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1984-07-05 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月五日(木曜日)     午前十時三十三分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       額賀福志郎君    野中 広務君       長谷川四郎君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       中村 正男君    森中 守義君       安井 吉典君    小谷 輝二君       鳥居 一雄君    中井  洽君       永江 一仁君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      小山 森也君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     新村 淳一君         総務庁行政管理         局管理官    藤澤 建一君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 荒木  寛君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         建設省都市局都         市計画課長   鈴木 政徳君         建設省道路局路         政課長     原  隆之君         自治省税務局企         画課長     丸山 高満君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務課長   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   松前  仰君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     松前  仰君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号  )  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  3. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 昨日に引き続きまして、プライバシー保護の問題について少々解明いたしたい点が残っておりますので、質問をさせていただきます。  昨日、郵政省の方から答弁があったわけですが、電通局長は、事業法第四条に言います通信秘密保護は、当事者間だけではなくて、第三者をもその対象にするものである、こういうふうに答弁をいただいたと思うわけです。  そこで、当事者間の保護策については、昨日の電通局長答弁どおり今後対処いただけるにしましても、第三者対策については、極めて消極的な態度表明の域を出なかったと思うのです。  そこで、再度お伺いしたいのですが、まず第一点ですが、第三者対策当事者対策考えてみれば、これはもう情報通信のフローの問題でして、表裏一体だと思うのですが、そういうふうにとらえているからこそ、事業法第四条では明定をされているんだと思うのですが、そういう理解に立っていいのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
  4. 小山森也

    小山政府委員 第三者を含むという点において先生の御調のとおりでございます。
  5. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ということになれば、その第三者対策郵政省が主体的にこれの対策は担っていくものである、こういうふうに考えるのが当然だと思うのですが、どうでございましょう。
  6. 小山森也

    小山政府委員 通信に関することでございますので、当然郵政省が主体的にこれに対策を立てるということでございます。
  7. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 非常に私たち考えていることと同感なんですが、それで第三者対策も、以上のような関係からするならば、早急に具体的な対応策を明示をすべきだというのが当然だと思うのですが、そのことについてどうお考えでしょうか。
  8. 奥山雄材

    奥山政府委員 ただいま電気通信局長答弁申し上げましたように、今回の電気通信事業法に係る分野につきましては、検閲の禁止あるいは秘密保護さらには信頼性安全性の確保の見地から、さまざまなプライバシー保護ないしはデータ保護措置が講じられておりますし、また、それにつきまして第三者を含んだ対策事業法施行と同時に制定することは当然でございます。  しからば、それについてどのようなことを考えているのかというお尋ねかと思いますが、昨日、公社並びに郵政省の方から御答弁申し上げましたように、これまで郵政省におきましては、既に第三者によるデータの改ざんあるいは盗用等の事態が起こらないように、さまざまな告示をつくっておりますし、また公社におきましても、これまでの技術的あるいは物理的な側面から、さまざまな対策措置を講じているところでございます。それらを踏まえまして、新しい事業法に向けて省令というレベルにおいて、技術基準でそのような措置を講ずることになるものでございます。
  9. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 わかりました。  今お答えいただきまして、昨日よりかなり具体化したと思うのですが、そうしますと、一点だけ聞いておきたいのですが、情報基本法の制定の問題については既に議論ございまして、一定見解が出されていると思うのですが、それとプライバシー保護との関係についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 奥山雄材

    奥山政府委員 情報基本法が最初に話題になりましたのは、昭和五十年前後だと思いますけれども、当時と今日とでは、今回の御提案申し上げております三法案が成立することによりまして、環境が全く違ってまいります。したがいまして、これから考え高度化法案ないしは情報通信基本法案というものは、以前御論議をいただきましたようなものとは若干異なってこようかと思います。  つまり多少具体的に申し上げますと、新規参入なり競争原理が導入されるような事業環境にあるということを前提としての高度化法案になりますので、それを前提にしてのこれからの電気通信の将来的な指針をまず定めて、それから電気通信事業に関する育成、振興というようなものがその主たる内容になろうかと思います。しからば、プライバシー保護ないしはデータ保護の問題がこれとどうかかわるかの問題につきましてはこれから鋭意検討するところでございますけれども、昨日もちょっと申し上げましたように、広い意味でのプライバシー保護という問題につきましては、個人データ管理なり利用なりあるいは流通なりといったようなものをいかにし、あるいはいかにそれを制限するかという問題でございますので、単に情報通信分野のみではカバーし切れませんので、私どもが立法いたします際には、通信行政を主管する立場から、この問題がどのようにかかわってくるかという観点からこれを検討することにいたしております。
  11. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 考え方について理解することができました。当面、事業法に関連をする問題については第三者も含めて、これは法の執行と絡めてコントロールの具体的な対処をやっていく、あと一般的なあるいはもっと基本的にフォローしなければいけない諸問題が残っているので、それについては情報基本法と問題も絡みますけれども、これは今後本腰を入れて検討を深めていく、こういうふうに理解していいと思うのですね。このことに関連しまして、総務庁の方、ひとつ考え方を明らかにしてほしいと思います。
  12. 藤澤建一

    藤澤説明員 プライバシー保護についてのお尋ねでございますが、昨日来御議論ございますように、プライバシー保護の問題につきましては、国民の権利、利益を擁護するという観点から非常に重要な問題であると我々も認識しております。したがいまして、個人情報の取り扱いに関しましてはプライバシーの侵害が起こらないような対策を講ずる必要があるということは当然のことでございます。  なお、政府におきましては、臨時行政調査会答申にもこの面の御答申、御指摘がございまして、その後五十八年五月並びに本年一月の二度にわたります行革大綱におきましてもこの問題を取り上げまして、具体的な検討を進めるというような御方針が出されております。その御方針に従いまして私ども現在各省庁の局長クラスによって構成される連絡会議等の場におきまして検討を進めているところでございます。
  13. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今、総務庁の方から見解表明ございましたけれども、いずれにしましても、高度情報化社会がこれから本格化する中でとりわけプライバシー保護の問題については早急に万全の対策をとっていく必要があると思うのです。そういう意味においては、もちろん郵政省が当面情報通信に関する分野では主導的な立場をとられるのでしょうけれども総務庁立場としても国民全体のプライバシーを守っていくために、国の政策としてその具現化のためにぜひとも積極的な検討をいただきたい、このように要望しておきたいと思います。  続きまして回線開放の問題について私の方から質問させていただきます。  実はいろいろな角度から今日まで質疑がなされているわけですが、結局、意外と市場参入だとか競争原理の導入だとかという視点で物事がとらえられがちなんですけれども、帰するところ、それは電電公社が持っている通信回線を自由に利用できるようになれば非常に便利である、そういうことがなければ高度情報化社会形成に向けて対応できないというのが根っこの要求ではなかったのか、私はこのように考えるわけです。  とりわけ、少々歴史を振り返ってみれば、第一次の回線開放がたしか昭和四十六年になされておると思うのです。これは民間データ通信のためめ回線網利用できるようにすべきであるという要求が起こりまして、その部分について回線利用開放された、かように私は理解をしているわけです。それだけでは不十分だということになりまして、昭和五十七年ですか、第二次の回線開放が行われたと思います。この第二次の回線開放の段階ではそれまで相当規制をされていました共同使用や他大使用相互接続の問題について、これを廃止あるいは緩和をするという方法がとられたと思うのです。このように回線自由化が段階的に今日までとられてきたわけですけれども、それを可能にしたのは、言うまでもなく先刻来論議がございますとおり全国自動即時ダイヤル化、あるいは申し込めばすぐつく電話という体制がしかれていて成り立つ話でありまして、これが高度情報化を今後形成していくその基盤だと思うわけです。  ところで、そういう認識に立ちますときに、私の方から電電公社に伺いたいのですが、二次にわたる回線開放によって今日に至るも回線のオールフリー自由化規制されているという部分一体何%ぐらい残っているのか。今日までほとんど自由にやれるようになったと思うのですが、なおかつ、この部分規制をされていて、思うように民間皆さん電電から回線を借りて自由に使うことができないという部分が残っているんでしょうかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  14. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今、先生のおっしゃるように、二次にわたる回線開放によって私ども回線利用していろいろと新しい事業を行うことができるようになったわけでございます。この過程におきまして、今お話しのようにデータ通信、さらには中小企業VANというような形での開放が行われたわけでございますが、一般的な通信処理分野等につきまして今のところ制限がある、このように考えている次第でございます。
  15. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 パーセントで言うのは非常に答えにくいだろうと思うのですが、大体これまで制限を解いてきましたね。あとどれくらい残っているのですか。それを解けば完全にフリーになるのですか、そのあたりを聞きたいのです。
  16. 草加英資

    草加説明員 パーセントと言われてもちょっと数字であらわすのは非常に困難だと思うのです。
  17. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どういうケースだけ残っているのですか。
  18. 草加英資

    草加説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる回線を借りて包括的な形での通信処理、いわゆるVANを行うような場合、それから電話再販売を行うというような形、こういうものが現在のところ制限を受けている、このように理解しております。
  19. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 その部分だけが残っていて、それが自由に思うように使えれば、結局回線自由使用ですか、これはすべて民間皆さんにお使いいただけるというところまで来ているわけですね、残っているのはそこだけなんです。  このように回線自由化要求が強まってきたというのは、これは何度も言われておりますように、結局一般の市民生活に欠かせない家庭電話とか小さな事業所電話ではなくて、それはもう財界や情報通信業者の団体の皆さんが十年以上にわたって、毎年毎年いろいろな角度からいろいろな格好で回線を自由に使えるようにしてほしい、しろという、圧力に似たようなもので自由化を迫ってきたというのは歴史的な事実だと思うのです。  したがって、だれがどのように要求しようが、結局そういうふうに回線自由化されてきて、今言いましたように、VANだとか再販と言われましたけれども、これが本当に自由に回線利用できるような範疇と考えでいいのかどうか私は異論を持っておりますが、いずれにしてもそういうものだけしか残っていない。そういうものが完全に自由になれば、これは十分対応できると思うのですが、その点について公社どうでしょうか。
  20. 草加英資

    草加説明員 お答えする前にちょっと訂正させていただきます。  先ほど申し上げましたほかに、専用線共同使用、他大使用制限されております。今回の事業法の中ではこれらが自由になる、このようになります。したがって、他大使用共同使用、さらには広い意味での通信処理、さらには再販、このように御理解いただきたいと思います。  今、御質問のように今回の事業法の中では、いわゆる共同使用、他大使用、さらには包括的なVAN通信処理利用、さらには電話再販というものについての規定が削除されまして、すべて自由になる、このような考え方がとられておるわけでございます。その場合、電電公社といたしましては、再販と言われております第二種電気通信事業者公衆網専用線とを接続してもっぱら電話サービスを提供するような単純再販売を行う場合については、現行の料金体系前提とする限り新会社の経営に著しい影響を及ぼすと理解いたしておりますので、これについては契約約款において制限が必要であると考えておりますが、それ以外につきましては自由な利用が望ましい、このように考えておる次第でございます。
  21. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 郵政省に伺います。  五十年あたりから、今も申し上げましたとおり回線利用自由化についていろいろな圧力といいますか要望、そういうものが強められてきまして今日まで段階的に開放がされてきたと思うのですが、そのときどきの対応の仕方、私ずっと見させていただきましたその範囲に関する限り、高度サービス分野での自由使用高度サービス――基本サービスじゃないですね、高度サービス分野での自由使用は時の流れだし、郵政省としてもそういういろいろな要求に対しては対応していこうという姿勢に一貫をしてきた、こう思うのです。その点についてどうでしょうか。
  22. 小山森也

    小山政府委員 現行行われております公衆電気通信法体系並びに電信電話公社というものと一体になった法制のもとでは、要するに電気通信利用というのは、公衆電気通信に限っては電電公社の独占を維持するのが基本でございます。それはなぜかというならば、電電公社が集中的にすべての電気通信に関するサービスを全面的に責任を持ってやるためには、その責任を持ってやるための妨害になると言うと言い方がおかしいのですが、阻害するような要因というのは、現在の法体系では排除していくというのが原則でございます。  したがいまして、電話というようなものについては最も収入の多い分野でございますので、こういった収入が侵されて財務的な影響を与えるということになりますと、これは公衆電気通信法法体系の中における原則が崩れるわけでございますので、どうしてもそういった以外の高度サービスというところから要望にこたえていったというのが実情でございます。
  23. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると、法体系が崩れるからそういう姿勢で来たのであって、つまり公衆電気通信サービス、これは公共性が極めて高くて、国の電気通信行政の私は基本に座るものだ、基軸に座るものだと思うのですが、そのことをまず守るということが一方にあって、それがベースに据えられて、高度情報化社会でいろいろな通信処理をやられる分野は、その部分というのは、これはもちろん一定分野を認めていくにしても、柱として貫いておるのは公衆電気通信サービス、いわゆる基本サービスなんだ、これを守っていくのが必要なんだという考え方対応されたのか、法体系を守るためにやられたのか、その辺はどっちなんですか。
  24. 小山森也

    小山政府委員 ただいまの法体系というのは、形で言えば法体系を申し上げたのですが、今の考え方は、公衆電気通信サービスというものを電電公社が一元的に行うことが国民の皆様の利用にとって最高の姿であるという原則から出発しております。したがいまして、今、先生の御指摘の両面はそういう考え方で貫かれているのではないかと思うわけでございます。
  25. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 局長答弁については、随分心情がにじみ出ていると思うのですね。私も昨日来お話を聞いていまして、なかなか言いづらい点もあるでしょうし、こういうふうに法案が出ている中でどのようにコンセンサスを得ていくのかという点で苦労があると思うのです。いずれにしましても、これまでの論議の中で明らかにされていることは、電話サービス新規参入現実にはそう簡単にいくものではない、こういうことは昨日の答弁でもそういうニュアンスであったと思う。私も客観的に見まして実際にそうだと思います。  それは、もちろん新規参入業者皆さんというのはやる気満々でやられるでしょうけれども、これまで百十年の歴史を持って電電公社がずっと全国的に日本列島のネットを張ってきたというものに対して、それを上回るサービスを全体、全域にできるだろうかというとそうはいかぬわけですから、特定のところをねらってやるということがあったにしても、これは相当困難な条件だってあると思う。問題は、そのような実態論あるいは市場参入前提にしました論議にあるのではなくて、一国の情報通信をつかさどるに当たって、新電電には電話サービス責務として課しているのは、これは局長答弁でもございました。いかに情報化社会といえども基本サービスというのは通信基軸に据えていこうという国家政策具現化だと私は思う。電通局長答弁は、先ほどの答弁も含めてそのような趣旨を体しての発言であったと思います。  そこで郵政大臣にお伺いしたいのですが、実態的にも政策的にも電話サービスというのは一元的運営が本来望ましい、そのような考え方で対処していくことの心情を含めた御答弁を賜りたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  26. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、先生の御指摘のとおりに、新しい多彩なニューメディアの出現によって、今回基幹回線自由化審議をお願いして開放しようとしておるわけでございますけれども、あくまでも通信基軸電話サービスである。風民生活にも最もかかわりのある形で、ここ当分の間は電話通信基軸であるということは間違いない事実でございます。  今日いろいろ新規参入の問題も、私たちは大いに競争原理を働かす上から関心を持つと同時に歓迎するという態度でおるわけでございますけれども、しかし建前論は別としまして、現実として大変な技術あるいは資金あるいは人材等々を含めまして、私の個人的な観測も含めてでございますけれども、そう簡単に今日の百年にわたって築き上げてきたこの全国ネットの形成、しかもディジタルサービス網をいち早く今日基礎的に構築をして、あまねく全国の各戸に回線網を持っておるという形の新電電に拮抗し得るという新会社は、これは頭では考えても現実問題としてはとても問題にはならないと思います。  そういった意味合いにおいて、今後とも公益的な公共的なサービスをあまねくやり得るのは新電電以外にはないわけでございますし、電話基軸としたそういった公共的性格使命を全うしていただける、そういった形は今後とも新電電にお願いせざるを得ないという実態であり、それだけにまた新電電には、民営化された形であるとはいえ、従来の公衆通信法で定められた使命責務を継承していっていただくことになるわけでございます。
  27. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 この問題については、大臣答弁を受けましてひとまず横に置かしていただきます。  次に、第一種と第二種の区分についてお伺いしたいのですが、第一種通管業者と第二種通信業者区分というのはこういうことだと私は理解しておるのです。第一種通信事業者回線交換機など通信設備をみずから所有する場合、これがそうだと思う。第二種業者は第一種業者から回線を借りて事業を行う、一口に言いましてそのように考えるのですが、それでようございますか。
  28. 小山森也

    小山政府委員 御指摘のとおりでございます。
  29. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういうことでございますから、第二種業者回線を第一種業者から借りまして、VANのように交換機のみを所有するということが当然あり得る、このように考えるのですが、そうですね。
  30. 小山森也

    小山政府委員 そういう業態もあり得ることでございます。
  31. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今、答弁いただきましたように一種と二種の業者形態の違いというのですか、それが明らかになったと思うのですが、そうしますと第二種の交換機というのは一種業者から見ればPBXの例のように端末機的な使用、このように当然考えられると思うのですが、そうですね。
  32. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  33. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 次に、単純再販について質問をさせていただきます。  単純再販というのは新電電から通信回線、これだったら専用線だと思うのですが、専用線を借りまして、それをまた販売して業を営むというのですか商売をする、こういうことでしょうか。
  34. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  35. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 専用線というのは通信量の多い区間に貸し切りで設置される通信回線なんですね。主に企業本社だとか支店の間をつなぐ、あるいは工場と本社などの間をつなぐ、それの通信用に借りるケースが多いように考えているのですが、そうですか。
  36. 小山森也

    小山政府委員 現在の利用形態はそのような形になっております。
  37. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこで電電公社に伺いますが、電電専用線サービスにはいろいろな規格があるというふうに聞いています。例えばJ規格だとかI規格だとかD2だとか、これは回線サービスメニューですね、こう聞いておるのですが、例えばJだったら何回線、Iだったら何回線、D2だったら何回線、この辺についてちょっと聞かしていただけませんか。
  38. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今、先生の御質問は、D規格電話回線ということに対して、I規格では何回線J規格では何回線ということだと思うのですが、I規格の場合には十二回線J規格の場合には六十回線とれる、こういうことでございます。
  39. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 念のために伺っておきたいのですが、そうしますと、例えばそれらのJだとかIだとかD2だとかの専用線を東京-大阪間で電電から借りるとします。そうしますと、その一カ月間の料金というのは現在いかほどになっておりますか。
  40. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  I規格の場合でございますが、東京-大阪間でございますと一カ月二百八十万でございます。それからJ規格の場合でございますが、八百万でございます。D2規格が三十五万でございます。
  41. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、これらの専用線を借りまして東京-大阪間で再販事業、商売をするということですから、J規格の六十回線分を全部D2規格の料金、一カ月一回線三十五万円でお客さんがついて売った場合に、これは三十五万掛ける六十回線で二千百万円、J規格が一月八百万円ですからこれは公社から借りる金を払わなければいけない、差し引き一千三百万円もうかるのです、単純計算で。そうなりますね。それに間違いありませんか。
  42. 草加英資

    草加説明員 そのとおりでございます。
  43. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これはもう大変なもうけだと思うのですね。何もせずにそれだけもうかるのです。例えば電電の側が、それは回線は貸しましたけれども今度は交換機を通じて市内網に接続をする必要があるんだからその分は経費としていただきますよということを言ったにしても、それでその接続料を例えば三百万円取ったにしても一千万円もうかるのですよ。一月に一千万、これはだれだってやるじゃないですか。自分で回線を引く必要はない、電電から借りてきて、電電が全部そういう接続の作業なんかやってくれてどうぞお使いくださいということになるわけで、結局また貸し、言うならばブローカーみたいなものです。巨額の富を得ることができる。例えば電電公社のD2規格が今は公定価格が一カ月一回線三十五万円。それを二十万に値段を下げて販売したにしましても、どうですか、もうけは四百万円あります。何もせずにぬれ手でアワで四百万円もうかるのです。これが高速ディジタル回線の場合は、これから建設されていくものですが何回線ですか。
  44. 草加英資

