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1984-04-12 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)     午前十時十二分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 戸井田三郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 鈴木  強君    理事 武部  文君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       額賀福志郎君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    森中 守義君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊藤 博行君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         日本電信電話公         社業務管理局長 神林 留雄君         日本電信電話公         社計画局長   池澤 英夫君         日本電信電話公         社施設局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社宅内サービス         本部長     山本 千治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     児島 光雄君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 四月十一日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願(川崎寛治君紹介)(第二五三四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 大臣所信表明に対する質疑を行うわけでありますが、私は時間の関係がございますので、郵政事業に限って質問をいたしますので、御回答をいただきたいと思うのであります。  今、郵政事業は、私どもから見ると大変な状態になりつつある、こういう認識であります。郵政事業は、郵便貯金保険の三事業一体となって行われ、それが全国二万数千の郵便局を通じて、国民経済生活の向上やあるいは福祉の増進、そういう面に非常に大きな役割を果たしてきておる、こういう理解を持っておるわけであります。  今日、郵便宅配便の急増によって大変な事態になりつつある。しかし、今日郵便というのは、ことしのような大変な豪雪のもとでも、山の中の一軒家あるいは離島のどんな小さな島にも、ただの一枚のはがきでも、小さな小包一個でも確実に届けられる。これは利益を前提とした民間にはとてもできるはずがないし、また、利益至上主義民間がそういうものに手を染めるはずがないのであります。それだけに、この郵政事業というものは公共事業として大変大きな役割を持っておるし、これからもまた国民のそういう期待にこたえていかなければならぬ、そういう事業だと思っています。  特に、簡保貯金は、いずれも庶民を対象としたものでありまして、しかも、この集められた金は財投という形で国家財政に大きな寄与をしておる、こういうふうに理解をしておるわけですが、今、金融機関大蔵省と組んで、郵便貯金利子課税あるいは利子一元化、そういう問題をごり押しをしてきておる、こういう事実は当委員会で何回か指摘をしてきたところであります。  今度、五十九年度の予算折衝をめぐって我々は、少なくとも、十年も据え置かれた貯金制限額引き上げられ、あるいは資金自主運用が拡大をされ、簡保に至っては八年間も今日制限額が抑えられておる、そういう問題についても引き上げ、あるいは新しいサービス商品として認められる、こういうふうに理解をしておったわけでありますが、郵政省の五十九年度の郵便貯金保険、三事業に対するところの要求はことごとく退けられてしまっておる。こういう事実を見るときに、一体こういうことで国民に奉仕するところの郵政事業と言えるだろうか、一体郵政大臣は何を目玉に五十九年度の予算折衝をされたのか、これを最初にお伺いしておきたい。
  4. 奥田敬和

    奥田国務大臣 大変微力な大臣であったがゆえに、今回の制度改正にまでこぎつけることができなかったということは、大変遺憾に、残念に思っております。  ただ郵政事業国民生活にとって重要なことは御指摘のとおりでございます。郵便にしても、わずかずっとは言いながらふえておるという現況でございますし、年間百五十五億を突破しておる。微増ではありますけれども、郵便宅送もふえておるという現状でございます。しかも郵便貯金に至っては、ここのところ、可処分所得と申しますか、そういったものの停滞に影響されましてふえる形は少なくなっておるとはいえ、八十五兆円という巨額、巨大な蓄積を誇っておるわけでございますし、簡保にいたしましても、五千三百万件近くの加入、二十二兆円の資金という形で、まさにこれら三事業は、もう国民生活国民経済にとっての枢要な役割を果たしておるということでございます。  したがって、私も今回の予算折衝に当たって、今、御指摘のように、従来、マル優三百万を五百万、そしてまた簡保の一千万から一千八百万、一千三百万とそれぞれの制限額引き上げ、あるいは一兆円の国債自主運用等々については努力いたしたわけでございます。しかし、先生御存じのとおり、マル優限度非課税、しかも、簡保に至っては無審査という、一つの聖域に近い非課税、無審査という枠を崩さないで、かつ限度引き上げるという点においては、折衝した大蔵当局との間にかなりの抵抗があったことも事実でございます。しかし、何とか簡保制限額引き上げ、今、長年にわたっての要望が、多少今回の折衝では物になるのじゃなかろうかと思って最善の努力をいたしたところでありますが、引き続き大臣折衝という場にも持ち込んだわけでございますが、来年に大蔵郵政協議事項として引き続き協議してまいるということの担保は得たわけでございます。したがって、機は熟しつつあると思っております。ただ郵貯自主運用の突破口を開くことができなかったことも大変残念でございます。しかし、大蔵は一元的な運用ということで、その点についても相当な強いこだわりを見せたことも事実でございます。しかし、これらも明年度にかけての一つの重要な両省間の折衝事項として努力して、実現に向けて頑張ってまいる所存でございます。
  5. 武部文

    武部委員 いろいろ困難な面があったことは我我承知をいたしておりますが、いずれにしても五十九年度の予算にそのような過去のいろいろな懸案事項が解決されないままに終わったということは大変残念であるし、我々はこれからも郵便貯金保険事業一体となったそういう郵政事業を、国民期待にこたえるためにもしっかり頑張っていかなければならぬ。そのためにも今お述べになったような足がかりはひとつ次に成果が上がるように大いに努力をしてもらいたい、このように思うわけであります。  新しい情報通信の時代に入りまして、それもしかも急ピッチでやってくる、こういうことになるわけですから、これに対する対応も確かに必要であることは十分承知をしています。しかし、郵政省設置法の第三条は明確に郵政省任務を定めておるわけでありまして、第三条は、郵便事業貯金事業簡保郵便年金事業として、この三つは事業としてはっきりと郵政省任務として定めておるわけです。四番目に「電気通信に関する事務」という項があるわけです。少なくとも郵政省任務は三事業電気通信に関する事務であります。今の状態はむしろ事業の方がおろそかになって事務の方が先に立っておるじゃないか、こういうふうに思われてならぬのであります。今度の五十九年度の予算折衝等を見ておっても、やれ衛星だ、やれ放送だあるいはVANだ、電電公社経営形態だとか、そういうものには血道を上げてやっておるが、肝心かなめ郵便保険貯金ということについては忘れておるのじゃないかという気がして実はならぬのであります。私は、事業事務を混同してしまって事務の方に余りにも力を入れて、郵政省は何のためにあるのかわからぬようなことになりはしないか、このことを大変恐れるのであります。  こういうことに余り時間をとっていけませんが、そういう意味で制限額の問題やあるいは限度額の問題や、シルバー貯金なんていうのはいつの間にやら消えてしまって、ついこの間参議院でちょっと出てきた。シルバー貯金というのは前の大臣はみんな就任するといつもお国入りしてぶち上げておったものですが、今度は大臣の口からシルバー貯金ということが出ぬものだから、私は大変不思議に思っておりました。この間参議院でその話が出て、シルバー貯金については大臣もぜひ実現させたいものだ、大蔵省は何か反対をしておるようですが。そういうことは高齢化社会の中では大変期待をされておる新規事業ですから、ぜひひとつ実現のために努力をしていただきたい、こういうふうに思うのであります。こういう状況になってきますと、利子一元化だあるいは利子課税だ、こんなようなことがどんどん出てきて、事業の点に対する熱意が本省にあるだろうか、こういう点で職員の側から見れば勤労意欲というものが低下するおそれはあるのです。ですから、今、大臣がお述べになったようなそういう気持ちでぜひこれから取り組んでもらいたい。  きょう私は時間の関係で全部が言えないのは大変残念ですが、具体的なことを一つお聞きいたしましょう。大臣はこの本をお読みになりましたでしょうか。「郵貯は崩壊する」という本でありますが、お読みになりましたでしょうか。
  6. 奥田敬和

    奥田国務大臣 広告あたり題名は見たことがございますけれども、私は郵貯は崩壊しないと思っていますから、センセーショナルな見出しで本を売るものだなということでございます。
  7. 武部文

    武部委員 わかりました。私がこの問題を取り上げるのは、郵便事業あるいは保険事業、そういうものについてこの本は大変誤ったことが書いてある。こういう点について、著者著者だけに私はこれを無視するわけにはいかぬ、こういうことからこの問題を若干取り上げてみたいと思うのであります。  かつて郵貯懇が答申をいたしました後、大々的な新聞広告が出たのであります。この新聞広告は当委員会でもいろいろ問題になりまして、質疑がとり行われました。こういう大きな新聞記事全国紙を通じて大変たくさんばらまかれたのであります。これは大変内容が重要でありまして、当委員会でもいろいろこのことについての質疑が行われたことを私は記憶をいたしておりますが、今度出されました「郵貯は崩壊する」という加藤寛山岡陽一というお二人の共著の骨子はこの流れと実は同じなのであります。ほとんどこれとつながれたものであるというふうに、読んでみると理解ができるのであります。しかもこの本は、我々逓信委員の部屋には配付されないで、逓信委員以外の国会議員全員に配付されたのであります。そういう内容を持った本でございますが、この本はことしの一月に発売されておるようであります。もう既に二版になっておるようでありますが、この加藤寛山岡陽一、お二人のうちの加藤寛さんというのは、御承知のようにかつて臨調委員をされあるいは第四部会部会長をされた著名な方であります。それだけにこの本の与える影響というものは私は無視できないと思うのであります。  この内容を見ますと、まず今おっしゃったように、題名からしてまことにショッキングな「郵貯は崩壊する」という題名になっておるわけでありますが、少なくとも臨調委員でもあり、第四部会長でもあったような、言うならば準公務員でもあるような人が臨調委員当時の資料をネタにして金もうけを図るというようなことはけしからぬ、こういってひんしゅくを買っていることも事実でございます。この資料は恐らく当時提出された資料を全部もとにして書かれておることはだれが見ても明らかでございます。それで、この題名そのもの郵貯とはっきりなっておるわけであります。もし仮にこれが民間の特定の銀行名を挙げて、何々銀行は崩壊すると書いてあるというとどういうことになるでしょうか。同じことであります。この本は郵便貯金国家銀行になぞらえて書いてあるのであります。紛れもなく郵貯であります。郵貯は崩壊をする。もしどこどこの銀行は崩壊するといって書いて本を出したらどういうことになりましょうか。同じことであります。しかも、そういう地位にあった人がそういうような資料もとにしてこういうことをお書きになるということについては、私は大変遺憾なことだというふうにも思うのですが、これは自由ですから、お書きになっても結構でしょう。それならば、一体この内容はどういうことを書いておるか、貯金保険中心であることは間違いありません。貯金保険中心になっています。これだけ貯金もあるいは郵便も本当に、それこそばかだちょんだぐらいに攻撃されて、これに全く反論をしないというのは、私は大変疑問に思うのです。各三事業ともPR紙をちゃんと持っておるのですよ。いっぱい持っておるんだ。それならば、これが出れば即座にそれは誤りである。これだってそうですよ、郵便貯金コストを考えずに経営しておってちょうど今の国鉄みたいなものだ、間もなく大変なことになる、「郵便貯金が肥大化すれば、国民経済が疲弊する。困るのは庶民です。」と書いてあるのです。そういうことを言われ、しかもこれでもけちょんけちょんにぼろくそに言われて、そうしてこれに対して何にも反論をしないというのは一体どうしたのか。三事業ともPR紙をちゃんと持っておるのですから、この中に書かれておることは誤りである、間違いであるということを堂々と主張し、そして、毎日一生懸命になって歩き回って貯金をし、保険も募集しておる職員にもそういう自信を持たしていかなければいかぬ。もしこの本を読まされて意気消沈してしまったらこれは事業の進展どころの話じゃないですよ。今、貯金事業だって保険事業だって、奨励とか外務とかという名前を今度は営業という名前に変えようとしておるでしょう。そこまで発想を変えてもう営業だ、商売だ、そういう気持ち本省の方でもなりつつあるならばこれに対する反論は堂々と早くやって、誤り誤りとして、またあるいはうなずけるような点があるかもしれません。その点はその点として、率直に反省すべき点は反省しなければいかぬですから、こういうことをなぜ郵政省がおやりにならぬのか、私は大変不思議に思うのですが、いかがでしょうか。
  8. 奥田敬和

    奥田国務大臣 本の内容は知りませんけれども、大体言わんとしているところは、郵便貯金コスト市中金融よりも資金コストが非常に安いということをこの先生御存じでないのではないかと思うのです。ただ郵貯の場合には預託利率というものが決まっておりますから、大体財投のそういった主要原資になっておることは御存じのとおりですから、そういった拘束の中でやっておるという点においては民間流動性を持った資金とは性格を異にしておる。ですからこそ、金利自由化体制に向けて自主運用も含めて自助努力という形の中で今後の郵貯金利というものを守っていきたいと私たち努力いたしておるわけでございます。したがって、もし郵貯資金コストが高くて赤字になっておるということなら確かに郵貯は崩壊するという方向に行くわけですけれども、どこよりも安い資金コストを持っている資金が崩壊するはずがないので、その運用面いかんによって郵貯はますます大きな役割を果たしていくことになるので、ただ、片方で、そういった財投運用という形の中で拘束をされておるという実態に目を向けるならば、郵貯が果たしておる大きな役割というもの、しかも安い資金コストで集めてきておる郵貯の膨大な貯金量実態というものについて、もう少し冷静な分析も必要であろうと思います。したがって、その本に反論することはできるわけですけれども、そういう本ぐらい出たところで郵貯はびくともしないという現状でございます。
  9. 武部文

