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1984-11-20 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月二十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君       大島 理森君    大西 正男君       大村 襄治君    工藤  巖君       小杉  隆君    中川 昭一君       平林 鴻三君    細田 吉藏君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山中 末治君    岡本 富夫君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君  委員外出席者         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         総務庁行政管理         局管理官    陶山  晧君         総務庁行政監察         局監察官    吉田 俊一君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         大蔵省主税局総         務課長     伊藤 博行君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         文部省教育助成         局財務課長   菴谷 利夫君         労働大臣官房参         事官      竹村  毅君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省道路局道         路総務課長   真嶋 一男君         自治大臣官房長 津田  正君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁次長   坂  弘二君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     —————————————      委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     坂本三十次君   古屋  亨君     細田 吉藏君 同月二日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     伊藤 公介君   谷  洋一君     糸山英太郎君   西田  司君     内海 英男君 同月二十日  辞任         補欠選任   松田 九郎君     大島 理森君   佐藤 敬治君     山中 末治君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     松田 九郎君   山中 末治君     佐藤 敬治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際、古屋自治大臣国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。古屋国務大臣
  3. 古屋亨

    古屋国務大臣 このたび自治大臣国家公安委員長を命ぜられました古屋亨でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  地方行政委員会委員各位には、かねてから地方自治行政及び警察行政推進につきまして格別の御尽力を賜っておりまして、心から厚く御礼を申し上げます。  最近の地方自治行政を取り巻く環境は大変厳しさを加えておりまして、概算要求におきましては、社会保障関係経費などの国庫補助負担率の一割一律引き下げが行われるなど多くの課題を抱えております。  また、警察は、最近の犯罪増加傾向グリコ森永事件極左暴力集団による自民党本部放火事件に見られるような悪質、重大な事件、事故が多発する状況を抱えております。  私は、今後これら地方行財政上の諸問題の解決治安の維持に最大限努力を傾注してまいる所存でありますので、委員皆様方格別の御指導、御協力をお願い申し上げまして、私の就任のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。      ————◇—————
  4. 大石千八

    大石委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林鴻三君。
  5. 平林鴻三

    平林委員 まず御祝辞を申し上げたいと存じます。  古屋先生には、このたび自治大臣国家公安委員長に御就任になりましておめでとうございます。我が国の内政の最重要部門であります自治省また警察部門でございます。どうかこの上とも御精進をいただきまして、御重責を果たしていただきますようにお願いを申し上げます。  先生はつい先日まで当地方行政委員会に所属をしておられまして、私も親しく御指導いただいておりました方でございますだけにまことにうれしく、御就任を心から喜んでおります。お喜びを申し上げます。また、先生は戦前戦後を通じまして、内政の各種の部門を御担当になりまして、中央地方で御活躍になりました方でございます。自治省警察庁の大先輩に当たられるわけでございます。  どうか高い御見識、豊かな御経験を十分に活用されまして、今後に当たっていただきますようにお願いをいたします。  ただいまお話がございましたが、実はきょうは地方行財政の問題に質問を限定さしていただきますけれども、先に御要望を申し上げておきますけれども警察関係消防関係にも重大な事件が続発をいたしております。この平和な世の中で極左暴力事件公安事件も後を絶ちません。これもまことに憂慮すべき事態であります。また、グリコ森永事件というような大都会で大衆を巻き込んだような、そういう新しい姿の大きな犯罪事件が起こってくる。さらには、消防方面でも、つい先日は世田谷で地下の通信ケーブルが数百メートル燃える、それだけで全国に大変な迷惑が及ぶというようなことが起こっております。  このような新しい事態が次々と生じてくるような現象が出ておりますが、国民生命財産の安全を確保するということは、それこそ政治、行政の一日も一刻もゆるがせにしてはならぬことでありまして、それがまさに大臣の御担当のお仕事でございますから、どうかひとつ山積する諸問題を一日も早く処理、解決していただきますように、先に要望を申し上げる次第でございます。  さて、大臣は長年地方行政を見てきてくださっておりますが、戦後の地方自治、幾時代かを経てきております。国と地方、車の両輪であると言われ続けております。近年は地方時代という言葉が一時もてはやされると申しますか、流行語になったようなこともございまして、地方の役割というものが重視をされる、地方に対する期待が高まっておる時代であると言えようかと存じます。  ところが、実際には容易なことではないと思います。私も長年地方行政をやっておりましたが、容易なことではありません。中央の定めました行財政制度原因地方自治が伸びないというようなことも、もちろん多々ございます。同時に、地方独自の事柄原因で困った問題を生ずるということもあるわけでございます。  例えば、一部の地方団体のことではございますけれども国家公務員給与よりも著しく高い団体があって迷惑するとかいうようなこともありますし、あるいはこれも全地方団体ではなくて、わずかのことではありますけれども不祥事件がところどころに起こるというようなこともございます。でありますから、地方自治が正しくまた強く伸びていくというためには、地方自体努力も必要であろうと思うわけであります。地方自治担当される大臣として、地方にどのようなことを望まれるか、まずこの点から伺っておきたいと思うわけでございます。
  6. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま平林委員から御要望ございました点につきましては、特に治安関係につきまして御意見のありました点、私自身も全く同感でございまして、グリコ事件にいたしましても、早期解決を図ることが国民生活を安定させるゆえんであり、また早く検挙することが警察の重要なる使命でありますので、先般も警察本部長会議あるいは公安委員長会議におきまして、私からもその旨をよく末端に徹底するように話しております。非常に巧妙な、悪質な事件でございますが、一生懸命に努力いたしまして、全警察を挙げまして、これが逮捕、検挙されますように、私も十分精進いたしたいと思いますので、御了承をいただきたいと思っております。  地方団体でございますが、その問題、実は私も十月三十一日には、補助金の一割カット反対の党の大会に出席をしておりましたが、今度は私がそういうものを担当するようになりました。何といいましても地方自治と申しますか、財政的、行政的、いろんな方面においての自治が制約されておる部面もあるわけでありまして、国の制度によって地方自治が邪魔されておるというような点につきましては、予算編成の場その他におきまして、そういう障害を除去するように関係庁十分話し合いをいたしまして、指導してまいりたいと思っております。  また、地方時代というようなお話でありますが、確かに地方へのUターンという時代もございましたが、御承知のように、このごろほんのわずかの一部の地方団体では、不祥事件あるいはラスパイレスが非常に高いというような事態から、国民の多くの方々に地方団体に余裕があるような誤解を与えておりますことは、私も平林先生と同じようにまことに遺憾に存ずるところであります。でございますので、今後は自治省指導と申しますか、ラスパイレスの問題につきましても昨年の調査が近く出ると思いますが、平均一〇六が若干減るのではないだろうかという報告を聞いております。  また、地方自治体の不祥事件につきましても、御意見のありましたところは十分注意をして進めてまいりたいと思いますが、何といっても地方の一番問題は、地方行政改革推進の問題と財政再建の問題だと私は考えております。  第一の点につきましては七月二十五日に審議会から意見が出ておるのでございまして、これも私ども考え余り遠く離れてはおりません。根本においては同じような考え方が多いのでございますが、ただ、これから先に権限移譲とかあるいは規制措置、国がいろいろの規制措置をしております、またそういうこともいろいろ考えております。そういうのを自治省としてはできるだけ地方自治の本旨にのっとりましてよく連絡いたしまして、地方がやりいいような立場に、そういう意味で、来年の一月には地方行政改革を踏まえました大綱を示すことができるように今案をつくっておるところでありまして、国の行財政改革地方が行います行政改革との密接な関係もございますし、また地方単独でできるもの、やっておられるものも現在あるのでございますが、そういう点十分注意をいたしまして、地方行政大綱というものをつくってまいる方針でございます。  財政の問題につきましては非常に厳しい状況でございまして、国庫の一律的な一割カットという問題が大変やかましく言われております。私もそういう問題につきましては、関係地方団体意見皆様の御議論を十分体しまして、ぜひこの地方財政の、つまり地方にとって困らない、余りそういう事態にならないように、ひとつ国とも今後折衝してまいるつもりでありますので、そういう点の御支援を特にお願い申し上げます。
  7. 平林鴻三

    平林委員 先ほど大臣の御答弁で、グリコ森永事件、その他の警察治安関係の重要問題につきましての最大限の御努力お話がございましたが、どうか全力を挙げて早期解決お願い申し上げます。  さて、地方関係のことにつきまして、これから大臣がお考えになっておりますことを若干伺うわけでございますが、行政改革あるいは財政再建ということが、現実地方の問題として具体的な日程に上ってきつつございます。そこで、大臣も非常に意を用いられておるように拝察をいたしましたけれども、このような時期には政府地方団体との間の意思疎通というものを一層密にしなければいかぬだろうと思うのであります。情報も交換をしなければなりませんし、また意見調整も綿密にしなければならぬと思います。  といいますのは、住民にとりましてはいわゆる行政というものは、国あるいは県、市町村、もちろん分担はしておりますけれども、すべて国民の一人一人にかかわってくるものでありますから、最終的には一人一人の国民がそれを全部受け取るわけでございます。ばらばらでありますと国民の方が困ってしまう。ですから、行政改革をやる、いわば制度が変わるわけでございますから、国民に対する対し方、国民の受け取り方も違ってくる。ばらばらになりますと困ってしまうということがありますから、特に国と地方との間の制度改革に対する綿密な調整をしなければいかぬのではないかと思うわけであります。  そのような点からいたしまして、国と地方団体との間ではいろいろな面で意見を十分に調整をしていただきたいと思います。今までももちろんこの意見調整が行われておらぬとは申しません。けれども、これからそういう作業が非常に大切だと思います。  実は、私は必ずしもそういうことには賛成ではなかったんでありますけれども、数年前に全国知事会の一部の知事さん方から、重要な制度改正をやるような場合には政府があらかじめ地方団体側意見を聞く、あるいは地方団体側から意見を申し述べるというようなことをはっきり制度的に確立してはどうかという意見を申す方もありました。余り形式的に流れてしまってはかえって時間がかかる、手間がかかるということがありますから、必ずしもそういうことが絶対必要だとは申しませんけれども地方団体側からもそういう強い意見があるほどでございます。どうかひとつその点をお考えいただいて、地方意見のくみ上げ方、これをこれからどうするか、事務的な意見もございましょうからその点のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  8. 古屋亨

    古屋国務大臣 平林委員から御質問のありました自治省地方関係つまり国地方との連絡関係につきましては、委員知事として十分御承知のことでございますが、やはり重要な問題あるいはこれから自治省がいろいろな施策をしようとする問題につきましては、地方団体側といろいろの意味で十分な、密接な連絡をとってまいることが絶対に必要である、私も同様に考えております。物によりましてはその重要度もいろいろ変わってくると思いますが、こういうような情報化社会におきまして、できるだけ早く地方状況を聞き、それを施策の上に反映していく。そういう意味におきまして、そういうような制度といいますか連絡方法につきましては、ひとつ事務当局において十分検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思っております。
  9. 平林鴻三

    平林委員 もう一つ行政改革で気になることがございまして、これも自治省のお考えをただしておきたいのであります。  実は、政府行政改革を進める場合に、地方自治というものをどのように考えて取り扱われるかという非常に大きな問題であります。各省地方になかなか仕事を任せたがらないのは昔からのことであります。何だかんだと言って中央権限を留保する、これは昔からのことであります。また、各省が府県や市町村にそれぞれの省で縄張りをつくりたがる、これもまた昔からそういう態度が続いております。行政改革の中におきましても、各省はどうしてもそういう態度をとりたがるものだ、これは役人の習性といってもよかろうかと思います。私も公務員をしておりましたから、そういう習性というものが、見ておりまして身にしみておるわけであります。そのような中で行政改革を行うのでありますから、思い切った行政改革をやるのは容易なことではない。行政改革をやる側も、それに引きずられる可能性は大いにある、それを心配するわけであります。  そこで、自治省といいますか地方自治の側から申しますと、今申したような各省縄張り地方自治の中につくられてはやはり迷惑であるし、また地方余り仕事を任せないということでありますと地方は伸びないわけでございますから、行政改革の中で地方がなるべく迷惑をしないような改革をしてもらわなければいかぬと思います。  けれども、人間がやることでございますから、場合によれば、地方団体側が希望する行政改革のあり方と、今行革審がいろいろおやりになっておりますが、行革審から出てまいります意見というものが異なる場合もあり得ると思います。その場合に、地方自治を預っておられる自治省がどういう態度をとられるか、これがなかなか気がかりなんであります。自治省ももちろん政府の一員でありますから、行革審の御意見最大限に尊重されなければいかぬという立場もあります。なかなか難しいと思います。ここのところが非常に気がかりなわけであります。  私どもとして考えますのは、これからの地方自治を伸ばすということが、二十一世紀に向けての国民生活に必ずプラスになると思います。思いますがゆえに、今申したようなことで、中央統制あるいは官僚統制というのをなるべく排すべきだと私は思うのでありますが、そこらのことにつきましての自治省の基本的な態度、もちろん具体的な問題が出てまいりますればケース・バイ・ケースでお考えになるのは当然でありますけれども、基本的な態度はどのようなお考えであるか、地方自治をお預かりになる立場をここではっきりおっしゃっていただきたいと思うわけでございます。
  10. 古屋亨

    古屋国務大臣 具体的に、実行に当たりましては注意しなければならない問題でございます。臨調あるいは審議会答申地方団体の受け方というものにつきましては、私どもが間に入りましてできるだけその調整に当たってまいりたいと思っておりますが、地方におきましては、具体的に定員の問題あるいは給与の問題あるいは機構の問題等につきましても、既に自主的に、ある意味では中央よりも早くそういう問題の解決にどんどん進んでおられる県、市町村もあるわけでございます。  でございますので、市町村がいろいろの問題に当面します場合に、自治省としてはあくまでも指導的な立場で、町村とそれから国の各省とのいろいろの問題にもタッチいたしまして、お話にありましたように、この地方に対してある省はこの事務所を置け、そのために四人の人件費を配分するというような問題、会館の設立というような問題について若干の補助金を出す、もう今の地方にあっては、そういう補助金の問題は中央でも相当考えてもらうように自治省から各省要望してまいっておるところでありますが、一層そういうような連絡をいたしまして、各省縄張りによって地方現実に相当迷惑を受けており、本当の地方自治を害している点につきましては、ひとつ私もこの際、今後の方針といたしまして地方自治推進するという立場からいたしまして、各省と十分綿密に検討を加えて、地方立場に立って措置をしていきたいと思っております。  行革審地方意見というような問題につきましては、地方団体意見をできるだけ反映いたしますように努力をしてまいるつもりでございますが、ただ、中央官庁の人を何人置け、必ず置け、そういう態度とか、あるいは国の地方への関与というような問題につきましては近く答申も出るように聞いております。また、もっと広い権限移譲の問題につきましても四月ごろには答申が出ると私は聞いておりますので、そういう点も踏まえながら、あくまでも地方立場地方行財政の円滑な推進という立場に立って努力をしてまいりたいと思います。  なお、その具体的方法につきましては、関係局長から御説明いたします。
  11. 大林勝臣

    大林説明員 地方と国の関係につきましていろいろ御意見があるわけでございます。特に、委員がおっしゃいました行革審における審議の過程におきまして、えてして一部の地方団体事柄に目が移りやすいわけでありまして、一部不祥事が起こりますと何か全部の地方団体がおかしい、こういう考え方になりがちであったのがこれまでの歴史であります。私どもは、そういうことではなくて、確かに一部の地方団体でいろいろ問題があっても、それで全部に網をかぶせるということこそ地方自治進展を阻害する一番の要因である、こういうことをその都度主張し続けたわけでありまして、行革審におきましても七月の意見書にはそういった思想が十分にあらわれていると私どもは存じております。  そこで、今後、先ほど大臣からお答え申し上げましたような、結局、地方団体の自主、自律性を阻害しておる要因を取り去ることが今後の地方自治進展のための先決問題である。もちろん、並行して地方団体が自主的に行革の努力をする必要があることは申し上げるまでもありませんけれども、その前に、地方団体の手足を縛っておる規制を今後取り除く、あるいは緩和するということが先決であります。  現在行革審におきまして必置規制あるいは国の許認可権の整理につきまして大変努力をされておるわけでありまして、年末ごろにはそういった問題についての結論が出されるようであります。これに基づいて一括法案の形で次の通常国会に提案されるという運びになっております。残される問題としましては、機関委任事務の問題その他の問題があるわけでありますが、これはまた順を追って今後いろいろ御検討をいただく、こういう手はずになっております。
  12. 平林鴻三

    平林委員 ただいま大臣から、行政改革の諸問題につきましてはこれから地方立場に立って主張をしていくんだ、こういうお話でありますので、どうかひとつそのような態度で臨んでいただきたいと存じます。  実は地方にも、若干従来の慣習になれた面もあるわけであります。ともすれば中央に対して依頼心を持つというような安易な気持ちも見られないではないのでありますが、そのような気持ちをいつまでも持っておりますと地方自治というものもなかなか育たない、またそういう依頼心につけ込んで中央統制というものが相変わらず続く、そういう悪循環がございますので、地方の側もよくそういうことは反省をしてこれからの地方行財政改革に当たらなきゃいかぬと思いますけれども、どうかひとつ自治省におきましては、そういう地方自治の基本をこれからさらにしっかりと打ち立てるというおつもりで行政改革に当たっていただきたいと思います。  さて、その依頼心の一番もとになります補助金の問題でございます。昭和六十年度の予算概算要求で一番ゆゆしい事態を生じております補助率引き下げであります。これは、依頼心の問題と言いましたけれども、そういう問題とは実は違った、地方財政の秩序の問題と申しますか、そういうことから非常にゆゆしい事態を引き起こしておるように思うわけであります。  よく御承知のところでありますけれども、国が全く一方的に国の財政の都合から二分の一を超える補助率の、たしか四十一件でありますかの補助負担金について一律一〇%引き下げるという態度をとっておられる由であります。これが実行されますと、地方負担が二千三、四百億円ふえる。全くの負担転嫁であるということであります。もってのほかのことだと思うのであります。実はこの概算要求の段階からそういうことが公然と行われようとしておるということで、憂慮にたえないというところであります。  さらに、私はよく聞いておりませんけれども義務教育費負担金を削ろうかという話も出ておるようなこともちらっと聞いたりしております。これもまた国の財政の一方的な御都合主義だと言わざるを得ない。要するに今日の財政急場しのぎ地方負担を肩がわりさせるだけの話、そういう気がいたしてなりません。  せんだって、実はこの問題に関連いたしまして地方団体反対のための決起大会というのを開かれました。各地方団体からは多数の出席者がありまして、たしか大臣も御出席になったと思います。当時の自治大臣の田川先生も御出席になり、また自民党は江崎地方自治振興議員連盟会長初め多数の方が出席されたわけでありますが、もちろん自民党の地方自治関係者もこのことは反対ということでございます。自治省はこのことについては反対態度をとっておられるように聞いておりますが、今日この問題はどのような状態になっておりますか。そろそろ予算の編成も差し迫った時期に来ておりますから、現状を聞かしていただきたいと思います。
  13. 花岡圭三

    ○花岡説明員 御指摘のように、六十年度予算概算要求におきまして、厚生省初め九つの省庁にわたりまして、生活保護費補助金など、非公共事業に係る補助金補助率が二分の一を超えるものにつきまして、その率の十分の一をカットするということで概算要求が行われたわけでございます。  この概算要求が行われる以前からこういったことがいろいろと取りざたされておりましたために、自治大臣といたしましてもこの概算要求の閣議了解のときに、こういうやり方といいますか、要するに国と地方との機能の分担、あるいは事務事業の見直しをしないで負担地方に転嫁するというふうなやり方はやめていただきたいというふうなことを申し述べたわけでございます。また、九月十一日の概算要求取りまとめの閣議におきましても大臣から同様の趣旨の発言で、こういう概算要求が出たのはまことに遺憾であるというふうなことで、今後とも関係省庁と十分協議してまいりたいという発言がなされたわけでございます。  自治省といたしましても、こういう国と地方との機能の分担を見直さないで費用の負担を見直すというのは臨調の考え方にももとるというふうな見解で、大蔵省に対しまして、そういうやり方というものはやめていただきたい。そしてこれに対して、例えば一般行政経費に係る職員費、いわゆる人件費補助と言われるもの、こういったものとか、あるいは結核予防費補助金のように、既に地方団体の事務として同化定着しているような補助金、あるいは箱物と言われます集会施設等の補助金、こういったものは整理したらいいんじゃないか。要は、補助金というものは、横に一律に切るんではなく、縦に切っていくことが事務事業の整理に当たるのではないかというふうなことで申し入れをしたわけでございます。  そういったふうなことで、現在関係省庁ともいろいろ話し合いを進めておる段階でございますが、御指摘のように、先般、義務教育費国庫負担金につきましても財政制度審議会におきまして、それに対する大蔵省のカット考え方というものが示されたようでございます。  補助金問題、公共事業の問題等についても今後いろいろと問題が起こるかと思いますけれども、非常に大きな問題でございます。私どもとしましては、この補助金問題につきましては地方団体の自主性、自律性が確保される観点から、地方団体の納得が得られるような整理の仕方というふうなことをやっていただくよう関係省庁とも十分調整を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 平林鴻三

    平林委員 これからのこと、見込みもまだはっきりせぬかもしれませんけれども財政局長に伺います。  財政当局は補助金の一律引き下げというようなものを引っ込めるのでしょうか、引っ込めないのでしょうか。引っ込めない場合には、自治省は一体どういう態度をおとりになるのですか。
  15. 花岡圭三

    ○花岡説明員 この点につきましては大蔵省ともよく話をいたしておりますけれども、現在の段階では両者とも意見は平行の状況でございまして、これが引っ込められるとか引っ込められないとか、そこのところは定かではございません。私どもとしては、先ほど申しましたように、地方団体が納得するような仕方でなければこの解決は図られないというように考えております。
  16. 平林鴻三

    平林委員 地方団体が納得するかどうかという問題ですけれども、今のような一律引き下げというようなことをそのまま財政当局が強行するようであれば、地方団体は納得するはずがないのですね。例えば生活保護費の一律一〇%引き下げ、こういうことが行われた場合に、生活保護というのは各団体どうしてもやらなければいけませんから、補助金が一律に一〇%引き下げになって少なくなったから、生活保護もそれだけ引き下げるというわけにはいかない性質のものでしょう。そうしますと、事務は相変わらず残りますから事務をやめるわけにはいかぬ、生活保護を打ち切るわけにもいかぬ。  それでは一体お金はどうして始末するのか。交付税で始末してくれるのか。交付税で始末してくれるとしても、交付税は確実にその分だけふやしてくれるかどうかという保証はない。一体始末はだれがつけてくれるのかということになれば、今度は自治省が始末を引き受けざるを得ないということになろうかと思います。ですから、結局は地方団体自治省にこの問題の処理というものを最終的にはお願いをしなければいけない、そういう立場だろうと思っております。ですから、実は、この補助金の一律引き下げという問題の自治省の処理の仕方というものに、地方団体側は非常な不安と期待を持って行政をしておるだろうと思っております。交付税で穴を埋めるといいましても、そうきっちりと穴が埋められるものではなかろうと私は思うのですが、財政局長もその辺のことはどうお考えになりますか。  一律引き下げの結果の穴を、交付税は今もちろん非常に流動的な運用をしておりますね。国税三税の三二%ぽっきりではなくて、そのほかに上げたり下げたりしておりますから、ある程度の穴埋めはその方面でできるかもしれませんけれども、各団体について確実に、一〇%引き下げになったからこれだけ補助金が減った、その金額を満額穴埋めできる、そういうような交付税制度の運用ができるかどうか、そこら辺のことをまず聞かしていただきたいと思います。
  17. 花岡圭三

    ○花岡説明員 補助金カットの問題につきまして、例えば、厚生省関係以外の補助金等につきましては、ある程度事業量を圧縮すれば片がつくものがございます。しかし、御指摘のように、生活保護費の補助金のように、これは必ずやらなければならない。これは、事業量を圧縮しても後で継ぎ足しをしなければおさまらないというふうな性質のものでございます。  特に、生活保護費のように社会保障の根幹をなしておるような性質のものでございますと、これは究極的には国に責任があるものと私ども考えておりますので、こういった基幹的な補助金というものは一律にカットの対象とすべきではないというふうに考えておるところでございまして、現在、これについて交付税で埋めるというふうな考え方は持っておりません。もちろん、交付税で埋めるということになりますれば、それだけの財源を積み増さなければこれはできないというふうに考えております。
  18. 平林鴻三

