運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-07-11 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時二十八分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       亀岡 高夫君    近藤 鉄雄君       近藤 元次君    左藤  恵君       佐藤 守良君    額賀福志郎君       野中 広務君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       佐藤 観樹君    中村 正男君       松浦 利尚君    松前  仰君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         大蔵大臣官房審         議官      橋本 貞夫君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      小山 森也君  委員外出席者         大蔵省主計量         計官      日高 壮平君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    牧野  力君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日体電信電話公         社営業局長   草加 英資君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     児島 光雄君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   森中 守義君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     佐藤 観樹君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     森中 守義君     ――――――――――――― 七月六日  日本電信電話公社制度改革に関する請願(永井  孝信君紹介)(第七三一八号)  同(伊藤忠治紹介)(第七三四八号)  日本電信電話公社制度等改革に関する請願(阿  部未喜男紹介)(第七三一七号)  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (矢山有作紹介)(第七三七四号) 同月十日  日本電信電話公社制度改革に関する請願伊藤  忠治紹介)(第七三九七号)  同(富塚三夫紹介)(第七三九八号)  同外一件(薮仲義彦紹介)(第七三九九号)  同(草野威紹介)(第七四七九号)  同外一件(中西績介紹介)(第七五八六号)  日本電信電話公社制度等改革に関する請願外二  件(武部文紹介)(第七四八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号  )  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  3. 松前仰

    松前委員 今回の法律案についていろいろ質疑が続けられてきておるわけでありますけれども、私は聞いておりまして、やはりどうしても自由競争といいますか、そういうものにこの電気通信をさらすということが非常になじまないという感をいよいよ深めざるを得ないという感じがしておるわけでございます。例えば背広だとか商品、そういうものの自由競争という例も出たかのように思いますが、それに対してこの電気通信というのは全然違う、異質のものであると私は思うのです。背広とか商品とかそういうものは非常に短命ですから、常に自由競争を行うことができる、こういう点がございます。  ところが電気通信の場合は、第一種にしても何にしても一回こっきりの、一回だけの競争しか行われない。しかもそれが初期である。後は独占みたいな形になる、その競争に勝ったものが。そういう格好になるところが大きな違いではないだろうか。だから一概に競争原理にさらすことについて、これは普通の市場に出回っているものと対比してみると非常に違う性質のものであるから、その辺をちゃんと考えて法律を直すなら直すというような形にしていかなければならぬだろう、私はそういうふうに思っておるわけであります。確かに今の電電公社制約が多過ぎるという点については認めざるを得ないわけでありまして、そういう点については改善をすればいいのであって、ただその先に競争原理を取り入れるという点がどうしても納得がいかない、そういうことを常に頭の中で考えておりまして、その辺が疑問になっておるわけであります。  しかしながら、この法律が出てきてこうやって審議が進められておるわけでありまして、この法律自身について、それじゃ具体的に一体どこかこのまま打っちゃうとまずいかという点についてもやっておかなければならぬということで、きょうはその辺を少しやらしてもらいたいと思います。前に議論が出ておったことも再び出てくるかもしれませんが、その辺については御容赦をお願いしたいと思います。とにかく時間が非常に少なくて一人だった三時間という中でもって本当に審議がきちっとできるかどうか、非常に私は危惧を感じておるわけでありますけれども、急いでやらざるを得ないという状況なので、やらせてもらいたいと思います。  そこで、この事業法の方でまいります。事業法の方でまず省令とか政令についてはこれはいろいろわからぬ点がたくさんあるのでありますけれども、今はちょっとそこを外したそれ以外のところで御質問をさせていただきたいと思います。  事業法第七条に書いてありますところの「利用の公平」というところでありますけれども、ここでわざわざ「不当な差別的取扱い」という言葉が出でまいります。「不当な」という言葉が出てきておるのですけれども、これはどういう意味でしょうか。
  4. 小山森也

    小山政府委員 電気通信事業のように公共的事業において不当な差別的取り扱いが許せないということは言うまでもないのでございますが、特に電気通信事業によって不当に差別されると社会的活動から締め出される結果となるというようなことがありますので、第七条において明記しているところでございます。ただ、御質問は不当ということ自体が大体差別と重複するのじゃないかということのように受け取ったわけでございます。  これは要するに特定の利用者を正当な理由なく差別して取り扱ってはならないという趣旨でございまして、例えて申しますと、正当な理由というようなことを考えてみますと、福祉電話、こういったときは一般利用者とは異なった料金でこれは差別しておりますが、差別というのは逆の意味になりますけれども、これはやはりほかの利用者の犠牲において福祉のための電話等をカバーしているわけでございます。ただしかし、そういったときには合理的な意味での区分を設けたものとしてこういったものは差別の中の不当な差別ではない、こういうような考えでございます。
  5. 松前仰

    松前委員 まあこれについて多く議論したくないのですけれども、「不当な差別」、そういう言葉が出てくると不当でない差別というのは一体あるのかというような感じがするわけですね。ですから、「不当な」という言葉は入れなくても「差別的」で十分じゃないだろうか。前の法律はたしかそういうふうになっていたと思うのですけれども、そういうことを申し上げておきたいと思います。  次に、第十条でございます。「許可基準」、ここのところでございますけれども、まず第一号ですか、そこに書いてあります「業務区域における需要に照らし適切なものであること。」これは何をもって適切であるか、どういうふうに判断するかという点についてお答えをいただきたい。
  6. 小山森也

    小山政府委員 これは参入を予定している方の提供しようとする役務が質的に当該業務区域需要と合致しているかどうかということを言うわけでございまして、具体的にはこういうことがあるかどうか現実の問題としてはまた別でございますけれども、言葉として申し上げますと、電話をぜひ引いてほしいという地域においてデータ通信サービス提供する、こういうようなことになりますと、やはりこれでいきますと、提供しようとする電気通信役務業務区域における利用者需要に応じるということにはならないわけでございまして、そういった意味におきまして望まれているような役務提供をぜひやってほしい。別の意味におきましても、逆のことにも通じるわけでございまして、データ通信を引いてもらいたいということを区域の住民が望んでいるにもかかわらず、電話だけは引くけれども、データ通信はできないよというような、初めから提供するということについては、やはりこれについて第一号で規定しているということでございます。
  7. 松前仰

    松前委員 その逆の方向意味においては、需要があるにもかかわらずやらせないという点がそれをやらせるというような方向になるということでありますからいいとは思うんだけれども、逆に私たちが心配するのは、非常にニーズがあるというにもかかわらず、この相手ですね、適切なものと判断するというこの許可条件を新電電に課するのか、それとも第二電電言葉はそういう言葉でふだん言われておりますから、そういうように言いますけれども、それが非常に問題ではないだろうか、そういうふうに思うのですけれども、これは公平にそういうことが行われる保証というものはここからは全然読み取れないのですけれども、その辺はどうですか。
  8. 小山森也

    小山政府委員 この条項は新電電もそれ以外の第一種業者にも全部係るわけでございます。  ただ先生御存じのことでございましょうけれども、今現在電電公社がやっている仕事、これは新電電になりましたら自動的に仕事は継続されるわけでございまして、新たな許可は必要としないわけでございますので、参考までに申し上げておきます。
  9. 松前仰

    松前委員 この辺はまた後で議論することにいたします。  次に移りますが、二号の方ですが、「電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと。」この過剰という判断はどの辺で線引きをいたしますか。
  10. 小山森也

    小山政府委員 これは事業安定性の見地から提供の基盤となる電気通信回線設備の量的な適合性を見るものでございます。敷衍して申し上げますと、電気通信回線設備が非常に多くの投資を行って設置されるという特徴を持っております。またそれと同時に、その用途は特定化されまして、例えばそれが不用になって過剰設備であるといっても、撤去にも多額の費用を要するというところから事実上転用が困難であるということがございます。そういたしますと、電気通信回線設備過剰投資を放置しますと、その費用負担が今度は利用者料金に転嫁されるということになりかねない。そこでこのような事態を避けるために電気通信回線が著しく過剰とならないような制度としているわけでございます。  ただ、それでは著しく過剰であるというのは何かということでございますが、これはやはり一般論としてはこのような表現でございますけれども、これは個々別々の具体的な例にのっとりまして、需要の見通しとか市場規模当該事業者の採算の規模とか、それから従来行っている既存業者、例えば、今現実の話として電電公社でございますけれども、既存業者の有する既存回線設備がどうあるかということの総合的な勘案ということをいたしまして、当該事業者参入により、既存の第一種電気通信事業者電気通信回線設備をも合わせまして、当該区域または区域全体としての電気通信回線設備の保持が経営上困難となるかどうかということを判断する場合でございます。  それではなぜこういうことを認可一つのメルクマールにするかと申しますと、個々事業者としては適正な判断をした、こういうことでございましても、総体として、例えば電電公社と、言葉は悪いのですが、仮定の言葉でございますけれども、第二電電、第三電電それぞれ自分では非常にいい回線設備、適切だと思っても、総合いたしますとオーバーになってしまって結果的に不用な設備ができるというようなことを防ぐということでございます。やはり判断はその場その場の、先ほど申しました個々別々でないとなかなか判断できない点でございます。
  11. 松前仰

    松前委員 今、最後におっしゃられた個々別々にその場その場での判断、こういうことになりますと、この法律がひとり歩きしていくわけでありますが、今の奥田郵政大臣でしたらおわかりになるかもしれないけれども、これはほかの大臣がなられた場合に、この法律の解釈というもの、それから今の個々判断というものによって全部決まってしまうということになると、これはいろいろなその人の政治的判断が入ってくる。(「利権が入ってくるぞ、利権が」と呼ぶ者あり)利権が入ってくるのですね。そういう点が非情に心配なわけですよ。  それから、ここの一号、二号という問題は需給調整というものにもつながっておりますね。需給調整という考え方は、これはそもそも自由競争に反するもので、この辺でもまた矛盾を来している。競争原理に基づいて電気通信を発達させようというようなことに対して、また需給調整というものを絡めてきてということは自由競争に全く反する、矛盾をしているわけですね。矛盾をしたものをこの中にぽこっと入れる。これはますます矛盾になってくるし、先ほど話しましたように政治的な意図というものがすぐにあらわれてくるものでありますから、このところで「電気通信回線設備が著しく過剰とならない」という、過剰というのを数字的にぴたっといけないんだったら、一号、二号という問題は私はあれば害になると思うのですが、どうでしょう。
  12. 小山森也

    小山政府委員 御説非常に適切な御忠告だと思います。したがいまして、この判断を明確化するということはやはり実施に当たってのあらかじめどなたにでもわかるような形での通達とかあるいは実施省令というようなものをつくるとかによりまして、恣意判断をその場その場でしないんだということが、いろいろ御利用の皆様とかあるいは事業をなさろうとする方がわかるようなもの、これはあらかじめ明確化して、透明度を保つという努力は私どもでしなければならないと思っております。  それから、先ほど自由競争矛盾ではないかということでございますが、ただいま申し上げましたような多量な過剰設備になったときというようなときの利害関係が結果的に利用者にはね返るということのないようなところから許可になっております。許可になるということは、自由競争を、参入を認めたとしてもやはりある程度完全な市場価格ではないということも半面この中で認めざるを得ないのがこの枠組みでございます。したがいまして、法的な枠組みとしては完全市場価格ではない。したがって、認可というもので料金認可ともかかわり合いがあってくるということで、このような形で法的には置いてあるということでございます。
  13. 松前仰

    松前委員 今お話あった中でもう既にこの競争原理というものを採用する点の矛盾が出てきている。私が冒頭申し上げましたけれども、普通の商品であればしょっちゅう自由競争の場ができてくるわけでありますが、この場合には一回設備すればかなり永久に続くというようなことがある。そこで、たくさん入ってきた場合に困るし、またニーズが多過ぎてそれに応じ切れないとかいう点、だれを入れようかという点もいろいろ考えなければいけない。そういう点で需給調整というものを取り入れざるを得ないというようなところがあるわけですね。これはやはり競争原理というものに対する大変な矛盾であるわけでありまして、そういう点について、私は今の御答弁のところから、これはやはり自由競争にそぐわないものであると見たのでありますけれども、いかがですか。
  14. 小山森也

    小山政府委員 完全な市場価格を形成しないということではございますけれども、やはりその中においてのお互いの切磋琢磨という形の競争原理は導入されていると思います。それから、やはり完全な市場価格を形成しないから認可料金にもまたかかわってくるというようなことは、これは先生指摘のように、磁気通信というものの公共性から来るところの特性でございまして、御説のとおりでございます。
  15. 松前仰

    松前委員 この「著しく過剰とならない」という点についてもう一つ申し上げたいと思います。  競争原理というのは本来、経営当事者の責任でやるわけでありますね。自由に設備を建設していくわけで、先ほどからニーズという話が出ておりましたけれども、ニーズのみならず、ニーズをつくると言ったら語弊があると思いますが、隠れたニーズ、そういうものを発掘していくということもあるわけであります。それを積極的に発掘していって、利用者が知らなかった部分、それを引き出していくというような点もあるわけでありますから、この電気通信事業というものは何年か先を見越して投資をしていくわけですね。そういう産業であるということがまず言えると思うのです。一般的な設備の過剰というものはこういう産業の性格から当然あり得ることなんで、そういう点から考えますと、この「著しく過剰とならないこと。」というような点についてその判断基準というのが本当にわかるだろうか。その辺を私は非常に心配をしておるわけであります。その辺について……。
  16. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては役所の恣意にわならないように、これにつきましての判断については、個々別々、その際電気通信審議会にかけて許可を行うということにしているわけでございます。
  17. 松前仰

    松前委員 電気通信審議会にかけて一々許可をおろすということですか。それはどこに書いてありますか。
  18. 小山森也

    小山政府委員 第九十四条の第一項の第一号に「第九条第一項の規定による第一種電気通信事業許可」となっておりまして、要するにここに書いてあるものは、「次に掲げる処分等をしようとするときは、政令で定める審議会」、政令で定める審議会とは、この場合においては電気通信審議会を指すわけでございますけれども「に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならない。」このように法律に書いてあるわけでございます。
  19. 松前仰

    松前委員 その点はわかりました、この一局、二号というのは、私先ほどから何週も申しておりますけれども、特に競争原理というものに対して非常に矛盾を来しておるし、さらに設備投資とか設備変更許可基準、そういうものに対して非常に制約を与える代物であるわけでありまして、私はこの一号、二号というものは削除した方がいいと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  20. 小山森也

    小山政府委員 先ほどから申し上げておりますようにこの電気通情事業設備というのは、一度これをつくりますとなかなか撤去もできない、しかも初期投資にかなりの金額がかかるということになります。そういたしますと、これを削除いたしまして自由に任せるということになりますと、結果的に利用者にその金額負担がかかってくるということになります。これは電気通信事業だけではなしに電気事業とかガス事業にもやはり同様なことがありまして、結果的に利用者にその負担額がかかってこないような一つの歯どめをしているわけでございます。  ただ運用におきまして、この法律の精神というのは先生指摘のようにあくまでも競争原理のもとでのそれぞれの企業者意欲というものをもとにしておりますので、基準を決めてこれ以内でなければいけないというふうに最初からその需要というものを抑え込んでいくというような形で企業意欲を抑えるというのがこの趣旨ではございません。あくまでも企業者企業意識でもって新たな企業活動をするというその基本に立ちまして、著しく過剰というような現象が明らかに予見される場合においてのみ行政というのがそこにタッチすべきであろうというふうに考えております。
  21. 松前仰

    松前委員 抑えるというような意味ではないということをおっしゃいました。しかしながらここではそういうふうには響いてないし読み取れない。ひとり歩きしたら必ずそういうような方向が出てくるのは間違いないと思うわけでありまして、そういう点から考えてもこの一号、二号というものは必要ない、私はこういうふうに思います。自由にやらせると価格が上がるとかそういうことよりも、これによって統制が行われて大変なことになるのです。例えば設備変更が、三十四条の方にもありますけれども、設備がちょっと変更になるとまた許可を取り直さなければいけない、大体設備変更というのはどのくらいの程度がもここでははっきり書いておらないし、とにかくここに書いてある抽象的な表現、これがクリアにされなければ私はこれについて認めるわけにいかないのです。先ほどそういう基準について決めていかなければならぬというようなお話がございましたけれども、それをいつ出していただけますでしょうか。
  22. 小山森也

    小山政府委員 この法律が成立いたしましたならば、その成立以後におきまして実施通達というようなものをつくってまいりたいと思っております。
  23. 松前仰

    松前委員 これが通ってから後ということではちょっと私は審議することはできないのでありますけれども、それを前に出していただいて、これならこうだということを国民の前に説明をしてもらいたい。そしてこの一号、二号というもの、さらに三十四条ですか、その辺の問題もこれは大丈夫だということを明示してもらわなければ納得することができないのですけれども。
  24. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましてはちょっと私手元にないのでございますけれども、当委員会の方に資料を提出してございますので、ひとつその辺御了解いただきたいと思います。
  25. 松前仰

    松前委員 どの辺に出ておりますか。
  26. 小山森也

    小山政府委員 私は変更の件だと思いまして変更につきましては三十四条ではなしに十四条でございまして、この十四条につきましては省令によって行うことになっております。ひとつ御理解のほど願いたいと存じます。
  27. 松前仰

    松前委員 三十四条と十四条とちょっと私も間違えました。申しわけありませんでした。十四条ですね。  この変更の件の省令というものではなくて、この十条のところの基準についてどこに出ておるかということなんですけれども、日経新聞の七月十日号を見ますと、郵政省は九日この現在検討中の第二電電構想認可指針を明らかにした、こういうのが出ておるのです。これは本当に明らかにしたのですか。
  28. 小山森也

    小山政府委員 まことに残念なのでございますがまだできてないわけでございまして、どういうことでこの記事が出ているのか、私も見ましてちょっと出所不明でございます。
  29. 松前仰

    松前委員 出所不明でどうしてこういう記事が書かれたかはちょっと私はわからないのでありますけれども、そういうことでしたらこの記事はないものと見させてもらいたいと思います。  いずれにしろこの十条の一号、二号という部分については非常にいろいろな問題を含んでいる。競争原理にも矛盾するしさらに需給調整というような形での統制というような形が出てくるし、また第一電電というか新電電会社に対する規制というようなものもかなり強化されてくるというような、郵政大臣がかなりこれに介入するというような形になりますので、奥田郵政大臣でしたら恐らく大丈夫かもしれませんが、その後いろいろ大臣がかわられる可能性がありますので、そういう点でこれはひとり歩きしたときに本当に健全な運用ができるようになっていかなければならぬ。だからこの基準をしっかりと明示をしていただきたいというのが私の主張でございます。そして一号二号というのはぜひ削除しておかないと矛盾がたくさん出てくるし統制も厳しくなるということでございます。その辺をどうか頭の中に含んでおいていただきたい。この辺について大臣の方からちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  30. 奥田敬和

    奥田国務大臣 細かい部分についてはただいま政府委員が答弁したとおりでございますが、私は今、先生の、この法律が成案化されてひとり歩きしていくという過程の中で、透明度がはっきりしないままに運用を誤って、その中に行政介入がいろいろいかがわしい形で行われるのではないかという御指摘については、確かにそういった面の慎重な検討を部局に、一層の細かい、そういった御指摘の点に基づいて検討いたさせるように努力いたします。  なお、先生が言われておりますように、競争原理を導入するというのが今度の法案の骨子ではございますけれども、複数の業者競争し合って、いいサービスが結局国民に還元されていくということが最も大事な原点であろうと思います。そういうことからいいましても、先ほども御指摘ございましたが、ほかの産業事業とは全然異なります。はっきり言ってこれはもう、過当競争で、競争原理はうんと働いたけれども共倒れになったとかそういう形になった場合に、極端な話ですけれども、国民の生活、経済はおろか、大変な国の中枢神経にもまつわる大事な事業でございますから、やはり現実の問題としては、ここにある程度の基準制約というものは当然あるべきであろうと私も思います。  さりとて、そういった過剰の基準というものを一体どこに置くかという形の中で、行政需給調整まがいの形で不当に介入するというのはこれは慎まなければならぬ。こういった非常にいろいろな意味で、現実の問題としては、今、御指摘されるような問題点が万が一にもあった場合ということを考えるときに、私はやはり、こういった透明度を増す上においても慎重に検討の部門が残されておるということを、ただいまの御質疑の過程の中からでも痛感しております。そういった意味で、今後とも御審議の過程を通じた御意見、そういった形の中で、政令なり通達なり、透明度を増すような方向で努力してまいりたいと思います。
  31. 松前仰

    松前委員 これについては、私も意を尽くしませんで、なかなか議論がかみ合わなかった点もあると思うのですけれども、また同僚の議員が質問をするかもしれませんので、その辺についてはお許し願いたいと思うわけであります。  続いて、その後の方を少し簡単にやっていきたいのですけれども、私の今言っているのは、あいまいな点が多過ぎるということを言っているのですが、例えば第十二条、「郵政大臣が指定する期間内に、その事業を開始しなければならない。」「指定する期間内」、これは全く不明な、あいまいな表現であります。この辺ははっきりした期間というものを定めなければいけないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  32. 小山森也

    小山政府委員 こういう場合には、事業規模等にもいろいろかかわってまいりますので、許可を受けた者がその事業を開始するまでに合理的と思われるような期間を設定するということでございます。
  33. 松前仰

    松前委員 これは裏を返せば、郵政大臣がとにかく思うとおりにできるというような事項になるわけであります。表の意味はそういうことであろうかと思いますけれども、裏を返せばそういうことになる。こういう点も不明である。  さらに十二条の三項、これも、「正当な理由があると認めるときはこというような言葉があります。第一項の期間を延長することができる正当な理由というものがはっきりしない、そういうことがございます。  さらに、第十五条の「業務の委託」、こういうときに、この中で二項一号に、「その電気道信役務を効率的に提供するために当該委託を必要とする特別の事情があること。」「特別の事情」、こういうものも非常に不明である。「特別の事情」というのは一体どういうものか、ちょっと簡単に御説明いただきたい。
  34. 小山森也

    小山政府委員 その事業者が直接自分でやった場合においては、そこに事務所を置くなりあるいは常勤職員を持ってやった場合においては経済的に非常に引き合わないとか、あるいはそこに職員を持って仕事をした場合においては非常に不便な土地であるというようなときに委託をすることができるということでございまして、例えますれば、今現在でございましたら、電報のような仕事を委託するというようなことでございます。
  35. 松前仰

    松前委員 一々そうやって全部説明を聞いていかないとわからぬようなことになっておりまして、そういうのを全部わかるように書いておかないと、ひとり歩きしたとき困るということなんです。  二項二号においても、「受託者が当該業務を行うのに適している者」、「適している者」というのは、一体どういうふうに適しているのか、この辺さっぱりわからぬわけです。これは一々聞いていると時間がなくなりますのでずっと申し上げますけれども、私の申し上げる点については、どうか十分に検討をして答えを出していただきたい。この法律がもしか通るということになる前に出していただかないと困ると思います。  例えば、第十八条「事業の休止及び廃止並びに法人の解散」というところでございますけれども、四項「公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合」、「公共の利益が著しく阻害される一というのは、これはやはり判断をだれがするのかによってみんな決まってしまうわけでありますから、これも非常に不明である。著しく阻害されないというような場合は一体どうなるか、逆に返すとわからぬわけですね。  それから第十九条一項二号やはりこれも「公共の利益を阻害すると認めるとき。」という言葉が出ております。大体みんな、具体的にわからぬ、不明なあいまいな点が多過ぎるということであります。  さらに第二十一条、第二種、ここはもう大きな問題でございますけれども、特別二種と一般の差、ここのところが非常に問題があるわけでありまして、これは、今現在特別二種と一般の差についてはどういうふうに設定をされておりますか。
  36. 小山森也

    小山政府委員 特別二種と一般二種のカテゴリーの差というのは、もう御存じかと思いますけれども、要するに、特別第二種は一般第二種に対しまして、不特定多数を相手とする一般的、汎用的なサービスだ。それからもう一つ、全国的、基幹的なネットワークということで、しかも、その法律自体に明文に書いてございますけれども、「当該設備規模電気通信回線の収容能力を基礎として政令で定める」こうなっておりまして、収容能力を基礎として数量的に決めろ、こういうふうに法律に書いてあるわけでございます。  それではどういうふうに考えるかということでございますが、政令でございますので、これはまだ決まっていることではなしに、これから法律成立後に初めて郵政省の原案を提出して政府で決めるということになっておりますけれども、現在考えているのは、おおむね五百回線程度とすることを検討しているところでございます。
  37. 松前仰

    松前委員 五百回線程度という話は随分前からいろいろ聞きましたけれども、根拠は全くその辺についてはないわけでありまして、たとえそういう五百回線とか千回線とか決めたにしても、技術革新というものがあるわけでありますから、その中でさらに、例えば小さく決められても、その中で特別二種的なサービスをやることだって可能になるわけですよ、技術革新というものはそういうものなんです。だから、こういうところで一般と特別とを分けるということはそもそもおかしい。前にも別の議論で私はやりましたけれども、大変この辺もおかしな設定の仕方だと思います。それにさらに、ここのところはどうも通産省と郵政省との争いといいますか、そういう点で出てきたものらしいということも言われておるということでありますので、私は一般と特別とは分けない方がいいということを主張しております。その辺も頭に置いていただきたいと思います。  関連して、第一種と二種との問題についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  第一種は、ここに書いてあるのは、通信回線と交換、それと一体になった交換機ですか、それを持つような事業だ、第一種電気通信事業、そういうぐあいにここに書いてあるわけでございますが、例えば、通信回線を借りて交換機の設備をつける、そういうサービスは一体どっちになるのでしょうか。
  38. 小山森也

    小山政府委員 第二種事業でございます。
  39. 松前仰

    松前委員 そうしますと、これは回線を借りて交換機ということになりますと、第一種の業務、その内容を侵すといいますか、その領域をとることが可能になるわけですね。交換というものは、これはやはり第一種電気通信事業の使命といいますか、命でありますから、そういうところを侵す、領域を侵すということになりかねないと思うのですけれども、そうすると、それが二種ということならかなり自由にそれができてしまう、その辺が大変この規定はおかしいと思うのですね。  私は、だから交換機だけを設備して回線を借りてやるというのは単純再販の一つではないだろうか、これはやはり禁止しなければいけないと思いますが、どうでしょうか。
  40. 小山森也

    小山政府委員 前にも当委員会で御説明申し上げたところでございますけれども、単純再販であるかどうかということは、確かに専用線を借りまして、その値段が今の公社で行っている専用線の値段というものの基準からいきますと、これは単純再販を予定していない価格でございます。それを単純再販を行いまして利用するということになりますと、これは第一種事業者において非常な損害を受けることでございますから、そういった契約を拒否することができるわけでございます。あくまでも値段との関係になってまいりますが、これは第一種業者と第二種業者の私的自治が先行いたします。これはあくまでも契約でございまして、その契約が先行した後において特に問題がないとか、あるいは価格において非常に不当な形での契約になっていない限りは、契約として認可されるということでございます。  したがいまして、これはあくまでも私的自治で契約をした後の問題でございますから、最初から法律でもって決めてしまうということは、ちょっとこの法体系になじまないわけでございます。第一種業者と第二種業者で、これは業者同士の契約によってまず決めるのがこの前提となっております。
  41. 松前仰

    松前委員 どうも言っている内容がよくわからぬのですけれども、要するに、いいということですか。回線を借りて交換機だけを設備して、それで電気通信事業をやるということは構わぬ。そういう点については第一種と第二種の契約でもって大いに話し合って、だめならだめ、いいならいい、こういうぐあいにする。これはだめと言うことはできないわけですね。  その辺について電電公社の方からちょっとお聞きしたいのですけれども、回線を借りて交換機だけを設備した会社が、その交換機で業務を行うという点については、本当にいいのでしょうか。
  42. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  第二種通信事業者が公衆網と専用線を接続して専ら電話サービスを提供するような単純再販売を行うことだと思いますが、現行の料金体系、専用線の料金体系を前提としておる限り、私どもの公社が新会社になった場合の経営に著しい影響を及ぼすことになるというふうに考えますので、私どもといたしましては、現在の料金体系のもとでは契約約款において制限が必要である、このように考えております。
  43. 松前仰

