、距離を歩いて、時に一通ぐらいの郵便しか配達しない。都市部の方は、一人で次々置いて歩ける、あるいは団地では箱に全部入れるというふうな効率効率と非効率があるのがこの郵便配達だと思うのです。最も効率いい部分を、例えば山形米沢センターにしてもあるいは先ほど指摘した東京のダイレクトメール民間配達にしてもおやりになっていますと、実は郵便事業そのものが成立しなくなってくる。田舎の方は、国鉄と同じに地方郵便の方は高いなんという話などやられては大変迷惑なんです。少なくとも政府がやっている事業として存在をし、全国的に同一の料金で信書を送達するという仕事をしているわけでございますから、そういう立場にお立ちになるのでしたらかなりきっちりした態度をおとりにならなければ、一つやって大丈夫、二つやって大丈夫というふうな格好になって味をしめますと大変なことになる。そういうのを取り締まることに対して、何か自信がないのですか。それとも、本気になって法律的にもおやりになって、皆さんの方がそれを取りやめさせることができるという自信を持っておられるのですか。その辺をお伺いします。
  25. 加藤祐策

    加藤説明員 この件につきましては、例えば五十八年では三十八件、それから五十七年では二十九件というような警告を発しております。依頼する方も実は郵便法違反であるかどうかというようなことについて詳しい認識を持っておりませんので、まずそういうことについて認識を持ってもらう。しかし、業としてやる業者がおった場合にはこれは法に訴えて処分をしていただくということで、五十七年にも一件、去年もう一件それぞれ送致をいたしておりまして、五十七年の分については罰金刑等々が科せられております。
  26. 小川仁一

    小川(仁)委員 団地等主婦の方が委託を受けた形で配達をしておられるというふうに聞いておりますが、こういう事実はございましょうか。
  27. 永岡茂治

    永岡政府委員 そういった事実はございます。特に関東の周辺の一千世帯を超えるような大きな団地等につきまして団地主婦によって郵便物配達委託しておる例は、全国の大都市周辺団地等でございます。
  28. 小川仁一

    小川(仁)委員 これは臨時職員とか臨時補充員というふうな形で、臨時であっても公務員身分を持った形で委託をしているわけでございますね。
  29. 永岡茂治

    永岡政府委員 郵便物配達正規郵政職員以外に任せる場合に二つの方法がございまして、郵便物運送委託法によって委託という形をとっているところと、それからその人を国家公務員非常勤職員として任命してやっていただいている場合と、二つケースがございます。団地等配達は、先生お話しのように非常勤職員として任命して郵便物配達をやらしておるという形でございます。
  30. 小川仁一

    小川(仁)委員 さっきのダイレクトメール配達と、それから団地等委託配達とが、一般の方から見ると非常に紛らわしいですな。いつも郵便局の人じゃない人が配達しているんだから、ダイレクトメールを持ってきても受け取る方では余り不思議を感じない。こういった紛らわしさもあるわけですし、何かしらその辺のところが国民受け取り方としては、なに隣の奥さんが配達しているんだもの、おれたちもどこからか頼まれてダイレクトメールなんか配達したって構わぬじゃないかといったような印象を受けておると思うのですが、こういうやり方はやむを得ずやっておるのですか。定員不足でやっておるのですか。それとも、そうやる方が郵政省として幾らかでも利益が上がるという格好でやっておるのですか。団地委託配達というのはどういう理由でやっておられるのですか。
  31. 永岡茂治

    永岡政府委員 団地配達主婦方々には、郵政省から貸与する服装、洋服、上着等を着ていただいておりまして、一応一般の私人とは違う郵政省職員であるということが外観上からもわかるようには配意をしておるところでございます。  なお、いわゆる団地ママさん配達一般に呼んでおりますが、戦後の高度成長時代に非常に大きな団地ができまして、郵便配達に大変難渋した時代がございます。そういった時期にそういったものが生まれてきたという経緯はございますが、臨調等でも、郵便事業業務をできるだけ民間委託等を進めて効率的な運営をするようにというような御指示もいただいておりますが、そういった今日的な政策方針にもかなうものではないかというふうに考えておるところでございます。
  32. 小川仁一

    小川(仁)委員 話を変えますが、信書というものが持つ概念、どこまでが信書で、どこまでが信書でないというふうな一つの区分みたいなものがダイレクトメール送達等を含めて問題になると思いますが、どの範囲まで信書に入るのですか。
  33. 永岡茂治

    永岡政府委員 信書概念は、私どもはかなり広義に解釈しておりますが、特定の人にあてた通信文を記載したものは、例えば書状であるとか領収書であるとか納品書等であっても信書であるというふうに考えております。  なお、御質問のダイレクトメール信書であるかどうかということにつきましては、個々のダイレクトメール内容について判断しなければならないわけですが、そのダイレクトメール特定の人にあてた通信文を記載したものと判断される場合には、それは当然信書に該当するというふうに考えております。
  34. 小川仁一

    小川(仁)委員 信書という場合には当然通信の秘密という課題があるだろうと思います。さっき言った領収書とか例えば税金の督促状みたいなもの、こういったものも信書概念に入るし、それ自体個人にとってはプライバシーの課題になりますから通信の秘密の範疇に入ってくると思うのですが、そういう通信の秘密というものと信書というものの概念はぴったり重なり合いますか。
  35. 永岡茂治

    永岡政府委員 通信の秘密というのはもっと広い概念で、信書内容は当然通信の秘密でありまして、それは重視しなければならないものだというふうに思っております。
  36. 小川仁一

    小川(仁)委員 郵政省郵便業務をする人たちは、信書の秘密を守る義務、これは当然あるわけでございます。そして、その職員であるから守るというのではなくて、職員通信の秘密を守るための担保といいますか、責任あるいはそれに対する処分等を含めて存在をすると思いますが、そういう点はどういうふうな形での通信の秘密に対する郵政省職員の担保がございますか。
  37. 永岡茂治

    永岡政府委員 通信の秘密を遵守すべきことは、単に郵便法上の規定だけではございませんで、憲法上の規定でもございまして、我々の基本的な人権の一つでございます。したがいまして、そういった重要なことにつきましては、私どもは日ごろから常に厳しく教育訓練を施しておりまして、いやしくも郵便業務に従事する者が他人の通信の秘密を漏らすようなことがかりそめにもあってはならないことは日常指導しているところでございます。  なお、法律的な規定といたしまして郵便法にも信書の秘密を侵した場合の罰則規定がございますが、一般の人の場合には一年以下の懲役、二万円以下の罰金という規定でございますが、郵便業務に従事する者がその職務中知り得た他人の通信の秘密を漏らした場合には、二年以下の懲役、五万円以下の罰金という重い処罰がなされるように法律上もなっておりますし、先ほど申しましたように、そういった法律上の規定以前に、通信の秘密の重要性については私ども関係職員に日ごろから厳しく訓練いたしておりまして、今日そういったものに対する違反の事実、事犯といったものは起こっておりません。
  38. 小川仁一

    小川(仁)委員 皆さんの方から見ればそう見えるでしょうが、さっきの団地委託配達なんというものについては非常に国民に不安感があるわけでございます。今まで、郵政省職員に対する信頼感は国民の間にありました。はがき一枚、見ようとすれば見ることも可能なわけであります。知ることも可能であります。しかし、郵政省職員は表しか見ない、裏は見ないのだ、しかも仮にわかられたとしてもそういうことを言って歩いたり、あるいはそのことを知って、配達された人の家に対する不信といいますか、あるいはそういうことを存在させないという信頼感がありました。ところが、団地委託による配達等の中で非常にその不安が出てきているのです。だれが秘密を漏らしたとかなんとかということは具体的にはなくても、そういう信頼感がない臨時職員によって、臨時職員といっても、一定の訓練を受けた、しかも郵政省職員としての覊絆の中に属している職員でないがゆえに、あっ、見られたのじゃないかといったような不安感が、特に同じ団地の中に住む人が配達などをいたしますと出てまいるわけなんです。こういう不安を与えるような状況は除去しなければならないと思います。  ですから、先ほどから臨時職員を問題にしておりましたけれども臨時職員ですから六カ月ごとに交代ということになれば、六カ月たてばおやめになる、やめた後あそこへこういう郵便が来ておったよとか、あそこの家へはこうこうこういう種類のものが来ておったよとかといったことを話すかもしれないし、あるいは話すのではないかという不安が存在するのです。したがって、私は特に信書配達部分については臨時職員はおやめを願いたい、そうしなければ郵政に対する国民の信頼がますます下落をしていきますよ、こういうことを申し上げたいのです。ですから、臨時職員による配達をおやめになる方針はないのか、できる限りこういうものを除去していくという計画的な状態がないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  39. 永岡茂治

    永岡政府委員 団地配達をそこに住まわれている主婦方々お願いしているケースは全国的に大都市でかなりあるわけですが、そういった配達のやり方はいろいろなメリットもありますが、先生指摘のようなデメリットも否定できないと思います。したがいまして、ある制度の場合にある程度のデメリットを内包するということは避けられないことだと思いますが、トータルとして、私たち団地のママさんによる配達を廃止していく考えは現在持っておりません。先生御心配の隣近所のいわゆる自分の知っておられる方が郵便を配るという例は、田舎の方に参りますと、郵便の集配をする人は、村の人たちはもう皆さん顔なじみでございまして、どこにどういう郵便が来たということは当然業務をやっていく上においていやでも知り得る立場にあるわけです。したがいまして、そのことは避けがたいことだと思いますが、要はそういったことを漏らさない、業務上知り得た他人の秘密を漏らさないというような訓練がしっかりなされて、国民が安心して生活できるという保障がなされればよろしいのではないかというふうに思いますので、団地におけるそういった配達につきましても、今後とも引き続き、業務上知り得る立場にある他人の秘密についてしっかり守る、他に漏らさないということについて徹底した訓練をしながら、こういったメリットも多い制度については維持していきたいというふうに考えておるところでございます。
  40. 小川仁一

    小川(仁)委員 メリットは何があるのです。
  41. 永岡茂治

    永岡政府委員 私どもの方から見ますと、効率的だ、端的に言えば労働力としても安いということもございます。それから団地の奥様方の立場に立ては、そこに労働のチャンスがある。私たちがよく聞くことでございますが、奥様方がいろいろなアルバイトをされる、夫婦共稼ぎされる場合に、団地配達であれば家から余り離れないでそういった収入が得られるものですから、小さな子供さんを抱えておられるまだ比較的収入も少ない家庭の奥様方には、大変格好な職業と申しますか、そういったメリットもあると私ども考えております。
  42. 小川仁一

    小川(仁)委員 郵政の事業というのを今みたいなメリットで物を判断していったら、通信の秘密も信書の送達なんというふうな大上段に振りかぶったことも存在しませんよ、安ければいいんだというのだったら。郵便職員がやらないで宅送会社なり何かへ頼めばすぐやれますよ。既に急行宅送便、皆さんの方の小包はそれに負けていったでしょう。同じようなシステムを民間会社がとれば、通信の秘密とか信書の送達という一つのプライバシーや人間関係というものを大事にする存在としての行為であるからそれができないのですけれども、安い人で配達できるから郵政省は幾らか助かりますとか、あなたの話を聞いていると、アルバイトの仕事が欲しいから、そこの部分ならやれるからというだけの安易性、これは安易性ですよ。他のアルバイトでもいいし郵政省委託のアルバイトでもいいという状況の中でそのアルバイトを引き受ける、こういう中から信書の送達とか通信の秘密とかいったようなものが守られるとお考えになるところに、既にこういう公共事業を経済性なり効率性なりそんなものだけで割り切っていこうとする非常に大きな間違いがあると思うのです。私は、そういう考え方を捨てて、本当に通信の秘密なり信書の送達なりを郵政省の本質的な仕事だとお考えになるなら、団地委託配達とか臨時による信書の送達などというのをおやめになるのが至当だと思うのです。これは郵政事業の基本にかかわる考え方の問題だと思いますので、大臣の答弁をお願いしたいのですが。
  43. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに先生の御指摘されるように、信書送達には個人の秘密という形を守らなければいかぬというのは根本原理でございます。したがって、今郵務局長が答えましたけれども、ちょっと舌足らずのような気がしてなりません。正規職員で戸別配付をするというのが当然のことでございます。しかし、今日のような急増したような団地配達に関して果たして増員が適切に行われるかというと、それもままならないという今日的な事情もあるわけでございます。そういうときに、自然発生的に協力を申し出られた方に臨時職員としてのお願いをしておるというのが実態であろうかと思うのです。したがって、今後これらの形は、発生の経緯はともかくとして、やはり信書を送達するという基本に立っての郵便業務の本来からいえば、こういった臨時補充員は極力減らしていく形の中で、正規職員による戸別配達というのが望ましいことは御指摘のとおりであろうと思っております。
  44. 小川仁一

    小川(仁)委員 行政仕事というのはお互いに国民の信頼感というものが存在しなければ成立しないと思います。その信頼感というのは、先ほどの話ではありませんが、よく訓練され、よくその趣旨を体した専門の職員によって行われることによって効率も上がりますし、国民の信頼感も上がる。今のやり方を見ておりますと、何かしら国民の信頼を次第に失いつつあるような感じがしないでもありません。  そういうわけですから、さっきの大臣のお話、臨時職員を極力減らして正規職員によって配達をやっていくという方向性を今後の皆さん行政、予算、定員等に反映させていただくように、この機会に、大臣の言葉じりをつかまえたようで恐縮でございますけれどもお願いをしておきます。  さて、郵便関係のことは以上にいたしまして、今度郵便貯金その他の関係のことについてお伺いいたします。  大蔵省の方、おいでになっていると思いますが、現在金融関係、特に資本の自由化、金利の自由化という問題が非常に強く言われております。大蔵省でもその問題についてかなり御検討をしておられると思いますし、金利の自由化というのはもう時代の要請、こう言っても過言でないし、また大蔵省自身、金融制度調査会小委員会の第一次中間報告も出されており、五月末には一つの方向性を出すというふうに新聞等では伝えられておりますが、金利の自由化問題について大蔵省は今どのような検討をし、どういう方向性を志向しているかということについて御説明を願いたいと思います。
  45. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、現在大蔵省におきまして金利を含みますところの金融の自由化あるいは円の国際化と申しますか、広い意味での自由化の問題について検討を行っております。御指摘のとおり、五月末を目指しまして現在検討中ということでございます。  先生指摘いただきましたように、昨年の四月に金制の小委員会で、これは金融の自由化の総論と申しますか、考え方をお出しいただいたわけであります。したがいまして、先ほど申し上げました現在検討中のものにつきましても、基本的には、金融の自由化につきましては昨年の金融制度調査会でいただきました中間報告をベースにいたしまして、その後の金融の自由化を背景にいたしまして少し具体的に発展させていきたいというふうに考えております。  それでは具体的に、特に金利の面につきましてどのような方向で考えておるかという御質問でございますが、この点に関しましては、御存じのとおり既に金融の自由化、金利の自由化というものは進展してきておりまして、特に内外資金の移動の活発化とか、あるいは国債の大量発行に基づきますところの公社債市場の拡大といった形で進展しております。したがいまして、基本的な姿勢といたしましてはこの自由化の流れに対しまして前向きに対処してまいりたい。ただし、経済、金融あるいは金融秩序に影響を与えないように漸進的に進めていく必要があるというふうに考えております。したがいまして、そういう観点で金融の自由化、金利の自由化をソフトランディングさせていくというのが基本的な姿勢でございます。  特に金利につきましては、既に自由化が一部進んでおりますところの自由金利商品であります例えばCDの一層の条件緩和、現在、金額単位が三億円ということになっておりますが、これらを一層条件を緩和してまいるというようなこと、あるいは市場の金利に連動してまいりますところの市場連動型の預金といったものの検討等から入りまして、大口預金の規制の緩和あるいは撤廃といったものに進んでいくということを考えております。その検討あるいはその実施といったものを踏まえまして、小口の預金金利等についても検討を進めてまいりたいと考えております。
  46. 小川仁一

    小川(仁)委員 新聞も含め、今のお話も含め、CD等の大口預金金利から自由化をしていくという方向性のようでございます。そしてまた、小口預貯金金利については、漸進的なという形からいいますと最後になっていくという傾向がありますが、小口金融預貯金が最後まで取り残されるという理由考え方、その点についてお考えを伺いたいと思います。
  47. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  大口の預金金利から進めていくという考え方を申し上げたいと思いますが、これにつきましては、金利の自由化というのは先ほどお話し申し上げましたように、既に国債を中心といたしました債券市場の拡大とかあるいは内外資金移動等の大口の専門家を中心としましたマーケットを通じて促進されているというのが現状でございます。預金の分野におきましても、今お話に出ました大口の自由金利商品であるCDの創設とかその発行条件の弾力化によって、自由化が漸次進展してきております。したがいまして、この流れに沿って自由化を進めてソフトランディングさせていくということが自然な形ではないかと我々は考えておるわけであります。  小口の預金金利の自由化につきましては、そういう形で考えていくということではございますが、小口貯蓄の金利につきましては多分に不安定な金利変動の可能性もある自由化を行うことについての可否の問題とか、あるいは個人預貯金の約三割を占め残高でも八十兆円を超えております郵便貯金の金利の決定方法とか、こういったものにつきまして検討すべき問題点も多いかと思います。  したがいまして、繰り返してはございますけれども、大口預金から始めまして、順次ソフトランディングさせながら金融の自由化あるいは金利の自由化を進めていくというのが自然の姿のように考えている次第でございます。
  48. 小川仁一

    小川(仁)委員 現在の自由化を抑えているのは、臨時金利調整法、これに基づく大蔵大臣の告示と、それから日銀のガイドラインだと思いますが、これを撤廃して金利の自由化という方向性を出していくのか、それともこれはそのままにして、短期の金融市場等を中心にして自由化を進めていくのか、この点についてはどうですか。いわゆる臨時金利調整法の撤廃ということは考えておられるのかどうかということです。
  49. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  将来の問題といたしましては、先生今御指摘臨時金利調整法に基づく上限金利といいますか、さらにそれに基づきまして日銀のガイドラインで現在機関別に金利の上限を定めておるわけでございますが、これにつきましても将来は検討の課題になるというふうに我々考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、現状で参りますと、大口の、特に市場性のある預金からその金利の自由化を進めていくのが自然であろうかと思います。したがいまして、大口預金金利に入る検討と申しますか、そういうものが進んでいく過程の中で、臨時金利調整法あるいはそれに基づくガイドラインの存在といいますか、それについても検討はしていく必要があろうかと思いますが、現在直ちにその検討が必要であるというふうなところまでは検討が進んでおりません。
  50. 小川仁一

    小川(仁)委員 預貯金総額が五十八年三月末で三百八十兆円、その中で非課税預貯金額が二百二十六兆円、六〇%になっています。この部分を除いて自由化ということは、これは少額の預貯金をもって生活をしておる国民を金利の自由化から見放している、圏外に置くという結果になってしまうわけであります。そういう形の金利の自由化、小口預貯金を抜きにした金融の自由化なんというのは国民からどういう感情をもって迎えられるかということをお考えになったことはございますか。
  51. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、金利の自由化につきましては、これは一つの流れといたしまして適切に対処していかなければいけないわけでございますが、その場合に、小口の預貯金金利につきましても検討の対象となることは当然でございます。ただ、私先ほど来申し上げておりますものは、その手順と申しますか、それにつきましては、大口預金金利から入っていくのが自然な姿ではないかと申したわけでございます。  繰り返しになって恐縮でございますが、もちろん小口の預貯金のウエートというのが先生指摘のとおり大変多いわけでございます。したがいまして、当然その預金の中心というものはそこにあることではあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、小口の預貯金といいますか小口貯蓄の金利につきましては、自由化が進んでいく当初の過程におきましては不安定な金利変動の可能性とかそういうものもあるわけでございますので、自由化の方向を十分見定めた上検討するのが適当ではないか、かように考えている次第でございます。  これは蛇足でございますけれども、市場との関係で、金利の連動関係と申しますかこういう点からいきますと、預金金利の自由化を全体としてソフトランディングさせていくということが先ほど申し上げましたようにまず必要なんですが、預金金利は現在でも全体の金利のバランスの中で弾力的に改定されておるわけでございます。例えば、アメリカで一九七〇年代に金利の改定が行われたのが三回でございますが、日本の場合には同時期、一九七〇年代に十三回というような形で、金利の自由化が周りで進みながらそれに合わせて金利の改定を弾力的に行っているということも事実であろうかと思います。  非常に蛇足なお話を申し上げまして恐縮でございましたが、先ほどのように手順として大口預金金利から入っていくのが自然な形ではなかろうかということでございます。
  52. 小川仁一

