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1984-06-29 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十九日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       中川 昭一君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       山下八洲夫君    岡本 富夫君       木内 良明君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     田川 誠一君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局長                 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         警察庁交通局長 久本 禮一君         警察庁警備局長 山田 英雄君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田井 順之君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君         消防庁次長   坂  弘二君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     新村 淳一君         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     田中 基介君         大蔵省主局主         計官      藤井  威君         大蔵省銀行局中         小金融課長   中平 幸典君         厚生省公衆衛生         局保険情報課長 野崎 貞彦君         通商産業省立地         公害局液化石油         ガス保安対策室         長       藤原 信吉君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   曽我部捷洋君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 六月二十九日  辞任         補欠選任   吉井 光照君     木内 良明君 同日  辞任         補欠選任   木内 良明君     吉井 光照君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松田九郎君。
  3. 松田九郎

    松田委員 最近、はやり言葉というのですか、二十一世紀は言うなれば地方自治時代であるとか地方時代である、こういうふうによく言われ、そういう言葉を耳にいたしますが、大臣はこういう言葉があることを御承知かどうか、まずお伺いしたいのです。
  4. 田川誠一

    田川国務大臣 今おっしゃったような言葉はよく聞いておりますし、存じております。
  5. 松田九郎

    松田委員 そこで、続いてお尋ねをいたしますが、地方自治時代とか地方時代という意味は一体どういうことなのか。地方自治始まって以来百有余年、まさにこの間、中央集権というか、政治中央重点に行われてきている。そういう考え方からいたしますと、今の大臣が確認をされた言葉なるものは、中央集権を排して二十一世紀こそは少なくとも地方自治体時代でなければならぬ、自主性を持たせなければいかぬ、そういうふうに本貫は受けとめているわけですが、大臣はそれをどのように受けとめられておるか、ここら辺についてお尋ねをいたします。
  6. 田川誠一

    田川国務大臣 戦後の地方自治は、憲法の一章にも挙げられているように、戦前の地方制度とは非常に趣を異にしておりまして、地方自治の精神にのっとり、私どもは本来の地方制度に向かって理想を追求していかなければならない、このような心構えでおるわけでございます。
  7. 松田九郎

    松田委員 今の大臣の御答弁は、ちょっと本員としては納得しないというか理解しにくいのですが、もう少しく、抽象的でなくてずばりそのもので、二十一世紀に向かって今のような言葉があっておるというのは、少なくとももっと地方自治を強化すべきではないか、それは機構的にも、特に財政的にも充実せしめるべきだ、そういう願望というか、そういう方向を示唆しているという意味に私は解釈をいたしたいし、そのような受けとめ方をしておりますが、今の大臣の御答弁であるというと必ずしもそういうふうに本貫は受けとめません、聞き取れませんが、もう少しく明快に大臣答弁をお願いしたい。
  8. 田川誠一

    田川国務大臣 松田委員がおっしゃったことと全く同感でございまして、言葉が足りませんでしたことをおわび申し上げます。  私としては、今、地方行財政を通じ、日本地方自治を強化していかなければならぬ、特に財政の基盤を確立して本来の地方自治を確立していく、これが私どもの大きな務めである、このように思っております。
  9. 松田九郎

    松田委員 今大臣から大変懇篤な、的確な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  そこで、今前段に述べましたようなことを頭に置きながら、以下、次の基本的問題についてお尋ねをするわけですが、まず、最近行政改革ということの名に隠れてというか——そういう考え方の中で関係者が一生懸命行革に取り組んでいらっしゃるその動き、その功績、その実績は本貫も高く評価をいたしております。しかしまた一面、そういう行革に名をかりて、ある意味においては、かなり大幅に、多岐にわたって、適切でないと思われるようなことに至るまで行革が推進をされようとしておる嫌いがあります。  例えば、これまた最近の風潮といいますか、政府あるいは行革関係者の間において取りざたされておることに、今後の地方自治に対して、財政問題については交付税率引き下げるとか、あるいは各種の国庫補助金等補助率引き下げるとか、そして行革に我々はマッチしていくんだ、そういうふうなかなり強い動きが最近高まってまいっております。私は、このことは行革という本来の考え方からいたしまして適当ではないというふうに判断をしておるわけです。  少なくとも今地方自治体を含めて我々がやるべきことは、まず自治体でいうならば、伸び切っている行政機構、所、場所、あるいは自治体によってはまだまだ機構が簡素化されていない、能率を発揮していない、そういう問題、あるいは適材適所、効率主義に基づく人員配置、言うなれば人員削減等がまず緊急の取り組むべき課題であり、それらのことはやろうと思えばやれるわけです。  そんなことは今や余り言わずして、行革がさらに輪を広げて、今申し上げたとおりに、逆に自治体存立に重大なる影響のある交付税率を減らすとか下げるとか、国庫補助金を減らすとか下げるとか、そういうことを大上段に振りかざしてくるような嫌いが今ありますが、大臣は、そういう動き、あるいはもしこのことについての動きをおおよそ感知されておるとすれば、これらの問題については所管大臣として重大なる責任のあるところでありますが、どのようなお感じを持っておられるか。今日、日本列島における各自治体が重大なる関心を持っておるところであります。しかも今は、次期年度における予算編成に大綱的に取り組むべき時期であります。そういう意味からして、ひとつ大臣の明快なる所見を承っておきたいのであります。
  10. 田川誠一

    田川国務大臣 私どもから見まして大変ありがたい御意見と御質問をいただきまして、恐縮をしております。今松田さんがおっしゃったような動きがあることは私もよく承知をしておりまして、今からどのくらいになりますか、二週間、三週間ぐらいになりますか、政府与党行政改革幹事会というのがあります。私も構成員の一人でございますけれども行政改革に関する政府与党連絡幹事会におきまして、私から、今松田委員がおっしゃられたこととおおむね同じようなことを私の意見として申しておきました。  つまり、地方行政改革を推進するには、まず国が行政改革をやっていかなければならぬということと、地方行政改革を阻害している原因は国の縦割り行政にある。地方行政改革をやろうとしても、国の施策や、あるいは配置の規制だとかいろいろな問題がある、こういう阻害を除いていかない限り、地方行政改革はできない。  また、地方財政が豊かであるという感情的な議論によって国と地方との関係を見失った議論が行われているというようなことも私はその席で厳しく申しておいたのでございまして、今御懸念の点は、少なくとも私が自治大臣の職にいる間は、交付税税率引き下げるとかいうようなことは断じてさせない。させないと言うとちょっと語弊がありますけれども、しないように私が全力を尽くして阻止をしてまいりますし、理解を深めさせていかなければならない、このように思っております。  ただ、こういう議論が出てくるのは、財政状態を無視して高給与を是正しないというようなごく一部の地方団体があることによって全体がはかられてしまうというようなことでございますので、そうした自治体には厳しく指導をしていかなければならないと思っております。  それから、少し外れますけれども、本当に行政改革を実施するには、きょうも私は政府与党との行政改革連絡会で発言をしたのでございますが、やはり行政改革とは趣が違いますけれども国会がみずから率先垂範して模範を示していくということをやらないと、なかなか行革というのは実現していけない。役所の機構を縮小するとか定員を減らしていくということを本当にやっていくには、国会みずから範を示していくというような姿勢が必要ではないかというような意味のことを申しておきましたが、私は、行政改革を実現する一つの道というものは、やはり国がまず姿勢を示していくべきであるというような考えを持っているのでございます。
  11. 松田九郎

    松田委員 今大臣から非常に前向きの、しかも決意を込めての答弁がありましたので、この問題については基本的な問題でありますから、大臣は、ある意味において体を張ってやるという式のそういう重大な決意の中で、行革先生皆さん方にも、あるいは政府においてもひとつそういう配慮対応をお願いしたい。くれぐれもお願いをしておきます。  そこで、この問題にさらに関連をして大臣お尋ねしたいのですが、今冒頭に申し上げた、二十一世紀地方時代である、地方自治体時代であるということとは裏腹に、最近の自治体財政的窮迫、これはまさに目に余るものがあります。どうにもならない苦しい状況に押し込まれておる。それは言うまでもなく、日本列島を眺めてみて、特に、俗に言うところの太平洋ベルト地帯、日の当たる地域においては、それほどに財政的な圧迫というか窮迫というか、そういう現象は今見られないとしても、過疎県、特に北端、西端、そういういわゆる過疎地域過疎県においての自治体においては、低成長時代影響もあって何ら企業進出は行われない。人口は流出をする一方である。  したがって、固定資産税にしても事業税にしても、あるいはたばこの消費税に至るまで、すべて税収入というものは軒並みに大きく後退の一途を続けておる。しかし、地方自治体存立、発展のための経費というものは逐年累増をしておる。大きくそこにギャップがあるわけだが、その間にあって今言ったようなことを中央政府考えておるとすれば、行革先生方が今申し上げたようなことを考えておるとすれば、全くこの実情を知らないと私は言わなければならない。  大臣お尋ねしたいのは、そういう日本列島過疎県過疎地域における自治体財政的な収支の推移、公債費率はどの自治体においても年を追ってどんどん上がっておるわけで、今や自治省がおおよその目安としておるぎりぎりの一四、五%を超えようとする市町村自治体ばかりである。そういう中で自治大臣としては、これらの自治体財政的な現状のあり方について一体どのように認識をされておるのか。自治体はどうにもならぬのだ。特別の大きな企業を抱えておる県なりあるいは自治体はいざ知らず、ほとんどの過疎地過疎県においては、今言ったようなことが押しなべて言えるわけで、そこら辺について、今後そういう地域に対する考え方も含めて答弁をお願いしたい。  交付税率も、案分比例をしているのだというようなことを言われるでしょう。また国庫補助率なんというのは、これはもう一律なんだから、日の当たる場所であろうと日の当たらぬ場所であろうと税率は同じである。一体そこら辺について、過疎地過疎県についての今後のこの種の対応策というものをどの程度考えになっておるか。仕方がないのだというふうなことなのか。やはり将来の検討課題としてそういうものは十分自治省として配慮をしていくべきであるが、どのようにお考えになっておるか、そこら辺をお聞きをしたいのであります。
  12. 石原信雄

    石原政府委員 初めに、私から財政問題につきまして御答弁させていただきます。  先生指摘のとおり、過疎地域地方団体におきましては、人口の減少あるいは産業の衰退、いろいろな意味で大変苦しんでおられます。したがいまして税収も伸びません。しかし一方、地域を守っていくための経費というものは、人口が減りましてもその割には減らないわけであります。むしろある意味では、そういった過疎化に伴うもろもろの課題対応するための経費はふえるという実態すらあるわけであります。このような状況に対しまして、私どもは、基本的には地方交付税配分を通じてまず第一次的な対応をしなければならない、このように考えております。  例えば、少し技術的になりますけれども人口が減りましても、減る以前の人口財政需要額の計算をするというような、いわゆる人口急減補正、こういったことをこれまで行ってきておりますが、今後ともこういった考え方は堅持していかなければならない、このように考えております。  それから国庫補助金につきましても、御案内のように、例えば後進地域公共事業かさ上げ特例法案財政再建のための特例補助率の切り下げの期限が切れます六十年度以降は、現行法でいけばもとに戻るわけでありますが、こういった過疎地域等に対する公共事業特例措置、あるいは離島、辺地その他に対する補助率特例、こういったことも基本的には維持していかなければならない、このように考えております。  それから、投資的事業財源確保のためには、過疎債辺地債等起債によって当面財源措置をし、その元利償還金交付税で受けとめていくという仕組みをとっておりますが、これにつきましても、かなり地方債全体としては抑制しておりますけれども、こういった過疎地域向け起債の枠については、五十九年度も総枠を確保いたしております。  以上申し上げましたように、私どもといたしましては、現在適用し得る手段によって最大限の努力を傾けているわけでありますが、いずれにしても、これらのいろいろな措置を継続していくためには、大もとになります地方交付税の総枠が確保されていなければならないわけです。  先ほど来御指摘がありましたように、一部に地方交付税率引き下げでありますとか総枠をカットするというような声も聞こえてくるわけでありますけれども、現在の地方財政全体の状況、特に過疎地域辺地地域を抱える自治体財政状態というものを考えますと、地方交付税率引き下げということは全く現状を知らない論議ではないか、どうしてもこれは守っていかなければならない、このように考えております。
  13. 松田九郎

    松田委員 今、石原財政局長から大変前向きの決意のほどが表明されまして大変ありがたいと思います。  おっしゃるように、ないそでは振れぬわけですから、もとは一体どこにあるかといえば、政府等地方自治に対するあらゆる税財源について、どの程度配慮をし確保をするかということでありましょう。でありますから、我々もまた全力を挙げて、この種の問題については党内外を通じ、あるいは院の内外を通じて主張していきたいと思いますから、どうぞひとつ大臣及び局長においては、それぞれ最高の責任者として毅然たる、重大なる決意で、基本線を堅持して頑張ってもらいたいということを特にお願いしておきたいのであります。  そこで、時間がありませんので別の角度から別の問題について大臣見解をお聞きしたいのです。  最近、国会議員定数是正問題がとかく論議されておりまして、既に国民の間においてもかなり重大なる関心を持ってこの問題の行方というものを見ておるのであります。最高裁においては、既にこの問題についても判決等が出されておる。さらに自治大臣は、最近は余りおっしゃらぬけれども、ひところは自治大臣記者会見といえば、国会議員定数を何が何でもおれはやるんだと言わぬばかりの御意見が実はかなり私の耳朶にも残っておる気がいたします。最近は余りそういう意見を聞きませんが、ひところかなりおれは絶対やるんだ式のことでございました。  言うまでもなく、憲法違反の疑いが国会議員定数の問題に関連してある。どこからそんな意見が出てきたのか私は不思議でならない。私は別に、今直ちに削減論議になっておる地域でもなければ関係者でもありません。別にそういう意味においてこの意見を申し上げるのではなくて、基本的問題としてお尋ねをしておるわけですが、一体どこに憲法違反の問題があるのか。判決が下ったからというだけで、はいそうですかと言って納得するわけにはいかないような気がします。法治国家国民であり、しかも国会議員ですから、最高裁判決に、悪法もまた法なりという言葉がありますから、あえておれは従わぬぞ、あるいはそれは認めぬぞということは言われぬかわからぬけれども、私は、全くもってそういう考え方、そういう判決、判例は、納得しがたいというか摩訶不思議だと思っておるのですよ。  というのは、一体憲法のどこに、今のように人口をもって対象としなさい、案分基礎としなさいということが明記してあるか。大正十四年に御承知のとおり男子平等の参政権が与えられ、戦後の二十年に男女同権選挙権が与えられて、いろいろの国会議員選出基礎的な法令、省令というものが発表されており、施行されてきたにもかかわらず、どこにもそんな人口をもってやりなさいよということはない。ただ、たしか大正十四年か昭和二十年かの折に、附則的にその次年度ないしその近くに行われる国勢調査を参考とせよという式のことが何かあったような気がしますが、それ以外にはどこにも国会議員の数は頭に応じて案分配分しなさいなんということはない。  そういうことからすると、国会議員現状定数アンバランス憲法違反なんという重大なる内容を包含しておると私は思わない。あるとすれば、大臣はそのことについてどのような見解を持っていらっしゃるのかあわせてお聞きをしたい。ないならばないでよろしい。あるなら私はまたそれを突っ込んでお聞きをしたい。どうですか。よろしくお願いします。
  14. 田川誠一

    田川国務大臣 国会議員議員定数アンバランスについて、最高裁違憲状態という判決が下されたことは今おっしゃったとおりでございまして、この最高裁違憲状態という判決のみならず、今の衆議院並びに参議院の議員定数アンバランスというのは、これは是正をしていく必要はある、これは私、前も今も変わりません。これは私ばかりではなくて国会の多くの方々もそのように思っておりますし、また、公職選挙法あるいは最高裁判決を見ましても、人口の比率というものは、一定の基準として、定数配分する場合に原則として基準になるわけでございます。  でございますから、私は、原則として基準にするということについては、今松田さんがおっしゃったこととは少し違う考えでございます。やはり定数配分をする場合に、基準がありませんと定数配分ができないです、計算できませんからね。  ただ、私が常々申し上げますように、人口の数だけでこれを決定すれば、今御指摘のように都市中心配分がなってしまいますから、これは選挙区の様態とか歴史的な関係とか、あるいは過疎関係とか地域関係ということももちろん考えていかなければならない、このような考えております。
  15. 松田九郎

    松田委員 今私の大臣に対する質問を、幾らか大臣は受けとめ方を間違っておられるというか勘違いしておられるのじゃないかと思うのです。私は、国会議員及び地方議会議員を含めてそうですが、議員定数というものについて、その地域における人口あるいはその地域の選出する選挙民の数を頭に置く必要はないとかなんとかということを決して言っているのではありません。それは、今大臣が後段におっしゃったように、当然一番大きなポイントであり、基礎でなければなりません。そのことは私も十分承知をしておるのです。  しかし、それらを踏まえて考えてみても、現在のアンバランスがまだ正常なものであるとも私は言っていないのだ。ただ私が言っておるのは、俗に言う現在の国会議員定数が、あるいはアンバランスというものが憲法違反であるとかなんとかということについて、所管大臣としてはどのような考え感じを持っていらっしゃるか、受けとめ方をしていられるか、私はその一点を聞きたい。憲法違反であるという論拠、憲法違反であれば論外です。だから、そこら辺の受けとめ方を私はお聞きしたいわけだ。
  16. 田川誠一

    田川国務大臣 このまま放置していきますと、最高裁判決違憲になるという判決も出るおそれも出てくるのではないかというようなことを私は心配をしております。そういう意味でこのまま放置しておいたのではよくない、こういうことでございます。
  17. 松田九郎

    松田委員 裁判所のやることですから、我々がここで論議をすることは差し控えたいし適当ではありません。しかし、大臣が今言われたように、将来そういう懸念がある、だから次善の策として、自分はこの問題については前向きに取り組んでいきたいという考えを持っておるんだ、そういう御意見に私は今聞きとめましたが、そういうことですか。
  18. 田川誠一

    田川国務大臣 これは御質問がありましたからお答えをしたのでございまして、国会議員定数の問題は私一人でできる問題じゃないし、またこれは国会議員政治生命にかかわる問題でもあり、各党にも大変重要な影響を及ぼす問題でございますから、これは国会皆さん方がひとつ判断をして、どういうふうに是正をしたらいいのかということでお考えをいただかなければならない問題でございます。  ですから、各党間におきましても今お話をされていらっしゃると思いますし、与党の自民党でもたしか真剣にお考えをいただいているもの、このように思っているわけでございまして、ただ私の考えを求められましたので、私は自分考えを申し述べたのでございます。
  19. 松田九郎

    松田委員 今大臣の言われたとおりでいいのですよ。大臣一人でこの問題の黒白あるいは決着がつくわけのものではありません。重大な問題であります。しかし、中心となるべき所管大臣であることは否定しないところでありますし、特に本員があえてこの問題をここで提供しましたのは、ややもすれば、大臣が先ほどの私の答弁に対して後段に述べられたような意味に解釈せず、むしろこの際は、憲法違反であるという判決も出たのだから、それを受けてこれはどんどん改めていかなければならぬぞというような一部の間に印象があります。だから、大臣のためにもあるいは関係者のためにもこれは明確にしておいた方がいい。  今大臣がそういうことをおっしゃいましたから、この問題は時間がありませんから、きょうの場合は突っ込んだお尋ねを省いておきたいと思います。  そこで、次に大臣お尋ねしたいのですが、いわゆる過疎地域過疎県に対する特別の職域及び地域格差是正のために、離島振興法があり産炭地振興法があり山村振興法があり、あるいは急傾斜地法があるというふうに、特例あるいは議員立法をもって地域格差、職域格差是正のためのたくさんの法律というものがあり、現にこの恩恵をその地域、その関係者はそれなりに受けておるわけだ。  政治というものは一体どうなければならぬかといえば、俗な言葉で言うところの日の当たらない弱い谷間にある地域及び皆さん方を救済していく、そういうことをよく言います。またそうでなければならぬと私は思います。そういう観点に立ってまいりますと、その日の当たらない過疎地域、離島あるいは山間僻地というものを一体だれが救済をし、その悩み、その苦情を具体的に政治、行政の場に反映していくかということになれば、国で言えば国会議員地方においては県、市町村会議員でなければならないことは言うまでもありません。  そういうことからして、今の国会議員定数ども、日の当たるところにどんどん人が集まっておるから、案分比例してそこにまたどんどん国会議員をふやしていくんだ。どんどん人口が流出をしておる離島、山間僻地、西端、北端の北海道や九州や中国、四国のようなところ、あるいは北陸のようなところは国会議員は減らしてもいいんだという考え方は適当でない。それは法理念を根本的に否定をし覆すようなものである。  であるから、本員が言いたいことは、先刻来大臣が言われたように、もちろん基礎的算定のおおよその問題点になるのは人口でなければならぬけれども、少なくとも、その地域の広さというか独立した自治体の数というか、あるいは交通の利便というか、そういうものを、今の時代だから簡単にコンピューターでぱっぱとはじけるはずだ。そういうものもあわせ検討した中における今後の国会議員を含めての定数是正でなければならぬ、私はそう思っております。  そうでなければ、一人で国会で発言する場合と、東京都のように何十人とかかって発言する場所と全然違いますよ。格差はまだ広がっていきますよ。民主主義の国会だから、意見が合わなければ最後は数でもって対決するんでしょう。ならば、日の当たるところにはどんどん人口はふえるわ、同時にまた国会議員の数はふえるわ、地域の問題ですから口をそろえて、思想的なことは与野党対決はあっても、地域の道路であるとか学校、幼稚園、保育所なんというのは何党といえどもこれを否定するものじゃないから、五十人や八十人すぐまとまりますよ。こっちは離島なり過疎県で、一人や三人が声をからして言ってみたって、全くもって予算折衝も予算獲得もできない。そういうことになることは理の当然ですが、こういう考え方について、またそういう将来の展望に立って、自治大臣としてはどのように判断をされておるか、その辺についてお尋ねをしたいのであります。
  20. 田川誠一

    田川国務大臣 議員定数の御質問でしたか。
  21. 松田九郎

    松田委員 大臣は何ばしとっとですか。わしの声が聞こえぬとかな。小さいのかな。小さければもっと大きな声で言わにゃいかぬが、大臣、何でしたかな今の質問は、ちょっと受け取れませんな。尊敬する大臣だから余り食ってかからぬけれども、今のような不見識な大臣の御発言は今後ひとつ……(田川国務大臣質問の趣旨がよくわからなかったのです」と呼ぶ)質問の趣旨がわからぬかな。頭脳明晰な大臣だもの、それくらいのことはよく判読されなければいかぬですな。  私が言いたいのは、今言ったように法の理念というものは、どんなに少数の地域の者であっても政治の恩恵と機会均等がなければならぬ。議員定数が単に頭数に応じて比例配分するような形になっては、いよいよ職域拡差、地域拡差というものが大きくなってくるのじゃないか、そこら辺は今後どのように考えられておるかということを言っているのです。
  22. 田川誠一

    田川国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、数の基準だけで地域の代表を選ぶということは逆の不均衡が出てくる、このように思っておりまして、そういう意味では人口の少ない地域のことを考えていかなければならぬ。これは政党だってそうですよ。数だけで何でもかんでもやって、大政党が質問を長い時間やられるのに、我々のような小さい政党はちょびっとしか質問できないということがあるでしょう。これを見てもおわかりのように、地方人口の少ないところのことは十分見ていかなければならぬ。  そういう地域の格差を是正する、調整するために自治省があるのですから、そういう観点に立って、財政力の乏しい、自主財源のない地域のことを調整してあんばいしていく、これが私どもの役目でございます。私どもは小さい政党ですから、人口の少ない地域のことは非常に頭に置いてやっているつもりでございます。
  23. 松田九郎

    松田委員 時間がありませんので、大臣にばかり答弁を願っても恐縮だから、別の問題について行政局長お尋ねしたいのです。  日本列島における地方自治体の市町村会議員定数是正について、それなりに財政逼迫ということ等を念頭に置きながら自主的に削減をしておる方向が次第に顕著になってきておって、その幅はあるとしても、既に所要の取り組みをしておる市町村が少なくとも八割近くに達しておる、そのように判断をいたしますが、そういう傾向と、二割前後の、この問題については全く手をつけていないというか無関心というか、何もやっていないという市町村もまた別にあります。  これらの現状動きを行政局長はどのように認識をされておるのか。私が言いたいのは、そういう動きは好ましいものとお考えになっておるのか。好ましいものと思っておるならば、何にも動いていない残余の当該の自治体あるいは議会等に対しては、直接指導はできなくても、あらゆる機会においてそれなりのアドバイスと側面的な指導が必要でないのか、その辺について局長答弁をお願いしたいのであります。
  24. 大林勝臣

    ○大林政府委員 お話しのように、現段階ではおおむね八六%くらいの地方団体が自主的な減数条例を制定しております用地方議会における機能、いろいろな仕事の分担、そういったものをいろいろ勘案をして、もみにもんで、その都度減数条例で減数をされておるというのは非常に好ましい傾向であると私ども考えておりますし、今後ともそういった空気の盛り上がりを期待したいと思っております。  ただ、御案内のように、十数%の地方団体でそういったことが行われてない。これにはいろいろ理由があるのだろうと思います。理由があるのだろうと思いますが、そういったものにつきましては、あくまでも地方議会自主性に基炉で、それぞれの機能分担を考えながら、議論議論を重ねた上でやっていただくということがまた自治の本旨から一番好ましい問題でありまして、私どもの方で一律にどういう姿がいいというような基準を示すことは、物理的にも非常に難しいし、またなすべきことでもなかろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、それぞれの地方議会が自主的なそういった努力を盛り上げていただくということについては、今後とも私ども推進してまいりたいと考えております。
  25. 松田九郎

    松田委員 時間がありませんから明快にてきぱきと答弁をお願いしたいのですが、局長に再度お尋ねします。今の問題はそれでいいでしょう。  機構改革及び臨調の行政改革という基本線もありまして我々は今切実に考えておるのですが、ここ数年来、末端の自治体における機構は、当時の大市町、大自治体に移行するというムードの中でたくさんの村が合併して町となり、幾つかの町が寄り集まって市となったという経緯がありますけれども、その後は逆に、人口は流出してしまって、合併当時の人口の三分の一にも満たない可なり市が全国至るところに見受けられます。ところが後遺現象として、合併時における融和というか固まりを見せるために、その当時役場であったところがそのまま現状においても市役所なら市役所の出張所、あるいは町においてもそういうことでやっておるわけです。したがって、人員削減などというものは、有能人材で合理主義というか精鋭主義という方策は全くとられていない。同じ広さの地域、同じ交通環境、あるいは同じ人口程度というものを対象にして考えても、片や五百人で例えば市の職員がおさまっているのに、片や一千人も、倍以上で旧態依然としておる。そこには当該市町村の財政窮迫というものが逐年累積していっておる。  そういう問題について、自治省行政局長としてはどのように指導されておるのか。そういうのは自治省が厳密にもっとぴしっと指導できると私は思うのだ。さっき私が言った問題とは違う。議員定数削減しなさいという行政指導は、自治省として基本姿勢としてはできないと思うけれども、そういう機構についての簡素化、合理化については適正なる処置をしなさいという強力な指導はできるはずです。それをすることにおいて当該の首長たちも、自治省からこういう通達ないし指導があっておるから、当町においても、当市としてもこういうことで合理化を図らざるを得ないのだという一つのにしきの御旗になるわけだ。ところが、今それがない。だから有名無実に終わっておる嫌いがあると私は思うのだが、行政局長はそれらの推移、現状について一体どういう認識を持っておられるか、そのことを伺っておきたいのであります。
  26. 大林勝臣

