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1984-04-27 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十七日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    左藤  恵君       中川 昭一君    平林 鴻三君       古屋  亨君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       安田 修三君    山下八洲夫君       岡本 富夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 田川 誠一君         委員長  出席政府委員         警察庁長官   三井  脩君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田井 順之君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     田中 基介君         行政管理庁行政         監察局調整課長 塩路 耕次君         防衛施設庁総務         部施設調査官  平   晃君         経済企画庁調査         局内国調査第二         課長      青木 雅明君         大蔵省理財局特         別財産課長   根本 貞夫君         厚生省医務局総         務課長     古川貞二郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部地         方交通線対策室         長       岩田 貞男君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港計画室長  小坂 英治君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     中本  至君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   大西 正男君     石橋 一弥君   大村 襄治君     田澤 吉郎君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     大西 正男君   田澤 吉郎君     大村 襄治君     ――――――――――――― 四月二十七日  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま運輸委員会において審査中の内閣提出関西国際空港株式会社法案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は、本日午前十時三十分から開会される運輸委員会において受諾の決議がなされた後、直ちに第十六委員室開会される予定となっておりますので、御了承願います。
  4. 大石千八

    大石委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤巌君。
  5. 工藤巖

    工藤(巖)委員 きょうは、我が党の中川議員から全般にわたりまして質問がありますが、その前に、私からごく数点だけについての御質問を申し上げておきたいと思います。  一つは、現職警察官の不祥事についてであります。  去る二十四日の午後、大阪府において発生した現職警察官不祥事件につきましては、まことに遺憾に存ずるのであります。私は、警察官皆さんが文字どおり日夜を分かたず治安の維持のために、また国民生命、身体、財産を守るために奮闘努力をしておられることはよく承知しており、また敬意を表しておるところであります。警察庁あるいは都道府県警察におきましても、警察官士気高揚のために、そして教育、教養のために努力しておられることも承知しておるし、また、たくさんの人数があれば、時にはその中には問題になる人物が出てくることも否定心たい現実であることも承知しております。  しかし、ただ一人の非行であっても、こういう問題は警察に対する国民不信感につながりかねないのでございます。当然、当局におかれても、再びこういうことを繰り返さないように十分な措置を講じようとしておられると思うのでありますが、大臣から、そのことについての御決意のほどを承りたいと存じます。
  6. 田川誠一

    田川国務大臣 このたび警察官銀行強盗事件を起こしたことにつきましては、去る三月にも同様の事件がございましたし、私、国家公安委員長としても国民皆さんにまことに申しわけない、断腸の思いでございます。工藤さんおっしゃったように、犯罪を取り締まるべき者が強盗を働く、たとえ大勢の警察官がいようども、たった一人であってもこうした犯罪を起こすことはまことに遺憾なことでございまして、本当に申しわけないと思っております。規律を生命とする警察署の職員がこうした犯罪不祥事件を起こしたことは、御指摘のように、警察に対する威信の低下、また一生懸命日夜分かたず治安の任についている一般警察官、特に第一線で働いている警察官士気にも影響することでございまして、私といたしましても本当に残念に思っているわけでございます。  実は、昨日ちょうど国家公安委員会が開かれましたので、こういう事件が再び起こった、このことはもう言葉で言いあらわせない、問題にならないことであるということを私から警察庁長官以下幹部に対しまして申しまして、ここで警察官生活指導あるいは教育管理体制、こういうものを一度根本的に見直していくべきではないかということを強く申し渡したわけでございます。御指摘のように、本当に申しわけないと思いますが、とにかく事件が起きてしまったわけでございますから、どうしてこういう事件が相次いで起こるかということをこれから根本的に検討していかなければならないと思っております。  御指摘のように、こうした犯罪が最近はむしろ比較関西に起こっているんですね。そういう地域的な問題もある。しかし、とにかく原因を究明すると同時に、監督指導に当たる人の責任もまた厳しく追及しなければならない、こういう考えております。弁解の余地はもう何もございません。再びこういう事件が起こらないように根本的に検討していかなければならない。同時に、先ほど申し上げましたように、第一線でまじめに一生懸命やっている警察官士気に悪い影響が及ばないように努力してまいるつもりでございます。
  7. 工藤巖

    工藤(巖)委員 大臣の御答弁でよく了解できますが、お話しのように、第一線で活動しておる警察官士気高揚のために、どうぞよろしく御指導をお願いしたいと思います。  私、次に御質問申し上げたいことは、地方財政に関する問題なのでありますが、現在地方自治体は非常に逼迫している財政の中でいろいろと創意工夫をしながら住民ニーズにこたえようと努力しているわけであります。財源一般の問題についてはこの場でも随分論議が尽くされてきているわけでありますが、ちょっと私問題にしたいのは、行政水準格差の問題なわけであります。  実は、私の出身地であります岩手北上山系の山の中に小さな村がございます。その村でプールのある学校が一校もないということがわかったのであります。今どんな僻村に行っても、学校プール一つもないというような村はちょっとないだろうと思うのでありますが、この村だって小学校八つ中学校三つ、十一校あるわけでありますが、戦後四十年近くなりまして学校プール一つもない、ことし初めてプールをつくるということになったのでありますが、こういう行政水準格差がどこから来ているんだろうかということでいろいろと調べてみようと思いました。  それで、さしあたりどんな町村でも必要な行政需要としてどんなものがあるか。これは道路もあれば、福祉施設もあれば、病院もあれば、さまざまな住民ニーズにこたえる施設というものがあろうと思いますけれども、どんなところでも必要な施設として、教育施設を取り上げて、その中のプールを調べてみたわけであります。ところが、この村が、そうした学校プール一つもないばかりじゃなくて、自治省から出されておりますところの「公共施設状況調」、人口段階別また産業構造別に類型的に施設整備状況が書かれてあるのでありますが、これをずっと見ていきますと、プールを取り上げてみた場合に、やはり傾向として、人口の少ない五千五百人未満という農山地域設置率が悪いわけです。もう一つ興味のあることは、都市の中で三万五千人未満という小都市、これは農山地域の小都市でございましょう、これが傾向的にでありますが案外悪い、そういう感じがしております。そして、人口の多い都市部になるとその設置率が高くなってくるという傾向がうかがわれます。  これは私は、一般財源付与の問題、つまり交付税とのかかわりがあるのではないかという感じがするわけでありますが、その前提として、例えばプール設置について交付税上どのような対応がとられているかということをまずお伺いしておきたいと思います。
  8. 石原信雄

    石原政府委員 地方交付税算定におきましては、小学校中学校ともに、学校プール建設費について、その年度当該団体建設面積というものを基準に、これに一定単価を乗じた額を事業費補正という形で算入いたしております。この単価は、五十八年度の場合には五千百円になっておりますが、五十九年度は、先般御審議いただきました交付税法の規定によりまして算定することを予定しております額は七千七百円を考えております。
  9. 工藤巖

    工藤(巖)委員 七千七百円の単価に引き上げてやっていくとしても、結局持ち出しの財源というものがいろいろ出てくるのでございましょう。その辺のところを、財源の非常に少ない山村の場合にどういう対応があるか、もうちょっと御説明いただければありがたいのですが。
  10. 石原信雄

    石原政府委員 学校プールにつきましては、それぞれの補助制度等もありましょうし、また、必要によっては地方債建設財源を当年度措置しますが、地方交付税につきましては、ただいま申し上げましたように、事業費補正によりましてその建設面積一定単価を乗じた額を算入するという方法をとっております。交付税の場合にはその年度建設費そのものをフルに算入するゆとりがありませんので、ただいま申し上げましたような単価計算をいたしております。なおこのほか、学校プールに限らず、一般的に投資的経費財源付与するために、いわゆる投資的経費包括算入などの方法がとられているところであります。  それから、大都市、中都市、小都市町村、こう並べてみますと、確かに公共施設め整備水準は、都市の規模が大きくなるほど一般的に高くなっております。町村になるほど低いという傾向があります。これはあらゆる公共施設について一般的に指摘できるところであります。  そこで、こういった公共施設整備水準の差をどのようにして解消していくかということでありますが、地方交付税による方法では直接的には限界があるわけです。と申しますのは、基準財政需要額算定の基礎となります人口であるとか児童数生徒数といったものが、町村等では数値そのものが伸びない、むしろ減少傾向にある。そこで、これをカバーするためには別の方法をとるしかない。  例えば過疎債辺地債などの起債を活用して、その元利償還金算入するという方法、これはかなり効果を上げてきていると思います。それから、交付税そのものでは、基準財政需要額算定上いわゆる補正係数数値減等をカバーしていくという方法、さらに、五十九年度から御提案申し上げておりますまちづくり特別対策事業、こういったものについて、具体的内容はこれから各地方団体の御意見も聞いて確定してまいりますが、その配分などを通じましても地域差というものを縮めていきたい、そうして、その元利償還算入に当たりましては、いわゆる財政力補正を適用して、留保財源の少ない団体についてなるべく手厚い措置を講ずるということで、いろいろな方法でこの格差の是正を図ってまいりたい、このように考えております。
  11. 工藤巖

    工藤(巖)委員 局長の御説明はよくわかるのでありますが、それにもかかわらず、やはり一般財源という観点から見れば、農山村と都市部め格差というものは否定できない。過疎債辺地積は、非常にありがたい制度として辺地過疎地域においては活用させてもらっているわけでありますが、それでよいのかというふうに考えてみると、これでよしとするわけにはいかないのではないのかなという気がしてならないわけです。     〔委員長退席西田(司)委員長代理着席〕  今プールの例を申し上げましたけれども、危険校舎面積比率、つまり危険校舎になっている面積が全体の中でどれだけを占めているかというようなものを調べていくと、やはり同様な傾向を持っているわけです。校舎が足りないという学校の数を調べると、これは大都市でも、特に大きな町村人口急増町村だと思うのですが、こういうところでは校舎が足りないという学校の数は結構多いのです。  ところが、校舎が足りないその面積はどのくらいかと、今度は面積の方を調べてみますと全く逆になりまして、過疎地農村地域の方が、つまり人口五千五百人未満というものがなべて見て三〇%ぐらい校舎面積が足りませんよというところが多い。それが都市部になると一〇%ぐらいというものが多い。これは統計資料をずっとよく眺めてみると、そういうふうな形になってくるのであります。  そこで、これはやはりそうした財政力の弱い僻地なり地方小規模町村において、こういう行政水準が不十分なままでとにかく今日まで運営してきたということを意味することにほかならないと思うのです。交付税格差解消制度というものは大変うまくできているんだけれども、やはりどこかもう少しこの点を見直す必要がないのだろうか。制度発足以来三十年たっていますから、それはわずかな違いでも三十年間の積み上げというものが出てくる、それがこういう現在の不均衡をもたらしているのではないかとさえ私は思われるのでありますけれども、この点はどうなのでしょうか。所感というか、感じ、感覚みたいなものを、ちょっとどなたかから伺いたいと思うのです。
  12. 石原信雄

    石原政府委員 行政水準格差というものをどのようにとらえるか、特に都市部農村部における行政水準というものをどういうふうにとらえるか、いろいろ難しい問題があると思います。確かに、危険校舎の割合でありますとか学校プールでありますとか道路舗装率などの整備率、こういった指標をとりますと、都市部の方が高くて農村部の方が低い、これは事実であります。しかし、また一方では、道路混雑度でありますとか環境の汚染の問題でありますとか、いわゆる質的な面と申しますか、生活環境などの面からあるいは公共施設現実機能面からいたしますと、都市部の方がむしろ実質的には行政水準が低いのだ、こういう考え方、主張もあるわけであります。  そこで、地方交付税制度におきましては、こういった都市部における行政需要農村部における行政需要もひとしく充足していくという考え方で、これまでいろいろ努力工夫がなされてきております。そのような地域差というものを地方公共団体が独自の判断である程度解消していけるように、そのための財源をリザーブする意味で、御案内のように、基準財政収入額計算におきましては標準税収入の二五%を計算外に置いているわけです。この金額は、当然のことでありますが、都市部の方が大きくて農村部の方が少ない、それが三十年たってかなりな施設水準の差となってあらわれている、こういう見方もあると思います。  しかし、また同時に、私どもはその留保財源の差というものも念頭に置きながら、先ほども申しましたように、基準財政需要額算定におきましては、特に農村部財政需要には相当気を使っているつもりであります。測定単位数値の選択に当たっても、また各費目ごと単位費用の積算に当たりましても、その点は十分考慮しているつもりでありますし、また各種の補正係数も、いわゆる過疎地域農村地域への配慮ということを念頭に置いた補正が数多く適用されているわけであります。  そして、さらに基本的には、公共施設水準格差というものは今の交付税基準財政需要額算定方法、単純な人口とか面積とか児童数生徒数などの客観的な指標による算定だけではどうしても限界がある。そこで、投資的経費についてはある程度地方債を活用して、その償還費用基準財政需要額算入するという方法、御案内のように過疎債辺地債など一部のものについては既に採用されておりますけれども、こういった方法をある程度取り入れないと限界に来ているのじゃないか。そういう意味で、今度まちづくり特別対策事業なども、交付税制度のメカニズムのこれまでの経験あるいは今後の地方行政というものを展望してこういう制度を取り入れてみたらということで五十九年度から考えているわけでありますが、いずれにいたしましても、こういったようなあらゆる手段を動員して、本当に公平に地域間の行政水準のバランスがとれるように努力していきたいと考えております。
  13. 工藤巖

    工藤(巖)委員 都市農村ではそれぞれ環境が違います。したがって、例えば公害の問題をとらえてみれば農村部の方がはるかに環境的にも恵まれているとか、そういった状況は否定できないわけだし、それぞれそういう個性があるのであります。ですから、私もこの問題を比較してみる場合に、都市計画の進捗を見てもこれは比較にならぬし、道路だって比較にならないし、福祉施設だって自分の村にだけ、村で人が入るとは限っていませんからこれも比較にはならないし、どの指標を比べてみればこうした都市部農村部との格差が明らかになるのだろうかと思って考えてみたのが、義務教育学校施設整備状況ではないかと思いまして、プール体育館危険校舎状況やらを調べてみたわけであります。  先ほど例に挙げました岩手県の山村の例はちょっと極端な例でありますけれども、十一校あるうちに体育館と言えるものは三つしかない、あとの八つはバレーボールもできないような天井の低い集会所で間に合わせているというような状況で、こんな村というのは数少ない例だろうと思います。もっとも、基準財政需要も少ない、税収が年間に一億二千万ぐらいしか入ってこないという村でありますから、ちょっと極端な例なのかもしれないし、あるいはまた今日までの努力に欠けるところがあったと言われるのかもしれないのでありますけれども、現実にそういうものがあることを見て、これは財源付与に問題があるのではないだろうかというように目をつけて、それでその類型別傾向を見ていくと、今私が申し上げたように、また御答弁もありましたような状況がある。  そうすると、これは過疎債とか辺地債とか、必要だったら借りなさい、借りた分は後で見てあげますというようなやり方でいいのだろうか。基本的には地方交付税基準財政需要額収入額算定の問題にかかってくるのではないだろうか、こう思ったわけです。私も間違いがあるかもしれないし、それだけでは解決しにくい問題もあるかもしれないということも承知しながら意見を申し上げ、これからどういうふうにしたらいいだろうかという方向を模索しているという、私自身そういう感じなのでございます。  それで、思うに、地方交付税制度というのは大変緻密にでき上がった制度でありまして、恐らく諸外国でもこれだけ立派にできている例はないだろうと思う。大分前の話であるが、外国で日本の地方交付税制度の話をある人にしたところ、非常に深い関心を示して注目をしておったわけでありますが、私はそのころから、交付税制度を組み立てられ、今日まで維持されてきたそのすぐれた努力には大いに敬意を表し、賛意を表しているわけです。  ただ、ちょっと気になることと言うとなんですが、これは三十年前にいわゆる標準団体なるものを設定して、人口百七十万の府県、人口十万の市町村というものをモデルにとって、そこから必要な行政需要というものを算定してきた。それを人口とか面積とかという客観的な基準に合わせて各市町村の実態に置き直すという操作をして今日のような仕組みがある。それにさまざまな補正を加えたりなんかして調整をとってきたのでありますが、三十年たったのでありますから、この辺でもう一度根本に戻って、行政水準格差の問題を考え合わせながら、標準団体を百七十万、十万でやったほかに、もうちょっと人口類型別あるいは地域類型別に必要な行政需要を押さえてみるという努力がこの辺で必要なのではないだろうか。  余りに立派にできている制度ですから、それを運用してきて、その制度の中にありますと、その制度を外から見るということではなくて、その制度前提にして運用していくという場合が多いのであります。もっと別な広い視野からこれをもう一度見直すための努力を基本的にやってみるという時期になっているのではないだろうかな、こんな気がするのでございます。  もう時間になってきますので、ついでに、私はラスパイレスの高い団体というものを町村の場合で調べてみました。ラスパイレスが高いから投資的な経費をほとんど使えないで、特に町村の場合などは人件費やそういうものに回っているのだろうかと思って見ると、町村の場合は必ずしもそうではない。結構ラスパイレスの高いところで投資的な経費をつぎ込んでいる。ということは、やはり一般的に財源というものがあり余るのではないかという気さえするわけであります。  東京、大阪周辺ラスパイレスの高い都市部などを見ていきますと、これはやはり人件費が相当高い。投資的経費の分を食っているのではないかと思われる。これは感じでありますからわからないが、そういう場合もある。しかし逆に、こういうところでは恐らく下水道も全部整備されたであろうし、一般的な教育施設福祉施設なども整備されたであろうし、結局そういう財源というものはゆとりがあるという結果になりはしないのだろうか、そういうものがラスパイレスを平気で高くしていって別に支障がないというような状況をもたらしているのではないのかとさえ思われる。  そうなれば、やはりここら辺で交付税基準財政需要額収入額を見直す、これでいいのかと見直す作業を類型別にやっていく時期に来ているのではないだろうか、こう思うのでありますが、どんなものでしょうか。
  14. 石原信雄

    石原政府委員 地方交付税制度の基本にかかわるお尋ねであろうと思います。  交付税制度を運用しておりまして感じますことは、経常経費算定は現在の交付税の方式でかなりうまくいっている、的確な財政需要算定ができていると私は考えております。もちろん、給与行政等で一部の団体に非常に高い団体がある、そこを調べてみると財源的にかなり余裕がある、こういう事実関係は否定できないと思います。これらの団体は、特に町村の場合ですと、多くの場合は大きな工場などがありまして税源に非常に恵まれている、地方交付税も行っていないいわゆる不交付団体だ、こういうところが多いように思います。ですから、不交付団体になりますと少なくとも今の普通交付税算定では、これはどうにもならないというか、そこはもうもともと交付税が行かないわけですから、それと農村部との格差をどうするかということになると、税制まで含めて考えないと解決しない。しかし、そうなると地方の独立税を減らせという議論になってしまいますから、これは我々の基本的な考え方と逆行してしまうというので限界があります。しかし私は、一般的に申しまして、経常経費については今の基準財政需要額算定方法でかなり的確に算定が出されていると思います。  やはり問題は投資的経費であろうと思います。地域社会の実態が刻々に変化してまいります中で、面積とか人口とか客観的な指標だけで投資的経費算定するということはどうしても限界があります。交付税が、金額が十分な額確保されれば、一律計算でその中で自由にやってくださいというだけの需要算定ができるのでありますけれども、最近のように財政環境が厳しくなりますと、投資的経費に振り向け得る財源総量がどうしても限られてまいります。そうすると、先ほど申しましたように、地方債の活用なども含めて、あるいはほかの補助金制度等も含めて総合的に地域格差の是正というものを考えていかないと、交付税算定基準財政需要額算定だけでは限界があるのじゃないか。そういった意味交付税制度の今後を考えますと、一交付税だけじゃなくて、他の財政制度等も含めて考えていく必要があるのじゃないか、このように感じております。
  15. 工藤巖

    工藤(巖)委員 局長のおっしゃることもよく理解されます。そのとおりであろうと思います。ただ、現実にこういう差があるのですから、これからの投資的経費算定なりそれに対する対応なりというものは、交付税制度を含めて周辺の制度をあわせて考えていただいていいのですけれども、格差是正を目指す方向でこの際さらに一歩前進をしていただかなければならないと思うのです。そういうことでお考えいただくということのようにうかがえたのでありますけれども、こういう実態があることを前提にしながら、この格差を是正していくためにどうすればいいのか、この問題は地方行政にとっては一番大きな課題の一つではないかと思われます。  先ほどお話しになられました町づくり事業に対する援助、こうしたことについてもなるべく枠ははめないで、地方創意工夫の発露というか、個性の豊かな地域づくりのためのプロジェクトなり計画が出てきた場合に、それを取り上げて一歩進めるための援助をしていく、こういう考え方でこういう事業は大いに充実拡充すべきだと思っておりますし、それにあわせて交付税制度を含めての基本的な御検討をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  時間になってまいりましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 西田司

    西田(司)委員長代理 中川昭一君。
  17. 中川昭一

    中川(昭)委員 私は、地方財政一般につきまして、特に地方財政の中でも、厳しい経済状況財政状況地域について御質問をしたいと思います。  まず最初に、一昨日の衆議院の大蔵委員会におきまして中曽根総理大臣が、地方財政も非常に厳しい状況ではあるけれども、国の財政に比べればまだよいというような御趣旨の発言を委員会の席上なさっておりました。また、先般自治省が作成されました「地方財政参考試算」によりますと、A、B、幾つかのケースを想定なさっておりますけれども、いずれの場合でも六十二年度には地方財政がかなり好転する、悪い場合でも六十年度に比べて半分ぐらい赤字財政が好転するというような試算も出ているようであります。  このように、国の財政に比べまして地方財政につきましては、総理大臣を初め政府、そして自治大臣自治省は、国に比べてはまだ財政状況はいいというような印象を我々に与えるような感じがいたしますけれども、この辺について自治省、自治大臣はどのようにお考えになっておりますか、それと今後の中長期的な地方財政の見通しについて、まずお答えをお願いいたしたいと思います。
  18. 石原信雄

