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1984-06-26 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十六日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       中川 昭一君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    細谷 治嘉君       安田 修三君    山下八洲夫君       岡本 富夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   田川 誠一君  出席政府委員         警察庁長官   三井  脩君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     杉浦  力君         青少年対策本部         参事官     伊達 卓三君         青少年対策本部         参事官     梅沢 五郎君         警察庁刑事局保         安部防犯課長  古山  剛君         警察庁刑事局保         安部少年課長  山田 晋作君         文部省社会教育         局青少年教育課         長       伊藤 俊夫君         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       平川 忠男君         文部省体育局体         育課長     光田 明正君         厚生省環境衛生         局指導課長   瀬田 公和君         厚生省児童家庭         局育成課長   蒲地 清弘君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   大西 正男君     渡辺 省一君   工藤  巖君     三池  信君 同日  辞任         補欠選任   三池  信君     工藤  巖君   渡辺 省一君     大西 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
  3. 草野威

    草野委員 昭和二十三年に本法が施行されまして三十六年経過するわけでございます。この間、社会環境の大きな変化、また性風俗に対する考え方変化、こういうものが当然あるわけでございます。したがいまして、この法律が持つ性格そのものもやはり時代に応じて変わってくることはやむを得ないのではないか、このように思います。  そういう中で現在、大改正が行われました本法律案でございますけれども、何点かにつきまして質疑を行わせていただきたいと思います。  初めに、風俗営業法改正につきまして、その改正必要性というものにつきまして警察庁長官お尋ねをしたいと思います。  今回の法改正提案理由説明の中にもございましたように「あからさまに性を売り物にした産業等善良風俗及び少年の健全な育成の上から問題の多い営業が増加しており、現行法上このような営業が野放しになっていることが、風俗環境を害し」、少年非行増加の要因になっている、だから風営法改正が必要だ、このような説明がされております。  そこでお伺いしたいことは、このような新しい性風俗産業の出現が、善良風俗とか清浄風俗環境あるいは少年非行少年健全育成にどんな影響を与えているか、こういうことでございます。つまり、両者の因果関係を明らかにしていただきたい。  特に今回の改正におきましては、新設の目的規定でも、各条の営業規制要件にも、現行風営法には見られない少年健全育成障害行為防止、こういうような用語が出ておりまして、風営法性格現行のものとは大きく変質をしているのではないか、このように思われるわけでございます。つまり、少年健全育成観点から、風俗営業等規制したり、あるいはこの風営法改正による風俗関連営業取り締まりをすることにより、警察少年健全育成に本格的に乗り出そうとしている、そういうようなねらいさえあるように思われるわけであります。そんなような意味におきまして、この因果関係を明確にしておく必要があろうかと思います。  警察は、今回、このような大改正をする以上、この点十分な実証的な調査をされたと思いますが、この点について具体的に御説明をいただきたいと思います。
  4. 三井脩

    三井政府委員 今回の風営法改正は、お話しのように、少年非行問題が今日深刻な問題となっておるという事態を踏まえ、これについては社会の皆さんが心配をされておるわけでございます。  その原因はいろいろあると思いますけれども、その中で直接的に少年非行に対して影響を与えておるものは、何といいましても、有害な環境というものがあると思うわけであります。有害環境の中にはまたいろいろあるわけでございますが、その点について、目に余るセックス産業、こういうものについて少年への影響をある程度規制していく、できるだけ可能な方法で妥当な線を見出して規制してまいりたいというのが一つの大きなねらいでございます。そういう意味で、従来の風営法が「善良風俗」ということでやや一般的ではありましたけれども、最近の具体的な情勢にかんがみましてその点を是正していきたい、こういうことでございます。  そういう観点は、風営法ができましてからそのときどきの情勢に応じてそういう試みがされまして、例えばモーテル、その前にトルコぶろ、こういうものが目に余る状態でありましたので、規制が行われ、そのための法改正が行われたわけでありますが、最近ではまた情勢が変わりまして、セックス産業というものが大きな問題になってきておるというわけでございます。  私、今、一般的といいますか、基本的な情勢として、マクロに見まして、少年問題にこの状況が有害な影響を与えておるということを申し上げたわけでございますが、それは、個々の営業の種類とかそういうものに即して、具体的に少年への影響状況というものを可能な限り把握しながらそういう結論に至っておる、こういうような状況でございますので、その細部の具体的な関係については保安部長からまた説明をすることといたしまして、改正趣旨並びに現状ということを申し上げた次第でございます。
  5. 草野威

    草野委員 田川国家公安委員長にお伺いいたします。  今警察庁の方からいろいろお話がございましたけれども、今回の改正は、やはり売春とかわいせつだとか賭博、こういったいわゆる風俗犯罪の予防の観点からされている、こういう点もあろうかと思います。  また、それとももっと広い立場で、善良風俗とか、それから清浄風俗環境保持だとか、少年健全育成障害を及ぼすような行為防止のために、こういうような目的から改正しようとするのか。今回新たに設けられた目的規定とか、また各種の営業規制要件に、今申し上げましたような善良風俗保持とか少年健全育成云々と、こういうことが加えられているところから見ると、どちらかというと後者にその改正のねらいがあるように思われるわけでございますが、この点はいかがでしょう。
  6. 田川誠一

    田川国務大臣 改正の一番の趣旨というのは今警察庁長官が答えられたとおりでございまして、有害環境が非常にひどくなってきている、また、少年少女を食い物にするような産業時代変化とともに新しい商売として随分出てきている、こういうような一連の現象があらわれてきている、その現象に伴って青少年犯罪が四年連続して最高記録を出している、こういうようなことから今回の改正になったのでございます。  もちろん、青少年非行化防止するのは取り締まりだけの面で全うできるものではございませんし、社会教育学校教育家庭教育その他万般の問題を解決していかなければなりませんが、とにかく少年を悪い環境から守っていかなければならぬ、また少年が自由に悪いところへ出入りするようなことをこのまま放置していっていいのかどうか、こういうことが世論というと大げさになりますけれども、いろいろな方々からなぜ規制をしないでこのまま放置しておくのかというようなことで、今回の改正になったものと思っております。
  7. 草野威

    草野委員 今お二人の法改正に対する必要性とか考え方を伺ったわけでございますが、これから細部にわたりましてお尋ねをしたいと思います。  まず、改正案の第一条でございますが、この中には目的規定されているわけでございます。この中に「風俗営業健全化」という言葉がございますが、この「風俗営業健全化」という意味は、善良風俗清浄風俗環境を害したり、少年の健全な育成障害を及ぼしたりしないようにすることだという意味だと思うのです。前回のいろいろな審議の中でもお話がございましたけれども、こういうことであれば、ざっくばらんに言いまして、警察庁の方針は、風俗営業国民の健全な娯楽のために健全化を図り育成をしていくんだ、このように解釈をしてよろしいか、これが一つです。  それからもう一点は、風俗関連営業風俗営業とは違う、別な考え方のようでございますけれども、法律営業が認められている以上、風俗営業とのバランスの上からも目的規定で明確にしておくことが適当だと思われるわけでございますが、この二点についてまずお尋ねをいたします。
  8. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗営業と申しますのは、申し上げるまでもなく、それが適正な運用が行われれば国民のために健全な娯楽を与えるというものでございます。そういうことで、風俗営業は必要な規制を行いつつその健全化を図っていくというねらいを持っておるものでございます。  それに対しまして、風俗関連営業と申しますのは、健全化を図るということになじまない性格営業であると考えられますので、これは一定規制を加え、よく監視をしながら、そこで問題があれば厳正に対処していくという形のものとして臨んでいく必要があると考えておるわけでございます。  法の第一条でその関係規定すべきではないかということでございますが、法の目的の中にまず第一番目に書いてございますように、「風俗営業及び風俗関連営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制する」ということで、風俗営業につきましてはこういう規制をするということによってやっていくという趣旨をあらわすことで足りるのではないか、かように考えておるところでございます。
  9. 草野威

    草野委員 今回のこの改正案説明書の中にも書いておりますが、今回は風俗営業法の「取締」という字を除いているわけでございます。それによってこの法律性格というものもある程度想像されるわけでございますが、今の保安部長の御答弁を伺っておりまして、風俗営業を今後国民娯楽のために健全化していく、また育成をしていく、こういうようなお話でございます。  そうだとしますと、これまで警察風俗営業に対する一定姿勢を持ったわけでございますけれども、この風俗営業に対する警察姿勢というものが何か変わってきたような感じがするわけでございます。実際、これは変わったわけですか。
  10. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 従来はやはり風俗営業等取締法、こういうことを申しまして、風俗営業に関しまして取り締まるということを主体に法の規制ができていたわけでございます。もちろん、その中で健全化を図るという目的がないではなかったと思いますけれども、やはり取り締まりということを表に出しながら法律を運用してきたということであったと思います。  しかしながら、先ほど申しましたように、風俗営業につきましては、それが適正に行われれば国民に健全な娯楽を提供するものであるという観点から、健全化を図るということをまず第一義に考えていくべきではないかというふうな考え方で、その面で修正があったと言われれば、一部そういう考え方を明確にしたといいますか、そういうふうな考え方で臨もうということにしたわけでございます。
  11. 草野威

    草野委員 前回の御答弁を伺っておりましても、その点を我々は非常に強く感じたわけなんですね。健全化を図る、そして育成をしていくんだ、こういう言葉でもあったように記憶しておりますけれども、そういうことだと、何か警察は今までとちょっと違って経済官庁としての役割まで果たすような、そういう感じが受け取れるわけですね。実際にそうなんですか。
  12. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 業の健全な発達と申しますのは、分けて申しますと、三点、その中の意味合いというのがあるのかなという感じでございます。  一つは、公共福祉観点から見まして問題の部分を取り除くという観点一つあろうかと思います。もう一つは、公共福祉に適合する部分を助長するなり、あるいは促進するという機能、そういうものがあると思います。第三番目に、振興を図るというような問題があろうかと思います。  そういう観点がもし三つあるとするならば、ここで言っております業の健全化と申しますのは、あくまでも一と二でございまして、業の振興を図るという目的はここには含めておらないということでございます。今申しました一の問題の部分を取り除いていくということと、公共福祉に適合するように助長、促進していくという目的、そういう二つの目的でもって健全化というものを我々は理解しておるところでございます。
  13. 草野威

    草野委員 法律の中には育成という言葉は使われてないわけでございますけれども、前回のいろいろな御答弁の中からそういう言葉を我々は伺ったように記憶しております。だから、警視庁は積極的に風俗営業というものを健全化して、それをさらに育成をしていくんだ、こういう非常に積極的な姿勢というものを、先日の質疑の中からも我々は感じ取ることができたわけです。  今の御答弁を伺っておりますと、業の振興ということについては入ってないというお話でございますけれども、それはちょっとどうかと思うのですね。やはり健全化、そして育成ということになってくれば、当然業の振興という分野にまで今度警察は事実上踏み込んでいくんじゃないか、こういうふうに感じるわけです。  警察責務を改めて言うわけじゃございませんけれども、大きく分ければ四つの責務がございます。その責務の範疇からも何となくはみ出しているのじゃないかな、こういうような感じを率直に受けますけれども、この点いかがですか。
  14. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 業の振興という問題は、警察という役所がやるよりも、それぞれそういうものを担っておる関係省庁があるわけでございますから、そういう役所にお任せをするのが適当ではないかというふうに考えておるところでございます。
  15. 草野威

    草野委員 ただいまの御答弁のように、業の振興ということは含まない、そういう面については他省庁の管轄である、この点は一つはっきりしたわけでございます。  そこで、次の質問に移りますが、同じ風俗営業の中で、今回の改正で第八号営業としていわゆるゲームセンター、こういうものが対象になったわけでございます。スロットマシンだとかテレビゲーム機、こういうものを初めて風俗営業対象にした。まず、この理由についてお伺いをいたします。
  16. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 御存じのとおり、ゲームセンター等につきましては現在何ら法的な規制は行われておらないわけでございます。残念ながら、遊技機を悪用いたしました賭博事犯というものが近年多発をしておるという状況でございまして、五十八年には千六百七十一件、千六百二十一営業所、八千四百八十二人が賭博でもって検挙をされておるということでございます。しかも、この賭博で検挙されました者は、全賭博事犯の五六・四%に当たります。ゲーム関係でこれだけの賭博が行われておるということでございます。  それから、昨年の七月現在でございますけれども、少年たまり場となっておりますゲームセンター営業所は二千四百三十二軒、それから補導人員は、五十七年でございますが、四万一千七百人余りということになっております。この数は、ほかの営業所に比べて少年たまり場となっている率が大変高いということでございまして、営業所の数で見ますと、大体七割が少年たまり場になっておるという状況でございます。さらに、暴力団員等が経営いたします、そういうふうな暴力団の関与があると認められる営業所が約一〇%に上るのではないかというふうに見られておりますし、営業活動に伴います騒音、振動に関する苦情も非常に多数生じておるという状況でございます。  もちろん、ゲームセンター等は、本来、国民に健全な娯楽の機会を与えるものでございまして、本来であれば、それはそういう問題がなければ対象とする必要はないわけでございますけれども、今申しましたようなもろもろの問題が生じておるという実態から見まして、善良風俗あるいは清浄風俗環境保持、あるいは少年の健全な育成障害を及ぼす行為防止するために必要な規制を行っていく必要が出てくる、そうしてそれによって営業健全化を図っていく必要性が極めて高い営業であるというふうに考えられるわけでございまして、先ほど申しましたような考え方風俗営業というものを考えておるわけでございますが、その風俗営業として許可の対象としていくということが妥当である、かように考えたところでございます。
  17. 草野威

    草野委員 今のお話のように、いわゆるゲームセンター、こういうものが不良の温床になっておる、犯罪温床になっておる、こういうような説明がるるあったわけでございますが、このゲームセンターというのは、今回の改正案によりますと、他の風俗営業と異なっている点は、いわゆる年少者の客としての立ち入りを全面的に禁止するのではなくて、午後十時まではよろしい、これが他の風俗営業と大きく異なっている点です。これは一体どういうことなのか。これはやはり今のお話とは非常に矛盾をしているのじゃないか、こういうような感じがするのです。このゲーム機賭博に使われるおそれがあるから規制をするのだ、そう言いながら、その一方で年少者立ち入りを認めておる、これは首尾一貫していないと思うのです。  今、数字を挙げて御説明がございましたけれども、確かに少年不良行為の場となっている営業所割合を見ますと、レンタルルームの場合は二五・二%、こういう数字を伺っております。それに対してゲームセンターの場合も六九・二%と非常に高率になっているのですね。こういうことから考えると、こういう賭博性の非常に強いといいますか高いといいますか、こういうゲームセンターに夜十時まで十八歳未満の少年立ち入りを認める、果たしてこれは一体どうかなという感じがするのです。まず、この点についてお答えいただきたいと思います。
  18. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今お話のございました中で、先生のおっしゃいましたゲームセンター少年たまり場割合は六九・二%、全営業所の総数で割りますと、先ほどちょっと申しましたように約七割になるということでございまして、ほかの営業所に比べまして圧倒的に高いということでございます。  そこで、お尋ねゲームセンターはなぜ少年を午後十時まで入れるのかということでございますけれども、実は午後十時まで立ち入りを認める営業といたしましては、今度は一定条件を備えましたダンス教授所につきましても認めようという考え方でございますので、ダンス教授所ゲームセンターが例外になるということになるわけでございます。  このゲームセンターを認める理由でございますけれども、ゲームセンターでは、パチンコ等と違いまして、ゲームの結果に応じて賞品を提供するということではない。本来のゲーム機用法に従って遊技をしているだけではこれは別に射幸心をそそるものではないということでございまして、その点はパチンコ等とは異なるということでございます。そういう意味で、年少者立ち入りというものを全面的に禁止をする必要性はないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、夜間におきましては、ゲームセンター少年たまり場といたしまして非行集団の形成の場になる率が大変高いということでございまして、今までのデータでございますと、大体六割以上が午後十時以降たまり場ということで補導されておるということでございます。そういうことで、時間的に申しますと午後の十時というのが実態上からも非常にたまり場になりやすい条件一つある。  それからもう一つは、午後十時と申しますのは、ほかの法律、例えば労働基準法だとかあるいは児童福祉法だとかというふうな年少者保護規定が、大体午後十時以降を年少者保護を与えるべき時間であるというふうに規定をしておるわけでございまして、そういうふうな問題。それから、先ほど言いましたようにたまり場実態、そういうものをあわせまして、一応必要最小限度規制といたしましては午後十時ということにしようかということになったわけでございます。  もちろん、これはあくまでも法律としての規制でございますから、必要最小限度にとどめるべきだという考え方でやったものでございまして、何も積極的に少年が午後十時まで遊んでいいということを奨励するわけでも何でもないわけでございまして、それは少年にとってはもう少し早い方がいいと思いますけれども、法律として規制するといたしますと、一応今申しましたような実態等を踏まえまして、午後十時というのが一つの線ではないか、かようなことで規制をしたというところでございます。
  19. 草野威

    草野委員 今の御説明ですと、法律上は夜十時という規定を設けることはやむを得ぬのじゃないか、それからもう一つは、パチンコ並み景品を出してない、そういう面からもいいのじゃないかというようなお話に承りましたけれども、私はこのパチンコ景品の議論というのはまた別にあると思うのです。でも、それはきょうはやめます。だけれども、我々が言っているのは、ゲームセンターの中で使われる遊技機そのものですね。例えばこの中で今問題になっておりますスロットマシンだとかルーレットだとか、こういうものも当然ゲームセンターの中には一緒に配置されるのじゃないかと思うのです。  前回部長答弁を伺っておりますと、たとえ賭博機であってもその使われ方によるんだ、使い方次第だ、こういう答弁がたしかあったように思います。しかし、五十六年の警察白書によりますと、「スロットマシンルーレット等ギャンブルマシンを設置したいわゆるメダルゲーム場は」云々ということで、警察庁は、五十六年の白書の中ではスロットマシンとかルーレットギャンブルマシンだ、はっきりこう言って決めつけているわけですよ。五十七年、五十八年になると表現が若干変わってきますけれども、かつては警察スロットマシンギャンブルマシンだとはっきり決めているのです。それがわずか二年、三年たって、今度はこれを風俗営業にして子供たちにもやらせる。幾ら景品をつけていないといってもやはりこういうことは大きな問題じゃないかと思うのです。この辺どうですか。
  20. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ギャンブル遊技機というものはどういうものかということになるわけでございますが、これは非常にいろいろ意見があるわけでございますけれども、本来のそれそのものギャンブルになるものと、用法によってギャンブルになるものと、二つあると思います。  一つは、本来的なギャンブル機と申しますのは、例えば現金を入れて現金で戻ってくるというようなもの、これはもう完全に機械そのものギャンブル機である、こういうことでございます。五十六年当時いろいろ検挙をされましたものはそういうものがかなり多かったということもございまして、一つ用法上の表現としてそういう表現を使ったということでございますけれども、やはりそのところはもう少し厳密に分けて規定した方がいいだろうということで、五十七年度以降表現を整理したということでございます。  今申しましたように、ギャンブル機と申しますのは、あくまでも、現金を入れて現金が出てくるというようなものは本来的なギャンブル機、それから、そうでなくて、いろいろな形で使われながら、あとそれに金をかけられる、あるいは賞品が出てくるという形でそれが使われる可能性のあるもの、そういうものがギャンブル的な使い方をされるもの、こう理解をしておるものでございまして、我々は、今後の問題といたしまして、本来的なギャンブル機というものを認めていく考え方はございません。
  21. 草野威

    草野委員 それは当然のことだと思うのです。もしそんなことがあったら大変なことになると思うのです。  だけれども、我々が心配しているのは、今回対象になるゲームの設備に、「射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの」、こうなっているわけです。具体的には国家公安委員会規則で定めるということになっているわけですけれども、この「おそれのある遊技に用いることができるもの」、こういうものにどういうものが該当するか、この判断基準というものを明らかにしてもらいたいと思うのです。全部公安委員会規則で決まってしまうわけですから、その時点ではっきりすると思いますけれども、しかしその判断基準というものだけはこの委員会においてはっきりと示していただきたいと思うのです。これが一つです。  それからもう一点は、今、賭博性の強い機械であるとか、そうではない機械だとか、いろいろあるというお話でございましたけれども、やはり子供たちの遊んでいる実態から見てまいりますと、テレビゲーム機のようなもののうち、野球だとかテニス、サッカー、こういうスポーツものもたくさんあるようでございますが、こういうものは今回の風俗営業に該当させる必要はないのではないか、外すべきではないか、こういう意見もあるわけですけれども、この点に対する御見解もあわせて承りたいと思います。
  22. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 どういうものをゲーム機として対象とするかということでございますが、私どもは、遊技機で、遊技の結果が定量的にあらわれるか、あるいは勝敗が決せられるかというものを賭博に用いられる可能性があるという形でとらえておるものでございます。今お話しのように、いろいろなゲームの内容がございます。野球、テニス、サッカー、その他いろいろ、ゲームとしては健全ではないかというお話もあろうと思いますが、ゲームとしてはなるほど健全ではございましても、今申しましたように賭博に利用していく可能性というのは別問題でございまして、この点は分けて考えないといけないと考えております。  現に、実際にあります例といたしましては、現金を入れて現金を出すという、まことに原始的といいますか、本来的なギャンブルの使い方もございますけれども、業者の方はだんだん巧妙になりまして、そういう点数が出るあるいは勝敗が出るということをもとにいたしまして、営業者がそれで賭博をやっていくという例が非常に多くなっておるわけでございます。そういうようなことから、今申しましたようにゲームの内容でもって、これはゲームの内容が健全だから外すのだということになりますと、まさにそこは、ある意味ではそういう賭博をやろうという悪徳な業者のつけ目になるわけでございまして、そこで今申しましたようなものが法の規制にかからないということになりますと、それを利用して賭博が行われる可能性というものが非常に高くなると考えております。  要するに、ゲームというものはもともと機械でございますから、ゲーム自体が悪さをするはずがないわけでございまして、当然のことながらゲーム機を使う、それを運用する営業者の姿勢というものが一番問題になるわけでございます。そのときに営業者がそういう形で賭博に活用する可能性のある機械というものは、今申しましたような形で実際に賭博に使われておるという実態があるわけでございまして、そういうようなことから、ゲームの内容で分けていくことは不適当ではないか、かように考えておるわけでございます。  賭博ということが出ましたので、蛇足でございますが一言お話を申しますと、非常に賭博に使われやすいゲーム、例えば花札でもポーカーでも何でもいいのですが、そういうもので賭博をやられることはもちろん非常に多いわけですが、例えば野球なり何なりという健全なゲームをもとにして、それをネタに賭博をする、いわゆる野球のトトカルチョみたいなものが出てくることは世の中には非常に多いわけでございます。したがいまして、ゲームそのものが健全であるかないかということ、それが賭博に使われるか使われないかということは、やや別問題というふうにお考えをいただかないといけないのではないか、かように考えておるところでございます。
  23. 草野威