    武部委員 えらい自信を持っておられることは結構ですが、ただ、これが何でもない人が書いたんなら私はそこまで心配をしません。しかし、この本が出て、「時事放談」でテレビで御丁寧にもまだやっておるのですよ。これでもかこれでもかと向こうは金に飽かしてやってくる。この広告だって、これは加藤寛さんがやったものじゃないですよ。これは銀行協会から何から全部合同でこれだけの金をつぎ込んで、何遍もこれから出てくると思うのです、こういうやり方が民放を通じてでも。ですから、やはりこれは無視できないのです。また、誤解を与えるように国民の側に入り込むようなやり方がなされておるところが問題なんです。ですから、私が言うように郵貯保険郵便それぞれみんな自信を持っておやりになっておるわけだから、自分たち自信自分たちの持っているPR紙を通じて、郵便簡保貯金、みんな持っているのですから、もっと堂々と反論をして自分たちの正しさを浸透してもらいたい、こう思うのです。  私はこの機会にもう二つだけ申し上げますが、ここにちゃんとはっきり本人の発言が載っておりますが、この御仁は「民間金融機関は」「消費者金融にも積極的にも取り組むなど、庶民分野にどんどん進出して」おって高く評価できる、こう述べておられるのです。庶民金融とはサラ金のことですよ。この民間金融機関銀行あるいは相互銀行、そういうものがどんどんサラ金に積極的に取り組んでいることは立派なことだとこの人は評価している。サラ金が今日一体どういう状況にあるか。ついこの間発表がありましたね。私はこれを持ってきましたが、警察庁がまとめたサラ金の被害というのは、たったこの半年間に自殺が八百十三人、蒸発が八千人ですよ。こういうふうになっておる。しかもこのサラ金原資の一兆円を金融機関が融資しておる、銀行が出しておるということを大蔵省がついこの間発表されました。大蔵省発表で一兆円を超す金が金融機関からサラ金業者に融資されておる。しかもほとんど六割は無担保に近いというのです。  こういう実態があるのが現在の銀行金融機関やり方じゃないですか。貯金ただの一銭だってサラ金に融資していませんよ。そんなどころか、どんどん財投に金を持っていかれて、国家財政赤字を救済するためにどんな大きな役割を果たしているか。こういう点も、本当はきょうここに堀之内さんに来てもらおうと思ってまた呼んだところが、もうやめてくれ、こらえてほしいということでした。きょう大蔵省にもこのことをぜひ知ってもらわなければいかぬ。何を文句言うか。郵貯に対して文句を言う筋合いは一つもないのです。ですから政務次官は、堀之内さんにこの実態も十分言って、大蔵省に、厳重に監督し、注意してもらわなければいかぬ。こんなばかげたことを自分たちはやっておいて何で郵便局文句を言うことがあるのですか。私はそのことを言いたいのです。  もう時間がありませんが、今度は郵務局長はちょっと聞いておってください。ここにこんなことが書いてある。「いちばんおっとりしているのが総領甚六さんでやはり郵便事業部門です。本来これも完全に独立事業ですから、商売熱心であるべきだが、多少横着さがあるのは、競争がない独占事業だからでしょう。それでも最近小包宅配便にとられ、それが世間の話題になったら、俄然張り切り出した。」こう書いてあるのです。あなたのところのことをこういうふうに書いてあるのです。よく読んでくださいよ。だから、郵便事業総領甚六さんでおっとりしておるとか書いてあるが、あなたのところも今、宅配便がどんどん来てどうにもならぬじゃないですか。そういう事態になっておるんだから、郵便事業もしっかり頑張ってやっていかなければいかぬ。こんなことが書いてありますよ。ですから、ぜひこれを読んでもらって、間違いは間違いで反論してもらわなければいかぬ、こう思います。  そこで、時間がありませんから、今度は貯金の中から二、三点、この点がどんなにあなた方の方とすれば、間違っておるか、肯定されるのか否定されるのかお伺いしたい。  まず第一は、最近の郵便貯金増加状況です。何か頭打ちでちょっとじり貧状態だ、窓口からどんどん貯金を引き出しておるじゃないかというようなことを現場の声として聞きますが、増加状況はどうか。もし鈍化をしておるならばその原因一体何であるか、これを最初にお伺いします。
  10. 澤田茂生

    澤田政府委員 お答え申し上げます。  最近の郵便貯金増加状況でございますが、昭和五十五年度の金利がちょうど天井感になった、高いときになった場合は大変増加をいたしましたけれども、その一時期を除きまして、昭和五十三年度以降眺めてみますと、伸び悩み、下降状態にあるということが言えるわけであります。昭和五十八年度も純増実績が二兆七千三百五十億ということでございましたけれども、これは前年度実績を二一%、約七千四百億下回るという実績でございました。この鈍化原因ということでございますが、一般的な原因といたしましては経済安定成長へ移行したということで所得伸びの低下、あるいは貯蓄増強にはボーナス時期というのは大変大きな意味合いを持つわけでありますけれども、ボーナス伸びも前年度対比を見ましても大変低いというふうな状況一つございます。あるいは家計の構造が、負債、借金の分野が大分大きくなってくるとか、あるいはカードによってまず物を買って後から返済をしていく、貯金をしてから物を買うというのじゃない形のようなもめが出てまいっているというふうなことも貯蓄伸び悩みに大きく影響しているのではないかと思われますけれども、かなり顕著な事由といたしましては、個人の金利選好が非常に高まってきておるという中で、ビッグだとかあるいはワイドあるいは最近非常に伸びております中期国債ファンド、こういったものあるいは銀行窓口国債を売る、それをもとにした新しい商品というようなものが開発されております。いずれも自由金利商品としての金利の高い商品が開発をされ、そちらの方に金融資産選択が多様化してきているというのが一つ原因ではなかろうかというふうに考えております。
  11. 武部文

    武部委員 鈍化原因はお述べになりましたから、大体わかります。  そこで、五十九年度の郵便貯金増加目標額ですが、九兆円を八兆円に下げたわけですね。一兆円も目標を下げるということはこれは大変なことなんですが、一兆円目標を下げたという理由は一体何でしょうか。
  12. 澤田茂生

    澤田政府委員 昭和五十九年度の目標額は六兆九千億ということでございまして、前年度が七兆九千億でございましたので、これから一兆円下げた目標にいたしたわけであります。この目標額といいますのは最近の金融経済情勢あるいは郵便貯金の最近の増加状況、こういったようなものを総合的に勘案をして決めるということにいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように家計、可処分所得伸びが低迷をしているとかあるいは国民金融資産選択が多様化しているというふうなこと等、最近の郵便貯金を取り巻く厳しい諸情勢というものを織り込んで決定をしたわけであります。実は昭和五十六年度においても八兆九千億の目標に対しまして、実績が七兆六千億というようなことで未達成になったというような事情もございますし、五十七年度、五十八年度とも七兆九千億ということに目標を据え置いたというようなこともございました。こういう状況から一兆円下げた六兆九千億という目標を設定をいたしたわけでありますけれども、大変厳しい状況の中でこの目標を達成するにも相当の努力を要するものではないか、こういうふうに考えております。
  13. 武部文

    武部委員 私の数字が間違っておったようですから、あなたの御答弁が正しいわけですから訂正をいたします。  そこで、この新聞広告あるいはこの記事の中にくどいほど郵便貯金がふえればふえるほど赤字は増大をして結局は税金で面倒を見なければならぬことになるのだ、いわゆる第二の国鉄論みたいなことを言っておるのですが、これは何遍もそういうことを言っておるのですが、貯金局長としてどうですか。
  14. 澤田茂生

    澤田政府委員 この郵貯赤字の問題、先ほど大臣からも御答弁をいただいたわけでありますけれども、御承知のように郵便貯金は独立採算で経営をいたしております。したがいまして赤字の場合はみずからの責任において借入金をして措置をするということでございまして、税金によって国民に賄ってもらう、はね返るというようなことは過去にもございませんし、今後もない、こういうふうに考えております。むしろ今の仕組みで考えてみた場合に、民間より安い資金あるいは国債、そういった同じ国の資金よりも安い資金郵貯資金というものは国の資金を賄っておるわけでありますから、そういう面から見れば毎年五千億円程度の金を一般会計に郵便貯金会計から納付をしているということが言えるようなことでございまして、全く見当違いの議論であろう、こういうふうに思うわけであります。  いま少し郵便貯金コストのことについて数字を申し上げて御説明をさせていただきたいと思いますけれども、金融機関コスト、これは支払い利子率と経費率というものを合わせたものでございますが、過去七年間、五十一年から五十七年というもの、長期にわたって平均して眺めて見る方がよかろうかと思いますので、見てみますと、長期預金というものを中心にした長期信用銀行、これの平均が八・〇三%というコストであります。それから都銀なんかは短期を中心にした金融でありますけれども、このコストが七・八二%ということでございます。これに対しまして小口預金が中心で、しかも比較的長期の預金を扱っている、したがいましてコストが余計かかるはずの郵便貯金コストというのが七・二六%ということでございまして、いずれの金融機関よりも郵便貯金コストが低くなっているということでございます。したがいましてコストを無視した高い経営をしている、不効率な経営をしているから赤字になっているということではないわけであります。  ではこの赤字原因は何かということになりますと、これは実は預託利率が低いということによるわけであります。今申し上げましたような民間金融機関預託利率というものと郵便貯金預託利率を比較してみますと、これはまた郵便貯金預託利率が一番低いわけでありまして、一番低いコストさえ貯えないような預託利率というものを大蔵省の方で政策的に決めておるということで、やむを得ず出てくる赤字ということでございます。極端な場合には郵便貯金の最高利率と預託利率との差というものがゼロであるというような時期がございました。これはそこでは赤字が出ることはもう必然でございまして、郵貯の経営がまずいから赤字になる、そして体質的に赤字であるという議論は当たっていないというふうに考えております。
  15. 武部文

    武部委員 今の最後の問題は、同僚議員からまたもうちょっと詳しく――預託利率の問題というのは大変なんですからね。自分らが金を払わぬでおいて、払わぬ者が威張っているんだから、こんなばかなことはないんで、これはまた我々の方としても納得できぬわけですから、追及させてもらわなければならぬと思う。  それからもう一つ、これから大問題になる金利自由化ですね、その問題と、貯金利子課税ですね、これはこれからの貯金事業にとっては大変なことなんですが、このことについて郵政省の見解をちょっと聞かしておいてください。
  16. 澤田茂生

    澤田政府委員 金利の自由化の問題は大変大きな話題を今日提供しているわけでございますけれども、二つのコクサイ化ということで、国債の大量発行あるいは日本の金融機関の金融活動の国際的な活動の高まりというようなことから、金利の自由化というものが避けられない時代の流れであるというふうに言われているわけてあります。まさにそういう形で自由化への対応というものを間違えますと、日本の金融市場というのは大変混乱を招くであろうということでございまして、これに対して郵便貯金も前向きに対応していかなければならないであろうと思っております。  特に大口よりも小口は後回しであるとかいうような議論もございますけれども、我が国の場合、個人貯蓄、特に小口貯金というものが大変大きなウエートを実は占めております。非課税貯蓄を小口と見ましても、二百二十兆からあるわけであります。全貯蓄五百兆のうちの二百二十兆というものが小口貯蓄と言えるものでございます。こういったものを置き去りにして自由化ができたというような話には毛頭ならないはずであろうと思うわけであります。  また金利が自由化になります場合には、金利はそれぞれの金融機関が市場実勢というものを踏まえて政策的に営業政策を考えて金利を決めるということが前提でございます。したがいまして郵便貯金といたしましてもそういう市場実勢を踏まえた預金金利というものをつけるということが必要になってくるわけであります。  その場合に、入ってくる方は、先ほどもお話し申し上げましたけれども、預託利率という、収入というものが非常に政策的に低く抑えられているということでは、市場実勢に応じた金利というものを郵便貯金に付するということができなくなるわけでありますので、その辺の仕組みを変えなければならないということで、実は今年度の予算要求の際にも大蔵の方とも折衝いたしたわけでありますけれども、郵便貯金運用の面に市場実勢を反映させる方法として国債一兆円というものを運用する必要がある、これが日本の金融の自由化というものを道づけていくためにぜひ必要な方策であるということを主張したところでありまして、今後とも理解を得るようにいろいろ努力をしてまいりたいと思っておるわけであります。  なお、いま一つ利子課税の問題でございます。グリンカードの存廃の問題に関連いたしまして、郵便貯金あるいはマル優というものを廃止して税金をかけるというような議論が出てまいりました。これはむしろ非課税貯蓄というものを廃止をいたしましたら、三兆円、税収というものが増収になるのではないかというような話が流布をされまして、それからこういう議論が出てきたわけでありますが、実はこの三兆円というのは私どもはまやかしてはなかろうかと思うわけであります。この計算方法というのは、非課税貯蓄が二百兆あるという前提でありまして、現在は二百二十兆でございますけれども、二百兆ある、それで一年間の利息が七%であるということになりますと、二百兆掛ける七で十四兆円の年間利子が発生をする。その利子に二〇%の税金をかけるということになりますと、二兆八千億の税金が入るではないか、こういう議論であるわけでありますけれども、これは、二〇%の税金を払っている方というのは、勤労者世帯で見ますと、九〇%までは二〇%以下の税金しか払ってないわけであります。したがいまして、この方々は利子について二〇%税金を取られますと還付請求をして返してもらう権利があるわけでありまして、ましてや子供、老人、家庭の主婦においては全部返してもらわなければならないわけであります。この何千万という方が税務署に還付請求に行ったならば、税務署はパンクするわけでありますし、そういったものが恐らくみんな泣き寝入りするであろうということになれば三兆円という計算が成り立つというわけでありまして、とらぬ何とかの皮算用というたぐいではなかろうかと思うわけであります。  しかし、それにいたしましても、貯蓄の面から見て、現在こういう非課税制度というものを廃止して税金をかけるということは大変大きな問題であろうというふうに私どもは実は認識をいたしているわけであります。貯蓄の重要性というのは、過去におきましても日本の高度成長あるいは戦後の復興というものを支えてきた大きな原因というのが、一つとして豊富な安定した、しかも低金利政策でございましたので、低い金利というものが豊かな設備投資というものを可能にして大きな発展の原因をなしてきたわけであります。今日におきましても百十兆円からの国債発行というものがありながら、インフレあるいはクラウディングアウトというようなことを起こさずに、諸外国に比べれば比較的安定した経済運営ができているというのも、こういう多くの国民貯蓄に支えられているということが海外諸国からも評価をされているわけでありまして、今後の大量国債発行ということを見ましても、貯蓄を軽視することはできないわけであります。  それよりもさらに、最近の我が国における高齢化の進展というのがございまして、世論調査等を見ましても、老後に対する不安というのが大変大きいわけでございます。したがいまして、この中で老後に対する自助努力の備えとして、やむにやまれず貯蓄をするというのが今日の実態ではなかろうかと思うわけでありますが、片方、この十年間の平均で物価の上昇率と預金金利関係を見ましても、一割以上も物価の方が預金金利よりも上回っているということは、それだけ目減りをしているというわけであります。目減りをしながらも貯蓄をしなければならない自助努力、こういったことに対してさらに税金という追い打ちをかけるということではなくして、そういったことに対して積極的な奨励策というものを国がとるべきであろうということで、私どもは、郵便貯金に税金をかけるということではなくして、限度額引き上げというようなことで対応すべきであろうというふうに考えているところでございます。
  17. 武部文