    草加説明員 現在検討いたしております高速ディジタル回線は六十四キロビットから六メガビットまでの間六種類をサービスとして提供するように考えております。
  45. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それは何回線とれますか。
  46. 草加英資

    草加説明員 先ほどのD、I、J回線の場合は帯域回線でございます。この場合は符号回線でございますので、一概には言えませんが六十四キロビットで電話回線とれるといたしますと、その比率で六メガビットの場合には百回線、こういうことになるわけでございます。
  47. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 聞くところによりますと、この高速ディジタル回線というのはこの秋あたりからやられるというのですね。それで、その専用線を一回線借りることによって百回線とれるのです。これはますますもうけが上がるじゃないですか。民間皆さんは恐らくそういうことをもう御存じだと思うのです。当面そういうふうにディジタル網が広がるから、そこのところに目をつけて、専用線を借りてまた貸しをするだけで何もせずにがばっと利益が入ってくるわけです。  もう一点お伺いしたいのですが、値段を下げればいいじゃないかという話が一方で出ます。これに反論するという意味ではないのですが、その回線は時間帯を割って貸すことができるのでしょうか。Aというお客さんには三時間あるいは午前中、Bというお客さんには午後、Cというお客さんには夜間だけというふうに時間帯を区切って契約すれば、一つの回線でこれまた三倍もうかる、このように私は判断をするのですが、当然そういうケースは起こり得ますか、どうでしょう。
  48. 草加英資

    草加説明員 今の御質問でございますが、今回の法律が成立いたしました場合には今のような形での利用は可能でございます。  つけ加えさせていただきますが、専用線の料金につきましては、現在、先ほど申し上げましたいわゆる帯域をもって行うD、I、Jのような回線から、今後はディジタルのいわゆる符号回線に移ってまいりまして、その際には、料金について今後郵政省の御指導を得ながら変えていくということ、また今後専用線販売を行う場合にはお客さんとの間の契約約款の中で解決していく、このようなことでございます。
  49. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると総裁に聞きますけれども、あなた今いろいろ耳打ちされましたが、では、あなたは単純再販サービスができるということは大いに賛成なんですか、明らかにしてください。
  50. 真藤恒

    ○真藤説明員 今度の法案の中に、今申しましたように個々のそういう場合の契約の約款というのは郵政省の認可を得ながらやる、認可の法則ができ上がると思いますが、それと現在の専用線の料金というものはそれに従って適当に修正されるべきものだと考えております。  原則といたしまして、私どもは現在の法案のあり方ということを希望しておるわけでございまして、それがどういうことかといいますと、いろいろ御論議いただきましたように、今、大臣もおっしゃいましたが、私どもは、とにかく何とかかんとか申しましても、当分の間全国的な基幹サービスである電話責任を持たなければならない。その責任が持てるようにするために、今のようなケースにおける約款については郵政省の方で御指導いただきながら決めていくということになっておるわけでございまして、これは裏表の問題でございます。もし仮に電話単純再販をやってはいかぬということに制限されますと、今度はまだその裏返しになりまして、私どもにまたいろいろな制限を行政当局としては加えてこざるを得ないというふうでございまして、その辺の問題いろいろ考えましたけれども、今度の法案の趣旨から申しまして、できるだけ弊害の起こることをくぎどめしながら、できるだけ自由な動きができるようにという考え方で今の法案ができ上がっているというふうに御了解いただきたいと思います。
  51. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 総裁そうおっしゃいますけれども、私考えるのですが、この単純再販というのは、一種の参入なさる民間事業者の場合が、みずから設備を開発しまして品質も電電のやっているような同等レベルの品質で提供しようと思いますと相当苦労があるということは大臣だってお認めになったわけです。実態的に言うとそういうことなんです。いろいろな問題が絡んでいるのです。単純再販というのはそうではないでしょうに。電電のやっている品質そのままを提供できるのですよ。そうしたら後は料金が安ければ利用する、これは事業電話というのですか企業電話なんかは当然に歓迎するのじゃないですか。そうしたら一種事業者が何ば商売をやったって、そちらにいくよりも単純再販そのものは相当メリットがあるからその業者というのはうんとふえますよ、私はそう思うのです。  それでもう一つ考えるのは、つまり電話サービス単純再販でうんともうけて、財政基盤、体制をつくって、それからVANにどっと進出するという方法ですよ。考えられるじゃないですか。ですから総裁に言いたいのですが、法案ができたような前提に立って物を言ってもらうのは困るのですよ。そんなことを僕は話してない。この法案というのは適切なのかどうかということを今、議論しておるのであって、この法案ができた前提に立ってこうこうこういうふうにやっていきたい、郵政省にお願いしたいと言う前に、当事者電電公社としてはこういうサービスというのは大いにいいものだ、いやそれは困ったものだ、どちらを考えてみえるのかお答えいただきたいと思うのです。
  52. 児島仁

    ○児島説明員 ちょっと専用線歴史を振り返ってみたいと思うのでございますけれども電話をなかなかつけられないということの場合には、私ども専用線基本的にお貸しするものじゃない、商品ではないという立場でやってまいりました。その後、設備の拡充が進むにつれまして回線も潤沢になりましたので、丸ごとお貸しして使っていただくという時代に入りました。その場合に想定しましたのは非常に素朴な使い方でありまして、電話だけで使っていただく、その後だんだん規格技術力が増しまして、その他のコンピューターにもつなげて使うというふうなことになっております。そういった歴史的な技術の流れと私どもの営業政策としての専用線をどう観念するか、その料金をどう設定していくか、これは正直申し上げて現在そぐわない面を持っておると思います。したがいまして、これの改正と申しますか、基本的にどう考えるか、これは大変大きな命題だと思っております。  さらに加えて、今回VAN業者というふうなものができ、ここで法案で想定しておるような自由な回線利用ということになりますと、私どもとしてはこれは基本的に考え直さなければいかぬと思っております。  それから、今、伊藤先生指摘のように、電電公社から丸ごと買ってそれを細かく割って、また端末の方は私ども電話機につなげ、こういうふうな電話を又借りをしてやるというふうな電話再販、これについては私どもは絶対に応ずることはできない。私どもとしてもう少し整理はいたしますけれども、単に又借りをして、そこで簡単な格好で利潤を上げられる、これでは私どもの基盤が崩れますので、そこは基本的に考えていきたい。現在の時点ではこれを電話再販売に使うということは私どもは反対の立場でございます。
  53. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 郵政省はどうでしょう。
  54. 小山森也

    小山政府委員 今の法制のもととそれからこれから先というものがちょっと混同されがちでございますけれども、今はそういう単純再販売というのは前提にしておりませんので、料金もそんな料金になっておりません。それから、では今度法律案がここで御決定いただいて法律となった場合にどうなるかと申しますと、この第一種事業者と第二種、借りる人との関係はどういうところでできるかといいますと、これは約款で決めることになっております。この約款というのは、第一義的には第一種業者と第二種業者との間の私的自治というのが先行いたしまして、行政官庁が最初からここに介入するということはないわけです。  ただしかし、そうはいいましても、基本的にどういう認可の態度をとるのかということになってまいります。これは一にかかりまして料金との関係になってくると思います。例えば、現在における料金が、先ほど営業局長の方からいろいろお話がありましたような料金、それを建前にして――それはどういう建前かということは、再販売を建前としておりませんそのもとにつくられた料金でございます。その料金のもとにつくられたものが今度は再販売、VANのように加工しない単純再販売によって利用されるということになりましたならばこれはどうかということですが、法律的なことを言うと申しわけないのですけれども、この約款の認可でございますが、三十一条の第二項に「認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。」というのがあります。その中の第四号「電気通信回線設備の使用の態様を不当に制限するものでないこと。」というようなことです。  そこで、今のような事態が不当に制限した形で第一種業者制限するかどうかという判断になるのですが、私ども考えるには、そのような前提条件でつくられた料金のもとではこれは不当に制限するものじゃない。だから、もしそういったものが約款として単純リセールには応じられないということの約款であるならば、それは認可してもよいと思っております。したがって、単純再販売というのはしませんという約款があってもよいと考えております。
  55. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういう約款を当事者間で取りつけても、相手が再販業者である、しかも電話の本当に単純再販でやるという場合が明確になっているときにはそれは認可をしないということで、今おっしゃったことは、郵政省の方はその辺はきちっと整理できるというのですね。そういうことですね。
  56. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、料金とのかかわりがありますけれども、ただ第一種業者がそれでもっていいんだといって認可申請してまいりますと、これはまず私的自治の問題でございますから認可する、それはそれでする。しかし、料金が単純販売をするようにできておりませんからそれはしませんと言っても、それは不当な圧力をかけたとは我々は見ない。したがって、そういった約款があっても認可するということでございます。
  57. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 だから約款が成立しておれば、これは当事者間の問題ですから省の方としてはどうしようもない。もしもめた場合、トラブっている場合、電電はなかなか貸してくれないと業者は訴えてくる。電電電電の方に言い分がある。さあどうしようかと中に入ったという場合には、あなた、単純再販だからだめじゃないかというふうに指導する、そういうことですか。
  58. 小山森也

    小山政府委員 料金が単純再販に適しないような料金になっていれば当然そういうことになります。
  59. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 電電の方に伺います。  今までやってきましたのは現在の料金を前提に話しているわけで、そうしたら物すごくもうかるから、だれだってそういうことは考えるだろうということを私は例を挙げて言ったわけです。今回の改革になれば当然そういうことが想定できると思うのです。そうすると打たなければならぬ手というのはあるんですが、料金問題については今、総裁おっしゃいました、そういう点を踏まえてやっていく。単純再販対応できるように料金も見直して、そうしてやっていく。もめなくていいように省の手数を煩わさなくていいようにやっていくという方向なのか。それともこういうケースというのは決してよくない、だからそういうものはもう禁止をしてほしい、たしかそういうふうにこちらの方はおっしゃったと思うのですが、その点はどっちなんですか。
  60. 真藤恒

    ○真藤説明員 今、児島総務がお答えしましたのは、現在の料金のままではという前提で申しました。今、局長がおっしゃいましたように、また私が申し上げましたように、現在の専用線の料金というものは、現在の法体系ではこういう場合が起こるということを全然禁止しておりますから、そういうことが起こらぬという建前で決まった専用線の料金でございますので、今度の新しい法体系が実施時代になりますと、法体系のそういうことの考え方が根本的に変わりますから、それに応じて単純再販をやらざるを得ないということになれば、それに応じて料金体系というものの前提条件が変わるんだから料金を変えるのは当然じゃないでしょうかと私は考えておるわけでございます。
  61. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 総裁のおっしゃる意味、わかりました。裏面にある心はわかりました。ところが、料金を見直して対抗せざるを得ない、そういう事態にどうしたってなるということなんですが、実際、料金を見直して対応できますか、そういうふうなやり方というのはあるのでしょうか。あったらひとつ教えてください。それは専用線の料金というのはまずありますね、基本的に、標準的にはありますね、それをあなた、単純再販をやるのだから、そんな業者が借りに来たらこのときには、料金の面では現在は前提につくっていないのだからもちろんこれは見直すのだけれども、見直す場合に、単純再販業者とわかったそのときに、それにぱっと当てはめられるような料金体系というのですか、そういうものが実際にできるのですかね。
  62. 草加英資

    草加説明員 今、総裁申し上げましたように、現在の料金では先ほど先生指摘のようないろいろな問題が起こります。したがいまして、この専用線単純再販を行うという利用目的を持って申し出があった場合にはそれに応じられるような料金ですね、いわゆる現在り専用線よりも高いプラスアルファをつけた料金またはアクセスチャージを利用するとか、そういうような形での料金のつくり方はあるわけでございます、しかし、これを事業法適用と同時にどのように扱うかにつきましては、今後の検討課題でございます。
  63. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 借りに来ないように、魅力のないように高い料金をつける、これはまた不当だというので、何でそんな料金を作為的にやるのだということでこれは必ず問題になりますよ、そうでしょう。これまで回線開放をめぐって、専用線の料金のあり方では随分あったじゃないですか。これはもう郵政省御承知のとおりに、それは随分宣伝なされたと思うのです。私は随分新聞で読みましたから知っているのですが、そういうことで、とにかくこれまでの電気通信行政を変えてもらおう、しかも高度情報化社会に突っ込んでいくのですから、余計関心が高まっている、そこで産業界は新たな活路を見出すという今そういうふうな大変な気持ちなんですから、そういう気持ちであるときに単純再販はできるのだということを法律で明定しておいて、一方で行政の面で、これはもちろん問題があれば関与するという範囲なんですが、両者で契約さえ成立をすれば商売ができるという余地を残しておいて、いろいろな対応をせよと言いますけれども、実際に私はそういうものはできないと思うのです。やったらこれは大変な圧力を食らうと思うのですね。  だから、この法律で明定する、できるようにするというそういう制度化を図るということについてはもともと私たちは疑問なんです。これはもう法律で禁止してほしい、これが私の主張なんですが、いやいやそうじゃないという反論が恐らくあると思うのです。それだったら私たちに納得できるようにひとつ、説明をしてほしいというので、今、議論をやっているのですね。ところが、料金をどんどん上げたら実際に魅力ないから借りに行けない、しかし、制度上は設けられている。これは必ず問題になりますよ、大変な問題になります。そのことが発火点になってまたいろいろな電気通信行政全体にも波及するということが考えられると思うのですが、その点、電電はそこのところはうまく言われておりますけれども、実際にできますか。
  64. 児島仁

    ○児島説明員 在来、私どもやってまいりましたのは、電信と電話というふうなある種単純な格好でございます。  全国四千三百万の加入者がございまして、そのどの任意の二つを取り上げても必ずつなぐというネットワークの形成まではできたわけであります。しかし、これは電話のネットワークは電話だけが流れる、それから電報のネットワークは電報しか流れないということでございます。現在我々が考えておりますこのINSネットワークというものは、そういったいろいろなたくさんのネットワークというのを一つに統合して、そこで回線効率を上げて、非常に安い料金でいろいろなサービスを提供しよう、このサービスは、私どもはそういった回線を安く使っていただける手段を提供しますが、それをいかに使うかはユーザー側の問題だと思います。  これが、私どもがねらっておるようなINS綱というのが完全に完成しましたときには、恐らく専用線の存在というものはまた全然別のものになってくるであろう。むしろ、そのINSネットワークを時間帯で借りる、私は三分しか使わぬ、この通信に必要な時間しか借りない、いわゆる公衆通信回線と同じような使い方が多くなってくるだろうと思います。そこにいくまでの経過措置が私どもの問題だというふうに考えておりまして、これについて今いろいろ御議論がありましたが、私どもとしましては、先ほどの話を申し上げましてちょっと重複して恐縮でございますが、専用線というものはこのINSサービスの進展と同時にもう一遍基本的に考え直してみるということでございます。  そういったどなたでも同じような条件で借りられるネットワークをつくれないそれまでは、やはり我々は不当なる利益を他の業者に上げてもらうようなことについては、私ども業者でございますから、これは身を減ぼしてまで敵に塩を送るということにはならないわけでございますから、それは一定の私どもの規律の中でしっかりやっていきたい、これは私ども責務であるというふうに考えております。
  65. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 INSの話はもちろんその時代になれば今おっしゃったようなことになるのだろうと思いますけれども、それはあした、あさっての話ではなくて、これは一般化されるのは相当時間がかかると思うのです。  問題は、この法案ができた瞬間から、これは制度化を認めているのですから、単純再販は出発すると思うのです。拒否できないですね。INSまで待ってくれなんということは言えないでしょう。現行の料金体系でこれはどうぞということにならざるを得ないと思うのです。ものの二年か三年あれば財をなすことができると私は考えているのです。だから問題だと言っておるのですが、その点どうです。
  66. 児島仁

    ○児島説明員 専用線制度の基本考え直さず、かつ料金体系が現在のままで新電電として移行していくというその間につきましては、電話を主体とする再販売、これについての契約は絶対にせぬという方針でございます。
  67. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 郵政省に伺います。  当の電電の方がああいう考え方をはっきり述べられているわけですが、これは郵政省が全然別の立場に立たれておったのではもめるもとですから、局長どうでしょう、その辺はっきりとひとつ。
  68. 小山森也

    小山政府委員 今、児島総務が申し上げたとおり、今のままの値段でしかも単純再販売の目的でということに対して契約をしませんと言うことについては、不当だとは思いません。
  69. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 当面の今のあれでいく場合はそれで私もいいと思うのですけれども、しかしこの法案は、これは制度として残すのでしょう。不当だとは思わないという監督官庁としての態度表則がありましたが、それはそれでいいですけれども、これは制度として残るでしょう。昨日の議論にありましたとおり、これはひとり歩きしますね。そうしたら、私が基本的に疑問を持っていますのは、いかにINSで基盤形成、そういうふうな新たな料金体系がつくられようと、制度としてある限りはそのあたりが出てくるというのです。また、これは知能戦ですから、いろんなことを考えて必ず出てくる。そして総裁もいつも力説されますが、料金というのは市外料金を下げまして、そして合理的な料金体系につくり直していくんだと言われますけれども、これからは一般の電話料金、市外料金をうんと下げるのでしょう。それで専用線も当然それにリンクさせて下がっていくということになるでしょう。  そうしたら後は残るのは、またちょっと聞かしてほしいのですけれども、児島総務が言われましたが、その時間帯を分割して輪切りにしましてそれで制限をしていくなんということが、まだちょっとわからぬわけですが、実際そういうふうな角度から事実上できないように縛り込んでいくことができるのでしょうか。実際これは矛盾していると思うのですよ。できるわけですけれども、できないという前提に立ては、私はできないと思いますが、そういう前提に立ては、制度化を許しておいたのではやっぱり行き先、これはどんな時代になっても問題になると思うのですが、この点について局長、どうでしょう。
  70. 小山森也

    小山政府委員 基本的に持っております私的自治、これによって第一種業者が第二種業者との契約をしていくというのは、今回の法制度を導入した基本理念からいきますとやはり制度として回線の自由な使い方を残しておくべきだと私は思います。  ただ、先ほども申されておりましたし、また児島総務も言っておりましたが、料金が予定しないような使い方というのは約款としては予定いたしませんという約款は十分できるわけです。それから、例えばこれを単純再販売して業務を行うということについては別の料金が課されますということも約款の中でできる、またそのような約款を認可申請した場合にはそれは決して不当なものではない、私どもはこう思っております。ただ私が言うのも非常に出過ぎた言い方なのでして、これは第一義的にはやはり第一種業者が自分の営業行為として何が適切な価格であるかということを決めていただくことを前提としております。  またもう一点、私どもの期待でございますけれども、今後この法案が成立したと仮定いたしますと電電公社は新しい電電会社として一つの会社としてのインセンティブを持つわけでございます。そういたしますならば、当然自分の営業が危殆に瀕するような約款を、どのような外的条件がありましょうとも一つの営業精神に徹すればそんな約款ができるとは私ども思っていないわけです。これは一つの想像でございますけれどもそういうように考えております。
  71. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 やはり不安が消えないわけですよ。制度として滑り出していくということは、いつどういうことが起こるかわかりませんから、その点では法律ではっきり禁止するということを我々としては主張したいわけです。その点どうでしょう。
  72. 小山森也

