○加藤(万)
委員 いわば多額の個人的な借金、なかんずくサラ金、これが二人の警官をしてこういうことに追いやっているわけであります。私はこの新聞記事を読みまして、このテレビを見ました同僚の警官が愕然という、まさに何といいましょうか、
第一線で活躍している警官から見まするならば、おれの仲間がという気持ちだろうと思うのですが、むしろそういう
状況に追い込んでいる背景というものをいま少し
警察庁当局として考えていきませんと、第三、第四の
事件が発生しないと私は言い切れないと思うのであります。
兵庫、
大阪につきましては、当
委員会で私は賭博機械の汚職
事件があったときにも申し上げました。これは山川
大臣がたまたま神奈川県でございますからひとつ事例を申し上げますけれども、神奈川県でも実は警官の
不祥事件が幾つかありました。例えばアパートに警官が行きまして婦女に暴行を加えるという
事件もありましたし、あるいは泡踊りという
事件もありました。私は、賭博機械
事件が起きたときに、たまたま神奈川県警が賭博機械の一斉摘発を行ったという記事を読みました。なるほど先にそういう賭博機械というものに対する
事件処理が
警察の手で行われていれば、それに絡む
警察官との汚職関係は断ち切れるものだ。
御
案内でしょうけれども、兵庫県警、
大阪で起きました賭博機械汚職
事件は、その後にせ調書という
事件にまで実は発展をしてしまったわけであります。いわゆる初めの汚職だけではなくして、その後の捜査でにせ調書
事件をつくるという、だんだんと
警察官そのものの
犯罪がエスカレートする。
そして、神奈川県の場合にも、当時本部長でありました藤巻さん、
大臣御存じだろうと思うのですが、その後皇宮
警察の方に就任されまして、あと余生を送られるのに余りいい
環境の中ではなかったというように実はその後聞いておるのです。同じように、
大阪で起きました
事件の後、元
警察大
学校校長でありました本部長が不慮の死を遂げております。
この一連のものを見てみますと、どうも
警察官に対する管理という問題がまず問われていかなくてはならぬのではないか。
不祥事件が起きたときに、大変すばらしいという人もあるわけですが、責任をとるということは、まあ元
警察大
学校長の場合には自殺をするという
不祥事件に発展をしてしまったわけですね。藤巻さんの場合も私はそういう何か暗いものがあったという話もちょっと聞いておるものですから、大変気になっておりました。したがって、今度の
事件なども、いわばそういう責任のとり方で
警察庁が全体として処理するとなると、これはやはり第三、第四の
事件が起き一でくるのではなかろうか、こう実は思うわけです。いわゆる背で言う切腹諭的な責任のとり方はどうも間違っているのではないか。
特に今度のこの
警察官は、賭博の場合もそうですが、若いというよりもむしろ分別のある四十歳以上の
警察官なんですよ。賭博の場合には五十歳以上の
警察官。私は当
委員会で、大体五十歳以上になった
警察官の老後の保障という問題をしっかり考えなければ、暴力団関係との結びつきの中で老後の
状況まで考えようという
警察官もないわけではあるまい。したがって、
警察官の老後保障という問題についてどう考えるかということを考えるべきではないか、こう実は問うたことがあるのです。
同じように、今官房長に聞きますと、今度の
事件のこの
警察官は、最初は住宅ローンで、クレー射撃というのが大変趣味で、それをやるためには大体一回について一万円ぐらいかかる。住宅ローンが給料袋から公式な
警察官共済とかいうもので大体十六万円差し引かれ、同時に今度は別の面でサラ金から借りて、そのサラ金も当初はクレー射撃に使ったのでしょうけれども、その後も相当な額の借金があり、家に入れるのはせいぜい六万から八万ぐらいだろう。四十二、三歳になり、子供が四人もある中で、この経済
状況では当然間に合いませんし、追われておったのでしょうから、結果的に
警察官が銃を持って
強盗するという
事件に発展をしてきた。ということになりますと、問題は、その
事件そのものも大変なことですけれども、それよりも、それを生み出している背景、幾つかの条件をこの際考える必要があるのではなかろうか、私はこう思うのであります。
〔
委員長退席、小澤(潔)
委員長代理着席〕
そこで、
警察庁の
長官にお伺いをいたしますが、前回の汚職
事件が起きたときに次長通達を出されておりますね。その後、
強盗事件が起きたときにも、あるいは汚職
事件が起きたときもそうですが、
関西には特別に特命監察をやっていらっしゃいますね。この二つのいわゆる特命監察をやって、機構上どういう問題があったのだろうか、
警察官の素質についてどういう問題があったのだろうか、そういうものをまとめて次長通達という形で出されておるのではないかと思うのですけれども、それが今度の
事件に生かされなかった、そういうことがどうも私は不思議でならないわけです。特命監察、あるいは今の
警察官の素質の問題、あるいは次長通達の中で一体どういうことを
第一線の
警察官に、あるいは各
警察本部長を通してお示しになっているのか、ひとつ
長官からお答えいただきたいと思います。