    武部委員 金利の自由化の問題でもあるいは郵便利子の課税の問題でも、すべてはこの郵便貯金を目のかたきにしてこういうものが言われ出したというふうに私は理解をしておるわけであります。今いろいろ反論がございましたが、そういう点はもう毅然として、こういう二つの問題に対しては郵便貯金を守る、庶民郵便貯金ですから、そういう立場で郵政省は貫いてもらいたい、私はこういうことを特に強く要請をしておきたいわけです。  この本の中に「簡保保険金最高限度額は一千万円でも高すぎる」ということが書いてある。郵政省は一千万円を一千八百万円に引き上げるように要求したけれども、これは退けられてしまった。こういう状況、これでは全くお話にならぬ。「一千万円でも高すぎる」こういう主張がここに書いてある。しかも、昨年の総選挙の前後をめぐって民間生保から各議員、候補者、そういう者に対して、簡易保険限度額引き上げ反対の請願が全国一斉に行われて、実に五百万名の請願署名が国会に提出されてきた。選挙のどさくさに紛れてそういうことが行われておったことは事実であります。しかも、それが相次いでこの国会に請願として提出されておるわけであります。我々は千八百万円当然だ、八年間も据え置いた簡易保険制限額が何で千八百万円にならぬ。簡易保険局長おられませんか――おられないようですな。これは「一千万円でも高すぎる」そういうことがここにも出ておるわけです。冒頭申し上げるように、この本は明らかに郵政事業に対して挑戦であります。  我々はここで長い間郵政事業についていろんなことを論議してきました。これを読んでみて、ああなるほどなというところもあるのですよ。あるんだが、一貫して流れるものはもう間違いなく敵視ですよ。そういう点についてわずかの時間でしたけれども、私は取り上げたわけです。また改めてやりますが、きょう申し上げた点は、三事業、これが郵政事業の根幹なんですから、VANだ経営形態だといろんことが出てくることもこれまた郵政事業の仕事でしょう、郵政省の仕事でしょう。しかし、それよりも三事業がそれこそ三位一体になって、三つがまさに一緒に行動する、これが三事業なんです。これが郵政事業の特殊性なんです。  地方に行けば地方の郵便局二万三千幾らあるけれども、電電公社のことなんかやっているところは一つもないですよ。それは郵政省のことだけなんですよ。地方の現業の職場は郵政事業をいかにして国民のものにするかということで一生懸命やっているのですから、ことしの五十九年度はいろんな政策が入れられなかったけれども、引き続いてシルバー貯金の創設、そういう問題についてもぜひ努力をしてもらって、成果が上がるようにしていただきたいと思います。  こんなに短い時間で三事業をやれと言ったってできっこないので、これは理事会の決定だからきょうは従いますけれども、委員長、また一遍こういう時間をぜひとっていただくようにお願いをして、これで私の質問を終わります。     ―――――――――――――
  18. 志賀節

    志賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、日本放送協会専務理事坂倉孝一石及び国際電信電話株式会社常務取締役児島光雄君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  20. 志賀節

    志賀委員長 阿部未喜男君。
  21. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、連日大変御苦労さまでございます。  きょうは先般の大臣の所信の表明を中心に二、三質問をさしてもらいたいと思います。  大臣は先般の所信表明の中で、郵政行政の果たす役割はますます大きくなっておる、こういうふうにお述べになりました。しかし、今、同僚議員からも質問がありましたように、一部では郵政事業を敵視しておる向きもあるのではないか、こういう御意見もあったくらいでございます。例えば臨調の答申を読んでみましても、官業は民業の補完に徹すべきである、そういう基本的な考え方に立って、郵政事業についても事業を縮小せよという方向が強く打ち出されておるように私どもには受け取られがちなんでございますけれども、こういう臨調あるいは政府全体の姿勢と大臣が所信でお述べになった、ますます大きな役割を果たさなければならないというお考えの中には大変矛盾みたいなものを感ずるのですが、大臣の所感はどういうふうでございましょうか。
  22. 奥田敬和

    奥田国務大臣 人と金と物がふえていく、要するに安上がりで小さな形を目指しておる臨調の流れからいうと、矛盾しておるのじゃないかということであろうと思います。  確かに郵政事業の果たしている役割は本当に国民生活に密着しております。しかし人の流れ、物の流れ、お金の流れというものも大きくなっていきつつあることも事実でございます。したがって臨調が求めておる効率的な事業推進、効率的な運用という面でできるだけシステムを改善して、人をふやさなくて物とお金の流れの大きな形をうまく効果的に運用していくという形で参るとすれば臨調の精神にも反しない、そういう線で努力いたしたいということでございます。
  23. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これで論争する気はありませんけれども、そういう大臣のような受けとめ方ならば私は結構だと思うのです。しかし、臨調答申の内容を素直に読む限りゃはりそうは受け取れない。申し上げたように官業は民業の補完になるべきだ、できるものは民業に移していきなさい、これが臨調の答申の基本であって、効率的な運用を図りなさいということが必ずしも基本の精神になっていないように受け取れるものですから私は質問したのですが、大臣がそういう受けとめ方ならばきょうは論争する気はありませんけれども、私どもはそういう受けとめ方もあるということについてひとつ心にとめておいてもらいたいと思います。  大臣所信表明に関連してですが、きのうの朝、毎日新聞を見て気がついたのですけれども、参議院の方でもお話があったようでございますが、歴代の大臣郵便貯金のいわゆるシルバー貯金制度について所信の中で提起をなさってまいりました。今回の大臣の所信の中にはこのシルバー貯金の推進についての御所見が全然拝見できないので、方針が変わったのかなと思ったら、何か参議院の方でお話があったようでございまして、大臣に声援を送る声も新聞の投書欄で私は見かけたわけでございますが、ひとつ改めてシルバー貯金制度についての大臣のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  24. 奥田敬和

    奥田国務大臣 歴代の大臣シルバー貯金の創設という形に非常に熱意を燃やされておったということはよく承知しておりますし、私もその制度実現に継承して努力したいということは全く同じでございます。  もう申し上げるまでもなく高齢化社会に入っておるわけでございます。老後の自助努力という形になりますと、今の公的福祉制度だけに頼っておって、それでは不安じゃなかろうかということになりますと、遺憾ながらそういった老後生活の中での自助努力は必要であると私も思います。したがって、そういった形の中でのシルバー貯金制度という非課税措置を、まあ一千万ぐらいまでに認めてもらうということは、これは時代の流れとしても当然の一つの制度創設でなければならぬと思っております。先般もこの問題について参議院で御提起がございました。実現努力してまいるし、制度的にはもちろん原則賛成でございますし、総理も非常に前向きな姿勢を示されておられました。ただ大蔵大臣としてはこれは非課税措置全般の見直しにもつながっていくことだからひとつ慎重に検討してまいりたいということでございました。この火種は大事にして実現に向けていま一段と努力を傾注したいというのが本旨でございます。
  25. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常に結構な決意でございまして、投書を見ましても大きく期待が寄せられておるようでございますから、さらに努力をお願いしたいと思います。  あわせてもう一点、郵貯限度額引き上げの問題も歴代大臣がずっと主張したところですが、今回の所信にないのでございますが、これはいかがでございますか。
  26. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今の御指摘非課税限度を五百万までに引き上げるという形の主張は、大蔵大臣との折衝の過程の中でも最後まで残った大きな宿題であったわけでございます。しかし、これも先生御存じのとおり、現在この非課税制度を私たちは堅持してまいるという基本姿勢はいささかも変わらないわけでございますが、非課税そのもののマル優の制度にさかのぼっていろいろな論議が闘わされておるという時期に、郵貯の五百万非課税限度引き上げということに関しては大蔵が強い形で、合意に至らなかった、抵抗を示したということも率直に事実でございます。引き続き努力してまいるということは変わりません。
  27. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで限度額の問題はさらにやるということでございますが、それでは今、問題になっており先ほども話題になりました、いわゆる郵貯非課税あるいはマル優廃止論、そういう意見がかなり強く議論になっておるようでございますが、大臣としてはどういうお考えをお持ちでございますか。
  28. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは少額な預貯金者、そういった郵貯利用者は皆そうでございますし、この非課税という形はもう国民生活に定着したものでございますし、そのことによって今日の郵貯実績というものがこれだけ大きな資金量として国家に貢献しておるわけですから、この制度の根幹は堅持してまいるというのが基本的な姿勢でございます。
  29. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう二、三点貯金の問題でお伺いしたいのですが、大蔵省お見えになっていただいておりますか。――大蔵省の方がよく御存じですけれども、国会でいわゆるグリーンカード制度というものが法律として成立をいたしました。ところが立法化をされながら実施が延期をされておりますけれども、これはどういう理由で、ほとんど満場一致の状態で成立をしたグリーンカード制が実施に移されなかったのか、今後一体どういうふうになっていくのか、まずこの点について御説明を願いたいと思います。
  30. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、グリーンカード制度の提案につきましては、昭和五十五年度の税制改正で立法化がなされております。立法化されました後で本制度をめぐりましていろいろな御議論がございました。その点は先生も御案内のとおりかと思いますが、やはりグリーンカード制度というものが相当広範囲な方々に関連する問題であるだけに、関係者の理解を得た上で実施するのが法的安定性を確保するという観点からは好ましいことであろうということで、五十八年の改正におきまして当初予定しておりました実施時期を三年間延期するということでそのための立法措置がなされております。したがいまして、制度的に申し上げますならば、六十一年の一月一日からカードの交付ということで一応現行制度は成り立っておるわけでございます。  ただ、実際問題といたしましてその間の御議論の内容等から考えますと、いろいろな御議論がございました。そういったもろもろの議論を受けまして、政府の税制調査会におきましても非課税貯蓄のあり方を含めまして利子課税をいま一度基本的に見直す必要があるのじゃないかということで、昨年の夏ぐらいから議論がスタートしております。秋に中期答申というのが出されておりますが、そこでも大筋の議論はなされておりますけれども、なお具体的な各論として今後どうすべきかという答えまでは出されておりません。引き続き検討課題であるということで、なお今後の検討を待つという格好になっておるのが現状でございます。したがいまして、先生の御質問の第二の今後どうなるかという点につきましては、私どもとしても税制調査会での今後の議論を踏まえた上で検討してまいりたいというのが現状でございます。
  31. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非課税の問題、マル優廃止の問題についてはまだ議論の過程ですから今とやかく言う気はありませんけれども、非常に意見が分かれておることだけは間違いがないと私は思うのですけれども、そうなった場合には昭和六十一年からグリーン制度が当然実施に移される、そう理解すべきですね。
  32. 伊藤博行

    伊藤説明員 法律の現行制度は、先生おっしゃるように六十一年、何もしないままでその日を迎えれば当然グリーンカードが実施されるということに相なろうかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、やはりグリーンカード制度というのがいろいろな議論を呼んだのも事実でございます。したがいまして、税制調査会も、そういった経緯も踏まえながら御議論がなされておるというふうに承知しております。したがって、何もたいままにそうなるのか、あるいはそれとは変わった何かの提案があるのか、これは今後の議論でございますけれども、全く形式論だけで申し上げれば六十一年の一月一日からそうなるという現行制度が現に存在しておるというのは先生のおっしゃるとおりでございます。
  33. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 率直に言いまして、このグリーンカード制度を一番中心になって推進したのは実はほかならない大蔵省だったと私は理解しているんです。いろいろ意見が出たけれども、やはり昭和五十九年にはやらなければならないということでいろいろな準備を進めたのもまた大蔵省であったことは間違いないのです。ところが、今お話を聞いていると、まるで人ごとのようにどういうことになるか討議が終わってみなければわかりませんとかいう、非常に消極的な態度なんですが、私はかねて大蔵省が主張したようにマル優とかあるいは非課税の制度がお金を持っておる人たちの隠れみのに使われる、脱税の手段に使われることはけしからぬと思っております。したがって、私は郵便貯金等については当然マル優の制度を取り入れて、これは本来は非課税ですからいいのですけれども、悪用している者がありとするならば、非課税のグリーンカードの制度を取り入れて措置をすべきだ、そういうような主張を持っておったんですが、このグリーンカード制度についての、郵便貯金を取り扱っている郵政省貯金局長のお考えはどうなんですか。
  34. 澤田茂生

    澤田政府委員 グリーンカード制度につきましては、名寄せを効果的に行うということができるという点が大きな特徴だと思うわけでありますけれども、その一方、ごく一部の限度額オーバーをした者を除いては全く今までは手間のかからなかったことについて多くの手数をかけるということにもなるわけであります。これはある意味では、簡易な貯蓄手段としての郵便貯金制度というものから見ますと問題があると言わざるを得ない面も持っているわけでありますけれども、グリーンカード制度の延期に当たっていろいろな議論も出たことだと思うわけでありますけれども、そういったことを踏まえて今後政府・税調においても十分審議をされるということでございますので、そういった点を踏まえまして、よりすぐれた方策というものが考案されるであろうということを期待をしながら見守っていきたいということでございます。
  35. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 極端な質問ですが、先ほどちょっと議論があったようでございますけれども、もしグリーンカード制度が実施をされない、そのために言わるるところの郵貯非課税あるいはマル優、こういうものが廃止をされる、すべての預貯金に税金がかかるという制度が出されてくるとすれば、先ほどの局長の答弁からするならば、それは大変困ることなんだという御答弁のようですが、しかし一方でなお、非課税制度があるためにこれを悪用する者ありとすれば、二者択一というのはどういうことになりますか。
  36. 澤田茂生