    石原政府委員 初めに、地方財政の現状についての事実関係と申しましょうか、計数的な見地からの御答弁を申し上げます。  最近、国と地方財政を対比して、国に比べれば地方の方が楽だ、状況がよろしい、こういうたぐいの発言がよくなされます。私は、これは非常に誤解を受けるおそれがあると思っております。というのは、地方財政は決して楽じゃないわけです。先般お示しした試算でもわかりますように、地方財政は依然として巨額の財源不足を抱えているわけであります。決して楽ではない、非常に苦しい状況にある。ただ、試算上の財政指標、公債依存度であるとか公債残高であるとか、こういった指標で国の財政地方財政を比べると、国の方がより深刻だ、国の方が大変な状況になっているということは事実でありますけれども、そのことをもって地方は楽だという認識は、全くおかしいと私は思うのであります。  試算の前提として、地方の歳出については極力抑えております。国と同じ基準で同じ伸び率等を使ったわけですけれども、ともかく住民ニーズから比べますと徹底的に歳出を抑え込むという前提で試算をいたしますと、傾向的に財源不足が減っていくということです。このことは、その試算どおりであれば地方行政水準のアップはできない、そういう前提でそういう姿になるということでございます。しかし、同じ前提で国の財政計算しますと財源不足がどんどんふえていってしまうというわけでありますから、より深刻であるということは財政を預かる者としてはわかりますけれども、地方財政は何か余裕があるとか楽だという認識は、根本的に問題があると思っております。
  19. 田川誠一

    田川国務大臣 中曽根総理大臣が大蔵委員会でどのような発言をされたか、私はつまびらかに承知しておりませんけれども、恐らく国の財政が相当逼迫をしているということを強調される余り、そうした誤解を受けるような発言をされたのではないかというふうに私は思います。  ただ、一般的に言いまして、地方財政余裕論がかなり出ていることは、私は非常に残念に思っております。この間、臨調の土光さんがおいでになったときもそれに似たような発言をされましたから、私もかなり反論をしておきました。それは、全体的な予算の見方あるいは計数の拾い方ということももちろんありますけれども、非常に具体的な小さな問題を取り上げて、地方財政余裕諭というのが出てきているんじゃないかと思います。  それから、都市農村、中央と地方という背の感覚がいまだに残っている。地方山村の町役場は木造で汚い庁舎でいいんだ、そういうものが近代的になるのはぜいたくだ、こういう観念がまだまだ今一般的に残っているのではないかと思うのですよ。そういうところへ、ごく一部の地方団体が国家公務員よりも著しく高いあるいはかなり水準の高い給与を出している。これは本当のごく一部分だと思うのですが、そういうようなことをとらえて、地方財政余裕論というのが出てきている。  私は、いつかも申し上げたかもしれませんけれども、地方財政地方自治というものが一般的に非常に国民皆さんに理解されてない。もっと地方財政――地方財政の仕組みというのはなかなか難しいですからね、国の予算とかなり違う、性格、組み立ても違う、そういうことでわかりにくい。わかりにくいからなかなか理解できない。そういうところへもってきて、評論家の皆さんあるいはマスコミ、そういうもので間違った地方財政余裕論というものがクローズアップされている。そういうことを考えますと、私どもは、もう少しいわゆるオピニオンリーダーに地方自治あるいは地方財政の理解を図っていく必要があるんではないか、こういうふうに思っております。  ちょっと長くなりましたけれども、私どもは地方財政が国と比べて楽だなんてことを毛頭考えてはおりません。国の財政が厳しければ厳しいほど、地方財政も非情に厳しいという観点に立って今後もやってまいるつもりでございます。
  20. 中川昭一

    中川(昭)委員 私も、いろいろ勉強してまいりまして、地方財政も本当に厳しいということを実感してまいったわけでありますし、まして地方自治体の関係者の皆さんにとりましては、そのような誤解というか印象を与えるということは非常に心外なことだと思いましたので、今の大臣のお言葉を聞きまして、私も非常に心強く、また一層御期待を申し上げる次第であります。  そういう国も地方財政もどちらも厳しい状況の中で、しかも公共事業全体の抑制という中で、その配分につきまして先ほど先輩議員からも同様の質問がありましたけれども、こういう厳しい財政状況の中で投資効率、あるいは少ない財源の中でいかに効果のある配分をするかということを考えたときに、どうしても都市圏と地方圏との質的な格差というものが出てこざるを得ないのではないか。結果的に数字を見ましても、例えば自治省の行政投資実績によりますと、昭和五十四年度を境にいたしまして、大都市の行政投資の伸び率が地方圏をわずかでありますけれども上回るようになった。こういう厳しい状況の中で、特に財政事情に余裕のない地方公共団体については影響が大きいのではないか。また、国民一般の中に地方の時代というような一つの理念も大きく育ちつつありますけれども、そういう状況の中で、投資が、この数字を見ます限りでは地方から都市にシフトしつつあるというようなことが出ておりますけれども、このような状況についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  21. 石原信雄

    石原政府委員 自治省で公表しております行政投資実績でございますが、これは地方公共団体の行政投資だけでなくて、例えば国鉄とか高速道路とか、相当幅広い行政投資を集計しているものでございます。したがいまして、地域的な傾向を見る場合には、そこの点を念頭に置く必要があります。例えば高速道路都市部で着工されますと、都市部の行政投資がふえる。新幹線についても同様であります。それから、全体的な傾向としては、農村部については土地改良事業などの農業投資が以前に比べますと相対的に伸びが落ちております。それに対して都市の再開発系統の事業は、依然として立ちおくれが著しいということでその面の投資がふえている、あるいは住宅投資なども都市部にどうしても偏る傾向がある、こういうことは否定できないと思います。  で、私どもは直接地方公共団体が責任を負う行政投資について十分な注意を払いながら動きを見ております。先ほど工藤先生からも御指摘があったように、地域別の公共施設水準差というものと、これに対応する行政投資の動き、こういったようなものを見ながら我々の地方行政における投資財源の確保について意を用いる、こういうことで今日まで来ておりますが、今後ともそういった基本的な態度で臨んでいきたいと思っております。
  22. 中川昭一

    中川(昭)委員 今の質問に関連するわけでありますけれども、例えば国の財政が厳しいということも十分よくわかっておりますが、今年度地方財政計画の事業費内訳を見ますと、地方負担費につきましては約三百九十一億円の前年度比減額、それに対しまして、国費負担分につきましては約二千百三十三億円ほど、地方費に比べて非常に大きな割合の減額になっておるわけであります。これについてひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  23. 石原信雄

    石原政府委員 公共事業の抑制、御案内のように、五十九年度予算におきましては公共投資につきましても初めてマイナスシーリングが設定されました。その関係で公共事業関係の国費の落ちが非常に大きくなっております。関連して地方負担の減も立っているわけです。  それから、お尋ねの中に含まれているのかどうかわからないのですけれども、地方財政計画上の投資的経費の中で、地方の単独事業についても三%強、減が立っております。金額で二千八百億円の減が立っておりますが、これについては、交付税法の審議の際にも御答弁申し上げましたように、積極的に単独事業を減らすという意味合いではなくて、地方財政計画の計上額と地方現実の単独事業の実施実績との間に余りにも大きな乖離がありましたので、そのうち、明らかに合理的な説明がつかないもの、約六千億ほどでありますけれども、これについてこの際いわゆる規模是正をする、計画と決算との開きを是正しておこう、こういう趣旨で減額したわけです。ですから、事業を減らすという意味ではなくて、計画上の数字を実態に合わせるために手直しをした。そうした上で、今後積極的に単独事業をやっていただく趣旨で三千億円のまちづくり特別対策事業を増額計上する、こういうような扱いをいたしております。
  24. 中川昭一

    中川(昭)委員 わかりました。  投資あるいは景気については、都市地方圏の差というか格差というものがあると同時に、同じ日本の大部分を占める地方圏の中でも、地域的な景気回復についての大きなばらつきがあるというふうに私は理解しておるわけであります。  そこで、最近発表されました経済企画庁の地域経済動向によりますと、昨年来我が国の景気は大分回復してきたというふうに言われておりますが、地域別で見ますと、一部の地域においてはまだまだ依然として低迷状態、あるいは一部地域ではやや明るさを増してきたということで、景気回復、景気回復といって日本じゅうが喜べるような状態にはまだないというふうに私は理解しております。具体的な地域につきまして、例えば倒産件数でありますとか雇用状況、失業率等の数字をお調べ願いまして、その産業構造等につきまして、なぜそういう地域別の景気回復の跛行性がありますのか、経済企画庁の方からひとつ御説明を願いたいと思います。
  25. 青木雅明

    ○青木説明員 経済企画庁の調査第二課長でございます。ただいまの御質問に対しまして若干御説明をさせていただきたいと思います。  まず、我が国の経済は、輸出が増加しておりますほか国内需要も持ち直しつつございまして、景気は緩やかながら回復を続けておるという実情でございます。こうした中で景気動向にはなおばらつきがあるということは、御指摘のとおりでございます。  なお、経済企画庁では全国を土地域に分けまして経済動向につきまして調査を行って、その結果を先ほどおっしゃいました地域経済動向という形で隔月で公表をしてございます。それによりますと、輸出関連産業が多い東北、関東、北陸におきましては景気が着実に回復をしておりますし、また東海、近畿、九州におきましても、輸出の増加とその内需への波及の効果がございまして、景気が回復をしておるということでございます。また、中国、四国につきましてもやや明るさが見られてきたという現状でございます。ただ、北海道は引き続き低迷を続けておるという実情でございます。  なお、北海道につきましては、幾つかの関連指標で見ますと、鉱工業生産は四年続きの減少を続けておるほか、消費支出は盛り上がりに欠ける動きを見せております。また、有効求人倍率は依然低い水準で推移しております。さらに企業倒産は、建設業、卸、小売業を中心に昨年を大幅に上回る状態が続いておるという実情でございます。このような北海道の景気の停滞が続いておるという理由につきまして見ますと、輸出関連産業が少ないため輸出増加の地域への影響が少ない。それから、公共支出への依存度が非常に高い。それから、産業構成上、農業のウエートが非常に高こうございますが、これが低温による被害が大きかったというようなことが挙げられるかと思います。  以上、簡単でございますが……。
  26. 中川昭一

    中川(昭)委員 今のお話を伺っておりますと、一部地域、特に北海道、これは私の地元でございまして非常に遺憾なことでありますけれども、北海道が非常に景気の回復がおくれている、依然低迷状態であるということであります。  そこで、去る四月十七日に、本年度の上半期の公共事業の施行のあり方、いわゆる前倒し対策というものが閣議決定されまして、昨日、連絡会議が開かれまして、その席上で、結果的には、景気回復がおくれているような地域につきまして前倒しの特別な配慮が決まったわけでございます。この地域につきましては、北海道はもちろんでありますけれども、青森、兵庫、和歌山、高知、長崎、沖縄、秋田、福岡、鹿児島と、全国にそれぞれ散在しておるわけでありますけれども、これらの地域につきましての選定基準につきましては新聞等で報道されておりますが、このような地域にはそれぞれいろいろな特殊事情、そして特にその地域における住民、自治体の方々にとっての不況感というものは、数字で把握する以上に厳しいものがあるのではないかというふうに考えております。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕  例えば、私の地元の北海道でありますと、昨年の大変な冷害、そしてことしの五九豪雪、そしてその後の異常低温で、実際に麦の被害でありますとか、これからピートをハウスから畑に植えかえる作業が行われるわけでありますけれども、それが非常におくれるのではないかということを皆さん非常に懸念をしておるわけであります。このように、経済的に景気の低迷と、それから特に北海道、東北、九州等一次産業が大きな産業である地域にとって、このような大きな農産物、一次産業のダメージがあるというダブルパンチということになりますと、心理的にももちろんでありますけれども、経済的にもこのような地域に対して非常に悪い影響を与えるのではないかというふうに考えております。  そこで、前倒しのきのうの決定によりますと、一道九県について指定があったわけでありますが、竹下大蔵大臣は、全体として約七〇%ほどの工事額を上半期にやるというようなことを非公式の場でおっしゃっているようでありますけれども、実際の配分につきましては、自治省と各都道府県とが協議をなさって、またそれに大蔵省が加わってやられるわけでありますけれども、どうかそのような地方状況を十分に把握していただいて、経済的あるいは心理的な面も含めて把握していただきまして、地方行政団体の方々に御指導願って、七〇%という数字がどの程度意味があるのか、特に厳しい地域においては七〇%という数字にこだわらずに、どうか大きな対策を練っていただくように、これは財政局長さん、そして大臣、お二人にお願いをしておきたいので、御答弁をお願いいたします。
  27. 石原信雄

    石原政府委員 公共事業等の地域的な配分につきましては、それぞれ当該事業の所管省と大蔵省とが相談して行われていますが、私どもも地域財政を預かる立場から、積極的に意見を述べられる場があれば述べていきたい。  それから、私どもの持っている手段としての地方債の配分に当たりましては、今回の土地域について、一般のそれ以外の地域に比べまして、地方債の配分率といいましょうか前倒し率といいましょうか、若干差を設けて、より早く地方債の配分ができるように配慮を加えております。それからまた、事業によりまして地域的な重点の置き得るものについては、その点を十分配慮しながら、地方団体の御要望に沿った対応をしていきたい、このように思っております。
  28. 田川誠一

    田川国務大臣 自治省では、先般の閣議決定を踏まえて、目標契約率の七〇%程度を標準として何とか措置するように指導しておりますけれども、北海道など景気回復がおくれているというような地域では、七〇%以上の目標契約率とすることを念頭に置いて指導しているところでございまして、御指摘のような中川さんの地域、北海道におきましては、地域経済の実情を踏まえましてやや高目の契約率が設定されるのではないか、このように見込んでおります。
  29. 中川昭一

    中川(昭)委員 もう一つ大臣に御質問をしたいのでありますけれども、自治省の所管されている地方財政につきまして、その効果というものは、大きく分けますと、もちろん社会資本の整備拡充、そして景気対策、それから、このような状況でありますから財政の制約というものがあると思いますけれども、このような厳しい地域におかれましては何が最優先だとお考えになりますか。
  30. 田川誠一

    田川国務大臣 御質問の趣旨は余りよくわかりませんけれども、今こうした厳しい地方財政の中では、地域の活性化ということを重点に置いて地方行政をやっていかなければならない、そういうふうに考えております。
  31. 中川昭一

    中川(昭)委員 ありがとうございました。ぜひひとつよろしくお願いいたします。  それでは、次に移らせていただきます。  今、一部というよりか、日本国民全体の大きな関心事にいわゆる特定地方交通線問題、その中で二次線廃止問題というのが大きく取り上げられております。特に二次線廃止対象地域におきましては、その地元住民の最大の関心事であると言っても過言ではないと思います。例えば、これも私の地元の例で恐縮でございますけれども、北海道の場合におきましては一次線八線、二次線十四線、合わせまして二十二線が一次、二次の廃止対象路線になっておりまして、これは北海道全体の約三六%のキロ数でありますけれども、これが廃止になるかどうかの今瀬戸際になっておるわけであります。これらがもしも全部廃止されますと、地元の経済あるいは住民生活にとって非常に大きな影響を及ぼすだけではなくて、これからの地域開発にとっても非常に大きな影響を及ぼすのではないかというふうに、今我々は大きな懸念を持っておるわけであります。  運輸省は、こういう厳しい財政状況の中で、採算面ということからこのような一次線、二次線の選定をなさったわけでありますけれども、こういう地元経済に対する影響について、この選定においてどういう配慮をされたのか、あるいはその影響についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
  32. 岩田貞男

    岩田説明員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、国鉄が非常に厳しい財政状態であるということで、輸送量の非常に著しく激減した線区について転換を図るということで、国鉄再建対策の一つとしてそういう方策が進められているところでございます。  ただ、これは著しく輸送量が減ったからといって一方的にそれを引き離すということではなくて、やはり地域における方々の足の確保ということが前提となるものでございまして、仮に今後手続を進めるに当たってそういう御協議をなされる中で、私たちとしては当然その地域の輸送の需要に適合した最もふさわしい交通機関をかわりに整備することによって、地域の方々の御不便が生じないようにしてまいる所存でございます。
  33. 中川昭一

    中川(昭)委員 仮に鉄道が予定どおり二次線が廃止された場合に、これは仮にの話でありますけれども、第三セクター方式でありますとか、あるいはパス転換でありますとか、何らかの代替交通手段というものを当然運輸省、国鉄を初め行政の方々は考えていらっしゃるわけでありますが、自治省では、この代替輸送については、地方団体財政負担が生じないように、参加には慎重に対処することという通達が出ておるわけであります。  これにつきましては、特にこういう厳しい財政状況でありますから、財政状況だけを考えますとやむを得ないということも成り立つかもしれませんけれども、何といいましても、地元住民にとって代替交通路線を何とかしてほしい、しかもその地元に例えば第三セクターに参加するような有力な企業が存在しないとかいう状況の中で、どうしても地方公共団体、自治体がその第三セクターに参加せざるを得ない、それが住民の強い希望であるという場合、しかも万が一赤字が出ることも必ずしもゼロではないという状況の中で、こういう場合には厳しい財政状況でありますから、地方自治体にとっても大きな財政負担になるわけでありますけれども、こういう場合、自治省はこのような団体につきましてはぜひ御相談に乗っていただきまして、何らかの財政措置を講じていただいて、地元公共団体になるべく財政負担をかけないように、そしてこれが地元にとっての切なる願いであるといってとも踏まえた上で、ひとつお考え方を教えていただきたいと思います。
  34. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま御指摘の点、地元の希望でどうしても第三セクター方式に移行せざるを得ない、こういう場合に、その第三セクターの生じた赤字を公共団体が負担するかどうか、この点について、またさらにその場合の地方財政措置の点について、これはこれまでも数多くの論議がございました。例の岩手県の三陸鉄道でありますとか、あるいは栃木県と福島県の野岩線の問題ですとか、幾つか具体の例がありますが、私どもは、やはり今の財政秩序というか財政の負担原則といいましょうか、こういうことからこの問題を考えざるを得ないのであります。  すなわち、現在地方財政は国鉄財政の赤字を負担するようにできていない。ですから、国鉄財政再建に関連してローカル線の存廃が論議される場合には、もちろん地域経済、地域住民の福祉というものに十分な配慮がなされなければならない。しかし、それを考えてもなおかつ国鉄の財政再建の見地から廃止をせざるを得ない、こういう選択を迫られるに至った場合に、その救済策といいましょうか、対応策として第三セクターが選択され、その第三セクターについて赤字が生じた場合に、それを例えば地方交付税等で補てんするということになりますと、結果としては国鉄の財政再建のための赤字を交付税が肩がわりするということになってしまうと思うのであります。実際、この問題につきましては日本じゅうみんな悩んでいるわけです。恐らく出た赤字について地方財政措置を講ずるということになれば、どこの団体でもぜひそうしてほしいということになってしまうのだろうと思うのです。  私どもは、地方財政を預かる立場から、もともと現在の地方税制、地方交付税制度の総枠が設定された大前提として、国鉄の経営について財政負担をするという前提になっていないわけです。だから、地方財源の総体の中にそういうものはカウントされていない。したがいまして、第三セクター方式へ移行した役といえども、その地方の共有財源の中から、もともと入っていない要因に対応するわけにいかない、そういう事情があるものですから、第三セクター方式へ移行する場合には十分慎重に考えてください、将来赤字が出るような事態になった場合に、その団体財政負担で、その団体の自己の責任で対応できるかどうかを見きわめて決めてください、こういうことを申し上げているわけであります。  特に、ローカル線で廃止の対象になっておりますような地域地方公共団体は、押しなべて財源に恵まれない、財政力の乏しい団体ばかりであります。そういう団体が自分の負担で、自分の責任で第三セクターの赤字を負担することは到底不可能、それをやれば財政は破滅してしまう、本来の公共団体としての責務が果たせなくなることは明らかであります。それなるがゆえに、第三セクター方式を選択する場合にはよほどの覚悟とよほどの将来を見通した緻密な慎重な検討が必要である、このように考えているわけであります。  実は、これまで既に第三セクター方式に踏み切った各自治体の場合も、そういった論議を我々と何遍もした上で、関係団体はそれでもやはりこれは地域住民のために決意するんだ、言うなればほかの事業を犠牲にしてでもこれはどうしてもやるんだということで踏み切られたわけです。そこまで地方公共団体が決意されるならば、それをしも思いとどまれということを私どもは申し上げるわけにはいかないということで踏み切ったわけです。  したがいまして、大変これはつらい話でありますけれども、今後とも第三セクター方式を考えられる場合には、やはり自己の責任で、その団体の責任で対応できるかどうか、そしてそのことがその地域の本来の地方公共団体の行政にどういう影響を与えるのかということを十分お考えいただいて決定してもらいたい。もちろんその大前提として、ローカル線の存廃について地域の実情というものを十分お考えいただきたいということは、私ども地方団体のサイドに立って、運輸省、国鉄にはいろいろ御意見を申し上げておりますけれども、その上で、そういうことを考えてもなおかつ廃止が決定された場合に、そのアフターケアと申しましょうか、実質的な財政負担というものを地方が負うというのは、今の財政制度の仕組みからはできないのだということを申し上げざるを得ないのであります。
  35. 中川昭一

    中川(昭)委員 自治省の通達では慎重に対処することというふうに書いてありますが、この慎重に対処することについては、もちろん財政上の問題もあると思いますけれども、地元の住民ニーズということもやはり考慮の大きな要件に入るのではないか。先ほど局長おっしゃられましたように、廃止対象地域というのはいわゆる過疎の地域でありまして、景気も悪い、あるいは産業も大きなものがない、そして地方財政も非常に厳しいという状況の中でこの問題が絡んできておるわけであります。先ほど大臣は、そのような地域にとって一番大切なことは地域の活性化であるというふうにおっしゃられましたが、まさしくこれは地方の重要な輸送手段、これに自治体が参加するということは、一番大きな地方活性化の手段ではないかというふうに思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。
  36. 田川誠一

    田川国務大臣 地方の鉄道の廃止問題は、地方にとって大変大きな問題であると思いますし、特に北海道のような地域では、バスに転換するといっても冬場はもうどうしようもございませんから、なかなか大変だと思います。各党の方々からも私自身要請を受けております。ただ、今局長が申しましたように、簡単に第三セクターといいましても、これを赤字を出さないでやっていくということは大変困難な事態でございまして、そう簡単にやれないんじゃないだろうかというのが、私どもが慎重に対処してほしいと地方団体皆さんに申し上げているゆえんのものでございます。  私どもとしては、運輸省とも、できるだけ地方団体の声を聞いてほしいということで、できれば残していっていただくことが一番ありがたいというふうには思っております。しかし、国鉄は国鉄としていろいろ合理化の関係もあるし、いろんな事情もあると思うのです。まだ最終的に決定しておりませんから、私どもは地方の声をできるだけ運輸省に伝えるように努力をして、そうして地方皆さんが御不便を感じないように努力をしてまいりたいと思っております。
  37. 中川昭一

