運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-11-29 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月二十九日(木曜日)     午前十時三十五分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 吹田  愰君 理事 鈴木  強君    理事 武部  文君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    額賀福志郎君       野中 広務君    長谷川四郎君       渡辺 紘三君    伊藤 忠治君       松前  仰君    森中 守義君       池田 克也君    中井  洽君       永江 一仁君    中島 武敏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 左藤  恵君  委員外出席者         郵政政務次官  畑 英次郎君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省郵務局長 塩谷  稔君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君         建設省道路局国         道第一課長   岡田 哲夫君         消防庁消防課長 清野 圭造君         消防庁予防救急         課長      長谷川寿夫君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   福富禮治郎君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         日本電信電話公         社業務管理局長 神林 留雄君         日本電信電話公         社保全局長   山本 千治君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     森  喜朗君   佐藤 守良君     水野  清君 同月二日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     江藤 隆美君   畑 英次郎君     関谷 勝嗣君 同月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   野間 友一君     佐藤 祐弘君 同月二十九日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     池田 克也君   佐藤 祐弘君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   池田 克也君     鳥居 一雄君   中島 武敏君     佐藤 祐弘君     ――――――――――――― 八月八日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(世田谷電話局地下ケーブ  ル火災に伴う諸問題)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  この際、左藤郵政大臣及び畑郵政政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。左藤郵政大臣
  3. 左藤恵

    左藤国務大臣 去る十一月一日、郵政大臣を拝命いたしました左藤恵でございます。  逓信委員会皆様方には、平素から郵政行政につきまして、格別の御指導をちょうだいいたしておりまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。  申し上げるまでもなく、国民と密接な関係にある郵政行政でございます。微力でございますが、これまで私自身も歩んでまいりました私なりの経験を生かして、全力を挙げてこの重責を全うする決意でございますので、ひとつ先生方格別の御指導、御鞭撻お願いを申し上げる次第でございます。  なお、本日の委員会で御質疑をいただきます、さきの世田谷電話局前の洞道火災事故につきましては、関係者努力によりまして復旧予定より大変早まったわけではありますけれども、この間に加入者皆様方に対して多大の御迷惑をおかけいたしましたことに対して、まことに遺憾で申しわけないことだ、このように考える次第でございます。  この事故を貴重な教訓といたしまして、安全対策の推進に今後とも努力をいたす決意でございます。何とぞ一層の御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにさしていただきたいと思います。(拍手
  4. 志賀節

  5. 畑英次郎

    畑説明員 先般、郵政政務次官を拝命いたしました畑英次郎でございます。  御案内のとおり、至らぬ点の多い私でございますので、諸先生方の従来に増します御指導、御鞭撻を賜りまして、政務次官の務めを果たしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  6. 志賀節

    志賀委員長 次に、逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、世田谷電話局における地下通信ケーブル火災事故について、日本電信電話公社当局から発言を求められておりますので、これを許します。真藤総裁
  7. 真藤恒

    真藤説明員 今回の世田谷火災事故につきまして、当事者責任者といたしまして深く深くおわび申し上げます。  今度の事故につきまして、私どもの技術上のまた社会的ないろいろな責任ということが、どうあるべきかということを深刻に考え直してみたのでございますが、やはり我々の方にいろいろな点で至らざる点があったということを、はっきり見つけ出すことができたような気が私自身はしております。  殊に、こういう事故が起こる可能性は十分に内蔵しておる構造物でありながら、それが一たん火が出ました場合に丸焼けになってしまったということに、非常に重大な私ども当事者としての責任と至らざる点があったことを痛感いたしておりまして、この対策につきましては、大体具体案ができつつございますので、早急に具体案を取りまとめまして、全国的に早急にこの第一次的な対策として、万一同じような事故が発生いたしましても丸焼けにならないようにする、火災は出ても最小限度で食いとめることができる構造に直せるところから直していくということを、早急に強力に実施する覚悟でございます。  そういうことによってのみ私どもは、今度の御迷惑を何らかの形で償うことができる唯一の道だというふうに考えておりますので、どうぞ今後ともいろいろこういう問題につきましては御指導いただきますように重ねてお願い申し上げまして、おわびのごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
  8. 志賀節

  9. 福富禮治郎

    福富説明員 それでは、世田谷局洞道火災に伴います通信設備被害及び復旧についての概要を御説明申し上げます。  去る十六日の正午ごろ、世田谷局前の洞道火災が発生いたしました。それで、今総裁も申し上げましたように、洞道内ケーブル類焼損に伴いまして、同局のすべてのお客様通話不通になるだけでなく、周辺局の一部の電話局他局との通話がかかりにくい状況を生じました。  公社は直ちに、本社並びに通信局通信部等対策本部をつくりまして、特設公衆電話の設置、警察消防等重要加入電話あるいはデータ回線等早期復旧に努める一方、すべてのお客様電話について早期復旧を図るべく復旧作業を進めてまいったわけでございます。これらの作業は、特に地元並びに関係各方面の非常な御協力も得られまして順調に進み、二十四日の夜までにすべての加入電話、約八万九千加入の接続及びテストは一通り完了いたしまして、御使用いただけるようになりました。  この間、非常に御不便をかけましたお客様皆様に深くおわび申し上げるとともに、御協力いただきました地元並びに関係機関に深くお礼申し上げる次第でございます。  以下、ここにございますように、昼ちょっと前に火災が発生いたしまして、約十六時間燃え、十七日の午前四時半に鎮火したわけでございます。  被害状況でございますが、局前にありますケーブル百四条がすべて焼損いたしました。全回線通信不能になったわけでございます。その状況は、一ページ目の下にありますように、加入電話等約八万九千、以下そのとおりでございます。  また、周辺局といたしまして、成城、砧、狛江、弦巻の中継線の約六割がそこの前を通っておりましたので、被災いたしました。  回復状況でございますが、焼損状態が当初明らかでなくて、十七日夕刻から地上ルートで敷設を開始いたしました。その後、翌日曜日に洞道の使用が警察から許されましたので、洞道内ケーブルを十九日の深夜から敷設してまいりまして、翌二十日の午後九時には一部の加入者復旧を見たわけでございます。その後、急速にピッチが進みまして、二十四日の午後九時五十分までに全加入者テスト並びに開通の通知を行ったわけでございます。日曜日のため、御不在等で御連絡のつかなかったお客様につきましては、現在早急に確認をとるよう努めているところでございます。  以下、回復状況は表のとおりでございます。  この間、公社といたしまして、災害後直ちに災害用無線機器あるいは衛星通信周辺局設備から回線を引くことや自動車電話等を利用いたしまして、警察消防電話を初めとしまして、重要加入者の可能な限りの回線確保に努めたところでございます。警察消防等重要加入者並び特設公衆電話あるいは銀行関係オンラインにつながる重要回線等につきましては、十九日の朝までにできる限り多くの回復をいたしたわけでございます。また、周辺局局間中継線につきましては、十九日以降徐々に改善し、二十三日には通常状態回復いたしました。  発信につきましてはそういうことでございましたが、着信につきましては、「伝言とりつぎ」というサービスを十九日から行いまして、二十五日まで約一万九千件の御利用をいただきました。これも、二十三日以降急激に減少いたしまして、二十五日の午後十時に取り扱いを終了させていただきました。にれにつきましては、世田谷区役所職員の自発的な援助までいただき、非常に助かった次第でございます。  このほか、テレビ、ラジオ等で最新の状況をお知らせしたところでございます。  御迷惑をおかけいたしました世田谷局管内方々全員に二十七日個別に訪問いたしまして、おわび申し上げたところでございます。  今回の洞道火災に伴う影響の大きさにかんがみまして、先ほど総裁が申し上げましたように、再演防止のために全力を挙げて対策を整え、できるものから早急に対処していくというふうに、社内に委員会も設置し検討を開始するところでございます。  本当に御迷惑をおかけいたしまして、このような事態になりましたことを深くおわび申し上げるところでございます。     ―――――――――――――
  10. 志賀節

    志賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吹田愰君
  11. 吹田愰

    吹田委員 御指名をいただきまして、これから決められました時間で質問をするわけでありますから、ごくわずかな内容になりますが、その前に、新大臣に御就任になりました左藤大臣、本当におめでとうございました。郵政行政はこれからいろいろとまた大変な問題を抱えておりますだけに、大いにひとつ張り切って頑張っていただきたいと思いますし、私も全力を挙げて御協力申し上げることをお誓いを申し上げておきたいと思います。  また、州政務次官も、おめでとうございました。頑張っていただきたいと思います。  そこで、去る十一月十六日、世田谷電話局前の洞道内におけるケーブル火災事故が発生しまして、その被害状況あるいは復旧状況の概略につきましては、ただいま大臣並びに電電公社総裁関係者から御報告がありましたが、この事故によりまして、実は国民生活というものに甚大な影響を与えたわけであります。さらにまた、高度情報社会を迎えるに当たりまして、電気通信安全対策といったことにつきまして、重要な幾多の課題を示唆したことと私は思うわけでありますが、そういったことにつきまして、これから二、三お伺いをいたします。  その第一点は、公社として、あるいは大臣にもお答えいただければ大変結構でありますが、この事故をどのように受けとめておられますか、まず伺っておきたいと思うわけであります。  今、総裁の方からは、こういった丸焼けというようなことについての技術的な問題について欠陥ありということをお認めになられた非常に重要な発言がございましたが、いま一度この辺の受けとめ方についてもお尋ねをしてみたい、こう思っておるわけであります。
  12. 左藤恵

    左藤国務大臣 確かに電気通信、特に電話というものの国民の皆さんの生活におきます意味と申すものが、国民生活の発展に従いましてその重要度がますます深まってくるということは、そのとおりであろうと思います。それだけに、今御指摘がございましたような事故が起こりますということは、大変な影響がますます広がっていく、大きくなっていくだろう、私はこのように考えます。高度情報社会をこれから構築してまいります上におきまして、いろいろなネットワークを建設していく、発展させていく、そういった面におきまして発展していくことは結構でありますけれども、そういうことについて我々としては、安全性といいますか、国民に対する信頼性というものを裏切らない体制というものをますます配慮していかなければならない、このように考えます。  したがいまして、今お話がありましたように、技術的にケーブル不燃化とか、あるいは洞道とかそういったところの防火シャッターの問題とかというような対策のほかに、多ルート化とかいろいろな問題について十分配慮していかなければならない、このように考えております。
  13. 真藤恒

    真藤説明員 さっき私がごあいさつで、丸焼けになったということは私どもにとって重大な問題だ、殊に設備の設計上の問題、保守上の問題として重大な問題であるということを深く反省しておると申し上げましたが、この対策はいろいろ方法は考えられまして、自動消火装置あるいは自動延焼防止装置というものが計画的によく設計されておれば当然できる性質のものでございます。それをさしあたり急速に計画いたしまして、全国的に実施していく。仮に同じような事故が起こりましても、その部分だけで被害がとどまるという形に持っていきますと同時に、ある部分にそういう事故がありましても、迂回線なりループ線なりという配線を考えまして、さしあたり通話のふくそうはございましても、途絶ということは起こらぬでも済む方法が技術的に十分考えられるというふうに考えております。これは急速に全国的に実施する覚悟でございます。また、それほど大きな具体的な経費が要るものでもないというふうに考えております。
  14. 吹田愰

    吹田委員 今、総裁からもお答えがありましたが、この原因につきましては目下まだ調査中である、こういうことでありますから、その原因そのものは私はここではお尋ねいたしませんけれども、今お話がありましたように、この洞道内火災予防などの保安体制、こういったことについてかなり検討する余地があったのではないか、こういう気がいたします。特に不燃性ケーブル研究とかあるいはそういったことに対する採用について、これまでどの程度検討をされておったのか、この点がどうも私、わかりませんが、この点もわかれば福富さんの方からひとつ御説明願いたいわけであります。  さらに、二重経路バックアップシステムにつきましてもどのように考えておられたのか、また今後の対策をどうするのか、こういったことにつきまして若干でもお知らせいただければ、かように思います。
  15. 福富禮治郎

