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1984-04-13 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十三日(金曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大島 理森君    大西 正男君       工藤  巖君    小杉  隆君       左藤  恵君    平林 鴻三君       古屋  亨君    山岡 謙蔵君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山下八洲夫君    山中 末治君       岡本 富夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 田川 誠一君         委員長  出席政府委員         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         警察庁交通局長 久本 禮一君         警察庁警備局長 山田 英雄君         公害等調査委員         会事務局長   海老原義彦君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田井 順之君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君  委員外出席者         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      小澤 三宜君         大蔵省関税局監         視課長     森  厚治君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       逸見 博昌君         林野庁林政部管         理課長     鳥居 秀一君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第一課長    川崎 正信君         労働省労政局労         政課長     早坂 信弘君         建設省計画局宅         地開発課長   三井 康壽君         建設省道路局有         料道路課長   上條俊一郎君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   松田 九郎君     大島 理森君   五十嵐広三君     山中 末治君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     松田 九郎君   山中 末治君     五十嵐広三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山岡謙蔵君。
  3. 山岡謙蔵

    山岡委員 連日大臣を初め関係皆様方には御苦労さまでございます。  最初にまず、大臣が非常に熱意を寄せておられまする政治倫理にも重大な関係がございますし、本院の方には公職選挙につきましては特別委員会もございまするので、公職選挙法解釈につきまして、選挙部長大臣並びに警察庁お尋ねをいたしたいと思います。  まず、公職選挙法第百九十九条の二の中に「政党その他の政治団体若しくは」という言葉がございまするけれども、政治団体定義について部長にお伺いをいたします。
  4. 岩田脩

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のありましたように、公職選挙法には「政治団体」という言葉が使われておりますが、公職選挙法そのものには政治団体について具体的な定義規定はございません。ただ、類似の法律であります政治資金規正法に同様の定義がございますので、この政治資金規正法の上で言う「政治団体」と同じものだと考えております。つまり、政治団体とは、政治上の主義もしくは施策推進、それから特定候補者または候補者となろうとする者、公職にある者の推薦支持などの政治活動を行う団体であると考えております。
  5. 山岡謙蔵

    山岡委員 それでは具体的にお尋ねをいたします。  ただいま御説明をいただきました特定候補者もしくは公職候補者となろうとする者、現に公職にある者を含む、その推薦支持、この解釈は、推薦支持とはどういうことを指すのか、お尋ねをいたします。
  6. 岩田脩

    岩田政府委員 ただいま御指摘のありましたように、政治団体はただいまお挙げになりましたような方を推薦し、支持するわけでありますが、個々推薦支持というのは、選挙のときにおきましては選挙運動を含みましょうし、それから選挙期間に入っていない場合には、その方の政治活動全体を推薦し、または支持をするという関係にあるものだと考えております。
  7. 山岡謙蔵

    山岡委員 卵が先か鶏が先かという答弁をせずに。選挙のないときには、その人を推薦し、支持して政治活動を助ける、こういう説明です。政治活動とは何ですかと言ったら、推薦し、支持することだ。だから、推薦し、支持することは具体的にどういうことかという質問をいたしておりまするので、それにお答えをいただきたい。
  8. 岩田脩

    岩田政府委員 要するにその方の政治活動、つまり政治上の考え方とか政治上の活動とか、そういったものを側面から支援し、またはそれを他の人に、この方が考えている例えば農業政策は立派なものだというようにこれを推薦していくわけでありまして、そういった意味推薦支持という言葉が使われていると考えております。
  9. 山岡謙蔵

    山岡委員 推薦し、支持することですから、例えば、Aさんは立派な人で、この人が政治的に大成するために私は次の選挙推薦をするんだ、あるいは次の選挙支持をするんだ、このことはこの解釈から見て許されますか、許されませんか。
  10. 岩田脩

    岩田政府委員 選挙の際にこの方を支持する、選挙の中でこの人を推薦するというのも当然今申し上げた意味での推薦であり、支持であると思います。
  11. 山岡謙蔵

    山岡委員 それでは、このことを日常、公の場で会員の方々と不特定多数の人に伝えるということについては、政治活動ですか、事前運動ですか。
  12. 岩田脩

    岩田政府委員 大変たくさん前提を置かれましたので、きちんと把握できたかどうかよくわかりませんが、御承知のとおり、特定選挙に際して特定候補者投票を依頼する行為選挙運動であります。したがいまして、今のようなお話が、平口に申しまして投票獲得活動と認められるものであれば、これは選挙運動であり、したがって選挙運動に関する規制の中で行っていただかなければならぬということになろうかと存じます。
  13. 山岡謙蔵

    山岡委員 ですから、お尋ねしておるのは、政治活動の中で推薦をする、支持をするということはどういうことですかということに、原点に戻るわけです。二百二十一条のことを言っておるのではありませんから、政治活動の中で支持推薦はどの行為が許されるのか、このことをいま一度明らかにしてもらいたい。
  14. 岩田脩

    岩田政府委員 ある政治団体政治活動を行いますときに、公職にある者の推薦支持という場合には二つのグループになるのではないか。一つは、選挙とは直接結びつかない推薦支持であります。それからもう一つは、選挙と直接結びつき選挙運動に当たる推薦支持であります。したがって、後者につきましては、例えば事前運動禁止などの規制を受けるであろう。前者についてそれではどういうものがあるのかというお話でありますが、例えばその方のお持ちになっていらっしゃる政治上の信条、考え方、そういうものの普及、それの勉強などはまさにそれに当たると考えます。
  15. 山岡謙蔵

    山岡委員 はっきりいたしませんので、後に改めて触れます。  次に、第百九十九条の五の二「何人も、後援団体総会その他の集会後援団体結成するための集会を含む。)又は後援団体が行なう見学、旅行その他の行事において」「一定期間当該選挙区内にある者に対し、饗応接待をし、又は金銭若しくは記念品その他の物品を供与してはならない。」そうして第百九十九条の五の四「この条において「一定期間」とは、次の各号に定める期間とする。」「衆議院議員の総選挙にあっては、衆議院議員任期満了の日前九十日に当たる日から当該選挙期日までの間又は衆議院解散の日の翌日から当該選挙期日までの間」、こう規定されておりますから、逆から解釈をした場合に、九十日前あるいは解散の前であったら、後援団体結成をするための集会を含めて、供応接待をして構わぬという解釈になるが、この解釈は間違っておりますか。
  16. 岩田脩

    岩田政府委員 確かに、おっしゃるとおり百九十九条の五は一定期間内の行動規制であります。しかしながら、お説ではございますが、それではその一定期間以外であれば何をやってもいいのかというと、やはりそうはまいらぬのではないか。この期間外について百九十九条の五が触れていないのは確かでございますが、そのほかの規定、例えば先ほどお挙げになりました事前運動禁止規定であるとか、買収規定であるとか、そういう規定の適用までを百九十九条の五が排除しているとはちょっと考えられませんので、その点はほかの規定に従っていただかなければならないということになろうかと存じます。
  17. 山岡謙蔵

    山岡委員 質問お答えをいただきたいと思う。二百二十一条については改めて質問をしますから。  私がただいま言った、後援会結成をするための集会を含めて、一定期間供応接待をしてはならない、こうなっておりますから、逆から言ったら、後援会結成をするために、定められた一定期間を外れたならば構わぬという解釈がこの文法で見る限りされるが、これは不都合ですか。
  18. 岩田脩

    岩田政府委員 百九十九条の五に関する限り、その期間以外のものについての制限を置いているわけではございません。
  19. 山岡謙蔵

    山岡委員 そういう発言をしてもらっては困る。この期間を外れたならば構わぬという解釈は間違っておるのかどうか。そうすると、いかぬ、してはならぬということがこの条項のどこにあるのか、この点をお尋ねをしておりますから、明確に御答弁を願いたい。
  20. 岩田脩

    岩田政府委員 この一定期間以外の行動について百九十九条の五が規制しているわけではございません。ただ、百九十九条の五は、こういう期間内にこういうことをしてはいかぬと書いてあるだけでございますから、こういう期間内を外れれば後援団体は何をしてもよいと書いてあるわけではなかろうと存じます。
  21. 山岡謙蔵

    山岡委員 それでは、具体的にお尋ねをいたします。  この中に「何人も、後援団体総会その他の集会後援団体結成するための集会を含む。)」とある。それでは、後援団体結成をした。そうして、もちろん九十日前であり解散の前である。そうだとすれば、供応接待はこの条項で見る限り構わぬと思いまするが、それは許されますか、許されませんか。くどいようだが二百二十一条は改めて聞きます。
  22. 岩田脩

    岩田政府委員 百九十九条の五に違反するものではありません。
  23. 山岡謙蔵

    山岡委員 次に、百九十九条の二にもう一度返ってお尋ねをいたします。  百九十九条の二、この「候補者」云々はやめて、これはおわかりだから触れませんが、「いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。」こうなっております。これは後援団体にする寄附です。ところで、「講習会その他の政治教育のための集会」、その集会で「必要やむを得ない実費補償としてする場合は、この限りでない。」とある。この「実費」というのは何を指すのか、御説明をいただきたい。
  24. 岩田脩

    岩田政府委員 御指摘にございましたように、百九十九条の二は、一般的に候補者等寄附禁止した上で、特定集会における実費補償を認めるという趣旨の規定を置いております。そこで言うところの「必要やむを得ない実費」というのは、その会合に参加するためにどうしても必要な経費、例えば旅費であるとか一定のやむを得ない弁当代であるとか、そういったようなものを指しているのだと考えております。
  25. 山岡謙蔵

    山岡委員 会弁当ということが出たわけでありまするけれども、「前項の講習会その他の政治教育のための集会には」「饗応接待が行われるような集会を含むものと解してはならない。」これがありますから、あなたの御答弁はもちろんであります。その中に「(通常用いられる程度食事の提供を除く。)」とある。「通常用いられる程度食事」というのはどういう解釈ですか。
  26. 岩田脩

    岩田政府委員 これは個々状態、場合によりますので、いろいろ難しい問題はあろうかと思いますけれども、今の昼食で申し上げれば、ごく普通の昼食を除くというように考えておりまして、例えばその金額などにつきましては、よく言うことでありますが、選挙運動弁当規定がございまして、一定以下の金額弁当選挙運動に従事する者に対して提供することができる旨の規定があるわけでございますが、そこいら付近一つの標準というか判断の足がかりになろうかというように考えております。
  27. 山岡謙蔵

    山岡委員 今の部長説明は、施行令の百二十八条の二、この選挙のときの経費を指しておると思うのですが、それならば、当然その施行令条項の中に示すかないしはそれを準用するということがない限り、会場においてはそれぞれの夕食食事というものが定額で決まっておるわけでありまして、ホテルでやったらホテルは三千円、あるいはその他の公民館なら五百円、それぞれ決まっておりまするから、この解釈では、会場定食を指すのか、あるいは普通の人が食べておる食事意味するのか、普通の人の食べておる食事にはピンからキリまでありまするから、それが通常である、ないというのは一体だれが認定をするのか、こういうことになるわけであります。  ですから、非常にあいまいでありまするから、すぐに取り調べの対象になるということになる。そうすると、善意の人々が今度は公職選挙法被疑者ということになるが、この点については部長はどうお考えになるか。
  28. 岩田脩

    岩田政府委員 この点は、御指摘のとおりこういうところに一義的に決めるという考え方もあるのでありましょうけれども、それはそれぞれのケースケースについて申し上げるとかえって実態から外れる場合もあろうかという形で、いわばこういう社会通念を引用したような形になっているわけでございます。  これらの規定につきましては、実際にどう当てはめていくかということにつきましては、取り締まり当局等におきまして公平な処理が行われているものと考えております。
  29. 山岡謙蔵

    山岡委員 通常用いられておるということは、相手方もありますから、例えばここの公民館会合したところが、公民館指定昼食夕食があった。ここのホテル会合したところが、ここのホテル夕食定食があった。そうすると、こちらは通常用いられるのだ、こちらは用いられぬのだ、相手方による判断も行われるし、あるいはまた主催者による判断も行われますから、相手から、ここの定食ですから決まっております、よそからとってもろうたら困ります、ここのを食べてもらわなければいけません。会場の都合によって、どこにも会場がなくてたまたま一つ会場があったときにそう言われたら、それはどうなりますか。通常ですか。そこの旅館、ホテルにとっては通常ですよ。ところが、食べておる本人の日常生活はピンからキリまでありますから、その場合にはどうなりますか。
  30. 岩田脩

    岩田政府委員 そこの会場における通常食事だというのではなくて、先ほどお読みになりました条文にある特別の集会、つまりその者の政策勉強するための集会でございますけれども、そういう勉強会にふさわしいと考えられるような通常食事ということでございまして、非常に派手な定食をやられたのではちょっと困ろうかというように思っております。
  31. 山岡謙蔵

    山岡委員 派手であるかないかはだれが決めるのか。これが一つ。  次に、「必要やむを得ない実費」の中にあなたは旅費をお入れになった。そうすると今度は、会場で、通常用いられる弁当をとって、各人がもらった旅費を集めて酒を買って、その食事の場合に一緒に酒を飲んだ。この旅費は、考え方によっては必要やむを得ないものでなくて、酒を買って飲んだのですから要らぬ金だという解釈も成り立ちますよ。そうするとこの場合には、必要やむを得ない金に旅費がなりますか。
  32. 岩田脩

    岩田政府委員 前段のお尋ねは、やはり社会概念としての通常用いられるという概念を使ったわけですから、それは第一次的にはその法律を執行する者の側から判断をしていただく、それが最終的には裁判所の判断を得てだんだん決まっていくということになろうかと思います。  後段お話しになりました点でございますが、「必要やむを得ない」というのは、その集会を開催するために必要やむを得ない金として、例えば実費としての旅費をお払いするというわけでございますので、その旅費を受け取られた方がそれをどうお使いになるかというのは、これはまた別問題ではなかろうか。特にどうお使いになったからどうだというものではないのではないかと思いますが、えらい具体的な話ですので、ほかにいろいろな条件があるかもしれません。一般論としてはそう思います。
  33. 山岡謙蔵

    山岡委員 必要やむを得ない経費ですから、旅費として払うことが正当なら、それをあなたのおっしゃるとおりどういうふうに使おうと、酒にかえようと何にかえようと勝手気ままだという解釈が成り立ちますか。「必要やむを得ない実費」ですから、旅費を出してもらわなければ来れぬという人の場合に旅費を払うのが必要やむを得ない経費だと普通は解釈をしますよ。ですから、その旅費をみんなが集めて酒を買って一緒食事のときに飲んだら、これは必要やむを得ない金になるかならぬか、これはどうです。
  34. 岩田脩

    岩田政府委員 会合を開くために必要やむを得ない金として旅費をお払いしたわけで、その旅費を受け取って、さてそれをどうお使いになるかというのは、やはり受け取られた方の立場であって、そのことによって必要やむを得なかった旅費が必要やむを得なくなくなるということではなかろうと思います。
  35. 山岡謙蔵

    山岡委員 警察庁、ただいまのやりとりはお聞きのとおりでございますが、選挙部長見解とあなたの方の見解と異なるところがあるのかないのか、この点承りたいと思います。
  36. 金澤昭雄

    金澤政府委員 ただいま選挙部長答弁を私もお伺いをしておりまして、公職選挙法解釈につきましては、もう全く異論ございません。
  37. 山岡謙蔵

    山岡委員 次に、二百二十一条についてお尋ねをいたします。  「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって」、こういうことになるわけであります。そうすると、後援会政治活動というのは、当選を得しめまたは当選をさせるための政治活動でなくて、これと全然関係のない推薦支持ということができ得るかどうか、その点、部長見解を承りたいのです。全然選挙関係のない推薦支持、このことがあり得るのかどうか。
  38. 岩田脩

    岩田政府委員 先ほど来お答えを申し上げましたように、後援団体当該後援を受ける方とのかかわりは、選挙についての結びつきだけではなくて、その方の政治活動全般を通じての結びつきであります。したがって、選挙関係のない分野というのはあるわけでありまして、その意味では、選挙関係のないその方の活動ぶりについても支持推薦ということはあり得ると思います。
  39. 山岡謙蔵

    山岡委員 選挙関係のない政治活動全般を通じてある。例えば、今、Aさんを支持し、推薦するというのは、選挙関係がありませんか。
  40. 岩田脩

    岩田政府委員 選挙運動の中での特定候補者となっているそのAさんを推薦し、支持するということもございましょう。が、また、そういう状態になっていない状態でAさんを推薦し、支持するということもあるわけで、後者の場合には選挙とは関係がないと思っています。
  41. 山岡謙蔵

    山岡委員 Aさんを支持し、推薦をしない後援会活動というのは何を指しておりますか。具体的に御説明を願いたい。
  42. 岩田脩

    岩田政府委員 Aさんを支持し、推薦する活動の中に、選挙関係のない分野があるであろう。例えばAさんの特定施策、例えば農業政策で、これが一番いい、あの方が言っているこのやり方が正しい、この外交問題についてはあの方が言っていらっしゃるこの考え方が正しいということで、それを支援し、またはそういった考え方をほかの選挙民に広めるというのは、選挙と直接関係のない支持推薦であろうと思います。
  43. 山岡謙蔵

    山岡委員 Aさんがいい人だからあの人の政策支持しておる、この人の農業政策は非常に立派だと他の人々に吹聴する、これが選挙関係がありませんか。直接間接の問題でないですよ心
  44. 岩田脩

    岩田政府委員 先ほどお挙げになりましたように、選挙運動というのは特定選挙において特定候補者、例えば今でおっしゃればAさんに投票を得さしめる行為でありますから、そこまで至っていない政治活動というものは当然にあるわけでございます。
  45. 山岡謙蔵

    山岡委員 それでは百九十九条の五は、後援会結成式供応接待をして構わぬ、そしてそれが選挙運動でなかったら、あなたの解釈なら構わぬということになるが、間違いありませんか。
  46. 岩田脩

    岩田政府委員 百九十九条の五は、御指摘のとおり「一定期間」という限定があります。二百二十一条の買収は、先ほど山岡議員が読み上げられましたように、投票を得または得さしめるという問題があります。したがって、それにも当たらないのであれば買収にはなりませんから、その点では問題はございません。ただし、例えばだれがどういう形で寄附をしているのかとかいろんな絡みが出てまいりましょうが、後援団体の行う寄附であればおっしゃるとおりであります。
  47. 山岡謙蔵

    山岡委員 もちろん政治資金規正法によって受け入れた政治団体経費であるということは常識ですから、今ここで申し上げるまでもない。  そうだとすれば、あなたは二百二十一条の中で、この人の農業政策推進をし、支持し、あるいはこの人は立派な人だからということでこれをやることは選挙運動ではない。そうだとすれば、今度は裏を返せば、百九十九条の五の「一定期間」をのけたら後援会設立集会供応接待をしても構わぬ、こうなるわけですが、念のためにもう一回あなたに聞いておきたい。
  48. 岩田脩

    岩田政府委員 百九十九条の五は「一定期間」という制限を置いておりますので、それを外れたところは問題はありません。とすれば、後は御指摘のように、買収供応ないしは事前運動といったような他の規定に触れるか触れないかという問題であります。そういうものに触れないという前提を置けば、おっしゃるようなケースについては問題がないことになります。
  49. 山岡謙蔵

    山岡委員 質問に明確に答えてもらわなければいかぬ、いいですね。  だから私は、百九十九条の五については、まずこの問題は構わぬか。解釈どおりでよろしいというあなたの説明である。二百二十一条で、選挙関係のない政治活動が直接間接を問わずあるか。あなたはあるとおっしゃったんだ。だから、あれば、一定期間をのけたら、供応接待という言葉がはっきり書いてありますから、後援会結成式を含むと書いてありますから、あるいは後援団体研修会その他を含むと書いてありますから、その場合に、あなたの理論をもってして関係がないというあなたの答えに対して、百九十九条の五の供応接待は構わぬのかどうかを聞いておりますから、ほかの余分なことを言わずに明確に答えてもらわなければいかぬ。もう一回お答えいただきたい。
  50. 岩田脩

    岩田政府委員 百九十九条の五の適用がない形で行われている後援会会合において、供応接待といいますか飲食物の提供が行われた場合、それが公選法違反になるかどうかというお尋ねでございますけれども、それは個々具体の場合について、それが例えば他の制限規定、今の買収規定に当たるか、それから事前運動等の禁止に当たるかという問題はありますが、そういうものをのけて考えれば、百九十九条の五に当たらない形で行われている、しかも選挙関係のない会合で飲食物の提供が行われても、それは公職選挙法に違反するものではありません。
  51. 山岡謙蔵

    山岡委員 部長答弁を逃げちゃいかぬ。そんなこと聞いていない。  それじゃ改めて聞きますが、二百二十一条で「当選を得若しくは得しめ又は得しめない」という政治活動は何ですか。もう一回それを答えてもらいたい。選挙運動でない政治活動、あなたがあり得ると言うそれは何ですか。
  52. 岩田脩

    岩田政府委員 先ほど来お答えしたように、選挙と直接結びつかない政治活動、例えば政策の普及宣伝であるとかそういったものでございます。
  53. 山岡謙蔵

    山岡委員 それじゃ改めて聞きます。政策の普及宣伝であったら、百九十九条の五の供応接待は構いませんか。そのことだけで、ほかに要らぬことは言うに及ばぬ。
  54. 岩田脩

    岩田政府委員 そのことに関する限り、問題はありません。ただし、政策の普及宣伝というものが買収選挙運動と結びついていないという前提山岡議員が御質問になっているということにちょっと念を押したわけでございまして、それを外せばおっしゃるとおりであります。
  55. 山岡謙蔵

    山岡委員 警察庁の御見解はただいまの選挙部長見解と異なりませんか。あわせて、最高裁で有罪になった判例がございますので、それとの関係等を含めて御説明をいただきたい。
  56. 金澤昭雄

    金澤政府委員 ただいま自治省からの答弁と変わりはございません。最高裁の判例も含めまして、そういうふうに考えます。
  57. 山岡謙蔵

    山岡委員 次に大臣に、ただいま私が選挙部長とそれぞれ質疑いたしました経過はお聞きのとおりであります。この公職選挙法は、日本の国の文章で読んだら、一定期間せられませんからということになっておる。ですから、逆を返せば――私は供応接待ということを奨励することだとは言っておりませんよ。後援会の名前であっても、奨励をすべきことであって大っぴらにやりなさいと言っておるのではない。ないけれども、この解釈に忠実である限り、構わぬという解釈を恐らく百人のうち九十九人まですると思う。そして、今度は二百二十一条の中で、選挙と全く関係がないという後援会活動政治活動が、自分の良心に照らして、取り調べを受けたときに、後援会結成式でございまして、供応接待を受けた、選挙とは全然関係ない、政策の普及でございます。心のどこかでこの人を当選させたいという心情がなかったというなら、これはうそになると思うのです。  そうすると、みずからの良心を欺くような法律であり、百九十九条の五と二百二十一条とは明らかにその内容が矛盾をすると考えるが、そして多くの国民の参政権の上において、このとおり解釈をしても、重大な影響をそれぞれの人々選挙違反で与えると思うが、あなたはこの条文が適切であると御理解をしますか。大臣の御答弁をいただきたい。
  58. 田川誠一

    ○田川国務大臣 結論から先に申し上げますと、適当であると思います。  少し説明をいたさせていただきますけれども、こういう制限ができましたのは、政治活動選挙準備に非常に金がかかるという趣旨から、立法府でこういうような選挙規制政治活動規制が出たわけです。こういう立法は、政党あるいは立法府の我々自身が直接非常に関係がありますから、立法するときに、これはほとんど各党各会派の意見を聞いてこういうような法律ができたわけです。政府が、自治省や警察が積極的にこういうものをやるべきだということよりも、むしろ立法府の総意によってこういうような規定ができたということを、山岡さんひとつ十分御理解をしていただきたい。
  59. 山岡謙蔵

    山岡委員 私は、この供応接待を含めてこのことが適当であると言っておりませんよ、お間違いのないように。こういう煩わしいものはむしろ禁止する方が適当であって}選挙の公正さが保たれるのではないかという見解を持っておるわけです。  そこで、あなたの選挙部の課長や皆さんに来てもらったら、後援会結成式供応接待をしても、選挙を頼むと言わなかったら構わぬ、選挙と直接関係がなかったら構わぬという究極の説明ですから、今申し上げたとおり、そうしたら仮に供応接待をする側も受ける側も、良心に照らして、選挙に全く関係のない後援会結成総会での供応接待などということがあり得るとは、私は常識で見て解釈しません。そんなばかなことがあり得るわけがない。心のどこかにこの人を当選させたいという心情がなかったらうそであります。人間的に話をしたって、供応接待を受ける側が、この人をこかいちゃろうとかなんとか、そうしたらこれは全然うその集会になりますよ。ですから、そういう点から見てこの条項は好ましいものではない、私はこういう見解であります。これを大っぴらにやってよろしいという見解には立っておらない。  その上で、そうしたら今度は、仮に総会へ行っても、政治活動をやるのだから選挙とは全く関係ない、この人の政策だけでございます、こういうことで、後援会結成式が行われて供応接待が行われても、全然選挙関係はない、政策の普及でございます――政策の普及が選挙と全然関係がないという解釈は、私はどうやったって私の常識では判断ができません。間接直接は別にしても、必ず関係はあるはずです。もう一回大臣見解を聞きたい。
  60. 田川誠一

    ○田川国務大臣 御意見の趣旨はよくわかりませんけれども、私は、選挙がもう迫ってきて……(山岡委員「いや、そんなことは言いはせぬ、公職選挙法の九十日前の話をしているのだから」と呼ぶ)じゃ、御質問の趣旨をもう一度言ってください。
  61. 山岡謙蔵