    草野委員 今のお話を伺っておりまして、どうもそうですかとすっきり納得できないのです。やはり、私冒頭に申し上げましたように、この問題についてはどうも首尾一貫していない。警察庁がどこかの時点で何か妥協したような、その上にできた法律である、このような感じがしてならないわけなのですが、この問題はまた後日詰めさせていただきたいと思います。  次に、同じ風俗営業の第七号営業パチンコの問題でございますけれども、現在このパチンコ等につきましては、風俗営業法上、一年で許可更新、こういう制度になっておりますけれども、一年ごとの更新時にはどういう点をチェックされるわけですか。
  24. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 パチンコ等の一年ごとの更新と申しますのは、二十九年の改正でもってこの規定が入っておるわけでございますけれども、その趣旨は、いわばこういうふうな客の射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業がやや業態として不安定な面もあり、それからまた娯楽施設利用税を納入しないような営業者につきましては適正な営業を行っていないものと考えられるという点もあるということから、風俗営業の業務の適正化を促進する、それからまたその健全化に資するということから、もちろんある程度の徴税目的もありまして、そしてこういう規定が挿入されて今日まで行われてきておる、こういう経過でございます。
  25. 草野威

    草野委員 ゲームセンターも同様に扱われるおつもりですか。
  26. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 そういう考え方は今のところございません。
  27. 草野威

    草野委員 今の保安部長お話ですと、一年ごとにチェックしなければならない理由、これは二つ挙げられましたね。一つは、パチンコ屋という業種が非常に不安定な業種である、もう一つは、したがって税金もチェックする必要があるのだ、このように私は今承ったつもりです。  御存じのように、パチンコ屋というのは現在店舗数にしても約一方、パチンコ人口は約三千万人、年間の売上高は五兆円とも言われております。国民の三分一、四分の一の人たちがパチンコ人口である。そしてまた売り上げも五兆円。国民の間に健全な娯楽として定着しているわけです。そういう面から見て、果たしてパチンコ屋さんは一年ごとにチェックをしなければならないほど不安定な業種であるか。警察庁は、そうであるというような認識を持っていらっしゃるのですか。
  28. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実態は二十九年当時とはかなり変わってきたというふうには考えておりますけれども、なおほかの業種に比べまして不安定な要素があるというふうに考えております。
  29. 草野威

    草野委員 長官に伺いますが、今のお話でございますけれども、保安部長の見解は、パチンコという業種は一年ごとにチェックをしなければならないような不安定な業種である、こういう御認識をお持ちなのですね。それからもう一つおっしゃったことは、これは昭和二十九年にできた法律なのだから、時代も変わってきているというようなことが言外にあったと思います。  それともう一つは、警察はいつから税務署の下請になったかということです。税金を取るのは税務署の仕事でしょう。なぜ警察がチェックまでしなければならないのだ。何か警察は、パチンコ屋を一年ごとの更新ということでいつまでも警察の強力な傘下にしておきたいとか、ほかのねらいでもあるような、そんなことまで邪推をしたくなってしまうのです。本当のねらいはどういうところにあるのか、今後この制度を変えるおつもりはおありになるかどうか、長官にひとつお尋ねをいたします。
  30. 三井脩

    三井政府委員 ただいま保安部長がお答え申し上げたわけでございますが、一つは、二十九年に一部改正が行われた経緯というものは重視しなければいかぬのではないか、立法の経緯があると私は思います。もう一つは、事情が変わっておるということはございますが、そういう事情を踏まえた上で、五十七年の改正で今までの六カ月を一年に変えたという状況もございますので、この間改正になったばかりのものをまたすぐに大幅に変えるというほど事情が変わったかということについては、なお慎重に検討を要すると思います。情勢変化には的確に対応しなければいかぬと思いますが、その対応の仕方につきましては今のようなことで慎重にやりたい、こういうように考えるわけでございます。
  31. 草野威

    草野委員 六カ月から一年に変わったばかりだから慎重にしなければならぬ、これはちょっとおかしいのじゃないでしょうか、もし本当にそういうふうにお考えになっておるなら。  私はこれは重大な問題だと思うのですよ。確かに昭和二十年代、三十年代の初めの業態と現在とは、いろいろな面で大きく変わってきていると思うのです。当時はそんないろいろな事情があったことは私も認めますけれども、今もう六十年代になろうとするときに、相変わらずこんなような形で締めつけをする、あえて私はそういう言葉を使わせていただきますけれども、そういうことは本当に正しいのかどうか、大きな問題だろうと思うのです。ぜひともこれは再考していただきたい、このように要望いたします。  次に、風俗関連営業の問題につきまして何点かお尋ねしたいと思います。  この風俗関連営業は、風俗営業と違いまして、健全化の方向で指導するのはなじまない、再三そういうお話でございました。したがって、公に認知することもできない、違反があれば厳正に対処し、またその規制をしていくのだ、こういうようなお話が今まであったと思います。  ということは、警察庁としては風俗関連営業というような業種は実際問題として早くなくなってしまった方がいい、こういうおつもりなんでしょうか。それとも、こういうような業種は人里離れた山の中で、子供たちの目に見えないところでそっと営業してくれればいい、こういうことなんですか。
  32. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 こういう営業がどうなればいいかということは、私どもの立場でもって申し上げられることではないと思いますけれども、少なくとも、こういう営業善良風俗なり少年の健全な育成障害を及ぼす行為は排除していきたい、こういうことでございます。
  33. 草野威

    草野委員 どうも奥歯に物が挾まったような言い方をされるわけです。  前回質疑のやりとりを私も伺っておりました。その中で、例えばトルコぶろ論争が行われたわけでございますけれども、委員の中から、トルコふろは全面禁止をしろというような意見もかなり厳しくあったと思うのです。それに対して保安部長から、トルコぶろはすべて売春とは言えないのだ、こういうような御答弁がございましたね。それから、トルコぶろが全面禁止になったとしても、それで世の中がすべてうまくいくなら……、後わかりませんでしたけれども、そういう御答弁もあったように私は伺っております。  そうしますと、トルコぶろというのはすべて売春とは言えないという御認識なんですけれども、この辺の認識をちょっと伺いたいのです。トルコふろは、ほんのちょっと売春があって、ほとんどが健全なんだ。逆に健全な部分がほんのちょっとあって、あとのほとんどの部分が売春だ。どんなような認識をお持ちになっているのですか。
  34. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 量的にどういう比率がというのをお話しすることはなかなか難しいと思いますけれども、かなり問題があるというふうに認識をいたしております。
  35. 草野威

    草野委員 厚生省にお尋ねいたします。  厚生省にはこの問題については質問通告も何もしてないので申しわけないと思いますけれども、公衆浴場法というのがありますね。これで厚生省がずっと今まで見てきたわけなんですけれども、今警察の方のお考えを伺っておりますと、どうもそこら辺の認識がはっきりしない。そして、問題があるから風俗関連営業にした。しかし、事実上の認識というものは、今の答弁でもわかるように、何かわかったようなわからぬような答弁ばかり繰り返しておられる。厚生省の方は長い間その実態を見てこられたわけですから、まずその辺の厚生省の方の認識を伺わしていただきたいと思います。
  36. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生も御承知だと思いますが、公衆浴場法という法律がございまして、主として一般的な公衆浴場の認可とか指導といったものを行っているわけでございまして、ほかに法律がないという関係から、トルコぶろも実は公衆浴場法の対象として保健所で取り扱っているわけでございます。  一般的な公衆浴場につきましては、保健所の職員、これは医師とか保健婦、薬剤師というものが中心になるわけでございますが、一般的な保健所の職員におきましても十分に内部的な指導というものができるわけでございますけれども、トルコぶろというものは、先生御承知のように特殊なものでございますので、保健所において十分な指導というものができなかったというのが現在までの実情でございます。  したがいまして、さっき保安部長がお答えしたのと同じなんですが、非常に問題点は多いということは承知しながらも、十分な指導が保健所を通してはできかねるということもございまして、警察の管轄下におきまして十分な指導をお願いしたいというのが私たちの考えでございます。
  37. 草野威

    草野委員 長官、今の厚生省の御答弁を伺ってもわかるように、厚生省はもうバンザイしちゃっているのです、事実上何もできないと。これは無理からぬ面もあると思うのですね。したがって、今度この風営法によって警察が積極的に取り締まりの第一線に躍り出る、こういうことになるわけです。したがって、そこら辺の認識だとか、これから取り組むという決意、ここら辺のところはもう少ししゃんとしてもらわなければ困ると私は思うのです。  そこで伺っておきたいことは、今度新しくできた風俗関連営業、幾つかの業種がございますけれども、このグループの共通点はどういうところにあると思いますか。
  38. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これはほとんどがセックスに絡むわけでございまして、しかも非常に問題のあるセックスに絡んでくるということでございまして、ほうっておきますと、やはりそこには違法な状態というものが現出する危険性というものが多分にある業種であるというふうに理解をいたしております。
  39. 草野威

    草野委員 こういう風俗関連産業は、一口で言えばセックス産業である、そして、それはほっておくと非常に違法な状態になるおそれがある、こういうお話ですね。  そういたしますと、こういう産業は、今回の改正によりますと、二十八条の第二項で都道府県の条例によって地域を定めて営業を禁止することができる、このようにありますね。そこの解釈の問題ですけれども、この地域規制ということは一つの県全域にわたって禁止することができるんだ、このように受け取ってよろしいでしょうか。
  40. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 こういうふうな地域規制と申しますのは、善良風俗あるいは清浄風俗環境保持する、あるいは少年の健全な育成障害を及ぼす行為防止するという必要のある地域について規制すべきものでございますから、もちろんこれを条例でもって規定するのは各自治体において行われるわけでございますけれども、そういう必要性というものをやはり慎重に吟味した上でやっていくということが大事ではなかろうか、こう考えるわけでございます。本来であれば、やはり段階的に進めていくというのが筋ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  41. 草野威

    草野委員 次の問題に移ります。  風俗関連営業の二号営業、いわゆる成人映画等の問題でございます。  この成人映画等の問題につきましては、立案の過程では成人映画館も対象としていたわけでございますが、映倫の自主規制とかその実績だとか、それから映画館業界の広告の自主規制、こういうものを考慮して政令ではこれを除外することにした、こういうふうに伺っております。  そうであれば、これから自主規制の成果の状況によってはいつでも成人映画館を政令で規制対象にすることも当然可能になると思うのですね。そういう考えでよろしいのですか。
  42. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私の方は業界の自主規制の動きを見守ってまいるわけでございますけれども、もし風俗上の問題が生じてくる、しかもそういう社会的な要請があるという場合には、業界の方々と十分話し合いをして対処をしていきたい、かように考えております。
  43. 草野威

    草野委員 文部省にお伺いいたします。  映画業界の自主規制である映倫というものですね、この映倫は長年の実績によってそれなりの社会的な評価を受けてきた、このように思われるわけでございます。今回政令対象となることを防止するために、警察の意向に沿って映倫がみずからの審査基準というものを決めたわけでございますけれども、今のお話のように、やはり警察の意向によっては審査基準を変えざるを得ないというようなケースが今後ふえてくるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  そうなってくると、警察の意向によってどんどん審査基準が変わってくる。こうなってくるともはや自主規制というふうには言えなくなりまして、警察の監督下に行われるような、そういう存在の映倫になってしまうのじゃないか。心配することは、実質的に検閲の復活、こんな言葉は使いたくないのですけれども、検閲の復活ということにもなってしまうのじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないのですね。このようなことで、警察と映倫の関係というものにつきまして、文部省はどのようにとらえていらっしゃいますか。
  44. 平川忠男

    ○平川説明員 映倫は、今先生からお話しいただきましたように、邦画製作者あるいは外国映画の輸入、配給業者等が、映画倫理の確立といいますかの観点から、自主的に規律をするという観点から設けておる機関でございます。その審査の基準でございます映画倫理規程あるいは映画宣伝広告規程、たびたび改正されておりますけれども、それはあくまでも映倫がみずからの基準として定めているものだと考えております。
  45. 草野威

    草野委員 今の文部省のお話ですと、映倫の仕事は、国内の映画はもちろんでございますが、海外の映画の輸入、その中身、そういう問題のチェック、審査、それと同時に広告、宣伝、こういうものについても映倫の仕事になっている、そういうようなお話だと思います。  そういたしますと、映倫は、例えば一般の映画は当然でございますけれども、成人映画を含めて町にべたべた張ってあるポスター、スチール写真、こういうものについても全部審査をして、その基準を決めて張っているわけですか。
  46. 平川忠男

    ○平川説明員 映画の宣伝のパンフレットでありますとかスチールといいますのは、映画館の団体でございます全国興行環境衛生同業組合連合会等が自主的に、映倫マークのないものは掲示しないということで対処していると承知しております。
  47. 草野威

    草野委員 業界の自主規制というお話と同時にそれは映倫の審査もパスしている、このように受け取っていいのですね。どうなのですか、その辺はっきりしてください。
  48. 平川忠男

    ○平川説明員 例えば東京都の興行組合が決定しておるところを見ますと、「映倫マークのないポスター、スチール等広告物は絶対掲示しないこと。」ということを決めてございます。
  49. 草野威

    草野委員 今の文部省のお話ですと、町に張っているポスターはすべて映倫の審査をパスしているもの、それ以外のものは張ってはならない。今までいかがわしいポスターもたくさん張ってありました。それは全部映倫の審査を通ったものだ、こういうことになるわけですね。  そこで、お尋ねしたいのは、改正法案の十六条の中におきまして「営業所周辺における清浄風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。」こういうふうになっていますね。これで、この中身については政令事項ではないと思います。そうすると、従来張られてきたあの成人映画のポスター、最近は自粛しているようでございますけれども、やはり今度この法律改正によって十六条でこのような規定をきっちり決めたわけでございますので、この基準というものを決めなければならないのじゃないかと思うのですね。これは政令にも規則にも何も出てこないわけです。単にここで「営業所周辺における清浄風俗環境を害するおそれのある」云々ということですね。ここは警察察庁として何らかの基準を決めるべきである、このように思いますが、いかがでしょうか。
  50. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のお尋ねの前提といたしまして、映倫の関係お話が出たわけでございますけれども、一応現在では成人映画を対象にしないという考え方でございますから、この十六条自体は、映画の関係ではこの広告、宣伝の規制は当たらないと考えておるわけでございます。  特に映倫の関係につきましてのお話を、恐縮でございますがちょっと申しますと、映倫は、今まで広告、宣伝につきましてはどうも不十分にしか見ていなかったという御反省もあり、今度自主規制で自分たちでもこういうふうにやっていこうということをお決めになったと私どもは承っておるわけでございます。そういうことで、私どもは警察の意向として何か申し上げたということじゃないので、あくまでも業界自体がみずからの検討なり反省の上に立たれてやられたものだということを、ちょっと一言つけ加えさせていただきたいと思います。  そういうことで、十六条は直に映画の関係等に係るものではないわけでございますけれども、これにつきましての関係をもっと明確にすべきではないか、こういうお話でございますが、「清浄風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。」「清浄風俗環境を害する」という言葉が抽象的ではないか、こういうお話かと思います。  これは、本来の風俗という意味は広い意味でございますけれども、この法律で使っている「風俗」という言葉は、あくまでも飲む、打つ、買うという言葉に代表されます人間の欲望についての生活関係規制する法律でございますから、そういうものを害するような形のものと考えられるわけでございます。したがいまして、当然のことながら売春とかわいせつあるいは賭博等、そういうふうな面で人心に不良の影響を及ぼしていく行為、そういうものがこういうふうな「風俗環境を害するおそれのある」行為になるわけでございまして、そういう意味でこれはそれなりに明確であると考えておるわけでございます。  もちろん、こういう場合はどうするかああいう場合はどうするかということはこの法律で明確にはなるわけでございますけれども、運用といたしましてはきっちり通達なり執務資料なりというものをつくりまして疑念のないように一線にも指導していきたい、かように考えておるところでございます。
  51. 草野威

    草野委員 この十六条の問題については、先ほどの御答弁のように、成人映画は今後の成り行きによってはまた規制対象になるかもしれない、そういうおそれがあるということで、私もこの広告、宣伝については何らかの基準をきちっと定めておいた方がいいのじゃないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。  次に、いわゆるモーテル、ラブホテル、こういう問題について若干お尋ねしたいと思います。  まず最初に、一般旅館、ホテルと擬似モーテル、こういうものの区別を伺いたいわけでございますが、立案の過程におきましては一般旅館、ホテルも対象とするということだったらしいのですけれども、改正案では政令によってこれを除外する、このように伺っております。政令でどのような規定を置くことによって一般旅館、ホテルを除外することにするのか、まずその区別について伺いたいわけでございます。  きょうは厚生省にもおいでいただいておりますので初めに厚生省に……。  今回の法改正によりまして、いわゆるモーテル、ラブホテル、こういうものが一応別になるわけでございますけれども、別になったからといって厚生省がまるっきり関係のない存在になるわけじゃないわけでございまして、まず、この一般旅館とかホテル、こういうものは一体どういうものだという厚生省の考え方、どういうものでなければならないか、そこら辺の考え方を聞かせてください。
  52. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 旅館業法におきましては、施設を設け、それから宿泊料を受けて人を宿泊させる営業というものを旅館業としてとらえているわけでございます。先生が今おっしゃいましたモーテルとかラブホテルというふうなものにつきましては、これも旅館業のうちではございますけれども、専ら異性を同伴する客の宿泊または休憩の用に供する特殊な営業形態というふうに私たちは考えているわけでございます。  ラブホテルというものの利用形態でございますけれども、一般的には飲食を伴わないというものが普通でございまして、普通、ラブホテルとかモーテルとかというふうなものは、宿泊客の数というものと比較いたしまして、食堂でございますとか調理場でございますとか、そういったものの面積というのが非常に小さいということが大きな特色でございますので、私たちといたしましては、いわゆるラブホテルと一般旅館というものを明確に区別する際に、食堂または調理場の面積というものを一つの基準にしたいというふうに考えて、警察庁ともお話をさせていただいております。  そのほか、ラブホテル等には特殊な構造のベッドというふうなものも客室にございますので、そういったものも一定の基準にしたいというふうに考えております。
  53. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 警察といたしましても、ラブホテルを対象といたしますときに、一般旅館とは峻別したいという考え方で臨んだものでございまして、最初から一般旅館を対象とする考え方は毛頭ございません。  そこで、ラブホテルと一般ホテルをどう区別するかということでございますが、今厚生省の課長さんからお話がありましたように、そこにあるメルクマールは、一つは施設の面と設備の面からのメルクマールがあるのではないかということで、その点で整理をしてまいりたい、かように考えておるものでございます。  繰り返すようになりますが、施設の要件といたしましては、一定規模以上の食堂なりあるいは調理場を有していない、あるいはフロントを経由せずに客が個室に入れるような形態のもの、こういう施設、そういうもののいずれかに該当するような施設。それから設備の方につきましては、今も話がありましたように、特殊な構造のベッドであるとか、あるいは客室内の浴室の内部が当該浴室の外から見えるような構造のものであるとか、非常に大きな鏡が天井なりあるいはベッドに張りつけてあるというようなものであるとか、あるいはまた、いわゆる大人のおもちゃだとかビデオカメラ等が客室に特殊な目的で備えつけられてあるとか、そういうふうないずれかに該当する場合、こういうメルクマールでラブホテルと一般旅館とをしっかり区別していきたい、かように考えておるところでございます。
  54. 草野威

    草野委員 次に四号営業でございますけれども、いわゆるアダルトショップ、こういうもの等があると思いますが、四号営業は表現だとか出版の自由、こういうものと非常に大きな関係を持っておると思うのです。  この中で「性的好奇心をそそる」、こういう文言がございますけれども、これはどの程度のものを言うわけでございますか。わいせつよりも広い概念と思われるわけでございますが、その客観的な基準、こういうものをお示しいただきたいと思います。
  55. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 判断基準でございますけれども、一応、社会通念上一般人が見ただけで性的な感情を著しく刺激させるようなもの、そういうことで、少年の目に触れさせるには好ましくないと思われるものというふうなことになろうかと思うわけでございます。  わいせつよりはやや広い概念でございますが、しかし、通常人の健全な性的な道義概念には反する行為ということになろうと思います。例えば秘匿すべき身体の一部を露出をしておるというようなものも「性的好奇心をそそる」という概念に当たるものであろうかと思います。
  56. 草野威

    草野委員 時間も大分なくなってきましたので、少しまとめて伺います。今のアダルトショップの問題ですけれども、何点か全部まとめて言います。  写真集の場合、「性的好奇心をそそる写真」、こういうものは一枚だけ入っていても該当するのかどうか、逆に全体でどの程度入っていれば写真集と言えるのか。  それから、劇画のようなものは対象になるのか。  それからビニ本というものがありますね。あのビニ本というのは書籍なんですか、それとも写真集なんですか。  それから、ビデオテープというものも対象になっているそうでございますが、このビデオテープの場合はどうやってその内容を判定するのですか。任意に提出してもらって、そしてそれを映してみて判定するのか、この方法次第では検閲を禁止している憲法にも触れる、こういうことにもなりかねないと思うのですね。そういう問題。  それから、今申し上げた「性的好奇心をそそる写真その他の物品」、こういうものが全体の商品のうちでどの程度の割合を占めていた場合にこの四号営業対象になるのか。  また、「その他の物品」というのはどういうものを指しますか。  以上、ひとつまとめてお答えいただきたいと思います。
  57. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 写真が一枚だけ入っていてもこれに当たるかということでございますが、これは当たらないと思います。やはり全体としてそれが写真集と言えるようなものというふうに考えるべきだと思います。  それから、劇画は当たらないと思います。  それから、ビニ本というのは、これは書籍というのではなくてむしろ写真集であるというふうに理解をいたしております。もちろん中には違うものもあるかもしれませんけれども、今世上出ておりますビニ本は、おおむね写真集というものであろうと思います。  それから、ビデオテープをどう判定するかということでございますが、これは必要により買ってきて調べるということもあろうと思いますし、そこはあくまでも任意の手段でもって調べていくというふうに考えております。  それから、これをどの程度置いてあったら、このアダルトショップになるかという問題でございますけれども、これはやはり全体として七、八割こういうふうなものが置いてある、したがいまして、ごく例外的にこういうものが店頭に飾られているというものは当たらないというふうに考えております。  それから、「その他の物品」は、私どもは、先ほどお話しのようなビニ本であるとか大人のおもちゃ、それからポルノビデオテープ、こういうものを政令で定めることになるというふうに考えておるところでございます。
  58. 草野威

    草野委員 書籍は対象になりますか。
  59. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 書籍を対象にする考え方はありません。
  60. 草野威

    草野委員 次に行きます。  風営法改正の契機の一つとして、あからさまに性を売り物にした産業の増加というものを挙げているわけでございます。しかし、その改正案を見ますと、愛人バンクだとかデートクラブ、ホテトル、マントル、こういうものが除外されているわけですね。この除外した理由は、この前からの質疑では、やはり営業実態の把握が困難だ、たしかこういうような御答弁であったかと思うのです。しかし、警察庁の統計には、今申し上げたような業種が発表をされているわけですね。例えばマントルの場合は、営業所の数が五百四十二あって、そのうち検挙した営業所の数が九十四、件数が八百二十八件、人数にすれば二百七十九人、その他ありますけれども、こういうような実態が発表されているわけでしょう。  これから考えていきますと、営業実態の把握がどうのこうのということでこれを捕まえないということはおかしいと思うのですよ。どっちかといえば、今のセックス産業の中ではこれは花形産業じゃないですか。こういうものを、捕まえることができないからといって除外する、これはおかしいんじゃないですか、長官。これはやはりその実態の把握を容易にするための法律か何かつくってがっちりやらなければならぬと僕は思うのですよ。こんなのを野放しにする理由はないと思うのです。どうですか。
  61. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 デートクラブ、マントル等というのはどうも原則的には風俗関連営業から除外するという形になるわけでございますが、やはりセックス産業対象とするにいたしましても、やや正常な、法律に触れない営業というものが存在するということで初めて関連営業として認め得るということでございまして、それがのっけから売春を目的にするような営業というのは、正常の営業と言える余地が全くない営業ということになるわけでございます。したがいまして、これを認めて、法律上これを規制していくということが不可能である、やはりこれはあくまでも現在の法律を使って徹底して取り締まっていくより仕方がない対象であるというふうに考えておるところでございます。
  62. 草野威