    福富説明員 今回大変な火災を起こしまして、今、総裁からありましたように、何と申しましても丸焼けになったわけでございまして、今までいろいろな対策をとってはおりましたが、このようなものにつきまして非常に無防備であったことを、深くおわびするところでございます。  今、先生の御質問がございました、不燃性ケーブル研究というような点につきましても、もっと進めなければいけないわけでございますが、現在考えますのは、局内が十年前に燃えましてPVCのケーブルを採用しているところでございますが、これは難燃性でございますが、局外のケーブル局内と違いまして外気に触れ、力とか水、いろいろな外部条件が非常に悪いので、ポリエチレンを使っていたというところが非常に難燃性でなかったという点がございます。これにつきましても、一層の強度を保持しながら難燃対策というようなものをやっていくというようなことについて早急に検討を進めたい、こういうふうに考えているところでございます。  それから二重経路バックアップシステムでございますが、電話局から市外局というようなところに関しましては、今まで地震その他ございまして、伝送路の有線、無線ルート化というのを進めてきて、七十数%のバックアップをしていたわけでございますが、まことにお恥ずかしいわけでございますが、今回燃えたような加入者線についてはそういうわけではございません。これらにつきまして、重要加入者あるいはまた銀行オンラインというような点の問題もございますので、早急に考えていきたいと思っております。  今まで主として地震等対策を進めてきたわけでございますが、今回の洞道火災というような点について、これほど大きな事故になるというふうには確かに余り配意がなかった点がございます。そういう点につきまして、まことにお恥ずかしいのでございますが、早急に洞道内火災対策というようなことの委員会をつくりまして対策を打っていきたい。一部、防火扉とかそういうのを二百カ所ばかりっけていたわけでございますが、今回世田谷の局にまでやっていなかったとか、そういう点からいいますと、まことにお恥ずかしい次第であったということを深く反省しているところでございます。
  16. 吹田愰

    吹田委員 それでは、郵政省の方にお尋ねをいたしますが、今回のケーブル火災事故教訓としまして、通信自由化時代に備えまして、企業の安全対策設備投資に対しましての税制上からの問題、それから財政上の問題、そういった面からの優遇措置を講じてでも、この安全対策を義務づけていくというような法的規制検討すべきではないだろうかというふうに私ども思いますが、安全対策という問題についてどのように考えておられるのか、この際、基本的な考え方をお伺いしておきたい、こう思います。
  17. 奥山雄材

    奥山説明員 先ほど大臣が冒頭に申し上げましたように、高度情報化の進展につれまして、今回の火災のような事故あるいは天災地変のような災害、さらには犯罪等を含む人為的な社会的脅威というものがますます増大してくることは必須の趨勢にございます。そこで、そのようなネットワーク化社会における電気通信高度化というものを考えました場合には、先生が御指摘になりましたように、安全性信頼性対策というものがその基本にならなければならないだろうというふうに私どもも痛感した次第でございます。  そこで、現在国会で御審議中の電電改革三法が成立いたしましたならば、来年四月一日以降、民間参入という新しい電気通信事業体制が生まれてまいりますので、現在の電電公社並びにその後身である新電電はもちろんでございますが、第二、第三電電等を含めて、これからの安全性信頼性対策を考えなければならないというふうに痛感しているところでございます。  そうした見地から、私どもも現在、法制上の手当てが何らか必要ではないかというふうに考えておりまして、先生が御指摘になりましたように、安全性信頼性対策を推進する上において、それを支援するための税制上、財政上、さらには金融上の措置等に結びつくような法制度次期通常国会に向けて準備したいということで現在、部内で作業しているところでございます。
  18. 吹田愰

    吹田委員 今、局長お答えの中に出ておりましたが、私どもも、そういった基盤整備問題等を含めてのことから、電気通信高度化基盤整備法仮称でしょうけれども、そういった考え方があるやに伺っております。ぜひ私は、来るべき第百二国会にこうしたものを提出して精力的に今後配慮していくという構えがあるとすれば、これは非常に結構なことだと思いますし、またこれは急がなければならぬことではないかと思っております。  特に、今の予定だけを例えば、電電公社が四月からいよいよ民間、こういう方向に行くやに聞いておりますし、またそのように今進んでおる状況の中でありますから、ぜひそういった面についての法案の成立問題、あるいはそれを提出するという積極的な姿勢をひとつ示していただきたいと思いますが、それにつきましても、やはり通信ネットワーク安全対策というようなものがこれに大幅に盛り込まれていかなければなりません。こういった点について、さらにもう一度お伺いをしておきたいと思います。
  19. 奥山雄材

    奥山説明員 高度情報社会における電気通信基盤整備をするための法制度を、私ども検討中であると申し上げたわけでございますが、仮称といたしまして、電気通信高度化に関する基盤整備法といったようなものを構想しております。その中身といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、幾つかの施策の中で最も大きな柱の一つとして、安全性信頼性対策というものを盛り込んでまいりたいというふうに考えております。  特に、今回の世田谷局前における洞道火災のような教訓を踏まえまして、安全性信頼性対策につきましても遺憾なきようこの法制度の中で措置してまいりたいというふうに考えておりますので、次期通常国会にこの法案が御審議いただけますように、私どもも一生懸命努力したいと存じます。
  20. 吹田愰

    吹田委員 持ち時間が極めてわずかでありまして、終わりになりますが、この際、電電公社の方にもう一度お伺いしますが、この世田谷電話局管内通信回復に際しましては、非常通信確保を優先とするなど応急対策を急ぎ対応されました。このことにつきましては、私どもは非常に多とするところであります。この反省に立っておられるわけでありますけれども、今後の安全対策という問題につきましては、特に重点を置いてもらわなければなりません。また、今回災害を受けた関係者、この加入者に対しまして、損害補償というような問題を伺っておりますが、一体どういうようなお考えを持っておられるのか。  非常に御迷惑をかけております方々に対しておとりになりました電電公社の対応というものは、私は本当に多としております。総裁を初めとして一職員に至るまで本当に一本になってこれを頑張ってくださったということについては、国民代表の一人として私は本当に喜んでおるわけでありますけれども、しかし現実に相当大きな被害を受けた、そのために損害もこうむったという方々もいらっしゃるわけであります。これに対しまして、その損害補償というようなことについて何らかの御研究をされておるのだろうと思いますが、この際、発表できる範囲内でここでお示し願いたい、これを伺いまして私の質問を終わります。
  21. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今回の不通事故によりまして、世田谷局管内皆様、全加入者方々に大変御迷惑をおかけいたしました。また、それによりまして有形無形のいろいろな御損害をこうむられたということは、窓口、それから昨日全加入者伺いいたしました際に、いろいろと私どもも伺っております。また、オレンジセンターその他公社窓口にもいろいろと伺っております。そこで私どもも、不通によって生じました損害につきまして、賠償をいたすという責任がございます。  これにつきましては、誠意を持って対処いたしていきたいと思っているわけでございますが、進め方といたしましては現在、公衆法におきまして限定賠償制度がございまして、不通になった日数の日割りの五倍を限度といたしましてお支払いする、このような形でございます。一応法の建前といたしましてこのようになっておりますので、皆様から御請求を受けてお支払いするということで、御迷惑をおかけしないようにお話を伺っておるわけでございますが、十二月分の請求書におきまして、使用料の日額の不通期間に五倍を掛けましたものを一斉にお支払いするというようなことで進めているところでございます。  また、不通になりました期間の基本料につきましては、やはり不通期間の日額の料金をお返しする、このようなことで進めさせていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  22. 吹田愰

    吹田委員 私はこれで終わります。
  23. 志賀節

    志賀委員長 次に、鈴木強君。
  24. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 非常に残念な質疑をしなければなりませんことを本当に遺憾に思いますが、新大臣並びに総裁からもごあいさつがございましたように、世田谷電話局の局前洞道での火災によって引き込みケーブルが焼失して史上最大の被害を生じ、広範多岐にわたる利用者各位に多大な不便と迷惑をかけ、国民生活等社会活動に大きな打撃を与えたことの責任は、極めて重大と言わなければなりません。また、高度情報化社会に向けての通信に対する国民の期待に反することにもなりまして、極めてざんきにたえないのであります。  しかし、各方面の深い理解と協力のもと、電電公社職員が一体となり不眠不休の努力を尽くし、当初見込まれた復旧までには一カ月ぐらいを要するであろうと言われたものを、二十日間も短縮して十日間で復旧できたことは、せめてもの償いではなかったかと思うのでございます。特に、電電公社には全電通という労働組合がございますが、この組合員も、組合の立場からお客様におわびを申し上げ、同時に公社に対しては、この種の事故が再現しないように、今回の事故原因を徹底的に究明するとともに、一刻も早く設備回復を急ぐべきである。そのためには全職員が、技術者を全国から動員する等、全面的に協力するという態度をとられたことは、私は電電魂の発露であって、高く評価されていると思うものでございます。  私も実は世田谷区に住んでおりまして、この渦中に巻き込まれた者の一人でございますが、通信の途絶によって引き起こされた市民生活への影響というのは、はかり知れないものがございました。そのことをしみじみと痛感いたした次第でございます。したがいまして私は、このような事件が再びこの委員会において取り上げられることがないように祈りながら、一つは、事故発生の原因、二つ目には、被害状況は説明を受けましたが、復旧対策、それから三つ目には、これからの再発防止の基本的対策、大体この三つに分けてお伺いをしたいと思います。  それで、きょうは消防庁にも来ていただいておりますが、まず、火災発生の原因でございます。  消防庁にお伺いいたしますが、この事故が発生いたしましたのは去る十六日の午前十一時四十七分、鎮火が十七日の午前四時三十七分、延々約十六時間以上延焼しておったわけでございますが、消火のためには大変御苦労いただきまして感謝をいたしますが、この発火原因の追及については現状どのようになっておるのか。これはもう警察庁ともタイアップして原因の追及をされておると思いますけれども、その究明は今どうなっておりますか、そこのところを最初にお伺いいたしたいと思います。
  25. 清野圭造

    ○清野説明員 今回の火災によります原因調査でございますが、これにつきましては、実況見分が現在終了いたしたわけでございますけれども、引き続きまして関係者の供述による調査というものを進めておるわけでございます。これは現在警視庁の方で調査を進めておりますので、それが終了した後、東京消防庁の方で調査を行いたいという意向を持っているようでございます。こういった関係者の供述をもとにいたしまして、原因の推定でありますとか、あるいはこれに実験が必要になるような場合もございますので、そういった実験あるいは科学的な分析といったものを状況に応じて実施をするという状況でございます。
  26. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 実況見分が終わり、後、警察庁の方で関係者の供述の調査をやっておる。その後に原因の推定をするということですが、現在までのところ、新聞等に報ぜられているところによりますと、ぼろ布からの出火というような記事も出ておりますが、こういうことについてまだ最終的な結論ではない、こういうふうに理解しておいていいのですか。大体いつごろを目途に最終的な調査結果をまとめようとしておるのか、そのところも含めて御答弁ください。
  27. 清野圭造