    小山政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の法案というのは利用者相互に自由な形で回線を使う、その中に価格も入ってくるわけでございます。適正な価格で回線をだれでもが自由に使えるということを前提としておりますので、御説も一つの主張だと存じますけれども、私どもの出している法案は、私どもの理念からいたしあすと最も適切なものとして出しておりますので、御理解のほどを願いたいと存じます。
  73. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いや、お願いされてもなかなか……。私は、やはり具体的にはそういうのが出ますから、大変な問題だと思うのでちょっと時間をいただいて質疑をお願いしているわけです。やはりこれは大変な問題なんですよ、制度としてつくったら走り出すわけです。  ただ、局長がそういうふうに言われる考え方はわかりましたし、電電考え方郵政省局長考え方は私どもそのまま受けとめているわけですが、残念なのは、そこまで言われるのだったら当然それを実効あらしめるために、省令などでさらに具体化してフォローするというようなことが答弁の中に出なければいかぬわけです。なかなかそこまで言われないものですから、僕らはやはり法的に禁止してもらいたい、これははっきりしますから言っているわけですが、その点については郵政大臣どうなんでしょう。
  74. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いや、実はさっきからの先生の御質疑を聞いておりまして、大変な問題があるのだな、専用線自体というのは公社にとっては非常に固定的なユーザーで、はっきり言うと何千回線、何万回線かのうちの固定客ですから、むしろ丸ごと買ってくれるという点においては、価格は安いだろうけれども公社にとっても安定収入の一つであろう、むしろ専用線利用者というのは公社にとってお得意さんだな、こう思っておったのが私の常識なんです。ところが今聞いてみると、そういったこれからのメディアがVANであれ通信であれ、多目的に使用されていく、しかも電話通信にも自由に転用できるという形になると、これは転売によってうんと大きな利益を得、公社自体が専用回線を貸すことが自分の首を結局絞めていくという結果にもなるのだな。そういうことになれば、従来の制度は制度として、専用線を貸すということはできたとしても、多目的に何でも利用できるという時代が来ておるわけですから、これに対してやはり料金政策を含めてこれは新電電が専用回線業者との新たな契約約款の中でがっちり決めるべきものは決めるという形が必要であろうかと思うのです。そういった実態から照らして、専用回線の値上げの問題と一般の利用者、国民電話利用する料金の問題とは私はリンクして考える必要はないと思います。  今、先生の御質疑の中でうんちくを傾けられた専門的な話ですからまだ深くわかりませんけれども、行政の指導のあり方がかえって企業の実体性をゆがめるような形になってもいけませんし、そこのところは新電電の自衛的手段の中で十分やれることではなかろうかなという感じもいたしておるわけでございます。  また教えていただきたいと思います。
  75. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これは私は間違えました。大臣に言うのじゃなかったな、大臣答弁もいただこうと思いまして。  局長、その点どうです。大屋の後で言うというのも失礼なんですが……。
  76. 小山森也

    小山政府委員 法律的なブレーキとして、そういう単純再販売ということで第一次業者が利益が損なわれるというときの一つの支えとして、この三十一条の二項四号はあるわけでございますから、法律にそのようなことはやってもよいということの根拠を置いてあるということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
  77. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこまでにさせていただきます。  いずれにしても、我々の主張としてはまだ残っておりまして、さらにこれからまだ質疑を重ねたいと思いますので、この問題については一応ここで横に置かしていただきます。  次はわずかの時間しか残ってないのですが、九十条一項二号の適用除外の問題について少しお伺いしたいと思います。  これはビル内だけで商売をやる、通信の業を営むという場合は問わない、勝手にやりなさい、自由にやりなさい、届けも要りません、こういうことになるのですね。
  78. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  79. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これはビルの大きさは決めておりますか。
  80. 小山森也

    小山政府委員 まだ決めておりません。
  81. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どういう範囲なら適用除外だ、ここまでスケールが大きくなれば、二種ですか一種になるのですか、そのあたりも聞きたいのですが、認可の対象にしよう、届け出するのかそれはわかりませんが、業者として認めるかどうかという対象になるのかどうか。その具体的な考え方の基準はどういうふうにお持ちですか。
  82. 小山森也

    小山政府委員 またこれは検討段階でございますけれども、要するに適用除外とする事業というのは今、建物の中、同一構内と見たときに、その大きさはどうかという御質問があったのですが、要するに社会的経済的影響というものが極めて小さくて、法的に規律するよりは、利用者と事業者との私的自治にゆだねることがむしろ適当ではないかという場合を、一つの考え方の基準にしていきたいと思っております。
  83. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 一般と特別二種の区別ですか、これは一応出ましたね。千二百ビット五百回線という案が出ておりますね。二種以外に適用除外があるのですね、そういうことですね、そうでしょう。業者一種と二種に分かれますね。一種と二種の違いというのは、所有するかしないか、借りるかどうか。それで、一般と特別二種は、今言いました千二百ビット五百回線というふうに一応決めましたね。そうすると、それ以外が適用除外なものですから、一般の二種なのか、一種なのか、適用除外なのかということについて、その辺は小さなものだと言われましたけれども、小さなものというのは一体どういうふうなことを想定すればいいのでしょうね、ビルも幾つもありますしね。
  84. 小山森也

    小山政府委員 先生の御質問は、どれくらいの基準によってそれを切り分けるのかということだろうと思います。  この法律の予定しているところといたしましては、基準を設けるまでもなく、一つは「専ら一の者に電気通信役務を提供する電気通信事業」でございます。それから、「その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内又は同一の建物内である電気通信設備その他郵政省令で定める基準に満たない規模の電気通信設備」というのは、同一建物でなくても、例えば二つに分かれていてもいいですよという意味ですが、そういった意味のことでございまして、基準に合うか合わないかを問わず、法律でそのものはよいというふうに決めてあるわけでございます。法律上のたてまえになっておるわけです。
  85. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私は、条文を読みましても、ちょっとわからぬものですから、そのあたりからお聞きをしているのですよ。  そうしますと、例えば特定の人間を対象にするというのは、二種の事業でもちゃんとそれを分けていますね。これは適用除外のケースで、またどういうものがあるのだろうか。それはVANなんかはできないのでしょう。例えば、自分たちの会社の中だけ、外は一切出さないということで、大きなビルがありますね、そのビルの本社の中だけを、ネットを張りまして、これは本社の中だけなんですよというのだったら、これは適用除外のこのケースに入るのか、それはだめだと言われるのか、そういうことはどうなんですか。
  86. 小山森也

    小山政府委員 同一建物内ならすべてOKだということでございます。適用除外でございます。
  87. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どんな大きなビルでもそうですね。そうすると、そのビルとこちらのビル、これは附属庁舎、こちらが本社で、旧館、新館と、こちらが公案というのですか、別館というのですか、ずっと広がっていくのですね。そうしますと、これもやはりいいですね。
  88. 小山森也

    小山政府委員 法律に書いてございますけれども、同一の構内の場合はよろしいわけでございます。
  89. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 構内というのは、今言ったように、別館だとか新館、関係ない、こういうことですか。建物で縛るのですか。
  90. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。  一つは建物で縛り、もう一つは構内で縛るということでございまして、一つの構内に本館があり、別館があるというような御例示いただきましたけれども、そういったような場合は適用除外でございます。
  91. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると、組織で縛っていないわけですからね、そういう理解でいいわけですね。建物で練る、構内で練る。そうすると、やろうという人はかなり限定されていきますね。ところが、建物で縛るということですから、今、建物にいろいろな会社が入っていますね、そういう会社が全部入りまじってこういうサービスをやるということは、当然いいわけですね。
  92. 小山森也

    小山政府委員 よろしいわけでございます。
  93. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 各会社が一つのビルに入っていまして、それはそれでネットを張りますね、各会社の使っている端末はネットですから、これはいろいろなところとつながっていると思うのですが、そんなこと、実際に切り分けるというのですか、何か証明する方法はあるのですか。
  94. 小山森也

    小山政府委員 これは同一建物の中で完結するネットでございまして、外にそれが接統される場合は、適用除外にはなりません。
  95. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういうことはこの法に照らしてというのですか、どこでどのようにチエックできますか。
  96. 小山森也

    小山政府委員 ただいま実行上の問題でございますので、どのような形で行政的に補完していくかという手段につきましては、目下、検討中でございます。
  97. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 検討されているということを聞きまして少し安心したのですが、やはりこれはしっかり歯どめというのですか、検討いただかないと、それは切り分けるといいますけれども、こんなの、もう無数につながっているわけですから、ここからここまで電気をとめるというわけにいかぬでしょう。それでこの端末まではいいですよ、この端末は操作したらいかぬですよ、そこに線をつないだらいかぬですよということは、実際にできません。だから、それは歯どめ策がないから、私はお聞きしたのですが、それの歯どめ策を検討いただいているということですが、それはとにかく一日も早く急いで、具体的な構想を固めていただいて、この審議に役立ちますように、郵政省としての具体的な考え方、方策についてひとつ明らかにしていただきたい。どういう方法でやられるのかも含めまして、お聞かせいただきたいと思います。
  98. 小山森也

    小山政府委員 検討中と申し上げたのでございますけどれも、これはどういうものを適用除外にするのであって、この法の考えているのは、これはだめなんだというような方向につきましては、申し上げることといたしたいと存じますけれども、ただ問題は、それでは具体的にどうやって、どこで行動していくのかということにつきましては、この法律審議中というのはちょっと時間的に間に合わないかと思います。
  99. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 局長、ちょっと残念なんですが、これがかご抜けになって走り出しますと、これはやはり大変な事態が出ると思いますよ。つまり、第一種業者とどこで仕分けていくのかということを考えましても、非常に難しいと思うのですよね。今、郵政省がおっしゃいましたように、こういう言い方は失礼なんですが、ラフな考え方で、理解ある立場でいますと、これは大変なことですよ。どんどこ広がって、結局これも、新規参入民間皆さんは御研究が進んでおりますので、あれよあれよという暇にずっと広がります。私、そうだと思うのですよ。小さな建物の中にいる人が何でこんなものを使いますか、そうでしょう。木造の三階建てとか二階建てぐらいの小さな会社は、メガホンで呼んだら届きますよ、端末をつなぐ必要はないのです。結局巨大なビルですよ、何十階という大きなビルの中でそういうネットが要るわけでしょう。しかもそれは、一社である場合はまだしも、いろいろな会社が入っているわけでしょう。それを一つにネットでくるむ、それだけで済むはずないじゃないですか、情報化社会の中で。ですから私は重要視しているわけで、ぜひともこれはやはり早急に検討をいただいて、審議に役立つように間に合わせてください。
  100. 小山森也

    小山政府委員 先ほどから申し上げておりますように、これは同一建物、同一構内の問題でございまして、基本的に、現在の公衆電気通信法、これからの電気通信事業法の秩序そのものを崩壊させるというようなことについては予定していないのでございますから、今、先生のおっしゃられたようなことも、いわば大きな建物の中における、例えばおかしいのですけれども、外へつながらない中だけのものだということでございますので、ひとつそういった意味での適用除外でございます。  私どもといたしましても、適用除外にするということは、ある意味におきましては、それぞれのネットを建物内、同一構内に行う方たちが、当然法秩序全体を守っていただくということの想定に立っているわけでございますので、今後、実施段階におきましてどのようにチェックするかということについては、今後検討してまいりますので、さよう御理解いただきたいと存じます。
  101. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ちょっと納得できないのです。それで、法律化の、法制定されるというか、その概念としてはわからぬことはないのですよ。しかしそれにしても、こういう法文というのは非常にわかりづらいですし、実際、こういう法文をいかに明定したとはいえ、くくれないと思いますよ。今言いましたようなケースは当然出ますので、これはやはり、法文上はこれでいいのだともし郵政省がお考えだったら、それをフォローできるような、そういうものを早急に考えて出してもらわなければ納得できませんよ。これは大きな問題です。こういうのを棚上げにしたままであとの問題を幾ら議論しておったって、結局かご抜けになりますから。  だから、自由にするというのはいいけれども、結局こういう部分は残るのですよ。現在ではそういうことができないでしょう。現在の公衆法ではそういうことはできないようになっているのです。だから、どうにか電気通信行政の秩序を守っていると思うのですね。ところが、何でもできるというのは、そういう時代に変えようというのですけれども、こういうかご抜けがいっぱい出てくると思うのです。そうすると、何ぼ肝心なところを押さえたつもりでいたって、そういうところがぽんぽん芽を吹きますから、これはやはり全体をコントロールすることになりませんので、その点はひとつきちっと積極的な答弁をいただきたいと思います。
  102. 小山森也

    小山政府委員 まず第一点でございますけれども、一つの問題といたしまして、この規模が拡大して適用が除外にならないものになった場合でも使っているというような場合、これは法的な措置としては事業法の違反になるわけでございまして、違法行為であって無許可営業の取り締まりの対象になるということで、第百条の罰則がかかるということに法的にはなっております。  また一種との関係でございます。先ほど、そういったものが一種と接続されて秩序を乱すことになるのではないかということの御懸念でございますけれども、この法律の五十二条に書いてございますけれども一種との接続は一種事業者の検査を受けることになっております。ここにおいてチェックできるということも法的に担保しているというところでございます。
  103. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これで最後にしますし、これはさらに引き続いて深めさせていただきたいと思っていますけれども、今、一種が検査をすると言われましたね。ところが、一種の子会社がそういうビルのネットを張っていたらどうなりますか。それはチェックのしょうがないと思います。  ですから、これはまだかなり局長答弁を受けましても私は納得できない部分がございますので、引き続き議論をしたいと思うのですが、議論をしなくてもいいように、ひとつ今の私が要望しましたとおり、郵政省としても、こういう場合はこういうふうにやっていくんだという具体的な方策を早急に出していただきたいと思うのですよ。そうすればこういう議論をやらなくていいわけですからね。どうですか。
  104. 小山森也

    小山政府委員 ただいま申し上げましたように、法的な担保の措置は今申し上げましたような形になっております。あとは具体的な実行の問題でございます。そのことにつきましては、私ども、どのような形でやっていくかというのは、法律ができますれば、国会の定めました法律の実行でございます、当然行政の責任を持ってやってまいります。
  105. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それは当然の話なんですよ。だからここで言っておりますのは、この条文で言う、あるいはケースについて、こういうことはどうなんでしょうかとお伺いしましたけれども、非常に抽象的な答弁しか返らないものですから、こういうケースはどうなんでしょう、こういうケースはどうなんでしょうと言っているわけです。だから、やはり一つの基準というのですか、区別をするそういう物差しみたいなものをきちっと整理をしていただいて、次回ひとつ明らかにしてください。
  106. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわからなかったのでございますけれども、基準ということでございましょうか。(伊藤(忠)委員「そうです」と呼ぶ)適用除外の基準というのは、先ほど申し上げましたように法律で明定してありますので、それ以外の基準はないわけでございます。法律では、同一構内、同一建物、それは適用除外だと言って、そのスケールの問題を言っておりませんので、基準と申しましても、それ以外のものはないということでございます。
  107. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても時間が来ましたので、これは引き続きやります。どうもありがとうございました。
  108. 志賀節

    志賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ――――◇―――――     午後一時八分開議
  109. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここでもう何回も論議されておりますので、その問題点のもう一歩違った角度から、それからまたさらに突っ込んだ面での論議をしたいと思いますし、そういった面でひとつぜひ、今までと同じような答弁でなくして、問題点を浮き彫りにしていただいて、前向きな御答弁を最初にお願いしたいことを要望しておきます。  そこで、午前中にも出ておりましたが、まずセキュリティー、プライバシーの問題、これからデータ通信VAN等の高度情報通信企業関係その他において効率的な経済活動といったものに不可欠である、御承知のとおりでございます。そしてまた国民生活におきましても、救急医療の情報システムであるとか生鮮食料品の流通情報システムあるいは現金の自動支払いシステム等重要な役割を担っていることはもう御存じのとおりです。  そこで、今回この電気通信事業法によってさらに自由化が進んでいく、こうなってきますとますます複雑多様なものになってまいります。しかしながら、このような社会におきまして、この情報通信システムというものに一たん障害が起きた場合、これはもう社会の中に深く組み込まれているだけに非常に深刻な影響、しかも広範囲にその影響を及ぼしていく、これもまた御承知のとおりでございます。  そこでプライバシー保護対策、それからセキュリティー対策国民に最も基本的な人権というものを保障する、こういう面でこのプライバシー保護という面に関して何回も御答弁いただいておりますが、ちょっと不満でございます。各省庁との連携もございますでしょうが、ひとつ具体的に、本来ならばそれがはっきりしない限りこの法案が通っていくこと自体が、これがもうセキュリティーという問題あるいはプライバシーという問題、非常に国民基本的人権にかかわる問題でございますから、この法案は通してください、ところがこのセキュリティーやプライバシーの問題はもうちょっと待ってください、しかし今やります、意味はわかるのですが、もっと具体的にわからないと私どもはちょっと納得することができない。そういう意味から郵政省、まずこのプライバシー保護法なりこの保護対策という面で、セキュリティー対策という面で具体的に今後どうするのか、手順をはっきりさせてください。
  111. 奥山雄材

    奥山政府委員 先生がお挙げになりましたようにニューメディアを駆使して医療救急体制なり生鮮食料品の流通対策等、国民生活はもちろんのこと、あるいは社会経済活動全般にわたる各分野におきましてコンピューターを中心としたネットワークが構築されてまいりますと、情報の持つ意味と価値が飛躍的に増大してまいりますし、またそれが一たん損なわれた場合に個人の生命、身体、財産の安全に与える影響はもちろんですし、場合によっては名誉を棄損しかねませんし、さらにひいては産業、経済活動の停滞につながりかねないほど重大な問題であることは私どもも十分認識しておるつもりでございます。こうした高度情報社会の到来を前にいたしまして、セキュリティー対策というものに私どもも真剣に取り組んでいるつもりでございます。  今回、御提案申し上げております電電改革三法案の中におきましても、まず法制面におきましては検閲の禁止なり秘密の保持なりあるいは安全性信頼性の確保といったようなことを明文化しておりますし、それらについての解釈等につきましても先般来るる申し上げているところでございます。  また、具体的にというお話でございましたけれども、具体的にそれらを実現する方法といたしまして、これもこれまでに開発されました技術的なノーハウあるいは技術開発の成果というものを技術基準の中に織り込んでいくことになるわけでございます。技術的な側面につきましては、前にも若干申し上げましたけれども、例えばデータに対するアクセスコントロールという観点から既に開発されておりますパスワードあるいは暗号化の問題あるいはパケット交換におけるパケットの順序の入れかえ等々いろいろ防護策が既に開発されておりますけれども、これから先多様な電気通信分野がさらに発展する過程で、私どももさらにこれにプラスアルファして新しい防護措置考えていかなければならないというふうに考えております。郵政省におきましても既に五十七年の七月にデータ通信ネットワークにおける安全性信頼性の基準というものを策定いたしまして、これをガイドラインにして関係の向きを指導しておるところでございますけれども、今回の電気通信事業法の成立するのを機会に、さらにセキュリティー対策に遺憾なきを期してまいりたいというふうに基本的に考えております。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今の答弁では不満なんです。だから最初に断ってあるのですが、今後この法案を、今の考えでは来年の四月一日から実施するんだということになっていながら、最も大事な基本的人権にかかわるこのプライバシーやセキュリティーの問題を、今後努力します、これで濁していいものじゃないでしょう。郵政大臣は、六月二十日の本委員会におきましても「ニューメディアが究極的には国民の生活を豊かにすると同時に、人間性を喪失しないように、人間性が尊重される社会が私たちの政策目標でもあるということでございます。」非常に高尚な御論議をしていただいておりまして、私もそのとおりである、郵政大臣のお考えに全く一致しておるわけでございますけれども、ただ、今までの答弁を聞いておりますと、この高度情報化、これに対する基本法あるいはその中に入ってくるのか、このプライバシー保護法なりあるいはセキュリティーの対策なりというものに関してははっきりした答弁ではございません。  したがいまして、私はこういう重要な法案が進んでいくならば、同時に最もまたその土台となる基本法、保護法というものが一緒に進んでいって当たり前じゃないか。そうでなかったら、大臣の言っている人間性尊重、この基本となるものにかかわると言っているものに私は非常に危険性が出てくる。もう御承知のとおり、現在公社です、公社の中にもときどき犯罪にかかわるような、ちょっとデータを悪いことをしたとかいろいろなニュースがございますね。そうして問題を起こしておる。あるいはほかの面の犯罪とこの電気通信というものが結びついていったら、もうこれはどうしようもないことになってくる。  したがいまして、ぜひ大臣、この来年の四月一日、この日付も、私も後で論議したいと思いますが、これもまだわかりません。なぜ四月一日にこだわらなければならないのか、これもわかりませんが、同時にその最も基本となるものを早く進めていかなければならぬ。したがいまして私は両面でこれを進める必要があると思いますが、もう一度大臣のその御所見をお伺いしたいと思います。
  113. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘プライバシー保護企業機密の保持ということは、もう通信事業全般に係る、たとえ第二種であれ、第一種はもちろんのことでございますが、基本的なものでございます。通信秘密保持は憲法にも明定されておりますし、またそれを担保して今回の事業法案にもそういった形の厳しい法的な制約も設けておるところでございます。  ただ、いずれにしても通信、非常に高度な形の情報化社会の中で、しかしこれによって機密保持という問題というものは、もうゆるがせにできない大事な問題であることは当然でございますけれども、これを防ぐ防護措置という形は単に法的な面だけの問題ではなくて、事業を営む人たちの大きな事業的な使命感を持ったモラルも必要になってくるわけでございますし、また今日の場合、いろいろなディジタル化された大量の伝送の情報をいかにして機密保持のために技術的にチェックしていくかというような形も最近はどんどん開発されておるようでございます。そういった形が今後の実用段階に向けてどれだけ技術的な基準も含めて担当していくかということは、行政担当庁として当然今真剣に検討もいたして防御策を講じておるところでございます。  したがって、私がいつも言いますように、高度情報化社会における豊かな人間性を追求し、尊重する社会ということは、とりもなおさず個人のプライバシーが完全に保障されるという社会が政策的な目標でなければならないと思っております。したがって、先生の今言われたようなプライバシー保護を含める情報基本法等は、今、政府の方でも総務庁を主管官庁として真剣に、前向きに検討して具体化を急いでおる段階でございますし、通信事業法においてはそういった面も政策的にはもう担保して今、御審議願っておると認識いたしております。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのとおりでございますが、大臣、私もう一点だけ確認しておきたいのは、来年の四月一日にこだわるわけではないのですがここでスタートする。それではそのときにこの基本法なりプライバシー保護なりセキュリティーの保護なりこういったものはそれに間に合うのか。今、検討しております、よくわかります。ところが、これが来年の秋ごろにずれていくのと、もう春早い段階でというのとは、この法案との関連でいきますと大きな違いです。これは間に合いますか。
  115. 奥山雄材