    中川(昭)委員 ぜひ先ほど私が申し上げたような意味で、ひとつ慎重に対処をしていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に簡単に一つ質問をさせていただきます。  五十二年に策定されました三全総といいます計画につきましては、定住構想という地域住民の自主性を非常に重視した構想が枠組みとなっておるわけであります。この考え方、非常にすばらしい考え方でございますけれども、最初に申し上げましたように、地域格差がどうしても厳然として存在している以上、地域によって質的な差があるというふうに考えておるわけであります。自治省は昨年から地域経済活性化対策、そしてことし町づくり対策というものを始められまして、これは地域ごとの活性化対策ということで非常に結構なことだと思っておりますけれども、どうかこの地域別の、地域に合った地域対策というものにつきまして、なお一層御努力をなさいますよう大臣に一言お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  38. 大石千八

    大石委員長 加藤万吉君。
  39. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ことしの三月二日のある新聞の見出しですが、「テレビ見て、がく然「あれっ!?うちの警官」」、これはことしの三月一日の事件であります。再び警察官強盗事件でございまして、しかも先ほどの大臣の御答弁にありましたように、これらの最近の一連の不祥事件関西方面に非常に多発している。私は、単に大阪、兵庫に事件が多発して、再び警官の強盗事件が起きたというだけでは見過ごせられない実は内包したものがあるのではなかろうかと思うのであります。  そこで、まず最初に警察庁の官房長にお聞きをしますが、この二つの事件に共通して起きた動機、これは一体どういうものでございましょうか。
  40. 太田壽郎

    ○太田政府委員 三月一日の兵庫県警察官によって引き起こされました事案につきましては、本人がギャンブルに凝りまして、サラ金から借金をして、その返済に非常に窮したという点がございます。四月二十四日に起きました事件につきましては、現在詳細については鋭意捜査中ということで、私どもの方で必ずしも正確なところを全部把握しているわけではございませんが、かなりサラ金から多くの借財があった、それの返済に迫られていたというところに共通した原因があるように思われるわけでございます。
  41. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いわば多額の個人的な借金、なかんずくサラ金、これが二人の警官をしてこういうことに追いやっているわけであります。私はこの新聞記事を読みまして、このテレビを見ました同僚の警官が愕然という、まさに何といいましょうか、第一線で活躍している警官から見まするならば、おれの仲間がという気持ちだろうと思うのですが、むしろそういう状況に追い込んでいる背景というものをいま少し警察庁当局として考えていきませんと、第三、第四の事件が発生しないと私は言い切れないと思うのであります。  兵庫、大阪につきましては、当委員会で私は賭博機械の汚職事件があったときにも申し上げました。これは山川大臣がたまたま神奈川県でございますからひとつ事例を申し上げますけれども、神奈川県でも実は警官の不祥事件が幾つかありました。例えばアパートに警官が行きまして婦女に暴行を加えるという事件もありましたし、あるいは泡踊りという事件もありました。私は、賭博機械事件が起きたときに、たまたま神奈川県警が賭博機械の一斉摘発を行ったという記事を読みました。なるほど先にそういう賭博機械というものに対する事件処理が警察の手で行われていれば、それに絡む警察官との汚職関係は断ち切れるものだ。  御案内でしょうけれども、兵庫県警、大阪で起きました賭博機械汚職事件は、その後にせ調書という事件にまで実は発展をしてしまったわけであります。いわゆる初めの汚職だけではなくして、その後の捜査でにせ調書事件をつくるという、だんだんと警察官そのものの犯罪がエスカレートする。  そして、神奈川県の場合にも、当時本部長でありました藤巻さん、大臣御存じだろうと思うのですが、その後皇宮警察の方に就任されまして、あと余生を送られるのに余りいい環境の中ではなかったというように実はその後聞いておるのです。同じように、大阪で起きました事件の後、元警察学校校長でありました本部長が不慮の死を遂げております。  この一連のものを見てみますと、どうも警察官に対する管理という問題がまず問われていかなくてはならぬのではないか。不祥事件が起きたときに、大変すばらしいという人もあるわけですが、責任をとるということは、まあ元警察学校長の場合には自殺をするという不祥事件に発展をしてしまったわけですね。藤巻さんの場合も私はそういう何か暗いものがあったという話もちょっと聞いておるものですから、大変気になっておりました。したがって、今度の事件なども、いわばそういう責任のとり方で警察庁が全体として処理するとなると、これはやはり第三、第四の事件が起き一でくるのではなかろうか、こう実は思うわけです。いわゆる背で言う切腹諭的な責任のとり方はどうも間違っているのではないか。  特に今度のこの警察官は、賭博の場合もそうですが、若いというよりもむしろ分別のある四十歳以上の警察官なんですよ。賭博の場合には五十歳以上の警察官。私は当委員会で、大体五十歳以上になった警察官の老後の保障という問題をしっかり考えなければ、暴力団関係との結びつきの中で老後の状況まで考えようという警察官もないわけではあるまい。したがって、警察官の老後保障という問題についてどう考えるかということを考えるべきではないか、こう実は問うたことがあるのです。  同じように、今官房長に聞きますと、今度の事件のこの警察官は、最初は住宅ローンで、クレー射撃というのが大変趣味で、それをやるためには大体一回について一万円ぐらいかかる。住宅ローンが給料袋から公式な警察官共済とかいうもので大体十六万円差し引かれ、同時に今度は別の面でサラ金から借りて、そのサラ金も当初はクレー射撃に使ったのでしょうけれども、その後も相当な額の借金があり、家に入れるのはせいぜい六万から八万ぐらいだろう。四十二、三歳になり、子供が四人もある中で、この経済状況では当然間に合いませんし、追われておったのでしょうから、結果的に警察官が銃を持って強盗するという事件に発展をしてきた。ということになりますと、問題は、その事件そのものも大変なことですけれども、それよりも、それを生み出している背景、幾つかの条件をこの際考える必要があるのではなかろうか、私はこう思うのであります。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕  そこで、警察庁長官にお伺いをいたしますが、前回の汚職事件が起きたときに次長通達を出されておりますね。その後、強盗事件が起きたときにも、あるいは汚職事件が起きたときもそうですが、関西には特別に特命監察をやっていらっしゃいますね。この二つのいわゆる特命監察をやって、機構上どういう問題があったのだろうか、警察官の素質についてどういう問題があったのだろうか、そういうものをまとめて次長通達という形で出されておるのではないかと思うのですけれども、それが今度の事件に生かされなかった、そういうことがどうも私は不思議でならないわけです。特命監察、あるいは今の警察官の素質の問題、あるいは次長通達の中で一体どういうことを第一線警察官に、あるいは各警察本部長を通してお示しになっているのか、ひとつ長官からお答えいただきたいと思います。
  42. 三井脩

    ○三井政府委員 大阪事件の後、特命監察を行い、今おっしゃるように通達を出したわけでございます。あの場合はいわゆる遊技機汚職と言われるものでございまして、まずそういう業者に対して指導をし、さらに、指導に従わずに違反を重ねるという者については検挙するというのが保安関係業務を担当する人たちの仕事でございますが、その辺に癒着と非難される点が出てきたということでございますので、監察の結果として通達に盛り込みましたのは、一つの係に長くおることは、事情に精通しベテランになるという利点がありますけれども、そこにまたなれが生ずる、また上司も担当者である部下がベテランであるということを過信して今のような問題が発生するおそれがあるというようなことから、日々の上司の点検、指導というものを的確、厳格にやるほかに、一つのポストに余り長く置かない、一定の期間に、例えば業務は同じであっても署をかえる、あるいは同じ署におりましては係をかえる、こういうような点で人事管理上の措置をするということが直接の問題であろうということでございます。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕  それからまた、サラ金等に基づく警察官強盗事件その他の非行に走るという問題につきましては、本人の生活態度が警察官にふさわしい堅実な生活態度から逸脱しておるとか、あるいは本人の収入にふさわしい生活態度の限度を超えて、身分不相応といいますか、収入不相応の住宅を建てるとか、あるいは収入にふさわしくないような金のかかる趣味にふけるとかというようなことがあってはならないというような関係で、この辺を指導するために、まず上司、同僚が部下の勤務実態のほかに生活実態をも的確に把握をしようということに努めるということでございます。そういう点を盛り込みまして通達を出したわけでございます。  兵庫の事件について言いますと、三月一日に引き続いてまた四月にと、こういう事案でございますが、三月の事案の直後に兵庫県ではそういう通達の具体化として何をやったかと申しますと、上司がそれぞれの実態把握をするほかに、共済組合、それから生活協同組合等からいろいろな名目で金を借りるわけですが、その金の借り方に問題はないかということを調査いたしました。それから、現にそういう公的あるいは半公的な融資のほかに、個人的に融資を受け、あるいはサラ金から融資を受けておるということで困っておる者については、相談を受けて的確な対処の仕方、再建策を相談の上講じてやるという方向を打ち出して、ただし、上司に対してそれを申告するということはやや困難であるとかいろいろな意味で二の足を踏むというような空気をできるだけなくすという意味で、例えば電話で相談をするとか、それからまた、警務部長が直接に家族に手紙を出しまして、奥さんから直接に警務部の方に連絡ください、相談に応じましょう、こういうような手を打ったわけでございます。  それから、職場の上司が直接やるということにつきましては、家庭訪問をして本人のほかに家族からも事情を聞くということで、今回の事件の家族につきましては、三月七日に上司が行って家族、奥さんに会って、問題ありませんかというようなことを聞いておるわけです。そのときに、奥さんが事実主人のやっておるサラ金関係、サラ金を借りておるというような実情を知らなかったのかわかりませんけれども、奥さんからは特に問題はないということでありますし、本人もまた役所での調査に対して問題ない旨答えておるというようなことでありましたので、結局は、本人個人が、いろいろの手を打っておりますが、その手の打ち方を受け入れるというところに一番の問題がある、それに目をつぶって、せっかくいろいろな手を打っているのに彼がそれを受け入れなかったというところに問題があるわけでございますから、その点を一言で言いますと、組織としてはあらゆる手を講じた、しかしそれが問題の個人に浸透しなかったというところに問題がある。  その浸透をどのように図っていくかというのがこれからの課題であり、今までやっておるようなことを一層きめ細かくやるということのほかに、浸透するような方法がさらにないかということをいろいろと検討していきたい、こう考えておるわけでございます。
  43. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 三月一日の前には、淀川署の例の京都における愛人射殺事件がございましたね、賭博機械があって、射殺事件があって、三月一日があって、今度の二十四日、こうなりますと、長官警察官に対する不信感をなくせといっても、率直に言ってなかなかなくならないと思うのです。事件としては、今度の新聞報道で見る限りは、その犯人逮捕のために本人も犯人逮捕の待機要員として配置をされておったという話を新聞で知りまして、ナンセンスというか、あるいは言葉は悪いですが、漫画といいましょうか、まさにそういう状況国民の日から見ればどうしてもそう見えますよ。  そこで、これは官房長にお聞きしますが、グリコ事件、例の江崎社長誘拐事件が一カ月以上たっておりますが、依然として解決のめどといいましょうか、犯人の像というものが浮かんでまいりません。そこへもってきて、新聞では、何回か犯人側から挑発的な挑戦状的なものが新聞社に投書をされる、これは今度のこの二十四日の事件と裏腹に国民の目には映りまして、関西、特に大阪、兵庫の県警はそういう面では警察の綱紀は緩んでおるわ、片っ方のグリコ事件の方は犯人逮捕には全然嘲弄されておるわ、そういうふうに映るのです。  ある週刊誌なんかによれば、グリコの会社はむしろ警察よりも犯人と対で話をするか、あるいは取引をするか何かして、そこで事件の解決をするのじゃないかなんということを報道されておるわけです。何となしに週刊誌で見られるわけです。これは日本の警察の威信にかけてそういうことは断じてあるまいと私は思います。したがって、今のグリコ事件は、私は捜査の段階のことは一切触れません。これは警察で捜査していただく以外にないわけですから、そういうさまざまなマスコミに流れているような不信感的な要素がグリコ事件の中にあるのかどうか、グリコの社長との間といましょうか、あるいはグリコ事件の捜査の過程にそういう不信的な要素があるのかどうか、そこだけひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  44. 太田壽郎

    ○太田政府委員 ただいま先生からお話がございましたようなそういう不信感といいますか、そういう要素は全くないと承知をいたしております。
  45. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私も事前に警察庁から御意見を聞いたときには、会社側も極めて積極的に協力の態勢にあるということをお聞きをしまして、率直に言ってほっとしているような気持ちなんです。ただ、あれだけの物的な証拠がありながら、世界に冠たる日本の警察機構が今日まで犯人像が浮かび上がらないというのは、何となしに残念です。と同時に、今言いましたように、この事件が起きますと、そういうものがあったのかというような感じがするのですよ。  大臣、先ほど私は賭博機械事件のときに神奈川県の例と対比をいたしました。一般に、私はずっと、事件が起きますと当委員会で御質問をさせていただいているのですが、賭博機械なんかでも、この機械がばくち的要素、賭博的要素を持つというので、先に遊技機に対する手入れを神奈川県はしたのです。結果としてはもちろんそういう犯罪行為は起きませんでした。ところが、どうも兵庫県警、大阪府警、いわゆる関西と一言で言っては申しわけございませんけれども、その初動的捜査が不信的な要素が非常に強い。  私は、三井長官が特別の監察をやられたということの中には、その要素、いわゆる関西的な土壌といいましょうか、大阪、兵庫にある何かがそこに介在しているのではなかろうか。そこを断ち切らない限り第三、第四の事件が起きてくるような可能性があってしょうがない。賭博機は確かに警官の汚職事件でありました。今度の場合もサラ金、その前にサラ金をやるためにその警察官が何をしたかということもあるでしょう。今度の場合は住宅ローンからクレー射撃、あるいは何か別にギャンブルに手を出したかどうか、これはまだ捜査中ですからわかりませんけれども、そういう警察を囲んでいる全体の背景というものは、どうも特に大阪、兵庫のバックグラウンドとしてあるのではないか。そこに監察の目を入れることが一つ。そういう背景というものは、それはありませんよ、関西には日本一の暴力団がありますからというようなことなんかは関係ありませんよと言われるならそれでよろしいですけれども、何かそういうものがあるような気がしてならないわけです。  いま一つは、警察官の管理の方向ですよ。この管理の仕方が、切腹、腹切り的な責任のとり方ないしは管理の仕方ではいけないと私は思っているのです。警察官だってやはり人間ですからね。その人間に突き刺さるような人間関係を警察機構の中でどう取り上げていくのか。この前、賭博機械のときには、五十何歳になった者を、次の就職の問題も含めて、そういう要素、そういう背景というものを充実してやりませんと、一獲千金の夢を見るような警察官の行動が生まれますよ、こういう指摘を私はここでしたのです。  今度、四十二歳、四十二歳の人が、ローンに困り、いろいろなものに困り、今長官の話では、それぞれ家庭まで含めて、何かありませんかと、こう言ったというのですが、まだそこにいわゆる硬直したような警察官に対する態度といいますか、日常の対応といいましょうか、あるいはもっと上司としっかりと職場の中で話し合えるような雰囲気といいましょうか、それは切腹、腹切り的なそういう体系の中では生まれてこない。人間関係というものを警察機構の中でもつくらない限り、こういう事件は解決できないのではなかろうか。  新聞に、警察の知識をフルに利用して今度の犯罪を行った、空き家を探し、そこで着がえをして、こう言っていますけれども、私は逆に、こんな幼稚な犯罪はないと見ているのです。そうでしょう。三月一日に警察官がやった、それはそのまま捜査でとっ捕まっている。そのことと同じことを繰り返しているわけです。自分が警察官であれば、その知識があるわけですから、まさにそれは逆の方向にならなければならぬ、認識を持たなければならぬ。その警察官が、実は同じような、まさに幼稚というか、あるいは当然そういう犯罪行為がわかるであろうというようなことを、平気でというよりも、私はむしろ子供っぽいといいましょうか、わかり過ぎたような事件を、犯人がわかることを前提にしたような事件を平気でやる。そこには何らかの人間関係、そういう仕組みというものを考え直さなければだめではないか、こう思うのですが、大臣、次の委員会の都合があるそうですから、ここで大臣の御意見をまず聞いて、あと同じことを三井長官からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  46. 田川誠一

    田川国務大臣 大変示唆に富んだお話を伺いまして、私も今度の事件には相当のショックを受けて、このまま放置しておくことはできない。先ほどもちょっと触れましたように、私は、やはり警察官根本的な管理の問題、生活指導教育、こうした問題をもっと掘り下げて再検討しなければいかぬじゃないか。これは今加藤さんおっしゃったように、管理の問題は非情に重要だ。私も警察の担当大臣としてこの数カ月警察庁の方々といろいろなお話をしたり、あるいは私のかつての経験から警察を見た感じとしては、やはり一般の公務員の社会と違った非常に規律の厳しい一つの組織の中で生活していますから、今加藤さんがいみじくも指摘をしたように、同僚や先輩、後輩と親しく打ち解けて話をして悩みを打ち明けていけるような社会じゃない。それを直していくというのは、これから長期計画を立てて、あしたからすぐ直るというわけにいかないのですから、こういうことをひとつ根本的に検討していく必要がある。このためには、警察の内部だけでこれをやっても、警察の内部は警察の内部でそういう頭になっちゃっていますから、これはなかなかできないと思うのです。ですから、部外の人々の英知を集めてこうした問題の根本的な再検討をやっていかなければいけない。これは痛切に私は考えております。  それから、地域の問題ももちろんあると思いますね。関西とこちらとの関係ももちろんあると思います。警察庁長官にできるだけ早い機会にひとつ関西へ飛んでもらって、管下の本部長を集めて、ひとつここで引き締めをやる、それからいろいろな悩みも聞く、こういうことをやるべきだということも私、昨日の委員会でも自分の意見を申しました。早速明日、関西へ飛んでもらえるということになっておりまして、やはり警察の幹部が地方警察へどんどん気軽に出かけていくような空気をつくっていかなければいかぬ、これが私の考え方でございます。  それから、やはり本人の資質もあるのじゃないでしょうか。こんなばかばかしい犯罪を犯して、捕まらないと思っているのか。私は、こういう人間が警察官にいるというのは信じられない。そこで、ある年度から人間の採用時の一斉点検をやはりやるべきだ、そういうこともやはり徹底してやらなければいかぬじゃないか。たまたま前回と今回と、四十二、三歳で採用年次が同じごろだ。ですから、これは安保の騒動のあの時期に採用された警察官だというんですね、前回も今回も。そういう採用時の時代の背景、そういうことでもう少し人間個々を再点検していかなければならぬというふうに思っております。加藤さん御指摘の点も踏まえて、各方面の英知を集めて根本的にやっていかなければいかぬ、こういうふうに思っております。  ただ一つ、私は、責任体制については加藤さんとちょっと考えを異にするわけです。私は、こうした規律の厳しい体制の中で維持をしなければならない組織というのは、もう責任は非常に厳しくやらなければいかぬ。これは徹底した責任体制をとらなければならない。それをやらないと、先ほども長官のお話のように、生活指導といったって末端に徹底していない面があるんですね。それは悪気じゃないんですね。おれの部下は大丈夫だという安心感があって、やるべきことをやっていない点がある。私は、自殺したりそんなことをやられちゃ困りますけれども、やはり職場の規律を維持していくには、従来よりも厳しい責任体制というものをとらなければいかぬというのが私の考えでございますが、これはひとつ御理解をしていただきたい。  以上が私の感想でございます。
  47. 三井脩

    ○三井政府委員 警察におきまして規律が生命であるということは、もう申すまでもないところでございまして、そういう意味で、今回の事件というのは格別に大きな意味を持っておると思います。  そこで、今御意見のございました関西には警察から見て特殊な事情があるのかというようなことでございますが、私は、関西に限らず、どこの県でもそれぞれの個性といいますか、特殊な事情といいますか、いろいろな特殊性というものがあると思います。警察官は何といいましてもそれぞれの事情に密着しておりますから、それにふさわしい法の執行と、同じ秩序の維持の仕方でも、そこにはおのずから事情にマッチしたものがあると思います。しかし、また一方、法の執行でございますので、これは全国一律、これから先は曲がらないといいますか、変わらないというものがあるわけでございます。警察官の、警察部内の秩序、規律というものは、そういう意味におきましては、全国一律どこであってもきちっとしておるという性質のものであるべきでありまして、警察の仕事の仕方というのは実情に合わせるべきであろう、こういうふうに思います。そういう意味で、一般の状況に規律までが影響を受けるということであってはならない。  そういう意味におきまして、警察では警察官の教養というものには格別の力を注いでおりまして、恐らく、あらゆる公務員の中で警察ほど教養に時間とエネルギーを費やしているところはないだろうというぐらいにやっておるわけであります。その中身は、いわゆる実務について教育すると同時に、人間として規律をしっかり守っていくという面での教育と両々あるために、それだけ時間もかかり、力を注いでおるということであろうと思うわけでございます。  それから、今までいろいろの手を打ってもなおかつ起こるという問題につきましては、一つは、今大臣の話にもありましたが、本人の資質というのが非常に大きな影響というか、この原因といいますか、そういうファクターをなしておると思うわけでありまして、これを発見するということ、またそういう者でありましても、仮に潜在的にそういう要素を持っている人間でありましても、警察官として職を奉ずる限りは、自分の欠点を矯めてその使命の遂行に邁進をする、このために教養をやっておるわけでありますから、これをさらに推進をするということでございます。  それだけの努力をしてなおかつ出てくる警察官の非行ということについては、やはり信賞必罰ということが最初であるとともに最後の決め手、こういうことであろうと私は思うわけでありまして、起こった事案に一本人は、もちろん犯罪を犯したわけでありますから、懲戒免職以上の処分はないわけでありますけれども、あとは刑事事件ですが、関係の監督者、監督責任というものを、事案に応じて的確に厳正にその処分をする、責任はとる、お互いにとらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、今までやっておることをさらにきめ細かくやるための知恵がないか、その知恵をどういうふうに求めていくかという大臣の話も今ございましたけれども、いろいろやっておるところをさらに精力的にやっていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  48. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私は、規律を広げるということを言っているのじゃない。警察機構の中における人間関係をつくることについて、言葉として余りいい言葉じゃございませんけれども、やはり不器用さがあるのじゃなかろうか。規律という問題を配置をしながら、一方ではそういう人間関係をつくってまいりませんと、新しい価値観の警察官がそれだけでは対応できませんよということを実は言いたかったわけでございます。これは大臣答弁長官答弁もありましたから、それ以上に何があるかというときにぜひ検討の材料にしていただきたい、こう思うのです。  なお、当然、大臣答弁にありましたように、長官も現地へおいでになっていろいろお調べになるのでしょう。あるいは欠陥やあるいは直すべき点の御指摘がされてくるだろうと思うのですが、前回とられましたような特命監察をやった結果などもあるわけですから、私どもそこを少し見守っていきたいと思うのです。それでもなお、当委員会として私どもが御意見を申し上げなければならぬというような場がありますれば、これはまた当委員会委員長なりに相談をいたしまして、現地に私ども赴きまして、またいろいろな面で調査さしていただくのも一つ方法ではないかというように思っておりますので、極力そういう事態が起きないような条件づくりに全力を尽くしていただきたい、こう思います。  以上申し上げて、私の今回の事件に関する質問を終わります。それでは警察庁関係、結構でございます。どうもありがとうございました。  次に、警察庁、手数料問題をやろうと思いましたが、時間が食い込みましたので、これはやめまして、次の問題に移ります。  基地周辺整備について、防衛施設庁ないしは自治省にお聞きをいたしますが、基地周辺整備に対して財政補助交付金がいろいろな形で出ておりますが、今年度は、施設運営等関連諸費で防衛施設庁の予算二千五百八十七億と承っておりますが、間違いございませんでしょうか。  なお、この二千五百八十七億円は、基地周辺整備法の三条の一または二に該当するお金でございましょうか。
  49. 平晃