    平林委員 私は非常に心配するわけですけれども、社会保障の関係経費などの補助率カットしていきますと、まず貧乏な団体から社会保障のレベルを落としていく可能性が出てくる。レベルを落とすまいとしてそういう団体がレベルを維持しますと、貧乏な団体はほかの部門行政のレベルをどんと落とさざるを得ないということになります。結局地方自治行政というものが非常にちぐはぐな、地域によってまことに差の大きなことになっていく。  地方自治行政というのは、地域によって特色があるということはもちろんいいことなのですけれども、貧富の格差が余り大きゅうございますと、日本全体の地方自治というものがかえってゆがんだ姿になってしまいますから、特色のある地方自治というのは非常にいいことで、これを伸ばすべきですけれども、格差のある地方自治というのは決してよくない。補助金問題に端を発して地方自治行政レベルに格差ができるということは、私は決していいことじゃないと思っております。そういうことまで心配する必要はないと言えばそれまでかもしれませんけれども、この補助金問題というのはそういう問題をはらんでおるという気がいたしますので、自治省では十分にその点を注意して、こういう問題が起こらないように財政当局とよく折衝をして防止をしていただきたいと思います。  それで、実は自治省が対案としてお考えになっておる事務事業の見直しとかそういうようなことから出てきます補助金の整理統合、それによって財源の節約というものができないかというお考え、私は、そういう方向からの補助金の整理統合なら賛成であります。従来から、できるだけ補助金を整理統合して、要らなくなった補助金は一般財源に振りかえて地方の財源をふやして、先ほど申した特色のある地方自治ができるようにというようなことが進んでくれば、これが一番望ましい姿だと思っております。そこら辺のことで、対案として出されました自治省の方での補助金の節減案といいますか、そういうものをもう少し詳しく御説明をいただければと思います。
  19. 花岡圭三

    ○花岡説明員 先ほど申し上げましたように対案の中身と申しますのは、一つは保健所運営費補助金等職員設置費に係る補助金でございます。こういった人件費等につきまして、おおむね一千億を超えるというぐらい補助金があるわけでございます。また、法施行事務費等国庫補助金につきましては、これはもう地方団体に同化定着しているものであって、これはやめてもいいのではないか。また、集会施設等の公共施設、こういったものについて申し入れをしたわけでございますけれども、結局我々の考えております対案と申しますか、これは現在ある補助金を横に一律にカットするのではなくて、この補助金そのものを廃止するというふうな件数の廃止といいますか、縦に切ってしまうという考え方でございます。  この場合には、事務事業が廃止されるものもございましょうし、また人件費補助のように事務として残らなければならないものもある。あるいは法施行事務費あるいは結核予防費の補助金、これなんかも地方団体にそのまま事務として残るわけでございます。こういったものにつきましては地方自治体が自分で持たなければならぬ。その場合に、全額切ったものを国で持てというのも現在の状況では極めて難しい問題でもございます。地方自治体の方でそこまで踏み切っておるわけでございますから、ある程度財政状況を見ながら応分の協力は自治体の方でもしなくてはなるまいというふうな考え方でこの整理を進めておるわけでございます。  現在の段階でどの程度になるか、これは全部やられるかどうか非常に難しい問題もございましょう。大蔵省と厚生省あるいは関係省庁とのいろいろなやりとりがあるわけでございますから、どの程度これが実行されるかわかりませんけれども、仮に全部やられるというふうに考えました場合に、これは推定でございますけれども人件費補助が一千億を超えるわけでございますから、全体として二千億程度にはなるのではなかろうかというふうに考えております。
  20. 平林鴻三

    平林委員 自治省が所管しておる補助金ならそういうことが簡単にできるかもしれませんが、各省所管でありますから、自治省からお考えになるとなかなかやり方が難しいかもしれませんが、どうかひとつそういう方向での御努力お願いいたしたいと思います。  話がちょっともとに戻るかもわかりませんが、社会保障関係補助金といいますか負担金であります。これは元来は国の責任で行うものでありますから、考えようではありますけれども、全額国が負担をして措置をしてもよろしい性質のものであろうと私は思っております。ただ、実施機関としての責任が若干ありましょうから、それで地方がある程度部分的な、二割とか、そういう負担をしてもこれは容認できると思いますけれども、元来は、仕事の方もまたお金の方も国の責任でやらなければいかぬ性質のものだ、そういうぐあいに私は理解しておるわけでございます。  それをただ国の財政の都合から地方負担を増加させるというのは全く身勝手な、理不尽な、そういう感じを持つわけであります。国民はどこからお金が出ようと別に構わない、そういうお気持ちの方もあろうかと思いますけれども、これはあくまでもやはり地方自治と国政との関係、いわば秩序の関係でありますから、秩序が乱れますと内政が乱れるもとになる、そういう気がいたしますので、くどいようでありますけれども、どうかひとつ自治省において十分に注意をして、正しい姿で解決をしていただきたいと思っております。  次は、先ほどちょっと御答弁の中で伺いましたが、地方への権限移譲の問題であります。  もう昔からのことであり当たり前のことだと思いますけれども、国と県と市町村とで行政の事務を配分する場合には、住民に身近な仕事からまず市町村に配分する、次いで府県に配分するというように分けていくのが国民のために一番よろしい、それが当然のことだと思います。  ところが、従来事務配分とか権限配分とかいうことになりますと、ともすれば全国的なバランスを見る必要があるとか、あるいは統制の必要があるとか、あるいは財政的に国の財政が財布が大きいからとかいろいろなことが言われて、いわば官僚的あるいは中央集権的な法律制度ができ上がってきたように思います。結局さきの補助金行政とも結びついて、いわば地方自治にとってはマイナスの方向で権限などが配分されてきたというような感じがいたしておるわけであります。  最近、伺うところによりますと、中曽根総理の指示があって自治省権限移譲検討を行われておるというようなことであります。もちろんこれは総務庁の方でも行政改革に関連をしておやりになっておるかと思いますけれども自治省で御検討になっておるということでありますから、現在どのようなことで検討が進められておりますか、まだそうはっきりしたものになっておらぬかもしれませんけれども、基本的な態度等がはっきりしておりますればここで示していただきたいと思います。
  21. 大林勝臣

    大林説明員 事務配分の問題、非常に長い歴史を持っておる問題でありますけれども、仰せのように、国と地方関係立場から申しますと、住民に身近な事務というのはすべからく市町村優先、次に広域団体である都道府県という地方公共団体に責任を持たせて仕事をしてもらう、これが地方自治の理想であります。  したがいまして、現在行政改革推進審議会において順を追って作業を進められておりますけれども地方に対する権限移譲につきましては、内容としてまず地方行政を阻害しておる要因、これは一つは必置規制と言われるものがありまして、いわゆる法律あるいは政令によっていろいろな職を置く、組織を置く、人員配置をする、こういったものの基準がかなりの部面にわたりまして国に押さえられておる、こういうものを排除する仕事が一つ。  それからもう一つは都市計画。道路であれ河川であれいろいろな開発関係がございますけれども、そういったものについて地方団体が事業を行います場合の国の許認可あるいは承認協議といったものをできるだけ排除していく、これが地方分権の一番大きなウエートを占める問題であろうと思います。  残りますのが機関委任事務、さらには民間に対する権限移譲関連で国から地方移譲すべきもの、大体こういった種類のものに分類されると思います。  現在、必置規制及び国の地方団体に対する許認可権の整理につきましては、行政改革推進審議会に対しまして、自治省といたしましてそれぞれ数十項目にわたって希望、意見を述べてきたところであります。私ども意見を参考にしていただきながら今後各省のヒアリングが継続されていく、現在こういう段取りでありまして、おおむね年末までに必置規制許認可権の整理についての結論を行政改革推進審議会の方で出していただく、これに基づいて一括法案通常国会に法案が提案される、機関委任事務その他の問題につきましては来年以降の問題と、こういうスケジュールになっておるところであります。
  22. 平林鴻三

    平林委員 今伺いますと、総務庁の方でもいろいろと御検討が進んでおるようであります。  この際総務庁からも聞いておきたいと思いますが、国の地方団体に対する関与、あるいは職員の必置規制というようなこと、今度の通常国会に法案を出すといたしますともう相当進んでおらなければいかぬわけでありますけれども、どのような状態で進めておられますか、担当の監察官から伺いたいと思います。
  23. 吉田俊一

    ○吉田説明員 御質問の国の関与と必置規制でございますが、ただいま行政局長からお話がありましたように、これは行政改革推進審議会検討しておられます。  総務庁といたしましては、これに先立ちましてことしの四月から八月にかけまして、必置規制並びに関与の運営の実態につきまして実態調査をいたしました。その結果につきましては、ことしの九月並びに十月に行政改革推進審議会に報告いたしまして、行革審におきましては、私ども調査結果並びに先ほど行政局長からお話がありました自治省からの指摘事項を踏まえて、現在各省からヒアリングを続けておると承知しております。それで、行革審におきましては十二月中に結論を出すと伺っております。政府といたしましては、これを受けまして早急に各省調整の上、通常国会に整理法を出す準備に取りかかりたい、こんな段取りで進んでございます。
  24. 平林鴻三

    平林委員 今の地方団体に対する関与とか必置規制というようなことは、行政改革の中では国と府県あるいは市町村との間のやりとりだけで大体済むことでありますから、国、地方関係では比較的やりやすいことだと思います。ですから、できるだけ早くさっさとけりをつけて制度改正をしてしまう方がいいのだと私は思っております。どうかひとつぐずぐずしないで、早く法案を出して行政改革の実を上げていただきたいと思っております。  地方で今まで仕事をしてきた経験から言いますと、なかなか面倒なものであります。知事限りあるいは市町村長限りでできそうなことでも一々お伺いを立てなければならぬということがありまして、それだけ時間がかかる。異例のことになりますと、当然のことながら相談はするわけでありますけれども、別に異例のことでもない普通のことでも手続をしなければならぬということがえてして面倒なものでありますから、そういうことはこの際早く片づけてしまった方がよかろうと思っております。  また、職員の必置規制というのも非常に形式的になりやすい面が多うございます。これがまたいろいろなことで、補助金負担金の問題とも絡み合って地方での独自の行革をなかなかやりにくくしておる、そういうことでもございますから、どうかひとつ早くけりをつけていただきたいと思います。いつまでもああでもないこうでもないとやっておりますと、それに伴いまして制度の不安定さといいますか、そういうものでまたつまらぬ心配を起こしますから、早くこういうものの決着をつけて、次の権限移譲の問題とかあるいは許認可の整理、こういうものに取りかかっていただきたいと思います。  実を言いますと、行政改革の一番難しくてしかも行政改革の実を上げなければいかぬのは、許認可事項の整理とかそういう残された方の事柄だと私は思っております。今日、行政の肥大は、何も国の機関に限ったことではありませんで、県でも市町村でもやはり行政は肥大をしております。これをスリムなものにするためには、どうしたって今申したような許認可事項の整理をしなければいけません。また、権限移譲することによって市町村仕事をする、あるいは補助金を整理することになりますと、やはりその分だけ人数は少なくて済むようになる、これは確かであります。  例えば補助金等の仕事のためにどれだけ地方団体で人手を食うか、手間を食うか、これはもう明らかなことであります。補助金のことについて考えてみましても、陳情から始まって交付申請から、決定事務から、あるいは交付事務から、さらには決算事務から会計検査まで、本当に知事市町村長から係員に至るまで大変な手間をかけてやるわけであります。そのような権限移譲やあるいは補助金の整理というようなことが行われれば、それだけ人手も時間もかからずに済むようなシステムになっていくと思いますし、また地方も創意工夫で自分たちでいい仕事ができるようになっていくと思います。  この際、先ほどちょっと触れましたけれども地方中央に対する依頼心、依存心というものが今までの習慣からして残っておりますから、その点を地方の方でも改めなければいけませんが、中央の方でもそういうことにいわば悪乗りをしたような態度を改めて、行政の簡素化あるいは行政改革というようなことで地方自治を伸ばしながら、いい姿の行政に持っていくような御努力を願いたいと思っておるようなことであります。  以上で質問を終わります。
  25. 大石千八

    大石委員長 次に、安田修三君。
  26. 安田修三

    ○安田委員 初めに、大臣就任されましておめでとうございます。地方自治発展のために御尽力されますようお願い申し上げます。  さて、先に警察庁の方にお尋ねいたします。  グリコ森永事件の捜査の問題でありますが、どちらかといいますと、戦後育てられた捜査のベテラン刑事、こういうような人たちがここ十年ほどの間にかなり退職というような——どこの企業でも一緒でありますが、戦後採用された人たちが大量に中高年化して退職をする、こうした状況の中でそうしたベテラン捜査員の育成、補充ということがうまくいってないのじゃないか、こういう点がこうした大事件、しかも広域にわたるような捜査網をしかなければならぬときにいろいろと欠陥が出るのじゃないだろうか。とかくおか目八日と言われますけれども、周辺から、素人筋から見ました場合にそういう見方もいろいろとあるわけでありまして、こういう点、ひとつお聞きしておきたいと存じます。
  27. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 ベテラン捜査員が現在大量退職の時期にあるということは御指摘のとおりでございます。大体昭和五十六年ぐらいから、戦後採用の、戦後の混乱期を支えてまいりましたベテラン捜査員の退職がだんだんふえてまいっております。現在がピークでございます。  そこで、警察庁といたしましては、昭和五十五年十月に刑事警察強化総合対策要綱というものを設定いたしまして、捜査員の素質、資質の向上と、それに合わせまして捜査幹部の指揮能力の向上、この二つを大きな柱の中に組み込みまして、現在捜査員の育成強化ということに当たっておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、新たに捜査専従員に任用いたします場合には、まず年齢、実務経験、体力、素質、こういったことを条件といたしまして適任者を選考いたします。その適任者と認められた者の中から警察学校などにおきまして、二足の期間、捜査員として必要な基礎的な知識、技術につきまして教養を行います。その成績などを勘案いたしまして任用するという制度を現在確立をいたしております。  また、任用しました後におきましても、ベテラン捜査員とマン・ツー・マンを組ませまして個別指導を行っております。実務能力の向上ということに配慮しておるわけでございます。  さらに、最近の犯罪が非常に複雑巧妙化しておる、こういう状況でございますので、警察大学校、管区警察学校または警察学校等におきまして専門的な教養を行っておるというのが実情でございます。  また、さらに新たな捜査関係の手法、特に最近コンピューター利用というようなこともございますので、そういった新たな手法をいろいろと開発いたしまして、警察全体の捜査の能力が低下しないように現在懸命に配慮しておる、こういう状況でございます。
  28. 安田修三

    ○安田委員 今度の事件の場合に、非常にたくさんの遺留品あるいはまた情況証拠になるようなこともたくさん出ておるわけでありますが、しかしなかなか検挙されないという状況に対しまして、どうも初動の捜査体制につまずきがあったのじゃないだろうかという疑問も出てくるわけであります。現在一生懸命やっておるわけですので、決して責めるわけではございませんが、そういう点、もしお気づきのところがあったら、率直におっしゃっていただいた方がかえってこれからの体制強化のためになるのじゃなかろうかと思いますが、その点とうでございましょうか。
  29. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 この事件の特徴の一つといたしましては、非常に多くの物、物証が残されておるというのが特徴の一つであろうと思います。ただ、物がいろいろ残されておるとは申しましても、残されております物自体が非常にありふれた物であるということも一つの特徴であります。最近の大量生産、大量販売のいわゆる物量の時代の中で、ありふれた物を特定していくという捜査につきましては非常に多くの捜査員の労力と時間を必要とする、これも現実であると思います。  そういったことで時間が非常にかかっておるというのが現実でございますけれども、三月に始まりました事件の当初からの初動捜査で、特に警察の捜査として初動の段階で誤りがあった、見落としがあった、こういうことは私どもの方ではないというふうに考えて現在懸命に捜査をやっておるところでございます。
  30. 安田修三

    ○安田委員 例えば別の面からしますと、最近の警察庁の対応の仕方というのは、どちらかというと警備、公安関係にかなり軸足が動いておるのじゃないだろうか。そうかといいまして、先般の自民党本部焼き打ち事件の場合に、中核派と推定されると言われながらもなかなかこれまた非常に難しいという説明が先月も皆さんからありましたが、しかし最近、先ほど言いましたような、そういう公安関係にかなり軸足が移っておるのじゃないだろうか。したがって、そういう点で本来の刑事事件への対応能力がどうも手薄になっているのではないだろうか。  最近の場合、情報化社会でありますし、そういう点では特に科学的捜査の手法といいましょうか、そういうものを重視すべきにもかかわらず、そういう点の体制というのが薄いのではないだろうかという指摘も見なければならぬわけでありますが、そういう点について皆さんの方はどういうぐあいにお考えになっておりますか、お聞きしたいと思います。
  31. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 まず刑事警察が弱体化しておるのではないかという御心配でありますが、確かにこのグリコ森永事件につきましては、三月の発生以来九カ月を経まして、現在捜査中でございます。  しかし、刑事警察の全般的なことをちょっと申し上げてみたいと思いますが、去年の刑法犯の発生が百五十四万件ということでございまして、ことしは今のところ去年よりも若干上回っておりますので、年末には百五十八万件ぐらいになるであろうと考えられます。数字だけをとってみますと、この数字は昭和二十三年、二十四年に次ぐ戦後三番目を記録するであろうというふうに考えられます。  また、質的に見てまいりましても、このグリコ事件に見られるような人質誘拐事件というものが非常に多発をしておりますし、また、保険金目的の殺人事件であるとか放火事件であるとかいった凶悪な、世相を反映するような事件が相次いで発生しておるということで、内容的に見ましても、最近は非常に警戒しなければならぬ状況だと思います。  一方、こういう状況下におきます刑事警察の活動でございますが、去年は年間の刑法犯の検挙率が十八年ぶりで六〇%の大台を超えました。ことしは十月末で六〇・四%ということで、現在、去年を若干上回るような検挙率を示しておりまして、全般的に見ますと犯罪は、数はふえ、質的に非常に心配な状況になっておりますけれども、検挙活動の方もおおむね順調に推移しておる。  特に凶悪事件の例として挙げられます捜査本部を設置する事件、これは十月末現在で申し上げますと、発生が百二十七件、捜査本部を設置しました数が百二十七件でございます。うち、検挙、解決をいたしましたのが八十八件でございまして、検挙率が六九・三%、解決率六九・三%ということで、これは前年の同じ時期に比べますと解決率が三・二%アップをしております。過去十年間で見ましても、六九・三%の解決率というのは、昭和五十一年に六九・四%というのがございましたが、それに匹敵する最高の解決率を示しておりまして、数もふえておりますけれども警察活動も一生懸命やっておる。  したがいまして、確かにグリコ森永事件、先ほど申しましたように長期化しておりますけれども、刑事警察は特に弱体化しておるというふうには私ども考えていないわけでございます。ひとつ御理解いただきたいと思います。  それから科学捜査の点でございますが、これは先ほども触れましたように、コンピューターをいろいろと駆使しました科学捜査的な手法の開発ということに努力をいたしております。昨年の十月からは指紋の自動識別システムというものを開発いたしまして、これは非常に実効を上げております。  それと、現在やっておりますグリコ森永事件につきましても、大阪と兵庫の府県警がコンピューターをこの捜査に導入いたしまして、大阪だけで見ましても、現在三百万件の捜査関係のいろいろな情報をこのコンピューターに入れまして、それを使って各種の照合業務をやりながら捜査に役立てておる、こういうことでございまして、この面も引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。御理解いただきたいと思います。
  32. 安田修三

    ○安田委員 先月本席で、加藤委員から公開捜査の必要性ということについて皆さんにいろいろと指摘をしたわけであります。その後、皆さんの方にもあるいはお考えがあったのかどうか知りませんが、公開捜査に踏み切られたわけでありますが、いろいろな点で国民にこの事件に対する反響を呼び起こした。公開の場合に、いろいろな留意すべき問題点等々ありますが、そういう点では一定のそれなりの成果があるのではなかろうかとも思っております。  今後、この種のことで積極的に国民の関心を呼び起こし、そして極めて広域にわたるわけでありますから、そういう点で解決の促進に当たるというようなことをさらにお考えになってはどうかと思いますが、その点何か皆さんの方でお考えになっておりますでしょうか。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  33. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 公開捜査につきましては、先月の半ばに、テープにおさめられました女性と子供の声を公開いたしました。引き続きビデオテープに写っております、犯行の事情についてよく知っているのではないかという人物についての画像を公開したわけでございます。それ以来、現在全国からこの声とビデオにつきまして約四千件の情報警察に寄せられております。私ども、今さらながら国民のこの事件に対する関心の大きさ、協力の度合いの強さというものをしみじみと実感をいたしておるわけでございます。  今後におきましても、ケース・バイ・ケースではございますけれども、犯人並びに犯人に密着する情報で役立つような情報がありましたらできるだけ公開をしながら、国民の広い協力を得て捜査を推進していきたい、こういうふうに思っております。ただ、どういうケースでというふうになりますと、これは特にまた人権との問題もございますので、ケース・バイ・ケースで慎重に公開の判断をしていきたいというふうに考えております。
  34. 安田修三

    ○安田委員 いろいろと報道されるところでは、ビデオの場合にも隠してある面があるとかいろいろなことが言われておるわけでありますが、これは皆さんの方で捜査中、あるいは秘匿しなければならぬところもございましょうから別といたしまして、さていよいよ師走になりますし、人の動き、物流の最大の時期を迎えるわけであります。それだけに、これからは捜査の非常に難しい時期にもかかるであろうと思います。  それでは一体、犯人はなかなか特定できないにしても、皆さんのそういう捜査の手法からいって何合目まで包囲網を縮めておるのだろうか。国民にとっては皆目見当がつかなんだ。そこへ年末が来る、正月が来る。品物がどんと流れたときに再びこういうようなおどかしがあった場合にパニック状態になってしまう。特定の犯人はわからぬにしても、警察は自信を持ってもう七合目まで来たんだ、いや三合目までしか来ていないんだ、これは国民にとっては非常に知りたいところであります。  同時にまた、東京で投函される郵便物が、あれは陽動作戦なんだという報道も伝わってまいります。一体関西に本拠があって東京は陽動作戦なのか、あるいはまた関西、東京にまたがった拠点があるのか、そこらあたりは皆さんどういうぐあいにお考えでしょうか。
  35. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 なかなかお答えが難しい御質問でございますけれども、犯人グループは、最初からはっきりしておりますのは三人、そのほかに若干の者がいるのではないかというのが大体今予想しておるところでございますが、関西、関東で申しますと、関西が主たる本拠地であろうとは考えております。今までの行動からしてそういうことであろうと思いますが、関東にも何らかの勘があると申しますか知識がある者も中に入っておるであろう、こういう感じがいたします。  それと捜査の状況でございますが、数があります捜査対象、例えばタイプライターの捜査ということになりますと、関西、あの地域で売られておりますあの種類のタイプライターというものは六千数百台、六千台を超す台数が売られておるわけですが、それについて現在四千数百台までは売り光といいますか所在を確認した、こういう状況にある。  こういったものについては数的に申し上げられるわけでございますが、全般を通しまして捜査と申しますのは、今までの経験からしますと、やはり結果が出てから後であの時期が何合目だったというのがわかる、大体そういうことでございますので、今現在で申し上げられますのは、この九カ月間、一歩一歩、一つ一つ捜査を詰めてきておるということで、現在が何合目に来ておるのか、これはなかなかわからぬ。しかし、九カ月間の積み重ねというものがありますから、それは着実に積み上がっておる、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  36. 安田修三

    ○安田委員 事件事件だけにこの程度にしまして、御苦労さんでございますが、ひとつさらに御尽力をお願いいたします。  さて、次に六十年度の地方財政関係の見通しについて少しお尋ねいたします。  まず大蔵省の方にお尋ねいたしますが、今年度の国税の伸びと、さらに引き続いて来年度の見通しという点についてお伺いしたいと存じます。
  37. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答えを申し上げます。  五十九年度の税収につきましては、現時点で実績が判明しておりますのが予算の大体三分の一でございます。九月末税収まではわかっておりますが、そういう実態でございますので、その実績をもとにして全体を云々するというのは若干時期が早いかなという感じがいたします。今後の経済情勢等をさらに慎重に見守っていく必要があろうかと思いますが、現時点での税収の動向という点で申し上げますと、九月末税収が前年度の実績に対しまして六・五%の伸びになっております。予算で見ております伸び率は、五十八年度の実績値に対しまして六・九でございますので、現時点の実績で見る限り、予算で想定しておりますよりも若干下のところを走っておるというのが現状でございます。  五十九年度、いわば足元が今申し上げたような状況でございますので、六十年度の税収見積もりをどう考えるかという点につきましては、作業自体はむしろこれからでございます。ただ、経済見通しあるいはその他の指標等、これからいろいろな関係のところからの情報収集をいたしましてやっていくということでございますが、先生のお問い合わせの税収は、現時点の実績の動きというものからおよそのことを見当をつけていただけたらというふうに思います。
  38. 安田修三

    ○安田委員 自治省にお尋ねいたしますが、今年度の地方税の動向についてお聞かせいただきたいと思います。
  39. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 本年度の地方税収の見通しについてのお尋ねでございますが、本年度の地方税収の決算見込みにつきまして、年度半ば、大体半分というところでございますが、現段階で正確な見通しを立てるのは困難であろうと思いますが、都道府県税の方につきましては、御案内のように毎月都道府県の方から報告をいただいております。九月末が一番新しいものでございますが、この実績によりますと、法人関係税の伸びが順調であるというようなことなどによりまして、当初見込んだ伸びを上回っておる情勢にございます。このまま推移いたしますと、地方財政計画に計上した地方税収を確保し得る趨勢にあろうかと思います。  ただ、年度初め以来の各月末の累計の状況を見ておりますと、例えば五月末では対前年同月で一三・五%、六月末では一二・〇%、七月末では九・四%、八月末で九・二%、九月末もほぼ横ばいで九・二%ということで、だんだん下がってきておるというような点がございますので、こういった点で、今後の景気の情勢がどうなるかというようなことなどを含めまして、今後の動向はさらによく見極めていく必要があろうかと思います。  また市町村税につきましては、これは数が多いものでございますので毎月報告をいただくというわけにまいりませんが、ただ散発的に状況をいろいろ聞きますと、やはり本年度の減税の影響が強く出ております。  そういったこともございまして、個人住民税のウエートが高い市町村税の特質、それから逆に法人関係税は市町村税におきましてはウエートが低いということでございますから、景気の伸びを反映しにくいということがございまして、この点につきましては地方財政計画に計上した額を確保できるかとは思いますが、必ずしも予断は許さない、こういったような状況にございます。
  40. 安田修三