    ○清野説明員 報ぜられておりますのももちろん、出火原因と考えられるものの一つではないかと思いますが、そういったものを特定化するといいましょうか、いろいろ考えられます原因の中のどれが今回の原因であったかという原因の特定をする作業が、これはなかなか難しい作業のようでございまして、そのために場合によっては、実験なり科学的な分析なりといったものが必要になるし、あるいはまた関係者の供述といったものも必要になってまいるわけでございます。それらを含めまして各方面から調査を進めているという状況でございまして、当事者の話では、できるだけ早くやりたいということは考えているようでございます。
  28. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで、通信の地下ケーブルとかあるいは共同溝というのがございますね、二四六の下にずっと、オリンピックのときにつくりましたけれども。その他、全国的にもそういったものが都市部でやられております用地下街における防災面に対する対策というものはかなり進んでおると思うのですけれども、共同溝とか通信洞道、こういったものに対しては一体、その防災面についてはどこが責任を持っているわけですか。例えば旅館であったら、消防法に基づいてスプリンクラーをつけろとか、それからいろいろな面、防災対策をやりなさいということがあなた方言えるわけでしょう。マル通マークを出す。ところが、こういう地下ケーブルなんかの通信ケーブル洞道あるいは共同溝というものに対しては、防災面について法的にはどうなっているのですか。
  29. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 ただいま先生の御指摘の規制の状況でございますけれども、例えば旅館、ホテルであるとか学校、病院あるいは百貨店とか、こういう対象物につきましては、万一の火災、それから火災後の初期消火あるいは避難誘導、こういったもろもろのそれに必要な消防設備などの設置の義務づけをしております。また、非常に多数の人が収容される学校、病院などでは、火災の際の人命危険がございますので、消防計画の作成であるとか防火管理者の設置義務を課しております。  御指摘電話ケーブル洞道などでございますが、実は、これは構造そのものが地下にあるということと、それからその構造物が、我々消防側で言いますと、今回の火災から見ますと非常に長時間燃えたのでありますが、一般的には火災危険度の極めて低い場所である、それから一般の人が入る場所でない、極めて特定な人であり、かつ限られている、こういうことで現在は、先ほど申し上げましたような対象に含まれておりません。  しかしながら、先ほど来御指摘がありましたように、今回の火災は、社会活動それから住民の生活に非常に大きな影響を与えた火災であるということにかんがみまして、私ども消防庁内に洞道等に関する消防対策検討会というものを設けまして、予防対策上の問題、それから警防活動――消防活動でございますが、消防活動上の問題などにつきまして、その問題点を洗い、かつその対策検討しているところでありますが、この検討結果を踏まえまして、関係省庁とも協議しながら今後の安全対策を図ってまいりたい、このように考えております。
  30. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、要するに消防法上は、通信地下ケーブルあるいは共同溝については防災の責任はない、法律的にはそういうことになっているのでしょう。どうですか。
  31. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 先ほど申し上げましたような消防設備の設置の義務とか防火管理者を置くなどの義務は課しておりません。
  32. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、これは消防法上もかなり問題があるところだと私は思います。この法的な基準というものが明確に定められておらない。地下では恐らく火事はないだろう、そんな考え方でもって重大な消防法の中にその基準を設けなかったということは、明らかにこれはもう怠慢と言わざるを得ないわけであります。  そこで、御苦労したことは感謝いたしますが、例えば消火に当たって皆さんはどういうふうな薬、消火剤といいますか、何をお使いになったのですか、あのとき。
  33. 清野圭造

    ○清野説明員 主としてフォグガンといいますか、水噴霧の消火活動を行ったと聞いております。
  34. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 実は、七年前に財団法人日本産業技術振興協会というところから「電線ケーブル延焼防止剤の利用に関するテクノロジー・アセスメント」という報告、提言があるわけですね。この中に、電線というのは「一本では火がついても溶けるか、くすぶるだけで延焼しない、とされている難燃性ケーブル(被膜が塩化ビニールやポリエチレンなど)が、ラック(棚)などで数本以上束ねられている場合、「いったん火がつくと、たちまち猛烈な火勢で延焼する」という警告。各ケーブルの絶縁、外装材が「互いに補完しあった形で燃え出し、熱を逃がさなくなるため」だ。」これは後でまた電電の方にも防災対策伺いますが、「この延焼防止対策としてアメリカでは、宇宙船を高熱から守るために開発された塗料を和風した防止剤が実用化されている。」というような提言がありますが、これをあなたの方では知っておりますか。
  35. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 先生ただいま御指摘のように、特殊な塗料を電線に塗布してその難燃性ないしはその延焼を極めて長い時間とどめさせる、延焼させないようにする、こういう素材は開発されていると承知しております。
  36. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 開発されておるが、それをまだ実用化しておらないということですね、消防庁では。実用化されているのか、やっているのですか、使っているのですか。
  37. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 私ども先ほど申し上げました消防設備の中には、例えば自動火災報知設備であるとか警報設備であるとか、こういったものは、電気を使うものですから、ケーブル、電線が必要になってまいります。この電線が火災で焼けてしまいますとその機能をしなくなりますので、こういう電線につきましては、耐火電線、これは高温で長時間やられれば最後は使えなくなりますけれども、一定時間はもつ性能を要求した義務づけをしております。
  38. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは消防庁の課長さんですから……。  そこで大臣、国務大臣でもありますし、正直言って、この問題は法的には無防備なんですね。ですから、そういう中を消防庁が非常に苦労してくれたことに対して私はうんと感謝するのです。恐らくテレビで見る真っ黒な煙を出す中で、命をかけて頑張ってくれたと思うのですよ。本当に御苦労だったと思います。ですから、そういうためにも今後、地下ケーブルあるいは洞道等においてまさか火災が起こらないのではないかというような予想もあるようですけれども、これはアメリカとか諸外国を調べてみても、かなりあるのです。ですから、そういう意味から言ったらば、消防の面における法的な規制のおくれがあったと言っても過言でないと思うのです。ですから、ひとつ大臣としても閣議等において、関係大臣とも御連絡の上で整備をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  39. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、非常に重要な問題でございますので、これは消防庁を所管しておられる自治大臣と十分協議をして、今後遺漏のないように対策を考えたい、このように考えております。
  40. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 安全対策が出ましたから、ここでちょっと公社の方にも伺っておきたいのですが、先ほど吹田委員からの御質疑にもございましたけれども、再びこのような事故が起こらないようにということで、今回の事故を他山の石としていろいろな計画を立てていただけるということでございますから、私も全く同感でありまして、ぜひひとつ全力を尽くして郵政省公社一体になりましてその対策をしていただきたい、こう思います。  そこで、今後の問題として、総裁も述べておられましたが、今申し上げましたような報告書の中身等を含めまして、例えばケーブル不燃化、それから回線の二重ルート化、これは二重帰属とも言っておりますが、特に新聞とか放送とか官庁関係消防警察、こういった重要通信を初め、できるならばひとつ回線の二重ルート化ということを、これは金がかかると思いますけれども、やってほしい、こう思うわけです。  ですから、幾つかの提言がございますが、安全確保の技術基準というものを見直して、早急にこれを不燃化の方向に持っていくとかいうようなことも含めまして、通信衛星網の活用とかマンホールの管理の強化、火災の初期消火というようなものを含めまして、今後具体的に安全対策としてこういうものをやっていくんだという、今公社としてしっかりしたものがございますか、あったらそれをひとつここで発表してもらいたい。
  41. 福富禮治郎

    福富説明員 今回確かに、洞道内におきます全焼というお恥ずかしい事態を起こしたわけでございますが、現在さしあたって行おう、こういうようなことを早急に対策をとらなければいけないのは、火災を局地化する、大きく燃え広がらないようにしなければいけないということを早急にしなければいけない。それで、防火壁等を従来やっていたわけでございますが、非常にテンポがのろかったという点を深く反省しております。世田谷の局に防火扉がついていなかったということも事実でございますので、そういうのを早急に実施いたしたい。  それからまた、ケーブル接続というようなものに鉛を使い、鉛工を使って、それを溶かすのに火を使わなければいけないというような点がございました。こういう点も、火を使わないで接続をする、そういうのを機械的に、メカニカルな形でクローズするというような方法を、光ケーブル等では既にとっていたわけでございますが、今回のものにつきまして、一般のケーブルにつきましても早急にその検討を進め、そういう形の方に進んでいきたい。  それからまた、洞道内におきます防火壁だけでなくて、大きく広がらないように、火事が起こった場合、適当な範囲内で抑えること、それから初期消火で何らかのスプリンクラーのような、どういうのがよいか、これから検討しなければいけない点もあろうかと思いますが、早急に進めていきたい、こう思っているところでございます。それで、洞道火災につきます委員会を早急に設置しているところでございます。  それから二ルート化の点につきまして、従来、局から上位部につきましての二ルート化を進めていたわけでございます。また、重要加入者におきましても、その加入者のところがやられることを心配いたしまして一部、二ルート化をしていたわけでございます。同じ局から線が出ていたわけでございまして、局を変えての二ルート化というようなことは実を言うとやっておりませんでした。そういう問題につきましても今回、金融関係の三菱銀行さん等におきます問題とか、それから警察消防等の問題、そういう点がございましたので、そういうのを含め、他局収容というのを含めた二重化ということを今後検討していきたい、こういうふうに思っているところでございます。  さらにまた、いろいろな管理システム、センサー等その他につきましても、一部分で実験をして進めていたところでございますが、こういう管理システムというようなものにつきましても、早急に実施していくというようなことを考えているところでございます。火事が出てからでまことにお恥ずかしい次第でございますが、そういう面に早急に取り組んでいきたいと思います。
  42. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 先ほどの御説明の中にそのような趣旨が若干述べられておりましたが、その内容については今わかりました。  ただ、まずケーブル不燃化の問題については、総裁も触れられておりましたけれども、塩化ビニールなりポリエチレン等を使って外装、被覆をしておりますね。ああいったものについては、面とか水には強い、しかし火には弱いということが言われておったわけでありますから、要するに、火に強いものを開発していくような新しい技術基準をまず第一番に考えて、そしてケーブルをそういう方向に、一遍にはできませんので、逐次やっていかなければいけません。そういうことを早急に手がける必要があろうかと思うのです。  それから、市内線の場合には、市外間の中継ケーブルと違いまして、世田谷の局だけで八万九千人いるわけですから、それを一々通信衛星を使ってやるということも実際問題、無理だと思うのです。したがって今、各地域ごとに架空されているケーブルの中に市内線が入って走っており、そしてある地点でケーブルが地下に入って局の中に入っていく、こういうシステムをとっていると思うのですが、その場合に、ただ一方からではなくて、もう一つ予備的なものをつくって、こっちが切れてもこっちが使える、そういうことができないものかどうなのかということを考えているのですけれども福富さん、これはどうですか、ちょっと専門的に。
  43. 福富禮治郎

    福富説明員 最初の不燃化ケーブルにつきましては、火が余り燃え広がらないようなケーブル等の研究を、材料等を含めまして至急にやれるようにしていきたいと思っております。  それから、加入者のシステムにつきまして、今、先生の御指摘にあったような点につきまして、総裁からも指示を受けておりまして、至急にそのように方策を進めていきたい。一方がやられても、先生が今おっしゃったような形での対策が打てるような仕組みというものがどうすればできるか、これはもうちょっと検討期間が要るかと思いますが、できるような形で進めていきたい、こう考えているところでございます。
  44. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、特にマンホールに対する管理の強化のことですが、かつて成田で切断をされて非常に問題を起こしたことがございます。したがって、今回のケースというのは、私たち見ておりまして、地下ケーブルがあり、空気孔があり、そしてマンホールがあるというようなことですから、そのマンホールの管理を十分にすると同時に、空気孔なんかについてもある程度の配慮をしていただきたい。いろいろな人がおりますから、意図的にそういうことをやろうとする連中がないとも限らないわけですから、そういうことも踏まえまして、マンホールの扉は簡単にはあかないような厳重な管理をしていただくことが必要だと思うのですよ。  たしか成田事件以来、かなりのマンホールについては、そう簡単にはあけられないようになっていると思いますけれども、なお一段の工夫を凝らして、この管理はぜひ強化をしていただきたい、同時にまた、空気孔等についてもいろいろ工夫を凝らしてやっていただきたい、こんなふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
  45. 山本千治

    ○山本説明員 復旧に長期間を要しまして、大変御迷惑をかけました。まず、おわびを申し上げます。  先生お話にございましたマンホールは、全国で今五十万ございますが、そのうち、重要なものが入っております十万につきましては、既に御指摘のような措置をいたしてございます。  それから、洞道等にありましては、どうしても作業をするということが前提でございますから、人間の空気ということも考えて、いろいろなものができているのでございますが、こういった点も先生指摘のとおり、人間の作業性というものと調和をとりながら、十分な対策を講じるようにしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  46. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ちょっと最初に申し上げました順序と逆になってしまって恐縮ですが、防災関係から始まりましたものですから、もう少し最終的な意見を、これは大臣の意見をお伺いしておきたいと思うのです。  先般、電気通信審議会から「非常災害時における通信確保に関する中間報告」が出ております。それを読ませていただきましたが、特にその中で、諸施設の内容については、各種防災無線の接続または防災通信システムの統合など、公共機関を初め通信事業者あるいは放送事業者の協力、それから義務化が必要と考えられるというようなことで、これをどういうふうに推進していくかというようなことがあるわけであります。  しかし、この通信システム全体を実現するためには、膨大な予算が必要だということも述べられております。近く基盤整備法案というものを考えておられるように伺っておりますが、法案との関連で、電気通信審議会から出された非常災害時における通信確保について、今のところどんなふうにしていこうと考えておられるのか、概要でも結構ですから、その点を承りたいのでございます。
  47. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのとおり、電気通信審議会の方から、中間報告という形で御答申をちょうだいいたしております。  それをどういうふうにして具体的に進めていくかということでございますけれども、日本はいろいろな面で災害が多い国であることでもございますし、その災害被害をとにかく、あらゆる手段を通じて最小限に食いとめていかなければならない。その場合に、情報の伝達、収集というものが、例えばパニックを起こさないとかいうためにも何をおきましても大切な問題だと思いますが、通信体制を十分整備しておかないと、非常のときにはその情報が役に立たないというような結果になりがちだということは、御指摘のとおりだと思います。  そうした観点から、この答申でいろいろ御指摘いただいております点につきまして、基盤整備法におきまして、義務づけをお願いできるものについてはお願いする、それからそうでないものについてもあらゆる体制で御協力をいただく、その場合の連絡体制といいますか、この基盤整備法の中でお願いできる体制というものをつくっていきたい、この問題は基本的にはこのように考えております。
  48. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 中間答申直後でございますが、大臣から勉強されていることについて御意見を伺いました。  大臣のおっしゃるように、災害の多い国でございますから、それなりの対策は、電電公社を初め、ほかの方面におきましても今まで講じてはおりますけれども、幾ら万全を期しても期し過ぎるということはないわけでありますから、そういう点でぜひ公社とも協力して進めていただきたいとお願いをしておきます。  それから、ちょっと順序が狂ってしまいましたが、今度の災害によって電電公社がこうむった被害は幾らになりますか、概算でよろしゅうございますから。
  49. 山本千治

