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1984-06-28 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十八日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       中川 昭一君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       安田 修三君    山下洲夫君       和田 貞夫君    岡本 富夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   田川 誠一君  出席政府委員         警察庁長官   三井  脩君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     伊達 卓三君         青少年対策本部         参事官     梅沢 五郎君         警察庁刑事局保         安部防犯課長  古山  剛君         警察庁刑事局保         安部少年課長  山田 晋作君         文部省社会教育         局青少年教育課         長       伊藤 俊夫君         厚生省公衆衛生         局精神衛生課長 野村  瞭君         厚生省環境衛生         局指導課長   瀬田 公和君         厚生省児童家庭         局育成課長   蒲地 清弘君         労働省婦人少年         局年少労働課長 川西 利興君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十八日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     佐藤 敬治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 風営法につきまして先輩皆さんがたくさん質問されておりますし、そういう中で私自身も何回かごの法律案を読ませていただいたわけです。読めば読むほど理解のできない点がたくさん出てきますし、同時に先輩方々が質問されておりますので、ある面ではやえてしまうかもわかりませんが、なるべくやえないように自分の疑問点をそれぞれ教えていただきたい、そういうふうに思うわけです。  まず冒頭、今度の風俗営業等取締法の一部を改正する法律案は、新しく風俗営業等規制及び業務適正化法案に改められているわけです。これは取り締まりというのが消えたわけですが、そういうことより今度の一部改正が八条から五十一条に大きくふえていったわけです。私は、一部改正ということから理解をしていきますと、これは抜本的な改正ではないか、あえて言いますと、これは新しい法律をつくるのだ、新法ではないか、そのように思うわけです。その辺につきまして、まず提案最高責任者であります公安委員長の御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 田川誠一

    田川国務大臣 今回御審議をいただいている改正案は、現行法理念に立ちまして、その理念を維持した上で最近のいろいろな環境変化に伴って関係規定整備したものにすぎないのでございます。また、たくさんの手をいじっておるということでございますけれども、いろいろ追加した条項の中で、条例で決めであることを法律事項として整備したものが多いのでございまして、実質的には改正後の法律現行法との基本的な違いはないものと思っておりまして、そういう意味から一部改正、こういうことにしたわけでございます。
  5. 山下八洲夫

    山下(八)委員 委任事項が百を数えるくらいあるわけですね。今、条例法律にしたというようなお答えのようですが、今回でもまだ公安委員会規則が四十一もあります。政令が十七、総理府令が十九、条例にしましてもまだ十三もあるわけです。特に私なんか規則政令を、特に政令等を読みたいなと思ってもその政令すらないものですから読むこともできないわけです。  長官にお尋ねしたいと思いますが、なぜ政令というのはお配りいただけないのですか。
  6. 三井脩

    三井政府委員 御質問は、もちろん政令にどういうものを盛る予定であるかというようなことだと思いますが、その点については、現在考えております内容について資料その他で御説明もし、お配りもしておるというように承知しております。
  7. 山下八洲夫

    山下(八)委員 では、政令はそれぞれの資料で全部委員皆さんには配られた、これで十分だということですね。
  8. 三井脩

    三井政府委員 この審議の過程を通じましていろいろとさらに明らかにしていくというようなことは、もちろんそういうふうに努めてまいるつもりでございます。
  9. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は今回の法律改正で大変重要なものがたくさんあると思うわけです。そういう意味では、政令については少なくとも委員の人に配っていただいて、審議をもっと速やかに進めていく、こういう姿勢をとっていただかないといけないと思うのです。今回だけでなくて、またこれからもいろいろあろうかと思いますし、私も一年生ですから、こういうものはもらえないのかと思っておりましたし、今回初めてこういう壁にぶつかったわけでございますが、見たい部分がかなりあるわけです。そういう点では要望しておきますけれども、今後ほかの法律のときでも、政令等が出てくればそういうものもあわせて出していただくようにぜひ委員長にお願いしておきたいと思います。  そういう中で、特に今回の提案理由説明の柱の一つになっていると思うわけですが、「少年の健全な育成の上から問題の多い営業増加しており、現行法上このような営業が野放しになっていることが、風俗環境を害しているだけでなく、少年非行昭和五十五年以来四年連続戦後最悪の記録を更新している大きな要因の一つとなっていると考えられます。」全く否定はしません。そのようなこともあろうかと思いますが、その辺につきまして後ほど御答弁いただきたいと思うわけですが、このような少年非行の増大と風俗環境変化という実情にかんがみ、風営業風俗関連営業等整備を行うことを内容としているが、この法律成立をすれば少年を健全に育成できる、そういうためにされていると私は考えているわけです。  また同時に、今度の改正の大きな柱として、少年の健全な育成のためということが目玉になっていると思うのですが、今日のこの犯罪状況と、同時に、この改正案成立をすれば少年非行は今度は本当に減少傾向をたどるのか、その辺お尋ねしたいと思います。
  10. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年非行が御存じのとおり大変増加をいたしております。また、もう一つ問題なのは、少年福祉を害する犯罪が非常にふえておるという問題、あわせて考えていかなければならない、こう考えておるわけでございます。  もちろん、この法律は「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」、それを一つの大きな目的として臨んでおるわけでございますけれども、今度の法律によりまして、少年非行の温床となっております営業所であるとか、あるいは少年福祉を害する犯罪の場となっており、それがまた少年の健全な育成を阻害しておる、そういう営業所対象にいたしまして、年少者を立ち入らせてはいけないとか年少者を従業させてはいけないとかというような各般の措置を講じておるわけでございます。今回の改正が、現在四年連続しております少年非行最悪状況を収束する一つ決め手になるのではないかと考えておるわけでございます。  ただ、もちろん少年非行の背景には非常に複雑なものがございまして、家庭学校地域社会、さまざまな問題がございますから、これだけですべてが解決するというふうには考えておりません。根本的解決のためには関係機関団体が一体となりまして、各般の総合的な施策を一層積極的に推進しなければならないものであると考えておるところでございます。
  11. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回の改正で、一つ少年の健全な育成。ただ、これがどこから出てきたかといいますと、性産業が余りにもはんらんをしている、そういうことを少し規制しようじゃないか。それには、少年を利用といったら言葉は悪いですけれども、活用すればいいじゃないか、そういう精神が流れているような気がしてならないわけですで本当に少年の健全な育成のためいいんだというのであれば、犯罪もなくなるのだというような自信もおありだと思います。いろいろな社会状況が絡まっているから、これだけではないですけれども、これが改正されれば少なくとも減少傾向が見えるんだというふうに私は考えるわけです。また、それぐらい自信を持ってこの改正案を出されたと思うのですが、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  12. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 その少年非行というものを一つ理由としてほかのいろいろな改正を考えたなどということは決してございません。何と申しましても、大変セックス産業がひどくなりまして、そうして性非行に走る少女が非常に増加している。そういう問題のセックス産業でもって従業するということが平然と行われるというような事態があるわけでございまして、そういうふうなことに絡む犯罪増加が何としても一つ大問題であることは間違いございません。  それからもう一つは、やはり盛り場環境というものが非常に問題があるわけでございます。今申しましたセックス産業中心にいたしまして、あと青少年に有害な環境となっております。そういう営業というものがかなりあるわけでございます。そういうものが、ある意味では非常に少年非行なりあるいは不良行為少年犯罪までは至りませんけれども不良行為少年大変増加させておるという傾向があるわけでございます。そういうことで、そういうような盛り場対策というものが、少年非行には非常に有効に働くのではないか。  私どもでいろいろ調べました結果によりますと、科警研、私ども附属機関であります科学警察研究所で調査したところによりますと、そういう怠学、怠業、そういうふうな不良行為を犯す少年は、大体、後二年の間に四分の一ぐらいはまた非行を犯すというデータもあるわけでございまして、そういうことでそういう盛り場対策というものを真剣にやっていくことが、しかも先ほど申しましたように、問題の営業対象にいろいろな必要な規制を加えていくことが非常に効果があるというふうに考えておるわけでございまして、そういうことを含めまして、セックス産業及び盛り場対策、それが少年非行、さらに福祉犯の問題、そういうものに非常に密接につながっておるわけでございまして、先ほど申しましたように、これだけですべてが解決するとは思っておりませんけれども、四年、戦後最悪を続けております少年非行に歯どめをかける決め手一つになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 山下八洲夫

    山下(八)委員 文部省にしましても、あるいは総理府厚生省にいたしましても、それぞれ少年健全育成に日夜大変努力をされていると思うわけです。長くなりますと時間がなくなりますので、なるべく簡潔に、それぞれどういう取り組みをなさっているのか、御説明いただきたいと思います。
  14. 梅沢五郎

    梅沢説明員 お答えいたします。  総理府といたしましては、各関係省庁青少年対策を調整する立場、こういうことでございますので、総理府総務長官を議長とします非行防止対策推進連絡会議、こういったものを開催させていただきまして、総合的な非行防止対策というものを各省庁連携をとりながら推進させていただいておる、こういうことでございます。  今回の風営法関連で申し上げますと、俗悪出版物あるいは享楽施設というものが最近増加しておるということで、青少年をめぐります社会環境が悪化しているところから、関係省庁が緊密な連携を図りながら環境浄化活動というものを強力に推進していこうじゃないかということを申し合わせまして、現在推進しているところであります。  今回の風俗営業等取締法改正によりまして、青少年健全育成を阻害する行為規制というものが強化されることは、総理府立場から見ましても、青少年非行防止対策上望ましいと考えておりますし、青少年非行減少効果が上がることを期待しておるし、またさらにそう願っておる、こういうことでございます。
  15. 伊藤俊夫

    伊藤説明員 少年非行原因は、先生も御指摘のとおり、大変複雑多岐にわたっておるものだと思います。その意味で、少年健全育成対策というのは、各方面にわたってきめ細かく、かつ、それぞれが協力し合って施策が進められることが大切だ、私はそういうふうにも認識しておるわけでございます。  その意味文部省では、学校教育あるいは社会教育充実に努めておるところでございますけれども、特に学校教育におきましては、生徒指導充実だとか、あるいは道徳教育充実というような各種の施策を進めておる。また、社会教育方面におきましても、青少年に豊富な生活体験を与えるという意味で、青少年団体活動推進だとか、あるいは青少年がいろいろな活動ができる青年の家、少年自然の家の整備等、いろいろな施策を講じております。  ですが、やはり最初に申し上げましたように、その青少年健全育成対策というのは、各方面の力を結集する必要がある、こういうふうに考えております。その意味で、総理府中心にして進められております総合的な施策推進文部省としてもさらに協力し、その成果を上げてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  16. 蒲地清弘

    蒲地説明員 少年非行原因でございますが、私ども考えておりますのは、やはり家庭内における幼児期からのしつけの問題でありますとか大人生活態度、さらには地域社会環境等、複雑に絡んでおりまして、どれが原因と断定することはなかなか困難な問題であると思っております。  児童非行を防止することでございますが、これは健全育成を図るということになるわけでございますが、やはり家庭中心となりまして、それでそれを地域社会が支え、さらに行政が支える、こういう基本で進んでいかなくてはならないというふうに考えている次第でございます。  厚生省非行防止対策でございますが、一つは、児童館整備を促進いたしているところでございます。児童館は、御案内のように子供さんたちの遊び場でもありますし、またかぎっ子の保護育成でありますとか、あるいは母親クラブ等地域組織育成助長、そういうようなことを行っている施設でございます。  それから第二点といたしましては、やはり地域大人方々がその地域子供さんたちをみんなで育てていくというような努力をしていただかなければならぬというふうに考えている次第でございます。そのために、私どもといたしましては、お母さん方の集まりであります母親クラブというのがございまして、そこに、若干ではございますが、国庫補助金を出しまして育成助長を図っているというようなことをいたしております。  それから第三点でございますが、家庭養育機能が低下を来しているというふうに考えられるわけでございます。核家族化になりまして、家庭内で、従来のように祖父母に相談するというようなこともできませんし、また、都市化が進みまして、地域連帯感が薄まりまして、隣近所相談するというようなこともできない。そういたしますと、やはり児童養育につきましていろいろ家庭で悩みがあった場合に相談する相手がいない。そのために児童問題はますます深刻化していくというようなことなのかと思います。  そういう観点から、私どもといたしましては、従来から児童相談所、これは全国に百六十四カ所ございますが、それと福祉事務所のうち千十三カ所に家庭児童相談室というものを設置いたしております。その上に五十八年度から「すこやかテレホン事業」というようなものを創設いたしました。これは、今申し上げましたような公的な相談機関が開設していない時間帯、夜間でありますとか日曜、祭日、そういう時間帯に電話で相談を受けられるというようなシステムでございます。     〔委員長退席西田(司)委員長代理着席〕  それから、本年度におきましては、いわゆる家庭が気軽に相談できる体制ということで、市町村にございます児童館でありますとか保育所等におきましても相談事業を行うというような施策を新たに創設をいたしたような次第でございます。  以上でございます。
  17. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それぞれ努力されていることはよくわかるわけですが、まず警察の方にちょっとお尋ねしたいわけです。  非行防止対策連絡会議というのがあるはずです。先ほども総理府の方からちょっとお話が出たと思うわけですが、それぞれ役所で青少年対策に一生懸命取り組んでみえる。その辺とのかかわりというのはどのようになっておるのですか。
  18. 山田晋作

    山田説明員 今お話がございました非行防止関係連絡会議でございますけれども非行防止対策は、それぞれ総合的に、また各省庁連携を保ちながらやらなければならないというふうなことで、総理府中心にして設けられたものでございます。警察庁もそのメンバーの一員としまして、その機会にいろいろと意見を申し上げたり、あるいは各省庁と意思の疎通を図ったりするようなことで、総合的な対策を実施するように心がけておるつもりでございます。
  19. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それはもう盛んにやっているのですね、連絡会議を持って。
  20. 山田晋作

    山田説明員 そのとおりでございます。
  21. 山下八洲夫

    山下(八)委員 総理府文部省――文部省、まだ時間ありますか。あればちょっと残っていただきたいのですけれども厚生省が急いでみえるようですから、どうぞ。総理府も結構でございます。――じゃ、文部省、お願いします。  先ほど御答弁の中で、今回盛り場対策をすれば少しは少年非行も減っていくだろうというような御答弁があったわけです。確かにそれはないとは言えないですが、今回のこの法律案を見ていけば、逆に言えば盛り場拡散ではないか。今、ある程度場所を決められて、そこへ盛り場を認めていくんだというような感じもしますけれども、そうじゃなくて、逆に言えばラブホテルのようなものを中心に、あるいはゲームセンターのようなものを中心に、ますます拡散をさしていくのではないか。そうしますと、少年非行がますます拡散していくのではないか、私はそのように思うわけです。  それと同時に、後ほど触れたいと思っていたわけですが、時間規制をされる。時間規制をされて、例えばゲームセンターなんか、十時になるわけですけれども、十時になったら家へ帰りなさい。そこがたまり場になっていると、十時になって、家に帰るのではなく、またよその、例えば今度は自動販売機だけを置いている、ジュースとかうどんとか、そういうものを売っている自動販売機のところがたまり場になったり。子供は知恵がありますから、それなりにまた集まる場所を探すと思うわけです。私はますます拡散していくのではないか、そう思うのですが、どのようにお考えですか。
  22. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生のおっしゃる拡散という意味が私にはちょっとわかりかねる面があるのでございますけれども先生おっしゃられる中で、一つのものをやりますとほかにも波及をしていくというお話がございました。それはもうおっしゃるとおりだと思います。  したがいまして、今度の対策といたしましては、やはり問題となりますものを全部拾い上げてみまして、そこである程度統一的なといいますか、そういう総合的な対策が必要になるのではないかという形でいろいろ対策を立ててきたつもりでございます。  例えば、年少者の立ち入り問題あるいは従業問題というものも、風俗営業に今度お願いしております、許可対象と考えておりますゲームセンター等、十時という考え方をとっておりますけれども、同時に、ほかの例えば飲食店関係その他でございますね、あるいは風俗関連営業についても同じでございますが、そういうものに従業さしてはいかぬというような形で、押しなべて関連する業態に関しまして、少年立場からこうすべきだという形でもって総合対策を立てたつもりでございまして、どこかを押したら風船のようにどこかが膨らんで、それがある意味拡散になってしまうというような形にならないように、総合的に考えたつもりでございます。
  23. 山下八洲夫

    山下(八)委員 話がちょっとそれるかもわかりませんけれども、私は、少年非行というのは大人社会がつくり出している、そう思うわけです。各省庁青少年育成にそれぞれ努力なさっているわけです。それがなかなか実行されない。現実的には犯罪がふえていく。これはあくまでも、例えば子供健全育成というのは家庭にあり、学校にあり、そして社会にあり、地域にあり、私はそう思うわけです。特に地域社会がだんだん砂漠化していっているということで、大変難しい面があろうかと思いますけれども、これをしっかりさしていく、その推進をしていくということが一番大事であって、例えば性産業をなくしたからよくなるとか、あるいは歌舞伎町のようなところをなくしてしまったからいいとか、それで健全に育成される、決してそういうものではないと思うわけです。  今、あらゆる社会でいろいろな犯罪が起きていると私は思うわけです。犯罪という言葉がきつければ、非行と言ってもいいわけです。警察内部にも相当あるのではないかと思うわけです。ちょっとこの資料を見ますと、過去三年間の懲戒処分状況というのがあるわけですけれども交通関係で、五十六年が二十四、五十七年が二十一、五十八年が二十。これは全部読みますと長くなりますので、合計だけ言っていきますけれども交通関係で三年間で六十五件。刑法犯、特に窃盗、暴行、収賄等関連するもの三十七。その他、内部規律違反、これはどういう違反か私にはわかりませんけれども、二百十一。三年間で合計三百十三あるわけですね。これは監督責任を問わないものを除く。警察ですら、あるわけですね。世の中をいかによくしようかと一生懸命守っている、その足元ですら、三年間にこんなにあるわけです。  私は、この二カ月ぐらい、警察関係新聞にどれくらい出ていただろうと思いました。五月と六月だけですね。秋田の「免許証」の問題、茨城の「疑惑の署長、不問の栄転」というのがありましたね。それから東京で、「警察が法に触れぬといった」、夕ぐれ族公判で、警察に事前に何回も相談をしていた、それが有罪になったから不満だということを言っていると思うわけです。そういうものもあるわけですね。岐阜県において「警官と詐欺男「黒い交際」」、また「駐在所前で恋人がはち合わせ」こういうのもあるのですね。兵庫県におきましては、もう御案内のとおり、「強盗」から、「署長がかけマージャン」とか、「また兵庫県警 不良手形に裏書」の問題、たくさんあるわけですね。  これは警察だけが悪いと私は言っているのじゃないのです。政治の世界でもあるようですね。公安委員長が大変いいことを言っている新聞記事があるわけです。六月十五日のある新聞の囲みですけれども。この記事が間違っているとおっしゃれば、これは新聞記者がうそを書いたことになりますので、ちょっと読ませていただきたいと思うのです。  「田川自治相(国家公安委員長)は最近、政治倫理の゛お目付け役"ならではの戸惑いや悩みを深くしている。一つが相次ぐ警察官の不祥事。幹部たちには厳しく綱紀粛正を求めているが、どことなく迫力が出ないらしい。」公安委員長も一生懸命警察のことを思ってくださっているのですよ。「原因はいうまでもなく゛例の問題"もし閣議で「警察官が何たることか」といった発言が出ようものなら「゛贈収賄"に囲われている政治家が国政でふんぞり返っているのはどうするのか句といってやるんだ」」そう言って一生懸命守ってくださっているのですよ。「田中問題のけじめこそ倫理確立の基本だ」と言われている。ところが、その田川自治大臣のおひざ元の神奈川県の方でも、有罪の二市会議員が居座っている云々ということが書いてあるわけです。  もう、あらゆるところで社会が崩壊しつつあるわけですね。ですから、今回一部のところへしわ寄せをしていくのではないか、そのような感じが私はどうしてもしてならないわけです。だから、社会全体の構造をどう立て直していくかということが一番大事であって、この新聞の最後のところにある「上、正しからざれば、下、これに従う」、今、子供にしたって一般国民にしたって、みんな上に従っているのじゃないか、ここに書いてあるとおりだと思うのです。それについて自治大臣と長官の御感想をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  24. 三井脩

    三井政府委員 今お挙げになりました警察官の非行については全く申しわけないと思っておるわけでございまして、これについては的確な是正措置を講ずるとともに、警察官は、警察法に示されておりますように治安維持の職責を一生懸命果たすということによって、非行によって損なわれた国民の信頼を速やかに回復してまいりたいというように考えておるわけでございまして、警察幹部が姿勢を正し、範を垂れるということは申すまでもないということでございます。
  25. 田川誠一

    田川国務大臣 少年非行大人社会に責任があるというお話は、私もそのように思っております。それからまた、国民の代表である我々国会の姿勢というものは一般社会に、それぞれ大きな影響を及ぼすということもそのとおりであると思います。  山下さんが今御披露になりました新聞記事の八〇%ぐらいは正確であると思いますけれども、私が申し上げたいと思っておるのは、まず政治がきれいになっていかなければ世の中はよくならないということを申し上げた一つの例でございます。  ただ、この少年非行を正していく場合に、それでは先ほど来御質問のように、風営法改正してそれで目的を達するかということをおっしゃられておりますけれども、これはやはり持ち場、持ち場でそれ相応に努力をしていかない限りなかなかできないのでございまして、警察当局は警察当局の一つの仕事がございます。その仕事の中で青少年たまり場になるような悪いところはできるだけ直していくとか、規制をしていくとか、立ち入りをさせないようにしていくとかいう努力をしていかなければならない、これが今回の風営法改正の趣旨でございます。文部省文部省、それぞれの役柄がございまして、その役柄の中で私ども青少年非行を正すための努力をしていかなければならないのでございます。そういう考え方を持っているわけでございます。
  26. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ちょっと文部省にお尋ねしたいわけですが、今、特に学校関係子供たちも、どちらかというと横社会になっているのではないか。私たち子供のころは、大体家へ帰ると餓鬼大将が見えて、そしてその餓鬼大将に従って、ある面では縦社会地域に根づいていたわけです。それなりに指導されてきたわけです。カキ泥棒をしろといって命令されてカキ泥棒をした経験も、私自身もありますし、そういう中で成長してきていると思うわけですね。  今の社会というのは、家に帰ると子供自身も塾その他で忙しいのかどうかわかりませんけれども、かなり横社会になっている。横社会だけならいいけれども、それがまた分断されている社会になっているのではないか。私はこれを考えてみますと、学校先生、それから父母、子供、これを三位一体にしてうまく文部省が指導をしていけば少年非行というのは随分なくなるのではないか。  また、学校においても、高等学校、中学校にしてもそうですけれども、かなり規制が厳しくなっているようですね。義務教育である中学校ですら、制服があり、そして靴下までどういうのをはいてきてはいかぬとか、かなり厳しく規制されているわけです。ますます管理社会になっているわけですね。私は、厳しく規制をすればするほど、逆に言えば犯罪非行が今ふえてきているのではないか、そう思えてならないわけであります。人間というのは大人であっても同じだと思うわけです。追い詰められれば最後はかみついてくるわけですから、そういう現象を学校教育の中でもつくり出す傾向にあるのではないか、そう思えてならないわけですが、その辺について、いかがお考えですか。
  27. 伊藤俊夫