    ○安田委員 そこで大蔵省にお尋ねいたします。  先ほども補助金の一律一〇%カットについて質問があって答弁も出ておりましたが、補助金はその負担率についてそれぞれ合理的な根拠あるいは理由があって決められているわけであります。  制度の見直しという点も、先ほど国の権限地方への移譲問題で答弁も出ておりましたけれども、さて、この見直しということが全然行われないで、今のように概算要求基準の中で一律削減というのは、一体なぜそういうことにならざるを得ないのか極めてわかりにくい話であります。役所の方は理屈が通れば何でもこれで押し切られるところでありますが、理屈なしということになりますと極めてわかりにくいわけでありまして、そういう点の考えをお聞きしたいと思います。
  41. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  いわゆる高率補助の引き下げにつきまして、その考え方でございますが、先生も御承知のとおり数次にわたる臨調答申というのがございますし、またことしの七月二十五日に出されましたいわゆる行革審意見というもの、さらに七月三十一日に閣議了解をいただきました概算要求基準についての考え方というもの等を踏まえまして、単に国の負担地方に転嫁するということではなく、国と地方の間の役割分担のあり方、すなわち、それぞれが事務事業にどの程度関与していくかというような観点から、制度の見直しを含めまして検討していくことが基本である、また国と地方の費用負担のあり方とか、国及び地方財政事情等も勘案しながら検討していくという考え方を基本としている次第でございます。  概算要求先生御指摘のようになされたわけではございますが、しかしそれですべてだというわけではございませんで、現在まさに本件につきまして、いま一つ補助金等の整理合理化という大きな流れもございます。  そういうようなものをあわせ含めまして、予算編成過程を通じて関係省庁と現在協議を重ねておるところでございます。したがいまして、今後事務事業の見直し、制度の見直しということも踏まえまして本件について対処してまいりたいというのが基本でございます。  なお、補助金等の見直しに当たっての地方財源の問題につきましても若干敷衍させていただきますが、これも行革審意見に触れられておりますとおり、「地方財政全体の過不足を計る土俵となる地方財政計画の上で総体的に検討する。」ということで、事務事業の遂行に支障のないように極力配慮してまいるという考え方で今後取り進めさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 安田修三

    ○安田委員 重ねて大蔵省にお聞きするのでありますが、国の直轄事業に係る負担率の一律削減ということも検討されているそうでありますけれども、この点は皆さんの方でずばり削減されるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  43. 藤井誠人

    ○藤井説明員 先ほど御説明申し上げましたように、いわゆる高率補助の引き下げという問題につきましては、概算要求は一つの区切りとして、先ほど申し上げた考え方に沿いまして現在関係省庁と協議を進めておるところでございます。したがってその対象といたしましては、一般論として申し上げますと、公共事業、非公共事業を含めて国、地方を通ずる事務事業の見直しあるいは負担関係の見直しを行うという考え方を基本としておるわけでございまして、極力幅広い検討を進めてまいりたい。したがいまして、特定の事業を排除する必要はないのではないかというように考えております。  ただ、具体的にどういうように進めていくかということにつきましては、今まさに関係省庁と協議を進めておる状況にございます。適切に対処していきたいというように考えておる次第でございます。
  44. 安田修三

    ○安田委員 直轄事業の場合には、今までも都道府県の中で、直轄事業の負担金そのものがおかしいのじゃないかという議論があるわけですし、市町村の場合には、県の事業に市町村負担するのもおかしいのじゃないか、あるいはまた国道その他の先行取得の場合にも従来いろいろと問題が出ておるわけです。さらに直轄事業の場合に、逆に言うと地方負担率を強めるということになるわけです。そこへまた維持管理費も今の二分の一の地方負担を見直すということ、そうしますと仕事の見直しということは、これはむしろ地方から言いたいところでありますが、国の方から逆に押しつけるということで、地方負担をふやすための見直しということであればまさに本末転倒と言わなければなりません。  そこで、さらに義務教育費国庫負担金、先ほどもちょっと出ておりましたが、具体的には小中学校の事務職員や学校栄養職員等の人件費の削減または廃止、こういう点は、今どれもこれもというお話がありましたが、皆さんの方でここらあたりの話も全部具体的に各省庁間で進んでおるのでありましょうか。
  45. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 お答え申し上げます。  文教予算につきましても、このような厳しい財政事情のもとで徹底した節減合理化を図る必要があるということから見直しを行っておるわけでございまして、現在義務教育費国庫負担金は二兆三千億余りございますが、文部省予算の約半分を占めておるということでございます。こういう大きな費目についても、初めから検討の対象から外れてしまうというようなことにはならないと考えております。補助金等の整理合理化が大きな課題でございますので、その一環といたしまして検討を進めまして、関係省庁とも十分協議いたしまして対処したいと考えております。
  46. 安田修三

    ○安田委員 そこで大臣にお聞きいたしたいと思うのです。  先ほど平林委員質問の中にも、花岡局長からいろいろと補助金の削減、それに対する自治省が提起している国庫補助金等の整理合理化の方策の具体的な中身についての答弁等がございました。そしてさらに、国の権限地方への移譲問題についての答えも出ておりました。今も大蔵省のお話ではいわゆる仕事の見直しという話が出ております。国と地方仕事の全面的な見直しをする、そして財源の裏づけをするということであれば、それなりの行き方があります。  ただ、今のように直轄事業の場合も、見直しというよりもこれはむしろ地方にただ押しつけていくだけ、負担率を強めていくだけ、あるいは義務教育関係の場合もそれと同じようなことになっていくのではないか。まして今削減されようとする補助金のうち九〇%までは厚生省関係。先ほど局長からもありましたように、社会保障費は当然国の財政で見るべきもの、当然これは地方では縮小も事業の見直しもできない、こうなりますと、自治省の踏ん張りといいましょうか、自治省予算編成における役割というのは非常に大きいものがあります。金を削るのなら仕事の見直しをしなさいという問題に突き当たるわけでありまして、その点大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  47. 古屋亨

    古屋国務大臣 今安田委員からお話しになりました点でございます。事務的には関係者からお答えしておるのでありますが、これは何といいましても、見直しをするならば根本的に見直しをしていく、ただ暫定的に、一時的に金を削るための方策といいますか、それで一律カットということはかえって地方にとっては非常にアンバランスになってくる、私はそういうように考えておるのであります。  厚生省関係あるいは今お話しの義務教育関係、あるいは今後恐らく公共事業ということについても何らかの話が出てくるのではなかろうかと思っておりますけれども、先ほど私の方の局長から話しましたように、事務折衝におきましては、財政当局に対しまして代案といってはあれでございますが、こういう考えがありますよということを今のところは一応こちら側に立ちましてよく説明をしておるところでございます。  何といいましても、地方行財政というものが、国の都合だけで影響を受けてはこれは大変なことでございます。そういう意味におきまして、もちろん国の方も厳しくなってまいります、地方ももちろん厳しい点はあると思いますが、地方の自主性に合うような、また地方自治という本質も考えながらそういう点を進めていかなければならぬと思っておりますので、これからの私の折衝におきましても、そういうような点を中心にいたしまして進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  48. 安田修三

    ○安田委員 要するに仕事の見直しと補助金の削減とは全く表裏一体である、かねがねの問題、基本的な問題であるが、今回の場合は大臣おっしゃったように、そういう一時的な削減ということはかえって矛盾を呼び起こすだけだという点で、これはひとつ自治省としては筋を曲げるようなことは絶対譲らぬという大臣の決意でぜひ突っ張っていただきたいと思いますが、どうでございましょう。
  49. 古屋亨

    古屋国務大臣 今後の事態の推移ということもございますが、とにかく国の厳しい財政状況下におきまして地方もいろいろ厳しい問題があると思います。地方自治の確立という点につきましては、権限移譲の問題その他でいろいろ問題があると思います。もちろん削るあるいはまた縮小すべき分野もあるかと思っております。しかし、そういう問題につきましては、私どもが常に地方立場に立ちまして国に対して積極的な申し入れ、進言をいたしまして、地方団体の意向をできるだけ考えまして推進をしてまいりたいと思っております。
  50. 安田修三

    ○安田委員 大臣、ひとつぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、それでは地方債のことで財政局長にお伺いいたしますが、八月に自治省で組まれた来年度の地方債の計画によりますと、ことしの春、皆さんの方から発表されました来年度の中期の財政計画、ここでは大体来年は一兆五千億から二兆円の地方財政の赤字が出るんじゃないだろうか、こういうことになっておりました。  そこで、先ほど聞きますと、地方税の方はまあ大体一応の予定どおりのような伸びでありましょうが、そうしますと、来年、皆さんの計画からいけば一兆五千億ほどの穴になってくる、これをどうするか、そのまま交付税で埋めるということにはなかなかいかないんじゃないだろうかということで、当然地方債の充当——皆さんの計画では、地方交付税で充てるというわけにいかない、そこで激変緩和措置として五千二百五十億円の地方債をそこに充当しておく、こういうような計画になっております。  さて、今年度の場合は、これの赤に対する地方債の埋め合わせ、充当率八五%という極めて高い地方債の充当ということで大変議論をしたところでありますが、さて来年度は、そこら辺は皆さんでどのように今一応考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 花岡圭三

    ○花岡説明員 明年度の地方財政の収支見通しにつきましては、まだ現在の段階では明年度の経済情勢等もわかりませんし、国の予算編成状況もまだはっきりしない状況でございますので、はっきりした見通しを申し上げられませんけれども、歳入面では、先ほど税務局長からの答弁がありましたように、今後の景気動向によりますけれども余り大きな期待はできない、歳出面では、公債費あるいは給与関係経費というふうなものが増加してくる、こういうことから、引き続き財源不足が生ずることは避けられないというふうに見ております。  しかしその額は、歳出につきまして国と同一の基調に立ちましてかなり厳しくこれを抑制をするというふうなことを前提といたしますと、先ほどお示しの参考試算にあります一兆五千百億円という数字はこれよりもかなり下回ってくる、ある程度と申しますか、見通しははっきりわかりませんけれども、下回るであろうというふうに見ておるわけでございます。  そういうふうなことからいたしまして、現在「地方債計画(案)」に計上しております数字でございますけれども、あれは一応五十九年度地方財政計画に計上いたしました一兆二千億円の財対債というものは落とす、しかし激変を緩和する必要があろうということで五千二百五十億円計上しておるわけでございますけれども、幾らの財源不足が出るかわからないというのが実情でございますので、これを地方債で埋めるのか、あるいは交付税の特別措置で埋めるのか、いろいろなこともございますので、現段階でこの充当率が幾らになろうかというのはちょっと申し上げかねる状況でございます。
  52. 安田修三

    ○安田委員 それでは、行革関連特例法関係の方をちょっとお尋ねいたしますが、地域特例、高率補助六分の一カットですね、これは今年度で特例期間が切れますが、さて、六十年度以降この取り扱いは、これで期限切れで終わるのか、また延ばすというお考えがあるのか、その辺お聞きしたいと思います。
  53. 花岡圭三

    ○花岡説明員 行革特例法が五十九年度で期限が到来するわけでございますが、期限到来後におきますこの行革関連法全体の取り扱いにつきまして、政府としての方針は、現在のところでは未定でございます。自治省といたしましては、これら国土の均衡ある発展のためには、やはり特別措置として円滑な推進に必要な財源措置が必要であろうというふうな考え方を持っております。  今後の地方財政への特例措置の扱いにつきましては、こういった考え方のもとに各省庁とも十分話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 安田修三

    ○安田委員 それでは、少し税金の問題に入りたいと思います。  一つは、来年度の住民税減税について自治省の方でどのように考えておられるか、お伺いします。
  55. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 来年度の住民税の減税についてのお尋ねでございますが、御案内のように住民税の減税につきましては、昭和五十九年度におきまして、初年度のベースで三千百億円という額に達する大幅な減税を行ったばかりでございます。現下の財政事情を考慮いたしますと、昭和六十年度においてさらに引き続き住民税減税を行えるような状況にはないと考えておるところでございます。
  56. 安田修三

    ○安田委員 これは全然考えないということですが、これが論争の種でしょうから、それだけお聞きすればいいと思いますが、さて、地方税の特例措置の見直しについては、またどういうふうにお考えでしょうか。
  57. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 地方税におきます非課税等の特別措置につきましては、これは個々の政策目的と、それから税負担の公平への原則との調和を図るという見地に立ちまして、社会経済情勢の推移に応じまして、既得権化とかあるいは慢性化の排除のために常に見直しを行う必要があると考えております。今までもかなりの見直しを行ってきたわけでございますが、今後ともその整理合理化に努めてまいりたいと考えております。  特に、現在私どもの方で検討しておりますこういった非課税等の特別措置の中で、なお残された大きなものといたしまして、御案内の社会保険診療報酬に対する特例措置、あるいは新聞、放送事業等に対する非課税措置、こういったものにつきまして、これは昭和二十六年から二十九年にかけまして、それぞれ国会修正によりこういった規定が設けられたものでございますけれども、かなり年月もたっております。社会経済の情勢も変わってきております。あるいはほかの公益事業との関係どもございますので、そういった問題につきましては、特に税制調査会の御意見も伺いながら引き続き検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  58. 安田修三

    ○安田委員 引き続き検討ということは、どうなんでしょう、来年度予算に間に合うように結論を出すということでしょうか。
  59. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 明年度の税制改正の大きな課題と考えております。もちろん税制改正につきましては税制調査会の御意見を伺わなければなりませんので、この点は御承知のとおりでございますが、ぜひ見直しを進めてまいりたい、このように考えております。
  60. 安田修三

    ○安田委員 次いで、固定資産税の関係を少しお聞きしますが、平均二〇%台の引き上げ、来年いよいよ見直しになりますので、引き上げというふうに承っておるのですけれども、最近の土地価格の安定状況からすると、この二〇%台の引き上げというのはちょっと大きいのじゃないか、こう思うのですが、どのようにお考えでしょう。
  61. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 明年度は固定資産税の三年に一度の評価がえの年でございますので、その作業を進めておるところでございますが、自治省の方で全国の基準地価格、各都道府県ごとに基準となるべき価格、おおむね宅地の場合には商業地が多いわけでございますけれども、これにつきまして基準地価格を定めまして現在評価の作業を進めておるところでございます。  この基準地価格のアップ率が、ただいま二〇%とおっしゃいましたが、宅地の場合は一九・九%という数字でございますので、これをとらえてのお尋ねと思いますが、確かに御指摘のように地価の上昇というのは最近は年を追ってだんだん上昇率が下がってきておる、おっしゃるように鎮静化の方向へ向かいつつあるということは言えようかと思います。ただ、御承知のように固定資産税は三年に一度の評価がえでございまして、いわば実勢に比べますと、後追い的に評価がえをしてまいるわけでございます。  そういう観点から見ますと、明年度の固定資産税の評価の基礎になります過去三年間の地価の上昇を見ますと、これはいろいろな資料があるわけでございますけれども、やはりその程度の上昇はあるというぐあいに考えております。例えば相続税の最高路線価、これは五十六年から五十九年の三年間に二八・二%、これはかなり高い率でございますが、そういった状況を示しております。あるいは地価公示におきましても、五十五年から五十八年までの三年間でございますと二三・二%、五十六年から五十九年までの三年間をとりますと一五・八%ということでございます。  今回の固定資産税の評価がえは、大体五十五年の半ばごろから五十八年の半ばごろぐらいの実勢が作業の都合上基礎になりますので、この辺をとってみますと、やはり一九%台の上の方ということになっております。ただ、地価公示につきましては、最近、地点の変更が非常に多く行われております。五十七、五十八の両年間で全体の四分の三の地点が変わっているということもございまして、ただいま申し上げました数字はその地点の変更のない部分だけをとらえての上昇率でございますので、必ずしもそのまま的確に全体の情勢を反映しておるところではなかろうと思っております。  それ以外のいろいろな地価調査とかあるいは市街地価格指数などを見てまいりまして、あるいは先ほどの相続税の路線価などを見てみましても、こういった伸び率が、今回の評価がえの基礎になります三年間のデータとして、今回の基準地の二〇%とそう大きな開きはないと考えておるところでございます。
  62. 安田修三

    ○安田委員 これはいろいろな考え方ですが、土地関係でも特に宅地関係になりますと、実際売買ということになれば違うのでしょうが、生活をしておる人にすれば評価が上がったところで一銭も得にならないわけです。したがって、上げ方ということについては、住民の側にすればなぜ上がるのか不思議だというぐらいに思っているわけで、ただそういうものだろうというぐあいにしか思っていないから特段この種のことは問題になっておりませんし、投機対象以外、あるいはまた再開発されてそこに何か商業地域でもできるという場合以外は、固定資産税の評価がえというのは本当に意味のないものであります。  しかし、こういう税制の中で上げられる場合に、そういう点ではそれだけの慎重さ、今のように土地価格が安定しておるという場合にはそれに応じた政策的な上げ幅というものは必要だろう。上がればまたそれだけ土地の投機、土地の売買等の場合に価格変動を及ぼすということになってまいるわけでありますから、それだけに上げ幅については慎重に対処してもらいたいと思います。  そこで、年金生活者あるいは住宅ローンの返済者、あるいはまた最近は人勧の凍結やら不完全実施やらそういうこともあって、景気はもう一つ広く伸びないということから消費の動向もぱっとしないという点では、小売業者の人たち、今言いましたように宅地の評価がえがあっても何にもならないなという人たちに対しまして、特に負担調整等を講じていく必要があるのじゃないだろうか。現在、例えば住宅及び住宅用土地等については軽減措置等がありますが、さらにこういう点の強化、あるいは今例示的に言いましたような年金生活者、住宅ローン返済者、こういう人たちには何か負担調整をしていく必要があるのじゃないだろうか、この点、お考えをお聞きしたいと思います。
  63. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 固定資産税の評価につきましては、先ほどもお話がございましたけれども、大きく上がるところ、さほどまで上がらないところ、いろいろあるわけでございますから、これは評価を適正にやってまいりませんと結果的には不公平ということになろうかと思います。ただ、評価の結果税負担がふえます場合に、これを一挙にふやすということにつきましては、負担の急増という面から見て問題があろうかということで、従来より負担調整措置を講じてきておるところでございます。  また、住宅用地あるいは住宅につきましては、御承知のように住宅用地の場合二百平方メートルまでは四分の一といったような政策的な配慮も加えておるわけでございますが、お示しのような年金生活者とか小売業者といったような人的な要素に着眼をした税負担の軽減を図るための負担調整措置につきましては、いわゆる物税と呼んでおりますが、固定資産税の性格から見て適当でないというぐあいに考えておるところでございまして、やはり一般の負担調整措置を通じての負担調整に努めてまいりたい、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  64. 安田修三

    ○安田委員 今の上昇率の刻み方、負担調整率、これを細分化する考えはありませんか。
  65. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 評価の結果の上昇率の高い低いの区分に応じて負担調整率を定めておるところでございますが、御案内のように昭和五十七年の評価がえのときには全体を五段階に区分しておるということでございます。それ以前におきましては一・一、一・二、一・三というような三段階でございました。これをもう少しきめ細かくという意味から、昭和五十七年には一・一と一・二の間に一・一五倍というのを設ける、あるいは一・二と一・三の間にさらに〇・〇五の刻みを設け一・二五という刻みを設けるというぐあいにしたわけでございますが、これをさらに細かく刻むかどうか、余り刻み過ぎますとまた非常に複雑になってくるわけでございます。  一面ではそういったきめの細かい配慮もまた必要じゃないかというような御意見もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この負担調整措置をどうするかということにつきましては、六十年度の税制改正に当たりまして税制調査会における御審議等を仰ぎながら適切な結論を得てまいりたい、このように考えております。
  66. 安田修三

    ○安田委員 自動車取得税あるいはまた軽油引取税の引き上げというような話も出ておるようでありますし、さらに自動車免許税の創設ということも考えておられるやにお聞きいたしますが、ここら辺はどういうお考えでしょうか。
  67. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 まず、地方の道路目的財源でございます自動車取得税、それから軽油引取税の問題でございますが、これは御案内のように現在暫定税率という形で本則税率に対して高い税率を適用しておりますが、これが本年度末をもって期限切れになるわけでございます。  ただ御案内のように、地方道の整備水準は依然として国道に比べまして低いわけでございます。また、地方道路目的財源の比率も国に比べて著しく低いということもございます。さらに第九次の道路整備五カ年計画、この内容は御承知のように、地方単独事業あるいは公共事業の地方負担を含めました地方費の部分が、五カ年計画全体の規模から見ますと非常に大きくふえているところでございます。そういう意味で、こういった地方道路目的財源についてはさらに引き続き充実を図る必要があると考えておりますが、この点につきましても、やはり今後の税制調査会での御審議を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。  それから後段の、自動車運転免許税についてのお尋ねでございますが、この点につきましては、本年度の税制改正に際しまして税制調査会の御意見を伺い、その御審議の結果、近年交通規制、交通安全対策などの地方団体財政需要が急増しておる、運転免許を受けることによって自動車等の運転が可能になるという利益を受ける、こういったことにかんがみて、地方税、特に道府県税として創設するのが適当だという御意見と、一方これに対しては、これを導入することは適当でないという両方の御意見がございます。なお引き続き検討するというぐあいに税制調査会の御答申をいただいておるわけでございます。そういったことでございますので、私どもといたしましては、やはり今後引き続き検討をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  68. 安田修三

    ○安田委員 とにかくもう自動車というのは一軒に二台、三台という事態、これ以上自動車関係の税金を上げてもらうのは困るということです。ですから、そういう関係だったら、自動車を持たせないようにするならほかの政策上からやってもらえばいいんで、取れるものはどこでも大衆負担でやれというのはもう御免ですから、この点はよく自治省の方では考えて、増税にならぬようにしていただきたい。  そしてもう一点。自動車重量税のオーバーフロー分について地方に振りかえたらどうかという考え自治省にあるようですが、建設省はもちろん反対。そこでただ、地方に持たせた場合どうなるかということについていろいろと問題点があると私は思うのです。  もし自治省がそういうお考えの場合には、それなりの特定財源として地方が道路に確実に使うような一つの方策を立てて、地方に振りかえた分が逆に他の補助金の——地方にそれだけ財源、二千億円なら二千億円いくから、他の補助金カットなりというような影響を及ぼすことのないようにしなければならぬと思いますし、そういう点で自治省はこの自動車重量税のオーバーフロー分、今道路等に使われていない分、これについてどういうお考えを持っているのか、この点をお聞きしたいと思います。
  69. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 先ほどお答え申し上げましたように、現在の地方道の整備の状況なりあるいは第九次の道路整備五カ年計画というものを、地方に非常に重点が置かれているわけでございますけれども、円滑に進めるためには地方道路目的財源を充実する必要があろうと考えております。  今お尋ねの重量税の一部を地方道路財源に振りかえるというようなことを新聞報道等を通じて私どもの方も聞いておるところでございますが、基本的に道路目的財源の国、地方間の配分をどのようにするかということにつきましては、今後の税制調査会等の御審議を踏まえて検討さるべき問題であり、その過程において私どもは適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  70. 安田修三