    小川(仁)委員 この臨時金利調整法によりまして現在の小口の預貯金は非常に苦しい状況にあるわけでございます。政策的に決められた規制でもって利率が決められ、それを数字で見ますと、過去十年間で平均物価上昇率が七・七%なのに一年間の定期預金の平均金利が六・三%、こんなふうに物価にも追いつかないような目減り状態が行われているわけであります。現在も非常に苦しい状況に置かれ、そして不公平な扱いを受けております小口預貯金金利というものが、金利の自由化のときに、市場の実勢反映、これをもたらすような金利に変わっていくということは当然のことだと思うのです。それを大口から入る、小口の方は検討する、こういう扱いでは小口に対してちょっと酷になりはしないか。今まででさえこういう不公平な状態があったわけでございますから、当然のことながら金利の自由化というときには、大口から入る手順があったとしても小口をそれに連動して直ちに自由化する、こういう方向性を出さなければ、検討検討という形だけで置いておくような結果になりはしないかという懸念を持つわけでございます。こういう懸念はございませんか。
  53. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘の小口を置いていく、あるいはその目減りの状態といったもので過去来ているというお話でございますが、繰り返しになりますが、先ほど私申し上げましたように一つの手順ということで考えておるわけでございます。大口からということは、あるいは大口専門家という世界あるいは国際資金の移動の世界あるいは国債のマーケットの世界というのは、ある意味で金利の乱高下というものも懸念されるわけでございます。したがいまして、おっしゃった金利の自由化という意味は、ある意味で上と下へ両方に金利が激しく動く可能性があるというわけでございますので、先ほど申し上げましたような自由化がある程度ソフトランディングしていくような過程の中で小口預貯金金利につきましてある程度安定的な金利の方向を探っていくということも、一つの検討課題になるのではないかと考えておるわけであります。ちなみに、ドイツなどの金利の状況を見ますと、これは既に自由化がなされておりますけれども、小口預金金利につきましては大口の金利に比べますと非常に安定的な金利の推移をたどっているという状況にございます。  先生指摘の消費者物価上昇率と金利の関係でございますけれども、これは小口預金金利に限らず全体の金利の問題であろうと思いますが、基本的にはインフレを抑えるというところからそのスタートがあると考えておりまして、確かにオイルショックの時代を入れました金利の統計をとりますと御存じのようなところもあるかもしれませんが、現在ではその点はある程度改善してきているのではないかと考えております。
  54. 小川仁一

    小川(仁)委員 もう一つは、金融制度調査会小委員会の第一次中間報告の中に、公的金融のあり方について、金利決定方式を含めた郵便貯金のあり方の再検討のほか、政府関係金融機関についても一部民間金融機関との競合が生じているとの指摘がある点を考慮し絶えず見直していくことが肝要である、こういうふうな書き方をしておるわけでございます。郵便貯金のあり方の再検討ということを金融制度調査会小委員会がお話ししてありますが、今どういうふうな形で検討が進んでおるのか、それとも、ただこう言っただけでまだ具体性を持った検討が行われていないのか、その点をひとつお話し願いたいと思います。
  55. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  御指摘の金融制度調査会小委員会の中間報告でございますが、ここでは、一番最初に私が申し上げましたように、金融の自由化の総論といたしまして委員先生方から御意見をいただいて、これをまとめさせていただいたということでございまして、金利のみならず業務の問題その他各般にわたりまして金融の自由化を総論的に取り上げておるわけでございます。  その中で、今御指摘郵便貯金の問題でございますが、これは金利のところに出てくるわけでございまして、あくまでも民間の金利のことを述べておるわけでございますけれども、その際に、先ほど御説明の中で申し上げましたとおり、今後小口預貯金金利の自由化というものを考えていくときには、民間預貯金金利と郵便貯金金利が均衡のとれた形で決定されるルールなりシステムを一層確立していく必要があるということを御指摘いただいている次第であるわけであります。  現在の検討状況はどうかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、現在、民間の預金金利につきましてCDの一層の弾力化とか大口預貯金金利というものを検討中でございまして、これから郵便貯金金利の問題につきましても関係方面の方々とも十分にお話をしていかなければいけないというふうに思っております。
  56. 小川仁一

    小川(仁)委員 今の問題に関連して郵政省の方にお聞きしますが、この金利の自由化問題はもう避けて通れない状況と思います。そういう中で、大蔵省はまだ検討中ということでありますが、検討される対象としての郵便貯金をお持ちの郵政省としては、それに対する御意見、御見解が当然あると思います。この際、郵政省の基本的な考え方、そして対処の仕方をきっちりと御説明願いたいと思いをする。
  57. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  金利の自由化というのは、国内的にも国際的にも要因が高まってきて、避けられない状況であろうというふうに思っております。したがいまして、郵便貯金といたしましても金利の自由化に前向きに取り組まなければならないというふうに考え、いろいろ検討いたしているところでございます。  先ほどからお話がございました大口、小口の議論についてでございますけれども、我が国においては郵便貯金を含めて幾らからが大口であり幾らからが小口であるという決めがまだないわけでありますが、非課税貯蓄の範囲のものを小口ととってみましても、先生指摘のように預貯金の総額の六割を小口が占めておる。これは、ある意味では我が国の特性であろうかと思うわけでありまして、これを圏外に置いての自由化というのは自由化とは言えないであろうし、また、これも先生指摘のとおり、本来得べかりし金利というものが自由化によって得られるということでございますので、自由化に対応して積極的に小口についても自由化に向かわせていくという仕組みを考ていかなければならないだろうというふうに思うわけであります。  特に、自由化という場合に、アメリカの例を見ましても、今までの規制金利商品から自由金利商品に預金なり何なりがシフトしていってしまう、そこで、規制金利で縛っておいても預金が集まらなければ金融機関は商売にならないわけでありますから、規制を外していくというのが自由化対応の問題であるわけであります。我が国においてもそういうような動きというのが現に起こっておるわけであります。さらに、これからを眺めてまいりましても大量の国債発行というのが続くであろう、あるいは償還期限が二年未満というような期近債というようなものが六十年には三十兆近くにもなるであろう。こういったものは当然一年、二年の預貯金との競合を来すわけでありますし、なお、既発債の銀行窓口での取り扱い、ディーリングというようなものもこの六月ぐらいから始まるという話もございます。そういったようなことを踏まえますと、新しい自由金利的な商品というものもさらに開発されていくのではなかろうか。そういったものに、規制をいたしておりましても資金が自然とシフトしていくであろう、これをとめるわけにはいかないから、どうしても自由化というものが必要なのではないかということだろうと思うわけでありまして、規制の枠の中に閉じ込めておけるならばそれはいいわけでありましょうけれども、そういったことができないから的確な自由化対応というものが必要であろうということでございまして、特に我が国における貯蓄の構造から見ましても、小口というものを大口の自由化とそうタイムラグを置くということはできないのではないか。むしろ閉じ込めるという方策をいつまでもとっておると、かえって金融秩序に混乱を生ずるのではなかろうかという気がするわけであります。  なお、小口というのが手間がかかるとか、小口商品については金利の乱高下というものに余り左右されない方がいいということから、小口はなるべく後にというような議論も出ているようでありますが、これは規制をしてそうするということではなくして、自由化をして、そして顧客のニーズに合った商品を金融機関が開発をする、それをお客様が選ぶということで対応すべきが本筋であろうというふうに思うわけであります。  また、郵便貯金が我が国において小口の個人の預金の中で相当のウエートを占めておるということで、この金利のあり方というものが金利の自由化の一つの前提になっているというような議論も間々お聞きするわけでありますけれども、金利の自由化という場合には、昨年の十月、アメリカあたりでも金利の自由化がほとんど完成をしたわけでありますが、西ドイツあたりにおいても既に随分昔から金利の自由化はされているわけであります。これは、市場実勢というものを踏まえて、各金融機関の経営戦略も織り込んで、合理的にそれぞれの金融機関が決めるというのが自由金利、金利自由化における金利の決定だろうと思うわけであります。商品も金利もどこかで規制をするということは、まさに自由化とはなじまない話であろうと思うわけでありまして、何か民間の金融機関の金利に郵便貯金の金利をリンクさせるとか、あるいはどこかで一元的に決めるということがなければ自由化というものができないんだという議論は、自由化という概念と全く相矛盾する概念であろうと思うわけであります。郵便貯金も市場実勢を踏まえて合理的な金利をつけられるような仕組みを、これは私ども郵便貯金自体としても考えなければならない点がございます。  現在、郵便貯金の資金の運用は、資金運用部に一元的に運用されている政策的な金利で決められているわけでありますけれども、預金金利の方に自由金利をつける、片方、はいり口と申しましょうか、運用の方は低く政策的に抑えられているということでは自由化対応はできないわけでありますので、入ってくる方の資金の運用の面につきましても自由化対応ができるように、市場実勢というものが反映できるように、国債を郵便貯金資金で郵政大臣自身が運用するというような道を開く必要があるだろうということで、そういうことについての要求もし、また御理解をいただくように、これからもいろいろ努力をしていかなければならないと思うわけであります。  いずれにいたしましても、個人の健全な資産形成のために、郵便貯金といたしましても的確な自由化の対応をとらなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
  58. 小川仁一

    小川(仁)委員 今非常にいいお話がございましたが、実際、郵便貯金というのは資金運用部によって全部その資金が押さえられて、それが財投にほとんど回っている、こういう格好ですから、金利の自由化ができてもその部分のネックがあるわけです。  今、運用の話がありました、国債というお話。昨年、郵政省は一兆円の国債を買い付けようとして、これが成立しなかったという経過がありますが、それはどういう経過で国債の購入ができなかったのですか。国債が売れて売れて売れ過ぎて、とても郵便局なんかには回し切れなかったという形なのか、それとも、郵便貯金自体の運用というものは財投一本でいけ、こういう財政当局の考え方であったのか。折衝に当たられた郵政省でもいいし、それからこのことに対する大蔵省の考え方でもいいから、お聞かせ願いたいと思います。
  59. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 一兆円の国債を郵便貯金の資金をもって買うということによって、郵便貯金資金の方にも市場実勢というものを反映する仕組みが必要である、これはただいま申し上げました金利の自由化に対応するためにぜひ必要な方法であろう、また、郵便貯金自身が的確に金利の自由化に対応できなければ、ある意味では日本全体の金利の自由化というものが的確に対応できないであろう、そういうことで、いろいろな段取り等はおありだろうと思いますけれども、その仕組み自体は早急につくる必要があるのではないかということで、大蔵省の方とも折衝したわけでございます。  しかし、長年の経緯もございまして、郵便貯金資金が財投の大きな役割を占めている国家的な、公的な資金であるというような性格から、財投の一元的運用というような従来からの一つの課題もございます。ただ、この点につきましては私ども考え方を若干申し上げさせていただきますれば、財投の一元的運用というのは、ある意味では、私ども郵政省においては簡易保険の資金は郵政大臣が直接運用をしているわけでありまして、これも財投に協力する分野でございますが、こういった点については大蔵大臣郵政大臣、両方が資金を出し合って運用していくことによって統合性のとれた財投計画の運用ができているわけでありますから、郵便貯金資金というものも大蔵大臣だけが運用しなければというような問題ではなかろう、統合一元化の問題はそういう性格のものであろうというふうに私ども考えているわけであります。しかし、財政当局といたしましては、第二の予算としての資金運用の問題、その他財投の中に占めているほかの資金との競合の関連、いろいろそういった観点からなお時間をかけて議論をしてまいりたいということで、私どもも今回の予算要求に当たっては断念をしたわけでありますけれども、冒頭申し上げましたように、自由化対応にぜひとも必要な方策であり、その仕組みというものは早急につくらなければならないということで今後とも話をし、御理解をいただけるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  60. 小川仁一

    小川(仁)委員 その資金の運用の問題になると思いますが、財投だけでは七・一%くらいにしか回らないというお話がありました。しかし、金利が自由化して市場実勢が当然のことながら郵便貯金の利子に反映してくるとすれば、郵便貯金もいつまでも七・一の枠内で運用することは困難になると思うのです。そうしますと、今の問題で、前年は一兆円の国債ということになりましたが、今直ちに幾らと言うわけにはいかぬかもしれませんが、仕組みと言われるその資金運用の枠は総預貯金量の一体どの程度までの運用というものを郵政省の中で考えられているか。もしそういう考え方があったらひとつお知らせ願いたい。
  61. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私どもただいま提案をいたしておりますのは、一つの仕組みをつくるということがまず第一であろうというふうに考えておるわけであります。郵便貯金自体の一つの経営ということで考えますれば、預金金利を決めるあるいは片方資金運用というものを自主的に行うということによって、経営というものが完結をした形で行われるであろうというふうに思っておるわけであります。そういった意味ではすべてのものを自主運用をしていくということが一つの形であろうかと思うわけであります。  片や、郵便貯金資金というものの公的な性格というもの、あるいは今後とも必要とされるであろう社会資本の充実という観点からの財投の必要性というようなもの、あるいは現在貸し付けている財投のかなりの残余額があるわけでありますが、こういったものを一体どうするんだというような問題も現実的にはございます。あれこれ考えながら、そういったものを相談しながら、具体的にはどの程度までどういう形で運用していくかということは今後の議論の課題になるだろうというふうに思っております。  とにもかくにも自由化に対応するために、仕組みというものをまずつくる必要があるであろうということで御提案をしているところであります。
  62. 小川仁一

    小川(仁)委員 郵便貯金が小口預貯金の中で占める割合というのは比較的大きいわけでございます。それだけに、小口預貯金の金利の自由化がおくれますと、郵便貯金を利用している国民郵便貯金に対する魅力を失ってしまうわけでございます。  今、郵便局の店舗数を見てみますと、特に郡部における店舗と都市における店舗を見ますと、郡部に四〇%の局があるわけでございます。私の岩手なんかの経験によりますと、例えば鉱山がつぶれますと銀行は撤退いたします。しかし郵便局は残ってくれるわけです。この前も営林署の統合問題がありました。統合反対で商工会の人たちが頑張った一番大きな理由は、統合したら銀行が撤退するということだったのです。林業に働く人たち仕事がなくなるのですが、商工会の人たちは、銀行が撤退する——銀行は、このようにその地帯において企業としてのメリットがなくなりますと、いとも簡単に撤退をするわけであります。しかし、郵便局だけはそこへ残って庶民の金融機関として、貸し付けがないからちょっと金融機関という言い方にはならないと思いますけれども、自分のお金の出し入れ、送金あるいは受け取り、こういった役割にこたえているわけであります。店舗の割にはあるいは総預金量は少ないかもしれませんけれども、現在日本の津々浦々にあって国民のそういう要求にこたえているのが郵便局だと思うのです。  しかし一方では、そういう地帯にも信託等の嘱託員と申しますかそういう人たちが入って、ビッグの売り込みをやり、マル優を売り、いろいろな形で入ってきています。ですから、もし金利の自由化が小口、特に郵便貯金を中心にしておくれますと、いわゆる預貯金資金が郵便貯金から離れて、一層市中銀行にあるいは普通銀行に流れていく、いわゆる資金の大きな流れが変わってまいると思うのです。そういうことになりますと、郵便貯金も安閑としておられない。むしろ安楽死なんというふうな状況さえ出ないとも限らない状態。国民の気持ちと非常に大きく離れた状態が出てくるだけに、郵便貯金を軸にした小口金融については市場実勢が反映できるような金利をぜひともつくり出す、こういうことについて郵政省は一つも遠慮することはないと思うのです。私たちのような農村部においては特にそれを強く希望いたしますので、大蔵省に対して譲らずそういう状況をつくっていただきたい。特に大臣郵政省の責任を全部背負っておられますから、今私が申し上げたようなことに対して明確に態度を表明していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  63. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵貯は本当に汗とあぶらの結晶と申しますか、大衆のそういった貴重な結晶をお預かりしておるわけでございます。したがって、郵貯の金利決定に当たりましては、これは特別に決められてもおるところでございます。しかし他方、余りにも巨額な資金でもございます。現在でも八十五兆の残高を有しておるわけでございます。したがって、やはり市中の金利等にも配慮しなければならぬことも当然でございます。そういったことから、大蔵大臣と整合性を含めて相談して、市中金利等にも配慮しながら今日郵便貯金の金利決定を行ってきているという経緯でございます。  もちろん、この郵貯が財投原資として国民の生活なり社会資本の蓄積に果たしている役割というものは、もう私がちょうちょう述べる必要もないことでございます。そういうことでございますので、私たちは、まず第一にそういった少額預貯金者の貴重なお金をお預かりしているこの金利は何としても立派に確保しなければならぬという根本命題と同時に、他方それが使われている財投原資としての大きな役割を考えながらやっていかなければいかぬというところに今日郵便貯金の当面している非常に難しい問題点があるわけでございます。  しかし、全く御指摘のとおりでございまして、今日、金融の自由化、金利自由化の趨勢は避けられないという原点に立ったときに、私たちは、自主的な運用も含めて預貯金者の利益を守っていかなければならぬという立場から、大蔵側と、この問題、自主運用を含めての問題点について今後とも前向きに真剣に検討し合ってまいりたいと思っております。
  64. 小川仁一

    小川(仁)委員 今大臣及び局長のお話を聞きましたので、小口預金、特に郵便貯金を利用している者もこれはある程度安心できると思います。  ただしかし、郵便貯金は余り伸びていませんね。伸びていないというのはどういうところに原因があるというふうにお考えになっておられますか。
  65. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生指摘のとおり、この数年間、特に五十五年は金利の天井感というのがございまして、民間金融機関も含めまして預金の獲得というものが伸びた時期がございますが、押しなべて下降線をたどっておるということでございまして、郵便貯金について申し上げますれば、今年度の純増目標自体も昨年の目標を大きく下回りまして、一兆円というような状況でございます。  こういった下降傾向にあるという一つの原因といたしまして私ども考えておりますのは、高度成長から安定成長に移って可処分所得というものの伸びが低くなったというようなこと、これは、貯金の獲得につきましては夏冬のボーナス期というのが大変大きな時期ではございますけれども、夏冬のボーナスを見ましても伸びというものがほとんど見られないというような程度でございまして、こういったことが預金の伸びに大きく響いているのではなかろうか。いま一つは、新しい金利商品としてのビッグとかワイドとか、そういったものへのシフト。こういったものが発売をされたということによって触発されましたお客様の金利選好の高まりというようなことから、そういう高金利商品へ選好が特に向けられているというようなことから伸び悩んでいるのであろう、こういうような分析をいたしているところでございます。
  66. 小川仁一

    小川(仁)委員 話はまた前に戻りますが、事務センター等の改組、こういう中で、場合によると余剰人員も出てくる可能性もあります。今郵便貯金が伸びない理由にワイドとかビッグの商品もありますけれども、私は、それに対するセールスといいますかあるいは宣伝といいますか、そういう預金獲得部分が簡易保険に比べたら非常に弱いという感じがいたします。そういう方面に対する働きかけといいますか、仕事を見つけ出して働かせるというか、そういう方向性もひとつ大きく考えてほしい。自然減でやめさせることだけが今回の統合の能でもあるまい、こう思いますので、そういう一つの営業の方向性。  それからもう一つは、金融機関といっても貸付部分が郵便貯金にはないわけでございます。進学ローンとゆうゆう保険ですか、住宅関係のものもございますが、これが余り大きく民間企業と同じように貸付業務をやるということについては問題があると思いますけれども、しかし育英に対する貸付金は幾らでございましたか、ああいうもので育英の貸し付けなんということは言えないじゃないだろうか、こういう感じがいたします。したがって、国民生活の中でこれならばと言えるような、国民のいろいろな利益に役立つ部面の貸付部分というものを、それは民間企業と企業資金のような形での競争ではなしに拡大する方法がありはしないか、こういう面についてお考えをお聞きしたいと思います。
  67. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私ども、直接の貸し付けというような金融といいましょうか、信用供与という形でのものは行っていないわけでありますが、先生も御指摘のように、預金を担保にいたしました貸し付け「ゆうゆうローン」、あるいは住宅建設の促進という観点から住宅積立貯金というようなものがございます。あるいは今先生お話しのございました進学積立貯金という制度がございます。進学積立貯金につきましては、大体五十四万程度のものを積み立てていただきまして、それと同額のものを国民金融公庫の方から貸し付けをするというような形で御用立てをしているということでございます。住宅につきましても、実は制度創設以来これの限度額が五十万積み立てをいたします。これにさらに百七十五万、現在住宅金融公庫の方から一般の貸し付けよりも割り増しの貸し付けが受けられるということでございますけれども、いかんせん、その程度の額では今日の住宅建設ということから見ますと非常に少額であるということで、制度創設の当時から比べますと非常に魅力が薄れておるということもございます。したがいまして、こういう点につきましてもさらに魅力のあるものにしたいということで、実は予算要求等もいたしたわけでございます。  こういったことについて、我が国におきましては個人に対する金融サービスというものが諸外国に比べればどちらかと言えば非常におくれているということが言えるだろうと思います。と申しますのは、諸外国におきましては、郵便貯金が直接そういう貸し付けを行っているというところもございますし、片や営利を目的としない非営利の金融機関というものがかなり発達をいたしております。したがいまして、そういったところが個人の預貯金、また貸し付けということを専門的に行っているということで、個人の金融活動の充実ということをそういった面で制度的にも補えるような形になっているわけでありますけれども、我が国の場合、そういった個人専門の非営利といいますと郵便貯金だけであるというようなことで、そういった点についてはまだまださらに充実をしていく必要があるだろう。特に先生指摘のような今日の郵便貯金の状況あるいは激しく変わる今日の金融環境という中で、個人の金融活動というものがさらに充実発展をしていくように、郵便貯金といたしましてもサービスの拡充、充実あるいは新しい制度の創設というようなことに今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  68. 小川仁一