    澤田政府委員 貯蓄の重要性というようなことについて先ほど御説明を申し上げたところでございますけれども、これはある意味では長年にわたって培われた日本の国民の美徳と申しましょうか一つの財産であろうかと思うわけであります。したがいまして、これを損ねるような形の制度というものは十分警戒をしながら対処していかなければならないだろうと思うわけでありますが、私どもといたしましても悪用という面については今後とも戒めなければならないと思っておりますし、なお限度額管理の厳重あるいは一般利用者に対する周知あるいは職員に対するいろいろな心得というようなことについてもさらに徹底をし、ほんの一部の悪用ということのために大多数の国民が非常に不便をこうむるとか、あるいは貯蓄の有利さというものが取り去られるというようなことが起こらないようにぜひ配慮していかなければならないだろう、こういうように考えております。
  37. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、私は行政府の立場というものも十分に理解しなければならないという考えを持っておるわけですけれども、先ほど来の御答弁を承りますと、大臣としても郵便貯金を取り扱う貯金局長としても同じお考えのようでございますが、委員長、提案でございますが、理事会で、この委員会の意思として、郵便貯金非課税制度の廃止等についてはやるべきでないということを意思表示ができるようなお話し合いを願いたいと思うのですが、要望として委員長にお願いしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  38. 志賀節

    志賀委員長 承りました。
  39. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一点、参考までに貯金限度額管理は今どんなふうに行っておりますか、これは問題だと思います。
  40. 澤田茂生

    澤田政府委員 お答え申し上げます。  郵便貯金全国どこの郵便局でも預け入れることができる。また反対に預入局と違ったところでもどこでも払い戻すことができるということになっておるわけでございます。したがって、預金者の住所地を管轄している一つの地方貯金局において預金者ごとのファイルを作成しまして、全国一本で限度管理の名寄せということを行っておるわけであります。その結果、貯金総額が制限額を超えているものを発見したときは、預金者にお話しをいたしまして、貯金制限額以下に減額をしていただいておるということでございますが、なお名寄せは従来手作業で大変手間がかかった作業でございますけれども、オンライン化の進展に合わせましてコンピューター処理によって行うというふうに切りかえをいたしているところであります。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  預貯金の問題は終わりまして、次にこの前NHKの予算の際にもっと議論させてもらいたかったのですが、いわゆる国際放送の問題ですけれども、国際放送はNHKが自前で行う部分と郵政大臣が命令される部分に分かれておるのですけれども、その費用の分担について、放送法では政府が命令した分については政府が責任を持つのですよ。しかし国の予算を超えて勝手なことはできませんよ、こういう内容になっておるわけなんです。それでかねてから、毎年毎年、命令する大臣とNHK、あるいは大臣大蔵省との間で物議を醸してきたわけですから、ただ大平さんが大蔵大臣のときだったと思うのですが、それは当然要るものは出しますということで、大蔵省の方も要るものは出しますとこの前おっしゃっていただいておるのですが、したがって私はかねてから、NHKの方で一年間国際放送に要するすべての経費を計上しておりますから、その何割を命令分として持つか。その何割をNHKの自主放送部分として持つか、六対四でもよかろうし、七対三でもいいでしょうし、五対五でもいいと思うのですが、その基準を定めておくことによって例年大変な騒動をすることがなくて済む。物価はどんどん変動するし、国際放送そのものだって年々所要の予算が変わってくるわけでございますから、その都度議論しておったのではどうにもならない。私はここ十年ぐらいそのことを言い続けてきたのですけれども、これは大蔵省も熱意がない。一番肝心のNHKがまるで熱意がない。そして中に立っておる郵政省は、そんなら仕方がないじゃないかというので、例年予算のときに少しずつ上積みして、ことしはこれだけ取れましたというふうに、地方自治体か何かが補助金をもらいに行くような格好になっておるのですが、この際、国際放送予算の命令分については全体の中の何割をそれでは払おうということを区分けしておいてもらったらどうだろうかと思うのですが、これは大臣、NHK、大蔵省それぞれからお考えを承りたいと思います。
  42. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答え申し上げます。  国際放送につきましては、先生お話のございますように、国の命令放送とNHKが行います自主放送がございますけれども、放送効果という面からいたしましてこの両者を現実には一体として行っているところでございます。先生からかねて、国とNHKとの分担割合を定めるべきではないかという御指摘をいただいておりまして、この点は今後の国際放送の充実の観点からの検討課題だというふうに私どもも受けとめているわけでございますが、命令放送放送法三十三条によりまして、予算の範囲内で行うということにされております。と同時に、国の財政が厳しい状況にあるというふうなこと等の事情から、御指摘のような具体的な割合を決めていくということが大変難しい問題でございます。もちろん、私どもといたしましては国際放送の重要性ということで、この命令放送の関連での交付金増額につきましては最大限の努力をしてきたつもりでございますし、これからも努力をしていくというつもりでございます。
  43. 日高壮平

    ○日高説明員 先般もたしか先生の御質問にお答えいたしたと思いますが、私どもとしては国際放送の重要性にかんがみ、厳しい財政事情のもとではございますけれども、その充実に向けて努力してきている、その点は御理解を賜りたいと思います。ただ、今、先生指摘がございました命令放送分の割合を特定するという件につきましては、御承知のように郵政省の一般会計の予算というのは非常に小さな規模でございます。その中でその一般会計の予算額をどのように配分していくかという点は、それぞれの年の予算状況あるいは郵政省御自身が何をもって重要施策とするか、そういった点からも非常に影響してくるわけでございますので、私どもとしては一律に何%をどうこうというふうに特定するのは現状では難しいのではないかというふうに考えております。
  44. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 国際放送の重要性につきましては先生かねがね御指摘のとおりでございまして、私どももそれの充実につきまして努力をいたしてまいっているわけでございまして、NHKの本来業務として国際放送を位置づけて、この経費についてもNHKが負担するということは視聴者の御理解を得るものであるというふうに考えているわけでございますけれども、また一方、受信料というのは国内の放送を視聴される方に御負担をいただいているものでございますので、その御負担いただく分についてはおのずから限界はあろうというふうには考えているわけでございます。  ただ、この放送の実施に当たりましては、今、先生お話のございました政府命令による分とそれからNHKが本来業務として国際放送を行う、これは一体として行ってきているわけでございまして、従来先生方の御努力、国会の附帯決議等々いただきまして交付金の増額が逐年図られてきているということであるわけでございます。ただ、今、先生指摘の一定の割合を決めるということにつきましてはいろいろ難しい点があるのではなかろうかというふうには考えるわけでございますが、今後ともNHKといたしましては、交付金がふえるということによって国際放送が一層充実された放送になるということを期待いたしているわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、国の政策としても国際放送というものは極めて重要だ、これはみんなの意見が一致しておる点でございます。しかし、今の議論からいきますと、NHKの年度の予算が決まる、そして国の予算が決まって交付金の額が決まるからこの範囲内でやりなさいよ、こう言われる。しかし、かつてNHKは、交付金が多かろうと少なかろうとその年度の計画を途中で変更したことはないし、また国際放送の計画を変更することはあってはならないと私は思っております。  そうすれば、早く言えば当然要る金が要るわけなんですから、したがって重要な国策である限り、これはちょうど人件費と同じように割合を決めておいて、これだけは要る金だ、そして初めから国の予算に計上していかなければ、逆に言うならば、NHKは当初、年度計画を立てたけれども、交付金が少なかったから国際放送は何時間分か短縮しなければならないという事態が生まれるはずなんです。生まれないのは、幸い視聴者の受信料という制度があるから生まれなくて済んでおるだけであって、会計のあり方から考えてもこれは極めておかしいのですよ。本来四十億なら四十億国際放送にかかる、そのうちの何%は国の交付金があるのだからこれでやるという計画が立たなければ計画の立てようがないはずなんです、私をして言わしむれば。計画の立てようがないのに計画を立てておいて、そして交付金が来たら足らない分は受信料から繰り込んでいく、結果からいくとそうなっていく。そういう会計のあり方というのはおかしい。  しかも今日、自民党の先生方も御一緒に外国に行きまして、国際放送は聞こえない、何とかしてくれという強い要望があって、自民党の先生方も一緒に、先般は昭和五十九年度で何とか国際放送の設備も充実しようではないか、ここまで大きい声になっておるわけなんですから、そう何百億という額ではないのですから、何とかこの国際放送についてはぱちっと年度の当初に計画ができるように、国際放送の所要予算の中の何%を政府が持つ、これを決めるように、政治家郵政大臣としてひとつお考え願えませんか。
  46. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今年度の予算折衝の中でも、先生ちょっと笑われるかもしれませんけれども、最後まで大臣折衝の最重要課題でもつれ込んだことは事実でございます。その結果、党も中に入りまして二億五千万という形でNHKに対する交付金増を見たということも事実でございます。郵政省の一般会計は二百四十五億くらいの規模でございますから、その中で各省と比較いたしますと一・四%くらい増になった、その主要原因が国際放送のいわば経費増という形で予算計上を見たところでございます。しかし、御指摘のとおり、放送法の建前からいってNHKはこれを分担することになっておりますけれども、昨今の事情から申しますとラジオニッポンの評判は非常に高いわけでございます。そのくせ出している放送の時間というものは、これまた経済大国というまことにその名にふさわしくないお粗末な放送時間しかやっていない。調べてみると隣の韓国よりも少ない。超大国はもちろんのこと、中国あるいは英国、ドイツと比べてもう問題にならない。そういった状態の中で、このまま便々としておるわけにはいかないという切実感は与野党の先生方にも強い御要請をいただいておるところでございますし、これらの意を体しまして、確かに先生の御指摘の点は正しいと思います。そうじゃない、今NHKの受信料におぶさった形あるいはKDDの施設提供におぶさった形で政府は実際には何も制度化された資金をもって応援してないではないかと言われる点は全く同感です。今後ともそういった形で制度的に支出が行われるような方向で、ひとつ党とも相談し、大蔵当局とも不断の折衝を続けて実現にこぎつけたいと思っております。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は決して間違った提案ではない、こう思っておりますので、ぜひひとつ事務当局の方も、放送部長、少し考えてもらわないと、あなた方が本気にならなければこれは進まないのですよ。予算のあり方として私が申し上げているような方法を十分ひとつ検討してもらいたい。委員会で検討しますと言えばそれで済む性格のものではないと私は思っておるのですよ。だから、毎年毎年繰り返して言わなければならなくなるのですが、今度少し積極的に大蔵とも話を詰めて――私は割合を幾らがいいと言うのではないのですよ。その割合を定めておけば予算の組み立てが安易にできていくはずなんだ。その意味で、予算をつくるに当たっては、ちゃんとこれだけは国が負担するということが明確になっていなければいけないという気がしますので、極力、検討するということでございますから進めてもらうというふうに希望をしておきます。  今、大臣からもお話しありましたが、大蔵省にもお伺いしたいのですけれども、まず、郵政省はこの国際放送の強化充実のためにNHK並びにKDDに対して協力を要請した、こういう話を聞いておりますが、どういう協力を要請なさったのですか。
  48. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 国内送信所の整備につきまして、これは現在KDDの八俣で行われておるものでございますが、政府の五十九年度予算案が確定をいたしました段階で、郵政省からNHK、それからKDDの責任者の方に施設の整備についての協力を要請したわけでございます。  NHKにつきましては、先ほどお話が出ておりますように、放送法上NHKの本来業務とされている点がございます。そういった意味で、送信施設整備のための費用をNHKの収入の一部を充てるということ自体放送法上予定されているというふうに私ども考えているわけでございます。そうしたことで、今回、五十九年度からの四カ年計画の中で、KDDが施設を整備していただく、それについてNHKが費用を負担する。もちろんその費用負担との関連におきまして、郵政省といたしましても、先ほど申しました交付金の増額に努力をしてまいるということでございます。  それからKDDでございますが、こちらの方は昭和二十八年以来ずっと国際放送の送信業務を担当してきていただいているわけでございますが、現在の八俣の送信所の土地、建物、施設、こういったものがすべてKDDの所有に係るものでございます。同時にまた、三十年余にわたりまして仕事を担当していただいた中で、短波送信の業務についても豊富な人材、すぐれた技術、経験をKDDが蓄積されている、こういったことから協力を要請した次第でございます。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 KDDお見えになっていただいておると思うのですけれども、もともとこれは国際通信を独占しておる特殊会社でございます。しかし、これは株式会社ですから、国の予算が厳しいからといって株式会社に、おまえのところ少し赤字を負担してくれなんというのは大体発想が間違っておるのじゃないかという気がするのですが、KDDはどうお考えになっておるのですか。
  50. 児島光雄

    ○児島参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように八俣で行っております国際放送、この数年赤字で実施しております。KDDとしましても、この国際放送は何といいましても国家の重要施策であるということは十分認識いたしておるつもりでございまして、障害のないように、また中断するようなことのないように万全の努力をいたしておるつもりでございますけれども、他方におきまして、何と申しましてもこの業務はKDDの本来業務ではございませんで、附帯業務といたしまして郵政大臣の御認可を受けておる業務でございます。そういう意味におきましては、KDDの本来業務の方の収支に影響を与えるような形でこれをやるということは決して好ましいことではないというふうには存じております。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 やはり間違ったことは直していかなければいけない。それは当初の発足のときはどうであったか別にしましても、KDDといえども利用者の料金によって成り立っておるわけですから、国の財政が厳しいからといってどこでもここでも無理を押しつけていいという筋のものではないだろうと私は思うのです。言われるところのすぐれた技術とか設備の提供については、それはそれでいいと思うのですけれども、国はそれに見合う対価を、あるいはNHKも含めてですけれども、当然支払うのが至当だというふうに私は思う。未来永劫KDDはずっと赤字を抱えながらおやりになるつもりですか、どうですか。
  52. 児島光雄