    ○安田委員 終わります。
  71. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 細谷治嘉君。
  72. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 最初に古屋自治大臣、おめでとうございます。  私、長い間この委員会でともに法律案を審議した一人として、この委員会の中から大臣が生まれた、特にこの委員会の審議の中身等について立ち入って経験をされておる大臣就任して、大変大きく期待しております。ひとつ御健闘を祈りたいと思います。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、十分時間がありませんけれども、前のお二人の委員質問と重複する点がございますけれども質問をさせていただきたいと思います。  最初に、予定外でありましたけれども、ちょうど税務局長いらっしゃっておりますから、大臣も御都合があるようでありますから、ちょっとこの点を御質問しておきます。  マル優問題というのが大変大きな問題になっております。これは税制調査会の審議の中心課題と言っていいと思うのであります。その場合に、所得税として国税がかかるのでありますから、住民税が今までかけられておらぬということはおかしいわけですね。かけられておらぬので、地方の方はかける能力はないだろう、こういうようなことで県も市町村も課税しないで、お恵み的な意味において予算編成の際に五百億円だ、一千億円だ、こういう形で地方財政につけてもらっておった、こういうのもおかしいと思うのです。  それで新聞等によりますと、国税としての所得税を課するのならば、今度のマル優というのは避けて通れない問題でありますから、地方税も住民税としてぜひ課税したい、こういうふうに自治省考えておるというように報道されておりますが、そのとおりであり、努力しているのかどうか、まずお聞きしておきたいと思います。
  73. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 利子所得等に対して、御承知のように現在マル優分を除いたいわゆる課税貯蓄分につきましては、源泉分離が選択されたものについては地方税が課税されてない、この点についてぜひ課税できるようにすべきである、これは年来の地方団体の念願でございますし、また私どもの方としてもそのように努力してきておるところでございます。ぜひそういうようにいたしたいと考えております。  さらに、今お尋ねの点は、最近税負担の公平の確保という観点から言われておりますいわゆるマル優のあり方について、これをも課税対象にしていくということについてのお尋ねでございますが、先般大蔵、自治両省の間で、そういう点についての低率分離課税といったような考え方を出したわけでございます。私どもの方としては、現在、課税貯蓄分について源泉徴収分は課税されてない。この辺は国、地方の税源配分としてまことに不公平だし、地域住民間でも不公平だ、こう思っております。そういう観点から年来主張してきたわけでございますが、さらに非課税分について、もし所得税がやるとするならばそれについて住民税を課税しないということではさらに不公平がもう一つふえてくる、こういう結果になろうかと思います。  したがいまして、これについて所得税が課税をするという考え方を示す場合には、もちろん私どもの方としても、これについてもさらに住民税が課税できるような仕組みを実現いたしたいと考えておりますが、なおしかし、この点についてはそのこと自身の問題、いろいろまだ税制調査会で御検討の段階でございますので、これ以上の点については控えさせていただきたいと存じます。
  74. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 国税が課せられる、いろいろありますよ。それに対して住民税を課せられないというのはおかしいわけですから、ぜひひとつ、今まで地方財政上の問題点になっておったことも含めて、税制調査会で検討しておるこの問題について、そういう不合理が起こらないように格段の努力をひとつ自治省、特に税務当局にお願いしたいと思います。大臣、ひとつ努力してください。  そこで本題に入りたいと思うのでありますが、けさの新聞によりますと、補助金の一律削減を撤回せよということを自治省各省庁に要望した、こういうふうに出ておりますが、事実ですか。
  75. 花岡圭三

    ○花岡説明員 毎年度、各省庁に対しまして翌年度の予算編成に関しましての自治省考え方と申しますか、いろいろ財政措置についての申し入れをいたしております。ことしも七月十三日に既に申し入れをしたところでございますが、また例年十一月にこれを特に具体のものを取り上げて行っておるのが通例でございます。今年度におきましても、特に補助金の問題がございますので、それそれの関係省に対してこの問題も含め申し入れを行ったところでございます。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 新聞の記事によりますと、先ほど来話があったとおり、「自治省は二十日、一律カットではなく不要になった人件費補助などを廃止することで補助金を削減するよう各省庁に対し正式に申し入れる。」きょうですよ、二十日というのは。従来やっておりましたね。特に今度補助金の問題があるからことしは特別なんでしょう。補助金の一律カットをやめてくれ、大蔵省が考えているやつをやめてくれ、こういう形ならやはり行政改革という点において考える余地がある、こういうのが態度でしょう。どうなんですか。
  77. 花岡圭三

    ○花岡説明員 私ども各省庁に申し入れをいたしましたのは、概算要求において一律のカットをしておる、こういうやり方というのは行革の理念にもとるものであるからこれは撤回をしていただきたい、こういう申し入れをしております。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 行革の理念にもとる——どの点がもとると考えておるのですか。
  79. 花岡圭三

    ○花岡説明員 臨調の答申の文面によりますと、考え方としましては、補助金の整理合理化の基本というものは事務事業の廃止、縮減にあるということをうたっております。そしてそのやり方といたしましても、国と地方との機能の分担を見直し、そして費用負担の見直しをすべきであるということでございますので、現在のところ機能分担の見直しが行われないで一律に切っておる、このところがもとるというふうに考えておるわけでございます。
  80. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私も、行革の理念に根本的に反するというあなたの見方に全く同感であります。例えば五十八年ベースで見ますと、全国総額では二千三百五十億か四百億円ぐらいだそうですけれども、一番財政規模の大きい、三兆七、八千億という東京都の減額される見込みというのは百九十億円ぐらいです。私が住んでおる福岡県は、恐らく県の予算というのは八千億円程度でしょう。それが二百三億円削減されるんです。  それからもう一つ、どうしてかというと、これはやはり生活保護者が多いということです。貧乏県だということです。貧乏人が多いということです。それから、同じ福岡県でも北九州市と福岡市、北九州市というのは人口百二、三万でしょう。福岡市は百二十万あるんですよ。そして上り坂であります。北九州市は四十五億円の減額があるわけです。福岡市の方は三十四億円ですよ。十一億円違うんです。私の住んでおる大牟田市は随分失業者も多いし、生活保護者も多いんですよ。八億円の国の補助金が減額される。そして隣の二十一万の、人口がはるかに多い久留米市は六億円だというのであります。筑豊の方にいきますと、全国で一番市の人口が少ないという山田市、これも大変な減額が起こるわけです。  言ってみますと、財源のない自治体を、生活保護者という生活のできない貧乏人を切り捨てる、こういう補助金のやり方でありますから、これは間違いなく行革なんという字もつけられないようなどうにもならない代物だ、断固反対しなければいかぬ、この補助金の一律カットはつぶさなければいかぬと私は思います。大臣、どう思いますか。
  81. 古屋亨

    古屋国務大臣 私も十月三十一日の地方団体の会合に出席いたしまして、たしかあのときはパンフレットに七つの反対理由というような点も出ておったのでありますが、その夜私は自治大臣になれという非公式な話を受けたわけでございました。やってきたばかりでございますから、頭の中にははっきり残っております。そういう意味におきまして、先ほどから一律カットはおもしろくないということを大蔵省の方へ事務当局も申し入れておるということでございます。  また、この問題は社会保障費だけにとどまらず、先ほどから義務教育の問題とか、あるいはまたその他の方に波及するというふうになると、地方状況、自主性というもの、一律カットというような今のような問題も出てまいりますので、私はこういうような点は納得できないという気持ちは前と同じでございます。だから、自治大臣になりましてこれから大蔵省と折衝するに当たりましては、お互いに厳しい状況でありますが、地方自治地方団体の自主性というものを考えて頑張ってまいりますので、ひとつ一層の御指導お願いしたいと思います。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私も先ほどちょっと言葉が激しくなりました。大臣、貧乏人をいじめる、弱い者をいじめる、そして弱い自治体、財政力の弱いところをいじめる、これは行政改革という名に値しないものでありまして、大臣の言葉をかりますと、そのやり方はおもしろくない、こういう言葉でありますけれども、おもしろくないというと、だけれどもしょうがないということなんですか。おもしろくないというそんな姿勢でよろしいのでしょうか。
  83. 古屋亨

    古屋国務大臣 今細谷先生質問で、私の言い方が足らなかったかと思いますけれども、さっき言いましたように、十月三十一日の大会に出てやりましたあの気持ちは変わりないということを申し上げたのでありまして、今後いろいろの折衝の場合にも、私はそういうことを頭におきまして折衝するということでございまして、決して私がおもしろくないからやるとかやらぬとかそれには関係ないと思いまして、私の性格から見まして、そういう問題につきましてはひとつ地方団体の意向を踏み構えて頑張ってまいるということであります。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 まだ抽象的ですね。大臣、不公平を今よりも拡大するような政治を、まあしようがねえということで許すつもりなのか。そういう不公平拡大のような政治、社会保障をぶっつぶす、社会保障のバックボーンである生活保護を例えばつぶすような制度は、自治大臣として、国務大臣として認められない、そのために体を張って努力するという決意なのか。その辺はちょっとおもしろくない、やってみたけれどもだめだった、こういうことでは済まぬと私は思いますので、もう一度ひとつ。
  85. 古屋亨

    古屋国務大臣 決して逃げ腰ではございません。気持ちは、十月三十一日の昼の気持ちと今とは変わっておりません。でありますので、私の所信は、今お話しになりましたように、おもしろくない、おもしろくある、そういう問題ではなくて、地方自治団体の意向を反映して、頭に置いて頑張りますということでございます。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 それでは、大蔵省の藤井企画官見えておりますので、お尋ねしたいと思います。  先ほどの質問に対しまして、今回の補助金カット地方負担を転嫁するものでない、こういう意味のことを言いました。そうして、補助金全体の総合的な見直しの中で、地方財政計画上で削減しでもよろしい、こういうような判断で概算要求の中でああいうことを示した、こういうふうなことをおっしゃいましたが、もう一度この点、重要な点でありますからお答えいただきたい。
  87. 藤井誠人

    ○藤井説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、いわゆる高率補助の引き下げというものにつきましては、その基本的な考え方でございますが、臨調で幾たびかにわたりまして答申がなされておるわけでございますし、しかもこの夏に行革審意見というもので提起されておる問題の一つでございます。  また、七月三十一日にいわゆる概算要求基準に係る閣議了解がございました。その内容等については、先生も御承知おきのことかと思われますけれども、なおやや詳しくなりますが補足させていただきますと、要するに異例に厳しい財政状況のもとにおきまして行財政改革をさらに推進するという基本方針に基づきまして、「今後、内外の経済情勢等を見極めつつ、予算編成に取り組むこととし、各省庁が八月末日までに提出する概算要求については、下記の基準により行うものとする。」ということで、その下記の基準の中に「別紙」がございまして、その中にいわゆる零細補助金等の整理とともに、著しく高率の補助、あるいは統合・メニュー化とか交付手続の改善等の合理化を図ることとするというのが明記されておるわけでございまして、これは閣議了解ということで合意を見たものでございます。  しからば、それはそれとして今後の進め方等はどうかということでございますが、単に国の負担地方に転嫁するということではございませんで、抜本的にと申しますか、より根幹的な問題である国と地方のいわゆる機能分担と言っておりますけれども、役割分担のあり方というのがどうか、どの程度それぞれの事務事業に国及び地方が関与していくのが適切なのかという観点からその制度の見直しを含め検討していくことが基本である。また同時に、国と地方の費用負担のあり方、すなわちあわせて国及び地方財政事情等も勘案しつつ検討していく必要があるのではないかというような問題意識に基づくものでございます。  具体的にどういうように進めるかということにつきましては、先ほど来出ております御意見もございますし、関係省庁と現在協議を進めておるところでございます。  以上でございます。
  88. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 関係省庁と現在協議を進めておるということは、概算要求は閣議決定で固めたけれども、コンクリートではないということも意味していると思うのです。  そこで、一つ質問いたします。これもきょうのある新聞に「切れるか地方への補助金 60予算」、こういう記事が載っております。それを読みますと、「高率補助のカット補助金が減少し、自治体が財源不足となった場合、”標準的な行政”を行うのに必要な財源は、地方交付税で補てんされる仕組みになっている。だから、東京都など財政力のある自治体は、補助金カットである程度影響を受けるが、本当に困っている貧しい自治体には、それほど影響がない、と大蔵省は主張している。交付税のほか、地方債の発行で歳入不足を調整する道が開かれており、同省主計局は「一方的に地方に資金的なシワ寄せを与えるのではない」と説明している。」そうでしょうか。  ということは、しわ寄せしない。こうしてしわ寄せが起こったら交付税で穴埋めしてやりますよ、こういうことになるでしょうが。交付税で穴埋めするということは交付税法六条の三の二項を厳密に守るということですよ。それを守らぬで、今まで特別措置でやってきたでしょう、附則であなたの方の考えは、おれのところの台所だ、社会保障もへったくれもない、こういうような姿勢があるのではないか。金がすべてであって、それを行政改革という名において事をやっておる、こういうふうに批判されても仕方ないと私は思うのですが、いかがですか。
  89. 田波耕治

    ○田波説明員 地方財政担当でございますので、お答え申し上げます。  先ほど来の先生の御質問を聞いておりまして、大蔵省が一方的に一律にカットする、それを一方的に地方に転嫁をする、そうすると弱い者いじめになる、大体そういう御主張かなというふうに伺いましたが、現在我々は概算要求において、先生御指摘のとおり、厚生省初め各省庁から高率の補助については大体一割カットという要求をいただいておりまして、それに基づきまして現在各係で査定作業を続けておるわけでございます。  先ほど藤井企画官が申し上げましたのは、その過程において各省ともいろいろ相談をしておるという意味かと思いますけれども、そこで先生の、一律にとにかく有無を言わせずカットをすると、弱いところが本当にしわ寄せを受けてしまうではないかという御懸念は、非常に私どもとしてもわかるわけでございます。それは決して一方的にしわ寄せを受けるというようなことが起きてはいけないと我々も考えておるわけでございます。  そこで、そういう問題が起きないようにどうするかということになるわけですけれども、我々が現在申し上げておりますことは、そういう補助率カットをすればそれだけ国からの支出金という形での地方団体にとっての歳入というのは減るわけでございますから、そういう要素あるいはそのほかの例えば地方税、交付税、場合によっては起債があるかもわかりませんが、そういうものをひっくるめたところで私ども自治省との間で最終的には合意をさせていただいて地方財政計画というものを組まなければいけない。そこの土俵の上においては決して切りっ放しになるようなことではなくて、トータルとして過不足が生じないように適切に対処をしてもらいたいということを申し上げておるわけでございます。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 答えがあったようなないような——確かに減るでしょう。減るでしょうけれども財政力の弱い、生活保護者の多いところが大きな被害を受けないようにしますということは、補助の一律カットはやらないということですか。自治省と交渉した上でそうなる可能性もあるということですか。
  91. 田波耕治

    ○田波説明員 先生御指摘のとおり、答えがあったようななかったようなというふうに聞こえたかもわかりませんが、と申しますのは、具体的に例えば大牟田市にどうするか、あるいは福岡県にどうするかという問題は、結局基準財政需要の見方を初めとする具体的な処理の問題にかかわることになりますので、大蔵省の立場でここをこうするというわけにいかないというふうに考えましたのであえて申し上げなかったわけでございますけれども、私が申し上げておりますのは、高率の補助率カットというのは要求をいただいておることもございます。  それから、現在の国の財政状況から考えるならば、少なくとも大蔵省としては、これはやらなければ予算が組めないと考えている点もございますので、大蔵省としてはぜひ御理解をいただいてやっていきたい、しかしそれによって生ずる地方団体に対する影響の問題については、極力そういう問題が生じないよう、トータルとして地方財政計画を策定するときに、私どもも全力を挙げてそういうことが生じないように対処をしてまいりたいという意味でございます。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 これもまた一つもわからない。私は頭が悪いのかどうか知りません。  一律補助というのは大蔵省は嫌っておるようです、新聞に書いていることは別ですけれども。一律補助をやりますと、東京都のような富裕団体も違ったところも一律だ。これが今日までの地方自治ということについて、あるいは地方財政についてやはり若干のマイナスがあったんじゃないかという大蔵省の指摘も私はわからないわけではないのです。しかし、今度の一律補助金カットというのは、間違いなく財源のないところ、そして逃げることのできない社会保障にカットしてくるわけですから。福岡県も一割、北海道も一割、不交付団体東京都も一割、そういうことですから、やはりそれについては、かたくなじゃありませんよ、自治省と折衝して、とにかく機械的な一割包囲を拡大するようなことはいたしませんよというわけです。  しかし一方では、二千三百億か四百億のカットをしないと予算がつくれないとあなたの方はおっしゃっている。地方も、恐らくそれをカットされたら予算はつくれないでしょう。つくれるところもあるかもしれぬけれども、つくれないところがたくさん出てくると思うのです。そうなってまいりますと、自治省との話し合いで何とかせにゃいかぬでしょう。何とかするというのは、自治省では既に目的を達したような補助金、こういうものはどうだろうか。あるいは保健所——保健所の話が出ましたけれども、私も一言言いたい。  保健所というのは二十七、八年ごろですよ。政令指定都市に保健所を設ける、県から離れて指定市に設けた。それで三十年ぐらいから、そのとき十五万以上で政令指定都市になって保健所を設けたところ、その後全然変わっていないのですよ。そしてだんだん国の財政が苦しくなりますと、その人件費補助というのはどんどん減っているわけです。そういうことでありますから、あなたがおっしゃるような保健所運営費補助金というのは、手直しするということは必要であります。と同時に、根本的に保健所というのはどうあるべきかということも検討しなければならぬ。これはまさしく先ほど来の国と地方との関係、県と市町村関係、こういうことになるわけですね。  そういうことでありますから、そういう自治省考えのような、大体二千億円ぐらい、人件費で一千億円程度やめることによって、いろいろな形で一千億円程度、大蔵省の希望している金額というのは大体それで出せるじゃないかという代案——代案とは言っていませんけれども、こういう考えもあるじゃないかというサゼスチョンをしております。そういうことも考えに値するのですか、あるいは足らない分については財源不足額という形において交付税で一部見るとか、地方債で一部見るとか、あるいは交付税率を引き上げるとか、六条の三の二項というのに立ち戻ってやるのか、どこかやらなければこれはできないはずです。  それともあなたの方は、現在の地方財政計画上そのくらいの余裕があるんだ、見てごらんなさい、地方公務員人件費は高いじゃないですか、地方財政計画と決算の乖離はいまだに大きいじゃないですか、だから勝手に自前でやりなさい、こういう考えなのか、それをきちんと頭の悪い人にもわかるように説明してください。
  93. 田波耕治

    ○田波説明員 どうも説明が悪くでわかりにくい点があると思いますけれども、御質問のうち、前段の、自治省が代案としてこういうことをやっておるからそれをやればいいじゃないかという御提言でございます。これは私どももある意味で非常に高く評価をしておりまして、今自治省がおっしゃっておられることも参考にしつつ、査定作業の過程において本当にやめられるべき補助金があるかどうか、あるいは自主財源でもって見ることができるようなシステムに移行するようなものがあるかどうか、鋭意各省努力をしておる点でございます。  それから後段の問題につきましては、これから地方財政計画を組んでいくわけでございますので、現在の段階でそれぞれの歳入歳出がどういう格好になるかということがまだ自治省さんともすり合わせをしておりませんし、わからないわけでございますので、これから状況を見つつ、あくまで適切に対処をする方向で鋭意検討したいということでございます。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 先ほど花岡局長は平林さんの質問に対して、穴があいたら交付税で埋めるつもりはありませんとはっきり答えた。もし埋めるとするなら、交付税総額を六条の三の二項に立ち戻ってふやしてもらわなければいかぬ、こうおっしゃいました。その姿勢は私も確認してよろしいのですね。
  95. 花岡圭三

    ○花岡説明員 現在の交付税の中で穴埋めをしろというのは非常に不合理な問題であると考えております。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 田波さん、ちょっと伺いますが、今の段階で交付税で穴埋めするのは困難であります。私はこの間ある人を紹介して、あなたに陳情団に立ち会ったのですよ。立ち会ったときに、今の私が耳にしたところでは、交付税は総額として足らぬのだという陳情者側の意見と、今の交付税の総額というのは大体賄っているんだ、あるいはやや多いと言ってもいいぐらいだという意味のことをあなたが考えているのじゃないかと私は想像したのですよ。  今の地方財政計画に盛られている交付税というのは、地方団体についてはやや多過ぎて、切り詰めていいと思っているのか、あるいは六条の三にのっとらないで附則で処理しているような段階でありますから、総額としては不足であるけれども何とか今やっているんだ、こういう考えなのか、それを明らかにしてください。
  97. 田波耕治

    ○田波説明員 現在の交付税の総額につきましては、お答えをするならば、必要にして十分であるということだろうかと思います。
  98. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 必要にして十分、逆もまた真なり、すべてにこれは通用する定理ですよ。それならば六条の三の二項の特例として、何だって附則があるんですか。附則を消して六条の三の二項に戻ったらいかがですか。どうですか、戻る意思はありませんか。五十九年度は別として、六十年度から戻りますか。今この委員会で議論したときは、六条の三の二項が当てはまる事態にあります、こう言っているわけです。必要にして十分だ。必要最小限度のものは何とかやりくりしてといったら別ですよ。必要にして、かつ十分だ、こう言うんだから、六条の三の二項に戻ったらいい、あの附則を消したらいかがですか。ことしはいかぬというんなら六十年度からでもいいんです、いかがですか。
  99. 田波耕治

    ○田波説明員 そこはちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、必要な分だけは面倒が見られるように何とか処理をさせていただいた、それで御理解をいただいたというふうに訂正した方がいいと思います。  六十年度の問題につきましては、正直なところ、先ほども申しましたけれども、現在、これからの税収の動向がどうなるかということも踏まえて検討しなければいけませんので、何とも今の段階ではちょっと御答弁申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  100. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 はっきりしませんけれども、必要にして十分な財源は与えております、交付税も見てやっております。この必要にしてばいいけれども、十分なということは取り消したようですが、そうでしょう、取り消したんでしょう。これははっきりしてください。取り消したんですね、私はそう理解します。  あなたの方では穴埋めする意思はない、穴埋めするとすれば、それだけの措置がなければならぬ。ところが、こちらの方は十分じゃないけれども、必要なものは今までやっているんだ。お互いに相談した上で、地方財政計画というのはできておるわけですよ。本当に今考えてみますと、自治省と相談してできた、協議してできた大蔵省の地方財政計画のメーンについて、少しどうも認識が違うんですね、問題があります。  そういうことでありますから、今地方に行ってごらんなさい、花岡局長。この問題に関心を持っておる市町村長でも大蔵省に行きますと、足らない分については交付税とかなんとかで見てくれることになっております、足らない金は法律に基づいて交付税で調整することになっているんですよ、財源の付与は交付税ですることになっているんですよ、それが今の制度じゃないですか、その制度に乗っかってやります、なるほどそのとおりですよ。なるほどそのとおりでありますけれども、四十二年に交付税率が三二%と決まって以来今日までそのまま動かさないで、ちょうど石油ショックがあってから逃げておるわけですよ。  そういう状況であるにかかわらず、必要にしてかつ十分だという形で、足らない分がありますと、それはちゃんと交付税で財政調整してくれますよ、財源付与してくれますよ、こういうふうに皆、認識しているんですよ。そういうことなんですか。あなたの方ではそれは間違っているぞ——中にはこんな意見があるんですよ。二千四百億円減っても、これは交付税では七五%確実に埋めてくれるんだから、二割五分だけ損するだけだ、補助金を税と混乱しているんですよ。そういうことまでまかり通っている。まかり通っていることはあなたの方は反対だ、埋めないなんて言っていますけれども地方では大蔵の方を信用していますよ。どう思いますか。
  101. 花岡圭三

