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1984-07-03 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三日(火曜日)     午前十時三十四分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       左藤  恵君    中川 昭一君       平林 鴻三君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山下八洲夫君    山中 末治君       岡本 富夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     田川 誠一君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         警察庁長官   三井  脩君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         警察庁交通局長 久本 禮一君         警察庁警備婦長 山田 英雄君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治省行政局長 大林 勝臣君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     梅沢 五郎君         警察庁刑事局保         安部防犯課長  古山  剛君         警察庁刑事局保         安部少年課長  山田 晋作君         文部省社会教育         局青少年教育課         長       伊藤 俊夫君         厚生省生活衛生         局指導課長   瀬田 公和君         地方行政委員会         調査課長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     山中 末治君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     五十嵐広三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
  3. 山中末治

    山中(末)委員 私は、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして質問を申し上げたいと存じます。大臣を初め関係皆さんの御出席、どうも御苦労さまでございます。  今回の法案につきましては、青少年非行の増大が今日の性風俗不健全化その他にあるということを前提として、いわばそのための改善策である、こういうことを成立のポイントにしておられるように見受けます。しかし、このようなことの因果関係統計上認めることは非常に難しいのじゃないかという感じがいたすわけでございます。  まだこの法案が出ておらなかったとき、五十八年の七月に発行された昭和五十八年版の警察白書でありますけれども、これによりますと、少年非行が戦後三回目の上昇期にあると説明されています。しかし、これは主要刑法犯少年についてでございまして、内訳を見て増加が認められるのは、殺人、強盗、放火等のいわゆる凶悪犯、同じ凶悪犯でも強姦は逆に減少していることが注目されるわけであります。また、暴行、傷害、脅迫、恐喝等のいわゆる粗暴犯、そして万引きその他の窃盗犯がありまして、中でも凶悪犯粗暴犯増加が著しい、要約しますとこういうことが書かれているわけであります。  こういう状況にもかかわらず、この法案先ほど申し上げましたようなことを目的として出されてきたというところに私は困惑をいたしておるわけであります。そして中でも、この法案の一部改正につきましては、一部改正どころか、相当大きな部分で多岐多様にわたって改正されているということでありまして、もう少し時間をいただいてこの問題を慎重に審議すべきじゃないか、このように考えておりますが、まず一番初めに、所管の大臣でございます田川国家公安委員会委員長さんから、この辺のお考えについてお伺いを申し上げたいと思います。
  4. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の改正案は、御指摘のように少年犯罪の激増、こういうものがきっかけになってこのような改正案を旧会にお願いをするようになったわけでございます。しかし、御指摘のように少年犯罪を少しでもなくしていくには、こういうような法律だけで全うできるものではございませんで、社会全般のいわゆる地域的な教育を充実していく、あるいはまた学校教育家庭教育、つまり大人の社会をもっとよくしていかない限り子供の教育といいますか犯罪を防いでいくことはできないのでございます。しかし、何といいましても少年少女を少しでも善導していくには悪い環境から守っていかなきゃならぬ、悪い環境に出入りができないようにしていかなければならない、こういう意味で今回の改正案国会に提出したような次第でございます。  もう少し慎重審議にというようなお話でございますけれども、これを出すまでには、関係団体その他関係者にもかなり意見をお聞きいたしましてこのような案をつくったのでございます。また、国会におきましても既に皆さん方から十分な御審議をちょうだいして今日まで来ているわけでございまして、そういう意味でかなり慎重にやってきたということではないかと思っておるわけでございます。どうぞひとつそういうことを御理解の上、さらに疑問の点がございましたらどしどしおっしゃっていただいて、御理解を深めていただくようにお願いを申し上げる次第でございます。
  5. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。  それでは、今大臣が今までかなり時間をかけて慎重に法案づくりをしてきた、こういうことでございますから、各項についてひとつ御質問を申し上げていきたい、このように存じます。  まず、四条一項二号の欠格事項の問題でございますが、営業許可基準現行法より厳しいようになっています。現行府県条例等では必ずしも一致しているわけでもないと思いますけれども欠格事項としては、賭博常習賭博賭博場開帳博徒結合淫行勧誘、公然わいせつわいせつ物頒布等の罪に問われた者に限られているわけでありますが、今度の場合は罪種規定と申しますか、そういうものがございませんので、これは世上非常に物議を醸しているところであります。  例えば交通事故等で、業務過失致死傷等で一年以上の懲役または禁錮刑のような法の適用を受けました場合、これでも今度の欠格条項に入るというふうに解釈をされるわけですけれども、今までは風営関係以外のこういうものは余り対象になっていなかったのですが、これを対象にされた理由をひとつお聞かせいただきたい、このように存じます。
  6. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗営業は本来国民に社交なり憩いの場を与える、そういう健全な娯楽を提供するものでございまして、社会的に必要な営業であるというふうに認識をいたしております。しかしながら、営業をする者の姿勢によりまして、それは不健全な営業に転化する可能性があるわけでございます。例えば、現に暴力団が経営してその営業資金源になっているというような例もございますし、最近御存じのとおり覚せい剤関係が大変問題になってきておりますけれども、この種の営業では覚せい剤中毒者営業しているという例も大変多いわけでございます。  そういうことから、こういうものにつきましては現在の法律では必ずしも十分排除できないという問題がございます。そういうことから、必要最小限度人的欠格事由を強化して風俗営業健全化を図っていきたい、かように考えておるところでございます。
  7. 山中末治

    山中(末)委員 御答弁された内容はわかるのですが、では交通事故等で罰を受けた場合、これも当てはまるということになりますか。
  8. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 業務過失致死傷で一年以上という場合に当てはまるわけでございますが、現実交通事故で一年以上の罪に問われるということは極めてまれでございまして、五十七年の統計で見ますと千人に一・四人がこれに該当する。いわば交通事故と申しましても、その場合には非常に故意に近い悪質な違反であるということが言えるわけでございまして、そういうものにはやはりこの規定を適用すべきではないか、かように考えておるわけでございます。
  9. 山中末治

    山中(末)委員 おっしゃっている趣旨といいますか、気持ちはよく理解できるのですけれども、必ずしも全部が全部そうではないのではないか、このように私は思います。営業権の問題でございますので、そのあたりの合理的な取り扱いといいますか、こういうものが必要ではないだろうかと私は思うのです。今の御答弁の趣旨理解します。しかし、現実にみんながそういうものじゃないというふうに思いますので、何とかこれは考えていかれるべきものではなかろうか、このように思います。  従来までの条例等規定をされていたもので、具体的にこれではだめなんだ、だからほかの事犯についてもこの欠格条項の中に入れなければならないのだという決定的な問題等が一例でもございましたら、ひとつお示しいただきたいと思います。
  10. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この「一年以上の懲役者しくは禁錮の刑に処せられ」という要件を定めるに当たりましては、他の法律十分参考にしてつくらせていただいておるわけでございます。例えば、他の法律旅行業法であるとか宅地建物取引業法質屋営業法等は一年以上なんという縛りがなくて単に禁錮以上の刑というふうになっておるわけでございまして、この改正案よりもさらに厳しいものになっておるわけでございます。しかしながら、こういう点は業者の御意見十分参考にしながら現在のような形の案にしたというところでございます。  そういうことでございまして、例ということでございますが、覚せい剤中毒者というようなものが非常に多いということを先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そういうものが私どもとしては何とか排除をしたいというものに考えておるものでございます。
  11. 山中末治

    山中(末)委員 覚せい剤中毒者、これは私も趣旨はよくわかりますが、今お問いしているのは特に交通関係です。交通事故といいましても、一〇〇%本人が悪いとか悪くないとかいう非常に難しい問題が現場ではあるようですね。そういうことから交通事故も入るのか、まあ入らぬ方がいいのじゃないかという感じがしましたのでお聞きしましたが、考えられる余地がありましたら何かの方法考えていただいてもいいのじゃないか、このように要望にとどめておきます。  それから次に、今おっしゃったことに少々関連いたしますが、暴力団等資金源になっては大変だ、営業する者の姿勢が大事なんだ、全くそのとおりでありますが、十一条で名義貸し禁止されておりまして、そして罰則規定もございます。名義を貸してはならないということで、それに違反をすれば五十万円以下の罰金ということが書かれていますけれども、しかし、これで効果が上がるでしょうかという実は疑問を持っているわけです。いろいろな方から実例を私も勉強して聞いたのですけれども、スナックとかバー、クラブというところは現実名義貸しが盛んに行われているということも頻々として耳に入ってきます。  極端な場合は、これは関西の方の例でございますが、今まで隣の店と共存共栄のような形で営業しておって、そしてお客さんが普通に来てくれておった。ところが、ある日突然隣がかわって、そしてこの中にも禁止になっていますけれども、客引きをやっているというわけですね。そうしたら、もうお客さんが嫌がってその付近に入らない。それは角っこだそうです。角っこの店でやられますと怖いから素通りしてしまうということがあるようです。こういうことを野放しにしているというわけでもないのでしょうけれども十分目を届かせてそういうことのないように、営業を認められておれば、それが普通に営業していけるような状況というものをつくり出していかなければいかぬ。  にもかかわらず、これは名義貸し禁止している、これに違反すればこうだよという罰則だけで具体的にどう取り締まっていくのか、私は非常に難しいと思うのです。名義貸しをやるのは盛り場等が多いようですから、そういうところへ行って、あなたのところは名義貸しをしているのか、してへんのかということを確認するのは非常に難しいじゃないか。警察の方の手もそんなに潤沢にあるわけじゃないだろうというふうに思いますので、これを法で規定をするということは結構ですけれども、もっときちっとこれをチェックしていく方法がないものだろうか。  例えば、先ほどちょっと保安部長が、他の法律も十分照らした上で出したものだ、先ほど質問にはそうおっしゃっていますが、今度の法律についてもそれと同じように、ほかの法律等も十分照らして決めていってはどうかというふうに思います。その一つの例としましては、もう御承知のように、自動車の免許証の切りかえ、それから建設業等許可証の切りかえ、こういうものが三年に一回ぐらい更新をされている。これは三年とは言いません、二年でも結構ですし四年でも結構ですけれども、大体そのあたり基準にして更新をさせて、そのときにチェックしていく、こういうことはできないものかどうか、御質問申し上げます。
  12. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今の先生のお尋ねは、名義貸しが実効が上がるかという御意見だと思います。  これはおっしゃるとおりなかなか難しいものでございまして、私どもとしても今後いろいろな形で工夫をしてやっていかなければならないというふうに考えております。  許可証更新制度というようなものを検討したらどうだというお話でございますが、実は私ども初期段階でそういう関係を検討したことがございます。しかしながら、先ほど許可基準の四条一項の各号に該当する場合には、今度は第八条の第二号で当該許可を取り消すことができるという規定も入れてあるわけでございまして、都道府県公安委員会は、やはりそういう許可営業者人的欠格事由というものを常時日常的に把握する必要があるではないか、これは我々の不断の努力がこれから必要になるわけでございますが、そういうようなこと。  それからまた、把握に必要な風俗上の犯罪だとかあるいは暴力団覚せい剤中毒者等につきましては、警察部内でも連携を密にいたしまして、ある程度従来よりも強力な形で把握できる体制を強化してまいりたい、かようにも考えておるわけでございます。  そういうことで、許可制につきましては、逆に、やはり許可業者に負担をかける面もございますので、当面私どもはそういう許可証更新制度ということでなくて、内部努力で何とかそういうふうな不適格な者を排除するという形で臨みたいということにしたものでございます。
  13. 山中末治

    山中(末)委員 ちょっと歯切れが悪いように思うのですけれども、一説には、これは初めはやはり五年か三年ぐらいで更新したらいいじゃないかという説があったように思うのです。それがなくなっているということで、この点ちょっと不明朗に思うのです。私はやはりあくまでもあったらいいと思います。これは十一条ではそういうことになっていますけれども、三条三項では、今度は逆にマージャンパチンコ等は一年ごと許可更新ということがうたわれているわけです。そうですね。  それで、マージャンパチンコゲーム機等というのは、後から申し上げますけれども、これは風営法改正の中に含まれなくてもいい業種じゃないかと私自身は思っておるのですよ。それが一年ごと許可更新をするということになって、そして先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども社会環境を非常によくしていこうじゃないかという努力のために出されてきた法律の中で、ほかのものが更新をしない、これは非常に矛盾じゃないかと思います。特にマージャンパチンコそれからゲーム機設置ですか、こういう業種に対して、一年ごと更新するということで出された根拠を簡単に御説明いただければありがたいと思います。
  14. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 マージャンパチンコ等関係更新の問題につきましては、二十九年でございましたかの関係で、地方税法等の一部改正に絡んで改正されたというものでございまして、一ついきさつがあるわけでございます。そういういきさつを尊重しながら、現状におきましても、状況は当時と大分変わってきてはおりますけれども、なお不安定な要素があるということで、これは現行どおりに置いておくべきではないかという形になっておるものでございます。  それから、許可証更新制度につきましては、先ほどもちょっと申しましたように初期段階では検討させていただいたことがあるわけですが、営業者の利便の関係等もございますから、そういうものの兼ね合いを考えて今回は内部努力でいこう、こういうふうにしたものでございます。
  15. 山中末治

    山中(末)委員 法案として出されておるわけですから、それぞれ一つや二つの理由はあると思いますよ。しかし、流れとして全体を見ていった場合に、これはあくまでも矛盾やなという感じがするのです。税法上の問題だとおっしゃっていますけれども、そういう経過はあったかもわかりませんけれども、やはり現実風営法の中で、片一方は全然更新をしない、そして名義貸し禁止している。罰則はあるけれども現実名義貸しということが非常に多く行われている。それは調査をするのも非常に難しいと思います。悉皆調査なんかはできへんと思います。  そうすると、何かの歯どめといいますか、こういうものが必要だと思いますが、それをすると手数料手間等も随分かかるというようなことも先ほどおっしゃっていましたけれどもマージャンパチンコ屋についても手数料については言えますね。これはぜひとも十一条の精神を生かして、罰則の適用される前に名義貸し禁止を実効あるものにさせていく、こういうことでお取り上げいただきたい、このように思います。議論が分かれておるようですけれども、決して納得したわけじゃありません、矛盾だと思いますのでひとつお考えを賜りたいと思います。  質問の項目が随分ありますので、次に移らせていただきます。  今度は営業所管理者制度の問題でございます。二十四条関係でございますが、この中で、実際できるかなと思いますのは、営業者が選任した管理者が、国家公安委員会等関係講習会に出たりあるいは教育を受けたりして、営業主助言指導をするということになっていますね。これは筋の上では非常にいいと思うのですが、現実に、営業主と、営業主が任命した管理者になるところの人、従業員が多いだろうと思います。監査委員会のようにまた一つ独立しておりまして、横におられて、単数じゃなしに複数で絶えずそういうものを監視していくという制度があればこれよりはましたと私は思いますけれども、雇い主、従業員関係の中で、指導とか助言とかいうことが実際に行われるだろうかということが一つ。  もう一つは、それを行った場合、今度は営業者がそれを聞き入れなかった場合、営業者に対する罰則がないのですね。そうすると管理者は、国家公安委員会の方からはどんどん言われるわ、言いにくいわ、言ってもなかなか営業主が守らないわ、その営業主には指導に従わなかった場合罰則がないということになったら、ざる法のような感じがするのです。建前はよくわかるのですが、そのあたりひとつお聞かせいただきたい。  もう一つは、この風俗営業風俗関連営業等の中で、必ずしも従業員を多く使ってやっているとは限らない面もあると思います。営業主になるのは、一定の条件さえ整いますと未成年者でもなれるわけですね。ところが管理者成年者でなくてはならない、こういうことがございます。その場合、これは極端な例ですけれども未成年者営業主になった場合、まだ管理者を雇い入れるだけの営業成績がない場合にも成年者を一人雇い入れなければならない、法律を読んでいますとこういうふうに思うのです。ごく限られた少数の例だと思いますけれども、そういうような場合には、営業者自身管理者を兼務するという場合もちまたではあり得るのじゃないかと思います。  この法律に書いていますけれども管理者というのは、経営者自身がその店へ出てきてじかに自分の目の行き届きかねるところを経営者にかわって店の状況等を善良に管理していく、この法に違反せぬようにしていくということが目的のように実は私は思うのです。したがいまして、そういう一つの店を持っておって経営者はそこに出ておる、しかし管理者を置くだけの力がないという場合に、そういう店が一つの場合は兼任をしてもいいのじゃないかと私は思うのですが、その辺の御見解をひとつお聞かせいただきたい、これが第二点目であります。  それから二十四条の三項でありますが、「営業所における業務の適正な実施を確保するため必要な業務国家公安委員会規則で定めるもの」というのは、この間いただきましたプリントによりますと、「構造設備維持点検従業者名簿管理など」と書かれています。構造設備維持点検従業者名簿管理等であれば、先ほど申し上げたように事業主兼任でもいける問題じゃないかというふうに思うのですが、「名簿管理など」と書いてありますので、そのほかに国家公安委員会規則で定めるものがございましたら、この機会にひとつお教えをいただきたい、このように存じます。
  16. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いろいろ御質問があったわけでございますが、一つ助言指導ということに関連いたしまして、管理者営業者に対して助言指導というのがなじむのかというお話ではなかったかと思います。あくまでもこの二十四条の四項の書き方は、風俗営業者は、管理者が前項に規定する業務として行う助言を尊重し、またはその代理人等は、いわゆる従業者でございますが、これは管理者指導に従わなければならない、こういうふうに読み分けていただくわけでございます。営業者に対しましては管理者はあくまでも助言ということでございまして、これは努力義務でございます。したがいまして、どうしても営業者が従わないという場合は別に罰則がかかるわけでもないということでございます。  それから営業者管理者を兼務できるかということでございますけれども、これは実際に営業者がその店を管理しておるということであれば兼任が可能であるというふうに考えております。しかし、目の届くことが必要であるということでございます。保ただ、未成年者につきましては望ましくない、こういうふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、風俗営業というのは非常にもろもろの問題を生ずるものでございます。客との関係におきましてもいろいろございます。あるいは暴力団等が関与してくるという要素もございますでしょうし、性の問題その他いろいろな問題が絡んでくるということで、それは成人としての識見、判断というものが必要になるのではないか、こういうことでございまして、原則としては兼任はオーケーでございますが、未成年の場合にはやはり法定代理人等管理者になっていただくというようなことでやっていただくことであろう、かように考えております。
  17. 山中末治

    山中(末)委員 一つ抜けております。二十四条の三項に「国家公安委員会規則で定めるもの」というのがございますね。この内容は、構造設備維持点検従業者名簿管理などを明記していく、こう書いていますが、構造設備維持点検とか従業者名簿管理なら、別に管理者を置かなくても、本人、営業者でいけるだろうと思いますが、そのほかにもあるだろう、そのほかは何ですか、こういうことを聞いているのです。
  18. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今お話しのような構造設備維持点検あるいは従業者名簿管理、それから苦情の処理のようなもの、あるいは関係機関、団体等とのいろいろな連絡というようなことが入ってくるのではなかろうかという感じ考えております。
  19. 山中末治

    山中(末)委員 先ほど営業主に対して管理者はあくまでも助言するのだ、こういうことでございましたね。しかし法文には助言指導ということがうたわれていますね。この点はどうなんですか。助言なら助言だけにしておけばいいのじゃないですか。
  20. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは一つの立法技術上の問題でございまして、風俗営業者のほかに、「又はその代理人等」というのがございますので、これに対しましては、管理者がその業務として行う指導に従っていただくということであるわけでございますから、これは立法技術上こういうふうに書いてあるということでございます。風俗営業者に対しましては、そのステータスから考えまして、従業員たる管理者経営者たる者に対して指導するというのは、どう考えても不自然なわけでございます。それは読み方としては適当でない、こういうことになっておるものでございます。
  21. 山中末治

    山中(末)委員 私は立法技術というのがよくわかりませんので、立法技術と言われると、今鈴本部長のおっしゃったことをそのままのみ込まざるを得ないような気分になるわけですけれども助言指導と比べてみると同列じゃないですね。指導の方が強いですね。これが、指導目的で、助言等も行うということなら私は立法技術上のことではないかと思いますけれども、むしろ軽い方が本当で、強いと思われる方がそれは立法技術上の用語だと言われても、ちょっとそうですかというわけにはいかないような感じが素人でございますのでしますが、どうでございます。
  22. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これの書き方はいろいろ詰めたわけでございますけれども、要するに「風俗営業者又はその代理人」、AとBがあるわけでございますが、それに対して行う行為がまたAとBがございますが、AはAに対して、BはBに対して、こういう書き方を一般にしておるわけでございます。そういうことで、風俗営業者助言を尊重し、またはその代理人は業務として行う指導に従う、こういう書き方を一般にしておるものでございますから、そういう形で書いたというものでございます。
  23. 山中末治

    山中(末)委員 余り議論をしても同じことだなという感じはするのですけれども風俗営業者には助言、これはわかりました。その代理者には指導、代理者というのは風俗営業者にかわる人でしょう。そうすると、立場は同じことじゃないですか。
  24. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ここで書いてあります「又はその代理人等はこというのは、一般の従業者考えておるわけでございます。この管理者というのは、支店なり何なりというものを統轄管理するという立場にあるわけでございますから、そういう立場の者がそこで働いておる従業者に対して指導するということをうたったにすぎないものでございます。
  25. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。その辺でとめておきます。これはそういうことを法制化される場合に特に御注意願いたいと思うのです。現場の管理者は本当に弱いのです。これは営業主に対しては助言です、その目的は、営業主がしょっちゅう現場に出ておらぬからわからない、国家公安委員会指導とかいろいろな指導がわからない、それを説明しながら、こういうことですよということを助言して助け上げていく、これですよということをはっきりさせておいてほしい。後の方の指導については、営業主に対してということではなしに営業主以外の従業員等に対して指導していくのだ、これはひとつ徹底をしてほしいと思います。よろしゅうございますね。  それでは、その次に移らせていただきます。  次は三十八条の問題でございますが、少年指導委員制度ということが初めて出てきたように思います。私も実は、少年指導委員じゃなかったのですが、補導員という、これは民間団体の協力を得てやってきた覚えがございます。三十八条の二項の仕事の内容ですが、これは「少年又は保護者からの相談に応ずること」、このように規則の考え方では述べられておりますね。これはわからぬこともないのですけれども、まず三十八条の四項で、少年指導委員というのは名誉職であるというふうに書かれておりますが、名誉職というのは一体どんなものか。  それから、法文の解釈ですが、間違っておれば御指摘願いたいのですが、名誉職でありながら、捜査権のようなもの、身柄の拘束権のようなものが与えられているのじゃないか、あるいはまた、風営法以外の一般飲食店あるいはまた興行場営業にまでこの委員さんの活動の対象が広がっているのじゃないか、このように私は理解しておるのですが、ひとつこの点について御説明をいただきたいと思います。  それから三十八条の三項は、この委員さんには守秘義務が一応うたわれております。しかし、守秘義務についてはうたっておりますが、これも罰則規定がないのですね。ないと私は理解したのですが、守秘義務をうたいながら罰則規定がないというのはどんなものでしょう。これは私どもの経験でもございますが、首都圏とか中部圏とかいう話ではございませんけれども、守秘義務を侵す場合が往々にしてあるのです。職権乱用というのが当たるかどうかわかりませんが、そういうものによって少年の人権を損なったりする場合もあるのです。これは主として教育的な配慮に欠けるということあたりからこの問題が出てきている例が往々にしてございます。  そういうことで守秘義務は大事ですけれども、それに違反した場合は、もうやめなさいということはありますけれども、それ以外はないのですね。だから先ほど申し上げたように名誉職である、そしてこれに背いた場合はもうやめてもらうというだけであっては、少年の人権を傷つけられたりする問題は一体どこで取り戻すことができるのだ。もう少ししゃんとした規則ができないものだろうか。これは委嘱者が公安委員会ですから、公安委員会の責任というのは非常に重い、こういうふうに思います。これは例が何回もありまして、私らが委嘱した委員さん、そういう守秘義務というようなかた苦しいものじゃなかったのですけれども、非常に問題が出てきて、私はその少年の名誉を回復するためにもう平謝りに謝った、一生懸命努力したという経過があるものですから、その辺を二つ目にお聞かせいただきたいと思います。  それから、私の考えなんですけれども、これはお釈迦さんに説法のようですけれども犯罪の防止と非行の防止とは多少質が違うのじゃないかというふうに思えてなりません。少年非行の防止については、先ほど大臣もおっしゃっておりましたように、社会環境、そういうものとあわせて、家庭、学校、社会教育、こういうものをみんながよくしていかなければいかぬということが非常に大事じゃないかと思います。今度の法令の案で警察が一歩前へ出られたように非常に強い印象を受けたのですが、これは警察権力というものが全面介入するということになると、規則づくめでこれを取り締まっていくといいますか補導していくということになりますので、結果的には悪いんじゃないかなというふうに考えておりますが、この点もあわせてひとつ、その辺の目的をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 山田晋作

    山田説明員 幾つかございますので、順次お答えしたいと思います。  最初、少年指導委員は名誉職である、その名誉職というのはどういう趣旨がというお尋ねでございました。  これは法律上、有給職に対する用語でございまして、生活を保障するための俸給とか給与を受けないで公の機関に職を持っておられる方という用語でございまして、別段他意はございません。  それから二つ目ですが、少年指導委員はどんな活動をするのかということでございますけれども少年指導委員は、風俗関係営業の及ぼす悪影響から少年を保護する、そのための制度である、こういうことでございまして、簡単に申し上げますと、例えば深夜盛り場を徘回するような少年に帰宅を促すとか注意をするとか助言する、こういったこと、それから少年に悪影響を及ぼしているような成人に対して、少年の健全な育成のために必要な協力を求めるというようなこと、これはいわば大人に対するものでございます。  それから三つ目が、地域における環境浄化活動、それから啓発活動、いわば少年の健全な育成に資するための活動ということでございます。こういったようなものを少年指導委員の仕事の範囲、内容というふうに規定したものでございます。  それから、少年指導委員の行う補導というお尋ねがございましたが、補導といいますと、私どもとしましては、個々の少年に対しまして、その健全な育成のために働きかけてこれを善導する活動、こういうふうに考えているわけでございますけれども、これを警察官が行います場合には捜査とか調査とかいったこともいたしますのこれは刑事訴訟法とか少年法とかいうふうな手続法規に基づきまして、少年に対して捜査とか調査とかいうふうなこともいたします。ただ、ボランティアの方にやっていただく場合には、そういった手続法規も根拠法規もございませんので到底できませんし、やはり先ほど申し上げましたように、少年に対する指導とか助言とか注意とか、そういったものにとどまるものであるということでございます。何ら強制にわたるような特別の権限を与えたものでもございませんし、任意の活動である、こういうことでございます。  したがいまして、風俗営業とか風俗関連営業に立入権を与えているのじゃないかというふうな向きもございましたけれども、そういったものも法律上の根拠もございませんし、そういったことは考えてございません。  それから、守秘裁務に罰則がないではないかというお尋ねでございましたが、確かに罰則を設けるということは一つの方途かもしれません。しかしながら、少年指導委員のようなボランティアに対しましては、先ほどから申し上げておりますが、無報酬で自発的に協力をいただくといったようなものを法律上取り上げた、法律上の職にしたということでございまして、これに対しまして、仮に守秘義務に違反したとしましても罰則で担保するというのはいかがなものかということでございまして、委嘱するということは公安委員会とボランティアの方との間の信頼関係でございますから、信頼関係に反するということになりますと当然解嘱というふうな形で退いていただくというのが適当ではないか、かように考えております。  それから、非行防止と犯罪防止とはおのずから差があるのではないか、たしかこういうことがございました。  成人の場合ですと、これはもう単純に犯罪の防止ということでございますけれども少年の場合は、少年が仮に犯罪を犯しますと、社会防衛とか社会秩序の維持という意味から犯罪を捜査し、これはさらに検挙して防止していくというふうなこともございますが、少年の場合はそのほかに少年の人権だとか、それから少年を将来健全に育成するというふうな意味からの保護という趣旨がございますので、この場合にはやはり非行の防止というふうな別の要素が入ってくると思います。したがいまして、少年につきましては犯罪の防止と同時に非行の防止、保護といったような考え方ももちろん入ってくるのではないかと思います。  それと、この少年指導委員を設けることによりまして警察が一歩前に踏み出したのではないかというふうな御指摘がございましたけれども、決してそういうものではございませんで、現在もこのボランティアの制度につきましては少年補導員といったような制度もございまして、やはり盛り場を徘回しているような少年に対する注意だとか助言だとかいうふうなことをやっていただいておるわけです。これは非常に大きな成果をおさめているわけでございますけれども、いかんせんその根拠、これは警察庁の本部長通達で行っているような制度でございまして、根拠の方がやや弱いというふうなことから、対外的な知名度とか信頼度といったようなものがもう一つであるというふうなことで法律上の制度にいたした、こういうことでございまして、この制度を設けることによって警察が権限を拡張しようとかいうふうなことは毛頭ございませんので、よろしく御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  27. 山中末治