    ○平説明員 予算の関係につきましては、現在手元に資料を持参しておりませんので、後ほど調べてお答え申し上げたいと思います。
  50. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 事前にお話をしておきまして、今の数字については大体施設庁関係の方と数字的には間違いがないというお話でありましたので、私の方から、一方的ではありますが、そういうように申し上げておきます。  そこで、五十八年度の補助金がそれぞれ出ています、三条なり八条なり九条。その補助金のうちで、特定防衛施設周辺整備調整交付金という形で、自治省の方に地方財政計画に百六億五千万のっていますね。これは防衛施設庁に聞きますが、第九条に基づくお金ですね。いわば地域における防衛施設があるために起きるさまざまな事業といいましょうか、それに対し、防衛施設庁から選定をしてそれぞれの地域に対する調整交付金として交付をする、そういうお金でございますね、もう一遍確認しますが。
  51. 平晃

    ○平説明員 ただいま御質問のありました九条関係の調整交付金、これはジェット飛行場とかあるいは大きな演習場等で地元に大きな影響を与える特定の防衛施設につきまして、これを指定いたしまして、その特定防衛施設の周辺市町村を防衛施設関連市町村という指定をした上で、公共事業に充てるための費用を交付するという建前になっております。基地周辺対策の一環の経費でございます。
  52. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 自治省財政局長、これは今の答弁のとおりに、地方団体で受け入れて使用している、いわゆる財政処理している、こういうように見てよろしゅうございますか。
  53. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま防衛施設庁の方から御答弁がありましたように、特定の防衛施設の周辺の施設整備のためにこの交付金は充てられている、このように承知しております。
  54. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 実は、防衛施設庁の五十八年度補助金を見ますと、教育施設等騒音防止対策事業費、これは十分の十ですが、七百十五億円、端数を切り上げますが。それから障害防止対策事業費、これが十分の十で百六十四億円、それから八条関係で、施設周辺整備助成補助金、これが十分の五ないしは十分の十で二百六十億円、道路改修等事業費補助金、三分の二から十分の十で八十二億五千八百万円、こういう形で実は五十八年度の補助金として支出されているわけであります。  私は、教育施設についても障害防止についてもあるいは周辺整備についても、それぞれの需要項目に見合って補助金はついているとは思います。思いますが、どうでしょうか、特定防衛施設周辺整備調整交付金と今のそれぞれの補助金とは、実際に使用する面では一緒になっている面があるのではなかろうかと思うのです。例えば、教育施設に対する騒音防止の施設をやります。それに対して防衛施設庁からもらった十分の十だけでは足りない。自前の自主財源もこれに投入します。同時に、ある部分については特定防衛施設周辺整備調整交付金をもって充当するという場合もあると思うのです、一つのものをつくるときに。  そこで、私はその各項目についてそれぞれのお金が出ているということを問題にしているのではなくして、問題は、防衛施設庁の中でもこれらを総合化あるいはメニュー化して一つの補助金として地方団体に交付をする、ないしは財政の款項目に一つのものとして予算措置を講ずる、こういうことができるのではないかと実は思うのであります。これは当委員会でしばしば議論になっております例の補助金の問題、補助金の総合化、メニュー化の問題を含めてぜひ一つの検討の材料としてほしいと私は思っているわけであります。  きょうは実は補助金問題を取り上げようと思いましたが、時間的な関係で多くを取り上げることができないと思いますので、今の観点から見ますと、自治省の方からも、今言いました特定防衛施設周辺整備調整交付金百六億円と、例えば八条に基づく施設周辺整備助成補助金、これは二百六十億ですが、これを一つにして防衛施設庁から、どういう名前になりましょうかわかりませんが、補助金なり交付金として予算措置を講じて、地方団体ではそれをプールにして財政的な弾力性を持ちながら運用ができる、こういうようにされる方がいいと僕は思うのです。  防衛施設周辺整備に関する財政補助だけについて言いましたけれども、これは他の補助金についても言われることですが、どうでしょうか、防衛施設庁でもそういう方向で次年度予算、特に特定防衛施設周辺整備調整交付金というのは、活用の範囲といいましょうか、あるいは財源の扱いが、市町村によっては包括補助金として非常に有効に使われているというような話も聞いておるものですから、そういう方向というものをとられることについて御意見があったらお聞きしたいと思います。
  55. 平晃

    ○平説明員 まず、私どもの九条交付金について申し上げますと、これは先ほども申し上げましたとおり、ジェット飛行場とか大演習場とか特定の防衛施設を対象にその周辺の特定の市町村にのみ交付されるということで、全国の防衛施設所在市町村全般が対象になるものではございません。また、その使途につきましても制限をしておりまして、交付の目的だとか交付対象市町村、交付の方法等において、自治省の基地交付金等とは異なったものである。自治省の交付金の場合は、私ども承知しておりますのは、これは一般財源として財政補てん的に運営されているというように承知しておりますので、私どもの九条の交付金とは性格が異なるものであるというように承知しております。
  56. 関根則之

    ○関根政府委員 ただいま防衛庁の方からお話がございましたように、私どもで所管しておりますいわゆる基地交付金につきましては、基本的な性格が固定資産税の代替的なものである、こういう関係で、まさに一般財源として使途を特定しないで使用できる財源として付与している、こういうことでございますので、特定の施設財源に充当するための防衛庁の所管の経費とは、これを一緒にして計上するということは難しいと考えております。
  57. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 確かに一般財源と特定需要に対する補助金、調整交付金とは違うことはわかります。  きょうは平さんですから、これ以上のことはちょっと無理かと思いますけれども、私が言いたいのは、基地周辺整備法に基づく補助金なり調整交付金も、これほどまでに細分化せぬでもいいじゃないか。今の九条二項に基づくお金と八条の周辺整備助成とを、一緒にしてと言えばおかしいですけれども、一緒の項目にして、そして地方団体が運用の一元化ができるような方向というものをひとつ将来的に考えてもらえないか、きょうはこの部分についてが私の言いたいことだったわけであります。ひとつお持ち帰りになって御検討いただきたい、こう思います。  なお、自治省に申し上げておきますが、補助金問題については当委員会で大変議論がございました。きょうは余り突っ込んだ議論はいたしませんが、私の調べた結果ですが、私の手元の資料が正しければ、五十八年度の国庫負担金が八兆一千百八十六億円、奨励的財政援助が二兆二千四十四億円、委託費が七百四十二億円、合計で十兆三千九百七十二億円です。これだけの中で、どこがどうという一つ一つ検討をしてみればそれぞれあるのでしょう。例えば今言った負担金や補助金や委託費の中で一般財源化するものはどういうものがあるだろうか、それから実情に即さない補助金というのはどういうものがあるだろうか、あるいは総合運営をしてやれば適当にこれが合算され、同時にそれが財政一元化という中で地方にとっては大変弾力的な運営ができるというものはどこにあるだろうかというようなことが、自治省の手元でも議論をされ、同時にそれがいろいろ例の新しい行革審あたりにも意見反映がされていくということが必要ではないかというように実は思うのですが、財政局長、どうでしょうか。
  58. 石原信雄

    石原政府委員 補助金の統合化、メニュー化につきましては、当委員会でもしばしばお取り上げいただいておりまして、私どもも基本的な方向としてこれを推進すべきものと考えております。一般論としては、毎年度の予算編成に当たりまして各省庁が概算要求を大蔵大臣に行う前に、そういう見地に立って現在の補助金、交付金等を見直してほしいということを要請してきております。でき得れば六十年度の予算要求に当たりましても、こういった面での協力を強く要請していきたいと思っております。  ただ問題は、一般論としてではなくて具体的にしからばどうするのだ、個々具体の補助金についてこれとこれを統合したらどうか、こういうようなところまで行かないとなかなか実効が上がらない。これは先生御指摘のとおりだと思います。この点については、私どもも地方公共団体皆さん方の御意見を聞きながら、内部ではしょっちゅう議論しておるわけです。ところが、補助金所管省庁にこの具体の話を申し上げますと、通常の場合大変強く反発される。補助金所管省庁とすれば、それぞれ理由があって別々の補助金として運営しているのだ、よその役所からとやかく言われる筋じゃないというぐらいの強い反対が出ることがしばしばであります。  そこで、これについては幸い行政改革推進審議会において、先般の臨調答申にありました補助金の合理化等についても今後いろいろ実行について審議し、政府に対して御意見をいただくようでありますから、この行革審等における論議の際には、私どももできるだけ地方団体意見を踏まえた具体例を持ち込んで、統合化、メニュー化が促進されるように努力してまいりたい、このように考えております。
  59. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 行管庁については後にして、次の質問をさせていただきます。  ちょうど防衛施設庁の質問が出ましたので、この際、厚木基地の綾瀬市側におけるピクニックエリアの返還についてお尋ねしておきます。  大蔵省お見えになりましたか。――厚木基地のピクニックエリア九千九百五十平米、坪で三千十四坪が大蔵省に米軍から返還され、国有財産からさらに地元の市に返還されるというお話を聞いているのですが、このことは事実でしょうか。
  60. 根本貞夫

    根本説明員 先生お申し越しの本地でございますけれども、これは御指摘のとおり、昭和四十八年五月でございますけれども、米軍の方から返還された跡地でございます。これにつきましては、四十八年十二月、国有財産関東地方審議会におきまして、神奈川県及び綾瀬市からの強い要望に従いまして、県の青少年会館及び市の医療センターとして利用計画を策定したところでございます。ところが、この土地につきましては、四十九年九月に神奈川県が、また五十五年十二月に綾瀬市がボーリング調査を行いました結果、軟弱地盤のため建物を建てることができないということが判明したわけでございます。そこで、今先生おっしゃっておられるように、県と市の方が協議いたしまして、本地について利用計画を再検討した。その結果、全面積につきましてこれを公園として利用したいということで、関東財務局に申し越してきているということでございます。  大蔵省といたしましては、地元関係者の間で利用計画案を調整していただければ、地元の意向を十分尊重した形で、五月下旬の国有財産関東地方審議会に付議の上処理したい、こう考えておる次第でございます。
  61. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、関東地方国有財産審議会では、地元の要望、例えばそれが公園ということになりますれば、公園に跡地利用するということで、おおむねその意向で取り決めができる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  62. 根本貞夫

    根本説明員 そういうことで結構でございます。
  63. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これはどうなのでしょうか。返還の条件について、価格等については何かお話し合いがされているのでございましょうか。
  64. 根本貞夫

    根本説明員 返還財産の処分に当たりましては、渉外関係主要都道県知事連絡協議会というのがございまして、会長は現在神奈川県知事でございますが、いわゆるこの渉外知事会と合意いたしました統一条件で処分を行うということにしております。  今回、綾瀬市に対する公園用地の処分もこの統一処分条件で行うことになりますので、公園用地の三分の一の面積は時価売り払い、あとの三分の二の面積は無償貸し付けとなるということでございます。
  65. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 三分の二が統一条件に基づいて無償貸し付け、三分の一が有償ということですが、有償の価格についてはまだお話し合いがされていないのでしょうか。これが一つ。  それから、統一条件ということになりますと、やはり三分の二が無償貸与で、三分の一がいわゆる有償で市が買い取るということになるわけですが、この際に、先ほど私は少し防衛施設庁にお話を伺いましたが、例えば九条二項の対象事業として、調整交付金でしょうか、これらの対象事業となることが可能でしょうか、どうでしょうか。これは防衛施設庁にお聞きをします。
  66. 平晃

    ○平説明員 市が九条交付金をもって公園施設を整備することは可能でございます。その場合に、用地を九条交付金で購入することも可能でございます。
  67. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 価格に対しては……。
  68. 根本貞夫

    根本説明員 評価の点でございますけれども、これは関東地方審議会にかけまして、それから後で具体的な売り払いをやるわけでございますけれども、その申請のあった時点で適正な時価を評価するということでございます。
  69. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりました。大蔵省の方、ありがとうございました。結構でございます。  防衛施設庁にお聞きをいたしますが、厚木基地の騒音問題、御案内のように、一方では高等裁判所にかかるという事件になっておりますし、一審でも耐えがたい騒音の状況であるというような判決が出ました。その結果として、防衛施設庁は厚木基地の騒音防止のための各戸に対する防音工事をずっと進めておるわけであります。五十九年度の防音工事は旧ライン、いわゆる八十Wのところが大体終了いたしまして、いよいよ新しい線引きの七十五Wラインに工事がかかる、こういうふうに聞いておりますが、五十九年度、すなわち本年度の七十五Wラインの工事はどのくらいの戸数を当面の対象としていらっしゃるのでしょうか。同時に八十Wのところ、残戸数はどのくらいですか。
  70. 平晃

    ○平説明員 厚木飛行場の騒音コンターにつきましては、ミッドウェー入港時の着艦訓練等によりまして騒音が増加しているという事態を踏まえまして見直しを行い、現在新しい七十五Wまで入れたコンターを指定告示する手続を進めているところでございます。この新しいコンターによりますと、大体七十五W以上の住宅防音対象戸数、これは希望者の戸数が大体七万三千戸ぐらいになるのではなかろうかと予想しております。
  71. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 七十五Wで七万三千戸ですか。私が聞いているのは、五十九年度で八十Wでどのくらいの残戸数があるのですか。七十五Wではどのくらいの戸数に――工事費として、先ほど私は予算関係で御指摘をしましたが、二千五百億の中に恐らく入っているのだと思うのですけれども、どのくらいの戸数になるのですかということをお聞きしたいのですが、いま一遍答えていただきたいと思うのです。
  72. 平晃

    ○平説明員 新しいコンター図で対象戸数は大体どれくらいかということを八十以上について申し上げますと、約一万二千戸ぐらいになるのではないかと考えております。それから厚木につきましては、騒音地域が非常に広うございまして、対象戸数も多く、まず騒音のうるさいところから順次やるという建前にしておりますので、五十九年度は八十W以上について実施するという計画にしております。
  73. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 平さん、正確な数字をひとつ改めて私のところへ下さい。八十Wのところは残戸数でたしか今三千二百戸ぐらいなんです。それから、七十五Wのところが今七万三千戸とおっしゃいましたが、大体八万八千戸ぐらいではないかと推定されているわけです。したがって、五十九年度の予算関係を見ますと、先ほど私が指摘しましたように、防衛施設庁のこの関係の予算はふえているのですよ。恐らく七十五Wラインを新しくとりましたから、それに対する防音施設工事、そういうものも含めて当然の措置としてふえたのではないか、こう思うわけであります。  したがって私は、厚木基地は都市の真ん中にあり、移転問題が、三宅島にどうであるとか話題としては出ておりますけれども、むしろ現地の住民としては、当面とにかくミッドウェーの入港に伴う騒音の回避という問題を重視するのでありますから、ぜひ当面の住民生活の環境条件を緩和するためにも、工事を促進し、また拡大をしていただきたい、こう思うわけです。そこで、私は横浜の防衛施設局に幾たびかお伺いをいたしまして、できる限り現在八十Wの地域における住宅防音施設と同様な処置を、七十五Wのラインにもひとつ工事工法としてほしい、こういう要請をしております。  申し上げるまでもありませんけれども、確かに観測地点によっては、八十と七十五は計器の上ではそう出てくるわけですけれども、人体に感ずる度合いというものはほとんど兼がないと言ってもいいわけであります。したがって、今とりあえず行うところは八十Wの残のところと、それから八十Wに近いところの七十五Wの家屋をそれぞれ防音施設工事をしましょう、こういうことで五十九年度予算が計上されているわけですから、その工法は、できる限りひとつ八十Wラインの工法と同じ工法で各戸の防音施設工事をしてほしい、これが第一点です。これに対するお答えが第一点であります。             それから、七十五Wラインの最終的な決定といいましょうか、どこに線引きをするかという決定の日にちはいつごろ行う予定ですか。私の聞いているところではことしの六月ないしは七月にする、こういうことを聞いておるわけであります。そこで私は、横浜の防衛施設局に、例えば背の谷戸と言われるところ、こういうところが、定規の上で線を引くよりも、谷戸という部落単位ですね。例えば山の傾斜がありますと、山の傾斜の真ん中でラインを引いても、それはラインになりませんよ。山に反響する騒音というのは全部同じなので、山を境にしてこちら例ならばそれはもうラインを引いてもわかるでしょうけれども、山の谷戸のような部落は、ラインを引くときにはその谷戸全体を囲まないとラインになりませんよという御提言を実は申し上げているのです。それらを含めて、両足のときに十分配慮しますというのが横浜防衛施設局のお答えだったのですが、いつごろこれを最終的に画定されるか、防衛施設庁にお聞きをしておきたいと思うのです。
  74. 平晃

    ○平説明員 まず工法の問題でございますけれども、屋外の騒音の激しいところと比較的弱いところでは、当然防音工事の工法も違ってまいるわけでございます。私ども今基準にしておりますのは、屋内で六十WECPNL、この程度にまで下げるという工法を用いておりますので、八十W以上の騒音地域と八十W以下の騒音地域とでは工法は違ってまいります。しかし、いずれにしても、屋内の騒音基準を六十W以下にするということでございます。  それから、新しい騒音地域の指定告示でございますけれども、コンター図の検討を今鋭意進めておりまして、近く指定告示ができる運びになると考えております。  それから、先ほど数字を申し上げましたが、先生のおっしゃられた数字とちょっと違うようでございますけれども、私が申し上げました数字は、従来の八十以上地域の戸数ではなくて、新しいコンター図によって見直して予想されている数字を申し上げたわけでございます。
  75. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりました。  屋内で六十W以下にするというのが工法の主体でありますから、例えば今聞いているように、全室の防音工事ではなくて開口部門、すなわち窓であるとかあるいは外に開いている部分とかという工法だけが七十五W地域の工法だという説もあるものですから、私は実は心配をしてお聞きをしたわけであります。六十Wのところで室内の騒音基準をとり、それに伴う工法を行いますということをぜひ守っていただきたいと思います。  それからいま一つは、先ほど申し上げましたラインを引くときに、私ども横浜の防衛施設局にそれなりの御意見を申し上げておりますので、これをぜひ参酌をして最終的な画定のラインに取り込んでほしい、これはお願いとして申し上げておきたいと思います。  防衛施設庁関係は以上で終わります。  最後に、行管庁に対してお聞きをしますが、先ほど補助金問題について少しやりとりをいたしました。防衛施設庁関係の幾つかある補助金も総合化、メニュー化をして、できる限り地方としては弾力的な一元的な運営ができるように、こういうふうに申し上げたわけであります。  そこで、どうでしょうか。これは今度の国会にも出ているというように話は聞いているのですが、人件費補助の問題ですね。去年の国会では、農業改良普及事業分担金が、例の人件費補助から、あれは交付金という名前になったのですか、交付金になりまして、いわゆる一括運用ができる、包括的に運用ができるというふうになったわけであります。  その際に、たしか保健所の運営補助の問題も話題に出ていまして、いわば人件費補助の制度をそういう面で見直しながら、全体として地方としては一元的な弾力的な運営ができるように、しかも人件費補助でありますから、人事の交流等の妨げになっておりますし、この人件費補助があることによって起きる地方団体の独自の財源、いわば補助事業に対して地方の持ち出し分、そういうものも含めて、地方としては早急にいい意味地方財源あるいは地方への権限の移管を含めて検討してほしいということ等が問題提起をされておるわけであります。  調べてみますと、五十六年度でありますが、この補助関係の人件費補助に伴う人員は六万二千四百八十人ですね。お金にしてざっと一千億円になっているようであります。  これは行管庁にお聞きしますが、せんだって当委員会交付税を審議しているときに、機関委任事務と許認可問題だけに限ってこの九月に行革審で論議をし、一定の結論をつけるための審議が始まるというふうにお話を聞いたのですが、それは事実ですか。もしそうだとすれば、機関委任事務あるいは許認可の問題と今の人件費補助にかかわる各地域の事業、保健所の運営にいたしましても職業訓練にいたしましても、あるいは農業改良普及事業にいたしましてもこれは関連があるのですが、そういうものと一緒に議論がされるようになっているのですか。
  76. 塩路耕次

    ○塩路説明員 ただいま先生から御質問のございました点につきましては、大変恐縮でございますが、行革審の方がお見えでございますので、そちらからお答えいただいた方がいいかと思う次第でございます。
  77. 田中基介