    山岡委員 公職選挙法の百九十九条の五に、一定期間後援会結成式を含めて供応接待をしてはならぬと書いてあります。これはわかりますか。(田川国務大臣「はい」と呼ぶ)そうすると、一定期間を過ぎたら構わぬかと、こういうことになるわけです。二百二十一条では、当選を得させるための供応接待はしてはならぬ、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」となっている。ですから、私が言っているのは、政治活動選挙運動との非常に紛らわしいこういう会合の中で供応接待が許される場合があり得るのかどうかということが、今の私と選挙部長との質疑のやりとりであります。  ですから、こういう非常に紛らわしい、関係がなかったと言い張ったら勝つ、自分の良心に照らして関係がなかったと言えませんということになれば有罪になる、こういう一般の人々の理解しがたい、しかも、国民の皆さんの参政権をもって行使しなければならぬこの権利の上に、こういうまことに煩わしい表現というものが適当であるかないかということをあなたに聞いているわけです。
  62. 田川誠一

    ○田川国務大臣 それほど煩わしいと思わないのです。九十日以前を過ぎていても、事前運動禁止というのがありますから、これに反するようなことがあれば、これは選挙法の違反なのです。  それから、後援会の純然たる活動をやっていても、旅費を出したり、なんて私どもは想像できないですよ。私なんかは金をもらって後援会活動をやるのですから、旅費を出す後援会なんていうのは私どもは信じられない。
  63. 山岡謙蔵

    山岡委員 わかった、わかった。これは大臣にお聞きをするのは――あなた、全く公職選挙法知らぬですな。知らぬでしょう。恐らくあなたは公職選挙法というのは全然御存じないと思うから、改めてあなたがもう少し勉強してから聞きます。全然御存じない。選挙の精神論や概念論を聞いているんじゃないですよ。間違えなさんな。  だから、私の言っている条文も何もあなたは全然わからぬから、一般の選挙概念論だけを今言われている。私は概念論は聞いてない。しかしこれ以上、あっさり言って公職選挙法も何にも知らぬ大臣に聞いたところでらちが明きませんから、この場合はあなたに――あなたは政治倫理政治倫理と口になさるけれども、選挙そのものの公平さと公明さがなくて政治倫理が成り立ちますか。あなた自身もっと公職選挙法勉強しなさい、このことを申し上げておきます。  それでは次に、地方財政についてお尋ねをいたします。  今回の地方財政については、まず歳入の問題については、非常に厳しいという説明が連日なされております用地方税、使用料、手数料、こういう住民負担の問題はある程度あるにいたしましても、地方債、交付税、この前途はまことに厳しいんだ、これは理解できます。次に歳出についても、経常的経費あるいは投資的経費を通じて抑制をして、より施策の選択と重点的な配慮をしなければならぬ、こういう説明をいたして、そうして地方財政計画が示されておるわけでございますけれども、この中に余り出ていない地方自治体の公営企業、あなたのところの所管でないところもございますけれども、財源的な問題からお聞きをいたしたいと思います。  一般会計から企業会計へ繰り出しております最近の五十七年度の総額は幾らになり、そうしてこれについて自治省としてはどういう行政指導をするのが適当であると考えるか、赤字であったら赤字だけ全部一般会計から繰り入れるのが適当であるのかどうか、この点についてまず基本的なことでお伺いをしたいと思います。
  64. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十七年度の地方公営企業の決算におきます公営企業に対します繰出金は、総額では一兆三千八百六十六億円でございます。いろいろございますけれども、金額の大きいものを申しますと、下水道に対しますものが七千三百四十三億円、それから病院に対しますものが二千七百二十二億円といったようなものが主なものでございます。  もちろん地方公営企業でございますから、原則は独立採算ということでございまして、できる限りその料金収入をもって賄うということでございますけれども、地方公営企業の中には、やっております仕事の中で、「地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費」、例えば上水道事業でございますと、消火栓の維持管理をやっている、それから消火栓をつくるというような経費がございますが、そういうふうなものは水道の料金に入れなくて、やはり税金で負担しなければいけないだろうという経費がございます。それから、「地方公営企業の性質上能率的な経営を行なってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費」、これは例えば僻地医療に要する経費でございます。こういうふうなものは租税で負担する。それからさらには下水道事業でございますと、これは家庭の排水だけでございませんで雨水が入ってまいりますが、そういう雨水の分についても租税で負担する。そういうことで法律規定、通達がございまして、繰り出し基準に基づいた一般会計の負担をしろということで私どもは考えておりますし、そういう方針で指導しております。  もちろん地方公営企業でございますから、漫然と赤字を埋めるための税金の繰り出しということを私どもは指導しているわけではございませんし、そういうところがありましたらぜひ是正していただきたい、そういうふうに考えております。
  65. 山岡謙蔵

    山岡委員 一般会計からの繰出金を企業の説明書で見ますと、前年度対比で四百七十六億円で四・四%の増、財政支出に占める比率が二・三%から二・四%になったのだ、こう説明をされております。これは、先に一般会計から繰り出し、それからほかに銀行ないしは縁故で金を借入しているという事例はありませんか。  それから次に、二・三%が二・四%というように前年度対比で順にふえておりますが、この経過は今までも減ったりふえたりしておるのか、ずっと一貫をして比率がふえておるのか、この点について御説明をいただきたい。
  66. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいまお尋ねのございました公営企業繰出金は、地方財政計画に計上しておりますものでございますので、個別の団体の決算とは乖離があるわけでございますが、経緯的に申しますと、公営企業繰出金の伸び率を昭和五十年度から申しますと、五十年度は一六・九%でございました。それから五十一年が一八%というようなことで、五十七年までは大体二けた、一〇%台の伸びでございます。五十七年度が一一・八%でございまして、五十八年度が五・九%、五十九年度が四・四%ということで伸び率は急速に落ちてきておりますけれども、御案内のとおり、地方財政計画全体の伸び率というのが非常に圧縮されてきておりますので、シェアとしてはここ二、三年は高まってきております。シェアで申しますと、五十七年度が二二・七%、五十八年度が二・二七%、それから五十九年度が二・三四%ということでございます。  それから、六十年度以降どうなるかということでございますが、六十年度以降の地方財政計画の立て方によりましてその伸び率が幾らになるかということと関連いたしますので、必ず将来的にシェアがふえるということもなかろうかと思います。
  67. 山岡謙蔵

    山岡委員 昔はそれぞれ地方銀行で繰り上げ充当というような措置をしておったのですけれども、一般会計から繰り入れて、そして収支が相整わなくて地方銀行から借入をして企業会計の収支を合わせておるのではないかと思うのですが、その辺の御調査はされたことがあるか、されておったとしたらその金額はどうなっておるか、御説明をいただきたい。
  68. 土田栄作

    ○土田政府委員 全国で地方公営企業を経営しておりますものは七千八百五十三ございます。  それにつきまして、複式、つまり民間企業と同じような経理をやっております法適用企業と、単式、官庁会計でやっておりますものと二通りございますけれども、その中で赤字――赤字の中でも、複式でございますと減価償却費の積み立てというのは現実に資金が要りませんから、そこのところにつきましては借り入れをしないわけでございますけれども、その減価償却費を引いて、なおかつ償却前赤字というような形になりますと、それは不良債務ということで資金が赤字になります。そういうふうな赤字につきましては、地方銀行からの一時借り入れということでやっているところもありますし、一般会計から資金を融通してもらってやっておるところもございます。
  69. 山岡謙蔵

    山岡委員 将来いつの日かごの公営企業の赤字額というのが地方自治体の財政を圧迫するという事態が来るのではないかということを非常に懸念をいたしております。しかし、総額の借入金がわからぬようでございますから、これ以上触れません。  次に、かつての高度経済成長の時分に、それぞれの都道府県、市町村に公社、財団というものの設立がブームを呼んだときがあります。いわゆる公共事業の用地の先行投資をしておきなさい、議会を一つ一つ通過をしては直ちに土地が購入できませんから、公社、財団で買って、そして一般会計にある時期が来たら売り渡すというような経緯をたどっております。  この公社、財団に支出をしておりまする都道府県――市町村までは無理ですから、都道府県の経費並びにその収支の状態について御説明をいただきたいと思います。
  70. 田井順之

    ○田井政府委員 ただいまいわゆる地方公社の実態についてのお尋ねがございましたが、俗に地方公社と申しますが、いろんな形がございますので、私ども、地方公共団体が資本金とか基本金の二五%以上を出資しているものについて最近調査したことがございますが、数にしまして二千三百ございます。ただ、これらのいわゆる地方公社は、法人格の形式もさまざまでございますし、また各省庁の所管も多岐にわたっておりますので、私ども実は詳細な実態については把握できておりません。特に、ただいまお尋ねがございました出資金の総額あるいは経営収支の細かい状態ということは、実は把握できておりません。  ただ、全体的に言えますことは、ひところそれぞれの必要があって設立された公社について、その後、社会経済情勢の変化もございますし、行政需要の動向の変化もございますし、そういったものをにらみながら各自治体では必要な見直しを行おう、こういう機運になってきていることは事実でございます。
  71. 山岡謙蔵

    山岡委員 この公社、財団につきましても、用地をいわゆる先行取得をいたしましたから、ある時点で清算をしたならば土地の値上がりによって収支相償うということができるかもしれませんけれども、現実にそれぞれの収支を比べてみたときには、かなりの額の借入金を抱えておると私は理解をしておる。ですから、解散をするとか、清算をし統合するという場合に、財産を処分をいたしますると、値上がり用地の問題でしたら、それによって収支相償うということになろうと思うけれども、しかもこれは議会で全部チェックができませんから、こういう点も恐らく将来またいつの日かこれが地方財政に返ってこないという保証はない。この点についてもぜひひとつ御調査をされて、そして適切な御指導をされておかぬと、いま申し上げたような事態になりかねないと思います。  さらにもう一つ、市町村で議決をして債務負担行為というものをやっておることも御承知だと思います。この債務負担行為に対する自治省の基本的な指導方針、そして債務負担行為によって将来に負担を背負わなければならぬ都道府県の金額は大体どの程度になっているか。いま申し上げたとおり、それに対する指導方針を承りたい。
  72. 石原信雄

    ○石原政府委員 いわゆる債務負担行為についてでございますが、昭和五十七年度末で地方団体全体としての債務負担行為の額は七兆八千三百三十九億円になっております。その内訳を見ますと、土地その他の物件の購入等に係る債務負担行為、これが五兆二千三百九十九億円、全体の六六・九%になっております。それから債務保証または損失補償に係る債務負担行為、これが千百一億円。さらに利子補給に係るものが二兆四千八百三十九億円というふうになっております。このほかの、公社とか協会等について損失補償の限度額を設定しておりますものが七兆三千六百三十八億円になっております。  そこで、こういった債務負担行為についての私どもの基本的な考え方は、これを安易に設定することは慎むべきである。債務負担行為の中のかなりのものが、本来であれば地方債の手続をとるべきものを、地方債の議会の議決を経ないで、あるいは地方債の許可を受けないで、債務負担行為という形で事実上その団体の債務を負っているというケースがかなりありますので、やはり財政運営上は好ましくない。債務負担行為は必要最小限度に限るべきであり、またその債務負担行為の将来の財政に与える影響を十分検討してこれを決定すべきである、このように考えており、そのような指導を行っております。
  73. 山岡謙蔵

    山岡委員 次に、各自治体でいろいろな法令、規則にのっとって検査とかあるいはその他の竣工検査、こういうものがあるわけであります。いわゆる許認可事項、建築確認事項とかあるいは衛生設備でいろいろな厚生省関係でその検査をしなければならぬ。そういうものを民間に委託して、そうして、地方自治体の公務員の数は増加をしないけれども、委託をする数がどんどんふえますから、現実的に収支から見て地方自治体の行政改革と逆行するというおそれなしとしない、こういう考えも一面にできるわけであります。  例えば建築確認後、別の民間のコンサルタントその他を県の外郭団体としてつくって、そして県庁のOBが入ってその検査をし、そのために人を雇って検査をしてやっておる。こうすると、地方自治体の職員はふえませんけれども、現実的な行政改革には率直に申し上げて逆行しておる。時によっては検査料を取るという事態があったとしたら、住民負担がかえって増加をする、こういうおそれなしとしない。いわゆる行革に関連をしての許認可の委任ないしは委託、こういうような事態を御調査されたことがございますか。
  74. 大林勝臣

    ○大林政府委員 最近、行革に関連をしまして、地方団体の行政の限界というような観点から民間委託ということが言われておるわけでありますが、この民間委託について私どもがかつて調査をいたしました内容は、大体施設の管理でありますとかあるいは一般の計算事務の委託でございますとか、そういった事務を中心として調査したことはございますが、公権力の行使について委託したものがあるかどうかという面について調査したことはございません。  ただ、民間委託にはそれなりの効用があると同時に、仰せのように、これを安易に何でもかんでも委託するということになりますと、やはり経費の問題がかえってぐあいが悪くなるとか、あるいは住民サービスの徹底ができないとか、委託先のいかんによりましてはそのチェックがなかなかできないとか、いろいろな問題が出てまいりますので、結局どういう仕事についてどの方面に委託するかは、それぞれの地方団体で全庁的に相談をして、法令面、効果面、チェック面、そういったものを総合的に検討して選定をしてもらうように指導いたしておるところであります。
  75. 山岡謙蔵

    山岡委員 時間が参りましたが、せっかく来ていただきましたので、消防庁の長官に最後に御質問をいたします。  消防職員が、昭和三十年代から急速に各市町村で、自治体で整備をされました。このことはまことに結構なことであります。  しかしながら、同時に発足をいたしましたから、各市町村で消防職員を募集したときに、大体年齢が同じ程度人々が町村ごとにそろって、そうしてそこで消防職員が構成をされていくというケースになるわけであります。そうすると、消防行政はどうしても広域になりますから、十年後に今度はお隣の市町村に消防署ができたとすると、一方は十歳くらい年上の人が集中をし、片一方は十歳年下の人が集中をするというのが現実の問題になります。  消防組織法十八条の二の二号で、都道府県の知事はこの人事交流についてあっせんをすることができるということになっておりますけれども、現実にその事実がありますか、ありませんか。
  76. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 そういう事実を聞いたことはいまだございません。
  77. 山岡謙蔵

    山岡委員 これは私は、一朝一夕にしてできることであると簡単には考えておりませんけれども、この間もある市長さんがお見えになって、職員が将来全部五十歳以上になってしまったら、高いはしご車やその他に乗ったときに大変危険が想定をされると。だから、こういうことはやはり年齢層のバランスをとっておいてもらわぬと、三十八年につくって六十何年が来たら全部が五十歳から上になってしまうという事態が出てまいりますし、この仕事の場合には危険性もあるし、事故も非常に多いということがございますから、一朝一夕にはできぬと思いますけれども、消防組織法にはそのことができる、やれると書いてございますので、将来の検討課題として御検討いただきたい。御答弁は求めません。  時間が参りましたから、以上で質問を終わります。時間がございませんで、まことに失礼をいたしました。
  78. 大石千八

    大石委員長 安田修三君。
  79. 安田修三

    ○安田委員 それでは、自治省当局にお尋ねいたします。  五十七年十二月十四日付の財政局地方債課長名内簡による地方公営競技臨時従事員の賃金の調査、こういうことが行われたのでありますが、その結果につきまして、要点の概略を御報告いただいて、まず所感を伺いたいと思います。     〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
  80. 津田正

    ○津田政府委員 お答えいたします。  臨時従事員の賃金の実態につきましては、施行者によりさまざまでございますが、基本賃金ベースで見ますと、一日一人当たり平均で約七千円、競技場百十場のうち一日一人当たりの基本賃金が一万円を超えるものが二十七場、こういうような結果になっております。また、諸手当のほか、夏期、年末に一時金を払っておる施行団体も多く、これを加算しますと、一人一日当たりの平均賃金が二万円前後に達する競技場も見られるような状況でございます。  この臨時従事員の賃金をどう評価するか、これはいろいろな観点から言えるかと思いますが、私どもとしては、当該地方団体が雇いますほかの臨時職員の賃金あるいは地場の民間賃金、こういうものを勘案して適切に決めるべきものだ、かように考えております。
  81. 安田修三

    ○安田委員 それで、皆さんの方で五十八年五月三十一日に全国都道府県財政、地方課長会議というものを招集されまして、その席上、公営競技の開催諸経費の節減、とりわけ臨時従事員の高額賃金についてぜひ是正を進めたいということで、開催権の取り消しもあり得る、そういう点で関係市町村に対する指導をぜひやってもらいたい、こういうことをおっしゃったことがあるのですね。どうなんでしょうか。
  82. 津田正

    ○津田政府委員 御承知のとおり、公営競技の経営状況は最近急速に悪化しております。私どもとしましては、各施行団体において、売り上げの増加、経費の抑制、こういうことに力を尽くす必要がある、このような観点で指導しておるわけでございます。そういうことで、経営改善計画、中身、各団体でいろいろ工夫していただいておりますが、そういうような格好でございます。  それから、施行権等の問題につきましては、いろいろな目的がございますが、まず、もちろん地方財政への寄与というものがございますので、その面での努力が必要で、それによって施行権の問題も考えなければならないもの、かように存じております。
  83. 安田修三

    ○安田委員 私がお聞きしておるのは、開催権の取り消しもあり得るということを都道府県の財政、地方課長会議でおっしゃったのかどうかということを聞いているのです。おっしゃったということが既に雑誌あるいはまた「官庁速報」等でも出ているわけですので、そういう点があったんじゃないですかということを聞いているのです。
  84. 津田正

    ○津田政府委員 私どもとしましては、収益率が極端に低下して、そして公営競技の収支が赤字になる場合には、公営競技の存立の基盤が失われる、このような考え方でおる、こういうことでございます。
  85. 安田修三

    ○安田委員 存立の基盤が失われるということと開催権を取り消すということとはおのずと違うと思うのです。  ですから、取り消すということを皆さん方がおっしゃっておるということが雑誌でも報道されておる。例えば「公営競技評論」の五十八年七月号あるいは五十八年十一月二十二日号の「官庁速報」にも報道されておる。皆さんおっしゃったのではないか、そのことが事実かどうかということを聞いているのです。
  86. 津田正

    ○津田政府委員 先ほど申しましたように、収益が極端に悪化して、その本来の趣旨というものが達成できなければ施行権の問題にも及ぶ、こういうふうに言いましたし、また考えておる次第でございます。
  87. 安田修三

    ○安田委員 そこで、公営競技の開催目的、自治省のお考えはここにはいろいろ書いてあります。競輪その他いろいろと書いてありますが、自治省ではどういう見解なんですか。
  88. 津田正

    ○津田政府委員 御指摘のとおり、競馬法その他数本の法律がございますが、それらの目的は、競走法に基づく畜産あるいは機械工業等の振興、体育事業その他の公益事業の振興、このようなことに資するとともに、地方財政の健全化を図るために施行されるべきものである、このように法律は書いてございますし、私もそう理解しております。
  89. 安田修三

    ○安田委員 そういう畜産振興や機械工業の振興ということと地方財政寄与ということ、この二つの見解だけでいいのですか、間違いないのですね。
  90. 津田正

    ○津田政府委員 私どもはそう理解しております。
  91. 安田修三

    ○安田委員 わかりました。このギャンブル問題はこれからずっと大いにやらなければならぬ問題ですから、将来にわたってきょうの見解を基礎にしてまた議論をしたいと思うのです。要するに、これからの住民のニーズの多様化に伴ったギャンブルに対する評価というものは全然皆さんにはないということですね。その点では、これは将来の大きな問題だと私は思うのです。この二点だけで自治省が評価しておられるということは、重大な将来に禍根を残す御発言だと私は思います。  そこで、五十八年十二月五日、地方債課課長補佐の石井隆一さん、それから指導課課長補佐の矢野文一さんの名前で、事務連絡としての内簡で、各都道府県、各指定都市に、「地方公営競技に係る経営改善計画の説明聴取について」ということで、日程をお決めになって、各都道府県の策定された経営改善計画を当日持ってきて財務調査官に説明するように求められたわけであります。  さて、その中で、「収益事業として地方公共団体の一般財政に相当の寄与ができる状況を維持し又は回復すること」を計画の目標とし、計画期間五カ年。経営改善措置のうち、「経費削減、抑制のための措置」として、「基本賃金及び一時金(夏期、年末)その他手当、退職金に類するもの等」、今言ったようなことを経営改善計画に入れて持ってこい、こうしたものを求められたわけです。  それは具体的に言うとどういうことなのでしょう。経営改善計画に、今言った経費削減のための措置として基本賃金及び一時金の問題について書いてこいというのはどういうことなのでしょう。電話連絡の中で、その点の説明では、一つは五%の賃金カット、二つ目は一時金の一〇%のカット、三つは手当の廃止、四つは退職金削減、五〇%の廃止、五は不補充、これは従事員の不補充、こういうことを口頭で伝えられて、この趣旨に沿ってそれぞれ経営改善計画というものは出されたわけでありますが、この事実は皆さんの方で認められますか。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 津田正

    ○津田政府委員 地方債課の補佐から各団体の財政課長、地方課長あるいは公営競技担当課長に対しまして、経営改善のための計画のヒアリングをする際に、能率的、効率的にやるために、計画の目標あるいは計画期間、計画に盛り込むべき事項、その内容としましては、今後の競走事業歳入歳出の見込み、経営改善措置、売り上げの増のための措置、また先生御指摘経費削減、抑制のための措置という中に賃金の項目も入ってございますが、そういうようなもの、あるいは改善措置を講じた場合の競走事業歳入歳出の見込み、ここいらを書いた計画でヒアリングしたい、こういうことで連絡しております。  それから、御指摘の電話連絡等いろいろあったかと思いますが、私どもとしましては、先ほど申しましたように経費削減の一環として基本賃金あるいは一時金の問題がございますが、具体的な率等を統一的に指示してそういうような計画を持ってこいというような指導はしておりません。
  93. 安田修三

    ○安田委員 皆さんの方は、聞けばそういうことを言ったことはないと必ずおっしゃる。それは、起債制限の問題でもこれこれしたことはない、こういう指導だとかすぐおっしゃるのだが、これは大臣、よく聞いていただきたいわけです。大臣も二十数年間やっておるのだから、先ほどもおっしゃっておりましたが、そうであれば役所のやり口というのはよく御存じのとおり。  今言ったカット問題というのは、これを受け取った人が口頭で問い返したら、こういうことだ。それを裏づけると同様なことが、十二月五日、このヒアリングは十二月十四日行われたわけでありますけれども、その口頭連絡、「財務調査官による公営競技経営改善計画策定ヒアリングについて」。電話を受け取った人は部内の報告書として文書をしたためまして、そこで「留意すべき点に関して、自治省財政局地方債課生嶋主査より下記の電話連絡があった」として文書報告されております。これから言うことが、もし言ったことがないとなると、だれかがうそをついているということなのですよ。生嶋さんがうそをついたのか、ある都道府県の担当官がうそをついたのか、こういうことなので、これは重大問題ですよ。  そこで、一つは、「ヒアリングの趣旨」「公営競技の開催権を取消すか、そのまま更新すべきかを総合的に判断する点にある。  なお、都道府県施行の競輪の場合、開催権の取消はないが、経営改善の見込のない場合は、行政指導の形で廃止勧告をする予定である。」  二つ目、「報告内容及び留意すべき点」、その中の(イ)という小さい項目ですが、「改善計画-必ず賃金問題にふれること。最終目標は一時間当り単価を民間パートタイマーと同額にする点にあり」、先ほどの答弁と同様なのです。これは後ほどその問題点について言いますよ。「目標達成までの間は以下の策を講じられたい。」「①基本給を毎年五%カット②夏・冬・年度末一時金を毎年一〇%カット(本年は五%カット)③その他手当(繁忙手当等)の整理・廃止④退職金を昭和六十二年までに削減すること。特に退職勧奨制度に伴い割増の退職金を支払っている場合は、これをすみやかに廃止すること。」そしてこの方は、一、二、三、四という順番を今言った四項目のそれぞれの頭の上につけておるのです。これは私の推定ですけれども、どれから先に整理しなさいということを言われたかという順番だろうと思います。それは「その他手当(繁忙手当等)の整理・廃止」これが一番。これはこういうことで実際指導が出ておるわけですから間違いございません。二つ目は「夏・冬・年度末一時金を毎年一〇%カット」、三番目は「基本給を毎年五%カット」、こうして電話連絡で受け取りましたといって部内に回覧されておるわけでありますので、これは絶対間違いない。どうですか。もしこれを違うと言えば、カラスの頭は白いと言うのに等しいですよ。
  94. 津田正

    ○津田政府委員 経営改善の具体的内容は各施行者が自主的に判断すべき事項でございます。個々の施行者に賃金の一律カットを求めるような具体的な指示を一方的に行ったことはない、このように私ども聞いております。
  95. 安田修三