    山中(末)委員 ボランティアですから罰則規定というのはだめなんだ、こうおっしゃいましたけれども、僕は、それはやはりボランティアであっても禁止条項に違反した場合ははっきりすべきだ、明確にすべきだ、こう思いますよ。  それともう一つは、ボランティアで名誉職というのは報酬、給与等が要らないんだというふうなおっしゃり方、これは自治大臣の御答弁は要りませんけれども、そういうことが都道府県、市町村の財政を圧迫していく一つの要因なんですよ。上の方では、上と言えば語弊がありますが、国の方ではこれは名誉職なんです、報酬も費用弁償も何も要らないのですと。しかし、この少年指導委員というのは、これから夏休みがありますね、非常にこれは大変なんですよ。夕方御飯も食べずに出ていって、私も経験が何度かありますけれども、盛り場を回るのですよ。おなかも減ってくるのです。そして自分の町だけでなしに、やはりパスに乗っていったり乗り物に乗っていかなければいかぬ場合があるのです。その費用も全部持たすのですか。国が持たすとおっしゃっても、必ずそれは地方自治体の中で出せということになってくるのですよ。  ある省で大臣が委嘱をしておられる職があるのです。これは年間に千円とか千五百円しか費用弁償は出てこないのです。そんな千五百円ぐらいの報酬ではどうしてもやっていけません。その人が委嘱されている職は立派な職なんですよ。全部これは地方自治体にその費用弁償とか、またたまには夕方食事も要りますわね、どんぶりでも出せということで。調べてごらんなさい、随分出でいますよ。だからそんな簡単な考え方で、名誉職だから守秘兼務を怠ったりした場合でもこれはもうやめてもらうということだけにしますというようなことではだめだ、私はこう思います。  それから、今でも警察の方からも委嘱をされているところがあるのですね。現場では今では混乱が起きておるのですよ。警察の方から委嘱されたんだ、その委員だ。片一方は委員ですよ。片一方は地方公共固体から、あるいは団体が相談してその中で自発的に、補導員と言いますけれども、補導員をやっておるのですよ。その中で勢力争いとは言いませんけれども、片一方は、わしは警察の方から委嘱された委員や、こうなるんですよ。肩ひじ張っていくわけです。そういうことが現場であるのですよ。だから、これは勇み足がないとは言えません。ですから、この守秘義務を規定するということだけじゃなしに、何らかの実質的な方法考えてもらわぬと現場で混乱が起こってくる、こう思います。  指導委員の費用弁償等は要らぬとおっしゃるけれども、必ずこれは要ってくる。これは公安委員長お願いすると同時に、やはり地方公共固体の財政の問題、これは一つだけでは余り大したことはないのです。しかし、こんなのが積み重なってくると大変なんですよ。だからその点は今後ひとつ御注意をして見ていただきたい、このように実は思うわけでございます。  それからさっき保護するとおっしゃいましたね、これはいいことなんですけれども、この法の中で、今御質問申し上げたときには保護していくんだ、先ほどお話でもそういう悪い環境の中へ出入りできないようにしていくんだということを概論としてはおっしゃっているのですよ。ところが、今度の法律の中では、パチンコマージャンゲーム機等営業の終了時間は今まで十一時までだったんでしょう。それが十二時までになっているのですよ。少年が出入りしないようにしていくんだという概論、総論を言っておきながら、ここでは十一時までで閉店をせないかぬものを十二時まで延長しておるのですよ。それなら、出入りをするなという親心、保護をしていくのと時間を延長されるのと諭旨一貫せぬと私は思うのです。  後から申し上げようと思っていましたけれども、このパチンコ店とかゲーム機は十一時までよりももっと早くてもいいんじゃないか。私はときどき東京でパチンコに行ったことがあるのです。大体十一時までやっていませんよ。十時過ぎたらもうがさっと減ります。だから今のままでもいいんじゃないか。これはあえて保護を口にしながら、青少年がそういうところに出入りしないようにしていくんだと言いながら時間を延長しているというのは諭旨が全然合わぬ。だから、もとに戻すかあるいはまた適切な、適当な時間にコントロールしていく、もっと早く閉めていくというふうにされるべきじゃないか、このように思いますので、ひとつ御答弁をお願い申し上げたい。  それからもう一つは、そのようにパチンコ店等については、私はほかのマージャンもゴルフもやりませんけれども、このパチンコだけはときどきひょこっと行きます、時間つぶしといいますか気分転換といいますか。早く帰るのですね。十時過ぎたら半分以上減ります。それほど健全化してきているんじゃないかということが言えないこともないのです。だから、風俗営業の遊技場営業ということでこれは規制しなくてもいいところまで来ているんじゃないか、このように思いますが、あわせて御質問を申し上げておきます。
  28. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 営業の時間と少年の立ち入りの関係でございますけれども営業の時間につきましては、現在の国民生活の変化、社会環境の変化ということに合わせまして、一応の基準といたしましては十一時を十二時にしたということであるわけです。これは、社会の実態にある程度合わそう、法の最小限度としてそこでいいだろう、こういうことにしたわけでございますが、子供につきましては、立ち入りを認められる者につきましても十時までという形で法上は整理をしておるわけでございまして、この点は首尾を一貫させておるというふうに考えておるわけでございます。  パチンコゲーム機等ももっと時間を早めたらいいじゃないかというお話もございますが、法律といたしましては、必要最小限度ということの規制は営業との兼ね合いで考えていくべき問題だというふうにも考えられますので、そういうことで法律上は必要最小限度としたわけでございますが、業態によっては自主規制もされるところもございましょうし、そうでなければ、この条文でも、二十一条で条例でもって格別に定めをするということが可能にもしておりますので、そんなような形でやっていただくのがいいんじゃないか、かように考えております。  それから、パチンコが非常に健全化しておるじゃないかというお話でございまして、風俗営業から外してもいいんじゃないかという御指摘でございますが、パチンコ営業をいろいろやっておられる中で、射幸心をそそるおそれというのは現実にもいろいろあるわけでございまして、そういう面からの規制というものは現在やはり緩和できる状況にはない、今後その状況は続けていかなければならない、かように考えております。
  29. 山中末治

    山中(末)委員 それでは、後で予定していた質問内容が重なってまいりますので、続けて御質問申し上げたいと思うのです。  言葉の揚げ足取ったらちょっといかぬと思いますが、質問しようと思っておりましたので御勘弁願いたいのですが、射幸心をそそるとおっしゃいました。私は、射幸心とは一体何ですかということを聞きたかったのですが、私の解釈では、自分の技術とか意思というものがほとんど入らずに、機械とか、あるいは馬が走るとか自転車が走るとかモーターボートが走るとかということで、その結果において当たったとか当たらぬとか、収入があったとかなかったとか、こういうことではないかと思うのです。そんなことを言い出したら、パチンコだけではなしに随分射幸心をそそるといいますか、そういうものがあるんじゃないですか。  発表によりますと、このパチンコ人口は四千万人ほどあるようですね。大学の先生がパチンコの本を経済学的な立場で書いておられるのを私はちょっと読んでみたのですけれども、それを読みますと、パチンコ人口というのですか、四千万人ほどそれがある。そしてほとんど健全化されているということで、射幸心をそそるというもの、ほかのギャンブル等と比べてみたら一般的に間々ある日常の問題だというふうに私は思っているのですが、その点、ちょっと射幸心をそそるというのはどういう御理解をされているのかお聞かせをいただきたいと思います。  それとマージャン荘ですか、あそこで今まで酒類は出されなかったのです。食物はよかったのですね。今度の法改正では、時間が十一時から十二時まで一時間延びて、なおかつそこで酒類の提供をしても構わないというふうに私は理解しておるのです。マージャンというのを私はやったことがないのでやっている本人の気持ちはわかりませんけれども、やった後どうなっておるかというのは往々今まで生活の中で見ました。給料日に伝票が回ってくるのですよ。Aさん、Bさん、Cさんと何名か名前を書いて、Aさんは何点、幾らと回ってくるのです。それで給料日にみんな払っているのです。これは普遍的になっているようです。私は目撃しておるのです。会社に行ったら、給料日になったら必ず回ってきますよ。  それともう一つは、二時か三時ごろになりますと電話がかかってきます。私がマージャンをせぬということを知っていますから私には誘いかないのですが、おい、一名足らぬのでもう一名何とか都合してくれや、こういう電話がかかってくるのですよ。そうすると、だれかマージャンを知っている人に言わぬとしょうがない。その人、かわいそうに家へすぐ電話をしまして、きょうはちょっと部長のつき合いがあってマージャンに行かんならぬので、きょう帰ってからの予定キャンセルしてくれやということを家へ電話しておる。電話しているのはまだいい方なんです。そうしてマージャンしておるのですよ。そして月給日が来たら、何さん何点ということで、どのくらいお金を払っているのかわかりませんけれども、そういう伝票が回ってきているのを往々にして見ている。  そこではまだ酒類の提供がなかったから遅くなってもそのまま帰れるのですよ。今度は勝ったら勝った、負けたら負けたということでそこでまたやるでしょう。先ほど大臣がおっしゃったように、社会環境がよくならねばいかぬ、そして親がもっと子供のためになるような環境に協力していかなければならぬのだということを総論では決めておきながら、酒類を出してもよろしい。負けた勝ったの中で酒を飲んで、そしてその時分になったらもう電車がなくなってしまう。十二時になったらほとんどはなくなってしまう。そうするとタクシーに乗って帰る。そして家へ帰って、酒に酔っぱらってがたがたやっている。奥さんも困るし、子供もそんな親をどう思うか。マージャン荘の時間を延ばして、酒類を提供させて構わぬということにして、マージャンをするようなお父さんの言うことを聞くなよという反面教師にこれを使われるのかどうか、そのような感じがしてならないのですよ。  これも大臣がおっしゃったように、やはり大人が子供の鏡になる場合が非常に多いと思います。そういう面でもうちょっと総論に近づくような形、これをしていただきたいと私は思うのですが、いかがなものでございましょう。
  30. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一つは射幸心ということでございますけれども、これは偶然に利益を得ようとすることでございまして、最大の要素は財産的利益を得よう、こういうことでございます。このときに、偶然のものが多いわけでございますけれども、技術が絡みましてもそういう偶然の要素があれば、それはやはり射幸心をそそるということになるということでございます。したがいまして、極端な例を言えば、囲碁でも将棋でも、そういう技術的なものでございましても、そういうものをもとにして金がかけられるということになりますと、それは賭博になるということは判例でも従来からあるわけでございまして、そういうことで、技術という問題がありましても、偶然という要素がある以上は射幸心をそそることがあり得るということでございます。  それから、今ほかにもたくさん射幸心をそそるものがあるじゃないかというお話がございました。それは射幸心をそそるものがあると思いますけれども、定型として、営業としてやっておるもの、そういうものに対しまして、射幸心をそそるおそれがないように規制をしていくということはどうしても必要になってくるということでございます。  それから、マージャンの問題で酒のお話が出ましたけれども、酒は原則としてオーケーといたしております。これは、酒とマージャンというものがいきなり結びついて、酒を飲むと射幸心をそそると直ちに言えるかどうかという問題があるのではなかろうか。したがいまして、法律というものはいいとか悪いとかというのじゃなくて、やはり必要最小限度の規制をすべきものだと考えますので、そういうことで他の営業との兼ね合いもございます。いろいろの問題でここだけを細かくやかましく言うという形がいいか悪いかという判断の問題にかかってくるのではなかろうかと思います。  そういうことで、一応法律といたしましては格別に遵守事項には入れていないわけでございますけれども、それは必要があれば条例でもって書けるようにもしてあるわけでございまして、そういう状況を見ながら、そういう弊害があるとすれば条例で決めていただくということになろうか、かように考えております。
  31. 山中末治

    山中(末)委員 聞かせてもらっていますと、法の趣旨と個々の条文とやはりぴちっとそろってないと思いますね。説明されている言葉の内容はわかっているのですよ。わかっていますけれども、法の趣旨、立法の趣旨、それと個々の面では相当出入りがあって、すかっとしたものじゃないという印象を私は特に強くしました。やはり総論において目がけているところを条文の中でも採用していただきたい、このように要望いたしておきます。  次は、三十七条一項の立入検査の問題でございます。これは、警察官が営業所に立ち入って業務の報告、資料の提出を求め、帳簿、書類その他の物件を検査し関係者質問する、要約するとそのように私は読んでいるのですが、ちょっとこれは行き過ぎじゃないですか、そう思います。  そのためであると思いますが、三十七条の三項に、この「権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」わざわざそういうふうに一項設けてつけられています。しかし、検査のために立ち入りする方と犯罪捜査のために立入捜査をする方が同じ人であるということになれば、これは現場で非常に物議を醸してくることになるのではないか。調査ということなら今まででも立ち入りはできたわけですね。ですから、立ち入りの調査ができるという現行法程度で本当はいいのじゃないか。警察の方が、先ほど申し上げた帳簿とか書類とか資料の提出とかを調査したいということで求められる。それを拒否した場合はぴちっと罰則がありますね。これはちょっと行き過ぎじゃないか、私はこのように思うのですが、これについてのお考えをひとつ聞きたい、このように思います。  私も税の問題で判断が出ているのを知っているのですよ。知っていますけれども、これは検査でしょう。前ぶれなしにすっと行く。犯罪捜査の場合は前ぶれなしに行かれるのですね。しかしこれは検査の場合ですから、前ぶれなしに突然すっと行かれて、帳簿出せ、何出せと、言われるのか。そういうことになってきたら、これはどなたかの議員がおっしゃったかもわかりませんけれども営業に関する秘密といいますか、そういうもの、これが侵されることにならないか。憲法の三十五条、これは私が今さら言わなくてもわかっていますけれども、これは権限を有する司法官憲が発する令状がなければ「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない」という権利を与えているわけですよ。これに抵触しているのじゃないかというおそれを私は非常に狭くするものでございますから、その辺もあわせてひとつ御説明をいただきたい、このように思います。
  32. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この三十七条の改正案は、現行考え方を変えておるわけでも何でもないわけでございまして、私どもはこれはむしろいろいろな形でもって慎重な配慮を加えて書いたものだというふうに考えておるものでございます。一つは、「帳簿、書類その他の物件を検査させ、」という文言が書いてございますけれども、これは現在の立法例にならいまして、近時の立法例は大体こういう書き方をしておるわけでございまして、それにならって書いたということでございます。  それから「報告若しくは資料の提出」というのも、これも大体立法例にならって書いたわけでございまして、何せこの法律は二十三年当時できたものでございますから、ある意味で非常に簡潔にできているわけでございますけれども、最近は国民の利益を考えてきちっと書いていくということが大体趨勢になっておるわけでございまして、そういうことからそういうものを書いてきたということでございます。特に「報告若しくは資料の提出」といいますのは、これは立ち入りをしなくても済む場合があるじゃないか、したがって報告なり資料の提出ということをやって、立ち入りをやらなくても済めばそれに変えていくという方がむしろ営業所の利便につながるのではないかという考え方で導入したものでございます。  それから立ち入りというのは、これはこの法律目的を担保するために、行政上の指導監督のために行われるわけでございまして、あくまでも風営上の立ち入りであることを明らかにして行うわけでございます。したがいまして、その点で営業者が判断に苦しむということはまずないと考えております。  前ぶれなしにいくということはどうかという御質問でございますが、立ち入りというものの性格上、全部連絡して行ったのではその目的を達せられないということもあるわけでございますけれども、しかし、この運用は私どもとしては慎重に、柔軟に対応していきたい、こう考えております。ただ、すべて前ぶれをしなければいけないということになりますと目的を達せられない場合もあるということでございます。  そういうことで、いずれにいたしましてもこれは行政上の目的のために行うものでございまして、いろいろ刑事手続における証拠だとか、あるいはこの風営法の施行に関係のない税金の資料だとか、そんなような関係のないところの資料をこれでもって検査したり何かするということでは全くございませんので、そういう意味で憲法上の問題は生じない、かように考えております。
  33. 山中末治

    山中(末)委員 また立法例にならってということで、立法の技術等についてほとんど知らない私にとっては理解しようとしてもなかなかしにくい用語でして、また勉強をしたいと思いますが、ただ、法律というのはつくればひとり歩きをするということはおわかりだと思います。ですから、今おっしゃったように、帳簿、書類、資料等については立法例にならってこういうふうに記載したんだ、立ち入りしたり物件を検査したり帳簿を見たりするときは前ぶれなしで行くけれども、慎重に柔軟にやりたい、これは部長さんがそうおっしゃる気持ちはよくわかります。しかし、法定されてしまうと、もう法律がひとりで歩きますよ。これは過去の例でも随分あると思います。ですからこれはあくまでも行き過ぎだ、改められるべきではないか、私はこのように申し上げて、次に移らしていただきたいと思います。  その次は、時間がなくなりましたのでちょっと足早に申し上げたいと思いますが、三十九条、四十条の問題で、都道府県の風俗環境浄化協会、これは民法三十四条の法人ということであります。四十条のは全国の環境浄化協会ということで、いろいろな規定が書かれてございます。これは加入、脱退は自由なのかどうか、だれが加入されるのかということもちょっとわかりませんので、その辺の方向がわかっていましたら、説明を簡単にしていただきたいと思います。それが第一点であります。  それからもう一つは、二十条の五項に「指定試験機関」という名称があります。その指定試験機関というのはこういう仕事をするんだというふうに書かれているわけでございますが、この三十九条、四十条の風俗環境浄化協会が指定試験機関になり得るんじゃないか、私は何回も読んだのですが、そういう気がしてならないのです。この都道府県か全国かのどちらかの環境浄化協会が指定試験機関になるという前提でお考えになっておられるのかどうか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  34. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 環境浄化協会の関係は、あくまでも風俗環境の浄化のために民間の活力を導入するというものでございますから、当然自主性を尊重していくわけでございまして、浄化協会の加入、脱退は当然自由でございます。通常の民法上の法人の例によることになるわけでございます。  それから、二十条五項の指定試験機関にこの環境浄化協会がなるかならないか、こういうことでございますが、これははっきり言って決めておりません。といいますのは、二十条五項の試験事務と申しますのは、二項の認定なりあるいは四項の検定に必要な試験の実施をやるわけでございますから、そういう能力なり技術なり、そういうものがなければこの試験機関にはなり得る資格がないわけでございますから、これが一体どういうものがあるかというのは、各団体の状況もございますでしょうから、これからそういうものの申し出等もいろいろ検討いたしまして、これに当たるかどうかというのを慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  35. 山中末治

    山中(末)委員 ただいまの御説明によりますと、この風俗環境浄化協会と二十条五項の指定試験機関とはイコールじゃない、こういう理解をしてよろしゅうございますね。
  36. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 イコールではございません。浄化協会がそういう能力があるかないかという判断は別問題でございます。そういう能力があるとすれば、そういうものの対象になるということもないわけではないと思いますけれども
  37. 山中末治

    山中(末)委員 先ほど申し上げましたが、ここでも申し上げておきたいと思います。  この浄化協会、全国協会等の運営、これは人件費も要ると思いますし、役員の報酬じゃなしに費用弁償ぐらいはいいんじゃないかというふうに私は推測するわけですが、この浄化協会のそういう人件費、運営費等に必要なものはどういう形で調達されようと考えておられるのか。国から補助金等が出るのか、あるいはまた都道府県からそういうものが出るのか、そういうことをどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたい。趣旨先ほど委員さんのときに申し上げたと同じことで、地方公共団体にこういう関係のしわが財政的に寄せられたら地方公共団体はたまったものじゃないと思いますので、その辺をひとつ焦点を絞ってお願いいたします。
  38. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この浄化協会の運営につきましては広く浄財を募ってまいりたい、こう考えておりまして、現時点では防犯協会等が適当だ、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう従来の防犯協会等の会費なりあるいはいろいろの事業なり、あるいは基本財産から生ずる果実その他いろいろあるわけでございますけれども、そういうものをもとにして運営することになろうか、こう考えております。  補助金等については現時点では考えておりません。
  39. 山中末治

    山中(末)委員 まかり間違っても地方自治体の方へ現場でしわ寄せのされないようにお願い申し上げたい。  それから、防犯協会は、私も防犯協会の役員を随分長いことやってましたので内容を知っているのですが、これは風営法関係ですから、浄財を募るといっても、そこで新しい業者との癒着ができていくとかいうようなことのないように十分御注意を願わぬと、こういう協会をつくった結果、何か風営の業界から金が集まってきて癒着ができて、少年賭博風俗もよそへ行ってしまって、何かそれだけが盛んに一杯飲んでやっているとかいうことのないように特に御注意をしていただかなくてはならない、このように要望を申し上げておきます。  それでは次に移らしていただきますが、今度の二十五条の中に「指示」という問題があり、二十九条、三十四条にも指示をするという意味の「指示」ということがありまして、いろいろな形で指示をされると思うのですけれども、だれがどういう形で指示をされていくのか。例えば営業所の構造、設備の変更の承認、九条一項にこういうのがございますが、それの総理府令の一定の考え方が書かれてはおるのですが、届け出をして許可を得なければならない改造とかそういうものと、指示をされて、それに基づいてやればいい、許可まで要らないというその辺の程度の問題、これは一体だれが裁量されるのか、明確な一線が出てくるのか。  これは、私もいただいた資料を随分検討してみたんですけれども、余り詳しく書いてないのですよ。「構造設備の増築、改築に至らない程度の部分的な腐朽、破損箇所の修理など」、これについては届け出とかでよろしい、それ以上のものは許可、承認を得る、こうなってますね。九条一項の総理府令としてどういうふうに考えているのかというところに、今私が申し上げたようなことしか書いてないので、これはやはり裁量というものが大分出てくるなと私は感じたのです。警察の自由裁量権を余り拡大していってはいかぬではないかという気がしてならないのです。これはせっかくの法、それから総理府令、規程、条例等がそういう警察の自由裁量権があることによってほごになってしまうのではないか、そういうおそれはございませんか。
  40. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実はこの構造及び設備の変更と申しますのは、従来よりも実情に合わせて緩和したと申しますか、程度を一段落とした部分があるわけでございまして、従来構造及び設備の変更に承認という制度でもってやっておりまして、ある意味では非常に微に入り細をうがち過ぎて大変やかまし過ぎたという点もあるわけでございます。やはりそういう点は落としていくべきではないかということでございまして、ここにありますような「総理府令で定める軽微な変更」は、承認にかからしめないで届け出だけで足るという形に持っていこうということにしたものでございます。そういうことで、従来のものより緩和を図っておるという点を御了解いただきたいと思います。
  41. 山中末治

    山中(末)委員 とうとう時間が来てしまいましたが、特にそういうことが心配されますので、ひとつ心配ないように十分気をつけてやっていただぎたい、このように思います。  なお、先ほども少し申し上げましたけれども法律等ができまして、そして条例も整備され、府令も整備されて動き出しますと、初めは割合シビアにきちっといくのですけれども、年がたちますと、先ほどちょっと部長現行法律昭和二十三年ごろできたからとおっしゃいましたように、だんだんたっていくとひとり歩きしていって、そして司法とか立法府がどの辺でそれをチェックするかということが忘れられていく、私はそう思う。それから、ひとり歩きしていくということは法律自身が歩くわけではございませんので、運用というものがひとり歩きをしていく。その中で、いわゆる指導委員の問題がございました。それから二つの協会の問題がございました。それから立ち入りの問題がございました。こういうことは行うのは人でございますので、人がいろいろな解釈をして、先ほど鈴本部長が心配されておった、それは法案の作成上の技術的な問題ですよというふうにおっしゃっても、これがだんだんたっていきますと、条文だけを見て、そしてひとり歩きしていく、だんだん拡大されていく。非常に私は心配です。  ですから、これについては、どういうふうに結果がこの法案について出るかわかりませんけれども、やはり大事な問題でありますので、この法令の条文だけではなしに注釈とか、部長さんの、また公安委員長さんの何か文言でもつけてもらって、そしてこういうことなんだということを十分に徹底をしてもらわなければならないと思いますが、司法、立法府等のチェック、こういうものも将来何らかの形でやはりやっていかなくてはならぬのではないかという気がしてなりません。  ちょうど時間が参りましたので、まだ少し残っておりますけれども、約束どおりこれで終わらせていただきます。ひとつ趣旨を十分のみ込んでいただきまして、よろしく配慮を願いたいと思います。終わります。
  42. 大石千八

    大石委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  43. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮崎角治君。
  44. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今回の風営法の一部改正に関する法律案につきましては、ある面は評価をいたしておるわけでございます。さらに認識をして評価したいというために、私は、この辺で手直しをし、あるいはもっと大きいなぎなたで手術をし、その実を上げ、そして所期の目的を達成して国民の合意の上に施行される、こういったことに視点を置きまして、今日までの論議の中から重複を避けまして、より精査をし、本員みずからの現地踏査をもとにし、確認と提言をしながら、与えられた時間内で刑事局、文部省並びに長官、そして公安委員長田川大臣質問したい所存でございます。誠意ある明快な答弁を初めにお願いするわけでございます。  私は条文を逐次追うつもりにしておりますけれども、条文が前後することもあるかと思いますが、最初に、第二条第一項第八号で「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)」こういった規制をされているわけでございますけれども、この規制について定める基準はどういう項目を予定しておられるのか、まずお尋ねしたいのであります。
  45. 古山剛

    ○古山説明員 二条一項八号に言います「本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる」遊技設備でございますけれども、これは、遊技の結果に応じて現金が払い出されるような本来的な賭博機、それから、今度は逆に射幸心をそそるおそれの全くないような定置式の乗り物のようなゲーム機、これらを除いたその中間の定量的に遊技の結果があらわれるものや勝敗が決し得るもの、そういったものを考えているわけでございまして、そういうような考え方に基づいていろいろと具体的に決めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  46. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうしますと、結果が表示され、または勝負が明らかなものというように解してよろしいのかどうなのか、この辺について再度質問したいのであります。
  47. 古山剛

    ○古山説明員 勝負がはっきり決まるというようなもの、もう一つは得点になって定量的に遊技結果があらわれるというようなものでございます。
  48. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうしますと、ゲーム機にもいろいろございまして、偶然性に頼るもの、また技術介入性の高いもの、こういったものに分けられると思うのでありますけれども、それらもすべて含まれるのかどうか。ゲーム機あるいは遊技の設備でこの規定に入らないと考えているものがあるのか、あれば具体的にお示し願いたいと思います。
  49. 古山剛

    ○古山説明員 先ほども申し上げましたように、賭博以外には使いようがないというようなものとか、あるいは定置式の乗り物のようなものは完全に外れるわけでございます。  ただいまお話しのございましたように、中間的な、先ほど申し上げたようなものに該当するようなものでございまして、その中に偶然性だけで決まるようなものと技術介入性が高いものとがあるわけでございます。いずれにいたしましても、技術介入性が高いといいましても、そこに偶然性というものが介在する余地があれば、これは用法によっては賭博に使われるおそれがあるわけでございまして、遊技結果が先ほど申し上げましたように定量的にあらわれるとか、あるいは勝敗の結果が明らかになるものについては、国家公安委員会規則で定めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  50. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 賭博に利用できる機械、できない機械に大別できるのじゃないかと思うのでありますが、偶然性、射幸心をそそるということが今日まで論議になってきたわけでありますが、この四十九ページの第二条の一項八号を読むと、賭博に利用できない機械までこの範疇に入れる必要はないのじゃないか、私はこのように感じるわけでございますけれども、この辺についての明快な答弁を求めたいのでございます。
  51. 古山剛