    ○大林政府委員 特にこういう行革の世の中でございますから、地方団体の執行部関係機構、定員の問題につきましては、私どもも従来から再三通達を出しましてできるだけの簡素化を要請いたしております。  特に定数の問題につきましては、二年間ほどかかりまして研究会におきまして定数モデルというものをつくっていただきまして、その定数モデルを基準にし、あるいは、あわせて他の地方団体定数を見比べながら削減に努力していただくように重ねて要請をいたしておるわけであります。そういった方向につきましては、今後とも強力な指導をやってまいりたいと考えております。
  27. 松田九郎

    松田委員 今の定数モデルを示して積極的にやっておる、非常にいいことです。今後もそれに力を入れていただいて、もしそういう定数モデル的なものに一つもついてこないというか前進しない当該市町村があるとすれば、そういう自治体については、いつも自治省が言うような、あらゆる助成措置というものを遠慮させるぞと言うくらいの強力な指導があってしかるべきだ、このことをあえて付言しておきたいと思います。  風営法について述べたかったのですけれども、時間がありませんので、大変残念ですが、また次の機会に送りまして、もう一つ、これも基本的な問題で大臣お尋ねしたいのです。  最近、国鉄新幹線の整備五線の建設について、地元負担金を一〇%にしなければいかぬというような意見が一部の間に、国会内外においても言われておる。一体そういうことになるのかどうか知りませんが、そういう問題を含めて、今度は逆に、自治省は最近自治省通達として、末端の市町村の行財政、特に財政的な問題を考えて、財政窮迫させてはいかぬから今後赤字ローカル線等については地元負担金まかりならぬ、第三セクター方式もいかぬぞという意味のいわゆる通達を正式に出しておるのです。そういうことについての大きな矛盾がここに生じようとしておるが、ひとつ大臣に、その間にあっての認識をどのように持っておられるか、時間がありませんので簡略にきょうの場合はお尋ねをしておきたいのであります。
  28. 田川誠一

    田川国務大臣 赤字ローカル線を第三セクターにするということに対して自治省が慎重を期しているということは、やはり現下の地方財政から見ましても、また国鉄の赤字線の状態から見ましても、同じような結果になるのではないか、そういう意味自治省といたしましては第三セクターには慎重であるべきだという考えを持っておりまして、この旨、地方自治体に通達を出しているわけでございます。  また、新幹線についての地方の負担についての慎重論も同様でございまして、現下の地方財政から見まして、当然国がやるべきこと、国鉄がやるべきことをただ地方に負担をさせるということはいかがなものであろうか、こういう意味から、この問題については慎重に対処しなければならない、このような考え方でございまして、決して矛盾をしているものではない、こういうことでございます。
  29. 松田九郎

    松田委員 矛盾をしていないとおっしゃるが、矛盾があるのです。しかし、きょうは時間がありませんから、これは別の機会にまた譲るとします。  かいつまんで、これは警察庁の保安部長にひとつお尋ねをしたいのですが、今回の風営法というものは、まだまだその道遠しというか、私はこの問題をここで列挙することについては時間がありませんから申し述べませんが、総括的に今回のいわゆる風営法改正法というものを眺めてみたときに、いまだしの感がある。しかし、まあ今回一歩前進したというか、やはり法を動かしていくもの、運用するものは人でありますから、警察庁が今回の改正法で前向きに取り組んでいただければ、幾らか今までよりも効果を発揮し前進をするのではないかという期待感を持ちます。  そういう意味において、この際風営法改正を契機として、警察庁はいわゆるその任務の範囲内において、もし改正されれば強力に今後は取り組んでいくのだ、そういうことを一体どのように判断されておるか、それが一つです。  これは民社党や公明党の皆さんからも、一昨日、昨日と同じような意見が言われておるわけです。私もそう思っておるのです。初めから私も言っておる。夕焼け小焼け論議です。子供は昔から、「夕焼け 小焼けで 日が暮れて 山のお寺の 鐘が鳴る」、そして早く寝なければいかぬということに決まっておる。今はそういうふうな風雅なこともないから殺伐としておるけれども、やはりその精神というのはあってしかるべきだと思う。ゲームセンターは十時までやりなさいよと、今度はわざわざ御丁寧に遊びを子供に勧めたわけですな。こんなことは修正してでも、それこそ六時ごろでいいんじゃないか。「空には きらきら金の星」と言っておるが、何時に金の星が出るのですか。星はもう八時ごろになったら光っておるよ。  それを、子供は寝るどころかゲームセンターにかじりついて遊んでおる。お父さん、お母さんはどこへ行ったかと捜さなければいかぬ。そんなこともあえて子供にやりなさいと。これは親子げんかが必ず今後起こりますよ。何というところで遊んだ、ゲームセンター、何でそんなところへ行っておるか、法律になっておるんじゃないお父さん、私が十時まで遊んでいいように。必ず親子げんかが起こりますよ。そんなことは規定せぬと、六時でもずばりやりなさいよ。全廃しろと言わぬから、せめて日の高いうち、食事前ぐらいまで子供を遊ばせて、勉強させて、寝かせるのが十時ですよ。それはいい子の方だ。勉強しない子はもう八時から寝とっていいんだ。それを何でわざわざ十時なんていうのを決めておるのか。こんなものは提案者として引っ込めて修正したらどうなのか。  まだほかにたくさんあるが、もう時間がなくて私は気が焦っておるからあれだけれども、やはり非を改むるにやぶさかであってはならぬと私は思う。もうおれは出したのだから、これは絶対死守するなんということはやすことはない。この際やめて虚心担懐にもう一回考えてみたらどうですか。まだ時間はあると思うのです。
  30. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 ゲームセンターにつきまして子供の立ち入りを十時までということにいたしておりますけれども、従来ゲームセンターにつきましては何の規制もないという形のものを、一応法の規制といたしましては、罰則の関係もあることでございますので、必要最小限のものを規定したということでございます。これはやはりほかの飲食店等との関係もございますし、あるいは少年に関する各種の保護規定等も考慮して決めたものでございますので、ひとつよろしく御了解をいただきたいと思います。  こういうふうな法律案が認められました段階では、私どもはこの改正案とさらに現行の法律を駆使いたしまして、少年の環境浄化のために、少年非行の防止のために頑張ってまいりたい、かように考えております。よろしくお願い申し上げます。
  31. 松田九郎

    松田委員 今の問題は舌足らずでしたけれども、電気の光なんというのも、あのゲームセンターは真っ暗にしておる。何かやりなさいと言わんばかりのことになっておるから、子供といえども油断ならぬ。だからもっと明々として明るいところで、健全娯楽だろうから、子供を遊ばせるなら遊ばせる。もうなるべく暗く暗くして、取り締まりの皆さん方が電気の明かりが何燭光でなければならぬと言ったって、それの半分もないようだから、それはびしびしやらにゃいかぬよ。警察庁いいですか。それを含みとして、この問題については、なお問題が残っておるということをひとつ付言しておきたいのであります。  厚生省にお尋ねをしますが、時間がないから、ひとつ私の意見だけ聞いて答弁は次の機会でいいと思うけれども、今の風営法に関係して大変問題になっておりますのがセックス産業です。セックス産業がなぜいかぬかといえば、まず青少年の不良化あるいは犯罪の多発、それともう一つは各種の性病が蔓延しておる。トルコ嬢において九〇%、最近は外国からいかがわしい性病がどんどん入ってきておる。また、こっちから行ってもろてきよる者もおるかもわからぬ。だから、そういうものについて厚生省は、それこそ水際作戦を従来以上に徹底してやらなければいかぬと思うが、時間がないから一言でいい、厚生省はどういう基本線を持っておるか、答弁しなさい。
  32. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 御指摘のように、届け出性病というものが五十二年を境としてややまたふえてきております。それで、性病予防法に定める性病というものが四つございますが、これにつきましては届け出の励行、それから性病に対する知識の普及もしくは健康診断、治療ということで行っておりますが、これはいろいろ関係するところと協力しませんと絶滅等を期すことはなかなか難しいわけでございますので、今後関係機関とも十分連絡をとって努力してまいりたいと考えております。
  33. 松田九郎

    松田委員 時間がありませんので以上で終わりますが、委員長及び委員各位には、発言の機会を与えてもらって大変ありがとうございました。終わります。
  34. 大石千八

    大石委員長 山岡謙蔵君。
  35. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 私は、この際、地方財政について大臣並びに関係局長からそれぞれの御所見を承りたいと思います。  特に行財政の厳しい折でございまするから、より効率的な行財政の運営が求められておるところでございます。また、各地方自治体に助成をし、あるいは行政指導、助言を行うに当たりまして、行財政の運営は欠かすことができないと考えておるからでございます。  そこで、最初に財政局長お尋ねをいたしたいわけでございまするが、仄聞をいたすところによりますると、六月八日に行革審の委員先生方から地方財政現状について御質問を受けたというか、あるいはまた意見を求められたというか、そのような機会があったと仄聞をいたしておりまするが、特にその中で交付税の制度について大変重要な御意見があったようにお聞きをいたしておりまするので、まずその概要について局長から御説明を願いたいと思います。
  36. 石原信雄

    石原政府委員 行政改革推進審議会の中に二つの小委員会が設けられまして、一つは地方行革のあり方について審議し、もう一つの方は、六十年度の予算編成に関連いたしまして当面の財政運営万般について審議しておられるわけですが、その六十年度の財政委員会の方で六月八日に、当面する地方財政の諸問題について説明の機会を与えられたわけであります。私は、与えられた時間も短かったものでありますから、ポイントを絞って説明いたしたつもりであります。  その第一は、最近の地方財政に対する基本認識についてでありますが、巷間交付税率引き下げ交付税額の削減、あるいは国庫補助率の一律引き下げなどの意見が漏れてくるわけですけれども、その根底に、国の財政に比べて地方財政が余裕があるのではないか、いわゆる地方財政富裕諭というようなもの、そういった考え方があるやに感じられます。特に行革審の委員の方々の中にそのような意見をお持ちの方がある、こんなふうに聞いたものでありますから、私は、地方財政現状が決して言われるような富裕な状態にないということをるる説明いたしました。  具体的には、最近の決算収支の状況あるいは積立金の状況などについて説明いたしました。実は、この決算収支の上で実質黒字額が若干ではありますがふえてきておる、あるいは各種の積立金がふえてきている、こういうような事実をとらえて地方財政が豊かではないかという認識が持たれている嫌いがありますので、その点について、この決算収支が黒字になっている背景には、その黒字額をはるかに上回るいわゆる財源対策債という特例起債の発行、あるいは年度によっては巨額の地方税の減収補てん債の発行、こういうものがあるわけでありまして、それによって初めて決算収支が黒字になっている、こういう事情を説明いたしました。  それから、各種の積立金が若干ではありますがふえてきている。このことに関連いたしまして、一方においては地方債の残高が年々急増しているほかに、地方債に反映しないいわゆる債務負担行為の額がこれまた年々ふえてきておりまして、この債務負担行為の額が剰余金の額よりもはるかに上回っている、こういった現状を説明いたしたわけであります。  そうしてさらに、地方財政の運営に当たって最も注意すべきものとして、公債費の負担比率の推移について、近年これが急上昇しておりまして、私ども財政運営上の一つのガイドラインといいましょうか、健全財政の限度と考えております一五%ラインに近づきつつある、恐らく六十年度にはこのラインを地方財政全体として超えてしまうのではないか、こういう状況についても御説明申し上げました。  いずれにいたしましても、いろいろな財政指標からいたしまして、地方財政の理状が決して富裕論と言われるような実態にない、ある意味では非常に憂うべき状態にあるということを申し上げました。  それからもう一つ、地方財政富裕論の一つの論拠になっております給与の問題、地方公務員の定数の問題についても若干説明いたしました。  まず給与につきましては、ごく一部の団体に非常に批判されるような高給与の現象がある、しかし、多くの団体においては私どもの指導に沿って適正な給与行政が行われているということ、それから定数については、ごく最近の定数の増加状況を見ますと、増加しているものの大部分は教職員とかあるいは警察官、消防職員あるいは福祉関係の施設職員など、国の法令の規定等による増員でありまして、地方団体独自の判断による職員はむしろ減員になっておるのだ、減っているのだ、こういうような状況を説明いたしたところでございます。
  37. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 公債費とか債務負担その他については、後ほど数字を挙げて具体的にお尋ねをいたしまするから、ひとつ質問に簡単で結構ですからお答えをいただきたい。  そうすると、財政局長地方自治体財政の理状について説明をいたしたわけですが、行革審の委員先生方の理解を得たと認識をしたのか、六十年度の地方財政については大変厳しいのだ、こう受けとめたのか、そのあたりについての所見を承りたいと思います。
  38. 石原信雄

    石原政府委員 私の説明の後、若干の質疑等がありましたが、この中では、例えば一部の委員から、いわゆる公債依存度、歳入における公債依存度が、国が二五%であるのに対して地方は一〇%を切っているではないかというようなお尋ねがありました。それから公債残高についても、国の方は百二十二兆円を超える、地方は五十四兆円程度ではないかというようなお尋ねがあったりしまして、私の感じとしては、地方財政の実態がいろいろ問題を抱えているということについては、御理解が若干進んだのではないかと思いますが、基本的に、国の財政との関係では、やはり国の方がさらに深刻であるという意味で、私の説明によって委員の皆さんの認識が大きく変わったということではない、やはり客観情勢としては厳しい状況にあるのではないか、こういう感じを持った次第でございます。
  39. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 国、地方の比較については後ほどお尋ねをいたします。  確かに国債の残高が百二十二兆円、公債は五十四兆四千億ですから、その差額はあるにいたしましても、私は地方自治体の行財政は、国にまさるとも劣らないという厳しさを認識いたしておるものでございます。  そこで、先ほど御決意の表明がございましたけれども、ただいまの行革審の委員の皆様方の見解を踏まえて、国税三税の三二%という地方交付税制度の基準税率確保について、先ほども見解と御決意がございましたので、重複をいたしまして大変恐縮でございますけれども自治大臣の御見解をいま一度改めてお伺いしておきたいと思います。
  40. 田川誠一

    田川国務大臣 臨調、行革審の中で、地方財政に対して、どうも私どもの納得できないような御意見が出ていることはよく承知しておりますが、先ほども申し上げましたように、国家財政の窮乏を理由に、地方財政にこれをしわ寄せさせて交付税税率を下げるとか、あるいは国庫補助の負担を地方にしわ寄せさせるということは何としても避けなければいけない、このように強い決意を持っておりまして、私ばかりでなく、国会地方行政にかかわり合いのある皆さん方にも御声援をいただいておりまして、私どもはそういう御声援を踏まえて、これからもこうしたことのないように全力を挙げて理解を求めていく決意でございます。
  41. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 大臣の御決意の表明が重ねてあったわけでございまして、地方税法の一部を改正する法律案もついこの間審議をして、交付税を含めて検討したわけでございまするので、ぜひひとつその御決意を貫いていただくことを御期待いたしておきたいと思います。  次に、今度は具体的な問題について、まず公債費についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和五十九年度の地方財政の歳入歳出計画によりますると、歳入は四兆七千六百二億円というのが公債の収入であって、そうして反対に歳出は五兆一千六百三十四億、いわゆる歳入よりも歳出が上回っておるわけであります。ですから、経営的に見たら、借金を返すために金を借りても、返す借金が既にそれをオーバーしておる、こういう数字になるわけであります。国の「財政の中期展望」を見てみましても、六十年度からは今度は国債費が収入をオーバーして歳出がそれを超える、こういうことになっておるわけでございまして、公債費というのは、これからは地方財政を潤すどころか、それぞれの事業を行ってきた過去の経過からいって、反対にいよいよ今度は圧迫する大きな要因に変わってきたということが言えると思います。  特に、この五兆一千六百三十四億円ということを見てみますると、このうち元金が二兆六千百七十二億であり、利払い費が二兆五千四百六十二億でございまするから、大体元金と利払いとが約五〇%ずつの半分である、こう理解ができるところでございます。そうして、それにさらに企業債、交付税の特別借入金を合計いたしますると、起債の残高は五十四兆四千億、こういうことになるわけであります。これを先ほどの比率に合わしますると、国と同じく、元利では、支払いの時期には今の試算でも大体百兆円を超すという公債費の金額になるわけでございまするが、これに対して局長は一体どう対応しようといたしておるのか。  そうして、五十九年度の地方財政が四十八兆ですから、二年分の金をそのまま将来返しても足ることのできないような多額の金額であるわけでございます。到底地方自治体の努力ではこれらの問題に対応することができないと同時に、より深刻な問題であって、今のうちに抜本的な対策を立てておかないと、安易な先送り先送りでこの問題を順に送っていくことは許されないと思いまするので、この際所見を承っておきたいと思います。
  42. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のとおり、五十九年度の地方財政計画の段階で、既に地方債の収入よりも公債償還金、元利払いの方が上回っているという状況であります。  今後の財政収支につきましては、先般当委員会にも「地方財政参考試算」という形で、昭和六十二年度までの収支の状況をお示しいたしたわけであります。問題は、これからの経済成長率あるいは税制度がどうなるのかによって大きく影響を受けるわけでありますけれども、少なくとも国の「中期展望」において想定されておりますような経済成長率あるいは租税弾性値、こういったものを前提にして収支の見通しを立てますと、ケースA、すなわち予備枠を設けない場合において初めて六十二年度に収支が均衡を回復する、しかし予備枠を考慮に入れますと、六十二年度に至っても依然として要調整額が残っていく、こういう状況にあります。  問題は、これからの歳出をどう想定するかということでありますけれども、一般の歳出を抑えて公債償還費だけが今後伸びていく、こういう姿になりますと、前向きの地方行政、地方経営というのはできないわけでありますから、私どもといたしましては、国の税制改正ということを度外視しては考えられない面はありますけれども、これらの公債消化に耐え得るような地方税制の確立、それから地方交付税の総枠の確保、これはどうしても必要であると考えております。  特に地方交付税につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今後の地方財政を展望した場合に、現在の三二%という率は何としても維持していかなければいけない。この前提を崩せば地方財政の収支について全く展望が立たなくなってしまう。そういった意味で、この交付税率確保を基本にし、さらにでき得べくんば地方税源の充実、こういうことを軸に今後の地方財政が公債費の累増に耐え得るように考えていかなければいけない、このように思っております。
  43. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 数字の問題で余りおもしろくない質問で恐縮でありますけれども、「財政参考試算」で五十八年度から六十二年度までのそれぞれA案、B案をいただいておるわけで、これで見てみましても、あなたのおっしゃる地方交付税現状のままでいって、なおかつ公債費が歳出が歳入を大幅に上回って、しかも、なおかつ歳入歳出を差し引いたら一兆五千百億とか一兆九千七百億という財源不足があるという試算になっておりまするから、あなたが今御説明をされたことではこの問題の解決はなかなか至難だ、こう理解をいたしております。  次に、今申し上げたとおり、国におきましても、昭和六十年度から今度は国債の収入と支出が逆転をして、支払いが多くなって収入が少なくなるという「中期展望」の試算が出ておるわけであります。  ところで、同じ財政上の苦しみはありましても、地方自治体と国とを比較検討した場合に、先ほど申し上げたように厳しい現実であるということは言えるにしても、国は国民の同意と御理解をお願いをすることによって、あるいはいろいろな手順はあるにしても、税制上の改正とか制度の創設という一つの決め手があるわけであります。ところが、地方自治体には、新しい税制を設けて地方自治体で税を余計に取るということはほとんど許されておりません。せいぜい手数料か使用料を上げるか、固定資産税のパーセントを幾分上げるかという運用の面だけが残されておるのであって、税制上の法的な規制力がありませんから、同じ厳しさがあるにしても、将来展望を立てるときには国と地方自治体とではおのずから立場と基本が異なるわけであります。  そういうことから見たときに、国と自治体とは同一基調だと言いましても、現実は今申し上げたとおりでありまして、そうだとすると、今のうちにある程度の長期展望を立てておかないと、今度は自治体が全部活力を失って、政策の選択もようしないままに手も足も出ないという行政の実態に陥るおそれがありはしないか、このことを大変憂慮いたしますので、今非常に困難な事態ではありまするけれども、この地方財政の公債費に取り組む局長の解決策についての見解をいま一度承りたいと思います。
  44. 石原信雄

    石原政府委員 先生指摘のとおり、私どもも、国の財政地方財政を並べて議論する場合に基本的に忘れてならないことは、国と地方対応能力の違い、機能の違いということではないかと思うのであります。地方自治体の場合には国が定めた地方税法の枠内で税制を運用しなければならない、それから、交付税を初めとして多くの財源は国の予算によってその総額が決まってしまう、こういう状況を忘れてはならない。ですから、収支試算の上で出てくる要調整額が国の方が大きくて地方の方が少ないじゃないかという議論は、全く単純に数字を比較するのは正しくないということを申し上げ、私どももそのように考えておるわけであります。  そこで、将来を展望した場合に、想定の仕方によって多少違いはありますけれども、少なくとも当分の間は財源不足の状態が続いていく、そして公債償還費の増は確実にこれから上回っていくということでありますから、これに耐えられるような税制あるいは交付税を含む財政制度というものを確立しなければならない、こういうことで、もちろん内部的にもいろいろ研究もし議論もしておりますが、やはりこの問題は国、地方を通ずる全体の問題でもありますので、私どもといたしましては、現在検討を開始していただいております地方制度調査会の場でぜひこの地方財源のあり方について御検討いただき、方向づけをいただきたいもの、そのためのいろいろな準備をしてまいりたい、このように考えております。
  45. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 私も特効薬があるとは思っておりませんが、まことに厳しいので、税制の改革を含めて総合的な検討に積極的に取り組まなければならぬ、このように考えておりますので、それ以上は触れませんけれども地方自治体が行政に活力を失うことのないように今後とも十二分な配慮をお願いしたいと思います。  これに関連をいたしまして、ちょっと資料によって地方債の推移を見てみたわけであります。そうすると、地方債が特に増加をいたしておりまするのが昭和五十年から五十一年にかけてで、昭和五十年が二兆八千三百五十億、昭和五十一年が四兆八千十億、一年間に六九・三%起債の枠が増加をいたしておるわけであります。それまでにもあるいは五九%というのが四十六年と四十七年との中にあります。これはいずれも、景気浮揚を公共事業によって行うぜよ、そして地方にも大幅に起債の枠を認めて、それによって景気浮揚を行いなさい、この指導によって増加をしたものであると記憶をいたしておりまするが、私の記憶が間違いであるのかどうか、この点について局長の御見解を御説明いただきたい。
  46. 石原信雄

    石原政府委員 過去の地方債の推移を見た場合に、著しく増額された原因についての御指摘でありますが、五十一年度、それから五十何年一ですか、いずれの場合も確かに景気浮揚のために公共事業を大幅に増額された、それに関連して地方債がふえたという面がございます。そのほか五十一年度の場合には、地方債計画上初めて一兆二千五百億のいわゆる財源対策債が計上された、このことも大きく寄与しているものと考えております。
  47. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 私の記憶に誤りがなければ、かつて私が地方議会におりました当時に、道路の単独の予算が十一億であった。それが一挙に九月議会で国によって起債の枠が二十四億認められた。随分思い切ったことをするものだと私たちは当時検討したと同時に、後進性の強い地域ですから、将来この問題について国が財源措置をしてくれるであろうという期待を込めてそのことを大いに歓迎をした。そうして、おくれておりまする基盤整備と、いま一つには僻地の人々の就労の場所であり、所得を得ることのできる場所を提供されたということで大きな期待を抱いてきたところであります。  ところが、それから三年か四年たって、今度は財政再建だから起債の枠は圧迫をして去年よりもずんずん減少する、こういうことになったわけでございまするから、まず第一に、公共事業に従事をしてまいりました業者並びに労務者が、今生活の方法に大きな矛盾を感じておるわけでございます。一面においては、景気浮揚のときには公共専業によって景気を浮揚し、起債も認めてどんどんおやりなさい、財源が厳しくなったら一番先に公共事業削減し、起債を厳しく制約するぜよとなったときに、しかもこれが四年ないし五年の間に行われたという事実に財政局長はどのような見解をお持ちになるのか、承りたい。
  48. 石原信雄

    石原政府委員 国の財政政策と地方財政対応のあり方についてのお尋ねと思いますが、確かに地方財政におきましては、地域の住民のニーズを受けとめてその地域社会をよくしていく、そのための公共投資も行っていく、こういう面が中心でありますから、基本的にはそのときどきの経済情勢によって大きな変動はない。むしろ計画的にコンスタントに投資が行われていくべきであり、その方が望ましいという面があります。しかし、一方、国の立場から公共投資を大幅にふやして景気を浮揚していかなければいけないという場合に、公共投資の非常に多くの部分は地方団体が実行しておりますので、地方の方はつき合わないで、国だけで直轄事業で、あるいは公社公団等だけでこれを行うといっても効果に限界がある、どうしても地方の協力を仰がなければならないという面があります。そういった意味で、過去において景気浮揚のために公共事業を大幅に増額して、その実行を地方に協力を仰いだということが何回かありました。  この場合に、私どもとしてはその対応にいろいろ苦慮してきたわけですが、しかし、国全体の経済の必要性から公共事業をふやさなければいけないとなれば、地方としてもこれに協力せざるを得ない。そのかわり、そのふえてきた場合の財政負担については、例えば地方債の充当率を引き上げるなどによってその負担の緩和をしなければいけない、こういう措置は講じてきたつもりであります。  それからまた、逆に、例えば昭和四十九年の石油ショックの後の狂乱物価に対応するために公共投資を大幅に抑えたことがございます。そのときは、既に計画しておりました地方の投資事業もできるだけ先に送ってもらいたい、建設資材の暴騰を防ぐために抑えてもらいたいという要請をしたことがあります。そんなわけで、国の経済政策に従って地方の公共投資が、あるときは大幅にふやされ、あるときは減らされるという面がどうしてもある程度はありました。  しかし、私は、基本的には地方の公共投資のあり方というのはなるべく波を少なくして、コンスタントに必要な財源を確保していくべきだ、こういうふうに思っております。両者の兼ね合いの問題でありますけれども、基本はそうあるべきだと考えております。
  49. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 これは財政局長だけの責任ではございません。時の政府がやったことでございますから、あなたにこの責任感じてくれとは申し上げませんけれども、ただ、受け入れ側の地方自治体としては、ほとんど国の景気浮揚ということで公共事業の予算がつき、さらに単独事業にまで起債によってその財源が確保されるということは、今申し上げたとおり後進性の強い地域は心から歓迎をするわけであります。そうして、就労の場所の少ない地域の住民ほど労務者としてそこに働きに出ていって生活をしてきたわけであります。ですから、現実的にはコンスタントにずっとそのことを続けていくことが一番住民の人々の生活に即したことになるわけでございますから、ここに大きな波が来たときに、その谷間に向かったときの生活というものはまことに厳しいのだということだけは、ひとつあなたに心にとめておいていただきたいと思うところであります。  この件について、これはすべてあなたの責任ではございませんし、見解をこれ以上求めることは酷だと思いますから、次に進みます。  次に、地方財政の中で今度は債務負担行為についてお尋ねをいたします。これはこの間もお尋ねをいたしましたけれども、時間がございませんでしたので、今度は具体的にお尋ねをいたしたい。  昭和五十七年度末の債務負担行為の自治体の金額が七兆八千三百三十九億になっております。昭和五十六年度が七兆一千六百十六億でありますから、一年間に六千七百二十三億円の増加をいたしておるということに相なるわけであります。この債務負担行為は、それぞれの議会がチェックをして、そして議会の議決に基づいて行うものでありますから、こういう数字そのものについての私の見解は差し控えたいと思いますけれども、この債務負担行為に対する自治省の行政指導の方針はどういう方針で臨んでおるのか。  また、歳入または歳出に占める地方財政の中の限度額は大体どのあたりが好ましいという目標で行政指導をいたしておるのか、野放してそれぞれの自主性に任してあるとおっしゃるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  50. 石原信雄