    松前委員 やはりこれは大変問題があるように私は思うのですけれども、問題ないと思いますか。
  44. 小山森也

    小山政府委員 今のような値段で再販したら、これはとてもじゃないが電電公社は損害を受けますから、拒否するのは当然でございます。値段の決め方いかんでございまして、これ以後、再販をしても利潤が第一種業者として入って自分に損害がかからないとなれば、そういった売り方をしても結構だ、むしろ大口消費でもって一遍に大束で売れるということになります。ただしかし、そういった契約をする値段が、とてもではないがそういう単純再販をしたのではポスト電電、新電電会社として成り立たないというときには、そういう契約を断ればいいわけでございます。それで断ったものも郵政省としては不当であるなどとは言う建前になっておらないことをひとつ御理解いただきたい。この法律はそういう建前でございます。
  45. 松前仰

    松前委員 その辺が新電電との間の話し合い、契約というものできちっと決められれば、それで拒否するということもできる。そういう行為について郵政省は一切介入しない。そういうことであればいいわけでありますけれども、しかし、それは値段の関係の話であります。しかし、交換というのはもっと別な面からいえば、通信回線と交換一体のものは非常に公共的なものであるわけでありますから、そういうものはやたらにあちこちに出て、そして今の通信回線を、公共性のある通信回線をどんどん侵害していくというような形になる可能性もある。そういう点から考えると、またそういう面から考えてみても、回線の単純再販、そういう形というのは余りいいやり方ではない、寄生虫がひっついてやるような形みたいに感じますけれども、それはそのぐらいでちょっとやめさせてもらいたいと思います。  さらに、時間が全然ないようでありますから先に進ましてもらいますが、第三十一条、これはまた別途質問があると思います、料金関係ですから、これはちょっと飛ばさせてもらいます。  第三十六条、ここにも書いてありますが、またこれも不明であいまいな表現でありますけれども「利用者の利益を阻害していると認めるとき」、その前には「社会的経済的事情の変動により著しく不適当となりこというようなことが書いてあって、「利用者の利益を阻害していると認めるとき」の「阻害している」というのはどういうぐあいに認めるかという点も不明であいまいであります。これも主観的判断が出てくるという条項であります。  さらに、第三十七条も同じような言い方があるし、第三十八条、第三十九条、ここのところにも、「公共の利益を増進するものであるときは、」公共の利益を増進するかしないかというのはどうやって判断するか、この法律三十八条、三十九条、この中でもそういう言葉が出てまいります。とにかく主観的な判断が余りにも多く取り入れられ過ぎておるというのがこの法律案ではないだろうか。それが全部どこで判断するか、「郵政大臣は」と書いてあるところは郵政大臣が主観的に判断するのでしょうけれども、そのほかのところはどこで判断するのか、よくわからぬところも出てきておるわけでございます。こういう点についてきちっと全部整備をしておかないといけないと私は思うわけであります。これについて一々お答えいただいても時間ばかり長くなってしまってどうしようもございませんので、そういう点を頭の中に入れて、これから法律の修正というものがありましたら、その辺もちゃんとやっていただきたいと思うわけであります、それ、よろしいでしょうか。
  46. 小山森也

    小山政府委員 御審議の過程のことにつきましては、よく私どもの今後の法律の運用その他において反映させることといたします。
  47. 松前仰

    松前委員 次に移らしてもらいますけれども、VANの問題でございますが、VANといいますか特別二種、一般二種の問題であります。外資規制という問題が審議の過程で出ておりまして、特別二種の外資の規制というのは取り除かれまして、「不特定かつ多数の者の通信の用に供する」のが特別だ、先ほど一般と特別の判定基準がはっきりしておりませんけれども、それによってもし判定されるとすれば、「不特定かつ多数の者」にサービスするものが特別だというぐあいに解釈をしておるわけでありますが、一般も不特定、恐らく可能だと思います。  そこで、この特別と一般というものについては区別をつけない、つけない方がいいということをこの間私は議論の過程でやったのですけれども、これが事外資、外国との関係ということになると、また話がちょっと別である、そういう点からちょっと議論をさせてもらいたいと思います。  VANのいろいろな論文が出ておりますけれども、VANの光と影というようなことはずっといろいろなところで言われております。影の部分というのは一体どのように認識されておられるでしょうか。
  48. 小山森也

    小山政府委員 なかなか適切な御返事ができないかと思いますけれども、要するに、VANというような形がネットワーク化していくことで拡大してまいりますと、一つのネットワークの中に参入しないあるいはどこかのネットワークに参入しないということによって、その人自身の個人レベルでもその中から疎外されてしまいまして、ネットワークにいやでも応でも加入せざるを得ないというような現象も起こり得るわけでございます。そうなりますと、どのネットワークに所属するか、あるいはそのVANというネットワークにどのような形で参入するか、またその参入の仕方が、個人によって、力があるかないかということによりまして、そういったいや応なしにネットワーク化された中に入っていくという状態になりますと、どのネットワークに入るかということで自分のみずからのいろいろな経済力といい生活力のすべてが決められてしまう、そういったような現象も起こり得るということでございまして、これはこれから、今後のネットワーク化社会において、行政でもって、当然影の部分というのを承知の上でいろいろな政策を立てていかなければならないのじゃないか、こう思っております。
  49. 松前仰

    松前委員 かなりいい線をお答えになったような気がいたしますけれども、利点というのは、このVANがネットワークをつくることで何が利点なのがよく言われておるけれども、コストを下げられるということのようでありますね。それは、本当にそうなるかどうか知りませんけれども、市場競争力が強まって産業全体の対外競争力が向上する、こういう非常にいいったい文句が光というところで出ているわけであります。しかしながら、これは裏を返した影というのは、今おっしゃったように、一度参入すると情報というもの、その中を通すから、そのネットワークをつくり出したものが覇権を握る、要するに制覇してしまうということが影の部分なんですね。これがやはり大きな問題になってくるのじゃないだろうか。ですから、その覇権を握るために、開放される電気通信市場でもって非常に大きな、すごい熾烈な競争が行われる、情報覇権を目指す闘いは今行われようとしているわけで、またまたこれも政治的な介入が出てくる可能性があるというのはこの前もお話ししたとおりでございます。  郵政大臣の私的懇談会の総合データ通信ネットワーク化構想懇談会の報告書の中でも先と影というのはみんな出ておりまして、そういう結果、ネットワーク化というものはそれに順応できない企業が淘汰されてしまう、差が出てきてしまう、社会の中に差別がどんどん広がっていく。これがこの競争の中で行われると、そういうことは情報格差という問題もあるし社会的な企業の格差もどんどん広がる、公共的な電気通信であるはずのものがそういう形になってくる。だからVANは悪いということではありませんけれどもそういうこともある。それから一部企業の独占、寡占化を招いてしまうというようなことになり、一度それができ上がるともう抜けられないしまたそこへ入り込めない、一回こっきりの競争であるということも先ほど申し上げました。  こういう点からすると、現在の状態でVANを外国にも開放するということが行われようとしているわけですけれども、外国の力というのは非常に強い、それが我が国を占めてしまうということになれば、それが独占する可能性もなきにしもあらず。その辺はどうお考えですか。この閥はたしか、日本も競争力があるから大丈夫だというようなお答えがあったように思いますけれども、その辺をもう一度。
  50. 小山森也

    小山政府委員 前と同じようなお答えで申しわけないのですが、確かに私ども米国の巨大通信業者が大きな資金力と技術力で我が園に参入してくるということになりましたら、これが我が園の企業あるいはデータの問題全般に相当大きな影響を与えるのではないかということを心配したわけでございます。  ところが、その後いろいろ調査してみましたら、既に先生御承知のことだろうと思いますけれども、例えばIBMとかATTというのがこの分野に参加したのは昨年からでございまして、それまでは参入が禁止されていたわけでございます。それではどういうのがVANとしてあったかといいますと、システムとシステムとの、プロトコル変換とかフォーマット変換といったような非常にきめの細かいような形の大規模なものでないVAN、これは十年も前からやっていたわけでございます。これに対してIBM、ATTといういわゆる世界の大企業と称するものは昨年からことしにかけてのことでございます。  それに比べまして、電電公社は既に十二年前から全国の銀行を対象とした為替交換システムというようなものを構築しております。それから国鉄においても、DACSシステムと言っておりますけれども既に運輸統計業務のためにやっているというようなこと、こういう事実を見てまいりますと必ずしも巨大なATTやIBMは無用に恐れることはないのではないか、むしろこの際、国内企業が優秀な外国系企業と自由競争を行っていって切磋琢磨していく方がいわゆる企業にとってというより利用者にとって利益になる、企業の立場ではなしに、利用者の立場からその方が利益になるし、かつ外国との関係においても安全であると見通したわけでございます。  それともう一つは、どうしてもVANというものはソフトにおきまして、ただ単にハードが優秀だということではなしに、日本の商慣習とか帳簿のつけ方一つにしましても、いろいろこういったものに食い込みませんとなかなかうまく構築できないわけでございます。そういった点におきましても、やはり日本の企業は十分ところかかなり優位な立場で実際の営業活動もできるのではないか、こう考えて外資規制というようないわゆる保護主義を捨てたわけでございます。
  51. 松前仰

    松前委員 外資の保護主義といいますか、その問題よりもどっちかというと情報の流出という点について問題が非常に大きい。外資規制ということをとらなければ今の状況では危ないだろう、結果的にそういう形になってくるわけですけれども、そうではなくて、ちょっとここで私読んだものから拾ってみますと、VAN業者はある種のソフトウエアを備えるだけで情報の流れを手に取るように見ることが可能だということです。例えばアメリカあたりは、VAN業者が自社のネットワークに流れる情報を再加工して再販するニュービジネス、こういうものが出てきつつある、地域や季節によって変わる売れ筋情報だとか、金融では資金運用の流れ、そういうものを再加工してそれを売ってそれで商売しようというものが出てきている。結局VANというのは不特定多数にサービスをするということが苦いであるけれども、結局自分で全部情報をつかめる、情報処理をやっているのですから。それが国際間に結ばれた場合に自分で全部情報をつかんだ者が一社一企業、またある特定の企業の集合体、これが情報をつかんで国際間にやった場合、例えばアメリカの企業間の情報通信網と特定のところと結ばれるならいい、しかしそれ以外の効果もすぐにアメリカ側もしくはその他外国からは期待できるのじゃないだろうか。  要するに、さしあたりは我が国の企業秘密でしょう。しかし、これが銀行とかそういうものにつながっていけば個人情報までも流出しかねない状況になるわけですから、そういう点、私は非常に危惧をしているわけで、外資の規制という問題じゃないのです。そうじゃなくて、そういうものが起こり得るから、結果として外資はやはり何らか規制しておかなければ今は非常に危険じゃないか、そういうことを私は思っておるのですが、その辺どうお考えですか。
  52. 小山森也

    小山政府委員 これからの社会において非常に大事な点を御指摘いただいたと思っております。これにつきましては確かにいろいろな保障措置が必要だと思います。ただ、たまたま先生が例を挙げられましたアメリカでの商売ということでございますけれども、これは私契約になりまして本人の承諾がなければ日本の場合にはできないわけです。要するに承諾なしに違法行為をしたというのはどうにもならない一つのことでありまして、これは罰則にかけるよりほかに手がないわけでございます。これは第百条に罰則が一応あるわけであります。  ただしかし、問題はその罰則にかければいいという状態にならないことが電気通信の場合、一番大事なことでございます。本来日本の国籍であろうと外国の国籍であろうと他人の通信の秘密を漏らしたり、あるいはそこの事業に従事する者がそういった知り得る立場のものをやる、これは法的には禁止されているわけです。また罰則もかかる、それから、技術基準におきましてもそういうことのないようにということで、秘密の漏えいにならないような技術基準を置かなければならないと育っておりますし、また運用におきましても特別な技術者を置け、こうなっております。  ただ問題は、先生も御心配になるようなことは幾ら法規でやっても、そういうことについては法規約な一つの防衛策と同時にまだもう一つあるではないかという御指摘だと思います。まさにこれにつきましては、ただ電気通信法制というものだけでこれの十分な対処をしていくというのはなかなか困難な点がありまして、今後いろいろなそういった社会全体におきまして、電気通信をめぐる保護措置というものが進められなければならないと思っております。無論プライバシーの保護全体になりますと電気通情だけに限らなくなってくるわけでありますけれども、これについてのいろいろなPRとか教育とかあるいは利用者から事業者に対する厳しい要求というものがなければならないと思います。無論、そういうような秘密を守らないような業者というのは、私どもとして期待するのは、自由競争の世の中になりましたらそういう葉者は淘汰されるはずであると我々は思っておりますけれども、しかし、はずでないことも起こり得るわけでございまして、その点は十分これからいろいろ措置を講じてまいらなければいけないと思っております。
  53. 松前仰

    松前委員 はずでない方が起こるのです、これは。世の中一般にそうでありまして、それで、もっと言いますと、VANサービス業者利用する企業を監視するということもできてくるのですね。法に触れない程度に事業活動を監視をするとか、妨害、拘束することも可能だ、こういうことも物の本には書いてあるのですよ。そういう点もこのVAN業者というものが非常に力を持ってしまう、それがしかも全世界にネットワークを張る、こういうことになるわけでして、一つだけ聞かしていただきたいのですが、我が国のこの法律の中ではこのVAN業者が情報を再加工してそれを再販するといいますか、売るというようなことはいいのですか。許されるのですか。
  54. 小山森也

    小山政府委員 ユーザーの了解なしにはこれはできません。
  55. 松前仰

    松前委員 ユーザーの了解があればできるということですね、逆を返せば。だからやはり問題が出てくるわけであります。それで、このVANという代物は一体何かと技術的に考えると、これはまるで今までの技術が未熟だった、それをカバーするために交換機と交換機を、特殊な交換機をつけようという代物にすぎないですね。それが情報を握ることもできる、こういうことになるわけですけれども、要するに、今まで全部コンピューターは自由競争をやってきたからいろいろな種類のコンピューターが出てきて相互接続が全然できない、それを相互接続できるようにしましょう、それから、今はもうできるかもしれませんが、電気通信の中でも交換機というのがあって、それが今までハード的に同報通信みたいなことができないような形になっていた。それを今度はできるようにしましょう。それから速度変換だって、新しい技術で効率的に信号を送る、それからパケット通信なんというのはこれはもう最たるものです。回線綱を非常に有効に使おうという交換方式ですね。だから、このVANなんというのは本当は交換方式にすぎないのですよ。  ところが、それをいろんなところにつなげて、コンピューターにつなげてサービスしようとすると情報を握ることができる、こういうことになってくるので、VANというのは今まで不備だったところをねらった非常にうまい商売なんですね。これは本当にうまいと思いますよ、うまいというか、いいところをねらったといいますか。だけれども、それだからこそいろいろ問題が出てくるわけです。だから、さっきの通信の秘密、企業の秘密という点から考えると、VANもやはり中立性のある第三セクターがやるべきだ、公共性というものを重視するものではないかと思いますが、これはある偉い人がそういうふうに発言をしている。私もそう思う。どういうふうに考えますか。
  56. 小山森也

    小山政府委員 確かに先生が御指摘のとおり、これからのVANというのは電子交換機を中に入れてコンピューターのシステムとシステムを交換しているという商売ではないかと言うと、おっしゃるとおりでございます。  ただ、その内容でございますけれども、恐らく二つの方向に非情に分かれてくるのではないかと思います。一つは、先生が今、御指摘になりました非常に多数を相手にした広範な全国的なネットで非常に大きいというものと、もう一つ、非常に個別のニーズに非常に細かく対応していって、規模は大きくないけれども、システム間の交換が非常に緻密にできているという方向と、両方になるのではないかと思います。  それでまた、我々の国民生満に一番密接にかかわってくるのは、その大きな広範な全国的ネットであろうと思います。したがいまして、これにつきましては一つ公共性といいますか、それを法的に保障した形のものでなければならないということで、特別第二極として登録制にしたということでございます。
  57. 松前仰

    松前委員 登録制という、外資の問題は全然自由になっておりますけれども、その辺でちょっとお聞きしたいのですが、アメリカ側はVAN開放でがちゃがちゃやってきたときに、我々は我々の市場を開放するからあなた方も同じことをしなければいかぬというようなことで日本側を押し込んだというようになっておりますけれども、このときアメリカの市場を開放した。我が国のVAN業者が、VAN業界がアメリカに進出する、それは全く自由だからいいよと向こう側は言っていると思いますけれども、しかし現実に、先ほど私、話をしましたけれども、電気通信というのは一回の競争が終われば後は入り込む余地が非常になくなってくるわけですね。  向こうではATTとIBMが、その他もあるかもしれませんが、かなりの勢力でVANを占めているという状況の中で、我が国が向こうに進出するという可能性がないような状況にあるわけですよ。そういう状況の中で要するに、向こうはもう日本のVAN業者が進出できないようにしてある、法律は自由かもしらぬけれども。そういう状況の中で、おまえのところ自由化せいと言って、我が国にぐうっと押しつけてきた。ということは、まるで不公平ですね。その辺のことを大体、通産省はアメリカ側に言ったですか。向こうに、おまえのところは本当に自由が。恐らく自由だと言ったに違いないけれども、その辺ちょっと聞かしてください。
  58. 牧野力

    ○牧野説明員 通産省の電子政策課長でございます。  今の先生の御意見でございますが、アメリカ側といろいろ議論をして、アメリカ側に実際上出れるかどうかというようなことを言ったかどうか、私必ずしもつまびらかではございません。ただ、従来から申し上げておりますように、私どもといたしましては、日本の国際的な地位にかんがみまして貿易、投資あらゆる面で自由化をしていくべきであるという観点から御意見を申し上げましたけれども、何度も申し上げますように、この観点が特に原案をつくる段階で郵政省と通産省の非常にホットな議論の焦点になったというふうには承知はしておりません。  これはちょっとフューズが違う問題でございますが、例えば農産物等におきましても、実際上日本からアメリカには輸出というのはないわけでございまして、やはり日米間あるいは国際の関係というものはトータルな関係で見ていくということで、私どもとしては一般的な御意見を申し上げたということでございます。
  59. 松前仰

    松前委員 我が国の政府はそこが弱いのですね。こっちは自由化せいと言うなら、おまえのところも本当に自由化できるか、そこのところはアメリカとやる場合にはしっかりやってもらいたい。全然自由になっていないと私は思います。FCCなんというのもあるし。  一つ例があるのですよ。一九八一年に富士通が光ファイバー、これを入札を行った。そうしたらアメリカの政府がそれに介入して富士通に契約を取り下げさした、こういう事実があるわけですね。だから向こうの市場は全く自由ではないです。自由自由と言いながら、自由じゃない。だから、そこのところを我が国はきちっと主張しなければいかぬ。向こうから言うなりに、自由化せい自由化せい、はい、そうです、貿易摩擦です、そういう調子でやっておるから、日米関係はいつまでたってもよくならぬ、私はそう思うのです。その辺、今、議論してもしようがありませんから、私の意見として言っておきます。  最後に、一つお聞きしたいのですけれども、会社法の附則の第二条、見直しの年数、五年以内の「会社の在り方の検討」というのがあります。それから、事業法の附則第二条、同じように、三年以内に必要な措置を講ずる、これは、何回もいろいろお聞きしましたが、三年ぐらい先には、電気通情の発達というのは、どういうふうに発展していくかよくわからぬから、その辺で見直しをしたらいいというようにお伺いをしておるわけですけれども、法律というものは、こんな実験的な法律なんというものはつくるべきじゃないのですね。法律は、一度制定されたら、それはしばらく長く運用していくのが当たり前であって、その中で、修正しなければいかぬというようなものが出てきたら、国会議論などをして、そして修正をしていく代物で、三年とか五年とか、こういうふうに決めるということ自身が非常におかしい。三年後に見直ししたいところはどこなんですか。五年後に見直ししたいところはどこですか。
  60. 小山森也

    小山政府委員 先生御説のとおりに、法律というのは、ふだん常に見直しをして、現実との乖離を縮小していくという努力はしなければいけないのは御説のとおりでございます。特に、技術革新を背景といたしております会社法とか事業法というものは、重要なポイントがあると思います。  ただ、これも、先生のお説のとおりに、法律というのは国民の権利義務関係と密接に関係しているものでありますので、法的な安定性を保つことが重要であるということから、少なくともこの三年、五年ということの間は法律安定性を保つという、その両方のバランスから、三年、五年ということを、見直しましょう、こういうことです。  それでは、どこを見直すのかということですが、これはどこという特定の場所の想定をしているわけではございません。要するに、常に見直すべきものを、法律安定性というものから、三年、五年という周期によって行え、こういうことでございまして、特定のものを目指してこの見直しをするわけではございません。(「理由にならぬ」と呼ぶ者あり)
  61. 松前仰

    松前委員 今のは本当に――今、後ろの方で理由にならぬという話があったけれども、見直す三年、五年という時期との関連、これは根拠が全然ないと私は思うのですけれども、とにかく三年というのは、これはたしか、一番最初考えた原案はもっと長いはずだったですね。それがずっと短くなってきた。それが、技術革新によって変わるだろうから見直すという話もありました。  私、聞きましたけれども、そうなると、ちょっとこれは事例を出すけれども、この三年間に、いろいろな問題があるけれども、例えばVANにしましょう、VANが入ってきて、さっと世の中を制覇してきた、そうすると、今の法律のこの条項でもってやってきた、三年後に見直したら、見直された後に入ろうとするものは大変な規制を受けることになるでしょう。恐らく規制が出てくると思います、日本じゅうを制覇したというような形になってくると。先着順という格好で、今のこの法律で入ってきたものが勝ちだということにならないですか。大体、三年後に見直すというポイントが私はよくわからない。
  62. 小山森也

    小山政府委員 三年と申しますのは、特に第二種電気通信事業を念頭に置いているものでございます。第一種電気通信事業のような形で大きな装置産業ということですと、非常に大きな全体の事業体でございますから、方向変更とか進歩とかといっても、長いスパンがかかるのでございますけれども、第二種電気通信事業というのは、やはり第一種事業から回線を借りてやる事業でございますので、そういった点で非常に変化が目まぐるしいであろうということでございまして、そういった点での法全体の見直しということを想定していることでございまして、既存業者というものが有利になるとかというものは想定していないわけでございます。
  63. 松前仰

    松前委員 そうすると、その先の状況というものは、今現在、予測するのが非常に自信を持てないということだろうと思うのですよ。今の会社法、事業法というのは、自信がないということですね、そういうことにつながる。おかしいじゃないですか。自信のない法律なんか審議することできないですよ。全然自信がない。自信のある法律を出してください。三年、五年なんという項目、必要ないですよ。
  64. 小山森也

    小山政府委員 現時点におきまして、非常に自信のある法律を出したわけでございます。ただ、そこにおきまして、三年という年限において見直すことができる、そういった形にしておるわけでございます。
  65. 松前仰

    松前委員 それだったら、三年という期限をつける必要ないじゃないですか。自信のある法律ならそのまま出して、その都度法律審議をやればいいじゃないですか。五年だって同じこと、おかしいですよ、三年、五年、こんなもの取るべきですよ、絶対。取らなければ、こんなもの納得できませんよ。削除しなければ困ります。郵政大臣、いかがでしょう。
  66. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いや、率直にお話ししますけれども、確かに私たちは第二種事業、特に大型VANに関しましても、原則自由としながらも、緩やかな外資規制はある程度必要だろうといったことは、結局、先生が御指摘されたように、情報ののぞき見ができるシステムでもございますから、そういった意味で、特定な外資企業だけに席巻されるというおそれの事態になった場合を想定してのことであったわけでございます。しかし、その後のいろいろな調査の結果、国内企業としても十分参入にも対応できるという、そういった形の調査の結果を得ましたので、この際、内外無差別という形の中で、二種事業というものを開放したといういきさつもございます。しかし、これはあくまでも、例えばこれ、二種事業に関してだけでございますけれども、最近の技術進歩、特にソフト面のそういった技術の格差というものが歴然ときて、先生の恐れるような事態というような形の変化も想定した上で、この事業法に対して見直し規定を強く実は、求めてきたわけでございます。  また、二種の五年という形に関しましては、これは先生御存じのとおり、臨調は民営・分割といったような形の提言があったことは事実でございます。しかし、現実の点において、通信事業に関しまして今日の新しく移行するということになります新電電のこういった分割というような方向は、国の通信の一元体制からいっても、通信の根幹、国民生活の影響大という形の中で、現実政策としてはそういったことはなじまないという形で私たちは強く主張いたしましたことも事実でございます。そういった形の中のパーフェクトなものではありませんけれども、ABCのいろいろな政府部内等あるいは臨調等々の御意見の一つの厳しい論争の中でこういった見直し規定というものをつくった、それによってこの法案の法律化というものを御審議していただきたいという形でございます。したがって、先生の御意見、御提議というものも、私たちはその審議過程をわかっておるだけに真摯に受けとめておる次第でございます。
  67. 松前仰

    松前委員 この三年、五年の問題についてはぜひ郵政大臣にお考えいただいて、実際に実情に即した法律という形にしていただきたいと思うわけです。  時間が参りましたので、この辺で終わらせていただきます。
  68. 志賀節

    志賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十五分開議
  69. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  70. 松浦利尚

    松浦委員 時間が九十分ですから、余り私見を入れずに、質問に限定をしたいと思うのであります。  まず、郵政当局に、冒頭お尋ねをしておきたいことがあります。それは、御案内のとおりに、一九七九年の九月にOECDの理事会が政府規制分野についての再検討を行うことを勧告しておるわけです。そのことについては、郵政当局は御存じですね。
  71. 小山森也

    小山政府委員 存じております。
  72. 松浦利尚

    松浦委員 このOECDの勧告というのは、政府規制というものを新たに導入し、あるいは変更、強化しようとする場合には、有効性とともに競争条件への影響というものも考慮に入れなければならない。ですから、「行政庁が許認可等の政府規制制度を導入・変更・強化しようとするときには、その可否を統一的見地から事前に審査する方途について検討すべきである」という公正取引委員会の指導というものが各省庁にわたって行われておるはずであります。  アメリカにおいては、このOECDの一九七九年、昭和五十四年九月の勧告に従って、国内における政府規制というものをどんどんと外して、自由化をする方針をたどってきておるわけであります。我が国においても、運輸行政あるいは海運行政、陸運行政、その他もろもろにわたって政府規制の緩和という方向に今日進みつつあることは大臣が御案内のとおりであります。  今度の電電公社の民営化という問題をめぐって、郵政省許可認可事項というものが余りにも多過ぎるのではないかというちまたの声があることは事実であります。そういうものから照らしてみて、このOECDの勧告あるいは五十七年八月の公正取引委員会の政府見解あるいは指導、こういったものから見て、決してこの三法案というものは外れておらない、その方針どおりに動いておるのだというふうに理解をしておられるのか、我々はそのように理解をさせられるのか、そのいずれかを明確にお答えいただきたいと思います。
  73. 小山森也

    小山政府委員 先生、御案内のように、今回の電気通信事業法案というのを、また電電株式会社法案、これは、今までの法制度電気通信に関しましては、国内電気通信については電電公社の独占、国際通信については国際電電独占となっていたものを、これを今度は多数の事業者によってできるようにしようというふうに、いわば今までできなかったことを、今度できるように変えていくということでございます。したがいまして、今まで一切できなかったということでございます。そういたしますと、若干の許可認可というのがございますけれども、あと比較いたしますと、電気事業法とか道路運送法というものの許可認可ということと比較しましても、非常に少ない数になっているということを御理解いただきたいと存じます。
  74. 松浦利尚