    ○山本説明員 詳細なものにつきましては、今後の改良復旧も含めませんとわかりませんが、ただいままでの仮復旧に要しました費用は、物品代あるいは動員をした人件費等含めて約十億でございます。
  50. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 今まで敷設しておりましたケーブルが二百メートル焼けましたね、この焼けた分の損害が幾らか。それから今度、焼けた部分に新しいものを入れますね、そのケーブルの代金。それから、今仮復旧ですから、地上に出して地上でつないでいるのもございますね、それはやがて地下に行くわけですけれども、そういったものを含めまして、ちょっとこれは計算が、恐らく旧ケーブルについては耐用年数その他から見て、減価償却の点から見て難しいと思いますけれども、わからなかったらわからないでいいし、もし今後検討してみてわかるのなら、この場で御回答ができなければ後でも結構ですから、そういうものをひとつ総体的に見て正味どのくらいの被害額になるのか、その額を知りたいわけですが、いかがですか。
  51. 山本千治

    ○山本説明員 先生御指示のような金額につきましては、まだ勉強中でございますから、後ほど御回答させていただきたいと思います。
  52. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、先ほど吹田委員からも御質疑がございましたが、今回の災害による損害賠償のことでございますが、御承知のとおり、現行は公衆法上、第七十八条と百九条に料金の返還と損害賠償、こういうことがございまして、そのほかの民事上の損害賠償はできないという建前になっておるわけでございます。  すなわち、この百九条は、民法上の損害賠償の特例措置的なものとしてできておるわけでありますから、確かに、そば屋さんが出前を電話で承っていたものが電話が切れちゃってえらい損をした、どうしてくれるんだ、そういう意見も私たち聞いております。いろんなそういったケース、ケースの問題では、個人にとってみると、電電公社が何かの損害賠償をしてくれるのではないかというような気持ちも持っておると私は思うのですが、現行制度のもとでは残念ながら、さっきちょっとお話がありましたようなことしかできないわけでございます。  そこで私は、いろいろ七十八条あるいは百九条を読んでみましても、しち面倒くさい、局へ行って届けを出して請求するとかなんとかということがありますね、そういうふうなことは全然やめて、この際はひとつ、五日以上、二日以上、すぐ調べればわかるでしょう。ですから、そういうことをすぐお調べになって、そして一刻も早く返還をしてさしあげるというようなことぐらいは積極的にやってもらわなければいかぬと思うのです。タオルが三首円だか四百円のを持って回ったようですね。ある人が、電電公社はえらい丁寧にあいさつに来てくれたという話をちょっと私も世田谷伺いましたが、その気持ちが、やはり御迷惑かけました、済みませんでしたという気持ちがあらわれている、そこを加入者は受けとめているんだと思いますね。よかったと私は思うわけでありますが、同時に、賠償、料金返還等々は、非常に微々たるものでございましょうけれども、早急にこれを自動的に自主的にやるような方法をとってもらいたい。  それから、七十八条の料金返還については大体概算、額はどのくらいになりますか、それから損害賠償の方についてはどのくらいになりますか、その額を教えてもらいたい。
  53. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  先生指摘の点、まことにごもっともな点でございまして、私ども当初から、今回の損害賠償につきましてはできるだけ簡単な手続でやりたい、こういう方針を決めておったところでございますけれども、現実に私どものいろいろな窓口、例えば電話局それ自体あるいはオレンジセンターというのもございます。あるいは公衆電話でいわゆる立ち番をしておった連中もございますが、そういったところで皆様からいろいろ損害賠償お話もございましたし、実は二十七日、一昨日、全加入者お客様を回らしていただいたわけでございまして、その際も、余り直接に損害賠償は要るかなどという聞き方はとてもできませんが、お話の中でお申し出の方もありますし、ほとんどの方が損害賠償というのは当然御希望されるということは明らかだという建前に立ちまして、実際上は、法律上は請求という格好になっておりますけれども、今までの経緯から見まして、残ったお客様も御請求の御意思はあるに違いないという立場で、実は特にお聞きすることなく今までの情報の範囲で、最高額の、まあ五倍ということになっておりますけれども損害賠償の支払い手続をとらしていただきたいと思います。  なお、具体的には私ども、料金請求書の中で相殺といいますか、一々お払いするという手もあるかと思いますが、大変手間もかかりますので、次回の料金の請求書の中で相殺さしていただきたいと思いますが、これも私どもの料金のシステムの中で一番早くできる方法、十二月下旬から一月中旬にかけて発行する請求書になるかと思いますが、ここでやらしていただきたい、こんなふうに思っております。一言で言えばそういうことで、今後特に請求手続を待つことなくやっていきたいと思います。  二番目の先生指摘のどのくらいの額になるかということでございますけれども、まだ一部、大変急いで開通したものですから、何月何日から使えるようになったかということを一〇〇%つかめないところもございますので、ある程度推計でございますが、私ども総計で、まず損害賠償額は約三億三千万になるのではないかと思っております。内訳は、一般の加入電話に絡むものが二億五千万。それ以外に専用線とかいろいろございます。こういった定額でいただく分についてお支払いすることになっておりますが、この分が八千万、合わせまして三億三千万。なお、料金返還は俗に言えば一倍ということになるわけでございますが、これが七千万。両方合わせますと約四億というものが、お客様に料金返還ないし損害賠償という格好でお返しなり差し引き計算さしていただくなりという格好になるかと思います。  以上でございます。
  54. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 最高、最低がわかりますか。
  55. 神林留雄

    ○神林説明員 ちょっとそこまではつかんでおらないのですが、また別途調べたいと思います。
  56. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはぜひ早急にしていただきたいと思います。  今度の事故発生以来の電電公社の対応を見ておりまして、まず第一番に、私のところにも日本電信電話公世田谷電話局長江口誠という名前で、こういう郵便はがきが届いております。この中に、迷惑をかけて大変申しわけない、おわびをする。それから、復旧を急いでおりまして、これは「十一月末全面復旧を目途にこということでございますね、当時。そういうのが来ておりまして、確かにこういうふうに来てみると、ああ電電公社も一生懸命やっているのだな、今全力を尽くしてやっている、こういうふうな手紙が参りました。ただ「十一月」としか書いてないものですから、日付がわかりませんものですから……。  それからその次に来たのが、十一月二十日に「テレトピア」、電電公社総裁室の広報部から「世田谷電話局ケーブル火災のお詫びとご報告」というので来ておりまして、この当時も「十一月末全面復旧見込み」というのが一つ、それから伝言とりつぎ受付センターをつくりましたから御利用くださいというのが二つ目、それから「今後の対応」について「積極的に取り組むこととします。また、設備面につきましても、教訓を生かし、十分な対策を講ずることとします。」こういうふうに書いたものが参りまして、これはもう加入者全員に行き渡っていると思うのであります。  そして、伝言とりつぎ受付センターの設置ということについては、郵便法との関係も若干あったと思いますが、これは郵政大臣のお許しを得てやられたのでございますか、これは非常に好評であったと思います。それから郵政省も、何か普通郵便を速達郵便の扱いのようにして協力をしてくれたようでございますが、これも大変評判がよかったわけでございます。ですから、いい点はいい点として評価をしておきたいと思いますが、この対応というのが非常に難しゅうございまして、一方では、何しているのだという不満の中におるわけですから、そこへ頭を下げておわびしていくということは、やはり人間感情として私はいいことだと思いまして、とられました対応については、できるだけのことはしただろうと思います。  それからまた、さっきもちょっと問題になりましたが、報道関係にどうしても協力をしていただかないといけないのでありまして、NHK、公共放送を初め民放の皆さん、新聞、ラジオ、テレビ、こういったものを通じてやることが一番早いわけでありますね。何ぼ手紙を出したところで、これは相当遅くなっているわけです。これは瞬時にわかるわけでありますから、その状況等をできるだけ報道機関にも協力していただいてやっていただいたと思いますが、さっきの中間答申の問題も絡みまして、この上ともひとつそういう体制を整備をしていただいて、そして願わくは、こういう事態が再び起こらないようにということを私は強く願っておりますので、そのことをひとつ強く大臣にも申し上げ、最後に大臣総裁から、今までの質疑を通じまして、私も申し上げてまいりましたし、大臣お答えいただきましたが、これからの心構え、再び起こすまじというその毅然たる態度に立って大臣は御指導いただきたいし、電電公社も来年から民営になるという状況にもあるわけでございますので、一層ひとつサービス精神を発揮して、再びこういう事件の起こらないような対策を早急につくっていただきたい、こう思いますので、お二人から御所見を承って質疑を終わります。
  57. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのとおり、こうした不幸な事故を一つの大きな教訓といたしまして、これからのそうした非常災害のときの体制というものの強化ということについては、本当にいろいろな面で十分考えなければならない。しかも、それはばらばらであってはならないわけでありまして、郵政省も、電電公社だけでなくて、そうした新しい体制になりましたら、通信事業者全体にそういうことが徹底することができますように、法的な面におきましても、またいろいろな面での指導の面におきましても十分配慮をさしていただきたい、このように考えております。
  58. 真藤恒

    真藤説明員 今、先生もいろいろな御指摘、また御好意のあるいろいろな御示唆に対しまして、今、大臣のおっしゃいましたことに沿って、今後ともこの問題について長期的、中期的、短期的に取り組んでまいる、一応まず短期的に早期に着手すべきこと、それから長期的に技術開発を含めましていろいろやるべきこと、これをきちっと仕分けながら対応していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  59. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 終わります。ありがとうございました。
  60. 志賀節

    志賀委員長 次に、池田克也君。
  61. 池田克也

    池田(克)委員 公明党の池田克也でございます。  私は、今回電話不通になりまして、非常な迷惑をこうむりました世田谷あるいは一部目黒を選挙区として国会に山さしていただいております用地元の人々の嘆き、いら立ちをこの目で見、耳で聞いてきたわけでございます。本日は、同僚の御協力をいただきまして、本委員会で直接にこうした事件に遭遇した住民の声をぜひとも大臣あるいは総裁に聞いていただきたい、そして今後の対応策に国を挙げて取り組んでいただきたい、こうした気持ちで出席をさせていただいたわけでございます。  最初に、大臣お尋ねをいたしますが、電気通信事業の最高責任者として、この事件をどこでお聞きになり、まず最初にどのような指示をなさったのでしょうか、お伺いいたします。
  62. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回の事故につきまして、たしかこれはお昼に起こった事故でございまして、私は役所におりまして、この問題についての御報告を聞いたわけでございます。  まず、鎮火をしなければなりませんし、その被害がどういうふうな形になっていくかということについて十分究明しなければなりませんが、それにも増していろいろその間に、切れた方々に対して、とにかくいろいろな方法、最大の便法を講ずるように、電電公社はもちろんでありますけれども、その他の関係のところに対しても配慮できないかということをお願いをするということを指示をいたしました。
  63. 池田克也