    ○児島参考人 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、KDDとしましては本来収支相償う形でこの業務をやるべきものと考えておりますので、今後とも郵政省の御指導のもとに、NHKさんとも十分協議いたしまして、収支償う体制を整えて続けていきたいというふうに存じております。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省、今お聞きのとおりでございまして、国際放送が設備の分野においても民間の会社に非常に無理を押しつけておる結果になっておるわけです。したがって、国際放送内容が十分充実して、今、外国におられる皆さんが十分聞けるようにするためには設備の充実等四カ年計画、百四十四億だったでしょうか、そういうような問題も提起されておるわけですから、十分気にとめて協議をなさっていただくようにお願いしておきます。  大臣、もう一つ郵便の問題も聞きたかったのですが、その前に、最近特に問題になっておると思うのですが、職員が転勤をいたします、特に郵政省の場合、基本的には知りませんが、主事ぐらいになると、よその局に必ず転勤をさせて主事に任命するとか、主任にする場合にもよその局に出すというケースがかなりあるようなんですけれども、郵政事業の場合、そんなに転勤をさせなければならないのだろうか。しかもそのために別居しなければならないし、まず郵政局長や特に郵政局の部長さんあたりで別居してない方は少ないんじゃないかと思いますけれども、ほとんどの方が転勤して別居する。ここら辺は偉いからまだいいでしょう、もっと下の方の月給の安い主事とか主任とかいう方がその都度転勤させられていく。事業にとって絶対必要な条件なのだろうかと考えますと、必ずしもそうではないし、かつては自分のその局で主事とか主任とかに上がっていくシステムになっておったのが、最近は人事管理、労務管理の関係もあるんだと思いますけれども、主事になるためには転勤をさせるということが条件になってしまって、奥さんとは別居する、子供の教育の問題はある、生活費は二重生活になる、こういう状態になっておるのですが、この辺、一切やるななどとむちゃなことを言う気はありません、それは事業が先ですから。しかし、絶対にこうするんだというような方針は少し変えて、できるものならばその周あるいは家族と同居できる範囲内ぐらいで、郵便局の数は多いのでございますから、少しそういうことに配慮ができないものだろうかという気がするのですが、どうでしょうか、人事局長
  54. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 お答え申し上げます。  今、先生の言われましたとおり、現在当局におきましては主事、課長代理、課長、そういった者を転勤することにいたしております。  御承知のとおり郵政事業全国的な規模で経営されておりますし、各郵便局、そこでの独自の仕事がある、それからそこでの職員の能力発揮、そういったこともございまして、業務上も非常に必要なものだというのがその基本的な考え方でございます。ただ先生のおっしゃるとおり、実際の問題といたしまして単身で赴任している人の経済的な負担もありますし、子供の教育の問題もある、そういった問題で非常に御苦労が多いということは私どもも存じておるわけでございます。  こういった問題を考えまして、私どもといたしましては、役職者の人事異動につきましては平素の仕事ぶり、能力、適性、そういったものを総合的に判断してやる。ただ、しかし、本人の健康状態とか家族の状況、また勤務希望、そういったものもございますので、そういったものをやりまして、特にあわせまして役職者が同一のポストでできるだけじっくり腰を据えてやっていただく、そういった点もやりまして運営してまいる、そういうことで配意しているところでございます。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 具体的には余りよくわからないのですけれども、要するに主事から上は大体転勤を原則として任用といいますか、やっておるわけですけれども、そこを少し緩めて、あるいは転勤をさせるにしても家族と同居できて通勤できる範囲内ぐらいというようなことを一つの大きなファクターにしながら考えられないだろうかというのが私のお願いなんですが、どうでしょうか。
  56. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 実際上の問題といたしまして、役職のポストの数というものがございますし、それから主事、課長となるに従いましてそのポストの数が少なくなっていく、そういった問題もございます。それからやはり勤務地によりまして通勤時間が長くなるとか、あるいは極めて遠いところがある、そういったことがございます。しかしながら、できるだけそういった家庭の事情等も考慮するという点も考慮しましてやっていきいたと存じております。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで局長、希望ですが、今、転勤と言えば、九州の管内ならば大分から種子島までも平気でやるんですね。当たり前だというふうに考えておるのですけれども、そうではなくて、もう少し今、私が申し上げたような点に気をとめて、それは事業ですから一切やっちゃいかぬなどと言う気はありません。それから課長になればこれはある程度仕方がないだろうと私は思います。しかし、主事とか代理ぐらいは大分から鹿児島の種子島までやらなければどうにも郵政事業が運営できぬということにはならぬだろう。例えば隣の福岡とか大分県内でも片がつくのではないか。いろいろポストもあると思いますから無理は言いませんが、そういう人事上の温かい配慮をお願いしておきたいと思います。  それから、郵務局長に最後に質問したかったのですが、もう時間がありませんから。ただ、先般の五九・二・一で利用者の便宜を図るために大改革を行われましたし、私はそのことは非常にいいことだと思っておりますけれども、必ずしも郵務局が計画したように今、県内は翌日、その隣の県は翌々日には必ず行くというふうにはなっていないし、勤務にもかなりの負担がふえてきておる面もあるように思われます。勤務の調整といいましょうか、そういうものも考えてもらいたいと思いますのと、それからもとは行くのですよ。トラック輸送で配達局までは行くけれども、それから先がぐあいが悪いから配達ができないという実態があちこちにかなり散見されますから、そういう点について、せっかく立てた立派な計画ですから、うまくこれが進むように今後の御努力をお願いしておきたいと思います。答弁は要りません。お願いしておきます。  以上で終わります。
  58. 志賀節

    志賀委員長 鈴木強君。
  59. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 郵政大臣の御所信の表明と電電公社総裁の事業概要の説明について若干の質問をさせていただきます。私は特にきょうは時間の関係もございまして電電の問題に限って質問をいたしたいと思いますが、電波関係がございますのでその点を含めてお伺いをいたします。  最初に総裁にお伺いしますが、電電公社昭和五十五年だと思いますが、もし間違っておったら訂正をさせていただきますが、五十五年にサービスを開始されましたコードレスホンというのがございますね。これの普及状況はどうなっておりますか。
  60. 山本千治

    ○山本説明員 お答えいたします。  五十五年から県庁所在地級でサービスを提供しておりまして、五十八年十二月末で設置台数は千三百四十台でございます。
  61. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 五十五年ですから、五十六、五十七、五十八、五十九年、大体四年たっておるのですね。四年たっていて千三百四十しか加入者がないというのはどこに問題点があるのか。当初需要予測というものを十分立てられておったと思うのですけれども、その需要不振の原因はどこにあると考えていますか。
  62. 山本千治

    ○山本説明員 一つにはこの従来のコードレスホンというものが、例えば三百メートル四万に二台しか設置できないといったようなこの電波の持つ性格からきます制限がございましたということ、それから製品そのものが重いという、二キロぐらい重量があったというようなこと等がございまして、先生今、御指摘のような状況にあるかと思います。しかし、昨年年度末に新しく売り出しました新しいコードレスホンにつきましてはそういった問題を解決いたしておりますので、これからの需要に対しましては期待できると思います。
  63. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 四年たって千三百四十、しかも県庁所在地ということでサービスを開始されたようでございますが、製品が二キログラムあるなんということは初めからわかっていることでしょうし、電波の制限のあることも初めからこれはわかっておる。そういうわかっておることの中でコードレスホンというものをサービスを開始したのですから、当時の需要予測というものを十分考えて、どの程度の需要予測があると見込んで始めたのか、そしてそれが振るわなかったのは一体どうなのかという、もう少し質問に真正面から答弁してくれませんか。
  64. 山本千治

    ○山本説明員 お答えいたします。  当時の需要予測の数をちょっと手元に持っておりませんので、後ほどまた調べまして御返事させていただきたいと思います。
  65. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、せっかくサービスを開始しても、こういうふうな状態であっては結局骨折り損のくたびれもうけというのであって、これは再考してやってもらいたいと思うし、新しい型のコードレスホンの機械もできたようでございますから、今後、これから申し上げるような諸問題もあるので、それを含めて慎重な配慮をしつつ普及ができるように御配慮いただきたいと思います。  そこで、私は公社の「コードレスホン」という立派な冊子もちょうだいしました。これも読んでみました。それからもう一つ、私の選挙区の山梨に山梨日日新聞という新聞がございます。ここに四月九日付の社会面の記事が載っておるのです。これを見ますと、「他人の料金で通話も 県内に違法商品 トラブル続き、公社悩む」こういう記事があるのです。これを早口に読んでみますと、   電電公社の認定を受けていないコードレスホンが市販されていることが分かった。電波障害や料金のトラブルを引き起こしやすいが、利用者の実態がつかめないため同公社は対策に頭を痛めている。  コードレスホンは、無線接続装置を取り付けると半径二十メートルの範囲内で自由に持ち歩いて使える。県内では甲府電報電話局が五十六年十一月から甲府市の中心部に限って販売している。しかし、最近問題になっているのはワイヤレスホンとか携帯用無線電話と称して市販されているもので、認定を受けていない違法商品。それで、この甲府局の管内ではまだ一人の加入者も申し込みをしていないのですが、  ところが、今年の二月中旬ごろ、塩山市で使われていたコードレスホンの通話料金が、別の家の電話料に加算されるというトラブルがあり、違法電話機が出回っていることが明らかになった。  これは  「農家などで、作業中にかかってくる電話を取るため、違法のコードレスホンと知らずに使っているケースが多いのでは」とみている。  こうした背景には、公社のコードレスホンに比べ、市販商品は①出力が大きいため広い範囲で使える②基本料のほかにダイヤル電話で三千八百円、プッシュ式で四千四百五十円の月額使用料を払わなくて済む-ことなどがあるようだ。  しかし、電電公社の認可を受けない市販のものは明らかに公衆電気通信法違反。加えて不法無線局として電波法違反の適用も受ける。一般への普及に伴いトラブルも続出。「通話が混信して秘密が保てない」「校内放送に無線電話の声が飛び込んでくる」という深刻なケースもある。   同公社にとって頭の痛いのは法的な規制の対象が利用者に限られ、  ここなんです、メーカー側に適用されないことだ。違法と知らずに使用している利用者だけに厳罰を課すのは気の毒だとして、今のところ「ほかの利用者に迷惑をかける無認可コードレスホンに注意を」と呼び掛け、発見した場合には「すぐはずして下さい」と指導するにとどまっている。  こういう記事なんですね。  なるほどこの公社からもらったコードレスホンのパンフレットを見ましても、まことに小さい字で「コードレスホンの類似商品が一部に出回っているようですが、これらの商品は、電電公社の認定を受けなければ、電話回線に接続して使用することはできません。お求めの前に電話局にご相談ください。」こう書いてある。もう少しこれをこのくらいの大きい字で書いたらどうですか。これはちょっと虫眼鏡ででも見ないとわからないのです。宣伝上手の公社がどうしてこういう小さい字で書いているのか、ここもわからない。  そこで、私はこの新聞を見まして考えたことは、要するに農民が畑の中へ行って桃畑の下で仕事をするわけですが、家に電話機があると電話がかかってきても通じない。桃畑の中で事実鳴るのですから、電話機を持っていっておくのですから、非常に便利ですね。しかも、公社の認定しない機械をそういうある悪徳業者が売り込みに行くわけです。東京に本社があるらしいですね。猛烈に電話でもってセールスをしている。だから、加入者は知らないから、これは便利な物だというので買って使っているわけです。ところが、今言ったように、法律的には、悪いことをした者はそのままになっておって、つけた加入者が不法の無線局ということで電波法上の処分を受ける、公衆電気通信法での処分を加入者が受ける。全く知らないために出ていることだと思うのですね。ですから、この対策に非常に苦慮している点は事実だと私は思うのですね。  そこで、電波監理局長にも意見を聞いておきたいのですけれども、こういうケースは恐らく単に山梨県だけでなくて他の地域にもあるのではないかと私は思うのです。東京の某社というのは私もよくわかりませんけれども、その所在を確かめて、そして電電公社にも聞きたいのですけれども、こういうふうな具体的な問題に対して今まで対策を何か立ててこられたかどうか、実態を公社は知っておったかどうか。知っていなければこんなところに書くはずはないと思う。もし知っておったとすれば、もっと積極的にどういう対策をとったか、これを聞きたい。それから電波監理局長にも、当然そういうことは関連して出てくると思いますから、どういうような対処を今までしてきたのか。新しいコードレスホンができまして周波数の割り当て等も考え直してくれているようですから、その点を含めて両方からひとつ回答してください。
  66. 山本千治