    奥山政府委員 電気通信事業法にかかわる分野につきましては、秘密の保持につきまして遺憾なき措置を講じてまいります。具体的には技術基準は省令で定めることになっておりますので、その省令の中におきましても担保する措置をとりますし、法制的側面におきましては、先般来述べておりますような幾つかの基本方針のもとにそれらについての改善措置等も織り込まれておりますので、法制面並びに技術面の両サイドから遺憾なき措置を講じてまいります。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今の私の質問に対しての正式な答弁ではございません。大臣、ちょっと補足してください。
  117. 奥田敬和

    奥田国務大臣 具体的に今、各省庁間のすり合わせを行っておる段階でございます。もちろん本法の御審議をいただいておる過程でも、目下主管官庁では検討を開始しておるところでございますし、今国会では情報基本法的な形の法案を上程はしていないわけでございますが、必ず次の段階においては、お互いにこの基本的な法案に対しては我が省も参画をして、そういった形の法制定が具体化の段階に至るということを確信いたしております。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私、えらくこだわって恐縮でございますが、次の段階というのは、次の通常国会にはここでももう論議できる段階になる、こういうふうに見ていいのでしょうか。
  119. 奥山雄材

    奥山政府委員 たびたび繰り返すようでございますが、通信の取り扱いに関する面につきましてはこの事業法と同時に遺漏なき措置を講じます。  しかしながら、プライバシー保護全般にかかわる問題につきましては、先ほど先生もおっしゃいましたように基本的人権とそれに見合う形での情報の公開の問題あるいは表現の自由の問題と密接にかかわってまいります。そういった関連領域、すそ野が非常に広い分野を有しておりますので、それらにつきましては、大臣が申し上げましたように総務庁を中心として関係各省鋭意検討しているところでございますが、日にちを限ってこのプライバシー保護全般にかかわる結論をいつお出しできるかということは、まだこの場で私から明言するまでには至りません。そのことは、少なくとも私どもの行政分野においては責任を持って対処いたしますけれどもプライバシー保護そのものが電気通信分野以外の面におきましても非常に多岐複雑、広範にわたる問題を含んでいるということをぜひとも御理解賜りたいと思う次第でございます。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局長の言っていることもよくわかるのです。だけれども、私が今、大臣に決意を聞いたら、大臣はそういうふうに確信しておる、次の段階で、こう言われたから、その次の段階というのは次の通常国会と見ていいのですかというふうに大臣にお伺いしたんだから、そんな答弁ではちょっとよくわからないわけだ。恐縮でございますが、大臣の御決意をもう一度。
  121. 奥田敬和

    奥田国務大臣 できるだけ早い段階に成案化にこぎつけたいというのが政府部内での一致した方向でございますけれども、成案の主管庁である総務庁の方で鋭意私たちとも打ち合わせながら検討を行っておるということで、できるだけ早い段階ということでございます。したがって、次の国会段階がいつどういう形で開かれるかということに関しては、今、私の立場から確定的な形でお答えする、時期を明言することはできません。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いや次の段階と言われたから、その段階というのはいろいろあるからそれだけちょっと言ってくださいよ。そんなことあなた、通常国会なんて決まっているのですから、ちょっと言ってください。
  123. 奥田敬和

    奥田国務大臣 それは私の決意としては、もう全く次の段階はそのような方向での段階を意味しているということで努力をいたします。
  124. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そう言ってもらえばいいのです。  そこで、では奥山さんに聞いておきましょう。  特にプライバシー保護につきまして、既にもう欧米主要国におきましてはそういった問題に対処するため、プライバシー保護の法律が制定されておりますね。それからOECD、経済協力開発機構では一九八〇年九月にプライバシー保護に関するガイドライン勧告を採択しました。我が国におきましてもこのガイドラインに対応した措置というものが検討されているのかどうか、そういったものを参考にしておるのかどうか、その状況を説明してください。
  125. 奥山雄材

    奥山政府委員 一九八〇年にOECDの理事会でプライバシー保護に関してとるべき国内措置についての八原則が採択されております。その中に、私どもに非常に密接にかかわるデータの安全保護原則も入っております。そのほかデータ管理なり流通なり利用収集にわたる原則が八項目にわたって記されております。  日本におきましてもこのOECDにおける勧告をベースにいたしまして昭和五十七年、その二年後に当時の加藤一郎東大教授が座長になられましてプライバシー保護に関する研究会を持たれまして、その原則、ガイドラインが示されております。OECDの八原則をベースにいたしまして日本流に五原則に集約しております。さらにそれを受けまして先般の臨時行政調査会におきましてもヒアリングが行われ、臨調の昨年三月の最終答申におきましても、今後情報公開とあわせて情報管理、つまりデータ保護の問題についても政府が積極的に対応していくようにという答申をいただいておるところでございます。  その後、政府部内におきまして総務庁を中心にして連絡協議会が持たれておりますが、さらにその中に作業部会を設けて、臨調答申における実行的な措置を研究する観点から鋭意、今、作業を進めているところでございます。その中におきまして先生がおっしゃいましたようにOECDにおける八原則を十分踏まえた上で研究がなされている途中でございます。
  126. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このプライバシー保護に関して前から何回も論議しておる仮称高度情報基本法、この中にもプライバシー保護は入れてしまうのだ、こう解釈するのでしょうか。
  127. 奥山雄材

    奥山政府委員 高度情報社会に向けて電気通信事業が向かうべき指針を指し示すための高度情報基本法あるいは高度化法といったようなものを私ども現在検討しております。その中で、高度情報社会を展望した場合に基本的にどのような施策を国として講ずべきかということを目下鋭意検討中でございますが、国あるいはその他の関係者の責務から始まって、電気事業関係者の責務あるいは電気事業における振興、助成、育成といったような問題、あるいは電気通信分野における技術開発の問題、そういったものが骨子になろうかなと現在ごく漠然と頭に描いております。  しからば、御指摘データ保護情報基本法あるいは高度化基本法との関係はどうなるかということでございますが、今回御提案申し上げております電電改革三法案が成立いたしますならば、これまでの電気通信事業環境と今後における電気通信事業環境は全く変わってまいります。したがって、当面の電気通信事業法の中に、先般来申し上げておりますように、データ保護に関する必要な措置を講じておりますが、さらにこれから高度情報社会がいかなる展開を遂げるか、あるいは新しく展開を遂げるであろう高度情報社会を展望した場合に、さらにデータ保護について現在以上の規定を置かなければならないかどうかということも含めて現在検討を行っているところでございます。
  128. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣にお伺いしますが、人間性を豊かにする、文化の問題は避けては通れない。そこで、郵政省が目指しておるテレトピア構想と人間の文化面のつながり、どのように大臣考えていますか。
  129. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これからのメディアの利用はいろいろ多岐にわたることが予想されます。地域的ないろいろな行政の面においても、文化生活の面においてもいろいろな形でこれらの面が導入されていくということは想像されます。したがって、今回郵政省としてテレトピア構想、一種のこういったメディアを利用いたしまして、地域的な快適な生活が営めるようにモデル都市をやろうという構想でございます。もちろんその中には、今も申しましたけれども、行政効率を生かすためにこのメディアを利用する形、スタイル、あるいは中小企業あたり技術指導を中心にするような産業中心型のスタイル、あるいは福祉関係でホームドクターなり、そういった健康保持の一つの福祉型スタイルを中心にしていく型、あるいはまた、文化あるいは学習の形の中で大きくそういった特徴を生かしていくタイプの型、いろいろなメディアの利用が予測されます。  そういった意味で、私たちもできるだけ人間性の豊かな社会づくり、それも個性のある、特徴のある社会づくりの一つのモデルを全国で土地区ばかり構築したいと思っておるわけでございます。その中にはもちろん、新しいこういったメディアの利用による文化的な面、文化を中心にしたようないわゆる学術研究型のそういったスタイルという形も大いに検討の対象にして、地方の文化向上に寄与したいと思っておるところでございます。
  130. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 さきの本委員会におきましても、私は京都におる関係上から、京阪奈の関西学術研究都市、ここにはテレトピア構想の要望がございますけれども大臣から、有力な候補である、このように御答弁いただいており、今また学術研究面に関して御答弁をいただきありがたいことだ、こう思っております。  そこで、郵政省にテレトピア構想を申し入れた地方公共団体数は現在までどのくらいでございますか。
  131. 奥山雄材

    奥山政府委員 現時点におきまして百三でございます。
  132. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 具体的にもう作業に入りましたか。来年一月と言っていましたし、もっと早くなるのか。まだまだふえる可能性もございますし、この中から土地区選ぶとなると競争率も激しいわけだ。今後はどんな手順になりますか。
  133. 奥山雄材

    奥山政府委員 ただいまの進捗状況でございますが、現在各地方自治体が基本計画を策定中でございますので、その基本計画を検討の上、私どもの方にことしの秋くらいを目途にお出しいただくことになろうかと思います。その中で先ほど大臣が申し上げましたようないろいろなタイプのものが出てくることを私どもとしては期待をしております。基本計画が出そろいました後で当然選考に入るわけですが、その選考の前段といたしまして、ことしの年度いっぱいまでに指定基準をつくって、その指定基準に基づいて年度内に十カ所を選定するという運びになる予定でございます。
  134. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 国土庁来ていただいていると思いますが、関西学術研究都市構想とテレトピア構想、まさに通信のネットの高度情報化、こういったものがポイントを占める、大切であると思います。そこで、国土庁としてこの学術研究都市の基本計画を策定しているやに伺っておりますけれども、その中身を教えてください。
  135. 荒木寛

    ○荒木説明員 お答えいたします。  関西文化学術研究都市構想は五十六年に構想を発表しておりますが、これは近畿圏に培われてきました文化、学術、産業等の蓄積を生かしまして、新しい時代に対応した高度な文化学術研究機能の集積した都市を建設しようとするものでございまして、その後も引き続き調査検討を続けております。
  136. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、この関西学術研究都市にテレトピア構想あるいは情報通信関係の研究機関をということを本委員会において私もかねてより要望しておりますけれども、研究機関を電電公社として――今後公社ではない形になる可能性がありますが、今の電電として、今後この情報通信関係の研究機関というものをこの関西学術研究都市に入れていく必要がある。要望が多いです。そういったものにどう対応できますか。
  137. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  先生お話がありました私どもの研究所は、現在、東京周辺に集まっておりますが、武蔵野と茨城と厚木と横須賀の四カ所持っておりますが、現在の私どもの研究開発の業務量といいますか、これからの研究開発項目からいきますと、現在ではこの四研究所で十分やっていける、こういうふうに考えております。ただ、私ども電気通信技術なり電気通信に関連しますいろいろなことで地域にお役に立つことがあれば、私どもは積極的に協力してまいりたい、こういうふうに思っておりますが、今、先生の御指摘のあった点につきましては、ただいま持ってはおりません。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省にお伺いしておきます。  関西学術都市、京阪奈に新しい文化学術研究都市というものをつくっていくわけでございますが、情報通信網というものが集中的に建設される情報集中都市としていかなければうまくいかない、こういう論議がございます。理由は、クラスター方式、クラスター方式というのは幾つかの小都市群をつくり、全体の統合したものをつくっていこうというもので、その間の情報の連絡などは面的な一体をなしているところよりもウエートは高くなっております。こういう面からテレトピア構想というものはこの要望に非常にマッチしておるのではないかと私ども考えるわけでございますが、郵政省の御見解、いかがでしょうか。
  139. 奥山雄材

    奥山政府委員 京阪奈の学術研究都市の構想につきましては、私どもある程度のことは存じ上げておりますし、また資料等も若干集めたりいたしております。それらの構想を見ますと、確かにさまざまな先端技術を駆使して、高度の研究学園都市を木津川の左岸に設けようという遠大な構想であることは承知しておりますので、その都市におきまして電気通信の果たす役割あるいはそのシステム構築というものが大きな意義を有するであろうということは十分わかります。しかしながら、これが直ちにテレトピアと結びつくかどうかということにつきましては、その京阪奈学園都市における基本計画が出てまいりませんと、私どもとしてはまだ即断するには至りかねますので、御了承賜りたいと存じます。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 建設省おいでいただいておると思いますが、ニューメディアシティー構想、高度情報通信モデル都市構想というものが建設省で考えられておりますけれども、まず中身を御説明ください。
  141. 鈴木政徳

    鈴木説明員 高度情報化の進展に伴いまして、都市交通、土地利用あるいは都市機能の配置等につきまして、さまざまな影響が出てくるものと予想されます。そこで、今後の町づくりに当たりましては、安全、快適かつ機能的な都市生活を確保する、そういう観点からニューメディアを積極的に活用したいというふうに考えておりまして、現在、省内におきまして、今後の新しい町づくりにどのようにニューメディアを導入していくかという具体的な施策について検討しているところでございます。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは郵政省にお伺いしますが、建設省でもそういうものを考えておるというのは、いつごろ情報をキャッチしましたか。
  143. 奥山雄材

    奥山政府委員 建設省の構想につきましては、比較的最近でございます。最近といいましても、一カ月以内のスパンでございます。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 じゃ、郵政省もう一度、この前通産省が考えていたものがございましたね、ニューメディア構想ですか、それとの関連はこの前もここで私も取り上げまして、テレトピアとほぼ同じような考えで、この同じものを二重投資してどうなるのだという論議をやりましたけれども、その通産省のものと建設省のものと郵政省のものとここで三重になったわけです。これをどういうように整理していきますか、郵政省考え方は。
  145. 奥山雄材

    奥山政府委員 通産省の構想と郵政省のテレトピアとの関係につきましては、これは前にも御議論がございましたように、郵政省のテレトピア構想といいますのは、実用化を前提として通信インフラストラクチャーをある地域、あるコミュニティーに集中的に構築をして、そこから実用化を通じてさまざまな諸問題、法制的、経済的、社会的諸問題を解明するということが目的でございます。その際、通産省の方からは、どちらかというとニーズファインディンクとでもいうのでしょうか、そのニーズの動向、帰趨を見きわめながらソフト中心に考えていきたいというようなお話がございました。それに加えて今度建設省の方からまた新たに構想が出てきたわけでございますが、それぞれの行政主管庁がそれぞれの観点から、地方振興あるいは地域社会の振興のために新しい都市づくりを目指すというものでございまして、それらの間に整合性が保たれ、混乱が起きないように関係各省で整理、協議してまいるつもりでございます。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 建設省にもう一度お伺いしておきますが、具体的にはニューメディアを導入するために行う調査費や街区設計、施設配置などの計画策定費の一部を補助するとか、あるいは計画区域内での電線の地中化やミニ共同溝の整備に要する費用を助成するとか、通信ケーブルの敷設や中継器など送受信施設の設置を土地区画整理事業の対象事業として扱えるようにするというような報道がございます。そのように受け取っておりますが、こういう考えでよろしいのでしょうか。
  147. 鈴木政徳

    鈴木説明員 ただいま御指摘のように、一部新聞にそのような記事が流れておりますが、先ほど申しましたように、現在省内で、今後の新しい都市づくりはどうあるべきかということを検討しているところでございます。したがいまして、ここに書いてありますような事柄につきましても現在確かに検討はしておりますが、まだ省の方針なり局の方針というふうに固まったものはございません。いずれにいたしましても、建設省の場合には都市基盤づくりというような観点が強くなろうかと思いますので、今後テレトピア構想等他省庁の同様の構想との調整につきましては、そのトータルの検討の中で一緒に相談し、検討していきたいと思っております。
  148. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、建設省が力を入れているこの現在の本委員会での議題である第二電電会社、これの設立構想というのはどうなっておりますか。
  149. 原隆之

    ○原説明員 お答え申し上げます。  電気通信事業分野競争原理が導入されるということになりますと、大容量の通信回線サービスにつきましても新規参入が予想されるわけでございまして、この大容量の通信回線サービスの幹線ルートといたしましては、高速道路も一つの対象になるというふうに我々考えておるわけでございます。  高速道路は、昭和五十八年度末で三千四百三十五キロほどございますが、現在その全線にわたりまして既に道路情報用の通信回線が敷設されているところでございます。建設省といたしましては、今後道路情報を含みます多様な情報というものを伝達いたします大容量の光ファイバーを敷設して高速道路の御利用をいただく皆様方の利便の増進に資する、さらに幅広く通信回線として活用するということも検討しておるところでございます。  この検討に当たりましては、各界の有識者の方々から成ります懇談会におきまして御意見をちょうだいいたしておるところでございます。その具体化につきましては、去る七月二日に新たに設立をいたしました財団法人道路新産業開発機構というところにおきまして調査研究を進めていくということになっておる段階でございます。以上でございます。
  150. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この構想は、先ほどのニューメディアシティー構想、これとどのような関連になりますか。
  151. 鈴木政徳