    草野委員 この問題についてはまだいろいろ議論はあると思いますけれども、これは先に譲ります。まだ風俗関連営業についてはいろいろお尋ねしたい点があるのですけれども、時間もありませんので、この問題の締めくくりとしてひとつ長官にお尋ねをしたいと思います。  今回の改正案を見ますと、善良風俗とか少年健全育成とか、これは一見だれが見ても反対できないような言葉を使って、そして営業規制対象業種を定義したり、また規制方法を定めたりしているわけですね。そしてこの具体的な内容は、法律ではなくて、政令だとか国家公安委員会規則などに譲られているものが非常に多いわけでございます。これでは、やはり今後取り締まりがいずれ拡大されるおそれというものは極めて多い、このように我々は考えざるを得ないわけでございます。  そこで、規制対象業種などを政令で規定するときや規制方法を具体的に定めるときには、警察だけで決めるのじゃなくて、やはり各界各層の意見をよく聞いた上で決めるようなそういう仕組みをお考えになったらどうかな、このように思います。例えば審議会というものを設置する、その審議会を開いて各層各界の意見をよく聞いた上で、そこで決めていく。今回のこの改正案につきましても、我々を初め大勢の人たちが心配をしている点が多々あろうかと思います。そして、大部分が政令や公安委員会規則にゆだねられなければならない、こういう点から考えますと、やはり審議会などをつくってその中で大勢の人たちの意見を取り入れながら決めていく、これだと安心できるのですね。  こういうことを申し上げますと、こういう行革絡みの御時勢だからそういうことは一体どうかな、こういうような御議論もあろうかと思いますけれども、今後のことを考えますと、ぜひとも審議会を設置してやっていただきたい、これは私の強い要望でございますが、長官の御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  63. 三井脩

    三井政府委員 政令あるいはその他の下位の法令で決めることとされておる部分があるわけでございますが、この点は現在のこの法律案の中で枠ががっちりはまっておる、こういうことでございますので、みだりに広がるということはこの法の体系上ないわけでございます。しかしながら、これの制定について慎重に配慮をしていかなければならないという御指摘でございまして、全くそのとおりでございます。  こういうのは、決めますときは、例えば政令といいましてもこれは閣議事項でございますし、なかなか警察庁が決めて決まるというものではありませんで、関係省庁と十分協議をして決まるわけでございますから、大変慎重な手続で行われる、こういうことでございます。  その慎重な手続をやるために組織としての審議会等を設けてはどうか、こういうことでございますが、警察庁には、審議会という名前では必ずしもありませんけれども、いろいろそういう部外の方々の御意見を聞く懇談会的なものもございますので、そういう機会にこういうことについても十分お諮りをしたり御意見を聞いたりして慎重にやっていくということについては、御指摘のとおりやってまいりたいと思います。
  64. 草野威

    草野委員 この問題については、田川委員長にもひとつ御意見をいただきたいと思うのです。今のようなお話でございますけれども、私どもはぜひともこの審議会をつくってやったらどうかという意見でございますが、もしそれが難しい場合は、やはり委員長の私的諮問機関、こういうものをつくってやるというようなお考えについてはいかがでしょうか。
  65. 田川誠一

    田川国務大臣 今長官から御説明ありましたように、この改正案をつくるに至る過程におきましては、関係省庁ばかりでなく、業界の皆さん方にも十分意見を聴取し御相談をして、こうした成案を得たわけでございまして、これからも政令や規則をつくる場合にも、相談すべきところは相談し、懇談会なども設けてやっていくつもりでございます。各界の御意見も十分聴取してまいります。草野さんから、諮問機関、私的なものもつくってやったらどうかというような貴重な御意見もございますので、そうしたものを含めて慎重に対処していくように今後努力してまいるつもりでございます。
  66. 草野威

    草野委員 あと、時間がもう二、三分しかないわけでございますが、深夜飲食店の問題や、また接待の定義の問題、立入検査の問題、騒音規制の問題などなど、たくさんあるわけでございますけれども、時間が中途半端になってしまったので、これで一応終わりにさせていただぎたいと思います。  最後に、要望だけ申し上げます。  今までいろいろと申し上げてまいりましたけれども、最近の、あからさまに性を売り物にした営業等の実態は、いろいろと問題がありまして、善良風俗少年健全育成の上から見て、このままでよいとは決して言い切れない、このように思います。特にそれが一カ所に集中している場合、そういう実態を見ると、こういう観点からも警察としても絶対に放置できない、こういうようなことは我々としても理解ができないわけではございません。  しかし、だからといって、少年非行の増加という現象面だけをとらえて、警察サイドだけで短兵急に取り締まりに走って、営業の自由を制約するあるいはその制約の方法や程度を必要以上に拡大する、いわんやこれに便乗して、本来消極的でなければならない警察の権限を他の行政分野にまで積極的に拡大していく、こういうようなことは絶対あってはならないと思います。単に取り締まりさえすれば問題が解決するということは、これは先ほどの長官の御答弁もありましたように、絶対あるとは思われません。  現在必要なことは、このような性風俗営業の隆盛をもたらした原因は一体どこにあるのか、このような性風俗をどう評価するのか、少年非行との間にどんな関連があるのか、こういうような点について、もっと総合的に、また科学的に、実証的な調査を行うことが大事ではないかと思います。善良風俗の観念自体、これは決して固定的ではないと思いますし、その価値観も多様化してまいりますし、それが動くことによって社会の進歩というものもあろう、このように言われております。性道徳も流動化して一つの過渡期にあるのではないか、このように思います。少年非行の問題も、受験体制一色の学校教育だとか家庭のあり方とも深く結びついているものでありまして、風俗営業等規制だけによって解決するものではこれは決してないわけでございます。  そういうことで、この問題に対する総合的かつ科学的な取り組みを強く要望いたしまして、本日の私の質問を終わらせていただきます。
  67. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  68. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今回のこの風営法改正というのはまさに大改正でありまして、法の目的にも書いてありますように、「善良風俗清浄風俗環境保持し、及び少年の健全な育成障害を及ぼす行為防止するため、」というのが大きな目的になっております。  このことにつきまして、国家公安委員長という立場からどう考えられるかということについて、冒頭に二、三質問させていただきたいと思います。仰せこの風営法の審議に入って私の発言が九人目でございます。野球でいいますと九番バッターでありまして、当たることを余り期待されておらぬバッターでありますので、ダブるところが大変多くてさぞかし退屈であろうと思いますが、質問の中身は真剣でありますから、真剣にひとつお答えをいただきたいと思います。  そこで、まず第一問でありますが、この法律少年の非行がなくなる、あるいは防止できるというふうに思っていらっしゃいますか。
  69. 田川誠一

    田川国務大臣 これだけで少年の非行がなくなるとか完全によくなるとかというようなことを申し上げることはできません。ただ、先ほど来言われましたように、それでは何にも規制しないでほうっておいでいいかということになりますと、これはなかなかそうはいかないし、そういう意味で、一つの手段としてこうした改正案を今の時期にやらなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  70. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今、委員長の御発言にもありましたように、少年の非行の防止なんということがこの法律だけでとてもできるものじゃない、無理だというお話がございましたが、無理だということになれば、ほかに一体どんな対策が必要であるとお考えになりますか。
  71. 田川誠一

    田川国務大臣 これは私の仕事の任務を離れるようなことにもなるかもしれませんけれども、こうした少年の非行をできるだけなくしていくには、もっと総合的に対策を打ち立てていかなければなりません。例えば、先ほどもちょっと触れましたように、子供の教育の中で地域の社会教育をもっと充実していくとか、あるいは家庭教育を重視する、そうしてさらに学校教育を充実していくというようなこともあわせて考えていかなければならない重要な問題だと思いますし、何よりも、大人がもっと子供にあらゆる面で指導をし、模範的になっていかなければならない。子供が大人を信頼しなくなったら終わりでありまして、そういう意味で、大人が子供に尊敬をもって見られるようなことをも打ち立てていかなければなりません。  こういうような総合的な施策を充実していくことが、今問題になっております少年非行を少しでもなくしていく道ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  72. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私も全く同感であります。なかんずく、昔から我が日本では子供は親の背中を見て育っていくということをよく言われております。私は、親の責任と愛情、自覚と反省こそが子供の非行化防止する最たる手段ではないかというふうに考えておるのでありますが、その点について、今委員長の方からお答えがございましたから、長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  73. 三井脩

    三井政府委員 青少年、特に少年は、未熟な存在といいますかそういう立場にある人たちでございますので、これに悪い影響を与えておるかどうかというのは大人社会の責任といいますか大人の責任であるというふうに私たちは思います。そういう意味におきまして、大人が与えておる悪い影響をできるだけ最小限度にとどめていくということが少年非行防止する一番大事なことであろうと思うわけでありまして、今回の法改正もそれに寄与したいという一つの方法というように考えております。
  74. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それではまた委員長に戻りまして、長官からもああいう御意思の表明があったわけでありますが、いわゆる大人の責任ということが非常に大事だということは両者とも意見が一致しておるわけですね。私ども意見が一致しておるのでありますが、とするならば、その対策はどうあらねばならぬのか、そのことについて御意見があれば伺いたいと思います。
  75. 田川誠一

    田川国務大臣 今度の風営法改正の中にも、環境をよくしていくことについて、やはり大人社会の問題で取り締まりをしていかなければならぬ、規制もしていかなければならぬという面がございます。こういうことは本来なら規制をしたり取り締まりをしない方がむしろいいと思いますけれども、ほうっておくということは環境をますます悪くし、子供に悪い影響を及ぼす、そういう意味で、今回の風営法改正一つの手段としてやらなければならない問題である、こういうふうに思っております。
  76. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは中身を見たわけではありませんが、マスコミで報道されているところによりますと、今回のこの法案づくりに至る経緯につきましても、大体縦割り組織でありますから、厚生省、文部省、総理府あるいは警察庁、それぞれの縄張りがありまして熾烈な縄張り争いが繰り広げられた。しかし外には出ませんから、恐らくそういうことはない、こういうお答えがあるのだろうと思いますが、そういう縄張り争いの中で果たしてこの憂慮されるべき少年の非行というものが正せるだろうかということを社会の者はみんな心配をしておるのでありますが、この点について委員長はどう思われますか。
  77. 田川誠一

    田川国務大臣 風営法対象になる業種、そういうようなものにつきましては、また取り締まり対象の問題につきましては、各省と非常に関連したところが多いことは御指摘のとおりでございまして、関連する省庁がお互いに議論をし結論を出していくということは当然のことでありまして、今回もそうした相談は各省庁と随分慎重にやったわけでございます。  慎重に話をすればするほど、言葉をかえて言えば今回田さんの御指摘のような言葉になるかもしれませんけれども、これは単に言われておるような縄張りの争いとかという問題ではなくて、できるだけいいものを、いい規制の仕方をしていかなければならない、いい届け出の方法をしていかなければならないというところから議論をしたものと私は見ておりまして、そういう意味では、今回の改正案は大変慎重に関係省庁と相談をして結論を出したものと思っております。
  78. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 安心をいたしました。どうすればよくなるかということについて真剣に考えれば考えるほど、議論は白熱する、慎重になる、慎重になるほど外から見ると縄張り争いに見えるかもわからぬがそうではない、そこでこういういいものができた、こういう自画自賛でございまして、私は安心しました。もう本当にそのとおりにやってください。  そこで、今度は厚生省、文部省、総理府の方にお伺いをするのでありますが、それぞれの立場からお考えになりまして、この少年非行防止につきましていかなる対策をそれぞれ各省はお持ちでありましょうか、お伺いいたします。順次お答えください。余り長答弁になっても困るが、まるでウサギのしっぽみたいに短いのでも困りますので、ほどほどの御答弁を要求いたします。
  79. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  近年におきます少年非行増加の現状にかんがみまして、政府といたしまして、昭和五十六年一月二十日に青少年問題審議会に対しまして「現在の青少年問題への基本的な対応方策」というものを諮問したわけでございますが、昭和五十七年六月二十四日にその答申を受けまして、これを踏まえまして直ちに「青少年の非行防止対策について」閣議決定を行うとともに、同閣議決定に基づきまして総理府に設置されました総理府総務長官を議長といたします非行防止対策推進連絡会議におきまして、総合的な非行防止対策について申し合わせて推進してきたわけでございます。  また、昨年、横浜市の中学生によります浮浪者殺傷事件あるいは町田市の中学校教師によります生徒刺傷事件等が相次いで発生したことによりまして、非行防止対策推進連絡会議を急速開催いたしまして、「当面採るべき措置」ということで「全国民的な青少年の非行防止健全育成運動の喚起、推進」など五項目を取りまとめまして、その推進を図ってきたということでございます。  特に、最近、俗悪出版物あるいは享楽施設の増加など、青少年をめぐります社会環境が悪化してきておるといったことから、本年二月二日に非行防止対策推進連絡会議を開催いたしまして、関係省庁が緊密な連携を図りながら環境浄化活動を強力に推進することを申し合わせまして、現在推進しておるところでございます。今後ともこうした少年非行防止対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  80. 伊藤俊夫

    ○伊藤説明員 先生御指摘のとおり、最近の少年非行の増加は、教育を担当しておる文部省としても大変憂慮しておるところでございます。文部省としましても、この青少年健全育成のために、学校教育の機能の充実あるいは社会教育の充実というようなことに今鋭意努めている状況でございます。  具体的には、学校教育におきましては特に生徒指導の充実あるいは道徳教育の充実というような方面を推進しておりますし、社会教育におきましては、青少年が豊富な生活体験を持てるようにというのが基本でございますので、青少年団体の助長、あるいは青少年が大自然の中で切磋琢磨できますような少年自然の家とか青年の家というものの整備をし、そこで青少年活動を進めているという状況でございます。  しかし、青少年の非行防止とか健全育成という観点から見ますと、学校教育あるいは社会教育だけでなくて、学校教育社会教育あるいは家庭教育が打って一丸となって効果を上げる必要があるのだということから、その総合的な施策を進めておりますし、さらには社会全体が青少年健全育成のために協力し合うことが必要でございますので、そのために、総理府を中心にして各省庁の力を発揮しておりますいろいろな青少年健全育成活動に対して、文部省としても総理府に結集されるその力にさらに協力し、青少年健全育成のために成果を上げていきたい、そういう形で努力しているところでございます。
  81. 蒲地清弘

    蒲地説明員 ただいま先生からもお話がございましたように、非行の原因を私ども考えますと、幼児期からのしつけとか大人自身の生活態度、さらには地域環境というものがいろいろ複雑に絡んでいることが原因だろうと考えております。  厚生省の施策でございますが、まず第一点は、児童館の整備を図っております。児童館というのは、一般家庭の子供さんの遊び場でもあり、また小学校低学年のかぎっ子の子供さんたちの保護育成もやっておりますし、さらに、母親クラブ等地域のお母さん方の集まりであります地域組織の育成助長を任務にいたしております施設でございますが、マイナスシーリングのもとではございますけれども、毎年百二十カ所程度の整備を図っているわけでございます。  第二点といたしましては、ただいまもお話しいたしましたように、地域の方々がその社会の子供さんたちを健全に育成していかなければいかぬというようなことで、母親クラブというのがございます。この母親グラブというのは児童の事故防止とか非行防止を活動内容にいたしておりますお母さん方の地域組織でございまして、これについても若干の活動費を補助いたしまして育成助長を図っているというような施策を講じております。  それから第三点でございますが、いわゆる核家族化とか都市化が進展いたしますと、三世代世帯というのは今なかなかございませんで、子供さんを持ったお母さん方が児童の養育についていろいろ悩みがあっても、家庭内には相談相手がいない、隣近所にも都市化が進みますと連帯感が薄れて相談相手がいない、そういうことで、相談体制を我々として大いに伸ばしていかなければいかぬのではないかと考えているわけでございます。  相談機関といたしましては、一つ児童相談所というのがございます。これは全国に百六十四ございまして、県庁所在地、それに準ずる市ぐらいにございます。そのほかに、福祉事務所に家庭児童相談室というものが設置されておりまして、そこでも相談にあずかっている。これでも足らぬという感じがいたしまして、私どもといたしましては、昭和五十八年度におきましては「すこやかテレホン事業」というものを創設いたしました。これは、市のしかるべき場所に電話を設置していただきまして、いわゆる公的な相談機関があいていない夜間とか日曜祭日という時間帯に、相談を受けて指導に当たっていただくシステムでございます。  それから、本年度におきましては、児童館とか保育所、養護施設等におきましても相談事業を行っていただくということで、児童館において行う事業といたしましては子ども家庭相談事業、それから、保育所等におきましては主として乳幼児を中心といたしまして健全育成についての相談を受け、指導に当たる、こういうような施策をスタートをさせたわけでございます。  もろもろの施策を総合的に推進しまして、児童の健全育成を図って、それが非行の防止につながる、こういうことで今後とも努力を重ねてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  82. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 三人ともやはり各省を代表するだけあって非常に立派な御答弁ですね。言うことないのでありますけれども、これは番外の質問になりますが、一つだけ、せっかく三省からお越しになっておるので。  きのうかおとといテレビでちらっと見たのでありますが、かぎっ子が踏切で電車にはねられた。大きい方の子供が踏切を渡りかけて、電車が来るのに気がついて後ろへ戻ろうとしたら、ついてきておった小さい子供と鉢合わせをして、二人ともひっくり返って轢死をした、まことに痛ましい。血まみれになったかぎが映っておる放映がありましたが、私自身も、実はこのかぎっ子対策ということについては地方議会の当時から非常に心配をして熱心に運動した一人であります。  また、保育に欠ける子供というものの保育所が、公立の保育所が非常に少ないので、たまりかねて、今からちょうど十一年前に私立の保育所、わずか六十人の定員でありますが、今保母さん十一人に来ていただきましてゼロ歳児からやらしていただいております。  その父兄の人たちに私はいつも、選挙で札は欲しいのでありますけれども、しかし本音のことを言わなければいかぬというふうに思いまして、こういういやなことを言っておるのです。先ほども申し上げましたように、とにかく三つ子の魂百までと昔から言うじゃありませんか、生活が苦しくて共稼ぎに行くのかどうか知りませんが、保育に欠ける子供というのは、本来母親が亡くなったかあるいは父親が亡くなったか、あるいは大変な病気をして立てないかというような場合に、これは困るぞというので国が始めた施策でございまして、それが今では保育に欠ける子供は全部措置する、こうなっておるものですから、地方自治体におきましても、保育に欠ける基準というのは、夫婦共稼ぎをして家をあげるから保育に欠ける、それも全部。いらっしゃい、こういうことになってやっていますから、今保育所の数が何ぼあっても足らない、これが今日の実態であります。  私が十一年前に保育所を建てるときは、余りの惨状を見かねて、公立へ入れたいと思っても入れられない、親が片方欠けても入れてもらえないというような実情を見かねて、実は大借金をいたしまして、二千四百万円金を借りて三階建ての保育所を建てたのであります。そこへ入ってこられるお父さんやお母さんに対しまして私が言っておりますことは、とにかく三つ子の魂百までと昔から言いますとおり、皆さん方は御両親健在の家庭が多いじゃありませんか。少しでもよりよい生活を、あるいは生活が苦しいから共稼ぎをしなければならぬ、いろいろな事情があると思いますが、隣の家がピアノを買えばうちも買いたい、こういう発想からもし子供さんを預けておるとしたら大きな間違いではないでしょうか、子供さんを引き取っていただきたい、こう言って、子供の数が少なくなると保育所は経営困難になるのでありますけれども、しかし、そういうことを私は毎たび父兄に訴えてきておる男であります。  でありますから、ただいまの答弁の中でも出た、あるいは昨日のテレビにも出たかぎっ子対策ということについて、非常に心配をしておるのでありますが、厚生省、文部省、総理府の方から、保育園というものに対して、私はそういう思想を持っておるのでありますが、一体どういう考え方をお持ちであろうか。  それから、学校においては、かぎっ子対策の教室というのがたしか設けられたことがあると思います。今でも続いておるのかどうかわかりませんが、今のお答えでは児童館ということをしきりにおっしゃっておりました。こういう、御両親がいらっしゃらないために、学校から家へ帰っても締め出しを食っているということでやむなく学校で遊ぶ、途中で遊ぶ、それがだんだんよからぬ方向へ走っていくという傾向が非常に多いのでありますので、学校でどういう対策を立てていらっしゃるのだろうか、児童館以外について、対策があれば聞かせていただきたい。  それから、共稼ぎの実態というのは一体どういう状態になっておるのでしょうか。生活が本当に苦しいからなのか、あるいはよりよい生活を求めてのものなのであろうか、こういう点は、やはりこれからは見直さなければならぬ時代に来ておるのじゃないかと思うのであります。  各省からお答えをいただきたいと思います。
  83. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  少年非行という観点から見ますると、家庭あるいは学校、それから地域社会と、それぞれ問題があるというふうに言われておりまして、それらが複雑に絡み合っておるところに非行問題の根の深さといいますか、それがあるのではなかろうかということであります。  それにつきましては、画一的にこうしたらよろしいといったような単純な処方せんというものはあり得ないということだと思います。地域、学校、それから家庭、それがおのおのの立場でやはり地道な活動といいますか、これを継続していくことが一番大事ではなかろうか、国民一人一人、特に大人がみずからの責任であるというふうに自覚して、それで、子供たちといいますか、こういったものを非行から守っていく、こういうことではなかろうかというふうに思うのです。  それで、かぎっ子の問題でございますが、これは家庭の問題——それはいろいろ、社会の問題ということも絡んでくると思いますし、それから学校の問題も絡んできますが、主として家庭の問題じゃなかろうかと私自身は考えておるわけでございます。いろいろ共稼ぎ云々ということで、父親のみならず母親も外に働きに出るといったことは、それはおのおのの家庭の事情があるわけでございますので、それ自体いいとか悪いとか、そういったことにはならないと思いますが、これは私の個人的な考えでございますが、子供、特に小さいうちの子供というのは、やはり何といっても親のスキンシップといいますか、こういったものが一番大事じゃなかろうか。そういう意味におきましては、たとえ両親共稼ぎということで出ておっても、休みの機会には、対話など、あるいはスキンシップの場というものをできるだけ多くつくってやる。これは親の義務でもありますし、親がそういうことを努力すべきではなかろうかというふうに考えるわけであります。  そういった考えでございますが、私自身託児所云々という、そういう立場ではございませんけれども、そういった観点から考えまして、託児所が社会におきましてしかるべき相応の役割を果たしていく、そういう観点から問題というものを考えていくべきではなかろうかというふうに私は考えております。  学校の問題云々というのは、これはやはり文部省の方が来ておりますので、そちらの方へ譲らしていただきたいというふうに考えております。  以上であります。
  84. 伊藤俊夫