    石原政府委員 まず、債務負担行為のあり方についての自治省としての指導方針でございますが、御案内のように、債務負担行為は議会の議決によりまして、予算の一部をなすわけですが、議会の議決によって将来の支払いの義務を負うわけであります。そういった意味では地方債と全く同じような意味を持つ。  ところが、地方債の場合には、金利とか償還年限とか、その内容が非常に細かく議会でチェックされるのに対して、債務負担行為の場合には、どうも形が決まってないということもあって、とかく安易にこれが行われがちである。そして、場合によっては、正規のルートで地方債の許可を求めても許可されにくいようなものを実質上債務負担行為で実行する、いわゆるやみ起債といいましょうか、そういった性格もあります。  そういったことから、どうしても財政運営が安易になるおそれがある。そして、将来の債務負担行為の実行のために財政上非常に困難を来すという事例が幾つかありますので、私どもは、基本的には債務負担行為の設定は慎重の上にも慎重を期すべきである、そうして、その債務負担行為によって将来どういう財政上の影響が出てくるかを十分見きわめてこれが行われるように、従来から指導いたしているところであります。
  51. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 指導の方針はいいわけですが、限度額は天井知らずでいくのか、あるいはその金額については、財政に占める比率は大体この程度が好ましいという指導をなさっておるのか、この辺について御説明をいただきたい。
  52. 石原信雄

    石原政府委員 債務負担行為の上限について、例えば歳出規模に対して何%とか、あるいは一般財源に対して何%というふうな具体の率をもって指導は行っておりません。ただ、例えば地方債元利償還金について、一般財源比率で一五%を超すと危険であるというような指導をしておりますから、そういったこととの均衡上、個々の団体によって債務負担行為が非常に大きくなっているものについては、財務調査官等の個別指導の段階では注意を喚起しておりますが、全国一律に何%まではというガイドラインは示しておりません。
  53. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 今申し上げた債務負担行為は七兆八千三百三十九億円ですから、これは財政調整基金を含めて地方自治体が積立金をしておる金額をはるかに上回っておるわけであります。ですから、これのツケもいつの日か地方自治体財政を大きく圧迫をする要因になりかねないということは言えると思う。しかもその金額が、今あなたの説明では、ほとんど議決をされるということによって自主性に任されておる、こういう意味にとれる説明であります。  ところで、公債費の負担比率については、今局長から御説明があったとおり、一五%を超えると警戒ラインであって、二〇%を超えると危険ラインだ、こういう指導をしておって、ことしの一四・七%の負担率が来年は一五%を超えるであろう、こういう御説明をいただいたところであるし、私もそうだと思う。そうすると、この二〇%を超えておる五百四十五団体の中に、この債務負担行為がさらに大きく上乗せをされておったとしたら、これは将来の財政硬直化でなくて、もはや収支相償わない地方自治体ができると思うのです。この指導というもの、ないしは取り組み方というものは、やはり地方債との関連性において検討し、適切な助言と指導をする必要があると思うが、あなたの見解はどうか、承りたい。
  54. 石原信雄

    石原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、債務負担行為につきましては形がまちまちでありますので、地方債の公債費比率のような一律のガイドラインは示しておりませんけれども、個々の団体ごとについては、個別に状況を見まして注意を喚起し、指導しております。したがいまして、先生指摘のとおり、既に公債償還費比率だけで二〇%に達しておる、そのために起債制限を受けるような状態になっているところが、債務負担行為があればその分だけ上積みになるわけですから、問題は一層深刻ではないか、おっしゃるとおり、私どもそういう認識でおります。そして、実は公債費の制限を受けるような団体がえてして債務負担行為が多いという傾向もあります。  ですから私ども、そういった意味で、債務負担行為の実質的な危険性というか、実質的な意味というものは表面上のパーセンテージ以上に問題があると思っております。ですから、個々の団体の指導に当たっては、常に公債償還費比率だけでなくて債務負担行為の状況を調べて、そして必要な指導を行っております。今後におきましても、この動向に十分注意を払って必要な対応策考えていかなければならない、このように思っております。
  55. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 債務負担行為を申し上げれば切りがございませんから、この程度におきまして、今度は地方自治体の公営企業に対する繰出金あるいは補助費の問題が一つには出てくるわけであります。  昭和五十九年度では一兆一千二百七十七億、収益勘定繰出金がそのうちの八千百九十一億円、こういう多額の金額に上っておりまするし、昭和五十七年度の決算で見てみますると、補助費としては七千三十五億、繰出金として八千八百九十一億、これだけの多額の金額が公営企業の分野にそれぞれ補助費ないしは繰出金として支出をされておるわけであります。大きなものでは下水道事業二千六百九十五億、病院事業二千三百四十七億、交通事業一千二百二十七億。さらに下水道事業には繰出金もあるわけであります。病院については、もちろん一般病院のできない高度の不採算部門の医療制度に取り組まねばなりませんから、この補助費、繰出金が必要でないとは申し上げませんけれども、これもまた年々、私が調査をしてみますると、五十七年度は前年度に対して六百二十七億の補助費としての増加が見込まれておりまするし、また繰出金が六百十七億増加をいたしておりまするから、両者を合わせまして千二百四十四億円という金額が公営企業にいろいろな形で支出をされております。  そうすると、この公営企業についての指導方針はどうするのか、どう取り組んでおるのか。さらにまた、先ほど申し上げたとおり、病院の不採算部門を受け持たなければならぬという公立病院の使命がありまするから、独立採算制でやるべきだとは私は申し上げませんけれども、少なくても一般会計からの補助金あるいはその他の繰出金の一応の目安はどういうことが好ましいというのか、これもそのまま今日まで野放しできたのかどうか。  特に五十九年度は、五十七年度と比べてみましても、国民健康保険の一千四百二十四億円、これは全然含まれておりませんから、今度は五十九年度の決算になったら、国保が赤字であった場合には、その中のものがさらにこの金額に加わるということが過去の決算の推移から見て当然想定をされるわけであります。公営企業に対する繰出金あるいは助成金に対する基本的な取り組みの方針を承っておきたいと思います。
  56. 土田栄作

    ○土田政府委員 公営企業と一般会計との経費の負担についての基本原則お尋ねであろうと思いますが、これはまず地方公営企業法の十七条の二という規定がございまして、簡単に申しますと、公営企業で持ち切れないとか、公営企業が持つことが適当でない経費、ただいま委員指摘ありました病院の僻地医療に要します経費でございますとか、それから下水道でございますと、雨水が入ってまいりますので雨水処理に非常に金がかかります。そういう税金で持つべき分については一般会計で負担しなさい、それからそれ以外のものにつきましては独立採算で公営企業としてやりなさい、料金収入でやりなさい、これが大原則でございます。  そして、この法律の規定は非常に大まかでございますので、さらにそれを受けまして私ども通達を出しまして、それぞれの事業につきまして、ここの分については一般会計で負担することが適当である、この分については料金で賄いなさい、こういう指導をしているわけでございます。  それから、公営企業繰出金につきましては、御指摘のように毎年かなりふえてまいってきておりますけれども、ふえる原因といたしましては、要因的には、一つはまず公営企業の中の公債費がふえますのと、それから建設費に対します負担金がふえますのと、経常経費がふえますという三つの要因がございまして、増加要因としては、ある意味では地方財政計画の中の増減要因が増減するのと同じような形で動く形になっております。  そうしまして、最近の趨勢を申しますと、五十七年までは公営企業繰出金が二けた伸びておりましたけれども、五十九年度の地方財政計画の繰出金は四・四%ということで非常に落ちてきております。これは、経常経費につきまして非常に節減をしております。それから建設投資も落ちておる。一方、公債費の方が伸びておりますために、繰出金はその分だけはふえてまいる、こういう形をとっております。  私どもとしましては、もちろん独立採算が大原則でございますから、決して安易に一般会計には頼るな、独立採算でしっかり経営をやれ、経営合理化をしろということを、極めて厳しく指導いたしておるところでございます。
  57. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 時間が少なくなってまいりましたから、今度は一括して申し上げます。  今私は、公債費、債務負担行為、それから次に公営企業の繰出金、助成金、このことを申し上げましたが、さらにまた、地方自治団体には公社、財団というものがあるわけであります。この公社、財団は、それぞれの議会のチェックを受けませんから、定めるところによって決算書を議会へ提出をすることによってその責めが免れるわけであります。  そうだとすると、かつて土地の上昇の当時には、土地の先行取得によって公共事業の換地あるいは借りかえの土地を確保いたしてまいりましたから、それなりに大きく行政効果を上げ、あるいは公共事業その他の事業の推進に大きな役割を果たしてきたこともあるわけであります。しかしながら、こういうように大変不況になりますると、今度は反対に、取得をした物件の金額に銀行の金利を全部加算して、それを資産として収支の報告がなされてくる傾向に変わっておることも、これまた見逃すことのできない要因であります。  さらにはまた、土地を一方的に買えませんから、飛び地で買って、評価はできても現実的にその土地そのものを活用し利用できないという、いわゆる眠ったままの公社、財団の資産を含んでおって、これに銀行金利が年々かさばって、いつの日かこれもまた地方行政を大きく圧迫する要因になりかねないということが一つ。  第二に、同じくそれぞれの地方の中には、今申し上げたもののほかに、今度は各業界あるいはその他に、法人ないしは資格を持ったものあるいは会社組織を持ったものとして、外郭団体あるいは業界のそれぞれの協力団体があるわけであります。そういうところが今度は県の仕事、地方自治体の仕事を委任を受けて代行いたしておるわけですから、あなた方が行革行革ということで、職員は減ったけれども、反対にそれぞれの外郭団体が県庁あるいは地方自治体のOBを抱え込んで、今度はそれによって委託を受け、委任を受けてその仕事をやっておって、現実的には行革のねらいである簡素化、合理化に必ずしも沿っていないという問題も散見をされるわけであります。  この二つは、地方議会の機能によって十二分に調査検討のできない行革の中の一つの隠れみのに場合によってはなりかねないし、さらに、公社、財団が利益を上げたら、解散時には地方自治体にその財産は所属をする、損をしたときには、清算のときに、設立した地方自治体が肩がわりして支払いをしなければならぬ、こういう定款なり規約にほとんどなっておるはずであります。そういうことから見て、この外郭団体あるいはその他の協力団体の実態、公社、財団の実態、こういうものについて御調査をされたことがあるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  58. 田井順之

    ○田井政府委員 地域政策課というところが地方公社の実態について若干の調査をいたしておりますが、一口に地方公社と申しましても、いろいろな形がございます。御案内のとおり、法律に根拠を持っております地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社は、それぞれ性格がはっきりいたしておりますが、ことしの一月一日現在で全国的には千五百ばかりございます。  そのほかに、いわゆる財団法人とか社団法人という形をとりました地方団体の関連している団体がございますが、これにつきましては、実態が千差万別でございますので、地方公共団体が資本金等の二五%以上出資しているものをとらえまして調査しておりますが、全国的には二千六百七十四ございます。  ただ、これは実態が本当にさまざまでございまして、個々の団体の経営状況等につきましてはこの調査では把握いたしておりません。非常に形式的な事項になりますけれども、出資金の段階に応じた分類とか役員、職員の数とかいった点は調査いたしておりますが、御指摘にありましたような資産の保有状況とか経営の状態とか、こういったものにつきましては把握いたしておりません。
  59. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 今申し上げたとおり、住宅供給公社あるいは土地開発公社は、土地が上昇機運に乗っているときには、安い土地を先行取得で確保して、五年、六年先には膨大な価格の上昇をいたしましたから、その目的を十二分に達成されためみならず、行政の遂行上大きく貢献をしたということも確かに言えるわけであります。ところが、今のように不況になってきて、公共事業が伸びておりませんから、換地、借りかえの土地もない。しかも土地の売買ができませんから、それに金利を上乗せしたものを資産として収支相償うような形で報告をしてきた場合には、実体の価格と大きく食い違いつつあるということが率直に言えると思う。  それから、今言ったように、土地の一定の面積のところを虫食いのように買っておりますから、資産そのもので見たときには確かにつじつまは合うけれども、現実に今度それを利用することになったときには使用にたえない土地で、いつの日か清算の時期が来ますから、来たときに大きく地方行財政を圧迫することになりかねませんので、今後精力的にこの問題も御調査をしていただいて、適切な助言と御指導とを求めておきたいと思います。  最後に、自治大臣に御要望申し上げて、御見解を承りたいと思うところであります。  私は地方議会の出身でございます。ですから、今まで国に対して要望をしてまいりました。特に自治大臣が言われておりまする縦割りの行政機構によって、我々といたしましては大変迷惑をしたということを申し上げると言葉としては適当でありませんけれども、その目的が達成されなくて、地方自治体で大変困却をいたしておる問題も幾つかございます。  その中の一例を挙げて、これは参考資料として御認識いただきたいのでございますが、例えば都道府県、市町村に法定外の河川、道路というのがございます。小さなものでございまして、昔で言いますと、土地台帳の上ではいわゆる青緑、赤線ということで呼ばれておる土地であります。ところが最近は、市街地ではその土地の価格がどんどん上がります。そうして別に新しい道路ができて、その使用目的を達成し、終了いたしたものもあるわけであります。  これは財務局の出先である都道府県にございます財務部が管理をいたしております。ところが、実際には財務部の少ない職員では管理ができません。そして土地の価格が上がりますから、境界の紛争がいつも絶えないわけであります。それで、直接財務局に行くと県に委任をしちゃう、県に行ったら市町村に委任しちゃう、こういうことで、住民はぐるぐる回る。また、解決のためにそれぞれの市町村、県にやってまいりまして、用地担当の職員の頭痛の種であるというのが現実の姿でございます。  我々も地方議会で幾たびか意見書として議決をして、国に対して、法定外の河川、道路を地方自治体に払い下げをしてもらって、そうして管理をし、あるいは使用目的を達成したものについては適切な価格で競売をするか売却をするということで、行政の簡素合理化に御協力をしてもらいたいということを、私の高知県だけでも、三年か四年続けて議会で与野党問わず全員一致で議決をして、国に要請を続けてきたところであります。自治省、大蔵省、建設省、農林水産省にやってまいりましたし、各都道府県の用地の担当の課長会でも何回かこのことを決議して、国に対して要請をしてまいりました。  私は議会の議事録を見てまいりまして、これが面積としては山梨県ぐらいあるのだということを承って、大変広いものだと感じたわけでございますけれども、各議会でも何回かこのことが建設委員会で取り上げられております。大蔵省の担当の方も来て説明をしておられます。しかし、いまだに解決をいたしておりません。  これ以上放置をいたしますと、その境界線を知っております土地の古老というかお年寄りが、もう七十歳ぐらいになりましたから、土地の事情に詳しい方々が亡くなるという現状になっておりますので、そこに一メートルの道があることはわかっていても、境はこっちだ、いや、あっちだと、このことのはねかけ合いになって、行政としての応対に大変苦慮をいたしておるのであります。ですから、今申し上げたとおり、高知県に限らず、よその都道府県の議会もこのことを再三議決して提出をいたしておりますけれども、いまだに解決をいたしておりません。  ところで、地方議会あるいは都道府県の職員の皆さんとしては、こういうような、年々再々、さいの河原の石積みのような、境界に東奔西走することのないような、行政のむだを省くような解決を、一番事情のわかった自治省が窓口になり、調整機能を果たしていただくことができぬのか、こういうことを長い間期待をしてきたものであります。  自治省も所管の重大な仕事を抱えておりまして大変だとは理解をしますけれども、今度は立場を変えて地方議会からいいますと、今言うとおりたらい回しに年々歳々なってきて、今はもうあきらめて言うことをやめようということで、実は高知県は三年前から意見書を出すことをやめたのです。こういう実態もひとつ御理解をいただいて、これに対する大臣の御所見が承れますならば、お聞かせいただきたいと思います。
  60. 石原信雄

    石原政府委員 少し事務的な問題もございますので、初めに私から御答弁申し上げます。一実は、いわゆる法定外公共物の管理、処分のあり方については、先生指摘のとおり非常に長い歴史があります。地方団体では非常に困っております。私どももそういった声を受けて、何とかこの問題の打開を図りたいということで、一番関係の深い建設省、大蔵省に対して、これを抜本的に解決する方途を確立してほしい、そのための検討の場、研究の場をつくってほしいということで以前から申し入れをしておりました。何年か前にその研究会のようなものができたのでありますけれども、どうも関係省の人がかわったりいたしまして、結論を得ないままに今日まで至っております。  そこで、たまたま、一昨年でしたか、国が財源確保の手段として国有財産を計画的に処分したい、それについて地方公共団体の協力を得たいという申し入れがありましたので、私はその機会をとらえて、そちらの方に協力はするけれども、それなら以前から問題になっておる法定外公共物の管理、処分の問題についてもう一遍ここで土俵に上がり直して解決の道をつけてもらいたい、その方途を確立してほしいという申し入れをいたしました。それではということで、当時の大蔵省の担当の方も事柄の必要性を認識されまして、私ども自治省からも、建設省からも、大蔵省からも担当者を出して検討会をやろうということで始めたわけです。ただ、残念ながら今日まで必ずしもすっきりした結論が出ておりません。  しかし、この問題は非常に長い問題であり、確かに法的にもいろいろ難しい問題がありますけれども地方団体が困っているということは事実でありますし、これ以上放置できないという状況にもありますので、今後ともなるべく早く結論を得るように関係省庁に強力な働きかけをしてまいりたいと思います。  なお、この問題につきましては、便宜、財政局の調整室というところで、関係省庁の意見調整を図っております。
  61. 田川誠一

    田川国務大臣 今局長が説明したとおりでございまして、私ども、この法定外の公共財産の管理、処分につきまして今後とも努力をしてまいります。
  62. 山岡謙蔵

    ○山岡委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  63. 大石千八

    大石委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  64. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 一般質問として、主として消防の問題について御質問をいたしますが、その前に、午前中も松田委員からちょっと質問がございました議員定数問題、私が問題にしているのは地方議員定数問題でありますが、その点について若干御質問をいたしたいと思います。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕  最初に、地方公共団体の議員定数がそれぞれの団体の自主的判断で条例で削減されつつございますが、現況はどうなっているのでしょうか。これは団体数ばかりでなくて、議員の数の減、こういう点も含めて御答弁いただきたいと思います。
  66. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方議会議員定数状況でございますが、昨年の統一選挙の時点におきまして、地方自治法で定められております法定数でいきますと、都道府県、市町村全部合わせまして八万六千五百七十三名というのが法定数でございます。減少条例を適用しております団体が全国の八六%の団体になっておりますが、その減少条例の結果、条例定数が七万一千十八人ということになっておりまして、差し引き法定数よりも一万五千五百五十五名の減員という結果になっております。
  67. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今のは全体のものでありますけれども、都道府県と市町村と特別区、この三つに大別してもう一度お答えいただきたいと思います。
  68. 大林勝臣

    ○大林政府委員 都道府県の議会議員が、法定数三千二十一人に対しまして条例定数が二千八百九十八名、差し引き百二十三名の減、市会議員の法定数が二万三千四百八名、条例定数が二万二百十九名、差し引き三千百八十九名の減、特別区の法定数が一千九十六名、条例定数が一千七十三名で二十三名の減、町村の議会議員が法定数五万九千四十八名に対しまして条例定数が四万六千八百二十八名、差し引き一万二千二百二十名の減、こういう状況でございます。
  69. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今のようなそれぞれの自治体の自主的判断に基づきまして条例定数削減が行われたわけでありますけれども、これについて自治省は何らかの指導なり指示、こういうものをやったのかやらないのか、お答えいただきます。
  70. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方議員定数問題につきましては、地方自治法で法定数が決まっておりまして、同時に、条例で減少することができる、こういう規定になっております。ということは、法律の趣旨も、地方団体の実情に応じて自主的に減少し得るところは減少した方がよろしいでしょうという趣旨であろうと思います。  そういう点から、従来私どもとしましては、各地方団体からいろいろ御相談を受けます際に、近隣あるいは全国的な条例の減少状況というのをお教えして、できるだけ議会の中でいろいろ意見交換をしてくださいよ、こういう趣旨で申し上げておるわけであります。  ただ、一般の行政部門と変わりまして、議会という話になりますと、一律にどうこうというような話になかなかなりません。しかも、そういう問題は地方自治の基本問題というものに関連をいたしますので、特に通達等によりましてそういった問題を現在まで触れたことはございません。
  71. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、午前中の質問において行政局長は、地方公共団体が議員定数を減らすことは好ましい方向である、こういうお言葉がございました。好ましい方向というのはどういうことでしょうか。     〔小澤(潔)委員長代理退席、臼井委員長     代理着席〕
  72. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方団体三千三百、都市部もあれば農村部もあり、過疎地もあれば過密区もございます。また、それぞれの団体で抱えておる問題が多様にあるわけであります。そういった問題を処理する任務を持つ議会といたしましてどういう構成が一番フィットするかということは、それぞれの地方団体考えるべき事柄であります。  ただ、先ほども申し上げましたように、自治法の建前自体が、法定数を定めると同時に、簡素合理化の見地から条例で特にこれを減少することができる、こういう趣旨のことを書いております。そういったことは、結局、できるだけ自助努力によって、その議会の審議のあり方なり機能のあり方を見きわめた上で減少すべきところは減少した方がいいでしょうという趣旨であろうと思います。そういう趣旨に基づいて申し上げておるわけでございます。
  73. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 あなたは先ほどはっきり好ましい方向という言葉をお使いになったのですよ。  そうしますと、その好ましいという意味は、法律の定めるところによって地方団体が自主的に、いろんな状況考えて、うちは定数を四減らそうじゃないか、六減らそうじゃないか、こういうことが好ましいのか、自治法が定めておる、地方団体人口ごとに決めておる標準は、これから見て多いから好ましくない、だからそれを好ましい方向に減らせ、こういう意味なのか、その辺をはっきり聞かしていただきたいと思います。
  74. 大林勝臣

    ○大林政府委員 それぞれの地方議会が議会の中でいろいろ御論議をされた結果、議会審議のあり方あるいは機能を踏まえて法定数をさらに減少いたしまして、これで十分やっていけるという結論を得ながらそういう努力をされておるということは評価すべきであり、好ましいことであろうと思います。
  75. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そうしますと、自治体の自主的判断でやっていっていることであるからこれは好ましい地方自治の姿だ、こういうことをおっしゃったのであって、自治法が定めておる標準定数というものが多過ぎるとか誤っているとか改めるとか、こういう意味ではない、こう理解してよろしいのですか。
  76. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そういう趣旨で午前中も御答弁申し上げたわけでありまして、現在行革のさなかでありますけれども、法定数の問題とか、あるいは指導によりまして一律に一つの基準を決めるということは慎重であるべきだ、こういう趣旨で午前中も御説明申し上げたわけでございます。
  77. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 行政局長答弁でありますから、法律の定めが悪いなんという意味でおっしゃったのでないと思いましたけれども、それほどはっきり、私の聞く限りにおいては午前中の答弁は、むしろ減ることがよろしいんだ、こういうところに力点を置いて答弁されたようでございますけれども、そうではない、自治法の定数は変えるつもりはない、そういうことを行政局長としては考えているんだ、こう私は理解いたしますが、重ねて御答弁いただきたいと思います。
  78. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そういった地方団体の自主的な努力を評価申し上げておるという趣旨でございます。
  79. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 地方団体の自主的な努力を評価した、こういうことでございますから、私はそういう点で理解をいたします。  ところで、その次の段階で御質問いたしたい点は、これは全国の都道府県の議会の議員定数について——国会でも問題になっております。まだ国会も自主的にこれを決定できない、こういう現況にあることは午前中の質問もあるし、自治大臣も頭を悩ましているところだと思いますけれども、問題は、いってみますと、一人の有権者の一票の重さ、こういうことでございます。  おたくの方からいただきました五十九年三月一日現在の調べによりますと、東京都が一対七・四五、これは最高だということでございます。しかし、東京都の場合は、詳しい方もいらっしゃるのですけれども、二十三区には特別な議員配分が法で行われることに特例ができております。この辺の問題がありますから、一対七・四五というのは少し平面的な言葉であって、二十三区内を比較いたしますと大体一対五・何がし、こういうことだと思うのです。しかし、東京都ばかりではありませんで、例えば北海道が四を超えておる。それから千葉が六・五、あるいは大阪が四・三、愛知が五・二五、こういう形でかなりばらつきがございます。  こういうばらつきについて、自治省としては、もちろんこれは自治体が自主的に判断して対応すべきものでございますけれども、行政当局としてはどうお考えですか。
  80. 岩田脩