    ○古山説明員 八号に書いてございますのは、スロットマシンあるいはテレビゲーム機を例示といたしまして、偶然性が高いかあるいは技術介入性が高いかは別といたしまして、本来は健全に楽しむものである、しかしながら本来の用途以外の用途として賭博といった射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものにつきましてはやはり入れなければならない、その辺の区分けはできないものというふうに考えているわけでございます。
  52. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 非常にややこしい、回りくどい答弁をいただいたわけでありますが、その一例を挙げますと、テレビゲームの機械そのものについても、青少年に非常に害を及ぼすとは考えにくい技術介入性の高いもの、いわゆる娯楽用の機械。さいころ、花札、トランプといった賭博性の機械、偶然性によるいわゆるギャンブルマシンと分けられると思うのでありますが、これらを一緒にして規制するのはどう考えても無理があると私は思うのでありますけれども、この辺についての鈴木保安部長なりのもう少し明快な答弁を求めたいのであります。
  53. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生御指摘のように、ゲーム機の中には技術介入性の高いものもあり偶然性の強いものもあるわけでございます。また、技術介入性の高いものの中に非常に知的なゲーム機も当然あると思います。しかしながら、射幸心をそそるおそれが生ずるかどうかというのは、ゲーム機の技術介入性あるいは知的な問題とはちょっと角度を異にいたしておりまして、御存じのとおり賭博という問題は、技術介入性がありましてもそこに偶然性の要素があるということになりますと、それに勝敗をかけて金銭をかければ賭博罪になるという問題があるわけでございまして、そういうことから、技術介入性が高いから賭博にならないということにはならないわけでございます。  そういうことで、やはり技術介入性が高いか、低いかという角度ではなくて、それが射幸心をそそるおそれになるかならないか、そちらの方をメルクマールとしてとらえなければならない、かように考えているわけでございます。
  54. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 日本の国語の辞典あるいは国文学的な解釈、いろいろな面でこういった射幸心という三つの字が使われるわけであります。偶然に利益を得ようとする、そういう考え、そういう思い、あるいはまた僥幸を得ようとして事をなす、そういう一時的な思いがけない幸せをあっという間につかもうとするその心情、そういったものを射幸心というように私は理解しているのでありますけれども、その点についてのお考え。  もう一つは、今の保安部長お話の中で、そうしますと健全な機械、不健全な機械ということは分別が非常に困難である、このように理解してよろしいのか、今の答弁で私もちょっと理解に苦しむところがございましたので、再度答弁を求めたいのでございます。
  55. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 射幸心の関係はおっしゃるとおり、偶然に利益を得ようとするものでございます。それはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、先ほども申しましたように、全く偶然だけなのかという問題があるわけでございますけれども、そうではなくて、技術介入性がありましても、偶然という要素がございまして、それによって金銭的な利益を得るというものはやはり射幸心をそそるという解釈が定着しておるわけでございます。そういうことから、先ほど私が申しましたような形で賭博に用いられる可能性があるという機械は、それは技術介入性が強くてもやはり対象にすべきである、かように考えておるわけでございます。  したがいまして、健全か不健全かという問題は、むしろゲームの内容についてのお話になるのだろうというふうに思うわけでございますけれども、そのゲームの内容で健全か不健全かに分けるということは、これは非常に実効性が乏しくなる、そういうことがございます。現に、一見健全に見えると考えられるゲーム機、賭博に用いられる可能性が少ないと思われるゲーム機についても、賞品や現金を提供するなどによりまして射幸心をそそるために指導、取り締まりを行った例というのはかなりあるわけでございます。したがいまして、ゲームの内容によって対象を区分していくということは非常に実効性に乏しいということを考えておるわけでございます。  しかもテレビゲーム機は、ソフトウェアを変えてゲームの内容を比較的簡単に変更することができるという性格のものでございます。したがいまして、ゲームの内容というものをメルクマールにとりますと、これは規制の網を逃れて賭博を行う悪質業者というものがあらわれる、まさに実際に多くの脱法行為が誘発される結果になるという危険性をはらんでおるわけでございまして、これは今回の法改正趣旨を没却するものである。しかも、それによって逆に悪質業者がはびこる結果になるというふうに考えておるわけでございまして、そういう分け方は適当でない、かように考えております。
  56. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 どうも部長、ソフトウェアを簡単に変えられるというようなニュアンスの発言があったけれども、ちょっと私は手に入れましたので持ってきたのです。警察の人は実物を見たのかどうかわからぬけれども、これなんです。これは実物なんです。  これとこれを比べてみたとき、どれが賭博性なのか、どれが娯楽性なのかわかりますか。簡単にわかるのですよ。こういう機械なんです。ICやコンピューターを入れて非常に精巧にできているのです。これがROM、いわゆるリード・オンリー・メモリーというのですが、こんなもの簡単に変えられるという、そんなものじゃないのですね。これがROMなんです。それはちょっと変えられないです。全部変えるためには配線から一切を変えなければ用をなさない。例えばボタンにしても、こちらの場合は約九つぐらいある。こちらの場合はたった二つでよろしい。そういうものをどういう形で変えるのか。これは乗用車をトラックに変えるというような今の答弁の内容ではないかと私は感じるわけなんです。それは四輪車だから、警察が手入れした、すぐそこで変えた、これはちょっとできっこないです。  大臣も見てみてください。どちらが賭博機械か、今大臣が握っているものがいわゆる賭博機械なんですよ。これは重大な分かれ目が一つあるのです。  私も今回、しておりませんけれども、実際に行って見てきたのです。そのほかの娯楽機械と対比してみたわけです。ですから、この点についてはちょっと認識不足じゃないかと思うわけであります。いわゆる賭博機械と娯楽機械のハード、全体的なものですね、あるいはソフト、そういう面での相違点がございます。簡単に言えば、ここが一つ違うだけです、このバッテリー。お金を入れて、そして数字が出、ずっと累積の点数が出、そこで急に寸断的に電気が切れた場合に大変なトラブルが起こるという事態が出てくるわけでございます。そこでこのバッテリーが働いて電気を通していくというパックの力といいますか、こういった問題が一つあるわけであります。  もっと具体的に言いますと、賭博機械はクレジット数を現金と同一視するために、クレジット数、ペイアウト率、クレジットの入力数、クレジットの払い出し等を記憶するための記憶素子と、今申し上げました電源のいわゆる寸断等から保護するために電池等によってのバックアップ回路というのが必ず必要であります。娯楽機械においては必要としないので、そういうものは付設してないのであります。そういうのは不必要であります。そこで基板上にそういうところは存在しないのであります。また、客が勝っているにしろ負けているにしろ、停電とか故意の電源の寸断等によってトラブルが起こりますので、今申し上げましたバックアップ回路というものが必要であります。  また、賭博機械は絵がずっと静止している、それを描き変える機械を持つハードウェア、通称マッピング画面のみを持っているわけであります。娯楽機械の方は、その背景のバックの画面を一番下に置きまして、その上に得点等を表示するためのいわゆるマッピング画面、その上に高速で移動可能なスプライト画面と申しますか。基本構成が大部分だ。それぞれに専用のROM、これは先ほど言いましたリード・オンリー・メモリー、人間の頭で言えばいわゆる頭蓋骨であります。中身がソフトウエアということになるわけであります。この中に全部集約されているわけであります、集積回路ですから。そういうふうに非常に遠いがある。それぞれに専用のROMというものを持っておりまして、そのROMの数も違うわけであります。ゲームの違いによって当然回路の数も違ってくる。答弁に言いますソフト交換とか基板の交換によって簡単に転用できるということは間違いであると私は断じたいのでありますけれども、その辺についての答弁を私はここで正しておきたいのであります。  接点端子の数も違うのであります。ゲーム内容も違うのであります。操作ボタンの数も違うのであります。転用するとなれば大改造しなければならない。そんな大改造をするよりも新しい機械を買えばよろしい。私の調べたところでは、この機械は五十万円とか六十万円するそうですね。何回も言うことですけれども、乗用車をトラックに改造するようなものである。やればできないことはないでしょうが、答弁に言われるソフトの交換、基板の交換で簡単に転用できるものではないということは明らかであります。  以上の点につきまして、部長自体、課長自体直接これをキャッチされて研究されてこられた答弁なのか。だれか専門家の話によれば簡単にできるという先日の答弁もあったようでございますが、今の私の説明に対する答弁をひとつ求めたいのであります。
  57. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私も、ゲーム機械のことについてそれなりに勉強をいたしております。今先生は前提として賭博の機械、こうおっしゃられました内容がちょっと私ども理解と違う面があるのではないか。それは、現に現金が払い出されたりというようなものはもともと認められるものではございませんから、そういうものを許可対象の機械と考えておるということは毛頭ないわけでございまして、これはまず対象外の議論であるわけでございます。  今いろいろ議論になりますのは、そういうものじゃなくて、実際に点数なりあるいは勝敗がつくという内容の中でそういう転換ができるかどうかという議論、それが易しいか易しくないかという議論を私どもとしてお話を申し上げておるわけでございます。そこにあります基板の配線等をいろいろ変えたりなんかということは、それは例えばROMなりRAMなりを変えていくということで簡単にできるものもありますでしょう。しかし配線まで変えていくということになりますとこれは大変だ、こういうことは確かにおっしゃるとおりだと思いますけれども、実際にこういうものは基板の中身をいじくっていくというのじゃなくて、基板そのものを変更するということが簡単にできるということを申し上げておるわけでございまして、その基板を入れかえればほかのゲームにいかにでも、どうにでもなるということを申し上げておるので、そういう意味で決してそんなに難しいものではないということを申し上げておるわけでございます。
  58. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私に言わせますと、それは少し詭弁のような感じがするわけでありますが、基板の状況を変えるためにはもちろん配線も変えなければいけませんね。ボディーも変えなければいけませんね。もしそれが賭博に使えるということになれば、あれは横線でございますから、横に画面が出るのです。縦に出て、非常にスピードのある絵が出てくるわけでございます、普通の娯楽の場合には。  それから、ROMや基板やあるいはソフトウエアというものを簡単に変えられるような発言をなさるところに、この問題の非常に複雑な、懐疑的な、理解に苦しむ答弁であるということで私は申し上げたわけでございます。その勝敗の中身である、だからそういう中身を内包している機械そのものをこの範疇に入れればいいのじゃないかというのが最初からの私の一貫した質問でありますので、これについての答弁を再度求めておきたいのであります。
  59. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いろいろな部品が売られておるという形でございまして、実際には操作ボタンという形でもって別途売られておるものもありますし、あるいは最近はいわゆる基板交換そのものをやるというのが大変多いというふうに私どもは承知しておるわけでございます。  縦、横というお話もございましたけれども、それはいろいろなゲーム機に縦もあれば様もあるわけでございまして、そういう形でもって必要な基板を交換するということは難しいことではないというふうに私ども理解しております。
  60. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 簡単なようでありますけれども、実に難しいということを再度言っておきたいと思います。これについてはまたたくさんの機械、機種、そういうものがありますし、あるいはまた前からお金が入る、その機械はこれから大変なマークの対象になるということでございますから、その辺で、ある箇所は、ある部分は、ある部品はこれから変えていくでありましょうけれども、これ自体はそう簡単には変わらぬということを申し上げておきたいと思うわけであります。この点についてまた再度、後刻議論を進めたいと思うわけであります。  次に第三条の第二項に「公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、」いわゆる風俗営業ごとに県の公安委員会の許可、これを条件とされているわけです。こういう条件を付して、またこれを変更することができるとございますが、第四条に許可基準が多々列挙されているのであります。にもかかわらず、これでは警察の恣意的な判断で幾らでも変えられるのではないかという許可基準の問題について、またその条件変更を想定しているのかどうなのか、ひとつ詳しく御説明願いたいと思うわけであります。
  61. 古山剛

    ○古山説明員 現行法の各県の施行条例におきましても、許可時の客観的条件に照らしまして、許可をするに当たりまして条件を付することが必要と認められる場合には必要な条件を付して許可をすることとなっているということでございます。  ところで、許可をしました後に客観的な条件に変化が生じたという場合に何らの手当ても講じられないというふうにすることは、許可のときに条件を付するという趣旨からして望ましいわけではございませんので、今回の改正案におきましては、周囲の風俗環境との調和を図るということ等のために、許可後においても条件の付加あるいは変更ができるというふうにしたわけでございます。  条件といたしましては、例えば旅館に対しまして料理店の許可を与えました場合に、寝泊りするような部屋では接待をしないというような条件を付するとかいろいろあるだろうと思います。また変更の例といたしましては、パチンコ許可をした、ところがその後にその営業所の近くに学校ができたという場合には、やはりその営業所の中を学校から見通すことができないようにする必要があるわけでございまして、窓ガラスをすりガラスにかえるというようなことで、条件の内容を新たに加えるというようなことも必要なことがあるわけでございまして、そういう変更ができるというふうにしたわけでございます。  こういった条件を付したりあるいは変更あるいは付加をする場合に当たりましては、営業の遂行に重大な支障を及ぼしたりあるいは膨大な費用を要するような条件を付することは考えていないわけでございまして、そういった営業に大きな影響を与えるというようなことは考えていないわけでございます。それから、条件の変更というのは、緩和ということもあり得るということも御理解いただきたいと思います。
  62. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 その点はわかりました。  それでは、同項の八号の後半の括弧のところでございますが、「旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。」とありますけれども、この政令の内容についてはどういうものか、ひとつ具体的にお示し願いたいのでございます。
  63. 古山剛

    ○古山説明員 「旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるもの」ということでございますけれども、旅館業のほかに大規模小売店舗ということを考えておるわけでございますが、そういった店舗の施設の中で一定の区画がありまして、そして外に出せば店舗と言えるようなもの、そういうものを区画と言うわけでございます。そういう区画につきまして、当該場所が透明なガラス戸等を通して容易に区画の外から見えるというようなものを除くというようなことを考えているわけでございます。
  64. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは具体的に聞きますけれども、ごく普通の喫茶店にテレビゲーム機が一台置いてある場合は風俗営業となるのか、ならないのか。ひとつ明快に、なる、ならぬ、それだけ教えてください。なるかならぬかでいいですよ。
  65. 古山剛

    ○古山説明員 喫茶店の中にゲーム台が一台置いてあるということでございますけれども、ゲーム機を設置している喫茶店というのは店舗に該当すると考えることができるわけでございます。ゲーム機を設置してあります喫茶店のすべてが、賭博事犯と少年のたまり堤防止というゲームセンター等を規制する趣旨にかんがみまして問題があるというわけではございません。したがって、「備える店舗」に当たらないというようなものにつきましては、本条の規制の対象からは除くべきものというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、具体的には、遊技をさせる場所の同一フロア内に占める割合が一定以下である、それから密室性がないというようなものは許可を受けなくてもよいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今お話しの、喫茶店の中にゲーム台一台があるというようなものは、許可は必要ないということになるのが普通ではないかというふうに考えております。
  66. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは二台、三台となった場合はどうなんですか。
  67. 古山剛

    ○古山説明員 喫茶店全体の中で、コーヒーとかジュースとかを飲まれる、フロア全体が大体そういうものだろうと思うわけでございますけれども、その中に占めるゲーム台の割合によって決まるだろう芝いうふうに思うわけでございます。その喫茶店営業が、あわせてゲーム機営業を営んでいるというふうに社会的な通念からして思えるものかどうかというところ辺が、どちらにするかということの判断の決すべき点だろうというふうに思っております。
  68. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ちょっとわからないんですよ。私は、二台、三台あった場合はどうなのかというのを聞いているわけですから、もう少し簡潔に教えていただきたいと思います。
  69. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど課長が申しましたのは、やはり全体の広さとの兼ね合いがあるものでございますから、一概に一台でどうのこうの、これは申し上げられない、こう言ったわけでございますけれども、二台、三台ということになってまいりますと、常識的には、やはりそれはそういうふうなゲーム機を「備える店舗」ということになると思います。ただ、大変広い店で、これはそういうふうな店もないというようなことで、これが「備える店舗」と言えるか言えないかという解釈は若干残るところがあると思いますけれども、いま申しましたように、これは全体の店の広さなり、それからそういうふうなゲーム営業としてやっているか、やっていないかということを含めて判断をしなければならない問題だ、こう思っております。
  70. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 その内容によってでございますが、国会記者会館のティールームの「やま」さんには三台置いてありますね。これは風営法の範疇に入りますか。私は、今言っているのは、か細い、そういった気晴らしにちょっとでも時間をという、本当にそういう気持ちでやるというところの場所まで風営法に入れてはいけないですよ。そういう弱者を救済するというのが建前なのに、全くもう弱い者いじめのような感じがしてならないわけであります。記者会館の中の喫茶店にはゲーム機が三台置いてあるのです。ジャンピューターほか二台ぐらい置いてある。これは風営法対象になるんですか、ならないんですか。
  71. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私も、どういう状況で置かれているか判断しかねますので、今ちょっとお答えはできないのですが、ただ一般論から申し上げますと、非常に小さな喫茶店でゲーム機が非常に少ない数ではあるけれども置いてあるものは、非常に賭博になりやすいということは言えるわけでございます。現実に挙げております事件の中では、そういうゲーム喫茶というようなものは大変多く賭博が行われているという事実がございます。したがいまして、非常に狭いところで置かれますと、これは大変問題が起きるということになるわけでございます。
  72. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私が前段に申し上げましたように、そういった非常に楽しいひとときを送ろうという、またギャンブル町でない、こういう賭博を想定した機械ではない、しかも純然たる娯楽のゲーム機械をつくっている産業といいますか会社といいますか、これまでもこの範疇に入れると、私はここで要望するとかなんとかいうのじゃございませんけれども、いろいろ建物を建てるときに融資を受けますね。この融資を受ける場合、そういう風営法という一つの範疇に入っておりますと、銀行あたりはなかなか頭を縦に振らないケースがよくあるわけであります。そういうような意味において、先ほど言いました何カ所かの問題について、あるいは大きくそういった創作産業に対するやはり国のホットなそういう方向というものをやはり見直さなければいかぬのじゃないかと私は思いますがゆえに、今事例を挙げてみたわけでございます。  第三条の二項に、「公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、」いわゆる条件ですね、今お話が出ました問題、これについては今の答弁で、問題を残しながらも一応了としたいと思います。  さて、パチンコ屋などいわゆる七号営業の遊技機に関する第四条の三項に「国家公安委員会規則で定める基準」とありますけれども、この基準についてお伺いしたいのであります。
  73. 古山剛

    ○古山説明員 七号営業パチンコ営業につきましては、これは商品提供の営業でございまして、そのために射幸心をそそることとならないようにいろいろと規制をしなければならないということでございます。そこで、パチンコ屋さんが遊技機を置いて客に利用させて営業するわけでございますけれども、その遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれのあるものでは困るわけでございますので、国家公安委員会規則基準を定めたいというものでございます。  これにつきましては、それぞれの遊技機につきまして偶然性と技術介入性との調和がとれていないとか、あるいは一定時間遊技しての勝ち負けが一定の基準以内にないこと、あるいは一回の遊技で得る可能性のある遊技球等、結果として表示される点数等が一定の基準以下でないこと、そういったことを基準として定めるように現在検討しているところでございます。
  74. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 調和の問題等々ございましたが、今後、一番調和しなければいけない問題が風営業者営業所管理者の問題でございます。その管理者業務の中で、二十四条の第三項に、これまた「国家公安委員会規則で定めるもの」とあるのですが、どういう業務考えられるのか、簡単に明快に答弁を求めたいのでございます。
  75. 古山剛

    ○古山説明員 管理者業務につきましては第二十四条の三項で定めているところでございます。これにつきましては、当該営業所における業務の実施に関しまして、風俗営業者に対しましては、法令の規定を遵守してその業務を実施するために必要な助言を行う、また、代理人、使用人その他の従業者に対しましては、当該営業所における業務の適正な実施を確保するために必要な指導を行うということでございます。  そのほかに、当該営業所における業務の適正な実施を確保するために必要な業務というものがあるわけでございまして、国家公安委員会規則で定めるわけでございますが、構造設備維持点検でありますとかあるいは従業者名簿管理でございますとか、あるいは風俗営業につきましていろいろ苦情が来た場合の苦情の処理の問題でありますとか、あるいは関係機関との連絡とか、そういった業務を定めたいというふうに考えているところでございます。
  76. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうしますと、営業所ごと管理者を必ず一人選任しなければならないとあるわけでございますが、一店舗A、B、C支店というふうになった場合、一人を選任しなければならないというのと、兼任の問題について明快に答弁を求めたいと思います。
  77. 古山剛

    ○古山説明員 管理者といいますのは、営業所における業務の実施を統括管理する者を充ててもらうということにいたしているわけでございまして、その実施の統括管理というのは性質上常業所において行うことが必要でございます。そういうことで、その営業所におきまして従業員に対していろいろ指導をするとか、それからまた、たまには営業者に対して必要な助言をするというようなことがあるわけでございますけれども、やはりその営業所がどういう実態がということ、これは遵法営業、健全営業という面からきちっと管理してやっていただくことが必要でございます。したがいまして、通常は兼任ということはできないというふうに考えております。
  78. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 兼任ができないとなった場合、私はここでもう少し立ち入ってお尋ねしたいのですけれども管理者というのは日本の国籍を有しておらなければいけないのか、それとも外国人であっても管理者という役職についていいのか、この辺についてひとつ定かにしておきたいのでございます。
  79. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一切国籍を問うものではございません。
  80. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 わかりました。営業者管理者助言を尊重する、また指導に従わなければならぬ、こういう文言があるわけでございますが、社長が管理者指導に従うというのは、私としてはちょっとおかしいのじゃないかということが一つ。それから、そういう民間企業の人事権まで口を出すということについて妥当なのかどうなのか、この二点。 こういう指導とか解任とかという問題じゃなくて、この辺で、こう変えていかなければならぬという勧告という文言、表現にすべきではないかと思うのであります。こういう言葉が出ると、私はこの法案のすばらしい成文化が成っていくのじゃないかと思いますが、この辺について明快な答弁を求めたいのであります。これは部長でもいいし長官でもよろしい。
  81. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 前段の管理者営業者指導するというのは、これはもう組織的にもおかしいわけでございますから、そういうことを考えておるものではございません。指導というのはあくまでも従業者以下にやるものであるというふうに考えており、そういうふうに書いておるわけでございます。  あと「解任を命ずることができる。」という問題でございますが、この点につきましては、従業者たる地位まで失わせるものではないわけでございまして、一応そういうふうな管理者という立場にいることが不適当だというふうに考えられる場合に解任を命ずるということになるものでございまして、従業者たる身分等に変更があるものではございませんので、この点は御了解を賜りたいと思います。
  82. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 答弁漏れがあります。解任とかいろいろな問題がありますが、勧告という方向へ文言を持っていけばどうなのかと思うのですけれども、その点について長官どうですか。
  83. 三井脩

    ○三井政府委員 いろいろ検討の結果できたこの法案でございますが、今の体系の中で、保安部長からお答えをいたしましたように、管理者という地位にふさわしくない、こういうことでございますので、解任という意味従業員たる地位まで失わしめるということではございません。そういう意味でこの法案はできておるわけでございます。
  84. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それならば従業員という籍はある、その職まで失っていない、失格していないということですから、説論とかあるいは文書忠告とか戒告とかいろいろな言葉があるわけですけれども、勧告という二字が出ませんか。勧告でいいのじゃないですか。わざわざこういう文言じゃなくて、もう少し日本誌をはっきりするために今私ここで提言しているわけでございますけれども、その辺について再度いかがでございますか。
  85. 三井脩

    ○三井政府委員 その運用の中で勧告という場合もそれはあり得ると思いますけれども、ふさわしくないということの程度によりまして解任が最後にあるというのがこの法案考え方でございます。
  86. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 では観点を変えて質問しますが、二十四条の第一項の当該営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから管理者を一人選任するという規定でございますけれども管理する者がいる場合にはそのうち一名を管理者に選任しろ、逆に言えば管理する者がいなければ管理者を性かなくてもよいという趣旨なのか。また、この場合には風俗営業者みずから管理者になるという趣旨なのか。もう一つは、欠格事由のない者を雇い入れて管理者を選任する趣旨なのか。どういう意味なのか、第一項の規定の意図するものを明確に答弁願いたいのでございます。
  87. 古山剛

    ○古山説明員 表現では「統括管理する者のうちからこと書いてございますけれども、やはりその中で一番ふさわしい人ということになりますと、統括管理する方の中でもおのずから決まってくるだろうというふうに思うわけでございます。その中から管理者一人を選任していただく、こういうことでございまして、その管理者につきましては当然のことながら欠格事山に該当する人では困るということでございます。  風俗営業者自身がやる、一店舗しか持っておられないとかあるいは主たる店舗は自分で直接統括管理していくというような場合であれば、これは営業者自身管理者になりてもいいということでございますけれども、ただ年齢の点で、管理者につきましては未成年者はなることができないと第二項に書いてございまして、そうでなければ風俗営業者自身管理者になっても差し支えないということでございます。
  88. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは、八十二ページ、法案の三十七条の立入検査等について質問したい。  第一項の「その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め、」云々、この報告や資料はどういうものか、帳簿は入るのか。これが一つです。  二つ目に、警察職員に帳簿を検査させるというのはどういう意図なのか。今まで規定がないわけです。先般もそれぞれ先輩委員から税務署とかそういうものの下請をするのかというような話も出たようでございますが、では、同条の第一項、第二項にある「関係者」は客も含まれるのか、そういった点について答弁を求めたいのでございます。
  89. 古山剛

    ○古山説明員 「報告若しくは資料の提出」というふうにございますが、その趣旨は、直接営業活動に影響を与えるような立ち入りをするまでは必要ないという場合に、より穏やかな方法といいますか、営業者として負担の少ない手段によって法律の規制等を担保しようとするものでございまして、例えば遊技機の機種、メーカー、運用に関する資料、あるいは従業者の募集に関する資料とか、そういったものを提出していただきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、「関係者質問」という場合の関係者でございますけれども、これは通常、客というものは入り得ないわけでございます。
  90. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 直接関係ない帳簿は一切この法律対象としないという文言を明確にすべきではないかと思うわけでありますけれども、この点についてはどうですか。
  91. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今課長から申しましたように、帳簿を見る必要というのはあるわけでございまして、もちろん、それは私どもが風営の関係の行政目的のために達する限度内でございますけれども、そういう範囲内では見る必要があるわけでございます。帳簿一切を見ないということは妥当ではない、かように考えております。
  92. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 いや、私が言っているのは、関係のない帳簿というのがあるはずですね。一切帳簿を出せという指示というのと、出さねばならぬという恐怖心に駆られた人たちの提示という考え方もあるわけだと思いますがゆえに、これとこれとこれの帳面は出せというふうに指示されるのかどうなのか。要らない帳面は一切入らないという方向の文にしておかないといけないのではないかと思いますから聞いているわけです。
  93. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この三十七条は「この法律の施行に必要な限度においてこということを書いてあるわけであります。それは今申しましたように、関係のないものは見ないという趣旨でございます。
  94. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは、四十九条六項六号ですが、罰則規定を読みますと、質問を拒否したことについてはその罰則は適用はないと解されるわけでありますけれども、その解釈でよろしいですか。それぞれの意見、またそれぞれの考え、思惑等がございますので、この辺ではっきりとひとつ明快な答弁を求めたいのでございます。
  95. 古山剛

    ○古山説明員 四十九条の六項六号には、単に「立入検査」云々と規定されているだけでございまして、これには質問は含まれないというふうに考えておりまして、質問に対して答えがなかったといたしましても、それだけでは罰せられないわけでございます。
  96. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは急いで行きます。  今度は三十七条の規定でございますが、警察がいつでも風営業者等の営業所に立ち入ることができる、そこにあるものすべてを調査をし、関係者には何でも質問することができるといった運用を可能にするようなものでありますが、私はこの三十七条については、憲法三十五条の令状主義あるいは同三十八条の不利益供述強要の禁止に抵触するおそれがあると考えるわけでございます。また営業の自由、プライバシー、私人の権利の侵害のおそれも非常にあると感じるわけでございますが、厳正の上にも厳正な運用が望まれるものでございますけれども、再度この点について国家公安委員長田川大臣の御見解を述べていただきたいと思うわけでございます。
  97. 田川誠一

    田川国務大臣 立ち入りというものは、風営法目的を達成するためには必要な権限ではございますけれども、他面におきまして、営業者営業の自由という国民の重要な基本的人権を制限することになりますことは十分認識をしておるわけでございます。従来からも、不当に国民の権利を制約することのないよう、公益上必要最小限度におきまして慎重な運営を行ってきたところでございますが、今回の改正でこの趣旨が法文上明確にされたことにも十分留意して、今後の運営に一層慎重な姿勢でこれに臨んでいきたいと思っております。
  98. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 前々から私はいろいろな委員の御論議、応答を聞きながら、一般の旅館それからラブホテル、そういった区別というものをどのようになさっていらっしゃるのか。いろいろと構造上の問題というのも先ほど出たわけでございますけれども、この辺で明快に願いたいわけです。といいますのは、都内、近郊あるいは地方の一流の旅館、ホテルであっても、何か英語を使いまして、ABCDのDタイムというのかな、そういったことが公然と行われているやに見聞するわけでありますけれども、この辺とあわせまして、ひとつ明快に、その区別を簡略して答弁を求めたいのであります。
  99. 古山剛

    ○古山説明員 第二条四項の三号におきましてとらえております「専ら異性を同伴する客の宿泊」、これは休憩を含むわけでございますが、「の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業」、これにつきましては、専ら異性を同伴する客の宿泊というものを売り物にしているようなもの、これは当然少年の保護の問題、非行防止の問題からも、あるいは清浄な風俗環境の保持というような面からもいろいろと規制は必要であろうというふうに思うわけでございます。  しかしながら、ただいまの先生のお話のように、一般のそういうものを売り物にしていない旅館、ホテルにおきましても、事実上男女二人が利用されるという形態はあるわけでございますけれども、そこまで規制の対象にはすべきでないということで、はっきりとその辺のところは区分しなければならないというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、施設の政令といたしましては、一定の規模以上の食堂または調理場等を有しているものについては、これは一般の旅館、ホテルである。それから、営業のフロントを経由せずに客が個室に入れるというものはあれだけれども、フロントを経由して個室に入るというようなものについては、これは一般の旅館、ホテルに入れるべきであろう。  それから、設備の方の関係でございますけれども、振動ベッド、回転ベッド等の特殊な構造のベッドがあるとか、あるいは客室内の浴室の内部が当該浴室の外から見えるものであるとか、あるいは就寝する姿を映す鏡、これは一定の規模以上のものであって、壁あるいは天井あるいはベッドに張りつけてあるものに限るわけでございまして、鏡台またはたんすなどの家具に張りつけてあるようなものは別といたしまして、そういう鏡があるとか、あるいはいわゆる大人のおもちゃ、ビデオカメラ等を客室に倣えているもの、こういったものが一応専らそういったものを売り物にする営業であるというふうに考えられるわけでございます。  今、設備の点について四点申し上げましたが、これらのいずれかに該当するものについては、一応それらを売り物にしているのではないかと思われるわけでございますけれども、しかしながら、先ほど申しました施設の面で一般ホテル、旅館の方に入るというものについてはこういう規制対象からは外すということで、きちっと区分けしてまいりたいと考えているところでございます。
  100. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 非常に詳しくなってまいりました。  では第二条でもう一つ、接待の定義が非常に不明確であいまいでございますけれども、この辺についてもひとつまた明快に願いたいと思います。
  101. 古山剛