    ○伊藤説明員 小学校の六年生が六年生だけで遊んでいますと、例えば学校の順番が四十番だと、その仲間の中ではいつまでたっても四十番の扱いを受けるわけですけれども、その四十番の子供が、今度は小学校五年生や三年生と一緒にグループをつくって遊びますと、体力がありますからやはり先輩として立てますので、その四十番の子供が初めてそこで一番になったつもりになって自信が出てくるだろう。  そういう意味で、昔からそうですが、地域社会へ戻って子供たちが餓鬼大将の集団に入っていろいろな活動をするというのは、子供の成長にとって大変重要なことだろうと思うのです。私が子供のころは、うちへ帰ってかばんをほうり投げて、すぐその集団に行っていろいろ教育された口ですけれども、そういう集団が学校外で育つことが一番望ましいことだ。  そんな意味で、先ほど申し上げましたように青少年団体活動などの育成をしているわけですけれども、今日の社会を見ますと、子供の数が非常に少なくなってきてなかなか集団がつくりづらいだとか、あるいは昔に比べて交通事情が大変複雑になって、交通事故の問題だとかいろいろな事故の問題も出てまいりますので、子供たちの校外の生活の面倒をどう見てやるかというのは大きな課題だろうと思うのです。  そのために、厚生省を中心にして、特にかぎっ子につきましては都市の児童健全育成のための施策を進めていらっしゃいますし、文部省としましても協力できるところは全面的に協力してまいりたいと考えております。  同時にせっかくの校庭があいておりますので、校庭を子供たちの遊び場に開放する施策を進めておる。それで、この校庭の開放につきましては、何でもかんでも学校へ持ち込んでしまいますと学校が爆発してしまいますので、校庭開放のときには、教育委員会が責任を持って、校長の責任ではないのだから安心して開放せいよというような施策を進めておる。そんな形で、子供たちが健全な学校外の生活ができるようにいろいろ配慮しておるところでございます。
  85. 蒲地清弘

    蒲地説明員 保育所についてどう考えるかという御質問なんでございますが、先生御案内のように、保育所というのは、保護者の疾病、労働その他の事由で保育に欠ける場合は、市町村長が保育所に措置する、こうなっております。  一方、共稼ぎの実態でございますが、ちょっと手元に資料がございません。いわゆる婦人就労の関係について申し上げますと、昭和五十年の婦人就労が千九百八十七万人でございますが、被雇用の婦人は千百五十九万人でございまして、そのうち有配偶、結婚しておられる御婦人の方の就労が五百九十五万人でございます。五一・三%が有配偶、こういうような実態になっております。一方、五十八年におきましては、婦人就労は二千三百二十四万人にふえておりまして、五十年に比較いたしまして一・二倍、こういうような状況でございます。そのうち有配偶の婦人の方でございますが、五十八年度は八百八十六万人ということで、五十年度に比較いたしまして一・四九倍、約五割増し、こういうような実態でございます。  児童福祉法は、いわゆる貧困とかそういうことではございませんで、保育に欠ければ子供の福祉のために保育所へ入れる、その上で所得に応じまして費用徴収を行う、こういうことになっております。私どもの立場といたしますと、幼少時はなるべくなら母親の手元で育てていただきたいというのが気持ちでございます。  それから、かぎっ子の問題でございますが、かぎっ子につきましては、昭和四十八年ごろに総理府の青対の方で御調整をいただきまして、厚生省と文部省と労働省の施策で対応するというのが基本でございます。  厚生省といたしましては、まず児童館で保護育成を行うというのが基本でございます。ところが、児童館ということになりますと、特にかぎっ子というのは都市部に多く発生するわけでございますが、なかなか用地が確保できないということで、児童館の整備がなかなか思うようにいかない。その児童館が整備されるまでのつなぎといたしまして、都市児童健全育成事業という四つのメニューを持った補助金がございます。その中で児童育成クラブという組織をつくっていただいて、そこで保護育成を図っていただくというようなことでかぎっ子対策を推進しているわけでございます。  以上でございます。
  86. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 各省ともそれぞれ非常に真剣なお答えでありまして、やはり共通していることは、幼少時における対策というのは母親とのいわゆるスキンシップが必要ではないか、ある程度大きくなりましたら健全な野外活動の絶好のチャンスではないか、むしろ餓鬼大将になるぐらいの立派な、たくましい子供をつくってもらいたいというような非常に立派な御意見を伺いまして、大変ありがとうございました。——三省の方、結構でございます。ありがとうございました。  それでは、本日は、二条関係のみを主体に質問をさせていただきたいと思います。  まず第一問でありますが、本法の目的にはギャンブルの未然防止が含まれているのでしょうか、含まれていないのでしょうか。
  87. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 改正法案の第一条におきまして、善良風俗保持ということを規定しております。この中には、従来から賭博行為の未然防止というものも入っているというふうに考えております。また、業態といたしまして、パチンコなりあるいはマージャンなりというものも入っておることは、その趣旨で従来から規制対象となっておるということであるというふうに考えております。
  88. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のお答えによりますと、未然防止の措置については法案の中に十分盛り込んである、こういう仰せであります。  しからば、ギャンブルの未然防止が含まれているとするならば、なぜギャンブル専用機の設置を公然と認めておるのでありますか。しかも、これは先ほど草野委員の発言の中。にもございましたが、警察白書の百七十七ページにギャンブル機器と明記してある。そういうものがここへいろいろと取り込まれておりますが、その関係を含めてひとつお話しをいただきたいと思います。
  89. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 このゲーム機の例示といたしましてスロットマシン等が入っておりますのでそういうお話になられるのかと思いますけれども、実は、ギャンブルになるかならないかという問題は、一つは本来そのものギャンブルになるというものと、用法によりましてギャンブルになるというものと、二通りあるというふうに考えておるわけでございます。  スロットマシンというものの扱い方は国によっても違うのでございますけれども、日本では遊技機で楽しむということでございまして、そのスロットマシンによって財産上の利益を得ようという考え方のものではないわけでございます。現金が出てくるとか、あるいはそれによって賞品が稼げるというようなものではない、あくまでもスロットマシンという機械を使って遊ぶのだということが原則でございますので、それが直にギャンブルの機械であるということにはなり得ないというふうに考えております。ただ、もちろん、いろいろな機械の中で、例えば先ほど言いましたようにすぐ現金が出てくるようなものであるということになりますと、これは当然のことながらギャンブル機になるわけでございます。  一応日本でもって今使われておりますスロットマシンというのは、大体機械そのものを楽しむということでございまして、それをもちまして直ちにギャンブル機であるということにはならない。現実に、先ほどもちょっと申しましたように現金がすぐに出てくるようなものは、当然、私の方はこれは認めない方針でいくわけでございます。
  90. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 各委員の方からギャンブル賭博という問題について御質問があったのでありますが、私はのみ込みが悪い方でございまして、もう一遍重ねてお尋ねをするのでありますが、賭博とは一体何ですか、これは。
  91. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 刑法の百八十五条で、賭博と申しますのは、偶然の輸羸に関しまして財物をもって賭事または博戯をすることというふうに定義をされております。言うまでもなく輸羸という言葉は、勝ち負け——この言葉の順序からいけば負け勝ちということでありますが、そういうふうな偶然の勝負に関しまして財物をもってかけごとをするということが言われておるわけでございます。したがいまして、賭博というものは、技能がかなり関係するといたしましても、常識的な意味におきまして、多少とも偶然性の支配を受けるというものはこの百八十五条の対象になると考えられておるわけでございます。  したがいまして、例えば囲碁でありましても、囲碁そのものは非常に知的な高尚なゲームだと私は思いますけれども、しかし、それでも財物をかければ、それは、技能はもちろんかなり関係するのでございますけれども、やはり偶然性に支配されるということもあり得るということで賭博罪に当たるというふうに考えておるわけでございまして、実際にはそういう判例が多く存するわけでございます。
  92. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。  そうすると、のみ込みを間違っておったら大変なことになりますので、ちょっと確認をさせていただきますが、賭博とは何かという質問に対しまして、刑法百八十五条に書いてあるもので説明をされましたが、要するに、夢に対して財物をかける、こういう行為賭博である、それから偶然性の支配しか受けないというような、いわゆる偶然性だけで勝敗が決まってくるというようなものは賭博ですということですね、二つに分けて言えば。  そういうふうに承りましたが、そうすると、整理してみると、財物をかけるという前段は今ちょっとおきまして、後段の偶然性の支配を受けるものというのは、もっと具体的に言ったら技術の介入を受けない、それで偶然性のみで勝敗を決する、こういうことになるのでございますか。
  93. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 偶然性だけでなくてもいいわけでございまして、技術の介入性がありましても、偶然という要素があればこれは賭博になるわけでございます。先ほど申しましたように、囲碁でも将棋でも当然技術というものが介入するわけでございまして、しかしそれでも必ずしも強い人が全部いつも勝つとは限らないものでございますから、やはり偶然性の要素というものはそういうものでもある。したがいまして、そういうものに財物をかけていけばそれは賭博になる、こういう解釈になっておるわけでございます。
  94. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういたしますと、これはあるいはお笑いになるかもしれぬけれども、飛躍をして考えますと、例えばゴルフコンペをやりますね。それで、それ優勝だ、いや準優勝だ何だというのがありますね。賞品が出ますね。ハンディは別問題としても、とにかく出てきた数字によって、一番小さい数字で回った人が優勝ですね。それでずっと賞品をもらっていきますね。これはすばらしい賞品ですね、このごろのほとんどのゴルフが。ああいうのは賭博でございますか。これはまさに偶然でしょう、ハンディまで設けてあるのですから。偶然にホールインワンするとか、あるいは数が少なくて打てたとかいうことになるのでありまして、偶然性の支配を受けるものであると思いますが、どうですか。
  95. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃられるとおり、偶然性も左右するわけでございますから一応そういう考え方は成り立つわけでございますが、賭博罪と申しますのは、今申しましたものにただし書きがついておりまして、「一時ノ娯楽ニ供スル物ヲ賭シタル者ハ此限こ在ラス」という条文がついておるわけでございます。一時の娯楽に供するものをかけた者はこの限りでないという規定があるわけでございます。  したがいまして、一時の娯楽に供するものであるかどうかという判断になるわけでございまして、それが極めて高価なものであって、大変大勢からそういうかけ金を集め、それを高価なものでやるということになりますと、なかなか一時の娯楽に供するということにはならないという形で、例外の規定に当たりませんで、やはりそれが賭博になるというふうに解釈される場合もあろうかと思います。
  96. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 入り口をはっきりしておかなければいけませんので、くどいほどお尋ねをしておるのでありますが、そうすると、一時の娯楽に供するものでかけるものであったら、これは一応賭博とは見ておらぬのです、こういうお話であります。  ということになると、例えば競馬の予想をやりまして、電話で胴元か何かがおりましてやっておるのを、野球賭博だといってふん縛っていますね。これは金をかけたからいかぬのであって、電話で、あんた、どれにかけますかということを言って、非常に競馬というものに興味を持っておって、お互いに競争するんならやってみようやというので、おれは何番だというやつが、お金がごろっと入ってきたということになる。これは捕まえられておるわけでありますが、これも一時の娯楽に供しておるのではありませんか。そういうのは違うのですか。競馬は娯楽ではない。——済みませんね、予定外で。
  97. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 「娯楽ニ供スル物」と言っておりまして、これには金は入らないという考え方が一般的でございます。  それから、今お話しの競馬の問題は、そういうのみ行為は特別に競馬法違反という形で、特別法で罰せられるという行為になるわけでございます。
  98. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 このことについてもう一つだけ。  このごろ全国でゴルフが大はやりでありますが、私は全然知らぬからやったこともないのでありますけれども、何かゴルフでかけるのだそうですね。握ろうやというのが一つの合い言葉になっておるようですね。それで初めての経験者が、きょうは初めてゴルフ出場だというので、喜び勇んで衣装も靴も道具も皆新しいものを持っていった。そうしたら、先輩諸氏から握ろうやといって手を差し出されるから、ああ親切な先輩だなと思ってありがとうと言って手を握ったら、これはもうかけたのだそうですね。それでくるくると回って帰ってきたら、三万円ぽんといかれたとかいうようなことが頻繁に行われているのだそうですね。私は知らぬからわかりませんよ。だけれども、そういうのはどうなるのですか。これは一時の娯楽に供するものであって、金が動いておりますがどうなるのですか。
  99. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現金が動いた場合には、先ほどのようなただし書きの規定はございませんので、現金の場合にはやはり賭博罪になるということでございます。  そういうことで、今の具体的な例では、もし三万円という金額になってまいりますと、これは仮にそれが品物でございましても、一時の娯楽の用に供するとはちょっと言えない場合が多いのではないかと考えます。
  100. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もう一つだけ確認させていただきますが、そうすると、財物という中に金が入るのかどうか知りませんが、分けて、物あるいは金、そういうものがかかっておったら、事前に払おうが、そのとき払おうが、後日になってもらおうが、それはいずれも賭博行為として罰せられる行為であるということで考えてよろしいのか。  それからいま一つは、そのかける物、かける金というのは、これも私の素人知識でありますが、ちらっと漏れ聞くところによると、何か昭和五十九年は、三万円以下なら贈賄とは言わない、三万円以内なら何ぼもらってもよろしいというようなことが内々にあるんじゃないかということをよく聞くのでありますが、この賭博もそういう何かのレールが引いてあるんでございますか。その二つ。
  101. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のお話のように、この賭博罪といいますのは、現実に物の授受がなくても、約束があれば足りるという判例がございます。したがいまして、先ほどのような前段のお話はそれに当たるというふうに考えております。  もう一つ、どこら辺で線が引けるのかということでございますが、これはなかなか難しい問題でございまして、私の担当でございませんので、ちょっと金額はここでもって申し上げる立場にございません。
  102. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは予定外の質問でありますからまことに恐縮なんでございますが、できればお答えをいただきたいと思うのは、物、金、そういうものをかけて、おい勝ったらこれだけ出すんだぞ、やるんだぞというような約束をしたら、早くもそれは賭博行為である、こういう非常に明快なお答えがあった。これはよくわかります。  そこから先わからぬのは、それじゃ例えば十円かけてもそれは賭博行為なのか、あるいはチョコレート一枚かけてもそれは賭博行為なのかということを聞かれた場合に、風営法で、ギャンブルの問題、賭博の問題をあなたらは四日間にわたって慎重に慎重に審議をしたはずなのに、それも知らぬのかと言われたら、どう答えたらいいのでしょう。
  103. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 金をかけておりますと、これはすべて賭博罪の対象になるわけでございます。(岡田(正)委員「一円でも」と呼ぶ)理論的にいけばそういうことだと思います。  ただ問題は、そういうものが可罰性があるかないかということでございまして、それを一円かけたからすぐに起訴に持ち込むということは恐らく検察庁もなさらぬと思います。ですからそういう意味で、一応理論の上からいけば金がかかればそれは対象になる。ただ、チョコレートをかけたということになりますと、これは一時の娯楽の用に供するというふうに解される方が多いのではないかな、こういうふうに考えられるわけでございまして、これは賭博罪の対象にはならないんではないか、こういうふうに考えております。
  104. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それじゃ、今の賭博とは何かということだけにつきまして要望を申し上げておきます。  国民にとっては、皆さん方警察庁の方というのは生命財産を守ってくれる大変ありがたいありがたい人である、こういう感覚が一つあります。いま一つは、警察の人といったら、いや、いぶせいのう。広島県の言葉でいぶせいのうと言う。これはどういう意味かといったら、恐ろしいなという意味がある。これは偽らざる国民の感情じゃないでしょうか。片方では大変感謝しておる。片方では大変恐れられておるのであります。  そこで、今ここで私がお尋ねしましたように、まあ一円というのは極端ですけれども、金をかけたらそれは賭博とみなさなければ仕方がないでしょう、こうおっしゃる。チョコレートくらいならまあよかんべとおっしゃる。チョコレートでも千円もするようなチョコレート、二千円もするようなチョコレートというのはあるんでございまして、だから、そこらが取り調べに当たる警察の方、取り調べ官の恣意によって、おまえ有罪にするぞ、検察庁へ送るぞ、こう言えばおしまいでしょう。何ぼ言ってもだめでしょう。だからそこらを国民がわからなければ非常に怖がる、非常に恐ろしがる。  だからそこらのところを、本当言ったらもっと正確なお答えが欲しいのですよ。それが無理なら、今もう答弁に立たなくてもいいですから、委員長が指名しても立たなければ、答える意思はないなと思って次に行きますから、どうぞ。
  105. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えになるかどうかちょっとわからないのでございますけれども、先ほど言いましたように、一応理論的には、金をかければそれは賭博罪の対象になるという判例があるわけでございますが、例えば仲間内でもっていろいろやりまして、負けた者が晩飯を持つというようなことになりますと、それは当たらないという判例もあるわけでございます。ですから、そこのところは我々としても、当然のことながら、賭博罪を考えていく上に、今申しましたような判例をよく吟味いたしまして運用していくということになろうかと考えております。
  106. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次に機械のことでありますが、スロットマシン、ポーカーゲーム、花札、トランプ、マージャン、ルーレット等々の賭博性のものは、子供は入れるべきではないし、させないということが少年非行防止することで最も大事なことではないでしょうか。それが、先ほど草野委員からもお話がありましたとおり、夜の十時まで遊んでもよろしいよということを今度は法律にはっきり書いてくる。  これはむしろ、全部が全部でありませんでしょう、わずかな子供がもわかりませんが、夜出歩く子供にとっては天下御免の免罪符を手に入れたようなものでありまして、晩の十時までどこをほっついておった、こう言っておやじが怒っても、何を言ってんだ、十時までは、銭こは出ぬが、ばくちまがいの、あのラスベガスやモナコにあると同じ機械をいじってもいいことになっているんだ、法律を知らぬのか、おやじは、こう言われたらおしまいですね。まさに堂々と非行に近づいていくような感じがいたしますが、この点はどう考えてこんな案を出されたのか、私は不思議でかなわぬのです。再度御答弁をいただきたいと思います。
  107. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 現在、ゲームセンター等は全く対象になっていないわけでございますから、子供は二十四時間できるということになるわけでございます。親に聞かれても、極端なことを言えば、法律上は二十四時間できるんだという答えが今はできるわけでございまして、私どもは、必要最小限度規制といたしまして、せめて十時までということを決めたということでございまして、ある意味では一歩前進であるというふうに考えておるものでございます。  それから、ゲームの中身の問題はいろいろございますけれども、これは先ほど言いましたように、そういうゲームの中身が金に結びつく、あるいは賞品に結びつくので、そこで射幸心をそそるという問題が出るわけでございまして、その遊技機で遊んでおるという行為自体は射幸心をそそるということにはならないというふうに考えるわけでございます。そこが違うのだろうと思います。今申しましたように、ゲーム機の中身ではなくて、それが金なりあるいは賞品と結びつくかどうか、そこにキーポイントがあるわけでございます。そういう考え方で整理をしたものでございます。
  108. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかります。今の答弁はよくわかりますが、よくわかる答弁をすると、よくわからなくなるのです。大体夫婦げんかなんというものはどうして起きるかといったら、わかった者とわからぬ者とがけんかをしようと思っても、これはけんかにならぬのです。わかった者とわかった者が意見をがんがん言うとけんかになる。これが大体夫婦げんかのもと、こう昔から言われておるのであります。  大変わかった話をされるのでありますが、今まではゲームセンターは時間の制限がなかったのですよ、だから青少年の諸君は野放してそこに行けておったんだ、だからそこがたまり場になっておったんだ。そして、先ほどの御説明によれば、大体晩の十時から以降がたまり場に使われておるようであるので、十時までとすれば非行防止に大いに役に立つのではないか。今のお言葉によれば、一歩大前進である、こういうお話ですね。そこに悪の芽があったんだから、ここでその芽を摘もうというのでせっかく法律をお出しになったんですから、私は、一歩なんて遠慮せずに、三歩も五歩も踏み出してもらいたいんですよ。だから私は、ここでいう少年たちが、いわゆる子供たちがどうあるべきかということを考えたら、これは各町内会でも、日没になりますと「夕焼け 小焼けで 日が暮れて」というメロディーを流しておりますが、あのメロディーが鳴ったら全部帰れ、それ以後はそういうゲームセンターに出入りしてはならぬ、後そこへ出入りするのは大人だけだ、こういう明快な、だれが聞いても見てもよくわかることにしてもらえぬでしょうか。いかがでしょうか。
  109. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今まで何せ何らの制限もなかったわけでございますから、営業者の立場も考えまして必要最小限度規制をしたということでございます。しかし十時までやれと言っておるわけではないわけでございまして、あくまでも、法律では一応制限としてここまでだということを言っておるわけでございますから、後は業界の皆さんがそれぞれの立場で自主規制をしていただくということは望ましいことだ、こういうふうに考えております。
  110. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がどんどんたちますので、この辺でこの問題は締めくくりたいと思いますけれども、私は、この問題は非常に残念無念という思いが残って仕方ないんです。  どうせ改正するなら——十時などといったら、御存じですか、皆さんはもう徹夜でもお仕事をなさる人ばかりだから、猛烈人間ですからそうでもないかもわからぬが、一般の働く人というのは、大人は大体がもう九時には寝てますよ。そうしなければ体力的に明くる日の労働生産性を取り戻すことができない。そういう状態で、大人どもはほとんどが九時か遅くとも十時には寝ている。それまでには会社で必要な勉強はちゃんと済ましている。  ところが子供は、十時までやっていいよと法律に書いたら、それはもう天下御免ですからね。これは国家公安委員長や警察庁長官のお墨つきでしょう。いいよ、遊びなさい、こう言うんだから、親はやりようがないんじゃないですか。こんな晩の十時まで夜更かしをするようなことは、私はもう絶対やめさせてもらいたい。いい国民にならない。これは日没で打ち切るべきである。働くんじゃないんですから、遊ぶんですからね。そういう点は、ぜひともひとつ各党の方々にも御協力をいただいて、何とかするべきではないのかというふうに私は思っておるのであります。  それでは、その次に行かしていただきます。  今いろいろな機械がありますけれども、いわゆるゲームセンター風営法の中に入れるのでありますが、その風営法で指定するものと、指定をしないもの、いわゆる賭博性のない健全なものとに分けることができるはずなんですが、これは分けたらいかがでございましょうか。
  111. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風営法の適用のあるものとそうでないものに分ける場合には、私どもは、その区別は設置されましたゲーム機の種類によってやりたい、こういうふうに考えております。
  112. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこなんです。この法律にも「スロットマシンテレビゲーム機その他」云々と、こう書いてあるだけでありまして、その種別によるというのがわからぬのですな。これがわからぬ。  だから、賭博性を持っておる機械、現実にコインは出ません、お金は出ませんでしょうけれども、世界的に認められておるいわゆる賭博性のあるものというのは、例えばどういう機械があるのでしょうか。メダルゲームでやるものあるいはテレビゲームでやるもの、その他のもの、随分あると思いますね。十種類ぐらいはあると思いますが、まずそれを教えてください。
  113. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 このゲーム機につきましては、遊技の結果が表示され、あるいは勝敗が明らかとなるもの、少なくとも点数等が出てくる、あるいは勝負がつく、そういうものを私どもは対象にしていくべきであるというふうに考えております。  ゲームの種類につきましては、防犯課長から答えさせていただきます。
  114. 古山剛