    鈴木説明員 ニューメディアシティー構想なるものがまだ検討中のものでございまして、ただいまの道路局サイドの構想とどのような関係になるかということにつきましては今後詰めていきたいと考えております。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、電電公社にお伺いします。  VRS、ビデオ・レスポンス・システム、画像応答システム、この電電公社のニューメディアの一つであるVRSの公開実験を京都の西陣織工業組合とタイアップして行いましたね。その後どういうふうになりましたか。
  153. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のVRSの実験、実はこれは初めての実験を京都で行ったわけでございます。そのねらいとするところは、西陣織工業組合の方で西陣織のたくさんの紋様あるいは織り柄、これを保存しあるいは必要に応じて検索可能な一種の映像図書館と申しましょうか、西陣織データベースといったものをひとつぜひ検討したいというお申し出がございまして、たまたま私どもの方にございましたこのVRSという技術、既に東京の銀座にセンターを持っておるものでございますので、京都の地元の方と御相談の上実験を開始いたしました。これは五月九日の当委員会でも御説明申し上げましたが、四月二十四日から五月の末日まで、当初は五月二十三日までの予定でございましたが、地元からの御要望もございまして、五月の末日まで一週間ほど延長いたしまして実施をいたしました。一  西陣織会館で展示実演を行いましたが、この結果は大変好評でございまして、地元の組合員の方千数百名を含めまして延べ約六千人の方にごらんをいただきました。その結果につきましては、非常に便利なものだ、あるいは新しい西陣織の織り柄等を開発するための手助けになるといった感想といいますか御意見から、さらにもっと画像の質を高めてほしいという御要望に至るまでいろいろございました。現在、この実演の結果を踏まえまして、工業組合の方におきまして組合員各位の御意見なり御要望を取りまとめておられるというふうに承っております。
  154. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 おっしゃるとおり先日VRSの実験についての反省会というか検討会を行ったそうでございますが、その中では、まだまだ実験段階でございますので今後も検討していく、こういうものが中心で、それをすぐ実用化するとかどうとかいうものではないように伺っております。若い人を中心にプロジェクトチームをつくったらどうか、そういうような意見も出たそうです。ですからそういう面でまた公社としての協力が必要じゃないか、こう思います。  それから導入に関しては、西陣織物の業界としては御承知のとおり不況でございますので、先行投資には中小零細企業として厳しいものがある、しかし将来の方向は検討していく、こういったものでございますので、このVRSを地場産業の産業情報システムのモデル実験システムとして、まず小規模でもよいからこれを当分の間続けてもらいたい、こういう要望がございます。その面に関しての答弁が一つ。  それからコストの面で中小零細企業、特に西陣織の業界の不況という面から見て恐らくそれがマッチしないのではないか、こう思いますので、そういった面での努力というのは今後可能性があるのか、その点を御答弁ください。
  155. 岩下健

    ○岩下説明員 ただいま御質問がございました。三点かと思いますが、まず第一の、今後組合の方におかれましてプロジェクトチームもおつくりになっていろいろ勉強されてさらに進められる、この点につきましては私ども全面的にまた御協力を申し上げていきたいと思います。  それから、第二点のこの実験をさらに継続してほしいという御要望の件でございますが、実はこれは設備的にもいろいろ問題がございます。これは前回の委員会でもお答えをしたわけでございますけれども、このVRSのシステムはセンター設備と、それからいわゆる映像端末、これを結ぶ広帯域の伝送路、この三つから方式が成っておるわけでございます。このセンター設備につきましては、ただいま申し上げました実験の終了した翌日から、この秋から始めます三鷹でのモデルシステムの実験並びに来年三月からの筑波での科技博に備えまして、実は直ちに増設改造工事を実施しております。現在センターは休止をしておるわけでございますが、この辺の設備の増設工事なり改良工事にいましばらくかかります。特に科技博は大勢の方がお見えになるものですから、私どもとしてもかなりしっかりしたセンター設備をつくらなければいかぬと思っております。したがって、このセンター設備についてはいつまでに工事が終わって稼働できる状態になるか、できるだけ早くしたいと思っておりますけれども、来年の春ごろになるのではなかろうかというふうに、現在実はセンターについては考えておるわけでございます。  それから、伝送路の方でございますが、これは電話回線に換算しますと約一千回線というかなり広帯域のものを必要としますので、京都での実験も実は一千回線分、これはどれでもいい一千回線でなしに、回線番号のつながったものを一千回線分必要とするという、かなり技術的な制約のある中で無理算段してつくったというような経緯もございまして、したがってこの伝送路の確保についてもいろいろまた工夫をしていかなければいかぬだろうというふうに思っております。と同時に、また組合の方でも今、展示実験をなさった結果をいろいろ取りまとめておられますが、私どもの方でもまた電電立場からの技術的なあるいは使い勝手の検討も、実験の結果を踏まえてさらに今、検討しておるわけでございます。  したがいまして、この辺を総合いたしますと、実験継続をしてほしいという御要望はよくわかるわけでございますが、この御要望の中身を私どもとしましてもさらによく伺い、また、ただいま申し上げました設備上の制約がございますので、この辺一体どういう解決があるだろうかということにつきまして、本日現在、まだ確答は御容赦いただきたいのでありますが、できるだけの努力はしてみたいとは思っておりますが、かなり制約が多いということはひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、三番目のコストの問題でございますが、現在、商用サービスとしてやります場合に、いわばどのくらいの料金で御提供できるかということにつきまして、今のところまだ、定量的な形では詰め切っておりません。ただ、言えますことは、例えばキャプテンシステムのような、いわゆる静止画に比べますと、動画なりあるいは音声を出すという点で、センター設備あるいは伝送路等について、設備的にもかなり質の高いといいますか、お金のかかるものでございます。しかしながら、同時にまた、これからの技術開発により史して、この辺の設備の低廉化も極力努力をしていきたいと思っておりますけれども、今のところは、現在、コスト、つまりは料金がどのくらいになるだろうかということについて、定量的には申し上げられませんけれども、なお、コストの低減については、御利用できやすい料金にできるだけ近づけるべく努力をしてまいりたい、かように思っております。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、この問題、ニューメディアに絡んでVRSの問題はこの辺で終わりたいと思います。  そこで、本論に入りたいと思いますけれども、アメリカのATTが本年一月に分割になりましたね。その後の状況として、国民が受けたデメリット、かなり多いように聞いております。だから、このアメリカの電気通信の問題点として、ATTが分割になったためにこういった問題点が出てきたというものをまず挙げてください。
  157. 小山森也

    小山政府委員 ATTの分割は、本年一月一日に実施されたところでありますので、どちらかというと、何が問題であるかという本質的な問題点、それはまだわかっていないわけでございます。これは、先日もFCCのファウラー委員長が参りまして聞いたのですが、まだ実施されたばかりで、なかなかわからないというようなことでした。  ただ、しかし、具体的な、個別のいろいろな摩擦現象というのは、こういうことがあるということで聞いておりますことを申し上げますと、一つは、こういう現象が出ているということです。利用者が電話機の故障修理を求める場合、従来は窓口が一つであったが、ATTの分割によって、市内通話部門と市外通話部門が別会社として分離されたために、いずれの会社が修理を行うかについて、責任分担が明確でないということから、故障が放置される事例が出たということが一つでございます。  また、その二といたしまして、料金請求書についても、従来は一枚であった。ところが、ATTの分割によって、市内、市外の別会社から複数の請求書が来ることになりまして、利用者にとっては煩雑になったということでございます。  それから、第三点としましては、料金について、ATTの分割の結果、市内料金が値上がりしているという、これは値上がりしたという見方もできるということでございます。これはどういうことかといいますと、ATTの分割によりまして、今まで企業内部の分収システムがあったのが、それがとれなくなってしまった。その結果、FCCが定額のアクセスチャージを加入者に直接負担させるというような裁定を出した。今までは、市外網、ロングライン会社に支払って、そのロングラインの方から市内網の方に分収していたということができなくなりまして、これは別々にやった結果、そういったことが出てきたということです。  それから、地方電話会社が、州の公益事業委員会に対して、市内料金値上げの申請を相次いで提出しておるということを聞いております。ただ、これに対しましては、FCCの方でも当然言い分があるようでございまして、これは、さっき言った料金請求書の問題とかというのは、史上最大の企業分割と言われた大変革なので、そういった瞬間には、短期間にはそういう衝撃があるのは当然であるというような説明の仕方をしております。  また、州の公益事業委員会に提出されている料金の値上げでございますが、これにつきましても、FCCは、料金改定の申請の理由の大半が分割によるものではなくて、最近のアメリカ国内のインフレによる報酬率の引き上げとか、コストの増大によるものであるというような説明の仕方をしております。こういった点につきましては、我が国の場合とは大分異なった点があるように聞いております。  以上でございます。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、一番の当事者である電電公社として、今、郵政省が何点か挙げました。わかる点もございますが、まだ抜けている点もあるのじゃないですか。技術的な面から見て、これはいろいろな角度のものがあると思いますので、公社として今までの調査結果やらそういったものから、あるいはこういった自由化に持っていこうということで、いろいろ研究されているわけですから、こういったデメリットがある、また今後こういったものも起こり得るであろうというものも含めて御説明ください。
  159. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  ただいま郵政省からお答えになりました。大体、私どももお聞きしております、あるいはニューヨーク事務所を通して情報をとっております範囲では、今おっしゃった程度だと思います。  ただ、あえてもう一つ、加入者が障害のときに、実際に自分の宅内機器、電話機でございますね、電話機を持っていくときに、なかなか電話局から障害修理に来てくれない、こんなようなことも聞いております。それ以外は、大体、今おっしゃったとおりだと思っております。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここで新規参入論を含めて、もうちょっと突っ込んだ論議をしてみたいわけですが、まず一点、具体的な問題で進めますが、請求書の問題が今、出ましたね。そこで、日本で新規参入がこの電話業にあって、いよいよ家庭が利用した、これ、請求書はどうなりますか、両方使うわけですから。
  161. 草加英資

    草加説明員 具体的に第一種業者が参入いたしまして、私ども相互接続いたしたという事態になりました場合に、請求書をどのようにするかはいろいろな方法がございます。例えば現在、KDDとの間でやっております方法は、KDDが発信者から着信者まで一元的に請求いたしまして、その間の私どもの分について後ほどお払いいただく、こういうやり方、これはアメリカでは、ATTCがつなぐ場合にはBOCが、各電話会社がそのような方法でやっております。それからMCIが参入している場合には、MCIが自分のところから着信側までを請求し、発信側の市内につきましては各電話会社が請求する、このようなやり方をやっております。また、所によっては発信、それから中間、着信という形で請求書が出ているということもあるやに聞いております。  このようにいろいろなやり方がございますが、具体的に第一種業者が参入いたしまして、相互接続をするというような事態になりましたときに、私どもはその相手の参入の方と十分に話し合って、利用者の方々に迷惑にならないような方法に徴収方法をしていきたい、このように考えている次第でございます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今でも、公社だけでございますが、電話料金がこんなに高いわけがないといって、電話の料金の苦情が多くございますね。どれくらいありますか。
  163. 岩下健

    ○岩下説明員 手元に正確な資料がございませんのでまことに恐縮でございますが、これはまた間違っておりましたら訂正させていただきますが、たしか一カ月一万のお客さん当たりの数で数件程度のオーダーだったかと思います。かつてはこれはかなりの数だったものが、当委員会も含めていろいろ外部からの御指摘をいただきまして、改善措置を講じてまいりまして漸滅いたしまして、たしか現在数件程度のオーダーかと思いますが、後ほどまた数字は当たりまして、間違っておりましたら訂正をさせていただきます。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、苦情は減っておる、こう理解しておきますが、その減っているということは――まず苦情が出るというのは、こんなにかけた覚えはない、まず中身を知らせてくれ、どこへどうかけたのだ。どういう通話料なのか、そういうものを知らせる方法は今ありますか。
  165. 寺島角夫

    ○寺島説明員 いわゆる電話料金の明細につきまして、その中身がわからないではないか、これをはっきりさせろという御要望は前からございまして、それに対しまして、公社といたしましてもその対策を進めておりまして、現在のところを申し上げますと、技術的な試験を終了いたしまして、現在、東京、横浜の約十万加入の実際のお客様につきまして明細を記録をする、もちろんそのときはお客様の御意向を全部伺いまして、そういう必要がないというお客様のものはおとりをいたしませんけれども、御希望のある方につきましては、そういった形で運用試験を今からやるところでございます。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後は、中身を知らしてくれとお客さんが要望したら中身は出していい、こういうふうに解釈していいですか。
  167. 寺島角夫

    ○寺島説明員 お客様からの料金に対しますいろいろな御苦情に対しまして、実際こういうふうにおかけになりましたという状況の説明でございますので、当然、お客様のそれを見せてくれという御要望に対しては、お見せすることになります。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 お客様とは、例えば家族で言ったら、御主人が加入している、奥さんが知りたい、こうなってきたときにも、お客様ですからね、これはお見せしますか。
  169. 寺島角夫

    ○寺島説明員 先生御案内のとおり、この問題に絡みまして、いつ、どこへ電話をしたかということは、プライバシー問題との絡みがございまして、御指摘のようないろいろな議論があると思います。  それで、現在私どもが運用試験の段階で考えておりますのは、身分証明等によりまして御本人であることを確認をいたしました方にのみ、局に来ていただきまして、ディスプレーでお見せをする、こういう形を考えております。  ただこれが、運用試験が終わりまして、その先、もしこれを全国的に本実施にしていくという段階になりますれば、そのデータを有料で、ハードコピーでお渡しするということも一つの検討の対象になろうかと思いますが、現在は、そういうことでできるだけ慎重に扱ってまいりたいと考えております。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで大臣、先ほどのプライバシーの問題、いろいろ含めて、これは今のままでも今後は大問題がいっぱい出てくる。だが、新規参入と今度の新電電と、まあこんなにかけた覚えはない、どっちだと。まず中身を全部知らなかったら、そんなものわかるわけがない。各家庭でも出てきますよ。私はかけた覚えがない、いや奥さんだとか、いや主人だとかなってきたら、それは主人でなければ見せられません、そんなことは言えない。こういうようなプライバシーの問題も含めて、どうしてもこの法案は、大臣、今の高度情報化基本法あるいはプライバシー保護法、こういったものを同時着陸しなければ-これは大事ですよ。したがって、来年の四月一日、本法案施行していかなければならぬ理由は何ですか。
  171. 小山森也

    小山政府委員 この法律を通していただけば四月一日ということになるのですが、四月一日というのを選んだのは、新会社設立になりますときがちょうど年度の分かれ目であるということで、予算の国会議決制度との関係等も勘案しまして、これを四月一日としたものでございます。
  172. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 年度の分かれ日なら、再来年でも次の年でもどんどんまたあるのです、そんなことは。ましてや今後、この高度情報社会の最も重要な問題、今のプライバシーの問題はちょっとした簡単な例ですよ。これが今度は企業になってくる。企業秘密の問題、あらゆるものが出てきますよ。こうなってきたらこれはどうなりますか、大混乱ですよ、大臣。  したがって私は、この法案は徹底審議と前から言っています。何も慌てることはない。徹底審議して、絶対に来年の四月一日にこれを実施しなければならないという理由は、今の答弁では私ども国民の側として全然わかりません。大臣、どう思いますか。
  173. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、法案が御審議願って成立の暁には、そういった形で四月一日から施行してまいりたいということでございます。理由は、今、担当の局長が述べたとおりでございますが、この法案は確かにそういった意味では、通信における、通信歴史始まって以来の我が国の大改革法案であります。したがって、審議においても慎重に御審議を願っておるということでございます。  ただ私としては、今言いましたように、新規参入を含めての、いわゆる新電電とのそういった接続の問題あるいは機密保持の問題等においては、通信事業、特に、回線利用して自分で持って、そして一種事業という形で参入する人たちはもちろんのこと、新電電同様に機密保持、プライバシー保持に全力を挙げることは当然でございますし、また、そういった機密保持のメカニズムと申しますか、そういったものは既に技術的にも実用化段階にあるし、完成しておると信じております。
  174. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、昨日来も今までも、この設立委員会について本委員会で論議がございましたね。設立委員会に関してもう一度答弁してください。今どんなふうに手順として進めようとしているのですか。
  175. 小山森也

    小山政府委員 これは法律が通った後、設立委員の人選をいたしまして、郵政大臣が任命して、設立委員で資本金の額であるとか定款の決定という仕事をやっていただきまして、それで、四月一日の発足までに、いろいろな認可事項とかというようなものを決めていくということでございます。
  176. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その四月一日にこだわるわけじゃないのですが、四月一日ということを局長はいつも言われているが、それならば、この設立委員会はいつ準備に着手しなければ間に合いませんか。
  177. 小山森也

    小山政府委員 いろいろな仕事の仕方もございますけれども、こういった大改革のことでございます、仕事の中に遺漏があってはいけないわけでございまして、やはりそういった点から、私どもとして望ましい期間というのは、発足前六カ月は必要であろうと考えております。
  178. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 設立委員会が発足前六カ月ですか。
  179. 小山森也

    小山政府委員 設立委員会がずばりその日になるかどうかということはまだ余裕がございますけれども、少なくともその日に近いときに設立委員会が発足になるようなことが望ましいということでございます。
  180. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 設立委員会をつくるための準備は、それよりもどれくらい前ですか。
  181. 小山森也

    小山政府委員 これはこれだけが必要であるということはなかなか言いかねますけれども、少なくとも半月くらいは必要であろうと思っております。
  182. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで昨日も設立委員会の中身に関して論議がございましたけれども、まず設立委員会をどこに置くか、これの方がもっと重要になると思うのです。私は、許認可、これだけ厳しくした法案ですね、郵政省の許認可。自分のところが認可するのに自分のところへつくったんじゃ、これは余り意味がないように思います。そうすると、おのずとこの郵政省に置くのか、今の電電公社の中に置くのか、二者択一だと思いますが、どうでしょうか。
  183. 小山森也

    小山政府委員 またこれは考えておらないわけでございますけれども、例を申し上げますと、KDDのときの設立委員会の事務局は郵政省内に置いたわけでございます。ただ、これは今回のと大分様子が違うということは、電電公社の持っている資産を分けましてKDDというのは設立されましたので、そういった意味郵政省という場所に置かれたということでございます。  それでは、今度どうかということについては、今のところまだ決めてないということでございます。
  184. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局長わかるのです。局長、どういうふうに希望しますか、局長考え
  185. 小山森也

    小山政府委員 これは私一存で決める権限を持っておりませんので、いろいろな上司、大臣等、これは大きく関係するので、政府全体の中で御理解を得た後決めていくということになろうかと思います。
  186. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 でしょうね。  では大臣にお伺いしておきますが、大臣、私は許認可権を持つ郵政省の中につくると、これは自分が認可するのを自分でつくるようなものだ、しかも郵政省の外局みたいなそういうものになっては、この行政の役割と事業の役割、明確に分けていかなければならないと思います。  したがって、私は大臣のお考えを聞きたいのですが、郵政省の中に置くというのは、今後どこに置くのかはいろいろあれですが、少なくとも郵政省の中に置くのはベターじゃないと思いますが、大臣のお考えどうでしょうか。
  187. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生のような御指摘もございますので、その面十分検討して、そういった御批判のないような方向で努力いたしたいと思っております。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、余り時間がないのでいろいろなところへ飛びます、恐縮でございますが。  まず事業法の第三十一条関係で、これは料金決定原則郵政大臣は、第一種電気通信事業における役務提供に係る料金決定原則、これを認可するわけですが、これを定め、その実施状況というものを――私はこの法案考えると、完全にこれは今、国民の代表である国会、これを無視した、無視したと言ったら恐縮でございますけれども、全部郵政省でその許認可、指導をしていこう、こういう形になっていますね。少なくとも国民によってここまで支えられたこの電気通信事業でございます。国民の声を代表している国会、ここにその実施状況なりそういったものを、郵政大臣が第一種電気通信事業における役務提供に係る料金決定原則を定めて、そしてその実施状況というものを国会に提出し、承認なり論議をする必要があると思いますが、お考えいかがでしょうか。
  189. 小山森也