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話がありましたように、各都道府県の議会議員定数は、郡と市を単位にしてそこに割り当てをやっていく人口比例を原則といたしますけれども、そこにはいろいろなルールがございまして、例えば、けさほどもちょっとお話に出ておりましたけれども、それぞれの地域状況等の配慮もあるという状態になっています。現実の姿を申し上げますと、ただいま御指摘になりましたように、一対七というようなところもあれば二倍以下におさまっているところもあるという形になっております。  私どもといたしましては、議員定数というのは、いろいろな要素を考えなければいかぬとはしましても、やはり一つの基本は人口比例でございますから、そういったものを置きながら、それぞれの都道府県の議会において十分にその他の事情についての調査が行われ、論議が行われて決まるということを理想と考えております。  これから、この選挙までの間には六十年国調というものもございましょうし、そういった人口の変動を見ながらそれぞれの都道府県において適切な対応がなされると思いますし、また私どもの方も、各都道府県の相談に応じて、なるべくそういった原則に従った形で、その上でいろいろな要素が考慮されるよう、そういう線に沿って指導していきたいと考えております。
  81. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 先ほど行政局長から答弁があったように、それぞれの団体の総定数が条例で決まります。そうしますと、都道府県の場合は市郡単位が原則でありますから、それに基づいて定数配分される。市郡単位ばかりではいけないので、公選法十五条の七項のただし書きを適用する。十五条の七項のただし書きというのは、「おおむね人口基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」こういうことであります。もう一つは、公選法二百七十一条の第二項というのがあります。これは特例であります。  この三つで決まっていくわけですけれども、基本は人口によって、県の場合には市郡単位、こういうことでやっていって、そして示すところによって、人口の非常に少ないところでは合併区というものが現に行われておるわけであります。そういう三つの法律的根拠に基づいて行われておるにかかわらず、一票の重さが一対六とかなんとかということになっております。  これ以上深く突っ込みませんけれども、新聞によりますと、国会ではこれもまたいろいろ議論がありまして、一対二がいいんだとか一対二・五がいいんだとか一対三がいいんだとかいろいろな議論がございます。自治省は何か一対三くらいなら許容範囲だ、あるいは一対四だとかというようなことが新聞で報道されております。この点について自治省はどう考えているのですか。
  82. 岩田脩

    ○岩田政府委員 お話しのとおりいろいろな議論があるわけでございますが、御質問の中にもございましたように、これにつきましては、何倍であったらいいとか何倍であったらいかぬとか、そういったことが法律上明定されているわけではございません。また、それぞれの県の置かれている状況はさまざまでございまして、例えば、比較的粒のそろった市がたくさんあって選挙区の数が多くなってしまうところもあるわけでございます。そういうところで配分しますと、たとえ人口比例をたてまえとしましても、最後のところは四捨五入の関係などでいろいろ状況が変わってまいります。それぞれの県の置かれた状況がさまざまでございますので、一律に何倍を超えたらという議論はないと思います。  ちょっと勘ぐって申しますと、新聞などに一対三という議論が出たことがあったと記憶しておりますが、これは恐らく例の国会議員選挙に関する去年の十一月の最高裁判決の理由が、読みようによっては一対三以下ならば問題ないのだと最高裁考えているように読めないわけでもないのではないか、その考え方は今度の地方選挙のときにも基本的には同じなのではないかという一つの類推でございましょう。一対三であったらとか四であったちとかという客観的な基準があるわけではございません。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この問題については、恐らく自治大臣は答えたくてうずうずしているでしょうから、あえて自治大臣は避けて事務当局の見解を私は尋ねているわけです。  五月十八日の朝日新聞には「一票の格差 四倍が目安か」という見出しで出ておりますし、またある新聞には、自治省は大体三倍だ、一対三だと言ったとか記事が出ております。しかし、これはそれぞれ自主的な判断でやっているわけですけれども、私は、今言ったように法的根拠は三点、原則、ただし書き、特例としております。  それにもかかわらず、一対七とか一対六・何がしというのは問題があります。例えば、先ほどの千葉県あたりですと一対六・四九です。東京都の場合は、二十三区、三多摩の方を入れるものですから七・丑とかなんとかになるのですけれども、ちょっと例が違いますから。二十三区は人口百万について一名を加えることができるという特例があります。千葉あたりでも六を超しているのです。だから、そういう救済方法が現実に講じられながらこうなっているというところに、国会でも容易に解決できない、簡単そうで容易に解決できない難問題があるのじゃないか。しかし、これは国会がくちばしを入れるべき筋のものではありませんから、私は申し上げません。  これに関してもう一遍、具体の例で、最高裁判決もあることでありますので、自治省の感想をお聞きしたい。  原則はあくまでも地方団体が確定すべきものでありますけれども、五十六年七月の都議会議員選挙でこれが問題になりまして、五月十七日、最高裁の第一小法廷は、公選法十五条七項は、この憲法の平等要請を受け、地方議会議員定数について人口比例が最も重要かつ基本的基準であり、有権者の投票価値が平等であることを強く要求している、だから議員一人当たりの人口で最過疎区の千代田区と最過密区の練馬区との——これは二十三区内と同じ条件で練馬区と比べている、決して八王子とは比べていないのです。最過密区の練馬区との格差が五・一五倍までに広がっている都定数条例の定数配分規定は公選法十五条七項違反だ、しかし選挙無効の請求は、選挙を無効とするとかえって混乱するので無効としないということを示しておるのです。  この判決について自治省事務当局としてはどういうふうに受け取っておるのか、よかったら聞かしていただきたいと思います。私は極めて遠慮ぎみに、介入することを言われるとおかしいから言っているのですから……。
  84. 岩田脩

    ○岩田政府委員 御指摘のとおりでございまして、五月の判決が、東京都の例についてでありますけれども憲法違反の状態にあるというところまで判断を示したわけでございます。このことにつきましては、我々としても真剣に受けとめなければならないことだと思っております。東京都のケースにつきましては、東京都におかれましても議会の中に検討の委員会をつくって、年内に何らかの結論を出そうとして努力されておられるところでございますので、恐らくそういう御努力が実を結ぶものと思っております。  ほかにも、千葉のケースについて目下係争中でありますし、先ほど御指摘のありましたように格差の開いている団体もございます。もちろんそれぞれの県の事情のあることでございますから、あるいは特定の団体については、それでもなおかついいのだという特別の事由を主張できる団体もあるかもしれません。  ただ、これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、まだ選挙が遠うございますから、それまでの間にそういった問題を踏まえまして、今度の判決を踏まえての検討が行われることになると考えております。我々も今度の判決を重く受けとめまして、今後のそういった各県の動きに対処してまいりたいと考えているところでございます。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 最後にこの問題について一言。  読売新聞が六月二十三日号に「揺れる定数是正」という見出しで「模範県・神奈川」と、こういうことで、大臣の住んでおる模範県、大臣がそこで住んでいるということが影響しているのかどうか知りませんよ。知りませんけれども、「模範月・神奈川」ということで出ております。神奈川はどうかといいますと、一対二・二ぐらいです。  これほど人口が急激にふえておる県で、千葉県なりあるいはその他の人口増が急激なところではおおむね一対四とか一対五というようになっているのですが、神奈川はなっていないのですよ。その辺でなるほど「模範県・神奈川」だ、読売はそういう見出しで書いていると思うのですけれども、これはかなり神奈川はただし書きなりあるいは特例というのを適用しないで、本則にのっとってやっているところにこういう結果が生まれているのじゃないかと私は思うのですけれども、コンピューターではじいたわけではありませんけれども、部長どうお考えですか。
  86. 岩田脩

    ○岩田政府委員 四十七県個別に当たってませんから、神奈川を直ちに模範県と言っていいのかどうか、これは私はちょっとお答えをいたしかねますけれども、我々の承知しておるところでは、ただいまお話のございましたように、神奈川は人口比例の原則でやっている。ただ、実際に人口比例の計算をしましても、先ほどちょっと触れましたように、切り上げ、切り下げというような問題も出ますので、どうしてもかなりの差は出てまいります。神奈川の場合ですと一対二・六〇ですか、ただ本則を適用して、それもきちょうめんに是正を繰り返しているという点で取り上げられたものだろうと思います。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 取り上げられたものだろうと、人の書いたものですから、なんですけれども、これはやはり厳しいときには原則に戻れということわざがよく示していると私は思うのですよ。そういう点で、やはり神奈川は原則に忠実にいっている、そういうことからこういうようになったので、指導をするとすれば、やはり原則でやっていくとかなんとかという形で指導すべきであって、それならばひとつ特例でいったらどうですか、ただし書きでいったらどうですかという指導は、自治体の自主判断に任せるべきだと私は思うのですが、いかがですか。もう一度。
  88. 岩田脩

    ○岩田政府委員 御指摘のとおりでありまして、最初にもちょっとお答えを申し上げましたけれども、やはり原則人口を基本的なあれにして、それにそれぞれの特殊な事情を配慮していく。そしてその上で、その過程において十五条七項ただし書きを使うこともあろうし、二百七十一条の二項を使うこともあろうという関係でありますので、我々は原則としては本則指導という形になるわけであります。  ただ、それぞれの都道府県の実情に応じまして、そういう特例を使いたいという御判断が当該団体の議会にあるとすれば、そこは十分論議を尽くしていただいて、だれもがなるほどそうだと納得していただくような形でこの特例を使っていただくという形になろうかと思っております。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ちょっと思わず三十分ばかりたってしまって、本題に入りたいと思います。  最初にお伺いしたい人は警察庁であります。今盛んな風営法ではありません。昨日の夕刊につま恋LPガス事故についての記事が大々的に取り上げられております。その前の前の日かに、恐らく逮捕に発展するだろう、こういうふうに新聞に書かれてございました。きのうすべての新聞に書いてありまして、当時の副支配人ら幹部社員七人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕し、別に副支配人宅など十カ所の家宅を捜査したと報ぜらております。  この記事、事件七カ月後になっての調べで現場の管理者の責任が問われることになったわけでありますけれども、もう捜査に入ってしまっているがら言えないというのじゃなくて、その骨組みというか概要ですか、それをひとつこの席でお示しいただきたい、こう思います。
  90. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 つま恋のガス爆発事件の状況について御報告いたしますが、昨年の十一月二十二日の午後零時五十八分ごろに掛川市の満水にありますヤマハレクリェーションのつま恋、この中の満水亭というところでプロパンガスが爆発をいたしまして、客と従業員十四名が死亡、二十七名が負傷した、こういう事件であります。  静岡県警察が扱っておりますが、事故発生の直後から捜査本部を設置をいたしまして捜査を実施してまいったわけでありますが、この事故の原因につきましては、この満水亭というところでは、去年の十一月十三日から夏場のバーベキューセンターを冬向きに模様がえの工事をやっておりまして、この工事の際に、バーベキュー設備の解体に当たりました社員等が、ガス管の端末からガスのホースを外します際に端末の栓を閉めなかった、またコックを閉じなかった、こういうことで、これが原因になりまして、この十一月二十二日になって元栓をあけたものですから、その満水亭の中にプロパンガスが充満をいたしまして、これは後で鑑定の結果ですと、このステーション内にあります製氷機の火花が着火源となって爆発をした、こういうふうに思われるわけであります。  そこで、このガス管の端末の栓を閉めなかった、閉め忘れた、これが原因の一つでありますし、もう一つは、事故の前にガス漏れ警報報器が鳴ったわけでありますが、その警報器のブザーが鳴ったのを認知をした保安係員が、適切な対応をせずにガス警報器のスイッチを切った、こういうこともありますので、その辺の関係者責任の所在についてずっと捜査をしてまいりまして、きのう、今お話がありましたつま恋の当時の副支配人を含めまして七名を業務上過失致死傷で逮捕いたしました。それから、作業に従事をいたしておりました作業員五名、これを取り調べておる、こういうのが事故の状況と捜査の経過でございます。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、この問題について後で詳しく質問するわけですが、「つま恋LPガス事故対策委員会報告」というものが出ております。この十四ページに「十一月二十三日から十一月二十八日にかけて警察当局の現場検証が実施された。「満水亭」床面末端閉止弁開閉状況の検証及び漏れ試験、配管の気密試験等の結果、埋設配管の異常は認められなかったが、三十個近くの床面末端閉止弁について漏れが認められた。」こういうふうに報告書は書いてあります。この報告書が出る前に現場検証をしたわけでありますから、この二十三日から二十八日にかけての警察当局の現場検証では、これはパルプの漏れなのか閉め忘れなのか、この段階でそれが確認されておったわけですね。
  92. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 二十三日から二十八日まで、現場検証と今お話しの気密試験をやりました。その結果は、この満水亭——「たまり亭」と言いますけれども、この満水亭の中に配管されておりますプロパンガスの端末の閉止弁の九十九個中三十一個がバルブ、コックともに開栓状態になっておった、こういうことを現場検証と試験の結果認めておるわけでございます。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この通産省の報告書を読んでみますと、十四ページには、「漏れが認められた。」二十三ページの方には、「本事故の原因は、「開」の状態にあった床面末端閉止弁」と書いてありまして、あやふやなんですけれども、今御説明のように、九十九個——一個は別なところにあった。九十九個のうち三十一個がハルブを閉めてなかった、これがもうそのとき確認されておったわけですね。——いや、それだけ。そのとおりであればいいのです。これは、通産省の報告は、後でやりますが、不親切だね。はっきりしておるのに、なぜはっきりしなかったのか。  そこで、もう一言お尋ねしたいのですが、きのう私は日本経済新聞の記事を読んでおるときに、「「営業優先」厳しく問う」、これが今回つま恋事故についての警察庁の積極的な姿勢だ、こういう解説が出ております。「営業優先で安全管理を怠って起きた惨事についてきびしく刑事責任を追及していくという警察庁の方針がある。」これも新聞に報道されていますが、「今月二十日には、山形県警が蔵王温泉の蔵王観光ホテル火災で社長と支配人を業務上過失致死傷容疑で逮捕して」調べておりますね。つま恋と同じように山形県警の方もかなり積極的に出ております。  これは、営業優先じゃなくてある意味では保安優先が前提だということで、従来ややもすると警察はどうもあやふやだと言われておったのが厳しい姿勢になった、こう解説してありますけれども、今までもそういう姿勢であって、別に変わったということじゃないんだと言うかもしれませんが、こういう基本姿勢でこの捜査に当たっている、こう理解してよろしいですか。
  94. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 お話しのとおり、特に今回、営業であるとか安全であるとかということで方針を変更したということはございません。常に安全第一ということで当たってまいっておりますし、蔵王温泉の事故につきましても、やはり安全管理に手落ちがあった。今回もそういった面での過失があるわけですが、ただ、この過失の内容、度合いというものが、果たしてそういった意味での管理責任、過失責任という、その責任を問う場合にどの段階まで問うのが適当であるか。その過失の内容と責任を問う段階、これを具体的な状況に照らしましてその責任を追及した。結果的には、蔵王と今回のつま恋の場合では責任を問いましたその段階が違ってまいった、こういうことでございます。方針は前から変わっておりません。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ありがとうございました。警察庁の方は大体いいです。  そこで、本論に入って、通産省と消防庁にお尋ねするわけでありますが、この事故が起こりまして、通産省は直ちにつま恋LPガス事故対策委員会というものを組織いたしまして、立地公害局長の私的諮問機関という形で調査に当たられたことは大変結構だと思います。  このつま恋LPガス事故対策委員会の構成を見ますと、委員長は申すまでもなく大臣官房参事官の島田さん、ほかの委員を見てみますと、業界からは入っておるのですけれども消防庁は一人もおらぬですよ。強いていえば、静岡県消防防災課の技監と、それからもう一人、静岡県の消防防災課長の二人だけです。通産省の方は本省の人がおるのですよ。消防庁は一人もおらぬ。これは無関心であったのですか。いや、それは通産省に任せておけ、こういうことだったのですか。はたから見ておると疑問ですから、その間の経緯をちょっとお尋ねします。
  96. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまのお話ですが、役所内のお話につきましては、御案内のとおり、それぞれ関連を持ちながら話し合いをいたしております。お話しのそのレポートに関しましては、通産省が局長の私的な機関としておつくりになって、その中でいろいろ御調査になって、最終的な結論を出すという実態的な動きをしたものだと思っております。消防庁といたしましても、本来、人命なり、身体なり、財産なりの確保というのは大変大事なことでございまして、一日もゆるがせにできないことは当然であります。  ただ問題は、液石法の適用を受けるガス、そのガスが一体どういう形でそういう惨事を起こしたかということを調べるということでございましたから、論産省の方でお調べになっただけでして、別に私の方がそっぽを向いておったということではございません。そのかわり、私たちの方も、通産省と連絡、連携をしながら、各県の方にそういうガスの爆発事故に関しての通知を出しておりましたり、いろいろな点で注意を喚起しておるわけでもあります。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 言葉はなかなかいいのですけれども、この報告書からその後の動きまでずっと見る限りにおいて、現地の消防署はどう対応したのか。もっと積極的に現地の消防署が平素指導をしたり何かやっていれば、こんな事故にならなかった。とにかく九十九個のうち三十一個のバルブの閉め忘れというのは議論にならぬ初歩的な問題ですよ。そういうことについて現地消防署が無関心であった、こういうことだと思うのです。  あなたは抗弁しますけれども、通産省では、今、これからの対策も含めていろいろ検討しておるようですよ。それが十分かどうかは別として、少なくとも十一月二十六日にこういうふうにきちんと、立地公害局長の名において「液化石油ガス保安対策について」として、かなり詳しい指示が都道府県知事に流されております。  ところが消防庁では、次長の名において「ガス漏れ事故防止対策の徹底について」ということで、その内容は、たまたま火災予防運動期間中だから気をつけなさいよ、ガス漏れに気をつけなさいよ。不特定多数のところでは、つま恋の二の舞をやらぬように避難誘導等の対応策について特に徹底しておきなさいという二点だけです。どうもこの問題についての関心は最初からしまいまで薄かった、こう言わざるを得ないのでありますけれども、いかがですか。
  98. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今お話がございました通産省から出す通知も私の方で承知をいたしております。というのは、今のお話のように、ガスの爆発事故について消防庁が無関心であったわけではございませんで、要するに同じことを両方で都道府県知事に出すかどうかということだけでございまして、それなら所管省の方で詳しくお書きになってお出しください、私の方は私の方の内容として出せることだけを出しましょうということで協定をして出した文書でございまして、私の方が無関心であったというわけではございません。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 後できちんと議論をしたいと思うのですけれども、LPガスについての法律によりますと、通産省だけ独走してはいかぬぞと、ちゃんと「関係行政機関への通報等」という形で、消防庁あるいは地元の消防署の役割が明文化されているのですよ。にもかかわらず、残念なことには、どうもあれはうちの直接の関係じゃない。場合によっては、あんな事故をやってもらったからむしろうちはあおりを食ったんだという、そんな気持ちはないでしょうけれども、そんなことではだめですよ。これは法律違反ですよ。そう思います。私は、愛する消防庁のために申し上げているわけでございます。  そこで今度、通産省おいででありますが、この報告書で順次質問していきたいと思うのですけれども、満水亭の略図を見ますと、警報器は四つあった。ガスの流れ等から想像されますところからいくと、四つの配置が少し問題だ。四つのうち二つが故障しておったというのですよ。あれだけの事故を起こしてしまったんだから、バルブあけっ放しなんだから、もう幾つあったって同じですけれども、なぜ四つのうち二つ故障しておったか。その二つの故障は五十八年九月の点検で発見されたと言っておるのですよ。九月から十一月までかなり時間がありますね。その際、通産省なり消防庁の方では指導なさったのですか。これはもうガスの販売業者の責任だ、おれの知ったことじゃない、こういう態度であったのですか、いかがですか。
  100. 藤原信吉

    藤原説明員 お答えいたします。  通産省としてつま恋に対して指導したことはございません。それから販売事業者はこの点検の後、警報器の交換につきまして見積もりを求められまして、それを提出したというふうに聞いておりますが、その後、設置についての動きはなかったというふうに私どもは聞いております。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 九月に点検したときに故障している。四つのうち半分ですよ。それでほったらかしておいて十一月というのですから、その間、修繕も何もせぬわけでしょう。これはあなた、驚くべき無神経なやり方だと言わざるを得ないと思うのです。  そこで、順番にページを追って質問をいたしたいわけでありますけれども、この施設、センターから三カ所に分かれておりますね。大きくは二カ所。それから満水亭の方に来る途中で分かれております。新聞等によりますと、この設備は許可を何も得ていない、無届けだということでありますが、いかがですか。
  102. 藤原信吉

    藤原説明員 満水亭に供給しております供給設備は、貯蔵能力が二トンございます。二トンございますと、液化石油ガス法上、特定供給設備ということになりまして許可を受けなければいけないことになっておりますが、この許可の条項が入りましたのが五十四年からでございます。この設備がそれ以前にあったものでございますから、経過措置といたしまして、販売事業者は特定供給設備について届け出をしなければならないということになっておりますが、この届け出をしておらなかったということでございます。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 五百キロのものが四つあったというのですから、合わせて二トン。一トン以上は届け出をしなければならぬというのにかかわらず、販売側の方で届け出をしなかったということです。  それからもう一つ、私は不思議に思うのだが、販売業者は消費設備の調査義務があるわけですね。調査義務があるのだが、あなたの方の報告では「LPガス販売事業者による消費設備の調査義務の履行に際して消費者の適切な対応が得られない場合がみうけられるが、消費者とLPガス販売事業者との関係から円滑に調査を実施できない場合については適切な指導を行う等の対処方策を講ずる必要があろう。」こう言っております。「あろう」と言っておりますけれども、新聞によりますと、事実は、消費者である満水亭の方が断ったらしい。ところが販売業者は、買って使ってくれるところだから文句が言えなかった。消費者が強い。  しかし、この種の事故の九〇%近くというのは消費者の無知識、無経験からきているわけですね。それが法律では、消費者には責任がありませんよ、販売業者に責任があるのですよ、その販売業者の背景は通産省と消防庁に責任がありますよ、こういうことになるわけですけれども、法律では消費者には全然責任がないわけです。教育しなければいかぬ、こういう形です。調査したが、調査に応じない、どうしても応じなければ泣き寝入りしなさいと法律には書いてあるのですよ。  私も驚いて法律をちょっと読んだのですが、三十六条「調査の義務等」にこう書いてあります。「ただし、その消費設備の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。」だから、やれないわけです。新聞の報ずるところによりますと、現実には、販売業者が実施しようとしたら、仕事の邪魔になると断られた、販売業者はそれを県に報告もしなかった、地元の消防機関も知らなかった、こういうことになるわけです。この辺に初歩的な誤りがあった。その前提としてそういう環境が積もり積もっている、こう申し上げなければならぬわけでありますけれども、実情はどうなんですか。
  104. 藤原信吉

    藤原説明員 今回のヤマハレクリェーション株式会社とそれに供給しております販売事業者との間に、そういった消費施設の調査等につきましていろいろなやりとりがあったという報道がされているのは承知しておりますが、私どもあるいは委員会の検討といたしまして、そういった事実関係が確かにあったかどうかという確認はできないわけでございます。ただ、委員会の議論等の過程におきまして、一般論も含めまして、特に大口ユーザーと販売業者の関係が、片方は大量にガスを買う者であるし、片方は販売事業者という立場から、特に営業が絡む場合に必ずしも十分円滑な協力が得られない場合もあるという指摘もございました。  そういったことを考えますと、今後LPガスの消費者保安を推進していく上で消費施設の調査というのは大変大事なことでございますので、それを円滑に実施するための対応策を講じていく必要があるのではないか、こういうことで委員会の報告に取りまとめた次第でございます。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 長官、消防署は全然そういうことを知らないのでしょう。本当にたび重なる問題でありますけれども消防署の署の字も出てこないわけだ。どうなのですか。
  106. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 御案内のとおり、その法律の中にもありますように、消防庁長官なり消防機関はそれぞれの調査をして知事に要請をするという規定があるわけであります。  ただ、この満水亭につきましては、掛川の消防署が毎年一回調査といいますか査察をしていることは事実でございますが、たまたまそれが七月でございました。そのためにちょうどそういう十一月のような時期に当たらなかったということもございましょうが、一応査察をした結果は、消防署としては別に今先生がおっしゃられたようなことについては気がつかなかったというのが事実だろうと思っております。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 日にちが合わなかったのだと言うけれども、それではお尋ねしますが、この施設は法律に基づきますと二年に一遍調査をすることになっておるわけですね。その前にやったのはいつかというと五十二年の三月にやっただけだというのですよ。五十二年三月。あなた、毎年一遍と言って七月ごろと言うのだ。何年も前でしょう、五十二年から五十八年まで。ですから、今度は七月で、起こったのは十一月ということですけれども、それだけでは消防の監視、指導が十分行われたとはどうしても理解できない。通産省も同じですよ。この設備について、五十二年三月にやっただけだ。二年目ごとということがぴしっと書いてある。二年と一年と法律にあるわけだが、この場合二年ですね。二年に一遍やらなければいかぬというのに、通産省は自分で法律を書いておきながら、そのまま怠っている。この辺の責任も大きいですよ。消防署もそのとおりです。
  108. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 私のところの報告によりますと、五十六年はしておりませんが、五十七年も五十八年も両年とも査察をいたしております。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 査察をしておる。その場合に、届け出なり何らかの書類が消防署の方に来ているはずですよ。あるいは回ってきているはずですよ。判こをついているはずですよ、法律でそういうことはちゃんと責任があるわけですから。無責任ということだ。この法律の所管は通産省でありますけれども、その法律の中にれっきとして消防庁長官と県知事とそれから地元の消防署長というのが位置づけられておるわけですから、その言葉だけではちょっと理解できないでしょう。
  110. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま申し上げましたように、消防が査察をしていなかったということではございませんで、消防自身は一般的に、市内のそういうレストランでありますとかいうものと全く同じく満水亭につきましても査察をいたしました。それは五十七年と五十八年に一回ずついたしておりますということを申し上げました。その期間に今御指摘がありましたいろいろなことがございますが、そのことに消防署自身は気がつかなかったでしょうし、ですからそういう報告も私のところに来ていなかったということを申し上げたのでございます。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 通産省にお尋ねしますが、おたくの方の報告書でも心配しているわけです。この三十六条の「調査の義務等」について販売業者がそれだけ責任を持たせられておるのならば、使う方が断固拒否するのならば、何らかの形で救済措置を講じなければいかぬじゃないですか。県知事を通じて、拒否して法律を守ることができません、何とかしてくださいと、販売業者が責任を全うできるような救済措置を講じなければいかぬ。ところが、この三十六条一項のただし書きががんとして存在しているわけですよ。これを直す意思はありませんか。
  112. 藤原信吉