    ○古山説明員 規制対象とならない遊技設備といたしましては、定置式の乗り物、あるいは人生を占うとか、そういうものは勝敗の結果が出ませんし、また定量的な点数が加算されるというものでもございませんので、そういうものは対象にならないというふうに考えております。
  115. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、「テレビゲーム機その他」という中には、例えば野球とか、健全な少年たちが運動神経を働かすことに非常に役に立つようなものも、結果的には勝敗が決まる、あるいは点数が出るからそれはだめ。勝敗の決まるもの、点数の出るもの、これは一切賭博性のある機械、こういうふうに当局はお考えになっているのですか。
  116. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一切だめだということではないのでございまして、許可の対象の機械になるということでございまして、そういう機械を設置しておる営業を許可対象にするという意味しかございません。ゲームそのものは健全であるというのはお説のとおりでございますけれども、それがやはり点数が出る、あるいは勝敗が決まるということによって賭博に利用される可能性が出てくるということでございまして、そこのところを分けて考えておるわけでございます。
  117. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、資料をひとつここへ出していただきたいと思うのですが、急なことを申し上げて御用意があるかどうかわかりませんが、昭和五十七年、五十八年の賭博事件による賭博遊技機の機種別、そして押収場所別、押収状況の調べが恐らく当局にはあるはずだと思いますが、ありましたらそれを御提出願いたいと思います。——さすが当局ですね。要求したらすぐ出てくるのですな。立派なものです。  さて、ここで、この表を拝見いたしますと、「遊技機使用による賭博事犯検挙状況」と書いてございますが、これを見てみますと、この表の中にあります機械というのは大体が賭博遊技機、いわゆる技術性というものの介入がない、偶然性によって結果が出てくるというようなものばかりじゃないんでしょうかね。その点、私もこれは実物を知りませんからわかりませんが、この表を見る限りは、悪い言葉で言うたら賭博専用機じゃないんかなというふうに思うのであります。いわゆるスポーツものというような、技術を楽しむ健全なテレビゲームというような機械ではないと私は思うのでありますが、いかがでありますか。
  118. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いろいろ種類がございますけれども、その種類によりまして技術介入性のあるものとないものとがありますが、お手元の資料の中での右の方にありますテレビゲーム機だとかあるいはビンゴ、フリッパー型等は技術介入性が強いものと考えております。それも程度差があることを御了承いただきたいと思います。
  119. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がだんだん切迫しできますので、質問をできるだけ少なくいたしますが、今出していただいた表のビンゴ型、フリッパー型あるいはテレビゲーム機というようなものは技術介入性が強いとおっしゃいますが、これは技術介入性は強いのだけれども、それを使った者同士が金をかけ合って賭博行為というごとになったのでしょうか、それとも経営者がその出た結果によって賞品をがばっと渡すということで賭博行為で挙げられたのでしょうか、どっちに当たるのでしょう。
  120. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 両方ございます。
  121. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 部長さん、時間が足らぬといっても、余り縮めぬでもいいですよ。遠慮せずに、どっちの方が何十%と言えば片方は言わぬでもわかりますから、どっちかを言ってください、パーセンテージぐらいは。
  122. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 両方ございますけれども、どっちかといえば経営者がやるものが多うございます。
  123. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 どちらかといえば経営者のやる分が多いのでありますと言うが、実際は一〇〇%近く経営者じゃありませんか。
  124. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一〇〇%ではございませんけれども、経営者が大部分でございます。
  125. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこですよ。だから、経営者というか管理者というか、営業所の許可を求める人がしっかりしておればいいのであって、その人間がおかしかったら排除することも当局はできる権利があるわけですから、その人に皆さん方の指導が及べばいいのです。その機械をやりながら、お互いに、おい今度は何ぼとったら何ぼ出すのだということをいって、来ておる子供たちがお金をかけ合うとかいうことはほとんど皆無であろうと私は思います。  そうなってきますと、ここの件数でもわかりますように、機種別の押収台数が、五十八年におきましては一万三千二台ありましたけれども、そのうちで九〇%以上を占めておるのがテレビゲーム機でございます。だから、このテレビゲーム機の中でも、例えばトランプをやるとか、あるいは花札をやるとかさいころをやるとかマージャンをやるとか、こういうような賭博性のにおいの非常にぷんぶんとするものは対象に入れられてよろしいと思いますが、それ以外の野球だとかテニスだとか、そういうようなものについて、どれもこれもみんなみそもくそも一緒にして取り込んでしまうというようなやり方は、ちょっと穏当ではないんではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
  126. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃられるとおり、仰せこれが賭博になるかどうかというのは営業者の姿勢によって決まるものでございます。したがいまして、ゲーム機の内容によって決まるというものではないわけでございまして、それがいわゆる賭博的なにおいの非常にいたします先ほど例に挙げられましたようなものだけじゃなくて、一見健全と思われるスポーツ等を題材といたしましたゲーム機でありましても、それをもとに営業者が賭博に使っているという例も多々あるわけでございます。  したがいまして、もしそういうふうに、このゲーム機はいいんだ、このゲーム機は入れるんだということにいたしますと、恐らく脱法を図ろうとする業者は、許可対象にならないゲーム機を入れて、一見スポーツの遊技を楽しむような形をとりながらそれを賭博に利用するということは、まず火を見るよりも明らかではないかという感じがするわけでございまして、ここで今言いましたようにゲーム機の内容でそういうものを分けるということは実情に合わない、現実に挙がっておる賭博の実情にそれは合ってないということが一つございます。今申しましたような形から、どうしても脱法行為を防ぐためには、不心得な業者を防ぐためには、それを対象に入れていかないと本当の法の目的が達せられないということになるのではないかと思います。  特にもう一点お考えいただきたいのは、ゲーム機はソフトウエアをかえますと、これはほかのゲーム内容を幾らでもできるということになるわけでございます。ですからゲーム機を、仮に、こういうゲーム機であるということだけで押さえておきますと、そのゲーム機の内容、ソフトウエアをちょっとかえれば今申しましたような形で賭博に利用する可能性が出てくる、こういうことになるわけでございまして、そこでもってゲームの内容で分けることは脱法行為を助長することになるということで認められないことではないか、かように考えております。
  127. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まだまだたくさんあるのでありますが、発言の機会があと二回残されておりますので、きょうは本会議が一時からある、五十分になったら予鈴が鳴るということでございますので、皆さんの御迷惑も考えまして、本日はこの辺で質問を打ち切らせていただきます。  どうも大変真剣な回答をいただきまして、ありがとうございました。
  128. 大石千八

    大石委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ————◇—————     午後三時十五分開議
  129. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。経塚幸夫君。
  130. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今日、少年の非行問題は極めて重大な段階になっており、だれしも心を痛めておることは私どもも同様でございます。  ただ問題は、どうすれば少年非行を一掃することができるか、その段になりますと、いろいろと方法論において意見の違いもあろうかと思います。私は、青少年の非行一掃のためには、根本的にはやはり青少年健全育成、特に人間尊重の立場からの教育、あるいは文化、スポーツの発展など、こういうことによらなければならないと考えております。しかし同時に、一定取り締まり規制も必要であることは、これは申し上げるまでもございません。ただ、この取り締まり規制は最小限度のものにとどめるべきではないかという見解を持っております。  そういう立場から、以下順次質問に入りたいと思いますが、まず最初に、警察庁の御答弁でも、今回の改正の中心はセックス産業だ、良俗な環境維持のためにはこの問題を解決つけなければならない、そういう立場から改正に取り組んだとの長官の御答弁もございました。これは風俗関連営業ということで包括されておりますが、果たして提出をされておりますこの法案によって実効ある規制が得られるのかどうなのか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。  それで、二条四項でありますが、どういうものが風俗関連営業に入るのか具体に明文化されておりません。これはいずれも政令で定めると説明されておりますが、具体にどんな業種を政令の中で定めようとしておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  131. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 二条四項で定めます業態でございますが、一号では個室付浴場業ということでいわゆるトルコぶろ規制するということでございます。  二号でございますが、「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他」ということで、政令で定めますのはストリップ劇場、のぞき劇場、個室ヌード、こういうものがここに当たると考えられます。  三号でございますが、これは従来から規制をしておりましたモーテル、さらにモーテル類似営業、それからいわゆるラブホテル、レンタルルームというようなものでございます。  四号につきましては、いわゆるビニ本と言われるもの、あるいは大人のおもちゃ、あるいはポルノビデオ、こういうものがこの定義に該当するというように考えられます。  さらに、今のものとほとんど類似の形のものでございますが、五号で、今の四つのものに当てはまらないものといたしましては、現在出ておりますものは個室マッサージとかファッションマッサージ、こういう業態がどうも一号から四号までには当たらないと思われますので、この五号で指定をする。  それ以外に、政令に該当するようなものは現在予想されないところでございます。
  132. 経塚幸夫

    ○経塚委員 風俗営業では、喫茶店、バー等々、固有名詞で法令に明文化されていますね。風俗関連営業はなぜ固有名詞で明文化されないのか。具体に業種を法文で明文化するということは、規制対象を明確にするということと、もう一つは、法文の解釈について拡大の余地を残さない、いわば警察権の行使に当たって不必要な混乱を起こさせないという上からも、これは当然法文に明文化されるべきじゃないかと思うのですが、その点はなぜされなかったわけですか。
  133. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いわゆる風俗営業の方でいろいろ言っておりますものもすべて例示でございまして、いろいろ現実に呼称されているものとは必ずしも一致しないというのは御承知のとおりでございます。  特に、風俗関連営業になりますと大変新規のものが多うございまして、名称のつけ方も極めてまちまちでございます。必ずしも具体的な名前を挙げて内容が一致するというものではないわけでございまして、したがいまして、逆に、具体的な名前を挙げますと、その名前に当てはまらなければ営業に該当しないということで脱法行為にもなりかねない問題もあるわけでございます。むしろそういう意味で、使っておりますいろいろな名前というものにこだわるよりも、具体的にこういうふうな考え方営業、こういうふうなことを内容とする営業というものを法文上明確にした方が適当である、こういうふうに考えられたことに基づくものでございます。
  134. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そういう御答弁ですが、やはりどういう業種を規制するかは法文上明文化すべきだ。その方が極めて具体的でありますし、そして、後で規制対象に加えなければならない業種が生まれた場合には、やはりまたその都度法文で明文化をしていく。風俗営業については、例示的とは言われましたけれども、やはり具体に固有名詞を挙げて法文の中に明文化されておるわけでありますから、当然そういう措置を関連営業についてもとるべきではないか、かように考えております。  次の問題に入りたいと思います。  風俗関連営業規制に当たっては、大体三つぐらいのことが考えられる。一つは構造上の規制、もう一つは地域規制、それから、これは極めて重大な問題でありますが、現にあるもの、営業しておるものをそのまま放置しておくのかどうなのか、この三点だと思います。  そこで、第一の点についてお聞きしたいのですが、これはなぜ構造規制が入っていないのですか。新宿の指導要綱を見ましても、構造面からいわゆるセックス産業規制していくということが、これは場合によっては決め手にもなるというぐらいに言われておるわけですが、これは構造上の規制が入っておりませんね。これはどういう理由ですか。
  135. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗関連営業というものをとらえる場合に、どういうふうにしてとらえていったらいいかという問題に帰着するわけでございますけれども、風俗関連営業というのは、公的に認めでこれの健全化を図るという営業ではどうもない、むしろ厳しい条件のもとに規制を加えて、監視をしながら、違法状態があれば厳正な処分をしていくという形の対応が一番大事である、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、現時点で風俗関連営業を考えてみました場合に、次から次へと新たなものが出てくる、新たな営業がどんどん行われてくる、そうしてある意味では、短期間でもその期間に荒稼ぎをしようというような形になってくるわけでございます。そうだといたしますと、そういうものに対応する形といたしましては、どうしても少年保護の立場からの規定一つ必要になることはもちろんでございますけれども、それに対しまして必要な遵守事項をかけ、そしてそれに違反をすれば厳しく対応していく。また、その営業地帯が問題であれば、地域規制をかけて営業ができないようにする。そういうふうな禁止地域で違反があれば、それに対して廃止命令もかけられるというような形で臨んで、ある意味では、マクロとしましてそういうふうな営業を違法を起こさせないという指導が、まず一番今日対応するのに必要なやり方ではないか、こういうふうに考えております。  したがいまして、構造、設備の規定を入れまして、それで一つ一つを健全に指導していくということがややなじみにくい営業であるということと同時に、今申しましたような、手法というよりも、まず先ほど言いましたようなマクロの形で対応していくということがこういう営業には必要ではなかろうかというふうに考えたからでございます。
  136. 経塚幸夫

    ○経塚委員 次から次と新手を出してくる、だから私は構造規制が必要だと言うのです。  例えば、これは大阪府下の岸和田市の例でありますけれども、ここは市の条例でもって、ラブホテルの建築を全市のほぼ九八%近くにわたって禁止区域とするような規制を出しておる。ところが新手を考え出してきた。それはビジネスホテルという名称でもって建築をし始めた。私も現地に行ってみて驚いたのですが、ホテルの屋上についております広告を見ますと、「ビジネスホテル麗城」とかあるいは「真珠」とか、こう書いてある。ところが夜になりますと、ビジネスホテルのビジネスのところのネオンはつかずに、ホテルだけのネオンがつく。そして入り口は、御承知のようにのれんがひらひら車の入り口についている。何らラブホテルと変わらない。  そこで、岸和田市は何次かにわたって構造上の規制を改善をしてきましたが、本年に入りまして、これはもう抜け道を許さないためにということでもって、条例はラブホテルの建築規制条例でありますが、その内容として、構造規制として二条に、食堂、レストラン、喫茶室、厨房配せん室、これを必ず設ける。それからロビーについては自由に利用できるような構造にする。さらに、駐車場、これは全建築面積の三分の一以内に抑える。それから、これは決定的でありますが、一人部屋の床面積の合計が全客室面積の三分の一以上、つまり、ビジネスホテルという以上は、一人部屋は全客室面積の三分の一以上置かなければならない。さらに、ダブルベッドの部屋は逆に三分の一以下に抑えなさい、こういう規制をやったのですね。これで、いわゆる条例の盲点をついてビジネスホテルと銘打ってラブホテルを開業しようとする道を事実上閉ざす、こういう効果を上げてきているのですね。  これは新宿区の指導要綱の中にもいわゆる構造規制の問題が入っております。警察庁に対しまして新宿区からこの法案に対して意見が出てきておると思いますが、構造規制をどうして入れないのだという意見が出ていると思うのですが、私は、構造規制を野放しにしておいて、そして新手が出てくれば、その都度、いわゆる政令にゆだねるか規則で決めるかはともかくとして対応していく、これじゃ本当に規制の効果が上がらないと思いますが、どうなのですか。
  137. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたようなスタンスで風俗関連営業には臨んでおるわけでございますが、今お話しのラブホテルというような問題になりますと、これはいわゆる旅館業法との兼ね合いが出てまいります。トルコぶろにつきましても、公衆浴場法等がございまして、構造、設備はそれぞれ旅館業法なり公衆浴場法でいろいろ規制するような形になっております。  そういう意味で、こういう厚生省の関係法律と兼ね合いを持ちますものにつきましては、少年立ち入りとか従業とか、そういう青少年健全育成を阻害する行為につきましては私ども当然のことながらやらせていただく。それから、いわゆる風俗環境の問題、そういう問題につきましては、これまた、いわゆる外周でございますが、そういうものにつきましては私どもが担当いたしましょうということでございますけれども、中の構造につきましては、それぞれの法律があるということを踏まえましてそういうふうな仕分けをしたというところでございます。
  138. 経塚幸夫

    ○経塚委員 しかし、今回の改正法の目的趣旨から見れば、構造上の規制は絶対できないということじゃないはずですよ。そして、風俗営業だっていろいろ構造の基準を定めているわけです。別の法律があるから風俗営業関係あるいは関連営業については構造上の問題は手をつけられぬ、こうだと、従来の現行法とも矛盾しますよ。構造の問題に手をつけられないことはないのです。つけようと思えば幾らでもつけられます。問題は、それぞれの縦の旅館業法とか公衆浴場法との関係でどうなるかという問題は調整の余地はあるかもわかりません。しかし、構造規制の問題については風俗営業観点から、あるいは関連営業観点からでもこれはやってやれないことはないはずですよ。その点はどうですか。
  139. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いわゆる風俗営業等につきましては構造、設備を見ておるわけでございますけれども、これは当然のことながら風俗上の観点からチェックをしておるものであるわけでございます。この関連営業の中で今申しました公衆浴場法と旅館業法に関する部分につきましては、現にそれぞれの法律で構造、設備について規定しておるということがございます。そういう意味で、この部分はそれぞれの法律に任せるのが至当であるというふうなことになったところでございます。
  140. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それはおかしいですよ。例えば個室ののぞきにしてもレンタルルームにしても、ノーパン喫茶にしても、今言われておりますように、世間の非難の的になり、新宿の歌舞伎町などで密集しております。しかも今度新たに規制対象として業種に挙げてきたようなところ、これは構造を見れば明らかに売春行為でしょう。売春行為を前提とした構造になっているのでしょう。これは歴然としていますね。皆さん方も視察に行かれたわけでしょう。我々も行ってみた、中へは入りませんでしたけれども。しかし、説明を聞きますと完全に売春行為の設備なのです。構造なのです。これを規制せぬと何を規制するのですか。売春を前提とした建物、構造、設備なのです。  だから、構造規制を外した規制というようなものは、私はさほど実効が期待できない。そこはどうも警察庁考え方と意見がすれ違っておるようですね。  次の問題に入りたいと思いますが、地域規制の問題です。  これは、風俗関連営業についてはどこを禁止区域にするのかは都道府県の条例ということになっておりますが、そうしますと、これは一つの県、A県ならA県全域規制できるのですか。
  141. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この規制は、当然のことながら、善良風俗保持する、あるいは清浄環境を維持する、あるいは青少年の健全な育成を阻害する行為規制する、そういう必要性があって地域規制を行うというものでございます。そういう必要性があるかないかということをそれぞれの地方自治体で判断を願って、そしてそういう必要性があるところから逐次行っていくということが望ましい条例の規定の仕方ではないか、かように考えております。
  142. 経塚幸夫

    ○経塚委員 必要のあるところからと言いますけれども、一度機会がございましたら大阪などへも行かれたらいいと思うのです。このごろ、ラブホテルにしましても都心部の中心には建たないのですよ。山間僻地とまではいきませんが、比較的農村周辺、いわゆる都心部を離れたそういう幹線道路沿いなどに相次いで林立してきているわけです。  今私が例を挙げました岸和田などは、この国道筋一帯はどういう名前で通っておるかといいますと、これはパチンコとホテルがずっと連檐して林立をしておりますから、ラブパチ街というんだそうですよ。だから、従来のようにラブホテルはどこか都心部で飲み屋街があってその周辺にできるという状況とは、もう一変してきているのです。  その都度必要に応じて規制していくといいましても、あっ、建った、それならあの地域を禁止区域にしよう。あそこを禁止区域にしたと思ったら今度はこっちに建った、そこを禁止区域にしよう。これは後追いですよ。  現にトルコぶろ規制だってそうでしょう。大阪は、大阪市内の中で北の新地はほぼ全面規制です。南の新地は一部規制なのですよ。今、南の新地街を中心にして健全な業者などが会をつくりまして、そしていわゆる全域規制をやってもらいたいという陳情、大阪府の条例改正の運動を全町挙げて行っております。私は見に行きましたけれども、なるほどそうだと思いましたね。一つの禁止区域をつくってあとを残しておきますと、そこは建てていいという区域になってきますからそこへ集中するのです。だから、その都度対応策を講じておったのでは手おくれなのですよ。  だから私がお尋ねしましたのは、それじゃ、必要があればということてあれば、大阪府なら大阪府が必要だと認めて全域規制をやれるのですか。
  143. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今先生がお話しのようなことも含め良して、地域規制に当たりましては、当然検討していかなければならないことだと思います。  したがいまして、それぞれの自治体がいろいろな要素を考えてそういうふうにしなければならないというふうな形になるということでございますれば、それはそういう必要な地域について網をかぶせていくということもあり得るだろうと考えております。
  144. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは重要な問題ですので、再度二点お尋ねしますが、AならAの県で全域規制ができる、そう解釈してよろしいか。  それからもう一点は、全域規制をやるかどうかはそれぞれの地方、それぞれの府県で自由に決められる、そう解釈してよろしいですか。
  145. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 必要性を判断して、そういうふうな規制が必要であるという場合には規制をすることは可能だ、こう思います。
  146. 経塚幸夫

    ○経塚委員 その必要性の判断をどこがされるのですか。その必要であるかないかということで今後も論議の余地を残すということになりますと、法令というものは右の端から解釈しようと左の端から解釈しようとそれぞれの解釈があるということになりますと、運用上は余計不明確な問題を残しますよ。これは残しますよ。営業権の問題とも絡んでくるでしょう。いろいろな問題が絡んでくるでしょう。だから私は、法を改正するときには、その解釈というものは極めて具体的に、極めて明確にしておかなければ、後で論議の余地を残すような御答弁では、これは地方も困りますよ。  ですから、私は具体に二つの点をお尋ねしたのですが、もう一回聞いておきます。都道府県が必要と認めれば全域規制はよろしいですか。
  147. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど言いましたように、善良風俗風俗環境の浄化、青少年健全育成を阻害する行為防止するために必要があるという判断をされた場合に、そういう必要性があれば、それぞれの都道府県が判断して行うべきものだと考えております。
  148. 経塚幸夫