    伊藤説明員 先生御指摘のように、今青少年を取り巻く環境、特に教育環境につきましては、いろいろな方からいろいろな指摘があって、確かに子供の健全な成長発達のために好ましくないというのが幾つも指摘されているところでございますけれども、特に青少年がそれぞれの年齢ごとに成長発達していくためには、それぞれの段階にふさわしい生活体験を持つことが一番重要であると思うのです。幼児期には信頼感を身につけるとか、あるいは少年期になりましたら活動性なり自発性を身につけるとか、青年期になれば自己の確立をするとか、それぞれの発達段階に応じた課題を持っておるわけでございまして、それを解決するためにはやはりいろいろ豊富な生活体験を持つことが最も重要だ、こういうふうに考えますし、先生の御指摘につきましては全面的に賛成でございます。  特に今欠けていると言われているのが、生活体験の中でも縦社会の体験が欠けている。昔ですと、おじいさん、おばあさんがいて、それから父親、母親がいてという形で、三世代等で縦社会を経験しています。あるいは地域社会へ出てまいりますと、上級生と下級生が一緒になって活動するとか、あるいは隣のおじさんが真剣になっていろいろなことを教えてくれたり、しかってくれたりという形で、縦社会の経験というのが非常に豊富だったわけですけれども、最近の子供たちはややもするとそれが欠けてきている。  特に、子供の遊びを見ていますと、それが欠けているような感じがします。昔の遊びですと、屋外で大人数が群れをなして体を使った遊びが多かったわけですけれども、最近の子供たちを見ますと、屋内で、部屋の中で、ひとりっきりの受け身の遊びをしている。テレビゲームをやるとかあるいはテレビを見るとかしている。豊富な生活体験を持つべき時代にそういうような形で生活の経験が非常に欠けているということは大変問題だと思うのです。  そういう意味で、今学校教育の中でもそういうようないろいろな生活体験を持たせるような仕組みを考えていますし、それから、社会教育面におきましても、そういうようないろいろな生活体験を持たせるような仕組みを考え、施策を進めているという状況でございます。世の中が構造自体が変わってきておりますので、それに見合うような形でいろいろな対策を講じていかなければいけない、そういうふうに考えております。
  28. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題にいつまでもかかわっていますと次へ行けなくなりますので、この辺でおきたいと思います。文部省、ありがとうございました。  今回、この風俗営業法律の中でそれぞれわからない条令のところがたくさんありますので、その辺をかいつまんで質問させていただきたいと思います。  まず、風俗営業法の規制対象業種が、風営業の許可制と風俗関連営業の届け出制、この二つに分かれておりますね。この分かれたのは何が一番の基本になっているのですか。
  29. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗営業と申しますのは許可営業対象のものでございますけれども、これは、その営業が健全に行われれば国民に必要な娯楽なり憩いを与えるものだという考え方でございまして、本来そういうものは業務の健全化を図っていくべき性格のものであるというふうに理解をいたしております。  これに反しまして、風俗関連営業と申しますのは、いわゆるセックス絡みのものでございまして、もちろん完全に売春なりわいせつなり法に触れるものは、そこまでいくものはもう対象にもならぬわけでございますが、その一歩手前のところのセックス産業につきましては、これは今申しましたように大変いろいろな問題をはらむものでございます。したがいまして、これを積極的に指導して健全化を図るという業態にはなじまないということでございまして、むしろ、これを届け出をさせて実態把握をいたしまして、そして必要な規制をかけていく、違反があれば厳正に対処していく、こういう姿勢で臨む営業である、かように考えております。
  30. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まず、許可制のゲームセンターといいますか、特にスロットマシンについては、これは間違いなく賭博機だと思うわけです。だが、スポーツゲームを中心とした健全なゲーム機もたくさんあるわけですね。だけれども、これを一括してゲームセンター等として許可制というふうになっていると思うわけです、私の判断では。また一方、風俗関連営業の届け出制、特にトルコぶろですね。トルコぶろにつきましては、少なくとも百人中九十九人ぐらいは、あそこは売春をやるところだ、そのように理解をしておると私は思うわけです。それを届け出制で認めていく。また、今回新しく届け出制の中にはアダルトショップ等が入ってきたわけです。また、許可制の方にはゲームセンターが入ってきたわけですね。  その辺につきまして、まずゲームセンターにつきまして、その中でスポーツ的ないいゲーム機ですね、この辺はもう初めから外したっていいのではないか、そう思ったりもするわけです。また、トルコぶろなどは届け出制にする必要があるのだろうか。逆に言えば、ああいうものはもうできなくなってもいいのではないか、そのように思ったりもするわけです。  そういう中で、この質問をするに当たってわざわざ二十六日に東京駅の構内のトイレにちょっと行ってきたわけです。そうしましたら、トイレに五種類のこういう紙切れがあったわけです。「赤坂、六本木で私たち女の子と遊びませんか。ホテル、自宅から電話を下さい。」内容は同じようなものです。五種類あるのです。これはどの業種に入るのですか。その辺をあわせて教えてください。
  31. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いろいろお尋ねがございましたが、ゲームセンターのことからお答えをした方がよろしいのでございますか。――ゲームセンターにつきましては、スロットマシンと申しますのが完全なギャンブル機ではないかというお話でございますが、スロットマシンがギャンブル機になるかどうかという問題は、やはりそこに現金なり賞品なりそういうものが伴うか伴わないかということがメルクマールでございまして、スロットマシン自体で遊ぶということになりますと、それ自体で遊技を楽しむのを直にこれが賭博である、賭博機械であるというふうに判定することはいかがであろうかと考えておるわけでございます。  もう一つのお尋ねは、健全なゲーム機があるではないか、これは外しても何ら差し支えないではないか、こういうお尋ねでございますけれども、ゲーム機の中には、それはおっしゃるとおりいろいろな種類のゲームの内容がございます。それで、ゲームの内容が健全であるかどうかということと、それが賭博に使われやすいかどうかということとはちょっと別問題であるわけでございます。なるほど、それがまさに遊技だけで楽しんでおるということであれば、これは原則としてゲーム機そのものは問題ないわけでございますけれども、その結果が定量的に出てくるもの、あるいは勝敗が決まるものは、営業者の姿勢が悪いとそういうものを利用して賭博が行われる可能性がある。しかも現実には、そういう形で実際に行われておるという実態があるわけでございます。  したがいまして、それが健全であるかどうかということをゲームの内容によって分けていくということは適当でないと考えておるわけでございます。
  32. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは、草野球でお金をかけても賭博ですね。ゴルフコンペでお金や賞品をかけてもばくちになるのですか。ちょっとお尋ねします。
  33. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 賭博罪の関係でございますから、私の方でかわってお答えをいたします。  今、御質問ありました草野球、ゴルフコンペでお金や賞品をかけた場合、賭博に当たるかどうかということですが、まず刑法の百八十五条で定めております賭博罪の規定は、二人以上の者が相互に財物をかけまして、これは偶然の勝負によってその財物の得失を争う、こういう場合に賭博罪に当たるというふうに規定をしておるわけです。  そこで、偶然の勝負という中に草野球であるとかゴルフのコンペが入るかということですが、偶然の勝負の中にはそういった勝ち負けを争うものは当然入ると思います。したがいまして、金銭をその勝負の結果にかけて得失を争うという場合には一応は賭博罪になると思います。  ただ、御存じのとおり、百八十五条はただし書きがありまして、一時の娯楽に供する場合には賭博罪には当たらない、こういっただし書きの規定で排除しておりますので、例えばゴルフのコンペの賞品が、いわゆる親睦ゴルフ、サラリーマンが普通やっておりますようなゴルフの場合に、お互いに会費を出し、それを集めて賞品を出し合う、それが一時の娯楽の用に供したものであるのかどうか、それが反社会的なものであるのかどうか、こういうことで賭博罪に当たるかどうかを判断する。結論から言いますと、今のような場合には大概の場合賭博罪には当たらないのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。
  34. 山下八洲夫

    山下(八)委員 スロットマシンで賞品をもらえば賭博なんですね。そして、例えばゴルフでホール・イン・ワンをやって賞品をもらった、これはなぜ賭博ではないのですか。幾らただし書きといっても、スロットマシンだってそこへ行ってやるのですからね。毎日決められてやるわけじゃないのですね。やっぱり偶然性の問題。ゴルフのホール・イン・ワンも偶然性の問題だと思うのですよ。
  35. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 同じ賞品を得ることについて、金額その他でどうかというようなことと、その態様ですね、勝ち負けを争う態様、それから社会的な価値判断、それから、やっております行為者のいろいろな社会的な身分、例えばゴルフにありましても、先ほどゴルフの場合には大体賭博に当たらないだろうというふうに申し上げましたが、一昨年、千葉県の方で検挙しました暴力団のゴルフ賭博というのがございますが、この場合には、ハーフで一人最大七百万円ぐらい負けた、こういうケースがございます。こういう場合には、その態様からいっても賭博に当たる。したがって、ゴルフというのは大体健全なスポーツだという社会的な前提に立っておりますので、賭博に当たるかどうかというのは態様によっていろいろ判断してまいりたい、こういうふうに思っております。
  36. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、社会的に健全なスポーツゲーム機だって、許可制の中に、賭博の中に入れられているのですよ。その辺の関係はどうなんですか。
  37. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 専ら使われ方が、それが射幸心をそそるような使われ方に移行する場合が多いかどうか。先ほどから言っておりますように、ゴルフの場合とパチンコ、スロットマシンの場合とは、そういった意味で大分性格が異なっているのではないかと思います。
  38. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ゴルフも射幸心をそそるからこれだけブームになって一般国民がたくさんゴルフをやるようなったと思うのです。スロットマシンの方は射幸心をそそらないからブームにならないで、まだ日本人が余りやっていないんでしょう。射幸心というのはそういうものじゃないですか。やりたいという気持ちが強いからふえていくんじゃないですか。
  39. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 ゴルフそのものが射幸心をそそるかどうかということにつきましては、今の御議論はちょっと私は同意できないわけでございまして、やはり一応あれは健全なスポーツで、ただそういった一時の娯楽に、スポーツをより親睦の度合いを深めるとかおもしろくするために、盛り上げるためにそういうのにチョコレートがかけられる、それが射幸心というのにはちょっと当たらないのではないかという感じがいたします。
  40. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうもわからないのですけれども、スロットマシンじゃなくても、要するにゲーム機で金品をかければ賭博ですね。ちょっと横道にそれてしまいますが、本当に健全なスポーツであればなぜゴルフに税金がかかるのですか。本当に健全なスポーツだけに定義されていないから税金もかかっていると私は見ているのです。  ゴルフで金品がかかっても賭博じゃなくて、ゲーム機で金品がかかれば賭博である、この定義というのはそれこそ御都合主義です。私、ゴルフもやったことないです。クラブもまださわったことがないです。我々のやれないような世界の人がするようなものは賭博じゃなくて、私も一遍くらいスロットマシンに行ってみるか、それくらいの金はあるから。そういうものは賭博である、そういうふうに聞こえてならないのです。けれども金品をかければすべて賭博であると思うのですが、その辺いかがですか、もう一度聞かせてください。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 先ほど刑法の規定を申し上げましたように、偶然の輸羸、偶然の勝負の結果に財物の得失をかける、これは賭博罪の要件でございますので、今言いました勝ち負けの結果に金銭をかけるということは、一応賭博罪に当たると思います。ただ、そこで申しましたのは、ただし書きがありまして、一時の娯楽に供する場合にはそれは賭博にはならないんだというような刑法のただし書きの規定がございます。そこで、一時の娯楽というのは一体どういうケースがそうなのかということで、それの解釈の一つの事例を申し上げた。  したがいまして、ゴルフでありましても、多額の金品をかけて、そのかけた態様、かけ方、やっておる人間のいろんな態様が明らかに公序良俗に反する、賭博罪というのは御存じのとおり風俗犯でありますから、やはり社会、公共の公序良俗に反する場合に賭博罪ということでございます。それがもともとの基本的な性格でございます。したがって、やっております。その人間の態様であるとか、かけの態様であるとか、金額であるとか、そういったものをいろいろ勘案して賭博罪に当たるかどうかということになる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  42. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう一回だけお尋ねして次へ行きたいと思います。  プロ野球のシーズンオフに、プロ野球の選手がずっと各球団から何人かずつ出てゴルフコンペをやって、その優勝者には自家用車が出たり二位にはミンクのコートが渡されたりしますね。自家用車なんか高いですね。ああいうものは何に当たるのですか。
  43. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 もう一度繰り返して申し上げますが、賭博罪は当事者が財産上の得失を勝負し合う。ああいった野球の選手が集まって車が賞品に出てゴルフコンペをやるというのは、スポンサーか何かが出しまして、お互いに勝負し合っている当事者同士の財産上の得失、損害、利益というものはない、したがってあれは賭博罪には当たらない、こういうわけでございます。
  44. 山下八洲夫

    山下(八)委員 要するに、ゴルフコンペも金品をかければ賭博ということですね。そうでしょう。あれは賞品をスポンサーからもらうから賭博じゃないのですよね。金品をかければゴルフコンペだって賭博ですね。
  45. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 繰り返して恐縮でございますが、一応は賭博罪になるのです。(山下(八)委員「一応とはどういうことですか」と呼ぶ)いや、ただし書きがあるのです。刑法の百八十五条をごらんいただきますと、勝負して財物の得失がある場合には賭博罪なんですが、ただし、その財物というものが一時の娯楽に供するものの場合にはこの限りでないというふうになっておるものですから、かけられた状態、かけられた物が一体一時の娯楽ということの範疇に入るのかどうか、それで結果が決まってくる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  46. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう時間がなくなるからこれはやめます。  ラブホテルが風俗関連営業の届け出制になっている。せっかくこういうものができても抜け道がどんどんあって、最近は貸し別荘というのができてきたのですね。貸し別荘は届け出制でも許可制でもないからどんどんつくれるのですか。
  47. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 通常、貸し別荘というのは家族連れの施設で、そういう者に貸すものだと思います。したがいまして、今度我々が対象といたしますのは、専ら異性を同伴する客の宿泊に利用させる営業、こういうことになっておりますから、常識的には貸し別荘が当たるとは考えられないわけでございます。  ただ、名前だけで判断すべきではない、あくまでもその実態で判断をしなければいかぬわけでございますから、貸し別荘という名前をつけて、今申しましたように専ら異性の同伴に供するような営業をもしやるとすれば、それはやはり対象にならざるを得ない、こういうふうに考えております。
  48. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、要するに女性を伴って入るところは全部ラブホテル類に当たるというふうに判断していいのですね。
  49. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 女性を同伴していくところが全部ラブホテルになるということではございませんで、専ら異性を同伴する客の宿泊の用に供するようにつくられておるということが大小でございますから、そういう意味での施設なり構造というものがやはりラブホテルのメルクマールになるということでございます。
  50. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ラブホテルの定義は、この間のいろいろな質問で多少わかったわけです。例えば、寝室に大きな鏡があるとかふろ場が見えるとか、そういうお話でわかっているわけですが、そうしますと、逆に言いますと、ふろ場は見えない、鐘も、ほどほどでしょうけれども、余り大きなものも寝室にない、そういう設備で、ふろ場があって寝室があって、そして女性を伴ってしか入れないような貸し別荘はどうなるのですか。
  51. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 貸し別荘というのがどういう意味か、ちょっとわかりにくいのでございますけれども、例えば、それをずっと特定の者に何日も貸しておるというような形になりますとこれはちょっと違うのかなという感じもいたしますし、もうちょっと貸し別荘の具体的な状況が出てまいりませんとちょっと判断がしにくいのではないかなという感じでございます。
  52. 山下八洲夫

    山下(八)委員 現実に今できて営業しておるところもあれば、建築確認の申請の出ておるところもあれば、現実にこの世にあるのですよね。例えば貸し別荘でも二軒長屋の貸し別荘になっているところもあります。ワンガレージ方式で、簡単に言いますと昔のモーテルですか、それとかなり類似して出てきているわけです。けれども、これはあくまで貸し別荘という看板が出ているのです。ラブホテルはラブホテルと出てないのですね。ホテル何々と出ているのですね。だから類似とかそういうことでいくと思いますけれども、今度貸し別荘の場合は、堂々と貸し別荘と出ているのです。休憩二時間幾ら、泊まり幾らと出ているのです。
  53. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私が先ほど申しましたように、貸し別荘という看板がかかっているからいいんだということにはならないわけでございまして、あくまでも内容で判断をしなければいけないということでございますから、そういう施設といいますのは、例えばああいうものは食堂の施設が要らないというのがあれでございますから、一定規模以下の食堂しか備えていない、あるいはフロントを通らないで部屋に行けるような状況になっているとか、そういう施設状況。それから、先ほど先生からお話がありましたように、天井なり側面に鏡がいっぱい張りつけてあるとか、浴室が部屋の客室の方からのぞけるとか、あるいはいわゆるポルノビデオみたいなものが備えつけてあるとか、そういうような要素を見て判断をしていくということになると考えております。
  54. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回、風俗営業にしましても、風俗関連営業にしましても、許可制とか届け出制とかいろいろと御苦労なさっているわけですが、厳しくすればするほど、また巧妙な手口で、法律ができる前からそういうものを相手側の方が知恵を出してやっているわけですね。だからそういうことを考えていきますと、私らがこの中で見ましても、許可制の中でも、例えばダンスホールにしたってパチンコ屋さんにしたって、あるいはマージャン屋さんにしたって、もうかなり健全な、ある面では大衆的な娯楽になっていると思うわけです。特にパチンコ屋さんなどは歴史が古くて、もうかなり健全になっていると思うわけですね。  そういうところは風俗営業で大変厳しい許可制になっていますし、またそういう類似がどんどん出てくれば、毎年毎年この中へ新しいものをどんどん入れて、風俗営業ばかりどんどんふえていくと思うわけですね。ある一定の歴史を見て、ある面では健全になったと思えば削除していくことも大事だと思うわけですね。ある一定のレベルまで来た、これはもういい、と。私など、特にパチンコ屋さんとかマージャン屋さんなんか、もうかなり健全じゃないかと思うわけです。十八歳未満はほとんど来ませんしね。その辺どうですか。
  55. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生のおっしゃる前段の、要するに許可営業で健全なものがかなりあるじゃないか、私もそう思います。ですからそういう面で、私どもは今度の法律案改正に当たりましては、従来はいきなり罰則でもって担保しようというような規定が非常に多かったわけですけれども、そういうのは実情に沿わないじゃないかということで、できる限り直罰規定みたいなものを外しておるわけでございます。  許可制にして厳しくなったじゃないか、こうおっしゃられるのは、許可制というのは、今まででも許可制でございますから別に変わらないのでございますけれども、届け出と違いますのは、人的な条件を見るということであるわけでございます。この面が、もし厳しくなったとおっしゃられるのならば、それはそういう面がございます。これはやはり健全にそういうふうな営業をやっていくという必要があるわけでございますから、必要な人的欠格条件をよく見て、そうして問題のない人にそういうふうな形で営業をやっていただく、こういうようにしていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  56. 山下八洲夫

    山下(八)委員 パチンコ屋さんにこだわるわけじゃないのですけれども、パチンコ屋さんにしてももう相当長い歴史を経過してきているのですね。ほかの風営法関係、歴史の古いのもありますけれども、最近のぞき劇場だとかラブホテルだとかアダルトショップ、こういうのは割と歴史は浅いと思います。ゲームセンターなんかもそういう点では比較的歴史は浅いと思うわけですね、パチンコ屋さんなんかに比べれば。それなりに一定の社会の中できちっと健全な運用をしてきたから、今日このような大衆娯楽にまでなってきていると思うわけです。  そういう点で、特に立入検査権の問題を見ていきますと、「公安委員会は、風俗営業者等に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求める」ことができるのですね。そして、「立ち入って、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」のですね。大変なことですよね。まず、「資料の提出」はどの範囲か、「帳簿、書類その他の物件」とはどの範囲か、ちょっと教えてほしいのです。
  57. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 その前提として一言お話しを申し上げなければいかぬと思いますのは、実は、今度の立ち入りの規制は、十分必要なところを配慮しながら改正をしているつもりでございまして、現行法より決して厳しくしているわけでも何でもございません。その点だけはまず御理解を賜りたい、こう思うわけです。  今お話しの、例えば「帳簿、書類その他の物件」ということがございますけれども、こういうものを検査できるというのは、今までの法律解釈でも、現行法でもできるという解釈が通説でございまして、現実にもそういうふうに考えております。この書き方は近時の立法例に倣って書いているだけのことでございまして、実は現行法を確認的に書いたにすぎないものでございます。そういうことで、一つも厳しくしたわけでも何でもないということをまず御理解を賜りたいと思います。
  58. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今の御答弁を聞いていますと、旧法で十分間に合うと思うわけですね。特に現行の風俗営業等取締法では、「警察官は、風俗営業営業所に立ち入ることができる。」にすぎないわけなんですね。業者がその立ち入りを拒んだりしたときは五千円以下の罰金に処せられるわけです。改正法では、公安委員会は、風俗営業者に対し、報告もしくは資料の提出を求め、警察官は、立ち入りだけでなく、帳簿、書類その他の物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができるわけですね。これは拒否できないわけなんですね。もう一度その辺教えてください。
  59. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 繰り返すようになりますけれども、先ほど先生お話しのように、現行法は、立ち入りすることができるというふうにもちろん書いてあるわけでございます。現行法では、立ち入りした場合には、当然立ち入りの目的があるわけでございますから、必要なことはできるという解釈が当然であるというふうに考えておるわけでございまして、立ち入りして後は質問も検査も何もできないということになりますと、立ち入りした意味は何にもなくなっちゃうということになるわけでございまして、現行法でも、今申しましたように、立ち入りをして必要なことはできるという解釈が定着しておるわけでございます。  私どもは、この規定をいろいろ検討するに当たりまして、例えば三十七条で申しますと「必要な限度において」という言葉がございますが、従来は「必要があるときは」というような書き方をしておりまして、このように、必要な限度において慎重にやりましょうというようなことを明らかにするとか、あるいは「報告若しくは資料の提出を求め」というのがございますが、立ち入りをしなくても、資料の提出あるいは報告によって賄えるものは賄っていこう、むしろそれの方が営業者に対して迷惑にならないのじゃないかというようなことを考えてそうしたものでございます。  あるいはここに、例えば、「個室その他これに類する施設を設ける営業所にあっては、客が在室する個室等を除く。」というふうに書いてありますのは、そういうふうなことで、従来から注意をしておりますけれども、念のために自分たちとしても注意を払っていこうということで明確にしたということでございます。  そして、その後の「帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」というのは、従来こういう法律を整理するときの例文でございまして、従来できたものを確認的に書いたにすぎないものでございます。  さらに、例えば二項をごらんいただきますと、「その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」これは従来は、「関係人の請求があったときは、これを呈示しなければならない。」こういうことでございますが、要するに、今度はみずから進んで、そういうものをこちらの方から提示をするというふうに変えておるわけでございます。  あるいは、こういうものはあくまでも行政目的のためにやるわけでございますから、決して犯罪捜査のために認められてどんどんやっていく、そういう形でやっていくということがあってはならないということで、これまた三項の規定でもって念のために、そういうことと「解してはならない。」これも大体最近の立法例ではこういうふうに書いておりますけれども、そういう形で書いたものでございまして、今申しましたように、むしろこの立ち入りの関係は、決して行き過ぎのないように、十分な配慮を加えて規定したということを御理解賜りたいと思います。
  60. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もっと具体的にお尋ねしたいと思いますけれども、例えばパチンコ屋さんならパチンコ屋さんに立ち入りをして、現金出納帳を見せてくださいよ、あるいは仕入れ台帳を見せてくださいよ、そういうことは言えるのですね。言って、見ることができるのですね。それを拒否したらどうなるのですか。
  61. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 帳簿、書類その他の物件を見るということになっておりますけれども、これはやはり風営法の目的を達成するために、健全な営業が行われているかどうかを見るわけでございまして、そういう意味から、帳簿を何のために見るかということをこちらの方としても十分考えてやることになるわけでございます。そういう必要があるかないかということがまず前提でございます。ですから、現金出納簿を見せてくれとかなんとか、片っ端から帳簿を見ていくという考え方は、当然のことながらこの法律からは出てこないわけでございまして、そういう必要性があるかないかという判断が当然まず出なければならない、こういうことになるわけでございます。  例えばパチンコが例に挙がりましたけれども一つ一つの業態でもって、今何が、どういう帳簿がすぐこういうふうに関連するかというのもなかなか難しいと思うのでございますけれども、あえてパチンコで考えてみますと、大体どこの店でもパチンコ台ごとに品玉の数、そういうものをいろいろ管理しておる。そういうものを帳簿なり書類なりにつけていろいろ運用しているというようなことがあるわけでございまして、そういうものがいわば射幸心をそそるおそれになるかどうかという点を見ていくということがあり得るだろうと思います。見るとすればやはりそういう必要性でもって見ていくということでございまして、何でもかんでも片っ端から見ていくというような考え方は持ってないものでございます。
  62. 山下八洲夫

    山下(八)委員 憲法三十五条の「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」と、三十三条――あるいはまた三十八条の「自己に不利益な供述を強要されない。」このような関係はどうなるのですか。――三十三条は、現行犯として逮捕される場合を除いては、逮捕状によらなければ……。
  63. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りにつきましては、憲法三十三条あるいは三十八条と申しますのは……(山下(八)委員「三十五条」と呼ぶ)三十五条でございますか。――司法手続につきましてこういうことが決められておるわけでございますけれども、この精神行政上の運用についても尊重していかなければならないということは私ども承知いたしております。  したがいまして、例えば質問に際しまして、そういう本人の不利益な供述を強要するようなことが、それによりまして例えば刑事訴追の問題になるようなことがあってはならないということは私どもも十分承知いたしておりまして、決してそういう形にならないように運用をしてまいりたい、かように考えております。
  64. 山下八洲夫