    ○花岡説明員 交付税で埋められる、これは一つの理屈でございます。現在のシステムからいきますと、そういった必要なものがありますときには基準財政需要額に算入をするであろう、そのもとになります財源は一体どうであるかということになりますと、いわゆる地方財源の過不足の土俵となる地方財政計画の上で措置される、これも一つの理屈でございます。しかし、その措置をするときに何でやるのかということは明らかではございません。そういう意味で、交付税がふえるということはそこからは出てまいらないわけでございますけれども、いろいろ新聞等でそういうふうな書き方をするのもございます。そこら辺のことで地方団体もあるいは誤解をしておるのではなかろうかと我々は考えておるところでございます。  特に、私ども考えておりますのは、こういった穴埋め問題より以前に、生活保護費のようないわゆる社会保障制度の根幹をなすもの、これは昭和二十一年の旧生活保護法ができまして以来十分の八という補助率になっておるわけでございまして、この制度の上に国と地方との財源配分がいろいろなされておる。だから、これを軽々にいじるべきではないという基本を言っておるわけでございまして、この穴埋め以前の問題がまず重要な問題であると考えておるところでございます。
  102. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この問題ではいろいろ申し上げたいことがあるのですけれども、私は高率補助というのはけしからぬということ自体が、今までの政治の流れに沿っておらないと思うのです。  高率補助をやったのは、社会保障の根幹である生活保護とか児童保護とか、これはみんな八割ですよ。非常に重要な政治の柱になっているものが八割になっているのです。道路にしてもそうでしょう。普通は三分の二ですよ。大きな橋とか大きなトンネル、地方ではちょっとやれないようなものについては特例の高率補助四分の三というものがあるわけです。ですから高率補助がけしからぬとやるのはよろしくないのであって、高率でやるのは政治の必要性からそうなっているのだということを認識してこの問題に対応していただかなければならぬ、こう思います。  そこで、これは生活保護等をカットするについてはもう言語道断だけれども、その後に、最近新聞に毎日のように出ているんだが、教育予算の大幅削減、先ほど話がありました義務教育費国庫負担法、これをひとつカットしよう。大体の新聞によりますと一千億円、さっきのやつで二千四百億円、これで一千億円削ろう。この教育予算カットについては、文部省の方には大蔵省から打ち合わせがありましたか。この内容については、概算要求の中で織り込まれておりますか、お答えいただきたい。
  103. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お答え申し上げます。  六十年度予算要求におきましては、五十九年度と同じ項目要素で予算要求いたしております。
  104. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そうしますと、概算要求の段階では一割カットということの中身ではない、こういうことですね。
  105. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 要求としてはカットの要求は出しておりません。
  106. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この新聞に出たのは、おれの方は責任がない、新聞が勝手に書いたのだ、こうおっしゃるのでしょうけれども、こういうことを大蔵省は考えているのだが文部省はどうだろうか、協力してもらえぬかというお話はありましたか。
  107. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 去る十四日に、大蔵省にあります財政制度審議会にいろいろ大蔵省として説明をなさる、その中でこの義務教育費国庫負担制度の問題につきましても御説明をされて、私どもその場にはもちろん立ち会っておりませんが、何らかの御説明があった、その直前にそういう話をしてみようと思っているということはお聞きしたことがございます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 新聞等では、文部省はこれについて、文部省にあらかじめ相談もなしにこういうことを大蔵省が考えるのはけしからぬと反対の意思を表明した、こういうふうに伝えられておりますが、どうなんですか。
  109. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 あらかじめ相談なしと言いますが、今、大蔵省の方では例年のように査定作業をいろいろ検討してやっておられる、そういう段階で、事前に財政制度審議会にかけてみるというお話を聞いたことがございます。そういう意味では、相談といいますか、御連絡は内々ございました。  それで、新聞に一部伝えられています意見ということでございますが、いろいろそういうニュアンスがわかりますので、部内においてどういうふうに考えるかという検討の過程で、私ども担当課としては一応何か勉強して、検討してメモのようなものをつくっておこうということで、部内的にそういう作業はやってはおるわけでございますが、それを意見という形で文部省全体でまとめて公表するとかということであれが伝わったということではございません、
  110. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 部内的には検討しているけれども、この義務教育費国庫負担法、これは法律を改めなければいかぬでしょう。反対ということでもない、賛成ということでもない、意見がまだ決まっておらぬ。  あなたの方の来年度の重点政策というのは、新聞等で伝えられているのですが、四十人学級を軌道に乗せていこうというのが一つでしょう。私学振興についても努力しようということが一つでしょう。大蔵省はその私学も切るというのですよ、新聞によると。そうなってみますと文部省の存在、必要ないじゃないですか。あらかじめ概算要求でこれを切るぞとやられて、そのまま今度の予算ができたら、文部省が予算を握っているといってもロボットじゃないですか。大蔵省は完全にのど輪を握っているということになりますが、それでいいのですか。そんな文部行政でいいのですか。
  111. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 文部省といたしましては、先ほども申し上げましたように、六十年度予算は五十九年あるいはそれ以前と同じ要素で要求をいたしておりまして、そのようにお願いしたいという意思はそのとおりでございます。  それで今後どう考えるかということでございますけれども、義務教育国庫負担制度といいますのは、御承知と思いますけれども、いわゆる全国的に義務教育を受ける国民のすべてに対しまして規模とか内容をバランスをとって保障していく、教育水準を維持していく、そういう目的で行うということでございますので、そういう基本的な考えは堅持して対応に努めたい、こう思っておるわけでございます。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 文部省の予算カットの仕方というのは、さっきの生活保護みたいな荒っぽいやり方じゃないようですね。財政力に応じて、その自治団体財政力を物差しにして、そして、まあ余力のあるところは、東京都みたいなところについては少し大幅に減額していこう、そして困っている貧弱団体については補助を減らさないようにしていこうという形で、その地方団体財政力に対応しつつ補助金をかげんしていこう、こういう内容だということが新聞に書かれてあります。  その次に、ごく最近、きのう、おとといあたり新聞に報道されておりますのが公共事業の補助削減。新聞等の伝えるところによりますと、大体大蔵省は、今の二千四百億円の削減、それから雑補助という形で義務教育の国庫負担、これで一千億円、合わせて三千四百億円。これは出ておりませんでしたが、これから予算でやるのですけれども、公共事業というところで二千億円ぐらい削ろう。そして二千億円は財政力に応じて、ある程度地方債を増発して穴埋めをすることによって、景気浮揚に役立つ公共事業についても手助けをしていこう、こういうことですね。荒っぽい素人の一律削減じゃなくて、やや頭を使った切り方のようであります。  公共事業の方はきょう建設省は来ておりませんので——おるのですか。建設省御存じかどうか、この切り方、賛成なのかどうか、お答えいただきたい。
  113. 望月薫雄

    ○望月説明員 公共事業の補助率カットの問題につきましては、概算要求の時点で私ども出しておりません。おりませんが、先ほど来出ております七月三十一日の閣議での高率補助見直しという課題をやはり受けている立場でございまして、我々検討すべきポジションにおるという認識は持っております。  ただ、御案内のとおり公共事業の補助金補助率は非常に複雑多岐にわたっておりますし、またそれぞれがいろいろな経緯の中で決まっているということがございますので、私どもも非常に慎重に幅広く検討してまいりたい、こんな姿勢ております。
  114. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 慎重に幅広く、言葉は日本語としてわかります。しかし何をお答えしているのか、慎重に幅広く、私にはわからない。財政局長はわかっているのですか。あなた最後に大蔵省と詰めるというのですから、慎重に幅広く大蔵省にやってもらいますと、地方負担財政計画でぴしゃっと大蔵省と協議して最終決定できますか。余り美辞麗句じゃなくて、素人にもわかりやすいように……。
  115. 望月薫雄

    ○望月説明員 いささか言葉足らずで申しわけありません。  まず、公共事業の補助率カット問題を考えていくに当たっての私どものスタンスでございますけれども、率直に申しまして、この公共事業の補助率、先ほど言ったような経緯等々ある中で決まっているものでございますので、これについてどういう視点から検討するかという点が大きな問題でございます。  基本的には私ども、非常に公共事業予算が厳しく抑制され続けているという経緯の中で、今後ともそういう事態になるならば、社会資本を安定的、計画的に整備していくという課題も大きゅうございますので、そういった中で事業費確保方策として検討することがあり得るのか、こう思っております。と同時に、そういったことからしますと、当然ながら地方単独事業等にいたずらにしわ寄せがあるような地方負担の増というものに対してどう考えるかが非常に大きな課題になりますので、地方財源対策について具体的にどういう措置を御検討いただけるかということに非常に関心を持ちながら取り組んでまいりたい、こんな姿勢でございます。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 もう余り時間がなくなりましたから最後に、大蔵省が打ち出したこういう補助金、新聞等によりますと二千四百億円、一千億円、二千億円、計五千四百億円ぐらいですか。五十九年度の予算のときにはいろいろあった。健康保険の本人負担を、十割給付を八割にした、とりあえず九割だ、これでかなりの金が浮いてきた。それから地方財政との関係では、利子の半分残っておったのをこれも負担させた、これでかなり浮いてきたんですよ。  ところが、六十年度予算編成で目新しい財源がないからここに逃げ込んだ。そして余り手荒な、貧乏人をいじめるような、貧弱団体をいじめるようなことじゃいかぬからというわけで、少し財政力を考えようかという——二段、三段というのは概算要求にない。これは私の邪推かもしれませんよ、邪推であれば結構なんですけれども、二段、三段という少し理屈が通るような格好で補助金の削減が出てきた。しかし、合計して五千四、五百億円ですよ。  そこでそういう問題に関連して、先ほどの話がありましたように、中曽根総理は、それならばひとつ国と地方との間の境界線、権限、機関委任、あるいは必置規制、こういうものまでひとつきちんとしたらどうか、こういうことでありますけれども、先ほど議論がありまして、自治大臣は、機関委任、権限移譲は来年の四月ごろ答申があるだろう、必置規制あるいは国の関与、これは十二月中に答申が出るだろう、これに基づいて百二通常国会に法律案が出せるかもしれない。機関委任と権限についても、大垣は、権限移譲については来年の四月ごろ答申が出るというようなことを言っておりましたが、そのとおりですか。
  117. 大林勝臣

    大林説明員 権限移譲という言葉がいろいろに使われておるわけですが、先般御答弁申し上げましたように、要するに国から地方に対する権限移譲というのは、一つは仰せのような必置規制の問題、それから現在地方団体仕事をする場合に常に国に許可権が留保されている、こういう許認可の整理の問題、さらには国の事務として、地方が国の機関としてやっておる国の機関委任事務地方団体の事務にする、こういうものがいわゆる権限移譲の内容をなすものであろうと私ども思っております。  その中心をなしますものは、いわゆる国の関与という言葉で言われております現在国が地方団体を縛っておる許認可権の整理、これが一番範囲の大きい、ウエートの大きいものでありますので、まず行革審におきましてはこの必置規制と国の地方に対する許認可権の整理を現在一生懸命作業をされておるわけでありまして、こういった問題については十二月までに結論を出して答申をする、それを一括法案として通常国会に提出する。  あと残りますのが機関委任事務の問題と、さらにもう一つは臨調答申がございました中で、いわゆる民間の事務事業に対する国が現在持っております権限地方にどう移すか、これが実は臨調で答申がございましたものについても一部しかできておらないような現状で、かなりのやり残しが残っております。  さらには臨調でまだ審議を尽くされてなかったものも数多くあるわけでありまして、当面は先ほど申しましたような必置規制の問題、それから国の地方に対する許認可権の整理、これはことしじゅうにまとめて一括法案として提案をする、あと残ります問題については来年以降の行革審の手順の問題になりますので、そういう意味大臣から先ほどそういうお答えがあったものと存じております。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大臣は来年の春、四月ごろに出るだろうというふうに、大臣就任早々ですから詳しい日程は御存じないと思うのですけれども、私が承知しておるのでは、必置規制、国の関与、これは十二月に出るから、その約束どおり今度の通常国会に関連の法案を出す、それも各省関係がありますから一括法だ、こういうふうに承っております。  ところが機関委任事務については、臨調の方では一割ぐらいをとにかく二年がかり三年がかりでやると答申に書いてございます。こんなもので間尺に合うかと言っているけれども、間尺に合うところか、その一割も容易ならぬ事態ですね。そして国の権限地方移譲と今おっしゃった点は、行革審審議の予定がない。自治省の方でそれじゃ困るということで行革審にこれを取り上げるように要請しておる、こういうふうに私どもは伺っておるわけです。  そうなってまいりますと、機関委任の問題なり国の権限の問題なりというのはまさしくいつのことかわからぬ。下手をすると百年河清を待つに近い形になるのじゃないかということを私は憂慮しております。私が承知しておるようなことなのか、それでは困るということで自治省の方で急いで結論を出すようにお願いをしているのか、もう時間がありませんから……。  これについて私はもう一つ尋ねておきたいことがある。  国の権限地方移譲、機関委任の問題については地方制度調査会が今も検討しておりますし、過去にもこの問題について貴重な答申をしております。内閣総理大臣の諮問機関でありますから答申をしております。そうだとするならば、行革審がいつ結論を出すかわからぬというふうになれば、その中で取り上げるべきものは取り上げて法制化していったらどうか、こう私は思っております。この辺のことを取りまとめてお答えいただいて、まあまあということであれば私の質問を終わりますけれども、ちょっと困るということならもう一言。
  119. 大林勝臣

    大林説明員 作業の範囲というのが非常に広範なものでありますので、従来は手順をそれぞれ順番に決めて進めてまいっておるところであります。現在の見込みといたしましては、先ほど申し上げましたように、年末までは必置規制の問題と国の地方に対する許認可権、この問題を結論づける、来年に入ってから残された問題について、機関委任事務の問題が非常に大きな問題になりますけれども、そういった問題について行革審としては作業を急いでやっていただく、こういうふうに私どもは伺っております。もちろん、残された問題について自治省といたしましては、地方団体が長年望んでおる結論をできるだけ早く出していただくように今後ともお願いを続けてまいるつもりであります。  同時に、私ども自治省立場として主張する問題は、過去長い間地方制度調査会でいろいろ御審議いただいた内容、御意見あるいは地方団体から提出をされております問題点、こういったものを当然に積み重ねて精査して今後とも主張してまいる、こういう次第であります。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 終わります。
  121. 大石千八

    大石委員長 午後二時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  122. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井光照君。
  123. 吉井光照

    ○吉井委員 このたびの古屋自治大臣の御誕生、まことにおめでとうございます。どうか地方自治を守るために一生懸命頑張っていただきたいことをまずもってお願いするわけでございます。  ところで、新自由クラブの田川前大臣からバトンが手渡されたわけでございますが、大臣の交代があっても自治行政というもの、行政施策については何ら変更があってはならない、このように考えるわけでございますが、まず最初に、大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  124. 古屋亨

    古屋国務大臣 私に対する激励叱咤のお話でございまして、私も心から、地方自治に対し一層精進すべき自分の決意を強固にしております。  前大臣と私とは、根本におきましては、地方自治の問題につきましては何ら変わっておりません。やはり私は、日本の地方自治という昔からの伝統もあり、また地方時代とも言われた時代もありますが、地方皆様が暮らしやすい政治、これが地方自治だと思うのでありますが、その地方自治の発展のためには、地方団体意見あるいは先輩、皆様の御意見を聞きながら、田川前大臣と同じように地方自治最重点という観点におきまして、行財政改革におきましても、その基本をもとにいたしまして進んでまいるつもりでございますので、よろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。
  125. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、けさほどからいろいろと問題になっております補助金の一律カットの問題でございます。  昭和五十九年二月二十九日の地方制度調査会におきまして、中曽根総理は、六十年度は一方的な地方転嫁は行わない、このようにおっしゃりながら、今回の補助率一律削減に見られるように、財政負担の一方的な地方転嫁と見られるようなことが行われているわけでございます。  このことにつきまして、けさほどの大蔵省の答弁によりますと、地方転嫁ではないんだ、このような御答弁がされたわけでございますが、ではどうして自治大臣を先頭に、地方団体は無論のこと、これだけの強硬な反対があるのか。こういうふうに考えてみますと、どうも大蔵省の言っておられることと、自治省、または自治団体がおっしゃっていることと非常に食い違いがあるように思うわけでございますが、この点につきまして、大蔵省の御見解をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
  126. 藤井誠人

    ○藤井説明員 御説明申し上げます。  いわゆる高率補助の引き下げについての考え方でございますが、幾たびかにわたります臨調答申及びこの夏の行革審意見というものが出されておるわけでございまして、かつ、先般七月三十一日の概算要求基準というものにおきます閣議了解をいただいたわけでございますが、そういうものを踏まえまして、国の負担地方に転嫁するということではなくて、国と地方の間の役割分担のあり方、すなわちそれぞれの事務事業にどの程度関与をしていくかという観点から、制度の見直しを含めまして検討していくというのが基本的な考え方でございます。また同時に、あわせて国と地方の費用負担のあり方、国及び地方財政事情等をも勘案しつつ検討していくというのが考え方の基本でございます。  さらに翻って申し上げますと、いわゆる補助金等の整理合理化というものにつきましては、従来から、補助金がともすれば幾つかの弊害を抱えておる、惰性化する傾向があるというようなことから幾つかの施策を講じてきておるわけでございます。今般の高率補助の引き下げというものにつきましても、先ほど申し上げましたような幾つかの意見、例、提示された問題もございますし、従来から続けてきております補助金等の整理合理化の一環として進めていくべき性格のものではなかろうか。したがいまして、御指摘にございますようないわゆる地方へのしわ寄せというものを念頭に置いて作業を進めているというものではございません。  ちなみに、先生既に御承知かと思われますけれども行革審意見で、いわゆる費用負担の問題について言っております点をちょっと御紹介申し上げますと、「補助金等の見直しに当たっての、地方財源の問題については、地方財政全体の過不足を計る土俵となる地方財政計画の上で総体的に検討する。」という意見がこの七月二十五日に出されておるわけでございます。閣議におかれましてもこの意見最大限尊重するということが既に決められておるわけでございまして、私どもとしても現在関係省庁と協議を進めておる過程ではございますが、このような考え方にのっとりまして今後作業を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは総務庁にお尋ねいたしますが、今回の補助率一律削減については行革の理念に反するのではないか、こういう意見も非常に強いわけでございます。つまり行革の理念というのは、仕事、人、それからお金、これを減らすことによるところの合理化を言うわけですね。補助率を国、地方間で変更しただけでは、補助金そのものは減少しても、その分やはり地方の一般財源がふえるだけで、補助対象の事業に係る事業費そのものは減らないわけです。つまり仕事はそのまま残るから、当然人もそのまま残ることになるのだ、こういう理論になるわけですが、総務庁の御意見いかがですか。
  128. 陶山晧

    ○陶山説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘になりましたように、行政改革推進に当たっては、人、金、仕事、いわば三位一体で対応すべき問題であるというお考えにつきましては、一般論としてはそのとおりであると考えております。ただ、先ほど来御議論のありましたような補助金の率の問題等につきましては、現在予算編成過程において関係方面でいろいろな議論が行われている段階でございまして、私の立場でとやかく申し上げることは、立場上できかねる問題かと思います。
  129. 吉井光照

    ○吉井委員 では大蔵省にお尋ねしますが、補助率の見直しによる地方財政に与える影響は、補助金の依存度が高い地方団体ほど大きく、深刻であるわけです。これは先ほどもちょっと話が出たわけでございますが、例えば福岡では、五十八年度決算ベースによる影響額は二百億を超えて全国一位のワースト結果が出ております。このように補助率一律引き下げに伴うところの地方団体の一般財源の増加についての対策をどうするのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  130. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  この点につきましては、けさの御議論におきましても申し上げましたとおり、補助率引き下げた場合地方負担が生ずる、そういったものを含めまして、これは行革審意見でも指摘されておるところでございますけれども、そういう地方の歳入歳出の総体の過不足をはかるところの地方財政計画の上でそういった支障が生じないよう適切に対処していきたいというのが私ども考え方でございます。
  131. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、補助率の一律削減によるところの影響額、二千三百六十三億ですね。これはいわゆる国税の自然増、これは法人税をとってみますと、九月末対前年度が二一・四%増、このようになっておりますし、それから不必要な経費の削減など、こうしたものでカバーができるではないか、このようにも考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  132. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  一律カット概算要求段階で高率補助の引き下げがどれぐらいの金目になるかということにつきましては、おおむね先生の御指摘のとおりの金額がと思われるわけでございますが、しかしながら他の方法で何らかの改善措置等が図れるではないか、図れるとすれば、そういうことで一律削減方式というものによらずともいいではないかという御質問かと思われますが、我が国の現在置かれております財政事情というものにつきましては、改めて御説明するまでもなく、公債発行残高が五十九年度末には百二十兆円にも及ぶというような、かなり公債の元利負担の重圧にあえいでおるというような状態にあるわけでございまして、将来の老齢化社会等の展望のもとにおきましては、やはり行財政改革を強力に進めることによって財政の対応力というものを一刻も早く回復しておく必要があるのではないかというのが、現在私どもに課せられました至上命題ではなかろうかというように考えております。  そういうようなもとにおきましては、これはかなり幾つかの場面で言われておることではございますが、いわゆる聖域を設けることなく歳出全般について厳しい見直しを行うというのも当然のことでございます。したがいまして、その他の経費削減というものはもとより全力を尽くして進めていく必要があるわけでございます。  あわせていわゆる補助率の見直し、先ほども申し上げましたようないわゆる補助金等の整理合理化というものの一環として、これもまた全力を尽くして進めていくべきテーマの一つではなかろうかというように考えておる次第でございまして、基本的には、歳出歳入両面にわたりまして既存の制度、仕組みというものを根本的に洗い直すというような精神のもとで、一日も早く財政の対応力の回復を図るというのが基本ではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  133. 吉井光照

    ○吉井委員 先般大蔵省に提出されたと言われる自治省案がありますね。その内容は、一つは、職員設置費に係る補助金を廃止して一般財源に振りかえるということ。次に、地方団体の事務として定着しているもの等に係る補助金を廃止して一般財源に振りかえるということ。次に、会館等公共施設整備費に係る補助金地方団体の自主性にゆだねて廃止する、こういったものがございました。  この場合、もし代替案にとどまらず、今申し上げましたもの等に該当するすべての補助金を廃止するとするならば一体全体でどのくらいになるのか、お尋ねをしたいと思います。
  134. 花岡圭三

    ○花岡説明員 私どもが大蔵省にこういうやり方で補助金の整理をしていただきたいというふうなことで申し入れましたものでございますが、先ほどお話のございましたように、人件費補助金だけで大体一千億を超えるわけでございますから、全体としては、これを全部申し入れどおりに洗っていただければ二千億に近い数字になるであろうというふうに考えております。
  135. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、今回の自治省案というものは、あくまで補助率の一律削減、二千億少々ですね、これに対する代替案程度のものにとどまっているわけです。そこでこの際、全体では十四兆円を軽くオーバーすると言われております全補助金を廃止して、かねてから地方団体も強く要望しておる補助金制度そのものの原則的な廃止の上に立った国、地方間の税、そして財政関係の抜本的な改革案を打ち出すべきときが来ているのじゃないか、このように思うわけでございますが、御意見はいかがですか。
  136. 花岡圭三

    ○花岡説明員 補助金につきましては、御指摘のように、地方財政運営上種々の弊害を生じているものも多々あるわけでございまして、地方行政の総合性あるいは自主性を損なうおそれがあるというふうなことから、補助金の整理は大いにやっていただきたいということを申しておるわけでございますけれども、ただ、補助金制度自体につきまして、現在国における特定の行政目的を一定の水準を確保しながら遂行していくという意味におきましては補助金意味はそれなりにあるわけでございまして、そういった意味で現在のところこの補助制度を一挙に全廃するということは、我が国の財政の仕組みを考えますときに非常に難しいいろいろな問題が出てくるのではないかと思います。  ただ、今後ともこういった国庫補助金の整理合理化を積極的に進めて、そして国と地方とのよりよい協力関係を築いていくというふうな方向には当然進んでいかなければならないというふうに考えております。
  137. 吉井光照

    ○吉井委員 それから、中曽根総理がこの九月に、補助金の一律削減の見返りに国の権限地方移譲自治省に指示したわけでございますが、その具体的な内容、それから現在までの検討経過と見通し、これについてはけさほどの御質問で答弁は出ておりますが、国会提出の時期や法形式についてはどうなのか、この点だけお尋ねをしておきます。
  138. 大林勝臣

    大林説明員 権限移譲問題の中で、当面の問題として必置規制の整理と国の地方に対する許認可権の整理、いわゆる関与の整理と言われておりますもの、これを十二月までに答申をまとめて閣議決定に持ち込むという手順に現在なっております。したがいまして、その後総務庁におかれましては、関係省が相当ございますので、両者を一括いたしまして通常国会に提出をする、こういう段取りになっておると伺っております。
  139. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、これもけさほどの質問で随分出たわけでございますが、大蔵省は各関係省庁に補助金等の見直しを提案されているわけですが、これも地方転嫁であり、地方財政への影響が非常に大きい、したがってこれも当然取りやめるべきではないかという御意見も実は非常に強かったわけでございます。  例として、国の直轄事業費に対する地方負担金地方負担率の引き上げ、また下水道などの公共事業費の補助金補助率引き下げ、それから義務教育費国庫負担金の見直し、また私学助成費の補助金減らし、また後進地域に対する高率補助率引き下げ、これらはどれをとってみても地方への影響が非常に大きいものばかりであります。  けさほどの御答弁では、大蔵省は関係省庁と協議をして適切な処理をしていきたい、このような御答弁だったと思いますが、いずれにしろこうした項目が列記されるということは見直しの余地が十分あると考えておられるのか、大蔵省、その点はどうですか。
  140. 藤井誠人

    ○藤井説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる高率補助の引き下げ問題、あるいは補助率体系の見直しというものにつきましては、最初から特段の例外といいますか、対象外というものを設けることなく全般に検討対象に含めて洗い直しを進めていくというのが基本的な考え方でございます。そういうような方向に沿いまして、今言われました幾つかの主要問題点というものについても今後協議を進めていきたいというように考えております。
  141. 吉井光照

    ○吉井委員 このほか大蔵省は、いわゆる基地交付金の一〇%カット自治省に提案されたようでございますが、この基地交付金はいわゆる固定資産税の代替的性格を有するにもかかわらず、五十六年から五十九年の四年間据え置きです。そして固定資産税は、三年ごとの評価がえ及び負担調整で三年がかりで引き上げられているわけですね。したがって財政補給金であって単なる補助金ではない、このように考えられるわけですが、この削減ということについてちょっと納得がいかないわけです。別に言えばもっとふやすべきではないか、このようにも考えるわけですが、この点どうですか。
  142. 田波耕治