    松浦委員 それでは、公正取引委員会なり、政府方針に反しておらないし、この限度内については許されるものである、こういうふうに答弁がありましたが、これは大臣、少なくとも政府規制というのは、今までは政府独占であった電電公社ではありますが、これを民営化する法案というものが出されておるわけですけれども、そういう方向競争条件を整備して二十一世紀に向かって国民のニーズにこたえていくためには、民間の活力を大いに発揮させていきたい、そういうことが大前提にあると思うのでありますが、できるだけ、今ほかから対比してみて決して多い数字ではないということがありましたけれども、我々が指摘をして、少なくとも、この許認可事項については問題がある、競争に対して制限を加えておるというような条項が仮にもし議論の中で出てきたとすれば、その点については修正することにやぶさかではない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  75. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生方の御論議の過程の中でそういった面が出てくれば、そういった形にこたえなければいかぬことは均然であろうと思います。  ただ、この法案自体、まあ新電電という方向になったとしても、やはり国の主幹的な、大変大事な通信という国民生活に密着した事業でもございますから、私たちも、現在御審議願っている形がパーフェクトなものという形で、もう絶対的にこれ以上どうにもならないという形で御提出したもの――失礼いたしました。私の口からそういうことを言うのはおかしいのですけれども、先生らの御論議の過程の中でそういった点が出てくれば、当然前向きに真摯に対応申し上げたいということでございます。
  76. 松浦利尚

    松浦委員 これから各党御質問なさるでしょうが、ぜひそういう前提に立って、よりよい法案の作成、そしてまた、民間の活力を十二分に生かして、二十一世紀に向かっての電信電話事業の発展を図っていくということで大臣との間にコンセンサスを得たと思いますから、今から幾つかの点について質問をさせていただきます。  そのまず第一点は、日本電信電話株式会社法案の第一条二項の問題でありますが、端的にお尋ねをいたします。  電電公社が端末の売り渡し制、売り渡しを行うという場合には許可が必要なんですか。四千三百万と言われておる端末を開放する、開放すると同時に、新電電もこの端末については売り渡し制をする、売り渡しをするということについてはどういう解釈でございますか。許可が必要なんですか。
  77. 小山森也

    小山政府委員 附帯業務として認可が必要でございます。
  78. 松浦利尚

    松浦委員 なぜ認可が必要なんですか。
  79. 小山森也

    小山政府委員 この業務は、要するにこの電電株式会社の目的は、第一条にありますように、電気通信事業を営む目的のために樹立される会社でございます。しかもこの電気通信事業というのは、電気通信事業法の第二条におきまして、電気通信事業を営むということは電気通信役務提供することである、こうなっております。そういたしますと、この会社は電気通信役務提供することが一つの目的でございます。それに伴いまして、その電気通信役務をさらに増進させるという意味の附帯業務、これは許されるわけですが、これは認可に係るということですが、なぜこういうことを認可にかけるかということでございます。  要するに新電電会社は、今までの独占事業体であった電電公社設備とか業務、人員、当然そういったものをすべて継承する事業でございまして、そういたしますと今度も、一つの目的を持った特別法によって特殊会社となるわけです。したがいまして、特殊会社の目的を逸脱しないということにおいて、客観的な尺度からこの認可をするということになるわけでございます。
  80. 松浦利尚

    松浦委員 局長は何かかたくなに一つの映像というものが映っておると思うのですが、その映像を一遍消してみてください。消すことは簡単だから、まず消してみてください。そして考えてみてください。  例えば、新電電会社がサービスを提供する、それは販売ですよ。やはりサービスを提供するという販売活動をするのでしょう。今までの電電公社自体もサービスを販売してきたわけですね、営業活動としてサービスを販売してきた。ですから、サービスを提供する、その販売をするものが物であるかあるいは一つ料金的なサービスであるのか、いろいろなサービスというのがありますね。ただ形が違うだけであって、本来なら、端末機を売り渡すという行為もやはりサービスの範疇に入るのですよ、電電公社の営業活動の中に入るのですよ。ですからそれは、現実にそういうサービスを提供して今日まで電電公社というものは成り立ってきたと思うのです。ただ、本電話機についてはレンタル方式を今日までとってきた、それだけのことなんです。  今度は新電電になって、民間活力をどんどん生かす。ですから、四千三百万の端末に対して民間企業がどんどんどんどんと入ってくるでしょう。アメリカではもう既に、端末を開放した途端に日本の通信機メーカーが一斉に乗り出して、自動車と同じように第二の経済摩擦に今日なろうとしておる。ですから、四千三百万の本電話機が開放されると同時に、一斉に民間の通信機器メーカーあるいは外国が入ってくるかもしれない。そのときに、新電電会社だけは指をくわえて眺めておる。あなたの方はそれはできないのですよ、認可条件ですよ、こう言われて、認可条件ですから、おたくの方から認可しましたというおしるしをいただくまでは営業活動ができない、サービス活動ができない。その間に、アメリカの端末を一斉に席巻するぐらいの力を持っている日本の電気通信メーカーでありますから、あなたのところの許可をもらったときには、もう電電公社が入る余地は全くない、そういうおそれなしとしないのですね。総裁、そうでしょう。総裁、どうですか、そうは思われませんか。
  81. 真藤恒

    ○真藤説明員 今おっしゃるようなことは、起こる可能性はあると思っております。
  82. 松浦利尚

    松浦委員 現在電電公社が行っておりますが、本電話機を除いて自営機器を設置することは今日の公衆法でも可能であります。  これは公社の方から資料をもらいまして、私のところの政審で資料をつくり上げたのでありますが、委員長、これを皆さん方にお見せをいたします。  大臣、これを見ていただくとおわかりになるのですが、これは現実電電と民間が競合しておる分野、一枚目がビジネスホン、二枚目がPBX、これを調べた資料であります。五十二年度から五十八年度をトータル的に書いてみました。昭和五十三年度は電電公社がビジネスホンを六十一万個売ったのでありますが、そのうち三十万個が廃止されておる。民間の場合は二十三万個売りましたが、そのうち九万個が解約されておる。ところが、この状況が五十七年度から変化をいたしまして、電電公社が七十八万個つけたけれどもレンタルバックが八十一万個、民間の方は九十八万つけたけれども十八万しか返ってこない。これが五十八年度になりますと、九十六万個売ってレンタルバックが九十九万個、民間は百十六万売って二十五万しか戻りがない。もうまさしくビジネスホンは今日においてすら電電公社の入っていく余地というのはない、こういう数字なんですね。ですから、下の方にシェアを書いておきましたが、昭和五十三年度のシェアが二八・五対七一・五であったのがもう半々になってきておる。民間の方が五一%、公社が四九%。  二枚目はPBXであります。PBXは初めから施設数のシェアは民間が八三・五、公社は一六・五であります。これが五十八年度のシェアではもう完全に民間に凌駕されまして九一・五、公社は八・五、こういう状況なんです。こういう状況であるにかかわらず、四千三百万個の本電話機の開放をして、新電電は指をくわえて見ておる、許可がおりるまでは行動を起こすことができない、これでは民間活力を生かすということにはならぬのじゃないですか。  総裁があるいは大臣が既に質問者に答えて、新電電は生産には手を出さない、そう言っておられる。メーカーから調達をして販売する。そういった意味では民間活力を生かす、二十一世紀に向かって競争条件を整備する、そういう発想の中ではおかしいのじゃありませんか。新電電の売り渡しについては認可が必要であるという郵政省の発想というのはまさに時代錯誤、OECDの決定であるできるだけ緩やかな規制にとどめなければならぬという発想から見てもおかしい、民間活力の芽を阻害するのですから。新電電に対しての活力にむしろ制限を加える。しかし、民間の方は既にアメリカの市場すら席巻するぐらいの力を持っておる。これは先ほど大臣が言われましたように、この一条の二項というのは附帯業務の中に売り渡し制というものが認められるべきだ、新電電については認可条項にすべきではない、外すべきだ、私はそう思うのです。  結果が起こって、ああ松浦、おまえが言ったとおりになったといって慌てて認可してもらったって、総裁が言ったようにそんなことはもう遅い。あなたのスクリーンから認可をするのだという発想は消してください。消すことは簡単なんです、やめればいいのだから。何か幻の映像に強迫感を感じておるのじゃないですか。局長の答弁じゃなく、大臣に答弁を求めましょうか。局長答えますか。
  83. 小山森也

    小山政府委員 幻などとは決して――まず公社から御返事申し上げますけれども、ただ、今現在の公社の制度では、何しろこれは物品販売という全く予定してないものでございますから、いわゆる役務提供のために電電公社はございますので、今の法律制度では物品販売はできません。それから新電電になりました場合、これは附帯業務としてやればできる。しかし、新電電の目的はあくまでも役務電気通信事業を営むことでございます。ただしかし、先生ここでよく御理解いただきたいのは、その認可というのはどういう形で行われるかということでございます。したがいまして、今現在でもいろいろ問題があることは承知しております。レンタルバックというような形で、今グラフを見せていただきましたように、非常にいろいろな問題があります。  そういったことで、これは現在の法律制度を変えるべきではないかということで、郵政省としては一応検討していたところでございます。また、新会社になったときのことも考えまして、今、調査研究という名のもとにいろいろな資料をそろえているところでございます。したがって、そういった資料をそろえたもとにおきまして、新会社になりまして認可申請に応じていくという資料は今から整えているということが実態であるということも御理解いただきたいと存じます。
  84. 松浦利尚

    松浦委員 今の法律では物品販売ができないことはわかっているのです。ですから、今の法規制のもとでレンタルという方式がとられているわけでしょう。しかし、本来はサービス業務の一環としてやらなければならなかったことなんです、さっきから言うように。それは電話機という形で販売をするかあるいは形のないサービス、料金サービスという形で販売をするのか、電電公社というのは今までもサービスを販売するのですから、通信サービス、情報サービスを販売しておったわけだ。ですから、本来電電公社は本電話機についても販売ができるということでいくべきだった。しかし、法律の枠があるからその物品販売というのに規制を加えておっただけのこと。しかし、新電電になった以上は、本来附帯業務であるべきものを規制されておったのだから、それは民間会社になったときには開放すべきだ、附帯業務として認可事項から外すべきだ。  現にあなたはそういうことのために試験的にですか、研究的に現実に試行ということを今やっておられる、現実にやっておられる。そういうことをやはりおかしいと思うから試行しておられるのでしょう、研究しておられるのでしょう。民間の活力を十二分に生かすから新電電という形に発展していくのですよ。民間企業に、株式会社に変わっていくのですよ。逆に、さっきから言うように、四千三百万の本電話機を開放してそれに一斉に民間企業が参入してくる、電電公社だけが指をくわえて見ておる、結果的に許可がおりたときにはシェアの大部分はもう民間企業が占めておる、そういうことになったら電電公社はどうしますか。新電電になって、株式会社になって結果的に新電電自体がダメージを受けるのではないですか。  こういう条文は削除すべきですよ。附帯業務として認めて認可条件から外すべきですよ。これは、せっかく株式会社にしてみてもこういう形の規制が加わったのでは新雪面というのはかえってデメリットばかりが大きくなりますね。せっかく民間活力を導入して競争条件を整備をしようという政府の発想からずれるのではないですか。先ほど資料でお見せしたように、こういう状況なんですから。レンタル方式であるがゆえにこういうことなんです。レンタルバックというのは物すごく多い。そういう現実を踏まえてなぜ前向きに検討しようとせぬのでしょうか。何でこういう条項で規制を加えなければいかぬのですか。それじゃ、規制を加えることによって郵政省にどういうメリットがあるのですか。だから、これに規制を加えることによってどういうメリットがあるのか教えてください。メリットだけひとつ簡単に答えてください。
  85. 小山森也

    小山政府委員 別にメリットというのはございません。ただ、しかし、認可をするということによりまして、ポスト電電でございます電電株式会社が電話機というもの、あるいは端末機の物品販売をしても、それは民間業界との間に公正競争がちゃんと打ち立てられているということを、内外、あらゆる場面におきまして、公正な形で認可という行為を通じまして、電電株式会社が行う端末機販売行為というものは公正なものであるということを内外に明らかにするということは、非常に大事なことだと思っております。
  86. 松浦利尚

    松浦委員 どういう意味でしょうか。実際に電電公社というのは、あなたのところから認可を受けなければだめなんでしょう。片一方の方はどんどんやっている、こっちの方は指をくわえて見ておるだけですよ。そういうところでどうやって公正競争という判断ができますか。あなたのところが意識的に許可をおろさなかったら、ある程度一定のシェアを占めるまでほったらかしておられたら、どうやって公正競争が保たれますか。公正競争は初めからないんじゃないですか。新電電はハンディを初めから負わされておるんじゃないですか、どうやって判定するのですか。片一方の方は全然認可だ、こう言っておいて認可をおろさずに、一方の方はどんどん進行しておる。どうやって公正競争を比較するのですか。あなたの言っておることは言葉だけであって、実態は伴わないんじゃないですか。
  87. 小山森也

    小山政府委員 繰り返すようでございますけれども、新電電会社というのは、電気通信役務利用者提供するところでございまして、物品販売をするためにある会社ではないわけでございます。  したがいまして、物品販売をするというときには、本来の役務提供部門から物品販売部門に、何といいますか、きちっとした会計をして、電話料金の方から決して端末部門に内部相互援助しているということではない、しかし、物品販売であっても端末機というのは極めて本来の業務に近いものであるから、附帯業務として認可でやる。認可という行為はなぜそこで行われるかといいますと、確かにそのような形に物品販売ではあるけれども、非常に役務提供と密接であり、かつその役務提供と密接な端末機の販売について、公正妥当な販売方法をとっているということを認可して内外に明らかにするということでございます。
  88. 松浦利尚

    松浦委員 あなたは販売方法をとっておる、とっておると言うけれども、新電電はとっておらないのですよ、認可がおりなければやれないのでしょう。あなたの言っておることは矛盾じゃありませんか。何もしておらないのに何かしておるようなことをあなたは盛んに言うけれども、何もできないのですよ、認可がおりるまでは。指をくわえて眺めておるのでしょう。どうもあなたの言っておることは私は理解できませんが、もっと明確に簡単に答えてください、どういうことなんですか。
  89. 小山森也

    小山政府委員 認可という行為を通して、これからやる新雪簡会社の端末機販売というものは公正なものであるということを、内外に明らかにするということでございます。
  90. 松浦利尚

    松浦委員 認可を通してというのはどういう意味ですか。認可を通して公正な競争をやっておるということを内外に宣言する。何で認可を通してですか。認可を通してというけれども、認可というのは書類のやりとりでしょう。物の販売じゃないんだから、物品の販売じゃないんだから、書類のやりとりなんだから、その書類のやりとりを通じて、どうやって公正競争が確保されているということを天下に公表するのですか。
  91. 小山森也

    小山政府委員 認可というのは事業体から行政庁に対して申請する、その申請の内容が、例えば内部相互補助というような不公正なものがない、新会社の端末機販売というのは公正な形で行われているという申請書である。したがって、そういった行為をこれからとるということを認可いたしますということで明らかにするものでございます。
  92. 松浦利尚

    松浦委員 それは自由競争に対する完全な郵政省の介入じゃないですか。我が国は公正取引委員会があって、不公正な競争に対しては厳しく独禁政策で取り締まることが可能なんです。何も郵政省がわざわざそこで書類審査をしてやられる必要はない。少なくとも独禁政策というのは我が国には現存しておるわけですからね。独禁政策に似通ったことを何で行政指導する必要がありますか。不当な競争があるとすれば、それこそ郵政省行政指導をして公正競争規約をつくらせて、公正取引委員会許可をもらわせればいい、これが民間活力を生かすということじゃないですか。民間の自主的判断において公正競争規約ができない、だから行政指導をして公正競争規約をつくらせる、あなたが心配することは、そういうことで事足りるのじゃないですか。  少なくとも新電電、日本電信電話株式会社という会社は独禁政策の範疇に入る、独占禁止法の厳しい監督下に入る、行政下に入る。あなたが言うような不公正な取引をやることは、電電公社自体は考えてもおらないだろうし、またやることはできない。独禁政策に任せるべきじゃないですか。何で郵政省はあなたが言うような形でしゃしゃり出る必要がありますか。
  93. 小山森也

    小山政府委員 先ほどから申し上げておるように、電電株式会社というのは、新たな目的を特別の法律によって与えられた会社であり、その会社の歴史を見ますと、今までの長い間の国によって保護されていた独占状態の中から生まれたところの頭脳であり、人員であり、組織でありを受け継いだところでございます。ですから、特殊会社法によりまして目的を明確にしているということです。  したがって、同部そのもの以外のものは附帯業務とするわけでございまして、附帯業務は認可に係るということです。それでは、認可に係るというのはなぜかといいますならば、本来事業でありますところの電気通情役務の中の料金からその附帯業務の方に相互補助をして、結果的に本来の電気通信役務提供を受ける利用者料金に差し支えがあってはならないということと局時に、そういった相互補助によって物品に対して、電話料等からその物品販売に援助が行われているということは、今度は他の業者との間の公正競争の問題になってくる、両面から言っているわけでございます。
  94. 松浦利尚

    松浦委員 これは新電電にとっては非常に重要な問題なんですよ。附帯業務で物品販売というのは許されておらないから認可事項なんだ。電電公社自身が民間市場に入り込んでいくというわけじゃない。電電公社が持っておった市場が開放されて、民間がどんどんと進出して入ってくるわけなんですよ。だからあくまでも新電電は受け身の立場なんです。受ける立場なんです。法律でこういうふうに目的が書いてあるから、それは物品販売というのは認められておらない行為だから認可の対象にする、そういうことだけでは、認可がおりなかった場合のことを考えると、配電公社の活動というものをむしろ行政指導という名の認可制度によって抑えることになるわけですから、どうしても納得できないですね。法律の目的からいってもおかしい、電電公社を株式会社にすることの発想からいってもおかしい。  そういうことを改めてもらわなければ、電電公社は株式会社になったけれども、むしろ郵政省によって新電電の営業活動そのものを抑えられてデメリットばかりが出てくるんじゃないですか。民間が参入してくるのを足踏みして待っておる。私は今のような答弁では絶対に納得できませんですね。ただ、こうだからこうだ、これだからこうだというふうに簡単な割り切り方をしておる。しかし、一方では現実に試行的なことをしておられる。それはおかしいと思うから研究的なこと、試行的なことを現実にしておるのでしょう。納得できませんね。大臣、これはどうなんでしょう。
  95. 奥田敬和

    奥田国務大臣 明確にお答えいたします。  これは第一義に目的とした事業に果たして附帯する業務であるかどうかということに対して大臣認可ということになっておるわけです。  それではこんな巨大企業が第一義に外れて無軌道な物品販売で業界混乱を招くというような事態は当然避けなければなりません。しかし、民間との公正競争を今日このデータによって見ても先生のデータを拝見しましても、十分公正な市場として稼働しておる、附帯業務としてユーザー、国民に喜ばれるサービスであるという形で判断した場合には当然認可するということになります。したがって、今、御論議の過程の端末機器は認可条件としてなっておりますけれども、当然前向きに、否定する理由がなければ公正競争を維持してサービス的にはこれは当然国民に還元されておる、しかも第一義の電気通信事業の附帯業務としては適当であると判断するという形になって認可するという過程を踏むと思います。
  96. 松浦利尚

    松浦委員 それは結果的に、出せばすぐ認可がおりる、そういう意味に理解をしていいのですか。認可条項から外しはせぬけれども、出せばすぐ認可する、こういうことですか。それでは大臣、大変失礼なことですが、外してもいいんじゃないですか。どうですか。
  97. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いや附帯業務としてふさわしいかどうか、それによって市場混乱を、民間の競争原理が著しく阻害されるという形ではないという状態であれば、認可というのは少し前向きにいいように解釈する方法で理解していただきたいのです。ただ、附帯業務であるという拡大解釈の中で何でもかんでもやるということになると、この巨大な企業が民間のその市場実勢というものを著しく阻害する形も出てくるわけです。これは物品販売、端末機の問題に今限って言えば、認可する方向でやるということになります。
  98. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、私が申し上げておるのは何でもかんでもと言っておるのじゃないのです。端末機のそれを限定してということを申し上げておるのです。それは理解しておられるのでしょうか。
  99. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのような形で端末機に関して新会社からの申請がもしあって、これは大臣認可事項でございますけれども、そういう認可する方向でやるということでございます。
  100. 松浦利尚

    松浦委員 それでは大臣、結局大臣が言われることは、新電電が、社長が申請をすればすぐ認可するというふうに端的に理解をしてよろしいですね。どうぞもう一通。そのとおりですね。
  101. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのように措置したいと思っております。
  102. 松浦利尚

    松浦委員 それでは、次いで、大蔵省の方はお忙しいようですから、大蔵委員会も開かれておりますので、あとの質問をちょっと保留させていただいて大蔵省の方にお尋ねをいたします。  御承知のように、この電電株式会社法案というのは株を発行することになります。結局電電公社電電株式会社に一切を売り渡して解散となりますから、その間大蔵省が株式を取得する。その総額は幾らになるか定かではありませんが、巷間伝えられるところによると一兆円、こういうふうに言われておるのです。  そこで、大蔵省の理財局の方にお尋ねをいたしますが、新しくできた会社の株というのは、証券取引法百十条によって五カ年間上場ができないようになっておると理解をしておるわけでありますが、その点についての御説明を簡単にお願いいたします。
  103. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えいたします。  現在の上場基準におきましては株式の分布状況とかその他いろいろな項目がありますが、その一つといたしまして、株式会社として設立された後、上場申請日の直前の事業年度の末日まで五カ年間以上経過しており、かつ、継続的に営業活動をしていること、現在の上場基準はこういうふうに規定されております。
  104. 松浦利尚

    松浦委員 結局五カ年間は上場できない、そういうことですね。
  105. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えいたします。  一般的に申しますと、現在そういう規定になっておりますのでおっしゃるとおりでございますが、こういう基準につきましては、いろいろなケースの場合、また見直しを含めてこれまでも検討されてまいりましたし、今後ともそういう可能性はあろうかと思いますが、現状におきましては五年間は上場できない、こういうふうになっております。
  106. 松浦利尚

    松浦委員 大蔵省行政指導としてちょっとおかしいんじゃないですか。一部上場したくてもこの規定があるために上場できずにいるたくさんの企業があるのですよ。電電公社は大きな企業が新電電株式会社になったんだから、そういう場合には見直し等を要求して、有価証券上場規則ですか規程ですか、あるいは上場審査基準、これをいじって二年かあるいは一年でも上場できるようにする、そういうことをあなたは今言ったのですか。そういう行政指導をしていたのなら、大蔵省行政指導は何ですか。
  107. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 大変言葉足らずで恐縮でございます。先生のおっしゃるとおり現在の上場基準はそういうふうになっておりまして……。
  108. 松浦利尚

    松浦委員 それからもう一つは、店頭登録は公認会計士が監査した後、店頭登録ができる。ですから、新会社であっても一年経過して公認会計士の監査を受けない限りは店頭登録もできない、こういうふうに理解していいですね。
  109. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 現在の店頭登録基準はそのとおりでございます。
  110. 松浦利尚

    松浦委員 大蔵省の主計局保田さんにお尋ねをいたします。  臨時行政調査会の加藤部会長でしたか、一般会計の赤字を解決するために電電公社の株を有効に利用するというような発言もされておるのでありますが、今のような状況であれば、一兆円に対する配当、一兆円、これは仮定の問題でありますが、仮に電力会社の配当のように優良株として一割の配当が維持されるとすれば一千億の配当、五カ年間はそれだけしか、あるいは税金等は当然入ってきますけれども、しかし証券に関する限りはそれだけ、そういうふうに理解していいですね。
  111. 保田博

    ○保田政府委員 新しい電電株式会社ができました後に国家財政への収入の道は、株式の売却、配当、税といったようなことが考えられるわけでございます。株式の売却の具体的な方法等につきましては今後の検討課題ということになろうかと思いますが、配当とか税収というものは、当然財政当局としてこれを期待いたしております。
  112. 松浦利尚

    松浦委員 売却はできませんね、五カ年間は。
  113. 保田博

    ○保田政府委員 その点は私、担当者ではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 松浦利尚

    松浦委員 担当者はだれですか。  これはぜひ先生方も聞いていただきたいと思うのですが、五カ年間は現在の法律では上場することができない。上場することができないということは売却することができないということです。あえてやろうとすれば、国債を引き受けさせたと同じようにシンジケート団を組織して相対取引で引き受けさせる以外に換金の道はない。大蔵省当局は、五カ年間は株の売却をすることによってプレミアムを手にすることができないから、国債引き受けと同じようにシンジケート団をつくって相対取引で一市場価格というものは上場されておらない限りは全くわからないわけであります。あるいは店頭登録されない限りは市場価格というのは、電電の株がどれぐらいで売れるかということはわからない、プレミアムはわからない。売却しようとすればシンジケート団をつくる以外にない、相対取引きで引き受けさせる、そういうことを考えておられるわけですか。
  115. 保田博

    ○保田政府委員 新会社の株式の売却といったようなことは、いずれにしましても御審議をいただいております法案が成立いたしました後のことでございます。財政当局として、今、株式の売却について具体的な腹案を持っているということではございません。法案が成立いたしました後、取り急いで検討をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  116. 松浦利尚

    松浦委員 今の主計局の次長さんの御答弁では納得いたしません。これは非常に重大な問題です。現在の大蔵省が定めておる法律、五カ年間は売却できないのですよ。それを臨時行政調査会の加藤部会長が言うように赤字国債の穴埋めに使おうとすれば方法がない、結局相対取引で引き受けさせるというシンジケート団を組織する以外に方法がないのですよ。その点について非常に疑問を持つ。しかもこの法律が通った後にそういうことは検討する、一番この法律の根幹に触れることじゃありませんか。  大蔵当局がこういうことを、しかも主計局の次長さんが、全く検討しておらない、これから法律が通った後ですなんという、これは全く答弁になっておりませんね。もしも私が指摘するようなことになったら、相対取引で引き受けさせるというシ団の結成ということになったら、これは大変な混乱が起こりますよ、不明朗なことが起こりますよ。大臣、こんな大切なことを事前に全く御相談をなさっておらぬのですか。  委員長、株式会社というのは株を発行してそれを上場することによって今日の企業活動が成り立ってきておるのですよ。その肝心かなめのところがまだ相談をしておらぬ、法律が通った後――郵政大臣はこうして首を振っておられる。相談をされたかと言うとこうしておられる。こういうことで審議をして、さあ法案が通りました、これで我々国会議員は責任を持てますか、委員長から判断をされて。全然責任を持てないでしょう。こういうのでは私は審議できぬですな。
  117. 志賀節

    志賀委員長 今、郵政大臣が発言を求められておりますので、これを許します。
  118. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の株売却に関するいろいろな法的な面についてはよく理解できます。しかし、この法案は民営化が目的であって株の売却そしてその益をどうするかということは決して主目的ではございません。しかもこの法案では、この株を売却する場合には当然予算の中で国会承認の御審議も願うことになっておりますし、そういった形を含みまして、この売却益云々の形あるいはどういうシンジケート団がどうするとか、一般公開する場合には、もちろん法の手続によらなければいかぬことは当然でございますし、そういった点で私は、この株売却に関する相談には、政府部内で、私自身を含めまして論議をしたわけではございません。このことだけは明確にしておきます。
  119. 松浦利尚

    松浦委員 私は納得できません。  ここに昭和五十七年度電電公社の監査報告書というのがあります。この監査報告書を見ますと、昭和三十二年には三千億の純利益であった、それが昭和五十七年度には五兆円の純資産という電電公社になってきておる。しかもその中では、設備料あるいは電信電話債券といった、国民が国民の手で国民のためにこれだけの五兆円という純資産の電電公社というものをつくり出しておる。それを民営化する。その民営化する法律であるということはよくわかります。しかし、民営化するということは株式会社にするのだ、そうしたら自分たちの手でつくり上げた財産がどういう形で処分されるのか、株がどういう形で売却されていくのか、それはまさしく国民の関心事ですよ、この法案の国民の最大の関心事ですよ。  それを大蔵省は、この法案が通った後で検討すればいい、事前に、大臣は正直に言われました。奥田大臣は常に正直な方ですから、正直に言われたことを取り上げて言うのは心苦しいのですが、そんな大切なことを、すり合わせが全然できておらないままここに出されておる。あとは国会審議で、予算の中で審議をしてもらえばいいではないかというようなことでは、これは委員長審議はできません。少なくともどう扱うのか、そういう問題については統一見解を出してください。やろうと思えばすぐできるはずです。納得できませんね。だめです。
  120. 小山森也