    ○田中説明員 現在、機関委任事務と国の関与等につきまして、さきの臨調答申を踏まえて行革審に小委員会設置をされております。これは今お話がございましたように、機関委任事務、国の関与、それから必置規制のあり方、これを検討する小委員会ということでございます。今後の審議の予定でございますが、先ほど九月というお話がございましたけれども、一応我々が予定をしておりますところは、年内に小委員会の報告を取りまとめ、年度内に審議会としての結論を出す、こういうことで現在作業を行っております。これが一点でございます。  もう一点、補助金の関係のお話がございましたが、現在行革審の方で臨調答申の推進状況の報告を受けまして調査検討を行っておる段階でございます。それで今後でございますが、これらの検討の結果を踏まえまして審議会において新たな提言をするかどうか、現段階ではまだ決まっておりませんが、御指摘のような問題を含めまして調査審議が行われるというふうに考えておるところでございます。
  78. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長、去年私は、今の許認可問題、機関委任事務問題を行革特別委員会で、また当委員会でも地方交付税の段階でちょっとお話をいたしましたけれども、齋藤大臣が最後に私に、約束といいましょうか、それはもっともだから検討してみようと言ったことは、補助金なり今の人件費補助の問題も含めて、国の意思が地方自治団体との関係でどこにあるか明確にならない。例えば機関委任事務、許可認可について二割削減する。確かに出たものはそうですけれども、実際にはやってないことばかりじゃないですか。実際にやっている許可認可ないしは機関委任事務で地方に移譲されるのは、この中に一体何件あるのですか。数えるほどしかないでしょう。それよりも、当時の行管庁長官である齋藤大臣が持っていらっしゃる手元の資料よりも、別表の三ないしは四表に載ってない機関委任事務はたくさんふえているのですよ。  したがって、あなたが行政改革について提案をされる今度の機構改革では国の意思がどこにあるかわからない。単に数をそろえるために、臨調から出てきたら二割削減しなければならぬから、例えば売春防止法で衛生検査をするために手数料を取るなんということを地方に移管する、こんなことは現実にはやっておりませんよ。そんなものを数に入れてやっているだけじゃどうにもなりません。したがって、機関委任事務あるいは今言った人件費補助も含めて、こういうところに国の意思があるのですよ、先ほどの補助金のメニュー化、総合化の問題もそうですけれども、そういうものが幾つか出てくることによって地方団体はそれなりの受け入れと今後の方向を決めていきますよ、実はこう申し上げたのです。  そうしましたら、そうです、加藤君が質問した点に沿って、確かにそのとおりですからというふうな、これは儀礼的なごあいさつでなくて、意思が疎通したと私は思っておるのです。したがって、今推進審議会の田中さんがおっしゃったその機関の審議に、ぜひ今の人件費補助の問題も含め、なお先ほどの補助金の整理統合問題も含めて自治省側からも強いアプローチをしてほしい、私はこう思うのです。これは直接業務をやられるのは石原財政局長ですから、財政局長にひとつ御答弁いただきたい。
  79. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる人件費補助につきましては、当委員会でも御答弁申し上げましたように、私どもの基本的なスタンスは、これは一般財源化が望ましい。およそ地方公務員の設置に要する経費についてひもつきの補助金が出されているということは、地方における定員管理の著しい妨げになっている、こういう事実も指摘されておりますので、望ましい姿としては職員の設置に要する経費一般財源で確保されるべきだ、このように考えております。  ただ、いきなり一般財源化といいましても、それぞれ補助金の所管省庁の立場からしますといろいろ経緯もあり、目的もありますので、そこまでは踏み切れないというので、五十八年度から農業改良普及員などについていわゆる交付金化が行われました。この交付金化は、職員設置費補助金のように細かいところまで指示することなくて、協同農業普及事業の推進のために交付されるものである、かなり幅を持たした交付金として支出されますので、それなりに地方の自主性が生かされる、また定員管理の面でも地方の自主性が生かされる、このように私どもは評価しております。五十九年度からは、保健所職員についても交付金化が行われる予定になっております。  そこで、残された補助職員につきましても、いろいろ事情はありましょうけれども、基本的には一般財源化、交付金化の方向が望ましいと私どもは考えております。そういった方向で、六十年度の予算編成に当たりましても私どもの意見を積極的に関係省庁に訴えてまいりたいと考えております。
  80. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ぜひお願いしたいと思うのです。審議会の方にもぜひ強いアプローチを、これは大臣にもぜひお願いしておきたいと思うのです。  そこで、まことに残念というか、困ったことですが、地方事務官の問題です。先般大臣もお出になったと思うのですが、例の地方制度調査会で我が方の委員は、あれをもうやめちゃえ、こう言っていますよ。私は何回か地方制度調査会の委員になっておりましたけれども、地方事務官制度は、中央機能を都道府県に還流するという意味も含め、中途半端ではあったけれども、意味はあった。前向きということならば、地方事務官は本来都道府県に配置されるべきだ。しかし、今度の法案でまいりますと、運輸、厚生、労働、それぞれ上に国家公務員として上げるということですから、これはそのときにまた議論をいたします。  そこでお聞きをしておきたいのですが、この地方事務官制度の廃止に伴って、行政機構の面で大変な改革が行われるわけですね。一つ労働省の例だけとりますと、今度は労働省の中に地方労働局ができるのですか。そして職安から基準から含めてその局で管轄をし、いわゆる地方の出先機関もすべて労働省で掌握、管理をする。地方事務官は国家公務員ですから当然その中に入ってくるということになるわけです。  そこで、昔当委員会でも雇用創出についていろいろ議論したことがあります。その際に、例えば今日の失業率を低下させるためには、都道府県の段階にも雇用創出のための委員会ないしは連絡機関をつくって、高齢者の職業紹介であるとか雇用創出事業であるとか、そういうものを地方自治団体と一体となってやってみたらどうだ。それは地域においては職安と市町村があるでしょうし、あるいは県段階では労働省のそれぞれの機関と県というものもあるでしょう。一部ではそういう室を設けられた都道府県も当時ありましたね。今日存在している府県もあるようでありますけれども、今度の機構改革によりまして、例えば労働関係だけを見ても、高齢者の職業紹介とか身体障害者の職業紹介あるいは人材銀行、こういう面は、今度は地方団体の手を離れて労働省の直轄的な仕事になるわけですね。  そうなりますと、地方団体は、相談に乗るとか、職業案内をするとか、オリエンテーションをするといいましょうか、そういうものにだんだん限られてくる。この地方事務官制度の廃止に伴ってそういうことになってきやしないか。いわゆる地方事務官の廃止に伴って地方の行政機構もこの際変わるのかどうか、これはひとつ自治省にお聞きしたいと思うのです。  時間がありませんからついでに聞きますが、行政監察局は今まで地方団体に対するいろいろな行政監察機能というものを持っておりました。今度地方事務官という制度が廃止になりますと、行政監察官の事務、これはかつては地方行政監察局と言ったのが今度は行政監察事務所に去年の行革国会で変更になり、十月一日から発足するわけです。しかも人員の面では百十入減員される状況になるわけですが、これに伴ってこの機能も変わるのでしょうか。  同時に、いま一つ行政監察官に関して、これは後の審議のためにも聞いておきますが、国の委任または補助に係る業務に関する苦情のあっせんに関する事務というのが今まであったわけです。これも行政監察官の事務管掌内容だったわけですね。今度地方事務官の廃止などの措置を国がとるに至ったことに対して、地方団体から業務に関する苦情のあっせんという問題はなかったのかどうか、この二つの点を行管庁にはお聞きしたいと思うのです。
  81. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方事務官問題は長いいきさつがあったわけでありますが、私どもとしては大変残念な結果になったと考えておるわけであります。  ただ、御指摘のように、長年の間国と地方がああいった形で仕事自体は一体としてやってきた。そこで、今後答申のように完全に分離されてしまうということになると地方の総合行政に穴があくではないか、その穴をどうやって調整していくかというのが最終的な一番大きな問題であったことは御指摘のとおりであります。  そこで、特に御指摘に挙げられましたような労働問題、いろいろ地方事務官の仕事もあるわけでありますが、労働問題というのは混然一体となって今までやってきたわけであります。例えば地方団体地方団体なりに自主的に青少年問題、老人問題あるいは学卒者の問題、いろいろな分野にそれぞれ労働相談員というものを各地に設けまして相談業務に乗ってきた。ただ、地方団体には職業紹介権というのはありません。したがって、職業紹介というのは安定所でやらざるを得ない。ところが、安定所は国の機関である、相談員は地方の職員である、今までどうやってやってきたかと申しますと、地方の相談員と安定所の職員がペアになってやってきた。だから、相談を受け、その相談を引き継いで安定所の職員が職業紹介をしてきた、これが地方事務官制度というものを軸にして運用されてきたということであります。  そこで、今度安定所というものが地方事務官廃止とともに全く相談業務に乗ってくれないということになりますと、地方団体の今後の雇用問題というものに大変穴があく。したがいまして、答申にありますように地方事務官を全部国家公務員にしてしまうという結果になっても、なおかつ地方の相談業務というものは今後とも存続せざるを得ない。したがいまして、地方の相談業務には職業安定所自体が積極的にその職業紹企業務については協力するのだという、協力の義務規定をわざわざ置いてもらうという格好にいたしたわけであります。それでもなかなか平生の運用の問題が残るであろうということでありますので、将来の問題ではありますけれども、そういった紹企業務と相談業務を中心とした国の労働機関と地方の労働部門との協議会的な場を今後つくっていったらいいのじゃないか、こういう了解点に達しておるわけであります。
  82. 塩路耕次

    ○塩路説明員 御説明申し上げます。  私どもの行政監察の基本は、国の各行政機関の業務の実施状況を監察して必要な勧告を行うということでございますが、監察に関連いたしまして、国の委任に係る業務の実施状況についても調査を行うということでございます。  先生御質問地方事務官との関係でございます。今後制度が変わっていくということとどういう関係があるかということを御質問だったと思うのでございますが、今回、社会保険あるいは陸運、職業安定、こういった関係の従来の事務が国の事務なり地方の事務なりに振りかえられましても、地方の事務につきましては引き続き国の委任に係る事務である、こういうことになるやに伺っておりますし、基本的には行政監察の関係で特に影響があるというふうには考えておりません。  なお、御質問の中に、私どもの方の出先の地方行政監察局が行政監察事務所に変わることとの関係が入っておったかと思うのでございますが、こちらの方は、運営上行政苦情の処理あるいは地域における行政監視という仕事に中心を置いていくということはございますけれども、いわゆる設置法上の所掌事務なり権限につきましては、先ほど申し上げましたような行政監察あるいは地域における行政監視、苦情処理、こういう点につきましては変更ございません。したがいまして、行政機関の業務なり、あるいは特殊法人なり、国の委任または補助に係る業務につきましての苦情の取り扱い、これも変わらないというふうに申し上げる次第でございます。
  83. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 この問題は、いずれ法案が出てまいりますから、そこまで論議を保留といいましょうか、その際にまた論議をさせていただくことにいたしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  84. 大石千八

    大石委員長 草野威君。
  85. 草野威

    ○草野委員 昨年は選挙の年でございました。幾つかの選挙が行われたわけでございますが、各政党とも全力を挙げて戦ったわけでございます。そういう選挙の中で、自治省の職員、また選挙管理委員会に関係する方々、また地方公共団体、これらの人々は選挙に当たって公正な態度で臨まなければならないことはもう当然であろうと思います。  今月の十日前後の新聞でございますけれども、幾つかの新聞がこのような報道をしております。それによりますと、茨城県の鹿島郡大野村で選挙の投票率を報奨金を出して競わせた、こういうようなことが報道されておりますけれども、この事実関係についてまず明らかにしていただきたいと思います。
  86. 岩田脩

    岩田政府委員 御指摘のような大変遺憾なケースが報道されまして、私たちといたしましても、県の選挙管理委員会を通じまして状況を聞かせた次第でございます。  それによりますと、御指摘の大野村場合、五十四年以降、国の選挙、それから知事の選挙のときに、地域別の投票率を競わせる形で、賞品といいますか、報奨品を出しておった。第一回のときはカラーテレビを三台出したそうであります。その後は一定のパーセンテージ、例えば地域の有権者の数であるとかそういうものでランクをつくりまして、一番いいランクに当たったところには二十万円相当の調理台を、その次は十万円相当のカラーテレビ、それからさらには二万円程度のポットであるとか扇風機であるとか、そういうものを配るということをやったようでございます。初めはそういう記念品、報奨品を出しておったわけでありますけれども、何回か重なりますと、同じ地区が同じ流しを二つ引き当てるというようなことになりまして、いつの間にかお品代といいますか、目録といたしまして、それにかわる現金を渡すというようなことが行われてまいったという次第でありまして、大変残念に思っております。  こういうことがありましたので、県の選挙管理委員会の方では現地を指導いたしまして、現地の選挙管理委員会も、今回限りで今後はもうこういうことは繰り返しませんというお約束をいただいた次第でございます。  以上でございます。
  87. 草野威

    ○草野委員 このような、国政選挙の場合でございますけれども、国から執行経費が出ると思いますけれども、大野村の場合はどの程度の額の国の経費が支出されておりますか。
  88. 岩田脩

    岩田政府委員 申しわけございません。これは県経由で支出しておりますので、当該大野村にいつの選挙に幾らの執行経費が渡ったかというのは、実は直接には把握しておりません。  ただ、今の御質問に関して申し上げますと、県の選挙管理委員会調査いたしましたときもそのことを気にとめまして、国から行った委託費の中から払ったのかということを調べたようでございますが、これにつきましては県選管から、これは村の自分の財源の分でやっておって、国の選挙の委託費の中からは支出されていないという報告を受けております。
  89. 草野威

    ○草野委員 今概略御説明いただいたわけでございますけれども、公正であるべき地方公共団体が、公費を使ってまでなぜ投票率を異常なまであおるようなことをしたのか、そういう意味で、こういう事件が一体なぜ起こったのだろうか、まずそういうことについてお尋ねしたいと思うのです。また、いろいろと新聞報道で書かれてはおりますけれども、投票率向上に名をかりた別の意図が隠されていたのではないか、こういうことも勘ぐりたくなってしまうわけでございます。  それからもう一つは、先ほど五十四年度以降というお話でございましたけれども、この大野村の場合はいつごろからこういうようなケースが行われていたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  90. 岩田脩

    岩田政府委員 お話しのとおりでございまして、もちろん選挙の際に投票率を高めるということは一つの目標であり、各地の選挙管理委員会もいろいろ苦労しているわけでございますけれども、ただ、こういった金をやる、物をやるというような形でそういったものがあおられていいわけのものではございません。そういった意味で、ついついと申しますか、こういったようなものが出てしまったことは大変残念に思っております。  なお、当該大野村の場合いつからかというお話でございましたが、私どもが知っております限りでは、五十四年四月八日の茨城県知事選挙から始まったもののように聞いております。
  91. 草野威

    ○草野委員 報道によりますと、十年ほど前からこういうことが行われていたのではないか、こういうこともあるわけですね。したがって、必ずしも五十四年かどうかということははっきりしないわけなのです。そのほかに、たしか四年ぐらい前だと思いますけれども、北海道でも金品を出して同じような事件が起きているわけでございますけれども、私はここで選挙部長にお尋ねしたいのは、今選挙部長自身も非常に残念な行為であった、このようにおっしゃっております。数年前からこういうことが他の地域でも起きているわけなのですけれども、こういう事件が起きた当時、これを是正するように、何かそういう趣旨を徹底するようなことを自治省としてはとらなかったのですか。
  92. 岩田脩

    岩田政府委員 御指摘のとおり、五十四年の統一選挙のときに北海道のある町で同じようなことが報ぜられまして、このときは金を渡すという話が出ました。これについて道の方から強力に指導いたしまして、現金を渡すのだけは何とかとめた。ただ、町民に約束している都合があるからということで、それにかわるものの配付は行われたというケースがありまして、同じように問題になりましたし、私どもとしましても本意でございませんので、その年に行われました都道府県の選挙管理委員会委員長書記長会議でその旨を特に強く申し上げて、こういうことが二度と起こらないようにという趣旨の徹底を図ったわけでございます。  したがいまして、各都道府県の選挙管理委員会はその点の認識は十分行き届いておりますし、また今度のケース、こういうことが起こりましたので、最近私のところに顔を出す都道府県の選管の連中にも聞くのですけれども、都道府県段階の選管では、そういうことは自分のところでは決して行われていないと思っていると言っておりますし、そういう意味での認識は行き渡ったのですけれども、残念ながらこういったようなものがまだ残っておりました。この点については本当に遺憾に存じておるところでございます。
  93. 草野威

    ○草野委員 自治省は今回の事件について、報奨金で投票率を上げるような行為は非常に問題だ、こういうふうに書かれておりますけれども、どういう意味自治省はこれを問題だと思っていますか。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席
  94. 岩田脩

    岩田政府委員 これは物事の性格にかかわる問題だと思います。要するに、選挙のときにはもちろん投票に来ていただかなければならぬわけでありますが、それはあくまで選挙人それぞれの自発的な意思でおいでいただかなければならず、選挙管理委員会はその決意を励ましたり確かめたりというような、いわば横からそれを支える仕事をすべきものでありまして、それに対して物を与えて、これをやるから出てこいというようなことを言うのは、選挙の啓発、選挙のあり方の精神に反しようか、そういう点で問題があると考えておる次第でございます。
  95. 草野威

    ○草野委員 お話しのとおりに、確かに選挙人の自由意思で選挙というものは行われなければならない、当然であろうと思います。したがって、選挙人が投票する、または投票しない、そういう自由はあると思いますけれども、この選挙人の投票する、しない、そういう自由ということについてどういうように思っておりますか。
  96. 岩田脩

    岩田政府委員 申し上げなくてもいい異を申し立てるようでありますが、選挙のとき選挙人は投票に参加すべき立場にあると思います。まず、有権者として進んで選挙に参加していただくべきであり、また、そういう立場にはある。ただ、そういったものは決して法律やその他によって罰則など唇もって強制されるべきものではない。なおかつ、自分から積極的に自分の意思、自分の信念、自分の態度として投票に参加しなかった場合、そのしなかったことをもって直接に責められるべきではない。ただし、一般的に選挙に参加すべき立場にはある、そう思っております。
  97. 草野威

    ○草野委員 そういう中で、選挙人の選挙に投票する、投票しないの自由というものは、憲法においても保障されているわけですね。そういう投票する自由というものがあるのに、選挙啓発と称して今回の例のように多額の公費が投票率アップのために投じられている、やはりこういうことは私は一つの大きな問題だと思いますけれども、その点の認識をもう一点伺いたいと思います。
  98. 岩田脩

    岩田政府委員 やはり公費の投じ方の問題であろうと思います。今度の場合のように、特定の地域なり特定の人に財産的価値のあるようなものを渡すというような啓発活動はあってはならない。そういった利益でつるというようなことがあってはならないと思っております。
  99. 草野威

    ○草野委員 こういうような今回の大野村がとった行為そのものは、公職選挙法に抵触すると思いますか、思いませんか。
  100. 岩田脩

    岩田政府委員 大変遺憾な行為ではありますが、しかしこれが公職選挙法第何条に違反するかというような、そういった性格のものではない。やはり金の出し方、そういう使い方が選挙の精神にそぐわない、そういう形のものだと思っております。
  101. 草野威

    ○草野委員 例えばこういう場合、いかがでしょうか。  これも報道記事の一部でございますけれども、大野村の村長さんが各区長に対して投票率の向上を競わせた、その中でこういう記事が出ております。「有権者約二百七十人の地区では投票所の立会人になった区長が投票にきた人を厳しくチェック、夕方になっても投票にこない有権者をリストアップして、知人や候補者の後援会員に「あの家はまだあの人が投票にきていないから、呼んでこい」などと指示して投票させた。この地区の投票率は八〇%弱だった。」こういうような報道がなされております。  これを読みますと、区長さんが立会人になって、そして投票にまだ来ない人に対して、知人やまた候補者の後援会員を使って、家へ行かして投票の催促をさせている。この点はいかがですか。どう思いますか。
  102. 岩田脩

    岩田政府委員 御指摘のように、その方は投票立会人なんでありますから、そういうような投票の督促みたいなことをなさるべきではないことは申し上げるまでもございません。  ただ、今のような事実がどの程度であったかは、実は県の調査でもよくわからなかったのでありますけれども、今のようなことがあったとしましても、それが公職選挙法の第何条違反であって、罰則の適用があるというようなものではないと思います。ただ、利益をもって投票率を競わせる、そんなようなことも起こりがちになる、それこそまさにああいうようなお金を出してはいかぬという一つの理由であろうかと思います。
  103. 草野威

    ○草野委員 実際にこういう金品を出して競わせた結果が、こういうような問題も起きているわけですね。  今部長は、この選挙法に触れる触れないという問題についてははっきりおっしゃいませんでしたけれども、例えば今申し上げたようなこういうケースが事実あったとすれば、公職選挙法の規定の中で、例えば第二百二十六条、これは職権濫用による選挙の自由妨害罪ですね。それから、第二百二十八条投票干渉罪、こういうものに抵触をするんじゃないか、こういう感じもするのですけれども、どうでしょうか。
  104. 岩田脩

    岩田政府委員 例えば今お挙げになりました自由妨害罪というのは、選挙人や公職の候補者などに対しまして、いわば物理的な阻害といいますか、力を加えた場合に成り立つ罪でございまして、単に投票に行ってないからといって呼びかけたというだけでは、ちょっと自由妨害罪を直ちに構成するとは言いにくいわけでございます。そういったような事由がございましたので、第何条に違反するというように断定できるわけではないと申し上げた次第でございます。
  105. 草野威

    ○草野委員 自治省の見解は、違法でない、こういうような見解ですね。  そうしますと、選挙に際しまして国からもいろいろな形で選挙啓発費というものが支出されているわけでございますけれども、こういう方法で国から出された費用の一部がもし使用されたとすると、そういうことに対して、それが正常な支出である、このようにお認めになりますか。それとも、こういうような方法はまかりならぬ、いけないことだ、こういうふうに明確になっているわけですか。どちらですか。
  106. 岩田脩

    岩田政府委員 私どもの考えでは、国の委託費の中からこういうことをやるべきでない、やっては困るという性格のものだと思います。
  107. 草野威

    ○草野委員 今回の場合は、国の委託費の中からもし出ていれば、これはやはり問題になると思いますので、国としては返還を命ずる、そういうような意思はございますか。  それからもう一点、もし国の費用ではなくて、村の一般財源から出ている場合はどういうふうになりますか。
  108. 岩田脩

    岩田政府委員 国から出ている経費の中でもしこういうことが行われた場合には、国の委託費を不適当な使用をなさったわけですから、返還の請求ができるものならば返還の請求もしたいと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、今回のケースはその中に入っていないのです。ということを比較的はっきり申し上げられますのは、実は今回の経費は、選挙が終わった後で補正予算の形で組まれているわけでありまして、そういった意味で、財源区分の上からいって国の委託費を使っていないということがかなりはっきり言えるわけであります。  その場合、それでは村費が使われている場合に、その村費についてどうするかということになりますが、私どもとしては決して適当な支出であったとは思っておりませんけれども、これは村が村議会の議決を経て村費をお使いになったものでありますから、そこから先の判断は当該村の御判断にまつしかないと考えております。
  109. 草野威