    ○安田委員 施行者が自主的に判断することだからこういうことで質問しなければならぬわけですよ。皆さんで勝手にやれるものなら何もここで言う必要はない。ところが、そういう原則があるにもかかわらずやっておるからこういうことを言わざるを得ないのです。皆さんは指導監督あるいはいろいろな勧告、その行政内容に応じてそれぞれの法に基づいた権限はある。それを逸脱しているから今日地方自治の危機が言われる。だからこういうことを言わざるを得ぬ。  ところが、この十二月十四日のヒアリングから出てきたのが各自治体の組合に対する五%カットの一斉通告じゃないですか、あるいは従業員に対する通告じゃないですか。皆さんがもしそういうことを言ったことがないと言うのであれば、それは全然うそであって、しかも今言ったように電話連絡で受け取った内容、今度は後の生嶋さんからの電話連絡の部内の報告内容、これは来ないものをどうして――皆さんも公務員でしょう。自治体の人も公務員でしょう。公務員がどうして自治省からこういうことが来ましたよとうそをつくのですか。そんなことは子供が見たってわかることじゃないですか。子供の遊びで言っておるのじゃないのですから、これは必ず皆さんにうそがある。二つのクロスチェックがしてあるのです。だから、皆さんがどうおっしゃっても、こういうことをおっしゃった事実は厳然としているのです。ちゃんと文書がここにあるのだから、こういうぐあいに部内に回った文書があるのだから、これは絶対間違いない。  そこで、この後出てきたのはどうでしょう。新聞報道はもちろん、こういうぐあいに石原局長の談話も出ております。日経ですか、いろいろ出ておりますが、それぞれニュアンスは違うけれども、言われると同時に、五%カットや一〇%カットの問題については、自治体が一斉に出てきた。そして、例えば開催権の問題を言われますけれども、「このことは、次年度からの開催のみならず、開催権にも影響がでてくるものと予測され、避けて通れない問題となりました。」と言って、自治省の強力な、いわゆる強制的な権限行使というものを自治体ははっきりみんなに言っているわけです。  ですから、私は、こういうことを皆さんがいや、やらない、やらない――やりましたがこれこれ問題がありましたというならいいのですけれども、やらない、やらないでこういうことを押し通していくということは、まさに時代の逆行そのものであると思うのです。これは恐るべき現象だと思うのです。皆さんが自治体のそういう公営競技について、これは経営改善しないとなかなか大変だぞ、だからこれは当然助言しなければならぬということでやられるのは大いに結構だし、またそういうことで、いろいろなデータや経営のやり方についての助言あるいはプランというものをモデルを示しながらどうだろうということをいろいろお話ししておられるというならいいのです。ところが、このように、まさにこうしなければならぬというものを出しておられるわけです。だから、私は、この事実に対してまず皆さんは十分な反省をしてもらいたいと思います。  そして同時に、冒頭に賃金問題の報告がありました。先ほど地域のパートとの、民間パートとの賃金をという話が出ました。民間パートあるいは地域の、地元のパートという問題、よく出ます。皆さんの公営競技の問題について雑誌に書いてあるのにも盛んにこの地元のパートとの比較が出ておりますが、それでは、競輪、競艇あるいは競馬、各種の公営競技に携わる従事員、それぞれの条件は違いましょうが、一般的には労働の内容というのは一体どういうことなんだろう、環境というのはどういうことを把握しておられるか、このことをお聞きしたいと思います。
  96. 津田正

    ○津田政府委員 労働の内容につきましては、御承知のとおり、法律なり各省の指示によりまして開催期間というのが決められておるわけでございます。その開催期間において六時間ないし六時間半程度の勤務をしておる、このように承知しております。
  97. 安田修三

    ○安田委員 皆さんがいろいろとこういう競輪、競馬――私は全然ギャンブルをやりませんから、競輪、競馬というのは一遍も見たことない、本来は見た方がいいと思うのですが。また、大臣も何か答弁におっしゃっておりますが、やはり見た方がいいと思うのです、おもしろいらしいですから。  ところが、この関係の従事しておられる方というのは、今おっしゃった、時間が六時間半とかそこらという問題が実際は問題じゃない。言うなれば、人の休んでおるときに働かなければならない仕事。要するに、先ほど皆さんは自転車振興や何やと、確かに法律に書いてあります。もともと競馬は戦前から畜産振興から始まっておる。だが、これは今ではだんだん健全娯楽としていろいろさま変わりしつつあるわけだし、またそうでなければいずれはアウトになってしまいますね。したがって、日曜、祭日、週末、盆、暮れ、必ず開催されるし、そうでなければ人が集まらないわけです。平日にやっていれば、これはばかじゃなかろうか、みんな一生懸命汗や脂を垂らして働いているときに競馬だ競輪だと行けば、当然、何だということになるでしょう、仕事じゃないのですから。  だから、そこにこの種のいわゆるギャンブルの持つ性格があらわれているわけですから、当然国民のニーズが変わればそれに合わせていかなければならぬといういろいろな問題がある。皆さんはそういう指導もないから、結局五十五年をピークにして入場人員も減っている。これは自治省、大いに反省しなければならぬ問題です。  これはまた後々いずれ取り上げなければならぬ問題だと思うのですが、まず、日曜、祭日、盆、正月、暮れ、こういう人の休むときに休んでおられぬ、勤務しなければならぬ。有給休暇ありますか、ない。皆さん大きなサボタージュをしておるのですよ。これは後から触れます。有給休暇はない。社会保険ありますか、ない。雇用保険ありますか、何もない。何もないない尽くしで、そして皆さんは特に婦人労働者に目をつけておられる。九十数%女の方が従事しておられるということから、民間の女子パートの賃金並みということを主張される。だんなさんがお休みで、奥さんが子供やだんなさんと家庭のことをしなければならぬ日に出ていかなければならぬ。普通のパートの人ならば、きょうは休もうかで通ります。スーパーに勤めている奥さんは、きょうは休もうかで勤まる。このギャンブル関係は、休もうかで勤まらない仕事なんですね。そこにギャンブル関係従事員の特殊な勤務態様があるわけです。  これを皆さんがわかってない。こういうことがわからないから、公務員賃金は高いという攻撃を受けるのですよ。公務員の方は、特にそういう民間の各種の事業所で働いている人たちはどうやっているかということを調べて知っているのが仕事じゃないですか。こういうことをわからないで、一律の指導をしたりあるいは一律の対応をするから、役所の人は遊んでおるのじゃないか、遊んでいるくせに賃金は高いじゃないか、新聞読んでいるじゃないか、こういう公務員攻撃のもとを皆さんがつくっておるのと一緒だと私は思うのですよ。この態様を皆さん知っておるのじゃないですか。知らないのですか。どこを見てもそういうことは書いてない。書いてないということは、あるいは先ほども、聞かれないということは、知らないんだろうか。その点、皆さんどういうぐあいに掌握しておられるのでしょうか。
  98. 津田正

    ○津田政府委員 まず、五%とかいうようなことが一斉に出されておるということでございますが、これは御承知のとおり、各施行者におきまして協議会あるいは労務担当者会議等をやって賃金問題というものが論ぜられておるわけでございまして、そこいらでの決定があった、かように承知しておるわけでございます。  それから、もちろん機械的に民間のパートあるいは市役所等の臨時職員と全く同じ、また競技場も全国一律同じ、こういうことは考えておりませんで、それぞれ実態に即して適正な基準をつくるべきだ、このように考えております。  それから、健全娯楽の点でございますが、これは考え方にもよるわけですが、例えば吉国答申におきましては、「公営競技は、賭け事としての面を有するため、特に法律で認められたものであることにかんがみ、上記のような実態を考慮しつつ、一層、公正な運営を確保し、かつ、収益の適正・効率的な使用を図るとともに、弊害の除去と大衆娯楽の場としての明るい環境の整備に努力することが肝要である。」こういうようなことで、要するに基本は各事業の振興、地方財政への寄与、それが特に地方団体に認められたということにかんがみ、健全娯楽に配慮すべきもの、このように考えるべきもの、かように考えております。
  99. 安田修三

    ○安田委員 私の質問の中身をよく聞いておってください。あなたは上のそらで聞いて全然ピントが合ってないんで困るんだ。時間の浪費になって困るんですよ。  私は、あなたの答弁に対してこういうことを言ったんですよ。就業時間の問題を言われたから――私、こういうことをやっているとおもしろくてならないんです。民間の比較は、これはおもしろい、一年じゅうやっておってもおもしろいですよ。――それはこういうことを聞いたんですよ。要するに、あなたは今また官庁のパートとおっしゃったでしょう。官庁は日曜はお休みなんですよ。土曜日は半ドンなんです。今、週休二日制の四週五休制にもう入ってきた。とにかく土曜日は半ドンなんです。そして、官庁のパートというのは日曜に働いてないのです。祭日はお休みなんです。それから賃金も極めて安いです。だから問題が出ておるのです。自治省は一番よく知っているのです。  例えば保育所のパートさんというのは、正規の保母さんの資格を持っていながら、五万円から七万円に到達しないというのが随分市町村にあるんですね、市町村単独で雇っている産休代替その他で。もうめちゃくちゃ、お話にならないんです。実は民間のパートよりまだ安いんですよ。だから、それらとの比較なんて問題にならない。まして日曜には働かない。  先ほど私が言ったのは、こういうギャンブルの従事員というのは、日曜、祭日、お盆、暮れ、正月、人の休むときに働かなければならぬということです。例えば競輪がある。そうすると、土日を挟んで四日間あれば、それが四つで四、四、十六日、月に働く。十六日の働きじゃおかしいじゃないかという議論が出る。ところが、大事な土日は全部その人は働きに出なければならぬ、こういう勤務形態です。普通の民間だったら、休みの日に出れば二五%以上つかなければならぬ。なお労使間によっては余計取っておるところがある。正月出勤手当というのは普通の休日手当以上に取る。なぜかというと、人が、正月だといって親戚に寄って、家族が寄って、そしてお正月のお祝いもちを食べておるときに働きに出なければならぬということで、労使間では皆そのことを配慮しておるのです。  こういうときに出なければならない。年末の休みのときに、お正月の準備しているときに出なければならぬ。休みたいと思っても、普通のパートと違ってギャンブル関係は休めないというのですね。休んだら、行かれた人は、従事員がいないからきょうはギャンブルやりませんというわけにいかぬですよ。これは大暴動になりますよ。これは必ず行かなければならぬ。だからこの身分というのは、後ほど身分問題で皆さんおっしゃるかもしらぬが、雇われた日から公務員としての身分がある、終わった日に切れる、こうなるけれども、そのときには必ず行かなければならぬという宿命を持っておるんですよ。普通のパートとは違う性格があるのです。だから、私が言ったのはそういう勤務態様のことです。  そして、有給休暇もないじゃないか。パートでも有給休暇があるところがあるのです。審議官、よく知っておいてくださいよ。パートの就業規則をつくった、今ではそうしなければ人が来ない時代になったのです。はい、きょうだけ、一時間五百円上げます、六百円上げますじゃ来ない時代になったのです。だから有給休暇があるところもあります。また、これは御存じのように労働省が指導しておるのです。御存じないですか。労働省が指導しておるのですよ。労働省お見えですから後からお聞きしますけれども、それは社会保険もない、雇用保険もない、こういう労働条件、勤務態様の中にあることを皆さんは知っておられるかということを私は聞いたのです。知らなければ知らぬとおっしゃればいい。知っているならお聞きしたい。
  100. 津田正

    ○津田政府委員 まず、いわゆる市役所の臨時職員と違って土日でなければならぬ、そういう勤務実態はもちろん知っております。  また、雇用形態自体が、先ほど申しましたように開催期日が月の中の何日と限られておるわけでございまして、地方公務員の一般の方々とは違い、保険だとか有給休暇だとかいうようなものは対象とされていない、このように了解しております。
  101. 安田修三

    ○安田委員 要するに日曜、祝祭日に出れば、これは当然――皆さんのような公務員の場合は、オール完全月給制だから余りそういうことは念頭にはない。だが、通常の民間労働者の場合には休日、日曜というのは極めて大きな影響を持つ。ですから、そういうように普通の勤務態様とは違うのだ。これは御存じですね。普通の勤務態様とは違うのだよということは、人よりも苦痛のある勤務、著しく苦痛のある勤務、人の休むときに必ず出なければならない。今月は日曜が四日あるところに一日だけおまえ出てくださいよという日曜出勤や休日出勤と違うのです。必ず休みのときに行かなければならない、こういうものは非常に苦痛だということはおわかりでしょうか、どうでしょうか。
  102. 津田正

    ○津田政府委員 勤務態様は、かなりいろいろな点でほかのパート等とは違う、また、それがもちろん休日に勤務することが多い、こういうことは承知しております。
  103. 安田修三

    ○安田委員 そこで、皆さんの方のいろいろな法令関係、あるいは地労委の今までの事件その他を見ますと、臨時的任用の一般職だ、そしてこれは単純労務雇用者だという解釈が大体今通説のようであります。もちろんいろいろ問題があって、それは違う、それによってそれぞれ労働関係法の適用が違いますので、これは民間労働者じゃないか、また、特別職だという議論もあります。まあ、皆さんの関係の通説は、今言ったような臨時的任用の一般職だ、しかもそれは単純労務雇用者だということのようであります。これは将来身分の取り扱いをどうすべきかということは、いろいろ議論のあることですから、これから将来大いにいろいろと議論をして、何らか身分を固定的に見るということにしなければならぬと思います。  ただ、こういうことは私は言えると思うのです。例えば全艇協、競艇の協会ですけれども、ここから四十七年六月二十一日に、まあいろいろな照会が自治省にも来ておるのだけれども、割合に新しいので五十年代のもありますが、皆さんの回答が四十七年から最近まで一貫して同じようでありますので、ここが身分関係のことについて自治省に照会しております。特にその中でこう言っておるのです。  一の(ロ)に、「これら従事員を臨時的任用するに当り実態的にみて、これらの運用として期間の更新によらず、くりかえし臨時的任用を行ない同一の者を実質的に長期間に亘って任用した場合、雇傭関係および人事管理上合理的かつ必要であると思われる措置が必要であると思われますが現行法上これらについての明文の規定がないにしても、将来この点についての法改正の意図があるかお伺い致します。」要するに、実態的にはどうも現行法では合わないので、法改正の意図がないだろうか。  それから2には、「現行法制定当時これら競艇場従事員の身分関係は予定しなかったとしても、実態的に長期に亘る臨時的任用を認めることは特に身分保障の点において安定しておらず一年をこえる期間、継続的にせよ雇傭する場合、不安定な状態で雇傭することは、労働者の立場についても適当でないと考えられる面もありますので現行法上これらを律することが著しく困難と見られる場合これら競艇事業を含む公営競技に従事する従事員の身分に関する特別法の制定の必要性についてお伺い致します。」要するに、こういう長期に継続でずっとやっておるときに、自治省のおっしゃっていることではどうも実態に合わぬから特別法の制定も必要じゃないだろうか、お伺いいたしますと施行者の方からこういうことを言っておるのです。  これはほかの方にも、競輪の方にもこんなような趣旨の照会がありますが、これについておたくの方は、そういう必要はないと言っておるのです。しかも一面、先ほど言った臨時的任用の一般職だから条例で給与その他を決めなければならぬという法適用について業界に指導しておられるようですね。皆さんの考えは一体どういうことかということです。これが一つ。  そこで、私は言うのですけれども、今、皆さんの方から、中曽根総理の公約として男女雇用平等法が出ておるが、パートの皆さんに対するいろいろな文書での一貫した見方では、婦人労働者をイコール主婦中心のパート、安いものだという観念に満ち満ちて見ているのです。これは大変ですよ。自治省がみずから差別を持って見ているのです。私は何も男女平等だからといって肉体条件その他を平等にせよとは言わない。パートは女子であるものと考えておるようですが、今、私の友達で競輪に行っておる人がおります。これは臨時で行っておる人です。ある民間会社でかなりの管理職をやっていた人で、今仕事がないから行っています。同期生ですから同じ年です。こういう時代です。だが皆さんの場合には、民間パート即安い主婦労働者、イコールこれらの労働者。イコール、一緒という見方に満ちた賃金の指導であるということ、これは非常に問題です。まさに差別を持ってパート労働者を見ているわけです。  与野党の実質予算修正の中に、パート労働者の課税最低限二万円の引き上げがありました。これは四百五十万のパート労働者です。パート労働者というのは日本の中でこうできてきた。こういう短時間労働者があってもいいと思うのですが、ただ、これが非常に身分不安定、賃金が安いというところで今社会的に大問題になっているのじゃないですか。これを皆さんが積極的に、一定の安定したところに、例えば公務の立場で見るなら、そういう立場からの適正な指導というならともかく、今パートの労働条件が問題になっているときに、その低いところに切り下げ、切り下げとは、一体これは何だろうかということなんです。  ですから、こういう点で二点、先ほど言ったこととパート労働者について皆さんは差別感を持って見ておるということ、これをまずお聞きしたいと私は思います。
  104. 津田正

    ○津田政府委員 臨時従事員につきましては、一般的に、地方公務員一般職のうち臨時的任用の単純労務職員と考えておりまして地方公務員法第五十七条の適用の職員、このように考えております。  先ほどの施行者協議会からの照会につきましては、四十八年十二月十四日、御承知と思いますが、法制化等については「現在のところ考えていない。」このような回答を出しておるわけでございます。  それから賃金の水準をどう見るかということでございますが、私ども、最初に申し上げましたように、この問題は公営競技の経営が非常に厳しいという中で、売り上げの増進策そしてまた経費の節減策、こういう中で考えておるわけでございまして、要するに経営問題として考えておる次第でございます。賃金水準が具体的にどこでなければならぬというようなことではございません。
  105. 安田修三

    ○安田委員 労働省にお尋ねいたしますが、この身分問題等は国、施行者それから従事員の争いがいろいろとあるところでありまして、不当労働行為その他ではいろいろと争いが起きております。  私が労働省にお伺いしたいのは、先ほどからお聞きのように、自治省の方では具体的なことは今も否定しておられますけれども、賃金の五%カット、あるいは一時金のカット、退職金の削減、こういうぐあいに各自治体は受け取りましたということで、文書までいただいている。こういう指導がありましたという文書までいただいている。自治省が否定されるからそれはまあ別として、こういうことが行われているということに対して、労使は労働条件については対等の立場に立って決めなければならぬということがもちろん基準法二条にありますし、それからまた労組法上も対等の原則については明らかになっておるし、またこのことから不当労働行為に及んでいる。例えば労組法第七条三号事件まで構成するかどうかは別として、いわゆる組合の運営に介入してくるという事態があります。賃金問題あるいは労働条件ということにあってまいりますと、特に組合の組織変動等、そこから及ぼすことがあります。私は非常に重大な問題だと思います。  したがって、こういう労働条件についで、個別的ではないと言うが、五%カットについてはそれぞれ各施行者から一斉にこういう文書をいただいて、ここに幾つもありますが、ことしは五%カットしてもらいたいという申し入れがあります。五%カットします。オウム返しというのはこのことです。全部一斉に来ております。そこで、労働省の方ではこういうことについてはどういう見解を持たれますか。
  106. 早坂信弘

    ○早坂説明員 公営競技に関する労働者の労働条件につきましては、労使間の団体交渉によって決せられるのが基本でございまして、先生がおっしゃられたとおりでございます。ただ、自治省の方から私ども事情をいろいろお伺いいたしましたが、団体交渉によって決められるべき原則を不当にゆがめるような指導はないと考えております。  なお、不等労働行為につきましては、これら労働者につきましては不当労働行為救済申し立ての道が開かれておりますので、おのずから労働委員会によって決せられる事項であろうと考えております。
  107. 安田修三

    ○安田委員 自治省の方から労働省に対して、そういうことはないとおっしゃっておる。文書等は皆さんの方にも流れていると思いますので、そういう実態であるということについて、労働省から自治省にぜひひとつ指導してもらいたい、労使間の原則について指導してもらいたいと思います。  そこで、この競艇問題で個別的指導はしていないという先ほどからのお答えでありますが、それぞれここに各施行者から、組合のあるところには組合に、そうでないところには口頭で、五%のカットあるいは諸手当の廃止、それぞれ前文についてはニュアンスの差があります、自治省が、あとは書いていないところ、あるいはまたそれらしいことをにおわせるところと、いろいろありますが、一律にこのカット問題は出ております。これは個別指導でなければそういうことが出るわけはない。なぜかというと、これは皆さんの方で、これほどまで五%ということが一斉に出るということは、ヒアリングで個別指導があったればこそ出ておるわけで、そのことは先ほど言ったように、それぞれ電話連絡やその他で文書の中に明記されているわけでありまして、こういうことが、今ないないと言いながらまかり通っておるということは、まさに自治権の侵害である。  確かに物すごい高いところはある。それはそれぞれの条件によって突出したのがあるでしょう。だが、賃金資料その他も出ておるように、それは幾分かの突出したのがあるということであって、全部がそうではない。しかも、労働条件はそういう人のやらないときにやらなければならぬ。しかもパートとはいいながら、一定の労務契約についてはあらかじめ予約をもってやられていると一緒状態で拘束されておるということ、そういう点から考えたときに、これらの問題について、いわゆる開催しながらもなかなか収益が上がってこないという事態についての経営改善の一環として皆さんが指導されることについては、それは大いにやられて結構ですが、しかし、労使間のそういう労働条件や賃金の決定についてはあくまで労使間で決められること、こういう点については、この原則について、ぜひとも私はこれから方向を守っていただきたい。そしてまた守るように、これはまた大臣からも関係局、課に指示をしてもらいたい、こう思います。そういう点で御答弁いただいて、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  108. 津田正

    ○津田政府委員 私どもとしましては、経営改善の必要性を一般的に指導しておるわけでございますし、労使の交渉に不当に介入するようなつもりはございません。
  109. 田川誠一

    ○田川国務大臣 公営競技に従事されていらっしゃる方々のお仕事の非常に特殊な面は、私も、実際に見ておりませんけれども、よく自治省の職員から聞いております。限られた日にちで、日にちは少ないけれども非常に忙しい仕事であるということはよく承っておりまして、自治省から指導しておりますのは、今も審議官が申しましたように、経営改善の一環としていろいろ指導をしている。もし御懸念のようなことがありますれば、私からも注意を申し上げておきます。  ただ、お話を聞いておりましてちょっと感じたことは、一般の人が休むときに働く、こういうことはほかにも例があるわけで、単に公営競技に従事している人ばかりではないということだけは、ちょっと私から申し添えておきます。
  110. 安田修三

    ○安田委員 そこで大臣、これは答弁は要らぬ話なんですけれども、一般の人も、例えば運転業務だとかあるいはデパートだとか、日曜に必ず働かなければならぬというのはもちろんあります。ただ、順番に交代制で必ず休みが当たります。これは祝日、日曜、土曜日、必ずそこはやらなければならぬという宿命、この違いなんですね。日曜の業務をやっておっても、変則勤務で必ず休みが当たるのがありますので、その点だけ言っておきます。  さて、警察庁の方にひとつお伺いいたします。  これはちょっと承ったのでありますけれども、五十cc以下のミニカーについて普通免許の適用をしたい、総理府令でやりたい、こういうことで予算説明のときに伺っておりました。準備をしておられるということでありましたので、その準備状況と、もう一つ、朝日新聞の四月九日夕刊に「ミニカー 日・仏の扱い」という記事が出ました。意外にこういう関心――朝日新聞は皆さん方の免許改正の中身について先月も報道されておりましたが、なるほどこういうこともあるかなと、実は私も勉強になりました。この中に、フランスのラロシェルという港町で、足の不自由な少年の話から、フランスではポアチュレットというのは五十ccや百二十五cc以下の小さな三輪、四輪の車を言うのだそうでありますが、足の不自由な子供がこういう車に乗っていたので記者の方が質問をしたことから、いろんなことが載っております。  そこでまず、一体どういうぐあいに免許改正をやっていかれるのか。なぜそういう免許改正をしていかれるのかということをお伺いしたい。
  111. 久本禮一

    ○久本政府委員 お尋ねのいわゆる原付四輪カーでございますが、ここ数年、国内の特に小メーカーで手づくりのものが出回っております。また一部外国で、今先生フランスの例をお引きになりましたが、確かにフランス、イタリー等ではこういった車がつくられておるという事実もあるように聞き及んでおります。こういう国から輸入されたもの等が出てまいりまして、その両者が相まちましてここ数年急激にふえまして、現在数千台のものが国内に存在すると推定いたしております。こういう事実がございます。  したがいまして、これを踏まえまして、このような車の存在が現在の過密車社会におきまして安全並びに車の円滑の確保の面から種々問題があると考えまして、これに対する具体的な対応が必要だというふうに交通警察としては考えております。これは免許だけではございません。構造上の問題等もございますので、運輸省とも協議をいたしまして、これらの車が現実の車社会に問題を与えないように対応策を練ろうということで対策を進めておりますが、私どもといたしましては、専ら免許という点からこの問題に対応する必要があると考えております。  その一環として、先生御指摘のとおり、普通免許を取らせることによってこの車社会に対応する原付カーの運転上の問題を解決したいと考えて、現在この点につきましての作業を、関連をする法令上の扱いとして道路交通法施行規則の改正によって対応したいという準備を進めている現状でございます。
  112. 安田修三

    ○安田委員 それでは、大体いつから改正して適用ということになるのか。  それからまた、行われた場合、例えばフランスの場合は定員は二名、日本の場合は四輪、三輪であっても一名なのかという点、改正になった場合はそういう点がどうなるのか、お聞きしたいと思います。
  113. 久本禮一

    ○久本政府委員 まず、時期の問題でございますが、これは既に先生も御承知のとおり、この問題は一般に公知の事実となっております。したがいまして、これらに対応する施策は、安全上できるだけ早期に進めなければならないという問題と、やはり関係者に無用の混乱を与えることなくしかも十分に準備の期間を与えるということから考えますと、この点はできるだけ早期に実現いたしまして、十分な余裕を持って関係者に対応する、猶予を与えて実施をする必要があろうと考えております。したがいまして、私どもといたしましては、極力早い時期に実施をするよう現在準備をしているところでございます。  乗車定員の問題につきましては、現在でございますと原付自転車は一名でございますので、これが四輪になりましても定員は一名で乗車をするということになろうと思いますが、この問題は、運輸省の考え方等とも兼ね合わせまして、一つの今後の検討課題であろうと考えております。
  114. 安田修三

    ○安田委員 今、原付の場合は三十キロです。普通免許になってもこの場合はスピードは三十キロなのか、あるいは普通自動車並みになるのか。もし普通自動車並みということになりますと、構造基準はかなり違ってくるのではないかと思います。この点どうでしょうか。
  115. 久本禮一

    ○久本政府委員 御指摘のとおり、原付自転車は現在の道交法上は三十キロが速度のマキシマムでございます。したがいまして、この車が車の流れの中では交通渋滞の原因となり、また安全上も問題があるということでございます。その速度問題も含めまして、このような車の現在の車社会の中における位置づけを明らかにしたいというのが私どもの現在の検討の問題でございます。  もちろん、先生御指摘のとおり、構造上の問題もそれに絡んで、当然みずからの安全を保つという面も含めまして対応されることになろうと思いますが、この点につきましては運輸省の問題でございますので、私の方からお答えいたすのはいかがかと思いますが、そういう点がやはり同じように課題であるという問題意識は持っておりますので、運輸省と、この点につきましても、それぞれの分野ではお互いにこの問題の対応を進めようという話を交わしながら、現在準備を進めている現状でございます。
  116. 安田修三

    ○安田委員 そうしますと、構造上の問題と絡むから、構造上の問題は運輸省の方でやっておる、そこで連携はとっておるが、スピード等についてはまだ結論は出ていない、双方それを見ながらこれから決めていく段階だということでしょうか。
  117. 久本禮一