    ○古山説明員 現在の法律では接待という概念の定義はないわけでございまして、私どもといたしましては、これは一応従来の判例等から考えまして明確であるとは思っておるわけでございますけれども、さらにこれを法律上はっきりさせた方がいいということで定義規定を置いたわけでございます。ただ、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」というふうに、法律ではそこまでが限度でございます。  したがいまして、一応接待に含まれるのはどういうものかといいますと、例えば従業員とか営業者が客とともに歌や踊りに興ずるような行為、それから客の傍らにあって酒類の酌をしたり談笑の話し相手となるような行為とか、積極的に客に歌うことを取り持ちしたり褒めそやすような行為、そういうその場の雰囲気を盛り上げる行為があるというようなことが接待に当たるのではないかと考えております。  それから接待に当たらない方でございますけれども、客の注文した酒食をウエートレス等が客席に運搬するような給仕行為、それから客席にはべらずにコップに酒やビールをつくような行為、こういったものは単なる給仕行為であって接待には当たらないというふうに考えているわけでございます。それから話し相手になるということでございますけれども、単に社会儀礼的なあいさつを交わす程度のものは接待に当たらないというふうに考えております。それから大勢のお客さんに対しましてショーを見せるというようなこともあるわけでございますけれども、客を特定しないでショーを見せるというようなことであれば、これは接待に当たらないというふうに考えております。
  102. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 六点と五点を今挙げられましたけれども、そのほかはサービス行為として解釈してよろしいのか、この辺について、全国的にこういった基準というものをやはり通達すべきではないかと思うわけでありますけれども、その辺についてひとつ明快な答弁を求めます。
  103. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、接待の関係は明確にしなければならぬと思いますので、通達、執務資料その他で明確に第一線を指導してまいりたいと思います。
  104. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 最後に、少年指導委員について質問いたします。  指導委員は、既存の各種制度がございます。児童委員、厚生省。保護司、法務省。少年補導員、警察庁。少年警察協助員、警察庁。少年補導委員、地方公共団体。民生委員、厚生省。いろいろございますが、これらの関係、特に、これらの中から少年指導委員という新たな方々の任命をするのか、またその選出方法、それから人数はどれくらいにするのか。所管、事務量の問題、大変多くなってくるので行革に反するのじゃないかと危惧するわけでありますが、この辺もあわせましてお尋ねを申し上げます。
  105. 山田晋作

    山田説明員 お答えいたします。  少年指導委員の人選の基準というのでしょうか、任命の基準でございますが、この制度が現在の少年非行の防止、それから少年の補導とか少年の健全育成、こういったような見地からやはり民間の方々の御協力を得なければならない、そのためには民間の方々でも信望のある方でなければならないというふうなことから、基準としては四つ掲げてございますけれども、人格及び行動について社会的な信望を有する方、それから職務の遂行に必要な熱意とか時間的余裕がある方、それから生活が安定しておられる方、健康で活動力を有する方、こういった要件を備えておられる方の中から公安委員会の方で委嘱を申し上げたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから二点目の人数でございますが、人数につきましては現在検討中でございますけれども、この要件がかなり厳しいものでございますので、そう簡単にだれでもというわけにもまいりませんので慎重に考えてまいりたいと思っております。  それから事務量でございますが、これはあくまでボランティアの方にこういった仕事をしていただくということでございますので、行政の側の業務量としましては、こういった方々にいろいろと仕事の範囲だとか進め方というようなことを御指導申し上げたりすることはございますけれども、行政側の事務量としてはそうふえるものではない、こういうふうに考えでございます。
  106. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ただいまの七十分にわたる論議を通しまして、私もかつて二十年ばかり公立学校の教員でありましたが、少年非行の増大とこの防止策についての一策が今打ち出されているわけであります。本当に、有吉佐和子のベストセラーの著書ではありませんが、複合された汚染ではありませんけれども、複合されたそういったファクターがあって少年非行というものが出ているんじゃないか。そういった意味からして、この未然防止あるいは地方の教育委員会に対する行政指導について、最後にただいまの論議を通しての文部省の所見を伺っておきたいのでございます。
  107. 伊藤俊夫

    ○伊藤説明員 先生の御指摘のとおり、少年非行の原因というのは大変複雑多岐にわたっておると思います。ですから、その意味でいろいろな形でこの対策がとられるべきだろうと思います。  文部省としましても、当然教育の立場からいろいろ方策を考え努力しているところでございますし、あるいは保護養育という点で厚生省も努力されておりますし、それぞれの関係省庁が各種の努力をしておるところでございますけれども、その原因が大変複雑多岐にわたっている面もございますので、個々の施策をそれぞれ充実強化すると同時に、その種のものがお互いに統合されるような配慮が必要だろう。その意味で、政府としましては、総理府を中心にしてその連絡調整をしたりあるいは共同事業を展開したり、いろいろな形で効果あるような施策を進めている、こういう状況でございます。
  108. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 この一週間、私も都内や近郊をずっと現地調査いたしましての感想でありますが、きのうも有楽町方面ではもう八時くらいになりますと少年は全然入ってない、日曜日もそう遅くまで入ってないということで、十時までという規定がございましたが、もうこの辺で青少年のいわゆる楽しんでくる、何も賭博性がない、偶然性がない、そういった遊びに来る子供たち、その中からまた少年指導委員も出てくる今日、日本の教育あるいはまた社会教育社会、家庭、学校が三位一体となった非行化の防止に対し十分なる配慮と指導をしていかなければならぬと決意したわけであります。  その意味で、早く寝て早く起きるという早寝早起きの習慣が最近はなくなって、遅寝遅起きや遅寝早起きというのが出てくる今日でございますので、十分この点についても各所管が連携をとりながら国民のコンセンサスを高めて非行化防止に邁進されんことを願って終わりたいと思っております。  以上です。
  109. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  110. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 冒頭に、今業界で大変心配をしておられます一、二の点を確認させていただきたいと思います。  第三十七条の「立入検査等」というところでございますが、一行目にあります「その業務に関し報告若しくは資料の提出を求めことありますが、先般私が質問いたしましたとき、その「報告」とは一体どういう意味ですかということをお尋ねしましたら、それは運用の状況であり、青少年等の立ち入りがどうなっておるか、募集の関係はどうなっておるか、教育関係はどうなっておるかということの報告を求めるものであります、こういうお答えがありました。  それから「資料の提出」の「資料」というのは一体何ですかということをお尋ねしましたら、これは教育のパンフレットあるいは募集の問題についての業務その他ということでありまして、経理関係には一切関係ございません、こういう明確な御答弁があったのでありますが、そのとおりでございますか。
  111. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この立ち入りはあくまでもこの法律の施行に必要な限度において行うわけでございますから、風俗上の問題点という形からいくわけでございまして、経理関係というのは通常風俗上の問題に関係するものではない、かように解しておるところでございます。
  112. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大変明確な答弁をいただきましてありがとうございました。  それでは続いて質問に入らせていただきます。今私ども審議しておりますのは風俗営業関係でありますが、みんなが風俗風俗と言っているのでだれも疑問を持たずにお互いに論議しておるわけでありますが、ここで言う風俗というのは一体どういう意味なんでしょうか。
  113. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 世に風俗というのは、今さら申し上げるまでもなく古くから行われております生活上のさまざまな習慣、風習、そういうようなものを言うというふうに理解をしておるわけでございますけれども、ここで言います風俗というのは、あくまでもいわゆる飲む、打つ、買うという言葉に代表されますような人間の欲望についての生活関係、そういうものを律するものである、かように考えております。
  114. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、この法案の中に「専ら、性的好奇心をそそる」という言葉が出てまいります。これは風俗関連の関係で二号と四号に出てくるわけでありますが、その「性的好奇心をそそる」という具体的な基準は一体例でございますか。
  115. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ここで使っております「性的好奇心をそそる」という言葉でございますけれども、これは社会通念上一般人が見ただけでいわゆる性的な感情を著しく刺激させるようなもの、こういうふうに理解をしておるわけでございます。そして、少年の健全育成に障害を及ぼす行為を防止するという目的がございますので、少年の目に触れさせるには好ましくないということも判断の基準一つになると考えております。
  116. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のは限られた答弁でありますからそうなったのかもしれませんが、そうするとここで言われるところの「性的好奇心をそそる」という具体的な基準は目で見るだけでございますね。目に見えなければ一切構わないわけですね。
  117. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この法律の二条四項の二号及び四号で使っておりますのはそういう趣旨でございます。
  118. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 テレビなどでもよくあるのでありますが、私は現地を見たことがないから想像をたくましくして申し上げるのでありますけれども、声、何とも言えない音声、ああいうものはここでは一切関係ない、ただ目に見えなければよろしいのでございますね。
  119. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 音の場合でございますけれども、これは広告宣伝の規制がございますので、そういうものに係る場合は当然対象になると考えております。」
  120. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 広告宣伝の規制に係るということになりますと、これは法文にも具体的には明記をされていないわけですから、取り締まりに当たる方が本能的に何か感ずるということになってこれはいかぬというので取り締まるのでしょうが、例えば聞くにたえないような音声を出しますね。ああいうのは、私が今言うのは看板のことじゃないのですよ、声、音のことですが、そういうものが出ておった場合、これはこの法律でいったならば第何条の第何項によって規制をされるのでありましょうか。
  121. 古山剛

    ○古山説明員 例えば風俗営業につきましては、第十六条「風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。」という規定がございます。同様の規定風俗関連営業にもあるわけでございます。
  122. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、今言われた広告宣伝の規制というのは一体どの辺までおやりになるつもりなのでございましょうか。
  123. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 広告宣伝の規制は、視覚または聴覚に訴えるというものだと思います。したがいまして、看板、ポスター、音声というものがあり得ると思います。  ただ、これはあくまでも「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で」ということでございますから、通常周囲に及ぼす影響がなければならない。通常そこで通行人の目に触れ、耳に聞けるものでなければならないということだと思います。したがいまして、非常に小さなもので目につきにくいような状況になっているものは入らないと思います。  内容的に申しますと、先ほどのような見地からのものでございますので、例えばヌード女性のポスターであるとかわいせつ行為を示すような土としてストリップ劇場のポスターであるとか、あるいは卑わいな形状の看板であるとか、そういうものになるのではないかと思っております。
  124. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういたしますと、けさのNHKのテレビにも、あれは新宿じゃないかと思うのですが、けばけばしい看板とかああいう広告が出ておりますね。まさに子供を逃れて歩こうと思うと恥ずかしくて連れて歩けないというのが現状でございますが、この法律が施行されましたら、ああいう風景はぱさっと消える、たちどころに効力をあらわすであろう、こう思ってよろしいわけですか。
  125. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 かなりのものは対象になるとは思いますけれども、やはり一つ一つ先ほどのような要件に当てはまるかどうかということを検討しないといかぬと思います。  それからもう一つは、最近のものは必ずしも先ほど言いましたようなポスターとか看板だとかという形でなくて、文字で表示しているようなものもございますから、その文字が直にわいせつであるというようなものになるような場合は問題がございませんけれども、そうでない表示のようなものはこれは当たらないわけでございますから、やはりそういうふうなものがどうなるかというのは現場に即して判断してみないとならないと思っております。
  126. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 部長さんは大変慎重なお答えをしておるわけであります。これは下手をすると表現の自由にひっかかる問題もあるということで非常に慎重なお答えをしておられますが、それじゃ乱暴な問い方をしてみたいと思うのです。  今、部長さんが新宿を知らないはずはない。その通りぐらいは見ているに違いない、中には入らぬにしても。あの通りをごらんになりまして、うん、今度の法律が通ったら大体八割方これは整理できるなと思われますか。あるいは、せいぜい一%かなというところですか。これはそんなだらしのない法律ですか。
  127. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ちょっと私も、今度の法律ができたらあの看板がどうなるかという観点からじっくりながめておりませんので、感じで申し上げるというのはいかがかと思いますけれども、かなりのものが整理できるかなという感触は持っております。
  128. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は部長さんの御答弁で期待をしておりましたのは、今セックスの紊乱、もう甚だしいものがある。そしてばくちの関係も見逃すことができない。だから、しこうして風俗営業風俗関連営業を法の網にひっかけて、そして国民の期待にこたえるように風俗環境を浄化しようというのがこの法律趣旨でございますわな。ということになれば、現状を知らずして法律が出てきたはずはないのですね。現状を十分熟知して、これはいかぬ、これを直さなければいかぬというのでお書きになったんだと思うのですよ。  ということになると、例えば新宿なんかだったら、外国の町へ行ったごとく、どこにそんなものがあるのか、交番へ行って聞かぬとどこにあるのかわからぬぐらいにきれいになっちゃったというぐらいにやろうという決意でおやりになったのじゃないかなと思うのですがね。ちょっと今のお答えでは、一生懸命になってこれは審議しておるんだけれども、何かむなしいなという感じがしますが、いかがでございますか。
  129. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私どもはやはりこれは慎重に判断しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、特に私ども新宿の歌舞伎町等の状況を見ておりますと、最近はかなり自粛をしておるようでございますけれども、一時期は店の外側で中の様子をビデオで見せたり、そういうような大変行き過ぎた広告宣伝の仕方がありまして、そういうものがとても子供連れでは歩けない町にしておるというような形にしたわけでございます。これはいかにもひどいという感じを持ったわけでございまして、当然そういう行き過ぎたものはこの法律で規制できる、こういうふうに考えておるわけでございます。その後がなり自粛をしてまいりまして、自粛をした内容も、今申しましたように広告、宣伝も現時点では一時期よりも大分変わってきた様相がちょっとございます。  したがいまして、今の時点でどうなるかといいますと、先ほど言いましたようにこの法の趣旨に合うものは封然でございますけれども、それが全部が全部当たるかということになりますと、やはり一つ一つ慎重に検討しなければならない、かように申し上げておるわけでございます。
  130. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それから風俗営業の一号、二号に関係をいたしまして「接待」という言葉が出てまいります。これは一体どういう意味でございますか。
  131. 古山剛

    ○古山説明員 接待につきましては、法律上「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」と書いておりまして、できるだけ法律上明確にしたいということで書いたわけでございますが、法律には限界があるわけでございますので、私どもといたしましては、第一線に対しましては通達等でできるだけ明確に指導をしなければならないと考えておるわけであります。  接待に含まれるものといたしましては、営業者従業員等が客とともに歌や踊りに興ずるような行為、客の傍らにあって酒の酌をしたり談笑の話し相手になるような行為、あるいは積極的に客に歌うことを取り持ちしたり褒めそやすような行為、そういうようなその場の雰囲気を盛り上げる行為があるという場合に接待に当たるのではないかと考えておるわけでございます。  単に客の注文した酒食をウエートレス等が客に運搬するような行為とか、客席にはべらずにコップに酒やビールをつぐ行為、これは単なる給仕行為ということで接待には当たらないと考えております。また、話し相手になるということでございますけれども、単なる社会儀礼的なあいさつを交わす程度では接待にならないであろうと考えております。また、広い部屋等でショーを見せるというようなこともあるわけでございますけれども、客を特定しないでショーを見せるというような行為は、特定の客に対してもてなしているということにはならないというようなことから、接待には当たらないと考えておるわけでございます。そういうことできちっと区分けをいたしまして第一線を指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  132. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 くどいようでありますが、接待とは歓楽的雰囲気を盛り上げて客をもてなすということで、話し相手、酒をつぐ、あるいは単独にそこでショーを見せるとかいうようなことなんかをいうんです、こういうことでありますが、この歓楽的雰囲気というのは一体何かというところまでは聞きません。聞きませんが、それでは例えば今ここに出ておるのは、該当する業種が一号はキャバレー、二号が料理店とカフェーでございますね。そこで例えば旅館なんかにお客さんが芸者さんですか、そういうような接待する人を呼んでくれと言うので呼んで、そこで芸者さんが三味線を弾き太鼓をたたき踊りを踊るということを行うのは、これは接待ですか。
  133. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 接待でございます。
  134. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、一般のホテルにいたしましても旅館にいたしましても、お客さんの要望でそういう方々をお呼びして、そこで芸をやらせる、あるいは酒の相手をさせる、話し相手になるという場合は接待ということでありますから、お客さんが呼んでもその旅館やホテルは風俗営業で指定のあれが違ってくるのですね。旅館そのものが旅館の意思でそれを呼んでくるというのとどこか区別があるのでございますか。
  135. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは、そういうふうな旅館という場を使って芸者さんが接待行為をするというものは、やはり営業として接待をしているということになりますので、旅館業のほかに風俗営業許可をとってもらうということになるわけでございます。
  136. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、私これは今確認しておりませんが、たしかその部分に限り、旅館、ホテルは風俗営業許可をとるものとするというような意味のことが書いてあったと思いますが、これはそういう器用な分け方ができるのですかね。私の思い違いでしょうか。
  137. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 場所を特定するということは、旅館業の場合にあると思います。それから旅館業の場合なんかに必要に応じまして条件をつけるということがあると思います。例えば客室でそういうふうな接待行為はしない、いわゆる宴会場なり何なりそういうところでやる、そうしますと、そういうふうな場所を限定して許可をとるということが出てくる、こういうふうに考えております。
  138. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次の問題に移ります。  今回のあれで私が先般から随分くどいほど質問をいたしましたスロットマシン、テレビゲーム機その他の設備を有するこれこれとありましたね。これでいわゆる賭博性のあるものとないものとに区分したらどうだということに対して、それは区分はできぬのだ、先ほども御質問があったようですが、区分ができないのだということで当局は押していらっしゃいますけれども、この機械の区分というのがどうしてもできませんか。規則ででもできませんか。法律でできないとすれば規則ぐらいではできるのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  139. 古山剛

    ○古山説明員 金を入れて遊技機からその結果によって金が出てくるというような賭博専門、賭博以外に使いようのない機械、あるいは全く勝敗の結果が出ないとか定量的に数字があらわれないというような、賭博に転用されるおそれのないものは別といたしまして、あとは要するに用法によって賭博に使われる可能性があるかどうかという真ん中の部分につきましては、それが偶然性だけのものであるか、あるいは瞬間的な判断力、敏捷性といいますか、そういったものがかなり介在して偶然性が少ないというものでございましても、偶然性がそこにある限りにおきましては、やはりそれは区分けできないというふうに今考えておるわけでございます。
  140. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私はくどいようなことを申し上げるのですが、だれが見たってこれはお金が出ないだけのことであって、明らかに賭博機じゃないか、賭博専用機じゃないかというものがスロットマシンだ、ポーカーマシンだといろいろありますね。そういういわゆる世間が常識的に考えてこれは賭博専用機だと思うようなものと、野球とかいろんな運動神経といいますか反射神経を刺激するようないわゆる健全な機械というものの区分が、使い方によっては賭博にも使うことができるんだから、全部一括網にかけてしまうんだというやり方は、この間申し上げたように、出刃包丁だって使い方によったらすぐ凶器に変わるわけですね。野球のバットだって、使い方によっては親まで殺すわけです。凶器に早変わりするわけでして、短い一メートルぐらいの縄一本ありましても、やろうと思えばこれは凶器に早変わりできるわけなんで、そうまで疑って疑って網を全部かけていくというような、全部取り締まるぞというやり方がいいんだろうかなという疑問がありますので、これは私はまだあきらめてはおりません。後まだしつこいほど理事会あるいはその他で意見を主張していきたいと思っております。  時間がありませんので次へ進ませていただきますが、この機械の認定を中央で統一するということが今度出ております。今までは各都道府県でやっておったものが、それでは不便でしょう、だから県が違うとまた検査を受けなければいかぬなんてそんな不便なことをせぬでも結構です、今度は中央で一括やりますから業界にとっては大変便利になりますよというようなお話でここに法律案が出ておるのでありますが、これは逆に、中央に統一することによって機械の画一性といいますか、言うならば機械が全部制服を着て歩いているという形になってしまう。政府のお役人の皆さんでも、背広の色は皆違う。タイプも皆違う。そんなものを、遊技機が中央で画一化されて統一されたら、これは時代のニーズにマッチした機械の開発ということが鈍ってしまうのじゃないか、なされないのじゃないかという弊害が起こるおそれが多分にあると思っているのです。  その点について業界からも大変心配の声が上がっておりますが、これに対して当局は、この法律が通った場合どうその業界の心配、いわゆるニーズを生かすことができない、時代にマッチした開発ということが非常におくれてしまう、そして全部が制服的な機械になってしまうというようなことで非常な心配をしておるわけでありますが、その業界の心配に対してどう解決をしていくのか、お答えいただきたいと思います。
  141. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 遊技機の型式に関します規格と申しますのは、見る観点はあくまでも著しく射幸心をそそるおそれがあるか否かというところでございまして、遊技機がおもしろいかおもしろくないか、あるいはデザインはどうするんだというようなことを決めるものでは決してないわけでございます。したがいまして、そういう意味パチンコの型式が統一化してしまうというふうなことは一切考えておりません。私どもは、各メーカーが各地の地域性を生かされて、そして時代のニーズにこたえてそういう遊技機を開発して、国民がそれで楽しんでいくということが望ましいと考えておるわけでございまして、そういう角度から都道府県警察等も指導してまいりたいと考えております。
  142. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、今のお答えをそのまま素直に受け取ると、これを中央で統一してその規格を検査するということは、著しく射幸心をそそる機械であるかどうかを見るのであって、型式とかそんなことを一々とがめて見るのではないのである、射幸心をそそるかそそらぬかを見るだけであるということですね。それでしたら、何も中央でおやりにならなくても、例えば九州の業者がわざわざ東京まで機械を担いできて検査を受けるというようなことをしなくたって、それは各都道府県に、著しく射幸心をそそる機械とはかくかくしかじかの基準に基づくものであるというのを出しておきさえすればそれでチェックができるのじゃありませんか。
  143. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 最近の遊技機は大変IC等が使われまして、そういう遊技機の認定、検定には高度な技術を要するということになっておるわけでございます。そういうことで、各都道府県で行うことになっておりますけれども、なかなかそれだけの能力がない場合もあり得るわけでございます。そういう意味で、そういう能力、知識を持っている者が速やかに行うということが業界のためになると考えておるわけでございます。そういうことで時間も現在やっておりますものよりもかなり短縮できると私は考えておりまして、その辺からも関係業界の御要望には沿えると考えておるわけでございます。
  144. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 日本は小さい国でありますけれども、この国は随分細長いのですよ。中央で統一してこれを検査するということになりますと、すなわち一カ所でございましょう。これは大変な時間と労力と費用を要しますよ。それが、現在各都道府県でやっておるよりはもっとスピーディーにできるというのはどうもようわからぬですな。私の今まで習った数学からいいますと、九州から東京に出てくるよりは、九州のものは九州で検査を受ける方がよっぽど早いのじゃないかと思うのですが、これは一体どういう理屈ですか。
  145. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現在こういう遊技機のメーカーは限られておりまして、現実には余り九州等で行われているということはないわけでございます。しかし今後そういうメーカーが大変遠隔地にできるということがあれば、これは現地でも判断できるようにというようなことも検討してまいりたいと考えます。
  146. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 しつこくなって恐縮でありますが、私が九州と言いましたら、日本は四つの島に分かれておるので九州という言葉を挙げたのですが、九州にありはしません、こうおっしゃるんだから、あるところがわかっておると思うので、どこどこにあるのか発表してください。
  147. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今はメーカーはほとんど名古屋と桐生に集中しておるようでございます。
  148. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 名古屋と桐生に集中しておるのであれば、名古屋と桐生で検査をしてやることの方がベターなんじゃないですか。わざわざ東京に持ってこぬと検査ができぬほど遊技機というのはすばらしく複雑怪奇なものなんですか。日本で一カ所しか検査ができぬほどの複雑なものなんでしょうか。業者の人たちの利便を考えてあげると、名古屋と桐生が主なる生産地であるならば、名古屋と桐生に検査所を設ければいいじゃないか、わざわざ東京まで持ってくる必要はないと私は思うのでありますが、いかがですか。
  149. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは、申請はそれぞれの都道府県でやっていただきまして、あと試験機関で検査をするということでございます。そういうことでございますので、業者の皆様方に御迷惑をかけるようなことはないと考えておるわけでございます。
  150. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 検査をしてくださいという申請はそれぞれの県へ出していく、それで検査は中央でやるんでしょう。どうして中央でやらなければいかぬのですか。今行政改革なんというのは、こういうところにも十分配慮しなければいかぬと私は思いますよ。民間の活力をそいでしまうようなことはなさらぬ方がいい。だから現地で申請さして現地で検査すればいいじゃありませんか。桐生というところ、名古屋というところ、主だったところは大体わかっているのですから、東京に持ってこぬでもそういうところにしたらいかがですか。
  151. 古山剛

    ○古山説明員 遊技機そのものの認定あるいは検定というものは各県の公安委員会でやるわけでございますけれども、その検定の際にICとか複雑な電子部品が入っておりまして、それが技術上の基準に該当するものであるかどうかということの試験事務を指定試験機関で行う、こういうことでございます。  先ほど部長が答弁いたしましたようにメーカーは桐生と名古屋に多いわけでございますけれども、しかしながら、それを販売するのは東京とか大阪とかそういうところが多うございまして、メーカーといいますか、あるいはメーカーの代理になって販売する業者がやる場合もありますけれども、東京で警視庁、要するに東京都公安委員会に出す、その前に指定試験機関の検査を受けまして、東京で認定をとって、検定に合格しまして指定試験機関も通ってますよということになれば、今度は各県の方でそれぞれ形式上の検定の手続というのは必要でございますけれども、もう基準に該当しているということも明らかでございますし、規格にも当てはまる、中身もすべて解明されたものであるということでそのまますっとほとんど何の手続もなくいけるわけでございます。  そういう点で、その辺のところはいろいろとメーカー側とも話し合っているところでございますけれども、東京に置いてもらった方が一番いいというようなあれもございまして、その辺のところは本当にそれでいいのかどうかという点は今後さらに話し合っていきたいというふうに考えております。
  152. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がなくなりましたからこれでとどめますけれども、いかに御説明を聞きましても、四十七都道府全部あるというのじゃない、いわゆる名古屋と桐生くらいのものでしょう。そこへ申請が出てくればその県で認定し検定をする、それでICの試験だけを東京へ持ってきてやるのだ、こうおっしゃるわけでしょう。  そんなことせぬだっていいじゃないですか。そんなもの、名古屋だって桐生だってICの検査くらい楽々とできますよ。なぜできるか。そのICを使った機械をつくる会社がいっぱい群がっておる町でしょう。そこでICの検査ができぬようだったら、業者はこのICは何に使うんじゃろうか、これ使うたらどうなるんじゃろうかということがわからぬで使うのですか、そんなあほなことしたら業者は一遍につぶれますよ。だから、東京に一々持ってくるなんということは民間に余分の費用と余分の負担と余分の苦労をかけることになるのじゃないですかということを言っているのです。
  153. 古山剛

    ○古山説明員 ICはもちろん試験をさせていただく中心でございますけれども、そのほかにもいろいろあるだろうと思うわけでございます。ICに限定したものではないわけでございます。(「いろいろというのは何だね」と呼ぶ者あり)要するに機械の技術的な面を専門的に試験してみる必要があるわけでございまして、ROMとかRAMとかあるわけでございます。  それで、メーカーの方あるいは販売する方は、これは東京用の機械、これは九州方面の機械ということでつくっているわけでございませんし、また桐生にあるから関東方面だけを販路としている、名古屋だから西の方だけを販路としているというわけではございませんで、嗜好の差によりまして、あるいは東日本用とか西日本用とかそういうのは多少あるかもわかりませんが、できるだけ幅広く売りたいということでございます。したがいまして、桐生にあるなら桐生に置けばいいというのと東京にあるのとほとんど差がないわけでございまして、業者の方が桐生にあるのが一番いい、あるいは名古屋の業者は名古屋にあるのが一番いいということであればそれでようございますが、いずれにしてもその辺のところは業界の利便を考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  154. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の御答弁を承ります限り、業界の希望に沿ってそこは柔軟に対処いたしましょうというふうに聞こえましたが、そのとおりに受け取ってよろしゅうございますか。
  155. 古山剛

    ○古山説明員 その辺の意見も十分尊重しながら考えてまいりたいと思っております。
  156. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 短い時間で質問をさせていただいたのでございますが、今お聞きになってもおわかりになりますように、お答えなさる方もちょっと弱ったなという形が随分あるのでございます。そこで、こういう疑問が非常に多い大改正法律については、あと六時間ぐらいしたら質疑は終わってしまうのでございますけれども、政府の方においても、また与党自民党の方々におきましても、この法案が完全無欠ではないなということがよくおわかりになったと思うのです。そういう点では前向きにみんなが知恵を出し合って、どうすれば風俗環境が浄化されていくか、よりよいものができていくかということを真剣に考えて、立派な法律ができ上がるようにお互いに力を合わせていこうではありませんかということを申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
  157. 大石千八