    ○経塚委員 なおちょっとあいまいな点を残していると思いますが、次の問題をお尋ねします。  現在営業をしておる風俗関連営業についてのいわゆる規制がございませんね。これは現行法の四条の六には、モーテル営業について、「条例で定める地域においては、営むことができない。」この上に立って四条の六の二項では、現に営業の場所が含まれることとなった場合は、その日から一年間は適用しない、つまり一年後には商売がえをしなさい、こういう現行法規定があるわけですね。  モーテルの場合は現行法でこういう規定がありながら、今度新たに風俗関連営業対象となる業種に対しては、今やっているのはもう現状維持、こういうことになりますね。これじゃ困りますね。今あるものも、一定の期間を限って商売がえをさせるという縛りがかからないと、これは何にもならぬですよ、今あることが問題になっているのですから、これからつくるのも問題であるけれども、今あるのが問題なんですから、これを変更させるような規定がどうして入らなかったのですか。
  149. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 モーテルにそういう規定はあるわけでございますが、モーテルの場合には、ある意味では構造、設備を変更することによりまして、別の形で営業を続けるということができるということも考慮のうちにあったものと思います。そういうことで一年以内ということをしたのだと思いますけれども、やはり営業権の問題が当然のことながらあるわけでございまして、そういうものとの調和を図っていく、しかも今度の風俗関連営業は、そういうふうに構造、設備を変更すれば後営業が継続できるというものばかりでもございません。実際にそういう形で別の営業に移れないという問題もあるわけでございまして、そういう意味営業権の問題が当然出てくることになるわけでございます。  そういうことがございまして、一律に一年で廃止というような形にはしていないわけでございますけれども、今度の場合には、やはり禁止地域内で違法状態があって、非常に悪質な違法状態があるという場合には廃止命令もできるという形の大変厳しい地域規制を織り込んでおるわけでございまして、そういうものの活用によりまして効果を上げていくことができるのではないか、かように考えているわけでございます。
  150. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今の御答弁はどうもおかしいですね。あの新宿ののぞきだとか個室ヌード、それからレンタルルームを見てごらんなさいな。あの直前まではみんな飲み屋とかそういう小さな店ばかりだったのでしょう、ビルの中でもそうですけれども。それが、三転飲み屋があると、真ん中へぼんとああいうのぞきが入ってくる。そうするとまじめな業者が営業できない。  いろいろ聞いてみますと、もう六十、七十になって、そして自分が勤めた水商売をやめて自分で営業し始めた。そうすると、真ん中へぽんと一軒のぞきなどが入ってくると、昼間から客を引きよるので、そういうまじめな良心的な飲食店へ客がもう寄りつかなくなってくる。そうすると、やむを得ず手放す。そうすると、それがまた、言いましたようなセックス産業のえじきにされてしまう。  今、これをやめさせても、そう簡単に商売がえができぬとおっしゃいますけれども、モーテルなどよりは簡単にできますよ。のぞきだとかああいうようなところを見たって、何千万も金を入れて、そんな大々的なデラックスな設備をつくってやっているものじゃないじゃないですか。レンタルなんというものは、部屋を区切って、ぽっとベッド一つ置いてあるだけでしょう。便所の設備も何もあらへんですがな、あなた。それは簡単に構造変更できますよ。商売がえできますよ。モーテルよりは簡単じゃないですか。こういうようなものも、もうでき上がっておるものはしようがありませんというようなことでは、これはあきまへんで。こんな姿勢じゃ効果は上がりまへんで。どうなんです。  これは現状を変更させるという規定を、その期間を何年にするか、モーテルのように一年にするか、あるいは二年にするか、これは二年となれば大変でありますから、もっと短縮するか、それはいろいろ裁量の余地はあるでしょう。しかし、その規定は入れるべきです。
  151. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 改造に軽易な費用でできるかできないかということが実は論点ではないと思うのでございます。現在営業しておる、それに予想しない経費が、金額が多いか少ないかは差はありますでしょうけれども、それがかかるということになります。それは、やはり営業権の問題というのがどうしても出てくるわけでございまして、私どもも先生のおっしゃるように、そういうものがある一定の期間でもうできなくなるということが望ましいことは言うまでもないと思うのでございますけれども、やはり憲法上保障されております営業権の問題、そういうものとの兼ね合いから、いろいろ検討いたしました結果、いかに何でもそこまで持っていくのは難しいという形で、現在のようなものになったということを御了解いただきたいと思います。
  152. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、モーテルはどうなるのですか。モーテルの問題は、またもとに戻ってきますよ。憲法上との関係営業権の問題だとおっしゃるなら、モーテルは何でやったのですか。そういうことになりますよ。その点はどうですか。
  153. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 モーテルの場合には営業を継続できるわけでございまして、その点が公共福祉との兼ね合いで許容される範囲であるというふうに考えられたものだと思います。ところが、今先生がいろいろお話しの点は、営業をやめてしまうということになるわけでございまして、これは大変な違いがそこに生ずるということではなかろうか、こういうふうに理解をいたしております。
  154. 経塚幸夫

    ○経塚委員 営業をやめてしまうから営業の自由を侵害することになる、憲法上の規定にひっかかってくる、こうおっしゃいますが、それはやめるか、別な形で健全な営業に切りかえるか、それは営業者の皆さんが判断をされてやられることであって、しかもこれは、セックス産業だと言われているような幾つかの風俗関連営業の業種として挙げているものの中には、私も先ほど指摘いたしましたが、売春を前提とした営業が多いんじゃないですか。売春をやらなかったら、そんなものは商売にならぬような業種ですよ、はっきり言えば。それが多いんじゃないですか。だから世間の批判を受けているんでしょう。  ただぴゅっと何か衣服をまくって、ぱあっと踊っているのを見るだけだというのだったら、この間もどなたかおっしゃっていましたけれども、ちょっと入っただけで二万円取られたとかいうようなお話もございましたけれども、これはほとんどがいわゆるセックス行為を前提としての営業なんでしょう。しかし、おまえのところはセックス行為を前提としている営業だからといって、ぱちっと売春禁止法でもって取り締まるということになれば、これは現行犯として押さえなければならぬとかいろいろな問題があって、野放しにしておくわけにはいかぬ、一定規制をしなければならぬ、こういうことになってきたのだろうと思うのです。  しかしその規制の仕方は、私が言いましたように、モーテルの前例もあるんだから、これは遡及適用でやれるのではないか。それで営業が成り立たなければその業者はまた別の営業形態を考えればいいわけであって、警察庁のおっしゃることが、例えば今言いましたようなレンタルとか個室ヌードで明らかに売春を前提としたようなものは、継続をさせないということになりますと営業権にかかわる問題になってくるということでの御答弁なら、それはそういう営業を続けさせる配慮を警察庁はしておるということになりますよ。そうなりませんか。
  155. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 個室ヌードであるとかのぞき劇場すべてを売春を前提としてというふうに考えるのは無理があるというふうに考えております。現実にあります形態は、もちろん売春までいくものもありますでしょうけれども、そうでない形態のものがかなりふえておるわけでございまして、私どもは法律違反の売春なり公然わいせつなりという形になるものは厳しく取り締まるということでございますけれども、そこまでに至らない範囲での段階があるわけでございまして、それが一つセックス産業としての成り立ち得る範囲であるわけでございます。したがいまして、その範囲のものの営業をそれなりに保障していくということがやはり憲法上も必要なことである、かように考えておるわけでございます。
  156. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そういうことでは私はどうも規制の実効は疑問を抱かざるを得ませんね。今三点お尋ねをいたしましたが、構造の規制はやれないとおっしゃる。地域規制については、全域規制の問題についてはあくまでも必要な範囲とおっしゃる。それから最後に、現にあるものの状況も変更させられない。そうしますと一体何が残るのか、こうなってくるのですね。規制業種の対象としてはいろいろ風俗関連営業には入れましたけれども、さて規制するという段になりますと、一体何の規制ができるのか疑問を抱かざるを得ません。  次の質問に移りたいと思います。  先ほどもちょっと警察庁答弁でも出てまいりましたが、今市町村の方では、法令の改正を待ってはおれぬということで、いろいろと条例をつくって、みずから地方自治の本旨に基づいて自主的に規制をする、こういう傾向が広がってきております。そこで私がお尋ねをしたいのは、こういう市町村の思い切った規制の条例の内容が、法令との関係でどうなるのかという問題であります。  長崎県飯盛町、ここでは旅館建築の規制に関する条例、つまりラブホテルの建築規制ですね、この条例をつくりましたが、昭和五十五年の九月十九日、長崎地裁においてこの条例は無効の判決を受けております。理由は、旅館業法で条例で定めることができるとしているのは、都道府県の条例でもって学校、児童福祉施設に類する施設を規制場所に加えること、営業施設の構造設備に基準を定めることの二点であると限定していることにかんがみると、同法と同一目的のもとに市町村が条例でもって高次の規制を行うことを許さない趣旨と解される、こういう観点から、この条例が無効だという判決が出たわけですね。  そうしますと、先ほど私、岸和田の例を申し上げましたが、今回の法案との関係でこの条例が一体どういう扱いを受けることになるのか。例えば法案の規制では、二十七条で届け出制になっておりますね。ところが市の条例では第三条で、市長に届け出て確認を受けなければならない。この届け出に基づいて市は審査し、届け出者に通知をする、つまり市長の許可条項ということになっております。一方法案は、届け出だけですね。これが違います。それから禁止区域でありますが、法案では二十八条で児童福祉施設等の二百メートル以内、こうなっておりますが、先ほども例示いたしましたように、岸和田市の場合は、四条でもって全市の九八%を禁止区域に指定をしておる。さらに、言いましたように構造上の規制も含まれておる。  全国二百近く条例があるわけで、当然今回の法案をつくられるに当たっては、警察庁としてはもちろん全国の二百の条例は子細に検討されておることと思いますが、この条例は無効になる心配はございませんか。
  157. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今先生お話しの岸和田の条例につきましては、必ずしもつまびらかでございませんのではっきり申し上げることはできませんけれども、一般論で申しますならば、特に風俗関連営業につきまして市町村条例で同様の観点に立って規制をしていくということになれば、これは法律が先占をしているという形で、そういう条例はつくれないというふうに解釈できるわけでございますけれども、今大部分の市町村でつくっておりますラブホテル条例というようなものは、建築規制の条例が多いわけでございます。そういう形になりますと、これは風営法で考えておりますものと違ってまいりますので、それはそのまま存続されるということになろうかと思います。  その規定一つ一つ分析いたしませんと必ずしも明確なお答えはできないわけでございますけれども、要するに、目的が違うというような形になりますと法律との兼ね合いは出てまいりませんけれども、全く同じ目的で同じ対象をとらえて規定をしていくということになりますと、法律との兼ね合いが出まして、その限りにおいて条例はつくれないというようになろうかと思います。
  158. 経塚幸夫

    ○経塚委員 同じく大阪府の狭山町のパチンコ遊技場の規制条例は御検討になりましたか。
  159. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 検討いたしておりません。
  160. 経塚幸夫

    ○経塚委員 検討しておらないということですが、それは一体どういうことなんでしょうね。今最も実効ある規制は、住民と身近な関係にある市町村が、みずから地方自治の本旨に基づいていろいろな規制をやって、しかもこれは住民のたび重なる要請、陳情あるいは町会ぐるみの運動だとか、こういうものを背景としてこういう条例がつくられていっているのですよ。長崎県のような条例が無効の判決を受けたという例がなければよろしいです。これは警察庁も早くから御存じのとおりなんです。  一方で市町村を中心にしてそういう自主的な運動と条例化が広まってきておりますし、一方では裁判所で無効の判決を受けている。そうすると、今度風俗営業法律改正するに当たっては、そういう条例とこの法案とが一体どういう関係になるのかということは、これは私は当然検討された上に立って今回の法案がつくられるべきであったと思うのです。検討されておらないというのはちょっとずさんだと思いますね。  といいますのは、今いみじくも警察庁の方で御答弁になりましたが、同一目的、同一趣旨でなければよろしい、こういうことですが、今度法案の中には目的が加えられましたね。この目的は、「善良風俗清浄風俗環境保持し、及び少年の健全な育成障害を及ぼす行為防止するため」、営業時間と営業区域云々、これは目的が明確にされたのです。これは今までなかったわけでしょう。ほとんど全国の条例の中にはそれぞれ条例設置の目的が明記されております。岸和田市の目的を読んでみましょう。良好な風俗のじゆん化及び健全な環境の保全を図るため」、こうなっているのです。目的趣旨から見ますと、風営法案の目的と条例の目的趣旨は一致してくるのです。みんなそうなんです。条例設置の目的がそういうことなんですから。良好な風俗を保全する、それに有害なものは規制をしていく、こういうことになっているのです。  今の警察庁答弁から判断をいたしますと、風俗営業法の中に目的が明文化されておらない段階では、市町村の条例でもって目的を明確にした場合でもそれは同一目的とは解されませんから、法文上は明文化されておりませんから条例の無効にはならない。しかし、既に条例で目的が明確にされていて、後からとはいえ今度は風俗営業法の中にこういう目的が明文化されてきて、しかもそれが条例と一致する。こうなりますと、仮に、業者が市町村の条例によって建てようと思ったけれども建てられない、そうすると、この長崎県の条例無効の例を引き合いに出して、市町村の条例の目的と成立をさせた風俗営業法目的と一致しているじゃないか、にもかかわらず規制法律をはるかに上回る厳しいものじゃないか、私がセックス産業の業者であれば、そういう立場からこれは問題にしようと思ったらできますよ。  長崎県の判例でははっきりと同一目的、同一趣旨だからいかぬ、こうなっているのです。警察庁も今そう御答弁された。今まではひっかからなかったものが、今度の法案の中で目的が明文化されたために市町村の条例が大変なことになる危険がある。その点はいかがですか。
  161. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今度の改正法案では目的をはっきり書きましたけれども、これは従来からあります現行法目的を明文化したにすぎないわけでございます。したがいまして、条例と風営法との兼ね合いを判断する場合には、目的が書いてあるかないかということだけで判断をされるものではないわけでございまして、現行法との兼ね合いを判断される場合には、当然現行法目的は何であるか、条例はその限りにおいてどういう関係に立つかということが検討されて初めて決まるものでございます。  したがいまして、今度新しく目的を書いたから問題になる、従来は書いてないから問題にならないということは全くないと思います。しかも、今度の目的というのは従来ありますものを明確にしたものでございまして、従来のものと全く変わるものではないということでございますので、その点は先生のお話とは違うのではなかろうか、こういうふうに思います。
  162. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これも一つの例でありますが、昭和四十三年十月二十六日、経済企画庁国民生活局長あてに内閣法制局第一部長が回答している。これは水質基準の問題についてであります。「水質基準において規制対象とされていない一定量未満の水に関し、条例で必要な規制を定めること(横出し規制)、および条例で必要な規制を定めることができる場合において、水質基準よりきびしい規制を定めること(上乗せ規制)はできない」、横出しもだめだ、上乗せもだめだ、こういう公式見解が出ておるわけです。  警察庁が今御答弁になりましたけれども、これは法廷で争われるということになりますと、争いの余地を残すのじゃないですか。現行法と言いますけれども、現行法よりもはるかに目的が明文化されているのですよ。従来の法令では目的が十分明文化されておらないという状況もありましたから、市町村の条例の中ではそれぞれ目的を明文化してきたのですよ。そうすると市町村の目的趣旨にダブッてきたわけですよ。だから、従来のように旅館業法あるいは興行場法あるいは浴場業法などを盾にとって条例が規制を上乗せする——横出しをするという場合はこれは別でありますけれども、今回は風俗営業の中へこの目的が明文化されてきたために条例とダブる、そういう危惧が出てきておるわけなんですね。  警察庁は、同一目的、同一趣旨の場合はひっかかるが、この案の目的と条例の目的とはそういう関係にはないとおっしゃいますけれども、しかし活字に出ておる範囲はダブってくるのじゃないですか。どうなんです、その点は。確約できますか。それは絶対に無効にならないという保証はあるのですか。
  163. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 それぞれの条例を検討しませんと何とも申し上げることができないわけでございますけれども、目的、そういうもの、それからまた、どういうふうなものを規制しようとしているのか、そういうものの手法、そういうものとの兼ね合いで判断をされるということになるわけでございまして、先ほどお話のありました条例は私も今手元にございませんけれども、一般に、先ほどから申しておりますように建築規制の条例が多いわけでございます。そういう条例は風俗営業法とはダブらないということでお答えを申し上げておるところでございます。
  164. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは一般的に皆建築規制になっていないのですよ。上にパチンコとかラブホテルとかそういう固有名詞が入っているのです。ただの建築規制じゃないのですよ。だからなおさら問題になってくるわけですよ。  それで私、これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、同一目的、同一趣旨になるから市町村の条例は無効の疑いがあるとかどうとかという論では、訴訟になった場合はやはり争いの余地が残ると思うのですね。同一目的、同一趣旨であればその条例は無効であるという見解もあれば、同一趣旨、同一目的であってもそれは無効にはならないという見解もあるわけなんです。  この無効にならないという見解の論拠は何かといえば地方自治法なんですね。地方自治法二条三項七号には「風俗又は清潔を汚す行為の制限その他の環境の整備保全、保健衛生及び風俗のじゆん化に関する事項を処理する」、こうなっているのですね。だから、明らかにこの風俗営業の中で明示された目的と完全に一致する事務が、また地方自治法上は地方自治体固有の事務として明記されておるわけなんですね。さらに、二条三項十八号では、同じように地域とか建築について制限を設けることもできる、こういう規定もあるわけですね。  したがいまして、私は、法律と同一目的、同一趣旨であるから条例が無効であるかどうかという論よりも、もっと明確なのは、今申し上げましたように地方自治法に基づいて良俗な風俗環境を維持することも、あるいは建築上も地域規制をやれることも市町村の事務じゃないか、この論点に立って、市町村のつくられる条例については決して無効ではないというふうに解決すべきだと考えるのですが、これは大臣いかがでしょうか。
  165. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先にちょっとお答えをさせていただきますけれども、条例と申しますのは、法律の範囲内でつくるということが憲法上も明らかにされておりますし、地方自治法におきましても、第十四条は「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定しておるわけでございます。したがいまして、法律が何をねらっておるか、法律はどこまで規制しようとしているかということを踏まえた上で、条例をその範囲でつくっていただくということになるわけでございまして、それが条例をどう解釈するかという判断基準になるものと考えております。
  166. 田川誠一

    田川国務大臣 保安部長の申したとおりでございます。
  167. 経塚幸夫

    ○経塚委員 法律といえば、地方自治法も法律ですよ。地方自治法は法律でないかのように受け取られる御答弁ですが、地方自治法も法律なんです。だから、これは法律の範囲内でやれるのです。大臣はそれは部長のおっしゃるとおりだとおっしゃいますけれども、これは極めて重大な問題なんです。あの長崎の判決がなければよろしいよ。市町村が一様に懸念しているのはここなんです。これがもし無効だということになれば、それじゃこの法案で十分なのかどうなのかという問題が出てくるのです。それで私はくどいほどお尋ねをしているのです。  それからもう一点、これは合法的だということにさせる法の制定は決して不可能ではない。それは、規制地域の指定については市町村の条例で定める。都道府県の条例問題が入っておりますけれども、これは市町村の条例でもっても禁止区域の指定ができる、条例で定めることができる、これ一項入れば問題はないです。これについては、都道府県でつくる条例と市町村でつくる条例と法的には問題はない。地域規制ということに限定をしていくならば、これは問題がない。  もちろん、風俗関連にとどまらず風俗営業についてもそうでありますが、市町村の自主性をもっと明確にすべきだと思うのです。なぜかといえば、住民の意見を正しく反映させることなくして、社会的な手段方法によらなくして、規制の十分な効果を上げることはできませんよ。この住民の正しい世論の反映と住民の正しい意見の上に立脚するならば、市町村は自治法に基づいてかなり思い切ったことができるのです、そういう法令、制度になっているのですから。だから、この法案の中へ少なくとも地域規制については市町村条例で制定することができるという一項目を入れるべきだと私は思うのです。そうすれば争いの余地は残りませんよ。どうですか。
  168. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風営法に関する業務は警察の業務でございますから、一線で受ける場合には都道府県警察の業務になるわけでございます。そういう業務に関します条例は都道府県条例で定めるということになるわけでございまして、こういう業務を市町村の条例に任せるということは不可能かと感じております。
  169. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは不可能ではないのです。それはやれるのです。警察庁がやろうとしないからだけのことなんです。  風俗関連営業につきましては、最初に申し上げましたように、私は三つの点をただしてまいりましたが、実効ある規制は、先ほど言いましたように、市町村を中心に、住民の世論と運動を背景にして、地方自治法に基づいて、その上に都道府県の条例、そして法令の運用という形が最も望ましい効果があると考えております。  次に、ゲームセンターの問題についてお尋ねいたします。これは午前中もいろいろ質疑答弁がされておりましたが、聞いておりましてどうも合点がいきません。  一つは、どういう機種が入るかということでありますが、これは単刀直入にお尋ねいたしましょう。テレビゲーム機の中で、野球などスポーツに関係するもの、宇宙もの、将棋、オセロ、こういうようなものは皆風俗営業対象の機種になるのですか。
  170. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 テレビゲーム機と申しますのは、ブラウン管を介する遊技機であるわけでございますが、そういうような遊技結果が定量的にあらわれるか、または勝敗が決するものをテレビゲーム機の中で考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。これは賭博に用いられる可能性があるということで、今回テレビゲーム機規定の上でも例示されておるというものでございます。  したがいまして、野球ゲームというものにもいろいろあるのかもしれませんけれども、先ほど言いましたように、その結果が定量的にあらわれる、あるいは勝敗がつくというものであれば、それはゲームセンターの許可の対象になる、そういう対象の機種になるということでございます。
  171. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ポーカーマシン機はどうなるのですか。
  172. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ポーカーゲーム機と申しますのは、これまたいろいろあるのだろうと思うのでありますけれども、一つは、世上非常に問題になりましたのは、ポーカーゲーム機で現金を入れて現金が出てくる、こういうような本来賭博行為そのものになるような機械があるわけでございます。これはもうだれが見ても賭博でございますから、そういう機械を許可対象に置くことは絶対に許されるものではないということで、そういうものは認めないという形でいくことになるわけでございます。  もしポーカーゲーム機がそうでない、ただポーカーを楽しむための、遊技のためだけのものであるということであれば、これは許可対象に入ってくるということでございます。
  173. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がどうしてもわからないのは、ポーカーでただ遊技を楽しむだけのもの——テレビゲーム機であれ何であれ、遊技の結果が表示され勝負が明らかとなるものは対象なんだとおっしゃいますけれども、ほとんどのゲーム機遊技の結果が表示され勝負が明らかになるというようなことになってくるのじゃないですか。  それで、例えばポーカーゲーム機というのは、これはテレビゲーム機などと違って、むしろどっちかといえば明確に賭博性の強いものなんでしょう。だから、そういう賭博性の強いものも、あるいは子供の反射神経などに大変役立つとかいって社会的にも認められ、子供の中でも一つの遊具として定着してきているようなテレビゲーム機も、何もかも、みそもくそも一緒にして、そしてこれを対象にするということになってきますと、こういう矛盾が出てきはしませんか。  例えば、そうした子供の中で定着し、二足程度容認されておって、そして子供の知能の健全育成にも役立つというようなテレビゲーム機もあるわけであります。こういうものも、賭博性が強くて賭博にいつでも直ちに転換できるというポーカーゲーム機も、これは申請して許可を受ければ同じように営業できる、そういう矛盾が出てきはしませんか、どうなんでしょうか。
  174. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ポーカーゲーム機にもまたいろいろなものがあるのかもしれませんけれども、世上行われておりますゲーム機は、大体テレビゲーム機になっておるわけでございます。そういうことで、テレビゲーム機というのは、競技のものもあれば、そういうふうなポーカー的な遊びに使うものもある、大変幅の広いゲーム機として使われておるというものでございます。
  175. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは福岡県の例でありますが、福岡県では、業界と警察とそれから教育委員会と協議をしまして、健全娯楽業協会というものをつくって自主規制に乗り出しております。これは業界の約八割を組織しておるようでございますが、この自主規制の中で、ポーカーマシンなど賭博性の強いものは使わない、入れない、これを明確にしておるわけですね。そして、小中学生については営業所への出入りは日没まで、こういう自主規制もやっております。  そのほか幾つかの規制の内容がありますけれども、目的としては「常に清潔で明るい店づくりに努力して安心して楽しく遊べる環境を維持し青少年の健全な育成に寄与する為」、こういうことで自主規制の基準をつくって、これはお互いに厳格に守っておる。これを破る者があればこの協会から自発的にお互いに警察へ通報する、こういうことまで申し合わせてやっておるようであります。  この自主規制の基準から見ますと、今回の法案の方がぬるいんですね。ポーカーゲーム機の場合でも健全なものもあるかもわからないという部長の御答弁で、それは申請をすれば許可をする。この協会では、これはもう入れない、こうなっていますね。これは簡単に賭博性に通ずるという危険があるからでしょう。それから小中学生も、法案によりますと十時まで出入りできることになりますが、自主規制では日没までとなっているんですね。そのほか、広告についても規制をする、あるいはたばこを吸うというようなことについては営業所内では許さないというようなこともやっているんですね。  これは午前中の警察庁の御答弁でも、その機械も使いよう、賭博に使われるということになるかそうでないかという分かれ道は、部長は業者次第だとおっしゃった。それはそのとおりでしょう。このごろは、賭博性というけれども、何でも賭博になるんですよ。車が来よる、ナンバーを当ててもこれは賭博になるんですから。花札やトランプはもちろんのことであります。業者次第とおっしゃいましたが、業者がどういう姿勢なのかということが中心であるならば、業者の自主規制、これが最も実効ある規制の方法だろうと思うのですよ。  それですから、この福岡県の例のように、警察署単位にこういう業者の自主規制の組織をつくって、そして警察が援助しながら、業者が自発的に警察、教育委員会、こういうものと連携をとりながら良俗な風俗環境を維持する、そういうために積極的にやるということが善良な業者を育成する、そして業者の力を得てたちの悪い業者を警察も一緒になって摘発をしていくということが最も実効ある方法だと思うのですよ。どうなんでしょうね。
  176. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ゲーム関係の自主規制というものがいろいろ行われておるということは私ども知っておりますけれども、このゲーム関係の業者は現在の段階では非常にばらばらでございまして、現実には自主規制の実効が上がっていないというふうに私どもは考えておるところでございます。しかし、自主規制をいろいろ努力をしていただくということは大変ありがたいことでございますから、そういう面で、私どももその点は評価しておるわけでございますけれども、ただ、自主規制に任じておいて実際にそういうふうな各種の遵法的なことが期待できるかということになりますと、現時点では無理であるというふうに判断をしておるところでございます。
  177. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現時点では無理だという判断の最大の理由は何なんですか。
  178. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いろいろ業界の中にも、協会も幾つかあるようでございますけれども、それぞれ加入率が大変低うございまして、アウトサイダーが非常に多い。そういうふうな業界が非常に熱心にそれぞれの団体でやっておられることは承知しておりますけれども、何せ多くのアウトサイダーを抱えて、そういうアウトサイダーの人たちがそういう自主規制には従わないという形でもって動いておるというのが実態でございまして、そういう現状にある限りにおいては、自主規制だけで期待をしていくということは無理であるというふうに考えております。
  179. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それじゃ加入率が高くなればいいのですか。
  180. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 加入率が高くなっても、その中で業界の指導力なり統制力というものが強まらなければ、これはまた自主規制という効果は上がらないと思います。そういうふうに業界の中で自主規制というものが行われ、しかもそれが実際にきちっと担保されるということになってまいりますと、それは自主規制というものが期待ができるということでございますから、したがいまして、単に加入率が高くなるというだけではすぐに自主規制が効果を上げるというふうに判断するのは早計ではないか、こういうふうに思います。
  181. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大阪などでも一部の警察から始まっておりますが、警察署単位に業者のいわゆる自主規制の組織をつくる、これは恐らく全国的にそういう傾向をたどっていっているんだろうと思います。これは幾ら警察が取り締まる取り締まると言いましても、私何回も言っておりますように、業者の協力がなければ、警察の手だけでは取り締まれやしませんよ。今までだって手を焼いてきたんだと思いますよ。ゲーム機のあのいわゆる汚職事件なんかも出ておりましたけれども、手を焼いてきたんだろうと思うのです。  だから、私はこの際思い切って自主規制に基本を移すべきだと思うのです。そして、けしからぬ者は、これは現在の刑法で取り締まれるんじゃないですか。現に、ゲーム機の問題はどんどんやったわけでありますから。だから、むしろこの現在の刑法を発動して、たちの悪いのはどんどん取り締まる。そして一方では業者の自主規制を育てる。そして福岡の業者のように、同じ仲間でけしからぬことをやっておる者があれば、これはむしろ自主規制に妨害をかけて自主規制の権威を損なうものだからというようなことで、業者仲間からどんどん通報してもらったらいいんじゃないですか。  今回のこの規制については一体どうなるんだろう。例えば、私も実態調査いたしましたけれども、喫茶店の中でゲーム機を置いている。ところが、後で質問もいたしますが、警察官が入ってきて、そして、ゲーム機を置いている以上風俗営業対象になりますから、ちょっと見せてくれ、あるいはどういう状況なんだというようなことで、いわば臨検に入る。これはきょうび喫茶店に置いているのはたくさんありますから、そしてホテル、旅館などのようにオープンの場所においてはこれは別だけれども、喫茶店のように閉鎖されたところでは風営の対象になるというわけでありますから、そうしますと、喫茶店の店主は、こんな厄介なことになるんだったらもう機械を引き揚げてもらおう。  最近はゲーム機のリース業者が多いそうでありますが、リース業者も大変な打撃を受けるというようなことになる。警官が喫茶店に入ってこられたら、喫茶店はたまったものじゃありませんからね。あるいは、本当に片手間程度に客に楽しんでいただこうというようなことで置いている業者もたくさんあるだろうと思うのですよ。ゲーム機専門で、しかも賭博性が強いものでやっているのは、これはやはりかなり特定な部類になるだろうとは思うのですけれども、自主規制を育てながら、一方では現刑法を適用して、しかも業者の協力を得ながら進めるという方がはるかに効果があるのじゃないですか。どうなんでしょうね。
  182. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 自主規制、確かに必要なことだと思います。ただ、先ほどから申しましたような状況がございまして、自主規制だけに期待をして持っていくことが現状では不可能な状況にあるということを申し上げておるわけでございます。やはりその取り締まり——なるほど、刑法を適用して取り締まるということは現にやっておるわけでございますけれども、やはりそういうふうな違法状態を犯させないという仕組みをつくっていくことも大変大事なことであろうというふうに考えておるわけでございます。  そういうことで、やはり人的な欠格事由も見ていく、必要な遵守事項も定めていくというような形で遵法をしていただく。傍ら、そういう形でもって自主規制も促進していくということによって、業界が全体として健全化が図られていくことになるのではないかと考えております。
  183. 経塚幸夫