    池田(克)委員 最大の配慮という大臣の御答弁でございました。  総裁は、そうした大臣からの指示を受けとめていらっしゃると思いますが、事件をどこでお聞きになり、どのような指示を関係者になさったでしょうか。
  64. 真藤恒

    真藤説明員 私は、不幸にしてこの発火当時、扁桃腺をやられまして、かなりの高い熱を出しまして入院いたしておりました。  それで、入院しておりますときに、午後にそういう発火の報告を受けまして、一番先に申しましたことは、けが人、死人はいないのかということを聞きましたら、今のところありません、ただ、二人だけ行方不明です、非常に心配です。しかし、それは無事であったことがすぐ確認されました。無理な消火作業をやらせて人の命に差し支えるようなことは絶対やってくれるな、これだけ頼むと言って、すぐ会社に出まして、特別な記者会見をいたしまして、当事者として当面のおわびということをやりまして、またすぐ病院に帰ったというのが実際の話でございます。
  65. 池田克也

    池田(克)委員 総裁として職員の安否を気遣う、これは大変大事なことだと思います。  私も、今回の事件にかんがみまして、電電公社の当局あるいはまた従業員の方々、とりわけ全電通労組の方々が、本当にもう力を込めて不眠不休の復旧に対する努力をされた、現場におりまして痛いほどその実情を見てまいりました。  今、総裁の御発言の中で、事件に巻き込まれた、全く突然に通じていた電話が通じなくなった、こうした世田谷あるいは目黒の一部住民に対して総裁から、ここにみんな来ているつもりで一言御発言をいただきたいのでございます。
  66. 真藤恒

    真藤説明員 ちょっと私、先生の御質問の大事なところを聞き漏らしておりますが、恐れ入りますが、大事なところをもう一言お繰り返しいただきたいと思います。
  67. 池田克也

    池田(克)委員 地域の住民が、今度の場合は特定の地域でございます。しかしながら、世田谷区で十万世帯、三十万人、目黒で約八千世帯の人々が、突如として電話が、話していたものがとぎれてしまった、かけてもかからない、こういう状態が発生いたしました。国全体の問題として審議をされておりますが、特定の地域のことであり、しかも加入者である、そうした点から、総裁からこの場で、この住民に対して一言、今回の事件について発言をいただきたい。
  68. 真藤恒

    真藤説明員 はい。今、私が聞き漏らしたと申しましたのは、この場でというお言葉がちょっとはっきりいたしませんでした。  確かにこの場をおかりして、あの地域の方々総裁としてお話を申し上げる機会を与えていただいたということに対して、まず御礼を申し上げます。  さっきから申し上げておりますように、火事は、人間のやることだから、洞道の中で火を使う仕事は避けられない今の技術レベルだから、起こるかもしれない。起こるかもしれないけれども、私ども当事者として残念でいたし方ないのは、丸焼けになったことだということを深く反省いたしております。丸焼けにならなければ、もっと早く回復もできましょうし、本当に御迷惑をかけた方々の数も三分の一か四分の一で済んだろうと思います。回復も早かったろうと思います。私ども当事者として今一番深く責任を感じておりますのは、丸焼けになったということでございまして、また、丸焼けになる可能性のある設備をかなりたくさん現在抱えておるので、これを早く措置するということが、我々にとっては一番大事なことだというふうに今深く反省いたしまして、責任者として今その点を、本当に相済まないことをしたということ、なぜもっと早く気がつかなかったかということを、私ももう参りまして四年たちます。もう逃げ口上は許されませんので、その点を深くおわびする次第でございます。
  69. 池田克也

    池田(克)委員 お立場は十分私、理解するものでございます。しかしながら、こうした災害に当たって、今お話がありましたように、事前に防げるはずのものを防がなかった、非常に重要な御発言がございました。  今度の事件発生について、責任者は一体どこにあったのか。最高責任者総裁でいらっしゃることはわかりますが、公社内における今度のこうしたことを未然に防ぐべき要衝にあった方はどなたであるか、その方々に対する処分は今後一体どうなるのか。大変厳しい言い方で恐縮でございますが、補償に限度があるという法律の状況から考えて、私、この場で一言だけお伺いをしたいと思います。
  70. 真藤恒

    真藤説明員 これは残念ながら、長い歴史の中で、電話局から加入者に行く線の安全対策ということについては、電話局同士あるいは電話局と長距離、中距離といういわゆる通信網の安全対策というものに比べまして、技術的な注意の度合い、また実際の仕事をやっていく場合のそういう面についての技術的な配慮というものが、長い間問題の種を残しておるということでございまして、きのう、きょう起こった原因ではございません。でございますので今慌てておるわけでございまして、全国にたくさん同じような危険性を含んだ設備を持っておる、これを早く直さなければいかぬ、こういうことで今非常に焦燥感を感じておるわけでございます。これはもう長い間の結果でございます。
  71. 池田克也

    池田(克)委員 お話はわかる気がしますが、責任者は一体どこにあったのか、これはいろいろ体制がございます。今後に再び起こさないというためには、責任者あるいは責任体制、そして国民に対するそれをだれがどう背負わねばならないのか。繰り返して申しますが、そっくり補償できるならばいいのです。そうでないならば、そうした体制を入れかえて、生まれ変わってこの問題の再発を防止する、こういうことになろうかと思います。  一体どこにそうした問題があるか、きょう結論が出ないかもしれませんが、今後にまたがってこうしたそれぞれの要衝にある人たちの処分の問題も出てくるのだろうと思いますが、御検討になるおつもりかどうかをお伺いしたいわけです。
  72. 真藤恒

    真藤説明員 検討する予定にしております。
  73. 池田克也

    池田(克)委員 電電公社が下請の工事会社に工事を委託しておられます。今回も下請の工事会社がそれにかかわっておるように報ぜられております。この下請の工事会社の責任についてはどのようにお考えになっておるのでしょうか、担当の局長からでも結構でございます。
  74. 真藤恒

    真藤説明員 世の中に対してはあくまでも私ども責任をとるべき立場にございます。契約の相手者として工事会社が私どもに対して責任をとるということはありましても、私どもが認定工事会社として認定して、私どもの監督、設計、仕様に基づいて工事をやらせている限り、私ども責任はすべてあると思います。工事会社が直接この社会的責任ということを問われることは、特別な何か犯罪的なことがあれば別でございますが、こういう業務上の問題ではまずないのが建前だというふうに解釈いたしております。
  75. 池田克也

    池田(克)委員 公社が下請の工事会社に今仰せのように工事を委託するに当たって、マニュアル、手引書というのでしょうか、こういう手順で工事をしなさいというものがあると伺っておりますが、本委員会に御提出いただけるでしょうか。
  76. 福富禮治郎

    福富説明員 お答えいたします。  公社といたしまして、契約書並びに共通仕様書というような形におきまして、安全に関する事項を記載し、十分配慮するように義務づけているところでございます。実際のそのやり方その他につきましては、これは契約を受けた会社のところの責任で行われるわけでございますが、さらに私どもとしては、実際私ども職員の間でも注意事項を定め、安全な工事を行うよう指導しているところでございます。また、洞道への入溝に関しましては、洞道入出の管理者に対し管理票を出して、承認を受けさせているところでございます。
  77. 池田克也

    池田(克)委員 私がお伺いしているのは、マニュアルがありますか、出していただけますかという点なんです。
  78. 福富禮治郎

    福富説明員 それでは後ほど、その契約に関します契約書並びに共通仕様書、安全に関する事項の点について提出いたしたいと思います。
  79. 池田克也

    池田(克)委員 委員長お願いいたしますが、大事な今後の資料だと思いますので、お取り扱いを検討していただきたいと思います。  重ねて伺いますが、このマニュアルに、洞道内にたばこや火の気を持ち込むことを禁じた項目があるでしょうか。
  80. 福富禮治郎

    福富説明員 契約書そのものには、そういう細かなことはございません。それは契約を受けたところの責任で行うわけでございますが、先ほど申しました私ども作業を行う実施要領については、もちろんございます。当然それらについて、私どもはこうしているということを工事業者にも知らしめているところでございます。
  81. 池田克也

    池田(克)委員 ちょっとあいまいなので確認したいと思いますが、私どもという表現がございました。公社職員がなさる仕事と下請委託業者がする仕事、二種類に分かれると思うのです。今、総裁お話しのように、下請には責任を問わない、全部公社責任であると言う以上は、下請の方々にもかなり厳しい、公社職員と同じようなやり方、手順、研修、こういうものがなされていてしかるべきだったと思いますが、それについて文章化されたものを出していただきたい、こうお願いしているわけです。
  82. 福富禮治郎

    福富説明員 それの仕様に関します点につきましては、先ほど申しましたように提出いたしたいと思います。それからまた、その細部につきましては、これは契約者が行うということになっております。
  83. 池田克也

    池田(克)委員 私が伺ったところによると、名前を出して恐縮ですが、大明あるいは明和というような電話専門の工事業者がかかわっておる。下請、孫請、その次ぐらいの関係者が今回の現場にいた。よくその状況は掌握できなかった、こういうことを私、現地で事故のときに伺っておりますが、その方々は本当に工事について安全な諸手順というものについて精通し、決められたとおりの手順で作業をしたということを立証できるのでしょうか。
  84. 福富禮治郎

    福富説明員 実際、そこにおいてその作業者がどうであったかというようなことにつきましては、私ども職員が立ち会っていたわけでございませんので、今警察等での聴取が行われているようでございます。そういう点につきまして聞かなければいけないわけでございますが、私どもとして今、先生のおっしゃった形が直ちに立証できるかという点は、難しいことかと思います。
  85. 池田克也

    池田(克)委員 難しいということは、その工事の担当者の管理に手落ちがあったということですか。
  86. 福富禮治郎

    福富説明員 この点につきまして、一体どのような――こういう事故が起こりまして現在、警察での聴取が行われているところでございまして、本当に手落ちがあったのかどうであったのかというような形につきまして、原因がどうであるかというようなことも全く私どもわかっておりません。そういう点につきましては、原因が判明した時点で抜本的な考え方をしていく必要があろうかと考えているところでございます。
  87. 池田克也

    池田(克)委員 消防庁は、今話が出ましたこの具体的な工事に際するマニュアルというものを承知しているでしょうか。また、それについて防災上の安全の立場から協議したことがあるでしょうか、お伺いいたします。
  88. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 ただいま先生指摘のマニュアルですが、それがすべてかどうかまだはっきりいたしませんけれども、一応どういう工事手順を定めているかということは、私ども資料をいただいて承知しております。  それから、事前の協議ということでございますが、これにつきましては、私ども直接関与しておりませんから、承知しておりません。
  89. 池田克也

    池田(克)委員 そのマニュアルを消防庁は検討して、これで大丈夫だと判断したことがあるでしょうか。
  90. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 ただいま私どもこの事故後、消防庁内に洞道等に関する消防対策検討会というのを設けておりまして、予防対策の面からの問題点とその対策ということを鋭意検討中であります。その中で、そういう御指摘のものも恐らく含まって検討の中に入ってくる、このように考えております。
  91. 池田克也

    池田(克)委員 そういう検討がなされることは結構だと思いますが、毎日、毎日電話線の工事は行われております。いつまでにその結論をお出しになるか、お伺いしたいと思います。
  92. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 このマニュアルに限らず、出火原因が何かということが、先ほど来出ていますようにまだ定かではありません。まず原因が究明されることが先行しなければならないと思いますが、我々は一般的に防火防災対策上どうあるかということを検討しておりますので、もちろん一日も早くその検討結果を得たい、このように考えております。
  93. 池田克也

    池田(克)委員 今、総裁が下請の方々責任を問わないということでございまして、私は公社としての姿勢を理解するものでございます。それなりに惰性と申しましょうか、日常の活動の中で手順が抜かれて、本当にこうした思わない災害でみんなが迷惑をこうむる、国会もこのために時間を割いてこうした議論をしなければならない、私は大変残念なことだと思うのであります。しかし、再発を防ぐためには再度、総裁としてこの関係の業者の方々に再教育をするあるいは再登録をする、そうしたきちっとした体制を指示し直す、こういうお考えはないか、お伺いをしたいと思います。
  94. 真藤恒