    小川(仁)委員 営業問題……。
  69. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 失礼いたしました。  外務活動という点がもう少し充実すべきではなかろうかという御意見でございます。私どもも現在外務員を持っているわけでありますが、外務員につきましても、実は私どもも従来の形での貯金を集めるというようなことだけにとどまらず、この三月末に全国の郵便局一万九千を網羅いたしましたオンライン・ネットワークというものが完成をいたしまして、これに基づきましていろいろな新しいオンラインを組み込んだ商品を逐次販売をしてきているわけでありますけれども、こういった点につきましてもさらに、外務員にも販売促進ということに関心を持ち、セールスに力を入れるように教育もし、また努力を要請いたしているところでございまして、いろいろな形での総合的な人的資源の有効活用ということにつきましても、先生の御趣旨を体しまして今後とも努力してまいりたいと思います。
  70. 小川仁一

    小川(仁)委員 一つの統合とか改正というときには必ずそれに伴う人員の整理とかいろいろな課題がありますが、今言ったような考え方の中に、そういう人員を振り向けるとかいろいろな形で今まで働いてきた人たちが不遇な状態にならないように十分御配慮願いたい、こうお願いを申し上げて次に移ります。  大蔵省の方に伺いますが、グリーンカードを六十一年一月から実施ということになりますと、本年度中に予算編成をしておかないと間に合わないわけでございますから、八月の概算予算までちょっと時間があるといいますけれども、グリーンカード問題についてどういう方向で、予算をつくるような形が、あるいはこれを捨て去るという形か、御検討しておられましたならお伺いしたいと思います。
  71. 伊藤博行

    伊藤説明員 先生の御質問のうちの前半の部分、予算関係は国税庁の方から後ほど御答弁申し上げますが、グリーンカード制度を含めまして利子課税の検討、今後の方向という部分につきまして私の方からお答え申し上げます。  御案内のように、利子課税に関連しましては、現行制度はグリーンカード制度というのが実定法として既に制定されております。ただ、御案内のような経緯で当初の予定が三年施行延期ということになっておりまして、その実施が、当初の予定の五十八年一月一日というのが六十一年一月一日ということに相なっております。したがいまして、そのときまでにそれにかわる別の方法が考えられない場合にはその制度になるということでございますが、本件につきましては、政府の税制調査会におきましてもこれまでの経緯等を踏まえまして利子課税のあり方をもう一回検討し直そうということから、去年の夏ぐらいから議論をスタートさせまして、昨年の秋に中期答申というのをいただいております。  ただ、その段階での答申では、大まかな方向といいましょうか議論はなされておりますけれども、具体的にどういう方法がいいかという点については引き続き検討ということで、宿題になっております。その意味で今後とも税制調査会において御審議いただけるものと思いますが、私どもも、そこでの審議を踏まえまして今後の方向を探ってまいりたいというふうに思っております。
  72. 宇都宮康雄

    ○宇都宮説明員 グリーンカードに関する予算要求の問題についてお答え申し上げます。  今一課長から御説明ありましたように、グリーンカード制度につきましてはその実施が三年間延期されまして、現行法ではカードの交付等が六十一年一月一日からということになりますので、その予算上の手当ては先生の御指摘のとおり六十年度予算において措置する必要があります。ただ、今一課長がお話し申し上げましたように、利子配当課税のあり方につきまして税制調査会で検討が行われておりますので、六十年度予算要求そのものにつきましては、その検討状況を踏まえて事態の推移に応じて適切に対処してまいりたい、こう考えております。
  73. 小川仁一

    小川(仁)委員 検討は、いつごろまでに結論が出るのですか。
  74. 伊藤博行

    伊藤説明員 税制調査会の中期答申は、先ほど申し上げましたように比較的総論的な議論で終わっております。年明けましての年度答申におきましても御議論いただきましたが、そこでも具体的な今後の方策というのはなお引き続き検討ということになっております。  ただ、時期的な問題につきましては、五十九年度の税制改正に関する年度答申におきまして、できればこの夏を目途にということで、そういった趣旨の御答申をいただいております。ただ、審議自体が現在進行中であり、今後に向けての話でございますので、税調自身もみずからの努力目標として夏ということを言っておられるのではないかというふうに思います。
  75. 小川仁一

    小川(仁)委員 その検討の中身の重点になっているのは、いわゆる小口の預貯金に対する課税、現在の非課税制度をなくして税金の増収を図る、こういう形で進行しているというふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  76. 伊藤博行

    伊藤説明員 非課税貯蓄は、先ほども先生指摘になりましたように個人貯蓄全体の約六割を占めております。その意味で、非課税貯蓄のあり方というものも当然御議論、御検討いただいておりますけれども、それのみをどうこうするということではなくて、非課税貯蓄を含めまして全体の利子課税のあり方がどうあるべきかということで御審議いただいております。ただ、具体的な方向をどうするかというのは、今時点まだ答えをちょうだいしておりませんし、今後御審議を深めていただけるものというふうに期待しております。
  77. 小川仁一

    小川(仁)委員 何か少額の貯金その他に四〇%ぐらいの税金をかけておいて、後から申告すればそれを二〇に直すといったような総合課税方式、そういったようなものが伝えられておりますけれども、現在の少額の非課税制度あるいはマル優制度、それから郵便貯金があります、あるいは少額の三百万までの国債の特別マル優、こういう制度というのはかなり国民の間になじんでまいっておりますし、そしてまた、現在のような福祉が切り捨てられる、高齢化社会になってくるという状況の中で、自分が生きるために一定額のお金を貯金をしておかなければならないという人たちにとってはこれが非常に魅力のあるものなんですが、この部分に対しても課税という方向で検討しておるのか、こういう部分はやはり国民の最低生活をある程度保障してやる部分だというのでこれは手をつけない、こういうふうな方向で話が進んでいるのか、その点については。
  78. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、具体的な課税方式のあり方、非課税の貯蓄の部分を含めましてのあり方につきましては現時点で具体的な方策はまだ打ち出されておりません。これまでの議論で税制調査会で言われておりますのは、個人貯蓄の中で六割も占めておる非課税貯蓄について今のままでいいのかどうかという議論ももちろん含めて議論をすべきであるという御意見はいろいろございます。ただ、じゃ具体的にどういう方向がいいのかという点につきましては、各論の議論としてはまさにこれからの議論であろうかと思います。  先ほど先生おっしゃいました非課税貯蓄のこれまでの経緯、定着してきておるではないかといったような御意見も、当然中にはございます。ただ、調査会全体としてどういう意見に集約されていくのかというのはまさにこれからのものでございますので、今後の方向を予見を持って申し上げるのは今の時点ちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  79. 小川仁一

    小川(仁)委員 税制調査会というのは税の専門家の集まりでしょうが、貯金をしているのは国民の方なわけです。大蔵省というのは優秀な方々がそろっておられると思うが、そういうものにお聞きしないと結論が出ないというふうな格好で一つの方向性を我々の前にぼやかしてしまっておられるわけなんです。そして新聞だけがぼっぼっぼっといろいろなものを書いてくる、こういう状態というものをつくり出しているということは非常にいけないことだと思うのですよ。大蔵省は最エリートの皆さんがそろっているそうでございますから、一つの方向性というのを明らかにしていく、こういう方向で諮問をするとかこういう方向で国民に意見を問うとかいうような形をおとりになるべきだと思います。多分きょうこういうことについて質問しても検討中でございますということでお話が終わるだろうということを予測しながら質問をしなければならないというふうなことは、実は非常に腹の立つことでございます。  ここで郵政省にちょっとお聞きしますが、郵便貯金もその対象になるわけでございます少額預貯金、現在三百万円まで非課税でございます。これに税金がかかると言ったら、郵便貯金は運営できますか。財投でもって七・一で回してもらって、そして現在の利子にまた税金がかかって、それから国民の方に支払っていく、これでは国民はどんどん郵便貯金から離れていくわけです。金利の自由化からおくれるわという形で一番郵便貯金が、今の非課税問題、金利自由化問題を含めて、非常に窮地に陥っているような感がするのですが、これに対して郵政省どうお考えになっていますか。特に少額預貯金に対する課税の問題についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  80. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 貯蓄の重要性というのは今さら申し上げるまでもないわけでありますけれども、戦後の復興あるいは高度成長の達成ということができた大きな原因というのも、我が国の高い貯蓄率に支えられ、しかも臨金法のもとで低い金利をつけておったということで、そういう安定した大量の資金の供給が活発な投資を促進したことによるということが言われているわけでありますが、今日におきましても、百兆を超える大量の国債発行というものがありながらクラウディングアウトというようなものもインフレというようなことも起こらずに比較的安定した経済運営がなされているのも、高い貯蓄率による貯蓄が存在しているということであろうということが言われているわけでありまして、この点につきましては諸外国においてもかなり高い評価がされているわけであります。したがいまして、今後の状況を見ましてもなお貯蓄というものの重要性というものはなくならない。むしろこれからの高齢化社会というものを見た場合に、また先生先ほども指摘ございましたように、最近は物価の上昇率というのはやや落ちついてはおるものの、長期的に見ればやはり目減りをしているような利子であります。利子所得というのは、ある意味では第一次所得で税金を取られた後の所得、第二次所得でございます。第二次所得ではございますけれども、これが実質的には目減りをしているマイナスの所得である、こういったことにもかかわらずなお貯蓄をせざるを得ない、高齢化社会を迎えて老後のために蓄えをしなければならないという国民の心情、生活というものを考えた場合に、これに税金をかけるということではなくして、むしろそういう自助努力に対する手、何らかの優遇策というものを政府として差し伸べるべきではなかろうかというのが基本的な考えであるわけであります。  特に、郵便貯金が制度創設以来非課税貯蓄として定着をいたしてまいりましたし、日本の高い貯蓄率というのもこの百年以上にわたる郵便貯金の普及ということによって私は大きく培われた部門があるであろうと思うわけであります。したがいまして、今日一時的な財源確保というようなことあるいは一部の不公平是正というためにすべての者に貯蓄心を失わせるような方策というものはとるべきではない、また、そういうものは恐らくとられないであろうということを期待をしながら、政府の税制調査会の審議というものを見守ってまいりたいと思っているわけであります。先生指摘のようにいろいろ厳しい状況の中にある郵便貯金であるだけに、私どもも大変大きな関心を持ってこの制度の維持、むしろ私どもは限度額の引き上げということこそ必要であろうというふうに考えているところでございます。
  81. 小川仁一

    小川(仁)委員 いろいろお聞きをいたしましたが、資本の自由化、金利の自由化は避けて通れない、それだけ日本の経済というものも大変厳しい状態にあると思います。したがって、大蔵省でも苦労しておられると思いますが、庶民の貯蓄を扱っている郵政省郵便貯金という問題についての一つの役割というものがそういう中でかなり大きな役割を持つと思いますから、この統合を機会に、それ自体がどういう形で国民のために役に立つかということを前提にして今後ともお仕事を進めていただきたいと思います。  以上で終わります。
  82. 片岡清一

    片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  83. 片岡清一

    片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。市川雄一君。
  84. 市川雄一

    ○市川委員 設置法に入る前にちょっとお伺いしたいのですが、けさの新聞の報道によりますと、NHKが始めようとした衛星放送ゆり二号aが故障した、こういうニュースが出ておりますが、前回も、昭和五十三年にもたしか事故があったと思うのです。この事故について今どういう状況把握をしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  85. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えをいたします。  BS2aでございますけれども、中継器を三本搭載いたしておりまして、そのうちA系統のものが三月以来不調になりましたので、R系統と申すものによりまして試験電波の発射を行ってきたところでございますが、このR系統につきまして五月の三日に電源が切れるという現象が生じてまいりました。それで、それに対応する電源再投入という措置をいたしたわけでございますけれども、状態が直らないということでその試験電波の発射を中止して、現在その原因の究明作業に関係機関が当たっているという状況でございます。回復のめどにつきましては、現在その原因究明中ということで、明確になっておりません。
  86. 市川雄一

    ○市川委員 五十三年に打ち上げられた実験用の衛星ゆり一号、これも故障原因がわからないまま今回のゆり二号の見切り発車、こういうことだったんじゃないかと思いますが、その辺どうでしょうか。今回きちんと原因がわかるまで、次の打ち上げは見合わせるとかということをなさるのかどうか。
  87. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように、試験的な放送衛星BSでございますが、これは二つの故障原因と思われるものがございまして、一つは電源の絶縁不良という問題、大変専門的でございますけれども、姿勢制御のためのホイールの停止という状態がございました。今回起こりましたBS2aの故障でございますけれども、先ほど申し上げましたA系統の故障は保護回路が、保護回路と申しますのはいわゆるヒューズに相当するわけでございますけれども、これが非常に敏感に作動するということでございます。それから、五月の三日から不調になっておりますR系統につきましては、電源が入ることは入りますけれども、過剰な電流が流れるという現象でございまして、いずれもその正確な原因がつかめないので、現在先ほど申しましたような原因究明に全力を挙げているところでございますけれども、BSの場合の故障の原因とは異なるものという推定をいたしております。  それで、先生指摘のBS2aを利用することについての判断ということでございますけれども、この点につきましては、四月の二十一日に宇宙開発事業団から通信・放送衛星機構に引き渡しがあったわけでございますけれども、その時点におきまして、Bという系統とRという系統二つが対応できるということでございましたので、当初の予定のNHKによります総合、教育、二チャンネルの放送が可能であるということで、この実用に供するべくNHKの方で準備にかかっていたということでございます。
  88. 市川雄一

    ○市川委員 新しい技術の開発には失敗、試行錯誤というものは当然つきものだとは思います。しかし、NHKはある意味では、この間受信料を値上げしたばかりで、多くの国民の受信料の負担によって経営基盤があるということも事実でございます。したがって、この原因究明がしっかりなされないで何回も何回も高いコストの失敗は許されないのではないか、こういう気持ちで今お伺いしているわけでございます。  今回のゆり二号を打ち上げた主な目的は何でしょうか。
  89. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 宇宙によります衛星放送の実用化ということで私どもも大きな期待並びに信頼を置いていたわけでございますけれども、こういうふうな状態になっておりますことにつきましては、関係者の一人といたしまして国民の皆様にも深くおわびを申し上げたいと思います。  それで、今の御指摘の点につきましては、確かに大きな金額がかかるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけこの原因の究明をいたしまして、それをこれから先の問題にも振り向ける、そしてまた現在不調になっておりますものの回復にも、どれだけの期待がかけられるかは別といたしまして、最大限の努力をしていかなければいけないというふうに関係者間で話をし、またそのための努力をしているというところでございます。  いずれにいたしましても、国民の皆様に大変御心配をかけ、御迷惑をおかけしておりますことを私からもおわびを申し上げたいと思います。
  90. 市川雄一

    ○市川委員 それでは設置法についてお伺いいたしたいと思います。  今回の設置法の改正でどういう行革の実を上げられるのか、行革効果という視点から見てどういう趣旨、意図があったのか、その点をまず伺いたいと思います。
  91. 奥山雄材

    奥山政府委員 ただいま御提案申し上げております郵政省設置法の一部を改正する法律案内容を形成しておるところの今回の地方支分部局の改編に伴う行革の趣旨でございますが、臨調の最終答申、五十八年三月十四日に出されましたけれども、この中で、総論といたしまして、臨調最終答申は行革の方向として行政組織について変化への対応と総合性ということを特段に強調しておりまして、その変化への対応力と総合性を踏まえた上で、簡素にして効率的な組織を中央地方を通じて行うべきであるというのが基本理念であると承知しております。それを受けまして、各論の部分におきまして、複数の地方ブロック機関を有する省庁につきましてその見直し方が提言されております。今般の地方貯金局及び地方簡易保険局地方郵政局への統合も、そのような臨調の精神、趣旨に基づいて地方行政機構総合化効率化を行おうとするものでございます。  具体的にこれが臨調改革としてどのような意味、趣旨があるのかというお尋ねでございますが、これまでも地方貯金局及び地方簡易保険局におきましては、既に長年の間、それぞれの地方機関におきましてオンラインを初め事務処理の効率化合理化、機械化等を推進してまいりました。今回の措置は、それの最終的な仕上げといたしまして地方貯金局地方簡易保険局郵政局統合するということでございます。  その結果、地方郵政局移管可能な事務が出てまいります。例えば訓練関係、福利厚生関係、さらには人事関係としての任命、昇給昇格等に関する事務、あるいは会計事務といたしまして物品、式紙類の調達等といったようなものが郵政局移管可能になりますので、その部分についての事務の簡素化、合理化が図られるということでございます。  さらに、当然のことでございますが、その統合に伴いまして定員の削減、縮小というものも出てまいります。この点につきましては、現在、その定員の削減の数につきまして鋭意検討中でございます。
  92. 市川雄一

    ○市川委員 今最後に定員の問題が出ていましたが、今回の改正で、人員とか予算面で具体的に何か効果というものがありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  93. 奥山雄材

    奥山政府委員 今回の改正は七月一日を目途に実施することにいたしております。それで、今年度につきましては予算上特にこの措置に基づく予算の縮減措置あるいは定員の削減措置は講じておりませんが、六十年度以降におきましては定員の削減を織り込んだ予算要求を出すことにいたしておりまして、現在その定員の縮減数等を鋭意計算、検討中でございます。  なお、一言付言させていただきますけれども地方貯金局及び地方簡易保険局におきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども昭和四十四、五年から総合的な機械化、オンライン化を進めておりまして、これまでに地方貯金局におきまして四千四百名、地方簡易保険局におきまして二千名の減員措置を行っております。今般の統合によるものは、それらのオンライン化に伴う定員削減に加えてさらに最終的に管理共通事務統合することによる削減を考えているものでございます。
  94. 市川雄一

    ○市川委員 次に、設置法に関連しまして電電改革について伺いたいと思います。  この問題に強い関心を持っている一人でございます。高度通信化社会という非常に未来性を含んだ問題でございますが、これは一電電の民営化という問題だけではなくて、非常に大きないろいろな。問題を含んでいると思います。  そこでお伺いいたしますが、まず今回の電電の改革に当たって、民営化、競争原理の導入、それによって経営の効率化あるいは活力を生み出していく、こういう考え方はそれなりに評価をしているわけですが、問題は、新電電、民営に移管したとしても、非常に巨大な資本あるいは人的資源、技術的遺産というものを持っているわけです。果たしてこれと競争できる民間の新規参入、いわゆる第二電電というものが育つのかという疑問を一つは持つわけでございます。  そこで、今回の電電改革法案の趣旨から考えてみて、せっかく民営に移管するわけですから、余り郵政省が規制をしてしまいますと民営に移管した意味がなくなってしまう、しかし、だからといって民営ということだけを表に出しますと、今度は競争原理が働かなくなる、こういう問題を含んでいると思います。両面からの問題が恐らくあるだろうと思うのですね。新規参入という立場考えれば、巨人である新電電をしっかり郵政省が抑えてもらいたい、チェックしてもらいたいという意見が強く出てくると思いますし、また電電側からすれば、経営の効率化とか活力という点で考えれば余り細かいことまで口を出さないでくれということになるだろうと思います。  今そういうことの前提でお伺いいたしますが、公正な競争条件を確保するということが非常に大きな問題だと思うのです。この民営移管が成功するかしないかは、公正な競争条件、土俵がきちんとできるかどうか、これにかかってくると思う。そういう意味で、何といっても全国ネットで、しかも今までの技術的な遺産、人的な資源、そして資本力、こういうことを考えますと、やはり当分の間は、民間を育てるためには新電電を何らかの意味でチェックしなければ公正な競争条件は確保できない、こういうふうに考えておるわけですが、その辺の基本的な考えについてお聞かせいただきたいと思います。
  95. 小山森也

    ○小山政府委員 お説のとおり、これからどうなるかということは非常に不透明な部分も多分にございます。ただ、しかしながら一応今回の電電の改革ということは、要するに電気通信事業全体の中に従来の一元的な電話を中心にして行われてきた電気通信が、現にいろいろな媒体が出てまいりまして、電話だけを中心にして動いてきた電電公社だけでは対応できなくなっていることも事実でございます。したがいまして、電話以外のいろいろな媒体に対して適時適切なサービスをしていく、しかもその中で競争原理を導入して活力あふれる中で国民の皆様方に電気通信役務をサービスしていくという手段をとるべきであろうというところから、いわゆる電気通信法体系全体の改正をいたしまして、電電公社を会社に変え、さらに競争原理を導入して多数の事業者によって行われるべきである、こういうふうに考えたわけでございます。  それではいわゆる電電の巨大性からくるところの競争の関係はどうかということは、お説のとおり、片方で競争原理導入のために巨大産業である電電を政府の関与によって抑えるということをいたします考えも確かにございます。しかしながらそれは、競争の原理を導入した暫時の間は新規参入者が出てこないであろうというときの考えでございまして、新電電に対する政府の関与はできるだけ少なくして、自由な形での活力ある電電の事業活動を期待するというのが基本的な考えであるべきであろうと思っております。  したがいまして、政府の関与にいたしましても、他の類似の特殊会社に対する関与のあり方、これは当然考えたのでございますけれども、しかしその中で最も関与の少ない形を選択したということでございます。そういう形の中におきまして電電の事業活動を活性化する、また長い目で見ますと新規参入の方たちとの公正な競争ができると考えておる次第でございます。
  96. 市川雄一