    ○草野委員 選挙部長は、こういうような支出に対しては不適当な支出である、こういうふうに今おっしゃっているわけでございますけれども、これは確かに村の議決を経て出された報奨金だと思いますけれども、幾ら村の自己財源といっても、こういうような不適当な支出――不適当な支出であるけれども、議決されたお金であるから自治省としては全然今後もノータッチでいく、タッチしない、もしこういうような姿勢でいかれるとすると、これはいろいろな点でまた問題も起きてくるんじゃないかと思いますけれども、こういう不適当な支出について自治省は今後どういうお考えで臨みますか。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 石原信雄

    石原政府委員 地方公共団体における予算執行全般の問題にかかわると思いますが、御案内のように、地方公共団体が法令に違背して多額の支出をした場合には、その相当額を交付税の減額あるいは返還命令を出すというような規定が地方財政法二十六条にございます。これは法令違反ということと、金額そのものが多額で財政運営に大きな影響があるというこの二つの要件が定められているわけですが、ただいま例示されたものがこれに直ちに該当しないと思いますけれども、いずれにしても、地方財政法でも地方公共団体経費は必要最少限度にこれを執行しなければならないとか、それから効率化を図らなければいけないとかいろいろ基本的な考え方が述べられておりますので、それに沿わない支出ということになりますので、財政運営の指導上からもこれは避けなければならないと考えております。
  111. 草野威

    ○草野委員 財政局長も、こういうような支出は避けなければならないという御見解でございます。  最後に、大臣一つ承りたいと思います。  今回の大野村の報奨金問題について今までいろいろと質問をしたわけでございますけれども、自治省としては、選挙啓発費の使い道、このような形で使用されることのないように具体的にきちっと決めなければいけないのじゃないかと思います。また、自治省は、今後の地方選挙を含めて、このような形で投票率の向上を競うような、こういう方法をとらないように何らかの形で全国的に趣旨を徹底すべきではないか、あるいは大臣通達とかいろいろな形があると思いますけれども、何らかの形で徹底をすべきじゃないかと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  112. 田川誠一

    田川国務大臣 御指摘のお話、先日、参議院の地方行政委員会の中野委員から同様のことを伺いまして、びっくりいたしました。金品によって投票率を上げようなんということは私どもは全く想像できないことでございまして、そういうことが今後起こらないようにできるだけの措置を講じたいと思っております。どういう形で行うか、これは事務当局と相談をしてやりたいと思っております。  地方に参りますと、投票率を上げることが至上課題のように言われて、今御指摘になったような金品をやって投票率を上げようという行為をするものと、ある特定の候補者、ある特定の政党のために投票率を上げようというような気持ちがもし潜在していたら、これまた大変なことでございます。投票率をただ上げればいいということは、大変よくないことだと思います。  ただ、先ほども選挙部長から話がありましたように、選挙がいかに重要か、選挙への自覚を国民にPRする、こういう宣伝行為はある程度やっていかなければいけないということで、選挙管理委員会でいろいろやっているものだと思います。しかし、それと今御指摘のあった問題とは全く違いますから、先ほど申し上げましたように、投票率を上げることについて金品を贈ったり、あるいは行き過ぎを起こすことのないように、私自身も先頭に立って理解を図っていくように努力をいたします。
  113. 草野威

    ○草野委員 今大臣がお述べになりましたけれども、今回のこの事件がいろいろと世間の話題になった背景には、投票率を金品によってつり上げる、その目的は一体どこにあるのだろうか、その背景が問題になったのだろうと思います。もしこういうことが、特定の政党のために、特定の候補者のために行われたとすれば、これは大問題だろうと思います。しかも、かつては、物程度だったらいいのではないか、お金でなければいいのではないかという空気があった。そこら辺のところを、自治省はひとつきちっとやっていただかなければならないと思うのです。したがって、今回のこの事件を契機にいたしまして公正な選挙が行われるように、きちんとした形で、大臣は責任を持って何らかのひとつ趣旨の徹底を図っていただきたい。これは私の希望でございます。お願いいたします。
  114. 田川誠一

    田川国務大臣 御忠告の線に沿ってやってまいります。ただ、投票率を上げるために金品を贈るということだけでなく、例えば地区で車を出してある程度誘ってどんどんやるというようなこともよくないと思うのです。そういういろいろな面で人為的に投票率を上げるということは避けていかなければならぬ。こういうことをひとつ十分やっていくように、私自身も努力してまいります。
  115. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。残余の質問は、同僚議員の宮崎議員の方からさせていただきたいと思います。
  116. 大石千八

    大石委員長 宮崎角治君。
  117. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 去る二十四日の当委員会で、厚生省関係その他の省関係につきまして当面する問題についての御質問の中に、残余の分がございましたので、きょうはまた厚生省の方に答弁を煩わしたいと思うわけでございます。  前回は極めて誠意ある答弁がありまして、その方向なり対処策なり評価いたしておるわけでありますが、国から見た地方、そして地方の中の個々の地区、なかんずく離島を多く持っている都道府県、長崎県を初めとして東京、鹿児島、先般北海道も申し上げましたけれども、そういったところに共通した問題点につきまして、また地域医療の諸問題につきまして、各県は非常に四苦八苦、暗中模索、試行錯誤、創意工夫をして、自力で、自治体でその解決策に挑んでいる実情でありますが、どうしたらこういった離島の医療の確保ができるのか、医師の確保ができるのか、何が解決の処方せんなのかといって、国のバックアップがないままに地方財政を大変圧迫させることばかりが浮き彫りされている感じがしてならないのであります。  離島と本土、また地域の中核病院との連係プレー、最近言われておりますニューメディアの利用、通話しながら文字とか図形が送れるというような新規装置、いわゆるINSの特徴などを、今国、地方を通して急ピッチでこういった問題に対応していかねばならぬ時代が来ているのではないかと思うわけでございます。  そこで、きょうは厚生省にこの離島医師の不足につきまして、また、今申し上げましたニューメディアの利用等との問題につきまして、特にテレトピア構想というのが今言われておるわけであります。いわゆるテレコミュニケーションとユートピア、これをとって合作した言葉がテレトピアというものじゃないかと思うわけでありますが、確かに守りの医療から攻めの医療にかかっていかねばならぬというところでございますけれども、こういった点について、ドクターの偏在の是正を図るために、先ほど申し上げましたように各県は非常に頑張っているところでございますが、このテレトピア構想についての厚生省の認識なり、あるいはまたキャッチされている所見なり、ひとつお聞かせいただければと思います。
  118. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  今先生お話がございましたテレトピア構想というのは、これから関係各省がいろいろ進めていく問題であろうかと思うのでございますが、当面、長崎県で、国立の長崎中央病院というのがございますけれども、そこで離島病院との間においてニューメディアを活用して離島の医師の研修等の向上に資そうということで進めている問題がございますので、その点について申し上げたいと思うのでございます。  国立の長崎中央病院というのは僻地の中核病院に指定されておるわけでございまして、また、地域医師等の生涯教育の推進ということで地域医療研修センターというものをこの中に設置をする、これは近く開所の予定でございますが、そういったことで地域のいわゆる離島等の研修を充実していこう、こういうことでございます。特に長崎中央病院の場合、まあ長崎の場合には、先生御指摘のように地理的な特殊性からいいまして、こういった離島の医師の教育、研修というものの充実を図っていく、そういうことは国立の病院としても非常に大事なことだということで、推進をしよう、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。  しかしながら、御案内のように、離島等の医師につきましては、例えば地域医療の研修センターでいろいろ研修を受けようという場合でも、離島の病院にかわりの医師がいない、だから来れないという問題、あるいは交通事情あるいは天候というようなこと等いろいろな制約条件があるわけでございますので、そういった点から、研修センターを設けましても有効かつ十分な活用といいますか、利用ができにくい、こういうような問題があるわけでございます。  そこで、今先生お話しがございましたような有線テレビとか光ファイバーというようなものを利用しましてやりますと、そういった離島の病院の先生方は、いながらにしまして親元病院の専門医と医療の情報交換あるいは症例検討会というようなものが非常にスムーズにできる。したがいまして、そういう点の整備を図っていく必要がある、こういうふうに私どもは思っておるわけでございます。  そういった有線テレビ、光ファイバー等を利用しますと、情報量が非常にふえるだけでなくて、画像が非常に鮮明であるというようなことで、症例研究なども非常に高度の研究ができる、こういうふうな問題がございますので、私どもとしては離島の医師のレベルアップということにも大いに資するというようなことから、こういったものを進めていかなければいかぬ、こういうふうに思うわけでございます。  長崎中央病院の問題に関して言いますと、現在、長崎県が中心となられまして、国立の長崎中央病院あるいは日本電電公社、そういったものと相協力しまして研究会を設けておられるということで、その実施につきまして検討を進めている、こういうふうに聞いておるわけでございます。  先生の御指摘のような、医学技術が進歩する、国民の医療にそういった医学技術の進歩を反映させていく、これは相当進んできておるわけでございますが、前回にもお話がございましたように、地域的な格差というものが相当ある、これを何としてでもできるだけの努力をして埋めていかなければならぬということの一つのあらわれが今のようなことだろうと思うわけでございまして、厚生省といたしましても、そういった点に十分協力していこう、こういうふうな考え方で進めているわけでございます。
  119. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今古川総務課長の大変誠意ある方向づけがよくわかりました。  コンファレンスといいましょうか教授会、あるいはまた離島にいてもそのまま臨床病例の検討会ができるというようなシステムを早く導入しなければいけないと要望したいと思うわけでございます。特に、今出ました国立長崎中央病院の寺本院長を中心としたスタッフ、また自治医大の客員教授であられる県立成人病センター多良見病院の岩崎栄院長、県は県として、先ほど申し上げましたように、本省人事である長崎県保健部の川嶋部長及び長善治次長あたりが中心になってこういった医師偏在の是正に頑張っている実情でありますので、大変ハイペースで前進させていただきますことをお願いするわけであります。  それから、これも長崎県が今悩み続けている問題で、全国に先立っていよいよ近く委員会が設立されるのではないかと思いますが、定年で退官されたドクター、まずこういった先生方の登録をして、短期間でもいいから離島の医師についてのいろいろな御認識と、現地に行っていただいて医療の確保をしていただきたいということで、いわばシルバードクターバンクといいましょうか、こういった医師不足に対応するバンク構想があるわけであります。これについても、こういった委員会の非常にすばらしい前進と成果を上げるための国のバックアップという方法がないものかどうか。  宿命的なものか、長崎は世界で二発目の原爆を受けました。私も千メートルで原子爆弾を受けたわけであります。また、あの厄介な原子力船「むつ」の問題がこれまた長崎でありました。そして日本で一番多い離島を抱えているという、まことに日本の最果ての地でありますけれども、いわば日本の政治のひずみがこの長崎に集約されているような感じがしてならないのであります。そういった面につきまして、少しは国のホットなバックアップというものが要求されてもしかるべき問題があるのじゃないかと思うわけでございますけれども、シルバードクターバンクについての御認識と、そしてまたバックアップの方途なり方策なり、ひとつ厚生省の前向きな答弁を求めたいと思うわけであります。
  120. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  長崎県のお話でございますけれども、そのシルバードクターバンクの前に一言申し上げさせていただきたいと思うのでございますが、確かにこういった離島の医療に非常に御熱心でございまして、過般も、離島を回る保健医療船といいましょうか、従来小さな船が三隻あったわけでありますが、それを大型一隻にして、非常に高度の医療内容を持った保健医療船といいましょうか、巡回診療船といいますか、「しいぽると」というものを建造された。私どももこれに対して特別補助といいましょうか、そういったことで御協力申し上げたわけでございますが、今お話しのようないろいろなアイデアを活用しながらこういった地域医療の向上にお力を入れておられるということは、大変評価しているわけでございます。  先生のおっしゃっているシルバードクターバンクという構想は、私、まだ詳細な具体的なことについては承知いたしておりませんけれども、今お話のございましたように、大学病院とか国立病院、あるいは開業医の方で息子さんたち、いわゆる二世の方に代を譲ったようなお方、そういった方々を登録しておられまして、地域の講演活動とかあるいは臨時診療といいましょうか、あるいは成人病検診なんかの公衆衛生活動、そういったことを通じまして離島等に短期あるいは長期に定着していく、こういうふうなことを進めたらどうかという御構想のように承っているわけでございます。  私どもとしましては、離島医師の確保あるいは離島の医療の向上についてのなかなか味のある方策の一つではないかと考えておるわけでございます。厚生省におきましては、従来から、都道府県を通じまして、僻地医療対策の一環ということで、離島等僻地におきますところの医師の確保ということのために、紹介とかあっせん事業というものを推進しているわけでございますけれども、シルバードクターバンクというような構想をも今後十分参考としまして、こういった僻地の医師のあっせん、確保、そういったものに国としてどういう形で関与し、かつまた推進できるようなことになるのか、その辺をも含めまして検討いたしまして、いずれにしましても、こういった施策の充実ということに私ども努めてまいりたい、かように思っているわけでございます。
  121. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございました。どうかひとつ効き目ある、実効ある行動をぜひ行っていただきたいと要望して、厚生省関係を終わります。  次は自治省関係でございますが、地方交付税算入、いわゆる基準財政需要額算入に入っております遠距離通学費というのがございます。私も長年教壇生活におりましてよくわかるのですけれども、例えば小学校で四キロ以上から通学している児童、中学校で六キロ以上から学校に通学している生徒、この児童生徒にはいわゆる年額、交付税の金額が算定になっているわけであります。こういう遠距離通学費の項目があるわけでございますけれども、実態についてはどう自治省は把握しているのか、ひとつ定かに答弁を求めたいと思うわけであります。
  122. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のように、現在地方交付税算定におきましては、遠距離通学の学童生徒につきまして、小学校の場合で申しますと通学距離が四キロメートル以上の児童数、それから中学校の場合で申しますと六キロメートル以上の生徒数、それから船舶を利用している生徒数等を指標といたしまして、一定単価でもって通学の援助に要する経費算定いたしております。これによって算入されております額は、例えば昭和五十八毎度の場合でありますと、全国の総額で百四十三億円ほどをいわば上積み計算をいたしております。  これが各地方公共団体におきまして現実にどういう形で実施されているか、市町村ごとに必ずしも正確に把握しているわけではありませんが、このような算定を行うことにいたしました背景には、各都道府県の地方課などからの御意見、それから文部省からの要請、こういったものを踏まえてこのような算定を行っておりまして、全体としてはこのような算入措置対応した具体の助成措置といいましょうか補助金の交付、あるいは船舶であれば船舶の運営経費への充当、こういったものが行われているものと承知しております。
  123. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今百四十三億円の上乗せ金額ということになりますが、これは今の小学校中学校の、いわゆる四キロ以上の小学校の場合は年に三万一千九百円が大体一人当てになるわけです。それの人数分になるわけです。六キロ以上のいわゆる中学生の場合は六万三千三百円が、大体計算でその人数倍になるわけです。それのトータルが百四十三億円でしょう。もう一遍答弁してください。
  124. 石原信雄

    石原政府委員 ただいまお示しのように、小学校の場合でありますと一人当たり三万一千九百円、中学校の場合でありますと一人当たり六万三千三百円という単価を乗じて算定したいわば増額、加算額と申しましょうか、上積み算出額が全国で百四十二億三千四百万円になる。五十八年度の実績でございます。
  125. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ここで私は、普通交付税のあり方についてちょっと頭をひねる疑問の問題があるわけですが、これが理素になって算定された金額、しかしこれはひもつきではない、だから首長がどういうサイドでも使ってよろしいということになれば、本当に児童生徒に還元できるような指導というものが、あるいはまた制度上難しいのかどうなのかわかりませんが、非常に私はこの辺で疑問を持つわけでありますので、自治省として各自治体に対する行政指導というのは、その有無はどうなのか、できないのかどうなのか、この辺の見解をひとつ定かに願いたいと思うわけであります。
  126. 石原信雄

    石原政府委員 御案内のように、地方交付税法におきましては、交付税の使い道を指定してはならない、使途を指定してはならないということが書いてあります。地方交付税は、地方税と同じような意味地方公共団体一般財源、自主財源でありますから、これをどのように使うかは、最終的にはその議会の審議を経て各地方団体の長が決定するという仕組みになっております。ですから、そういった意味では、どのように使うかはそれぞれの団体の自由というわけなんであります。  ただ、その場合、交付税は法令の規定その他に基づきまして標準的な経費を積算しておるわけであります。だから、その標準的な経費は、標準的な行政水準というものは守られなければならない、守ることを期待して計算がなされております。極端な場合には、想定した行政に全く交付税が充てられていないというようなケースがあれば、主務大臣の要請によってその額を返還を命ずることができるというような規定も交付税法の中に置かれております。これはいまだかつて発動したことはございませんけれども、立て方としてはそうなっております。  そこで私どもは、この交付税算定の基礎となりました各種の経費について、これはどういう水準でどういう考え方算定されるかにつきましては、毎年度それぞれ、市町村の場合であれば各都道府県の地方課などを通じてその周知徹底を図っております。都道府県の場合には直接その内容を説明しております。この算定基礎に基づいて、各地方公共団体が国の考え方というものを踏まえて、参考にして、具体の施策を行っていただいているもの、このように思います。  今御指摘の遠距離通学に対する助成の問題等につきましては、そのような計算がなされているということは、関係の地方公共団体は十分承知しているはずであります。私どもは、関係地方公共団体の強い要請を受けて今日のような算定を行ってきておるわけですから、それを十分関係団体は承知しているはずであります。したがいまして、このような算定前提として、具体的にどのように経費を執行するかは、その団体の議会の御意見も踏まえながら、各団体が最終的に決定されるべきもの、このように考えております。
  127. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大臣のいわゆるいまだかつて発動したことのないという項目でありますが、これはこういった発動の要素が多々あるのではないかというような感じがするわけであります。なぜならば、父兄負担の軽減という大きい立場からすれば、通学させている父兄は、こういったものがいわゆる算入の額に、基準財政需要額の範畴に入っていることを知らないのですね。ああ、こんな要素もあったのかといって、それが例えば地方の市会、町会、県会の立場でいった場合に、首長もそこで認識を新たにされて、例えばパス券の半額をやるとかあるいは長靴をやるとかいうような、そういったホットな首長もおるわけでありますが、その点についてはひとつまた御認識を新たにしていただきたいと思う。  実は長崎県でも、七十九市町村の中でかなりこういった首長の認識が深くなりまして、億のつくような金額であります長崎県のこの通学費の問題につきましても、小中学生には温かい恩典となっているような気がするのであります。  最後に、私は去る二十八日の本会議で超過負担について申し上げたわけであります。超過負担というのは、自治省としては局長大臣も大変言いたくないような、何か今までの答弁の中に、実勢価格という言葉はいいけれども、超過負担ということをなかなか使いたくないような気がするのであります。財政秩序を乱すばかりでなく、地方財政を圧迫しているわけでありますが、これは早急に是正すべきではないか。特に最近の抑制型予算のもとにおいては、各省は補助単価等の超過負担の解消よりも事業量の確保に重点を置きがちでありますので、新たな超過負担が発生するという危惧をするのであります。超過負担の解消のためには、関係省庁における補助単価等の定期的な調査はもちろんのこと、地方団体もその調査の一員という形にして参加していけるような例えば小委員会的なものをつくって、この完全是正、完全超過負担解消の実施を、都道府県知事会、六団体等とも特に強い要望として省の方に上げてきておるのではないかと思いますけれども、この辺についての検討が必要ではないかと思うわけでありますが、所見を伺いたい。
  128. 石原信雄

    石原政府委員 超過負担問題につきましては、第一次石油ショックの後のいわゆる狂乱物価のころ大変な問題になりまして、私どもも地方団体などともタイアップしてその解消に努力いたしました。当時としては千億オーダーの超過負担解消措置も講じられました。最近になりましてから、物価が非常に落ちついているということ、それから一つには、ただいま先生御指摘のように、各省庁の予算が非常に枠が抑えられているというようなこともありまして、超過負担論議が現実にひとごろに比べますと静かになっているといいましょうか、そういう傾向があることは事実であろうと思います。  ただ、私どもも事柄の性質上、超過負担問題は決しておろそかにしてはならない。国が一定基準で補助金を交付する、そうしてその基準に従って事業の実施を要請するというような場合に、その基準現実の補助条件とされた事業が実行できないということになれば、ある意味でこれはルール違反でありますから、どうしても直してもらわなければいけない。そういった意味で、最近では物価が非常に落ちついているということは事実でありますけれども、そうした印にありましても超過負担問題の精査といいましょうか、調査といいましょうか、これがおろそかになってはならないと思います。  しからば具体的にどうするかということですけれども、私どもは、地方団体と緊密な連携をとりながら、具体の事業について超過負担が存在すると考えられる場合には、その補助金を所管する省庁と大蔵省当局とに働きかけまして解消措置を講ずるというやり方をいたしてきております。ひところ、超過負担解消のために関係省庁と地方団体とが同じテーブルに着いて調査、審議したらどうだというような提案もあったことはあるんですけれども、事柄の性質上、どうも各省庁としては同じテーブルで論議するにはなじまないということで、なかなか実現に至っておりません。  そこで現在は、問題のあると考えられる補助事業を毎年度選定しまして、補助金の所管省庁と自治省と大蔵省と、三省で共同調査を行って解消措置を講じてきております。率直に言いまして、地方の側からしますと、決して十分ではないという御指摘もあろうかと思いますけれども、私どもとしては緊急を要するものから逐次こういった形で問題を取り上げていきたいと思っております。そうしてその前提として、現実に事業を執行しておられる地方団体の御意見というものを基礎に置いて問題の解決を図っていきたい、このように考えております。
  129. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 総理の答弁も大蔵大臣答弁も、そしてまた局長答弁も、いろいろと今までのプロセス等々について御経過の発表があったわけでありますが、「新たな超過負担が発生しないよう努力をしてまいります。」これは本会議の大蔵大臣答弁なんです。「実態調査をさらに必要がある場合には、これらについても十分注意してまいりたい」、これは総理の最後の御答弁、非常にもやっとしたような答弁であった。  今挙げておりますのは、うちの長崎県の去年の主要八事業に対する負担額十五億三千四百万、お隣の佐賀県あたりは数億ぐらい、各県それぞれこういった警察関係費、保健所職員費、農業改良普及費、林業改良普及費、職業訓練費、高校産振施設費、公営住宅建設費、統計委託職員費等々の八主要事業につきましての超過負担というのがあるわけであります。どうかこの点につきまして、最後に田川自治大臣のこの解消へ向けての大きな前向きな答弁を要求して、終わりたいと思います。
  130. 田川誠一