    小山政府委員 料金決定原則でございますけれども、これにつきましては、先生もう既に御存じのことと思いますけれども、三十一条第二項で、法律上この決定原則の極めて大綱的なことを示されているわけでございます。第一号、第二号、第三号というような形で、料金の一つの目安を法定しているわけでございます。  それでは、その経過はどうであるかということにつきましては、確かに国会等に御報告申し上げるという点はございません。しかしながら、私どもの原案をつくった立場の理由を申し上げますと、郵政大臣の認可を受けるというこの郵政大臣の行政行為、これに対しましては国会によっていろいろ御審査いたされますし、いろいろな点において国会において御指導いただくということになりますので、この大臣の認可行為というものに対する国会の一つのチェック機能、これにおいてやっていただければというのがこの立法に当たったものの趣旨でございます。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政大臣がお決めになる、いわゆる郵政省において検討されてお決めになる、ここまではいいのです。これは行政の問題です。だが、国民の代表である国会というものがそれに何にも絡んでこない、ここがおかしいということを言っておるわけでございますから、この辺の認識をもう一度お願いしたいと思います。  それからもう一点、同じことでございますが、会社法第十一条関係会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。」これも同じく少なくともこれは、会社事業計画の中で当分の間経営の合理化、効率化の年次計画を策定して国会に報告できるような、こういったものでやはり国民に支えられてでき上がってきた現在の電気通信であるということを理解するならば、それが当然じゃないか、こう思います。御見解いかがでしょうか。
  191. 小山森也

    小山政府委員 二条にわたりまして先生の一つの御方針といいますか、御趣旨をいただいたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、どちらにおきましてもこれは郵政大臣の認可ということになっております。郵政大臣が行った行政行為、これにつきましては国会のいろいろ御審査を受けるわけでございます。したがいまして、直接的にこの事項について事業体が行っているものに対してという考えをとらなかったわけでございまして、これは郵政大臣の認可というこの行政行為をチェックすることによって、国会からのいろいろな御指導をいただくという趣旨でこの法律は書かれているということを御説明申し上げたいと存じます。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 奥田郵政大臣、こういう調子なんですよ。したがって、この法案に関しては私はもう当初から言っておるとおり、余りにも郵政省御立派な方たちばかりです、しかし、これが何かの拍子に郵政省と新電電が何らかの関係で、癒着といったら申しわけございませんけれども、非常に物が言いづらいとかはっきりしたものができないような状況になったときに、どこがこれを監視するのですか。結局は国民が監視しなければいかぬのです。  そういう意味から考えてみても、国会あるいは我が逓信委員会におきまして、現在は、例えば電話料金を値下げする問題にしても、電話料金を値上げする問題にしても、料金決定原則の問題にしても、ここで審議をして国民の前であからさまにして、したがってこうなるんですよ。NHKの料金でもそうです。これと比較するのはちょっと問題がございますけれども、これだけ公共性のもの、しかも独占性のものが今までの論議からはっきりしているのです。それでなおかつ、いや今のこの法案のままでいいんです、こういう態度では、これは四月一日幾ら実施したいと言ったって、それは年度の変わり目だから実施しろ、再来年でいいですよ、その次の年でいいですよ、年度の変わり日ならば。もっとそういった面をクリアしなければいかぬ。どうですか大臣、私の言っていることはおかしいでしょうか。大臣のお考えを明らかにしてください。
  193. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘の点はよく理解できます。郵政大臣たる者は、私に限らずすべて国民的な利益を中心に最終の判断を下すと思いますけれども先生の御指摘の点は、万が一にも恣意的にそういった形が行われるようなことがあっては、国民生活、社会、産業、経済活動に多大な影響を及ぼす、料金関係あるいは事業計画関係において何かもう一度政策的に担保しておく必要があるのじゃなかろうかという御懸念だと思います。その点につきましては、料金の認可に関してもあるいは事業計画の認可に関しても、国会の先生方、特に当委員会に御相談を申し上げるということは当然でございますけれども、そういった形の中でさらにその公正、妥当という大きい視点に立って考えるときに、大臣認可に当たってはこういう委員会の承認というような形で御報告、相談を申し上げるということになれば、そのように与野党の審議の過程の中で先生方でいろいろ御相談願えれば、私たちもそういうような方向で善処してまいりたいと思っております。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひそういうことでお願いします。以上、終わります。
  195. 志賀節

    志賀委員長 次に、安井吉典君。
  196. 安井吉典

    安井委員 大臣、こういうことから私始めたいと思うのですが、この間、四月の末から五月の初めの連休に、この鈴木さんも御一緒だったのですけれども、アメリカのAT&Tの分割の問題を見に参りました。アメリカへ行きますと言うと、これはこの事業に余り関係のない人たちなんですけれども、私の友人は、ああVANのことですねと言うのですよ。  通産省と郵政省の壮烈なVANの権限争いが自民党も巻き込んで、マスコミも、新聞には、電電改革というのはVANの問題だと言わんばかりの記事が並ぶ。ですから、そういうような状況の中で法案づくりが進んだように私は見るわけです。国民の生活の一部になっている電話がどうなるのか、そういう基本的な問題がなおざりにされながらVANVANと朝から晩まで言ってきたような感じであります。  アメリカへ行きますとVANと言ったって通じないのです。それはもう十年も前から電話利用していろいろやるのはもう当たり前のことになっているわけで、それよりも今AT&Tの分割がまさに重大な問題として社会全体を揺さぶっている、そういうような状況があったと思います。  いずれにしても、やはり電信電話事業をあまねく公平な一元サービス事業として位置づけていくということが必要なのであり、さらにまた、新しい技術改革が進む段階で現在の電電公社の経営形態では十分に対応できない、これを改めなければならないと思います。当事者能力も十分じゃないし労働基本権も十分に発揮できるような状況になっていない。しかし、そうは言っても、今度政府がお出しになった三法案、これは我々が従来から主張してまいりました国民の共有財産にふさわしい新しい経営形態と運営の方向、そういうものとはかなり遠いものだと思い、容認することはできない、そういう態度できょうも若干のお尋ねをしてまいりたいと思います。  この改革はもとをただせば臨調答申に基づくわけであります。そこで、きょうはあの臨調のこの問題の担当であった加藤さんに来ていただきたいと私は願ったのですけれども、御都合が悪くてなかなかチャンスがとれなかったわけでありますが、今度の新しい総務庁の方からたしか参事官がお見えをいただいているはずでありますから、臨調の段階において第三次答申基本答申の中に電電民営・分割を書き込んだ答申を出されたその根拠は一体どういうものであったかということをまず伺いたいと思います。
  197. 新村淳一

    ○新村説明員 お答え申し上げます。  臨時行政改革推審議会は臨調の後組織でございまして、先生お尋ねのように、臨調はどうであったか、明確にどうお答えすべきか、ちょっと性格上は問題があると思います。しかし、臨調答申のアフターケアの機関でございますので、そのアフターケアの機関として承知している範囲でお答えをさせていただきたいと思います。  臨調答申では電電公社が長い期間にわたってそれなりの立派な公共的な使命を果たしてきたという現状認識をまず持っております。さりながら、戦後二十余年を経まして電電公社の経営の現状というものを見ますと、これは基本答申に書いてあるわけでございますが、幾つかの問題点が出てきているという現状認識をいたしております。  そのポイントは、一つは、設備の近代化にもかかわらず要員が十分に縮減されていない。それから第二に、予算、給与なり各種の制約があって企業性を発揮しにくい状態になっている。第三のポイントは、巨大規模の独占企業体である、そのために合理化意識の希薄という問題があるんじゃなかろうか、基本答申はそういうような認識に立っているものと承知しております。  そこからは、そうした認識を踏まえまして電電公社が今後とも電気通信サービスについて良質のものを低廉な料金で供給するという公共的な使命を果たし、それから技術革新の著しい分野だから将来の技術開発力というものも大切にしなければいけない、そういった命題にこたえるためにどうしたらいいかという認識をしているように私ども承知しております。そのためには、経営形態の民営化、独占の弊害の除去、それから規模の適正化、答申そのものを全部読み上げればよろしいのですが、ポイントだけ申し上げますとその三つが必要ではないかという認識に立っております。それらを踏まえまして具体的な提言といたしましては、電電公社について中央会社と地方会社への再編成、それから基幹回線分野における競争の導入、そういった措置を講ずることが必要ではないか、そういう背景のもとに提言をいたしたものと私どもは承知をしております。
  198. 安井吉典

    安井委員 臨調そのものは解消してしまっているわけですから、そしてまたそれをおつくりになった委員の方がここにいるわけではありませんから、余り深入りをしたお尋ねを参事官にしてもしょうがないのかもしれませんけれども、とりわけ――とりわけというのは、あの答申には、今、御指摘になったことにも随分問題があると思います、そういう意味で申し上げているわけですが、そういう中でも特に分割の問題ですね。これだけはどうしてもいただけない、私はそう思うわけであります。複数の地方会社に分割ということですが、どんなふうになるかは別として、とにかく現在ある電電公社通信局単位には大変な格差があるわけですね。だから、そういう問題について何か配慮があるのかと思ったら、何もないですね。ただ分割をしろ、そういう提起でしかないわけであります。分割さえすればいいのかという点でありますが、その点はどうですか。
  199. 新村淳一

    ○新村説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、細目の問題について、今、私ども臨時行政改革推審議会が臨調について、その細かい点について解釈云々、どこまで言うべきかちょっと問題はある、先ほど冒頭と同じでございますが、一応そういうふうに申し上げさせていただきます。  ただ、分割問題云々という話は、はっきり申し上げまして、臨調過程では分割をするかどうかということについていろいろな検討を行った末に、電電公社が公共的な使命を果たし、その中で企業性も十分発揮していくためにどうしたらいいかといういろいろな検討を経た末に、中央会社と地方会社への再編成、そして競争の導入ということを提言いたしたものであると私どもは承知をしております。
  200. 安井吉典

    安井委員 臨調の答申あるいはその検討の基礎にアメリカのAT&Tの同意審決――答申が行われたのはこれが出る前だったと思いますね。ですが、早くからAT&Tの分割についての試案というか、そういう考え方は出されていたわけですよ、幹線会社と地方会社というその構想ですね。それがモデルになっているんじゃないですか、どうですか。
  201. 新村淳一

    ○新村説明員 お答え申し上げます。  私ども審議の細目について、どういう審議過程ということについて細かく御報告申し上げる立場にないのじゃないかなと思っております。ただ、審議の過程で確かにATTの事件――事件というかそういう一連の動きというものは底流としては動いていたという事実はございます。ただし、臨調が電電公社の問題を検討したその考え方というものは、ATTがこうだからという話ではなくて、あくまでも現在の日本の電電公社が抱えている問題、それをどう解決して公共性企業性を、そういう観点検討を行ったと私どもは聞いております。  その細目のところにつきましては、私ども行革審議会として、ちょっと審議の仕方等について答弁能力がございません。恐縮でございます。
  202. 安井吉典

    安井委員 何しろその当時は、ヨーロッパのどこの国を見たってみんな国営か公共企業体営ですから。アメリカとカナダですか、民営というのはそれぐらいしかないのですからね。そういう中での発想で、当時アメリカは分割の問題でずっと騒いでいた、反トラスト法の関係での騒ぎが続いていた段階でこういう考え方が出ていたわけですね。だから、その臨調の答申と同じようなことが今度アメリカで行われたわけですよ。いわゆるAT&Tの分割は、幹線会社とは言いませんけれども、それは一本になっていて、AT&Tはまたいろいろな部門がありますけれども、しかしローカルの会社をつくったのですから同じことなんですよ。アメリカのこれと同じことが、臨調が先に出したそういうものであったという点に、だから私はどうもモデルが向こうだったのじゃないかな、そういうわけです。  ところが、そのモデルになったアメリカは、さっき御質問がありましたね、FCCの表の、委員の方々からの報告でさえ、さっき小山局長が言われたような問題点が起きているわけですが、本当に一般の民衆の中に入ってみたり、ワシントンだけじゃなしに田舎へ行ってみたらわかるのですよ、大変な混乱が。例えば故障が一つ起きた場合でも、十五分間に幾ら。それは会社からそこまで来る間の時間で計算するわけですね。それから十五分たったら幾ら、十五分たったら幾らと合計されるわけですよ。それぐらいいろいろな新しいあり方が出てきているわけであります。ですから、いろいろ話を聞いてみても、分割だけはどんなことがあってもやるべきではないという印象を私は得てまいりました。  しかもアメリカは、分割したって、二十二ぐらいの分け方をしたって、州だって五十あるのですから。テキサスなんか日本の二倍半もあるのですからね。日本はそんなものですよ。しかもアメリカは各州ごとに料金が違いますよ。ニューヨークから隣の州へ行ったらもう公衆電話の料金からみんな違うのですから、そんなのは平気なんですよ。  しかし、日本というのは大きな一体性がみんなの意識の中にあるわけですから。アメリカの分割は、料金が違うというのが当たり前な、そういう頭がある。そういう中でいくのならあるいは通るかもしれませんけれども、日本の場合、みんなばらばらに割ってみたって、違った料金で計算するなんということは、こんな小さな国で考えられないじゃないですか。特に、これは五十七年度の電電公社通信局別収支でありますけれども、この十二のうち、関東、東京、東海、近畿の四つだけはずば抜けて収支率がいいわけですね、収入が多いわけです。しかし残りは、北海道、東北、信越、北陸、中国、四国、九州は全部赤字なんですよ。そういう大きな格差があるところへ分割して何ができるのですか。  ですから、きょうはあなたにその分割はしませんというお約束を願えるわけもありませんから、そういう大きな問題点があって、だからこれは臨調の答申どおりじゃないですよ、分割の問題は今度の法案には入っていませんよ。この法案でいいという意味ではありませんけれども、三年後の見直したとか何かという段階に、もう一度臨調の古証文を出してきて、分割だけはやりなさいなどというばかげた言い方は私はもう絶対やってほしくない、これは行革審の参事官に申し上げてもしょうがないが、大臣、この点は見直しとかなんとかという問題もありますけれども、ひとつはっきりしてください。今度のものに分割がないということは私は評価しますよ。しかし、次の段階もそういうふうな考え方は一切出さないでほしい、そのことを一つ念を押したいと思います。
  203. 奥田敬和

    奥田国務大臣 世界的にも誇り得るこういった高い通信技術、そして全国のネット網、世界でも誇るべき形で、すぐつく、すぐかかるという目標を達成してきたわけでございます。したがって、アメリカのATT分割、その後の混乱状況もある程度情報を得ておりますけれども、今回の法案に当たりましても、全国あまねくそういった形の電電公社が達成してきた、こういった公的な形というものはますます強化さるべきでありますし、今後ともこういった形は大事にしていかなければいかぬと思っております。したがって、臨調の民営・分割という形の中で現実論としてそういった実態を踏まえて分割という形を今回の法案でもしていないわけでございますし、今後ともそういった形でまいりたいと私は思っております。  ただ、見直し規定を設けましたのは、一種事業にも今回一定の資格を付与しながらも参入を認めることになりました。そういった形で果たして、この一元体制を維持しながらもこの参入の結果が社会、産業的にも国民生活的にもどういう環境変化をもたらすであろうか。あるいは、例えばデータ通信データの部門、今現在、電電一種事業者であり、かつ二種事業の大型のそういったVANに似たようなあらゆる附帯メディアのサービスも行うわけでございますから、これらが将来において公正競争を欠くという形の影響が出てこないであろうか、あるいはそれに基づいてその部門のあるべき姿として分離の方がいいのか悪いのかという検討材料も含めての見直し規定でございまして、分割という形については私は考えておりません。
  204. 安井吉典

    安井委員 考えていないということで私もあれですが、まあ暮れに大臣かわらないでもう少し三年後までやはり大臣をやってもらうんですね。いずれにしても郵政省のきちっとした方針としてそれは構えておいていただきたいと思います。  次に競争原理、市場原理の導入というのが今度の改革の大事な点だというふうに伺っているわけでありますが、その競争というのは、第一種事業の場合で言いますと第二電電とか第三電電とか言われているのが新規参入してそれとの競争が可能になった、第一種だけに限定した場合そういうことでしょうか。
  205. 小山森也

    小山政府委員 言われているところのいろいろな第二電電構想、こういったものが出ますれば競争原理の導入をしたという形になるわけでございます。
  206. 安井吉典

    安井委員 何かこう競争原理があまねく働くというような言い方で言われる人もいるようなんですけれども、しかし第二電電、第三電電、第四電電、今四つぐらいあるのですか、そういうのが出てきても、しかしそれは北海道の山の中でとか四国の奥だとかそういうところに競争をするような会社というのは恐らくないんじゃないかと思いますね。だからナンバーのつく電電が新しくできるにしても、競争というのはもうかるところだけであるだけで、その他のところは競争原理が働かないんだ、僻地には競争なんというのはないんだ、競争というのは全面的というふうに言われるけれども、実は部分的次競争しか現実にはあらわれないんだ、私はそう理解するんですが、どうですか。
  207. 小山森也

    小山政府委員 おっしゃるとおりに現実競争原理が導入されて、そこに競争者があらわれるということは、裏を返しますれば、そこに需要が現実に生じている、存在しているからこそ、そこにおいて事業を営んで利潤を上げていくという一つの企業意識が出るわけでございまして、こういった意味での需要がないところには、確かに新規参入というものはないわけでございます。  ただしかし、こういった場合におきまして問題になりますのは、その需要が生じないということは、逆から申しますと、今度は、今、現実に行っております電電公社、これからにせよ新電電会社がその地域の住民の方たちに満足しているサービスを提供しているからこそ需要が出ないということにもなろうかと思います。非常に事例が古いことで申しわけないのでございますけれども、かつての有線放送電話というのが非常にできたことがあります。これはやはり競争原理でも何でもない、そこにおいて現実電電公社電話というものが敷設できなかった。ところが需要がそこに生じていた。そこにおいて今度それをどうしても満たしたいというところから有線放送電話というのが生じたということでございまして、満足な形ですべての需要が満たされているという場合には、やはり一事業であってもそこにおいてサービスが満足させられているということだろうと思っております。
  208. 安井吉典

    安井委員 それならわかるのですけれども、どうも競争原理というのが働いて、民営化すればそれがもうすばらしい効果を上げるというふうな言い方をされるものですから、私は競争原理というのはユニバーサルな問題ではなしに、局部的な問題だ。だからそれは逆に局部は過熱しますよ、もうかるところ、回線の需要の多いところはですね。しかしその他の方がその逆に犠牲になりはしないかということを私は恐れるわけです。これは分割じゃないといったって、どうしても需要がないところは、例えば料金の問題、あと料金問題がきょうは特に中心的な課題として私は申し上げたいと思うのですけれども、料金の問題だって、いろいろなサービスの問題だって、競争が出てきたところは、これはもう夢中になって新電電もやるでしょうけれども、どうしても僻地の方は手薄になってしまう、そういうおそれがあるので、何か新規参入さえ認めれば競争原理が働いて何でもかんでもみんなよくなるというそういう論理は当たらない、そういう意味で私は問題提起をしたわけです。  そこでサービス格差、不採算地域ではこれはもうコストを十分に料金で賄っていないのですよ。さっき私は通信局別のあれを言いましたけれども、かかったコストだけ料金が入っていないのですよ。しかし第二電電、第三電電新規参入しそうな東京-大阪間というのは、これはもうじゃかじゃかもうかっておる、こういうわけであります。ですから不採算地域のところでサービスが落ちるようなことがあっては大変だ、そういうことであります。例えば国鉄のローカル線みたいにもうからないところは切り捨てるとは、これは言いませんよね。国鉄ならまだバスがある、自家用車で行くという手はありますけれども電話はかわりがないわけでありますから、それはないにいたしましてもそういう心配がないのか。つまり営利会社になるわけですからどうしてもコスト主義になっていく、そのことがサービスの地域格差を生じやしないかということが一つあります。それらの点について今後の運用の上で十分配慮が必要だということをまず指摘して、あわせてお答えいただきたいわけですが、料金の問題ですね。料金の問題は後にして、サービス低下というようなものが一部において起きないような配慮が必要だという私の言い方に対してまずお答えをいただきたいと思います。
  209. 小山森也