    ○久本政府委員 車の車線で四輪としてまじり合って通行するということを前提にいたします限り、三十キロでということには支障があろうと思います。したがいまして、当然、これは機能はもちろんでございますが、法令上の扱いといたしましてもアップを図らなければいけないであろうということは私どもの現在の考えの中にございます。ただ、これをどのように実現するかという点につきましては、現在なお検討作業中でございます。
  118. 安田修三

    ○安田委員 実は、朝日新聞の報道によりますと、「欧州運輸相会議は、八〇年十一月に加盟各国に対して「まず無試験も含むやさしい免許の車で経験をした上で、難しい試験の車へと段階を踏むことがのぞましい」と勧告している。日本とヨーロッパとで、同じ大きさの車の扱いをめぐって、なぜこんなに違いが出てくるのだろうか。」というのが最後の結論になっているのです。それぞれ車の発達や道路、国の環境、国民の車に対する習熟度、日常生活の習熟度、いろんな違いがありますので一概には言えませんが、まあかなりの違いがあります。  ただ、日本の場合も似通ってきたのは、例えば過疎地にバスがだんだんなくなる。当然都会よりも余計、交通の不便なところがうちに車を持つようなことになっていく。そうすると、おじいちゃんというそんな年寄りではないが、今まで車に習熟しなかったお年寄り、体の不自由な人がちょこちょこ車で出るような必要性が逆に田舎の方に出てくる、こういうような時代にもなりますと、それと安全性との調和をどうすべきかという新しい社会の課題がまた出ておると思うのです。それだけに私も、こういう一定の網をかけることはやむを得ない、ただ、そういう、今言ったような新たな社会的ニーズとの関係をどうするかということは、やはり法をつくったり運用する場合に当然考えていかなければならぬことだろうと思うのです。  そういう点で、警察庁の方でせっかく今度この問題を取り上げるにつきましては、今持っておる、既に購入した、輸入が約二千四百台、国内生産三千台、これが流れておるそうでありますので、既に乗っている人、それから、ではこれから買おうかと思っている人、輸入はちょっと高いですけれども、国内産は何といっても安いものですから、こういう人たちにそこらあたりギャップがないように――全然ギャップがないというわけにいかぬが、ギヤップがないようにどういうぐあいにスムーズに切りかえられるかという一定の条件、あるいはまた、場合によったら限定したやり方、そして、そういう過渡期の措置、そういうこともひとつ十分配慮して法改正に臨んでもらいたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  119. 久本禮一

    ○久本政府委員 御指摘のとおり、この車にはこういったものを便利と考える社会的ニーズというものが確かにあるわけでございます。問題は、便利というのは車社会の一つの側面ではございますが、同時に、これが安全にかつ全体の流れに支障のないようにという着眼がございます。この調和を絶えず図るということに私ども常に留意をいたしつつ行政に臨んでいるところでございます。  ただ、過疎地における利用等が一つのタイプとしてあることは事実でございますが、私どもがいろいろな手段で調査いたしたところによりますと、国内では、必ずしも過疎地だけではなく、都市部あるいは都市部周辺、それから道路でも細街路でなく幹線道路においてかなり見ることがあるといったような日本特有の利用形態も、ございます。したがいまして、車がどこにでも自由に行けるという性能とそういう社会的役割を認める限り、やはり抱括的にその辺の可能性を考えた対応をいたさないと問題を将来に残すことになろうという着眼で対応をいたしていることを御理解いただきたいと思います。  それと、いわゆる経過的な取り扱いでございますが、これは現状の上に立ちまして、利用されている方の立場もございます。したがいまして、これはいたずらに酷にならないよう、先生御指摘の趣旨を踏まえまして、経過措置につきましては、十分今乗っておる人の立場も考えた措置を講ずるようにいたしたいということで現在作業中でございます。
  120. 安田修三

    ○安田委員 終わります。
  121. 大石千八

    大石委員長 午後一時十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時十二分開議
  122. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  123. 岡本富夫

    ○岡本委員 本論に入る前に、去る三月一日に当委員会で私が衆議院の定数問題について御質問申し上げました。そのときに、私の方の舌足らずだったと思うのですけれども、衆議院の定数是正について、中選挙区制を守る、それから現行の定数五百十一以内、これについて自治大臣から、それは非常に望ましいというようなお話があったわけですが、その後で新聞を見ますと、定数二のところも含まれるのだというような、私は三から五というのを想定して中選挙区制と言ったのですけれども、朝日か何かに二も含まれるというようなことが出ておった。したがって、これはちょっと確かめておきたいと思うのです。
  124. 田川誠一

    ○田川国務大臣 衆議院の議員定数の是正について、二人区がいいとか悪いとかということは私自身申し上げた覚えはないのです。恐らくこういうことが誤解されて書かれたのではないかと思います。それはどういうことかといいますと、二人区というのは小選挙区か中選挙区がというような問いに対して、二人区が一概に小選挙区とは言えない、学説その他二人区でも中選挙区と言う場合もあるということが、私が二人区がいいんだというふうに誤解をされて、新聞に出たとすればそういうことで出たのでございまして、二人区問題がいろいろ取りざたされておりますし議論になっておりますから、今、私がいいとか悪いとかということは申し上げることはできない、またずっと言わないできております。  やはり、最初に岡本さんおっしゃったように、現行の中選挙区でやっていくことが望ましいとは個人的に思っておりますし、総定数も、減らすことはあってもふやすことはよくないのではないか、こういう考えております。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、現行定数というのは大体違憲だという最高裁の判決が出ておりますけれども、この定数是正が行われずにもしも解散した場合、解散すると選挙になります。そういう選挙では違憲であるというような法制局長官の意見が出ておりましたが、担当大臣の御意見を承っておきたい。
  126. 田川誠一

    ○田川国務大臣 最高裁の判決も違憲というふうに断定してないのですね。違憲状態に来ているという判決のように私は認識をしております。しかし今のような状態は、最高裁の判決があろうとなかろうと決して好ましい状態ではないし、国会の権威にかかわる問題でございますから、そういう意味で、最高裁の判断でさえもこういう状態になっているから、定数是正はやっていくべきだという考え方が、政府ばかりでなく国会の大多数の考え方ではないかと思うのです。  それじゃ、定数の是正がされないままの状態の中で解散ができるかどうかという御質問が、たしか参議院の予算委員会であったように私記憶しておりますが、中曽根総理大臣はそのときに、理論的には解散することがあり得るというふうにおっしゃったように記憶しております。理論的には、解散権は総理大臣が持っているのですから、やろうと思えばできると思うのです。しかし現実から見て解散はできないだろう。実際に今解散できる状態ではありませんから、そこを余り突き詰めて御論議する必要はないように、私は、ざっくばらんに申し上げますが、そういうことでよろしいんではないかと思っておりますし、総理大臣も理論的に答弁をされたもの、そのように思っております。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 中曽根総理の意見は意見としまして、公選法の担当大臣として、もしもこのままで解散された、そうすると選挙がある、それで当選してきた。ところがこれまた裁判にかかるということになれば、最高裁判所もああした判例を出していますから、そうすると、理論的にもこれは無効になる、こんな恥ずかしいことはできませんけれども、そういうおそれがないのかどうかということだけをもう一遍お聞きしておきたい。
  128. 田川誠一

    ○田川国務大臣 最高裁がどういう判定を下しますかわかりませんけれども、仮にそういうことになれば恐らく相当厳しい判決になると思いますが、最高裁の判決を私が予断するわけにはいきません。  ただ、私に個人的にお聞きになるとすれば、私の考え方は明白でありまして、こういう状態のときに解散をすべきでない、また現実に今の政治情勢の中に解散などはあり得ない、こういう考えを持っております。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、四月十一日、田川自治大臣が二階堂氏の自民党副総裁就任について「釈然としない」というような論評がありまして、いわゆる田中氏の問題に対する今後の態度は、同憂のとの動きを見きわめる必要があるけれども云々とありまして、最後に、「重大な決意をせざるを得ない。」というような報道があるわけですが、我々も国民もみんな立派な自治大臣ができたということで期待しておると思うのです。「重大な決意をせざるを得ない。」ということはどういう決意なのか、これをちょっとお聞きしたいと思うのですが、いかがですか。
  130. 田川誠一

    ○田川国務大臣 岡本さんが今挙げた新聞はどの新聞かわかりませんけれども、(岡本委員「毎日と朝日です」と呼ぶ)私が言ったことを正確に書いてないのです。  私がどういうことを申し上げたかというと、微妙な問題ですから、私は書いて新聞社の皆さんにお話ししたし、会わない人にも書いたものをお伝えした。  その第一点は、二階堂副総裁の問題は他党の問題であって、新自由クラブの代表たる私があれこれ言う筋合いのものではないという前提一つあるわけです。しかし、中曽根自民党総裁が、選挙の後、田中氏の影響力排除に関する声明を出したというのは、単に自民党内だけでなく、広くこういうことを表明したものである。したがって、この問題は、自民党員だけでなく我々も重大な関心を持っており、そして釈然としない人も多い。これが第二点。それから第三点は、今後田中氏の影響力の排除に反するようなおそれがある場合には、私は重大な決意をする。こういうことを申し上げたのでございまして、この重大な決意というのは、全く文字どおり重大な決意でありまして、これにはいろいろな方法がある。しかし、政治的に大きな行動をする場合に、自分が二つ三つ考えている行動を事前に申し上げるということは、非常に障害も出てくるし妨害も出てきますので、この具体的問題については申し上げないということを記者会見で言ったのでございまして、今、岡本さんから重ねて御質問がございましたけれども、これは岡本さんが想像しているようなことでひとつ判断をしていただきたいのでございます。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 余り想像はしていないのですけれども、重大決意ということですから、一つは、閣僚を辞任するというようなことも入っておるということなのか、それだけお聞きしておきたいと思います。
  132. 田川誠一

    ○田川国務大臣 重大な決意はあくまで重大な決意で、そういうことも全部含めたものであるということを御理解していただきたい。簡単な問題ではない。  しかし、私の二十数年間の政治活動の中で歩んできた道をお考えになっていただければ、私の重大な決意というのは、やるべきときはきちんとやる、だれがどうあってもやるという決意で現在もいるわけでございます。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は国会に出てまだ十八年にしかなりませんので、二十年前のことはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、私が申し上げたことも含んでおる、こういうように理解をしておきたいと思います。  こればかりやっておりますと時間がありませんので、そこで、きょうは航空機燃料の譲与税についてお聞きしたいと思うのです。  本税は、大坂国際空港の騒音によって被害を受けている住民の対策の一つとして、私が昭和四十二年に本院に籍を置いてから、何としても財源がないということで、いろいろと考え、そして要求をいたしました。そのときの要求として、これは四十五年でしたが、この当時はB滑走路ができて、ますます大型ジェット機なんかの導入によって被害を受けた。そこで、何とかしなければならぬということで、その財源として、それまで航空事業の発展のためにか非課税であったこの燃料に対して課税して、これを市に配分してもらいたい。なぜかならば、運輸省の補助によって共同利用施設あるいはまた病院、学校、保育所、こういうところの防音設備等が行われたわけでありますが、それに対する運営の費用が非常に困るということで、その費用負担として市に交付してもらうようにということで実は本税ができたと記憶いたしております。これも、なかなかできなくて、四十七年からであります。  そこで、最初に、これは全国的にやってはおりますけれども、大阪国際空港周辺の各市に交付された五十八年度の配分をひとつ御説明願いたいのです。
  134. 関根則之

    ○関根政府委員 五十八年度におきましては、兵庫県からまいりますが、兵庫県の川西市が一億二千八百万であります。宝塚市が五千四百万、尼崎市七千六百万、西宮市はございません。五十七年度まではございましたが、五十八年度はございません。伊丹市が七億二千九百万。それから大阪へまいりまして、豊中市が八億六千二百万、池田市が一億三百万、大阪市が三億一千五百万でございます。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 五十七年度まで西宮市が入っておったのに、なぜ五十八年度はなくなったのか。これをひとつお聞きしたい。
  136. 関根則之

    ○関根政府委員 西宮市につきましては、世帯数割りの配分をずっとやってきたわけでありますけれども、対象の世帯数が実は前からなくなっていたわけでございます。それに対しまして、激変緩和措置というものを講じて五十七年までは交付をいたしておりましたが、その激変緩和措置は一定の期限を設けておりますので、その期限が五十七年でちょうど切れましたので、五十八年はゼロになる。こういうことでございます。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 この燃料譲与税の使途ですね、これはいろいろと政令で書かれておるわけですけれども、私たちが論議したときは、これは被害を受けている住民に直接迷惑料として渡すのではなくして、要するに、先ほど申しましたように地方自治体が設けている学校、病院、保育所、あるいは運輸省の補助によってできた共同利用施設、こういうものの運営費にも一部回すということでありますから、この騒音コンターの問題で後でまた論議しますけれども、西宮市はまだ共同利用施設もそのまま使っている、それから学校、病院、保育所、こういうような防音工事がされた中で運営が行われておるわけです、防音工事が完了したために。と申しますのは、運輸省の引いたところの騒音コンターを見ますと、七十五WECPNLの騒音コンター、これは民家の防音をするところの騒音コンターですから、これでもう武庫川を越えた向こうの騒音はなくなったことではないわけです。ですから、やはり共同利用施設もそのまま使っているし、病院あるいは学校も防音工事をされたその室内でやはり運営が行われておるということになりますと、これを打ち切ってしまうということは、非常に私は問題ではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  138. 関根則之

    ○関根政府委員 従来配分を受けていた市町村が、基準に該当しなくなりましたために交付対象から外されるということになりますと、現実の問題として、確かに財政的な問題、実情にそぐわない面も出てくるかと思いますけれども、やはり限られた譲与税でございますし、本来、周辺整備を非常に要する地域に対しまして、周辺整備のための財源ないしは騒音対策のための財源として交付する税でございますので、一定の条件を満たさなくなったものにつきましては、多少そういうものが残っておりましても、そういう財政需要の強いところに重点的に配分せざるを得ない、こういう制度の仕組みから、私どもとしてはやむを得ないものと考えているところでございます。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは財源が不足する、財源が不足すると言ったって、これだって全然初めなかった。それが、やかましく言ってやっと航空機燃料の非課税を課税してそれでやった。外国機、外国を往来している飛行機にはまだ非課税、それから、航空事業に対して今までは非常に応援しておったために、航空機の固定資産税の特別の減免措置、こういうようなものはまだあるわけですよね。  したがって、財源は探せば幾らでも出てくるわけなんですが、これは自治省だけではなかなかうまくいかぬだろうと思うのですが、これは自治大臣に、こういう財源があるわけですから、大蔵省と相談してひとつぜひ財源をつくってもらって、そして現実に今も同じように騒音の被害を受けている、こういうところに対してやはり手を打って被害の救済をしていくのが当たり前ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう、ひとつ大臣の所見を、何だったら局長からでもひとつ。
  140. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘のように、固定資産税では確かに航空機関係の特例措置を設けておりますが、先ほどから御論議をいただいておりますのは譲与税そのものの配分の問題でございますので、この固定資産税の減免額を譲与税の方に入れるということもこれまたなかなか難しい問題でございますので、そちらの特例の方のお話は特例の方のお話として、別途対応をしていかなければいけない問題であろうと思います。  譲与税につきましては、今、先生御承知のとおりでございますけれども、航空機の燃料税の十二分の二をいただいておる。国税として仕組まれているわけでございますが、そういう限定された財源の中をいかに重点的に効率的に配分するかという考え方に基づいて配分せざるを得ないということでございますので、固定資産税の分を譲与税の原資に加えて持っていくということはなかなか難しいものではなかろうかと思います。  ただ、そういう問題がありましても、地元の地方公共団体の財源につきましてできるだけの配慮をすべきではないかという御趣旨につきましては、私どもとしてもできる限りいろいろな方策について検討を続けるべき問題であろうというふうに考えております。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは後回しにしておいて、次に、環境庁来ておりますね。  四十二年に公害対策基本法が成立して、人の健康の保護に資するために維持することが望ましい環境基準、これを設定することが要求されておりまして、四十八年十二月二十七日にやっと航空機の騒音の基準が制定されたわけですが、これについてちょっと御説明願いたい。
  142. 小澤三宜

    小澤説明員 航空機騒音に係る環境基準につきましては、先生ただいまおっしゃられましたように四十八年の十二月二十七日に定められております。  この環境基準におきましては、地域の類型ごとに、それぞれ七十WECPNL以下、七十五WECPNL以下という基準値が示されております。そして、飛行場の区分ごとに、環境基準の達成期間が「直ちに」「五年以内」「十年以内」「十年をこえる期間内に可及的速やかに」というふうに定められております。このうちで「十年以内」及び「十年をこえる期間内に可及的速やかに」というふうに期間が定められているものにつきましては、「改善目標」があわせて定められております。
  143. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに、この告示によると、七十五WECPNL、この基準は十年以内に屋内で六十WECPNL以下にせよということで、今、民家の防音を運輸省は盛んにやっておるわけですけれども、その七十五から七十一、要するに七十以下ですから七十までの間ですね、ここはいつまで達成しとは書いてないのですね。したがって、七十以下というのは地域指定は住宅専用地域ですね、これに対しては環境庁はどういう所見を持っておるのか、ひとつお聞きしたい。
  144. 小澤三宜

    小澤説明員 環境基準におきましては、基準値の達成期間というものは、先ほども申し上げましたけれども、飛行場の区分ごとに「直ちに」ですとか「五年以内」「十年以内」「十年をこえる期間内に可及的速やかに」というふうに定められておるわけでございまして、Ⅰ類型、Ⅱ類型ともそのような飛行場の区分ごとの達成期間となっているわけでございます。
  145. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、私の質問がちょっとあれだったんだけれども、「第一種空港(新東京国際空港を除く。)」と書いてあるのですが、これが大体大阪空港だろうと思うのです。この第一種空港で十年以内に六十WECPNL以下に屋内の措置、民防をやるというようなことに考えられるのですが、このⅠ「七十以下」のところは達成期間が書いてないのです。これはどうなんですか、七十四から七十までの間のところ。
  146. 小澤三宜

    小澤説明員 第一種空港につきましての環境基準の達成期間でございますが、「十年をこえる期間内に可及的速やかに」ということでございます。ですから、先生おっしゃいましたⅠ類型につきましても、その達成期間は、十年を超える期間内に可及的速やかにというふうになっております。
  147. 岡本富夫

    ○岡本委員 ということは、現在運輸省は七十五以上のところを騒音コンターにしているわけですね。七十から七十五までの間のところはまだやってないわけです。  そこで、もう一つ環境庁に聞いておきますけれども、これを見ますと、都道府県知事が地域指定するんだというようになっておるのですが、今まで見ていると、運輸省が指定をする、都道府県知事はやらない。したがって、七十五から七十までの間のところを都道府県知事が指定すれば、この住宅の専用地域は対策をやらなければならぬ、こういうことになるわけですが、もう一遍環境庁の御意見を伺いたい。
  148. 小澤三宜

    小澤説明員 都道府県知事が定めておりますのは、環境基準におきます地域の類型の当てはめでございまして、大阪空港につきましては、五十一年七月二日に兵庫県及び大阪府、両方につきまして地域類型の当てはめが行われておりますけれども、両府県ともⅠ類型の部分も、ございます。
  149. 岡本富夫

    ○岡本委員 Ⅰ類型の指定された範囲というものは全然運輸省から示さぬわけなんですが、七十五以上のところだけはこういった騒音コンターを引いて自治省に示す。そのために、七十五から七十、この中間は全然自治省の方には連絡が行ってないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  150. 関根則之

    ○関根政府委員 WECPNL七十五以上の線につきましては私どもデータをもちろんいただいておりますが、それ以下のものにつきましては詳しいデータはいただいておりません。
  151. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこに問題がありまして、今環境庁に聞くと、七十五から七十、この中間の騒音の地域も都道府県知事が、大阪府知事あるいは兵庫県知事が地域指定している。けれども、運輸省の方は知らぬ顔して、ほおかぶりして、そして七十五以上だけを自治省に通達する。そうなると、結局それだけ世帯数は、例えば今言いました西宮なんかは入らなくなってくる。そこがちょっと僕ははっきりしない。あなたの方は七十五以上だけ調査してもらったわけだ。本当は七十以上じゃなければいけないのです、環境基準は。十年を超える達成期間ですからね。四十八年に告示しているわけで、もう五十八年は済んだのです。  そういうことで考えて、もう一度自治省の方から運輸省に言って七十以上の騒音コンターをもらって、そして世帯数をあれしてきちっとやれば、これはしっかりした本当の対策ができると私は思うのです。この点、いかがですか。
  152. 関根則之

    ○関根政府委員 七十五以上に限りまして現在譲与税の配分対象をとっておるわけでございますけれども、これは、騒音対策等を集中的に、重点的にやっていかなければならない地域がそういうことで区分できるのではないかという考え方に基づいておりますし、また、各省でやっておりますいろいろな騒音対策の補助金等につきましても、大体そういった基準で補助金の交付が行われておる。補助金が交付されますと、その裏負担の問題が、地方団体としては財政負担が出てくるわけでございまして、そういった経費にもこの譲与税を充当する、お互いに関連があるものでございますから、現在私どもといたしましては、補助対象の中心になっております七十五以上をとって譲与税を配分している、こういう仕組みになるわけでございます。  それをさらに下げたらいいではないかという御議論でございますけれども、仰せこれはいわばゼロサム・ゲームみたいな形になっておりまして、元が決まっておるわけですから、それを対象を広げてやりますと、本当に騒音のひどいところへの配分額が薄まってしまう、そういう問題もありますし、現在七十五以上のところにおきましても相当額の財政需要がありまして、必ずしも十分あって余っておるというような状態ではないわけでございますので、そういった状況を考えますと、配分の対象を七十以上に今ここですぐに広げていくということは、なかなか難しい問題があるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  153. 岡本富夫

    ○岡本委員 西宮市はこの線引きの前、七十五の前に入っておったんですね。そして今言ったように、共同利用施設や学校はそのまま今使っておるわけです。何も新しいものをと言っているわけじゃない。ひとまずそれを引き揚げて今の七十五以上のところに渡す、こういうところは私理解ができないわけですね。じゃあ、もうそこは必要なくなったのかといえば、やっぱり必要だ。なぜか。まだ環境基準に達していない。同時に、今まで防音をやったりいろいろなことをしたところは今から外すわけにいかないのです。七十五から七十四、七十三になっても住民の皆さんの迷惑はそう変わらないわけです。学校の授業をするのは変わらないわけですよ。したがって、わずかなことですから、やはり一考することが私は大事だと思うのです。その点もう一度。
  154. 関根則之

    ○関根政府委員 確かに、地域によりまして騒音の状況というのは年々変化をしてくるわけです。したがって、騒音のレベルが七十五を下回るかあるいは超すかということをずっと見ておりまして、それが七十五以上の世帯数が全然なくなっちゃった場合に、翌年からすぐに配分をとめますと、今お話がありましたような共同利用施設をつくって、維持管理が始まっている途端に譲与税がゼロになるという問題が生じまして、実際上不都合が出てまいりますので、いわゆる激変緩和措置というものを私どもはとっておりまして、今御指摘の場合には、実は五十四年からは配分対象はなくなってしまったわけでございます。しかし、それはやはり激変を来しますので、五十四年以降五十八年まで五年間にわたりまして激変緩和措置をとりまして、一定の係数に基づきました配分をしてまいったわけでございます。  当然団体の方におきましては、そういう形でルール上だんだんなくなりますよということもわかっておりますので、その間に市の財政全般の中でいろいろと工面をし対応をしていただきたいということもお話し申し上げておりますので、そういう激変緩和措置をとることによりまして、非情なようではございますが、一定の基準で配分せざるを得ないということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  155. 岡本富夫

    ○岡本委員 だから、私たちが本例について論議したときも、政令になったら全然変わってくるのですね。いろいろ細かいことを書いてありますけれども、政令になるとちょっと最初の目的と変わってくるように感ずる。公選法もそうだったのですけれどもね。いずれにしましても、もう一度検討をしていただきたいことをきょうは要求しておきまして、次に参りたいと思うのです。――運輸省来ておりますね。  先ほど環境庁から話がありましたように、七十までが環境基準、これも住宅専用地域だけですけれども、入っている。それまでの環境基準を満たさなければならぬということになっておるのですが、まだあなたの方は七十五しか基準にしていない。したがって、七十四から七十の住宅専用地域の対策は今後どうするのか、これをひとつお聞きしておきたい。
  156. 川崎正信

    ○川崎説明員 運輸省といたしましては、航空機騒音に係る環境基準に示されました目標の早期達成という観点から、従来から低騒音機等の導入という発生源対策を強力に推進いたしております。また、騒音の影響が残ります地域につきましては、居住者の移転を促進いたします一方、当該地域に引き続き居住されます方々に対しましては、住宅の防音工事という形で支援対策を進めてまいったわけでございます。  住宅の防音工事につきましては、御案内のとおり、五十七年三月に対象区域を従来のWECPNL八十という区域から同七十五へ拡大したところでございまして、現在、拡大いたしました区域内におきます工事の早期完成を目指しまして全力を挙げて対処しておるところでございます。  WECPNL七十五から同七十までの区域内における対策につきましては、今後の発生源対策の進展なども総合的に見定めながら、慎重に検討することが必要である、かように考えでございます。
  157. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁から告示されたのが四十八年ですね。七十以下が望ましいとちゃんと環境基準を出されておるわけです。あなたの方はまだ七十五以上しか対策をしていない。七十五は今やっているんだと思うのですが、本当は、もう十年超えておるわけですから、七十までの環境基準達成まではまだ考えていないというようなことではお話にならないと私は思うのです。したがって、これに対する対策を今どういうように検討し、またやろうとしておるのか、ここらあたりをひとつお聞きしておきたい。
  158. 川崎正信