    ○市川委員 それでは具体的にお伺いします。  一つは電話事業。長い間、電電が独占でやってこられたわけです。今回の改革に当たりまして電話事業を含めて自由化されているわけですが、電話事業だけはその持つ公共性から考えて新電電に引き続いて独占させるべきではないかという非常に強い意見がございます。よくその意見を聞いてみますと、それなりの考え方ではあるわけです。  まずその中で、この法案によって新電電に移行した。第二電電が出現した。そうしますと、真藤総裁も四月十八日の記者会見でおっしゃっていますが、東京−大阪幹線部分の電話料金を下げなければならない、そうしなければ競争できない。そういう長距離電話、今まで一番収入の多かった幹線料金を下げることによって収入が減る、今まではどちらかといえば市内通話が赤字に近かった、それを幹線で稼いで補てんした、それができなくなる、したがって、最終的には市内通話料金の値上げという問題が起きてくる、そうなってくると一番利用者の多い市内通話料金が上がるという形で多くの方に新しい負担をかけていくのじゃないか、こういうことが言われておるわけですが、この点についてどういうお考えですか。
  97. 小山森也

    ○小山政府委員 電気通信分野に競争原理を導入する趣旨と申しますのは、先ほども若干申し上げましたけれども、ニューメディアの出現によりまして利用者のニーズもいろいろな多様化というものがございます。そういったものに事業体として適時適切に応じていくことが新規参入者を導入するゆえんでございます。そういたしますと、新規参入者というのは、今まで電気通信の特性であると思われておりましたスケールメリット、大きければ大きいほど経済的に引き合うということが必ずしもそのまま適合しないのではないかと考えるわけでございます。要するに、新規参入者はこれまで供給側が必ずしも十分に対応していない需要にきめ細かく対応する形で生じてくるのではないかと推定するわけでございます。したがいまして、新規参入者が生じましても、そのことによって既存事業者、いわゆる新電電でございますけれども、新電電と単にシェアを奪い合うということではなしに、新規の需要を積極的に掘り起こすという機能も出てくるのではないか。そういたしますと電気通信事業全体が高度情報社会の基盤として発展していくものと見込まれまして、そういった幹線部分への参入によりまして結果的には市内網の利用もかえってふえるというような結果になるのではないかと思っているわけでございます。  したがいまして、幹線部門に新規参入者が出たということは、イコール直ちに市内通話とかローカル通話の料金の値上がりにつながるというふうには考えていないわけでございます。むしろ、それによりまして市内通話のコール数もまたふえてくるのではないかと考えております。無論、ただこれは財務の問題でございますから、これから先永遠にそのようなものが続くかどうかということは予測はなかなか困難でございますけれども、さしあたっての見通しといたしましては、新規参入者によって新しい需要が開拓され、その需要が開拓されたのは結果的には市内通話という従来の電電のネットを使って加入者線まで利用せざるを得ないだろう、このように考えておる次第でございます。
  98. 市川雄一

    ○市川委員 ある程度わかっているのですが、それじゃ具体的にもう少し伺いましょう。  今、市内通話が赤字ですか。真藤総裁お見えだと思うのですが、四月十八日の記者会見で、「第二電電と競争するには、東京−大阪間などの主要幹線の長距離電話料金を現在の三分の一くらいに引き下げないと対抗できない。」こういう趣旨の発言をされているわけですが、これに関連していろいろな新聞で報道されているほとんどが、市内料金は今赤字である、市内料金が赤字で長距離電話の収入でその赤字を補てんしているのだ、こういうことが書いてあるわけですが、新聞が書いているから電電がそう思っているというふうには必ずしも結びつかないとは思いますけれども、市内通話は今赤字であるという認識がどうか、伺いたいと思います。
  99. 真藤恒

    ○真藤説明員 今局長から御説明がありましたが、幹線部門の東京−大阪だけで新しい設備で非常に合理的なオペレーション、要するに運営をやれば、原価的には現在の電電の東京−大阪間の料金体系の三分の一くらいで技術的には操業可能であるという意味でございまして、したがいまして、それに対してどう対処するかというのがこれから先の新しい法案のもとでの私ども仕事になるわけでございます。そういうことが可能か不可能かということでございますが、私ども考え方では、何とか競争ができる可能性は持っておる。現在の法案のとおりに実行できるということになれば、そういう対抗策はやっていけるんだというふうに私ども考えております。  それから、市内の方と市外の方との収入とコストの問題でございますが、現在のやり方では、市内の方は収入とコストがバランスしていないというのは事実でございます。しかしながら、現在の通話料が変わらないということと現在の私どもの経営のあり方が変わらないということを前提にすれば、市外料金を下げれば市内料金を上げざるを得ぬじゃないかということになるわけでございますけれども、新しい法案のもとでは私どもの総コストを下げる可能性が非常に大きく開けていくということと、今局長からお話がございましたように、新しいニューメディアの利用度がどんどんふえできますから、そのために総通話料はふえる。したがって、単価は下げながらでも総通話料がふえるために収入の絶対値はそう下げずにやっていける。そして、その収入の絶対値を下げずにやっていける中で、支出の絶対値を、今度の新しい法案では下げやすい状態になっておりますので、そこでバランスしながらこの長距離料金を下げる可能性が出てきているということでございます。したがいまして、平面的に長距離料金を三分の一に下げなければならぬならば市内料金をただ短絡的に値上げせざるを得ないという意味ではございませんので、そこのところをどういうふうに持っていくかというのが、これから新しい法案のもとでの経営の責任者としての私どもの一番大事な仕事だというふうに了解いたしておりますし、また、何とかやっていける方法があるなというふうにも考えておる次第でございます。
  100. 市川雄一

    ○市川委員 郵政省にお伺いします。  郵政省の方の御認識では、市内の電話料金が赤字であるという御認識ですか。
  101. 小山森也

    ○小山政府委員 私どもがいただいている資料によりますと、市外通話料の市外に要するコストというものを厳密にまだなかなかつかめないわけでございます。なぜかと申しますと、古い時代からの交換機もあったり最新鋭の交換機があったり、古い時代からの中継装置があったりあるいは最新鋭のものがあったりということで、コストそのものがなかなかつかめない状態でございます。したがいまして、市外は黒字であって市内は赤字であるということに直ちに結びつけるわけにはいかないのではないかと思っております。ただ、しかしながら、今までの収益というものは、電電公社の総収入というものは個別収入ではございませんで総原価主義でやっておるものですから、総体としてのバランスは保たれておって、しかも、かつ相当な収益を上げているということでございます。しかし、総体的に見るならば、市外通話料において得ている利益が多いということは当然認識している次第でございます。
  102. 市川雄一

    ○市川委員 さっき総裁は、市内通話についてはコストと収益とバランスがとれてない、そういう表現を使っておられた。今、郵政省の方は必ずしも赤字であるとは思っていない。これはどうなんですか、市内と市外と収支がきちんと分かれているのですか。
  103. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほどの総裁のお答えを若干補足をさせていただきます。  現在私どもで、収入とそれからそれにかかりますコストの関係でどうなっておるかということでは、電話、電報、加入電信、専用、データ通信と申しますこの五事業分計というのを行っておるわけでございますけれども、電話の中で距離段階別に料金が違っておりますけれども、それぞれの距離段階で収入が幾ら、コストが幾ら、したがってその収支がどうなっておるかということにつきましては、その計算が大変難しゅうございまして、これをいたしておりません。今後の課題と考えておるわけでございます。  ただ、現在の状況から見ますと、現在一番安い料金でかけられます区域内の通話の回数の分布状況から見ますと、これが大体七割を占めております。そして、三百二十キロから先のいわゆる遠距離につきましては約三%でございます。それに対しまして、収入から見ますと、区域内、一番安いところの収入は大体二割でございまして、それに対しまして遠距離が三割を占めておる。こういう状況から判断をいたしますと、いわば遠距離料金の収入でもって近距離料金のコストをも賄っておるという状況になっておるのではないか、かような推定をいたしておるわけでございます。
  104. 市川雄一

    ○市川委員 距離別の収入を資料要求しましたけれども、それが出てこなかった。要するに、それをやってない。だから、これからはやはりきちっとしないとまずいんじゃないですか。そんな推定で、市内が赤字でございますからなんということは、民営移管した途端に言えないと思いますね。やはり経理上のきちんとした根拠をはっきりして、原価計算をなさって、市内は収益が幾ら、コストが幾ら、市外はコストが幾ら、収益が幾ら、そういう形で、国民にわかりやすい形できちんと出せないとしたら、全く説得力を持たないと私は思う。その点どうですか。
  105. 真藤恒

    ○真藤説明員 今、寺島総務から御説明申し上げたのがきょう今日の実情でございます。この問題を根本的にきちっとするために、現在アメリカのATTから距離別に正確に通話料等が区分できる新しいシステムを購入することに決めまして、現在それの設備に着手しておるわけでございまして、この問題が具体的に議論の場に上るときには正確なデータが出てくるようになるはずでございます。この問題は、そのデータが出てきまして、私どもがさらにいろいろな努力をいたしましてその結果でどう数字が出てくるか、どういうふうに数字が動くか。また、その時代になりますと、新しいメディアで通話料も、非電話のサービスもふえてまいると思いますので、その辺を総合しながらこの問題は解決していかなければならぬと思いますので、今すぐどうのこうのという問題ではないというふうに考えております。まだしばらく時間をいただきまして、徹底的に分析できる装置を入れまして、科学的にきちっとした数字が出てからの問題にしていただきたいと思います。
  106. 市川雄一

    ○市川委員 それは大体いつごろですか。
  107. 真藤恒

    ○真藤説明員 あと二年ぐらいしますと、大体データが出始めます。
  108. 市川雄一

    ○市川委員 私は、電話事業を含めて独占ではなくて自由化すべきだという考え方なんですけれども、一方にそういう強い考え方がある。特に電電の関係者の中には、郷愁というのですか、そう言っちゃ失礼ですが、電話事業はやはり新電電の独占にすべきだという御意見があるやに伺っております。  そこで伺っておるわけですが、その論拠は、先ほど私が申し上げましたように、新電電と第二電電で、新規参入があって競争が起きた。新規参入ができるのは幹線のみ、それも東京−大阪というような頻度の非常に高い幹線に第二電電が参入してくる。そうしますと、新電電としては対抗して、先ほどおっしゃられたように今までとある程度違った料金、安い料金を設定しなければならない。それが市内通話の赤字を助長し、市内通話の料金引き上げにつながっていく、こういうことでございました。私は必ずしもそういうふうに考えていないわけですけれども、今のお話で大体わかりました。  それでもう一点お尋ねしますが、この回線の利用として、電話的使用と電話以外の使用の区別がつくのかどうか。これは郵政省に伺いたいと思います。
  109. 小山森也

    ○小山政府委員 今後の問題になりますとなかなか明確にお答えしかねるのですが、現状でございますと、電電公社の収入の区分が電話収入であるとかデータ通信収入であるとか、そういったとり方をしておりますので、電話とそれ以外というのはわかるのではないかと思っております。  ただ、今後の問題でございますけれども先生つとに御存じだと思いますが、今、世の中の電気通信統合時代を迎えております。今のように電話のネットワーク、電報のネットワーク、ファクシミリネットワークというようなことで別々にネットワークが組まれて回線網があるということではなしに、一つのネットワークの中に電話であるとかファクシミリであるとかビデオテックス網であるとか、こういったものが全部統合化されてくるということになってまいります。そういたしますと、電話だけを取り出して、それは電話の通話をしてはいけないということはまず不可能な状態になってくることは今後の技術の動向として言えるのではないか、こう思っております。
  110. 市川雄一

    ○市川委員 次の問題に移りたいと思います。  新電電の料金政策、これは、民営移管、競争原理の導入という大転換、明治以来官業でやってきたものを民業に大転換する、しかも競争原理を導入する、非常に画期的な大事業だと思うのです。それが成功するかしないかは、ある意味では新電電の料金政策をどうするかということにかかってくるのではないかというふうに私は理解をしておるわけです。要するに、先ほどの話で言えば、幹線料金を高く設定すれば第二電電は参入がしやすくなる、安く設定すれば参入が非常に難しくなる、一例を挙げればそういうことだと思うのです。ですから、この料金をどう決めるかという問題、またそれをどういうプロセスで決めるのかという問題、これは非常に重要だと思うのです。もちろん、競争だけを追いかけて新電電の経営が成り立たないということでは困るし、新電電の体質改善も含めて経営が成り立つし、また同時に新規参入が成り立って、競争がそこに行われていくという、こういう状況がつくれなければこの改革は意味をなさないと思うのです。  そういう意味でこの料金の決め方が非常に重要だと思うのですが、今回の新法では、大臣の認可、こうなっておるわけですね。電気通信審議会の諮問ですか、を経て大臣が認可する、そういうことですか。まず確認をしたいと思います。
  111. 小山森也

    ○小山政府委員 御指摘のとおりに、これからの料金をどうするかということは、まさにこれからの電気通信をいかなる事業でもって、いかなる形で発展するかということと非常に密接な関係があろうかと思います。ただいま先生から御指摘がありましたとおりに、今までは料金というのは法定でございまして、国民の代表であります国会によって決めたということにおきまして、私どもとしてもそういった意味での国民的コンセンサスを得られた料金である、こう考えているわけでございます。これから先は確かにおっしゃられますとおりに大臣の認可事項でございます。そういたしますと、同様な形で国民の皆様方からの一つのコンセンサスを得ているのだと、いわゆる官僚の独善的な認可の料金でないというあかしをしなければいけないと思っております。そのためにも、いろいろな役目を果たしている有識者の方にお集まりをいただいております電気通信審議会に諮問をいたしまして、この間、国会で御審議いただくのと同様の形で国民各層の御意見が反映し、その反映されたものをもって政府で行われますところの認可に反映していかなければいけないのではないか、こう思っております。
  112. 市川雄一

    ○市川委員 そこで、電気通信審議会、これは新法で言う料金を検討するにふさわしいメンバーで構成されていますか、どうですか。
  113. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま私ども考えといたしましては、適切な方々にお集まりいただいているのではないかと思っております。
  114. 市川雄一

    ○市川委員 今の電気通信審議会と、今度は新法に移行した後の料金の諮問をする場合と、これはメンバーの適正という問題はどうなんですか。全く疑問の余地はないのですか。今まで果たしてきた役割とちょっと変わってくるのではないですか、この電通審の役割が。ですから、局長がさっきおっしゃったように、国会で議論するかわりに電通審で議論していただく、そこで、言ってみれば国民的なコンセンサスを得られるような料金を検討するということですから、かなり重要な役割を果たすわけですね。もちろん、今までもそれなりの、電気通信政策の策定とかそういうことをやってこられたのだと思いますが、この電通審の果たす役割がちょっと変わってくると思うのです。変わってきてメンバーは同じというのはちょっと理解しにくいのですが、その辺はどう考えているのですか。
  115. 小山森也

    ○小山政府委員 現状でまず御説明申し上げますけれども、ただいまも夜間料金の割引制度、これは認可料金になっておりますが、これについて電気通信審議会で御審議いただいているということ、それから日曜祭日の割引あるいは専用料金の決定というようなものも電気通信審議会の御審議を経てやっております。  ただしかし、今はそういった意味での良好な形で御審議をいただき適切な御判断をいただいていると私ども信じておりますけれども、これからの役割においても全くそういった固定的な観念は外さないというわけではございません。これからもより重要な役目を果たすわけでございますから、メンバーの方たちがそれに適しているかどうかについての、私たち審議をいただく立場からもそういった検討は常にしていかなければならないのではないか、こう思っております。
  116. 市川雄一

    ○市川委員 今まで国会という場所で議論されて、それなりにガラス張りの議論が展開されたと思うのです。今度は電通審へ諮問して大臣が認可する。これは大臣に伺いたいのですけれども、そうなってきますと、密室性という問題が起きてくると思うのですね。今までは国会で議論されていた、それが今度は国会の議論が抜ける。料金法定制の持ついい面と悪い面はよく承知しているつもりです。ですから、法定制そのものを外すことは必ずしもよくないとは思っておりませんが、しかしまた同時に、この料金政策というものが非常に重要であるという観点に立ちますと、密室性というものは打破しなければいけないと思うのですね。ある程度公開制、あるいは透明度をよくする、これが新法移行後の料金決定に当たって求められることではないかというふうに私は思いますが、大臣のお考えはどうですか。
  117. 奥田敬和

    奥田国務大臣 当然競争原理が働いて、料金はどんどん安くなっていくだろうという期待感を実は持っておるわけです。今度の新法においては大臣の料金認可ということになっておりますけれども、そういった意味合いでは、今言われたように密室性という形はもちろん排除しなければなりませんし、透明度の高い、また、今電通審だけの審議機関では不足ではないかというような形に受けとれたわけですけれども、そういった形での透明度を増し、国民に利益が還元される、新電電あるいは新規参入あるいは多彩な二種利用の業者も含めまして、ともかく利用者に還元されて安い料金体系の中で新しいニューメディアの花も開いてもらわなければ困るわけですから、そういった意味合いでは、密室性の排除にどういう手だてがあるか、また、国民代表の意見を広く聞くといってもある程度限度もありますから、そういった形の点も踏まえて、また先生の御意見等もしんしゃくして、お知恵を拝借したいな、決して当事者能力を発揮させようという一つの濶達な民営会社としての育成を願って、しかも競争によって高くするのではなくて、独占の弊を排して安くしていくという一つの基本方向ははっきりしているわけですけれども、今御指摘のような形でもし非常に大きな疑念、疑惑等々が持たれるとすると、これはまことに本意ではございませんので、そういう点はまた御審議の経過を踏まえてお知恵をかしていただきたいなと思っております。
  118. 市川雄一

    ○市川委員 例えば基礎データの公開ですね、先ほども議論がありましたけれども、市内料金が赤字だ赤字だ、こう言っているのですが、実際それでは会計上の収支区分がしっかりしていてというふうに常識的に考えて資料要求すると、それはない。第一そういう計算をやっていない。新聞には、市内料金が赤字です、遠距離料金で補てんしていますと、何か本当に常識化された形で出ている。しかし実際は、悪い言葉で言えばどんぶり勘定で、市内と市外の収支区分がない、これが実態だと私は思うのです。これからはそういうことは許されない。  それで、先ほど総裁も二年ぐらいのめどでとおっしゃっていましたが、そういう場合に、もちろん民間に移行されて経営上の一つの秘密かもしれません、価格をどうするかという問題は。けれども同時に新電電は、公共性という点においては今までとほとんど変わりないぐらいの公共性を持つわけですから、何らかのそういう料金決定の基礎データを批判にさらす、そしてその批判に十分耐えられる、こういうできる限りオープンな形の料金決定のあり方というものが望ましいというふうに考えておるわけですが、その点についてはどうですか。
  119. 小山森也

    ○小山政府委員 おっしゃるとおりの点、御指摘の点が今あろうかと思います。と申しますのは、もう先生十分御存じのことを繰り返して申し上げるようでございますけれども、今までは電電公社というものが一元的に独占で運営していたというところから、総括原価というものをもって総体的な収支というものを御説明する、それによって電電公社というのが順調に運営されるということがイコール国民の皆様方にとってもいいことだ、こういうことだったわけでございますが、それは独占体制の中でのみできた一つの手法であったろうと思います。これから先におきましてはやはり、今度は認可でございますので、認可の基準というものを明らかに国民の皆様方にわかるような形のものをつくり上げていくということが、政府にとって非常に重要なことであろう、こう思っております。
  120. 市川雄一

    ○市川委員 独占の中でできたことという弁明でしたが、しかしあえて反論しますと、独占であって総体で収益が上がればいいだろうという考えは、経営の合理化とか効率化に内部努力をしていないということにつながるわけですから、必ずしも私は納得しないわけです。  もう一点。今の基準、これは何か公開なさいますか。公表しますか、こういう基準だという形で。それとも内部でお持ちになってしまうのですか。何か出せるものは出す、そういう考え方ですか。
  121. 小山森也

    ○小山政府委員 これはできるだけの明らかな形に公開すべきだろうと思います。第一には料金全体の水準でございますけれども、能率的な経営のもとにおける適正な原価ということが明らかになるようでなければ、やはりこれは御納得いただけないのではないかと思いますし、それから個別の料金でございますけれども、これにつきましても料金の算出方法について利用者にとってわかりやすい率であるとか額であるとかというものを公表すべきであろうと思っております。無論その場合におきまして、総括的な水準の問題には、ただいままで余り明らかにされておりませんでした社会通念上公正妥当な利潤というものもやはり含むべきであろう。そうでなければ会社というものが成り立たないのではないかと思っておりまして、そういった意味の利潤というものも導入すべきであろうと思っております。
  122. 市川雄一

    ○市川委員 わかりました・  それから認可対象となる料金の種類は、どんな種類があるのですか。
  123. 小山森也

    ○小山政府委員 重要な料金を郵政省令で定めるということになっておりまして、郵政省令で細かい料金の方は認可にかけない方向で行いたいと思っております。この省令につきましてはまだ決めておりませんので、ここで細かく御報告申し上げるわけにはいかないのをまことに申しわけないと思っております。
  124. 市川雄一