    ○山本説明員 お答えいたします。  まず私の方から新しいコードレスホンの機能につきましてお答えをしたいと思います。新しいものでまず二つ注意をしなければいけないと思いまして、一点は誤課金ということが一番大事かと思います。これにつきましては、お客さんのローゼットのところにつきます接続装置というものと電話機の間に一つの工夫をいたしまして、その工夫によりましてそういった、違うものでは絶対かからないというような工夫を施してございます。  それからもう一点は電波の混信、ということは盗聴という問題になろうかと思うのでございますけれども、これにつきましては、絶対防止できるかというと、さようなものはなかなかございませんで、容易ではないということを実は考えてあるわけです。  古いものは接続装置というところから電話局までが電波一本でつながる。要するに、有線が無線になったという仕掛けのものでございますけれども、今回のものは実は四十六本線が見かけ上無線ではつくってあるわけでございまして、狭いゾーンを設定してあるわけですが、同じゾーンの中で、例えばある回線を先生が既にお使いになっているといたしまして、私が使おうといたしますと、その先生の電波をよけまして次の電波を使うというようなことで、四十五本を順番に使うようになっているということで非常に混信しにくくしてあるわけです。それから、発信をいたしますときと着信のときでは周波数を変えるといったようなことで、新しい品物につきましては製品の考慮をいたしております。  そんなことでございます。
  67. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 先ほど実態はどうなっておるのかとお聞きしたのですが。
  68. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  先生が今、御提起になっている問題というのは、昭和五十年ごろにロバホンという名前で新聞を相当騒がせましたアメリカの輸入品のときからその問題がございまして、ロバホンそのものについては、私どももロバホンの会社ともトラブルを起こすくらい、やめてくださいというようなことを相当お願いをいたしましたけれども、実体的には余り効果がなくて、あっちこっちに売られたということが実情でございます。ただ、現実には、おつけになってからお客様との間でいろいろとトラブルがあったようでございます。今はロバホンそのものがついているというのはほとんどなくなったように我々は理解しているわけであります。  しかし、今度は日本のメーカーが故障が少ないものをアメリカにも相当輸出しているということもございまして、そういうようなものの一部になるんじゃないかと想像しているのでございますけれども、やはり日本の中で相当出回って、不法な形でつけられている。これはお客様が余り知識がないというようなことからそうなんだろうと思います。  そういうこともございまして、今までのところ、お客様から苦情がありまして、うちの電話が故障したというようなときに私どもがお客様宅に行きますと、そういうものがついているというようなことで、そういうときにはお話しして、御理解をいただいて外しているというのが現状です。そういうことで発見したのが今までのところ二千弱程度でございますが、恐らくもっとたくさんついているんだと思います。何万とついているんじゃないかと思いますが、そうやってお外ししていただいたのが二千弱。近ごろでございますと、平均的に見まして年に四百件くらいをお客様の故障の中から我々がお願いして外させていただいておる、こういうことでございます。  それは非常に受け身的な処理の仕方でございまして、先生指摘のように当然積極的にそういうことをしなければいかぬわけですが、先生から今ちょっとおしかりを受けました我々の、電電公社のパンフレットには、このコードレスホンに限らずすべての端末について認定が必要なんですよということを書いてありますが、これをあらゆるパンフレットに書かしていただいているというのが実態でございます。(鈴木(強)委員「その字が小さいのですよ」と呼ぶ)ですから、それは私ども反省しなければいかぬと思います。それと同時に、新聞広告審査協会とか日本広告審査機構とか日本雑誌広告協会、そんなところには電電公社の方から相当の頻度で直接伺って、こういうことの広告を取り扱わないでいただきたいということはお願いをいたしております。そういうことで、私どもちょっと今、控えも控えておりませんし、具体的な回数等は忘れましたけれども、売っているところから、広告掲載を断られた、電電公社は不法だ、そういうことをする権利が一体どこにあるんだというようなことで、抗議を受けたことも再三ございます。  それで、今、先生がおっしゃったPRが足らない、お客様が現実にはよく知ってないじゃないかという点については、我々今後とも反省しまして、その点についてよきPRを図らなければいかぬだろうというふうに思っております。
  69. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省の方で把握をいたしております御指摘のコードレス電話によります通信の妨害状況につきましては、私ども最近のものでは全国的に十数例を確認いたしております。この問題につきましては、五十六年の五月の段階で電波法改正をしていただきまして五十八年一月一日から施行されております電波法上の不法開設罪というものに該当することになってまいります。したがいまして、郵政省といたしましては悪質な不法無線局に対しましては告発もいたしているところでございます。  なお、御指摘のような周知宣伝という点につきましては、私どもの方からもメーカーあるいは販売店に対して直接の注意あるいは広告主としての立場に関しても注意をいたしてきているところでございますが、何にしましても、一般の利用者の方々が知らなかったために違反をしてしまうということがないようにこれからも広報活動を一層郵政省として強力に進めたいと考えておりますし、電電公社ともお話をしてまいりたいと考えております。
  70. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 公社の方でだれがこういう商品を作っているかということは突きとめているのですか。今、局長は注意をしたというようなお話があったけれども、それは郵政省でどういうふうに把握しているのですか。
  71. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもすべてのケースについて把握し切れているものではございませんが、このコードレス電話による電波妨害がありました事例につきまして、承知をしている限りでは一部製品の名称等からメーカーが把握できているというものがございます。
  72. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どういうところですか。
  73. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 製品の名前で申しまして、私どもは三種類くらいの名称のものを把握いたしております。
  74. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 製造会社はどこですか。
  75. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 製造会社は手元の資料ではちょっとはっきりいたしておりませんが、使用機器の名前は、例えばスーパーホーンCT302というふうな形で把握をいたしております。これはメーカーもつかんでおるものでございます。
  76. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 メーカーの名前はひとつぜひ後から資料として出していただきたいと思います。  今度の新コードレスサービスについては、電波の割り当てで電波法上特に従来と違った考慮をしていただいておるわけでしょう。そこのところはどういうふうになりますか。
  77. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 電波の割り当てに関しまして、新しいコードレス電話の御質問だと思いますが、この点につきましては、先ほど公社の方からもお答えしております新製品が三月末に発売をされております。私どもといたしましては、従来非常に利用上の技術的な限定がありましたものを極力工夫をいたしまして、一つの電話機の中で四十数チャンネルのものが通話に利用できるような組み込みをいたしまして、多くの方に利用していただける、もちろん一般的な技術の進歩の中で先ほど問題とされておりました重量につきましても工夫がなされているという状況にございます。
  78. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ちょっとここに新型のコードレスの特徴として、周波数の割り当て間隔をこれまでの二十五キロヘルツから十二・五キロヘルツに縮小する。それから複数、要するに四十五チャンネル、さっきちょっと出ました通話用チャンネルの中から空きチャンネルを選択して使用するマルチ・チャンネル・アクセス方式を採用する。それから別に用意された制御用チャンネルにより使用する通話チャンネルを自動的に設定。したがって、その誤接続防止のため、通話の都度識別コードを自動的に確認の上接続する方法を採用する、こういうふうになっておるのです。そうしてあと混信の防止とかそういったことがあるわけで、これが入ってくればこの不当な開設ということは出てこないと思うのですが、そういうふうに考えていいのですか。
  79. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま先生からお話がございましたような内容でございまして、私の御説明の方がむしろ不十分でございましたけれども、御指摘のようなことで周波数を多く利用いたします中でそのときどきに応じて選択をして特定の周波数を選んで回線設定をするという仕組みでございます。したがいまして、誤接続等の問題は少なくとも公社認定という形の中で行われる限りにおいては出てまいりません。しかし一方で不法にという問題が出ておるわけでございますので、この点は先ほどもお答え申しましたように不法開設罪という形での電波法の改正を昨年初めから施行させていただいておりますので、この立場からこの種のものについては今後とも強力な取り締まりあるいは広報活動を行ってまいりたいと考えております。
  80. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、今、御質疑をお聞きくださってよくおわかりだと思いますが、問題は電電公社の認定を受けない違った商品をつくって、そういうことについては加入者はよく知識がないでしょう、そういうところへ売り込んでいる業者が一番悪いですよ。加入者は知らないでやっているわけですよ。ところが、法律的には加入者の方が無線局を設置したということになり、公衆法違反になっていくわけです。したがって、そのメーカーを退治しなければだめだ。現状の法制の中ではそれができない。したがって、今郵政省なり電電公社からお聞きしますと、できるだけ行政指導の面でPRも兼ねて、そういうことは違法ですよ、いけませんよ、公社の方でこうやっているのですということをこれからどんどんPRしていく、こうおっしゃるわけですよ。したがって、あとは現行法制の中で逃げ道を与えてしまっている、これは盲点をついてやられているわけです。一方製造業者からすればそれは製造の自由というものがあるじゃないかということも言われるでしょう。しかし、製造の自由はあってもそれを悪用して他の法律に違反するような、しかも全然他人がそういうふうなことについてこれを放置するわけにはいかぬと私は思うのです。ですから、どういう形でもそういう製品を絶対につくらないように、つくったときにはやはりある程度の罰則を加えたものを法制的に整備しておかないと、これからいろいろな新しい機械が出てくるわけですから、そういう方途を講じておかなければならぬなと私はつくづく感じておるわけなんです。非常に難しいことですけれども、ひとつ検討課題として十分に大臣にも御研究いただきたい、こう思いますが、御所信を伺いたいのです。
  81. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 大臣への御質問でございますけれども、法的な問題もございますので、私からちょっとお答えさせていただきたいと思います。  製造面での法的規制の問題につきましては、先生も今お話がございましたように、いわゆる国民の自由という観点からの製造の自由という問題が出てまいります。私どももこれまで検討を重ねてきておりますけれども、なかなかそういった面で規制が難しい。しからばどうするかということになりますと、やはり先ほどから問題になっておりますように、利用された方が迷惑をこうむるということがないようにするということで、その点からメーカーあるいはそれを販売いたします販売店に対しまして、できるだけ強い要請をしてまいりたい。私どももいわゆる工業会あるいは個々の会社等に対しましても、これはコードレスに限りませず、一般的ないわゆる無線通信機器につきまして、不法な形のものをつくらないようにという指導はいたしておりますけれども、問題は、アウトサイダーがいる、あるいは私どもが把握をし切れないようなメーカーがそういったものをつくるという問題、それからまた仮にそういったものをつかまえました場合に、いや、これは実は輸出用なんでございます、こういう逃げ口上というふうな問題が出てきたりいたしますので、その辺も踏まえながら、私どもとしてできるだけ強力な取り締まりあるいは指導をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  82. 奥田敬和

    奥田国務大臣 つくった人はもう自由で、使ったユーザーがそれによって迷惑をこうむるというのですからおかしなことだと、先ほどからちょっと、専門的な問題も含んでおりますけれども、知らないで使った人たちが法に問われて、逆につくったのは何つくってもいいんだ、製造の自由だということになれば、これはやはりちょっと制度的に欠陥ありますね。ですから、これは検討に値します。つくったら何でも自由だ、使った人が知らないうちに危険を感ずるようなものをつくって、使った場合には後はもう野となれ山となれで、使った人が問題にされるというような形は、これは制度上ちょっとなじまないな。検討さしてみたいと思います。
  83. 山本千治

    ○山本説明員 先生の御趣旨に沿う意味で、私どもが積極的に売っていくということも大切なことだと思うわけでございます。十月末までには全国の全地域で発売できるように考えていきたい、逐次拡大してまいりたい。本年度は一応予算の上では三千三百台を用意しておりますけれども、売れぐあいによりましてはさらに増加につきまして一段の努力をしてまいりたいということでございます。
  84. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 また来年、これしか売れないじゃないかなという意見が出ないようにひとつやってください。  それでは、次に電電公社昭和五十九年度の事業計画について若干お尋ねいたします。  その第一は、ことしで三カ年事業計画が終わることになります。そこで、過去二年を含めまして、当初の計画どおり順調に計画が進んでおるかどうか、時間がありませんから簡略にひとつお答えください。
  85. 池澤英夫

    ○池澤説明員 三カ年事業計画の進捗状況でございますが、INSの基盤形成それからサービスの拡充・改善と事業経営の改善施策の推進、こういったことを主要の柱、課題といたしまして、五十七年度から五十八、五十九ということで、先生おっしゃいましたとおり三カ年事業計画ということで今、実行中でございます。五十七年度の予算それから五十八年度、五十九年度、そういったものから見まして、現在の三カ年の実施状況ということを対比しますと、電話サービスで加入電話の例えば増設でまいりますと、事業計画では三百四十万加入ということでございましたが、予算では三百四十万加入ということで、これはおおむね計画に沿って今実施をしている最中でございます。それから加入区域の拡大では七キロメートルの範囲内の拡大、これは五十七年度に完了いたしました。今現在やっておりますのは七キロ門外の加入区域の拡大ということでございますが、これも五十九年度に土地域の拡大を予算でお願いいたしておりまして、これも着工工事としては全部計画どおり着手をするという予定でございます。  それからディジタル交換機あるいは光ファイバーケーブルを主軸といたしますディジタル伝送路、それからDDパケット交換とか、回線交換などのいわゆるデータ網のサービスを需要におこたえして一生懸命やっておりまして、これらにつきましては、三カ年事業計画を上回って需要におこたえをしていくというふうな見通しになっております。おおむねそういうことから判断いたしまして順調に推移させていただいておるというふうに考えております。
  86. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大変御苦労でございます。  それではその次に、五十九年の秋に予定しておりました本電話機の開放問題につきましては現状においては中止した、こう理解をしてよろしいですか。
  87. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  本電話機の開放は秋に行う方針でございましたが、現時点では事業法の問題が出てまいりましたので、その事業法の趣旨に沿ってその施行に合わせて本電話機の自由化を実施するということにいたしたい、このように考えております。実施に当たりまして、自由化する設備の範囲、責任分解点、基本料、設備料の扱い等について現在検討を進めておるところであります。
  88. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 事業法だか何だか私よくわかりませんが、そんな法律はまだ出ていない。この委員会にもかかっていない。そういうものを考えてやるということもちょっと見当違いじゃないか。当初この秋にやるならやるようにちゃんと法的手続をとるならとるべきじゃないですか。これはいい。私はそういうふうに思う。  そこで、三つ目には総裁の事業概要説明の中で、特に非常災害に対する通信の確保を図る防災計画としては、大規模地震対策とか、局舎防災対策を推進する、こういうふうにお述べになっておりますが、大規模地震対策特別措置法がつくられまして、東海地震のおそれがあるわけでして、そういう意味から非常に大事なことだと思いますが、具体的にもう少しその内容を説明してくれませんか。
  89. 池澤英夫