    小山政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、これにつきましては確かに五年間というものもございます。それがどういった検討をしたかと申し上げますと、取引所規則において五年間というのがある。これは、取引所規則というのは大蔵省認可を得てつくられておるものですので、これについての改正というような一つの手段がある。これはやるかどうかは別でございますよ。やるという一つの手段がある。それから入札という手で、証券会社に入札でこれを売却するという手段もある。それから、先ほど指摘ありましたように、シンジケート団というところで引き受けてもらうという方法もある。こういったことは検討したわけでございますけれども、いずれにせよこれにつきましては今後の問題として検討するということにしたわけでございます。
  121. 松浦利尚

    松浦委員 何かふまじめに私は議論をしているように聞こえるかもしれないけれども、このことは大切なことなんですよ。この五兆円という純資産はだれのものなのか。電電公社のものでもなければ、大蔵省郵政省のものでもないんだ。国民が、先ほど言ったように、国民の手で国民のためにつくり出した財産なんだよ、これは。それを処分するのに事前に何もなくていいかげんな形で私たちが審議してごらんなさい。そういうことは万々ないだろうけれども、結果的に間違った形に出てきたときに、一体おまえたちはどういう審議をしたんだ、少なくとも何月何日には電信電話株式会社法案というのが議論されておるじゃないかと後の世代から厳しく指摘されたときに、我々は責任が持てない。はっきりすべきものははっきりすべきじゃないですか。阿部議員が質問したときに、あなた方はその段階で既にすり合わせをしてはっきりした統一見解を出すべきだったんですよ。いいかげんに人の質問を聞いて、いいかげんに解決しようとするから、きょうもまた同じような発言の繰り返しになるんじゃないですか。我々が何遍まじめに審議したって、まじめな回答は返ってこぬじゃないですか。これ以上審議ができますか。何も意識的に中断しようとは思っておらない。あなた方が統一見解を出してくれれば審議に応じますよ。納得できません。委員長、善処を求めます。
  122. 保田博

    ○保田政府委員 先生が御質問の中でいみじくもおっしゃいましたように、大変貴重な財産でございますので、それだけに関係者はより慎重な態度で売却の仕方を具体的に検討をする、しかしまだその段階に至っていない、こういうことでございますが、いずれにしましても貴重な財産を国民に最も上手な方法で還元すべく、売却の方法、使途等につきまして勉強させていただく、そういうことでございます。(「統一見解が出なければ進めないよ、前からの懸案なんだよ」と呼び、その他発言する者あり)
  123. 志賀節

    志賀委員長 それでは、委員長である私から、ただいまの点につきまして委員長見解を申し上げ、御理解を得たいと思います。  松浦委員の御指摘は極めて重要な点をついていると思われます。この問題が国民各層からいささかでも疑惑を受けるようなことがあってはなりません。よって、政府部内におきましてさらにこの問題について検討を重ね、本案の審議期間中しかるべき時期にお答えをいたさせるようにすることとして、審議の続行方をお願いする次第であります。
  124. 松浦利尚

    松浦委員 理事会のお話し合いであり委員長の御判断ですから、それで結構です。ただ問題は、こんな重要な法案を出されるときに、株の売却の問題等についてお話し合いが全く事前になされておらないということを非常に残念に思います。ぜひ、今、委員長が御配慮いただいた内容で、本委員会の本法案審議中に政府の統一見解をお出しいただきたい、そして国民のいささかなりとの疑念も晴らしていただくように質問者として希望を申し上げておきたいと存じます。  質問を続行いたします。続いて電気事業法の三十一条の第一項、料金認可の問題についてお尋ねいたしたいと存じます。  これは総裁にもお尋ねいたしておきますが、本来料金等という問題は、会社自体が自主的にみずからの判断において決定していくということが当然のことであって、公共の福祉等という問題がこれあり、全く異例の措置として政府の認可料金というのが存在をしておる。料金はそもそも会社自体が自主的に決定する内容であるというふうに私どもは理解しておるのですが、総裁の御覧解をお聞かせいただきたいと思います。
  125. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもの料金はいわゆる公共料金でございます。したがって、国民生活に基本的に要る基礎的なサービスについての料金認可料金になるのは避けられないと思いますけれども、状況に応じてできるだけその範囲を狭めていただくことが私どもの活性化をしていくということにつながるのじゃないかと思っております。
  126. 松浦利尚

    松浦委員 電電公社にお尋ねをいたしますが、電電公社の収益のうち本来の電話業務、例えば電話基本料、度数料、公衆電話料、電報料、こういった従来から言われておる公的料金は全体の収入の何割を占めておるのですか。
  127. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃる加入電話の基本料、ダイヤル通話科、電報の通常電報料、基本科、累加料等基本的にかかわる料金は全体の約八五%、このようなことでございます。
  128. 松浦利尚

    松浦委員 この八五%というのは、当然新電電になっても公的な料金として認可料金の範疇に入っておるというふうに理解してよろしいですか。
  129. 小山森也

    小山政府委員 認可料金に入ります。
  130. 松浦利尚

    松浦委員 新雪簡がそれ以外の例えば第二種業種の仕事をした場合、しようとする場合、その料金については認可料金の対象になるのですか。
  131. 小山森也

    小山政府委員 認可料金の対象になります。
  132. 松浦利尚

    松浦委員 やはり会社法の第一条第二項と同じように、これも新電電にとっては大変な差別扱いになるのではないか。全体の八五%の収益は公的な料金としてコントロールを受けておる。残りの一五%がその他の事業収益だ。第二種業種で仮に新電電と同じような事業をして料金を決定しようとする場合、新電電以外の第二種業種については料金認可があるのでございますか。
  133. 小山森也

    小山政府委員 第二種だけの事業者には認可は係りませんが、これについては御質問がありますれば、何ゆえにないかというのを御説明申し上げたいと思います。
  134. 松浦利尚

    松浦委員 今のあなたが言われた最後のくだりは何ですか。それは何だい。今のあなたのくだり何です。あなた、しかしふざけた答弁じゃないですか、それは。
  135. 小山森也

    小山政府委員 もう少し評しく申し上げようかと思ったのですけれども……
  136. 松浦利尚

    松浦委員 私の発言中だよ。今のあなたの最後の方のくだり、あれは何ですか。あなたはどういう精神状態なんですか。人が一少なくとも与党ではない。私は野党の立場だ。与党と野党を差別するのは、それは結構。今の官僚の皆さんが与党の人たちに対しては極めて丁寧に、我々社会党を含めた野党の質問に対しては何か人をばかにしたような、そういう答弁が現実に今あった。あなたは今、議論されておるこの委員会をどう思っておる。この法案の審議にまじめに取り組もうとしている私に水をかけたようなものだ。もう少しまじめに答えてもらわないと困るよ。大臣注意してください。再答弁は要りません。大臣から注意してください。
  137. 奥田敬和

    奥田国務大臣 真摯に御論議頼っている重要な問題について政府委員先生に失礼な点があれば私がかわっておわびいたしたいと思います。
  138. 松浦利尚

    松浦委員 局長郵政省は現業官庁から政策官庁に脱皮をする。サンダルを履くな、そんな通達を出している。それはサンダル履きの問題じゃないんだ。あなたたちのそういう答弁の態度こそ改められるべきなんだ。今、大臣がお答えになりましたから、私はもう多くは申し上げませんが、まじめに答えてください。  それでは、新電電がある事業をしようとする、第二種業種と競合するような仕事をしようとする、その場合には料金認可が必要だ。Aという第二種業種は料金認可を待っておる。新電電に対して郵政省が百円という認可をした。それより安い料金でAという会社は市場参入してくる。それじゃ新電電は全く対抗の余地ありません。料金競争をさせられたんじゃ新電電というのはやっていけない。  公的な料金認可料金であることについては私も政府委員局長の言われることと一緒です。しかし、少なくともそれ以外のものについては新電電についても自由化すべきじゃないですか。そうすることが先ほどか三言うように民間の活力を増大させる道じゃないですか、競争条件を整備する道じゃないですか。それで不公正競争があるとすれば、むしろ独禁政策の範疇で解決すべきですよ。やはりこれまた公正競争規約で行政指導して決めていくべきですよ。何も新電電だけ郵政省認可をするという根拠はどこにもない。第一種業種だから、回線を持っておるから、そういうことで仮に新規参入に対して、ガリバー的な電電が圧力を与えるとすれば、まさしくこれは独禁法に違反をする。下手をすると分割という問題も当然出てくる。新電電が自分の力に任せてどんどんとシェアを拡大していけば、五〇%のシェアを超えていく。しかも不公正競争を新電電がやっていく。そうなれば当然独禁法に抵触をしていく。分割の道をたどらざるを得ない。やろうとしてもやるはずがない。しかもそれをもう頭からやるはずだというふうに前提を決めて、自由化すべき料金認可料金に新電電だけすることについてはやはり疑問があります。局長、明確に答えてください。
  139. 小山森也

    小山政府委員 非常に貴重な時間だと思いましたものですから、非常に軽はずみな発言をいたしましたこと、重ねておわび申し上げます。  それから、ただいまの件でございますけれども、新電電認可ということでございますけれども、この第二種事業的なサービスをするということは、新電電のサービスが要するに二つに分かれるわけでございます。一つ料金認可に係る基本的な回線料、それに足すところの付加料金というのから成り立っておるわけでございます。片方、第二種の事業者は、回線料というような認可をしたところの料金で、もう既に規制がかかったものを借りて、その上に付加しているわけでございます。そういたしますと、第二種業者が行う高度付加価値通信というのは、一種の回線料プラス付加価値料でございます。したがいまして、私たちの見ようとするその認可の焦点は、内訳でございますけれども、第二種が借りるときの相当分の回線料、これについて見るというわけでございまして、それに足すところの付加価値、これはまさにほかの二種業者との競争条件でございますので、これについては算定の中に入れないということですが、問題は一種と二種が、一種業者が兼業するときには一体になってしまうというところから、全体に認可が保ったような形になってくる、こういうことでございます。
  140. 松浦利尚

    松浦委員 電電公社のどなたでも結構ですが、今の郵政省の考え方に同調されますか。今の考え方に電電の方はどういうお考え方を持っておられるのか。
  141. 草加英資

    ○草加説明員 電電公社といたしまして、今回の事業法における料金認可に関しましての基本的な考え方を申し上げたいと思います。  公社といたしましては、電気通信サービスの料金設定は、お客様の要望や技術の進歩に機動的、弾力的に対応していくために、市場原理にゆだねることが適当であると考えておりますが、先ほど申し上げましたように、電話の基本料、通話料、電報の基本料のような基本的なものについては国民、お客様に与える影響が大きいので、その設定に当たって郵政大臣認可を必要と考えております。一方、これ以外のすべての料金、すなわち付加的、オプション的なサービスの料金についてはお客様が選択的に利用するものであり、かつニーズの高度化、多様化に伴い、多種多様なサービスが出現し、市場原理が働く競争的分野であると考えますので、認可を不要とすることが適当と考えておる次第でございます。
  142. 松浦利尚

    松浦委員 時間がありませんから、直接、郵政大臣にお尋ねいたしますが、この法案を提出するときに私はすり合わせがあったと思うのです。四月六日に安倍外務大臣がアメリカ通商代表部に出した書簡を私は入手をいたしておりますが、その後段部分に、本委員会で鈴木香貝も取り上げたのでありますが、本来、電電公社という巨象を民営化するというのには十年かかる、それを短時間でやり上げたことを評価してくれ、こういう安倍外務大臣の公式文書が見解としてアメリカに送られておるのです。それは鈴木委員が前もって指摘をしておることでありますが、この法案を本国会へ出す場合には、当然そういうようなすり合わせができて出されておらなければならぬと思うのです。  しかし、民間の競争原理を導入して活力を与え、パイを大きくしていく、通信情報産業というものをもっともっと大きくしていく、そういうことを考えていきますと、今、小山局長が御答弁なさいましたように、基本部分については認可であっても結構でありますが、オプション的なものについてはやはりこれは自由化すべきだ、認可の対象からは外すべきだ、そう思うのです。そして、もしも不正な競争を行った場合には、さっきから言いますように、独禁政策というのが厳存いたしております。また、それが局長が言われるように非常に危険な不公正な競争を伴うのではないかと判断をしたときには、行政指導として当然、政府に許された行為としては、先ほどくどいように申し上げましたが、新電電参入しようとする第二種業種との間で公正競争規約というものをつくらせることもできる。ですから、新電電の活力の芽を摘まないという意味からも、この問題も会社法一条二項と同じようにオプション的な料金については自由化するのだ、そういうことが私は正しいような気がいたします。この際、大臣から御答弁をいただきたいというふうに思います。
  143. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のような理論構成からいきますと、確かに新電電は第二種事業に参画する場合に相当なハンディを背負っていくということになります。それは今の認可という形でも御理解願えると思います。そういった点が初めから差別とハンディをかずいたままでおかしいじゃないかという御指摘だろうと思います。  当初、この法案作成に当たって、一種は回線を持って、それで役務を行う、二種は回線を借りて、大家さん、地主さんから借りて付加価値営業を行うということで、一種と二種とを明定したわけでございます。本来の姿勢からいうと、一種事業者が二種事業を兼務して附帯サービスを拡大していくという形は、ある程度、新会社に移行後は、こちらの率直な希望という形で言いますと、やはりこれは投資も自由でございますから、本当は新会社をやって同じ公正条件の中で、認可を必要としない二種事業、つまりデータサービス等々をやってもらうという方向は好ましいわけでございます。しかし、地主もたな子も一緒になって、一種事業者が二種をやるという形は、競争条件の公正という形からいうと、これははっきり言って悪いですけれども、少し有利な形であることは当然でございます。それは回線を持っているわけですから。そういった形の中で、公正競争を欠くような形の、先生も御指摘のようにガリバー的な巨大な力を持っておるわけですから、そういった形で市場形成というものの中で、公正競争という市場原理からいったら、むしろこれくらいのハンディを持っておった方がかえって好ましいのじゃなかろうかということで、一種事業者が二種事業に乗り込む場合にはそういった形の認可を付加したということになるわけでございます。
  144. 松浦利尚

    松浦委員 大臣の言われることも半面理解はできますが、これは一つの例ですけれども、御承知のように今、コンピューターの市場価格というのは六カ月たったら半値に暴落するのですね。先ほど松前委員指摘をしておりましたが、この技術というのは日進月歩なんですね、特にハード部門は。そういうことを考えますと、今言ったオプション部門についての自由化がないと、その都度その都度料金認可の手続をしておったのでは、新電電は確かにガリバーである、ずうたいは大きいけれども、小回りがきかない、対応ができない。ですから、むしろ企業間の自主性に任せて、そういうおそれがあるとすれば、公正競争規約等で、そういうおそれがないように新電電に対して一定の歯どめをかけるということの方がより正しいのじゃないですか。  また、OECDの勧告を取り上げるまでもないのですけれども、政府の許認可、そういったものについてはできるだけ枠を狭めていく、できるだけ自由奔放に、奔放と言ったら言葉が悪いですが、自由に自由な市場競争させる、それが民間活力を活用するということになると私は思うのですよ。そういう意味からすると、この問題についても大臣、ぜひもう一遍検討を加えていただきたい。そしてどうしてもだめだというならこれは別ですけれども、郵政省電電公社の意見が違っておるわけですから、そういう意味ではやはり調整するといい、ぜひこの法案の審議過程の中で大臣としてももう一遍御検討いただきたい。この点はどうでしょうか。
  145. 小山森也

    小山政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一種事業電電公社だけではないのでございます。それで一種全部に係るわけでございますが、先ほど申し上げましたように、それでは認可料金というのはなぜできているかと申しますと、そのほかの事業者利用者に全部係ってくるわけです。そうしますと、オプション部分も一緒になっているものですから認可料金部分だけが、そのサービスだけがすぼんと抜けてしまって、片方の二種業者は一種業者の原価プラス利潤の価格でもって買ってくるわけです。それにオプションをつけて二種業者がやるわけでございます。片方の新電電はその本来の利用料金というものにプラスオプションでございます。それでしかも切り離せないということで全体が保ってしまうということですが、考え方としてはあくまでも二種業者が一種業者から借りるときに、借りるその料金と相当額のものをそこで見ていくということでございまして、オプション部分については自由な算定というものを算定基準に持っていかなければ、むしろ片方は料金認可に係る部分があるにもかかわらず、片方は料金認可が全部抜けてしまうということになるわけでございます。  非常に蛇足でございますけれどもつけ加えさせていただきます。
  146. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは後でまた先生の御批判を仰がなければいかぬかもしれませんが、例えばVANに限って言いますと、一般のVAN業者が、言葉が適切かどうかわかりませんが恐怖を抱くような形になるのじゃないか、やはりこれぐらいの歯どめは必要であろうという認識に立ったわけであります。  決して将来あるべき姿としては、やはりこういったデータ処理の部門とそして回線役務提供という事業体とは、どんぶり勘定になるという形の懸念というそういった面も含めまして、あるべき姿としてはやはり公正な競争という面からいいますと、今日一般の民間のVAN業者と比較いたしまして一種回線を持っておる、しかも巨大な新電電が持つ力というものは、これはガリバーと小人に比較してはまことに形容としては失礼かもしれませんけれども、そのくらいの歯どめは必要であろうという認識に立ってそういった認可条件といたしたわけでございます。
  147. 松浦利尚

    松浦委員 逆に省令で定める認可料金というのはこれこれですよというふうに省令で明確に例示することはできないのですか。
  148. 小山森也

    小山政府委員 一つ一つ挙げるのは、今、電電公社だけのサービスを挙げてみましても二百以上あるというような状態でございます。それと同時に新たなサービスがどんどん出てくるわけでございます。そういたしますと、一つのカテゴリーでこういったものについては省令として認可料金から外すというような形で省令を決めていった方がかえって現実的ではないかと思っております。
  149. 松浦利尚

    松浦委員 もう時間がなくなりましたから、このことだけで余り時間をとれません。しかし、今の問題についてはぜひ疑問の問題として本委員会で他の委員からさらに詰めていただきたいと思っております。  最後に、簡単にお尋ねをさせていただきますが、実は郵政省はユートピア構想あるいは電電はINS構想、盛んにいろいろな構想が出されております。ところが、ホームショッピングですか、このこと一つを例にとってみますと、ホームショッピングでは薬事法の関係で薬は買えない、専売法の関係でたばこは買えない、あるいは無店舗販売でありますから逆に言うと大口店舗法という法律で小売業者をある意味で保護している法律があるのですが、こうしたホームショッピングが無制限に拡大をしていくということは大口店舗法という法律をつくっておる意味がない、小売店に対して逆に恐怖を与える。あるいはホームバンキングというのがありますが、これも電子口座決済というのは現在の手続上では認められておらない。あるいはテレメータリングサービスというのですか、そういったものについては計量法の問題が出てくる。あるいは電子診療という問題があるのですが、こういった遠隔医療の問題につきましては医師法の二十条で電話などによる診療は禁止されておる。ですからニューメディアだということで非常にバラ色の政策というのがぼんぼん打ち上がってくるのですが、そのどれ一つをとってみても、現在の法体系の中で拘束を受ける、規制を受ける。実験段階ではいいのですが、いざ実用に供するときにはそういった意味であらゆる面の制約というものがかかってくるわけです。  こういう問題について一体将来どのように考えておられるのか、どのように調整しようと考えられておるのか、そういうことが調整が可能なのか、既に話し合いに入っておるのか、そういう問題について、もう時間がありませんから、大臣の方からお答えをいただきたいというふうに思います。
  150. 奥田敬和

    奥田国務大臣 検討段階の細部の点については政府委員から答弁させることにいたしますけれども、確かに先生の御指摘のとおりニューメディアの多目的なサービス利用という形は技術的には可能でございます。しかし今取り上げられましたように、例えば薬事法の問題を一つとっても銀行法の問題を一つとってもホームショッピングという、夢のような、在宅で何でもできるという形の中ではいろいろな問題が絡んでくることも御指摘のとおりでございます。したがって、私たちもいろいろな構想の中で、夢は夢としても、その実現の過程で各省庁ともすり合わせなければいかぬ問題点がたくさん残されておることも事実でございますし、その点に関しては事務当局を含めて関係省庁と精力的に今すり合わせておるという段階でございます。
  151. 松浦利尚

    松浦委員 本当に二十一世紀に向かって国民のいろいろなニーズにこたえながらニューメディアというものをどんどん開発していく、非常に結構なことだと思います。しかしそういった意味でおくれておる分野というものは法体系だというふうに思います。今、大臣が言われたように、技術革新に法体系がおくれをとらないようにぜひ積極的に検討に入っていただきたい、早急に解決していただきたいということを最後に御要望申し上げまして、途中私の質問等で中断いたしましたことをおわび申し上げて質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  152. 志賀節

    志賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として国際電信電話株式会社常務取締役児島光雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと潜めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  154. 志賀節

    志賀委員長 小谷輝二君。
  155. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の法案につきましては長時間にわたって質疑がございましたので、かなり重複する点があろうかと思いますけれども、お許しをいただいて、よりわかりやすく質問にお答えをいただきたい、このように思いますのでよろしくお願いします。  最初に臨調の答申を尊重する、こういう基本的な考えに立って今回諸法案が出されたものと思いますが、この基本的な考え方について大臣並びに総裁はいかがでございましょうか。そのような考え方だと理解していいでしょうか。
  156. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今回の電電公社の民営化に関しましては、臨調答申を起点といたしまして、その後新しい高度情報社会形成に向けて民営化が必要であるという点に立ってこの法案の御提出を願っておるところでございます。
  157. 真藤恒

    ○真藤説明員 今、大臣のおっしゃられたとおりでございますが、内閣からの具体的な今度の法案についての考え方の基本の指示をいただいておりまして、私どもは、その趣旨に従って、郵政の方のいろいろな御指導、御相談を受けながら今日まで来たということでございます。
  158. 小谷輝二

    ○小谷委員 それでは、電電公社制度改革につきまして、現在、その改革の必要性ということで、臨調から何点かの指摘があったわけでございますが、その主な点ほどのような点でございましょうか。
  159. 小山森也

    小山政府委員 臨調で指摘されている点につきまして、列挙して申し上げます。  事業収支等の実態上の問題点というカテゴリーでは、第一に「事業収入の約九割を占める電話事業の収支格差は縮まり、このまま推移すると、いずれ料金値上げに至らざるを得ないこという項目がございます。これは、五十五年度から五十七年度の平均収入伸び率四・一%に対しまして、費用伸び率五・三%だったという現象を指して言っているのではないかと思います。次に「経費増大の原因の一つは人件費であり、設備の近代化、電話の自動即時化にかかわらず要員が縮減されていないこと言っております。次に、第三点としましては、「労使関係についても、勤務時間が民間の大企業に比較しても短いほか、労使の協約、慣行の中に合理化を進めにくくしている面もある等の問題がある。」こう言っております。  次に、公社形態、完全独占という現行制度からくる問題点といたしまして、第一に「予算及び事業運営について、国会及び政府からの関与があること、給与が他の公共企業体等と横並びで決められることなどから、労使とも合理化のインセンティブに乏しく、企業性を発揮しにくい」第二に「巨大規模の独占経営体であることから、経営における合理化意識の希薄化、サービス精神の低下、労働意欲の低下等の問題がある。」これは臨調から提起されました問題の主要点でございます。
  160. 小谷輝二

    ○小谷委員 今述べられた諸点につきまして、公社として、現状制度の中で指摘された点を改革するとすれば、どのような点が改革できるのか、この点についてはいかがでしょうか。また、どのような点が改革が可能なのか、この点はいかがでしょうか。具体的にお願いしたいと思います。
  161. 真藤恒

    ○真藤説明員 臨調から指摘を受けまして、その後、いろいろ努力いたしてまいったことは事実でございます。  まず、サービス関係につきましては、私どもの言葉でいうオレンジラインというものをつくりまして、臨調からとやかく御指摘を受けた時代どきょう今日の状態とは、かなりの進歩をしておると考えております。また、世間の、お客様の御意見を直接私どもに忌憚なく言っていただくということで、現場機関、通信部、通信局、本社にお客様代表者会議というものをつくりまして、そこの場で、私どもも、組合の役員も同席いたしまして、皆さんの御意見を謙虚に聞いて、直すべきことは直そうということを今、実行しておりまして、これも、現場機関のお客様代表者会議ができまして、かなりの時間がたってまいりまして、かなり見るべき効果が漸次出てきておるというふうに私は考えておりますし、お客様の方でもそういうふうな感じを受けておられるということが、いろいろなアンケートで最近はっきり出てくるようになっております。  そういうことで、現在の組織の中で、現在の私どもの制限された行動の中で、でき得ることはまじめにやっておる。それからもう一つは、効率という観点から、今までやっておりませんでした月次決算方式を導入いたしまして、これは既に三年たちましたけれども、かなりの月次決算の効果がはっきり出ておりまして、毎年、文出の伸び率と収入の伸び率が逆ざやにならぬところまでは対応できる力が現在ついておりますので、値下げをいたしましても、きちっとした収支兼額の最低必要な限度だけは毎年出して動いておるという、現実の姿も出てくるようになっております。  しかしながら、今の制度のままでは、これから先、進んでいくのには、なかなかいろいろ困難な問題があることは確かでございます。
  162. 小谷輝二

    ○小谷委員 ここで一言申し上げておきたいのでございますが、過日、私がここで質問をいたしましたときに、大臣から、電磁公社は、国鉄と違って、長い年月にわたって目的も達成し、健令な経営によって今日まで国民の期待にこたえてきた、まさに優等生である、このようにおっしゃったわけでございますが、私も一応同感であります。国民の期待であった電話の積滞も解消されましたし、また全国の即時通話化、これもでき上がったわけでございますから、その実績、その貢献は経営者の皆さん方を初め、全電通の組合の皆さん方の努力、心から敬意を表するものでございます。しかし、電電公社は完全な巨大独占体制の中で、今日まで経営がなされてきた。国鉄の場合は、大都市圏では私鉄に乗客を奪われ、また長距離は飛行機に乗客を奪われる、貨物は自動車に移っていく、このような状況の中で、さらに政治的不採算性の強いローカル線の建設等が進められてきた、これに十分対応できなかったという大きな欠陥はあるといえども、電電公社とは全然違う。したがって、恵まれた独占体制の中で今日まで事業を進めてきたわけでございますから、その弊害が今、出てきている、このように指摘されておるわけでございます。  私は、国民の立場からいいまして、電電公社は何の欠陥もなく、一点の弁もない、そうして完全な優等生である、こう言い切れるかどうか一点の疑いを持つものでございます。したがって、臨調の指摘や、また審議会の答申や国会の論議は、謙虚に受けとめてもらいたい。そうして、国民の期待にこたえて、二十一世紀の電気通信事業の発展に努めてもらいたい、このように思うわけでございますが、大臣、総裁は、この考え方についていかがでございましょうか。
  163. 奥田敬和

    奥田国務大臣 民営化に当たっては、先生の御指摘のとおり、臨調答申の意を謙虚に受けとめるのは、同感でございます。  私が国鉄を例に挙げてという形は、先生の御質疑にお答えしたときにも、特定の名前は出さなかったと自覚いたしております。ただ、他現業との比較において、確かに今、先生も御指摘になりましたように、二大目標を達成してきておる現状、そして労使間もまあ協力しておる、こういった現状、また技術水準においては、世界のトップ水準の技術を蓄積して、今日、国民にサービスを還元しておる現状、こういった点からいうと、他現業と比較して優等生という表現をいたしたかと思っております。  そういうわけで、ただ、では民間と比べて何もなかったかというと、独占の弊害というか、小回りのきかないということや、競争や効率化の面において民間のそういった経常努力の点において学ぶところがないかどうか、あるいは、それをするためには当事者能力が現在の体制ではなかなか発揮できない、あるいは投資の自由等々において、単に合理化、過剰人員を抱えて云々というそのことだけは、別に臨調の意に背く、反論するという意味ではなくて、そういった場合の限界というものが、やはり今日の公社体制という厳しい枠の中でできなかったという面も含めまして、今度の改革を通じて、真の意味の優等生の力を発揮していただきたいというのが私の真意でございます。
  164. 真藤恒