    小山政府委員 国鉄の事例をお挙げいただいたのでございますけれども電気通信の特性からまいりますと、一般論でございますが、電気通信サービスのネットワークを構成しているのは、やはりネットワーク全体として均質化して初めて効率が上がるという特性を持っております。そうなりますと、例えば東京は採算がいいということで非常に保守に金をかけている、ところがある地域、特定の地域を申しますといけませんので、ある地域が過疎であって採算がとれないということで保守に手を抜いたといたしますと、通信の典型的な基本サービスである電話そのもののサービスの質が落ちるわけでございまして、その場合には片方だけが落ちるのでなしに双方の質が落ちてしまうというネットワークそのものに内在します特性があると思います。  したがいまして、ネットワークの均質化を維持するということは、ある過疎地域だけについて別扱いすることはなかなかできないというまた一つの特性を持っているのではないかと思います。しかし、そういうことであるからこういった過疎地域であろうと採算がとれる地域であろうと自然になるとは私ども思っておりません。そのために、法律的な一つの方向づけといたしまして会社法には基本通信についての責務を新電電に求めているわけでございまして、これはやはり全国一本で新会社になるということでございます。  一面から見ますと、今までの独占を保証されていたそういった仕事を全部引き継ぐ会社でございますので、そういった今までの功績のある立派なネットワークをそのまま維持していく責務を持っていただきたいということと、また、財務的に見ましても、採算地域、不採算地域すべてを一本にいたしましてこれが経営単位になっておりますので、今の収入状況まだこれからの電気通信利用状況から見ますと、これは全国にわたる品質保持はできるだろうと私たちは見ているわけでございます。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
  210. 安井吉典

    安井委員 その格差が起きないようなあらゆる努力を期待しておきたいと思いますが、その格差というものが具体的にあらわれてくるのが料金問題だと思います。臨調も「適切な地域間の料金分配システムを確立する。」という言葉を使っておりますし、今、公社の総裁が遠近格差の是正とかそういう言い方をなさっておられることも、またこの委員会でも毎日毎日そのことをやってきているのではないかと思います。現在は独占による総合採算制ですから、近距離はコスト割れでも遠距離の収入でそれを補っている、これは日本だけではなしに世界のどこの国もみんなそういうことでやっているわけであります。  ただ、今度新会社が第二、第三の競争相手として出てきた場合に、どうしても競争の起きているところは下げていくことになっていくし、その反面、市内料金、近距離料金、あるいは日本は格差料金はありませんけれども、アメリカは州単位なものですから田舎の州は軒並み上がっています、その地域格差は非常に大きくなっています、大体公衆電話でさえ町によってみんな違うのですから。このアメリカの場合は、単なる日本で言うところの第一種の競争だけではなしに、分割という要素が加わっているからなおさらなんですけれども、この競争原理を働かせて、競争相手をつくることによって日本の電信電話産業をよくすると言うが、それが結果的には近距離料金の値上げになったんだ、そういうことでは一体何のための電電改革であったのか、こう言われるわけであります。これは局長の方も、それから総裁の方も、ちょっとお考えを伺いたいと思います。
  211. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘の点は、恐らく競争原理にさらされているところの電話料金が、競争原理でもって激しい争いをすることによって低下するのはいいけれども、総体としての収入に欠陥が生じて、それを競争原理の働かない地域においてその収入を得るということになれば困るのではないか、こういうふうに私理解いたして御返事申し上げたいと存じます。  確かにトラフィックの多い区間に新規参入があるのは実は競争原理を導入すれば当然なんでございまして、価格競争によって価格が低下していくというのは市場原理、市場価格でもって自然のことだろうと思います。問題となりますのは、競争の結果がその競争以外の地域に影響を及ぼして、結果的に、競争しない恩恵にあずからないところの利用者が高い料金を負担しなければならないということだろうと思います。これは過度の競争の結果だと思いまして、こういったものはやはりいろいろな措置を講じなければいけないと思います。  一つには、事業体がトラフィックを奪い合うというのじゃなしに、積極的に新規事業を開拓して電気通信事業全体の収入がふえるというような一つの営業行為を盛んに行うということでございます。またもう一つには、競争に耐え得るような効率的な経営をこの機会に十分とっていただきまして、結果的にあらゆる料金が下がって使いやすい料金になるように事業体も努力していただくということだろうと思います。  と同時に、料金の認可というのは郵政省という立場で今回の法律はつくられております。本来、料金認可というような行為を通じてこういったそれぞれの事業体でつくるところの料金をチェックしていくということは必ずしも望ましいことではないのでございますけれども、過度にわたる競争の結果、それが利用者である国民の皆様方の支出の増加になみということになった場合には、認可という行為におきましてそれを是正する行為があっても許されるのではないか、こう思っておりまして、そのような努力の複合によりまして、過度にわたる競争の結果、競争圏外にいる方の料金が上がることは避けるような努力をしていくべきであろうと思っております。
  212. 安井吉典

    安井委員 総裁にお答え願う前に、この委員会で六十一年まで市内料金を上げないというふうなお話をされていることも聞いておりますけれども、その競争が始まるのは六十二年からなんですよ。だから六十一年まで上げないと言って新聞も大きな見出しになっておりますが、競争も何も始まらないのですから、今の状況がただ続くだけですから、六十一年まで上げる要素は全然ないわけですよ。問題は、六十二年以降本当に競争が始まった場合に市内料金のアップというのが起きるのかどうかということなんですよ。その点をひとつ伺います。
  213. 真藤恒

    ○真藤説明員 今の御質問でございますが、私あのとき申しましたのは、六十一年の秋ぐらいにならないと市内料金なり近距離料金を科学的な資料に基づいていろんなことを考えることはできない状態でございますと申し上げたのです。六十一年の秋になりますとそういう資料が出てきますから、それによっていろいろ勉強して、それから先どうするか、そのときから先新規参入が入ってきていろいろ問題が具体化しできますので、それから先に対応をどうするかということで考え始めて遅くはないんだ、そう申し上げたのでございます。したがって、六十一年までは私どもは市内料金なり近距離料金のことを云々する資格は実際はないんです、こういうことを申し上げたわけでございます。そういうふうに御了解いただきたいと思います。  それから、前の御質問でございますが、今、業者としていろいろじっと様子を見ておりますと、現状のように実質上の収入電話だけだ、それ以外のものもありますけれども、全体の収入のパーセンテージからいくとまだ一〇%になってないというのが実情でございます。そういうふうな状況の中で、いろいろ新規参入が入ってきた場合とか、あるいは過疎地帯あるいは密集地帯というふうなものを今の収入のベースで考えますと、今、先生がいろいろ御心配いただいているようなことは多分に心配しなければならぬ問題だというふうに考えております。  ところが、六十三年、四年、五年になりますと、大部分のところがディジタルサービスを提供できるようになりますので、そうなってまいりますと、それまでの間の私ども業者としての営業活動ということも、それから今の郵政なり建設省なりあるいはまた通産省でお考えになっていただいているテクノポリスとかテレトピアとか、そういうふうな御構想に基づくディジタルサービスの新しい使い方というものが地域社会に今よりもずっと、想像以上の変革を及ぼす可能性がだんだん強くなってまいっております。  今でも地方の県庁を中心に御熱心にこの新しいディジタルサービスを行政なり産業なり地域社会の生活にどう利用するかということをお考えになっておる地域はかなり進んだお考えが出始めておりまして、そういうものに対して私どもは全面的に御協力申し上げております。これは御協力というのは言葉が悪いのでございまして、営業活動、いわゆるお客づくり、ある意味で言うとトラフィックの増加の営業活動をするというふうなことをやっておりますが、これが恐らくあと三、四年いたしますと私どものディジタルサービスの普及と同時にかなり具体化してくるということになろうかと思います。  現在総平均で見ますと、殊に地方の方では今の料金で現在よりも一日に一回か二回余計電話をかけていただくと、大抵の地方は黒字になる程度のところでございまして、例えば九州あたりは沖縄も含めておりますからずっと赤字だという常識でございましたけれども、五十八年度から赤字から抜け出しておりますし、それから四国もかなり急速に状況が変わりつつあります。  そういうふうなことで、恐らく競争会社が具体的に操業を始めますまでに私どもが上手にディジタルサービスを地方に早く普及できるような方向に持っていきますと、恐らく競争相手が入ってきたころには地方は地方で経済的に自立できる姿になろうかというふうに想像いたしております。それで、都会地で私どものお客を食われるのを、地方のそういうふうな増収によって補うということも考えなければなりません。  一方今度は、都会地での新規参入と私どもの競争の実態でございますけれども、地方でも今様な動きが出てまいりまして、あと一、二年、二、三年すると通話量というものが随分様子が変わるだろう。また様子が変わるようなふうに、さらに様子が変わりやすいようなふうに、さっき申しましたように、今から二年たつと数字がいろいろ出てまいりますので、それをベースにして、地方は今よりも電話を使いやすいあるいは通信線を使いやすい料金体制に持っていける可能性さえも考えられるというふうに見ております。  一方都会地では、これから電話以外の使い方がかなり急速にふえてまいりますので、この面から来る増収というものが相当なものになると思います。新規参入が少々入ってまいりまして、東京-大阪のようないわゆる繁忙地帯で向こうの収入になる面が出てまいりましても、ちょうどまたそのころになりますと、都会地帯ではいわゆるVAN、第二種の方が具体的にかなり通話量をふやしてくると思いますので、その辺のことを考えますと、新規参入が入ってきたから直ちに私どもが貧乏する、貧乏したそのツケが田舎に行く、あるいは近距離、市内電話料金の値上げに転嫁しなければいけないというふうに、そういうふうにはすぐつながらぬでも持っていける方法があるのではないか。  アメリカの例は、今おっしゃいましたように、あれだけの広大な地域に日本の人口の二倍半か三倍くらいしかおりませんけれども、カリフォルニア一州とほとんど変わらぬ面積にこれだけの人口がおって、これだけの生活レベルをこれから祖先上げていくわけでございますから、アメリカの現在の例をそのまま我々の例に引き直してくるということはちょっと無理かとも思います。そういうことを考えますと、かなり楽観論過ぎるかもしれませんけれども、そうそう新規参入が入ってくるのを重大事件だというふうに考えぬでもいいんじゃないかというふうに考えます。  一方また、私みたいに民間で過当競争とも言われる業界で育ってきた人間の経験から申しますと、やはり何といってもかんといっても独占事業というものは効率性が決していいものではないということもはっきり申し上げられると思います。公共性と効率性ということでございますけれども、これは対立するものじゃなくて、一つの問題の裏表と思っておりますので、そういう意味で、この新規参入というものに対してそう怖がる必要はないんじゃないかというように考えております。
  214. 安井吉典

    安井委員 私は人が悪いものですから、奥田郵政大臣が、技術の進歩と調和した料金体系のあり方を考えていくのが重要課題だというようなことで、今、審議会で相談されたり、あの中では情報量課金システムを取り入れた新料金体系検討をする。あるいはまた総裁も、六十一年までは間違いなく上げません、こう言われることは、何か六十二年以降は市内料金はもうこれは上げざるを得ないという伏線を、郵政大臣も総裁の方もおつくりになりつつあるのじゃないか、私は人が悪過ぎるのかもしれませんけれども、そんな気がしてならぬわけです。  ですから、今も大変自信のあるような言い方をなさっていられるし、この委員会が審議はいつ終わるかわかりませんけれども、今度のこの改革によって、市内料金が今の十円三分を上がることが絶対ないようにという決意をしておく、我々が、これからこの法案が通ったら国会はどうも余り発言の機会がないそうですから、せめて国民の代表としてそれぐらいやってもいいのじゃないか、私はそう思うのですが、どうですか、大臣
  215. 奥田敬和

    奥田国務大臣 法案成立の暁、競争原理を導入して、新電電に移行して、効率的な経営で努力されるという形で、還元するところ、今度の法案の意図するところも、結局は国民に安くて良質なサービスという形で具体化して還元されなければ、今度の法案意味もないわけでございます。今、公社の総裁も申し上げましたように、私は、今日における電気通信技術革新というものはもう目覚ましいものがございますし、必ずやそういった形で還元していただけると思っております。したがって、アメリカでATT分割に見られたような市内料金に転嫁されてくるようなことは厳に戒めなければなりませんし、また料金のそういった問題に当たっては、もちろん国会の先生方と相談して公正、妥当な料金体系を維持してまいらなければいかぬことは当然でございます。  今、公社の総裁も自信を持って、そういった時代に対応しても新規参入がよしんばあって世上言われるようなクリームスキミングのような実態が起きたとしても、自分たちはその間に自助努力によってあらゆる形でそういった形をいたさないという決意表明にも私はとれましたし、また私もそうあるべきだと思っております。そういった形での料金転嫁を一般の国民に与えるということは絶対避けていただくような方向で努力してほしいと思っております。
  216. 安井吉典

    安井委員 ですから、大臣までそういうふうに言っていただければ、この委員会でいろいろな問題を最終的にまとめ上げる、これは今度の国会で通るか通らないかわかりませんよ、しかし、いつかは通るというような段階では、やはりみんな心配しているのはそれなんですよ。遠距離は下がる、これはもう当たり前なんですよ、高過ぎるのですから。しかし、市内料金は安くて世界一なんですよね。これが上げられるのじゃないかという心配をみんなしているものですから、やはり国会は国会として、上げるべきではないというふうな決意を明確にすることが必要なのではないかと思うのですが、委員長、私のきょうの発言をひとつ覚えておいていただきたいと思います。  それから、アメリカではライフ・ライン・サービスというのがありますね。生命線サービスというのですか、日本では福祉電話だとかそういうものだろうと思うのですけれども、今度の改革では、おくれている地域をカバーするためのユニバーサルサービス基金ですか、そういうような考え方とかあるいはアクセスチャージの法案だとか、そういうようなものも同時にFCCは提起しておりますね。なかなかそのとおり国会が通らないわけなんですけれども、一応大きな改革では生ずべきいろいろな事態を配慮しながら、僻地の問題に対して法律的にこれまでやったらどうだ、ユニバーサルファンド、あまねくサービスが行き届くためにはおくれている地域に、特にこれは遠距離会社がもうかるのですから、そこの会社から出してもらうとか、アクセスチャージも大体そんなような考え方に近いわけです。  それからまた、それによってライフ・ライン・サービスを維持するとかそういうような提起があったのですけれども、日本の政府は今度のこの大きな改革の中でそういう御提起は少なくも法案という格好では一つもないのですよ。その点私は不満に思うわけであります。今は福祉電話というような意味のことを私は取り上げたわけでありますけれども、アメリカでは生活の苦しい人には電話料金を半分ぐらいにしていますね。そういうような考え方もやはり生かしていただくということが必要じゃないかと思いますが、どうですか。
  217. 岩下健

    ○岩下説明員 今、先生おっしゃいましたいわゆるユニバーサルファンド的なものについての直接のお答えにはならないかもしれませんけれども、先ほどのいわゆる過疎地ないしは僻地に対するサービスの低下あるいは料金の格差の問題の御質問にもつながるものと思いまして、お答えさせていただきます。  先ほど郵政省の方から御答弁がございましたが、私ども事業者の立場に立ちますと、情報のいわゆる地域格差の解消、是正ということが私ども通信事業に携わる者にとっての大きな社会的な命題、責務の一つと考えておるわけでございます。過去三十数年、公社時代におきまして、先生も御存じの自動改式を初めといたしまして一連の施策を全国あまねく実施をしてまいりました。こういった考え方は、今後新会社になりましても、当然、これは私ども事業経営の基本方針の一つとして堅持をしてまいるつもりでございます。  その場合に考えなければいけないと思いますのは、例えば、今申し上げました僻地対策の代表といたしまして昭和四十八年から計画的に実施をしてまいりましたいわゆる加入区域の拡大、つまり特別の御負担なしに電話をおつけできる区域を計画的に広げるということを、ことしを含めまして過去十二年間実施をしてまいりまして、五十九年度現在では全国くまなくほとんどすべてが普通加入区域になるということになりました。また、一時ございましたいわゆる地集電話、これは非常に使い勝手が悪いものですから、これにつきましても一般加入電話への切りかえについてもこれまた過去十年来計画的に実施してまいりまして、既に完成をいたしました。さらに、これは過疎地域だけではございませんけれども昭和四十四年度から防災対策といたしまして、非常事態においても僻地を含めまして通信の途絶を防止するような施策を講じてまいりました。こういった今申し上げました三つの施策を合計いたしますと、すべて採算に乗るものではございません。いわゆる非採算投資でございますが、自動改式を除きましても約一兆八百億円という投資をしてまいりました。  ある意味では、こういった施策が可能でありましたのも、片方で、いわゆる企業性といいますか、功利性といいますか、これに努力をしてまいりまして、そういった非採算投資もあえてして、つまり公共性を実現できるような企業としての財務のタイリョク、タイリョクは耐える力であり、体の力でありますが、こういったものをバックにして初めて可能だというふうに考えております。したがいまして、新しい会社になりましてからもこういった公共性責務を具体的に担保するためにも経営の効率化、また競争場裏におけるさらに一層の経営の努力ということを重ねてまいりまして、また、そういったことによりましてそういう意味の情報の地域格差の是正、解消ということは可能だろうというふうに考えておるわけでございます。     〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
  218. 安井吉典

    安井委員 とにかく、生ずべきさまざまな矛盾や問題に対するきめ細かな対応が必要だということを私は指摘しているわけであります。  それから附帯的達成業務というのがありますね。国内の電気通信事業を有効にする事業を新電電がやる場合、これは何か一々認可が要るのですね。認可事項の中に入っているようでありますけれども、それこそ創意工夫を凝らしながら新電電が附帯事業をやるのに認可というのは要らないのじゃないか、私はそう思うのです。専売の新法でも附帯事業の認可は不要ということになっているように思いますが、どうですか。
  219. 小山森也

    小山政府委員 新会社は、今回、法案で出しておりますように特別な法律上の使命を持った会社でございまして、その目的を常に達成するということが必要であるわけでございます。しかし会社設立の趣旨、目的に反しない限り幅広い事業活動を行い得るというのは当然でございます。  ただ、この問題といたしまして、会社それ自体が附帯業務、目的達成業務というようなことで自主的に判断するのですけれども企業意欲によって創設されることはまたえてして恣意的になることもある、特にこういった附帯業務を拡大することによりまして本来業務が機能しないというような面が出ますと、これはもともと公共料金で支えられている事業でございますので、客観的な因で認可事項としていこうという考えでございます。
  220. 安井吉典

    安井委員 今、御答弁がありましたけれども、恣意的で何をやるかわからぬという面もあるから、そういう疑心暗鬼で新会社を見ているということ自体に私はどうも問題があるように思うのです。私はこれは要らぬと思います。  そのほか、独占禁止法のかかわりだとかデータ部門の分離の問題とかいうのもあるわけですけれども、今まで皆さんがおやりだそうですからこれは抜きます。  この法律による新会社一体どんなような経営見通しになるのかということを私は少し数字で示していただきたいと思います。やはりどんなものになるのか心配です。今まで税金も払っていないわけですし退職給与引当金などというのもないのですから、会社法が適用になり法人税がそのまま適用になるということになるとどうなるのかという点であります。  きょうは大蔵省と自治省からおいでいただいておりますので、新会社はどんな経営になるかわかりませんが、去年の経営状態を見て国税あるいは地方税のどういう税金が大体このくらいになるだろうという試算をお願いしてあるのですが、どうでしょうか。
  221. 日高壮平