    藤原説明員 三十六条の販売事業者の消費設備の調査義務につきましては、販売春業者が消費者のいろいろな保安上の能力の不足を補完するという意味から、専門家としてそれを調査し、消費者にいろいろな問題点があれば、それをアドバイスするということのためにそういう規定が設けられたものでございます。  したがいまして、消費設備は大体屋内に設けられておりますので、その消費設備が設けられております場所へ販売事業者が立ち入ることを消費者が実際に認めない場合については、そういった販売事業者の義務を果たすことは無理なわけでございます。そういうことから、ただし書きで、販売事業者がこういう場合についてはかけられている消費設備の調査義務を免責される、こういう条文になっておるわけでございます。  私ども先生指摘のように、そういう調査がなかなかできない場合が実際にあるという話も聞いておりますので、販売事業者が、そういうことで消費者との関係でなかなか消費設備の調査が実施できない場合について、行政的にもそれを補完していくようなことを考えたらどうかということで、例えば販売事業者がなかなか消費者に協力を得られない場合に、都道府県がその消費者に対して消費設備の調査に協力するように指導するとか、そういった措置を今後講じていってはどうかということで考えております。
  113. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今の規定はそのとおりでありますけれども、もう一つこの法律に周知徹底させる義務ということもうたい込まれておるわけです。今度のこの報告でも、事故が起こって、だんだん危険が迫って爆発になってしまったけれども、その間ガス栓を閉めないで、三分の一は閉め忘れておきながら避難誘導もさせなかった。しかも、ガスはふだんですと十五立米くらいしか流れてないのに、二十五立米くらい流れたということがわかっておりながら避難誘導もしなかった。ですからあれだけの被害が起こったと思うのです。 その周知徹底させる点についても、販売業者はもちろんのことでありますけれども、この報告書にも、消防庁長官も一生懸命やったのだけれどもしようがなかったのだ、不可抗力だという話にいっちゃうのです。私は不可抗力ところではなくて、バルブを閉め忘れた七名が逮捕を食ったけれども、もっと広範な責任の所在というのを追及していかなければならぬという気がいたすわけです。この辺について、特に周知徹底については販売業者と地元の消防署が連携をとりながら訓練をしなければだめですよ。その辺どうですか。
  114. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 私は、おっしゃっておられるとおりだと思います。ガスの所管をどうするかということではなくして、ガスを使用する燃焼器具を使っておりますれば、御存じのとおり市町村の火災予防条例の適用を受けておるわけでありますから、基本的にそういうものに対する一つの管理ということが当然出てくるわけであります。  そういう点で、満水亭の防火管理についても十分の注意をするのが当然でありまして、消防機関といたしましては、ガス漏れが発生した場合に当然に避難をさせるべきだということについては私たちの方も言っておりますし、消防機関自身も講習会等を開いてそういうときには避難をさせるようにということを指導いたしてきておるわけでもあります。そういう点からいたしますと、今回のようなガス漏れが二十分も、あるいはそれ以上かもしれませんが、時間があったのに避難をさせなかったというのは本当に遺憾なことだと私は思っております。  そういう点で、所管の問題ではなくして、住民の安全をどういうふうに守るかということが非常に大事なことでありますから、今後ともそういう点について十分指導してまいりたいと思っております。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今、本件について各新聞の社説も議論しております。社説で指摘しているポイントは、販売業者に教育の義務も調査の義務も報告の義務も避難誘導の義務も一切合財負わせて、消費者には一切責任がないようにしているけれども、消費者の無知あるいは消費者の経験不足、こういうところから八〇%以上LPガスの事故は起こっているのだから、それでいいのかということで、暗に、指導官庁、地元の消防署なり県知事なり通産省あるいは消防庁は、もっと徹底した法律に基づいた指導あるいは監督をしなければならぬじゃないかということを全部の新聞の社説は言っております。  今回の経験にかんがみて、その辺に力点を入れなければどうやったってだめですよ。その辺について、これは自治大臣決意のほどをあわせて聞きたいと思います。通産省はもちろんでありますが、消防庁長官どうですか。
  116. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いろいろなことがございますが、基本的には、ガスのバルブを閉め忘れるというのは、使用者自身にとっての非常な周知不徹底といえばそれまでですが、個人個人も自分のことを守らなければいかぬのですから、ガスのバルブというものがどういう作用をするか、それを閉めなければどういうことになるかということぐらいは消費者自身がみんなわかっていなければならぬことでもあります。  ですから、それを閉めることは当然ですが、私はこの際は、特に不特定多数の人が出入りをするレストランでありますとか、今の満水亭というようなところにおける従業員は、もっと防火管理について意を用いるべきものだ。これは前にも申し上げたことがございますが、それの根源をなすのは経営者自身の心の持ち方が非常に大事なことだと思っております。ですから、経営者が防火でありますとか災害でありますとかいうことにもっとちゃんと意を用いてやらない限りは、そういう災害はなかなかなくならないだろう。  もう一つは、私は消防機関を弁護するわけで申し上げるわけではございませんが、現に消防の職員が全国に十二万余おるわけであります。こういう消防職員も、ガスということになりますと、偽らざる心境で申し上げますれば、ガスについては通産省所管だということがありますから、何となく自分の所掌外だという気持ちがないわけではないと私は思っております。  そういう点から申し上げますと、静岡のガス爆発がございまして。これも議会でいろいろな議論がございました。その結果、地下街のガス警報装置をつけるということが消防法上義務づけられましたように、ある意味では、ガスというものについても消防自分のちゃんとした権限の中でやれるのだということがない限りは、なかなかこの徹底というのは私は難しかろうと思っております。  そういう点で、所管争いであるとかなんかということじゃなくて、むしろ防災でありますとかそういうものに関しまして、各省庁の権限を越えた一つの住民保護のための考え方をどういうふうに政府の中で貫くのかということが大変大事でして、そのためにいろいろ今までやってきたわけですが、なかなか力が足らず今の状況でいるわけであります。しかし、今後ともそういうことが消防としてもやり得るような立場をつくっていかない限り、消防としての任務がなかなか果たせないという部分があることも御了解いただきたいと思っております。
  117. 藤原信吉

    藤原説明員 先生指摘のように、LPガス事故の大部分は消費者の単純なミスということでございますが、私ども、そういうミスを実際にどうやって防ぐのかということが一番保安対策上問題ではないかと考えております。  事故の大部分が消費者ミスであるということからしますと、当然消費者自身が責任を持って安全にガスを使う、管理するということが最も基本になるわけでございますけれども、ただ、消費者が正しいガスの使い方をするために必要な知識とかそういったことをだれが教えていくか、あるいはだれがそういった専門的知識のなさを補完していくかということになりますと、私ども、やはり販売事業者というのは配送その他日常消費者と業務を通じて接触する立場にあるわけでございますので、そういったことを通じて正しいガスの知識を普及したりしていくことが適切ではないかというふうに考えております。  ただ、ガスの知識の普及あるいは消費者の意識の高揚といったようなことにつきましては、いろいろな機会をとらえて私どもやる必要があると考えておりまして、これまでも新聞、テレビ等の広報手段を通じました消費者啓蒙その他をやっておりますし、また、従来から地域では、消防機関等の御協力を得ました講習会その他の際に、プロパンガスの知識を普及してもらうというようなことも県単位ではやっておる実情でございます。  そういったことで、私どもといたしましても、消費者ミスをなくすために、一つはソフト面で正しい知識を徹底していく、あわせまして設備面においても消費者ミスをできるだけ補完するための対策を今後講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 田川誠一

    田川国務大臣 細谷さんのおっしゃるとおりだと私も思っております。特に、人命を尊重する気持ちというものをふだんから養うように心がけていかなければならぬ。人命を尊重するというのは、人の命ばかりじゃなくて自分の命も大切にするという気持ちを、これは消費者側も、それから防災に携わる人たちもそういうような精神をもっと持つように努力をしていかなければならないと思います。私は、その一番の基礎になるものは、やはりそういうことは小さい、物心ついたときからそういうような気持ちになっていくように心がけていくことをまず考えていかなければならぬのじゃないか、このように思っております。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大臣、小さいときからといってもすぐ間に合いませんから、やはり十分やっていただきたい。  今、通産省の方で、今度の事故調査の結果、そういうものに基づいてこれからの対応策が法律の改正に入るのか入らないのか、それから政令、特に規則、こういうものの改正を検討されておるようでありますけれども、規則の改正については具体的にほぼやって、できるだけ早く、九月ごろということのようです。法律の改正等について、今後の対策も含めてどういう対応をしようとしているのか、お聞かせいただきたい。
  120. 藤原信吉

    藤原説明員 現在、通産省といたしましては、つま恋LPガス事故対策委員会の検討結果に基づきまして、先ほど御指摘のありました消費者に対します安全管理の徹底、それから設備面での対策、この両面にわたりましていろいろ対策を進めようとしているところでございます。  その中で、設備面の対策につきましては、今回の事故が末端閉止弁に関連した事故であるということがございますし、また、一般的に事故の原因を見ましても、末端閉止弁の操作ミスというのが非常に大きな事故原因になっておるということで、私どもといたしましては、今後、料理飲食店等につきまして、安全装置つきの末端閉止弁の装着の義務づけ、またこれに関連いたします末端閉止弁と燃焼器具の接続方法の強化、例えば金属管とかあるいは丈夫な管による接続方法の義務づけ、こういったことを進めたいと考えておりまして、近く液化石油ガス法の施行規則、これは省令でございますが、その改正を行いたいということで、最終的な事務的な手続に今入っているところでございます。  なお、法律改正の問題につきましては、私どもといたしましては現段階においては法律改正は考えておりません。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私が今、法律改正はやっていないかと言ったのは、法律改正にも今私が指摘したような点でもっとはっきりしなければいかぬ点があるようですから、御検討いただきたい。しかし、前向きで取り組んでおることについては評価し、大体九月ごろということでありますけれども、そのとおりですか。
  122. 藤原信吉

    藤原説明員 液化石油ガス法の施行規則の改正の公布を七月早々、その施行は九月早々にも、こう考えております。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、都市ガスの関係の人にお尋ねしたいのですが、この事故にかんがみて、同じように通産省の中にガス消費機器安全性調査委員会というものができておりまして、そこで新保安対策なるものを練っておるようでありますけれども、これも今言ったような形で、九月ごろをめどに新しい保安対策を講じようとしておるように新聞は報道しております。私が持っているのは朝日新聞の五月二十五日の記事でございますが、そういうことなのかどうか、御回答いただきたい。
  124. 曽我部捷洋

    ○曽我部説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、資源エネルギー庁長官の私的諮問機関でございますがス消費機器安全性調査委員会、ここに学識経験者に御参画をいただきまして、ガス消費者の保安対策についての抜本策について広く検討いただいております。昨年秋の掛川におきますプロパンガスの事故につきましては、都市ガスについてもやはりこれを教訓として、不特定多数の人が出入りする料理飲食店等については十分な対策をとらなければいけないと考えておりまして、この消費機器安全性調査委員会でも十分検討していただきたいということでございます。  ただ、都市ガスにつきましては、そのほか超高層ビルであるとか大規模な雑居ビルであるとか、そういった点での対策も重要でございますし、そのほか集合住宅も比較的多いものでございます。集合住宅において自殺等がございますと第三者も巻き添えにするということもございまして、掛川の事故対策も含めて、より広範囲に保安対策を進めるべきであるという認識に立って議論いただいているわけでございます。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、この後で雑居ビルの消防問題についてちょっと質問するのですが、今度の事故調査報告からいって、もう少し消防についての避難も含めた消防計画をきちんとやって、それを使用する人がかなり訓練されておればいいのじゃないか、その辺が非常に必要じゃないか。防火管理の一番の柱は、消防法八条の二に書いてありますようにこの消防計画である、こう思うのです。これについてもっと積極的に取り組めば、私がさっき消防庁について批判したような、あるいは今度の事故を未然に防ぐようなことに通ずるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  126. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げましたように、やはり何と申しましても防火管理というのが大変大事であります。それぞれの所有者なり権限のある人が防火管理者を任命をするといたしましても、そういう人たちに防火管理に関する心得といいますか、そういうものがない限りは防火管理というのはなかなか前に進みません。そういうところで往々にして災害が起きることがあるのだと思っております。それは過去の事例を見ましても、千日デパートの火事もそうですし、大洋デパートもそうですし、やはり防火管理がもっと徹底しておったらなという感じがしないでもありません。  そういう点から考えますと、消防計画というのは実に大事な一つの計画でございまして、法律上決められていることをやはり経営者がしっかり守ってやってくれることが一番大事だと思いますし、私たちもそういう点で、消防計画を立てるように消防機関を督励をいたしているわけであります。しかし、全体的に見ますと、まだ全般的に全体ができ上がっているということでないことは大変申しわけないと思っておりますが、その消防計画がうまくでき上がりますように今後とも指導してまいりたいと存じます。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ぜひひとつそれを推進していただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、今お言葉にありました千日ビル火災の判決というのが去る五月十六日に出ました。これは御承知のように、死者百十八名、負傷者四十二名という大事故でありまして、この大事故によって、何とか雑居ビルの対策を講じなければいかぬ。あるいは熊本の大洋デパートの火災、こういうことからいって施設面についてのかなり大きな前進がございましたけれども、過去にさかのぼらないという、遡及の問題が軽視されておりますから、いろいろ問題が出ております。  ところが、今度の千日ビルの大阪地方裁判所の判決では、どう読むかといいますと、全員無罪なんですよ。いろいろやったけれども、せんじ詰めるともう個人の責任を問い詰めることはできない、だから刑事責任はない、これが判決結果であります。でありますから、朝日新聞では「千日ビル判決をどう読むか」、読売では「どこにある雑居ビルの管理責任」、管理責任はどこにあるかわからぬ。あるいは西日本新聞では「千日ビル無罪判決の教訓」という見出しで、全く正体がわからぬ判決だとこの判決を批判しております。  しかし、判決判決であります。しかし、消防を担当する行政サイドとしては、あるいは我々国会政治のサイドとしては、これは許せないのですから、そういうことにどう対応するかということがまた課題ですから、私はそう思ってこの社説を読みました。自治大臣、これをお読みになりましたか。どういう印象を持っておりますか。
  128. 田川誠一

    田川国務大臣 全部は読んでおりませんけれども、一部分読みまして、私も社説に似たような考え方を持った、読んだときにはそういうふうに思いました。
  129. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 新聞にはいろいろな報道がありますし、雑誌にもいろいろな千日デパートの判決についての感想が漏らされておりますことは御承知のとおりだと存じます。これはただいま控訴をしている段階でもありますから、判決についてどうのこうのと言うことについては差し控えたいと思います。  ただ、この判決を読んだ限りの印象から申し上げますと、防火シャッターの閉鎖に関するいろいろな見解が示されております。あるいは避難誘導に関する責任のあり方、さらにはあの中でEとかFとかBとか階段がいろいろありますが、そのうちのB階段を利用しての避難誘導の可能性でありますとか、避難訓練というものがどういうものであるのかということにつきましては、やはり若干の感懐を持たざるを得ないと思っております。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この問題について、大臣はわかったようなわからぬような答弁をしているのです。  担当のあなたのところの予防救急課長が「近代消防」というところに書いているのですよ。予防救急課長としては、本当の判決全文を読んでみなければ何とも言えない、こういうことを言っているだけであって、これは消防人としては問題があるのですよ。どういうことを言っているかというと、あの判決は「予想外という念は禁じ得ない。」「消防法で義務付けている防火管理責任を軽視しているのではないか」。あとは判決全文を読んでからという以外何もありません。この雑誌ではこれ以上書けなかったのかもしれませんけれども、残念ながらせっかく活字を使った値打ちがないんじゃないかという感じを、口は悪いですけれども、少し申し上げます。  それからもう一つ、この雑誌に大阪市の予防部長が「災害時における適切な対応を」ということを言っております。これはやはり防火管理責任、予防救急課長と同じように、ここがポイントだ、こう言っております。そして、防火管理制度というものをきちんとしなければならぬということを提起しております。  一番はっきりと問題を言っているのは神戸市の北消防署長。「千日ビル火災の判決理由要旨を読んで」ということで、どういうことを言っているかというと、これは共同防火管理体制実施義務の違反だ、特別避難階段確保義務の違反だ、だからこういう原因調査業務を担当する消防側から、司法関係者に失火罪で告発しなさい、ここまで積極的に言っているんですよ、あなたの関係しておる消防署の署長さんが。第一線はそれほどこの判決を読んで、消防人としてはこの判決を乗り越えていかなければ人命は守れない、財産は守れないという観点が強くにじみ出ておるのですよ。私は全く同感であって、その意味ではこの神戸市北消防署長の森本さんの勇気に敬意を表し、予防救急課長と大阪市の部長の態度というのはややなまぬるい、こういう感じがしております。  消防庁長官、その点言いにくいですか。
  131. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 「近代消防」に千日デパートの火災に関する三者のそれぞれの見解が示されておることは私も承知をいたしております。  私のところの課長が申し上げたいのは、この判決について非常に不満がある、こういう書き方が全面ににじみ出ている。しかし、どこがどうだということについては今述べられない、こう書いてあるのが私はその読み方だろうと思っております。  大阪の予防部長の話は、これはまさに一問一答でやっておりますから、それに答えるという形で述べておりますので、それは編集者の仕方でありますから、それはそういう答えにならざるを得なかっただろうと思います。  森本さんの記事は、まさにそれは消防の第一線にいる人が自分考えていることをずばり言っておりますが、その冒頭にもありますように、公訴事実についてももっとちゃんと述べておいてくれればよかったなという感懐が一番先に示されておりまして、それからいろいろなことが述べられておるわけでありますから、私はそれはそれなりに受けとめておりますし、今後の控訴の中で、恐らくそういう三者が書かれたような文書というのもそれぞれの場でみんな読んでおられますでしょうから、いろいろな考え方をお持ちの方がそれをどういうふうにお読みになるのか、今後の推移を見守っていきたいというふうに思っております。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 まだ私の持ち時間は少し残っているのですけれども、審議に協力する意味において、終わっておきます。
  133. 大石千八

  134. 木内良明

    木内委員 住宅用地に係る固定資産税の問題について聞きます。  固定資産税の課税標準の前提となるいわゆる土地の評価額は売買実例価額を基準として評価されるため、住宅用地や自営業者の営業用土地については、その土地について売買の必要や意思が全くなくても、近隣の売買実例価額の上昇によりまして引き上げられることになってしまうわけであります。このため、大都市の中心部で生活する住民の方々は住宅用地等に係る固定資産税の高負担に耐えかねているというのが実情でございます。  そこで、この点を大臣にお聞きするわけでありますけれども、こうした実情をどのように認識しておられるか、まずお答え願いたいと思います。
  135. 田川誠一

    田川国務大臣 御指摘の大都市の中心部におきましては土地の価格の上昇に伴いまして固定資産税が非常に上昇しているということはよく承知しておりまして、この間も千代田区長さんにお目にかかりまして随分苦況の状態をお聞きいたしました。住宅用地につきましては、こうした大都市の非常に高くなっている地域のことも考えまして、税負担を軽減するための特別の措置も講じられております。資産の価格に応じて幅広く税負担を求める固定資産税考え方から、税負担の軽減を特定地域だけにやることはできませんけれども、先ほど申しましたように特別の措置も講じられている。  細部は税務局長から補足して説明させていただきます。
  136. 関根則之

    ○関根政府委員 先生承知のことでございますけれども固定資産税は資産を持っているかいないかということに着目をいたしまして、資産の価格に比例をして一律に、いわば非常に幅広く、しかし税率そのものは余り高くないような形で御負担をいただくという性格の、いわゆる物税という形をとっております。そんなこともございまして、地域ごとでありますとか用地の使用目的ごとというような形で細かい対応がなかなかできにくい税でございます。  確かに東京都の中心部等、非常に地価の高いところの税負担の問題については、一つの問題としての意識は十分持っておりますけれども、そういう固定資産税の性格というものをぜひ御理解いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  137. 木内良明

    木内委員 今、大臣と税務局長の方から固定資産税における基本論的な言及があったわけであります。特に、お聞きしておりまして、一般的にはそういう特例措置というのはなかなか難しい、しかしながら大都市の中心部における特異な現象のあるケースについては問題意識を持っておられる、こういう御答弁であったというふうに思うわけであります。  きょうはそうした点を中心に質疑を行ってまいりたい、こういうふうに思います。  最近では昭和五十七年に土地の評価がえが行われまして、宅地の評価額は全国平均で二八%の引き上げが行われたわけでありますけれども、このときの評価がえの目安となった地価公示価格の五十七年以前三年間の動向というものを見てみますと、全国平均で二六・八%の上昇率でありました。これから推測しますと、五十七年から五十九年までの三年間の地価公示価格というものは全国平均で一五・八%の上昇率となっておりますので、来年の宅地の評価額の上昇率は、全国的な平均で申し上げれば前回五十七年の二八%アップの評価がえのときよりも下回ると思われるわけであります。  そこで、来年の宅地の評価額の上昇率についてその見通しをどのように持っておられるかお聞きしたいわけでありまして、これまでの推移を見ると今回も二〇%台のアップ率になるのではないか、こういうふうに思われるわけであります。一つには、最近は地価上昇が鈍化しているという考え方が納税者に浸透しているというような背景、あるいは件数が少ない相続税を課税するための最高路線価格と毎年納税しなければならない固定資産税のための評価がえを同列に扱えない、こうした事情から勘案いたしますと、二八%以下になるのではないかというふうに観測されるわけでありますけれども、その点の見通しはどうでしょうか。
  138. 関根則之

    ○関根政府委員 ただいま数字を挙げて御指摘をいただきましたように、最近の地価の上昇は確かにここ一、二年鈍化傾向にあるということは間違いないようでございます。  ただ問題は、固定資産税の評価がえを、今作業をやっておりまして、六十年の一月一日で三年ごとの評価をやらなければいけないわけでございますが、大体その作業をいたしますのは、全国で一億六千万筆からある土地を、できるだけ均衡を保って、でこぼこのないような形で評価をしなければならないということでございますので、前もって調査時点を設定して、評価がえの基準日の一年半前ぐらいの時点での実態調査に基づいて評価がえは行われておるわけでございます。  したがって、今度の昭和六十年の一月一日におきます評価の実際の動きというのは、昭和五十八年七月ごろの時点からさかのぼって三年間のアップ率をとって判断をしていく、そういう形にならざるを得ない。今までも大体一年半前までの三年間をとってやってきたということもございますので、そういう形になりますが、今お話がございました昭和五十六年から五十九年度までの地価公示の平均的な伸び率が大体一五・八%ほどの数字、先生指摘いただいたようなところでございますけれども、時点を少しさかのぼりますと、もうちょっと高い数字になってくるわけでございます。一年前の五十五年から五十八年の地価公示のアップ率は二三・二%というような数字も出ているわけでございます。  具体的な今回の評価がえのアップ率をどの程度にするかということは、現在作業中でございますので、これから、秋から押し詰まった暮れにかけまして鋭意詰めていって最終決定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。私は、この前の評価がえのときよりは多少アップ率は低くなるであろうという感じは持っておりますけれども、それでは、先ほどお示しの一五%程度のここ三年間の公示価格のアップ率と同じ程度かというと、とてもそこまではいかないのではないかというような感じもいたします。  いずれにしろ、現時点で明確なことは申し上げかねるところでございますし、また、例の地価公示は、地点を昭和五十五年度から五十八年度までのここ四カ年間で大幅に入れかえてしまっております。したがって、確かに継続地点でのアップ率というのは低いのですけれども、地価公示地点全体の評価額のアップを見てみますと、三年間で、指定市の最高価格では約六割程度上がっておりますし、指定市の商業地の平均でも五割程度上がっておる。また、国税の方でやっております相続税のアップ率は五十六−五十九で二八%ほど上がっておる。こういう役所の方での評価のほかの制度でのアップ率が相当局いものになっておるというようなこともございますので、その辺も我々としてはある程度参考にしていかざるを得ないだろうというふうに考えております。  状況として以上のようでございますけれども、今後、いろいろ具体的な実務に当たります都道府県なり市町村の担当者の意見も十分踏まえながら、具体的な数字を決めていきたいというふうに考えております。
  139. 木内良明

    木内委員 アップ率について作業の段階であるというお話がるるありました。しかしながら、アップ率の観測としては、私申し上げたように前回を下回るだろうというふうな共通した認識を持っている、このように受けとめたいと思うわけであります。しかし、いずれのケースであったとしても、申し上げたような観点に立って考えますと、納税者にとっては急激な負担増となるわけであります。  そこで、今回仮に全国平均では宅地の評価額の上昇率が前回より下回ったとしても、今年度で期限切れとなる宅地等のいわゆる負担調整措置については継続して、できる限り住民の負担を緩和すべきである、私はこのように考えるわけであります。これをぜひ主張するわけでありますけれども、いかがでしょう。
  140. 関根則之

    ○関根政府委員 固定資産の課税の仕方といたしましては、適正な地価に基づいて出ました評価額に税率を掛けて一律に課税をしていく、御負担をお願いするというのが望ましいわけでございます。いわゆる評価額課税をするのが望ましい姿であろうと私どもは基本的には考えております。  ただ問題は、従来の地価が急上昇した時期におきまして評価額どおり一挙にアップをいたしますと、税負担の急増をもたらし、納税者にとっていささか問題が生じるというようなこともございまして、負担調整措置をここのところずっととらせていただいておるわけでございます。したがって、今回の六十年度の評価がえに当たりまして調整措置をとるかどうか、これは先ほど申し上げましたアップ率が結果的にどうなるのか、それとの関係もあるわけでございます。しかしながら、そう低いアップ率で済ませるということはなかなか難しいのではないかという感じもいたします。また、やはり住民にとりましては急に上がるということについてはいささか問題がありますので、私どもとしては、今回もやはり調整措置は必要ではなかろうかというふうな感じではおります。  しかし、これも先ほど申し上げましたように、これから具体的な作業を通じまして、また政府の税制調査会の御意見等も、十分御審議をいただきながら、最終的に決めていきたいと考えております。
  141. 木内良明