    山下(八)委員 では、帳簿、書類の拒否も一緒ですね。いいんですね、それも拒否したって。
  65. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 帳簿の拒否は……(山下(八)委員「憲法三十五条です」と呼ぶ)その趣旨を当然のことながら尊重するということでございまして、本来行政目的のためにやっておるものに対しましてやはり協力していただく必要があるわけです。ただ、それがみずからの刑事責任を訴追、追及されるような形になる問題につきましては、慎重でなければならない、かように考えておるわけでございます。
  66. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今一番心配されるのは、調査を受ける側からすれば、それがいつ、どの時点までは行政上であって、どの時点から今度、極端な言い方をすればそれは犯罪捜査なのか、わからないわけですね。だから私は、一つはこうやって大変な不安を持っているわけです。  それからもう一つ、「関係者に質問させることができる。」これもさっぱりわからないのです。そこへ警察官が帳簿その他を見に来た、立ち入りされたとしますね。では、お客さんに質問させることもできるのですか、この条文からいきますと。その辺はどうなんですか。
  67. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この「関係者」と申しますのは、現行の運用と全く変わってないわけでございますけれども営業所におります営業者、管理者その他の従業者のうち、健全な営業が行われているかを確認したりあるいは営業の実態を把握するために事情を聞く必要がある者を言うわけでございまして、通常は客を含まないというふうに考えております。
  68. 山下八洲夫

    山下(八)委員 通常は客を含まない。客ではなくてもいいんですよ。要するに第三者に質問させることができるのですね。私はこれは大変なことだと思うのです。
  69. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 第三者にと申しますのはどういうふうなことでございましょうか。この立ち入りの規定は、公安委員会は、警察職員をして関係者に質問させることができるということでございますから、第三者が質問するということはあり得ないと思っておりますが……。
  70. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは、警察官以外は関係者ではないのですね。そのように理解していいですね。
  71. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 関係者と申しますのは質問を受ける方の立場の者でございまして、したがいまして警察官が関係者に質問する。その場合の関係者と申しますのは、経営者あるいは管理者あるいは従業者、そういう者が主なものであろう、こういうように考えております。
  72. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは、もう時間がありませんのでちょっと急ぎたいと思うわけですが、そういう中で、四条一項四号に欠格事由があるわけですね。「精神病者又はアルコール、麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者」等は欠格事由になります。また、一年以上の懲役もしくは禁錮刑に処せられた者は五年間は営業はできない、このような欠格事由があるわけです。  まず一つは、業務上過失致死傷害を犯した人なんかも欠格事由に入ってくるわけですね。例えば、悪質な交通事故でないとならないかもわかりませんが、悪質な交通事故で欠格事由になったとか、あるいはまた税金を納めなくて欠格事由になったとか、いろいろと出てくると思うわけですが、この欠格事由もある面では大変厳しくなっている。せっかく社会で更生をしようというときに職業選択の自由はかなり狭められてくるのではないか、そのような心配が一つあるわけです。  同時に、アルコール中毒者なんかはどのように判断すればいいのですか。仮に、あなたお酒好きですか、好きです、毎晩飲みますか、飲みます、晩酌毎日してますか、してます、こうなったらこれはアルコール中毒者ですか。その辺を含めて答弁してほしいと思います。
  73. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 人的欠格事由に、今度の改正案では一年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられた者を含めております。これは確かに業務上過失致死傷という、交通事故も含まれると思いますけれども、実際今申しました一年以上の懲役あるいはまた禁錮に処せられるというのは、故意に近いような過失がある、そういう大変悪質な状況、あるいは大変被害が甚大である、あるいは改悛の情が認められないというような極めて悪質なものに限られるだろうと思います。  五十七年の業務上過失致死傷で有罪判決を受けた人の状況がございますけれども、約三十二万三千人がこの業務上過失致死傷で有罪判決を受けておりますが、このうち一年以上の懲役、禁錮に処せられた方は四百五十人、千人に一・四ぐらいの割合という極めて悪質な状況のものでございまして、そういうふうな人たちを排除していくというのは合理的な理由があるだろう、公共の福祉による制限としても許されるものだろうというふうに考えておるわけでございます。  特にこういう規定は実はいろいろな立法例からとっておるわけでございまして、何も今度の改正案で格別に考えたものでも何でもないわけです。例えば宅地建物取引業法とか旅行業法なんというのをごらんいただきますと、私の方の法律は一年以上の懲役、禁錮と言っておりますけれども、この宅地建物取引業法だとか旅行業法というのは、一年以上なんということじゃなくて、禁錮以上の刑に処せられれば欠格事由になるという大変厳しい規定を置いているわけでございます。  今申しましたような各種の立法例、それから必要性というものを踏まえまして、こういう規定にしたものでございます。
  74. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がないですから急ぎますけれども、アルコール中毒者というのはどういう人を言うのですか。
  75. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えを忘れまして申しわけございません。  アルコール中毒というのはなかなか認定を警察でできるものではございませんから、こういうものに当たるか当たらないかというのは、許可申請書等を出していただくときに医師の診断書を添付していただきまして、それに基づいて判断をしていくということになるわけでございます。
  76. 山下八洲夫

    山下(八)委員 厚生省お一人を待たせておいて質問しないのも申しわけないですから、アルコール中毒者、それから精神病者、またもし麻薬とか大麻なんかの中毒者がわかれば、その辺を含めてちょっと説明してもらえませんか。
  77. 野村瞭

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  この場合のアルコール中毒と申しますのは慢性アルコール中毒と考えられますが、慢性アルコール中毒は、長年のアルコール飲料の摂取によりまして飲酒をやめることができなくなる、いわゆるアルコール依存の状態を指すわけでございますが、慢性アルコール中毒の身体的症状としては、手の指の震えてありますとか胃腸障害、それから肝障害等があらわれます。また、精神的な症状といたしましては、興奮でありますとか意識混濁、それからけいれん、性格の変化などが見られまして、さらに重度になりますと幻覚、幻想、痴呆などの症状を示すわけでございます。  それから、精神病の概念につきましては、医学的に申し上げますと大変難しいわけでございますが、一般的に申し上げれば、人格、知能、感情、思考、意欲等の精神機能に著しい障害がありまして、現実的な判断や適切な行動がとれない状態を指すわけでございます。  そのほか、麻薬、大麻、アヘンもしくは覚せい剤等の中毒につきましては、それらの薬物を摂取した事実関係と、特有なそれぞれの症状を示すということで判断は可能でございます。
  78. 山下八洲夫

    山下(八)委員 これもやはり一つある面では、私みたいな素人が見ていっても心配なんですよね。  例えばアルコール患者というのは、今お話がありましたけれども、最終的には当然医者が判断をされると思うわけですが、考え方によれば、アルコール中毒者というのは今のお答えの中に震えとか胃腸障害、お酒飲まぬでも私みたいに気の小さいのはここに立っているだけでも胃腸障害でかなり痛いわけですが、それぞれあると思うわけです。特に、今晩酌されるという人はたくさんみえると思うのです。それも三カ月とか半年ではなくて、一年も三年も続いて、とにかく晩御飯食べる前に一杯飲まぬと一日の仕事が終わった気がせぬ、そういうような気持ちで飲まれる方もみえますし、そういう方の中には胃腸障害の人もみえるでしょうし、飲むことによって胃腸がしゃきっとするという人もみえるでしょう。  だから、こういうことを考えできますと、アルコール患者なんかも欠格事由になっていく可能性があるわけですね。お医者さんは一定の国家試験を受かっているからそういうようなことはないと信じていますからいいですけれども一つ間違えば、欠格事由にしようと思ったら、経営者を幾らでも欠格事由に拡大してやれる可能性すら、その危険性すら残しているわけです。そういうことについて、十分ではなくて十二分に配慮をしていただきたいと思います。  時間が来ましたので、私せっかくそれぞれ質問を用意していたのですが、残念ながら三分の一も終わっていないわけです。下手なものですから同じところで進まなくて申しわけなく思っているわけですが、そういうことで、できればもっともっと質問させていただく機会も欲しいなという強い願望を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  79. 大石千八

  80. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この改正案についていろいろと読ましていただいたり勉強させていただけばいただくほど、改正案にはなっておりますけれども、先ほどから前の質問者もるる言っておりましたように、規制対象業種が非常にふえておりますし、また、青少年健全育成だということで、少年指導委員制度の新設だとか、あるいは営業所への立ち入り、あるいは調査権の拡大、あるいは営業所の管理者制度の新設、あるいは浄化協会を新しく指定するとかつくるとかというもろもろにわたりまして、改正案ということよりも、全く新しい角度からの法律であるというように言わなくてはならないと思うのです。  田川自治大臣は、中曽根内閣の中で最もまじめな、極めて民主的なお考えを持っておられる大臣であると私は思うのです。その大臣が公安委員会委員長を兼ねておられるわけですが、この法律は、政令によるとかあるいは国家公安委員会規則で定めるところによりとかということが実に百に及ぶ箇所あるわけですね。そうすると、その内容自体が何もわからないで、その法律は一体何を考えておるのか、どういう具体的な規制があるのか、どういう行政手段を講じようとしておるのかということがさっぱりわからぬ、そういうような全く未完成の法律であります。そういう法律を御提案されたあなたは、これは恐らくまじめにこの国会で審議をし、この法律の目的に基づいた行政効果というものは上げられるというように信じ切った気持ちでこの法案を提案されたのかどうか、まずひとつお聞かせ願いたい。
  81. 田川誠一

    田川国務大臣 この改正案の大きな目的は、最近青少年非行化が非常に拡大の一途をたどっている、そしてそれに何とか歯どめをかけなければいかぬ。そのためには少年を悪い環境から守っていく、少年をいかがわしい営業所に立ち入らせないようにしなければならない、こういうことを初めとするいろいろな規制などが中心になっております。  この委員会でもたびたび申し上げましたように、少年非行から守るということはこうしたものだけで全うできるものではございませんで、先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろな各方面お話が出ました。大人社会がまず責任を持って青少年の模範たるべき行動をしていかなければならないという、いろいろな面を総合してやっていかなければならないのでございまして、そういう一面を担って警察が担当しなければならないことを整備しようということが今回の法律改正でございます。  もちろん規制を受ける側から、また統制を受ける方の側から見ますと、これはどなたもいいという考えを持っているわけにいかないと思うのです。しかし、広く考えていただきますと、やはりお互いに協力をしていかなければならない、このように思っているわけでございます。  また、よく権限強化とか一方的にどんどん進めたという御批判もございますけれども、この改正案を国会に提出をするに至るまでにつきましては、私ども見ておりまして、随分業界の皆さん方ともお話し合いをしているわけでございまして、今回改正案を出したことによりまして、先ほども申し上げましたように、少なくともある程度の効果はあるものと思っております。  また、もう一つつけ加えさしていただきますが、この改正案を出すに至りました一つの動機としては、子供を持つ親の皆さん方、あるいは青少年非行を非常に心配している皆さん方が、こんなに野放しで一体いいのかどうか、こういうような声も随分あったわけでございます。そういう声にこたえたということも改正案理由一つでもあったわけでございまして、どうぞこうした点を十分御理解をしていただきたいのでございます。  ただ警察の権限を強化するとかというようなことでは毛頭ございません。慎重には慎重を重ねてこの案をつくったのでございまして、この運営に当たりましても、いたずらに権限を振り回して昔の警察国家を再来するようなそういうようなものでは毛頭ございませんし、できるだけ民主的にこの運営に当たっていく、こういうような心づもりでこの改正案を出したものでございます。
  82. 和田貞夫

    和田(貞)委員 もう一つ続いて質問させていただきます。  政令、それから国家公安委員会規則、これは我々は全然わからぬわけですね。我々は立法府として法律改正成立に責任を持たなければならない。ところが、後で規則ができ、政令ができて、ああしまったというようなことになれば、私たち、国民の皆さんに申しわけないわけですよ。まだ衆議院から参議院の段階に審議が続いていくわけですが、この法律が仮にこの国会で成立するということを仮定するならば、その間に政令なりあるいは国家公安委員会規則というものができて、そして我々に示してもらうということになるわけなんですか、どうですか。
  83. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先にちょっと私の方から経過を御説明申しますけれども、この政令、国家公安委員会規則等につきましては、基本的な考え方をまとめまして、今月の十九日の理事会に御提出申し上げたところでございます。(「委員に配っておらぬじゃないか、理事会だけで審議やるのか」と呼ぶ者あり)早速取り寄せましてお配りをいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  84. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういう不十分さがあるのです。もしもあるとするならば出してください。今、出してください。配ってもらわぬと審議できません。たくさんあるんでしょう。  委員長、要請します。
  85. 大石千八

    大石委員長 保安部長、出せますか。――それでは、鈴木安部長
  86. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 早速お配りいたしますので、御了解いただきたいと思います。(和田(貞)委員「その前に休憩や」と呼び、その他発言する者あり)
  87. 大石千八

    大石委員長 その資料以外のことで質問ができませんか。(発言する者あり)  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  88. 大石千八

    大石委員長 速記を始めて。  質問を再開してください。
  89. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣、これは余りにも不親切きわまりますよ。あるのであれば、我々審議する者に見せてもらわぬと、どうかわからぬ。国家公安委員会規則によるとか、定めるところによるとか、随所にあるでしょう。それがわからなかったら後の法律の文章が続かぬ。  そういう中で審議をするというふまじめな、しかもこれだけ、百カ所にも及ぶような、政令に委任するとか規則に委任するとかというような法律、私は新米ですけれども先輩の諸君に聞きましたら、こんな法律案は初めてだと。それを私は先ほど公安委員長にお答え願いたかったのです。そういう未完成のままで提案して立法府に審議をさす、そういう態度でいいのかどうかということを私は公安委員長にお聞きしたのですよ。もう一度お答えください。
  90. 田川誠一

    田川国務大臣 手続の面で不手際がございましたことを最初におわび申し上げます。他意はございませんので、どうぞひとつ慎重審議をしていただくようにお願いをいたす次第でございます。  改正案におきまして、法律の委任の範囲内の技術的事項につきましては政令総理府令及び国家公安委員会規則に、地域の実情を反映して定めるべき事項については条例にそれぞれ委任することにしているのでございます。しかし、これはいずれも法律で委任された内容を個別具体化し、また技術的事項を定めるものにすぎないのでございまして、どうぞひとつこの点を御了承いただきたいのでございます。
  91. 和田貞夫

    和田(貞)委員 質問を続けますが、まず、風俗営業風俗関連営業に分けているわけです。片方は許可制、片方は届け出制。基本的にどういう考え方でそのような区分けをしたのかということをひとつお聞かせ願いたい。
  92. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗営業は、その営業にかかわります業務が適正に行われる場合には、本質的には、国民に社交と憩いの場を提供いたしまして健全な娯楽の機会を与えることによりまして国民生活に潤いをもたらすものである、そういう営業であるというふうに考えております。したがいまして、その業務が不適切である場合には善良の風俗等を害することになろうと考えられますが、しかし、営業そのものは、今申しましたように健全に行われていけばそれは国民に大変潤いをもたらすものであるということでございまして、健全化を図っていくということが大事な営業である、かように考えております。  これに対しまして風俗関連営業は、いわゆるセックス産業でございまして、性に関する役務であるとか見せ物あるいは場所、物品、そういうものを提供するものでございまして、そういうものが営業の本質でございますから、どうしても売春なりわいせつなりというものに結びつきやすい、さらに少年性非行を助長しやすい営業であるというふうに考えられるわけでございます。こういうものはやはり公の立場からこれを公認するということができない営業であるというふうに考えられますので、届け出をさせまして、そうして実態を把握いたしましてしっかり規制をした上で、そこに違反があれば厳正に対処すべきものである、かように考えております。
  93. 和田貞夫

    和田(貞)委員 若干わかったようなわからぬようなことでございますが、分けて、一つは高じていけば賭博性の疑いが非常に強くなってくる、一つは性犯罪を犯す可能性というものが生じてくるという二つの要素が風俗営業風俗関連営業の中にあると思います。  そこで、私が不思議でならぬのは、後でまた議論をいたしますが、例えば、極めて健全と言われるような、賭博性を伴わない娯楽的な、むしろ子供たちに頭の体操になるような、これは小さいおもちゃもありますが、そういうものを含めたゲームセンター風俗営業につけ加えて許可制にする。ところが、売春の場所提供の疑いというものが非常に濃厚であるというラブホテル、あるいは性行為それ自体、売春のずばりを公然とやっておるトルコぶろ、そういうようなものを風俗関連営業として届け出制にしている。その点が私はわからぬわけです。その点のお考え方をひとつ。
  94. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗営業と申しますのは、先ほどのように、健全に行われれば国民に娯楽、憩いというものを与えるものであるということでございます。不健全に行われる要素というものもないわけでございませんので、その点につきましてやはり規制がどうしても必要になる部分がございます。この部分は、先生お話しの、何といいますか、売春、わいせつ、賭博という問題も全部許可営業のそれぞれの業種には関連があるものでございます。それから風俗関連営業の方は、これはほとんどセックスだけという感じのものでございまして、その点で違うわけでございます。  今お尋ねの、なぜ一方を許可制にして一方を届け出制にするのかということでございますが、先ほども申しましたように、風俗関連営業の方は、これを公認してそうして健全化を図るという業態になじまない、むしろ一定の規制を加えて、ある意味では封じ込めをして、そうして行き過ぎに対しては厳しく対処する、こういう形が一番現時点の情勢に合うのではないか、こういう形で取り組んだものでございます。
  95. 和田貞夫

    和田(貞)委員 現在も売春防止法という法律があるわけですからね。殊さらにこの風俗営業法を改正しなくても、売春防止法に基づいてラブホテルヘの立入調査、あるいはトルコぶろに対する立入調査というのができるわけでしょう。なぜそれをやらないのですか。
  96. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 売春防止法なり、あるいはラブホテルのお話が出ましたが、現在はラブホテルなりトルコぶろにつきましての立入調査というのは警察はできないことになっております。
  97. 和田貞夫

    和田(貞)委員 売春防止法に違反をしておる、売春を明々白々にやっておるということがわかっても、それはできないのですか。
  98. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは立ち入りではございませんで、今度は犯罪捜査になるわけでございますから、当然のことながら、必要な令状を持って捜査をするということでございまして、お話しの立ち入りの問題とはちょっと違うのではないか、こういうふうに考えております。
  99. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それではアサヒ芸能の六月十四日号、こういうのが載っておりますね。これは市販されているやつです。例えば東京・吉原、名前は言いませんが、入浴料が一万円、サービス料二万円、九十分。同じく東京・吉原、入浴料一万三千円、サービス料二万三千円、百分。これは公然と、しかも電話何番、予約受け付けは午後一時からというところまで宣伝しているわけです。これは普通一般的に、今度の異性の肌に接して云々という、それをいろいろと解釈できますが、九十分も、百分も、百十分もかかって異性にサービスするという、しかも二万三千円、二万五千円というようなサービス料で異性に役務を供するというのは、一体どういうような役務を供するというようにこれを見られたら解釈されるのですか。
  100. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 なかなか難しい御質問でございますけれども、恐らく売春に行く可能性が大変強いだろうというふうに考えております。
  101. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういうことがあっても、今の売春防止法で捜査権が及ばないのですか。殊さら風俗営業法の改正をやって、そしてあなたの方の立入調査権というものを及ぼさないと取り締まりをすることができないのですか。
  102. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私どもでは、売春防止法に基づきまして懸命な捜査を続けておるわけでございます。売春防止法で立件いたします場合に、やはり一定の要件というものを立証しなければならないわけでございまして、それがなかなか、仕組みの上で今は大変巧妙になっておりまして、例えば管理売春にならないような形で従業をする、あるいは中には従業したような形でない形に持っていくとかというようなもろもろのことがございまして、今お示しの写真のようなもの、もちろん捜査の端緒になるわけでございますけれども、それを売春防止法の構成要件に当てはめて立証するのに非常に時間がかかるということがございますけれども、しかしながら、私どもは現時点で懸命な努力を続けているところでございます。
  103. 和田貞夫