    大石委員長 吉井光照君。
  158. 吉井光照

    ○吉井委員 今回の風営法改正に当たりまして質疑も長時間にわたり、我が党としても私の質問が最後でございます。そうした意味で、いろいろ重複もしまた総括的おさらいの意味質問をしていきたいに思いますので、どうかお許しを願いたいと思います。  まず最初に、管理者制度について、そもそも今回の改正管理者制度を導入された理由についてお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
  159. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者制度は現在の風営法の施行条例にもあるわけでございまして、現行法制度を整備しようというものでございまして、新設するものではございません。
  160. 吉井光照

    ○吉井委員 しかし、今回の管理者制度の導入といいますか、明確化といいますか、この問題につきましては種々論議がされまして、いろいろ疑問視される向きも非常に強いわけでございます。まず、営業者自身管理体制がしっかりしている営業所についてはどうだろうかとか、またごく小規模の営業所、例えば営業者のみの場合は人を雇う余裕などないのが現状でありまして、無理をして雇えば倒産ということも十分考えられるし、倒産を免れるにはそのツケがどうしても消費者にはね返ってくるのじゃないか、こうしたことも言われております。また、第二十四条で管理者にまで営業者並みの人的欠格事由が定められていることは、営業の自由に反するおそれがあるのではないか、こういうことも言われております。  したがって、もしこの制度が必要であるならば、管理体制をより一層強く要望する大規模な営業所であるとか、また営業に問題性のある営業所のみに限定すべきではないか、このように考えるわけでございますが、これについて御意見をお伺いしたいと思います。
  161. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者の資格と申しますのは現行法にもあるわけでございまして、現行法考え方を踏襲しながら整備をしておるということでございます。風営法関係管理者を置くという問題は、風俗営業というのは属人的な無形のサービスを提供する性格のものでございまして、私どもは、一面では風俗営業の自主的な健全化を図っていただこうという形でいくのが大事である、こう考えておるわけです。  したがいまして、そのためには現場を統括管理する者が適正な業務を執行しておることが非常に望ましいというふうに考えておるわけでございまして、風俗営業というものの持つ性格からいきまして、そういう管理者という制度を通して風俗営業の適正化を図って、国民に健全な娯楽と憩いの場を提供するということが大事である、かように考えて従来の制度を踏襲しながら整備していこう、こういうふうにしたものでございます。
  162. 吉井光照

    ○吉井委員 なるべく公安委員会の恣意的な判断を避けるという意味からも、解任権を行使する場合の客観的な認定基準を設けたらどうかと思うのですが、これについてはどうでしょう。
  163. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、解任権を行使するという場合の条件として客観的なものを設けていくということは望ましいと考えております。現在の関係でも、この条文の中で、例えばどういうものに違反した場合かということになりますと、この風俗営業法の趣旨からいいまして、要するにいわゆる飲む、打つ、買う、わいせつなり姦淫なり賭博なり、あるいは売春なり児童福祉法違反なりというような風俗に関する法令に違反をしたということで十分明確とは思いますけれども、さらにそれを内部的にきちっといたしまして、一線によく徹底をいたしまして、地域によって運用に差が出ないようにやっていくことが大事である、かように考えております。
  164. 吉井光照

    ○吉井委員 国家公安委員会規則で、管理者業務内容としては構造設備維持点検、それから従業者名簿管理などを予定しておられるようですが、この場合、営業者の権限を奪うことのないように管理者業務内容を限定すべきではないか、この点についてはどうでしょう。
  165. 古山剛

    ○古山説明員 管理者といいますのは、その営業所におきまして風俗営業としていろいろと営業される場合に、法律をよく守って健全にやっていただくということでございます。そういう意味におきまして、おのずからその範囲は限られてくると思うわけでございます。  国家公安委員会規則で定めるものということのあれでございますけれども構造設備維持点検あるいは従業者名簿管理というお話がございましたけれども、そのほかに関係機関の連絡あるいは当該風俗営業に係る苦情の処理、そういったものを定めたいと思いますけれども、その辺のところは国家公安委員会規則で定める際には明確に書きたいというふうに考えております。
  166. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、警察職員の立ち入りの件ですが、これも本委員会で大変議論の多い問題でございますが、確認の意味も含めましてお尋ねをしていきたいと思います。  まず、警察職員の恣意によって立ち入ることができるケースだと判断され、立ち入るおそれはないでしょうか。警察職員の恣意による立ち入りは違法だとしても、事実上そのような行為が行われること自体が問題であって、これを事前に防止する何らかの措置を講ずる必要があるのではないか、このように考えるわけですが、いかがですか。
  167. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りは、通常署長などの幹部が指定をいたして行っておるわけでございます。そうしてその立ち入りの方法なり着眼点等もいろいろ示しまして、トラブルも生じないように行っておるわけでございますけれども、今後ともそのような方向でその指導基準明確化というものを徹底してまいりたい、かように考えます。
  168. 吉井光照

    ○吉井委員 第三十七条第三項で、この立ち入り等は犯罪捜査のためには認められない旨の規定がされておりますね。行政上の指導監督のため立入検査を行い、その途中で犯罪捜査を行うということについてはどうですか。
  169. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りはあくまでも犯罪捜査のために認められたものでないわけでございまして、行政目的に限られるわけでございますから、途中で犯罪が行われるというのは通常まれであると考えております。仮に行われた場合ということでございますが、殺人だとか大変緊急な事態が出るということになれば、その場で現行犯逮捕なりそういうようなことが起こることもあり得ようとは思いますけれども、通常はちょっと考えられない。そうして、この法律違反ということが仮に出た場合でございますけれども、御存じのとおりこの法律は実はできる限り罰則から行政処分に切りかえておるわけでございます。この十二条あたりから十九条あたりまでの条文は、かつては罰則がついているものが多かったわけでございますけれども、そういうものを全部外しまして、罰則をつけてないということでございます。  そういうことで、そういう遵守事項違反はもともと罰則にならないというものもございますし、仮にそういう罰則に該当して犯罪になるということになれば、いきなりそういう措置をとるというのではなくて、この法律ではできる限り指示というような前段階指導に当たるような措置をとりながらやっていこうという趣旨でございますから、あくまでも原則的には行政的な対応というものでやっていくということに考えておるわけでございます。
  170. 吉井光照

    ○吉井委員 三十七条の第一項の立ち入り、これは行政上の必要によるものですね。したがって、相手方の承諾がないとできないものと理解してよろしいですか。
  171. 古山剛

    ○古山説明員 警察職員が立ち入ります際に相手方がそれを拒んだ場合、その拒否というものを実力で排除しようというものではございません。立ち入りを拒んだことに対する罰則によりましてその実効性を担保しておるものでございますので、個々の立ち入りは明示であると黙示であるとを問わず、相手方の同意を前提としているものというふうに考えております。
  172. 吉井光照

    ○吉井委員 では、この立入検査の質問に対しまして、正当な理由があればこれに答えなくてもいい、このように理解してよろしいですか。
  173. 古山剛

    ○古山説明員 答えなくてもいいというわけではございませんで、答えていただきたいわけでございますけれども、ただ質問に答えていただけなかったという場合には、これは立入検査を拒んだことには当たらないと思われますので、処罰されることはないと思います。
  174. 吉井光照

    ○吉井委員 それから検査の対象となるところの帳簿、書類それからその他の物件の中には、風営法の運用とは全く関係のない税務関係のものまで含まれているとしてよいのかどうか、この点どうですか。
  175. 古山剛

    ○古山説明員 三十七条の最初のところで、「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度においてこというふうになっているわけでございます。したがいまして、風営法目的から必要なものに限られるわけでございまして、それ以外のものについて検査を行うものでないことは当然でございます。したがいまして、税関係の帳簿とか書類を風営法目的から検査することはございません。
  176. 吉井光照

    ○吉井委員 では、立入検査につきましてあらかじめこれを事前に通知し、また調査事由の開示をする必要があるのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょう。
  177. 古山剛

    ○古山説明員 この立ち入りといいますのは、風営法の施行全般について見るためのものでございまして、特に調査事由を限定して行うことはなかなか難しかろうと思うわけでございます。したがいまして、事前に調査事由を示してやるということは原則としてできないのではないかというふうに思います。しかしながら、立ち入りに当たりまして、その必要性あるいは営業者側の受ける不利益等を考慮いたしまして、いたずらに過度の負担にならないように柔軟に対処していきたいと考えております。
  178. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、飲食店に対する規制の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、現行法におきましては、飲食店の規制というものは深夜における業務だけに限定されていたのですね。ところが改正案の第三十四条によりますと、飲食店営業者が一般の法令違反があった場合、それが少年の健全育成に障害を及ぼす等のときはこれを防止するための指示ができる、さらに指示に従わないときは営業停止を命ずることができる、このようになっているわけです。このように飲食店の規制を昼間の業務にまで拡大するという理由は何ですか。
  179. 古山剛

    ○古山説明員 飲食店全般について規制するということでございますけれども、指示をするという場合も、違反があった場合だけでございます。飲食店につきまして、規制というのは必要最小限度でなければならないというふうに考えておりますけれども、一応その理由といたしましては、飲食店につきましては公衆が出入りしやすい、そして善良の風俗あるいは清浄な風俗環境を害するとか、または少年の健全な育成に障害を及ぼす行為が行われやすいわけでございますけれども、飲食店というのは食品衛生法で許可をとっておられるわけでございますけれども、その食品衛生法におきましては、公衆衛生面からの規制が行われているのみでございまして、そういう善良な風俗とか清浄な風俗環境の保持、あるいは少年の健全な育成の観点からの規制は全くないということ。  それから飲食店というのは、ゲームセンターと並びまして不良少年のたまり場となりやすいわけでございまして、特に喫茶店などはそういうケースが多いわけでございますが、日常的に少年が酒を飲んだりあるいはたばこを吸ったりしているというようなことが行われているなど、少年非行の温床となっている営業所も多々あるということで、酒やたばこの提供等非行を助長する行為を規制する必要があるというようなこと。  それからさらに、最近の飲食店の中にはデート喫茶、デートスナックなど善良の風俗あるいは少年の健全育成を害しやすい形態の営業を営む者があらわれてきておりまして、これらを舞台に少年を食い物にする、私ども福祉犯と言っておりますけれども、そういう犯罪がいろいろと起きております。  そこで、飲食店において売春その他善良の風俗あるいは少年の健全な育成を害する行為が行われたような場合には、指示あるいは営業停止処分を行う必要があるわけでございます。そういうようなことで、一般飲食店に対する規制というのは必要最小限度に限っているという点を御理解いただきたいと思います。
  180. 吉井光照

    ○吉井委員 最小限度とおっしゃいますけれども、善良の風俗とか少年の健全育成から見て昼間の業務が問題になるのは、何も飲食店だけではなくて、一般の映画館その他の営業でもこれはあり得ることなんですね。しかも法令はどんな法令でもいいわけで、少年の健全育成自体の解釈としてもこれは非常にあいまいでもありますし、一般の飲食店についてここまで広い規制をする必要はないのではないか、このようにも思うわけですが、これについて御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  181. 古山剛

    ○古山説明員 形式的に法律違反するとか、そういうような点を考えますと、例えば映画館があるではないかというようなこととか、その他の営業でもあるではないかというようなこと等でございますけれども、それぞれの業態を考えますと、やはり少年のたまり場というような関係、あるいは風俗上問題があるというような関係は飲食店に大変多いというような点がございまして、最小限度のことは必要ではないかというふうに思うわけであります。  それから現行法のもとにおきましても、第四条の三項におきまして、「公安委員会は、飲食店営業を営む者又はその代理人、使用人その他の従業者が、当該営業に関し、」云々というときには、「六月をこえない範囲内で期間を定めて営業の停止を命ずることができる。」というような規定もございまして、現在でも、そういう意味では何らかの規制はかかっているということでございます。
  182. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、少年指導委員制度についてお尋ねをするわけですが、第三十八条二項によれば、少年指導委員に関連する営業はいわゆる風俗営業風俗関連営業、飲食店営業及び興行場営業だけとされているわけです。しかし、少年の健全育成という観点から見れば、この四営業だけに限定することは不合理ではないか、このような気がするわけでございます。例えばゲームセンターとボーリング場が隣り合わせといった場合、ゲームセンターにいる少年がボーリング場に入ってしまえば補導できないというおかしなことになるわけです。したがって、名称も正確には風俗営業少年指導委員というふうになればこれは別問題となると思うのですけれども、この点どうですか。
  183. 山田晋作

    山田説明員 確かに御指摘をいただきましたように、風俗営業それから風俗関連営業等に関して少年指導委員を設けるということでございますけれども、この趣旨は、これらの営業が現在不良行為少年のたまり場になるとか少女非行のきっかけをつくったり、少女非行の場になるとか福祉犯罪の場になるとかいったような問題のある箇所が非常に多うございますので、この風俗営業法の改正に絡みましてこういった少年指導委員制度を設置するということでございます。  それ以外の、ボーリング場とかそういったほかのものについてどうかということでございますが、ボーリング場だけに限って申しますと、かつてはかなり少年非行化の場になっておったようでございますけれども、現在はわりかたオープンでございまして、健全なもののように私ども見受けているわけでございます。しかし、仮にゲームセンターとくっついておって非行少年がそちらに逃げ込んだらどうか、逃げ込んだというと言葉はおかしゅうございますけれども、そういった場合でも少年非行防止の見地から、そこの営業者なり管理者なりがおると思いますので、そういった人にいろいろと御協力を求める手段もございますので、風俗営業法の中ではそういったことまでは規定しないことにしたわけでございます。     〔西田(司)委員長代理退席、小澤(潔)委     員長代理着席〕
  184. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは総務庁にお尋ねするわけですが、青少年対策本部がありますね。これは自分の所管の地方団体の少年補導センターに少年補導委員という広範な職務に従事するボランティアを六万七千人持っていらっしゃる。このように活動が制限されている今回の少年指導委員を設けることについてどうして賛成をなさるのですか。
  185. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 今回の風営法改正に伴いまして設けられます少年指導委員につきましては、先ほど来の御説明にもございましたように、風俗営業風俗関連営業等と関連いたしまして、盛り場などにおきます非行防止に重点的に取り組まれるものと理解しておるわけでございます。青少年対策本部といたしましては、市町村に置かれております少年補導センターの一部に助成を行っておるわけでございますが、この少年補導センターに置かれております少年補導委員は、街頭補導それから少年相談と広く少年非行防止全般に取り組むものでございます。いずれにいたしましても、少年非行防止のためには関係機関あるいは関係方面がそれぞれの立場から一生懸命取り組む、努力をする必要があるのではないかと考えております。
  186. 吉井光照

    ○吉井委員 実際には、少年指導委員はさきに述べました四つの営業以外の営業に関しても事実上補導したりすることになると思うのです。これは違法ではないかという問題です。したがって、この場合には三十八条の五項二号に該当して解嘱されるのではないか、こういう懸念もあるわけですが、その点はどうでしょう。
  187. 山田晋作

    山田説明員 法の三十八条五項によって解任されるのではないかということでございますが、少年指導委員を委嘱する場合には、その少年指導委員に委嘱するに当たっての職務の範囲とか職務遂行上の留意事項といったものについては、私どもといたしましては詳しいものをいろいろと御指導申し上げて、それに従ってやっていただくようにするつもりでございます。  それで、当然私どもといたしましては厳しい要件、厳格な要件を定め、また立派な方々になっていただいておるわけでございますから、それから逸脱するようなことはないと考えておりますけれども、万が一それに反するような場合には、その程度いかんによっては解嘱というのでしょうか、やめていただくこともあり得ると思います。
  188. 吉井光照

    ○吉井委員 少年の健全育成につきましては、既に民生委員や保護司を初め少年補導員等たくさんの制度があるわけです。また、少年指導委員制度とこれらの既存制度との関連もまだどうも明らかではない。こういう状態の中で、さっき述べましたように職務が限定され、また屋上屋を重ねるような少年指導委員というポストにつく人が果たしてどれくらいあるだろうか、非常に疑問に思うわけですけれども、この点についてのお考えはいかがですか。
  189. 山田晋作

    山田説明員 少年指導委員を委嘱するに当たりましての要件とか基準につきましては先ほども申し上げたとおりでございますけれども、確かに要件は厳しゅうございます。それだけ、私どもといたしましては立派な方を希望するというのでしょうか、立派な方に少年指導委員になっていただきたいということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一気に何名の方を委嘱するとかいうふうなことではなくて、管内の実態とか、それにふさわしい方がいらっしゃるかどうかということを十分に見きわめながら委嘱するようにしてまいりたいと思っております。
  190. 吉井光照

    ○吉井委員 最近の不良少年といいますか、こういった連中を考えるときに、すぐ権限の有無を尋ねる子が非常に多いわけです。そうなりますと、確かに法律上の根拠があった方かうまく活動できるのではないか。しかし、少年の健全育成というものは法律とは余り関係のない、本当に真のボランティアでこそうまくいくのではないか、このようにも考えるわけですけれども、この点についてどうでしょう。
  191. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年課長からもお話を申しましたように、また先生からもお話がございましたように、盛り場での少年補導はなかなか難しくなっております。先ほど指摘のように、指導いたしましてもどういう任務でやられるのですかというようなことで、ボランティアで活動されている人の士気がそがれることが現実に非常に多いわけでございます。そういうことで、活動を法律的に認めて、その地位、任務を明確にして、そして厳格な資格条件をつけてやっていく、もちろん活動は任意でございますけれども、それが少年指導に非常に効果があるのではないかと考えておるわけでございまして、そういう形で少年指導委員制度を設けたものでございます。
  192. 吉井光照

    ○吉井委員 青少年の健全育成は、我が国にとりましても今一番重要な課題ではないかと思います。しかし、このような制度創設が本当に必要ならば、風営法という限定された法律によって措置すべきではないのではないか、このような気もするわけですが、この点どうですか。
  193. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年の問題、確かに広範な問題があるわけでございますが、現に少年非行あるいは福祉上いろいろ問題になっておりますのは、やはりこういうふうな風営関係のものに集約されておるというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう意味で、風営関係の関連、あるいはそれにまつわる盛り場その他のところで行う活動というのが一番大事であり、またそれがこの風営法目的にも沿うものである、かように考えておるわけでございます。
  194. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、条例委任についてお尋ねをしたいと思います。  現行法制定時において、政府側は、地方の実情に応じた取り締まりをする基準をつくることが好ましいんだ、そうして条例での規定の必要性を主張していらっしゃいます。今回の改正について、警察庁の資料によりますと、「現行風営法において条例事項としているものを見ると、交通・通信の発達により風俗の態様に地域差が少なくなっているにも拘らず、例えば、風俗営業に関する人的な許可基準や構造・設備などは各都道府県によって規定内容が異なり、また、微に入り細をうがった規制がなされているものもあり、営業者や利用者にとって不便又は不公平なものが見られる。」このように述べております。その例として、風俗に関する罪を犯してからの欠格期間が、広島県では三年だが、隣の岡山、山口では一年である、福岡では二年、条例基準は三年でありますけれども。また、キャバレーなどの客室の面積をほとんどの県では六十六平米以上としているが、愛媛では九十九平米以上、こういったことを挙げていらっしゃいます。  しかし、このような例があったとしてどこが問題になるのか。確かに地域差というものは少なくなりつつはあるものの、この風俗営業はもちろん、新設の関連営業に対する地域の評価差というものは依然大きいわけでございまして、それが規制面で差を生ずるのは当然ではないか、このように思うわけでございます。そしてどうしてもおかしい点があるのならば警察庁の方からきちっと指導すればよいのであって、まさか警察庁のそういった指導どおりにいかない県警があるとは考えられないわけですけれども、こういった点はどうでしょう。
  195. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 やはりその地域差を認めるべきものと、地域差は余り考えない方がいいというものと二通りあるのだろうと思うのでございます。それはやはり許可の人的な欠格条件であるとか、先ほどお話しの構造の基準だとか、そういうものが、川一つ隔てた隣の県とこちらの県でやることが違うのだというのは、国民にとっても大変御迷惑な形ではなかろうかという感じがするわけでございまして、やはりこういう点は合わせていくべきではないか。現にこの点につきましてはそういうふうなばらつきが大変大きいじゃないかという御指摘があびまして、三十九年の風営法改正のときに全会一致で、やはり今の法律体系の不備は直すべきだという御指摘をいただいておるわけでございます。  そういうことで、今申しましたように、地域差があるべきでないものはやはり法律で統一していくべきであるし、それから地域差は持っている方がいいというものは、これは当然条例に任じていくべきだ、こういうような仕分けをしていくことが大事ではないか。そういうことで、今度の関係でも条例で残しているものはかなりあるわけでございます。例えば時間の問題であるとか、距離の問題であるとか、場所の問題であるとか、こういうような問題は条例にもゆだねるようにできておるわけでございまして、それがやはり地域の実借に合ってやられることではなかろうか、かように考えております。
  196. 吉井光照

    ○吉井委員 例の(三)として挙げられているところの「幾つかの県においては、売上競争の禁止従業者負担による制服着装の禁止等の規制を行っている。」これは現行法の委任の範囲を超えたものをおっしゃるんだろうと思いますが、このようなものは警察自身のモデル条例にもあるんですね。そして、このような委任以外の事項を条例で定めることは、地方自治法の第十四条二項、地域の必要性に応じて当然にできることではないかと思う。この点について警察庁とそれから自治省の御見解を賜りたいと思います。
  197. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今の御指摘の中でちょっと「売上競争」というのが見当たらないのでございますが、いずれにいたしましても、そういうふうなものを指導するということはあると思いますが、ただ、御存じのとおり、条例の関係というのは、一応のモデル条例をつくりましても、やはり決めていただくのはそれぞれの都道府県で決めていただくからこそ条例にしておるわけでございまして、余りモデル条例どおりに全部が全部全国一律なら地域の特殊性を認めたことにならないという問題もあるわけでございますから、これまたいかがなものであろうかという感じもするわけでございます。そういうことで、もちろんそれなりの指導はいたしますけれども、やはり条例に任じておるという基本的なスタンスは尊重していかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  198. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御案内のように、現行風俗営業取締法第三条におきましては、かなり幅広く風俗営業を営む者の行為等につきまして都道府県の条例に委任されております。地域の実情に応じていろいろなことを規定しておるわけでございますが、その中に御指摘のような売り上げ競争の禁止でありますとか服装の問題に触れたものもございます。  今回の改正案におきましては、従来の条例事項とされたもののうちの基本的なものが法律段階に引き上げられました結果法定化されることになったわけでありますが、この改正案の第二十一条という条文に、風俗営業者の遵守事項につきましては、今回の法律案規定されているもの以外のものにつきましては、引き続き都道府県が地域の実情に応じて必要な制限を定めることができる、こういう規定になっておりまして、従来どおり地域の実情に応じた規制を御指摘の点について加え得るものと理解しております。
  199. 吉井光照

    ○吉井委員 大臣にお尋ねしますが、現行法のような条例委任が多いスタイルで取り締まり上支障が生じているとも思われないわけです。地方の時代と叫ばれている現在、運用上特別の支障もなく、その他の特別の理由もないのに、今回のような形式の改正をすること、すなわち条例事項を法律事項に引き上げることについて、自治大臣を兼ねていらっしゃる国家公安委員長としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  200. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほどお話に出ましたように、最近は交通の発達、通信の発達によりまして、風俗の態様に地域差が非常に少なくなってきた、狭められたといってもよろしいのではないかと思うのです。今の風営法を見ますと、統一してもいいようなものがたくさんございまして、非常に細かくなっている。そういうところから今回このようなことになったのでございまして、今の状態を続けていきますと、かえって営業者や利用される方々に不便をおかけしたり不公平にもなったりするというようなことで、全国的に統一した方がいいというものについては国の法令に任せられるようになり、各県の実情に応じてお任せしていた方がいいというものについては都道府県にお任せをするというようなことになったわけでございまして、今も保安部長から説明がありましたように、これは地方自治を阻害するようなものでは毛頭ございませんので、いろいろ各方面からの御意見がありまして今回のような形になったわけでございまして、ひとつ御理解のほどをお願いいたします。
  201. 吉井光照

    ○吉井委員 風俗関連業種は今後政令で追加指定することができるわけです。しかしながら、今後どのような業種がまた次から次へあらわれてくるか予想もつかないわけであります。ところが、改正案では関連営業について条例への委任は何にもないわけで、このような不測の事態に備えて必要に応じた関連営業の行為の規制ができるように委任条項を設けていくべきではないか、このように思うわけですが、この点どうですか。
  202. 古山剛

    ○古山説明員 今回の改正におきましては、風俗関連営業につきましても、地域規制あるいは時間規制といった地域の実情に応じて定めるべき事項につきましては条例で定めるということにいたしておりまして、地域の実情というものをある程度反映できるようにしているわけでございますけれども、行為の遵守事項の条例による追加につきましてはそこまで必要はないのではないかというふうにも実は考えているわけでございます。  その理由でございますけれども、トルコぶろとかモーテル営業につきましては、現在何らの遵守事項あるいは禁止行為というのは課せられていないということで、今回の改正による営業行為の規制というのは全く新しいものでございます。それから、性を売り物とする風俗関連営業というのは風俗営巣に比べましてその営業の性格が明らかでありまして、条例により地域の実情に応じて遵守事項を定める、そういうものではないのではないかというふうに思うわけでございます。  風俗関連営業というのは性を売り物にする営業でございまして、本質的にその健全化になじまない、それから内部の行為を規制しても、性を売り物にする営業であることには変わりがないわけでございまして、このために今回の改正では、条例によって個々の行為を規制するのではなくて、より強力な手段として営業そのものを地域規制等によって制限できることにいたしまして、さらに、一定の事由があれば営業の廃止命令まで含めた行政処分等の規定もございまして、十分規制が行い得るというふうに考えている次第でございます。
  203. 吉井光照

    ○吉井委員 次にゲームセンターの許可制についてお尋ねをしておきたいのですが、第二条第一項第八号の「射幸心をそそるおそれのある」とは、どの程度になれば認定することになるのか、その認定基準はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  204. 古山剛

    ○古山説明員 第二条一項八号に言います「おそれ」でございますけれども、客観的に見まして使い方によって射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる、そういうものでございまして、具体的には、遊技結果が定量的に表示されるかあるいは勝負の結果が明らかになるようなもの、そういうものでございます。この国家公安委員会規則を定めるに当たりましては、有識者の方方あるいは関係業界の方々の意見を十分に聞いて定めていきたいと考えております。
  205. 吉井光照

    ○吉井委員 国家公安委員会規則で定めるものとして、現在はスロットマシンそれからテレビゲーム機等が予定をされているわけですが、しかし、例えば一口にテレビゲーム機と言っても非常に広範囲ですね。これは何回も質問に出たわけでございます。しかも、その技術開発というものが急速に進歩していることを考えれば、将来どんなものが出てくるか予想できないわけでございます。であるならば、やはり規則では名称だけではなくしてその構造、機能等も定めておかないと規制対象の明確化が十分ではない、このように思うわけですが、この点について。
  206. 古山剛

    ○古山説明員 規則では遊技の結果が定量的に表示されるか、または勝敗の結果が明らかとなる遊技設備を定めるわけでございます。先生御指摘のとおり、これに当たるかどうかというのは機種の名称で決まるわけではございませんで、構造とか機能で決めるべきものでございまして、そういう方向で規則を定めてまいりたいと考えております。
  207. 吉井光照

    ○吉井委員 今後規則で具体的に規制対象とする機種名等を規定する場合には、警察独自の判断で決めるのではなくして、公正を図るためにも各界各層の意見を十分に取り入れる必要があると思うのです。先日も我が党の草野委員が、審議会を設けるべきではないか、このように質問をしたわけでございますが、これが難しいとなれば、懇談会をもっともっと充実させていかなければならない、このようにも思うわけでございます。  これはたしか四十年代中ごろに設置されたと思いますが、風俗問題懇談会、これが今回の風営法改正に当たりまして何回開かれたのか、そのときの懇談会の意見というものが今回の改正に十分盛り込まれているのかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  208. 古山剛

    ○古山説明員 以前に何回も開いておったことがあるわけでございまして、ことしになりましてからは一回でございますけれども、過去の風俗問題懇談会のそういうところも含めて、いろいろ入れて原案を作成した次第でございます。
  209. 吉井光照

    ○吉井委員 ところが、実際には今回の改正に当たりまして業界からもいろいろな陳情が絶えないわけでございまして、実際に営業を行っている現場の生の意見をよく聞かなかったためにいたずらに現場での混乱を引き起こす結果になったのではないか、このような気もするわけでございます。結局今後の風営法の運営上の問題点につきましても、私は現場を交えた懇談会なり審議会といったものがなければ、警察当局と業界との間の溝がますます深まっていくような気がするわけでございますが、今後のこういった方向性についてお尋ねをいたします。
  210. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今回の法改正に当たりまして、私ども業者の御意見は十分拝聴したというふうに考えております。今後の進め方につきましては、先生御指摘のとおり業界の意見もさらに十分聞いてやってまいりたい、かように考えております。
  211. 吉井光照