    木内委員 今、税務局長の方から、いろいろなケースが考えられるけれども、負担調整措置も必要ではなかろうかという感じを持っておられる、思っておりましたよりも非常に前向きの答弁でございますので子としたい、このように思います。  昭和五十九年の地価公示価格の上昇率を見ますと、全国平均では実は三%程度になっているわけでありますけれども、上昇率全国一位から十位までに東京都千代田区の法人所有地が七カ所も入っているわけでありまして、先ほども自治大臣の方から答弁いただきましたけれども、先日も千代田区長がこうした問題の関連でお訪ねをしている経緯もあるわけでございますが、この七カ所の上昇率、実は二九・五%から二五・八%のベルトに位置しているわけであります。  具体的に変動率及び公示価格高順位一覧のリストによってこれを見ますと、全国一の上昇率は神田鍛冶町二丁目のある場所で、昨年の公示価格一平米当たり四百四十万円がことしは五百七十万円になっている、二九・五%のアップであります。これに次いで、同じく神田神保町三の一の六というところでは、同じく二百八十七万円が三百六十八万円、二八・二%の上昇率であります。このように最高二九・五%から第八位の麹町三の五の十五ですか、この二五・八%まで、上位八カ所のうち実に七カ所までが千代田区内になっているのが実情であります。  都心における地区にありましても同傾向が見られるわけでありますけれども、とりわけ千代田区ではこのように特殊性が極めて顕著であります。これらの土地を所有して、あるいは著しい進出を見せる法人ならいざ知らず、ビルの谷間で昔から一般住宅に居住する住民にとっては、このような固定資産税の高負担は極めて深刻な問題と言わざるを得ないわけであります。  この千代田区においては、区長を先頭に重要施策の柱として人口減少防止対策に取り組んでいるわけでありますけれども、住民が区内に住みたいと希望していながら、住みにくいと感じ、地区へ移転を余儀なくされる大きな理由の一つに、申し上げております固定資産税の超高負担感があることが一つ指摘をされているわけでございます。  こうした背景もいろいろございまして、千代田区における人口減少のこれまでの推移というものをたどってみますと、昭和二十年ごろ約十五万人でありましたものが、三十年代には約十万人、現在では五万八千人、こういう激減ぶりを見せているわけであります。こうした点も踏まえまして、申し上げたように、先日も自治大臣を直接訪ねてこうした事態打開のための要請を大臣に対してされたわけでありますけれども、このとき大臣は高い関心を示してくれたと私は聞いております。  そこで私は訴えたいわけでありますけれども政治、行政はもとより、商業、経済等の中枢機能が集中し、かつまた近年における社会的動向の中で特異なまでの地価上昇が進む千代田区等の地域については、現行の住宅用地に対する課税標準の特例措置の拡大など、固定資産税における負担軽減策をぜひ実施されるように要望するものであります。言いかえれば、郷土意識、定住志向とは全く別の、社会環境の変化により住民はその負担増を余儀なくされているわけでありまして、ぜひともこの点御検討を願いたい。  特に先ほどは、一般論としての問題、さらにこうした特殊な地域についての問題意識は持っておられるというお答えもございましたので、その点も踏まえながらお答え願いたい、このように思います。
  142. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほどちょっと言葉が足りませんでしたけれども、宅地用小規模の用地の軽減については既に特別措置が講ぜられておりまして、例えば価格の四分の一の特例を設ける、こういうような措置も講ぜられておりまして、固定資産税の基本的な性格を踏まえて、これから可能な限り配慮をしていきたいと思っております。  千代田区のことにつきましては、木内さんからも今お話がありましたように、区長から、単に税金の面ばかりでなくいろいろな面でお話を伺いまして、私も大変感銘を深くしたわけでございます。先ほども申し上げましたように、固定資産税の性格から見て、特定な地域だけにこれを限定して軽減措置を講ずる、例えばそういうことをするようなことはなかなかできませんので、この点は御理解をしていただきたい。  千代田区のような場合については、これは少し総合的に考えていかなければならないのではないかという感じを非常に深くしてまいりまして、固定資産税につきましては、重ねて申し上げますけれども木内さんの御提案は一つの有力な意見としてお伺いをいたしますけれども、今すぐ固定資産税の本来の性格を変えて、特定地域のみに軽減措置をするということは大変難しい問題でございますことを御理解していただきたいのでございます。
  143. 木内良明

    木内委員 大臣のお立場もよくわかるわけでありますけれども、基本的性格を踏まえて配慮を加えてまいりたい、あるいは総合的に考えていかなければならない。固定資産税のそうした性格づけはともかくとしまして、こうした地域についての特段の配慮があるいは行われるのではないかということを期待できる答弁であったと思うわけであります。  固定資産税の基本的な考え方について、きょうは本当に限られた時間でありますので踏み込んだ議論ができないのが残念でありますけれども、今大臣等の答弁がございましたように、固定資産そのものの有する価値に注目し、その固定資産を所有することに担税力を見出して、その価格に応じて一定税率をもって課税する物税である、これが政府考え方である。  企業、法人等による資本的財産としての土地所有は別として、通常の一般市民が居住を目的として所有をする住宅地は、いわば生存権的財産であって、この場合の土地所有は、他に売却することによって実現する取引価格、あるいはそれによって利益を得る、そうしたものとは全く別のものであります。売却を考えず、したがって、地価の上昇があっても居住する住宅地についてはその収益性は増大しないわけでありまして、このために評価額が引き上げられることは新たな検討が加えられなければならない、再検討を要するのではないか、このように思います。  こうした事態に対応して、現行の財産的価値のみに着目した評価方法など、固定資産税の基本的な考え方について、今も大臣から御答弁があったわけですけれども、新たな方向で検討すべきであると考えるわけでございますけれども、先ほど来の御答弁から一歩も出ないものでありましょうか。
  144. 関根則之

    ○関根政府委員 固定資産税は、御指摘をいただきましたように物税として考えておりますので、固定資産税だけを取り上げますと、それを所有している人の税負担力との関係が離れてしまうではないかという御意見は前からあるものでございます。  ただ問題は、固定資産税だけで税制上要請される要請をすべて満たすということは実際問題としてできないわけでございまして、税体系というのは、いろいろな税を組み合わせる、いわゆるタックスミックスによって、所要の財源も確保するし、かつ負担をする国民の間の負担の公平も保たれていく、そういう仕組みになっているわけでございます。そのうちの一つの税として固定資産税があるというふうに御理解をいただけるとありがたいと思うわけでございます。  御承知のように、固定資産税というのは非常に古い税でございまして、近代税制が出てくる前からあったと言っても過言ではないような税でございます。一定の資産を持っている場合に、資産を持っている人と持っていない人との差に着目いたしまして、一定の資産を持っている人に対しては、その資産の量あるいは価格に応じて比例的な税負担をお願いする、こういう仕組みになっているわけでございます。  したがって、確かに収益を生まないというような問題もあるわけでございますが、いわばその人の担税力に応じて累進構造を持った税率での税負担をお願いするというのは、別な所得税とか住民税とかそういうものにお願いせざるを得ない。ベースといたしまして、資産所有に対しまして、広く薄い、それだけの資産を持っておればまあまあ何とか負担能力があるではないか、そういう類椎を可能にする範囲内で固定資産税というものをお願いしているわけでございます。  そういった税でございますので、今までの基本的な考え方を踏み出したような、そういう固定資産税の性格変えなりあるいは運用を変えていくということは、実際問題としてなかなか難しいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  145. 木内良明

    木内委員 基本的にはこれまでの考え方の域を出ないわけでございますけれども、しかしながら、部分的に住民負担の軽減等を配慮してのいわば手直しというものも行われていいのではないか、このようにも思うわけです。  そうした観点から、例えば現行の単数税率のあり方から、使用目的別の複数の税率化ということも検討されてよいのではないか。この点いかがでしょう。
  146. 関根則之

    ○関根政府委員 本来ならば、固定資産税というのは原則として一定税率、すべての資産について一律にやるというのが大原則であろうと思います。しかし問題は、それだけでは実際に適合しない、負担が著しく重くなる分野が出てくるということで、先ほどお話がございましたように、国民にとりましての最低必要な居住用の財産、土地につきましては、これはやはり固定資産税の基本的な性格があるとはいえ、配慮をする必要があるということで、全般的には住宅用地については原則として二分の一、そのうちやや小規模な、どちらかといいますと日常生活に必要不可欠であると思われる部分については四分の一というような制度を既にとっておるわけでございます。  そういう制度が、固定資産税の本来の基本的性格を踏まえて考えた場合に、私どもとしてはとり得るぎりぎり限界の、可能な限りの措置ではなかろうかというふうに考えておりますので、今までとっております特例措置以上にこれをさらに拡大していくということにつきましては、やはり直ちにそういう方向に向いていくということは非常に難しいのではなかろうかというふうに考えております。  ただ問題は、評価水準等の問題も当然税負担との兼ね合いで問題になってまいります。一方では、評価水準が低過ぎるではないかというような御意見も厳しくあるわけでございますけれども、現在土地の公示価格に比べまして大体三割程度の評価水準にしかなっておりません。こういうようなものを一挙に上げろというような意見もありますけれども、税負担との兼ね合いを考えながらその辺のところは十分に配慮していきたいというふうに考えております。
  147. 木内良明

    木内委員 これは何度お聞きしても同じことだと思いますけれども、特に宅地等についての特例措置、この領域の拡大を行うことはできないというお話、答弁としてはわかりました。何回も申し上げるように、先ほど、税制の領域からあるいは一歩踏み出して総合的に考えていかなければならない、配慮を加えてまいりたいという大臣答弁もございますので、その点も踏まえながら、一般的ないわゆる宅地という事情に加えて、特殊な地域についての特段の配慮を願いたい、このことはぜひ訴えておきたいと思います。  私ども公明党は、従来から、生活に必要な一定規模以下の宅地や建物については課税の対象とすべきではないということを主張してまいりました。特に、先ほども申し上げました住宅については、これはもう生存権的財産であって、これはぜひ課税対象から外すべきであるということを長年主張を続けてきております。現在住宅用地については二分の一課税が行われ、さらには二脚以下の住宅用地については今言われた四分の一課税の軽減措置が講じられているわけですけれども、これを一歩前進させて、住宅用地やさらに中小零細企業あるいは個人商店、こうした営業用の土地であって一定面積以下のものについては非課税とすべきである、このことを訴えたいのです。それが一点。  それから、東京都が昭和五十年ごろ提起しておりました固定資産税の不均一課税、すなわち、事業用地に対する固定資産税を時価課税として増収措置を講じて、同時に住宅用地等についての税負担が激増しないようにする措置について、今この時期で再検討してみる必要があると思うのでありますけれども、その点いかがでしょうか。以上二点申し上げました。  時間の関係で結諭から先に申しますと、固定資産税の超高負担感というものが一つは大きな理由となって人口減少につながり、ひいてはこの人口減少が地方自治体存立基盤に重大な影響を与えつつあるという事実があるわけでございまして、今後、この問題については重大な認識に立って取り組んでいただきたいと思いますし、また、大臣からもきょうは予想以上の前向きの答弁が出たということで私は大変に満足しているわけでありまして、この問題、さらに今後引き続いてかかわっていきたい、こういうふうにも思っております。  先ほど来局長答弁を聞いておりますと、非常に御丁寧で長いものですから、先に質疑と締めくくりの発言をさせていただいて、答弁をいただきたい。
  148. 関根則之

    ○関根政府委員 一定面積以下のものに対して非課税措置を講じたらどうかということでございますが、この問題も、繰り返すようでございますが、やはり広く薄くまんべんなく、固定資産を所有している方に税負担をお願いするという思想から、なかなか難しい話です。  ただ問題は、零細負担というものを排除しなければいけませんので免税点制度というものがあるわけでございます。この免税点の制度についてやはり改善を要すべきであるという意見もございます。そういった問題につきましては、私どもも真剣に対応をしていかなければいけない課題であろうというふうに考えます。  また、不均一課税につきましては、これは従来から問題のあるところでございますし、東京都がかつてそういう提案をなさったことがございますが、これをやり出しますと、やはり事業用の資産だけに特に重い固定資産税負担というものがかかってくる可能性もなきにしもあらず、固定資産税の性格にもいろいろ基本的な影響を及ぼす問題でございますので、私どもとしては、不均一課税は御勘弁をいただきたい課題であるというふうに考えております。
  149. 木内良明

    木内委員 終わります。
  150. 大石千八

    大石委員長 宮崎角治君。
  151. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 午前中からのそれぞれの一般質問の中で、特に私が今回お尋ねしたいことは、地方財政の問題でございます。  地方財政をめぐる諸問題が、国と地方との間でかなりの乖離といいますか、いろいろなギャップといいますか、種々食い違いが出ているようでございますけれども、今回、六十年度の予算の編成に当たりまして、非常に地方への転嫁という問題が大きくクローズアップしてきているのではないか。  また、午前中よりの各委員質問の中で、六月六日にですか行われました行革に関する審議会の中の六十年度の予算編成における問題等の中から、非常に危惧する面があるようでございます。例えば、国は行革を通しこれだけの節減をしてきた、にもかかわらず二兆円のこういった財源不足というものがある。いろいろなやりくりをしながら一兆円、その一兆円を浮かすためにかくかくしかじかの問題について対処しているというような一面もあるようでございますけれども、今日の地方財政についての大蔵省なり自治省なりの御見解を、まず最初にお伺いしたいと思うわけでございます。
  152. 石原信雄

    石原政府委員 六十年度の予算編成に関連いたしまして、一部の新聞等で補助率の一律引き下げ等が報じられております。これらについて、財政当局から正式にそのような提案があったわけではありません。しかし、行革審の場を初めといたしまして、一部に、地方財政現状に対する認識が必ずしも私どもの見方と違ったものをもって、それを根拠にして地方への負担転嫁につながるような論議が行われている節があります。  私どもは、基本的に、六十年度の予算編成考える場合に忘れてはならないことは、国の財政が、中期展望で示されておりますように四兆円近い要調整額を生ずる、同様に、地方財政においても、国と同じ前提に立って試算をしてみた場合に一兆五千億を超える要調整額が生ずる、国も地方もともに財源不足の状態が見込まれているわけでありますから、国の予算の編成における財政難を理由に地方に負担を転嫁していいというものでない、地方がその転嫁を受け入れられるような状況にはない、このように考えております。
  153. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 先ほどちょっと申し上げました、これは大蔵省の見解を聞きたいと思うわけでありますが、六十年度二兆円の財源不足ということ、それのやりくりによっても一兆円どうしても不足になってくるんだ、その歳入欠陥を補てんするために地方へ大きな負担というものを転嫁していくのではないかという予想といいますか、そういったのが仄聞の中ではっきりしてきているわけでありますけれども、これについての大蔵省の見解はいかがでしょうか。
  154. 藤井威

    ○藤井説明員 御質問の、六十年度の予算の編成でございますけれども、まだ具体的な作業はもちろん何も行われておりません。ただ、一般論といたしまして、国、地方を通じて、公共部門全体として非常に厳しい状況にあるということを前提にして、行財政だとどんなことまでやるべきかといういわば守備範囲、そういうものを見直していく、基本的に制度、施策の合理化を進めていく、あるいは国と地方という立場に立ては、車の両輪として中期的な観点に立って国と地方の役割分担の見直し、費用負担のあり方等を見直して、全体として合理化、効率化をしていきたい、そういう態度はもちろん引き続き堅持していきたいというのが基本でございます。ただ、具体的にはもちろんまだ、どういうことをやるかということについての検討は全然行われておりません。  したがいまして、我々の基本方針としまして、国と地方の間の費用負担のあり方の見直しということが仮に行われるとしましても、制度、施策についての幅広い検討の上に立って行ってまいりたい。単なる負担転嫁というふうにはするつもりはございません。
  155. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 国と地方とのいわゆる費用の分担、負担区分の明確化というものを挙げられたわけでありますが、特に公共事業補助率、いわゆる率のダウン、引き下げ率の問題とか、あるいは国民健康保険の助成費に地方負担を導入していくという問題とか、それから生活保護費に係ります地方負担のアップの問題、あるいは地方交付税特例加算の全面カット、こういったものがやはり大きく浮上してくるのではないかと思うわけでありますけれども、この辺についても、具体的な問題の審議といいますか、方向づけといいますか、あるいは今あなたがおっしゃった国と地方との負担区分の問題については、まだ何も進めていないというのか、あらあら国に対してあなたの方からいろいろな話し合いを通して方向づけというものもしていないのかどうなのか、この四点についてひとつお伺いしたいと思うわけであります。
  156. 藤井威

    ○藤井説明員 先ほど申しましたように、基本的な財政改革の進め方という点については、大蔵省主計局内部で、全体としてその方針に沿ってどんなことがあるかというような検討は、もちろん内部では当然行われておるわけでございます。もちろん、各省との折衝要求を受けての上での話でございますが、具体的な検討課題というところまで、具体的問題について進んでいるという事実は全くございません。したがいまして、先生が今御指摘になりました公共事業の問題とかあるいは社会保障の問題とか、一部新聞等で報道されたことは私たちも承知しておりますけれども、そこまで踏み込んで具体的な検討の態勢に入っておるということではございません。  それから、特例加算あるいは特例減算——今度の特例措置の法律を制定していただきましたが、六十年度どうするかという点につきましても、地方財政収支というものをくみ上げ、検討し、その結果として六十年度の地方財政対策の一環として決定されていくという基本的なものでございますから、こういうふうにしていくというような方針が内部で検討されておるということもございません。
  157. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 この委員会で、ことしの四月二十日でございましたか、大蔵大臣お見えのときにいろいろと質疑応答が交わされた中で、特に財政上、予算編成に参考になるのはやはりこういった議論である、こういった国会での議論予算編成上大きなポイントになるんだというようなお話もあったようであります。そういった意味から、何もまだ進めでないような話でありますけれども、この辺について若干具体的に例を挙げてお尋ねしたいのです。  公共事業というのは国の景気浮揚策の一環である。その公共事業問題について、今政府並びに自民党内でも大変な問題が浮上し、いろいろな話題を呼んでいるのもまた事実でありますけれども、この景気浮揚策の一環として、地方財政負担能力ぎりぎりのところまで推進してきたわけであります。国において景気浮揚策としての公共事業の推進がもはや不要であるというような政策転換をすればいざ知らず、公共事業はもっとやるべきだ。これまでの国と地方の負担割合がおかしかったから補助率引き下げようとしているのか、こういった問題について、私は、今の答弁責任逃れ以外の何物でもないような感じがしてならないわけであります。今後、地方としても公共事業を返上せざるを得ないような状況が起こってくるのではないかという危惧もするのでありますけれども、この辺についての、国の明快な所見、所信をひとつお伺いをしたいと思うわけであります。
  158. 藤井威

    ○藤井説明員 公共事業の景気、経済に対する効果について、大蔵省としてもどういう考え方を持っておるかという御質問だと思いますが、五十九年度については、少なくとも現在の財政状況から見て、景気に対して積極的な効果を及ぼすような公共事業政策を財政的に展開していくことについては、かなり困難な面があるという基本的な認識から現在の五十九年度予算ができ上がっておるわけでございます。  六十年度についてどうするか。我々としましては、依然として財政状況は非常に厳しい状況であることは全然変わっておらないわけでございますので、公共事業の経済に対する景気刺激効果というか景気浮揚効果というか、そういうことをフルに活用していくという点についてはどうしても消極的にならざるを得ない面があるわけでございます。非常に厳しい財政状況を控えて、また、我々としましても、厳しい概算要求枠というようなものをことしもまた設定していかざるを得ないのではないかというような内部検討は、外部とはまだやっておりませんけれども、進めております。  その過程で、来年の概算要求が決定以降十二月にかけて、公共事業の予算のあり方は、経済状況等も見ながら検討していくべき課題でございまして、また責任逃れと言われるかもしれませんけれども現状では、申し上げられるような、あるいはお話しできるような決定された政策というものはないというのが実情でございます。
  159. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 まだ納得できないあやふやな答弁で、大変苦慮の答弁のような感じがしてならないわけであります。  次に、国民健康保険の助成金の問題でございますけれども、これは現在、全額国庫補助でございますが、こういった国保制度は、元来国の最も基本的な厚生施策の一つであると思うわけであります。この巨額の赤字も、現在の国保制度及び医療制度のあり方そのものに大きな問題があると思うわけでございますけれども、こういった問題がある制度をどうするかという論議はそちらにおきまして、非常に財政が圧迫され苦しいために、助成金を一部地方負担させるというのは少し安易な考えがあるような感じがするのであります。なぜならば、これは後でまた自治省の方にもお伺いしたいのでありますけれども、地財法第二条二項に抵触する問題もあるようでございまして、こういった問題について安易に——大蔵省としても、地方財政の問題、国と地方との費用の区分の問題、あるいはまた法律に載っている地方転嫁の禁止の問題等ともあわせまして、どのような方針なのか、再度答弁を求めたいのであります。
  160. 藤井威

    ○藤井説明員 国民健康保険の国庫補助金に関する今後の方針ということでございますが、まさにこの問題は現在法案の審議の真っ最中でございます。六十年度以降これをどうしていくかというのは、これこそまさに全くの検討課題ということで、何ら政策的な決定が行われているわけではございません。ただ、先ほど申しましたような国と地方の役割分担あるいは費用負担の問題、それの一環としての根本的な見直しという基本的な方策の中で全体を考えていく中で処理していくべき問題だとは思います。  ただ、基本的には、第一次的には、国民健康保険の国庫補助金といいますのは、国、地方の間の費用負担の問題というよりも、むしろ国が保険財政の中にどこまで関与していくべきか、こういう問題であろうかと思っております。
  161. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 非常に安易に問題を浮上させ、そしてまた、地方転嫁ということを絶対してはならないという強い要望をしておきたいと思うわけであります。  それから、自治省の方にお伺いしたいのでありますけれども地方交付税特例加算であります。これは御承知のように、五十九年は一千七百六十億円を全面カットする、この点は全くひどいと言わざるを得ないわけであります。交付税法の六条の三でいきますと、財源不足が続く場合は税率の三二%の変更を行ってその不足を補てんしなければいけない、こういったように明記されているのでありますけれども、四十一年以来、率のアップが行われないで、それにかわる措置として、いわゆる交付税特別会計の借り入れによって交付税の総額を何とか確保しよう、そういったやり方をとってきたのであります。しかし、五十九年度はこの方法さえも廃止して、いわゆる特例措置のみに一本化したばかりであります。  この特例措置の中身でありますが、ほとんどは、これまでの税制改正をめぐるいろいろないきさつの中から国が義務的に負担すべきもの、その負担すべきものという整理がなされたものばかりで、これを全面カットするという考え方がどのような根拠のもとに打ち出されたのか、もう一度自治省の御見解お尋ねしておきたいと思っております。  非常に理解に苦しみますので、いろいろな問題があるわけでありますが、今日、地方と国との約束の中に一切これをほごにするというならばともかくも、この辺の一千七百六十億、利差臨時とか財対臨時、あるいはまたいろいろな離島、僻地におけるいわゆるかさ上げの分のカット、こういったものを合わせまして大体千四百六十億ぐらいになるわけでありますが、あと残りの分も六十六年、六十七年にわたって百五十億ずつ払わなくてはいけない、もらいっ放しにはならない。いろいろな問題があるわけでございますけれども、今申し上げましたこういった千七百六十億の特例加算、地方との約束の問題等ともあわせまして、自治省の明快な答弁を求めたいのであります。
  162. 石原信雄

    石原政府委員 六十年度以降の交付税制度の運用につきましては、先般御承認賜りました地方交付税法の一部改正による新たな特殊措置法式を発動することによって必要な地方交付税の安定確保を図っていかなければならない、このように考えております。そこで、六十年度以降各年度の地方交付税の額を決定する前提としてどのような特例措置を講ずべきかについては、各年度の地方財政状況に即して具体的には法律で定めることになっております。その際、これまで自治大臣と大蔵大臣との間で交わされております約束、具体的には、いわゆる利差臨時あるいは地域特例臨特等の扱いにつきましては、これは各年度の具体的な金額も決まっておりますので、特例措置の内容決定の際には、当然過去の約束に基づく金額というものはカウントされるべきものというふうに考えております。
  163. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 非常に時間が迫ってまいりましたが、次の項目としてお尋ねしたいのは、時あたかも、六十年度の予算の編成期に当たって出てきた問題でありますし、先般非常にニュースでも出てきたわけでありますが、運転免許税についてお尋ねしたいのであります。  五十八年、五十九年と二カ年続けてきたこの問題でありますけれども、いわゆる所得税減税の穴埋めのための財源として出てきたという経緯があるようでございます。地方税として税制改正のときに出てきたということでございますけれども、この運転免許税、もう自治大臣の顔まで出まして、まさに来年度はこれを創設していくんだ、しかも金額まで「千五百億円増収見込む」、極めてびっくりするようなことが書いてある。私は、二月二十八日の本会議でこの問題についても申し上げましたときに、賛否両論がある、今後検討していく問題だということの、大臣答弁に言質があるわけであります。  一つは、五千万人の免許保有者のうちに、学生とか低所得者とかそういう所得のない人とかがおるわけでありますが、その人たちが大体どれくらいおるのか、何千万おるのか。であるのに、所得税減税の財源として所得のない人とか低所得者の方々に税を負担をさせるというのは、ちょっとおかしいような感じがする。担税力のある人の減税のために、担税力のない人から取るというのはちょっと不合理ではないかという点もあるわけでありますが、この辺について明快な所信をひとつ伺いたい。
  164. 関根則之

    ○関根政府委員 自動車運転免許税につきましては、御指摘をいただきましたように、住民税の減税の財源を検討する際の一項目として、私どもも検討させていただきましたし、政府の税制調査会におきましても御検討をお願いしたわけでございます。ただ、現実の結論といたしましては、五十九年度の税制改正にそれをのせないということで決着を見たところでございます。  その基本的な検討の過程でいろいろ議論が出てきたわけでございますけれども、運転免許税というのは、どういうふうに構成するかはいろいろ難しい問題がございまして議論が分かれるところではございますが、どちらかといいますと、応益税的なものとして検討をすべきものではないかというふうに税理論としては考えております。したがって、そうなりますと、いわば所得課税のようなものとちょっと違いまして、その人が現実の所得があるのかないのかということと直接関連をさせて構成する税というふうには考えていないわけでございます。  もちろん税であります以上、当然具体的な税負担を求められる人の担税力というものは必要となってくると思いますが、その担税力というのは、ただ単に直接所得と結びつく必要は必ずしもない。先ほど御議論いただきましたような固定資産税等につきましても、一定の推定のもとに担税力を推定いたしまして御負担をお願いするということでございますので、そういう面から、果たして運転免許を取得した人に対して担税力があるのかないのか、私ども直ちに結論を出しているわけではございませんで、今後具体的な何か検討が行われる場合には、そういうものも含めて検討されるべき問題というふうに考えております。
  165. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 応益税的性格があるというようなことでございますが、車の保有者は重量税など多額の税金を払っているわけです。年に約十四万円くらいですか、あるいは三三ナンバーで六千ccが十四万八千五百円とか、いろいろな税を払っている。その上にさらに免許税をかけるというのは、車の利用を想定している免許保有者にとって二重課税になるのではないか。今、応益税的ニュアンスというお話がございましたけれども、免許を取って利益というものは直接にはないのです。ドクターとか弁護士などと違って、直接職業には関係しないのです。今後、こういった徴収の方法とかという問題もあろうかと思うわけでありますが、この辺について、もう少しこういった方々の身になって、取らないことを検討していただきたい、こういう要望をしておきます。  昨年が山陰、一昨年は我がふるさと長崎で二百九十九名、あの集中豪雨によって、まだ四名遺骨が上がっていませんけれども、熊本の五木村でけさほど十七名が埋没し、今消防隊初め救出作業に入って、けさの八時ごろまでに二名の方が出されたやに承っておるわけであります。極めて胸痛む問題であります。梅雨前線の停滞あるいは南下、あるいはまた気象台の長期予報からすれば、ことしもまた非常に雨が多いということを発表している中で、本日こういった時間に、今なお遺族を初め、現地で発掘作業が行われているということを考えてみたときに、閣僚の一人として人情味厚い田川自治大臣は、本当にこの辺で早急に、所管は国土庁であるか何かわかりませんけれども、救援、救出、援護対策等の対応策について十分考えていかねばならぬ問題ではないかと思いますけれども、この点についての大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  166. 田川誠一

    田川国務大臣 五木村のかけ崩れによる死亡者、刻一刻私のもとにも報告が来ておりますが、大変残念なことでございまして、また、犠牲になられた方々に対して何と申し上げていいかわからない心境でございます。  こうした災害につきましては、何といいましても、こういうことが起こらないように万全の策を講じていかなければならない。こういう事件が起こるたびに、治山治水、国土の保全事業をさらに全うするような対策を打ち立てていかなければならないということを痛切に考えております。  また、私の所管事項といたしましては、一たん起こったならば、できるだけ早く救出作業をしなければなりません。既に消防庁では、この梅雨季に際しまして各地方に対しまして災害予防対策に万全を期するようにというような通達も出しておりましたが、不幸にしてこういう事件が起こりました。私も、国会のお許しが得られれば飛んでいきたい気持ちでございますが、今後もこうした事件が再び起こらないように、また起こった事件に対しては万全を期して救出に力を注いでいくように、心を引締めている次第でございます。
  167. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 よろしくお願いしまして、私の質問を終わります。
  168. 大石千八