    和田(貞)委員 厚生省にお尋ねしますが、例えば、公衆浴場法によってこのトルコぶろも許可を与えているわけですね。  そこで、公衆浴場法によりますと、許可を与えた者が、例えば、構造設備が公衆衛生上不適当であると認めるとき、あるいは風紀に必要な措置を講じなければならないというのが三条にも書いてありますが、そういうような要件がある。しかも、この公衆浴場法によってあなたの方が立ち入って調査をすることができるわけですね。それをやったことはあるのですか。やれなくて、今度の風営法改正をやって警察の方にゆだねなければようやらぬのですか。どっちですか。
  104. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生からきついおしかりを受けたわけでございますけれども、公衆浴場法というものは、ふろを持たない一般国民に対しまして入浴の機会を提供するということを第一義的な目的とする法律でございますので、その面からは、全国の公衆浴場に対しまして保健所の職員を通じて適切な指導を実施しているということでございます。  ほかに法律がないという事情もございまして、先生から御指摘を受けましたように、いわゆる個室付浴場というものもその許可の対象としているわけでございまして、全国で、私たち約六千人の環境衛生監視員というのを持っておりますが、この保健所の監視員を通じまして、いわゆる個室付浴場につきましても、もちろん定期的な立入検査は実施しております。  ただし、保健所のそういった環境衛生監視員というものは、先生もよく御承知だと思いますが、保健婦とか看護婦とか、または獣医師とか薬剤師とかというふうな衛生関係の技術職員というものでございますので、公衆衛生的な面からの指導助言というものは十分できるわけでございますけれども、いわゆる風俗的な側面につきましてはどうしても困難な事情がございますし、また個室付浴場の経営者というふうなものも、先生御承知のように非常に特殊な人たちが多いというふうな事情がございまして、具体的な立入検査等々につきましても非常に困難な事情があることも事実でございます。ただし、私たちといたしましては、できるだけのことはやりたいということで可能な限り努力をしてまいっております。  ちょっと具体的に申し上げますと、個室付浴場につきましては、先生も御承知のように各都道府県におきまして条例によって規制区域を定めるというふうになっておりますけれども、実際に幾つかの県におきましては、全く個室付浴場がないというふうな県もございます。また、私たちの指導といたしましても、各都道府県におきましてできる限りいわゆる個室付浴場の新設は認めないという方針で指導をしてまいりまして、実際上の問題として、ここ五、六年の間は約千六百という数字で事実上トルコぶろの増加というものはないというふうな状況でございます。また、規制区域も各都道府県の条例を通じまして順次拡大をしておりまして、今後の増加というものもほとんどないだろうというふうに私たちは考えております。  ただし、先生もおっしゃいましたけれども、公衆浴場法というものは公衆衛生立法であるというふうな限界がございますために、いわゆる青少年の性的な犯罪増加というふうなものに本当に有効に対処できるというふうには必ずしもなっておりませんし、また、いわゆる公衆浴場法の対象というものからは外れてくるような、個室付浴場に類似したいわゆるセックス産業というふうなものもだんだんふえてきているというふうな実態もございますので、厚生省といたしましては、なお努力はもちろん警察庁とタイアップをしながら続けていきますけれども警察庁の強力な指導というものが今日の客観的な情勢のもとにおいてはどうしても必要ではないだろうかというふうに判断をしたわけでございます。
  105. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣も聞いておいてもらいたいのですが、公衆浴場というのは、今も御答弁があったように、一般大衆、しかもおふろを備えることができないような市民の皆さんに公衆衛生上設置しておるわけですね。ところが、今度の改正案によりますと「異性の客に接触する役務を提供する営業」、こうなっておるのです。そういうようなものが、厚生省が今もちょっと触れられたように、この法律に基づく公衆浴場に該当するというようには私は思わない。  したがって、一つは、公衆浴場法の改正で、今度の法改正でうたわれているような「異性の客に接触する役務を提供する営業」を除くというように改正すれば、初めから許可を与えるということがこの法律によってできないことになると私は思うのです。また、既に今日経営しておるトルコぶろが性犯罪を犯しておる、現実の問題として先ほど申し上げたように売春をやっておる、こういう事実があるならば、立ち入りをやり検査をやって、そして公衆浴場法に適しない施設である、設備であるということであれば、法に基づいて許可を取り消すということが十分できるわけですね。私は、そういう方向に厚生箱としては進めてもらいたい。  むしろ、この法の改正によってこれを地域的に限定をして、しかもそこで公然と売春が行われる場所を温存するというようなことではなくて、男女差別撤廃条約の批准に向けて、曲がりなりにもその環境整備のために男女雇用均等法というのが提案されるというような政府の姿勢、そういうところからいっても、こういうような改正をやって、そして規制をすることによって温存させるというのではなくて、抜本的にそういうような性犯罪、売春を行う場所というものをなくしてしまうというような方向に進めることが最も当を得た措置でなかろうか、私はそういうように思うのですが、法の改正について厚生省、そして、今後半で申し上げたような考え方に立って処理されることはいかがかということについてひとつ大臣の方からお答え願いたいと思います。
  106. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生にさっきちょっと御答弁申し上げましたが、新しい個室付浴場につきましては、公衆浴場法に基づく環境衛生監視員の指導を通じまして、これはできるだけ認めないという方向で指導をしておりますので、先生がただいま申しておられましたような趣旨に準じた形に実態的にはなろうかと思います。  ただし、公衆浴場法を改正をいたしまして、いわゆる個室付浴場というものを公衆浴場の概念から除くという点につきましては、実際にそういったものが存在をしておりまして、公衆衛生というふうな観点から、浴室内の清掃でございますとか空調でございますとか、その他もろもろの衛生的な面について実際に何らかの措置をするということが具体的に必要な面もございますので、そういった措置につきましては、今後警察庁の皆様と慎重な検討をさせていただきたいというふうに思います。  また、先生が申しておられました立ち入りを通じましてできるだけそういった売春的な行為がないようにというふうな点につきましては、今後とも環境衛生監視員を督励いたしまして立入調査に臨みたいというふうに考えております。
  107. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先にちょっと御説明をさせていただきますが、今厚生省からもお話がありましたように、現にトルコぶろにつきましては公衆浴場法という法律がございまして一部規制を行っておるわけでございます。  私の方の現行法では地域規制行政処分ができる形として従来からやっておるわけでございまして、この点は、厚生省といろいろ検討いたしました結果、建物の中の問題は厚生省がおやりになる、私の方は少年立場あるいは外周といいますか、そういうふうな清浄な風俗環境という面から取り組むべきだという形でございまして、そういうことから、今度のような形で遵守事項を定め、また厳しい行政処分を科し、さらに必要によりまして、その問題の地域で、まあ禁止地域ということになりますと、そこで悪質な違反が起きますれば廃業命令まで出せるという形でこれと取り組んでいく、規制していくことが必要ではないかということで、お打ち合わせの結果そういう形にしておるところでございます。  そういうふうな両面から厳正な処置をとっていくということでございまして、決してこれによって売春を温存していくというようなことを考えておるわけではございません。そういうふうな法違反のありましたものに対しましては、厳正に対処していくという考え方で臨んでおるところでございます。
  108. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは大臣、あなたも閣僚の一人として、厚生大臣は来ておりませんが、これは何としても、地域規制をやって行政処分を行うといっても、れっきとした売春を現実にやっておるということをあなた方は認めないのですか。ずばりと、トルコふろで売春をやっておるということは認めないのですか。
  109. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 売春をやっている例というのは非常に多かろうと思います。ただ、この点で一言お断りをしておきますけれども、売春防止法という法律は、単純売春は罰則の対象にしておらないという問題がございます。  それから、現在、売春というものが立ちますためには大変難しい法の要件がございまして、その要件を一つ一つ立証しなければならないということがございます。恐らくそういうふうな問題が多かろうと思いますけれども、すぐに犯罪としてそれが立証できるかどうかという点にはなかなか難しい面もあるわけでございます。まあしかし、それなりに私どもも頑張っておるわけでございますけれども。  いずれにいたしましても、非常に問題が多いということは私どもも承知しておるわけでございますが、すべてのトルコぶろがそれでは全部売春だと決めつけることも、現在私どもの持っておりますいろいろの材料でそう申し上げることもちょっとできない。ということになりますと、悪質なもので行き過ぎるものはきちっと押さえ、先ほど言いましたような必要な規制をかけていくということがやはり得策ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  110. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、大臣、地域に限定して規制するということは非常に危険性があると思う。そういうことをこの法律でうたうことによってむしろ温存することになると私は思います。したがいまして、これを風俗関連営業というようなことで認めるのじゃなくて、そういうような疑いの強い――一〇〇%売春をやっておらないかもわからない。しかし先ほどお示ししたように、公然と毎号毎号の雑誌で、週刊誌で宣伝しているのですからね。何だったら一回行ってこられたらどうですか。申し込み受け付けの電話番号も書いておるのだから、すぐにできるじゃないですか。しかも現行法でできるのです。  そういうことで、私は、こういうものを風俗関連営業として認めることはどうも適切でないというように思うのですが、時間がありませんので、次に進みます。  ラブホテルも私は同じことだと思うのです。これも一〇〇%そうでないとしても、売春の場所提供ということで、風俗関連営業ということよりもやはり旅館業法でそれらは十分取り締まれると思うし、そういうようないかがわしい、今度の法律案でうたわれているように、専ら異性を同伴する客の宿泊、休憩の用に供する施設を、宿泊もしくは休憩に利用させる営業というように書いておるのですが、これも旅館業法によると、なじまないように思えてならないわけですね。  旅館業法によるならば、ホテルと旅館業と、それから簡易宿泊所の営業ということに限られておりますね。これも、今度の改正案に出ておりますような「専ら異性を同伴する客」、それ以外の客については宿泊を拒む。法律では「宿泊を拒んではならない。」「専ら異性を同伴する客」でないと拒むというのは、明らかに旅館業法に違反の業種なんです。だから、それらについても、法によって宿泊者の名簿を備え、住所、氏名、職業、年齢を記載することを義務づけており、しかも、義務づけたことが履行されておるかどうかをこの法律によって調査すること、あるいはそれこそその宿泊者名簿を報告させることも現行法でできるのですから。  ラブホテルというのは大方一〇〇%、そういう業法に基づく宿泊者名簿あるいは休憩者の名簿は、住所、年齢までは記載されておらない。そういう、業法に違反しておるのだから、そういうようなことに対して、これまた旅館業の取り消し処分、営業の停止処分ということは十分できるのだし、あるいは警察の方としては、そういうようないかがわしい、売春の場所を提供するようなことに専ら使われているようなラブホテルを、これまた先ほどのトルコぶろと同じように、地域を限定して売春の場所提供の施設を温存するというようなことも当を得ておらないというように思うわけなんですが、この点についてひとつお答え願いたいと思います。
  111. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ラブホテルの利用の仕方というものがほとんど売春であるかどうか、要するにホテトルみたいなものになって、そういう利用のされ方をしているかどうかという点は、ちょっとそういうふうに決めつけるわけにはいかないだろうと思います。やはりそれぞれ同伴の男女がそういう施設を利用するということは非常にあることでございます。ただ、もちろん、ラブホテルが管理売春の場所を提供しているという事実もあることは間違いございません。それは私どもも懸命に捜査を進めておるところでございます。  ただ、先ほどから申しましたように、売春の捜査が難しいのは、また時間がかかりますのは、例えば場所の提供ということになりますと、「情を知って、売春を行う場所を提供した」という、この「情を知って」ということを立証しなければならないわけでございます。ところがその点は、そういう悪質業者は、いや、そうじゃない、私どもは知らないんだ、勝手に利用されたんだ、こういう抗弁が必ず出てくるわけでございまして、そこを突き崩すということが大変な捜査になっておるのが実態でございます。しかし、それは私どもに課せられた任務でございますから懸命にやってまいりますけれども、そういうふうな状況があるということで、すべてが取り締まりだけでいくものではないという点を御理解いただきたいと思います。  また、そういうふうに捜査が長時間かかりますと、こういう問題の営業というのは、稼げるときに稼ごうということになりまして、しかも今こういうものに対して行政処分も何も科せられないということになりますと、仮にそれで立証をいたしましても、行政処分が科せられないということで反復違反が行われ、実効が上がらないというような点もございますので、この点も御了解いただきたいと思います。
  112. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今度の改正によってホテトルを解消することができますか。取り締まりの対象になりますか。どうですか。
  113. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ホテトルと申しますのは、別に事務所を持って、ホテルのようなところを利用して売春をやっていくということでございますので、これは残念ながらまさに売春そのものをする業でございまして、風俗関連営業でもってとらえることが難しいということで、対象になっておりません。ホテトルにつきましては、あくまでも捜査で徹底して取り締まっていくという以外にないということでございます。
  114. 和田貞夫

    和田(貞)委員 場所提供者が客の要請にこたえてホテトルの者を客に接触さす、そういう中間的な周旋、しかも場所の提供、そういうことをやっておることからできるんじゃないのですか。
  115. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今度はラブホテルに対しましてはそういうふうな形で行政処分も科することができることになりますので、こういう売春防止法違反ということが立証できますれば、必要な行政処分がかけられるということでございます。
  116. 和田貞夫

    和田(貞)委員 トルコぶろなりラブホテルが公然として売春の温床にならないようにということでは、今度のこの改正案は不適当であるというように私は思います。  そこで、片方ではそのようなことをやりながら、温床になることが懸念されるようなことをこの改正案に盛り込まれながら、ところが冒頭申し上げましたように、極めて健全なテレビゲーム機までも風俗営業として許可規制をする、そういうことが私はわからぬわけなんです。先ほどの質問者も言っておりましたように、賭博機として製作された機械あるいは賭博用として製作されたテレビゲーム機と、そうでない、どちらかといえば子供の頭の体操になるような、そういう健全なテレビゲーム機を包括して今度の法改正規制対象にするということは、一体どういうことですか。
  117. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 何が賭博機であるかという問題がまず前提としてあろうと思いますが、賭博機と申しますのは、現金を入れて、そういうふうなゲームの結果現金が出てくる、こういうようなものがまさに本来的な賭博機であろうと思います。こういうものは当然のことながら許されるべきものではないというふうに考えております。  その次に、用法上の賭博機というのがあるわけでございまして、これはゲームの結果に基づきまして勝敗が出てくる、あるいは点数が出てくるというようなもので、これが営業者の姿勢が悪いと賭博に転用されるということが往々にしてあるわけでございます。現実にも最近の多くの事例がそういう形になっておるものでございます。  そこで、そのゲームの種類といいますか、ゲームの内容によって分けることが大変難しいということでございまして、それは、たとえゲームの内容が健全である、例えば野球なりサッカーなり、そういうスポーツをやるゲームでありましても、そういうふうに点数なり勝敗の結果が出ますと、それに基づいて営業者が賭博に利用していくということが非常にあるわけでございます。  したがいまして、そういうふうなゲームの内容によりまして分けていくということが大変難しい。それをやりますと、脱法行為を助長するということにどうしてもならざるを得ないということでございまして、特に悪質な業者が、今申しましたように仮に健全なゲーム機だという形でもって入れておきましても、そういうものを利用して賭博をすることも可能でございますし、また、機械のソフトウエア等をかえることによりまして違うゲームの内容にするということも幾らもできるわけでございます。  そういうようなことから、悪質な業者のそういう形での脱法行為というものが当然予想されてくるということでございまして、ゲームの内容によって分けることは適当でないというふうに考えております。業者の御意見の中にもいろいろございますけれども、そういうふうな形で分けますと、今申しましたように、悪徳な業者をかえってはびこらせることになるという御意見も多々あるわけでございます。
  118. 和田貞夫

    和田(貞)委員 テレビゲーム機で、全く賭博用につくられたものとそうでないもの、これは構造自体が違うんじゃないですか。今部長は、構造を変えられるというようなこともちょっと最後に言われましたけれども、そういうことはあり得ないのじゃないですか。
  119. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 賭博用につくられたゲーム機というのは、現金を入れて現金が出てくるということでございますが、これはもちろん禁止ということでございますけれども。あとはほとんど用法上の問題になるわけでございます。そして、例えばテレビゲーム機の場合でございますけれども、本来そういうものを作動させるところのもの、ROMであるとかあるいは基板であるとかというものをかえますと全く異なるゲーム機になるということは割合に簡単にできるものでございます。
  120. 和田貞夫

    和田(貞)委員 あなたの方はかえることができると言うのですが、私もそういう機械の方には弱いわけですけれども、私なりに人から聞きますと、今御答弁されたことは当たらない。  私の聞くところによりますと、賭博用に製作されたテレビゲーム機の場合は、今も言われるように、現金が幾ら入ったか、幾ら出たか、幾ら勝ったか、幾ら負けたかということが必要であるために、現金の投入の記憶装置がまず一つあるということ。幾ら勝ったか、幾ら負けたかということを記憶するカウンター装置があるということ。電子ライターのようなもので、電波によってそれらの計算が狂わないような装置があるということ。それから、ポーカーを初め、さいころ、マージャン、同じことですが、そういう賭博性のゲーム機は画面が横長になっているというのですね。しかも映像が極めて写真的に製作されておる。  そして今度は、そうでない、全く健全な、頭の体操になるような、子供までも使えるようなテレビゲーム機というのはそういう必要性がない。しかも上から落ちたり上がったりするんですから、縦長に大体映像が映るようになっておる。そういうようなことですので、今言われたように、簡単にその縦長を賭博機のように横長にするわけにいかぬわけだから、そう簡単に変えられるというようなものでないというように私は聞いておるのですが、あなたの答弁されたことが正しいのか、私が聞き及んでおることが正しいのか、どっちなんですか。
  121. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私どもも、いろいろ御意見があるものでございますから、その点について専門家の意見を十分徴して、先ほどのように、電子部品で構成されます基板等を交換することによりましてゲームの内容は比較的容易にかえることができるというふうに承知をしておるわけでございます。特に最近は、割合に基板交換というものが多くなっておる。単にROMの交換ということでなくて、基板交換が多くなっておるというふうに承知をしておるわけでございます。
  122. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは間違いないですね。そうすると、私の聞き及んだことは間違いなんですな。基板交換で容易に変えることができるということの方が正しいのですね。  これはどうですか。(写真を示す)これは賭博用のテレビゲーム機ですよ。みんな横長です。こっちはそうでないゲーム機、ほとんど縦長ですよ。これはどうして変えるのですか。これは横に使うようにつくられておるんですよ。この縦長に使われたものを横長にどうやって変えるのですか。それは首を横に向けてやらなければならぬ。これはできるわけはないじゃないですか。
  123. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 機械のつくり方あるいはそういうふうなプログラムのつくり方でございますけれども、そういうふうなものでやろうということになれば、それはできることだと思います。
  124. 和田貞夫

    和田(貞)委員 できることだと思いますと言ったって、縦長の子供の遊びのテレビゲーム機をポーカー機のようにやろうと思ったら、首を横にしてやらなければならぬですよ。そんなことできるはずがないじゃないですか。
  125. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 縦長のものも横長のものもいろいろあるわけでございますから、それに合ったものをつくるということは可能だと思います。テレビゲーム機の中にはいろいろな種類がございますけれども、その中でもいろいろ、例えば同じスポーツものにいたしましてもあるいは別の種類のものにいたしましても、縦長のものもあれば横長のものもあるということでございまして、それは互換性があるというふうに考えます。
  126. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これはあなたがそういうふうに言い切るわけですからしょうがないと思いますが、私の聞いているのではそうでない。だから、分けられると言うのですよ。  これは私ももう一度念を押しますけれども、今あなたが言われた答弁、言い切った答弁に責任持てますな。どういう責任を持つのですか。私の方が間違っておれば、私の方が間違っておると言いますよ。あなたの方が間違っておるということで法律ができてしまったら、どういう責任をとるのですか。
  127. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のお話は、縦か横かというのは、実は余り……
  128. 和田貞夫

    和田(貞)委員 縦か積かというのじゃなくて、もともと賭博に使うためにつくられた構造と、先ほど具体的に申し上げたでしょう、そんなことは変えられる余地がないと言うのですよ。技術的に変えられないと言うのですよ。賭博用のためにちゃんと現金投入の記憶装置がつけられ、そして計算装置がつけられ、しかも他からの電波によってそういう計算が間違わないように装置されておる。片やそういう必要はないのですからね。そんなものに変えられるはずがないじゃないですか。
  129. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生お話の賭博用につくられるというものと、私どもが御説明しているのとちょっと食い違いがあるような感じでございます。私が御説明をしておりますのは、現金をそのまま入れて出てくるようなものはもともと許可の対象にならないものでございまして、これは論外に考えておるわけでございます。  そうでなくて、健全なゲームの内容であるか、それともそうでないものであるか。互換性があるかないか、こういうことでございますから、それは十分互換性があると、私はこういうふうに申し上げておるわけでございます。
  130. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは議論は尽きないわけですが、そういうことであえてそういう賭博性の機械とそうでない健全な機械とを一緒に入れてしまう。しかも、機械によっては、先ほどの質問者も言っておりましたけれども、現金が出てこなければいいんだとかいうようなことを先ほど答弁しておりましたが、例えばスロットマシンというようなものは世界共通の賭博機なんですよ。それが、賭博機として現金が出てこないというようなことになれば賭博じゃない。国際的に認められておる賭博機で子供を遊ばせて、それが非行防止だとか子供の健全な育成ということになると思っておるのですか。
  131. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 スロットマシンというものに対する認識の問題でございますけれども、要するに賭博になるかならないかというメルクマールは、あくまでも現金なりそういう賞品等の結びつきで申し上げておるわけでございまして、ゲームをただ楽しむということであれば、そのスロットマシンを賭博機であるというふうに決めつけることは無理である、かように考えておるわけでございます。
  132. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間がありませんので次に進みますが、これは見解の相違と言えばそれまでですが、そういうようなことでは子供の健全な育成に疑問を持ちますし、それから、子供の健全な遊びの機械までもこれに包含してしまうというようなことは、この法改正に適しない要件の備わった箇所であるということを私は指摘しておきたいと思うのです。  それから、都道府県風俗環境浄化協会あるいは少年指導委員制度の問題、あるいは営業所の管理者の問題あるいは立ち入り権、調査権の拡大、あるいは警察官の裁量によってどうにもこうにもなるというような、そういう疑いのある条文、もう随所にわたって改正ということにはならないというように指摘しておきたいと私は思うのです。  そういう中でひとつ質問したいと思いますが、都道府県風俗環境浄化協会あるいは全国風俗環境浄化協会、これは一体どういう団体ですか。確かに業務の内容というのは書かれておりますが、その中でもなお二カ所、「国家公安委員会規則で定める。」というようなところがあるのですが、それを含めまして、ひとつこの問題についての説明をお願いしたいと思います。
  133. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 都道府県の風俗環境浄化協会の関係、今のお話関係は、七項でよろしいのでございましょうか。御質問の御趣旨は、三十九条の七項の公安委員会規則というお話でよろしいのでございましょうか。
  134. 和田貞夫

    和田(貞)委員 はい。
  135. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 七項でございましたらば、これはいろいろな報告事項であるとか、あるいは指定して解除するということがございますけれども、その指定の解除の手続というようなものを定める手続的なものでございます。
  136. 和田貞夫

    和田(貞)委員 念を押しておきますが、自治大臣に貸金業の質問を予算の分科会でさせてもらいましたけれども、今度は自治大臣の所管する行政書士法、それから公安委員長として、この法の改正によってつくられようとする浄化協会、全国浄化協会も含めて、これは行政書士法に違反になるような団体、それによって行政書士の職域が荒らされるというようなことになるような団体にはならないということはお約束できますか。
  137. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えをさせていただきます。  風俗環境浄化協会は、決して許可申請なり、あるいは届け出なり、承認申請等の代行手続を行う団体ということには予定をいたしておりません。
  138. 田川誠一

    田川国務大臣 行政書士の職務を侵害するようなことにはならない、このように思っております。
  139. 和田貞夫

    和田(貞)委員 念のために、この団体は報酬を得て書類作成業務を行わせないということはお約束できますね。
  140. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは、行政書士でない者が行うことは行政書士法違反となりますので、できません。できないと考えております。
  141. 和田貞夫

    和田(貞)委員 報酬を得ずに書類作成業務を行うということをやらないということも約束できますね。
  142. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは法律違反とは言えませんので、やめさせるというのは困難な面がございますけれども、これが業務として行われる場合には適切な措置を考えてまいりたい、かように考えております。
  143. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、これはまた問題になってくる。それは、報酬を得なければいいのだということになれば、貸金業の団体と同じことなんです。一般的にだれが行っても報酬を得ないでやるということであればこれはサービスでございますが、風俗営業関係のある、しかもその浄化協会というのは風俗営業並びに風俗関連営業者に対していろいろと指導をやるということが業務とされておるのですから、それに限っては無償だということであっても、報酬を得ないでやるというようなことになると、これは行政書士の業務の分野、仕事の分野というのを荒らされることになるのですから、それは適当な措置ということでなくて、明確にひとつ答えてもらいたい。
  144. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、法律違反ということでないものでございますから、そこの点が難しい面もございますけれども行政書士の仕事に対しまして決して妨害にならないように考えてまいりたいと思います。
  145. 和田貞夫

    和田(貞)委員 書類の提出の手続代行あるいは書類作成の相談業務、こういうこともやらないということをお約束できますね。
  146. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これも、今お答えしたのと同じ考え方でございます。
  147. 和田貞夫

    和田(貞)委員 特定の行政書士と提携して、そしてその特定の行政書士に仕事を託すというようなこともやらないということを約束できますか。
  148. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 浄化協会の業務は別に特定の行政書士と提携しなければできないという業務ではございませんので、私の方は特定の行政書士との提携は考えておりません。
  149. 和田貞夫

    和田(貞)委員 将来、事務所が設置されるということになりますと、その敷地あるいはその事務所の内部で、特定の行政書士にその一部の事務室を貸すというようなことで業務をやらせるというようなことも私はやってもらいたくないと思うのですが、そのこともお約束できますか。
  150. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 行政書士の事務所を設けさせるかどうかという必要性は、浄化協会が判断すべきことでございますが、仮に警察の管理する建物に設けるというようなことがありますれば、決して行政書士のお立場に不利にならないように、公正な処理に十分留意してまいりたいと考えております。
  151. 和田貞夫

    和田(貞)委員 敷地の場合……。
  152. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 建物及び敷地、同じでございます。
  153. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、大臣もお答えになられたように、この団体行政書士の仕事の分野を荒らしまくる、行政書士法の違反になるような業務をやるような団体にならぬようにひとつお願いしたいと思います。  次に、営業所の管理者の問題ですが、営業所に必ず管理者を設置しなければならないということになっておるわけでありまして、しかも、その管理者というのは、いわば営業者から雇われる立場の人ですね、置かなければならないということですから。現実の問題として、その雇われた管理者が、公安委員会の指示によって浄化協会等からの研修、講習を受けて、そして風俗営業についての実態に沿うようなそういう指導あるいは助言、そういうことが果たして雇われた者が雇った営業者に対してできるとお考えになっているのですか。
  154. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者は、営業者の使用人でございますから、営業者を指導するということは考えられないと思います。しかしながら、管理者は、営業者に対しまして助言はできると考えております。
  155. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、指導はやらないのですな。
  156. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者が行います指導というのは、従業者に対してのものでございまして、営業者に対してのものではございません。
  157. 和田貞夫

    和田(貞)委員 未成年者の場合には管理者になれない、しかし風俗営業者にはなれる、こういうことですが、これはなぜ未成年者はなれないのですか。営業者にはなれる、管理者にはなれない、これはどういうことですか。
  158. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 未成年者が一定の場合に風俗営業者になれるといたしておりますのは、相続の場合等があるわけでございまして、そういう場合にはそういう人たちの権利を保護しようという考え方でできているわけでございます。これに対しまして、管理者と申しますのは、そういう営業者と異なりまして、まさにその営業所で現実に営業に当たっていろいろ統括管理をするという立場の者でなければならないということでございまして、通常は、そこに行為能力というものがどうしても必要でございますし、判断力も必要である、したがいまして、そういうものに乏しい未成年者を管理者にするということはできないと考えておるわけでございます。
  159. 和田貞夫

    和田(貞)委員 例えば、未成年者が営業者で個人で風俗営業をやろうとした場合に、成年者の管理者をわざわざ雇わなくてはならないのですか。
  160. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 未成年者が風俗営業者になり得る立場といいますのは、一つは婚姻によりまして成人者たる能力を取得した場合、それから親権者等法定代理人の許可を受けた場合、それから風俗営業者の相続人で、人的欠格事由に該当しない法定代理人のいる場合ということでございます。  婚姻によりまして成人者とみなされる場合は、成年者と全く同じ扱いになるわけでございます。それから、未成年者が法定代理人の許可を受けることは通常ないと考えられますけれども、もし許可を受けた場合には、みずから管理者となることはできませんので、この場合には成年者の管理者が必要となる、やはり業務の適正化を図るためには十分な判断力を有する成年者が管理者となる必要がある、かように考えております。
  161. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、未成年者が一人で風俗営業をやる場合でもこの管理者が要るのですか。だれが費用を出してくれるのですか。
  162. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 原則としては、未成年者には法定代理人がおりますので、それは可能だと思います。
  163. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間がありませんので、少年指導委員制度の問題ですが、これもいろいろありますが、ただ、その少年指導委員という制度をこの中で置くということは全くけしからぬと私は思っておる。しかも、この少年指導委員が置かれて、この条文のようにやれるということになりますと、むしろ風俗環境浄化協会の役員、職員以上のことをこの少年指導委員ができるということになるわけですね。にもかかわらず、その守秘義務を怠ったりあるいは当該少年指導委員が、名誉職といえども、職権を乱用するというようなことがあっても、浄化協会の役員、職員については罰則規定があるのですが、少年指導委員については罰則規定が全くないわけなんですね。少年の人権の侵害のおそれが非常に生ずると私は思うのですが、これについてはどうお考えですか。
  164. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年指導委員活動はあくまでも任意な活動でございまして、そういう形でボランティア活動をお願いしておるわけでございます。大体ボランティア活動に従事していただく場合には、守秘義務に対しまして罰則を設けている例はほかの立法例でもないわけでございます。そういうことで、そういう立法例に倣って罰則規定を置かなかったということでございます。また、少年指導委員はあくまでも厳格な要件を備えた地域の篤志家のような立派な人を委嘱することにいたしておりまして、警察でもしっかり指導していくつもりにしておりますので、守秘義務に違反するようなことはないと思いますけれども、今後十分指導してまいりたいと考えております。
  165. 和田貞夫