    ○池澤説明員 お答え申し上げます。  五十九年度の予算の防災計画につきましては、今、先生お話しありましたとおり、いわゆる東海地震対策あるいは局舎の水害とか、そういうことを重点にやっております。  具体的に若干申し上げますと、東海地震対策関連では、公衆電話の停電とか金庫の充満対策ということで公衆電話の改造等を過去からやってきておりますが、五十九年度予算では残りのほとんどについて実施をしてまいりたいというふうに考えております。例えば公衆電話機の改造では約三千個弱をやって全部これで終了。それからもう一つは施設、局舎の耐震対策、補強でございますが、こういうものも考えております。そういったことで東海地震対策につきましては五十九年度末までにほぼ完了する。一部残っているのはどういうところかと申しますと、道路のかけ崩れなど多発の危険箇所に引いてあります伝送路、線路でございますが、そういった危険箇所の改善ということで、これは道路の方の強化対策とも関連がありまして若干後年度に残るというふうに現在ではなっております。  それから、新たな施策として合いわゆる局舎の水防対策ということがございますが、過去の異常降水量ということでそういうものも検討いたしまして、局舎設計上の水防想定水位が過去からも変わってきております。そういったものとか、都市型災害というものが最近出ておりますが、これは地域環境が変化したものによりますので、こういったものも織り込みまして周囲の囲障とか建物の外壁または重要な設備を使用する部屋について水防対策をやってまいりたいということで、五十九年度の予算では約百四十局余りそういったことを実施してまいりたいというふうに考えております。そういったものとかあるいはいわゆる災害が出たときの可搬形の移動無線機とかそういったものも含めまして、大体予算額の総計といたしましては五十八年度並みの四百三十二億ということで考えております。
  90. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大体わかりましたが、街頭用公衆電話の確保対策も非常に大事なことだと思いますから、ひとつ残されたものは全部早く終了するようにお願いしたいと思いますし、それから都市災害等に対しては、都市内の中継線の多ルート化あるいは電力防災センターというのでもつくって水防対策をちゃんとするとか、あるいは搬送無線の二ルート化の完了していない地域がまだどこか幾つかあると思いますけれども、そういったふうな地域についても安全対策のために絶対通信は確保する。幸い通信衛星というものが実用化されてきているわけでありますから、この通信衛星を使ってまいりますと防災のためには大変役立つと私は思います。  時間がなくなってしまったので、それらの問題についてもお伺いしたかったのですが、もう一つお伺いしたいのは、電報の将来像についてきのうちょっと私は総裁にもお伺いをしておきました。それで、具体的にとにかく四千万通の電報を取り扱っていることは間違いありません。しかも、これは公共性の強い事業でありますから、これは明治二年開設以来黒字だということはないのです。ずっと赤字の仕事であった。あえてやってきた。これが公共性が強かったからであります。そこで、いろいろと時代の趨勢によって変わっていくことは私たちもよくわかります。これだけ聞いておきたい。電報自動処理装置の着工計画というものが具体的にどういうふうになっておるか、それから電報用模写電送機の今までの設置数、それからこれから五十九年度にどれだけのものをしようとするのか、それからもう一つは、キャラクターダイヤルと短縮ダイヤルサービスの提供に際して公社は需要予測というものを十分にやっておられるかどうか、これらについてお伺いしたいのでございますが、時間がちょっと足りなくなりましたのでひとつこれは後から資料で出していただきたい、こういうふうに思います。いずれにいたしましても、電報を御利用するお客さんがある限りにおいては電電公社は電報事業というのは続けていく、こういうことを基本に置いておられると思いますが、ここのところだけ総裁からちょっと聞いておきたい。
  91. 真藤恒

    ○真藤説明員 電報というものは世の中の方で随分減ってはおりますけれども、まだかなりの数字で動いております。ただ、今おっしゃいますように膨大な赤字を出しております。ですから、これをそのままにほうっておくわけにもまいりません。それでいろいろな総合的な施策を今みんなが寄って考えておりますが、大体目鼻がついてきてこういうふうにやればいいだろうしまたやれるだろうという結論に大分近づいておりますので、いずれそれができましたら適当な機会に御説明できるようになると思います。要するに、片仮名電報という概念から記録通信という概念に変えたいというふうに考えております。
  92. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ぜひ労働組合側とも十分に御協議をなされてその計画をお進めいただくように特に私はお願いをしておきます。  それで衛星通信については今CS2a、bが上がっております。ところが利用しているのは小笠原と防災無線ぐらいなもので、これはどのくらい金がかかっているか、総トータルを含めて私もきょう聞きたかったのですけれども、わかりませんから次にいたしますが、いずれにしても、これもせっかく打ち上げて実用化になっている衛星がたしか四千チャンネルでしたか、あるのですね。ところが、それが非常にうまく使われてないということについてはどうも私としては納得ができない。したがって、昭和五十八年四月二十七日に私が本委員会におきましてCS2の利用について郵政省電電公社に質問をしております。ここに議事録もありますが、その際に、公社としての考え方として通信衛星としての特徴を生かした新しい通信サービスに御利用いただくのが一番よろしいということで、一案としては高速度の通信回線を利用してのテレビ会議あるいは高速のファクシミリ伝送あるいは高速データ伝送、企業内のさまざまな通信が行えるいわゆる統合ディジタル網、それからINSのミニチュア版の問題とかあるいは新聞紙面とか書類とか映像等を一カ所から多数の場所へ同時に伝送ができる同報通信とか、こういった特徴を生かせるようなサービスを星を使ってやりたい、こういう答弁がなされているのです。したがって、これは五十八年の四月二十七日でございまして、星が上がったのが八月でしたかね、予備が上がったのが。ですから、その前に伺っておるわけですから、こういった点も実はきょうここでも明らかにしていただいて、この星を使ってのサービスがどこまで進んでいるのか、これも宝の持ちぐされになっては、莫大なお金を使っているにもかかわらずこういうことでは困ると思うので、私はそれらの問題を含めて伺いたかったのですが、時間がありません。委員長にお願いしたいのですが、きょうは我々理事が決め合った時間でありますからこれに従いますが、ぜひ、たくさんの質問を持っておりますから、さらに一般質問を続けていただくようにお願いをしておきます。  では、これで終わります。ありがとうございました。
  93. 志賀節

    志賀委員長 伊藤忠治君。
  94. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私の方からはまず最初に、今も鈴木先生の方から若干お触れになりました電報事業の問題についてお伺いしたいと思います。  言うまでもございませんが、電報事業といいますのは、我が国におきます最も歴史のある通信サービスでございます。それだけに、電話通信あるいはニューメディアの出現へと通信手段が進展をしてきていましても、電報サービスというものは通常の電報から慶弔電報へと確かに利用者の利用動向は変化を見せてはおりますけれども、社会生活にしっかりと根づいている通信サービスだろう、かように考えるわけでございます。とりわけ私たちのように有権者の洗礼を受けるという立場にあります者は特に慶弔電報を日ごろ多く利用しておりまして、その面ではこの電報サービスの恩恵をより多く受けているんだろうと思いますし、また言い方をかえれば電報事業に貢献もしている、こういうふうに言えるんじゃないかと思っているわけでございます。そういう利用者の立場に立ちまして、電報サービスは公社の直営事業として将来にわたって運営されていくという、先ほども総裁の態度表明がございましたけれども、非常に喜んでいるところでございます。  ところで、利用者の一人としまして日ごろ考えていることがございます。  まず第一点は、電報の電文なんですが、現在は片仮名文字になっておりますけれども、これを利用者の方から注文をすれば漢字の電文あるいは平仮名の電文、こういうことに今後サービスというかその内容を改善を図っていくというお考えがあるのかどうか。世の中全般を見ますと、パソコンあるいはワープロを今では子供たちも非常に駆使しているような時代でございますから、そういうことをつい考えるわけですが、こういうふうにサービス改善をされることについてどうお考えなのか、これが一点です。  二点目は、祝電の場合、これは結婚式や誕生日が多いわけですが、祝電と同時に花束も配達するというようなサービスが実施されますと、利用者にとってはその気持ちが相手により届く、こういうふうに思うのです。また、慶弔の場合を例にとりますと、できるなら香典も一緒に届けていただければこれは非常にありがたいと私は常々思っているわけです。利用者は非常に喜ぶだろう。  電報は赤字赤字だというので随分苦しんでお見えなんですが、そういうことで利用増につながるのじゃないかというふうに私は思うわけですが、どこまでできるかというのは専門家の公社の立場でしょうから、今後のサービス拡充に対して公社がどのようにお考えなのか、見解を賜りたいと思います。
  95. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  先ほど総裁からも鈴木先生の質問に対して簡単にコメントがございましたけれども、現在のいわゆる片仮名オンリーという電報、現象的にはここ数年間ふえておりますけれども、将来的には、場合によっては先細りという可能性もないではない、こんなことも頭に置きながら現在私ども部内的にはワーキング、また一部、部外の先生にも加わっていただきまして、俗に言うならば電報の未来像というものの研究を開始しております。こういうことを待ってまた詰めていきたいと思いますが、大変感覚的に申しますと、最近ワープロというものが出てきた、漢字も見事に入っていくじゃないか、それからファクシミリというようなものが出てきた、手書きの字も図形もみんな入るじゃないか、御指摘のとおりでございます。現にそういった需要は出ております。それからもうちょっと余計なことを言いますと、最近コンピューターを使ったいろいろな通信関係の技術というものが進展しまして、現在あるサービスでは例えば同報通信というものがございます。一通電文とあて先をあてたいところに送れば全部機械が処理して送ってくれる、あるいはMTみたいなもので、同じようなことですが、一気にそういった交換機に打ち込めるというような技術もあるし、先々できていくだろう、こんなことが予想されるわけですね。私どもそういった問題を踏まえて、一体未来型、先ほどの総裁のお話では、電報というイメージよりも概念的に言えば記録型通信、こういう話をいたしましたけれども、そういったようなイメージで研究していきたいと思っております。  それから花束電報と香典のお話がございましたけれども、香典は、ちょっと私、法律の名称は定かではございませんけれども、現在限られておりますのは、ああいうお金を送るとかそういう格好でございますね。したがって、制度上はなかなか無理があるのではないか。  それから花束電報も香典も含めまして需要サイドということではどうかという点、率直に申し上げまして大変疑問な点があるかと思います。しかし、検討しないということではございませんで、今まで何回か検討はしたのですけれども、従来の段階では、こういったものはやってみてもなかなか需要が出てこないんじゃないかということはございますけれども、未来型の電報といった形に含めて検討していきたい、こう思っております。
  96. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ぜひともそういうバラエティーに富んだサービスが実施されることを利用者の立場から望むわけでございますが、今、説明されましたように、鋭意検討をなされて、サービスの拡充が早く実行に移せますようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、電報事業は電話と違いましていつも収支状況が問題になっております。行革を目玉になさっている中曽根内閣のもとではなおさらその感が強いわけでございますが、今日まで行管庁あるいは会計検査院などの指摘もございまして、電報事業の効率的運営、合理化施策の推進について、公社の労使間ではこれの具体化について話し合われているというふうに私たちもお聞きしているわけですが、そういう状態なのかどうなのかということをイエスかノーかで結構でございますからお聞かせをいただきたいと思います。
  97. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  電報についてはもう十年以上前から、俗に言えば合理化というかスリム化、こういう観点で労使間でもいろいろ話をいたしまして、私たちもいろいろな施策を進めておりますが、とりわけ本年以降という段階に向かって、たまたま昨年末労使間で一定の仕切りをいたしまして、一層のスリム化といいますか運営体制の効率化といいますか、そういった問題を進めるべく話し合いを、一部は終わっておりますし、一部は継続して、しておるところでございます。
  98. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 現在労使間でも鋭意話がなされているということを伺ったわけですが、たしか五十四年から五十七年度までを第三次の再編計画と当事者間では言われているそうですが、一般にはこれは合理化計画というわけなんですが、それに取り組まれてこられた。現在取り組まれておりますのは第四次の計画に該当するものなのかどうなのか、また、それは向こう何カ年計画で達成なさろうとしているのかどうか、この二点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  99. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えします。  計画の一応の仕切りというベースでは、今進めているのは四次というふうに見ていただいて結構かと思います。  私ども、すべてがすべて詰まったわけじゃございませんけれども、現在は、本年度、五十九年度からざっと六十二年度ぐらいを当面展望いたしまして、先ほどお話ししましたように運営体制の効率化、たくさんございますけれども、一つだけ例を申し上げますと、現在一一五番という受付を電報電話局等でやっておりますけれども、これを例えば、現在二百三十六ほどございますけれども、細かい書き方はございますが、感覚的に数で言いますと半分以下にしていこうとか、こういったような運営体制の効率化とか、あるいは配達などを民間委託、現在しておりますけれども、さらに一層拡大するとか、こんなような内容で話を進めておるところでございます。
  100. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこで、たしか電報事業の運営について会計検査院から五十八年の十一月三十日の日付でもって具体的に電報事業に対する意見の表示がなされているわけですが、特徴的なのは郵政の委託業務の現状のあり方について従来になく多く触れられているというのが印象的でございます。私も目を通しまして、それにかかわる分について取り上げて読んでみますと、五十七年度の委託費は四百五十六億円強に上る、これは電報事業全体の収入が三百六十六億円ですが、委託費の方がそれを上回っている。この事業支出の二九・一%を占めている。郵便局の五十七年度の電報の受付通数は全体で約四百十七万通、一局当たり一日平均は一通未満だと指摘をされております。また、郵便局の配達通数は全体で五百一万通、一局当たり一日平均では三・九通になっております。しかも夜間集中局九百五十三局を抜き出して調べますと、すべてその配達はさらにまた郵政から民間に再委託をされているという実情でございます。公社が民間に委託しておりますのは一局当たり一日平均十七・一通。以上の事態を生じたのは、「郵政委託の在り方等についての検討が十分行われていなかったことによるものと認められる。」「現状のままで推移すれば、今後も電報事業の収支が改善されず、損失は、累増の一途をたどることとなるものと認められる。」以上が会計検査院の意見表示でございます。  このことに関連をしまして公社に伺いたいのですが、そこで郵政委託費は四百五十六億円、指摘のとおりでございますが、民間委託費というのは一体いかほどの額になるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  101. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  民間の委託費は五十七年度で総計七十二億円、こうなっております。
  102. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 念のためにお聞きをいたしますけれども、郵便局が電報を配達する場合の一通当たりの委託費は幾らになるんでしょうか。それから、民間に公社が委託をされている場合の一通当たりの委託費というのはどれぐらいになるんでありましょうか。
  103. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えします。  郵政省に委託して配達してもらっております通数は五十七年度で見ますと今、御指摘にもございました五百一万通でございます。これに対応する配達関係の委託費は百四十八億円、これを割り算いたしますと一通二千九百五十四円という数字になります。一方、民間委託は配達委託通数が五十七年度全部で千百七十六万通、委託費が先ほど申し上げましたように七十二億円でございますから、割り算いたしますと一通当たり六百十三円、こういう数字になるかと思います。
  104. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、今お聞かせいただきましてわかったのですが、請負単価で言いますと、民間委託の場合といいますのは郵政委託の約五分の一で済んでいる。このような状態のまま将来に向かって進んでいくということは、どうもそうはならないのじゃないか、このように私は考えるわけでございます。  電報事業といいますのは公共サービスであることは論をまちませんし、現状のままでは収支の改善が図られない、遅々として進まないというか、そういう大変な大きな問題を抱えていると思うわけですが、それが改善されないから料金へしわ寄せをされるなんということでは、利用者、国民というのはやはりその立場に立ては納得がいかない、このように私は思うわけでございます。  そこで公社としてはこの問題の改善策についてどのように考えられているのか、どのように今日まで努力をされて、現在もまた努力をされているのか。事が母屋と分家のような関係でして、公社としても非常に物が言いづらいのではなかろうか。郵政さんの方にしたって分家のことは気になると思いながらも、この問題はそう小さい問題ではございません、大きな問題ですから、なかなか簡単には解決がつきにくいことがあるかもしれませんが、公社の立場としては今どのように努力をされているのか。しかも私が一番憂慮いたしますのは、現在のような状態というのは長く続かないと思うのです。つまり経営形態が今論議をされておりまして、これからまさに論議を迎えようとしているわけでございますから、今日そういう制度改革の時期を迎えている中でこういう問題を引きずって将来にわたっていくというのは、果たしてどうだろうかということを一番心配するわけでございますから、問題の解決が図れるとするならば早期に決着をつけて将来に対処するということが必要ではないか、このように思いますので、そういう点を踏まえて公社当局としての、とりわけ総裁としてのこの問題解決に対する決意をお聞かせいただきたい、かように思います。
  105. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  電報事業につきましては、先ほどから申し上げておりますように、業務運営体制の見直しなど収支改善に取り組んでいるところでございます。  郵政委託費につきましては、先生指摘のように、過去からのいろいろな経緯もございまして、毎年の協定の中でいろいろと改善を図ってきたところでございますが、この郵政の委託費が大きなウエートを占めているという御指摘のとおりの現状でございますので、郵政委託問題の抜本的見直しは極めて緊急重要課題と私どもは認識しております。この立場に立って関係方面の御理解を得つつ、郵政委託問題の早期解決のために積極的に対処いたしたい、このように考えているところでございます。
  106. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 総裁の方からもお聞かせをいただきたいと思っているわけですが、結局あれでしょうか、両者の間では歯車が合って、うん、なるほどこれはやらなければいかぬなということで現在進行中なのか、それともこれは長い間の経緯がございます、そのように聞いておりますので、いや相変わらず距離があるということだと、今も答弁の中で触れられたように、収支に占めるウエートが非常に高いだけに、私は電報事業の改善を図るといったって、収支の根幹に巣くう問題、存在する問題が除去されないと、なかなか展望は開けないじゃないか、かようにも思いますので、そのあたりを踏まえて、ひとつ総裁の方からでも結構でございますので、責任者としての御見解を承りたいと思います。
  107. 真藤恒