  169. 藤原信吉

    藤原委員 現在、国、地方とも来年の三月三十一日に定年制が実施をされるということになっておるわけですが、地方公務員にこれを実際に適用するためには、それぞれの団体において定年制の改正の条例をつくらなければならぬということになるわけでございます。  ところが、その条例の制定状況というものが、既に余すところ九カ月ということになっておりまするが、必ずしも順調に進んでいないのではないか、かように考えられる節もあるわけでございまするが、その制定が順調にいかない原因、また今後の見通し等について、この機会にお伺いをしておきたいと存じます。
  170. 中島忠能

    ○中島政府委員 ことしの三月三十一日現在で申し上げますと、都道府県では三十七団体、市町村では二千三百二十八団体が制定しております。率で申し上げますと七一・一%ということになっておりますが、まあ三〇%近いところが制定しておりません。どういう理由で制定されていないのかということなんですが、主として、単純労務職員、守衛さんとか用務員とか電話交換手とか、そういう方を普通単純労務職員と呼んでおるのですが、そういう方に係る定年が六十三歳と六十歳に分かれるものですから、そのことに関しまして労働団体との間で話がつかずにおるというのが一番大きな理由だと思いますが、それ以外にも、定年制の条例を制定することをきっかけにいたしまして給与面における合理化も進めようというところがございますので、そういう問題も絡んでおくれているというのが実情だと思います。  いずれにいたしましても、先ほど先生がお話しになられましたように、来年の三月三十一日にはすべての地方団体で条例が制定されておらなければなりませんので、私たちは、もうすぐ議会がほとんどの地方団体で終わりますけれども、この六月議会に向けて条例を制定するようにということで、ことしの春ごろから強力に指導しておるのでありますが、非常に多くの団体がこの六月議会を契機に条例を制定するのじゃないかというふうに今のところ見ております。
  171. 藤原信吉

    藤原委員 自治省としては、来年の三月三十一日には予定どおり、問題点も少々あるけれども、見通しとしてはつく、こういう自信のほどでよろしゅうございましょうか。
  172. 中島忠能

    ○中島政府委員 法律は来年の三月三十一日にすべての地方団体が定年制条例を制定していることを予定しておりますので、その法の建前に従ってすべての地方団体が条例を制定するように、私たちは強力に指導していかなければならないというふうに考えております。
  173. 藤原信吉

    藤原委員 これはひとつ、御苦労でもせっかくの努力を期待をいたしておきます。  それから次は、高退職金の問題につきましてはかねてから是正を要望してきたところでございますが、自治省は今までどのような方法で是正をしてきたか。高給与についてはラスパイレス一一五以上という明確な基準もとに個別指導がされておるわけでありまするが、高退職金はどのようになっておるのか、この機会に伺っておきたいと存じます。  それから、定年制の実施とあわせてこの際一定の基準をつくり、その基準を上回るものは計画的にこれを引き下げるような強力な個別指導が必要だというように考えられるわけでありまするけれども、このことにつきましてもあわせ御答弁をいただきとう存じます。
  174. 中島忠能

    ○中島政府委員 退職手当に関する是正につきましては、今先生がお話しになられましたと同じ認識を持って私たちは地方団体を指導しております。具体的に申し上げますと、国よりも高い支給率を定めておる地方団体につきましては、一部の団体につきましては私たちが直接、市町村につきましてはその大半を県を通じて現在指導しております。給与につきましては百五十三団体を選んで指導しておりますが、退職手当につきましても個別に指導しております。したがいまして、地方公共団体、少なくとも年に四回の議会が開かれますけれども、その四回の議会それぞれにおきまして、非常に多くの地方団体が退職手当の是正というものをそのたびにやっておるというのが今の実情だというふうに思います。  私たちは、非常に多くの方からこの問題は指摘されておりますので、少なくとも先ほど御質問になられました来年の三月三十一日に定年制条例というのができるから、定年制というものが施行されることをきっかけにいたしまして、退職手当の支給率も国並みに引き下げるようにこれからも指導を続けていかなければならないという認識でございます。よろしくお願いいたします。
  175. 藤原信吉

    藤原委員 五十八年度の地方公務員の給与改定につきましては、国家公務員並みの約二%として指導がなされてまいったわけでありますが、これより上回った東京都などに対してもいろいろの処置が行われたわけでございますが、これを上回る団体は幾つあったのか、また、これらに対しましてどのような財政処置を講じたのか、これらのことについても具体的に今までの経過について御説明をいただきとう存じます。
  176. 中島忠能

    ○中島政府委員 五十八年度の地方公務員の給与改定につきましては、いろいろ御心配もいただき、また御指導もいただいたところでございますが、国の改定率二・〇三を上回る率で改定したというところを、私たちはすべての都道府県、すべての市町村というものを現在ヒアリングをして把握中でございますけれども、現在はっきりわかっておるのは、都道府県では東京都、そして市区町村では東京の二十三区というのが国の改定率を上回ったということでございます。  ただ、給与改定というのは、給料表の改定以外に実は手当の改定というのもございます。例えて言いますと、通勤手当というものも改定いたしますけれども、国の場合と地方の場合と必ずしもその手当の改定というのがぴったり同じでなければならないかというと、非常に難しい問題も実はございます。したがいまして、そういう手当の改定率まで入れると国の改定率を上回るところが少しは出てくるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、現在精査中でございます。  なお、どういうような財政措置を講じたかということでございますが、これはかっても御報告申し上げましたけれども、東京都につきましては、一般単独事業債を中心にいたしまして、五十八年度で四百四十五億、特別区につきましては、同じように起債で五億円という抑制措置が講じられたというところでございます。
  177. 藤原信吉

    藤原委員 次に進んでまいりたいと思います。  実は、国、地方を通じて行革を行わなければならぬということで、中曽根内閣も行革を推進するということでせっかくの努力をしておるところでございますが、これは国民が見て十分か不十分かという評価はそれぞれあろうかと存じます。しかしながら、これからいよいよ本番を迎えるわけでございますが、行革審の地方行革推進小委の報告書の骨子によりますと、一つは病院、下水道、清掃、給食事業などの民間委託、第二には地方公務員の定数削減、第三には地方公務員の給与抑制、第四には類似公共施設の設置、管理運営の統合化、第五には地方議会定数議員報酬の抑制というようなことで、五つにわたる項目の報告書の骨子が示されておるのでありますが、これに関連をいたしまして、ひとつ行管庁から具体的に御説明をいただきとう存じます。
  178. 田中基介

    ○田中説明員 現在行革審に置かれております地方行革推進小委員会、これは基本的な考え方といたしまして、行政の大きな部分を占めております地方行政についても改革を進める必要があるという基本的な考え方に立ちまして、一つは地方行革を推進するに障害となっております国の介入でありますとか関与でありますとか、こういうものは極力廃止し、緩和するというような是正が図られるべきではないかということが一つ。それからもう一つは、地方公共団体自身の自主的な努力による改革を推進する、この自主的な取り組みに対して指導援助を行う、こういう二つの観点から審議を進めておりまして、主な検討項目といたしましては、ただいまも若干お話がございましたが、地方公務員の定員の関係、給与あるいは退職手当の関係、それから民間委託等事業運営の問題、それから会館だとかそういう施設の設置、管理運営等の問題について、いろいろなところからヒアリングを行ったり、あるいは意見を聞いたりしながら現在審議を進めておる、そういう状況でございます。
  179. 藤原信吉

    藤原委員 今伺うと、これから具体的に、国の介入の排除とか地方自治体の自主的な改革への取り組み方というものを協議しておられるようなお話でございましたが、こういう五項目にわたる基本方針が示されておるのですから、項目別に一つの方針というのはあるのではないかと思われるのですが、その辺はどうですか。
  180. 田中基介

    ○田中説明員 基本的な方針と申しますと、先ほど申し上げましたように、国で地方行革を妨げている部分はできるだけ緩和、是正をするということ、それから地方団体独自で努力をすべきところは地方団体独自で努力をしていただく、その二つが基本的な考え方だと思います。
  181. 藤原信吉

    藤原委員 聞くところによると、行革審は、国の六十年度の予算概算要求に関連して、国と地方の財源配分の見直しを行い、その一環として国の地方に対する補助金の補助率を一律カットすることを提言する予定と伝えられておるわけでありまするが、これは事実であるかどうかというのが一つ。  それから、国の補助金は、法律に基づき国と地方の負担区分に応じて支出されているものであって、単に国の財政が苦しいからという理由で補助率引き下げたり、またその分を地方団体に負担させるというのでは、国と地方間の財政秩序を崩壊させるものではないか、このように思われるわけであります。既に全国知事会等におきましても、これは地方財政の厳しい現状を無視し、地方団体に一方的に負担を転嫁しようとするものであって、このような措置は絶対にとらないようにということで、政府に対してきつい申し入れをしておるというふうに伺っておるわけでありまするが、行革審はこれらの申し入れ、先ほど申し上げたこと等についてどのように対応しようとしておられるか、この機会に伺っておきたいと存じます。
  182. 新村淳一

    ○新村説明員 お答えします。  行革審は五月七日に、行政管理庁長官の方から、六十年度におきまして引き続いて「増税なき財政再建」の基本方針を堅持して行財政の改革というものを進めていく方策はどうしたらいいのか、それを考えて早急に意見を出してほしい、こういう要請を受けたわけであります。それを受けまして、行革審におきましては六十年度の行財政改革小委員会、こういうものをつくりまして、五月十五日でございますか、そこからかなりハイペースでいろいろ勉強をしてきているという状況でございます。  いずれにいたしましても、臨調の答申を踏まえて六十年度の「増税なき財政再建」というものをどうしたらいいのだろう、そういう観点から幅広い検討を現在行っている最中でございます。ただいままだ小委員会での審議中という状況でございまして、提言の内容、そういったものは固まっていないという状況でございます。  今後の運びでございますが、七月二十五日前後でございますね、そこで行革審議会の方から審議会としての意見が提出できるように小委員会の審議を進めていって、審議会での御議論を経て意見の提出になっていくのかな、そういうような状況でございます。  それから、全国知事会からの要望書のお話でございますが、私ども事務局もそういう要望が出ているということは承知しております。近く知事会などの方々が行革審議会の方にお見えになりまして、いろいろ御意見を交換する機会があると聞いておりますので、その機会に知事会の方の御意見の趣旨、これもよく承って全体としていろいろ考えていくということになるのかな、そういうふうに考えております。  何分まだ固まっていない状況でございますので、先生にどうだと言われてまだお答えできない状況でございますので、御容赦をいただきたいと思います。
  183. 藤原信吉

    藤原委員 今の答弁で、小委員会としては固まってないということでございますが、これは私どもが察知をしたあれによりましても、今のお話もございますけれども、これに関連をいたしまして、行革審としては、補助率引き下げに伴う負担増に耐え切れない地方団体、いわゆる財政的に強い団体と弱い団体があるわけでございますが、そういう負担増に耐え切れない地方団体に対しまして、地方交付税を傾斜配分をすればよいとしておる意見もあるということが伝えられておるのでありますけれども地方交付税をこのような形で配分することは、制度本来の性格に反するものではないか、かように考えるわけでございますが、この点につきましては自治省の方からお答えをいただきたいと思います。
  184. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま御指摘がありました点でありますが、行革審の方で具体的にどういう補助金制度の改正が検討され、また、それとの関連においてどういう形で地方交付税による補てん措置論議しておられるのか、私ども全く聞いていないわけであります。  ただ、一般的に申し上げられますことは、御案内のように、地方交付税制度は、現在の法令を前提にいたしまして都道府県、市町村が実施しなければならない事務をそれぞれ円滑に実行できるように財源的な裏打ちを行う制度であります。そして、その過程におきまして地域財政力の格差というものを調整するように運用されているわけでありますが、今回の、伝えられるような補助金制度の切り込みとの関連において交付税制度を利用するというのはどういうことを意味しているのか、内容がつまびらかでありませんので、私からそれについての論評がちょっとできないのが実情でございます。  ただ、いずれにしても、交付税制度は地方の共有財源としてすべての地方団体財政力を調整して一定水準の行政ができるようにする制度でありますから、この基本線は崩してはならないと思っております。
  185. 藤原信吉

    藤原委員 引き続きまして質問をいたしたいと思います。  さらに行革審は、地方団体の職員定数削減を求め、特に警察消防、教育については現状凍結を提言すると伝えられておるところでございます。確かにこれら部門の職員数は、他の部門での増加は見られなくなっておるわけでありますけれども、この部門では一貫して増加をしておる現状でございます。しかし、これらは因の設置基準に基づくもので、また行政サービスの向上のためにやむを得ないことでもあるわけであります。  私はこの定数削減を求める方向について反対ではございませんけれども、先ほど来、消防行政につきましても話があったわけでありますが、「消防力の基準」から見ましても全く十分でないような現状でございます。しかも大震災の火災対策上から見ましても、行政上最低限必要なものが確保されなければならないのではないかというような感じがいたします。したがいまして、人員の少ないところは機械化で、代替でということも考えられますけれども、しかし、この消防という職務の性質上、おのずから限度のあるものだというように思います。  国民の生命や財産に関する行政分野は特に特別の配慮をすべきだというように考えるわけでありまして、このことを行管庁においても御配慮をしていただきたいと思いますけれども消防庁としては、この現状というものを十分理解をせしめるような説明をし、そして理解を求めるような行動を起こすべきだと思います。消防庁の考え方をこの機会に伺っておきたいと思います。
  186. 坂弘二

    ○坂政府委員 消防職員の定数管理の問題でございますが、小委員会がどのような結論を出しますかはまだ我々承知いたしておりませんが、去る五月二十九日に地方行革推進小委員会におきまして消防庁としての意見を求められております。  現在の行財政をめぐる情勢は厳しいものでございますので、我々消防部門といたしましても、人員の効率的配置等、消防行政の簡素合理化を図ることが必要であることはもちろんでございます。  しかし、もともと、「消防力の基準」から見ましても、今消防職員の充足率が八割をちょっと切っておるような状態でございますし、また、近年都市化の進展に伴いまして人口、市街地が増加し、そして高層建築物がふえている。これは九年間に三倍以上ふえておりますし、また危険物施設も現在六十万件もある、あるいはコンビナート等が増加しておるというようなことがございます。また、救急業務も年間二百万件以上とか、あるいは予防に対する需要が非常に増加しておりますので、これらのことを具体的に数字を挙げまして御説明を申し上げ、そして国民の生命、財産、身体を火災等から守るためには、引き続き消防力の充実強化を図っていく必要があるということを御説明し、小委員会の委員の皆様方の御理解を求めているところであります。
  187. 藤原信吉

    藤原委員 ぜひ理解を求めるように、ひとつ努力をしてほしいと思います。  行管庁の方々、どうぞお引き取りをいただいて結構でございます。ありがとうございました。  これは田川大臣にお伺いをいたしたいのですが、自民党の幹部の中には、六十年度の予算のシーリングに関連をいたしまして、今まで五年間連続の公共事業抑制に反対し、公共事業抑制は景気を冷やし、さらに税収を落ち込ませ、財政の一層の緊縮を招くという悪循環を生ずるものだから、六十年度には公共事業の増量を図るべきだという主張をする向きがあるように聞き及んでおります。  経済企画庁の試算によれば、公共投資の乗数効果は、初年度で一・二七、二年度で二・二五で、かねて民社党も主張しておりますように、公共事業増加による拡大均衡型経済運営の有効性が認められておる証左であるというように思います。  伝えられているところによれば、公共事業の増加は、同じく公共事業補助金の補助率引き下げ、その分を地方団体に負担してもらって実現をしようとする構想だと言われておるわけでございます。もしもこのような措置をするといたしますと、地方団体の単独事業の実施を困難にし、財政的にも大変困窮な状態にするわけでございまして、これは地方自治発展のためにも当然認められないことだというように思います。  また、六十年度予算編成に関連をいたしました行革審の動きを見ておりましても、地方自治制度や運営の実態を無視した提言が何か出されるのではないかという可能性もございます。  国予算編成の基本は、十二月ではなく、むしろ概算要求額の決定の段階で決まってしまうように変化をしておるように思われるわけでありまして、七月早々にもう来年度予算の準備、あるいは基本的な考え方の骨子をまとめる段階に来るのではないかと思われます。  聞くところによると、自由民主党と新自由クラブとの間では首脳会議が開かれるというようなことも承っておりますし、私は地方の三千三百の団体が田川大臣に期待するところ、まさに大と言わざるを得ないわけでありまして、民主主義の根幹である地方自治を守るという立場に立ちまして、いわゆる六カ月の連立の成果を踏まえながら、地方自治発展という一つの大きな眼目を達成するという意味におきまして、この機会に大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  188. 田川誠一

    田川国務大臣 藤原さんの地方自治に対する配慮からの御質問を先ほど来お伺いをいたしまして、大変心強く思っておるわけでございます。私どもの政党も、地方分権、地方自治というものを非常に重視しております。そういう立場から、自民党と私どもとの統一会派あるいは連立内閣、こういう中にありまして、我々の目的を少しでも実現させるように閣内にあって努力をしているつもりでございます。  今年度の予算につきましては、私どもが就任した時期が十二月でございましたので、なかなか最初のスタートから実際に参画をすることができませんでしたけれども、今回は、最初のスタートからこうして発言もできる立場にございますので、仰せのような趣旨も踏まえながら、私ども地方自治のために頑張ってまいります。  特に、行革癖のごく一部の意見を外から時々聞いておりまして、国と地方との役割分担を無視するような意見が出されているように聞いております。自治省並びに関係者は、現在まで、誤解のないようにそれぞれの立場から行革審の人たちにも意見を言っております。しかし、結論がどう出るかわかりませんが、結論は結論として、私ども地方行財政を確立していかなければならないという信念のもとにこの問題に対応してまいる所存でございます。
  189. 藤原信吉

    藤原委員 今大臣から六十年度予算編成に対します決意のほどが示されました。どうぞひとつ、御苦労でございますが、御健聞いただきとう存じます。  次に、実は私ども民社党では、岡田先輩が風営法の問題につきましては、かたかったりやわらかかったりいろいろいたしまして、内容的にもなかなかすばらしい質疑を展開してまいったところでございます。岡田先輩はまた三日に最終的な御質問をいたしますが、私自身も、実は風俗営業法をぜひ早く提案をしてほしい、そして青少年の健全育成あるいは青少年の非行化防止のために必要な風俗営業法の改正案を出してほしいと要望した立場もございまして、要望した者が一言もしゃべらないで風営法が通ってしまったということでは、これはまことにぐあいの悪いことでございますので、まあ岡田先輩の話の中のおさらい部分が大分ありますが、大変重要な問題でございます。  私は、当初は、青少年の健全育成を中心としたことで、これほど大がかりな改正案になるというように予測をいたしておりませんでしたけれども、いただきますと、なかなかもって大変内容の多いものでございまして、そういう面からは、各党議員の方々も念には念を入れて御質疑をしていただいておるところでございます。そういう意味で、重複部分も大変ございますけれども、お伺いをいたしたいと思いますので、どうぞひとつ親切に、国民の皆さんにわかるような答弁をしていただきたいというように思うわけであります。  岡田先生も申し上げましたけれども、いわゆる民主社会を守るということになりますと、一面では法秩序を守っていかなければなりません。同時に、法の権力というものが余り強くなってまいりますと、国民の自由な意思というものが生かされないという嫌いが生まれてまいります。願わくは、そういうことのないように、国民の多くから愛される警察、こういう標語がぴたりとくるような、国民から信頼される警察、こういう状態をつくり上げていく面からいいましても、幾つかの疑問点と申しまするか、ただしておかなければならない問題がございまするので、ひとつお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  一つは、従来も論議をしてまいりましたけれども、立入検査の問題であります。  三十七条に立入検査の問題が規定してございますが、これは旧法の「立入」の条文よりも今回の方が前進しておる、こういうようなお話でございます。私は、この法律そのものを見ておるとそれほど危惧の念はないのでありまするけれども、一般的な方々から見ますと、従来、保健所が立入検査をした、いわゆる行政が立ち入りした部分でも、今度の改正案では警察職員が立ち入りができる。この辺を十分国民の皆さんに理解してもらわないと、この立入検査について、警察権力が入り過ぎるのではなかろうかという心配が率直に言ってあるのではないか。ただ、この三項の中に、「第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」こういうように明確にここに打ち消しをしてありますから、やはりこの辺、みんなが理解しないと、入ってくるぞ、入ってくるぞという気持ちの方が大変強いのではないかというように危惧をいたしますので、もう一度この辺についての見解を承っておきたいと思います。
  190. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 立ち入りにつきましては、私どもは、先生今御懸念のようなことがあってはならないということで、慎重に配慮しながら立案に当たってきたつもりでございます。」  どういう点が現行法と違うかという点も含めながら若干お話しを申し上げたいと思いますけれども、立入検査は、当然のことながら、今度の法律では風俗関連営業というものを対象にいたしておりますから、この関係が従来よりも対象としてふえたということが一つございます。従来は風俗営業と深夜飲食店というものであったわけでございますけれども、今度は関連営業がふえた。  もう一つは、従来は「警察官」でございましたけれども、今度は「警察職員」にさせていただいております。それは、何せ最近の技術の革新は著しいものがあるものでございますから、例えば遊技機を例にとりましても、IC等が使われておりまして、やはり専門的な知識がありませんとなかなかこれができないということもございまして、その点で警察職員が立ち入れるようにさせていただいておりますけれども、あとの関係では、実は私は従来よりそういう御懸念を減らしたものというふうに考えておるわけでございます。  従来の「立入」の条文は、この法律等の「実施について必要があるときは」とこう書いてあります。必要があるときはということで、もちろんそれは客観的な判断がなければいけませんけれども、限度がはっきりしないという問題もありますので、今度の改正案では、「この法律の施行に必要な限度において」ということで、限度を明確にしたということでございます。  それから、「業務に関し報告若しくは資料の提出を求め」とこういうふうに入れましたが、これは現在、近時の立法例では大体こういう条文が入っておるわけでございますが、この趣旨は、立ち入らなくても、報告を求め、あるいは資料の提出でもって済むものはそれで済ませたいという考え方でつくったものでございます。  それからまた、営業所でございますが、従来は何の限定もございませんけれども、個室等につきまして、客が在室する場合には、プライバシーの問題もございますので、そういう点を十分考慮してやろうということで、「客が在室する個室等を除く。」ということで変えたわけでございます。  「帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者質問させることができる。」という文言は、これは現在は「立ち入ることができる。」としか書いてございませんが、解釈上、立ち入った場合に必要なことができないということはないわけでございまして、当然のことながら、ここに書いてあります内容は従来でもできておるという考え方で解釈をし、現実には本当に必要がある場合しかやってないわけでございますけれども、そういうふうな形で運用をしてきたものでございます。  そういうことのほかに、例えば二項では「身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」これは従来は「関係人の請求があったときは、これを呈示しなければならない。」ということで、請求がなければ今までは条文上は呈示しないということはあったわけでございますけれども、現実には呈示して入っておりますが、その点を明確にしていった方がいいだろうということで、要求があろうとなかろうと提示するということにしたわけでございます。  さらに、「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」ということで、あくまでも行政目的であるということを明確にして、犯罪捜査のためにやるということは絶対ないようにしたい、こういう趣旨で整備をしたものでございます。
  191. 藤原信吉

    藤原委員 それから、次の三十八条の少年指導委員の問題ですが、私は、この項が必要かどうかということについて大変疑問を持っております。こういう官制のものをつくり上げて屋上屋を重ねるようなことが、果たして本当の青少年の健全育成あるいは非行化防止という立場でどういう位置づけになるのであろうかということについて疑問を持っております。今まででも青少年の対策委員とか、行政上いろいろございまして、青少年の健全育成のためにはそういう人たちももう既に選任をされている部分もございまして、その上にまた少年指導委員というようなものが必要かどうか、このような、ことも一つ考えます。このことについての考え方が一つ。  それから、都道府県の風俗環境浄化協会、これは今まで防犯協会というのが防犯上の問題を取り扱ってきたのですね。そういう団体があったのです。これとの絡みの中で、防犯協会はあるわ、環境協会はあるわということで、地方の有力者がみんなそれぞれの団体へ入っていくわけですけれども、一人で二つを兼ねるようになったり、いろいろするわけです。だから、この組織が、もし仮に環境協会の方が必要で、そのものが相当充実をして、少年指導委員のような役割もそこで片づけるなら、一つの面で十分片づけられることを考えていいのじゃないか。何か少年指導委員はできるわ、環境協会はできるわ、これは実際地方にいる人たちは幾つも兼任をするか、あるいはどういう形でこういう人たちを選んでくるかということ。それから、管理者があって講習その他を受けるとき、これは環境協会が主催をして講習などをやるようになるのじゃございませんか。  そんなようなことも私は実際行政の末端にいた者として大変関心を持っているものでございますけれども、もう時間がないから余り詳しくお話しできませんが、率直に皆そう思っておるんじゃないかと思うのですよ。少年と環境との役割、あるいは防犯協会とこの環境浄化協会とのメンバー、地域ではあらかた同じ人がやるんじゃなかろうかという感覚を持つと思うのですが、これはいかがですか。
  192. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 少年指導委員と環境浄化協会についてのお尋ねでございますけれども、従来から少年関係のボランティアで非常に御活躍をいただいておるわけでございます。ところが、知名度も大変低いということがございます。活動も法的に認められていない。そのために、いろいろ活動をしておりましても、例えば少年に一言注意をいたしましても、おじさんは何でそんなことを言う権利があるんですかというようなことを現場では言われまして、大変士気をそいでおるというようなことが再々あるわけでございます。  そういうことで、守秘義務もなかったということもございますから、活動としても一つの限度があるわけでございますが、今度は、ここで考えておりますのは環境浄化の問題が中心でございますから、どうしても盛り場が中心になる、やはり何と言っても一番問題の地域でございます。もちろん、あくまでも任意の活動でございますけれども、ある意味では営業者とお話をすることもあり得ると思います。そういうときに、先ほどのように、どういう権限があるんですかというようなことを言われたんでは、もうとてもやる気にもなれないということが実際にあるわけでございます、現在のボランティア活動の中で。そういうことで、ある意味で大変困っておるという問題もあるわけでございます。  今度は、こういうふうな特に環境の浄化の問題、あるいは今申しましたような盛り場での活動ということにおいては法的に権限を与えていただきまして、そして名誉職ということで給料は出せませんけれども、無給ではございますが、そういう誇りを持ってやっていただくということが大事ではなかろうか、こういう感じでできておるものでございます。  同じことが環境浄化協会にも言えるわけでございまして、現在、防犯協会が環境浄化活動を一部やっているところもございますが、ほかの多くの県ではそういうふうな浄化活動をやるより盗犯防止みたいな活動が多いわけでございますけれども、この際に、そういうふうな能力があり資格があれば環境浄化活動をやっていただく、そして、今申しましたように、もちろん任意の活動でございますけれども、法的にオーソライズしていただいて、やはりそういうものが張りを持ってできるような形にさせていただくのがありがたいんではないか、そういうことで、そういう資格のある防犯協会というものを指定をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。よろしく御了承いただきたいと思います。
  193. 藤原信吉