    和田(貞)委員 しかし、それはたまったものじゃないですよ。これはあなた、本来犯罪防止と非行防止は全く質が違うわけです。それが、少年指導委員が、名誉職といえども環境浄化協会の援助によって、言うならばボランティア活動とはいうものの、少年の後をつきまとったり、あるいは少年の出入りしている場所に立ち入ったりということになってくるわけでしょう。片方では、この浄化協会の役員や職員がそういう守秘義務を怠ったりしたときにはちゃんと罰則規定があるのですよ。それ以上に少年指導委員活動は範囲が広いのです。それが、ただ指導するというようなことで、仮に守秘義務を怠ったり、あるいは少年指導委員だということで、きょうび防犯委員でもいいかげんな防犯委員もおるじゃないですか、そういう少年指導委員が職権を乱用した場合に、子供の、少年の人権が侵害されるおそれが極めてあるのですよ。罰則規定なしに、十分に指導する、そんなことで事は済ませぬと私は思いますが、どうですか。
  166. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほども申しましたように、少年指導委員には何らの特別の権限を付与しておるわけではございません。非権力的な業務のみを行わせることといたしておりますので、権限の乱用ということはほとんど予想されないと考えておりますけれども、御指摘のように、仮に権限を乱用して問題が生じた場合には、刑法上の公務員の犯罪、例えばわいろであるとか、公務員職権乱用罪というものが成立すると考えられるわけでございます。もちろん、そういうことにならないように私どももしっかり指導してまいりたいと考えております。
  167. 和田貞夫

    和田(貞)委員 片っ方では名誉職ということをわざわざ法文に書きながら、そういうようなことがまたできますか。
  168. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 名誉職と申しますのは無給であるということを言っておるだけのことでございまして……(和田(貞)委員「それなら名誉職なんてことを書く必要はない」と呼ぶ)いえ、有給ということでなく、やはり無給であるということで名誉職という文言が要るということでございまして、その問題は別の問題でございます。
  169. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは本当に少年に対する人権侵害のおそれというものが非常に強いわけです。これも欠陥条文の一つであります。  時間がありませんのでなんですが、三十七条の立入検査、先ほどの質問者も言っておったわけでございますが、既存の、従来からの風俗営業者には極めて重荷が背負わされるということになるわけです。従来の立ち入りというのは、例えば営業時間が超過しておらないかということを見守ることを主たる任務としての立ち入りであります。今度の立ち入りというのは、調査権を伴って、質問をしたり、あるいは帳簿その他の書類を提出することを要求することができるということで、従来の立ち入りと非常に姿の変わった、現場の警察官の権力を非常に拡大した、そういう改正であるというように私は思うわけでございまして、これらにつきましても、私は、今回のこの改正案について、これは不適当な改正一つであるということを指摘しておきたいと思うのです。  なぜならば、現場の警察官というのは、まじめな警察官もあります。しかし、ふしだらな、教養の備わらない警察官もやはりあるわけです。例えば、大阪において起こった最近の出来事でございますが、被害者が見知らぬ者に訪問されて殴られているわけです。殴打されておる。そこで警察へそれを訴えに行った。訴えに行っても、それがほったらかし。最初に簡単に調書は書いたらしいのだけれども、検察庁の方に聞き合わすと、まだ警察がやってこない、その書類が送られておらないので検察庁としてはどうにもできない。そういうことで、相当の時日が経過する中でもう一度警察へ行った。そうすると、警察官は白紙の調書を出して、ここに判を押しておけ、そういうようなことで帰らされた。  判は押したんだけれども、その調書に何を書かれるかわからぬということで、心配の余りある弁護士に相談に行った。弁護士はそのことを翌日確認をした。案の定、白紙の調書に押印されておったということを弁護士立ち会いのもとに確認ができたということで、大阪弁護士会の方で今問題になっていることなんです。そういうようなことをやるような警察官も現場にはおるわけなんです。  だから、先ほどから指摘いたしましたように、随所にわたる欠陥条文というのがありまして、法律全体としてはこれは未完成な法律であるということを言わざるを得ないわけでございます。  そういうようなことでございますので、我々立法府の一員といたしまして、そう急に、このようなことをよかろうというようなことで成立さすことは、私たちの責任でもあるわけでございますので、ひとつ委員長にもお願いしたいのですが、もっと慎重に審議をしてもらいたいと思います。  また、公安委員長を兼ねる自治大臣、この法案についてもう一度、先ほど国家公安委員会規則政令の規定見込み事項を見せていただきましたら、こういうようなことを予想しておるというようなことを書いてあるだけであります。だから、明確に規則なり政令というものをもう一度お出しになって、そしてゆっくりと慎重に、人権にかかわる問題があるわけですから、審議をするようにしたいと思いますし、また、そういうようになってもらいたいというように思うわけですが、最後にひとつ大臣の方から御答弁を、決意のほどをお述べいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  170. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほども述べましたように、決して権力の集中を図るようなことでもございませんし、先ほど申し述べましたように、この運営に当たっては慎重を期してまいるつもりでございます。どうぞひとつ御理解のほどをお願いいたします。
  171. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  172. 大石千八

    大石委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時七分休憩      ――――◇―――――     午後二時八分開議
  173. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  174. 岡本富夫

    ○岡本委員 風俗営業の取り締まりの法案について、午前中に引き続いて質問をいたします。  今回の法案を見ますと、一つ風俗環境の保持、二つ目が少年健全育成、三つ目が風俗営業の健全化ということになっておりますけれども、従来の取締法は、売春あるいは賭博、この犯罪防止が主のねらいの法律だった。そこに今度、少年健全育成ということが入ってきておるわけですから、何と申しますか、奇異に感じられるところがたびたび出てきておるわけです。  そこで、少年健全育成、これは非常に大事なことでありますけれども、当法律少年健全育成という言葉は、提案理由説明、そういうところには出てきておりますけれども、どういうようにして少年健全育成をやるのか、その目的達成をどうするのかということがはっきりしてないようであります。まず、これについてお聞きしたいと思うのです。
  175. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えをいたします。  少年健全育成という形でございますけれども健全育成というより、むしろ「健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」ことを目的とするということを明定をしたわけでございます。これは従来から風営法の目的と考えられていたものでございまして、現行法と何ら変わるところはないと考えておるところでございます。  と申しますのは、いろいろ改正の経過がございましたけれども昭和三十四年に、青少年の不健全な異性交遊を誘発するという問題がございまして、それが青少年の不良化の温床になっておるということがございまして、低照度飲食店あるいは区画席飲食店というものを許可対象として加え、さらに深夜飲食店営業につきましても一定の規制をすることといたしました。さらに三十九年の改正のときには、深夜における飲食店非行少年たまり場になるというようなことで、非常に非行上問題だということがございまして、この規定を整備することとなりまして、さらに四条の三で年少者の立ち入りなりあるいは従業の規制の規定を設けたわけでございます。その後、四十一年に個室付浴場に関しましてもそういう規制を加えたわけでございます。モーテル営業の場合でもそういう趣旨が含まれておるわけでございます。  現在の風営法におきましては、そういうようなことで第四条の三の年少者の禁止行為だとか、あるいは個室付浴場に関する行政処分事由として、児童福祉法等の違反の規定も置かれておりますし、それからまた、風俗営業者の欠格事由に、児童福祉違反、労働基準法違反、これはこの法律の施行条例でございますけれども、そういうものの前科者を規定しておるところでございまして、目的では明示はしてございませんけれども、当然のことながら「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」ことは現行法でも目的とされていたところでございます。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、今度明確になっているところは、一つは、少年指導委員あるいはまた浄化協会ですか、こういうものをつくってやっていこうというような趣旨でありますけれども少年の指導については防犯委員がたくさん任命されておりますね。この人たちが非常に熱心にやっておる。シンナーを吸っているとか、あるいはまた変なところへ行っているとか、あるいはたばこを吸っているとか、こういうようなのに対して、何の報酬もないのに熱心に頑張っている人たちが随分いるわけです。この方の強化をきちっとした方が実効が上がるのではないか、私はこういうようにも考えるのですが、この点についてまずお聞きしたい。
  177. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お説の点もあるわけでございますけれども、実は、現在おりますいろいろなボランティアの方々は、ある意味でかなりバラエティーに富んでおりまして、今度は一定の大変重要な仕事もしてもらうということがございまして、そういう意味ではやはり少年指導委員の資格というものもはっきりさせ、そういうふうな形で、人格、行動について非常に社会的な信望のある人、あるいはそういうふうな職務の遂行について非常に熱意を持っている人、また時間的余裕もある人、生活も安定していて後顧の憂いなくそういうふうな業務に従事していただける方、あるいは健康で活動的な方、こういう方々になっていただきまして、そうして今回行います少年指導委員の職務につきまして誤りなきを期していきたい、かように考えておるところでございます。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、今の防犯委員をやっている人たち社会的にも相当な、あるいはまた若干暇もある、あるいはその地域においては名士だ、そう言われる人が大体任命されておる。それでやっておるわけですよ。そういう人がなかなか見つからぬ。そういうのを各地方自治体に頼まれて、随分やっていますけれども、この少年指導委員が、これはもちろん先ほど話がありましたように無報酬、そして、そういうことをやって本当に集まってくるのかどうか。ねらいは、一つは、警察官を退職なさった方、こういう人たちも入れよう、こういうようなことを考えていらっしゃるのですか、どうですか。
  179. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現在、少年関係でもっていろいろボランティアに従事していただいている方々は非常に立派な方々も大勢おるわけでございますけれども、各府県を見ますとかなりばらつきがあるということもございまして、今回こういうふうな職務をやっていただくためには、やはりある程度質をそろえるといいますか、そういう方々になっていただくのがいいんではないかということで考えた資格でございます。  したがいまして、従来やっていただいております方々の中からこちらの方の少年指導委員に任命するという場合も出てくるのではなかろうか、かように考えておりまして、決してOBをどうこうしようというような形で、もちろんなる場合もあろうかと思いますけれども、そういうことを格別に考えておるものではございません。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 少年指導委員というのは、皆さんが考えているようにはなかなか集まってきませんよ。  次に、環境浄化協会ですが、これについて、この法律をつくるために各省庁との合意事項があろうと思うのですが、まず通産省との合意事項について、どういう合意をなさったのか、これをひとつお聞きしておきたい。この環境浄化協会のみについてですよ。
  181. 古山剛

    ○古山説明員 お答えいたします。  環境浄化協会につきまして、資金的な面につきまして業者に過度の負担とならないように配慮するというようなことを相談させていただいた次第でございます。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 ということは、この環境浄化協会は、その財源は主として業者の方々からいただこう、こういうようになっているのではないかと思うのです。  そこで、取り締まる方の、防犯協会と同じこれを取り締まる協会、これが業者に、おい何ぼ出せ、こういうことになれば、これは上納金を持っていかないとぐあいが悪い、こういうことですから、それで業者に過度の負担とならないようにしてもらいたいというお話があったのだろうと思うのですが、その売り上げの大体何%とか、あるいはそういうめどというものは決めてあるのですか。これはいかがですか。
  183. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 浄化協会の財源は、一般の寄附、いろいろ浄財をお願いをするということもありますでしょうし、また現在、浄化協会自体は今のところは都道府県にございます防犯協会を指定をいたしたい、こう考えておるわけでございます。  その防犯協会の財源との兼ね合いにもなるわけでございますけれども、これは先ほど申しましたように、それぞれの関係からいろいろ浄財をいただいている部分もございますし、協会自体がいろいろな事業をやっておるのもございますし、それから基本財産からのいろいろな収入もございますし、委託事業もございますし、そういうような形でもって運用をしておるわけでございまして、格別に業者からどういうふうに集めるなどということはこの浄化協会の目的と違いますので、この浄化協会の目的はむしろ地域の浄化ということでございまして、業の振興なり健全化というようなことと直に結びつくものではないものでございますから、そういうような点は考えておりません。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 この法律をつくるときには、あなた方はそういうふうに考えてないと思われるんですよ。しかし、一たんこの法律が通って施行されますと、これはどうしても業者に負担を、要するに浄財をいただくというのは、浄財といったっていろいろなものがありまして、そのめどというようなものを細かく指示をしておくということが大事だと私は思うのです。そうでないと、業者との癒着て結局目的が達成されない、こういうことにもなってくるのではないかと思うのです。  同時に、この法律案で見ますと、中央に一つありまして、それから各都道府県に一つということですが、防犯協会というのは大体各警察署に一つずつあるんですよね。私、地方にも行っておりますが、その兼ね合いは、防犯協会を全部浄化協会にしたということになると、都道府県に一つということで指定しますと、あとの防犯協会は、各警察署にあるのはみんなやめてしまうということになるのか。そこら辺はどうなんでしょうかね。
  185. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 防犯協会の組織と申しますのは、一般的には各警察署単位等に地区の防犯協会がございまして、その上部組織といたしまして都道府県単位の防犯協会があるということでございます。この事務は、一つ一つ警察署単位ということではございませんで、都道府県単位に考えてまいりたいというふうに考えておりますので、都道府県の単位の防犯協会を指定をする。そして、もちろん指定をする場合にそれにふさわしい資格を備えてなければならぬと思いますけれども、そういうことで指定をされた場合には、そういう都道府県の防犯協会がそういう立場で仕事をしていくということになるわけでございます。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 もし指定をされたらと、僕はこの点が非常にわかりにくいのですがね。だから、奥歯に物が挟まっているようなことではなしに、はっきり、すきっと、例えば各都道府県にあります防犯協会を今度は浄化協会にしますとか、各警察署にあるところの防犯協会がその下請をするとか、その業務を少しやるとか、これがはっきりしませんと、もしも指定された場合とか、その点がどうもはっきりしないように思うのですよ。  私、なぜそんなことを言うかといいますと、この法律を見ますと、物すごい政省令、それからなお公安委員会規則、こんなにたくさんある法律というのは珍しい。昭和四十年代までは、最初のころは、こんなにたくさん政省令に任された法律は少なかったのですけれども、通年国会が行われてからどんどん政省令に任されてきた。これは特に警察官が立ち入るわけですから、細かく厳しく歯どめもつくっていかなければならぬ。そうでないと業者も大変なことになりますし、いたずらに犯罪者をつくる、こういうことになると思うのです。そのためにお聞きしておるわけです。
  187. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 まだ浄化協会をどこまでどういう組織でやっていくかということを完全に詰めたわけではございませんので、今の時点でなかなか確たるお答えもできにくいところがあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういうふうな地区の浄化という活動につきましては、やはり民間の方々中心になって浄化活動をやっていただくということが最も大事であり効果的なものである、こういうふうに考えてやっているものでございます。  したがいまして、今の時点では、先ほどから申しますように、そういう資格ができて、実際にそういうふうな業務を遂行するに足る能力があるという場合には、その防犯協会を指定をする、そしてこういう仕事をやらせるということでございまして、そのときに地区の防犯協会にお手伝いをいただくということもあり得るとは思いますけれども、現時点ではやはりそういうふうに地区の方に任し得る能力ありやなしやということもまた検討してみなければならない問題だと思いますので、当然のことながら、指定をする段階で十分そういうものも踏まえて、全体を見渡して、全般としてそういうような指定ができるかどうか、そしてそういう業務をきちっとやれるかどうかということを見きわめた上で指定をし、仕事を任していきたい、かように考えておるわけでございます。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、今お聞きのように、法律をつくってから、それからいろいろ考えてこの法律に合わせていろいろやっていく。  私のところは兵庫県なんです。兵庫県の警察でいろいろありますけれども、こんな大きな兵庫県に、一つだけ協会がありまして、そこで全部本当に地元の少年指導委員を掌握して、そしていろいろなことをやるということは、これは不可能なんです。だから、防犯協会でも、今各警察署に一つありまして、それでやっているからいろいろなこの青少年の取り締まりができているわけですよ。そういうものが詰まってないことには、先々どうなっていくか非常に不安である。  例えば公職選挙法、これもあと規則になっちゃった。規則でつくっていったら最後にどうなったかといったら、お葬式に香典を持っていけないとか、あるいはまた結婚式にお祝いを持っていけない。通常のことです、これは。そういう習慣のことができないと言って自民党の先生方みんなえらい怒っておった。だから、そういうように規則でどんどん変わっていってしまうととんでもないものができちゃう。こういうことを考えます。  これは後でまた大臣に――こういうものはやはり公安委員会――公安委員会というのは公安委員長ですが、そこの機能ですね。事務局はほとんど警察がやってしまうわけですね。それはやはり細かいところまできちっとチェックして、本当の公安委員会の機能というものを発揮してもらわないと、この問題は大変なことが起こるのじゃないか、私はこういうふうに考えるのです。こればかりやっておったらあれですから、これはまた後で答弁いただきます。  そこで、今度のこの法改正を見ますと、青少年たまり場、あるいはまた非行化する、そういうために強化されるということでありますけれども、パチンコ業界ですね、ここが非行少年たまり場になって、非行少年がそこから非常に生まれておるというようにお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  189. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 パチンコの関係というのは少年たまり場になるというのは比較的少のうございますけれども、実際には全国でもって約千軒余りのところが把握されておるところでございます。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 パチンコ業界を調べてみますと、警察の方は取り締まりを非常に忠実にやっておる。中には税金のごまかしとかありましたよ。しかし、例えばディジタルの規制をされましたね。これは一カ月後に、新聞を見ますと、売り上げが三〇%も下がってしまっておる。なぜかというと、警察の方から、そういったよく出る機械といいますか、こういうものの規制があった。そういうことをやりますと、お客さんも非常に減っておるけれども、この業界はほかと比べて非常に忠実に守っておるのではないか、こう思われるわけなんです。  そこで、この間保安部長の話を聞いていると、条例で今までやったものを法律案にしただけで、全国一律にしただけなんだ、こういうような御答弁だったのですが、今度の法律改正でも、今までのパチンコ業界、これに対しては変わりはないのか、これはもう一度お聞きしておきたいと思うのです。
  191. 古山剛

    ○古山説明員 今回の改正におきましては、従来、都道府県の条例で具体的に遵守事項として定められておりました行為及び条例の遵守事項の規定に含まれると解されてきた行為につきまして、著しく射幸心をそそる行為であり、賭博につながるおそれのある行為を明示して、禁止行為として取り上げたものにすぎないわけでございます。  具体的に二十三条一項の各号、それから二項について言いますと、改正法二十三条一項一号の「現金又は有価証券を賞品として提供すること。」は、現行の各県の風営法施行条例に大体書かれているところでございまして、現行どおりでございます。それから二号の「客に提供した賞品を買い取ること。」につきましては、現在、各県の条例では、「客に提供した賞品を買い取り、または買い取らせないこと。」に対応するものでございまして、このうち賞品の買い取りのみを禁止事項としたものでございます。なお、買い取らせの関係につきましては、必要に応じ、従来同様条例で規定することとしているものでございます。  それから三号の「遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物を客に営業所外に持ち出させること。」それから四号の「遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。」は、現在、各県の風営法施行条例に書かれているものでございます。従来から「著しく射幸心をそそるおそれのある方法で営業しないこと。」と条例規制されていたものを具体的に明示したものでございます。  それから、二項におきまして「営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。」と定めておりますのは、現在、各県の条例にございます「営業所で賭博類似行為その他著しく射幸心をそそるおそれのある行為をし、または客にこれらの行為をさせること。」の内容一つとして考えられてきたものでございます。  そういうような状況でございます。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは細かくやるわけにいきませんから、結論として言えば、従来の禁止規定と変わらないということなんですね。これを念を押しておきたいと思うのです。  ところが、従来と非常に変わってきたのではないかという心配がありますのが、この風営法改正によって、管理者を置かなければならない、それも各営業所ごとに置かなければならぬというようなところが今度はパチンコ業界にもひっかかってくるわけです。従来から自主規制で成果を上げておるこのパチンコ業界に、なお屋上屋を重ねて、こういう管理者を置かなければならぬ。これはなぜこんなことになったのか。その点、ちょっとお聞きしたい。
  193. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実は、従来といいますか現行法でも管理者を置くことになっておりまして、その規定を整備はいたしましたけれども、現行と同じ考え方でできておるものでございます。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは風営法関係であって、このパチンコ業界は今までは管理者なんか全然置かなくてもよかったのじゃないですか。
  195. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 従来からパチンコ業界も風営法対象になっておりますので、管理者を置いていただくことになっておるわけでございます。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、この二十四条の五項、「公安委員会は、管理者が法律に基づく条例の規定に違反した場合において、その情状により管理者として不適当であると認めたときは、業者に対し、管理者の解任を命ずることができる。」要するに、こういうことをしてはいけないのだ、情状酌量、こういうのが入っていると、公安委員会、警察は、あれはどうもぐあいが悪いということで、ただ情けといいますか、情、こういうことだけで管理者を不適当とし、それからその解任を業者に命ずる。ところが、管理者はそうじゃないと言ってなかなかやめない。こういう場合、この業者と管理者との間でトラブルが起こる。そのときは責任を持って公安委員会が解任することになるのですか、いかがですか。
  197. 古山剛

    ○古山説明員 公安委員会が管理者を解任いたしますのは、管理者が欠格事由に該当するようなときとか、あるいは管理者は遵法営業を率先して実施しなければならない、そういう管理者がその職務に関しまして違法なことをやったという場合でございまして、「情状により」といいますのは、一回そういうような違反があったけれども、しかし一回限りで反省の色も濃いというようなことで、再びそういうことはないであろうと思われるときには解任もさせる必要はないわけでございますけれども、反省の色がないということで、再び繰り返されるというようなことであれば、これは管理者としては不適当ということで解任をするというようなことでございます。
  198. 岡本富夫

    ○岡本委員 この点、営業者と管理人というのは非常にトラブルが起こるだろうと思うのです。要するに、トラブルを公安委員会、警察が入ってきちっとおさめるということはやるわけですか、いかがですか。
  199. 古山剛

    ○古山説明員 管理者と営業者とのトラブルが起きるだろうということでございますけれども、これは現在でも管理者というのを置いてもらっているわけでございまして、ただ、管理者についてみずから率先してそういうような遵法営業の姿勢を守っていただくと同時に、また営業者に対して必要な条件、あるいはその他の従業者に対しましては、いろいろ遵法営業推進、違法なことをやらないようにという面からの指導をやるということでございまして、格別営業者と管理者の間でトラブルが起きるというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  200. 岡本富夫