    ○市川委員 その辺が問題なんですね。大ざっぱに言って、重要な料金というのは例えばこういう料金と、一つだけ挙げてください。
  125. 小山森也

    ○小山政府委員 例えば電話で申しますと基本料、ダイヤル通話料、設備料、公衆電話料というようなものでございますし、専用料金ですと設備料、回線料というようなもの、それからDDX網、これは大型のVANの一つでございますけれども、これにつきましても設備料、基本料、通信料といったものを考えております。これを認可の対象として考えておりまして、それ以外の細かい例えば転送電話とか「でんわばん」、いわゆる本来業務に附属するサービス、こういったものにつきましては認可の対象から外していいのではないか、こう考えております。
  126. 市川雄一

    ○市川委員 料金のことを伺ったので、これはすぐの問題にはならないだろうと思いますが、いわゆるアクセスチャージと言われている接続料金は検討されていますか。新聞等では、先ほどの議論の関連で申し上げますと、第二電電が幹線に参入して新電電が幹線料金を競争上安くした、市内通話料を財源として補てんできなくなる。したがって第二電電の市外から市内へのアクセス、接続料金を取ることによって対抗するということが言われておるわけですが、このアクセスチャージという問題については基本的にどういう考え方ですか。
  127. 小山森也

    ○小山政府委員 多数の事業者の中におきまして認可料金ということで料金が決められるわけでございますけれども、その認可に至る過程におきまして、競争原理の働くところには市場価格というのが形成されてまいります。したがいまして、そういった意味では料金は相対的に安くなっていくのではないかと思います。要は、そういうことによって低廉な料金という形で利用者に還元されるとは思います。そうしますと、通話、トラフィックがふえることによりましてアクセスチャージを新規参入者に課す必要はないかなと思いますけれども、ただこの問題は、料金問題全体のありようとか、それからそれぞれの事業体の財務の状況全般にわたって検討いたしませんとなかなか結論は出ない。しかし、さしあたっての見通しとしてはアクセスチャージというものは要らないのではないかなと考えておりますが、現時点において検討し尽くされてアクセスチャージは要らないとか要るとかということを申し上げる段階にないということでございます。
  128. 市川雄一

    ○市川委員 その場合、このアクセスチャージの還元方法といいますか、取る、取らないということは今決まってない。仮に新電電がアクセスチャージを取らない場合も取る場合も、生まれてくる問題が一つあると思うのです。それは、いわゆる市内通話網というのは国民皆さんが債券を買って営々として築いてきたもの、大げさな言い方をすれば国民的な資産という側面があると思うのです。そういうものを、民営に移管された新電電が特権的にアクセスチャージを取るという、取る場合はなぜ新電電が取る権利を持つのか、それを取った場合どういう形で国民に還元するのか、こういう問題が一つ。  それからもう一つは、取らない場合、第二電電という新規の民間会社が、債券購入によって築いてきた市内通話網を利用することによって自分が商売で収益を上げる。今申し上げた国民的資産というものをある企業の利益に利用させるということについてどう考えるのか、この辺のことについてはどうですか。郵政省としても恐らく検討されたと思いますが、どういう考え方か。
  129. 小山森也

    ○小山政府委員 アクセスチャージというものを課するということはどういうことを想定されるかと申しますと、アクセスチャージを取ることによりまして、現在出る市内料金の苦しい場面にその分を補てんしていくということだろうと思うのです。そういたしますと市内料金を低廉のままに抑えておくことができるということでございまして、アクセスチャージを取ることによりまして今の市内の電話網を構築した国民皆さん方に返還していくということになるのではないかと思います。  片方、今度は取らなかった場合はどうかということでございます。物の言いようにもなるのでございますけれども、市内回線網を構築したのは、確かにおっしゃるとおり加入者の拠出によって築き上げられたことは事実でございますけれども、また同時に、市外通話をすることができるのも市内回線網があるがゆえでございます。したがいまして、そういった市外通話を利用する立場の人も結局市内網の加入者ということで利用することになるわけでございまして、市内回線網の効率的な利用ということになりますれば、結果としては利用者の利益につながってくるのではないかと思っておりまして、いわゆる新規参入者の商売のためにのみ利用されたということではなしに、やはり構築した側の加入者側にも利益が返ってくるのではないかと思います。また、これは直接的にはなかなか申し上げにくいのですけれども、新規参入者の料金も郵政大臣の認可に係るわけでございます。したがいまして、不当な超過利潤ということは考えにくいのではないか、こう思っております。
  130. 市川雄一

    ○市川委員 ことほどさように、この法案をずっと読んでいきますとそこらじゅうで突き当たる問題は、要するに民営移管されても新電電はどこまでも公共性はぬぐい去れないということですね。ずっと公共性を持ち続けるということが一方に問題としてあるということでございます。  総裁に再度お伺いいたしたいと思います。  総裁、正直言いまして、電話業務、電話事業は新電電に独占させるという意見は、私の聞いた範囲では電電サイドに強い御意見としてあるやに聞いております。しかし、電話業務を新電電が独占するということは、先ほども話が出ておりましたけれども、これからの将来を考えた場合に、何が電話的使用で何が非電話的使用かということは非常に区別が難しい。恐らく技術的にそんな区別はつかなくなってしまう。そうなりますと、せっかく思い切ってVANの方の自由化を図ったのに、そっちの自由化の方まで不自由になってくるというおそれもあるし、市内通話が仮に赤字だとしても、総裁もおっしゃっておるようなグループ料金ですか、神奈川県を例に挙げますと、川崎と横浜は非常に近いのに市外通話になりますね。〇四五あるいは横浜からですと〇四四をかけないとかからない。東京二十三区内は非常に面積が大きいのですが同じ都内電話でかけられる。しかし、三多摩の方へ行きますと市外扱いになる。今の技術水準から見れば、東京全域を一本の市内区域あるいは神奈川県を含めて首都圏を一本の市内区域にすることはそう難しいことではないのではないか。そういう努力の中で新しい需要というものを掘り起こしていく。それだけがすべてではありませんが、そういうことも一つの市内通話の収益改善につながっていくのじゃないか、こんなことも考えるのですが、電話事業を新電電が独占で持ち続けるべきだというこの意見について、総裁は端的にどういうふうにお考えですか。
  131. 真藤恒

    ○真藤説明員 これから先のいろいろな技術の進歩、それに伴ういろいろな種類の新しいサービスの導入、またそれがこれから先の世の中のいろいろな動きに対して重大な影響を及ぼすということは、間違いない変化の傾向だというふうに私ども考えておりますが、そういうふうな状態の中で、何か一部門といえども新電電が独占したものを持っておるということは非常に大きな障害になるんじゃなかろうかというふうに考えております。やはり今の法案で出ておりますように、まずここでは、独占というのものは残さないで、それで不合理なことが出てこないように私どもがどう対応するか。どう法案が変わり、どう新規参入が入ってまいりましても、大部分の電気通信事業を私どもが当分の間担当しなければならないという形でございますので、この辺のところが私どもがどうこれから対処するのかということの非常に大きな問題だと思います。殊に、今の近距離あるいは市内通話ということをこれから新しい通信システムに対応するようにどう見直していくかということは、グループ料金制というものも国会から宿題をいただいておる状態でございますので、新しいメディアが入ってき、それを使う新しい社会の活動というものを加味しながら、今先生のおっしゃいますように、最低通話料金でかけられるところの範囲を広げながら合理化していくということも一つの考え方というふうに考えまして、その面からも今勉強をやっておりますが、何さま私どもの一番の欠陥は、さっき申しました通話の距離別あるいは通話の地域別の実際の通話量とそれに伴う料金の収入というものの科学的なデータがございませんので、これを急いで今整備いたしております。これがさっき申しましたように二年ぐらいしますと作動を開始いたしますので、その辺のデータをしっかり踏まえながら対処していくべきだ。ここで感じで事をやっては非常に大きな間違いを起こしますけれども、二年ぐらいの間には何とかそういうことができますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  132. 市川雄一

    ○市川委員 それでは問題を次に移したいと思います。  データ通信本部、今回の新法では分離ということにはなっておりませんが、六分割とかデータ通信本部の分割とか、いろいろ議論されたと思います。将来の方向として、データ通信本部の分離問題は、郵政省はどういうふうに考えておられるのですか。
  133. 小山森也

    ○小山政府委員 データ通信部門、特に設備サービス事業、これは完全に競争原理がきく部門でございます。したがいまして、公正な競争条件の整備、これがない場合におきましては非常に不合理な状況になろう、こう思っております。そういった意味では、新しい事業体から分離、独立させるということはこういった要請にこたえることでございまして、非常に明確な形での一つの手法であろうとは思います。  ただ問題は、そういった一つの非常に割り切った形ができるということと、現在現実に多数の御利用の皆様がいて、その方たちが現に電電公社のサービスを受けている、こういった場合において、現実的な処理というのを考えなければいけないんじゃないか。それから事業体の方から見ましても、これは一にかかって労務問題と非常に深くかかわってまいります。現にそこに従事している非常に多数の職員がいるわけでございます。そういたしますと、これは硬直的に法律事項というようなことで規定をいたしまして直ちにこれを分離するということよりも、むしろ新電電会社がいろいろな弾力的な経営ができ、そういった当事者能力を持ち、その当事者能力を持つ中において合理化の強いインセンティブを働かせるということで、電電、新電電が経営執行の問題としていろいろ判断していく、それを待つべきであろう、こう考えております。
  134. 市川雄一

    ○市川委員 たしか、五十七年七月三十日の臨調の第三次基本答申では、データ通信設備サービス部門の分離ということがうたわれていたと思うのです。電電は、経済学で言うガリバー型寡占になるおそれがあるわけですよね。ですからもっと身軽にしたらどうか、スリムにしたらどうか。データ通信本部というのは、ちょうど今おっしゃられたように競争原理が一番働くところですから、分割して、競争原理の働くところへ出して、もちろん身分の、年金等の問題は法案できちんと保障されておると思いますから、分離という方向は将来の課題としてはやはり考えなければならないのじゃないかと思いますが、答弁、変わりませんか。  それなら総裁の方の、電電の方の御意見を伺いたいのです。分離についてどういうお考えか。
  135. 児島仁

    ○児島説明員 お答え申し上げます。  臨調からいろいろな勧告をいただきましたときに、私どもとしましても、分離した場合一体どういうことになるのか、徹底的に勉強いたしました。その場合、一口にデータと申しましても、データ処理、あるいはデータと言いながら実は通信処理、非常に広い範囲のものがございます。  一方、私ども、今交換機をたくさん持ってございますけれども、新式の交換機といいますのはコンピューターそのものであるということであります。しかも、今INSということを言っておりますが、これはある意味では大型VAN、超複合VANというふうなものでございまして、現在言うところのいわゆるデータ部門を切り離すことが果たして通信とデータというものを離すことになるのかどうか、これは技術的に相当疑問がございます、率直に申し上げまして。そこのところは私ども非常に謙虚に検討させていただきましたが、なかなか難しいということが一つございます。  それから、私どものところで今データに携わっておりますのは、最近スリム化いたしまして大体九千名ぐらいおりますが、これらの者が扱っております国内におけるシェアといいますのは、民間各企業に比べると非常に小さい、数%しか占めておりません。したがって、臨調答申どおり分離するかどうかについてはさらに検討させていただいて、企業として、また国として一体どういうのが一番適当であるか、もう少し時間をかけさせていただいて真摯に検討したいというふうに考えております。
  136. 市川雄一

    ○市川委員 今ここでそれ以上お答えを求めても出ないでしょうから、それでよしといたしますが、ただ、意見が分かれていると思うのですね。言ってみれば、新電電は第一種と第二種の両方を持つわけですね。民間の新規参入のVAN業者に対してある意味では非常に強い立場を行使することになるのじゃないですか、第一種と第二種と両方持っているのですから。しかも、民間参入の方は全く技術的な成果、蓄積、教訓というものを持ってないわけですね。しかし電電の方は、データ通信本部は長い間の技術開発、技術研究の成果、蓄積、教訓というものを持っているわけです。しかも第一種とセットでなる。ですから、民間参入のVANとの競争を考えた場合には、これだけの大転換をしようというときですから今すぐというのは無理かもしれません、それはよくわかるのですが、将来の方向としてはやはり分離ということを考えるべきではないか、こういうふうに考えているわけですが、どうですか。今総裁が手を挙げられたから、総裁にひとつ伺いましょう。
  137. 真藤恒

    ○真藤説明員 今先生が御意見をお述べになったように私ども考えておりますが、今児島が申しましたように、今すぐというわけにはやりかねると思います。もちろん私どものデータ事業本部もいろいろな種類の仕事をやっておりますので、あれをごっそり全部というわけにはまいりませんで、やっております専門の技術ベースにいろいろ考えていかざるを得ないというふうに考えております。
  138. 市川雄一

    ○市川委員 そこで、電電というか郵政省というか、どっちにお答えいただくのが一番適切なのか、民間には、データ通信本部が今まで蓄積した技術、研究成果はやはり民間にある程度開放してほしい、こういう要望が強いわけですが、この点についてはどういうお考えですか。まず郵政省に伺いましょうか。
  139. 小山森也

    ○小山政府委員 今後の新電電株式会社は特別法によります特殊法人でございまして、当然国としての施策を遂行する責務を持っているわけでございまして、そういった意味におきまして、日本全体の電気通信の技術レベルをアップするための一つの責務というのはあろうかと存じます。したがいまして、できる限り蓄積されたそういった技術というものは広く公開して、日本全体の技術水準が上がるということにしていただくことが大事ではないかと思っております。
  140. 市川雄一

    ○市川委員 電電の方はどうですか。
  141. 児島仁

    ○児島説明員 ただいま郵政省側から御答弁ありましたように、公開をしていきたいと考えておりますが、その場合には適正な対価をいただきたいというふうに考えております。
  142. 市川雄一

    ○市川委員 民間ですから、ある程度やむを得ないと思います。  次に、外資規制の問題を伺いたいと思います。  第二種の方が特別二種と一般二種と分かれて、特別二種に最初外資の規制が入っておりました。あるいは外国政府の参入を外すというものもたしか入っていたと思います。これが国会に出された法案では外されておりますが、外した理由は何ですか。
  143. 小山森也

    ○小山政府委員 当初、特別第二種というのは不特定多数の方々に利用いただく第二種の電気通信事業ということでございまして、その影響するところは非常に大きいと考えまして、外国の通信業者に独占されてしまうことのないようにということも配慮いたしました。ただ、しかしそのときの配慮の中でも、そういったおそれのあるときには許可しないことができるということで、初めから許可しないとは書いてなかったわけでございます。そのような場合には許可しないことができるという想定だったわけなんでございます。  ただ、しかしながらいろいろ考えてみますと、そのような形で門戸を閉ざしておくのがいいか。逆に、競争原理を導入したということは、日本の電気通信が外国勢によって席巻されない限りは、むしろ競争原理のもとに切磋琢磨してお互いに外国勢とも渡り合って一つの発展を遂げていく方がいいのではないか。現実に電信電話公社のこれに対します技術力というもの等を見ましても、必ずしも外国勢に劣るものではない。それから、従来のこういった技術革新の道程といいますかプロセスを見てまいりますと、日本の電気通信メーカーといいますか、こういった方たちの技術対応力というのは世界一の対応力を持っているというような経緯を考えますと、むしろ内外無差別にして、それによって公正な競争を進めて、そのことによっても外国勢に日本の通信系統を奪われるということは決してないのではないかと考えまして、それならばむしろ競争原理を導入した形で市場価格というものを導入し、さらにその技術水準も高める方がいい、こういうような判断になったものでございます。
  144. 市川雄一

    ○市川委員 これは郵政省に聞くより通産省に聞いた方が本当はいいのでしょうけれども、いみじくもおっしゃったように、許可しないのじゃなくて、許可しないことができる、その程度の条項だったのですから、本来は残すべきだったのじゃないか、こういうふうに私は考えます。  実際問題、アメリカでも、これはもう皆さんの方が詳しいと思いますが、VANについては、一九七〇年代、FCCのいわゆる監視と保護のもとに置かれて、ATTとかIBMのVANへの参入を許さなかった、こういう時代がたしかあったと思うのです。いかがですか。
  145. 小山森也

    ○小山政府委員 お説のとおりでございます。
  146. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、アメリカでさえも、ATTとかIBMの力がVANに出てくるとVANが育たない、ATTやIBMの独占になっては困るということで、FCCが監視し保護した。いよいよそういう時代になったわけです。日本はまだVANが、アメリカに比べれば生まれ落ちた赤ちゃんみたいなものです。総体の技術は持っているのかもしれませんが、VANということに関してはまだそんなに経験がないわけですから、生まれ落ちた赤ちゃんがもう海千山千の者と闘わなければならない。ですから、永久に外資を規制しろということではなくて、アメリカでさえもやったくらいなんですから、少なくともVANが自由化されて民間のVANが一定の競争力を持つに至る年限くらいまでは外資の規制をする、これはだれが考えても当然の考え方ではないかと私は思うのです。そういう意味でこの点は非常に納得がいかない。そういう点について、郵政省はATTとかIBMに十分競争できる、対抗できる、こういうお考えですか。
  147. 小山森也

    ○小山政府委員 電電公社は、今までも現にVAN事業をやっていたわけでございます。ただ、これは通信法上民間に広く開放できないということでございましたけれども。したがいまして、電電公社におけるVAN業務という歴史は長いわけでございます。  それから、確かにIBMとかATTというものは、規模も非常に大きゅうございます。しかしながら、この事業も、昨年から初めてこれに参入することになったわけでございまして、そういった点からいきますと、大型VANということになりますとスタートの時点はそれほど変わってないのではないか。きめの細かい中小企業VANというものは別でございます。したがいまして、大きな形でのVANというものは、例えばAIS・NET一〇〇〇というのがありますし、INというようなネットもありますけれども、実はまだアメリカでも完成の段階に至ってないということを聞いております。したがいまして、経験のある電信電話公社の技術力をもっていたしますれば、必ずしもこれに対抗できないものではない、こう考えております。
  148. 市川雄一

    ○市川委員 これは予見の問題ですから、絶対的なものではないと思うのです。あくまでも予見ですよね。外国勢にやられるおそれもあるし、あるいは大丈夫だという予見の問題だと思うのです。ですから、少なくとも移行措置というものをとるべきだったのではないか、こう思うわけです。これは逓信委員会ではありませんから論争はあえて避けますけれども。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕  そこで伺いますが、VANは経験がなかったわけではない、電電でやってきたのだ、こうおっしゃいますが、電電の四兆円の収入のうち、VANの収入はたしか三千億くらいでしょう。ですから、そんなに大きな事業でやってきたわけではないのではないかと思うのです。そこでお伺いしますけれども、外国政府が特別二種をやりたい、こうなった場合に、政治体制のいかんを問わずこれはオーケーしますか。
  149. 小山森也

    ○小山政府委員 今回の法案では、それが登録事項として拒否できないものであるならば制度上はできるということでございます。
  150. 市川雄一

    ○市川委員 ここで特定の国の名前を挙げるのは差し控えたいと思いますが、政治体制のいかんを問わずということで伺ったわけですが、これも非常に問題を含んでいると思うのですね。それを指摘しておきたいと思います。  次に、特別二種と一般二種。外資の規制がついているときは特別二種と一般二種に分けた意味がかなり鮮明にあったと思うのですが、外資規制が外れてしまうと、なぜ特別二種と一般二種を分けなければならないのか、これが非常に理解に苦しむわけです。事業法の二十一条で言う「政令で定める基準を超える規模であるもの」、この「政令で定める基準」というのはどういう基準をお考えになっているのですか。
  151. 小山森也

    ○小山政府委員 まず種類の方でございますが、不特定多数であり、かつ全国的、基幹的なものが特別第二種としておりますし、回線数としましては千二百ビット換算で五百回線ということを一応想定しているわけでございます。
  152. 市川雄一

    ○市川委員 その五百回線の数え方ですが、例えば東京−大阪−福岡、幹線がありますね。東京に二百、大阪に二百、福岡に百持ったとします。五百の中にはその幹線も数えるのですか。
  153. 小山森也

    ○小山政府委員 一番わかりやすい御説明を申し上げますと、ただいま全銀ネットというのがございます。特定の銀行の名前を挙げるのもどうかと思いますので、ある市中銀行と申しますが、支店が二百あるというような場合に、このネットに入ったといたしますと、そのメーンになりますコンピューターが一回線になるわけでございまして、二百支店があるから二百の端末というわけではございません。現在、電電公社でやります全銀ネットは、不特定多数ではございませんから特別第二種にはならないのですが、特定の方のネットでございます。したがいまして、これも銀行一つ当たりが一回線というような勘定になってまいります。ですから、端末回線一回線となりますと、支店を四百持っているものであっても一端末という換算になるわけでございます。
  154. 市川雄一

    ○市川委員 それは要するに幹線は数えないわけですね。計算には入れてないのですね。それを聞いているのです。
  155. 小山森也

    ○小山政府委員 幹線は数の中に入れておりません。
  156. 市川雄一

    ○市川委員 そうすると、要するに顧客の数ということですね。それとも違いますか。今の全銀ネットで言うと、一つの銀行単位ですから顧客の数ということになりませんか。
  157. 小山森也