    ○日高説明員 先生御承知のように、税収がどのくらいになるかという場合には、利益なりあるいは今後の資本金の額を最終的には設立委員の方で決めていただくことになりますが、そういった幾つかの不確定要素がございますので、現段階では確たることは申し上げられないわけでございますが、仮に五十七年度の利益、決算ベースで三千七百億円でございますが、これをベースに極めてラフに大ざっぱな計算をいたしますと、国税、地方税合わせて二千億円程度になるのではないか、ただこれは極めてラフな計算でございますので、その点御承知おきいただきたいと思います。
  222. 丸山高満

    ○丸山説明員 地方税関係でお答えを申し上げますが、今回の経営形態の変更に伴いまして、日本電信電話株式会社につきましては現行の市町村納付金制度をやめまして原則的に地方税を課税させていただきたいと考えておる次第でございます。  ただし、固定資産税につきましては日本電信電話公社から出資されます一定の基幹的な設備に係ります償却資産につきましては、税負担の緩和を図る趣旨から五年間課税標準の二分の一の特例措置を講ずることにいたしたいということで、別途地方税法等の改正法案の御審議をお願いしておるところでございます。  この新しい日本電信電話株式会社の地方税の負担につきましては、先ほど大蔵省の方からも答弁がございましたように、将来のことでございますので不確定要素が極めて多うございます。ただ五十八年度の納付金の算定基礎となりました試算等をベースといたしまして算定をいたしますことが可能な税目でいたしますと、つまり固定資産税、事業所税、都市計画税の三税でございますけれども、これで試算いたしますと初年度においては約九百五十億円程度となろうと思います。ちなみに、五十八年度の納付金額は五百八十一億円でございますので、その差だけが増加をすることになろうと思います。  なお、道府県民税、市町村民税及び法人事業税につきましては相当の増収が見込まれると思っておりますけれども、具体的な点につきましては課税標準額がわかりませんので、明確なお答えができません。先ほど大蔵省の方で包括的に申し上げました数字にほぼ近いのではないかと考えておる次第でございます。
  223. 安井吉典

    安井委員 先ほどの大蔵省のは地方税も含めてということですね。ですから、結局地方税国税合わせて二千億円、そういうことですか。
  224. 日高壮平

    ○日高説明員 個々の税目について一々計算できないものでございますから、現在の一般の法人の実効税率といいますか五〇%くらいということを前提に、したがって国税地方税合計いたしました額が大体二千億ぐらいではないだろうかということでございます。
  225. 安井吉典

    安井委員 株式の配当はどれくらいを見込むのですか。
  226. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、新会社が発足いたしまして新会社の経営陣の判断によるものでございますので、今から予測することはできないわけでございます。また同時に収益というものも、非常に不確定でございますので、今、確たる数字を申し上げるわけにはいかないのでございますけれども、いろいろ資本金の総額等とも兼ね合いがございますので、ちょっと数字でもってお答えすることはできないわけでございます。ひとつ御容赦いただきたいと存じます。(「大体一〇%ぐらいと言ったよ」と呼ぶ者あり)何かお聞き違いかと思います。私はまだ数字は申し上げたことはないのでございまして、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  227. 安井吉典

    安井委員 財政収支というのは一応胸算用ぐらいはできているのじゃないかと私は思ったのですが、これはもう少し先でもお答えは結構です。  株の売却益の問題について何度も何度も皆さん質問をされていると聞いておりますが、これも郵政と大蔵の戦争になっているということのようですが、予算総則に掲上するという規定の仕方はまさか予算総則の支出じゃないでしょうから、これは歳入ということでしょうね。ということは、法律的にこれはもう国庫に入るのだということを決めてしまっている案だというふうにも受け取れるのですが、その辺はどうなんですか。
  228. 日高壮平

    ○日高説明員 予算総則に掲上いたしますのは、いわばその年度一年間における売却の限度数でございます。したがって、それではその歳入云々ということになります場合には御承認いただいた売却限度数の範囲内で売却することになるわけでございますけれども、一株当たりどのくらいかということをその都度見込みを立てて計上しなければならないということになるわけでございます。
  229. 安井吉典

    安井委員 このことはもう随分ここで議論されているそうでありますから、深く触れませんが、政府の持ち株にも配当はあるわけですね。
  230. 小山森也

    小山政府委員 今のたてまえとしては、政府の持ち株にも配当いたします。
  231. 安井吉典

    安井委員 臨調の答申の中には、株の集中制限をすべきであるという書き方がありますね。それにはどういうふうにこたえるおつもりですか。
  232. 小山森也

    小山政府委員 臨調の答申の中の精神は、あれは分割をたてまえとしたものですから、今回の会社とは基本的な考え方が大分違っておりますけれども、要するに、これがある特定の人の支配に入るというようなことを避けるという意味での話だと思います。  今回の問題といたしましては、三分の一以上は国が所有するということにいたしまして、いわゆる特別議決権というようなものがそこに生じないように、特定の人間の支配から国の保有株によって守っていくという措置をとっているわけでございます。
  233. 安井吉典

    安井委員 これは、もっと先の問題かもしれませんけれども、いずれにしても、株を放出し、公開するという段階では、もうこれは大変な問題になるわけですね。それこそ、電電の、国民の共有財産を売り渡し、まず政府が懐に入れて、あとお金を持っている人に渡してしまうというふうに受けとれかねないようなあり方は、大臣、絶対避けてもらわなければいかぬわけですね。今まで随分議論があったそうですから、そのことだけ大臣に特に申し上げたいと思います。どうですか。
  234. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおり、国民形成のもとにできた公社のそういった資産、それを新株として将来にわたっては売却して、その使途は別といたしましても、そういった形の沿革をよく考えた場合に、国民にいささかの疑念が持たれたり、あるいはその株の分配に当たって特定な人に特定の配分というような形は厳に避けて、国民注視の中で、国会の先生方の承認も得た後の株売却になるわけでございますけれども、その点については、厳に注意してまいるということは当然であろうと思います。
  235. 安井吉典

    安井委員 第二電電、第三電電という問題について、ちょっと触れてみたいと思います。  アメリカの場合、AT&Tにはエンド・ツー・エンドという規制があるわけですが、新事業法にはその規制がありません。それよりも、アメリカの場合、MCIとかGTEとか、たくさんの新入り会社が乱立をして、共倒れになっているという事態がもう既にあらわれているわけであります。そういうのを見てかどうか知りませんが、奥田郵政大臣は、新聞で見ますと、今、名のりを上げているのは四つぐらいあるわけですか、それが余り乱立して、国民経済的なプラスにならないようでは困るというふうな言い方をなさって、これは、それの統合が必要だというふうに言われたのかどうか知りませんけれども、何かそういう意味に受けとめられるようなお話があったそうですが、それはどうなんですか。
  236. 奥田敬和

    奥田国務大臣 決してそんな、新規の会社が新しい競争場裏に入ってきて、競争原理を働かしていただかなければならぬわけですから、決して需給調整のような形でのそういったお話に、記者懇談の席で話したことでございますから、出ておった記事は各紙各様に全部違っておりますから、クリームスキミングして、いろいろな形でとられた傾向はございますけれども、しかし、私が言わんとしたことは、ここではっきりさしておきますけれども競争原理を導入するということで、新規参入は大いに歓迎であるということが第一点。  しかし、現実論としては、回線をみずから持っての通信事業を営むということになりますと、資金、技術、人材、しかも、そういった公共的使命を達成する上においては、的確な経営モラルを持った事業体でなければならぬ等々、いろいろ適格要件等を備えたということになりますと、なかなかそう簡単にだれでもやれるという性格のものではないということを、まず言ったわけでございます。したがって、今後、そういった形の参入が行われるに当たっては、これらの適格性を備えた方々がそれぞれの立場で知恵を絞って協力し合わないと、なかなか物にならないのじゃなかろうかという自分の私見を述べたわけでございます。それを比喩するに当たって、ガリバーと小人というような表現の中で、新規参入を志している人を別に小人になぞらえたわけではありませんけれども、こういう人らもある程度の協力体制でないと、とてもじゃないけれども、何といっても、電電は新電電になっても巨大でございますし、その持てるネット、それに持てる人材、持てる技術、あらゆる角度から見ても、それはもうまさにガリバーと小人的な戦いであって、それをやるためには第二電電、第三電電、仮に参入するといたしまして、あくまでも競争的協調という言葉、これは電電の総裁も使っておるわけでございますが、そういった形の中で、健全な競争原理で公的な使命も全うしていただくという、二重のそういった条件の中でやるためには、そうあった方がいいのではなかろうか。また、そして将来においては今いろいろな声が出ておりますけれども、施設を持つ人、それを利用する人、そういった立場の人たちが、お互いに協力姿勢で、第二電電企画というものがいくのじゃなかろうかな、そういった知恵を出し合う時期が、実際の実現段階にいくと、そういった動きも出てくるのじゃないだろうかなという程度の発言をしたということでございます。
  237. 安井吉典

    安井委員 もう一つ、その第二電電のダイヤルのけた数の問題がありますが、アメリカは、AT&Tは日本と同じ十けた、しかしMCIとかGTEは二十二けたですね。その二十二けたと十けたの差が、料金の大きな差がある、遠距離は料金は安いですからね。それを不便さというので若干カバーしているということのようであります。しかし、アメリカもそれではイコールフッティングにならないというので、それぞれが同じけた数になるような方向での方向づけをしているようでありますが、この委員会で、第二電電のけた数の問題について二十けたですか、何とかというふうにおっしゃったそうでありますけれども、それが交換機の取りかえや何かでプラス五けたくらいで済むのじゃないかというふうなおっしゃり方だったそうでありますが、その費用は一体どちらが出すのですか。そして、そういう問題はいつごろ処理されるおつもりか、それを伺います。
  238. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  先ほどの当委員会で、二十数けたという話をたしか公社がいたしましたが、これはやはりアメリカと同じような状態の場合を申し上げまして、実際に私ども考えておりますのは、やはり基幹回線新規参入がまず具体的には入ってくるんじゃないかと思います。そうしますと、アメリカとまた状態が若干違いまして、今、先生がおっしゃったように、数けた以内で恐らく実現できると思いますし、それが新規通信事業者の回線を優先的に予約して使う、こういうことになりますと、全く同じに扱うことができると思います。これは技術的には別に難しい問題でもありませんし、実行可能と思っております。  そのときの費用につきましては、これはやはり私どもは、新規参入側の方が費用を負担していたたくものだと思っております。
  239. 安井吉典

    安井委員 アメリカの例ばかり挙げるわけでありますけれども、AT&Tとそれをイコールフッティングにするために、プラス四けた、つまり十四けた、十四けたでどちらもやる、それでイコールにするという考え方があるようでありますけれども、日本の場合どうなんですか、その場合。  だから、そうなりますと、競争を働かせるという上において、遠距離は料金は下がるかもしれないが、現在かけている公社の人も全部四けた余計に回させられる、第二電電とイコールにするためにですよ。そういう問題が起きるようでは、これは何の競争原理か。今、我々は十けたで全国かけているわけです。それを新しいものと一緒にするためにこっちもけた数をふやさなければいかぬ、そういうような言い方では、国民はなかなか納得しないと思うのですが、その辺はどうお考えですか。
  240. 山口開生

    ○山口説明員 ですから、ただいま申しましたように、初めにこちらの回線を使うというふうに登録されておりますと、けた数というのは、現在より一けたか二けたはふやさなければいかぬと思いますが、その程度で済むと思いますし、それから、そうでなくて新電電回線も使う、それからいわゆる第二電電回線も使う、両方使うというような格好になりますと、その辺の識別をするために二けたぐらい、あるいはもうちょっとになるかもしれませんが、上積みになると思います。
  241. 安井吉典

    安井委員 公社の方もですか。
  242. 山口開生

    ○山口説明員 公社自体は従前どおりでございます。
  243. 安井吉典

    安井委員 これはいろいろな問題が出てくると思いますので、さらに検討していただきたいと思います。  郵政大臣昭和六十二年からですか、新しい第二電電や第三電電ができるようになったら、郵政省は新電電を使うのですか、それとも第二電電を使うのですか。
  244. 奥田敬和

    奥田国務大臣 監督官庁という言葉がどうかわかりませんけれども、我々はやはり、役所の効率性、経費の面も含めて、恐らくそのときの担当大臣が決めると思いますが、私は先ほども言いましたように、双方好ましい形での競争的協調の中で、いい意味の効率性を発揮していただきまして、お互いに似通った形の安い料金という形で還元されるならば、双方平等な形で使うことが一番好ましいと思っております。
  245. 安井吉典

    安井委員 これはテキサス州の州政府で聞いた話なんですけれども一定回線を保証することで料金を安くしてもらえるという仕組みがありますね、今の電電でもあるわけですが。つまり御料金ですか。そういうことになりますと、MCIやGTEの方もこうやって来るわけですよ、私の方はこれだけおまけしますと。だから、それはテキサスの場合は入札です。大臣が勝手に決めるということになると、今度は請負業者と同じなんですから、これは今までと違うわけですね。国なり自治体はどちらを選択するかということになるわけです。それは六十二年に第二電電以下がどんな格好でできるのかにもよりますよ。よりますけれども、アメリカの国や自治体はそこまで今迫い詰められています。それは請負業者もいろいろなあれがあっても、私はだれです、こういうふうに勝手にいかないのですからね。それと同じようなことになるわけですよ、電々も公社じゃないのですから。だから、そういう問題も起きてテキサス州政府では、それによって電話は、交換機から何から全体的なあれで、そのつけかえやなんかで、ことしの電話の予算は普通の年の予算よりも二五%ふえます、こう言っていました。そういう問題も起きてくるのですね。ですから、新しい問題との取り組みにおいては、何かやらせておけばいいんだ、何とかなるだろう、ケセラセラというのがありますが、そういうようなことで第二電電の問題を考えていては、私は、大変困る事態が起きると思いますよ。そのことを一つ指摘しておきたいと思います。  それから、特別第二種の基準が、政省令事項の資料をいただいた中でははっきり書いてありませんね。これはどういうのですか、その後の検討の結果を教えてください。
  246. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、本委員会に御提出申し上げました内容には入っておりませんが、その後、当委員会の質疑に対しまして私から申し上げておりますが、特別第二種のこれは法律によって、どれくらいの回線数にやるかを政令で決めろ、こうなっておりますので、どれくらいの規模かということにつきまして、大体の見通しといたしまして、千二百ビット換算五百回線程度ということを一つの限界にして特別第二種と一般第二種に分けたい、こういうふうな郵政省原案を持っているということを申し上げました。
  247. 安井吉典

    安井委員 それはほかの省とももう調整済みなんですね。
  248. 小山森也

    小山政府委員 これはまだ法律ができておりませんので、各省照会をするというようなことは形式的にもできないということでございまして、あくまでも郵政省原案でございます。
  249. 安井吉典

    安井委員 アメリカの話になって恐縮ですけれども、これはアメリカの商務省の高官でありますけれども、パーティーで会ったら、電電の今度の法律の中で、外資の問題でアメリカの言うとおりになったでしょうというような話をしたら、いや、それはそのとおりになりました、しかしまだ政令が残っています、こう言いましたね。私もびっくりした。とにかく、郵政省よりも詳しいというわけにいきませんが、我々より詳しいことは間違いないですよ。国際的にもそれぐらい大きな関心の的になっているのですね。国内的にはもちろんですよ。ですから、これはやはり郵政省だけの考え方でいけるわけはないのですから、この審議が終わるまでの間にはやはり明確にしてもらわなければいかぬと思いますよ。  我々は、政省令の内容を明らかにしなければ審議に入れませんよと言った。ところが出してこられたものは、まだこれからです、こう書いてあるわけですから、それでは何も我々の要求にこたえた資料提出の姿じゃないと思いますね。だからやはり、こういう何から何までと私は言いませんけれども、この法律の運命を決するような重大な問題については、それは法律さえ通れば後で決めますよ、では我々は納得できませんからね。ひとつ大臣、はっきり法律の審議中にそれは明確にすべきだと思いますが、どうですか。
  250. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘の趣旨はよくわかりますけれども、この法案がある程度成立しないと、各省間のそういった細部にわたっての特に第二種特別、VANの問題を含めてのことでございますけれども、すり合わせはなかなか事務的には困難ではなかろうかと思います。もちろん水面下と言ったらおかしいですけれども、既に内々には郵政原案というものは、各省に示しておるという段階でございます。
  251. 安井吉典

    安井委員 それは法律が通らなければきちっとした処理はできないのはわかりますけれども、それが明確にされなければこの法律通しませんよ、あるいは通りませんよ、そういうことでやはりお話し合いがされて、ここで明確に示していただく、私はそうでなければいかぬと思いますね。
  252. 奥田敬和

    奥田国務大臣 したがって、郵政原案で決まるように、先ほど先生には郵政原案の形での一つの数字的根拠を示したと思っております。
  253. 安井吉典

    安井委員 そのことを重ねて言いませんけれども、お願いしておきます。  それから、郵政大臣規制が至るところに郵政大臣郵政大臣と出てきて、これはもう大臣随分この法律通ったらお忙しくなるんじゃないかと思うのですが、これは郵政省の機構そのもめは、中央及び地方の機構の拡大になっていくんじゃないかという心配があるわけであります。それでは行革逆行ではないかということで心配をしています。それがあるからというわけでもありませんけれども、私ども電気通信監理委員会というものの設置を提唱しているわけです。つまり、今は何もかも郵政大臣ばかりですけれども、アメリカのFCCが頭にあるわけでもありませんが、少なくとも料金の認可事務、これは別機関で処理をする。その中には利用者代表も入れていただいた総理直属の行政機関というようなもの、そういう行政機関をつくってやるということが大切なことではないかという考え方を持っております。その二つの点について伺います。
  254. 奥田敬和

    奥田国務大臣 補足する点は担当の局長答弁させますけれども、確かに、特に料金認可というような問題は、国民生活なり産業経済全般に及ぼす影響というものは直接的でございます。したがってそういう点、公正妥当な一つの料金決定の原則、そういった効率的な経営の中から生まれてくる適正料金等はどういう形でやったらいいかというような形は、今、電気通信審議会において諮問もいたしておるところでございます。  したがって、私は午前中の方にもお答えいたしましたけれども、そういった料金認可に当たりましては、国会の当委員会でも認可に当たる経緯等については慎重に御相談してまいる、そして国民からいささかの御批判も受けないような形での手続と申しますか、そういった形の中で認可を決定していくという形が妥当であろうということでお答えしたわけでございます。  ただ、そのために新しいFCC的な、独立的なこういった形をつくった方がいいか悪いかという形の議論になりますけれども、その点は今のところ考えていないところでございます。
  255. 小山森也

    小山政府委員 先ほどの許認可の件でございます。非常に細かいことでございますけれども、数字が出ましたので申し上げますけれども、まず公衆電気通信法事業法との関係でございますが、現在、公衆電気通信法、現在の法律でございます、これの許認可件数は三十四でございます。これに対しまして、電気通信事業法では六になっておりますので、非常に減っておるわけでございます。  それから、それでは類似の例えば電気事業法、電力でございます。電気事業法や道路運送法との関係はどうかということでございます。  まず許可の件数でございますが、電気通信事業法では八になっておるのに対しまして、電気事業法二十一、道路運送法十六。次に、認可は、同じように電気通信事業法十九、電気事業法は十五で四件少ないです。ところが、道路運送法では二十四でございます。それから届け出は、電気通信事業法が三十、電気事業法が三十四、道路運送法二十七でございます。  合計いたしますと、許可、認可、届け出合わせまして、電気通信事業法では五十七、電気事業法では七十、道路運送法では六十七ということになっております。  あえて数字を申し上げまして、いろいろな横並びの問題とかそれから今までの法規制の比較、よく御批判いただきたいと存じます。
  256. 安井吉典

    安井委員 まだたくさんありますけれども、時間ですから終わります。
  257. 志賀節

    志賀委員長 次回は、明六日金曜日午前十時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会