    ○岡本委員 私はこういう場合は必ず起きてくるだろうと思うのですよ。だから、そのときにはやはり警察が中に入って、ちゃんとしてあげるというぐらいにしないと、職場環境がうまくいかないだろう、こういうことを一つは要請をいたしておきます。  そこで、三十七条の立入検査、現行法では「警察官は」、「風俗営業営業所に立ち入ることができる。」という規定だが、改正案では立ち入りに加えて、今度は公安委員会に、業務に関する報告、資料の提出を求める権限を認める、または警察職員には、帳簿、書類その他の物件検査と、質問する権限を認めている。違反者には十万円以下の罰金、こういうことで現場の警察職員の気ままな判断で運営されるということが非常に大きいのではないかという心配、従来は捜査令状を持って行政調査をした、今度は令状なしに気ままにどんどん入っていけるわけですから、この歯どめというものが私は非常に責任があると思うのです。  この歯どめをきちっと警察庁当局においてしておかなければ、業界は、あるいはまた入ってこられる方はたまったものじゃない、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  201. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実は立ち入りの規定は現行法と変わることがないというふうに考えておるわけでございます。これは先生おっしゃいましたように、現在行政目的でもって立ち入ります場合には、捜査令状を持って立ち入っているわけではございませんで、犯罪捜査のために行う場合には捜査令状が必要でございますけれども行政目的のために立ち入る場合には捜査令状でなくて立ち入っているわけでございます。  今度の法律でどこが変わったかということで、今先生お話がございましたけれども一つ大きな変わり方は、従来は対象風俗営業と深夜飲食店でありましたものが、今度はさらに、問題となっておりますセックス産業風俗関連営業を加えたということでございまして、そういう対象がふえたことは一つ大きくございます。  それから、立ち入りまして、「帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」と申しますのは、従来の規定で「立ち入ることができる。」ということの中に、立ち入ったら当然そういうふうな必要な行政措置をとらなければ立ち入りの目的を達することができないわけでございますから、そういうものはできるという解釈で従来からやってきたわけでございます。これを他の立法例に合わせて明文化したということにすぎないわけでございまして、格別に今度新しくこれを加えたというものではないというふうに考えております。  それからもう一つは、「報告若しくは資料の提出を求めることができる」ということにいたしておりますけれども、これまた最近の立法例に従って書いておるわけでございますけれども、これは本来立ち入りというのは業者の方々には非常に迷惑なことでもございますから、そういう形をとらなくても済むようなものであればそれで済ませたいという趣旨で実は書いたものでございます。  そういうスタンスでつくりまして、さらに、しかし今までの立ち入りよりも慎重な配慮を加えていくべきだということで、私どもは、従来は「都道府県の条例の実施について必要があるときは」という書き方を、「この法律の施行に必要な限度において」ということで、限度を明確にあらわしたということでございます。  それから、立ち入る場所につきましては、従来格別の限定はないわけでございますけれども、今度は「個室その他これに類する施設を設ける営業所にあっては、客が在室する個室を除く。」ということで、むしろそういうところには立ち入りませんよということをみずから律したということでございまして、さらに三十七条二項で「警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」とございますが、これは、何にも言われなくてもちゃんと示すということでございまして、従来の「関係人の請求があったときは、これを呈示しなければならない。」ということから一歩前進であるというふうに考えておるものでございます。  それから、先ほど先生お話しのような、要するに犯罪捜査のためにこれを利用して証拠集めをするなんということがあってはならないということで、第三項に、「この権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定を入れたものでございます。
  202. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの方の解釈では、従来の立ち入りというものは帳簿、書類その他物件の検査あるいは質問をする権限を持っておるんだ、今回立法上からこれを入れたんだ、変わりない、こういうような御答弁ですけれども、従来と変わりがなければ、従来の法律が間違っておったのか。従来と変わりがないんであればそのままにしておけばいいんじゃないですか。こういうことが入ってくると、これはもう大変だ。普通の行政ですと、法律で決めて規則もつける、それによって普通の公務員は動いていくわけですよ。今度のは、警察規則も何も決めて、そして自分で行くわけですから、これは慎重な配慮が必要だと私は思うのです。  大体行政調査というのは、事前に通知をして、そしてどうなっているんだということで行われておるのが普通なんですよ。この法律を見ると、表を通ったからちょっと行け、こういうようにしてそのままさっと入ってこられても、犯罪捜査のためにと解してはならないと言うが、看板でもつけていけば別として、警察に来られたら、犯罪捜査だろう、これは一般の解釈ですから、変わってないと言うんであれば、現行法と同じような解釈規定にしておけばいいのじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  203. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現行法と変わりがないわけでございますけれども、古い法律が間違っていたのかという御指摘もございましたが、別に間違っていたわけではございませんで、二十三年にできました法律では、大体その当時はこういうふうな規定の仕方をしておったということでございます。そして解釈で補っておるということでございますけれども、そういう点を明確にしておいた方がいいだろう。さらにこの際、プライバシーの保護の問題だとか手続の遵守の問題だとかいうものを含めまして、きちっと書いてある方が国民の御判断のためにいいんではないかというようなことで直したものでございまして、決して格別に違ったものを考えてやっておるわけではございません。先ほども申しましたように、近時の立法例はそういうものをはっきり書いていくというのが例になっておりますので、ただそういうものに従ったというところでございます。
  204. 岡本富夫

    ○岡本委員 こういう新しい法律が出てきて、しかも非常に権力の増大になるのではないかというような心配があるわけですから、こういうところは前のとおりでよかったのではないか、こういうように要求をいたしておきます。  そこで今度は、これも先ほど、またこの間からも、ギャンブルマシンについて、ゲームセンターの問題、すなわち第二条第一項八号についての論議がございましたが、警察白書の五十六年版ですか、ギャンブルマシンとはスロットマシンあるいは点滅式ゲーム機というようなことで、警察庁が証拠品として押収をいたしておりますね。したがって、スロットマシンというのはギャンブルマシンである。警察白書によるとはっきりしておるわけですが、この点について一遍お聞きしておきたい。
  205. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ギャンブルマシンという言葉一つの俗称みたいなものでございまして、必ずしも概念がはっきりしているものではないと思います。五十六年ごろの白書では、賭博に使用されているという例もありますので、これを俗称でギャンブルマシンと呼んだということでございますが、スロットマシンというのは、現金なり賞品に結びつきますと大変問題になるわけでございまして、まさにギャンブル性が出るということでございますけれども、そうでなくて、ただスロットマシンだけで遊技を楽しむという場合には、これを賭博性があると考えるものではないというふうに考えておるところでございます。
  206. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、スロットマシンそれ自体はギャンブルマシンでない、こう定義づけられているわけですね。それなら何で――警察庁はれを押収したのですよ。スロットマシンは、胴体が動く回胴式あるいは回転式、これを五十六年中に、全体といたしますと約千台余り押収している。それ自体はギャンブルマシンでないんだというのに何でこんなものを押収するわけですか。ギャンブルに使うから押収しているんじゃないですか。
  207. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私は、スロットマシン自体をギャンブルマシンと言うわけにはいかないということを申し上げたわけでございますけれども、それを使う営業者の姿勢が悪いとギャンブル的な使い方になるわけでございまして、そういうことで、まさに賭博に使われたものをギャンブルに使われたということで押収をした、こういうものでございます。
  208. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、スロットマシンは決してギャンブル機ではないんだ。しかし、外国ではこれはギャンブルマシンで通っているのですよ。そうなりますと、ゲーム機なんかも、ギャンブルに使われなかったら、これは正常な、健全なゲーム機だ、こういうふうに言えるのじゃないですか。それなら何で取り締まりをするのですか。
  209. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 遊技機そのものが悪さをするということはないわけでございまして、遊技機を使う者が法違反を犯すということになるわけでございますから、したがいまして、そういう遊技機を使って法違反をした者を検挙し、そういう違反に使われた機械を押収した、こういうものでございます。
  210. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの方の傘下にありますところの福井県の条例なんです。青少年愛護条例。この中には特定遊技機が十五条の二にありまして、青少年に使用させてはならない。そして同条例施行規則八条には、特定遊技機は「花札、トランプ、麻雀、ルーレット、ダイス、スロットマシン」とあり、これは本年の五月五日から施行することになったのです。そして、青少年は入っちゃいけないという条例が施行されたのです。  ところが今度の改正法案を見ますと、そういうスロットマシンがあるところへ少年が午後十時まで入っていいことになるんです。その点が非常に矛盾しているんじゃないか、こういうように私は思うのですが、いかがでしょうか。
  211. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 福井県の青少年愛護条例は、「年少青少年」ということで、「十五歳以下の青少年で中学校を卒業していないもの」を対象に規定をいたしまして、そういう者の健全な育成を阻害するおそれのある遊技機を設置する遊技場を届け出制とする。そうして年少青少年にその遊技機を使用させることを禁止する。その旨の表示も義務づける。また、午後十一時から午前四時までの間に年少青少年を当該遊技場に入場させることを禁止している。先生が先ほど御指摘のような遊技機は特定遊技機という名前だったかと思いますが、そういうような形であったと、こういうように記憶をいたしております。  この条例でございますが、実はこの条例につきましては、私ども必ずしも中身について相談を受けているわけではございませんで、福井県の方でそういうことがあるということでちょうど話が出ましたときに、私の方も風俗営業法の改正を検討しておる、そうすると、場合によると失効する部分も出るかもしれないというようなことを申したことがございます。しかし、福井県の方は届け出制でございますから、許可制になるんであればそちらの方がいろいろな面でいいんではないかというような意見を聞いたことがございます。  この福井県の条例は、我々の風俗営業法とはかなりいろいろな面でギャップがあるわけでございます。一つは、年齢では、先ほどのような十五歳以下というとらえ方をしておるわけでございますけれども、この点が私どもが十八歳未満と押さえているのと違うわけでございます。向こうの条例は、十五歳以下は深夜を除いて立ち入ってもよいんですが、特定遊技機を使用してはならない。もちろん深夜は立ち入ってはならない、こういう規定で、十六歳以上は規定がない。それから、その深夜というのは、時間帯は午後十一時から午前四時までだというようなことでございまして、ここら辺のところがそれぞれ少しずつ違いがあるわけでございます。  我々の方は、今御提案申し上げておりますような形で改正案をお出ししておるわけでございますが、向こうの方は、そういうことで十五歳以下に限ったということで、当該遊技機を、スロットマシン等の範囲をある意味で限定されたものと思います。それなりに効果がないとは申せませんけれども、やはり少年たまり場となるゲーム場の多くを全部カバーしておるものでないという点で問題があるように感じておるところでございます。
  212. 岡本富夫

    ○岡本委員 十八歳未満と十五歳未満とえらい分けておりますけれども、十八歳未満というのは十五歳未満も入っているわけですよ。その人たちには、今度の法律を見ると、午後十時まで行ってよろしいよ、こういうことになる。そうすると、青少年の健全な育成と相反するのではないか、こういうように言っておるわけです。  その一つの例として福井県の条例を出したわけですが、ほかも大体調べますと、県あるいは学校では、そういうところへ行っちゃいかぬと、非常に規制しておるのです。私どもの隣にもゲームセンターがある。時間が来たら、先生がおったりいろいろして、やかましゅう言って、防犯委員が来てぴしゃっと追い出しちゃう。やはりそこはスロットマシンもあるわけですからね。今までは打っちゃいかぬぞと言っていたのが、今度の警察庁法律ではよろしいと、こうなったらぐあいが悪い。だからそこのところをひとつはっきりしておかなければいかぬ、私はこういうふうに言っているわけです。
  213. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃられるとおり、福井県の条例とはそれぞれ少しずつずれがございます。ただ、福井県の条例も、いろいろ今後さらに検討しなければならぬ面があるのだろうという感じがいたしますのは、立ち入ってもよいけれども使ってはならないというような形のものになっているというところで、果たしてうまく担保できるのだろうかという感じもしないでもございません。  いずれにいたしましても、何が一番問題かということになるわけですが、私どもは、ゲーム機の問題点は、それがやはり射幸心をそそるおそれになるかならないかということであろうと思います。射幸心をそそるおそれになるかならないかということは、先ほども申しましたように、現金なり賞品というものがかかってきて、そういうふうな形で射幸心をそそるという形になることを紡ぐことが主眼でございますから、スロットマシンというもので特に現金、賞品が伴わないものにつきましては、さほどの弊害があるというふうには考えておらないわけでございます。
  214. 岡本富夫

    ○岡本委員 いずれにしましても、今までそういうスロットマシンとかギャンブルマシンみたいなものがあるところへは青少年はなるべく行くな、打っちゃいかぬという補導もし、いろいろやっているわけです。だのに、今度の法律はそれを十時までよろしいというのは、青少年健全育成から見れば非常に相矛盾するということを今私は言っておきますから、後で改正とかいろいろ考えるときにはひとついろいろ検討してもらいたい。きょうは余りこれをやっていると時間がありません。  そこで、テレビゲーム機というのが今度の第八号の中に入ってきておるわけですが、テレビゲーム機というのはどんなのか、ひとつ御説明いただきたいのです。
  215. 古山剛

    ○古山説明員 テレビゲーム機とはブラウン管を介して遊技する遊技機のことでございまして、一般的にそういう言い方をされているようでございますので、そういう表現を用いているものでございます。
  216. 岡本富夫

    ○岡本委員 テレビゲーム機だけでは動かないのです。そこにプログラムが内蔵されて初めてこういうように動くわけなんですよ。ただテレビだけだったら動かない。これはビデオゲームなんです。テレビゲームと違う。だから外国でも、英米でも、これはビデオゲームと言うのです。テレビゲームとは言わない。テレビゲームは発信装置がついていない。だから、この法律用語はビデオゲームと変えなければ本当は通らないのです。こういうふうに私は思うのですが、法律用語をひとつ聞いておきたいと思うのです。いかがですか。
  217. 古山剛

    ○古山説明員 業界ではビデオゲーム機と言われておるようでございますけれども、我が国では一般的に今テレビゲーム機というふうに呼んでいると思っております。
  218. 岡本富夫

    ○岡本委員 業界がこういうのをつくりまして、そしてビデオゲームを出しておるわけでして、一般の人がテレビゲームというのを言われておって、そして業界がつくったのではないわけでして、初めみんな知らなかった。業界がつくってきて初めてこれがビデオゲームとわかった。今の答えはちょっとおかしい。だがこれは言葉のあやですから。しかし、法律用語というものは慎重にしておかなければいかぬと私は思うのです。この辺も、申し上げたいことは、相当慌てた法律じゃないかと思うのです。もうちょっと詰まっていなかったというところを私は心配をするわけです。  そこで、射幸心をそそるおそれのあるビデオゲーム、その射幸心とはどういうことか。これを字引で引いてきますと、偶然に利益を得ようとする野心、すなわち俗に一獲千金を追う、これを言うらしいのです。そういうビデオゲームと、それから要するに技術によって当たる。技術の方は、本当の娯楽性のビデオですね。  再々当委員会で、分けがたいんだという御答弁があったわけですが、聞いていると、中の内蔵物をかえればすぐに賭博性に使えるのだ。これは賭博性に使った場合は刑事罰でいけるわけでしょう。これは現在でも取り締まれるわけです。したがって、非常にわかりにくいといいますか、この機械を御存じかどうか知りませんが、これは子供が三千万台も買っている。非常におもしろいですよ。こういうような娯楽に使えるものと、それから技術ですね。パソコンなんかこれから必要になりますから、子供たちはこれによって勉強しているわけですが、それはやはり分けられない。分けられないというようなものを取り締まるというのはよっぽどおかしいと私は思うのです。  例えば、十人いた、この中で物をだれかとった、分けられぬから皆ブタ箱にほうり込め、これじゃむちゃくちゃです。だから、分けられない場合はこの取り締まりの中に入れてはいけない、分けられるようにちゃんとしておかなければならぬ、こういうような主張があるわけですが、いかがですか。
  219. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 技術介入性というものがありましても、やはりそこに偶然性の要素が入っておるというものはそれによって賭博に利用するということは可能であるわけでございます。  それから、分けられなければむしろやめるべきではないかというお話でございますが、実は健全と言われておる機器で賭博が行われているという例があるわけでございます。そういう例がある上に、さらに先ほどのように内容を簡単にかえることができるという性格があるわけでございますから、そういう意味で、全然健全で問題がないということ、それが全く賭博にならないということを申し上げているわけではないのでございまして、健全なゲームであっても賭博として利用するというのは別問題であるわけでございます。  そのゲーム自体を楽しむのは、それはもちろん健全なものでございましょう。また、技術的にもいろいろいたしまして、それは知的にも大変効果のあるものだと思います。しかし、そういうものを利用して賭博ができるということも事実でございます。そういうようなことから、分けますと、今申しましたように一見健全と言われているものを利用して賭博に利用していくということが可能になってくる。今申しましたように、営業者は、分けられて、一応、一見健全だというふうなものを利用いたしまして、今度は許可対象にならなくてもいい、野放しであるという形でもってこれを利用して、そして賭博に利用するということが恐らく出るであろう、こういうおそれを非常に強く抱いておるものでございますから、そういうことで、分けるということは脱法行為を助長することになるんではないか、こう申し上げておるわけでございます。  業者の皆さんの中でも大変意見が割れておりまして、今申しましたように、分けるというのは難しいんじゃないかという御意見の方が多いように私は伺っておるわけです。そうして、そういうふうに分けにくいものを無理に分けますと、先ほどのように脱法行為が行われる、それは逆に、業界の健全な発達を阻害するということで心配しておられる方々も大勢いらっしゃるわけでございます。  そういうふうなことも踏まえまして、今申しましたようなことをあわせて、やはり分けるべきではないんではないか。もともと分けにくいものを無理して分けるということが、逆に脱法行為を助長してこの法律の目的というものを阻害することになる、かように考えておるわけでございます。
  220. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、ビデオゲームは非常に分けにくいから賭博に使われる要素が多い、そういう見解だった。スロットマシンはギャンブルマシンではないんだ、要するに、使われて初めて賭博になるんだ、だからそれはいいんだ。こちらの方は、そういうふうにかえたりして使うことができる要素があるから規制するんだ、こういうところは私はちょっと納得がいかないのですが、いかがですか。
  221. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたように、結局は、ゲーム機の中で賭博に使われる可能性というものを考えて申し上げておるわけでございますけれども、ゲーム機の中で射幸心をそそるおそれの程度差は多少あると思います。しかし、いずれもそれは程度差でございまして、射幸心をそそるおそれのある遊技機となる可能性があるということは間違いないわけでございます。
  222. 岡本富夫

    ○岡本委員 しかし、健全な娯楽というものをとめてしまうようなやり方も、私は余り喜ばしいことではない。こういうことを考えますと、ちょっと早過ぎても、わけがわからぬから一緒に取り締まっておけ、こういうやり方はどうも納得できない。  そこで、おとといでしたか、数字があらわれる機械は規制対象に入るんだというような御意見を承ったのですが、「モグラたたき」というのがあるのです。きょう持ってこなかったのですけれども、数字が出るのです。こういうのはいかがですか。
  223. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 「モグラたたき」という機械でもICの使い方というのがいろいろあるんだろうと思いますけれども、そういうふうな一つの限界的なものというふうな感じがするわけでございまして、今後よく構造を検討いたしまして、また業界の御意見もお聞きいたしまして検討してまいりたい、かように考えております。
  224. 岡本富夫

    ○岡本委員 業界の中にも、これは八号営業の除外規定の中で、「旅館業その他の営業の用に供し」、この中にスーパーだとかあるいはまた大規模の遊園地、こういうものを除くという規定が入るわけですね。これも通産省との合意事項の中にあったようですが、いかがですか。
  225. 古山剛

    ○古山説明員 その点に関しまして通産省ともいろいろと御相談させていただいたわけでございますけれども、除外されるものの中で旅館業というものを例に挙げておるわけでございますけれども、そのほか、ただいま先生お話のございました大規模小売店舗等の内部で区画された施設のうち、ある程度オープンで、少年たまり場になったりあるいは賭博が行われたりする可能性のないものについては、政令で定めることによって許可対象から外すというようなことも相談させていただいているところでございます。
  226. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、スーパーとかあるいはまた大規模な遊覧施設、こういうものは八号営業から旅館と一緒に除外をする、そのことがはっきりしておれば、それを政令に委任しなくても、この法律の中にはっきり書き込めばいいじゃないですか。そうでないと、これは「旅館業その他の営業」、スーパーだとかあるいは大規模の遊園地というのは非常にわからないです。したがってひとつこのあたりははっきりと法律の中にあらわしておくことが大事だということを申し上げておきます。  時間が余りありませんから、次に行きます。  ゲームセンターが非常に青少年たまり場になっておるということで、あなたの方の警察庁保安部少年課調べで表ができておりますけれども、五十八年七月現在、この中に、営業所総数に占める割合のパーセンテージが出ている。ゲームセンターが六九・二%、それからレンタルルームが二五・二%、こういうふうに出ております。ゲームセンター営業所総数が三千五百十六、それからたまり場となっている営業所の数が二千四百三十二、したがって六九・二%がたまり場になっているんだ。この調査を見ますと確かに非常に多いように見えるわけですけれども、このたまり場となっている営業所の数は全国ですか。それから営業所総数というのは全国ですか。なぜそんなことを言うかといいますと、映画館とかほかのものは全国のものがきちっと表が出ておるわけです。これは全国ですか、一遍ちょっと教えてもらいたい。
  227. 山田晋作

    山田説明員 御指摘ございましたゲームセンター営業所の数でございますけれども、三千五百十六軒でございますが、これは、メダルゲーム機、テレビゲーム機等を専業として置いているものを私どもの方で昨年の十月現在で調査しました結果を計上したものでございます。私どもとして、少年課の少年非行防止の見地から調査した結果を計上したものでございますので、全部を完全に把握したと言い切れるかどうかわかりませんけれども、その中で少年たまり場となっている比率、これを拾いますと、六九・二%ということですから約七割でございます。非常に高いと考えております。
  228. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの方のこの数字は、要するにたまり場となっている営業所の数、それから営業所総数、この総数は全国的なのか、ただこの辺だと調べてつくったのか。これによってパーセンテージが変わってくる。なぜかといいますと、私調べたのはパチンコ店を調べたのですが、全国で約一万一千ある。神田地区ではパチンコ店が七店舗あって、ゲームセンターが十三、それから、東京の蒲田の東口を見ますと、パチンコ店が六つでゲームセンターが十六、こう勘定していきますと、大体パチンコ店の二・三倍あるのです、このゲームセンターが。ということは、計算しますと二万五千三百のゲームセンターの数がある。その中でたまり場になったのを調べたのが二千四百何ぼでありますと、そのパーセンテージは九・六%になる。ただ、たまり場にはゲームセンターの比率がこんなに多いのだ、こういう表でありますけれども、その点がどうも全部調べて本当のパーセンテージを出しているのじゃない、こういうように言いたいのですが、いかがですか。
  229. 山田晋作

    山田説明員 先ほど申し上げましたように、あくまでテレビゲーム機を置いた専業店ということで調べた数字でございます。
  230. 岡本富夫

    ○岡本委員 全国の数字ですか。間違いありませんね。
  231. 山田晋作

    山田説明員 さようでございます。
  232. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもこの点を私どもの方で調べると納得できない。  あと、本法の四十五条で、国家公安委員会の権限に属する事務を警察庁長官に全部委任する。改正案内容にあっては、大半を公安委員会の規則あるいはまた政省令に委任をいたしておるわけでございます。この運営を誤りますと、警察の権限の非常な肥大になってくる、そして正常な営業もだめになってしまう。こういうことを考えますと、この法案を施行されるときにはよほど気をつけてやらなければならぬし、また、委員規則については相当細かいところまでも目を通してやらなければならぬと考えておる。それについてなやはり何といっても大切なのは国家公安委員会の機能なのです。全部警察に任せてしまって、この国家公安委員会が有名無実であれば後で困る。こういうことを考えますと、国家公安委員長の田川大臣の責任というものは非常に重大だと私は思うのです。  まあほかのたくさん出てくる法律、それは大したことありません、これは警察権をすぐに執行しませんからね。先ほど申しましたように、ただ行政のために調べに来るのだ、こう言いましても、入ってきたら必ず何か犯罪捜査だ、質問して答えなければ署へ呼べばいいわけですからね。そうすると大変なことだ。そういうことになりますと、小さな細かいところまでもやはりきちっとした規則をつくらなければならぬ。こういうのはきちっと目を通してもらわなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 田川誠一

    田川国務大臣 国家公安委員会のメンバーは、それぞれ学識経験者おそろいでございまして、私も半年仕事をさせていただきまして、ただ形式的に運営をしているというふうには見ておりませんで、私は本当によく機能していると見ております。  今回のこの改正案の中で警察庁長官に委任をしているものも確かに御指摘のとおりでございますけれども、しかしこれは警察庁長官の名において行ってもいいという日常業務的なものだとか、あるいは技術的、専門的なものなどを委任する予定でありまして、警察庁長官に全権を委任するものではありませんし、また警察の権限の肥大化につながるものでは毛頭ありません。国家公安委員会が必要に応じて注意すべきものは注意をし、改めなければならないことは改める、指示をしなければならないことは十分指示をしているというふうに私は見ておりますので、御心配、御懸念の点はないもの、このように思っております。
  234. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に三井長官に、何も言わぬと座ってもらったのじゃあれでしょうから、決意を伺いたい。要するに、余り行き過ぎて善良な業者が営業意欲をなくしてしまうような、あるいはまた、かえってたくさんの罪人をつくるような、そういうことでなくして、本法の趣旨に沿って細かいところまで気をつけた取り締まりをやっていただきたい、こういうことを私は要求いたしますので、それについての御答弁をいただきたい。
  235. 三井脩