    ○小山政府委員 必ずしもならないわけでございますけれども、大体準じております。私どもちょうど郵政省に勤めておりますから郵政省郵便貯金のネットを考えますと、あれのマスターになります地方貯金局というのは恐らく全国九カ所だったと思います。そうすると、一つの加入者であるけれども九つの回線を持つという形になろうかと思います。
  158. 市川雄一

    ○市川委員 なぜ五百なんですか。五百回線という数に何か合理的、具体的な根拠があるのですか。
  159. 小山森也

    ○小山政府委員 全国的な規模であり、かつ、いつでも加入できるというようなことでございますと、余り低くいたしますと、特別第二種による規制が強くなり過ぎる、さりとて全国的な意味での第一種に次ぐような影響力を持つものについて何もスケールの小さいVANと同じようにしておくことも第二種として均衡を欠くというところから、五百というところにめどを置いたところでございます。
  160. 市川雄一

    ○市川委員 三十四条で「正当な理由」ということを言っております。例えば今までですと山間僻地でも電話を引いてほしいという場合は、これは引かなければならなかったと思うのですが、もし民営に移管して新電電になった場合、コスト主義というか経済原則というか、そういうもので働いて、コストに合わない、ですから拒否します、これは正当な理由になる、こういうことなんですか。非常に不便なところに家を建てた、電話を引いてほしい、しかしそれはコストに合わないからだめだ、そういうことも正当な理由になるのかどうか、その辺の考え方はどうですか。
  161. 小山森也

    ○小山政府委員 第一種事業者は、事業に参入する場合にその条件といたしまして、提供地域というものを初めから決めてまいります。そういった場合におきましては、第一種事業者が、業務区域内で役務の提供を申し込んだ場合においては提供を承諾しなければならない、こういうことでございます。
  162. 市川雄一

    ○市川委員 今やっている一〇四番とか一一〇番とか一一九番あるいは福祉電話とか、こういうものの扱いはどうなるのですか。
  163. 小山森也

    ○小山政府委員 御質問の趣旨、今電電公社でやっているサービスはどうかということで理解いたしますと、それは引き続いてやるということでございます。新電電が業務を続行するということでございます。
  164. 市川雄一

    ○市川委員 第一種の民間の新規参入のことなんですが、幹線に参入するということを仮に考えたとしても、新しく土地を買い、光ファイバーなり何なりを敷設する。土地を買うということは非常に不可能で、恐らく借りるということになるんだろうと思いますが、それにしてもかなり大きな資本力を必要とすると思うのです。そういうことから考えますと、今新聞紙上で言われている道路公団とか国鉄とか東京電力とか、既にそういう敷地を持っているところ、あるいは回線を持っているところ、そういうところの敷地なり何なりの提供を受けて始める。それにしても非常に大きな資本力が必要になる。したがって先着順というか、公共的なところが先着順で決まってしまうのではないのか、こういうことも言えなくはないと思うのですが、その辺についてのお考えはどうですか。  それから、例えば東京−大阪というものに問題を限った場合、これは何社も認めるわけじゃないんでしょう。東京−大阪に新規参入で第一種でやりたいと言ってきた場合に、これはこの法案で言う設備の過剰というところに引っかかってくるのかなと読んでいたのですが、何社でもオーケーということじゃないんですね。その辺はどうですか。
  165. 小山森也

    ○小山政府委員 新規参入がどういうところから入ってくるだろうかという最初の御質問でございますけれども、これは諸外国と申しましてもイギリスにしか例がないのでございますけれども、イギリスの例を見ましてもやはり鉄道沿線というものを利用してやっているというようなことでございまして、鉄道とか高速道路の沿線に光ファイバーを建設していくというのは一番入りやすい参入の仕方だろうと思います。ただ、無論これから宇宙開発政策もいろいろ関係いたしますけれども通信衛星というようなものになりますと、これはそういった既存の土地とかということと必ずしも一致してこなくなるのではないか、またサービスの内容も、高速の広帯域専用サービスというようなことになるのではないかと思います。それから地域的なサービスにつきましては、CATVに双方向性を持たせたことによる地域的な新規参入というものも一応想定されるわけでございます。  それでは、後段の何社にでも認めるかということでございます。問題は、一番のこういった公共事業での焦点は、結果論といたしまして利用者側の負担というものが高い値段にならないということがいつも考えられなければならない。そういたしますと、転用不可能な過大な設備をして結果的に利用者の負担につながるということは避けなければならないことだろうと思います。これは電気事業におきましてもガス事業におきましても同様の配慮がなされているわけでございます。そういった意味での新規参入というものに対する結果論としての加入者への負担というものは当然考えた形でこういったものは判断していかなければならないのじゃないかと思っております。
  166. 市川雄一

    ○市川委員 そうなるとやはり先着順という感じになるわけです。ここに問題が一つあると思うのですが、残り時間がありませんので、三十七条に、こういうときは大臣が「業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。」こうなっているのです。その中で一番最後のところ、これは日本語として非常にわかりづらい難解な文章なのですが、「第二種電気通信事業の経営によりこれと電気通信役務に係る需要を共通とする第一種電気通信事業の当該需要に係る電気通信回線設備の保持が経営上困難となるため公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、当該第二種電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。」ここなのです。これはどういう意味ですか。平たく簡単に言ってくれますか。
  167. 小山森也

    ○小山政府委員 一番典型的な例が、専用回線を借りまして電話だけのサービスを割安にするということでございます。例えば東京−大阪間に専用回線を借りますと、専用料というものは非常に安いわけでございます。それを借りまして特定のお客さんに電話だけのリセールをするというような場合におきまして、それが第一種電気通信事業者の事業に、全体の収益とか全体の支出に影響がない場合はどうということはないのでございますけれども、これが経営そのものにまで影響を与えて、実態上として電話設備を施したものは赤字であるけれども、借りた方だけが栄えていくというような場合を想定している場合でございます。
  168. 市川雄一

    ○市川委員 そういうふうに理解したのですが、第一種の事業者が回線役務を提供する、それを受けて第二種の人がいろいろなことをやるわけですね。VANをやるあるいは電話業務をやるかもしれない。せっかくこれから競争原理を導入してやろうというのに、言ってみればガリバー型寡占、新電電は非常に強いわけですよ。後生まれてくる新規参入の第一種にしたって、幹線部門の参入しかできない。市内通信網は全然持ってないし、持ちようがないし、またVANにしたってこれから生まれてくるわけですから。せっかく競争原理を導入してやろうというのに、弱い方が知恵を働かしてもうけたら、もうけた方を褒めるのじゃなくて強い第一種の新電電の方を要するに守ってやろう、こういうふうにも受け取れるわけです。競争をやる前から負けそうだ、負けた場合困るから、ここは大臣の力にすがって何とかやってもらおう、この箇所がこういうふうにも読めてならないわけです。  そうすると、せっかく第二種の人が知恵と才覚を使って競争原理を働かしてやろうというので、新電電を脅かしはしないでしょうけれども、新電電に競争の刺激を与えようとして頑張った、頑張って褒められていいのにちょっと待てよという形で頭をたたいてしまう、そういうことが果たしてどうなのかという疑問を持つわけですが、どうですか。
  169. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまの先生の御質問の前提になりますところの新電電でございますけれども、新電電がこのような状態になるということは法的には一応想定はいたしておりますけれども、実際問題としてはあり得ないことではないかと思っております。ただしかし、これは第一種電気通信事業でございますので、新たに参入した第一種電気通信事業者がその回線をほとんど第二種の方によって脅かされるということはあり得ることであろうと思います。したがいまして、これは新電電会社だけを想定したものではないということを御理解いただきたいと思います。
  170. 市川雄一

    ○市川委員 もちろん新電電だけを想定したものではないのですが、しかし、新電電を想定して入れたというのが本音じゃないですか。新規参入の業者は恐らく自分で両方やってしまうのではないかと思うのです、そんなおっしゃったような専用回線の問題は。
  171. 小山森也

    ○小山政府委員 新電電だけを想定したものじゃございませんということで理解いただきたいと思います。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 市川雄一

    ○市川委員 この問題はそうだとは言えないと思いますね。  次に、大きな問題として株の問題があると思うのです。スタートの時点は政府が一〇〇%出資する、行く行くはこの株を公開する。この辺の株の公開という問題は非常に重要な問題だと思うわけです。新聞紙上では、売り出したらすぐプレミアムがついて四十倍の価格に上がるのじゃないかと言われているわけですが、新電電、民間移管されたにせよ、長い間国民的な協力のもとにできたもの、したがって先ほど申し上げましたように公共性というものがどこまでいってもつきまとう。国民が債券を買って電話網をつくってきた、そういう意味では国民的な資産。それが民間に移されて株が公開されて、何か特定の人が株の売買で利益を得るような形の売買は絶対あってはならないことであると思う。そういう意味でこの株の公開は非常に重要だと思います。  どういう基準で株を公開していくのか、あるいは特定の、相手を公共的なものに限定していくのか、それともそうでなくて一定の条件のもとにオープンでやっていこうとしているのか、その辺はどうですか。今ここですぐ細かいことまで答えろといっても無理だろうと思いますが、大枠の考え方として株の公開という問題についてどういう基本的な考え方を持っておられるのか、伺いたいと思います。
  173. 小山森也

    ○小山政府委員 電電の株が政府保有になるメカニズムでございますけれども、これはまず電電公社が新電電に現物出資をいたします。それで株券を電電公社が受け取るわけでございますが、同時に電電公社はそれによって消滅してしまうわけでございまして、この株券が政府に所属してくる、こういうことでございます。  それではこの株をどうやって公開していくかということでございますが、まず形式論といたしましては、国会の御承認を得なければ公開できないという前提がまずございます。それでは具体的にどうやっていくかということでございますけれども、はっきり言ってまだ決まっておりません。決まっておりませんので申し上げるわけにいかない。ということは、申し上げる段階になっていないということをおわびしなければいけないわけでございますけれども、ただ問題といたしましては、一般会計の赤字を補てんするために民営化を行うものじゃないんだというようなことの御意見とか、それから先生指摘のように、資産形成の経緯にかんがみますと、株式売却利益の収入というのは今までの資産形成にいろいろ寄与あったところにも使われるべきであろうというような御意見というものは非常に有力な御意見として、これからのいろいろな関係各方面との接触には力を入れていきたい、こう思っております。
  174. 市川雄一

    ○市川委員 大臣、時間があれば今度は許認可の問題をちょっと具体的にやりたかったのですが、冒頭に申し上げましたように、余り許認可を持ちますと民営移管した意味がなくなってしまう、新電電の活力をそいでしまう。しかしまた同時に、新規参入の人たちが育つまではある程度チェックをしないと、これは巨人ですから、巨人をチェックしないと競争が成り立たない。こういうバランスの上に成り立っている問題というふうには理解しておりますが、しかし許認可がかなり多いですよね。許認可が多いということは、それだけ郵政省の新電電に対する影響力というものは非常に強いと思うのです。そこからいわゆるKDD事件のような癒着あるいは天下りというような問題が起きてくるのではないか、こういう危惧を実は強く持つわけでございます。  したがいまして、郵政省の幹部の方々の新電電への天下りという問題はどう考えておられるのか、何か厳しい基準をきちんとおつくりになってやっていかれるのか。いわゆる公正な競争原理を育てなければならない、育てるためには、郵政省は言ってみれば第三者的な立場で、ある場合は新電電をしかり、ある場合は民間参入者を抑えつつそういう公正な行司役を果たさなければならないと思うのですが、その郵政省が天下りで新電電に面倒を見てもらっているというような格好になったのでは本当の意味での公正な行政は確保できないのではないか、あるいはそれが高じてKDD事件というようなああいうことを引き起こさないとも限らないのではないか、こういう危惧を持つわけですが、この天下りという問題について、大臣、何かお考えはございますか。
  175. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今度の電電の民営化という形の基本的な方向は、ともかく新しいコンピューター技術なり通信技術の一大革新によってまさにメディア利用の多彩な、そういった時代の入り口に立っておる。こういう時代になってきめの細かいサービスを利用者に還元するためには、今のような一元体制ではとてもそういった細かいサービス面は行き届かないだろう。はっきり言うと、今までの十車線や二十車線程度の道路から、ディジタルケーブルと申しますか、そういった形の技術普及によって一遍に何千、何万車線というような巨大な回線網を持つわけですから、それはやはり利用する人がうんと出てもらわなければいかぬ。そういった意味合いでは、まさに新しいメディアの時代を迎えた画期的な改革法案だろうと思います。  特に、御指摘のように、活力を保持してもらって競争原理の中で国民に低廉な、しかも良質なサービスをやってもらわなければいかぬときに、役人の古手のたまり場みたいに新電電の会社がなったら、これこそ国民の指弾もさることながら、とても許されることではございません。したがって、そういった意味合いにおいて従来言われておるような新しい競争原理に耐え抜く会社になってほしいという願いを込めての今度の法案、それが新しい会社にいわゆる天下りというような形で先生方の御指弾を受けることがないように私も十分注意してまいりたいと思っております。
  176. 市川雄一

    ○市川委員 何か郵政省として内規というのですか、公にできるものを持たないと、行く行くは天下りというのは起きてくるのじゃないですか。天下りそのものが絶対悪だとは思っておりません。それなりに優秀な方が官僚でいらっしゃるわけですから、その優秀な頭脳を民間で生かそうというのはわかるのですけれども、ただ今回の法案で郵政省と新電電という関係考えますと、これは天下りが起きると非常に悪い関係になってしまうのじゃないか。ですから郵政省は厳しく自己規制をしなければいけないのじゃないか。そうしないと、みずから公平な審判役を放棄することになると私は思う。そういう意味で何か具体的な基準をつくるべきだというふうに思いますが、大臣、もう一度御答弁いただけますか。
  177. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは後で議事録にも残ることでございますけれども、今言われたように天下りが全部悪だというような了見は持っておりません。ただ、むしろ新電電の場合人材も豊富ですし、しかもこれからの技術力の蓄積度も含めて恐らく世界に誇るべき大企業だ、超巨大企業だと私は思います。しかし、むしろ郵政省の人材が生かされるならば、この新電電に対抗でき得るような会社のところに行って、競争原理とその活力をうんと生かすというような人材の新しい活用面に、そういった形で合意が得られるというときには天下りも必ずしも悪ではなかろうと思っております。しかし、民営化された新電電は人材は技術面とも多士済々で、そうそう郵政省からの天下りというのは必要はないと私は思っております。
  178. 市川雄一

    ○市川委員 民営の方も何かと郵政省と許認可等でかかわるわけですから、趣旨はよくわかるのですけれども、少なくとも本当はFCCみたいな行司役が本来いた方がいいんですよね。中立的な第三者による独立の行政機関で競争原理が本当に働いているのかどうかということを国民的な立場でチェックする、それを郵政省は兼ねてやろうということですから、やはり自分みずからを厳しく律しなければうまくいかないのじゃないか、このことを申し上げておきたいと思います。  それから、この法案を読んでいて出てない問題なんですが、前に共同使用とか他人使用とか非常に面倒くさい規定がございましたよね。例えば共同使用でいうと、業務上の緊密な連絡があるとか資本の出資関係がどういう関係であるとか、メッセージスイッチングはだめだとか、いろいろな規定があったわけですけれども、かつて言われたような共同使用とか他人使用というのは今回の法案で全部自由、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  179. 小山森也

    ○小山政府委員 そのように御理解いただいて結構でございます。
  180. 市川雄一

    ○市川委員 それでは大臣に先ほどの件もう一度お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  181. 奥田敬和

    奥田国務大臣 公平な第三者機関として公正な通信行政を推進していくという基本原点に立って処理いたしたいと思います。
  182. 片岡清一

    片岡委員長 和田一仁君。
  183. 和田一仁

    ○和田(一)委員 郵政省の設置法改正の具体的な質問に入ります前に、私も、けさ新聞に出ておりました実用放送衛星ゆり二号a、これがどうも予定どおり電波を出せないという報道がございまして、これについて先に御質問させていただきたいと思います。  このゆり二号aですが、国民はこの十二日から実用放送が開始される、こういう期待を持って眺めておりましたし、待っておったし、また同時に、これが実際にこれからの新しい高品位放送であるとかその他の新しい放送媒体として非常に大きく活躍する、こういう期待を持っておったにもかかわらず、この衛星放送がどうも思うようにいかないでわずか一系統だけの放送に終わる、こういうような報道でございます。これについて、新聞に大方は出ておりますけれども、それ以外のことがありましたらまずお教えいただきたいと思います。
  184. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  ゆり二号aにつきましては、昨日新聞発表いたしまして本日の新聞記事に出ているところでございますけれども、御指摘のように、三系統ございました中継器のうち一つの系統は三月の末以来調子が悪かったわけでございますけれども、この五月三日にR系統と我々称しておりますものにつきましてもふぐあいが生じてまいったわけでございます。最初に生じましたA系統のものと今回生じましたR系統のものは、異常の出てきております現象においては相違がございます。しかしながら、いずれにつきましても我々関係者、原因究明に全力を挙げておりますが、今の段階では何が原因がということを究明するに至っていないという状況でございます。したがいまして、三系統のうちの一系統を使いまして放送する予定でございましたけれども、五月十二日の実用放送の段階では一系統による放送しかできないというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、この原因の究明に全力を挙げますと同時に、不調になっておりますものにつきましても、何とか回復の努力をということで関係機関ともども協議をいたしているところでございます。
  185. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この衛星は宇宙開発事業団の打ち上げであると思いますが、これをNHKが引き渡しを受けた時点では、さっきの御答弁では四月二十一日というふうに伺いましたけれども、このときにはもう既に一系統はおかしい、こういうことであったわけですか。
  186. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 宇宙開発事業団からの引き渡しは御指摘のように四月二十一日でございます。そのときには一つの系統、A系統と称しておりますものにふぐあいが発生していた状況でございました。  なお、昨日発表いたしましたものにつきましては、五月三日にそういう異常な現象が生じたということでございます。
  187. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、試験放送をやろうということに変わってしまったわけですけれども、残っているのはB系統ですか、これの信頼性というものはあるのでしょうか。
  188. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私ども、宇宙関係のことにつきましてはこれまでも、特に放送衛星につきましては世界で初めての実用放送であるということで、十分慎重な対応、検討をしてまいったつもりでございます。郵政省といたしましても特に宇宙開発事業団の開発努力に大きな期待をいたしていたところでございますけれども、その中で今回こういう事態が生じたわけでございますが、先ほど申しましたように、残ります系統は我々B系統と称しておりますものでございますけれども、これはA系統あるいはR系統に生じましたような状況は現在出ておりませんし、これからも出ないだろうということを私どもは強く期待をしているところでございます。
  189. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは、いわゆる星の中継器の故障のようですね。片方は、A系統の方はヒューズが非常に敏感に作用する、砕けて言えばそういう故障のようだ、それからR系統の方は、電源が入るけれども、その電源が入ったためにどうも過剰に流れて正常な電波を出せない、こういうようなんですが、B系統というのはそういったAやRの原因とは全然違うシステムになっているのですか。
  190. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 中継器といたしましての機能は全く同じでございます。A、B、Rという名称はつけてございますけれども、いずれも機能は同じということで、ただ搭載をいたしますにつきましても十分テストを重ねた上で搭載をし、打ち上げをし、そしてまたその打ち上げした状態の中で、静止軌道に乗りましてからもテストを続けていたということでございます。そしてそのテストの中でA系統とR系統に御存じのようなふぐあいが生じたわけでございますけれども、B系統につきましては現在全くそういう現象は生じていないということでございます。
  191. 和田一仁