    ○真藤説明員 今、大臣のおっしゃったことに尽きますけれども、当事者の私どもといたしましては、さっき申しましたようないろいろな変化はそれなりに今の状況の中でつくっておりますけれども、さっき申しましたように、これからもう一歩、二歩進むためには、やはり現在の公社法という枠の中では非常にやりにくい、ほとんど不可能だと考えられることも多々ございますので、そういうことができる形に持っていっていただくということが私どもの希望するところでございます。
  165. 小谷輝二

    ○小谷委員 臨調の主な指摘された点で、先ほど郵政の方から局長が申されましたけれども、この中で、企業性が発揮されていない、また、公共性が損なわれがちである、おおむねこういうふうな内容もございますし、公社幹部の経営に対する姿勢について、国会及び政府による関与があるために、事業実施における責任の所在があいまいになって経営に対する安易感を生みがちである、このようにも指摘されております。また、労使関係につきましても当事者能力が付与されていないような点、また、巨大独占体制であるために責任ある効率的な経営が阻害されている、こういうふうな点の指摘もありますが、この点について郵政の方としてどう対応しようとされるのか、また、当事者である公社の方はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  166. 小山森也

    小山政府委員 私どもといたしましてこの臨調の指摘をどのように読むかという御趣旨だと思います。  これは五十七年当時に出された問題でございます。五十七年当時は電電公社は、電話の即時加入、全国ダイヤルサービス化という非常に立派なプロジェクトを完成したときでございます。ただ、次の目標に移るときの一時的な曲がり角にいた、そういった状態のときだったわけでございます。  そういたしますと、その時点でとらえたということは、それまでの二十数年間まっしぐらに、電話の即時化、それから、すぐつく電話をやってきた体制、これが次の体制に移り切れなかった。これは確かに大きな企業体でございますので、その間、かじがなかなか取りにくかった点があったのではないかと思います。そういった点でございまして、今後、これが一つの目標を得まして、新会社になりまして、一つの自主性を持ちまして、当事者能力を持ってここで生まれ変わるということになりますれば、こういった御指摘というものは、新たなる経営者によって見事に乗り切っていくであろうということを私どもは期待しているところでございます。
  167. 真藤恒

    ○真藤説明員 やはり独占体制といいますものは、それがいかに能率よく動いたといたしましても、競争原理経営される企業体に比べまして基本的に社会的な立場が違いますので、競争原理に従って動いている企業の動きと比較いたしますと、効率性ということに関しては見劣りがするということは避けられないと思います。  ただ問題は、では公共性というものをどういうふうに競争原理に入ったときに考えるかということでございますが、そこにある一定の法的義務というものを負わせていただきながら、当事者の私どもとしては、効率性と公共性というものを対立するものとして見ずに、公共性を保持するために効率性が要るんだ、効率性を上げることによって公共性をさらに進めることができるんだというふうに考えていかなければならぬというのが、新しい法体系になった場合、なった後の私どもの基本的概念でなければならないだろうというふうに考えております。
  168. 小谷輝二

    ○小谷委員 今、局長や総裁からお答えをいただきまして、現体制では諸問題について、新しい時代の電信電話事業に取り組むことについては十分取り組みにくい点がかなりある、弊害がかなりあるということであると思います。そこで、この巨大独占と言われてきました公社の制度を、この弊害を取り除いて、そして当事者能力を十分発揮できるような体制にしなければ、このままでは日本の電気通信事業はおくれをとり、また国民の期待にこたえることはできない、こういうことで今回の法案が出されたもの、このように認識をしておるわけでございます。  そこで、先ほどからも質問がございましたように、今回の法案の中で、果たして十分な当事者能力の発揮できる状況にあるのかどうか、またこの法案の中で、今までより以上の弊害が起こるおそれがあるのではなかろうか、こういう点が非常に心配でございます。したがいまして、二、三より深く具体的にお尋ねをしていきたい、このように思いますので、よろしくお願いします。  まず第一点の、日本電電株式会社法案の中の許認可の問題点でありますが、第一条二項、ここに、附帯業務、目的業務即本来業務以外の業務もすべて郵政大臣認可を必要とする、このようにございますが、これはどういうことなのか、例えばどのような業務なのか、先ほど質問がありましたが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  169. 小山森也

    小山政府委員 新電電会社は、先ほども若干申し上げたのですが、電電公社という一つの法的に支えられた独占事業体、しかもその運営に当たりましても、いろいろな法的な保護、例えば電信電話債券というようなもの、加入者債券というのを法律でもって保護して、自動的に加入者に発行して債券を引き受けてもらうというような制度もございます。そういったような制度で、この三十年一つの業績を上げできたわけでございます。そういった業績を上げた設備とか業務、人材、いろいろな技術、そういったものを全部承継する事業体でございます。  したがいまして、電気通信そのものが公共性が高いわけでございますけれども、さらにそういった財産を継承するという上でも非常に公共性が高いということで、経営形態を変更したといたしましても、特殊会社として法律によって目的を与えた会社にしているわけでございます。したがいまして、この目的を十分に達成するということは非常に大切でございまして、附帯業務とか目的業務というようなものにつきましても会社自身の判断によりまして自由に解釈を拡大するということは本来ないとは思いますけれども、本来事業に与える影響というようなことも考えますと、これを認可にかけるということにしたわけでございます。  それでは、附帯業務というのはどういうことかといいますと、今やっておりますところでは天気予報とか時報サービスというのが典型的なことだと思います。本来業務の利用を増大する業務でございます。それから、自営設備の設置等の受託業務というようなもの、それから、国際関係の技術協力というように本来業務のノーハウとか技術力を活用する業務ということでございます。
  170. 小谷輝二

    ○小谷委員 では、今、御説明をいただきましたけれども、これの郵政大臣認可を受けることということが、本来の株式会社の業務に対して当事者としてはどうなんでしょうか、これは大変なことではなかろうかと想像できるわけですが。
  171. 児島仁

    児島説明員 私どもこの法案そのものを見せていただきましたときに、附帯業務というものは一体どういうものがあるのだろう、それから目的達成業務というのはどういうのがあるのだろう、徹底的にとにかく考えられる限り書き出してみようということで内部的に作業をやったことがございます。そうしますと、附帯業務につきましては、私ども相当欲張って考えましてもそう範囲が広くはない。むしろ目的達成業務は解釈の仕方あるいは欲張った言い方ではどこまで範囲が広がるかわからない、こういう点があると思います。したがいまして、私どもの立場としましては、確かに目的達成業務につきましては、私どもの恣意というものが将来出てはいかぬという意味において認可というものもあるいは適当ではないかという感じも持っておりますが、附帯業務につきましては、本来の電気通信事業に非常に密着したものでございまして、先ほど質問も御答弁もあったようでございますが、一番の我々の関心事としては端末の売り渡しというふうなことだけではないかという感じもいたしておるわけであります。
  172. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、第九条は取締役、監査役の選任はすべて郵政大臣認可を必要とする、こういうことになっております。これは現在公社では総裁、副総裁のみが内閣の任命ということで、理事は総裁の任命ということになっておるわけでございますが、新会社法では、全役員の選任、解任は郵政大臣認可、このように役員の許認可については大幅に拡大された、このようにも思うわけでございますし、また社長、最高責任者、この人事権が著しく制限されるのではなかろうか、このように思うわけでございますが、これはいかがでございましょう。
  173. 小山森也

    小山政府委員 現行の公社制度では、役員大事につきましては、もう御存じと存じますけれども、総裁、副総裁を政府が任命するというこれは一種の任命行為というよりも命令行為でございます。これに対しまして、新会社においてはまずそれが株主総会で決まるかということになると思いますけれども、要するに、株主総会といいましても、事業体がその経営の内部で自主的に選任しているわけでございます。それを郵政大臣事業的に認可という行政行為を行うことによりまして新会社の役員が正式に成立するということでございます。まあ自主性ということになりますと、政府の命令によって任命するのと経営内部の自主的な手続によってやるものとは非常に質的な差があると存じます。  なお、社長とかいろいろな役員というのはその選任された取締役の中から互選されるものでございまして、これについては郵政大臣は一切関与しないものでございます。取締役会の決定でございます。ほかの例を挙げるのもどうかと思いますけれども、同じ七つの特殊会社の中には、取締役、監査役の選任に加えてこのような互選による社長とか副社長、そういった代表権を持った取締役につきましても主務大臣認可対象としているというところがありますことを考えますと、七つある中にもいろいろございますけれども、新会社というのは十兆円の総資産、四兆三千億円の収益、従業員三十二万人強といった大きなスケールであり、しかも、この新しい事業体というものは、これからの運用については、従来の公社と異なりまして非常に当事者能力を持っている企業体でございます。そこにおいて、そういった形で運営するということについては、少なくとも取締役の方についてはどのような方が責任を持ってこの大企業体を動かしていただけるかということについては、行政の責任上、どうしてもせざるを得ないということでございます。  なお、そういった認可ということにつきましては、行政庁の認可ということをやったからには、これは、行政行為に関しまして当然、郵政大臣は国会に対してこれを説明するということについての御要求があれば説明するという国会に対する責任も持つことになるわけでございます。
  174. 小谷輝二

    ○小谷委員 認可は郵政大臣として、取締役の選任ですね。大臣認可を受けようとするその選任は、まずどこでどんな形でなされるのですか。
  175. 小山森也

    小山政府委員 株主総会でございます。
  176. 小谷輝二

    ○小谷委員 少なくとも、先ほどの話では、五年間というのは株主は大蔵省といいますか、国ですね。これはだれが株主なんですか。
  177. 小山森也

    小山政府委員 これは先ほどいろいろ問題になりました問題でございますので、なかなか答えにくい点もございますけれども、五年そのままになるかどうかというのはまだ政府部内で決めているわけではございません。ただしかし、スタート当初というのは当然全部の株を政府が持つわけでございますから、その政府が持つというのは、形式的にはといいますか、法定上の問題としましては、普通財産として大蔵省が主務官庁としてこの株式について責任を持っていくということでございます。
  178. 小谷輝二

    ○小谷委員 その問題は後で論議するとしまして、とりあえず今回のこの株式会社が発足する段階においての取締役の選任はどこでなされるのですか。設立委員ですか。
  179. 小山森也

    小山政府委員 これの選任につきましては、手続的にはまず設立委員によりまして推薦されて設立総会において選出されるということでございます。
  180. 小谷輝二

    ○小谷委員 設立総会は株主によって行われるわけですね。どうですか。一人ですか。
  181. 小山森也

    小山政府委員 発足当時は株主一人でございますので、大蔵省ということになります。
  182. 小谷輝二

    ○小谷委員 だから、これはあなたに聞きます。役員の選出というのは株主総会で行うことに商法上決まっております。この場合、株主というのは、大蔵省が株を握るということですけれども、これは総理大臣ですか、大蔵大臣ですか。
  183. 小山森也

    小山政府委員 国有財産上の普通財産でございますので大蔵大臣でございます。
  184. 小谷輝二

    ○小谷委員 株主総会と言えば大蔵大臣一人ということになるわけでございますし、少なくとも株が市場に開放されない限りは、株主は全く大蔵大臣一人、それでその間の役員の選任は少なくとも大蔵大臣がして、そして郵政大臣認可する、こういう形になるのですか。
  185. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  186. 小谷輝二

    ○小谷委員 この段階では国会は物を言う場所もございませんし、全く論議から疎外されるわけでございますし、現在の公社の最高幹部諸君の発言の場も、この時点では設立委員に入らない限りまずないんじゃなかろうか、このように思いますが、この点はいかがですか。
  187. 小山森也

    小山政府委員 設立委員はこれからの人選でございますけれども、設立委員の中に入らなければ、おっしゃるとおりに発言権というのはないということになります。
  188. 小谷輝二

    ○小谷委員 それではこれだけ巨大、日本の国始まって以来の国営化、国の一元的に運営してきた事業を民営化する、これだけの巨大な企業が生まれるわけです。しかもその企業は全く大蔵省、政府の意のままに誕生し、意のままに役員が構成されていくわけでありまして、少なくともどこに民力といいますか、民意といいますか、これが反映されるのかということで非常に懸念をするわけです。同時に、ここらで大幅な天下りが行われるのではなかろうか、このようにも考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  189. 小山森也

    小山政府委員 これは発足当時の一種独特な、政府に全株を引き渡すということからくる一時的な現象だろうと思っております。  ただ、しかし、先ほども申し上げましたように、先ほど来から問題になっておりますように、その後どうやって株式を多数株主に分けていくかということは、今後の検討課題として残っておりますけれども、これは一時的な現象であろうと思っておる次第でございます。
  190. 小谷輝二

    ○小谷委員 この問題は後日の機会にさらに詳しく御説明を求めたいと思います。私は今申し上げておりますのは、電電法案の中で大臣の許認可権、これが多いんではないかという内容の一点としてお尋ねをしたわけでございますので、この質問趣旨に基づいて次の問題をお尋ねしたいと思います。  第十一条に、毎年度事業計画の決定、変更、これは事前の大蔵大臣協議、郵政大臣認可を必要とする、こうなっておるわけでございますが、これはちょっと大蔵省に聞いたらいいのか郵政省に聞いたらいいのかわかりませんが、日本電電事業計画が大蔵省でわかるのかどうか、資金運用ということならこれは理解できます。しかし、事業計画、これを決定したり、また変更したりする場合、大蔵大臣と協議することになっておりますが、この点はいかがですか。
  191. 日高壮平

    ○日高説明員 今回の電電新会社法を政府部内で検討いたしましたときに、この事業計画の問題については、いわば特殊会社ということになるわけでございますから、他の特殊会社の例を引きながら、その事業計画等の認可の問題については議論しなければいかぬだろう。ただ、私どもとしても、今回の民営化の趣旨に沿って、こういう認可あるいは大蔵大臣協議というものが新会社の弾力的な運営に阻害にならないように、必要最低限のものにしたいということで、郵政省とも私どもと相談した結果、法案を提出しているわけでございますが、今申し上げた事業計画の点につきましては、恐らくこの事業計画の中身は、いろいろな投資計画なりサービス計画なりということになろうかと思いますが、今回の会社法にも規定がございますように、一義的にはまず主務大臣としての郵政大臣認可があるわけでございますから、私どもとしては郵政省とはもちろん十分御相談はいたしますけれども、実際にこの事業計画について、私どもが郵政省との間で意見のそごを来すということはないものと考えております。  今、先生指摘になりました資金計画云々ということでございますけれども、他の特殊会社におきましては、その事業計画に合わせて資金計画なりあるいは収支計画についても、法律認可あるいは大蔵大臣協議という例があるわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたように、今回の電電改革の趣旨から見て、資金計画、収支計画まで法律上の認可の対象にするというのは望ましくないということから、法律から落としているわけでございます。  では、具体的にその事業計画の範囲をどうするかは、今後郵政省令を作成するまでの間に、郵政省あるいは公社当局と私どもの間で御相談することになろうかと思いますが、実際に事業計画の裏打ちのいわば資料といたしまして、資金計画的なものあるいは収支計画といったものを添えて提出していただくことを考えております。ただ、それも先ほど申し上げましたように、事業計画に添えて提出される資料というふうにお考えいただければよろしいかと思います。
  192. 小谷輝二

    ○小谷委員 今、会社法案の中だけでも、このように人事の面また業務運営にわたって大蔵大臣協議とかまた大臣認可事項がかなり多く見られるわけでございまして、認可基準また条件、限度、ここらがまだ明らかでないものも随分見受けられますが、これは行政の過剰介入にならないのかどうか、それによるところの効率化、活性化の阻害といいますか、それに反する結果を招くのではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
  193. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今回の民営化に当たりましては、ほかの特殊会社との比較において言いますと、むしろこれだけの資産また技術そして人員、何といっても日本一の大企業として変身するわけでございますから、しかも公共的事業を遂行するという一つの新会社の使命等からいって、今回の特殊会社の設立に当たっては、この程度の関与は極めて政治的には緩やかに措置したものだと思っております。
  194. 小谷輝二

    ○小谷委員 まあ後にしまして、電気通信事業法の中についてですが、これにつきましても許可基準、これは需要に照らして適切なものであるかどうか、回線の設備が著しく過剰にならないかどうか、また事業計画とかこういうものが確実かつ合理的であるかどうか、こういうふうな許可基準があるわけでございますけれども、ここらの先ほど申しました明確な基準、基礎というものが明らかでございませんので、これは全く官僚のさじかげんで自由に決められていくのではないか。したがって、第一種企業に対する、要するに第二電電に対する利権やまた人事の介入、こういう問題が発生してくるおそれがあるのではないか、このように一部に意見がございますが、この点はいかがでしょうか。
  195. 小山森也

    小山政府委員 法律に決めてあるのは、何といいますか極めて粗いのではないかということではないかと思います。今お話しの許可基準法律に決めてあるわけでございます。ただ、このような事業法において許可基準というのは、大体事業法の中を見ますと電気事業法を見ましてもガス事業法を見ましても、法律で決める限界のようなものを感じております。ただ、これが運用に当たりまして恣意にわたるということは確かに問題でございまして、本来の事業活動をかえって阻害するようなことになってはせっかく会社になった意味がございませんので、それにつきましては、先ほど来申し上げておりますように前もって行政に対する透明度を高めるためのいろいろな通達であるとか、もし必要ならば大臣実施省令というものをもってここで透明度を高めていく必要があろうかと思っております。
  196. 小谷輝二

    ○小谷委員 ほかにも第十四条には、電気通信役務の種類等の変更許可、これは役務の種類とかまた態様とか業務区域とか電気通信設備の概要の変更、これについて郵政大臣許可を必要とする、こういうふうになっているわけでございますが、電気通信設備の概要の変更、これは大変なことではないか、大変な事務量になるのではなかろうか、このように想像できるわけでございますが、こんなことが一々郵政大臣許可を必要とするということで本当に自由に設備投資等が国民のニーズにこたえてどんどん進めていくことができるのかどうか、この点はいかがですか。
  197. 小山森也

    小山政府委員 電気通信設備の概要の変更、これは電気通信事業の重要な構成要素を変更することによりまして実質的に新たな事業を開始すると言っては語弊がありますけれども、実質的に事業の内容が変更されるというような重要なもの、これを許可の対象にすべきであると考えております。したがいまして、その法案の中にも「軽微な変更」はこれは要しないとなっております。それでは、「軽微な変更」というのはどうかということでございますが、電気事業においては当初予定した二〇%以上の変更の場合とかガス事業においては一〇%というようなことが省令によって決められております。しかし、私どもの考えるには、電気通信事業というのは電気やガスよりもよほど進歩の度合いの非常に大きいものでございますので、とでもこのような二〇%変更というような限界では無理がある、もっと高いパーセントのところで考えるべきではないかということでこれからの省令の制定に向かおうと思っておる次第でございます。
  198. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣にお尋ねしますけれども、許認可権の問題については、きょうも今までの質問にもございましたように、指摘もありましたようにもう一回検討してみる必要があるのではなかろうか、十分意見を調整して、でき得れば当事者能力が十分発揮できるような体制にしていくべき必要があるのではなかろうか、このようにも思うわけでございますが、その点はいかがですか。
  199. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先般来の当委員会における真摯な質疑過程の中でこの許認可権の問題等々いろいろ御論議がありました。しかし、先生にも御理解いただきたいのは、認可権というのはあくまでもいい方向で解釈していただければと思うわけでございます。あくまでも一種の歯どめ措置ではございますけれども、認可の権限によって新しい効率化を決して阻害するようなものであってはならないということを第一義的に大臣としては当然考えていかなければいかぬことでございますし、また質疑の過程の中でそういった御指摘のあった問題点については真摯に検討させていただきますし、今後の各党間の御折衝の中でも、自民党の当事者とも御折衝願えた上での結論を得られれば、私たちとしてもこれに対しては前向きに対応してまいりたいと思っておるところでございます。
  200. 小谷輝二

    ○小谷委員 今まで申し上げました許認可等の問題につきまして、この電電事業に携わる当事者の公社側としてはいかがでございましょうか。
  201. 真藤恒

    ○真藤説明員 この許認可というのはもろ刃の剣になることが民間の立場ではよくございまして、許認可権がお役所にあるからお役所はそれだけ責任を持たなければならない。だから、緊急の場合にはそれだけの援助策をやらなければならない。今度は逆の場合で、することなすこと制限を受けるというようなネガティブサイドと両方ございますが、私ども当事者といたしましては、この許認可の問題というのは、まず第一に当事者の行動の姿そのものによって、同じ法令であっても実質的に非常に大きく変わるものだというふうに考えております。したがいまして、私どもが本気にこの法の精神に十分対応するだけの具体的な動きをしておれば、許認可というものはありましてもさほど不自由なものにもならないし、弊害も起こらないと思います。問題はそこのところがまず第一条件ではなかろうかと思います。  したがいまして、こういう非常に重要な公共事業でございますので、ある程度の許認可ということはやむを得ないと思いますが、今までのように独占ではなくて、新規参入も入ってくる、しかも新規参入も同じような許認可の条件の中で入るわけでございますが、具体的には新規参入が入ってきましてもまだ若い企業体でございますので、恐らくこの法の精神からいいますと、新規参入に対する許認可というものは多分に助成的な意味の許認可になるんじゃなかろうかと思っております。そういうことで、これは実際、私どもが具体的な場になってからの問題だろうというふうに考えております。
  202. 小谷輝二

    ○小谷委員 では、ちょっとここで国際電電の方からも来ていただいておりますので、国際電電の問題について二、三お尋ねをいたします。  今回の電気通信事業法によりまして国際電電が一元的に提供している国際電気通信事業の分野におきましても新規参入企業が参入してくることは可能となるわけであると理解をしております。  そこで、国際電気通信事業の中へ新規参入があると考えられる企業の見通しは現在いかがでございましょうか。
  203. 小山森也

    小山政府委員 国際通信というのは条約がありますし、外国の企業との共同事業でございます。国内電気通信事業のようにそのスタートは、国内だって簡単だとは申し上げませんけれども、そういう共同事業であるということ、それから国際取り決め、さらにはそのもとになります国際条約というのがいろいろございますので、そう国内事業のようには簡単には参入できないのではないか、こう思っております。
  204. 小谷輝二

    ○小谷委員 法的には参入は可能である、このように理解していいのですか。
  205. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  206. 小谷輝二

    ○小谷委員 それでは、十分私もわかりませんが、将来参入してくるとするならばどのような内容に力点が置かれていくのか、参考のためにお聞かせをいただきたいと思います。
  207. 小山森也

    小山政府委員 これから先のことでございまして、ただ法律枠組みとして、そういうような企業サイドの意欲のあるものが入った場合においては、法律によって阻害しないようにという枠組みの問題でございますので、なかなかすぐに具体的には申し上げられないのですけれども、一般論として申し上げますると、非常に国際通信は需要が伸びております。年率二〇%を超えるというような量的な問題もありますし、質的にもかなりの高度サービスというものも伸びてきております。したがいまして、これにつきましては、今、主体をなしております電話だけというのではなかなか参入は難しいのではないかと思っております。
  208. 小谷輝二

    ○小谷委員 それでは、国際電電が国際分野に対して、電話以外のVANといいますか、この分野に将来計画を持っておるのかどうか、これはいかがですか。
  209. 児島光雄

    児島参考人 お答え申し上げます。  VANのことでございますが、今日VANと言われておりますものは、どうも正確な定義がなされておりませんので、若干あいまいな点がございますけれども、私どもの理解しておりますところでは、今度の法案で申しますれば、第二種の通信事業者が第一種の通信事業者から回線を借りまして、その借りました回線を使用しまして通信網を構成いたしまして、その通信網で通信処理機能、例えばスピードを変換するとかあるいは蓄積するとか、そういったような通信処理機能を加えまして、それによりまして第三者に他人の通信を媒介したり他人に通信を提供したりということをやるのがいわばVANであるというふうに理解しております。その際、通信処理機能のみならず、最近ではコンピューター業者も入りましてデータ処理、情報処理を加えたというような例もあるようでございますが、そういうVANがございますけれども、そういう意味におきましては国際電電はいわば第一種事業でございますので、他人のための通信とか他人の通信を媒介するということが本業でございますので、この方では通信処理も伴いましたできるだけ新しい技術を取り入れた効率的なサービスを行いたいということで、既にビーナスと呼んでおります公衆データ通信ネットワークによりますサービスを提供いたしておりますし、そのほかオートメックスなどといいまして、各企業体のネットワークによります特殊な通信処理を含んだサービスを提供いたしております。  ただし、国際電電が情報処理の分野まで出ていくかどうかということになりますと、これはやはりなかなか問題でございますので、現段階で具体的にどのようなことをやるというようなことを考えてはおらない状態でございます。ただ、将来の競争の関係もございますので、十分それに耐え得るような体制だけは整えていかなければならない、そのように考えております。
  210. 小谷輝二

    ○小谷委員 さらに、国際電電が今データ通信また情報処理等の分野で日本の国内に直接介入することがどうなのか、法的に。もし介入しないとするならば、投資行動とか子会社とかという形でデータ通信事業、要するに情報処理、VAN事業等に参入する考え方が将来あるのかどうか。これはいかがですか。
  211. 児島光雄

    児島参考人 お答え申し上げます。  現在の国際電信電話株式会社法の第一条には、会社は国際電気通信事業を行うのを目的とするということになっております。したがいまして、国内に出るとすればいわば目的外でございます。しかしながら、現在でもその目的を達成する範囲におきまして附帯業務もやれるということにはなっておりますので、御認可を受けてやります。  現在でも、国内の欧文電報というものがございまして、これはローマ字なり英語なりで国内で電報を扱うものでございますが、こういうものは公社がなさるよりも国際電電がやった方がやりやすいだろうというようなこともございまして、発足当初から電電公社の委託を受けて国内欧文電報を取り扱っております。  このような例もございますので、いろいろな業務において国際電電が行った方が便宜であろう、その方が有効であろう、効率的であろうというものがありますれば、これは御認可を受けて附帯業務として実施していくということは十分考えられると存じますが、それ以外に国内に子会社あるいは出資会社を持ちまして参入するというようなことは考えておりません。
  212. 小谷輝二

    ○小谷委員 逆に今度は、要するに日本電電、新電電の方で直接国際電電の分野には参入することはできないことはわかりますが、子会社等によって国際的なデータ通信、情報処理、この分野への進出はどのように考えておられますか。
  213. 児島仁

    児島説明員 私ども新会社に移行した後の経営に当面専念せざるを得ないと考えておりますので、そのような子会社をつくって国際業務に進出するということは現時点では考えておりません。小谷委員古い話ですけれども、国際電電が公社から株式会社になったいきさつ、経過等につきまして私の手元にはその資料があるわけでございますが、これは昭和三十年いろいろな事情で-これは別問題としまして、今日国際電電の株式を政府は持っていない。ただ公社がおおむね一〇%を保有しているということなんですが、この公社の保有している約一〇%の国際電電の株は、今後民営化されて新電電が株式会社になったときにこの株券はどうなるんですか。この株はそのまま移行されるのか、また、政府の方へどういいますか、帰属していくのか、この辺いかがですか。
  214. 岩下健

    ○岩下説明員 ただいま先生指摘のように現在電電公社は国際電電の株式を五百一万五百株、これは発行済み株式のちょうど一〇%に相当いたしますけれども、保有をしております。いわゆる新電電に移行しました場合に、私どもとしては当然これは新会社、新電電が引き継いで保有をするものというふうに考えております。
  215. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が余りないようですので、今回、株式会社法案の中で、将来株の三分の一以上は国が保有するということになっておりますけれども、この理由はどういう理由なんですか。
  216. 小山森也

    小山政府委員 非常に公共性の高い事業でございますので、国が三分の一以上を所有いたしまして、その他の株主によりまして、例えば特別決議によりまして定款の変更の発議ができるとかそういったことを防ぎまして、要するに公共性の高い新電電株式会社がその目的が常に安定的に達成されるように国で三分の一以上を持つことにしているということでございます。
  217. 小谷輝二

    ○小谷委員 それでは、国際電電は国際的な問題もございますので公共性が非常に高いと思うわけでございますが、この株は保有していない、この理由はどういうわけですか。
  218. 小山森也