    ○田波説明員 基地交付金の性格につきましてはかねてからいろいろ議論があるところでございますけれども、私どもといたしましては、何せ百二十二兆円の国債を抱え、全体の予算規模が五十兆でございますけれども、そのうち金利と地方交付税を除きますと正確に言えば三十二兆しか残りがない、そういう財政状況のもとで予算編成を進めていかなければいけないわけでございます。  もろもろの観点から考えまして、私どもといたしましては、もちろんこれからの自治省とのお話し合いあるいは防衛庁との関係、いろいろあるとは思いますけれども、先ほど藤井企画官が申しましたとおりあらゆる観点から何とか歳出を削減することができないかということを幅広く検討をしている段階でございます。
  143. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、住民税減税についてお尋ねをいたします。  住民税については、さきの国会での地方税法改正で五十九年度分が三千六百四十二億、六十年度分として三千七十二億円の規模で減税が行われたわけでございます。しかしながら五十九年度の改正は、五十五年度以降減税がなかったこと、また五十九年度は同時に自動車税、軽自動車税の引き上げといったように大衆増税が行われたこと等を考慮いたしますと、その減税効果が既に失われているのではないか、このように考えられるわけでございます。そして、六十年度減税は基礎控除等の引き上げ、それから所得税の給与所得控除の引き上げのはね返り等によるものであるわけですが、同時に六十年度は市町村民税所得割の最低税率〇・五%引き上げが行われるわけです。  そのために五十九年度と六十年度の改正による減税額を比べますと、いわゆる低所得層、例えば年間収入三百万円では、六十年度の減税額が五十九年度の減税額よりも小さい。一方、中高所得層では六十年度の減税額が五十九年度の減税額よりも大きくなっているわけです。その結果、所得の低い層では改正後の税額は六十年度は五十九年度よりも多くなっている、このような結果が出ているわけでございます。したがって、税額が増加したのに対して、中高所得層は、六十年度は五十九年度よりも少ないという不合理が生じているわけでございます。そこで、いわゆる低所得層にも六十年度の減税効果が及ぶように、六十年度税制改正でも住民税減税を行うべきではないか、このように考えるわけですが、この点についてはいかがですか。
  144. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 五十九年度におきまして、ただいま御指摘のような大幅な住民税の減税を行ったわけでございます。ただいまの御指摘のように、五十九年度と六十年度を比べて逆に六十年度の方がそう減税にならないではないか、特に低い所得の階層についてというお話でございます。  数字の上で幾つかの段階をとってみますとやはりそういうケースが出てまいるわけでございます。ただ、今回行われました住民税減税は、委員も御指摘になられましたように、あくまでも二年にまたがって行われるというところに実は特徴があるわけでございます。そういう意味では、五十八年度と六十年度とを最終的には比較をする、また五十九年の減税の中には、これもよく御承知のように、いわば所得税の年内減税に見合う特例分ということで、三控除の場合でございますと七千円のプラスをしておる、それを含めました五十九年度の額と六十年度の額を比較いたしますとそうなるわけでございますが、あくまでも減税そのものは二年にまたがって行われたということで御理解をいただきたいと思うのでございます。  なお、こういうように二年にわたって比較をいたしますと、必ずしも低い所得の階層の方の軽減率が低くて、中高所得者の方が高いということにはならないわけでございます。やはり高い所得の階層の方が軽減の割合はこの二年、五十八と六十を比較いたしますと低くなっているわけでございます。  なお、このような大幅な減税を行ったばかりでございますので、昭和六十年におきまして引き続き住民税の減税を行うことにつきましては、現下の財政事情を考慮すると到底そういった減税を行えるような状況にはないと考えておる次第でございます。
  145. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、自賠責保険についてお尋ねしますが、この自賠責保険については、その収支の悪化に伴って六十年の四月から保険料を大幅に引き上げて平均五〇%、自動車一台当たり約一万六千円程度の引き上げが行われる、このように巷間伝えられているわけでございますが、これは事実ですか。
  146. 鏡味徳房

    鏡味説明員 今、先生から御質問のございました自賠責保険でございますけれども、この自賠責の保険料は昭和四十四年以来十五年間据え置かれてきておりまして、他方でその給付内容は賃金とか物価を反映しながら改善されてきておりますものですから、近年における事故件数の増加と相まちまして自賠責保険の収支の状況は大変悪化してきております。  そのために、例えば六十年度に契約をされる方々が支払われる保険料に対しまして支払われるであろう保険金額を比較いたしますと、一三七%、つまり保険料はそれだけでも三七%くらい引き上げなければ収支が合わないという状況になっておりますとともに、さらにその五十九年度末までの見込みでございますけれども、それまでに累積赤字が約四千八百億円くらいになるというような見込みでございますので、そういう意味からいって自賠責保険の収支の改善というのはかなり緊急な問題になってきているわけでございます。  このような状況を受けまして、私ども十月二十二日に開かれました自動車損害賠償責任保険審議会にこの収支改善の問題の御意見を賜りたいということで諮問をいたしまして、現在その諮問を受けて以来自賠責審議会では三回ほど審議をしていただいておるわけでございます。  それで、さらに今後この問題については鋭意御審議をいただくわけでございますけれども、今御質問のありました保険料につきましては、この際に、従来五十三年以来据え置かれてきております保険金額の限度額をどうするかという問題、それから今申し上げました累積赤字の解消をどのように行っていくか、それから他方この累積運用益がございますけれども、この運用益をどのように使うことによって保険料率引き上げ幅の圧縮に使えるか、そういった問題について御審議をいただいていく中で保険料の上げ幅というのが姿が出てくるわけでございます。今まさにその点を御審議いただいている状況でございますので、具体的なその料率についてこの段階で申し上げるわけにはいきませんけれども、十二月にはこのままあと数回御審議をいただいて結論を出していただきたい、そのようなことで今お願いしているところでございます。
  147. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、自動車取得税、それから軽油引取税についてお尋ねするわけですが、現在軽油引取税及び自動車取得税においては、おのおの暫定税率という本来の税率よりも高い税率が来年の三月三十一日まで適用されているわけですが、地方の道路財源対策から、六十年四月一日以降もこの暫定税率の適用期間を延長するだけでなくして暫定税率自体も引き上げる、このように報道されているわけですが、この点はいかがですか。
  148. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 御指摘のように、本年度末をもって軽油引取税、自動車取得税につきましては暫定税率の期限が切れるわけでございます。  現在の地方道の整備水準、御案内のように極めて低いわけでございます。しかも、第九次の道路整備五カ年計画におきましては、地方費の増加のウエートが非常に高いということから、ぜひとも地方道路財源をさらに充実する必要があると考えております。  このことを踏まえまして、たまたま暫定税率の期限切れにも当たりますので、六十年度における地方道路財源の充実をぜひ図りたいと考えておるわけでございますが、具体的にどのようにしていくかということにつきましては、今後税制調査会の御審議をいただきまして適切に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  149. 吉井光照

    ○吉井委員 このほか国税の揮発油税、地方道路税それから自動車重量税といった自動車関係の税についても来年度は暫定税率を延長してあるいは引き上げるのではないか、このようなことまで言われているわけでございます。その上、自治省は五十九年度に引き続いて運転免許税の新設まで検討中である、このようなことが言われているわけでございます。これもけさほどいろいろ質問があったわけでございます。そうなりますと、車関係の税金というのはもう大変なことになってくるわけですね。既存の自動車関係税の引き上げのほか、この免許税の新設がまた加わってくると、それこそもう大変なことになるわけでございます。  そこでこの運転免許税は去る百一国会でも、担税力の全くないところの主婦であるとか学生等にまで課税する大衆課税でありますし、また免許手数料とも重複するのではないか、さらに「増税なき財政再建」に反するとして我が党も強烈に反対をしてきたわけでございますが、この運転免許税についての大臣の御見解はいかがですか。
  150. 古屋亨

    古屋国務大臣 御質問の運転免許税の問題でございますが、これはやれというのとやってはいけない、二つの議論が合されておりまして、税制調査会で検討申ということでございます。大衆課税になるとすれば私はこういうものについては消極的でございますが、もう少し検討させていただいて結論を出したいと思っておるわけであります。
  151. 吉井光照

    ○吉井委員 この問題につきまして田川前大臣は、私たち公明党がこの八月二十三日に昭和六十年度の自治省予算編成に対する要望を行った際に、明確にこの免許税については反対をする、このように強い表明をされたわけでございます。新大臣は冒頭、前大臣行政姿勢を継承するんだ、このように言われておりますし、今の答弁を聞きますとちょっと後退をしたような感じも受けるわけでございますが、どうかこの運転免許税につきましては前大臣より強くひとつお考えをいただきたい、このように考えるわけでございます。  次に、道路財源でございますが、これは建設省と大蔵省にお尋ねをいたします。  第九次道路整備五カ年計画によりますと、地方の特定財源比率は第八次の四四・六%に比べて三七%に低下をいたしております。これを四四%台に戻すとするならば二兆円近い特定財源の増加が必要である、このようにことしの三月二十三日の委員会で自治省の方から答弁があったわけでございます。  聞くところによりますと、国では道路財源に向けるべき自動車重量税が五十七年度以降オーバーフローしておる、そして六十年度も概算要求では二千億も余るのだ、こういうことでございます。地方の道路特定財源の増強は地方団体の強い要請でございます。また、この道路特定財源の国、地方の配分割合を変更した際、この二千億は地方に振り向けるべきではないか、このような地方からの非常に強い御意見もあるわけですが、この点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  152. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 お答えいたします。  地方の道路の整備の状況は、御指摘のとおりまだまだ不十分でございまして、改良率で見ましても、都道府県では六二%、市町村道では三一%というような状況にございます。これを改善するために、先ほど定めました第九次の道路整備五カ年計画策定の際におきましても、道路整備緊急措置法によるかさ上げとか、あるいは軽油引取税の暫定税率の延伸等の措置を講じてまいったところでございまする。  今御指摘のように、いわゆるオーバーフローという状況が確かにございますけれども、建設省といたしましては、第九次の道路整備五カ年計画は、現行の税制を前提として国の道路予算の相当の部分を道路特定財源により確保したいというふうに考えて策定をいたしたものでございまして、この第九次五カ年計画達成のためには、自動車重量税に係る道路特定財源の全額を国の道路整備特別会計に繰り入れていただく必要があるというふうに考えておるところでございます。したがいまして、国と地方の配分割合につきましては現行制度を維持してお願いしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  153. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、固定資産税の問題でございますが、六十年度は御承知のように固定資産税の評価がえの年度に当たっておるわけでございます。さきに公表された全国四十七カ所の基準地の評価額は、前回の評価がえ年度であるところの五十七年度に比べまして平均一九・九%の上昇、こういうことになっております。これは、国土庁の地価公示価格の五十七年から五十九年までの三カ年の上昇率一五・八%に比べても非常に高いわけです。最近の地価安定傾向から見て高過ぎるのではないかという見方があるわけですが、この点いかがですか。
  154. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 六十年度は固定資産の評価がえの年でございまして、三年に一度の評価がえが行われるわけでございますが、ただいま御指摘のように、先般宅地についての各都道府県の基準地価格を既に示しまして、その平均の伸びが一九・九%になっておるわけでございます。御指摘のように最近の地価の動向というのは逐年鎮静化に向かっておりますが、ただ固定資産税の場合は三年に一度でございますので、過去三年の実績ということを考えますと、いわば後追い的ではございますけれども、一九・九%というのは決して不合理な数字ではないと考えておるところでございます。  ただいまお示しになりました地価公示による数字でございますが、あの地価公示の価格を単純に価格で比較いたしますと、実は五十六対五十九でございますと五七%ぐらいの増加になっておるわけでございます。ところがこれは理由がございまして、五十七年、八年に全国の地価公示の地点を大幅に変えております。約四分の三がこの二年間で変わったわけでございます。したがって、地点変えの行われなかったものが四分の一だけでございますので、その四分の一だけを比較いたしますとお示しの一五・八%というくらいの数字になるわけでございます。なお、五十五対五十八を比較いたしますと、動かない部分だけで二三・二という数字になっておるわけでございますが、そういう意味では、地点変えが非常に多いものでございますから、ちょっと単純に比較しにくいという点がございます。  それ以外の地価調査であるとか市街地価格指数であるとか、あるいは相続税の最高路線価格などをもちろん参考にいたしておりますが、そういった数字を見ましても、この三カ年間の増加は大体二〇%前後になっておるわけでございまして、三年間の状況を反映するものとしては決して不合理ではない、このように考えておるところでございます。
  155. 吉井光照

    ○吉井委員 六十年度の評価がえの結果固定資産税は約二割の引き上げということです。仮に五十七年度の評価がえと同じ負担調整措置が講ぜられるとしても、前回の五十七年度と一緒にすると、五十七年度二四・一%、五十九年度一九・九%で、六年間で五割の大幅引き上げ、これは今おっしゃったとおりでございます。  そうなりますと、これもけさほど質問があったのですが、年金生活者や零細小売業者等にとっては大変大きな負担になるわけでございます。年金生活者は、五十八年には公務員給与凍結で年金改定はありません。五十九年度は二%、それから六十年度は三・四%と予想されておりますが、わずかしか年金も引き上げられていないのに、固定資産税、そして都市計画税も加わって六年間に五〇%も引き上げられているというのでは、持ち家の場合、これはとても生活していけないのではないか、こういうように危惧するわけでございます。  そこで、住宅及び住宅用土地については既に軽減措置があるわけですが、このような年金生活者等の実態にかんがみて、この際、生活に必要な一定規模以下の宅地や建物は、いわゆる生存権的財産として課税の対象から外すべきではないか、このようにも考えるわけでございます。この点につきましては、去る五十七年六月四日の千葉地裁の判決でも、生存権的財産と非生存権的財産とを区別して評価することはいわゆる立法政策として望ましい、このように言われておるわけでございますが、物税という考えもあるでしょうけれども、こういったお考えはどうでしょうか。
  156. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 お尋ねでございますが、固定資産税の性格というものから考えてまいりまして、やはり適正な評価をし、これに応じて御負担を願わなければならないものと考えておるところでございます。ただ、負担の急激な増加という点につきましては、これはやはり考える必要がございますので、前回五十七年の際におきましてもいわゆる負担調整措置というのを講じまして、急激に固定資産税の負担が上がらないように配慮を加えておるところでございます。今回の六十年度の評価がえにつきましても、そういった点につきましてまた税制調査会の御審議等をいただきながら検討をしてまいりたいと考えております。  年金生活者の方々などに対する配慮ということについて、これはお話の御趣旨はよくわかるわけでございますけれども、そういった固定資産税の性格の上から考えますと、この税においてそういった特別の措置をとっていくということはやはり適当でないと考えておるわけでございます。  ただ、御承知のように、固定資産税の中にもそういった生活に使われる、つまり生活上の便益という点に着眼をして課税するものにつきまして、まあ住宅でございますが、住宅につきましては、土地におきましても一定の面積、二百平方メートルまでは四分の一というような大幅な特例を講じておるところでございます。  また、我が国の場合、地方税としては固定資産税とあわせて住民税というのもあるわけでございますけれども、老齢者その他社会的な弱者と考えられる方々に対する、そういった人税の面でのいろいろな配慮もございます。また、そういった点は人税の方でいろいろ考えられてまいったところでございますので、固定資産税につきましては、そういった考え方をこれに導入していくということにつきましては御容赦をいただきたいと思うところでございます。
  157. 吉井光照

    ○吉井委員 時間がありませんので、次は、消防庁にちょっとお尋ねをしておきます。  去る十六日に発生をいたしました東京世田谷の電電公社のいわゆる地下溝火災について、九万回線の電話が不通になった事故、これはひとり暮らしの老人の不安、急病、火事、犯罪発生の場合の不安、また商売ができないとか、金融機関のオンラインがストップする等、市民生活に大きな混乱を及ぼしているわけでございます。現在の日常生活を支えている情報の流通が事故でストップをする、どのような大きな影響が生ずるのか。一つ間違えば人々の生活を崩壊に導いていく、そういう大きな危険性を持っていることが明確になってきたわけでございます。  したがって、このような事故を未然に防止し、また万一発生した場合、一刻も早く回復する対策が講じられなければならないことは当然でございます。このような地下溝は、電線の地下ケーブル化のように今後一層増加していくということはもう当然でございますが、電力、ガス等の共同溝も含めて、この地下溝の防火消防体制を今後どのようにしていくのか、お尋ねをいたします。
  158. 坂弘二

    ○坂説明員 今回発生いたしました洞道内の火災でございますが、一般的に道内に収容されている物件によっていろいろ違っておりますが、火災現場が非常に狭隘であるということ、それから濃煙と熱気によって消防活動が著しく阻害される、そこで消火に長時間を要する、それがこういう種類の火災の一般的な性格だろうと思います。  今回の火災原因につきましては現在関係機関において調査中でございますが、過去の事例を徴しましても、そのほとんどが構内における溶接だとか溶断とかいう工事に起因していることが多いわけでございます。この共同溝あるいは洞道そのものは、火災の対象としては最も火が出にくいし、人がしょっちゅう出入りしているわけではございませんし、また一般の建物に類焼するという種類のものでもございませんから、消防上からすれば最も火事に縁の遠い施設と思いますが、そういう工事によって火災が起きてくる。火災といっても余り大きな火災はございませんで、小さなぼやみたいなもの、そういうのが非常に多いわけでございます。  我々といたしましては電電公社の方にも説明を受けたわけでございますが、いろいろそれなりの安全対策をしておるようでございますが、いずれにしましても、特にそういう工事を行う際の保安対策のあり方、それがまた実際に実行される、そういうことが担保されるように消防機関としても関係機関と協議しながら対策を練ってまいりたいと思っております。
  159. 吉井光照

    ○吉井委員 電電公社にお尋ねをしますが、今回の事故は電話工事のミスによる人為的事故だ、このようにも言われているわけでございますが、商売の損害を初め市民は大変な不便を強いられた。したがって、目に見えない被害というものが非常に多く発生をしたわけでございますが、それらに対する補償という面についてはどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  160. 草加英資

    ○草加説明員 このたび市民生活に重大な影響を及ぼすあのような事故を起こしまして、まことに申しわけなく思っております。  今先生御指摘の点でございますが、私どもまず事故の復旧ということを最重点にいたしまして、現在二十四時間体制で復旧を急いでいるところでございます。  そこで、先生お尋ねの補償の問題でございますが、私ども現在復旧に鋭意力を注いでいるわけでございますが、復旧が近づき、または市民の方々が落ちつきまして、私どもの方へいろいろな形での補償、賠償の要求が出てくることを覚悟いたしております。その場合、私どもといたしましてはこれらの声に対しまして誠意を持って対処いたすつもりでございます。  ただ、私どもの建前といたしましては、公衆法で限定賠償の規定がございまして、五日間以上の利用ができなかった場合に基本料日額の五倍を限度として限定賠償いたす、このようになっておりますので、そのような形で運用さしていただきたい、このように思っておる次第でございます。
  161. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、グリコ森永事件に関連をして労働省にお尋ねいたしますが、長期化するグリコ森永事件ですが、いろいろな面に非常に深刻な事態が生じているわけでございます。  そうした中で、森永のパート従業員四百五十名が十一月十一日付で全員解雇された、こういうことでございます。この業種のパートタイマーは季節的雇用形態が多く、常用的な勤務形態のものではございませんが、下請企業の常用者に対しては雇用安定のために、雇用保険法に基づく雇用調整助成金、これが支給をされることになっておりますが、これらパートタイマーはその対象とされておりません。  確かに、パートタイマーは本来生産調整のための雇用という性格があるために、今回のような操業率一割という稼働率低下の際には直ちに契約が解除される、こういうことですが、通常の場合には雇用契約の自動的な更新ということになるようなパート形態については、今回は更新ができない特殊な事情があるわけでして、何らかの救済措置というものをぜひとも講ずべきではないか、このように考えるわけですが、いかがですか。
  162. 竹村毅

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘がありました雇用調整助成金制度というものが雇用保険法に基づく制度としてございますけれども、この制度の趣旨は、いわゆる雇用安定事業の中の一つでございまして、言うならば、景気の変動または産業構造の変化その他の理由に基づきまして事業活動の縮小を余儀なくされた場合におきまして、そういう事業所で賃金を得て、それで生活しているようないわゆる常用的な労働者というものが失業によって賃金を得る機会を喪失するということを防止し、雇用の安定を図るという制度でございます。  お話にございましたいわゆるパート労働者というものにつきましても、いろいろな定義またはいろいろな態様がございますけれども、先ほど申しましたようなこの制度の趣旨に合致するような労働者であれば、当然雇用調整助成金制度の適用ということは考えております。  パートということにつきましては、形態から見まして臨時、いわゆるアルバイト的なものもございますし、かなり常用に近いものもございますし、その雇用している企業の状況によりましていろいろ形態またその態様も違っておりますので、先ほど申しました雇用安定事業の趣旨に合致するかどうかという判断を個別に判断いたしまして、運用してまいりたいというふうに思っております。
  163. 吉井光照

    ○吉井委員 時間が参りましたので最後に一点だけ警察当局にお尋ねをしておきますが、警察ではついに公開捜査に踏み切られたわけで、民間協力態勢の徹底、これが犯人逮捕への最善策、このように思うわけでございますが、現時点でローラー作戦の進行状況、または脅迫文、ビデオ等証拠物件の科学的分析の状況等は、いわゆる着々と進みつつあるといっていいのかどうか、その点だけお尋ねしておきたいと思います。
  164. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 グリコ森永事件の捜査状況でございますが、現在声のテープ、ビデオ等を公開いたしまして、これに関しましては全国で四千件ばかりの情報が参っております。捜査にとりまして国民の理解と協力、これは一番大切だということは私どもも痛切に感じております。今のところ捜査は一歩一歩進んでおる、こういうことでございますし、またローラー作戦につきましても大阪の北摂地域のへ十四万世帯、これはほぼ全部完了いたしました。  それに引き続きます隣接の地域五十数万世帯につきましても現在四十数%やっておりますし、また京都の大阪に隣接をいたします地域三十数万世帯につきましても現在約四〇%程度進行しておる、こういうことで一歩一歩進めているのが現状ということでございます。
  165. 吉井光照

    ○吉井委員 終わります。ありがとうございました。
  166. 大石千八

  167. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今回、古屋自治大臣就任、おめでとうございます。私ども地方自治地方行政に携わる者といたしまして、その道のベテランでございます新大臣を迎えまして、一面ではおめでとう、こう申し上げたいところでありますが、また他面大変なときに自治大臣をやられるというようなことで、率直に申し上げまして大変複雑な気持ちもございます。  そういう意味では、先ほど来大臣からもお話がございましたけれども、民主主義政治を守るのは、地方自治の発展なくして民主主義政治は守れないんだ、このことに思いをいたしていただきまして、これからの地方自治の発展にどうぞひとつ不退転の決意で臨んでいただきたい、かように考えておるところでございます。  今まさに地方時代ということでこの八〇年代は叫ばれてまいりました。しかし、地方時代という名前のように今の地方自治体の体制が整備拡充されているかというと、なかなかそうはまいらぬ事情にあると思うのであります。三千三百に上る団体の中で、経済的に強いところもあれば経済的に非常に困窮をしておる自治体もあるわけであります。  そういうものを抱え、これを国民全体の立場から考えて、よいところと悪いところの調整を図りながら、そして地方自治全体の発展につなげていくということは、これは容易ならぬ事態だというように思うわけでございます。特に、この六十年度の予算編成に当たりまして、大蔵当局から出てまいっておりますいわゆる一〇%にわたります国庫補助金の一律カットという問題も、これまた地方自治体挙げて問題点として取り組んでおるところでございます。  そのようなことを考えあわせてみました際に、一面からは、これからの本当の意味地方自治をどうやっていくか。地方行革を進めるとともに、地方の分権をどう推し進めていくかというような課題、それから当面の自治大臣の課題としては定数改正、いわゆる選挙法を改正して国民の信頼にこたえる道は、どうも新大臣の手によってなされなければならないというように私は考えるわけであります。したがいまして、まず地方自治に対する大臣の所信のほど、いろいろのことがございましょうけれども、それをどう乗り切り、対処してまいります御決意か、この機会にお伺いをさしていただきとう存じます。
  168. 古屋亨

    古屋国務大臣 藤原委員からお話しになりました、いろいろ御激励の言葉もいただきまして恐縮しておりますが、やはり何といいましても、地方自治ということは、住民生活、日本の民主主義ができるかできないか、一番の根底にあると私は考えております用地方自治の円滑なる推進といいますのは、やはり何といっても、この厳しい財政下におきまして、国も行財政改革によっていろいろの見直しを行っております。また地方も、実質的には今まで行財政改革を県あるいは市の単独でいろいろ考えておられるものもございます。  しかし、地方がやろうと思いましても、国の方でいろいろこれを阻害しているような法例やその他のものがあることは、御承知のとおりでございまして、こういう点は、補助金の問題もありますが、やはり権限移譲の問題、許認可の問題、いろいろございますので、とりあえずこういう問題につきまして、できるものから早く実現をし、軽い地方行政を行い、そして同時に、住民の福祉の推進に役立つような地方行政を行う、実際問題は難しい問題でありますが、私は地方団体皆さんの御意見も十分尊重し、また同僚あるいは先輩の諸君の御意見も承りまして、本当に地方のあるべき姿、見直すものは見直すという決意を持ちまして、一生懸命に努力したいと思っておりますので、よろしく御指導お願いいたします。
  169. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 新大臣の抱負をお伺いをいたしまして、力強く感じた次第でございます。大変御苦労でございまするが、せっかくの御健闘を祈りたいと存じます。  さて、自治省関係します大事な課題の中の一つがいわゆる定数改正、選挙法改正の問題であろうかと存じます。この問題につきましては、既に最高裁あるいは東京高裁あるいは広島高裁等々から、一票の格差の問題を含めまして憲法違反の疑いがあるとし、早急な是正を迫られておるところでございます。また、法を守る番人といたしまして、この定数改正がなされなければいわゆる総理大臣の解散権も制約をするんだ、このようなせっぱ詰まった考え方も示さざるを得ない状況下に立ち至っていることも、これまた国民ひとしく承知をいたしているところだと思います。  こういうことを考えてまいりますると、政党政治である限りにおきましては、やはり与党であります自民党に責任ある行動をとっていただくと同時に、これは与党だけの問題ではございません。各党が、この定数を改正して国民の信頼にこたえて、その上に立って解散、総選挙の道を選ぶことが憲政の常道であろうかと私は思っております。  そのような観点から、自治大臣就任以来いろいろの新聞その他等々でお考えをお示しをいただいておりまするけれども、やはりこれは国民的な関心事でありまして、中曽根総理のお考え等もそれぞれ、制約をされないとかいろいろのあれは出ておりまするけれども、しかし私は、そういう憲法第六十九条の法解釈のみをもってこの問題を推しはかることは危険だというように思います。少なくとも法のもとに平等であり、そして一票の格差がないような状況のもとで選挙法の改正をすることが最も望ましいというように考えるわけでございまするけれども、このことにつきまして自治大臣のお考えをこの機会にお伺いをさしていただきとう存じます。
  170. 古屋亨