    ○吉井委員 条文によれば、八号営業は七号営業に該当するものを除いたものとされておりますが、広い意味では七号は八号に含まれるもの、このように理解するわけでございます。  そこで、八号営業から七号営業を除く基準は一体何なのか、賞品のあるなしのみなのか。この点についていかがですか。
  212. 古山剛

    ○古山説明員 七号営業は、マージャンは別といたしまして、「ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」という場合に、何をもって「客に射幸心をそそるおそれのある遊技」かというと、これにつきましては遊技の結果に応じて賞品を提供するもの、賞品を提供するがゆえに射幸心をそそるおそれがあるというふうに考えておるわけでございます。それに対して八号営業というのは、本来その遊技設備というものは楽しむものである、しかしながら用法いかんによっては射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるそういう遊技設備について、一定の要件のそろったものについては規制の対象に入れなければならないであろうということでございまして、そういう点で七号営業と八号営業は異なるわけでございます。
  213. 吉井光照

    ○吉井委員 第二十三条第二項によれば、八号営業は「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。」とされているわけですが、同じ客に射幸心をそそるおそれのある遊技でありながら、法律において一方は賞品を出してよいとし、一方では禁止する、これはいわゆる遊技による営業の自由を制約するものではないかとも考えられるわけですが、御意見をお聞かせ願いたい。
  214. 古山剛

    ○古山説明員 七号営業というものは、パチンコ等遊技機を用いて遊技をさせるものにつきましては、賞品を提供するものであるがゆえに射幸心をそそるおそれのある遊技ということでとらえているわけでございます。それから八号営業というものは、遊技設備により客に遊技をさせる営業でございまして、射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業ではないわけでございます。ただ、機械そのものが用法によっては射幸心をそそるおそれのあるものを、そのようにならないようにいろいろと規制し指導して営業させたい、そして健全な営業をやっていただこうというものでございまして、八号営業そのものは射幸心をそそるおそれのある遊技ではないわけでございます。
  215. 吉井光照

    ○吉井委員 時間も参りましたので、きょうせっかく法制局からお見えになっておりますので、一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  今回の改正案では政令、国家公安委員会規則等への委任事項が多いわけですね。これらについては善良の風俗、それから洗浄な風俗環境のほか、少年の健全育成といった、人によっても場所等によっても異なる極めて抽象的な枠決めがなされているにすぎないわけです。さきの答弁で長官がおっしゃったことは、この程度の枠決めで十分だ、このように理解をしているわけですが、この点について法制局は、委任の枠づけとしてこれで適当と考えられるのかどうか。少なくとも法律の運用上は客観的な解釈基準をあらかじめ警察庁が定めておく必要があると思うけれども、法制局としてのお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  216. 関守

    ○関(守)政府委員 私ども、御指摘ように法案をつくります場合に、政令その他の命令に委任するということにつきましては、やはり非常に広範で抽象的であってはならない、むしろ具体的で、かつその委任が特定されると申しますか、そういうものでなければいけないという観点から審査も十分いたしてきたつもりでございます。  お話の、いろいろな政令の委任がございますけれども、これは事柄の性格が専門的、技術的でございますとか、あるいは事態が流動的で今後迅速かつ弾力的な対応が必要になる、あるいは一定の指針のもとに地域の個別具体的な実情を考慮して定めなければいけないものとかいうことがございまして、そういうことで命令あるいは条例に委任をしているわけでございまして、御指摘の文言につきましても、私どもはこれを政令へ委任するに際しての文言として十分判断が可能であると考えて、この案でよろしいだろう、こういうふうに考えた次第でございます。  なお、警察庁で解釈指針等をお示しになるというような点につきましては、実際の運用等お考えの上で警察庁の方で御判断になる事柄であろうと存じます。
  217. 吉井光照

    ○吉井委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わりたいと思いますが、この風営法改正につきましては、いろいろな細かい点、また問題点、随分あろうかと思います。したがって、私が一番申したいことは、結局第一線の皆さん方に徹底される場合、これは本当に具体的によく徹底をされないと、やはり現場ではいろいろな問題も起きてくるような気もいたしますので、その点を特に要望いたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  218. 小澤潔

    ○小澤(潔)委員長代理 細谷君。
  219. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この委員会の審議も終盤に入っておりまして、いろいろな問題がほとんど議論されております。そこで私は、限られた時間でありますので、なるべく重複を避けて、率直に問題点と思う点を質問いたしますので、ひとつ答弁側の方も率直にお答えをいただきたいと思います。  最初にお伺いしたい点は、長官と国家公安委員長に基本的な姿勢についてお伺いしておきたいと思うのです。と申しますのは、最近新聞等で、この五月、六月になりましても警察官そのものの汚職といいますか、いろいろなうみが噴き出しております。そこへもってきてグリコ事件のような、かなり世間の注目を集めながらなかなか解決ができない、伏魔殿に入ったのではないかと言われる事件が起きております。そういう状況の中で、いろいろ問題の多い、とりわけプライバシーなり基本的な人権に関係するこの風営法の問題について、大変失礼でありますけれども、今の警察のあり方ではいろいろな心配が起こるのではないか、権力の乱用というのが起こるのではないか、下手をするとかつての警察国家への道がこういうものを通じて切り開かれるのではないかという意見もございます。  こういうことについて、そういうことは心配ないのだという長官なり国家公安委員長の決意なり基本的態度をお聞きすることが大切だ、出発点だと思いますので、率直にお答えいただきたい、こう思います。
  220. 三井脩

    ○三井政府委員 警察に課せられた治安維持の任務は大変重要であり、責任が重いわけでありまして、そのために、それを果たすための警察官の権限というものも厳格に法に決められておるわけでございます。警察におきましては、その権限を法に則して的確、適正に運用することによりまして、この治安維持の責任を果たしていくべきものと考えておるわけでございます。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕  ただいま御指摘がございましたように、当面大変大きな事案としてグリコ事件がございます。一日も早いこの検挙、解決に全力を挙げておる、関係府県警察において努力をしておるところでございます。  一方、また御指摘のように警察官の不祥事が起こっておるわけでございまして、警察の権限を行使し責任を果たすためには、何よりも警察自身が清潔で、いわば廉潔でなければならぬ、これがまた国民の警察に対する信頼の源泉でございまして、警察官の使命感と国民の協力が相まってその責任を果たすことができると考えておるわけでございまして、常々、警察官が正しくその権限を行使し職責を果たすように指導し、監督をしておるところでございます。  また、今回この風営法改正が行われるに当たりましても、この運営につきましては細心の注意をして指導し、また個々の警察官もその上に立って、その責任の重要性を十分に考えて、与えられた権限の行使、また責任を果たすために努力をしていくように努めてまいりたいと考えるわけでございます。
  221. 田川誠一

    田川国務大臣 細谷さんが御懸念をされているようなことは、私もかつてずっと心配をしておりましたけれども、日本の今の警察制度は、私もこうして身近に入りましてわずかでございますが、心配はないという確信を抱いております。  今御指摘のありました不祥事がいろいろ出ているということも、多くはもう一年前、二年前にあったことが、合うみとして出されているわけです。こういう内部の一部の不祥事が明るみに出ているというのは、民主的な警察だからこういうものが出るので、御指摘のような警察国家であれば、こういうものはふたをしてしまいますよ。内部に隠して一般には出さない。今いろいろ出ているのは、警察みずからが摘発してこれを発表している、こういうところに民主的な姿が見られるのではないか。  制度の面でも、今の制度ができて三十年、きのう式典がありましたけれども、時の権力に影響されない国家公安委員会警察庁長官を任命する、警視総監を任命する、こういう今の制度はそれほど心配しないでいいのではないか。現に私も、数カ月でございますけれども、国家公安委員の一員として警察を見ておって、これは心配ない、こういう確信を現在抱いております。  今度の風営法がこうした形で出てきたということは、これまでもたびたび御説明いたしましたけれども、やはり一般の子供の親の希望も多いし、それから環境が非常に悪くなっている地域の自治体からの要望もかなりあった、こういうことで今度の改正案が出てきたのであって、むしろ警察が責任を果たす上でこうやらなければならぬということと、それから関係地方団体あるいは地域の父兄の方々の御要望にこたえてこのような案が出てきた。もちろん、人間がつくる案でございますから、疑義のあるところも随分あるでしょうけれども、ここ数日間の皆様方の御審議によりまして、今日までいろいろ問題点も出てきたわけでございます。そうした意味でひとつ御理解のほどをお願いいたすわけでございまして、警察国家になるとか警察が権限を掘るとか、そのためのこうした法律改正だとかいうようなことは毛頭ないことを、私はこの席ではっきり申し上げてよいと思います。
  222. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私も、一事が万事だ、そんなことで質問申しているわけではありません。今国家公安委員長が、民主的であるから一年か二年前のこういううみが出たのだ、こうおっしゃいました。しかし、民主的だからといってこういう状態が続くことは好ましくないし、あくまでも国民のための警察としてやっていただかなければならぬ、私はこう思います。そこで、時間もありませんから、この点については基本的な立場を国家公安委員長と長官からお聞きしましたから、次に進みたいと思います。  最初に御質問したい点は、現行法はたったの八カ条、これが今回の法案は五十一条になるわけであります。しかも法律の性格というのが、条例に委任した、いわゆる地方に権限があったものが中央に権限が吸い取られていった、そういう意味においてはかなり中央集権化したと私は理解しております。そこで、そうなってまいりますと、この法律を的確に運営していく場合には、警察官なりあるいは職員のスタッフのかなりの増強が必要になってこようと思います。そこで、この法律に伴って必要となるであろう警察官なり職員はどの程度増加するのか、まずこれをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  223. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今度の法律が八条から五十一条になったというお話でございますが、この点は、実は現在十六条ございます。条文の表現といたしましては八条まででございますが、その間に枝番のついた法律がかなり足されてまいりまして、実質は十六条になっております。十六条が五十一条になったということでございます。  その中でかなりの部分が条例から法律に上がったということは御指摘のとおりでございますが、先ほども申したのでございますけれども、地域の実情に残すべきものは条例にゆだねるという形の基本線は変えてないつもりでございます。そういうことで、必要なものは条例にゆだねておるわけでございますが、ただどうしても全国的に統一をしておいた方がいいものもあるわけでございまして、許可営業の人的欠格事出であるとか、そういうものが川一つ隔てて隣の県と違うんだということになりますと、今のような交通なり通信の発達した時代、あるいは広域性の時代にはどうもそぐわないということが出てきておるわけでございます。  これはまた繰り返すようになりますけれども、三十九年の法律改正のときに、法律体系が非常に不備ではないか、法律できちっとすべきものはすべきではないか、こういう御指摘もいただいておるわけでございまして、そういうことで直したということでございまして、中央集権化を図ろうというような気持ちは毛頭ございません。  次の御指摘の、この関係でどのくらい職員をどうするかというお話でございますが、今回の改正ではゲームセンター等を許可対象にするなり、あるいは深夜の酒類提供の飲食店を届け出対象にするなり、この面の事務量は確かに増加をするわけでございますが、一方では深夜飲食店の対象は、時間を十一時から十二時にするということもございまして、逆に減るものもございます。そういうことで多少差し引きが出てくることもございます、  それから、今まで非常に負担になっておりました遊技機の認定みたいなもの、これが先ほど言いましたように実際にはなかなかうまくいかないわけでございますけれども、こういうものを専門的なものに任せるというような形にするとか、業者の自主的なものを促進するという形で管理者制度、あるいは民間の活力を活用するための浄化協会、少年指導委員というような制度を導入してやっていこうということでございまして、何とか現状でもってやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  224. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今長々と話がありました。確かに今度の三十九条の都道府県の浄化協会、その五号とか六号は浄化協会に委託しますから、その辺では今までやっておった部分が減るかもしらぬ。差し引きふえもせぬ、減りもせぬと、この審議の間うまいことを言っておりますけれども、そうはならぬでしょう。これは自治省はどう見ているのか。
  225. 津田正

    ○津田政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、現在地方財政の厳しい状況でございますので、総体的にも、私どもとしては各省庁に、新規施策、新規立法によって新たな財政負担がふえるとかあるいは職員数の増加を招くような施策は御遠慮願いたい、こういうことで要請しておるわけでございます。  今回の風俗営業法の改正の問題につきましても、法令協議を受けております。その際に警察庁とも十分話し合ったわけでございますが、先ほど警察庁から御答弁がございましたように、まずは業界の自浄努力というものを基本的に考えていくというような方針、さらに遊技機の型式に係ります試験を指定試験機関に委託するというようなこと、それから、財政負担の点につきましても手数料で賄う、こういうようなことの協議を受けておりまして、私どもとしては、もちろん配置転換等合理化の努力というものはお願いするわけでございますが、今回の改正法が職員増を招くような要因とは考えておらない次第でございます。
  226. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 多分そういう答弁しか返ってこないんじゃないかと予想しておりました。プラス・マイナスがある、人はふえないようにするんだ、こうおっしゃっておりますけれども、現に毎年毎年地方財政計画で警察官が幾らふえておりますか。私がちょっと調べてみたところで申し上げますと、五十九年は確かに抑えて、五百五十六人ふえているのですよ。五十八年が千二十人、五十七年が千五百人、五十六年が二千百三十人、五十五年が四千八百八十人、五十四年が三千三百人、五十三年が三千四百人。これは警察官だけですよ。このほかに事務職員がおるのですよ。事務職員を例にとりますと、もっと多いのですよ。事務職員だけでも、かっては千人程度ふえていっているのです。  地方財政計画でふえた、それは人口の過疎と過密があって、やむを得ない社会現象からふえていったというのが説明でしょう。確かに、地方財政計画上は、従来は千名であったのがことしは五百五十六名と減りました。これは地方の金で給料を払うのですけれども、地方は拒否できないのですよ。国の方でこれだけふやすんだと決まったら、県知事も拒否できないのですよ。そういう財源であることは御存じでしょう。そんなのんきなことでいいのですか。  私が申し上げたいのは、今地方財政問題というのが土光行革審の中心的な課題になっているのですよ。そうして今瀬島さんが小委員長になって、この議論をいたしております。その議論は、大体三つの柱になっていて、おおむね結論が出て、この報告は近く行革審に出すと言っております。新聞に書いてありますから読みますと、行革の進まない地方自治体、地方自治体の行革は進んでおらぬ、こう言っているのですよ。そう断定している。国の方は勝手に毎年千名以上の警察官をふやさしておる。しかし地方自治体に対しては、行革が進んでおらぬから起債の制限もしなさい、地方交付税の減額もしなさい、財政上の軽減措置もとりなさい、これが一つの柱になっています。  二番目はどういうことかというと、警察官、消防士、教員の特別公務員の定数を原則として凍結しなさい、こう言っている。原則としてというのはどういう意味がといいますと、人口急増のためにどうしてもふやしてやらなければいかぬところはふやしてやらなければいかぬだろう、こういう意味であります。これが原則としてであります。ですから、言ってみますと、風営法が通った場合の必要な人員は認めませんよというのが、言外に言っていることですよ。  そういう土光さんの行革審は、今や昔の枢密院のような権力があるのですよ。行革審に物を言おうとするなら、みんなそれはおかしいと言われかねないような空気の中で、あなた頑張れるのですか。私はそれが心配だからこの法律の中身には触れませんで、逆さまになりましたけれども、その問題を、法律は通りました、財政は後で適当にやってくれというわけにいきませんからはっきり言っているわけです。自治大臣、どうですか、今度は国家公安委員長ではなくて、自治大臣として。
  227. 田川誠一

    田川国務大臣 行革審の中で、今細谷さんがおっしゃられたような御意見が出ていることは私もよく承知しておりまして、この問題については、国と地方との関係をよく理解していただけないような方が随分議論をされているように聞いておりましたので、私からも閣議の後の席でも強く言いましたし、政府と自民党との行政改革の幹事会の席でも、後藤田行管長官にも強く申し入れておきました。けさ後藤田君に会いましたら、あちらの方から、行革審との懇談会があったそうですけれども、その席で私が述べたことをよく先方に伝えておいたということを言っておられました。  ちょっと長くなりましたけれども、私どもは、地方の財政のしわ寄せが国の施策によって随分きているということ、これが地方財政の一つの大きな負担になっているということ、これは明らかにしていかなければならないと思いますし、今後もそのような方針を貫いてまいるつもりでございます。  風営法につきましては、先ほど保安部長から説明があったとおりでございまして、できるだけ負担がかからない、金がかからないように、また限られた人員の中でこれを実施していくというような方針で今回この案がつくられたわけでございまして、私は両方兼ねておりますから、御懸念のようなことのないように万全を期してまいるつもりでございます。
  228. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今私は、これ以上大臣なり財政当局に申し上げたくないわけですけれども、問題は、法律をつくったら必ず財政というのはついていくわけですよ。ですから、はっきり申したらいいのじゃないですか。国会にはひた隠しで、そして後はやるというやり方はやめた方がいいのじゃないですか。あなたの言うとおりだ、警察当局の言うとおりだ、このことに関しては人数はふえませんよ、五十九年度が五百五十六人ふえたけれども、地方財政計画上も警察官ふやしませんよ、職員の方もふやしませんよ、風営法に関する限りはこういうことになっているわけでありますから、六十年度の地方財政計画上五百五十六名より警察官の数がふえできますと問題になりますようそついたことになりますよ。  もう一遍はっきり答えてください。腹の中で言っているのか、きょうの審議さえごまかせばいいと。ごまかすというのは適当じゃありませんけれども、そういう気持ちでやられては困るわけですから、はっきり答えてください。
  229. 津田正

    ○津田政府委員 まず、ことしの財政計画で五百五十六人の警察官の増員をさせているわけでございますが、この内容は、御承知のとおり、新たな団地ができたとかあるいは高速道路が新たに開通したというようなものに必要な要員の必要最小限度というようなことで、警察当局と話し合った結果決めたよう狂ものでございます。もちろん、これは基本的な考え方でございますが、職員数の増というものは私どもは抑制してまいりたい。しかし、本当に必要なものであるならば、歳出に計上し、その財源は地方財政対策で確保する、こういう基本的スタンスでございます。  それから、今回の改正法の関係につきましては、先ほども申し上げましたとおり増加要員にはなっていない、このように判断しております。また六十年度、全般的ないろいろな話し合いというのがされるかと思いますが、少なくとも今回の改正法にあっては増加の要因はない、このように考えております。
  230. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 保安部長、今の答弁、私は不満なんですよ。これだけの法律をやってそれを忠実に実行しようとする場合に、新しく雇う雇わないかは別として、人員が増加しなければ、今までどこかにだぶついているということになるのじゃないですか。私はそう思うのですよ。そんなことはないと思うから、必要なら必要なものを、この法律が必要で審議し、そして成立するならば、この法律施行に必要な人数は計画をしておくべきであって、それがなくて都道府県知事には物を言わせずやるから、地方公務員だけふえてけしからぬ、こういうことになるわけでしょう。  保安部長、ふえないですか、もうこれだけで、それ以上はやりませんけれども
  231. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 大変ありがたいお言葉なんでございますけれども先ほど申しましたような現実警察内部の努力、それからまた業者皆さんの自主的な努力というものを期待しながら何とか現員で頑張ってまいりたい、かように考えております。
  232. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 それでは次に進みます。  警察当局はかなり意欲的にいろいろな問題に取り組んでいることについては敬意を表しますけれども、私ども新聞を見るごとに、警察と厚生省との間がこの法律をつくる際にもかなり意見の食い違いがあった、そして最終的に妥協したということで、この法律国会に出てきたわけです。妥協しましたけれども、厚生省が持っているセンターは依然として残る、そして浄化協会という組織も今度できる。そうすると、行革、行政の簡素化というところに二つのセンターかできてくるわけですよ。これも問題があると思うのです。これは厚生省とのこの法律をつくる際の問題であります。  もう一つ、これは未解決の問題のようでありますけれども、例えば警備業法、警察の所管の法律でありますけれども、ほとんど内容が変わらない。これが今労働省の職安問題と対立しておる。労働省の方の懇談会の意見がやはり警備保障の問題についても触れておりますよ、これは今後の問題ですけれども。そういう点で労働省の守備範囲と警察庁の守備範囲が政治の面、行政の面を通じて、合理的なオーバーラップじゃなくて、権限争いという形が起こっているように見えるわけですけれども、そんなことありませんか。もしあるとするならば、権限争いではなくてオーバーラップは結構でありますけれども、話し合いで民主的に解決していかなければならぬと思うので、あえてお聞きしておきたいと思う。
  233. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 決して権限争いなどということではございません。厚生省との関係でセンターと浄化協会の問題がございましたけれども現実に厚生省の方のセンターが持っております中に私どもの方の風営業者が入っておるわけでございます。そこのところをどう調整するかということでいろいろお話し合いをいたしまして、厚生省のいろいろなお立場、従来からのいきさつ等も考えまして、そういう点について十分な御理解のないままにやることはかえって混乱をするであろうということで、その点について話し合いの結果こういう形になったということでございます。  ただ、浄化協会は何も新しくつくるつもりはないわけでございまして、現にあります防犯協会等を指定しようということでありますから、新しく団体みたいなもの、協会みたいなものがふえるというものではないということを御了解賜りたいと思います。  それから、労働者派遣事業の問題というのがございます。これは、警備業というのが御存じのとおり実力行使を伴う面がありますので、そういうことで使用者の指導責任を明確にしておかなければならない。そこで、現行警備業法は、労働者供給事業の禁止違反を欠格事由に掲げましたり、処分事由としているということがあるわけでございます。また、制定当時の衆参両院の地方行政委員会の附帯決議におきましても、そういうふうな労働者派遣的な形態を生じないように努力すべき旨が決議をされておるということもございます。したがいまして、要するに警備業というものをどう見るかということにかかわるわけでございまして、この点は労働省とも十分話し合いをしておる。決して権限争いで言っておるわけではございませんで、そういう警備業というものを派遣事業との兼ね合いでどう考えていくべきかということを純粋に議論しながら、両省で話をしておるというところでございます。
  234. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間がありませんから深く立ち入ることはできませんけれども、警備業法に基づいて派遣される警備員も、やはり労働していることは間違いないので、その対価として賃金をもらっているわけですから、これはやはり職業安定法にかかわる問題であることは間違いありません。警察がおっしゃるように、警備業法というのは、とりわけ警備に関係する仕事をするのですから警察が握るべきである。いや、労働サイド、供給サイドからは、やはり労働省が見るべきである、双方意見があると思うのです。これからの問題です。労働省の懇談会はそういう意見を出しているようでありますが、とにかく醜い境界争いだけはやめていただいて、天領なんという徳川時代の状況が起こらないようにお願いしたい、こう思います。  もう一つ、これは最近の新聞であれこれ出ておる。これは警察庁直接の問題じゃありません。警視庁と東京都の環境保全局の間で、公害行政をめぐって真っ二つに対立しておるようでありますね。双方譲らない。環境保全局はおりない、それは公害行政の問題でだめだ。ところが、公害行政の問題については、警視庁としてはその権限をよこさなければやれないということで、とうとう鈴木知事はその問題を解決するための懇談会を起こして、去年の秋九月に都議会に出そうとした条例が今日までいまだに出せないで、これからやっと懇談会、こういう状況が生まれておるようであります。  これはどう見でもやはり公害行政、カラオケ騒音のようでありますが、警視庁の言い分は、夜中に騒がしくてしょうがないと言ってくるのは警察にかかってくるのであって、都の公害になんかかかってこないじゃないか、こういうことで、おれのところによこせ、こう書いてありますよ。その辺になると、やはり縄張り争いと思うのです。これはあなたの関係じゃないかもしれませんけれども、どうなんですか。
  235. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今お話しのように、東京都の公害防止条例の改正につきまして、この条例の改正案を議会に提出しようということに先立ちまして、知事部局から警視庁の方に協力方の依頼があったというふうに聞いております。そしてこのときに、では一体どういうふうに処理をしたらいいのかということでございますが、今先生の御指摘のように、実際に騒音苦情が一一〇番等で夜警察の方にかかってくる、現場に警察官が行く、なるほどその場でちょっと注意すれば一たんはおさまるかもしれないけれども、また同じことが繰り返される、一つも根本的な解決にならない、こういうような繰り返しに現場としても非常に困っておるというふうに聞いております。そういうことで、では一体国民のためにどう解決するのがいいのかということで、警視庁が東京都の方といろいろ相談をされておるということであろうと思います。  したがいまして、何も権限をよこせとかなんとかということじゃなくて、あくまでも国民サイドに立ったならばどういう行政をするのがいいのか、特に今のように警視庁に協力を求められたというときに、やはり警視庁としても責任を果たすためにはどうしたらいいのかということで真剣に考えた結果、こういうふうにした方がいいのじゃないかという案が幾つか出てきて、それをもとに検討しておる、その話し合いが続いておる、かように私どもは承知をしておるところでございます。
  236. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今度の法律案では、風俗営業の部分については規制がぱちんとかかっておりますが、カラオケというのは何もかも全部風俗営業に係るわけじゃありませんで、新聞によると、都の環境保全局は、公害を警察行政の一環にするのは筋違いで譲れない、こう言っているのですよ。私が聞いたわけじゃありません。今度は警視庁の方は、夜中に電話がかかってくるのはおれのところじゃないか、おれのところでやらなければどうにもならぬ、こういうこと。そして、夜中に文句を言っていくと怒られてぶん殴られるかもしらぬですから、危ないところには顔を出さぬ方がいいということになりますと、今度はそういう騒音がばっこするということになります。  いろいろな悩みがありますけれども、行政の受け持ちとしてはやはりきちんとしておくべきではないかと思います。いわゆる一般行政、言ってみますと公害行政の問題についてどういうけじめをつけるかといいますと、これは難しい問題でありますけれども、やはりきちんとしておきませんと、警視庁はとにかく自分の守備範囲ばかり広げようとしておる、こういう批判が起こらないとも限らぬと思うのですよ。長官、いかがですか。
  237. 三井脩