    小山政府委員 これは国際電電と日本電電と直接比較するのはなかなか困難でございますけれども、これは最初の発足当時の経緯等もございますけれども、やはりその影響するところの大きさというところが日本電電の場合は非常に大きいという点の比較の問題でございます。
  219. 小谷輝二

    ○小谷委員 それはちょっと納得いきませんね。その説明は成り立たないと思いますよ。要するに公共性が強いから保有しなければならぬのや、公共性を担保するために三分の一は国が株を保有しておくんだ、こういうことですからね。国際電電の場合は公共性がないのか、あるとするならば、きょうまで保有していなくてどんな影響が出ているのだ、ここらがなかったら三〇%以上保有するこの意味が、理由が明確になりませんよ。どうですか。
  220. 小山森也

    小山政府委員 国際電電とこれからの電電会社との一つ公共性の差というものはやはり非常にあると思います。といいますのは、国際通信が幾らできましても、結局国内通信はインフラストラクチャーとしてある日本電信電話のネットによらざるを得ないということを考えてみましても、やはりこのインフラストラクチャーという点のネットワークの構築というのは、国際電電に比べまして日本電電の方が格段の差があるのではないかと考えます。
  221. 小谷輝二

    ○小谷委員 それなら改めて聞き直しますけれども、国際電電公共性はどうなんですか。
  222. 小山森也

    小山政府委員 公共性はございます。
  223. 小谷輝二

    ○小谷委員 公共性を担保するために新電電の場合は三〇%を保有するということである、国際電電の場合も公共性はあるけれども、これは保有する必要がない。じゃなぜ保有する必要がないのか、また保有していないために、現在どのような障害があるのか、公共性が損なわれておるのか、こういう点がなければ意味がないんじゃないですか。説明したことにならないんじゃないですか。いかがですか。
  224. 小山森也

    小山政府委員 国際通信の分野におきましてKDDが中枢的役割を果たしていることは疑いのない事実でございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、その度合いというのは、全国民の一人一人が毎日使う生活に密着している通信はやはり日本電電の方が多いわけでございます。例えばいろいろ影響力を考えてみましても、私どもが毎日の生活の中におきまして電話を使わないのは、いろいろな立場の方もございましょうけれども、恐らくないというようなことと若干国際通信の場合は異なろうかと思います。これは質的な差ではございませんで、量的な差がございます。そうなりますと毎日毎日の国民生活へのかかわり方の問題でございまして、その辺の差が出てきているということでございます。  それから国際電電の場合に、それではその結果非常に公共性が損なわれたことがあるかということでございますけれども、今までにそのような例はないと聞いております。
  225. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間も来ておりますので、質問は次の機会にお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。以上で終わります。
  226. 志賀節

    志賀委員長 次に、永江一仁君。
  227. 永江一仁

    ○永江委員 既にこの電電二法の質疑も同僚委員が十数名行いまして、かなり解明はされてきておるのでございますが、私どもの視点から以下若干の御質問を申し上げたいと思っております。  この問題は、何といっても電電公社を民営化するということが一つの柱、もう一つ競争原理の導入で新規の民間産業参入させる、これが最大というか二つの柱であることはよく理解できるわけでございます。ただ私はどちらに比重を置くかと言えば、民間新規産業参入によって、いわゆる競争原理の導入をすることによって公社自身も活性化できるのじゃないか。もちろん我々は公社の民営化それ自体には基本的には賛成でございますが、公社が百十年も続きますとこれを民営化することにはやはりかなりの抵抗があるわけでございまして、端的にお尋ねしたいのでございますが、競争原理の導入ということだけに視点を置けば、公社制度は残しておいてそして新規産業参入させるということでも十分競争原理は働くのではないかというふうにも考えるわけでございますが、こういうやり方はお考えにならなかったのかどうか、まずお尋ねいたします。
  228. 小山森也

    小山政府委員 もうるる御説明するまでもないと存ずるのでありますけれども、やはり新しい電話以外のメディアが非常に出てきている、しかも、そういった今までの電話だけというときには一つ事業体で対応していくというのが非常に能率的でありました。だからこそすぐつく電話、すぐかかる電話という大事業が達成できたのだと私は思っております。しかし、それが電話だけということではなしにいろいろなメディアが出てきたということから、なかなか一つ事業体だけではこれに対応できないというところで、むしろ多数の事業体が出て、それぞれ需要者に応ずるためのサービス提供主体があった方がいいということが一つの政策判断でございます。  そういたしますと、今度は公社というものがなぜそのままではいけないかという御質問のお答えになってくるわけですが、公社というので対応できるのではないかということは一度は考えたわけでございます。しかし、公社というのはやはり独占事業体であって、国の代行機関として国の非常に大事な通信というものを引き受けるということのためにある体制でございます。そういたしますと、まず競争原理に対応するということについて、いろいろ多数の事業者が出てくるということは幾つかの事業者競争し合ってそれによって利潤を上げていくということになりますので、公社というような一つの国の代行機関で独占でやっていくという体質では、とてもこれでは的確な対応ができない。むしろそこにおいて、いろいろな競争原理に対応できる柔軟な体質を持つ、また経営というものの戦略を直ちに行動にあらわすことができるような当事者能力を持たせるということよりほかないのではないか。確かに従来の公社というのは、一体として一つ事業を行う場合において制度的に、法制的にはそんな悪い制度ではないとは思いますけれども、事実上、従来この三十年の経緯の中におきまして必ずしもそれが本来の姿ではないことが、運用の中においていろいろな弊害が出てきております。このいろいろな弊害を今、電電公社そのままの内部でもって改革をして、その延長線で落とすというのはとても無理な話だ、公社のままではとてもだめだという一つの例にもなるわけです。しかし、競争原理を導入するといったときには、本質的にはやはり公社という形態はそぐわないということは申し上げられるのではないかと思います。
  229. 永江一仁

    ○永江委員 今のお答えを端的に要約すれば、公社制度は残して競争原理だけ導入すれば文字どおり公社が第二の国鉄になっていく、こういうことの中で公社の民営化もやはり裏表の関係でやらざるを得ないというふうに理解するわけでございますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  230. 小山森也

    小山政府委員 そのような考えで私申し上げたところでございます。
  231. 永江一仁

    ○永江委員 それでは次に、競争原理が働くということが公社自体を民営化しながら活性化につながっていくこと、今日までるる御説明があったわけでございます。ただ民間産業参入させれば簡単に競争原理が働くあるいは法律が通れば競争原理が働く、こういうふうに何かすっと上っ面を言っているような気がしてしょうがないのでございますが、競争原理が働く条件とは何でございましょうか。
  232. 小山森也

    小山政府委員 一番の要素はやはり今の事業体では応じられていなかった、満足されていなかった需要がそこに存在する、そこに需要が存在しないときには競争相手が出てこないということになろうかと思います。
  233. 永江一仁

    ○永江委員 今の局長のお答えでは若干一面的でありまして、需要があっても公社独占であれば競争にならないわけです。端的に言えば相手があって初めて競争原理が導入されるわけですね。スポーツでも何でもそうですが、相手がなければそこには競争原理が働かないわけであります。ですから今回のこの法案が本当に生きていけるのかどうかは、まさにそういう相手が参入する、相手があらわれるかどうかにこそ実はこの法案の成否の一つがかかっておると理解するわけでございます。  そういう意味からいたしますと、第二電電とか第三電電というものがいろいろ京セラ云々とか新聞等ではちらちら見られますけれども、実際にそういうものが生まれてしかも競争相手として育っていくのかということについて私はかなりの疑問を感じておるわけでございます。当委員会での質疑の傾向からいたしますと若干逆向きのようではございますが、そういう相手が育つと本当にお考えなのかどうかお答えいただきたいと思います。
  234. 小山森也

    小山政府委員 どのようなスケールでもって育つかというスケールの問題はこれからの需要動向とのかみ合わせでございますが、なかなかつかみ切れないところがあります。ただ現在申し上げられるのは、スケールメリットという点では今の電電公社は非常に効率的でございますけれども、非常にきめ細かいサービスという点になりますとやはりいろいろな点で、全国をカバーするのでございますから、ある一地点だけを重点的にやるのは公社それ自体の使命にも反するわけでございます。そういった点では、ある地域においてあるサービスを要望するという点において弾力的に対応するのはなかなか難しいのじゃないかと思います。そういたしますと、そういった需要、要望に対して事業提供するという事業者は当然出てくるものと思っておりますし、またそういうことを期待しているからこそ本法案を出しているわけでございまして、必ずやそういった事業者があらわれてくるであろうと私どもは見ておるところでございます。
  235. 永江一仁

    ○永江委員 正直申し上げまして、いささか局長の御答弁は楽観的な気がしてならないのであります。この法案が成立をして需要がふえるはずだ、だから新規参入はあるだろう、こういうことでありますけれども、何度もここで出ておりましたような、ガリバーという表現大臣は使われましたが、こういう中で本当に競争原理が導入されるような相手がここに存在することは非常に難しい面があるというふうに思わざるを得ません。そうしますと、この法案を提案した郵政省の責任としては、そういった第二電電なり第三電電を育成するといいますか、本当に競争原理を可能ならしめる責任があると思うのですけれども、その責任をどう果たしていかれるのかお答えいただきたいと思います。
  236. 小山森也

    小山政府委員 仰せのとおり、この法案を提出して成立を望むからには、当然そういった競争原理が働く現実の世界をそこにつくり出すことが必要だと思います。ただ自然現象でもって、つくったらば当然そこに第二、第三の電電会社ができて、競争原理が動くというふうに私ども考えておりません。ただ、それでは第二、第三の電電だけを優遇するかということになりますと、これは今のポスト電電との兼ね合いで問題だと思います。幾ら巨象といいましても、それはやはり電気通信事業者として存在するわけでございますので、したがいまして、第一種としてそれぞれに同じような形でいろいろな施策をしていく必要があるんじゃないかと思っております。  そういった点で、法案といたしましては、事業者間の相互接続の確保というようなことを法的に保証するとか、料金算定における会計の整理による競争制限的な内部相互補助の防止をするとか、技術基準の設定をして、事業者間のイコールフッティングでもって、片方が不当な立場にならないというような枠組みにしているわけでございます。また、そのほかにも、ケーブルを設置するときの土地の利用特権であるというようなことも、どの第一種事業者も平等に扱うような枠組みにしているということでございます。
  237. 永江一仁

    ○永江委員 公平に扱うということはそのとおりだと思うのでございます。ただ、これはこのとおりにすべきであるかどうかは若干問題あろうと思いますが、アメリカあたりではMCIとかGTEなどの新興勢力がそれなりに健闘しておる。その背景にはFCC、いわゆる連邦通信委員会の一定のバックアップがあるというふうにも聞いておるのでございまして、逆に言うと、新興勢力に対しては値下げを認めるとか、ATTに対しては競争排除に結びつかないかという観点で、ある意味ではシビアな面がある。私はそのとおりにせよという意味じゃございませんが、ただ、この法案は通った、もうこれで競争原理の導入になりますといって腕をこまねいておるだけで、本当に競争原理が働くような条件あるいは環境が育つのかどうかということは大変難しいと思わざるを得ない点が多々あるのでございます、技術にとか人的な配置、資金的な面。しかしながら、これはもう門戸開放したけれども、育たなかったのは民間の活力がなかったからだということであれば、この法案は根本的に生きてこないという危惧をするわけでございますけれども、その点もう一度お答えいただきたいと思います。
  238. 小山森也

    小山政府委員 ただいま料金の問題の例をお挙げいただきましたので、それについての見解でございますけれども、これはやはり新しい会社が、料金が安いということで、それで事業ができるということで認可を申請してまいりますれば、これはそれなりの認可をしていくということでございますので、これはアメリカの例も変わりないのではないかと思います。私もアメリカの例を余り知っているわけではございませんけれども、今そうではないかと思うわけでございます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、相互接続の確保というのは-新規参入者というのは新雪露会社のようにネットワークを全国網持っておりません。その結果、接続というような形のところでもし優越的な地位で新規参入者に臨むということになりますと、それ自体においてネットワークは限定化されるどころか、事実上ネットワーク化ができないというようなことになります。したがいまして、相互接続の確保というようなことにつきましてお互いに双務契約でできないときには、郵政大臣が一方の申し立てに基づいていろいろな勧告をするというようなこともできるようにしているということでございます。したがいまして、一つの新規参入者の幹線というのは、その接続協定におきまして大きなネットワークの中に参入できるというようなことになるときに、非常に公正な形で、お互いにお客さんとしていくというような形が法的な枠組みである、こういうことでございます。
  239. 永江一仁

    ○永江委員 今、若干お触れになりましたけれども、そういたしますと、いわゆる第二電電のてこ入れと申しますか育てるために、マイクロウエーブ回線の利用を認めるとかあるいは税金の面において、アメリカの方では不動産取得税などの投資のための各種の税金の減免に一定の力をかしておるというふうにも聞いておるのでございますが、そういうところまで踏み込むおつもりはあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  240. 小山森也

    小山政府委員 マイクロ回線の利用ということにつきましては、電波資源というものは限定はございますけれども、少なくとも将来の電電株式会社が使えているような状態と同じような形で免許というようなことをしていかなければ、やはり平等性が損なわれるのではないかと思っております。資源のある限りと申しましても、資源というのはそれをまたつくり出す努力もしなければいけないわけでございまして、そういった努力はすべきだろうと思っております。  また、税金等の問題でございますが、これは新電電会社だけというのはやはり無理だろうと思います。ただしかし、現在の電電公社が今後電電会社に移りますときに、今は二分の一の固定資産税でございますけれども、五年間の暫定的な形での普通の固定資産税への移行というのがございます。そういったようなときに電電公社と同じような形の保護をしていただきたいというようなこと、これはやはり努力すべき我々の仕事だろうと思っております。  また事業所税でございますが、今NTT、電電公社と国際電電は非課税になっております。やはりこれも同じような形でいくように税務当局に働きかけて実現したい、こう思っております。  また特別土地保有税ですが、これも非課税、一種事業共通にこのようなことはしていきたい、こう思っておりますが、これからの検討と同時に折衝の問題でございます。
  241. 永江一仁

    ○永江委員 自治省の方、お見えですか。今、若干局長からもお触れになりましたけれども、今までは電電公社が所有する土地あるいはこういう固定資産税は実際は二分の一、これが今後は、民間になれば土地及び家屋については一切の特例を設けず、固定資産税を全額課税する。ただしその二番として、電電公社が行う出資に係る資産のうち、電気通信機械及び電気通信設備、そういった一定の基幹設備に対しては、向こう五年間二分の一の減免、こういうことでございますが、これは今国会に出されておる。たしか地行の委員会だと思いますが、これはこのとおりでいいわけでございますね。
  242. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、現在、電電公社につきましては、固定資産税が非課税とされておりまして、これにかわる制度として、納付金という制度がございます。これにつきましては、国鉄、専売公社、三公社につきまして、その公社の公共性にかんがみまして、いわば税負担を二分の一にすると同じような措置がとられております。今回の電電公社の民営化に伴いまして、私どもとしましては、基本的には固定資産税を全額課税するのが正しいことではないかと考えておりました。しかしながら、今までそのような納付金以来の経緯がございますので、新会社につきまして、当初の税負担の急増を緩和するために、今お話がございましたように、電電公社から承継を受けました一定の基幹的な償却資産に限りまして、五年間課税標準を二分の一とする特例措置を経過的に講ずる必要があるだろうということで、それらを盛り込んだ地方税法等の改正案を現在、御提案を申し上げておるところでございます。
  243. 永江一仁

    ○永江委員 自治省の方に聞くには若干あれかもわかりませんが、今、私がここで議論しておるような形の中で、この新電電とあるいは第二、第三電電を公平に扱うという観点からいたしますと、この新電電に対しては、設備に係るものは向こう五年間、二分の一減免ということでございますけれども、こういたしますと、第二あるいは第三の電電に対してもこういった特例を認めるということにならなければ、公平を欠くように思うのでございますけれども、いかがでしょうか。
  244. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 ただいま御説明申し上げましたように、今回の特例措置というのは、電電公社が会社に移行します経過的な特例措置として私どもは考えております。したがいまして、日本電信電話株式会社が会社になりましてから新規に取得する償却資産については何ら特例措置を講じないこととしておりますし、また電電公社からの出資に係るものにつきましても、五年間経過した後の、法案でいきますと昭和六十六年度以降になると考えておりますが、それ以後は全額課税するということで、私どもとしましては、経過的な措置としてそういうことを考えておりますので、第二電電等の新規参入事業者について同様の特例措置を講ずる余地はないのではないかというふうに現在考えております。
  245. 永江一仁

    ○永江委員 自治省のお答えとしては、それはやむを得ないと思うのでございますが、郵政省にお尋ねするのですが、五年間の経過措置でございますけれども、新電電は五年間、二分の一の減免、そういたしますと、先ほどお答えになった公平にという点からいたしますと、公平を欠くというふうにもとれるわけなのでございますけれども、先ほど局長は今後の問題と言われましたけれども、この点は非常にいろいろな重要な点を含んでおると思いますけれども、このことについて公平に扱うようにどう対処されるのか、お答えください。
  246. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの努力次第でございます。全力を挙げまして、今、自治省の担当課長もおられますので、この経過をよく御説明を申し上げて、陳情を申し上げ、そしてぜひとも実現に持っていきたい、このように考えております。
  247. 永江一仁

    ○永江委員 次に、競争原理の導入の一環として、最近、いわゆる第二電電、第三電電が、あそこも参入する、ここも参入するとマスコミで書かれておるのでございますけれども、一つ気になりますことは、建設省――道路公団ということでしょうけれども、あるいは国鉄などのお役所が乗り出すということがよく報道されておるわけでございますが、こういうことについて郵政省はどうお考えでございますか。
  248. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましてはうわさの域を出ないので、こうであるということを申し上げると誤りもあるかもしれませんけれども、ただ言われているようなことで理解しますと、やはり民間参入というのを私ども想定しているわけでございます。したがって、道路公団であるとか国鉄自身がみずからの業務範囲としてこれを行う、特に国鉄という名前を挙げるのもどうかと思いますけれども、国鉄自身の財政危機をこういった事業拡大によって賄っていくというようなのは、本来の民間活力導入とはちょっと意味合いが違うのではないかと思っております。  ただ、そういった道路敷とか鉄道の敷地というのは、光ファイバーであるとか同軸ケーブル、こういったものを引くのには最も都合のいい細長い土地があるわけでございますから、そういったものを次の何らかの形の民間と共同してこれを提供していくというような形になることがやはり民間活力導入という本来の趣旨から見ますと望ましい、こう思っております。
  249. 永江一仁

    ○永江委員 今のお答えで一応結構だと思うのでございますが、おっしゃるようにこれは民間に開放する、しかしながら今このままでいきますと、大蔵省あたりも銀行のオンラインを使って何かVANに参入するとか、民間に開放したのか各お役所に開放したのかわからないという状況、これはまことに危惧される点でございます。そういう点でこの機会に、大臣もいらっしゃるわけでございますが、この辺は郵政省としてそういう点の一本くぎを刺すと申しますか、一つのけじめをつけるという、本来の新規参入を認める、競争原理をここに導入するという趣旨がどこにあるかということをいま一度はっきりしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  250. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、建設省、まあ道路公団がそういった形での光ファイバー敷設、あるいは国鉄の線路敷地ですか、いろいろな声が上がっております、光ファイバー敷設とか、あるいは衛星を利用するとか、マイクロウェーブであるとか。しかし、私は結構なことだと実は思っておるのです。最初から、公団なんかとはまだ正式にそういった意向は受けておりませんけれども、むしろそういった施設を利用して回線貸しをやって、民間の新しい競争者に利用していただこうというのがどうも本旨のようでございます。そういった意味ではむしろ、新しい競争原理を生むに当たって、そういった公的施設が民間参入に積極的に協力しようという形にあれば、宝の持ちぐされではなくて、そういった利用の形態においては非常に好ましいのじゃないかと私は思っておるのです。  むしろ、今度の場合、第二種の開放するVAN事業なんかにおいては、多彩なメディアがどんどん利用が出てくる、一遍に花が咲く。しかし、この第一種の事業は、技術、資金、人材を含めてあらゆる面においてそう簡単に、参入はなかなか厳しい制約条件もあると思います。ですからできることなら、本音は、みんなが協力して、そして公正な、部分的な競争であったとしても、そういった原理が働いていくようになってほしいというのがむしろこちらの本当の希望でございます。そういった意味合いにおいては、いずれにしても、新会社、新電電といえども、これは持てる力は巨大でございますし、できることなら競争しながらも協調していくという中でサービスを国民に還元してほしい、安い料金体制を含めてそうしてほしいということでございます。
  251. 永江一仁

    ○永江委員 大臣のおっしゃった意味もわからないでもない、道路公団とか国鉄が空き地というようなものを活用するということまで私は否定するつもりはありませんけれども、何か一つのイメージとしてお役所がばっと参入してくる、やはり非常に地の利を得ておるわけです。民間産業が一から参入するということは大変難しい、こういうことになると確かにその施設を利用するという意味で活用するべき点はあると思いますけれども、この法の一番の趣旨は文字どおり民間産業の民間活力を注入してくることであって、郵政省なり電電公社の独占は離れたけれども、お役所や国営事業がこういったものをすべて独占していったということになったのでは余り意味がないと思うのでございます。そういう点で、私は局長の答弁の方を評価したいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  252. 小山森也

    小山政府委員 やはり人が違いますと表現方法が違うということではないかと思います。  私が申し上げたのは、やはり鉄道の敷地とか道路の敷地というのは非常に貴重な資源である、だからそれを利用しない手はない、そういった意味では同じでございまして、第一種事業者に道路公団であるとか国鉄が協力していく、その一つの協調によって会社をつくり上げていってよりよい競争関係というのをつくり上げるという点においては同じ考えでございます。違う口から出ますと違うようにとられたかと思いますが、同じでございますので御了承願いたいと思います。
  253. 永江一仁

    ○永江委員 これまでの議論は、公社の方には若干おもしろくない点があったかもわかりませんが、次に公社に二点お尋ねいたしたいと思うのでございます。  こういう競争原理の導入は、恐らく真藤総裁もそのこと自体が新電電の活性化につながるということは十分御理解をなさっておると思うのでございますが、新規参入者がいろいろ心配しておることの中には、既存の公衆回線の相互接続とかあるいは供用の協定とかあるいは料金、これが一体どうなるのかということを非常に心配しておるわけでございますが、こういったいわゆるアクセスチャージのことについて新電電はどのように協力をしていくのか。  もう一点は、先般の公聴会でも出されておりましたけれども、国民の金によってやったと言えばそれまででございますが、今日まで公社がその技術の粋を集めてやった研究の公開というもの、何といってもこの技術の活用というものを非常に渇望しておる、このことに対してどう対応するのかお答えいただきたいと思います。
  254. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  新規参入の方が公社に接続を申し出られた場合には、当然事業法によって公社として接続の義務がございます。したがいまして、その際に新規参入の方と接続点とか提供する役務が何であるか、または料金の徴収方法をどうするか、接続料金をどうするかというようなことにつきまして相互協定を結びまして、郵政大臣認可を得た上で具体的に進める、このようになるわけでございます。その場合の具体的な内容につきましては、諸外国における例とか従来から国際電電、KDDとの間の協定等を参考にしながら、今後検討を進めていきたい、このように考えておるところでございます。  また、御指摘の接続料金につきましてどのような考え方かということでございますが、接続料金につきましては新電電回線設備利用する際にその回線設備等にかかる費用を回収する経費と、それから全国あまねく市内電話サービスを新電電提供する上で必要なコストを負担していただくという意味での接続料金というものがあるわけでございます。公社といたしましては、新規参入業者に対して設備の使用料、いわゆる必要な使用料を負担してもらうことは当然でございます。その他の付加料、今申し上げました第二のものでございますが、いわゆるアクセスチャージというものにつきましては、できるだけこれを取らなくて済むような方向で今後事業運営上の努力、いわゆる市内市外の料金格差の是正その他を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、新しい事業形態のもとで新規参入がどのように入ってくるか、またこれは具体的でございませんので、その態様や公社の財務に与える影響その他を十分に検討しながら考えていきたい、このように思っておる次第でございます。  研究開発につきましては、ちょっと別の者から答えさせていただきたいと思います。
  255. 山口開生

    ○山口説明員 研究開発の成果についてお答えいたします。  従来から公社もいろいろと研究の成果がございまして、それを公開する場合に、例えば学術会議で発表するとかあるいは新技術のシンポジウムを開催して発表するとか、あるいはまた技術移転の特許許諾という形で移転をやってまいりました。これにつきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、先日の公述人の方にも大変高く評価していただいたと思っておりますが、新しい形態になりましても、新会社としては研究開発については重点的にやっていくつもりでありますし、対外的な公開につきましても適正な対価のもとに公開してまいりたい、こういうふうに思っております。
  256. 永江一仁

    ○永江委員 今の点につきまして、郵政省はどのように指導されるつもりか、お答えいただきたいと思います。
  257. 小山森也

    小山政府委員 接続料の問題でございます。この新規参入によって増加する分の設備の使用料というのはこれはやはり事業でございますから、それだけの役務提供しているのですから当然だと思います。ただそのほかにさらに接続をすることによって設備を増加したというような場合に、それのみにかかった費用というのはやはりこれも使う人がそれだけであるとするならば、新規参入者との間でという関係になろうかと思います。いずれにしろこれが非常に難しいのは、行政が正面に出て初めからこうであるということをやるのがこの建前になっておりません。したがいまして、そういった形でのお互いの接続協定というのができるのが望ましいと思っております。  さらにアクセスチャージの問題でございますが、今、公社御当局は、できることならばこういったものはしたくないというお話、まことに結構でございますけれども、私どもの冷静な判断といたしましては、アクセスチャージというのは市外料金で利益を上げた分を市内料金に払い込んでいるわけでございますので、そういった場合において新電電会社がそのような形で払い込んでいるならば、もう一つの方の新規参入者も同じような形をとっていくというのはこれはやむを得ないのじゃないか。と同時に、これは公平の原則に照らしてもそうではないか、こう思っておりますので、そういったような協定を結びますならば私どもとしては別に何ら行政が介入するというような必要はないと思っております。
  258. 永江一仁

    ○永江委員 新規参入者が非常に心配しておりますことは、そういう場合の料金、これがなかなか、これはあこぎなことはなさらないとは思いますけれども、そういう中でやはりある程度のチェックというか排除ということに結びつかないのかという心配をしておるわけなんです。そういう点で、私は郵政省のお考えをお聞きしたわけでございます。
  259. 小山森也

    小山政府委員 こういう心配は、新規参入者としてはするのが当然だろうと思います。したがいまして、第一種電気通信事業者相互間における協定、これを締結するということは、そういった、力の強いものが一方的な形で何かを強制するということのないことを期待しているわけでございまして、法律におきましても、第三十八条にそのような形で認可になっている、それから、第三十九条でいろいろ、料金その他の金額について問題があるときには、一方の当事者の申し立てによって郵政大臣が協議の裁定をすることができるような形にしております。ただ、しかし、このような条項が発動されないことを願っておるところでございます。
  260. 永江一仁

    ○永江委員 真藤総裁にお尋ねしたいのでございますが、以上、新規参入あるいは競争原理の導入ということの話の総括といたしまして、私は、たしか四月十八日だと思うのですが、一般質問で、総裁に若干御質問をいたしましたときに、今の料金体系なら新規参入者はやすやすと参入してくるだろうという御答弁がございまして、それが、突き詰めていくと、東京-大阪あたりは三分の一か四分の一の値段にしなければやすやすと参入する、こういうお答えであったわけでございます。  しかしながら、私がいろいろ調査したり、人の話を聞きましても、新規参入というのは難しいのじゃないか、なかなかそう簡単にできないのじゃないかという意見が非常に強いのでございます。総裁としては、身内を引き締めるという意味で、そういう立場、そういう御発言ということは理解できるのでございますけれども、こういうことを総裁にお聞きするというのはまことにおかしいのでございますけれども、現在でも、この法案が通れば、いわゆる第二電電とか第三電電と言われるような新規参入がやすやすと行える、参入があると、やはり依然としてお考えかどうか、お答えいただきたいと思います。
  261. 真藤恒