    真藤説明員 今の御質問でございますが、この機会に洞道内の工事を中心にした安全対策ということについて、私どもの直接の関係者並びに工事認定会社、その関係の事業者群について、組織的な教育を始める覚悟でおります。今日まで下請関係の工事会社の安全対策に対しては、私は特段の措置をやってまいりました。数字の上でもかなり違った数字がここ二、三年の間に、結果として出ておりますけれども、残念ながらその面でも、密集地帯の洞道の中の防火対策ということに対して特別な手を当てていなかったことも事実でございます。
  95. 池田克也

    池田(克)委員 大臣にこの問題についてお伺いをいたしますが、大臣は今後、安全対策を具体的かつ多角的に盛り込みたい、部分的には二重投資になっても仕方がない、電気通信高度化基盤整備法、こうした新しい法律の提案の際にこうした御決意を語ったと報道されておりますが、基本的にこの不燃化対策は法律で義務づけていく、こういうことが望ましいと私は思いますが、これについてお考えを伺いたいと思います。
  96. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのとおり、大切な問題でございますので、法案を出すときに十分検討させていただいて、どこまで義務づけするということ、これはいろいろあると思いますが、しかし何をおきましても、先ほど申しましたように、安全性信頼性というものが基本にならなければなりませんので、その点について法案を提出するときにも、また今後のいろいろな行政を指導していく上の基準といたしましても、この点をまず優先して考えなければならない、このように考えております。
  97. 池田克也

    池田(克)委員 補償の問題についてお伺いいたします。  先ほど来議論をされておりました法百九条、これによりますと、平均一世帯三千円ぐらいの補償額である、このように報ぜられておりますが、そのとおりでしょうか。
  98. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  先ほどの鈴木先生からの御質問にも、個別のものは今確定中だというお話をいたしましたが、私ども総額でざっとした推計で三億三千万円と見込んでおります。したがいまして、九万のお客様がいらっしゃる、それ以外に専用線等いろいろございますけれども先生指摘のとおり、平均すると三千円程度ではないかというふうに考えられます。
  99. 池田克也

    池田(克)委員 回復の見通しについて電電公社は当初一カ月、このように発表されました。私が直接北原副総裁にお会いした際にも、一カ月は最低である、とりあえず別の電話番号を使って何とか全世帯が開通するのに一カ月、本当のもとの番号に戻るのには年内いっぱいかかるのではないか、こうした大変長期にわたる見通しをお立てになりました。これは補償の問題と絡んでまいります。地元では、一カ月もこういう事態が続くのではという考えから、別に事務所を一カ所借りたり、あるいはそのために新築ビルでこの期間中に開店を予定していた人たちが、案内状を出し直して商売の時期をずらす等々、大変な予定の変更を強いられたわけでございます。結果は、努力の結果十日間、短いところではもっと早く回復をしておりまして、そのことについて私は感謝するものでありますが、補償に当たっては、一カ月と言われたのでそうした状況の対応をした、これについてどうしてくれるのだ、こうした声を聞いております。  時間がございませんので、その一カ月という予想について、法では確かにその該当期間に当たるかもしれませんが、今回の特殊事情から、暮れを控えて事業者がそういう事態にあったことも十分予想されます。また、法律のもとでは五日未満の不通だった場合には補償の対象になっておりませんが、ある部分は二十日、二十一日に開通しております。五日未満になります。しかしながら、こっちはかかっても相手側がかからなかった事実がたくさんございまして、この五日未満というのは、やはり今回はもっと幅広く認めてあげるべきではないか。この補償の期間についてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
  100. 草加英資

    草加説明員 今、先生の御指摘のような御苦情よくわかります。ただ、先ほども申し上げましたように、公衆法の定め方といたしまして五日というのが一つの基準になっておりまして、これを超えた場合にその不通の日の日額の五倍、こういうふうに定めておりますので、私ども法を適用いたしてまいります立場といたしましては、これを守ることになるかと思いますので、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
  101. 池田克也

    池田(克)委員 ここは立法府でして、そうした法律が具体的な現実に対応できない――たしかこの法律は、昭和二十年代にできている法律でして、当時の電話の普及状況から考えますと、かなり事情が変わっているように私は思います。したがって、これは国会の問題であろうと思いますけれども委員長にもお願いしたいことでありますが、大臣として行政の場で、なるべく運用について弾力性を持たせる、こうしたお考えはないか。なるべくならば弾力性の問題についてその検討をしていただく、こうした方向を御答弁いただけないでしょうか。
  102. 澤田茂生

    ○澤田説明員 先ほど公社からお話を申し上げているわけでございますけれども、現在の限定責任賠償という制度をとっておりますのも、要するに公衆電気通信サービスの特性、多数の利用者に対して定型的なサービスを大量に反復して行うというようなことから、その法律関係というものを明確かつ単純化していこうというような技術的な問題もございますが、やはり損害を受けた利用者の方の損害回復という面、あるいは公社事業の運営の円滑化と申しましょうか、極端な場合は甚大な被害が生じた場合における公社運営の問題、財政的破綻というようなことが生じないような事柄、あるいはそういったものを補償するための価格というものを料金体系の中に盛り込むというようなことによる料金のあり方、こういったものの均衡の上での制度というふうに私どもは理解をいたしておるところでございます。  そういうことで、今回の事件に巻き込まれた、損害を受けられた方々には大変申しわけなく、またその事情については心情的に私どもも十分理解できるわけでございますけれども、現行の制度におきましては、この限定賠償という規定によって処理せざるを得ないのではないか、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。
  103. 左藤恵

    左藤国務大臣 法律的には今、公衆電気通信法というのが現にあるわけでございますので、そうした点で、法治国家としてそれは守っていかなければならないわけでありますが、今こうした一つの大きな事故を体験したことでもあります。  今お話しのように、この法律は昭和二十八年だったと思いますが、できた法律でもありますし、そして新しく今度は新会社という形になりまして、電気通信事業法というものが成立いたしましたならば、これはまた契約約款でこういったものを考えていかなければなりませんので、そういった点につきまして、今までのものがいいのかどうか、また外国の例とかいうようなものも十分配慮いたしまして考えていかなければならない問題だ、こう思います。
  104. 池田克也

    池田(克)委員 時間ですが、もう一問すみません。  今回の事件で、人々の発言を総合しますと、電話は料金が滞るとたちどころにとめてしまう、情け容赦ない、そのくせこうして事故が起きると、法を盾にとって、本当に人々の苦衷というものを察せずに、言うならば踏みにじるような状態になりかねない。これからの新しい新電電に当たって、こうした大きな事故、それに伴う補償というものも十分配慮してほしい。  なかんずく自動車電話について、今回不通になった地域で、かなりの量の自動車電話を不本意ながら使用した人たちがおります。普通の一通話で十円のところが三百円もかかるような実情でございまして、請求が来るとどうしようかという声もあるわけでございます。この減免あるいは支払い猶予、さらには、何らかの証明を交付することによって、事業所の場合には納税の場合のさまざまな対応にもなろうかと思いますが、この問題を一点、お伺いをしたいと思います。  そして、今御答弁がありましたが、民営化のときにそうした契約約款をつくられるそうでありますが、ガスあるいは電気と共通した面があろうと思いますが、ガス、電気は補償について大変厳しい状態になっておりますが、今電話がこうした状態になるに当たって改めて見直して、そして制度国民が納得できるようなこうした方向につくっていただきたい。この点、ちょっとまとめて申し上げましたが、御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  105. 草加英資

    草加説明員 先生最初のお話の自動車電話の問題でございますが、確かに自動車電話をお持ちの方、または借りて大いに活用された方、いろいろ不通の代替手段として御活用いただいたわけでございます。ただ、自動車電話の普及状況等から見ますと、非常に少ない数でございまして、大部分の方は、特設公衆電話を御利用なさって、または伝言サービス等を御利用なさって急場をしのいでいただいたわけでございまして、自動車電話に対する減免措置というものをいたしますことも、公平という面からも、またはどの自動車電話からという特定の面からいたしましても、私どもといたしましては減免の対象にすることは難しいのではないか、このように考えておるわけでございます。  そこで今、先生お話しの不通期間における自動車電話の持ち主の方が加入電話不通になって自動車電話をお使いになったという、加入者の自動車電話所有の有無についての証明ということにつきましては、ぜひお申し出いただいて私どもの方で証明させていただく、このようなことを考えていきたいと思っております。  また、次の質問の契約約款の問題につきましては、事業法成立後、私どもでいろいろな例その他を勘案いたしまして作成いたしましたものを、郵政大臣に認可をいただく、このようなことで決めさせていただきたい、このように思っております。
  106. 池田克也

    池田(克)委員 終わります。ありがとうございました。
  107. 志賀節

    志賀委員長 次に、西村章三君。
  108. 西村章三

    ○西村委員 今回の通信ケーブル火災につきまして、私は事実関係、そして再発防止の観点から若干お尋ねをさせていただきたいと思うのであります。けさほど来、同僚議員からいろいろな角度から御質問がございました。できるだけ重複を避けましてお尋ねをしたいと思うのですが、一部大事なところのみ重複することもあるかと思います。  まず最初に、事故の発生以来、既に半月近くになるわけでございます。今日段階、消防庁あるいは警察におきまして、事故原因につきましていろいろと調査をしていただいているようでありますが、結果的にまだ今日の時点では原因の特定が難しい、こういう状況でございます。  原因が特定をされなければ、その再発防止対策ということも前へ進まないと思うのでありますが、しかし、一連の経過の中で我々考えられますことは、今回のこの通信ケーブル火災の発生原因につきましては、工事件業ミスの疑いが極めて強いということでございます。  そういう懸念が濃いわけでありますが、そうした中で、特に洞道内あるいは一般的に地下溝内における作業基準といいますか、こんなものは当然あってしかるべきであります。消防庁といたしましては、防災の面から何かそういう基準を今日までつくってこられていると思うのでありますが、その内容はどういうものなのか。あるいは、道路管理者といたしまして建設省見えていただいておりますね、建設省は道路管理者として、地下溝内における作業について当然のことながら、いろいろな基準を持っておられると思いますが、一般的なことで結構でございます、とりあえずその辺からお尋ねをしたいと思います。
  109. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 消防法の関連について申し上げます。  私ども学校であるとか病院であるとかあるいは百貨店、旅館、ホテルというような人の多数収容される施設、あるいは火災が起きました際に非常に人命危険の高い施設につきましては、特殊な対象物として、消防設備の規制を初めといたしまして、防火管理者という特定の資格者を置く義務づけをしておりまして、その中では、消防計画、つまりは日常の安全管理について、それから万一の火災発生後の対応について、種々細かな規定をつくらせるように義務づけておりますが、ただいま先生指摘洞道につきましては、この規制の対象に含まれておりませんので、そういうものを義務としてつくらせるようにはなっておりません。
  110. 岡田哲夫

    ○岡田説明員 道路管理者の立場からの御質問についてお答えいたしたいと思います。  道路管理者が設置する共同溝については、共同溝の整備等に関する特別措置法及び施行規則に基づきまして、共同溝管理規程が定められております。保安防災上特に必要な事項については、この規程の定めに基づき保安細則が定められております。この保安細則の中で、特に火災防止に関しましては、一つとして「構内での火気使用については、管轄の工事事務所長の承認を得ること。」二つ目としまして「藩内では喫煙を厳禁すること。」このように定められているほか、「火気を使用する場合は、消火器等の防火器具類を携行するなどの措置を講ずること。」としているところでございます。  なお、電電公社が設ける専用の洞道についても、道路管理者の立場から共同溝に準じた管理をしていただくよう指導しているところでございます。
  111. 西村章三

    ○西村委員 消防庁としては、洞道内のそういう措置がおくれておるということはまことに遺憾でございます。しかし、道路管理者の建設省としては、今答弁のありましたようなものがそれぞれ厳然として存在をいたします。  今回の事故は、いわゆる公社が関連企業あるいは下請企業に委託をしたものでございますが、当然のことながら、こういう作業につきましては、公社として指導あるいは指示があってしかるべきだと思うのでありますが、今回のこの事態の中ではどういう指導をされておるのか、また一般的にどういう形で指導されているのか、公社の見解をお伺いしたいと思います。
  112. 福富禮治郎