    ○経塚委員 違法な状態をつくらせないということであるならば、むしろ賭博性の強い機械の製造メーカーについての規制を考えるべきだと私は思うのです。パチンコの機械だって同じことだと思うのですよ。パチンコの機械につきましても、いわゆる認定、検定という制度は今回提案をされておりますけれども、製造メーカーに対する規制が、これはゲーム機の場合もそれからパチンコ機の場合も、賭博性の特に強いものについてはその生まれてくるところでやるというものがこれは何も入っておらぬわけですが、これはできないということなんですか。
  184. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほども申しましたように、ゲーム機自体は、健全に使用されれば大部分のものは健全であるわけでございまして、機械そのものは別に問題がないのがほとんどでございます。しかし、それに対して、それを利用する営業者が大変問題があるということでございまして、我々がこの風俗営業規制をしていくべきものは、そういう営業者、しかもそういう賭博が行われやすい機種を使っての営業、そういう形で規制していくことが一番効果があるというふうに考えておるものでございます。
  185. 経塚幸夫

    ○経塚委員 パチンコの超特電機についてはどうなんですか。
  186. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 パチンコにつきましては、これは要するに賞品なりあるいは現金——現金はございません。賞品が出るということで、そういうふうなパチンコ射幸心をそそるおそれのあるということがありますので、結局、そういうふうな形で十分機械を見ていく必要があるということになるわけでございます。  そこで、今お話しの機械につきましては、射幸心をそそるおそれということにならないように、技術性というものと偶然性というものの調和を図る形でもってその点をよく見ていく、そういう必要があるわけでございますけれども、ゲーム機につきましては、今申しましたように、これは賞品がつくわけではないわけでございまして、そういうことでパチンコとは性格が異なる、規制の内容も異なるということになろうかと思います。
  187. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねしておりますのは、製造メーカーに対する規制パチンコの場合も、超特電機についても入っておらぬ、これは規制ができないのかということをお尋ねしたのです。これは製造メーカーに対する規制をやらないと、でき上がってきた機械を認知するかしないかというような認定、検定の範囲では実効が上がらぬでしょう。  あの超特電機、フィーバー機の規制を三回やっているのでしょう。一番最初が八一年の六月でしょう。二回目が八三年の二月でしょう。それから今回、六月一日から規制をやったわけでしょう。警察庁は三回も同じようなことをやっているのではないですか。全然効果が上がっておらぬじゃないですか。店に出回っている機械にいろいろ手を入れて封印を張ったりなんか少々したって、製造メーカーがダミーをつくって機械を簡単にいらいよるわけでしょう。だから何ぼ通達をしても実効が上がらない。とうとうこれは三回目です。  三回も通達を出して規制をやって、そして、ぬれ手にアワの大もうけで笑いがとまらぬというのが出てきている。この間も質問がございましたように、これは製造メーカーなんですが、年商五百億、所得が二七%、百数十億。何でこんなにもうかるのか。売った機械、これが警察庁から規制の通達が出る。構造を変えなければならぬ。機械をかえなくてよろしい、二部構造を変えればよろしい。これが何と五万円から六万円お金がかかっておる。大阪の例だけをとってみましても、二回機械の一部を入れかえて、一台当たり最低十万円、多いところは十三万円、十四万円かかっておる。大阪だけでもパチンコ機二十万台のうちフィーバーの機械が約七万台近くある。一回のいわゆる構造変更、規制の通達が出てくれば、これでもってたちまち二十億、三十億もうかるのですよ。  だから業者の間では、これはおかしいじゃないか、製造メーカーを野放しにしておいて何の規制だ、警察の方は製造メーカーと何か関係があるのじゃないかというようなうわさまで出てきているのですね。このことについて、全国遊技業協同組合連合会関東地協の水野専務理事、これは元警察官ですが、業界紙でこう言っているのです。「行政側にも五十六年に間違ってフィーバー機を許可したことで業界内部に法軽視の風潮を与えた責任は否めない」。元警察幹部ですよ。これは遊技界に天下ったのかどうか知りませんけれども、関東地協の専務理事をやっているのですね。これが業界紙にこういう談話を発表しておるのです。  ですから、こういう、業界の中から製造メーカーの規制が何でできないのだといって疑惑が出てくるようなことではどうもぐあいが悪いと思うのですよ。今回の法案の中にも当然製造メーカーの、いわゆる製造段階での規制というものが入ってきてしかるべきだと思うのですが、その点、どうでしょう。
  188. 古山剛

    ○古山説明員 パチンコ遊技機につきましては、テレビゲーム機等と違いまして、第七号の営業で、現在でも改正法の中でも、賞品を提供するということを前提としたものでございます。したがいまして、現在でもその遊技機が著しく射幸心をそそることとならないようにいろいろと規制をいたしておるわけでございますけれども、現在、各県の条例で、それぞれの公安委員会がその遊技機が適切であるかどうかを判断するということでやっておるわけでございます。私どもといたしましても、その認定の基準ができるだけ全国斉一になるように指導はいたしておりますけれども、やはりある程度まちまちという、そういう点もあるわけでございます。  そこで、今回の改正法案におきましては、二十条の中で、国家公安委員会規則で遊技機の認定について必要な技術上の規格を定めることができるということにいたしまして、そしてまた、その技術上の規格に適合しているかどうかにつきまして指定試験機関で検査をするという規定も入れておりまして、メーカーそのものにつきまして規制をするということは、この風営法性格上できないことであるわけでありますけれども、事実上、そういうことが担保されるようにいろいろとそういう規定を盛り込んでいるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  189. 経塚幸夫

    ○経塚委員 製造メーカーに対する規制がやりにくい、こういうことですが、これは遊技機についでいわゆる賭博汚職が問題になったときの新聞の記事でございますが、「遊技機「パチスロ」メーカー組合に警察幹部が大量天下り 本部長クラスずらり六人」、こういう記事が出ておりました。これは当然警察庁の方でもお調べになったこととは思いますが、パチスロ組合日電協、理事長が吉武氏、元高知県警本部長、警視庁防犯部長、専務理事柿内氏、元山形県警本部長警察大学交通教養部長、事務局長田所氏、元関東管区警察局外事課長、技術部長石川氏、元四国管区警察局通信部長、大阪事務所長宮川氏、元近畿管区警察局通信庶務課長、問題になりましたあの賭博性の強いパチスロの製造メーカーの団体に、今申し上げましたようにずらりと元警察幹部が役職に名を連ねておるのですね。  さらに、そればかりじゃありません。大阪府警に常習賭博容疑で逮捕されたメーカーの社長がこの組合の理事を務めておるとか、組合員の会社の役員の中に、大阪府警が山口組系の暴力団員としてリストアップした人物も含まれておるとかということですね。そして、組合員の中には、「パチスロは警察公認だし、われわれの組織には警察幹部が天下っているので、摘発の心配はない。」こう言って機械を売り込んでおるケースも見られると言われておるのですね。先ほどのパチンコ製造メーカーの中にも、元警察幹部が某支店の顧問、相談役をやっておるとかいうような例もうわさに上っております。こういう状況だと、どうして製造メーカーにメスを入れないのか、こういう疑惑はだれしも持ちますよ。持つなというのが不思議だと思うのです。  それで、できないとおっしゃいますけれども、これは警察庁は通達を出しておるのでしょう。「メーカー、販売業者に対し、射幸心をそそるおそれのある遊技機の製造あるいは違法機種に改造しないよう指導警告する」、五十八年二月二十五日、現にやっておるじゃないですか。これは体面上だけこういう申し伝えをしたということになるのですか。先ほど申し上げました記事が事実であるのかどうなのかということをあわせでお答えをいただきたいと思います。
  190. 古山剛

    ○古山説明員 パチスロの機械につきましても、これもパチンコと同様でございまして、第七号営業景品提供を前提とした遊技機でございますので、著しく射幸心をそそるおそれのないようにかねがね指導いたしているところでございます。  ところで、メーカーに対して直接規制云々ということでございますけれども、これは風営法の建前上できないわけでございますけれども、ただ、私ども風営法に基づきまして個々の遊技営業者に対していろいろ指導するわけでございますけれども、その中で、仮に、勝手に機械を、認めないといいますか、公安委員会で承認できないような著しく射幸心をそそるおそれのあるようなものに改造して営業を営んだというような者につきましては、風営法に基づきましていろいろと取り締まりをするということになるわけでございますけれども、ホール独自でやる技術がございませんので、メーカーの技術者がそれに手伝ってやるというようなこともあり得るわけでございまして、そういう場合には、それに対して共犯としていろいろと違反に問われることもありますよということで警告することもあるということでございます。
  191. 経塚幸夫

    ○経塚委員 もう一つ答弁は……。
  192. 古山剛

    ○古山説明員 当時の新聞記事がどういう中身であったか、ちょっと詳細に記憶いたしておりませんので、事実かどうかについてはちょっとお返事をいたしかねます。
  193. 経塚幸夫

    ○経塚委員 新聞の記事を見ておらないということであれば、これは見て調査をしていただきたいということを申し添えておきます。  先ほど申し上げましたように、これは製造メーカーの規制もあわせてやらないと効果が上がりませんよ。そして、通達の中では警察は現にそういうこともやっておるわけですから、今回の規制にそれがなぜ入れられなかったのか、私はちょっと疑問に思っておるものの一人でございます。  次の質問に入ります。  深夜における飲食店営業規制の問題であります。これは一般的に深夜営業を認めるということにした一番大きな理由は何ですか。
  194. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 酒類を提供する飲食店につきまして深夜営業を認めたということでございますけれども、これは最近の国民生活、生活様式というものが非常に多様化しておる、それからまた国民の生活時間帯が大変大きく変化をしてきておるということがございます。そういうことに対応するために、深夜において静かに酒を飲むということについては制限をしないことが実態に即するのではないかということで、これにつきまして深夜営業を認めたというところでございます。
  195. 経塚幸夫

    ○経塚委員 三十三条四項、地域を定めて、禁止、こうなっておりますが、どういう地域を禁止地域にしようと考えておられるわけですか。
  196. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 三十三条四項で考えております、この「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて」ということでございますけれども、これはいわゆる静穏な環境というものを特に保つ必要があるであろう、酒を深夜に飲むということになりますと、やはり一つの酒を飲むという雰囲気が出てくるわけでございまして、そういうふうなものがそのそれぞれの地域において、やはり許容しがたいという地域が出てくると思います。そういう地域は、主として住居地域等につきましてそういう必要性が出てくるのではないかということでございまして、そういう地域について「禁止することができる。」というふうに定めたいと考えております。
  197. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これも論議になったところでございますが、「客に遊興をさせない」という「遊興」の解釈でありますが、これはどういうふうに解釈をしていいのでしょう。昭和四十六年三月十日の大阪高裁判決を一応基準とされるわけですか。
  198. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生の御指摘のお話は接待のお話ではないかと思いますけれども……(経塚委員「遊興させないこととなっているでしょう、深夜業」と呼ぶ)今度の法律では、「深夜において客に遊興をさせないこと。」ということで、深夜飲食店の遵守事項に入れておるわけでございます。  この「遊興」という意味でございますけれども、遊興というのは普通遊び興ずるという読んで字のごとくになるわけでございますが、ここでは実は「客に遊興をさせないこと。」と言っておるわけでございます。したがいまして、営業者の積極的な行為というものが必要になるということでございまして、「客に遊興をさせないこと。」というのは営業者が客を遊び興しさせることを規制しようということになるわけでございます。  その客に遊興をさせるというのは何かということになるわけですが、現在各県の風営法の施行条例におきまして、深夜飲食店の営業者について、「営業所でダンス、ショウ、楽器による演奏、競技その他興行の類をせず、または客にこれらの行為をさせないこと。」という遵守事項がございますが、大体こういうものが当たると考えております。もう一回繰り返して申しますと、接待行為までは至らないけれども、生バンドの演奏を客に聞かせたりあるいは客にショーやダンスを見せたり、あるいは客のためにのど自慢大会を催したり、舞台を設けて客に歌うことを勧奨したりする、そういうふうな営業者の積極的な行為、これが客に遊興をさせるというふうに解釈をいたしております
  199. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、接待行為に至らない行為も「遊興」ということの中に入るということなのですね。そうしますと、この接待行為の解釈よりもまだきつい、こうなるのですね。接待行為はもちろん入るわけでしょう。そこはどうなのです。「接待」と「遊興」ということとの違いは一体どこにあるのですか、同じ点はどこが同じなのですか。
  200. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは深夜飲食店の規制でございまして、深夜飲食店というのは接待行為をしてはいけないという営業であるわけでございます。したがいまして、接待行為でない今申しました遊興という行為を深夜においてはしてはいけない、こういうことを法律規定したものでございます。
  201. 経塚幸夫

    ○経塚委員 カラオケはどうなるのですか。
  202. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 カラオケでございますけれども、客がありますカラオケを自分で使うということになりますと、「遊興する」ということには当たりますけれども、ここで言う「遊興をさせる」という行為には当たらないということでございます。しかしながら、営業者が積極的にカラオケを準備をして舞台装置をして使わせるというような形になりますと、これは「遊興」に当たると考えております。
  203. 経塚幸夫

    ○経塚委員 舞台装置がなくて、スタンドの横にカラオケを置いておいて客に歌わせる、それはどうなのですか。
  204. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 営業者の積極的な行為のあるものは「遊興をさせる」ということに当たると考えております。
  205. 経塚幸夫

    ○経塚委員 その積極的と積極的でない境目はどうなるのですか、具体的に言ってください。
  206. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 客が勝手に使いますのは差し支えございませんが、どうぞという形で使わせていくということは遊興に当たるというふうに考えております。
  207. 経塚幸夫

    ○経塚委員 客が勝手に使うのはいい、どうぞと渡したら遊興。積極的ということになる。  その判断は警察官が見ておってやるのですか。遊興させた、させないという判断は結局は警察官がやることになるのでしょう。これは極めて一方的に拡大されるおそれがありますよ。どうですか。
  208. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 実はこの点ははっきり申しまして従来よりも大変緩和された部分であるわけでございます。従来は深夜においては主として酒は提供してはいけない、こういう形であるわけでございます。しかし、そういう世の中の実態ではないだろうということで、深夜静かに酒を飲むのは、現在の社会実態からしてそこまでは認めようということになるわけでございます。  ただ、あくまでも静かに飲んでもらうべき時間帯であるというふうに考えるわけでございまして、今申しましたように積極的に営業者がカラオケを使わせるというような行為になりますと、やはり深夜そういう形でもってやることは行き過ぎではないかということになるのであろう、かように考えております。
  209. 経塚幸夫