    三井政府委員 今回の法律でこの法の目的が明定をされたわけでございます。ここに決められた警察官の権限その他のものの行使につきましては、法の趣旨に沿って間違いのないように細心の注意を払ってまいりたいと思います。
  236. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  237. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  238. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先般も私申し上げたのでありますが、今度の風俗営業法の改正というのは、まさしく文字どおりの大改正であります。数の上からいいましても莫大な条項が追加になっておるわけでありまして、非常に重要な法案だという認識のもとに質疑を続行したいと思うのであります。  一般の国民が警察に対してどういう感じをしているかというのは先般申し上げましたが、国民の生命と財産を守ってくれる頼もしい機関である、ありがたい存在であるという感謝の気持ちとともに、いま一つは、ぞっとする、やれ恐ろしいという感覚があることもまた事実であります。町を歩いておる市民が、例えば警察官においと言われたら、気の小さい人だったら飛び上がる人もおるのじゃないかと思います。  そういう二つの複雑な気持ちが入りまじった中でのこの法案の審査でありますが、そこで、業者の人たち、なかんずくパチンコあるいはマージャン等をやっておりますところの業者の人たちが大変心配をしておることがありますので、くどいほどの質問になりますが、非常に重要な問題でありますから、そのことから質問を申し上げたいと思います。  まず、第二十四条の「営業所の管理者」という項目であります。  この「営業所の管理者」というのは、条文にきれいに書き上げてありますけれども、どうもちょっと腑に落ちないところがありますのは、四項におきまして「風俗営業者又はその代理人等は、管理者が前項に規定する業務として行う助言を尊重し、又はその業務として行う指導に従わなければならない。」と難しく書いてありますが、簡単に言うならば、管理者として届け出をしたその人が、警察の講習会に行く、警察の指導を受ける、帰ってくる、社長である営業者に対して、あれをせい、これをせいという指導をする。いわゆる社長が自分の従業員に指示を受け、指導を受けるということになるのでありまして、社会的な通念からいいまして、雇い主である、給料を出しておる社長が、雇われておる従業員に指示をされて、そのとおりに従わなければならないというのはまことに妙な感じがするのでありますが、概括的にまずこのことについてお答えいただきたいと思います。
  239. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この管理者の制度でございますが、現行法も施行条例でもって管理者の制度を置くように決めておるわけでございまして、現行法と大筋において同じでございます。  なぜこういう管理者を置くかということでございますが、風俗営業は属人的な無形のサービスを提供するという性格の強い営業でございまして、この当該営業所におきます業務の実施を統括管理する者である管理者、これが適正な業務を執行するということによりまして当該営業所における業務の適正化に大いに効果があるものというふうに期待されて置かれたものでございます。  今お尋ねの二十四条四項でございますけれども、その管理者が業務として行います。「助言」または「指導」と申しますのは、風俗営業者またはその代理人等が風営法やあるいは売春防止法、刑法等の規定を遵守して業務を行うのに必要な範囲のものをいうわけでございまして、そして法令の内容を従業者に教養したり、その遵守を促したり、これらの法令の趣旨を従業者の間に徹底させたり、あるいは法令違反にわたるような行為の行われるおそれのある場合には、これを未然に防止するために営業者や従業者に対しまして注意を喚起したりする等のことでございます。  したがいまして、この言葉でございますが、管理者は営業者に対しましては「助言」でございまして、そして従業者に対しましては「指導」でございます。先ほどのように、使われている管理者が営業者に対してこういうふうにせいと言うようなことは、組織的にもまことにおかしなことでございまして、そういうようなことを考えているものではございません。管理者はその業務の適正化を図るためにいろいろ必要な助言をすることが望ましいだろうということでございますけれども、それはあくまでも営業者が決定権を持っておるわけでございますから、助言を尊重するということは当然でございましょうけれども、しかし決定はあくまでも管理者が行うものである、助言はあくまで助言にとどまるものということでございます。
  240. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 少しくどくなりますが、そういたしますと、ここに書いてある第四項の管理者が「助言」あるいは「指導」を行うというのは、「助言」というのは営業者に対して言うことである、それから「指導」というのは従業員に対してである、こういうふうに区分けをされました。  よくわかりましたが、そこで「助言を尊重し」とありますが、これは一体どういう意味なんでしょうか。そして尊重しなかったときにはどうなるのでしょうか、お答えください。
  241. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 尊重をするという努力義務を課したものでございまして、これはそれに従わないということはやむを得ないことであろうというふうに考えておるわけでございます。あくまでも助言というのは助言でございますから、その範囲にとどまるものということでございます。
  242. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 実によくわかる説明をいただきまして、ありがとうございました。それじゃ今のお答えのとおり私は解釈いたしますと、管理者という諸君が警察に呼ばれていろいろな指導、講習を受けて帰ってくる。それでその警察の意向を、こう言われたのだからこうしなければいかぬと思って、経営者である社長に、社長さんよ、こういうことをしたらあかんのやで、こうやらなあきまへんで、こう言うのが助言ですわな。それに対して、社長が、何をぬかすか、ほっとけ。それはやむを得ない、それは罰金もなければ何にもない。罰則も何にもない。そして従業員の諸君が、管理者だからといって偉そうな格好するな、一々警察の言うことをそっくりそのままオウム返しに我々に言うことはないじゃないか、出しゃばり過ぎるぞ、こう言って拒否をしたら、それもやむを得ぬ、これも罰金もなければ罰則もない、こういうふうに受け取ってよろしいのですね。
  243. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この関係はそういうことでございますが、例えばそれに従わなかったために風俗営業自体が違法行為になるということになりますと、それは別途営業者に対する「指示」が出るということはあり得るというふうに考えております。
  244. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこらが、初めの方は非常に笑いを伴うやわらかいお話なんですが、後になってくると、昔から「だんだんよくなる法華の太鼓」というのがあるが、だんだんおっかなくなる法華の太鼓でして、それは従わなければしょうがないです、罰則もありません、何もありません、しかし店がつぶれても知りませんよ、こうなるわけでしょう。それがいぶせいわけですよ。恐ろしいわけですよ。だから、そこらが、管理者の言うことは警察が言っていることなんだ、だからそれに従わなかったら下手すると店はつぶれるよということなんじゃございませんか。そこらをちょっとはっきりしておいてください。
  245. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 管理者の言うことがすべて正しいということも必ずしもないかもしれませんですね。それは法律に照らしてどちらが正しいかということは別問題でございますので、管理者が警察の意向を受けて、管理者の言うとおりにしないと店がつぶれるというようなことにすぐに結びつくものではない、かように考えます。
  246. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、そのお隣の項の五項がやはり関係をいたしますので、お尋ねをしておきます。  五項には何が書いてあるかというと、警察の方において、これは管理者としては不適当だよと認めたときには、社長さん、あれを首切れ、こう言う、それには従わなければならない。そして二週間以内に後任者を決めて届け出なければならない、こういうことになるわけでございますが、後ろの方からいきますが、その場合、解任を命じてそれに従わなかったら一体どうなるのだろうか。そこの従業員のいわゆる生殺与奪の権を警察が握っている。それで警察がやめさせろと言ったら泣き泣きでもその人の首を切らなければならない。もし切らなかったらどんなことになろうかということが一つです。  そして、「不適当であると認めたとき」というのは、警察の方で――昔の軍隊じゃ、何も理由がなかったら、おまえの面が気に食わぬと言って、私も随分殴られたものでございます。そのおかげで私は奥歯が全部がたがたで、今ありません。ひどいものでございます。今の近代警察ですから、面が気に食わぬというようなことはないと思いますが、何が気に食わぬ、何が不適当と認めたら解雇をせいと言うのですか。その二つを答えてください。
  247. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 「管理者の解任を命ずることができる。」というのは、管理者を外していただくということでございまして、何も全部やめてしまう、従業員をやめてしまうということを意味しているものではないわけでございます。  それから、「管理者として不適当であると認めたときは」ということでございますが、これは当然客観的な材料がなければ、後のいろいろな司法的な措置の問題もあるわけでございますから、そういうことで、当然客観的なもので担保されなければならないということであると考えております。  しかも、これは具体的に「管理者が第二項第二号に該当すると認めたとき、又はその者がその職務に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において」初めて条件が整うわけでございまして、それも一回あったからすぐやるとかなんとかというのじゃなくて、非常にそういうふうな状況が悪いということがあった場合に、どうしてもかえなければそういうふうな業務の適正が保てないというようなことがあった場合でないとできないものだと思います。そういうふうな形で客観的に担保していかなければならないものと考えておるわけでございます。
  248. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まことに横着なことを言うようでありますが、「公安委員会は、管理者が第二項第二号に該当すると認めたとき、又はその者がその職務に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、その情状により」、こういうことで今御説明がありました。しかも、一回あったからといって簡単にやめさせろというようなことを言うものじゃありません、警察は親切です、何回も根気強く言うのです、こういうお話ですからちょっと安心をいたしましたが、我々は実は「法令」というのがわからぬわけです。今わかるのはこの法律だけでございますので、このわかっておる、今ここへ上程されておる法律で言いますと一体どういうことなのでしょうか。何号じゃなくて、言葉で言ったらどうなのでしょう。
  249. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この「法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合」といいますのは、風営法の目的が、当然のことながら善良の風俗の保持、風俗環境の浄化、少年健全育成という問題がございまして、そういう観点からある関係法律でございます。典型的な例は、例えば児童福祉法であるとか職業安定法であるとか売春防止法、そういうような法律というのが主なものになってくるのではないかという感じがするわけでございます。  なお、先ほどのあれに一言つけ加えさせていただきますが、「情状により」とございますので、例えば何回もと、こう申しましたが、軽微なものであれば何回も積み重ねるということもございますでしょうけれども、大変重大な問題があるということになれば、しかもそれはかえなければどうにもならぬという場合には、一回でもあり得る場合もあると思います。
  250. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それではその次に、業界の方々が非常に心配をしております問題で、各委員からも再三にわたり質問があったのでありますが、立入検査、第三十七条、このことについて、これも私はくどいほどお尋ねをしたいと思うのであります。  先ほど岡本委員の御質問に対しまして、立入検査というのは何も今回ここへぽかっと新しく出てきたものじゃございません、今まで条例その他においてもあったのでありまして、今までと何ら変わるところはありません、こういうお答えでございました。  今までと何ら変わったことはないと言うのですが、今までは必要があれば立ち入りをすることができるという項目があっただけでございまして、それ以外の説明は全然ないのであります。すなわち第六条、「警察官は、この法律又はこの法律に基く都道府県の条例の実施について必要があるときは、風俗営業営業所に立ち入ることができる。」簡単にこれだけしか書いてないのであります。これは一行にもなりません。半行であります。  ところが今度の場合は、これは全部で七行からあるわけですね。大変盛りだくさんに入っておるわけでございまして、業者の方々が非常に心配をいたしますのは、何かこれはおかしいぞ、あそこの店では確かに賭博行為をやっているとかセックスを大っぴらにやっているとかいうようなことがどこかから情報が入ってはっと立入検査をするというような場合、これはいたし方ないことですね。これはだれが見ても当然ですね。  ところが、そんなことはないでしょうけれども、公安職員、警察官が調べて歩くところ、立入検査ができる場所というのは、今度は全国莫大な数にふえるわけですから、いつでも、どこでも、だれでも、何か福祉のあれみたいですが、福祉ではなくて、今度は立入検査を受けるのがいつでも、どこでも、だれでもじゃなくて、どの店でも、それで中へ入っていろいろ質問もだれにでもできる、こういうふうになりはせぬのだろうか、しょっちゅう入ってこられることになるのじゃないだろうかということが非常に心配になっておりますので、一言ずつお尋ねをいたしたいと思います。  まず、三十七条の一行目に、「この法律の施行に必要な限度において」と書いてありますが、その「必要な限度」というのは一体何でございますか。
  251. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りの関係につきまして、若干総括的なことをお話し申し上げてよろしゅうございますでしょうか。
  252. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 はい、どうぞ。
  253. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現在認められております警察官の立ち入りの規定を今回は整備をさせていただいたわけでございますが、基本的には従来のものと同じであるということでございます。  問題は、風俗関連営業が今度は整備されてまいりましたので、風俗関連営業に対する立ち入りというのが当然新しい対象として入ってきたということは間違いございません。  それからもう一つは、身分を示す証明書の関係者への提示というのは、従来は請求があればそれを呈示するということでございましたけれども、今回は請求の有無にかかわらず行うこととして、無用のトラブルを避けよう、こういうことにいたしたわけでございます。  それからまた、犯罪の捜査目的でないという趣旨を明示いたしまして、そういうような形で、行政目的という名のもとに犯罪捜査を令状もなしにやるというようなことが決してあってはならないという趣旨を明確にしたものでございます。  それからさらに、客のいる個室には立ち入らないことということで、客のプライバシーに配慮するということをいたしました。  それから、最近、例えばパチンコを例にとりますと、ICの機械等、電子関係が進んでまいりまして、技術的なものがわかりませんとなかなか判断がつかないということがございますので、この点は「警察官」から「警察職員」に変えさせていただきまして、そういう技術を持った者も入れさせていただくということにいたしました。  そういうことでございまして、大変ふえるというお話でございますけれども風俗関連営業というのはそんなにたくさん今営業があるわけでございませんから、そんなに対象がふえるわけではございません。対象自体は、件数的にはそれほど大したことはない、こういうふうなことだと思います。  そうして、今までの運用もそうでございますけれども、そう言ってはあれでございますが、警察もなかなか忙しゅうございまして、そうのべつ立ち入りをしてきたという実績もないと思うのでございます。現実にそういう点は非常に慎重に私どもはやってきたつもりでございますけれども、さらに、先ほど言いましたようなもろもろのものを配慮しながら今後やってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、お尋ねの「必要な限度において」ということでございますけれども、従来の法律は「必要があるときは、立ち入ることができる。」こういうことでございます。ですから、現行法はある意味では必ずしも限定をしていないというふうにごらんいただいたらいいのではないかと思うのでございます。  といいますのは、「この法律又はこの法律に基く都道府県の条例の実施について必要があるときは」ですから、必要があれば立ち入りができるというふうになっているわけでございますから、必ずしも十分条件を整備したとはむしろ言えないのではないか。そういうことがありまして、むしろ「必要な限度において」、そこで限られるのだ。  いわば手段方法は、法の目的であります善良の風俗、風俗環境の浄化あるいは少年非行の防止というような問題から、そういう目的のもとにとる手段としても、「必要な限度において」とどめようという趣旨を明確にするという形で書いたものでございまして、これは従来よりもある意味では条件もずっと明確にした。昔、二十三年当時できましたときは、ある意味では割合にラフに書いていたと思うのでございますけれども、その点をもっとはっきり書いて国民の皆様に疑問のないようにしていこう、こういうふうにしたつもりでございます。
  254. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、「必要な限度」というのはわかりましたが、その次の行にあります「必要な限度において、風俗営業者等に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め」、こうなっておりますが、この資料の提出を求める、あるいは報告を求める、それは例えば、こういう理由で報告を求めますというような、何かそういう通知書とかあるいは要請書とかそういうふうなものが出るのでありましょうか、単に警察官が行って口頭で、おい出せ、こうなるのでしょうか。
  255. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 文書の場合も口頭の場合もあるのではないかというふうに考えております。
  256. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 文書のときもあるだろうし口頭のときもあるということになりますと、非常に手軽に扱われるような感じがいたしますね。これは犯罪捜査じゃありませんから、一々文書を持っていかなければいかぬということを決めつけるのもちょっとおかしいと思いますけれども、しかし調べられる内容というのは、とにかく報告を求める、資料は出さなければいかぬ、検査もされる、質問もされるというのでありますから、これはまさに犯罪捜査と内容は一緒ですよ、やられることは。ただ静かにやっているかどうかというだけのことであって、内容は同じことでしょう。  だから、そういうような立入検査を受けるときに、例えば報告を求める、あるいは資料を出せとと言う、あるいは質問をする、あるいは検査をするというときに、何にも書類なしで、あるいは通知もしないで、いきなりぱんとやるのでしょうか。
  257. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これはその必要性が大変緊急であるとかそういうことによっても違ってくるだろうと思いますけれども、なるべく事前に連絡をして、御迷惑のかからないようにやっていくというふうに心がけたいと思います。
  258. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 わかりました。  それでは今度は、また細かくなっていきますが、「その業務に関し報告」というのはどういう報告なんでしょうか。
  259. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 報告の内容はいろいろ千差万別だろうと思うのでございますが、例えば遊技機の機種であるとか、場合によれば運用状況というようなことをお聞きすることもあるのではないか。また、青少年の立ち入りの問題、従業の問題等がございますから、そういうようなことでそういう点をどういうふうにしているのか、あるいは従業者の募集の方法、教育訓練の方法、そういうものをどうしているのかというようなことをお聞きすることもあるのではないか、こう思います。
  260. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、「資料」とは何ですか。
  261. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 例えば、今の話に関連いたしますれば、従業員向けに教養をしているとすればそういうもののパンフレット、あるいは従業員を募集をしておるとすれば、そういうものが必要になるという場合もあるかもしれません。どんな資料だろうかというのがちょっとすぐ思い当たらないのでございますけれども、今言ったような必要に応じて、しかも業務そのものに関しまして必要な限度でもってやっていくというふうに考えております。
  262. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、「資料」というのは業務そのものに対しての資料である、それ以上にはみ出るようなことはない、こう理解してよろしゅうございますね。
  263. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 業務に関連したものに絞りたいと思います。
  264. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さらに行を飛びまして、「立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」こういうふうに相なっておりますが、そこで言う「帳簿」とは一体どういうものを言うのですか。
  265. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは風俗の観点からのものを考えておるわけでございますから、例えばパチンコにいたしますと、遊技機の運用の仕方の帳簿なり書類というものがあるとすればそういうふうなもの、あるいは玉の管理の仕方であるとか賞品の出納、そういうことになるのではないかな、こういう感じでございます。
  266. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その次に、今度はわざわざ区別をして「書類」と書いてありますね。この「書類」とは何ですか。
  267. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは、先ほど申しましたような資料が帳簿になっているものもあるでしょうし書類になっているものもあるでしょう。そういうことで書いたものでございまして、従来の立法例に倣って書いたものでございます。
  268. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 わかったようなわからぬような、どうも私は頭が悪いのかしれませんが、なぜわざわざ「帳簿、書類」というふうに分けたのか、どうもよくわからぬのです。  それで、今その帳簿と書類のお答えの範囲からいったら、いわゆる会計簿、会計、経理に関するような書類というのは一切関係がないというふうに思いましたが、そのとおり受け取っていいのですか。
  269. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたような必要性で言っておりますので、例えば品玉等の管理を会計帳簿でつけておることはないと思うのでございますが、そういうような関係は見たいと思いますので、それがもし会計帳簿についておるとすれば、そういう点は若干見せていただくということはあるかもしれませんけれども、一般に本来の経理上の帳簿を見るという必要性はないものと考えております。
  270. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 だんだん後になるほどお優しい声でおっしゃるものですからよくわからないので、もう一遍確認しておきますが、ここで言うところの「帳簿、書類その他の物件」、「その他の物件」はまだ後で聞かなければいけませんが、今聞いた「帳簿、書類」ということについては、その店の運営の状況、機械の管理、品玉の管理あるいは賞品というようなものを見せてもらうだけであって、経理そのものを見たいとはさらさら思っていませんというふうに聞こえましたが、そうですか。
  271. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 結構でございます。
  272. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その下にあります「その他の物件」というのは何でございますか。
  273. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 「その他の物件」と申しますのは、例えば照明設備であるとか遊技機であるとかそういうような構造、設備、「物件」と言っておりますからむしろ設備みたいなものが多いと思いますが、そういうものというふうにお考えいただければと思います。
  274. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 「を検査させ」ということがありますが、この検査というのは破壊検査を含むのでありますか。
  275. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 含みません。
  276. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういたしますと、念のためにお尋ねを予定外ですがしておきますが、例えばテレビゲーム機で、これは賭博には使えないはずだったんだが、これを賭博に使っているという密告があった。そこで立入検査に来た。調べようとしたときには、そのゲーム機をばらしてICを確かめなければ確かめることができませんね。それをせずにして枠の外から、ガラスの外からああ結構だねと言ったんでは検査にならぬでしょう。だから、破壊というのはがちゃがちゃと壊すと受け取られたかもしれませんが、そういう意味ではなくて、私の言葉がちょっと舌足らずでございましたが、中身を取り出して見る、いわゆるばらばらにして見るというような検査があるんでしょうかというのです。例えば、ICの有無をチェックするとか……。
  277. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 壊して見るということをすることはないと思いますけれども、取り外せるものを外して見るということはあると思います。
  278. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。  それでは次に、「若しくは関係者に質問させることができる。」これは公安職員の方が関係者に質問をするわけでありますが、この関係者というのは、その店の経営者、管理者、従業員だけでございますか、それともお客様を含む関係者でございますか。
  279. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今お話しのような営業者、管理者その他の従業者で、健全な営業が行われているかどうかということを確認したり営業の実態を把握するために事情を聞く必要がある者を言うわけでございまして、通常、客を含むものではないというふうに理解しております。
  280. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこの通常というのが、これまた日本語がよくわからぬのですが、通常でない場合があるわけですね。通常でない場合は、お客さんにも直接公安職員が質問権を発揮して質問しますよということがあり得るわけですね。
  281. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実は、いろいろな営業形態の中でやや脱法的なやり方をされる場合があるわけなんです。例えばある意味で、従業者ということじゃなくて客を装うような形でやるということも実はないではない、実際の例があるわけでございます。そういうような格別の場合は別でございますけれども、そうでなければ客は通常含まない、こういうことでございます。
  282. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それではもう一遍最初に立ち戻らせていただきますが、ここで言う立入検査というのは、風俗営業適用の箇所のことを言うのではなくて、今回の法の目的である最も紊乱をしておるセックス関係のいわゆる風俗関連営業に対して立ち入ることを主体としてここに書いてあるんだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  283. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この点は、対象になりますのは、風俗営業風俗関連営業と深夜飲食店営業、三つが対象になるわけでございます。
  284. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ここで一つだけ余分にお尋ねしておきますが、立入検査をするときに、個室の場合、客が在室する場合は入りませんよ、検査しませんよと書いてありますね。ところが、客がおりますよという警告が聞こえぬままですぱっとあけたという場合があったとすればどうなさいますか。真っ最中のところを……。
  285. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 そういうふうに確認もしないでぱっとあけるというようなことは絶対させないつもりでございます。
  286. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、絶対あり得ないことがあるのが世の中でございますので、客がおりますと確かに言ったはずであるのに、片方は聞こえなかったというのであけてしまったという全くのミス、こういう場合が起きたときにはどうなるのでございますが、私は法律がわからぬのですが。
  287. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ケースをよく検討しないといかぬとは思いますけれども、一般論として申し上げれば、過失でやったとすれば内部的にきちっと処置をしていくということでございましょうし、故意があれば、それは場合によれば職権乱用みたいな形になる場合もあるのではないか、こう思っておりますけれども、一般論でしかちょっと申し上げられないと思います。
  288. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。この件については一応これで終わらせていただきます。  そこで、前回の引き続きになるのでございますが、例の二条一項八号の関係でございます。  まず第一の問題は、一号から八号まで今度新しく八つ並んでいますね。その八号まで並んでおる中で、いわゆる年少者が立ち入ってもよろしいよというふうに許されておるところは、八号の「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備」というものですね、あのゲームセンターの。これは少年が立ち入ってもよろしい。それから、晩の十時までです、こうなっておりますね。それから第四号でしたか、ダンスの教授所、これも晩の十時まででしたか立ち入ってよろしいということがここで一部許可されておりますね。それ以外は全部年少者の立ち入りは禁止した業種ばかりでございますね。  法律をおつくりになるのに、一部は入ってもよろしい、一部は入ってはいかぬよというややこしいことをせずに、国民が見てもよくわかるように、年少者が、十八歳未満が入ってはいかぬのはこれだけですと言って、わかるようにちょっと手直しをなさったらいかがなものでしょうか。
  289. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一つの立法技術でございますので、法制局とも相談してでき上がったものでございますので、御了解を賜りたいと思います。
  290. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはすれ違いになりますから次に行きます。  大体、八号というのに私は無理があるなと思いますのは、賭博の未然防止というねらいが一つある。それからいま一つ少年非行を未然に防止しようというねらいがある。その二つの大きな目的を八号の中にがばっと一緒に無理やり突っ込んでいるからどうも無理が出てくるのじゃないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  291. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 当然のことながら、それぞれの業態には少年非行の問題もあれば、それから善良の風俗の問題もあれば、あるいは風俗環境の問題もあるわけでございまして、その中で若干少年の立ち入りに対する取り扱いが違うというだけでございまして、それぞれの中でそういう目的を充足していくということは可能であると考えてつくったものでございます。
  292. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これも先般一部触れたのでありますが、先ほど岡本委員もお触れになりましたが、テレビゲーム機の中には、健全なスポーツなどをやるものと、花札とかマージャンとかあるいはスロットマシンとかいうような不健全なゲームと分けることができると私は思っておるのです。分けることができるものを無理やり全部一つにしてはさっと網をかけている。全部ひっかけるというふうにやっておるところにどだい無理があるのでありまして、私は区分せいということをしきりに要求をしておるのでありますが、それは難しいというふうにおっしゃるのであります。  ところが、私が先般質問をいたしますときにはこれはちょうだいしてなかったのでありますけれども、後から入手いたしました資料によりますと、保安部防犯課が毎年十二月にその年の十月末現在の状況を報告しておる書類があります。それを調べてみますと、何とびっくりしますが、防犯課でお書きになっておる言葉が実にはっきりしておるのです。何て書いてあるかというと「いわゆるギャンブルマシンの状況」はかくかくしかじかのとおりであるというふうに書いてあります。  それで、遊技機の賭博事犯の取り締まりを強化した、その結果こうなったということなんかを書いておるのでありますが、警察自体でもこういうふうに「ポーカー式テレビゲーム機」、それからこれは漢字で書いてあるからよくわかりませんが、「麻雀・追丁株式」、それから「ダービー式」、「スロットマシン等回胴式」、それから「ピンボール」というようにずらっと書いてあるのですよ。「ルーレット」といってちゃんと固有名詞が書いてあるのです。これは賭博で押さえた分ですよ。こういう報告書がちゃんと毎年きちょうめんに出ておる。いわゆる区分けをしてあるのですよ。その区分けしておるのがどうしてことしになったら急にできなくなるのですか。
  293. 古山剛