    ○川崎説明員 先ほども申し上げましたとおり、大阪国際空港につきましては、非常に広大な地域でございますが、現在七十五以上の区域の事業を鋭意行っておるところでございまして、その完了にはまだ時間がかかりますもので、その後の段階におきまして、激甚な地域の対策ともあわせまして検討していくべき課題と考えでございます。
  159. 岡本富夫

    ○岡本委員 だから私は、飛行場部長に来てもらわないときちっと答えができないということで政府委員室に言ってあったんだけれども、課長さんではちょっと無理だと思うので、またこれは次の機会にもう一遍やりますから、それまでに、対策をどうするかきちっと年次計画を考えておいてください。費用もかかると思うんだけれども、しかし住宅専用区域だけになりますからね、その他の地域はいいということですから、その地域を知事が指定しておるわけですから、どういうふうにするかという目標というものをつくって示していただきたい。これを要求しておきます。  そこで、運輸省に聞いておかなければならぬことは、大阪空港の夜間の発着午後九時、これをきちっと厳守するかどうか。
  160. 川崎正信

    ○川崎説明員 大阪国際空港におきます夜間の航空機の発着につきましては、昨年十一月に地元の大阪国際空港騒音対策協議会からこの点につきまして意見照会がございました際に回答したところでございますけれども、現在、同空港におきましては午後九時以降発着するダイヤの設定を認めておりません。また、当面午後九時以降発着するダイヤを認める考えはございません。  この問題につきましては、大阪国際空港の利用についての国内的、国際的な要請の動向と、空港施設、それから周辺環境等にかかわります諸条件を十分見定めまして、関係地方公共団体の意向を尊重いたしまして総合的に判断してまいりたいと考えております。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはもう午後九時を厳守してもらわなければ困るのです。時間がありませんから……。  この前、一つの裁判が決着して和解されたわけですけれども、今まだ残っておるのが、被害を受けた住民の中から伊丹市等で第一次から第九次まで調停を申請しておるわけですが、この調停の進行状況について公害等調整委員会に伺います。
  162. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 お答え申し上げます。  大阪国際空港において発着する航空機の騒音公害に係る調停申請の事件でございますけれども、これは昭和四十八年以来二十四次にわたりまして、地域としましては伊丹、宝塚、尼崎、大阪、川西、この五市の関係住民、全部で二万三百人からなされているわけでございます。  この請求事項でございますけれども、これは三点ございまして、一つは、将来大阪空港を飛行場として使用することをやめてくれということでございます。次は、それまでの間航空機の騒音を一定以下に軽減してくれ、それから第三点は損害賠償でございまして、これは賠償請求する者の各人につきまして、過去の損害あるいは将来の損害について賠償してくれという、この三点でございます。  当委員会では、調停委員会を設けまして申請以来手続を進めております。これまでに、騒音防止対策につきましては一部調停が成立いたしました。また、空港撤去問題につきましても、一部の申請人を除きましてほとんど全部調停が成立しております。したがって、残る問題は損害賠償に関するものでございますが、これは裁判所に係属中の訴訟が幾つかございまして、まず、第一次の分につきましては最高裁判所の判決が五十六年十二月にございました。これは第一次から第何次かにわたってございました。それからその次のグループ、後発のグループにつきましては、地裁にかかっておりまして和解が最近できたところでございます。  これからどういうふうにするかということが御質問の御趣旨かと思いますけれども、鋭意進めてまいりたいと考えておりますが、とりあえず四月二十七日に調停期日を予定しておるわけでございます。
  163. 岡本富夫

    ○岡本委員 これも公害等調整委員会の法律をつくって、裁判では非常に高くつく、また非常にかかるということで、公害等調整委員会の方に住民の皆さんが提訴しておるわけですね。いよいよ第四次まで大体和解できた。決着がついたその判例が要するに一つの目安になろう、こういうふうに考えておったのです。したがって、できるだけ早く決着がつくように進行を急いでもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  164. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 先生の御趣旨は十分わかりますので努力いたしたいと思いますが、調停という事柄の性質上、当事者双方の主張とか態度にかかわる問題でございます。したがいまして、現段階で早くやるというようなお約束はできないわけではございますけれども、しかし、当委員会としましては円滑な調停が行われるように今後とも努力してまいりたいと思います。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 あと時間がなくなりましたので、建設省来ておりますね。  これは、阪神道路公団の湾岸道路の計画につきましてどうなっておるのか、また今後どういうようになっていくのかということを御説明願いたい。  なぜかならば、この湾岸道路を設置するについては、計画を見ますと、尼崎市の鉄鋼団地がその中に入っておる。この鉄鋼団地というのは国の施策によってできた団地でありまして、それにできるところの取りつけ道路あるいは公園、こういうものは皆市が計画してやったものです。これが今度撤去しなければならぬ、それを移転しなければならぬ、こういうことになると、市がいろいろと関与しなければならぬことがたくさんある。先般もこの問題が実は市会でも問題になったのですけれども、市の方では、阪神道路公団の方の計画とかそういうことはわかるのだけれども、いつ実施して、いつどうするかということがわからないためにいろいろ手が打てないわけです。  これをずっと見ますと、昭和五十五年七月八日にこれが計画決定しておるようですが、その中にある立ち退かなければならぬという鉄鋼団地、最近は機械もどんどんいいものをかえなければならぬ、あるいは設備もかえなければ乗りおくれるということですが、いつそこを移転してくれということになるかわからないからそれもできない、こういうことで非常に迷惑をしておるわけなんです。市の方は市の方で、私が今話したように道路公団のはっきりしたやり方がわからないために手が打てない。これはひとつできるだけ早くやってもらいたいと思うのですが、今わかっておる範囲でよろしいから御説明願いたいと思うのです。
  166. 上條俊一郎

    ○上條説明員 御説明申し上げます。  まず、最初の湾岸道路の整備現況でございますけれども、これは大阪湾に沿いまして神戸市の垂水区から泉佐野市に至ります全長約九十キロの路線でございますが、このうちの三十八キロ、区間で申しますと神戸市の東灘区の魚崎浜町から泉大津市の臨海町まで現在阪神公団で事業を進めておるところでございます。この間におきまして、四十九年七月には港大橋関連の二キロが供用いたしまして、さらに五十七年九月にはこれから南に約六キロ供用いたしまして、現在八キロが供用されているところでございます。  先生の御質問のございましたこのうちの尼崎市の鉄鋼団地の問題につきましては、先生御指摘ございましたように、これは尼崎市の市内中小業者、中小工業団地を埋立地に集めまして、二十七社ほどまとまって工業生産の稼働をしてございますけれども、ここに当公団のルートがかかりまして、そのうちの八社につきまして抵触するという状態になったわけでございます。この区間につきましては、大変移転に手間取ることがございますので、早くから市を介しまして鉄鋼団地組合と折衝等を始めてまいってございます。ただいまのところ、移転についての方法論については御了解は得ていると報告されておりますけれども、その移転に伴いまして代替地を必要とするという状況がございまして、その代替地の移転先にこみ処理場があると聞いておりますが、その移転先についての協議ができてないということで、結果として進んでないと聞いております。  先ほど先生お話しのございましたいつかかるかということでございますが、既にこの区間の事業化はなされておりまして、用地の折衝を始めているところでございます。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 これも、公団ですから若干親方日の丸的なところがあって、ゆっくりやったらいいではないだろうけれども、係が次々かわるたびに折衝もおくれるわけです。本当に真剣に取り組むのは、一番被害を受ける鉄鋼団地の人たちなんです。これはいつどうなるかわからぬ、ところが公団の方は、できなければ後でもいいだろう、どんどん後回しにしていく、これは非常に困るわけです。したがって、私はこの委員会で初めてこれを取り上げたわけですけれども、時間がありませんから、経過あるいはまた今後の方針、どういうところが隆路になっておるか、これについて公団として十分取り組むように、それからごみ処理場と言っておりましたけれども、そればかりにとらわれずに、どこかほかにあれば、そういうところも何とかして極力早く解決するように措置を願いたい、これを強力に申し上げておきます。公団の方へ言ってください。  林野庁の方は、続いて質問しようと思ったけれども、時間が参ったから、これはまた後で直接お話をいたします。  きょうは、時間が参りましたから、終わります。
  168. 大石千八

    大石委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時十分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十分開議
  169. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原哲太郎君。
  170. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大変御苦労さまでございます。  警察行政は、民主主義の基本であります法秩序を守り、民生を安定せしめ、社会正義があらゆる地域の中で生まれ、平和な社会を維持することにございます。  近年、経済の混迷や社会の多様化に伴って、人心の変化も複雑になっております。物質的な豊かさのみが追求され、精神的な充実感が薄れ、人々の心がすさみつつあるわけでございます。そのような心の不安定につけ込みまして、快楽を求めようとするような風俗産業の横行が社会的な問題を引き起こしておるわけでございます。特に覚せい剤等の薬物事犯の現況は、青少年あるいは婦人を巻き込みまして、史上最悪の状況と言われておるわけでございます。社会的にも大きな問題になっておるわけでございます。  私は、近代国家を毒するこの覚せい剤等薬物に関する諸問題につきまして、この機会に警察庁を中心といたしまして、若干の質疑を展開をしてまいりたいと思います。  まず、覚せい剤に係る犯罪の発生件数、状況は一体どのようになっておるのか。特にこのごろでは女性の数も多くなってきているというように聞いておりますが、男女の別、年齢別はどうなっておるのか、その推移について伺いたいと存じます。
  171. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 お答えいたします。  覚せい剤の検挙でございますけれども、昭和四十五年以来一貫して増加を続けてきておりますが、ここ二、三年、やや増加傾向が鈍化いたしまして高原状態は呈し始めているものの、昨年の検挙人員は二万三千人を超えております。五十七年とほぼ同様の高水準を続けているという状況でございます。  今お尋ねの男女別でございますが、昨年のデータで申しますと、男性が一万九千三百人余り、女性が三千九百人余りでございます。ただ、男性は前年に比べて二百七十人ばかり減少をいたしました。しかしながら、女性は二百六人ふえております。そういうことで、男性の方はやや頭打ちの傾向を示しておりますが、女性の方は五十四年以降大体一貫してふえておるという状況が出ております。  それから年齢別のお尋ねでございましたが、二十代から四十代前半のいわゆる働き盛りの年代が圧倒的に多数を占めておりまして、二十代前半の者がやはり第一位でございます。全体の比率は一九・四%、四千五百人余りということになっております。
  172. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 このような覚せい剤に係る犯罪の検挙の件数、人員だとか犯罪者の実態、そういうものがどのような動きがあるのか。それから、こういう覚せい剤を一度使用した者は再犯をするケースが大変多いように伺っておりますが、その状況について御報告を願いたいと存じます。
  173. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 後で犯罪の実態を申し上げますが、まず、再犯といいまして、以前覚せい剤を施用いたしまして検挙されて、再び覚せい剤で検挙されたというのをとってみますと、これは実は逐年その率は増加をいたしておりまして、昨年、全体の検挙人員が二万三千三百名余りでございます。そのうち再犯者の数は一万六百九十人余りでございまして、全体の四五・九%を占めるに至りました。四年前の五十四年のデータで見ますと、この再犯率は三七%でございますので、約九%ばかり再犯率が上がっておるという状況にございます。  それからもう一点、お尋ねの検挙の状況でございますけれども、事件の発生件数は昨年七百五十八件でございまして、これは覚せい剤に係る事犯で警察庁に報告のあったものでございます。前年に比べまして百五十件ばかり減少はいたしております。しかしながら、いわゆる殺人、放火、強姦等の凶悪犯罪はほぼ前年並みでございまして、依然として後を絶たない状況にございます。
  174. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この覚せい剤は、実際日本で生産されているわけじゃないのでございまして、近隣諸国から密輸をされてくるわけでございますが、どのような地域からどのような方法でこれが密輸され、日本に入ってきておるのか、こういう現況についてどのように把握されておるか、お伺いしたいと思います。
  175. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 現在、覚せい剤はほとんどが外国から密輸入されている状況でございまして、昨年の例で申しますと、韓国が大体四分の三でございます。その他は四分の一が台湾ということになっておりまして、これが昨年の状況でございます。おととしは韓国が九〇%以上でございまして、あと香港ルートがその残りのほとんどでございましたけれども、昨年はそういうことで香港ルートが途絶えまして、台湾ルートに変わっておるというような状況になっております。
  176. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 五十八年度の青少年白書によりますと、青少年の覚せい刑事犯が年ごとにふえてまいりまして、五十七年度では検挙人員が二千七百五十人に達しておる、こういうことでございます。前年度に比しましても百七十五名、大変増加をしておる傾向にあると言われております。それから、女子中学生が恐るべき数字で、全体の三八・二%という状況になっておると言われておるのでありまするが、なぜ特に女子中学生にふえておるのか、これはどういう原因によるものか。また、特に青少年の中で職業を有している音あるいは無職の青少年に多い。いわゆる中学を出てから働いておられる方々、それから進学その他ができないでいわゆる無職の青少年、こういう者に大変覚せい剤事犯がふえてきておるという現象を警察当局としてはどのように考えておられるのか。  特にこのごろは青少年の非行化というものが学校教育の中でも大変問題視されておるわけでございまして、特に十三歳、十四歳というようなことで年齢が低くなってきておる。高校生から中学生へと年齢が低下をしておるという現象の中で、しかも校内暴力等も非常に過激な、いろいろのものを持ってガラスをぶち割るとか、そういうような傾向があらわれておる。私は、やはり一連のそういうものとの関連があるのではないかというように考えられるのですけれども、この辺はどのように分析されておられるか。  というのは、そういうことがこれから風俗取締法、あるいは風俗取締法よりはいま少しやわらかい名前をつけるとか言われておりますけれども、私は前にも新宿の問題を取り上げましたけれども、そういうものと青少年の健全育成という絡みの中で物を考えていかなければならぬのではないかという意味で申し上げておるわけでございますから、ひとつその辺の見解をも含めましてこの機会に伺っておきたいと思います。
  177. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 大変年少の少年にふえておる原因でございますが、先生おっしゃるとおり、現在の社会なり風俗の環境の悪化あるいは享楽的風潮というものを反映して、少年非行も一般に増加し、低年齢化し、かつ、そういう形で覚せい剤の問題も同じような基盤に立つものというふうに私どもは考えております。  それから、先ほどの有職、無職少年に多いという問題でございますけれども、こういう年長の方の少年はある意味では暴力団あるいはこれにつながる暴走族等に加入をいたしまして、また、そういう影響を受けまして、そういう中で乱用される者が多いというふうに私どもは考えておるところでございます。
  178. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま覚せい剤が結局暴力団とかそういうところから渡っておるというようなこともお話がございましたけれども、警察庁としては、青少年に対する覚せい剤の汚染の防止対策といったようなものを具体的にどう考えておられるのか、非常に関心事でございますので、この機会に伺っておきたいと思います。
  179. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 大変少年にふえておるという問題はゆゆしいことだと考えておりまして、学校なり職場と緊密な連携をとりながら、こういうふうなものの害悪というものをよく知ってもらうということを徹底してやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういう意味で、先ほどのように学校なり職場と十分連絡をする、また我々の方も、そういう少年少女を対象としてパンフレットだとかミニ広報紙だとかそういうものを効果的に活用していく、あるいは各種の座談会その他でもそういう問題をよく提起しPRしていく、乱用を拒絶する社会環境づくりを進めていかなければならないということで努力をいたしております。また、こういうふうな乱用者を抱えて大変悩んでいる家庭も多いわけでございますので、気軽に相談できる、そういうふうな窓口といいますか、あるいは窓口だけじゃなくて相談の電話というものも設置して、相談体制の充実を図って、できる限り相談に乗ってそういうものを未然に防止するという形に持っていきたい、こんなふうに考えております。
  180. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 特に、近年になりましてから覚せい剤が婦人というか主婦の間に非常に蔓延しつつあるという傾向が出てきておると伺っております。特に注目すべきことは、地方の方でもこういう現象が出てきておると言われておるわけでございまして、全国的な情報も収集されておると思いますので、その状況、それに対する対策は具体的にどう進めておられるか、伺っておきたいと思います。
  181. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、主婦もかなり検挙されておる状況がございます。これは都市部に限らず、地方部におきましてもそういう傾向が見られるわけでございまして、最近三年間ぐらいの状況を見ますと、主婦の中でも大体五百名前後の人たちが検挙されておるという状況になっておるわけでございます。
  182. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、覚せい剤の全国的な押収量というものはどの程度か。私の調査によれば、税関と警察などを含めて、五十七年度で百十八キログラム、うち税関の占める割合は六六%だと言われておるわけですね。一人当たりの押収量が、税関が五十グラム、税関は水際作戦をやっているから多いわけでしょうが、警察その他が一人当たり五・三グラムということでございます。しかし、向こうから入ってくるのは一体どのくらいあるだろうかと推定すると、警察庁による調べですと二トン、二千キログラムですね。それから麻薬の白書によりますと三トンぐらい、三千キログラム、こういうようなことでございます。  そうすると、私どもが一番心配なのは、これからまた伺っていきますけれども、実際入ってくる数量と押さえる数量との格差が余りにもあり過ぎるのですね。そうしますと、結局、押さえるのは少しですから、あとは日本じゅうに蔓延しているのじゃなかろうかという、これは率直な、素朴な感じを抱いておるのです。この数字を見て、私もこれを勉強しながらびっくりしておるわけなんですが、警察当局として、こういうものをどのように把握をしながら、そしてそのことについて今日までどのような対策を進めてこられたか、その辺のことについてもこの機会にちょっと伺っておきたいと思います。
  183. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 覚せい剤の押収でございますが、先生からお話がありましたように、この押収は税関等と協力をして今まで検挙に努めてきたわけでございます。お話しのとおり、五十六年には約百四十キログラム、五十七年百六キログラム、五十八年九十九キログラムということで、残念ながらこのところ押収量が減ってきております。密輸入の仕方がだんだん巧妙になってくる、しかも小口に分けて入れるようなことがだんだんふえてくるというようなことがございまして、これは知恵の戦いでございますので、私どももさらに知恵を働かしてこういうものの押収に努力をしていかなければならない、かように考えておるところでございます。
  184. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 輸入用の貨物の中にそういうものが入ったりコンテナの中に入ったり、いろいろしているわけですが、大蔵関係の方おいでになっていると思いますけれども、これは警察も、それから税関の方も、水際作戦と申しますか、そういうことでできるだけ検査を効率的にやって強化をするという方針でおられると思うのですけれども、実際検査をする全体量からいえば、輸入貨物の申告件数が二百万件、そのうち実際の検査をする率というのはたったの九%程度ということでございます。それから、コンテナの貨物の申告件数が十六万件あればその検査率は二%内外、こういうことでございますと、先ほどのお話のように、相当巧妙でしょうけれども、国民から見れば、巧妙にどんどん入ってくるのを認めて、いわゆるおかしな人間をつくり上げるという状態あるいは非行少年をつくり上げるというものを黙過しているわけにはいきません。  したがいまして、こういうものに対して現状報告をしてもらうと同時に、一体どういうことを考えておられるか、この機会に伺っておきたいと思います。
  185. 森厚治

    ○森説明員 密輸に対する税関当局の検査体制について、現状はどうであるかという御質問でございます。  税関における監視取り締まりにつきましては、現在全国九つの税関に約八千名の職員が従事しておりまして、そのうち約二千名が監視取り締まりの仕事に当たっております。特に主要な空海港におきましては、当直制によりまして二十四時間監視取り締まり体制を採用するなどいたしまして、万全を期しているところでございます。しかしながら、御指摘にもありましたように、近年の貿易の伸長、それから空港における入国旅客者の増加などに伴いまして税関の業務は年々増大し、かつ複雑化の一途をたどっております。他方、税関の定員事情の方は、御承知のような非常に厳しい状況にあるわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、税関当局といたしましては、監視取り締まりに当たりましては、銃砲あるいは覚せい剤、大麻といったようないわゆる社会愚物品の水際における摘発を最重点目標として臨んでいるところでございます。限られた人員でやっておるわけでございますが、できるだけ検査を効果的かつ効率的に行うために、情報収集の強化に努め、かつまた関係取り締まり機関との連携を図るほか、エックス線装置といったような取り締まり機器あるいは麻薬犬といったようなものの整備強化を図ってまいったわけでございますし、今後とも、この方向でできるだけ取り締まりの効率化を図っていきたいと考えているところでございます。
  186. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これは、私自身も素人でございますけれども、人員も少ないことですし、本当にこの仕事を的確に、検査率というかそういうものを高めるということは非常に大変なことだと思います。例えば、きょうのニュースでもやっておりましたけれども、コンテナなんかは一々あけるわけにはいきませんので、科学兵器じゃございませんけれども、エックス線か何かで、中に何が入っているか、ばあっとあけたらガーッと音がするとか、何か近代的なものを考えてやらないと――笑っておられる方があるけれども、私自身も全く素人ですけれども、貨物船が入ってきて膨大なものを検査するというのは容易なことじゃないと思うのですよ。私は、この検査官は大変な苦労をすると思うのですね。あるいはどこかに行けば暴力団その他の脅迫を受けるかもしれませんし、大変身の危険を感じてやっておられるのじゃないかと思う。私は御苦労を大変多としているわけなんです。  したがいまして、財政も厳しいといっても、そういうものを入れないための科学兵器と申しますか、そういうものもこの機会に――人員をどんどんふやすわけにはいかないでしょう、行革だ何だといって厳しいし。しかし、こういうどうしても必要なところは人間もふやさなければならぬと思いますけれども、ともあれ、その辺のところを今までの旧態依然たる方法で検査をするということでは私はつまらぬと思うのですね。その辺のところをどういうようなことを考えておられるのか。  それから、これは外交上の問題もあるかもしれませんけれども、韓国であるとか台湾であるとか、この間はフィリピンからけん銃が密輸されておりましたけれども、そういうところの国々は、日本にこういうものを密輸をすることについて一体どういうあれをしておるんだろうか。国際親善の面もありまするけれども、少なくとも、大変日本としては迷惑を受けているわけですから、この辺の処置というのは何らか日本としても考えていいんじゃないかと私は思うけれども、この辺のところは何かございましょうか。
  187. 森厚治

    ○森説明員 まず御質問の第一点、検査の方法の問題であろうかと思います。これにつきましては、先ほどもちょっと申しましたが、限られた人員でできるだけ効果的かつ効率的な検査を行わなければいけないということで、私どもその手法の改善に日夜努めているところでございます。  特に取り締まり機器を充実する。御指摘のエックス線装置につきましては、コンテナのような巨大なものにつきましてはこれを通すような装置というものはちょっとまだ日本では開発されてないわけでございますが、例えば空港における手荷物の持ち込みのような小型のものにつきましては、空港においてエックス線装置を用意いたしまして、これを十分に活用するという方向で努めております。それからコンテナのような中を見ることが非常に難しいものにつきましても、すき間があればそこからファイバーを突っ込んで中の状況を見ることができるというファイバースコープという機械がありますが、こういったものの活用にも努めているところでございます。また、非常ににおいに敏感な麻薬犬といったものを育成いたしまして、これによって空港その他海港においても活用しておりますが、麻薬類あるいは覚せい剤の摘発に努めているところでございます。  私どもといたしましては、こういったような取り締まり機器をできるだけ充実いたしますとともに、情報収集の強化に努めまして、極力効率的かつ重点的な取り締まりを行っていきたいと考えているところでございます。  それから御質問の第二点の外国との関係、特に外国から情報等の収集をする必要があるのではないかという御質問であろうかと思いますが、この点につきましては、私どもいろいろな形で情報収集に努めております。  一つは、各国税関のいわば合議体であります的税協力理事会というのがベルギーのブラッセルにございますが、ここを中心といたしまして、これに加入している各国税関の間で情報の交換を図っているところでございます。  それから、特に問題のある国につきましては、その国と二国間でいろいろな話し合いを行いまして情報の収集に努めているということもございます。覚せい剤の場合は韓国でございますが、韓国につきましては覚せい剤問題日韓連絡会議というのがございまして、五十七年七月に第一回を開いて本年二月にも第二回目を開いたところでございますが、政府・各官庁が集まりまして覚せい剤問題について日韓政府ベースで話し合いますとともに、必要な情報連絡等に努めているところでございます。それからまた、税関プロパーといたしましては、カウンターパートでございます韓国の税関との間で、これも年一回、日韓税関連絡会議というのを開催いたしまして話し合いを行いますとともに、情報の収集に極力努めているところでございます。  私どもといたしましては、問題国との間でこういった情報収集に極力努めることによって情報収集活動を強化し、そしてそれによって検査を効率的に行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  188. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 韓国との関係、その他そういう供給地になっている国は、やはり大変関心を持って努力をしてくれております。今もお話しのように、外務省を中心に覚せい剤問題の日韓連絡会議その他を開いて、実際に情報交換を密にしてやっていきましょうということで非常にいろいろな形で進めておるわけでございます。  私の方のプロパーの方でまいりますと、国際刑事警察機構というのがございまして、この機構を通じまして捜査官を派遣したりというようなことで、絶えず情報交換を行って大変協力をいただいておるところでございます。また、私の方は、ほかの国につきましても、国際協力事業団と協力いたしまして毎年麻薬犯罪の取り締まりセミナーというのを日本で開催いたしまして、関係各国に参加をしていただきまして、そこで緊密な連携、情報交換等もやっているという状況でございます。
  189. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま警察庁からもあるいはまた実際の関税局の関係者からも実情についての御報告をちょうだいいたしましたけれども、今麻薬の日本に入ってくる状況というのは、私ども国民にとっても大変憂慮すべき状況下にあるというように理解をいたします。今全体では二トンないし三トンくらいは一年間に入るであろうと思われるのに、実際は百キロ内外しか押収できない、こういう状況下でございまして、これはやはり放置しておくことはできないのではないかと私は思うのです。  したがいまして、自治大臣として、このような覚せい剤の問題について総合的にどう把握をされているか、また、この問題についての取り組みの所信についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  190. 田川誠一

