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澤田政府委員 金利の自由化の問題は大変大きな話題を今日提供しているわけでございますけれども、二つのコクサイ化ということで、
国債の大量発行あるいは日本の
金融機関の金融活動の国際的な活動の高まりというようなことから、
金利の自由化というものが避けられない時代の流れであるというふうに言われているわけてあります。まさにそういう形で自由化への対応というものを間違えますと、日本の金融市場というのは大変混乱を招くであろうということでございまして、これに対して
郵便貯金も前向きに対応していかなければならないであろうと思っております。
特に大口よりも小口は後回しであるとかいうような議論もございますけれども、我が国の場合、個人
貯蓄、特に小口
貯金というものが大変大きなウエートを実は占めております。
非課税貯蓄を小口と見ましても、二百二十兆からあるわけであります。全
貯蓄五百兆のうちの二百二十兆というものが小口
貯蓄と言えるものでございます。こういったものを置き去りにして自由化ができたというような話には毛頭ならないはずであろうと思うわけであります。
また
金利が自由化になります場合には、
金利はそれぞれの
金融機関が市場実勢というものを踏まえて政策的に
営業政策を考えて
金利を決めるということが前提でございます。したがいまして
郵便貯金といたしましてもそういう市場実勢を踏まえた預金
金利というものをつけるということが必要になってくるわけであります。
その場合に、入ってくる方は、先ほどもお話し申し上げましたけれども、
預託利率という、収入というものが非常に政策的に低く抑えられているということでは、市場実勢に応じた
金利というものを
郵便貯金に付するということができなくなるわけでありますので、その辺の仕組みを変えなければならないということで、実は今年度の
予算要求の際にも
大蔵の方とも
折衝いたしたわけでありますけれども、
郵便貯金の
運用の面に市場実勢を反映させる方法として
国債一兆円というものを
運用する必要がある、これが日本の金融の自由化というものを道づけていくためにぜひ必要な方策であるということを主張したところでありまして、今後とも
理解を得るようにいろいろ
努力をしてまいりたいと思っておるわけであります。
なお、いま
一つの
利子課税の問題でございます。グリンカードの存廃の問題に関連いたしまして、
郵便貯金あるいは
マル優というものを廃止して税金をかけるというような議論が出てまいりました。これはむしろ
非課税貯蓄というものを廃止をいたしましたら、三兆円、税収というものが増収になるのではないかというような話が流布をされまして、それからこういう議論が出てきたわけでありますが、実はこの三兆円というのは私どもはまやかしてはなかろうかと思うわけであります。この計算方法というのは、
非課税貯蓄が二百兆あるという前提でありまして、現在は二百二十兆でございますけれども、二百兆ある、それで一年間の利息が七%であるということになりますと、二百兆掛ける七で十四兆円の年間
利子が発生をする。その
利子に二〇%の税金をかけるということになりますと、二兆八千億の税金が入るではないか、こういう議論であるわけでありますけれども、これは、二〇%の税金を払っている方というのは、勤労者世帯で見ますと、九〇%までは二〇%以下の税金しか払ってないわけであります。したがいまして、この方々は
利子について二〇%税金を取られますと還付請求をして返してもらう権利があるわけでありまして、ましてや子供、老人、家庭の主婦においては全部返してもらわなければならないわけであります。この何千万という方が税務署に還付請求に行ったならば、税務署はパンクするわけでありますし、そういったものが恐らくみんな泣き寝入りするであろうということになれば三兆円という計算が成り立つというわけでありまして、とらぬ何とかの皮算用というたぐいではなかろうかと思うわけであります。
しかし、それにいたしましても、
貯蓄の面から見て、現在こういう
非課税制度というものを廃止して税金をかけるということは大変大きな問題であろうというふうに私どもは実は認識をいたしているわけであります。
貯蓄の重要性というのは、過去におきましても日本の高度成長あるいは戦後の復興というものを支えてきた大きな
原因というのが、
一つとして豊富な安定した、しかも低
金利政策でございましたので、低い
金利というものが豊かな設備投資というものを可能にして大きな発展の
原因をなしてきたわけであります。今日におきましても百十兆円からの
国債発行というものがありながら、インフレあるいはクラウディングアウトというようなことを起こさずに、諸外国に比べれば比較的安定した
経済運営ができているというのも、こういう多くの
国民の
貯蓄に支えられているということが海外諸国からも評価をされているわけでありまして、今後の大量
国債発行ということを見ましても、
貯蓄を軽視することはできないわけであります。
それよりもさらに、最近の我が国における高齢化の進展というのがございまして、世論
調査等を見ましても、老後に対する不安というのが大変大きいわけでございます。したがいまして、この中で老後に対する
自助努力の備えとして、やむにやまれず
貯蓄をするというのが今日の
実態ではなかろうかと思うわけでありますが、片方、この十年間の平均で物価の上昇率と預金
金利の
関係を見ましても、一割以上も物価の方が預金
金利よりも上回っているということは、それだけ目減りをしているというわけであります。目減りをしながらも
貯蓄をしなければならない
自助努力、こういったことに対してさらに税金という追い打ちをかけるということではなくして、そういったことに対して積極的な奨励策というものを国がとるべきであろうということで、私どもは、
郵便貯金に税金をかけるということではなくして、
限度額の
引き上げというようなことで対応すべきであろうというふうに考えているところでございます。