    ○三井政府委員 公害問題、特に夜間における騒音の問題は、今公害問題の中でも大きな問題だと思いますし、我々の日常生活の中でも、特に都市におきましては大きな問題、差し迫った問題にもなってきておると思います。したがいまして、警視庁の夜間取り扱う事案の中でも、これは大きな比重を占めてきております。これは何とかうまい方法で解決できないものかということは当面の急務でございまして、警察庁でも警視庁でも頭を悩ましておるところでございます。  これについて、現行法よりも一歩進んで、条例その他で何か措置を講じたいということでございますが、現場の警察官が処理できるというのが一番いい方法だ、現実に扱っておる警視庁でそういう意見を言っておるわけでございまして、それがまとまらないということでございますから、いろいろまた研究して、いい案が出ることを期待するわけであります。今のは、警察の権限を広げようとかいうことよりは、どうしたら一番処理しやすいのか、都民のためになるのか、こういう観点で頭を悩ましておるといいますか知恵を絞っておる、こういうことでございます。
  238. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 これは都の条例のことでありますから、まさしく自治の問題であって、鈴木知事もそれに対応しようとしておるようでありますから、私もきょうはこれ以上議論をいたすつもりはございませんが、いずれにいたしましても、今度の法律の十五条、風俗営業者についての騒音規制ということが織り込まれておりますけれども、都の場合はそればかりじゃないようでありまして、広範な騒音についてどう行政が対応するか、こういうことのようでありますから、ひとつ十分に対応していただきたいと思います。  あと二、三私は質問をいたしたいと思います。  今度の法律案の第二十条五項であります。公安委員会は、規則の定めるところによって、必要な試験の実施に関する事務を、民法三十四条の規定に基づく法人を指定し、行わせる、こう言っております。この法人を指定機関にするということでありますが、民法三十四条の規定による法人を指定機関にするということは、環境浄化協会と関係ありますか、ないのですか。
  239. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この指定試験機関というのは、非常に技術的、専門的なことを検討していかなければならないものでございまして、その事務が適正かつ確実に実施されなければならないものでございます。これをどうするかというのは、はっきり言いまして、どういうところが専門的な知識というふうなものを持つか、現在検討しておるところでございまして、どの団体にやらせるかということは決まっておりません。
  240. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 決まっておりませんと言うけれども、今度の三十九条で、都道府県に一つしか認めない環境浄化協会というのができるのでしょう。環境浄化協会に行くのでしょう。そうじゃないのですか。幾つもこのためにまた組織をつくるということはおかしいでしょう。どうなんです。
  241. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 環境浄化協会にそういうふうな能力があるかどうかというのは、やはりこの団体ができまして、そういう能力を持つかどうかということを見定めませんとわからないわけでございます。実はこういうふうな試験機関というのは、何も環境浄化協会だけではなくて、ほかにも既にでき上がった団体がございます。そういうものの中で果たして能力を持つものがあるかどうかということも見きわめていきたい、こういうふうに考えておりますので、そういうものを総合的に判断をしたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  242. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この法律を読む以上は、三十九条でできる浄化協会に、これは民法に基づいて公益法人としてできるわけですから、必然的に行くわけでしょう。そのために改めてまた協会をつくるとかなんとかというのはおかしいでしょう。その協会を予定しております、ずばりこうおっしゃってしまった方が、自然な法律の読み方じゃありませんか。
  243. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この二十条の五項の民法の法人とそれから三十九条等の法人とは、三十九条というよりむしろ四十条になるわけでございますが、その法人とは、それぞれ法人でございましても、同じものというふうなイメージでこの法律は書いておるものではないわけでございます。
  244. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 一向わかりません。聞けば聞くほどわからない。浄化協会を指定機関にするのですか。あるいは、することもあるかもしらぬけれどもまた別のことも考えているようだし。唯一め浄化協会ができるわけですから、そこを指定するんだ、こういけばぴしゃっと筋は通るのですよ。ところが、いやまだ決まっておりませんということになりますと、これはおかしいぞ。何遍も恐縮でありますが……。
  245. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実は試験研究機関に値するような法人というのは、何も浄化協会だけではなくて、ほかにあるわけなんでございます。そういうところが能力を持つか持たないかというのは、実はこれから調べてみないとわからないわけでございまして、浄化協会は本来こういうふうな目的でもってつくるわけでございますから、原則的にはこちらではないのじゃなかろうか。しかし、こういうものが努力をしていろいろの能力をつけるということはあるかもしれませんが、私どものイメージといたしましては、この二十条五項の方の関係は、そういう技術的な能力、専門的な能力が必要でございますから、そういう能力を備えた団体の中で検討していくというようなことでございまして、大変歯切れが悪くて申しわけないのでございますが、本当のところ、今申しましたように、能力を持つか持たないかという判断ができませんことには指定ができないということを御了解を賜りたい、かように考えております。
  246. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 浄化協会は、三十九条に基づきまして、例えば三十九条二項の五号、六号、重要な仕事を委託を受けるのですね。書いてありますよ。「公安委員会の委託を受けて第三条第一項の許可の申請に係る営業所に関し、第四条第二項第一号又は第二号に該当する事由の有無について調査すること。」大変なことですよ。第六号は、委託を受けて、そして申請された営業所の構造及び設備が基準に適合しているか否かを調査する。となりますと、大変な調査能力を持った立派な組織だ、そして立派な識見を持った人もそこにおる、こういうふうに理解する以外に、権威ある公安委員会の委託を消化することはできないでしょう。  ですから私は、これほどの権威ある協会は、よほどの指導がない限りは、自然発生的に組織されるとは思わないんですよ。警察庁はよほど指導してうまくやりませんと、府県に唯一のこういう組織はできませんよ。そしてできた県内唯一の指定された浄化協会に、二十条のそういう問題も指定機関として委任するんだ、こういうことであればこれは自然ですよ。理屈が合うのですよ。しかし、今のところは決まっておらぬ、原則としてはそうならぬだろうというのですから、ちょっとおかしいですね。  それなら答えていただきたい。そんな浄化協会、これに書いてあるようなものが一体どれくらいの期間ででき上がるつもりですか、この法律が施行になってから。簡単じゃないでしょう。
  247. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、なかなか簡単ではないと思っております。
  248. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 簡単じゃない、それはおっしゃるとおり、それだけは言葉だけ出てくる。恐らく世間では、浄化協会というのは警察官の経験のある人で能力のある人、そういう人が、天下りという言葉はおかしいのですけれども、転出してそこの仕事をやる。言ってみますと、警察の外郭協力団体、こういうものになって、警察の経験のある人がそこヘプールされる、こういうことにならざるを得ないのじゃないか。天下り機関だ。天下り機関というのは私は使いたくないのですが、そうなりかねないという心配がございますよ。どうですか。
  249. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 なかなか難しい御質問を受けるわけでございますが、これははっきり申しまして、現在あります防犯協会を指定しようということでございますから、現在既にあるので、新しくつくろうということではないわけでございます。そういうことで、こういうふうな事務をやる、浄化協会に指定するという場合に、それはある程度の体制をとらなければならぬということはあると思います。そういう意味では、場合によればOBが入ることがあるかもしれませんけれども、何もOBを送り込むことを目的としてつくるものでも何でもないわけでございまして、あくまでも地域の環境浄化ということをやっていくためには民間の活力を活用することが一番望ましい、現にこういう風俗の浄化活動というのは地域ごとに根づいたもので初めてうまくいくという今までの実績があるわけでございまして、そういうことを踏まえて考えたものでございまして、決して天下りというようなことを念頭に置いてつくったものではないということを御了解いただきたいと思います。
  250. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 念頭に置いてつくったものではない、気持ちはそうでしょう。しかし、この機関は条例の定めるところによって手数料も取れるわけですよ。かなりの収入もあるわけですよ。したがって、給料も払うことができるわけです。  そうなりますと、では端的にお尋ねいたしますけれども、例えば今遊技場協会等にかなりの警察官、警察に勤めておった経験者が、天下りと言っていません、一生懸命勤めている人がおるでしょう。それは今まで覚えた経験を生かすことですから、私は天下りというのは一概に、死ぬまで働くということが原則ですから否定はしておりませんけれども、現におるでしょう。その表をいただきたいと言ってもなかなか出さぬようでありますけれども、そちらの方に勤めている人がかなりおるでしょう。イエスかノーか、どうですか。
  251. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私も具体的にはつかんでおりませんが、そういう人はおります。
  252. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私も、一部警察の経験者がこういう協会に働いておる、名前も知っておりますけれども、ここでは申し上げません。  そういうことで、協会というのは浄化ということでありますけれども、かなりの収入が期待される、こう思っております。ですから、格好のということではありませんけれども警察を経験した人がそこでひとつ一生懸命経験を生かそうということもできる。この前の質問でもありましたように、行政書士の仕事もできるのですよ。エリートコースを歩んだ人はそんな仕事をやっていないかもしらぬけれども、とにかく、ずっと下から鍛えていった人は、行政書士の仕事だってできるわけです。  そうなってまいりますと、この協会が行政書士の仕事場を荒らすのじゃないか、そういう心配が起こってきております。現に行政藩士会はそれを言っております。行政書士法は去年改正いたしまして、行政書士の資格を持っておっても、その地域における行政書士会に入っておらなければ行政書士としての仕事ができないという法律をこの委員会でつくったわけです。そういうことになりますとここでもまた問題が起こりかねない、こう私は思うのです。  そこで、警察のかなりの影響を受けた、血の通った浄化協会ができるといたしますと、この間新聞では、車検のやつには法律で決まっておる手数料以外に上乗せしたとか、全国都道府県を調べたら半分以上のところでそれをやっているということがありました。そういうことになりますと、浄化協会を通じてまたいろいろ問題が起こってくるのではないか。しかもこれは各県にできて、全国にまたたった一つできるということでありますから問題が多いと思うのです。ですから、浄化協会はおやめになった方がいいんじゃないか。  厚生省との関係で、厚生省はセンターがある、警察の方はまだこの風営法で浄化協会をつくる、こういうことになりますと、業務が違うように話し合いはできたかもしれませんけれども、二つの組織になるわけですね。一方は一般的な飲食店とか厚生省の仕事をやる、そして風俗営業の方については警察庁がやるというのも少しおかしな話で、私はもっと話し合いをすればうまくいけたのではないか、こういう気もいたします。したがって、長官、運用についてはかなりの配慮をしていただかないといけないと私は思う。ずばり言いますと、今日、浄化協会の必要性はないのではないか、もっとやる道はあるのじゃないか、私はこう思いますが、その辺も含めていかがでしょう。
  253. 三井脩

    ○三井政府委員 今日の少年事件と風俗環境等にかんがみて、この法律改正お願いしておるわけでございますが、この種事案の性質上、何といいましても民間の活力といいますか、これが結集されるといいますか、大きな力を持っておる、こういうように思います。警察警察としてやれることをやりますが、協力も得ながらやっていきたい。それについては民間の組織としての協会というものの果たす役割は大変大きいものがあると思うわけでございます。ただ、今御指摘のように、ほかの団体との関係その他については、問題のないように努力をするということは十分心がけてまいりたいと考えます。
  254. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ちょうど交通局長さんが見えていらっしゃるので、せっかくですから一言、その車検とかなんとかの上乗せを車検の協会で取っておられる、それに便乗したかどうか知りませんけれども、やはり全国に交通安全協会というのがありますね。交通安全協会がまたその上乗せで取っているという新聞社の調査の結果が発表されておりますが、局長さん御存じですか――御存じとすると、そういう金の集め方は正常じゃありませんから直していただきたいと思うのですが、その辺お答えいただきたいと思います。
  255. 久本禮一

    ○久本政府委員 御指摘の問題につきましては、一部の交通安全協会またはその支部におきまして、車検のときにユーザーから交通安全協力費として徴収をして、交通安全活動の経費に充てておるといった例はあるように承知をいたしております。  もとより安全協会は、浄財によりまして必要な活動をするものでございますから、相応の会費その他の寄附をいただくということはあるわけでございますが、新聞で伝えられましたように、徴収につきましてはユーザーの理解を得ていただくということを前提にしておりますので、趣旨の説明が不十分なままにいただくというようなことは好ましくないと考えますので、この点につきましてはしかるべき正当なやり方でいただくように指導をしてまいりたいと考えております。
  256. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間が来ましたが、読売新聞の六月二十日の記事では、「交通安全協会が、事業費ねん出のために整備業者に依頼、車検時を利用してユーザーから協力金を徴収しているところもいくつかある。」こういうふうに新聞社の調査で出ておる。一番最初出たのは愛知県です。愛知県を初め、今度ずっとやったら、「車検上乗せ十四府県でも」という見出しで二十日にこういう新聞記事が出ております。事実のようでありますから是正していただきたい。  私は、立ち入り問題にかなり大きな関心を持って、その質問をしたいと準備もしてきました。そこでは、先ほど来議論されておるような、パチンコ屋警察官がうろうろしたら、パチンコ屋に入らなくなるではないか、いろいろな心配も業者から出ておりますが、その立ち入り問題について、残念ながら時間が来ましたから、きょうはこの次に加藤理事がやりますから、すべてそこにゆだねて、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  257. 大石千八

    大石委員長 加藤万吉君。
  258. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 各党各議員の先生方の御質問が大詰めにまいりまして、いよいよ最後の質問であります。したがいまして、質問内容につきましては今までの討論あるいは質疑をまとめて最終的に答弁を求める、こういう課題も幾つかありますので、そのつもりでひとつ御答弁をお願いいたしたい、こう思います。  まず大臣にお聞きをいたします。唐突な質問で大変恐縮でありますが、自衛隊の治安出動についてどういうお考えをお持ちでしょうか。  実は当委員会で大地震の災害時の自衛隊の出動問題が議論になりまして、その際に、大震災が起きた場合に事後に出動すべきか事前に出動すべきか。当時の法案は事前出動でございました。私どもは、地震予知があって、その場合に出動するのは本来治安を目的とする警察が行うべきであって、大災害になって大変な混乱が起きた場合には自衛隊の出動ということもあり得るかもしれぬが、本来自衛隊というものはそういう任務ではない、したがって治安出動については事前に自衛隊は出動すべきでないという見解をとったのです。これはいろいろ議論がありましたけれども、今回の風営法法案審議の中で、各党あるいは各議員の皆さんが共通に警察の権力の拡大という出題に触れているわけであります。 これは、一番根っこにあるものは、警察の任務とは何だろうか。警察の任務は、風俗営業の分野で行政的な指導監督、さらには取り締まり、その分野もおのずと限定をされるべきではないか。本来風俗営業に関する行政的な指導は、例えばパチンコの機械が大変射幸心をそそるというものであるとするならば、通産省でそれぞれの機械の問題を警察当局から指示を得て、あるいは協議をした結果行うとか、あるいは環境の浄化については厚生省のサイドでやるとか、青少年非行問題は総理府でやるとか、そういう行政上の任務の分担があってしかるべきではなかろうか。それが今日警察の任務として風俗営業に対する行政の分野、そこへの権限の拡大、ここに最大の危惧があるのではなかろうか。  したがって自衛隊の治安出動とはやや次元が違いますけれども、議論としては極めて似通っている。自衛隊が持つ本来的な任務、警察が持つ本来的な任務、そして各省が持つ本来的な任務を、分権といいましょうか、そういう形にしない限り国家の行政機構、組織法とか、それが円滑な運営にならぬのではないか。それに対する危惧が底辺にある。したがって大臣がおっしゃるように、いや国家警察にはなりませんよと言うだけではうなずけない面があると思うのです。いかがでしょうか。
  259. 田川誠一

    田川国務大臣 自衛隊の治安出動とは次元が異なるというのは加藤さんもおっしゃっているとおりで、私もそうだと思います。なぜかといいますと、青少年が盛り場へ行って遊んだりなんかしているところからいろいろな弊害が現に出ているわけです。少年犯罪もここ数年ずっと最高記録が出ているわけです。そういうようにもう現にいろいろな事象が起こっているわけです。  そして起こっている原因が、すべてじゃないけれども少年が本来行ってはいかぬところに行っている、そこへ行けるような制度になっている。現にいろいろな問題が起こっている。そして起こっている中から、何をしているんだ、こういうことまで放任していて一体いいのかどうか。人に見せられないような写真が堂々と掲げられている。そこへ子供が通る。お父さん、お母さんが、こんな状態で一体いいのかどうかという、いろいろな声が現に起こっているわけでございまして、事前に防ぐとかいうような問題ではなくて、現に憂慮すべき事態が起こっている、それに対する一つの措置を講じなければならないというのが今回の法律改正でありまして、先ほど例に挙げられました自衛隊の治安出動のようなものではないということをひとつ御理解していただきたいのでございます。
  260. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 例が少し悪かったかもしれませんけれども、もし大臣のそういう感覚といいましょうか、そういう考えでいけば、今日の学校における暴力教室、これも現にそこに暴力事件が起きているから警察が介入するのは正しい、こうなりますよ。  私はこの討論を通しての大臣の答弁をずっと聞いておりまして、確かに非行少年の一種の発生源といいましょうか、あるいは非行少年が生まれる条件を排除するために本風営法が必要だということは認めます。ただ、この法案全体を通して議論をしてわかっておられると思うのですが、私はこの法案は三つ中身を持っておると思っておるのです。  一つは、青少年、婦女子の犯罪をどう予防するかといいましょうか、私、議論を聞いておりまして、この問題も実は疑問に思ったのです。といいますのは、どうも私たちの議論が、少年少女を含め、そこに既に犯罪があるという認識になっているのではなかろうかという錯覚を持ったのです。  というのは、いつかの大臣とのやりとりでもどなたかからありましたけれども、例えば横浜における浮浪者に対する少年の暴行事件があった、したがって少年をそういう場に追い込むのはけしからぬという少年加害者論なんですね。私は、少年少女は今日被害者だ、こう言っているのです。ですから、警察白書でもあるいは総理府の統計をいろいろ見ましても、青少年の検挙犯罪件数は被害者として見ているのです。少年少女に対する福祉をどこまで侵したような犯罪行為があったか、そういう立場で統計数字が出ているのですよ。どうも私どもはまず最初に、少年少女はいろいろな環境から害されて、結果的には既に加害者であるという認識でこの法案審議したのではなかろうかという疑問が第一に生まれたのです。これは少しこっちに置きます。  第一に、確かにこの法案の持つ意味は、大臣がおっしゃるように青少年、婦女子の犯罪予防の面を含めて風俗営業をどう規制するかということが背景にあったことは間違いないのです。  第二、青少年とは関係なく、清浄な風俗環境、善良な風俗の維持なんですよ。いわばセックス産業というものを我々の清浄な風俗としての条件かうどう排除するのか、これがこの法律の中で第二の要件なんですよ。  第三に、いま一つこの法律の中で要件があるのです。それは善良な風俗等、特定の価値体系をこの中に持ち込もうという考え方があるのではなかろうか。あるいは青少年の健全育成対策に一定の解釈を加える、そういう方向性をこの中に指示されているのではなかろうかという疑念があるのです。私は大体二項まではわかりましたが、第三項について質問と両方兼ねて私の意見を述べますが、例えば少年指導委員というのがあるのです。  これは警察庁にお聞きしますが、少年指導委員の性格は何に依拠してやるのですか。その任務といいましょうか、任務の性格は、例えば少年警察活動要綱というのがございますね。その中に、例えば「少年の補導」というのが二十条にありますが、こういうものを一つの準拠法といいましょうか、それに基づいて、法律による指導委員ではありませんけれども少年指導委員がやる任務条項はこの任務条項を準用して任務とする、そういうように私は理解をしているのですが、いかがでしょうか。
  261. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年の補導と申しますのは、個々の少年に対しましてその健全な育成のために働きかけてこれを善導するという活動だと思います。少年指導委員は、盛り場を俳回する等の有害な風俗環境の影響を受けているような少年に対しまして、例えば帰宅を促す等の注意、助言をしていこうという形でございます。ただ、ここで申し上げなければいけませんのは、少年指導委員には何ら特別の権限を付与しているわけではございませんから、ここで言います補導、助言指導といいますのは、純粋に任意の手段で相手方の同意を得て行われるものでございます。  今お尋ねの、少年警察活動要綱というのがございまして、これは三十五年の通達になっておりますが、「少年の補導」といたしまして、警察官は、これこれの「捜査若しくは調査をし、関係機関へ送致し、若しくは通告し、又は少年若しくはその家庭、学校、職場等へ連絡、注意若しくは助言をする等少年について適切な処遇を行なうものとする。」こういう規定がございますけれども、これはあくまでも警察官の活動について定めたものでございます。警察官の場合には、当然のことながら少年法なり刑事訴訟法に基づいて少年犯罪の捜査権を付与されているということがあるわけでございまして、だからこそ捜査なり送致なりということにまで言及しておるわけでございますが、先ほど申しましたように、少年指導委員の場合には何らの特別の権限がないということでございまして、当然行われる範囲というものは、先ほど言いましたような任意の手段で相手方の同意を得て行われる場合に限られるということでございます。
  262. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それならば、従来市町村条例である少年補導員ですか、それでいいんですよ。しかし、ここでわざわざ少年指導委員というふうに挙げておられるのは、今おっしゃったように少年警察活動要綱にある「少年の補導」、これは確かに任務としては警察官が少年を補導する場合の条件です。すなわち「少年の処遇の精神にのっとり、非行少年等を発見し、発見した非行少年等について、捜査若しくは調査をし、関係機関へ送致し、」送致の場合は、これは警察官だからそうなるのでしょうけれども、例えば指導委員の場合には関係機関に「通告し、又は少年若しくはその家庭、学校、職場等へ連絡、注意若しくは助言をする等少年について適切な処遇を行なうもの」、これが少年指導委員の、恐らくこの法、いわゆる二十条に準拠をして、大体こういう任務ですよということを与えられるのじゃないですか。でなければ、今まで当委員会で議論がありました少年補導員制度、あるいは警察へ行けば少年警察協力員制度、あるいは各都道府県が行っている補導委員、これで賄えるのじゃないですか。  私は、いわば少年非行を発見した場合に、今言ったような形で警察少年を補導する、その補導を外の民間の活力を生かしながら、それを協力せしめる機能として少年指導委員制度を設置される、こう理解しているわけです。ということは、もとに戻りますけれども青少年の健全育成というその方向性ですね、青少年の健全育成の方向に一定の解釈と方向を実はこの法律の中で与えてはおるまいか。  いま一つ申し上げます。例えばゲーム機械です。先ほどからいろいろ議論がありました。ゲーム機械についても、今のICとか集積回路とかいう発展した中での子供たちが持っているゲーム機械の興味といいましょうか、あるいは遊技機器のあり方というものは、やはり時代に沿ったそういうものが子供たちの機械として設置をされる条件が背景的にあると私は思うんですよ。したがって、そういうIC、集積回路というものが発展している中で、そういうものに対する興味あるいは反射神経をもっと養おう、そういうものとして設置されているゲーム機械を、片方の賭博、ルーレットあるいは花札、マージャン等のゲーム機械と同一視をして、そして射幸心をそそるおそれのある機械として一緒くたにして、そこに問題を置いている。そのことは、青少年はそういうものに携わってはならないんだよといったまり場論とは別に、青少年の健全育成というものに対する一定の方向性というものがこの法案の中に背景として出てくるのではなかろうか、こう実は思っているわけです。  したがって、私が今申し上げましたように、この法律には、青少年、婦女子の犯罪予防の面から見る問題もある。それから正常な風俗環境、善良な風俗の維持の問題もある。そして今言ったような善良な風俗等特定の価値体系、あるいは青少年の健全育成の方向に一定の解釈を与えるような取り締まり方法を含めた、そういう内容を含めた法案としてこの法律を見ていかなければならぬのではないか。ということになりますれば、大臣がおっしゃったように、非行少年だけの分野として、今新宿の歌舞伎町があるじゃないか、これは見捨てておけない、そのとおりですよ。そのことについてだれも否定する者はないと思うのです。  だから、今全般にあるようなことまで含めて、今日の風俗産業というものを警察という立場、警察の立場というのは、逆に言えば警察の本来的な使命、警察法の第二条にある使命で行政の分野まで立ち入ることは極めて危険であり、同時にそういう方向をとるべきではないのではないかという見解を実は持っているわけです。どうでしょうか、これはいま一遍大臣にお聞きしたいと思うのです。
  263. 田川誠一

    田川国務大臣 一つ誤解があるといけませんので、念のためにつけ加えさせていただきますが、青少年非行をなくしていく努力というのは、風営法だけでできるものじゃなくて、これまでもたびたび申し上げましたように、地域の社会社会教育あるいは学校、家庭教育、もろもろの関係者がこぞって努力をしなければできないことでありまして、たまたま警察の役割の一つとして、今度のような風営法改正お願いするようになったわけでございます。  先ほど来申し上げましたように、青少年のたまり場とかあるいは遊び場所、こういうようなところにある極度の規制を加えるということの是非ですね。これは結局自由奔放にさせていくのがいいのか、秩序を設けて一定の規制をするのがいいか、この選択ではないかと私は思うのです。そして今加藤さんがおっしゃった御懸念もごもっともだと思いますけれども、私は青少年非行考える場合に、従来の個人主義的な自由思想からいうと、なるべく他人が手を加えない方がいい、口出しをしない方がいいという考え方だと思うのです。子供の非行を増発させている一番大きな理由は、他人の子供は自分は見ない、自分の子供だけよくしていけばいいんだという思想が今相当みなぎっているのではないでしょうか。私は古い大正の者ですけれども、やはりよその子供がいけないことをしていたら注意をしていくように努力をしていかないと世の中よくならない。子供はよくならない。  ですから私は、警察少年補導をやるというのは権力が介入する一つの道になるのではないかという御心配ですが、よくトラブルが起こりまして自分のうちの子供によその親が何か言うと、余計なことじゃないか、こういう考え方が今かなり社会にあるのではないでしょうか。これではいけない。  ですから、ちょっと例えが適当じゃなかったかもしれませんけれども警察警察の職務として、やはり規制すべきところは規制をし、補導をしなければならないところは補導をしていく、これが一つの役目であって、これでもってすべてが完全にいくというものではなくて、ある一部分の果たさなければならない仕事である、これが今度の改正の骨子、趣旨でありまして、これは権限を拡大するとか、警察の中央集権化だとかいうようなことからの発想ではないということをどうぞひとつ十分御理解をしていただきたいのでございます。  むしろ、最近のいろいろな非常に際どい写真だとか看板だとか書物だとかの行き過ぎた面に対して、警察は怠けているのではないか、なぜもっと取り締まりをしないのかという声の方が増大しているのではないか、だからこそやらなければならぬということではありませんけれども、そういう非常に行き過ぎた面が今あらわれている、その一助としてこういうふうな改正が起こったということをひとつ御理解していただきたいのでございます。
  264. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 三井長官にお伺いしますが、今度の風営法改正について三つの視点があるというように私は申し上げました。それに伴いまして現場警察官がいろいろな権限を委任され、ないしは立入条件を含め、本来警察官が持っている権限を行政の分野でも相当駆使できるという言葉は余りよろしくないかもしれませんけれども、駆使できる条件を与えていくということになりますと、先ほど細谷委員質問いたしましたように、ある意味ではよほど下部警察官の方が厳密に、厳格に解釈あるいは行動を展開いたしませんと、善良な一般市民、営業者から見ますると、まさに警察権の介入がより拡大したというようにとられるのですね。  したがって、私は、今言いました青少年非行風俗環境の浄化、そして今一つは、先ほどやや哲学的な議論になっちゃったんですけれどもその分野、それらを含めて現場への徹底というものを相当厳しくやりませんといけないと思うのです。  私は、きのう警察法の三十周年記念に参りまして、実はいま一遍警察の基本法の第二条を読み直してみました。そうしましたら、警察法の第二条の後段のところで、この責務に対して「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきもの」という、これを三十年前につくったときには、警察の権限の拡大が結果的に警察国家という方向を生み出しはしないか、そういう懸念もあってこの第二条の後段の方は入ったのではないかということを改めて実は感じたわけであります。どうでしょうか、三井長官、私が言ったようなことが起きる可能性ということを十分秘めているようなこの法案でございますから、いま一度現場警察官に対するそういう意味での厳格性といいましょうか法の解釈の徹底、これについてどういう御指導をされるか、御決意を聞きたいと思います。
  265. 三井脩