    ○田川国務大臣 藤原さんが覚せい剤の問題をこうしてお取り上げいただいた、私どもも大変うれしく思っております。  仰せのように、この問題は今治安上非常に重大な問題でありますと同時に、国民にとりましてももうゆるがせにできない問題でございまして、こういう問題を少しでも解決していくには、供給先と受ける方の側の遮断をまず考えていかなければならぬ。それと同時に、今度は受ける方の側をできるだけ取り締まって、また、先ほども保安部長から申し上げたように、こういう覚せい剤がいかに大きな悪い影響を及ぼすか、また、それをとった人間がどんなに不幸な目に遭うかという恐ろしさを十分啓蒙していくことが大事ではないか。  私も警察担当として国家公安委員長を仰せつかりまして、警察庁からこの覚せい剤についての状況を随分聞きました。これはもう何をさておいてもこの問題を重点的にやっていかなければならない。私も国家公安委員長として警察庁を叱咜激励してこの問題に取り組んでいきたい、このように思っております。
  191. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 自治大臣の国家公安委員長としての決意を伺いました。どうぞひとつその点は、今お話しのように最大の努力をされるように御期待を申し上げます。  それから、警察庁おいででございますので、この機会に関連をいたしましてお伺いをいたしたいと存じます。  実は四月十二日の新聞の報道によりますと、大量のピストル、短銃が警視庁と東京税関によって摘発された記事が大きく報道をされております。短銃二百五十五丁、こういうことでございまして、しかも、どうも密輸入をした商社というのが暴力団の系統であるということもまた新聞報道で明らかのようでございます。新聞報道ではどうも私ども議員としてはいかがかと思いますので、その詳細な報告をこの機会に伺っておきたいと思います。また、この対策はどう進められようとしておるか。
  192. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 四月十二日付で報道されましたフィリピンからのけん銃の大量密輸入事件でございますけれども、これは四月十一日に、警視庁が東京税関と協力をいたしまして、フィリピンのマニラ港から東京港大井埠頭に到着いたしましたパナマ船籍の貨物船のコンテナの中に隠匿されておりましたけん銃の大量密輸入事件を検挙したという事案でございまして、お話しのとおり、けん銃二百五十五丁、同実包三千九十八個を押収いたしました。さらに暴力団幹部を含む五名を銃刀法違反で逮捕いたしております。このコンテナは、ことしの三月三十一日にマニラ港で積み込まれまして、四月十日に東京湾に着岸したものでございます。  事件の詳細につきましては、現在捜査中のところでございます。
  193. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今事件の詳細は調査中ということでございますが、これは少なくとも新聞報道程度のことは本当でございましょうかね。
  194. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 大体新聞報道に近い事実でございますけれども、まだ事実を確認できてない部分がございます。
  195. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 麻薬にいたしましても短銃その他にいたしましても、密輸をしてきて国内に販売をする、新聞によればいわゆる暴力団その他が介入しておる、こういうように言われております。大体そういうものの資金源になっているのではないかとよくちまたで言われておるところですが、そういうものの率、暴力団や何かでやっている率はどの程度の率になっているのか。これは皆さんの方では御掌握されておると思いますけれども、伺っておきたいと思います。
  196. 鈴木良一

    ○鈴木(良)政府委員 けん銃を押収いたしまして、その押収の中で暴力団に係るものというのは、年によって違いますが、大体九〇%を超えておる状況でございます。
  197. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 私どもは、民主国家、それから平穏な地域社会を維持をしたい、こういうことを願う面からいいまして、人間社会において殺傷事件その他のないこと、そういう平和な社会を望んでおるわけでございます。  そういう意味からいっても、こういったようないわゆる銃砲等を密輸することによって、人命を奪うとかあるいはまた凶悪な犯罪を犯すとか、そういうものが増加をするような原因をできるだけ摘まなければいかぬと思うのですね。やはりそういうことが大切なことだと私は思うのです。だからそういう意味で、やはり国民に大きな不安を与えるような要素というのは、社会正義の名におきましてもぜひひとつ皆さん最大の努力を払ってほしいと思うのです。  それから、例の風俗取締法の一部改正、まあ取締法というか、警察庁当局でも風俗営業法の名称についても大変お考えをいただいておるようでございますが、従来の、風俗と言えば悪だ、こういうような観点ではなく、風俗でも健全なる娯楽だというような感じのものも出していこう。私はこの背景には、少なくとも日本人として陽と陰というものがあるならば、この明るさの部分を最大限ああいう人が集まるような盛り場でも出していく、いわゆる陰となるか、いわゆる悪というものをできるだけ世の中からなくしていくというものも、今度のこの風俗取締法、健全育成法案となるかどうかよくわかりませんけれども、これは出てきてからまたお伺いすることになりますが、ともあれそういう配慮があると聞き及んでいるのです。私は非常によいことだと思うのですね。物を悪だ悪だと言って悪に追い込むのではなくて、やはりいい面はお互い出していこうぞ、そしてよい面をどんどん出していく。  私は青少年の非行化の問題なんかも、もう悪いんだ悪いんだということになればどんどん落ち込んでしまう。例えば盛り場にたまに何か若い人の中で行く人もあるかもしれません。行って補導されて、おまえは悪いんだよといって徹底的に悪いことになって、にっちもさっちも動けなくなって悪の道に入り込む人もあるかもしれません。  私は、子供心、特に学童、十四、五歳の子供たちの教育というのは、取り締まり当局も相当心を砕かないと、ちょっとした親心というものがいわゆる人間としての正しい道を歩むことにもなるし、またちょっとそこで問題があると悪の道にも入ってしまうというようなことでございますので、私は今、麻薬の問題をいろいろ言いましたけれども、とにかく今の警察は、何も昔のようなおいこら警察をやっているわけではございませんけれども、しかし、少なくともそういう青少年の補導その他については、特段の配慮というか、相手の気持ちを傷つけないような配慮が必要ではなかろうか。これは取り締まり当局だけを責めるわけにいきません。社会の問題もありますし、教育の問題もありますし、私どもの一人一人が心がけなければならない問題もございます。  全体でそういう青少年の非行化を防止し、そして健全な社会をつくり上げ、新しいいわゆる八〇年代から二十一世紀へ向けての青年が意欲を持って働けるような社会にしなければならぬと思うのです。そういう導きの心をぜひ取り締まり当局においても御配慮していただいて、そして、これは全体が一致して、青少年の非行化を最小限に食いとめるような努力をできるだけしていくということが大切ではなかろうかというように考えておるところでございまして、ひとつせっかくの御努力を賜りたいと思います。  それでは、引き続いてほかの問題に移ります。  公務員の綱紀粛正について伺いたいと存じます。  新聞その他を見ましても、大変残念ながら、最近地方公務員の汚職事件が新聞に報道をされておるわけでありますが、これの件数、特色について、掌握をしていることについてひとづ御報告を願いたいと思います。
  198. 中島忠能

    ○中島政府委員 件数でございますが、五年間の件数を申し上げますと、五十三年度が百六十件、五十四年度が百二十八件、五十五年度が百四十六件、五十六年度が百六十二件、五十七年度が百六十件ということでございます。  総件数は今申し上げたとおりですが、特色といいますか、収賄、横領の割合が非常に高いということが言えるかと思います。
  199. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、御報告がございましたように、その特徴点としては収賄事件というのが大変多いということでございます。  それで、こういうものに対して、自治権の立場からいっても当然住民の監査請求制度というものが十分機能されてまいらなければならぬと思うのですけれども、例えば監査委員といっても、都とかあるいは指定都市、そういうところは監査委員は四名ぐらいおりますけれども、市町村に上っては二名、そんなようなことでございまして、その辺のことはどうお考えになっておるのか。  それから、相当専門的な知識がなければならぬのではないかと思うので、専門家が必要なような感じがいたしておりまするけれども、この辺の見解はどうでございましょうか。
  200. 大林勝臣

    ○大林政府委員 最近特に地方団体の行政に対する住民の関心が深まってくるにつれまして、住民の監査請求もだんだんふえてまいっております。ちなみに、五十五年から五十七年の二カ年間に四百六十三件ほど住民の監査請求が出ておりまして、その前の二年間から比べますと百二十件ほどふえております。恐らくこれは年々ふえてくる傾向にあるのだろうと思います。  お尋ねの監査委員の監査体制の問題でありますけれども、従前から、地方制度調査会におきましてもこの点を重要視いたしまして、御案内のように、県とかあるいは二十五万以上の市については四人、それから市あるいは町村におきましては三人ないし二人というような格好になっておるわけでありますけれども、人数について、これでは少し少ないのではないかという点は余り論議はされておりません。  むしろ専門制の方でありまして、結局、現在の専門家の選び方をもう少し反省をして、監査委員の資格を具体的に法律で書いたらどうか、こういう御意見も地方制度調査会の方からいただいておるわけであります。そのほか、監査委員の権限の拡充の問題でありますとか事務局の体制の問題でありますとか、数点について答申をいただいておりますので、私ども、こういった答申の線に沿って今後の改正の方向に努力をしてまいりたいと思っておるところであります。
  201. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 こういう事案が出てきたときに、議会としてのチェック機能を十分発揮できているとお思いでしょうか。例えば、具体的には百条委員会をつくってやっているところもございますし、そういうことで相当成果の上がっているところもありますけれども、この辺は自治省としてはどういう見解をお持ちでございましょうか。あるいはまた、どういうことが一番望ましいとお考えでございましょうか。指導的な立場にあるわけですから、ひとつ見解を示していただきたいと思います。
  202. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方行政のチェックにつきましての議会の機能としましては、一番強い機能が御指摘の百条委員会、国の国政調査に準ずるような権限も与えられておるわけでございますが、それだけでなく、制度的には地方自治法の九十八条による検査権でありますとか監査請求権でありますとか、あるいは九十九条による当局に対する説明の要求権でありますとか、いろいろ議会として行使し得る機能は整備されておるところであります。百条調査の実績につきましても、五十五年から五十七年の二カ年間に全国で百四十八件ほど発動の例がございますし、それなりに議会としては対応されておるのであろうと思います。  ただ、一般的に批判がないではございません。いわゆる最近の住民の地方議会離れ、こういう批判もないではないわけでございまして、私どもとしましても、まずそういった制度に乗っかって地方議会が住民の希望する点をいち早く把握をいたしまして、それに議会自身として速やかに対応していただくように期待をいたしておるところであります。
  203. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 特別職の方が刑事事件に問われた場合、退職金を支給すべきではないというように感ずるのです。例えば、国鉄の職員が三百円あれしたから自分でやめなきゃならぬというような、一面厳しい状況もございます。そういう意味からいえば、特別職あるいはそういう人の上に立つ地位にある人たちがみずから範を垂れるということは必要な気がするのです。山形県等では退職条例等をつくりましてその道を考えておるようですが、この辺についてどうお考えでございましょうか。
  204. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生お話しのとおり、特別職というのは一般職の模範になるような方になっていただきたいと思いますし、特に身を清らかにしていただかなければならないと思います。  そこで、特別職の方が刑事事件に問われた場合に退職金というものの扱いをどうするかということについては、大まかに申し上げまして三つの方法があるんじゃないかと思います。一つは、逮捕された後に退職した場合には退職金を出さないという方法が一番厳しい方法だと思います。その次に、逮捕された後に起訴されるということになった場合に、起訴された後にはもう退職金は出さないという方法。そして三番目は、裁判で有罪判決が確定した後に退職した場合には退職金を出さないという三つの方法があろうかと思います。  国の特別職につきましてはその中の第二番目の方法が現在採用されておりまして、法律で決められております。そこで、私たちの方もその法律の意思を尊重いたしまして、現在は第二番目の方法を各地方公共団体に一般的な方法として推薦するというか、それを指導しております。  ただ、今先生がお話しになられましたように、山形県におきましては第一番目の方法を実は採用いたしました。いたしましたけれども、その第一番目の方法をこの際一般的に私たちが指導するかどうかということになりますと、先ほども申し上げましたように、現在、国会の意思というのが法律で決められておりまして、それが第二番目の方法だということになりますと、一般的な方法として私たちがそれを指導するというのはいかがなものかと思いますが、山形県のように、特別にまずいことが重なりましてそういう方法をとる必要がある県が出てきた場合に、私たちの方に相談に参りましたときには適切なアドバイスをしてまいりたいと思います。
  205. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 最近、堺市を初めといたしまして倫理条例の制定の動きが見られるわけでございますけれども、自治省としてはこれをどのように考えておられるか。あるいはまた、汚職防止対策として倫理条例の普及を図るような指導をすべきではなかろうかと考えるのですけれども、このことについてはどうお考えでございましょうか。
  206. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御質問の倫理条例の件でございますが、現在、堺市を初めとしまして三団体ほどこういった条例が制定されておるところでありますが、事柄自体が、地方議員あるいは地方の長と申しましても、結局地方の政治家の身の処し方の問題というふうに我々は受け取っておりまして、そういった政治家自身の身の処し方の問題につきまして、それぞれの議会において十分に論議を重ねられて一つの結論を出された、それが条例化されたと受けとめております。むしろこういった問題については、余り行政サイドの方からどうであるか、こうであるかというようなことは差し控えた方がいいのではないか、いわゆる行政としてはそういうふうな感じを持っております。
  207. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 時間が参りましたので、最後にいたしたいと思います。  公務員の綱紀粛正につきまして、自治大臣としてはどのような見解を持っておられるか、この機会に最後にお伺いして、質問を終わりたいと存じます。
  208. 田川誠一

    ○田川国務大臣 御指摘のように、地方公務員の中に腐敗事件が絶えないということは非常に残念なことでありまして、こういうことが起こらないように努力をしていかなければならないと思います。特に、地方自治は民主主義の根幹でございますので、このようなことがふえないように、信賞必罰、また、これを防止する対策はいろいろあると思いますけれども、打ち立てていかなければならない。そして、こういうことは絶えずやらなければいかぬ。  昔から「上正しからざれば下これに倣う」と言われるように、国民の代表である我々国政に臨む者がまず模範を示していくことが、間接的ではありますけれども大事である。国会議員で有罪判決を受けても責任をとらないような、そういうことをそのままにしておくことによって、末端のこういう不祥事件が絶えないのではないか。だから、お互いにこういうことに気をつけてやっていくことも公務員の汚職事件を減らしていく道ではないかと思います。  それから、堺市を初めとする地方の自治体の中で、みずから身を処してやっていこうという機運ができたということは、私も政治家として大変結構なことだと思っております。
  209. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  210. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に、警察官の不祥事件についてお尋ねをしたいわけであります。  ことしの三月には兵庫県の現職警官が銀行強盗事件を起こし、昨年は警視庁の現職警官が千葉県でサラ金に押し入り、さらに一昨年五月には沖縄で銀行を襲う、三年連続こういう強盗的な事件が相次いております。国民の人命と財産を守るべき立場の警察官がこのような不祥事件を相次いで起こしておるわけであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、過去五年間、警察官の不祥事件は一体何件あるのか、その件数の中で、事件別といいますか、万引きとか飲酒運転事故だとか、そういう内容別に御答弁をいただきたい。
  212. 太田壽郎

    ○太田政府委員 警察職員の規律違反によります地方公務員法上あるいは国家公務員法上のいわゆる懲戒処分でございますが、過去五年間で監督責任によるものを除きまして六百七人ということになっております。  御質問のいわゆる項目別の件数につきましては、必ずしもはっきりした分類はできておりませんけれども、交通事故等によるものが百三十一人、刑法犯に関連いたしますものが五十七人、その他が内部規律違反等で四百十九人ということになっておるようでございます。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 刑法犯に触れるもの五十七人の中身をより詳細に御報告を願います。
  214. 太田壽郎

    ○大田政府委員 刑法犯の問題につきましてはっきり区分けはいたしておりませんけれども、懲戒免職になった者につきましては、強盗については二人、収賄については五人、飲酒に絡むものが三十五名、その他となっております。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 五年間で六百七人とは随分不祥事件が多いわけであります。しかも、その中で刑法犯に触れるものが五十七人、これはもう一体警察は何をしているのかということになるわけであります。  そこで、私は引き続きお尋ねしたいと思うのですが、千葉県の警察官の不祥事件であります。これは約束手形金の請求事件をめぐりまして、当時千葉地方裁判所に出廷をいたしました岡嶋保氏の証言によって明らかになった事件でございます。事件の概略を簡単に申し上げますと、金を渡したと言っておりますのが岡嶋保、金を受け取ったと言われておりますのが千葉県警の梅宮英雄、岡嶋保に金を渡すように依頼したと言われておりますのが同じく千葉県の近藤建材店、近藤勇であります。近藤と梅宮とがどういう経緯によって知り合いになったかといいますと、五十七年二月、近藤勇が千葉県八千代警察に不法建築の疑いで逮捕されております。調整区域内に貸し工場を建設して賃料を取ったということであります。当時、この取り調べに当たったのが梅宮刑事と言われております。五十七年四月に近藤が釈放されました。もちろん有罪の判決がおりたわけでありますが、その後、取り調べに当たった梅宮刑事と親しくなる状況が極めてリアルに金を渡したと言われております岡嶋保氏から述べられておりますが、五十七年四月、釈放後、船橋市滝台町の重鮨司で近藤と梅宮が会った。その席上で近藤は、自分は警察関係に弱いので情報を流してほしい、こうして梅宮刑事と深夜まで会食したと言われております。その後、浅草の売春旅館、船橋の焼き肉店の美福苑、こういうところで梅宮刑事は近藤としばしば会食を重ねております。五十七年の九月ごろ、梅宮刑事から近藤に対して、別件で再逮捕されるかもわからない。その別件といいますのは不法投棄など三件、これは産業廃棄物を扱っているそうであります。そういうことで、十月に重鮨司で金を渡したと言われております岡嶋保氏を呼び出し、梅宮刑事が、近藤から金を受け取ったが足りない、百万円至急に用意してもらいたい、そのように近藤氏に話してもらいたい、検事のゴルフ代その他に相当金がかかるのだから、このままでは近藤さんの再逮捕のおそれがある、千葉県の県会議員でありますが、田中氏に渡す金の中から都合をつけてくれてもいいのではないか。こういうことで、五十七年十一月十日午後六時、近藤勇氏と協議の結果、「ひろ」で岡嶋保から梅宮刑事に百万円を渡した。この際、渡した百万円の中から岡嶋保が自分の受取分二十五万円を精算して残り七十五万円を渡した、こう言っております。  私が今引用いたしましたのは、これは単に岡嶋保氏が無責任に言ったわけではございません。この手形問題をめぐります公判が開かれました裁判所におきまして岡嶋保氏が証言をしております。  そのくだりはこういうことであります。「割引いた金は千葉県警刑事梅宮英雄氏に一〇〇万円、千葉県県会議員田中昭一氏に三〇〇万円、岡嶋商店に三〇〇万円と二〇〇万円がそれぞれ流れ、その他千葉県環境部長関係にも細かい金ですが流れました。割引いた金がいろいろなところへ行くのは、私が勝手にやったのではなく、すべて近藤さんの指示に従ったものです。」ただいま読み上げましたのは、公判廷での供述の記録でございます。  この公判廷におきます岡嶋氏の証言につきまして、後刻裁判所での判決文の中身といたしましてこう言っております。「前述の証人岡嶋保の証言は、その内容が具体的かつ単なる作り事とも思われない事柄にまで及んでおり、信用できるものというべきであって」云々、こういうことで、近藤勇の証言が退けられて岡嶋保の証言が取り上げられ、近藤氏に対する手形問題については有罪の、支払いの判決が下されたわけであります。  さらに、この件について聞き及ぶところによりますと、千葉県警では七月十六日から八月にわたりまして数十回調書をとっておる、こう言われております。調書をとった以上は事件の全貌はもう既に明らかになっておるはずであります。県警としては、この梅宮刑事に対して一体どういう措置をとったのか。従来、ともすれば、警察警察内部の犯行については、依願退職などというわけのわからぬ手ぬるい処分によって、まさに警察一家のなれ合い的処分と言われるようなことが往々にしてありましたが、よもやそんなことはやっておらないと思いますが、明確にひとつ御答弁をいただきたい。
  216. 太田壽郎

    ○太田政府委員 御指摘の事案は、昭和五十八年七月一日、千葉地方裁判所において開かれました民事事件の公判におきまして、千葉県警察警察官が、建築基準法違反で取り調べをいたしました建築業者から現金百万円を受け取ったという証言がありまして、報道されたものでございます。  千葉県警察におきましては、直ちに監察及び刑事部に所要の体制を編成いたしまして、徹底してこの件について調べを行ったわけでございます。その結果、百万円の授受は認められなかったということでございます。しかしながら、当該警察官がこの建築業者と捜査を終了した後交際するようになり、時に飲食をともにするなど、警察官の廉潔性に欠けるものがあったというふうに認められましたので、本年三月二日付で本部長訓戒処分に付したという報告を受けているところでございます。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まことに奇々怪々な話であります。金を渡したと言っておる本人岡嶋保氏が裁判所でその事実について供述をされ、しかも裁判所は、岡嶋氏の証言については信用できる、こういうことの上に立って判決が出されておるのですよ。警察は徹底的に調べたと言いますけれども、それでは金を渡したと言っている岡嶋保氏の証言は、これはうそだとおっしゃるのですか。それとも警察は、警察内部の警察官の言うことであればすべて正しい、一般人の言うことは信用ならぬ、こういう立場に立っておられるのですか。  それからもう一点、飲食をともにしたというが、何回飲食をともにしておるのか、日にち、場所を明らかにしてもらいたい。
  218. 太田壽郎

    ○太田政府委員 行政処分を行います際には、やはり警察の独自の調査を行いまして、それも今申し上げましたように刑事部、監察両方が綿密な調査をした結果判断をしたものでございます。  それから、飲食をいたしました場所あるいは回数、日時は、詳細については報告を受けておりませんが、半年間に数回ということで、すし店あるいは焼き肉店などという報告を受けております。
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 例えば飲食の場合、何月何日どこでどの程度のもてなしを受けたのか、そういうこともあなたは御存じなくて、徹底的に調べなくて、よくきょうこの答弁に臨まれましたね。私はこの問題を聞くということにつきましては前もって通告をしておいたはずであります。  県警が訓戒などという人をばかにしたようなこんな手ぬるい処分をやった内容について、一体どういう状況であったのか、何月何日どの程度の供応、もてなしを受けたのか、何のためにそこへ行ったのか、そこでどういう会談が行われたのか等々について、きょうの委員会の答弁に臨むに当たっては詳細に実態をつかむべきじゃないですか。それもつかんでおらずに、県警のとった訓戒処分というようなことが果たして正しかったのか正しくなかったのか、これは私は後で聞こうと思っておりますけれども、明確な御答弁はできないはずでしょう。つかんでおらぬのですか。
  220. 太田壽郎

    ○大田政府委員 先ほど申し上げましたように、県警におきましては刑事部それから監察合同で調べを行いまして、それなりに一つ一つの事案について詳細な詰めは行っているというふうに考えておりますが、ただ、私どもといたしましては、県警の方で責任を持って取り調べた結果、その点について今申し上げましたような概括的な結論的な報告を受けておりまして、それを御報告すれば十分であろうというふうに思ってきょう臨んだわけでございます。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そんな答弁では十分じゃございません。  これは、岡嶋保氏自身が告発をすべくその経過を述べた文章そのままでございますけれども、こう言っております。  「近藤勇は、八千代市に昭和四十九年頃より不法に貸工場を建築し家賃を得ていたことで身柄拘束取調べとなったが、実は別件逮捕であった。容疑は麻薬法違反、産業廃棄物取締法違反、脱税にからむ大蔵官吏贈賄事件である。」その証拠として、検事勾留が二十日間に及んでおる。ただの建築基準法違反ということであれば、二十日間にもわたる検事勾留は通常打たないのが常識でしょう。  それからさらに、先ほど申し上げました近藤勇氏と梅宮刑事との重鮨司においての第一回の会談の内容も事細かに述べております。さらに、百万円を梅宮刑事が請求をした経過につきましても事細かに述べております。  この経過を振り返ってみますと、二十日間の検事勾留を打たれるような重大な事件でありながら、結果的には大山鳴動ネズミ一匹、建築基準法違反の事件しか取り上げられなかった。そして釈放後、梅宮とこの元被疑者、判決を受けて前科となりましたこの者と会談を、しかも料亭でしておる。何のために会う必要があるのですか。このこと自体がおかしいでしょう。恐らく推測をすれば、別件で逮捕された、他の麻薬法違反それから不法投棄、脱税、こういうものについてもみ消したのではないかという疑いもここで出てくる。そしてさらに、その次に打った手は刑事、警察官という地位を利用して近藤勇をいわば脅迫しているわけでしょう。このままだと別件逮捕されるかもわからない、百万円持ってこい、検事にも渡さなければならぬ、これは何ということですか。  しかも、今、不十分な問い合わせの結果だけから見ても、近藤と梅宮が数回会っていることはお認めになっておるわけです。これだけでも明らかに供応ですよ。処分なら懲戒免でしょう。懲戒免にして、なおこれは事件にすべき性格のものではないですか。それを単なる訓戒処分というのは一体どういうことですか。警察は内部の事件に対してはもう本当に甘い。だから幾らでも事件が相次いで起こるのではないですか。こんな目こぼしをやっているからですよ。その点は一体どうなんですか。
  222. 太田壽郎