    ○真藤説明員 前に申し上げましたように、私どもの長距離料金が現状のレベルであればかなり有利に入ってこれると数字の上では考えられます。あとは、今までいろいろお話がありましたように、道路を通すのか、鉄道敷を通すのか、マイクロでいくのか、あるいは宇宙衛星を使うのかという方法論によって、いろいろ採算状態が変わるということはあると思います。  それと、今まで長い間、こうやって独占体制でまいりましたので、新規参入業者に必要な技術スタッフをどうやって確保するかという問題が、むしろ一番問題じゃなかろうかと考えております。その面につきましては、郵政の御指導をいただきながら、この法の精神が具体化できるように協力する方針では、基本的に新規参入に対しては考えております。
  262. 永江一仁

    ○永江委員 真藤総裁は、来年四月一日、もしこの法案が通るとすれば、いわゆる新電電の社長にでもなられるとは思うのでございますけれども、民間産業御出身でございますから、私はぶしつけな御質問をしておるわけでございますけれども、本当に競争原理を導入して、現在の電電公社自体の活性化という観点からいたしますと、今おっしゃったように、資金、人材、特にそういった技術的な人材面で、第二、第三の電電の成長というのは大変難しいと私は考えておるのでございます。  余談でございますけれども、総裁がこの暮れには何か任期切れになられるということで、もし仮に再選をされないようでありましたならば、総裁が人材を引き連れて第二電電が、第三電電をつくって、そしてやっていくというぐらいの意気込み、私は若干、言い過ぎかもわかりませんが、本当に日本の社会の活性化という意味からは、それぐらいの気持ちというものは持つべきでないかとさえ思うので、総裁がお持ちになるというよりも、私はまことに期待するわけでございます。大体、日本という国は、どうも一点集中主義というか、非常に固定観念が強い。アメリカあたりでは、テレビ会社でも、社長が突然ライバル会社の社長に移ったり、自動車会社でもそういうことは非常にやっておる、ここに非常な活性化があるわけでありまして、日本もそういう意味では、これは卑近なことでございますが、かつてはプロ野球でも、チームがかわったら裏切り者のように思ったけれども、このごろはそういうトレードは当たり前なんです。  本当に活性化ということにおいては、この電電公社がある程度、私は、分割ということは今日の流れの中においては、必ずしも分割までいくべきではないとも思いますけれども、その一つの臨調の精神の中には、そういった活性化を促す、そういう人的な流動というものがやはりなければならないというふうに思っておるわけなんでございますが、総裁にこのことをお尋ねするのは酷かもわかりませんが、いかがでございましょうか。私の言っていることは間違っておるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  263. 真藤恒

    ○真藤説明員 私が電電に残るか残らないかは、まだ公社制度のもとでございますので、政府の御意思で決まることでございますから、何ともここでは申し上げかねます。
  264. 永江一仁

    ○永江委員 総裁個人のことをお尋ねしたつもりではなくて、やはりそういう活性化が必要ではないか、そのことなくしては、この法案は言うなれば魂が入らないという私の意見を申し上げたわけでございます。この点について、せっかくでございますが、大臣の御所見もついでにお伺いいたしたいと思います。(「大臣も十一月まで」と呼ぶ者あり)
  265. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この法案を提出しておる責任者として、私の任期も今お話しのような状況であろうと思います。いずれにしても、この新しい会社によって、新電電を含めて、新電電が主軸になって新規参入の会社が生まれてくる。先ほども、繰り返すようですけれども、国民にそういったサービスを還元していただくということが趣旨でございますので、巨大な新電電が民営化されて、そして第二、第三の参入希望のある電電にも、技術的に大いに協調の精神でやってほしいな、そういった場合においては、決して弱い者いじめというような形の中でなくて、新しい通信政策の大きな視点に立って協力をしていただきたいと心からそう願っております。
  266. 永江一仁

    ○永江委員 次に、当事者能力の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  この点はかなりの委員から出ておるのでございますが、会社法第十一条の事業計画の認可というか、こういうようなことが、先ほどからも許認可権が多過ぎて、当事者能力をそぐのではないかという心配、そして質問等がかなり出ておるわけでございます。公社の総裁に端的にお尋ねをいたしますが、この法律で当事者能力が持てるのかどうか、もっと具体的に言えば、働いていらっしゃる方々の賃金、労働条件が自主的に労使で決定することができるとお考えなのかどうか、お尋ねいたします。
  267. 真藤恒

    ○真藤説明員 この法案についての私どもの考え方は、公共事業としての私どもと、事業者としての私どもとお客、いわゆる世の中とのやりとりについては、かなり許認可事項があるのはやむを得ぬかというふうに考えております。しかしながら、内部統制につきましては、今の法案で大体、我々に能力さえあれば、内部統制については、従来の公社のようなものとはすっかり変わった姿になり得るというふうに考えております。
  268. 永江一仁

    ○永江委員 ちょっとしつこいようでございますが、今お尋ねしたのは、いわゆる賃金、ボーナスといった労働条件は労使で自主的に決定ができると理解してよろしいのですかということです。
  269. 真藤恒

    ○真藤説明員 これは、一般の民間の企業並みに良識を持って行動する範囲内においては、御質問の点は十分実行できるというふうに確信いたしております。
  270. 永江一仁

    ○永江委員 今、総裁からお答えがございましたけれども、郵政省、できたら大臣にお答えいただきたいのでございますが、こういった労働条件の自主的な決定に対して郵政省は介入しないということをここでお答えいただけますでしょうか。
  271. 奥田敬和

    奥田国務大臣 郵政大臣としては、今度の民営化の目的というものは、ある意味においては経営責任の明確化でございます。したがって、効率化、高能率を上げてやっていくという労使のそういった形に大いに期待するというところでございます。もちろん賃金問題というのは経営の根幹でもございますし、当事新能力をその際において大いに発揮していただきたい。したがって、労使で自主的に決定できるのは当然でございます。そしてまた、そのことについては郵政省は、経営安定性が保たれる限りにおいては、内部干渉するということは一切いたしません。
  272. 永江一仁

    ○永江委員 経営の安定化についてという一言がどうもちょっと気にはなると言えばなるのでございますが、それはもう当然経営者の責任でございますから、そこまで郵政省が御心配になるというのは余りにも取り越し苦労のような気がするのでございますけれども、一応大臣がこういった労働条件の労使の自主決定には介入しないという御答弁だとして理解させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。――それでは、この民営化というものが、当事者能力を取り戻して、働いておる人々が労働条件を労使の中で自主的に決定していけるという道が開ける、このことは私たちは評価をしていきたいと思うのでございます。  同時にまた、その自主的な労使の決定は、そこで働いていらっしゃる人々の少なくとも労働条件の向上につながっていくということでなければならないと思っております。もちろん、経営が傾いておればこれは困難であるということは民間企業においても同じでございますけれども、先般の当委員会で総裁がお答えになった中で、かなり語気を強めて、給料を下げるとは言っておらない、こういう御答弁の中に私はその心情を酌み取るわけでございますけれども、今日までのいわゆる電電公社の労使関係というものはやはり当事者能力を失っておる。合理化ということについても、私たちは、公社の中で働いておる労働組合、全電通の皆さんが、公社形態であるにもかかわらず、この合理化にも協力をしていって今日の電電公社をつくり上げたということは高く評価をするものでございます。同時に、しかしながら一方は、やはり官公業としての枠において、給料その他は仲裁裁定その他で縛られておる、こういうことでございます。  私たちは基本的には、民営化になれば、合理化を進める、そのことが同時に労働条件の向上につながるべきであるというふうに思っておりますが、今日までは、給料では上げられない、だから、人よこせ、人をふやすことによって、時間短縮によってその合理化のパイの分け前をつくっていったということは制度上やむを得なかったと思うのでございます。先般の公聴会でも私が全電通の山岸委員長にも申し上げたのでございますけれども、これでは、時間はできるけれども金がない、暇はできても金はない、こういう若干いびつな姿になっておるんじゃないかということを実は申し上げたわけでございます。この時間短縮も確かに大事でございますし、労働時間が三十七時間十分ということは、一応今日の民間の大手企業の労働時間に比べれば短縮されておるというふうに思うわけでございますが、そのことが、せっかく合理化を進めても人をふやした、これが肥大化して、回り回って公社の経営を圧迫してきたというところに今日の問題もあるように思うわけでございます。  そういう点で、若干私見を申しましたけれども、重ねてお尋ねいたしますが、民営化、すなわちそのことは労働条件の向上にもつながると私は考えておるわけでございますが、どうでございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  273. 真藤恒

    ○真藤説明員 今度の法案が国会を通りまして経営形態が変わりますと、私ども、労使関係というものは、会社の経営の支払い能力の範囲内という枠の中でしか動けませんので、労使協力しながら支払い能力をふやす方向へ努力するよりほか、生活の向上ということは私どもの組織の中の人間は考えられぬわけでございまして、その面において、支払い能力をふやすということが今度の法案で実行できるようになりますと、かなり今の状態よりも自主性もあり努力のしがいもあるという形になるように了解いたしておりますので、現在までとはかなり違った形が始まるだろう、また始めなければならないというふうに考えております。
  274. 永江一仁

    ○永江委員 私どもも、この法案の積極的な面をもし評価するとするならば、そういった働いておる人々にいろいろ合理化その他での協力をいただくと同時に、そのことが労働条件の向上につながるという希望を持たせるといいますか、そういう面も内部的には十分周知徹底させていく、また、経営責任者たる総裁を初め幹部の方々が十分腹に入れていただきたいと心からお願いをするものでございます。  次に、スト権の問題についてお尋ねいたしますが、これで民間企業になれば、いわゆる労働三法にこれからゆだねられるわけでございますが、民間会社の労働組合にもかかわらずこの一定のストライキ禁止条項をしたのはどういう理由があるのか、あわせて、KDDの労働組合にはストが認められておるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  275. 小山森也

    小山政府委員 実は本件に関しましては、主管省は労働省でございますので、労働省からのいろいろな御意向を私の方から申し上げるということにしたいと存じます。  基本的には、労使の自主的な信頼と努力にゆだねるというのは労使関係の基本である。労働三法を適用して争議権を認めるのはそういう意味である。しかしながら、新電電会社に関しては、事業公共性に加え、公労法の適用から労働三法の適用へと労使関係の法的基盤が急激に変化することにかんがみ、特に迅速な労使紛争の処理を図るため調停に関する暫定的な特例措置を設けることとし、この特例措置の一環として一定期間の争議行為の規制を行おうとしたものであるというような見解でございます。なお、これにつきましては私どもの理解といたしましては、電気通信サービスというものの従来の公社でのあり方と今後のあり方に余り断絶した形があってはという配慮である、こう受け取っております。  なお、KDDにはこういったものは一切ございません。
  276. 永江一仁

    ○永江委員 もし将来の第二鴨価、第三棚棚が一種事業として参入した場合の労働組合のストライキ権はどういう扱いになるわけでございますか。
  277. 小山森也

    小山政府委員 このような形のものはやはり不自然だと思います。
  278. 永江一仁

    ○永江委員 不自然ということは、その第二電電、第三電電の労働組合を規制する考えはないというふうに理解していいわけですね。
  279. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げたように、私どもこういった労働法に関することにつきまして正式にはここで申し上げられる立場にはないわけでございます。ただしかし、先ほども労働省の方からの見解といたしまして、電電公社については今まで公労法というのが適用になっていて、その法的基盤がすっかり変わるので当分の間の断定措置としてやったのだ、こういうことになりますならば、そういった公労法というものを初めから適用されていない労働組合は本来の労働三法によるべきものだ、こう思っております。
  280. 永江一仁

    ○永江委員 それでは、きょうは労働省を呼んでおりませんでしたので、この問題は次回に譲りますが、私たちは基本的にはこれはKDDとか第二、第三電電の労働者のスト規制をせいという意味では全くございません。これは公平という見地からいえば、今回の新電電の労働組合が、民間産業に変わったにもかかわらず労調法の附則によってこういった規制を受けるということは、ぜひこの附則を削除すべきであるという立場に立つものでございます。私たちは電力の労働者のスト権の奪還も支持しておるわけでございます。こういう意味で、法律でストを禁止するということはまことに基本的に我々は容認することができません。もちろん、官公労といいますかそういった中に一定のストを規制しておる、そのかわり人勧とか仲裁裁定等でその権利を守るということでございます。その仲裁裁定自体が完全実施されないということはまことに問題なんでございますが、それは別としまして、我々はそういう意味で基本的に特に民間産業の労働者のストを規制するということだけは容認することができないわけでございます。大臣、これは労働特の所管ということでございますが、ぜひひとつお考えいただきたいのでございます。  本当に世界を見渡しましても、労働者がストライキをするのが命がけとか禁止されておるということは、これは大体後進国でありますかあるいは一定のイデオロギーの体制の中でストライキができない、自主的な労働運動ができないという社会体制、これは皆さん、ひとつぜひ大臣にお考えいただきたいのですけれども、我々の民主社会というものに優越性ありとするならばそういう権利も認めて柔軟性がある社会が結局住みよい社会であって、ストを規制していくという発想だけはやめていく、改めていくということが日本の将来の発展のために私は必要だと思っております。本当に日本もかつてはストライキをすること自体も大変な問題であったわけでございます。最近もイギリスの炭鉱のストライキとか西ドイツの金属労働者がストをしておる。近視眼的に見れば、ストをしておる間に、日本はストもせぬと何か経済が発展するような錯覚がありますけれども、本当の社会の豊かさあるいは柔軟な社会構造、こういう点から考えると、私たちはストがないのが必ずいい社会であるとは思いません。そのことはやはり認めていく、これを法律で禁止するというような社会の方が結局は我々の後進性を証明するというふうに思うのでございます。そういう点で、ぜひともこの点は大臣ひとつ再考していただく、あるいは労働省の所管であるならば政府部内において御検討いただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  281. 奥田敬和

    奥田国務大臣 それは、基本的には先生の御意見には私も同感でございます。ただ、この新電電は基本的に労働三法を適用してスト権を付与しておる、スト権は認めておるわけでございます。ただ、今度の形においては暫定的な調整機能、はっきり言うと公労法の適用から労働三法になるわけですし、環境的にも激変緩和の形の中で暫定的に、全く当分の間ということをわざわざそこで暫定的という言葉であらわしておるわけでございます。調整する機能を労働大臣が持つという形で、私はこの形に関しては先生らの御意見、御趣旨を政府部内でももちろん真摯に、慎重に、前向きに検討したいと思いますけれども、そういった意味であるスト権は付与されておるということだけははっきり申し上げておきます。
  282. 永江一仁

    ○永江委員 確かに基幹産業、国民の生活に重要な影響があるということは十分承知をしておるのでございますけれども、そのこともさることながら、労働者の基本的な権利を法律において一定の枠を加えていくということの方が社会的にはマイナスであるという基本的な考えを私は持っておるものでございます。そういう点で、ぜひともこの点については今後さらに厳しく要求していきたいと思っております。  次に、時間の関係もございますのでお尋ねいたしますが、この電電民営化あるいは事業法の問題を本当に国民の次元に戻って考えれば、国民の皆さんが一番心配しておることはやはり料金とかそういうところへくるわけでございます。確かにサービス、サービスというあるいは新しいいろいろな端末機がふえて非常にバラエティーに富むということも何となくわかりますけれども、実際問題、電話という分野で言えば、サービスと言われましても国民には余りぴんとこないのですね。昔なら交換手がおって、その物の言い方がよかったとか悪かったとかいうことで何となくサービスの基準もありましたけれども、今はダイヤル回すだけですから、サービスの向上と言われましても、正直言って国民には余り関係がないというわけでございます。これはもう切り詰めて言えば料金がどうなるか、ここに実際は尽きるのでございます。  そこで、アメリカにおいては我が国よりも大体十年、二十年社会的には前を行くのでございますが、競争原理の導入という結果が市内料金が上がっておるということも聞きまして、若干こういう問題について慎重にならざるを得ないと私たちも考えるのでございますが、アメリカの実態、料金の実態はどうなっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  283. 小山森也

    小山政府委員 今、手元にアメリカの実態というのはございませんけれども、アメリカは一月以降分割になっておるものですから、一、二、三、四、五まだ半年余の経験しかないというところで、正確な判断ができないというのが、これはアメリカの当事者等が言っておるところでございます。特に、アメリカのFCCとか商務省というのは、その政府の政策でやった問題でございますから、これは批判的な伝聞をするはずがないわけでございまして、そういうことを言っております。  そういった意味におきまして、今FCCのこの前ファウラー委員長などから聞いた話を申し上げますと、こういった大きな変化をやるときには、何かの摩擦が生ずるのは当然であろ、したがって摩擦を生じたといって半年でそれがどうのこうのと言うことは間違いであるということをまず言って、一つの問題として地方料金が上がってきている、上がるということについて申請が出ている、この申請は、ただし、高金利に伴う公正報酬率の引き上げとか、インフレーション、減価償却方法等の変更等の一般的な経済事情の変動に伴う理由である、こういう理由とともに私どもに説明がありました。  それから、今度は分割に伴うアクセスチャージの問題でございます。これは二種類のものがあって、加入者が直接市外料金相当分として定額で払うものと、それから市外のロングディスタンスの会社が市内に払うのと両方あるわけでございますけれども、市内の利用者が市外利用に伴うアクセスチャージを払うということは、やはり非常にいろいろな問題を起こしているということのようでございますが、これもアメリカ当局の言いますところは、今までの市外料金が安くなったんだから、全体の電話料金としては変わりはない、こういうようなコメントと同時に話を聞いてまいりました。
  284. 永江一仁

    ○永江委員 何か一年ほど先の我が国の状態の答弁を聞いたような気がせんでもないのでございますが、このアメリカの例を参考にして、やはり我が国はやっていかなければならない面があるのでございますが、我が国のこういった競争原理の導入によって料金がどうなるかということで、やはりそれなりに参考にすべき、この点は改めるべきだ、こういう点はやはり気をつけるべきだ、やはり参考にすべきだと思うのでございますけれども、そういう点で今のはアメリカの話、しかも伝聞でございますが、日本のこれからの見通しとしてどう責任ある見通しを持っておられるのか、お尋ねいたします。
  285. 小山森也

    小山政府委員 まず第一に、アメリカと根本的に違いますのは、アメリカがもともと千五百余の電話会社があって、非常に小さい経営ブロックに分かれているということ、これに加えて、さらに大きな非常に大きい事業体であったATTが七つに分割されたということは、日本の場合と背景は全く違うと思います。日本の場合は、一つ事業体として会社に移行するということでございます。  したがいまして、市外料金が市内料金相互に、例えば先ほど観念的な問題でございますけれども、まだ正確にその数字がわかっているわけではございませんけれども、一般的に公社御当局が言っている説によりますと、市外部分で市内部分を援助しているのではないかという統計的な見通しが出る、こういうことでございます。そういった場合、分割されておりませんので、そういったことは経営単位の中で解決できているということでございます。  それから、地域的に非常に採算性の悪いところと採算のよいところと、これが全国一本になっておりますので、その中におきまして、採算の悪いところに採算のよいところからの一つ経営全体の中で消化していくということがありますので、いわゆるここで申されております経営形態が変わったということによっては、電話料金というものは直接それぞれの地域に影響するのではないのではないかと思います。  それでは新規参入との関係でどうか、こういうことでございます。いろいろ見方がございます。新規参入料金の設定の仕方にもございますけれども、想定といたしまして、一応新規参入というのが、これは全体が崩れれば別でございますけれども、ただ単に今、電電公社がやっているところをまねするのではなしに、電電公社が今なかなか手を染めかねている高度通信などを専門にやるということになりますと、これは市外間のトラフィックが増加すると同時に、市内網はみずから持っていないわけでございますから、これについては、どうしても市内網は現実問題として新電電会社の厄介にならなければできないということでございます。  そうしますので、そうであるならば、新規参入イコール新電電会社の収入減になるとはなかなか言えない。ただ、これは料金をどのように持っていくかということにかかわってくるかと思います。以上でございます。
  286. 永江一仁

    ○永江委員 そこで、総裁に一つお尋ねいたしたいのでございますが、この委員会でも料金問題は本当にしょっちゅう質疑がございます。しかしながら、総裁のお答えを聞いておってもなかなかイメージがはっきりわかりにくいのでございます。その証拠でございますか、新聞なんかも同じ日に、総裁の答弁が見出しを見ると、六十一年までは料金は値上げしない、同じ日の別の新聞は、六十二年以降は料金値上げと答えたと、これは間違っておらないと言えば間違っていないのでございますが、それほどわかりにくいわけなんでございます。いろいろこの間うちから総裁の御答弁をお聞きしておりますと、今までの料金は端的に言えばどんぶり勘定的だった。これだけかかってこうだからということの中で、市内は三分十円だからという、それをもう少し科学的根拠と申しますか、何か原則をつくる制度をつくっておる、それができれば、それが二年ほどかかるからと、こういうお答えのようなんでございますけれども、私は電話だけを考えれば度数とあるいは通話時間、これが基礎にということは何となくわかるのでございますけれども、それ以外に今までは距離というものがあったけれども、この距離がほとんど縮まってくる、こうなると、度数と通話時間以外に、そういうものの料金体系の基礎となるものがなかなかイメージとしてわいてこないのですけれども、どういうふうなことになるのでございましょうか。
  287. 真藤恒

    ○真藤説明員 今の段階では非常に難しい問題でございますが、うっかりした御説明を申し上げるとまた誤解されますが、この間から申し上げておりますように、今市内料金あるいは近距離料金、そういうものと実際の通話の動きというものが地域別にきちっと出た数字が全くございません。また、そういうものをきちっと出すような設備もございませんのでやむを得ませんが、今、新しい法案がだんだん動いてまいりましたので、いずれこの料金問題が非常に大きな問題になろうかと思いまして、アメリカのATTが開発しておりましたそういうものを精密にはかるハードウエアとソフトウエアを買い入れまして、今それの設備を急いでいるところでございますが、それが六十一年の末になりますとそろそろデータがきちっと出始めますので、それからいろいろ勉強するということに考えております。  ちょうどそのころになりますと新規参入がどういう姿でどういうふうに入ってくるということも大体見当がつきますし、今のアクセスチャージの問題も考えなければなりません。それから、もう一つ考えなければなりませんのは、同じ三分十円と申しましても、東京では四百四十万近い人間が三分十円で話せます。大阪では二百二十万ぐらいでございますが、地方にまいりますと三分十円で話せる相手というのは一方、二万あるいは三万というのが大部分でございまして、したがって、そこの辺に地方と大都会とは三分十円で話せる相手の数も面積の広がりもかなりの差がございます。今、その不公平をならすために基本料金である程度修正はいたしておりますけれども、地方の方も車社会がだんだん進んでまいりまして生活圏がだんだん広くなってくるというふうなことで、三分十円という区域と物理的な広がりというものがどうも具体的な日常生活と合わなくなっているという点も十分考えなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つ、ずっと前からグループ料金制度という御意見が随分出ておりますので、このグループ料金制度と今申しましたような問題とあわせまして、最低料金区域を見直してずっと広げてそれによってどういうふうにするかという考え方も一つあろうかと思います。あるいは、三分十円というものが絶対やってはいけないというのなら、今の通話の区域の中に制限いたしておいて何かまた別の方法を考えるかといういろいろな問題が出てまいると思います。それと、さっきからお話が出ております新規参入のアクセスチャージ、エキストラのアクセスチャージという問題といろいろ兼ね合わせて考えなければならぬと思いますので、あと三年か四年たったころにこの問題が本格的にきちっとした資料をベースにして、新規参入も入り始めた時代の皆さんのお考えというものを広く承りながら、一番合理的なところにおさめていくべき問題じゃないかというふうに考えております。  その時期になりますと、今の市内料金を据え置きながら新しい経営形態のもとで長距離料金をどのくらい下げられるかということも中期的な見通しは十分立つと思いますので、その見通しをベースにした新規参入との競争力の問題と、新しいINS体制に即応する合理的な料金体系というものとこの問題と、意味をみんな絡み合わせて結論を出さなければならぬ時代が四、五年すれば必ず来ると思いますが、その辺のところで、要は皆様の、お客の方が月間の支払い料金をふやさないでよりよいサービスを受けられるということをモットーにして、どうするかということを考えなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。  殊に電話以外のサービスがだんだん伸びてまいりますと、今、電話だけと申し上げても差し支えないくらいでございますが、まだ大分世の中の考えも変わってくると思いますので、その辺のところは随分難しい問題が出てきますけれども、今ここで、現時点で、こうでございますということを言うのは非常に危険だと思っております。
  288. 永江一仁

    ○永江委員 そういたしますと、今の総裁のお答えを聞いておりますと、最初は三、四年あるいは四、五年後にそういった合理的なものができたときにきちっとした料金体系をつくるというお答えでございますが、それを逆からいえば、そのことが合理的な料金体系ができるまでは現在の料金はいじらない、こう理解をしてよろしいですか。
  289. 真藤恒

    ○真藤説明員 前から申し上げておりますように、私どもの財務の許す限り当面は長距離料金を下げさせていただきながら、市内料金、近距離料金はできるだけ、できるだけというかさわる気はございません。
  290. 永江一仁

    ○永江委員 それでは、時間もほとんど参りましたし、さっきのスト権の問題については、きょうは労働省を呼ぶのをあれしておりましたのでまたに譲りまして私の質問を終わります。
  291. 志賀節