    藤原委員 まだちょっとこの点について突っ込んで聞きたいのですが、時間がございませんので、あとは岡田先生にお任せ申し上げることでお許しいただきたいと思います。  ところで、近年、渋谷などの大都市のターミナル駅の周辺の電話ボックスや公衆便所、また駅の便所等に、愛人バンク、ホテトル、ファッションマッサージ等々の宣伝チラシ、カード、これはピンクカードとも呼ばれておるわけでございますけれども、公衆電話の窓口もわからないくらい張られておるわけでございますね。このような状況はもう警察当局も御存じだと思います。例えば渋谷などでは渋谷美化推進委員会、これは渋谷駅を中心として五百メートルぐらいの範疇の商店街の青年部の方々が、午後二時、六時、九時と一日二回にわたってパトロールをしながらそういうものをはがして歩いておるわけでございます。電電公社も四、五名の職員を使ってある程度やっておるようでございまするけれども、はがせばまた張るということで、大変イタチごっこをしておるというのが現状でございます。  したがって、やはり警察当局もこの取り締まりを図らなければならないと思うわけでございまするけれども、このことについて何か取り締まる方法があるのかないのか。今度の改正との絡みの中で当然これは考えるべき事柄ではないかと私は思います。また、こういった風俗取り締まりについては、率直に申し上げまして、警察だけでできることではございませんで、民間のあらゆる協力があって、官民一体の中で初めて青少年の健全育成や非行化防止ということが可能だと思うわけでございまして、少なくともこういうものについて警察当局としてはどういう立場で対処しておられるのか、もう時間がございませんので、この点だけをお伺いさせていただきたいと思います。
  194. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 いわゆるピンクカードに対します取り締まりの法律といたしましては、軽犯罪法の一条三十二号あるいは三十三号があるわけでございます。罰則は拘留、科料であるわけでございます。これで懸命に取り締まりをしておるわけでございます。さらにほかの法律がないかといいますと、売春防止法があるわけでございますが、これは現実に売春の周旋をする目的がある場合で、そういう内容がビラの中に出ておる、相手方となるような、誘引をするという内容が出ている場合には売春防止法の周旋等の違反にかかる場合もあるわけでございますが、なかなかそこまでの内容をビラは書いてないということが多うございまして、それでいくというのがなかなか難しいという現状もございます。いずれにいたしましても、現行法を懸命に運用して、集中的な取り締まりもやりまして対処しているところでございます。  今度の改正法をお認めいただきました段階でどうなるかという問題でございますが、これはやはり風俗関連営業になる場合が多いと思います。ならないのもあると思います。関連営業になってまいりますれば、広告、宣伝の規制ということがございますが、もちろんこれが全部当たるとも思えません。残念ながら、広告、宣伝の規制は、一般通行人に十分目に触れるような形であるということが一つの条件でもございますので、そういう一つの条件を満たしますれば、そういう形で必要な指示等ができることになるわけでございます。改正法をお認めいただければ、さらにそういう面に対して有効な手が打てていけるのではないか、かように考えております。
  195. 藤原信吉

    藤原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  196. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  197. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、サラ金問題に絞ってお尋ねをしたいと思っております。  新しい法の改正がありまして七カ月を経過したわけでありますが、しかし、依然としてサラ金が原因でのいろいろな事件あるいは悲劇が続いております。御承知のように、三月一日、四月二日と、わずか一カ月間に二度にわたってその影響は取り締まるべき立場にある警察官にまで及ぶ、兵庫県のいわゆる銀行強盗事件もその原因がサラ金であった、こう言われております。極めて重大な事態だと思います。  そこで、まず最初にお尋ねをしたいわけでありますが、サラ金が原因での相談件数がどうなっておるか、窓口が弁護士会あるいは地方公共団体、それぞれございますが、警察庁の関係ではどういう状況になっておりますか。
  198. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 警察ではサラ金を含めまして各種の相談窓口を設けておりまして、府県によりましては「サラ金一一〇番」という特別の専用電話を設けて積極的に対応しているところでございます。  サラ金の相談件数でございますが、五十七年は千八百五十件余り、昨年は五千二百件余りということになっております。
  199. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大蔵省、日本弁護士会あるいは地方公共団体への相談の集計はされておりますか。
  200. 中平幸典

    ○中平説明員 お尋ねのサラ金に関する相談件数でございますけれども地方公共団体あるいは財務局につきましては、サラ金規制法が施行された後の件数については集計をいたしておりますが、弁護士会につきましては、私ども承知をいたしておりません。  件数でございますが、五十八年十一月、昨年の貸金業規制二法が施行されてから五十九年の三月末までの数字でございますけれども、財務局が六百二十件、都道府県一万七百一件、合計で一万一千三百二十一件となっております。
  201. 経塚幸夫

    ○経塚委員 次に警察庁の方へお尋ねをしたいわけでありますが、二法違反で検挙した数はどれくらいになっておりますか。
  202. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 貸金業規制法二十一条違反でございますが、昨年十一月から本年三月までの件数は二十七件、三十五名となっております。
  203. 経塚幸夫

    ○経塚委員 相談件数をただいま御報告をいただきましたが、これは警察関係の相談件数を見ましても随分ふえておるわけですね。私の手元で調査をいたしました大阪府への相談の状況を見ますと、昭和五十二年四百七十六件であったものが、五十八年四月一日から五十九年三月三十一日までの間に実に一万二千三百四十二件でありますから、五十七年度比でも何と四倍にふえております。この傾向は、警察庁の資料によりましても、五十七年千八百五十件が五十八年は五千二百件でありますから、約三倍にふえております。東京弁護士会の資料によりましても、五十八年は千三百五十八件でありますが、五十七年の四百四十四件に比べますとこれまた三倍なんですね。  いわゆるサラ金二法といわれる法の改正が実施されて、サラ金被害が減るかと思われたわけでありますが、あに図らんや、二法実施後逆に相談件数が急増しておる、まことに憂うべき状況が続いております。警察庁、弁護士会、地方公共団体、それぞれの資料を見ましても同じ傾向が出ておるわけです。  そこで、問題になりますのは、相談件数がふえると同時にその中身の問題でありますが、警察庁の方で、暴力的な取り立てなどによる件数の推移はどういうふうになっておりますか。
  204. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 暴力的な取り立てという形での統計はまとめてございませんので、ちょっとわかりかねます。
  205. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それではお尋ねをいたしますが、二法違反で検挙した中で、暴力団は何人で、どれくらいの比率になっておりますか。
  206. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 貸金業規制法二十一条違反の中での内訳は格別にとっておりませんので、この点はわからないのでございますけれども、参考までに一つありますのは、昨年出資法違反で六百八十八件、六百八十四人を検挙しておりますが、この中に暴力団員等が百三十八件、二〇%、それから百九人、一六%含まれていた、こういう事実はございます。
  207. 経塚幸夫

    ○経塚委員 全国的に見て、サラ金業の届けを出しておる者の中で暴力団と思われるものはどれくらいおりますか。
  208. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 詳細な把握はできておりませんけれども、恐らく四千ぐらいではなかろうか、こういうふうに推定をしております。
  209. 経塚幸夫

    ○経塚委員 警察庁の方へ引き続きお尋ねをしたいわけでありますが、先ほど御答弁がございましたように、相談件数がうんとふえておるのが特徴でありますけれども、同時に、二法違反、特に脅迫あるいは暴行等々暴力的な取り立ての傾向がふえてきておるというのも一つの特徴ではないかと思われます。  これは大阪府へ相談に来た被害者の調査の内容でありますが、取り立てが極めて厳しいので困っておる、脅迫、暴行等で相談に来た件数が全体の相談件数の中で、昭和五十四年は七・六%、五十八年は八・七%、ところが今年五月には一三・四%にふえておるわけですね。大阪府警本部の府議会における答弁でも、サラ金業者の中で暴力団に関係をしておると考えられるものが約百七十業者、団体、こういうふうに言われております。大阪弁護士会に暴力事件で相談に来られた件数も、同じようにふえる傾向になっております。  これは、考えられることは、七カ月前にサラ金関連二法が改正をされまして、銀行からの融資もいろいろと制約を受けてくる、それから、従来は暴利で過剰に貸し付けしていたものが取り立てが難しくなってくる。こういう状況の中で、ヤタガイの経営危機に見られるように、大手も経営が大変困難になるという一面も出てきておる。そういう中で、取り立てを厳しくしないことには経営が維持できないという、規制法の改正に伴うもう一つの面があらわれてきておる、こういうふうに推測されるわけであります。そういう中で、債権の暴力団への譲渡などをめぐりまして、暴力的な事件、暴力的な取り立ての件数が、相談内容の中でも率が大変高くなってきております。  せんだって奈良で、五百名の他人の名義でもって貸し出しが一億五千万円、これが暴力団の資金源になっておったというケースもあるわけでありますが、暴力団がサラ金業として登録をして資格を取る、これは好ましい傾向とは言えないと思うのです。風営法では、いわゆるおそれある者までも今度は欠格条項として法案の中で挙げてきておるわけでありますが、警察庁、その点の見解はどうでしょうか。
  210. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 相談件数がふえました理由はいろいろあると思うのでございます。私どもが受けておりますのは、業者からの相談も大変ふえておるということもございますし、また貸金業規制法二十一条という条文ができましたので、業者も非常に自粛をしているという面もあるわけでございます。また我々も、取り締まりの中心は貸金業規制法の二十一条違反があれば厳しく取り締まるという方針で臨んでおりますので、そういう形で取り立てが大変暴力的になったというふうには一概に言えないのではないかという感じがしておるところでございます。  いずれにいたしましても、暴力団との兼ね合いは望ましいことではないことは間違いございませんが、今申しましたように、貸金業規制法には二十一条という取り立て規制の条文がございますから、そういうものをしっかり見ていくことによりまして暴力団を排除できるということがあろうと考えております。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 二十一条によって排除できるという面があるかもわからぬけれども、問題は、れっきとした暴力団にいわゆるサラ金業としての営業資格を与えるというようなことが、警察のサイドから見て果たして好ましいことなのかどうなのかということなんですよ。  これは大阪で問題になったところでありますけれども、山口組系の総本部の本部長という肩書を持った者が、二月に登録申請をしておる。しかも公然と登録を申請して業者としての資格を持っておる。ここは暴力的な取り立てで名が通っておる組なんですよ。こういうようなものまでものさばっていくということになりますと、これは二つ問題が出てきます。一つは暴力的な取り立てということであります。もう一つは暴力団の資金源を培養するということになるのです。警察のサイドから見てこれは好ましいことですか。  それから先ほどは、相談件数がふえた中には、そういう傾向だと一概には断定できないかのような警察庁の御判断ですが、警察庁、これはよく相談件数の内容を調査していただいて認識を改めてもらわないと、警察庁がそういう認識で相談件数の内容を見ておると、これはとんでもないことになりますよ。東京都の例だってそうですよ。十一月からことし三月末までの違法行為と目される相談件数二百十件。この中で暴力、脅迫などを含む取り立て事件、これが百七十八件で八〇%を占めているのですよ。それですから、相談件数の中でこういう傾向が目立ってきておるのが二法改正後の特徴なんですよ。だから、一般的に、業者の相談も含まれておるというようなことでもって相談件数がふえておるというような判断をしていたら、これは警察庁、判断を間違えますよ。  それはそれとして、先ほどお尋ねしました暴力団がサラ金業者としての資格を持つということは、警察庁としてはやむを得ぬと考えておられるのですか、好ましくないと考えておられるのですか。
  212. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたように、法律の中に取り立て規制という暴力的にわたる場合の取り締まりの条文があるわけでございますから、そういうものを大いに活用していくべきものだ、こういうふうに考えております。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私のお尋ねしておることに答えていただかないと困りますよ。  風営法はおそれある者も欠格条項に入れたわけでしょう。現在のいわゆる規制関連の二法の中では前科ある者ですよ。もう事実行為として明白な者だけが欠格条項に入っておりますし、また暴力的な取り立てをやった場合は取り締まるということができます。暴力団が営業者の資格を得るということについて、これはやはり事前にチェックしておかなきゃいかぬのと違いますか。それでは何で風営法の改正案の中に、暴力団としてのおそれ、疑わしき者は許可しないということを欠格条項の中に入れたのかという問題も出てくるわけなんですよ。これはそういう者がいわゆる風俗関連の営業に参加することは好ましくない、未然に予防するという観点から今回の法律改正の条項の中に盛り込んできたと思うのですよ。  それはサラ金だって同じことだと思いますよ。特にサラ金の場合は暴力団の暴力ということと資金源ということと二つの面から直結する問題なんですから、やはり防犯という見地からこれは好ましくないという判断警察庁が明確に下しても当然だと私は思いますが、どうでしょう。
  214. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 その関係はやはり監督官庁であります大蔵省が判断すべきことだと考えております。現在のサラ金規制法の中の登録の条項の中で、そういうものを活用していくということも可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大蔵省の方、どうなんですか。今指摘いたしましたように、大蔵省の方としても、相談件数がこんなにどんどんふえてきておるということにつきましては、一面では営業者そのものに対する規制が一定の効果を上げながら、同時に反面では借りている者の間に新たな事態が生まれてきておるという状況から見ましても、これは当然欠格条項へ入れるべきだと思うのですよ。風営法でも案では入っているのですから。
  216. 中平幸典

    ○中平説明員 昨年十一月に施行された貸金業規制法におきまして、その第六条で登録拒否の要件が定められておるわけでございまして、その中には、暴力行為等処罰法の罪を犯して刑の執行が終わってから三年を経過しない者等については、登録を拒否するということが定められておるわけでございます。何分にも法律は昨年の十一月に施行されたばかりでございまして、私どもはこういう登録を拒否する要件、さらには、先ほど来お話がございましたような厳しい業務規制というものを運用して、それがどのような結果になっていくかということを見守ってまいりたいというふうに考えております。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 見守ってまいりたいとおっしゃいましても、これはやはり未然に防止する対策を講じなけれはだめてすよ。  今私が大阪の一つの例を挙げましたけれども、山口組の総本部長という肩書きを持っている男が、公然と大阪府へ登録申請に行ったら受理をされている。そんなことで世間通りますか。これは規制できないのならやむを得ぬですよ。風営法の論議のときに、届け出制だから人的欠格条項はむずかしい、許可制だから入れた、こうおっしゃる。しかし、届け出から登録になったということは、いわば許可への前段なんですよ。許可的な要素が入っているわけなんですよ。だから人的欠格条項も入れられるわけですよ。これはなぜ入れないのか。  しかも、申し上げましたように、業者の中で暴力団と思わしき者が警察庁の調査でも四千件もあるというんでしょう。これはあなた、もう疑わしいということがれっきとしているものがそれだけあるのですよ。これは率にしますとどうなりますか。いわゆる登録を受理したのが二万で、これは届け出の十分の一だと言っておりますけれども、届け出の業者の率からいきますと、二十万に対する四千で約二%、全国的にその率はほぼ平均しておると思いますけれどもね。  これがサラ金営業の登録をして業者としての資格を取る目的は何かと言えば、本当に金に困っている人に、さあお貸しいたしましょう、そんなむちゃなことはいたしませんよというのが目的でないことは明らかでしょう。明らかに暴力団の資金源ですよ。そして、暴力団でありますから、その取り立てについても法に違反するようなことを犯すおそれが十分にあるという業者なんですよ。  これはなぜ規制しないのですか。やってできないのならともかく、やってできるんだし、現に風営法の改正案ではその問題を出しているわけでありますから、この際、大蔵省も再検討すべきだと思いますが、どうですか。
  218. 中平幸典

    ○中平説明員 先ほども御説明申し上げましたけれども、貸金業規制法が議員立法として昨年の十月一日から施行されまして、私どもといたしましては、この法律を忠実に厳正に施行して、その目的とする実態を上げていくということが現在私どもとして努めなければならない最大のことであるというふうに考えておりまして、その規制の実は上がりつつあるというふうに考えております。まだ現に登録が行われている段階でございます。私どもはその登録、そしてその業務規制等の規制の実態をきちっと上げていくということに当面全力を尽くしたいというふうに考えております。
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大蔵省がそんな答弁をしておったのでは、これはもう早晩私が指摘したようなことに、改正に踏み切らざるを得ない状況が来ると思いますよ。先ほどの警察庁の報告でも、違反で検挙したのが六百八十四人、このうち暴力団と見られる者が百九人、こういう報告でしょう。それは当然こういうことになってくるんですよ。だからこれは早晩改正すべきだ、かように考えております。  それから、もう一つの角度からお尋ねをしたいと思いますが、警察庁、サラ金を苦にして自殺とか家出をした件数、最も新しい数字、五十八年の下半期になりますか、どういう状況ですか。
  220. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 サラ金二法施行後のものをとっておりますが、昨年の十一月からことしの三月末までの五カ月間でございますけれども、サラ金返済苦に係る自殺、家出の件数でございますが、自殺が五百八十八人、月平均約百二十人、それから家出は五千三百六十二人、月平均約千人でございます。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 自殺が依然として一日四人ということですね。これも二法改正実施後減ってはおりません。依然としてこういう状況が続いております。  厚生省がお見えになっておりませんが、これは二月の全国児童相談所の所長会議の報告でございますが、二月の相談件数が千五百九十件、このうちサラ金絡みが四百六十件で二八%、相談を受けたうち施設へ子供を入所させたのが二百二十二人で五〇%であります。同じように、大阪児童相談所でありますが、これは養護相談の件数の二一%がサラ金苦が原因、しかもそのうち二七%が母子家庭ということであります。相談を受けました百七十四件のうち子供を施設へ入所させたのが百二十七人で実に七三%に上っております。これは同じく大阪府下の福祉事務所の調査でございますが、相談五百三十七件のうち、サラ金原因が百二十五件で二三%、うち母子世帯が六〇%で、しかもこのうち四〇%がサラ金苦が原因だ、こう言われております。さらに、母子世帯になった理由の中で、四〇%がサラ金が理由で母子世帯になり生活保護を受給しておる、こういう状況も出ております。  こういう状況を見てまいりますと、サラ金二法実施後、一方では業界の競争が激しくなる、そして、経営を維持するためには取り立てがだんだん厳しくなる、その結果相談件数がふえる、そして暴力的な事件、一方では家庭破壊が極めて深刻になってきておる、こういう状況が出てきておりますね。  大蔵省、実施後半年以上経過した今日の段階で、こういう新たなもう一つの側面をよく実態を掌握されてどういう対応策を講ずるか、これは極めて重要な段階にきているのじゃないかと私は思います。  そこで、サラ金は「三暴」と言われておりますね。暴力、暴利、それからいわゆる過剰貸し付け、暴融といいますか、これは三つとも絡み合っているわけでしょう。暴利で貸し付けますから取り立てを厳しくしなければならぬ、あるいは過剰貸し付けをやりますからどうしても取り立てを厳しくしなければならぬ。そうしますと、回収の率が低くなれば暴力に走らざるを得ないということで、この三つの条件はお互いに絡み合って、これがいわゆるサラ金悪と言われているものだと思います。  そこで、暴力の問題は今お尋ねをしてまいりましたが、もう一つのいわゆる高利の問題、これについては、三年間は七三%ということに改正されましたけれども、しかしこれは三年という期間を待たずに、私どもは民事上二〇%以上は無効だ、刑事罰の対象としては少なくとも四〇%ということを主張しておりますけれども、七三%の改正の三年間にこだわらずに、思い切って規制の指導をすべきだと思いますが、その点はどうでしょうか。
  222. 中平幸典

    ○中平説明員 金利の引き下げにつきましては、法律上は徐々に段階的に引き下げを行っていくという規定になっておるわけでございます。大蔵省といたしましても、法の趣旨を踏まえまして、ただいま御指摘もございましたけれども、貸金業者に対しまして、上限利率の引き下げについて、規制法上の規定はあるわけでございますけれども、「その期日の到来を待つことなく、自らの経営努力により、可能な限り速やかに本則利率である年四〇%以下に引き下げる」ように、昨年の九月に通達を発出いたしまして貸金業者に対して指導を行っているところでございます。  それから、先ほど私答弁をいたしました際に規制法の施行の日を十月と申し上げましたけれども、十一月一日でございます。訂正させていただきます。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは指導と同時に、あわせて上限金利の改正の問題についても検討すべきじゃないかと思うのです。五月二十八日に、総理と与党連絡会の席上、上限金利の改正問題がいろいろと話し合われたというふうに言われておりますが、改正はどうされるのです。検討されるのですか。
  224. 中平幸典

    ○中平説明員 先ほども申し上げましたように、法律は昨年十一月に施行されたばかりでございまして、法律自体の問題としてはその第一段階に入ったばかりでございます。私どもとしては、もとより、先ほど申しましたようにできるだけ早く金利の引き下げが実施されることを期待をいたしておりますけれども、ただいまの段階で法律自体を云々しようという段階ではないと考えております。
  225. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは必要とあらば、改正後そんなに日にちがたっておらなくても当然改正に踏み切るべきだと考えております。  それから、ヤタガイ、キャッスルなど中堅大手も相次いで経営危機という状況でありますが、大阪の調査によりますと、信用組合のサラ金業者への融資が三十四組合中二十組合、約六割、しかも五十八年三月末が百九十九億円、これが五十八年九月末でも百八十億、依然として改善されておりません。  ヤタガイなどは、信用組合からの融資はやっておったのですか。やっておったとすれば、信用組合法のたてまえから見ましても、また信用組合の経営基盤から申し上げましても、重大な事態にならないような対処が必要だと思うのですが、その点大蔵省の見解はどうですか。
  226. 中平幸典

    ○中平説明員 信用組合がサラ金業者に対して融資を行っておるかどうかということでございますけれども、都道府県の調査によりますと、昨年の九月末ではサラ金業者向けの直接の融資は五百九億円ということでございまして、前の五十八年三月末に比べますと、九十六億円の減ということになっておるわけでございます。  なお、ただいまお尋ねの特定のサラ金業者に対する融資の問題でございますけれども、これは信用組合を直接所管をいたしておりますのは都道府県知事でございまして、私ども大蔵省といたしましては、個々の融資内容につきましては承知いたしておりません。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 信用組合についての指導の責任は大蔵省にもあるわけでありますから、信用組合の目的、趣旨から申し上げましても、これは当然、今日経営危機が進行しておる状況の中でしかるべき指導をすべきだと考えますが、その点はどうですか。
  228. 中平幸典

    ○中平説明員 信用組合の直接の監督をいたしておりますのは都道府県でございますけれども、一般的に金融機関に対して私どもも指導をすべき立場にあるということで、私どもサラ金に対する金融機関の融資についての通達を金融機関に発出しました際に、これを都道府県知事、それから信用組合の協会にもお送りをしておるわけでございます。  ただ、個々の信用組合の融資内容、どの企業に対してどういうような融資をするかというような問題につきましては、これは直接的には都道府県の所管に属することでございまして、私どもが直接的に云々するということになりますと、むしろ二重行政ということになるのではないかというふうに考えております。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、自治省の方へもちょっとお尋ねしておきたいのですが、それぞれの都道府県の監督下に入るということであれば、これは当然地方公共団体としても不測の事態にならないように指導すべきだというふうに考えております。そういう指導をされますかどうか、その点どうでしょう。
  230. 石原信雄

    石原政府委員 法令の規定によって委任を受けた事務について、私どもは一般的に地方公共団体の行財政運営について指導をしておりますが、個々の法令の内容にわたる指導ということになりますと、当該法令の所管省庁と連携をとりながら指導していくということになろうかと思います。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それでは連携をとりながら指導を強めていただきたい。  それから、最後に自治省の方に二点だけお尋ねしておきたいと思うのです。  民放に対して地方公共団体が随分と出資をしております。例えば大阪の例を申し上げますと、二千百万円テレビ大阪に出資をしておりますが、大阪にあります民放の中でサラ金業者のコマーシャルをやっているのはここだけなんですね。それで、どうもこれだけサラ金の被害が起きているときに好ましいことじゃないのではないかということで、被害者の会だとか幾つかの団体が中止するように申し入れをしておるわけです。民放の中では自発的に規制をしたという民放もあるようでございますが、その点とういうように考えておられるのか。  それからもう一点は、サラ金業界へ地方公共団体が補助金を出しておりますのが、五十八年が十九府県だったのが、五十九年度は二十九道府県にふえておるわけですね。栃木県などは、課長クラスが専務理事に派遣をされるという予定になっており、しかも五十九年度四百万円出されるということであります。庶民金融業協会は、御承知のようにサラ金の業界であります。中には暴力団も入っておるわけであります。これは好ましいことではないと思いますが、自治省見解はどうですか。
  232. 石原信雄

    石原政府委員 お尋ねの初めの方は民放の出資の問題でございますが、私ども調査したところでは、民放百二十五社の中で、地方公共団体が出資しているものが五十社ございます。  ところで、地方公共団体が出資しております民放がどのような広報活動を行うかについてでありますが、公共団体が出資をしているゆえんのものは、多分その団体の広報活動その他を行う上で出資を行うことが適当だと判断して行っておられると思うのであります。そこで、その出資をした民放の放映の内容についていろいろ問題があるということであれば、それは出資団体とその民放との間で判断されるべき問題ではないか、このように思います。法律論というよりも良識論といいましょうか、一般的にそうあるべきものであろう、このように思います。  それから、補助金の問題でございますが、貸金業の規制等に関する法律第二十五条に基づく協会に対して、一部の団体が補助金を出しております。その理由は、この協会が県の登録事務の一部を代行しているとか、あるいは貸金業の需要者の苦情処理を行う、さらに、会員である業者の適正な活動を協会として促進する、そういった公共的な役割を果たしているという点に着目して補助金を出しているものと思われます。  したがいまして、この協会がどのような活動を行うかということと関係するわけでありますが、最終的には、御案内のように、地方公共団体の補助金というものは公益上必要がある場合に地方自治法の規定によって認められているわけでありますから、その対象団体の活動内容等によって、公益性というものが認められるかどうかによってその個々の団体が判断すべきものではないか、このように思います。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 時間が参りましたので終わりますが、民放のサラ金業者のコマーシャルといい、サラ金業界への地方公共団体の補助金の支出といい、やはり世間の非難を受けるようなことは自治省が率先して改めるように指導すべきだと私は思います。  最後に、大臣にお願いしておきます。  六省庁でサラ金関係の対策会議をつくっておられて、自治省警察庁も入っておりますが、大臣は両方にまたがっておりますので、機会がありましたら、ぜひひとつ、相談件数、被害がふえておる中でこれが減らされるような対策を講じていただきますように御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  234. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る七月三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会      ————◇—————