    ○大田政府委員 五十七年の二月二十二日でございますか、建築基準法違反で逮捕をいたしております。この事件につきましては、三月十五日、建築基準法違反ということで罰金十万円の判決がおりておるわけでございます。  それから、梅宮刑事とのかかわり合いの問題につきましては、先ほどから繰り返しお話し申し上げておりますように、千葉県警におきまして特別の体制で念入りに調査をいたしました結果、先ほどの本部長訓戒という判断に達したものでございます。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 判断に達したということを私は聞いておるのではないんですよ。今言いましたような経過の中身から見て、こんな処置が果たして適当なのかどうなのかを聞いておるんですよ。一般人がこんなことをやってごらんなさい、どうなりますか。  若干例を挙げておきたいと思うのですけれども、警察官の犯したこういう犯罪について、諭旨免職だとかあるいは依願退職だとかというようななまぬるい扱いが余りにも多過ぎる。先ほど不祥事件の件数と内容についての答弁がございましたけれども、大臣、私どもがちょっと調べましただけでも、警察官でなければ、と言ってはあるいは語弊があるかもわかりませんが、このごろ、警察官であるという地位を利用して犯した犯罪がふえているんですよ。制服を着ておる、警察手帳を持っておる、こういうことによって犯している犯罪がふえているんですよ。これは全部挙げるわけにはまいりません、膨大な資料でありますから。  一、二挙げてみますと、八〇年の九月には、沖縄八重山署の巡査が補導中の高校生に乱暴を働いた。十一月には大分署の巡査が選挙違反の女性をモーテルへ連れ込んだ。八一年の四月には、神奈川多摩署の警部が逮捕歴のある女性にモーテルで覚せい剤を注射した。これは何ということですか。八二年の八月には、千葉佐原署の巡査が相談に乗った女子高校生をモーテルに連れ込んだ。ついこの間は、静岡県警清水署外勤課巡査が覚せい剤捜査と称して女子中学生を裸にした。これは新聞にも報道されたとおりであります。  女子大生の部屋に押し入って乱暴を働いて、あげくの果てに締め殺したという事件がございましたが、この元巡査がいわく、制服を着ていけば言うことを聞いてくれると思った。国民の生命財産を守るためにあるべき警察官という地位、そして国民の生命と財産を守るためにこそ使わなければならない警察手帳だとか警察官の制服、警察官という職業、これが守られないところか、それを侵すために使われている。これほど極悪非道な犯罪はありませんよ。通常の一般人が犯した犯罪よりもはるかに大きい。しかも、卑劣きわまりない。そして、この被害者のことごとくが女性じゃございませんか。か弱い女性の人権を守ることを何よりも本命とすべきでありましょう。被疑者だとか、こういうものの弱みにつけ込んで女性の人権を侵す、これで国民の信にこたえる警察と言えますか。国民に責任を負い得る警察官と言えますか。  しかも、その処分を見ていってみますと、これは例えば千葉八千代署の飲酒事故もみ消し金の問題でありますが、これも依願退職。静岡清水署の女子中学生裸事件も依願退職であります。神奈川県鶴見署の巡査が酒に酔って市民とけんかをしてけがをさせた、これも依願退職であります。スーパーで万引きをした山口県警警部補、これは諭旨免職であります。諭旨免職といえば、東京都の見解によれば、依願退職の一変種、退職金は若干減額したとしても支払う、履歴書には依願退職と記載される、前歴としては犯罪歴として記載されない、懲戒歴としては記載されない、こういうことでしょう。  一般の場合にはどんな処分を受けておりますか。例えば宮城県宮崎町出納課長、業者から三泊四日の招待旅行を受けた。停職六カ月。警察官以外の地方公務員、五十五年、五十六年の供応件数、これで懲戒処分を受けた者が四十三名、うち懲戒免職が八名に上っておりますよ。倫理が叫ばれておりますけれども、一般の公務員の場合はこういう懲戒処分を受けておる。警察官は一般人よりも厳しく律せられなければならないにもかかわらず、逆に目こぼしじゃないか、警察一家のなれ合いじゃないかと言われるようななまぬるい処分に何ゆえにとどまっているのか。これは私は国民の信頼を得られるものじゃないと思います。お聞きになって、国家公安委員長として警察を指導しなければならない立場におられる大臣、御意見いかがでしょうか。
  224. 田川誠一

    ○田川国務大臣 警察官による不祥事件が発生し、警察に対する国民の信頼を損ねておりますことはまことに残念なことでございまして、いやしくも犯罪を取り締まるべき者が逆に犯罪を犯す、先日ありました強盗事件などは、本当に言語道断であると思っております。  急にふえたわけじゃありませんけれども、ふえる、ふえないの問題ではなくて、今経塚さんがおっしゃったように、一般の人より身を厳しく律しなければならない者が犯罪を犯すというのは、一人でも起きたらいけないことでございまして、こういうことが起こらないように、原因は一体どこにあるのかということを今私も調べているのでございます。御指摘の千葉県の事件のことは私もきょう初めて聞きまして、よく調査をしたいと思っております。とにかく警察官たるものは、犯罪を犯すような、あるいは容疑を深めるようなことは、これは断じてあってはならないと思いますし、万一犯罪を犯した場合には、これは厳しく処断をしていかなければならないというのが私の考えでございます。  先ほど経塚さんから、原因がどこにあるかという意味お話がありましたけれども、これは、犯罪があるというのは、公職にある者の犯罪というのは警察官ばかりじゃないのです。一般の公務員もそうだし、政治家もそうなんです。政治家だって犯罪を随分起こしているのです。そういうところに問題があるのですよ。だから私どもは、政治倫理を確立していかなければならぬ、こういうことを厳しく言っているのです。  そうはいいましても、残念ながら私の新自由クラブだって、末端へ行きますと今御指摘されたような法律にひっかかる者も出てきているのです。政界の摘発部隊だと自賛をされているおたくの共産党だって、地方へ行きますと、あるいはまた中央でも、区会議員だ、市会議員だ、町会議員だ、村会議員だ、立派な犯罪を犯しているのですよ。私も調べてみますと、たった五年間に二十二人、共産党の町会議員だとか区会議員だとか市会議員だとかあるいは常任委員だとか、政界の摘発を自認される政党の中でこの五年間二十二人、昭和五十一年からいいますと二十五件、二十五名起こしているのです。(経塚委員「そんなところへ力を入れなくてよろしい」と呼ぶ)いや、力を入れていないのですよ。やはり原因がこういうところにあるということを申し上げているのです。そして今警察官が女性の、か弱い女性といいますけれども、共産党の町会議員さんだって市会議員さんだって強姦している人があるのですよ、調べたら。これはみんな新聞に出たことなんです。新聞に出たことだけでもこのくらいある。だから、やはりこういうところから身を正していかないとなかなか公務員の姿勢を正していくことはできないのですよ。  ですから、よく私どもが申し上げていることでございますけれども、人のふりを見て我がふりを直せということなんです。これをやらないとなかなかこれはいかないですよ。ですから経塚さん、政治に携わる者がお互いにひとつ姿勢を正していく協力をやっていこう……(経塚委員「そんなこと言うのだったら、あなた違法献金を受け取っていたじゃないか、あれやりましょうか」と呼ぶ)私の方に決議案をどうのこうのということですか。(経塚委員「いや違法献金を受け取っておったでしょう。前に私が質問した」と呼ぶ)それはそういう、やはり……
  225. 大石千八

    大石委員長 委員長のあれで発言してください。
  226. 田川誠一

    ○田川国務大臣 政治家が身を正していって初めて今御指摘のいろいろな問題を防いでいくことができるのですよ。そのことをひとつ御理解をしていただきたい。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まことにけしからぬ。私は警察の不正事件について聞いておるのですよ。(田川国務大臣「だから言ったじゃないですか」と呼ぶ)あなた物を言うのだったら委員長にお断りなさい。警察の不正事件について、警察を管理、指導すべき立場にあるあなたの責任問題を聞いているのです、どう考えておられるのか。そこへ、共産党がどうだとか政治家一般がどうだとか、警察政治家のそういう犯罪も取り締まらなければならぬ立場におるのですよ。政治家や一般国民ともまた取り締まる立場なんですから、特別の立場におるのですよ。そこが姿勢をきっちりしないで、それで政治家一般だとか、そういうところをすりかえてはいけませんよ。  あえてそんなことを言うのなら、あなた、政治倫理を言うのなら^私は、この間質問いたしましたけれども、あれは簡単に質問いたしましたけれども、受け取ってはならない企業から政治献金を受けておったわけでしょう。これだって問題ですよ。あなたの簡単な釈明で、私はそれをそのまま通しておりますけれども、その問題だって改めてやらなければなりませんよ。しかし、私はそんなことを今ここで改めてやろうとは思いません、きょうは警察の問題で質問しておるわけでありますから。  大臣は先ほど、千葉県警の問題については調査をしてみる、こういう御答弁もいただきましたが、私は、これはこのままあいまいに済ましてはならぬと思うのです。警察の犯罪がなぜこう続くかということについて、私はやはり処分が甘かったということと、それから、これは時間がございませんから例を挙げるのはまたの機会にいたしますが、新聞で報道、公表されておるもの、例を挙げてみますと、いつも新聞がかぎつけて報道してから事件になるか、あるいは市民の訴えによって初めて事件になるか、こういうケースが多いのですよ。隠しおおせるものならできるだけ隠しおおそうというような態度が見受けられてならない。こういう隠ぺい主義、秘密主義、それからもう一つは処分が甘い。ここに私は、事件が起きて処分をしてもまた相次いで起きるという最大の原因がある、こう考えておるわけです。  だから、この点については、これは公安委員長としてもやはり意を新たにして、二度とこういう警察内部から不祥事件が発生をしないように、教育を含めてこれは厳しく対処すべきだ、かように考えております。  次の質問に入りたいと思いますが、次の質問に先立ちまして、委員長、ちょっと大臣の方へ資料をお渡ししたいと思うのですが、よろしいでしょうか。会議録です。衆議院、それから参議院の会議録です。  その会議録の問題についてお尋ねに入ります前に、大臣にちょっと伺っておきたいと思うのですけれども、国会に法律が提案をされます。法律が提案をされる際に、なぜこの法律を提案するのか、立法者がその意思を国会で答弁などを通じて明らかにいたします。この国会で明らかにされた立法者の意思というものは、法律の改正がない限りは簡単に変更されるものではない、通常政策的な問題などはともかくといたしまして、法律についての国会での答弁は、一たん明らかにされた立法者の意思というものはそんなに簡単に変更されるものではない、こういうふうに解釈されますが、その点はいかがでしょう。
  228. 田川誠一

    ○田川国務大臣 今経塚さんがおっしゃったことは、一たん答弁をしたものは、それはもう法律と同じように効力を持つということでございますか。(経塚委員「いやいや、法律の提案に当たっての答弁」と呼ぶ)答弁、それは思い違いというのがありますからね。そういう場合で訂正をする場合もありますね。しかし、提案の理由の中で正式に述べられたことというのは、これはそのとおりだと思います。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 立法者の意思というものは、一たん国会で答弁をされた以上は、法律が変わらない限りそう簡単に変わるものじゃない、全くそのとおりでございます。  そこで、具体の問題でお尋ねをしたいわけでございますが、軽犯罪法の問題であります。  これは昭和二十三年制定のときに、戦前の警察犯処罰令のように労働運動などを不当に弾圧する気遣いかないものなのかどうなのかということで、各界から批判も出、随分論議をされたところであります。この際に、立法者の意思として、当時の國宗政府委員、検務局長でありますが、答弁をされております。大臣の手元にお渡しをいたしました二枚目でありますが、印をしてありますけれども、この中で國宗政府委員がこう答弁されておりますね。大体この軽犯罪法全体から申しまして、これは労働運動、あるいは大衆運動を取締るために立集いたしたものではないのでございまして、日常の卑近な道徳律に関するものを取上げまして、これを取締りまして、社会の秩序を維持するという考えからできておるものでございます。御承知の通り、組合運動につきましては、もう当然に、組合法の一條の二項がございますると同じように、それによりまして、大体この軽犯罪法というものは適用はないものと私は思っております。かように立法者の意思が国会で答弁をされております。  大臣がかわりましてもこの趣旨に変わりはないと思いますが、この点、いかがでしょう。
  230. 田川誠一

    ○田川国務大臣 労働運動について、「組合法の一條の二項がございますると同じように、それによりまして、大体この軽犯罪法というものは適用はないものと私は思っております。」このとおりだと思いますね。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そのとおりですね、大臣はかわりましても。大臣がかわりましてもそのとおりかどうかお尋ねしたのですが。
  232. 田川誠一

    ○田川国務大臣 このとおりでありますが、これは逸脱すれば別ですね。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 逸脱するかどうかについては後で論議をするとしまして、この答弁大臣がかわりましてもお変わりないと解釈してよろしいか、その点だけお答えいただいたら結構でございます。
  234. 田川誠一

    ○田川国務大臣 逸脱すれば別でございますけれども、そのとおりだと思います。
  235. 経塚幸夫

    ○経塚委員 その次に、修正案が成立をいたしました経過が記録として出ております。その次のページ、おあけいただきまして、これは原案には入っておりませんでしたが、第四条がつけ加わりました。この第四条では、「この法律の適用にあたっては、國民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」この第四条がつけ加わりました修正提案説明をされておりますが、「この修正案を提出いたしました理由は、軽犯罪法の前身であります警察犯処罰令が、從來應々にいたしまして、その本来の目的を越えまして、犯罪捜査のために利用せられ、國民の権利を不当に侵害するかのごとき状態であったのであります。」云々と書きまして、「軽犯罪法の目的を逸脱して、いたずらに権利を官憲によって濫用されるという結果に相なりますので、第四條において明確にこの法律の適用にあたりましては、國民の権利を侵害しないように、また本来の目的を逸脱いたしまして、他の目的のために濫用せられないようにという規定を示そうとしたものであります。」つまり、この第四条が修正案として入りました経過は、国民のそういう危惧や不安に対して、そういう心配がないし、またそういう心配が起こるような運用をしてはならない、こういう意味を込めてこの第四条が入った、かように解釈されるわけですが、その点、いかがでしょう。
  236. 田川誠一

    ○田川国務大臣 今急に速記録を持ち出していろいろ解釈を言われましても、私は、これはちょっと的確に答弁できないのです。政府委員答弁させますから、よろしいですか。
  237. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 ただいま制定当時の軽犯罪法について述べられておりますことは、あくまでも正当な労働運動についての軽犯罪法罰則の適用の問題であろうと思います。私ども警察としても、正当な労働運動に介入しない、当然のことでございます。  ただ問題は、労働運動であってもいろいろな市民生活上の住民運動であっても、すべて同じだと思いますけれども、正当性の限界を逸脱して違法にわたる場合には、労働運動でありましても労働組合法は違法性を阻却しない。大臣が先ほど言われました逸脱する行為については、違法は違法ということが言われておるわけでございます。その部分について警察権が発動されて、犯罪構成要件に該当する場合には捜査するのが当然のことだと思います。  ただいま触れられました軽犯罪法第四条の規定、これは昭和二十七年四月八日の東京高裁判例によりましても、同法の適用に当たって当然守らなければならない事項を明文をもって明記した規定である。それから、最高裁の昭和四十五年六月十二日の判例によりましても、労働運動に伴うビラ張り行為であっても、他人の財産権、管理権を不当に害するごときものはもとより許されない。これらの行為に対して、軽犯罪法第一条第三十三号をもって臨むことは判例によっても広く認められております。例えば、広島高裁の昭和三十七年一月二十三日の判例によれば、国労の組合員が駅舎に、駅長事務室の出入り口のガラス戸等にビラ約六十枚をのりで張りつけた。これはみだりに他人の家屋に張り札をしたものであるということで有罪の判決が出ておるということでございますので、我々の、軽犯罪法制定時のただいまの速記録云々の問題についての判断は、以上のとおりでございます。
  238. 経塚幸夫

    ○経塚委員 聞きもせぬことをぺらぺら答弁せぬでもよろしい。ここは質問して答えていただく場所なのですから、討論会の場所じゃないのですから。  私がお尋ねをいたしましたのは、なぜ第四条が入ったのか、その経過については、かくかくしかじかの提案の理由が趣旨として説明をされておりますから、こういうことで第四条が入ったのではないですか、こう経過を聞いたのですから、そのとおりであればそのとおりと、こう答えればいいわけですよ。だから、私は提案の趣旨を申し上げましたが、「軽犯罪法の目的を逸脱して、いたずらに権利を官憲によって濫用されるという結果に相なりますので、第四條において明確にこの法律の適用にあたりましては、國民の権利を侵害しないように、また本来の目的を逸脱いたしまして、他の目的のために濫用せられないようにという規定を示そうとしたものであります。」こういう趣旨で第四条が入ったのでしょう。そうなのか、そうでないのか、それだけ答えてもらったらよろしい。
  239. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 警察権の行使についての、乱用してはならないという当然の事理を述べたものと思います。それは先ほど申し上げたように、正当な労働運動に対して乱用してはならないという趣旨でございます。逸脱したものについては犯罪構成要件は該当するものという判断が、労働組合法でも違法性を阻却しないということが明確に述べられておるわけです。
  240. 経塚幸夫

    ○経塚委員 二十二年に軽犯罪法が制定をされる当時の国会の論議、立法者の意思、さらに修正案が、なかったものが加えられたという経過から見ましても、軽犯罪法という法律を使って不当に労働運動を弾圧、干渉するようなことがあってはならない、こういうことは極めて明白であります。  ところが、今年の三月一日、国鉄労働組合神戸支部明石電車区分会に対して家宅捜索を行っておる。軽犯罪法違反ということで、一月二十三日、明石電車区構内に組合がステッカーを張ったことを理由として、軽犯罪法を適用して家宅捜査を行い、そして取り調べを行っておるようでありますが、張ったステッカーのスローガンは、ダイヤ改正に伴う合理化反対など組合の要求でしょう。それで、組合がつくったステッカーでしょう。それを組合員が組合員に向けて張ったわけでしょう。そして、張った場所は構内で一般人が立ち入れない場所なんでしょう。明らかに組合の要求で、組合がつくったステッカーで、組合員が組合員向けに、宣伝のために、一般人が立ち入れない組合員が労働しておる場所に張った。何のためにこれは軽犯罪法を適用しておるのですか。これこそ明らかに立法の当時に心配をされた警察権の乱用、労働運動の不当な弾圧と言うしかこれは言いようがないです。国会の答弁の趣旨に反することだと思いますが、その点はどうですか。
  241. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 その点が先ほども御答弁申し上げました組合の行為、組合のビラでありましても、軽犯罪法一条三十三号は、工作物に張り札をしたり、標示物、工作物を汚した者、そういう財産上の管理権、財産権というものを、その法益を保護しておるわけでございます。そして、現実の判例によっても、先ほど申し上げましたように広島高裁の昭和三十七年一月二十三日の判決によりましても、駅長事務室に、「人べらしは死ねということだ」云々というようなスローガンを墨で書いてつくったビラを六十枚のりで張りつけたというものは、みだりに他人の家屋に張り札をしたもので、軽犯罪法一条三十三号に違反するという判決が出ておるわけでございます。  ただいま御指摘の明石電車区のビラ張りでも、事実関係を申し上げますと、一月二十二日の午後八時六分ごろに、明石電車区の現業事務所、これに国労明石電車区の分会役員ら三人の人が、管理者の許可を得ないで、現業事務所の一階から三階の南側窓ガラス、擁壁、ドア等に約三百六十枚のビラ、検修庫南側窓ガラスに約五百枚のビラ、検修庫職場詰所の窓ガラス、洗濯場等に約百五十枚、これは一枚がそれぞれ十二センチ掛ける四十センチの大きさでございますが、約千枚のビラを張ったという事案でございます。これは明らかに労働運動の正当性の限界を逸脱すると我々判断いたしまして、所要の捜査を行ったという経緯でございます。
  242. 経塚幸夫

    ○経塚委員 建物の管理権、管理権とおっしゃいますが、なるほど国鉄当局に建物の管理権はあるでしょう。しかし、もう一方、国鉄の職員が労働組合運動をする、宣伝をするために、自分が働いており、労働組合員がおるその場所で、その建物に組合運動としてビラを張る権利もあるわけです。国鉄当局だけに一方的にその権利があって、労働組合を結成しており、団結権、団体交渉の権利、組合運動の権利を持っておる側には何にも、自分たちが働いており、組合員がおる場所に一切権利がないということはないわけです。これは、どこまでを組合活動の権利として認めるか、そうでないかは、労使双方によっていろいろと協議の過程で決まっていく問題なんですよ。また、そういう判例もあるでしょう。  それから、もう一つは、建物にビラを張ったのはけしからぬ、こうおっしゃいますけれども、かつては、屋外広告物に関する法律がございまして、そしてこの屋外広告物法の中には電柱などに勝手にビラを張ってはいかぬとかいろいろなことがあったわけであります。  しかし、これは御承知のように、昭和四十八年にこの部分が修正されたわけでしょう。第十五条が入りました。「この法律及びこの法律規定に基づく条例の適用にあたっては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。」そうして、さらにこれを受けまして、当時の吉田政府委員がこう答弁しているのです。「適用除外の関係で、特にはり札、立看板のようなものは非営利的なものの適用除外をすべきではないかということであります。電柱に対してことさらに、はり札、はり紙、立看板の類を一切禁止物件とするような内容の標準条例を出しておりましたが、これにつきましては、先ほどの御質問お答えして、標準条例としてそのように参考に供することは適切ではないと考え、これを削除することとしました」、こういう経過があるのでしょう。広告物条例から除外されたのですよ。そして一方では、十五条で、不当に国民の権利を抑圧してはならないというようなことで、こういう経過があるのですよ。だから、あなたの御答弁は、一方的に都合のいいところだけを取り上げてやろうとしております。  それから、労働組合法一条二項では、「刑法第三十五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労側組合の正当な行為解釈されてはならない。」つまり、何が正当な労働組合運動であり、何が正当でない労働組合運動であるかということについては、刑法三十五条の適用をされないものとして、「暴力の行使」、これを具体に挙げているのですよ。暴力の行使はだめですよ、これは阻却事由にはなりませんよ、こういうことなんでしょう。具体に挙げているのです。そうすると、それ以外は、前項の目的、つまり第一条で、労働者の地位を向上させる、こういうことのための運動はいずれも正当な労働組合運動として認められる。  大臣にお渡しをいたしましたその会議録の前段に書いてありますが、一つの例を挙げて二十三年に論議になっているのですね。デモをやる、大声を上げる。団体交渉の席上でも大声を上げるという場合があるでしょう。こういうような場合には軽犯罪法は適用できるのかということにつきましては、それは正当な労働組合運動、したがって刑法三十五条の適用によって、犯罪の阻却事由として挙げられておるわけですよ。わざわざ会議録でもそのことが言われておるんですよ。  同じことじゃないですか、ビラ張りも。広告物条例の建前からいきましても、軽犯罪法成立の趣旨から申し上げましても、あるいは労働組合法一条二項の適用から申し上げましても、いかなる角度から取り上げてみても、労働組合の要求で労働組合がつくったビラを、労働組合員が労働組合員に向けて、一般不特定多数が入れない場所で張って、何が軽犯罪法違反になるのですか。もしこんなことが適用されるなら、それこそこの軽犯罪法が成立するときに国民の多くが危惧を抱いたこのことが、現実の問題になりますよ。しかも、この修正案は私ども共産党などが出したものではございません。政府の方が、与党がみずから、こういうことで歯どめをかけようということで修正をされたわけでしょう。もしこんなことがそれこそ軽々に軽犯罪法が適用されるということになれば、これはとんでもないことですよ。
  243. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 私どもとしては、判例によって確定した法解釈を実務上の運用の指針としておりますので、遺憾ながら、ただいまおっしゃられたこととは見解を異にするわけでございます。組合員の権利が財産上の管理権と抵触する場合、管理者の承諾がないのにあえて工作物を汚損するという行為は、現在の法秩序体系のもとにおいては違法と評価されると思います。  そういう前提に立って、各判例が、軽犯罪法のみならず、ビラを二千二百二十二枚張ったような場合には建造物損壊罪で有罪と認定しておりますし、その他、器物損壊罪をもって有罪と認定している場合も多いわけでございます。それをしも正当というふうに我々は判断できないわけでございます。
  244. 経塚幸夫

    ○経塚委員 だから私は広告物条例の例を挙げたんですよ。この広告物条例が改正されるまでは、電柱に張った者も、広告物条例違反でもって、法令違反でもって、いろいろと警察は引っ張っていたんですよ。ところが、国民の世論が高まってきて、そうはいかなくなった。それで、ビラだとかこういうものが排除されて、そして修正がつけ加えられたんですよ。そこで警察は、広告物ではひっかけられないものですから、今度は軽犯罪法を最近使い出したのですよ。これはためにするやり方じゃないですか。昭和二十三年の法制定当時の精神に返るべきですよ。  先ほど私は警察の不祥事件を例に取り上げましたけれども、警察官であれば、金を渡したという人が裁判所で供述し、裁判所も信用ある証言だと認めており、しかも何回かにわたって元被疑者から料亭で接待を受け、それでも訓戒処分。何ということですか。こんな者こそ逮捕すべきですよ。ところが一方では、やむにやまれない要求で労働組合員が行った正当な労働運動に対しては、法制定当時のこの趣旨さえ踏みにじって、一方的に介入、干渉、弾圧をする。私は当初警察官の不祥事件を取り上げましたけれども、極めて対照的であります。  さらに言うならば、警察官が、先ほど申し上げましたように警察官という地位を利用して、か弱き女性に対してああいう犯罪を重ねた背景には、今まで不祥事件を起こしても罪が軽いということ、それから隠ぺいをしてきたということと同時に、もう一つ重大なことは、憲法、警察法でも述べられております国民の基本的人権を守る立場に立たなければならないという点についての、無視といいますか、この点を軽んずる風向がある。人命、人権を尊重するというふだんの警察の立場に立っておれば、先ほど挙げましたような不祥事件が起こるはずはない。一体どんな教育をされているのか疑わざるを得ないわけであります。憲法、それから警察法、そしてこの軽犯罪法が成立するに至りました国会の立案者の本意などを踏まえまして、人権あるいは正当な運動の弾圧をすることのないように対処すべきだ、かように考えますが、大臣いかがでしょう。
  245. 田川誠一

    ○田川国務大臣 重ねて申し上げますけれども、先ほど私が申し上げましたように、警察官の不祥事件があるということは、これはもうだれが何と言おうと弁解の余地がないことでありまして、こういうことが起こらないように私どもは身を引き締めてやっていかなければならないし、また信賞必罰で臨んでいくつもりでございます。  また、今御指摘のような問題につきましては、正当な労働運動に対して権力が介入するというようなことのないように、私どもは厳重に指導をしてまいるつもりでございます。  先ほど、余計なことを言うなというお話でございましたけれども、余計なことではないのです。私はちゃんと答弁した上に、政治の上でもこういうことがあるよという例で、共産党の皆さんも人のあらばかり探すことではなくて、みずから身を処してお互いにやっていこうということをまじめに申し上げていることを、最後に御理解をいただきたいのでございます。
  246. 経塚幸夫