    古屋国務大臣 衆議院の定数是正の問題につきましては、今先生の御意見にありましたように、議員の定数というのは政党政治の一番基本であります。話し合いでこれをできるだけまとめていく、しかも判決が出ておりまして、できるだけ早くこれを是正しなければならないというふうに考えておりますので、党とも十分相談し、またこの問題は自民党だけの問題ではございません、各党とも十分話し合いまして、話し合いを基底としてこの問題を取り扱っていくというのが私は一番適切ではないかと思っております。  話がまとまった上でこれは党が出すとかあるいは政府が出すということは——私はまず内容を固めることが一番中心であると考えておりまして、それはどうしても各党の御協力、御意見を承りながら、それを中心にして考えていかなければならないという私の考え方でございますので、その点御了承の上、今後いろいろの御相談も申し上げることがあると思いますが、よろしく御指導お願いしたいと思っております。
  171. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ぜひともひとつこの問題につきましては、主管大臣として指導的役割を果たしながら推進をしていただきとう存じます。希望をいたしておきます。  さて、先ほど大臣からもお話がございましたが、これからは国、地方を通じての行革を推進する、こういう段階に立ち至ると思うのでございます。きょうも午前中から、それぞれの委員からこの問題についての御指摘があったところでございまするけれども、やや重複の点もあろうかと存じまするけれども、御意見をお伺いをしながら質疑を進めていきたいというように思うわけであります。  先ほどのお話の中でも、いろいろの観点に立って地方行革が行われているということでございましたが、地方行革大綱の性格、それから具体的な内容及び作成の時期、これはどのようになるのでございましょうか。何か聞くところによりますと、自治省大綱について中曽根総理に対して所管事項の説明を行い、一つの方向づけを報告したようなニュースは漏れ承っておりまするけれども、国会の場面でこの点を明らかにしてほしいと思います。
  172. 大林勝臣

    大林説明員 国、地方を通ずる行革の中で、従来、地方団体は、どちらかと申しますと国に先駆けて行政改革努力を続けてまいりました。そしてそれはそれなりにかなりの成果を上げてきたと私どもは思っております。  ただ、今後の厳しい行財政の環境を考えます場合に、一つは、地方団体行政改革推進するために、国の制度の側面において地方努力を阻害しておる面が相当ございます。これが必置規制とか機関委任事務とかいう問題になるわけでございますが、これは片方で、行政改革推進審議会で今後一つの結論づけをしていこうということになっております。  したがいまして、地方団体としましても、従来の努力を踏まえながら、今後さらに一層総合的な行政改革努力をしていただく必要があるだろう、こういうことで、従来はそれぞれの時期に、それぞれの問題について、いろいろな通達で個々の問題についての御努力お願いをしてきたわけでありますが、今後は、そういうものをひっくるめた総合的な行革の一つの方針というものを作成いたしまして、これを地方団体の方にお示しして努力目標としていただく。  その内容につきましては、従来の個々のお願いを取りまとめたものになろうかと思います。あるいは事務事業の見直しの問題もさようでありますし、組織、機構の見直し、あるいは給与、定数、あるいは事務の委託でありますとかOA化の問題でありますとか、そういった行革の中で論議されておる問題をすべてひっくるめて、これを一つの指針として作成をいたしたい。その内容につきまして、先ほど申しましたそれぞれの項目について、現在地方制度調査会の方でいろいろの御意見を伺っておるところでございます。
  173. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 地方行革の理念と申しまするか、私はこのように理解をするわけでございます。国、地方を通じて行革の理念は、まず行政の簡素合理化を図ることを第一義とし、これによって仕事を減らし、機構を減らし、人を減らしていく、いわゆる減量経営を進めることにあると思います。さらに、地方行革の場合には、国、地方間の役割、機能分担を明確にする、あるいは国から地方への事務、権限移譲を図り、地方行政の効率化を図っていくというところに地方行革の理念と申しまするか考え方があるというように私は理解をいたします。  そういうことを考えた場合、先ほど来大臣からもお話がございましたけれども地方行革を進めるにつきましても、それを阻害している国のいろいろの施策、いわゆる機関委任事務の問題だとか、一連のことが地方負担としてかぶさっておるわけでありまして、そういう問題は、やはりその地方だけがやってできるものではございませんで、中央においても、手直しをすべきものは手直しをしていくという努力の中で、いわゆる国と地方とがお互いに心を合わせながら行革を進めていくという道筋ができ上がってまいらなければ地方の行革というものもなかなか難しいのではないかと私は考えるのでありまするけれども、私のこの考え方に対しまして、御意見があればお聞かせをいただきとう存じます。
  174. 大林勝臣

    大林説明員 地方行革を進める上の基本理念としては、全く委員のおっしゃるとおりでありまして、一つは行政事務の簡素効率化であり、もう一つはやはり住民の身近な問題は住民の身近な地方団体で行ういわゆる地方分権と言われるもの、この二つが柱になっております。さらに、現在地方の行革努力を阻害しておるいろいろな国の要因の排除、こういうものに尽きると思います。
  175. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 関連をしてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来もお話がございましたけれども機関委任事務について、二年以内に一割の整理を進めるというように言われておるのでありまするけれども、具体的にはどのような計画で機関委任事務を二年の間に一割減をした形の中で進めていこうと思っておられるのか、この辺のお考えについてお示しをいただきとう存じます。
  176. 大林勝臣

    大林説明員 機関委任事務の問題は、臨調におきましていろいろな議論を経ました上で。当面は二年間に一割整理をする、その後抜本的に機関委任事務そのもののあり方、こういう本格的な審議をする、こういう二段階の段取りで作業を進めることになったわけであります。  そこで、二年間に一割整理という当面の仕事につきましては、第百回国会におきまして、行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律、これを提出いたしまして、機関委任事務関係の三百九十八法律のうちの四十四法律を改正するということで、件数にいたしますと五十五件の機関委任事務の整理が行われたところであります。  しかしながら、こういうことで地方の行革がなかなか進むわけでもございません。第二の段階の仕事といたしまして、機関委任事務自体のあり方の問題、機関委任事務についての地方団体の役割の問題、こういった本格的な検討が今後に残されるわけであります。日程といたしましては、来年の一月早々からでも行政改革推進審議会審議の俎上に上る、こういうふうに承っております。
  177. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 国の権限地方移譲や国の事務の地方移譲、それから、これは直接的ではございませんが、国の出先機関の整理統合、こういったような問題についてどのように進められようとしておるのか。特に権限地方移譲する場合、これは当然財源が伴わないと過度の財政負担地方自治体にかぶさってくる形になるわけでございまするので、この辺のことを十分配慮すべきだと思いますけれども、その段取りその他についての具体的な進め方について、この機会にお伺いをしておきとう存じます。
  178. 大林勝臣

    大林説明員 国の権限地方移譲という問題は、先般来いろいろ御質問があったわけでありますけれども、私どもは、第一の問題は必置規制の整理の問題、さらには地方仕事をする上で現在国に許可権、認可権というものが残っておるものの排除の問題、三番目には機関委任事務の問題、そのほか、現在国が民間に対していろいろの許認可権を持っておるものの地方移譲の問題、おおむねこういった範囲のものになろうかと思います。  そこで現在の進行状況は、先ほど申し上げましたとおり、必置規制あるいは国のいわゆる関与という名前で呼ばれております地方に対する許認可の整理、こういったものをまず第一段階として取りまとめて通常国会一括法案として提出をする、その他の問題は、さらに来年から機関委任事務の整理の作業が始まる、あるいは今後の取り扱いにつきましては政府部内でいろいろ協議をしてまいる、こういうことになろうかと思います。  それから国の出先機関の整理統合の問題につきましては、五十八年の四月に決められました新行革大綱におきまして、臨調答申に基づきます問題を第百回国会におきましていろいろ審議をいただいたわけでありまして、本年一月二十五日の閣議決定におきましても、さらに個別具体の実施方針を定めて改革を継続していく、こういうことになっております。  そこで今後の問題は、国の地方出先機関の整理合理化に当たりましては、国、地方を通じた簡素合理化という観点から、国の地方出先機関の整理と並行いたしまして、出先機関の事務の地方団体に対する再配分、こういうものもあわせて進めていただきたい、こういうふうに関係各省お願いをしておるところであります。
  179. 花岡圭三

    ○花岡説明員 国、地方を通じて行政事務の簡素合理化あるいは効率化を図っていく場合に、住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体におろしていく、こういう事務再配分を行う過程におきまして、これに伴う所要財源につきましては、まず地方財政運営の中で節減合理化を図っていく、そうして一方、地方税、地方交付税等の一般財源の充実強化に努めていくということでございまして、この事務再配分に伴う財源につきましては、地方団体の運営に支障のないように措置をしてまいりたいと考えております。
  180. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 地方行革を推進する課題としては、やはり国が関与をする問題等も先ほどからいろいろ御論議をされておりました。特に、行革を進めるためには、今までも御答弁のあったところでございまするけれども必置規制の緩和というものが具体的に進みませんと、地方行革を進める阻害の最大要因になっているのではないか。せっかく人員を少なくしようと思っても、法令やあるいは規則によってこうしなければいかぬよと中央の方から指示をされておりますると、地方自治体としてはどうしてもそれを守らなければならない。守らなければ金もおりてこないというようなことでございまするので、やむなくこういうことをやっている面も多々ある。この辺のところに率直に言ってむだもあるのではないかというように考えられるわけでございます。  したがいまして、自治省におかれましても、必置規制の緩和策というものを具体的に地方自治体に示して、それに伴って地方行革を進めるような道筋というものをつくり上げていかなければならぬのではないかと考えるわけでありますが、このことについての御意見を承っておきたいと思います。
  181. 大林勝臣

    大林説明員 まず、地方の行革を阻害する第一の要因として必置規制を取り上げてきておるわけであります。私どもも従来の地方制度調査会あるいは地方団体意見を踏まえまして、数十項目にわたりまして既に行政改革推進審議会の方に見直しをお願いしておるわけであります。九月、十月の二カ月間にわたりまして行革審におきましても各省からヒアリングを行っておられるところでありまして、十二月までにはその結論をまとめられると存じます。  同時に、地方団体自体におきましても、今後地方独自の組織、機構の問題の見直しは関連して十分努力を続けていただくようにお願いをしてまいろうかと考えております。
  182. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 先ほど大臣の答弁の中にもございましたが、今回いわゆる補助金の一割一律カットという問題ですけれども、私ども考えて、やはり地方自治体の中でも力のある団体、力の弱い団体というふうに区分できると思いまするし、それから、今までは設置義務でつくっておったけれども、もう意義が薄れてやめてもよいというようなものもございまするし、それから不要となったようなものでも、法律に認められておるから、法令で認められておるからそのままやってもらっておるというようなものも率直に言ってあるのではないかというように思います。  したがいまして、その辺のところを十分調査をし、いわゆる生きた行政というものを行うことによって——私は、補助金行政というものが今の行革を推進するためにすぐれた手法がというと疑問点はありますけれども、しかし疑問点がありましょうとも、現実行政を処理していくためには必要なものであるわけでございまするので、その辺のところを取捨選択をしながら、しかもその上で生きた行政を進めていくという基本に立ってこの問題を処理しなければならぬと思います。いわゆる補助金削減、一割一律カットの問題についての御所見をこの機会に伺っておきたいと思います。
  183. 花岡圭三

    ○花岡説明員 補助金の整理合理化というのは私どももできるだけ進めていかなければならないと思いますが、その基本的な考え方は、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化、地方公共団体の自主性及び自律性を強化するという観点から事務事業の廃止縮減を行う、そして本来地方の自主性にゆだねるべきものは一般財源に移行することを基本として行うべきであると考えておるわけでございます。  したがいまして、今回のように一律にカットするということではなく、私ども大蔵省に申し入れをいたしましたように、既に地方公共団体の事務に同化定着したような補助金、あるいは既に目的を達したような補助金、あるいは箱物と言われますような集会施設等、また地方公共団体の定員管理を難しくするような人件費補助金、こういったようなものを見直していただきたい、こういうふうなことを言っておるわけでございます。
  184. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これからの地方自治をより発展せしめるために、地方行革も避けて通れない道だというように思います。そのためには国と地方との役割分担を明確にするとかあるいは財政秩序を守っていく、そして地方の自主財源というものを確保し、自主的、自律的な運営ができるような状態をつくり上げることが私は地方行革を進める一つの道筋ではなかろうかと考えます。したがいまして、このことについて十分な配慮をしながらこれからの国、地方の行革を進め、国民の期待にこたえていかなければならぬと思うわけでありまするが、このことについての方向づけについて御意見を承っておきたいと思います。
  185. 花岡圭三

    ○花岡説明員 現在の地方財政は、御承知のように昭和五十年度以降巨額の財源不足が続いておりますし、また六十年度でも財源不足が生ずる見込みでございます。  今後行政改革をこのために進めていかなければならないわけでございますけれども、やはり財政のこれからの課題といたしましては、長年続きました借入金、これをどのように処理していくのか、いわゆる借入金依存体質から脱却していく、そして財政の健全化を図っていくということが一番重要であろうと思っておるわけでございます。そういった意味で、今後とも行革というものは先ほど先生の御指摘のような方向で進めていかなければならない、かように考えております。
  186. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 税の問題では、一つ要望をいたしておきたいと思います。  実は、先ほど来、自動車税、自動車関連税の質疑が行われました。私は素人でございまするけれども、見ておりまして、この税金の取り方が、どうしても取りやすいところから取ると申しまするか、そういう傾向が率直に言って強いような感じがいたします。  そういう意味では、五十九年度でもそうでございましたが、六十年度でも、自動車関連の免許証を初めとする税の新設等々を含めましてここから税金を吸い上げようという考え方もあるやに伺うのでありまするけれども、これはまさに大衆課税でございまして、取りやすいところから取るという考えじゃなくて、大衆がそういうものによって余りにも重税感を味わうことのないようなことについて特段の配慮を要望をいたしておきたいと思います。  引き続いて質問をいたしたいと思います。  先ほど来も御質疑がございましたけれども、例の十一月十六日の世田谷電話局の洞道ケーブルの火災の問題であります。これは九万世帯といいますか、九万本に上ります電話が使えなくなったというようなことで、東京都民を初め日本じゅうの人がびっくりしたのではないかと思います。この火災の状況についてひとつこの機会に報告を願いたいと思います。
  187. 坂弘二

    ○坂説明員 十一月十六日の世田谷区洞道内電話ケーブル火災の状況でございますが、消防機関が二九番の、これは世田谷電話局の職員からの通報でございますが、それにより火災を覚知しましたのが十一時五十二分でございました。覚知と同時に出動いたしまして消火活動に当たったわけでございますが、延焼の危険がこれ以上ないというのが二十一時五十九分、それから鎮圧と申しますが、炎が全く消えだというのが二十二時十一分でございますので、火災が起こった正確な時間はわかりませんけれども、火災を覚知してから十時間十九分で消えたわけでございますが、なお残火等がございますので、完全に消防活動を終了して差し支えないとなりましたのは翌日の午前四時三十七分でございました。  そしてこのために出動いたしました消防隊はポンプ自動車二十三台、化学車五台、排煙高発泡車三台とか、あるいは空気補給隊二隊というようなもので、全体で五十六隊でございまして、二百九十六名の者が出動いたしました。その結果、焼損状況は、電話通信ケーブルが約百八十四メートル焼けたわけでございます。
  188. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これは工事上のことでございまするけれども、こういうような危険な状態を消防庁としては予測をされて、事前に何か火災予防的な処置を講ずべきだったような指示は電電公社の方に与えておったのでございましょうか。どういう状況で火災が起きたかということについてまだ伺っておりませんが、その辺の様子と、それからこのような事態の起こる前に一体こういう危険が予想されたのかどうか、その辺のことについても御見解があれば伺っておきたいと思います。
  189. 坂弘二

    ○坂説明員 洞道とか共同溝でございますが、これは御案内のとおり通常火の種のないところでございますから、消防対象といたしましては最も火に関係のない施設であるわけでございます。しかしながら、洞道についてはちょっと詳細を存じませんが、共同溝について申しますと、少なくとも東京消防庁の場合は、それを新たにつくるとかいうような場合には、設計とか保安上の問題というものは消防機関に事前に届けていただきまして意見を反映しておるわけでございます。  それから洞道につきましては、電電公社からいろいろ説明を受けましたけれども、電電公社の内部に基準を設けておりまして、やはり設計あるいは保安について、例えば隔壁を設けるとかいろいろ配慮はしているようでございます。したがいまして、こういうものが火災を起こすということは非常にまれでございまして、今までも幾つかございますがほとんどはぼやみたいなもので、ちょっと電線を焼いたとかいうようなものですが、そのほとんどは工事中の不注意でございます。  今回につきましては、火災原因は現在調査中で正確にはまだわかりませんが、いずれにしましても我々消防といたしましては、施設そのものよりもむしろそこで行う工事について防災上十分配慮してもらいたい、またそれが担保されるようにしてもらいたいと考えております。
  190. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私はこのことは非常に重要なことだと思うのですね。多分こういうところでは火災は起きないだろうという、普通なら危険な状態がなかったわけですから、そういう事実認識が消防庁の中にもあったと思いますね。したがいまして、事の原因をよくお調べをいただきまして、かかることが再び起こらないようにすることが東京消防庁としての任務でもあるし、またそういう指導に企業者が忠実に従う、あるいは工事人が従うことが大切だということも私は承知をいたしますけれども、普通の状態なら素人のだれが見ても火事の起こらないようなところで起きて、しかもそれが大変大きな事故になったということは、例えばもしそういうことを何か悪意でやったら困るなと私は瞬間的に思ったわけですね。  やはりこういうような世の中ですから、平和な世の中のようだけれども、いつどんなことが起きるかわからぬというのが今の世の中でございますから、用心にしくはなしということで、その辺のことについて、今後これを契機にひとつ指導を——消防庁が悪いと言っているわけではございませんから、こういう現実にぶつかったということに対して対応しなければならぬのではないかと思いますが、お考えがございましたら……。
  191. 坂弘二

    ○坂説明員 現在、共同溝につきましては、建設省の方で保安も考えました基準などつくっておりますし、それから電電公社も、例えば出入り口のマンホールは通常施錠しておくとか、今御心配のような万が一の場合に備えでいろいろな施策はとっておるようでございますが、現実にこういう火災が起こっておることもまた事実でございますので、我々といたしましてはそれらの現在とられておる施策消防の観点から申してそれで十分なのかどうか、またそれが本当に実行されるのか、最も効果的にそういうものを担保するにはどのような手段をとればよいのか、これを今研究をしております。
  192. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ところで、世田谷電話局のケーブルが火災になったために一一九番の電話が不通になったわけですが、こういうときには消防機関はどういう手段で処理をするのでございましょうか。
  193. 坂弘二

    ○坂説明員 一一九番が使われますのは火災の場合と救急と両方あると思います。今回、一一九番が通話不能となりましたので、東京消防庁ではその不通になりました区域につきまして、まず第一番に、火災とか救急等の緊急通報については最寄りの消防署とか消防の出張所、あるいは警察署、派出所等に連絡してくださるよう、これをテレビ、ラジオ等を利用いたしまして住民に徹底いたしておきました。  それから、世田谷消防署、玉川消防署、成城消防署の広報車を利用し、管内を巡回いたしてこのような周知徹底、それから、特に火災につきましては、火災の早期発見のために望楼あるいは高層建築物の屋上の部分等に消防職員を配置いたしまして、高所の見張りを行う等の措置を講じて代替いたしておるわけでございます。
  194. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 こういう大きな火災といいますか事故はあってはならないことでございます。したがいまして、このことによって都民、あるいは大きく言えば日本じゅうの人たちがびっくりしたのではないかと思うのですけれども、ぜひこれを教訓にしていただきまして、これからかかることのなきよう、都民なり国民の平穏な日常生活、あるいはとうとい生命財産を守るという立場でのせっかくの御検討を御期待申し上げまして終わりたいと思います。  ちょっと時間が早いのでございますが、以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
  195. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  196. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に、今も御質問がございましたが、世田谷電話局の火災の問題についてお尋ねしたいのです。  防炎防火の対象物については消防法それから施行令で定められておりますが、このケーブル、地下埋蔵物あるいは共同溝は一体対象物として入っておるのですか、入っていないのですか。
  197. 坂弘二

    ○坂説明員 御案内のとおりと思いますが、消防法第八条におきましては、例えば学校とか病院、百貨店など多数の者が出入したり勤務したり居住する建築物等につきましては、これに火災が発生した場合には人命に著しい被害を生ずる危険が高いということでございまして、これを政令で定めまして、それらにつきましては消防計画を立てるとか、防火管理者を選任する等の規制を設けているわけでございます。  また、同法八条の三それから十七条におきましては、旅館とか病院等、特に政令で定めるものにつきまして防炎性能を有する物品を使用しなければならないとか、消防用設備等の設置の義務づけをしておるということで防火安全対策のための規制を行っているわけでございますが、今御質問にございました洞道とか共同溝、地中の裸のガス管につきましては、多数の者が通常出入するなどの施設でございませんし、その火災が直ちに多くの人命を損なうおそれがある、あるいはほかの建築物に類焼するおそれがあるものではないわけでございます。また、消防の現在の建前では、建築物について特に政令で防火対象物として防災上のいろいろな規制を加えておりますので、現在共同溝等につきましては、御質問の政令で定める防火対象物とはなっておりません。
  198. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これだけの大事故で与える影響も大変大きい。にもかかわらず、防炎防火の対象物に指定されておらない。これはちょっとおかしいと私は思うのです。結果ではありますけれども、このケーブルは非常に燃えやすい、しかも一たん火がつくと持続的に燃え続ける。先ほどの答弁でも十時間近くかかっておるわけでありますね。  しかも消防白書によりますと、電灯、電話の配線による出火が五十七年は七百十二件で一・二%、第十位を占めておるわけですね。ただその周辺に人がおらないとか、他の構造物に類焼のおそれがないとかいうようなことだけでもって、こんなに燃えやすくて、しかも一たん火災が発生すればなかなか消えにくくて、与える影響も極めて重大だという対象物について防炎防火の対象物として指定をされておらない。されておらないということは、同時に消防署、消防庁のいろいろな防火の義務づけの対象にもこれまたなりにくい、あるいは立入検査もできないというようなことにもなるわけでありますね。  日本坂トンネルの事故もたしか対象物に指定されておらなかったと思いますけれども消防庁は行政指導でしかるべき防炎防火の対策を講じておると思うのですが、この際、新しく危険物として出てきたものについては考え直すべき時期に来ておると思います。今後一体どういうふうに対応されるのか、お尋ねをしておきます。
  199. 坂弘二

    ○坂説明員 ただいまのお言葉を返すわけではございませんが、出火の原因の電線というのは家庭の電線とかすべてを含んでおるものでございまして、共同溝などに入っております幹線の電線、これは電力の方は高圧でございますので被覆は今の電話線とは異っておると思いますが、電話線の場合には、現在ポリエチレンの被覆を使っておりますから、三百三十度で引火、三百四十度で自然発火するというようなものでございます。  このような事故がございまして、社会一般に及ぼす影響が極めてはかり知れないものがございますので、我々消防といたしましても、やはり国民の生命、身体及び財産を火災から保護するということが消防の本来の任務でございますから、火災により国民の財産に対して非常な危険があるということで、早急に消防防災上の対策を充実させるために検討する必要がある。  ただ、再三申し上げましたが、電電公社もそういう必要性はもちろん持っておるようでございまして、現在、その設計、施工、保全等につきまして標準実施方法というものを定めておりまして、そこにおいていろいろな防災上の手段を決めておるようでございますから、我々といたしましてもそれらが十分であるのか、それのほかにまだ規制が必要なのか、あるいは本当に実効性を確保するためにはどのような手段、どのような仕組みが必要かということを関係省庁、関係機関と十分相談しながら、今後鋭意検討してまいるつもりでございます。
  200. 経塚幸夫