    福富説明員 お答えいたします。  今回の事故がどういう原因で起こったかということは、警察の手で今、調査中と聞いておりますので、私ども詳細にはわからないわけでございますが、一般的に公社といたしまして、契約書並びにそれの共通仕様書というものにおいて安全に関する事項を記載し、安全に対し十分配慮して工事を行うよう義務づけているところでございます。  さらに、洞道内作業につきまして、洞道作業に関します私どもの工事の実施要領につきましては、作業者に対し火気の使用、電気器具等の使用の注意事項を定めて、安全な工事を指導しているところでございます。また、洞道内の入構に関しましては、入構の管理者に対しまして作業の内容を記入した管理票を出して承認を受けさせているところでございます。
  113. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、今回の場合も、そういう基準に基づいて下請企業に対して、消火器の持ち込みでありますとかあるいは喫煙の禁止、あるいは防火責任者の選定といったこともおやりになられたわけでございますか。
  114. 福富禮治郎

    福富説明員 先生のおっしゃられるとおりに指導していたところでございます。事実その場所において本当にそのようであったかどうかということは、実を言いますと、火災が起きてしまいましたので私どもは認定はできない状況でございます。警察等の結果を待っているという状況のところでございます。
  115. 西村章三

    ○西村委員 当日現場で立ち会って云々ということは別にいたしまして、いわゆる洞道内作業についてはその都度、そういうことの念押しといいますか、指導は常になされておられたというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  116. 福富禮治郎

    福富説明員 先生のおっしゃるとおりに、洞道に入るときにそのような形をして承認させているところでございます。
  117. 西村章三

    ○西村委員 消防庁、防災の主管官庁として洞道内におけるそういう作業基準あるいは指導の要領が存在しないということは、まことに遺憾なことでございます。検討委員会をつくって発足されたようでございますが、そういう基準をぜひ早急に定めていただきたい。  それから、建設省ですが、今後、電気、ガスあるいは電信電話線、上下水道等も含めたいわゆる共同溝というものの敷設が急速に進展する見通しが出てまいりました。また、そういう計画をお持ちでございます。今回の事故にかんがみまして、単に共同溝の施設を延伸せしめるということだけではなしに、いわゆる防災対策の面から大いに教訓になるものがあろうと思います。今後工事方法について、こういう問題を含めて改善をなさるおつもりがあるかどうか、その意思をお聞かせください。
  118. 岡田哲夫

    ○岡田説明員 今回の事故は、電電公社洞道ということでございましたけれども構造物の性格から申しますと、共同溝も同様のことが言えようかと思います。そういうことで、今回の事故のことを我が身の教訓というつもりで、今後の防災対策努力してまいりたいと考えております。
  119. 西村章三

    ○西村委員 新聞の報道によりますと、今回銀行が、人それぞれオンラインが切断をしたというようなことで、全国的に迷惑が波及したということでございます。  先ほど来、こういう重要加入者からのケーブルのいわゆる二局への接続問題、今後検討するというような御答弁もございましたが、従来こういうことの申し入れ、特に今回事故が起きました三菱銀行からは、二局回線への接続という問題がいつごろから持ち込まれて、どういう形で検討されておったのか、若干その辺の事実関係、わかる範囲で結構でございますが、お教えていただきたいのです。
  120. 草加英資

    草加説明員 加入電話回線を二局に収容する、いわゆる私ども二重化と呼んでおりますが、この二重化をいたします場合には、膨大な設備費がかかるわけでございます。そういう意味で、今までいわゆる警察消防のような緊急、非常時に際しましての災害対策に必要なものにつきましては、私どもで二重化をやっておる事実はございますが、それ以外につきましては、いわゆる設備費の負担をしていただくという前提を含めまして二重化をしていくという基本方針を持っております。  三菱銀行からも実は、二年ほど前にこのオンラインにつきましての他局収容の御希望がございまして、どのような形で設備費を負担していただくか、または負担していただくとした場合の私どものいろいろな設計上の問題、または制度上の問題等につきまして検討をしてまいったわけでございますが、まことに申しわけなく残念でございますが、どのような形で費用をいただきどのような形で設計するかにつきまして具体的になる直前に、このような形の事故が起きたということが実情でございまして、こういうオンライン等も含めました重要回線につきまして、どのような形で御負担いただき、また実際に管路なりケーブルなりを他局から入れる場合には相当いろいろな形での設計も必要でございますので、どのような形にするかを現在、至急検討して実現させたいと思っているところでございます。
  121. 西村章三

    ○西村委員 いわゆる設備費用が非常に膨大なものがかかるということの経済的な側面と、これにはほかに何か制度的なネックというものがあるんですか。郵政省どうですか、二重帰属ができないという制度的なネック。
  122. 澤田茂生

    ○澤田説明員 お答え申し上げます。  私ども、そういう安全対策という観点からいろいろ検討も進めておりますし、また安全性信頼性対策ということで、データ通信ネットワーク安全・信頼性基準というようなものを定めまして告示を出している、あるいは今後の対応策といたしまして、対策システムというようなものの開発というものに取り組んでいるわけでございまして、現在、そういうことをやってはいけないというようなむしろ歯どめをするような制度というものはございません。
  123. 西村章三

    ○西村委員 そうすると問題は、経済的な面になってくるわけでございます。今後二局への接続について認める、しかもそれは設備加入者の方で負担をしてもらうということなんですが、これとてケーブルの接続というのは非常に膨大な、多額の費用が要るようでございます。  いわゆる計算センターを建てるのには約一千億円ぐらい金がかかる、こう言われておるのでありまして、そのためにいわゆる分配ができない、あるいは地方配置ができない、地方分散ができないということが言われておるのですが、これは仮にそれに相当するような費用というものがかかるのかどうか、実際この費用負担というものはやはり比率があるのだと私どもは考えるのですが、いかがでしょうか。
  124. 草加英資

    草加説明員 どのくらい費用がかかるかという、膨大な費用がかかるということに対する御質問でございますが、これは私どもの現在の電話回線の設計が、電話局から星形に回線を引いております。したがって、隣の局から同じようなケーブルを引き込む場合には、隣の局から延びておりますケーブルの一番端は当然、当該局に入ってないわけですから、その局に管路等を引いて引き込む、こういう設計になるわけでございます。  したがって、その計算センターの立地、どこに計算センターを設置するか、要するに現在、所属局の一番端にあって隣の局に一番近いところであればそう金もかからないし、または現在の所属局にほとんど近いところであれば延々と引かなくてはならないというようないろいろな問題がございまして、一概に言えないわけであります。  そういうことも含めまして、計算センターというようなものを設置される場合に、いわゆる安全面も含めた二重化の設備ができるような立地を含めて今後、やはり私どもも積極的にこういう事業者の方とお話し合いをしながら進めていかなくてはならない、このように思っている次第でございます。
  125. 西村章三

    ○西村委員 現実的に設備負担を全額利用者の方が負担をするということになりますと、これはもう大変なことでありまして、まさに絵にかいたもちにならざるを得ないところもたくさん出てくるだろうと思います。  郵政省といたしまして、データ通信等の今後の利用者に対して、二重化等の措置に対して援助あるいは指導ということはお考えになっておられませんか。
  126. 左藤恵

    左藤国務大臣 今御指摘のように、非常に重要な問題でございますので、我々としては今、電気通信振興機構というようなものを設立させていただいて、そうしたもので技術開発をやっていきたいと考えております。そういったところにまず一つ考えていきたいということが第一点だと思います。これは長期的な問題として、根本的な問題として考えなければいかぬ。もちろん、今お話がございましたように、新しくできてまいります通信事業者が、もちろん電電公社を含めまして、そうしたものができるような体制として、省としてこういった問題について積極的に検討しなければならないと考えております。
  127. 西村章三

    ○西村委員 大臣からの御答弁でございますが、いわゆる振興機構の活用問題とは、これは機構そのものにまだいろいろと重要な問題を含んでおりますから、短絡的に結びつけるわけにはいかないのでありますが、いわゆる費用負担の問題につきましては十二分に御検討いただいて、実際に実現可能な手段をどう選定をしてもらうかということに御腐心をいただきたいと思うのであります。  それから、重要加入者のみならず、今後の再発防止という面では、いついかなるときにこういう事故が起こるかもわからないという観点からいたしますと、いわゆる一般加入者の二重回線の問題も当然検討の余地が出てくるのであります。しかしこれも、費用負担ということになりますと、経済的に本当に莫大なものになるわけです。およそ四千三百万回線ですか、それくらいありますと、億単位ではなしに兆単位の金がかかるということであります。  これを経済的に可能ならしめるような方法というものもあわせて検討していただきたいと思うのでありますが、そんな方法が果たしてあるのでしょうか。今まで検討なされたことがございますか、お伺いをしたいと思います。
  128. 福富禮治郎

    福富説明員 先ほど答弁いたしましたように、重要加入回線につきまして一部やり、また二重化といいましても、局を変えない範囲内でやっていたというのが実態でございます。一般加入者について今まで考えていなかったということは、そのとおりでございます。今後の課題としてそういう問題の解決策を含めまして十分検討を進めていきたい、こう思っております。
  129. 西村章三

    ○西村委員 時間が非常に限られておりまして、十分御質問ができないのですが、問題は、やはり今後にあるわけでございます。特に電気通信分野は、今審議をされております電電三法が成立をいたしますと、いわゆる競争体制ということになるわけであります。この競争体制はもちろん、利用者サービスの向上を促進するといういい側面も持っておるのでありますが、同時に、逆にこのことが、今議論の中心になっております回線の二重化等の安全投資の軽視をもたらすのではないかということも大いに考えられるわけでございます。  この点について郵政省としては、来年の四月一日から発足をする新しい民間競合体制の中で、今後どのようにこの安全面を充実強化されていこうとするのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  130. 澤田茂生

    ○澤田説明員 新しい事業法体系になりますれば、電気通信設備の技術基準あるいは管理のあり方等について規定をしていくということでございまして、ただいまいろいろ御議論をいただいております信頼性安全性確保のためにつきましては、十分な検討を加えまして、万全を期すように対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  131. 西村章三

    ○西村委員 安全性信頼性確保は、冒頭に大臣がおっしゃられたとおりでございます。  そこで最後に、大臣お尋ねをしたいわけでございますが、今回の事故教訓にいたしまして、再発を防止するために回線の二重化によるバックアップ体制、あるいはケーブル不燃化、工事方法の改善等が叫ばれておるわけでございます。また、具体的に検討されようといたしておりますが、問題は、情報の利便性と危険性というものが裏腹の関係にある。同時に、安全性の要求とコストアップ、この兼ね合いというものをどう解決していくかということが、再発防止の一番重要な中心課題になっていくと思うのであります。  いろいろと提案がなされておるようであります。あるいは、公社の中でも、郵政省の中でも、さらに消防庁等関連のところでも、委員会が設置をされまして、それぞれ検討をされるのでありますが、この事故、さまざまな角度からさらに広げて将来に備えるという意味で、専門的な学者だとかあるいはその道の専門家、行政も単に郵政のみならず各省庁にまたがる大きな問題でもございますので、こういった衆知を集めるために新たな検討委員会というものをつくってはどうか、こんな提案もあるわけでございます。最後に、この委員会設置についての大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  132. 左藤恵

    左藤国務大臣 非常にありがたい御提言をいただいたと思います。今の御趣旨のことにつきまして、具体的にどの範囲はどういうふうにするかということにつきましては、また十分検討しなければなりませんけれども、そういった方向で事故の再発撲滅を期さなければならない、このように考えております。
  133. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  134. 志賀節

    志賀委員長 次に、中島武敏君。
  135. 中島武敏

    中島(武)委員 今回の事故は、日常生活に極度の不便を与え、火災通報もできない、営業の危機にも見舞われる、銀行から預金も引き出せない、手形の決済もできない、交通管制システムがダウンして交通渋滞を引き起こす、その他極めて多方面かつ全国的に重大な被害を与えたわけであります。私は、被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、電電公社の皆さんが不眠不休の努力回復のために努力をされたことを多とするものであります。  これは非常に大事な問題ですから私、幾つも聞きたいことがあるのですけれども、時間もありませんので、ごく絞って幾つかお尋ねしたいと思うのです。  まず最初に、大臣お尋ねしたいことなのですが、今度の事故電話等が不通になった。そうすると、印刷業のような受注産業、それから電話で注文を受ける業種は特に大きな被害を受けたわけであります。これは一つの例なんですけれども世田谷の下馬の中華料理店の例ですが、十六日金曜日から翌週二十四日土曜日までの売り上げ、これと直前の金曜日から翌週の土曜日までを比較してみますと、売り上げで三割の減であります。これは中華そば屋さんですが、出前、これは百九十九件あったのが九十件に減少する、こういう事態になっています。豪徳寺のあるガス修理店ですが、これは弦巻局、周辺局です。ところがこれは、昨年同月と比べますと八〇%の売り上げ減、こういうふうになっているのです。  年の瀬を控えて営業上非常に大きな被害を受けております。政府はこうした中小企業者などに対して、現在まで何らかの救済措置を講じておられるかどうか。既に世田谷区は緊急融資の実施を決めておりますし、東京都も二十六日、特別融資の実施を決めております。今度の問題、やはり電話などが不通になったという原因、また責任は国だと思うのです。ところが、国の方じゃ何もやってないというのは私は、率直に言ってもってのほかだという感じを持っております。私はこういう点でも、直ちに救済措置を国としてもとるべきではないか、こういうふうに思うのです。この点で大臣のこの問題についての見解を伺いたいと思うのです。
  136. 左藤恵