    ○真藤説明員 この問題につきましては、さっき局長が申しましたように、今、具体的に郵政といろいろ改善策について御相談をかけておるわけでございますが、郵政も前向きに、過去のしがらみに余りこだわらずに対応していただいておりますので、そのうちに問題は解決するというふうに考えております。
  108. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 総裁からお聞きしまして安心をしたわけですが、ひとつ郵政省、とりわけ大臣の方としましても、この問題の解決に向けまして最大限の努力をいただきますようにお願いを申し上げたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  109. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 公社からの電報委託は長い歴史がございますが、現在郵便局で受託している地域は、山間僻地の非常に不便な地域が残されております。したがいまして、一通当たりの委託単価も民間に比べて高い状況にはなっておりますが、ただいま申しましたような事情、沿革等がございますので、その辺の御理解はいただきたいと思います。  なお、単価等につきましては、毎年公社と協定を結んで委託費をいただいておるという状況でございます。  しかし、基本的には、今後郵政の電報委託をどうするかという問題につきましてただいま公社と協議しておりますが、やはり絶えず最も根本的な電報業務をどうするか、臨調の答申にもございますように、夜間配達の廃止等の問題が絡んでまいりますので、その辺の協議が最も基本的な問題だというふうに認識しております。
  110. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いや、大臣に聞いていますので、お願いします。
  111. 奥田敬和

    奥田国務大臣 電報が果たしている役割はやはり依然として大きいわけですね。ですけれども、これからはシステムが変わってくると思うのですよ。ニューメディアが必ずしもすぐ結びつくというわけじゃありませんけれども、ファックスも発達するでしょうし、特に夜間配達の必要性というものはもうほとんどなくなったのじゃないですか。夜中に来るのはサラ金の電報か、慶弔にしても恐らく選挙関係も多いでしょうし、ですから、電報の果たす役割というのが依然として重要ではあるけれども、内容的には相当変わってきている。深夜配達というような形は本当にもう必要なくなってきている。  そういうことで、今後やはりお互いに制度の改善とともに協力していきたい。郵政にとっても、何も電電からの電報の配達料を上乗せして、そんなもので飯を食うなんというさもしいことはいけませんし、そういった意味の改善策については、さらにお互いに協力し合っていく、補完していく立場であろう。新会社になればそれが大きな経営負担になってくるということになると、やはりそういうことであっては困るわけですから、そういった形でお互いに話し合って、協力し合ってまいりたいということです。
  112. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 大臣の答弁を聞きまして考え方もよくわかりましたので、ひとつ早期に解決できますように監督の立場からも御指導いただきたい、かように思います。  続いてテレトピア構想について、時間が多くございませんけれども、郵政省にお伺いを申し上げたいと思います。  郵政省がニューメディア時代を展望されまして、現在積極的に指導なされているわけですが、このテレトピアのモデル都市の指定について、たしか五十九年度中に行われるという計画で進められていると思うのですが、今その選定作業が進行中だろうと思うわけでございます。  実は私の選挙区におきましても、三重県の津市と四日市がこのモデル都市に立候補しておりまして、県段階でもそれの具体化といいますか、県の立場で具現化のために指導していくということから、高度情報通信システム調査研究会、こういうものを設置をしまして活動を開始をしているわけでございます。  時間の配分がございまして、詳しい質問は次の機会に譲りたいわけでございますが、二点ほどお聞かせをいただきたい。その一点は、モデル都市に指定をなさる場合の基準について、お聞きしますところ、一つは地域の立地条件、二つは産業構造、三つは情報通信のニーズ、こういうものを加味をして決められるということのようでございますが、三つのそれぞれの中身をどのようにお考えなのか。現時点の考え方で結構でございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  113. 小山森也

    ○小山政府委員 三つの基準の内容に御返事申し上げる前に、ちょっと手順を申し上げたいと思います。  ただいまモデル都市の指定を希望する地方公共団体から、地域実態調書というのを提出させている段階でございます。今後の問題でございますが、近く、近日中でございますけれども、基本計画策定指針、これは各地方公共団体でつくる計画策定の指針というものでございますが、これを私どもから地方公共団体に示す予定にしております用地方公共団体にはこれをもとに地域特性に応じた基本計画を策定していただくということになりまして、この提出のめどは大体八月から九月にかけて郵政省に提出していただきたい、こう思っております。  さらに、それでは具体的に最終的に指定基準をどうするかということですが、その後になりまして指定基準というのを定めるということにしております。したがいまして、ただいま先生指摘の基準の三つの内容というのはまだ確定しておるわけではございません自この指定基準をつくった後で、今度は各地方公共団体から出てきました基本計画等とも照らし合わせまして、五十九年度末に全国で十カ所程度指定していくということにしております。  ちょっと大げさな物の言い方になりますけれども、何分ともこのような構想は世界的にも初めての試みでございまして、未知の領域が非常に多くあります。したがいまして、社会的経済的にも広範な影響を及ぼすと思っておりますので、私どもの役所だけというののほかに、さらに内外の識者の御意見等も含めまして基準をつくっていこうということで、大臣の私的懇談会で、未来型コミュニケーションモデル都市構想懇談会というのをつくっておりまして、そこにおいて最終的には基準の参考をつくっていただいて、その後私どもの行政の責任において基準を策定していこう、こういうことでございます。したがいまして、まことに御質問にまともにお答えしてないのでございますけれども、三項目というのはまだ決まっておりませんことを御理解ただきたいと存じます。
  114. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、物差しが決まってなくて、モデル都市を選定した後にその委員会等で検討されて物差しが決まる、具体的にどのように指導するかというのはその後のことだ、こういうふうに理解していいわけですね。
  115. 小山森也

    ○小山政府委員 選定基準は本年じゅうに決める予定でございます。指定基準を定めて今度、ちょっと先ほど手順で申し上げましたけれども、まず八月から九月にかけまして地方公共団体からいろいろ出てまいります。それと指定基準を定めたものと照らし合わせて、その指定基準に基づいて指定をしていくということになります。その期日が大体五十九年度末になるであろう、こう申し上げているわけでございます。
  116. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ということになりますと、モデル都市が決まりまして後、それでは具体的にどのように御指導なさるのかということはまだ固まってないのですか。
  117. 小山森也

    ○小山政府委員 それぞれの地域の特性に応じた指定準基とのつり合わせで出てまいりますから、それに従いまして指導などをいたす、こういうことでございます。
  118. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ですから、おっしゃるように指導の内容も区々にならざるを得ない、こういうことで理解していいわけですな。はっきりわかっていないということは大体そういうことですな。実はこの問題は電電公社が基盤形成に向けてどういうふうにかかわっていくのか、その点も聞いてみたいなと思うのですが、テレトピアの形成に向けて具体的にどう対処されていくのか、その点はどうなんですか。
  119. 小山森也

    ○小山政府委員 モデル都市をつくることの理念でございますけれども、結局現在実用化段階にございます双方向等のCATV、それからキャプテンシステム、一番基幹をなしますのは総合ディジタル網の形成、こういった通信のインフラストラクチュアの形成というものを集中的に導入、集積いたしまして、時代に先駆けて高度情報社会を実現するというのがこのいわゆるテレトピア構想の理念でございます。そういたしますと、今、御説明申し上げましたことから類推していただければ当然御理解ただけると思うのでございますけれども、電電公社のディジタル網の建設というのがどのような形でモデル都市に構築されるかということは非常に大事な要素でございまして、まさにこのテレトピア構想というのが成功するかしないかということは、ディジタル網を完成いたしまして通信のインフラストラクチュアとしての基盤をどうやってつくるかということと非常に重要なかかわりがあるということでございます。
  120. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうすると、公社のディジタル網の建設がずっとやられるまでなかなかテレトピアの関係は進まないということなんですか。そういうふうな感じで聞くのですが、そうではなくて、つまりモデル指定都市が決まればその地域には先行的にというか、重点的、優先的にというのですか、そういう計画でもって電電公社の方がディジタル網の建設を進めていかれるということなのか、そういう点のかかわりぐあいはどういうふうになるのでしょうか。
  121. 小山森也

    ○小山政府委員 モデル都市になりました場合には優先的に構築していくということで、電電公社の方と密接な連絡をとりながらこれを進めてまいるということで話をしておるところでございます。
  122. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 現在のところまだなかなか具体化していないわけですから議論もがみ合わないと思いますので、次に譲ることにいたします。  最後に公社に伺いたいのですが、INSを展望しました訓練政策についてお伺いをしたいと思うわけです。  総裁は、五十七年二月二十五日の委員会でもってこのように考え方を述べられております。訓練というのは「財務の問題よりもむしろ人間の問題に問題がございまして、新しいINSの設備を運営いたしますのに必要な我々の職員の技術は、現在の技術とはかなり違ったものになります。これから膨大な人数の膨大な再教育、再訓練、再配置がえというものをやらなければ、このINSの方へ移行できない」ということが言われております。それで従業員の技術の再訓練をどうするかということでINSの進捗状況、スピードも上がる場合もあるしストップする場合もある、こういう立場で言われております。「転換の一番むずかしい技術は、交換機をコントロールする、われわれの言葉で言いますとソフトと言いますが、交換機をコントロールするプロセッサーの調節が一番厄介な仕事となります。これに非常に高度な技術と非常に多人数の人間が要る。」こういうふうに答えられているわけであります。これはこれからINSの具現化に向けて大変重要な課題になろうと思います。その前提に立ってお伺いをしたいわけでございますが、電電が世界のトップレベルの事業体を今日確立できましたのも、社内訓練を労使が非常に重視をして、苦労しながら、職員職員で技術の錬磨にレベルアップに研さんを重ねたということが言えると思うのです。しかもこれを可能にいたしましたのは、一部分の者だけが多くを知っておればよいというようなそういうチャンピオン訓練ではなくて、全員同質訓練というその思想と実行に基づいて今日がつくられたのではないか、かように考えるわけでございます。このような考え方を今後継承発展させる立場に立ってINS時代に適応できますように、訓練の充実の諸施策、その条件づくりに一層取り組んでいただきたい、かように考えるわけでございますが、総裁のこれに対する御見解を賜りまして質問を終わりたいと思います。
  123. 真藤恒

    ○真藤説明員 そういうことを申しまして、直ちに実行計画を立てまして、今、実行段階に移っております。多人数が全国に散らばった形でそういうことをやらなければなりませんので、訓練設備も一カ所に集結したのでは間に合いません。また地域社会との関係もいろいろ出てまいりますので、各通信局に特殊な訓練所を置く。それから鈴鹿あるいは中央学園、各学園にもそういう特殊訓練装置を現につけてしまいまして訓練を始めることになっておりまして、まず訓練の場所の先生の教育から大きなスケールで始めまして、それが大体一段落いたしまして、これから大体でき上がりました訓練所に生徒を入れて、特殊訓練をした先生方がそこへ散らばっていって本格的な訓練が始まっておるというふうな状態が現在でございまして、この速さと人間の力の技術のつく早さと私どもの物理的な設備を入れていく早さと、これを非常に上手にマッチさせていかなければなりませんけれども、現在の世の中の御要求の空気をじっと見ておりますと、私どもが三年ぐらい前に考えたよりもかなりピッチが早まる傾向がございますので、五十九年度、六十年度でさらに訓練計画というものを広げていかなければいかぬだろうというふうに今考えております。  この面だけは私ども非常に神経質に見ておりますので、何とか物理的な設備の広がりに対応できるだけのことはできるだろうと思いますし、また職員皆もこういうふうに変わっていくということが当然のことであり、また、変わっていく中心になる人物になるという意欲も最近非常に出てきておりますので、この計画はまずまずは順調にいくだろうというふうに今のところ予想いたしております。
  124. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どうもありがとうございました。
  125. 志賀節

    志賀委員長 次回は、来る十八日水曜日午前十時理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十一分散会