    ○三井政府委員 簡単に申しますと、この法の実施、運用に当たりましては、警察竹は厳格に当たり、幹部のみならず第一線の末端の現場の警察官にまで十分徹底しなければならないということはしばしば申し上げておるとおりでございます。  ただ、別のことですが、この法の改正に当たりまして私たちが考えましたのは、先生方の御心配とは別でございまして、現下の情勢で少年非行の問題、風俗の問題についてどうするのが一番いいかということで知恵を絞ったということで、一言で言いますと極めて善意に発しておるということでございまして、誤解を招くとすると大変残念だ、こう思うわけでございます。  それからまた、改正法の中で三点とおっしゃるわけでございますが、私たちも初めの二点、そのとおりに考えておるわけでございますし、他意はないということでございます。警察法についておっしゃったこともまさにそのとおりでございまして、今回の改正法につきましても、現行法以上に私たちは権限をふやそうというような気持ちは毛頭ないわけです。  具体的には、個々の字句に当たっていってそういう点があるというような御指摘もあるわけでもございますが、今までやっておることを明確にするとか、新たに訓示規定を入れるとかということでございまして、気持ちにおきましては全く善意に発しておるということでございますので、運営に当たりましてもそういう点、御心配の点をよく踏まえまして間違いのないようにやりたいという気持ちでございます。
  266. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、確かに少年少女犯罪増加していることは間違いないのですよ。ただ私は、調査室から取り併せていただきまして、少年少女がどういう福祉の犯罪的影響を受けているかという統計数字を少しく調べさせていただきました。そうしましたら好奇心から来るものの犯罪というのは比較的少ないのですね。性犯罪というのは割合と少ない。むしろ傷害だとか窃盗あるいは麻薬、そういう面から来るセックス産業への転落といいましょうか、これは大人の方が加害者と思うのですけれども、そういう面が多いのですよ。  ですから、これは実は総理府に開こうと思ったけれども時間がございませんからきょうは聞きませんが、一体少年少女犯罪に陥る原因はどこにあるのか。いわゆる薄板だとかビニ本だとか映画だとか、そういう好奇心から犯罪傾向が強まるのが多いのか、あるいはそういう面ではない、例えば非社会的なという言葉を最近使っているのですね。貧乏で、豊かなものにあこがれて、それがために窃盗をするというのではなくして、非社会的、社会の今ある秩序というものに対して子供らしい抵抗と言ってはおかしいですけれども、非社会的な犯罪が多くなっておる、犯罪の様子も違うのだという点を我々大人はどうも間違えて、少年少女自身が何かそういう犯罪の中にあって、それを救出するためという観点を持ってはいけないなというのをつくづく実は感じました。  したがって、非行少年の救出という課題は、むしろ私はハードな面で取り締まるということを強化してやるよりも、社会福祉政策的な目的を持ったソフト面で強化するのが正しいという見解なんです。したがって、どうも大臣がおっしゃるように、青少年犯罪がそこらにはんらんしているのを見たら、こういう取締法という発想は、どうも私を含めて非常に時代おくれといいましょうか、あるいは今の子供たちに対してぴたっと当てはまる政策ではないのではないかなという凝固を実は持ったのです。多少これは議論になりますから、これ以上の討論はいたしませんけれども、ぜひそういう観点をとらえていただきたいものだ、この風俗営業はそこまで影響を及ぼす法律でありますがゆえにぜひ考えていただきたい、こう思います。  総理府の方、済みません。そこを少し御質問する予定でありましたが、質問時間がなくなりそうでありますので、お引き取りになって結構です。  次に、具体的な法律内容について幾つか御質問をいたします。  先ほどテレビゲーム機械、いわゆる射幸心をそそるおそれ、あるいは本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれ、射幸心をそそるという言葉が各所に出てくるわけです。もう議論を皆さんなさってますから、一体射幸心をそそるおそれをどこで線を引くべきか、なかなか私は難しいと思うのですね。先ほど例えばパチンコの機械で射幸心をそそるおそれがある、したがってこれは公安委員会で型式を認定機関を通して全同部に認可、許可基準にする、こういう法律体系になっているわけです。  そこで、私は一体射幸心をそそるおそれのある機械、これはパチンコにしてもゲーム機械にしてもそうですが、いま一遍お聞きしますけれども、例えば先ほど幾つか事例に出ましたテレビ機械で、スポーツ、例えばテニスでもいいし野球でもいいし、そういうテレビゲーム機械とルーレット方式のテレビゲーム機械と分離することが可能じゃないでしょうか。  もし可能でないとするならば、例の二条八号のところを修正をして、こういうものは射幸心をそそるおそれに改造される可能性があります、したがってテレビゲーム機械云々ではなくして、むしろそこに私どもが提起をしておりますように、ルーレットであるとかポーカーだとかスロットマシンだとかいうものを例示をされて、これは云々、こういうようにされた方が、本来届け出の対象になるべき機械をそこに例示をされた方が、いわば射幸心をそそるという機械は例えばこういう例示をされるものですよ、こう記載をされた方が、子供たちの目から見てもあるいはそれを行う営業者の目から見ても理解がしやすいのではないか、こう思うのです。これが第一点です。  それからパチンコの場合に、今やりとりがありましたけれども、大変技術的要素を持った、しかも全国的に公安委員会で型式として認めたもの、一つの規格をつくるんですけれども、認定した機械はそれぞれのお店に台を取りつけても構わないわけですね。この二点を先にお答えいただきましょう。
  267. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のお話で、一つは第二条八号の書き方につきまして御提案がございました。  この書き方は、スロットマシン、テレビゲーム機というのは一つの例示でございまして、これの意味は「本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技」というところがこの条文の最も意味のあるところであるわけでございます。そういうことで、ここに当たるものというのは、前から申しましたような形で、スポーツ物でありましても、現にそういうふうな形でいろいろな問題が生じておるということがあるわけでございまして、これを外すわけにはいかないということで申し上げておるわけでございます。やはり先ほど言いましたようなものが対象として入ってこないとこの法律の実効性は上がらない、現在の書き方が一番いいのではないか、私はかように考えておるわけでございます。  それからもう一つの認定の問題でございますが、二十条というのはあくまでも認定を受けることができる、検定を受けることができるということでございまして、任意の措置でございます。そういうふうに風俗営業者が認定を受けた方がやりやすいという場合に認定を受け、製造業者が検定を受けた方が疑問の余地がないという場合に検定を受けるという任意の措置でございまして、ここで認定を受け、検定を受けたというものは、まず射幸心をそそるおそれがなくなるということは間違いございませんが、それでは認定、検定を受けなかった機械が全部問題なのか、だめなのかということになりますとそうではないという解釈を私どもはとっておるわけでございます。  それは四条の三項に許可基準がございまして、ここに言いますパチンコ等のものといたしましては「公安委員会は、当該営業に係る営業所に設置される遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当するものであるときは、当該営業許可しないことができる。」いわばここで認定をあるいは検定を受けなくても、この基準に該当しないということになりますとその機械は使えるという意味になるわけでございます。裏からの書き方でございますから、読み方としてちょっとややこしい点があるわけでございます。  認定、検定というのは、前から言っておりますように、これは業者の利便を考えてつくったものでございまして、それに当たらないからすぐその機械は使えないんだというものではないというふうに私ども理解をし、この法案を提出しておるということでございます。
  268. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 さっきの前段のテレビゲーム機械のところの修正というか書きかえの問題については、私どもの提案として提起をしておりますのでもう一遍検討いただきたい。逆の発想なんですね。これに類する機械は政令で定めて、いけませんよ。今の場合にはこれはいいけれども、これが射幸心をそそるおそれがあった場合はだめですよ、こういう物の書き方になっているわけですから。それをこういうふうに逆の書き方にされた方が親切、同時にまた若干の分離ができるのではないかという見解なんです。パチンコの機械のところはわかりました。  ただ、こういう場合はどうなりますか。私はパチンコというのは余りやったことがないものですから、初めて今度これでやらしていただきました。品玉の秒数が一分が三十秒になり、今度は十五秒になったのですね。そうしましたら、一台の機械に十五秒ずつ出る穴というのは二つないし三つぐらいあるそうですね。連続してその穴へ入った場合は、十五秒で一遍はとまりますけれども、また十五秒の箱があくのですね。確かにつくったときには十五秒で一遍とまりますし、ほかの穴へ入っていれば出てこないわけですから、確かに十五秒の連続玉で終わっているわけですね。  ところが、プロになってきますと同じような穴に何回も入れる。一遍は〇・何秒かでとまってまた箱があくという機械ができた。それはできたのはいいのです。できたらどうしてもお客さんがそこへ集中するものですから、警察が見に来ましてこれは射幸心をそそるおそれがある。設置をして一カ月か二カ月の間で、これは射幸心をそそるおそれがあるからだめだ、使ってはいけないということになった。  大体一台のパチンコの機械が十三万とか十五万するそうですけれども、もしもこれが名古屋でつくられた機械だとか、先ほどあったように桐生でつくられた機械だといったら、その地域の機械だけを使っちゃいけませんよと言えばこれはいいのですけれども、もし全国的に認定してこの機械は使っても結構です、ところがやってみたら今言ったようなシステムで、しかもプロ、我々素人がやるのと違うわけですから、プロがやってみたら射幸心をそそるおそれのある機械ができてしまった。もし全国的にこの機械は二月使った後使っちゃいけませんよといったら、パチンコ業者にとってみれば大変な被害ですよ。  型式が桐生と名古屋と多少違ったりなんかするのは地域的な特性を生かしていいでしょう。しかし今言ったように営業者に対して被害が出てくる。しかも全国的に認定機関として国家公安委員会が型式を指定したもので、しかもそれが二カ月前後でだめだというようになった場合大変な被害が起きるわけですね。そういう面から見ても、型式については地方条例にあるいは府県条例に、いわゆる地方に委任をすべきではないかというふうに思うのですが、もう一遍お答えいただきたいと思います。
  269. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現在業者の方も大変困っておりますのは、例えばA県でもってこの機械はいいという判断が出た、ところがB県へ行きますとこの機械はだめだというような判断が出る場合がある。しかもそれが、場合によりますと大変時期がずれて出るということも実際上はあるわけでございます。そういうことがあったのでは大変困る。一体何がよくて何が悪いのかということがわからない形で、A県とB県でもって同じ機械が、あるものは射幸心をそそる、あるものはそうでないという判断が出るというのは適当でないという考え方が当然根底にあるわけでございます。そういうことがありまして、もうちょっときちっと判断をしてもらうことが必要ではないかということになるわけでございます。  ところが、御存じのとおり技術も大変進んでまいりまして、各府県でも懸命にやっておりますけれども、そういう能力が必ずしも各県全体に十分あるとは言えない状況で、かなり指導もしておりますけれども、その能力にはかなりの差を認めざるを得ないという問題もあるわけでございます。そういうことから、もう少しきちっとした形でやるべきじゃないかというようなことがあるわけでございますし、業者の方に迷惑にならないように、業者の方のこういうふうなお話があれば、先ほどのような認定なり検定という制度を活用して、この機械は大丈夫なんだということで安心して使えるということになるわけでございます。  そのときに、認定あるいは検定というものが今までと違った形で、えらい重箱の隅をほじくったような議論になりますと恐らく業者の方もそれは大変だということになられるのでございましょうが、私どもはそんなことをここで考えているわけではございませんで、あくまでも射幸心をそそるというのはこういうものだと一つ基準を頭に置きながら、こういうふうな認定、検定という業務を適正にやっていきたい、これになりましたから厳しくなって、ほとんどこういうふうな検定が通らないとか認定が通らないことになるなんということは毛頭考えておりません。むしろ、現にやっておりますものが事前に安心して使えるようにすることが望ましいのではないかということで考えておるわけでございまして、しかもそれも、先ほどから申しましたようにあくまでも任意の制度としてやっておるものでございますので、この点を御了解いただきたいと思います。
  270. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 先ほど言った認定された機械が、パチンコならパチンコの機械が現実に使ってみたら今言ったような形で射幸心をそそるおそれがあった、その場合には射幸心をそそるおそれが全国的に一律の基準、規格で認定されたわけですから、業者の側から見ればそういう意味ではかえって被害がより拡大をする。おっしゃったように、確かに府県によって違いがあって、どれをつくっていいものかわからないという面もあるでしょう、否定はいたしません。しかし、業者側といいますか営業者の側から見て、より一層の被害はどちらにあるんだろうかという中で、私は地方がその型式あるいはその製造について許可を与えていくという方向が正しいのではないかという主張をいたしておきたいと思うのです。  次に、トルコぶろですが、これはマンショントルコであるとかあるいはホテルトルコだとか、今あるセックス産業の取り締まれない面をもっと明確に取り締まる方向で何かできないものだろうかという話を何回も皆さんも提起されました。  そこで厚生省にお聞きしますが、トルコぶろの許可、そしてそれに伴う売春禁止ということは今の浴場法を改正してもどうしてもできないものですか。いま一遍厚生省の御意見を聞きたいと思うのです。
  271. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 公衆浴場法におきましては、先生御承知のように公衆浴場法が衛生立法であるという性格を持っておりますので、特に個室つき浴場につきましても、換気でございますとか採光でございますとか照明、その他入浴者の衛生に関する措置というふうなものについてはある程度まで入念に定めておりまして、保健所の技術職員を通じまして丁寧な指導を行っておるわけでございます。  そのほか風紀上の処置につきましても、先生御指摘でございますけれども、個室はその内部が十分見通せるような窓を設けるというふうなことも定めておりまして、また従来から個室にはかぎをかけないとかそういった面も含めて保健所を通じまして指導をしているわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、現在まで一般には衛生面を主とする保健所の技術職員を通しての監視、指導という性質上、風紀的な観点からは十分に効果を上げていないというのは御指摘のとおりでございます。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 今後、警察庁を初めといたしまして関係行政機関と十分な連携をとりまして、御指摘の点につきましても、公衆浴場の行政の中で可能な限りの努力はしていきたいと考えております。
  272. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、率直に言ってトルコぶろにおいて売春が現実に行われていることは周知の事実でございます。したがって、私は売春防止法ができたときの議論を謙虚に受けとめて、こういう形で売春が行われ、あるいは少女も、このごろは少年も入るかもしれませんけれども、大人の道具といいましょうかあるいは大人に害される、そういうものを遮断することはどうしても必要だと思うのですね。確かに社会悪としてという意見のあることも私はまるっきりは否定はいたしません。しかし、そういうものを通して非行少年、少女というものの拡大が極めて大きいとするならば、私ども政治家が、そこを遮断してやる法律がこういう法律改正の機会にあってしかるべきではないかと思うのです。  そこで、これは本法をつくられた経過の中でお聞きをするわけですが、トルコぶろと売春の関係につきましては、五十七年六月四日に売春対策審議会で幾つか条件をつけていますね。例えば許可人的欠格事由の明確化、これは今度の風営法にもあります。あるいは名義貸し禁止営業許可更新制度の導入、それから構造設備、特に個室に関する規制の強化、その違反に対する行政処分及び罰則規定の整備、地域規制の強化、営業者遵守事項の設定等々、売春審議会でトルコぶろの規制条項はこういうことですよ、そして片方では浴場法によって開放性、見通しができるようなガラス窓にしなさいとかということがあるわけです。  さて、今度のこの法案では、個室の場合にはこういう届け出をしなければならぬ、同時に個室についてはこういう届けの許可といいましょうか、それを得てやらなければいかぬという一連の、いわゆる個室浴場といいましょうか、これを認めた中での条項になっておりますから、余計そこに今の売春行為が行われる巣をつくった形になってしまうわけです。今の売春審議会で決められた条項を何らかの形でこの法律に提起しないとするならば、規則なりあるいは施行上の遵守事項としてどこかに明記される必要性があると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  273. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今度の改正法では単なる届け出をさせるだけでございまして、これは公認をしたということにはならない、私どもはこう考えております。しかも、その届け出は何のためにするかといえば、やはり実態を把握し、監督を厳正にやるためにやろうということでございまして、そういうスタンスで厳しく臨んでいこうということでございます。決してそこであります売春を温存したり認めたりということではございませんで、そういう監督指導を通じながら、問題があるならばやはり厳正に処分をしていくことができるわけでございます。  しかも今度の法律では、そういう禁止地域に貼っておりますトルコぶろにつきましては、売春等の違反があれば営業の廃止命令まで出せるというところまでいくわけでございまして、そういう意味でもってかなりの効果を上げることができるというふうに確信をしておるところでございます。
  274. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 取り締まりの結果として効果を上げることができるのはわかるのです。ただ、それはもうそれ以前に被害者が出ての結果としての取り締まりなんですから、そういう被害者が出ないためにも、今の売春審議会で論議をされたことがその届け出の一つ許可条件といいましょうか、この場合許可じゃありませんね、届け出条件を承認する際の一つの条件付与にしなきゃいかぬ、こういうことを実は言っているのです。ひとつ御検討いただきたいと思うのです。  次に話を進めます。第九条ですけれども、政令に委任したりあるいは国家公安委員会に委譲したりという問題がたくさんあるものですから、そのうちの一つとして第九条をちょっととらえてみたわけです。  これでは家の改築あるいは増築は、国家公安委員会に一カ月前に届け出をして承認を得なきゃいかぬ、こうなっておるわけです。ところが、いただきました資料の下位法令にゆだねる規定の見込み事項、この中では、本条については「構造設備の増築、改築に至らない程度の部分的な腐朽、破損箇所の修理などを予定している。」こう書いてあるのです。そうしますとどっちが正しいのですか。本法の方が正しいのでしょうか。下位法令の規定の見込み事項としては「構造設備の増築、改築に至らない程度の部分的な腐朽、破損箇所の修理などを予定している。」こういうことでありますから、この場合は増築、改築は含まれないと理解してよろしいのでしょうか。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  275. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 増築、改築は承認事項でございます。
  276. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、腐朽部分の修理というのは、下位法令のどこにどういう形で出てくるのですか。
  277. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この総理府令で定める軽微な変更というところに出てくるわけでございます。
  278. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 どうなんでしょうかね。実は鈴木さんの答弁の中で、本来喫茶店であった、ところがちょこっと隅っこを板で囲って、ノーパン喫茶がいつの間にかセックスの場所になるというのをとどめなければいかぬという御答弁があったような記憶を私は持っておるわけです。もしそういうことがねらいとするならば、本来的に言えば増築、改築なんというのは建築基準法ですよ。したがって、ここで下位法令に委任されている例えば部分的な改造あるいは修理と言われるもの、それに限定をされ、同時にそこは届け出条項になされるべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  279. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実は現在は非常に厳密にやっておるわけでございます。こういうふうな届け出で済ますというのじゃなくて、ほとんどが承認事項という形で行われておるわけでございまして、これを今回は、こういう軽微なものは届け出でもって済まそうじゃないかということでこれは緩和をした措置でございます。その点で、総理府令で定めるのに先ほどのような部分的な腐朽、破損箇所の修理等があるわけでございます。  要するに、変更の仕方が、例えば極端なことを言えば、現在でもそうでございますが、いすの高さをどの程度にするかということによって見通しがきかなくなることが大変問題になる場合もあるわけでございます。そういうことはいろいろありますけれども、いずれにいたしましても、それが風俗上それほど問題にならないというようなものについては届け出だけにとどめようということにいたしておるわけでございまして、これを先ほどのようなお話の点まで拡大をしてまいりますと、現在の風俗上のいろいろの問題点をなかなかカバーできなくなるという問題がある点を御了解賜りたいと思います。
  280. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 どこでもそうでしょうが、喫茶店なんかでもいうところの模様がえがよくありますね。全く善意な模様がえにもかかわらず、今度の場合は全部一カ月前に届け出をして云々ということになるわけです。私が喫茶店とか小料理屋などに時々入っていきますと、いつの間にか模様がえをしているのです。そういう分野と、いわゆるセックス産業としての囲いだとか部分的な修理とを増築、改築という面から外しておかれるべきではないかと思うのです。これは実際にこれから現場でいろいろ検証されるのでしょうから、現場の検証に当たっては、先ほど警察官の執行上の注意事項としてきちっと明記をされていただきたいと思うのです。  それから第二十四条の四項でございます。例の管理者営業者との関係です。  部長の答弁で、管理者営業者に行う場合に助言指導がある、助言営業者に対して言える、指導はもっぱら管理者がそこで使っている従業員に対して言う言葉である、こう言っておられるのです。ところが、この四項を見ますと、上にかかっている言葉が「営業者又はその代理人」、下の部分が助言及び指導となっていますから、この場合の指導という言葉は営業者に対しても当てはまる言葉ですか。部長の答弁では、前項の助言指導というのは、指導という言葉は従業員に対してです、営業者に対しては助言ですとされておるのですが、四項についてはどうですか。
  281. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者が行いますのは、風俗営業者に対しましては助言でございまして、指導を行いますのは使用人その他の従業者ということでございます。
  282. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 確認をしますが、四項についてもそういうふうに理解していいのですか。四項はそういうように読めませんよ、字句のままに読みますと。
  283. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 そういうふうに御理解いただいて結構でございます。
  284. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりました。  それでは次に、立入検査について御質問いたしたいと思うのです。  立入検査については、立ち入ること、検査をすること、質問をすること、いろいろあるわけです。そこで、三井長官が立ち入り問題に対して最終的に御答弁を我が党の安田議員の質問に対していたしております。これをそのまま読んでみますから、こういう解釈でよろしいのかということについてお答えをいただきたいと思うのです。  ○三井政府委員 自己負罪というのは刑事上のことですから、今問題は行政上のことですから、全然関係がありません、この問題はかかってきませんということを言っているわけです。したがって、自分に不利なことでも、聞かれたら答えなければいかぬ、質問しているのですから答えるべきだ、そういう立場にあるということを言ったのです。   では、実際に答えなかったらどうなるのか。ところがこの罰則は、答えなかった者を罰するとは書いてないのです。答えなかった者を罰するという罰則はここにないわけです。どんな罰則があるのかというと、「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」、そうすると疑問は、答えなかったら立入検査を拒んだことになるのではないかという御疑問だと思います。それには当たりません。こうお答えいたしています。これは部長の御答弁が各委員質問に対して、罰則について、いやその罰則が当てはまりませんという答弁と、それから検査、質問を想定した場合に罰則適用がありますという答弁、二つなされたものですから、最終的には今の三井長官の御答弁をもってこの立ち入りによる質問罰則に対しての見解というふうに理解いたしたいと思うのですが、それでよろしいのでしょうか。
  285. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 それで結構でございます。
  286. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それではいま一つ、新しい問題でお聞きします。  四十九条の立ち入りの罰則の中には、質問を拒んだ場合の罰則条項は入っていませんか。
  287. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 単に質問を拒んだ者は、ここに入りません。
  288. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと四十九条の罰則条項は、立ち入りを拒みあるいは検査を拒んだ場合に云々、こういう理解で、質問条項は今の前の立ち入り権の立ち入りの場合に、質問を拒んだからといって罰則に当たりませんというのと裏腹の関係でこの立入検査の中には含まれていない、こういうふうに理解してよろしいのですね。
  289. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 それで結構でございます。
  290. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今度は、営業許可条件の中における禁錮一年以上の刑に処せられた云々、これが次に営業者になろうとする場合には五年の経過が必要であるという法文になっているわけであります。  御説明をずっと聞いておりますと、犯罪の再犯率が五年より先の方が少ない、したがって、五年までは非常に多いので五年の制限措置を加えた。加えて警備業法とかその他、最近の法令が五年以上になっているから、こういう御説明でございました。  どうでしょうか、質屋法それから古物営業法は――私は警備業法が五年というのはわかるのです。警備というのは物の売り買いではないわけです。ある会社へ行って警備をしなければならぬのですから、警察にやや似た業務内容ですから、これを犯罪者が三年もたたないですぐ業を営むなんということはとてもできない、許せないと思うのです。  ただし、今言った古物とか質屋等はいわば商売ですね。商売の場合の営業権というものは一定の条件が満たされれば、刑期が終わって三年の時期を経れば大体一応正常な人間、こういうように社会的にも認知をされるというような条件に見てよろしいのではないでしょうか。そして、もしもそれが集団的なという、後で暴力団の条項等も書いてありますけれども、これは別の項のところでございますけれども、あそこも集団的な云々なんという抽象的なことではなくて、暴力団なら暴力団というようにしてしまった方がいいと思うのですよ。したがって、私は商売をやっている者の復権というものを考える場合には今言った三年でよろしいのではないかというように思うのですが、いかがでしょうか。
  291. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは最近の立法例、特に欠格期間を五年としておりますのは、宅地建物取引業法とか旅行業法とか、そういう営業でも五年という形の欠格期間を設けておるわけでございます。  そこで、風俗営業というものを一体どう考えるかということになるわけでございますけれども、確かに国民に、問題がなければ憩いと娯楽を与えるという大事な業でございますけれども、またそれだけに、逆に国民に与える影響も大きいというふうに考えられるわけでございます。現に、こういうふうな営業者の中に暴力団とかあるいは覚せい剤の乱用者だとか、そういう者がかなり多いことも事実でございます。そういうことを兼ね合わせまして、この業態の社会的な意義とそれから今言った実態、そういうものを考慮いたしますと、私はやはり五年が適当ではなかろうか、かように考えておるところでございます。
  292. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ただ、今度の場合、禁錮一年という犯罪が一般刑になっていますね。いわゆる風俗営業関係だけではない。今言った麻薬だとかあるいはそういう取締法違反になる人は、主としてマル暴と言われる暴力団関係絡みの事件ですよ。だとするならば、後の集団的な云々というところがありますが、そこで営業の不許可者として該当はできると私は思うのです。したがって、一般刑で、例えば友達同士で一杯飲んでけんかして傷害を起こした、しかも一年以上の禁錮刑を食ったというような場合でもこの対象になるわけであります。  私は、交通違反で、例えば酔っぱらいで人身事故を起こしたのが交通刑務所に入ってどのくらいの刑を食うか判例をよく承知をしておりませんが、最近は交通違反でも相当厳しくなりまして、有期刑で相当長期の刑を食う場合もあるというように聞いているわけです。もちろん、それが直ちに営業をやるなんということは許されない。しかし、三年間という期間を置けば、社会的にまあまあ認知してやろうではないかという面があるのではないかと私は思うのであります。  したがって、適用刑の範囲が非常に拡大されたのと、同時に三年が五年になったという、横と縦が極めて深くなったこの許可条件というものはどうも私は少し行き過ぎではないかと思うのですが、いま一遍その見解を聞きたいと思います。なお、これは見解の違いという形で分かれてしまいますと、これは物別れあるいは見解の違いだけになってしまうわけですから、ひとつその辺も加味して、今後どういう対応をされるかも含めてお聞きしたいと思うのです。
  293. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この欠格条件で「一年以上の懲役若しくは禁錮(こ)」という形のものは、これまた立法例、先ほど例に挙げました旅行業法とか宅建業法に倣ったようなものでございまして、むしろこういうふうな旅行業法や宅建業法はこの法律よりも厳しいわけでございます。私ども改正案は「一年以上の懲役若しくは禁錮(こ)の刑に処せられここう言っておりますけれども旅行業法、宅建業法は単に禁錮以上の刑という書き方をしておるわけでございます。そういうことで、大変厳しいのではないかという御意見もございました。しかし、先ほどのような風俗営業の重要性にかんがみていろいろ検討いたしました結果、業者の御意見もいろいろ参考にしまして、この点を旅行業法や宅建業法より一歩後退させだというのが実情でございます。  現に、一年以上の懲役に例えば交通違反が当たるじゃないか。まあ理論的には当たるわけでございますけれども業務過失致死傷で一年以上の懲役を受けたという例を見ますと、実際単なる交通事故で一年以上の懲役や禁錮になるということはまずないのではないか。現実に五十七年に調べた材料によりますと、有罪を受けた者の千人のうちの一・四人が一年以上の懲役または禁錮であったという実情でございまして、これは単なる交通違反ではなくてやはり大変問題の、悪質な事犯であったということを考えなければいけないのではないかということでございまして、そういうことで現行の決め方がいいのではないか、私どもはこう考えておるところでございます。
  294. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 説明はわかりましたけれども、それが直ちにいいというふうには判断ができません。まあ見解の相違ということでございましょうから、これ以上は無理だと思います。  最後に、時間がありませんから手数料問題についてちょっとお聞きをしておきますが、実は先般当委員会で手数料改正問題について私ども議論をいたしました。その際に、政令で定める分野と地方都道府県条例で定める分野との区分をどこでするのだという討論をいたしましたときに、警察関係手数料は特殊な事務であるから地方団体に事務移管をするのではなくして、むしろ政令で定めていく方が正しいという御答弁を私はたしかいただいたような気がするのです。  それで、それはおかしいじゃないですか、地方団体に機関事務委任をされるもの、あるいは地方団体に手数料関係を含めて団体事務委任をされるもの、そういうもののほかに、何か固有のそういう特殊な事務移管というのはあるのですかというお話もこの席でしたのですけれども、そういうものではございません、警察の事務はいわば特殊な性格の事務でありますから、したがって地方条例への手数料移管というのはこの際はありませんという御答弁でした。今度は条例で定めるところによって都道府県に納めなければならないとしているわけです。地方条例にこの手数料を置きかえておる、いわゆる事務委任をされているわけです。どっちが警察庁としてこれからとられる方針なんですか。
  295. 太田壽郎

    ○太田政府委員 警察事務の内容につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、非常に特殊な性格を有しているということは言えるわけでございます。したがいまして、個別的に判断をしなければならないということだろうと思いますが、現行風営法につきましては、「条例で定めるところにより手数料を徴収する場合においては、その額は、一万二千円を超えることができない。」という規定を置いているわけでございます。御案内のように、これは現在、人的要件あるいは営業の場所、時間、営業所の設備、構造の要件、こういうものがすべて都道府県ごとに条例で事細かく決められているというようなことで、そういう実態に即しまして都道府県条例で定める所要の手数料お願いするということが決まっているわけでございます。  これに対しまして、改正法案におきましては許可の要件が全国的にかなり統一されるというような面もございます。ただ、一部条例にゆだねられるというような点もございますので、その辺を勘案いたしまして、全国的に共通であるという面をかなり重視いたしまして、改正法案の四十三条におきましては、それにふさわしい規定ということで今お話しのような規定になっておるわけでございます。
  296. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今行管庁で、御承知のように、地方への事務移管の問題、それから補助金問題を含めて先ほど細谷委員質問したような審議が行われております。したがって警察関係手数料を含め、地方への事務移管あるいは団体委任の問題をこの際きちっと整理をされておくということが、次の論議の場合にも必要だと私は思うのです。きょうは御説明を承ったということにしておきますけれども、前回の答弁とは若干内容が異なっておると思うのですよ。前回は、警察関係の事務は主として国家的、地方的性格を持つ特殊な性格の事務であるからということを含めて、政令条項あるいは地方事務への委任条項の中へは入ってこなかったというふうに思っておりますので、これはもう時間がありませんから答弁は要りませんけれども、次の段階で必ず問題が提起をされる課題でありますから、今のうちから検討され、それに備えていただきたい、こう思うのです。  以上で私の質問は終わるわけでありますが、個別の法案に対する私どもの見解、まだまだたくさんの条項が残ってはおりますけれども、全般を通しまして、警察の本来持つべき業務というものが行政の分野に踏み込んだときの制限ないしは歯どめというものを常にかっておきませんと、行政上のバランスを欠く可能性が非常にある。大臣は、今、日本の警察はそんなことはございませんと言っておられます。私もそれを信頼をしたいと思います。しかし、もし私どもがその面を緩めてまいりますと、先ほど青少年非行からの脱出の問題も含めまして、ややそれが一つの倫理観を持った国家形成に必要な青少年の補導ということになりかねない要素を持っておると私は思う。これは風俗問題全般についても言われると思うのです。  例えばチャタレーの裁判、あれが正しいと言う人もありますし、正しくない、今の日本の社会条件から見てああいうセックスの見方というものは正しくないとか、いろいろ議論が分かれるところですけれども、しかし、社会の進歩というものに合わせておのずとそういうものの社会的条件というものが拡大をし、時には緩和をされている、それに見合ったことの中で警察の取り締まりないしは行政指導、そこに合わせませんと、現実との乖離の中で、警察あるいは時の権力者が持っている倫理観、社会観という方向に持っていこうとする、そういう動きというものが常にあるわけですから、それをチェックすることが必要だろうというように思うわけです。  したがいまして、これで一応審議は終わるわけでありますけれども、これからの公安条例に委任をされる部分、あるいは警察庁長官に委任をされる部分、あるいは地方条例その他に委任をされる部分というのはたくさんありますけれども、ぜひ常にそういう配慮をしながら次の条件整備をしていただきたい、このことを申し添えまして、最後に大臣の見解をお聞きして終わりたいと思います。
  297. 田川誠一

    田川国務大臣 権力を持つ者は絶えず自戒と反省を忘れてはならないと思います。風営法を運営するに当たりましても、警察当局としてはこのことを忘れず、また特に末端で活動する警察官については厳しい指導をしながら御懸念のないように努めてまいるつもりでございます。
  298. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 終わります。
  299. 大石千八

    大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明後五日午前十時三十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会      ――――◇―――――