    ○古山説明員 私どもの方でいろいろ遊技機を使っての賭博を検挙いたしておるわけでございまして、その検挙いたしました事件について、また、いろいろどういう機械であるかということを分類したものでございまして、その際、賭博に使われたものでございますので一応ギャンブルマシンというふうに使ったということでございまして、その中にはポーカーもあればマージャン、おいちょかぶ、あるいはスロットマシン、そういったものが入っているということで、そういったものを区分けして整理して発表したということでございます。
  294. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 防犯課長さん、これはあなたがつくったものでしょう。それで発表しておるのであります。というところまでわかったのですよ。だから私いただいておるのですよ。ということは、発表させていただきましたということは区分けができておるのでございましょう。区分けができておるから発表ができたんじゃないんですか。
  295. 古山剛

    ○古山説明員 賭博の事件として検挙して、そしてそれについてどういう機械が使われているかという部分について区分けして整理したということでございます。
  296. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうでしょう。ますますはっきりしてきましたが、いわゆる賭博に使われておる機械を検挙して押収したのである、それはこういう機械であったということになっておると思うのですよ。例えば野球とか、そういうようなものは検挙されておる例がないわけです。ということになると、私は区分けができるのじゃないかということを言いたいのでありますが、いかがですか。
  297. 古山剛

    ○古山説明員 ポーカーとか、そういうテレビゲーム機の中でも事件として取り扱ったことが多いものは区分けいたしておりますけれども、スポーツものについても検挙した例はあるわけでございますけれども、比較的数が少ないものですから、そのほかにも種類はいろいろございまして、そういったものは一応テレビゲーム機の中には入れて特に区分けをしていないわけでございます。
  298. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その区分けがなかなか難しいと言う中が――全体を一〇〇%といたしますならば、大体二・三%くらいしかないという計数ですね。いわゆる賭博の疑いがあって押さえた機械、それは健全なスポーツなんかに使われておるはずであったが、押さえたのが二・三%ということは、考えてみてくださいよ、ここで押さえておる数、一〇〇%としたら四万七千七百十台押さえておるのです。二・三%しか押収をしなかった、その他の部分の機械というのは幾らありますか。これは正確には勘定はなかなかできぬと思いますが、言われておるところによりますと五十万台あるというじゃありませんか。五十万台で二・三%――いやいや、四万七千台の中の二・三%しか押さえられていないのです。ということになったら、健全な機械を、わずか四万七千古押さえておる中に二%や三%くらいの数があるからといって右へ倣えだ、五十万台全部だというようなやり方はちょっと乱暴じゃないでしょうか。そのことを言いたいのです。
  299. 古山剛

    ○古山説明員 鼻先ほどちょっと失礼いたしまして、押収したのは昨年一年間一万三千台でございます。それから、押収いたしましたものについて整理したのもございますし、そのほかに、それと同じような区分けで、これだけ同じようなものがありますということで出しておるということで、押収したのは一万三千台でございます。  一万三千台の中でどのくらいあるかということについては実は区分けしてとっておらないわけでございますけれども、確かにポーカーなどが多いとは思いますけれども、スポーツものについても入っておるわけでございますが、それはとっていない。  ただ、全体として、それじゃ五十万台の中で比率は少ないではないかというようなお話でございますけれども、こういう遊技機というのは、賭博に使われなければ、これはそのまま普通に楽しまれる分については差し支えないわけでございますし、賭博に使われる可能性というのは、得点が定量的にあらわれるとか勝敗の結果が出るというものについては賭博に使われる可能性もあるわけでございまして、そういう点については質的には変わらないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  300. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、次の問題に移らせていただきます。  先ほど岡本委員からも御指摘がありましたが、福井県のはよくできておる条例だなと思って私は非常に感心をして見たのであります。先ほど問答がありましたように、福井県では十五歳以下の少年は立ち入ってはいけませんよということを言ってやっておるのだけれどもゲームセンターそのものの中へ入ってはいかぬということを言っておるのじゃなくて、午後十一時以降はいけませんよということを言ってあるので、むしろこっちの今回の方が進んでいる、十八歳で三歳も上へ持ってきたのだから進んでいるというような感じの御説明でございました。  そこで、私が福井県の分で非常に感心できるところは、特定の遊技機、特定のゲーム機、もう一つ言うなら賭博性のあるゲーム機をちゃんと指定して、「特定遊技機」というシールをだれが見てもわかるように機械にばんと張りつけてある。それから、それを年少者の諸君は使ってはいけませんよというシールをまたばんと張ってある。こういうふうにして丁寧に、誘惑に負けたりうっかりして手を出したりするようなことがないように親切に指導しておるのが福井県条例であります。  今回、これだけの大改正をおやりになるのでありますから、もし、これはもしです。私は健全なものと不健全なものとを分けなさいという主義で申し上げておるのでありますが、百歩譲って、それがもし分けられないとした場合は、特定遊技機、いわゆる賭博性のある遊技機にはシールを張る、そして十八歳以下の年少者は使ってはいけませんというシールを同じように張る、こういうことぐらいは考えてよろしいのじゃございませんでしょうか。福井県でどんなのを張っておるかといったら、もうごらんになっていると思いますけれども、ここに見本があります。こういうのが張ってあるのです。「小・中学生使用禁止」、これはもうだれでも読めます。いかがでございましょう。
  301. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 福井県条例が進んでいるか、こちらの今度の改正案が進んでいるかというのは、やや違う面もございますから一概に申し上げているつもりはないわけでございます。これはそれぞれのいきさつがございますから、そういう形でできておるということだと思いますけれども、それはともかくといたしまして、私どもが必要だと考えておりますのは、機械自体が健全だとか健全じゃないとかいうことではないので、あくまでもそれに金銭なり賞品がくっついて射幸心をそそるおそれになるかならないかというところを押さえておるわけでございます。そういうことで、観点がどうも違うというふうに私どもは考えておるわけでございます。  したがいまして、いろいろな機械がございますけれども、そういうものがたとえゲームとしては健全でありましても、賭博に使われるということにおいては、健全だとか健全じゃないとか、ゲームの内容が何であるかということは関係ないわけでございます。確かに、従来のスポーツものはそんなに件数はないかもしれません。ところが、この点は御検討いただきたいのでございますけれども、これは従来は何の規制もないし、賭博をやろうと思えば手っ取り早く機械をつくってやったのだと思うのです。だからこそギャンブルマシンと称せられる。私どもはそれがいきなりギャンブルマシンと申し上げるつもりはないのですが、そういうふうな可能性の強い機械が使われたということであると思うのです。ところが、今度そういうものは使ってはいけないという形に、そういうものといいますか現金そのものが出るような機械は認めるわけにいかない。そうすると、恐らくそれを賭博機に使うことはなかなか難しくなると思います。  それから今度は、先生のおっしゃられるように健全なものと不健全なものを仮に分けて世の中に問うていったということになりますと、それじゃと、健全と称せられるものを使って賭博をやるという形に悪徳な業者の方々は必ずやなりますでしょう。それが現在行われておるという実例もありますし、恐らく今度こういう規制をやれば違った形になることはまず間違いない事実だというふうに認識しているので、したがいましてこういうふうに申し上げておるわけでございます。やはりどうしてもそこのところを分ければ、無理がいって、今言った健全と称せられる機械を使って不健全な営業者によって賭博というものがやられるであろうということはまず間違いないということを感ずるものでございますから、したがいまして、そういう無理な分け方というのはすべきではない、こういうふうに考えておるところでございます。
  302. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、私がちょっと疑問に思いますのは、今回風俗営業をやられる人を一号から八号までに分けて、そしてそれを許可制度にして、わざわざ管理者をその店舗ごとに必ず置かなければならぬ。置いておらぬかったら罰金ぞということになっておりますね。その管理者というのは何のために置くのですか。この管理者のねらいは何だったのですか・
  303. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 当然のことでございますけれども、この法の目的でございますから、善良な風俗の保持という問題と、風俗環境の浄化と、少年非行の防止ということになるわけでございます。特に、ゲームセンターでございますから、問題になりやすいのはやはり賭博であり、それから少年たまり場になりやすいという問題だと思います。したがいまして、管理者を置いてよく見ていただきたいのは、そういう形で賭博が行われないようなことにしていっていただくということと、ゲームセンター少年たまり場にならないようによく見ていただく、こういうことを期待をしておるところでございます。
  304. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がだんだんなくなってきますので、次のことに珍らしていただきますが、私が一つ残念だと思いますのは、防犯課長さんがせっかく苦労してこしらえた報告書を拝見いたしましても、全国のポーカー式賭博機の数というものは、押収台数じゃないですよ、押収台数じゃなくて、いわゆるギャンブルマシンの現在の設置状況というものを拝見をいたしますと、昭和五十七年十月末現在で、ポーカー式だけに限って言いますけれども、三万九千四百三十五台あったものが、何とたった一年間で、五十八年の十月には一万三千百三十九台、半減どころではない物すごい数が減っているんですね。これは取り締まり当局が随分御苦労をなさったんだな。どこやらに事件がありましたからね、だから余計やったんでしょう。これはもうすごい成績じゃないですか。三万九千四百三十五台が一遍に一年間で一万三千百三十九台に落ちたのでありますから、まさに三分の一に減ったんですね。これはすばらしい努力でありまして、やはり警察というのは非常な苦労をしているんだなということを私はこれで評価をしておるのであります。  すなわち、現行の賭博取り締まりの法規を活用すれば、この法律を活用すれば、やろうと思えばできるのです。それを今度は、これだけの大成果が上がっておるのにかかわらず、また数を何十万台という数に広げて、この忙しいときに随分御苦労な話でありますが、法律がせっかくできても、台数が莫大にふえちゃって、その法律を活用しなかったら実効性は全然上がらぬじゃないですか。それはやってみなければわからぬことですから、今からそんなことを言っちゃいけませんが。現在の法律でもやれるのに、何でわざわざこんなにせにゃいかぬのか。私は大変残念だなという気がするのでありますが、いかがでありましょうか。
  305. 古山剛

    ○古山説明員 確かに、先生ただいまお話のございましたように、ポーカー式の遊技機の設置台数というものは減少いたしておるわけでございます。しかしながら、ポーカーゲーム機を含むテレビ機全体につきまして賭博で押収したという台数でございますけれども、五十七年は一万二千三百十六台、それが五十八年は一万二千七百五台ということでわずかに押収台数が増加いたしておりまして、一つの機種については確かに減少という効果があったわけでございますけれども、全体としてはまだまだ増加するということで、幾ら取り締まっても際限がないということで、やはり風営法改正して賭博というものを未然に防止する、そういう意味からの新たな規制というものを行うことがぜひとも必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  306. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先ほど来質問をいたしましてお答えがあったときに、どんな健全な機械でも使い方ですよと。だから、例えば金銭が出てくる、あるいは賞品が出てくるというようなことになれば、それはどんな健全な機械を使ったってその見返りが出てきちゃう、これはやはり射幸心をそそるおそれあり、こういうことになるのでありまして、ギャンブルに関係なしとは言えない、だから区分ができぬのだ、分けられぬのだ、こういうふうにおっしゃっております。使い方一つで賭博になるとおっしゃいますけれども、まあこれは私の言い方も少し乱暴かもしれませんが、使い方一つで健全なものでも賭博になるんですよという言い方をして世の中を規制していこうとするのであれば、これは莫大ありますよ。  これは私は知らなかったが、このごろは自動車のナンバープレートでも賭博をやっているんだそうですね。ぱっととまって、今向こうから来る赤い車があるだろう、あれは丁か半か、こうやるんだそうですね。これは何をするんですかと聞いたら、これは説明を受けたのです。これは学習を受けたのですがね。そうしたら、プレートの一番けつの番号が丁か半かというかけ方もあるし、それからその番号の下二けたを足して出てくる答えが丁か手かとやるとか、何かいろいろなことがあるんだそうです。世の中には遊び方が随分あるものだと思いましたが、そこらを走っておる、何にも関係なしに走っておる自動車でさえ賭博に使われておる。  それから、ゴルフ場に行ったら、おお、あなたきょうから始めるんか、握ろうやとこうやって手を握らされて、はい、よろしくお願いしますと言ったら、これではくちをするという約束ができ上がった。ゴルフでは握るというのは大変なことだそうです。この間、聞いたのです。返事が来たのです。これは現行犯じゃないから逮捕できぬ、こうおっしゃる。  だから、こういうふうなことを考えてみますと、皆使い方ですよ。そんなことを言うたら、家庭の台所にある出刃包丁なんというのは、これは抜き身で置いてある。これは恐ろしいものですよ。これは使い方一つですよ。それから、縄切れ一本転がっておるといったって、これは使い方一つですよ。(谷委員「縄切れも凶器か」と呼ぶ)そうじゃないですか、谷先生。首に巻きつける。バンドもそうです。何でも使い方一つで凶器にはっと変わる。使い方一つではくちに全部変わる。それなら全部取り締まりの対象にしなければいけませんか。私の言うことはちょっと飛躍し過ぎておるかもわかりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
  307. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 健全な機械かそうでないかというのに、どうもまだ若干御理解をいただいてない部分があるように感ぜられるわけでございます。  と申しますのは、ゲームとして健全かどうかということは、それはあると思うのです。そうでなくて、ゲームとして健全かどうかということと賭博に使われるかどうかということは違うということを御理解いただかないといけないのではないかと思うわけです。たとえゲームとしては健全でありましても、そういう射幸心をそそるおそれがある形で使われるものだという蓋然性がかなりの比率であるものにつきましては、ゲームの中身がどうのこうのというのじゃなくて、それはやはり問題の対象としてとらえていくべきではなかろうかな、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  したがいまして、さっきちょっとお話が出ました金銭や賞品が出てくるようなものは、例えばゲーム機は健全だけれども金銭が出てくるなんというのは、これはもう健全でも何でもないわけでございますから、これは問題を分けないといけないんじゃないか。  そうでなくて、スポーツが健全か、あるいはマージャンが健全じゃないかという、そういうところではなかろうかな。そういうところが、こっちはスポーツで健全だ、マージャンは余り健全ではないんじゃないか、だから、スポーツの健全なものはいい、しかし、マージャンの方はどうもイメージが悪いし何となく賭博に使われる可能性が強そうだからこれはやめるという、そこで線を引くことは無理ではなかろうか、こう申し上げておるつもりであるわけでございます。  それでは、先ほどのように何でもその使い方によるのか、こういうことでございますが、賭博に使われる可能性が非常に強いかどうかということが一つのメルクマールだと思うのでございます。ゲームセンターが大変問題になってきたのは、それはこれだけ賭博が出、これだけ少年非行たまり場になるという実態があるからこそ問題になるので、もしそうでなくて、そういうことが余りないというのなら、それは対象にする必要も何もないということでございます。そういうふうに、非常に実態としても現実に出ておる。そういう実態をやはり何とかすべきじゃないか。本来ばくちに使われなければ健全なんだから、問題のところをしっかり押さえて、しかも業態として健全に発達してもらおうじゃないか、こういうことでお願いをしておるわけでございます。  したがいまして、こういうものは、そういうふうな形でもってどのくらいの頻度で、どのくらいの可能性で使われておるかという実態論もよく考えなければいかぬと思いますし、また、理論的にもそういうふうになる可能性が強いというものであれば、そう考えなければいかぬと思います。  そういうことと、また、営業であるということでございますね。各家庭で包丁があったり、はさみがありたり、縄があった力というのとやはり違うので、それを飯の種にしてやるということになりますと、それは健全な形に持っていっていただかなければいけない、こういうことではなかろうか。そういう点が私どもの発想でございます。
  308. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、これは前回のときに私がどうも納得できなかったことなので見解をお示しいただきたいと思いますが、健全なテレビゲーム機でありましても、ソフトウエアを取りかえたら、たちまち偶然性でやる、賭博性のあるギャンブル機に変わるんですよというお話がありました。これは、私が調べたところでは、賭博性のある機械を、別の、例えば花札ゲームをトランプゲームに変えていく、ポーカーゲームに変えるというようなことは簡単にできるそうであります、ソフト部分を取りかえることで。  ところが、その偶然性のある機械、いわゆる賭博性のある機械の中には、無作為に、乱数表の働きをするICというものが入っておるのだそうであります。だから、そのICを用いてつくられたゲーム機が賭博性のある機械なのであって、こういうのがスロットマシンとかポーカーマシンとかいうのでありますから、それ以外のゲーム機を賭博性のあるものに変えようと思ったって、それは不可能ですよという説があるのですよ。それは不可能です。賭博性のある機械を別の賭博性の機械に、ICを入れかえて、そっと、すぐやりかえてしまうということは簡単にできるが、そうでない健全なものを賭博性のあるものに変えるということはできないはずである、こういう説があるのでありますが、部長さんの見解はいかがですか。
  309. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生のおっしゃいます、健全なものが賭博になるゲーム機というお話が、どうしてもやっぱりちょっとお話がずれてしまうということなのでございます。  私どもは、例えば今のお話を私ども流に置きかえさせていただきますと、スポーツ的なものをマージャン的なゲームに置きかえるというふうにお考えいただけると一番いいのではないかな。それは確かに同じ種類のものであるとさらに簡単なようでございますね。花札だとかトランプだとかいうことになれば非常に簡単だ。しかし、今言いましたように、スポーツものと、例えばマージャン的なもの、花札的なものとかえるということは、これは基板というものを交換することによって割合に簡単にできる。現に基板が交換されている率が大変高くなってきておるというふうに承っておるところでございます。
  310. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、総理府の方、それから労働省の方、厚生省の方、お待たせをしてまことに申しわけあうませんでした。時間が少なくなっておりますので、簡単にお答えをいただきたいと思いますが、私は、先般来から、ゲームセンターに十八歳未満の年少者が立ち入るというようなことは――これは午後十時まで立ち入ってもよろしいと言っておるのではありません、それは営業者が入れてはならない、もう午後十時以降は入れてはならないということを言っておるのであって、立ち入ってもよろしいとは言っておらぬのですと、こういう説明があるのでありますが、早く言っても遅く言っても同じことですよね、日本語ですから。ひっくり返しても一緒。  私は、こういう賭博をするおそれがある、あるいは賭博性のにおいがぷんぷんとする、ラスベガスとかあるいはモナコに置いてあるような世界公認の機械がずらっと並んでおるような、そういうゲーム場の中に年少者が晩の十時まで出入りをしていいのだろうか。これはあんまりおもしろくないことじゃないか。年少者のいわゆる健全育成という法律の立法の趣旨から言ってちょっとおかしいのではないだろうかということをしきりに言っておったのであります。  むしろ私は厳しい方でありまして、よく各町内会が、日没になったら町内の拡声機を使って音楽を流しておりますね、「夕焼け 小焼けで 日が暮れて」というのを。あれですよ、あのチャイムが鳴ったら少年は家へ帰る。そして勉強する、親に甘ったれる、ここに健全な年少者が育っていくもとがある、こう私は思うのです。  それを、晩の十時までゲーム場へ出入りしてもいいのですよ、営業者はそれをとがめてはいかぬというわけですからね。十時まではとがめてはいかぬのですから。それを過ぎたらとがめてもいいことになっておる。十時ちょっきりに出て、例えば二時間もかかるようなところへ帰らなければならぬ年少者がおったとします。夜中のうし三つどきの午後十二時に、ただいまと言って子供が帰って、機嫌のいい親がおるはずがないのですよ。きさま、何しておったか、こう言ったら、おやじ何言ってんだ、ちゃんと法律で十時まで遊んでもいいことになっておる、少しは法律を勉強せいといって子供からおしかりを受けるようになります。  青少年対策本部があります総理府、そして労働省の関係につきましては、年少者健全育成という関係もありますし、そういう関係からのお話、それから厚生省、これも公衆衛生一般でございまして、余りそういう時間は関係ないのでございますなんてつれないことを言わずに、三者三様の答えが出ることを期待しておりますので、お一人ずつお答えいただきたいと思います。
  311. 伊達卓三

    ○伊達説明員 ゲームセンター営業時間、特に青少年に対するものでございますけれども非行防止というような観点から何らかの規制が必要であるということにつきましては私ども賛成しておるわけでございますが、営業の問題、その他もろもろの問題がございまして、それを総合的に判断されまして、法律の上で十時には必ず帰るといいましょうか、業者はそういう者を入れてはいけないという規制にしたというふうに理解をしておりまして、私どもとしてはまず妥当な御判断ではないか、こんなふうに考えております。
  312. 川西利興

    ○川西説明員 青少年、とりわけ十八歳未満の年少者につきましては、いまだ心身の成長過程にあるということでございますので、その職業につきましては特別な配慮が必要であろうと考えております。  御指摘のゲームセンターなどへの就業者の中には、学校を出てすぐそういうところに就職する人は比較的少なくて、もとの職場に適応できないで離転職を繰り返す中で現在の職場に就職をしたというような者もいる。わけでございます。  そういうわけでございますので、労働省といたしましては、勤労青少年健全育成を図るため、年少者を含めて青少年に対しまして適正な職業選沢をしていただく、また職業とか職場適応についての指導をする、それから、余暇の善用の問題などにつきまして種々の施策を講じているところでございます。
  313. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 私たちは、先生からも既に指摘されましたけれども、公衆衛生という観点からの環境衛生関係営業に関する規制でございますので、特に十八歳未満の青少年に対してどうかというふうなことについては法律上の規定はございませんけれども、例えば旅館業法とかそういったものがございますけれども、十八歳未満の青少年が単独でまたはカップルで泊まるというふうな場合には、できるだけ事情を説明してお断りするとかいうふうな形で、また深夜の飲食店についても、青少年が単独で、いわゆる親と同伴でなく立ち入るというふうな場合には、できるだけそういったことのないようにするというふうな形で従前から指導を続けております。
  314. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。さすがにそつのない答弁をされますね。これじゃすれ違いになってしまいますので、時間がたってしまいますから、この次、第三回目は今度はそのセックスに関係のある問題で質問をさせていただこうと思っております。  本日は、これにて一件落着ということにいたしたいのでありますが、さて、来週の宿題となるセックスについて、基本的な考え方を国家公安委員長と警察庁長官にぶっつけ本番でお尋ねをしておきます。  私どもが昔から聞いておりますのは、民族文化というものはセックスが土台となって生まれてきた文化である、こういうふうに言われておりますが、御意見を伺っておきたいと思います。同感か違うか。
  315. 三井脩

    三井政府委員 私から先にお答えいたしますが、セックス一般という問題は、哲学的、文化的等、いろいろな見解があると思いますが、私たちは、この風営法におきましてはいわゆる善良な風俗の関係、それかも青少年健全育成という観点から考えるわけでございますから、それがただいま言いました二つの観点から見て害があるという程度にまでなっては問題がある、それかできみだけ、その限界といいますか、ある線の中にとどめてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  316. 田川誠一

    田川国務大臣 セックスというのは一般的に言ってあらわにする問題ではないとも思いますし、そうかといって、これを全く秘匿していくことも教育上いかがなものかと思いますし、大変難しい問題で、一言で申すわけにはまいりません。ただ、こういうセックスを一つの売り物にしてこれを業とする、そういうものに対しては絶滅を期していかなければならない、このように考えております。
  317. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 委員長におきましても長官におきましても、非常に素直な、しかもよくわかる御答弁をいただきましてありがとうございました。  この次の三日の日を楽しみにいたしまして、本日はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  318. 大石千八

    大石委員長 次回は、明二十九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会      ――――◇―――――