    志賀委員長 次に佐藤観樹君。
  292. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 六時七分過ぎで皆さん大変御苦労さんでございます。  たくさんの課題がございますけれども、私は、電電公社を民営化する、そのために政府の保有株を売却するという問題についてお伺いをさせていただきたいと思うわけでございます。  この趣旨は、国民の共有財産として築き上げてまいりました電電公社の資産、これを国民に売却するということでございますから、まず第一に、いやしくもその政府保有株を売却することによってだれかが膨大な利益を得る、こういうことがあってはならぬと思うわけであります。  二番目に、またそうやって放出をされた株が一部の特定の勢力に集中をして、そのために新電電という極めて公共性の強い株式会社が一定の勢力に支配をされるというようなことになってはならぬという観点が二つ目であります。  三つ目は、新しくできました新電電が、同僚各位からいろいろな形で質疑がございましたけれども、何といっても経営が安定をして、ここに蓄えられた技術陣、雇用というものが確保される、そして高度情報化社会に何かって国民の皆さんのニーズにこたえられるその中心的な企業として新電電が発展をしていく、このことについてはどの方も異論がないと私は思うわけでありますけれども、そのためには、これからお伺いをしてまいりますけれども、政府の保有株の売却の時期あるいはその方法、これに誤りがあってはならぬわけでございまして、この制度的なあるいは行政的な手段をこの際明確にしていただいて、国民の皆さん方、電話加入者の皆さん方が築き上げてきた財産というものが国民の皆さん方に本当に納得をしていただけるような手だてを講じていくというのが当委員会に課せられた重大な責務であると私は思っているわけでございます。  したがいまして、お伺いしますところ、今まで余りこういう部分の御質問がなかったやに聞いておりますし、また重点的には大蔵省の理財局が具体的には扱うのかなという気もいたしますけれども、しかし事の中心は、この法律によりますところの電電株式会社なるものがこれからどうやっていき、そしてなお発展をするかということに極めて重大にかかわってくる問題でございますから、その観点からこの法案の主務大臣でもございます郵政大臣にも適宜お伺いをしていきたいと思うわけでございます。  第一は、売却の時期の問題でございますけれども、一体新電電から無償譲渡されました政府の保有株というのは、いつからどれぐらいの期間に売却されていくのだろうか。これは、民営化民営化といろいろ議論がされましたけれども、民営化の一つの側面というのは、株が最終的には五年間のうちは恐らく二分の一が政府保有ということになるのでございましょうから、残り二分の一は民間が所有をする、国民の皆さん方が所有をするということになると思うのでございますが、民営化民営化と言っている割には、一体どのようなテンポでこれが進むのかということについては国民の側から見ると皆目わからぬわけでございます。  このことについてお伺いする前に、私はまず大前提としてお伺いをしたいのでございますが、証券局いらっしゃると思いますが、商法あるいは証券取引法にのっとって企業というものが設立をする、あるいはそのときに株を発行する、だれかに買ってもらう、そしてその後成長して流通をさせるために株式市場なり店頭市場にのせる、こういう過程を経るためには、電電に限らず一般的な企業がまず商法及び証取法にのっとって、どういう手続、どういう具体的な書類や期間が必要なのか、そのポイントだけ、一般論としてで結構でございますので、まず御披瀝をいただきたいと思います。
  293. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えします。  一般論としてでございますけれども、普通、株式会社が設立される場合には、商法によりまして発起設立、これは発起人がすべての株式を取得するわけでございます。そのほかにも募集設立というのがございまして、これは発起人がすべてを取得しない場合にその残りをその他の人から募集するわけでございます。その募集する場合に、不特定多数の人、かなり多くの人数でございますが、それから募集する場合には証券取引法の適用がございまして、有価証券届出書というのを提出することになっております。  そういう形で株主が分布してまいりました際、その株式の分布状況が証券取引所で決められたある一定の水準に達しておる、あるいは会社が設立してある一定の年数を経ておるとか、そういう状態になった場合、その他多少の上場基準の項目もございますけれども、そういうふうな状態になった場合に上場申請というのが行われまして、その審査が行われるというのが普通の状態でございます。
  294. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、募集設立をしたときには有価証券の届け出が必要と言いますけれども、募集設立をしたときには、まだ企業として事実上営業活動をしていないわけですね。そうしますと、その中には有価証券報告書と申しますか、財務内容あるいは決算書というのがないわけですが、この場合はなくてもいい、こういうことですね。
  295. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えします。  まさに御指摘のとおりでございまして、最初に募集設立される場合には、企業の財務内容のうち財務諸表に相当する部分はまだ存在しておらないわけでございます。しかし証券取引法によりまして不特定多数の者から募集という行為を行いますにはそれなりの手続がございますので、そういう場合には財務諸表をつけない形で有価証券届出書が提出されることになっております。
  296. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、その後、一定の期間を経た後に流通のために上場する、その上場の場合の基準はどうなっていますか。年数あるいはその他不可欠な必要書類はどうなっていますか。
  297. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えします。  上場基準はかなりの項目にわたっておりますけれども、主として問題になってまいりますのは株主の分布状況でございます。  これは特定少数者株主というのが全体の何割を占めるかということ、あるいは株主の絶対数が何人いるかということ、それから設立の経過後の年数でございますが、現在の規定では五年間事業を継続していることが前提になっております。そのほか、利益、配当あるいは株式の譲渡制限と幾つかの規定がございますが、主なところは今申し上げたような状況でございます。
  298. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この場合には、上場申請のためには有価証券報告書、決算書あるいは損益計算書、こういった財務諸表は当然要りますね。
  299. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 上場の基準を該当させるために、通常の場合、株主の分布を図る見地から、公開して募集ないしは売り出しをされるという場合には届出書というのが必要になってまいります。一たん届出書が出された場合には、決算期ごとに有価証券報告書の提出が必要になってまいります。また、そういう募集または売り出し行為がありません場合におきましても、上場または店頭市場に務録された場合には有価証券報告書が決算期ごとに必要になってまいります。
  300. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、今後民営化するに当たって政府の保有株を民間に売却をするというのでありますが、これは一般国有財産になるわけでありますから、扱うのは恐らく大蔵省理財局が扱うと思うわけでございます。もし違っていたら後で訂正していただければいいわけですが、今、橋本審議官からお話がございましたように、これは一般論一般の法人の場合でございますけれども、日本電信電話株式会社法なるものに裏づけられた俗に言う新電電、これはいわば特殊法人的株式会社と言っても私は過言ではないと思っているわけでございますが、さりとて株式会社であり、国民にその株を売ろうという限りは、今まで発行市場あるいは流通市場等々で築き上げられてまいりました、今、御説明があったこの一般ルール、これを全く無視をして国民に売却をするということには私はならないだろうと思うのでございます。まずその点はよろしゅうございますか。
  301. 中田一男

    ○中田政府委員 お答えいたします。  この新電電の株式が大蔵大臣の監督下にございます国有財産ということになりますれば、私どもがその管理処分の仕事に当たることになろうかと思いますが、現在までのところまだそこのところがはっきり決まっておるとは聞いておりません。そういうことも含めまして恐らくこれからいろいろ関係のところと御相談をしてまいる、あるいは具体的に検討していく必要があるのだろうと思っております。私どもの方ではいろいろ先例などを調べて勉強中ではございますけれども、具体的にどうこうということまでまだ至っておらないのが現状でございます。
  302. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私もそうお答えになるだろうと思って冒頭にこのことの意義を申し上げたわけであります。  いやしくもこの法案があって、これは民営化をするというそれだけの法案じゃございませんけれども、少なくも、加入を含め国民が今日まで築き上げてきた財産を、形上はとにかく一度現物出資をしてとかあるいは無償譲渡するとか、そういう経過を経ますけれども、しかしいずれにせよ、株を最終的に当面は半分、もう少したちますと残り三分の二は国民に持ってもらおう、それによって民営化をしようという限りは当然この法案にどういう時期からどういう方法でこれが株の売却をするのか、しかも私は視点を申し上げたようにいやしくも利権が発生をしないように、そして一部の勢力によってこれが独占をされるようなそういうことのないように、そして新電電というものが健全な格好で経営がなされる、そういう状況をつくる、これが私たちの審議の当然必要になってくるところでありまして、今のように法案が通ってから決めるというようなことでは、私たちはこれ以上責任を持てませんよ。  大臣、そうじゃないですか。またこの問題について大蔵省とどうも全然協議をしてないやに聞いているわけでございますけれども、これは、ああそうですか、法案が成立してからそれは決めるんですかということで、これだけ国民が築き上げてきたこの電電公社の資産をどうするかということについて、ここで、はあ、わかりました、それじゃ法案が通ってからにしましょうと言って引き下がれる性格のものではないと思いますが、大臣どうですか。
  303. 奥田敬和

    奥田国務大臣 最初に御指摘のあったとおり国民資産によって形成された今日の電電公社、それが新会社に移行するという形になった場合、新株をある程度の限度、国会の御承認を得て売却していくという形で御審議願っておるわけでございますが、御指摘のとおり資産形成の沿革にかんがみましても国民の関心事でもございますし、そういった形にいささかの疑惑、疑念を生じさせても大変なことだと思います。したがって、最も透明度の高い形で時期あるいはそういった形の売却益の使途、そういった点について、御指摘のあったように、今、結論を得ておるのか、明示できるのかというと、はっきり申しましてその具体的な検討というものをやっておらない、そういった基本的な原則においては同意いたしておりますけれども、今言われる具体的にいつの時期、そういった形は目下のところ両省間でお話し合いをしていないというのが率直な状態でございます。
  304. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大臣から率直なお話があったので、これ以上本当は質問は続けられないのですが、なぜ私がそのことにこだわるかというと、今そのことがわからなければ先の絵が全然かけないのですよね。先ほど委員各位からいろいろな角度から新電電の今後のあり方について議論がございましたけれども、一体これ自体がどうなっていくか、一体何年で半分の株が国民の所有になるのかというその辺のこともわからずに、一体どういう格好で新電電がこれから経営されていくかということについて皆目わからぬわけであります。  例えばどうして私がこのことにこだわるかということをもう少しあれしていただくために、もう少しだけやりますけれども、今、橋本審議官からお話がございましたように、商法上会社の設立には発起設立と募集設立があるわけでございますけれども、この場合には、これは法務省なり法制局を入れて詰めなければいかぬと思いますけれども、この電電会社法に書いてある形式をとる限りは、発起人が全部お金を出して会社をつくるという格好にはならぬわけでございますから、したがいまして発起設立という格好ではないんだと思うのです。  恐らくこれは一定の期間、何カ月か政府が新電電から無償譲渡をされた株を持っていて、そしてこれは流通市場の問題もありましょうし、発行市場の問題もございますから、いろいろなことが整ったときにこれを出しますよという格好になると思うのであります。それが六十年か六十一年かはこれから皆さんにお伺いをするわけでありますけれども、そうなってまいりますと、募集設立をするときに幾ら財務諸表が整っていなくても結構ですといっても、これだけ五兆数千億の資産がありますといっているものについて、何もわからずに国民に買ってくださいということにはならぬだろうと思うのであります。  それじゃ一体財務諸表のディスクロージャーができるのですか。今まで電電公社がやってこられました決算書で、国民に、これを見ればわかりますと言ったって、これは商法上にのっとったものではないわけでありますから、またそれが悪いと言っているわけじゃないわけでございますけれども、それは求めてこなかったわけでございますから、一体商法上の決算なしに国民の皆さん方にこの株を買ってくださいということが、これだけ電話というもう最も身近な、国民には大変関係の深い、しかもこれは単なる数人がこの資産を形成したんじゃなくて、もう亡くなられた方もいらっしゃると思いますが、戦後電電債をあるいは施設料を、その当時は払わされるという状況ですよ、そうして築き上げてきた財産という、大変国民に関係の深い、しかも大変幅広く国民が関係をしてきた、しかも後でお伺いをしたいと思っておりますけれども、大変な含み資産を持っているこの電電公社の資産、これを国民に売却をするということになれば、当然何らかの今後の判断する資料なくして、これは電電公社の場合だけはその必要はございませんということにはならないんだろうと私は思うのです。  そういうことから申しますと、今、御説明があったように、発起設立でいくのか募集設立でいくのか、しかもそのときに全くディスクロージャーなしに、財務内容の開示なしに、一定のときに国民に募集をするということにはならぬと思いますから、そうなってくれば、ここに出ている決算書を商法上にのっとったものにつくりかえることが一体できるのかどうなのかという大変重要な課題というのが出てくるわけですね。  今、次長のお話をお伺いしますと、まだ出発点の発起設立か募集設立かもどうも決まっていないようでありますし、それからその後のことについてはもちろん皆目わからない。それで片方の方では民営化民営化ということはかり先走っているということで、恐らく法案の成立後は、これは一般財産として大蔵省の主管になると思いますが、しかし新電電の生みの親は奥田郵政大臣なんですよ。まさに百十余年の歴史に残る、新電電がこれから生き残って、まさに我々の二十一世紀に向けて情報通信産業あるいは高度情報通信社会の中心的ないわばリード役としての新電電になっていくかどうかは、まさにこれから安心して経営ができるかどうかということにかかっている。奥田郵政大臣も確かに直接的な株の売却の事務はとりませんけれども、今後の経営安定の生みの親であると同時に、今後も育ての親になる、その責任というのを郵政大臣は持っておるわけですよ。  そういうことから考えますと、今後どうやって株を売却し、いつから売却を始め、そしてその方法は、先ほど私が指摘申し上げましたし大臣にも御賛同いただきましたように、利権が生じないように、一部独占が生じないように、そして新電電なるものがこれから安定的にいくためにはどうするかということについてまで、法案を出される以上は内閣として統一した見解を持たないでここに臨むというのは、私は極めて不勤慎な態度だと思うのであります。今後これをもう少し審議しろといったって、どうせまだ決めてませんということだったらこれは審議にならぬのですが、大臣いかがですか、私が言ったことは間違っていますか。
  305. 奥田敬和

    奥田国務大臣 その売却益の使途をどうするか、国民に対しても透明度の高い形でどういう形に持っていくかということの手順については、目下のところ全く白紙の状態であるということは事実でございます。  ただ、今回の法案を御提出した責任者として、今回の法案はあくまでも電電公社が民営化し、新電電として、民間法人として新しいINS社会と申しますか高度社会に対応する、そういった基盤を整備する先導的な法案でございます。この法案によって、新しい競争原理の中で新しい電電としての使命を果たしていくことができるだろう、サービスの国民還元を含めてそういった形での新生電電が発足するであろうという形で御審議申し上げているので、国民に売った株が果たしてどれだけ市場価値が雲かは別として――恐らく相当な市場価格を生むと予測されておることは私も承知いたしております。そういう形の使途をどうするかという形においては私の権限でもございませんし、またそういった形については政府部内実際まだ結論を得ていないという現状に立ちまして、先生の御意見を踏まえて関係の向きとそういった形の詰めを検討させてまいりたいと思っております。
  306. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は使途の話は今一言も言ってないのでございます。ただ、今、大臣が言われた中に、私の権限ではないという、これも私はまた後に大変問題を残す発言だと思うのですけれども、使途の問題を言っているのではないのです。売却益が出る前の問題で、まず第一にこれは一体何年で株を売却していくのか、一体それはいつから始められるのか。先ほどの次長のお話をお伺いしていても、まだ新電電の設立自体を発起設立と考えるのか、募集設立と考えるのかもどうもはっきりしない。それから、これからもっと詰めますよ。詰めようと思えば詰められますが、五年間設立期間がなければいかぬものを特例を設けてやるのか、そのときにディスクロージャー、財務諸表の開示というのは一体どうなさるのか、そのあたりは幾らか決まっているのですか。決まっている部分を答えてください。
  307. 小山森也

    小山政府委員 設立のことにつきましては会社法の附則の第三条で決めてございまして、「郵政大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。」ということになっております。法律が公布になりましたらまず郵政大臣が設立委員を任命し、その設立委員会で定款を作成、定款の郵政大臣認可、大蔵大臣協議等をやりまして、その後に創立総会を開き取締役等の選任決議をやる、こういうことになっております。
  308. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私だって質問する限りは、法律を全部読んで説明を聞いてきているのですからその辺のことはわかっているのです。  それでは、その設立委員というのは株を持つのですか、持たないのですか。当然持たないのでしょう。
  309. 小山森也

    小山政府委員 持たないことになっております。
  310. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうでしょう。そうするとそれは一度法務省なり法制局にお伺いしなければいけませんが、発起設立というものにならぬと思いますから、それじゃ募集設立という手続を踏んで、これから会社の設立、それから株の売却、それから流通させるための上場、こういうことをやっていくのでしょう。だからあなたの言っている設立の仕方はわかっていますよ。しかしその株というのは売却を一体これからどういうルートによってやるのですか。そのときに国民にこの株を売る限りは、実は電電公社にはこれだけの資産がありますから、それを丸々引き継ぎましたからこれだけの資産がありますということを国民にちゃんとしなければ国民は不安で買えませんね。そういうことをやっていかなければいかぬわけですが、皆さん方の方ではこれはちゃんと募集設立という商法にのっとった手続によってやるのですか、それとも事の性格上特別な方法としてやるのですか、その辺のところはお決めになったんですかということを聞いているのです。
  311. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律に基づいて行う一つの設立行為でございます。
  312. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いや、それはそうでしょう。法律に基づいて設立をすることは当然です。しかし、この法律に書いてない限りは当然のことながら商法の原則にのっとってやるわけですね、法律に書いてない部分については。それは当然でしょう。
  313. 小山森也

    小山政府委員 法律に書いてないものは商法の原則にのっとるわけでございます。
  314. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、どうも局長の言うのは募集設立のような意味のようでございますけれども、そうといたしましても、では今度新電電から政府が無償でこの株を譲渡される、株を一定の時期に政府は売却をするというわけですが、売却はいつからやるのですか。
  315. 小山森也

    小山政府委員 これはもう先生御存じのことでございましょうけれども、普通財産になりまして、この普通財産の管理の責任は大蔵大臣に移る、そこにおいて行われるわけでございますけれども、当然実態的にはいろいろの経緯から申しまして両省協議をしながら行うことになろうかと思います。
  316. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、一般国有財産となることは私の質問の中にも言っているのでそれはわかっているのですよ。大蔵大臣との協議を奥田郵政大臣がする、これは私はしなければいかぬと思う。する半分の責任はありますよ。ただ実務的には大蔵省一般国有財産だからするのでしょう。それはいいです。しかしそれはいつからやるのか。あなた方は民営化をして新電電を発足させると言うけれども、民営化の一つの形というのは株がこれからどういうふうになっていくかということになるわけで、それは一体五年で売るのか、三年で売るのか、あるいはときによっては六十年度に全部売るのか、それはどうなっているのですか、協議してあるのですか。
  317. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては協議はいたしておりますけれども、それにつきましての詳しいステップというようなことはまだ決めておりません。
  318. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると皆さん方の方では決めないままこの法案を通してくれ通してくれ、決めないまま法案は通っていく、こういうふうに見ているわけですか。
  319. 小山森也

    小山政府委員 私どもといたしましては法律成立後正式に各省閥でこれを協議するということにいたしております。
  320. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 だから私は冒頭にこの質問趣旨を申し上げて、いやしくもこの法案というのは民営化をする、民営化をする具体的な形というのは株を国民に売ることなんですから、この売る時期やどのくらいの期間をかけてどういう方法で売るのか、このことの明示なくして、今まで電信電話のあり方についてはいろいろな議論がありましたけれども、会社法である限りは、我々がそのことを全く何も知らずに法案が通るということを考えてらっしゃる方が私はおかしいと思うのです。  委員長、私はまだまだ、ディスクロージャーの中身の問題や、この電電公社の貸借対照表や決算報告書なり損益計算審というものは一体どのくらいまで商法にのっとるものができるのかどうなのかとか、あるいはこれから商法にのっとった株式会社、新電電になったときにどれくらい負担がふえるのかとか、そういったようなこと、あるいは利権を発生させないための方法というものについて、ここまではっきりしていかない限り、何分大変な財産を含んだ資産の売却でありますから、当委員会で法案が成立するまでに、いずれの機会には成立するわけでありますから、成立をするまでにはっきりさせる、このことは冒頭申し上げましたように、国民の財産の処分に関係をしてくる問題でありますから、私はこの法案と全く無関係な、ただ審議を延ばすために言っているつもりはないのであります。具体的な民営化の形態というのは株を国民に売るということなんでありますから、そのことの時期やどのくらいの期間や、どういう方法で売れば利権が発生しないかのことをはっきり国会の中で答弁できないで、それでこの法案を通してくれと言ったって通ることにはならないと思うのであります。  委員長、これ以上どうもやっていても全く政府の方では協議をしてないようでございますので、皆さんに悪くて、時間はもう六時四十二分になりましたので、私はまだまだ続ける意思はありますが、答弁が同じことの繰り返しては時間がたつだけで皆さんに大変申しわけないと思いますので、しかるべきときに、いわばこれは大蔵大臣と郵政大臣との協議事項、協議して、今後の新電電の将来にかかわる問題でございますから、私はお二人がいらっしゃるところでひとつ質問さしていただきたいと思います。
  321. 小山森也

    小山政府委員 委員御存じのことを申し上げるのもどうかと思うのでございますけれども、私の方からはっきり申し上げられることは、資本金が幾らかということはまだ決まっておらないわけでございます。設立委員会の中で定款を作成するときに初めてこれが正式に決まるわけでございます。したがいまして、その決まったものをまた今度はどうするかということになるのですから、まずその点が不確定要素でございます。  次に、これにつきましては、毎年の予算をもってその年の処理についての国会の承認を得るということになっております。そういうことでございまして、年ごとに国会の御承認を受けて処分をしていくということになります。
  322. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間のむだですけれども申します。設立委員だけに全部任せるというのは大変な問題だと思うのです。営々として築いてきた電電公社以来め資産というものをどういう売り方をするか。事と次第によってはシンジケート団に全部はめ込んで買ってください。一番最初の人は大変利権が多いでしょう。その次になるに従ってだんだん薄くなってくるというのが一般常識ですよ。もしそういうようなことをされたんでは、そこまで設立委員というものがやるということになれば大変問題だと私は思うから、今のうちに国会審議の中でそういうことはありませんということをレールを敷いておいて、その枠の中で設立委員がやってもらうというのが国民の財産であるこの電電公社以来の資産を売却する道だと私は思うのですよ。全部設立委員に任せるなんということは決して私は認めない。  それから、定款にいたしましてもいろいろ私は注文がある。資本金一兆円、まだ決めてないという御答弁があったようですけれども、そのことを私は何も言っているわけじゃないのですよ。例えばこれから国民に売る眼力は、国民にこの電電公社の資産というものはこういうものでございますというのを商法ベースに乗ってやるんですということをお決めになっているのですか。なっていたら、それだけ答えてください。
  323. 小山森也

    小山政府委員 商法ベースでやるかどうかというようなことは、一般原則に戻るわけでございますけれども、要するにこの法律の建前は、設立委員において定款を定め、その定款の中において資本金も決まってくるということでございまして、そういった意味法律をここに提出して御成立を願っているわけでございます。
  324. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その部分だけ言えば、あなた、設立委員に全権委任をするということじゃないですか。そんなことは認められませんよ、あなた。国会の縛りも全然なしに設立委員に売る時期もあるいは売り方も全部やらせるというようなことは認めませんよ。
  325. 小山森也

    小山政府委員 法律上の手続は設立委員にそれだけの権限が持てるように、本法案ではなっているわけでございます。
  326. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それじゃ、別の角度からお伺いをいたします。  私は、当初、発起設立か募集設立かということをお伺いいたしましたけれども、一体、それではいつから売り出すかということについても、これも発起人が決めるのですか。
  327. 小山森也

    小山政府委員 定款ができまして、設立した、それまでが設立委員でございます。それで役員の選任を創立総会に推薦する、それで創立総会で決まってくるということでございまして、それではその株をどうするかということにつきましては、その後の予算によって国会の御承認を得て決めていくということでございます。
  328. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私も会社法の第五条で「予算をもって」ということは知っているわけであります。しかし、これもまたおかしなことですよね。もちろん株を売るわけでありますから、発行市場がどんな状況か、流通市場がどんな状況か、それを勘案をしなければいかぬことは私も知っております。しかし、皆さん方が電電公社を民営化をする、しかも競争がどんどん出てくる、これから出てくることを一応期待をしているという中で、この新電電なるものが一体、会社のあり方としてどのくらい民間の株が入ってくるかということは、いや、全く毎年の予算で決めていきます、一体どのくらいになったら本当の民間会社になるかは何も決めないで、それは毎年の予算で決めてまいります、どれだけ売るかは予算で決めてまいります。これも外が動いているというのに、それから新しい対応をしなければいかぬというときに、全く毎年毎年のその場その場の財政事情で決めていくというあり方も私は大変おかしなあり方だ、いやしくも次の形態をもう一回再考しましょうと、五年というのが一応、附則についておりますけれども、例えばそれまでには二分の一にしましょう、ただし、毎年はどうするか、これは発行市場なり流通市場の関係がありますから、金額については、五等分するかどうかは別といたしましても、しかし、それくらいの施策なくして、方針なくして、民営化する民営化する、いや料金はどうです、いや第二電電はどうです、あるいは第二種はどうです、こうなってまいりますなんということで、それは無策に等しいのではないですか。
  329. 小山森也

    小山政府委員 実際にどうするかということにつきまして両省間で今、大体の合意を得ているのは、五年以内の見直しまでに少なくとも二分の一のものはこれを放出しよう、こういうことには大体の見通しを立てているところでございます。
  330. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 話をちょっと戻しますけれども、それでは一体、この売り出しに当たって企業内容の財務諸表の開示、ディスクロージャーというのはどうなさるつもりですか。
  331. 小山森也

    小山政府委員 株式会社になっているわけでございますから、その際は商法上に基づく財務諸表のディスクロージャーをやるということでございます。
  332. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、それに基づいてということになりますと、これは橋本審議官に確認をした方がいいのでありますけれども、そうなってまいりますと、会社設立から最低何年なければこの株の売り出し、募集はできませんか。
  333. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 私どもは証券取引法を所管しておりますので、あくまでも一般論でお答えすることでお許しいただきたいのでございますけれども、証取法上募集または売り出しというのを行いますには、先ほど申し上げましたとおり有価証券届出書が必要になってまいります。その有価証券届出書には財務諸表というのをつけ、かつ、公認会計士等の監査証明をつけなければなりません。普通でありますと二事業年度の監査証明、財務諸表をつけるということになっております。ただし、そういうものが存在しないというケースもこれまでございまして、そういう場合はそういうものを添付しないで届出書を提出されたというケースもございます。
  334. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今の局長の答弁ですと、商法上にのっとった財務諸表を出されるということでありますから、今まで我々が見た電電公社が発行するところの貸借対照表あるいは損益計算書、これをもう一回もとから洗い直して、これを組み直して、いわば商法上にのっとったような形の評価基準なり企業会計原則なり何なりでそれをやって、それに振りかえるということはやられないということですね。
  335. 小山森也

    小山政府委員 これは商法上でございますから、当然そのような形にするということでございます。
  336. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、今、橋本審議官から御答弁いただきましたように、最低は二年間その財務諸表がなければこれを皆さん方に買ってくださいと言うことができないということになりますが、そういうことでよろしゅうございますね。
  337. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 お答えいたします。  先ほど来申しておりますのは、証券取引法に基づいて募集または売り出しを不特定多数の人に行う場合には届出書が必要になりまして、その届出書に少なくとも二年分の財務諸表をつけるわけでございますが、不特定多数の人に募集または売り出しをしない場合とか、あるいはまだそういう財務諸表がない場合というのは、有価証券届出書にそういう財務諸表を添付しないで募集または売り出しを行うこともあり得るというふうに申し上げたわけでございます。  本件につきましてどういうふうになるかという点につきましては、私どものところではまだ十分よくわからないわけでございます。
  338. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 証券局担当の審議官の答弁は、私もそのことは理解をしております。今、前段で言われましたように一般的には二年分の有価証券報告書をつけるのがいわば基本ルール、しかしない場合にはそれはなくてもいいということになっておるわけですね。 しかし局長は、商法上にのっとった株式会社でございますから商法上の有価証券報告書を出します、こういうことを言われたわけでございます。したがって、では六十年、六十一年の二年間は株の売却はできない、こういうことになる。それでよろしゅうございますね。――いや、審議官じゃなくて局長の答弁を確認しているのだから。
  339. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 大変恐縮でございます。  証券取引法を適用されますのは、不特定多数の人に募集または売り出しをすることでございまして、株式の売却そのものというふうに規定されておるわけではございません。不特定多数の人に売却する場合に届出書が適用になっております。私ども財務諸表で規定しておりますものは、先ほど来二事業年度と申しておるのですが、その場合にはこれまで添付できないものはつけないでいたということを先ほど申し上げたわけでございます。
  340. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いや、つけなくていいというのは一般論として私はわかっているというのだ。しかし局長の御答弁では商法上にのっとった株式会社であるから商法上にのっとった有価証券報告書をつくられるというから、それならば今の橋本審議官の御答弁のように二年間は株式会社として商法にのっとった有価証券報告書をつくられて、それから不特定多数、つまり国民に政府保有株を売却される、こういうことになりますね、これでよろしゅうございますねということを局長に確認をしているのです。
  341. 小山森也

    小山政府委員 本法案が通りますれば来年の四月から会社になるわけですから、六十年度からの決算は商法上に基づく決算書になるわけでございます。そのことを申し上げたわけでございまして、それでは証券取引上どのような形になるかということまでは私は申し上げてないわけでございます。
  342. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしたら、これはどうするのですか。有価証券報告書は商法上つくることはつくる、しかし株の売却自体は有価証券報告書なしでやるということを決定なさったのですか。
  343. 小山森也

    小山政府委員 まさにこれからの検討課題でございます。
  344. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ですから細かに具体的に聞いていくと、皆さん方の方では何もその辺のところは決められてないと言うから、私はその先のことを聞こうと思ってもこれでは審議が進まないのじゃないですかということですよ。
  345. 小山森也

    小山政府委員 決めてないということはそのものずばりでございまして、決めてないことが御質問趣旨に沿わないということについては非常に恐縮に存じております。
  346. 志賀節

    志賀委員長 本件につきましては、松浦委員の御質問の際にも同様な見解表明があり、委員長において、本案審議期間中に、政府側の重ねての検討を踏まえて答弁をいたさせることにいたします。よって、佐藤委員の持ち時間は委員長において留保いたします。     ―――――――――――――
  347. 志賀節

    志賀委員長 この際、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、参考人出頭要求に関する件及び連合審査会に関する件についてそれぞれお諮りいたします。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の各案について、来る十三日、株式会社旭リサーチセンター専務取締役山同陽一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  348. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、連合審査会開会についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の各案について、他の関係委員会から連合審査会の申し入れがありました場合には、その委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会の日時等につきましては、関係委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。  次回は、明十二日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十七分散会