    ○経塚委員 聞くところによると共同溝は七十キロを超えており、ケーブル線も二百五十キロに及んでおると言われております。あの耐炎耐火物の指定の中にはアーケードなども入っておるわけですね。したがって、今後の対策としては、こういうようなものについても指定物として指定するとか、あるいは何らかの強力な行政指導ができるような方法を講ずべき段階だ、かように考えております。このことを要望しておきます。  次に、グリコ森永事件につきまして警察にお尋ねをしたいと思います。  事件が発生をいたしまして九カ月、年末を迎えまして事態はいよいよ深刻になってきております。これは姫路市の小川食品、森永のもなかとかコーンの下請企業でありますが、納入がほとんどゼロだ、ボーナスも出せない、このままの状況では、犯人が捕まる前につぶれてしまうと言って悲鳴を上げているわけですね。私の選挙区の八尾市の浜田食品、これはラムネ菓子をつくっておるところでありますが、もう一刻も待てない、こういう深刻な状況であります。こういう関連下請企業はたくさんありますが、何の支援態勢もないという状況の中で年の瀬を迎えておるわけであります。したがって一日も早い解決が望まれるわけであります。  そこでお尋ねをいたしますが、会社への脅迫文、金を要求したものなどを含めまして一体何社に上っておるのか、会社の名前はどういうところなのか、お知らせを願いたいと思います。
  201. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 現在まで、江崎グリコ、森永製菓等の食品流通業界、全部で三十一社に送達をされております。
  202. 経塚幸夫

    ○経塚委員 三十一社ということでありますが、その企業名は公表できないのですか。
  203. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 いろいろ影響がございますので、企業名については差し控えさせていただきたいと思います。
  204. 経塚幸夫

    ○経塚委員 女性と低学年の声のテープは公表されておりますが、これ以外の声のテープはあるのですか、ないのですか。
  205. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 何回かの脅迫、場所等の指示でテープが使われておりますが、人物を特定し得るような状況のテープというものは公開をいたしましたあのとおりでございます。公開ということにつきましてはどうしてもある程度人物特定可能といった条件が必要であろうと思いますので、そういった点を考えましてあのテープを選んだわけでございます。
  206. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、ほかにもある、しかし特定できないからということですね。  三つ目の問題でありますが、この犯人と直接接触したのが江崎氏、それからアベックですね。この三人から犯人像がある程度報告をされておると思うのですが、この点はどうなんですか。
  207. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 いろいろと詳しく聞いておりますけれども、江崎社長はもとよりですが、当時の状況から犯人像としてどうもはっきりした人物像を描けないということでございますので、江崎社長とアベックからはどうもはっきりした状況はつかめない、こういう現状でございます。
  208. 経塚幸夫

    ○経塚委員 つかめないということですが、私どもの知っておる記者がこのアベックに電話をしましたところ、一切合財全部警察に言ってある、この事件は早く忘れたい、ノイローゼになる、だからこれ以上聞いてほしくない、しかし全部警察に話してある、こういう回答であったわけであります。これは当然遠くからの接触ではなしに身近に接触したわけですから、犯人像がどういうものか、警察はキャッチしておると私は思うのですが、これがいまだに公表されないということは疑義の一つなんですが、その点はいかがですか。
  209. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 ただいまもお答えをしましたとおり、当時の状況についてはもちろん詳しく伺っております。しかし、この方々につきましては、当時の状況から犯人像は自信を持ってはっきり話をすることが不可能だ、こういう状況でございますので、状況はいろいろ聞いておりますけれども、それ以上はやむを得ない、こういうことでございます。
  210. 経塚幸夫

    ○経塚委員 新聞で読みましたところ、あなたは、一億一千万人の目と耳が頼りだ、こういうことを言っておられましたが、警察情報の公開がやはり遅きに失しておるということ、それからなぜ持っておる資料が今に至るも公開、公表されないのか。こういう状況では、一億一千万人の目と耳が頼りだと言っても、これは失礼な話かもわかりませんが言っているにすぎないのじゃないか。今の重点捜査はあのビデオとローラー作戦、それだけに頼っているわけではないと思いますが、そう受け取れる節も多々あるわけですね。  例えば青酸入りの菓子が店頭に置かれたのが、七日昼から夕方にかけて発見をされておる。ところが大阪府警の発表は八日の昼前でしょう。兵庫県警に至りましては届け出から三十時間たった後でしょう。小学生が同じ店で、その菓子ではございませんが別の菓子を買ってその日に運動会で食べたというようなことも報道されておるわけですね。事は人命にかかわるものなんです。一刻を争うわけですね。警察情報をつかんでおりながら、なぜ兵庫県警に至っては三十時間も経過してから公表するということになってきたのか。情報の公表、公開がおくれているということと全部公開はされないということについては、一億一千万人の目と耳が頼りだと言っても、やはりこれは警察の方で何かあるのじゃないかと要らぬせんさくをせざるを得ないわけであります。  私はやはり公表、公開をすべきだと思うのですね。これも時期は今だと思うのです。あの三億円事件について公開をいたしましたが、事件が起きたのが四十三年十二月十日で、一切の資料が公開をされましたのが四十七年四月十四日でしょう。三年五カ月たってからでしょう。しかも毎日新聞社の主催で公表、公開されたわけですね。十六万人が見て九十一件の有力な情報が寄せられた。一千万人の大捜査作戦、こう銘打ったわけでありますが、三年五カ月も経過してからすべての資料が公表されても記憶の問題もあるでしょう。だから、私は公表、公開するなら今の時期がチャンスだと思うのですが、その点はいかがですか。
  211. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 情報の公開につきましては、捜査を進める段階での経過との絡みが大きいと思います。例えて申しますと、ビデオにつきましても声につきましても、先ほども御答弁申し上げましたように現在四千件近くの情報が参っておるわけですが、この情報につきまして一つ一つつぶしていく、シロクロをつけていくということになりますと非常に多くの人手と時間がかかるわけでございます。事件の当初の基礎捜査を進める問題と情報捜査の問題との絡みがございますので、やはりこれはある一つの時期を考え情報公開するということで現在やっておるわけでございまして、今後もケース・バイ・ケースで、その状況をにらみながら公開については考えていきたいと思います。  なお、先ほどの青酸入りの森永製品が大分時間がたってから公表されたというお話でございますが、確かに時間がたっておりましたけれども、これは七日から八日にかけまして、特にあれば八日だったと思いますが、青酸入りの菓子が店頭に置かれた、それが警察の方にいろいろ届け出がございまして、それについて、本当に中に青酸ソーダが検出されたかどうかについての鑑定をやっておりまして、その結果まとめて公表した、こういうことで、県警によってはちょっと時間がずれておりますが、そういうタイミングであったわけでございます。  繰り返しますが、今後も情報公開につきましてはケース・バイ・ケースでやっていきたいというように考えております。
  212. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ケース・バイ・ケースということでありますが、やはり時期を失しては意味がないわけでありますから、この点は強く要望しておきます。  続きまして、財政問題と税制の問題のお尋ねに入りたいと思います。  まず補助率の一〇%カットの問題ですが、花岡さんの方で先ほど交付税への算入問題については意思はない、理由としては、いわゆる昭和二十一年生活保護法が制定されましたときに十分の八という現行社会保障制度、国の制度があるじゃないか、だからその問題をさておいて交付税に今算入するかどうかというようなことはそれ以前の問題だ、こういうお答えでございました。私は全くそのとおり、局長の御答弁のとおりだと思います。  確かにこれは、昭和二十一年のときには、緊急生活援護要綱制定のときには十割給付だった、国が十割負担だったのですね。それで社会保障制度審議会でも、その後十分の八では地方負担が重過ぎる、したがってこれは考え直さなければならぬ、こういう意見も出ておる。それから公的扶助の小委員会では九割という意見も出されたわけですね。そういう経過がありますから、当然生活保護法の第一条に明記されておりますように、憲法二十五条に基づいてこれは国の責任において処置しなければならぬ。だから、これは法制定の経過から見れば十分の八でもなお軽いのではないか。これを補助率一割カットするなどというようなことは許しがたい問題でありますから、局長のおっしゃるとおりだと思うのです。  しかし、もう一つの面でありますが、いわゆる交付税の基準財政需要額に算入するという問題については、私はこれはどのような理由があろうとも現行の三二%を引き上げない限り基準財政需要額へ改めて算入するということについてはその余地はない、そういう状況じゃないかと思うのです。つまり、三二%が制度化されました四十二年以降、費目にいたしますと十一費目が新たに需要額へ算入されておるわけですね。これは五十八年度の額にいたしますと七千二百億円に上っているわけですね。もしここで三二%の率の引き上げを横に置いておいて新たに需要額に算入するということになれば、他の需要額に対して影響を与えるという問題も出てくるわけですね。  したがって自治省の見解としては、生活保護法で十分の八という制度があるという問題と同時に、今日の三二%の率を引き上げない限りにおいては新たに需要額に算入する余裕も余地もないのだ、この点をやはり大蔵に対しても明確にすべきだし、局長の答弁もまたそういう趣旨も入っておるかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  213. 花岡圭三

    ○花岡説明員 現在の交付税の率の中で補助率カットによる影響を措置するということになりますれば、結局地方団体それぞれ共有の財源でございます自分たちの財源を食うわけでございますから、これは行革につながるものでも何でもない。地方団体が非常に苦しくなる、それ以外の何物でもないというふうに考えております。
  214. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今答弁がございましたように、これは今の時点で三二%を引き上げずに需要額に入れれば本当にタコの足と同じことなんですね、食う結果になるということ。だから毅然たる態度で臨んでほしいと思うのです。  私は大臣に改めてお尋ねをしたいわけでありますが、今回の補助率の一〇%カットがもし仮にやられるということになれば、今までの三年間の臨調行革の中でも、地方財政というものは極めて大変な事態になっているということを私はいろいろ調査をいたしました結果改めて認識をしたわけでありますが、これは地方へ行くほど深刻なんですね。例えば大阪府下の例を申し上げますと、交付税が五十七年に比べましてマイナス三一・八%、実に三割台の減額になっておるわけですね。  私の住んでおります東大阪市を例にとりますと、総額抑制、街路事業は、昭和五十六年臨調行革が始まる以前に比べますと実にマイナス五五%であります。助成水準の見直し、幼稚園の奨励などがマイナス一〇%、単価の引き下げ、公民館、教材費、これまたマイナス三〇%であります。国、府支出金と交付税の減額分が合計いたしますと四十二億円、これは予算総額の五%に上ります。ここへ一〇%の補助率カットになりますとこれが九億三千万円、これだけで予算総額の六%近い額になるわけですね。そこへ持ってきてここ三年間で超過負担が三十二億から三十七億へふえている。  そうすると、当然国が持つべきであるにかかわらず地方負担を転嫁されておる超過負担、それから臨調行革が始まる以前と比べてみますと、この三年間で抑制、減額されたもの、さらに一〇%の補助率カットを含めますと、実に予算総額の一割になんなんとするわけであります。財政担当者はこれでは予算が組めないと悲鳴を上げている、こういう状況であります。  だから、これは地方の実態としては後へ引けないわけです。後へ引けないという地方財政地方自治の今日の現状をバックにされて自治省も後へ引けない、こういう態度で六十年度の予算編成には対応すべきだ、私はかように考えますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  215. 古屋亨

    古屋国務大臣 今、東大阪の例をとられてお話がございました。私どもは、今の具体的数字は検討をしてまいりたいと思いますが、とにかく予算が組めないような状況になることは国としても自治省としてももちろん放置できない問題でありまして、今の一律カットというものは、とにかく地方財政の見直しではなくて、地方財政をかえって不公正に持っていく一番大きな動きをなすのではなかろうかというように私は心配をしておるわけであります。  先ほど細谷委員質問にお答えいたしましたが、この問題につきましては、私の方でも十分積極的な働きをいたしまして、自治省事務当局を初め、私も率先いたしまして積極的な措置をとりたいという気持ちでおることを申し上げておきます。
  216. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最後までその姿勢を貫いていただくように要望を申し上げておきます。  次に税制の問題、今回は固定資産の評価がえの問題に限ってお尋ねをしておきたいと思います。  六十年の評価がえ、宅地一九・九%、家屋、建物等が三ないし七%ということでありますが、これは実質上の大増税にならざるを得ない。簡単な例でございますが、昭和三十八年以来二十年間の評価額の上昇率をとってみますと、何と三十五倍なのですね。消費者物価がこの間三・六六倍ですよ。政府発表の実収入が七・六倍です。これは大阪市の淀川区の例でございますが、評価額がこの間に百九十六倍。先ほど局長は宅地については負担調整もある、こういうことでありますが、税額を例にとってみますと、負担調整は行われましたが、坪あたり三円九十九銭のものが五十八年で三百十一円七銭、負担調整されたとは言いながら七十八倍の税額なのですね。  大阪におきます実収入は、大阪府統計によりまして十五年間で四・九倍にしかすぎません。しかも、私が今例を挙げましたのは小規模宅地所有者であります。小規模宅地所有者は、大阪の場合は全体の中で七〇・三%を占めておるわけです。七割台なのですね。本日も年金生活者の問題だとかいろいろ質問で取り上げられましたが、障害者、年金生活者の負担はいよいよ強くなりまして、このままならば過疎地へ逃げざるを得ない、退職金を当て込んで手に入れたささやかな土地を老後手放さざるを得ないという新聞の投書も示されたとおりでございます。  既に全国青色申告会総連合会あるいは日本小売業協会等々から、六十年の評価がえは中止すべきである、こういう要望が出されております。私は、やはりこの際固定資産の評価がえを中止して、今日の税制全般について見直しをすべき時期だ、かように考えますが、その点どうですか。
  217. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 いろいろと数字を挙げての御指摘、お尋ねでございます。  固定資産税、これは戦後のシャウプ税制のもとで特に地方自治優先、市町村優先という原則のもとに市町村の基幹財源とされた大変大事な税源だと私ども考えております。  御指摘のように、昭和三十八年当時から比べますと相当の倍率になっているわけでございますが、これは一つには、昭和三十八年当時、御承知のようにそれまでの評価方式というものが必ずしも的確にいっていないということから、今日の標準地化準というような方式に切りかえたということ、これによりまして昭和三十八年から三十九年、四十年代にかけまして評価が、実勢には到底及ぶべくもございませんけれども、かなり大幅な見直しが行われた、そういう結果も含まれておるものと考えておるわけでございます。  固定資産税、先ほど申し上げましたように大変大事な税金でございます。と同時に、それがまた資産の価値に応じて御負担をいただくいわゆる物税としての性格を持っているということから、評価はやはり適正に行われなければならない。評価据え置きというようなお声もあるようでございますけれども、やはり評価は三年に一度やってまいりませんとそのためにかえって不公平も生ずる、非常に大きく値上がりをした土地、そうでない土地、いろいろございますので、そういった意味で評価は適正に行う必要があろうかと思います。  固定資産税、確かに二十年間に御指摘のように大きく上がってきております。ただ、こういった固定資産税の負担、税の負担というものは、納税者の立場からはできるだけ軽い方がいいというようなお気持ちはわかるわけでございますけれども、我が国の固定資産税、特に住宅地というような場合には、御承知のような特例措置も講じておりますし、また評価そのものが地価公示のいわゆる実勢価格に対して三割程度ということもございまして、実効税率で見ますと小規模宅地の場合には固定資産税だけで〇・一%、都市計画税を入れましても〇・二%というような程度で、これは感覚といいますか考え方の違いかもしれませんが、決して余りにも重過ぎるというような負担ではないと考えておるところでございます。  なお、評価は適正に行われる必要がございますけれども負担の急激な増加は避けなければならないということでございますので、負担調整措置につきましては、私どもも今回の評価がえに当たりましてもいろいろ検討を加えてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  218. 経塚幸夫

    ○経塚委員 局長の考え方は根本的に問題があると私は思います。そんなに大した負担ではないじゃないかと言わんばかりの御答弁のようでありますが、特に小規模の宅地を例にとってみれば、これは衣食住といって生活上絶対必要なものなのですね。売買の対象にはしないけれども、持っておるだけで地価が上がれば財産の価値がふえるじゃないか、この論理でいけば、たんすにしまってある洋服にまで固定資産税をかけなければならぬことになってくるのですよ、長い間洋服の生地を保存しておれば価値が出てくるわけでありますから。食料を保存しておれば、それも一定の年月がたてば今日のインフレの状況の中で高騰するわけでありますから、税金をかけなきゃならぬというようなことにもかりかねぬわけであります。  最低の衣食住、これについて、しかも二十年間で三十数倍にもなるようなこの評価額の中で、税額そのものから見ればもっと高額なものになってきておる。可処分所得の割合から見ればこれは年々上がっていっておるわけですね。だから、言われておりますように今日の固定資産税の課税のやり方については、憲法二十五条で保障された生存権に対して課税するというところに問題がある、だから根本から見直すべきだ、私はその点を指摘しておるわけであります。  そういう点を懸念すればこそ小規模住宅については、宅地についてはいわゆる負担調整制度を取り入れたわけなんでしょう。そうでなければ単なる物税だ、いや収益税だ、財産税だというようなことであれば負担調整制度の創設の必要はさらさらないわけであります。やはり一方で憲法二十五条の生存権という枠がありますから、いろんな調整制度がとられてきた理由もそこにあるわけですね。だからそれをもう一歩突っ込んで、特に小規模の宅地などについてはこの際抜本的に見直すべき段階に来ておる。価値が生ずる生ずるといいますけれども、いわゆる今日の評価の方式自体も矛盾があるわけですね。  例えばこれは一つの例でありますけれども、東京の場合世田谷区の小規模住宅、これは十九年間で百十六倍ですね。税額は六十五・七三倍なんです。ところが、同じ家屋の土地でありましても、千代田区のいわゆる丸の内のビル街、これは我々の調査によりますと十八倍ですよ。税額にしますと十六・三六倍ですよ。憲法で保障された最低限必要な小規模住宅につきましては百十六倍、税額六十五倍だ、丸の内のビル街では十八倍、税額が十六・三倍なんです。納得いきますか。だれだって納得いかぬですよ。  どうしてこんな矛盾が出てくるのか。道路に面した地点を最高額として、そして道路から離れれば離れるほど下がっていくという方式、つまり路線価方式をとっておるからこういう矛盾が出てくるわけですね。だから資本金数百億の大工場街へ行けばもっと安いということになってくるわけですよ、道路からずっと離れた工場地帯へ入っていけば。実際の支払い能力の問題から考えてみてもこれは矛盾が出てくるわけでしょう。こういう点も見直さなければならない段階に来ていると私は思うのです。  それからもう一点、今回の六十年の評価がえについては、新聞でも指摘されておりますように税収を上げるために恣意的に高い線をとったのではないかと言われておる。私の以前の質問者に対する答弁では、五十五年の七月一日から五十八年の七月一日まで三年間、これを一応の基準として三年間の価格をはじき出してきた。しかし見ますと、国土庁の基準地価によりますと、五十七年から五十九年までは一五・八%でしょう。同じ国土庁の都道府県の調査によりますと一二・二%でしょう。しかも五十七年七・四%から五十九年は三%に下がっておる。十一月の八日に発表されました国土庁の五十九年上期、四月一日から十月一日までは地価の上昇率はわずかに一・四%じゃございませんか。五十八年七月一日から五十九年七月一日までの一年間の二・七%よりさらに下がっておるじゃありませんか。鎮静化ところかずっと下がってきているんですね。  下がってきておるにもかかわらず、五十五年から五十八年までの三年間をとってきて、六十年から向こう三年間の課税の地価あるいは課税標準を決めるということは、これ自体まさに矛盾していますよ。過去三年間の経験からして六十年以降もそれくらいは上昇するだろうという、あたかも推測であるかのような御答弁がございましたけれども、それじゃ下がったらどうなりまんねん、こうなります、現にどんどん下がっておるわけでありますから。こういう点も極めて矛盾をいたしております。  国税庁の都道府県庁所在地の最高路線価を見ましても、五十七年一一・五%が五十九年六・六%にダウンでしょう。だから先ほど私が言いましたように、何か税金をできるだけ余計課税するような視点から六十年の評価がえが行われるのじゃないかという批判が出るのも当然だと私は思いますね。その点はいかがですか。
  219. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 いろいろお尋ねがございました。私、決して固定資産税の負担が吹けば飛ぶようなものだとは考えておりません。先ほどお答え申し上げましたのは、それが本当に生存権にかかわるまでの過重なものになっておるかどうかという点についてはそこまでのものではないのじゃないか。もし本当に生活上困るというような場合がございますれば、それぞれの市町村の条例によりましてそれなりの減免の規定もあるわけでございます。  ただ、御指摘のように、確かに固定資産税そのものが二十年間に非常に大きくふえたということはそのとおりでございます。固定資産税そのものの性格が、先ほど申し上げたとおりまさに市町村の基幹財源でございます。この二十年間におきましては、社会資本の整備なりあるいは社会保障制度その他行政サービスのレベルアップということが行われてまいりました。こういったものを支えてきたと言うこともできるわけでございます。また、それに応じた御負担を他の税とともにしていただいてきておる、こういう意味に御理解をいただきたいし、また固定資産税の果たしてまいりました役割をひとつ御理解を賜りたいと存じます。  評価方法につきまして矛盾があるではないか、こういう御指摘でございます。丸の内の例とそれから世田谷の例、大きく開きがある、こういうような数字を挙げての御質問でございます。おっしゃられました数字、正確に確かめておりませんけれども、恐らくそういった状況はあろうかと思います。  この点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、御承知のように三十九年におきまして評価方法を標準地比準方式に切りかえたわけでございます。したがいまして、昭和三十年代から四十年代の初めにおきましてはまだそういった方式が定着をしていなかったということがあろうかと思います。  それ以前の時代におきまして、丸の内のような都心の本当に整備されたああいった地区における評価の水準と、それから近郊地帯の評価の水準というものは実質的に見てかなり不公平と申しますか、アンバランスであったという状況が、三十九年の評価方法の改正によりまして大きく是正をされてきたということであろうかと思います。したがいまして、四十年代の初めと今日とを比較いたしますと、そういった丸の内と世田谷との間の評価水準の倍率というものはそう大きな違いはないのではないかと考えておるわけでございます。  また、そういった評価方法に関連をいたしまして、この路線価のやり方で、特に道路に面したところが高くて、後が、奥行きが安くなる、そういった点の矛盾が出ておるのではないか、こういう御指摘でございます。  これは確かに昔の市街地の使い方といいますかの状況におきましては、いわゆる奥行き逓減というものをかなり大幅に認めなければならない実態があったと思うのでございますけれども、しかし最近のように非常に大きなビルがそこに建って利用するという場合には、道路に面したところと、それからずっと奥の方とそう大きな違いはないというぐあいに考えられる点があるわけでございます。したがいまして、私どもは、そういった奥行き逓減のやり方につきましても、そういった大きなビルがたくさんあるような大都市などにおいてはその実情に応じて考えるべきだ、またそういった方法を大都市等においては実行をしておるわけでございます。  また、今回の宅地一九・九%というものは増収を意識してのことではないか、こういうお尋ねでございます。ただ、固定資産税の評価につきましては、先を見通すことはなかなか難しいことでございます。どうしても後追い的になってくるというわけでございます。今回の基準地の一九・九は、前回の二四%強に比べますと、そういう意味では全体としてだんだん地価の上昇が鎮静化しつつあるということを反映をしておるかと思いますが、ただ、それにいたしましても三年に一度でございますので、やはりさかのぼった時点からの地価の実勢というものを評価の基礎に持ってこざるを得ないわけでございます。  国土庁調査の平均一五・八%、これは先ほどもお答え申し上げましたけれども、地点が非常に大幅に変わりまして、二万数千の調査地点、公示地点の約四分の三が変更され、残り四分の一だけが未変更である。その未変更の部分だけをとってみるとそういうことになるというわけで、率直に申しましてそのまま直ちに参考になりにくい。したがいまして、先ほど申し上げました相続税の路線価、これは非常に大きく上がっておりまして、五十六年から五十九年で二八・二%も評価の水準が上がってきておるわけでございますが、そういった相続税の路線価なり、あるいはその他の地価調査、市街地価格指数、こういったものを参考にして出したわけでございます。  また、五十五年の半ばぐらいから五十八年の半ばぐらいと申し上げましたのは、これも国土庁の調査でございますけれども、この時点におきましては、評価の地点変更というのが五十九年に比べますとまだ余り多くないというようなこともございましょうし、その時点をとってみると大体二〇%に近い数字になっておりますので、決して意識的に収入をふやすために評価を上げたということではなく、適正に評価をしたいということから基準地価格を決めたわけでございます。  なお、評価のやり方につきましては、こういった評価がえの年におきましては十分適切に指導、適正な評価が行われるように市町村指導してまいりたい、このように考えております。
  220. 経塚幸夫

    ○経塚委員 恣意的にやったものではないということでございますが、これは私は了解できません。課税を強化するとすれば、これは五十九年度だけでも、自治省の発表で電気、鉄軌道、船舶その他で七百七十四億円の固定資産税のいわゆる減額をやっているわけでしょう。それでしかも、局長が編集されました「八〇年代の地方自治」、この中でも、いわゆる電力あるいは私鉄あるいは航空関係の固定資産税については、料金原価に占める割合が低下しておる、料金抑制効果が果たして果たされておるのかどうなのかというようなことも、あなたが編集委員になられておりますこの書物にも、そういう文言があるわけですね。  現にこれは料金の中では、電力九社を例にとりましても、その占める比率はうんと低下してきておるわけなんです。したがって、課税を強化するとすれば、こういういわゆる優遇税制ではないかと言われておるようなものについて、改めてこの際大いに見直すべきではないか、このことを申し上げて、大変時間を超過いたしましたが、質問を終わらしていただきます。
  221. 大石千八

    大石委員長 これにて質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会      ————◇—————