    ○和田(一)委員 このサテライトの故障を起こした中継器というのは国産品ではないですね。これはアメリカの、GE、ゼネラル・エレクトリック社の製品ですか。
  192. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 トランスポンダー、中継器と称しておりますものは、ゼネラル・エレクトリック社のものでございます。それからその中にございます進行波管といわれる部分につきましては、フランスのトムソン社製のものでございます。
  193. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そういった二つの会社のものが合わさって中継器ができているのだと思うのですけれども、三つあるA、B、R、全部同じ会社の製品で、Aの方はこっちが壊れた、Rの方はこっちが壊れた、残っているBも同じような中身であったとするならば、両方一緒に壊れる可能性を含めて、また故障が起きるというようなこともこれは十分あるわけですね。
  194. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 その可能性が全くないという断言はいたしがたいわけでございますけれども、逆に、必ずそういう状態になるということでもございません。私どもといたしましては、先ほど申しましたように十分なテストを繰り返した上での搭載ということでございますので、Bについては現在の状況がこのまま正常に継続していくものというふうに現在の段階では信じているところでございます。
  195. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私もそう期待したいわけですけれども、私はNHKも大変困ってしまったのではないかと思うんですね。もう悲鳴を上げているようです。これは、保険はどうなっているのですか。  それからもう一つ、これはたしか六百億ぐらいかけて、そのうち六割ぐらいをNHKが負担をしてということですが、2bを、やはり全く同じ機種のものを予備機として上げる予定になっておりますね。その2bは、同じものを上げるとすれば同じような故障がまた起きる可能性が十分あるわけなんですけれども、これの打ち上げについてはどんなふうな計画であるのか。  それについて、早く打ち上げなければ、一号がだめなんだから早く予備機を働かせるというのが本来なのですが、それができるのかできないのか、時期はどうなるのか、その辺も伺いたいと思います。
  196. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 まず保険の関係でございますけれども、打ち上げ保険というものがございます。これは打ち上げ時から九十日間ということで保険の対象にいたしたわけでございますが、それが四月二十一日まででございました。その後、寿命保険というものが考えられるわけでございますけれども、この打ち上げ状態の中で先ほど申しましたA系統に支障が生じたということで、NHKにおいてその寿命保険の方の話し合いをしているさなかに今回の故障が生じてきたということでございまして、寿命保険の方については、打ち上げ保険が九十日で切れておりますが、その後寿命保険の方は掛けられていないということでございます。  それから2bの方でございますけれども、これは来年夏季に打ち上げる予定にいたしてございますが、これは現在上がっております2aの軌道上の予備機ということで打ち上げを予定いたしております。ここに搭載いたします機器につきましては2aと同じものを予定しているわけでございますが、今回のこういったふぐあいが生じてまいりました点に関しまして、先ほど申しましたようにまだ究明されておりませんけれども、原因をできるだけ速やかに、かつ確実に把握をするということで、この2bについてもそういった同じようなふぐあいが生じないような態勢の中で打ち上げをしていかなければいけないものというふうに考えております。  2aの方が調子が悪いということで早くするかという点につきましては、今申しましたように2aの方の原因究明をした上でできるだけ予定の時期に打ち上げをしてもらいたい、このように考えているところでございます。
  197. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうすると、今のお話ですと、打ち上げ保険の方は切れてしまっているわけですね。そして、寿命保険の方は掛けてなかったということになりますね。そうすれば、これは大変高いものについておるわけですが、2bについては、これは絶対にそんなことのないように、引き渡しを受けるときにやはりその辺は——お話によると、一系統おかしかったということがこのときに既にわかっていながら寿命保険の方も掛けておかないということは、私は、余り周到なあれではなかった、こう思うわけなのですが、b打ち上げのときにはそういうことのないような指導をひとつしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  198. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 2bにつきましては、今のところまだ保険契約をどのようにするかということにつきまして決められていないわけでございますが、何にいたしましても、保険を必要とするような事態にならないということがまず先決だろうということでございまして、私ども、先ほど申し上げましたように、今回起こりましたR系統、そしてA系統につきましても、どの程度の回復性があるかは別といたしまして、何とか回復できないものかということで、二つの系統につきましての宇宙開発事業団を中心といたします回復努力というものに期待をいたしているというところでございます。
  199. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大変な費用をかけて上げておりますので、回復できるものならぜひひとつ回復させた上で所期の目的を果たしていただきたいものだと思います。  今サテライトの話が出ましたので、ちょっと関連してお尋ねしたいのですけれども、新しいメディアがこれからどんどん発展していく中で第二電電等の新規参入ということが考えられるような状態になってまいりましたけれども、そういう中でいろいろな手段があろうと思うのですが、今新聞等に、民間の経団連等を中心にして実用通信衛星を購入して、これはもう日本では上げられないので、アメリカ等のものを買って、そして打ち上げをして、それによって新しい通信メディアに新規参入していく、そういう方がむしろ採算の上からも引き合うのではないか、そういうような報道がございます。  この通信衛星の輸入、日本ではまだ三百五十キロ以上の衛星打ち上げ能力はありませんけれども、そういうものを待っていたのでは七年、八年かかってしまって、これから非常に激化していく新しい通信のメディアの中で立ちおくれてしまう、むしろ買ってでも通信衛星を上げた方がいいという考えがあるようでございますけれども、それに対して郵政省はどのようにお考えか、お聞きしておきたいと思います。
  200. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ごろ政府が決定いたしました対外経済対策における通信衛星の取り扱いにつきましては、民間企業による外国の通信衛星の購入、そして電電公社が日本電信電話株式会社に移行した場合における通信衛星の購入といったことについて触れられているわけでございますが、まず民間企業による外国の通信衛星の購入につきましては、ただいま国会に提出中の電気通信事業法案等において、民間企業が電気通信事業を行うことが可能になっているということでございますので、これらの法案が成立をいたしました場合には、国内法令の手続に従って民間企業が通信衛星を購入し、電気通信事業を行うことも生じよう、これによって民間企業が外国の通信衛星を購入する道が開かれることとなる、このため必要と認められる措置を講ずることとするということになっております。  それから、日本電信電話公社が株式会社に移行した場合につきましては、我が国としましては衛星の自主技術開発を進める方針でございますけれども、この移行した場合につきましては、日本電信電話株式会社が需要者となる通信衛星については、宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、同会社の独自の判断による内外からの購入の道を開くこととする、こういうことになっているわけでございます。  郵政省といたしましては、今申し上げましたこの決定を踏まえて対処していく所存でございます。
  201. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、真藤総裁が、もしそういうような民間が衛星を買って打ち上げると言ってそれが成功した場合には、新電電になった際にそれを利用してもいいんだ、一緒に使わしてもらってもいいというような発言がございましたが、それもそのとおり受けとめてよろしいのですか。
  202. 真藤恒

    ○真藤説明員 今局長から御説明がありましたように、あの線に沿いまして私どもはいろいろ考えなければならぬわけでございますが、もしあの線に沿ってだれかがそういう計画をお立てになって、私どもにもぜひ参加してくれという御希望があれば、今の御説明の線に沿って考え得るんだということを言ったわけでございまして、積極的に私どもが現段階で宇宙衛星を独占的に購入するという考えは持っておりません。
  203. 和田一仁

    ○和田(一)委員 むしろ今、国としての宇宙開発のためにそれぞれ大変な御尽力をいただいているのではないかと思うのです。私は、通信衛星についても電電公社は相当の研究を負担されておられる、こう思うわけなんで、これからの宇宙時代を目の前にして、自主開発、みずからの技術を養成していくということは非常に大事なことであって、これは政府全体としても日本の科学技術の振興のためには自主開発を怠ってはならない、当然の姿勢であろうと思うのです。  そういう中で、今BSの「ゆり」の話でもですが、まだ国産化率三割というようなことでこんなにぐあいが悪くなっている。これから国産化率をどんどん高めて、サテライトをどんどん打ち上げられるようにしていく、そして通信衛星を本当に実用化していく、そういう技術開発をしていこう、そのため私は従来どおり電電は力を尽くしてほしいと思うわけです。そういう中で、同時にやはり競争社会の中でそういう新しい通信手段をみすみす先送りにしてしまうというのもこれは大変残念なことでありまして、私は、でき得るなら自主開発を一方では予定どおりどんどん進めながら、かつそういう既存の技術を有効適切に活用していく、そういうものを買うことによって逆に日本の自主開発の技術にプラスになるように、そういう方向でもってこの宇宙通信衛星であるとか、あるいは放送もそうですけれども、対処していっていただきたいな、こう思うわけなんで、その辺が方針として先ほどのお話ではどちらにもとれるような御答弁に感じたわけなんですが、大臣、この辺はどうでしょうか。
  204. 奥田敬和

    奥田国務大臣 通信衛星の方は、今CS2の方ですけれども、順調にやっておるわけです。今回の故障したのはBSでございますけれども、私は基本的には先生の御意見に全く賛成です。片方では自主開発をやはりいささかも怠ってはならぬと思います。  この間このニュースを聞いてから、ちょっと本当に遺憾と同時に、何とも情けない気持ちになったのは、がらんどうだけこちらでつくって国産化と言っていますけれども、肝心の心臓部は全部あちら製に、それに全く運命をかけたというような形と実態でございます。ですから、これからの衛星時代に自主開発の技術の養成努力はやらなければいかぬ。しかし他方、そういうことを言っていたら、これはまだまだ、ブラックボックスと称せられる中に入っている技術領域までに行くのには並み大抵のことではないと思います。したがって、そういった形は踏まえながらも、片方では、こういったニューメディア時代に、保険リスクも含めて完璧な体制で、やはり民間の衛星利用ということも当然考慮に入れて柔軟に対応していかなければいかぬじゃないか、そういうぐあいに考えております。
  205. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ちょっと、今大臣の御見解の中で、外側は国産で中身は向こうさん、外国製のものばかり、買ってもブラックボックスでというお話でしたが、これはブラックボックスですか。これはそうではないと思うのですが、ブラックボックスであるとすれば、さっきの通信衛星なんかは、依頼して上げるときその技術を分析して参考にするというわけにいかないかもしれませんが、ブラックボックスでないというふうに私は思っておりましたけれども、いかがでしょう。
  206. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いわゆるブラックボックスと言われる、相手側がその中身を知らさないというものではございません。その詳細のすべてについてまで承知をしているわけではございませんが、概要につきましては日本側でも把握をしているものでございます。
  207. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは主題の郵政省設置法に入っていきたいと思いますが、この法案の具体的な御質問を申し上げる前に、大臣、御提案になった郵政省設置法でございますけれども、これは第二臨調の答申を受けて政府の行革方針にのっとったものとして提案された法案だ、このように私は理解をいたしております。  そこで、この法案もですが、まず郵政というもの全体としての行革に対して、大臣は臨調答申をどのようにとらえておられるか、これにどのような対応をしていこうというお考えか、これをお聞きしたいと思うのです。特に郵政の場合は、郵便業務あるいは貯金、簡保、こういった事業を大きく三つ抱えておられる、そういう特殊な官庁であるだけに、郵政省全体としての行革に対する取り組みについてどのような基本的なお考えがあるのか、これからまずお伺いしたいと思います。
  208. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生御存じのように、郵政事業というのは大体が人力作業によるところが非常に多いわけでございます。郵政関連の職員数においても三十万を超えておるというような実態でございます。したがって、郵政行革ということになれば、できるだけ効率的な、しかも人員の配置の合理化も含めてやっていかなければいかぬわけでございますし、他方、民営との大変な競争分野も抱えておるわけでございます。したがって、もちろん機構の合理化もさることながら、まずオンラインなんかを含めての機器の整備による近代化ということにも全力を今挙げておるところでございます。  しかも、いろいろな民間分野との競合関係においては、これまた前垂れ精神と申しますか、こういった形でのサービスの充実という面も考えていかなければいかぬという面を持っております。一方では、そういった人力作業による部門のほかに、今度はニューメディアの分野の担当ということになりますと、これはまた、従来の有線とか無線という区割りだけではやっていけない、これらが混然と融合したような状態の中での通信政策というものも推進してまいらなければならぬということで、非常に問題の多い、しかも競争分野も含めて悩みも多い、現業官庁としての悩み、通信政策官庁としての悩み、こういった形に当面いたしておるわけでございます。今回お願いしている機構の改革というのはまさにその緒に、これは行革という面からいうと微々たる分野ではありますけれども、こういった形の効率化合理化の面を含めて、そういった大きな目標の中で行革精神に沿ってやってまいらなければならぬと思っておるところでございます。
  209. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは御提案の設置法の具体的な点についてお尋ねしたいわけですけれども、実は朝からの質疑でほとんど出尽くしておりまして、今の御答弁で私は質問をこれでやめても結構なほどでございますが、せっかくでございますから、ちょっとスタンスを変えて、若干同じようなことになるかもしれませんけれども、伺わせていただきたいと思います。  まず、地方ブロック機関統合ということで出てまいりました今回の改正ですが、これで終わりでしょうか。十一ブロックの統合になったわけでございます。あるいは貯金センター、計算センター、こういうものが若干整理されて出てまいりましたけれども、これで終わりなのか、これを段階としてまだ進めるのか、その辺をまずお聞きしたいと思います。
  210. 奥山雄材

    奥山政府委員 今回御提案申し上げております地方ブロック機関の再編成につきましては、先ほど大臣から御答弁ありましたように、臨調の精神を踏まえてことし一月二十五日に決定されました「行政改革に関する当面の実施方針について」の基本線に沿ったものでございます。  地方ブロック機関についての臨調の答申はこのほかにもございます。具体的に申し上げますと、臨調の答申では、郵政省のみならず他省庁におきましてもブロック機関については八の数をもって整序をするという基本方針がございますので、その点についての答申もございます。しかしながら、今回私ども郵政省設置法の一部改正案として御提案申し上げております地方貯金局地方簡易保険局郵政局への統合、これにつきましては、私どもはこれをもって臨調の最終答申に沿った措置を完了するものというふうに考えております。  それから、ただいま申し上げましたその他のブロック機関の設置数の整序の問題につきましては、一月二十五日の閣議決定におきまして、「地方電波監理局を全国八ブロック制とすることについて、引き続き検討を進め、昭和六十年度末を目途に具体的結論を得る。」ということでございます。この点は郵政省のみならず、大蔵省等地の類似のブロック機関の設置の適正化を抱えている省庁と同一歩調で取り組んでいるところでございます。
  211. 和田一仁

    ○和田(一)委員 最終的なものということでございましたから、これでやらない、これ以上は減らない。  それから、人員、予算についてはいかがでしょうか。
  212. 奥山雄材

    奥山政府委員 今回の法改正はことしの七月一日実施を目途としております。それで五十九年度の予算につきましては、これにかかわる予算措置は講じておりません。しかしながら、昭和六十年度以降になってまいりますと、具体的に統合化による予算措置並びに要員措置が出てまいります。いずれも、八月三十一日の概算要求までにそれらの予算上の歳出面並びに要員の縮減等について具体的な数字を固めるべく、現在鋭意検討中でございます。
  213. 和田一仁

    ○和田(一)委員 いま一つ、やはりこういう機構を改革した以上は、それが従来よりさらに効率がよく、あるいは利用者にとって何らかの利便につながる、サービスがよくなったというようなものが出てくるべきだと思いますが、今回のこの統合によってはそういった点ほどのようにいい影響が出てくるのか、どういう御判断でしょうか。
  214. 奥山雄材

    奥山政府委員 今回の統合を行いました結果的姿といたしまして、地方貯金局地方簡易保険局はいずれも貯金事務センター簡易保険事務センターという形になります。これらの事務センターにおける実質的な仕事は、いずれも国民の権利義務等にかかわる非常に重要な仕事でございますし、日常の為替貯金業務並びに簡易保険郵便年金業務にとって欠かせない業務でございますので、これらの仕事は在来どおりこれらのセンターにおいて行うことにしております。つまり、統合化によってお客様にサービスの低下をいささかも来すことのないようにする考えでございます。逆に、国民の皆様方にとってメリットは何かということでございますが、先ほど申し上げましたように、六十年度以降におきまして定員並びに経費についての削減措置を計上する予定でございます。  なお、一言付言させていただきますけれども地方貯金局及び地方簡易保険局におきましては、これまでも地方貯金局においては昭和四十五年から、保険局においては四十四年から、それぞれの局において総合オンライン化計画を精力的に進めてきておりまして、貯金局においては実に四千四百名、保険局においては二千名の減員をしております。それらの減員をして、ぜい肉として落とせるものは極力落として今日に至ったわけでございますが、それの最終的なフィニッシュラインといたしまして組織の統合ということを考えたわけでございます。つまり、地方貯金局及び簡易保険局の管理共通部門、具体的には大事なり会計なり資材なり経理なりといった部門を郵政局統合することによってそれらの事務処理が簡素化され、また事務処理要員が圧縮されることを期待した措置でございます。
  215. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは郵便事業についてお尋ねしていきたいと思います。  大臣、この郵便事業というものは、長い歴史の中で大変国民生活に密接不可分の通信手段として今日まで発達してきたものだと思うわけですが、先ほど私、冒頭にお伺いしましたように、政府は臨調答申を尊重するという行革全体に取り組む姿勢の中で、郵便業務そのものについて、大臣はこれは将来にわたって従来どおりいささかも変更はないものというお考えか、これも民間活力の導入ということがあり得るというふうにお考えか、まずその基本的なところでちょっとお伺いしたい。
  216. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵便は、心の触れ合いと申しますか、人と人とのコミュニケーションという形においては、もうどんなに新しい通信手段の分野になったとしてもこれは形に残り、心の触れ合いを大切にしていくという我々の慣習が続く限り、こういった郵便業務の必要性というものは大切にされこそすれ、いささかも劣るものではないと思っております。  現に、郵便の扱い量もわずかではございますけれども年々ここのところ増加の傾向にもございますし、またニューメディアのそういった先進国であるアメリカなりあるいはヨーロッパの諸国においても郵便の扱い量というものは増大しておる、個人当たりの形においては日本をはるかに凌駕しておるというような実態もございますので、私は、郵便業務といった公共的な性格を含むこの業務は、今日のような一元体制のもとで運営さるべきものであるという気持ちになっております。  ただ、かといって、今も御指摘がございましたけれども、そのことの存続が逆に国民のサービスの面においてマイナス作用を起こすような、はっきり言うと料金値上げに直結していくとか、親方日の丸氏の形の中で安易な料金体系によって国民に御迷惑をかけるというようなことは、最小限これは食いとめなければならぬ。そういう両面の基本姿勢に立って今後郵便業務を進めてまいりたいということでございます。
  217. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今のお話を踏まえて、郵便というものは確かにほかの通信手段と違って大変国民生活、社会生活に不可欠のものだと私は思うのであります。これが国民にとっては本当に迅速、安全、確実という基本精神の中で維持される、それに安くということを加えて実施されることはどうしてもやっていただかなければいかぬと思うわけです。  ところが、最近数年間の収入の伸びとそれからコストとの関係を見ますと、必ずしも収支はよくない。むしろ五十九年度の予算を見ると、これは単年度だけですけれどもマイナス百五十五億円の欠損だという数字が出ておりますけれども、こういうふうに収入の伸びとのアンバランスが一つの構造的なものになりつつあるのではないか。こういう点を考えると、大臣、このままだとまたまた料金値上げを近々やるのではないかという予測をどうしてもしがちでございますけれども、どうなんでしょうか、それを避けながらやる方途がおありかどうか。これはなかなか最初におっしゃったように手作業の多い事業ではありますけれども、その辺を踏まえながら、値上げにしないでこれをクリアしていくようなそういう方途がおありかどうかをお聞きしたいと思います。
  218. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに今年度の予算では残念ながら百五十五億の赤字を見込まざるを得ないという状態でございます。しかし、所あるごとに、良好な労使関係を維持しながら、この赤字は何としても阻止してできれば単年度赤字がない形でひとつ努力してほしいということで、この暑中見舞い時期を控えて、まあ単純な話ですけれども、販売運動にも全職員が協力して当たる、しかも、小包に関しましても民間宅送に負けないように、小型小包に関しても、システム化もさることながら、できるだけ利用をしていただく、ふるさと小包と申しますか、そういった形で大いに利用していただこうということで、PRにも含めて、大変努力してその実効的な効果も地域局によってはそろそろ出てまいっておることも事実でございます。したがって、今御指摘のような人力依存の多い仕事ではありますけれども、一つ一つの業務体系を点検しながら何とかしてこの今年度見込みの赤字というものも食いとめ、値上げをお願いしなければいかぬという状態を先行きあと二年でも三年でも延ばしていって御迷惑をかけないようにやっていこうという気持ちで、今取り組んでおるということでございます。  したがって、ことしのそういった努力、成果、これを見ながら、もちろん今年度はそういった値上げをお願いするような後退の姿勢ではなくて積極的な赤字解消の方向で取り組んでおりますし、また来年、再来年という態勢の中でも、良好な労使関係とあらゆるシステムの改善、こういった一体化努力によって、少しでも値上げを避けようということで全員努力してまいりたいというのが現在の心境でございます。
  219. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今、大臣の御答弁の中に民間の宅配との競争が激しいというお話もありました。私は、お聞きしたように、小包のようなものは非常に民間との競合が強くなってまいりまして、そういう意味では確かに郵便小包も努力をされてきていると思います。何せ利用者にしてみれば、赤い猫だろうが黒い猫だろうが、安くて早い猫がいい猫だということのようでございまして、赤い郵便自動車が運ぼうが、黒い、何か猫がくわえた自動車が運ぼうが、利用者にとっては迅速確実そして低廉ということがやはりニーズに合うと思うのです。だからそういう意味では、小包などについては非常にいい意味の競争が行われているのではないかと思うのです。今、大臣の御答弁の中にありましたように、ゆうパックですか、そういうようなものも工夫されて、今まで郵便局へ小包を持っていっても、いや、ひものかけ方がこれではだめだ、ここには荷札をこうくっつけろとか、せっかくこれでいいだろうと思って持っていった荷物が突っ返されて扱ってもらえないというような、非常に面倒くさいのが常でしたけれども、それが最近はぴちっとしたものがあって、それに入れさえすれば、もうあて名を書けばそれでいい、非常に工夫をされていると思うのです。  問題は郵便です。郵便はそういう競合はございませんね。したがって、我々一般の利用者の立場から見ても、定形外なんというものは物すごく高くつくような感じがするのですね。こういう点については私は、一部そういう民間との競争のあるところはいいですけれども、ないこういう部門についての工夫、努力がまだ十分でないような気がしておるわけなんですけれども、そういうこともぜひひとつ努力をしていただきたいと思います。  ことしは百五十五億の赤字は出さないように努力すると大臣は今おっしゃっていただいたし、少なくも二、三年は郵便料金の値上げはやらないでいけるようにというお話でしたが、ぜひこれは、ほかへの大きな影響も考えて、安易に郵便料金の値上げはしない御努力を続けていただきたいと私は思います。いま一度、ひとつ郵便料金について明確な御答弁をいただきたいと思います。
  220. 奥田敬和