    ○経塚委員 やはりその点は一言余分だと思いますが、これで終わります。
  247. 大石千八

  248. 山中末治

    山中(末)委員 ただいま発言の機会をお与えいただきました社会党の山中でございます。  二つ三つ御質問申し上げたい、このように存じておるわけでありますが、まず一つは、昭和五十二年ごろに私の町で小学校、中学校等を建てかけまして、それまで小学校が三校、中学校が一校でございましたのが、現在では小学校が九校、中学校は三校というような数にふえてまいったわけであります。当初標準的な小学校を建設するということで出発したわけでありますが、これの校地面積が約二万二千平方メートルぐらいありまして、当初実は十八学級九百九十三名で昭和五十二年に出発をしていたのです。  ところが、この小学校が最近約二千名の児童を収容しなければならないようになりまして、非常に困ったことだというふうに考えておったわけでありますが、最近今年度の新規施策として国の方が発表されました中に、過大規模校、これは三十一学級以上らしいのですが、その小中学校の分離を促進していくということが出されまして、実はそういう時期を過ごしてきただけに、この問題に関してはほっとしておるようなわけであります。三十一学級以上という決め方はどういう考え方でお決めになったのか、よくまだ聞いておりませんけれども、私が今申し上げておりますところは四十六学級ぐらいになっているわけなのです。  そこで、文部省の方にもきょうここへ来ていただくようにお願いしたのですが、まず文部省の方から簡単な概要をお聞かせいただいて、その上で自治省の方々にも質問をしてまいりたい、このように考えております。
  249. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  過大規模校につきましては、児童生徒に対する教育面、それから学校の管理上さまざまな問題があるということで、文部省はかねてからさまざまな努力を払っておったところでございます。そこで最近ではかなり数は減っております。しかしながら、五十八年五月一日現在で調査いたしましたところ、これは三十一学級以上の小中学校でございますが、全国でなお二千百校ばかり残っておる、こういう状況でございましたので、昭和五十九年度の予算におきまして、補助制度をさらに拡充しようということで、先生御指摘のような新しい制度を設けたわけでございます。  その内容でございますけれども、過大規模校の多くは急増市町村、児童生徒が急増する市町村に偏ってございます。八割近くがございます。それから二つ目でございますが、過大規模校の分離促進を阻む主たる要因が用地の取得難であるということでございます。三番目でございますが、児童生徒急増市町村につきましては従来から用地取得費補助を行っておる、こういった三つの条件が備わっておりましたので、当面といいますと昭和五十九年度と六十年度でございますが、二カ年度の措置といたしまして、過大規模校を分離する市町村の用地取得費に対しまして現行の急増用地取得費補助制度を拡充する、こういう形で新しい制度を始めたわけでございます。補助率は七分の二ということにいたしております。  以上でございます。
  250. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。  そこで、自治省の方へお尋ねいたしたいのでございますが、実は私どもは、後で申し上げるような、二番目に申し上げるような原因もありまして、今の住宅・都市整備公団の手で約九千三百戸の住宅を随分長くかかって整備していただいたわけであります。御承知のように、毎年六千名ぐらいずつ人口がふえてまいりまして、先ほど申し上げたように、三校の小学校を九校にふやさなければならないということになってきたのですが、その中で、自治省を窓口にしていただいて、文部省ももちろん入っておられますし、大蔵省、厚生省、建設省も入って、五省間でいろいろと御協議願って、どうにかそういうものが地方自治体が遂行していけるような状況をつくってもらったのです。百点満点とは言いませんけれども、大分それで助かったということは言えるわけです。  それが、実はその団地をつくったときを振り返ってみますと、私どもはもっと学校が要る、学校用地をとっておいてほしいということを要望したのですけれども、文部省にも基準がございまして、ほぼその基準どおりでいこうではないか、規模も二万二千平米ぐらいで出発しようではないかという話がついたものですから、それでやってきたのですが、立派な団地ができたけれども、超大規模校になった小学校を分離して建てる場所が、もう住宅・都市整備公団の開発された地域内にはないのです。それほどきちっとした計画が遂行されたということは言えるのですが、非常に弱っておりまして、そのやさきに今文部省から話をされましたような内容のものが出てきまして、ちょっとほっとしたのですが、この場合に、住宅・都市整備公団が開発したすぐ横ですね、地域外で用地を求めなければこの超大規模校を分離することができない、こういう物理的な条件があります。これをひとつしなければならないなというふうな話を実は聞いているわけです。こういうところが全国にも多少あるのではないか。そこまで調査をすることは行っておりませんけれども、そのように実は考えております。  その場合、自治省の方にお尋ねいたしたいのでございますけれども、そういう五省協定の中で進めてこられたいわゆる関公費、関連公共事業費の立てかえですね、これが適用されるべきではないか、このように実は思うわけです。地域内でしたら明らかにそれはいけるのですけれども、地域内には用地がございませんので、二キロも三キロも離れれば別ですが、そのすぐそばに用地を確保していれば、それで関連公共事業費の立てかえ、これが適用してもらえるのじゃないかというふうに自分勝手に考えているわけでありますが、自治省の方の御見解等をお聞かせいただきたい、このように思うわけであります。
  251. 津田正

    ○津田政府委員 お答えいたします。  関公の立てかえ施行につきましては、宅地造成を公団等がやる際に学校用地を中に確保する、これが基本かと思いますが、ただ、関公立てかえ施行について、開発宅地内で必ずなければならないということはない。それが開発地域の中に適当な用地がなくて、極端に離れていては別でしょうが、開発地域内の生徒児童を収容する学校をその外に求めるという場合に排除するものではない、このように承知しております。
  252. 山中末治

    山中(末)委員 建設省の方におかれましても、そういう今自治省の方からお答えいただきました内容でよろしゅうございますか。ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  253. 三井康壽

    ○三井説明員 関公の、公団等が行います立てかえにつきまして、学校の位置を区域の内に限るべきかということにつきましては、区域内に限ることは必ずしも必要はない、こういうふうに考えているわけでございます。
  254. 山中末治

    山中(末)委員 自治省の方と建設省の方とが同じ内容の御答弁をいただきました。  そういうことになりますと、今度初めて新規措置として過大規模校を分離によって解消していって教育効果が上がりやすいようにしていこうというこの案が出たときに、当然今の話もしていただきたかったのですが、それはなされましたか。もしもなされておらないなら、今後そういう関公費の立てかえ、これの話し合いをひとつやっていただけるのかどうか、あわせてお聞かせいただきたい、このように思います。
  255. 三井康壽

    ○三井説明員 ただいま区域の内外についてだけしかお答え申し上げませんでしたけれども、ただいま文部省の方の御説明にございました過大規模校につきましてどうかということについて、お答え申し上げたいと思うわけでございます。  住宅・都市整備公団などの大きな団地建設に当たりましては、先生御承知のように、小中学校の用地取得あるいは校舎建設につきまして関公立てかえ制度があるわけでございます。この団地を開発するに当たりまして、小中学校の位置を決めたり、どういった建物を建てるかというのは、先ほども御指摘がありましたように、十分に地元の市町村と協議をさしていただきまして決めているわけでございます。したがいまして、今、御指摘のありました事例につきましては、御相談をしながらやったにもかかわらず、結果的に過大規模の学校が現在建っている、こういった事実があるということで承知をしているわけでございます。  文部省の方が五十九年度、それから六十年度の措置としまして急増用地取得費補助制度を拡充されまして、一部分離ができるといったことにつきましての補助金を出されるということでございますが、現在、関公の立てかえ制度といたしましてはそういったものはないわけでございまして、現在計画をしておりましたり、あるいは建設の途中でございますものであれば、この趣旨にのっとりまして位置を決めたり、あるいは規模を決めたりすることができるわけでございます。しかし、既に事業が終わったといったものにつきましては、直ちにこの立てかえ制度が適用できるという状況ではないということでございまして、今後の研究課題といいますか、そういうことだろうと考えているわけでございます。
  256. 山中末治

    山中(末)委員 そういう回答が来るかなということは予想をしておりまして、実は住宅・都市整備公団の中で、超大規模校までいっておりませんけれども、それに近い状況の学校も出てきております。それで、さっき申し上げたように、三十一クラスというのはいいところで線を引かれた、二十九クラスぐらいだったら四つくらい出てくるのですよ。そういう状況の中で校舎の建築を今引き続いてやっておるのです。だから、それならいけるわけですね。
  257. 三井康壽

    ○三井説明員 ただいま御指摘のございましたのは八幡市の男山団地というところを想定しての御質問かと思いますが……(山中(末)委員「一例だけで、まだほかにもあると思いますが」と呼ぶ)あると思いますが、その例で申し上げさせていただきますと、この団地につきましては、立てかえ制度としましては、一応公団の入居計画に応じました児童数につきましての規模を決めまして、これは過大規模校になっているわけでございます。これは周辺の区域外の方々の児童も入っているやに聞いておりますけれども、結果的に過大校になっております。  しかし、そうは言うものの、現実問題といたしましては、立てかえ制度を一応使い切ったといいますか、こういった状況でございまして、制度自体をいじりませんと、分離をする際に直ちに立てかえ費用を使えるという状況ではないということなのでございます。
  258. 山中末治

    山中(末)委員 済んでしまってからそれを言われたら本当にかなわぬのですけれども、初め申し上げたように、これはもう小、中一校くらいは適正な配置をしなければいかぬということを強く主張したのです。文部省のおっしゃる、小学校の場合、一校当たり〇・四五というのがありますね。そういうことで随分時間をかけて話をしたのですけれども、それでいこうじゃないかということで来たわけですね。そのときにもう二万平米ほど中でとっておいていただけばこんなことを言わぬでもよかったわけです。関公費の立てかえでできたわけです。それを、それができずに、許可されずに開発した。開発そのものは効率がいいでしょう。二万平米、家を建ててしまったんだからいいでしょう。それの後始末というのは、今おっしゃったようにそんな水臭いことを言わぬとやっていただかぬと、これからこういう類似問題が出てくると僕は思うのですよ。  これだけ申し上げておいて、あとはひとつ要望で、実現していただけるようにお願いをしておきたい、このように実は思うわけです。そういうことを今度新規施策としてお取り上げいただいたという御英断については、全国の団地協も非常に喜んでいる、こういうことを聞いておりますので、ここで自治大臣を初め関係の五省の方々にお礼を申し上げておかなければいかぬ、こういう気持ちで発言させてもらいました。ありがとうございました。  それでは次に移らせていただきます。次に、これは非常に苦しい問題でありますが、建設大臣の方から、宅地開発指導要綱に関しましてこれの見直しの大臣通達が地方公共団体に出されたということを承っておるのでございます。一説によりますと、自治省からもそういうものが出たんじゃないかということ、これは仄聞で確認しておりませんけれども、話を聞いておりますが、この宅地開発指導要綱についての、地方公共団体の財政事情等を非常によく知っていただいている自治省の見解をまずお聞かせいただきたい、このように実は思うわけでございます。
  259. 田井順之

    ○田井政府委員 いわゆる宅地開発指導要綱は、市町村がそれぞれの実情に合わせまして独自に制定しているものでございますから、内容もそれぞれ異なっておりまして、一律に申し上げることは難しい面もございますが、一般的に申しますと、乱開発を防止しまして良好な生活環境の整備を図ると同時に、開発に伴いまする地方公共団体の財政負担を軽減するということを目的にしたものが大部分でございますので、私どもとしましては、こういう要綱はその内容なり方法なりが適切であるならば認めていかなければならないであろうという立場に立って考えているわけでございます。  なおまた、先ほどお話のございました見直しに関する通達につきましては、自治大臣官房長名で五十八年十一月十日付で各都道府県知事あてに通知を差し上げております。
  260. 山中末治

    山中(末)委員 前段の御解釈はまことに適切な解釈でありますけれども、後段の方で見直しのような内容の通達をお出しになったということ、これは建設省の方にもお聞きしようと思ったのですけれども、出しておられるなら同じように考えたらいいと思うのですが、通達がいろんな形で出されますと、地方自治体はそれを読んで忠実に守っていこうという努力をするのです。ところが、今度はデベロッパー側がそれ見ろということで、これは大変なことになってしまうという影響が、私は通達については隠し切れないと思うのです。片方では、今自治省の方からおっしゃったように、内容にとんでもないものが入ってない限りこれはやむを得ない、あっていいんじゃないかと是認をされた形ですが、それが現実には現場で後退していくのじゃないか、私はそれを非常に恐れているわけなんです。  それで、今後の適切な御指導をお願い申し上げたいと存じますが、まず昭和三十年代、全国の自治体とは申し上げませんが、実は大都市圏とか中部圏とか近畿圏とか、周辺の自治体は、初めは工場等誘致条例をつくったのです。そして何とか市町村の固有財源がふえていくようにということで、全部とは言いませんが、純枠につくったのです。ところが、民間のデベロッパー等が開発に乗り出してきたときに、用地を市町村で世話してくれとか話をしてくれとか、固定資産税を何年間減免してくれとか、いろんな話が出てきたのですよ。  それだけならまだそういう話をした自治体があったかもわからぬですけれども、その中で、今度はいわゆる公害というのが出てきたのですね。優良な住宅とかあるいはまたいい会社とかが設置されるなら自治体もいろんな面で協力すると思うのですが、そういうのがなかなか来ずに、とにかく虫食い開発をやってみたり、後やりっ放しで川の下の方に泥が流れていったり、いろんな広い意味での公害というのが随分発生してきた。そこで自治体は、これではかなわぬということで、工場、住宅等の誘致条例を廃止をして、そのかわりにつくってきたのが開発指導要綱なんですね。こういう歴史的な経過が実は流れとしてはあります。  これは、公社公団等が開発をされて、優良な住宅地帯をつくっていく、こういうものと全くかけ離れた開発になってしまった。先ほど御答弁の中でおっしゃっておられましたけれども、固有財源が欲しい――いわゆる集会所等がすぐに単費で建つはずがない。そうすると、住宅が建設されて住み込んできた方はそこの住民ですから、集会所だけではございませんけれども、いろいろな利便施設とかそういう補助金のつかないものを建でろ建てろということで、自治体の担当者は、首長も含めて、寒いときも暑いときも夜中まで毎日毎日そういう折衝をしなければならなかった、何とかならぬかという知恵がこの要綱の中に出ているということは紛れもない事実です。  しかし、問題はそれだけじゃございません。例えば住宅をつくられる、入ってこられる、教育施設なんかは初めはプレハブばかり建てまして、プレハブというのは夏は暑くて冬は寒いですよ。そういうことでやってきたけれども、先ほど申し上げた五省協定等でそれが救われてきたという経過があるわけで、お礼申し上げたのですが、そういう状況の中で、人口の急成長に伴うような国等の制度というものが整備をされておらなかった。ただ申請をして申請が通れば家は建てられる。しかし虫食いはあかぬ、こういうものはなかったわけですね。これでは困るじゃないか、私たちの町にはもうそんな住宅は建ててもらいたくないんだ、これは何によって表現していくか。建築基準法で許可されたものは、建てますと言われたら、だめですと言うわけにいかない。そこで、そういう願いが宅地開発指導要綱の中に盛り込まれている。建ててほしくないんだという自治体の生活の知恵ですな。これがそこに含まれているということを、私はその当時同僚の首長から何回も何回も聞いたことがあるのです。そういう趣旨もある。  ですから、現実にこの宅地開発の指導要綱が機能を発揮している時点で、先ほど御答弁なさったような、むちゃくちゃなことがあったらこれはだれもいいと言うわけにはまいらないと思います。しかし、そういうもう来てもらっちゃ困るんだということの意思を、これにかわるべきもので制度的にどこで表明できるのかというようなことですね。開発は自由じゃないか、土地さえ買えれば建てればいいじゃないかということでは、整然とした都市開発というものはできない。たちどころにスプロール化してしまうというようなことが言われますので、そういう願いが実は入っておったということが一つです。これは経過であります。  もう一つは、毎年人口が六千人ずつどんどんふえてきまして、先ほど申し上げた学校だけでも三倍の学校を建てなければいかぬということになりましたが、入ってきた住民は、市民なんですね、その日から。ところが今の税法では、御承知のように地方税は来年にならないと入ってこないのですね。翌年度にしかその市町村に入ってこない、こういう税の制度なんですね。  今は大分改善されましたけれども、地方交付税の算定の中にも、その当時は国調から国調までの五年間は人口急増は認めてもらえなかったのですね。六千人ずつ毎年ふえてきたら五年間で三万人ふえるわけですよ。三万人も人口がふえているのに、交付税の算定の基準では――人口急増補正がその後にできましたけれども、私は自治省、建設省へ、こんなことですわと言って随分状況を説明に参りました。その後、急増補正その二が改善されたりしましたけれども、まだ今でも十分じゃないということが言えると思うのです。  そのときは何で補ってもらったかというと、特別交付税ですね。特別交付税しかないわけですよ。特別交付税は御承知のように枠が決まっていますから、財政需要があってもそうおまえのところだけ特別見てやるというわけにいかない。建設省と自治省といろいろお話してもらって、本当に急増のところは弱っておるなということで思いやりのあるおかげではありますけれども、満配には至らなかった。しかし、それで特別交付税の措置をしてもらってきた。その次の国調で今度は補正をしてもらったという経過があるのですね。  そうすると、そういうものの苦い経験を市町村が経てきたという要素も開発指導要綱の中には非常に強く含まれているということが言えるわけでありますので、今後この開発指導要綱については、先ほどおっしゃっていただいたので安心はしたのですけれども、しかし、現場の地方自治体では、先ほど申し上げたようにそういう通達が来るとデベロッパー側は勢いを得てくるし、自治体側は意気消沈してくる。これが起こらないように適切な御指導をお願い申し上げなければならない、このように思うのですが、自治省におかれましてもあるいはまた建設省におかれましても、どのように今後御指導いただけるか、一言説明をいただきたいと思います。
  261. 田井順之

    ○田井政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもは基本的には宅地開発指導要綱に基づく行政運営というものを必要なものと考えていかざるを得ないと思ってやっているわけでございますが、数多くの自治体の中にはかなり極端な行き過ぎがあるという例も若干見られるものですから、そして特にそういう事例に対していろいろと批判が集中しているものですから、そういった行き過ぎについては見直しをして是正をしていただきたいということを申し上げておるわけでございます。  しかし、同時に、宅地開発に伴いまして急激に公共公益施設の整備を進めなければならないといった場合の財政負担は過大なものになりますので、こういった状況に対処しまして、負担金をいただくとかあるいは土地なり施設なりの無償提供をお願いするとかいう形をとらざるを得ないのも、これまた事実でございます。  そこで、そういった場合に必要な財源を右から左にすべてその時点で開発業者に負担していただくということは、考え方としても多少問題もございますので、一つの例でございますけれども、そういった場合には、いろいろな財政措置もあるわけでございますから、長期的に見て適切と思われるような負担というものを考えていかなければならないという点を十分配慮してやっていただきたい。具体的には、個々ケースに応じて判断していかざるを得ない問題であろうかと思っておりますが、そういう考え方で今後とも自治省としては指導してまいるつもりでございます。
  262. 三井康壽

    ○三井説明員 建設省といたしましては、指導要綱につきまして、良好な都市環境をつくっていくといった観点から、こういったものが各地でつくられまして役割を果たしてきたということにつきましては、それなりの評価をさせていただいておるわけでございます。  ただ、最近になりまして、特に素地価格が上がりましたり、あるいは住宅、宅地の取得能力が、所得の向上が余りないものでございますので、住宅、宅地の需要があるにもかかわらず、なかなかその土地、住宅を御要望の皆様方に供給できないということから、指導要綱の中では一部かなり強い指導要綱をつくられまして、常識的に見ましても少し行き過ぎじゃないか、例えば幹線道路までデベロッパーに負担させているとか、あるいは寄附金の額が非常に多額であるといった批判が反面出てまいりました。  したがいまして、そういったことから、適正な形の指導要綱にしていただきたい、こういうことで昨年の八月に建設事務次官通達という形で指導要綱の措置方針というのを出させていただきました。従来は、行き過ぎはありましても、行き過ぎはなるべくしないでくれ、こういった抽象的な表現で申し上げてきたわけでございますけれども、幹線道路は、計画は仮にやったとしても負担は開発者にさせるのは不適当ではないかとか、そのためには関連公共公益施設の補助金もございます、促進費と言っておりますけれども、こういったものも建設省も重点的につけていく。それからまた、区画街路につきましては平均的には六メートルくらいじゃないか、こういった具体的な方針まで示しまして、指導要綱をこういったところになるべく沿ってやっていただくようにといったことをお願いしているわけでございます。したがいまして、私ども適正な形の指導要綱をやっていただくことを念頭に置きまして、今後関係の都道府県なりあるいは市町村と相談をさせていただきたいと考えておりますし、また、自治省の方々とも十分にお話し合いさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  263. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。  自治省におかれましては、前段に申されたことを強く主張していただきたいと思います。建設省におかれましては、具体的な例を挙げていただきましたけれども、でき得るならばそういう通達ですらっと流すのではなしに、今おっしゃられたようなことを指摘していただいて今後御指導をお願い申し上げたい、このように思います。  実は警察の方からも、出席しなくてもいいですかと丁寧にお電話をいただきまして、結構でございますということを申し上げたのですが、ちょうど公安委員会担当の大臣おいででございますので……。  実は指導要綱の問題だけが上がってきて、通達を出されて地方自治体も面食らっていると思うのですが、内容は今おっしゃられたことで私もいいと思うのです。  ただ、それが表へ出まして、私は関西しか知りませんが、関西の開発の現場、業者等から地元の新聞に載っている暴力団に指定されたような団体に相当多くの金が出ている。これは常識なんですよ。私はそういううわさを聞いたので、ある会社の幹部の方にお会いしまして聞いたのです。殺生ですわ、こういう話です。五十万、百万じゃないんですよ。指導要綱に沿って金を出せぬ、そんな厳しいと言うなら、そういうところへ出さぬ方がいいのですよ。それが出ている。大臣、どこの株式会社にだれが行って幾ら取ったということは申し上げませんけれども、そういう指導要綱と裏腹の関係でそういうところへはお金を出しでいっている。たびたび新聞に載っているのですよ。暴力団に指定された団体ですよ。マイクをつけまして、さも何か大衆運動をやっているような宣伝をしまして、そしておどかしに行くのです。トラックがここを通ったらいかぬ、付近の住民が迷惑する。付近の住民とは話は済んでいるのですけれども、そういうことを言っているのですよ。非常に多くの金が出さされている状況にある。  今すぐにどうのこうのとは申しませんけれども、こういう指導要綱なら日の目の当たるところでやっているわけでございます。それも利便施設等でございますので市民が使うわけですけれども、そういうところへ出されているような金があるのなら、市町村に出してもらった方が予算にものりますし、使い道がはっきりしますしということで、公安関係の担当大臣でございますので、機会がありましたらそういうこともひとつ調査をさせていただきたい、このように思うわけでございます。御答弁は結構でございます。  その次に移らせていただきます。  自治体が実施をしようとしている、もしくは実施されている情報公開の問題についてでございますが、聞き及ぶところによりますと、機関委任事務につきましても自治体が行う情報公開の対象になる、こういうことが既に確認をされているということを聞いておるわけでございますけれども、自治省の方でそれに間違いございませんか、お尋ね申し上げたいと思います。
  264. 大林勝臣

    ○大林政府委員 情報公開の対象としましては、機関委任事務も含まれるのが当省の解釈でございます。
  265. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。私もそのように聞いておったのですが、情報公開とプライバシーの保護という問題は裏腹の関係で、表裏一体のものだというふうに私は理解するわけです。  今行政局長さんからお話がございましたように、機関委任事務につきましても市町村の行う情報公開の対象になるということでございます。そうすると、いわゆる情報公開とプライバシーが裏表になっている問題で、何かそこに問題が起これば、これは調べてみなければいかぬわけですね。ところが、機関委任事務に対しては監査権は及ばないわけです。私は、都道府県、市町村が同じ場所でやっていることですから監査権も及ぶと思っておったのですが、監査権は及ばない。そうすると、プライバシーの侵害にかかわるような問題等が起これば、同じような範疇で府県、市町村がやっていっているけれども、そこを監査するわけにいかない。これは一歩前進しましたけれども、もう一つの監査制度の方も前進していただきたい、私はこのように考えているわけです。具体的にどういう問題が起こったかということはまだございませんけれども。  いろんな方に話を聞いてみますと、自治法の改正をやらなければならぬということらしいですね、監査権が及ぶとしたら。それで私は、自治法の改正をやるべきではないかとこの点については思います。ただし、それに便乗して自治体を困らせるような自治法の改正をやってもらっては困りますけれども、この点に関しては自治法の改正をやってもらいたい、やるべきだ、こう思うのですが、大臣どうでございましょう。
  266. 田川誠一

    ○田川国務大臣 地方自治の改革に関しまして、今、山中さんが御指摘になられましたようなことは、これまでも地方制度調査会でしばしば答申があったのでございます。自治省としてもこういうことをぜひ実現したいとかねがね思っておりまして、以前、たしか九十四国会でございますか、この国会に、国と地方との関係、地方議会制度、監査委員の制度、こういうことについて、地方制度調査会から答申のあった問題について地方自治法の改正を用意しようとしたことがございましたけれども、各省との話し合いが煮詰まりませんでそのままになったという例もあるわけでございます。  御指摘のような地方自治法の改正につきましては、なお今後実現できるように努力をしたいと考えております。
  267. 山中末治

    山中(末)委員 私がたまたま申し上げたことを自治大臣の方も同感とのことでございまして、これで問題はなくなったわけでございますので、後は実現ということになります。  まあ委員長さんに責任を持たすようなことで申しわけないのですが、ひとつ委員長におかれましても、地行委の委員長さんとして、そういうことが実現をしていきますように、今後の御指導、御尽力等をお願い申し上げておきたい、このように考えます。  時間が多少余っておりますけれども、私がお聞きしたい問題につきましては以上でございますし、また、適切な御答弁も賜りましたので、これで質問を終わらせていただきます。
  268. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る十七日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十五分散会