    左藤国務大臣 大変今お話しの点で御迷惑をおかけしている方々の範囲といいますか影響度というものは、今までと違って今日はどんどんその影響が深まっていくということになっておる、そういう社会であるということはよく理解できると思います。そして確かにまた、それに対します対策ということもとっていかなければならないわけでございまして、私は閣議で、各関係の閣僚の皆さんに御協力をお願い申し上げました。また事務的にも、いろいろ通産省、中小企業庁、自治省、そういったところの関係の省について、その所管のことについて、厳しい情勢であるということについて御理解をいただき、また手を打っていただくようにお願いはいたしました。  我々といたしましては、郵政省の所管としてもちろん、電電公社が一日も早く復旧して、そういった御迷惑の期間を少しでも短くするという努力をするということについてお願いするのは当然でありますけれども、今申しましたような点について各省庁にお願いをしたところでございます。
  137. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣お話では、各省庁に対してお願いをしたということなのですが、私は国民金融公庫に聞いたのです。そうしましたら、今度のは災害ではないので検討対象にはなっておりませんというようなことを言っているのです。これは率直な話なんです。それで大臣お願いはしたのだと思うのですけれども、政府、国にはいろいろ法律規定その他があるものですから、なかなかこれが発動されないのだね。これじゃ、せっかく閣議で言っておられても効果がないんです。  私は率直に申し上げるのですけれども、やはり大臣の方から関係の省庁、中小企業庁、大蔵省その他に、困っておられるのは現実なんですから、それでまだ解決がついてないんですから、世田谷区とか東京都がやるというだけじゃなくて、国もやはりそれに対してはっきり被害救済の実を示す、窓口を開くということは非常に大事だと思うのですね。そういう点で、私が聞いてみるところによると、どうもそうなってないのです。非常に残念な話であります。もう一度ひとつ閣議でやっていただくなり、申し入れをされるなりということをはっきりやっていただきたいと思います。どうですか。
  138. 左藤恵

    左藤国務大臣 御趣旨の点について、一層の徹底を図るように努力いたしたいと思います。
  139. 中島武敏

    中島(武)委員 なおこの際、ちょっと大臣に踏まえていただきたいのですけれども、これは率直に言いますけれども、融資その他につきましても、非常にややこしい条件がついておったり何なりするのです。それからまた、あなた三百万、じゃ、三百万貸しましょう。ところが、そうすると、ほかのお金はもう借りられないんですよとか、もう何やかんやややこしいのです。こういうのはやはりこの際、ちゃんとそういう条件を緩和するとか、あるいは枠を取り払うとかということを十分考慮していただきたいと思うのですね。  それから民間の金融機関、銀行などに対しても、返済の延期の措置を必要とする人にはやはりそういうことをちゃんと行政指導するとか、そういうこともぜひひとつ踏まえていただきたい問題なんです。被害が甚大なために、地方税、国税とも延納措置をとってもらいたいというような場合もあるのです。ですから、そういうことも十分踏まえてひとつこれをやっていただきたいということであります。  なお、引き続きお尋ねしたいのは、損害賠償の問題について、公社総裁にお伺いをいたします。  先ほどから損害賠償の問題についていろいろ議論がありました。公社が与えた損害ですね、受けた損害じゃなくて与えた損害、この問題について百九条の規定があるのですけれども、これで償うことはできるというふうにお考えかどうか、この点、お尋ねしたいのです。
  140. 草加英資

    草加説明員 今回の不通事故により、加入者皆様有形無形のいろいろな損害を与えたことは、まことに申しわけないことだと思っております。  この損害につきまして、私どもの事業を規制しております公衆法の精神といたしまして、できる限り低廉な料金で、あまねく公平に電気通信サービスを提供する責務を課されておりますので、この公共的使命を果たすために種々の規定が設けられ、その一環といたしまして、この限定賠償という制度ができているわけでございます。したがいまして、その限定賠償の範囲で最大限の額を早急にお支払いいたすということで私どもは対処させていただく、このようなことでございます。
  141. 中島武敏

    中島(武)委員 私、総裁お尋ねしたのだし、先ほどから私は議論を聞いています。それで、その上に立ってなんですけれども、実際に計算して、まあ一件当たり三千円程度ではありませんか。ところが、先ほど私が申し上げたように、今度の被害というのは非常に甚大なんですね。やはり百九条の規定で相変わらず走る、それ以上はできない、こういうお考えなのかどうか、総裁お尋ねします。
  142. 真藤恒

    真藤説明員 現在の状態では、当面私どもは、規定どおりに行動するということが当面の仕事でございまして、それ以外のことにつきましては、郵政の御指導をいただきながら行動するというふうに考えております。
  143. 中島武敏

    中島(武)委員 もっと気持ちも聞きたいのですけれども、時間もないから、大臣伺いたいのです。  大臣、もうるる申し上げません。百九条の規定というのは、先ほどから議論されているとおりです。一件当たりせいぜい三千円かそこらになるでしょうか。しかし、今度の問題で与えた被害というのは非常に大きいんですね。そうすると、これが救済されない。損害賠償されない。事実上されない。百九条の規定でいいというふうに考えていらっしゃるのかどうか、そこをお尋ねしたいのです。
  144. 左藤恵

    左藤国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたように、公衆電気通信法の百九条というものは、非常に古い法律であるということが一つあるわけでございます。しかしながら、やはりこれはいろいろそういった点でできました経緯ということで、一般の電話利用者皆さんの立場と、そしてまた被害を受けられた方々の立場、こういうものの一つのバランスというものがそういうときに考えられた法律であろう、こういうふうにも思います。  そういう意味におきまして、これが現段階において、それじゃすぐ今何か法律的に変えることができるかということになれば、これは私はなかなか急にはできないだろうと思います。そういう意味において、やはり現行法で御辛抱願う以外にないのではないかと思いますけれども、しかしながら、今お話がございましたように、ここで再検討をする必要は十分あると思います。  そういう意味におきまして、今度新しく事業法が成立して、そしてそこで電電公社が新しい会社になってまいります。また、第二の事業者も出てまいります。そうしたときに、どういう契約約款にするかという段階で再検討すべきだと思いますが、今回のことにつきましては、そういう点で、非常に問題はありましても、現在の段階においてこれを変えたり何かするということは不可能ではないか、このように考えております。
  145. 中島武敏

    中島(武)委員 今の大臣の答弁、私は大変残念に思うのです。現行法規が昭和二十八年につくられて、大変古い法律であり、規定だ。現在のような電話等の発達という状況は、当時とはおよそ事情が違うわけですね。ですから、この賠償規定では不十分だということは大臣自身も今お認めになっていらっしゃるとおりなんです。だから、新しい電電ができたらそこで考えていこう、再検討していこう、こういうお話なんですね。私、大変残念に思うのです。  現在起きている事故このものは、現行法規はあるけれども、やはりここからきちんと改めてやっていくということをやろうと思えばできることじゃありませんか。私は率直に申し上げます。法律が邪魔しているんだったら、古いということを大臣はお認めになって、そしてその規定が現状に合わないということであるならば、そこを認識していらっしゃるんだったら、政府の側からこの法律の改正を行うということをやってもよろしいわけだし、新法をつくったってよろしいのです。  私、そういう意味では、委員長にも申し上げたいのですけれども、ここは立法府なんですから、将来これから起きる事故に対しての教訓にするということは大事なことでありますよ。しかし、現実に起きているものについてその不備を認めながらやり過ごしてしまうというのは、これはいささか国会としての責任も果たせないことになるのじゃないか、政府としての責任も果たせないことになるのじゃないか。そういう点で私は委員長に申し上げたいのは、十分この点を検討して、そして将来のこととしてじゃなく、現在のことを救済することができる、賠償することができるというふうに、新法をつくってもやるべきじゃないかということを申し上げたいわけであります。――委員長、御見解あるんじゃないですか、大臣はさっき答えられたから。
  146. 志賀節

    志賀委員長 私から申し上げるのですか。最初大臣に御質問があったので……。
  147. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは、大臣から……。
  148. 左藤恵

    左藤国務大臣 今もお答えしましたように、今日まで参りました経緯というようなものも考えますと、急にここで立法をお願いするというようなことにつきましては、なかなか難しいのじゃないか。今のお話のような点について十分考えてみましても、権衡とかいろいろなことがあるので、ここでそれでは何か立法してお願いできるかということになりますと、私はなかなか難しいのではないか、このように考えております。
  149. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、難しい難しいばかり言われる。ところが現行法は、これはだめだということを認めていらっしゃるのです。ですから、私が言うのは、現行法の法規があるから難しいと言うんだったら、それをもっとちゃんと突破しなければだめだ――私、発言中なんです。そこなんですよ。やはり行政がおくれてしまうのですよ。これじゃ現在起きている問題を救えないのです。そこを私は大臣に十分考えてもらいたい。政府ですから、今大臣に対して、政府だから、政府としてはやろうと思ったらできるのですから、改めればいいのですから……。
  150. 左藤恵

    左藤国務大臣 私の申し上げておりますのは、とにかく現行法があるんだ。それが邪魔をしておるというお話でございますが、それでは現行法が絶対にこれは間違っておるというふうには考えておりません。とにかくそれが、一般の加入者被害を受けられた方とのバランスだとか、いろいろなものを十分配慮しているかどうかについて、考え直さなければならない問題を含んでいるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであって、全く現行法がいけないのだ、こういうふうに申し上げているわけではございません。十分検討する余地はある、こういうことを申し上げているわけでありますけれども検討した結果、すぐにそれでは法案を出すということについては、なかなかいろいろ問題があるのじゃないか、こう申し上げているわけです。
  151. 中島武敏

    中島(武)委員 私も、全くだめだ、こんなことを言っているわけじゃないのです。しかし、これは不備です。それは大臣も認めているところなんです。しかし、大臣の今の答弁、大分重ねてしつこく聞いたのですけれども、どうも現行法規があるからと、つづまるところはそこへ落ちついてしまうのですね。  それで私は、ここは国会だと、ここから改めるべきじゃないかということで、今回から改めるべきじゃないかということで委員長お願いしたいのは、やはりその誠意を被害者の人たちに対してきちんとあらわすという意味からいっても、この問題についての再検討をやるべきではなかろうか。そしてこの点を委員会として、十分御検討いただきたいということを申し上げているのです。
  152. 志賀節

    志賀委員長 委員長としての見解を申し上げたいと思います。  先ほど来、郵政大臣中島委員の御質問に対してお答えをいたしましたとおり、まず行政府としてのいろいろな手続といいますか、配慮がなされなければならない。それが今中島委員の御指摘のように、末端ではそのとおり実行されていない、閣議では伝えられたけれども、そのようになっていない。まずこういうことから現実に移していくことでもって、現段階において、にわかに現行法規が極めて不備であるという認定に至るには、客観情勢は乏しいと思われますので、より現実的な取り運びを今後にらみながら、御質問の御趣旨は十分念頭に置いて対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
  153. 中島武敏

    中島(武)委員 本当はちゃんと理事会や何かでよく検討して、そしてこの委員会でも検討していただきたいのだということを重ねて申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたようですので、今度の事故というのは、大変電話等が、電気通信が公共性が高いということを非常にはっきりあらわした事件でもあったと思います。私はそういう点では、民間の会社に移すならば、なおさらその危険が考えられるわけでありまして、やはりこの際、新電電三法は撤回をさせる、そして現行法の不備を改めて出し直していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  154. 志賀節

    志賀委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十六分散会