    田川国務大臣 地方負担の問題は、地方財政が抱えた大きな問題であると思います。宮崎さん、最近声が小さくなったんじゃないかというような御指摘がございましたけれども、恐らくこれは、ひところに比べますと、学校建設費とか単位費用なんかについでかなり格差がなくなってきた、実勢価格と実際の補助金との差が少し以前から比べますと少なくなった、是正をされた、こういうところに来ているのではないかと思います。  しかし、御指摘のように、また別の面で国の事業のためにいろいろしわ寄せされるというような地方の負担というのはゆるがせにできない問題でございまして、今後も私どもは、国の施策のために地方に負担がかからないように努力を重ねてまいることをここにお誓い申し上げます。
  131. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 では、終わります。
  132. 大石千八

    大石委員長 この際、暫時休憩いたします。     年後一時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時九分開議
  133. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原哲太郎君。
  134. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私ども東京に住んでおりまして、このごろ、時たま新宿などの地下道を歩いてまいりますと、浮浪者の数が大変ふえてきておる現状を死かけるにつきまして、どうもこの問題はこのまま放置しておったらば大変なことになるのではないか、こういうような実感を持っておるわけでございます。そういうことで、例えばこの間も判決が出ましたけれども、バスに対する放火事件であるとか、あるいはまた横浜等におきましては、いわゆる少年非行のグループが浮浪者に対して襲撃をかけるというようなことがございまして、これが少年の不良グループと浮浪者の対決になんかなったら大変なことでございますが、現状のままに放置してはおけないような状態になっていることだけは事実だと思うわけでございます。  そのようなことを考えたときに、これは東京だけの問題ではございませんけれども、今全国的な関係、あるいはまた大都市に関係する浮浪者の現況について、警察庁として掌握をしておることをまず御報告をいただきたいと思います。
  135. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 お答えいたします。  警察では、全国的な浮浪者の実態というのは把握していないわけでございますけれども、東京都内には現在約七百六十名ぐらい、それから大阪では千五百名ぐらいの浮浪者がいるというふうに考えております。
  136. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 浮浪者によるところの傷害事件、例えば浮浪者の中では少年にいろいろいじめられたり何かしたために、今度はその反対給付のような形で子供たちに対して妨害を加えたり、あるいは婦女子に対して乱暴をしたりというような事件も新聞報道でも大きく報道されておりますね。こういう実態についてどのように把握せられておるか、御報告を願いたいと思います。
  137. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 浮浪者によります犯罪は、全国では、昨年約四千二百件余りということで把握をいたしておりまして、これの主なものはやはり窃盗犯と、それから知能犯と言いますが、これは主として無銭飲食のようなものでございますけれども、こういうものが主なものでございます。なお、東京では昨年中約六百六十人、それから大阪では約六百人検挙されておるという状況でございます。
  138. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうもこの浮浪者に対しまして、十四、五歳の若者が、いわゆる浮浪者をやっつけるということでいろいろ行動を起こしているようですね。これはやはり放置をしておったらちょっと問題になるのではないかというように私は思うんですね。例えば公園で殺されたというような事例もございまするし、それから、浮浪者に対して五人なり十人なりの集団が一斉に石は投げるわ、空気銃で撃つわ、いろいろな悪さをするようですけれども、そういうものをどのように把握をしながら、しかも警察対局として、例えば東京都でしたら各警察署に対してどのような指導をされておるのか。例えば上野署で取り締まりを強化すれば、それがぐるっと回って新宿へ来る。新宿で強化すればまた回るというようなことで、実際は浮浪者というのはどこか取り締まりが強いところからある程度動いている、ぐるぐる山手線を中心に動いているというようなことも聞いておるわけです。  それから、私自身もこの間、今度の風営法の関係もありますし、新宿の現状を見ようと思いまして参りましたら、やはり地下道に群をなしてたむろしていました。これは現職の警察官でも、実は一人や二人ではちょっと怖いという感じを与えるというようなことでございまして、我々もそこを通ったときに、やはり臭気はいたしますし、それから何か怖いという感じを率直に受けますね。したがいまして、これは警察だけの問題ではないのでございますけれども、新宿でも区長さんを中心にあの辺の環境整備のための協議会等をつくって、自治体でもそれに対応いたしておりますけれども、やはり何としたって警察の御協力を得なければこの問題は解決できないのじゃないか、かように考えられるわけです。そういうことで、何か警察としてこれに対する対応策というのは、今までの中で相当具体的に練られたことがあるのかどうなのか。  背、山谷地域などで労働者による暴動事件などが起きて、あの辺の交番を初めめちゃくちゃにされたことがございましたけれども、例えば新宿でも、これが百名ぐらいならいいけれども、二百名とか浮浪者の集団ができてきて、例えばある一人の指導者が、おいおい、どこをやっちゃえとかと言って、飲んだ勢いでやられたら、あそこの新宿警察の力ではどうにもならないような事態だって――私は扇動しているわけじゃございませんけれども、そういうこともやはり十分注意してかからぬと、もう事が起きちゃって対策がなかったのでは、我々国政をやる者も任務が務まらぬわけでございますので、実は警告的な意味もありましてあえて申し上げておるわけで、実際を見聞をした感じのままを申し上げて、このままに放置できないな、例えば保健所を通じて厚生省関係の仕事もございましょう、あるいは雇用対策の面からいえば労働省の管轄もございましょう、そういうものともやはり総合的に御相談をしていただきながら、この対策を立てる必要があると思うんですね。  それで私自身、実は何かいい妙薬はないかと考えても、私自身も本当はないわけなのです。本当は何か具体的な提案があって、こうしたらいいじゃないかという提案があれば、議員の皆さんの御同意を得てできるのですけれども、率直に言って今妙案はありません。しかし、そういうものが大きくならないうちに、火種は小さいときにつまみ取っていくということが大切ではなかろうか。あの方々もどこかきれいなふろへでも入らせてやれば幾分気持ちも落ちつきますし、大都市東京としては、世界に冠たる経済大国などとこう豪語しておりますけれども、ああいう人たちが地下道にところどころたむろしておりますと、何かこれも政治家の責任ではなかろうかと実はひそかに考えておるわけでございまして、どうぞひとつ、その辺のところを含めましての御答弁をいただきたいと思います。
  139. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 浮浪者の関係は、先ほどのように犯人になることもございますし、あるいは被害者になることもあります。それからまた、浮浪者の存在自体が一般の社会人に不安感あるいは迷惑等を与えているという実情もございます。そういうことから、私どもといたしましては、各都道府県警察に対しまして、軽犯罪法を初めとする諸法令を活用いたしまして、一つは保護活動、一つ指導取り締まり活動というものを進めるように指導をしておるところでございます。  ただ、これはお説のとおり大変難しい問題でございまして、また、ひとり警察だけでどうにかなるという問題でもございませんので、都道府県の民生部門、福祉事務所あるいは道路管理者、公園管理者あるいは地下鉄等の管理者、そういうふうな方々とも連携をとりながら、今申しました保護活動、それから指導取り締まりをあわせて推進していかなければならない、かように考えておるわけでございます。  お話しの山谷地域とかあるいは大阪のあいりん地域とか、そういう地域につきましては、格別の防犯体制もとり、いろいろ相談活動にも乗り、指導もするというようなことを並行して進めておるわけでございまして、そういう活動と相まって、さらに今申しました総合的な施策を進めていかなければならぬのじゃないか、かように考えております。
  140. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大事に至らない前に、できるだけ警察当局としても、あるいはまたそれぞれの行政当局等々とも綿密な連絡をとりながら、この問題についてお互い知恵を出し合ってもらいまして配慮していただきたいというふうに思います。特にお巡りさんが何人か組んで通っていれば、そういう点では非常に効果があるというふうに思います。この間、新宿の繁華街の中で、パトカーとは違いますが、ちょっとパトカーより大きい警視庁の車が入っていますと、呼び込みその他の状況も遠慮してやるような姿も現実に見ておりまして、警察が出ているときは少なくとも、良識ある行動でもございませんけれども、慎みある行動をしておるなというように感じてまいりました。  ともあれ浮浪者の問題、それからこれに対抗して十四、五歳の少年非行の人たちが、浮浪者をやってしまえ、何というか、社会正義の気持ちもないのでしょうけれども、ああいう方ならやっちゃってもよいかなという気持ちがあるかもしれませんね、汚らしいのを排除するような気持ちで。だからこの辺は、僕は少年の気持ちがよくわかりませんけれども、いわゆる浮浪者狩りと称してやるというのですよ。きょうは東京タワーのところへ行こうとか、きょうはどこどこへ行こうとかいうようなことで謀議を凝らしているというようなこともあると承っておるので、そういう情報を十分キャッチして、班前に事なく済むように特段の御配慮をいただきますように要望をいたしておきます。  以上でそちらは終わります。  それでは、次に自治省関係について質問をいたしたいと思います。  きょうの今までの議論を伺っておりましても、いわゆる自治体が富裕だとかということにつきましては、先ほど自治大臣はそういう状況下ではない、国、地方を通じて厳しい状況にあるんだというお話でございまして、私自身もそれには同感でございます。ただ私は、今国、地方を通じて厳しい行革に取り組むという姿勢の中で、やはり住民自体が十分納得のいくような行政なりあるいは地方自治体の姿勢というものが必要だと思うのです。そういう面から実は問われる問題でありまするけれども、給与の公表ということについて、この機会に数点にわたって御質問をいたしたいと思うわけでございます。  現在、自治省地方自治体の職員の給与を公表すべきであるということで指導をしておられるわけでありまするけれども、その指導状況はどうなっておるのか。例えば公表団体の数、あるいはまた自治省指導に基づいてきちっとやっている団体とかあるいは一部が行われている団体とか、それからせっかく指導しても、指導に従わないでさっぱり発表しない団体、こういうように分かれておると思いますが、この機会に実施状況について御報告を願いたいと思います。
  141. 中島忠能

    ○中島政府委員 お答えいたします。  五十六年度、五十七年度ともに公表を行わなかった団体は、公表対象固体六百四十の中で二十九市ございました。そこで私たちの方では、公表の趣旨といいますか、公表することの意義というのを県を通じてよくお話しいたしまして、この二十九市のうち現在までに十七市が公表を行っております。したがいまして十二市残っておるわけですが、その十二市につきましても現在県を通じてよく話をしておりますので、十二市の中でも近いうちに公表するところが山てくるのじゃないかというふうに見ております。  次に、公表の内容といいますか、公表の項〔といいますか、そういうものについてでございますが、私たちの方で一応通達を出しましてその標準的な様式というのを示しておりますが、その様式に従って公表しているところもございますし、それぞれの地方団体で、自分のところの給与の問題点というのを本当に上手に住民にわかりやすく公表しているところもございます。あるいはまた、公表することはするけれども、公表する内容について消極的な市もございまして、非常に千差万別じゃないかというふうに現在見ております。
  142. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 公表していない団体自治省指導によりましてようやく十二市ということで、大変少なくなってきたということは私は評価できると思います。  ところで、今いみじくもお話がございましたけれども、公表が住民にとってわかりにくいという声があるのですね。やはり一見したら、ああ、うちの市の職員の給与はこういうところにあるんだな、あるいはこういう待遇を受けているんだなとかいうのが、住民から見てわかりやすいものでなければならぬと思うのです。その辺のことについて、わかりやすいことと、それから住民一人一人に徹底するのに、広報あるいは官報とか、いろいろ新聞を通じているのでしょうけれども、いわゆる媒体について相当考えなければ、何か一遍ぽっと出して、もう事が済んだんだという嫌いがあるんですね。だから、媒体なりわかりやすい周知徹底の方法について自治省は相当注意深く指導する必要があるのではないか、かように考えるのですが、私の今の考え方を含めまして御答弁をいただきとう存じます。
  143. 中島忠能

    ○中島政府委員 公表の仕方が住民にわかりやすいものでなければならないというのは仰せのとおりでございまして、私たちも、公表するからにおいては住民が十分理解して、当該地方団体の給与の問題点はどこにあるかということが住民によくわかるように公表するようにという指導をいたしております。五十六年十月にそういう通達を出して指導を始めましてから、年を迫ってそういう団体がふえてきておる、実感として私たちはそういうふうに感じております。  それから、どういう媒体を通じて公表しているかということなんですが、先ほど申し上げましたように、対象団体六百四十団体のうちの九四%の団体が特別に広報誌あるいは広報チラシというものをつくって公表しておる。新聞を通じて公表しているところもございますし、あるいはまた住民の見やすいところに掲示をして公表しているようなところもございます。媒体につきましても、住民が手近に接し得るように努めておる団体が年を追ってふえておると思いますが、なお一層公表の趣旨に沿って内容あるいは媒体とも充実していくように努めてまいりたいと思います。
  144. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ところで、退職金の支給額が高過ぎるとかなんとかといって、大変批判を受けている一部の市もあるわけであります。特に武蔵野市、越谷市、鎌倉市、堺市など大阪府下の都市など、そういう状況を含めて自治省はどのように掌握せられておるのか。
  145. 中島忠能

    ○中島政府委員 今お挙げになりました四市でございますが、この四市とも五十六年度以降三回公表いたしております。したがいまして、公表することはきちっと公表するわけでございますし、また、その媒体につきましても、それぞれ全戸配布のチラシをつくって公表しておるようでございます。  ただ、公表の内容といいますか、そういうものを見ますと、その四市それぞれバラエティーに富んでおりまして、これら非常に給与水準が高いと言われておる団体でございますけれども、その団体の中でも、住民によくわかるように工夫をして、当該団体の給与問題を住民にしっかり理解していただくように工夫しておる市もございます。また、そういうことの工夫の足りない市もございますし、四市それぞれ一般的に給与水準が高いと言われておりますけれども、公表の内容においては極めてすぐれた公表の仕方をしているところもございます。
  146. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 すぐれた公表の仕方というのは、事例がありましたらこの機会にちょっと……。
  147. 中島忠能

    ○中島政府委員 越谷市をお挙げになりましたけれども、越谷市は非常に給与水準の高いところでございますが、私たちの示した様式の中で、当該越谷市にとってそれほど重要でないといいますか、当該越谷市の給与問題を考える場合に省略してもいいというものは大胆に省略しておりますし、問題点を住民に理解してもらうためにははっきりと図で示した方がいいというようなものについては図で示したりあるいはまたグラフを用いる、あるいはまた現業職員と一般職員との比較をするとか、給与水準ごとの職員数を示すとか、これは私が今まで見た中でも極めてすぐれた公表例に当たるのではないかと思います。
  148. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 後ほど関連する問題についてちょっとお伺いすることといたしまして、自治省の公表の様式、いわゆるモデルでございますけれども、本当のことを言って、地方公務員の給与の実態は、今のモデルでも住民はなかなか理解できないのではないかと考えられるわけであります。  住民側から見れば、公務員と民間との較差の問題が明らかになっているかどうかというようなことだとか、それから、わたりであるとか一斉昇短であるとか通し号俸などというような、実際は違法の給料を払っているといったようなことなどについても、支給の実態が普通の住民が見てもなかなかわからないわけなんですね。それから、各種手当の種類も記載をされていない。それから、手当の支給や給与の運用が条例に基づくかあるいは規則に基づくかということも明らかでない面もあるわけでございますね。  したがいまして、この辺のところも、せっかく自治省が示されても、示されたものが住民側から見て、素人が見てもああ給料が高いとか安いとかわかるようなものが本当の親切だと思うのですね。素人が見てわからないものは、幾ら公表されてもそれはもう絵にかいたもちのようなものだと私は思うのです。私どものような素人が見ても、ああここの給料は高いな、あるいはここの町の給料は一般の人たちの生活からいってもよいなとか悪いなとか、そういうような判断ができるようなものがやはり必要だというように私は思うわけです。この辺についてはどうお考えでございますか。
  149. 中島忠能

    ○中島政府委員 お説のとおりだと思います。住民がわかるものあるいは住民が理解しやすいものでなければならないと思いますし、また、そういうことをよく関係地方団体にも理解していただくようにしていきたいと思います。  ただ、先生がいろいろお挙げになりましたわたりの話とか一斉昇短の話とか、そういうことが現在の給与水準を高くしておるわけですが、そういうことが行われたかどうか、あるいはまたそういうものの実態を様式の改正によってどこまで対応できるだろうかという問題も実はございます。また、そういうことをどこまで住民が正確に理解できるだろうかという問題もあると私は思います。  住民自治といいますから、住民ができるだけ当該地方団体の行政の実態といいますか、それを知らなければならないのは当然でございますけれども、相まって、また地方議会の方でもそういうことに関心を持っていただかなければ、とても住民公表だけで、先生が御指摘になりお話しになりますような給与水準の適正化というものは達成しにくいのではないかと思いますので、私たち独、住民公表を充実していくとともに、地方議会にもそういう問題意識を持っていただくように努めていかなければならないのじゃないかと考えております。
  150. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今御答弁いただいたとおりだというように思うのですね。やはり地方議会もこれに対応じて住民にわかりやすいものをつくり上げていくという努力をしなきゃならぬと思うのです。率直に言って、せっかく給与の公開に踏み切って公表いたしましても、住民側から見れば、その内容がわからぬということではもう本当によく見ませんし、見なければ興味を感じないわけですから、地方自治体の議会の方も、そういうことでやはり住民にわかりやすいシステムについての研究を進めることは私も賛成でございまするし、進めていかなきゃならぬと思います。  ただ、せっかく自治省が、こういうように給与を公表して、そしていわゆるガラス張りの開かれた自治体をつくっていこう、そういうことが住民の信頼度を高め、そして地方自治に対する協力なりそういうものを醸成する上からいっても必要だ、こういう意味で公開制をやる。それから、例えば住民にとっても、じゃ高いところもある、安いところもある、それではうちの市の職員なんか安くてかわいそうだな、これはもっと上げなきゃならぬというところもあると思いますよ。経済がだんだんよくなって、給料というのはできるだけ高いことがいいわけで、何も削ることだけが能じゃございませんので。しかし、人様が見たりあるいは民間の今の厳しい状況を見て、だれが見てもどうもこれじゃ常識よりも高いなあと思われる、そういうものに対しては、やはり自治省指導方針を強固にしてきちっとやるべきだと私は思うのですよ。  そういうことを一つ一つけじめをつけ、筋目を立てることによって、住民そのものも自治意識を上げることになりまするし、行政に対する協力も仰ぐことができるでしょうし、それから住民と政治というものが本当に一体になってやれるような状態が醸し出されてくると思うのです。だから、そういう意味では、今お話の中にもありましたが、出したってまだわかりにくいということじゃなくて、みんなの声というのは、もっとわかりやすいものを、対比をしても具体的にわかるようなものを出してほしいというのが率直な住民の願いだというように私は思うのです。  そういう面では何か通り一遍の、ここにお示ししたのも見ておりますけれども、そういうことじゃなくて、較差をこう書いて、こういうものを示しなさいというふうに、住民皆さんがわかりやすいものを、自治省としてこの辺のモデルをつくり上げることはそれほど難しいことではない。ただ、割にお役人さんは頭がいいものですから、やや物事を複雑に考え過ぎて、実際住民から見たら何が何だかわからない。何か決算報告書みたいなものを見たってわからないわけでございまして、ぜひやはり自治省においても住民が納得するような形のものをつくり上げる、いわゆる給与の公表のモデルのようなものを、いま少し易しいものをつくり上げて御指導願った方がよいのではなかろうかというように私は考えるのですけれども、このことについてはひとつ自治大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  151. 田川誠一

    田川国務大臣 給与の公表をせっかくやりながら、なかなか一般の市民の方にはわからないという御指摘は全くそのとおりでございまして、せっかく公表する以上、市民の皆さんにできるだけわかりやすくやることが好ましいと思います。その方法として、自治省ができるだけわかりやすいモデルというのですか、標準、基準というものをつくって指導すべきじゃないかというお話は、まさにそのとおりだと思います。  例えば、簡単な比較を載せるとか、民間の何々会社と比較するとこうだとか、あるいは国家公務員と比較するとこうだとかいうような比較をするのも一つの例だと思います。完全主義でやろうとするとなかなか難しくなってしまいますから、もう本当に素人の論旨で図解でもしてやるような、そういう方法がよろしいのではないかと思います。そういう面については私どももこれから指導してまいるつもりでございます。  それから、先ほど公務員部長からもちょっと申しましたように、地方団体側の方でも議会が積極的に取り組んでいくように私どもは指導したいと思います。  それからもう一つ、やはり市民が関心を持っていただく、納めた税金がどういうふうに使われているのだというような関心を持っていただく方法を考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思っております。
  152. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今大臣から御答弁をいただいたことについても理解をいたしたいというように思います。本当にとうとい税金を納めていながら、割に納めた税金の結果がどうなっているかということは、まあ仕事に追われているせいもありましょうが、実際は、関心を持つ人というのは残念ながら一部が関心を持っているような形でございまして、そういう今言われたようなことで、いわゆる税金一円の重みを大切にするような政治というものが本当に確立をされてまいらなければならぬというふうに思っておりますので、これから、少なくとも給与の公表につきましては、住民皆さん方がわかりやすい、納得のいくような、そういうようなことでひとつ自治省としてもその改善をやってもらうように希望をいたしておきます。  それから、私はこのごろ考えるのでありますけれども、例えば非常に高い退職金を払っておる団体もございます。こういう団体が幾つかありますと、何か一般的にえらい高いものを払っているなというような錯覚も起こしますし、それから、特段高いものに対しては自治省として、まあいろいろ今までの経過でもわかりますが、やはり指導をしていただくことは当然だと思いますし、同時に、よく承知はいたしておりませんけれども、高いところもあるし、なかなか恵まれないで苦労をされておる団体もあるのではないかというように考えるわけです。やはり働く荷が少なくとも給与その他の面で公正な利益が得られるということは、私は非常に大切なことだと思うのです。もちろん、都市部で経済的にかかるところと、それからやや経済的にそういう負担の低いところとあったりして、幾分の差はあり、全部が同じだということはなかなか言い得ないかもしれませんけれども、少なくとも公正平等の原則というものは常に打ち立てていかなければならぬというように思うわけでございます。  そういう意味では、給与の公開条例のようなものをつくって、一つの模範的なものを自治省で示して、そしてこういうものでひとついきなさいよというようなこと、これは押しつけじゃございませんけれども、そういう指導も、これからの新しい時代に対応して、しかも住民皆さんから理解と協力が得られ、そしてすばらしい自治体行政ができるような体制づくりのためにはガラス張りの政治をつくっていくのだという意味からは、給与の公開条例を、私ども党でも試案を出しておりますけれども、そういうものを自治省としても検討をして、模範的な、モデル的なものを示していく、そして地方自治体の本当のいわゆる住民サービスなり、あるいはまた自治体の自治意識の高揚なり、そういうものができ上がるような状態をつくり上げていくということは非常に大切ではないかというように思うのですけれども、この給与公開条例の制定などについて、そういうモデルを示すことについてのお考えをこの機会に伺っておきたいと思います。
  153. 中島忠能