    ○経塚委員 きょうびカラオケは家で酒を飲んでもやっていますよ。深夜に酒を飲ませるのが時代の風潮だから今度は時間を外したとおっしゃるのなら、余り不粋なことはなさらぬ方がいいと思うのですが、手をたたいたらどないなりますか。
  210. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一つ一つ行為というのはその場で判断をしなければならぬことだと思いますから、手をたたいたらすぐにどうだという判断を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、積極的に営業者がはやし立てるという行為になりますと、やはり遵守事項違反になるというふうに考えておるところでございます。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは部長は単純なようにおっしゃるけれども、「接待」というものの解釈をめぐって裁判ざたにまでなったわけでしょう。そうして四十六年に判決が出たわけでしょう。  このとき何で裁判になったかといいますと、学校の先生が飲み屋へ行って、そこの店の経営者を相手に自分の体験話をしていた、学校で実はこういう子供がおって、その子供をこういうふうに補導してというような。そうすると、その話を聞いた飲み屋のおかみが大変感動して、あんたもちょっと出てきて聞けやといって、スタンドの中におった女の子をスタンドの外に出てこさせて、その学校の先生のそばに座らせて話を聞かせた。そしてお互いにもらい泣きをして、ああいい話を聞かせていただきましたとなっていたところが、不粋にも警察が、これは接待行為になる、風俗営業の許可をとってやるべきじゃないか、風俗営業対象じゃないかということになって裁判ざたになっているのですよ。  これが昭和四十六年の裁判に至った経過の中身でありますけれども、今の部長答弁を聞いておりますと、飲み屋へ入っていく、そうするとカラオケで客が歌を歌っておる。これは客が勝手に歌っておるのかそれとも店の方でマイクを渡したのか、聞かなければわかりませんね。マイクを渡したら積極的ということになるわけですな。これでいきましたらそうなるんでしょう。客が勝手に歌を歌っていた、一緒になって手をたたいた、そうしたらこれは遊興だ、こういうことになるんでしょう。こんなことになったら何ぼでも拡大解釈されていきますよ。しかも表現は「積極的」ということは入っておらぬわけでしょう。「深夜において客に遊興をさせないこと。」「遊興」という表現だけでしょう。幾らでも拡大解釈されるじゃないですか。  それからもう一つの問題は、客の「接待」。この場合は風俗営業の許可をとらなければならぬというようなことになりますけれども、これまた四十六年の判例でいきますと、「接待」ということの解釈についてこう言っております。「談笑の間に単なる世間話程度の話題が提供された場合においても、客の話相手となることによっておのずから酒食の席に歓楽的な雰囲気がただようようなときには、その話題が世間話であるからといって、いちがいにここにいう接待にあたらないと断じられない」、つまり世間話の場合でも接待になるというんでしょう。「歓楽的な雰囲気がただよう」、これはおもろい話はできぬというようなことになりますね。おもしろい話をしたら、歓楽的な雰囲気が漂うことになりましょう。漂うことになったら、これは接待です。  そうすると、こんなことになりはしませんか。風俗営業の許可対象にならないいわばスナックというものが随分たくさん出てきておりますね。そうして、これは届け出をすると深夜営業ができる。後で出てきますが、警察官が立ち入りする。遊興行為をしてはならぬ、こういうようなことになる。あるいは接待であるかないかというようなことを、警察が入ってきて、そうして見ますと、さっきの例じゃありませんが、女の子あるいはそこのおかみさんとお客さんが本当に楽しそうにわあっと談笑に興じておる、歓楽的な雰囲気が漂っているということで、おまえのところ、何で風俗営業の許可をとっておらぬのや、無許可風俗営業じゃないか、これは違反じゃないかと、こういうようなことにもなりますし、もう一方では、深夜酒を飲ませる場合には遊興させてはならぬということになっているのに、これは遊興させておるじゃないかというようなことで、さっき言ったカラオケの問題もひっかかってくるというようなことになりますね。  時間を外すなら、何でここまで規制をしなければならぬのですか。これこそ営業権の侵害につながるというようなことにまで発展しかねませんよ。どうですか。
  212. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたように、深夜飲食店の酒類提供店というのは、従来できなかった形の営業を、今回は、社会実態も変わったから十二時以降も静かに酒を飲むならば認めていくべきではないかという考え方に立ったわけでございまして、従来の制限よりもむしろ緩和をされておるわけでございます。  しかも、接待の解釈も遊興の解釈も一つも変わってないのでございます。従来の考え方をそのまま踏襲して、一面では接待を、無許可風俗営業ということが行われてはいけませんので、一つのメルクマールというものを与える意味法律上明定したというだけでございまして、これは従来の規制をある意味で緩和しておるわけでございますから、これを、全体をとって営業権の問題というのは、そうではないんではないかというふうに考えております。  なお、一言足しますが、「遊興」と申しますのは、この規定は実は遵守事項でございまして、これには罰則はかかっておりません。したがいまして、具体的には、そういうことのないようにいろいろ指導、指示していくということになっていくというものでございます。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ごく最近、スナックでこういう例があったのですよ。警察官が入ってきて、そして、今言いましたようにカラオケで歌を歌って歓楽に興じていたという状況があって、風俗営業の許可をとっておらぬじゃないか、こういうことになりまして、営業停止になりました。それで今度風俗営業の許可を申請しますと、営業停止の前歴がある、こういうことで簡単に風俗営業の許可がとれない。さらに、単純なるスナックの場合には保健所の許可で済みますね。風俗営業の許可になりますと、家主の承諾書から建築確認申請から、いろいろな厳しい条件が、添付書類が必要になってくる。  最近いわゆる貸しスナックというのも随分広がってきております。これはせんだっての質問の中でも出ましたけれども、わずか十坪前後の小さなスナックをやっておる人というのは、そんなに巨額な投資をやっておるという人はおらぬわけでしょう。長い間水商売で働いていて、やっと自立をして、そういうことで何とか家族を、子供を養っていこうというようなことで、一生懸命精を出してやっておるわけですね。そういうようなところがどんどん対象になっていって、風俗営業の許可をとらなければならぬ、とらないと営業ができないというような状況になりかねないわけですね。そういう例がごく最近ありましたから私は質問申し上げたわけであります。  引き続いて、警察立ち入り問題についてちょっとお尋ねをしていきたいと思うのですけれども、三十七条第一項、「この法律の施行に必要な限度においで」「業務に関し報告若しくは資料の提出」を求めておりますね。それから「立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」この関係者への質問問題はせんだって論議をされたところでありますが、「報告若しくは資料」、これは具体的にどんなものを指しておるのですか。
  214. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この三十七条の「報告若しくは資料の提出」と申しますのは、要するに、こういうものを求める趣旨は、直接営業活動影響を与える立ち入りまでやる必要もない、むしろ穏やかな方法で報告なり資料の提出を求めることによって法律規制を担保していこう、こういう趣旨で設けられたものでございまして、内容はいろいろあろうとは思いますけれども、例えばどういう遊技機、機種を使っておるのか、あるいはどういう運用をしておるのかというようなことを聞くこともありますでしょうし、あるいはどういう従業員を使っておるのか、あるいはいろいろ外部の芸者やホステスを呼んだり、あるいはバンケットを入れたりというようなこともありますでしょうし、どういうふうな形で使っておるのか、あるいは未成年者の年齢確認をどんなふうにやっておるのか、どんな飲食物を提供しておるのかというようなこと、そういうようなことで、立ち入らなくても済むようなことにつきましては、こういうような「報告若しくは資料の提出」をもってかえるということができるようにしたいというものでございます。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、立ち入った場合、「帳簿、書類その他の物件を検査させ」、こうなっていますね。これも同じような内容ですか。「物件」とはどういうものですか。
  216. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入り目的と同じでございますから、内容もほぼ同じになってまいりますけれども、立ち入って見るということになりますと、営業所にあります設備なりあるいは遊技機等をそういうふうな「物件」という形でもって見ていくということになろうと思います。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、せんだっての質疑答弁の中では、関係者に、質問は拒否しても罰則規定は適用しない。しかし、書類だとか物件の検査の立ち入りについては、断ったらどうなるのですか。罰則は適用されるのですか。
  218. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 法律案の四十九条六項の六号で、「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した」というような形に当たる場合にはこの罰則の適用になります。
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは重大な問題ですね。検査ということは従来現行法ではなかったわけでしょう。単なる立ち入りだけだったわけですね。今度は立ち入って検査することができる。そして、検査の場合は書類などが含まれる。物件も含まれる。関係者への質問は拒否できるけれども、これを断ったら罰則を適用されるでしょう。これは大変厳しいですね。  それで、しかもこの書類だとか物件は警察が判断されるのでしょう。どういう書類を提出させる、どういう物件を見させる、その必要なものという判断は警察がされるのでしょう。そうじゃないのですか。
  220. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 必要性警察が判断いたしますけれども、合理的に客観的に説明のつくものでなければならないというのは当然のことでございます。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、警察が「法律の施行に必要」だと考えれば、これはどんなものも入ってくるじゃないですか。そんなものを見せる必要はない、何の関係があるのだ、こう言っても、警察の方では、これは法律の実施上必要なものだ、こう解釈をすれば、提出を拒んだ者は、検査を拒んだ者は罰則の適用をすぐ受ける、こうなるのですね。  今回の法は一部改正だとおっしゃるけれども、本質的な改正ですよ、こうなってまいりますと。単なる立ち入りじゃなしに「検査」という二文字が入ったために、おい、帳面見せい、あるいはこういう物件あるかと立ち入ってこられて、これを拒否したら罰則の適用を受けるのでしょう。しかも、その判断は警察が一方的にされるということでは、これは警察権の乱用につながる危険があると思うのですが、その点はどうですかび
  222. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 当然「必要な限度において」行われるものでございまして、警察が恣意的に判断できるものではございません。なぜそういうふうな必要があるのかということの合理的な説明のつかない形でやれるはずはないわけでございます。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうは答弁をされましても、警察の一方的な判断に基づいてやられる危険性というものは十分あると私は思います。  せんだって私のところへ一人のマージャン業者が相談に来られました。夜の八時、警察官が四人営業所へ来られて、写真を撮らしてもらう、こう言って写真をパチパチ撮って、そして、営業まかりならぬ、客を帰しなさい、こういうことで、この業者は大変気の小さい業者でして、大変慌てふためきまして、そのまま客を帰して店を閉めた。そして、警察へ呼び出されまして、実調査日数一日半、三回、三日間呼び出されて調書をとられたわけであります。そして最後に、調べが終わりました後、身元引受書を渡されて、身元引受人を書いてきなさい、こういうことでやっと取り調べが終わったということであります。  テーブル四卓しか置いておらない小さなマージャン屋であります。何でこんなことまでやられたのかということでありますが、これは極めて簡単なことなんです。四卓しか置いておらない十数坪のその建物の中へ、経営者が、帰るのにも遠いし、そして疲れた場合は体を横にしようということで電気ごたつを置いておる。そして部屋を仕切ったのですね。そうすると、これはマージャンの許可に際しての約束と違う。そして注意事項として、構造変更の場合には十日以内に届け出ること、こうなっていた。この注意事項に違反をしたということだけでもって、四人入ってきて、写真を撮って、客を帰しなさい、営業まかりならぬ。私が後で問いただしましたところ、営業まかりならぬとは言っておりません、こういうことでありますが、同席をしておりました客が、そんなことはない、私が一緒におったのだから、確かに営業まかりならぬと言われた、いつでも証人が必要とあれば立ちもいたしましょう、こういうことだったわけです。こういうこともあるのですよ。  だから、立ち入りの次に二つの「検査」という文字が入っただけで、書類も検査をできる、物件も検査できる、そしてその範囲は警察が必要だと考えるものをやるということになりますと、先ほど言いましたような例が随所に起こりかねない、そういう危険をはらんでおるということを申し上げておきます。  最後に、青少年健全育成との関係で、少年指導委員の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  最初に総理府にお尋ねをいたしますが、警察からの委嘱以外の少年補導委員は何人おられますか。
  224. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  少年補導委員の人数は、全国に約六万七千人おるというふうに承知しております。
  225. 経塚幸夫

    ○経塚委員 六万七千人、随分おられるんですね。総理府で今おっしゃった六万七千人の方は、法的には何か保障されているのですか。
  226. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  少年補導委員でございますが、これは都道府県あるいは市町村といった自治体が独自に置いておるといいますか、こういうことでございまして、総理府といたしましてはこれに対しまして一部補助金を出しておる、こういうことでございます。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今回は、警察の方では、少年指導委員ということで法的に認知をしたいという提案があるわけでありますが、これは総理府の所管——所管と言ってはあれですが、市町村が勝手にやっておるものだと言えば勝手にやっておるということになると思いますけれども、しかし、同じように青少年の指導に当たっておるわけです。これは法的にどうして認知しないわけですか。
  228. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 お答えいたします。  少年補導委員でございますけれども、先ほども申し上げましたように、自治体というものが必要を認めまして置いておる、こういうことでございまして、特に法律上、根拠といいますか規定がある、こういうことではないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、総理府の立場からも、青少年健全育成あるいは非行防止という観点から非常に結構なことではなかろうかということでございまして、そのうちの一部といいますか、これを補助金という形で助成しておる、こういうことでございます。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 補助金を出しておるとおっしゃいますが、この六万七千人に対してどれくらい出しておるのですか。
  230. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 これは補助金ですから、市町村等に対する補助金ということでございます。補助箇所数といたしましては、今年度二百二十三ということでございまして、総額といたしまして一億一千五百三十五万二千円、こういうことになっております。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 六万七千人に対してたった一億そこそこじゃ、これは市町村が勝手にやっていなさい、今もおっしゃいましたけれども、結構なことですねというような、そういう冷たい態度じゃ困りますね。  青少年対策本部の職員の数、予算、これはどうなっておりますか。
  232. 杉浦力

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  まず、私どもの五十九年度の予算でございますが、二十一億六千六百万円ほどいただいております。そして、現在、私どもの職員は定数三十二名ということで仕事をさせていただいております。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 文部省にお尋ねをしたいと思うのです。  四十七年十二月「体育スポーツの普及振興に関する基本方策」、この中で「到達すべき目標を明示し、これを段階的に実現する総合的な計画を策定することが必要である」、こう定められており、スポーツ振興法四条では、「文部大臣は、基本的計画を定める」、こうなっておりますが、この計画はあるのですか。
  234. 光田明正

    ○光田説明員 お答えいたします。  先生ただいまおっしゃいましたように、四十三年に文部大臣から保健体育審議会に対し、「体育スポーツの普及振興に関する基本方策について」諮問をいたしまして、四十七年に体育スポーツ施設の整備等に係る大変詳細な答申をちょうだいいたしております。文部省は、この答申に沿って体育施設の整備等、その他体育スポーツ振興に関する施策を進めてきているところでございます。
  235. 経塚幸夫

    ○経塚委員 計画はあるのかと聞いているのです。
  236. 光田明正

    ○光田説明員 この答申に沿っていろいろ毎年施策を進めてきておるところでございます。
  237. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねをいたしましたのは、計画をつくれとなっている、基本計画策定、これはあるのかと聞いているのです。
  238. 光田明正

    ○光田説明員 ちょうだいいたしました答申をもって私たちは目標といたしております。
  239. 経塚幸夫

    ○経塚委員 答申をもって目標とおっしゃっていますけれども、法では、答申に基づいて計画を立てるということでしょう。その具体計画がおありなのか。答申そのものが計画ということではお答えになりませんよ。具体計画は立てられたのか、こう聞いているのです。
  240. 光田明正

    ○光田説明員 御存じのように、この答申には非常に詳細な数字も出ております。ですから、この数字等に沿って毎年予算等を計上してきているところでございます。
  241. 経塚幸夫

    ○経塚委員 毎年予算等を計上してきているとおっしゃいますけれども、そちらの方の資料によりますと、社会体育施設整備費補助、昭和五十五年百一億六千七百万、五十九年は八十九億三千九百万、地方スポーツ振興費補助も、五十五年は二十六億九百万、五十九年は二十五億ですね。うんと減っているじゃないですか。  しかも、施設の充足率は十分じゃないでしょう。例えば、スポーツ施設の目標と現有数、充足率は、いただいた資料を見ますと、コートなどは充足率三五・一%でしょう。体育館は三七・八%、運動広場は若干高くて八一・九%ですが、柔剣道場は四三・九%、プールなどは三五・六%でしょう。平均しますと四〇・八%でしょう。これは一体どういうことですか。
  242. 光田明正

    ○光田説明員 先生に先日資料提供を仰せつかりまして差し上げました資料でございますが、五十五年度につきましては、施設について言いますと百一億六千七百二十六万五千円、五十六年にはふえまして百八億八千七百万何がしか、五十七年度もまたふえまして百十八億、そして減りましたのは五十八年度、五十九年度になりましてからでございます。これは臨調の趣旨に沿いまして減った次第でございまして、私たちは、今後とも臨調の趣旨に沿いつつも充実を図っていきたいと存じておるところでございます。
  243. 経塚幸夫

    ○経塚委員 臨調で減ったと言っておいて、臨調の趣旨に沿って充実を図ると言ったって、それは充実になりはしません。臨調で減ってきているのですから、その趣旨に沿ったは、充実じゃございません。それは減です。あなたの答弁自身が矛盾しております。  総理府の方へいま一度お尋ねをいたしますが、青少年対策の基本法的なものはあるのですか。
  244. 伊達卓三

    ○伊達説明員 現在はございません。
  245. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはどうして基本法を制定されないのですか。必要ないと考えておられるのですか。
  246. 伊達卓三

    ○伊達説明員 青少年健全育成、非行防止等につきましては、総理府の青少年対策本部を中心にいたしまして、協議、連絡しながら強力に進めてきたと考えております。  青少年対策の基本法でございますけれども、そういうものを制定するということも検討に値する一つ考え方だとは思いますけれども、現在その基本法なるものの内容につきましては必ずしも明確になっているわけではございませんで、基本法という形で青少年行政を進めるということにつきましても、必ずしも国民関係者のコンセンサスが十分ではない、そういうふうに考えております。
  247. 経塚幸夫

    ○経塚委員 基本法制定について国民のコンセンサスが十分得られる状況じゃない、これは一方的な判断も甚だしいと思いますよ。  今各都道府県で、青少年保護条例が不備なものは改める、そして内容を充実させながら制定をするという動きが全国各地に起きております。これは、従来のように青少年対策を一部門の事業として扱うのにはもう既に時代おくれだ、各関係部課が一体となって統一的な対策を講ずる必要がある、こういうことで、教育はもとよりでありますけれども、いろいろな分野を含めまして総合的な基本条例をつくろう、こういうことで動きが広まっておるのを御承知ないのですか。
  248. 伊達卓三

    ○伊達説明員 都道府県等におきまして、青少年保護育成条例と申しましょうか、条例につきまして非常に御尽力しておられるということは十分承知しております。
  249. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしたら、まだ国民のコンセンサスを得られる段階じゃないとおっしゃいますけれども、そうじゃないでしょう。まさに国が先んじてそういう基本法的なものをつくらなければならぬ段階じゃないですか。五十八年六月に徳島県から要請が来ているでしょう。「各県においては真剣に対策を講じているが、一地方の特徴的問題でなく、全国的同一基盤に根差す問題である。 全国的に統一された理念のもとに長期的展望に立った施策推進のため、青少年対策基本法の制定を図られたい。」これは全国各都道府県の共通した要望だろうと私は思います。  今日青少年非行問題が騒がれておりますけれども、今御答弁がありましたような、予算は減っていくわ、基本法はまだそういう段階ではないわ、そして全国に六万七千人もおる少年補導委員については何の法的な保障も与えておらない、一体これで国が真剣に青少年対策に取り組んでいると言えますか。こういう政府の姿勢だから、非行問題が抜本的に解決つかないのですよ。そして一方では、警察少年指導委員だけは法的に認知をされて、そうしてこれだけが先行する、いわば取り締まりを扱う警察の方だけが先行するということで、本当に青少年の非行問題、抜本的に解決がつきますか。その点、どうお考えですか。
  250. 伊達卓三

    ○伊達説明員 基本法についてのことでございますけれども、中身につきまして従来十分にまだ詰められていないわけでございます。それから、青少年育成の基本理念、法律をつくる以上はその目的というようなことが当然書き込まれることになるかと思いますが、その基本理念につきましても、その内容に具体的に立ち入りますと、青少年をどういうふうに育成するかというようなことになってまいりまして、要すれば価値観の問題がその背後にかなり出てくるわけでございますが、御承知のとおり、人間の価値観、それから青少年育成の価値観につきましても非常に多様化しておりまして、しかもその価値観が変化をするという情勢でございますので、私どもは、内容は十分詰めていないわけでございますけれども、法律においてそういうことを決めていくのがいいかどうかということについては、十分慎重に検討すべきではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  251. 経塚幸夫

    ○経塚委員 慎重に検討されるのはいいのですが、全く制定の必要を感じておらないからつくっておらないというのじゃなしに、内容を煮詰めて制定の方向を目指されるわけですか。
  252. 伊達卓三

    ○伊達説明員 内容が煮詰まりまして、コンセンサスが得られる、実効も上がるということになれば、そういうことを具体的に検討するということもあろうかと思いますが、現時点ではまだ機は熟していない、そういうふうに考えているわけでございます。
  253. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現時点で機は熟しておらないということの解釈が、内容が十分煮詰まっておらない、そういう意味で機は熟しておらない、こう解釈していいわけですね。  これはぜひ早く対策基本法を制定すべきだ。これはむしろ先行すべきだと思うのです。これが先行して、初めて取り締まりの実効も上がってくると思うのです。  警察の方へもう一度質問が戻りますけれども、現在、補導の効果があるとお考えですか。
  254. 山田晋作

    ○山田説明員 青少年の非行を防止する意味からは、非行少年の早期発見、早期補導ということが非常に大事でございまして、補導につきましては効果があると考えております。
  255. 経塚幸夫

    ○経塚委員 効果があるという御答弁でありますが、これは五十七年二月、総理府青少年対策本部調査を見ますと、こういう調査結果が出ておりますね。これは警察官を対象調査されているのです。「大変ある」、警察官八・七%、百人のうち八・七人ですね。「余りない」、一一・九%。直接補導の任に当たっておられる婦人補導員、警察官です。「大変ある」、低いですね、四・四%。百人のうち四・四人です。逆に「余りない」というのがこれの二・数倍で一一・四%ですね。この調査結果は御存じだったのですか。
  256. 山田晋作

    ○山田説明員 存じておりません。
  257. 経塚幸夫

    ○経塚委員 存じておらない、これは総理府の調査ですよ。警察対象調査なんですよ。内部からこういう状況じゃ困ったものですね。  非行対策、何が一番効果的か。これまた警察官の回答。「親への教育」、八三・二%。これに対して「補導の活発化」、この四分の一ですね、一八・六%じゃないですか。「だれが補導、指導すればよいか」。全体で補導に当たればよい、全体というのは警察も地域も学校も全部ですね、百十四。家庭の保護者が当たるべきだ、三十七。学校が当たるべきだというのが十。警察が当たれというのがたった七じゃありませんか。警察中心の補導については、警察の内部からでさえ、先ほど申し上げましたように、その効果が大変あるというのが非常に率が低いわけですね。これはやはり一考してみる必要があると思います。  私は、本当に青少年の非行を一掃する、そして青少年健全育成に役立たせるためには、何といったって、青少年の基本法を制定してあらゆる分野からの総合的な統一的な対策を確立する、補導についても、この回答にあらわれておりますように親、学校、そして社会、こういうものが表に出て柱になって全面的に運動を展開する、これが最も効果があるということも明白であります。  さりとて、犯罪の発生するところ、あるいは疑いのあるところ、これは取り締まらぬわけにいかぬじゃないか、事前の補導も必要じゃないかとおっしゃいますけれども、それは一部分的な問題としてしか位置づけられておらぬのじゃないかと思うのですよ。最も大事なことは、先ほど申し上げましたように、基本的な対策を確立していく、この中でこそ初めて効果がある問題であって、法の制定の関係から見れば、警察取り締まりを中心とする補導が一方的に先行するというようなことでは抜本的な解決策にはならない、かように考えておりますが、その点について大臣の所信を承りたいと思いますが、いかがですか。
  258. 田川誠一

    田川国務大臣 二時間余にわたる経塚さんのお話を聞きまして、大変ごもっともな点も幾つかございますが、要は、どうやって青少年健全化を図っていくかということば、取り締まりだけでできる問題ではないので、先ほど来私が申し上げましたように、警察以外の大人の社会を浄化していくとかいろいろございます。そういう問題が一番大事でございます。今世論調査で、補導の問題が非常に効果がないということを言われましたけれども、出ている結果は、これは対象になった人が役割を言われているわけですね。お父さん方、お母さん方、家庭が大事だ、こういう役割を言っているので、補導が役に立たないとか効果がないとかということではないので、役割を回答しているのではないかと思うのです。  今回の風営法の問題も、警察が担当している問題の中で、青少年を少しでも守っていくためにある程度の規制をしていかなければならぬ、こういうことが今度の風営法改正の主眼でございまして、先ほど経塚さんがおっしゃったように、取り締まり規制をしないで関係者が自主的にやっていくのが理想でございますけれども、やはりこの社会の中にルールを守らない、秩序に従っていただけない方がある以上、規制取り締まりはやっていかなければならないわけでございます。また、取り締まり規制対象になる人はだれだって嫌なことでございまして、そうした面で不平や不満もございますでしょうが、子供の将来を考えていきますと、こうした規制取り締まりをやっていかなければならないということをひとつ十分御理解をしていただきたいのでございます。  私どもといたしましては、権力を集中するとか警察国家の再来をもくろむとかというようなことは毛頭考えておらないのでございまして、警察というところは大変嫌な役割でございまして、人に喜ばれる面というのは非常に少ないわけですよ。そういう中で一つこういう問題を挙げてやっておるわけでございますので、どうぞひとつ十分の御理解と御協力をお願いいたしたいのでございます。
  259. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ただいまの大臣の答弁、全面的に了とするものではございませんが、時間が参りましたので、これで終わります。長時間、どうもありがとうございました。
  260. 大石千八

    大石委員長 次回は、明後二十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会      ————◇—————