    奥田国務大臣 もうあらゆる工夫と、そして今のいい意味の労使環境を維持しながら、赤字をできるだけ最小限に食いとめて、できれば黒字に持っていくというぐらいの積極姿勢で取り組む、しかも料金値上げ等々はもう先行き一年でも二年でも先に延ばす積極的な努力で御迷惑をおかけしないということでは……(和田(一)委員「さっき二年から三年とおっしゃった」と呼ぶ)できればここ二、三年の間というのはそういった形のお願いをしなくても済むような方向で努力をしてまいりたいということでございます。
  221. 和田一仁

    ○和田(一)委員 郵政業務の中でもいろいろ新しい分野を開発しながら努力されておるようですが、一つは電子メール、電子郵便というものについてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、これは今は国内電子メールのようですが、将来は国際電子メールとしてまで開発をしていく御予定でしょうか。
  222. 永岡茂治

    永岡政府委員 電子郵便につきましては、現在、実験サービスということで全国主要な、東京、大阪、名古屋等の五つの都市の十四の郵便局でサービスを提供しております。ことしの、五十九年度の予算で約一億円程度の増設の予算が認められておりますので、なるべく早い時期に、全国の県庁所在地の郵便局を初め約百局程度の郵便局に電子郵便ファクシミリの端末機を置いて、電子郵便の実験サービスを全国的に拡大したいというふうに考えておるところでございます。  なお、お尋ねの国際電子郵便につきましても、諸外国では二国間の協定でかなり積極的に進められておりますし、日本に対してもアメリカとか韓国、それから、先般西ドイツの郵政大臣が来日されたわけですが、その際も西ドイツの方から日本との間に電子郵便を早くやりたいというような申し出も来ているというような状況でございますので、私どもといたしましては、まず国内のそういった体制を整備して、遅くともこの秋ごろからはそういった要望の強い諸外国との間にも電子郵便のサービスを開始したいというふうに思って、現在いろいろな準備を進めておるというところでございます。
  223. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この新しい電子メールというのと従来の電報との関係がどうなっていくのでしょうか。電報業務というものは今電電公社が全部やっているものと私は思っておりますが、もうこれは郵政直接ではないわけでしょう。電報というものは、私は電報だけ見れば大変赤字の部門ではないかと思うのですが、これと、電子メールがこれから発達していく、代替性ですね、電報に対してとってかわっていくものなのか、それとも電報というものは依然としてやはり需要が若干でもあればどんなに赤字であろうが続けていくべきものなのか、その辺はどうなんでしょうか。
  224. 永岡茂治

    永岡政府委員 電報は電電公社の分野でございますが、現在約五千万通程度まだ利用があるというふうに聞いております。電子郵便につきましては、先ほど御説明いたしましたように、まだ現時点におきましてはわずか十四局程度でございまして、この夏以降一応全国サービスを実施したいというふうに思っておる段階でございまして、将来電子郵便が電報にとってかわれるのか、代替できるのかどうか、はっきりした予測はございませんが、かなりの部分代替性があるということが言えるかと思います。  ただ、私どもの電子郵便サービスは、郵便配達ルートに乗せて速達郵便配達しようというふうに思っております。現在の速達郵便のサービスグレードと電報のサービスグレードはかなり開きがございますので、直接イコールフッティングにはとてもならないと思いますが、かなりの部分重なってサービスが競合する部門が生じるということは予測できるというふうに思っております。
  225. 和田一仁

    ○和田(一)委員 電子メールは速達便のような配達方法ということですと、やはり電報の配達とちょっと違うわけですね。電報の場合は、配達は今、電電公社はどういうふうにやっているのですか。
  226. 寺島角夫

    ○寺島説明員 電報の配達方法でございますが、大まかに申し上げますと、公社がやっておりますのと、それから郵政省委託をいたしまして郵便局を介して配達をいたしておるのとございます。公社で行っております中にも、いわゆる公社の職員がやっておりますものと、それから、それを民間配達委託いたしまして配達をしている部分とございまして、今経費の合理化という観点から民間委託の拡大に努めておるわけでございます。
  227. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これが新しい電電にかわった場合はどうなりますか、新電電になりました場合。
  228. 小山森也

    ○小山政府委員 電報は従来どおり電電公社が独占でやるということになっております。
  229. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、従来どおり新電電が電報業務は引き受けざるを得ない。恐らくいやなのじゃないかと思いますが、これはやらざるを得ないだろう。配達も同じでしょうか。
  230. 寺島角夫

    ○寺島説明員 郵政省からお答えございましたように、配達を含めまして電報サービスというものを、新電電ということになりましても引き続き実行をいたすことになると思います。  ただ、先ほど先生からも御指摘ございましたように、現在、電報事業というのは大幅な赤字を抱えておる状況でございます。したがいまして、これを何とかして収支の改善に努めまして、これの赤字を少しでも解消したいということで今いろいろ各般の努力をいたしているわけでございまして、その中で電報の持っておりますメディアとしての特性、その記録性、それから配達がされるといったものを生かしまして、何と申しますか一種の記録型の通信メディアとしてとらえまして、これを何とか発展と申しますか、そこに新しい価値をつけていって需要の喚起も行いたい、かように考えて今いろいろ検討いたしているところでございます。
  231. 和田一仁

    ○和田(一)委員 赤字である電報業務を引き続きまたやらなければいかぬので、これは民間会社に移行した後も大変なお仕事だと思うわけなんですが、配達分野で、郵政に委託して郵便屋さんに配配してもらう分と、それから公社自体の職員配達する分と、公社自体がやる中にも職員以外に民間委託する分とがある、こういうふうに伺いましたが、比率はどうなのでしょう。もしおわかりにならなければ、郵政に委託しているものはどれくらいあるのでしょうか。
  232. 寺島角夫

    ○寺島説明員 これは資料が不十分でございますが、現在電報の受け付け通数と申しますのが、五十七年度で申しまして大体年間四千三百万通ございます。このうち、郵便局で受け付けております数字が五十七年度のデータで四百十八万通でございます。
  233. 和田一仁

    ○和田(一)委員 四百十八万通は、一通幾らで委託するのでしょうか、年間の概算で委託するのでしょうか。これは郵政の方にたしか出ているはずでございますけれども
  234. 寺島角夫

    ○寺島説明員 失礼いたしました。少し訂正をさせていただきます。  先ほど四百十八万通と申しましたのは郵便局で受け付けた通数でございまして、お尋ねの郵便局配達をいたしております通数は約五百万通でございます。  それで委託費という点から申し上げますと、郵便局委託しておりますものの一通当たりの配達につきます委託費というのが約三千円弱となっております。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕
  235. 和田一仁

    ○和田(一)委員 一通当たり三千円弱でございますね。これは、職員の場合は別ですけれども民間委託の場合も同じような単価ですか。
  236. 寺島角夫

    ○寺島説明員 ただいま公社が民間委託をいたして配達しておりますものの通数と委託費から一通当たりの委託費を出しますと、六百円ちょっとでございます。
  237. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣、これは郵政省がもうけているのですか。どういう計算なのでしょう。
  238. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いいえ、いつもそのことで御指摘を受けることがございますけれども、これは数字だけの形でいうとそういう突拍子もない開きになるわけです。しかし、これは全国あまねく、大体郵便局に頼むところは山間僻地部門が多うございまして、しかも電報配達にちゃんと人を配置しておかなければいかぬというような問題点もございますから、一概に三千円と六百円で、えらい郵便局の方が悪者扱いになるということも、これはぜひ誤解を解いていただきたいと思うわけです。民間委託の場合は、都市近郊とか集中度の高いところで比較的配達経費がかからないという点もぜひ御理解をいただきたいと思います。ただ、いずれにしても電報はとても間尺に合わぬ仕事になってきておるという現状認識は持っております。
  239. 和田一仁

    ○和田(一)委員 よくわかりました。  それからもう一つお伺いしたいのですが、公社が民間委託して配達している分、郵便の場合は、郵便物、年賀状なんかを配達する場合でも、アルバイトの学生がお正月配達はしておりますけれども、伺うとこれは臨時職員という身分でやっておるようですが、電報の配達民間委託する場合はどうなのでしょうか。これはもうこれから民間の会社になって、そこからさらに委託するのですから、私は非常勤の公務員というわけにはいかないと思うのですが、いかがですか。
  240. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先ほどお答え申し上げましたように、公社におきましては現在相当部分を民間委託という形で配達をいたしております。それで、これをさらに配達を拡大する方向で検討しておるわけでございます。したがいまして、新電電ということになりましても、そのこと自体変化はないものと考えております。
  241. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣、朝方の質問で信書とは何かというお尋ねがありまして、それに対して、特定の人あてに出される手紙あるいは請求書あるいは納品書あるいは税金の督促、こういったものは信書であると。私は電報も同じものではないかと思いますが、いかがですか。
  242. 永岡茂治

    永岡政府委員 電報も内容によっては信書でございます。
  243. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは先ほどの信書の定義から言えば、特定の人に出される文書であって、「チチキトク」であるとか「カネオクレ」とか、私は完全に信書だと思うのです。その信書民間人が配達している。それをさらに民間人に委託を広げていこう。新しい新電電になれば、こんな採算の合わないものを押しつけられれば、もっともっと安上がりに民間委託にどんどん移していきたい、これは当然なことだと思うのです。そうなったときに、先ほど言った郵便事業そのものが、そういう意味ではもう既に民間の力をかりてやっているということが言えるのではないかと思うのです。そういう点は、この郵便の基本的な問題として大臣どういうふうにお考えになるのですか。
  244. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに信書という中には個人のプライバシーなり秘密という形、それが記録性を持っておるというところに大変な特徴もあり、それがまた郵便事業の基本的な公共的な性格ということで、一元体制運営しなければいかぬということにもなってくると思います。電報も同じではないか、こう言われますけれども、電話の普及と、記録性も先ほど言われました電子郵便なりファクシミリなりいろいろな形の中で、電報の持っておる性格、そして電報が果たしてきた役割というものの位置づけも徐々に微妙に変化してきておることも事実でございます。しかし、それが信書でないという形で否定するものではありません。個人の秘密、企業の秘密、そういった形の、それも記録性を持っておるということにおいてはそういった概念も成り立つのではないか。ただ、今日の電報を利用している階層を見ると、大体私たちも含めて政治家もよく利用します。電報の最大顧客を見ておると大体サラ金。いろいろな分野の中で今まで電報が果たしてきた電報本来の使命と今日的な電報とは、やはり従前と一緒の形で見ておくということもいかがかなと思う面も多少ございます。  しかし、いずれにしても先生の御指摘のように、信書概念に入るや否やということになると、そこにはプライバシーも秘密も含んだという形の記録の電送でございますから、私はやはり信書に準じた扱いというものは当然心がけてまいらねばならぬと思っております。ただ、今後の電報をいかに持っていくべきかということについてはもう一つお知恵をかしていただいて、一通三千円もかかるような負担、経費がかかる形を放置していいという形も納得できませんし、そこに非常に難しい面があるなということを先ほどの議論展開の中から感じておるようなわけでございます。
  245. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今、大臣くしくも、電報利用者は私ら慶弔電報を中心にサラ金の督促だと言われた。このサラ金の督促なのですけれども、夜の夜中に、ドンドン、電報ですと言って配達する。それを民間の人がやって、知り得た秘密を漏らされるケースが出てきているのですね。あそこの家にはサラ金の電報、督促が舞い込んでいる、そのために娘が嫁に行けなくなったという話、これは本当かどうか知りませんけれども、そんなことも聞かされるようなわけで、私はえらいことになってきたなと思うのです。それでも仕方がないのだということになりますと——やはり郵政事業全体についても、従来はとにかく官業だから絶対間違いないのだ、その秘密は確保できる、知り得た秘密を漏らすようなことは絶対ない、こういうふうに国民も信頼してまいりました。しかし、私が信書だと思う電報についてそういうような扱いで今もう実際にどんどんこなしているということになりますと、郵便配達そのものも時と場合によってはそういうやり方も考えられるのではないか、こう思ってこざるを得ないのですね。そういうことも含めて、私は郵便も非常に大きな転換期に来ているのではないかと思うわけでございます。電報の将来というものはなかなかすぐには論じられません。需要のある限り少々コストが高くてもやらなければならないメディアかもしれませんけれども、新電電になる以上、郵政としてもこういうものをまた押しつけておいていいのかどうか。そういうことも含めて検討していただきたいことをひとつ御要望しておきます。  貯金のことに入らせていただきます。時間がございませんので、貯金と簡保も含めてお尋ねさせていただきます。  大臣、この郵便貯金、簡易保険について、これも同じように郵政省として将来にわたってもどうしてもやらなければならない事業であるかどうか。官業が民業を圧迫してはいかぬとか、いろいろなことが言われております。そういう中にあって、今まで小口の零細預金を集めてきたこと、そして同時に郵便貯金が民間金融機関に対して与えてきたいい意味での刺激、そういうものを考えればこれは絶対従来どおりやるべきであると考えておられるのか、あるいは臨調の答申を尊重して将来は違うというふうにお考えになっているのか。基本のところをまずお伺いしたいと思います。
  246. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は、郵便貯金というのは、制度創設以来国民生活に密着した制度になって、本当に親しまれてきておると思います。銀行預金は、安全性とかそういうことは別として、ある意味においては流動性の比較的高い形でございますけれども郵便貯金の場合、名の示すとおり貯金、ためるお金という形で、中長期的にも安定した形で推移をしてきたということは言えると思います。しかも、少額限度の枠がございますけれども、何せそういった非課税貯蓄の中の六割以上もの残高を郵貯が持っておるということ、このことが今日の財投の原資として国民生活なり社会資本の蓄積の中で果たしてきた役割、今日のインフレ感も阻止し国民生活に貢献してきた役割、貯蓄性向の高い今日の国家的役割も含めまして考えるときに、郵貯制度は維持されるべきであり、また国民にこれだけ親しまれてきている制度として、国民の貯蓄性向の増進、そしてまた老齢化社会に向けて老後の自助的な貯蓄手段としても、私はこの制度は堅持されるべきであろうと思っております。  簡保についても、無診査という聖域はございますけれども、貯蓄性の高い形でございまして、保障性の高い民保とはおのずから一線を画しておるという点においても、老後の自助自立という点を踏まえて貯蓄性向の高い簡保制度は、私たちは制度として何としても守っていかなければいかぬと思っております。  民間に対する競合の点については、私たちも当然金利動向も含めて配意をして今日に及んでおるところでございまして、郵便貯金あるいは簡保が何か悪玉論のように言われておるような一部の風潮に対しては、何としても納得できないというのが心情でございます。
  247. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣の方針はよくわかりました。としますと、郵便貯金は今、一時よりは何か低迷をしているかに伺っております。そういう中で、一方では金融の自由化、金利の自由化、こういうことが言われておりまして、それにあわせて非課税貯蓄への対策ということも云々されているときでございますけれども大臣のおっしゃるように郵便貯金は従来どおりやらなければいかぬというのであるならば、この環境の中でどういう対策を持っていかれるのか。先ほど来のお話を伺っておりますと、朝からの質疑の中でも出てまいりましたけれども、金利の自由化がもう目の前に来て避けて通れないということになりますと、当然郵貯としてもその波に乗らざるを得ない。同時に、一方財投に入って運用されて得るものはこれまた決められてしまうという環境の中で、一体どうやって大臣が今決意を述べられたような方向でこの郵貯を確保していけるのか、私はその辺が一番大事だと思うのですが、大臣、どうですか。一兆円の国債運用を言いながらだめであった。さらには去年は、簡保については今の一千万を一千八百万に上限を上げてくれという要求を出したら、これもだめで、ことしはそれを二段階にして、一千万を一千八百万と一千三百万の二種類に分けた。それでは昨年のは一体どういう意味であったのか。その辺を含めて、これからこういう環境の中で郵貯、簡保を大臣がおっしゃるような方向に持っていくのには具体的には一体どういう方策があるのか、お伺いしたいと思います。
  248. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵便貯金の伸びが減退傾向にあるということは事実でございます。これは理由はいろいろ挙げられると思いますけれども、制度自体がいいとか悪いとかの問題は別にして、やはり可処分所得が減ってきているということ、そしてまた最近は、中期国債なり魅力のある短期的なある程度利回りのいい商品が出回っておりますから、そういうものに流れていくというような、少額貯金といえどもそういった傾向にある形の流れにやはり郵貯も遭遇しておるといったのが現状であろうと思います。それにしても堅実な増加基調というものは持っておるわけでございまして、このこと自体を、最近のここ一、二年の流れだけで郵貯がそういった形で国民皆さんから離れていくというようなことは言えないんじゃないかと思います。  またこれは、やはり預けておられる人の金利を守っていかなければいかぬわけですけれども、御存じのとおり金利決定に関しては、やはり民間金利にも配意しながら大蔵大臣との協議において決めていくということで、しかもその原資が財投の資金に回っていくということで、おのずからここに預け入れる資金は、今は七・一%くらいですけれども、こういった形でやはり政府の大きな財政政策の中の一環としての金利が決められておるというような原因もございます。  ただ、ここで言いたいのは、郵便貯金の資金コストというものはどの金融機関と比べても安いという現実がございます。したがって、現実には今郵便貯金の最高の額も、五・七五という最高の金利の水準に置いておるわけでございますが、七・一で預託率がある限りにおいては順次、単年度でも黒字の傾向に来ておることも事実でございますし、来年度では今現在郵貯の抱えておる赤字も大体単年度黒字になって、六十一年度では赤字は解消するだろう、今日のままの状態でいけば。したがって、郵貯の赤字はあくまでも国の財政政策の資金運用、むしろそのはね返りを受けておるのだということで、郵貯自体はそういった意味ではコストをかけない資金として国民に大きなお役に立っておるということは間違いない事実でございます。  したがって、私たちがこれからこういった金利自由化体制の中で一体何をなすべきかということになる場合には、やはりこういった金利調整法なり日銀のガイドラインというものが取っ払われた状態、そうした大口金融からの自由化がやがては小口金融に及んでくるというような実態を踏まえますときに、何としても自主運用という面で、こういった国際金融の動静も含めてやはり常に対応策を立てて勉強してまいらなければならぬということになろうかと思います。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕  したがって、私たちはできるだけ効率的な資金運用、しかもそれが公共的にもお役に立てるような面での資金運用、こういった両面から、決して郵貯は今単に利息が高いところだけに運用させてくれと言っているのではありません、やはり国の国債政策なりに準拠した形、現実に大蔵省がやっている資金運用の中での国債購入、こういった形の役割というものを郵政省に自主運用させていただくことによって、その資金運用から出るメリットを預貯金者に還元をしたいというのが本旨でございます。  したがって、先ほども言いましたように、簡保においても同様でございます。簡保においては、最近は自主運用の枠が拡大されたおかげで、簡保の実績というもの、利益を還元するという形も、今年度も六千五百億ぐらいの黒字、剰余金を還元するというような形も実行できておるわけでございます。そういった意味において、簡保の資金運用の制度というものにできるだけ郵便貯金も近づけていって実効的な効果を上げてまいるべきではなかろうかと思っております。  それじゃ去年なぜできなかったんだと言いますけれども、大蔵省のそういった財投原資としての重要な役割、大蔵省側の金利とのそういった整合性の問題をめぐって意見の交換を行いましたけれども、結論が出なかった。結論を得るには至らなかった。しかし、今後ともこの問題は継続して協議してまいろうという方向では一致しておるわけでございます。また簡保についても、将来こういったシルバー預金等々で老後の自立自助努力に大きなプラスになるような制度は何とかして創設してまいりたい、これも、民間側とのいろいろな問題点もございますけれども、大蔵省とも継続事項としてお互いに相談してまいろうという方向になっておることでございます。  したがって、郵貯といい簡保といい、こういった資金運用を含めて、将来市場実勢に従わなければいかぬという状態になったときに、常に連動して対応でき得るという素地、検討というものは不断に行っておかなければなりませんし、何といっても郵貯だけで八十五兆円、簡保の資金は二十二兆、まさに日本の一つの財政、そういった意味では非常に大きなウエートを占めておる分野だけに、私たちも慎重に対応すると同時に、これらの少額しかも貯蓄性向の高い預貯金者の利益を守っていくという両面の立場を踏まえて、今後ともこういった貯蓄行政なり簡保行政を推進してまいりたいと思っております。
  249. 和田一仁

    ○和田(一)委員 郵貯あるいは簡保が財投資金として果たしてきた国家的な大きな役割、これは大変意義あることであったと思います。しかし同時に、そういった中でこの事業大臣がおっしゃるようにしていくためには、やはり今までのままでなく、例えば経費率一つとっても、郵貯は非常に経費率はいいというお話ですが、それはそのとおりで、税金を払い家賃を払いしているところとは違って、国がバックでやっている。そういうことも含めてやはり効率化合理化という面は忘れずに、オンライン等を通して利用者へのサービスを含めて、これから大きな意味での合理化を推進して従来どおりの目的を達していただきたい。最後にお願いいたしまして、私、質問を終わります。
  250. 片岡清一

    片岡委員長 次回は、来る十日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会      ————◇—————