    ○中島政府委員 非常に貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。私たちも先生のただいまの御意見に従いまして大いに頑張っていきたいと思います。  ただ、そういう公開条例というものを自治省として示していくかどうかということにつきましてちょっと私たちが慎重になりますのは、大部分の地方団体が非常にまじめに取り組んでおる、そして公表も非常にまじめにやっておるということでございますし、私たちの呼びかけに応じて、給与を公表することの意義とかあるいはまたその技術につきまして、年の経過とともに充実してきておる、意識を高揚してきておるという実態が見られますので、やはり全国一律といいますか、私たちが指導官庁の立場としてそういうものを示すというのは、いましばらくこの地方団体の自覚の推移というものを見て考えた方がいいのではないかというふうに思います。  ただ、先生がお話しになられますように、そういうような条例をひとつ制定しようじゃないか、そしてそれで当該地方団体の方で給与の公表というものをしていこうじゃないかという団体がございましたら、私たちの方は個別にそういう団体については適切なアドバイスをしてまいりたいというふうに思います。
  154. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。終わります。
  155. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  156. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に、警察庁にお尋ねしたいわけてありますが、私はせんだって千葉県警の供応事件の問題を取り上げてお尋ねをいたしました。その際に、梅宮に対しましてよもや依願退職というような手ぬるいことはとっておらぬでしょうねと、こう一番最初にお尋ねをいたしました。警察庁の方の御答弁は訓戒、こういうことだったわけですが、私、翌日の新聞を見て驚いたわけでありますが、四月十四日付の新聞に大きく「軽い内部処分…すぐに依願退職」と、何と三月三十一日付でもって梅宮は依願退職になっておった。だから、私がお尋ねしておりましたときにはもう既に依願退職になっておったのですね。これは事実なんですか。
  157. 太田壽郎

    ○太田政府委員 千葉県警といたしましての本人に対する処分というものは、前回御報告申し上げましたように本部長訓戒ということでございます。ただ、本人はそれとは別に本年の一月末に上司に対しまして退職願を出しておりました。そこで年度末にそれを受理したという状況でございます。
  158. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それじゃ、私がお尋ねしたときなぜそのことを答弁されなかったのですか。私はわざわざ質問の最初の問いにそのことを含めておったわけですよ。よもや依願退職にはされておらぬでしょうね、そう私は聞いたのですよ。わかっておったのでしょう、そのときに依願退職。わからなかったのですか。後でわかったのですか。もしわかっておったのなら全くこれはけしからぬ話だと私は思います。わからなかったというのであればこれは了解できます。いかがですか、その点は。
  159. 太田壽郎

    ○太田政府委員 わかっておりましたけれども、先生がお話しになりましたのはいわゆる諭旨免職という趣旨かと思いましたので、その点については触れずに、いわゆる懲戒処分といいますか、処分として行いました本部長訓戒ということのみを申し上げたところでございます。
  160. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は諭旨免職という言葉は質問のときに使いましたが、それは後の方であります。処分が大変手ぬるいじゃないかという一つの例として諭旨免職という言葉を使ったことは記録にもはっきりしておりますが、一番最初の質問に、よもや依願退職というようなことはしておらぬでしょうねと第一問で聞いておるのですよ。これは後で会議録をお調べになって、私の記憶に間違いがないはずでありますから、しかとその点を明らかにしておいてほしい。  そこで、私はお尋ねしたいのですが、どうもやはり警察の内部の不祥事件については余り公にしたがらぬのじゃないかと疑われる節があるのですよ。私は、そうであってはならぬと思うのです。もし臭いものにふたをするようなことになると、これはやはり甘い処分というようなことで非難は免れないわけであります。  これは若干の例でありますけれども、例えば大阪府警の賭博機問題も、これは五人が諭旨免職でしょう。しかもこのうち二名は収賄で送検されているのでしょう。これは総額四千五百万円の退職金が払われているのですね。諭旨免職とか依願退職とかということになれば、こういう形で退職金が支給されていくわけですね。  前回も幾つかの例を挙げましたけれども、八一年十一月の神奈川鶴見署の二巡査の酒に酔って市民とけんかしたもの、これは依願退職でありますが、報道されましたのは一カ月後ですね。それから、八二年三月の大阪西成署の巡査が酒に酔って独身女性の部屋に乱入した、これも処分は諭旨免職ですが、何と報道は三カ月後ですね。  こういうふうに、東京二十三区のいわゆる新聞で報道されましたここ数年間の百三十件の中で、警察がみずから公表したというのは三割にしかすぎないわけなんですね。あとは新聞社の独自な調査だとかあるいは市民などの訴えによって明らかにされた、こういう経緯があるわけです。  ですから、やはり臭いものにふたをするというようなことになりますと、今回兵庫県でまたぞろ事件が起きたように、甘いという態度、そういうふうに印象づけられるような扱い方では、やはり相次いで事件が起こってくる。だから、警察内部の不祥事件については速やかに公にされる、公表される、それからもう一つ、やはり厳しい処分で臨む、そうあるべきだと思いますが、その点、どうでしょう。
  161. 太田壽郎

    ○太田政府委員 部内のその種の不祥事案につきましては、常に厳正に処分を行っておるところでございます。ただ、新聞発表をすべてするかどうかということにつきましては、本人の今後の身の振り方等いろいろの問題もございますので、ケース・バイ・ケースで考えているところでございます。  いずれにいたしましても、先生もお話しのように、警察生命ともいうべき規律を厳正に確保していく根本一つとして、不祥事案が起きた場合に監督責任を含めまして厳正な処分をするということがあることは、私どもも十分承知いたしておりまして、これまでもそういう基本的な方針で運用いたしておるところでございますが、今後もさらにそれを徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  162. 経塚幸夫

    ○経塚委員 この点につきまして大臣にお尋ねをしておきたいと思うのですが、新聞の報道を見ますと、これは一部の新聞でありますが、前回のときはモデルガンですね。今回は本物で、しかも発射しているのですね。それで、頭上わずか三十センチのところを弾が飛んだ、こう言われておるのですね。それで、「上司の監督強化などでは、もう対処できないほど、警察の深部にまで犯罪に対するまひ感覚が広がってしまったのだろうか。」こうまで言われております。それから、何人かの方が今回の兵庫県の事件につきまして見解を述べておりますが、これもある新聞でありますが、県警内部の現職の幹部の発言として、「警察という組織の古い体質が、多様化した現実に追いつかないことの証明ではないか」、もう警察官個人の問題じゃない、警察の体質問題だ、これは現職の幹部が言っております。関西大教授の谷沢さんも、「異常さを見抜けなかった組織が最大の問題だこういうことも言っております。  したがいまして、大臣も御答弁なさいましたが、それは確かに生活問題などで警察の内部でなかなか物が言いにくい、相談しにくい。こういうことはいつでも気楽に相談できるような、そういう民主的な組織の運営のあり方も必要でしょう。それから、おっしゃったように教育も重要でしょう。しかし、私は、日常の警察業務の中で、警察法第二条で言っておりますように、憲法、人権の尊重、これを基本とした日常の警察業務、あるいはこれを基本とした教育、こういうものが果たしてどこまで徹底をされておるのかどうなのか、この点が恐らく今後の警察内部における不祥事件の根を断つ一番大きな根幹にかかわる問題じゃないかというふうにも考えておりますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  163. 田川誠一

    田川国務大臣 けさほど来答弁で申し上げたようなことが私は問題点であると思っておりますが、一つの問題だけじゃないのですね。いろいろの問題が重なってきているというふうに私は思っております。  ただ、なかなか難しいところは、自衛隊とか警察とかというような組織は、一般の組織体とはかなり違うのじゃないでしょうか。そういう中での人の管理というのは、なかなか難しい問題が含まれていると思います。今、経塚さんが指摘されました憲法の基本的人権というのがどういう意味か、ちょっと私理解しにくいのですけれども、私は先ほどもちょっと申し上げましたように、また、お話がこれまでございましたように、人の管理面に問題があるのではないかというふうに思います。  それから、何といっても経塚さん、ああいうようなことを警察官がやるなんということは、常識で信じられないでしょう。常識で信じられないことをやるというのは、やはり人間の資質に根差しているので、ただ警察のこれまでのいろいろな弊害が積もってああいう者ができたとは私は思っていないのですよ。やはりそういう資質の人間がああいう組織の中にいたということも、そればかりじゃありませんけれども、そういうことも一つの問題である。  ですから、いろいろな問題がこういうような事件を相次いで起こしたと私は思っております。そして、先ほども強調申しましたように、ここで今まで御指摘になられたような問題をもう一回幅広く、警察内部だけじゃなくて、外から見る人の意見も聞いて、やはり根本的に管理面というものを見ていかなければならぬというのが私の考え方でございます。
  164. 経塚幸夫

    ○経塚委員 二度とこういう国民から批判を受けることのないように、厳重に対処をされることを希望しておきます。  続きまして、関西空港問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、まず最初に、二月の本会議における代表質問で、私の質問に対しまして大臣の方でお答えがございました。これは大臣の方でこう答弁されておるわけですね。「従来第一種空港における滑走路等の基本施設の新設改良は全額国の負担において行われてきたところでありまして、自治省といたしましては、今回の特殊会社案による場合においても、この原則を実質的に堅持すべきものと考えております。」これは従来のように空港本体の建設については当然国の負担で建設をされるべきだ、こう解釈してよろしいでしょうか。
  165. 田川誠一

    田川国務大臣 一般論としては、そういう解釈でございます。そして、今回の空港についても、主要滑走路のような基本体については当然国が責任を負ってやるべきであるというような考え方でございます。
  166. 経塚幸夫

    ○経塚委員 運輸省、来ておられますか。――これは本体の建設事業費が約一兆円と言われておりますが、その負担割合についてどういうように考えておられますか。
  167. 小坂英治

    ○小坂説明員 お答えいたします。  関西国際空港の事業費は、先生おっしゃられたとおり約一兆円でございますが、その資金調達につきましては、国、地方公共団体及び民間からの出資金のほか、国からの無利子貸付金、財政投融資、日本開発銀行融資、さらには地方公共団体及び民間からの長期低利融資等を含む縁故債等を予定しております。  さらに、出資金につきましては、国、地方公共団体、民間と申し上げましたけれども、全体の事業費の約一二%、約千二百億円でございまして、一二%の内訳ですが、国は八%、地方公共団体からは二%、民間からは二%、それぞれ八百億、二百億、二百億という出資を考えておるわけでございます。それ以外の八八%については借入金になります。今申し上げました国からの無利子貸付金、これは千二百億を予定しておりますが、この借入金の中でございます。
  168. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国からの無利子千二百億は、もう関係機関とは話はついておるのですか。
  169. 小坂英治

    ○小坂説明員 この考え方は、財政当局と私どもが予算をいろいろ議論している間に出てきた考え方でございますが、成田公団の場合に、これは工事費の二〇%を空港整備特別会計から出すという考え方でございまして、それの考え方に従いまして、出資金としては国は八%、約八百億出しますが、さらに一二%、千二百億の無利子貸し付けを出すという考え方でございます。
  170. 経塚幸夫

    ○経塚委員 いや、私がお尋ねしましたのは、これはもう話はついているのですかと聞いているのです。間違いないかということなんです。
  171. 小坂英治

    ○小坂説明員 財政当局と話し合いまして、この線でいくという考え方で話はついております。
  172. 経塚幸夫

    ○経塚委員 もう一度大臣にお尋ねしたいわけでありますが、これは十八メートルの海底を埋めていくわけでありますから、将来工事費がどういうふうに変わってくるかわからないという不安があるわけであります。東北新幹線の場合でも、八千八百億が二兆八千億というふうに膨れ上がったという経過もございます。将来、見積もりが狂った場合の負担割合については、大臣の方では何かお聞きになっておるか、あるいは見解があるわけですか。
  173. 田川誠一

    田川国務大臣 私どもの方としては、利便施設地方にいろいろとプラスをもたらす面もありますので、財政的な措置というのは、そういう意味から地方に負担がかかった場合に、もし御要求があれば地方債で御面倒を見させていただくというような考え方でございます。  負担割合については、政府委員から説明させていただきます。
  174. 石原信雄

    石原政府委員 出資については、ただいま大臣答弁申し上げましたように、基本的な部分は当然国が責任を負うべきであるという考え方に立っておるわけですけれども、地域振興に役立つ利便施設については、地方公共団体も応分の出資があってしかるべきだ、こういう考え方で我々も出資に賛意を表したわけで、その出資の割合等については施設の性格に応じて決まっておるわけでありますから、将来総体の事業費に異動があれば、その基本的な考え方に沿って地方が協力する部分については協力していくことになろう。ですから、事業費の増減によって負担割合そのものは変わらないと考えております。
  175. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私、ここは非常に大事なところだと思ってお尋ねをしておるわけですが、その空港本体、滑走路など基本建設に係る分は、大臣の御答弁では、従来の第一種空港並みに原則的には国が持つべきだ。それで着工する、工事が進んでいく。それで、さっき東北新幹線の例を挙げましたが、もし建設工事費に見積もり違いが出てくる、あるいは大幅に予算を増額しなければならない、簡単に言えば一兆円で済まなくなる、そういうようになった場合に、大臣が最初に御答弁になりましたように、これは第一種空港なのだから、原則的に国が持つべきだ、国の責任で処理すべきだという見解をそこでも適用されるのか、あるいは出資割合というようなところまでダウンしてくるのか、そこはどうなのですか。
  176. 石原信雄

    石原政府委員 工事費が大幅にふえた場合を想定した具体の議論をしているわけではありませんけれども、現時点で想定される事業費について、その事業の性格に応じて現在負担割合を決めているわけでありますから、総体の事業費が将来変わっても、そのことのゆえに負担割合を変更するということはあり得ない、あるべきでないと考えております。
  177. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、基本的には国の負担において処理されなければならない、こう解釈されるわけです。  では、続きまして出資問題ですが、地元の二百億円の出資割合、これは大阪府の担当幹部は、一月三十日、こうおっしゃっているのですね。大阪府は自治省のあっせんを待って決めていただこう、こう説明をされているのですが、これは当然大臣の方で認可をされなければならぬ、こうなってくるわけですが、二百億の負担割合は構想をお持ちなのですか、どこの県に幾ら割り当てるとか。
  178. 石原信雄

    石原政府委員 実は前回の万博のときなどの経緯もあって、今回の出資についても関係地方公共団体意見が必ずしもスムーズに調うかどうかわからないので、そういった場合には自治省に間に立ってほしい、あっせんしてほしいという話を非公式で聞いており、まだ具体的に正式の要請を受けているわけではありません。ただ、要請があれば私どもも協力申し上げたいと思っております。
  179. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現在ではまだそこまで考えておられない。  周辺整備は、島根大学の助教授の言によりますと、アクセスあるいは河川改修等々含めまして、大体一兆九千二百億円ぐらい必要になるのではないか。これについて運輸省にちょっとお尋ねしますが、何かかさ上げ特別立法的な財政措置は考えておるのですか。
  180. 小坂英治

    ○小坂説明員 アクセス交通施設を含めまして、関西国際空港の立地に伴います関連公共施設の計画につきましては、今後、計画の策定、さらに推進に当たっての財政上の措置については検討されることになりますが、既存の各種制度の活用等により対応することになるものと考えておりまして、新たな財政上の特別措置法の導入については困難ではないだろうかというふうに考えております。しかしながら、運輸省といたしましては、活用できます制度を通じましてできるだけ配慮が行われますよう、所管します関係省庁に働きかけてまいりたいと存じております。
  181. 経塚幸夫

    ○経塚委員 特別措置的なことは考えておらないようでありますね、既存の制度の活用ということでありまして。  建設省、来ておられますか。――ちょっとお尋ねいたします。  簡単にお答えいただきたいのですが、大阪、兵庫、和歌山、各県の下水道の普及率について、六十五年度末計画、それに対する現在の普及率はどうなっていますか。
  182. 中本至

    ○中本説明員 お答えします。  御指摘のありました大阪府につきましては、五十七年度末におきまして五九%でございます。それから和歌山県は二%でございます。さらに、六十五年度末の普及率いかんという御質問でございますけれども、これは今後策定されます次期の長期計画において検討することにいたしておりますので、現在具体的な数値は持っておりません。
  183. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現在具体的な計画は六十五年度持っておらない、これはおかしいですね。  運輸省にちょっとお尋ねいたしますが、五十五年三月に、「大阪湾およびその周辺海域に流入する汚染負荷量調査報告書」をつくられましたね。この報告書によりますと、六十五年度一定の計画の年度として目安を置いております。これは空港が建設されて十六万回飛行機が飛ぶという想定のもとで、大阪湾はどのように汚染されておるかという状況調査の報告書でありますが、この中に、例えば兵庫県の場合は、六十五年に尼崎では下水道普及率七八・六%、和歌山では三五・三%、これは今聞きますと現在わずか二%であります。大阪は八〇%、これを想定して大阪湾の汚染に影響がないという判断をされておるわけでありますが、肝心の建設省では、六十五年の計画がないとおっしゃっている。一体この報告書は、それでは何を根拠にこういう報告書がつくられたのか。建設省でも計画を持っておらないのに、運輸省が勝手にでっち上げたのか、こう言いたくなるわけでありますが、それはともかくといたしまして、今の報告では和歌山の二%がどうして六十五年三五%に到達できますか。大阪がどうして六十五年八〇%に到達できますか。これは不可能な話なんですね。  それでお尋ねをしたいのは、運輸省としては、この報告書に盛られておりますように、また環境影響の評価報告でも言われておりますように、いわゆる環境基準大阪湾は達成しなくても着工する、こういうことなんですか。
  184. 小坂英治

    ○小坂説明員 お答えします。  今回の私どもの計画しております関西国際空港は、陸岸から五キロという海上を約五百ヘクタール埋め立てまして空港をつくるという計画でございます。当然ながら、こういう大規模な工事をやるに当たりましては、計画の段階から環境影響評価をやるということになりますが、その一つの手法としまして、手法としてはいろいろございますが、私どもが一つやりましたのは、この埋め立てをやった場合に現在の水質に対してどういう影響を与えるかということを調べたわけでございます。これは模型実験をやったり、シミュレーションをやったり、いろいろやりました。それからさらに、そういう影響が出た場合に現在の水質がどういうふうに変わるだろうかという考え方一つございます。さらに手法としましては、将来の予測をしまして、将来の予測の中で水質が空港ができる場合とできない場合にどういうふうに変わるかというような推定の仕方がございます。  結論的に言いますと、私どもとしては、今その報告書の中で一つのやり方としまして、六十五年なり七十五年時点で水質がどういうふうに変わるだろうか。先生おっしゃるとおり、現状は水質基準が満足されておりません。しかしながら、次第に下水道整備等が進みまして、この水域はきれいにしなくてはならない、するのだという格好で世の中が動いておるわけでございます。したがいまして、手法としましては六十五年、七十五年の水準を予測しまして、それでその中にこの空港をつくった場合の影響を調べたわけでございます。今建設省の方も言われましたように、公的なものはございませんけれども、そういう予測をするために私どもが勉強した結果でございます。  ちなみに、もう一つ追加させていただきたいのですが、空港そのものは汚染源としてはそれほど大きいものではございませんで、水質が現在あるいは過去どうあろうと、その空港から発生する汚染の周辺に対する影響というものはほとんどございません。
  185. 経塚幸夫

    ○経塚委員 六十五年十六万回の発着を想定して、大阪湾がきれいになる、こういう想定でこの報告書がつくられた。これは大臣もお聞きになったとおりなんですが、公共下水道の進捗率というのは遅々として進んでおらぬのですね。数字を挙げましたけれども、この計画どおりいく見通しはないのです。そこで、民間新会社に工事をさせる、そして空港を運営させる。そうすると、環境汚染問題を抑制する対策についても計画どおり進まないというような問題が起きてきた場合に、一体どこが責任を負うのか、こういう問題が出てきます。国の着工、そして国が運営をするということであれば、当然国が責任を負えますね。ところが、負えぬという問題が出てくるじゃないか。  それから、財政的に見ましても、これは現地の泉佐野市でありますけれども、ここは現在赤字が十三億円、あと三億円で再建団体に転落をする。ところが、アクセスとして南海を高架にしなければならない。そうすると四百億の事業費がかかる、一割負担しても四十億かかる、一体どうなるんだということで大問題になりまして、地元の四市四町と岸大阪府知事との間で、空港にかかわる経費、事業費については地元に負担をさせません、こういう確約の上で地元四市四町の了解を得たという経過がごく最近あるのですね。  ところが、国では立法的にも財政的にも特別措置は講じない、従来の制度で運営を図っていく。肝心の地元では空港建設に伴う負担は一切受け付けぬ、こう言っている。そうしますと、一にかかって大阪府が全部しょわなければならぬことになる。ところが、今大阪府の公債費率は全国第三位なんですね。そこへ五十年、五十二年のオイルショックの起債の償還がかかってくる。これは矢野さんが大阪府の総務部長をやっておられて、嫌というほどあの当時苦労なさったわけでありますから、大阪財政事情についてはよく御存じなのです。起債起債とおっしゃるけれども、一体どこで帳じりを合わせて大阪府の健全な財政運営を図っていくのか、これは重大な問題なんですね。  だから、三点セットじゃなしに、財政問題を加えて四点セットで運輸省に要望しなさいと、口を酸っぱくして我々も主張してきたわけでありますが、最終的には三点セットのままでゴーのサインが出されて、そして今改めて財政問題が爼上に上っておる。新会社の起債につきましては、大臣の方でお認めになれば新しく発足するわけで、大臣の責任も極めて重大だと考えておりますが、最後に御所見をお伺いしたいと思います。
  186. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほども運輸大臣とちょっと話しましたけれども、当初は問題が大分あるように言っておりましたけれども、随分自信を持ってこれは非常にうまくいくというような話をしておりまして、実はほっとしているところであります。  先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、今度の特殊会社になりましても、最初に経塚さんがおっしゃられたように、第一種空港における滑走路等の基本の問題についてはあくまで国の負担でやっていく、そして周辺整備その他利便施設などのいろいろな負担については地元が応分に負担をしなければならぬ、しかし、できるだけそういうような地元の負担がかからないようにして私どもは努力をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  187. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  188. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る五月八日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会      ――――◇―――――